リリカルなのはクロスSSその57

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
ゲット・雑談は自重の方向で。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその56
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206187925/

*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ32
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206357259/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/

NanohaWiki
ttp://nanoha.julynet.jp/

R&Rの【リリカルなのはStrikerS各種データ部屋】
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/index.html
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/26(水) 23:52:27 ID:bFB+1XAb
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません

【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は感想・雑談スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/26(水) 23:54:17 ID:561OlYh9
>>1乙!
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/26(水) 23:56:29 ID:c1i8CcLO
乙 俺は睡眠中の我が家の愛犬と遊んでくるぜ
5魔術士オーフェンStrikers:2008/03/26(水) 23:56:57 ID:iJpm2t/Z
>>1乙です!!
&前スレでは不勉強ですいませんっしたーーー!!
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/26(水) 23:57:07 ID:O+SL8Km9
【ブラックリスト(盗作による追放処分者)】
スーパーロボット大戦X ◆ByQOpSwBoI
接触厳禁、自演看破した場合はその旨宣言後スルー推奨
7×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/26(水) 23:58:16 ID:bFB+1XAb
でもって
0:15くらいから×DODの方の投下を予告させていただきます。

そして>>6乙。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/26(水) 23:59:01 ID:bSwAd8Ev
乙です。
>>4可哀想だからやめいwww
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:00:20 ID:4kYIZHHS
>>6補足
避難所を中心に名無し自演擁護に奔走してると思われる書き込みが散見されています
くれぐれも下手に突付かないよう注意
スパロボXに理はありませn(ry
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:00:46 ID:561OlYh9
>>7支援いたしますでございます。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:01:24 ID:z7Xr2O2d
>>1乙。
そして支援
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:01:57 ID:HhbNWl0B
>>1乙!
そして、支援!!
ピポか殺戮王子かわからなくてドキドキ。
13Strikers May Cry:2008/03/27(木) 00:01:57 ID:SRUpOANL
>>1

さて、リリカル・グレイヴと男塾クロスを平行で執筆しつつチンク姉の眼帯を左目に移してオロオロしている様を鑑賞するか。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:08:47 ID:t3DsDAYZ
実は右目にはとんでもないものが……
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:11:32 ID:UHMgj4Bc
 乙です。

 >>13
 寝ているうちにこっそり移しておいて、起きたら『朝からまっくらクライクライ』なわけか。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:12:15 ID:FKLFySo+
赤外線照射装置がでてくるのか
17Strikers May Cry:2008/03/27(木) 00:13:29 ID:SRUpOANL
ところでチンク姉は右目が見えなくて右に眼帯、グレイヴは左目が潰れててメガネの左のレンズを黒塗り、こいつをどう思う?

つまりチンク姉にグレイヴのメガネをかけさせると大変な事になるんだよっ!!!
18キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 00:13:48 ID:jG+uI+f7
オレ、もしこれが20レス以内だったらキャバクラの続きを投下するんだ……
1乙です。
19×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:14:38 ID:80d7vf18
少々早めですが、そろそろ予告の時間となりましたので、投下を開始いたします。
約6500字(13kb?)の七分割です。


>>17
あっちこっち頭ぶつけて目を潤ませたチンク姉想像したw
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:15:07 ID:4q0LfnXh
支援
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:15:13 ID:gOHOT/Sb
>>18
>オレ、もしこれが20レス以内だったらキャバクラの続きを投下するんだ……
さあ、投下カモン!!
22×DOD 五章八節 1/7 ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:19:00 ID:80d7vf18
 炎のように紅い剣の軌跡の煌きと同時に、解放された魔力がカイムを中心に放射され、鋭利な刃
となって円形に拡散する。
 虚空を薙ぐ際の風の音が、離れているにもかかわらず聞こえてくるかのような錯覚をヴィータた
ちはおぼえた。敵群に囲まれて遠くにありつつも強力な凝縮と練度を持ったそれと知れる、妖しく
も暴力的な一撃が瞬く間に駆け抜ける。
 ガジェットの装甲が硝子のように割れ、シャドウの黒い装甲に真一文字の大きな亀裂が走ったの
は次の瞬間だった。同時に制御を奪われた魔導弾が音もなくはじけて霧散した。生成していた本体
の、ガジェットの機能が失われたのだ。生成するものが無ければ、魔力は体を成すことができない。
 しかしシャドウの兜の奥にはまだ、魔を宿した暗黒が消える気配は読み取れない。
 肉片の飛沫の代わりに鉄の欠片が飛び散るのを見て、カイムは地を蹴った。跳躍して手を伸ばし、
対魔法シールドをすり抜けた痛恨の剣撃に叩き上げられたシャドウの、くろがねの首部を左手につ
かみ、くびりあげる。
 吹き飛び地に落ちた敵群の身体から擦れるような金属音が遅れて響き、その中でカイムは左手に
とらえた甲冑に、ゆっくりと刃を向けた。
 そして右手の紅い長剣をシャドウの亀裂に突き刺して、腹から背を貫いた。

「っ」

 遠目に見ていたスバルは思わず目をそむけた。カイムの剣が貫通する瞬間、痙攣するかのように
大きく震えた死霊の騎士の、ヒトのかたちをしたシルエットがあまりにも生々しく見え、断末魔の
叫びを聞いた気がしたから。
 果たして百舌鳥の早贄もかくやと言わんばかりの、見事な串刺し体に姿を変えたシャドウは二、
三度小さく震えた後、事切れたようにだらんと手足を垂れ下げる。鎧兜の中の闇から瘴気が消え、
あるべき空白がかえってきた。
 倒したのだ。
 強固な敵ではあるものの、限界を越えて体を傷付けることが死を意味する、ということは生物に
等しかった。他の甲冑たちも損傷が激しいらしく正常な挙動を失って、完全に鉄屑となったガジェ
ットの残骸の上で立ち上がろうと、剣を杖代わりにして困難しているところだった。
 その一体に向かってカイムは剣を振り、串刺しにしていたシャドウの骸を抜き飛ばして当てた。
死した鎧ががしゃんと音をたてて崩れ飛び散り、立ちかけていた甲冑が再びくずおれる。その様子
を目にカイムは、口元に薄く笑みを浮かべていた。破壊の悦びに震えるそれは、例えるなら悪魔の
それだろうか。残忍かつ冷酷な微笑みであった。
 首を曲げると、向こう側に離れて一体の瀕死のシャドウが残されていた。それを見てとると彼は
笑顔を貼り付けたまま、ゆっくりと一歩足を踏み出しはじめる。
 完璧に壊し、なぶり殺しにするために――しかし、それは叶わなかった。
 邪魔をしたのはヴィータだった。
 シャドウは不死ではなく、さらに反撃や防御の力は無いと悟るや否や、カイムよりも早く地を蹴
って、斬るべき獲物を奪ったからである。彼に代わって、自分がとどめを刺すことで。

「お前……」

 甲冑の一体をグラーフアイゼンで叩き潰し、動きを止めた事を確認して顔を上げたヴィータは、
カイムに目を向け呼び掛けた。男は獲物を奪われたと知ると、舌打ちをひとつした後、再び無表情
に戻ってしまっている。視線はヴィータに向けず、今度は空へと移っていた。
 相変わらず眼中にないのか、それとも目に入らぬほど興奮しているのか。おそらくは後者であろ
う。そんな気がした。
 スバルやティアナを恐怖させ戦慄を抱かせたことへの憤りや、その変貌に対しての驚愕を顔色に
あらわしてはいたが、言葉には言い表せぬもっと複雑な、様々な感情が絡み合い織り成したような
表情をヴィータはしていた。男の深奥は知るよしもないが、その肉体あるいは精神に抑えなければ
ならないものがあることだけは、はじめての手合わせの時から何となく感じていたから。
23キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 00:19:32 ID:jG+uI+f7
なんてこった……以内じゃないか(汗
DOD氏の後に投下するのかな? オレは
24×DOD 五章八節 2/7 ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:20:18 ID:80d7vf18
 あの残酷な笑みを消し去っているカイムを見て、ヴィータは思い返す。ドラゴンがなのはとフェ
イトに漏らしたとはやてから聞いた、「壊れた」という言葉――それが急に重みを帯びてきた。
 男が剣を振るう直前に見せた邪悪なエガオは、たしかにまともな心を持つ者ならば、決して見せ
ぬ種のそれであった。普段の鉄面皮、尋常ならざる殺意と怒り。そして何よりも、斬る直前に見せ
た、狂気と喜色の入り混じったあの笑み――。

 察しがついてしまったのだ。
 男の心のどこかが、壊れてしまっているのだと。

 彼女自身、常人の想像を遙かに超える過酷な生を……転生の繰り返しであるそれを、生と呼ぶの
がはたして正しいかはわからないが、送ってきたつもりでいる。現在の主・八神はやてに安らぎを
得はしたものの、今までの苛烈を、懊悩苦悩を忘れたわけでは決してない。
 忘れて過去を否定することは、現在の自分を否定すること――それは絶対にあってはならない。
 それに何より、過去の苦しみを忘却の彼方に追いやることは、それこそ不可能なのだ。負の記憶
というものは正のそれとは違い、それこそ岩に刻まれるがごとく強く残るものなのだと、少なくと
もヴィータは、ヴォルケンリッターの四人はそう知っている。特に、鮮血の記憶はなおさらに。
 自分たち守護騎士はある意味、というより完全に人外の存在。それ故に百年を超える永い戦いの
中でも、幸運なことに(少なくとも今はそうだと、ヴィータはそう考えている)精神を保つことが
出来た。発狂することなく転生を繰り返し、八神はやてのもとに辿りつくことが出来た。
 しかしそれは、人間の身では決して叶わぬことだ。当たり前だが「プログラム」である彼女たち
よりも、生身の人間の精神のほうが遙かに脆い。

 両親を目の前で殺され、国を亡ぼされた元小国の王子。それがカイムの素性の概略なのだと、又
聞きに聞いていた。親のないヴィータにその気持ちは分からないが、たとえばはやてを眼前で殺さ
れたと考えると背に寒気を覚える。考えるだけでも怖気が走るのだ。
 話によればその後男は、剣のみを手に戦い続けてきた。戦う目的は恐らく――復讐。その中で自
分たちのように血を浴び、癒される間もなく敵を斬り、人間の短い時間とはいえ濃密な、守護騎士
たちのそれにも引けを取らぬほどの激しい戦いを続けてきたとしたら。

 人間の弱い心なぞ、粉々になるだろう。確実に。

「……お前っ」

 かけるべき言葉などわかるはずもない。カイムがヴィータの素性を知らぬように、ヴィータもま
たカイムの生きた道の全てを知っているわけではないのだから。
 しかしそれでも、ヴィータは口を開かずにはいられなかった。何でもいい、伝わらなくてもよか
った。言葉にして吐き出さねばならぬと、心のどこかに駆り立てられたのだ。
 だが焦燥まじりのヴィータの言葉をかき消して、鈍くおおきな金属音が背後に響く。
 驚いて振り返ると、折り重なるように倒れていた一体のシャドウと、戦闘不能のもう一体が、地
から伸びた巨大な光の針に串刺しにされている。
 何者かが放った、完全なるとどめの一撃であった。
 そしてこの魔法を使うものは、機動六課ではただひとり。

「ザフィーラ……」

 ヴィータが見るとやはり、同じ守護騎士の一員、戦狼ザフィーラがそこにいた。
 同行していたシグナムと別れ、ホテル内およびホテル外周の守備を任されていたのを、他方向か
らの襲撃は無いとみて援軍にやってきたのだ。
25×DOD 五章八節 3/7 ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:20:48 ID:80d7vf18
「『敵』はこれだけか」

 凛然とした低い声の問いに対して、ヴィータの答えはややぎこちなく、ああ、口にするだけであ
った。小さい体ながらきびきびとして快活な、普段の彼女には似合わない。

「そうか。だが……」

 そこでザフィーラは、ヴィータから離れてたたずむカイムを見た。
 剣を向ける次の相手を見つけたのか、宙の一点を野獣のようなギラついた眼でとらえていた。
 その顔はあの見るもおぞましい、狂った笑みに歪みはじめていた。
 再び盛り上がり始めた頬肉の、醜いと言わざるを得ない悪魔のようなそれを見てとって、ザフィ
ーラは眉を顰めた。そうした後に、心の中で言葉を漏らす。

――それが……。

 しかしザフィーラがその思いを言葉にするより早く、落ちていた外套を再び纏ってカイムは跳躍
した。
 竜騎士の脚力で加速し、あっという間に空の彼方へ向けて飛び去る。その間一度も振り向くこと
はなく、視線さえ投げることはなかった。



「それがお前の本性……か?」
「…………」

 ちいさくなってゆく背にザフィーラが呟く。ヴィータは今度こそ、何も言うことができなかった。
26キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 00:21:32 ID:jG+uI+f7
割り込みスマソン、支援
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:21:46 ID:HhbNWl0B
支援!
カイムがもう暴走モードだよ!
28×DOD 五章八節 4/7 ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:21:55 ID:80d7vf18
 


「レイブレス。竜の秘奥のひとつだ」

 炎と表現するのも憚られる、極限まで凝縮された光の矢を解放し、総数十二のそれを一息に射ち
終えたドラゴンは、キャロたちに肉声で告げた。
 空にはもう、「敵」のかたちはどこにもない。
 揃いもそろって、皆すべて撃ち落とされたのだ。竜が放った、レーザーの様な熱線に貫かれて。

「今のは、魔法……?」
「何を驚く。よもや魔法が、人間ごときの特権だと思ったか?」
「い、いえっ」

 竜の赤い背に呟いたのを聞かれて、しどろもどろになってフェイトは否定した。驚くべきは竜が
魔法を使ったことでも、その威力についてでもない。ガジェットの装甲を切り裂き、あるいは貫く
ことのできるレベルの魔法はフェイトにも、今オークション会場で気を揉んでいるであろうなのは
にも可能だ。唖然とさせられたのは、その圧倒的な追尾性能を見たからであった。
 竜の口から放射状に放たれた炎の光線は、まるで意志を持つかのように敵を追い、それぞれが別
々の機体目掛けて首を振って、縦横無尽に疾っていった。外からの制御は行っておらず、解放の直
前に口元に出現した魔法陣も未知の種のものであった。追っては貫き、探しては追うそれらはあた
かも、解き放たれた猟犬のようにフェイトたちの目に映ったのである。自律し敵を追うにも、ここ
まで高度な魔法はさすがに見たことがなかった。
 未だに黒煙や灰が残る空で、赤き竜は右の翼を大きく前方に振り下ろした。突風が前方の塵芥を
吹き飛ばし、一瞬の後には今度こそ何もない、青空に相応しい澄みきった空気が戻ってくる。地上
へ墜落したガジェット、そしてガーゴイルの残骸を除けば、これで完全に敵襲の名残はなくなった。
 だが魔導師たちは、出現した未知の異形を忘れたわけではない。

「あの……あのっ」

 可愛らしい小さな、しかし不安を孕んだ肉声。それを聞きつけ、竜の魔法と「敵」とを内心で分
析していたフェイトは背後を振り返った。竜の背に乗っていた、シグナムとエリオも目を向ける。
 その先ではキャロが、やはり何か思うところのある表情で、ドラゴンの背を見つめていた。
 敵はいなくなった。地上の戦闘も、苦戦との報は入っていない。あの妙な「敵」との関係、名を
知る理由を聞きたいのだろう。それはキャロだけではなく、その場の全ての者に共通している。
 キャロには分からなかった。今目の前にいる火竜が、あれほど激しい感情をにじませた理由が。
 甘くは無いが普段は穏やかで理性的なドラゴンが、名を知り怒りの灼熱を容赦なく浴びせた敵、
ガーゴイル。自分たちの知らない何かが、少しずつ動き始めている気がして。
 そしてドラゴンだけではなく、その半身カイムにも、何かが起こっているような気がして――。

 暫く待つと、ドラゴンは――話をするつもりになったのだろうか。二つ羽ばたいて背を翻し、キ
ャロとエリオ、シグナムを乗せたフリードリヒの、そしてフェイトのいる方向へ身体を向ける。
 何を言うのか、緊張した面持ちで見守る魔導師たち。しかしそれはキャロへの答えではなかった。

「……よく見るのだ。あの男の姿を目に焼きつけよ」

 キャロも、エリオも、フェイトまでもが、え、と問い、シグナムも疑問の表情を浮かべる。そう
してのち、皆がほぼ同時に気づいた。よく見るとドラゴンの視線はフリードリヒの巨体ではなくそ
のやや下方、焦点はより遠くに向いている。
 何かがいるのか。
 そう思って皆が振り返ると、低空からぐんぐんと迫る何かが、たしかにいる。
 銀色に光る何かをたずさえて、接近する男がいる。やがて手の内のそれが剣と気付き、その男が
剣士だと見え、そして正体がカイムだとわかり――。

「それがおぬしのなれの果てだ」



 言葉と同時に魔導師たちが目にした、眼前を横切るカイムの表情は、正しく死笑であった。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:24:23 ID:QqHL2Glr
支援
30×DOD 五章八節 5/6 ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:24:47 ID:80d7vf18
 


 フェイトの真正面へと向かい、その僅か上に躍り出たカイムは何を思ったか、フェイトが持つバ
ルディッシュの戦斧の、刃の付け根にふわりと降り立つ。そして一同が見つめる、一瞬の間の後に、
その鋼を踏みつけてさらに高く舞い上がった。
 足蹴にされたフェイトが一瞬バランスを崩し、きゃっ、と、珍しく小さな悲鳴を漏らしたのは同
時だった。体勢を立て直したフェイトが――あるいは踏まれたバルディッシュが何かを告げるより
も早く、男はすれ違いざまに竜の背から、赤い刃の剣を握り取る。
 そしてあっという間にその背は小さくなり、かと思うと唐突に赤い刃を携えたまま、その姿を忽
然と消した。
 遠くなって見えなくなったのではない。「白蝋の剣」に込められた、隠遁の魔法の効果であるの
だとは、その場にいた誰にも知れた――。
 ただしそれには一拍の時を要した。空白の時間が流れたのだ。誰も未だかつて見たことのない、
悪鬼の形相を目にしたことで。

「……今のは」

 男の背がとっくに消え失せ、気配すら感じない遠くへ行ってしまった後になって、シグナムはよ
うやく静かに呟いた。カイムの凄まじい表情に覚えた驚愕と悪寒の余韻に、未だに心を引きずられ
ながら。
 それに対し、ドラゴンは静かに答える。

「カイムだ。このまま元凶を討つらしい」
「なっ……分かるのですか!?」

 当たり前だが、ここは上空。眼下は何所までも広がる大森林だ。こんな中から一人の人間を探す
のは、魔法を使ったとしても困難を極める。
 ドラゴンが何も返さないのを見て、シグナムは口をつぐんだ。無言は肯定である。驚愕に値した。

「カイムさん……」

 シグナムの声が途切れると、キャロが小さく呟いた。
 目は、その瞳が少々揺れているようにドラゴンには見えた。そこに向かって竜が問う。キャロは
カイムが去った方向を見つめたまま、静かに続けた。

「怒ってたのに……笑ってた……」
「何もかも奪われ、力のみを残された者の未来だ。おぬしと同じ……」

 いや、と付け加える。

「……だがおぬしは、黒金に巡り合った」
「え?」

 呼び名を呼ばれたフェイトも、エリオもまた目を向けて、竜の割れた瞳を見た。
 そうしてドラゴンは、そこに続けて言葉を紡ぐ。飛び去って行った男の背を見る、その目の奥で
何を想ったのだろうか。

「カイムは誰にも出逢わなかった。ただそれだけの……それだけのことよ……」
31×DOD 五章八節 6/6 ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:26:00 ID:80d7vf18
 


 召喚した蟲を、ガジェットの制御にまわして操作する。そうしてデータを取るのがルーテシアの
任務であり、それは概ね完了した。
 情報として受け取った、ガジェットの他の種々の異形は少々珍しくあったものの、己の「捜し物」
が無いと知った彼女はあまり思うところがなかった。頭の中にあったのは、白衣の男スカリエッテ
ィの頼みを聞き、ただ正確にガジェットを操作することだけ。
 全機撃墜される時間は早かったものの、データの収集は完了した。後はこの森から引き上げ、再
び旅を続けるのみ。
 ゼストは周囲を警戒すると言って辺りを見回っているが、それももうすぐ終わって戻ってくる。
そしてもうそろそろアギトが、どこかに飛んで行ったふたりの妖精を呼び戻してくる頃だろう。
 そうしたら、今度こそあのふたりと、おはなしをしてみよう。
 まだ声を聞いたことはないけれど、きれいな青と、きれいな赤のあのふたりなら、おとぎ話みた
いにきれいな声を聞かせてくれるかもしれない。前から一度、聞いてみたいと思っていた。
 そしてもしかしたら、母を助ける自分の願いにも、協力してもらえるかもしれない。心が希薄な
少女は無邪気にも、そんな事を考えながら、引きあげの準備にかかろうとしていた――。

 不可視となった一人の剣士が、その背後で片腕を斬り千切らんと、長剣を振りかざすのを知らず。
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:26:39 ID:Q5UP0mQF
支援
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:26:58 ID:NNcCutBm
支援
34キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 00:27:10 ID:jG+uI+f7
ちょっ! 私のルールーが死にそうだけど!?支援
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:28:02 ID:LgB7q8HL
おお!ルールーの危機!支援
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:28:41 ID:NNcCutBm
6/6だし、投下終了かな?支援
37×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 00:28:43 ID:80d7vf18
レス数ミスりました。申し訳ない。
長かった第五章ですが、次節でようやく一区切りとなりそうです。ではまた。

言い忘れたが、「踏み台クロス」って言葉を教えてくれた名無しの人、こうですかわかりません><
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:31:54 ID:NNcCutBm
GJ!
踏み台ってそっちかwバル哀れ
ルールーの危機にゼストは間に合うのか?
あぁしかし……これがダッシュ突きだったらゼストやガリュー諸共だ…
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:32:50 ID:FKLFySo+
フェイトそんが【踏み台】ですかwww
とにかくGJ!
40リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/03/27(木) 00:32:50 ID:HhbNWl0B
さようならルールー。
君はいい美少女だったが、敵が悪かったのだよ……
或いは私を踏み台にしたぁ?! とでも言うべきですかw

っと、それはおいといて。
真面目にルーテシアがやばい。ガリュー助けて! な予感w
そして、次回以降も凄い見逃せませんね。
リアル投下に立ち会うことが出来て凄いラッキーです。
GJでした!


あと明日(もう今日ですが)の夜にでもエンドラインの続きを投下出来るかもしれません。
ウロスで言うのは駄目なようなので、こちらで言わせて頂きました。
41キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 00:37:38 ID:jG+uI+f7
あ〜ルールー、さらばだ。君は私の中で生き続けるだろう(なに
とりあえず風呂に入って来てから、就活に疲れて書いたキャバクラの続きを投下しますね。
でも「人大杉」とブロックが入っていてビクビクw
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:45:43 ID:O24Uh0SQ
第一種銭湯――もとい支援配置!
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 00:46:50 ID:Aks6vwQP
おっしゃー 待ってました。
44キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 01:02:51 ID:jG+uI+f7
XV級次元航行艦クラウディアの艦長、クロノ・ハラオウンが本局にある義妹の部屋を訪れたのは偶然。
定期メンテナンスの為に本局に立ち寄り、補給の都合で出港まで僅かながらスケジュール上の空白が生じる。
何時もは通信の画面越しである義妹 フェイト・T・ハラオウンの顔を見ようとクロノは思い至ったのだ。
スケジュールを確認すれば午後から外出予定だそうだが、それまでは自室にいると言う回答。

「フェイト、クロノだ」

『いらっしゃい。チョッと立て込んでるの、入って待ってて』

クロノが執務室のインターホンを押せば、すぐさま帰ってくるフェイトの声。
言われるままにロックが解除された部屋に入った彼は僅かに感じる違和感に首をかしげた。
執務官に割り当てられる執務室はそれなりに広い。一つの事件を解決と言う形に導くには多くの準備が要る。
証拠を揃えたり、その事例がどの法を使って裁くかなど。その為には無数の資料を集め、無数の書類を作成するデスクワークが必要だ。
故に執務室は書類と資料で埋まっているというのは珍しい事ではない。しかしそれ以外のものがクロノの目に付いたのだ。
それは服。この部屋の主が誰かと言う事を考えれば、女性モノの服。しかも様々なタイプが複数、乱雑に置かれている。

「フェイト〜この服は?」

未だに姿を見せないと言う事は多分、今も別室で着替え中なのだろう。
そう彼が考えていると別室のドアがスライドし、フェイトが姿を現す。

「お待たせ、クロノ提督。それとも……お兄ちゃんの方が嬉しいのかな?」

「……どちらでも構わないが……どうしたんだ? その格好」

久し振りに直接会った義妹のイジワルな質問に苦笑しつつ、クロノは首を傾げた。
スリットの入ったタイトスカートとジャケット。同じ様な形状の執務官制服とは異なり、統一された紺色のシンプルな作り。
確かにその一点ならば大きな違和感を覚える事は無かっただろう。しかし何時ものフェイトとは違うポイントはそれだけではない。
顔には薄いながらも確かな化粧、口元は嫌味にならない程度に赤い口紅。耳にはイヤリングが本物の輝きで自己主張していた。
手に巻いているのはアナログ式で確かなブランド品、手に持つバッグも同様。ソコから導き出される答えは……
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:04:11 ID:oRuz5DlG
輝くものは星さえも 支援
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:04:44 ID:q1QPINR3
支援
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:05:08 ID:FKLFySo+
支援
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:07:05 ID:Vp0KGbjg
>>37
GJ!
アンフェルはやっぱ凄いぜ!
>>38
ソードマスターカイムだなwww
49キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 01:07:34 ID:jG+uI+f7
「デート……なのか?」

「え? う〜ん、『数年越しの想い』ではあるけど」

「$%&#*!?」

チョッと困ったような、しかし同時に嬉しさを感じさせるフェイトの表情に、クロノは思わず悲鳴を上げた。
彼はそう……シスコンの気があったり、無かったりする。

「あっ相手は誰だ!? ユーノか? もしかして僕の知らない奴!?
 結婚を前提にお付き合いしているなら、一度は僕や母さんやアルフに顔を見せるのが道理だろう!」

「……クロノ、そんなんじゃないから」

搾り出すように捲くし立てた後、荒い息を吐いている兄を見て、フェイトは苦笑。
彼女からしてもここまで取り乱す兄と言うのは滅多に見られるものではない。
クロノもようやく冷静になったらしく、起動状態にしたデバイスを引っ込めて、咳を一つ。

「まぁ、なんだ。その……じゃあ誰に会うんだ?」

「初めて……フラれた娘……かな?」

ポッと顔を紅く染め、所在無く視線を彷徨わせている義妹にクロノは、先程とは異なる絶望的な視線を向ける。
此方の顔色は真っ青で具体的に言えば『親か子供、伴侶が難しい病気に犯されている』と告げられた時のよう。

「つまりアレか……フェイトは同姓で大きく年下でないとダメなのか?」

「え?」

「イヤ! 君の生い立ちの複雑さは理解している。それ故に少々凡人には理解できない性癖が…『違う!』…そうか」

クロノは否定されて安心なような、同時に残念なような複雑な顔へとシフトチェンジした。
なんだか目的やこれから行うべき事から自体が離れている事に気がついて、フェイトは真剣な顔を作り、短く言い放った。

「ビルの生き埋めになった関係だよ」

「っ! なるほど。それなら君が入れ込むのも分かる」

「そろそろ行かないとマズイな。ゴメンね、ゆっくり話せなくて」

時計を確認するとフェイトは酷く残念そうだ。久し振りに義兄との時間も彼女にとっては大事な物なのである。

「構わないさ。何時だってまた会える。僕達は家族だろ?」

「クロノ……うん」

「チョッとまて、フェイト!」

嬉しい事を言われて嬉しさ倍増、スキップで部屋を後にしようとしたフェイトをクロノが呼び止めた。
そして重々しい口調で告げる。

「そのネクタイは止めた方が良い」

彼女がしているのは黒地に眼が覚めるような黄色の稲妻が刺繍されたネクタイ。心底驚いた顔をする妹にクロノはため息をつく。

「これお気に入りなんだけど……」

「自分でも今風のセンスを持ち合わせているとは思わないが、君のセンスは解らない」
50キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 01:08:43 ID:jG+uI+f7
「ここで良いのかな?」

通信を切断しようとする相手から苦労の末に取り付けた再会の約束。
フェイト・T・ハラオウンは嬉しさによる緊張と共に戸惑いを覚えていた。
指定された場所はある管理世界の中心の都には、クラナガンにも負けない近代ビル郡が聳えていた。
その一角、二十や三十では階数が足りないだろう高層ビルに約束の場所はある。
ビルの最上階を占拠するレストラン。内装や雰囲気からソコが『高級』と言う形容詞を冠する事は容易に察しがつく。

「いらっしゃいませ」

「え〜と『盗賊』に会いに来ました」

「どうぞ、こちらへ」

あらかじめ伝えられて合言葉により、ウェイターはフェイトをその席へと導く。
窓側に面し、ソロソロ輝き出した夜景を一段できる絶好のポジションだろう。
白に銀の縁取りがされたクロスを纏うテーブル、それとセットになった座り心地が抜群の椅子。
テーブルの上には陶磁器のティーセットと、イチゴのショートケーキがホールで置かれている。

「キュクル〜」

取り分けられたケーキを貪っていた白銀の飛竜が、フェイトの姿を確認して短く吼えた。
名をフリードリッヒ。だが口の周りがクリームだらけで威厳も何もないことが残念だ。
そして窓際の椅子に腰を下ろし、優雅に紅茶を飲むのは桃色の髪の少女。名を……

「お久しぶりです、フェイトさん」

「元気そうでよかった。でも見違えたね、キャロ」

キャロ・ル・ルシエ。少数民族アルザスに生を受け、余りにも大きな力を持つ故に追放された少女。
フェイトの『見違えた』と言うのは単純に『背が伸びた』等と言う事ではない。
確かに背は伸びたし、女性としての丸みも僅かにだが増しただろう。だがそういう事ではないのだ。
体から染み出すソレは『強さ』。多くの経験を潜り抜けた何者にも屈さぬ心意気。
力を持ち、ソレを行使する事を厭わず、勝ち続けたからこそ生まれる『強者の余裕』。

黒に赤のフリルがついたある種奇抜なワンピースの胸元、金色のリングの中で三角に刻まれた目が光り輝く。

「そういうテメエは変わってねえみたいだな? 引退の予定はないのか、執務官さまぁ?」

光が収まればキャロと言う少女の人が文字通りに変わっていた。少女が先程まで放っていた強さとは異なる強さ。
それこそ積み重ねた年月とその行いに圧倒的な差がある。それは『闇』だろうか?
口元はニヒルに歪み、目元は鋭くなる。二房立ち上がった前髪と口を開けば出る皮肉な言葉。

「悪いけど生涯現役のつもりなんだ。えっと……バクラ」

悪趣味な金色のペンダント、千年リングに宿る古代エジプトを震撼させた邪神の欠片。
数奇な運命のイタズラによりキャロの手に収まり、それからこの数年彼女を導き、助けてきた『盗賊』である。

キャロとフリード、そしてバクラ。この二人と一匹こそがフェイトに始めて土を付けた相手であり、再会を待ち望んでいた想い人。
優しい世界で正義を守ってきたフェイトが始めて出会った敵でもあり、助けたい対象でもある奇妙なポジション。
これから始まるのは近況を報告しあい、本音を語り合う機会なのだ。


『キャロとバクラが強敵とテーブルを共にするそうです』
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:08:52 ID:oRuz5DlG
尊きものはフェイトすら 支援
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:09:22 ID:/VQzFKoR
イナズマネクタイ支援
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:10:06 ID:h6hTkNsy
支援
54キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 01:10:34 ID:jG+uI+f7
「いざ向かい合ってみると……」

「なんだか……緊張しますね?」

フェイトとキャロはテーブルとティーセットを挟んで向かいあう。
なにをしているか?と言う疑問の答えとして、『お見合い』だといわれても仕方が無いほど、お互いが緊張しているのがヒシヒシと伝わってくる。

『じゃあ止めようぜ』

「キュックル〜!」

「「ダメ(です)!!」」

しかしお見合いを快く思わない同席者 バクラはイメージの中でダラ〜と姿勢を崩して耳を穿っている。
その反対の声に同調するフリード……イヤ、彼はただ食べていたケーキが無くなって『もっと寄越せ!』と言っているだけだろう。
まぁ、返事の内容としては『食べすぎはダメ!』と言う事で、バクラの意見と共に対処は同じなのだが。

「じゃあ私から質問を一つ、良いかな?」

「あっはい! どうぞ」

お見合いにすら劣る、これでは面接のような気がするが本人たちはいたって真面目。
まずはフェイトがキャロにこの約束した場所に来て最初に感じた疑問を口にした。

「お仕事は何をしてるの?」

人よりは高給取りなフェイトですら、中々入るのに躊躇いそうな高級レストラン。
そこで優雅にお茶を飲んでいたキャロの仕事・収入の内容が純粋に気になったのだ。
その質問にキャロが困った顔などしようものならば、残念な事に保護者たるバクラに詰め寄らねばとフェイトは心に誓う。

「色々です。ね、バクラさん?」

「アァ、色々だな。本当になんでもやるからな、相棒は」

この場合の色々は『要人の護衛からティッシュ配り』までと言う余りにも広い分野を指す。

「そっそうなんだ?」

「何でもやる相棒だけどよ、やっぱり羽振りが良いのは魔道師関係だな」

金の話となると口が回るのは盗賊のクセだろうか? バクラが今までギャラが良かった仕事を上げていく。
その内容ごとにキャロは思い出に浸り、フェイトはその壮大なスケールと危険性に顔を青くしていった。

「某次元世界代表者の護衛」とか「某王朝王女の救出」とか「汚い事してた銀行から金庫ごと盗む」などなど。
確かに金庫ごと盗めばこんなレストランでも食事をするのは楽勝だろう。
余りに衝撃的な内容にフェイトが胃を抑えているとキャロは首を傾げた。彼女は自分が変な事を言ったつもりなど欠片も無いのだ。

「どうしましたか? フェイトさん」

「え〜と……うん、大丈夫」

「たぶん、相棒の勇姿に感動してんだぜ。しかし紙幣をビルの上から撒くのは面白かったな?
 また今度やろうぜ、相棒」
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:12:06 ID:Aks6vwQP
クロノ自重ww支援
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:12:32 ID:FKLFySo+
支援
57キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 01:12:37 ID:jG+uI+f7
フェイトは何だかもう自分の居場所すら間違えているようなに紅茶を一口。
『あれは紙吹雪みたいでキレイでしたね〜』と笑いあう二人は何だか別次元の存在なのか?
しかしフェイトは諦めない。これくらいの事は予想の範囲内ではなかっただろうか?
何せ自分の手を振り払い、闇の中へと駆け出した少女とソレを導く邪神の欠片を相手にしているのだ。

「ティッシュ配りは寒かったですけどね」

「だから、あんな事はしなくて良いって何度も言ってんだろう?」

「でもやっぱり安定的なお仕事しないと……」

「うるせえ! オレ様の心配なんてしなくて良いんだよ!」

『変わった』と言う自分の感想を、フェイトはその会話を聞いていて一部撤回した。
そんな様子は変わっていない。この二人は本当に……『相手のことしか考えていない』。
フェイトはあの夜の廃墟でそれぞれが意図せずに口にしただろう二つの言葉を思い出す。


「けど『どうして大事な人が一緒にいないんだろう』なんて後悔したら、それこそ取り戻せない。
 だから今はこの険しい道を歩いて行きます……バクラさんと一緒に」

「相棒が欲するならオレ様は国だろうが、世界だろうが何でも盗んでみせるぜ!
 それが今、バクラが存在する意味だからなぁ!」


闇であろうバクラに光であるキャロ。その二人がお互いに影響を与え、変化させ続けるいわば混沌。
管理局や自分の正義では割り切れない第三勢力にして未知の可能性。まあ、難しい事は置いておこう。
重要なのは二人が他人から見れば……相思相愛だと言う事だろうか?
そんな不思議な存在たちとフェイトは理解しあいたいと思うのだ。管理局執務官としてではなく、唯のフェイトとして。
身を乗り出して、キャロに問う。バクラには聞かない。多分拒否されるだろうから

「じゃあ次は私の事を話して良いかな?」

「あっはい!」

「別に聞きたくねえけど」

ほらね?

58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:12:39 ID:BLGMpu0p
紙幣うんぬんは現実にあったような気が
支援
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:12:47 ID:/VQzFKoR
出目川釣り?支援
60キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 01:13:56 ID:jG+uI+f7
結局二人と一匹と見えない一人のお茶会はそのまま食事会まで突入した。
テーブルに並ぶ彩り豊かで優雅な料理を腹に収めながら、フェイトはある思いを強めていく。

『もっとこの二人(と一匹)と一緒に居たい』

僅か数時間で理解するのはハッキリ言って不可能だった。もっと違う場面ならば違う一面を見せてくれるだろう。
純粋な好奇心とそれにより自分の思考に与える変化がフェイトをワクワクさせる。
さらにもう一つの可能性、『機動六課に与える影響』。本当に真っ当な道だけを歩いてきた者たちが集う理想の場所。
穢れる事を知らないあの場所にこそ、裏の世界を酸いも甘いも知り尽くした様な人物が必要。
そしてフェイト・T・ハラオウンを信じすぎている、可愛いエリオ・モンディアルも対極の存在を知るべきなのだ。

ライトニング4は……決まった!


「楽しい食事の席で悪いんだけど、ビジネスの話。して良いかな?」

「え?」

「あん?」

「キュルル〜?」

三つの視線が訝しげにフェイトへと集まる。そして彼女は告げた。


「貴方達をスカウトしたいんだ。時空管理局遺失物管理部機動六課へ」
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:14:55 ID:oRuz5DlG
キャロ、銀行を潰したのか 支援
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:15:06 ID:BLGMpu0p
ついに来た〜〜〜〜〜w
支援
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:15:28 ID:FKLFySo+
どうでる?支援!
64キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 01:16:01 ID:jG+uI+f7
以上でした。
急な話の流れですが、長いこと書きたくなる私にはこれくらいで丁度良いw
なにせ予定の倍くらい対フェイト戦を書いてましたから。

次こそ本編へ〜他の新人やなのはとの関係とか書きたいこと沢山。
もちろんVSルールーも。あとタヌキなはやてとかw
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:16:08 ID:y1zYZewV
エリオ君に苦労フラグがwww
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:18:22 ID:Aks6vwQP
GJ エリオ強く生きろよ。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:19:46 ID:FKLFySo+
乙でしたー
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:21:11 ID:oRuz5DlG
GJでした!
キャロが大物になってるw
六課フラグは報酬を高額で請求されそうだ。
毟れるだけ、毟る!
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:22:00 ID:/VQzFKoR
これは続きが気になるねェ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:24:15 ID:l1NXiT6c
投下乙!
二人がバカップルにしか見えない件についてw
幸せそうだけどさw
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:25:52 ID:Mxf1y6pv
GJ!!です。
早くも、なのはの教導でどんなエグい事をやってくれるか楽しみですw
勝てば良かろうなのだぁw
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 01:50:39 ID:Vp0KGbjg
GJ!
キャバクラ式が6課に嵐を巻き起こすぜ!
キャバクラは戦術があまりにも特殊だから今までのなのはの教導方法じゃ難しそうだ。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 03:32:16 ID:iGsiTmys
GJ!
何気に以前にキャロゲットできなかったおかげでエリオに対しても
ちっとは苦い味を知るべきだと考えられるようになってますな、フェイトさん。
しかし、フリードもだれたなぁ…2人の惚気に晒され続けたゆえか、
それともオカルトモンスターに戦闘で出番食われてぐれたのか…
本来より荒っぽい人生歩んでるはずなのに
本来の姿に戻った回数数えるほどしかない気が…
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 03:38:26 ID:DIeUJLyM
いや、まて
その前に給料の話でバクラに毟られるぞ
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 04:30:30 ID:R9JmWEdL
どんなモンスター呼び出すようになってるのか楽しみです。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 08:42:23 ID:VTwc6ZAd
スカよりたちの悪いやつ雇ってどうするんだw
パラサイトマインドでガジェットを乗っ取ったりするんだろうなあ
しかし六課の評判ガタ落ちだろうなあ。バクラのデッキは見た目完全に悪役だしw
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 08:47:09 ID:IwBr4HoT
死体を兵力として利用する六課
たしかに評判ガタ落ちだ
78魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/27(木) 08:48:22 ID:NsEv5U0r
一度敵対してフルボッココールまで上がったなのに、この萌えよう。やはり、僕らのフェイトそんだ!
イナヅマネクタイなどの小ネタにニヤニヤですw
やっぱりキャロとバクラのフェイトが一番魅力的に映るなぁ。
そして、エリオはもちろんティアナやスバル、果てはなのはさん相手にも嵐を呼びそうなキャバクラコンビの機動六課入隊編に更なる期待が止まらないww
79キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/03/27(木) 09:10:27 ID:jG+uI+f7
久し振りの書き込みだが、沢山のお返事をありがとう〜
良く分からん形式でお返事〜そう言えば前回はお返事書けなかったORZ

>エリオ、乙フラグ
苦労しなさい、若人よ。私も大絶賛苦労してるから(なに
本編のキャラ描写が薄く感じられて、余りにも濃くし過ぎそうな自分が恐いw

>キャロとバクラが高給を毟り取るそうです
う〜ん、そこまで法外な値段にはしない予定。衣食住が保証されてるし。
それにバクラ的な思考から言えば「やばくなったら即トンズラだぜ(ニヤニヤ)」みたいな?

>なのはの教導どうなるの?
それが最大の問題点。どうしても規格外の戦闘スタイルなので、マニュアル通りには行かない。
とりあえず基礎訓練はキャロが素直に受けて、模擬戦ではルールや指導の穴にバクラが噛み付く方向かな?

>見てくれが悪者ですが何か?
うん、確かにその通りだw 
とりあえずはやてが「あれは死体やない! ああいう人種なんや!」と言う裏技を(ry

>フェイトそん可愛いよ
萌えてくれたか? ありがとう〜
スタイリッシュ氏、いつも感想ありがと〜
稲妻ネクタイは自分で書いておいてなんだが、チョッと欲しいw

次は何処までいけるかな〜模擬戦かな? 
エリオメインでキャロを助けるが胸を揉んでしまい、バクラと死霊たちにボコボコ(肉体的にも精神的にも)にされるとかかなw

80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 09:36:55 ID:R7RYCurp
>>64
GJです。
キャロとバクラも好きなのですが、なのはらがバクラのような曲者をどう倒すのかも
気になりますね。
最近の喧嘩商売の柔道家を見ていて気になりました。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 10:56:09 ID:k5WtJ0Pg
GJです。
ついにその他の本編キャラとの会合か
楽しみだぜ

でもキャロとバクラが管理局に協力してもマイナスのほうが多いような
使ってる術式とか調べられたりしない?
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 11:11:13 ID:JZYjQzgH
>>79
遅くなりましたがGJです。キャロのたくましさにちょっと感動w

・・・・でも、一番かわいかったのは暴走してるクロノだったのは内緒ww
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 11:37:41 ID:i1g3bKbl
>82
……分かります。
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 11:55:58 ID:FxiWvllX
GJ!!
クロノ君の予想はあながち間違ってなかった。フェイトはキャロにメロメロだ!!
しかし、キャロは六課にいくのだろうか?管理局では、無限書庫にいったほうが、キャロ向きの仕事ありそうだけど
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 12:26:17 ID:K2uRbAK/
>>79
>模擬戦ではルールや指導の穴にバクラが噛み付く方向かな?

バクラ「全く! マニュアル通りに やっていますと言うのは、 阿呆の言う事だ!」

こうですね、分かります。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 12:30:40 ID:/odwVtgq
それパンドラか斎王のセリフじゃんw
87Strikers May Cry:2008/03/27(木) 12:52:38 ID:SRUpOANL
キャロとバクラ氏GJです。

やっぱ来た、機動六課への勧誘。
これで安定した収入と寝床を確保ですな、昔の事は気にしない方向で行けばバクラとしても問題はないので一気に就職か?
しかし問題は“エリオの乳揉み事件”か、これが起きたらバクラによってキツイ制裁が行われるのは必至。

今から冥福を祈ろうか。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 13:03:24 ID:Aks6vwQP
お祈りはすませたか  小(ピー)は? 部屋の隅で震える準備はしたかエリオ?
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 13:06:42 ID:E6+/T93J
一つ聞きたいんだが、管理局は時空漂流者にはどういう措置をとるんだろうな?
保護するのか、元の世界に返すのか。
でも管理世界外だったらどうしようもないし・・・。
90節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/03/27(木) 13:40:48 ID:i1g3bKbl
さて、誰も予約していないようなので、投下させてもらいますが。
異議があるなら今のうちですよ?
 例えば軍人などにとって、士官学校の教官という人種は例えどんなに互いの立場が変わろうとも一生頭の上がらない相手である。
 スバル・ナカジマやティアナ・ランスターにとっては陸士学校の三輪先生やキヨマツ一尉がそうだ。

 また、それとは別に、その背中を見つめ、追いつき、並び、追い越したいと願う相手もいる。
 スバルにとってそれは、あの日であった二人、高町なのはであり、天花寺大悟であった。

 因みに、スバルの姉ギンガにとってそれはフェイト・T・ハラオウンであり、ティアナにとっては亡き兄・ティーダである。

「へぇ……スバルが高町一尉の写真をぶら下げているのはそんな理由があったんだ」
「大悟さんの写真もあればよかったんだけどねぇ。流石に無いから」
 ここは、陸士学校の女子大浴場の更衣室。たまたま学友が、スバルがお守り代わりにしているなのはの写真に目を留めたのが切っ掛けで、彼女の思い出話が始まっていた。
「だから私、決めたんだ……あの人みたいな、“快男児”になる『ちょっと待て』……って何?」
「何じゃないわよ、女が快男児は無いでしょーが」
「快男児が男だから……快女児?そんな言葉は無いわよねぇ……」
「うーん、男らしいのの反対で女らしい……佳人や麗人……」
「淑女や令嬢になるのが普通だけど……」
 相棒のティアナはじめ皆からの突込みが入る。だが、何と呼べばいいのかとなると皆考え込んでしまった。
 最初に挙げた快女児はともかく、その後の四例は明らかに、目の前のシューティングアーツ使いの目指す方向性には相応しくない。

「何だ、何の話題だ?」
「あ、キヨマツ一尉。実は赫々云々で」
「ふむ、なら、三輪先生の叡智を当てにしてみようか。もしもーし」
『はい、三輪です……ぶばぁっ!!』
 空間に浮かんだモニターの中の三輪先生が、盛大に鼻血を噴出して仰け反る。
 当たり前だ。陸士学校随一のプロポーションを誇る一尉を筆頭に、着替え中や半裸全裸の女子生徒達が映し出されていたのだから……

 ミユキ<パッツンパッツン>キヨマツ一尉、減点1。

 かくして協議の結果、スバルには『猛女』、キヨマツ一尉には『The.ガッツ』、三輪先生には『ラッキースケベ』というあだ名が付く事になったのである。

「じゃあ、ティアには……」
「つけなくていい!」
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 13:42:32 ID:K2uRbAK/
支援
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 13:42:41 ID:/odwVtgq
>>89
避難所の設定議論スレで聞いた方がいいと思う
『ダブルクロス・リリカル・トワイライト 天からの快男児』
 第1話 再会の時、出会いの時 〜二人の二挺拳銃〜

 ホテル・アグスタ。ここはクラナガンでも有数の一流ホテルである。
 この日、ここで行われる古代遺物(ロストロギア)品評会並びにオークションの警備の為、機動六課の面々が派遣されていた。
 本来彼女らは『レリック』と呼ばれる物件に関わる捜査が専門ではあるが、様々な思惑や諸般の事情、政治的配慮その他諸々により、連続レリック窃盗・強盗及び未遂犯が出没する可能性ありとしてやって来たのである。

「アレ?なのはにフェイトにはやてじゃないか。ああ、今日の警備だね」
 八神はやて以下三名の前に現れたのは、彼女らの幼馴染にして無限図書館司書長、ユーノ・スクライアである。そのすぐそばには、秘書らしき金髪碧眼の女性が一人。

「……誰?この女、ユーノ君に馴れ馴れしく(あ、ユーノ君、お久しぶりだね)」
「……ユーノの愛人?とすると、邪魔者が減ったのか(ええ、お久しぶりね)」
「なんや、面白い事になりそうやわぁ(や、警備に来たったでぇ)」

……三人とも、本音と建前が逆なんですが……

「あ、紹介するよ。ウチの司書兼秘書のクリステル・フォン・エッシェンバッハ君」
「クリスです。よろしくお願いします」

 そこを流すなよ、この淫獣。

「クリス、彼女達は僕の古くからの友人で、今回の警備を担当してくれる機動六課の……」
「存じていますわ。司書長の三人の恋人だとか」

 ハッ○リ自重しろ。第一にこの作者の身の安全の為に。

 さて、会場となる大ホールの客席に、一人の男がいた。
 その名はギヨーム・ド・ノートルダム。遺失文明の保護を謳うギヨーム財団の代表にして設立者であるディレッタント、一部の噂では魔法怪盗或いは強盗紳士、そして辣腕の管理局嘱託空戦魔導師である。
 今回彼が買い付けを狙う最大の目標は、選ばれし者にしか読み解けないと言い伝えられる預言書、『真・レ・サンテュリ』である。
 何しろこの預言書、かつてはこのギヨームの所有物であり、諸般の事情により一度は手放したものの、何の因果かオークションに掛けられるとあっては、今一度取り戻し、然るべき継承者をもう一度探さねば、という義務感が働いたのである。

 度重なるレリック事件、そして出没するガジェット・ドローン。
 撃墜され、そして回収されたそれらは、徹底的に分解され、解析され、そして研究し尽くされ、新たなハイパーテクノロジーとして還元された。
 そして、それらを再利用して戦力にしよう、というプランが提出され、安全かつ合法的な魔力電池と非殺傷及び対機械用攻撃魔法端末を搭載したサブデバイス、或いは半自立式警備用ガジェット・ドローンとして試作が行われた。

 通称、パトドローンの誕生である。

 そして、パトドローン計画の責任者を務めるのは、若き天才科学者、フィン・ブースロイド。
 この日、彼も自分用に調整したパトドローン2機を従え、会場警備に派遣されたのである……
 そして、事件は起きた。

 ホテルに迫るガジェットの大群。迎え撃つ機動六課。
 六課フォワードとして、スバル・ナカジマとティアナ・ランスターは戦っていた。
 だが、多勢に無勢、徐々に押し込まれていく。もう一組のフォワードも、部隊長達も、それぞれに手一杯。
 この、不利に傾きかけた天秤を揺り動かし、押し返す何かが……

「でやぁぁっっ!!」
 スバルの鉄拳がガジェットの装甲を貫き、崩れる様に倒れたその陰から、別の一機が現れ、飛び掛かる。
 ティアナのフォローも間に合わない……その時、

「ふんっっっ!」

 横合いから飛び出した黄色い影が、その敵を殴りつけ、粉砕する。
 それは、例えて言うならチベット僧の様に黄色と橙色のローブをまとった巌の如き漢、いやさ快男児。

「敵は多いな、スバル。いや、大した事は無いか……俺とお前で戦えば、な」
「え……ハイ、やりましょう、大悟さん!」

 そして、クリスがモーゼル拳銃型デバイスを構え、ギヨームの魔術が冴え渡り、フィンもパトドローンを操作して戦った。

 この日の戦闘については、グリフィス・ロウランの日記のこの一文に集約される。すなわち、
「この日は、ガジェット・ドローンにとって最悪の日であった」と。

 だが、

 この日はそれで終わりではなかった。

 ぱぁん、と、音高く頬を打たれたのはせr……ティアナ・ランスターであり、彼女の頬を叩いたのはめr……クリステル・フォン・エッシェンバッハである。
「な……」
「な、じゃありません。
 敵の位置、味方の位置、そして自分の射線。それらを完璧に把握するのは射撃の基礎です。
 それを何ですか!ヴィータ三尉がカバーしてくれたから良いものの!」
「えと、クリスさん、私は気にしt(ぱぁん)」
「あなたもです!スバル。
 味方の射線に飛び込むなんて、どういうつもりですか!

 後大悟、貴方も何故止めない!」
「お、俺も怒られるのかよ……!?」
 ティアナの誤射に対する説教は連帯責任でスバルや大悟まで飛び火し、射線や位置把握に関する臨時の講義は延々と続き、

「あー、それ、殆ど大体あたしの台詞……」
 言いたい事を粗方クリスに取られたヴィータは壁の花であった。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 13:44:11 ID:K2uRbAK/
ギョームSugeeee!支援
「ふむ……天花寺大悟、か……面白い。こうでなくてはな……」
 自らのアジトにて、ジェイル・スカリエッティは事のあらましを聞いていた。
 彼こそ、レリック連続強奪事件の主犯格、様々な非合法の実験を重ねてきた次元犯罪者にして狂的科学者である。

 今回、紆余曲折は兎も角目的の品を手にする事は出来た。が、それ以上に興味を引いたのが大悟ら協力者の存在である。
 故に、彼の脳裏では新たな陰謀野望その他諸々が大車輪の如く渦巻いていた。

「彼らが六課と関われば自体はある局面で加速を見せ、そしてあの“器”や“彼”にも多大な影響を与えるだろう。
 その時、果たして何が起きるか……くくく、ふ、ふはははははは……」

 数日後、機動六課医務室。
 模擬戦中なのはに撃墜されたティアナが目覚めると、そこにクリスがいた。
「……ティアナ、どうやら、私や高町一尉が言った言葉の意味を分かっていないようね……」
「クリスさん……」
「一尉の方からもお説教はあると思うけど、私が貴女に言えるのは……
『ティアナ・ランスターが気にするべきは、分隊長がフォーマンセルを志向しているのに八神隊長はツーマンセル二組を考えているというズレについてである』
かしらね?」
「そ、それはどういう……?」
「極端に言えば、あなたは直接打撃力を期待してもされてもいけないのよ」

 それは凄く極端過ぎると思うのだが……

「例えば私や大悟達が組んでいた時もそう、大悟が最前衛、ギヨームが防御、私が後方からの射撃でフィンがその支援。
 あなたたちの場合はスバルやエリオという前衛二枚、キャロちゃんとフリードという火力、そしてあなたは彼女達を束ねる指揮・管制という役割分担があるのよ。だからね、あなたはあなたがするべき事をしなさい」
 それだけ言うと、クリスは席を立ち、医務室から出て行った。

「わたしが、するべき事……」

 後に残されたティアナは、じっと自分の手を見つめていた……
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 13:46:38 ID:K2uRbAK/
さすがクリス、元超人兵士!そこに痺れる、憧れるぅ!支援
99節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/03/27(木) 13:50:01 ID:i1g3bKbl
投下終了。

今回のPC1はクリスとティアナです。二挺拳銃が被っている、と言うだけのつながりですが。

積み残しはありますが、第2話の冒頭に回しました。屋根までヴィヴィオを高い高いして頭を冷やされる大悟とか、クリスの訓示の続きとか。

……そうそう、大悟達のデバイスの設定もあるんですが……
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 13:54:27 ID:K2uRbAK/
GJ!
ダブルクロスの戦闘は各々の特性を考えた連携しないとキツイからなあ。
クリスの中の人の実感がこもってるぜ。
これはステエキのコンビネーション戦闘楽しみだ。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 14:03:59 ID:SP4D3+tf
どんだけネタ仕込んでるんだこのSS 面白いけどw
付記:その1、大悟達のデバイス設定

*天花寺大悟(♂32)近代ベルカ式、陸戦AAA(実質S+)
 アームデバイス『餓骨杖R』錫杖/巨大手甲型、待機時腕時計型

 まぁ、仮面ライダークウガでいう格闘型と俊敏型の使い分けですね。今回はずっと手甲でしたが、ああ描写し忘れてた。
 因みに彼の餓骨杖はレプリカ品でして、オリジナルはロストロギアに匹敵するとも言われるという、まったく使う予定の無い裏設定が。
 形状はかって一休宗純禅師が手にしていた骸骨付きの杖と『テラ:ザ・ガンスリンガー』のハードガントレットがモデル。

*クリステル・フォン・エッシェンバッハ(♀22)ミッドチルダ式、陸戦AA(実質S)
 ストレージデバイス『スーパーマウゼルM17/D』モーゼルC96型、二挺拳銃、待機時認識票型

 スーパーマウゼルはやっぱりテラガンに登場する特殊兵士用の超大型拳銃。でもここでは普通サイズ。
 因みに、ラストではマウザーM1918に変形してでっかいのを撃つ予定。

*ギヨーム・ド・ノートルダム(♂41)ミッドチルダ式、空戦AA
 インテリジェントデバイス『α=α(アルファルファ) Type112改 Avenir(未来)』ステッキ型、待機モード無し
 インテリジェントデバイス『真・レ・サンテュリ』預言書型

 肩書きが何故か凄い事になってしまったギヨーム。イメージ的に一人だけ空戦、飛ぶと言うか、跳ぶ?
 彼の杖、アヴニールはメーカー品をフィンが彼に合わせてカスタマイズしました。地下スレ某SSで言うところの“ポン付け”です。

*フィン・ブースロイド(♂16)ミッドチルダ式、総合AA
 ストレージデバイス『α=α Type137』片手杖型、待機時腕時計型

 本業は管理局の技術者。戦闘系でないので総合タイプで。
 第一話時点でこれは“まだ”新品のストレージ、という設定。何時の間にかインテリジェントになっている予定です。
103節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/03/27(木) 14:20:50 ID:i1g3bKbl
>100
どうも。
連携しないといけないのは何処のTRPGも同じです。
人がトラップを調べている横をずかずかと突き進むような事をしていては駄目なのです。(実話、因みに僕は調べていた方)
>101
まぁねぇ……
入らなかったネタや入りきらなかったネタ、次に回したネタもあるから……ダンディとかブラストハンドとか。
とりあえずナチガメッシュとマシーネン・ヤーパンは使わない予定。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 14:40:13 ID:K2uRbAK/
>>103
エアハルト少佐はまだですか?
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 14:53:35 ID:VPYip63B
新スレの存在に気がつかなかった・・・
106StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:10:48 ID:f0mP4hgp
さってと…僕もそろそろ投下良いですか?
いつもどおり無茶な部分はありますが。
107StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:27:33 ID:f0mP4hgp
やっぱこの時間帯じゃ反応少ないか…二日もブランクあったからどうなってるか分かりませんが、行きます。

【平成ライダーサイド】九話「地獄兄弟崩壊」Aパート

【AAMON日本支部本拠地 手術室】
「こーして…あーして…えっと…ここはこうじゃったな…」

幽霊博士は、手術室に閉じこもり、以前自分が作り出した怪人の蘇生手術を行っていた。

「よしできた!起きよコゴエンベエ!」
「ゴオォォォォオ!!」

雄叫びを上げ、冷蔵庫怪人・コゴエンベエが手術台から立ち上がる。
コゴエンベエは頭部が氷塊、体が冷蔵庫の改造人間で、肩と右手から冷凍ガスを発射する事が出来る怪人だ。
冷蔵庫の体は四次元空間に続いており、四次元を経由して様々な場所に相手を転送することも出来るのだ。

「幽霊博士!コゴエンベエ、今ここに蘇りました!」
「久しぶりじゃのうコゴエンベエ!さっそくじゃが、仕事を頼むぞい。」
「何でしょう?」
「ふむ…世界征服をするには、まだまだ兵力が足りん。だから戦力増強のために兵士を育成するため、人間共を次々にお前の体に吸い込み、兵士養成機関があるAAMON郷に転送して欲しいのじゃ。」
「分かりました!お任せあれ!ゴオォォォォオ!!」

【ステーキのどん】
「ふう…」

矢車はレストラン「ステーキのどん」の窓際の席でコーヒーを飲みながら、目を細めて景色を見ていた。

「どうしたんですか矢車さん?退屈そうな顔して?」

そんな矢車に、この店でウェイターとしてバイトをしている真島浩二が話しかける。
浩二は、明日夢の先輩として医大生生活を送ると共に「ステーキのどん」でバイトしているのだ。

「なんでもねぇよ…」
「俺にだって分かりますよ。なんか矢車さん、ここ最近いつも以上に暗いですよ。木野さんだって心配してたし…」
「木野が?…まぁいい、少し話してやるか。あれは、二ヶ月前…外国から日本に帰って来てすぐだったかな…」

【二ヶ月前 八神邸 リビング】
「ねぇ…兄貴…ちょっと良いかな?」

片手に何かの広告を持った影山は、ソファーに座ってブーツの手入れをしている矢車に話しかける。

「何だ?」

矢車は手入れを中断し、影山を見る。

「あのさ…」

影山は持っていた広告を矢車に見せる。
それは、高価な宝石が付いた指輪のリストだった。
ダイヤモンド、サファイヤ、エメラルド…それぞれ多種の宝石の指輪の写真がビッシリと一枚の紙に収められている。
108StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:28:56 ID:f0mP4hgp
「なんだよ相棒、こんなのが欲しいのか?オイオイ…」

矢車は広告から目を離し、再び手入れを始めた。

「止めとけ止めとけ。いくら光を見出した俺たちでも、宝石なんて…」
「俺のじゃ…ないよ。」
「え?」

矢車は手入れを止めて、再び影山に視線を移す。

「どういうことだよ?」
「…俺さ…!」

影山は一度口を噤み、少し迷うような目をキョロキョロと動かすが、意を決し、再び喋り始める。

「シャマ姉に…コクろうと思ってる。」
「!?」

矢車は影山の発言を聞き、驚いた表情を一瞬見せるが、すぐに冷静に戻ると、再びブーツの手入れを始めた。

「そうか…頑張れよ。」
「その為に指輪をプレゼントしたいから、俺、色んなバイト兼任し始めたんだ。
でも、指輪…どれ選べばいいかわから無いんだ…
だからさ!兄貴も一緒に選んでよ!」
「おいおい…自分でコクるんだろう?自分で選べ。」
「でもさ!こういうセンスだったら…俺より兄貴のほうが良いと思うからさ…
ねぇ!頼むよ!弟の人生に一度の大勝負なんだよ!?」
「…はぁ…ったくお前は…」

矢車は指輪のリストを受け取り、目を通し始めた。
そして五分ほど経った後、矢車は指輪を決めてその写真を指差す。

「これだ。」

矢車が選んだのは、少し大きめの細長いひし形のエメラルドが付いた指輪だった。
指輪の色は銀色であったが、何処と無くクラールヴィントに似ている。

「おお!流石兄貴!」
「喜ぶのはまだ早いぞ。値段を見てみろ。」
「ん…ゲッ!」

値段は、5に0が5つの値段である。

「高いな…貯金使っても足りない…」
「バイトは幾つ兼任する予定なんだ?」
「み…三つ…」
「あと一つか二つ増やしておけ。お前ならできるはずだ。」
「う…うん…がんばる!」

109StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:29:31 ID:f0mP4hgp
………
「なるほど〜、つまり矢車さんは、弟分の影山さんが、自分から離れてシャマルさんのところへ行ってしまうかもしれないのが寂しいって訳ですね?」
「…」

「少し違う」…その時の矢車には言えなかった。

「ああ、そんなところだ。」
「まぁ…矢車さんと影山さんは一心同体みたいな物だから、弟分の影山さんがそんな風になって家庭を持っちゃうと、矢車さんと一緒に居る時間もなくなっちゃうだろうから、寂しくなる気持ちも分かりますよ。」
「なんでもいいがお前、仕事に戻ったらどうだ?クビになるぞ?」
「あ!いけね!」

浩二は急いで仕事に戻る。

「ったく…ま、良い奴だから、木野と同等になれるかは別として、良い医者にはなれそうだな。」

矢車はそういうとコーヒーを一気に飲み干し、席から立ち上がり、カウンターで勘定を払って外に出た。

【海鳴市】
「さて…これからどうするか…」

矢車は海鳴市の街並みを歩きながらこれから何をするか考える。
影山はバイトで夜まで帰ってこない、影山が告白するといっている以上、シャマルに会う気もしない。

「しょうがない…皆の所にでも行くか。」

矢車が言う「皆」とは、地球での知り合いのホームレス達のことである。
四年前、一度北欧から帰ってきた頃から、矢車は影山と共に彼らと知り合い、親交を深めていた
身なりは汚い者達であるが、矢車にとって彼らは大切な仲間達だ。
彼らには彼らの個性があり、皆が皆前向きに生きている。
後ろ向きにしか物事を見れなかった矢車と影山にとって、彼らは一種の憧れでもあり、シャマルと同じように自分達に活を入れてくれた人間たちの一人であった。

