あの作品のキャラがルイズに召喚されました part120
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part119
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204988043/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ --------------------------------------------------------------------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
--------------------------------------------------------------------------------
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
--------------------------------------------------------------------------------
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
● 「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃ ● ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘ よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃ おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃ (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃ どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃ たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃ ね・え・かたをっかしてよっ
┃ す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃ き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃ ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃ だからすぅきぃよっなんていわない
┃ のんのんのんどっこかへいったら
┃ ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん ・・・だぁって
┃ ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃ あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
実例を見た事が無いなら「Z武」で過去ログ検索するよろし
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
>>16 爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
>>1 なぎはらえー
_ ィ' __ Ο____
, ―――r/ L/ \ |l\:::ll ll:::/|
ト、 ,. ―┬' ャtァ- " ∠ / ネ// l l l lハ, |lニニニニニニニ!
ヽ,\_,,∠-―く __ z‐く リ尤V尤カ |ヽヽ|l/:::ll ll:::\|
ヽ, ←――‐X爻xxxY 乙 ≧/人 t ┐ノ h / ̄ ̄ ̄ ̄
\「 ̄ ̄| /入,,∨| (,_人 (えハ圦 ソ/∠__
__ 1ヽ !ヘ/ {___,/x.| (_|:::ノ iィ芥-ハ / ,. --―‐
)'ヘ/"リ1 /___/xx.ハ ( |Σ_ィ| . !!V::ソ/∠___
ヽ {7. /__lxXX∧ _≧_:::/λ >' ---- ――
| ', {__,,|X]]>ー‐┴ 7" 、<`丶ヽ
リ リ 、 | |]>' _ - 7// ∧ l \ ヽ \/
ノ、∧ く\ __,,7ー∠,,__ ,〃 :l /: ',|_\V -‐┬
おおっ?
スレまたぎって、初めてだ。
それはともかく……ワルドさんって、もう少し評価されていいキャラだと思うんですよ。
正直、友達になりたいか、といわれれば、「えっ!?」ってな人ですが。
とりあえず、今回はここまでです。
投下乙です。
>>7 GJ!!
サイト以上に青臭いワルドをみるとは思わなんだ!
>>7 乙です
悪怒もきれいなワルドも両方いいよね
いままでで最凶や最良なワルドってどれかな
リスト作りたくなったけど多すぎるよなぁ・・・
>>10 最良は間違いなく「ご立派」
次点は小ネタのルパン
乙
「さて、皆、学園に戻るぞ」
「ルイズは歩いてこいよな」
「・・・。ってあれっ!?あいつは?」
「とりゃー屁のつっぱりはいらんですよ」
「「「「屁でとんだー!!!?」」」」
「あの平民フライ使えたんだ・・・」
(´・ω・`)やぁ。ようこそバーb・・・じゃなかった。サモンナイト2からマグナ&ルイズ召喚な話とか書いてみたんだがうpしようと思うんだ。
あ、内容は期待しないでね?国語の成績とか文才には恵まれなかったHENTAIのオナヌーSSだけど、マグ×ハサが大好きなんだ。
1:10ぐらいからうpる予定
頭がかわいそうな人扱いのワルドもいたな 支援
〜リィンバウム王都ゼラムに向かう街道〜
「おにいちゃん、もうすぐだね。」
「ああ、派閥本部に帰るのも久しぶりだな。……予定より随分遅れてるし、ネスティに怒鳴られそうだ。」
青の派閥の召喚師マグナは、ワイスタァンにて新人鍛冶師の護衛獣を召喚すると言う任務を終えて、護衛獣で婚約者のハサハと一緒に派閥本部に帰る途中であった。
彼を気に入ったと言う理由で金剛の鍛聖リンドウ氏に散々いぢり倒された。
更に剣を打ち直してやるから地下迷宮行って材料揃えてこい、カレー食べたいからちょっと作って来い、
その護衛獣の子の尻尾見るからにさわり心地良さそうじゃな、触っていい?ダメ?そう言わずに君とワシの仲じゃろう?等の理由で帰還に大幅に遅れてはいるが。
(大分前にデグレアに攻め込まれた時点で既にいい年の老人だったらしいけど、実際今何歳なんだろう・・・?)
思い出すたびに浮かぶ疑問を適当な所で振り払い、ハサハの手を握り直して帰路を急ぐ事にした。
〜リィンバウム 蒼の派閥本部〜
そんな事を考えている内にゼラムに到着。蒼の派閥本部に戻り報告を済ませて自室に戻る。
「案の定怒ったな、ネスティ。」
「うん・・・、でも・・・、すごく心配してたよ?」
ハサハの言うとおりだろう。あの兄弟子はやたら心配性だ。
何かある度に「君はバカか!?」と怒鳴りつけてくる。
「だろうな。長旅で疲れたし、昼寝でもするか?」
日はまだ高いが、春先特有の睡魔と長旅の疲れもある。
「・・・(こくん)」
何よりハサハと一緒にお昼寝すると言うのが心地良い。
軽く伸びをし、昼寝の為に装備一式を外そうと思ったその時、
「なんだこれ?」
突然目の前に鏡が現れた。
とりあえず召喚特有の光は無かったし召喚術による物ではないと判断。
鏡に部屋のど真ん中に居座られても邪魔なのでとりあえず動かそうと鏡を掴む。
「うわ!?」
掴もうとしたら鏡にすごい力で引き込まれ始めた。咄嗟にさっき床に下ろしたばかりの荷物を掴む。
「おにいちゃん!」
ハサハがマグナの身体に抱きつき必死に引っ張るが、魔力は異常なまでに高いけど腕力はからっきしなハサハでは支えになる訳も無い。
マグナに抱きついたまま一緒に鏡に引きずり込まれてしまった。
〜ハルケギニア トリスティン魔法学院〜
春の陽気に照らされた広場に轟音が響く。
二年生に進級する為の春の使い魔召喚試験、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが召喚を行った結果起きた大爆発だ。
「ちょwwww一発目から大爆発とかwwwww使い魔ミンチになったんじゃねwwwww?」
「マルコリヌ・・・それは流石に不謹慎と言うか、そういうグロい考えは言わない方がいいんじゃないかな?」
ルイズの後で何か言ってる連中がいるが今はスルーしておこう、巻き上がる煙の中に薄っすらとだが影が見える。
(やった!一発で召喚成功!何?グリフォン?ドラゴン?マンティコア!?)
召喚前から色々高望みしてたせいか、一発で成功した事でさらに期待で胸を膨らませるルイズ。
影自体はあまり大きくなかった。
(実は妖精とか?もうこの際珍しくてすごいのだったらなんでもいいわ!)
「いててて・・・って、ここ何処だ?ハサハ、大丈夫か?」
「・・・(こくん)」
煙が晴れるとそこには見慣れない服を着た青年と、やはり見慣れない服を着て頭から狐の耳を生やした少女が現れた。
青年は紺色の髪で背丈もそこそこあり、白と紺を基調とした服、何処か人懐っこさのある顔立ちをしていた。
少女の方は黒髪ですごく小柄、体格としてはタバサとルイズの間ぐらいだろうか?狐の耳と尻尾が生えており、透き通る様な白い肌、何か神秘的な美しさを感じさせる美少女だ。
(人・・・間・・・?と亜人・・・かな?一回の召喚で2種類も召喚なんて・・・いやそれ以前に人を召喚したなんて、前代未聞じゃない!?)
期待が大き過ぎた分ショックも大きかった。
「人間だ! ゼロのルイズが人間を召喚したぞ!しかも二人も!」
「アラ、結構いい男ね。」
「ウハwwwwwテラょぅι゛ょwwwwwwwみwなwぎwっwてwきwたwwwwwwwwww」
「マルコリヌ・・・今日の君はなんか変だぞ?それに、そう言う趣味だったのかい?」
ハサハは俺の嫁支援
ルイズは焦っていた。
後でキュルケと丸いのとギー・・・名前忘れたけどなんかヤムチャ臭いのが喚いてるが再びスルーしておこう。
今問題なのは人間を召喚してしまった事だ。しかも二人。
どうすればいいのか判断がつかず頭を抱えてると青年の方が話しかけてきた。
「えーっと、ここは何処なのかな?なんか召喚されたみたいだけど、リィンバウムじゃないみたいだし・・・」
聞きなれない単語もあった気がするがどうやら状況説明を求めているらしい。
そうだ相手はどうせ平民か何かだろう、貴族として貴族らしく振舞いまずは主従関係をハッキリさせよう。
「そうよ!私が貴方を召喚したの!本来貴族がへい・・・み・・・・・・」
言っている途中で青年は手に持ってる大きめのバッグに目がいった。バッグ自体は何の変哲も無いが、その側面に引っ掛けてある棒状の物体。
丈夫そうな木製の柄、先端には金属の装飾がついており小さいながら輝石もはめ込んである。
どう見ても高級そうな杖です本当にありがとうございました。
ルイズの顔色が段々血の気が引いていく。
普段マグナは剣を主体に戦うが、最近は剣で対処できない遠距離の相手を想定し、召喚術の威力増強用に杖も用意している。
もちろんルイズは召喚術について知る訳も無く、上等な服に杖=貴族と言うハルケギニアらしい判断をしてしまっていた。
貴族を召喚してしまった→学園最大最悪のスキャンダルの悪寒→下手すれば国際問題→自分のせいで戦争勃発\(^o^)/オワタ
ルイズの脳内では既に最悪の図式が展開され始めている。
さっき危うく平民と言う単語と呼びそうになったが、なんとか言わないで済んだのがせめてもの僥倖だろう。
しかしここで頭髪が寂しい教師、コルベールも杖に気がついてかルイズと青年達にしばらくここに残るようにと声をかけ、他の生徒を教室に戻るよう指示を出す。
この時ルイズの目にはコルベールから後光(主に頭頂部から)が射している様に見えた。
「改めまして、私は当トリステイン魔法学院で教鞭を執っている"炎蛇"のコルベールと申します。ミス・ヴァリエール、貴女も挨拶を。」
「は、はい。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。」
コルベールに場を作ってもい、なんとかまともに挨拶をする。顔色は蒼白だが。
「俺はマグナ、マグナ・クレスメント。蒼の派閥の召喚師です。こちらは護衛獣のハサハ、シルターン出身です。」
「・・・(ぺこ)」
マグナの紹介にあわせてハサハも礼をする。
(ああ、貴族だ、やっぱり貴族だ・・・)
マグナが家名まで名乗った事でルイズは本気で頭を抱えたくなった。既にコントラクト・サーヴァントの事は脳裏にすら残ってない。
「それで、俺は召喚されたんですよね?サモナイト石を使った召喚じゃないみたいだし、リィンバウムやシルターンじゃないとは思うんですが・・・」
ここでマグナの反応にコルベールは頭を捻る。リィンバウム?シルターン?
ルイズはマグナの家名を聞いたショックで呆然としたままだ。
「あー、失礼ですが、少し場所を変えてお話しましょう。よろしいでしょうか?」
〜ハルケギニア トリスティン魔法学院 学院長室〜
「ふむ、それでは一旦コントラクト・サーヴァントしてしばらく使い魔として働いて、帰る目途が立ったら契約破棄。再召喚と言う方向でいいじゃないかの。」
学院長のオールド・オスマンが出した結論に一同は同意と言う形になった。
時間を少し巻き戻る。
オールド・オスマンは何時もののように秘書のロングビルにセクハラの報復としてメキシカンバックブリーカーを受けているとコルベールが学院長室にやってきた。
心なし声が切羽詰っている感じがしたので何事かと思いきや、ある生徒が使い魔を召喚したら貴族だったとの事。
一緒に入ってきた件の生徒と貴族と、お互いの立場や状況を話し合った。
なんでも召喚されたマグナと言う青年は異世界から来た人で、彼らの世界では魔法より召喚術と言う技術が発展しているらしい。
そして彼はそこでは超下級貴族のような立場ではあるが、かなり有力な組織に属しているとの事。
もちろん最初は異世界だなんて突拍子も無いと一蹴しかけたが、マグナがムジナと呼ばれるタヌキの様な生物を召喚・送還して見せたので納得せざるを得なかった。
マグナはマグナでハルケギニア式の召喚術はサモナイト石を使わない事、また送還術が存在しない事に唖然とした様子ではあった。
ただ一方的な召喚に対しては驚きはしたがマグナ本人があまり抗議してこなかった。
それに対しコルベールが疑問を口にしたが、
「リィンバウムは召喚術が基本だったから召喚事故も起きますからね。それが自分の起きたと思えば仕方が無い事だと思うんです。」との事。
ルイズもマグナが異世界から来たと言うのにとりあえず納得。
ただマグナが異世界出身の上に貴族としては下の下、国際問題にはならないとわかったせいか心無し緊張感もとけた模様。
そして話し合いの結果、ここでのマグナ達は東の果ての没落貴族が召喚され、しばらくルイズの使い魔をやっている立場であると偽装しておくこと。
学園側としては全力を持って送還する術を模索する事に決まった。
ルイズの個人的な願望としては、亜人と言う理由でハサハと契約したかったが、一応ハサハもマグナの使い魔の様な立場だと言う事で諦めた。
一応メイジ?みたいなものだしマグナがそれなりに実力があればルイズの実力の証明にもなるだろう。
「ではコントラクト・サーヴァントをしてもらおうかの。ミス・ヴァリエール、ミスタ・クレスメント。」
オールド・オスマンが髭を撫でながら契約を促す。
「は、はい!ミスタ・クレスメント、少し屈んでく、くだ、くださる?」
「あ、ああ・・・(そう言えばこの世界の召喚術ってよく知らないけど契約ってどうするんだろう?サモナイト石も無いみたいだけど)」
何故か赤面しているルイズを見てマグナがふとそんな疑問を考えているうちに、ルイズは詠唱をし、なんと顔を近づけてきた!
(こ、これはひょっとしてキスが契約なのか!?)
マグナが飛び退き、ハサハがキスをしようとしてたルイズを止める、見事な連携を見せた。
「ちょ、ちょっと何するのよ!?契約とは言え・・・私のファーストキスがそんなに不服なわけ!?」
もちろんこれにはルイズも怒り出す。数年前のマグナだったらろくな言い訳もできなかっただろう。
だが今のマグナは昔の恋愛レベルKYロリコン!なマグナではない!数年間ハサハとイチャイチャし、苦楽を共にした立派な男だ!
「契約って今のが?でもほら、俺にはハサハって婚約者もいるし」
「おにいちゃんのおよめさんは・・・ハサハなの・・・!」
二人の返答にルイズも渋々納得する。そりゃ好きな相手以外とキスするのはいやだろう。
だがすぐに別の疑問が脳裏によぎる。
(この亜人の子がお嫁さん?でもって婚約者?え・・・ロリコン!?)
目の前の亜人の少女は服のせいでわかりにくいが、多分タバサ以上ルイズ以下程度の体型だろう。
ルイズは自分の体型や婚約者の事は棚上げして、目の前の男がロリコンの異常性癖者という認識を持った瞬間だった。
「あー、ミスタ・コルベール?コントラクト・サーヴァントには口にキスが必要なのか?せめて手とかには・・・」
そんなルイズの認識の変化も気づかずマグナは契約方法について聞いてくる。
何かと説明好きなキャラが定着しつつあるコルベールも、彼をロリコンでは・・・?と思っていたのだろう「え?あ?ロリk・・・じゃなくて、今なんて言いました?」と聞きなおすレベルだ。
「やれやれ、コルベールもまだまだじゃの・・・。基本は口じゃが・・・まぁ手でも頬でも構わんじゃろ。」
代わりにオールド・オスマンが答えた。
ルイズとしても目上でもない相手の手にキスすると言うのも不愉快だが、これならファーストキスとしてはカウントされないだろうと言う乙女らしい打算を持って了承した。
マグナと婚約していると言うハサハも、手だけならまだ許せると渋々ながら了承。
マグナ・クレスメントがルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔になりました。
〜幕間 ルイズの部屋〜
「うう、契約ってすごく痛いんだな・・・」
「おにいちゃん・・・大丈夫?いたいのいたいの〜とんでけ〜・・・」
「ハサハ、ありがとう。」
「おにいちゃんがいたいの・・・ハサハはいやだよ?」
「ああ、俺もハサハが辛いのは嫌だな。・・・ハサハは優しいな。」
「おにいちゃんも・・・やさしいよ?やさしくて、あったかい・・・」
ハサハはマグナに抱きつき、マグナもそれを優しく包み込む。
「はぁ・・・あんた達、主人と使い魔とは言え仮にも他人の部屋なんだから・・・イチャつくのも程々にしてよ・・・」
部屋の主、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは召喚初日から使い魔カップルのイチャつきぶりにお腹一杯でした。
今夜の投稿は以上です。
今更だけど段落忘れてた・・・、読みにくいなこれ・・・(´・ω・)
乙ー
ロリコンとかひどいなw
いやロリコン呼ばわりもしょうがないとは思うが
契約したら死ぬまで破棄できないんじゃないの?
ルイズに解除することできたっけ?
調律者と聞いてラーゼフォンを連想した俺ガイル
>>22 まとめwikiの作品ではいくつか実は契約破棄の方法もある作品とか、契約引きずったまま元の世界に戻ったりもあったし有りかと
調律者と聞いてエアギアを…
ルーンが見た目まんま奴隷の烙印だしなあ
女なら傷物にしたなボケと騒ぎそ
まあ男で無頓着なやつなら気にしないか
相変わらず契約のシーンが一番の難所か
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/13(木) 01:44:31 ID:kdEJ3daF
調律と聞いて、ツルペタツンデレ調律師のテナーフォルテシアンを!
実は破棄できるんだけど乱用されたくないから学院が隠蔽しているという話もありました。あとは来たそんざいが強力で解除可能とか、寿命が長いから暇つぶしでつきあってくれるとか。
ヴィオラートはルーンつけっぱで帰ったしなぁ
ID変えるか、変えられないなら明日まで自重しろ
投下IDのままだとしょうもない因縁つける奴でるから
>>27 S線上か
調律氏ならガンダのルーンを調律して別物に調律出来る……のか?
そういや原作でもルーンの呪い(洗脳、服従とか
もはっきりわかってないのな
ディスペルでどうにかできないかな?
ルーンの洗脳効果だけを無効化してしまう器用なキャラもいた
直接精神に働きかける能力を持つヤツならではだな
まぁ、手っ取り早いのはルイズを殺す事か
多分ルイズ殺すか右手を切り落とすで破棄できるんじゃね?
もともと右手が義手のキャラは外すだけでいいのかもしれん
某マーボー神父なら使い魔の右手切り落としてルーンぶんどったりして
あと使い魔死亡もしくは瀕死で契約解除は確定
死ぬけど勝手に生き返る系のキャラは楽に解除できそう
例えば某もこたんとか
へえ、左手にあるガンダールヴのルーンが右手切ったら消えるのか
気合いで契約を解除もあった
ルーンをハゲやギーシュに譲渡したキャラもいたなw
ルイズ本人にルーンを返した使い魔もいたな
だからルーンはバステだって、ルイズ的に考えて。
ルイズと融合した使い魔もいる
バリアジャケットがルーンもってっちゃったのも…
いかん、いろいろ思い出したら泣けてきた……
ゆめにっきから鳥人間召喚
腕切り落とせばおkなら軽く焼いたりとか入れ墨消すのと同様の処置とかでなんとかなりそうだ。
ドギー署長をだな
宇宙警察の署長が国家間の戦争に介入しちゃまずいのでは。
雑用なんて申しつけたら胸倉ひっ掴んで「自分でやれ!」と熱く怒られそう。
調律者の方乙。そしてちょっと気になる部分があったのでいくつか質問と指摘を。
まずマグナはネスティのことをネスと呼ぶはず。これは最初に違和感があった。
次に、ハサハがお嫁さん発言してるってことは護衛獣EDでいいのかな?
読んでて少しおかしいなと思ったので図々しくも作品に指摘してしまいました。
でも期待しているので、頑張ってください。
そういえば口にキスしなかったの初めてじゃないか?
召喚対象に口が無いのとか、そもそもコントラクト・サーヴァントしなかったとかは除いて。
覚え違いだったらスマソ
KITTは液晶画面にキスしてた
あれは一応、口なのか
>>44 あの形に効果があるなら、脱色とかペンキ塗っただけでもOKかも。
日焼けするだけでも良いかな?
ワルドがサイト側に回ったらそれはワルドやない
ゼンダマンや
何の話だよwww
ルイズのファーストキスを何処まで守れるか
もともと異次元を渡り歩くような設定がある作品で、たまたまルイズ達の世界にやってきたとき召喚の儀式の最中で、
召喚されたわけじゃないのに勘違いで使い魔にされちゃうってパターンはどうですかね?
>>58 どんなキャラがいたっけ?
スパロボの青ワカメ、ゴキブリマスター、フラスコさん、
某トラウマラノベ筆頭作品の主役、
自分がパッと思いついたのはこんなモンだけど。
あとガイナのアベノ橋魔法商店街もそんな話だっけ?
こんな夜更けに、闇と風の中に馬を走らせるのは誰だろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんには魔王が見えないの。かんむりをかぶって、長い衣を着ている・・・」
父 「あれはたなびく霧だ・・・」
魔王 「かわいい坊や、一緒においで。面白い遊びをしよう。岸辺にはきれいな花が咲いているし、金の服を私の母さんがたくさん用意して待っているよ。」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。魔王がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ。」
魔王 「いい子だ、私と一緒に行こう。私の娘たちがもてなすよ。お前をここちよくゆすぶり、踊り、歌うのだ。」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところにロマリアの聖堂騎士たちが!」
父 「見えるよ。だが、侮辱したのは俺とデルフだけだ。俺が一人で話つけてくる」
魔王 「ダメよ!だったらわたしも行くわ。せ、責任は主人であるわたしにあるのよ。だから、勝手なことしちゃダメ。しゅ、主人と使い魔は一心同体なんだから……」
子 「おとうさん、おとうさん!オウ、他所でやれや」
父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。やさぐれる子供を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた・・・
腕に抱えられた子はすでにぽっちゃりさんだった。
今、誰か俺を笑ったか・・・?
ソウルゲインを召k…うわなにをするやめrくぁwせdrftgyふじこlp
アッー
>>58-59 ツバサ・クロニクルとか。
「破壊の杖」に相当するのが「サクラの羽根」ってことにすればまとまりも良さそう。
>もともと異次元を渡り歩くような設定がある作品
それこそ、さんざん既出だが、某「時空管理局」関連の面子とか。
魔王の大小両バージョンに、淫獣に、確か「闇の書」も召喚されたっけ。
ボーボボなら違和感無いはず。
ゲメル宇宙武器店とか…
ところで俺は田村さんのBASARAキャラが召喚されるのを見てみてみたい……
まとめサイトから百スレ企画のページに飛べないけど俺だけ?
魔王ゼタが本の状態で召喚
関係ないが、キングダークって恐ろしい魔王だったんだな…ラノベ見ただけだが。
これ以上某時空監理局関係者を召喚したらスレに大量に寄生してる狂信者やアンチがさらに暴れまわることになるからやめてほしい
>>58 すてプリのアーフィシリーズ(位相空間経由で転移)
ナデシコ(ボソンジャンプ)
デモンベイン(リベルレギスとの血戦で世界爆砕しながら転移)
思い出したの適当にあげてみた
うろつき童子から南雲君を召喚なんてしたらそれはもう…
魔王若本こと魔帝ロイヤルキングダークV世のことっす。
俺の中で、一番「魔王らしい」のはこいつだとキャラ付けされてしまった・・・
デビルマンやバイオレンスジャックあたりなら、普通に次元を飛び越えるが
誰も居ないし、投下しても良いかな?かな?
スレが空いてるではないか
邪気眼
そういやタイトルとかぜんぜん考えてなかったわ。どうしよ。
ぬけるような青空の下、広い草原にはマントを羽織った人影がふたつ。
穏やかなそよ風の中、憤りや期待、悲しみ等が複雑に絡み合った様な声色で人影の片方である少女が言葉を紡ぐ。
年の頃は十代半ばほど。淡く輝く桃色の髪と鳶色の瞳をもつ、その小柄な少女の名はルイズと言う。
ルイズは、使い魔と呼ばれる、メイジの相棒たる存在を呼び出そうとしていた。通常のメイジならば一度、今現在彼女が唱えているような呪を紡げばそれでその儀式は終わる。
だが生憎と彼女は通常の存在ではなかった。
『ゼロ』。彼女の二つ名である。貴族の証と言っても良い特殊技能『魔法』。その成功率がゼロである故の、その二つ名。
使い魔召喚も当然魔法を使用する。遠く離れた場所から、自らの特性に合った存在に呼びかけ、引き寄せる。そんな魔法だ。
しかし彼女の呼びかけに応える存在は、今のところ現れてはいない。いや、現れないのではなく、そもそも魔法が成功していない故に現れる事すらできないのか。
どちらにせよ、彼女は召喚の儀式を成功させてはいなかった。今のところはただ地面が爆発を起こし、いたずらに粉塵を巻き上げるのみ。
頻繁にちょっかいをかけてくる知人に、大見得を切ったにも関わらずである。
彼女はとても焦った。知人のこともある。あるが、より大きな問題がある。
問題とは何か。この使い魔召喚の儀が、彼女が通う学校であるここ、トリステイン魔法学院の昇級試験も兼ねている、というのがそれである。
儀式に成功せねば留年。そういう決まりになっているのだ。
尤もここ数十年――学校ができてからと言い換えても差し支えはない――使い魔召喚の儀式で使い魔を呼び寄せられなかった生徒など存在しないのだから、その決まりは半ば形骸化してはいるのだが。
そこに加え、大貴族であるルイズの父、ヴァリエール公爵の権力を使えば恐らくは無理矢理にでも昇級は可能だろう。
だが公爵はそのような行為を良しとしないであろうし、何よりルイズ本人が権力を振りかざして無理を通すといった、貴族の誇りを汚す行為を望まない。
父が万が一、自分を心配するあまりにそういったことをしたとしたら。きっと自分は父を軽蔑するだろう。
だから彼女は必死であった。
彼女が儀式に失敗したら、彼女の家族はどれだけ悲しむだろう。上の姉や母などには怒られるかもしれない。いやきっと激怒することだろう。
父はどうだろうか。先の二人より格段に甘い父のことだ、恐らくは慰めてくれるだろう。気にする事など何も無いとすら言ってくれるかもしれない。
しかし、父の面子はどうなる。大貴族でありながら無能の娘を持つ父の面子は。
下の姉はどうか。昔からよく魔法を失敗してばかりいる自分を慰めてくれた、あの優しい、病弱な姉は。きっと自分の事を心境を察し慰めてくれるだろう。恐らくは、全身全霊を以って。
しかし、それでいいのか。あのぬるま湯のような抱擁に、いつまでも浸かったままで良いのか。
だから彼女は諦めなかった。
一度が駄目ならば二度。二度が駄目ならば三度。失敗する度に爆発の余波を浴び、ほこりまみれになりながらも彼女は唱え続けた。
失敗し、唱え。失敗し、唱え。失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し失敗し…
刀折れ矢も尽きたといった体となった彼女の膝がまさに屈しようとしたとき。彼女の、最後の精神力を一片までも振り絞って唱えた呪文。その呪文が完成したとき。
彼女の杖の先には。
歓喜が心を満たす中、ルイズはゆっくりと倒れ臥した。
魔法がまったく使えない教え子が、幾度目になるかも定かではない呪文を紡ぐのを、もう一方の人影、コルベールは辛抱強く見守っていた。
既に他の生徒には校舎に帰るよう指示してあるため、ルイズの召喚を見守るのは彼だけである。これは思った以上に彼女の召喚の儀式が長引いたためだ。
常日頃の彼女の魔法の失敗を見ていて、コルベールは思う。なぜこんなにも努力をしている者が報われないのかと。なぜこんなにも健気な少女にかくも始祖ブリミルは冷淡になれるのかと。
ルイズの努力は、元軍人であるコルベールから見ても厳しいものである。講義を常に熱心に聴くのは当然のこと、暇さえあれば何故みずからの魔法が失敗するのかを調べ、さまざまな呪文を唱え、その度に失敗し、原因はわからず。
それでも諦めずに日がな一日努力を続けているのである。この自分の半分の時間も生きていない、小さな少女は!
だからコルベールは諦めなかった。
いつかルイズの魔法が成功するものと信じていた。
例えこの日ルイズが儀式を終えることができずとも学院長にかけあい、期日を限界まで引き伸ばし、それでも無理であったならば学院の決まりすら捻じ曲げる覚悟であった。
教え子を救えずして、何が教師かと考えていた。
だからコルベールは歓喜した。
ルイズが倒れるまで唱え続けた呪文。その最後の一回。例によって起きた爆発で巻き上がった粉塵が晴れた、その先には。大量の土砂の上に臥す亜人の姿があったからだ。
どうやら気を失っているらしいその亜人は、コルベールが見たことも聞いたことも無い風体であった。その事は彼を更に喜ばせた。
この、珍しい亜人がルイズの使い魔となったならば。きっと彼女は喜ぶだろう。努力の報いとして十分とは言えないかも知れないが、それでも大きな励みにはなるはずだ。またこの使い魔の特性がわかれば、ルイズの魔法特性もきっとわかることだろう。
彼女の努力がやっと、やっと報われるのだ。時折彼女に付き合い、魔法の練習を見守っていたコルベールにとってこれ以上嬉しい事は無かった。
コルベールは丁寧にルイズを抱きかかえ、そして亜人をレビテーションで浮かし、学院に運ぶ。その顔には、いつもの穏やかではあるがどこか曖昧なものとは違う、心からの笑顔が浮かんでいた。
参考画像:シグルイ7巻 虎眼先生の満面の笑み
医務室へと運ばれたルイズが眼を覚ましたのは翌日の早朝であった。体を起こすなり、顔を青ざめさせる。召喚に成功したと思った、あれは夢だったのかと。
一睡もせずルイズとその使い魔――尤も契約は成されていないので未だ候補、ではあるのだが――に付き添っていたコルベールはそれをやんわりと否定し、奥のベッドを指す。
今にも涙が零れ落ちそうであった瞳がそれを捉える。そして思わず顔が綻ぶ。そこにはまさしく、自らが紡いだ最後の呪文によって現れた存在が横たわっていたからである。
夢ではなかった。遂に魔法を成功させたのだ!喜びによって溢れ出した涙が頬を濡らすのも気にせず、師を仰ぎ見る。コルベールは微笑み、頷く。さあ、契約を――
声に出されずともルイズにはわかった。未だ覚束ない足に力を込め、体をゆっくりと進めていく。
呼び出された存在、その姿は人に生理的嫌悪感を覚えさせるには十分なほど醜悪なものであった。
顔面を突き抜けんとするほど左右に大きい眼。鳥の嘴の様な口。それに付随して左右に存在する牙の如き異様な突起。広い額の部分には、その面積の半分以上を占める、宝石のように輝く巨大な器官。六本指の手の甲の部分にもまた似た器官が存在する。
四肢や大まかな体つきが人間にそっくりであるが故に余計にその醜さが目立つ。そんな姿である。
だがルイズはそんな姿が気にもならなかった。それどころか若干の愛おしさすら感じていた。なんといっても自分が始めて成功させた魔法。その生き証人である。
よって契約を阻むものは何も存在せず。その亜人には無事使い魔のルーンが刻まれることとなった。
キスをする直前、亜人が「おれはただしかった」と、苦しげな声で呟くのをルイズは聞いた気がした。
亜人の目が覚めるのは更にこの数日後のことである。
まぁ、その、なんだ。
よく批判される召喚と契約シーンのみなんだ。すまない。
がんばって夜にはもう一回投下する予定。
>>78 >バイオレンスジャック
うわっ、それはものっそい読んでみたい。ルイズもギーシュもさぞかし鍛えられる事だろうてw
ジャックの大きな手に握られるとデルフも小枝程度に見えちゃうんだろうな。
是非ともニューカッスル城の攻防戦に絡んで覚悟を決めたウェールズらに活路を開いてみせて欲しいかもだ。グオォォォ!!
>>86 職人さん乙!
>>86 先を期待させる展開ではあるが、その、なんだ、
元ネタ何?
俺も元ネタを知りたいぞ、と。
まあ、隠しておいた方が後で面白くなるならいいけど。
ひょっとして七夕のアレかw
世界扉に新たな展開が
七夕の国。丸神頼之が召喚されちまいました。っていう設定
多分知ってる人ほとんどいねえw
>>91 いやだからさ、正式なタイトル名とキャラ名を明記してくれないとwiki登録とかの際に
不都合が生じるからきちんと書いた方がいいぞ
その書き方じゃ知ってる奴以外は判り辛い
特に知ってる人殆どいないとか判ってるんだったら尚の事
まあ、それ以前にタイトルを考える方が先だけどな
乙
こういうこと言うとあれかもしれんけど、タイトルとか考えてないんだったら
避難所の練習スレとかの方がよかったかもな
すまん。
題名は「窓の外へ」とうことでひとつ。
>92
「七夕の国」は元ネタの正式なタイトルだよ。「寄生獣」の岩明均の作品だよ。
突っ込む前にちゃんと調べた方がいいよ?
ってああ、作品のタイトルのことが、スマソ。
でも作品タイトルは読んだ人が付けるってのでもいいんでないかね、
姉妹スレでは最初の頃そうやってたこと有るし
>>91 いやいや、単行本持ってるよ。
なんとなくどっかで見たイメージだなとは思ったんだ。
なあ、小ネタの投げっぱなしだったら、いいかもしれんが
普通、写真でも絵でも展覧会に出す時にゃタイトル付けるだろ?
それと同じで、作品タイトルは大事だと思うぞ
単にwiki登録のときページ名に困る
そんだけ
確かに困りますねぇ。
わたしもwikiへの登録作業を結構させて貰ってますが、
小ネタでタイトルがないから登録できなかった、っての結構あるし。
実際ここ1ヶ月の間でもまとめに入ってないの、かなりあるんじゃないかな。
>>100 無題の作品を登録するなら「スレ番-レス番」でも良いような気がする。
「120-100」とか。
実際、無題作品をそういう風に登録してるSSまとめサイトは多いし。
まぁ、これだけスレが進んで作品が多いと、被らないようにタイトル付けるのも大変だしねぇ。
103 :
91:2008/03/13(木) 17:02:36 ID:ZGuDQadn
とりあえず題名はつけたんだ。というか
>>94を見てくれ。
それと題名つけなかったことはすまない。文章書くのに夢中で大事なことに気がつかなんだ。
ごごごごごごめんよー
>>103 まあ、SSを投下してしばらくしてから
タイトルだけ別に書いてあっても分かり難いんだろう。
名前欄は名無しのままだし、IDは意外と見落とすしな。
というわけで続きを早く書くんだ。
>>103 七夕の国は結構好きなんだ
期待させていただきます
召喚されたキャラが、あまりにも強かった場合もOKなのだろうか?
例えば、ゼロの使い魔の世界に存在する、あらゆる魔法、兵器を使用しても、ダメージを与えられないキャラとか。
>>107 それで面白い話が書けるならいいんじゃね?
相当難しいが
ご立派様のことかあ
>>107 面白ければいいと、いいたいんだが…。
俺の私見ではあるが、ヘイトだろうとキャラ蹂躙だろうと、そういうのが好きな、支持する層というのはあるもんだ。
ただ、ここでは違うと思うし、俺もあまり見たくない。
だから、別のところにした方が無難だと思う。
あ、でも、ワッハマン召喚ならありか<ゼロの使い魔の世界に存在する、あらゆる魔法、兵器を使用しても、ダメージを与えられないキャラ
>>107 攻撃しようの無い隕石まで召喚された事もあるから全然大丈夫なんじゃないかな
つかぶっちゃけダメージ与えられないとか別に戦闘メインじゃなきゃ関係無い話だしなぁ。
そんな要素一つだけ出されたって出来る話は千差万別だから否定する要素は無いだろ。
そうだなあ…俺が狭量だった。
うん。面白いは正義。
結局、主人公がなんでも思いのままで葛藤がなくなる、ってのが問題なんであって、
単に戦闘力が高いってだけなら別に構わんでしょ。
熱帯魚とか飼ってれば分かるだろ。
飼い主は最強かも知れないけど水槽の中を思い通りにはできないんだぜ。
ギャグならいくらでもアリだな
キタキタ親父とかとびかげとかキースとか
ちなみにこいつら、既に全員呼び出されてたりする
ふと、ルイズがルイズを召喚してしまうなんてのもアリかなと思ったんだ。「ふたりのルイズ」みたいな。
主ルイズは自分の生き写しである使い魔ルイズの欠点ばかりが目について苛立ちが押さえられず、
使い魔ルイズも自身の欠点を誰よりも知り尽くした主ルイズからのクリティカルな叱咤に激昂する事しきりで…
コンプレックスだらけのルイズ同士が二人一緒に暮らす事になったら
お互いに憎悪しあう様になってしまう可能性が高い様なキガス
なんかそんな感じのネタが小ネだか保管庫だかにあった気がした。
気のせいだったか?
サイト透き透きーになった対7万撤退戦後のルイズを呼びだす、とかもありか?
んでサイトはアキバから来たばっか状態のリセット召喚………避難所か
ふたなりのルイズに見えた
>>119 本当だw既にあるんだねw
>>120 それは重石ロスそう!
7万戦でサイトが本当に死亡してしまって、悲しみに暮れるルイズが気持ちを新たに使い魔を召喚したら
リセット状態のサイトが呼び出されてルイズ大喜び&デレデレでリセットサイトもそんなルイズに召喚されてサイコー!みたいな。
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/13(木) 18:15:57 ID:KmevgTnZ
必死で戦ったサイトが報われなさすぎる……
というか、パラドックスおこすんじゃないか
>>122 俺も重石ロスそうだと思うぜ。
楽しい誤字をありがとう。
126 :
窓の外へ:2008/03/13(木) 18:27:24 ID:ZGuDQadn
気分が乗るとサクサク進むなぁ。というわけでまた投下してもいいかな?
支援するyo
128 :
窓の外へ:2008/03/13(木) 18:29:31 ID:ZGuDQadn
thx じゃいきます。
己の使い魔が目を覚ましたという報せを運んできたメイドが、やや怯えた様子でルイズにその事実を告げる。その怯えは見たことの無い亜人への恐怖か、それとも貴族に対する恐怖の表れか。或いは両方か。
などと益体も無いことを考えながら、ルイズは医務室へと向かう。何の関係も無いことを考えながら歩くのはなぜかと言うと、つまるところルイズは緊張していたのである。
契約の際、あの亜人は喋った。筈だ。ならば明確に言語で意思の疎通が可能であるということ。また恐らくは、ハッキリとした個、人格を持っているということ。
例えばフクロウのような存在を使い魔とする場合。これは相手が獣であるが故に――ある程度の知能はあるとは言え――手懐けるのは比較的容易である。たまに懐きにくいタイプの存在もいるにはいるが、若干の程度の差こそあれ問題が起きることは少ない。
では、より知能の高い存在、例えば、絶滅したとされる韻竜ならばどうであろうか。先住魔法やブレスといった強力な力を持ち、また人より長く生きるが故に多くの知識を持つ、挙句の果てには言葉すら用いる竜。そんな存在を手懐けることは、非常に難しいとされる。
韻竜でなくとも通常の竜種でさえ、厳しい。で、あるから竜騎士は貴重な存在なのだ。
使い魔のルーンの効果で主に対する敵意は抱かない、どころか、好意さえ抱くようになっているとは言え、知能の高い存在との信頼関係の構築は難易度が高い。それゆえの緊張。
使い魔とは会わなければならない。会いたい。だが、拒絶されたらどうしよう。あの唯一の魔法の成功例に。
相反する気持ちを抱きつつも、動かされ続けた足は、静かな足音を立てながらルイズを医務室へと運ぶ。
遂に到着してしまった。緊張で手が震えるのがわかる。何たる小心、何たる情けなさか。自らの肝の小ささを自覚したルイズは自嘲の笑みを浮かべ、次いで消し。医務室の中へと入った。
既に到着していたコルベールに軽く会釈し、使い魔に声をかける。
「おはよう…と、言ってももう昼だけれど。目が覚めたようね。気分はどうかしら?」
まるで別人が自分の口を使って喋っているようだな、などと思いつつルイズは続ける。さてまずは――
「おれは『何』だ。」
名前を聞こう、としたとき。亜人が先に口を開いていた。見れば、その大きな目を見開き、己の両の手をじっと見やり、震えている。ひどく怯えているように見える。
「思い出せない。思い出せない。何もわからない…おれは何だ。何者だ…」
129 :
窓の外へ:2008/03/13(木) 18:31:03 ID:ZGuDQadn
やはり喋っている。だが。
記憶喪失。なんということか!思わず舌打ちをしたくなる。己の無能さに。
彼か彼女か。「俺」という一人称からきっと男なのだろうが。その、彼は。きっと自分の魔法の未熟ゆえに記憶を失ってしまったのだと。そう思ったからだ。
根拠はある。あの爆発だ。召喚の魔法では通常爆発などは起きない。これは絶対だ。なのに自分は爆発を起こしながらその魔法を、どうにかこうにか成功させた。
失敗しながらも成功させたというその矛盾。その矛盾による何らかの不都合。そのしわ寄せが、彼へと降りかかってしまった。本来ならば全て自分がかぶるべきであるはずのそれを!
ルイズは悲しくなった。どうしてこうも自分は他人に迷惑をかけてしまうのか。家族や師のみならず、今度は自分の使い魔だ。
いっそ自分が誰にも関わらなければ、誰にも迷惑をかけないのではなかろうかと、そんなことすら考えてしまう。
だが、今はまず彼のことが先だ。自分を責めるのは後ででもできる。まずは彼に謝罪し、そして状況の説明をしなければならない。そう決断する。
そして大胆な行動に出た。ふわりと、優しく包み込むように。自らの使い魔の奇妙な頭部、それに腕を回し胸に抱く。子供をあやす母親のような体勢である。
思わず傍らで見守っていたコルベールが目を点にしたほどだ。それほど、彼女の常日頃の行いとはかけ離れた行動であった。
ルイズはその無能さゆえに、常に苛立ちを覚えていた。
勿論その対象は自分自身あり、ちょっかいを出してくる知人であり、その他の、自分が魔法を失敗すると嘲りの声を上げる者たちに、なのであるけれど。
その苛立ちはついつい立場の弱いもの、或いは反抗しないもの。つまりは、メイドや使用人達、或いはもの言わぬ家具等といったものに向けられがちであった。
別に暴力に訴えるといったことはしない。ただ不機嫌な声を漏らしたりするだけである。それでも使用人連中には十分な恐怖を与えるのであるが。
家具には八つ当たりをして蹴っ飛ばし、蹴っ飛ばした足の方が痛くなって蹲る、そんなことしかしていなかった。
ともかく、ルイズは苛立つ少女というのが彼女のイメージである。母性溢れる行動に出ることなぞ想像すらできない、そんな少女だった。はずなのに。
使い魔を召喚できたことで何かしら余裕でもできたのかしらん、とコルベールは思う。
自分に、無邪気な、絶対の忠誠を誓う存在を得ることで、責任感を持ったり、庇護欲を刺激されて母性父性溢れる行動に出始める生徒は少なくないことであるし、あるいはこちらかも知れない。
実際には罪の意識から来ているのだが、それは本人にあらざるコルベールに理解することはできない。
130 :
窓の外へ:2008/03/13(木) 18:32:34 ID:ZGuDQadn
勘違いをしながらうむうむと頷いているコルベールを放置しつつ、ルイズは使い魔の頭をその胸に抱き、安心させるようにゆっくりと背中を撫ぜる。
強張っていた使い魔の体の力が、ふっと、抜けたような気がした。見れば、目を閉じている。どうやら再び寝てしまったようだ。
しょうがない。説明をするのはまた後だ。そう判断し、ルイズはコルベールに部屋へと使い魔を運んでくれるようお願いする。彼女一人の力ではとてもではないが運ぶのは不可能だし、使用人は怖がって触りたがらない。
だが一言。まずは。
「御免なさい…」
運ばれようとする使い魔、その体が浮かぶ寸前。彼女はそっとささやいた。
まぁなんともチンタラした展開ですまない。こんな感じでしか書けないんだ…
もしや・・・七夕支援!!
窓の外っつーとクトゥルーを思い出してまうわ
それはともかく支援支援
133 :
窓の外へ:2008/03/13(木) 18:35:55 ID:ZGuDQadn
あ、ごめん。これで終わり。ここで区切りがついたから…
短すぎ?
乙
ただ、慌てて投下しなくてもいいから、ある程度書き溜めた文を3日〜一週間ぐらい推敲しながら
寝かせたほうがいいかもしれないね
書き上げる→即座に投下する
だと、致命的な誤字や展開の矛盾が見つかったりするからw
一度に量があったら読者側としても嬉しいし
135 :
窓の外へ:2008/03/13(木) 18:39:10 ID:ZGuDQadn
おk 次からはそうする。
あと何か指摘あったらよろしく ノシ
>133
いえいえ、もっと短いのはなんぼでもありますから、問題なしです。
投下乙&gj
ギリギリまで頑張って
ギリギリまで踏ん張って
ハンパなく短いの投下して袋叩きにあった経験あり
自己正当化も含めて書きたい文を書きたい時に書きたいだけ書けばいいのです
金取ってるわけじゃないんだし
>>134 それをやるとあまりの駄文に戦慄して投下できんよ
経験上w
>>137 力の源である地球から切り離されて無事でいられるのかという疑問が
一週間書き溜めると、投下していいのかどうか分からなくなりそうだ…
そうなったらtxtファイルでうpすべきか
容量にもよるだろ。
多すぎるようなら分割して投下すればいいし。
>>141 それに伴うパワーダウンでゼロ魔とのバランスをとってしまえばいい
具体的には巨大化が無理で人間サイズでいるのが限界とか。
こうなったらナメダルマ召喚でひとつ・・・ってこの中でわかるヤツいるか?
さいばらりえこの漫画の初期に出てきた人だな<なめだるま親方
>>107 ガンダールヴが10人以上同時召喚されたりもしている
>>107 セルゲーム後の悟空召喚した作品あるけど
肉体も精神も最強だよな
皆様こんばんは
11話の推敲が終わりましたので、35分頃から投下開始しても大丈夫でしょうか?
ようこそロリコンジャイアント
支援
支援ありがとうございます、投下開始します
イザベラ管理人第11話:涙の理由・後編
耕介に詳細な経緯について説明させるイザベラであったが…実はそんなものは必要なかった。
『吸血鬼をつれてきた』『コースケ』この二つの要素だけでもはや答えは出たも同然だったからだ。
実際、耕介の説明は、吸血鬼特定の手段などを別にすればイザベラの想像の範疇に収まるものだった。
タバサも特に口を挟んでこない以上、他に報告事項もないのだろう。
であるならば、イザベラは責務を果たさなければならなかった。
「だからこの子…エルザをここに連れてきたんだ。それと、家を焼かれたお婆さんの当面の生活費の援助を頼みたいんだけど…」
「そうかい。全く、わかってたことだけどとんでもないお人好しだよ、あんたは」
耕介の説明が終わったことを確認し、イザベラは椅子から立ち上がってベッドへと向かった。
イザベラはお飾りとはいえ、北花壇騎士団の団長だ。
汚れ仕事を請け負う名誉なき影の騎士たち故に規模は小さいし、騎士団と名をつけることも本来は相応しくない。
だが、それでもイザベラが責任者であり、耕介が部下であることに変わりはない。もしもそうであるならば…イザベラが責任を取るべきだ。
イザベラはベッドの脇の台に立てかけてある杖をとり、耕介たちに…いや、耕介に振り向き、その切っ先を向けた。
「イ、イザベラ?」
状況のわかっていない耕介と、こちらを鋭く睨みつけてくるエルザを無視し、イザベラはするべきことをするために声をあげた。
「ミカヅキ、出な」
耕介の持つ剣から燐光が溢れ、黒い着物の少年となる。
その姿は微妙に透けており、イザベラが苦手とする者であることを示すが…この少年が人畜無害であることは既にわかっているから恐れを抑え込むことができた。
「ミカヅキ、コースケに仕える剣であるあんたに問う。コースケは屍食鬼か?」
吸血鬼の恐ろしいところは人間社会に溶け込めるところだ。故に、これは絶対に必要な確認だ。
本来ならそれを確かめることは至難だが、御架月は魂の有無で屍食鬼か否かがわかる。
「耕介様に仕え、護る剣として答えます。耕介様は屍食鬼ではありません」
御架月は淀みなく言い切った。
その様子は嘘をついているようには見えず…何より、耕介に心酔している御架月が彼の危機を見過ごすはずもないだろう。
「そうかい、ならいい。北花壇騎士7号、コースケ、任務ご苦労」
言葉と共に耕介から視線をきり、イザベラは棚から紙を取り出してなにがしか書き付ける。
それを、未だにイザベラに厳しい視線を向けるエルザをあやす耕介に向かって<<レビテーション>>で飛ばした。
「それをもって財務官のところへいきな。北花壇騎士団の予算を必要なだけ使える」
その紙には北花壇騎士団に与えられた予算の使用を許可する旨が記されていた。
「ありがとう、イザベラ。助かるよ」
耕介は弾んだ声で礼を言うが、イザベラの声は平坦なままだ。
「なんであんたが礼を言う必要があるんだい。あたしが必要だと判断したから許可しただけだ。ほら、あたしはもう寝るんだ、とっとと自分の部屋に戻りな」
「あ、ああ…わかった」
耕介はイザベラの態度から出発前の事件が未だ強く尾を引いていると理解したようだが、結局はタバサらと共に扉へと向かっていった。
正直なところ、一刻も早くイザベラは早く解放されたかったのだ。
耕介がサビエラ村へ発ってから四日、さすがに冷静になってあの時のことを考えられる程度には余裕ができている。
そう、単純な話なのだ。全ての原因はイザベラにある。
耕介があんな手紙を残したのだって、自己嫌悪に陥っていたイザベラを心配したからだ。
字が書けないのだし、代筆を頼んだとしてもおかしい話ではない…何故よりによってシャルロットなのだ、とは思うが。
自己嫌悪の原因だって、単に自分と耕介を比べての劣等感で、耕介にはなんら非はない。
それに、耕介がタバサと仲良くなるのも当然のことだろうと思う。耕介は人一倍お人好しだから、あのタバサを放っておくわけもない。
イザベラが苦々しく思うのは、醜い嫉妬以外の何者でもない。
耕介は何も悪くなどない。そんなことはわかっているのだ。
だが、今のイザベラにとって、耕介がいること自体が辛い。自分の使い魔であること自体が痛い。
もうどうしようもないのだ。
無能王の無能さを引き継いだ娘として、天才シャルロットと比べられてきた毎日。地位以外に価値のない自分。
それらが絡み合い、重なり合って、十重二十重にイザベラを縛り付ける。
大好きなのが来た!