「そういえば、ミッドに来た頃には、ミッドにもコイツらと同じようなホームレスが居た事に驚いたな…
あいつらは…助けられなかったな…」

矢車はサソリ男に殺されたホームレス達のことを思い出し、あの時の自分の非力を嘆いた。

「…っと、いけねぇな…いつまでも悔やんでたんじゃ、あいつらも報われねぇか…」

矢車は気を取り直し、ホームレス達がたむろしている廃倉庫に向かおうとした。
そんな時…

「あ、居た!想さーん!」
「あん?」

シャマルの声が聞こえ、矢車は後ろを振り向く。
そこには、いつもの私服でこちらに向かってくるシャマルの姿があった。

「探したわよもう〜」
「シャマル…」

「よりによってなぜ会いたくない時に会うのだ?」
矢車はそう思い、表情をにごらせる。
しかし、このまま付き返すにも行かず、矢車はシャマルの話を聞くことにした。
110StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:30:06 ID:f0mP4hgp
「何だ?」
「…ねぇ、来週の今日、何の日か覚えてる?」
「は?」
「瞬の誕生日よ!忘れてたの!?」
「え…」

矢車は今月の月と日にちを頭で数え始める。

「…あ」

シャマルの言うとおり、確かに来週の今日は影山の誕生日だ。

「もう…弟の誕生日忘れてどうするのよ…」
「そういやそうだったな…」
「プレゼント…どうするの?」
「考えてない。」
「もう…ほら、一緒に買いに行くわよ。」
「一人で行け。」
「バカ!お兄さんの貴方が弟のプレゼント考えてあげなくてどうするのよ!ほら!お金は私が出すから、貴方はプレゼント選び!良いわね!?」
「…はぁ。」

一度分かれようとするも作戦失敗。
矢車はシャマルに付き合うことになった。
その頃…

【海鳴公園】
「コゴエンベエ〜!!」
『うわあああああああああ!!』

復活したコゴエンベエが、公園で遊んでいる子供達や、子供達の親達を自分の冷蔵庫の中に吸い込み、AAMON郷に転送させていた。
その吸引力はすさまじく、あっという間に公園にいる人間全てを吸い取ってしまう。

「これで全部か…よし、次は街だ!」

人間を吸い込みつくしたコゴエンベエは、標的の矛先を海鳴市の街に移し、街に向かった…

【アクセサリー店】
「ねぇねぇ、こんなのどう?」
「あいつのイメージじゃないな…」

矢車とシャマルは、影山へのプレゼントを何かのアクセサリーに決め、アクセサリー店の店内を見て回っていた。

「これは?」
「駄目だな。」
「ええ〜…じゃあ、想さん選んでみてよ!」
「そうだな…これだ。」

矢車は大きなドクロが付いたペンダントを棚から手に取り、シャマルに見せる。

「うわ!キモ!」
「あいつにはこんなのが丁度いいさ。」
「だからってそんな…」
「良いんだよ。あいつの趣味は俺が良く知ってる。」
「もう…来年はもっとマシなの選びなさいよ…」

シャマルは文句を言いながらカウンターにペンダントを持って行き、ペンダントをプレゼント包装で店員に包んでもらう。
そして代金を払い、矢車と共に店から出た。
111StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:31:28 ID:f0mP4hgp
【海鳴市 市街】
「ふう…こんなことに一々付き合わせやがって…」
「だから言ったでしょ。弟の趣味はお兄さんにしか分からないって。」

二人は他愛ない会話をしながら街を歩く。
しかし矢車は心の中で、「一応弟の嫁になるかもしれない女だ。あまり馴れ馴れしくしているわけにも行かない。」と自分に言い聞かせる。

「あんだけバッシングしたろうが…まぁいい、もう用は無いだろ?帰れ。」
「あ!ひっど〜い!何でよ!?」
「今日はお前と話す気分じゃないんだ。良いから黙って帰れ。」
「どうしたのよ!?今日は私を避けるみたいに!」
「…」

「避けてるみたい」
矢車はこの言葉を否定することは出来なかった。
避けたいのだ。未練を残したくないのだ。
影山は突然ワームになってしまい、四年間何処か負い目を感じながら生きてきた。
だから影山にはその分幸せになって欲しい。
だから自分がこの女(シャマル)に未練を残さないためにも、一秒でも多く彼女との距離を取りたいのだ。

「なんか今日の貴方変よ。具合が悪いなら診てあげるから、言いなさいな。」

しかし、突き放そうとするたびに彼女は自分に付きまとおうとする。

「早く帰れこのババア。」
「な!?また言うかコラ〜!」
「ぐおおぉお…」

シャマルは暴言を吐いた矢車の頬をつねる。
追い払おうとしていった悪口も、彼女には通用しない。
まぁ、こんな柄の悪い子供のような暴言、長年様々なことを経験してきた彼女にとって通用しないのは当たり前といえば当たり前だが。
「だが何とかして距離を置かねば…」
矢車がその方法を模索していたときだった…

『うわあああああああああああああああ!!』

矢車とシャマルの耳に、人々の悲鳴が聞こえてきたのだ。

「これは…人の悲鳴か!?」
「行きましょう!」

シャマルは矢車の頬から手を離し、悲鳴が聞こえた方角に向かう。

「ったく、この状況じゃ離れるどころじゃねえか…」

矢車もシャマルを追い、悲鳴が聞こえた方角に走る。

………

「コゴエンベエェェェェェェェェエ!!」

公園から市街地に着いたコゴエンベエは、冷蔵庫方の体の扉を開け、次々に人間を吸い込んでいた。
相変わらず吸引力は豪快である。

「待ちなさい!」
「ん?」

そんな暴動を続ける彼の前に、シャマルと矢車が現れた。
112StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:32:18 ID:f0mP4hgp
「来たか…魔導師にライダー!」
「お前…随分おもしれぇ形をしてるな…名前は何だ?」
「よくぞ聞いた!」

矢車の台詞を聞いた瞬間、コゴエンベエは自分の体を自慢げにバンバン叩き、両腕を振り上げた。

「冷蔵庫怪人・コゴエンベエ!!」
『…は?』

あまりにも馬鹿馬鹿しいネーミングに、思わず目が天になる矢車&シャマル。

「どうだ?恐ろしい名前だろう?」

当のコゴエンベエは自分の名前が大層気に入っている様子だ。
呆れている二人も「流石にまじめに相手してやるのが礼儀だろう」と考え、応対を開始する。

「で…コゴエンベエ、テメーは何やってんだ?」
「人間集めだ!兵力が足りないから、育成のために訓練所のあるAAMON郷に人間どもを転送しているのだ!」

大声を出し、自慢げに自分の目的をコゴエンベエは喋る。

「やけに簡単に答えるのね…」
「お約束だろ…まぁいい、やってることは悪事だ。ここでこいつを倒せば囚われた人々も元に戻るだろう…」

矢車はホッパーゼクターを呼び、左手でキャッチしてZECTバックルに装着する。

「変身…」

そしてキックホッパーに変身し、何処かやる気の無いポーズを取った。

「変身したなキックホッパー!来い!」
「行くぞ…!」

キックホッパーは身を低くすると一気に走り出し、コゴエンベエに蹴りかかる。
得意の蹴り技の連続攻撃が、コゴエンベエの体に次々にぶち当たる。
通常の怪人ならこの攻撃を受け、タジタジになるのが普通であろう。
…普通であったなら…

「ハハハハ!その程度かキックホッパー?」
「何?」

キックホッパーのキックは、コゴエンベエに全く通用していなかった。

「この…!」

以後もキックホッパーは何度も何度もコゴエンベエを蹴りまくるが、コゴエンベエはビクともしない。
まるで頑強な要塞のようだ。いくら蹴ってもビクともしない。

「俺の体の冷蔵庫は、鉄よりも頑丈なのだ!」
「チィ!」
「想さん!この!!」

シャマルは騎士甲冑を身に纏い、クラールヴィントを伸ばしてコゴエンベエにきつくきつく巻きつける。
113StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:33:31 ID:f0mP4hgp
「無駄だ!!」

しかし、コゴエンベエは両腕に力を込め、強引にクラールヴィントを解いてしまった。

「ああ!?」
「俺は力も強いのだ!アッハッハッハ!」

コゴエンベエは高笑いをあげると、胴体の扉をこじ開け、凄まじい吸引力をキックホッパーとシャマルに浴びせた。

「ぐっ…」
「きゃっ!」

二人は足を踏ん張るものの、吸引力に引き寄せられ、ジリジリとコゴエンベエの腹部に近づいていく。

「くっ…あ…」
「シャマル…クソ…駄目か…!」
「二人とも吸い込まれてしまえ!吸引力二倍だ!!コゴエンベエェェェェェェエ!!」

コゴエンベエの吸引力が二倍となり、二人を強引に吸い込む。

『うわあああああああああああ!!』

シャマルとキックホッパーはコゴエンベエの腹部に吸い込まれ、姿を消した。

「がっはっはっは!せいぜい良い兵士になるが良いわ!」

コゴエンベエは冷蔵庫の扉を閉じ、次の狩場へと足を進めた…

【AAMON郷】
「うっ…」

コゴエンベエに吸い込まれた矢車は、不快な感覚を感じ、目を開ける。
そこは紫色の岩だらけの場所で、嫌な感じのする風が吹く不気味な場所であった。
矢車は周りを見回すと、自分と同じように倒れているシャマルを発見し、立ち上がって彼女に駆け寄り、肩を揺すって呼びかける。

「シャマル!シャマル!」
「ん…?想…さん…?」

シャマルは矢車の声を聞き、目を覚ます。
そして彼女も立ち上がって周りの奇妙な光景を見回し、少し身をすくめた。

「な…何ココ?」
「あのコゴエンベエが言っていた、AAMON郷だろう…俺達は吸い込まれてココへ来たってわ…ん?」

言い終る瞬間、矢車はさっきを肌で感じ取り、背後を振り向いた。

「想さん…?」
「シャマル…」

矢車は近くにあった大岩を指差す。

「あの岩の影に隠れてろ。」
「え?」
「早くしろ!」
「う…うん。」
114StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/27(木) 15:35:18 ID:f0mP4hgp
シャマルは矢車に言われたとおり、大岩の影に隠れる。
すると数十秒後、草色の軍服を身に付け、軍帽を被り、レーザーライフルを持った十五人ほどのAAMON戦闘員がやって来た。

「想さん!?」
「来やがったか…」
「大人しくしろ!」

戦闘員達はライフルの照準を矢車に合わせ、命令口調で叫ぶ。

「養成所に連行してやる!」
「やってみろよ…!」

矢車は目つきを鋭くし、戦闘員達に立ち向かっていく。
しかし、戦いに臨むこの時の矢車はまだ知らなかった…
この出来事が自分とシャマルの距離を縮め、そして…影山と自分の絆を引き裂くことになる事など…


投下終了
なんだろ…シリアスを目指そうと思ったけど…何か違う気がする…
ここから三話連続で矢車関係話行こうと思います。
もちろん出来る限りシリアス路線で。
次回も頑張ります。
115なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/27(木) 19:00:18 ID:AUlgtoY5
ふー、ここに来るのもちょっと久しぶりでねぃ。
これまた久しぶりに、終わクロクロスの第九章が出来たので、よろしければ7時30分頃に投下を始めたい所存。
まあ今回も原作と目立った相違が無いというか……敵役の掘り下げ話だからクロス元連中が目立つ話なんで、申し訳ないんですがね。
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:19:07 ID:/VQzFKoR
時間があったら避難所も見てくれ。スパロボXの盗作発覚とかでえれー騒ぎになってるぜ……。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:22:35 ID:r5Vt16/5
とりあえず、避難所をみてくだされ。
色々と荒れに荒れてますので。
まずは議論しましょう。
118リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/27(木) 19:27:16 ID:gVqSrPio
ひょっこりひっそりこんばんは。
アセリアクロスが完成。 予約がなければ今晩11時半頃に投下したいと思います。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:29:46 ID:r5Vt16/5
たから空気読んでくださ(ry
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:31:03 ID:vCOX7V93
息を吸って吐いて、深呼吸しる!
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:37:30 ID:+FZO1S/H
じゃあまあ、暫定の誘導貼ってきますね。


〜〜お知らせ〜〜

現在、避難所にてスレの運営についての議論をおこなっています。
今後のスレの動向、ひいてはスレの存続に関する問題ですので、職人・名無しを問わずスレ住人皆様のご参加を願います。

URLはこちらhttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/


議論における注意点

1.真摯かつ紳士な態度で話し合いましょう。
 あくまで『議論』です。相手の主張をよく聞き、そして吟味してから自分の考えを述べて下さい。
 皆真剣に考えています。頭ごなしに相手の考えを否定してはいけません、人格批判なんて以ての外。

2.雑談で議論を流さない。
      _, ,_
     (`Д´ ∩ < ヤダヤダ殺伐ヤダヤダ
     ⊂   (
       ヽ∩ つ  ジタバタ
         〃〃
 
 なんて言って議論を拒否したり関係無い話題で流そうとしないで下さい。
 締めるときは締めましょう。
 
3.過去ログは把握する。
 議論に参加する前にはログを見直しましょう。健全な議論はキチンとした議題把握から。
 議題が入り混じっていますので、ログを把握していないと的外れな意見を述べてしまいます。



※本誘導文は暫定的なものです。
 不適切と思われる内容・表現などがありましたら、適時編集を何卒お願いします。
122なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/27(木) 19:38:45 ID:AUlgtoY5
あらら、随分な騒ぎが起こっているようで……。これだと、直でこのスレに投下するのは怖いかも、ですね。
では避難所の避難投下ん所とかに投下してみて、それで如何せんを判じてもらう、というのは如何でしょうか? それ次第でこのクロス作品もどの程度危ないのかも判断出来そうだし。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:45:22 ID:iIUQzueP
>>122
そんなレベルの問題じゃないんだ。
他にも色々あるけど某氏が本スレだけじゃなくて別スレの作品からも盗作してることが判明したんだ。ここで間違えれば一気に崩壊ってレベルの問題なんだ。
他の色々にしてもここのこれからのあり方を決める議題なんだ。正直投下するよりこちらの議論に参加して貰いたい。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:45:46 ID:9vaN+gYB
>>122
ちょっと状況が掴みきれてないようですね。
色々と面倒なことがおきていまして……とりあえず避難所と前スレみて下さい。
それと避難所の住民の中には、議論に参加せず投下する職人は無責任だという住民もいます。


とりあえず、議論したいならそちらに任す、自分はその決定に従うというのであっても
2日くらいは投下を控えたほうがよろしいと思います。(多分、そのころには落ち着くかと)
結構ナーバスになってる住民が多いですから。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:49:51 ID:r5Vt16/5
本気でやばい状態なんです……、
みなさん、避難所で議論を……。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:53:22 ID:MQ8JpHWp
>>118取り合えず避難所を見ると解ると思いますが今回は投下は止めておいた方がいいかと……
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:53:37 ID:12z01zuU
本スレにまで持ち込むな、死ね。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:54:34 ID:9vaN+gYB
ああ、それと場合によっては2ch撤退の案も出たりして
全職人氏に直結する問題ですので意見を聞いときたいって人が多いんですね。

議論に参加するしない投下するしないは強制できませんけど、
事態を把握した上で「そちらに任せる」程度は表明してもらえるとありがたいです。
129なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/27(木) 19:56:29 ID:AUlgtoY5
申し訳ありません、どうも状況をつかみきれていなかった様です。よもやそこまでの大問題になっていようとは……。

>>123-125
了解しました。投下は先送りにし、自分も議論スレに回る事にします。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 19:56:36 ID:iIUQzueP
>>127
その本スレの存在そのものがやばくなりそうだから議論してんだよ!
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:01:28 ID:12z01zuU
じゃあ撤退すれば?止めないよ
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:02:32 ID:ZxtoFTVr
あくまで本スレはいつもの流れを継続する方がいいと思うんだがね・・・
議論に参加は投下前後でも出来るだろ・・・いつもは気にするな投下投下とスルーの癖に

空気が丸ごと逆さまになっただけ
まるで成長してry
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:04:28 ID:PGVu3Bp0
>>131
日本語喋ってくれないか?
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:05:22 ID:r5Vt16/5
だからそんな状態じゃないって……。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:06:00 ID:80d7vf18
NGID。荒しに構う人も荒しですよ。
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:06:12 ID:12z01zuU
避難所なんぞ必要ないからこの際消えろっていう事だ
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:08:48 ID:6euBKRHn
12z01zuUはNG指定で。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:14:12 ID:9vaN+gYB
>>132

多分だけど……盗作されたとわかったサイトやスレの住民が
こちらに凸する前に、こちらから手を打って謝罪文をだそうと。
その為に
「盗作が発覚して以降、住民は解決のために真摯に取り組み、
 また各職人氏も事態を重く見て投下を控えてます」
的な一種のアリバイが欲しいんじゃないかと。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:19:06 ID:OwSMals/
殺伐としたスレにヘーベルハウスが!!

       /|
       |/__
       ヽ| l l│<ハーイ
       ┷┷┷
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:22:38 ID:ZU0NMpiQ
>>138
意図的ではなくても
外部からは結果的にそう思われそうだな
てか似たような考え方、避難所でみたような
141リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/27(木) 20:28:07 ID:gVqSrPio
なんか空気読めてなかったみたいです。 ごめんなさい。
ちょっと避難所行って来ます。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:30:00 ID:lmB3OI8S
ってかさ、Xとか誰それ?って人や、馴れ合い雑談は普段からしてないって人からするとえらい迷惑だよな。>ウロスや避難所に顔出しせ!投下するな、って。
問題にはちゃんと取り組むべきだとは思うが、本スレの活動を一切停止しろってのは違うだろ。
ここは個人サイトじゃなくてあくまでも、2chだ。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:31:50 ID:ZxtoFTVr
こうやって議論に行った職人が帰って来るかもわからんな・・・

ゆえに議論に集中、し過ぎて白熱、空気に耐えられなくなった職人がドロップアウト
適度なガス抜きの為にも投下してくれりゃありがたくありんせんか?

あえて言うとスレ住民の意識を統一しようという考え方、少し危なくないか
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:32:04 ID:vGcCxOEe
まぁ顔出ししたくない人は黙ってスルーしてるだろうが、機能停止はいただけないな
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:35:05 ID:jG+uI+f7
職人が去っていくのが恐いな。
イヤ、もちろん議論が大事なのは分かる。
だけどそれで本スレがスッカラカンになり、殺伐するのは違う気がする。
忙しい職人は投下の機会すらなくなりそうだけど。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:35:37 ID:r5Vt16/5
投下するのは構わないが、以降、厳しい目で見られるのは間違いないな。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:36:29 ID:OwSMals/
スレを思う気持ちは同じでも方法が違ってくるのは当然
議論する事は大切だが本来の役割にまで支障をきたしては本末転倒
つまりだ。別に投下を控える必要なないんじゃないかなー、と
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:36:41 ID:LJXALtQX
>>143
逆。空気が変わってなぁなぁで流しちゃったら、いずれ第二第三のスパロボXが出るぞ。
それも、より最悪の形で。ここで手綱入れ直さないと。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:38:09 ID:l1NXiT6c
ここは投下スレだろ?

>*雑談はこちらでお願いします
>リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ32
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206357259/
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:38:11 ID:pGw+ijqd
投下を控える必要はどこにもないな。

議論「にも」参加してくれればいいだけだし。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:38:26 ID:r5Vt16/5
投下せずに書きためればすむ話だろうに。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:39:52 ID:SRUpOANL
少し投下を待つくらいならしても良いんじゃないかと思いますよ。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:40:21 ID:jG+uI+f7
本スレで沈黙や議論が続くほど「なのはクロスが危機的な状況です」と宣伝している気もする。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:40:36 ID:pGw+ijqd
ここが落ちるぞw
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:45:41 ID:lmB3OI8S
>>151
投下と議論を平行して進めればいいでしょう?チャットしてるわけじゃないんだから。
>>146とか何? 脅し?
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:46:51 ID:vGcCxOEe
自分の意見がさもスレ民の総意であるような言い方をするのは止めていただきたい。誰とは言わないが。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 20:59:35 ID:smwr5UE3
んー……そうだな、みんないろいろ焦っているのだと思う。

避難所の方で盗作が以前あった場所なんかの話になったことがあって、そこが閉鎖寸前までいったって話になって、ここも閉鎖するのでは、という流れに。
話してたのが名無しばっかりだってことで本スレ住人(=職人)にも話聞かなきゃ、となってこっちに誘導が張られる。
で、上記の理由により実態よりも気が急いているから「なに暢気なこと言ってんだ!」という態度になってる。

……まぁ、流れに載せられてるのもアレだけど後でグチグチ言われたくないがゆえの行動だと思ってやってくれないか?正直投下禁止はやり過ぎだと思うが。
長文失礼。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:09:15 ID:Lprz73bu
うん、ちょちょっと誘導だけで済ましとけばよかろうもんを
わざわざこっちでまで〜というのは同意
これは意識の問題とかではない、隔離とか区別とかはちゃんとね、うん
という話

別に余所で談笑してたら不誠実とかいうわけでもなかろうもんよ
いや、ちょっと不誠実か・・・?
でも機能停止もちとだめなような、うーん・・・
必要以上に避難所からここまで話が溢れ出たのが問題か
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:10:47 ID:4+p3EvJY
>>158
必要以上ではなく、放置してきたツケがここにまでまわってきたということなんだろう。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:11:32 ID:iB/GRH91
普段からこっちでコテ雑談してるアホばっかりだからしたかがない
住み分けが出来てないからこっちもgdgdになるんだよ
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:13:18 ID:pGw+ijqd
「大事な話合いをしたいから、ちょっと来てくれる?」

と(オネーチャンに)言われるのと、

「大事な会議やるからとっとと来いゴルァ!」

と(ハゲ上司に)言われるのの違いかね。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:13:32 ID:hfPtnwjh
>>159
そのツケってヤツはウロスで返すべきだって
話をしているんだ。
二つあるんだからスレの空気も二つ作れるはずだ。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:13:56 ID:i1g3bKbl
むしろ(不特定多数の集合足る)スレとしては、良作を投下する、し続けるのも、責任を取る一つのやり方だと思う。

だから、恐れず投下して下さい。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:14:11 ID:5vBVHUAi
>>159
そのツケとは一体何なんだ?

ここで聞くようなものじゃないと思うが、向こうでは聞きづらいし
ちょっと聞いている。
165×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 21:14:12 ID:80d7vf18
>>156
2ch内で個人的に最も嫌いなのが「ウザいコテ」なので、余りこういう事は自分もしたく
ありません。
しかし誰かが動かないと、何も変わらないのではないでしょうか。そう思って筆を取って
います。
わたくし個人についての汚名、汚辱ならいくらでも引き受けます。ですが「今まで誰も動
かなかった」という点を、どうか考えては戴けないでしょうか。その上で、スレの安定のため
に論を振っていただければ幸いかと存じ上げます。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:18:02 ID:5vBVHUAi
>今まで誰も動かなかった
このような時に失礼します。
その部分を具体的におっしゃってくれると助かるのですが……。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:18:53 ID:Lprz73bu
>>165
あなたは誘導だけして向こうでそれを言うのが筋ではなかろうか?
それこそ本当に住み分けができてねーですよ

問題提起をしたいだけにしては、行き過ぎている
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:22:40 ID:e9q71ovB
何もわかっちゃいない……平和ボケしてるのは、どいつもこいつも何もわかっちゃいない……
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:24:06 ID:n2keHv2R
議論は必要だと思うけど、一つ言いたい

書いてくれた作品ってさ、問題と関係ない場所で、長い時間と労力をつぎこんだ結果だよな

やっとの思いで完成させて、よし投下しようと来たとたんに、そんなことは後にして議論に参加しろなんて言われる
ただ自分の作品を書いてただけなはずなのにさ

そうやって意気をくじかれて避難所の議論に追われる職人様方

少し違う気がしないか?
170×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 21:24:33 ID:80d7vf18
>>166
そもそもの発端、スーパーロボット大戦X氏の盗作問題が発覚した時に、迅速な対応を
行えなかったこと。
その原因となり、一部の「なぁなぁで済ませれば盗作くらいうやむやにできんじゃね?」的
な空気。それを許容、あるいは見過ごしてしまった、私自身を含める住人の怠慢(と言
わざるを得ない責任感の無さ)。
そしてその温床となってしまった過度の慣れ合いを、誰も何とかしようと動かなかったこと。
少しそのような議題が出ても、雑談で流してしまった住人全ての愚かさ。

以上の事が今回の、私を含めた住人たちの問題であると踏まえて、「誰も動かなかった」
との表現を使わせていただきました。ご理解いただけたでしょうか。

>>167
上記の問題そのものを理解していない方が多すぎる以上、止むを得ないとは思いません
か。私個人としては、あくまで個人の意見ではありますが、決して行き過ぎとは到底全く
これっぽっちも考えられません。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:28:24 ID:Lprz73bu
>>170
その考え自体が行き過ぎではなかろうもんか?
向こうで話し合うだけでは不足というわけではないでしょう
関わろうとしない人がいるのは必ずしも悪ではない
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:30:01 ID:hfPtnwjh
とりあえずこういうの全部ウロスでやろうや。
クロスまで殺伐としている必要性はない。
何度でも言うけどスレが二つあるのはこういう働きがある
からでもあるはずだ。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:31:21 ID:TE4/x1po
>>171
放置すればSS世界やこの板において、このスレやスレ住人やなのは好きの評判が地に落ちるかも知れないけどね。
174×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 21:32:38 ID:80d7vf18
>>171
その無責任さが悪ではないのですか?
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:33:19 ID:sGIKSWHU
もう一回誘導したからいいんじゃね?
議論に参加はしなくてもその辺は自己責任だし。
後からぎゃーぎゃー騒がず決定事項にしたがってくれるならな。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:33:29 ID:Lprz73bu
>>173>>174
話はするべきもんよ
でも必要以上に話を拡大するのは悪足りうるということもあるもんよ
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:34:44 ID:kLj/JdMn
ここの職人が決定事項に従うはずないだろw
それは過去スレ読めばよく分る
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:34:54 ID:tQm5M52W
>>173
とりあえず、今の対応も似たようなものだと思うがな。
みんな目の前が熱くなりやすすぎて、今じゃみんな投下しにくい状況だし。

長く続いて騒動を長引かせるような変なのが沸いたらどうする?
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:35:19 ID:12z01zuU
当人以外に責任なんか存在しないんだよ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:36:37 ID:iIUQzueP
例えば集団作業をしていたとする。
その時みんなの中心に立ってひっぱてくれる人と関係者なのに第三者面してる奴、それから自分のやりたい放題やってる奴。

仲間内や周囲から誰がどう思われるなんて明白だろ。 
181×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 21:37:39 ID:80d7vf18
>>176
必要ではないと言うのですか……。

取り敢えず、議論に参加していただける責任感のある名無し・コテ諸氏は、ウロスや避
難所へ御集りいただければ幸いかと思います。

口汚い言葉を吐いてしまったかも知れませんが、不快に思われたら申し訳ありません。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:41:57 ID:5vBVHUAi
>>170
お忙しいなかご返答どうも有難うございます。

自分はX氏の盗作発覚から処罰まではかなり迅速だったと見受けられました。
他の人の盗作についての認識は馴れ合いからというよりも、頭では理解していても
実際問題に対しての感覚の欠如から来ていたように思われ、
また過去のレスに対しての知識の欠如も原因があると思います。
自分には「過度の馴れ合い」が原因というよりも、個人個人の経験や知識の欠如が原因と思うのです。

183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:42:45 ID:hfPtnwjh
>>XDOD
了解しました。
本当にお疲れ様です。
ですが少しだけ落ち着いたほうがいいかもしれません。
184HALOの人 ◆Vmefr4HLp2 :2008/03/27(木) 21:43:06 ID:v53ac5xM
正直このスレの流れについていけない、というか理解できない。

2chスレとは住人全員の発言がスレの雰囲気を生み出すという性質上、スレでなんらかの問題が発生したら多かれ少なかれスレ住人全員の責任でしょう。
今回の盗作問題が外部サイトまで波及していたことが判明した以上、「盗作問題なんて本スレじゃ関係ないじゃん」という発言は先方への誠意に欠けると思いますが?

無理に議論に参加しろとは言えません。ですが、少なくとも誠意やマナーは示すべきではないでしょうか。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:44:31 ID:sL2pATcW
>>181
俺はとっても親切な酔っ払いだから、この際はっきり言ってあげるよ。

あなたのような「まともな人」は、あんな所や、こんな所に居るべきではない。
さっさと見限ってどこか別の場に移ってしまう事を強くお勧めするよ。

これまでの行動で自身の常識人っぷりを明確に示したあなたなら
作品と共に何処に移っても暖かく受け入れて貰えると思う。
この騒ぎを傍から見物してたり、人づてに聞き知ってる所なら尚更ね。

移る先によっては、むしろ今まで以上の成功を収めることが出来ると
思うからその辺も少し考えてみておくれ〜。
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:45:36 ID:Lprz73bu
>>181
これだけやれば、もう必要分の誘導はできてんじゃなかろうもんか?
その簡単でシンプルな誘導だけで必要十分だと思うんよ

スレが完全に止まるほどみんなが避難所に集まればそれが正しいそれで満足
などと思ってるわけでもないっしょ?

じゃあみんな後は落ち着いて避難所でゆっくり話すもんよ
だめかな?
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:49:48 ID:U7DQfEVg
>>1851
あんたそういう言い方は良くないだろ
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:50:21 ID:U7DQfEVg
失礼
>>185あてです
189×DOD ◆murBO5fUVo :2008/03/27(木) 21:50:45 ID:80d7vf18
>>183
了解ですー。

>>185
お気づかい有難うございます。

しかしそれでは、今までアクションを起こさなかったこのスレの無責任さを、自らの行為で証明して
しまうことになりかねません。
一度コテで口を出し始めた以上、少なくともこの問題が終息するまでは、最後まで責任を持って
関わっていくつもりです。途中で放り出すことは、最初から放棄することと変わらないように思います。

重ねて申し上げますが、お気遣い本当にありがとうございました。心の底から、嬉しかったです。
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:55:24 ID:PtxT4Czw
事態がここまできてる時点で投下してもOKとか言ってるやつは「めんどい事は他人
まかせ。おれが読みたいから投下OKにしろ。」って言ってるようにしか見えない。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:56:45 ID:l1NXiT6c
∧_∧
( ´・ω・) ここはリンディ茶でもどうぞ
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 21:56:56 ID:DveA7n9V
や、職人さん方が投下を控え真剣に議論すべきと考えているなら読み手としては言う事ないですけどね
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 22:11:21 ID:8I9eSZEV
なんでこの期に及んでそんな他人事なんだ……
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 22:13:52 ID:pGw+ijqd
他人事なんでしょ。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 22:26:57 ID:DveA7n9V
ここで議論することでもないからね
避難所で熱く語り合おうぜ
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 22:33:22 ID:TKhgqEpH
他人の厚顔無恥に腹が立つとき、ただちに自らに問うてみよ。
「世の中に恥知らずの人間が存在しないということがありえようか」
「ありえない」と答えるだろう。それならば、ありえぬことを求めるな。
byアウレリウス
197反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/03/27(木) 22:56:54 ID:Icm+YRuc
連絡が遅れましたが、種死スレの方へ謝罪文を投下して参りました。
今回の件においては、は管理不行き届きとなったことを、改めてお詫びします。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 23:02:35 ID:YGaQeZL/
>>197
本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 23:03:55 ID:MoZBe+Kj
>>89
そもそも「時空漂流者」自体公式の設定に存在するものだっけ?
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 23:06:59 ID:LJXALtQX
つ「設定議論スレ」
最近はちゃんと稼動してるぞ。

>>197
お疲れ様でしたー
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 23:13:08 ID:BLGMpu0p
アセリア投下は絶望的だな・・・・・・・・
>>197
乙カレー
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/27(木) 23:52:28 ID:/VQzFKoR
>>197
お疲れ様でした
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 00:09:09 ID:neahIA+l
>>197
おつかれさまでしたー
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 00:29:08 ID:FY1eJr3j
スゲェ過疎ってるな
無駄レススマソ
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 01:59:41 ID:5xWsWdZl
>>197
マジでお疲れさまです。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 06:47:41 ID:8KAvOzvF
>>197
お疲れ様っす。
早く職人帰ってこないかなぁ。メタサガの続き読みたいなぁ。
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 08:47:37 ID:GwUjTIwq
最近妙に荒れてるなー、と思ってたら、こんな騒ぎになってたのか。某作者の名前が出る毎に、専ブラ導入してNG設定しとけ、と何度も忠告されてたろうに。
NG設定も出来ない、スルーも出来ない、そんな人間が起こした悲劇だな。相手にするから投下が続くんだよ。
まぁ議論スレの事を本スレにまで持ち込んで、投下するなと脅迫まがいのことまでやってる阿呆みたいな奴だろうけど。

しばらくは投下が望めなさそうだな、全く。
本スレで雑談する事もなく、普通に読むだけ、感想を書くぐらいの住人にとってはいい迷惑だよ。
本スレでは投下と感想と保守のみ、議論は議論スレでのみやって、本スレには持ち込まないのは当たり前だろうが。常考。
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 08:53:37 ID:32aRRWVM
おつかれさまです。反目氏。
あとはとりあえず様子見ってところですかね…

職人さんたちの投下は自粛ってことですかね…あとは避難所。

209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 09:17:49 ID:FY1eJr3j
>>207
そのとうりとしか言いようがないw
てか投下板で投下されないって・・・・・・・アア暇だ
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 09:48:38 ID:xSbrIuE/
スルーと馴れ合い放置かましてたから盗作騒動と言う毒を撒かれて大騒動になってるのに
何的外れな事言ってやがんだこいつらは
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 10:03:32 ID:32aRRWVM
>>210 同感。 毒は放置してれば治るものでなく、治さなくては治らないことが
これでわかったよなぁ…
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 10:10:53 ID:gnnp5b//
>>210
荒らしにスルーは当たり前。問題のある作家はNG設定でもするか、テンプレにでも追加しておけばいい。
読み手全員が全てのレスを読んでるとでも思っていろの? 読みたい作品だけ読んで、他はスルーするなんてのは当然。
荒らしみたいな人間は一々相手にする人間がいるから相手が調子に乗る。

馴れ合い放置? インターネットは顔見知りで話し合ってるんじゃない。
作家同士が話しているのを見て、関係ない人間に問題があるかどうか察しろと? できるか。
だいたい馴れ合えば、必ず問題が起きるかどうかを判断できるわけ無い。
問題を起こした人物を特定、追放→再開 が2chで繰り返してきた事。

わざわざ投下をストップさせてまで議論を長引かせないでほしい。
議論は議論・投下は投下。本スレは本スレ・議論スレは議論スレ。住み分けも出来ないの?
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 10:14:01 ID:BD4Hyyk8
>>207>>208
いや、スルーせずに気付いた人がいたからまだよかったんだぜ?
仮にこのまま放置し続けて外部の人が気付いたら、Wikiに通報されてまとめサイトやここ自体も完全に終わっていたんだ
そうなりゃあんた達自身にも一番不利益だろうに
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 10:14:59 ID:O7fzgNVW
>>207-213
ウロスでやれ
215207:2008/03/28(金) 10:19:10 ID:32aRRWVM
>>213 わりぃ、俺の方は言葉足らずだった。
 俺が言いたかったのは避難所で討論が最優先だなってことだという
意味合いで書きたかった。投下自粛はいろいろと解決してからなって意味合い。
 とりあえず、ウロスだな。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 10:56:53 ID:s7Ez5WEk
>>215
つまり結論が出るまでは本スレは保守の流れでいいのか?
前スレで一発ネタ予告してた人いたけどどうするのかな?
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 11:04:08 ID:tx6DX6qH
「こんな事態だから、対応や今後の方針を固める為に議論を最優先、SS投下は控えよう」
こう考えるのが自然ではある。
だが一方で、
「こんな事態だからこそ、火を灯し続ける為にSS投下を続けよう」
こう考えるのも理解できる。

しかし後者の場合、”こんな事態”であることを理解し、危機感を持っているってことが大前提だ。
SS投下を続けろって言ってる人はそこら辺が全く感じられないんだけどな。
誰が盗作しようが、何処から盗作しようが俺には関係ねえ。俺はSSが読みたいんだ、ってだけで。
218207:2008/03/28(金) 11:20:21 ID:32aRRWVM
>>216 あ、それって前レスの最後の禁書目録との一発ネタでしたら俺なので問題なしです。
むしろ、自分からしておくと待っておいた方が得策だと思っています。

>>217 その後者の考えは確かにいい考えかもしれないけどベースがうやむやになりそうではありません?
俺は前者の考えの人間ですね。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 11:30:45 ID:4omHiLUG
議論を最優先させるのは結構だが、投下自粛強要は違うだろ。
なんか上のほうで投下するなと強要させている議論スレ住人がいるぞ。自粛は自分の意思ですることで、強要するものじゃないだろ。
むしろ自粛させるなら、俺たちみたいに投下スレで雑談している事そのものだろ。
盗作も馴れ合いも全くしていない、まとめにも関わっていない作者にまで投下を強要するぐらいなら、いっそ議論が終了するまで新スレ立てないほうがいいだろ。
これこそ無駄スレだよ。そこらに乱立している駄スレと同レベル。投下禁止の投下スレなんて、何の意味がある?
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 11:35:59 ID:olLuUn0n
なんでスルーできないのお前ら
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 11:38:56 ID:XF0Pqbdc
もはやどれが荒らしなのかがこんがらがってきてる…。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 11:49:51 ID:32aRRWVM
混乱させたのが私みたいなので…ここで謝罪をさせていただきます…
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 12:53:39 ID:iULh8lnq
投下自粛て迷走しすぎだろ
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 12:56:34 ID:enqBBQPX
何今日初めてここに来た携帯厨の俺涙目な勢いorz
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 12:56:44 ID:bXlNUe8k
>>223
他人の目が凄く気になるからな。
少しでもリスクがあるのなら潰しておきたいのだろう。
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:20:50 ID:AUI+c+FB
>>224
すまない……今はパソコンを入手し次第まとめサイトをのぞいてくれとしか言えない
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:26:56 ID:/Ibi/AJz
盗作という犯罪を犯したやつの仲間達が「盗作なんてたいした問題じゃない」なんて態度をとってるのを
外部の人間が見たらどう思うかな。
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:32:17 ID:nlUjTlST







投 下 ス レ で 何 言 っ て ん の お 前 ら ?






229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:33:08 ID:Y+/NpyUF
そろそろ誰か投下してくれないかなぁ。

それと雑談は避難所で。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:38:43 ID:xSbrIuE/
ここまで騒動の原因にガン無視かましてる連中ばかりのところに投下なんぞしたら
それこそ常識疑われるわな
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:42:08 ID:nlUjTlST
>>230
しかしこのまま雑談続けてたら、外部から
「住み分けもできねーのかよクズどもwwwww」
と思われる罠
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:46:39 ID:Y+/NpyUF
でもここはSSの投下スレなんだぜ?
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:50:23 ID:xSbrIuE/
こんな連中の存在がスパロボXの跳梁跋扈を許す隙だったんだなと
改めて思い知らされるな
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 13:54:23 ID:NlE0JO35
>>233
お前みたいな投下スレと議論スレの区別も出来ない人間が、スパロボXみたいな盗作を引用と言い張るような人間になるんだなと
改めて思い知らされるな
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:03:04 ID:pXajdlNd
お前ら漫才もほどほどにしとけ
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:07:21 ID:32aRRWVM
突然だが、一発ネタ/嘘予告の投下予告
 批判を浴びようが誰かが投下しないことには職人たちは動きずらいと思うし
この流れはあまりにも悪い気がしてならないと思いまして…
 流れを変える燃料として使っていただければ幸いなんですけども…
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:09:21 ID:32aRRWVM
5分後に投下します。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:10:20 ID:32aRRWVM
ミス↑、15分後でした。変なミス、すみません。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:15:53 ID:hDXQzueS
>>238
まぁ、その心意気は分からなくもないがちょっと待とうぜ
まだ平日の昼間だから人もいないしな
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:18:06 ID:32aRRWVM
…そうだった。日本はまだ昼間か…
>>239 thank you
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:18:46 ID:32aRRWVM
投下予告したものですがキャンセルして、夜にまた投下予告します。。。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:51:48 ID:aCkC+MUa
>>241
だいたい何時くらいに投下される予定なんですか。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 14:56:42 ID:32aRRWVM
そうですね…20時でしょうか。20時に投下予告します。
244seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:05:53 ID:+UlX6i8Q
投下します!
245seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:06:35 ID:+UlX6i8Q
投下します!「それでも・・・・・・守りたい世界があるんだーーーー!!」
彼女たちに教えてもらったことを無駄にしないためにも。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
彼女たちのいたあの平和な世界にするためにも。
フリーダムはプロヴィデンスにサーベルを構えて向かっていく。
顔が落とされた。関係ない、突き進む!
「!?」
フリーダムのサーベルがプロヴィデンスを貫く。
そして、ジェネシスの動力炉がジャスティスの核爆発で破壊される。
しかし、そのジェネシスの余波によりフリーダムは光に包まれる。
「!?・・・・・あれ、この感覚どこかで・・・・・」
キラが答えを導き出す前に彼を光が飲み込んだ。


「!?」
気がつくと肌寒く、そして浮遊感があった。
キラの目の前には綺麗な月と星々の輝き。ここが宇宙じゃないのは分かるが・・・・。
(浮遊感?)
その疑問を感じたときには重力を激しく感じる。
そう、落ちているような感覚だ。
(って、ほんとに落ちてる!?)
キラは焦った、機体からいつの間にか出ていて、しかも空の上。
下を見てみる、まだ高度があるためか少し考える時間がある。
(!?)
だが、考える時間は必要なかった。下を見ればここがどこだか判断がついた。
「フェイトちゃん!?それにアルフさんまで!」
下には懐かしい人たちがいた、一度だって忘れたことはなかった人たちだ。
どうやらキラはまたこの世界に来てしまったらしい。
だが、さらに驚く。
「何かと戦ってる?・・・・・押されているのか?」
状況を見れば、不利なのが良く分かる。加勢をしないといけない。
「デバイスは・・・・・」
キラの手にはいつの間にか白と青のクリスタルが収まっていた。
「ストライク」
『Yes, my master.』
久しぶりに魔法を使うことになるが、やるしかないのだ。

246seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:07:22 ID:+UlX6i8Q
「いくよ!ストライク!」
『Yes, sir.』
「空中戦だ、エールでいく!」
『Aile mode. Set up.』
バリアジャケットに身を包み、シールドを前に向け結界にぶつかる。
「ぐうぅぅっ!」
結界が固い、このままでは中に入ることが出来ない。
その時、フェイトが吹き飛ばされるところが見える。
「フェイトちゃん!!くそっ、ストライク!」
『Yes, sir. Full power.』
赤い翼からの光が強くなり、キラは無理矢理にでも結界内に入り込むことが出来た。
「よし!行くぞ!」
キラはライフルを構えるとフェイトのほうに向かった。
だが、キラは気付かなかった。自分の動きが前と違っていることを・・・・・・。


「紫電一閃!」
女剣士は魔力が一気に集まった剣を振りかぶる。
それをバルディッシュで抑えるフェイトだが、斬り砕かれる。
フェイトの顔が驚愕し、動きが止まる。
女剣士はさらに剣を振りかぶる、その光景がスローモーションのように見えた。
(やられる!)
フェイトがそう思い、目を瞑った瞬間だった。
女剣士の剣に連続で青い魔力弾が当たり、剣の軌道が逸れる。
「何っ!?」
女剣士が空を見上げると魔力のサーベルを持った青年が急降下してきた。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「ちぃっ!」
それを剣で受け止めるが、青年の方が勢いがあり、女剣士は後ろに下がる。
フェイトは瞑っていた目を開くとそこには赤い翼を広げる、青年の姿があった。
「キラ・・・?」
「フェイトちゃん、怪我はない?」
キラは女剣士から目を逸らさず、優しい声で聞いてくる。
「え?あ・・・だ、大丈夫。バルディッシュも・・・・本体は無事だから」
「分かった、少しそこにいて。僕がやるから」
「仲間か?」
キラはその言葉にサーベルを女剣士に向けると答えた。
「友達だ」

247seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:08:02 ID:+UlX6i8Q
キラは直ぐにサーベルを構えると女剣士に突っ込んでいく。
(速い!?)
女剣士はキラのサーベルを受け止め、打ち合いとなる。
(くっ!このサーベルじゃ、あの剣に勝てない!?・・・・・なら!)
(・・・・・強い、だがデバイスはこちらが上!)
打ち合いから一転、キラは全速力で上に飛んでいく。
「!?」
キラの行動に驚き、反応が遅れる。
「でえぇぇぇぇぇい!」
キラはライフルを乱射しながら急降下してくる。
それを女剣士は障壁で軽々とガードする、だがこれはキラの予想通り。
シールドを取り出すと、障壁に向けて投げる。
それも障壁に押さえられ、ぶつかり合い火花を上げる。
「こんなもの」
(こちらの障壁のほうが強度がある、ヤケになったか?)
「これなら!・・・・・どうだ!!」
キラはさらにライフルを構える、狙いは相手の障壁ではなく・・・・・・。
引き金を引き、青い魔力弾がキラのシールドにぶつかり爆散する。
「何だと!?」
その爆発により障壁が破られる。
そして、その爆風の中からシュベルトゲベールを振りかぶったキラが落ちてきていた。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「!?」
どうにか剣で受け止めるもさっきの爆発で重心が不安定だったため下に叩きつけられる。

248seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:08:48 ID:+UlX6i8Q
キラはそれを見届けることなくエールに換装するとフェイトのところに向かった。
「フェイトちゃん、バルディッシュは?」
「え?あ、うん。バルディッシュ」
先ほどまでの二人の戦いに見入っていたフェイトはバルディッシュの修復に入る。
『Recovery.』
バルディッシュは元に戻っていた。
「それよりキラ、何でここ・・・・・」
「アルフさんの援護にいってくる!」
フェイトの言葉が終わる前にキラは飛んでいってしまう。
「・・・・・・・」
一旦、キラを追いかけようと思ったが、フェイトは動きを止め、反対の方を向いた。
どうやらキラがあれだけ攻撃しても大きなダメージは与えられなかったようだ。
女剣士がこちらに向かってくるのが分かる。
フェイトはバルディッシュを構えると、迎え撃ちにいった。
しかし、フェイトはキラの戦いを見て思った。何か昔よりキレがなくなっていたようなそんな気がした。


アルフは内心焦っていた。
フェイトが気になるが、今のこの相手の強さにも焦りを感じる。
(こいつ・・・・強い。気を緩めるとやられそうだ)
同じ獣状態になっても強さは変わらない、あちらが上だ。
「まじやばいかも」
そう思った瞬間、横を青い何かが通り過ぎ相手の青い狼にぶつかっていった。
勢いが強いため青い影も一緒に近くの建物に突っ込む。
「何が・・・・?」
突っ込んで煙が上がっている中から影が浮かんできた。
それは赤い翼を展開するとアルフの近くまでやってきた。
「アルフさん、怪我は?」
「キ、キラ?何であんたが?」
「説明は後、この人たちは強過ぎる。一旦、転移して逃げないと・・・・」
「・・・・・・分かった、ユーノがいればどうにか・・・・」
(話は聞いたよ、僕も準備するからアルフも手伝って。キラも時間を稼いで!)
(分かった)
ユーノからの念話を受け取り転移の準備を始める。

249seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:09:25 ID:+UlX6i8Q
(ヴィータ、ザフィーラ)
(何だよ、シグナム)
(青い服を着た男には気をつけろ)
(何でだよ?)
(強いからだろう、今の一撃は効いた)
その問いにザフィーラが答える。
(へぇ〜、二人が言うとは驚きだね)
(油断するな。我々と同じようにやつは戦いを熟知している)
(だけど、負けるつもりはないんだろ?シグナムもザフィーラも)
(無論だ)
(当たり前だ)
(((我らヴォルケンリッターは一対一では負けない)))


(まずはあの男から倒すぞ!)
((応っ!))
キラは三つの魔力が跳ね上がったことを感じる。
するとフェイトと相手をしていた女剣士、シグナムが飛び出してくる。
すぐにソードに換装。シュべルトゲベールで受け止める。
「レヴァンティン、カートリッジロード」
『Explosion.』
剣から薬莢のようなものが飛び出すとレヴァンテインの魔力が高まる。
「!?」
シュべルトゲベールが折られ、下に叩きつけられる。
地面にぶつかる前にエールに換装し、勢いを殺してどうにか着地。
すぐにランチャー換装し、空中のシグナムに狙いを定めようと構える。
しかし、その瞬間には青い狼、ザフィーラが目の前にいた。
とっさに爪をアグニで受け止めるが、吹き飛ばされてしまう。
『Sword mode and Launcher mode. unavailability.』
ストライクが二つのモードの使用不能警告を発する。
「くそっ!エールモード!」
『Aile mode. Set up.』
赤い翼を展開して距離を取る。しかし、赤い服の少女、ヴィータが向かってきていた。
「ラケーテンハンマー!!」
「!?」
シールドで受け止めるもすぐに打ち砕かれ、キラは近くの建物に突っ込んでいった。
(キラ!)
フェイトは悲痛な悲鳴を上げる。
(転送の準備は出来てるけど空間結界が破れない、アルフ!)
(こっちもやってんだけどこの結界、滅茶苦茶固いんだよ)
(急いで!早くしないとキラが!!)
フェイト、アルフ、ユーノはキラを庇うように三人の相手をする。

250seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:10:04 ID:+UlX6i8Q
(フェイトちゃん・・・・・キラくんがいるの?)
(え?あ、うん。でもこのままじゃ!)
なのはは三人の戦いを見ているうちに青い光が助けに入ってきたのが見ていた。
しかし、それがキラとは予想できなかった。


今のなのははヴィータにやられ、満身創痍。レイジングハートもボロボロだ。
そして、キラやフェイトたちも限界にきているのが遠くからでも分かる。
「助けなきゃ・・・・・私が・・・・」
『Master, Shooting Mode, acceleration.』
レイジングハートからピンクの翼が開く。
「レイジングハート?」
『Let's shoot it, Starlight Breaker.』
「そんな、無理だよ。そんな状態じゃ」
『I can be shot.』
「あんな負担の掛かる魔法、レイジングハートが壊れちゃうよ!」
『I believe master.』
なのははまだ決心できない。
『Trust me, my master.』
その言葉になのはは辛そうに決心をする。
「レイジングハートが私を信じてくれるなら、私も信じるよ」
そういうとなのはは結界にレイジングハートを向ける。
大きな魔方陣が現れ、魔力が集中していく。
(フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん。それにキラくん)
四人に念話で今からすることを告げるなのは。
(私が結界を壊すから、タイミングを合わせて転送を!)
(なのは?)
(なのは、大丈夫なのかい?)
ユーノとアルフが聞き、フェイトは心配そうになのはを見る。
(大丈夫、スターライトブレイカーで撃ち抜くから!)
「レイジングハート!カウントを!」
『All right. Count nine, eight, seven, six, five, four・・・』
巨大な魔力が集まっていく。
『Three, three, three・・・』
「レイジングハート、大丈夫?」
『No problem. Count three, two, one・・・』
そして、なのはは発射のためレイジングハートを振りかぶったその時だった。
「!?」
なのはは言いようのない気持ち悪さを感じた。
それを探って、自分の胸を見るとそこから手が生えていたのだ。
フェイトはすぐになのはの元に飛んでいこうとしてもシグナムに阻まれる。
なのはから生えた手は何か光るものを掴んでいた。それはなのはのリンカーコアだった。


251seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:10:40 ID:+UlX6i8Q
なのはがいた場所から見える位置に緑の服の女性、シャマルは本を持ち喋る。
「リンカーコア、捕獲。蒐集開始」
『Sammlung.』
彼女が持った本が怪しく輝きだし、開いた白紙のページがどんどん埋まっていく。
なのはは自分の中から力が奪い取られていくのが分かる。
自分の胸から手が生えている恐怖感で動けないでいた。
しかし、なのははどうにか力が抜けていくのを堪えながらも構える。


「なの・・・は・・・ちゃん・・・」
キラはなのはの光景を見て唖然とする。
すぐさまあの手の元凶を探し、なのはのビルの近くの屋上に人影がいた。
「・・・・・見え・・・た!」
キラはどうにかライフルを構えるとビルの上にいる人物へ向けてライフルを放つ。
その瞬間、ライフルも限界を超え砕け散った。


「もう少し・・・・」
シャマルは蒐集に集中していたため直ぐに気付かなかった。
すると、彼女のクラールヴィントの自動防御が働き、障壁を張る。
「きゃっ!?」
それに驚いたのかシャマルは腕を抜いてしまう。
「!?」
一瞬、気持ち悪さがなくなったことになのはは気付くと構えを固める。
『Count zero.』
「ス、スターライト・・・ブレイカーーー!!」
ピンクの大きな魔力の流れが天を突き、そして結界を破りさった。
だが、なのはは撃ち終わるとそのまま倒れてしまった。


(結界が破られた、離れるぞ)
(心得た)
(シャマルごめん、助かった。それに大丈夫?)
(うん、大丈夫。一旦、散っていつもの場所でまた集合)
その瞬間、4つの光が分散して去っていく。
その光をキラはただ見上げるしかなかった。
「負・・・け・・・・・た、守・・・れなかっ・・・・・た」
その瞬間ストライクは粉々に砕け散る。
そして、キラはそのまま倒れてしまった。
無理な連続換装による魔力消費、そして先ほどの戦闘での大きな傷。
キラの倒れたところから赤いものが広がっていった。
そんなキラを光が包むのを誰も見ていなかった。


「いけないわ。急いで向こうに医療班を2チーム飛ばして!」
モニターで現場を見たリンディはすぐに指令を出した。
「中継転送ポート開きます」
「それから、本局内の医療施設手配を!・・・・・って、え?」
モニターには倒れたなのはと、そしてキラが映っていた。
この前と同じように小さくなっているキラが・・・・・・。

252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:10:40 ID:nLZtNyMu
志村ァァァ!sageがsageに成ってて、ageになってる支援
253seed ◆5Nv0mr8R9s :2008/03/28(金) 16:11:13 ID:+UlX6i8Q
以上です。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:12:19 ID:xSbrIuE/
>ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:14:48 ID:p0/VEK/V
というかこの作品は別の人が書いているのをそのまま載せているだけみたいですが。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:15:57 ID:cRFdvNyQ
ここまでわかりやすい荒らしもなかなかいないな
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:20:32 ID:nLZtNyMu
荒らしだったのか…
どうりでsageってメールに打ってたのかorz
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:20:38 ID:mfYb2j14
盗作というか、荒らすために、
他人の作品を投下してるのかよ。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:23:19 ID:O9VqhJBI
これはもう通りすがりに自爆テロに巻き込まれたようなものだろうな……予告もないし
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:57:12 ID:sqzKEB4z
本スレには
「投下しないで議論に参加しろ」とか「危機感がない」とか言ってるくせに
なんで避難所の設定議論スレは普通に進行してんだ?
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:58:07 ID:E81qhLrl
今回の騒ぎで他のSSスレから徹底的に疎まれてるからな
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 16:59:08 ID:mfYb2j14
>>260
本気で何言ってるか分からないのにんだが。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:02:18 ID:NlE0JO35
もう議論スレのことは忘れようぜ。さいわい全て埋まったようだし。本当糞スレだった。
議論じゃなくて馬鹿騒ぎをしたいだけの集まりだったようだな。
盗作→追放 馴れ合い・なあなあ→駄目!絶対!
これで終了だろが。なんか精神カウンセラーみたいな事まで言ってる奴まで出る始末。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:05:26 ID:rPsFSAYE
今回の騒ぎ前の本スレへの印象→近所の引きこもりニートなオッサン
騒ぎ後の本スレへの印象→性犯罪やらかした元引きこもりニートなオッサン

なにか犯罪やってんじゃないの?って疑惑が事実になったってだけだから
疎まれ具合にはそう大差ないよ。元から最底辺。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:08:32 ID:mfYb2j14
>>263
いい加減出ていけよ。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:10:45 ID:Hv5ABZIE
>>263
>盗作→追放 
>これで終了だろが。

それで終了させたくない奴が頑張ってるから終わらないんだろ。

盗作→追放
「いや、他人の文章をそのまま使ったからといって、必ずしも盗作とは言えないだろう」

馴れ合い・なあなあ→駄目!絶対!
「そもそも、盗作が起こったことと馴れ合いは関係ないじゃん」
267263:2008/03/28(金) 17:14:50 ID:kJPn0w53
>>265
あぁごめんなさい。スレ埋まって、ようやく収束の方向性に向かってるのに空気読めなさ過ぎた。当分ROMってるわ。

>>266
という事で、自分等分ROM専になるので。この手の話題は避難所にするよ。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:20:40 ID:sqzKEB4z
>>262

「議論に参加しろ」ってのは、今回の盗作をどう受け止めて
再発防止や今後の方針を話し合おうってこと。
そのために職人は投下してる場合じゃないだろとか、
投下したら人間性がスパロボXの二の舞だなとかいってるのに…
避難所内の「設定議論スレ」では現在進行で
機動六課は他に疎まれてんじゃないかとかそんな話してんだよ。
投下は駄目でこれはいいのかよ!?
って言いたかった。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:25:38 ID:32aRRWVM
…俺が投下するまで空気が悪くなる一方なのが見えてるが、おれは一応投下は絶対にする。

20時に投下予定で予告してたものだが時間を早めます。19時に投下を予定しています。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:27:20 ID:rPsFSAYE
そこでさらに空気を悪くしてどうするんだwwwwwwwww
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:28:50 ID:aEPutrUQ
自粛しろってのも分かるんだが、


自粛派の最大の問題は、「今はSSを投稿してる時じゃない!」といいながら、
じゃあ議論を活発にしてるのかといえば大してしてないってところだな。
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:31:00 ID:rPsFSAYE
色んなトコから注目浴びてるから、ボロ出さないようにしばらく投下自粛してろってことじゃないの?
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:31:46 ID:mfYb2j14
平日の真っ昼間から、長々と議論はできないよw
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:33:48 ID:mq5X4SL8
>>268
……なぁ、アンタ?
「議論に参加しつつ他の関連スレではスレ本来の楽しみ方をしている」
って奴も居るって考えた事無いのか?

因みに、実質2ちゃん最後のウロススレに移転or残存の選択決断
を促すレスを書き込みつつリアル用事が早く済んだので
設定議論スレでも遊んでたのは自分だ。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:37:33 ID:32aRRWVM
>>270 …空気読めてない行為ってわかってるけどいずれは誰かがやらなくちゃいけないことじゃないかなっておもってさ。
俺は餓鬼だからか話がうまい具合にまとまる気がしなくてな…なんか方向を変えれる方法を簡単に
見つけたつもりなんだ。ぼこぼこに言われることは分かっていても投下したことで何か変わるかもしれないしさ
そこからまた何か見つかるかもしれないしな。 わりぃ・・・^^;
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:38:48 ID:wdlco8xj
>>268
投下自粛の呼びかけは、空気が変わって議論が流されるのを警戒していたんじゃなかったっけ?
事態の重大性をはっきりさせる為ってのもあるけど、前者に関しては設定議論スレの空気は全く漏れていないし。
投下は影響が大きいし、雑談は議論すべき所でそれを流してしまった実例があるからね。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:39:22 ID:nlUjTlST
このまま叩かれるのを恐れて誰も投下しなくなったら、
それこそ本スレが機能しなくなって潰れるんだよな
泥を被る役ってのは必要なんだぜ?

そーいうわけだから、避難所見ながら本編書いてくるわ
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:41:39 ID:E81qhLrl
もう別のSS投稿サイトにいこうって人もいるんだろうな……
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:45:05 ID:mfYb2j14
こんな状況も読めない馬鹿が大量にいるからな……。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:51:23 ID:8vdOpf1b
ここに居ると真に恐ろしいのは無能な味方だということが良くわかる…
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:53:13 ID:37d6SrkZ
この一件でスレ住民の精神年齢が明らかになってしまったな
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:53:30 ID:mq5X4SL8
ならさぁ、
今のこのスレには今後誰も何も書き込まずにdat落ちさせて
再出発のつもりで改めてスレ立て直す位じゃなきゃ
本当の自粛実施たぁ言えねぇんじゃね?って意見が避難所で出てるんだけど、
これどう思うよ?

今の空気がどうあれSSが投下されないSSスレに存在意義は無ぇだろ、とかも……。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:54:30 ID:hDXQzueS
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:55:33 ID:TWfIV/t2
とりあえず三日ぐらい放置しようぜこのスレ
議論馬鹿ばかりで投下する空気じゃないのは職人さんたちが一番よく分かってるだろうし
落ちたら落ちたで、それも良し!
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 17:58:04 ID:x8IJ1dHj
春休みっすからねぇ…
元の空気に戻るまで積んだエロゲでも消化してくる
286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 18:12:59 ID:37d6SrkZ
これじゃ自粛するまでもなく職人さん逃げちまってもおかしくないな

287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 18:14:39 ID:MBBBqC1z
>>275
おまいさんの心意気はすばらしい。
でも、できればそれはもうすこしだけ待って欲しい。

無闇矢鱈と騒動が広がって、今ようやく落ち着いたところなんだ。
もうすこしだけ、俺も含めたみんなが頭冷えるのを待ってほしいんだ。
それでもまだ、gdgdが続くようなら、今度こそおまいの作品で流れを変えてくれ。

それと、餓鬼の意見でもかまわないから、どうやったらまた居心地のいい空間ができるか、避難所で意見を述べてくれると嬉しいぜ。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 18:29:37 ID:WINYEuyJ
と言うかもう投下して良いと思うんだ。
むしろここでこれ以上gdgdしてるほうが住み分けできてないことにしかならないと思うぞ。

289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 18:58:30 ID:32aRRWVM
>>287 もう少しだけ見るべきですかね…

290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 19:02:32 ID:pXajdlNd
毒吐きスレに関する議論を開始したので、それが終わり次第「本スレ運営再開」宣言をするという案が出てる。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 19:05:56 ID:32aRRWVM
>>290 今避難所で確認しました。おれもそちらの方に参加してきます。

 投下は無期限…ってか、運営再開宣言後にでも予約変更にしときます。

俺は何度予約を変えればいいんだが・・・周りに迷惑かけてる気がしてなんか悪い気がしますね…^^;
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 19:07:09 ID:FCOwA2JE
投稿スレなのに何で雑談やら議論などここでするかな?
とりあえずアセリア氏のSS投稿するまでGGXXのチップを練習するかな
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 19:11:33 ID:/Ibi/AJz
それを言うなら「無能で働き者の味方」です。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 21:03:19 ID:qkIvZ1tn
>>293
一番質が悪いから銃殺にしてけってあれか
295りりかる剣心:2008/03/28(金) 21:05:53 ID:DjORYwSS
時空剣客浪漫譚を久しぶりに投下します。
ホント久しぶりなんですけどダメですか?
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 21:11:02 ID:32aRRWVM
>>295 とりあえず、避難所を見に行くことを勧めます。
おそらく何が起きてるか知らないようなので現在の状況と投下についての話がされているので見に行くのはどうでしょうか?
297りりかる剣心:2008/03/28(金) 21:13:51 ID:DjORYwSS
わかりました。ありがとうございます。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 21:14:28 ID:gKJehRmX
もう少しだけ 待ってくれないか。
こちらも楽しみにしているし ストップかけて心苦しいが。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 21:16:54 ID:32aRRWVM
いえいえ、読み手、職人もみんな待ち遠しいものなので全員でまた一歩を動き出しましょう。
一歩がふみそろわなければスタートは切れませんからw

ってことで避難所へGO-。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 21:28:59 ID:nkmUv1nm
全員同時に投下したらどうすんだw
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 21:34:50 ID:32aRRWVM
>>300 それは考えてなかったwwww

反目氏から避難所での結論が出ました。以下、反目氏の文から抜粋。

「では土曜0:00――すなわち今夜日付の変わる時に、運営再開宣言を投下してきます。

最後に1つ。
今回は皆様のご協力、本当にありがとうございました。
お前らみんな大好きだ!」

とのことです。 あと2時間半。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:13:21 ID:jAQIZdUk
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8882/
ここでオチられてるね。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:17:09 ID:1kRqR7xH
しかしあれだなあ、スパロボ関連のSS投下しにくくなるな。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:18:45 ID:nkmUv1nm
まともな作品なら全然OKでしょ。
べつにスパロボクロスだから顰蹙買ってたわけじゃなし。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:19:57 ID:gXXq71QF
書くと挫折するSSの一つだからな。
全作品を把握しつつ踏み台にならないように戦力を調整、各話ごとにギリギリのバランスを保ち・・・・・・・・・・

無理。よっぽどの書き手じゃないと死ねる。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:21:21 ID:gKJehRmX
(盗)作者がアレだっただけの話で
そのジャンル自体は顰蹙買っていたわけじゃない。
見る目が厳しくなるかどうかはわからんけど。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:22:33 ID:Hhha6vsO
すさまじいプレッシャーを感じるんだが
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:24:40 ID:1kRqR7xH
いやね、フォルカがミッドチルダに来たらとか考えてただけだから……
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:26:03 ID:Hhha6vsO
ってことは魔装機神さんか――
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:28:23 ID:7NJxQPUr
面白い事になってたな。
盗作やるんならもっと上手くやらないとダメだぜ?
そのうち俺が手本を見せてやるよ。
まぁ、バレたとしても他のヤツが謝罪に行くんだから気楽ではあるか。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:29:05 ID:BQ9C2icm
>>308
それはスパロボのオリキャラが来るってだけだから版権スパロボとは厳密には違うと思う。
難しい云々って話は版権スパロボ二次創作のことだしね。

まぁ、それでもほとんどの作品が途中で断筆してるけど……。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:30:01 ID:1kRqR7xH
>>309
いや、まだ投下したことはない。趣味で書いてただけだから
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:30:24 ID:Hhha6vsO
……互いにがんばろう
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:30:57 ID:E3bdFJtb
スパロボクロスっつっても二種類ある。
スパロボオリジナルとクロスさせるのと、ゲームと同じく多作品をとの多重クロスオーバー。
前者はそこまで難易度高くないと思うんだよ。
OGっつー基幹ができたし。平行世界設定のおかげで融通がきくし。
問題は後者でしょ。
プロでも無理とか言われるくらいなんだからwww
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:32:09 ID:Hhha6vsO
まあ……これをみてくれ。でも後はウロスにいこうな

http://ganhoo.blog47.fc2.com/blog-category-22.html#entry237
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:40:11 ID:nkmUv1nm
一つだけすごく…大きいです
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:41:32 ID:CWXycazO
流れをぶった切ってスマンが家に帰ってきたら
剣心氏がこのスレに久々に帰還した事に気付いたw
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:47:57 ID:BcVK9xhv
いつまでもグダグダやってると某スレみたく投下が三ヶ月に一度とかに陥るぞ
と、某スレ出身の俺が言ってみる
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 22:52:09 ID:qaoGHSOg
結局ここの連中はいろんな意味で自分で自分の首を絞めてるって事に気付いてないんだよ
この期に及んでもな
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 23:01:54 ID:+l3bB8jx
>>305
いっそSRCのシナリオとかでいくと良いかも試練。
あれだったら少なくとも、ユニットの強さは共通データがあるし。


問題は、もはやSSでも何でもないことだがw
321名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 23:04:23 ID:nkmUv1nm
>314
多重クロスったって、そこに出てくるのはあくまで「スパロボ」のキャラでありメカであり設定だと思うんだが。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 23:23:20 ID:nlUjTlST
>>319
同意
せっかくカッチリ決めようってなってる時に、本スレで雑談してるんだもんな
こんなこと言ってる俺も人の事いえないけど

とりあえず、なんだ
避難所行こうぜ?
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 23:37:05 ID:/hvmyX8z
>>318
新シャアの08小隊スレのことか?
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 23:47:26 ID:Bm6DfEcG
まとめなかなか更新しないから来てみたらすげぇ事になってんな…
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/28(金) 23:51:50 ID:FY1eJr3j
復活まで@8分だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜w

326反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/03/29(土) 00:00:03 ID:6qJKakAN
【 運 営 再 開 宣 言 】

避難所での議論の結果、本日0:00をもちまして、当スレの運営再開となりました。
対応が遅れ、場を混乱させたことを深く謝罪致します。
皆様、これからも今回のような問題を起こさぬよう共に努力し、そして再びスレを盛り上げていきましょう。

なお、今回の問題についてよく知らないという方は、避難所の各種スレに一度目を通していただくようお願いします。

これからも「リリカルなのはクロスSSスレッド」をよろしくお願いします。



追伸
もちろん、投下の際には予約を忘れぬよう。
一斉に押し掛けてごちゃごちゃになってはダメよ。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:01:20 ID:0sz1dT6D
反目氏、お疲れ様です
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:02:38 ID:79XUi4hU
お疲れ様です。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:06:17 ID:jTRTsb/j
>>326
乙カレーーーーーーーーーーー♪

330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:07:31 ID:eDFScMvy
お疲れ様です

やっと通常に戻ったんだな…
この一週間辛かった…
331魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 00:08:50 ID:KPk6WTCk
反目氏、今回は中心となって問題の解決ごくろうさまでした。
そして、議論に参加なされた多くの人々に乙を!
さて、新たなクロス作品を切り開くのはだれかな?w
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:11:51 ID:Y4nM4+dY
反目氏、DOD氏、お疲れ様でした
333ゲッターロボ昴:2008/03/29(土) 00:13:45 ID:ZNSa9AMH
おお、再開ですか!今回の騒動で、本当にご苦労様でした。
お互い執筆などもがんばりましょう!!