イザベラがどう嫉妬するか見物だ(w
支援!
根深く息づいた劣等感と自己嫌悪で潰れそうになる。
だのに、耕介がいなくなるのもまた、辛い。彼はイザベラの劣等感を刺激すると同時に、何の打算もなく心配してくれる唯一の存在なのだ。
耕介がいることが辛いのに、いなくなるのも嫌など…本当に救いようがない二律背反。
イザベラはもう何度目ともしれない自己嫌悪のループに陥り…それでも、その声が誰かすぐに理解できた。
「なぁ、イザベラ。寝る前に悪いんだけど、少し話さないか」
なんとなく、来る予感もしていた。耕介がこのままにしておくわけがないのだ。
「なんだい。内容によっちゃ、考えてやらないでもないよ」
ベッドに腰掛け、ちらりと声の方を見ると、耕介は扉の前に御架月も持たずに立っていた。
どうやらタバサにでも御架月を預けたようだ。
(本格的に決着つけるつもりだねぇ…)
イザベラはもう考えることをやめていた。
どうせいくら考えたところでくだらないループを繰り返すのが関の山だ。
耕介がどうするつもりかはわからないが、それを受け入れよう。
タバサの元へ行きたいと言うのならそれでいい。魔法学院はハルケギニア中の知識が集まっていると言っても過言ではない。
もしかしたらあのエルザとかいう吸血鬼を連れて旅にでも出るつもりかもしれない。
こんなところにいるよりは、そうした方が元の世界に帰る方法を見つけられようというものだ。
もう疲れたのだ、イザベラは。
本来、耕介はいなかったはずの存在だ。気まぐれで呼び出してしまっただけのイレギュラー。
耕介がいなくなるのは辛くもあるが…どうせ、召喚前に戻るだけの話だ。
きっと時間が洗い流してくれるだろう。
イザベラは気づいていない。そんな可能性がありえないことに。彼女にとって劣等感とは常に自分と共にあった片割れとも言えるべきものであるが故に。
「イザベラ、傷つけて、ごめん」
「………は?」
イザベラにとっては予想だにしなかった言葉が聞こえ、思わず耕介へと目を向けると…彼は頭を下げていた。
そして瞬間的に理解した。
そうだ、ありえない。ありえるはずがない。この男はコースケ・マキハラ。常にイザベラの想像の数リーグ先をかっ飛んで行く”お人好し”なのだ。
彼にはそもそもイザベラを見捨てるという選択肢自体がない。
自分がどれだけ理不尽か、人に好かれるような人格でないかはよくわかっている。それでも耕介は見捨てることなどない。
「手紙のこと、悪かったよ。知られたくないことだったんだろ?俺が迂闊だった」
耕介が何か言い足しているが…もはやそれはイザベラの耳には入っていなかった。
イザベラの諦念という名の冷静さをある感情が駆逐したからだ。
「…あんたは…あんたはなんでそうなんだ!!」
それは…”怒り”だ。
イザベラにはこの男が理解できない。
行動理念は理解できる。だが、何故それを実践できるのかがわからない。
この男は善人なのだ。争いを嫌い、誰とでも仲良くし、悪いことをしたなら謝る。
絵に描いたような善人で…だが、人間はそんな綺麗なものだけでは生きていけない。
憎悪や嫉妬…醜いものもたくさん持っていて、どんな人間も無縁ではいられない。
「あたしが何をしたかわかってんのかい!?あんたを死地に追いやろうとしてたんだ!あんたやシャルロットがいなくなればいいと思って!」
劣等感を共に生き、権謀術数渦巻く王宮で暮らしているイザベラは人間が醜い生き物だとよくわかっている。
「今回だけじゃない、翼人の時やシャルロットと戦わせた時もそうだ!あたしはあんたが死んでもいい…いや、死ねばいいと思ってた!」
なにせ、自分も醜いのだから。謀殺された王弟シャルルや昔のシャルロットのような善人だっている。けれど、それは例外だ。
「あんたがシャルロットに代筆頼んだ時に怒ったのは、シャルロットに知られたからだ!」
大半の人間は、自分のように醜い。むしろ、醜さこそを競い合っている。
「あたしがあの子に何をしてきたか知ってるかい!?あの子を任務にかこつけて『事故死』させるために、色んな無理難題をふっかけてきた!」
その醜い者たちの中でも、自分の醜さは水際立っている。貴族とは魔法をもってその精神とする。そんな貴族の常識である魔法さえ満足に扱えない。
「それもこれも、単に自分の地位を護るためだ!王宮にはあたしなんかよりもシャルロットの方が王女として相応しいと思ってる奴ばかりだからね!」
保身や権益のことばかり考えている貴族どもが平民の上に立っていられる理由はなんだ?それは魔法で生活を支え、敵から護ってやるからだ。
「あたし自身でさえシャルロットの方が相応しいと思うさ!でも、王女という地位以外に何もないあたしには絶対に譲れないんだ!」
ならば、王族であるはずなのに無能な自分はなんだというのか?そんな醜い貴族どもよりもさらに劣っている。
「だからあたしはシャルロットを殺そうとした!なのに自分で手を下す度胸もないからこんな迂遠なことをしてる…そんなシャルロットに、あたしが泣いてることを知られたから怒ったのさ…」
そして、この思いはいつも同じところへ行き着く。
「あたしは醜くて自分勝手で傲慢で…どうしようもない臆病者なんだよ!」
何故…そんな自分の使い魔としてこの男が現れたのだ?こいつさえ現れなければ…まだしばらく、自分の醜さから目を背けていられたのに…。
「なのに、なんであんたはあたしを見限らない!?蔑まない!?哀れまない!?そうしてくれりゃ…あたしは…こんなにも惨めな気持ちにならずに…」
自分の形を知るには、まず他人を知らなければならない。周りが醜い形のものばかりなら、自分の醜さは”普通”だ。だが、そんな中に綺麗な形のものがあると…否応なしに醜さを突きつけられる。
「なんで…なんであたしは…こんなに…」
いつの間にか、イザベラは耕介の目前におり、その胸を拳で弱々しく叩いていた。
もう感情が溢れ出してとまらない。涙が流れ出して、顔もぐちゃぐちゃだ。今の自分のなんと惨めで情けないことか。
不意に背中に力が加わり、イザベラはその力に抵抗することもできずに耕介の胸に受け止められた。
今更ながらに気づく。耕介に抱き寄せられたのだ。
本当に理解できない。自分を殺そうとした者にこんな温かさを与えてやるなど。
けれど、もう考えることさえもできない。ただ、イザベラはその温かさの中で、まるで幼児に戻ったかのように恥も外聞もなく泣き続けた。
支援
イザベラは陽光の中で目を覚ました。
どうやら、まだ日が昇ってから幾許かしか経っていないらしい。
はて、こんな時間に目が覚めるなど珍しい。何かあっただろうか…そこまで思考して、イザベラは電撃的に昨夜のことを思い出した。
「うぁ…あたし…なんてことを…」
羞恥により一瞬で耳まで真っ赤になり、両手で顔を覆って自分の酷い顔を陽光から隠す。
そして、羞恥や後悔で散々自分を罵り…後にはある種の開き直りのようなものが残った。
自分の醜さを全部ぶちまけたのだ。さすがの耕介とて愛想を尽かしているだろう。
ならばそれでいいではないか。自分と耕介では違いすぎるのだから。
「…はぁ…」
憂鬱そうにため息をつき、イザベラはとりあえず顔を洗うためにベッドから降りようとして…そこで初めて気づいた。
「うぇ!?」
耕介がベッドの隣に何故かある椅子に座って眠っていたのだ。
素っ頓狂な声をあげたことに気づいて慌てて口を押さえたイザベラだったが…幸いにも耕介は目を覚ますことはなかった。
見ればシャツの胸元あたりだけが変色している。あれは…推測するまでもなく、イザベラの涙の跡だろう。
そこでふと疑問に思って、もう一度顔に触れてみるが…泣いた後特有の乾いた感触がない。
耕介の足元には水を満たした容器があり…そこには耕介が持っていたハンカチが沈められていた。
「なんで……いや、あんたは…そういう奴…か…」
嬉しいのか、悲しいのか、憎いのか…いや、それら全てが混ざり…イザベラは苦い笑いを浮かべた。
「あんたは…あたしをどう思ったんだい…?こんな醜いあたしを…」
そう問いかけていながら…イザベラには耕介がどう答えるかなんとなくわかっていた。
きっと、肯定してくれると思う。思えば、イザベラを肯定してくれた者など、一人もいなかった。
誰からも無能な王女として、蔑まれていて…いつしか、それが自分そのものになっていた気がする。
それからしばらく、イザベラが寝顔を眺めていると…不意に耕介が目を開いた。
「ん…あれ…あぁ、そうか…おはよう、イザベラ」
椅子に座って寝ていたせいだろう、体をゴキゴキと鳴らしながら耕介は一度伸びをした。
「全く、王女の前でやる仕草じゃないね」
相変わらず普段通りに振舞う耕介に呆れながら…イザベラは自分が昨夜ほど荒んでいないことを自覚していた。
「そうだな、悪い。あの後、泣き疲れて眠っちゃってたから、ベッドに運んでおいた。さすがに着替えさせるわけにもいかなくて、服がそのままなんだ、ごめんな」
やはり、散々泣き喚いた挙句に眠ってしまったらしい。ここ数日あまり眠れていなかったのもあったとはいえ、醜態をさらしたものだと思う。
後、着替えさせられていたら、問答無用で撲殺しなければならないところである。
「あんたには…情けないところばっかり見られてるね…」
耕介を召喚してからの日々を思い出すと…本当に情けない。ずっと虚勢を張って、王女として威張り散らしてきたというのに、耕介の前ではどうにも調子が崩れる。
当然のことかもしれないが…耕介には王女という地位そのものが意味を持たないからだろう。
彼はあくまで、『王女』ではなく、『イザベラ』と接してくれるからだ。
だから、耕介のこの言葉もまた、当然なのだろう。
「別に、気にすることなんてない。悲しければ泣けばいい。感情を無理に抑え込む方が体に悪い。何より、子どもは大人を頼るもんだ」
「……コースケ…あんた、あたしが昨夜言ったこと覚えてないのかい?」
だが、イザベラにとっては…耕介なら肯定してくれるかもしれないと思っていても、困惑に値する言葉だった。
なにせ、そんな言葉をかける者は誰一人いなかったのだから。
「覚えてるよ。なんでイザベラが自分を蔑むのかはわからない。けど、その理由を話してくれるなら、俺はできる限り力になるよ」
幼い頃に母を亡くし、父からも半ば捨てられているイザベラには、自分の全てを曝け出して、それでも受け入れてくれる人などいなかった。
あるいはシャルロットの家族ならば受け入れてくれたのかもしれないが…イザベラにとってシャルロットは自分が劣っているという事実を突きつける存在だ、その家族にそんなことを相談できるわけがない。
「それに、俺にとってイザベラは寂しがりやの女の子だ。それ以上でも以下でもないよ」
「…ハハ…寂しがりやの女の子…ね…ハハハ…」
耕介の言葉に、イザベラは顔を伏せ、苦い笑いを浮かべた。
「あんたを殺そうとした女にそんなこと言えるなんてね…あんたほんとに…」
そこまでイザベラが言った時、突然耕介の手が伸び、顔を無理やりあげさせた。
私怨
あまりにも突然でキョトンとしたイザベラの広めの額に…
「あいたっ!」
耕介はデコピンをかましたのだった。
「な、何すんだい!」
かなり本気だったらしく、額がズキズキ痛む。赤くなっているかもしれない。
「これでおあいこだ」
意味がわからなかった。いったいこいつは何を言っているのか?
思えば、耕介を召喚してから、何度こう思ったか知れない。
「な…なにが?」
「だから、イザベラが俺に意地悪をしたことにむかついたから、報復をしたんだ。これでおあいこ、水に流そう」
「い…意地悪…?」
『意地悪:わざと人を困らせたり、つらく当たったりすること。また、そのさまや、そういう人。』
耕介にとって、イザベラの殺意などデコピン一発で済ませられることらしい。
それを聞き…イザベラは感情を爆発させた。
「アッハハハハハハ!意地悪…意地悪かい!ほんとにあんたは…ハハハハハハ!!」
イザベラは笑いが止まらなかった。
自分が眠れなくなるほどに気に病んでいたことを、この男はこんなことで水に流そうと言う。
右手で目元を覆い、また溢れてきた涙を隠す。多分そんなことをしても耕介にはすぐバレるだろうが…かまいやしない。
「イ、イザベラ、そんなに面白かったか…?」
耕介の困惑している様が手に取るようにわかる。
ざまぁみろだ、こっちがどれだけ今まで困惑させられてきたことか!
「あぁ、全くもう…フフ…あんたは…そうか…だから、あんたがあたしに呼び出されたのかもね…」
そして、笑いに笑って…突然イザベラは気づいた。
使い魔は主に相応しい存在が呼び出されるという。この言が正しいと仮定するなら、耕介が呼び出されたのはイザベラに相応しいからだ。
なら…きっと、イザベラは耕介に相応しい主になれるということではないのか?
この使い魔と共にあれば…いつか自己嫌悪に苛まれないでも済むような…そんな自分になれるのかもしれない。
「合格だ!コースケ、あんたの試練は終わり!」
イザベラは目元を覆っていた右手を下ろし、耕介に顔を向けた。
その顔は…涙でぐしゃぐしゃで、王女どころか貴族にも見えなかったが…とても明るくて魅力的な笑顔だった。
「イザベラ…」
陽光に照らされたイザベラの、およそ初めて見る心底からの明るい笑顔に、耕介はわずか見惚れた。
それほどに今のイザベラは美しかった。
「ほら、ボサっとしてないで、そこに膝をつきな。今から<<コントラクト・サーヴァント>>…契約をするからね」
「え、あ、ああ…って、合格なのか!?」
「だからそう言ってるだろ、とっととしな!」
困惑する耕介と、明るく振舞うイザベラ…ちょうど、普段とは立場が逆になっている。
言われるがまま、耕介はベッドから降りたイザベラの前で膝をついた。
イザベラはベッド脇の杖をとり、耕介の肩にそれを置く。
支援!支援っ!
「耕介、あんたをこのガリア…いや、違うね。このイザベラの使い魔で騎士に叙任する!」
「え、騎士?」
耕介が訝しげな声をあげるが、イザベラは無視することにした。
どうせこれから嫌というほど自分を守ってもらうのだ、体で覚えてもらう方が手っ取り早い。
「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ!」
高らかに呪文を唱えると、イザベラは耕介の顔をガシッ!と掴み、そのまま勢いよく引き寄せた。
耕介が驚いているのがわかるが、イザベラとて頭が沸騰しそうなほど赤面しているのだ、このまま強行する!
二人の唇が触れあい…勢い余って前歯同士がガキ!とぶつかり合った。
どのくらいすればいいのかわからないし、なんとなく嫌とも思わなかったのでイザベラはしばらくそのままでいた。
その内、顔を赤くしていた耕介の顔が別の意味で赤くなり、暴れているのに気づいてやっと顔を離す。
「あち、あちち!なんだこれ!?というか、なんでキスなんて…いってぇー!」
耕介が額を抑えて悶絶していた。しばしイザベラは考え…やっと該当する情報を引き出した。
「呪文を唱えてキスするのが<<コントラクト・サーヴァント>>なんだよ。その痛みは使い魔のルーンが刻まれてるんだ。安心しな、別に悪いもんじゃない」
「そ、そうなのか…?凄い契約方法だな…あぁ、痛みが納まってきた…」
耕介が手をどけると、額にはルーンが刻まれていた。
「これで、あんたは名実共にあたしの使い魔だ。このイザベラ様の使い魔に相応しい働きをするんだよ!」
イザベラは傲岸不遜に耕介に言い放ち…やっと答えのようなものを得ていた。
そうだ、耕介は肯定してくれる。イザベラがどれだけ醜態をさらしても、劣等感でうじうじしていようとも。
耕介は隣に在ってくれる。時には手を貸してくれる。イザベラを害しようとする者がいれば、必ず護ってくれる。
ならば、イザベラは耕介が誇れる主になれるように努力すればいい。
耕介は過去の失敗から学び、努力している。
ならば、その耕介の主であるイザベラも、失敗から学び、努力すればいいのだ。
そうすれば…いつか、耕介のように、全てを受け入れて、それでも前へと進む力を得られるかもしれない。
そう、まだまだやれることなどたくさんあるのだ。
耕介は翼人と村人の諍いを納め、吸血鬼事件すらも解決したが…それはいったいどうやってだ?
彼は力など使っていない。魔法も使わずに、魔法以上のことを成し遂げたのだ。
ならば、わずかばかりの魔法しか使えない自分にだって、やれることはあるはずだ!
輝くようなイザベラの笑顔は、これこそがイザベラの本質なのではないかと思うほどの美しさだ。
「ああ、こちらこそ、よろしくな。イザベラ」
サモン・サーヴァントから約二週間、仮初の主従であった耕介とイザベラは、様々な…しかし必要な回り道を経て本当の意味で主従の契りを結んだのだった。
以上で投下終了になります。
11話にしてやっと契約できました。イザベラ様の可愛さを伝えられていたら無常の喜びです(・ω・)
支援ありがとうございました!
か、かわいい!
あの無茶苦茶いやだったキャラが違和感なくかわいいキャラになってる!
ああもう、だからこの話好きなんだよな!
支援!
イザベラ、年と立場相応の葛藤と恥じらいがイイ!
すごい漢だ!慈愛の心が力になることを、確かに見せてもらったぞ。
乙でした。
東方系キャラ召喚
・咲夜…スペック高いけどお嬢様以外に忠誠誓える訳無いのでルイズが刺されます
・レミリア…一瞬で状況を把握し元凶であるルイズが消されかねません
・フランドール…全てを破壊しかねません
でも吸血鬼だから真昼間の召喚でレミリア&フランドールは…消えないんだろうな
最近の説だと「ダメージは受けるけど致死ではない」が有力だし
・チルノ…とりあえず実力は意外と高いHだけど、でもタバサと属性被る
・ルーミア…ルイズが食べられるでしょう
・中国…食い物さえ与えてれば健気に働いてくれそう、掃除洗濯も無難に出来そうだし
・アリス…スペック高いし家事能力も高い、ギーシュが弟子入りしそう
・橙&藍…紫様が手放す訳ありません
・レティ…冬にしか存在出来ないのですぐ消えます
萌改造されたイザベラが可愛すぎる件。
>>165 小ネタを中国で書いてるのだが、意外とハイスペックなのだが、
面白くなりにくいキャラなんだよな。
科学忍者隊ガッチャマンを5人まとめて(ニューゴッドフェニックス)ごと召喚というのは
どうだろう(時期的に第二期の幕間ということで、ハルケギニアでの一連の経験が、ゲルサドラ
率いるギャラクターの打倒に後に役立つ、ということで)。
あわやウェールズ暗殺という場面で、協会のステンドグラスをぶち破り、ワルドめがけて降りて
くる円陣を組んだ5人というのを見てみたい気が・・・
くそ、とりあえず逃げるぞ!
逃がすぜ
>>167 確か、あまり弱点が無いってのが門番に抜擢された理由だっけ?
>>168 ワルド「おぅ〜のれおのれガッチャマン!!」
割と消費の激しい武器は使わないから結構いけるか?ゴッドフェニックスはともかく
>>167 紅美鈴は生足と弄られと弾幕が華麗であると言うことを覗くと、これといった弱点や特徴が無いからなぁ。
某資料にも、弱点が無いのが強み、とか言われてる妖怪だし。
だが、俺は好きだっ! メーリン! メーリン!
>>168 >あわやウェールズ暗殺という場面で、協会のステンドグラスをぶち破り、ワルドめがけて降りて
>くる円陣を組んだ5人
いいね〜、そのシーン凄くシビれるなぁ。
そのシーンを想像したらあのBGMが再生されてしまったw
テスト
>>167 まあ中国はあれでも紅魔館ナンバー…5だから
ギーシュやフーケあたりなら楽勝だしワルドは…弾幕避けられると厳しいかな
咲夜さんが使い魔になってくれれば…あれ、彼女の能力だとワルドは楽勝だけど「1対軍」出来ないや
妹様なら面白そうだけで使い魔になってくれる気がするな
姉に頼まれた紫もやしが救出してくれそうだけど
ステンドグラスをぶち破って登場というとクローバーナイトが真っ先に出てくる。
>>175 美鈴は弾幕よりも殴りあいのほうが強いんじゃない?
態々武芸者が挑みに行くほどの実力があるらしいし。
しかも妖怪ゆえの身体能力の強さに「気を使う程度の能力」も全開で使えるし。
>>176 妹様だと契約時の痛みで、ぎゅっとしてドカーンをしそうだぜ。
>>176 ありとあらゆるものを破壊する程度の能力だからな〜、彼女。
人間ってナニ?ってレベルの吸血幼女に初期の劣等感でボドボドなルイズが
まともな友好を築けるかどうかがまず問題っつーか。
まぁ、なんのかんのいって面白い=ジャスティスだけどな。
今投下予約ありますか?
でもさ、紅魔郷での台詞から察するに、人食いっぽいんだよね、中国
>>180 無いよー
そも、人を食べない妖怪は居ないぜ
>>180 無いぜい
個人的に(少し古いが)スレイヤーズ!のキャラが出るの見てみたい。
無さそうなので小ネタ投下させていただきます。
すみませんが元ネタ秘密で。
俺つえええ気味なので苦手な方はスルーお願いします。短めです。
鳥つけたのは練習みたいな意味ですので気になさらないで。
>>178 それでもワルドの偏在を破れるのかどうか…でも「妹様との『ごっこ』に比べればー」
とか言い出せば楽勝ムードっぽいですね
>>179 アリスなら…「弾幕はブレイン」の彼女なら、ルイズの劣等感を何とかしてくれるかも
ルイズは不機嫌だった。
ルイズが召喚した男、
巨大なゴーレムを従えた男はゼロと名乗った。
ただでさえ平民を召喚したというのに、「ゼロのルイズ」の蔑称にあつらえたような男の名前。
当然そのせいで級友にからかわれたというのもあるが、
何よりルイズ自身がその偶然とはいえあまりにもな符合にやり場の無い憤りを感じていた。
しかし、召喚した男、彼が乗るゴーレムは常軌を逸した強さだった。
ゴーレム使いとしては屈指の実力であろうフーケのゴーレムですら敵としなかった。
鳥のような関節の脚を持つ、男のゴーレムの右手の砲が回転しながら唸りをあげると、
凄まじい勢いで次々と吐き出された鉛玉がフーケのゴーレムを粉々に粉砕した。
アルビオンの誇る空中艦隊も、レコンキスタの七万も、ことごとく彼に敵しえなかった。
右手の砲と背後に浮遊する砲から吐き出される鉛玉の雨に、左手の砲よりもたらされる爆炎に、
そして左肩の砲より飛来する圧倒的熱量に。
それら絶望的な鉄の暴風に、彼の敵は次々と飲み込まれていった。
彼は容赦しなかった。それが敵であれば、命乞いする者も、子供も老人も女も、一切を殲滅した。
彼のゴーレムが去った後。
血と硝煙の匂いがする戦場には、動くものはまさしくゼロであった。
ルイズは知らない。
彼のゴーレムが、彼の居た元の世界、そこにいる数多の同種のゴーレム達の中でも最も恐れられている一頭であることを。
支援
「どうして…… どうしてそんなに殺すのよっっ!! あそこまでやる必要は無かった! そうでしょ!?」
ルイズの問いに少し考えた後、男は独り言のように呟く。
「待っているんだ。」
「……何を?」
「あれだけやれば、恨みを買う。 …そうすれば俺を殺そうとする奴が出てくるだろう?」
「……? 何を言って…」
「そしたらまた戦うことができる。」
「…………」
「どんな相手が来ても勝てると思ってるの? 思い上がりも甚だしいわね!」
「ああ。いつか俺より強い鴉が来るだろう。いや、こっちではメイジか? ……まあどっちでもいい。楽しみだな。」
「……いつか、死ぬわよ?」
「俺の順番が来る。それだけのことだ。」
「…せめてやり方を変えることは?」
「嫌だね。今更自分のやり方を変える気はない。」
もはやこの男には何を言っても無駄なようだ。ならば自分にできる事は……
「分かったわ。でも、ひとつだけ言わせて。」
「何だ?」
まっすぐに男の眼を見ながら少女は凛として言った。
「あなたがあくまで今のやり方を続けるというのなら…… 最後にあなたを殺す鴉は私かも知れないわよ?
覚えておきなさい。」
男は少し驚いた顔をした後、珍しくニヤリと笑った。
「ああ、それは楽しみだな。 待ってるぜ? …御主人さま。」
QSywbXHcWErPLp#W00
以上です。
アーマードコア・サイレントラインより、
Aランクランカーレイヴンのゼロと愛機クラッシングでした。名前ネタです。
以前投下したラストレイヴンのリベンジ… また討ち死にですな…
>>177 どきっとしたわ!!
乙!
ああ、思い出す。
ゼロを相手に頑張っていたあの日々を。
パイルバンカーテラツヨス
>>190 なんというタイミング(w`
何はともあれ良くやってくれた、GJ!
てん・こまんどめんつ了解
よーし次はAC4を……駄目だ、あいつら召喚しただけで皆の命削ってしまう
>>182 あそこの妖怪どもは別に人間しか食わない訳じゃなし
ただ、『鶏肉』『豚肉』『兎肉』のようなカテゴリに人間が入るだけで
>>195 兎肉を宴会の鍋の具にして化け兎たちの目の前で食べるぐらいだからな。
現代の倫理観はあまり当てにできそうにないな…
>>182 ちなみに、三食の食事をきちんと摂れば、人食いをしなくてもいいそうですよ。
幻想郷にもビジネス的なところがあるんなら、多分究極の資本主義に近いんだろうな・・・
>>195 まあ、何にせよあっちの面々は簡単には従わなさそうだな
少なくとも迂闊に初期のルイズみたいな態度を取ってたら結果は推して知るべし、だ
もっとも、あっちにゃこう言う場合の白黒つける為の判りやすい手段として弾幕ごっこがあるけど
アリス・ノーフレンドさんをミョズで召喚すれば人形操術もさらに有効になるだろうな。
宝物庫にあるのはゆかりんのがスキマから落とした
「破壊の靴下」
最近全巻まとめ買いしたADVENT CIRNOのチルノ召喚を閃いたが、
内容以前に三次創作になるのでやめようと思った
今、予約空いてる?
支援しまする。
カモン
「これ、着て」
当麻がタバサから渡されたのは執事服であった。
ここはペルスランの部屋。先程本人から許可を得て、お邪魔する事になったのだ。
しかし、タバサは「遠慮」という言葉を知らないのか、づかづかと他人の部屋に入り込む。
まるで主のような振る舞いで、そのままクローゼットを開き、入っていた予備の服を当麻に渡した。
「これを、俺にか?」
いきなり執事服を渡されても困るし、何かの間違いだと思う。
眉をひそめ、一度確認を取った当麻に対してタバサはコクリと頷く。
「別にいいけど……、なんか理由でもあるのか? さすがに『執事フェチだから是非とも上条さんに着せたい!』的なノリなら勘弁して欲しいんが」
「任務のため」
ぴしゃりと一刀両断された当麻はこれ以上の発言は控え、渋々タバサから執事服を受け取った。
執事服を着なければならない任務とは、一体どのようなものだろうか。
(誰かをボディーガードか? いやでも別に執事服をわざわざ着る必要はねえよな)
任務、と言われるとテレビやゲームなどで行われるイメージが浮かべられる。
しかし、今の当麻に執事服と任務を結び付ける要素が浮かんでこない。
タバサの冗談かと思ったが、じっとこちらを表情を変えずに見続けているのだからその可能性は低い。
本人が任務としか口を開いていないのに、それ以上の事を聞くのもどうかと思われる。当麻はこれ以上を考えるのはやめ、仕方なく今身に纏っている制服を脱ぎ始めた。
と、気付く。
タバサがずっとこちらを見ていることに。
「…………あの、タバサさん?」
「なに」
「いや、ずっと表情を変えずにこちらを見ていると上条さんはなんかとてつもなく着替えにくい状態になるのですが」
「……わかった」
「待て、その間は一体なんだよ!」
当麻のツッコミを右から左へと流し、興味を無くしたかのようにすたすたと部屋から去っていった。
ビシッ! と人差し指を突き刺してポーズを取ったのに、なんら反応を貰えなかったのがよほどショックだったのか、ズーンとテンションがものすごく落ちている。
「まあ、毎度のことなんだけどねうふふふ、うふふふふふふふ」
にへらと口端が釣り上がり、不気味な笑みを浮かべる。
誰もいないのだ。今ぐらいどうしたっていいじゃないか、という半ばやけな気持ちがあったからであろう。
が、
「きゅいきゅい、トウマさんがなにやら不気味に笑っているのね!」
管制室、ちゃんと支援しろよう!
「んなもん当たり前でしょーが!」
「きゅい、聞こえてるのね!? おかしいね! 窓が挟んでるから大丈夫なはずなのね……?」
「……ん? 窓?」
当麻は思う。たしかこの場には自分しかいない。ならばこの声の持ち主は窓越しにいるのだろう。
が、このようにお喋りな女性はいないはずなのだが……。
当麻は疑問符を頭に浮かべながらくるっと振り返る。
「……シルフィード?」
「きゅい?」
いたのは、声をかけられ首を傾げるシルフィード。
当麻は未だに残る疑問を振り払うように、窓へ近づいて豪快に開いた。
ブワッ、と室内へ風が舞い込んだが、そんなのは気にしない。
それよりも、
「シルフィード以外ここに誰かいたか?」
「きゅいきゅい」
首を横に振る様子から、恐らく否定しているのだろう。
事実、当麻は窓から首をだし、キョロキョロ辺りを見渡すが人影はいない。
別に入り組んだ場所ではなく、見晴らしがいい庭のため、誰かが隠れるようなことはできないはず。
あれ? そもそも竜って人の言葉理解できるのか。と別の方に関心した当麻は、変に気にすることなく、再び着替えるため部屋の奥へと戻っていく。
その姿を注意して見つめたシルフィードは、ほっ、と安心したように溜めていた息を吐き出し、この場から離れるため、上空へと飛び去っていった。
「人?」
「あぁ。俺の聞き間違いだったのかもしれねーけど、一応タバサの耳には入れておこうかと思ってな」
執事服に着替えた瞬間、再び無理矢理タバサが登場。腕を引っ張ってきてシルフィードに乗せられた当麻は、とある町まで飛ばされた。
今はタバサと二人で目的地へと歩いていた。
「あれ、というか語尾に『きゅい』とかつけてたけど確かシルフィードも――」
「あなたの聞き間違い」
短く、タバサは勝手に結論を告げ、歩く速度を早める。
「あっ、って上条さんの名推理を聞く前に行っちゃうのですか!?」
慌てて歩幅を合わせようと、当麻も早足になる。そのため、思考する時間を奪われ、答えが出ないままになる。
まあいっか、と当麻は頭のごみ箱へとなげすてた。
些細なことだし、タバサの言うように本当に聞き間違いだったのかもしれない。
物事を深く考えるなら適当に結論づける方がマシだと考える当麻であるため、話題を変えようとタバサに話しかける。
しーえん
しーえん
しーえん
しーえん
しーえん
支援
騙して悪いが支援せぬ気など元より無い!
「んで、俺が執事、おまえさんが男装。これからどっかのパーティーにでも出席するのか?」
「そんなところ」
「って予想的中!? 待て待て、俺に執事なんてできるわけねーぞ!」
「街中」
う……、と当麻は周りからの視線を感じ、冷や汗を流す。
タバサの指摘通り、街中での大声は目に止まる。しかも普段は静かであるイメージをもたれる執事が大声をあげたのだ。
一体何がおきたのかと、人々が怪訝な表情を浮かべて当麻を見つめる。
そんな視線に耐え切れず、アハハハと苦笑いをするしか当麻には道がない。
「心配ない。あなたに執事の能力は求めていないから」
「……それ、なんだかすっごくショックを受ける発言なんだが」
まあ、事実ないというのも僅か数分で判明したのだから、タバサのような発言が出て来るのも納得がいく。
ずーん、と再び落ち込む当麻に「人それぞれ」と慰めのつもりで声をかけた。
一方、
「きゅいきゅい。トウマさんといいムードを作ってるのね! 全然友達以上の気がするね!」
当麻やタバサに気付かれぬようこそこそと探偵らしく物影に隠れながら見守るシルフィードの姿があった。
もちろん竜の姿ではない。彼女は先住魔法によって人間へと化けている。
服は事前に用意していた。白いお仕着せが似合う、とてもいいスタイルだ。
当然、その姿は周りの人の目線を奪う。先程当麻を眺めた人々は、再びシルフィードへと目線をやっていたのだ。
「でもなんでシルフィは仲間外れなのね。……まさかどうせシルフィは役立たずとか思っているなのね!?」
と、いつも虐められている(あくまで本人談)からこそ浮かぶ理由にたどり着く。
実の所、タバサの隣にいる人物は誰でもよかったのだが、シルフィードと上条当麻を天秤にかけたとき、当麻の方に傾いただけである。
そこは一人の女の子の感情であるが故。しかし、竜であるシルフィードがそんな人間の微妙な心情に気付くはずがない。
「これは文句を言わなければならないのね!」
一匹の風韻竜は、自分の本当の姿をばらすことなく、再び二人の後を追った。
ツンツン頭の執事と、とても女性とは見えないぐらい男装が似合っているお嬢様という至ってアンバランスな二人は、一軒の宝石店を訪ねた。
うへぇ〜、と一生涯このような場所とは無縁だと感じていた当麻は感嘆な言葉を吐き出す。
それもそのはず。この宝石店は他の店よりも豪華な作りであり、そうとうな金持ちではないかぎり入ってはいけませんというオーラが漂っていく。
「うわっ、これゼロの数が半端ないんだが!? きっと俺の何年分の生活費がこのちっこい宝石一つに値するんだろうなぁ」
格差社会反対だぁ……と嘆く執事に目もくれず、お嬢様はすたすたと店内の奥へと入ってく。
その足取りからもともと品定めを済ましていたのであろう。ずらりと並んでいる宝石の数々に臆せず、また見向きもしない。
当麻もそんなタバサに気付き、宝石のオーラに圧倒されながらもなんとかついていく。
(まさか、物のプレッシャーにたじろぐなんて……、想像もしてなかったぜ)
すると、前を歩いていたタバサがぴたりと足を止める。
ん? とつられて足を止めた当麻が、一体どのような物を買うのだろうと思い、タバサの頭ごしからそれを見る。
大きな大きなブルーダイアモンド。そこから溢れ出てくるオーラは当麻のそれとは格段に違う。
「おのれ、宝石の分際でこの上条当麻さんと戦おうとはいい度胸をしているんじゃないの! オーケー、今すぐテメエの幻想をぶち壊してやるよ!」
「店の中」
タバサの指摘に当麻ははっとなる。先ほどは道路であったが、今回は店の中。さらに注目度は上がってしまう。
周りの視線に耐えられなくなった当麻は、目を泳がせ口笛を吹き始める。
早く、早く自分から意識を逸らして貰おうと思っていたら、
「きゅいきゅい! とてもかわいいのね!」
うぉぉぉぉおおおおおお、とガシッと拳を握る。この最高のタイミングで最高の叫び声。何と言うか、久々に幸福というのを感じたのかもしれない。
「って、きゅいきゅい?」
そのような言葉を会話中に使用する存在を当麻は一人と一匹しか知らない。
さらにいうと、一匹の方はこんな所に入っていたら大騒ぎになるはず。ならば、今大声をあげたのは高確率で、
「ッ、あの時俺を覗いていたやつか!?」
「きゅい! いきなりばれているのね!?」
バッ、と思いきり振り返ると、そこにいるのは一人の女性。
支援
乗りてえ支援に遅れた奴は間抜けってんだ
「どうみても天然さん系!? つか初っ端から自分だと認めてるし!」
「し、しまったなのね!」
誘導尋問とかすればボロボロといろんなことを口にしそうだなー、というのが最初に抱いた感想である。
シルフィードに意識が持って行かれた客が、再び当麻の方を向く。
店の中で、大声における会話は迷惑なのだが、誰も注意しようとしない。普段では味わえない、まるで平民同士の会話に近いからか。
「やい、さっきはシルフィードと一緒になに俺のドキドキ着替えイベントを満喫してたんだ!?」
「な、ななななななんのことかわからないのね! というか、まだ自分がシルフィードだとばれていないのね……」
「最後ごにゃごにゃ言ってないではっきりしやがりなさい! つーか、いろいろと事情を聞かしてもらうぞ!」
ずかずかと、効果音が聞こえてくるような足音でシルフィードに近づいていく。ひっ、と僅かばかり震え、足がすくんでしまって動かないようだ。
このまま成すべくなく捕まるのであろうか。
その時、執事と使い魔の争いにただ傍観していた主はあることに気付く。
幻想殺し、異能の力ならたとえ神様の奇跡だろうと打ち消す力。それは、当然先住魔法にもきくはず。
より具体的にいうならば、シルフィードが今使っている変身魔法も……。
考えるよりも、先に手が動いた。
バッ、と杖を振るい、ルーンの言葉を紡ぐ。
その早さはまさに神速。当麻の右手がシルフィードに触れる前に、小さな氷を足元に配置する。
「っとと!」
まさか店の中で氷があるとは思っていないため、当麻はタバサの目論み通り躓いた。
しかし、
「わわっ!?」
向かっていく先は進行方向にいるシルフィード。そのまま体ごと預けるかのようにぶつかっていった。
そして、衝突。
むにゅっ、という音を当麻は聞く。一体なんであろうと思うのだが、視界が真っ暗である。
「いたたたた……なのね」
(こ、これはまさか――!?)
柔らかい質感なのだが弾力はある。こんなもの当麻の知識の中には一つしかない。
右手は床に触れていたため、力をこめ、上半身だけ上げる。
すると、
シルフィードに馬乗りとなっていた。
予想通り、先ほどはあの柔らかい二つの果実に埋もれていたらしい。
「な、ななななななななな!?」
頬を真っ赤に染め、あわてふためく当麻。正直、周りからの視線が一段ないし二段と冷たくなった気がする。
さすがラッキースケベ支援
支援
言い訳は出来そうにない。どう見ても勝手に当麻がこけて、勝手に当麻がシルフィードを押し倒し勝手に馬乗りに見えるのだから。
「わわわわ、ご、誤解だ! 誤解ですから!」
慌てて離れる当麻。両手を前に出し、ぶんぶんと振るが効果は見えそうにない。
シルフィードはポカーンとだらし無く口を開いて固まっている。どうやら自分が何をされたのか、イマイチ理解できていない様子。
当麻としては噛みつかれたり、暴行加えられたり、電撃を浴びせられたりするよりも遥かにマシなのだが、むしろその普通の態度が新鮮に感じてしまい、対応に困ってしまう。
あれ、俺って実は結構酷い目にあってる? 等と考えている間に、
「……あ、……あぁ!」
どうやら事の状況を理解し始めた様子。
見た目は二十歳前後の美しい女性なのだが、人間の年齢に換算するとまだ十歳足らずなのだ。
そんな精神上幼い子が、自分より年上の少年に押し倒され、馬乗りにされ、胸に頭を突っ込まれたときのショックは計りしえない。
目には若干涙を浮かべ、肩は小刻みに震えている。
ギン! と当麻は周りから睨まれた。既に何人かは殺意すら込められているようにも感じられる。
「うぅ……、これは不可抗力ですよ!? 確かにわたくし上条当麻は彼女を押し倒しましたが、なにかに躓いただけなんですよ! それに数で無理矢理意見を通させるのもどうかと思うんですが!」
反応はない。
「やっぱりダメですよね。そんな予感はしてましたよ! 勝手に押し倒してしまいすみませんつかごめんなさいーッ!」
ズバッ! と当麻は神速とも呼べるスピードで地面に頭をこすりつける。
しかし、やはり反応はない。
ただ無言の訴えがどこからも襲いかかってくる。
『いますぐこの場から立ち去れ』と。
この、ドラゴンですら逃げ去りたいプレッシャーであるがしかし、さすがは当麻、今までの経験のおかげか必死に耐えている。
――否、本当は今すぐにでも逃げ出したいのが、あいにく当麻はここに一人で来店したわけではない。
むしろ、そのつれからの冷たい眼差しは感じられない。あの存在感溢れる寡黙な主なことだ(当麻にとって)。まさか自分が視線に気付いていない、そんなオチではないはずだ。
すると、
「きゅいきゅい! もうお嫁にいけないなのねー!!」
ダーッ! と走り去っていくシルフィード。振り向き様にうっすらと零れ落ちる透明の雫。
その、あまりの全速力に誰一人として声をかける余裕すらなかった。
しーん、と静寂が支配する。
もう当麻にとって限界地点を超えてしまっている。一刻も早く立ち去りたいという心で一杯だ。
こちらもシルフィードと同じく、涙すらうっすらと浮かび上がってきた。しかし、ここにきてようやく主から助け舟が差し出される。
「あなたは悪くない。事故であったから仕方ない」
振り返ると、すぐそばに当麻と同じ目線にしたかったのか、しゃがんでいるタバサの姿。
ズギューン! と当麻は何かを感じる。この状況において、慰められるのはまさに女神と言っても過言ではない。
「……タバサさん。あんただけは俺の味方だって信じていたよ」
込み上げてくる感動に、当麻は目頭に浮かび上がっていた熱いものが零れそうになる。それを防がんと、必死に腕で拭う。
もっとも、真犯人がタバサであるとしったら、果たして当麻はどのような反応をとるのであろうか。
それはさておきと、慰めの一言を与えたタバサは立ち上がる。
今は任務中なのだ。
このような執事と主の青春物語を演じるためにわざわざ宝石店へと向かってきたわけではない。
タバサは以前床に座っている当麻に「立って」とだけ伝えると、再びお目当ての商品へと向かう。
途中、周りからなにか囁かれているようだが気にしない。
とてもじゃないが、彼の右手が触れたら竜に変身してしまうのです、と言える雰囲気ではないのだから。
「これ」
手頃な店員を探し、先程のブルーダイアモンドを指差す。
しかし、店員は気まずそうな表情を浮かべて、
「申し訳ありませんお客さま。こちらは売り物では……」
「いいから、これ」
再びタバサは繰り返す。
「二千万エキューはしますが……?」
態度は変わらないが、店員が纏う雰囲気は変わっている。タバサの言葉に意味を感じ取ったのだろうか。
しかし、一つの宝石の価格としては尋常ではない。名高い有名な大貴族の総資産に匹敵するほどだ。
が、タバサの答えは変わらない。小さく頷くと、
「問題ない」
すると店員は手を差し出した。
「では手付金をもらいたいのでしょうが」
すっ、とタバサはその手に銅でできた金貨を三枚乗せた。
本来ならば二千万エキューに程遠い金額であるが、店員はむしろ笑みを浮かべて、
「かしこまりました。ではこちらへ……」
言い、奥へと案内する。
瞬間、店員があることに気付き、足を止めるとタバサに尋ねる。
「お連れの方が見えませんが、どのようにいたしましょうか?」
店員に指摘され、くるりと振り返るタバサ。
いつの間にか当麻が消えているようだ。大方、シルフィードに謝りにいったのであろうと推測できる。
問題は先住魔法が解かれ、街中でトラブルが起きることだ。
しかし、いまさらタバサが追ったところで間に合うのだろうか。
悩む。どちらを優先しべきか。
タバサは無表情のまま棒立ちになること数秒後、
「また来たら、案内できる?」
「もちろんですとも」
なら、先に行く。と伝え、タバサは店内の奥へと入って行った。
支援
支援
支援
支援
支援
支援
まさか規制食らったとか?
しかし支援する。
支援
支援
大丈夫かな……?
避難所の雑談スレにも書きましたが投下完了ですー
支援ありがとうございましたー
おつかれさま
乙です。
乙です。
234 :
ゼロの武侠:2008/03/14(金) 00:19:28 ID:3BdFZXD2
乙です。
感想の間を置いて30分から投下します。
235 :
ゼロの武侠:2008/03/14(金) 00:29:55 ID:3BdFZXD2
使い魔というのはメイジの手足ともいうべき存在である。
トリステイン魔法学院では進級の試験として使い魔召喚の儀を行う。
その大まかな内容は二つ。
使い魔を呼び出すサモン・サーヴァントと、
そして契約を交わすコントラクト・サーヴァントから成り立っている。
契約に必要なのはルーンのと詠唱と術者の口づけ―――すなわちキスである。
「だ・か・ら! 大人しくキスさせなさいって言っってるのよ!」
杖が振り抜かれると同時に爆風が辺りを包む。
白煙が立ち込める中を咳き込みながら梁師範が駆ける。
続け様に起こる爆発を避けながら負けじと言い返す。
「っざけんなァ! 誰がテメエみたいなガキなんかとキスするかよ!
俺はなロリコンじゃねえんだ、お友達と交換日記でもやってな」
目の前の少女が何歳かは知らないが肉付きから見て十代前半ぐらいか。
そんなのとキスしたなんてバレたら即効で蓮苞に愛想尽かされる。
ターちゃん達からも何て言われるか判ったものじゃない。
恐らく性犯罪者を見るかのような白い眼を向けられるだろう。
己の尊厳と純潔を守る為、梁師範は必死でルイズの横暴に抗っていた。
そしてもう一つ、彼には気掛かりがあった。
それは彼を余所に次々と契約していった他の使い魔だ。
あの後、まだ契約を終えていないルイズ達を残して去っていく際、
契約を終えた使い魔は粛々と主に付き従い一匹残らず塔の方へと向かっていった。
中には、およそ人に懐くとは思えない猛獣と思しき物もいたというのにだ。
もしかしたら契約というのは相手の意思を奪い服従させる、
バンパイアの吸血行為に近い魔法なのかもしれないと梁師範は疑っていた。
魔法が実在するのを疑う余地はない。
ワイヤーアクションも出来ない青空の下で空を飛ばれたり、
木の枝みたいな杖を振りかざすだけで爆発を引き起こされては信じる他ない。
前に見た試合会場を利用したトリックとは違う、
本物が放つ匂いを格闘家の本能が感じ取っていた。
236 :
ゼロの武侠:2008/03/14(金) 00:31:22 ID:3BdFZXD2
進行方向で巻き起こる爆風に咄嗟に地を蹴って反転する。
猫が身を翻すかの如き梁師範の身の扱しに思わずルイズから感嘆が洩れる。
狙いを付けられないとはいえ、まぐれ当たりの一つもないのは偏に梁師範の力量故だった。
どこで起こるとも知れない爆発に対し直前でそれを回避する。
爆風を置き去りにするのにも似た神速の動作を繰り返しているというのに、
先に動きを止めたのは杖を振るう少女の腕だった。
手を休めた彼女に言葉を投げ掛ける。
「俺はアフリカに帰りてえだけだ!」
「アフリカ? 聞いた事ないわ、何処の田舎よ」
「冗談で言ってるんじゃなきゃ、よっっぽど頭が悪いみてえだな。
いいか? アフリカってのはな大自然に恵まれた大地で、そこでは野生の動物達が……」
「野生の動物が野放し? やっぱり田舎じゃないっ!」
びしりと梁師範を杖で指しながらルイズは言い放った。
彼女の一言に強敵と対面した時のような冷たい汗が頬を伝う。
そういえばそうだったな。アナベベやヂェーンさんと一緒にいると忘れがちだがアフリカは秘境だった。
それにベガスやMAX主催の格闘トーナメントに参加してたせいもあるだろう。
己の迂闊さに舌打ちしながら彼は切り返す。
田舎者呼ばわりされて黙っているつもりは毛頭ない。
「……確かに。アフリカは第二の故郷とも呼ぶべき場所だが俺の生まれは違うぞ」
「どうせ生まれも田舎なんでしょ?」
「黙って聞けぇぇい! 西派の総本山は中国の奥深く、
その流派を秘匿する為、切り立った断崖により人里と隔離された……」
「人里離れてるって時点で十分ド田舎でしょうがっ!」
ルイズのツッコミに梁師範の額に太い血管が浮き上がった。
何でさんざ追い回された挙句に田舎者呼ばわりされなくきゃならないのか。
疲れていたのもあるだろうが元々彼は大人気ない性格なのだ。
やられたらやり返す、言われたら言い返すのが彼の中では当然だった。
「田舎者はテメエの方だろうがっ!