・・・私の執筆が進んでないのは秘密さ(そういうわけで人類の明日を誰か切り開いてください)
334ゲッターロボ昴:2008/03/29(土) 00:17:07 ID:ZNSa9AMH
すまない・・・ageてた。
335りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:20:58 ID:52YQ5EtT
反目氏、ご苦労様です。

では、短いですが自分が行っていいですか皆さん?
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:21:50 ID:ZNSa9AMH
どうぞー。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:22:20 ID:5Nl+INEN
最近るろ剣完全版を買い始めた俺が支援するぜ!
338魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 00:23:05 ID:KPk6WTCk
支援ノキワミ、アッ―――!
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:23:09 ID:zWPy8ujx
支援です。通常運営が嬉しすぎてクルーゼ笑いをしちゃいそうですw
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:26:29 ID:0sz1dT6D
支援w
341りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:27:15 ID:52YQ5EtT
初めて会う、男の子。

その子は変わっていた。
けど、嫌じゃない……私や、姉妹達、Dr.にとって彼は癒しなのかもしれない。

不思議な子。
魔法少女リリカルなのはStrikerS−時空剣客浪漫譚−始まるわ。

番外編その三「答えを求める微笑みの剣客、後編」


「あぁん、やっぱり宗ちゃんの格好目立っちゃうわねぇ」

少し困ったような口調で宗次郎の服装を上から下へと見遣るクアットロに宗次郎はニコニコとした表情で答える。

「あははは、そうですね。こういう服も見ませんし……」
「そうねぇ〜、冠婚葬祭ぐらいにしか着物は着ないみたいだし」
んーっと口元に手を当てながらクアットロは少し遠い場所に服屋があるの見かけ、宗次郎の手を引く。

「お姉様との待ち合わせまでまだ時間はあるし。あっちにあったからいきましょ♪」

「はい。わかりました」


※再びラボ

スカリエッティは先程行われた宗次郎とノーヴェ、ディエチ、ウェンディの模擬戦で得たデータを秘書であるウーノに解析させていた。
モニターに表示される瀬田宗次郎と三人のナンバーズのデータを見比べながらスカリエッティは話しだす。

「あの子はすごいな……。模擬戦も彼女達に合わせて闘えるようになって、君やクアットロからのエネルギー理論も覚えるようになっている。
それにあの魔力を伴わなずに発せられる脚力は並大抵ではない」
キーを打つ手を止め、ウーノはコクリと頷く。そして、優しい笑顔を浮かべる。

「あの子が来てからDr.や妹達はよく笑うようになりました」

「ふふ……そうだな、特に驚いているのは任務中のドゥーエに会いたいと言われた事かな」
「私も先程聞いて驚いてしまいました」

苦笑いを浮かべて答えるウーノにスカリエッティは可笑しそうに笑いながら尋ねる。

「だろう?」と。


「う……ん、やっぱり似合ってるわぁ♪」

クアットロは上機嫌の笑顔で新しい服に身を包んだ宗次郎を手で造るカメラにおさめる。
服屋で滞在したこと30分、クアットロが彼に見繕ったものは詰め襟の黒の学生服……つまり学ラン(プラス学帽)である。

342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:27:17 ID:jTRTsb/j
支援だぜぃ♪
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:28:08 ID:5Nl+INEN
支援です
344りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:29:59 ID:52YQ5EtT
「ありがとうございます、クアットロさん」

心から嬉しそうに微笑んで礼を述べるとクアットロはどこか気恥ずかしそうに答える「Σう、うぅ……ん// //」

「何時も同じ服で面白くないんじゃないかしらぁって思ったの……宗ちゃん見てて思ってたから」
「あはは、いつも見てくれていてありがとうございます♪」

ペコッと頭を下げながら衝撃的な発言をする宗次郎にクアットロはまた顔を赤く染めてしまう。
「き、気付いてたの……?」
「はい、バレバレですよ♪」
きっぱりと答える宗次郎。

「っ……〃〃。あ、あああ、そろそろドゥーエお姉様と合流する時間だから行きましょ宗ちゃん〃〃」

しどろもどろになりながらクアットロは赤くなった顔を見られないように顔を俯いて歩き出す。そんな彼女に宗次郎はニコニコと後を追う。

(まったく……宗ちゃんと居たら変になるわねぇ。いつも、ニコニコしてるのに鋭いし……)
ちらりと後ろの宗次郎を見遣ると彼はニコニコしながら辺りの町並みを見回している。
(まったく、いい気なものね〃)


「初めまして、瀬田宗次郎」

喫茶店のテーブル席、そこで宗次郎とクアットロは一人の女性と相対して座っていた。
女性の声に宗次郎は相変わらずニコニコしながら答える。

「はい、初めましてドゥーエさん♪」

二人が約束していた合流ポイントは喫茶店であった。
先ず、面識のあったクアットロが入り店員である女性に接客を受けるが奥のテーブル席にドゥーエの姿を見かけ、彼女の元へと向かったのだった。


「で……宗次郎はなんで私に会いたかったの?」
任務中であったが今日はたまたま非番であったドゥーエは嬉しそうに微笑みながら宗次郎に尋ねる。
「あ、はい。会ってお話がしてみたかったのでクアットロさんとでやってきました♪それに……」
クアットロが「それに?」と尋ねる。

「はい、任務中と聞きましたからドゥーエさんも苦労しているんじゃないかって思って♪」
「宗ちゃん……」


宗次郎の言葉にドゥーエは目を閉じて笑い声をだす。
「ふふふふ、ありがとうね宗次郎。じゃあ、少ーし愚痴を聞いてくれるかしら?」
「はい、良いですよ♪」


345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:32:31 ID:zWPy8ujx
久しぶりの支援に血が滾るぅぅぅ!!支援
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:32:52 ID:+NO+pn8O
支援かいな!!
347りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:34:09 ID:52YQ5EtT
ミッドチルダ 時空管理局本局 戦技室

「では、執務官試験の結果を伝えるわ」

筆記、実技全ての試験内容を終えた四乃森蒼紫は今回の試験官であるレティ・ロウランから発表されていた。

「まず、筆記試験は満点。実技試験も文句無しの結果だったわ、四乃森蒼紫。執務官試験に合格よ、おめでとう」

「……そうか」

合格。執務官試験はかなりの難関である。その試験に合格するのはかなり至難で今の執務官であるクロノやフェイトも落ちたことがある。
にも関わらず、寡黙に受け止める蒼紫にレティはすこし呆れたように尋ねる。

「少しは嬉しそうにしたら?執務官試験はそう簡単に合格するようなものじゃないのよ?」

「今ある執務官の在りようと、学問、この世界の事を調べ。反復して覚えたものを活かしたまでだ。
だが、これでも満足はしている……推薦してくれたハラウオンや皆に感謝もしている」

「そう……ならあの子達に少しでも笑ってあげればどおかしら?」
変わらず、寡黙な表情の蒼紫……だが、すこし満足そうな声色にレティは微笑みながらアドバイスをする。

「いまさら笑ってもあいつらが驚くだけだろう」
「サプライズが良いのよ」
「なら……善処する」
「善処しなさい。あと手続きをするわ、良い?」

「ああ」




348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:34:18 ID:5Nl+INEN
シエンゼロスタイル!
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:36:48 ID:eDFScMvy
支援
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:37:08 ID:8RV37Q5t
支援するぜ
規制の壁などこの支援零式で砕いてやる!
351りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:38:16 ID:52YQ5EtT
場所を移し、第XX管理世界。

「ぐあああっ!?」
「ぎゃああああああ!」

複数の男の叫び声が轟音と共に森林に木霊する。
次々に仲間が切り裂かれて倒れていく中、残った二人の男は目の前の管理局員を目の前に逃げる。

「なんでだ!どんな事しても管理局員は人を殺さねぇはずだろ!!」
「こんな事許されねぇぞ!!」

「私は特別に許されているんですよ……」

そう告げながら細い目の管理局員は右手に握る日本刀を横一文字に構える。

「ひ、ひいいぃぃ!!」
「お、おまえっ!」
一人を残し男は突然走り出す。

「嫌だ!あんな化け物!!」
仲間を見捨てても、足を止めるわけにいかなかった、息が上がろうが、乳酸が溜まろうが……止まればあの男に殺される。

「ぐぎゃあっ!!」

背後から聞こえる仲間の悲鳴を聞こえないそぶりで男はただただ逃げる。
既に男は恐怖の虜となっていた。

目に見える木々があの局員の刀に見えてくる。

「助けてっ!!助けてくれっ!!」



352りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:42:50 ID:52YQ5EtT
……走り出してどれほど走っただろうか次第に男は背後が気になりだす。
走りながら男は来た道を振り返る。と
そこには男の姿が見えない……
(振り切ったか……?)

しかし……

ドンッ!!
(っ!!)

何かが肩にぶつかり、男は凍り付く。

「!?」
恐る恐る、青白い顔で男はぶつかったほうへと視線を戻す。そこにはあの局員がいた。

「!!!!!!」

後ろに跳び退き、男はソード型デバイスを起動し、局員に向ける。ガチャガチャと音がなるのは彼に対するの恐怖のため……。

「……過ぎた技術の結晶と力で命を弄ぶ……本来ならダニにも等しい貴方達は殺す価値もありません」
涼しげに声をかける局員に男は叫ぶ。
「な、なら助け「だが俺の悪即斬(正義)の前は。おまえを殺す価値があるんだよ。
理屈は言わん……死ね」

「嫌だあぁぁぁっ!?」
男はソード型のデバイスを振りかぶり局員へと一撃を放つ。だが
最後に男の眼に映ったのは、薄笑いを浮かべた局員ではなく獲物を狩る狼のような表情を浮かべた男が突きを放ち、ブチっという音と血を吹き出す自身の身体から離れて飛んでいくような不思議なものであった。


353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:43:51 ID:5Nl+INEN
支援
354魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 00:44:00 ID:0EYngeLk
新撰組キター支援
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:44:24 ID:gnCB+Ojt
支援の極み
356魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 00:46:49 ID:KPk6WTCk
犬は餌で飼える。人は金で飼える。だが、壬生の狼を飼うことは何人にも出来ん支援
357りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:50:15 ID:52YQ5EtT
「壱式で首が吹き飛ぶとはな……所詮は脆い悪か」
局員は再び細い目に戻り、手元の端末に声をかける。

「……任務終了しました」
『終わったか……バリアントジャケットも着ずによくやる』
「ありがとうございます、ゲイズ中将」

『過去に12人も局員の死亡者を出している指名手配中の凶悪犯だった故におまえの捜査には最高評議会も非殺傷設定解除の許可は出した……後始末もつけてやる。だが、周囲の警戒は怠るなよ』
「は、了解しました」


連絡が途絶え、耳から端末を離した局員は刀を納めて殺害した凶悪犯を見下ろし。
タバコを取り出し、火を付けて一服する。

「ふ、ボロをおおやけに出さんようにしないとな……さて」

それは誰に対しての言葉なのか……タバコの煙を燻らせながら藤田−−斎藤一はその場を離れる。
一方、首都防衛隊隊舎ではその光景をレジアスは自分の部屋のモニターで見ていた。

「AAランクの男達を一瞬にか……やはり強いな」
『悪即斬(正義)の前には、殺す価値があるんだよ』
(……やがて刃を返すやもしれんな。だが、それでこそ飼い馴らす甲斐があるものだ。斎藤一……)




358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:51:53 ID:5Nl+INEN
言った側から飼い馴らそうととしてるよレジアス支援
359魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 00:53:48 ID:KPk6WTCk
もー、レジアスはすぐ死亡フラグ立てるーw支援
360りりかる剣心:2008/03/29(土) 00:55:47 ID:52YQ5EtT
「まっっったく!あのミソどもったら聞いてもいない話を聞かせるのよ!」

「お、お姉……様?」
パフェにかぶりつきながら腹立たしそうに話をするドゥーエにクアットロはさっきから口の端をひくつかせて聞いていた。

「まったく、アンタらの昔話なんて聞いてないっての!あぁもう、セクハラまがいな質問とかしてくるし、『この後飲みに行かない?』とか脳みそと行けるかっての!」

「任務中でも、そんな事にも耐えれるドゥーエさんはすごいや♪」
ニコニコしながらも尊敬しているような表情の宗次郎。
そんな彼にドゥーエは表情を変え、微笑み。スプーンですくっていたパフェを差し出す。

「はい、宗くん。あーん」
「ちょ、ちょっとお姉様!?」

宗次郎はあーんと口をあけてスプーンのパフェを含む。

「あはは、おいしいや♪」
「愚痴を聞いてくれたお礼よ。ありがとね宗くん」
「いえ、ドゥーエさんの話を以前スカリエッティさんから聞いてて大変だと思ったから……溜まってないかなって♪」

その言葉にドゥーエは顔を赤く染め、宗次郎の頭を撫でる。

「ありがとう……イライラが吐き出せたわ。」
「なによりです、ドゥーエさん」


「ふふ。さてと、長居したわね。そろそろ出ましょ」

ドゥーエの言葉に宗次郎とクアットロは頷き、喫茶店を出て並んで街を歩いていく。


361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:57:04 ID:5Nl+INEN
レジアスの死亡フラグがここでも育ってた支援ww
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 00:57:45 ID:6qJKakAN
そして三脳はアホにwww支援
363魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 01:02:44 ID:KPk6WTCk
なんか、投下の間隔長いですけどチェックとか入れてるんでしょうか?
テンポ悪くなるから事前に済ませておいたほうがいいですよっと。支援。
364りりかる剣心:2008/03/29(土) 01:03:56 ID:52YQ5EtT
(ねえ、クアットロ……)

宗次郎を前に、ドゥーエは歩きながらクアットロに念話で話し掛ける。

(宗次郎は変わっているわね)
(お姉様もそう思う〜?)

(やっぱりクアットロもそう思ったの?)
ドゥーエの尋ねにクアットロは珍しく苦笑しながら頷いて答える(ええ、Dr.も)と。

(彼が来てからなんとなくだけど……Dr.がよく笑うようになって、私も妹達とちょっとだけ話せるようになりましたわ)
(そう……なんとなく。うらやましいわ)

しばらくしてドゥーエは止まり、宗次郎に声をかける。

「ここで別れましょ。皆によろしくね」

「はい。あ、ドゥーエさん」
「何?」

「今度は皆のメッセージを伝えに来ますね♪」

意外な言葉だった……。ドゥーエは驚いた表情で微笑む宗次郎を見る。

だって、私の気持ちがわかるようなこと言うんだから……。
ふっ。とドゥーエは微笑み返す。
「……じゃあ、あの喫茶店で会いましょう。またね宗次郎、クアットロ。皆によろしく言ってて」

「はい♪」
「ええ、お姉様」

ドゥーエは宗次郎に心から感謝しながら、その場を去った。

(瀬田、宗次郎か……かわいい弟が出来た。かな)


「さーて。宗ちゃん、かえりましょ♪」
(不思議な子……あんなドゥーエお姉様の笑顔、初めて見たかも……)
宗次郎の手を引き、クアットロは歩きだす。
「こんどはチンクさんもさそ「それは却下」

「あははは、ホントに仲が悪いんですね♪」
「……笑いながら言う貴方が素敵に見えるわ〜」

海鳴市の雑踏の中を二人は歩いて行った。

番外編その三。終
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:04:27 ID:sBunsNGk
>363
コテ付きは仕様ですか?
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:04:33 ID:xgFns76o
投下乙です
367名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:07:30 ID:4l8uqpzg
Σや//は使わない方がいいと思うが
368りりかる剣心:2008/03/29(土) 01:07:31 ID:52YQ5EtT
すいません、もう少し載せようかと考えて長文規制で間隔が開いてしまいましたι

とりあえず、今回はここまでにします。
斎藤の非殺傷設定はかなり悩みましたが奴の信念では難しいかなと思い解除許可の形になりました。
次は再び剣心と左之の方になります。ではでは
369魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 01:09:21 ID:KPk6WTCk
>りりかる剣心
番外編「ナンバーズ上位は若いツバメを囲ってるの」の回でしたね! あれ、違う?w
555クロスとリリカルグレイヴに続いて、クアットロの待遇がいいぜ。ナンバーズ視点は新鮮でいいですね。
あと、まあ異世界でも変わってないゼロスタイルの人の声はブライトさんで脳内再生余裕でしたw
死亡フラグに定評のあるレジアスに乾杯。
何気なく支援したのに次の瞬間レジアスが言われそうなこと言ってて吹いたww
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:10:47 ID:6qJKakAN
GJ!
久しぶりにキターと思ってたら、やっぱり斎藤がコワイヨー!
そして着実にナンバーズを落としていく?宗次郎に萌えでしたw
371名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:11:35 ID:KPk6WTCk
>>365
あー、投下時以外はコテはずすんでしたっけ?
もしそうならチェック不足でした。すみません。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:12:21 ID:aHgFydwR
>Stylish氏
ちょいと件の騒動で敏感になってる方も多いので、
絶対に名を名乗らなければならない状況以外ではコテを外した方がいいかと思いますよ
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:13:39 ID:5Nl+INEN
GJ!
四番好きの俺としては四番が可愛かった事にしか反応できない。
374魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 01:13:45 ID:0EYngeLk
天然たらしの宗次郎乙w
このまま姉妹全員食いとなるか!?
あとクア姉ぇがたまらなく可愛く感じるのは
「不良がたまに良いことしたらすげー良い奴に見える法則」なんだろうか・・。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:15:21 ID:0EYngeLk
>>376
コテ外し忘れました。申し訳ない・・・。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:17:24 ID:KPk6WTCk
>>372
把握しました。まあ、その方が気安くコメントできるからいいかも。

>>374
劇場版のジャイアンはなんかいい人に見える原理、か……。
377魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 01:26:58 ID:KPk6WTCk
ところで、次って誰か投下予約してますか?
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:28:22 ID:jTRTsb/j
>>307
ないと思いますよ
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:29:34 ID:8RV37Q5t
>>377
まさか投下するのですか?
今は予約がないので、全力で支援させていただきますがw
380魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 01:30:55 ID:KPk6WTCk
ならば、りりかる剣心氏に続いて投下予約させていただきます。
40分頃でいいかな?
私も意外と久しぶりなのでお手柔らかにw
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:31:48 ID:jTRTsb/j
支援しますぜぇw
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:38:53 ID:Celzz25v
バッチ来ーい!支援
383魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 01:41:39 ID:KPk6WTCk
では、そろそろ投下させていただきます。
前回より随分短く出来たけど、それでも20以上の投下数になります。
<あらすじ>
アニメ第五話が無事終了すると思ったら、いきなり悪魔が現れて列車を乗っ取るのだった。
でも実は悪魔フルボッコタイムの始まりなのだった。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:42:45 ID:Celzz25v
キター!支援
385魔法少女リリカルなのはStylish(1/23):2008/03/29(土) 01:44:05 ID:KPk6WTCk
 通信機器の沈黙した司令室ではオペレーターの声が飛び交う事も少なく、奇妙な静寂が満ちていた。
 その中で、シャマルの周囲に表示された複数のモニターだけが一番忙しなく稼働している。
 シャマルのデバイス<クラールヴィント>の持つペンダルフォルムが展開され、両の手の指輪から伸びる振り子がそれぞれの機器に接続される形となっていた。

「初めて見ます、デバイスによる電子操作……」

 世にも珍しい光景に、状況を見守るしかないグリフィスが感嘆の呟きを漏らす。

「シャマルのデバイスはかなり特殊やからな。
 古代ベルカ式は未だ謎が多い。解明されてるのも単純な戦闘技術だけや」

 そうして見守る中で、半ばトランス状態となったシャマルが巨大なCPUを相手に自らの頭脳と魔法のみで情報処理を行っていく。
 デバイスが持つ独力の観測魔法のみで現場をモニター出来るほど範囲は狭くなく、負担は掛かるがサーチャーを経由して観測を行うしかない。
 シャマル一人に無理を強いることに覚える心苦しさを表には出さず、はやては可能な範囲内でオペレーターに指示を出していた。
 今、この時は家族としてのはやてではない。部隊長としての八神はやてがいるのだ。
 そして、シャマルの額から汗が滲み出し始めた時、状況は進展した。

「―――サーチャーとの接続に成功しました。観測魔法展開、モニター出します」

 魔法へのノイズを極力失くす為、感情の起伏と共に抑揚を失くした声でシャマルが事務的に告げた。
 沈黙していた司令室のモニターの前に、クラールヴィントが照射したホログラムの画面が重なるように表示される。
 そこに再び映し出されたリニアレールの様子を見て、はやてを含む全員が息を呑んだ。

「なんだ、アレは……っ?」

 呻くようなグリフィスの言葉は、その場の全員の思いを代弁していた。
 モニター以外の観測機が数値で示すとおり、確実に加速しているリニアレールの車両。
 しかし、一番の変化はそこではなく―――車両の表面に、奇怪な<肉片>がこびり付いていた。

「……寄生しとるんか?」

 冷静に観察することで得た印象を、はやてが口にする。
 それはおおよそ的を得た言葉のように、全員の心に違和感なく浸透した。
 信じがたいことだが、あの車両に<何か>が寄生している。車両の表面にまるで根付くようにへばり付き、無機質とは違う生きた肉感を見せていた。
 それは小さく胎動し、<眼>と思わしき部分さえ存在する。
 リニアレールの全体を覆うほど広範囲ではないが、<寄生>は各先端車両に集中しており、それらが車両のコントロールを奪う原因である事を明確に表していた。
 生ける生体列車となって山岳を走り抜ける―――その不気味な旅路の終着点は、あるいは地獄なのかもしれない。
 そんな冗談染みた考えが浮かぶほどに、モニターされた光景は司令室の人間に衝撃を与えた。

「―――なのは隊長とフェイト隊長の様子は?」
「モニターします」
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:45:08 ID:Y4nM4+dY
Let's 支援!
387魔法少女リリカルなのはStylish(2/23):2008/03/29(土) 01:45:20 ID:KPk6WTCk
 誰もが動揺する中、電子の世界に没頭するシャマルと部隊長としての責任の重みによって現実に立ち続けるはやてだけが行動していた。
 二つ目のウィンドウが展開され、上空の様子が映し出される。
 そこに映る光景もまた現実離れしたものだった。
 事前のなのはの報告どおり、彼女達が対峙する敵は他に表現しようも無く、ただハッキリと<死神>だった。

「これは……現実の光景なのか?」

 グリフィスは、もし何かの宗教に入っていればこの場で自らの神に祈っていたかもしれない。
 決して経験豊富ではないが、それなりに管理局員として事件に対応してきた下積みがある。司令室の誰もがそうだ。
 しかし、今直面する状況は、あらゆる経験を無駄にするほど常軌を逸していた。
 青い空を埋め尽くすように蠢く、黒い死神の群れ―――。
 まるで別の生物に作り変えようとするように車両へ寄生する肉片―――。
 空想や映画の中に存在する『在り得ない光景』が、現実感と絶望感を持って眼前に広がっているのだ。
 誰もが恐怖を感じていた。
 かつて、子供の頃に何の根拠も無く感じていた―――ベッドの下やクローゼットの中に隠れる見えないモンスター達を幻視する時の恐怖を。

「まるで<悪魔>だ……」

 人は、闇を恐れずにはいられない。

「―――リニアレールの終着施設へ連絡、作業員を全員退避させえ。それと、応援要請」

 しかし、また同時に人は闇を恐れるだけの存在ではなかった。それに抗い、打ち勝つ為に。
 はやての厳かな声が全員の正気を取り戻し、止まっていた筋肉の動きを再開させた。
 やるべきことの途中だった者はそれを再開し、命令を与えられた者は行動を始める。

「隊長達の、援護ですか?」

 声に怯えを含ませることだけは抑えられるようになったグリフィスが尋ねた。
 はやては首を振る。

「単体の戦闘力ならあの二人は最強や。いざとなったら、リミッター解除を申請する。
 応援は施設の方で待機してもらう。最悪の事態だけは避けなあかん―――シャマル、車両内はモニター出来んか?」
「不可能です」

 脳の大半の処理能力を電子操作に使っているシャマルの返答は感情の無い端的なものだったが、同時に分かりやすかった。

「……リニアレールの方は、フォロー出来そうにないな。ルーキー達に任せよう」
「それしかありませんか」
「そら違うな―――」

 不安を隠せないグリフィスに対して、はやてはこの緊迫した状況で場違いとも言える満面の笑みを浮かべて見せた。

「『それしかない』んやない、『それがベスト』 この程度のピンチ、あの子らなら乗り越えられるわ」
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:45:33 ID:Celzz25v
支援開始
389魔法少女リリカルなのはStylish(2/23):2008/03/29(土) 01:46:05 ID:KPk6WTCk
 それは、新人達の力を信じようとする健気な姿勢でも、成功を過信する傲慢な態度でもなかった。
 新人達の命を含んだあらゆる最悪の事態を考えて備える現実と、この状況を問題なく乗り越えられると信じる理想を合わせ持った笑みだった。
 指揮官には、時としてこんな矛盾を孕む思考が必要とされる。
 今の、八神はやてにはそれがあった。

「私がこの眼で見て、この手で選んだストライカー達や。必ず成し遂げる」

 何の根拠も無い断言に、しかし奇妙な説得力が含まれていた。
 司令室の誰もが大きな不安を感じる中、胸を張ったはやての言葉がゆっくりと全員の体を縛っていた躊躇いを解いていく。
 怯えていた子供達は戦士へと戻っていった。

「さあ、何呆けとる? 予想外やけど、やるべき事は何も変わっとらんで。延長戦を始めようか―――任務続行や」
「「了解!」」

 機動六課が再び戦いの意思を取り戻した瞬間だった。






魔法少女リリカルなのはStylish
 第十話『Devil Must Die』






 開戦の銃火が、まずは真正面にいた数匹の蟲を吹き飛ばした。
 アンカーガンのそれより威力の増した魔力弾が愚かな肉の塊を壁にへばり付かせる。
 しかし、生物としての生態を持たない蟲の悪魔達は、脚の数本や体の一部を抉られたくらいではその活動を止めなかった。
 新たに滲み出るように出現した蟲と群れを成し、ティアナの元へと蠢き進む。

「Com'n winp(来な、ノロマ野郎)」

 虫嫌いの人間が見れば卒倒するような光景を前に、しかしティアナはただそれを磨り潰す加虐的な笑みを浮かべて手招きした。
 そして唐突に、目の前に集中するティアナを奇襲するように天井から襲い掛かってきた蟲に右手を突き出して、クロスミラージュの銃身で貫いた。

「見えてるわよ」

 不敵に笑い飛ばすその言葉は、串刺しになった<悪魔>に対するものか、警告しようと口を開いたスバルの呆けた顔に対するものか。
 銃口が体にめり込んだまま痙攣する蟲を眼前の群れに突きつけると、ティアナはそのまま魔力弾をぶっ放した。
 蟲の体が四散する。
 相も変らぬ速射が愚直な敵の前進を薙ぎ払い、酷使されるクロスミラージュの悲鳴のような銃声が車両内を埋め尽くした。
 天井や壁から、時には床下から水漏れのように滲み出て形作る蟲の姿目掛けて、当たるを幸いとばかりに撃ちまくる。
 二つの銃口それぞれに眼がついているような正確無比な射撃の二重奏。ティアナに死角は無い。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:47:16 ID:8RV37Q5t
支援支援!
スタイリッシュタイムの始まりだ!
391魔法少女リリカルなのはStylish(3/23):2008/03/29(土) 01:47:26 ID:KPk6WTCk
《―――Bullet slice》

 しかし、弾丸は有限だった。
 カートリッジに蓄積された魔力を吐き尽くし、右手のクロスミラージュが警告を発する。
 撃った魔力弾の数は約30発。クロスミラージュの装弾数は単純計算でアンカーガンの倍近いことになる。
 十二分な性能だ。弾切れだというのに、笑みが浮かんだ。
 白熱する感情の片隅で、ティアナの理性は冷静に計算を続けていた。

「テ、ティア……ッ!」
「騒ぐな。動くな」

 右手の火力がなくなったことにスバルが焦るが、当人は普段より幾分冷たい言葉を端的に返すだけだった。
 初めて撃つ銃を両方一気に撃ち尽くすようなバカはやらない。
 ここぞとばかりに迫り来る蟲の群れへ左の銃火で牽制しながら、デバイスの収まっていたケースを蹴り上げる。
 ケースと共に、その中に納まっていた予備のカートリッジが外れて宙を舞った。
 左のカートリッジも切れる。沈黙した火力の隙を突いて、壁にへばりついていた一匹が意外な瞬発力で飛び掛かった。見えている。だが魔力弾は撃てない。
 銃身で思いっきり殴り飛ばした。
 肉の潰れる気持ち悪い感触と音に、鈍器として使用されたクロスミラージュの抗議の声が聞こえた気がする。もちろん無視した。
 めり込んだ銃身を素早くパージして、その空のカートリッジバレルを壁に向かって蹴りつけ、杭のように蟲の体へ突き刺した。ついでに左のバレルも外す。
 グリップ部分が本体であるクロスミラージュ。落下してきたカートリッジを、ちょうど接合部分に重なるようにして叩き付ける。

《Reload》

 ガチッという金属音と共に、小気味のよい電子音声が響いた。
 刹那の間に繰り広げられた攻防と交差がここに終結する。
 力を取り戻したデバイスを再び眼前に突きつけた時、壁に突き刺したまま消滅を始める蟲以外に敵の姿は煙のように消え失せていた。

「……消えた?」

 突然の敵の襲来にさえ動揺を見せなかったティアナが、その敵の突然の退却には訝しげな表情を見せる。
 まだ何匹かの蟲が残っていたハズだ。
 闘争と殺戮を糧に生きる<悪魔>が自ら立ち去るなど初めての経験だった。
 奴らは自らの意思で<こちらの世界>へ現れ、滅ぶまで活動し続ける。下級悪魔に引き際を見極める理性など存在しない。

「裏がありそうね……」

 ティアナは第三者の意思の介入を漠然と感じていた。
 沈黙を取り戻した車両の中、全ての光景を見守っていたスバルが恐る恐るティアナに近づく。

「ティア……倒したの?」
「出て来たのはね。
 アレは寄生するタイプみたいだから、多分車両の見えない部分に潜んでコントロールを奪ってるんだわ」
「うへぇ、ゴキブリみたい」
392名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:48:25 ID:Celzz25v
スーパースタイリッシュティアナタイム支援
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:48:39 ID:Y4nM4+dY
welcome back支援
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:48:59 ID:lQgHWdDH
イカれたパーティーの始まりだ!
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:49:54 ID:Celzz25v
とにかく支援
396魔法少女リリカルなのはStylish(5/23):2008/03/29(土) 01:49:56 ID:KPk6WTCk
 気持ち悪そうに顔を顰めるスバルの感想は、本人の意思とは違い随分と呑気な印象を与えた。
 一匹見つければ陰に三十匹。言い得て妙だが<悪魔>に対する表現とは思えない。
 ティアナはこんな時でも普段の調子を忘れないスバルを見て、苦笑を浮かべた。

「でも、すごいねティア。あれだけの数を相手に……いつもより動きもずっと鋭くてさ」
「さっきも見たとおり、アレは何かに寄生して真価を発揮するタイプでしょ。動きも遅いし、必要以上に恐れなければ敵じゃないわ」

 暗に、先ほどの戦闘で竦んでいたスバル自身を叱責するようにティアナは断言した。
 どんなに弱い<悪魔>であっても、その闇の存在感は人の心に根付く恐怖を刺激する。
 それを打ち破る感情や意思で引き金を引いた時こそ、人は<悪魔>を打倒することが出来るのだ。
 それは今のスバルにも出来るはずのことだった。

「―――ところで、当面の問題はどうやって車両を止めるか、よね」

 思い出したようにクロスミラージュを真新しい革製ガンホルダーに納め、車両のコントロールパネルを一瞥しながら呟いた。
 リニアレールを加速させている原因は分かった。
 しかし、その障害をどうやって排除するかがまだ分からない。

「あの蟲を全部倒せば……」
「どうやって? 床下や配電盤の隙間に殺虫剤でも撒く?」

 的を得ていないようで実は得ているスバルの意見に、あえて皮肉交じりに返す。
 対悪魔用に絶大な威力と効果範囲を持つアイテムをティアナだけは知っていたが、今手元に無い以上考慮すべき手段ではない。

「……動力のある先端車両をぶっ壊せば」
「ティア、なんか考え方が過激になってない?」

 危険な笑みを浮かべるティアの意見を、今度は逆にスバルが却下した。『冗談よ』と言ってるが、どこまで本気か分からなかった。
 スバルの持つ魔法<ディバインバスター>なら可能な方法かもしれないが、内部にいるティアナ達の無事は保証できない。
 何より、このリニアレールとて莫大な資金で運転されている設備なのだ。
 管理局所属の部隊には破壊を最小限に留める義務があった。

「ここからの操作は受け付けない……でも、この車両を動かす力まで蟲が作り出してるわけじゃないはずよ。壊す以外に動力機関を停止させることが出来れば」
「でも、操作は受け付けないんでしょ?」
「何でもいいわ、エンジンに繋がってるコードを全部引っこ抜いてでも……」
「―――わたしが、やるです」

 打開策はスバルとティアナ以外の口から打ち出された。

「リイン曹長!? 気が付きましたか……」
「ごめんなさいです。コントロールを取り戻そうとした不意を突かれてしまいました」

 スバルの腕の中でグッタリとしていたリインが眼を覚まし、フラフラと二人の目線の位置まで飛んでみせる。
 外傷は無いようだが、小さな体が頼りなく浮いているのを見ると、どうしても不安を感じざる得ない。
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:50:00 ID:0sz1dT6D
待ってました! 支援
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:50:13 ID:8RV37Q5t
支援支援!
支援の弾丸は尽きることを知らない!
399魔法少女リリカルなのはStylish(6/23):2008/03/29(土) 01:50:44 ID:KPk6WTCk
「大丈夫ですか?」
「少し頭が痛い程度です。それよりも、任務を続けましょう。動力炉を止めればいいですね?」

 すぐに自らのやるべきことを把握しようとするのは、さすがベテランの管理局員であった。

「はい。でも、コントロールが……」
「問題ないです。コンソールを介さずに、コードから直接停止命令を出すことも出来るですよ。わたしはデバイスですから」

 リインのその言葉に、二人は早速作業に取り掛かった。
 操作機器の板を剥がし、中のコードからリインが指定する物を選んで切断する。

「ここから管制CPUの代わりに直接停止命令を送るです」
「蟲の妨害は?」
「理屈はわかりませんが、ハッキングなどで乗っ取ってる状態ではないですからね。直接襲ってくることだけを警戒してください」

 リインを中心に展開される小型の魔方陣が切断されたコードを何本も取り込み始めた。
 スバルとティアナが周囲を警戒するが、今のところ敵が現れる気配は無い。
 元々コントロールを取り戻せなかったのも、物理的に敵の奇襲を受けたからであり、電子戦においては文字通りリインに敵はいなかった。

「くっくっくっ、今度はリインのターンですよ! 覚悟するです、このMU☆SI☆YA☆RO☆U!」

 突然気色の悪い蟲に襲われた屈辱を晴らすが如く、愛らしい顔に悪魔の笑みを浮かべたリインが死を宣告する。
 同時に発せられた停止命令はコードを伝って、何の障害も無く動力炉に届いた。
 低い振動音が先端車両の内部に響き渡り、リニアレールの加速は―――止まらない。
 動力は一つではないのだ。

「ここの動力炉は止めました。でも、反対車両にもう一個残ってるです。それも止めないといけません」
「急ごう、ティア!」

 レリックのケースを抱えなおし、戦意も新たにするスバルに対してティアナはデバイスを抜きながら頷き返す。

「多分間違いなく敵襲があるわ。先端車両まで一気に抜けるわよ」
「分かった!」
「露払いはあたしがするわ。スバルはレリックとリイン曹長の護衛よ」
「今度は足手まといにならないですよっ」

 スバルとリインの十分な気合いを感じ取り、状況を打開する希望を見出したティアナにも余裕が戻り始めた。
 しかし、いざ行動を開始しようとした時、走行とは違う大きな振動が車両全体を揺るがした。
 壁越しに何かの破壊音がわずかに聞こえる。
 三人は思わず天井を見上げた。
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:51:23 ID:8RV37Q5t
リインが切れたw
支援だ!
401魔法少女リリカルなのはStylish(7/23):2008/03/29(土) 01:51:58 ID:KPk6WTCk
「……今のは!?」
「車両の外で、何かあったみたいね」
「じゃあ、エリオとキャロが……!」

 皆まで聞かず、焦るスバルの言いたいことをティアナは察する。
 だが現状では二人の安否を案じる以外何も出来ない。
 とにかく、今すべきことは一刻も早くこの車両を停止させることなのだ。

「―――行くわよ!」

 足を引っ張る不安と懸念を断ち切り、ティアナは二人を伴って駆け出した。






 信じ難い光景が、エリオの目の前で広がっていた。

「そんな……完全に破壊したはずっ」

 ソレが敵であることは、もう疑いようがない。
 しかし、かろうじて戦う構えを取ってはいるが、エリオの内心は動揺でとても戦える状態ではなかった。
 エリオとキャロ、そしてフリードの前に現れた敵は―――撃破したはずの新型ガジェットだった。

「何なんだ、コイツは!?」

 フリードの熱線によって真っ二つに切断されたはずのガジェットは、おぞましい姿へと変貌して再び稼動し始めていた。
 一度潰えた骸が再び動き出したのだとしたら、確かにそれはおぞましいもの以外の何者でもない。
 復活したガジェットは、切断面を得体の知れない肉の塊で接合し、その装甲にも半ば融合するように胎動する<皮膚>を覗かせた姿へと変わっていた。
 縦に走る機体の繋ぎ目の中心には、巨大な一つ目がギョロギョロと動いている。
 機械と生物の狭間に存在するような奇怪な怪物となったガジェットは、同じく肉片で継ぎ接ぎになったアームベルトを蠢かせていた。
 それはもう兵器でも生き物でもない。

「<悪魔>……か……っ」

 混乱と恐怖に震えるエリオには、もうそれ以外に言葉のしようがなかった。
 
「エリオ君、気をつけて。あんな風になっても、AMFは生きてるみたいです」
「……分かるの?」
「はい。ベースのガジェットに何かが寄生してるみたい」

 敵に対して背後へ隠した、自分と比べて驚くほど冷静なキャロの言葉を受けて、エリオはなるほど確かに納得する。
 <寄生>―――確かに、あの有り様はその表現が最も合うような気がした。
 しかしキャロは、寄生した存在が<何か>であると。『寄生生物だ』と表現はしてくれなかった。
 無機物に寄生し、本来の存在からあれほどかけ離れた化け物へと変貌させてしまう生物―――そんなものがこの世に生息するはずがない。
 新たな理解は、得体の知れない存在を更にエリオの認識のはるか遠くへと追いやった。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:52:06 ID:Celzz25v
蟲野郎www支援
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:52:49 ID:8RV37Q5t
支援!
さあ悪魔達がお待ちかねた!
鉛玉のチケットを叩きつけてやれ! 支援!!
404魔法少女リリカルなのはStylish(8/23):2008/03/29(土) 01:52:54 ID:KPk6WTCk
「ど、どうすれば……?」

 幼い彼の常識や判断が全く及ばない状況に混乱する心はすぐに恐怖を呼んだ。
 ストラーダを構えたエリオの姿は戦いに備えた戦士のそれである。
 しかし、デバイスを握る腕に宿る小刻みな震えは全く正反対の内心を忠実に表していた。
 戦う為の訓練は積んできた―――でも、あんな化け物と戦う方法なんて知らない。
 どんな苦しい状況でも諦めない決意をしてきた―――でも、こんな恐怖を克服する術なんて知らない。
 傷つくことも覚悟してきた―――でも、得体の知れない闇の奥底へ引きずりこまれた時そこに待つものが一体何なのか想像すら出来ない。
 そして、幼い少年の心を占めるのはただ一つだけ。
 恐怖。
 グロテスクな外見に反して腐臭や異臭が鼻を突くことはない。代わりに五感以外の感覚を撫で付けるのは瘴気とも言うべき気色の悪い感触だった。
 積み上げた戦士としての年月は消し飛び、眼を逸らすことも怖くて出来ない凝視の中で眼と腕を蠢かせる<悪魔>
 そして不意に、ピタリと視線が合った。
 顔ほどもある眼球。その異様な瞳孔がしっかりと自分に合わせられるのを、錯覚ではなく確かな実感として感じる。
 総毛立つ。大脳を横殴りにするようなショックと共に激しい嘔吐感が込み上げてきた。

「ひぃぅ……っ!」

 引き攣るように呼吸が止まった。
 あの<悪魔>は、ボクを『見ている』―――!

「ぅ……うわぁあああああああああああああっ!!」

 悲鳴。紛れも無く、一切合財の外面をかなぐり捨てた魂の悲鳴。
 惨めに後退る、エリオ。そんな僅かな逃亡など欠片も意味はなく、ガジェットのアームベルトが伸びて襲い掛かった。
 槍の刺突のように鋭い直線攻撃。
 咄嗟の防御は恐怖に対する回避本能以外の何物でもなく、盾にしたストラーダごとエリオの体は後方へ弾き飛ばされた。
 車上をバウンドし、その勢いのまま走る車両の外へと転がり落ちる。
 回転する視界の中でかろうじて状況を察知し、慌ててストラーダを車両に突き刺して落下を逃れた。
 しかし、相対する敵は窮地から逃してはくれなかった。
 まだ残る機械の部分に供えられた火砲にレーザーの光が灯る。
 脳裏に死が横切った。覚悟など出来ない、ただ恐怖だけが塗り重ねられる。呆気なく熱線は解き放たれた。
 その瞬間、白い影が立ちはだかった。

「ケリュケイオン、シールド!!」

 キャロ、叫ぶその声に恐れなど無く。クロスした腕の前に発生した障壁がレーザーを受け止めた。
 幼い少女の食い縛った歯から漏れる苦悶。
 キャロは召喚師であって元来は魔導師ではない。通常魔法の行使の経験は浅い身、しかもシールドは戦闘型のスキルだ。
 弱弱しい出力のシールドはレーザーとのぶつかり合いで対消滅し、砕け散る。
 既に<竜魂召喚>で消耗した体から、更にごっそりと何かが失われていく。
 脱力感を堪え、人として戦うことを決めた少女は力の限り叫んだ。

「<ブラストフレア>!!」
『ギュアッ!!』
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:53:17 ID:lQgHWdDH
ジャックポット!
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:53:26 ID:Celzz25v
sage忘れた…orz
支援
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:54:06 ID:8RV37Q5t
頑張れエリオ!
いつか強くなる日まで!! 支援
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:54:08 ID:Y4nM4+dY
エリオ、ヘタレてる場合じゃないぞ支援
409魔法少女リリカルなのはStylish(9/23):2008/03/29(土) 01:54:13 ID:KPk6WTCk
 本来の姿を再び失ったフリードもまた、その言葉に応える。
 やはり消耗し尽くした体で生み出す炎は弱弱しく。しかし何としても吐く、どんな相手だろうと<悪魔>には牙を剥く。
 真の力とは程遠い小さな火球が発射された。
 アームで弾くまでもなく、未だ健在するAMFによって直撃する寸前で消滅する。
 やはり一度損傷したせいか範囲を広げられず、AMFの出力も落ちていたが、火力の衰えた一撃を防ぐことは出来る。
 しかし、相棒の稼いだ時間をキャロは少しも無駄にしなかった。

「―――錬鉄召喚<アルケミック・チェーン>!!」

 広げた両手の先に展開される召喚魔方陣。そこから生え出るように出現した有刺鉄線の鎖が、何本も敵に向けて伸びる。
 激突するアームと鎖。鋼の触手が敵とキャロの間で複雑に絡み合い、互いの領域を侵食するように激しい軋みを上げた。
 鎖が自分の腕の延長であるように力み、敵の力とかろうじて拮抗するキャロ。
 無機質の鎖に動く力を与えているのはキャロ自身である。力尽きればどうなるか、結果は明らかだ。
 その光景を、エリオは這い蹲って見ていた。

「キャロ……」

 彼女は、戦っている。
 自分が守ると決めた、守れと任せられた少女は、逆に自分を守る為に戦っている。
 もう戦う力など残っていないのに揺ぎ無い意思で、まだ戦う力を残しながら怯え竦む自分の前に立ち塞がっている。
 その光景を、エリオは見ていた。
 無様に這って、震えて、竦んで―――ただ見ていた。

「ボク、は……っ」

 こぼれそうな涙を必死で押し留め、自分でも何を言うつもりなのか分からない言葉を区切る。
 そして、誰かが致命的な言葉をエリオに告げた。

『―――お前、何をやってるんだ? この腰抜け野郎』

 心の内に響いたそれは、確かに自分の声だった。






 車両の内と外で四人の戦いが繰り広げられている頃、その上空でも人間と悪魔との戦いが展開されていた。
 ハーケンフォームを取った光の鎌<バルディッシュ・アサルト>が死神の鎌を受け止める。

「この……っ!」

 戦いの声もなく、狂ったように笑いながら鎌を振るい続ける死神の姿に本能的な怖気を感じ、フェイトは閃光の如き一撃を薙ぎ払った。
 プラズマの刃が確かに死神の胴体を切り裂く。
 しかし、それはまるで霞を斬ったかのように手応えを感じない。
 ゆらゆらと揺らめくローブの下には体など存在しないのか。
 切り裂いたはずの裾さえ、実体を持たない霧のようにいつの間にか揺らめきを取り戻している。
410魔法少女リリカルなのはStylish(10/23):2008/03/29(土) 01:54:52 ID:KPk6WTCk
《Axel Shooter》
「シュート!」

 周囲を取り囲む敵に向けてなのはがアクセルシューターを解き放った。
 数には数を。しかし、その魔力弾全てが正確無比にして必殺である力を秘め、桃色の流星が死神の群れに降り注いだ。
 漂うように飛び回る死神の動きは決して速いものではない。全ての魔力弾がそれぞれの標的に命中する。
 だがそれらもまた効果は得られなかった。
 ガジェットの装甲すら貫通する魔力弾を大鎌で弾き飛ばす、あるいはフェイトの時のように攻撃が体をすり抜けるだけだ。

「まいったなぁ……のんびりなんてしてられないの、にっ!」

 悪態を吐きながらも、なのはは背後から斬りかかって来た死神の攻撃を素早く回避する。
 近接戦闘には不向きななのはであっても対処できない攻撃ではない。数の多さで死角を突かれ易いが、単純だ。
 純粋な戦闘力の面でならば、なのはとフェイトが完全に凌駕している。
 しかし、その姿のままに幽鬼の如き敵はあらゆる攻撃を無効化していた。

「ひょっとして、本当に倒せないの……?」

 トンッと互いの背中が当たり、背中合わせになったなのはとフェイトは一瞬だけ視線を交わした。

「どうしたの、なのは。弱気?」
「まさか。幽霊の退治の仕方ってどんなものなのか、ちょっと興味を持っただけだよ」
「じゃあ、試してみようか」

 触れることすら困難な死神の群れ。
 自分達の命を刈り取ることを求め、汚れた殺戮への本能で残酷に笑い続ける異形の者達。
 人の正気を失わせるような異常の只中にあって、しかし二人の持つ強さは全く衰えることはなかった。

「アイツらは幽霊なんかじゃない―――」

 未だ右手に宿る疼くような痛みと一緒にバルディッシュの柄を強く握り締める。
 この手に流れる血は、生きている証。
 そう、生きている。
 ならば、抗い続けよう。この生を諦めさせようとする絶望の哄笑の中で。

「この手の痛みが訴えてる。奴らは『触れる』『感じ取れる』そして……『打倒出来る』って!」

 金色の魔導師の瞳の奥で迸るのは、人としての意思。あたかも雷光の如く。
 バルディッシュの持つプラズマの刃が稲妻のように輝き、轟いた。

「<ハーケンセイバー>!!」
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:54:58 ID:8RV37Q5t
支援!
フェイトを久しぶりに見た気がするよw
412魔法少女リリカルなのはStylish(11/23):2008/03/29(土) 01:55:46 ID:KPk6WTCk
 バルディッシュを振り抜くと同時に、形成された魔力刃が独立して高速で射出される。
 スパークを繰り返しながら回転し、一体の死神を完全に補足追尾して襲い掛かった。

(全ての攻撃がすり抜けるなら、何故さっきなのはの魔力弾を防御した……?)

 時間差で同じ標的に向けてフェイトも突撃する。
 高速で飛行するフェイトを捉えきれないのか、あるいは奴らに仲間意識など存在しないのか、二つの閃光が飛ぶ先に障害はなかった。

(あの鎌が実体である以上、別に実体化した箇所もあるはず。それが本体だ!)

 飛来する雷の刃を死神の鎌が受け止める。
 なのはのアクセルシューターを超える威力を秘めた魔法だったが、それすらも弾き散らして見せた。
 しかし、いなすにはやはり容易くなかったか。反動で正面に構えていた鎌が大きく逸れた。
 がら空きになる敵の懐。
 ゆらゆら揺れるローブの中に肉体が存在しないことは確認済みだ。
 ならば狙うのは、あの時アクセルシューターの軌道上にあった―――。

「その仮面だ!」

 フェイトは、勢いを乗せたバルディッシュの先端を仮面に狙い定めて突撃した。
 自らが弾丸となった一撃は仮面を粉々に砕き、フェイトの存在そのものが死神を貫くように突き抜ける。
 おぞましい悲鳴が響き渡った。
 まさしく断末魔のそれを張り上げ、顔面を失った死神の体は四散する。
 鎌は空中でガラス細工のように砕け散り、バラバラに千切れ飛んだローブは破片に至るまで空中で消滅した。

「―――やれる! なのは、弱点は仮面だ!」
「了解!」

 撃破の余韻もなく、すでに次の標的に向けて飛ぶフェイトの声になのはもまた応える。
 闇に押し潰されるだけの人間が自ら光を掴む瞬間に居合わせた悪魔達は、恐れ戦き、笑い声は悲鳴に変わった。
 彼らは<人間だけが持つ力>を知らない。
 二千年以上前からずっと、彼らは気付かない。

「シュートッ!」

 再びなのはのアクセルシューターが火を吹いた。もちろん、同じパターンを繰り返すほど愚かではない。
 誘導魔力弾は正確に『死神の持つ鎌』を直撃する。
 攻撃を防御させるのではなく、自ら彼らの持つ攻防一体の武器を狙ったのだ。
 掬い上げるような軌道、叩き下ろすような軌道、あらゆる方向から飛来した魔力弾が死神の鎌を叩いて逸らす。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:56:32 ID:8RV37Q5t
支援!!
414魔法少女リリカルなのはStylish(12/23):2008/03/29(土) 01:56:47 ID:KPk6WTCk
「ダブル!!」

 間髪入れずに用意されていた第二射が発射された。
 意図的に作り出された防御の隙間目掛けて桃色の光弾が飛んでいく。
 最初に魔力弾を当てた標的全てに誘導マーカーでも取り付けられていたかのように、魔力弾は一発残らず直撃し、仮面を破壊した。
 奇妙な合唱団のように幾つもの断末魔が空に響き渡り、そして合唱に参加した者から消えていく。その数は10近い。
 死神を薙ぎ払う桃色の閃光。霧散していく黒い残滓の中心で、武神の如き威容で白い魔術師は佇んでいた。
 その背後から迫る、鎌。
 死角から投擲された鎌がフェイトのハーケンセイバーのように高速回転し、追尾機能まで持った不規則な軌道でなのはに襲い掛かった。
 少女の柔い体を貫き、血に濡らさんと迫る死神の大鎌。
 残酷な一撃は―――なのはの背後に発生した障壁によって完全に遮られた。

「……ダメじゃない」

 シールドと拮抗して甲高い音を立てる刃の火花を眺めながら、ゆっくりとなのはが振り返る。
 そしておもむろに手を伸ばすと、完全に力を相殺されて単なる鉄の塊と化した鎌の刃を無造作に掴み取った。

「唯一の武器を、考えもなしに手放したりなんかしちゃったら……」

 その手の中で魔力を使い尽くして実体化すら出来なくなった鎌がパリンッと砕けて割れた。
 視線の先、得物を失って呆然としている(ように見える)死神に向けて、天使の笑顔を浮かべるなのは。
 右手のレイジングハートに宿った魔力が凶暴な瞬きを繰り返し。

「この一撃、どうやって避けるのカナ?」

 そして、聖なる砲撃が解き放たれた。
 迫り来る圧倒的な破壊の光に<悪魔>は哭き叫ぶ。
 白い天使に微笑みかけられた死神の末路など、語るまでもない。
 闇の蠢く空は、今や徐々に晴らされようとしていた。






「リニアレール、阻止限界点到達まで10分を切りました!」

 混乱を切り抜けた司令室から、緊迫感まで抜けたわけではなかった。
 例え車両の動力を止めても、実際に走行停止するまでには時間と距離が要る。
 その最終限界点となる地点も刻一刻と迫っていた。

「終点には応援の空戦部隊が待機終了しました」
「ごくろうさん。来てもらって悪いけど、無駄になることを祈ろうか」
「……間に合わなかった場合、どうなさるおつもりですか?」
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:57:17 ID:Celzz25v
支援
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:57:25 ID:8RV37Q5t
なのはコエエエエww

支援!
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:57:38 ID:Y4nM4+dY
なのはww支援
418魔法少女リリカルなのはStylish(13/23):2008/03/29(土) 01:58:22 ID:KPk6WTCk
 他の局員に聞こえないようはやてに耳打ちするグリフィスの心境は、実質死刑の内容を聞く受刑者に等しかった。
 最悪の事態を回避する為の最終手段など、やはり最悪のものになるに決まっている。

「決断するだけや」

 具体的な返答を避けるはやての瞳に、しかし躊躇いや迷いというものは一切映っていなかった。

「あなたが信じているのか諦めているのか、分からなくなりますよ」
「もちろん、信じとるよ。せやから、こうやって首長くして朗報の一つもで入ってこんか待ってるんや」

 司令室で機能しているモニターはシャマルのコントロールする観測魔法の二つしかない。
 依然現場の状況はジャミングが掛かったかのように不鮮明だった。
 はやては、その観測不良の原因解明を後回しにして、要因となる情報を可能な限り収集している。
 同じ過ちは繰り返せない。
 彼女は、既に『次』を視野に入れていた。

(<敵>が何者か? 管理局でも噂になっとる謎の襲撃事件。形も、時間も、場所さえ定まらない無差別な悪意……)

 殺戮そのものが目的と言わんばかりに襲い続ける。
 唯一の共通点である<人間>を標的とした行為。

(いつまでも闇に隠れて一方的に嬲れると思うんやない。『次』はこうはいかんで)

 物的な痕跡を残さない事件ゆえに、局内でもおざなりに扱われてきた一連の事件を見直す必要がある。
 例えその所業が<悪魔>の仕業と揶揄される程に異常で現実味の無いものであっても、今目の前で起こっている状況とこの無力感を忘れぬ限り―――何処までも追い詰める。
 この世の常識を超えた存在を相手に、はやてはただ怒れる瞳を向けていた。

「……私らを敵に回したのが間違いや。人間の力を舐めるなや、<悪魔>ども」

 闇への恐怖を超える汚れない怒りを持つ人間がいる―――。
 上空を移すモニターでは、反撃ののろしが上がっていた。






 有刺鉄線の触手とアームベルトが酷く耳障りな音を立てて軋み合う。
 巨大なガジェットと幼い少女の間では奇妙な拮抗が成り立っていた。

「フ、フリードッ!」

 キャロの命令に従ってフリードがブラストフレアを発射する。
 もはや十分な火力を集束する余力も無い。弱弱しい火球がAMFにかき消される。
 かまわずにフリードは血を吐くに等しい思いで炎を吐き続けた。
 たとえそれが全て敵に届く前に消滅する運命にあっても、水滴が巨壁を穿つが如く何度でも放ち続ける。
 その竜が幼い体に宿す意志の強さは、先ほども見たばかりだ。
 未だ地面に這ったまま、震え縮こまってエリオは一人と一匹の戦いをただ見ていた。
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:58:45 ID:sHxPzpZR
支援w
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:58:47 ID:Celzz25v
悪魔が白い魔王、もとい天使のの逆鱗に…支援
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:58:49 ID:0izefPk1
支援!支援!支援!
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 01:59:54 ID:8RV37Q5t
支援!
エリオ、今こそ立ち上がれ!
423魔法少女リリカルなのはStylish(14/23):2008/03/29(土) 01:59:59 ID:KPk6WTCk
(だ……駄目だ。立てない……っ)

 足に力が入らなかった。
 傷や疲労などではない。ただ心が折れている。
 ―――あんな化け物となんて戦えない。

(怖いんだ、ボクは……!)

 感受性の強い子供であるエリオには、ガジェットに寄生した存在の生々しい瘴気を敏感に感じ取ることが出来た。
 気高い決意を失うのと引き換えに、死を超えた純粋な恐怖を思い出す。
 自分が何故こんな所で戦うことを選んだのか、それすらも思い出せなくなっていた。
 力は残っている。頭も回っている。なのに心だけが動いてくれない状況で、ただ見ることだけに集中していたエリオは異変に気付いた。

「あれ、ケーブルが……!?」

 キャロの魔法と拮抗するアームベルトとは別に、ガジェットの細長いアームケーブルがいつの間にか足元に突き刺さっていた。
 車上の屋根を貫通して内部まで侵入している。
 その行動から導き出される推測が閃きと共に脳裏を走り抜けた。

「―――キャロッ! 足元だ、下から来る!」
「え?」

 警告は間に合った。しかし、すでに敵を押さえ込むので手一杯だったキャロには何の意味も成さなかった。
 意識を足元に向けた瞬間、屋根を突き破って何本ものアームケーブルが突出してくる。
 車両内部を通って迂回し、奇襲を仕掛けたのだった。

「あぅ……っ!」
『ギュァッ!?』

 疲労したキャロ達に成す術は無かった。
 キャロは四肢を縛られ、細い首を締め上げられて宙へと持ち上げられる。抵抗するフリードには猿ぐつわのようにアームが絡みついていた。
 魔方陣が消滅し、力の拮抗は容易く失われた。
 そして、全く脅威ではないと判断されたエリオは、ただ一人無力なまま放置される。

「あ……ぁあ……」

 少女の窮地を目の前にして、やはり体は動かない。
 動け。助けに行け。何やってるんだ腰抜け。この役立たず。いくじなし―――!
 どれだけ自分自身を罵倒しても、恐怖に凍りついた心を奮い立たせることが出来なかった。
 意思に反して動かない全身の筋肉が引き攣る。
 何かが自分の足を引っ張っている。その何かを、忘れてしまった『この道を選んだ理由』さえ思い出せば消し去れるのに。
 どうしても思い出せない。
 ただ怖い。
 敵が怖い。自分が傷付くのが怖い。そして、目の前で誰かが傷付くのも怖い。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:00:01 ID:Celzz25v
立てエリオ!支援
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:00:43 ID:8RV37Q5t
エリォオオオオ!
支援!!
426魔法少女リリカルなのはStylish(15/23):2008/03/29(土) 02:00:45 ID:KPk6WTCk
「エ……リオ……くん」

 小さな体を無残に締め上げる苦痛の中で、キャロが背後のエリオを見た。
 苦悶の表情に震える声が痛々しい。
 しかし何よりも、助けを求められることが辛かった。
 今の自分に応えることは出来ない。裏切ることしか出来ない。
 エリオは全てを拒絶するように頭を抱えて蹲り―――。

「逃げて!!」

 キャロは決然と言い放った。

「え……?」

 見上げた時、もうキャロは自分を見てはいなかった。
 縋ることもせず、乞うこともせず、彼女はすでに再び敵を見据えていたのだ。

「キャロ……」

 エリオはその姿を呆然と見ていた。
 混沌としていた感情は今や跡形も無く消え去っていた。だがこれは絶望ではない。ただ強いショックを受けた。
 体の中から何かが溢れてくる。
 恐怖も後悔も吹き飛んで、頭の中は真っ白になった。

「ボクは」

 必死に探していた答えが、別に何ということはなく目の前に転がっていた。
 何故自分は、戦うことを選んだのか。何の為に戦おうとしていたのか。
 出撃の前は疑問にも思わなくて、この<悪魔>を前にした時に見失って、そして今前以上の強い高ぶりと共に蘇ってくる。
 ―――他人の痛みを気遣う人。
 そんな人の強さと優しさに救われて、自分もまた誰かの痛みを止めたいと思って選んだのだ。

「ボクは!」

 忘れ去った自分に、その答えを見せてくれたのがキャロだった。
 自分が勝手に守ろうと思っていた少女は、この恐怖に震える臆病者よりずっと戦う意味を知っていた。
 こだわっていた―――!
427魔法少女リリカルなのはStylish(16/23):2008/03/29(土) 02:01:31 ID:KPk6WTCk
「―――うわぁああああああああああああああっ!!」

 その一声で、少年は戦士に戻った。
 立ち上がり様、車上に突き立つ鈍器と化していたストラーダを抜き放つ。それだけで鉄塊は聖なる槍へと変貌した。
 力の入らなかった手足には、もう圧倒的な力が宿っている。
 高々と掲げられた、決意の証。
 それを振るえば、斬撃の閃光がキャロとフリードの戒めを尽く切断した。

「お前なんか怖くない! いっくぞぉぉぉーーーッ!」
《Sonic Move》

 停止していた時間を取り戻すように激発するエリオの心に、ストラーダの電子音声が応えた。
 超高速移動魔法、発動。
 瞬時に音速の壁を突き破る。駆け出したエリオは時間を置き去りにして疾走した。
 蘇った敵意を察知して伸ばされるアームベルト。遅い。遅すぎる。足を狙った攻撃を容易く跳び越えた。
 真っ直ぐに伸びた腕を足場にしてエリオは駆け上がった。本体の頭上を蹴りつけ、更に飛翔した。
 魔法が解除された時、エリオはすでに敵の遥か後方へと着地していた。
 遅れて解放されたキャロとフリードが尻餅をつく。

「ストラーダッ!」

 十分に離された距離。しかし、これは敵の攻撃を警戒してのものではない。

「カートリッジ、ロード!!」

 金属質なコッキング音。次の瞬間爆発的な魔力がデバイスを伝ってエリオ自身にも漲る。
 槍の穂から魔力をロケットのように噴射して加速した。
 スピーアアングリフ。短時間の飛行すら可能な推進力で行う突撃。離した距離は、銃弾が加速する銃身の如く。
 走行中の車両が止まったように見える加速の中、恐れを失くした瞳が標的を静かに補足した。
 ただ単純に突くだけではない。狙いは正確無比に、最初の戦闘でエリオ自身がつけた背部の傷。
 寄生生物の肉で補修されながらも、その一点だけ装甲の無い部分へ、AMFを突破してストラーダの先端が狙い違わず突き刺さった。
 鉄ではなく肉を切り裂く感触。
 出血も悲鳴もないが、確かな手応えがエリオの手を、そして激突の衝撃が敵の体を震わせる。
 しかし、足りない。
 AMFによって威力を半減され、硬い外殻の代わりに衝撃を吸収する柔らかい外皮を得たガジェットは致命傷を負わなかった。攻撃の届きが浅い。

「がぁあああああっ!!」

 だが、吼える。
 荒れ狂う心は止まることを命じなかった。

「カートリッジ、ロードッ!」

 再度コッキング音。
 自らの体とデバイスに掛かる負担すら忘却した、ただ一つの強大な意志がエリオを突き動かした。
 刺さったままの穂先から魔力が爆噴し、発生した推進力が衝撃と刃を更に敵の体内へ送り込む。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:01:48 ID:8RV37Q5t
支援!
戦いの時は来た!