飛行機も知らねえくせにバーカバーカ!
悔しかったらここまでおいでベロベロバァ!」
「殺すっ!!」
あっかんべーしつつペチペチと尻を叩く梁師範に憤怒の形相でルイズが迫る。
既に疲労感も失せ、内に滾る激情の赴くままに杖を振り回す。
立て続けに巻き起こる爆風を背に受けながら梁師範は脱兎の如く逃げ出した。
その後を追跡してくる少女を目線だけで確認し笑みを浮かべる。
237 :
ゼロの武侠:2008/03/14(金) 00:32:27 ID:3BdFZXD2
実の所、意地を張っているが彼も限界が近かった。
こっそりと見えない所に隠れて肩で息をしたいぐらいに。
それほどまでに魔法という未知の技術との対決は彼に大きな負担を強いていた。
何が起きるか予想できない点ではライフルよりも恐ろしい。
しかも、まるで相手の攻撃が読めないのだ。
相手の意を察し先んじて動く、故に音速を超える銃弾さえ梁師範を捉える事は叶わない。
だがルイズの爆発は彼女の意のままに起こせる代物ではない。
それが逆に梁師範を撹乱する事に繋がっていたのだ。
現に、この爆発が失敗した魔法だとは梁師範も気付いていない。
虚実入り交ぜた高度なフェイント攻撃とさえ思っているぐらいだ。
かといって女、それも子供に手を上げるような真似は出来ない。
逃げる事も考えたが魔法がどこまで届くか判らない以上、気を緩めた瞬間に爆破される恐れもある。
だからこそ彼は挑発してルイズを誘い込んだのだ、トリステイン魔法学院の中へと。
外ならばいくらでも暴れられただろうが此処は違う。
連中の大切な学び舎では先程の様な爆発もそう引き起こせまい。
塔の内部に入り込んだ梁師範は勝ち誇った表情を浮かべる。
「はっはっは、引っ掛かったな! ここじゃあお前さんの魔法も…」
直後、梁師範の言葉を遮るように背後の壁が吹き飛んだ。
パラパラと崩れ落ちる校舎の壁を呆然と眺めながら、
ルイズを差す指が行き場を失ったようにぷらぷら揺れる。
「……覚悟しなさい。今その五体バラバラにしてあげるわっ!」
髪を振り乱し鬼気を背負ったその姿はまさしく般若そのもの。
長い前髪から垣間見える眼がぎらりと狂気の光を放つ。
既に彼女は理屈とか道徳とか常識とは無縁の世界に逝っていた。
蒼褪めていく梁師範の目前で彼女の杖が断頭の斧と化し振り下ろされる。
刹那。ルイズの感情を反映するように今までで最大の爆発が引き起こされた。
飛び散る破片から頭を庇いながら梁師範は廊下を跳躍した。
常人であれば十歩は必要とする距離、それは彼は一足にて成し遂げる。
振り返れば未だに爆心地では煙が立ち込めている。
その中で靴音を響かせながら幽鬼の如く桃色がかったブロンドの髪が揺れる。
少女の姿を確認する余裕さえなく彼は全力で逃げ出した。
238 :
ゼロの武侠:2008/03/14(金) 00:33:43 ID:3BdFZXD2
「おい! 邪魔だ! どいてくれ!」
学院の生徒達を押し退けながら梁師範は駆ける。
平民風情が何を言っているんだ?と顔を顰める貴族の子弟達も、
後ろから追って来るルイズの迫力に思わず道を開けた。
この追いかけっこは梁師範にとって最も避けたかった展開だった。
如何に脚力に自信があるとはいえ狭い空間では満足に身動きが取れない。
ましてや、そこに人がいるのでは尚の事。
いつ逃げ場のない状況に追い詰められて爆破されるか知れたものではない。
背中越しに爆発に巻き込まれた生徒達の悲鳴が聞こえる。
もはや少女は完全に見境がなくなっている。
このままでは徒に犠牲者を増やすだけだ。
「……やるしかねえか」
呼吸を整えると同時に彼の身体が疾風と化す。
瞬く間に廊下の端まで走り抜けてルイズへと向き直る。
本来、メイジを相手に距離を取るなど愚の骨頂。
魔法の脅威を掻い潜り懐に飛び込まねば勝ち目などない。
しかし彼にはそれを覆す門外不出の技がある。
「煉精化気煉気化神…」
両の手は印を結び、その唇は呪文を紡ぐ。
呼吸と共に全身を巡る内気が練り上げられていく。
それは中国拳法に広く用いられる内気功の所作に近い。
だが彼の駆使する西派白華拳は他の武術と一線を画していた。
内気を己が身体にのみ作用する技法に留めず剄として外に放つ。
それこそが他の流派には有り得ぬ秘伝。
狙うは数瞬の間。掲げた杖を振り下ろすまでの隙。
十中八九、杖が無ければ魔法は使えまい。
ここまで観察した上で梁師範はそう推測した。
無論、的外れな予想となる可能性もある。
それでも女に手を上げるよりはマシだと判断したのだ。
「破!」
突き出した掌に合わせて蓄えられた剄が撃ち出される。
打透剄と呼ばれるそれは反応の間さえ与えず彼女の杖に命中した。
枯れ枝を踏み砕くかのような音と共にルイズの杖が半ばより断たれる。
音を立てて床に転がり落ちるメイジの一部というべき杖。
しかし、ルイズの眼が追っているのはそれではない。
驚愕の眼差しで見上げるのは自分の呼び出した平民の男。
未だに掌に僅かな光を帯びさせた男にルイズは尋ねた。
「アンタ……何者なの?」
少女に名を問われ、彼は首を傾げた。
ああ、そういえば自己紹介がまだだったなと思い出す。
もっとも、それどころでは無かったのだから仕方ないが。
「西派白華拳最高師範、梁」
自身の名と流派を誇るように彼は力強くそう答えた。
今はターちゃん流格闘術の二番弟子なのだが、
バカにされそうなのでそれは絶対に隠しておこうと彼は固く心に誓った。
239 :
ゼロの武侠:2008/03/14(金) 00:35:20 ID:3BdFZXD2
以上、投下完了です。
梁師範も女運がいいのやら悪いのやらw
いやこうして見ると梁師範って結構ゼロ魔に合うな。
ヴァンパイア編の件を出すあたり上手いと言わざるを得ない。
次回も期待してます!
乙ではあるんだが
杖がなかったら契約も何もできんぞ
来た!師範来た!これで勝つる!
予備の杖くらいあるんじゃないか?
お久しぶりです。
久々ですが、予約無ければ35分から投下させて頂きます。
狼と虚無のメイジ 第五幕
チチチチ……と小鳥達の唱和の中、先に目を覚ましたのはホロ。
目をしぱしぱとさせながらゆっくりと上体を起こした。
朝の空気をたっぷりと吸い込み、はてここは何処かと頭を動かす前に、ふと尻尾に違和感を覚えた。
長い尻尾に、自分のものではない四肢が絡みついている。
言うまでもなくルイズだ。触り心地のよさに無意識のうちに掴んだのだろうか、抱き枕よろしく幸せそうな寝顔だ。
「む。これ。離さぬか」
華奢な外見とは裏腹に、強力にがっちりと掴み込んでおり、ホロはルイズをひっぺがすの苦労した。
ようやく剥がした頃には、尻尾の毛並みはくしゃくしゃだ。
自慢の尻尾の惨状に、さすがに眉をひそめたが、尾に潜んでいた小さな「跳ねる何か」に気づくと、にまーっと笑ってベットを降りた。
剥がす際にあれこれ動かしたのに、ルイズはまだまだ夢の中。
起こしても無駄だと判断したホロは、前日聞いていた「使い魔の仕事」とやらを片付けるため、幾つかの衣服を纏めると部屋を後にした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
人の姿で歩くと、この建物は随分と広い……とホロは思った。
城などの様式は幾つかホロも見知っていたが、目の前にあるものは随分と雰囲気が違う。
さすがは月が二つある地、と感慨深げだ。
故郷には帰りたい。
しかし、せっかく遥かな異境にいるのだ。色々と見て回り、森の仲間に自慢するのも一興。
そんな程度にホロは考えていた。
ヨイツの賢狼は中々どうして、好奇心が強いのだった。
さて、そんなこんなで水場を探してあぐねていると、女中と思しき娘がいたので声をかけてみる。
「そこな娘、よいかや?」
「あ、はい。何でしょうか?」
振り向いた素朴な印象の黒髪の娘は、緊張した面持ちで振り向く。
使われている立場からすれば当然なのだろうが、ホロにはいささかオーバーに見えた。
ただ、その表情は次の瞬間驚きを現すものに変化した。
「え、耳?」
それも当然、頭の斜め上ぐらいから、明らかな獣の耳が突き出ている。目線を下に向れば、ふさふさとした尻尾が揺れている。
見間違いかと目を擦るが、それは一向に消える気配が無い。
「かしこまらずともよい。わっちは今はただの使い魔とやららしいからの」
「つ……使い魔?」
娘はしばし考え込むと、ハッとした様に顔を上げた。
「あ、もしかしてミス・ヴァリエールが使い魔にしたと言う……亜人の方ですか?」
「そんな様なものじゃな。ホロという。よろしくの」
「あ、はい。私はシエスタと申します。こちらでご奉公させて頂いております」
「しかしよくわかったのお」
「ええ、召喚の魔法で亜人の女の子を呼んでしまったって。噂になってますわ」
なるほど。自分が喚び出されたことは結構特殊な事例らしい。逡巡しているとシエスタが恐る恐る聞いてきた。
「ところで……その。ホロさんも魔法が使えるんですか?それって制服ですよね」
「ああ、他に服が無いと言うので、あるじ様に貸していただいたんじゃ。わっちは空を飛んだりはできぬ。しかしやはりこの服はよくない。腰巻が尾に当たってどうにも違和感がのお」
尊敬などまるでこもっていない、しかし、それでも好意的な「あるじ様」と言う言葉に、シエスタは目を丸くした。
どちらかと言えば相手の全てを把握した上で、生暖かい目で見ている者の言い方だ。
「あ、あの、私の服でよければお貸ししますよ。その荷物、洗濯をしにいらっしゃったんですよね。洗う前に着替えたら一石二鳥ですよ」
「ふむ。気がついたかや。ぬしは気が効くようじゃ」
にこりと好意的な笑みを浮かべたホロに、シエスタはドキっとしてしまう。
貴族の通うこの学院においては美形も多いが、目の前の人物は一般的な美しさとは一線を隔するなにかがあった。
異種族とはいえ同姓に対して何を考えてるのかと思い直したあたりで、ホロは思い出したようにつぶやいた。
「……いや。その前に一つやることがあったの」
例によって意地の悪そうな笑みを浮かべたホロは、シエスタにごにょごにょと耳打ちをする。
話を理解した瞬間シエスタは一瞬顔をしかめたが、確かに魅力的な尻尾だし、「それ」がいるのも当然であると思えた。
幸い使い魔の多い学院においては対策用の薬剤などは完備してある。シエスタはホロを促すと、学院の一室へと向かった
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
まどろみと言うものは人によっては至福とも言える時間だ。
睡眠時自体はこれと言って何を考えられる訳でも無いため、「寝ている」と自覚して理性を投げ出せる数少ない時間帯と言える。
が、その日ルイズに与えられたまどろみはほんの一瞬だった。
「っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!」
痒み。
とてつもない痒み。
痛みではなく、猛烈極まる痒みがルイズの体の複数箇所を直撃していた。
「痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒いーーーーーーーっっっっっ!」
涙目になりながら絶叫するルイズ。これは決して大袈裟なリアクションではない。叫ばないと正気を保てない程の苛烈な痒みなのだ。
両手で患部をバリバリと掻くが、そんな程度で解消するほど生ぬるいものでは無い。
掻けども掻けども解消されない霜焼けの痒みにも似るが、暖めればどうにかなるそれに対して現状では対応策は無いし、痒みそれ自体のレベルも雲泥の差だ。
しかも、複数ある患部に比べて自らの腕は二本一対しか存在しない。
寝覚めとしては最悪の部類に入る経験の中で、気絶することも叶わずルイズはベットの上でのた打ち回った。
5分か6分か……実際にはその程度だったが、ルイズにとっては無限に続くかと思われた拷問の中、ギィと部屋のドアが開いた。
「良い朝じゃの、あるじ様。洗い物は今干しておる最中じゃ」
町娘風の動き易そうな服装に着替えたホロは、しれっとした顔で言った。思惑こそ読めないが、その癇に障るほどの可愛らしい笑顔が示すものは一つ。
この状況はホロが作ったものであると言うこと。
痒みに我を忘れていたルイズだが、この怒りでやや思考が纏まってきた。
「あんたぁ……何っ……してる……のよ!」
「これは異なことを仰られる。言われた通りに洗濯をし、今まさにあるじ様を起こしにきたところじゃ……と言っても」
ぱぁん!と、破裂音が部屋に響く。突然ホロは目の前で跳ねる「何か」を両手で叩き潰したのだ。
「起こしたのはどうやら蚤共のようじゃがの」
ルイズが朝っぱらから地獄の様な痒さを味合わされた原因は、何を隠そう蚤だった。
痒さに単位があれば間違いなく上位に食い込む蚤。伝染病の媒介ともなる不衛生なそれは、貴族の嫡子達が暮らす寮に本来いるはずの無い虫だ。
それが何故ルイズの部屋でぴょんぴょん跳ねているかは、少し考えれば頭の弱い者でもすぐに解る。
そしてルイズは激昂することこそ多いがそれなりに頭の回転が速い。
「ホロ……あんたねぇぇぇぇぇ」
怒気で痒みが一瞬収まったのもつかの間、すぐにまたバリバリと体を掻く。
苦々しく呻くルイズを横目に、ホロは的確に辺りを跳ね回る蚤を駆逐していった。
「確かに原因はわっちじゃがの。不可抗力と言う言葉もあろう?それにこれほど念入りに抱きつかれては、蚤共も喜んでぬしに齧りつこうと言うものよ」
責める様な瞳でホロは尻尾を見せた。自慢の毛並があちこち乱れている。
「幸せそうな顔で尻尾に顔を埋めているぬしを叩き起こせばよかったのかの?これでも引き剥がすのに苦労したのじゃ」
やれやれと両手をヒラヒラさせるホロに対して、悪態の一つもつきたいルイズではあるが、痒みのあまりもともな返事も危うい状態だ。
「ふむ、片付いたかえ。膏薬を貰ってきてやったでの。少しじっとしておれ」
「うううぅ……早くしてぇ……」
蚤をあらかた駆除すると、ホロは懐から小瓶を取り出した。緑がかった膏薬を指にとり、赤く腫れた患部に塗り込む。
さすがは学院で使われている薬品、塗って数秒後にはスっと痒みが引いていった。
「うぅ……死ぬかと思ったわ……」
「ふむ、痒みで死ぬとは笑い話じゃの」
「あのねぇ、誰のせいだと……」
「一概に誰のせいとも言えぬ。そうであろ?わっちも気づいたのは起きてからじゃ」
痒みが落ち着いてこみ上げてきたきた怒りに、またも消火剤。
何しろこんな成りでもホロは狼だ。外にいたなら蚤の一匹や二匹は貰っていて当然と言える。
喚び出したのはルイズの方だし、「蚤がいるとは知らなかった」では済まされない。
むしろこの部屋以外に広げずに済んだことの方が僥倖と言えるし、仮にホロがただの狼だったとしたら、気を効かせて薬を持ってくるということもなかっただろう。
誰が悪いとも言えないが、良く考えれば非の天秤はややルイズに傾く。また、ホロの行動はかなりベターなものであると言える。
もっともルイズも体力満タン時であれば、「だからどうした」とばかりに八つ当たりするところだが、痒みによる悶絶で体力がいい具合に磨耗していた。
つくづく交渉や説得と言うものは相手が疲れている状況に行うのが定石らしい。
「……キュルケが可愛く見えるわ」
「きゅるけ?何かの食べ物かや」
「似ても焼いても食べられないわね、きっと」
「?」
「ああ、いや、焼いたら喜ぶわねあの女。何しろ野蛮なゲルマニアだもの。伝説の虚無魔法とかで下品な胸ごと跡形も無く吹き飛ばすべきね。ヘキサゴンとかも良いかしら……」
ブツブツと黒い想念を吹き上げて恨み言を呟き始めたルイズ。
面白そうに眺めていたホロだったが、直に飽きてきたのか尾の毛づくろいを始めた。
脳内での蹂躙が一通り済んだルイズは我に帰ると、掻きまくったせいでまだ少しヒリヒリする患部をさすりながら、いそいそと服を着る。
そして服を着た直後「しまった」と言った顔をした。
(威厳を見せる為に着させようと思ってたのに……!)
ジト目でホロの方を見たが、時すでに遅しだ。
今更脱いで「着せなさい」とは言えないし、仕切り直しで明日また強要しても、この老獪な狼にはもう通じないだろう。
何しろ一度「自分で着ている」のだから。
もし言ったとしたらホロのことだ。あっと言う間に「何故着させようとしたか」という核心にたどり着く。
天秤にかければ、それを指摘されることの方が遥かにダメージが大きい。なんという綱渡りが要求される使い魔だろう。
必死で表情を噛み殺そうとしている所に、ドアをバタンと開けて誰かが入ってきた。
「ちょっとルイズ。朝から五月蠅いわよ?」
現れたのは見目麗しく豊満な体と褐色の肌に、燃えるような紅い髪を添えたグラマラスな美女だった。
雄が見れば我先に食いつきそうじゃの、などと思いながら横目で一瞥したホロは、すぐに毛づくろいに戻る。
ちなみにルイズはと言うと、これ以上無いぐらい嫌そうに顔を歪めていた。
「どっちがよキュルケ。大体ノックもせずに入ってくるなんて本当に嗜みが無いわね」
「あら、ごめんなさい。でもあなたは「嗜まない」相手もいないんだから構わないじゃない?」
「う」
「対してあたしは日夜殿方の寵愛を受ける身。お肌の手入れだってかかせないのよ? 睡眠時間もちゃんと取らなきゃならないし、あなたの奇声で叩き起こされるのはたまったもんじゃないのよ」
「あ、あんた、学生の本分忘れてない?」
「あら、その「本分」の方こそ、この上なくこなしてるわよ? 昨日だってしっかり……あらあ?」
キュルケは目線をホロの方に移動すると、指を刺して笑いながら言った。
「あっはっは! あなのたの使い魔ってそれ? 本当に亜人なのね! 可愛くて良かったじゃない!」
一見すれば嘲笑に近い笑いだが、その対象となっているホロの胸中はと言えば全く別だった。
元いた場所では耳や尻尾を見せるだけで教会に追われることも多く、人の姿だと晒すことそれ自体がタブーのようなものだった。
ところがここでは耳と尾の両方を「本物である」と認識した上で、それがどうと言うことも無いように接してくる。
長を生きてきたホロだったが、この反応は新鮮だった。
……ただし、それと「馬鹿にされている」と感じることはまた別の話だったが。
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ〜。フレイムー」
呼びかけと共に室温が数度上がる。キュルケの後ろから鮮やかなばかりの赤い体がのそりと這い出た。
尾が炎で形成されている巨大な大トガゲだ。
大の大人でも対面したら腰を抜かしそうな威圧感を放つその大トカゲは、感情の伺えない瞳でぎょろりと部屋を見回した後、ベットの方に視線を向ける。
ホロは毛づくろいをしながらにっこりとフレイムに微笑み返すと、本当に小さく呟いた。
(美味そうじゃのお?)
途端にフレイムは瞳孔を収縮させると、脱兎の如くにキュルケの後ろに隠れた。
「あ、あら?フレイム、どうしたの?挨拶なさい」
キュルケが必死になって前に出そうとするが、フレイムは歯をカチカチならして威嚇とも脅えともつかない行動を続けるばかりだ。
尻尾の炎は勢いよく燃え、天上に届かんばかり。
様子を見ていたホロはトカゲ以上に感情の読めない笑顔でルイズに言った
「ふむ、あるじ様。使い魔と言うのは主人を守るものでありんすな?」
「え?何よ突然。 ……まあ、そうだけど」
「くふ。となると後ろに控えるあの赤い御仁こそが主人と言うことでありんすか?」
こじつけである。
だが、ルイズはピンと来た。
なるほど、素晴らしい援護だ。
「そ、そうねぇ。確かにあれだけ立派な体格ですものねぇ。となると手前にいる下品なのは何かしら、ホロ?」
「ふむ、褐色の色艶に少しばかり大降り過ぎる実……。すばり木ではありませぬかの、あるじ様」
ブラウスのボタンを一つ二つ外したキュルケを見て、ホロは大袈裟に考えてそう言った。
「よくできたわね、ホロ。余りにも下品で図鑑にも載っていない唐変木って言う珍妙極まる植物よ。口を開けば罵詈雑言ばかりのね」
「ほう、喋ると申されましたかや。となるとわっちは酔ってはおらなんだようじゃ。 ……しかし、かように珍しい木を使い魔とするとは、赤き御仁もさぞ素晴らしいメイジであられると言うことじゃの、あるじ様」
「もちろんよ。フレイム・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと言う、名にも負けない素晴らしいメイジよ。我がヴァリエール家とは長年のライバルなんだから、当然よ」
「宿敵を尊重されるとはあるじ様も偉大であるの。しかし……キュルケと言ったかや。仮にも使い魔が貴族であられるあるじ様にあの口調は無礼だと心得た方がよいであろ」
「仕方ないわよホロ。昨日召喚されたばっかりで右も左も解らないんだから。あなたみたいに構えられる方が珍しいってこと。じゃあ、フレイム。お先に失礼?」
立て板に水の会話が続くこと3分弱。目の前の情報を処理し切れぬままのキュルケに対して、ルイズは颯爽と桃色の髪をかきあげて部屋を出て行った。
尚、去り際にホロは「冗談じゃ」とフレイムにだけ小さく呟いた。するとフレイムは緊張の糸が切れたようにどっとその場に臥せる。
もし彼が蛙であれば、良薬が滲み出る程に脂汗を流していただろう。
片や一方的な皮肉に晒されていたキュルケは、ここに来てようやく先程の会話内容を把握した。
「……ちょっと!誰が使い魔だってのよ!使い魔はこっちのフレイム決まってるでしょうがっ!」
「もういない」
いつの間に居たのか、機械的ともとれる無機質な声がキュルケの後ろから放たれる。
「あら!?タ、タバサ?いつの間に……」
「今さっき」
「ちょっとタバサ聞いてよ〜。ルイズの奴が」
「そんなことより」
「え?」
「朝食に間に合わない」
それだけ告げるとタバサは踵を返してさっさと歩き始めた。
「……」
キュルケは唖然とした後、苦虫を噛み潰した様な顔になり……
「っきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
ルイズに舌戦で負けた事をようやく理解して地団駄を踏んだ。
投下完了です。
毎回Wiki登録ありがとうございます。
フレイム・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーw
ここまで切り返しの上手いルイズは初めて見たわ
この後狼と香辛料が待ってる自分にとっては最高の前さ……
むしろこっちがメインディッシュだな
長々とは言わない。
ただ一言、感想を言うとすれば、GJ
>>161 かなり遅れ馳せながら、可愛いイザベラにGJ!
とうとう全てを吐露したイザベラ。
その全てを受け止める、優しい強さを持つ耕介。
そして、イザベラ覚醒……
タバサに対する態度の変化とか、耕介が原作サイドにどのように関わって行くか?とか、とても続きが気になります。
とらハ2をプレイし直しつつ、次回をお持ちしてます。
まだ召喚されてないジャンルの作品はあるのだろうか?
王ドロボウJINGとか
EATMANのボルト・クランクとか
小ネタのキノみたいに一話完結の流れで強引に帰っていっちゃいそうな
放浪慣れしてそうなキャラ
教育番組系とか実在系なんかはいないような気がする
聖徳太子とかノンタックとか
JINGからキールは召喚してみたいキャラではあるんだが
ごめん。あれを文章で表現は不可能
うわ、ちゃんと口車で翻弄するホロになってるよ!
しかもルイズもちゃんと似たもの主従になってるよ?!
素晴らしい、これは新しい、そしてとても楽しい。
実にGJでありまする。
>>259 カメレオンの矢沢系かな?
あとは… おじゃるはあったっけ?
狼と虚無、GJ!
首を長くして待ってました。
ホロがよく伝わってくる。ほんと上手いなぁ
いいね。最近面白くなってきた
>>261 元ネタ秘密のところにいくつかなかったか?
人形劇系は無いなあ
サンダーバードとかひょっこりひょうたん島とか
狼と虚無のメイジ、乙!!
実にホロらしい展開でしたな。コンビに翻弄されるキュルケGJ
契約ネタでいくならば、『クロノクルセイド』のクロノと良いかも。
普段は封印されているからパワーバランスも丁度良いし。
ただ召喚してしまったら、ルイズの人生は太く短いものになりますなw
>>271 こんなところに俺発見
何度か考えたけど面白そうだよな
>271-272
強い使い魔、しかしルイズにもその代償が降りかかる……か。書き方によってかなりのものになりそうだ。
初期は命と引きかででもこの事態がどうにかなるなら――と考えるものの、体調不良や吐血、昏倒が始まるにつれて……と。
おお、これはルイズの『人間らしさ』をかける人間ではないと相当に難しいな。私には無理だ。
原作のその後でもいいんじゃないかね
尖角(ホーン)戻ってるから契約による補填必要ないし
>>273 >強い使い魔、しかしルイズにもその代償が降りかかる
「人を呪わば穴二つ」が決まり文句の、妖精さん@双月騎士最終回と同じ声の長い黒髪
少女なんかは、その最足るものだろうな。召喚しても、自分に敵対する「一人」を地獄
へ流すことしかできない(もっとも、サーバント契約で、主であるルイズが生きている
限り、何回でも何人でも地獄流しOKの設定にもできるかも<その代わり、ルイズは死後、
地獄でその分だけ痛みと苦しみを味わうことになるとか)。
>>274さん
それではクロノを呼び出しても、面白みに欠けるのでは?
強大であるからこそ代償があることが原作の魅力の一つだと思います。
277 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 10:33:32 ID:oaJfA6qr
遅くなってすいません。
投稿しても良いでしょうか?
OKならば十一時頃に投稿します
278 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 10:34:26 ID:oaJfA6qr
すいませんsage
忘れてました
シッショーktkr
どうぞどうぞ。
しかしあの小説は好きだなあ
280 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 11:00:24 ID:oaJfA6qr
投稿開始します
281 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 11:02:28 ID:oaJfA6qr
ゼロと疾風 買い物 後編
トリスタニア、トリステインの王都。王城をはじめ白い石造りの建物が目立つ美しい街。
ルイズとチップは瀕死(?)状態のギーシュを医務室に運んだ後、この街にやってきた。
「チップ、あんたいったいどんな体力してるのよ!」
ルイズはウマに乗り、チップは走ってきたのだ。その自分の脚で。ルイズのウマよりも速かった。
「すべては修行の成果ってやつだ」
「・・・今日は疲れているからもう突っ込むのやめよう」
まさか、キュルケがあんなに怖いなんて思ってもいなかった。
「そういやルイズ、買い物って言ってたけど、何を買うつもりだ?」
「医学関連の本とかよ」
「Why?」
「私たちの世界だと、怪我や病気の治療は水系統の魔法で何とかしいてるの」
そういえば、ギーシュの傷も直に治っていた。決闘から2日後にはチップに挑んできた。
「でも、重病だったりすると秘薬を使うのよ。この秘薬ってのが高くてね。もしこれを安くできるとしたら、国のためになるわ。魔法がダメだったら、こういうところで頑張ればいいのよ」
そういってルイズは胸を張った。
「ずいぶんと立派なことだな。でも、本だったら図書館とかあるだろ?」
「本が分厚い割に貸し出し期間が短いのよ、あそこは。買ったほうが楽よ」
ストリート育ちのチップにとっては、そういった貴族の思考はまったくわからない。
「そういうもんか?」
「そういうものよ。もしこれで私がすばらしい発明をすれば・・・・・・・・」
とにかく話が長くなりそうなので、チップはルイズの話は聞き流す。
ふと、街を見渡す。チップが住んでいた町とは大きく違う。人々の目には活気で満ち溢れている。貧しい階級の人間もちらほらいるが、ストリートと比べれば十分裕福だ。
一人一人見ていくが、麻薬などをやっている様子はない。肌のつやも中々良い
ここが首都だからかもしれないが、この世界はずいぶん平和なのかもしれない。
「あら、話しているうちに本屋についたわね」
大道りにある建物の中でも、大きくて古臭い建物の前に着いた。
「いいことチップ、あなたはここで待ってなさい」
「了解」
適当な場所に腰掛け、もう一度街を見渡す。
チップの目には、穏やかな顔をした人々が映る。
「たまにはこういうのも良いかもな」
生れ落ちてから、平穏とかけ離れた世界で暮らしてきたチップだ。大統領を夢見るチップにとって、このような平和な世界が目標なのかもしれない。貴族は気に入らないが。
ちなみにルイズの買い物はずいぶんと長く、一時間以上待たされることになった。
282 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 11:03:41 ID:oaJfA6qr
「なんだこれは?」
「本よ」
「そんなもん、見ればわかる。問題は量だ」
鈍器として十分な殺傷能力を持てそうな分厚い本を数十冊。袋に入れて運ぶという領域を超えている。
「図書館の人に頼まれたのもあるから、ずいぶんな量になったわね」
「どうやって運ぶ?」
ルイズは黙ってチップのほうを見る。
「流石にこの量は無理だな」
「どうしようかしら」
「運送屋とかねーのか?」
「そういったのは在るけど、意外と高いし、運送を頼むほどの量でもないわ」
たしかに微妙な量である。
ちょうどその時である。チップはある視線に気がついた。この感じは只者でない。この視線は百戦錬磨の兵にしか持つことができない。
しかし、その視線からは敵意は感じ取れなかった。何かを楽しんでいるような感じがその視線には含まれていた。
敵か味方かわからない。だからといって逃げるわけにもいかない。ルイズのほうは、その視線にすら気がついていないのだ。
チップは仕方なく自分の武器であるレスポールを構え、視線の放たれるほうを見た。
だれが視線を放っているかはすぐに解った。金髪の髪、赤いスーツに身を包み、その体は普通の訓練で鍛え上げられたものではない。
「そう身構えるな、私は敵でない。私の名はルガール・バーンシュタイン。この街で武器屋を営んでいる。念のために確認しておくが、チップ=ザナフにルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢だな」
「へ?そうだけど・・・ってチップ!なんて物騒なものを構えているのよ!こんなところで決闘でもするわけ?」
ルガールの視線に気がついていなかったルイズは何がなんだかわからない。
「あっちの用件によっちゃそうなるな」
ルガールはそんなチップとルイズのやり取りを見て、口元に笑みを浮かべる。どことなくチップが以前あったMONONOKEと雰囲気が似ている。
「安心しろ、大事な商売相手を怪我人にするつもりは無い」
「商売相手?」
「そうだ、君たちは大事な客だ。料金も事前にもらっている。後は君達が受け取るだけだ」
そういってルガールは歩き出した。
「チップいったいどういうこと?」
「俺にもよく解らん」
しかし、今現在チップの武器はこのレスポールしかない。朝の事件で殆どの武器はギーシュの錬金で砂になってしまったのだ。
武器は敵と戦う以外にも様々な所で役にたつ。
「とりあえず行ってみるか」
何故かは知らないが、事前に料金はもらっているらしい。タダで手に入るのならば正直欲しい。
支援。ルガール何やってるw
284 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 11:05:04 ID:oaJfA6qr
ルガールの武器屋に入るとまず目に入った様々な銅像だ。狭い部屋の中に、様々な男の銅像が幾つも飾られている。その表情は助けを求めているようで不気味だ。その上妙にリアルだ。
「チップなんか怖いわ」
流石のルイズもこのような銅像に囲まれては不安になる。
「お待たせした」
部屋の奥からルガールが持ってきたのは、鞘に入った一振りの片刃の長剣だった。
「しかし、変わった客だな、意思を持つ魔剣『インテリジェンスソード』にあんな大金を出すなんて」
「これ『インテリジェンスソード』なの」
「ルイズ、そのインテリなんとかってなんだ?」
「さっきこの店長(?)が言ったように意思を持つ魔剣よ。喋ったりするの」
「このように鞘に入れておけば喋らないようになっている」
チップはA・B・Aが持っていた変な鍵を思い出した。
「で、いくらしたの?というかいくら払っていったの?」
「本来は100エキューですが、1000エキューほど出していきましたね」
「1000エキュー!!」
「なんだ、高いのか?」
この世界に来たばかりのチップである。この世界の通貨などわからない。
「立派な家を建てることが出来るわ」
「マジか?」
「マジよ」
ここまでくると怪しいとしか言いようが無い。
「おい店長(?)!これの代金を払った奴はいったいどんな奴だ?」
「店に入るなりこの剣を指差して金を払っていったな。女でしたね。顔は隠していたから解らないが・・・身長は165サントぐらいだったな。破格の値段を払ったから深くは追求しなかったな」
たしかに、本来の十倍の値段で買い取ったのならば、深く詮索は出来ないだろう。
「まあ、これだけの料金を頂いたのだ。なにかサービスしようか?」
この武器を払った人物が気になるが、まあ、こいつも商売なのだこちらも深い詮索は止そう。
それにここでこの男とやり合っては、お互いただではすまないだろう。
それに、サービスするというのだ。言葉に甘えるとしよう。
「じゃあ、ナイフとか数種類もらえるか?後、安い運送屋とか紹介してもらえれば、願ったり叶ったりなんだが」
「了解した。実は我々は運送屋もやっているので任せてもらおう」
「ありがたい」
「じゃあ、本屋の前にある大量の本を学院まで運んでくれ」
「お安い御用だ」
285 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 11:05:52 ID:oaJfA6qr
このほかに何度かことを交わして、二人は武器屋を出た。
チップは背中にインテリジェンスソードを背負っている。
「気になることは色々あったが・・・まぁ、得したな」
「え!そ・・そうね」
チップとルガールとの間に交わされた真剣な探りあいの渦中にルイズもいたのだ。ずいぶんと疲労している。
「なんか・・・あんたを召喚してから身も心もくたくたよ」
ルイズは深くため息をついた。
そして、切実に祈る。これからは静かな日常が流れますように。
まったく関係ない話だが、図書館の人がルイズに頼んだ本の中に、こんなタイトルの本がある。
「リスの全て」「トリステインのリス達」「リスFINAL WAR―悲しきリス達の歴史―」
支援、運送とかGプレッシャーかと
287 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 11:06:54 ID:oaJfA6qr
おまけ
コルベール・勝利メッセージ(W=WIN、L=LOSE)
ソルW・野蛮な炎の扱いには慣れている。引きたまえ。
L・虚勢ってわけじゃ、ねーみたいだな
カイW・強い目だ。君はどんな苦境からも逃げ出さなかったのだろう。羨ましいよ
L・罪から逃げず、前に進もうとする姿勢。尊敬に値します。
メイW・なにも・・・そんなに拒絶しなくてもいいじゃないか
L・ハゲ!ダメ!ハゲを見ると私も禿げる。私が禿げるとジョニーも禿げる。絶対ダメー!!
ミリアW・そんなはしたない格好をレディがしてはいけません!!
L・うぶなのね
アクセルW・いい大人が遊んでばかりいてはいけませんよ
L・何があったか、知らないけど。たまには羽根でも伸ばしたら?
ポチョW・人間は外見だけが全てではない!!君もそう思うだろ!!
L・その意見には同意するが。そんなに強く同意を求められても困る。
エディW・何かが生きるためには、何かを犠牲にしなくてはいけない。そのことは理解している。故に君にはここで死んでもらう。私の生徒たちに手を出す前に。
L・ナカナカノ戦闘能力ダ。シカシ、人間ノ域ヲ出テハイナイ
梅喧W・見境のない剣を生徒たちに向けられては困る。悪いが君の復讐はここまでだ。
L・テメェみたいな奴見ているとイライラするんだよ。とっとと退きな
ファウストW・医学も良いですが。私はこの火で誰かを救いたいのです。
L・お互い重い荷物を背負う道です。がんばりましょう。この命尽きるまで。
紗夢W・やはりこの頭を、何とかしないといけないのか?
L・いい火力ネ。でも惜しいアル。鬘でも試してみるカ?
暗慈W・公道では数多くの人が行き来します。もう少し自分の格好を見直してはどうですか?
L・熱い!!でもそれらを華麗に避ける。俺ってやっぱ凄ぇ
ブリW・私の火を見て楽しんでくれるのかい?嬉しいよ
L・ファイヤーパフォーマンスですね!それって難しいですよね。尊敬しちゃうな
ザッパW・水魔法で心を壊されているのか?
L・ああご来光が見える。もしかして仏様まで僕のところにきたの?
スレイヤーW・危険な遊びは控えなさい。次は火傷ではすみませんよ
L・このような命を賭けぬ闘争も、たまには良いだろう?
イノW・ここまで人を嫌悪したことはありません。それも心から
L・チキン野郎が。同情してほしいのか?
ジョニーW・このような立場の人間ならば、しっかりした態度をとるべきです。
L・硬い説教はノーサンキューだ。もっと気楽にいこうぜ
ヴェノムW・何故、それが苦痛と知りながら、深みに入っていこうとするのだ?
L・私のことなど忘れ、君は君の道を進みたまえ。
テスタW・失礼した。君たちの世界のことにはあまり詳しくなくてな。
L・先生か・・・懐かしい響きだな
ディズィーW・いい笑顔だ。希望に満ち溢れている。幸せに暮らすといい
L・先生なんて始めてみました!授業ってどんなことをするのですか?
正義W・人として引く事は許されない。そんな敵だった
L・貴様が頑張ったところで。他の人間の寿命が少し延びるだけだ。
アバW・私は鍵以下なのか・・・
L・しかたがない、私の夫が貴様より勝っているところを一から教えてあげよう。
オダソルW・ずいぶん乱暴な戦いだな。火が回りに飛び散っているぞ。
L・うっとうしいオッサンだ
ロボカイW・研究・・・辞めようかな・・・
L・モテソウモナイ駄目人間ダナ。ソンナカワイソウナ駄目人間二恋トハ何カ教エテヤロウ。
288 :
ゼロと疾風:2008/03/14(金) 11:08:55 ID:oaJfA6qr
投稿終了です。
他の格ゲーキャラもこんな感じでゲストとして出してみたいです。
ちなみにMYキャラはファウスト
チップ以外に書こうと思った候補キャラはテスタ・三才児・ザトーでした
>>288 乙です!
実はオマケの方が楽しみだったりw(オイ!)
ああ、続きが気になる・・・・・
>>260 ボルト・クランク召喚なら、短編形式でやるのも面白いかも
第一話は召喚主ルイズと契約、ギーシュとの決闘の依頼を受けた後学園から姿を消す
第二話はオスマンからフーケに奪われた破壊の杖奪取の依頼
第三話はアンリエッタからの依頼
第四話はシエスタからの依頼でタルブ村を守るためにレコン・キスタと戦うとか
何これ?
唐突ですが、投下します。
「へえ……ここが教室か」
瀬川は、寝ぼけ眼をこすりながらも教室を見回し、少し大きめに目を開いた。
もちろん、彼――一般的な日本人――が知る学校とは違う。
個々の学習机がおいてあるとは思ってなかったが、それでも教室はまだ彼の常識の範疇だった。
イメージとしては、大学の講義室に近い。石畳の上に、階段状に机が並んでおり、一番下の段には教卓が備えられている。
だがやはりそれ以上に目を引くのは、着席している生徒の側にいる、多種多様な見たこともない生き物の数々。
肩乗りフクロウや蛇などもいるが、むしろ彼の常識外の生物のほうが多い。
「なあルイズ。あれはいったい何だい?」
「バジリスク」
「じゃああっちは?」
「バグベアー」
「あののタコ人間は?」
「スキュラ」
「……カメラを持ってくれば良かったな」
瀬川は思わず呟いた。是非ともこんな光景は一度写真に収めてみたい、というのは純粋な好奇心からくるものだ。
瀬川が指差して説明を求めると、ルイズはぶすっとしながらではあるが答えてくれた。またご機嫌が斜めになっている。
どうも田舎者丸出しの瀬川の行動を、周囲の子供たちが笑っているのが気に食わないのかもしれない。
しかし瀬川もそんなことを気にしてる場合でもない。実際異邦人の彼は何も知らないも同然なのだ。田舎者といわれても仕方ない。
キョロキョロと周囲を見回す瀬川に、ため息をつきながらルイズが席に付く。
瀬川は、立ったままだ。
教室の人数といい、席は空いているのだろうが、もしも自分がうっかり座った席に人がいたら迷惑をかける。
それに、立ったままのほうが教室を見回せて、楽しいではないか。
周りのくすくす笑いが自分だけでなくルイズにも向けられているのではないかとふと気付き、正面を向くと教壇に一人の中年女性がいた。
紫色のローブに、帽子。いかにも魔法使いといった風貌だが、意地悪な魔法使いというより優しい魔女先生といった雰囲気だ。
教卓に手に持っていた本を置くと、教室の子供たちをゆっくりと見渡し、満足そうに中年の女性は微笑んだ。
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。
このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に 様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
他の生徒は、先生のほうを向いていたが、ルイズだけは顔を伏せた。それを見て瀬川が首をかしげたとき、
「おや、変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
途端、巻き起こる生徒たちの笑い声。
瀬川は自分のせいで笑われているのかと思ったが、いまいちどう反応すればいいかとたじろいだ。
まさか、自分も普通の人間ではない、魔法に似たことができると示すのもまずかろう。
第一、あれは人のために振るう力であって、自己顕示のためには使えない。
いや、ルイズのためだから今回は、しかし危機が迫っているわけでもない、かといって……
なんとももやもやした気分で悩む瀬川を尻目に、ルイズは立ち上がった。
長い、ブロンドの髪を揺らし、澄んだ声で怒鳴った。
「違うわよ! きちんと召喚したもの、こいつがきちゃっただけよ!」
結局、他の生徒と口げんかになって、先生がそれをたしなめるまで笑いはおさまらなかった。
その後、先生は一つせきをすると、授業を開始した。
授業が始まっても空いている席に瀬川は腰掛けた。ルイズが横目に少し睨んだ気もしたが、瀬川もそれどころではない。
すっかりさっきまでの浮ついた気分は無くなってしまった。自分がどうこう言われるのはかまわない。
だが、自分のせいで他人が迷惑をこうむると言うのは考えようだ。あの調子では、自分がいる限りルイズはいじめられかねない。
だが、はたして瀬川がルイズの側から離れればすむ問題とも思えない。
瀬川が頭を悩ますのとはまた勝手に授業は進んでいく。
結局、ルイズに一度聞くべきだと結論付け、ルイズの肩を軽く叩いた。
「さっきの、ことなんだけど……ああいうことが続くようなら自分がここから離れようか?」
声を忍ぶのとはまた別に、つい遠慮がちな声になってしまう。ルイズは瀬川を見て、
「ルーンがあるんだから、無理よ。まして使い魔が逃げ出したなんてそれこそ論外だわ」
それだけ言うと、また授業に意識をルイズは戻していた。よく見れば、随分と熱心に授業を聞いている。
「話しかけてごめん」
それだけ、謝るために再度口を開いた時だった。
「ミス・ヴァリエール」
先生がピシャリと言う。
「授業中の私語は慎みなさい」
「は、はい。すみません……」
どこともなく聞こえてくる笑い声。余計ルイズのためにならないことをしてしまったと瀬川は苦虫を噛み潰した。
「お喋りする暇があるなら、あなたにやってもらいましょう。ここにある石ころを望む金属に変えてごらんなさい」
先生は実習の口実にちょうどいいと思ったのか、ルイズにそう声をかけた。
「ミス・ヴァリエール、どうしたのですか?」
いまいち煮え切らない態度をとるルイズに、再び呼びかける。
すると、朝写真の端を焦がした生き物を連れてきた、赤毛の少女が困った様子で立ち上がった。
「先生、やめといたほうがいいと思いますけど……危険ですし」
周囲の生徒もいっせいに首を縦に動かす。瀬川は一向に話が見えず傍観するばかり。
だが、それも瀬川だけではなかったようだ。同じように先生もよくわからないという表情を浮かべている。
「危険? どうしてですか?」
「ええ。でも彼女が努力家ということは聞いています。さあ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。
失敗を恐れては何もできませんよ?」
「ルイズ、やめて」
赤毛の少女が蒼白な顔になっている。しかし、ルイズは決心したように立ち上がった。
「やります」
緊張した顔で、教室の目へ歩いていく。
満足げに先生がうなずき、ルイズに魔法を説明する一方、生徒たちは机の下へと身を隠した。
周りに視線を向ければ、机の上に体を出しているのは瀬川だけだった。
そして、ルイズが魔法を唱えるのをぼんやりと見て―――
―――次の瞬間盛大に背骨をのけぞらせた。
爆風に体をなぎ倒され、腰を撫でながらも埃で痛む目をこすってあけて見れば、目の前は阿鼻叫喚。
先生は倒れ、誰かの使い魔がどこかにいっただのくわれただの、そしてルイズは煤だらけで黒くなって倒れている。
流石の瀬川も、呆然とするしかなかった。その中、一人の生徒の声が瀬川に届いた。
「いつだって成功の確率0じゃないか、また爆発かよ『ゼロのルイズ』!」
半刻ほど経って――
「えーと、この机はここに置けばいいのかな?」
机を運びながら、細かい配置をルイズに尋ねる。
「……そこでいいわ」
ルイズは他の机に腰掛け、足をぶらぶらさせている。さっきから、瀬川が話しかけない限り、まったく口を開かない。
別に掃除とかに慣れてなさそうなルイズがあまり手伝ってくれないのはかまわない。
自分ひとりのほうがはかどりそうではあるし、今のルイズの心中を思えばそっとしておくのがいいだろう。
が、なんというか凄く空気が重い。延々と肉体労働を続けるというのは、実は意外と精神にクるものがある。
ルイズがどんどん暗くなっている気がして、つい瀬川が口を出した。
「別に、気にしなくてもいいと思うよ。きっといつかできるさ」
額の汗をぬぐい、肩をもむ瀬川をルイズが睨みつけた。
「勝手なこと言わないでよ、あんたに何が分かるの!?」
思ったよりも強い口調と視線に瀬川に内心驚きながらも、それを見せないように瀬川は続ける。
「でも、できると思って損はないだろ? それに、夢は捨てなければきっと必ず叶う」
――少なくとも、子供たちにはそう夢を持って欲しい。
それに、自分だって叶うと信じてる。だから、環境カメラマンになったのだ。
「夢じゃないわ。できるのは当然よ……だって貴族なんだから」
『貴族なんだから』と言う瞬間、少しルイズが視線をそらしたのに瀬川は気付いた。
ふと、昨日のルイズの説明と、さっき授業の様子が思い出される。
――『貴族は全員魔法が使える』
その通りなのだろう。ただ、ルイズを除いて。話から、魔法を使えることこそが貴族の象徴のように言っていた。
つまり、魔法を使えることが貴族であ重要なものなのだろう。
そして、貴族であるということもまた彼女にとって大切なことなのだろう。
なのに、自分は魔法は使えない。そのコンプレックスは……正直瀬川には想像しずらかった。
『未来こうありたい』ではなく、『今本来こうでなければいけない』という必要なものが決定的にかけてる感覚。
瀬川も味わったことはない、とは言わないが、それが生まれてからずっと続くと考えると恐ろしかった。
「……ごめん、部外者が勝手に口出して悪かった。でもな」
これだけは、言っておかねばならない。
「自分を、嫌いになっちゃ駄目だ。それだけはやっちゃいけない。今の自分を信じて、頑張れるから未来があるんだ」
握っていた机が砕け、破片が手にめり込んだ。
机を離し、思わず手を押さえる。赤い血が流れだしていた。……間違いなく、人間の血が。
血と共にフラッシュバックする記憶。過去の後悔、懺悔――あの時、こうしてやれたなら。今の自分の始まり。
ルイズは、口を開かなかった。相変わらず沈んだままだ。
多分、届いかないと分かって言った言葉だったが、瀬川にはそれがどうしようもなくつらかった。
結局、昼過ぎまで片付けはかかり、もう昼食前になっていた。この間、2人が口をほとんど口を開かなかったのはいうまでもない。
そして、昼食の最中、ちょっとした騒ぎが起こった。
瀬川が立ったまま、パンとスープをかきこんでいる側で、大声を上げる2,3人のグループがあった。
なにやら、そのうちの一人、金髪の少年が二股をかけていたとかで、金髪の少年の落とした壜のせいでそれがばれたらしい。
そして、今度はその二股かけられた女の子が登場し、泣きながら何処かへ走っていき……といってもそこまで切羽詰った感じはしない。
瀬川からすれば子供の遊びの延長として捉え、見守っていた。
が、あまりにも友人の少年がからかうため、決闘だと金髪の少年が言い出したのだ。しかも杖を抜いている。
子供の喧嘩とはいえ、流石に魔法を使って何かするのは危ないんじゃないかと食器を置き、
部外者なのにとめる為に走り出そうとする瀬川をルイズは引きとめた。
「別に気にしなくてもいいわ。決闘って言っても、どっちか少し怪我したらやめるごっこ遊びみたいなものよ。
本当は禁止なんだけど……魔法を人に使える機会ってことで楽しんでるとこもあるし、ほっときなさい」
そして、小さな声でポツリと付け足した。
「……本当の貴族の誇りある決闘はあんなものじゃないわ。ただ、魔法が使えるからって理由の遊びよ」
ルイズの手が震えているのを見て、瀬川は黙るしかなかった。
何故、彼女は魔法を使えず……あんな騒ぎを起こす彼らは魔法を使えるのだろう。
そう世界の理不尽さを心の中で嘆くことしかできなかった。
終了です。
個人的に読んでて、いきなり召喚者の言葉に感化されるルイズってのは実際どうなのかなー、と思ったため、
一回自分の信条を言っても通じない部分を作りたいと思ったためこんな感じにしてみました。
ド素人なんで読みづらい部分があるかもしれませんが、そういう粗が目に付いたら指摘していただけると幸いです。
ラチェット&クランク2からクランク召喚
クランク背負ってレンチやガラメカを駆使して戦うネコミミルイズを幻視した
>>298 投下乙
もしも南光太郎が呼ばれたら
BLACK「RX、俺を助けに現実の世界から…」
RX「BLACK、お前がこの世界で消滅すれば現実の俺の世界まで消滅する」
BLACK「俺たちは一心同体か!」
RX「ああ!」
てなるかな。
>>298 乙っす。
確かに一回や二回くらいの発言でルイズの凝り固まったコンプレックスが
なくなるとは考えづらいですね。
ギーシュイベントはスキップかな? いつ変身するのか楽しみです。
ブラック、RX、ロボ、バイオをそれぞれ虚無の使い魔としてバラバラに召喚
303 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:25:33 ID:gFMCYFo6
お久しぶりです。もう少ししたら投下します。
支援準備態勢に入ります!
305 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:26:43 ID:gFMCYFo6
お久しぶりです。もう少ししたら投下します。
落ち着いてくだされ。
支援
307 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:37:32 ID:gFMCYFo6
ゼロの軌跡
第七話 狂ったお茶会
その日、オスマンは自室で昼食をとっていた。
人の生に必要な栄養と熱量を摂るにしては、それは不必要なまでに贅と趣向を凝らされたものであったが、間断なく痛みを訴える胃を無視しええず、料理人への冒涜ともとれる速さで彼は箸を置いた。
しかし食事の前後に捧げた祈りは、食事量とは対照的に平時に比して遥かに長いものであり、皮肉なことに既にその在り様が一種の不信心といえた。
とはいえ、その真摯であるところは誰にも否定できないだろう。果たしてそれが報われたのかどうか、ノックもなしに部屋に上がりこんだロングビルが一声にしたのは彼の待ち望んでいた吉報だった。
「ミス・ヴァリエールがミス・レンと和解したようです」
快哉が口をつく。一瞬にして天上の人となったオスマンだったが、やはり始祖ブリミルは彼の日頃の乱行に目こぼしをくれなかったようで、ロングビルの第二声によって彼は深淵にまで叩き落された。
「五人の生徒がミス・レンに決闘を吹っかけました」
「君は一人で我々は五人だ。流石に一対五では君に勝ち目などあるまい。ここは一対一の勝負を五回行うということでどうかな」
レンとルイズがヴェストリの広場に着くと、相手から決闘の方法について提案が出された。その内容にルイズはおろか、周囲の観客までもその馬鹿馬鹿しさに思わず耳を疑った。
いかに言葉を重ねようと、彼らの魂胆はあまりも露骨で見え透いていた。小柄なレンに連戦が出来るほどの体力はあるまいと踏んで、思うままに嬲ろうということか。
「そんなの面倒だわ、貴方達五人一斉に掛かってきてもレンは構わないわよ」
「君がそう言っても、我々には我々の誇りがある。年端も行かない少女を大勢で囲んだなどと言われては、その信念は拠って立つ場所を失うだろう」
誇りとか信念とか、言葉の意味を軽んじる連中ばかりがそういう重い言葉を口にする。自分の中身が空洞だから言葉で埋めようとしているのか。
その精神をなくした言葉に意味も力もあろうはずがない。彼らに使われる言葉があまりにも哀れだ。
キュルケとギーシュがよく似た思考を巡らせているうちに決闘の準備が整ったのか、辺りのざわめきは急速に静まっていった。
どこか喧騒にも似たしばしの静寂、合図が出され決闘が始まった。
308 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:39:12 ID:gFMCYFo6
さて、どうしてやろうか。平民の女風情、一ひねりにしてやってもいいのだがそれでは些か興をそぐというものだ。そう考えた貴族はすぐに己の浅はかさを悔いることになった。
レンが大鎌を取り出し、その右手を動かした瞬間までは彼はレンの姿を捉えていた。その後、右手の草むらでたった音にほんのわずか気を取られる。石を投げたのだと気づき視線を正面に戻した時にはレンの姿は見えなくなっていた。
どこに消えたか迷ったのも一瞬、視界に差した影がレンの形を成す。彼が上を向くのとレンの上空からの一撃がほぼ同時。
「うふふ、ごきげんよう」
理解も納得も追いつかぬうちに叩き込まれた柄の一閃。
スカートの裾を持ち、愛らしく別れを告げる少女の足元に彼は声もなく崩れ落ちた。
「卑怯だぞ!小娘!」
石で気をそらすという戦法を採ったレンに残りの四人から批判が浴びせられる。だがその声からは怒りは微塵も感じ取れず、怯えと恐れのみがはっきりと表れていた。石などを使わなくても彼女の力はあまりにも明らかだったからだ。
そこにレンから再び提案がなされた。彼らが先ほどその空虚なプライドのために拒絶したそれ。
「だから言ったでしょ、まとめて相手してあげるからいらっしゃい」
彼我の戦力差を思い知り、彼らも今度は甘んじて受け入れた。彼らの理念とやらは、仲間の一人が気絶した程度で羽を生やして逃げおおせるものらしかった。
「せいぜい楽しいお茶会にして欲しいものね」
レンがこちらの世界に来てからこの方、まともな戦闘は行っていない。自分がこの世界でどのくらい通用するのかどうか確かめておかなくてはならなかった。
無論、この程度の連中に負けるつもりは毛頭ない。レーヴェやヴァルター、カシウスといった猛者相手ならともかくも、戦歴も実力も三流の猟兵以下の彼らに遅れを取るようでは<殲滅天使>の異名も泣こうというものだ。
勝つ、彼らを完膚なきまでに叩きのめす。
その上で、この世界で使われる魔法、戦術を知り、<パテル=マテル>とオーバルアーツを有効に利用する土台を構築しなければならない。
そう考えとりあえず見にまわったレンだったが、彼らのとった行動を見て、開始早々に期待の半分はたやすく打ち砕かれたことを知った。
レンを遠巻きに半包囲した彼らは各々勝手に呪文を唱え始めたのだ。それを一瞥しただけで彼らがいかに戦闘に慣れていないか分かろうというものだった。更には敗北を見ても何も学ばない連中ですらあるらしい。
互いに援護できない位置に陣取れば、何人いようが単なる各個撃破の対象となるに過ぎない。ましてやレンの機敏さを考えれば、仲間同士の距離を取ることが愚の骨頂であると何故理解できないのか。
距離を生かしてアウトレンジから魔法を放つにしても、それが戦術的な意味を何ら持たない、思考の放棄の末に生まれた散漫なものである限り、レンを追い詰めることなど出来ようはずもない。
統制の取れていない散発的な攻撃は微塵も脅威にはなりえない。エアハンマーやファイヤーボールがレンめがけて飛んでくるが、それら全てを難なくかわしていく。
支援〜!
310 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:41:16 ID:gFMCYFo6
決闘の第二幕が始まってわずか数分。彼らから戦術を学ぶ愚を悟り、レンは攻勢に出た。
金色の鎌を振りかざしてレンに向かって放たれた火球を払いのける。作り出した一瞬の空白の利用して戦術オーブメントを起動させた。
見せてやる。そして震え慄くといい。これが導力魔法オーバルアーツだ。
貴族社会体制と特権階級意識の温床であるこの世界の魔法とは似て非なるもの。
無数の人間のたゆまざる克己と努力が育てた知恵の果実。
女神エイドスの息吹を受けたセピスの結晶と人の生み出した導力理論、その申し子。
大鎌を頭上に振り上げ、レンは高らかに呪を唱えた。
「請い願うは遥か地の底のひとやの瘴気、迸るその白き災いをもたらさん! ホワイトゲヘナ!」
レンの詠唱が終わった瞬間、一人の足元に魔方陣が浮き出た。彼の知っている如何なる図形文様とも異なる規則で描かれたそれは大地と異界とを結ぶ道となる。
本能が警鐘を鳴らす間もなく、地の底から這い出た悪霊と瘴気が彼を包み込んだ。数瞬の後にそれは天高く消え去ったが、生気を吸い付くされたその貴族は杖を取り落とし顔から地面に倒れこんだ。
残る三人はアーツの範囲外におり無傷だったが、彼らもその顔からは完全に血の気が失せていた。
レンが行使した魔法は彼らの理解の範疇にはなかった。先の戦闘で見せた身体能力の高さなら理解もできようというものだが。
もしや先住魔法か、この一見良家の子女然とした少女はエルフかさもなくば精霊か幻獣、その類か。
到底敵し得る相手ではないと判断したものの、だからといって前言を翻して頭を下げる気にはなれなかった。半ば自暴自棄になって呪文を唱えようとする。しかし、再び始まったレンの詠唱を耳にして、その口は凍りついた。
その局面にあっても尚、矜持と命を天秤にかけその平衡を保っていられた彼らは一種の賞賛が送られるかもしれないが、それはしばしば無謀と呼ばれるものでもあり、そう呼ばれたものが例外なく辿った末路を彼らも歩むこととなった。
「全てを飲み込み土塊へとその姿を変えよ、大地を揺るがす怒号!ジオカタストロフ!」
毎日使用人達の手によって美しく整えられていたヴェストリの広場は当分の間見るも無残な姿を晒すことになるようだった。
木も花も草も折れて曲がり地中に埋まっている。柵は壊れ塀は崩れ、銅像は粉々になって既に誰を象って作られたものであるかもわからなくなっていた。スクウェアクラスのアーツを放ったのだからそれも道理。
しばらく庭師が暇をもてあまさずに済むだろう。
オスマンの命を受けてコルベールが広場に着いたのは全てが終わった後。無責任な述懐を胸の内にしまい、生徒を指揮して五人の救助にあたった。
311 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:42:19 ID:gFMCYFo6
決闘が終わり、レンはルイズの方に足を向けた。
本来ならばここまで大規模のアーツを使う必要などなかった。それでもレンがそうしたのはルイズを試したかったからだ。
<パテル=マテル>を操るだけでなく、一人の戦士としてもその強さを誇るレン。
その異能を目の当たりにしても、ルイズはレンと共にあろうとするのか。
そしてレンは正義の騎士などではない。つい半年前まで犯罪結社<身喰らう蛇>にいてその力を恣意的に振るっていたのだ。
今回の決闘の理由も、あの貴族達が貴族らしからぬ振る舞いをしたからレンが立ち上がったのではない。それがレンにとって不愉快で、認めることの出来ないものであったからだ。
結局、レンはトリステインやリベールの法律と道義に則って行動するのではなく、誰の掣肘も受けずにレン自身の価値基準で行動する。
ならば私も問わなくてはならない、とレンは思ったのだ。
ルイズは私に手を差し伸べた。真に貴族であろうとする誇りをその胸に秘めて。
私はそれを美しく、また心地よく感じたからその手をとった。
決闘の前に差し出されたルイズの手は、私に対する謝罪の証だ。
ならば今から私がルイズに差し出す手は、ルイズと私との盟約だ。
次は私がルイズに受け入れてもらう番だ。
この世界での私の在り様を彼女が肯定してくれるならば。
道を違えるまでのしばらくの間、私はルイズと共にあろう。
もう一度、ルイズの手を握らなくてはならない。
312 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:43:17 ID:gFMCYFo6
「一つ尋ねるわ、ルイズ」
ルイズの目を捉え、レンは語り始める。
「レンはあなた達の理では動かない。私は私の思うように行動するわ。
私はこの世界では異邦人で、持っている力は異質にして脅威」
そしてレンはルイズに手を差し伸べる。ルイズがレンにそうしたように。
「それでもルイズはレンを受け入れてくれるかしら?」
ルイズはレンの手を硬く握り、答えた。
「それでもレンと私は同じ道を歩いて行けるわ。
そして私はレンの力になれるし、なりたいと思っている」
「<身喰らう蛇>執行者NO.]X<殲滅天使> レンよ」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。よろしくね」
ルイズもまた、歩き出すために一つの決断をした。
握手の後、ルイズはレンに提案する。
「レン、私はこの魔法学院を退学することにしたの。一緒に来てもらえるかしら」
「もちろんよ、行きましょう。ルイズ」
二人はオールド・オスマンのいる学院長室へと歩き出した。
いきなりの急展開!?支援
314 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:46:16 ID:gFMCYFo6
投下終了です。支援ありがとうございます。
折角の決闘なのに戦闘シーンが描けなくて泣きそうです。
友達に見せたら「対比表現がくどい」といわれて泣き寝入りです。
うぉう、何やら急展開、乙でした〜!
いやいや、戦闘シーン、素敵だと思いますよ
アドバイスしてくれる友人がいらっしゃると言うのは素晴らしい事で羨ましいです
316 :
ゼロの軌跡:2008/03/14(金) 14:49:51 ID:gFMCYFo6
でもルイズとレンの二人の物語にしたいので、くどいですがこれは捨てられません。
それでも読んで下さる優しい方々は今しばらくお付き合いくださいませ。
すいません。 初めてなんですが、魔術士オーフェンのマジク(連載終了後に旅にでる没案)
を召喚した話を考えたのですが、投稿してもいいですか・
支援支援!
投稿してもいいですか?
投下します
第1話『まっ人生そんなもの』
金髪碧眼の少年とこれまた金髪の少年が対峙している。
そのまわりを何十人もの野次馬がとりまいて事がおこるのを今や遅しとまちきれずにいる。
「はぁ…何で僕はいつもこうなるのかな?」
金髪碧眼に首からドラゴンを象ったネックレスをぶらさげている少年が
いかにも疲れたように溜息をつく。―――――少年の名前をマジクという。
思い起こせばこの世界に呼び出されたのは旅に出て三日目だった。
「マジク,少し大陸の外に行ってきたまえ。」
彼の魔術の先生フォルテ・パッキンガム教師は前触れもなくそう言った。
「えっ?…僕何か先生の不利益になることしましたっけ?」
「確かに先週のマクレディ教室の彼と乱闘騒ぎを起こしたのは僕も悪かったですけど,
それは彼の妹が勝手にラブレターを送ってきたのが原因でしたし…」
マジクは何やら動転し検討はずれの言い訳を始めたがフォルテに遮られた。
「いや別にその件に関してのことではない。だが危うく同盟反逆罪に捉えかけられた
あの件がそんなくだらないことだというのはいささか納得できんな。」
牙の塔では生徒間の許可のない私闘はそのまま同盟反逆罪にあたる。
「反逆罪を失効させるのに私は下げたくもない頭を長老達に下げたうえ,
ティッシにも嫌みをさんざん言われたのだ。」
フォルテは話を切ってから本題に入る。
「君も今年度の年間首席に選ばれ,最低位とはいえ上級魔術士になったんだ,
そろそろ彼に会いに行ってもいい頃合いだろう?」
フォルテの言う彼とはキリランシェロ…マジクにとってはただのオーフェン。
かつてこのキエサルヒマ大陸で魔術の全てを極めたと謳われた
最強の黒魔術士チャイルドマン・パウダーフィールド教師に共に学び
そして唯一その後継といわれ,あるいは超えたとさえいわれる男であり,
マジクにとって最愛の師。
故あって袂を別つことになったが,今でもマジクはオーフェンを最高の魔術士と思っている。
「彼の居場所についてはネットワークで掴んである。費用についても私が出そう。
まったく何が楽しくて開拓村にいるのかは知らないが――――」
一泊おいてから珍しく快心の笑みを浮かべ
「どうするかね?」
答えはふたつ返事で「はい」だった。
費用は出してもらえたとはいえ,高くつく買い物をしたせいで野宿せざるを
えなかった。
その為,塔をでて三日目野宿にも慣れ昔を懐かしむ余裕が出てきたころ。
マジクはたき火を焚いていたら自分のすぐ横に光る鏡のような物に気づき
ついつい手をだしてしまった。それが全ての始まり。
(あのとき反射的に手をださなければなぁ〜今頃はお師さまに…オーフェンさんに
会えていて塔での話をあれこれ話したり,お師さまに今まで何をしていたか
聞いてたのになぁ〜)
光る鏡に吸い込まれたと思ったら,自分達をメイジと呼称する集団の学校に放りだされ
胸はないぺったんこのやけに気難しい…だけどかわいい桃髪の女の子―――ルイズに
いきなりキスされた?そのあとにもの凄まじい熱と共に左手の甲に見たこともない
模様が刻まれた。そして…使い魔にされた。
(はっきり言うけどさ。いきなりすぎて何が何だか今でも分からないよ。
だいたい職業選択の自由とかないのかな?ここ?
…無いんだろうなぁ。関係ないけどひょっとしたら,いや,多分そうだけど
ディープドラゴンのほうがよっぽど待遇よかったよなぁ。フィエナには言えないけど)
キエサルヒマ大陸では文句なしの身分の保障がされているマジクもここでは
単なる孤児にすぎない。やさしい…それはもう寛大なミス・ヴァリエールの命令を
お聞きするしかないのである。洗濯,掃除,雑用…と舌を巻くほどの使いよう。
何故マジクがそんな扱いに耐えられたかというと
(まぁ,ほとんどのことはトトカンタにいたときや,お師さまやクリーオウとの旅でも
僕がやってたからいまさらどうってことないし。
それに…ルイズかわいいし。性格は悪いけどクリーオウよりはマシだし…
あくまでクリーオウよりはマシだしなぁ…)
いままでの経験によって養われた耐性はかなりのもののようである。
それから数日は特に問題もなく過ぎ。唯一分け隔てもなく接してくれた女の子
使用人のシエスタに日頃のお礼にと給仕を手伝っていた今日この頃。
「おい,なんなんだね君は。いったい何時までもの思いに耽っているつもりなのだね。」
「…メイジあいてに余裕あるなぁ」
先ほど胎児していた金髪に薔薇の造花?を口にくわえた少年と野次馬の太り気味の少年が
騒いでいる。
(あいつが自分が悪いのにシエスタのせいにしていちゃもんつけてくるんだもなぁ。
だいたい女の子の扱いがなってないのに二股なんてかけるからややこしくなるんだよ。)
某黒歴史アニメにてもてもてハーレムを作った男はひと味ちがう。
とにかく日頃溜まった鬱憤をはらそうと流れるままに任せたらここヴェストリの広場に
野次馬とりまく決闘の場ができたのである。
「マジク!」胸のない女ルイズが野次馬達の中からとびだしてくる。
「謝っちゃいなさいよ。平民がメイジに勝つなんて無理よ。
し,死んだらどうするのよ。」
ややとりみだしながらも結果を決め付けているルイズの声にムッとして
「そんなのやってみないと分からないだろ。僕だってもう一人前だ。
それに…お師さま―――オーフェンさんなら絶対に売られたケンカはのしつけて返すんだ。相手にケンカを売ったことを犬に噛まれたと思っても忘れられないほどにして,ね。」
「何わけの分かんないこといってるのよ。死んだらそこでお終いなのよ。」
「だから,決めつけるなよ。」
「…二人ともそろそろ始めるがいいかね?」
いい加減待つのに飽きたギーシェが臨戦態勢でいう。
ギーシェが薔薇の花を降ると花びらが一枚宙に舞い,
甲冑をきた女戦士の形をした人形となる。
「二つ名『青銅』をもつ。この青銅のギーシェが,従える青銅のゴーレム
『ワルキューレ』がお相手する。」
こうして戦いの火ぶたがきられた。
しえ〜ん
次回予告
ギーシェ「ふっこの僕の素晴らしきワルキューレに酔いしれるがいいさっ平民!
ってなんだと僕のワルキューレがボロボロの粉々に?」
ルイズ「マジク…平民じゃなかったの?それにこの力はいったいなんなのよ?」
ギーシェ「次回『音声魔術とは…』に」
ルイズ「我放つ光の白人ッ」
投下終わりました。
何分はじめてのものですのでご勘弁を
GJ
一応言っておくけど『はじめて』は免罪符にならないぞ
光の白人?
最後間違えました。
光の白刃です。
直したと思ったんだけど…
ジルオールのザハクを召喚してしまい、「徒労だったな」「すべては徒労」などと言われまくって
再起不能になるルイズ・・・いかん、俺は何を考えてるんだ。
>>328 ジルオールはハルケギニアに馴染みそうなキャラ多いけど、召喚したらアウトな人も多いですな
尻神様とか召喚したら貴族って知れた時点でバッサリやられるし
>>321 >先ほど胎児していた
→先ほど対峙していた
>>328-329 ベルゼーヴァを召喚、玉葱人間を呼び出したといわれるルイズ。
まぁガルドランあたり呼び出したら面白そうだけどなw
ネモで小ネタを考えてはいたりするがオチが考えつかん
>>328 「そのうち体も成長する?徒労だな」
>>329 一番危険なのはフェティ様だな
>>269 ゼロの使い魔がもしも人形劇だったら…の図を想像してフイタw
萌え重視のゼロ魔から萌え要素を排出し、かつ人形劇に。NHKの人形劇で最高峰といわれた一作『南総里見八犬伝』か。
萌え要素なしでもいいんだろうか
燃えろ
燐然!
>>235 うおっ、よく見たら俺の好きなターちゃんネタのSSが投下されているじゃないか!
職人さんぐっじょぶぐっじょぶ
我々の脳内IMEで『もえ』を漢字変換するとまず間違いなく『萌え』または『燃え』が第一・第二候補になるだろう。
……正直、ゼロ魔に求めているのはどちらだろう?
燃えだろ?
一昔前の熱血スポ魂的なものをだな(ry
ジルオールからシャリ召喚したら誰が闇の王女になるのかね?ルイズにタバサにティファにアンリエッタにイザベラ全員素質がある
萌えらしきものは書けないけど参加するわ。書けたらまた来る
悪夢か何かので
ARMSから高槻巌とかは
>>340 無限のソウルを誰かが召喚しない限り全員闇落ちしかねないぞw
>>333 アルビオン軍の猛攻に滅亡寸前のトリスティンの姫が一匹の猛犬を召喚するところ始まるんでつね
マジクの人よ、とりあえずギー"シュ"、な。
346 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:14:12 ID:sba6bUQ6
こんにちは、17:25分頃から投下したいのですがよろしいでしょうか?
おkおk
カモンッ
来た!爆炎! これでかつる! 試演
>>320 マジク召換の人乙。
ちなみにマジクの瞳は碧眼じゃなくドラゴン種族と同じ緑の瞳だぞ。
伏線回収されないまま終わったけどな。
350 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:25:20 ID:sba6bUQ6
では8話行きます。
ヒロの学院生活は平和に過ぎていく。特に何か大きなイベントがあるわけでもなく、ヒロは毎日を過ごしていった。ギーシュとの決闘と普段の授
業態度から、ヒロは学院にも溶け込めていた。
そんなある夜、ヒロとルイズは話していた。ちなみに、ヒロが寝る場所はちゃんと用意された。
「ねぇヒロ?」
「なんだ?」
「ヒロって、魔法も使えるし、頭もいいし、なんていうか完璧よね」
まだ魔法が使えないことを気にしているのだろうか。ルイズはヒロに聞いてくる。
「魔法は、死ぬほど練習する必要があっただけだ。私は頭がいいことはない。頭がよければさっさともとの世界に帰っているさ・・・そう完璧な者な
どいない。まあ、もしそうならもっと違う人生を送っていたかもしれないが」
「ヒロってこの世界に来る前は何をしてたの?」
姫をやっていただの、軍の軍団長をしていただの、言うわけにはいかなかったため、1番妥当な答えを出した。
「傭兵だ。紛争の解決の手伝いだな」
「へぇ・・じゃあ武器とか使えるの?」
「ああ、元々は魔法と武器を使っての戦闘をやっていた」
その言葉を聞いて、ルイズは思いついたような声を上げる。
「そうだわ!ヒロ、今度虚無の曜日に街に出ましょう。買い物もしたいし、ヒロってばこの学園のことしか知らないでしょうし」
思いもよらないルイズの提案に、ヒロは考える。確かに、この学院の書物もある程度見てしまった。街に出るのも気分転換にはいいかもしれない。
「わかった。付き合おう」
「決まりね!じゃあ明日早朝から出かけましょう。早く寝なきゃ、おやすみヒロ」
「ああ、おやすみルイズ」
(結局この額のルーンについては何もわからないままだだ・・・単純に印ができただけと考えるべきか?まあとりあえずこの国の街を見るのも悪く
ないかもしれない)
そして、ヒロもそのまま眠りについたのであった。
351 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:27:09 ID:sba6bUQ6
翌朝、ルイズとヒロが部屋を出ると、キュルケがいた。
「げ、ツェルプストー」
「あら、ヴァルエールじゃない。おはようヒロ」
「ああ、おはようキュルケ」
露骨にいやな顔をするルイズと当然のように挨拶をするヒロとキュルケ
「貴方たち、街にいくんでしょ?私もご一緒していいかしら?」
「ちょ、だめよだめよ!街には2人でいくんだから!絶対ついてこないでよ!行くわよヒロ!」
ルイズはそう言うとヒロの手を引っ張り去ってしまった。
「お、おいルイズ・・すまんなキュルケ、また今度だ」
「ルイズ。いきなりどうした?キュルケと喧嘩でもしていたか?昨日はそんな様子は見受けられなかったが・・」
「違うわよ。キュルケはトリスティンの人間じゃないの。隣国ゲルマニアの貴族なのよ。私はゲルマニアが大っ嫌いなのよ」
「そんな理由か・・・」
(まったく、同じ種族だというのに、国が違うだけで仲違いをするのはどこの世界でも同じようなものなのだな)
「しかも戦争のたびに殺しあっているのよ!仲良くしろっていうほうが無理なことだわ」
すると前を歩いていたルイズは振り返る。
「さ、こんな話は置いておいて、さっさと街にいきましょう。日が暮れちゃうわ」
「そうだな」
馬小屋の前まで来たルイズとヒロは馬を選び、街へと向かうことにした。
「うふふ、ついて来るなといわれたら、ついて行くのが世の常ってものよね〜」
ルイズ達と別れたキュルケはある部屋に行った。トントンと扉を叩く。返事がない。もう1回やってみた。やはり何も反応はなかった。しかし中に
人がいる感じはするのである。
(あの子ってば、無視してるわね)
さらにドンドンと強く叩くがまったく反応がない、やっているうちにもう我慢できなくなったのか、ドアを開け放って中へ入っていった。
中にいたのはタバサであった。彼女は虚無の曜日が好きであった。なぜなら読書に専念できる日だからである。
キュルケは中に入るとタバサの近くまで行き言いたいことを言う。しかし、タバサには聞こえていないようであった。どうやらタバサは「サイレン
ト」の魔法を使っているようである。「サイレント」は風属性の魔法で、周りの音を全て遮断してしまうという、隠密行動に適した魔法であった。タ
バサはこの風属性の魔法を得意とするメイジなのである。
タバサは、入ってきた人物がキュルケであることには気がついたようだった。これがまったくの他人であったならば、即座に「ウインドブレイク」
で吹き飛ばしていたことだろう。
キュルケはタバサの数少ない友人である。そのキュルケが何かの一大事のごとく喚いているのだ。仕方なく、タバサは「サイレント」の魔法を解く。
「タバサ。今から出かけるわよ!早く支度して頂戴!」
いきなりな用件にさすがのタバサも自分の都合を言う。
「虚無の曜日」
それで十分だろうと言わんばかりに、本に再び目をやるタバサ。
そんなタバサからキュルケは本を取り上げ、上にやる、身長差があるタバサでは手を伸ばしても届かない。
「わかってる。貴方にとって虚無の曜日がどんなに大切かってことを私はよーっくわかっているわ。でもね、今はそんなことを言ってられないの!恋
かもしれないの!恋よ!恋なのよ!」
もはや相手が男だろうが女だろうが関係ないキュルケ、ヒロの炎を見て、それ以降こんな感じなのだ、それでわかるでしょ?と言わんばかりのキュ
ルケの態度であるが、タバサは納得しない、キュルケは感情で動くが、タバサは理屈で動くのだ。まったく対照的な2人であるが、2人はなぜか仲が良
かった。
「そうね。 あなたは説明しないと動かないのよね。あたしね、恋したかもしれないの!でね?その人が今日、あのにっくいヴァリエールと出かけた
の!あたしはそれを追って、二人がどこに行くのか突き止めなくちゃいけないの!わかった?その人はあのヒロよ、貴方も彼女のことは気になってた
みたいだし」
ぴく、とタバサが反応する。
352 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:27:35 ID:sba6bUQ6
確かにタバサもヒロのことが気になっていた。ギーシュの戦いで見せたあの腕と圧倒的な魔力、スクウェアクラスのメイジであっても、彼女とまと
もにやり合えるかどうかわからない。もし彼女と友好関係が築けたなら・・・
そう思ったタバサは頷いた。
「ありがとう! じゃ、追いかけてくれるのね!」
タバサは再び頷いた。そして、窓を開け口笛を吹く。
ピューっと、甲高い口笛の音が、青空に吸い込まれた。それから、窓枠によじ登り、外に向かって飛び降りた。
キュルケもそれに続いて飛び降りる。
落下する2人を巨大な生物が受け止めた。受け止めた生物の正体はウインドドラゴンであった。
「いつ見ても、あなたのシルフィードは惚れ惚れするわね」
タバサの使い魔はウィンドドラゴンの幼生で名前はシルフィードと言う。
「どっち?」
タバサが尋ねる。
「街へ行くって行ってたわ。先回りしましょう」
「わかった」
タバサはウインドドラゴンに命じる。
「街の方へ」
シルフィードは短く鳴いて主人に了解の意を伝えると、青い鱗を輝かせ、力強く翼を振り始めた。
上空に上って、草原を走る馬を見つけるのだ。
タバサは、忠実な使い魔が仕事を始めたのを確認すると、持って来た本に再び目を移した。
353 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:28:03 ID:sba6bUQ6
魔法学院から出て3時間、ヒロとルイズはトリスティンの城下町を歩いていた。
乗ってきた馬は町の門の傍にある駅に預けてきた。
ヒロは、街に着くなり自分に魔法をかけた。「フェイス・チェンジ」風と水を合わせて使用する、スクウェアクラスの魔法である。自分の外見は混
乱しか招かない、と考えたヒロはコルベールら教師達に自分の体を変化させる魔法はないかと尋ね、その過程で「フェイス・チェンジ」の存在を知っ
た。教師達は、スクウェアクラスの魔法だから無理だと言っていたが、ヒロとしては、この世界のどんな攻撃魔法よりも自分にとって重要なものにな
ると思い、それの修得に努めた。
ヒロにしてみれば、その場で竜巻を起こすことができれば、「エア・ストーム」だろうと「トルネード」だろうと違いはないと考えた。
あとはその理論を実行するだけだった。
元々父親である大魔王ジャネスと母親のマリアから膨大な魔力を受け取っているヒロにとって、それがトライアングルだろうがスクウェアだろうが
理解さえすれば実現可能だった。ヒロは大魔術士ではないが内包する魔力は大魔術士のそれに匹敵するのだ。彼女は遠距離より近距離を好む。ただそ
れだけの違いであった。
「フェイス・チェンジ」をかけたヒロの耳は丸くなり、左腕は人間のそれと同じになった。それを見てルイズは驚く。
「ヒロってば、そんな魔法まで覚えてたのね・・・」
「概念は似たようなものだ、あとはいかに使うか・・だな」
そんなヒロを恨めしそうな目で見るルイズ。
「それに比べて私は未だに『ゼロ』のまんまよ・・」
落ち込むルイズにヒロはフォローを入れる。
「気にするな、人間向き、不向きがある」
フォローになっていなかった。
「なによそれ!私は魔法を使うべきじゃないってこと!?」
「ああ、いや、そうではないぞ」
思わずしまったと、慌てるヒロ。
「それにしても・・・街とは聞いていたが大都市、というわけではないのだな。通りもそうだが狭いな」
話題を変えようとヒロが呟いた
白い石造りの街はまるで話に聞くテーマパークのようだ。魔法学院に比べると質素ななりの人間が多い、皆平民なのだろう。
道端で大声を張り上げて果物や肉、籠などを売る商人たちの姿がある。
354 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:28:56 ID:sba6bUQ6
「狭いってこれでも大通りなんだけど」
「これでか?」
道幅は5メイルもない 。そこを大勢の人が行き来するものだから歩くのも一苦労である。
「ブルドンネ街。トリスティンで一番大きな通りよ、この先にトリスティンの宮殿があるわ」
(ふむ、自国が戦場になったときの備えなのかもしれないな)
確かに、道が広いと街中が戦場になれば、守るべき箇所が増え敵の侵攻が容易になる。
ヒロの世界には学園都市ヴァラノワールがあった。ヒロは実際行ったのは数回程度だが、それでも城塞都市といっても過言ではないほど周りは囲ま
れていたし、通りもかなり広かった。
国家の首都の城下町と考えても、ヒロがいたネバーランド共和国のヘルハンプールのほうが大きかったような気がする。
ルイズは四辻に出ると立ち止まり、辺りをきょろきょろと見回す。
「ピエモンの秘薬屋の近くだったから、この辺りなんだけど・・・・」
それから一枚の銅看板を見つけ嬉しそうに呟いた
「あ、あった」
ヒロが見上げると剣の形をした看板が下がっていた どうやら武器屋であるらしい 。
「なんだ、何か武器を買うのか?やはり魔法はあきらめたのか、それとも新しい杖か?」
「買うのは武器だけど、私のじゃないわよ。ヒロのよ。それに魔法をあきらめてなんかないわよ!」
「そ、そうか・・それにしてもなぜ私に武器を?」
「だって、ヒロって武器と魔法で戦ってたんでしょう?だったら武器があったほうがいいじゃない」
それは、そうだが、と言い掛けてヒロはやめた、ヒロが使う武器は特殊なのだ、とてもではないがこの世界でヒロが使用する武器があるとは思えな
かった。
「別に武器などなくてもいいのだが、あまり気にする必要はないのだぞ」
「そうもいかないわよ。ヒロは私の使い魔なんだから、万全の状態でいてもらわなきゃ、主人の品格が問われるってもんだわ」
「万全の状態か・・・」
そういえばもう戦いから離れて久しい、最後に攻撃魔法を放ったのは、ギーシュとの戦いで、ではなかろうか。あの時ですら、対した魔法は使って
いない。それこそ初歩の初歩だ。
別に、毎日の訓練を欠かしているわけではないが、戦闘行為がないのは何とも言えなかった。正直、腕が鈍るというのはどあまり嬉しくない事柄で
あった。
355 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:29:47 ID:sba6bUQ6
「さ、入りましょう」
ルイズがドアノブに手をかけようとした瞬間だった。
「ちょっと待ちなさい!」
「ん?」
声のした方に、ルイズとヒロが振り向く。
「な、なんであんたがここにいるのよツェルプストー!!」
「うふふ、プレゼントをしてヒロの気を引こう、だなんて、そうはいかないわよヴァリエール」
そこにいたのは、朝も会ったキュルケであった。傍らにはタバサもいる。
「べ、別に気を引こうだなんて思ってないわよ!使い魔に何か与えるのは主人の役目でしょう!?」
「あら、じゃあ私がヒロにプレゼントをあげてもいいのね?」
「な、なんですって!?」
まるでそれが当然のごとく、言い合いを続ける2人。ヒロは呆れた目で2人をみる。ふと視線をずらせば、タバサはそんな2人の喧騒などどこ吹く風
か、気にすることなく本を読み続けていた。
「いつまで、そうしてるつもりだ?さっさと入るぞ」
そう言うと、ヒロは武器屋の中へ入ってしまった。タバサも本をしまい無言でヒロの後へ続く。
「あ、待ってよ!」
「私も行くわ」
ルイズとキュルケも慌てて2人の後を追った。
入った店の中は薄暗く、光源はランプの灯りのみ。壁や棚には、剣や槍などが乱雑に並べられており、甲冑も飾ってあった。
店の奥にはパイプをくわえた50ぐらいの男がいた。
「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売をしてまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
4人もの来客、しかもどう考えてもうち3人は貴族のようであった。そのため店主も少々慌てた。
「客よ」
「こりゃおったまげた。 貴族が剣を!おったまげた!」
「どうして?」
「いえ、若奥さま。 坊主は聖具をふる、兵隊は剣をふる、貴族は杖をふる、そして陛下はバルコニーからお手をふりになる、と相場は決まっており
ますんで」
「使うのはわたしじゃないわ。使い魔よ」
人が使い魔?奴隷の間違いではないだろうか?かといって兵士にしてはどうみても力のなさそうな細い腕。しかも女性ではないか、尚且つ剣などを
使うようには見えない。
「………剣をお使いになる方はこの方で?」
少し呆然としながら口を開く。
「わたしは剣のことなんか分からないから。適当に選んでちょうだい」
主人はいそいそと奥の倉庫に消えた。彼は聞こえないように、小声で眩いた。
「……こりゃ、鴨がネギしょってやってきたわい。せいぜい、高く売りつけるとしよう」
356 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:30:19 ID:sba6bUQ6
彼は一メイルほどの長さの、細身の剣を持って現れた。
随分、華著な剣である。片手で扱うものらしく、短めの柄にハンドガードがついていた。主人は話し出す。
「そういや、昨今は宮廷の貴族の方々の間で下僕に剣を持たすのがはやっておりましてね。その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」
なるほど、きらびやかな模様がついていて、貴族に似合いの綺麗な剣だった。
「貴族の間で、下僕に剣を持たすのがはやってる?」
ルイズは尋ねた。主人はもっともらしく頷いた。
「へえ、なんでも、最近このトリステインの城下町を、盗賊が荒らしておりまして……」
「盗賊?」
「そうでさ。なんでも『土くれ』のブーケとかいう、メイジの盗賊が、貴族のお宝を盗みまくってるって噂で。貴族の方は恐れて、下僕にまで剣を持
たせる始末で。へえ」
ルイズは盗賊には興味がなかったので、じろじろと剣を眺めた。しかし、すぐに折れてしまいそうなほどに細い。ヒロも見たところ細腕だが、なん
となくルイズは気に入らなかった。
「もっと大きくて太いのがいいわ」
「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。男と女のように。見たところ、若奥さまの使い魔とやらには、この程度が無難なようで」
「大きくて太いのがいいと、言ったのよ」
ルイズは言った。ぺこりと頭を下げると、主人は奥に消えた。
今度は立派な剣を油布で拭きながら、主人は現れた。
「これなんかいかがです?」
見事な剣だった。一・五メイルはあろうかという大剣だった。柄は両手で扱えるように長く、立派な拵えである。ところどころに宝石が散りばめら
れ、鏡のように両刃の刀身が光っている。見るからに切れそうな、頑丈な大剣であった。
「店一番の業物でさ。貴族のお供をさせるなら、このぐらいは腰から下げて欲しいものですな。といっても、こいつを腰から下げるのは、よほどの大
男でないと無理でさあ。やっこさんなら、背中にしょわんといかんですな」
店の武器を見ていたヒロ達もやってきた。
「あら、綺麗な剣じゃない。いいのを選ぶわね」
キュルケのその言葉に、思わず嬉しくなるルイズ、ルイズはこれでいいだろうと思った。店一番固と親父が太鼓判を押したのも気に入った。貴族は
とにかく、なんでも一番でないと気がすまないのである。
「いや、さすがに大きすぎる、持ち歩くのも一苦労のような気がするが」
ヒロは難色を示した。もちろん以前自分が持っていた武器も結構な大型のものであるが、大剣はさすがに使用したことがなかった。
「そう?いい剣だと思うんだけど・・・」
「そうよ、いいじゃない、持っているだけで威厳がありそうだわ」
ルイズとキュルケはその剣がいいと勧めてくる。
「駄目だな。主人よ正直それは式典用だろう?そこまで装飾がついた武器を戦場で振り回していては、目立ってしょうがない。すぐに囲まれて袋叩き
にあうのがオチだ」
「よくおわかりで」
「なあ主人、鎌は置いているだろうか?」
「へ?鎌ですか?・・・いやぁ・・さすがに農具は置いていませんや」
「いや、農具ではない、大鎌だ・・」
「いや、使い魔さん、大きな鎌なんて死神くらいしか持ちませんぜ」
「そうか・・・」
ヒロは心底残念そうな顔をする。
357 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:30:55 ID:sba6bUQ6
「いいじゃない、私の使い魔なんだもの。ヴァリエール家の使い魔として、これくらいは持ってて欲しいわ」
「おいくら?」
ルイズは尋ねた。
「何せこいつを鍛えたのは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさ。ごらんなさい、ここに
その名が刻まれているでしょう? おやすかあ、ありませんぜ」
主人はもったいぶって柄に刻まれた文字を指差した。
「わたしは貴族よ」
ルイズも、胸をそらせて言った。主人は淡々と値段を告げた。
「エキュー金貨で二千。新金貨なら三千」
「立派な家と、森つきの庭が買えるじゃないの」
ルイズは呆れて言った。さすがにヒロは相場と貨幣価値がわからなかった。
「名剣は城に匹敵しますぜ。屋敷で済んだらやすいもんでさ」
「新金貨で、百しか持ってきてないわ」
ルイズは貴族なので、買い物の駆け引きがへたくそだった。あっけなく財布の中身をばらしてしまう。主人は話にならない、というように手を振っ
た。
「まともな大剣なら、どんなに安くても相場は二百でさ」
ルイズは顔を赤くした。剣がそんなに高いとは知らなかったのだ。
そんなルイズを見てキュルケは、手を顎の下にかまえ、おっほっほ! と大声で笑った。
「貧乏ね! ヴァリエール! 公爵家が泣くわよ!」
「な、なによ!じゃああんたには払えるっていうの!?」
またもや言い争いを始める2人であった。
(やれやれ、バニラとイグレーヌのような2人だな。実は仲がいいのではないか?)
そのとき……、乱雑に積み上げられた剣の中から、声がした。低い、男の声だった。
「生意気言うんじゃねえ。」
ルイズ達は声の方を向いた。主人が、頭を抱えた。声の聞こえてくる方には人影はない。ただ、乱雑に剣が積んであるだけである。
「剣の価値がどこにあるのかもわからねぇ娘っ子達が偉そうにしやがって、おめーらには金の延べ棒でも持ってるのがお似合いさ。わかったら、さっ
さと家に帰りな!貴族の娘っ子共!」
「失礼ね!」
怒るルイズを尻目に、ヒロはつかつかと声のする方に近づいた。
「誰もいないようだが・・」
「おめえの目は節穴か!」
ヒロは目を見張る。なんと、声の主は一本の剣であった。錆の浮いたボロボロの剣から、声は発されているのであった。
「ほう、喋る剣か」
ヒロがそういうと、店の主人が怒鳴り声をあげた。
「やい! デル公! お客様に失礼なことを言うんじゃねえ!」
「デル公?」
ヒロは、その剣をまじまじと見つめた。さっきの大剣と長さは変わらないが、刀身が細かった。薄手の長剣である。ただ、表面には錆が浮き、お世
辞にも見栄えがいいとは言えなかった。
「それって、インテリジェンスソード?」
ルイズが、当惑した声をあげた。
358 :
爆炎の使い魔:2008/03/14(金) 17:31:35 ID:sba6bUQ6
「そうでさ、若奥さま。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。いったい、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、剣をしゃべらせるなん
て……。とにかく、こいつはやたらとロは悪いわ、客にケンカは売るわで閉口してまして……。やいデル公! これ以上失礼があったら、貴族に頼ん
でてめえを溶かしちまうからな!」
「おもしれ! やってみろ! どうせこの世にゃもう、飽き飽きしてたところさ! 溶かしてくれるんなら、上等だ!」
「やってやらあ!」
主人が歩き出した。しかし、ヒロが主人を片手で制する。
「まあ待て、喋る剣とは珍しいな。少なくとも私の国にはなかった」
「お前、デル公という名前か」
「ちがわ! デルフリンガーさまだ!」
「名前だけは、一人前でさ」
剣は黙った。じっと。ヒロを観察するかのように黙りこくった。
それからしばらくして、剣は小さな声でしゃべり始めた。
「おでれーた。見損なってた。そのルーンてめ、『頭』のほうか」
「『頭』のほう?この額のルーンについて何か知っているのか?」
「ふん、自分の実力も知らんのか。まあいい。てめ、俺を持ちな」
デルフリンガーに促され手に持つ。その瞬間、ヒロの額のルーンが光り、頭の中へデルフリンガーの詳細な情報が流れ込んできた。
「ぐ・・なんだこれは・・・」
名前:魔剣デルフリンガー
種類:インテリジェンスソード
特徴:『ガンダールヴ』が使用する魔剣。魔法の吸収、蓄積が可能。蓄積した魔力を使用し、使用者を動かすことも出来る。
痛みがあったのは最初だけで、慣れてくればなんということはなかった。そしてヒロの頭にはどんどん情報が流れてくる。使用方法から作られた経
緯までである。
(ルーンが光っている、これが、このルーンの特性か?なるほど魔剣等のマジックアイテムの使用方法と使用が出来る。というわけか)
ルーンの光がやむ。
おさるさんか?兎も角支援。
,. -─- 、
r'" `ヽ
/ fi l ト ト |、i、 i !} )
| ノ リ ル' レ' リ リj ヾ リ ( し
レヽ| '"^二´ `ニ^h′ ) l
{ ^r ゙⌒////(⌒ { | ( ま
ヽ.( ij ∠ィ リ ) し
. ド、 r ⌒`ー--‐1 ,' ノ え
l ト、ヽ. l / ⌒) l
. リ \` -─- , ' ( ン
─- ..⊥. ` ー- イ-‐''" ̄ ) !!