ダンスの参加者がまた一人!!
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:03:00 ID:0izefPk1
支援!
430魔法少女リリカルなのはStylish(17/23):2008/03/29(土) 02:03:38 ID:KPk6WTCk
「ロードォ!!」

 連続して三度目のカートリッジロード。もはや魔力増幅というより、見た目通りの銃撃に等しい衝撃と反動。
 パイルバンカーのように押し出されたストラーダがもう一度敵の体を激震させた。
 今度こそ致命傷だった。血が噴き出し、エリオを引き剥がそうとしていた腕は痛みを訴えるように暴れ回る。
 とどめを刺すべく、エリオは最後の撃鉄を起こした。

「これで、終わりだぁああああーーー!!」
《Stahlmesser》

 渾身の力で押し出したストラーダが体内の機械や生体部分を切り裂き、同時に先端から魔力刃が伸びて、完全に敵の体を貫通した。
 命というものがあるのならば、機械と生物の融合した歪な存在のそれを確実に奪った一撃。
 一瞬の停滞の後、自分に与えられた死を思い出したかのようにガジェットは爆発四散した。

「エリオ君……!」

 爆発の煙に飲み込まれて消えたエリオの姿を探して、キャロは叫んだ。
 心配するまでもなく、跡形も無く吹き飛んだ敵の残骸と黒煙を横切り、煤だらけの姿になったエリオがフラフラと歩み出てくる。

「エリオ君、大丈夫!?」
「……やあ、ゴメンね。助けるの遅くなっちゃって」

 無理な魔力行使と疲労でボロボロのはずなのに、妙に清々しい笑みを浮かべるエリオの言葉に首を振る。
 キャロの心に迫るものがあった。かつて、初めてフェイトと出会い、そして彼女が自分の為に怒るのを見た時のような。

「ありがとう……」
「お礼を言うのは、こっちだよ……ボクにはまだ意地があることを、思い出させてくれたんだ……」

 満足そうに呟くと、エリオは静かに目を閉じた。心身共に戦い抜いたゆえの結果だった。
 幼い少年は、誰もが怯える闇を踏破する道を切り開いたのだ。
 キャロは横たえられた少年の体を愛しげに抱き締めた。傍らのフリードもようやく羽を休める。
 この場所での戦いは終わったのだ。

 ただ一つ、無限と錯覚するような<悪魔>の新たな出現を除いて―――。

 ガジェットの爆心地から、煙に紛れて這い出てくる一匹の蟲の姿。
 爆発から逃れたものか、列車に寄生していたものか。疲弊したキャロ達の新たな敵となろうと、数を増やしながら迫ってくる。
 その様を、キャロは見ていた。
431魔法少女リリカルなのはStylish(18/23):2008/03/29(土) 02:05:06 ID:KPk6WTCk
「……バカにするつもりなのかな?」

 酷く冷めた瞳で。

「エリオ君やフリードの頑張りを―――」

 二人の大切な友達がやり遂げた戦いを、無粋に続けようとする者達。
 憎悪や恐怖などではなく、侮蔑するような暗い怒りを宿した瞳で蟲を一瞥した瞬間、それらはキャロの意思のままに消え去った。
 突然地面に広がった染みのような影から、黒い牙を備えた巨大な口が生えて一瞬で蟲を飲み込んだのだ。
 車両全体をモニターするシャマルの観測魔法でも捉えられない瞬間的な出来事だった。

「……消えて。もう、あなた達<悪魔>に穢されるものはない」

 蟲も、それを喰らった影も、今度こそ全てが消え去った場所で、呟いたキャロの言葉は一体『どちら』に対するものだったのか。
 自分の影の中で、血のような赤い瞳を持った獣が蠢くのを彼女は確かに感じた。






 また一匹、そのあまりに緩慢な動きで必中の腕を持つ射撃者の前へ躍り出た愚かな虫けらを閃光が撃ち抜いた。
 平均的な魔力量を高圧縮することで反動による弾速と貫通力を高めたティアナの魔力弾は、その特性上ダメージ範囲が酷く小さい。
 体の中心に穴を穿たれながらも原型を留めてもがき続ける蟲を無慈悲に踏み潰し、ティアナは進んでいく。
 その後に荷持ちよろしくレリックのケースを抱えながらついていくスバルは、淡々としたパートナーの動きに全く未知の感情を抱いていた。
 ティアは今、何を考えているんだろう―――?
 この予測不能の異常事態に対して、見る者に怖気を走らせる奇怪な蟲の群れを前にして、彼女はあまりにも普段通りで『在り過ぎる』
 一切躊躇の無い射撃の先、蠢く謎の存在に対して何を感じているのか?
 スバルには全く理解が及ばなかった。

「……ティア、さっきからその赤い変なのに触ってるけど、大丈夫なの?」

 蟲を倒した後で必ず出現する赤い石。
 丁度魔力スフィアのようにぼんやりとした輪郭と、重量がないかのように浮遊するソレは物質ではありえない。
 しかし、それ以外の説明がつかない全く未知の物でもあった。
 管理局において<レッドオーブ>と仮称されるその謎の石を、ティアナは何の躊躇いも無く触れる。手で、あるいは進路上を横切って。
 そしてまるで吸い込まれるように、赤い石は彼女の体の中へと消えていくのだ。

「なんだか血みたいだし、蟲の体から出てきたんでしょ? 絶対健康に良くないよ」
「問題ないわよ」

 何処か的外れなスバルの警告にも、振り返ることすらせず返す。
 その言葉が単なる楽観なのか、それとも実はティアナ自身その赤い石に関して何らかの情報を持っているのか。
 どちらとも取れない平坦な声色だった。
 その冷静さがスバルには本当に少しだけ、怖かった。
 親しい人間の全く未知の部分を覗き見た時に感じる感情だった。

「―――着いたわよ」
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:05:59 ID:Celzz25v
さすがしつこい蟲ども支援
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:06:51 ID:Y4nM4+dY
パーティは最高潮だぜ支援
434名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:06:57 ID:8RV37Q5t
支援支援!
435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:07:29 ID:S6FrJpe0
追いついたぜ!!支援!
436魔法少女リリカルなのはStylish(19/23):2008/03/29(土) 02:07:48 ID:KPk6WTCk
 そしてやがて、三人は先端車両に通じるドアの前に辿り着く。
 ティアナが先頭に立ち、スバルがリインを守るように後方へ控えた。
 これまでの経験、流れから推測し、三人はほとんど確信のように感じていた。
 このドアの先で<敵>が待っている―――。

「……用意はいい?」
「うん、レリックと曹長の護衛は任せて」
「わたしのことは気にしないで下さいです」

 ティアナは二人の顔をそれぞれ一瞥し、クロスミラージュを握ったままその銃口で開閉装置のスイッチへ手を伸ばした。
 ドアの向こうで息を潜める敵の姿を幻視し、一呼吸置いて―――すぐさま体を横に倒した。
 コンマの差で、巨大な拳がドアを突き破り、ティアナの頭があった場所を薙ぎ払う。

「ティア!?」
「下がって!」

 傍で見ていたスバルよりもティアナの方が動揺は少なかった。
 体を捻った無理な姿勢で、ドア越しにすぐさま撃ちまくる。着弾を示すように、突き出た腕が痙攣のように何度も震えた。
 世にも恐ろしい叫び声が響き渡る。
 それは痛みに対する苦悶のようでもあり、怒りのようでもあった。

「どうやら、害虫駆除ほど簡単にはいかないようね」

 獣のような雄叫びに、蟲以外の<悪魔>の存在を確かめたティアナがドアから距離を取りながら不敵に笑う。
 その笑みは普段の真面目な少女が見せる悪戯ッ気を含んだ皮肉交じりのそれではない。薄暗い感情が浮かび上がらせた冷笑だ。
 その裏の顔を、背後のスバルが見れなかったことは幸運だった。
 更なる幸運は、スバルが何か行動するよりも早く目の前のドアがブチ破られたことだった。
 貫いた腕でドアの淵を掴み、紙細工のように引き剥がすと、その腕の主の全貌が明らかになった。
 2メートルを超え、天井に頭が着きそうな全長を誇る姿は山羊と人間を掛け合わせた禍々しいもの。
 然る場所では<ゴートリング>と呼称される、以前ダンテが対峙した悪魔の亜種だった。

『ニンゲンガ! 傷、傷ツケタ! ニンゲンガ我ラ二傷ツケタ!!』

 その化け物は人語を解して自らの憎悪を露わにした。
 スバルとリイン、その超常的な存在の登場に加え、発せられた言葉を受けて驚愕の極みに達している。
 ただ一人、ティアナだけが笑っていた。

「喋れるのね……でもあんまり頭は良くないみたい。筋肉以外にもちゃんと詰まってるの?」

 嘲るようにして肩を竦めて見せる。
 完全な嘲笑。人智を超えた闇の存在に対して、ティアナが抱いているのは不快感とそこから来る敵意だけだった。
 人外は怒り狂って咆哮する。車両全体が震えるような奈落から、響く怒号。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:08:26 ID:Celzz25v
キャロコワイ支援
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:09:50 ID:Celzz25v
それはともあれ支援
439魔法少女リリカルなのはStylish(20/23):2008/03/29(土) 02:10:09 ID:KPk6WTCk
『ニンゲンガ! ニンゲンガァァッ!!』
「うっさいのよ、人間で悪い? この―――<悪魔>が!」

 ティアナが応える感情もまた、怒り。
 互いの存在をこの世から抹殺する為に、両者は行動を開始した。
 自身のウエストほどもある豪腕が唸りを上げて迫る。ハンマーのような左ストレートをティアナは前転する形で進みながら回避した。
 素早いローリングで巨体の股下を潜り抜ける。
 敵の背後を取ると、クロスミラージュを蹄を持った足に向けて雨のように撃ち下ろした。
 魔力弾が腿の肉を食い千切り、世にもおぞましい山羊の悲鳴が響き渡る。
 巨体が崩れ落ちた。それでも苦痛を憎悪に変える闇の権化は体を捻って背後を振り返る。
 迎えたのは旋風のような回し蹴り。
 格闘技の基礎はなく、実戦の中で『必要だから覚えた動作』といった感じの荒削りな一撃は、山羊の鼻っ柱を叩き潰して体を大きく仰け反らせた。

「あんた達<悪魔>を狩る人間もいるのよ」

 背中から転倒したゴートリングを見下ろし、額に照準を合わせたティアナ。
 両腕には放電にも似た現象を起こすほどの魔力がチャージされていた。
 攻撃の威力を半減する巨体であっても、このチャージショットを受ければ肉が弾け、大きく抉られる。
 勝利への喜悦も余裕も持たず、ティアナはただ怒りを持って引き金を引こうとした。

『―――ッギァアアアッ!』

 断末魔にも似た咆哮。しかし、それは<悪魔>の反撃を意味していた。
 足と腰の筋肉、二つを合わせたバネのような瞬発力に、ゴートリングの蹄が跳ね上がった。

「く……っ!?」

 変則的なサマーソルトキック。まともに受ければ肋骨を砕いて心臓にまで到達する一撃がティアナに向かって伸びる。
 咄嗟にクロスしてガードに回した両腕がメキメキと耳障りな軋みを上げた。

(バリアジャケットの衝撃緩和が気休めにしかなってない……っ!)

 ティアナは悪態で激痛を誤魔化した。
 体が真上に浮く。浮遊感など感じない、ただ衝撃だけが走り抜ける。
 両腕をそのまま肩越しに背後へ向け、本来は目の前の敵にぶち込むはずだった弾丸を背後に迫る天井へ向けて解き放った。
 強烈な弾雨が屋根をズタズタに引き裂き、崩落するそれを突き破ってティアナは車両の外まで吹き飛ばされた。
 両腕には激痛が走り、全身に行き渡った衝撃が内臓を撹拌する。
 空中に放り上げられながらも、天井とのプレスにならなかっただけマシだった。
 ティアナの体はそのまま車両から投げ出される軌道を取っている。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:10:24 ID:sHxPzpZR
支援 どいつもこいつもクレイジーだ!
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:11:17 ID:Y4nM4+dY
相棒のピンチだぞスバル!支援
442魔法少女リリカルなのはStylish(21/23):2008/03/29(土) 02:11:36 ID:KPk6WTCk
「ティアァァーッ!!」

 スバルの悲痛な声は、しかしもうティアナの耳には届かなかった。
 もうこの世界には、彼女と彼女の敵の二つしか存在しない。
 脳内から吹き出すアドレナリンが痛みと感覚を麻痺させる。車上へと跳び出す敵の姿が改めて自分の戦意を滾らせてくれる。
 久しくなかった緊張感。
 久しく奮わせていなかったこの気持ち。

「<悪魔>―――お前らを、この世から一匹残らず消してやる!」

 兄の命を奪い、穢した悪しき存在達に対する殺意が、ティアナの中で完全に蘇った。

《Air Hike》

 クロスミラージュを使うことで完全な形となった魔法が発動する。
 足元に発生した魔方陣の足場を蹴りつけ、軌道を変更して車上へとティアナは着地した。
 カートリッジ、ロード。魔力が漲る感覚を覚えながら、眼前を睨み据える。

『ガァアアアアアッ!!』

 強靭な脚力を駆使して、ゴートリングが素早く襲い掛かってきた。
 『右腕だけ』に魔力を集中させる。しかし、当然のようにチャージは迎撃に間に合わない。
 鋭い爪を使った覆い被さるような攻撃。後方に跳んでティアナはそれから逃れる。
 空振りに終わった攻撃の後、悔しげに唸りながら敵は再び脚に力を込め、視界を上げた時自分に向けられた銃口を捉えて素早く防御の姿勢を取った。
 筋肉の鎧を貫く魔力弾の貫通力は凄まじいが、一発一発は致命傷に成り得ない。そう判断していた。
 しかし―――。

《Snatch》

 クロスミラージュが発したものは銃声ではなく電子音声だった。
 魔力弾の代わりに、銃身に並んだ上下の銃口のうち下の方から魔力糸が射出された。
 アンカーショットをワイヤーから魔力の糸に置き換えたそれは、身構えていた敵を嘲笑うように痛みもダメージも無く横腹へ命中する。

「Catch this!」

 ティアナは会心の笑みを浮かべた。さあ、オーラスだ。
 次の瞬間、魔力糸が巻き戻るように縮み始め、不意を突かれたゴートリングの巨体が一気に引き寄せられた。
 アンカーショットは本来、移動補助用に搭載された機能だが、攻撃的なスキルを重視するティアナが単純な使い方をするはずもない。
 眼前まで一瞬で引き寄せられた敵。無理な力が働き、バランスまで崩した無防備な下腹にティアナは右腕を突きつける。
 その瞬間まで、ただ延々と魔力を練り上げ、集束させていた右腕とクロスミラージュは、オレンジ色から赤色へとより濃密に変化した魔力光を宿していた。
 ―――魔導師が生来持つ魔力の色。それが変化することの意味を、今はまだティアナ自身も気付かない。
 通常のチャージショットより更に一歩危険な領域へ踏み込んだ、暴走染みた魔力の集束。
 回避のしようがないゼロ距離で、ティアナはついにそれを解き放った。
 炎のような殺意と共に。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:12:08 ID:8RV37Q5t
支援支援!
しかし、負ける気がまったくしないぜw
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:12:56 ID:m6nmXFIx
す、スナッチ!?
このティア……何処までクレイジーなんだ!? 支援
445魔法少女リリカルなのはStylish(22/23):2008/03/29(土) 02:14:14 ID:KPk6WTCk
「―――死ね!」

 爆裂。
 雷鳴のような音と激しい銃火が幾度も瞬き、その度に小柄なティアナの体に覆い被さるような巨躯が痙攣した。
 もはや砲弾とも表現出来る重い銃撃がゴートリングの体内に潜り込み、ついに背中を突き破って空中へと消えていく。
 全ての弾丸を撃ち終えた時、敵の体からあらゆる力が抜け落ちていった。
 倒れこんでくる巨体から慌てて抜け出し、距離を取る。
 幾つもの穴を穿った体は完全に倒れ伏した。
 警戒は解かず、クロスミラージュを向けたまま見下ろすティアナの視界で敵の体が砂のように崩れて朽ちていった。
 跡形も残さない、これが<悪魔>の死だ。

「……形も、時間も、場所も関係なく現れては消える」

 かつては幾度も見ていた。
 魔導師としての生き方を始めて、久しく忘れていた。
 この光景が、ティアナの中に眠っていた『執務官になる』という夢とは別の、もう一つの誓いを鮮明に思い起こさせている。
 やがて<悪魔>の死骸が完全に消え去った時、残るものは奴らの血の結晶だけ―――。
 より強力な<悪魔>ほど、死す時に多くの<血>を残す。
 それが人の身に及ぼす影響を、ティアナはぼんやりと理解していた。
 高位の<悪魔>を倒したからなのか、あるいは第三者の意思が介入したのか、車両を覆っていた瘴気が霧散していくのを感じる。
 <悪魔>の結界も解除されるはずだ。蟲も消えたのなら、車両のコントロールとて簡単に取り戻せるだろう。
 しかし、戦闘の終結した空気の中で、ティアナの瞳に安堵は浮かばない。

「無限に現れるというなら、私は無限に倒すだけよ」

 悲壮感すらなく、ただ固い決意を宿した独白が流れた。
 その為に、力が要る。
 ティアナは無造作に手を伸ばし、目の前に漂う<レッドオーブ>に触れた。
 途端、それらは一つ残らずティアナの肉体に吸収される。
 自分の体に悪魔の血肉が入り込むことへ嫌悪感も見せず、ただ淡々と受け入れる。それがもたらす結果と共に。



 ―――しかし果たして、その時ティアナは本当に冷静だったか?


446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:14:27 ID:Celzz25v
まさにフルボッコタイム!支援
447魔法少女リリカルなのはStylish(23/23):2008/03/29(土) 02:15:41 ID:KPk6WTCk
 常に冷静さを忘れず、思考し、状況に対応する。
 それがティアナを知る、スバルを代表とした多くの人間の評価だ。
 だがこの時。<悪魔>と対峙した時。自ら死地に飛び込み、打ち滅ぼすことに全てを注いでいたティアナのあまりに強い意志は―――果たして冷静と呼べるものだったか?
 ティアナ自身にも、それは分からない。
 ただ一つ確かなことは、原初の誓い。
 兄の亡骸を前に、夢という名の未来と仇という名の過去へ向けて誓ったこと。

「……兄さんの、安らかな眠りの為に」

 悪魔、死すべし―――。






 to be continued…>






<ティアナの現時点でのステータス>

 アクションスタイル:ガンスリンガーLv1→ LEVEL UP! →Lv2
 NEW WEAPON! <クロスミラージュ>

 習得スキル

<トゥーサムタイム>…二方向へ同時に射撃を行う。真後ろにも対応可能。
<ラピッドショット>…クロスミラージュの性能によって、連射性と威力が若干向上した。
<エアハイク>…デバイスの補助により完成形となった。瞬間的な足場を作り、シングルアクションで空中での機動を可能にする。
<チャージショット(Lv1)>…魔力をデバイスと腕に溜めることで、強力な魔力弾を放つ。連続して数発撃つことも可能。
<チャージショット(Lv2)>…新しいデバイスの負荷耐性を考慮し、チャージ時間を増やすことで威力が倍近く向上した。
<チャージショット(ワンハンド)>…片腕だけで行うチャージショット。火力は低下するが、片腕が空くので別のアクションも同時に行える。魔力操作に優れたティアナのみのスキル。
<スナッチ>…魔力糸によるワイヤーショット。高所への移動手段や、物体や敵に使用すれば手元に引き寄せることも出来る。
<???>…新デバイス入手により、より多くのスキルを習得できる可能性を得た。更なる経験とオーブを手にせよ。

 訓練により補助系魔法<フェイクシルエット>を習得間際であるが、戦闘スタイルの変化の為、ティアナが想定する補助性能は低めである。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:15:41 ID:8RV37Q5t
怒りに駆られるティアナ
冷静じゃない冷静じゃない 支援!
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:15:47 ID:Celzz25v
投下もそろそろオーラスか支援
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:16:05 ID:Y4nM4+dY
まだパーティは終りじゃない!支援
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:18:00 ID:Celzz25v
乙、そしてGJ!
相変わらずティアナがかっこいい…が、キャロとティアナに暴走フラグ的なものが?
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:19:50 ID:S6FrJpe0
VSキャロのフラグがそこはかとなく臭うぜ・・
453魔法少女リリカルなのはStylish(23/23):2008/03/29(土) 02:21:44 ID:KPk6WTCk
投下完了。後は祈るのだ。レタスプレイ(教皇
以前言ったとおりDMC4をクロスさせることは時間軸上出来ないんですが、個人的にネロ熱が多いので技だけでも出してみました。
うーん、気が付けば随分とティアナを強化してしまいましたね。序盤ミッションを何度も繰り返してスキル獲得するヘタレプレイの如くw
でも安心してください。そろそろ嫌な伏線張ってくから!(ぉ
悪魔の存在もメインキャラに公になって、次回よりいよいよ話が大きくなっていきます。
ダンテ合流も間近! ボスキャラの登場も間近!
俺たちはまだ昇り始めたばかりだ……このテメニングルをよ!
次回もよろしくっすw
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:24:16 ID:m6nmXFIx
GJ…いや、Sweeeeeeeeeeeeet!!!!!!
It's SSStylish!!!!!

ティア、ネロの域に片足突っ込んじゃってるよ……
此処から如何来る如何なる、ダンテは此処から先六課に如何絡んでくる!?
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:29:56 ID:Y4nM4+dY
なんというStylishルーキーズ
ズというにはスバルが涙目だけど
超GJ!
余り出番がなかったけど、十分に片鱗を見せてた隊長二人がダンテとどう絡むのか凄い楽しみです
456魔法少女リリカルなのはStylish:2008/03/29(土) 02:38:53 ID:KPk6WTCk
>>455
スバルに関しては容量の関係上と、あとちょっとした伏線。
全員均等に見せ場あげられたらいいんですけどね。前回はエリオが貧乏くじ引いたしw
ただ、ルーキーズは全員好きなので、皆素敵に活躍させたいと思ってますよ。
あとね、勘違いしないでほしいんだけど…アレだから……あんなんだったけど、なのは萌えだから。
457なの魂の人 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 02:44:42 ID:aHgFydwR
GJです。相変わらず巧みな文章構成で羨ましい……
そしてMU☆SI☆YA☆RO☆U!に過剰反応してしまった自分が恥ずかしい
さてさて、このなのはとティアナでは、頭冷やすってレベルじゃなさそうな展開になりそうな予感がしますが、はたして……

さて、自分も作品の見直し後に投下をしようかと思うのですが
三時ごろからよろしいでしょうか?
458名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:45:45 ID:79XUi4hU
北アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
待ってましたなの魂氏!!!
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:50:26 ID:S6FrJpe0
この時間にかΣ゚ ゚ ( дlll)

支援するぜ
460名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:50:45 ID:Celzz25v
>>458
んだコラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
俺だって無茶苦茶待ってたんだぞおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああ!!!!
なの魂投下やったあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:52:02 ID:Celzz25v
また・・・sage忘れた・・・・orz
すみません、支援は皆様にお任せします…。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:53:06 ID:Y4nM4+dY
>>460-461
落ち着けw なの魂支援準備完了
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 02:58:38 ID:M8WdqFqL
次への支援兼ねてちょっと誤字関連
>的を得ていないようで実は得ている
的は「得」ない「的を射る」事によって「当(=命中転じて正解)を得る」ものだ
464なの魂の人 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:02:52 ID:aHgFydwR
では、投下を開始します
465なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:04:00 ID:aHgFydwR
日も暮れ始め、カラスの集団が帰路を急ぎ始めた頃、なのはは十日ぶりに自宅の玄関をくぐった。
こんなに長い間家を離れていて、怒られやしないだろうかと不安を感じていたが、そんなことは無かった。
むしろ家族達は皆、なのはのことを暖かく出迎えてくれた。
そのことを嬉しく思うなのはなのであったが、その後に続いた質問攻めには、ほとほと辟易してしまった。
何しろ十日振りの再会だ。積もる話は山ほどある。
しかし、家族に本当のことを言うわけにはいかないのは、言わずもがな。
質問が飛んでくるたびに、一つ二つと嘘を重ねていく。
根が真面目ななのはにとって、この行為は中々精神的に堪えるものがあった。

「……そういうわけで、銀さん達も一緒だったんだけど、三人ともしばらく戻ってこれそうにないって……」

「そうか……」

良心の呵責に苛まれながらなのはが言うと、何故か士郎は顎に手を置いて黙考を始めてしまった。
難しい顔をし、妙な汗を垂らしながら何やらブツブツと呟いた後、

「実は、銀時くんの家の件なんだけど……」

「てっきり、諦めてどこかに引越しちゃったのかと思って……」

夫婦揃って同じような表情をして頬に手を置く。

「……まさか……」

嫌な予感が過ぎる。
いやいや、そんなまさか。ギャグ漫画じゃあるまいし。
そう思って最悪の考えを頭から締め出そうとするなのは。
しかし、それは叶わなかった。

「……取り壊しちゃった」

あっけらかんと、桃子がとんでもない事を言ってのけた。
思わずなのははズッコケそうになる。

「た、確かに十日間も姿見せなかったら勘違いするのも分かりますけれどもっ!」

「どうしよう。帰ってきたら怒られる」

「なのは。悪いんだけど、それとなく銀時さんに伝えておいてくれないかしら?」

しかし両親はお互いの顔を見合わせて、まるでうっかり皿でも割ってしまったかのような物言いをするだけだった。

「う……うーん……」

罪悪感って言葉、知ってます?
喉まで出かかったその言葉を飲み込み、なのはは汗を垂らしながら口を横一文字に噤んだ。
両脇に並ぶ恭也と美由希も、両親の傍若無人っぷりを見て乾いた笑いを漏らす。
――うちの親、こんな性格だっけ?
466なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:05:02 ID:aHgFydwR
「ところでなのは、今日明日くらいは、お家に居られるんでしょ?」

脳裏に浮かんだ親への疑念をシャットアウトすべく、美由希は話題を変えようとなのはに問いかける。

「え? あ、うん」

「アリサもすずかちゃんも、心配してたぞー。もう連絡はしたか?」

「うん、さっきメールを出しといた」

携帯電話を取り出し、なのはは微笑みながら電話の液晶を兄の方へ向けた。



なの魂 〜第二十二幕 食べ物で遊んではいけませんって言うけど遊んでるとしか思えない商品って結構あるよね〜



「送信、と」

学校からの帰り道。
執事の操るリムジンに乗り、アリサは久しぶりに送られてきた親友からのメールに返信を行っていた。
メールを送信した後、もう一度送られてきたメールに目を通す。
明日は学校に来れる、という旨の本文と、それに添付された一つの画像。
どこだか分からない平原で、満面の笑みでVサインを作るなのはと、面倒くさそうにポーズを決める銀時、
そして新八に神楽、定春がそこに映し出されていた。
前に見せられた作った笑顔ではなく、なのはの本来の笑顔。
どんな悩みだったのかは知らないけど、どうやらもう心配はしなくても良さそうだ。
――まったく……勝手に悩んで、勝手に自己解決して。心配してたアタシが馬鹿みたいじゃない。
苦笑を漏らしながら、アリサは携帯を鞄の中へしまった。

「アリサお嬢様、何か良いお報せでも?」

「べつにー。普通のメールよ」

バックミラー越しに、浮かべた笑みを見られたのだろう。執事がそんな事を聞いてきた。
多少の気恥ずかしさを感じながら、アリサは白々しく窓の外を眺める。
目に入ってくるのは無機質なコンクリートの壁と、その上から顔を出す木々。
そして……。

「……! 鮫島、ちょっと止めて!」

執事に車を止めるように言い、大急ぎでアリサは車を飛び出して、来た道を引き返す。
途切れた壁と壁の間から伸びる、両脇を林の囲まれた未舗装の道。
そこに点々と、赤黒い何かが残されていた。
しゃがみこんで確かめてみるまでもない。
それは間違いなく血痕であった。
まるで林の奥へといざなうかのように連なっていく血痕に、アリサはなんの疑いも持たずその跡を辿っていく。
そしてその先に"それ"は居た。

「やっぱり、大型犬……」

綺麗な緋色の体毛。
獰猛さと同時に、優美さも感じさせるシルエット。
この犬が本来の姿だったなら、きっと美しいと思うことが出来ただろう。
だが、今のこの犬の有様は酷い物だった。
腹部から血を流し、呼吸を荒くしながら虚ろな目で虚空を眺めるその姿を見るに、
放っておけば近いうちに命を落とすであろうことは容易に想像できた。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:05:14 ID:79XUi4hU
支援
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:05:15 ID:Y4nM4+dY
いきなりフイタwww支援
469なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:06:04 ID:aHgFydwR
「怪我をしていますなぁ。かなり酷いようです」

「でも、まだ生きてる。鮫島」

背後から犬の容態を見ようと覗き込んできた執事に目配せをする。
「心得ております」という返事と共に、彼は大型犬を抱えて、車へと戻っていった。



(……ん)

ガサゴソと何かが蠢く音を聞き、アルフは意識を取り戻した。
ここはどこだ? 自分はどんな状態だ? 気を失ってからどれくらいの時間が経った?
分かるのは、自分はうつぶせになって倒れているということだけ。
うっすらと目を開けた先には鉄格子と、三日月を背景に心配そうにこちらを見つめる少女が一人。

「……あ。目、覚めた?」

こちらの様子に気付いたのだろう。
少女が声をかけてきた。

(……あれ、このチビッ子どっかで……)

見覚えのある顔と、聞き覚えのある声。
一体どこでこの子を見たのだろう。
アルフが記憶の引き出しを探っていると、少女は安心した様子で笑みを投げかけてきた。

「あんた、頑丈にできてんのね。あんなにケガしてたのに、命に別状はないってさ。
 ケガが治るまではウチで面倒みてあげるからさ。安心していいよ」

その言葉でようやく、自分はこの子に助けられたんだということを理解した。
同時に、目当ての記憶も探り当てることが出来た。
以前に温泉地までジュエルシードの捕獲に赴いた時。
あのなのはという子と一緒にいた、気の強い女の子だ。

(……そうだ。……あの子の、友達なんだ)

――友達。
あの子は今、どうしているだろう。
初めてフェイトと友達になりたいと言ってくれた、あの女の子。
そして、フェイト。
今この瞬間も、あの悪女に虐げられているのかと思うと、虫唾が走ると同時に居た堪れない気持ちになってくる。
これからどうすれば、どうやってフェイトを助ける?
思考を巡らせていると、突然眼前に大き目のプラスチック製の皿が差し出された。

「ほら、柔らかいドッグフードなんだけど、食べられる?」
470なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:07:05 ID:aHgFydwR
顔を上げると、そこには微笑みながらこちらを見る少女の姿。
そういえば臨海公園での一件からここまで、何も口にしていなかった。
途端に腹の虫が泣き出す。
意識しだすと無性に腹が減るというものである。
……ひとまず、考えるは後回しだ。
空腹は思考を鈍らせるし、何より早く体力を回復させないと、いざという時に動けない。
自分自身にそう言い訳し、アルフは黙々とドッグフードを食べ始めた。

「んふふ、そんなに食欲があるなら心配ないね。食べたらゆっくり休んで、早く良くなりなね?」

半日ぶりに口にした食事は、空腹も手伝ってか、非常に美味だった。



翌日。

「なのはちゃん! 良かったぁ、元気で!」

十一日ぶりにくぐった校門。
そして十一日ぶりに訪れた教室で、なのはは友人と再会の喜びを分かち合っていた。
実際には二週間も経っていないのだが、まるで一年以上顔を合わせていなかった気分だ。

「うん、ありがとうすずかちゃん! ……アリサちゃんもごめんね。心配かけて」

少し離れたところで腕を組んでなのは達を見る、もう一人の親友に目を向ける。
彼女は僅かに口元を綻ばせたが、思い出したかのように慌てて仏頂面になり、

「まあ良かったわ、元気で」

と、努めて無愛想にそう言ってみせた。
その様子があまりにも滑稽だったのか、なのはとすずかは互いの顔を見合わせて、くすくすと笑いを押し殺す。

「な、何笑ってんのよ! 授業のノート見せてあげないわよ!」

「ゴ、ゴメン。……そっか、アリサちゃんがノート取っててくれたんだ。ありがとう」

アリサは再び「しまった」という表情をするが、観念したのか、今度はそれを隠そうとせず
頬を赤く染めながら、

「と、当然でしょ。アタシ以外の誰に務まるっていうのよ」

と言ってのけた。

「まったく……アタシがいないと、ホントにダメなんだから」

「あ、あはは……」

「なのはちゃん、しばらくはこっちに居れるの?」

すずかが期待を込めた目で問いかけてくる。
だが、なのはは首を横に振って、申し訳なさそうな顔をするだけだった。

「……そっか、また行かなきゃいけないんだ」

「うん……」

「大変だねぇ……」

「でも、大丈夫!」
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:07:57 ID:Y4nM4+dY
支援支援
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:10:04 ID:79XUi4hU
支援する!
473なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:10:15 ID:aHgFydwR
実のところあまり大丈夫ではないのだが、心配をかけないように明るく努める。
結局のところ、悪い癖は治っていない様だ。
彼女自身もそのことに気付いたのだが、かといって今さらしょげた顔をするわけにもいかず、
あはは、と困ったように頬を掻く。

「放課後は? 少しぐらいなら一緒に遊べる?」

「うん、大丈夫だよ!」

今度こそ本当に笑顔でそう答える。
途端に、ずずかの表情がぱあっと明るくなる。
それと同時に、アリサが嬉々とした表情で身を乗り出してきた。

「じゃあ、ウチに来る? 新しいゲームもあるし」

「あ、本当?」

彼女はなのはの問いに対して自慢げに首を縦に振り、そしてふと思い出したかのように、
胸の前で手を打った。

「ああそういえばね、夕べケガをしてる犬を拾ったの」

「犬……?」

「うん。凄い大型で……なんか毛並みがオレンジ色で……」

不思議そうに首を捻るなのはとすずか。
オレンジ色の毛並みを持つ犬というのも、なかなか珍しいものである。
そう、それだけなら、ただの「珍しい毛色の犬」というだけで済んだだろう。
しかし、次のアリサの発言で、そうではないことが決定的になった。

「おでこにね、こう……赤い宝石が付いてるの」

なのはは僅かに目を見開く。
オレンジの毛。額の宝石。そして大型の犬。
偶然にしても、条件が揃いすぎている。
おそらく、自分の勘違いではないだろう。
きっとアルフのことだ。
どういう理由があって怪我をして、そしてアリサの家にいるのかはわからないが、
ともかく彼女は今、目の前の友人の家にいるのだ。
なのはは少しの間難しい顔をしながら顎に手を置いて黙考した後、意を決したように席を立ち上がった。



『おかわり』

ずずいと差し出された小皿の向こうで、口をもごもごさせながら頬袋を作る銀時とリンディの姿を見て、
エイミィは辟易しながらあとずさった。

「いや、あの……おかわりっていうか、そろそろ本気で止めないと、本当に糖尿病に……」

そう言う彼女の眼前に積み上げられるのは、皿、皿、皿。
団子が刺さっていた串が乗った小皿の山が、テーブルの上をふてぶてしく占領している。
そして銀時達の頭上では、白い横断幕がその存在感を健気にアピールしていた。
ちなみに、幕に書かれている文字は『第一回糖分王決定戦』である。

「いいから次持って来いつってんだよ。早くしろボケ」
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:11:01 ID:0BG6q9Xz
今週なのはが沖田に向かって「魔王おぉ〜」って叫んでた

には

ワロタが

事務所破壊でワロタ支援
475なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:11:51 ID:aHgFydwR
二回目もあるのか、と頭を押さえるエイミィにはお構いなしに要求を突き通そうとする銀時。
彼女は助けを求めるようにクロノに目を向けるのだが、

「…………」

何故か彼は、口元に手を当てながら、小皿の山をじーっと見つめていた。
クロノはすぐにエイミィの視線に気付き、慌てた様子で目を逸らす。
直後、どこからか「ぐぅ〜」といった感じの、間の抜けた音が聞こえてきた。

「あ、テメ! 坂田家の食卓に入ってくんじゃねェぞ!」

察しのついた銀時が、小皿の山を抱き込むようにしてクロノを睨む。
いつもの冷静さはどこへやら。途端にクロノは取り乱して、握り拳を作って怒鳴り返す。

「だ、誰が入るか!」

「食卓宣言!? ウチの食卓宣言か!? もう勝負とか一切関係ねーじゃん!」

審判役の新八が怒鳴るが、銀時の耳には彼の言葉は一切入ってきていないようだ。
すぐ隣で黙々と団子を頬張るライバルをちらりと見やり、銀時は焦りをあらわにする。
この大食い勝負が始まってから、既に数十分が経過している。
しかし、積んでる皿の数は同等で、相手のペースが落ちる気配も無い。

(クソッ! このままじゃラチがあかねェ……こうなったら!)

覚悟を決める。
こうなったらもうやぶれかぶれだ。
銀時は団子の刺さった串を三本ほど取り、そしてその団子を全て串から抜き小皿に乗せる。

「かァァァぐらァァァァァ!!」

小皿片手に後ろを振り向く。
視線の先では、神楽が待ってましたと言わんばかりの顔つきで、とんとんと跳ねながら手招きをしていた。

「カモーン。こっからが仕事の時間ネ」

「たらふく喰らいやがれェェェ!!」

叫び、団子を神楽に向かって投げつける。
絶妙のコントロールで飛翔するそれは、果断なく神楽の口の中へと放り込まれていった。
見る見るうちに減っていく団子の山を見てリンディは焦る。
しまった。まさかこんな手があったとは……!

「オィィィ! なんかもう趣旨変わってきてなくね!?」

ごもっともなツッコミを放ち、新八は銀時を止めようとする。
が、それよりも先に、エイミィが新八を止めた。

「ま、待って! あれは……!」

まるで珍獣でも見たかのような表情で指を指す。
その先では、神楽が飛んでくる団子を頬張りながら、なんと手にした茶碗のご飯を口にかきこんでいるではないか。

「おかず……! 団子をおかずにご飯を食べてるわ!」

「神楽ちゃんんんんん! 炭水化物と炭水化物を一緒にとっちゃダメだって言ったでしょーが!」
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:12:46 ID:Y4nM4+dY
クロノww支援
477なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:14:11 ID:aHgFydwR
そうこうしているうちにも、銀時の眼前の小皿の山はどんどん高くなっていく。
リンディはさらに焦った。
非常にマズい。
もし勝負に負けようものなら、「管理局の糖王」と言われた自分の沽券に関わる。
仕方ない。こうなったら、アレをやるしかない。
リンディは手にした串から団子を小皿にとり、

「出番よ! クロノ!」

銀時と同じように、投げた。
それはもうプロでも見惚れるようなフォームで。

「え、ちょ……」

いかに敏腕の執務官でも、日常の中で突然名前を呼ばれて反応しきれるはずもなく。
タレがのった熱々の団子は、情け容赦無くクロノの両目に突き刺さった。

「目が、目がァァァ!!」

バシィーッ! と痛そうな音がしたかと思うと、クロノが顔面を押さえて、その場でのた打ち回り始めた。
下手をすれば失明である。
にもかかわらず、リンディはクロノの心配よりも、銀時との勝負を優先した。
一体何が彼女をここまで駆り立てるのか。
少なくとも、面子とかプライドとか、そういった次元は軽く超越していそうな印象を受ける。
火花を散らす店主と提督の姿を見て、新八とエイミィはほとほと呆れた様子でため息をついた。

「……お互い、妙な上司を持って大変ですね」

「そうだね……」

「……あの……提督」

そんな二人の後ろから、一人の局員がリンディに向かって声をかける。

「何? 今は真剣勝負の最中よ。水を差さないで」

クリップボード片手にオロオロする局員を一睨み。
リンディの態度にたじろぐ局員だが、かといって職務放棄をするわけにもいかない。
理不尽な物を感じつつも、バツが悪そうな顔をしてリンディに報告を行った。

「いえ、その……なのはちゃんから、通信が……」




(やっぱり、アルフさん……)

放課後にアリサの家に立ち寄ったなのはが目にしたのは、彼女が予想した通り、腹部に包帯を巻いて
檻の中で身を潜めている大型犬、アルフであった。

(……アンタか)

(そのケガ、どうしたんですか……? それに、フェイトちゃんは……)

すぐ近くに友人がいる以上、肉声で話すわけにもいかず、念話を使って会話を交わす。
だがアルフはその問いには答えず、無言のままなのは達に背を向けてしまった。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:14:36 ID:0BG6q9Xz
此処で団子屋ネタ

ワロタ支援
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:15:12 ID:gnCB+Ojt
万屋に支援を依頼しました
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:16:20 ID:U+xHFlar
かぐらぁぁぁぁぁ、アホかぁぁぁぁ!
支援
481名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:16:25 ID:0BG6q9Xz
管理局の糖王に

フイタ支援
482なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:16:53 ID:aHgFydwR
「あららら、元気なくなっちゃった。どしたー? 大丈夫ー?」

「傷が痛むのかも……そっとしておいてあげようか」

むしろ傷は殆ど治っているのだが、事情を知らないアリサとすずかは、勘違いしたのかそんなことを口々に言う。
中途半端にだが事情を知っているなのはとしては、何か問題が起こったのなら、できる限り力になってあげたいところだ。
だが当人がこの様子では、事情を聞きだすこともはばかられる。
どうしたものかと悩んでいると、彼女の肩に乗っていたユーノが、不意に地面に降り立った。
そしてそのまま、アルフのいる檻の方へと近づいていく。

「ユーノ! こら、危ないぞー」

アルフが人と同等の知能を有する使い魔といっても、外見はただの大型犬に過ぎない。
一般人のアリサが、怪我をして気が立っているであろう大型犬に小動物を近づけるのは危険であろうと予測するのは、
無理も無いことであった。
だが、二匹――この場合は二人と言った方がいいかもしれない――が、ただの動物ではないということを知っているなのはは、
笑みを浮かべながらアリサを止める。

「大丈夫だよ、ユーノ君は」

同意を求めるようにユーノに目配せをすると、彼から念話が送られてきた。

(なのは、彼女からは僕が話を聞いておくから……なのははアリサちゃん達と)

久しぶりに友人と会えたなのはに対する、彼なりの気遣いだろう。
なのはは少しの間だけ考え込み、ユーノの厚意をありがたく受け取ることを決める。
それにアルフも、こうも大人数に見られている状態では、色々と話しにくいこともあるだろう。
なのはがすっと立ち上がると、それに気付いたアリサが声をかけてくる。

「それじゃ、お茶にしない? おいしいお茶菓子があるのー」

「うんっ」

「楽しみー」

お喋りに花を咲かせ、その場を去ってゆく三人。
後に残されたユーノは、周りに誰も居ないことを改めて確認してから、ぽつりと呟いた。

「一体どうしたの? 君達の間で、一体何が……?」

「……色々あってね。そっちこそ、管理局相手によく逃げて来れたね」

投げ返された言葉に、ユーノは口篭る。
『逃げる』とはどういうことか?
管理局に協力をしている自分達が、どうして逃げなければいけないのか?
もしかして彼女は、何か勘違いをしているんじゃないか?
難しい顔をしながら思考を巡らせていると、その事に気付いたのか、アルフがユーノに声をかけようとする。
その時だ。

『……あ゛〜〜〜……』

何故かユーノとアルフの頭の中に、少年のジジ臭い呻き声が聞こえてきた。


483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:18:24 ID:Y4nM4+dY
クロノwwww支援
484なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:19:00 ID:aHgFydwR
「……あ゛〜〜〜……これは効くなぁ……」

と、目薬を差しながらクロノはそんなことを呟く。
先程目玉に団子をぶつけられた後、医務室へ行って検査をしてもらったのだが、
どうやら失明の恐れは無いらしいということが分かった。
だが念には念を入れて、こうして眼球の保護保全のための目薬を差しているのだ。
そんな彼の姿を見て、オペレータ席に座っていたエイミィはため息をついた。

「クロノくん……通信、開いてるよ」

「え、ウソッ!?」

通信相手に見られているわけでもないのに、クロノは慌てふためいて目薬を隠す。
目の前のモニターに映し出されるのは、顔を引きつらせながら乾いた笑いをあげるユーノの姿。
クロノはバツが悪そうに咳払いをし、平静を努めて言葉を発した。

『……じ、時空管理局、クロノ・ハラオウンだ。どうも事情が深そうだ。正直に話してくれれば、悪いようにはしない。
 君の事も、君の主、フェイト・テスタロッサの事も』



突如として聞こえてきた予想外の人物の声に、アルフは目を丸くした。
管理局が、どうしてこの場所を……!?
はっとしたように、アルフはユーノを見る。

「そういうこと……か……」

「……臨海公園の一件の後、色々あってね。今は管理局に協力している」

アルフは観念した様子で、顔に影を落とした。
まさか自分達が助けようとしていた人物が、敵になっていたなんて。
考えてみればそうだ。個人の力で、管理局の追跡から逃れることなんてできっこない。
前回、あの局員がまるで見計らったかのようなタイミングで現場に乱入してきた時点で気付くべきだった。
喉の奥から声を絞り出すようにアルフは呟く。

「あの子が、フェイトに言った事……あれは、嘘だったっていうの……?」

間髪入れず、ユーノから怒気のこもった声が返ってきた。

「それは違う! なのはは、ずっと君達の事を気に掛けていて、ずっと悩んでいて……あの言葉は、彼女の本心だ!
 管理局に協力したのだって、その方が君達と出会える可能性が高いから……!」

「……そっか……」

その言葉を聞けて、少しだけ救われた気持ちになった。
……よかった。あの子は、一人ぼっちじゃない。
気に掛けてくれる人がいる。
心配してくれる人がいる。
自分のことでもないのに、胸の奥から何かがこみ上げてくる。

「……話すよ、全部……」

情けない話だが、自分一人ではもうどうにも出来ないだろう。
だが、あの心優しい少女なら、フェイトを救ってくれるかもしれない。
もしかしたら、自分の意見など聞いてもらえないかもしれない。
だが、賭けてみる価値はある。
一縷の望みを賭け、藁をも掴む思いでアルフは懇願する。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:19:02 ID:M+Uc/zqg
エースコンバットゼロの作者氏って引退したんだっけ?
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:20:38 ID:0BG6q9Xz
じじぃクサい黒野支援
487なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:21:15 ID:aHgFydwR
「だけど約束して! フェイトを助けるって! あの子は何も悪くないんだよ……!」

沈黙が訪れる。
時間にして、僅か数秒。
しかし、アルフにとっては永遠とも思えるほどの時間だった。

『……約束する』

ため息混じりに聞こえてきた言葉。
それを聞いて、やっとアルフは強張らせた表情を緩め、安堵の息をついた。
自嘲気味の笑いと共に、彼女の頭の中に声が響いてくる。

『なのはにも頼まれているからね。『ちゃんと話を聞いてあげてくれ』って』



アースラ経由でアルフの話を聞きつつ、友人達との談笑に興じていたなのはは、不意に席を立った。
どしたの? と問いかけてくるアリサに対し、ちょっとお手洗いに、とだけ答えて、なのははそそくさと部屋を去る。
廊下に出て扉を後ろ手に閉め、ため息をついたところでクロノから念話が送られてきた。

(……なのは、全部聞いたかい?)

言うまでもなく、アルフのことだろう。
なのはは小さく首を縦に振る。

(うん、全部聞いた……)

(君の話と現場の状況。そして彼女の使い魔アルフの証言と現状を見るに、この話に嘘や矛盾は無いみたいだ)

(そっか……これから、どうするの……?)

(プレシア・テスタロッサを捕縛する。アースラを攻撃した事実だけでも、逮捕の理由にはお釣りが来るからね。
 だから僕達は艦長の命があり次第、任務をプレシアの逮捕に変更する事になる。
 ……君はどうする、高町なのは?)

考えるまでも無い。
なのはは即座に、力強く答えた。

(決まってるよ。私は、フェイトちゃんを助ける。ここまで聞いて引き下がったら、侍が廃るからね。
 それに、『友達になりたい』って伝えたその返事をまだ聞いてないし……これが終わらないと、
 銀さん達も、お給金貰えないんでしょ?)

――まったく。こっちの世界の人はお人好しばっかりか。
自身を『侍』と自称するなのはに対し、そんな感想を抱きながらクロノは苦笑を漏らした。
世の中こんな連中ばかりなら、自分の仕事も少しは減るんだろうな。
皮肉などではなく、本心から彼はそう思う。

(……わかった。こちらとしても君の魔力を使わせてもらえるのはありがたい。
 フェイト・テスタロッサについてはなのはに任せる……それでいいか?)

答えを乞うように、クロノはアルフへ念話を向ける。
僅かな沈黙を挟んで、アルフから躊躇いがちな返事が返ってきた。

(……うん。なのは……だったね。頼めた義理じゃないけど……だけど、お願い。フェイトを助けて……)

(大丈夫。任せて!)
488なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:22:50 ID:aHgFydwR
(予定通り、アースラへの帰還は明日の朝。それまでの間に、君がフェイトと遭遇した場合は……)

突如として聞こえてくる警告音。そして局員達の慌しいざわめき。
何事かと思いなのはが顔を上げるのと、クロノの怒号が飛んだのは同時だった。

『……ッ! 状況は!?』

『高魔力反応を感知! 場所は海鳴臨海公園!』

『この反応は……間違いありません! フェイト・テスタロッサです!』

「!?」

噂をすれば何とやら、というやつだろうか。
すぐさま現場へ向かおうと、なのははその場から駆け出す。
フェイトのことを想うあまり冷静さを欠いていたなのはには、今自分がどういう経緯でこの場に居るのか
思い出す余裕も無かった。



「ね、ねえ……よかったの? 行かせちゃって……」

目の前で呑気に紅茶を嗜むアリサを見て、すずかは疑問をぶつける。
しかしアリサは少しだけ不機嫌そうに眉をひそめて、

「いいわけないでしょ。せっかく久しぶりに会ったっていうのに……ったく……」

手にしたティーカップをソーサーへ置き、苦笑を漏らす。

「でもま、しょーがないわよ。なのはだもん」

部屋の扉を眺め、アリサは再び苦笑を漏らしながら小さく呟いた。

「……これだけ待たせてるんだから、安っぽい土産話なんかじゃ許さないわよ」
489なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/03/29(土) 03:25:38 ID:aHgFydwR
以上で投下終了です
ようやく無印編にも区切りが見えてきました
さて次回は

・ネロ、閻魔刀と間違えて村麻紗をゲット
・水没王子、海鳴臨海公園にて発見
・闇の書は大変なヤマツカミを召還していきました

の三本でお送りいたします



……ゴメン、嘘
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:28:54 ID:U+xHFlar
デビルメイクライとアーマードコア4はわかるけど最後のが分からない。
乙でしたー。
あー、なのはやはやてやフェイトが銀さんに甘える所を
もっと見たいですよろしく。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:32:46 ID:Celzz25v
>>489
乙です!
三本立ての元ネタわからない・・・ってか銀さん今回、よろず屋解体が判明したことと団子食ってただけだーー!!
まあ、糖分も補充し終えたところでの活躍に期待…したいけど次はなのはとフェイトのタイマンバトルのはず・・・。
しばらく出番ないな(オイ

ともあれGJ!
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:38:22 ID:Y4nM4+dY
GJ!
なの魂の世界にネロが出てきたらそれはそれで面白いと思ってしまった
家がなくなってしまった銀さんはこれからどうするんだろうw
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 03:47:31 ID:DrkyPI4y
なの魂さん GJ!
「空気でかまわんがね。」 水没王子吹いた!
正直オールドキングとそれについていった主人公がこのなのは世界に来たら
地獄やね。 2対5の面クリアーできねー
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 04:14:23 ID:iMcExSA4
GJ!
理想を抱いて水没する男かw
EVA量産機みたいなやつが相手だったから仕方ないと言えるけど

>>493
コジマとWGミサイルを積んでGO
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 05:25:04 ID:n+rdFRZY
糖分王対決吹いた
つーか、人に食わせようとしてるよ、おい。
ともかく最高でした。次回も楽しみにしてます
496なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:13:32 ID:wEYEga8G
ふぅ、運営再開されて何よりの事。でわ拙作も投下させていただいても良いでしょうか?
まーこんな時間帯じゃ人もあんまいないでしょーが、6時30分頃に出してみんとす。
497なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:33:54 ID:wEYEga8G
時間も来ましたし、レッツ投下ー。
498なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:35:35 ID:wEYEga8G
第九章『意思の証』

そうありたい、と私は望む
そうしたい、と私は望む
そうする、のはその為の手段という事で

     ●

 夜間の山中に菫色の光が生じた。閃光は闇に沈んだブレンヒルトを、そして片手に握られたインテリジェントデバイス、光の発生源たるレークイヴェムゼンゼを照らし出す。
「ご苦労様」
『いえ、また御用の際はお申し付けを』
 レークイヴェムゼンゼは返答、待機形態であるチョーカーへと変貌した。それが首に巻き付いた後、ブレンヒルトはこの闇夜において唯一の照明、天上の月を仰ぎ見る。
……私達のGには、無かったもの……
 その中で最も頻繁に見るものだ。毎晩の月を見る度に、ここが自分の世界ではないと思い知る。
「どうかしたの? ブレンヒルト」
 見上げていると黒猫の声がした。こちらを窺うような声に、何でもないわ、とブレンヒルトは返そうとして、
「……あんた、どこにいるのよ?」
 見つけられなかった。全身を黒の毛で覆う獣は闇夜に紛れており、杳としてその位置を見出せない。
「え? ここだよ、ここ」
「ここじゃあ解んないわよ。私はアンタと違って夜目が効かないんだから」
「人間って不便だねぇ」
 漠然とした納得を黒猫は呟く。どこにいるか解らない相手との会話に、ブレンヒルトは妙な居心地の悪さを味わう。と、唐突に黒猫がはっと声をあげた。
「という事はつまり、今ならブレンヒルトに何をしても報復されないってこと!? うわっ、日頃の鬱憤を晴らす良いチャンスじゃん!?」
 意気揚々とした声と跳躍音が何度も聞こえる。こちらへ飛びかかる準備をしているようだ。
「……ふぅん。貴方、そう言う事言うんだ?」
「ふふふ、今さら後悔しても無駄無駄! 今という機会を逃す手は無し、覚悟するがいい!!」
 演技がかった物言いにブレンヒルトは失笑。
「――ねえ、人間って順応する生き物だって知ってる?」
「へ? あーうん、忘れたりとか現状に馴染んだりとか、そう言う感じ?」
「そうそう。……でね、人の目も猫程じゃないけど闇に慣れるものなのよ? 相応の時間があれば、それなりに見えるようになるの」
 静寂。
 ブレンヒルトも黒猫も押し黙り、風にそよぐ草木の音がやけに大きく感じる。
「……えーとつまりそれは、ブレンヒルトさんはもう慣れておいでで?」
「いいえ、残念ながら。でも……そうね、ちょっとずつ見える様になってきたわね」
 再び静寂。幾許かの間が過ぎ、
「で? 私に何をするんだっけ?」
「御免なさい申し訳ありません二度と言いませんていうか今言った事は取り消させて下さいお願いします!!」
 よろしい、とブレンヒルトは頷く。と、そんな問答を行っている内に目が闇に慣れていた。微弱な月明かりを捉え、ブレンヒルトの双眸は周囲の環境を見取る。
「何時見ても人がいないわね」
「廃村、ってやつでしょ? ま、こんな山間部じゃ住み難いよ」
 ブレンヒルト達の周りにあったものは、無数の家屋だった。長期に渡って放置されたのだろう、どの家屋も泥や埃にまみれ、細部には風化も見られる。
「このGの中で滅べるなんて、贅沢の極みね」
「どうせここに住んでた人等は他のGが滅びた事なんて……ううん、ある事だって知らないよ、きっと」
 知ってたら少しは反省したかもね、と続ける黒猫にブレンヒルトは、
「でもどうして管理局は、概念戦争を人々に知らせなかったのかしらね?」
「英雄気取りたかったんでしょ? 世界を混乱させるよりも自分達だけで密かにケリをつけよう、ってさ。1stーGの王様とは反対だね?」
「ええ、王は1stーGを絶対に護ろうとしていたわ。防衛用に機竜を配置して、概念核も二分して。……そこをグレアムに付け入られたのだけれど」
 語るブレンヒルトは黒猫と共に廃村を歩き始めた。
「あの男によって王城は破壊され、指揮系統は麻痺。レオーネ先生はファブニールと同化し、概念核の半分を出力炉に収めて護ろうとしたけど、グレアムに奪われたデュランダルで……」
 一息つく。それから自嘲するような表情で、
「レオーネ先生のファブニールが、ラルゴ翁のと同じ改型だったら話は違ったかもね」
「……改型は何が違うの?」
「改型はね、稼働用と武装用に出力炉を二つ積んでるの。レオーネ先生の旧型は一つしかなかったから、それをデュランダルで貫かれた時、死ぬしかなかった」
「それを教訓にして追加した、って事?」
 ええ、とブレンヒルトは答える。
499なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:37:05 ID:wEYEga8G
「改型は武装用出力炉に残り半分の概念核を封じているの。もしそれが破壊されても、残った稼働用出力炉で敵を潰せる」
 そう答えて、ブレンヒルトと黒猫は開けた場所に出た。家屋の群を抜けた先にあるそれは校庭、暗がりで見辛いが、ブレンヒルトの行く先には体育館があり、奥には校舎もある。
「もうちょっと近寄りなさい。でないと、レークイヴェムゼンゼの効果範囲に入らないでしょう?」
「あ、うん」
 体育館の正面玄関に近付いた所で立ち止まり、ブレンヒルトは黒猫を呼び寄せた。足下に来た所で踏み潰し、完全に密着した所で指先をチョーカーにあてる。
「お願い」
『畏まりました。“門”を、開きます』
 そう答えてレークイヴェムゼンゼは三日月型の飾りを光らせる。直後、

・―――文字には力を与える能がある。

 それは1stーG概念より成る概念空間の展開。自らの声に似たそれが響き、体育館は要塞に変貌した。
 諸処に見られる窓は板で塞がれ、かと思えばあちらこちらに大きな鉄の扉が増設されている。共通するのは一様に記された、“頑丈”や“鋼鉄”という1stーGの文字だ。
「久しぶりに来るけど……見つかったりしてない?」
 正面扉の前に立つ大型人種の門番と会話、問題ないよ、という返答を得てブレンヒルトは頷く。ブレンヒルトは扉に手を伸ばした。だが手を添えた所でそれは停止、扉の向こうに騒音を聞きつけたからだ。
「……ファーフナーだ」
「元気ね。和平派飛び出して転がり込んできた時は死にそうだったのに」
 聞きつけたのは黒猫も同じだったようで、心底と嫌そうな顔をする。ブレンヒルトはその様子を見て、
「――彼と一緒に、貴方もここにきたのよね」
 からかうような口調に黒猫が、やめてよ、と答えた。
「利害が一致しただけだよ。和平派から市街派に移りたい、っていうね」
「通常空間でも行動出来る貴方がついてなかったら、多分途中でのたれ死んでたでしょうね、彼」
 全くだよ、と頬を膨らませる黒猫にブレンヒルトは笑み、扉に触れる手へ力を込めた。軋むような音を立てて扉は開き、体育館の内部をブレンヒルトに晒す。
 直後、強い語気からなる宣言が響いた。
「――俺達に必要なものとは何か!?」