` ー- 、 /
361 :
爆炎代理:2008/03/14(金) 17:49:31 ID:UNH15oZx
申し訳ありません。微妙に量が多く、さるさんに規制されてしまいましたので
続きはこちらに投下させていただきます。
どなたか代理をお願いします。
「ヒ、ヒロ大丈夫?」
「ああ、一瞬だけのことだったからな」
心配するルイズ。
「おう、どうよ、自分の能力がわかったか?俺様もおめーさんが握ったおかげで色々思い出したぜ」
「ああ、ところでお前は他にもいろいろ知っていそうだな」
「あたぼーよ」
「ルイズ。これを購入したいのだが」
ルイズはいやそうな声をあげた。
「え〜〜〜。そんなのにするの? もっと緯麗でしゃべらないのにしなさいよ」
「そうよ。ヴァリエールが買えないなら私が買ってあげるわ」
「喧しいわよ!今回はたまたまお金が足りないだけよ!」
「よいではないか、喋る剣など珍しい、しかもこいつには色々秘密があるようだからな」
ニヤリと笑うヒロ。
「せっかくの初めてのプレゼントがあんなボロ剣だなんて・・・」
ルイズはぶつくさ文旬を言ったが、他に買えそうな剣もないので、主人に尋ねた。
「あれ、おいくら?」
「あれなら、百で結構でさ」
「安いじゃない」
「こっちにしてみりゃ、厄介払いみたいなもんでさ」
主人は手をひらひらと振りながら言った。
ルイズは財布を取り出すと、中身をカウンターの上にぶちまけた。金貨がじゃらじゃらと落ちる。主人は慎重に枚数を確かめると、頷いた。主人は
剣を取り、鞘に収めるとヒロに手渡そうとした。
「ああ、主人よ、すまないがさすがに錆びたままでは切れ味も悪いだろう。厄介払いついでにこの剣を磨いでもらえるとありがたいのだが」
「へぇ、わかりました。それくらいならサービスでやらせてもらいまさあ。時間を少々いただきますんで、どこかで時間でも潰してきてくだせぇ」
「わかった」
ルイズ達は武器屋を出た。
「さてと、どうやって時間を潰しましょうか」
「そうだな・・・とりあえずこの街を案内してもらえるか?さすがに初めての場所だ。1人で来るようなことがあった場合のためにも店の場所などを
把握しておきたいからな」
「あら、じゃあ私が案内してあげるわ」
「あんたはトリスティンの人間じゃないでしょうが!」
やれやれ、とヒロは残るタバサのほうを見るが、彼女は我関せず、読書にふけっているのであった。
「もう!私が案内するからついてきなさい!」
ルイズは先頭に出ようと走り出した。
「はやくー!」
そういうと、ルイズは脇道へと入っていった。
362 :
爆炎代理:2008/03/14(金) 17:50:44 ID:UNH15oZx
ルイズ達が武器屋を出てから、ルイズ達を正面から隠れて見ている者がいた。
男であった。男は名前をザッハと言った。彼がやっている仕事は、表面上は運搬業である。しかし本当の仕事は人身売買であった。しかもただの人
身売買ではない。平民だけでなく、貴族の娘を他の貴族に高値で売りつけるという、発覚すれば即死刑ともいえることをやっているのであった。
彼はルイズとヒロが街に来たときから目をつけていたのだ。桃色の髪の毛の少女は、どうやら貴族のようだった。見た目は上玉だ。見たところ体の
発育はあまりよくないようだが、貴族の中にはそういった嗜好の持ち主も少なくない。しかもそれが平民ではなく、貴族ならばなおさらだ。
しかし、彼は焦った、街で見たときは2人だったはずなのに、武器屋から出てきたときは4人になっていたのだ、しかも増えた2人も貴族のようだった
からだ。さすがに3人も貴族、つまりメイジがいる中から1人を連れ出す。というのは非常に困難だった。せっかく見つけた上物の商品だ。ここで逃し
たくはなかった。
彼がどうしたものかと考えていると、好機が訪れた。目をつけていた娘が走り出し脇道に入って行ったではないか。
すると彼は懐から小瓶を取り出す。小瓶の中身は魔法の薬であった。彼の顧客の中には水属性のメイジも少なくはない。その中の1人に報酬の1部と
して貰ったものである。
その薬品は布等にしみこませて、吸い込ませると眠ってしまうという即効性の睡眠薬であった。
ルイズは走ったため、他の3人と結構な距離があり、しかも自分のいる方に向かってくる。今しかない、とザッハは荷物を持って歩いているそぶりを
見せ、すれ違った瞬間、ルイズの後ろに回りこみ、ルイズの顔に布をあてた。効果はてきめんで、ルイズは驚いたのも束の間、薬の効果で眠ってしま
った。ザッハはすぐさまルイズを持ってきた袋に詰め、何食わぬ顔で反対側の通りに出て行き、『商品』を一時的に置いておく場所へと向かっていっ
たのだった。
ヒロは、脇道に入ったルイズを見て、まったく元気だなと思っていると、突如感覚がざわついた。もちろん一瞬のことではあったが嫌な予感は頭
から離れなかった。突如ヒロは走り出す。
「ちょ、ヒロ!?」
慌てるキュルケ、しかしヒロは止まることなくルイズが入った脇道に入った。
しかし、そこにルイズの姿はなかった。
「ルイズ?」
キュルケ達も追いついた。
「あら?あの子ったらどこに行っちゃったのかしら。案内するって言っておきながら、自分が迷子になってちゃ世話ないじゃないの〜」
ぷー、と頬を膨らますキュルケ。一方タバサは周りを見渡していた。
3人で歩いていくと、反対の通りに出た。
すぐ横に露店があったので、ヒロはそこの主人に尋ねた。
「ここを、桃色の髪の少女が出てこなかったか?」
「いやぁ、ここは誰も通ってないな。そんなに特徴のある子だったら憶えてるはずだ」
「そうか、すまんな」
363 :
爆炎代理:2008/03/14(金) 17:51:35 ID:UNH15oZx
ヒロは2人に向き合った。
「どうやら、我が主は迷子になったようだな。すまんが私はルイズを探すとする。正直少し時間がかかるかもしれん。先に帰ってもらってかまわんが」
「私も探すわ」
「私も探す・・・」
どうやら2人も探してくれるようだ。
「すまんな、私もここの地理は詳しくないので正直助かる。もし見つけたら何か合図を空にしてくれ」
2人は頷くと、二手に分かれて行った。
「さて、迷子を捜すとするか」
口調は軽かったが、その目は真剣だった。ヒロは考える。
(ただの迷子とは考えづらい、下手をすれば拉致というのも視野に入れておくべきか)
再びヒロは先ほどの露店の前に行った。
「さて主人よ、私は桃色の髪の少女が出てこなかったか?と聞いたわけだが、では私達以外でここの通りを誰か通らなかったか?」
「ん?そうだなぁ・・・そういや運送屋のザッハが出て行ったねぇ。いつも貴族様の荷物を運んでる奴でね。大きい倉庫も持ってるし、俺も貴族様に
気に入られて仕事をいただきたいもんだよ」
「ほう・・そのザッハの倉庫はどこにある?」
「ああ、ここの通りを北へまっすぐ行って5つ目の角を左へ曲がると、赤いレンガの建物があるからそこがザッハの倉庫さ」
「わかった。恩に着る・・・そうだな、コレは謝礼だ」
ヒロは召喚されたときから持っていたアクセサリーの1つを外して渡した。ブルーウォーターというネバーランドの宝石であった。
「こ、こんな高価なもの、困りますよ!!」
「気にするな、それで新しい商売でも始めるといい」
そう言うとヒロは、何か言いたそうな店主を置いて、倉庫へ向かった。
ザッハは倉庫へ上機嫌で帰ってきた。ザッハの倉庫は普通の建物とは違い、固定化の呪文がかけてある。もちろん防音も完璧だ。中のもの盗まれな
いように、というのが名目上の理由だが、実際は違う。中で何が起きようとも、外に漏れないようにするためだった。
「ザッハさん。嬉しそうですね。どうかしたんですか?」
部下達が寄ってくる。
「ああ、お前達、今回の商品を仕入れたんだよ」
ザッハは担いでいた袋を床に下ろす。袋の中からは貴族と思われる服装を着た少女が出てきた。睡眠薬が効いているのだろう。目覚める気配はなか
った。
「おおー、さすがザッハさんですね。最近ペースがいいんじゃないですか?」
「まあな、まあここ最近は平民の娘ばっかりだったが、今回は違うぜ。貴族だ」
「マジっすか!?」
「こりゃあ今度はいいものが食えるかもしれませんね」
「ああそうだな、だがよお前ら、せっかくの貴族だ。ただ売り渡すってのも勿体ないだろう。先に味見をしてから渡すってのもいいんじゃねぇか?」
「そいつはいいですね」
ザッハと男達は卑下た笑みを浮かべた。
364 :
爆炎代理:2008/03/14(金) 17:52:58 ID:UNH15oZx
ヒロはザッハの倉庫へ向かう途中、いくつかの露店でザッハという者の話を聞いた。
ほとんどの店での聞いた印象では、真面目に仕事をしているとのことだった。貴族からの評判もいいそうだ。
(話を聞く限りではシロだが・・・さて)
しかし8軒目の店で1つの話を聞く。
「なんかあの人、人身売買の運搬もやってるって噂があってね。まあ根も葉もない噂だと思うけど。実際あの人真面目だからねぇ。多分言っても信じ
られないから俺は言ったことはないよ」
その話を聞いた瞬間、ヒロは走った。
(人身売買だと?どこかへ送られたら終わりだ!)
火のないところに煙は立たぬとはよく言ったものである。つまり疑わしくなければそういった噂はたたないものなのだ。
5つ目の角が見えた。そのまま扉をけり破り中へ入る。
そしてそこには、目隠しをされ、服がはだけているルイズと、そのルイズに覆いかぶさろうとしている男と周りに数人の男達がその倉庫の中にいた。
「ル・・・イズ・・?」
呆然とした表情になるヒロ。
部下の1人がヒロに気づき怒鳴る。
「何だお前は!どこからはいっ・・・
その男の声は途中で炎で消された。
「貴様ら・・・・!!」
ヒロの赤い目は暗がりの中でいつもより赤く輝いていた。
365 :
爆炎代理:2008/03/14(金) 17:53:44 ID:UNH15oZx
「・・・イズ。ルイズ・・起きろルイズ」
「ううん・・・」
ルイズは目を覚ます。するとそこにはヒロとキュルケ、タバサがいた。
慌てて、体を起こすルイズ。見渡せばどこかの部屋のようである。
「あ、あれ?私ったらどうしたのかしら」
「ああ、お前が走って滑って転んで頭を打って気絶してたのを、たまたま通りがかった者が快方してくれていたんだ」
「そ、そうなの?」
「まったく、ドジねぇ」
「う、うるさいわね!」
恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にして言うルイズ、そんなルイズを見てヒロも思わず苦笑する。
「ヒ、ヒロまで笑っちゃって、もう知らない!」
「はは、すまんすまん、さて、剣も受け取ったことだ、帰るとするか」
「娘っ子よ、よろしくな」
鞘から、出て喋るデルフリンガー、錆だった刀身もピカピカになっているようだった。
結局、今日買ったものはデルフリンガーだけであった。
「ごめんなさい。案内するって言ったのに」
ルイズは申し訳なさそうに、ヒロに謝る。
「気にするな、また次の休日にでもくればいいではないか」
「う、うん、今度こそ案内するわ!」
そうして、4人は学院へと帰っていった。
「おい、聞いたか?ザッハさんの倉庫で死体が転がってたそうだ。しかもその死体は当のザッハさんだってさ」
「ええ、知ってるわ。なんでもあの人、人身売買してたそうじゃない。」
「それだけじゃないんだって、貴族も商品にしてたってさ。どうやらあの時倉庫にいた奴らみんなが殺されてたらしい。死因は焼死だとさ」
「ああ、それだろう?死体は全部黒焦げで、誰が誰かわからないくらい燃やされてたらしいぜ」
「中には体が一瞬で燃やされて、壁に『人間だったもの』みたいな跡があったとか」
「火のメイジの仕業だとは思うけど、誰がやったのかわかってないんだってさ」
「怖いねぇ、やっぱり貴族様とはあんまり係わり合いを持たないほうがいいのかねぇ」
「固定化の呪文がかけてあったおかげで、まわりに被害がなかったらしいけど、ほんと貴族様を怒らせたら終わりだってのがよくわかったわ」
「うちもその辺は気をつけるようにするよ」
「盗賊は出るわ、殺人鬼は出るわ。でトリスティンはどうなっちまうんだろうね」
366 :
爆炎代理:2008/03/14(金) 17:54:44 ID:UNH15oZx
ようやく8話、難産でした。しかも今回は無駄に長い・・・
多分忘れてる人も多いと思います。次はなるべく早い更新したいです。
描写的には18禁じゃないですよね?セーフですよね?
ザッハって名前は適当です。ヒロは本当は残酷なんだって部分を入れたかったのですが
蛇足っぽかったかも知れません。
ゼロの使い魔13巻ありがとうございます。『フェイスチェンジ』のおかげでペースが少し上がりました。
以上、になります。申し訳ありませんが代理をしていただける方
よろしくお願いします。
367 :
爆炎代理:2008/03/14(金) 17:55:25 ID:UNH15oZx
以上、代理投下終了です。
>>320氏GJ!!
やっぱ魔法が舞台のハルゲニアには魔術士達を送りたくなりますよね。期待してますので頑張ってください!
ちなみに原作終了直後のオーフェンは魔王召喚者として指名手配されている裏設定があるのですが、
外界世界で開拓しているのは変わらないですし氏のはマジクの物語ですから関係ないですね。
爆炎さんも代理さんも乙でした
GJ!
代理さんも乙!
マジクの人GJ!
今までオーフェンの召喚はいくつかあったけどマジクは初めてだから続きが楽しみです。
>それに…ルイズかわいいし。性格は悪いけどクリーオウよりはマシだし…
>あくまでクリーオウよりはマシだしなぁ…
これにはワロタ、思い切り納得してしまったじゃねえかw
クリーオウって……
先ほどはすいませんでした。
指摘されてから気づくのは遅いですね。
実は2話目があるのですが投下しても?
ギーシュに直しましたが他にもありそうで。
>>372 1話が結構いいところで切れてたので早く続きをプリーズ。
投下します
第2話『音声魔術とは』
マジクは驚いた。何を驚いたかと聞かれれば今ギーシュの言った
『ゴーレム』についてである。
(確か記憶が正しければ――ゴーレムそれはドラゴン種族が1つ「天人≪ノルニル≫」がかつて作ったものだ。)
(そうだよ。アレンハタムで地人兄弟がクリーオウにぶんどられたアレだ。)
あのときマジクではなく彼の師がこともなく,本当にこともなくぶっつぶしたアレ。
(アレに比べると小さすぎるけど,代わりになんか無駄に細かいな?)
てっとりばやく魔術を使って終わりにしようと思ったが,マジクはそれをしなかった。
(でも,あれくらいのサイズなら魔術をつかわなくてもコレを使えば何とかなるよね?)
マジクは自分のブーツに目線をやる。
「ふっ。どーした平民?今さら怖気づいたのかね。何今回のことに…」
ギーシュはまだ戦ってもないのにすでに勝った気でいた。
(お師さまなら――やる。絶対にやる。それにさっきいってたよね。)
「懲りてこれから貴族に対する態度を改めるなら…」
(あれ青銅なんだよね。)
マジクは突然走りだす。ギーシュ自慢の青銅のゴーレム『ワルキューレ』に向かって。
ワルキューレはマジクに向かって大ぶりに右の拳を繰り出す。
それなりに速度はあるがあまりにも単純に,そして正直に。
これが魔法に頼りっぱなしの魔法学院の生徒や,メイジというだけで恐れをなす平民なら
十分だっただろう。
だが仮にも世界を滅ぼす戦いに関係ないのに巻き込まれ,また世界は違えど
大陸一の魔術士養成機関で年間首席をとった者にはぬる過ぎた。
紙一重というにはやや遠すぎる――経験不足ゆえにひきつけるのが足りなかったが
なんとかマジクは右に避ける。そしてそのまま反転して拳をふるため重心を寄せていた
ワルキューレの左足に自分の右足の踵をぶち当てた――鉄骨をしこんだブーツで。
「許さないわけでもないよ。うん。あれっ?」
ギーシュが気づいたときにはワルキューレは左足を粉々に砕かれていた。
【注】ほんとに鉄骨ブーツで青銅が粉々になるかはしりません。
誰かが言ったように,世界いろいろ神様いろいろ,ついでに金属いろいろ,な方向で
思い描いたとうりになってふぅとマジクは息をつく。
(いつか旅にでるときは僕も買おうと思ったけどこのブーツ高いよなぁ。)
牙の塔をでてマジクが最初にやったことは持ち金はたいて特注のブーツを作ることだった。
「ねぇ,今の動きみた?まだぎこちないけどそれなりじゃなかった?」
野次馬が一人で誰かとは正反対の胸をもつキュルケが隣の青い髪のタバサに話しかける。
「ビックリあったくには程遠い…」
「何?それ…」
「知らない。言ってみただけ。」
「あら,そう。」
ギーシュはやっと事態をのみこんでキレた。
「ぐぬううう。いや,まずは誉めよう。よくそんな動きで僕のワルキューレを
とめたものだと。」
「だが君は…僕を本気にさせたのだよ。」
ギーシュは冷たく微笑み,手に持ったバラをふった。
花びらが舞い,こんどは6体のゴーレムが現れた。
最高で7体までしかギーシュは呼び出せないのである。
「もういいでしょっ。早く謝りなさいよ。あんな動きで,今度は6体も…
相手にできるわけないじゃない。」
「おおっと。ヴァリエール残念だが今さら謝っても許しはしないよ。」
ギーシュの残酷な宣言に凍りつくルイズ。
いよいよクライマックスだと騒ぐ野次馬達をマジクは他人事のように見ていた。
ギーシュが新たなゴーレムをだした時点ですでにある決心をしていた。
――魔術を使うと。
(そういえば,こっちにきてから使ってなかったな。)
こちらで言う魔法とマジク達の世界でいう魔法。ならびに魔術が違うものだと
いうのは数日来の生活で分かっていた。
なるべくなら使いたくはなかった。先ほど魔術を選ばなかったのにも関係している。
だが,いい加減ガマンするのも限界だった。
(実際僕は我慢した方なんだ。そうに違いない。お師さまを含めて
僕の知ってる魔術士ならとうの昔に使っているに違いない。)
魔法とは,神々の使う力。
魔術とは,神々からドラゴン種族とよばれる力ある種族が盗みだし,
自分達に使えるようにしたもの。
魔術とは,魔力により限定された空間に自らの理想の事象を起こすこと。
音声魔術とは,人間種族が使う力。
魔術の設計図――構成を編み,声を媒介にして発動する。
そのため魔術の効果は声が届く範囲でしか発動しない。
又,声が霧散したら効果が消えるため効果は長くて数秒。
そんなことは関係なくマジクは意識を集中する。
もっとも使い慣れた構成を――
まだ意識をしなくても使えるわけではないあの構成を。
右手を上げ,高らかに叫ぶ。
「我は放つ光の白刃っ!」
光の帯がのびる。高熱と衝撃波の渦が,6体のゴーレムのもとへ到達した。
瞬間,つんざくような轟音と跳ね返る光が,熱が,あたりすべてを純白に焼き尽くす。
光が消えたあとにはかろうじて燃え残った何かの小さな破片があるだけだった。
あたりは静まりかえる。
マジクはゆっくりギーシュのもとへ歩いて行く。震える彼のもとへ。
「えっと,こういうとき何ていうのか分からないけど。」
いったん区切ってから
「続ける?」
つぶやくようにマジクはいった。
「ま,参った」
ギーシュは犬どころか狼に噛まれた気持ちになった。
…絶対に忘れられない,と思ったかはさだかではない。
投下終わりました。
次回予告は話が思いついてないので,
今度話を投下する前にします。
指摘されましたら次回に反映させたいとおもいます。
日本語おかしい所がちらほら・・・
とおりをとうりって間違える人多いよね。
でも頑張れ、精進精進
あぁなるほど。
下線がひかれるから何が違うんだ?って思ってました。
ウソダドンドコーン!!
>>381 最近のワープロソフトは親切だよね。
食指と触手を間違えたときとかによく世話になる。
>>383 いったい何を書いているんだ……って突っ込まずにはいられません。
「食指が動く」と打ち込んだら「触手が動く」の間違いですよ、って指摘してくれるのか。
親切だな。
東方系召喚で「ルイズに輝夜」はあったけど、さらに「キュルケに妹紅」は無かったよね
でもそんな状況になったら…学院が焦土になるか
ライバルキャラ+炎タイプでキュルケと…相性良いのか良く分からないな〜
そしてタバサがえーりん召喚したら…駄目だ(一部の)話が終わっちゃう
>>385 でも、「ルイズに向かって蛸型生物の触手が動く」とか書いたときまで
指摘してくるのは正直鬱陶しいけどな。
>>388 だからお前は一体何を書いているのかと小一時間(ry
>>388 何を書いたらそんなシチュエーションになるんだと問い(ry
>>389 「触手が動く」と書くと、《「食指が動く/触手を伸ばす」の誤用》
と指摘してくるワープロソフトがあるんだよ。
確かに「シルフィードの舌が、まるで触手のようにタバサのやわ肌の上を…」とか書くときは邪魔だな
ああ、なんか擦れ違いがあったようだ。
別にそういう話を書いてるわけじゃないぞ。ただのものの喩えだ。本当だって。
ふと、思いついたので書いてみる。
女性の使い魔が召喚された際、
ギーシュ決闘イベントで「フェミニストのギーシュが女性に決闘を申し込むはずがない」
という意見が出ることがある。
その場合、女性の使い魔に惚れて骨抜きになったギーシュを取り戻すため、
モンモランシーやケティが決闘を申し込むというふうに変更できないだろうか?
まあ、闘う相手が青銅ゴーレムから水や炎の魔法に変わるわけだが。
避難所の設定・考察スレへどうぞ
書いてみたら?
そこに道ができるか、それとも一人遭難者がでるだけで終わるかはあなた次第だけど…
>>395 決闘イベントで大事なのは使い魔の特性が明らかになることだと思う。
だから別に決闘じゃなくて良いし、決闘だとしても相手はギーシュでなくてもいい。
なのでモンモンやケティが相手でも全然構わないと思うよ。
別に決闘イベントに拘らなくてもいいと思うけどね。
タイムスケジュールに手を加える必要があるだろうけれど
決闘じゃなくてモンモン相手に調香の勝負だっていいし、
マルコメ相手に大食い勝負だって
大食いが特技の使い魔か。
・・・・・・・楽園の魔女達のごくちゃん、か。
クラスの半数近くと戦わせる予定のおれはどうなるんだろう(汗
こんな可愛い子が女の子なわけないじゃないですかなおとこにょこ系キャラを召喚
↓
ギーシュ、男だと気付かずにナンパ、実は男だと言われて
男をナンパしようとした事実をうやむやにしようと決闘を挑む
疲れて帰ってきたらこんな話がふと浮かんだ
邪道食いはよせ!しか思いつかない。
>大食いが特技の使い魔
>>395 よく考えたら確かにそうなんだよね。
ギーシュの性格を考慮しないまま安易に決闘する方向に引っ張っていく展開は考えものかもしれん。
大食いといえば
ミルク(NG騎士ラムネ&40)
王女だし聖なる三姉妹の一人だし、なにげに耳が長くてエルフっぽいし。
>>401-402 そもそも勝負でなくてもいいし、
最初から「ルイズの使い魔はただものでない」と分かっているなら
ギーシュ戦に当たるイベント自体飛ばしてもいいと思う。
大食いが特技の使い魔……
カービィとかパタリロとか?
どっちも殺人的(料理作る人の労力的な意味で)なくらい食うな……
ここまでがっちゃんなし
大食いねえ…
一鬼 カオナシ デーブ 草薙 神楽(銀魂) 神楽(プリズムアーク)
某アーサー王 中松警部 ギャル曽根…… 取りあえずこれぐらいしか思いつかない。
ヨッシー
デモンパラサイトか!
全裸で焼き肉がキーワード。
俺がブラストハンドだ!
スレイヤーズキャラは総じて大食いだな。
使い魔やってくれるキャラはいないだろうけど。
あ、ガウリィはやってくれるかな?
>>411 やかんづるとか
鬼太郎がいないから止められる奴がいねえな
剛力番長 ジャイアント白田 姉妹スレの旦那もある意味大食いか。
>>406 同感。
原作のストーリーをなぞることにこだわるがゆえに登場人物を貶めてしまうこともあるよな。
原作レイプを恐れるあまり、キャラの性格や設定をないがしろにしたのでは本末転倒だと思う。
418 :
ネタ:2008/03/14(金) 20:39:12 ID:kc5u7qkl
俺の名は南雲慶一郎。
一月十六日生まれの29歳。血液型はA.
身長204サンチ。体重108キロ。
職業は不定・・・だったが、何の因果か明日から落ちこぼれの家庭教師をやることになっているらしい。まるで他人事のような言い方だが
自分でも実感が沸かないのだから仕方が無い。
大学を卒業してから長らく海外を放浪し、仕事といえば調理師か日本人旅行者相手の観光ガイド、それとバーの用心棒ぐらいしか経験の無い俺に、果たして教職が勤まるのだろうか
それはさておき、俺は現在、地球とは時空を隔てだているハルゲキニアと呼ばれる異世界に居る。
いきなりなんだと思うかもしれないが、これはギャグでもジョークでもなく、あくまで現実の話だ。
おおマジである。聞きたいことは山ほどあるだろうし、できれば詳しく説明したいところだが、そいつは後回しだ。あいにく俺はとても忙しい。なぜならー俺は今、怪獣と戦っている真っ最中だからだ。
>>414 リナに会う前のガウリィなら何も考えずに保護者してくれるな
>>399 つまり、鬼帝さまの出番というわけだな?
二次設定だけど東方の西行寺幽々子も大食いキャラとして認識されてるよ
でもスペックが反則だから…でも「クロムウェルVS幽々子様」は見てみたい
死を弄ぶものに幽々子様は容赦しないだろうし
デルフじゃゴルンノヴァにはそりゃ勝てんわなぁ
>>419 光の剣をあんまり使っていないから
まだ知力が高いんだっけ?w
状況に合った武器使おうとするから
話次第でデルフにも出番はあるかも。
>>420 そこはそれ、普段はデルフでいざって時にだけゴルンノヴァを抜くってことで。
あれ、やっぱ涙目かw
ルイズVSマジクの人乙です。
マジクは魔術の威力だけなら巨人種族最強級ですな。
まあガウリィが普段使ってる状態だと、単なる剣でしかないからなあ。
刀身を外して初めてゴルンノヴァだし。
デルフと光の剣を同時に持っていたら、ガウリィはうっかり光の剣の方ではなくて
デルフの方の刀身を外す気がする
何でみんなどっちかしか使わないと思うんだ?w
デルフで魔法を防御してゴルンノヴァで魔法を切り裂けば・・・・あれ?
よく知らないけど、性質が被ってるってのはわかった。
第二部の、光の剣を失って新しい魔剣を探してるガウリィを召喚すればおkだ
ゴルンノヴァて魔法上乗せすることも出来たよね。
でもぶっちゃけガウリィってクロスキャラとして難易度鬼高じゃないかな?
二つの作品の特色を旨く混ぜ合わせるのがクロスの醍醐味だけど脳みそスポンジだから
自分が異世界に居る事も理解しないかもしれないし元の世界の常識も忘れてそうだから、
スレイヤーズ色を出すのがかなり難しいキャラじゃないかな〜と思うのだけどどうだろう?
>>433 異世界に連れて来られたことを最後まで理解しない使い魔ってのは今までに無いパターンだぜ?
新機軸、新機軸
>>433 本来なら関わり合いにならないはずのキャラ同士が関係を持つ、
ってのも十分にクロスオーバーの魅力だと思うよ。
ガウリィがガウリィらしくルイズ達と掛け合いを演じるなら
それはそれで読んでみたい。
ゴルンノヴァと聞くとロストユニバースを思い出すな。
さすがにソードブレイカー(戦艦)召喚はむりだけどw
戦艦よりもっとでかいのも小ネタでは召喚されてるし、話を作れるならいいんじゃないか?
松本典保で天然と言ったらファイバードだな
>>422 死を弄ぶって感じなら冥王フィブリゾとかもそれっぽい。
まあ流石に若干キツイ気がするけど
エガちゃんは理解してなかったのか、それともどっちでもいいと思ってたのか…
>>436 ケイン・ブルーリバー呼んだら、マントが標準的な環境に狂喜しそうだなw
デルフ涙目と言えばラノベには力の大半を吸い取られ、苦渋を舐めながらも頑張った元魔王とか居たな
特技的に的にデルフ涙目じゃ済まないけど
>>442 待て、マントが標準装備なのはメイジだけだ
ケインだと取り上げられて涙目になりかねん
いや、むしろ切り裂きジャックになりそうだけど
嘘予告を書いて欲しかったな
もっと読みたいのに止まってて残念だ
嘘予告とか力の大半を吸い取られ、苦渋を舐めながらも頑張った元魔王とか
某魔王の息子思い出した。
「ルイズ」の名前は呼べるけど「ヴァリエール」の名前はたぶん無理なキャラはどうだろう。
コータローまかりとおるの天光寺なんだが。
>448
あー、3桁を超える横文字を記憶できないんだったっけ?
間違えた、3文字だったw
>>433 この辺じゃ月が2つ見えるのか、とか普通に納得してくれる手の掛からない使い魔なのにっ!
453 :
ネタ:2008/03/14(金) 22:19:20 ID:kc5u7qkl
金田一少年が呼ばれていたら
「犯人はこの中に居る!・・・じっちゃんの名に掛けて!」
「おいおいどういうことだい金田一君?」
「犯人は現場に自らの正体に繋がる大事なヒントを残していったのです。今からそれを証明しましょう」
ゼロな提督に続く推理物か、出来るならやってくれ。是非読みたい
だが・・・全部魔法で解決、で終わってしまう気がする
スレイヤーズ!またアニメ化されるらしいし、放映が始まったら絶対誰か書くよね。
スレイヤーズ!キャラって過去とか家族とか不明な人が多いからなぁ。
ルイズの悩みに付き合ってあげる描写をするのが難しそう。
>>455 ねーちゃんに頭が上がらない点では共通しているけどな
>>454 TRPGのシナリオとかに魔法を使ったトリックを解くシナリオが結構あるよ。
スレイヤーズ!のリナもよく推理してるよね。
ただ、それをやるにはある程度魔法でできることと、できないことがきっちりわかって
ないとつらいけど。
密室トリックとか意味無いしなw
ザンスから追放されたばかりのビンクを召喚したらどうなるだろうか?
やっぱ召喚自体がジャミングされるかなあ。
「これは、スクエアクラスのメイジでなければ解けない固定化。つまり犯人は……」
ルイズのその言葉が言い終わらぬうちに、タバサに視線が集まった。
まさかという表情が皆に広がる。
「違う。私じゃない」
「けど、どうしたって(ry
という感じに、濡れ衣を着せられるが、実は鍵なんて関係ない進入だったわけだな。
大食いといえばカーバンクル、プリキュア5もそうだな
ゼルガディスとかはぶっきらぼうなりに悩みとかは聞いてくれそうな気がする
ハヤカワFTなら「魔法の王国売ります!」あたりならきっと異世界慣れしてるw
>>441 舞台でバイアグラ飲んで倒れて救急車で病院に運ばれ
集中治療室で意識を取り戻した時に看護婦を見て
「ここはイメクラかと思った」エガちゃんにとって
召喚された先が異世界かどうかなんてどうでもいい事だろう
465 :
ゼロウォーズ :2008/03/14(金) 22:40:06 ID:n5ygwsJR
流れを切ってすみません。
2話目と、用語解説の投下を22:45にしても良いですか?
かもん
今更ですが、ルイズが特殊な使い魔を召喚するのがこのスレッドの基本です。
そしてキュルケやタバサ、ギーシュ、またそれ以外のサブキャラクターにもなどにも時折変わった使い魔が召喚されます。
……しかし、全ての使い魔が別作品から、というのはないのでしょうか。
たとえば、誰が召喚しても必ずポケモンまたはデジモンが召喚される世界……そんなのは無いだろうか?
夢を見たんだ…
女の子が俺の事をずっと不思議そうに見るんだ、そんな夢を見たんだ……
俺は今、ルイズとかいうガキの部屋にいる。当然そのガキも一緒だ。
俺は混乱していた。理由は、『夜』だからだ。【エンディア】では、
太陽が沈まない=『夜』がない、という事だ。しかし太陽が沈んでしまっている、
だから混乱しているのだ。
このガキから、いろいろと聞きたい事はあるんだが、どう切り出せば良いか困っていた。
第2話 来訪者はただのバカ?
どう切り出そうか悩んでいると先に口を開いたのは、このガキだった。
「ねえ、アンタの事教えてくれない?」
ルイズは、当たり前の質問をした。
この質問をしたのは、ちゃんとした理由からだった。
その理由とは、兵真がなぜか『夜』に目を覚まし、「夜だ!」と騒いだ事・
兵真の言う『用件』の事、この二点が、気になったからだ。
兵真の事だ。必ず文句の一つや二つ言ってくるだろうと思ったが、素直に話してくれた。
「ねえ、待ってよ!【エンディア】とか、【ナイツ】とか、【ゲート端末】とか、
【ゲートマスター】ってなんなの?」
ルイズは、兵真の話を無理矢理止めた。
このまま話を聞けば自分もおかしくなる、そう感じたからだ。
(コイツ、性格や口も悪いけど、頭はそれ以上に悪い)
そんな事をルイズが思っていると、兵真はルイズに声をかけた。
「おい!話の途中なんだけど…どうすんの?」
そんな兵真の問いに、首を横に振った。
「あっそ、じゃあこっちから聞きたいんだけどいいか?」
兵真は《聞きたい事》を聞くために、切り出した。
「何よ」
不機嫌そうに答えるルイズ、だがそんな事にも構いもせず質問する兵真。
「なんで、俺ここにいるの?」
ルイズは戸惑った。まさか、「ハイキックで気絶させ、引っ張ってきた」とは言えないからだ。
「変だよやっぱり」
ルイズには、兵真が何を考えて、〔変〕と言っているのか判らなかった。
「何が変なの?」
兵真は、その問いを待っていたかのように、即座に答えた。
「【ゲート端末】とか、【ゲートマスター】の事知らないんだろ?なら、どうやってこの世界に来たんだ?」
ルイズは、とりあえず質問に答えた。
「サモン・サーヴァントで呼び出したの。
そしてコントラクトサーヴァントでアンタは、私の使い魔になったの。」
兵真は、一瞬何を言っているのか判らなかったが、過去の経験を使い、理解しようとした。
(多分…『サモン・サーヴァント』=ゲート開放?なら『コントラクトサーヴァント』=【ナイツ】?……
ということは、コイツは、【ゲートマスター】ってこと?帰るにしても、コイツしだいか・・・〔使い魔〕になるしかないかな)
「ルイズ、使い魔って何やれば良いの?」
ルイズは、少し驚いた。性格も口も悪い兵真から、
自分の名前を呼ばれると想像していなかったからだ(後々直す予定なので)
使い魔は主人の目となり、耳となる能力の事や、主人に代わり、秘薬を取って来たりとか、
主人を守るとか……いろいろ考えた結果、これしか出てこなかった。
「アンタは、洗濯。掃除。その他雑用」
ルイズは、服を脱ぎ始めようとした時、男の声がした、兵真である。
「あんまり人前で、裸になん無い方が良いと思うぜ。バカだと思われるからな。じゃ、おやすみ」
兵真はそう言い残し、たった一つしかないベットに向かおうとしたその瞬間、ルイズは股間を蹴り上げた。
「アンタは床!!それと私の着替え洗っときなさい、あと朝起こしなさい!」
こうして、兵真の長い1日が終わった。
「日下 兵真だ。今回は、ゼロウォーズ(カオスウォーズ)に出てくる。用語説明をするぞ。」
【エンディア】=第1話でも何度か出てきたが、俺が初めて飛ばされた
異世界の名前だ。そして、全ての異世界の中心でもあり、原点でもある。
【ナイツ】=これは、異世界から呼び出された者だ。
【リアライズ】=一言で言うなら、『力の解放』ってやつだ。
ナイツは、異世界だと自分の能力がほとんど発揮できない。
それを解消する力だ。
【ゲート】=エンディアには大陸が無い。だから、これを使って行き来するんだ。
(トンネル)みたいな物だな。
【ゲートマスター】=ゲートを開く能力を持つ者のことだ。
【キー】を使うことでゲートの力を引き出すことができるんだ。
【ゲート端末】=わかりやすく言うなら、(PC)だな。
【キー】=ゲート端末が、PCなら【キー】は(ソフト)だな。
「こんなもんかな・・・ほとんどそのまんまだけど、念の為にしといたぜ。
あとは、自分で調べな」
473 :
ゼロウォーズ :2008/03/14(金) 22:49:15 ID:n5ygwsJR
以上です。
ありがとうございました。
乙です。
解説、大儀であった!
某も呪文解説書いた方がいいかな?
なんか避難所がすごいことに
>>476 ………………なんじゃこりゃあああああああああ!!!!????
なんか大量に変なスレ立ってるな。
乙でありんす
馬鹿は相手にするな。
さわるなよ… せっかく避難所内でも毒吐き以外反応してなかったのに。
したらばじゃあよくある事
管理がしっかりしてればすぐ消されるものだから実害無し
大食いキャラ>WAのセシリアとか
>大食漢
スーパーロボット大戦シリーズのアラドは?彼も劣等生のレッテルを貼られていたみたいだし、意気投合するかも?
地球では彼が撃墜されてから意識を取り戻すまでの一睡の夢だった、という結末。
エンディアの太陽は確かに位置が固定されてて沈まないが、夜はあるぞ?
>>395 実は爆熱ってギーシュとも決闘するけど、導入と〆の辺りはモンモンで、決闘で負けて終わるんだよね
うわぁ……いくら避難所が嫌いだからってあれはないだろ……
>>487 いや違うって
アレは最近あちこちに張られてるやつで避難所とは無関係
489 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/14(金) 23:45:11 ID:Jyyce8zr
>>431 二部で使ってる剣は、魔力を吸収して斬撃に上乗せする剣だからやっぱりデルフ涙目
お前等にとってデルフはそんなに重要な事なのか?
ひんぬー並に重要なのか?
デルフは吸い込みONLYだしなw
ガウリィの体を操っても意味無いしなw
>>491 デルフは吸い込みONLY<
確かディスペルを器用に使ってたはず
>490
だってツッコミも出来る優秀なオチ担当じゃん(ギャグSS書きより)
ゼルガディスのほうがデルフの出番は増えそうだな。
タバサとコンビを組んで、いろいろと薬やら技術やらを調べる流れになりそうだが。
>>491 一応パチュリー(東方)が手を加えて「魔力タンク」にしてるのもあった
でもやはり吸収だけじゃあ…ジョジョスレだとアヌビスが反則過ぎて別に問題無いけど
>>488 その人も半ば荒らしみたいな人だから触らないほうがいいよ。
>>495 ゼルはタバサよりもお肉錬金メイジと組むべきだよ
岩のお肌をジューシーかつフレッシュな肉体にっ!
でもなぁ、デルフってARMSとか孫悟空とかのキャラにはいらないからなぁ
あれを有効活用出来るキャラって、なっかなか召喚されねーぞ
一番活用されたのは、「薔薇乙女」かな?
・・・通訳として、だけどw
>>499 何度か話題に上がるけど「永遠のアセリア」からエスペリア・グリーンスピリット・ラスフォルトとかどうよ
物理攻撃には鉄壁の防御、攻撃面でも文字通り音速…というか帯電するほどの速さで槍を繰り出せる猛者だ
回復魔法も防御面の補助魔法も範囲攻撃魔法も使える、戦う癒し系メイドさんだ
最大の欠点の魔法攻撃にまったく耐性を持たない点がデルフで完全にカバーできる
ゴチンコ召喚なら考えたことあるぜ
当然デルフはお尻行き
皆様こんばんは
12話の推敲が終わったので、30分頃から投下したいと思います
503 :
松下:2008/03/15(土) 00:21:59 ID:sPxitnLI
雑談中申し訳ないが、松下の第二十章ができたので投下します。
対七万、なんというか黙示録的戦争になりましたが。
504 :
松下:2008/03/15(土) 00:22:41 ID:sPxitnLI
あれ、かぶった。じゃあその投下終了の30分あとで。
ありゃ、14秒差で…では僭越ながら先にいかせていただきます。
今回は短め(15kb)なのですぐに済むと思います
ループ・タイム――涼宮ハルヒの憂鬱――
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1205492536/281 281 名前:るいとら ◆GA7h3CwsgE 投稿日:2008/03/15(土) 00:09:03.98 ID:icODRiKt0
/ ヽ \ \
,' / / l \ ヽ
! / / / ,' | l ハ ヘ、ヽ、_,
. | ! l l / / ,イ ! i ! l ヽ ',` ̄
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ノ | ! │ | /_// // / ,' ∧ / | / j l|
>>279 ノ l ァ| |尢/‐=乞t/ / /∠ニ「厂! / ,/ / リ その昔、エロパロに如来という男ありけり
イ 八{´l !|<f{矛:下 ' イ孑代フ イ } / 2ちゃん消滅騒ぎの頃が楽しかった
. Vハ | r';;z j r';;zリ /}, '//
ヽ ', |  ̄ ,  ̄ チ' / まあ証明にならないかも知れないけど、ゼロ魔の晒してみよう
`ヘ lヽ _ 厶 ./ どうせ更新予定ないし
', {.代ト、 , イ | /
\_'i| > 、 _ , イ/ V l./ 『るいずととら』 あの作品のキャラが云々スレ
/ ヽj {`ヽ ′ トリは上のやつ。突撃はやめてね
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_, -‐ ´ l‐--‐、 _ -‐ | ` ー- 、
. r<\\ ヽ '´ ̄ ___ `ヽl| / /ヽ
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./ ヽ. \\ ∨ ̄ `ヽ | / / / l
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イザベラ管理人第12話:イザベラの第一歩
さて、耕介とイザベラが主従の契りを結んだ場面を見ていた者が二人…いや、三人いた。
「…ちぇ、単なるお兄ちゃんの上司だと思ってたのに…あのおでこ姫の方がタバサお姉ちゃんよりも厄介そう…」
陽光を直接浴びぬよう薄く扉を開いてエルザが覗き見ていたのだ。
本来扉を護るはずのガーゴイルには、廊下に点々と飾られている花瓶から伸びた花の枝が巻きつき、ねじ伏せている。
昨夜、メイドに別室を用意されたエルザだったが、そんなものには目もくれず耕介の寝室に突入し…未だ耕介が戻っていないことを知ったのだ。
御架月も行方を知らぬとのことで、プチ・トロワ中を探し回っていたのだが…あの(エルザ的に)嫌味で態度の悪い上司の部屋にいるのを見つけたのは既に耕介が寝入った後であった。
さすがに起こすのも忍びないので、こうして耕介が起きるであろう時間を見計らって再びやってきたのだが…まさかこんなことになっているとは。
「そういえば、お兄ちゃんを召喚したのっておでこ姫だったなぁ…まだ契約してなかったのならもっとやりようがあったのに…」
目下、エルザが遂行している作戦は「お兄ちゃんをエルザの虜にしちゃうゾ☆大作戦」である。
この作戦を成功させるために、まずは耕介の注意を自分に集めることを考えていたのだが…まだ契約していないとわかっていれば、まずは契約を妨害したというのに。
「使い魔のルーンって確か召喚者に好意的になるような精神的拘束力があったよねぇ…ちょっと厄介だなぁ」
吸血鬼たちにとって、人間は天敵であるが…その中でも群を抜いて厄介なのは当然のことであるがメイジだ。
メイジたちの魔法がなければ、吸血鬼がここまで数を減じることなどありえなかっただろう。
故に、吸血鬼たちはメイジを知る必要に迫られる。それは当然、エルザの両親もだ。
両親から聞かされた話によると、メイジたちに呼び出された獣はどれほど強力で凶暴でも、契約すると主に従うようになるという。
ならば、使い魔のルーンに精神的拘束力があると考えるべきだろう。
その拘束力がいったいどこまで効果を及ぼすのかがわからぬ以上、契約させるべきではないのだが…
「でも、いいよ、おでこ姫様!障害がある方がやり甲斐あるしね。うふふ、絶対お兄ちゃんをエルザのものにするよ!」
難しい顔で考え込んでいたエルザだったが、突然明るい笑顔になる。
そう、あれほどの獲物なのだ。すんなり手に入る方がおかしいし、張り合いがないというものだろう。
あんな小娘などに耕介を渡すつもりなど毛頭ない。最後に耕介を手に入れるのはエルザであるべきなのだ!