     ●

 体育館の中に数限りない異形達が、1stーGを故郷とする市街派の者達が犇めいていた。
 一見すると何の区別も無く見えるが、実は市街派の方針をめぐって論争する、急進派と穏健派の二種である事をファーフナーは知っている。
「俺達に必要なのは失われた故郷を取り戻す事だろう!?」
 急進派の最前線に立ち、ファーフナーは猛烈な語気を穏健派に叩き付けた。
「デュランダルを取り戻して概念核を我等の物とする。それを解放してマイナス概念に対抗した後この世界を1stーGと化せばいい!!」
 対して穏健派の若者が、違う、と声を大にして応じた。
「我々に必要なのはLowーGでの権利だろう? デュランダルを取り戻した後は、それを持って和平派と合流すべきだ! その後は概念解放を管理しつつ、我々に有利となる交渉を行う!」
 若者は続ける。
「我々は戦うために集まった訳じゃない。目的は飽くまで、デュランダルの奪還とLowーGでの権利を得る事だ。ファーフナー、お前の主張は単なる逆侵略だぞ!!」
「逆侵略? 違うな失地回復といえ」
 若者の主張に頷いた穏健派の面々、しかしファーフナーは反論した。
「俺達の祖先が護り続けた大地を滅ぼされたのだぞ? その代わりを求めて戦うのは当然の事だ」
「LowーGがそれを認める筈が無い!」
 だからこそ戦うのだ、とファーフナーは論じる。そして、それが解らないのだろうか、とも思う。
「このLowーGでは概念戦争など無かった事になっている。全ての情報は秘匿され報復活動や情報公開は全て管理局に潰される。……ならば俺達はこのGの何処にいるのだ?」
 言ってファーフナーは足下を指した。
「今俺達がいるのはこのGの影の部分だぞ!? 管理局の居留地にいた時もそうだ。押し込められた狭い土地は空も川も閉じられ、森は外界との交流を断つ為の壁となっていた!!」
「だからこそ我々はこのGで自由となる権利を得るのだろう?」
「自由? 閉ざされた世界で縮こまる事がか? ……俺や一部の種族は生きていくのに1stーGの概念が必要だ。お前らの言う自由とは俺達も含んでいるのか?」
「それは……」
「解るまいな。お前はLowーGにおける人間に近い種族だ。一日の半分を水に触れていれば一般社会に紛れられる、木霊よ。――お前には俺達の痛みが解るまいよ。常に前線で戦う苦痛もな」
500なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:38:34 ID:wEYEga8G
 若者は何か言おうとした。しかしそれは言葉を為さずに喉で消え、代わってファーフナーが弁舌する。
「俺達全員がお前達の様にこのGで生活出来る訳ではない。俺達にとっての自由とは……この世界を1stーGと同様にする事でしか有り得ない!! 箱庭の優遇がお前達の言う本当の権利か!?」
 その言葉に若者は歯を噛んで俯き、そこで彼の肩に手が添えられた。若者の背後、穏健派の一群から進み出た老人だ。
「良い演説だな、ファーフナー。だがお前は一つ忘れている」
 何をだ、と問い返したファーフナーに老人は頷く。
「1stーGが滅びた時、お前は生まれていなかった。滅びたのはお前の世界ではない、我々の世界だ。お前は……」
「ならば俺がLowーGの人間だとでも言うつもりか?」
 老人の言葉をファーフナーは遮った。
「LowーGの人間は翼を持つのか?」
 ファーフナーは背の両翼を思う。
「LowーGの人間は鱗を持つのか?」
 ファーフナーは巨躯を包む鱗を思う。
「LowーGの人間は角が長いのか?」
 ファーフナーは側頭から伸びた角を思う。
「俺の姿を見ろ。この姿をした生き物がLowーGに存在するのか? 否! 俺は1stーGにしか存在しない半竜という種族だ!!」
 人型の竜、それがファーフナーの容貌だった。
「だが俺は何も知らない。数多くの祖先を、王のいた国を、限りある大地を、月の無い夜空を、自由に生きられる天地を。……そして! 敗北の日も護るべきものも知らない!!」
 故に、
「――だから俺は誇りとは何なのかを知らない!!」
 思いを吐露し、抜け切った息を補給。
「だが老人共よお前達はそれを知っている。だから狭い所に押し込められてもそれに頼れる。……しかし俺達には何もない。なのに俺達はどうしようもなく1stーGの者であり、そうでありたいと思っている」
 背後に立つ急進派の同意をファーフナーは感じる。
「どうすれば良い? ……どうすればそれだけの誇りが持てる!?」
 老人が、そして穏健派が沈黙する。
 論争転じての静寂、そこでファーフナーは自分達を迂回する人影を見た。黒猫を連れた魔女装束の少女だ。
「奥に行くのか? ラルゴ様は眠っておられるぞ」
 ファーフナーの向けた声に少女は足を止めた。急進派も穏健派も注目する中で少女は振り向き、怜悧な双眸でこちらを見据える。
「……貴方の声で起きてるでしょうよ、きっと」
「は、そうであれば良いが! ……それよりも首尾はどうなのだ? ナイン」
 呼びかけたその名に、少女の双眸が細められた。放たれる眼光は怒りさえ含んでいる。
「その名で呼んでいいのはラルゴ翁だけよ。翁の権利を侵害する気?」
「これは失礼した、ブレンヒルト。お前はその名を取り戻す為に戦ってると思っていたのだが」
 ファーフナーは言い改め、しかし言葉を止めない。
「グレアムとやらの監視に赴き、隙あらば暗殺する、という話だったのでは? それがもう三年目になるのに来るのは定時連絡だけ。……まさか言い包められたか? 何しろお前はそのグレアムと幼い頃……」
「止めろ!!」
 叫んだのはブレンヒルトではなく、足下の黒猫だった。怒気に毛を逆立て、
「ブレンヒルトはちゃんと仕事をしてる! アンタ達が話し合ってる間も、王城派の戦闘や管理局の動向を見てたんだ!! アンタ達が今も話し合ってる情報もそうして集まったものだろ!?」
 断言、だがそれを終えたところで黒猫は笑みを交えた。
「頑張れって言いたいなら、もっと素直になったらどう?」
 対するファーフナーもまた小さく笑み、
「最近はそれを言うと鬱になる事が多くてな。遠回りで失敬した」
 ファーフナーは黒猫と笑みの口調を交わして見合う。それから視線をブレンヒルトに移し、
「早く行け長寿の娘よ。後で俺も話を聞きに行く」
 そう言うとブレンヒルトは顔を背けて歩き出した。遅れて黒猫も追随し、見えなくなった所でファーフナーは穏健派を見やった。
 そして議論の場を締めくくる為、最早穏健派ではなく、館内全体に声を響かせる。
「――俺が望むのは1stーGが未だ共にあるという事実だ! この世を1stーGとせずにすむ方法があるならば言ってみるがいい!!」

     ●
501なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:39:59 ID:wEYEga8G
 ファーフナーの声を背にブレンヒルトは地下へと続く階段を下りていった。館内奥を丸々使った大型リフト、今は隔壁を閉じた縦穴に沿って伸びる通用口だ。
「…………」
 “灯火”と記された釣り鐘の照る階段は傾斜が深く、ブレンヒルトは壁に手を当てて下りていく。冷ややかで固い感触を手に、やがてブレンヒルトは階段の終着点に辿り着いた。
 そこは縦穴の底辺部、大型リフトの定着も相まって広大な空間となっている。
「……ラルゴ翁」
 リフトの上には巨大な鉄塊があった。否、長胴に頭部と尾を備え、四肢の先に爪を備えたそれは竜の模倣。機竜と呼ばれる兵器が、ファブニール改と称される市街派の最強武器がそこにある。
 そして市街派を率いる長の意思もまた、そこにあった。
「ブレンヒルト・シルト、ここに戻りました」
『ああ、お帰り』
 現れたのは一人の老人だった。禿頭の長い白ひげ、褐色の肌をしたその人物が竜の背に立っている。しかしよく見れば老人の姿が半透明で、声が老人からではなく足下の機竜より響いている事が解った。
『どうだったかい?』
「私の使い魔が詳細を」
 促されたブレンヒルトは黒猫を見やる。応じて黒猫は前に出て、
「王城派は三日後に降伏するって。これで自分達の活動を終えるって、使いが伝えてきた」
 そこで溜め息。
「だからファーフナー達アッパー入ってんだよねぇ。ラルゴ翁、シメちゃってよ」
「こらっ、何言ってるのよっ」
 ブレンヒルトが黒猫を踏みしめ、それを見るラルゴと呼ばれた老人は苦笑した。
『まあ報告は後で聞こう。他に、何か情報は?』
 問うラルゴにブレンヒルトは、ええ、と首肯した。
「管理局は全竜交渉の専用部隊を、編成中で実戦投入しています。それから明日、和平派のファーゾルトと交渉役が暫定交渉をするそうです」
『……成る程、それでファーフナーは躍起になっているのか。彼はファーゾルトの息子だからねぇ』
「父親を負け犬と呼ぶ彼ですからね。さっきも上で、稚拙な論を重ねて正義としているようで」
『稚拙なのはしょうがない。行動に理由が必要な大人を、子供が説得しようとしているんだ』
 だがね、とラルゴは言葉を挟む。
『適当な理由で動く事に慣れた大人じゃあ、子供が本当に稚拙な正義を唱えた時、最後には折れるんだよ。論じゃなくて、もっと厄介なものにね』
 ラルゴは腕を組み、天井の隔壁を見上げる。その向こうにいるであろうファーフナーを見るように。
『ファーゾルトの息子は、まっすぐに育ったものだねぇ』
「本人は相当苦労してたけどね。あの1stーG居留地で」
 かつてその居留地にいた黒猫は、僅かに遠い目をして答える。
「あの人は上手くやってると思うよ。概念の管理を管理局に一任して、狭い居留地の安全確保を願う。皆はその程度かって言うけど……概念を管理された居留地じゃ、住人全員が人質みたいなもんだよ」
「概念空間を解除されたら、大半は半月と持たないでしょうね」
『ファーゾルト達が生活出来ているのは、彼等の持ってきた持ち物や技術という交渉材料と、後は……それこそ管理局の温情というものだろうねぇ』
「……その言葉、皆に言ってはいけませんよ」
 眼を細めたブレンヒルトにラルゴは、解っておるよ、と返す。
『ワシは皆を連れてここに辿り着き、持ってきた概念核の片割で概念空間を造った。元指導者のはしくれとして、現保護者として、皆を率いる必要がある』
 面倒な事だがね、とラルゴは溜め息。それからブレンヒルトを見やって、
『交換しないかね? ワシのファブニール改とお前さんのレークイヴェムゼンゼを。ワシは冥界の住人と茶ぁ飲んでる方が気楽で良い』
「無理ですよ、機竜は同化したらそのままでしょう? それにLowーGは冥界の概念が弱過ぎて、レークイヴェムゼンゼを使っても住人とは僅かな間しか話せません」
『……もし彼等としっかり言葉が交わせれば、皆の遺恨も幾らかは減るだろうに』
 ラルゴは浅く眼を伏せた。
『世界の崩壊を恐れねば、我々ももっと多くを救えたかもしれぬ。――君の鳥も、惜しい事をした』
「あれは……見捨てた彼が悪いのです」
『見捨てたのは彼かもしれん。だが、救えなかったのはワシ等だよ』
 そこでラルゴは眼を開けた。それから暗闇の一角に向けて一つの名を呼ぶ。
『ファーフナー』
 その名にブレンヒルトと黒猫は振り返り、そこで闇に佇む半竜の姿を見た。
「……何時から!?」
 険を含んだブレンヒルトの問いに、ついさっきだ、とファーフナーは返答。
「そう構えるな。俺の属性は闇、闇渡りの半竜だぞ? それが闇ならば心の届く範囲においてどこでも移動出来る」
「それで盗み聞きって訳? 趣味悪」
502なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:41:01 ID:wEYEga8G
 黒猫の言葉を、言ってろ、と鼻で笑い、ファーフナーはラルゴを見る。
「話し合いが終わりました。俺達の意見が通った上で、ラルゴ様に判断を委ねるという形で」
 ファーフナーの報告に、うーむ、とラルゴは唸り、
『明日のファーゾルトの動き次第で結論、という事でどうかね? ブレンヒルトの話では……明日、事前交渉があるのだろう?』
「ええ、和平派の情報なので確かでしょう」
 ブレンヒルトの答えにラルゴは頷き、だがファーフナーは不満げな表情を作った。
「……ラルゴ様、何故いつも結論を先延ばしにされる? 俺達は貴方の下に集い、引っ張られてここまで来たんですよ?」
『いや、そんな自主性の無い事を言われてもなぁ』
「責任者の勤めでしょう」
『あー、それはそうなんじゃが……すまんなぁ』
 その答えにファーフナーは項垂れた。全身で脱力を表し、金のたてがみを生やした頭を掻く。
「友であられたレオーネ様、それにミゼット様をグレアムとやらに殺され、王を護る事が出来なかった。……その恨みはラルゴ翁のどこにあるのですか?」
『あるのは確かだろうが何処かまでは解らんぞ? お前さんとしては、ワシの武装用出力炉にあって欲しいんだろうが』
 ラルゴは頷き、今度は揺るぎなくファーフナーを見据えた。
『失われたのはワシの友だけではない。故にワシは私意で動かん事にしとる。動くのは機が満ちた時だけさ。そして今、機は満ちつつあるよ』
 続けてラルゴは問う。
『その時お前さんは、何の為に戦うよ? ファーフナー』
 対するファーフナーもまたラルゴを見定め、返答を放つ。
「――我等が持っている筈のものを取り戻す為に」
 その答えにラルゴは、ふむ、と応じ、
『ならば絶対に、その言葉は覚えておこうかね』

     ●

 ファーフナーも交えた報告を終え、ブレンヒルトは体育館の外に出ていた。といっても、一人で出てきた訳ではない。
「ラルゴ翁、外に出るのは久しぶりですか?」
 問いが向くのは背後に立つ巨影、ファブニール改だ。体育館裏手の壁を改造した隔壁より前半身を出し、白と緑に塗装された機竜が夜空を眺めている。
『最近は会議ばかりでねぇ。ワシ無しだと概念空間が数時間で消えてしまうから、段々厳しくなっているんだよ』
 今もお前さんの見送りと言って出てきてな、とラルゴは付け加えた。そこに笑みが含まれていた事に安堵し、
「ブレンヒルト」
 そこで名を呼ばれる。呼び声の主は黒猫、ブレンヒルトが見ると黒い影がこちらに向かって飛来していた。それに対してブレンヒルトは、
「えい」
 落下軌道上に手刀を伸ばした。ブレンヒルトの予想は的中、五指の先に黒猫の小さな身体が突き刺さる。一撃を受けた黒猫は、げふ、と気まずい呻きを漏らし、それから妙に晴れやかな笑顔で落下した。
「……何でさ」
「不意打ちなんて良い度胸じゃない。私でも夜目に慣れるって言ったでしょう? それとも猫の脳みそじゃ覚えてられなかったのかしら?」
「ブレンヒルトの下に合流しようとしただけでしょ!? 何、ブレンヒルトとの絆ってそんなに薄弱!?」
 倒れた黒猫が喚くがブレンヒルトは無視、ファブニール改の頭部を見上げた。そこに一切の変化は見られない。しかし、ブレンヒルトは確かな気配の変化を感じたからだ。
「……本意じゃありませんからね、こういうやり取り」
『いやいや、昔よりずっと良く見えるよ? 元気そうで何よりだ』
 答えるラルゴの声は笑みを多分に含んだもの。やっぱり、とブレンヒルトは溜め息をつき、
「真面目になれる時間が少ないだけです。ラルゴ翁はその逆なのでは?」
『そうさねぇ』
 答えは曖昧な返事。だがラルゴはファブニール改の頭部を動かし、こちらを見た。
『――ブレンヒルト。君はこれから“行く”のかな? それとも……“帰る”のかな?』
「――――――――――」
 思わず、息を飲んだ。
「ラルゴ翁……、貴方は、私が1stーGを忘れたと?」
『そうは言っていないよ。ただ君は、今の市街派の状況をよく思っていないようだからねぇ』
「……長寿族の性です。ああいう論争を嫌うのは」
 だろうねぇ、とラルゴは一言。
503なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:41:53 ID:wEYEga8G
『誰か、君と同じ長寿の誰かが、ずっと共にいるのが一番良いんだろうがねぇ。君から見れば誰も彼もが、私ですらも生き急いでいるようにしか見えないだろう』
「……年寄り臭いよ、ラルゴ翁」
「こらっ!」
 仰向けでファブニール改を見ていた黒猫が一言、ブレンヒルトは注意の踏みつけを放った。
『は、そうなんだろうねぇ。――皆も気付いておるだろうが、ワシももう長くは持たん。機械としての寿命ではなく、ワシ自身の寿命が尽きようとしておる』
「………1stーGの機竜が持つ、欠点ですか」
『否、欠陥と言って良いだろうねぇ』
 ラルゴは自身に架せられた致死の宿命を語る。
『かつて5thーGの機竜を元にどうにか建造したこの機竜。搭乗者は同化して操る訳だが……この時の拒絶反応が強過ぎる。それこそ、大半の者がそこで死んでしまう程に』
 ブレンヒルトは思う。幼い頃にグレアムと出会ったあの機竜の暴走を。
『よしんばそれを抜けても、もう二度と降りる事は出来ない。そして……いつかは有機体である搭乗者と無機体である機竜の誤差が大きくなり、自壊する』
「……………っ」
 語られるブレンヒルトは沈黙。そこまで言って、ラルゴも会話を仕切り直した。
『…そろそろ戻らなくて良いのかい? 来た時は何やら急いでいたようだが』
「そ、そうだよ!」
 反応したのは黒猫だった。
「ほら、小鳥! ブレンヒルト、胸薄いからって忘れちゃあたたたたた待った待った踏み込んだら中身が!?」
 ブレンヒルトは黒猫を再度踏みにじり、しているとラルゴから疑問の声があがった。
『小鳥?』
「……ええ、落ちていた小鳥を、性懲りも無く」
 答えたブレンヒルトにラルゴは、ほほう、と喜色を交えた。
『……それで良いのだろうよ、ブレンヒルト。いや、ナインと呼ぼうかね』
「その呼び名は、とうに捨てました」
『だが、ワシにとってはそれがお前さんの名だ。かつてミゼットに拾われ、レオーネの研究所に住み着いた少女よ。あの頃は、グレアムも含めた四人で……』
「お止めください」
 言い続けようとしたラルゴを、しかしブレンヒルトは遮った。
「――お互いに知る人の名を告げるのは、独り言よりも酷いものですよ」

     ●

 ファブニール改の視覚素子が、夜空に飛び立ったブレンヒルト達を捉えていた。
『……さて』
 少女達が無事に帰ったのを確認し、ラルゴは視覚素子を別の場所に集中させる。向けられた先は周囲に広がる森林、その一角だ。
『次は貴様等と話すとしようかね。やや不本意ではあるが』
 ラルゴはファブニール改の音量を上げ、林間にも声を届ける。と、木々の闇から三つの人影が進み出た。
 先頭は褐色の肌をした巨躯の初老。ターバンと眼帯で頭部を飾る中東風の男だ。続くのは青年と少女、闇にも映える緑と金の長髪をした二人組。青年は白のスーツ、少女は黒い修道服を着ている。
『また前触れも無く現れたものだね。…情報屋を気取る、聖王教会よ』
 ラルゴは憎々しく呟き、だが三人組が近付いてきた所で一つの旋律を聞いた。それは金髪の少女が囁く一つの歌だ。

Silent night Holy night/静かな夜よ 清し夜よ
All's asleep, one sole light,/全てが澄み 安らかなる中
Just the faithful and holy pair,/誠実なる二人の聖者が
Lovely boy-child with curly hair,/巻き髪を頂く美しき男の子を見守る
Sleep in heavenly peace/眠り給う ゆめ安く
Sleep in heavenly peace/眠り給う ゆめ安く―――

 ラルゴはそれの歌を知っている。
『昔、一人になるとブレンヒルトがよく口ずさんでいた歌だね。LowーGの歌で、確か題名は……』
「清しこの夜、だよ。その子の歌も良かったんだろうけど……姉の歌声も中々だろう?」
 言いかけた言葉は青年に奪われる。端整な顔に薄い笑みを浮かべた男は、口を挟んじゃいけません、という少女に注意された。その様子を見てからラルゴは初老を見据え、
『その二人は何者だ、ハジよ。何故連れてきた?』
「わしの養子みたいなものだよ、ラルゴ。男の方がヴェロッサ、女の方がカリムだ。どうだい、見目麗しいだろう? だが気をつけたまえ、これでも一騎当千の魔人だ」
 二人にもそろそろ仕事を覚えてもらおうと思ってね、とハジは二人の若者を紹介、言い終えると共に二人は会釈する。その様子に、うんうん、とハジは頷き、
504なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:42:42 ID:wEYEga8G
「今夜も一つ、貴殿等の為に情報を持ってきたぞ」
『恩着せがましいな。そしてまた言うのか? 自分達の下に入れ、と』
「下、とは心外だ。うん、本当に心外だ。対等の仲間として、全竜交渉を停めようと言うのだ。我等の目的は同じ筈だが、違うかね? どうだろうかね、ん?」
 確かに、とも思うがラルゴは同意しない。
『前にも言った通りだ。我々は、自分の問題は自分で解決する。素性も知れぬ者と共闘する気はないね』
「同意してくれるならば、素性も目的も話すのだがね」
『それを信じられるかどうかは、その嘘くさい笑みに訊いてみるんだね。……駄目なもんは駄目さ』
 にべもない否定、それを受けてハジは口元を手で覆う。そして、
「――成る程」
 呟きが終えると同時、ファブニール改に搭載された機銃が銃弾を吐いた。連発される弾丸は地に穴を空け、背後の樹木を幾らか砕き、濃厚な粉塵を噴かせる。
……恐ろしい話だね……
 ハジがいい終えた瞬間、笑みも絶えた。その時感じた気配がラルゴに威嚇射撃を決行させた。といっても、当たっても構わない相手だったので幾らかは当たったかもしれないが。そうして粉塵が晴れ、
『……何?』
 そこで見えたものは、ハジの前に立つカリムと名乗る少女だった。彼女は剣型のデバイスを構えており、刀身は歪んで薄く煙を昇らせ、そして足下には細々とした鉄塊が散っている。
……まさか、弾丸を迎撃したのか!?
 刀身の歪みや煙はその代償か。だとすれば、あの少女はどれ程の反射速度を持つというのだろう。威嚇射撃とはいえ、当たろうとしていた弾丸全てを防ぐ等、
……それこそ、予言じみているねぇ……
『成る程、一騎当千か』
 ハジの紹介は間違っていなかったという事か、とラルゴはごちる。
「もう……義父さん、あんまり挑発しないで下さい! 防ぎ切れなかったらどうするんですか!?」
「はっはっは、わしは娘の腕を疑ったりはしないという事だよ。それとも自信が無かったのかね? ん?」
「じ、自信の有る無しじゃなくてぇ……っ!」
 一息の後に憤慨するカリム、それを笑っていなすハジはファブニール改を見やり、
「まあいいだろう、今日は特別サービスだ。本題の前に我々の目的を教えようじゃないか、うん」
『全竜交渉の阻止。その為の、各G残党を集めた反乱軍の組織化か? 見た所ハジ、お前は9th―Gの者だろう? 後ろの二人はLowーGの者に見えるが……』
 ラルゴの推測、しかしハジは、いやいやいやいや、と両手を上げて首を振る。
「惜しいが……違う、違うんだな。我々の目的は――全G概念の消滅だ」
『……何!?』
 ハジの告白にラルゴは驚愕を得た。
「ラルゴ、我ら聖王教会は、現状我々が保つ以上の概念を消滅させる事を望んでいるのさ」
『何故だ!? それは自身の故郷をも捨てるという事だぞ!』
 あるのさ、とハジは答える。
「そうする理由も意味も価値も、我々は持っているという事さ。うん、持っているんだ」
 ハジは独白するように解答。言い終えて熱が引いたのか、語気の調子を整え、
「明日の朝、西の管理局からデュランダルが奥多摩の管理局に輸送される。輸送機が通過するのは、丁度この辺りだろうな」
『……何故それを教える? 我々は1stーGの概念を取り戻すが、貴様等の様に消滅を望まぬ。我々は敵になるぞ』
「解っている、うん、解っているとも。だからこれはサービス、精一杯のサ―――ヴィスだ」
 忍び笑いする様にハジは言う。
「今の所は貴殿等がどうあろうとも構わない。構うのは、管理局に概念がある事だけだからね。もし貴殿等がデュランダルを取り戻したならば、その時に交渉しようじゃないか。うん」
『何を、交渉すると?』
「LowーGを視野に入れず、まずは真実を伝えて要求するよ。このLowーGを本当に本当のものとする為に」
『……本当に本当のもの?』
 そうとも、と言ってハジは腕を掲げ、指を鳴らした。それが撤退の合図だったのか、カリムはハジの背後に戻り、またハジ達も出てきた林間の闇に戻っていく。
「お別れだラルゴ。次に会う時は……うん。お互いの立ち場は変わっているだろうね」
『待て、答えろハジ! それはどういう意味だ!?』
 制止を呼びかけるラルゴ、しかしその頃には、ハジ達は林間の闇に沈んでいた。ただ、声だけが返される。
「簡単な事だよ。私達の全てを受け継ぐべき者に、真の意味で、全てを受け継がせよういうだけだ!!」






―CHARACTER―

NEME:ラルゴ・キール
CLASS:市街派の長
FEITH:機竜を駆る者
505なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/29(土) 06:48:57 ID:wEYEga8G
投下終了。

・ファーフナーと黒猫の付き合いは古い
・ハーゲン→ラルゴにシフト……っつてもラルゴって本編じゃ全然動いてないからシフトしてもねぇ……
・“軍”→聖王教会、命刻→カリム、詩乃→ヴェロッサにシフト

の三本立てでお送りしました。随分久しぶりの更新となってますがどんなもんでしょうか。次回が終われば、やっとこさオリジナル展開に持ち込めるってもんよ、頑張ろー。
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 08:35:34 ID:KPk6WTCk
>なの魂
あ、ありのまま起こったことを話すぜ! 寝て起きたらいつの間にかなの魂が投下されていた! なにを言って(ry
何度も言うけど俺は負け犬だぁああー!
しかし、スレ復活にふさわしい盛大な花火が上がった感じですねw
冒頭からいきなり銀さんたちの帰る場所無くなって吹いたwwやっぱり原作の大工話に繋がるのか?
激突する甘党決戦も笑いましたが、油断クロノが一番でしたね。真面目だったのに、こいつも銀魂の空気に毒され始めてるよ。
いよいよ無印最終決戦が近づいていますが、大丈夫。そrでも銀さんなら…銀さんならなんとかしてくれる!(プレシアに人情で叱る的な意味で)
敵キャラにも魅力があるのが銀魂ですからね。果たしてプレシアがどうなるのか、原作通りなのか? 今からwktkです。
507 ◆ibD9/neH06 :2008/03/29(土) 08:41:36 ID:emY5LR6/
おつかれさまです
小ネタが上がったので投下します
508 ◆ibD9/neH06 :2008/03/29(土) 08:42:50 ID:emY5LR6/
///////////////
 機動六課所属、グリフィス・ロウランのメモより抜粋、メモにつき敬称略

魔法防御リリカルラッセル



 ラッセル・バーグマンは機動六課に招かれました!
 ラッセルはヒリュウ改オクトパス隊で隊長の背をまもる縁の下の力持ちです。
 刈り込んだ茶毛髪に、常時こまったようにへの字を描く眉、自信なさげな口もと。
 情けない柴犬をみているような気分になるのは――いえ、なんでも。

 たとえばこんなときに、ラッセルは役に立ちます!

――
「スバル!」
「え……!?」

 ティアナが『必中』の意思のもとに放った魔力弾の一つがウィングロードをはしるスバルへむかった! 直撃コースだ!

「スバルさん! ここは自分が!」

 量産型ゲシュペンストmkVが暴走したクロスファイアシュートを受け止めました! ゲシュペンストの装甲が特に固い部分――増加中空装甲『チョバムアーマー』で魔力弾をうけとめ、自機のダメージを最小限におさえつつスバルを守ったのでした!

「ラッセルさん……ポッ」
「ありがとう、ラッセルさん」
「いえ、これが役目なので! そちらもがんばってください!」

 ラッセルは『応援』と『激励』をふたりに投げかけ、逃げ回るがジェットドローンにフル改造したマシンガンを叩きつけました。
 予断ですが、ラッセルの『応援』と『激励』をもらったふたりは、高出力の魔法を自在に使い、二倍の速さで経験地をかせぎました。これもラッセル効果のひとつです!

――
「おかしな……どうしちゃったのかな、ふたりとも」

 高町なのははレイジングハートをモードリリースし、ティアナの魔力刃とスバルの拳をうけとめました。虚ろな、目線――そばに見なければわからないほどですが、彼女の瞳はうるんでいました。

「わたしは……強くなりたいんです! ファントム・ブレイザー!」


「なのは隊長! あぶない!」


「え? わたしいま迎撃しようと思――!」

 突然の援護防御におどろいたなのはは、クロスファイアシュートを発動できませんでした。
 逆にティアナはファントム・ブレイザーを完成させました。魔力の奔流がラッセルと量産型ゲシュペンストmkUに叩きつけられますが、ラッセルは『ハイブリットアーマー』を盾に砲撃を受けきりました。ついでに『鉄壁』も掛かっていたそうです。

「ラッセルさん……ぽッ!」

 高町なのははラッセル・バーグマンに感謝以上の感情を抱きながら、ティアナをやさしく諭し、なのはとティアナの関係は良好なものになったそうです。
――
 ユニゾン・インしたリィンフォースと呼吸をあわせ、騎士ゼストと戦っていたヴィータは、うまく時間をかせぎゼストを撤退にまで追い込んだ。
 しかし融合騎アギトはゼストとの融合を解除し、ヴィータの頭上で火球を構成しました!
 ヴィータはアギトへむかいギガントシュラークをふりかぶりますが、騎士ゼストは彼の槍をフルドライブさせヴィータを撃墜しようと迫りました!


「ヴィータ副隊長! あぶない!」
(2/3)

 どう考えても援護が間に合わない状況でも、援護防御にやってきてくれるのがラッセルと量産型ゲシュペンストmkUです。
 疾風怒濤の勢いで迫るゼストとヴィータの間に割り込み、『オリハルコニウム』が装備された箇所でゼストの槍を受けきりました!
 いきなり現れたパーソナルトルーパーに度肝を抜かれたゼストは、ヴィータの機転で捕縛され、ルーテシアともどもレジアス中将に保護されました。彼はいま、首都防衛隊の隊長をやっています。

――
 ラッセルの効力について、三つほど上げさせていただきました! どうでしょう、みなさまの部隊にパーソナルトルーパーを配備し、
 格闘系/防御重視のパイロットを育てればたとえばこんなことも――。


――
 さて、こうしてラッセルは六課のお嫁さん――否、人気者にになりましたが――

「ラッセル……はやく戻ってきてくれ……」

 ヒリュウ改のコクピットで、カチーナ隊長は涙ながらに言ったそうです。やはり彼女も女の子のようで――(血でよごれて読むことができない)

 いえ、あのちょっとタコ殴りは――(血でよごれて読むことができない)

 いや、ですからカチーナさんにもかわいいところがあると――え? ラッセルに言われないとうれしくもなんともない? なんてこ――(血でよごれて読むことができない)


 ――こうしてラッセル・バーグマンはヒリュウ改にかえっていきましたとさ。めでたしめでたし。(どうやら折れた指で書いたようだ。字が汚い。)


戦史教科書p58
//////////////
<学習と解説>
 これが、グリフィスメモとよばれる走り書きの内容である。
 ラッセル・バーグマンによって構築された援護防御技術体系を最初に言及したメモとして残っている。

 この六課出向後、ラッセル・バーグマンはすさまじいまでの二つ名を持ちえることになる。
 パーソナルトルーパーやアーマードモジュールだけではなく、等身大の人間を援護防御したことが、彼の防御才能を大きく開花させたのだ。
 
 偉大なる彼の二つ名は――『管理局の

「あ、そろそろ時間だ」

 ヴィヴィオはザンクト・ヒルデ魔法学園支給の教科書をパタン、と閉じた。まったくもう、ぜんぜん興味のない話だった。
 母親の所属していた機動六課のなまえがあったから読んでみただけ――。
 買い物かばんをもち、学園をでて商店街に入るころには内容を忘れてしまった。
 八百屋に寄って朝方なのはに頼まれたキャベツを買う。そこでヴィヴィオは、漫才を食い広げる男女をみつけた。

「あ、こら。そっちのキュウリよりもこっちのキュウリのほうがおいしそうだろ」
「でもそっちは高いので……」
「あぁん?」
「え、あの、すみません……」
「ふん……わかりゃあいんだよ、わかりゃあ」

 綺麗なオッド・アイの女性とどこか情けない感じの男性が、手をにぎりながらキュウリを物色していた。スカートが大人っぽくて、化粧の綺麗な女性だった。顔には笑みがこぼれている。男性に悪態をついているとはとても思えない。
 男性もまた、どこか自然に女性をエスコートしていた。たとえば、強盗やなにかにおそわれたとしても、男性は『鉄壁』となって、女性を守る気がした。

 なんか、いいな。

 ふたりの姿をみてヴィヴィオはそうおもった。
 しあわせな気分をわけてもらったヴィヴィオは、足取りも軽く自宅へと帰っていった。

 ママにもあんな、守ってくれそうな男の人ができたらいいな――犬の人はいやだけど。
(3/3)
//////////////
あとがき

 ようするになのはには、こういう精神的にも体力的にも守ってくれる男が似合うと思うわけだ。
 ん? でもまてよ? 犬の人は論外としても、ヴィヴィオはすくなくともユーノよりは固いはずで……あれ?

 やばい。書いてから気がついた。なんだこの矛盾。デカヴィヴィオがりりしいタキシードで、なのはとフェイトがウェディングドレス?
 まったく違和感が無い……え、こんな結末にするつもりなかったのに、なんで――
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 08:49:05 ID:iGCGwuXs
>>453
リリカルなのはStylish氏GJ!
可愛いなのはさんも、漢らしいなのはさんも好きですが
この怖いなのはさんも大好きです。
続きを楽しみにしています。



 
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 09:33:27 ID:HDmQX8F+
前スレ13kb残ってるけど埋めないのか
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 10:51:50 ID:eGLh21Z9
職人の皆さま、投下乙です。
議論スレをご覧になっていない方もおられるかと思うので、暫定の追加テンプレを貼っておきます。御覧下さい。



【2ch専用ブラウザリンク】
・ギコナビ(フリーソフト)
http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html
・Jane Style(フリーソフト)
http://janestyle.s11.xrea.com/

【注意】※
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイト等のリンクを貼る事は、外部との軋轢の原因となる重篤なマナー違反です。ご遠慮ください。
・盗作は言うまでもなく重大な犯罪行為です。盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言は、断固としてこれを禁じます。

【警告】
種々の問題行動により「スーパーロボット大戦X ◆ByQOpSwBoI」は完全追放処分がスレの総意で確定しています。レス返しなど、決して相手をしてはいけません!


※要議論――運営議論への参加・告知方法について
【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。議論の方法としては

@議論がおこってから誘導する
A大体意見がまとまったら一度ウロスのほうにもその内容を知らせて、「修正・追加意見があればこちらまで」で誘導
B議論をする前に時間を決めて、必ずウロスに呼びかけをする

@ABに対する意見――現状では@+Aの混合方式が有力。



議論スレは避難所にあります。運営について意見のある方々は、是非↓こちらへどうぞ。テンプレ議論スレとのタイトルですが、運営全般の審議スレへと移行しております。

クロススレのテンプレを議論するスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6053/1203489678/
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 11:28:59 ID:yKfF8qYb
TA・CO・NA・GU・RI!
GJ!

ラーダさんのヨガで出撃不能とか、リュウセイの悪影響とか誰かやってくれんかな?

「リュウセイみたいにやってみる! 天上天下ァ、雷光ォォォ疾風剣!!」
みたいな
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 11:42:59 ID:5VQArMyq
水没王子wwww

あ、でも億殺しを平然とこなす主人公みてなのは達はどう思うんだろ
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 12:53:35 ID:Gi8QJfJ2
なのはに限らず普通なら絶対許さんだろ。
実際リンクスたちでさえ4人がかりのリンチに出るほどだったし。
>人類種の天敵
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:02:08 ID:5VQArMyq
AFはやたらリンクスが濃かったり、AFがあまりにもフロムマジックのせいでアレだし・・・

しかし億殺しミッションは鬱になるな、フェイトと新人あたりは壊れそう
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:11:41 ID:kK2Cz3Ag
OK、こっから先は雑談スレに行こうぜ?
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:26:23 ID:Nm5g0WHr
っで昨日からずっと馬鹿みたいに予告したりキャンセルしてた俺は
30分に投下していいか? 一発ネタなんだが。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:32:19 ID:Nm5g0WHr
返事がないようなので投下しますー
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:33:32 ID:Nm5g0WHr
傷ついた彼女、私の一番の親友

彼女が宙を舞う 紅蓮に染まる彼女のバリアジェケット

無残に裂かれる彼女を守る鎧

心ない刃で彼女のからだが割かれるのを

私はただ見ていることしかできなかった―――――



――――――――とある魔術の禁書目録×リリカルなのは―――――――――


「どうして…ねぇ、クロノ!」
 俯くクロノ、それに駆け寄り服をまるで今にも引きちぎりそうになるほどの握る金髪の少女は叫んでいた。
「傷だけじゃないの、無理しすぎた彼女自身の心に成長してない体がついていけなくなったのも原因です…
もしかしたら、もうなのはちゃんは…」
 小さな医療室、小声でシャマルがつぶやくのを聞いて彼女はクロノの服を握り閉めながらそのまま膝から泣き崩れた



522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:34:03 ID:Nm5g0WHr
言えない真実。彼女の前で私は笑顔でいたかった。今だに復帰を考えている彼女のその姿を見るのがあまりにも苦しかった。
 なんで私はあの時助けに行けなかったのだろうか。そればかりが自分の脳内を駆け巡っていた。
「フェイトちゃん…どうしてそんなに泣きそうなの? 私は大丈夫だよ!」

その言葉が自分の心臓を締め付けてるように感じた。




家、その空気はあまりにも重い。
「クロノ…本気?」
 心配した目でリンディが最愛の息子を見つめていた。
「あぁ、彼女がこうなったのは僕たちが巻き込んだせいだからな」
「…管理局の職員として、私はあなたを止めるわ」
「母さん、それでも僕は止まる気はないよ」
「…母としてもあなたが危険な状況になることを好まないのよ」

 悲痛な表情の母を見ても、彼は自分を曲げない。
「それでも、僕は彼女にまだ恩返しをしていない。管理局の人間として、一、一人の人間として」




523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:34:50 ID:Nm5g0WHr
「なのはを治せる…?! でも、…どうやって?」
 クロノが家で伝えた言葉にフェイトは喜びの顔見せた。しかしクロノの顔は険しい。それを怪訝に思ったフェイトはなぜそんな顔をしているのか聞いた。
 不可侵、いや、あの機関自体にかかわるのに管理局の規約を100以上破る必要があると彼は言う。

「魔法を使えない。その状況で身の危険をさらす必要があるんだ…フェイト、治せる方法があることは伝えるが君はなのはのそばにいてくれ」

管理局の禁忌を犯し、彼はただ一人の男としてある都市に赴いた。


 そして彼女、彼の義妹であるフェイト・T・ハラオウンもまた…兄の言葉を無視して――――
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:35:30 ID:Nm5g0WHr
嘘予告「レプリカ」


「協力を得ることはできるがここからは出ることはできないよ」
「そこを何とかお願いできませんか、『冥土返し』」
「…彼女の容体を聞いたところここまで連れて来ることが出来る状態だ。あとは君がどうやって連れて来るかだ」
 かつて、一度だけ世話になったことのある医師にクロノは懇願した。しかし、帰ってきた答えは期待したものではなかった。


「私は――――――ここにいる患者を放置して一人を助けに別世界に行けるほどお人よしではないのだよ」

 最大の難関、彼女をここに連れてくる必要がある―――――――





 私服で一人歩いていると不思議な人間にあう。ほとんどが学生だが、こんな暗い所ではその中でも柄の悪い奴らに会う。
「…可愛い子供だな。ふむ、いい感じだ」
「えっと…」
「金髪なんてあまりいないからなぁ…」
 眼が狂っていると感じた少女が逃げようとすると不思議な爆発に囲まれた。魔法かと思うがデバイスが見当たらない。
「力を使わないなぁ…レベル0か?」
 デバイスも何もない彼女ではただの11歳の少女。絶対的な危機を救ったのは――――
「まったく、偶然ですよ。これはあくまでも命令に従っただけですから『グループ』からのね」
 パンパンという軽い音と倒れた男たちの背中から一人の優男に彼女は出会う。
「名前は言いませんよ。とりあえず子供が来るようなところではありませんよ?」
 
名もなきアステカの魔術師と金髪の魔道師の出会い
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:36:00 ID:Nm5g0WHr
「…フェイト・テスタロッサ?」
「私を知っているのですか…?」
「いや、だって理論はここで作られたからあなたの設計図はあるわよ?」
 “作られた”、彼女は今、そう言われた。
「『プロジェクトF.A.T.E』だったかしら…」
 2年前の彼女がちぎった鎖は彼女を放す気はなかった――――――








「なのはちゃんをどこに連れていくんや、クロノ君…」
 クロノの前に立ちはだかるのは仲間であり、最強の戦士たちと魔術師。それでも彼は管理局の禁忌を破り続ける。例え、四肢が動かなくなっても彼は抗うだろう。彼は―――男の子だから。
「はやて、僕にも維持があるんだ…男としての」





「クロノ…」
「ユーノ、話は通してある。あとは頼んだよ」

 右手に持った拳銃、それを向ける相手は学園都市の警備隊。その後ろでなのはを抱いたまま座っていたユーノは唇を血が出るほど噛みしめて走り去った。
「クロノ…信じているぞ。全員で帰るんだ…」
「誰に物を言っているつもりだ、この小動物が」
悪態が、悲しく響く。彼が見えなくなることにまた銃声がなった―――――――





526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:37:28 ID:Nm5g0WHr
「子供を見捨てるほど私はひどい奴じゃないのよ!」
 全身からでる電撃、それがフェイトを襲う銃弾から守る。





「なァ…いい加減に黙れ、クソガキ」
 自分がクローンであることに嘆くフェイトに最凶の能力者は土器を交えた声で彼女に話しかける。
「テメェがさっきから行ってることはなァ―――――」
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:37:58 ID:Nm5g0WHr
「生まれてこなきゃよかった…」
「どうしてってミサカはミサカは疑問におもったり。だって、生まれてこなかったらあなたは“なのは”に会えないんだよってミサカはミサカは思う。あたしも姉妹も、全員がつながっているけどみんな自分が自分であると認識しはじめてるよってミサカはミサカ―――」
「で、でも、」
「君がここにいることに間違いはないんだよ。ここにいるのはフェイト・T・ハオロウン、君が自分の過去に悲観するのはいいが君が出会った人は偽りじゃないのだから」
 カエル顔の医師がほほ笑んだ。そして、白衣を揺らして後ろを向き、暗い部屋に向かう。その部屋にあるベッドにはフェイトの大切な人。
「さて…始めるかな、君の大切な人を助ける一仕事を」




「なのは―――――」
「フェイト…」

二人はまた空を飛ぶ――――――FATEを打ち砕き―――そして未来へ!
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:42:45 ID:Nm5g0WHr
投下終了。

 嘘予告といわれた俺の脳内妄想。実は言うと以前書いたもう一つの嘘予告
はもうすでに脳内にプロットが立ってたりするがあまりにも忙しい状況な今で
完結させれる自身がないので書きまとめていい感じになったら投稿をしたいと
望んでおります。

 依然の嘘予告には出てこなかった人を禁書目録から、 メインにフェイトをw
そして、フェイトの存在を交えたらこんな風にできないのか!?っと思った妄想w

問題は…能力的に厳しくなるので魔法禁止にしてみたら話が難しくなっている現在の俺の状況w


それとすぐに修正部分を見つけた悲しさ…

悪態が、悲しく響く。彼がみえなくなることにまた銃声がなった―――― ×
悪態が、悲しく聞こえる。彼の姿が見えなくなったころ、ひとつの軽い銃声が聞こえた――――

529名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/03/29(土) 13:56:56 ID:mJZONQyd
GJです。
ただ、いくつか誤字が気になりました。

「それでも、僕は彼女にまだ恩返しをしていない。管理局の人間として、一、一人の人間として」

「それでも、僕は彼女にまだ恩返しをしていない。管理局の人間として、一人の人間として」

「はやて、僕にも維持があるんだ…男としての」
      ↓
「はやて、僕にも意地があるんだ…男としての」

 自分がクローンであることに嘆くフェイトに最凶の能力者は土器を交えた声で彼女に話しかける。
               ↓
 自分がクローンであることに嘆くフェイトに最凶の能力者は怒気を交えた声で彼女に話しかける。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:58:37 ID:C1f6V6Bu
GJ
クロノが言い味出してるなぁ。原作に近い感じだ。
かっこいい。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 13:59:46 ID:Nm5g0WHr
>>529 ありがとうございます。

下の二つは今日あとからこれつけた方がいいかなでつけたやつだ。。。

上の一文は一応意図的に作った文章なんですが、やっぱり変みたいですしね^^;

ご指摘のほど、ありがとうございます。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 14:04:40 ID:C1f6V6Bu
ていうかハオロウンて誰よ。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 14:11:30 ID:kxAzDTn6
まずは推敲と誤字の見直しを徹底しましょう。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 14:11:37 ID:Nm5g0WHr
…すみません、それは言い訳もできないレベルの間違いであり、原作元の名前を間違えるのは
決してしてはならないところでこれは…
ハラオウンがなぜハオロウンになった…申し訳ございません。。。

今後気を付けるために、買ったDVDをまた数回全部見てきます…


申しわけ無い。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 14:41:00 ID:CPIhTpF9
土器で吹いてしまったがネタは良かったと思う。
本気モードつちみーのようなクロノカッコヨスw
GJ
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 15:01:52 ID:hOvGnWOI
なのはクロスって『成長途中のクソガキ』と『成長しきった大人DQN』
どっちに分類されるかな?
537名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 15:24:51 ID:4sPFcwku
クロスさせる作品で変わるんじゃね?あと、作者の構成力と手腕etc
取り敢えず、その質問はウロスでやって欲しい
538名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 16:05:48 ID:QZNgXa5M
>>537
ウロススレはどこだ……
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 16:08:14 ID:kxAzDTn6
>>538
避難所にあるよ

リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ1
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6053/1206676333/

避難所がきちんと機能しはじめたので、移動になったんだよー。
540THE OPERATION LYRICAL:2008/03/29(土) 18:00:49 ID:WACr10rx
どうも、「ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL」の作者です。
1830ごろに投下したいのですがよろしいですか?
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:02:09 ID:jTRTsb/j
全力で支援しますw
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:26:16 ID:C1f6V6Bu
>>537
荒らしに触るな
543THE OPERATION LYRICAL:2008/03/29(土) 18:30:26 ID:WACr10rx
では時間になったので投下します。

ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL

第1話 邪悪な影

降り立った地は、異世界―。


「これが、そのパイロットの乗っていた戦闘機―やな?」
確認の意味も込めて機動六課の部隊長、八神はやては眼鏡を掛けた六課の通信士、シャリオ・フィニーノ、通称シャーリーに声を掛けた。
「はい、八神隊長」
シャーリーは頷き、続けて格納庫の中で眠る鋼鉄の翼―ミッドチルダに迷い込んだメビウス1の愛機F-22Aラプター航空支配戦闘機の解説を
行う。
「機体の特定はすぐに終わりました。この戦闘機は第九七管理外世界で開発されたF-22と言うものです」
「第九七管理外世界で?ホントに?」
はやての疑問の声にはシャリオは肯定の頷き。
―私は決して戦闘機に詳しい訳やないけど。
目の前の戦闘機が自分や親友の出身世界で開発されたものであると言うことを、はやてはどうにも信じる気になれなかった。
主翼に描かれた三つの鏃を合わせたような国籍マークは九七管理外世界では見覚えがないし、何より尾翼に記されている"ISAF"と言う組織
も、確かにその名の組織は存在するのだが治安支援部隊のものだった。戦闘機、それも最強と名高いF-22で治安維持と言うのは明らかに
過剰装備だろう。
「…でも、この機体、細部が微妙に違うんです」
そんなはやての考えを裏付けるかのように、シャリオが言った。
「具体的には?」
F-22の細部を見ながら、はやてはシャリオに問う。
「リベットって言って、機体の各部を繋ぎ合わせる鋲の一種なんですけど、その規格が違うんです。他にも、性能には大きく関わらないよ
うな小さなところが、九七管理外世界のものとは異なってるんです」
「ふぅむ…」
顎に手をやって、はやては自分の想像が正しいという手ごたえを感じつつも、更なる疑問が噴出してきた。
―間違いなく、これは私やなのはちゃんの出身世界から生み出されたもの。けど、細部が違う。この違和感はなんやろう?
「ええわ、機体の調査はとりあえず停止や。パイロットの人もあんまり触られると困るやろうし―」
「そうですか…」
はやての言葉に少し、肩を落とすシャリオ。
いきなり次元漂流者の乗っていた戦闘機の調査をして欲しいと言われて、応えられるのはデバイスのような精密機器の扱いに手馴れた彼女
くらいしかいないだろう、と言うのがはやての考えだった。その予感は的中し、見事に彼女は異世界の戦闘機を手早く調べてくれたのだが
―職業病なのか、シャリオはもっとじっくり調べたい様子だ。
「続きはパイロットの人に承諾を得てからや、人様のもんやし―ほんなら、私はそのパイロットに会ってくる」
「これからですか?」
「そ。グリフィス君もおるから大丈夫矢とは思うけど、何かあったら連絡してな」
ひとまずその場を離れ、はやてはF-22のパイロットが保護されている機動六課管轄の次元漂流者の保護施設へと向うことにした。
544THE OPERATION LYRICAL:2008/03/29(土) 18:32:09 ID:WACr10rx
保護とはよく言ったものだな、とメビウス1は胸のうちでつぶやく。
「どっちかと言うと監禁状態だな…」
案内された部屋は快適だったが、サヴァイバル・ジャケットもヘルメットも、そしてもっとも大事な愛機F-22も"調査"の名目で押収されて
しまい、許可なく部屋の外に出ることも禁止されていた。
あれから一夜が明け、しかしメビウス1は眠る気になれず、不安のような感情を抱えたまま今に至る。
「あの娘…高町なのは、と言ったか。それとフェイト・T・ハラウオン…」
昨晩、突如として飛行する彼の前に現れた二人の若い女性。彼女たちは自分のことを次元漂流者と言い、そしてこの部屋に案内した。
最初はエルジア残党軍による想像も尽かない方法による幻覚攻撃かと思ったが、それにしては彼女たちはお人好しと言う言葉がしっくり来
るように感じた。そもそも本当にこれがエルジア残党軍によるものだとしたら、真っ先に自分は殺されているはずだ。終戦に従わず、要塞
メガリスを占拠し決起した血気盛んなエルジア青年将校の一団ならそうするだろう。
「しかし…ここはいったい?」
部屋を見る限りでは特に変わったところはない。ベッドにテーブル、ソファーが二つに電気スタンド。一台だけテレビもある。
だが、彼女たちは音速に近い速度で飛行するメビウス1に文字通り"飛んで"近づいてきた。彼にはそれが不思議でならなかったのだ。
「まさか魔女…と言う訳ではあるまいな」
ひょっとしたらと思って口に出した言葉は実は正解なのだが、メビウス1はまさか、と自分の考えを否定する。
「………やめよ、考えても無駄だ」
ベッドの上に寝転がって、メビウス1は思考を放り出す。確か別れ際、フェイトが「後でまた来ます」とか言っていた。
その時に疑問はまとめて聞こう―そう思いつつ、彼は今まで見る気になれなかったテレビをつけてみた。
テレビ画面に映ったのは―誰もが知ってる、僕らの勇者王。ちょうど決め技のシーン。
『ゴルディオン・ハンマー!!』
「……こっちの世界のアニメって凄いなー」
画面に映る勇者王のダイナミックな動きに素直に感嘆の声を漏らしつつ、でも他のチャンネルに替えちゃうメビウス1だった。
しばらくテレビを見た彼だったが、ニュース番組は時間帯のせいなのかどこも放送していなかった。彼としてはここで何らかの情報が得ら
れると思っていたのだが。
「―と言うかどの局もアニメ流してるってのはどうなんだ」
勇者王の次は天元突破なドリルだったり、その次は史上最強のおバカ5歳児だったり、その次は一万年と二千年前から愛していたり、その
次は俺のターン!だったり。テレビの向こうではアニメによる視聴率争奪戦が行われていると言うのか。
まぁきっとそういう時間帯なんだろう、と深く考えず、メビウス1はふと空腹を覚えた。そういえばメガリス攻略のため出撃して以来、何
も口にしていない。
そんな彼の事情を察したのかは定かではないが、扉がノックされた。
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:33:02 ID:gnCB+Ojt
支援
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:33:49 ID:K+9wNB0L
支援!
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:35:14 ID:lt5FrVWr
扉の奥からは誰が?支援
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:35:21 ID:jTRTsb/j
支援
549THE OPERATION LYRICAL:2008/03/29(土) 18:35:30 ID:WACr10rx
「失礼します―気分はどうですか?」
保護した戦闘機のパイロットの部屋に入るのはフェイト。昨夜の時と違って管理局の制服姿で、手には彼のために用意した朝食のサンドイ
ッチにオレンジジュース。
「ん―あんたは、昨日の…」
彼が振り返る。とりあえず落ち着いてくれているようで、フェイトは安心する。
「はい、フェイト・T・ハラウオンです―昨日言った通り、また来ました。あと食事も」
「ありがたいな、ちょうど腹が減ってたところだ」
フェイトはテーブルの上にサンドイッチとオレンジジュースを置くと、ソファーに腰掛けた。メビウス1もベッドの上からソファーに移動
し、彼女に「失礼」と一言断ってからサンドイッチを手に取る。
「ええと…メビウス1、さん?」
「メビウスでいいよ、数字までつけられるのは堅苦しい」
「あ、はい…メビウスさん、食べながらでいいので聞いて下さい。この世界と、今あなたが置かれてる状況を説明しますので」
「ん…そういや、説明してくれるんだったな。頼む」
メビウス1はサンドイッチとオレンジジュースを交互に口に押し込みながら頷いて見せた。
「まず、異次元ってご存知ですか?」
「…え?異次元?」
メビウス1の反応は、フェイトにとって予想通りのもの。この口ぶりだと彼は何も知らないようだ。
「メビウスさんのいた世界以外にもたくさんの異なる"世界"が存在してるんです。メビウスさんは、何らかの原因で意図せずに別の、私た
ちの世界にやって来てしまったんです」
信じがたいかもしれないですけど、と付け加えて話すフェイト。一方のメビウス1は食事をする手を止めて、怪訝な表情をしている。
「何…じゃあ、なんだ。ここは異世界だって言うのかい?」
「はい、次元世界って言うんですけどね」
沈黙。メビウス1はいきなり目の前に突きつけられたあり得ない現実に混乱しているようだ。
「ま、待ってくれ。そんなSF映画みたいな話を信じろって?」
「信じにくいのは分かります…けど、これが現実なんです」
フェイトはまっすぐ視線をそらすことなく彼を見つめる。メビウス1はどうもフェイトが冗談を言うために来た訳ではないことを悟り、頭
を抱えて天井を見上げた。
「あー…本当かよ、そんな嘘みたいな話が現実に…待て、じゃあ昨日言っていた"次元漂流者"って?」
「次元漂流者というのは、要するに今のメビウスさんみたいに意図せず次元世界を飛んじゃった人のことです―私たち時空管理局は、そう
いった人たちを保護するのを仕事の一つにしてます」
「時空…管理局?」
フェイトはメビウス1の疑問に丁寧に一つ一つ答えていく。時空管理局はもちろんのこと、ここがミッドチルダと呼ばれる時空管理局の地
上本部がある世界であること、そして"魔法"が技術の一つとして確立していることも。無論昨日自分となのはが飛行中のF-22に近づいてこ
れたのも魔法によるものと説明しておいた。
すべての疑問に答え終えると、メビウス1は何か諦めた様子でため息を吐いた。
「メビウスさん…?」
「いや、何でもない…やれやれ、目の前の現実を否定してもしょうがない、か」
どうやら彼なりに現実を受け入れたらしい。フェイトは信じてもらえたことにほっと胸を撫で下ろす。
「それじゃあ、メビウスさんの世界について教えてくれませんか?」
「俺の?」
「はい、管理局の設備ならメビウスさんの世界も見つけれるはずです。もちろん送り返すことも―」
「何?」
ぱっとメビウス1の表情が一瞬輝く。これもフェイトの予想通り。次元漂流者はまず、故郷に帰りたがるものだ。
「そりゃ本当かい?」
「本当ですよ。該当する世界が見つかればすぐにでも―あ、もちろんあの戦闘機も一緒に。だから―」
教えてくれます?とフェイトは微笑んで見せる。メビウス1に断る要素はなかった。
「ちょっと待ちー!その話、私も混ぜてもらえんやろか?」
その時、突如として独特の発音の言葉が二人の間に割り込んできた。
550THE OPERATION LYRICAL:2008/03/29(土) 18:37:32 ID:WACr10rx
「はやて?いつの間に…」
「ついさっき、や」
なんだ、一人増えた―。
フェイトにはやてと呼ばれた若い女性は、メビウス1に向き直ると敬礼してみせた。
「どうも、お話中失礼しますわ。私、時空管理局機動六課の八神はやてって言います」
「こりゃご丁寧に…メビウス1だ、世話になってる」
メビウス1は答礼してはやての敬礼に答える。しかし、この無邪気な雰囲気の彼女に敬礼は似合ってないように思えた。
「はやて、急にどうしたの?」
「んー、彼の乗ってた戦闘機なんやけどね。私も見せてもらって、ちょっと確認したいことがあって来たんよ」
フェイトの問いに答えてはやては彼女の隣に腰を下ろす。これで機動六課の隊長格がなのはを除いて揃った事になる。
「メビウスさん…アメリカって国、知ってます?」
「アメリカ?いや、知らないな…オーシアなら知ってるが」
いきなり知らない国の名を問われて、メビウス1は戸惑う。彼の答えに、はやては「ふーむ、なるほど、やっぱり」と何やら納得している
様子だった。はやてとしては九七管理外世界にてF-22を開発したのがアメリカ合衆国であることから、まずはその辺を確認してみようと思
ったのだ。
「実はな、フェイトちゃん。メビウスさんの乗ってた戦闘機、私らの世界にあったんよ」
「え?じゃあ…」
「と思ったけど、シャーリー曰く細部が違うそうや。尾翼に描かれてたISAFって組織も、存在はするけど戦闘機は保有しとらんのや」
「ISAFって…ISAFはISAFだろう?そっちの世界じゃ違うのか?」
メビウス1は疑問の声を上げる。
「あ、ごめんなさい。私らの世界ってのは、九七管理外世界って言って、私や昨日お会いしたなのはちゃんの出身世界なんです。私らの世
界でISAFって言うたら国際治安支援部隊って組織なんです」
「俺の世界じゃISAFは独立国家連合軍なんだが…まぁ、違う世界ならそんな偶然もあるか」
大して気にせず、と言うより気にしないよう努めてメビウス1は適当に頷いた。これ以上何か気にしていると頭がパンクしそうだ。
「とりあえず確認できたわ、メビウスさんは九七管理外世界の出身ではない、と。しかしそれならどこの次元世界なんやろうなぁ」
「はやて、これからそれを確認するとこなんだよ」
フェイトがはやてのぼやきに答えて、改まってメビウス1に質問を始める。
「それじゃメビウスさん…職業、それから名前を」
「ISAF空軍第118戦術戦闘飛行隊所属のパイロット…本名は、命令によりお答えできない」
本名を名乗らないのは最初は彼女たちを信用していなかったからだが、今は命令で迂闊に本名を名乗るなと命令されたのを思い出したから
だ。特殊部隊の隊員が名を隠すのは、個人を特定されてテロリストに報復されたりしないようにするためなのと同じ理論である。
「…どうしても?」
「悪いな、これでも軍人なんだ。命令には逆らえない、例え異世界であってもな」
フェイトは困ったような表情をみせたが、はやてが「まぁ職業柄しゃあないんやない?」と助け舟を出してくれた。
「…まぁ、いいです。メビウスさんはメビウスさんですからね」
ひとまず納得した様子を見せたフェイトは次なる質問に移る。メビウス1は止まっていた食事を再開させながら、それらに答えていく。
小惑星ユリシーズの落下、それに伴う難民の大量発生と醜い押し付け合い、そしてエルジア共和国による武力侵攻、超巨大レールガ
ン"ストーンヘンジ"の接収。大陸からのISAF軍撤退、その後の反撃作戦、そして終戦―。
「難儀な世界ですね…」
黙って彼の語る世界の有様を聞いていたはやてが言葉を漏らす。平和なミッドチルダと違う、戦乱の続いたメビウス1の世界に彼女は先ほ
どとは打って変わって沈痛な表情をしていた。
「…死人が山ほど出たよ。俺自身、任務とはいえ多くの命を奪った―とはいえ、戦争は終わった」
話はおしまいだ、とメビウス1はオレンジジュースの残りを一気に飲む。
551THE OPERATION LYRICAL:2008/03/29(土) 18:39:18 ID:WACr10rx
「……世界はこんなはずじゃないことばっかり、ってお兄ちゃんが言ってたけど本当にその通りだよね」
フェイトがメモとペンをしまいつつ言った。
「…ありがとう、メビウスさん。必ずあなたの世界を見つけて、帰してあげますから」
「礼を言うのはこっちだ。飯も寝床も出してくれたんだし―ああ、F-22は?」
メビウス1は先ほどから自分の愛機が気になっていた。パイロットとして愛機が手元を離れているのはいささか不安な気分になってしまう。
「勝手ながら、簡単な調査を行わせてもらいました―けど安心してください、機体の機能を損なうようなことはしてません」
愛機の行方は、はやてが知っていた。メビウス1は彼女の言葉に安心したように頷く。
「じゃあ、メビウスさん―しばらくゆっくりしてて下さい。あなたの世界が見つかったら、すぐにお知らせしますので」
「足りないものとか、すぐに言うてください。出来ることはしますんで」
「悪いな、何から何まで…っ!?」
突如、耳障りな高音が鳴り響く。音の種類こそ違うが、メビウス1はこの手の類の音に聞き覚えがあった。即ち―
「警報…!?」
「フェイトちゃん、行くで!メビウスさん、後で!」
フェイト、はやては素早く立ち上がり、メビウス1に一礼してから慌しく部屋を飛び出していった。
―この世界にもスクランブル発進のような事態が起こりうる、と言うことか。平和を維持するのも大変だな。
部屋に取り残されたメビウス1はどこか他人事のように考えつつも、突然胸の中に現れた正体不明の違和感に戸惑いを覚える。
「なんだ、この感じは…?」
何かが来る。この平和な世界に似つかわしくない、邪悪な影が―。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:39:20 ID:lt5FrVWr
オレンジジュース――支援!
553THE OPERATION LYRICAL:2008/03/29(土) 18:40:43 ID:WACr10rx
投下終了です。
どうも会話ばっかりでいかんなー…。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:45:03 ID:lt5FrVWr
GJ。どう展開していくのかwktk
それにしてもミッドでは地球産アニメが流行っているのか?
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:46:05 ID:zWPy8ujx
GJ!!です。
スカ博士の手で、ゴーストのような悪魔的な性能の戦闘機ができるのだろうかw
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 18:58:43 ID:jTRTsb/j
GJ!!!
投下乙ですw
557リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 19:12:18 ID:9Ng/rJsl
色々ありましたが復活して何よりです。
殆ど議論に参加できませんでしたが、アセリア最新話を今晩11時半頃に投下したいと思ってます。
よろしいでしょうか?
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 19:15:42 ID:5VQArMyq
黄色の13こないかな?

ボスはサイファーですか?GJです
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 19:17:18 ID:jTRTsb/j
>>557
全力で支援します
投下まってま〜〜〜〜〜〜す
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 19:27:41 ID:xgryalUj
GJ!でした。
ZEROだとメビウス1ってウィザード隊数秒で堕すんですよね。

>>555
魔法版板野サーカスな光景を想像してしまったw
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 19:44:08 ID:jTRTsb/j
>>557
全力で支援します
投下まってま〜〜〜〜〜〜す
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 20:46:55 ID:iMcExSA4
GJ!
そういえば、メビウス1専用機は装甲と引き換えにして
運動性が人間の限界領域ギリギリまで高めてたっけ?
メビウスを描くデザインのリボンを付けた魔法少女を想像してしまった
563一尉:2008/03/29(土) 20:50:42 ID:/syTxfUd
ふむF−22なら米軍機たよ。支援たな。
564魔導新世紀リリカルなのはXtrikerS:2008/03/29(土) 20:54:33 ID:2cHPt5Ii
運営再開でとりあえずスレも一段落ですね。
自体把握や議論参加がとんでもなく遅くなってしまいましたが、本当に良かったです。
スレも再開しましたし、私も早速XtrikerS第二話を投下……といきたいのですが、パソコンのインターネット回線が完璧にイカれて現在使い物にならない状態となっています……
修理が完了しだい投下するので、またしばらくお待ちください;;
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 20:59:08 ID:QZNgXa5M
>>562
そんな描写は無かったぞ。

>「―と言うかどの局もアニメ流してるってのはどうなんだ」
おいミッド人
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 21:01:14 ID:iMcExSA4
>>565
AC6で選択できるメビウス機はそういうパラメータだったような
まあ、ストーリー上では通常機と同じなんだろうな
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 21:02:07 ID:sHxPzpZR
>>565
突っ込んだら負けだ、いろんな意味で。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 21:30:21 ID:MQilFFGx
540氏、GJ!!
ストーンヘンジは全ての航空魔導氏の天敵になりそうですな

>>562に気を付けろ!!彼のIDにはSA4サンダル地対空ミサイルが隠れてる!!
迂闊に近づけば落とされるぞ!?
569魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 21:33:28 ID:0EYngeLk
スレの流れが安定してきましたね。安心したぁ。
みなさんここ数日本当にお疲れ様でした。

さて、自分も今から投下したいんですがよろしいですか?
570魔法王女:2008/03/29(土) 21:35:54 ID:Q+PpaTfZ
はい、支援します。
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 21:38:33 ID:jTRTsb/j
支援
572魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 21:40:17 ID:0EYngeLk
深い森の中、紫の長髪を揺らしながらルーテシアは歩いていた。
視線を後ろに向けると少し離れて先ほど出会った変な兄弟も付いてきている。
腰に剣を差しているほうが兄のボルカンというらしく、ドシドシとがに股で闊歩している。
ちなみに彼の右頬が腫れているのはルーテシアへの「殺す」発言によりどこからともなく飛来したガリューによりぶん殴られた痕である。
その横を弟のドーチンが底の厚いメガネをかけた顔でオドオドと辺りを見回しながら歩いている。
兄弟だと言っていたが性格もその歩の進め方は極端なほど対照的だった。
似ているのは身長くらいのものか。二人ともルーテシアと同じくらいの矮躯だった。
彼らを誘ったのは他ならぬルーテシアだった。行くあてがないのなら一緒に来ないか、
となんとなく誘ってみた所あっさり付いてのだ。
あれから二時間、そろそろゼスト達と待ち合わせた場所に着く。
「おい、紫娘!一体いつまで歩くのだ。いいかげん疲れてきたぞ!」
足を止めて振り返る。ボルカンが不機嫌そうな顔でこっちを睨んでいる。
「もう少し。」
「そもそもどこへ向かってるの?さっきからずっと森の中なんだけど・・・。」
こちらはドーチンだ。
「ゼストとアギトの所。待ち合わせの場所、森の奥だから。あと・・・ボルカン?」
「あん?」
呼びなれない名前を口にする。
「私ルーテシア。紫娘じゃないよ。」
「うむ。わかった!ルーデンシンバシラだな!」
「・・・ガリュー」
またもやどこからともなく現れたガリューの跳び膝蹴りがボルカンの顔面にめり込んだ。
573魔法王女:2008/03/29(土) 21:41:33 ID:Q+PpaTfZ
支援
574魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 21:42:10 ID:0EYngeLk
機動六課シャワー室前―――

「はぁ〜、サッパリしたぁ。」
訓練を終え、シャワーを浴び終わったスバル・ナカジマの第一声だった。
「あんたシャワー長すぎ。いつまで待たせんのよ?」
「ごめ〜ん、ティア。エリオも、キャロも待たせちゃってごめんね・・?」
「そんな、全然平気ですよ。」
「そうですよ。それに、そんなに待ってないですし。」
そんな会話をしながら廊下をテクテクと歩いていく四人と一匹。
「あんた達スバルの事甘やかしすぎじゃない?
ちょーっと優しくするとすぐ調子に乗るわよ、そいつ。」
「うぅ〜意地悪だよぉ、ティア〜。」
「あ、あはは・・・。」
「そ、そういえばさっきヴィータ福隊長から送られてきた映像の人ですけど・・・。」
空気を変えようとやや強引に話を振るキャロ。10歳にあるまじき気の遣いようだ。
「今、なのはさん達と一緒にこっちに来てるんですよね・・・。」
「うん。でもAMFを素通りする魔法なんて・・・。一体何者なのかな?」
「もし悪い人だったら・・・なのはさん達大丈夫でしょうか。」
キャロが眉根を寄せてこちらを見上げてくる。
「う〜ん、よく分かんないけどこっちの味方をしてくれたんだよね。
なら良い人なんじゃないかな。」
「あんた相変わらずユルいわね〜。」
「む。何でよ〜。」
スバルが口を尖らせ抗議する。
「あの悪人顔が良い人なわけないじゃない。
目はつり上がってて恐いし、何かチンピラみたいなしゃべり方だったし、着てる物は黒一色だし」
「ティアそれ偏見・・・」 「服の色は関係ないんじゃ・・」
「とにかく!あれでただ善意から助けてくれたっていうんなら
見た目とのギャップが酷すぎるって話よ!!」
スバルとエリオが抗議の声を上げるが聞こえない。
「それになのはさん達なら何の心配もいらないんじゃない?
なんたって無敵のエース・オブ・エースなんだしね。」
そうキャロに笑いかけると「そ、そうですよね。」と笑い返してきた。

「う〜ん、私はいい人だと思うんだけどなぁ・・・。」
スバルがまだ何か言っていた。
575魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 21:45:39 ID:0EYngeLk
所変わって機動六課のとある廊下
「・・・つまり、彼を機動六課にスカウトするという事ですか?」
「せや。シグナムは反対なんか?」
なのは達を待たせている応接室へと向かいながら話す。
なんとなしに目を外に向けると窓から射しこむ光が赤く染まっている。
(もう夕方なんか・・・。最近陽が落ちるのが早いなぁ。っと、あかんあかん・・。)
会話の最中に別の事に意識を割いた自分を叱咤し、視線をシグナムに戻す。
自分の騎士はその切れ長の美しい瞳に若干非難の色を浮かべていた。
「正直、賛同できかねます・・。彼は民間人です。しかもさきほどヴィータから念話で聞いた話では次元漂流者の可能性まであるとか・・。
いくら力があるとはいえ保護するべき人物を、その・・・」
そこまで口にして言葉を切る、言いたい事は分かる。要するに「気が進まない」という事だ。苦笑して認める。
「そうやな・・・。さっきのはちょっと言葉が悪かったわ。ええとな?
管理局の規則では時空漂流者は保護時に強大な特殊能力や魔力があった場合、みんな封印されてまうやん?」
「・・・ええ」
「でもオーフェンさんのレアスキルには魔力はいらんのやろ?なら―――」
こちらの言いたい事を察したのかシグナムが息を飲む。
「・・・封印自体ができないかもしれない。もしそうなった時、局がどう対応するか・・・。」
想像するに難くない。本人にとっては酷く面白くない事になるだろう。
はやてが人差し指をピッと立て後を続ける。
「そこで発想の逆転や。要するに本局に咎められる前に機動六課でスカウトしてまえばいい。
そうすれば局にはレアスキル持ちの低ランク魔導師として登録される。
時空漂流者ならともかく自局の魔導師ならうるさい事言ってこれんやろ。
それなら私らもオーフェンさんの事守ってやれるし、
六課に入ってもらえばオーフェンさんにもウチのフォワードの子達を守ってもらえるやろ。
なのはちゃん達だけじゃ手が足らなくなる事もあるかもしれんし。」
「なるほど・・・。」
「・・・まぁ、オーフェンさんが嫌やいうたらそれまでなんやけどな・・・。」
シグナムは得心がいったという風に頷いた。
しかし―――
「ですが珍しいですね。主はやてがまだ話してもいない相手にそこまで肩入れするとは・・。」
その言葉にはやてはいたずらっぽい笑顔を浮かべる。
「そうやなぁ、目ツキがシグナムにちょっと似てたから情が湧いたんかな?」
「・・・・・・」
喜んでいいのかショックを受ければいいのか微妙なセリフだった。
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 21:47:35 ID:lt5FrVWr
支援
577魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 21:49:55 ID:0EYngeLk
それから十数分後―――
応接室にてオーフェンは八神はやてから今自分が置かれている状況を説明されていた。
彼女達が所属する組織、次元世界、魔法、デバイス、管理外世界・・・etc.
そして最後に機動六課への入隊の誘いを切り出した。
「―――というわけです。どうでしょうか?」
「やる。」
「確かに悩むのも無理は無いですし、今日一日くらいは考える時間―――え?」

返答は瞬速で帰ってきた。
想定していなかった事態に思わず目が点になる。
後ろで事の成り行きを見守っていた隊長陣も唖然としていた。
だがそんなもの今のオーフェンには全く気にならなかった。
・・・というか、「見えてさえいなかった」
今、オーフェンの頭の中はある思考に支配されていたからだ。すなわち―――

(まともな、職・・・。)
それ一点。この隊員ばかりか部隊長までもが女ばかりの部隊への疑念も、
今の自分の境遇に対する苛立ちも、元の世界への未練も、
いざとなったら辺り一帯を魔術で爆砕させてその隙に逃げ出そうという企みも
その言葉に消し飛ばされていた。

非合法な金貸しなんかじゃない「まともな職業。」なんてすばらしい響きなんだろう。
しかも話を聞くかぎり衣食住まで保障されるらしい。
もしそれが本当ならもう町の宿屋に住み着いて寄生虫呼ばわりされたり、
小麦粉を溶かした水や、魔術で打ち落とした炭のようなカラスの肉で飢えを凌ぐような事もない。
あまりの空腹に涙を流し、「ああ、涙の水分がもったいない・・」などとのたまう必要もなくなる!

「あ、あの、ええんですか?そんな簡単に―――」
「当然だろう!それしか手段がないなら全くもって不本意だが喜んで俺の力を貸そうじゃないか!!」
戸惑うはやての手を両手で握り、熱の入った声で叫ぶ。
後ろでヴィータが発した「どっちだよ・・・」という呟きは完全に黙殺された。

「オーフェンさん・・・。」
その熱い(異様にギラついた)瞳にみつめられ、はやての頬が赤くなる。
「あ、ありがとうございます!」

「いや、礼を言うのは俺のほうだろ。
あんたが手を回してくれなくちゃどうなってたか分かんなかったわけだしな。」
「あ、そういえばそうでしたね。うん、ちゃんと感謝して下さいね?
あと、あんたやのうてちゃんとはやてって呼んで下さい。」

「あいよ。これからよろしく頼むぜ、はやて。」
手を握り合ったままさわやかに笑いあう二人。
なのは達も新しい仲間ができた事に(少しひきつりながらだが)喜んでいる。

「ところで」
唐突にオーフェンが口を開く、笑顔を崩さずに。

「ギャラはどれくらい貰えるんだ?」



室内に寒い風が吹く。
――――部屋の気温がやや下がった気がした。


とにかくこれが管理局・機動六課「魔術士」オーフェンがやや台無しな空気の中で誕生した瞬間だった。

魔術士オーフェン第4話 終
578魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 21:52:31 ID:0EYngeLk
これにて投下終了です。
・・・入隊までで4話かぁ。長いなぁ。
579魔法王女:2008/03/29(土) 21:57:25 ID:Q+PpaTfZ
>>578
お疲れ様でした。
ボルカン、死んだんじゃないか?
まあギャラは・・・彼の性格上ねぇ・・・
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:02:17 ID:N4DhU5gU
 GJ!
 今までプー同然だった彼が定職に就いて、まともに働けるのか……今後が気になりますね。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:04:06 ID:Gi8QJfJ2
これはぐれ旅後なんだよね?
どう見ても無謀編のオーフェンにしか見えないんだが……
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:04:35 ID:0EYngeLk
>>579
ボルカンは死なない。何度でも蘇るさ!

う〜ん、ちょっと文章が単調かなぁ。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:05:09 ID:cubK6DTO
>>581
シッ!もかもか室に連れていかれるぞ!
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:05:30 ID:uurD4Jgd
オーフェンがまともな職?!つじつまが合わない!!
『これは現実ではない!!』
スタンド攻撃!?それとも天変地異の前兆!?
早くオーフェンをちんぴらに戻さないと次元震が起こるぞ!!
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:06:02 ID:lt5FrVWr
>>578
GJ
しかしオーフェン、現地の物価とか知らないだろうから、金額言われたってどの道分からんだろうに。
まぁ、でも就業に際しての待遇とギャラ確認は必須だよな、うん。間違ってないぞ・・・!
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:07:39 ID:M8WdqFqL
平時にコテを外さない
それは「この騒動で何を学んだ?」と言う冷笑を浴びせられかねない諸刃の剣的行為
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:07:49 ID:7CEqPUos
オーフェンが定職につくだと・・・?
これはもう世界が終わるな
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:08:32 ID:uurD4Jgd
>>581
おしおき水飲む?
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:09:56 ID:uurD4Jgd
>>581
おしおき水飲む?
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:10:37 ID:5r+uF7q3
>>584
なーに近いうちにまたチンピラに戻るさ
以前某スレの巨乳ハーフエルフに召喚されたあと
紆余曲折を経て某学院の用務員になったが
結局盗みの手伝いしてたしw
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:10:59 ID:7CEqPUos
>>588-589
なんで2回も言うのかな?かな・
592魔術士オーフェンStrikers:2008/03/29(土) 22:22:56 ID:0EYngeLk
>>586
申し訳ない。またやっちまった・・・。

みんなオーフェンの就職に反応しすぎw
・・・まぁ、かくいう自分も書いてて何か凄まじい違和感に襲われてるんだが・・・。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:25:59 ID:cubK6DTO
いいかげんアンカーのつけ方覚えようぜ。半角だ
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:27:15 ID:zWPy8ujx
>>592さんあなたではなく>>579さんでは?
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:27:51 ID:Gi8QJfJ2
>>582
特に秋田作品は原作がかなり特徴的な文章だから、二次創作でこうやって単調に書いちゃうと余計に違和感が増すよね。
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:33:26 ID:UoZvQKRJ
GJ!!
でも、せっかくだから事情説明のところはやってほしかった
カルチャーショックだろうなぁ
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:54:50 ID:YUoiYDbJ
管理局人になるなら非殺傷設定どうするんだろ。

管理局からすればオーフェンの魔術は未知の技術だし、
本人得意の暗殺術や格闘術は非殺傷の仕様がないだろうし。

オーフェンは人殺すことが出来なくて
初めて人殺したときも「殺すほどの相手じゃなかったハズだ!なのに俺は!自分を制御できなかった!!」
ってショック受けてスランプ入る男だけど、
人を殴ったり半殺しにするだけなら一切をためらわないからなぁ。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 22:56:09 ID:U3VfHuyJ
>>592
まあまあ俺はようやっと職を得たオーフェンに、ちょっと貰い泣きしそうになった。
599Strikers May Cry:2008/03/29(土) 23:01:54 ID:CcDtOW2d
十一時半にアセリア氏が投下でしたよね、30分前の今なら投下大丈夫でしょうか?

リリカル・グレイヴの番外編なんっすけど。
600Strikers May Cry:2008/03/29(土) 23:03:09 ID:CcDtOW2d
いかん、よく考えたらオーフェン氏の投下直後だった。

顔洗って出直してきます。
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:09:06 ID:H0asBytA
>>600
1時間以上立ってるからOKだと思うんだが・・・
602Strikers May Cry:2008/03/29(土) 23:12:38 ID:CcDtOW2d
>>601
よく考えたらそうだった‥‥‥すいません、土曜なので昨日から不眠でSS書いてて時間の感覚がおかしくなりつつあるようです。

ともかくアセリア氏が30分から投下されるそうなので、今は自粛しますね。
また空いてそうなじかんにでも投下します。
603StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/29(土) 23:14:31 ID:hqHex6I+
えっと…僕も投下したいのですが、何時ごろ空いてますでしょうか?
それと皆さん…心肺蘇生法に免疫ありますか?
604Strikers May Cry:2008/03/29(土) 23:18:04 ID:CcDtOW2d
いや、俺は良いっすから。
アセリア氏の投下が終了しましたらライダー氏から投下をなさってください。

それと心肺蘇生なら開胸式の描写でも俺は平気ですよ。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:22:04 ID:jTRTsb/j
平気ですYO
投下待ってます♪
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:23:58 ID:1lK2T6L6
全然平気ですよw
例えスタンドで心臓を直接握る蘇生法でも問題なしっす!
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:24:59 ID:zWPy8ujx
ふふ・・・CSINYを昼飯食いながら見れる私ならいける筈ッ!!
前回のシデムシの回はキツカッタヨ。
支援しますw
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:27:18 ID:6qJKakAN
お前らどうしてそんなグロい方にしか考えられないんだwww
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:28:18 ID:jTRTsb/j
>>607
俺には_だぜぃCSINYを見ながら飯食うのはw
610リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:30:44 ID:9Ng/rJsl
時間になったので投下開始したいと思います。



「よし!」

 自室にて戦闘服に着替えたティアナがいた。 だが1ヶ月前の服装とは違っている。
 露出は抑えているものの、動きが抑制されないような白い服に、特殊な金属で作られた手甲。 無駄な装甲を落とし、機動性を重視した服装である。 この1ヵ月でティアナが選んだ装備であった。
 ティアナは神剣の力もあり防御力は最高クラスに高い。 よほどの攻撃でなければ貫けない程だ。
 しかしその反面機動性と運動性はそれほどでもなかった。 突進力ならあるのだが、やはり鈍い動きでは対応出来ない相手がいた時に危険である。
 そこで焼け石に水程度ではあるが、通常装備の装甲を削り機動性を少しでも高めようとしたのである。

「ん、これでいいわね」

 特殊な魔法がかかっているこの服装はある程度ではあるが、ティアナの動きを補助してくれる。 ティアナにはこれで十分であった。
 自分が足りない部分は仲間達に補ってもらえばいい。 仲間達に足りない部分は自分が補えばいいと思っているからである。

「ティアナ」
「タキオス様?」

 準備が終わった直後にタキオスが入ってきた。 どうやらこちらの準備が終わるのを待っていたようである。

「餞別だ」
「えっ?」
「それはマナで組まれている。 ある程度の攻撃を弾く事は可能だろう」

 タキオスから渡されたのは黒い外套。 異様に軽い。 これならば自分が装備しても然程動きを阻害する事はない。
 しかしどうしてこのようなものを自分に?
 そう疑問を思っているとタキオスが、少し微笑したようにも見えた。

「何、この戦いが無事に終わればお前もエターナルになる資格が与えられる筈だ」
「私が……エターナルに?」

 その一言は衝撃的であった。
 テムオリンやタキオス達がなっている遥か高みの存在。 自分もまたそれを目指していたが、まさかその資格が与えられようとしているとは。
 ティアナは嬉しくなってきた。 遂にだ。 遂に自分も主達と同じ場所に立つ事が出来るのだと。

「ふっ、期待しているぞ。 エターナルになった時、貴様は【統べる聖剣ティアナ】の名が与えられる筈だ。 我等の期待を裏切るなよ」
「はい!! 全力で期待に答えてみせます!!」

 忠義を誓う騎士のように片膝をついた格好を取る。
 そんなティアナにタキオスは再び、軽い微笑しながら部屋を出て行った。
 タキオスが出て行ってもまだティアナは格好を崩す事はない。 今はまだ嬉しさが体全体に染み渡っているのだ。
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:32:41 ID:jTRTsb/j
待ってました〜〜〜〜〜
エタ化フラグキタ?
612リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:34:13 ID:9Ng/rJsl
「私がエターナルに……しかももう【名】まで決まっているなんて……!」

 【名】はエターナルを示す記号である。
 【黒い刃タキオス】、【法皇テムオリン】など所持している永遠神剣によってつけられる名は変わってしまうが、それは1つの答えであった。
 エターナルになる。
 もちろんリスクがない訳ではない。 しかし何よりテムオリン達に期待されている事が何よりも嬉しかった。
 負けられない。
 自分に期待を寄せてくれている人達の為、そして信頼出来る仲間達の為にも。

「私は負けられない!」



 ○―――○



「ふぅ……」

 休憩所でスバルはため息をついた。
 地上本部で行われる会議が始まって2時間とい時間がたったのだ。 会議が始まって2時間の間、張り詰められた緊張は解かれる様子はない。
 そんな緊張の中にいて、まだ若いスバルは酷く疲れていた。
 こんな調子で終わるまでもつのかが気になるが、そうはいかないのも事実である。
 例の集団がこの場所を襲撃する可能性が非常に高いと上からの通知を受けている事を、ブリーティング時に部隊長から聞いていた為である。
 ふぅ、と再びため息を吐くとスバルに水が入った紙コップが渡された。

「あっ、ありがとギン姉」
「気にしないでスバル」

 スバルの姉のギンガである。
 ティアナが抜けたスターズ分隊の穴を埋める為に、ギンガが出向してきたのである。
 本来ならティアナと同じ砲撃魔道師が来る予定だったのではあるが、ティアナの生存もあり急遽ギンガに変更したのである。
 それ以外にもスバルとのコンビネーションを考えると、無理矢理作ったコンビよりは同じタイプではあるがギンガの方が遥かにいい為だ。
 などと色々な事情な結果、ギンガがやってきたのである。

「ティアナ……来ると思う?」
「分からないけど……あいつ等が来れば絶対にティアも一緒にやってくると思う」

 戦闘機人、ミニオン。 どちらも手強い相手だ。 並大抵な敵ではない。
 今の自分達で、どれほど戦えるか分からないがティアナ来れば話は別だ。 何がなんでも自分達の手で助け出す。
 そんな自分の気持ちを理解してくれたのか、スバル達のスターズ分隊が今日の警備部隊の1つに選ばれていた。 ライトニング分隊は六課で待機している筈だ。
 エリオとキャロ、残っているヴァイス達もティアナが帰って来る事を望んでいるだろう。
 だから負けられない。 そして絶対に助けてみせる。
 スバルは何度もそう心の中で決意する。 拳を硬く握り締めていると、その拳に柔らかいギンガの手が重ねられた。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:34:34 ID:siJYRIrG
統べる聖剣って、おいおwww支援
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:35:39 ID:jTRTsb/j
時に統べるじゃなくて統べしでは?
615リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:37:12 ID:9Ng/rJsl
「スバル、無理しないでね。 私達も手伝うから」
「ギン姉……うん! 2人――ううん、みんなでティアを助けようね」

 なのは隊長は勿論、きっとヴィータ副隊長だって手伝ってくれる筈である。
 1人で出来る事は決して多くない。 未だ魔道師として未熟な自分1人ですべて出来るとは思ってはいない。 だからこそ仲間を頼るのだ。

「休憩時間も終わり。 頑張ろ、ギン姉!」
「ええ!」

 そう2人が立ち上がった瞬間――

「えっ?」

 紅い閃光が地上本部を貫いた。

「なっ! フィールドを貫いたの!?」

 ギンガが驚きの叫びを上げた。
 それもそうだろう。 地上本部には強固な防御フィールドが展開されている。 対物と対魔法の両方に対応した特別製の防御フィールドなのだ。
 並大抵の質量兵器、魔法の攻撃など問題にしないぐらい強固なのだ。 しかしそれをたった一撃で貫いたあの一撃はどれほどの威力があると言うのだ?
 いや、それ以前にあの攻撃を察する事は出来なかったのだろうか? こちらのサーチが届かない程、遠距離から放たれたとは思えない。
 そうなるとこの近くに潜伏し放った事になる。 察する事は出来なかったがあれほどの威力の攻撃だ。 さすがに司令部も気づいただろう。
 ならば情報が必要である。 まずは司令部の方から情報をもらわなければ、とギンガが司令部に通信を繋ごうとするが……繋がらない。

「ギン姉、どうしたの!?」

 何時の間にかバリアジャケットを装備し、戦闘準備に入った慌てたギンガの様子に気づいて声をかけてくる。
 ギンガはそんなスバルに司令部と通信と繋がらない事を説明する。
 情報が入ってこなければ、動きにくい。 その事は司令部の方も承知している筈なのだが、何の情報も入ってこない事が不気味に見えてくる。
 もしかしたら司令部は既に敵によって制圧されいているのかもしれない。
 そこまで考えていると、スターズ分隊隊長である高町なのはから通信が入ってきたのだ。

『スバル、ギンガ2人は何処にいる?』
「東の休憩所です」
『それなら地下の東ブロックに向かって、054部隊と合流して! 地下から敵が侵入してきてる!』

 それはとてつもない話であった。
 まさかこうもあっさりと初撃を許し、なおかつ本部への進入を許してしまうなんて。

「分かりました! スターズ3、スターズ5の2名は地下ブロックに向かいます!」
『うん、お願い! 私とヴィータ副隊長は空から来る敵を迎撃するから』
「はい!」

 なのはからの通信が途切れる。 休憩所から出て空を見上げれば、先ほどの紅い閃光が再び地上本部へと襲い掛かっていた。
 しかし今度は飛行を行っていた局員達の強力なフィールドも合わせて防御に回した為、うまく防いだようだ。
 だがそれと同時に、何処か見た事があるような召喚陣とともに大量のガジェットとミニオン達が現れた。
616リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:40:46 ID:9Ng/rJsl
「あれって転送魔法!?」
「スバル、驚いている暇はないわよ! 急いで地下に!」
「う、うん!」

 地上と空。 両方からの襲撃に対して管理局側も戦力を展開しているが、スバルの目にはどう見ても管理局側の方が圧倒的に戦力が少ないように見えた。
 もちろん展開している戦力の中にはエリートクラスの局員もいるだろうが、やはりこの物量の差はそうそうに覆せるものではない。
 更に言えば、あちらは魔法を遮断するAMFを持っているガジェットに1人1人が強力な力をもったミニオンなのだ。

「なのはさん! ここはお願いします」

 スバルはそう呟くとギンガと共に地下ブロックへと突撃していった。



 ○―――○



 ギンガの予想通り司令部は既に敵――ナンバーズの手によって陥落していた。
 短時間であっさりと陥落してしまった司令部だが、決して司令部の人間が無能と言う訳ではない。 それぞれ職務を全うし、司令部を警備していた武装局員も配備されている。
 レジアス中将からも司令部には襲撃に対する警戒をするようにも言われいたのである。
 が、しかし思わぬ敵の動きによってあっさりと彼等は敗北してしまったののだ。
 司令部の天井から突如放たれた閃光と煙。 それと同時に警備を行っていた職員に襲い掛かる無数のナイフ達。
 もちろんこれだけでは局員達も簡単には負ける事はなかっただろう。 壁などをすり抜けて来るスキルもない訳ではない。 そう彼女達は突然にこの場に現れたのだ。
 この司令室には厳重に転送魔法で来れないように結界が張られている。 それすらも突破するとはどういう事だろうか?

「ふぅ、うまくいった」
「ええ」
「そうだな」

 答えは簡単。 ナンバーズ6――セインのIS【ディープダイバー】の強化型は魔法の力なしでの短距離転移が出来る代物なのである。
 壁をすり抜けて来るのならば即座に反応出来た局員だが、突如魔法の反応もなく部屋の真ん中に現れ襲撃してきた彼女達に反応する事が出来なかったのだ。
 その結果がこれ。
 セインの力により一緒にやってきたティアナとチンクはあっという間に武装局員を排除していた。 意図的に殺してはいないが、当たり所が悪ければ死んでいるだろう。
 しかしそれを気にする事はしないし出来ない。 司令部を制圧したとはまだここは敵の本拠地なのだ。 どんなものが用意されているかは分からない。

「よし、一般職員も沈黙かな」
「みたいね」

 一般職員の方はセインが投下した痺れ薬混入の煙玉で気絶してしまっている。
 そんな様子に思わずセインが首を捻る。 ドクターからもらった煙玉は痺れ薬が混入されていると聞いてたのに対して、結果は気絶。 一体何が入ってたのだろうかと思うのは当然である。
 しかしそんな様子を気にもとめないのがティアナとチンクだ。 既に彼女達は司令部のシステムを破壊し終えていた。 これで司令部からの各部隊への相互連絡はかなり抑えられた筈だ。
 だが現場に優秀な指揮官はいる。 司令部が潰されたと分かれば、独自の判断で動いてくるだろう。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:43:36 ID:DpuFK5C6
支援
しかし統べし聖剣じゃないか?
618リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:44:54 ID:9Ng/rJsl
「後はどっちが先にチェックをかけるかね」
「時間との勝負だな」

 ティアナとチンクは頷く。
 このまま時間をかけていてはあちらも戦力の集結をはかるだろう。 彼等が本気になれば、相当数の戦力を用意する事は簡単ではないが不可能ではない。
 物量作戦による消耗戦になれば、補給ルートが細い自分達は叩き潰されるのがオチだ。 普通ならばの話だが。
 こちらにはエターナルと呼ばれる規格外が存在するのだ。 ちょっとやそっとな戦力をかき集めた程度では話にはならないだろう。
 しかし強力な戦力を複数で単独のエターナルにぶつければ勝てない訳ではないのだ。
 だがそれ以上にティアナ達が知っている最悪の問題。
 あるべき秩序を望まず、混沌の世界を選んだ者達――カオス・エターナル。
 彼等もまたテムオリン達と同じエターナル故に、1体でエターナルに対抗出来る力を持っている。
 そんな彼等が時空管理局と手を組めば数で勝るカオス・エターナル達が有利になるのは必然的である。 だからこそ出来るだけ迅速に事を進めたいのだ。
 これからの計画は既にティアナは聞いていた。 それを実行に移す為のブツを手に入れる為に各々動いている状態。 それを出来るだけ揃えたいのだ。

「器は?」
「ディード達が向かってる。 あちらはトーレがついてるから問題ないだろう」
「そうね」
「チンク姉、ティアナ! クア姉から連絡!」

 セインが見せる端末にはクアットロから送られてきた外の状況が映っていた。
 現在、空の方からガジェットと飛行可能な青と黒のミニオン達が。 地上は緑、赤、白のミニオン達が襲撃を行っている。
 数は両方とも相当数あるのだが、やはりと言うべきか一部のエースや動きが素早い小隊達によって確実に数が減らされていっている。

「やっぱり対策は考えてあるか。 管理局も馬鹿ではないな」
「当然って考えた方がいいわね。 そうでなきゃこれぐらい考えなきゃ【時空管理局】なんて名前は使えないわよ」

 この広大すぎる次元世界で管理するなどと言える組織だ。 これぐらいの対処能力がなくてはやっていけないだろう。
 ならば後の問題はこちらだ。 時空管理局を――いやカオス・エターナル達がやってくる前にことをなさなくてはいけない。
 もちろん不可能な事は分かっている。 しかしこちらの勝利条件を満たす為の鍵を手に入れる事ぐらいはしなくてはならないのだ。

「なら私は予定通りウェンディ達と合流して敵魔道師の撃退行動に移るわ」
「ああ、頼む。 姉はディエチと合流して動力部の破壊に向かう。 セイン!」
「あいよ! じゃあティアナ、後でね!!」

 セインとチンクが司令部から姿を消すのを確認すると同時にティアナも行動を開始する。 まずは最初の予定通りウェンディとの合流だ。



 ○―――○


619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:45:31 ID:cubK6DTO
支援
滑る聖剣ですね、わかります
620リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:49:39 ID:9Ng/rJsl
 その連絡を受けたのはちょうど戦闘が開始されてから2時間程経った頃だった。
 ティアナと思わしき人物が地下の西ブロックで目撃されたというのだ。 その情報に一番反応したのは当然の事ながらスバルである。
 敵になってしまった友人を助ける。 それがスバルのもう1つの目的である。
 しかしスバルは現在東ブロックに進入してくる敵を迎撃するので手一杯だ。 親友がいるらしきブロックはちょうど真逆。 それに持ち場を離れる訳にはいかないのだ。
 迷いが指した時、055隊の隊長が声をかけてきた。

「行きな、スバル・ナカジマ2等陸士」
「えっ? でも!!」

 そうだ。 今この場から離れれば貴重な推定Aランククラスの魔道師がいなくなる事になる。
 もちろん自分の力を過信する気はないが、自分の力が仲間を守っているのも事実なのだ。
 そして何より隊長であるこの人のデバイスは先程の砲撃魔法により破損している。 こんな状況で彼等を見捨てるような真似は出来なかった。

「安心しな、譲ちゃんとその姉ちゃんがいなくなったって俺達は死にやしねえよ」

 自分の父ぐらいの年齢の隊長が笑う。
 そこには自分達がいなくなってもここを死守するという自信と使命感に溢れていた。

「だから安心して自分のやるべき事をやりな」
「……はい! 行こうギン姉!!」
「ええ!!」

 スバルとギンガはマッハキャリバーとブリッツキャリバーを全力稼動させて西ブロックへと突撃していく。
 残されるのは055隊の面々だけだ。

「さて、野郎共! 譲ちゃん達の為にもここは絶対に死守するぞ!!」
「隊長! ここを無事に守り通したらギンガ・ナカジマ陸曹にデートのお誘いをしてもいいですか!?」
「俺はあのスバルちゃんの方がいいな」
「待てやごら! スバルちゃんは俺が貰うぜ!」
「何言ってんだスバルちゃんも良いが、やはり母性的な魅力を持つギンガちゃんの方がいいだろう!」

 何故か隊員達が誰をデートに争うかで競い合っている。
 今の所、敵の影はないが何時増援が来るか分からないこの状況で実に気楽な様子だ。
 そんな部下の様子を笑いながら見ていた隊長であったが、敵が開けた穴の方から敏感に何かを感じ取ると表情を引き締める。
 それと同時に部下達も言い争いをやめて、各々のデバイスを構えなおす。

「マーグ2から5は俺と一緒に接近戦を仕掛けるぞ。 譲ちゃん2人の穴を埋める。 マーグ6から12は遠距離攻撃で支援。 ただし青色には引き続き注意しろ」
「了解!!」
「しかし隊長はどうするんですかい?」
「ん、俺か? 俺はなこいつを使う」

 破損した近代ベルカ式の槍型デバイスを待機モードに戻すと、変わりに取り出したカードを起動させる。
 それもまた近代ベルカ式のデバイスなのだが。

「それって隊長……まさか……」
「おうよ。 1年前に管理外世界で世話になっちまったあの姉ちゃん達が使ってた太刀を模した奴さ」

 1年程前に管理外世界に逃げた違法魔道師を追って、緊急ながらも055隊が出動したのである。
 しかし神の敵は違法魔道師ではなくその世界に生息している巨大な生物だった。
 四足歩行するティラノサウルス――管理外生物の絶滅した生物――のような姿の竜はこちらの魔法が効かないと言わんばかりのタフネスさと、俊敏な動きでこちらに襲い掛かってくるのでたまったものではなかった
 そんなとんでも生物と戦う破目になった彼等を救ったのはその世界に住む4人のハンター達であった。
 それぞれ太刀、ハンマー、弓、槍を持ったパーティーで彼等の窮地を救ってくれた恩人達。 そんなハンター達の武器を隊長はこっそりデバイスとして作らせていたらしい。
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:50:20 ID:gnCB+Ojt
支援
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:51:21 ID:jTRTsb/j
チョw
ディガレックスw
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:52:53 ID:6qJKakAN
勇者王といいモンハンといい何でこうも今日投下される作品はwww支援
624魔法王女 ◆75SJn0Il0A :2008/03/29(土) 23:53:08 ID:Q+PpaTfZ
>>594を受けて、コテトリ。

そして支援します
625リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:54:04 ID:9Ng/rJsl
「隊長! 物凄くズルイっす!!」
「金貯めて自分で依頼しな!」

 それを言い終わると同時に現れる増援のミニオン達。 数は30程だ。

「来な、人形共! この【鬼哭斬破刀】の錆びにしてやるぜ!!」



 ○―――○



 スバルとギンガが到着した時、そこは既に地獄であった。
 所々からうめき声さえも響き渡る事なく。 そこにあるのは物言わぬ武装局員の骸達だけ。
 それを作り上げたのたった1人の少女であった。

「敵、2つ追加ね」

 局員達を切り裂いた両手に持つ剣は既に真っ赤に血塗られている。
 その体を覆うように纏っている黒い外套には返り血が染み付いたように見える。
 そんなティアナがこちらに向き直ると、思わずギンガが戦闘態勢を取るのは仕方がないと思う。 それぐらいに今のティアナは恐ろしかった。
 ティアナから感じるのは圧倒的な強者の気配。 リミッター解除をした敬愛する上官高町なのはにも劣らない程の威圧感だ。
 勝てるのか? 取り押さえる事が出来るのか? 捕まえる事が出来るのか? 考える事はそればかりだ。 絶対に助けると誓ったのだ。
 だが同時に、彼女に倒される未来しか見えてこないのも事実であった。

「ティア……」
「……?」

 対してティアナは新たに現れた敵が上げた声に反応していた。
 何故、敵である彼女達が自分の愛称を知っているのだろうか? その呼び方はルーテシアぐらいしか使っていないのだが。
 だからこそ違和感を感じる。 何故敵がと。
 そう。 その愛称を始めてつけてくれたのはルーテ――大好きな■のテ■■■なのだ。

「ぐっ!?」

 何故かノイズが走る。 覚えている事のない事が突然頭に浮かび上がってくる。 だが何かがその記憶を記録を粉砕していく。
 その愛称をつけてくれたのはルーテシアだとティアナが再認識すると、すっきりした。
 大丈夫。 目の前の敵を殺せば、この周辺にいる敵は殲滅だ。 その後はウェンディと合流して、他の仲間の助けに行こう。
 その為にも早い所で、この敵を殺さないと。

『聞こえてるッスかティアナ?』
『大丈夫聞こえてるわ』
『他のブロックでも抵抗が強くて大変ッス。 援護に来てくれないッスか?』
『分かったわ。 もう少しで終わりそうだから待ってて』
『了解ッス』
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:55:04 ID:siJYRIrG
これはいい洗脳支援
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:56:54 ID:msDbwyh5
そりゃ2ndGが来たばかりから気持ちは分かるけどー支援w
628リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/29(土) 23:58:16 ID:9Ng/rJsl
 ウェンディからの連絡が切れる。 仲間達も苦戦しているようだ。
 さすが地上本部。 今まで以上の抵抗があるのは当然か。

「時間がないわね。 さっさと終わらせるわ!」
「はあぁぁ!!」
「っつ!?」

 言葉を終えるか終えないかと同時に一気にティアナが斬りこむ。 その速度は半端なく速い。
 だがスバルはその初撃を防ぎきった。 ティアナ達などの動きが早い事は分かっていたので、その速さに慣れる為に彼女達はフェイトに訓練をしてもらったのだ。
 その成果が出たのか、見事に防ぎきった。 頑丈さもあるのでバリアが一撃でやぶられる様子はない。
 スバルとギンガは喜んでいたが、ティアナは驚きの表情が出ていた。
 何せ今まで戦ってきた局員達は大抵このように斬り込めば、一撃で倒す事が出来た。 よしんば反応が間に合ったとしても、展開されたバリア事切り裂く事で一撃で倒してきたのだ。
 そんな一撃が防がれれば驚くのも仕方がない。
 しかしそれで動きを止めるティアナではない。 すぐさまに間合いを取る。
 既にスバルとギンガも戦闘態勢に移行している。 その様子に隙は然程ない。 その辺に転がっているもの達に比べれば断然目の前の敵の方が強いのだろう。
 先程の自然体とは違い、構えを取り大剣型の【求め】と、片手剣型の【誓い】をそれぞれ握りなおす。

「終わらせる!」
「絶対に助け出してみせる!!」

 まず最初に動いたのはギンガであった。
 彼女はスバル以上に速く重い一撃を放つ事が出来る。 それに何よりティアナの意識がスバルにばかり向いていたというのもあり、奇襲にはぴったりだったのだ。
 その奇襲は成功。 実際先程のノイズのせいか、ティアナの意識がスバルにしか向いていなかったのだ。 その為、初撃を挫かれギンガの攻撃を受けてしまう事になる。
 なんとか【求め】を盾にする事で防ぐが、その次に突撃してくるのはスバル。 カートリッジをロードした右手には通常以上の魔力が付加されている。 一点集中でこちらのバリアを抜くと言った感じがする。
 さすがにこれは防ぎきれないと判断したのかティアナは【誓い】で防ごうと、そちらの方向に向けようとするがスバルの狙いが【誓い】だったのか特に移動する事もなく受け止める事が出来た。
 この行動に疑問を抱くティアナ。
 どうして剣を狙うのだろうか? 永遠神剣は簡単に壊されるものなどではない。
 しかしここでティアナは考えるのをやめた。 永遠神剣の情報を持っていないこいつらには分からないだろうと判断した為だ。
 だから何も考えずにマナを剣に込めていく。 それに気づいたスバルとギンガが離脱しようとするが――遅い。

「きゃあっ!?」
「くうぅ!?」

 込められたマナを斬撃と同時に解放。 たった一振りでスバルとギンガがなぎ倒してしまった。
 壁まで吹き飛ばされたスバルとギンガは既にボロボロであった。 たった一撃だというのにこのレベルの差はなんなのか?
 スバルはティアナの攻撃で受けた傷の痛みを無視して立ち上がろうとするが、予想以上に力が入らない。
 立ち上がろうとしても、ガクガクと体が震えるだけ。 正直な話、こんな簡単にここまでのダメージを受けるとは思っていもいなかった。
 横のギンガを見ても、同じく立ち上がる事すら出来ない様子だ。
 しかしティアナは実に拍子抜けしたといった表情だ。

「この程度……」

 実にあっけない。 一撃で倒れ伏した2人を見て、ティアナはそれだけ呟くと時間がない事を思い出して、再び剣にマナを込めていく。
 【エクスプロード】を放たんとマナを集中させて、鋭くさせていく。
 まだ何か、目の前の2人を殺す事に何か躊躇いを抱いているような気がするが、そんな小さい感情を理性と【何か】で叩き潰す。
 今は仲間達の援護に向かわなければならないのだ。 そんな小さい事に構えられる程暇ではない。
 十分に込められたマナが宿った剣を振り下ろそうとする。

「さようなら」
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/29(土) 23:58:45 ID:jTRTsb/j
自分アホなことにPSP売ってしまったorz
2ndGできんorz
支援
630リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/30(日) 00:00:56 ID:Z5r4MF9q
 何故そんな事を言ったのかは分からなかった。 しかし目の前の少女に言わなければならないと思ったのだ。
 ここが分岐点。 このまま何も知らない【ティアナ】がスバル・ナカジマという少女を殺していればこの語りは終わりである。
 しかしそう簡単には終わらせる訳もない。

「っ!?」
「間に……合った!」

 ティアナの攻撃を受け止めたのは危機一髪。 なんとかこの場に到着した高町なのはであった。
 それを見て、苦々しい表情を取るティアナだが、ならばまとめて叩き斬ると言わんばかりにマナを剣に更に注ぎ込んでいく。
 なのははそのだんだんと重くなってくる斬撃をどうにかこうにか防いでいるがこのままだと危険である。
 故にシールドに魔力を込めながらも、アクセルシューターを発動。 ティアナの後方から襲い掛からせる。

「ちっ!」
「ふぅ……」

 すぐにティアナはその攻撃に気づくと、なのはへの攻撃を中断してアクセルシューターを【誓い】で切り裂き離脱。
 もしあのまま、無理に攻撃しようとすればなのはの砲撃魔法を直撃していたからである。
 ティアナもなのはもすぐに間合いを取り直す。 ティアナは一時の作戦決めの為、なのはは倒れているスバルとギンガを巻き込まないようにする為だ。
 だが自分はともかく相手はティアナとはいえ自分の知る存在ではない為、スバル達を巻き込んで攻撃してくる可能性は高い。

「スバル、ギンガ。 出来ればここから離れてて」
「なのは……さん」
「大丈夫。 ティアナは連れて帰るよ。 私達の機動六課に」
「おねがい……します!」

 なんとか立ち上がったスバルとギンガがこのブロックから離れていく。 それを見送る暇もなく容赦ないティアナから砲撃魔法が飛んでくる。
 それをなのはは砲撃魔法で相殺するが、その威力に顔を顰める。
 間違いなく前回戦った時よりも強い。 既に自分やフェイト達と同レベルの領域と言っていいだろう。
 既に手加減など出来ない。 かと言って全力で戦えば、自分がティアナに殺されるか自分がティアナを殺してしまうかの2択しかない。
 一応、ヴィータに援護の要請をしているが何時こちらにやってこれるかは分からない。
 味方は倒しても倒しても湧き出てくるガジェットとミニオンや、所々で指揮をとっている戦闘機人達を相手にするので精一杯だ。
 だが指揮官らしい彼女達を倒していけば、この場は凌げるとも考えていた。

「行くよティアナ!」
「エースオブエース! お前はここで朽ち果てろ!!」



 ○―――○


631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:03:07 ID:vMsHR4l7
ティアナかっこいい!支援
632リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/30(日) 00:03:21 ID:Z5r4MF9q
「レジアス中将」
「むっ、八神二佐か」

 海と陸の主要人物が集まる会議室の片隅でレジアス・ゲイズと八神はやてが会話を行っていた。

「すまんな。 こんな茶番劇の会議に参加させて」
「いえ、お気になさらずに」

 2人の顔色は悪いとは言えないが、目の前の惨状に呆れた表情を見せていた。
 目の前では、この会議の開催を提案した派閥の幹部達が今の状態について喚くように責任問題についてなどを話している。
 今やるべき事はそんな事ではないだろうに。
 しかし目の前にいる者達は何よりも自分の命、そして自分の利益を最優先する人々だ。 それが悪いとは言わないが、この状態には呆れるしかない。

「状況は悪くはないが……辛いかやはり」
「そうですね。 近郊にいる部隊も少しずつ増援にかけつけているようですけど数は以前あちらが優勢のままです」

 レジアスが非常時の為にと近郊に部隊配置を行っていたのが良かったのだろう。
 最初の奇襲の頃に比べれば、大分態勢も立て直せたようだが、決して楽観は出来ない。
 未だにガジェットの増援はやってくるのだ。 もうこの数には呆れるだけである。
 対してこちらの人員は限られている。 増援を用意してあると言ってもやはり数には限界がある。

「……そういえばオルネイ少将は?」
「ありゃ?」

 レジアスの疑問の声にはやてが声を上げる。
 慌てて見渡せばその姿はない。 この会議を率先して開催に導いた人物の姿が気がつけば、会議室から消えているのだ。
 周りを見渡してもその姿はない。 一体何処に消えたのだと言うのだろうか? 閉鎖された場所とはいえ、厳重に結界が張られたこの場所がまだ比較的安全だというのには変わりない。
 と思ったはやてではあったが、次に聞こえてきた破砕音にそれが慢心だという事に気づかされた。

「ほう。 ここに隠れていたか管理局のネズミども」

 そこにいたのは巨大な黒い剣を持った1人の男であった。 その後ろには数人のミニオンの姿もある。
 それを見て、すぐにはやては飛び出そうと足を一歩踏み出そうとして――固まった。
 圧倒的すぎたのだ。 この男から威圧感が。
 自分1人ではどう足掻いた所で勝つ事など出来ない。 今、ここでこの男と戦えば、死ぬのは自分だと本能が叫びをあげているのだ。
 しかしどうにかして理性でその本能を押さえ込む。 なんとかバリアジャケットを装備して非戦闘員を護るように立ちはだかる。 それを見て他にも護衛の者達がバリアジャケットを装備して立つが、震えは止まっていない。

「我が前に立つか」
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:03:56 ID:A17wfsaC
支援
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:04:12 ID:qh1ByVjj
いつユート達はくるのか・・・・・・・支援
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:06:35 ID:fcV/oaS/
支援

ただ、譲ちゃんではなくて嬢ちゃんでは?
636リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/30(日) 00:07:39 ID:Z5r4MF9q
 関心したように男が声を出すが、隙など何処にもない。
 失策、そして自分達の慢心が招いた事態だと思った。 ここの防御力を過信しすぎてここの防衛能力を疎かにしすぎた。
 1時間程前にはシグナムも居たのだが、建て直しを図った防衛戦力の援護に向かわせた為にここの戦力が圧倒的に足りなかった。
 そして目の前にいる男。 特徴から見て、フェイトやスバルが言っていた男に違いない。 フェイト達を一蹴して、ティアナを殺した男。 いや攫ったかもしれない男だ。
 戦闘能力は遥かに上だろう。 しかもはやては特性上、遠距離攻撃を好む。 この距離でははやての良さを生かす事が出来ない。

「だが……その慢心を呪いながら死んでいくがいい!」

 黒き刃を持つ男――タキオスが振り上げる剣は、自分達の命を刈り取る死神の鎌にしか見えなかった。



 ○―――○



「はぁ……はぁ……」

 高町なのはは疲弊していた。
 今の所はなんとかなっているが、このままでは負けてしまうのは明白であった。
 ティアナの魔力が自分と同等になっているせいかは分からないが、戦闘能力が前回戦った時よりも上回っている。 それに場所も悪い。
 遠距離からの砲撃を得意とするなのははこのような閉鎖された空間で戦うのは、相性がいいとは言えない。
 それを分かっているティアナは容赦なく壁などを利用し、加速して一気に懐に近づいて攻撃を繰り返してくる。
 既に斬撃を何度か喰らった為か、切り裂かれたバリアジャケットからは鮮血が滲み出ている。 ティアナの剣による攻撃がなのはのバリアを貫いた証拠だ。
 なんとか誘導弾と織り交ぜた砲撃で、一時の時間稼ぎにより微かな休息時間は出来たが、そう長くはもたないだろう。
 そしてこちらの攻撃があまり意味がないと言う事か。
 捕まえたい気持ちがあるなのはは全力全開で攻撃をする事が出来ないのだ。 今のティアナは非殺傷設定の攻撃でも死に至る可能性が高い。
 どうすれば、となのはが考えようとした瞬間、自分のセンサーに反応があった。 それが何か確認する間もなくなのはは全力でそこから離脱する。

「ちっ!」

 次の瞬間、黒色に染まりつつある奇妙な形の大剣がその場所を貫いたのだ。
 容赦もない問答無用の一撃だ。 もし直撃していれば、なのはは壁に頭を貫かれた状態で張り付けにされていただろう。
 そんな未来にゾッとしながらも、ティアナの動きを止める為の誘導弾を放つ。 しかし前のように剣で振り払われる事もなく強固なフィールドで防がれてしまう。
 今のティアナはなのはと似たようなスタイルだ。 圧倒的な防御力で突破する存在。 ただなのはは砲撃特化型であり、ティアナは万能型。
 砲撃戦になればなのはに分があるのだが、この場所では砲撃戦に持ち込む事は出来ない。
 それは明らかに油断であり慢心であった。 自分が本気になれば、ティアナを倒す事が出来るという慢心。
 動きを止める為の砲撃魔法。 照準はなのはにしてみれば甘いもの。 しかしこの砲撃でティアナは大きく回避行動を取ると判断したのだ。 それぐらいの威力があるとの自負があった為だ。
 しかしそんな行動が命取りになった。
637リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/30(日) 00:10:23 ID:Z5r4MF9q
「油断したな魔道師」
「あっ……」

 ティアナは砲撃の威力に怯む事もなく最低限の動きで回避行動を取り、問答無用で突撃してきたのだ。
 対してなのはは動きを止める強固なバインドの準備を行っていた為、ほぼ無防備。 急接近に気づいたレイジングハートがバリアを展開しようとするものの、その程度のバリアなど気休めにもならなかった。
 繰り出された【誓い】は容赦なくバリアとバリアジャケットを喰い破り、なのはの体を貫いていた。

「が……はっ!」

 剣を引き抜くと、大量の血が溢れである。 致命傷ではないが、このままだと間違いなく殺される。 いや今のティアナなら容赦なく殺すだろう。
 なんとかこの場から離脱しないが、満足に動く事が出来ない。

「私を侮ったからだ。 手加減などしないで本気で来ればよかったものを」

 冷たい声で、痛みに堪えるなのはに言うティアナ。
 もちろん本気でそんな事は出来やしない。 何故、教え子であり仲間であった彼女を殺せるのだろうか。
 しかしそうしなければならないと、組織の一員としての考えも浮かんでいる事も事実であった。
 今のティアナを放置していては管理局に甚大な被害を及ぼすのは目に見えていた。
 だけど――

「わたし……は……」
「死ね」

 容赦のないティアナの剣が振り下ろされて――



 ○―――○


638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:11:51 ID:vMsHR4l7
ジェノサイドに覚醒するんだ!支援
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:12:12 ID:y1RuTHhP
支援
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:12:30 ID:+mazLMTk
生きろ、なのは 支援
641リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/30(日) 00:12:45 ID:Z5r4MF9q
 同時に2つの金属同士がぶつかり合う音が響いた。
 1つはタキオスが振り下ろした剣と。
 1つはティアナが振り下ろした剣と。
 タキオスが目を見開いた。
 ティアナの目を見開いた。
 そこに居たのは巨大な槍を持った1人の男。
 そこに居たのは巨大な剣を持った1人の男。
 その男はかつてレジアス・ゲイズの友人であり、死んだと言われていた男。
 その男はかつてとある世界を救った英雄。 未来を作る為に永遠者のなった男。
 その男の名前は――
 その男の名前は――



「ゼスト……!?」

「まさか、聖賢者ユウト!?」



 世界を護る為、最後の役者達が今揃う。


 リリカル×アセリア SCENE09 秩序の攻撃 END
                          →
                           NEXT SCENE10 混沌の反撃
642名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:14:23 ID:vMsHR4l7
ユウトキター!支援
643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:14:27 ID:qh1ByVjj
乙カレーーーーーーー
続き待ってま〜〜〜〜〜〜〜〜〜す
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:15:50 ID:31nJDbqn
ソゥユートがついに!
645リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2008/03/30(日) 00:16:19 ID:Z5r4MF9q
投下完了です。 支援ありがとうございます。 そして誤字発見でorz
素で間違ってますね自分。 報告ありがとうございます。
最後にちょっとだけですが、ユート登場だったりゼストも登場だったり。
次回は地上本部襲撃後編です。 頑張れ自分。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:21:08 ID:fcV/oaS/
>>645
乙であります。

いや、お気になさらずにw
うちのバカIMEも譲ちゃんと普通に変換してくれましたから
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:23:20 ID:vMsHR4l7
>>645
GJ!
055隊の面々がカッコよすぐる。実にGOODなモブだ。
ナカジマ姉妹を一蹴、なのはを押すティアナのバトルにゾクゾクです!
求めと誓いを見たユウトはどう反応するのか楽しみです。
そしてティアナはエターナルに辿り着けるのか!?
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 00:38:59 ID:7BrChM2p
避難所テンプレ議論スレにて、テンプレ案が大まかな形でまとまりつつあります。
もうそろそろ決定となりますので、まだ反論、批評等お有りの方々は、是非ご意見をお寄せ下さい。

クロススレのテンプレを議論するスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6053/1203489678/
649StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 00:44:11 ID:4BaESKZp
すいません…投下時間見送ります。
話が纏まらないので…
650Strikers May Cry:2008/03/30(日) 00:48:51 ID:IgF79sBD
んじゃ一時あたりから投下しますね。
651Strikers May Cry:2008/03/30(日) 01:00:16 ID:IgF79sBD
では投下します。

リリカル・グレイヴの番外編、十二&ビリーとキャロの話で。
短い短編で今回は前編です。
652リリカル・グレイヴ:2008/03/30(日) 01:01:19 ID:IgF79sBD
リリカル・グレイヴ 番外編 「ツギハギと幽霊と女の子」


静寂の支配する夜闇の中、シンシンと雪が降る町を歩く奇妙な二人の男がいる。

一人はツギハギのある古ぼけたコートを着込み、両の目を塞ぐ眼帯に顔にすら傷を縫った跡がある全身ツギハギだらけで白髪の男だった。
男の名前は屍十二(かばね じゅうじ)、故あって旅をする死人兵士。

そしてもう一人の男は赤いレザーの上下にエレキギターを担いだ(厳密に言えば担いでいる訳ではないが)金髪リーゼントの陽気そうな男。
ロケット・ビリー・レッドキャデラック、エレキギターBL20000V(ブルーライトニング、トゥエンティサウザンドボルト)に憑依する愉快な幽霊だ。

ある理由によって様々な世界を旅するこの二人は偶然立ち寄ったこの町でとある少女に出会った。
それは幼き召還師、里を追われた悲運の少女キャロ・ル・ルシエである。


雪に彩られる夜の町の片隅で少女は嗚咽を漏らしながら一人寂しく泣いている。
その震える肩と、頬を伝い流れ落ちる涙の雫はどこまでも儚げで、見る者の心を揺らさずにはおかない。

そのキャロの様子に十二は苦々しい表情を浮かべる。
眼の見えぬ彼は視覚を除く様々な感覚で外界を把握している、故にキャロがどれだけ心の底から悲しんでいるかが分かるのだ。
そして十二はボリボリと乱暴に頭を掻きながらキャロに声をかけた。


「なに泣いてんだメスチビ、うるせえから静かにしてろや」


最悪に乱暴で粗雑な言葉、それでも声をかけられたキャロに彼の言葉にはどこか温かさが滲み出ているような気さえした。
十二の言葉に驚いて振り向いたキャロは唖然として十二とビリーの二人を呆けたように眺めている。
するとビリーがまるで空気を入れ替えるように、陽気に喋りだす。


「おいおいジュージ〜、可愛いレディにそりゃ無いぜ?」
「うっせえ、辛気臭く泣かれてちゃあ迷惑なんだよ」
「相変わらず口が悪いなぁジュージ‥‥‥さて可愛いお嬢さん、君の瞳に涙は似合わない良かったら訳を聞かせてもらえないかい?」


ビリーはそう言うと丁寧に頭を下げてキャロの前に跪いた。





「ふむふむ、なるほどねぇ〜。住んでた里を追われたと‥‥それは災難だったね、まったく君みたいな可愛いレディになんて事を」


十二とビリーはひとまずキャロの暖をとる為に場所を近くの喫茶店に移し、彼女からその身の上話を聞いた。
ちなみに異様な風体の客に店員一同が不審そうな目で見ているが、そんな事を気にする十二とビリーではない。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 01:01:28 ID:TJ6/C8FS
支援します。
654リリカル・グレイヴ:2008/03/30(日) 01:04:30 ID:IgF79sBD
そしてキャロは注文した温かい紅茶を飲みながらやっと泣き止んで落ち着いたが、彼女の身の上話を聞いた十二は最悪に機嫌の悪そうな顔をしていた。


「おいメスチビ、てめえの里とかいうのはどこにあんだ?」
「“メスチビ”って、酷いです‥‥‥それよりそんな事聞いてどうするんですか?」
「決まってらぁ、殴りこんでてめえを引き取らせる」


十二はそう言うと手をポキポキと鳴らして凶暴な空気を放つ。
この男は冗談抜きで実行しかねないから恐ろしい。
その様子にビリーは“やれやれ”と言って肩をすくめる。


「おいおいジュージ、お前って奴はどうしていつもそう暴力的なんだ。もう少しスマートに行けないのか?」
「うるせえぞRB、こんな小せえガキをおっぽり出す奴らなんざ軽くボコって何がワリいんだよ」


宥めようとするビリーに向かって十二は怒りを剥き出しにして吼える。
十二とビリーのこのやりとりに、事の発端であるキャロは慌てて割って入った。


「あ、あのっ! 別に良いんです。私のせいで‥‥里のみんなに迷惑は掛けたくないですから‥」
「でも良いのかい? これから一人で生きていくなんて」
「はい‥‥みんなに迷惑をかけるくらいなら‥‥」


十二に向かって説得するキャロだが、言葉尻の語気は弱弱しい。
ある日突然、寒空の中に一人故郷を追われた孤独だろう、キャロの瞳はうっすらと涙で濡れて肩は小刻みに震えている。
それでも自分の故郷に迷惑をかけるくらいならば、一人孤独に耐える道を行こうと言うのだ。
十二は苦虫を噛み潰したかの如く、実に機嫌の悪そうな顔をして席を立つ。


「おい行くぞRB」
「っておい、ジュージ〜」


止めようとするビリーに目もくれず十二はズカズカと店の外の出て行く。
キャロはまた一人になる寂しさに泣きそうな顔になる。

だが十二は一旦立ち止まるとキャロに向かって声をかけた。


「何やってんだメスチビ、早く来ねえと置いてくぞっ!!」
「えっ!? あ、あの‥‥それってどういう‥」
「お前どうせ行くアテなんか無えんだろうが。なら俺らと一緒に来やがれって言ってんだよっ!」
「でも‥‥そんな、屍さん達に迷惑かけちゃ‥」
「チビがいっちょ前にゴタク言ってんじゃねえぞゴラァ! さっさと来いボケナスが!!」


十二はキャロの頭を軽く小突くと、手を引っ張っていった。
素直になれない十二の親切さにビリーは思わず苦笑する。

こうして、ツギハギだらけの死人とエレキギターに憑いた幽霊そして竜召還師の女の子という奇妙な一団の旅が始まった。

続く。
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 01:05:05 ID:qh1ByVjj
支援
656Strikers May Cry:2008/03/30(日) 01:08:55 ID:IgF79sBD
投下終了です。

以前ウロスで出たアイディアから、十二&ビリーとキャロが珍道中するという流れになりました。
これでリリカル・グレイヴ本編での十二らが地上本部に来た理由になるんじゃないかと。
657Strikers May Cry:2008/03/30(日) 01:20:28 ID:IgF79sBD
ちょっと訂正、タイトルは以下の通りにお願いします。

リリカル・グレイヴ 番外編 「ツギハギと幽霊と女の子」
        ↓
リリカル・グレイヴ 番外編 「ツギハギと幽霊と女の子」(前編)

658StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 02:48:44 ID:4BaESKZp
やっと完成…
しかし井上脚本並に構成にまとまりが…
でも投下したい!投下おk?
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 02:53:11 ID:fZg8Qt7L
OKさw
660StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 02:55:39 ID:4BaESKZp
いきます。
コイバナだから気をつけろ〜

【平成ライダーサイド】九話「地獄兄弟崩壊」Bパート
【海鳴市 宝石店入り口】
「っしゃあああああああ!!」

影山は指輪のケースをかかげ、歓喜の叫びを上げる。

「やった…やったぞ…!二ヶ月間頑張った甲斐があった…新聞、ピザの配達、劇団の裏方、コンビニ、フィギュアショップの店員、土木工事etc…
我ながらよくやった…でも…!」

影山はケースを開き、指輪を見つめる。

「シャマ姉…受け取ってくれるかな?…いや!弱気でどうする!俺だって男だ!ここはガツんと…」
「影山君!」
「あ?」

影山は左耳から自分を呼ぶ声を聞き、左を振り向く。
そこには影山の方に向けて走ってくる岬夕月の姿があった。

「見つけたわ!」
「どうしたんですか?」
「矢車さんとシャマルさんが!」
「え!?」

【ビストロ・ラ・サル】
二人は天道の妹・日下部ひよりが働いている店であり、なぜかライダー達が集まる場所の一つでもある。
店には既に加賀美、剣、良太郎の三人が待っていた。

「おい加賀美!ホントなのか…兄貴とシャマ姉が冷蔵庫の怪人に吸い込まれたって!!」

影山は鏡の胸倉を掴み、鬼気迫る表情で問いかける。

「え…ええ!ZECTが街中に設置してる監視カメラに映ってました!ホラ!」

加賀美はプリントアウトした数枚の画像を影山に見せる。
それは、矢車とシャマルが冷蔵庫怪人・コゴエンベエに吸い込まれる瞬間を写した写真である。

「二人とも…大丈夫かな?」
「矢車…!」

良太郎と剣は顔を歪め、二人を心配する。

「探さなきゃこの冷蔵庫野郎を!岬さん!こいつは今何処にいるんですか!?」

影山は岬に視線を移し、激しい口調で彼女に問いかける。

「今は分からないけど、コイツは他にも沢山人を吸収していることから、公園や街中、人が多い場所に現れると思うわ!」
「よし!」

影山は大急ぎで店外に飛び出し、コゴエンベエの捜索に向かう。

「影山さん!よし…剣、野上、行くぞ!」
「はい!」
「任せておけ、我が友よ!」

加賀美、剣、良太郎の三人も店外に飛び出し、彼らもコゴエンベエ捜索に向かった。
661StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 02:56:11 ID:4BaESKZp
【AAMON郷】
「撃て!」
『ギィ!』

戦闘員達はレーザーライフルをこちらに向かってくる矢車に向けて放つ。

「(ホッパーゼクターが呼んでも来ねぇ…特殊な仕掛けがあるのか…)けどな…」

矢車はレーザーを次々に回避し、戦闘員達の至近距離に入った。

『ギィ!?』
「お前らなら…生身でも倒せる。」

そして得意のキックの連撃を繰り出し、十五人の戦闘員を一気に蹴り倒した。

「ぐ…強い…」
「おい。」

矢車は倒れた戦闘員の一人の腹部を踏みつける。

「ぐは!」
「なんで俺のゼクターが来ない?」
「い…言うもんか…」
「…!」

矢車はストンピングを繰り出し、戦闘員の腹部を何度も強く踏みつけ始めた。

「ぎゃああああああ!!い…言う!言うから止めてくれ!」
「分かりゃいい。」

ストンピングを止め、矢車は足を戦闘員の腹部から離す。

「き…貴様のゼクターが来ないのは…この先にあるAAMON戦闘員養成所の司令室にある…変身妨害装置のせいだ…
ゼクターのジョウントを防ぐだけでなく…ライダーズギア等機械類の機能も狂わせ、アギトの力すら妨害する妨害光線をこの郷内全土に放っている…」
「そうか…!」
「がっ!?」

矢車は必要な情報を聞き終えると、戦闘員の腹部を先程より強く踏みつけ、トドメを刺した。

「うわぁ…外道…」

岩陰で矢車の尋問を見ていたシャマルは、彼のかなり乱暴な尋問に呆れ、戦闘員を哀れに思った。

「そろそろ出て来い、シャマル。」
「あ…うん。」

シャマルは岩陰から出て、矢車の背後に歩み寄る。
矢車は後ろを振り向き、彼女に話しかけた。

「この先に兵士養成所があるらしい。そこに変身を妨害する機械があって、それが出す光線のおかげでゼクターがジョウントできないらしい。
それを潰しに行くぞ。」
「分かっ…あ!?」

この時シャマルは気付いた。
倒れていた戦闘員の内一人が上半身を起こし、矢車にレーザーライフルの照準を合わせていることを…
662StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 02:58:31 ID:4BaESKZp
「想さん!」
「!?」

シャマルは矢車を横に突き飛ばし、戦闘員はそのままトリガーを引く。
そして発射された青いレーザー光線は、シャマルの胸部を貫通した。

「あ…」
「シャマル!!」

シャマルは岩の地面の上に倒れ、地面にはシャマルの赤い血が大量に流れ出した。

「貴様!!」

矢車はシャマルを撃った戦闘員に向けてダッシュし、ブーツの拍車を用いた踵落としで戦闘員の脳天をかち割って倒した。
戦闘員を倒した矢車は大急ぎでシャマルに駆け寄り、しゃがんで彼女を抱き起こす。

「そ…う…さん…」
「死ぬな!おい!シャマル!死ぬな!!クッ…」

矢車はシャマルが持っていたバッグから緊急用の救急箱を取り出し、止血を開始した。
シャドウの訓練や木野のレクチャーで止血や緊急時の手当の方法は頭に入っている。
しかし矢車は医療に関しては素人。銃撃の手当てが簡単に出来る筈もなかった…