外見通りの童女のような…しかし、見た者の背筋を凍らせる笑い声をひそやかにもらしながら、エルザは耕介の寝室へと向かった。
昼はアウェイ、勝負は吸血鬼のホームである夜にかけるべきであるからだ。
支援
シルフィードはとても複雑な気分で、イザベラの部屋の窓から主従の契りを結ぶ二人の一部始終を見ていた。
「シルフィは誇り高き韻竜なのに…なんで覗き見なんてしなきゃならないのね…」
はっきり言って出歯亀以外の何者でもないが…彼女の名誉のために言っておくと、これはシルフィードの意志ではない。
何を隠そう…
「お姉さま…気になるのはわかるけど、こんなことにシルフィを使わないでほしいのね…」
このピーピングはタバサの命令である。
早朝、学院に戻る前になんとなく耕介の顔を見ようと寝室によったタバサであったが、そこで御架月からまだ戻っていないことを聞かされたのだ。
となると、今までの経緯からイザベラの部屋にいるとあたりをつけたタバサだが…ガーゴイルがいるので正面から部屋に入ることはできない(実際はエルザに無力化されているが)。
故に、人間よりも格段に視力に優れるシルフィードに命じてバレない程度の距離から目視させ、自身はシルフィードに感覚同調しているというわけだ。
ところで、命じた張本人は何をしているかというと…食事をしていた。
用意された部屋で黙々と食事をしているタバサだが…その視線は一度とて食卓へは向けられていない。
当然であろう、視覚がシルフィードと同調しているのだから。
ならばどうやって食事をしているのかというと、空気の動きを感じ取る卓抜した風を扱うメイジの技能を使用して料理の場所を判断しているのだ。
その表情からは何の感情も読み取れない…が、それまで淀みなく動き続けていたナイフとフォークが突然停止した。
しばしの間、時の流れを示すものは温かなスープから立ち上る湯気だけになる。
相変わらずタバサの表情には何の変化もない。そしてさらに3分ほど経ち…突然食事は再開された。
先ほどと違うことと言えば…速度が加速していることだろう。卓上に並べられた食事が次々と消え去っていく。
最後に、控えていたメイドにはしばみのサラダをもう一皿持ってこさせ、それも瞬く間に食べつくし、やっとタバサはナイフとフォークを置いた。
ちなみにタバサが停止したのは、イザベラが耕介に<<コントラクト・サーヴァント>>を行ったのと同時であった。
動き出したのは、耕介が額から手をどけたのと同時であった。
その瞬間のタバサの胸中を知る者は誰もいないが…控えていたメイドは語る。
「部屋が突然寒くなった気がして…本気で凍死するかと思いましたよ…。いえ、料理は冷えてなかったんで錯覚だと思うんですけどね…」
さて、そんなことが起こっているとは神ならぬ耕介は知るはずもなく、彼は着替えて湯浴みをするというイザベラに部屋から叩き出されていた。
自室に戻るために廊下を歩いている…と、行く手に小柄な少女が立っていた。タバサだ。
「おはよう、タバサ。昨夜は御架月を預かってくれてありがとな。悪かったな、重かっただろ?」
メイジには<<レビテーション>>という便利な魔法があるのだが、耕介の常識―ハルケギニアに来てから上書きを余儀なくされているが―にはない。
「魔法」
とだけタバサは答えた。
「そういえば浮かせる魔法があったな、あれは便利だよなぁ。っと、とりあえず着替えと洗濯しないとならないから、そろそろ戻るな」
乾いてわかりづらいが、耕介のシャツはたっぷりとイザベラの涙とかの液体―彼女の名誉のために詳細は避ける―で濡れたままである。
タバサの寡黙っぷりには既に慣れていたので、耕介はそのまま去ろうとしたが…袖を引っ張る感触があった。
「ん、タバサ?」
タバサが耕介の袖を引っ張ったのだ。どうやら何か用事があるらしい。
「ルーン、よく見せて」
そう言ってタバサは杖で耕介の額を指した。
「ああ、かまわないよ」
否定する理由などないので、素直にしゃがみこんで頭を下げる。
耕介は190aを越える長身なので、ここまでしないとタバサの身長と同程度にならない。
タバサは懐から取り出した紙に筆を走らせる…どうやら、ルーンのスケッチをとっているようだ。
「しかしこっちの魔法って便利だけど、変なとこで不便だよなぁ。呼び出す魔法があっても送り返す魔法がなかったり、契約がキスだったり、ルーン…だっけ?が刻まれるのも痛かったし」
タバサがスケッチをしている間、暇なので話しかけた耕介だったが、キスのあたりでタバサがピクッと不自然に反応したことに気づく。
(キスで動揺したのかな、この手のは避けた方がいいか)
別にキスそのものではないのだが…タバサを見た目通りの小学生程度と思っている耕介なので仕方がないところであろう。
「コースケの世界にも魔法はある?」
と、珍しくタバサが答えを返した。『こっちの魔法』という言い回しに疑問が湧いたらしい。
「魔法じゃないけど、超能力ってのはあったなぁ。こっちの魔法と似たようなことができるけど、違うのは杖なしでできる、呪文もいらないってところかな」
正確にはHGSという遺伝子障害の一種なのだが、ハルケギニアでそんなことを言っても無駄である。
「…じゃあどうやって発動しているの?」
スケッチをとりながらタバサが言葉を重ねる。その手は既に止まっており、おそらくもうスケッチは終わったのだろう。
「考えるだけでいいらしいよ。もっとも、彼女たちはその力がある代わりにたくさんの薬を飲まなきゃならないし、ちょっとしたことで高熱を出したりするから、いいことばかりじゃないよ。」
耕介の言葉に悲しみが混じる。
HGS患者は、皆体が不安定で、大量の投薬に週3度程度の通院、さらに幾度もの手術をしなければならない。
先天的な病で子どもの頃の自由な時間を奪われる彼女たちを目の当たりにした耕介にとって、超能力とは苦いものなのだ。
その悲しみが混ざった微笑みを見た時…タバサは、思いもよらぬ行動に出た。
「タバサ…?」
タバサは細い腕を伸ばし、耕介の頭を撫でていた。慈しむように、ゆっくりと。やはり表情は動いていないが…その瞳から気遣う色が見て取れる。
タバサの意図を察した耕介は、目を瞑ってなすがままになる。
穏やかな時間はしばらく続き…タバサは名残惜しげに手をわずか止めるが、そのまま離した。
「元気出たよ、ありがとうな、タバサ」
耕介は、お返しにタバサの頭も撫でてやることにした。
普段のタバサならば、キュルケ以外で自分に触れようとするものには咄嗟に警戒するものだが、耕介には何の警戒も見せずに撫でられるままだ。
しかも撫でやすいように頭をわずかに俯かせ、心なしか頬も朱に染まっている。
こんな姿をキュルケあたりが見たならば、二人をくっつけようと過激な茶々を入れてくることだろう。
「あ、そういえば、スケッチ終わってたら見せてくれないか?」
耕介が撫でたままなので、タバサはそのままの姿勢で耕介にも見えるようにスケッチを差し出した。
そこには文字のように見えないこともないルーンが書かれている。
「これが額に…か…うーん、まぁ別にいいか…」
額に文字の書かれている刀を持った190aの男など、不審人物以外の何者でもないが、ここはハルケギニアである。おそらく問題はない…多分。
そして自分の姿について思いをはせていると…唐突に何故自分が自室に戻ろうとしていたのかを耕介は思い出した。
「あ、そうだ、着替えないとならないんだった」
耕介はタバサの髪の乱れを直してやると、立ち上がる。手が離れる瞬間、髪に注目していたせいでタバサが口を開いて何事か言いかけたことには気づかなかった。
「じゃぁ、部屋に戻るな。タバサは学院に戻るんだったっけ、すぐいくのか?」
タバサは杖をギュッと抱きしめ、顔をわずかに伏せたままこくりと頷いた。
「そうか、しばらく会えなくなるなぁ。なら、見送りするよ」
耕介が笑顔で続けるが…タバサは―相変わらず顔を伏せているので表情が見えない―首を横に振った。
見送りは必要ないとのことだろう…特に深く考えず、耕介はタバサに「わかったよ。じゃあ、またな」と手を振って去っていった。
だから気づかなかった。タバサが見送りを拒否したのは、先ほどまでの自分の無防備な様に気づいて真っ赤になっていた顔を見られたくなかったということに。
その後、寝室に戻った耕介はエルザの急襲を受けるのであるが…それはまた別の話。
前向きになろう、努力しようと決めたイザベラは早速行動に移ることにした。
(彼女的に)急いで着替え、湯浴みの準備を申し付けた後、イザベラはある場所へ向かった。
そこは…いつもプチ・トロワにタバサがいる間、シルフィードが待っている庭であった。
シルフィードは食事を終えたところらしく、肉が入っていたと思しき深皿の前で満足そうにぐてっと体を沈めている。
周囲を見回すが、タバサは見当たらない。だが、タバサのことだ、すぐに学院に戻るために現れるだろう。それまでここで待つことにした。
シルフィードがイザベラに気づき、そのつぶらな瞳を向けてくる…が、なんとなく警戒の色が宿っている気がする。
「別にあんたの主になにかしようってわけじゃないから安心しな」
イザベラはシルフィードを観察したことはないし、単にタバサの付属物としてみていただけであったが…それでも、シルフィードの視線から胡散臭そうという言葉を読み取った。
以前のイザベラなら激高しているところだろうが…イザベラはシルフィードの視線を受け流した。
(ま、シャルロットの敵くらいに認識してるだろうしね)
微妙な空気が流れる中、しばし待っていると、プチ・トロワから小柄な人影が現れた。
その人影はまっすぐシルフィードの元へ向かい…イザベラがいることに気づき、立ち止まる。
「シャルロット、あんたに少し言いたいことがあってね」
人影…タバサの視線を受け止め、イザベラは答えた。
(さぁ…これが第一歩だ)
そう、彼女は踏み出すのだ。
タバサは表情こそ変わらないが、困惑していた。
なにせ、目の前で自分を目の敵にし、耕介にキスまでしt…いや、それは関係ない、ともかくイザベラに呼び止められたのだ。
「えっと…その、なんだ…えー…」
しかも『言いたいことがある』と言ったきり、意味を成さない言葉をもごもごと呟くばかりで一向に本題に入らない。
「く…うー…ぁー…」
加えて、顔を赤くしたり片手で頭をかいたり…挙動不審極まりない。
イザベラは気づいていないが、タバサとシルフィードの視線に哀れみが混ざりだした頃。
「あーーー!しゃっきりしな、イザベラ!!」
イザベラは両手で頭をかきむしると、パン!と音高く己の頬を張った。
美しい青髪が乱れてぐしゃぐしゃになるが、直前まで葛藤に揺れていた瞳は力を取り戻し、強い光を放っている。
それは彼女が羞恥やプライドを吹っ切った証であった。
「シャルロット!悪かった!」
瞬間、イザベラ以外の全てが停止した。イザベラは深々と頭を下げる。
客観的に見れば、シャルロットに謝罪していた。
おそらく、この情景をプチ・トロワに勤めるメイドあたりが見ていたら、白昼夢だと即断しただろう。
そして、謝罪された当人であるタバサは…衝撃はあったが、原因に思い当たった。
耕介だろう。いったい何があったのか具体的にはわからないが…確かに、耕介を召喚してからのイザベラはおかしかった。
それが今朝の契約をきっかけに良い方向へ向いたのだろう。
イザベラは顔を上げ、タバサに…いや、それだけでなく自分にも言い聞かせるかのように宣言する。
「あたしは、自分の力で王女になる。誰にも文句言わせないくらいに完璧に!」
それはイザベラの贖罪と自分への戒め。
今まで、自己を高めるのではなく、他者…シャルロットを排除して王女でいようとした自分と決別する。
そして、王族として誰にも恥ずかしくないように自己を高める。
そのために、過去の負債を清算しなければ。
「だから…あたしはあんたに八つ当たりしてた罪を償わないとならない。あんたの気が済むようにしてくれ」
そう言って、イザベラは目を瞑った。
何が起こっても受け入れる、という意味だろう。
そこで、タバサはイザベラに近づき…
「いたっ!」
渾身の力でデコピンを叩き込んだ。
「…頑張って」
タバサはそばにいるイザベラにだけなんとか聞こえる程度の声量でそう言うと、踵を返した。
「…シャルロット…ああ、絶対になるよ!だから…それを見届けるまで死ぬんじゃないよ!あんたにいく任務が減るようにあたしもなんとかしてみる!」
イザベラに見送られ、タバサはシルフィードにまたがる。
やはり表情は動かないが…シャルロットは快活でお転婆な従姉が帰ってきたことを喜んでいた。
そしてイザベラは気づいた。
「あれ…っていうか今の…あんた、まさか今朝の見てたのか!?」
タバサがデコピンを叩き込んだところは、今朝耕介に叩き込まれたところだということに。
一気に顔を赤く沸騰させたイザベラを置いて、シルフィードは飛び立った。
後には澄み切った青空を高速で飛び去っていく竜を見上げるイザベラだけが残された。
「…耕介といいシャルロットといい…ほんとにお人好しだよ…」
魔法が飛んでくるのは覚悟していたというのに…あれだけで済ませるとは。
「けど…これでますます、退けなくなったね…!」
イザベラは明るく微笑むと、プチ・トロワへ戻るために歩き出した。
そう、彼女は第一歩を刻んだのだから、どんどん歩いていかねば。道は遠くまでずっと続いているのだから。
シルフィードはタバサが上機嫌なことに気づいていた。
「きゅい…ほんと驚いたのね!あの従姉姫があんなことするなんて、そろそろ雷雲でも来てもおかしくないのね!」
タバサはシルフィードの軽口に反応も見せず、本を開いている。
だが、ページはめくられておらず、彼女が本を読んでいないのは明白だ。
反応がなかろうと、シルフィードにはわかっている。
飛び立つ前に見たタバサの表情は…薄く微笑んでいたのだから。あの鉄面皮のタバサが。
タバサの機嫌がいいと、シルフィードも嬉しくなる。そしてシルフィードは名案を思いついた。
「そうだ!お姉さま!なんでもして良かったのなら、コースケをもらっていけばよかったのね!」
その言葉にタバサがピクリと反応する。
「そうすればお姉さまはもっと幸せなのね!今からでも戻ってさらっていくのね!」
本当にUターンしようとしたシルフィードの頭をタバサは無言で杖で叩いた。
何度も叩いた。
「痛い!痛いのね!冗談なのねぇー!」
シルフィードはきゅいきゅいと泣き声をあげながら学院の方向へと頭を向けなおした。
「…………本当にもらえば良かったかも…」
タバサの蚊の鳴くような声は誰にも聞かれることはなかった。
以上で投下終了になります。
支援ありがとうございました!
そういえば耕介がVSタバサ以来戦っていないことに気づきました、これでいいのか神咲流剣士。
乙
フラグ立てすぎワロタw
さすがロリコンジャイアント
お見事。原作は知らないんですが、耕介君ってアクマイト光線も無効化しそうですなぁ。
>>512 いやいや、百戦して百勝するは善の善ならず。
戦わずして勝利を得る事こそ本物でしょう。
>>512 GJ〜 このロリコンジャイアントめwww
しかしみかりんを補修できる職人がいないのが問題だ。
ミョズか高位エルフなら可能かな?
>>514 いや、耕介はアクマイト光線くらったらきっと死にますよ。
普通に欲やらなんやらだってあります。
ただ、それを上回る位に人の幸せそうな姿を見るのが好きで、
辛そうな姿を見るのが嫌いなナイスガイなお人よしなだけです。
松下の作者さん
進路クリアです
518 :
松下:2008/03/15(土) 01:13:52 ID:sPxitnLI
おお、なんという善人、なんというきれいなイザベラであろう!(ワナワナ)
そいじゃあそろそろ行きましょうか。いろいろ危険ですが。
投下開始。
《父よ、御心ならばどうぞ、この杯を私から取りのけて下さい。
しかし、私の思いではなく、御心が成るようにして下さい》
(新約聖書『ルカによる福音書』第二十二章より)
時はヤラの月半ばの深夜、ところはスカボローから50リーグ手前の丘陵地にある谷間の隘路。
『東方の神童』松下率いる『千年王国』軍団1000人と、『東方の王』バエル率いる66個の悪魔軍団が激突する!
その谷の奥、月光も射さぬ暗闇の中では、『虚無の担い手』ルイズが街道の石畳に座っていた。
切り札の『虚無の呪文』を長々と詠唱しながら、アルビオン大陸を縦横に走る『霊脈』をとらえ、魔力を吸い上げているのだ。
―――――この丘陵地は上空から見ると、頭をスカボローに向けて仰向けに横たわった女性の体にやや似ていた。
隘路を挟んで並んだ双丘は、かつては『妖精女王の乳房』と呼ばれ、平民から信仰の対象にもなったという。
その中心にいるルイズが呪文を唱えるたびに、そこに集まる霊脈の力は強まる。霊脈の上には、街道が走っている。
活性化した霊脈の周りでは大地が熱を持ち、降り積もった雪が溶けて春の草花が咲き乱れ、蟲たちが目を覚ましている。
40リーグも彼方に駐屯していた七万の軍勢は、その魔力に魅了され、ルイズの方へと引きずり寄せられていた……!
「おお、俺は呼ばれている」「召されている」「彼女が喚(よ)ばわっているぞ!」「うわーっ、たまらん!いい気分だ!」
「俺が必要とされているんだ!」「いいや、呼ばれたのはこの俺だ!」「ばかな、俺だ俺だ!」「あたしが呼ばれたのよ!」
「彼女を迎えに行こう!」「そうだ、あそこへ帰ろう」「彼女のもとへ還ろう!」「そうだそうだ!」
将軍も士官も兵士も捕虜も、老いも若きも男も女も、人も亜人も動物も幻獣も、さかりがついたように駆け出す!
彼らはみな猛り立ち、勇み立ち、いきり立ち、熱狂し、本能に衝き動かされて走り出す!
ああ、誰も彼もが彼女に召し寄せられ、喚び寄せられる!
地響きを立て、荷物を打ち捨て、七万人と無数の獣たちが40リーグ先のルイズの胸元へ、飛ぶように駆けてゆく!
竜や幻獣、軍馬などは、騎手を振り落とす勢いで先を急ぐ。亜人は大股で走り、牛や犬がそれに続く。
アルビオン軍四万が前に、反乱したトリステインの兵やサウスゴータ市民や捕虜たちが後になり、ぞろぞろと駆けてゆく!
《谷神は死せず、これを玄牝と謂う。玄牝の門、これを天地の根と謂う。
綿綿して存するごとく、これを用いて勤(つ)きず》
(『老子道徳経』より)
耕介の優しさはグレてた反動もあるからな支援
「「むぅ、なんじゃあこの異様な気配は!? 魔力が吸い取られる心地じゃ!
マツシタよ、その谷間には、いったい何がおる!?」」
「さあな、聖母なのか大淫婦なのか! まあ待っていろバエル、今に分かる!」
『炎の杖』を振るう松下は、驚くべきことに大悪魔バエルと互角に渡り合っていた。
教団兵は次々と魔法や銃弾を放って、増え続ける悪霊を撃墜する。対抗して悪霊も魔法を放ち、兵士たちを撃ち殺す。
デカラビアは鳥の使い魔を無数に召喚して悪霊たちの目玉を突つかせ、ブエルは水メイジらとともに負傷者を治癒する。
『ヴィンダールヴ』で潜在能力を引き出されたケルベロスに組みつかれ、さしものバエルもよろめいた。
「「ええい埒が明かん、無理にでも押し通るぞい! 開けゴマ、じゃ!」」
しびれを切らしたバエルの三つの口から、おびただしい蛙とネズミとイナゴが吐き出される!
《第六の天使が、その鉢の中身を大河ユーフラテスに注ぐと、川の水が枯れて『日の出る方角から来る王たち』の道ができた。
私はまた、竜の口から、獣の口から、そして、偽預言者の口から、蛙のような汚れた3つの霊が出て来るのを見た。
これはしるしを行う悪霊どもの霊であって、全世界の王たちのところへ出て行った。
それは、全能者である神の大いなる日の戦いに備えて、彼らを集めるためである。
…汚れた霊どもは、ヘブライ語で『ハルマゲドン(メギドの丘)』と呼ばれる所に、王たちを集めた》
(新約聖書『ヨハネの黙示録』第十六章より)
松下は『炎の杖』を再び回転させて『青銅の蛇』に変え、蛙とネズミとイナゴを呪力で押し返す。
地面やケルベロスのたてがみからは無数の蛇が湧き出し、蟲どもを呑み込んで退治する。
「ははははは、動物を操る『ヴィンダールヴ』に、その術は効かないぞ!」
だが、東の空から激しい羽音が轟き、アルビオン軍にいた竜や幻獣などが飛来する!
その眼はぎらぎらと輝き、谷間へ向けて一直線に急降下だ!
「「ひょひょひょ、そちらこそ命運尽きたのうマツシタ! アルビオン軍がこちらに近づいて来るぞ!!」」
しかし、谷間からはぶしゅーーっとガスが噴出され、蚊トンボのように竜たちがぼたぼたと落ちる。
それを浴びたバエルや悪霊どもも、体がしびれて動けなくなる。松下たちは無事だ。
「「な、なんと、このわしが動けんとは……!!」」
やがて彼らは、石化してしまった。『霊脈』から溢れ出た、強力な大地の霊気のようだ。
それに続いて、ぐらぐらと地震が起こる。ルイズは魔力を目いっぱいに溜め込み、ついにゆっくりと立ち上がった。
「……始まったか! よーし諸君、散開して二つの丘の上に登れ!
前方で陥穽と塹壕を守っている者たちには、『錬金』で作った油に火をつけるよう伝えろ!
アルビオン軍の本隊が来るぞ!!」
トランス状態に入ったルイズが歩むたびに、膨大な魔力によって大地が揺れる。まるで巨人が歩いているようだ。
口からは『虚無の呪文』が紡がれ、両手は神々しく天に向かって挙げられている。
その右手には杖が、左手には『始祖の祈祷書』があった……。
「《バガビ ラカ バカベ ラマク カヒ アカバベ カルレリオス……》」
松下がルイズのそばに駆け寄ると、ルイズはすーーっと左側の丘に飛び上り、その頂に立つ。
そして松下も、右側の丘の頂に『魔女のホウキ』で飛び上がる。
「メシア、先ほどの戦いでの殉教者は185名。それと、第四使徒ギーシュがモグラのように穴を掘って逃げました」
「分かった、第二使徒シエスタ。殉教者は祝福されて天国に入り、背教者は裁かれるだろう。
ではタルブでの如く、ぼくの体を支えてくれ。バエルとの戦いでかなり傷を負い、魔力を使ったからな」
「はい、メシア!」
ルイズと松下は双丘の上に向かい合って立ち、谷間を挟んで同一の呪文を詠唱する。
ケルベロスは二体の悪魔を左右に配し、四肢を踏んまえて隘路を守るように立つ。
街道の向こうからは、七万人の男女と禽獣が、信じがたい速さで駆けて来る! 彼らは皆、ルイズに呼び寄せられているのだ!
陥穽に嵌った亜人や獣たちを踏み潰し、泥と油と火の中を潜り抜け、40リーグを駆け抜けて、彼らはやって来た!
Bagabi Lacha Bachabe Lamac cahi achababa Karellyos
Lamac Lamac Bachalyas Cbahagi Sabalyas Baryolas
Lagoz atha Cabyolas Samahac atha femyolas Harrahya
ついに『虚無の呪文』は完成し、彼らの足下の地面がすっぽりと消失した。
二つの丘の挟間から、『横たわる女性』の丘陵が真っ二つに裂ける。
彼女の胸部から股間まで、巨大な『虚無の深淵の裂け目』が開き、七万人をまるごと混沌の奈落へ呑み込んだ。
その中はあらゆる異なる時空間とつながっており、入ったものを何処とも知れない時空へ転移させる。
始祖ブリミルは、かつて異なる世界から『虚無の門』を潜り、このハルケギニアにやって来たという。
これこそが、極めて不安定で不完全ながら、その門なのだ!
『虚無』とは世界を構成する極微の粒子を操作し、奇跡を起こす魔法。
ルイズが失敗だと思い込んでいた『爆発』も、その粒子が僅かに動いて衝突したために起こったに過ぎない。
『解呪』は自然ならざるもの、呪いを退去させる魔法であり、『幻影』は逆に自然ならざる幻影を招来する魔法。
いずれも『虚無』の魔法の中では、下級のものだ。
だが、この『虚無の門』は上級に属する大魔法。
ルイズがこの撤退戦で溜め込んだ多大なストレスを解き放ち、半日以上かけて呪文を練り上げ、
アルビオン大陸中の『霊脈』とリンクして魔力と血を吸い上げ、メシア・松下の力も借りてようやく発動できた代物だ。
「「汝ら、我らが召喚せし者たちよ!!」」
「「我らは汝らを必要とせず!! 速やかに、在るべき場所へ還れ!!」」
「「異邦人はその故郷に、敵は地獄に、獣は野山に還れ!!」」
「「我らが開きし『虚無の門』を通りて還れ、『送還』!!!」」
二人の力強い声が、闇の中に雷鳴の如く轟き渡る。
『虚無の門』の暗黒が渦巻いて銀色に輝く『送還の門』となり、あらゆるものを呑み込んでゆく。
バエルが、ホーキンスが、悪鬼が竜が亜人が幻獣が牛馬が士官が兵士が捕虜が男が女が、ことごとく呑み込まれる!
アルビオン大陸の底が抜け、彼らは無限の深淵へと落下し、奈落の底へ消え失せた。
ある火竜は、いつの間にか生まれ故郷の火竜山脈上空を飛んでいた。
ある軍馬は、いつの間にかゲルマニアの東に広がる草原地帯を走っていた。
石化したバエルと悪鬼は地獄の宮殿に帰り、トリステイン軍の捕虜たちはトリスタニアの練兵場に戻っていた。
『アンドバリの指輪』によって反乱した人々も呪いから解放され、サウスゴータや故国へ戻される。
そしてアルビオンの軍勢は、底知れない地獄へ送られて、堕ちていった……。
それを見守りながら、ルイズの口は『祈祷書』に現れた始祖の言葉を呟く。
『おお、これは我が故郷を思い、編み出したる、大いなる「送還」の魔法。
されど、これを用いて我ブリミルは帰還することあたわざりき。
我にとりて、もはや、かの荒れ果てたる地は故郷にあらざるか? ああ、なれど我が子孫よ、これを覚えよ。
いつの日にか、我がこの世界に現れし場所「聖地」をエルフの手より奪回せよ……』
「ほうほほう、素晴らしい! 『虚無』とはこういう力なのか! とても勉強になったよ!」
その場所から約4リーグ後方の空中、ゲルマニア艦隊旗艦の甲板にて。
望遠鏡と『千里眼』で大異変を見守っていたブラウナウ伯爵は、上機嫌に笑った。
「大悪魔バエル王をも打倒し、七万の軍勢もガダラの豚よろしく、雪崩を打って溺れ死んだか!
小人の王様(アルベリッヒ)と巨人の女王様(タイターニア)が、母なる地獄の釜の蓋を開いたか!
ああ、素晴らしい! 本当に素晴らしい!! キキキキキキキ」
「は、伯爵、大丈夫かね?」
「いやいや侯爵、いたって正常ですよ僕は。さて、気を取り直して、後始末をさせてもらいましょうか。
まず、言霊には言霊を、歌劇には歌劇を。ジュリオくん、あの『銃』を持って来てくれ」
「はい、ダニエルさま。ここにございます」
ジュリオが差し出したのは、古ぼけたマスケット銃。新開発のライフリングも施されていない、ただの猟銃だ。
しかし、ダニエル・ヒトラーの『ガンダールヴ』と魔術を組み合わせれば、恐ろしい兵器となる。
「さ、諸君、歌声を合わせて《呪歌》を唱え、戦争と狩猟を讃えよう。
《Das Wild in Fluren und Triften,Der Aar in Wolken und Luften…》」
《Mein Sohn, nur Mut! 耐えよ、勇気を持て!
Wer Gott vertraut, baut gut! 神を信じる者は行わん!
Jetzt auf!In bergen und Kluften, いざ行かん!山にも谷にも喜びは溢れ、
Tobt morgen der freudige Krieg! 明日こそ、うれしき戦の日!
Das Wild in Fluren und Triften, 森や牧場の獣ども、
Der Aar in Wolken und Luften, 空を翔け行く鷲や鷹、
Ist unser, und unser der Sieg! 勝利は我らがものなるぞ!
Lasst lusting die Horner erschallen! 角笛よ、高らかに鳴れ!
Wir lassen die Horner erschallen! 角笛よ、森に谺せよ!》
(カール・マリア・フォン・ヴェーバー作曲のドイツ歌劇『Der Freiscutz(自由射撃/魔弾の射手)』より)
マスケット銃に込められているのは『魔弾』。嵐の悪魔ザミエルの呪いを受け、自在に獲物を仕留める弾丸だ。
ヴェーバーの歌劇の舞台は三十年戦争終了頃のボヘミアで、作られる魔弾も七つきりだが、
元来の18世紀の伝説では七×九、つまり六十三発の『魔弾』が作られたという。
それに歌劇では、射手の恋人アガーテは魔弾から守られるが、本来の伝説では彼女は撃たれて即死し、射手は気が狂う。
「僕に恋人などいないし、悪魔は僕の下僕だ。六十三発の全てが僕の意のままに命中する!
まあ、『ガンダールヴ』の僕には一発で充分かな。距離は4リーグ、問題なし。
恋人とは違うかも知れないが、ヒロインのルイズ・フランソワーズもついでに始末するか。
松下の体を支えている、あの女信者もな!
さあて、鉄の杖は振るわれ、審判の日の最後のラッパは、今こそ鳴るぞ!」
マスケット銃を構えると、ダニエル・ヒトラーの右手にある『ガンダールヴ』のルーンが強い光を放つ。
「《Es sei!!bei den Pforten der Holle! よかろう!地獄の門にかけて!》
自分で蓋を開けた魔女の釜の底へ、地獄へ堕ちろ、松下一郎!!」
運命の魔弾が一発、マスケット銃から放たれた!
双丘の頂上にて。
松下は満身創痍で力を使い果たし、目を閉じてぐったりとしている。シエスタは松下の体を抱きかかえるように支える。
ルイズは微動だにせず、あの『始祖像』のように両手を広げて立ったまま気絶している。
何が起きたのかは分からないが、あの悪魔どもとアルビオンの大軍は、メシアの奇跡によって残らず地獄へ消え去ったのだ。
食い止めるどころではない、殲滅だ。これでスカロンやジェシカたちも逃げ延びられるだろう。
トリステインがガリアとゲルマニアに攻め込まれても、故郷のタルブだけはきっと無事だ。
このメシアが、神の祝福を受けてこの世界に現れた人類の救世主が、その知恵を以って都市を築きあげた『聖地』なのだから。
そうだ、『千年王国』では平民も貴族も王族も、みな同胞となる。貧困も病気も、様々な悪徳もそこでは見られない。
老人も不具の人も蔑まれず、自由な人民が共に和して、主なるメシアのもとで賢い政治を行うようになろう。
ブリミル教会が説いてきた偽善的な教えは、この新しい真理にすぐ塗り替えられる。悪はことごとく滅び、罪は赦される。
世界は一つとなり、千年、いや未来永劫に渡って、神とメシアの支配による繁栄が続く。時は止まり、歴史は終焉を迎えるのだ!
シエスタは狂おしいほどの歓喜のあまり、思わず叫んだ。
「ああ、メシア! 戦いは、世界革命はこれからです!
この輝かしい勝利の福音を世界中に告げ知らせ、誰もが成し得なかった地上天国を完成させましょう!」
だが、凶弾が背後から、ルイズ・フランソワーズの胸を貫く。
その血が噴き出すより早く、松下一郎の心臓に『魔弾』が命中し、貫通する。
そしてもちろん、彼を抱きかかえていた第二使徒・シエスタの胸をも。
「………え」
「………う」
「………!」
三人は同時に倒れ、丘の下の谷間にまだ開いていた『送還の門』へと崩れ落ちる。
事態を一瞬で理解したシエスタの、呪わしい断末魔の絶叫が、最期に響いた。
「神よ、神よ、何故我を見捨てたもうた!!」
その声を残して、三人は何処とも知れない奈落の底へと堕ちていった……!
残された『千年王国』軍団に、空から鉄の雨が降り注ぐ。
ゲルマニア軍の艦隊からの機銃掃射だ。やがて焼夷弾や爆弾も次々と落下し、一木一草も残さず焼き払われる。
さてその頃、スカボローにいるトリステイン軍の総司令部は、焦りに焦っていた。
フネはある、あるにはあるが、ありったけの風石をかき集めても、ぎりぎり本国へ戻るには足りない。
このまま出港しては海に落下してしまう。小型船で総司令部だけ出発しようとしたが、それを知った兵士たちが暴動を起こす。
そこへ、見覚えのある十数隻の艦隊が港の外の空中に現れた。旗は青字に白百合、トリステイン王国の旗だ。
「おお、あれは我がトリステインの軍艦だ! ロサイスから脱出して、生き残っていたか!」
「そうだ、もう助けが来るころだと思っていた! 万歳、始祖ブリミル万歳!!」
「これで帰れるぞ! アンリエッタ女王陛下万歳!!」
「おーい、ここだ! ここだ! 助けてくれーっ!」
しかし、するするとトリステインの旗は降ろされ、代わってアルビオン共和国の三色旗と帝政ゲルマニア国旗、
それに『鉤十字(ハーケンクロイツ)』の旗が掲げられる。将軍や兵士たちの表情が、凍りついた。
数十隻に増えた艦隊は揃って横腹を向けると、火砲の口を港に向けて、一斉に砲弾を放った。
(つづく)
526 :
松下:2008/03/15(土) 01:30:01 ID:sPxitnLI
投下終了。かなりやりすぎました。
そろそろキリストの受難節であり、カエサル暗殺は今日ですな。
次回で第二部のエピローグ、復活の第三部はアニメが始まる頃に予定します。
さすがにそろそろ、避難所に移りましょうかねえ。
では、また。
乙であります。
なんという燃え上がる大規模魔法…!
そして魔弾と聞いてリップヴァーン・ウィンクル中尉が出てきてしました
松下の人、乙です。
感想タイム挟んで、2時から投下させて頂きます。
支援
では、投下開始。
その夜。
ルイズの部屋は、奇妙な沈黙に包まれていた。
いや、静かなのはいつものことだ、とムスタディオは思う。
思えば夜にこの部屋で会話らしい会話をしたのは、自分が目を覚ましたその日と装備品をコルベールから返却された時くらいだ。そのどちらも半ば口論だった。
それを鑑みると落ち着いているのは良いことだとすら思う。思うが。
何故だか、今日の静けさはいつもと違う意味で息苦しい。
「…………」
ルイズは湯浴みから帰って来てというもの、ずっと机にかじりついている。手元には教科書やノートを広げている。
話を聞くとここ数日ろくに勉強や体調管理をしていなかったらしく、湯浴みも三日ぶりだったらしい。恥ずかしそうに「……今日から色々しっかりしなくちゃいけないわ」と言っていたが、その割にペンを持つ手は小一時間動いていない。
たまに鏡や時間を見るために視線を机から逸らすが、ムスタディオの方もちらちら見ている、というかそちらが本命なのは明白である。
「……………………」
ムスタディオは黙々とブレイズガンの整備をしている。こちらは完全な手持ち無沙汰だった。
いつもなら簡易に済ませてしまう部分まで念入りに掃除し、動作確認に至っては二十回ほど繰り返している。今なら大抵の急襲には対応できそうである。
彼は彼で、ルイズの視線が気になって何もせずにはいられないのだった。
(……落ち着かない)
今まではお互いがお互いを無視しようとつとめていた。
が、今やお互いに関係のやり直しを意識しているのは明らかなのだ。これまでのように行くはずもない。
しかしかと言って、今度は何をどうすればいいのやら見当がつかないのだった。
「……ねえ」
と、その時ルイズが声をかけてきた。ムスタディオは焦る。
「どうしましたか? ヴァリエール様」
馬鹿丁寧な口調。これじゃ身構えてるのまる分かりだ、と自分に呆れてしまう。
「そろそろ寝ない?」
しかしルイズの声も硬かった。考えた台詞をそのまま口にしてるような印象である。
「そ、そうですね」
それきり、沈黙が降りる。
なんだ、オレは何かまずい返事をしたのかと混乱していると、
「……着替えるから、外に出ていてちょうだい」
ちなみに今までそんなことを言われたことはない。
ルイズが着替えている間、ムスタディオは大抵後ろを向いていた。
「どうしたもんかなあ……」
廊下の冷たい空気にさらされながら、ムスタディオは腕を組む。良い考えは出てくる由もない。
今までの経験に参考を求めるが、そもそもあそこまでこじれた人間関係を修復しようとしたことがムスタディオにはないことに思い当たる。
ゴーグで働いていた時は気の合う機工士達は自然と派閥のようなものを作り上げていた。なのでそこまで大きないさかいはそうそうなかったし、ラムザやアグリアス達仲間は皆好い奴ばかりだった。
戦いの最中、対立した人間というのは沢山居たが――彼らの大半とは、殺し合いになってしまっていた。
彼らを必死になって説得しようとしていた、ラムザの姿を思い出す。
「……あー、くそ」
ばちん、と両の頬を叩く。
ラムザは常に自分が出来ること、すべきことを必死になって考えていた。
あの戦いの中、自分は手足であろうと心がけていた――しかし今思えば、それは次善ではあったが最良だったのか。
(できることは……たくさんあるはずだ)
そんな風に自分を鼓舞するムスタディオだったが、いつまで経っても部屋に入る了承が出ないことに首をかしげた。
「ヴァリエール様、もういいかい? 外は寒いし、入りますよ」
ノックして入室すると、寝間着をまとったルイズが一点を見つめたまま突っ立っていた。
視線の先を辿ると――部屋の隅に積み上げられた藁の束に行き着く。
「ねえ、ムスタディオ、ちょっとこっちに来て」
ルイズがベッドの脇で手招きをする。何か思いつめたような顔をしている。悪い予感がムスタディオの中でむくむく育つ。
ルイズの傍らへとおっかなびっくり行くと、彼女は何も言わずベッドに寝転がった。
そして、こちらを上目遣いに見上げて一言。
「……あんた、今日からベッドで寝ていいわ。藁じゃあんまりよね」
「はい?」
ムスタディオは、ハルケギニアに来て初めて間抜けな声を出してしまった。
さすがに同衾はまずいと思ったムスタディオは藁で寝たが、翌日、ルイズの部屋にはムスタディオ用のベッドが運び込まれることになる。
そしてそれは発端であった。
それからというもの。
ルイズは洗濯に始まり身支度の全てを自分一人でこなし、
食堂に行けばムスタディオの席を用意し(曰く、貴族たる自分の特別な計らい)、
授業中は自由時間にしていいと言い出し、どころかミスタ・コルベールのところへ行って来なさいよさっさと急ぐ! と尻を叩いてくる。
とにかくあまりの対応の代わり映えに、それを望んでいたとはいえ、ムスタディオは少しうろたえてしまうのだった。
「ブレイブストーリー/ゼロ」-13
◇
支援
「い、いや……さすがに床を一緒にするのはまずいんじゃないか。ヴァリエール様は、ほら、嫁入り前だし」
ムスタディオが帰って来た夜。
ルイズはベッドの中で一人身悶えしていた。
ムスタディオの苦笑いを思い出すと、恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
けどどうにも耐えられなかったのだ。
彼だけよりにもよって藁で寝ていること、それがもの凄い罪悪感となって頭を直撃した。これまでも悪いことはしていると感じてはいたのだが、素直でない性格が使い魔だからあれで当然なのよとかやけくそにさせていた。
「……うぅ、ううう」
顔を押さえながら唸る。
何故よりによってあんなことを口走ってしまったのか。
何よ、せっかくのご主人様の申し出を断って。何よあの生ぬるい苦笑は。優しくしてほしそうだったからしてあげたのに何なのよとか八つ当たり気味に考えながら、枕を抱きしめてベッドの上を転がるが、
「ヴァリエール様、大丈夫かい?」
そこでムスタディオの声が聞こえて飛び上がりそうになった。
「な、なによ」
「いや、何だかうなされてるみたいだったから。お腹でも痛いんですか?」
少し高めの、成人男性の声だった。ムスタディオはやや童顔のため、暗闇の中で声だけ聞くとギャップを感じる。
案じるようなその口調に、ルイズは彼にある何か大人びた部分を意識せざるを得ず、やや困惑してしまう。
「……なんでもない。ちょっと考え事してただけだから、気にしなくていいわ」
「そうですか」
しばらくルイズは息をひそめていた。会話はそれで終わったようだった。別段ムスタディオが気を悪くした雰囲気はない。息をつき、ころんと体の向きを変えて窓の外を眺める。
空は晴れ、満点の星と二つの月が見えた。
自分にとっては当たり前の、しかしムスタディオは驚いた双月。
何故彼は驚いたのだろう、と枕に顔をうずめながら考える。
以前は、気がおかしいのかもしれないとか結論付けていた。
キュルケの言葉を思い出す。彼の言動を全部は信じられないけど、あの必死な語りかけを無視するのは忍びない、とかそういう内容だった気がする。
ムスタディオは、何を思って様々な行動に出たのだろうか。
そこでルイズは、自分がムスタディオのことを何も知らないことに改めて気付いた。
(……うん、決めたわ)
枕を頭の下に戻す。
明日から、それとなくムスタディオのことを観察してみよう、と思った。
今までみたいに出る杭を打つような監視ではない。
ムスタディオのためにしてあげられることがないか探すのだ。
そして、彼の行動の裏にあるものを覗いてみよう。
◇
そうして一週間が経過した。
ムスタディオは最初、何をするにもまずルイズに伺いを立てに来たが、ルイズは顔色を窺われているようで逆に嫌だったので、「やっていいことといけないことは自己判断に任せるわ」と言ってしまった。
彼は驚いたようにしていたが、気持ちの良い笑みを見せてくれた。
そんな表情されたのは、初めてだった。
そして自由になったであろうムスタディオを観察することにする。
一週間毎日それとなく、あくまでルイズとしてはそれとなく観察を続けた結果、ムスタディオは三日目辺りから大体毎日やることが決まって来ていることに気付く。
朝、ルイズを起こして身支度を手伝う。といっても水汲みや衣服の用意だけである。これはルイズの方から言い出した。自分でも出来ることを彼にやらせることに、何かもやもやとした抵抗があったのだ。
朝食の場にムスタディオの席を用意してあげたのも、似たような理由だった。何がどう、という具体的な部分が自分でもよく分からなかったが。
そうして授業の時間になると、ルイズはムスタディオをコルベールの元へ向かわせることにしている。授業中傍にいさせてもよかったが、彼は技術者だったという。その手の話でコルベールと盛り上がっていた。
コルベールは少々生徒からの評価が低いものの、それでも教師であることには違いない。何よりムスタディオに興味を示している。
自分が勉学に励んでいる間、ムスタディオにも能力の研鑽に励んで欲しいと思った。
予想通り、ムスタディオはコルベールと機工学という技術についての議論を交わし、大いに充実しているらしい。話によれば、コルベールの研究室(とは名ばかりの掘っ立て小屋)の一角に工房としてのスペースを作ってもらえるとか。
とはいえ、コルベールはいつでも彼の研究室にいるわけではない。
コルベールが授業に出ている間、ムスタディオは何をしているのだろう――そう思ってある日後をついて行ってみると、彼は部屋に戻らず、厨房に入っていった。
「あ、ムスタさんこんにちは!」
「やあシエスタ、それにマルトーさん」
「……よお、ムスタ。今日も来やがったか!」
「そんなに邪険にしなくてもいいじゃないか。オレは貴族じゃないよ」
「魔法を使えるってんなら、おんなじことじゃねえのか?」
「マルトーさん! またそんなことばっかり言って! お手伝いに来てくれたムスタさんに失礼じゃないですか!」
「だれも手伝いに来いなんて言ってないぜ。こいつが勝手に来てるだけだ」
「そうそう、オレが好きで勝手にやってるだけなんだから、シエスタもマルトーさんも気にしないでいいさ」
「……好きにしな」
以上は物陰から窺った会話である。
コック長は気難しそうにムスタディオを睨んでいたが、それでもムスタディオを受け入れている風であった。
シエスタとムスタディオがやけに仲良さげにしている。というか「ムスタ」って何なのよと思う。いつの間に愛称で呼ぶような仲になったのか。
学院から居なくなっていた間に何かあったのよ、とシエスタに問い詰めてみたが、にっこり笑顔で
「秘密です。いかにミス・ヴァリエールであろうとも、お教え出来ないことがございますわ」
と慇懃無礼にあしらわれてしまった。
支援
それが、授業中の話である。
放課後になると、ムスタディオはコルベールと一緒に小屋の傍で何かやっている。
最初は子供だましみたいな機械を炎の魔法で動かしていた(可愛らしい蛇がぴょこぴょこ顔を出し入れする)が、翌日にはそれは風車を自律回転させており、五日目には井戸の水汲みを自動で行なう機械が出来上がっていた。
これには驚いた。燃料効率の問題で実用には程遠いとか何とか専門的なことを二人は話しこんでいたが、ティーセットを持って遊びに来たシエスタがいたく感動していた。
「はぁい、ムスタ。今日も精が出るわねぇ。男の浪漫って素敵ね」
「……こんにちは」
「ああ、こんにちは。ツェルプストー様にタバサ様じゃないですか。今日はまた、どうしたんだい?」
「いやあね、ムスタ。キュルケって呼んでって言ってるじゃない?」
「いや……そりゃツェルプストー様は……」
「あん、あたしは身分の差なんて気にしないって言ってるでしょ〜」
「うわあ!?」
そこに、たまにキュルケがタバサとか言う小さな子を連れてちょっかいを出しに来る。
ここでもまた「ムスタ」である。いつの間に皆と打ち解けたのだろうかと思ってしまう。これにシエスタが揃うと、皆で和やかにお茶会を始めてしまうのである。
他にも、シエスタ繋がりで使用人達とも仲がよいようだ。
ムスタディオの学院への根の下ろし方は、ルイズからすればどこか異常なくらい迅速であった。それは色々な要因が重なった結果だったのだが、事情を半分くらいしか知っていないルイズには分かり得ないことであった。
……何か、面白くないと感じてしまう自分がいた。
彼ら彼女らはあんなにムスタディオと容易く会話している。
今までルイズが見たこともない表情をムスタディオから次々引き出していく。
自分は彼に気後れしてしまい、放課後の集まりに混じることすら出来ていないのに。
ムスタディオと過ごす夜も、未だに変なわだかまりがあって、うまく会話できずにいた。
しかし、それらのストレスを態度に出すのをルイズは我慢した。
それじゃ今までと変わらない、と思ったからだった。
――彼女はサモン・サーヴァントを成功させてからというもの、色々と考え込む癖が出来ていた。
奇しくも、使い魔であるムスタディオと同様に。
何が気に食わないのか。
それを解消するためにはどうすればいいのか。
ルイズはその二点を考えた。思考の袋小路に行き詰ると、悔しいけどキュルケの言葉を思い出した。手段を選んじゃいけない。
自分はムスタディオと和解して、良い主従関係を築きたいのだと思う。
そのためには何をすればいいのだろうか。
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。
お疲れ様です
ルイズの意地っ張りな部分が出て
見てる方としてはじつのごちそうさまです。
しかしここのところ皆さんレベルが高くなっていますね。
召喚した側/された側双方の成長が描かれているのは素晴らしい。
自分も何とか続きを書かないとorz
このルイズはいつ暗黒面に落ちるのかハラハラしてしまうなw
前歴というか今までがアレだったから特にw
さざなみ寮の人、乙です。
あぁ、もうたまらんね。底抜けに人がいいから
彼女らの人間関係のこじれ解消がすごく、いい。
542 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:39:25 ID:OmHUvHu5
45分より短編投下行きます
543 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:42:44 ID:OmHUvHu5
――――どんなときでも、あなたは一人じゃないよ
春の使い魔召喚でルイズが召喚がしたのは岩に刺さった一本の剣と、一人の娘であった。
剣と契約など冗談ではない、そう思ったルイズは娘と契約しようとしその姿に息を呑む。
娘は美しかった、これがただ顔形が整っているだけならルイズはけしてコントラクト・サーヴァントを途中で踏みとどまったりはしなかっただろう。
実際、娘の服装や容貌自体はこれと言って珍しいものではない。
あえて言うなら長く伸ばして二つに束ねた青みがかった黒髪くらいのものだろう、だがそれ以外は至って普通。
着ている白と紫の服も、革の手袋と靴も、頭を飾る赤いカチューシャと揃いの硝子の髪飾りも。
その気になれば平民でも手に入れることが出来るだろう品だった。
だが娘は美しいのだ。
何処にでもいる普通の娘、なのに何故こんなに心を揺さぶられるのか……そう考えてはたとルイズは気づく。
雰囲気だ。
娘が纏う雰囲気が平凡なものだけで構成された娘の姿をまるで剣のように研ぎ澄ましている。
荘厳な儀式に望む聖女のような、戦場を駆ける戦士のような、そしてどこにでもいる普通の娘のような。
そんな相反する印象が、しかし互いに背信を行う事無く重なり合い、娘を包んでいた。
娘纏う雰囲気がこれまで出会ったことのないものであったからこそ、ルイズは思わず気後れしてしまったのだ。
「貴女は、一体……」
その言葉に、まるで信じられない天変地異が起こったかのように稚気を色濃く残す瞳できょろきょろと周囲の状況を伺っていた娘はルイズを認め。
「えっと、あの、此処、何処……?」
これまでの雰囲気をぶち壊すような、実に頼りない言葉を放った。
544 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:44:06 ID:OmHUvHu5
――――抱きしめてた痛み零れ落ちた瞬間に
――――優しさ束ね嵐の中へ駆け出す
「使い魔の契約?」
「ええ、君には申し訳ないのですが使い魔が死ぬまで契約は解除できないのですが」
「ごめんなさい、貴女が貴族ともっと早く知っていたら……」
「いいわ、退屈してたし。それに……」
わたしはもう死んでいるもの。
続けようとしたその言葉は口からは出てこなかった。
娘は思う、死んだはずの自分が何故生身の肉体を持って呼び出されたのか?
しかも――
見つめた先には紫の光を放つ剣。
かつて自分が使ったこの剣も岩に刺さった状態で呼ばれるなんて……
娘は咽喉奥までせりあがってきた一つの回答を飲み込むと、ルイズに付いて歩き出した。
せいぜいやりたかったこと、やりたくても出来なかった沢山の事をやろうと思った。
そして勿論彼女が思ったのなら、それが即現実にならない筈がない。
さし当たってはまず自己紹介から。そう言って手を差し出した娘に向かって、ルイズもおずおずと言った感じで手を差し出す。
「アナスタシア・ルン・ヴァレリアです」
「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。これからよろしくお願いね」
至極自然に実の姉にするような口調が漏れたことに一番驚いたのは他ならぬルイズ自身だった。
もっとももこんな驚きなど序の口であったと、後にルイズはさんざ思い知ることになる。
「ギーシュくん、モンモンちゃんとはどれくらい進んでるのかなー?」
「は、はは。何を言っているのかな、ぼくとモンモランシーがそんな……」
「おうおう照れちゃって、愛い奴じゃのぉ。お姉さん可愛がってあげたくなっちゃう」
これまで眺めてるだけだった人の恋路に横槍を入れてみたり。
「やっぱりね、ルイズちゃんにはこの“ふりふりレース”が似合うと思うの!」
「甘いわね、ここはルイズのコケティッシュな魅力を最大限引き立たせる“小悪魔ビスチェ”よ!」
「着ぐるみ」
「え、俺の出番これだけ?」
ルイズを使ってウインドゥショッピングとしゃれ込んでみたり。
「そりゃあお姉さんだってHなことくらい考えるわよ!」
「そうよそうよ、なんであそこで露骨にモーションかけてるのに他の女に靡くのよギーシュの奴……」
「いいじゃない、別に恥ずかしいことじゃないわ」
「あんたたちこんな時間に人の部屋で何やってんのよ! ああもぅ洪水のモンモランシーや脳みそ十八禁なツェルプストーまで連れ込んで……」
友人と酒盛りに高じて長年の無聊を慰めてみたり。
けれどそんな時間はあっと言う間に過ぎてしまうのだけれども……
545 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:45:21 ID:OmHUvHu5
――――約束して此処へ帰ると
――――果てしなく遠くへ行っても
「ねぇルイズちゃん、もしこの国が戦争に巻き込まれたら貴女はどうするの?」
噂程度に漏れ聞こえてくるアルビオンのレコンキスタ、トリステインを覆う暗雲は隠しようもない。
そのことにアナスタシアは凄く悲しい気持ちになっていた、何故わざわざ人と人とが争わねばならないのか? わざわざ互いに殺しあわなくても滅びの種などあちらこちらに転がっていると言うのに……
「勿論、戦うわ。姫殿下に忠誠を誓い、いざと言う時にはお助けするのが貴族ですもの!」
「戦争に、人を殺す訓練をしていない人が行っても邪魔なだけよ。きっと……」
「それでも私は貴族だもの!」
万感の思いで叫んだルイズに、アナスタシアは一つ嘆息する。
その様はかつて見た<聖女>の末裔として剣を求めた一人の青年の姿を思い起こさせたからだ。
<聖女>の血など何の意味さえないと言うのに……
暗く沈んだアナスタシアの様子に思うところがあるのか、いつも通りきざったらしい仕草で隣に座っていたギーシュは言った。
「そうだね、ぼくも戦場へ馳せ参じることになるだろう。ぼくの父は元帥だし、それに――男と言うのは戦場で武勲を立てて英雄と呼ばれることを夢見るものだからね」
ふふん、と笑ったギーシュに帰ってきたきたのは底冷えするような声だった。
「知ってる?」
「え? な、なな何をだい?」
訳の分からない悪寒に背筋を振るわせたギーシュにアナスタシアは言った。
「『英雄』って言葉は、『生贄』の別の呼び方でしかないってことに」
そう告げるアナスタシアの言葉は、とてもとても悲しそうだった。
546 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:46:16 ID:OmHUvHu5
――――どんなときでもあなたは一人じゃないよ
――――繋いだ手は離さない
「結局、こうなっちゃったか……」
今、アナスタシアの目の前には雲霞の如く押し寄せるレコンキスタの軍勢があった。
正直言って恐い、震えが止まらない、出来ることなら投げ出してしまいたいとも思う。
だってそれは当たり前だ、アナスタシアは本当はどこにでもいるただの娘なのだから。
お洒落だってしたいし、恋もしたい、友達だってもっとたくさん作りたい、もっともっとみんなと一緒に生きていたい!
だがそれは出来ない話だ、ここで逃げればルイズが死ぬ。
自分に再び生きる喜びをくれた、真面目で不器用でそして本当はとても優しい少女が死んでしまう。
それだけではない、ギーシュもモンモランシーもキュルケもタバサもシエスタもコルベールだって死んでしまうかもしれない。
いや美人だからとおまけしてくれた肉屋のおじさんや、よく行く屋台のおばさん、そしてこれから友達になれたかもしれない見知らぬ誰かも殺されてしまうかもしれない。
「まったく相棒は損な性分だねぇ」
「分かってるわ、分かってるから黙ってて、頭痛くなってくるもの」
そう言ってアナスタシアはもう一人の相棒に向かって振り返った。
「ごめんね、あなたまで付き合わせちゃって……」
その言葉に“彼”は何を馬鹿なことをとばかりに空に輝く二つの月に高く高く吼えた、故郷と変わらぬ空は絶好の戦日和だと。
アナスタシアの言葉を待たず、ただ独りきりで敵陣へ向かって飛び込んでいく。
「まったくしょうがないなぁ」
不器用なくせに、こんな時までわたしのことを元気付けようとするんだから……
「それじゃあ行こうか、相棒」
「ええ、デルフリンガー」
そう言って、アナスタシアは運命の一歩を踏み出した。
空には彼女が死んだの世界と同じように、二つの月が煌々と輝いていた。
547 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:46:45 ID:OmHUvHu5
――――信じてるあの日の絆
――――強い想いが
「私の、せいだ……」
アナスタシアはただ一人戦場へ行った。
「私のせいで、アナスタシアは……」
生きて帰れるはずがない。
そしてそれはアナスタシアの制止を押し切って戦争へ行こうと言った私のせいだ。
私が、アナスタシアを殺したんだ!