「クソ…血が止まらない…!」
「もう…良いよ…自分で分かる…」

緊急時に発動する復旧プログラムは停止しつつある…自分はもう不死ではない。
致命傷を受ければ死ぬ…
シャマルは自分が助からないことを悟っていた…

「冗談言ってんじゃねぇよ…お前!不死身のヴォルケンリッターだろうが!!お前が死んだら…あの生意気な部隊長はどうなる!?
相棒は…あいつは…どうなる…!」
「ごめんね…もう…もう…」

シャマルは途切れ途切れに言うと、瞳を閉じ、ガクりと頭を下げた。

「おい!おい!起きろ!起きろ!起きろ!!シャマル!!」

矢車はシャマルを抱きしめ、諦めず何度も何度も耳元で彼女の名を呼んだ。
しかし…彼女の瞼は開かなかった…

【新宿中央公園】
「コォゴエンベエ〜…」

コゴエンベエは新宿中央公園に現れ、そこに居た人間を吸い尽くしていた。

「大分吸ったな…少し一休み…」
『コゴエンベエ!』

休憩しようとしたコゴエンベエの耳に、幽霊博士からの通信が入る。

「幽霊博士?」
『いますぐAAMON郷に迎え!戦闘員達がお前が吸い込んだライダーと魔導師の捕獲に失敗したらしい!始末するのじゃ!』
「何ですと!?おのれライダーめ…!俺が始末してやる!」

コゴエンベエは両手で握り拳を作り、通信を切ってAAMON郷へとワープした。
663StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 02:59:54 ID:4BaESKZp
【新宿】
「何処だ…冷蔵庫野郎…!」

コゴエンベエがAAMON郷に向かった頃、影山は血眼になり、新宿でコゴエンベエを探していた。

「兄貴…シャマ姉…無事でいてくれ!」

人ごみを掻き分け、影山はコゴエンベエを探す。
この先に待ち受ける悲しみをまだ知らずに…

【AAMON郷】
「クッ…死なせるか…死なせるか…!」

矢車は抱きかかえていたシャマルを地面に寝かせ、気道を確保し、心肺蘇生法を開始する。
心肺蘇生法は心臓マッサージを三十回、人工呼吸を二回1サイクルで行う有名な医療行為だ。
人工呼吸の際にはシャマルと唇を重ね、自分の息を吹き込むことになるが、今の矢車には羞恥心も、影山への遠慮も無かった。
ただ…シャマルを助けたい…
自分を救ってくれた人を…
光をくれた人を…
そして…愛する人を…
ただ助けたい…それだけだった。
しかし、それでもシャマルは目覚めない…

「こっの…バカ女が…!」

矢車には分かっていた。
重要な傷である出血は止まっていない上に、プログラムであるシャマルにこんな人間の医療行為が通用する筈が無い。
そんな事は分かっていた…
だが、何もせずにはいられなかった。
このまま大事な人に死なれるのは嫌だ…もう…影山を殺しかけた日のような出来事は沢山だ…
そして何より…自分は彼女を愛しているから…
矢車は秘めていた感情を爆発させ、何度も心臓マッサージと人工呼吸を繰り返した…

「戻って来い…シャマル!」

その時、不思議な事が起こった。
矢車の必死な行動に天が味方したのか、奇跡的に沈黙しかけていた復旧プログラムが作動したのだ。
出血が止まり、傷口が再生する。

「!、これは…」
「う…」

そして…シャマルが目覚めた。

「あれ…私…撃たれて…」
「…」

矢車は瞼を静かに閉じ、彼女を抱きしめた。

「え!?ちょ!?離し…ねぇ聞いてる!?ねぇ!?」

シャマルは頬を染め、矢車から離れようとするが、彼は放そうとしない。
それどころか、シャマルが暴れるたび、力を強くして彼女を抱きしめるのであった…
664StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 03:01:17 ID:4BaESKZp
【五分後】
矢車がシャマルから離れたのは五分後の出来事である。
シャマルの平手打ちが矢車の頬を打ち、強制的に離れさせたのだ。
現在矢車の頬には、赤い痣が付いている。

「もぉ…で、どうやって囚われた人たちを助けるの?」
「簡単な方法がある。…お前、魔法は使えるか?」
「え…?」

シャマルは矢車に言われ、指に付けたクラールヴィントを見つめる。

「…うん。魔法なら大丈夫そう。でも…私に攻撃的な魔法は…」
「…充分だ。」

【AAMON郷 兵士養成所グランド】
「オラオラ!もっと気合入れて走れ!」

兵士養成所のグランドでは、戦闘員達による厳しい戦闘訓練が行われていた。
体力の限界を無視した回数の筋力運動をさせ、何週も何週も広いグラウンドを走らせる。
まるで拷問のような訓練だ。

【兵士養成所 司令室】
そして司令室では、司令官席に座った司令戦闘員とオペレーター戦闘員達が訓練の様子を映像で見ていた。
司令室は司令席の後ろに変身妨害装置が設置された特殊な作りをしている。

「訓練!順調です!」
「よし!」

司令戦闘員は椅子から立ち上がり、手に持っていた鞭をかざす。

「このまま一流の兵士を養成し…その功績で俺はS級戦闘員に…」
「それはどうかな?」
「む!?何奴!?」

男の声を聞いた司令戦闘員とオペレーター戦闘員達は、それぞれの席から立ち上がって司令室の周囲を見回す。
すると数秒後、司令戦闘員の前に突如矢車が出現した。

「よぉ…」
「き…貴様はキックホッパー!何故!?」
「転送魔法さ。俺の知り合いの女は、その手の魔法に長けているんだよ。」
「何だと!?」
「今度は魔法妨害装置でも…作っておくんだな!」

矢車は司令戦闘員にそう言うと、一足飛びで司令戦闘員の前に移動し、彼の腹部に強烈なキックを浴びせた。

「ギイィィィィイ!!」

蹴り飛ばされた司令戦闘員はそのまま背後の変身妨害装置に激突し、装置は司令戦闘員と共に爆発を始める。

「ギィ!爆発だ!」
「逃げろ!」

オペレーター戦闘員達は大慌てで逃げ出し、司令室は混乱に陥る。
そんな中、妨害装置の破損でゼクターを呼び出せるようになった矢車はホッパーゼクターを呼び寄せ、キックホッパーに変身し、クロックアップして司令室から脱出した。
665StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 03:02:16 ID:4BaESKZp
【AAMON兵士養成所 グランド】
グランドでは、囚われた人々を避難させたシャマルが騎士甲冑を纏い、矢車を待っていた。
そして数分後、クロックオーバーしたキックホッパーが彼女の前に現れた。

「…避難は?」
「終わったわ!皆近くの洞窟に避難してる。でも…このAAMON郷から出る手段はまだよ…」
「多分コゴエンベエを倒せば、自動的に元居た場所に戻る。だが、あいつは生憎向こうに…」
「コゴエンベエェェェェェェェエ!!」

しかし、噂をすれば影。
二人の前に、キックホッパー討伐司令を受けたコゴエンベエが現れた。

「あ、出た。」
「良いタイミングだな。」
「ほざけ!幽霊博士に命令を受けてきてみたら、既に養成所が壊滅していたとは…礼として、貴様ら二人を血祭りに上げてくれる!」
「フン…」

キックホッパーは首を斜めに構え、コゴエンベエを睨む。

「こっちはエライ目に会ってるんだ…お前こそ覚悟してもらうぞ…」
「ほざけ!俺がここで殺してくれるわ!」

コゴエンベエは両腕を振り上げ、煮え切らない怒りを露にした。

「シャマル、下がってろ。」
「うん!」

シャマルはキックホッパーに言われたとおり、後方に下がって彼を見守る。

「行くぞ!」
「…!」

キックホッパーとコゴエンベエの再戦が始まった。
キックホッパーは再び足技を駆使してコゴエンベエを攻撃するが、やはりコゴエンベエの体は硬い。
キックが次々に弾かれてしまう。

「無駄無駄だ!これでも喰らえ!」

コゴエンベエは反撃に右肩から冷凍ガスを繰り出し、キックホッパーを攻撃する。

「チィ!」

キックホッパーはそれをバック転で回避し、コゴエンベエと距離を取った。

「どうしたライダー?手も足も出まい!」
「…あんまり、使いたくは無かったが…」
「何?」

キックホッパーは溜息をつき、空を見上げる。
すると上空から巨大なアリ型メカがジョウントで現れ、キックホッパーの隣に舞い降りた。
666StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 03:03:36 ID:4BaESKZp
(BGM・FULL FORCE)
「こ…これは…!?」
「ゼクトルーパー用の支援メカだ…」

アリ型ロボットは分離し複数の武器に分かれる。
そしてキックホッパーはアリ型ロボットが分離して出来たガトリングシールドを右手、パワーアームユニットを左手、フライトユニットを背中に装備した。

「こんなのはあんまり使いたくなかった…だが、今はそんなことは言ってられねえ。」
「おのれこのムシケラめが!!」

コゴエンベエは再び冷凍ガスを発射し、キックホッパーを攻撃する。
しかしキックホッパーはフライトユニットを点火し、上空に飛んでガスを回避した。

「何!?」
「っせやあぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

そして上空から一気に降下し、パワーアームユニットをコゴエンベエの体にねじ込む。

「ぐぎゃああああああああ!?」
「ゼクトルーパー用だが、威力は一級品だ…」

次にパワーアームを引き抜き、ガトリングユニットの銃口を出来た穴にねじ込んだ。

「お前の体は硬い…それ故に中に銃弾を撃ち込んだら…どうなるかな?」
「兆弾…よせ!」
「こんな気味悪い世界に送り込んでくれた礼だ…たっぷり地獄を味わえ…!」

キックホッパーはそう言うと、ガトリングガンを零距離で発射し、放たれた無数の銃弾をコゴエンベエの体内に撃ち込む。

「ぐぎゃああああああああああ!!」

コゴエンベエの体は内側から崩壊を初め、最後にはバラバラに爆散した。

「…」

勝利を収めたキックホッパーは変身解除して矢車の姿に戻り、シャマルの傍に歩み寄る。

「終わったぞ。」
「お疲れ様。でも、コゴエンベエは倒したけど…」

「帰れないわ。」
シャマルがそういいかけた途端、二人の体が柔らかな光に包まれた。

『え?』

次の瞬間、二人の姿はAAMON郷から消える。
667StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 03:04:53 ID:4BaESKZp
【海鳴市 市街地】
『…ん…?』

矢車とシャマルが目を開けると、そこは自分達がコゴエンベエに吸い込まれた海鳴の市外に戻っていた。
路上には大勢の人々…コゴエンベエに連れ去られた人々が倒れている。
矢車の言ったとおり、コゴエンベエを倒すことによって元の世界に帰れたのだ。

「帰って…これたの?」
「みたいだな。」

二人はそれだけ言葉を交わすと、倒れている人々を起こし、二人で海鳴公園に向かった。

【海鳴公園】
「あーあ!疲れた〜」

シャマルはベンチに座り、溜息をつく。

「はぁ…だな。」

矢車も彼女の隣に座り、溜息をつく。
しかし、矢車は疲れた身を忘れ、別の事を考えていた。
本日行った心肺蘇生法である。
確かにあれは無我夢中でやった医療行為だった。
しかし、シャマルの唇を奪ってしまったことには他ならない…
矢車は今更ながら、影山への罪悪感に囚われていた。
そんな時…

「!(兄貴、シャマ姉!)」

コゴエンベエを探し回っていた影山が、海鳴公園にやって来た。

「無事だったんだ…!」

影山が二人の傍に歩み寄ろうとした、その時だった…

「ねぇ…想さん…」

シャマルが、矢車に話しかけたのである。

「あ?」
「(え?)」

矢車はシャマルの方を向き、影山はその場に留まる。

「あのさ…やったでしょ?心肺蘇生法。」
「!?」
「(え!?)」

突然硬直する矢車と驚く影山。
そして矢車は、硬直した体を奮い立たせ、口を開く。

「お前…何言って…」
「分かるもの…普通は誰でもそうするし。」

シャマルは邪念の無い笑顔で矢車を見つめる。
668StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 03:07:13 ID:4BaESKZp
「…意味は…なかったけどな。」
「ううん。そんなことないよ。きっと、貴方が頑張ってくれたから、私は助かったんだと思う。
ありがとう…想さん…」
「…チッ!」

矢車は照れ隠しに髪を掻き、額を押さえた。

「(心肺…蘇生法…)」

一方の影山はその言葉を聞き、呆然とその場に立ち尽くす。
心肺蘇生法と言うことは、シャマルが命の危機に陥ったということ。
それなのに、自分はシャマルの傍に居ることが出来ず、指輪を買ってはしゃいでいた。
他人なら、「吸い込まれたとき傍に居なかったんだからしょうがない。」そう言うだろう。
しかし影山は、どんな理由があろうと、彼女の傍に居れなかった自分が許せなかった。
そして彼が穏やかで居られない理由はもう一つあった。
医療行為とはいえ、矢車とシャマルが口付けを交わしたこと…
シャマルを愛している影山に取ってこれは大事だ。
いくら大事に慕っていたとはいえ、コンプレックスを持っていた自分の兄が自分の愛した女性と口付けをしてしまった…
影山にはこれが大きなダメージになった。
しかしそんな彼の気持ちを無視するかのように、シャマルは話を続ける。

「あのさ…ちょっと言いにくい話だけどさ、良いかな?」
「…何だ?」
「私は…」

シャマルは一度躊躇いを見せ、一息吸い込んでから話を続けた。

「私は…湖の騎士シャマルは…矢車想を愛しています。」
『!?』

矢車と影山の心に衝撃が走り、公園に居た鳥達が一斉に羽ばたく。
シャマルは羽ばたきの音が収まった後、話を再び続けた。

「想さんは…どう?」
「…目が高いんじゃなかったのか?」
「そのはずだったけど…今のままじゃ貴方一生独身だしね。」
「…哀れみなら止めろ。」
「冗談よ。」

シャマルは悪戯っぽく微笑み、矢車を見つめる。

「きっかけは分からないけど…一緒に過ごしてるうちにこんな気持ちになったわ。」
「…」
「もう一度聞くけど、想さんは…どう?プログラムじゃ…駄目かな?」

矢車は答えが出せない。
ここで本当の事を言ったら、影山から幸せを奪ってしまう。
矢車にそんなことは出来ない。
だが…「ゴメン」と言う事も出来ない…
まだ彼女への未練が残っている上に、断ったら彼女も傷つくだろう。
どう答えてもどちらかを傷つけてしまう…
矢車はその板ばさみに苦しめられる。
669StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 03:09:07 ID:4BaESKZp
「兄貴…」

一方の影山は腹が立ってきた。
自分が愛したシャマルが、矢車に告白しているのだ。
影山はシャマルが望むのであれば、いつでも彼女を諦める決心が付いていた。
だが、それなのに矢車は首を縦に振ろうとしない。
影山はそれが許せなかった。
自分が愛した人が心を込めて告白しているのに、それを受けられないなんて…

「兄貴!」
「!?」
「瞬…?」

影山は我慢の限界を向かえ、矢車を呼んで二人に近づいていく。

「…聞いていたのか。」
「うん…」

影山は唇を噛み締め、矢車とシャマルを見た。

「兄貴…まさか…俺に遠慮してるのかい?」
「…」
「馬鹿にするな!!」

影山は激高し、矢車を睨む。

「俺は…好きな人まで兄貴に遠慮してもらわなきゃ駄目な訳?そこまでしてもらったって…嬉しくないよ!」
「相棒…俺は…!」

矢車はベンチから立ち上がり、影山に手を伸ばそうとするが、彼の眼光に睨まれ、伸ばそうとした手を下げる

「兄貴…なんで首を縦に振らないんだよ?…何で…シャマ姉は…兄貴にコクってるのに…!」

影山はそう言うと、後ろを振り向き、一目散に二人の前から去っていった。

「相棒!」
「瞬!」

二人は影山を呼び止めようとするが、影山は聞き入れず、二人から離れていった…

【海鳴市市街地 路地裏】

「クソ…!…クソ!!」

影山は路地裏に溜まっている周囲のゴミ袋や管を蹴り飛ばし、建物の壁に頭を打ち付けた。

「いっそ…すぐに二人一緒になってくれたほうがすっきりするのに…!」

影山は購入した指輪のケースを見ながら呟く。

「兄貴…なんで…」
「良いのかい?」
「え?」

影山は自分に話しかける声を聞き、後ろを振り向く。
670StS+ライダー ◆W2/fRICvcs :2008/03/30(日) 03:13:10 ID:4BaESKZp
そこには、長髪の女性…大幹部・魔女参謀の姿があった。

「アンタは…?」
「アンタはそれで…良いのかい?兄貴に…下に見られたままでさ…?」

【次回予告】
岬「パンチホッパーが…街を襲っているわ!」

パンチホッパー「おおおおおおおおおおお!!」
サソード「影山!どうしたんだ!?」
ガタック「影山さん!やめてください!」

電王WF「降臨…満を持して…!」

キックホッパー「相棒おぉぉぉぉぉぉぉお!!」
パンチホッパー「兄貴いぃぃぃぃぃぃぃい!!」

次回、「魔女参謀の罠!激突!キックVSパンチ!!」

投下終了
うーん…もっと過程作るべきだったかな?
次回はもっと頑張りますっす…
671リリカル龍騎 ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 09:54:24 ID:RDwpKevK
職人の皆様GJです

…そろそろ存在忘れられてるかもしれませんが、10:30頃から投下いいですか?
いや、まとめ管理人なんてのやってるくせに例の議論参加してなかった俺にそんな資格あるのか分かりませんがorz
672名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 10:26:45 ID:ccId4KGe
どうぞー。楽しみにしています!!
673NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 10:32:36 ID:RDwpKevK
了解、それでは投下します



『目的? お嬢さん(フロイライン)、美しいお嬢さん、それは愚問というものだ。
 極論してしまうならばお嬢さん、我々には目的など存在しないのだよ』

 彼が語った少佐の……いや、ミレニアムの目的。それはその場の全てを驚嘆させるには十分だった。
 目的も無いのに円卓会議を襲撃? 目的も無いのにあれだけの大騒ぎを?
 ――――そんな事がありえるのか?

「ばッ、馬鹿な! 目的が無いだと!? ふざけるな!」

 と、円卓会議から声を荒げてのヤジが飛ぶ。よほど納得がいかなかったのだろう。
 中でも大きな声で詰問するのはアイランズ。目的も無しに攻撃されるというのは、どうしても納得できない。

「目的も無くわれわれに攻撃をだと!? 冗談もたいがいに『黙れ』

 が、その詰問はすぐさま遮断された。

『お前とは話をしていない。私はこのお嬢さんと話をしている。
 女の子と話すのは本当に久しぶりなんだ。邪魔をしないでくれ「若造」』
「な……ッ!」

 少佐が素晴らしい、いや、凄まじい笑顔でアイランズへと圧力をかける。
 対するアイランズら円卓会議メンバーはというと、驚いたのかそのまま黙り、椅子へともたれ掛かる。
 自分達よりも外見的に遥かに若い男から若造扱いされたのがよほど応えたのか、それとも「これが吸血鬼か」と気圧されたのだろうか。

『目的のためならば手段を選ぶな。君主制の初歩だそうだが、そんな事は知らないね』

 が、少佐はそれら円卓メンバーを一瞥すらせず、画面の奥へと移動する。
 その間にカメラの位置も変わった。おそらく撮影担当のドクが位置を調整しているのだろう。
 そして少佐は、そのまま言葉を続けた。
674名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/03/30(日) 10:33:19 ID:wVs0mU7G
支援
675NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 10:33:21 ID:RDwpKevK
第九話『ULTIMA ON LINE』


「いいかな、お嬢さん。貴方は仮にも一反撃勢力の指揮者ならば知っておくべきだ。
 世の中には手段のためなら目的を選ばないというような、どうしようもない連中も確実に存在するのだ。
 つまりは――――」

 そう言いながら、少佐はさらに移動する。その方向には先程の銃声で脳天を撃ち抜かれた老人の死骸。
 この時点で生き残っているのは一人、六課メンバーや円卓勢は知らないが、先日少佐を殴った大佐である。
 その様子を見ると、全身から冷や汗をたらしている。周りの死者を見て、自分の運命を理解したのだろう。そして、それを望まずとも強制的に受け入れさせられる事も。
 嫌なら逃げればいいと思うかもしれない。だが、大佐をよく見れば、それが不可能だと分かるだろう。
 見れば後ろ手に縛られ、足も縄で固定されている。おまけに猿轡までかまされ、首にはドイツ語で「私は敗北主義者です」と書かれたパネルがかかっている。
 それを見た吸血鬼兵達は一斉にHAHAHAと大爆笑。映ってはいないが、ドクもニッと笑っている。
 そして――――

「とどのつまりは、我々のような」

 少佐が指をパチンと鳴らした瞬間、数人の吸血鬼兵が駆け出し、大佐の首へと食らいついた。


 吸血鬼兵による大佐の処刑ショーは、モニターを通じて関係各所―とは言っても、円卓会議とアースラブリッジくらいのものだが―へと生中継されている。
 大佐の断末魔や血をすする音、骨を噛み砕く音も鮮明に。

『中途半端にはするなよ。グールになられても、その、なんだ、困る』

 処刑の最中、少佐から飛ぶ指示。それに応じ、さらに激化する処刑。
 通信用に円卓会議へと開いたウインドウには、顔を青くした円卓メンバー、ベルナドット、ヴァイス、そして……ティアナとスバルの姿が映っていた。
 傍からシュレディンガーが「うはぁー。これはちょっとキツいみたいですよー、少佐ー」などと言っているようだが、それは誰の耳にも入らない。
 アースラブリッジ内に目をやると、モニターから送信されている映像のせいで大半が青ざめ、そのうちの何人かは吐き気すらもよおしている。
 特にまだ子供のエリオとキャロの精神的ダメージは大きく、キャロに至っては数秒前に卒倒してしまったくらいだ。
 そんな中、精一杯の怒りを込めた怒声が飛ぶ。発信源はフェイト・T・ハラオウンから。

「正気じゃない……あなた達は狂ってる!」

 周りの空気が震えるような声。気の弱いものが聞けばあっさりと気圧されるような威圧感がある。
 だが、少佐は処刑が終わると同時に言葉を返す。まるでそんな威圧感など最初から無いかのように。
 ……次に少佐が放った言葉は、フェイトを驚かせるには十分過ぎた。

『ほう? 狂った妄執に作られた君がそれを言うかね? フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官』
「ッッ……!?」

 彼女の名に刻まれたテスタロッサの六文字。それは彼女が少佐の言う「狂った盲執」に作られた証。
 もう十年以上も前の事、彼女は今は亡き次元犯罪者『プレシア・テスタロッサ』によって作られた娘のクローンである。
 その事実を知るプレシアによって起こされたPT事件。フェイトはその時にクローンであると明かされ、酷くショックを受けていた。
 勿論今の様子を見れば分かるように、その時のショックからはとうの昔に立ち直っている。
 ……だが、あの時の事件は主に地球で起こったものだが、管理局の手によって極秘に処理された。当然、関係者以外の地球人はその事実を知るはずがない。
 すなわち、今の少佐の発言は普通なら到底ありえないもの。それを知っているという事は、PT事件の事も知っているという事なのだから。
676名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/03/30(日) 10:33:32 ID:wVs0mU7G
支援
677NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 10:33:51 ID:RDwpKevK
「何で、あなたがそれを……!?」
『決まっているだろう? 私が教えたからだ』

 だからこそ、今の発言に対して問い詰める。
 何故それを知っているのか、その答えを得るために。
 そしてフェイトがそれを言い終えるより先に、アースラに通信ウインドウがもう一つ開かれる。
 そのウインドウに映った顔は、管理局が今総力を挙げて追っている次元犯罪者の、そしてなのはとフェイトの養子であるヴィヴィオをさらわせた張本人の――――

『いかがだったかな? 私からのプレゼントは』

 ――――ジェイル・スカリエッティの顔だった。

「ジェイル・スカリエッティ……! ヴィヴィオに何をしたの!」
『ヴィヴィオ……? ああ、聖王の器か。彼女は立派にゆりかごの起動キーという仕事を果たしてくれている』

 なのはが怒りをぶつけるような声と表情でスカリエッティを問い詰め、スカリエッティも事も無げに回答。
 回答に少しの間があったという事は……おそらくヴィヴィオの事などただの道具として気に留めてすらいなかったという事だろう。
 なのはの中にはいくつかの言葉が沸き起こり、それは渦を巻き始める。

 ――――何故、こうも簡単に人を……それも自分の仲間を殺せる?
 ――――何故、ヴィヴィオにあれほどの酷いことが出来る?
 ――――何故、ヴィヴィオへの酷いことや仲間殺しの映像をプレゼントなどと称して流せる?
 何故、何故、何故――――――

「おかしいよ……スカリエッティもミレニアムも、あなた達はみんなまともじゃない!」

 ――――結論。あんな酷い芸当は、狂者にしか出来ない。
 そう考えれば、必然的に今回の敵は皆、狂っているということになる。
 気付けばなのはは、その結論を口から思い切り吐き出していた。
 だが、スカリエッティも少佐も笑顔を全く崩さない。まるでこう言われるのが当然であるかのように。
 そしてモニターの向こうの少佐は笑顔のまま、手を叩いて口を開いた。

『ありがたいことに、私の狂気は君達の神が保証してくれるという訳だ……よろしい、ならば私も問おう。
 君らの神の正気は、一体どこの誰が保障してくれるのだね?』
678NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 10:34:24 ID:RDwpKevK
『一体どこの誰に話しかけているか分かっているのかね? 私が黒衣のSS軍装を着ていれば良かったかな?』

 少佐の発言に、ミレニアム側以外の全てが停止する。
 その発言の内容はすなわち、「お前らの神は狂ってる」と言われたも同然。それが停止の理由である。
 聖王教会の聖王は神と言えるかは分からない……ならば必然的に、彼が指すのはプロテスタントやカトリックの神、イエス・キリストその人となる。
 だからこそ、イスカリオテから代表として来たマクスウェルやハインケルも固まっているのだ。
 だが、少佐はそんな様子など気にも留めずに言葉を続ける。

『我々は第三帝国親衛隊(SS)だぞ?一体何人殺したと思っているのかね?
 闘争と暴力を呼吸するかのように行う髑髏の集団にかね?
 いかれている? 何を今更! 半世紀ほど言うのが遅いぞ!
 よろしい、結構だ! ならば私を止めてみろ、自称健常者諸君!
 しかし残念ながら私の敵は君らなどではないね。少し黙っていてくれ機動六課。
 私の敵は英国! 国教騎士団! いや、そこで嬉しそうにたたずんでいる男だ』

 少佐からの長い演説が終わった直後、一斉に全員の視線がその「嬉しそうにたたずんでいる男」へと向く。
 その男は全身を武者震いでビクビクさせ、最高……というより、これまでで最狂の笑顔で笑っていた。
 その笑顔は一部を除き、見た者全てを唖然とさせている。
 そして、その男……アーカードは、笑いながら少佐へと宣戦布告する。

「執念深い奴らだ、はははは、素敵な宣戦布告だ。いいだろう、何度でも滅ぼしてやろう」
『そうだとも。我々は執念深く根に持つタイプでね、くだらん結末など何度でも覆してやるさ』

 この宣戦布告合戦の後、一瞬だけその場に静寂が戻る。
 ……静寂を破ったのはインテグラ。その内容はアーカードとティアナに下す命令。

「……撃て」

 BANG!
 クアットロへとアーカードからの零距離射撃が叩き込まれる。それも頭に。
 誰もがクアットロの死を確信し、実際にそうなるかと思われた……だが、現実はそうはならない。
 叩き込まれた瞬間、クアットロの姿がかき消えた。ちなみに軌道上には誰もいなかったので、被害は壁に穴を開ける程度で済んだようだ。
 考えてみればこのクアットロはシルバーカーテンによる幻。こうなるのは必然である。
 それをあざ笑うかのように再び現れる幻。その表情は間違いなく「してやったり」とか思っている顔だった。
 今の発砲はクアットロでなければ死んでいた。それは特使を撃たれたと判断するには十分。
 その事実に少佐は多少驚きながらも、笑顔で応対。まるでそれすら楽しむべき闘争の一部だと言うかのように。

『特使を撃つなんて、いやはや穏やかじゃないね』
「特使? ふざけるな。宣戦布告? バカバカしい。お前達はただのテロリスト集団にすぎない」

 だが、その応対すらインテグラの前には切り捨てる対象でしかない。
 連中はテロリストであり、間違っても軍などではない。例え構成員が全て吸血鬼であってもだ。

「ご大層なたわ言はもう結構だ。我々は貴様らの存在を排除する。
 我々はただただ我々の反撃(仕事)に取り掛かるだけだ」
『震える拳は隠して言いたまえ、お嬢さん』

 どのような感情かは分からないが、インテグラの拳は確かに震えていた。
 それは怒りか、はたまた恐怖か。いずれにせよ、少佐はそれを見透かしている。
 だからこそインテグラに対してそういった発言をし、インテグラの発言にも笑みを崩さない。
 対するインテグラは、苦虫を大量に噛み潰したような顔で拳を握り直し、画面の向こうの少佐を睨む。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 10:34:33 ID:9DiALEv8
父さん君主制じゃなくて君主論で支援
680NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 10:35:06 ID:RDwpKevK
『成程、これはいい。いい当主だ。アーカードが入れ込むのも分かるというものだ』

 そう少佐が言い終える頃、クアットロの作り出した幻も消える。
 それと同時にヴィータが外へと駆け出し、周りを見渡してクアットロの姿を探した。
 相手のISが幻術だと言うのなら、近くに幻を出している本体がいるはずだが、影も形も無い。エリアサーチも使うが、発見は出来なかった。
 ……まあ、シルバーカーテンが幻術だと考えれば、自分の姿を隠す幻で隠れていると分かるのだが。
 おまけにシルバーカーテンは電子機器ですら惑わす。ならば、デバイスでエリアサーチを使っても分からないのはある意味当然の事だろう。
 そして少佐が手を上げ、別れの挨拶をすると同時に――――

『さようならお嬢さん方、戦場での再会を楽しみにしているよ。それでは御機嫌よう』
「ティアナ!」

 ――――ティアナの剛拳がモニターを叩き壊した。


「あれ? 管理局の人って、お遣いで来た人に武器向けるような人だったの?」

 一方、アースラブリッジ。ここでもまた、同じような出来事が起こっていた。
 シグナムが愛剣『レヴァンティン』を起動させ、シュレディンガーへと向けている。
 その目に写る色は、敵意の色。相手が吸血鬼という化け物だという事実が、シグナムに否応無しの警戒心を持たせていた。
 そしてシグナムの口から、先ほどの返答にすらならない言葉が飛ぶ。

「やかましい。お前はあの男の使いなのだろう? ならば、奴の居場所も知っているはずだ……話してもらおうか」

 その言葉の意味は一つしかない。少佐達の居場所を吐けという事だ。
 スカリエッティと組んでいると言うのなら、少佐の元へとゆりかごで移動するはず。
 ならば、あらかじめその居場所を聞いておけば先回りして転移も可能。シグナムはそう考えた。
 だが、シグナムはシュレディンガーの能力の詳細を知らない。だから、ここから逃げることは不可能だろうと思っている。
 ……それが誤算だった。

「……そんなの聞かれて、話すと思う?」

 ありのまま、今起こったことを話そう。
 「シュレディンガーへと剣を向けていたが、いつの間にか消えていた上に後ろから話しかけられた」
 何を言っているのかは分からないだろうが、シグナムにも……否、その場にいた誰にも何が起こったのか分からなかった。
 催眠術や超スピードのようなチャチなものではない。これはもっと恐るべき何かだ。

「な……!?」

 何が起こったのかもわからず、すぐに後ろを振り向くシグナム。そこには笑顔のシュレディンガーが……いなかった。
 ただそこには、ドイツ語で「じゃ、またね」と書かれたメモ用紙。完全におちょくられていたと言うわけか……!
681NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 10:35:38 ID:RDwpKevK
 全てが終わった後、女王は二つの事を言葉に出した。
 一つはHELLSING機関への命令。もう一つは――――

「ヘルシング卿、アーカード。命令よ。彼らを打ち倒しなさい。
 ……八神二佐、申し訳ないけれど、貴方達機動六課にも協力してもらいます。いいですね?」

 ――――六課への協力要請。
 さすがに管理局そのものに動いてもらおうというのは難しいと考え、ならばその中の実働部隊の一つに協力を願おうという判断である。
 そしてこの状況、はやての答えも決まっていた。

「……この申し出を断る人がいたら、会ってみたいくらいです」

 ……そう、要請を引き受けるという答えに。


 かくして、ここに六課と英国の協力体制が敷かれることとなった。
 六課はスカリエッティを、英国はミレニアムを叩くという目的で。


TO BE CONTINUED
682NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2008/03/30(日) 10:38:36 ID:RDwpKevK
投下完遂
途中のエセポルナレフは余計だったといまさらながらに思いますorz
…ついでに業務連絡。.hack//Lyricalは色々あって完結不可能と判断。申し訳ありませんが、投下終了後に破棄します
リリカル龍騎の再開のめどが立ったので、それでご勘弁をorz

>>679
え?あ、間違えた…orz 載せる際には修正しておきます
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 11:07:47 ID:ccId4KGe
GJ!
ポルナレフ思考のシグナムに吹いた。剣つながりですかー。
・・・そういえばベルカ語とドイツ語は同じか・・・!!
684なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 12:53:45 ID:IeN0XaVd
小話メドレーが溜ったので出したいのですが……よろしいでしょうか? まぁ今回は嘘予告メドレーっつー感じですが。
えと、1時15分位ぐらいになったら投下したいのですが。
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 12:57:38 ID:tZZU+Jzn
進路クリアー、いつでもどうぞ!
686なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:16:45 ID:IeN0XaVd
時間が来たので、投下させて頂きたく存じまーす。
687小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:18:06 ID:IeN0XaVd
小話メドレーその20『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう〜最初にやるのは化物語編〜』

 僕が高町なのはと出会ったのは、そう、神原の一件が片付いて暫くしてからだった。
 我が家のファイヤーシスターズにせっつかれて買いにいった洋菓子屋の看板娘、それが高町なのはだった。
 そこでちょっとばっかり愉快な会話をして、お互いに顔を覚えて、それで数日後、夜道を駆けるあいつを見つけて、追いかけたのが運の尽き。
 僕はまた、新しい怪異に首を突っ込む事になったんだ。

「おいおい、これってまさか……魔法少女、ってやつか?」

「鼬型の怪異……現代風に言えばフェレットなのかな? はっはー、阿良々木君はまた愉快なのを連れてきたね」

「ジュエルシード、それを見つける為に力を貸して下さい! 阿良々木さん!!」

「AV機器? ……高町、お前またコアなものが好きだな」
「え、えっとね? 誤解しちゃ駄目だよ? お兄ちゃんが使ってるみたいな……お姉さんにエッチな事する道具じゃないからね?」
「露程にもそんな風に理解してねぇし使ってもいねぇよそんなモン! 小学生がそんな事知ってるとは世も末だな!!」

――――第一話『なのはフェレット』

 フェイト=テスタロッサとの出会いは、最悪な部類に入っていると言えただろう。
 あのちびっ子、ジュエルシードを狙って、うんともすんとも言葉を交わさずいきなり仕掛けてきやがったからだ。
 だけどその時に見たあいつの顔、あいつの眼に僕は何かを見たんだろう。
 警告されて、突っ返されて、攻撃されて、それでも僕はあいつを見放そうとは思わなかったんだ。

「フェイトちゃん! お願いだから……お話を聞かせて!!」

「言葉じゃ……何も伝わらない」

「人造人間……洋風に言えばホムンクルスって所かな? まー僕に言わせれば、腹から出るか試験管から出るかの違いだよね」

「人造人間ねぇ……パッと見は普通と変わんなく見えるけどな」
「同じだからこその人造人間だもん。……でも、他の女の子がどうなのか、私は知らない」
「まあそうだろうなぁ。お前、高町が人間相手のファーストコンタクトって感じだし」
「だからね、阿良々木さん。……私の身体、変な所が無いか……調べて欲しいの」
「……ふふふ、お前といると、僕は男として本っ当に試されるよ……ッ!」

――――第二話『ふぇいとヒューマン』

 八神はやてが僕達と会ったのは、丁度今年が終わるちょっと前ぐらいだった。
 その時にはもう千石とも再会したし、ブラック羽川の再来も終わったし、押野もこの街を去っていたし、勿論高町とフェイトのごたごたも決着していた。
 いきなり現れた3人と1匹、リンカーコアとやらを寄越せとつっかかって来たアイツら。
 正直な話、最初っから胡散臭いとは思ってたんだ。怪異と家族としてやっていける奴、だなんて。事実、怪異の本体はアイツらじゃなくて、もっと根の深いものだった訳だし。

「我等は守護騎士ヴォルケンリッター……例え騎士の誇りを捨ててでも、主は護ってみせる!!」

「あの4人組が本当に怪異だと思う? 1人に4つの怪異が憑いていると? それとも4人で1つとでも?」

「――闇の書! それがアイツらの本体……元凶だ!!」

「お前の家って本だらけなんだな。成る程、これなら闇の書なんて物騒なもんがあったのも頷ける」
「せやろ? 本なら大概のもんがあるんやでぇ。例えばこれば先月、神原師匠と一緒に買ったボーイズラブ小説で……」
「小学生がボーイズラブに手を出すな! ていうか神原を師匠って言ったのか、言ったよな!? どんだけ世間は狭いんだ!!」

――――第三話『はやてブック』
688小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:19:21 ID:IeN0XaVd
 そんな感じであの1年、僕は戦場ヶ原達とは別に、3つの怪異を相手にする事になった。

「ねえ阿良々木君。私は江戸弁で喋る人間はこの世から抹消されるべきだと思うの」
「いきなり何の脈絡も無い事を言う奴だなお前は。で、その心は?」
「だって私の名前を言ってご覧なさい? “ひたぎ”よ、ひ・た・ぎ。江戸弁は“ひ”が“し”になり、“し”が“ひ”になるの。それがどういう意味か解る?」
「つまりアレか、江戸弁を話す奴だとお前は“したぎ”って呼ばれると?」
「そう。呼ばれる度に下着呼ばわり、逆に下着っていう時はひたぎになるのよ? これは途方も無い屈辱だわ」
「まあ確かに腹の立つ事だとは思うが、だからと言って元首都圏で使われていた言葉を全面否定する事も無いだろう……」
「だから……ねぇ阿良々木君」
「ん? 何だ」
「あなた、本当は江戸弁で喋る人間、って事はない?」
「長々と前振りしたが要点はそこか!?」

―――『魔物語』。
――――青春には、おかしなことがつきものだ!!

小話メドレーその21『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう〜お次にやるのは刀語編〜』

「ねえ、貴女達は本当に今の世界を疑っていないんですか?」
「……どういう事?」
「だって高町さん。次元世界とか、戦闘機人とか、魔法とか、魔導師とか」

「そんなもの、実在するわけないじゃないですか」



 突如として機動六課の前に現れた、“歴史の修正力”を名乗る少年。
 彼が示したのは歴史の間違い、そして、高町なのは達にそれを正して欲しいという依頼だった!!

「歴史の誤差がね、いよいよのっぴきならない所まで来てしまったんです。それこそ、“ぼく”なんていう誰でもない、“貴女達に歴史の間違いを知らせる都合の良い存在”が創られる程にね」

 少年の言う事には、この世のあらゆる歪みは、かつてあった12本の刀を巡る戦いが切っ掛けになったと言う。

「創造主の名は四季崎記紀。彼が造った12本の異形の刀、完成形変体刀……それを全て集めて下さい」

 その為に起きたのは、過去に飛ぶという、前代未聞の時間跳躍。
 かくして12の男女は、過去へと飛ばされる。
 そして繰り広げられるのは、刀を巡っての熾烈を争う闘争の数々――!!

―――第一刀!
――――鍔無し反り無し鞘も無し、誇るは折れる事無しの絶対強度! 絶刀『鉋』!!
――――振るうはこの世で最も柔軟な身体を持つしのび、真庭忍軍十二頭が一頭、真庭蝙蝠!!!
――――争うは剛健無比の鉄人少女、スバル=ナカジマ!!!

―――第二刀!
――――徹頭徹尾を黒く塗り、それが示すは万物両断の切断力! 斬刀『鈍』!!
――――抜くは閃きも見せぬ神速の居合い剣士、砂塵に塗れた城の孤独な城主、宇練銀閣!!!
――――交差するは火炎を纏う守護騎士筆頭、シグナム!!!

―――第三刀!
――――完全同一全く同じ、揃えてその数実にきっかり千本! 千刀『?』!!
――――廻るは三途神社にて千人の黒巫女衆を率いる唯一の千刀流後継者、敦賀迷彩!!!
――――挑むは機動六課を率いる我らが部隊長、八神はやて!!!

―――第四刀!
――――刀身たるや朧の如きその薄さ、至上最も脆弱な刀はここにあり! 薄刀『針』!!
――――操るは若くも麗しき白の青年、しかしてその実は現日本最強を誇る剣士、錆白兵!!!
――――対峙するは雷光引いた神速の魔導師、フェイト=T=ハラオウン!!!
689小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:22:25 ID:IeN0XaVd
 呟いた時、左右の口角が吊り上がるのを感じた。どうやら自分は、笑っているようだ。
 それからぼんやりと辺りを見回せば、そこには沢山の死体が転がっている。
「ひょっとして……全部、私がやったのかなぁ」
 覚えが無い。何十人、いやさ数百人の数は転がっていても、そこに印象は無い。そんな思いで、ただぼんやりと高町なのはは死体の群を見下ろす。
「私、どうしちゃったのかなぁ……?」
 確か自分は、人を護る人間だった、気がする。
 だけど今の自分は、何百人もの人間を殺した、殺人鬼だ。
 どうして自分はそんな事が出来たんだろうか。
「おやおやおや、これはまた壮絶な光景が広がっているね。私達でも、そうだねアスでもこんなに沢山の人間を一度に殺した事は無いんじゃないかな」
 と、声が聞こえた。饒舌な男の声、誰だろうと見た先にいたのは、針金細工の様に長い手足をした男だった。
「ひょっとして君がやったのかい? お嬢さん。
 だとしたら君は将来有望だね、というかもう将来に到達していると言っても過言ではないね、そうだろう?
どうやらついさっき目覚めたようだが、しょっぱなからこんな事が出来るんだ、未来の、という形容詞では正しくないだろうからね」
「……目覚め、た?」
 首を傾げるなのはに、長身の男はにやりと笑む。
「――零崎化、してるんだろう?」
「……ぜろざき?」
 聞いた事の無い言葉だ。人の名前だろうか? それと化した、とはどういう意味だろう。
「お兄ちゃん、だぁれ?」
 問うた瞬間、男が急激に仰け反った。
「――素晴らしい! なんという事だ、こんな訳の解らないくそったれな戦争に巻き込まれて散々な気持ちになっていたが今の一言で救われたよ! というか埋め合わせを通り越して至高の気分だ!!
 成る程成る程確かにその通りだ、僕より年下の女の子が零崎化したのなら確かにその子は僕の妹だ! ああ素晴らしい、遂に妹が出来たよ、わーい!! 何かこの先の展開を無視した様な気もするが気のせいだ!!」
 ハラショー、とか喚く男をなのははぼんやりと見続ける。そんなのが数分続いた後に、男は機を取り直し、
「あ、ああ、僕の名前だったね。すまない、余りの感激に意識が行動を凌駕してしまった」
 と前置きして一言。
「――零崎双識だよ。以後よろしくやっていこうじゃないか、新しい“家賊”」


 かつて第97管理外世界で起きた空前絶後の親子喧嘩、通称『狐と鷹の大戦争』。
 そこに介入した時空管理局。投入された局員の中には、当時10歳だった高町なのはもいた。
 彼女はこの時を持って一度姿を消す。
 次に現れるのはこの6年後、ミッドチルダにおける空港火災での事となる。
 殺し名が第3位、“零崎”の姓に名を連ねる者として、火災を起こした犯人として。


「や、やぁ……殺さないで……」
 泣きじゃくる少女は、スバル=ナカジマ。
「――なのは!? どうして……なんでなのはがこんな事をするの!?」
 問いただすのは、フェイト=T=ハラオウン。
「なのは……ああ、そっか。私の名前だよね。ごめん、フェイトちゃん、あんまり久しぶりだったから反応し損なっちゃった」
 そして答えるのは、
「今私ね? ――零崎飛織っていう名前なの」
 名を変えた、高町なのは。


「――私は、高町なのはを絶対に許さない」
 高町なのはの零崎化は、本来ならばスバルが抱いていた筈の敬愛を怨嗟に変え、
「……どうして…なんで、なのはが……こんな……っ!」
 目覚める前の彼女を知る者達に、悲嘆を抱かせた。


「わーいっ! トキ君だー!!」
「……飛織、急に人に抱きつく事は、悪い事だと僕は思う」
「えーっ、いつもみたいに“悪くない”って言ってよー!!」
「ははは、なぁ飛織、トキよりも僕に抱きついてみないかい? 兄ならば至福の抱擁をお返し出来るよ?」
「お兄ちゃんは背が高過ぎて抱きつき難いからやだ。それに変態っぽいし」
「アス、アスっ! 妹に変態と言われたよ、これはいわゆる家庭内崩壊という奴じゃないだろうか!?」
「いや単にお前の事を正確に判断されただけっちゃよ」
690名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 13:24:03 ID:HQv5iDkX
あれ? 間抜けた? 支援
691小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:24:53 ID:IeN0XaVd
(すみません、投下ミスしました。>>688>>689の間にここのレスをご覧下さい)

―――第五刀!
――――その容貌に刀の面影一切無し、西洋甲冑を模した難攻不落の異形刀! 賊刀『鎧』!!
――――纏うは見上げんばかりの七尺巨漢、賊刀『鎧』を纏うはこの者以外にある筈無し、校倉必!!!
――――ぶつかるは巨躯の従者を従える召喚師、ルーテシア=アルピーノ!!!

―――第六刀!
――――余りに無骨なその形、置けば地に沈むその重量こそが最大の特徴! 双刀『鎚』!!
――――持つは極北の大雪山に住まう怪力民族、しかして彼女はただ一人の生き残り、凍空こなゆき!!!
――――出会うは一族を追放された竜巫女、キャロ=ル=ルシエ!!!

―――第七刀!
――――雷纏うその刃、我が身突き立てれば無限の再生力となる最悪の変体刀! 悪刀『鐚』!!
――――貫くは史上最強の才能に史上最弱の身体を持つ少女、七花の姉にして前日本最強、鑢七実!!!
――――立ち向かうは史上最強の凡人、ティアナ=ランスター!!!

―――第八刀!
――――“微”は“美”、“釵”は女性の意、四季崎記紀が恋した女性の模倣! 微刀『釵』!!
――――それなるは四碗四足全身に暗器を潜ませた不要湖の守護者、殺人人形、日和号!!!
――――狙うは科学と欲望の申し子、ジェイル=スカリエッティ!!!

―――第九刀!
――――清浄なる気配は王道の道標、“鋸”なのに斬られる方とはこれ如何に!? 王刀『鋸』!!
――――受け継ぐは変体刀所有者において唯一の真人間、活人剣・心王一鞘流師範、汽口斬愧!!!
――――訪れるは騎士の道を往く雷の申し子、エリオ=モンディアル!!!

―――第十刀!
――――刃を持たないその刀、この世で最も誠実に所有者の心を測る! 誠刀『銓』!!
――――頂くは大乱生んだ呪いの地に住まう変幻自在な苦手意識の権化、仙人、彼我木輪廻!!!
――――論じるは悠久の闇を強いられた紅の鉄騎、ヴィータ!!!

―――第十一刀!
――――変体刀十二本中最も強い毒気、持つ者はその心も保てない! 毒刀『鍍』!!
――――憑かれるは無数の強豪を身に縫い付けたしのび、真庭忍軍実質上の頭目、真庭鳳凰!!!
――――決するはスターズ分隊束ねるエースオブエース、高町なのは!!!

―――第十二刀!
――――戦国の世にあってはならぬその機構、ていうか最早刀じゃねぇよ!? 炎刀『銃』!!
――――預かるは否定姫に絶対の忠誠を掲げる“不忍”の元忍者、内部監査官補佐、左右田右衛門左衛門!!!
――――撃ち合うはシューティングアーツ直伝後継者、ギンガ=ナカジマ!!!

 そして全ての刀が揃う時、隠された十三番目の刀、完了系変体刀がその姿を現す!!
――――“刀”として在る人間、普く刀に嫌われた男! 虚刀『鑢』こと虚刀流七代目当主、鑢七花!!
――――一族郎党皆殺しの怨嗟に己が生の全てを捨てた女、奇策しか練らぬが故の奇策士、とがめ!!!
――――最後の変体刀を回収せんとする機動六課ほか三名が、対決する!!!!

 果たして十三の刀は揃うのか!? そして歴史の歪みはどうなるのか!!?
 全てが揃う時、一体何が起こるのか!!?
 『魔剣語』!!! 乞うご期待!!!!

小話メドレーその22『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう〜ここらで一つ人間シリーズ編〜』

 なんだろう、と高町なのはは思う。自分は何を掴んでいるんだろう、と。
 ちょっと細い所を掴んでて、手前側には丸くて大きいもの、反対側の先端にはそれよりずっと大きなものがついている。更にそれは途中で左右に細いのが伸びてて、そして中央のは末尾で二股に分かれている。
 なんだろう、なんか見覚えのある形だな、と高町なのはは思う。
 何だろうか、何だろうか、何だろうか。三回考えて、三回見て、三回悩んで、そして答えは出た。
 ああ、これは、
「――人間の死体だぁ」
692小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:26:31 ID:IeN0XaVd
「……ちゅーか飛織、なんでそんなに曲識の兄ちゃんが良いんだ? 昔殺されかけたんだろ?」
「人識は解ってないなぁ、そこが良いだよ。あの時のトキ君、とっても素敵だったんだから」
「意味解んねぇし」
「愚弟は黙ってるの!!」
「愚かでもなけりゃてめぇの弟でもねぇよ!!」

 そんな悲哀を気に求めず、まるで極普通の家族の様に振る舞う零崎の魔物達。
 果たして、“殺し”に目覚めた高町なのはの、零崎飛織の行く先はどちらなのか。

――――『零崎飛織の人間マジカル』

「リリカルマジカル、零崎、始めます!!」

小話メドレーその23『連続で西尾維新作品の嘘予告をしてみよう〜最後はやっぱり戯言シリーズ編〜』

 ジェイル=スカリエッティは恋をしている。
 それは想いを寄せている、という程消極的ではなく、愛している、という程積極的でもない。
 繰り返して言うが、ジェイル=スカリエッティは恋をしている。
 自分よりもずっと年下で、しかも更に年下の容姿で加齢の止まった、その少女を。


「やっほー“よっちゃん”、久しぶりー」

「……なぁ“姫”、その“よっちゃん”って矢張り“無限の欲望”からとってるのかい? だったら無理があると思うんだが」

 玖渚友に仕える9人目の『仲間』、それがジェイル=スカリエッティのもう一つの姿だった。


―――巻き起こる、天才達の跋扈する死の茶会

「……お待ちしておりましたわ、スカリエッティさん」
「お招き頂き光栄ですよ、赤神さん」

―――自分と同じく、恋を胸に秘めた少女との出会い

「うっわー! スカちゃんってめっちゃ頭良いんだねっ! 《うっかり山手線5週目突入、ただしフェルマーの最終定理を証明中》みたいなっ!!」
「……それは一見して阿呆に見えるという事かな……?」

―――突入する、傭兵養成お嬢様学校の内部

「貴方が何者でも私の名は荻原子荻、私の前では悪魔だって全席指定、正々堂々手段を選ばず真っ向から不意討ってご覧にいれましょう」
「やってみたまえ策士君。こちらも伊達で人造人間やってないんだ、一般人の頭脳で勝てると思うなよ」

―――再会する、かつての同類

「おやおや誰かと思ったら《無限の欲望》ジェイル=スカリエッティじゃあないか、かれこれ何年振りになるだろうか。だが生憎と君との付き合いは覚えていたくもないし、というか僕は《死線の蒼》を呼んだのであって君を呼んだ訳ではない、とっとと帰りたまえド変態」
「はっはっは、どの口がそれを言うかねドロリコン君。私も君に会いたいとは毛程にも思っていないから安心したまえ嫌われ者の細菌野郎」

―――遭遇する、最強の殺し屋

「ぎゃははははっ! 何おにーさん、理澄の知り合い? だったら先言えようっかり殺しちまう所だったじゃん! ちゅーか僕に許されてんのは一日1時間何だかさ、無駄な時間取らせんなよ、殺すよ?」
「どの道私は殺されるか……」

―――そして史上最悪の男と、

「『お前は何者だ?』、ふん。俺が誰だろうとどうでも良い事だ。そうだろう?」
693小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:27:13 ID:IeN0XaVd
―――戯言使いとの出会い

「君が“姫”と出会ったから私達は“姫”と出会えた。そして、君が帰ってきたから私達は“姫”に捨てられた。そうだろう?」
「……戯言ですね、本当に。あいつの気紛れも、それに付き合う貴方達も」


――――ヨコヤリサイエンティスト〜無限の欲望がやって来る〜
―――――そして男は、世界の終わりを見るのか


小話メドレーその24『今度のは西尾維新作品じゃないよ? な嘘予告〜GUNSLINGER GIRL編〜』

「――スカリエッティを釈放!?」
 どういう事だ、と問うのは機動六課の面々、詰め寄られるはやてだったが、彼女に動じた様子は一切無い。
 というよりも、さもありなん、という表情で一同を見返していた。
「うん。……とある組織がな、ジェイル=スカリエッティの技術力が必要不可欠だ、って管理局に詰め寄ったんだそうや」
「管理局が認めたって言うんですか……? 彼があれだけの事件を起こして、まだ1年も経ってないんですよ!?」
「……ひょっとしたら、こうなるって解ってたからすんなり掴まったんかもしれんな」
 はやては天井を仰いでごちる。その様子を見据え、高町なのは問う。
「そのスカリエッティを欲しがってる組織は、一体どこなの?」
 なのはの言葉に周囲が静まり返った。それを聞いてどうするのか、そう危惧するだけの因縁が、なのはとスカリエッティにはある。
 だがはやてが返したのは、自嘲するような笑みだった。
「それがな、なのはちゃん。……どうやら私らと同じ穴の狢っぽいんよ」
「え?」
「――社会福祉公社。第97管理外世界、私らの世界の組織やよ」
 そして告げられるのは、信じたくない事実。
「そこでは……小さな女の子らが戦闘機人にされとるそうや。否、戦闘機人とも呼べない様な未熟な技術で、洗脳と短命を強いられてな」


「――どういうおつもりなんですか」
「どういうつもり、とは?」
 怜悧な表情で眼前を睨むフェイト。その先にいるのは一人の男。ジャンと名乗ったその男は、不完全型戦闘機人、当地名称“義体”の担当官達のリーダーらしい。
「スカリエッティを引き取りたいなどと……彼は新歴が始まって以来、最悪の犯罪者ですよ」
「――だから?」
 返された答えにフェイトは息を飲んだ。
「だから、って……」
「彼が犯罪を犯したのは貴方達の世界で、だ。私達は一切関係ない」
 いえ、とジャンは一度顔を俯かせる。そして再度上げられた時、そこにある表情は怒りだった。
「なぜ時空管理局は公に現れない? どうしてその力を隠し続ける? ――貴方達の力があれば、一体どれ程の人間が救われたと思っているのですか」
「―――――」
「貴方達に私達を止める権利は無い。貴方達が助けてくれないから、私達は自分達だけで助かる」


 返されたのは拒絶と怒り。それだけの力を持ちながら何故救ってくれないのか、と。

694小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:28:44 ID:IeN0XaVd
「……これが、義体の戦闘力!?」

「こんな小さな女の子が、質量兵器を使いこなすなんて……」

「どうして……エッタちゃん、どうして!?」

「私は、ジョゼさんとずっと一緒にいたいの! それだけなの!!」

「……サンドロ、私、死にたくないよぉ……っ!」

「戦闘機人技術が手に入れば、義体の寿命や弊害は解除され、安全も確保される。どうしてそれを否定する?」

「……貴様等のせいだ…っ! 貴様等のせいで、アンジェリカは……っ!!」


 送られたのは戦闘と葛藤。それでも貴方達が私達の邪魔をするなら手段は選ばない、と。


「ジョゼさん。ジョゼさんは、私達を恨んでいますか?」

「恨んではいないよ。――ただ、助けて欲しかった」


――――GUNSLINGER MAGICAL GIRL
―――――少女に与えられたのは、魔法との出会いと小さな救い


小話メドレーその25『嘘予告をやってみた〜ちょっと異色なスパロボ大戦に挑戦編〜』

 その日、八神はやては闇の書を覚醒させ、ヴォルケンリッター達と出会う。筈だった。
 自分しかいない薄暗い家、電話には担当医の慰めじみた留守電が一つ。
 悲哀と寂寥に心で泣き、八神はやては闇の書と出会う筈だった。
 しかし、その彼女の前に現れたのは――


「はじめまして、おいらロボコン!! ロボット学校の卒業試験で、やってきました!!」


 真っ赤なボディの、ちょっと間の抜けたロボットだった!?



「もうっ、お店のお菓子全部食べちゃうなんて……ちゃんと働いて返さなきゃ駄目だよ!?」
「バゥ〜……ごめんなさぃ〜……」
――――遠路はるばるハラッパ国からやってきた犬型ロボット、ロボタック!!

「貴方……誰? どうして傀儡兵の中に……」
「カブカブ! 博士ってばまたいい加減な所に送り飛ばして……スターピースが見つかんなかったらどうするんだろう」
――――時の庭園の傀儡兵より掘り出されたビーロボ、カブタック!!


 更に、時を同じくしてなのはやフェイトの前に現れる赤いロボット達!!

695小話メドレー6th ◆WslPJpzlnU :2008/03/30(日) 13:31:38 ID:IeN0XaVd
 そして少女達の前に次々と現れる、人間大のロボット達!!

「ここは……どこ? お茶の水博士はどこに行っちゃったの?」

『――我は門番。吉永家の門より離れる訳にはいかん』

「紅茶が冷めてしまうわ。アリサ、いれて頂戴」

「ナンバーズ? ……私達マルチアーノ12姉妹を前に12姉妹を名乗るとは、良い度胸ね」

「おっしゃ面白ぇ!! ロボトルで勝負だ!!」

「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ………ん! んちゃっ!!」

「キテレツ〜、キテレツはどこ行ったナリ〜っ!?」

「――忍法、我慢の術って所かな」

「ぎゃああああああっ! ネズミ、ネズミ〜〜っ!!!」

「拙者の名はサスケ、見ての通りのカラクリ忍者でゴザル」


――――人間大のロボット達が、サイズに狭しと大乱闘!?
――――スモールスーパーロボット大戦、略してスモパロボ大戦!!!