「私は、私は!」
その時、ふと誰かの呼ばれた気がして私は背後を振り返った。
そこにはいつもアナスタシアが大事にしていた岩に刺さった一本の剣がある。
私は操られるようにその柄に手を伸ばし、そして……
「ああああああああああああああああ!」
その剣の名はアガートラーム。
伝説の、銀の腕。
未来を司るガーディアンの失われた左手を鍛えて作り上げられた聖剣である。
その力は……
――――同じ夢を探し続けてる……
アナスタシアは満身創痍だった、体中は傷だらけで足元はおぼつかず、デルフリンガーを杖代わりに荒く息を吐く。
その姿はとてもフォルガイアから焔の災厄を退けた聖女のようには思えないが、しかしそれも無理もない。
もともと彼女は戦うべき人ではなかった、ただ『生』に対する欲望が誰よりも強いと言うだけの、何処にでもいるごく普通の少女だったのだから。
或いは此処に彼の聖剣を持ち込んでいれば結果は変わっていただろう。
だがアナスタシアには出来なかった、かつて人の負の想念を食らい無限の力を得る怪物すら対等に戦った力を、彼女は同胞である“人間”に使う気にはどうしてもならなかったのである。
実際、これほど圧倒的な相手を前にしてアナスタシアは一人として死なせてはいなかった――もう一度<英雄>になるには<剣の聖女>はあまりにも優しすぎる。
だがそれ故に現在の窮地がある、血を流しすぎて視界すらぼやけてきた。朦朧とする頭でアナスタシアは考える。
――この状態で死んだら一体わたしはどうなるのだろう?
もう一度あの何もない事象地平の狭間の世界に戻るのだろうか? それとも今度こそ跡形もなく消え去ってしまうのだろうか?
前者も困るが後者も困る、まだまだ生きたい、大切な人達と笑いあいたいのに……
マリアベルと一緒に笑いあいたい、ルシエドをもっともふもふしてあげたい、アシュレーとマリナちゃんのバカップルぷりも気になる、ティムとコレットちゃんの初々しいのも捨てがたいし……
そして何よりルイズだ。
「やっぱり、わたしが死んだら怒るよね」
『アナスタシア!』
「そうよね、黙って出てきちゃったし……」
『アナスタシア!!』
「――幻聴まで聞こえてきたみたい」
『アナスタシアーーー!!!』
548 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:47:59 ID:OmHUvHu5
――――どんなときでも、あなたは一人じゃないよ
自分の胸に飛び込んで来たルイズを抱きしめると、アナスタシアは目を白黒させる。
直接心に流れ込んでくる声、これは……
「ど、どうしたのルイズちゃん!?」
『あんた、<英雄>は<生贄>の別名だって』
にやりと、悪戯を企む子供みたいな顔でルイズは笑う。
『見せてあげるわ、あんたの常識をひっくり返す荒唐無稽な<英雄>の姿!』
掲げた剣が銀の光を放ち――
これが、後に<トリステインの奇跡>と呼ばれる誰一人死なない戦争の幕開けであった。
――Fin――
549 :
銀の左手:2008/03/15(土) 04:50:21 ID:OmHUvHu5
以上です。
元ネタは「ワイルドアームズセカンドイグニッション」より
剣の聖女「アナスタシア・ルン・ヴァレリア」です。
GJ!
GJ!
個人的には、アナスタシアと一緒にルシエドも登場して貰いたかったw
遅レスですがパナソニック氏乙でした。
う〜ん、虚乳さんの動向あたりが鍵でしょうか?
そういえばティファはもし千年王国に加入するとしたら第なん使徒になるんでしょうねえ?
大軟使徒……大きくて、軟らかい、使徒 という言葉が思い浮かんだ。
すみません、投下しちゃって良いですか?
失敬。なんか以前の名前が残ってました。
どうぞー
GJ!
エッチなお姉さん寝てる間にキテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!
支援支援
いや、今回は違う作品なんですけどねw
「委員長は承認せず!」より隠野玖郎召喚。
ちょっとマイナーすぎるかもしれませんが、お付き合いください。
トリステインの平民ならば、当然知っているだろう!
巷を騒がす“あの噂”ッ!
魔力の限り好き勝手! ふんぞり返った貴族が今や、揃って肝を冷やしていると!
……『土くれ』のフーケ?
そうそうまさにその通り! メイジ崩れの盗賊に、貴族の宝が大ピンチ! 愉快痛快我らの土くれっ!
しかし! しかしだ諸君っ!
その噂には続きがあるのだっ!
悪逆非道の貴族の屋敷! 抜き足差し足忍び足! 侵入を果たす謎の人影……ッ!
始祖をも恐れぬ悪行の確かな証拠を握り締め、寝ぼけ眼の貴族に向かい胸のすくような啖呵を一つ!
「狂った王国を監査するッ!」
君は見たかっ!? 月光を背に堂々たる、其はイーヴァルディの勇者の再来ッ!
しかしてその姿はあまりに異様!
黒蝿のような奇怪なマスク! 腹に巻きたるレザーメイル!
亜人だ! 魔人だ! 怪人だ! いや、違う!
「かっ、カンサーだ! 仮面カンサーが現れた!」
惰弱な貴族がその名を呼べば、悲鳴となって双月の夜に響くよりなし!
モット伯爵! 『波濤』の二つ名を持つトライアングルメイジ! 平民の娘を強引に召し上げて手篭めにしていた好色貴族!
手近な衛兵に召集を掛けるのが、臆病者の精一杯!
すると、出るわ、出るわ。槍だの剣だので完全武装した、衛兵、衛兵、また衛兵っ!
その数、総勢十余人。
たった一人の“賊”を相手に、形振り構わぬこの醜態っ! もはやそこには誇り高きメイジの姿など影もなし!
己の勝利を確信し下卑た嗤いのモット伯。絶対絶命の状況に、仮面カンサーは少しも動じず。
それもそのはず。
伏兵潜むは窓の外! 月光遮る動く山! 豪奢な寝室に陰を落とすは、体高30メートルに達する巨大な土人形! 凄くデカい! 凄く強い! 凄いゴーレムだッ!
仮面カンサーに味方する、これが噂の『土くれ』のフーケ。
盗賊メイジのあまりの技に、茫然自失のモット伯、戦いの中で戦いを忘れた。烏合の衆の衛兵は皆、恐怖のあまりに微動だに出来ず。
居並ぶ間抜けを見下ろして、ゴーレムの主は厳かに命ず。
「やっておしまい」
豪腕爆砕ッ! 情け容赦なく振るわれた巨人の拳は、まさしく怒れる神の鉄槌!
その一撃で、僅か一撃で勝敗は決した。
後には半壊した屋敷と、全てを失った好色貴族が残るのみ!
悠々と引き揚げていく仮面カンサー、そして『土くれ』のフーケ! ゴーレムの上で戦友を労う二人の姿。その絆よどうか永遠なれ!
やがて、賢明なる女王陛下の処分が下り、平民は自由と平和を取り戻しましたとさ、めでたしめでたし――――
ご主人様は承認せず!
トリステイン王国ッ!
一握りの貴族が大勢の平民を支配する、中世ヨーロッパ風味のファンタジー世界にそのの国はあるっ!
そこでは、ありとあらゆる産業が、貴族だけが使える「魔法」によって支えられているっ! ……「カガク」? 何それおいしい?
魔法こそ力! 魔法こそ全て!
魔法が使える貴族に生まれれば、人生パラダイスッ!
魔法の使えない平民は、一生ヘイコラッ!
もし、身の程知らずにも平民が貴族を本気で怒らせるようなことがあればっ!
「あ、あなた、殺されちゃう……」(※プライバシー保護のため音声は変えてありますッ!)
だから、この世界では貴族は絶対の存在! 平民の力は無力! 平民の力は無益!
それでいいのか諸君っ! 平民はゴミかっ!? 平民は虐げられるだけなのかっ!?
確かにそうかもしれないっ! ――――だがなっ!
「玖郎玖郎、ああもう玖郎ーっ! あいつーっ! ご主人様に無断でどこに行ったのよぉっ!」
隠野 玖郎(かくしの くろう)。
全てはあの日っ!
名門貴族ヴァリエール家の三女、ルイズお嬢様の魔法でヤツがこの地にやって来たあの日! 春の使い魔召喚の儀式っ!
伝説はあそこから始まったのだ!
以上で前編の投下を終了させていただきます。
ありがとうございました。
あ、失礼。抜け落ちがありました。
>>560と
>>561の間に
「――――っていうのが、俺の聞いた事件の顛末だ」
「ふ、ふぅん」
マルトー親父は、ほとんど童心に帰ったようなはしゃぎっぷりだった。トリステイン魔法学院食堂のコック長の意外な一面に驚きながら、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールは居心地悪そうに相槌を打つ。
夜闇に紛れて貴族の豪邸に侵入し、悪行の証拠を白日の下に晒す謎の人物が出没するようになって一ヶ月。世間は彼の噂で持ち切り。特に平民からの人気は絶大だった。
仮面カンサー。
権威の失墜を恐れる貴族の監視の目もあり、平民達も表立って英雄視したりはしない。
しかし、どう考えても使い道に困りそうな彼の決め台詞が無理矢理流用されているのをルイズは何度か聞いたことがあった。
『狂った塩加減を監査するっ!』
『狂った賄いの量を監査するっ!』
『狂ったフライパンの温度を監査、って熱っ!? 熱ぅっ!』
最後のはまずは自分の脳味噌を監査すれば?と思わなくもないが、更に言うならカンサーの活躍を載せた号外は飛ぶように捌けるし、ごっこ遊びで子供達が奪い合うのはカンサーの役だ。
領民への度を越した搾取や暴行、禁呪とされる魔法についての研究、麻薬や偽金など違法な物品の所持、敵国への密通や利益誘導に至るまで、この一ヶ月に仮面カンサーの暴き立てた犯罪は枚挙に暇がない。
「でも、盗賊は盗賊よね」
ルイズとしても腐敗した貴族の振る舞いについて許し難いところもあり、仮面カンサーの活躍について認めているところもないではないのだ。
しかし、やはり彼女は誇り高い貴族だった。仮面カンサーの武勇伝を垂れ流しにしておけるわけがない。悪者になるのは決まって貴族なのだから。
「私が捕まえなくちゃ」
そして、無能――“ゼロ”の汚名を返上してやる!
新たな決意を発展途上の胸に仕舞い込んで、ルイズは厨房を後にする。
今度こそ終了です。
スレ汚しすみません・・・orz
後編はまた後日投下させていただきます
元ネタはしらないけど、ノリがいいなぁw
このノリは見習いたいものだ。
GJ
予約が無いようでしたら5分後くらいを目処に投下開始したいと思っています。
よろしいでしょうか?
よろしくないわけないじゃないか
第5話です。実質第4話な5話です。
「(ゆさゆさ)啓太様、啓太様、起きてください、朝ですよ。」
召喚された翌朝。啓太はともはねに起こされ、ルイズのベッドで目を覚ました。
正確には、罰としてルイズから啓太がとりあげたベッドで目を覚ました。
「おお、おはよう。ともはね。」
部屋の隅では、毛布一枚にくるまれたルイズが寝ている。
それを見ると、またも啓太の良心がとがめたるものの、
「いや、教育教育!」とつぶやいて平常心を保つ。
ようこと契約した直後の傍若無人さは、啓太自身、ようこ、
双方とんでもないものであり、強力な教訓となっているのである。
ここは心を鬼にして主導権を握るしかない。
下手をすればともはねまで奴隷扱いされかねないのだ。
それだけは許容できない。
「マロちん、すまないけどルイズを起こしてやってくれないか?」
ともはねのパーカーのフードからムジナが顔を出すと、
一つうなずいてルイズの方に跳ねていく。
「きょ〜〜〜」とルイズの顔をぺちぺち小さな手で叩いている。
程なくして起きたルイズにごねられながら、啓太達は顔を洗い、
口をゆすいで食堂に向かった。
「ふむ。歯ブラシがないのはちと気持ち悪いな。まあブラシや
絵筆が作れるなら技術的には可能だし。豚の毛を使って…ふむ。」
余談だが啓太はしばらく後に歯ブラシを試作、ブラシ職人と契約して
歯ブラシの製造販売事業を始めるのである。
ルイズは移動の最中も啓太とともはねから質問攻めにあい、
同時に学校生活での決まりごとを教えていく。
これもまたルイズに課された罰の一環なのだ。
「ふむ、こっちの世界に無いものを作って売れば儲かりそうだな。
後は薬草か。高く売れればいいんだが。値段はどうなってんだ、ルイズ?」
「なんでいきなり儲け話になってるの? 生活は面倒見てもらえるし
お小遣いも少しだけどあげる約束よ?」
「下手すれば何十年もこの世界にいることになるかもしれないんだ。
そこまでおんぶに抱っこになる気は無いからな。となれば、
何をするにもまず金である以上、金儲けは自力でするしかない。」
そう、金につられて主導権を握られ、やりたい放題されるような
関係はごめんだ。しばらくは情報収集のためここにいるが、
なるべく早く独立するべきだろう。
となると。
この世界において、魔法技術が一般的である以上、
霊能者としての啓太はごく一般的な能力しかない事になる。
アドバンテージがあるのは、高度な技術知識だ。
それを生かして快適に過ごせるような収入源を確保しなければならない。
できれば、もっていると誤解させているだけの爵位も欲しいところだ。
啓太は歴史が得意であるために、貴族制度のある社会そのものに嫌悪はない。
そのほうが社会がうまく回る発展段階だ、と理解しているのだ。
日本でだって、金持ちや高級官僚は威張ったり権力(金力)
をかさにきて暴虐の限りを尽くしている連中はいる。学歴社会とも言われている。
その一方で権力と金を両方持っていながら立派な人も沢山いる。
結局は個人の性格次第なのだ。それがこの国では貴族という
血筋から来る魔法の才能という確固とした根拠をもった理由で動いているだけだ。
ならばその社会システムの中で快適に暮らせるように努力したほうがいい。
啓太も日本で、大学入学や獣医資格を取ろうとがんばっていた。
それと基本的に変わりは無いのである。
食堂で啓太とともはね(+マロちん)は教師達と食事を取り、
表向きロバ・アル・カイリエから拉致されたまったく系統の違う魔法使い
という事になっているので質問攻めにあった。
「おおざっぱにサハラ砂漠から東に10000キロくらい、
って単位がわからないか。どんな単位系なんです?
ふんふん、なるほど。
ノボル手を抜いたのか革命フランスからメートル原器が流れてきた事にしたのか
おっと、何でもありません。単位系は同じようですねHAHAHAHAHAHAHAHAHHAHA!
魔法の種類は豊富ですよ、陰陽道、シントー、ブッキョー、ブードウ、仙術、
五行、風水・卜占、巫蟲、厭魅・厭勝、エクソシスト。
あまりに種類があってわけがわからないくらいです。俺の国で一般的なのは
ごく一部ですけどね。俺の場合仙術の中で法術に分類されるものです。」
等とテケトーに相手をしていた。教師相手なので多少丁寧だ。
ともはねは、やはりしばらくはなるべく話さない方向で言い含めている。
さらにオールドオスマンとも相談し、基本の基本、読み書きや
礼儀作法、一般常識から教えてもらうことになった。
「とはいえ、いきなりでは準備が整わんからの。今日はミスヴァリエールと
いっしょに授業を受けて見てはどうかね。」
「そうですね。ハルケギニアの授業風景についても知りたいですし。」
「うむ。ならば、今日の昼からはミス・ヴァリエール達と食事をしてもらう。
授業に参加するからにはもう学院の生徒じゃからな。」
「客は終わり、ということですね。よろしくお願いします。」
啓太とともはねは、深々と頭を下げた。
支援
食事後、啓太達は水で口をゆすぎ、ノートを持って教室に入った。
早めに入って、魔法の基本の基本をルイズから習う。
簡単なコモンマジックというものがあり普通の口語で使える。
その上に炎、土、水、風、の4つの系統魔法がありルーン語で使う。
魔法使いにはランクがあり精神力の強さで何個の系統を足せるか決まる。
ドット、ライン、トライアングル、スクウェアと強くなっていく。
同じ系統を足せればより強力になり、別の系統を足せれば応用が広がる。
精神力はランクが上がるにつれて半分の消費で済むようになる。
ランクが上の呪文は消費精神力が倍になる。
ランクが上がるごとに魔法の威力は倍になる。
等など。啓太は、自分が猛省蘭土で学んだ法術知識、ゲーム、文献学習などで
得た知識に適宜変換して理解していく。ともはねも興味深そうだ。
そのうち教師である赤土のシュヴルーズが入ってきて授業と相成った。
本来ならルイズが変な使い魔を呼んだといわれる場面であるが、
今回はマロちんがルイズの肩に乗っている。
「異国のメイジと亜人付きとはいえ召喚が成功したそうですね。おめでとう。」
とほめられるだけである。それでも茶々を入れる奴はいる。
風上のマリコルヌ・ド・グランドプレ(小太り)である。
「ふん、何十回もやってやっとじゃないか。しかも露出狂呼んだって?」
「なんですってえ!?」
「欲求不満でゼロの洗濯板でも相手してくれる奴呼んだんだろ?
その使い魔はついでに呼ばれただけなんだろ、あっはっはっは!」
マリコルヌの使い魔、フクロウのクヴァーシルが肩でホウホウ、
と馬鹿にしたように鳴く。
その暴言を聞き、啓太が援護射撃してやろうかちょっと考えているうちに、
ルイズは行動に移っていた。指差すはマリコルヌの口である。
「マロちん、サイレスお願いね♪」
「む、むむ〜〜〜!? むむ〜〜〜!? むぐぐぐぐ!!」
口を接着され、何もしゃべれなくなったマリコルヌがモガモガうなる。
ならばとルイズに突進して殴りかかろうとするのを見て、さらに一言。
「スネアお願い!」
指差すのはマルコリヌの足元だ。
ズルベタ〜〜ン!
マリコルヌが、盛大に転んだ。
「おほほほほ! マロちん、良くやったわね! あなたは最高の使い魔だわ!」
「きょろきょろきゅ〜〜〜!」
ルイズになでられ、目を細めるムジナ。結構いいコンビだ。
動物扱いは願い下げだが、対等の立場で頭を下げて頼まれるなら、
人に従うのもやぶさかではないという性格なのである。
ルイズは、ウォッカ入りジャムをはさんだクッキーを一つ与える。
ムジナは、満足そうにかりこり齧った。
「うわ、あれってやばい能力持ってるぜ!」「あんな偉そうに!」
「ルイズの癖に生意気だ!」「ちょっと使い魔が使えるからって!」
「ゼロはゼロらしく小さくなってりゃいいものを!」
「露出狂召喚したのに生意気だ!」「そうだ、生意気だ!」
周囲で、ひそひそと囁かれるそれは。
いじめの対象として馬鹿にしていたルイズが、突如として偉ぶる側に回った
事への強力な嫉妬。そして、自分達の優位性を守ろうとする防衛意識。
そんな、暗い想念に満たされたものだった。
授業は進んでいく。
「(前略)今は失われた系統である『虚無』をあわせて、全部で5つの系統が
あることは、皆さんも知ってのとおりです。その五つの系統の中で、
『土』は最も重要なポジションを占めていると私は考えます。
それは、私が土系統だから、というわけではありませんよ。
私の単なる身びいきではありません。」
シュヴルーズは重々しく咳払いをした。
「『土』系統の魔法は、万物の組成をつかさどる、重要な魔法であるのです。
この魔法がなければ、重要な金属を作り出すことも出来ないし、
加工することも出来ません。大きな石を切り出して建物を建てることも
出来なければ、農作物の収穫も、今より手間取ることでしょう。
このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係しているのです。」
それは、今の啓太には聞き捨てならぬ講義だった。
「すいません、先生! 質問いいですか!?」
手を上げ、質問する啓太に、シュヴルーズが答える。
「ロバ・アル・カイリエでの魔法体系はまったく違うものだそうですね。
興味があるのも当然でしょう。どうぞ。」
「金属を作り出すとは、どのような範囲ですか? 作れる金属の種類は、
それ以外の物質でも作れるのですか、純度は、(中略)質量は変わりますか、形の変更は出来ますか(後略)」
「(前略)といったところでいいかしら? 質問全てに答えたら
授業時間が潰れてしまいますからね。後で改めて、ということでよいかしら?」
「あ、そうでしたね。ありがとうございました。」
ぺこりと頭を下げると啓太は座る。その後啓太はかぶりつきで授業に没頭した。
錬金の実技では近くで見せてくれとわざわざ教卓の脇で見学である。
さて、ここで一つ確認せねばならない事がある。
啓太は、ルイズの魔法が失敗ばかりすることは知っていても、
まだ失敗=爆発という迷惑な事実は知らなかった。
そのため、ルイズが錬金をしてみるよう言われたときも、
無防備極まりなくかぶりつきで見ていたのである。
キュルケが、蒼白な顔で止める。
「ルイズ。やめて。」
「やります。」
「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです。」
ルイズが呪文を唱える。前列に近い生徒達がそろって机の下に隠れる。
啓太が怪訝な表情でそちらを見る。
直後に教壇ごと石が爆発し、啓太は吹っ飛ばされた。
赤道斎のマントはダイヤモンドよりも強靭な炭素単分子繊維で編まれており、
針を含めて斬激武器、刺突武器を受け付けない。
さらに反発力場によって高いクッション効果を持っており、なまじな衝撃は
広範囲に分散吸収してしまう。よって鈍器や銃弾も効かない。
熱や冷気、電気、酸にも強い。苦手なのは、啓太の体面積を超える衝撃波である。
拡散しようにも拡散しようがないのだ。衝撃速度そのもんはだいぶ殺せるが、
後方に向けて吹っ飛ばされるのを余儀なくされるのだ。
とにかくそんなわけで啓太は窓に向けて吹っ飛ばされた。
とっさに身をひねって体勢を整えようとする。
赤道斎のマントを着ていなかったら、それは成功してなんの問題もなく
軟着陸できたであろう。しかし。
窓枠にあったカーテンを止める金具。
そこに、吹っ飛ばされた啓太の学生ズボンが引っかかって。
いいかげんがたの着ていたズボンはそれでびりびりと破けながら脱げさって。
さらに、昨夜の騒動で履き替えざるをえなくなった紐パンも脱げてしまって。
啓太は、フリチン状態で窓の外に投げ出された。
「啓太様!?」
ともはねが窓から飛び出し、衝撃で意識が朦朧としている啓太に取りすがる。
大騒ぎになっている教室。その左右の教室からは、当然ながら
なんだなんだと野次馬が顔を出し。
騒いでいるともはねの声に誘われてみるのはフリチンな啓太である。
その後にあらためて使い魔が食われたの怪我をしたのと大騒ぎの教室を見る。
川平啓太。召喚されて24時間も経っていないというのに、
すでに4度目のフリチンであった。
フリチンの呪い乙。支援。
以上です。支援ありがとうございました。
次はいよいよ川平啓太の初戦闘です。
最強クラスの死神“暴力の海”をようこと二人だけで殺し。
3神は一柱とともはねと二人だけでなんとか渡り合える啓太の戦闘です。
次も楽しみにしています。
13:05くらいから投下したいと思うのですがよろしいでしょうか。
支援準備に入ります!
「デスパライア様…なぜ?、なぜ…このような…」
「この者達の話を、もっと聞きたいのだ。」
「プリキュアの戯言などに耳を貸す必要はありません。今や、貴方こそが唯一絶対の存在になるのです!」
「永遠の命を得ても『安らぎ』は得られなかった。世界を『絶望』で覆いつくしても空しいだけではないか…」
「デスパライア様…それでは、これまで私がやってきたことは…無駄だったと!?」
ナイトメアの円形闘技場で、カワリーノは叫んだ。
その足元が鈍く光り、黒い塊が彼を包み込んだ。
「ガ・ワ…リィィィッ…ノォォッ!!」
「お、お前は…ブラッディ!まだ生きて!?うわぁぁぁっ…デ、デスパライア様ぁぁっ…」
黒い仮面によって『絶望』が暴走し混沌と化したブラッディに引き込まれ、『絶望の闇』へと消えたカワリーノ。
その次の瞬間、彼は別の世界にいた…。
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
もう失敗の数も10は数えただろうか…。
周囲に黒煙が立ち込める中、ルイズはようやくその中に動くものを認め、胸を高鳴らせていた。
(5メイルはある…長い尻尾に、あれは角?、やった、ドラゴンだわ!これは大物よ!!)
ルイズがそう思ったのも一瞬だった。
煙が薄れ現れた者、それはスーツ姿の人間だった。
「なんで?今、見えたのドラゴンだったでしょっ!
なんで、『サモン・サーヴァント』でこんな奴が出てくるのよっ!!」
さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ。」
ミスタ・コルベールがそう言うと、生徒達は次々と宙に浮かび、少し離れた石造りの城のような建物に向かって飛んでいった。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ。」
「あいつ、『フライ』はおろか『レビテーション』もつかえないんだぜ。」
「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ。」
口々にそういって笑いながら、生徒達は飛び去っていく。
ルイズはふたりっきりになると、ため息をついた。そして、カワリーノに向かって怒鳴った。
「あんた、何なのよ!さっきの『大きな尻尾を持ったドラゴン』はどうなったのよ?!」
「さて、なんのことやら…、それより、ここはどこか説明していただけませんか。」
「つまり、ここはハルケギニアのトリステイン魔法学院で、私はあなたに召喚されたというわけですね。」
「そうよ。」
「先ほどのキスは『使い魔』としての契約で、私はあなたの下僕になったということですね。」
「そうそう。」
(さて、どうしたものか…)
カワリーノは目の前の少女を見ながら考えをめぐらせた。
(この娘、内面にかなりの『絶望』を抱えている…。上手くやれば、極上の『絶望』が取れそうですね。
さぞや、デスパライア様もお喜びになること……いや…、もうナイトメアに私の居場所は…)
「ちょっと、なにボ〜っとしてんのよ!早く行かないと、次の授業が始まっちゃうわ。」
「あそこの建物まで行けばよろしいのですか?」
「そうよ、だから急ぐわよ。」
「では…」
カワリーノが、ルイズに向かって手を突き出した次の瞬間、ふたりは建物の入口前にいた。
「な、なに?なんで学院塔の前にいるの?」
「『急いでいる』とのことでしたので、私がお運び申し上げました。」
「あ、あんた…何者?」
「あなたの使い魔の平民ですよ、ルイズお嬢様。」
(どうせ、戻るところのない身です…。この『絶望』をたたえた少女につきあってみるのも一興でしょう。)
カワリーノは深々と頭を下げた。
支援
今回はこれだけです。
短いですが前日談ということで、宜しくお願いします。
第5話は、今日の夜にはUPできると思います。
乙でした〜
召喚シーンはこんな感じだったのですな
プリキュアとは期待せざるを得ない。乙!
昨日投下したものを、できればwikiに登録してください。
お願いします。
>>588 甘えるんじゃないよ
そういうのは自分の手でやるもんだってドーラおばさんが言ってた
>>589 わかりました。
とりあえず、頑張ってみます。
カンサーの人GJ!!!
俺もあれは大好きだ!まさかファンディスクのダブルカンサーネタとかもやるのかwww
主に裏切られた男と、努力に裏切られ続けた女。
この出会いは彼らに希望をもたらすのか?乞うご期待!
カワリーノさんを平民呼ばわりするってことは、ナイトメア他の力は魔力とは別系統ってことになるのか。
ディスペルでもコワイナー化を解除できないとしたら誰もカワリーノさんに対抗できないな。
ドロップ、ジェミニ、ファイア
誰もやってくれんってことは、そんだけの価値しかねーって事を理解しとけ。
>>588
>>593 コワイナー仮面は便利な装置だよね。
ラ・ロシェールの酒場戦でもあれをギーシュのワルキューレのどれかひとつにでも付けてあげれば
フーケのゴーレムにも匹敵する戦力になると思う。
いい虚無だ…ブリミル…
いいか…ブリミル…
ハルケギニアに帰る時には、女性をたくさん連れて帰るんだ…
いずれ、一人のツンデレは100万の来訪者を生む…
これを忘れるんじゃないぞ…
>>459 迂遠な能力の持ち主を召喚する話って難しいんだろうね。
ビンクもそうだし、最近では涼宮ハルヒとかもちゃんと描くのは難しかろう。
『グラン・ローヴァ物語』を最近読み返したところでサイアム召喚とか考えたけど、
触れた者に銀晶球の力をばらまくあの能力をきちんと描くのは大変そうだ。
強いか弱いかだけで言ったら始祖ブリミル並にチートな能力のはずなんだが。
>>599 いっそ、グラン・ローヴァのじーさんを召喚してみては。
…話が進めずらいのは、一緒か。
いっそイリューシア(もちろん本体込み)を召喚してやれ。きっとルイズも喜ぶ。
デルフィニアのリィ召喚したら平民貴族の辺りでどっか行っちゃいそうだとふと思った
あの世界は名だたる大貴族が王様がそこらの流浪の少女を養女にするのを止めないからなぁ
でも、ルゥなら「へぇ、そうなの」って適当に応じそう
条件は帰る手段ってあたりで。
あーあの人ならありそうだw
ウォルとかナシアスなら帰る手段見付かるまではおとなしくしてるんだろうな。
ウォルはすまなそうに国王だから永住できないし、仕事もあるからなるべく
早く帰してくれって苦笑しながらいいそうだ。
レットは……楽しんじゃいそうだな。
606 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/15(土) 19:30:34 ID:aHeCiv8h
職場でコッソリガンダムSEEDからキラ受けアスラン責めの作品を書きためました。↑(^^_)ルン♪
ルイズやキュルケは輪姦され(゚ε゜;)殺されます。
ギーシュはちょっと活躍するかも(*^_^*)
10分後に投下しますね(^_^)v
良識の無い腐女子は死ねよ
そんなクサレは来るな!
―――黙って、投下しよう、な?
内容がダメならダメで無視するだけだ。
age荒らしにする支援無し
レスは罵倒以外期待できないものと知れ
なんで釣られる。
これはよく伸びた猫ですね。
20:00から、第5話および第6話を投入します。
今回はシリアスですよ…
支援支援
「仮面をつけるときは、かならず、先に『迷い』と『後悔』を相手の心に植えつけておけ、それは、相手の中で『絶望』に変わり『仮面』の効果を何倍にもしてくれる。」
「はい、ブラッディさん。」
(なぜ、こんなことを思い出しているんだろう…)
カワリーノはナイトメアに参加したばかりの自分を思い出していた。
(なぜ、私はこんなにも動揺しているのだろう…)
昨日の出撃の後、カワリーノは感じたことのない感情を覚えていた。
連合軍のロサイス上陸にあたり、「虚無」のイリュージョンで陽動をかける。
竜騎士の背を借り、ルイズとカワリーノはダーダネルス近郊まで敵軍を突破することになった。
カワリーノは『転移』を使えることを隠していた。
ひとつは、ルイズの『虚無』と同じで、不用意に教えることによる危険を避けるためであった。
『転移』と『虚無』でヒットアンドアウェイを組めば、ほぼ完璧な奇襲をかけることができる。
だが、それは同時に、将軍達に便利に使われて、ルイズが危険に晒される可能性も増えることになる。
結果的に、作戦は成功したものの、竜騎士隊はルイズ達の乗る1騎を除いて全滅…
第2竜騎士中隊は、彼らを守るために1騎、また1騎と撃墜されていった…。
目的を果たすための必要な犠牲だった…。
確かに竜騎士は貴重だが、敵前上陸で発生するであろう損害に比べたら小さな犠牲であった。
だが、それを目の当たりにしたカワリーノは確かに動揺していた…。
ナイトメアでは、彼は目的のために部下を使い捨てていた。
そして、目的を果たした時…彼自身がデスパライアに捨てられた…。
ナイトメアへの忠誠を見せると、震える手で『黒い仮面』を使ったギリンマ。
一度はコレットを奪ったものの、プリキュアへの対抗心から『黒い仮面』を使ったアラクネア。
自分で仕事を探しながらも、幹部になれるという誘惑に抗えず、『黒い仮面』を使ったガマオ。
彼らは、何の目的のために死んでいったのだろう?
私は、一体なんのために『黒い仮面』を渡したのだろう?
デスパライア様が望んでいなかったのなら…なぜ、あんなことをしてしまったのだろう…
そんな想いが、カワリーノの中で渦巻いていた。
ルイズは、そんなカワリーノの姿を見ながら、違和感を覚えていた。
いつも笑っているだけで、何を考えているのかわからない彼が、妙にそわそわしている。
ルイズはカワリーノの後ろに背中合わせに座り、声をかけた。
「元気、だしてよ…」
「私は、いつもとかわりませんよ。」
「ううん、無理してるのがわかる。でも、仕方ないよね。あんなことがあったんだもの。いくら、任務のためとはいえ…」
ルイズはつまりながらも言葉を続けた。
「死は哀しいけれど…、その、名誉の戦死よ。名誉の…。彼らは偉大な勝利のために死んだの。」
カワリーノは、ルイズの話を聞きながら、別のことを考えていた…。
(カワリーノ…お前が来てからナイトメアはおかしくなった。今のナイトメアには何の結束もない!)
かつての上司ブラッディは、そういって『黒い仮面』をたたきつけた。
(あんたはそうやって部下を何人も消して!俺たちはあんたの道具じゃない!!)
ブンビーはこう言って、辞表を出そうとした。
そんな彼らを、カワリーノは始末した。それが、デスパライア様のためになると信じて…。
短い沈黙の後、カワリーノは口を開いた。
「ひとつだけ教えてください。お嬢様にとって『使い魔』とは何なのですか?」
「使い魔を見捨てるメイジは、メイジじゃないわ。わたしとあんたは、一蓮托生のパートナーってことでどう?
…も、もちろん私のほうが上の立場だけどね。」
「私は、自分の能力を隠しています。今日の戦いも『転移』を使えば、彼らは死なずにすんだかもしれません。
そう思ったら、少し迷ってしまいました。
お嬢様が私を見捨てないのなら、私も『力』の全てをお嬢様のために使いたいと思います。」
「と、当然よ!あんたは私の使い魔なんだからね!」
ルイズは、カワリーノの背中から力が抜けていくのを感じて、少し安心していた。
第5話はこれで終了です。続いて第6話行きます。
『ロサイスから撤退するにあたり、「ミス虚無」に殿軍を命ずる。ロサイスの北東50リーグにある丘の上に布陣し、敵軍を食い止めよ。降伏も撤退も認めず。』
7万人にのぼる敵軍を、たった1人で死守せよ…。
命令所から出てきたルイズは蒼白な顔色をしていた。
彼女はつかつかと街外れまで歩いていた。馬を借り、戻れぬ戦場へと向かうために…
古い寺院の前まで来たときに、彼女の前にはカワリーノがいた。
「行ってはいけません。お嬢様…将軍達は、貴方を捨石にしようとしているだけです。」
それは、かつてカワリーノがナイトメアの部下達にした事だった…
「だって、しかたないじゃない!」
「相手が100や200なら、私が蹴散らしてみせましょう…。
相手が500なら、お嬢様の『虚無』で粉砕できましょう…。
しかし、今回ばかりはどうにもなりません。ただ、死ぬだけです…。
私は、お嬢様を殺したくはありません…」
そういって、カワリーノはルイズに向かって手を突き出す。
「わたしを、遠くに飛ばしたりしたら…あんたを一生許さないからねっ!!」
「…っ!?」
「ここで、わたしが逃げたらどうなるの?味方は全滅だわ。あのメイドも、『魅惑の妖精』亭のみんなも…、ルネやギーシュたちだってどうなるかわからない。殺されるかもしれない、辱められるかもしれない…。」
ふたりの間にしばしの沈黙が流れた…。
沈黙を破ったのはカワリーノだった。
「それでも、いいじゃないですか。」
「…っ!?」
「私とふたりで『向こうの世界』に行って、誰も知らないところで暮らしましょう…。」
ルイズは、一瞬だけ呆けた顔をした。……が、すぐに唇を噛んで睨み返す。
「あんた!、本気でそんなこ…」
ルイズが言い終わらないうちに、その顔に『仮面』が押し付けられた。
その瞬間、彼女は動きを止め、崩れ落ちる。
「すみません、お嬢様…。とっさのことで、これしか思いつきませんでした。
『向こうの世界でふたりきり』…、ちゃんと迷ってくださって感謝します。
しばらくの間だけ、お休み下さい…。」
カワリーノはルイズを抱きかかえて、その場から姿を消した。
支援
ロサイスの港では、撤退のための船が次々と出ていた。
半日もすれば、敵がこの町まで侵攻してくる…。一刻も早く、一隻でも多く、一人でも多く、この町から離れなければならない。
そんな緊張感に包まれた中、出港を待つ船の甲板にカワリーノはいた。
「いたいた、探しましたよシエスタさん。」
彼はそういって、彼女の近くにルイズを寝かせた。その顔には奇妙な『仮面』がつけられている。
見れば甲板の上では、けが人や疲労しきった人がそこかしこで横たわっている…。
「カワリーノさん、私たちどうなっちゃうんですか?敵がすぐそこまできてるって聞きました。私は運良くこの船に乗れたけど…、『魅惑の妖精』亭のみんなは、しばらく待たなきゃ乗れないって言うし…、空で襲われでもしたらどこにも逃げる場所ないし…」
「ルイズお嬢様は、休んでいらっしゃいます。しばらくそっとしておいて下さい。」
「え…はい」
「しばらくすれば、その『仮面』は外れます。その後、これは貴方にあげます。
代わりと言ってはなんですが、お嬢様をトリステイン魔法学院まで送り届けてください。」
「あ、あの、カワリーノさんは…?」
「私は、ここで、少しだけ、やらなければならないことがありましてね…。
大丈夫です。トリステイン魔法学院で、すぐに会えますよ。
そうしたら、また、おいしいお茶を入れてくださいね。」
「あ…はいっ」
シエスタがそう答えて、ルイズのそばに座った時には、もう、カワリーノはどこかへ消えていた。
ロサイスの北東50リーグにある丘の街道上で、カワリーノは一人佇んでいた。
誰に聞かせるでもなく、彼は話し始めた…。
「敵は7万人の軍隊…、こちらは一人。『力』も残り少ない…。
これこそ、まさしく、『絶望』というものですか…。
こんなことなら、こっちの世界でも真面目に集めておくんでしたねぇ…。」
かつて、彼らナイトメアは『絶望の仮面』をつけたパルミエ王国民の『絶望』を『力』としていた。
彼らから吸い上げた『心地よい絶望』を己の力として奮っていた。
だが、ハルケギニアに来てから、カワリーノは、ほとんど『絶望の仮面』を使っていない。
何故かは彼にもわからない、ただ「なんとなく」使いたくなかったのだ…。
「今さら、『コワイナー』の一つや二つ出したところで、どうなるものでもなし…。
やはり…、これしかありませんね……。」
そう呟くと、カワリーノは懐から『黒い紙』を取り出した。紙は、手の中で形を変え『黒い仮面』に変化する…。
それは、かつてカワリーノが「用済み」と断定したメンバーに与えていたもの。
仮面を被ったメンバーは、普段の数十倍もの力を出せる…。
その代わり、自分が自分でなくなってしまう…。
『ギリンマ』・『アラクネア』・『ガマオ』・『ハデーニャ』、彼らは理性のない怪物と化した…。
そして、カワリーノの元上司である『ブラッディ』は、力が暴走し、混沌の中へと消えた…。
「まさか、私自身がこれを使うことになるとは…。」
だが、彼の心は、妙に静かだった。いや、『晴れやかだった』と言ってもよいだろう。
彼はなぜか、かつての敵のことを思い出していた。
「『大いなる希望の力』か…。そういえば、プリキュアは仲間を守るために、どんなときも決して諦めず立ち上がってきましたね…。」
東の空から、朝日が昇り、カワリーノの顔を照らしだす。
彼の視線の先に、行軍してくる敵の上げる土煙がはっきりと映し出された。
それと同時に、彼は、つま先で足元の街道に線を引いた。
「さて…、はじめましょうか。
ここから先へは、何者も通さない!
私が私でなくなっても、それだけは忘れてはなりませんよ…」
カワリーノは、仮面に話しかけると、無造作にそれを被った。
…魔獣の咆哮が、丘に響き渡った…。
ただならぬ気配を感じ、前線士官が指揮下の銃兵に弾こめを命じようとした刹那、最前列の騎兵隊が吹き飛んだ!
魔獣の一撃に、騎兵は馬ごと真っ二つにされただけでなく、10メイル以上吹き飛ばされ後続の兵たちをなぎ倒した!
その士官がうめき声を上げる間もなく、魔獣は彼の前に現れ…切りさいた!
彼が最後に目にしたもの…
それは、身長5メイル以上もある漆黒の獣だった。
3本の角、2つの尻尾、強靭な手足を持ち、黒い仮面を被った魔獣がそこにいた…。
その魔獣は、触れるものを次々と肉塊へと変えていく。
人が…、馬が…、オーク兵が…、強靭な肉体を持つトロル鬼でさえも、その一撃でたやすく潰れた。
いかなる鎧をもってしても、魔獣の攻撃を受け止めることはできなかった。
前線の騎士達は次々と死に、大地を赤く染めていく。
前線の兵士を薙ぎ倒す魔獣に、メイジの騎士達は次々と魔法を放った。
風の刃、氷の槍、炎の弾が魔獣に向かって跳んだが、その尻尾に阻まれる。
魔獣の尻尾は、あらゆるエネルギーを吸収し、それと同じ威力で相手を攻撃する。
かつて、プリキュアと戦った時も、全ての技を吸収し、反射した。
メイジたちが放った魔法は、同じ力で味方を傷つけるだけになってしまったのだ。
魔獣は、風のごとく敵を吹き飛ばす。
魔獣は、火のごとく敵を焼き尽くす。
魔獣は、水のごとく敵を流し去る。
魔獣は、土のごとく敵を押し潰す。
美しかった丘は、半径数リーグが、全て血の紅に変わり…
飛び散る血しぶきは、まるで霧の様に空を赤く染めた…。
それでも、魔獣の咆哮は止まらない…動くもの全てを切り裂いてゆく。
支援
ルイズが目を覚ましたのは、出港するレドウタブール号の甲板だった。彼女の仮面は既に外れていた。風が頬をなぶる感蝕と、帆がはためく音で目を覚ましたのである。
「ミス・ヴァリエール…。よかった、目を覚ましましたね。」
「わたし…どうして?ここ、フネの上?」
「はい、なんとか敵が来る前に出港できましたよ。カワリーノさんが連れてきてくれたんです。」
「え?カワ…リーノっ!?」
シエスタの言葉に、ルイズは重大なことを思い出し、跳ね起きた。
「て、敵を止めなきゃ!、迫ってくるアルビオン軍を!」
ポカンとした顔で見ているシエスタを置いて、ルイズは船の後ろへ駆けだした。
飛びゆく船から彼女が見たものは…、小さくなってゆくロサイスの町と、その周辺の景色。
その中に、ポツリとひとつ、赤い丘がある。
ルイズが、アルビオン軍を食い止めるはずだった場所…そこだけが、赤く染まっていた。
「カワリーノ!」
「ミス・ヴァリエール、どうしたんですか?カワリーノさんなら『やることがある』って船を下りましたけど、大丈夫ですよ。多分、後から出る船に…」
「あそこで、あそこでカワリーノが戦ってる…」
ルイズは、震える指で赤い丘を指し示した。
「え…?」
「わたし、行かなきゃ…」
柵を乗り越えようとするルイズを、シエスタがあわてて止めた。
「ダメです!死ぬ気なんですか!?」
「誰か…、私に『フライ』をかけて…、お願いだから…、私をここから降ろしてーー!!」
支援!
歴戦の将軍であるホーキンスが率いる軍は、今までに体験したことのない恐慌に包まれていた。
ある丘に先発隊が入った途端、恐るべき咆哮を上げる魔獣が襲い掛かり、軍を蹂躙したのだ。
魔獣は、信じられぬ力で次々と兵士を薙ぎ倒し、ほんの数時間で1000人にも上ろうかという被害が出た。
噂は全軍に瞬く間に広がり、丘から咆哮が聞こえるたび、兵士は、馬は恐怖して動かなくなった。
ホーキンスは進軍を一時中断し、全軍に警戒態勢を取らせた。
しかし、魔獣は丘から一行に出てくる気配がない…まるで、何かを守っているかのように。
そんな時間が続いた後、ホーキンスは丘を迂回するルートをとることにした。
丘を大回りすれば、1日以上の時間をロスするのは確実である。
しかも、周囲の警戒をしながらの進軍では、今までの速度は望めない。
だが、むやみに突っ込んでもアルビオン軍の被害が増すだけ…。
ホーキンスは即座に全軍に通達を出した。
アルビオン軍が丘の横を通り過ぎる時も、魔獣は咆哮を続けていた。
アルビオン軍が丘の後ろに抜けた後も、魔獣は戦っていた。
…草が風に揺れれば、飛びかかり、その大地を割った…
…岩から小石が落ちれば、咆哮し、その岩を跡形もなく砕いた…
2日遅れでアルビオン軍がロサイスに到着した後も、魔獣は咆哮を続けた。
…いつしか、その丘に動くものはなくなり……
…魔獣の咆哮も、聞こえなくなった……
支援
本日はこれにて終了です。
支援いただいた方々、レスをいただいた方々、読んでいた方々、皆様に感謝します。
次回(最終回)は、明日のGoGo!放送終了後(つまり9:00)くらいにUPする予定です。
乙です
『黒い紙』すげえ
これに勝ったプリキュアってどんだけ強いんだ?
ナイトメアの人グッジョブ!!
明日の最終回とプリキュア放送、楽しみにしてます。
いや、このカワリーノさんは守るべきものがあったから強かったんだよ。
果たして彼がどうなったのか、心配で夜も眠れませんのでプリキュアまで徹夜して待ちます。
乙です。
カワリーノさんは知らないので、
脳内でロングビル的ビジネスレディキャラにして拝見させて頂いております。
>>632 ピンチ → 「絶対負けない!!」 → 超必殺技 → 撃破
女の子向けのド根性ヒーローですから。
いい話だ。感動をありがとう!
予約なくて投下後の感想タイムも確保できるようなら
投下したいのですがよろしいでしょうか?
待ってました。
第6話です。実質第5話な第6話です。
トリスティン魔法学院、中央の塔最上階にあるオールドオスマンの学長室。
そこには今、二人の教師がいた。オスマン自身と教師のコルベールである。
「というわけで、彼はガンダールヴなのだと思われます。」
「コルベール君。すぐに気づくとは思ったが、早かったの。」
「オールドオスマン! 気づいておられたのですか!」
「最初から、の。このことは他言無用じゃ。少なくともしばらくは。」
「なぜです!? これを知らせれば「大変です!」大きな」
「なんじゃ?」
オールドオスマンの部屋に、ミス・ロングビルが駆け込んできた。
「大変です! 決闘騒ぎです! 教師達が眠りの鐘の使用を求めています!」
「決闘? 誰と誰の決闘騒ぎじゃ?」
「片方はミス・ヴァリエール。代理としてケータ・カワヒラが。
相手は彼女のクラスメイトほぼ全員です!」
「それでは決闘ではなくリンチではないですか!」
コルベールが驚く。それを、鋭い目つきのままのオスマンが止めた。
「生徒の喧嘩ごときで秘宝を使ってどうする。ほうっておけ。」
ミス・ロングビルが出って行った後、二人は顔を見合わせ、
遠見の鏡を起動させた。
その少し前。
事態が一変したのは、錬金の実技だった。数人が錬金したあと、
ルイズが挑戦し大爆発を起こしたのだ。教室は阿鼻叫喚。
「使い魔が食われた」「机に押しつぶされて使い魔が死んだ」
「やけどをした」「自慢の髪がちりちりになった」
ゼロと馬鹿にしていたルイズが授業前に使い魔で思わぬ反撃をした。
クラスメイトの受けた衝撃は大きく、そこに格好の反撃材料が与えられたのだ。
意趣返しにと一斉に非難を集中させ、ルイズ排斥にかかったのだ。
対して、いつもなら受け流すルイズが強気に反論。
事態はルイズに対してクラスの大半が決闘を挑むという方向に進んだ。
それを止めるべき赤土のシュヴルーズは気絶しており。
一方啓太はフリチン状態を何とかするためにズボンの確保が急務であり。
かくして、止める者とておらず決闘現場である。
「いくらなんでももう我慢の限界だ!」「迷惑すぎる!」
「そうよそうよ、命にかかわることなんだからね!」
「だれから相手する!?」「誰だってルイズじゃ話にならないから同じさ。」
「では。まずはボクがお相手しよう。」
そう言って、気障に薔薇の造花を構えたギーシュ・ド・グラモンが前に出た。
「ま、負けないわよ! ヴァリエールの名にかけて!」
「ゼロのルイズ。素直に謝罪する気はないのかい?