↑ここで投下終了

途中、投下ミスしてしまってすみませんでした。
西尾維新作品で嘘予告すんなら新本格魔法少女もやるべきだったんでしょーが……あちらは今読んでる最中なので書けませんでした。

どーでも良ーけど、ちっちゃいのでスパロボ大戦ってあんまり聞かないな、どーしてだろ。制作してる所がバラけてる、とかそういう理由かなー。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 13:40:02 ID:6pEzIdSh
戦闘向きじゃない面子が大多数ダカラジャネ?
697名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 13:41:28 ID:f+DkXu+p
ナムカプあるやん
698名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 13:47:00 ID:vhzGJyUi
 GJ!
 個人的には最後のネタが一番好みです。
 12姉妹対決には盛大に吹きました。
 でもドラちゃんやアラレちゃん、アトムあたりがオーバースペックというかバランスブレイカーで、連載は無理そうですね…。
699リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 13:47:41 ID:x3ETtfQC
終わクロ氏、GJでした。

あと、心機一転を思いコテ変えました。
1430頃投下可能ですか?
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 13:49:27 ID:HQv5iDkX
GJ
だがティアナそいつはヤバい。逃げの一手で自滅を待つぐらいしか……逃げられる気は全くしないが。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 13:50:55 ID:MxImpQVE
>>695
乙〜。ドールってロボットなのか?w
それがおkなら、某スイッチ押されると自爆したくなる人造人間に期待したくなるww
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 13:59:59 ID:4yRz8Nbo
ロボタックは高町家か…
最後、士郎さん達がロボタックにしがみついて
なのはがミッドでワンダフルート吹いて強制的にミッドまで走らされて移住しそうだ…
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 14:08:48 ID:qk8RZKU7
見えるぞ闇の書の防衛プログラムがチートロボにフルボッコされる姿が
後スターピースにリンアインスの完全修復を頼むのも
704リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 14:36:59 ID:x3ETtfQC
1500に変更してさせてください。
ちなみに内容はリリカル・コアではありません……。
705リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 14:55:39 ID:x3ETtfQC
早いですが投下します。
内容はちょっとしたお話。
続きはまたいつか書きたいですね。

もしかして自分は空気を読んでいないか?
706リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 14:57:56 ID:x3ETtfQC
『AMF』
元々は高ランクの魔道士及び騎士が使用し、また管理局では大規模事件の際に大型トラックに積載される発生器によって
運用されていた技術。
だがJS事件の首魁、ジュエル・スカリエッティが自身の被造物たるガジェットに搭載できるまで小型化し、さらに運用時間の
延長によって本来、高度な技術の塊であった『AMF』は各管理世界に流出、普遍的な物となり次元世界における戦争を
一変させていた。

『第97管理外世界』
高度な科学技術を持ちながら魔法技術がまったく無い故、管理世界の末席にすら並ぶ事はないとされた管理外世界。
だがこの世界の兵器体系に着目した一部の管理世界によって魔導関係の理論がもたらされた時、すべては一変した。
当世界における国家連合にいくつかの次元世界政府・企業が魔導技術の提供と引替えに管理世界では失われて久しい
各種技術を得る事になる。

『ヴァンツァー』
第97管理外世界に置いて開発・発展していった人型兵器。
障害処理、有視界・市街地における戦闘に威力を発揮し、第97管理外世界における戦場を一変させた兵器。
そしてそれは次元世界においても同じ事であった。
AMF発生器を搭載された管理世界製ヴァンツァーは魔道士・騎士と言った元来の戦力の有効性を低下させ、それらを主戦力と
していた時空管理局の地位を相対的に低下させた。

そしてそれらは再び次元世界における長き戦争の種火となる。
これはその戦争の時代を駆け抜けた一人の魔法少女の物語……。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 14:59:21 ID:f+DkXu+p
フロントミッションw!? 支援!
708リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 15:00:27 ID:x3ETtfQC
「スバル!!また遅刻よ!!」
「だってぇ〜、ティア〜、ノーヴェが起こしてくれないんだもん」
「ちょっと待て、ハチマキ!!あたしは起こしただろーが!!」
「最後まで起こしてよ〜」
街中にある何処にでもあるような公園。人々が行きかい、子供達は遊ぶ、平和な情景の中、スバルとノーヴェのナカジマ姉妹と
ティアナ・ランスターの三人は久しぶりの再開を果たしていた。
「ギンガさんは?」
「ギン姉は急な仕事が入っちゃって……」
「宜しく言っといてくれってさ」

「じゃ、撮るわよ?」
「早く早く」
「オレンジ、早くこいよ」
「オレンジ言わない!!」
デジカメのタイマーをセットしティアナはスバルとノーヴェの横に並ぶ。
フラッシュがたかれ、デジカメのレンズが写した光景、スバルを中心に両隣にノーヴェとティアナが並ぶ誰でも撮る様な
ごく普通のスナップ写真。
「じゃあ、もう一枚撮ろっか?」
「ハチマキ!!肩に手ぇ回すなよ!!」
「えーいいじゃん!!お姉ちゃんなんだから」
<Master!!ALERT!!>
<BUDDY、CAUTION!!>
「マッハ・キャリバー、どうしたの?」
「クロスミラージュ?何が・・・?」

爆発音。
単発のテロか?その場にいた三人は爆発音と同時に身構え周囲を確認する。
だが爆発音は一つではなく砲弾の飛翔音が聞こえたと思うと再び……。

「テロじゃねぇ!!AMF!!ハチマキ、オレンジ!!」
再び爆発音が響く。続いて拡がったのはAMF。そして……
「アレって……」
「ヴァンツァー!!」
『ティアナ?無事?』
「フェイトさん!?そっちはどんな状況ですか!?」
ティアナの上官、フェイト・T・ハラオウン執務官から通信が入る。それにも爆発音は響いていた。
『こちらにもさっきから襲撃が続いてる。でも大丈夫、さっき本局から増援の警察戦車大隊が到着したから持ちこたえてる』
「フェイト執務官、スバル・ナカジマです!!あたしとノーヴェもお手伝いします!!」
「あたしもかよ!!」
『久しぶりだね、スバルとノーヴェ。お願いするよ。でも気をつけて、戦闘ヘリがそちらに向かってる』
「私達三人は避難誘導と逃げ遅れた人の保護でいいですね?」
『そう』
「「了解しました!!」」
「あー、もう!!わーったよ!!手伝えばいいんだろ!!」

「何処に逃げればいいんですか!?」
ビルの地上階で隠れていた市民のグループを見つけた三人は早速非難を促す。
これは災害救助隊のスバルの本領、ティアナはサポートに徹し、ノーヴェも手伝おうとするがまだ動きはぎこちない。
「あそこの地下鉄のホームに逃げてください!!地上のビルは危険です!!」
「早く!!此処にヴァンツァーが来る前に!!」
「現地の警察は何やってんだよ!!」
ノーヴェが吼え、それを聞いた市民の一人が指差す。
「あそこだよ……」
そこでは警邏車両が燃えていた。運転手と助手席の二人を乗せたまま・・・・・・。
「嘘だろ……」
「ノーヴェ!!こっちはお姉ちゃんに任せて周囲を警戒して!!」
「だからまだ認めてわけじゃねぇぞ、ハチマキ!!」
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 15:02:01 ID:fZg8Qt7L
支援w
710リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 15:02:30 ID:x3ETtfQC
「ハチマキ!!戦闘ヘリだ!!ヴァンツァーを追ってる!!」
「こんな時に!!」
「スバル、ノーヴェ!!隠れて!!」
ローラーダッシュで道路を高速で走りぬける巨体。後に風圧を残し三人と市民の動きを止める。
その後を飛ぶ三機の戦闘ヘリの機首が光る。それは機首に装備された多銃身機関砲が火を噴いている証明。
「みんな伏せて!!」
スバルが叫ぶ、彼女達の前方の道路が光る。その後に来るのは殺傷するほどの威力を持った大量の小さな破片……。
「私達がいるのは見えてるでしょうに!!一寸は遠慮しなさいよ!!」
だがロケット弾を使われないのは僥倖。使われていたら間違いなく死者が出ていた。
「だけどチャンスだよ、ティア!!」
「O.K、スバル!!皆さん、私達が援護します!!あそこの入り口まで走って!!」
言うが早いかティアナは道路の中央に立ちクロスミラージュを構える。だがAMF環境下では出来る事は少ない。
「来るんじゃないわよ……。今来られてもめくらまし位にしかならないんだから……」
一秒、一分が一時間、十時間ぐらいのように感じられる、気の遠くなるような時間。
『オレンジ!!来るぞ!!さっきから鬼ごっこやってる連中……!?』
「嘘……」
長い直線の道路のまだ遠い向こう側、“鬼ごっこ”をしてる一機のヴァンツァーが三機の戦闘ヘリの十字砲火に捉えられ
被弾、操縦不能になったと思しき機体は火を噴き近くのビルの地上階へと突っ込んでいった。
後に起こったのは爆発。そしてそこにいた人々の悲鳴……。
『ティア!!』
スバルの警告で思考が現実に引き戻される。もう眼前の距離にまでヴァンツアーは接近していた。
「!?」
当然の衝撃。思わず目を閉じる。風を感じ恐る恐る目を開けたとき、目の前にはノーヴェの顔があった。
「だからオレンジは駄目なんだよ!!」
AMFに影響されないIS:ブレイクライナーを展開、ティアナを間一髪で助け出していた。
「オレンジ、オレンジ、うっさい!!」
「助けられた奴が言う台詞じゃねぇぞ!!」

「スバル!!早く!!」
「でも……!!」
スバルが遅れていた。逃げ遅れた子供を抱えて逃げようとしたとき、スバルのすぐ近くでヴァンツァーが一機、旋回、
周囲に瓦礫と風を撒き散らしたため逃げ遅れてしまった。
「あー、もう!!」
ティアナの幻術、スバル達の頭上にいるヴァンツァーのセンサーに違う映像を混ぜ、さらに周囲に多数の幻影を作り出し
戦闘ヘリの火器を封じる。
「ハチマキ!!」
「スバル!!」
しかしヴァンツァーは容赦なく両腕のマシンガンを構える。
ティアナがスバルの元に走った。スバルの元にたどり着いたとき、ヴァンツァーがマシンガンを発砲、辺りを轟音で満たし、
大量のカートリッジを排莢する。その下にいる者達の事など考えず……。
「スバル姉!!ティアナ!!」
ノーヴェの悲鳴にも似た絶叫が響いた……。
711リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 15:04:43 ID:x3ETtfQC
「ティア……、ホントに大丈夫?」
「だからさっきから言ってるでしょうが!!大丈夫だって!!」
「オレンジ、病院の中だぞ」
清潔な消毒液の匂いすら漂う病室、スバルとノーヴェの二人は負傷したティアナを見舞っていた。
「ホントのホントに?」
「はいはい、もう分ったから……。そうそう明日、後方の病院に転院するわ。そこに行ってから本格的な治療ね」
「えらくまた急なんだな」
「負傷した人は一杯いるわ。私みたいな軽症は早めにベットをあけないとね……。スバル、デバイスだして」
ティアナがクロスミラージュを出し、スバルは待機状態のマッハキャリバーを差し出す。
ティアナがデータを転送する。それほど大きくないデータ。
「あのときの写真。ノーヴェには後でスバルからあげて」

病院の玄関、一台の救急車が止まり乗せられるべき患者を待っていた。
「オレンジだけなんだな」
「あの、ほかの人は?」
「先ほどの便で搬送しました」
「ティア、あっち着いたらちゃんと連絡してよ?」
「分ってるわよ!!」
その会話を聞いていたのか救急車に乗る初老の救急隊員が急げと言うジェスチャーか腕時計を叩く。
「じゃ、行くわね」
「うん!気をつけてね」
「早く治って来いよ、あん時の借りを返してないんだからな」
「あんた達と違って丈夫じゃないのよ、私は」
そう言うとティアナは救急車の中へと消えた。

「行っちまったな」
「そうだね……。あ、そうだ」
「なんだよ、ハチマキ」
「あの時さ、言ってくれたよね?“スバル姉”ってさ」
ノーヴェは後ずさる。
「聞いてたのかよ……」
「お願いだから〜もう一度言ってよ〜」
「馬鹿野郎!!知らねーよ」
スバルがノーヴェに甘えるように近づく。まるで妹離れできない駄目な姉である。
ノーヴェは顔を赤らめ回れ右、そのまま走り出す。
「あ、待ってよ〜!!」
「またねーよ!!」
712リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 15:06:50 ID:x3ETtfQC
管理局は本紛争を明白な片方側の侵略行為であるとして本格的な介入を開始。
スバルとノーヴェは巻き込まれるまま原隊に復帰する事無く現地の集成警察戦車大隊に組み込まれた。
「スターズ03より本部、担当エリア内の掃討完了。次の指示を待つ」
『なあ、ハチマキ……、この任務が終わったら……』
「どうしたの、ノーヴェ?」
ノーヴェが珍しく秘匿回線を使い、弱気な声で話しかける。
『こちらロメオ・リーダーこちらもだ。補給を頼む』
それを他の部隊の通信が割り込み中断される。
『何だ!?ロメオリーダーがやられた!!』
『畜生!!早い!!スターズ03、そちらに……』
『タキガワ!!』
ロメオチームの反応がすべて消滅した。ロメオの存在したはずの空間の向こう側から接近する機体が一機。
「スターズ03より各機、交戦用意!!来るよ!!あたしが接近戦で止める!!援護して!!」

『来た!!距離二千!!』
「オレンジ色の・・・・・・、ゼニス?でも機体の外観が……、そんな!?」
マッハキャリバーが解析した相手の情報を表示する。それを見たスバルは信じられなかった。

[搭乗者:ティアナ・ランスター]
[管制デバイス:クロス・ミラージュ]

「嘘……」
『分隊長!!』
隊員の一人が叫ぶ。オレンジ色のゼニスとの距離は千五百を切った。
オレンジ色のゼニスが発砲、一機が直撃を受け、吹き飛ぶ。
「撃って!!」
スバルが叫ぶ。残った三機が発砲。発砲音が周囲を満たす。
『早く脱出しな!!銃、借りるぞ!!』
ノーヴェの機体は撃たれた機体からマシンガンを拾い上げると撃ち始める。
「ティア、嘘でしょ?ティア!!」
スバルが機体を駆り、加速。一瞬の躊躇、だがその間にもオレンジ色のゼニスの射撃は止まず、分隊は瞬く間に
スバルとノーヴェを残すのみとなった。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 15:08:40 ID:fZg8Qt7L
支援!
714リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 15:09:06 ID:x3ETtfQC
「あ!!」
オレンジ色のゼニスの射撃はスバルが回避する間を与えず命中弾を与える。
『ハチマキ!!脱出しろ!!』
「了解!!ノーヴェ、援護して!!マッハキャリバー、行こう!!」
『5カウント!!5、4、3、2、……ぃ!!』
スバルが脱出したとき、ノーヴェはスバルの盾になるように前進する……、筈だったが命中弾が容赦なくノーヴェの
駆る機体を打ち抜く!!
「そんな事……!!ノーヴェ、脱出して!!」
『……くそ!!脱出機構が作動しない!!』
スバルがオレンジ色のゼニスを見る。弾切れを起こしたライフルを捨て、腰にマウントされていた
ショットガンを取り出す。
「ノーヴェ、機動六課の時の周波数が判るよね?それにあわせて!!」
『六課の周波数って……、合わせたぞ』

「ティア!!ティアでしょ!?」
『誰?何で私の名前を知ってるの?』
『ティア!?オレンジか!?』
マッハキャリバーの解析はあたっていた。
「あたしだよ!!スバルだよ!!」
『あたしも居るんだよ!!ノーヴェだ!!』

『スバル……、ノーヴェ……?』
「そ、そうだよ!!あたし達だよ!!ナカジマ姉妹の次女と三女の!!」
『……っく!!私に話しかけないで!!』
オレンジ色のゼニスがショットガンを構えた。狙いは……脱出できないノーヴェの乗る機体。
「ノーヴェ、脱出して!!早く!!コックピットを破って!!」
『おい、ティアナ?!嘘だろ!!おい、嘘だろう!!』
ノーヴェがコックピットのハッチを破ったのと同時にティアナの放った弾丸が、ノーヴェの機体を蜂の巣にした。

『止めろ……、止めてくれ、ティアナ!!』
ノーヴェの絶叫を聞いてもオレンジ色のゼニスが歩みを止める事は無く、ノーヴェのコックピットブロックに手を掛ける。
『ノーヴェ……?』
「そうだよ!!それにはノーヴェが載ってるんだよ!!」
一瞬手が止まる。スバルはそれを好機に必死に呼びかける。
一瞬止まった手がまた動き、コックピットブロックを引き出す。
「なんで!?どうして私達が殺しあわなきゃならないの!?」
『知らないわ、そんな奴……』
「ティアーーーー!!!!」
715リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 15:11:19 ID:x3ETtfQC
発砲音が響き、オレンジ色のゼニス=ティアナがコックピットブロックを投げ捨てると踵を返し、離脱していく。
スバルはそれを追う事無く、ノーヴェの元へと駆け寄る。
「ノーヴェ!!しっかりして!!」
スバルが必死に力なくぐったりと倒れるノーヴェを引きずり出す。
「スバル姉……、何でこんな事になっちまったのかな……?」
「しゃべらないで!!今助けるから!!」
下半身はもはや血だらけ。腹部も脚部も戦闘機人の機械部分が露出していた。
「ティアナのこと……、責めたり恨むなよ……?あたしは戦闘機人。戦闘で倒れるなら本望だ……」
「そんな事ない!!死んじゃ嫌だよ!!」
「どうして……、やっと、仲良くなれたのに……」
ノーヴェの体から力が抜け、目が
「ノーヴェ……?嘘!?嘘でしょ、ノーヴェ!?ノーヴェ!!」
小雨が降る中、ノーヴェの遺骸を胸に抱きスバルは天を仰ぐ。
「妹一人助けられないで……、何が救助隊のエリートだよ……。あたしは……あたしは……!!」
<Master……>
マッハキャリバーの呼びかけ。スバルの返事を待たず通信ウインドウを開く。
『……両軍及び管理局派遣部隊に告げます。両軍及び管理局は1600をもって停戦に合意しました。両軍は集結地点にまで
撤退しなさい。繰り返します……』
ウィンドウに写るフェイトが呼びかけていた。
スバルは時刻を確認する。現在時は1611を過ぎていた……。
「遅いよ……。遅すぎるよ!!もう少し早ければ……、ノーヴェは死なないで済んだのに!!」
戦場であった場所の静寂にスバルの絶叫が響いた……
716名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 15:14:29 ID:fZg8Qt7L
支援!
717リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE :2008/03/30(日) 15:14:37 ID:x3ETtfQC
以上。
まあ、OP映像だと思ってください。会話が多いのはそのため。

一応最後まで構想はあるけど仕事が忙しい……。
fAも積んでしまってる。そして避難所を覗くとネタバレ……。

ではまた今度……。
718リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/03/30(日) 15:23:21 ID:fZg8Qt7L
>>417
GJ! 悲劇から始まる戦争って感じですね。
相変わらずロボットに対する愛が溢れまくっていて、続きが見たいというのが正直な本音ですw
スバルはティアへの復讐を始めてしまうのか、それとも真実を知るのか。
って感じですね!



さて、すみませんが17:00から投下予約してもよろしいでしょうか?
アンリミテッド・エンドラインの続きを投下したいのですが。
719名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 15:38:08 ID:x3ETtfQC
ところで一応、書いておきますがネタ元はフロントミッション5です。
フロントミッションなら一番クロスさせやすいので……。
1?重すぎです。主にお話が。
2?重すぎです。主にロードが。
3?次元世界を駆け回る和樹ですね。「あそこにはアリサが居るんだ!!」
4?エルザさんが……。設定なら管理局内のヴァンツァー試験部隊としてデュランダルは使えそうでした。

というわけで5です。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 15:44:14 ID:f+DkXu+p
GJ!
設定的にあってもおかしくない第97管理外世界の立場がリアルでした
721名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 15:53:44 ID:as7HnEDR
もし、先に予約居なかったら16時位に1レスの超短篇を投下して良いですか
色々と捏造為てるんで注意が必要です
722名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 15:58:58 ID:fZg8Qt7L
OKなんじゃないかな?
予約はないみたいだし
723R-TYPE Λ:2008/03/30(日) 16:00:55 ID:/P0z8/Si
>>417

GJ!
ああ、ティアナが・・・ティアナがグレンポジションに・・・
そしてチョコバーがノーヴェかよ!
5は1以来の鬱っぷりでした・・・うう、カレン・・・ランディ・・・

そして8時40分頃に、R-TYPE Λ地上編最終話を投下しても宜しいでしょうか
かなり長くなってしまい、少々投下に時間が掛かりそうです
724なのはのカートリッジ:2008/03/30(日) 16:03:10 ID:as7HnEDR
では、“なのはのカートリッジ”行っきま〜す

ここに三人の鳥と腹話術人形と潜水服男が高町なのはの写真を見ながら色々と話し始めた。
ユガさん(鳥)「個人的には予備弾倉を付けたなのはさんが一番好きですッ」
マリンくん(人形)「どーしてあんなに軽快に飛べるのかな?」
サブ兄さん(潜水服男)「ウムッ、良いトコロに気付いたなッマリン君ッ それは、スマートななのはさんとは裏腹に放送禁止的までに予備弾倉を搭載為ているからだッ」
ユガ・マリン「「放送禁止!?」」
ユガさん「てか予備弾倉と飛行能力どーゆう関係?」
カチッ・・・ジュピーン、ドカーン
サブ兄さんがユガさんに向けてパンツァーハァウストをユガに向けて発射。
サブ兄さん「やっと静かになったなッ」

《これよりィ〜、原作著者の指定によりィ〜、『カートリッジ』と言う言葉に対してェ〜<ピ〜ッ>が入りまッすゥ〜ッ!》

ユガさん「コシ周りに<ピ〜ッ>を付けたのはスレ初かもなッ おおッ、肩には剥き出しの<ピ〜ッ>がッ! アブナイ配置だな」
マリンくん「腕周りにはこれでもかという数の<ピ〜ッ>があるですぅ でも、腕周りの<ピ〜ッ>って、何故か不自然に見えるなぁ?」
サブ兄さん「ウムッ、またしいても良いトコロに気付いたなッ、マリン君ッ コレに関しては俺様がッ説明せねばなるまいッ」
「高町なのはは、戦闘中極短時間魔力を増幅させるカートリッジを使用するッ。
しかしッ、腰周り等のスペースは既に無い。よって、腕周りに装着したワケだッ。
サスガに暴発するかも知れんから、おにぎりを貰う時は障害があるッ。そこで、苦肉の策として右腕のみ装着していないのだッ」
ユガさん「じゃ、教導隊なのはさんは腕周りの<ピ〜ッ>を取っ払って・・・」
サブ兄さん「それは違うッ」ユガさん「サブ兄さん、<ピ〜ッ>をスカートの中になっているとか言わんで下さいよ」
サブ兄さんがドキッとし、マリン君の笑い声が響く。
サブ兄さん「そうか、そうか、そんなに百式司偵の風防先端がそんなに好きかッ(グリグリ)」
ユガさん「ぐぁ!ちょ、サブ兄さんそれミリタリー・クラシックスの原作ネタ!!」
グリグリゴリ
ユガ・マリン「ぐであ!!!!!」
━━END━━
お後がよろしかったでしょうか?
725名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 16:09:20 ID:fZg8Qt7L
……元ネタなに?
726名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 16:19:01 ID:as7HnEDR
雑誌ミリタリー・クラシックス VOL18の百式司令部偵察機の特集で、こがしゅうと先生の解説マンガ“司偵のタンク”から抜粋
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 16:20:35 ID:as7HnEDR
済まんsage忘れた
728名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 16:21:21 ID:fZg8Qt7L
マイナー過ぎるw
わからないってw
729名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 16:25:22 ID:as7HnEDR
分かったよ、今度は一式陸攻か十二糎二十八連装噴進砲の回で書き直すよ
730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 16:28:16 ID:f+DkXu+p
じゃあワールドベースボール社の相撲で書いてくれ
731名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:01:02 ID:as7HnEDR
デーモン閣下は好きだけと相撲には興味ない
732リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/03/30(日) 17:04:22 ID:fZg8Qt7L
えーと投下予約をしていたのですが、十分前後から投下開始してもよろしいでしょうか?
12KBぐらいでそこそこ長いので、もしよろしければ支援をお願いします。

アンリミテッド・エンドラインの続きです。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:07:44 ID:saZFm1NR
支援。
それでは投下開始します。
8レスほどですが、支援をよろしくお願いします。




 
 正義なんて美しくなんかない。
 誰もが持っていて、それを正当化するための言葉だから。
 誰もが正義を抱いていて、それが時に信念という言葉に代わり、或いは我欲という言葉に代わり、時には――真実という言葉になる。
 なんて傑作なのだろう。
 たった一人の思い込みが、大衆の真実になる。
 正義。
 正義。それは決して真実なんかじゃない。
 誰かが決めた、居心地の良い大義名分。


                        ――朽ち折れた銃剣の前に刻まれた罵倒文より




 それは一人の女性だった。
 重々しい机の前で真剣な目つきで書類にペンを走らせ、同時にモニターに展開した情報を閲覧しながら、書類とモニターの内容の整合性を確認し、サインを行う。
 高度な情報ネットワークが形成され、ほぼ全てのデータが電子化されたとはいえ、形式上或いは重要なデータは書類というもっとも形に残りやすい媒体として作成され、取り扱われる。
 それらは各々として責任を背負うものが取り扱うのは通例であり、そして女性はここの責任者だった。
 すなわち古代遺失物管理部機動六課、部隊長八神 はやて、その人だった。

「八神はやて部隊長、失礼します」

 女性がペンを走らせている中に、二人の女性が扉を開いて現われた。
 それは片方の髪を結い上げた特徴的な髪型をした女性であり、もう片方は美しい金髪を腰まで靡かせた女性。

「高町 なのは一等空尉」

「フェイト・T・ハラオウン執務官」

 はやてに己の名を告げて、なのはとフェイトは僅かな乱れも無い敬礼を行う。

「八神部隊長に報告に参りました」

「了解、それじゃ報告を聞こうか」

 手を組み、はやてはニヤリと悪そうな笑みを浮かべた。
 
 そして、そのまま事務的に報告を受け、「以上、本日の報告です」という一言と共に、はやてはゆっくりと目を閉じて。

「了解。両名の報告は受け取ったわ、それじゃこれからは――少し砕けてもええわ」

 そう告げて、ウインクを一つ。
 それと同時に室内の空気が緩んだ。

「了解、はやてちゃん」

「了解、はやて」

 笑みを浮かべるなのはとフェイト。
 彼女達がはやてに向ける言葉には紛れも無い親愛の情が含まれている。
 何故ならば、彼女達は部下と上司であり――親友同士でもあるのだから。

「うーん、やっぱり堅苦しい態度は肩が凝るわ〜」

 そういって、コキコキと見せ付けるかのように肩を回すはやての態度に、なのはとフェイトは苦笑を浮かべる。

「まったくもう、はやてちゃんは偉い立場なんだから、もう少し慣れないと駄目だよ?」

「そもそも、私的な立場と公的な立場を弁えようとって言ってきたのははやてでしょ?」

「まあそうやけど、私には愚痴を言う自由もないんかいっ! って気持ちやな」

 ケラケラという表現がぴったりな笑い声を上げて、はやては愚痴を洩らすとゆっくりと口元の笑みを消す。

「そんじゃ、これからは私的な質問タイムや。新人たちの訓練経過はどうや?」

「思ってたよりも悪くないね。やっぱり若いだけあって飲み込みが早いよ」

 そう答えるのはスターズ分隊の隊長にして、教導官でもあるなのは。

「チーム単位なら現場に出しても問題ないくらいだね」

「ほうか。それは嬉しい報告やな」

 なのはの報告にうむうむと一々芝居がかった態度で頷くはやて。
 
「一応私も時間が空き次第訓練データに目を通すつもりやけど、注目しとる子とかいる?」

「そうだね……個人個人でそれぞれ特色あるけど、多分一番戦術的にはティアナとエリオが優れてるかな?」

 顎に手を当ててなのはが呟いた内容に、はやては少しだけ目を丸くした。

「ほう?」

「あの二人はもうガジェットドローンの特性や動作パターンとかを理解し始めてる。
 今はまだ体力や技能が足りないから苦戦してるだけで、ファーストモードが終わる頃には分隊単位でも対応出来るね」

「なるほどなるほど、そんじゃフェイトちゃんはどや?」

「私はなのはほどフォワード陣の訓練には付き合えていないけど、スバルとキャロに注目してるかな?
 ティアナやエリオとかと違ってスバルはまだ理解はしていないだろうけど、体というか、経験でガジェットとの戦い方を
覚え始めてる。キャロはまだ戦闘行為には慣れてないけど、フリードとのコンビネーションも良くなってきてるみたい」

 戦闘教導官としての意見を告げるなのはと今はまだ外部的な立場に近いフェイトの意見。
 それぞれの言葉を受けて、はやては顎に指を当てた。
 
「頭脳派なティアナとエリオに、独自スタイルなスバルとキャロ。別々の分隊やし、お互いの欠点を補えるのはいいことやね。
それじゃ、どれぐらいから“始める”べきやと思う?」

 ゆっくりと視線を動かし、はやてはなのはを見つめる。


「――“対人用訓練”を」


「……そうだね、時期的にはセカンドモードの解除辺りからがベストかな。多分それぐらいから個々のスタイルが
固まっているはずだから」

「了解。まあ訓練に関しては教導官のなのはちゃんが一番適任やからね、ビシビシっと鍛えてやってあげてや」

 少しばかり冗談を篭めた口調ではやてが告げる言葉に、なのはがにゃはははと苦笑して。

「けど、あまり気が進まないね」

 フェイトだけは暗い表情を浮かべて呟いた。

「まだ小さいのに、こんな騙すような形で鍛えるなんて」

「しょうがないやろ――とは死んでも言いたくないけどな。必要なことなんや」

 はやては虚空を見上げる。

「今はまだ無人の機動兵器だけやけど、いずれその背後にいる“人間”にぶつかる」

 設備の整った机や床とは裏腹に殺風景な天井の向こう側に、まるで空でも見えているかのように。

「その時のために、いつか戦うあの子らが負けないように、そして――【予言】を食い止めるために、私らはここにおるんやから」

 それはたった一つの正義。
 彼女達が信じる平和を護るための正義。
 どこまでも理想を貫き通す我侭な願いであっても、それは美しいものだった。



【Anrimited・EndLine/SIDE 2−3】

737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:17:11 ID:4yRz8Nbo
支援
738名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:19:37 ID:ccId4KGe
支援
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:20:49 ID:x3ETtfQC
支援
 


 時間は数十分前に遡る。

「まったく、ちゃんと整備しておかないからこうなるんだから」

「うえーん。ちゃんとアタシ整備してたのに〜」

「あ、あの、ずっと訓練で負荷が掛かっていたんですから、しょうがないですよ」

 三つの少女の声が室内に木霊していた。
 しかし、その声は床を打つ激しい水音に削られて、どこかくぐもっていた。
 そう彼女達が今居るのは隊舎のシャワー室だった。

「甘いわよ、キャロ。自分の得物の面倒も見れない奴はまだまだ半人前なんだから、同じくらい使ってる私のアンカーガンは
無事なのよ?」

 肌を舐める熱いお湯の感触にどこか上気した表情を浮かべながら、少女の一人――ティアナが厳しい言葉を吐き出す。

「うう、ティアのアンカーガンは別だよ。自作なのに、凄い改造してるし! シャーリーさんが見たとき、目を丸くしてたし!」

 ちょっとだけ涙目に成りながら、体を擦っていたタオルを振り回して声を上げるスバル。
 その度に揺れる一部分に、ティアナがピクリとこめかみを動かしたが……なんとか押さえ込む。
 COOLに、COOLにと自己暗示をつけて。

「ハンドメイドの利点は自分で改造が出来るってことなのよ? まったく整備課の人のメンテナンスを受けたら、自分で分解整備の
知識ぐらいは身につけなさい。故障箇所も内部パーツの磨耗が原因ぽかったし、自分で整備してればすぐに分かったことなのよ?」

「……うぅ、まったく反論出来ない」

 しょぼーんと言った表情で絶望的にエクトプラズムを吐き出すスバルに、その下で頭を洗ってもらっていたキャロがアワアワと
手を振る。

「えっと、スバルさん頑張って下さい。私の場合、支給品のデバイスだからあまり分からないんですけど」

「ありがとね、キャロ」

 幼い少女からの慰めの言葉に、スバルは表情を輝かせて立ち直ろうとした瞬間。

「あまり甘やしちゃ駄目よ、キャロ。スバルは少し厳しめの方が喜ぶタイプだから」

 真っ向から繰り出された打ち下ろしのチョップライトのような発言が、スバルの心を打ち抜いた。

「ティア〜〜!」

 涙目なスバルの叫び声が、シャワー室に響き渡った。


741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:23:20 ID:5543+XuE
sien
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:24:01 ID:4yRz8Nbo
支援
743名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:24:07 ID:P178JdFj
支援
 
 などという騒動があったものの、なんとかシャワーを終えてロビーに訪れた三人を待っていたのは退屈そうに喉を鳴らすフリード
と予備の訓練着に着替え、床に伏せた状態で手足を伸ばしているエリオだった。

「あ、皆さん。シャワー終わったんですか?」

「うん、そうだよ。って、エリオは?」

「僕はそんなにシャワーに時間掛からないですから、午後の訓練前に柔軟をやり直しておこうと思って」

 手首を折り曲げて、軽く柔軟体操を続けるエリオ。

「ロビーでやることじゃないと思うんですけど」

「でも、シャワーとかで体温が上がった後に体をほぐすと間接が柔らかくなりやすいんですよ? 僕の体はまだ未発達ですから、
少しでもやっておかないと」

 床に手の平を当てて、まるでワイヤーに持ち上げられたかのような動きでエリオが立ち上がる。
 それは並外れた身体操作能力による動作だったが、訓練で同じようなエリオの動きを見慣れている三人はもはや驚かない。

「――皆さんに追いつけないので」

「そう……でも、あまり無茶しちゃ駄目だよ?」

 いつも無茶をする方の立場であるスバルが顔を少しだけ曇らせて呟いた。
 現在24時間勤務で朝から夜までハードな訓練を受けている彼女たちでも、もっとも過酷なのはエリオのはずだ。
 子供の体というのは肉体のサイズという限界故にその筋肉量の保有量は成人男性と比べて圧倒的に劣っている。
 それは訓練では決して補えない限界だ。
 体重の差ということで敏捷性でなら有利であろうが、体力としては幼い子供であるエリオとキャロは圧倒的に不足している。
 しかも、後方支援であるキャロならともかく、ガードウイングという前線での交戦を担当するエリオに掛かる負担と
体力面における消耗は尋常ではない。
 なのにも関わらず、エリオは訓練に不満の一つも言うことはない。ただ黙々と空き時間や自由時間を使って、彼は鍛錬を――否、
【肉体の調整】を行い続けている。
 それは一種の異様であるはずだったが、その異常性を完全に把握しているわけではない彼女達は無理をしているという段階で
認識を止めていた。

「はい、分かってますから」

 ニコリと笑みを浮かべ、エリオが返事を返す。
 それにスバルたちが少しだけ安堵の息を吐いた時、カツンと足音が響いた。

「あ、なのはさん!」

 スバルが足音に気づき、振り向いた先に立っていたのはスーツ姿のなのはだった。

「全員揃ってるみたいだね」

『はい!』

 スバルたちは一斉に敬礼を返し、それを見てなのはは微笑んだ。

「それじゃ行こっか。君たちの新しいパートナーたちの下へ」

 なのははそう告げて歩き出す。

 これから与える力のために。
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:25:49 ID:4yRz8Nbo
支援
 


 なのはに連れられて、スバルたち四人が足を踏み入れたのは隊舎にある整備課の研究室だった。

「うわぁ」

「凄い……ですね」

 幾人もの技術者と思しき人たちが忙しそうに歩き回り、手や口を動かして作業を進めている。
 ここもまたある種の戦場だった。
 その空気に呑まれてスバルは声を洩らし、キャロもまた不安そうに周囲を見渡して、ティアナは興味深そうに設備を眺め、
エリオはただニコニコと笑みを浮かべていた。

「シャーリー」

 その戦場の中をなのはは平然とした態度で歩き、一番奥でモニターのパネルを叩き続ける女性に声をかけた。

「あ、なのはさん」

 椅子を回転させて、振り返った眼鏡を付けた女性――シャリオ・フィニーノは微笑を浮かべた。

「準備は出来てる?」

「ええ、新型デバイスの作成は完了してますよ」

 そう告げて、シャーリーはパネルを叩く。
 それと同時にデバイスの検査用スクリーン上に浮かび上がったのは四つのデバイス。
 一つは蒼いクリスタルがつけられたネックレス。
 二つ目は漆黒のカード。
 三つ目は天使の翼にも似た意匠のついたアクセサリー。
 四つ目は無骨な腕時計。

「【マッハ・キャリバー】、【クロス・ミラージュ】、【ケリュケイオン】、【ストラーダ】。受け取って、新しい子供達を、
その意志を解放した彼らを」

 シャーリーが静かに呟き、それと共にスバルたちがそれぞれ手を伸ばす。
 それと共に光が弾け、まるで意志を持ったかのようにそのデバイスが使い手の手に納まる。
 スバルの手には【マッハキャリバー】が。
 ティアナの手には【クロスミラージュ】が。
 キャロの手には【ケリュケイオン】が。
 エリオの手には【ストラーダ】が。

 ――在った。
 
「これが私たちの新しいデバイス?」

「……新型、ね」

 スバルが興奮した顔つきで声を上げる中、ティアナはあまり興味なさそうな顔で受け取ったクロス・ミラージュの待機状態を眺める。

「えっと、私とエリオ君のデバイスはどう変わってるんですか?」

「ケリュケイオンとストラーダは二人が扱いに慣れるまで必要最低限の機能を除いて封印していたから、見た目は変わらないけど
ずっとポテンシャルは上がってるよ」

「そうなんですか」

 シャーリーの解説に、キャロとエリオが興味深そうに頷く。

「これはメカニック課の皆が、君たちのために作り上げた最高傑作たちだから。大事に、けれどめいいっぱいこき使って上げて」

 愛情すら感じられるシャーリーの言葉。
 それに受け取った全員が感じるのは、深い優しさの意志であり、彼女達を信じる想いだった。

『ハイ!』

 それに少しでも答えようと、四人は声を上げる。
 未来を信じ、熱すら感じられる若さ故の力で。

「それじゃ、さっそく午後から新デバイスの動作テストをしてみようか。新しい力に振り回されず、使いこなすために――」

 そう言って、なのはが午後からの訓練プランを告げようとした瞬間だった。

 室内にけたたましいアラーム音が鳴り響いたのは。

「召集?! シャーリー!」

「ハイ!!」

 目を丸くする四人を置いて、シャーリーが素早くパネルを叩く。

 そして、モニターに映し出されたのは――彼女達の初任務を知らせる情報だった。


 

「来たやな」

 警報が鳴り響いた瞬間、部隊長室で手を組んでいた女性が呟いた。

「もう少し時間が欲しかったんやけど、信じるしかあらへんか」

 それは八神 はやて。
 彼女は僅かな不安とそして、大きな決意を秘めた瞳を見開いた。

「グリフィス君」

『ハイ』

 鳴らした指と同時に出現したモニター越しの青年に、はやては告げた。

「新人たちの初舞台や――機動六課、出動や」


 こうして彼女達の戦いは始まる。

 短くも長い戦いが。

 三つ巴の正義が舞い踊る。

 最後に立つのは誰か。

 それは≪世界≫だけが知っている。



 ―― To Be Next Scene SIDE 2−4
投下完了です。
次のお話は列車急襲で、おそらくスーパーエリオタイムがあるかも?

どうも支援ありがとうございました。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 17:36:07 ID:saZFm1NR
GJ!!です。
ついに初任務wナンバーズが出てくるのか楽しみですw
スカ博士はGDも多少強化してるのだろうか?
751R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/03/30(日) 17:39:46 ID:/P0z8/Si
>>749
GJ!
エリオ怖いよエリオ
何というかヴァイスやスカリエッティの様に、何かを捨てる覚悟を持った男達とは違い
初めから何処か壊れている感じがヤバいです
初戦から冷静にガジェットを解体しそう

そして8時40分の投下予約ですが、誠に勝手ながら取り下げさせて頂きます
容量が大き過ぎる為、次スレが建ち次第投下という形になると思います
本当に済みません
752一尉:2008/03/30(日) 17:54:18 ID:UNATV0ir
それは世界野球大会たよ。支援
ちょっとだけレス返しです。

>>750
次回の列車任務は流れは似ているでしょうが、かなり違ったものになる予定です。
ナンバーズが出るかどうかは次回をお楽しみに。
一言言えるのは……ここのスカ博士はウサギを狩るのにも全力全開です。
GDに関しては素敵な状態になっているとお答えしますw

>>751
フォワード陣営で一番壊れているというか差異があるのはエリオです。
彼の態度とその理由は次回辺りで少し分かると思います。
彼が持つのは何かを捨てる覚悟ではありません。もっと違う、ある種おぞましい意志です。
そんな彼の戦いを、次回表現しようと思います。
連レスですが。
>>751
分割して投下してはどうでしょうか?
ある程度埋まったところで、誰かに新レスを立ててもらうとか。
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 18:01:56 ID:saZFm1NR
>>753
次回も楽しみにしてます。
エリオは、六課の人達に自分という存在が必要とされる為なら、エグいことも
しそうで楽しみです。
参型の機体表面にトゲトゲが付いてて凄い勢いで転がってきそうだw
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 18:11:18 ID:wScLdrhL
>>751
残念、一刻も早く読みたいのに。悲しい。
>>753
GJです、世界の敵や世界の敵の敵、MPLSの出番はまだだろうか。
757THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 18:22:58 ID:mqGyGYq4
超特急で書いて参りましたぁ!
…でも私も容量大きめっぽいので、投下は次スレにします。
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 18:32:54 ID:iDO9xr3a
関西人は来たやなとか言わないが・・・
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 18:33:14 ID:fZg8Qt7L
あと37KBもあるんだよ?
ちゃんとテキストファイル化して、容量を調べた?

よほど凄くないと、埋まりきらないと思うんですけど……
760THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 18:37:53 ID:mqGyGYq4
>>759
おうわ、失礼しました。
では1900に投下します。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 18:56:19 ID:0LI3Yfvq
支援
762THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:00:31 ID:mqGyGYq4
では、時間になったので投下します。

ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL



第2話 "Mobius1 engage"


青空はどこでも変わらない―戦場はどこも同じ。


「車両内及び上空のガジェット反応、すべて消滅!」
「スターズF、レリックを無事確保!」
司令室の、張り詰めていた空気が一気に和らぐ。ディスプレイにはレリックの入ったケースを確保したスターズ分隊の新人二人が映っている。
はやては安堵のため息を吐いて、それを見つめていた。
『車両のコントロールも、無事取り戻したですよ、今止めま〜す』
司令室に響く幼い少女の声はリインフォースのもの。彼女も今回の作戦に参加していたのだ。
「…ああ、ほんならちょうどええ。スターズの3人はヘリで回収してもらって、そのまま中央までレリックの護送をお願いしようかな」
『はいです!』
ゆっくりと強張った身体の力を抜きながら、はやては指示を出す。リインは主にしっかり答えた。
レリック―ロストロギアの一つ、その実態は高エネルギーの結晶体。外見上は美しい赤い宝石だが、外部から大きな魔力を加えられると大規模な
爆発を巻き起こす。はやてたち機動六課の主たる任務の一つに、これの確保がある。
今回は、レリックを搭載したリニアレールがガジェットにより襲われ、コントロールを奪われて暴走していた。機動六課はなのは、フェイトの二
名に各々が隊長を務めるスターズ分隊、ライトニング分隊の新人フォワード部隊を送り込んでこれを阻止、レリックを奪還した。
初任務としては上々の出来と言えた。なのは、フェイト両名は相変わらずの強さだったし、新型ガジェット出現という予想外の事態を目の当たり
にしても新人たちは与えられた新型デバイスを存分に扱いこなし、撃破に成功した。
「隊長、ライトニングはどうします?」
機動六課で数少ない男性、グリフィス・ロウランがライトニング分隊について尋ねる。
「現場待機、現地の職員に事後処理の引継ぎしてもらおか、よろしくな」
「了解しまし―」
グリフィスが言い終えないうちに、突然、通信士のルキノ・リリエが何かに気づいた。
「あら?これって―」
「ん、どないしたん?」
はやてが反応し、ルキノは手元のコンソールを叩いて確認作業を行う。
「―現場空域に、飛行物体が接近…?」
「…ちょっと待って、ガジェット反応じゃない!」
同じように確認作業をしていたアルト・クラエッタが言った。ディスプレイの表示が一部切り替わり、現場空域に接近する飛行物体を映す。
「飛行物体六つ、現場空域に急接近!速度…何これ!?」
「どうした、落ち着け。正確に報告するんだ」
表示された飛行物体の速度に驚くルキノに、グリフィスが落ち着いて報告するよう指示。
だが、彼女の読み上げた数値は司令室の面々を唖然とさせた。
「物体の速度、毎時マッハ2!」
「なんやて?じゃあ超音速か!」
驚く彼女たちを嘲笑うかのように、飛行物体は現場空域に到達。
その現場では、何も知らないスターズ分隊の新人たちがヘリに乗り込もうとしていた。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 19:01:47 ID:tZZU+Jzn
私怨
764THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:02:46 ID:mqGyGYq4
エイリム山岳地帯、リニアレール鉄道。
空中にかかる光の道、魔法"ウイングロード"の上を歩いて、スバル・ナカジマとティアナ・ランスターのスターズ分隊新人二名は、ヘリに乗り込
もうとしていた。
ふと、何かに気づいたティアナが足を止める。
「? どうしたの、ティアナ?」
「―あ、ううん、何でもない」
気のせいだろうか。ティアナには一瞬、空で何かが光ったような気がした。
その直後、司令室からの警告が現地の六課メンバー全員に知らされる。
『ロングアーチから、現場!』
「どうしたの、はやてちゃん?」
いきなり念話で司令室から、それも部隊長のはやて直々の知らせになのは、フェイトは怪訝な表情を浮かべる。
『警報や!ガジェットではない、飛行物体がそっちに急接近しとる!様子が妙や、警戒して!』
飛行物体、という言葉に現場の皆は眉をひそめた。
「ガジェットではないって、どういうことだろう…?」
「さあ…?」
怪訝な表情を崩せずにいられないのは、停止した列車の上で待機していたライトニング分隊のエリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエ。
若い人間の多い六課でも特に幼い彼らの疑問にすぐに回答が現れた―ミサイル、紛れもない質量兵器と言う形で。
「あれは…!?」
青空のはるか向こう、白煙を吹きながら1発のミサイルがまっすぐ突っ込んでくるのをフェイトの瞳は捉えた。
もっとも普段見慣れないそれが質量兵器であるということを認識するまで、わずかなタイムラグが起きた。
そしてそのタイムラグは―致命的なミスを生む。
「…ヴァイス君、避けて!」
なのはの叫びは、しかしヘリのパイロットであるヴァイス・グランセニックに届くのが遅れた。
「くそ…間に合わねぇ!」
ただちに機体を上昇させるヴァイスだったが、ミサイルはそれに追いすがる。
このままではミサイルが直撃する―その直前、なのはが相棒レイジングハート・エクセリオンを構える。
「アクセルシューター…間に合って、シュート!」
レイジングハートから、桜色の魔力弾が複数放たれる。なのはの得意とする射撃魔法の一つだ。
放たれた魔力弾は一気に加速、ヘリに向かうミサイルに追いすがる。
誰もが息を呑んだその瞬間、際どいところでミサイルは魔力弾を浴びて、爆発。ヘリへの直撃は避けられた。だが―
「っく!エンジン出力…低下!畜生、コントロールだけで精一杯だ!」
ヴァイスの操縦技術で墜落は免れたものの、爆発したミサイルの破片と爆風はヘリを傷つけ、現場空域からの撤退を余儀なくさせた。
「ヴァイス君、その損傷じゃ無理だよ。後退して!」
「すみません…撤退します!」
黒煙を吐きながら、ヴァイスの操縦するヘリは空域を離脱していく。
765THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:04:43 ID:mqGyGYq4
なのはは険しい表情で、青空を睨む―来た!
ミサイルを発射した者であろう、六つの飛行物体が空域に姿を現す。
「フェイトちゃん、来るよ!」
「分かってる…みんな、迎撃するよ」
フェイトも自身の相棒バルディッシュ・アサルトを構え、飛行物体を睨む。新人たちも各々のデバイスを手に迎撃体制に移行。
徐々に距離が縮まり、飛行物体の姿が鮮明になってくる。その姿を見た時、なのはとフェイトは声を上げて驚愕する。
「嘘、あれって…!?」
「戦闘機…!」
飛行物体の正体は、紛れもない戦闘機だった。
双発、双尾翼、無駄のない空気力学的に優れたフォルム―彼女たちは知る由もないが、この戦闘機はMiG-29と呼ばれる機体だ。
それらが六機、二機ずつの編隊を組んでまっすぐこちらに向かってくる。
「ハーケン・セイバー…!」
フェイトはそれぞれ己の魔法を発動させ、MiG-29に向かって放つ。MiG-29は編隊を崩し、フェイトの光の刃、ハーケン・セイバーを回避。
反撃とばかりに六機のうち四機のMiG-29が主翼下に抱えたミサイル、R-60短距離AAMを発射。R-60は白煙を吹きながら猛スピードで二人に迫る。
「やらせない!」
なのは、再びアクセル・シューターを発射。レイジングハートが代わって詠唱を行い、桜色の魔力弾が発射されたミサイルよりも多く放たれる。
目標を目の前にして、R-60は次々と魔力弾に迎撃され爆発。飛んできた破片と爆風を防御魔法のプロテクションで防ぎ、返す刀でなのはは敵機に
向かってもう1度アクセル・シューターを発射。
MiG-29は編隊を崩し、アフターバーナーを点火して加速。各々が上昇、旋回などで回避機動。
「……速い!」
逃げるMiG-29を追いかけるアクセル・シューターを操作していたなのはが悔しそうに言う。
MiG-29は自慢の運動性能に軽快な加速力を持って、アクセル・シューターを引き離してしまう。
それでも、低空に下りた一機のMiG-29をフェイトが捉え、ハーケン・セイバーを放つ。MiG-29は上昇して回避を図るも間に合わず、胴体を真っ二
つにされて空中に四散した。パイロットの脱出は、確認できなかった。
「パイロットは―でも、今は!」
思いを振り切り、フェイトはなのはと協力してMiG-29と対峙する。
一方でMiG-29は四機が彼女たちに牽制攻撃を仕掛け、その隙に二機が新人たちのいる列車に向かった。
「まずい…っくぅ!?」
なのはは列車に向かう編隊を追おうとして、上空から不意の一撃を浴びそうになる。MiG-29のGsh-301三〇ミリ機関砲の弾丸が彼女に襲いかかる。
プロテクションで防ぎ、なのははレイジングハートを構えなおした。
―今までにないタイプだから、ちょっと苦しいかな?
初めて対峙した戦闘機と言う存在に、彼女は珍しく露骨な舌打ちをした。
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 19:06:57 ID:BNWQxrJL
支援
767THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:07:13 ID:mqGyGYq4
一方、機動六課管轄の次元漂流者の保護施設。
メビウス1は胸のうちに突然芽生えた違和感を不思議に思いながら、ベッドの上に寝転がっていた。
―いったい何なんだ、この胸騒ぎは。
落ち着こうと思っても、まるで身体はそれを拒むようにソワソワする。
「ええい、くそ」
起き上がり、しかし何も出来ず、メビウス1はつけっ放しだったテレビの存在を思い出す。
アニメはとっくに放送を終えて、ニュース番組がやっていた。だが、どこか様子が変だ。
「なんだ…臨時ニュース、か?」
テレビの向こうからでも伝わってくる慌しい雰囲気。メビウス1はなんとなく、このニュースが気になった。まるで違和感の正体がそこにあるよ
うな―馬鹿な話だと自分でも思ったが、彼は食い入るようにテレビを見た。
『…繰り返します、臨時ニュースをお伝えします。エイリム山岳地帯のリニアレール鉄道にて、時空管理局と何者かの戦闘が発生している模様で
す。他の番組の収録のため現場に居合わせた当局の取材班が、中継で現場の状況をお送りいたします―』
テレビ画面に映るキャスターが消えて、代わりに山岳地帯の光景が映る。青空では、戦闘のものと思われる閃光がいくつも見えた。
現地の取材班の者と思しき声が興奮した様子で実況中継している。その時―青空の奥から、何かが取材班の上空をかすめ飛んだ。
「何!?」
かすめ飛んだ"何か"、メビウス1にはそれが何であるか容易に理解できた。
「どうしてMiG-29がこの世界に…しかも、あの国籍マーク…」
一瞬しか映らなかったが、この世界のカメラは性能がいいのかMiG-29の主翼に描かれた国籍マークをしっかり映していた。
忘れもしない、あの国籍マークは間違いなくエルジア空軍のものだ。
「これか…これなのか、この違和感の正体は?」
胸騒ぎはどんどん激しくなる。気付いた時には、メビウス1は部屋を飛び出していた。
奴らがどうして、どうやってこの世界に来たのか俺には分からない。どうして戦っているのかも―だが、ここはユージア大陸じゃないんだ。
「―お前たちの敵は、時空管理局じゃない」
F-22の居場所は大体目星が着いている。戦闘機の中でも大型の部類に入る機体だから、それなりに規模の大きい格納庫を探せばいい。
格納庫はすぐに見つかった。メビウス1は整備員用の出入り口を開けて、自分の予想が正しいことを知る。
「やっぱりあった―」
格納庫では、愛機F-22がまるで彼を待っていたかのように駐機されていた。嬉しいことに、サヴァイバル・ジャケットもヘルメットも同じ場所に
保管されていた。
「…あ、ちょっと、あなた。何してるんですか!?」
事情を知らない六課の整備員が声をかけてきたが、メビウス1は無視してサヴァイバル・ジャケットを羽織り、ヘルメットを被るとF-22に乗り込
む。
「ちょっと、それは次元漂流者の大事な―」
「俺がその次元漂流者だ…悪いが、格納庫を開けてくれ」
何か訳ありと思ったのか、整備員は言われるがまま格納庫の扉を開けた。太陽の光が格納庫の中に入り込み、メビウス1のF-22を照らす。
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 19:07:45 ID:saZFm1NR
無人機・・・ゴースト化までもう一歩w
支援
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 19:08:20 ID:gYjI5Vao
元ネタ知らないけどwktk
支援!
770THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:09:30 ID:mqGyGYq4
「おい、エイリム山岳地帯ってどこだか知ってるか?」
「え…?ここから西に二〇〇キロほどだが…」
「西に二〇〇キロ、だな。ならあっという間だ」
整備員の答えに、メビウス1は安堵する。飛び出したはいいが、行動半径外だったらどうしようもなかった。
メビウス1はF-22のコクピットに収まり、エンジン始動の手順を実施する。
―さぁ起きろ相棒。
エンジンに火が入った。メビウス1と共に戦場を駆け抜けた文字通り最強の戦闘機が目を覚ます。
高鳴るF119エンジンの咆哮。メビウス1は酸素マスクの固定を確認すると、機体の計器類を最終チェックしてエンジン・スロットルレバーを僅か
に押す。
"ラプター"、猛禽類を意味する言葉にふさわしい堂々とした姿でF-22は格納庫を出る。
格納庫の前には幅の広い道路が広がっていた。本来なら車両の交通用だろうが、この際関係なかった。
最後に操縦桿とラダーを動かして、機体の動作確認。異常無し、離陸準備完了。
「―メビウス1、離陸する」
言ってから、メビウス1は苦笑いする。答えてくれる管制塔などないのだ。癖のようなものだった。
エンジン・スロットルレバーを叩き込む。F119エンジンの咆哮が一段と強くなり、F-22は大地を蹴った。
離陸、メビウス1のF-22は一気に高度一万フィートに上昇すると、進路を西に取った。

クロスミラージュを構えたまま、ティアナは険しい顔をしていた。
列車の上空を飛び交うMiG-29は、とても新人たちの手に負えるものではなかった。
「ううぅおおおおおぉぉーっ!!」
ウイングロードを展開し、MiG-29に真正面から果敢に挑むのはスバル。
ローラーブーツに代わる彼女のデバイス、マッハキャリバーは主の意思に答えるように猛加速、MiG-29との距離が一気に縮まる。
「リボルバー…!?」
シュート、と自身の技を繰り出す前に、MiG-29は主翼下のロケットランチャーを斉射。十発以上に及ぶロケット弾が、スバルに襲い掛かる。
「うわわ、わ!?」
そこでマッハキャリバーがウイングロードを一瞬解除、スバルの身体は重力に引かれて落ち、しかしロケット弾の回避に成功。もちろんそのまま
では地面に叩きつけられるため、即座にウイングロードを再び発動。
「スバル、下がって!」
ティアナはクロスミラージュをMiG-29に向けて、ありったけの魔力弾で弾幕を作る。
ところがMiG-29は翼を翻し、それすらも回避してしまう。
―火力も機動力もずば抜けて高い。戦闘機って、こんな手強いものなの!?
初めて経験する異世界の兵器との戦いに、ティアナは焦りを覚えざるおえない。
同じ飛行する者、白き飛竜であるキャロのフリードリヒも、この未知の敵に苦戦していた。
「フリード、ブラスト・レイ!」
背に乗せた主の声―彼女たちにしてみればその表現は正しくないが―に従い、巨大な火球を放つ。MiG-29は上昇しながらロールしてそれを回避、
反撃の機関砲弾をフリードリヒに撃ち込む。
「こんのぉ!」
それをエリオが前に出て槍状のデバイス、ストラーダで薙ぎ払う。
とは言え、フォワード部隊の攻撃はことごとく回避されている。対照的にMiG-29の攻撃は今のところ有効弾は無いものの、確実に彼女たちの動き
を封じ込めつつあった。
771THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:11:03 ID:mqGyGYq4
「ティア、上から来るよ!」
「!」
目標を変更したのか、MiG-29がこちらに突っ込んでくるのをティアナはスバルに言われて気付く。
「真っ向勝負ね…やってやるわよ!」
恐れが無いとはいえない。気を抜いたら膝がガクガク笑ってしまうに違いないし、心の中では逃げ出したい気持ちすらあった。
それでも引かぬ心、すなわち不屈の魂を持って、ティアナは急降下してくるMiG-29にクロスミラージュを向けた。
「ハァァーーー!」
雄叫びを上げて、魔力弾を乱射。MiG-29は主翼下に搭載していた無誘導爆弾を四発投下。列車ごとティアナを吹き飛ばす考えだったのかもしれな
い。
「……!」
ティアナはクロスミラージュの銃口を爆弾に向け、撃つ。落ちてくる爆弾の迎撃などそう簡単にうまく行くものではないが―四発の爆弾は、いず
れも空中で炸裂した。
衝撃がティアナに襲い掛かり、たまらず彼女は列車の屋根に叩きつけられた。
MiG-29は好機と見たのか、旋回して再び突っ込んでくる。スバルがウイングロードを展開させ止めに入るが、もう一機のMiG-29が彼女に機関砲を
撃ち込み怯ませた。
「また来る―!?」
ティアナはクロスミラージュを再び構えるが、左右どちらも残弾が不安だった。カートリッジを交換する余裕は、無い。
その瞬間―MiG-29の側面に、一本の矢のような物体が飛び込んでくるのを、ティアナは目撃した。
あっと思った時にはMiG-29の胴体に矢が直撃、機体は爆発し木っ端微塵に砕け散った。
「何…が、起こったの?」
ふと、後方を振り返ると、戦闘機がもう一機、彼女の頭上を駆け抜けていった。敵かと思ったが、MiG-29とは形状が違うことに気付く。
一瞬見えた尾翼に描かれたメビウスの輪の形をしたリボンのマーク。
メビウス1が、戦場に到着したのだ。

ほんの数分だけ時間は前に遡る。
機動六課から離陸したメビウス1は西へとまっすぐ飛び、エイリム山岳地帯上空に到着した。
「何とか間に合ったか…」
APG-77レーダーが捉えた六つの機影。IFF(敵味方識別装置)に応答は無かった。
メビウス1は最初この世界に来た時と同じように通信機の周波数を国際緊急チャンネルに切り替えた。回線を閉じていない限り、まず聞こえるは
ずだった。
「こちらISAF空軍…聞こえるか、エルジア空軍」
メビウス1はまずこのエルジア空軍と思しき機影にコンタクトを取ってみることにした。もし、自分と同じようにこの世界に飛ばされてきたのな
ら事情を説明して攻撃を中止させるつもりだった。
「エルジア空軍、聞こえていたら攻撃を中止してくれ。ここは俺たちの世界じゃないんだ。余所の世界に俺たちの戦争を持ち込むな」
頼むぜ、聞いてくれよ―。
しかし、通信の返答が聞こえてくることは無かった。もしかしたら回線を閉じているのかもしれない。あるいは―
「シカトしてるのかな―ならこうだ」
エンジン・スロットルレバーを押し込んで機体を加速させる。燃料は残り少ないが、出し惜しみして後悔するよりはマシのはずだ。
視認距離に入り、メビウス1はまず何かを取り囲むように飛ぶ三つの機影を目にする。
「あれは―MiG-29、間違いないな。それと―?」
さらに接近。MiG-29が取り囲んでいたのは、人間だった。彼はこの人間に見覚えがあった。
772THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:13:03 ID:mqGyGYq4
「高町…それに、ハラウオン!?」
二人は空を飛んで、あの日の夜と同じ装備でMiG-29と対峙していた。
なんだ、戦っているのか―?
MiG-29がR-60を発射、それをなのはが桜色の魔力弾を放って撃ち落し、フェイトがハーケン・セイバーで反撃。MiG-29は急激な右ロールで回避、
続いて他の二機が絶え間ない連続攻撃を仕掛けている。
やっぱりあいつら魔女だったんだな―いや、そんなことはどうでもいい。
メビウス1は思考を巡らせた。眼下では迷子になっていた自分を助けてくれた二人が、攻撃に晒されている。
「……恩を返すとするか?」
ちょうどその時、MiG-29の一機がこちらに気付き、迎撃に上がってきた。明らかに話を聞いてくれる様子ではない。
いいだろう、相手してやる―メビウス1はウエポン・システムのスイッチを入れる。
「メビウス1―交戦!」
MiG-29と真正面から対峙する。ミサイルは一発しかないので温存、比較的余裕のある機関砲に切り替えて迎え撃つ。
敵機はメビウス1をロックオン、R-60を発射。彼はそれをぎりぎりまで引きつけ、ここぞと言うタイミングでフレア―マグネシウムの塊で、燃焼
すると大量の赤外線を放つ―を射出させて操縦桿を右に倒す。
F-22はフレアを射出しながら右にロール、R-60は捉えた目標よりも大きい赤外線の反応を持つフレアに幻惑され命中せず。
即座にメビウス1は機体を捻らせ、MiG-29に斜め右上から覆いかぶさるように急接近、M61A2二〇ミリバルカン砲を叩き込む。
二〇ミリ弾をもろに受けたMiG-29は機体を穴だらけにされ、爆発。メビウス1は見向きもせずに次の目標に。
次なる獲物は、なのはとフェイトに攻撃しているMiG-29の二機編隊。彼のF-22は降下、MiG-29の後方下位に潜り込むと、機首を上げて敵機のエン
ジンに向かって二〇ミリ弾の雨を撃ち込む。エンジンに直撃をもらったMiG-29は失速し、地面へ落ちていった。
もう一機はさすがに気付いて左旋回して逃げを打つが、F-22の急加速から逃れられず、これも機関砲弾で蜂の巣にされた。
「ミサイルないとやりにくいな、やっぱり―」
それなりに不便を感じてはいるが、常人には到底真似出来ない速さで三機を葬ったメビウス1は今度は列車上空のMiG-29に向かって加速。
一機のMiG-29が爆弾を投下、それを列車の上で拳銃を構えた少女が迎撃し、爆弾を空中で炸裂させる。
爆弾を投下して身軽になったMiG-29は再攻撃、再び列車上の少女に襲い掛かる。
これは―機関砲じゃ、間に合わん。
素早く兵装を切り替え、なけなしのミサイル、AIM-9サイドワインダー短距離AAMをMiG-29に向けて発射。敵機は突然の奇襲に回避すらままならず
AIM-9の直撃を受けて空中に四散した。
残り一機。
メビウス1は撤退するだろうと思ったが、あろうことか無謀にも残り一機となったMiG-29は突っ込んできた。
「野郎―命が惜しくないのか!」
フレア、それにアルミ片による電波妨害を行うチャフを放出してあらかじめMiG-29からのミサイル攻撃を阻止、残り少ない機関砲弾を撃ち込む。
被弾したMiG-29は彼のF-22とすれ違った後、爆発した―。

「圧倒的、やな―」
静まり返った司令室で、はやてがポツリと呟いた。
ディスプレイには、尾翼にリボンが描かれたF-22が。
―まったく、いきなりどっかに飛んでいったと聞いた時は何のつもりやろかと思うたけど。
「…現地に通達や、代わりのヘリをよこすから、それに乗るように。ライトニングの二人は、引き続いて現場待機」
はやての言葉に我に返ったのか、呆然とメビウス1の戦いを見ていた司令室の面々は自分の作業に戻る。
一方で、はやては何か物思いにふけったように腕組していた。
―なのはちゃんとフェイトちゃん、管理局のトップエースがリミッター付きとは言え苦戦した戦闘機、そしてそれを数分で全滅させたメビウス
さん…どないしようか。
そうは思いつつも、はやての中ですでに答えは決まっていた。
「なあ、グリフィス君」
「はい?」
「滑走路作れって言われて、何日くらいで出来ると思う?」
773THE OPERATION LYRICAL:2008/03/30(日) 19:15:06 ID:mqGyGYq4
投下終了です。
空戦シーンは描いてて楽しいです。
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 19:42:23 ID:saZFm1NR
GJ!!です。
無人機かどうかは分かりませんが、敵の小隊は中々強かったですね。
でも、やっぱり英雄には勝てないかw
しかし、無人機にAMFを乗せられれば・・・。
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:05:23 ID:7BrChM2p
そろそろ次スレの季節?
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:06:30 ID:saZFm1NR
そのようですね。
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:08:52 ID:UEDXQ5Or
GJ!
って、滑走路作る気かw

このスレのはやては有能な切り札のためなら本当に何でもするな、いい意味でw
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:09:25 ID:7BrChM2p
>>776
おkやってくる。
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:14:27 ID:xsHGYUlm
GJ!
さすがメビウス1だ!自由エルジアをたった一機で全滅させただけのとこはある。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:14:54 ID:7BrChM2p
\(^o^)/
リリカルなのはクロスSSその58
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206875613/
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:30:59 ID:6FGzlNcV
GJです!
>>774というかU型をそのまんまMigにしてしまえばw
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:31:54 ID:saZFm1NR
そんな手があったかw
U型改造したほうが手っ取り早そうですね。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 20:57:30 ID:wPJHqNjE
GJ
最後の滑走路にクソワロタwww
784名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/30(日) 22:46:37 ID:ymXHwmcr
GJ
戦闘機は明らかに質量兵器なのだがどう誤魔化すのかな。
それとも堂々とあっちが使ってるから緊急時で〜になるのか?
785名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/31(月) 00:22:12 ID:O8tqJwLL
そろそろ埋めの時間?
786名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/31(月) 01:42:49 ID:RHw/07aN
          \                       /
           \                    /
             \                 /
              \              /
                \           /
                 \∧∧∧∧∧/
                  <      私 >
                  < 予  し  >
                  <      か >
────────────< 感  い >───────
                 <      な >
                 <  !!!   い >
                 /∨∨∨∨∨\
                /            \
              /               \
             // `ヽ ,. ':.:´:. ̄:.`ヽ、/:.:.:.:',.\
           /; /:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ__:.:.:.ヽ \
          /;;  l: ,、ム、:/`/ヽ、へ:._:./:.:,.イヽ;\:.:ヽ  \
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787一尉:2008/03/31(月) 21:16:23 ID:uIkuqWPC
あの戦闘機はロシア空軍機たよ。支援
788節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/03/31(月) 23:35:38 ID:51ddd4Xy
軽く埋めネタ、『迷宮キングダム』クロスです。

『リリカル迷宮キングダム オープンダイス王国最後の日・外伝』

 その日、百万迷宮の小国オープンダイス王国は、帰り来たりて破壊と暴虐の限りを尽くす先王レベデンコとの、最後の決戦に臨んでいた。
 歩く迷核と化した狂王は無数の怪物を産み出し、末娘カチューシャやその盟友達の軍勢と血で血を洗うが如し激戦を繰り広げた。

「ミステル!まだか!」「ええと……これがこうで……」
 カチューシャが友の一人、“ガンドッグプリンセス”イリア・ルゥ・レグニツァは配下の魔王ミステルが予言書を繰るのを急かす。
「これがこうで……よし、来ましたわっ!!」
 そして、神殿のエレベータが低く唸り、一人の女性、勝利の鍵を送り届けた……


「時空管理局から来ました、高町なのはです。
 アレの頭を冷やさせればいいのですね……行くよ、レイジングハート!」
《Starlight Breaker》

 そして、直線主義者も斯くやという大きな横穴を残し、巨鬼王は迷宮の藻屑と消えた。
 勝利を喜ぶ余り宰相スタニスラフに抱きついたカチューシャが、照れ隠しに処刑点5点を申しつけたのは史書に記された通りである。
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 02:58:11 ID:m2R09ewm
節制の人に迷宮災厄表を一回振る権利を与えよう。
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 12:43:00 ID:OOI/rEzx
最近進行はやいな……いいことだが(^-^;
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 15:04:38 ID:ukhs4T15
たまってたんだろう。いろいろと^^;
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 15:16:56 ID:WnwfjjsT
>>788
クロススレの恥晒しだからもうくんなよ
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 15:18:16 ID:ukhs4T15
>>792 あんたの発言も荒らしの原因となる時点で恥さらしになるぞ。
せめてスルーの技術を身につけろ。
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 22:28:31 ID:klqWVyze
埋め
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 22:40:36 ID:v7kyT9mn
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796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 22:46:33 ID:fMxx/7/f
でも馴れ合い過ぎも駄目だから適度に殺伐とね
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 23:16:36 ID:jd4SbIsH
馴れ合いと殺伐のマイルドブレンド
798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/02(水) 00:28:47 ID:8InwoluM
この星の連中はどうかしている。
だが1ついいものがある
このスレッドという仮面武道会だ(B○ss)
799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/02(水) 00:33:10 ID:5v+rARzU
武道会って天下一とかそういうアレですか
800sage:2008/04/02(水) 00:33:11 ID:iD6N6eq4
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801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/02(水) 00:35:51 ID:Z8KjjHjb
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802名無しさん@お腹いっぱい。
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