女性も男と同じ権利と義務を持つご時世とはいえ、
女性を一方的にいたぶるのは好まない。ちゃんと謝罪し、
高慢な態度を改めると約束するなら皆もここまで激しはしないだろう。」
要するに。
素直にいじめられ、悪口を言われても耐えていやがれ、生意気なんだよ。
そういう意味である。周りの級友達はほとんどが賛同しているようだ。
なぜか決闘を申し込まなかったキュルケは難しい顔で黙り込み、
同じトライアングルのタバサはなぜか授業に出ていなかったのでいない。
最悪の敵を相手にしなくとも良いとはいえ、気休め程度だ。
いくらなんでも数が多すぎる。ルイズは、絶望と必死に戦っていた。
それ以前に自分の実力ではギーシュ一人にも勝てない。
それでも。己のほこりを守るためには、こうするしかないのだ。
「そんな事! できるわけないでしょ!」
小さな杖を構える。周囲から一斉に野次が飛ぶ。
他のクラスや学年の生徒達、教師、平民の使用人達まで集まってきていた。
口々に噂をしあっている。教師達は止めようとしているが、
生徒達に阻まれうまく行っていない。そこへ。
「待ちな。その勝負。俺が受ける。」
白銀のマントをなびかせ、上は学生服、下は黒いこちらのズボン、
という格好の川平啓太が、堂々とした制止をかけた。
「こっちの決闘の作法は知らない。が、俺の国のある地域では
か弱い女性が名誉を傷つけられたときに、代理として男が戦う
という慣習がある。男の矜持があるなら俺が代理になることを認めな!」
ギーシュは、啓太のほうを見て、納得してうなずいた。
こちらのほうがずっとやりやすい。そもそも、怒り心頭に達して
決闘を挑んだが、元来フェミニストなギーシュは女性を傷つけるのを好まない。
決闘で一番手を買って出たのも、説得でルイズに謝罪させ、
リンチを止めようと思ったからだ。彼のワルキューレなら怪我をさせずに
取り押さえられるから、というのもある。火炎魔法ではそうはいかないのだ。
(ちなみに、この時点でクラスメイト達は啓太の4度目のフリチンを知らない)
「おい、あれってさっきのフリチン男!」「だよな、フリチン男だ。」
「かっこっつけてるけどフリチン男だ。」「それでかっこつけてもな。」
「なんかギャップが酷くて笑える。」「フリチン男にかばわれるルイズか。」
「さすがゼロのルイズ。」「フリチン男が代理とはな。」
「ええい、外野! うるっせえぞ!」
啓太が顔を真っ赤にして怒鳴るとギーシュに向き直った。
「どうなんだ、受けるのか、受けないのか!」
「良かろう。しかし、事態をわかっているのかね? ミス・ヴァリエールに
決闘を申し込んだのはクラスメイトのほとんどだ。全員を相手するのかね?」
「かまわん。ただし。」
そういって、啓太は周りを取り囲むルイズのクラスメイト達を見回した。
「おい男ども! お前らも矜持があるなら女性に戦わせず、
代理を申しでな! そう、出来れば愛する女性の前にひざまずいて、な。」
速攻でギーシュはモンモランシーの前にひざまずいた。
他の男達も同様である。
「これでだいぶやりやすくなった」とは啓太の内心だ。
戦う回数そのものは同じだが、女だからと遠慮する必要がなくなり、
消耗とダメージは半分の人数が受け取る事になる。うまく言いくるめれば
女性の分の戦闘回数はチャラにも出来るだろう。
交渉で有利な戦況を作る。戦いの基本である。
「ちょ、ちょっと! なんであんたがここで出てくるのよ!
あんたは外国人でしかもブリミル教徒でも無いわ。
となれば学生同士のお遊びの決闘で済ませてもらえる保証は無いわ。
むしろ、嬉々として全力で魔法を使えるって攻撃されるかもしれない。
しかもこの人数。もしかしなくても死ぬわよ!?」
当惑したルイズが制止に入った。小声で啓太に詰め寄っている。
「大丈夫。俺は死なないさ。任せておけ。」
「ありがたいけど、理解できないわ。それどころか私が死ねば、
使い魔としての強制力も消えるわ。私が死んだほうが
あんた都合いいんでしょう!? なのになんで!?」
昨日もルイズに全ての責任をひっかぶせようとした教師から助けてくれた。
「それが俺の性分だから、じゃだめか?」
「で、でも、あんたをこんな遠くにいきなり呼んだ私を?
見返りが約束されてるわけでも無いのになんで助けてくれるの!? 」
「それは問題じゃない。」
「なぜ、ここまでかばってくれるのよ。私はゼロなのよ?
無能、無能とずっと悪口言われていたわ。誰も味方してくれなかった。
それなのに、なぜあんただけはここまで!」
ルイズは理解できなかった。
同時に、どこか胸の奥が熱くなるのを感じていた。
川平啓太は、周りからのフリチン陰口を無視して、小声で答える。
「俺の家が掲げている家訓があってな。破邪顕正という。
邪悪なものを打ち倒し、正義をあらわす。リンチされる女の子を
見過ごしたとあっちゃあ、それはもう俺じゃあない。
以前はそんな事理解していなかったが。見てしまった以上。やる。」
「!」
ルイズは、否応なしに理解してしまった。
「自分の信念の為に決闘を受けるの!? 女の子だからって言って。
私をかばって死ぬかもしれないというのに。
あんたを貴族として尊敬するわ。まさに貴族ね。」
ルイズは、止められなくなった。
「もし、心配してくれるんなら応援してくれ。」
啓太は、にこりと笑って答えた。
「そうだな、対戦相手の得意な魔法の効果や対策なんかを教えてくれ。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず。
情報収集も、戦いの一部なんだ。戦いを分かち合ってくれ。」
ルイズは、深くうなずいた。
ケイタ格好良い。支援
啓太が殴りかかってきたゴーレムの腕をつかんで引っ張り、足払いをかける。
絶妙のタイミングと角度のそれは、ギーシュのブロンズゴーレムを
宙に舞わせた。きりもみ状になって墜落する。クンフーの投げ技の一つだ。
「な、何をやった!? 先住魔法か!?」
「まさか。これは体術だ。単なる格闘戦さ。呪文すら唱えなかったろう?」
「だ、だが!」
ぎりぎりときしんだ音を立て、ゴーレムが立ち上がる。
その動きはぎこちない。
「く、くそ、ワルキューレ、行け!」
次の瞬間、またもゴーレムが地面に叩きつけられ、右腕が千切れ飛ぶ。
叩きつけるさいにゴーレムに片足と腕をかけ、右腕を極めていたためだ。
「どうした。俺はまだ片手しか使っていない。呪文も使っていない。
にもかかわらずこのざまとは。貴族ってのは領民を守るもんじゃないのか?
こんなに弱くて領民を、愛する淑女を守れるのか?」
「き、貴様!」
「よく見ろ! 魔法など使わなくともこれだけ戦えるんだ!」
それはルイズに向けての言葉だった。魔法の苦手なルイズを励ますための。
同時に、野次馬に混じっていた平民達をも大いに沸かせた。
「おのれ、ならばもう容赦はしない!」
ギーシュは、薔薇の造花からさらに6枚の花びらを落とし、
青銅のゴーレム6体を作り出した。一斉に襲い掛かる。
「いけ! ワルキューレ!」
「ふ、甘いな。戦い慣れしていない。」
啓太は、大きく左にステップを踏むと左端の一体に向け突っ込んだ。
先ほどと同じ要領でふっとばすとさらに回り込む。
これでゴーレムたちはほぼ一直線に並ぶ。
一斉攻撃の優位はこの瞬間消え去った。
啓太は先頭の一体だけを相手にすればいい。
腰を低く落とし、パンチを繰り出したワルキューレに必殺の寸頸を放つ。
胸をひしゃげさせて吹っ飛び、後方の2体を巻き込んで倒れこむ。
残る立っているワルキューレは2体。踏み越えて攻撃するわけにも行かず、
左右に分かれて啓太に迫る。啓太は、右に回りこんで突っ込み、
全ての勢いを利用して諸手刈りを仕掛け、頭部を地面に叩きつける。
フラフラと起き上がって来た最初の1体目に足払いをかけると同時に
腕を極めて左腕を折る。両腕を失ったワルキューレは動きを止めた。
その間にギーシュは、6体のワルキューレを下がらせていた。
あれ?1つ飛んだ?支援
「おのれ!」
低く呪文を唱えると、地面からボコリと音を立てて青銅の剣や槍が生える。
ワルキューレ達が一斉に武器を取った。
「遅いな。戦力の逐次投入はへぼ戦略の典型なんだぜ?」
ワルキューレのうち4体はいずれかの場所が歪み、すでに動きが
ギクシャクしているのだ。それで武器を持ち出しても怖くは無い。
しかも、隊列も組まずに一斉に攻撃してくる。動きも稚拙だ。
繰り出される2本の槍。片方を手で跳ね上げ、片方を右にはじき、
数瞬死に体にする。その隙に突っ込むと、胸が陥没して満足に剣を振るえぬ
ワルキューレの懐に入って腕をつかみ、一本背負いをかける。
反転したワルキューレが繰り出した槍の軌道をわずかに変え、
背後から剣で襲い掛かってきたワルキューレに矛先を変える。
剣持つワルキューレが串刺しになった。
しかも槍を抜こうとして双方動きが止まる。
「隙だらけだな。」
一本背負いで転がしたワルキューレの剣が地に突き立っていたので
それを取り、振るおうとして異変に気づいた。
周りの動きが妙に緩慢に見える。いや、ワルキューレの動き自体は
鍛え抜かれた啓太から見て緩慢だった。だが、さらに緩慢に見える。
しかも、左手のルーンが熱い。見ると手袋の隙間から、
かすかに光が漏れている。
啓太は、様子を見るためにしばらくワルキューレ達の攻撃をかわし続けた。
周りからは、啓太が剣を取ってからなぜか守勢に回ったように見える。
そして、次の瞬間。
6体全てのワルキューレが切り裂かれた。
啓太が、ワルキューレの1体が持っていた槍に持ち替え、縦横無尽に振るう。
すさまじい速度ゆえに視認すら出来ぬ速度の演舞に、一同は息をのんだ。
そして気が付くと、ギーシュの目の前に槍の穂先が突きつけられていた。
「降参するか?」
「こ、降参する!」
「よし。後が控えているから敗北者への要求は後回しだ。次!」
強い。支援。
>>646 跳んでいません。省きました。がご要望があるなら追加しますよ?
「な、なんて強さだ!」「魔法も使わずにギーシュに勝っちまったぞ!?」
「本当に魔法を使ってないのか!?」「恐ろしい早さだな!」
「素手で青銅のゴーレムを破壊するなんて!」「信じられない!」
「あれがフリチン男かよ!?」「馬鹿にするのまずそうだぜ!?」
外野が口々に論評している。
「ぼ、ボクはマリコルヌ! 「風上」のマリコルヌ・ド・グランドプレだ!」
「ケータ・カワヒラだ。死神殺し、犬神使い、3神が試練の達成者、
白山名君の友、ケータ・カワヒラだ! 来い!」
それからは、あまりに一方的な戦いが続いた。
啓太は、ほとんどの場合片手での素手攻撃しか使わず、戦い慣れしたラインメイジ
相手の場合等にたまに槍や剣を使い、土のラインメイジが繰り出した
大型ゴーレム相手にただ一度白山名君の力を借りた“魔法”を使った。
一撃でラインゴーレムを爆砕するその威力に、一同は固唾をのんだ。
そして、結局のところ女性に申し込んだ2回目の決闘の義務は、
全員が負けを認めたことで決着した。
「男なら女性に課せられる敗北者への要求は自分でかぶれ。
淑女なら愛する男が消耗した状態での戦いに挑むのを止めろ。」
皆啓太の説得に応じたのだ。
「さて、それじゃあ敗北者達に勝者の俺が要求する。まずは。」
そういって啓太はルイズとクラスメイト全員を相対させた。
「ルイズの謝罪を受け入れ、許してやってくれ。」
「おい、どういうことだ!?」「謝罪を受け入れろ!?」
「それだけか?」「へえ、いかした要求ジャン。」
「やるわね。」「もちろん謝るんなら受け入れるわよ。」
「ちょっと、啓太!?」
「ルイズ。元はといえばお前の失敗で迷惑かけたのが原因だろう。
俺も含めて、な。迷惑かけた連中に謝れ! 全てはそこからだ。」
「う・・・」
ルイズの誇りとムジナのマロちんを得たことによる驕りがためらわせたが、
啓太の雄姿と献身を見た後では、少しは素直になれた。
「ご、ごめんなさい。迷惑かけてすいませんでした。」
クラスメイト達は、当然ながらこれを快諾した。
「ああ、かまわないぜ。」「もうなれたしな。」
「今度からちゃんと防御するようにするわ。」「いいわよ。」
「ありがとう、では次に、ルイズを馬鹿にしていた連中は謝罪するんだ。
これからもう悪口は言わない。そう誓ってくれ。」
これもまた快諾され、実行に移された。
「ごめんね。」「もう言わない。」「悪かったな。」
「すまなかったな。」「すごい人呼んだのね。」
「おまえ将来はすごい奴になるのかもな!」
向こうから謝ってくるならルイズも素直になれる。
「私こそ、ごめんなさい。みんな、ありがとう。」
「よし、それじゃあ最後の要求だ。男子は壊れた教室の片づけを
手伝ってくれ! シュヴルーズ先生に命令されてんだ。」
一斉に悲鳴が上がるが、それは明るく裏の無い悲鳴だった。
三々五々教室に戻ろうとする男子、別の教室で講義が続けられるとのことで
移動する女子、それについていって明るく会話するルイズ。
そのルイズの首根っこを、啓太がぐいとつかんだ。
「どこ行くつもりだ?」
「え? だから教室に行って授業を…」
「壊れた教室の片付けは?」
「え? それは男子がやってくれるんじゃ!?」
「手伝ってくれ、といっただろう? 片付けは壊した張本人がするもんだ。
つまり、お前が中心になって片付けるんだ。」
「えええええええええ!!!!」
「ほれ、いけ。」
「ちょっと、あんたは!?」
「俺はもちろん授業を受ける。ものすごく興味深いからな。
いやあ、授業時間おもいっきり損しちまった。取り戻さないと。」
つまり。
教師を含めて女子だけの教室で授業を受けるということで。
「ちょっと〜〜〜〜!!??!?!?!?!」
自分に尽くしてくれるナイトがあらわれた!
とも思っていたルイズは。
あまりの事態に絶叫したのであった。
良い落ちだw
以上で終了です。支援ありがとうございました。
これはいいオチww
GJ!
裸王かっこいいな!
しかし、ともはねの出番すくNEEEEEEEEEEEEE!!!!!
じゃあ、ともはね系のお話書きます。
予定もあるのですぐにとは行かないですが。
ただし、薬剤師系のお話になりますよ?
そこは何も言わぬまま書いて投下してビックリさせるところだよ
了解(w
とはいえ、ともはねの出番が少ない、とのご意見はとてもうれしかったのです。
啓太と同じでともはねが一番かわいいもので。
あの無邪気さがたまりません。
嫁にするならなでしこが一番ですが。
三ヶ月くらい前に更新したっきり停止してる、
宴はまろやかってやつの続きを書こうと思ったんです。
だいたいプロットに六日、書くのに三日、推敲に一日くらいかかるかな。
全部足して十分ってとこでしょうか。十分後に投下します。
支援して待つ
10分と言わず、いますぐオッケー
661 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/15(土) 22:10:18 ID:CYjsGa9Z
宴を待っておりましたともさ。喜び勇んで支援する!
人の手に指が五本あり、それぞれ関節が三つずつあるように、ゴブリンにも同じだけの
指と関節がある。特に親指、人差し指、それから中指は小器用に動く。ひょっとすると人
間よりも早いのでは。ルイズは己の使い魔の手の動きを見ながら、そんなことを思った。
ラッキーは右手の、親指と中指をこすり合わせることに四苦八苦している。
「あ、だめよ。中指と薬指を重ねてはだめ。指を一本多く使ったからって、大きい音がで
るわけじゃないの」
ラッキーの、眉間の先に右手を出してみせて、ぱちん、と小気味よい音を鳴らす。連動
してテーブルの上、小型のランプから明かりが消えた。ラッキーが羨ましそうに呻く。ル
イズは間を置かずにもう一度指を鳴らし、明かりをつけた。
指の音に反応してついたり消えたりする魔法のランプは、この部屋の中では最も安価な
家具の一つだ。ルイズの部屋では、天蓋つきのベッドも、引き出しに鍵のある机も、最高
級の魔法が用いられていない家具が選ばれているが、ランプは違う。
ルイズの部屋は統一感に欠ける。長姉は当の昔に学院を卒業してはいたが、彼女が寮に
入る際に揃えた家具はそのまま、勤務先のアカデミーの近くに構えた屋敷で使われている。
次姉は病弱故に家から出ることはなかった。そうして、二人居る姉からのお下がりを譲り
受けることなく、一年前の学院入学の折、父ヴァリエール公爵から与えられた上限の無い
予算で部屋を整えた。
貴族、平民、それぞれ最高峰の職人が共同で作り上げた品、次に平民の職人が匠の技で
作り上げた品、続いて貴族の職人が魔法を駆使して作り上げた品、最後に平民の職人が人
数に物を言わせて数を作り上げた品。求める際の費用の高い順に並べると、こうなる。ル
イズの部屋には二番目の、平民の職人による最高級品が多い。一番目の魔法が付与された
家具には、彼女が使えない物も多いからだ。ちなみにランプは三番目の品に当たる。
「ほら、もう少しよ。一回鳴ればすぐだから。あんたにもすぐに、つけたり消したり出来
るようになるの」
「へい! がんばりやす」
その日の晩、しばらく不規則についたり、消えたりを繰り返していたルイズの部屋は、
何かを祝うように連続で点滅した後、就寝時間を大幅に過ぎて消灯した。
宴はまろやか
「溶接工、または修繕屋、あるいは武器鍛冶――いずれもゴブリンの」
毎朝清々しい目覚めを迎え、貴族に見合った豪勢な朝食を取り、学生の本分である学び
に精を出し、やはり貴族に見合った豪勢な昼食を取り、そして勤勉な幾人かがその日の復
習のためにテキストを開くのを横目に見ながら、各々相手を見繕って会話に洒落込む。
魔法学院に通う貴族の子女はこうして日々を過ごす。ギーシュもその一人だが、最近は、
普段ならば気の緩む午後こそが本番だった。
「ギーシュまたなの?! あんたね最近しつこいのもうどっか行っちゃいなさいよ!」
モンモランシーの声が中庭に響く。ダンスホールの音楽を遮らないための、手のひらで
口元を隠す上品な笑い方。貴き貴族の隠すべき姦計を、隣人の耳元で囁くときの話し方。
学生であっても貴族であれば自然と身についているものだ。歓談のための中庭とはいえ、
貴族がいくら集まっても騒々しくなることはない。
そんな静かな場を壊す大声を出したモンモランシーに、非難の目を向けるわけでもなく、
集まっていた生徒たちは自分の連れ合いと視線を合わせて席を立った。今日はこの中庭が
戦場らしい。
「いい加減あなたには愛想がつきたって、言ってるでしょ?」
「でも、でも聞いてくれモンモランシー。あれは本当に誤解なんだよ」
「うるさい!」
モンモランシーはギーシュの弁解を切って捨てながら、今日の授業のページを開いて投
げ出していたテキストを閉じ、テーブルの下で組んでいた足を解き椅子を僅かに引いた。
中庭を去る準備は万端、直ぐにでも立って貴男とはさよならするわ。そんなメッセージを
込めたつもりで、モンモランシーは眉を寄せた不機嫌な顔をギーシュに見せ付ける。ギー
シュの声に一層悲痛さが混じり出す。
ちなみに見る者が見れば、一連のモンモランシーの動作で、彼女の前に一人座れるだけ
のスペースが出来上がっていることに気づくのだが、生憎と他の生徒たちは全て立ち去っ
てしまっていた。中庭にはギーシュとモンモランシーしかいない。
「今日は君のための詩を書いてきたんだ。一週間、納得のいくフレーズが見つかるまで僕
は、食事が喉を通らなかった」
「昨日持ってきた五日かかった歌は何よ! 一昨日引いてきた準備に十日かかった馬は、
一ヶ月かけて見つけてきた遠出のコースはどうなったの!?」
神妙に目を伏せてギーシュが差し出した手紙の束をひったくってから、モンモランシー
は言った。ギーシュの口もよく回るが、モンモランシーもよく覚えている。ちなみに乱暴
にギーシュの手から巻き上げられた手紙たちは、目にも留まらぬ速さで彼女のマントの裏
に仕舞われた。
「ああ、モンモランシー。怒らないでくれ。そうだね、僕もちょっと長すぎるとは思った
んだ。でも伝えたいことがたくさんありすぎて……。
そうだ! 今この場で君のために朗読しよう。心配はいらないさ。僕の正直な気持ちの
まま綴った詩だ。内容は全部覚えてる。出だしはこうさ。
僕のいとしいモンモコラブッ」
ギーシュは吹き飛んだ。
「爆発が失敗っていうよりも、私の魔法だっていうのは解ったのよ。使いどころが難しい
けど、結構すごい魔法だってことも」
ルイズは底に薄くワインを敷いたグラスに、蜂蜜と、レモンの絞り汁を混ぜた水を入れ
てかき混ぜながら言った。部屋の床に座るラッキーの前には、レモンを垂らしただけの蜂
蜜が置かれている。昼食後すぐに自室に戻る生徒は少ないが、居ないわけではない。
「へい。そうですね。ぼんばかぼんばかって聞こえると、おいらなんだか楽しくって」
「そうよね。ラッキーの故郷だと、毎日聞こえる音なのかしら」
ところで、とルイズは言った。
「ラッキーの能力って、何なの?
何か特別な力があるみたいなこと、言ってたけど」
使い魔の前では気風の良い素振りばかり見せてきたルイズが、些か不安げに伺ってきた
ことに気づいたのか、ラッキーは胸を叩いて返事をした。良いところを見せてやりたい。
「へい! ええと、ちょっと待ってくだせい」
「準備がいるの?」
「へい。相手が必要っていうか……。ちょっとギーシュの旦那にお願いしてきます」
「ギーシュ? なんであいつに」
「一回手伝ってもらったことがあるんで」
「ふうん。解ったわ、いってらっしゃい。後から説明してくれるだけで良いから。私は部
屋で待ってるわね」
「へい!」
慌てて立ち上がり、駆けだす。少しの間を置いてからラッキーは、自分の他にゴブリン
をもう一匹ほど連れて戻ってきた。
「ギーシュ、ほら、頭よこして」
「うう。僕は……」
「良くわからないけど、ルイズの使い魔があんたのこと叩いて逃げてったわ」
「なっ! ま、またルイズか……」
「ほら動かないの。あんまり可哀想だし、膝貸してあげるから」
「モンモランシー……僕は、僕は」
「はいはい。解ったからしばらくこうしてなさい」
ルイズの前で二匹のゴブリンがしゃちほこ張っている。
一匹は知れた己の使い魔だ。緑色の肌を晒して、腰布一枚だけを纏っている。剥き出し
の上半身、二の腕は特にルイズのそれよりも細く頼りない。だが、これで良く出来た使い
魔で、とても気のいいやつであることをルイズは知っている。
もう一匹は赤い全身を覆う服、ツナギという種類の物らしい。ゴブリンの種族衣装だろ
うか。それから眼鏡と、頑丈そうな手袋。腰には不思議な道具が幾つも提げられているが、
ルイズには鉄鎚しか解らなかった。
二人が踏ん反り返っているせいでちらちらと見える、赤みがかった鼻頭がどこか笑いを
誘っている。
「それで、ラッキー」
「へい!」
ルイズは思い切って尋ねた。
「どこから出したの」
「へい! ええと、中庭から連れてきやした」
ラッキーがたんこぶを作って沈黙した。
ルイズの誰何は隣へと向けられる。
「それで、あんたは?」
「へい、溶接工です。ベルドって呼んでください」
ルイズは腕組みした。軽く名乗ってから鉄鎚をお手玉してみせたゴブリンを、上から下
まで眺めてから、指先でラッキーの腫れた頭をつつく。
「ラッキー起きて」
「へ、へい! あいたっ! 大将、何ですかい?」
「今まで気づかなかったけど、おかしいのよ。
ゴブリンって未確認の種族でしょ? なんで最近になってこんなに沢山、しかもあんた
の友達ばっかり出てくるわけ」
「そういう能力でして」
眉を寄せて問い詰めようとしたルイズだったが、あっさりとしたラッキーの答えに拍子
抜けしてか、浮きかけた腰を椅子に落とした。
「あ、うん。もう一回聞くわ。どうやって出したの?」
「へい。それはもう、昔々あるところに……」
「もう聞かないわよ」
「説明しやす」
敵を定めて、殴る。ゴブリンを喚ぶ。ゴブリンでさえあれば、ラッキーのような下っ端
から一国の王まで、どんなゴブリンでも召喚することができる。
「ゴブリンなら誰でもって、貴族で言えば女王陛下とか、学院長とかも?」
「へい! そうです」
「ちょっと違いやす。人間で言えば女王陛下とか、学院長とかを召喚できやす。
おれみたいな溶接工も、こいつみたいな下働きも」
早々と相槌を打ったラッキーに追従することなく、ベルドは訂正を入れた。有用である
ことは貴族であること、魔法使いであることと必ずしもイコールではないのだ。
ルイズは己の使い魔の、腫れた頭を軽く叩いた。
「じゃあ、たまに料理長と一緒になって遊んでる五匹組もあんたの能力?」
「へい」
「銃ぶら下げて学院の塀の外をうろついてるあれも?」
「へい」
「じゃあ、これは?」
「へい! そいつは、ええと」
「あ、おれですかい? いくらか時間を貰えれば……。
うーん、ちょいと部屋の内装でも変えてみせましょうか」
ルイズは腕を組んで唸った。正直に言えば、この部屋は自分なりに考えて彩ったものだ。
多少の愛着はある。ルイズは足も組んで唸った。
「おいらからもお願いしやす。ベルドはおいらたちの中でも特別賢いやつでして」
「……よし。任せてみる」
ルイズは一切をゴブリン達にまかせて、部屋の外に出た。
「あっ、モンモランシー、あれ?」
「静かにして。寝てるの」
「んと。私、彼に謝りに来たんだけど。うちの使い魔が失礼したみたいだから」
「そう」
本来向かい合う形で置かれている椅子を二つ横に並べて、モンモランシーの膝枕で眠る
男子生徒が一人。
「ふうん。へぇ。へぇえー」
「ちょっと、何よルイズ。嫌な笑い方してる」
ルイズはギーシュが当分起きそうにないのを確認してから言う。
「いいえ、別に。ええと、そうだわ。『ごめんなさい、ギーシュ』」
「……。はいはい。『ありがとう、ルイズ』」
「どういたしまして。素直じゃない奴ぅ」
「お互い様!」
眠っているはずのギーシュが、居心地悪げにモンモランシーの膝へ顔をうずめた。
「張り切って大将の部屋を改造?」
「そこまではしねえよ。そうさね、おれ特製の便利道具でも造るかい」
主人の居ない部屋で、ラッキーとベルドが向かい合い座っていた。ベルド自身は溶接工
と名乗っているが、がらくたから新しいものを造ることを得意としていた。何かと発明好
きの教師、ミスタ・コルベールの部屋ならば別だったかもしれないが、ルイズの部屋にが
らくたなど無い。
「無いものはもってこい、ってね。この椅子をばらして使おうか」
「なるほど。それで、無くなった椅子はどうすりゃいいんだ?」
「それはな、ま、ばらすってことはほら、元通りに組み立てられるってことさ」
「そうか! やっぱりお前は頭いいな」
「そんなに褒めるなよ」
楽しそうに手を叩くラッキーに、ベルドは頭を掻きながら笑った。
「で、何造るの?」
「木っていえば棍棒だろ」
「そういやそうか」
ベルドは取り出した刃物で、椅子の足を削り始めた。ラッキーがそれを眺める。
「上手いもんだなぁ」
「だろ? おれの得意は鉄だけどよ。こういうのも、よっ、ほっ」
「やっぱ何でも出来るゴブリンは違うね」
「そうでもねえよ。あんまり褒めるなって」
やがて椅子の足が棍棒の形を成してきた。先端は丸く整えられ、握りを細く削る作業に
入る。最後に簡単に木屑を払って完成だ。
「お、できたぞ。……あぁ、ちょっと小さいか?」
「大将はおいらたちよりも大きいからな。すげえ小さいんじゃないか?」
「よしきた。都合良いことに椅子の足は四本あるからな。あと二回失敗できるぞ」
「三回じゃないか?」
「三回かも」
少しして、同じ大きさの棍棒が四本出来上がった。
「……おれは頑張った」
「ああ、ベルドは頑張った」
「決めた。火薬で証拠隠滅する」
おもむろにベルドは腰布から、黒色火薬を取り出した。結構な量だ。彼は小器用に片手
でマッチを擦って見せる。たよりなく揺らめく炎に、緑色の顔が照らされている。
「そうかい。ところでそれってぼんばかの素?」
「ああ。火薬な」
「ぼんばかの素だろ」
「まぁそうだけど」
「ところでそのぼんばかって、どれくらい?」
「どれくらいって……それなり」
「それなりかぁ」
「それなりさ。火つけるぞ」
何かに気づいたラッキーが、突然ばねのように机に向かって飛び込んだ。
ルイズの部屋は爆発した。
突如聞こえてきた爆発音に、ルイズは慌てて自分の部屋へと駆け戻った。遠くから聞こ
えた爆発音と、すぐ近くに居るルイズの顔を見て不思議そうに首を傾げる生徒を何人も置
き去りにして走る。そして隙間から煙を吐く部屋のドアを、力いっぱい押し開けた。
「ラッキー! 何があったの!?」
部屋の中には、うつ伏せに倒れたラッキー、仰向けに倒れたベルドがそれぞれ転がって
いた。床には煤焦げた跡が見られる。椅子が見当たらないので、木っ端微塵に吹き飛んだ
のだろうか。
「ねぇ、ラッキー。あんた怪我とかは……」
煤の跡は、ラッキーの背中にもある。いささか淑女とは言いがたい慌てぶりを見せなが
ら、ルイズは使い魔の体をひっくり返した。腹の下から、ランプが一つ姿を見せる。
昨日一緒に話の種にした、安っぽい魔法のランプだった。
「次の虚無の曜日ね」
「へい?」
「買い物に行くわよ」
「わかりやした」
「まず椅子ね」
「すいやせんでした」
「それから、魔法の小物店に行きましょう」
ルイズはベッドに座り、足を揺らしながら言った。
「きっと面白いものがあるわ」
投下終了です。久しぶりに支援を置き去りにしてみました。
こそこそと戻ってきたり…。
今回召喚したのはゴブリンの溶接工/Goblin Welderです。
「ボス、あなたの金物野郎を壊してしまいやした。でも、ほら、灰皿を作ってあげやしたよ。」
このフレーバー最高ですよね。私がひいこら言って書いた話よりこれ一節の方が面白いとかは、
絶対に触らない方向でお願いします。触らないで下さいね。
触るなといわれると触りたくなる
ともかく投下乙です
671 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 22:37:41 ID:+pGzJhRi
すんませーん、予約ありますか?
無ければ50分くらいから投下しますが
なんか豊作ですねwともかくしえん!
宇宙を手に入れたらみんなで…支援
紅茶を用意して待ってます
壷支援
676 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 22:48:23 ID:+pGzJhRi
トリステイン魔法学院は、だだっ広い草原の中にある。
その学院から少し離れた所には小さな村があり、村人は慎ましい生活をしている。
真昼の太陽が照らす中、一人の男馬に乗り、村のはずれへと向かっていた。
白い幅広の墓石が並ぶ共同墓地の一角に、一輪の花を持つヤンの姿があった。
素っ気ない、墓碑銘もない幅広の墓石の前に立ち、しばしの瞑想をする。
そして、手に持つ花を手向けた。
「必ずって約束は出来ないけど、もし元の世界に戻れたら、あなたの家族にもあなたの事
は伝えるよ」
ヤンは馬に乗り、学院へと戻っていった。
第八話 名も無き墓
昼食も終わり授業が始まる頃、ヤンは学院長室を訪れた。オスマンのデスクの上には古
ぼけた手帳、ボロボロの身分証明書、その他鏡だのクシだのといった小さな日用品が並ん
でいる。そしてそれら全てには、銀河帝国の公用語が書かれていた。
ロングビルも興味深げに覗き込んでいた。
「30年前の物じゃからな、見つけるのに苦労したわい」
「わざわざすいません。それで、墓に入れなかった遺品はこれで全部ですか?」
「うむ。そっちは墓前には行ってきたかね?」
「ええ。それでは遺品を拝見させてもらいます」
「ああ、よいぞ。まず彼の名は?墓碑銘を刻みたいのだが」
「はい、えっと…」
ヤンは身分証明書を手に取った。血と泥に黒く汚れ、ささくれ、ひび割れた表面から僅
かに覗く文字を読み取っていく。
「…ヨハネス・シュトラウス。帝国暦43…えと、436年かな?12月1日生まれ…帝国軍
准尉、グレ…うーん、削れて上手く読めないけど、グレゴール艦隊第12工兵隊所属…か
なぁ」
それはヤンの記憶に無い帝国軍艦隊名だ。だが、ハルケギニアとヤンの世界に時間的ズ
レ無く往来が可能と仮定するなら今より30年程前の宇宙暦770年、帝国暦460年頃に存
在した艦隊だ。30年前の艦隊で、同盟との交戦もなく吸収合併したり名称が変わったな
ら、ヤンが知らないのも道理だ。
ロングビルはヨハネス・シュトラウスの帝国語でのスペルと生年月日をメモする。
「後ほど墓碑に刻むよう依頼しておきますわ」
オスマンは小さく頷いた。
ヤンは他の遺品を一通り見渡してみる。
クシ、鏡といった日用品は、材質こそハルケギニアの物とは違うが、これといってヤン
の役に立つ物ではなさそうだ。
「やっぱり、これだな…」
ヤンは手帳を手に取り、中を開いてみた。やはり身分証明書と同じく所々が読めないも
のの、帝国公用語の文章が書き連ねてあった。
手帳を開いてすぐに、ヤンは一心不乱に中を読み始めた。一言も発さず、瞬きすらしな
い。その姿を見つめるオスマンとロングビルも、ヤンの姿にただならぬ物を感じて声をか
けようとはしない。
さほど大きくもなくページも少ない手帳ゆえ、ほどなくしてヤンは読み終えて手帳を閉
じた。だがそれでも彼は何も口にしようとはしない。ただ眼を閉じ、天を仰いでいる。
しーましえーん!
紅茶入りのブランデーを支援
支援します
支援
681 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 22:50:40 ID:+pGzJhRi
オスマンとロングビルは困惑の視線を向け合う。意を決し口を開いたのは秘書の方だっ
た。
「ヤン…どうだったの?」
問われたヤンはゆっくりと眼を開き、俯いて、手に持つ古ぼけた手帳を見つめた。
そして、ゆっくりと語り出す。
「彼は…ヨハネス・シュトラウスは、この手帳にハルケギニアに来てからの事を書き連ね
ていました。日記とかをつける習慣は無かったようで、時々大まかにあった事を記してい
るだけですが」
そしてヤンは語りはじめた。30年前にオスマンを救って帰らぬ人となった、名も無き
帝国軍兵士の事を。ハルケギニアの人々には通じない言葉が混じっている事も忘れ、彼の
孤独と哀しみをそのままに。
ヨハネス・シュトラウスは、帝国首都オーディンの演習場にて軍事演習中だった。
彼の所属する工兵隊は装甲輸送車で走行中だった。突然正面に現れた鏡の様なものが現
れ、操縦者していた彼は回避しようとしたが間に合わず、そのまま鏡の中に突っ込んでし
まった。
突っ込んだ次の瞬間、いきなり周囲の土地が盛り上がり、車輌真下の地面は陥没し始め
た。咄嗟にアクセルを踏み、ハンドルを切ってこれを回避したが、大地自身が敵意を持っ
て襲いかかってくるかのような状況は止まらなかった。
急加速して逃走を続けるが、周囲の状況を見てパニックに陥る車輌内の隊員達。なぜか
彼等はオーディンの演習場ではなく、半径10kmはある巨大なクレーターの真ん中を走っ
ていたからだ。しかもクレーターの地面そのものが波打ち、車輌へ襲いかかり、地の底へ
飲み込もうとしている。
状況も現在地も分からぬまま、とにかく必死で大地からの逃亡というあり得ない行動を
とり続けていた所、街らしきものを見つけた。彼等は希望の灯を見つけたと歓喜し、そこ
へ全速力を維持して進路を向けた。
確かにそこは街、というか集落だった。ただし、そこに希望はなかった。街の人々が逃
げて来る車輌を見つけるや、とたんに車輌の進路が湧き出した岩に塞がれ、信じがたい程
の突然の突風が吹き荒れるなど、彼等への攻撃が激しくなったからだ。
彼等は混乱の中、この異常な状況が目前の人々による敵対的行為だと判断した。
工兵隊員達は車輌に備え付けの砲、輸送中だった重火器や弾薬やゼッフル粒子、携帯し
ていたビーム銃を使い、あるいは装甲車輌で街の粗末な建造物をなぎ倒し、明らかに害意
を向けてくる街の人々との戦闘に入った。
激しい戦闘の末、車輌は大破。隊員達は彼を残して全滅した。彼も車輌を大破された時
の衝撃で気絶した。
意識を取り戻した時、丁度、車輌の中に攻撃を加えてきた人々が入り込んで来ていた。
咄嗟にビーム銃で侵入してきた者達を殺し、車輌を再び動かそうと再起動させる。運良く
車輌は咆哮を上げ、命からがら街から逃走した。
街から逃走し、大地や大気からの攻撃も無くなったものの、大破した車輌は砂漠の中で
動かなくなってしまった。
砂に沈み行く車輌の中から、搭載していた一人乗りの小型ヴィークルに使えそうな武器
弾薬・携帯食料・ゼッフル粒子発生装置・燃料などを載せれるだけ載せて、仲間と敵の死
体を車輌の中に残して西に向かう事にした。別に西に何かあるとは思っていなかった。だ
が、東には彼等を襲った正体不明の連中がいる。なので、とりあえず西に向かった。
ほどなくして小高い丘の上に無人の城を見つけた。そして麓のオアシスを中心とした小
さな交易地も。だが、発見されれば再び謎の攻撃を受けるかと思うと、とても近寄る気に
はなれなかった。
彼は、あてもなくハルケギニアを彷徨った。
支援
重い旅だなな支援
684 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 22:54:05 ID:+pGzJhRi
最初、必死で人目から逃げ回った。
たまに民家に侵入して食料や衣服を盗み、山谷の中で野宿を続けた。
しばらくして、最初に襲ってきた耳の長い人々とハルケギニアの人々が違う事・マント
を着た人々が魔法を使う事を知った。同時にここが帝国とは全く異なる世界という事を思
い知らされた。
たまに野盗となって商隊を襲い、時には助けてくれた村人のために山賊を倒し、その日
その日を生き続けてた。それでも帰る方法が無いかと必死に探し続けた。星空の向こうか
ら銀河帝国の艦艇が救助に来る夢を何度も見て、幾度と無く涙と共に目を覚ました。
そして持ち出した装備も弾薬も底を突き、ヴィークルも燃料切れで動かなくなった。
「・・・記述は、ここまでです。あとは、オールド・オスマンの語ったとおりでしょう」
ヤンの語った物語に、オスマンは目を閉じたまま頷いた。
驚いたように眼を見開いたままだったロングビルが、恐る恐るという感じで口を開く。
「その…知らない言葉や分からない状況が多くて、完全には分からなかったのですけど…
その人は、聖地から来たのですわね。しかも、僅か10人かそこらの小隊で、エルフの大
集団と互角以上の戦闘をした、と」
オスマンは小さく頷いた。
「わしにも信じがたいが…しかし30年に見た『破壊の壷』、ぜっふるりゅうしはっせい
そうちとやらの威力。そしてダイヤの斧。納得するしかあるまい。
だが、まさか聖地が何もない、盆地のような荒野の有様とは…一体、どういう事じゃ」
ロングビルはヤンを、俯くヤンの顔ではなくジャンパーの胸ポケットを見た。
その不自然なふくらみの下にあるヤンの国の銃は、あの恐るべきエルフ達を軽々と殺せ
るということだ。
そんな銃が、もし自分に向けられたら…。
ロングビルは『破壊の壷』事件の時、ヤンに攻撃をしていたらどうなっていたかと、今
さらに血の気が引いてしまう。
「鍵は聖地…エルフ、か」
ヤンの小さな独り言は、二人には聞こえなかった。
その日の放課後、学院長室にキザッたらしい少年が呼び出された。彼には『聖地』『エ
ルフ』等の手帳に関する情報を除いた、オスマンの恩人についての説明がされた。
「つまり、オールド・オスマンの恩人の遺品が『破壊の壷』以外に残っていないか、この
僕に調べてきて欲しい。そう言うわけですね?」
「うむ。お主の使い魔であるジャイアントモールは地中を馬並みの速さで掘り進み、様々
な鉱物を見つけてくる事ができるはずじゃ。その力をもって、探して欲しい」
派手な服装をした少年は大仰に礼をした。
「学院長御自らの依頼とあれば、断る事など出来ません。このギーシュ・ド・グラモン、
必ずやご期待に答えて見せましょう!」
というわけで次の虚無の曜日の朝。学院前にはルイズ・ヤン・オスマン・ギーシュがそ
れぞれ馬を連れていた。
もちろんロングビルも同行を申し出た。が、さすがに学院長の秘書まで同時に学院を離
れると、王宮から急の使者が来た時など困るので、学院に残る事になった。なので彼女は
門へ見送りに来ている。
支援
支援
支援三連正射
688 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 22:56:54 ID:+pGzJhRi
「僕は剣は使えないって言ってるのに…」
と、ぼやくヤンをルイズが睨み付ける。
「何言ってるのよ!せっかく買ったんじゃないの。ワイバーンがうろつくような危険な場
所なんだから、ちゃんと持っておきなさい。良い機会だから剣にも慣れておきなさいよ」
「そーだそーだ!俺を部屋にほっとくと、寂しくて泣いちまうぞ!剣としての待遇を要求
するー!」
というわけで、ヤンはデルフリンガーを背負っている。ヤンが、だって重いし…とぼや
いた所で、ルイズに蹴りを入れられた。
そんな彼等の足下の地面がポコッと盛り上がり、巨大なモグラが顔をのぞかせた。
「やぁ!僕のヴェルダンデ。どばどばミミズは沢山食べてきたかい?今日は君の力を存分
に振るう機会だからね」
ギーシュはすさっと膝をつくと、巨大モグラの頭を抱きしめる。モグラも嬉しげに鼻を
ヒクヒクさせている。
ヤンが興味津々でモグラに近寄った。
「うわぁ〜、大きなモグラだねぇ。それに目が大きくて愛嬌があるなぁ。これがジャイア
ントモールかい?」
その言葉を聞くや、ギーシュは待ってましたとばかりに立ち上がり、自分の使い魔を紹
介しはじめた。
「その通り!これが僕の可愛い使い魔、ジャイアントモールのヴェルダンデだよ。ヴェル
ダンデは貴重な鉱石や宝石を僕のために見つけてきてくれるんだ。『土』系統のメイジの
僕にとって、、この上もない、素敵な協力者さ」
オスマンもモグラのつぶらな瞳を覗き込んだ。
「うむ、それじゃよろしく頼むぞ。鉱石とは違うが、かなり珍しい臭いのはずじゃ。きっ
と見つける事が出来るじゃろう」
そう言ってオスマンはヤンに視線を向ける。ヤンは頷いてジャンパーから銃を取り出し
てモグラの鼻に近づけた。
ヒクヒクとよく動く鼻がビーム銃の臭いを嗅ぎ取っている。そして大きく頷いて再び地
面の下に潜っていった。
「それじゃ皆の衆、出発じゃ!」
オスマンの言葉に、皆馬に乗る。
ロングビルが騎乗したヤンに駆け寄った。
「無茶しちゃダメよ。ちゃんと無事に帰ってきなさいね」
「大丈夫だよ。それじゃ行ってくる」
そんな二人の姿を羨ましそうに見つめるオスマン。
「あ、あの、ミス・ロングビル…ワシは?」
「あー学院長も怪我しちゃダメですよーえーホントー仕事溜まってるんですからねー。最
悪、右手と杖だけ無事だったらいいですよー」
振り返りもせず棒読みゼリフを投げつけられ、老人はガックリ肩を落とした。
馬に乗って去っていく一行をロングビルが手を振り見送った。
太陽が彼等の真上に来た頃、一行は森の奥にいた。
全員馬を降り、周囲を見渡している。幸いワイバーンなど危険な巨大生物の姿は見えな
い。
「さて、この辺じゃ。ギーシュ君、頼むぞ」
「承知しました」
ギーシュが地面を叩くと、すぐにヴェルダンデが顔をのぞかせ、森の奥をジッと見つめ
る。
「さすが僕のヴェルダンデ!もう見つけたのかい?」
「あっけないわねえ」
ギーシュを先頭に、拍子抜けしたルイズはじめ、皆森の奥へと進む。
茨をかき分け、倒木を乗り越え、獣道を進んでいく。
遺物捜索か支援
690 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 22:59:01 ID:+pGzJhRi
だが、再びヴェルダンデがギーシュの前に顔を出した。同時に膝をついたギーシュの顔
がこわばる。
「どうしたんじゃ?」
尋ねるオスマンにギーシュは緊張した声で答えた。
「目的の物の近くに、人です。数は5人」
彼等は顔を見合わせた。
こんな森の奥に人が来る。しかも自分たちの目的地近くに。何者かは分からないが、そ
れは自分たちと同じ目的で来たと見るべきだろう。
ヤンがベレー帽を被り直しながらオスマンに尋ねる。
「学院長、この場所の事を過去に誰かに話した事は?」
「いや、無い。『破壊の壷』の一件はあったが、なぜに30年経った今になって、我々以
外に彼を調べる者がいるんじゃ?」
ヤンの背中の長剣が鞘からヒョコッと飛び出す。
「敵か味方かしらねーけど、油断は禁物ってこったな」
「そのようね…慎重に進みましょう」
ルイズの言葉に全員が頷き、メイジ達3人は杖を抜く。ヤンもジャンパーの胸元を開い
て銃を抜けるようする。
そして鬱蒼と茂る木々の枝葉を突き抜けていくと、林の向こう30メイル程先にそれが
見えた。
確かにヴィークルはあった。
ボロボロに朽ち、ツタが絡み、サビが浮いた機械の塊が地面にうち捨てられていた。
ただし予想通り、見つけたのはヴィークルだけではなかった。
そのヴィークルの周りには、数人の人間がいた。黒マントを着用し杖を構える男と、薄
茶色のローブをまとい羽付の帽子を被った長身の男。そして付近で暮らしている村人とお
ぼしき初老の男。彼等は茂みの中から現れた一行を向いていた。明らかに彼等もオスマン
達が来るのを予期している。
オスマンは一行の先頭に進み出て、大きな声で名乗った。
「怪しい者ではない!こちらはトリステイン魔法学院学院長、オールド・オスマンと生徒
達じゃ!敵でないなら名乗られよ!」
オスマンの声に長身の男が答えた。
「私の名はビダーシャル。出逢いに感謝を」
高く澄んだ声でそう言うと、長身の男は連れているメイジに合図し、杖を納めさせた。
それを見てヤンがオスマンの横に進み出る。
「こちらは争う意思はありません!隠れている人も出てきて頂いて結構です!」
そう叫ぶと、ヤンは他の者に杖を納めるよう促す。
オスマンと、渋々ルイズもギーシュも杖を納めるのを確認し、ビダーシャルは手を挙げ
る。同時にヤン達の左右の茂みからメイジの男が一人ずつ、杖を納めながら出てきた。
オスマン達一行は安堵し、それでも正体不明の探索者達を慎重に観察しながらヴィーク
ルへ近付く。同じくビダーシャルも彼等に歩み寄ってきた。
「すまない。こちらも争う意思は無い。だが、なにぶん不案内な場所ゆえ、必要以上に警
戒せざるを得なかった」
つばの広い羽付の、異国の帽子を被った男が長い金髪を揺らす。
エルフキター支援
692 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 23:01:26 ID:+pGzJhRi
前に進み出たオスマンが怪訝な顔をして、長身の男の青い瞳を覗き込む。そして、一筋
の汗を流した。
「お主…もしや、エルフか?」
「そうだ」
「ひぃっ!」
長身の男は当然のように答えたが、生徒二人には当然ではなかった。小さく悲鳴を上げ
てしまい、慌てて杖を抜こうとする。ほぼ同時にエルフに付き添うメイジ達も杖を抜き放
ち、高速でルーンを唱える。
「よすんじゃ!」「撃つなっ!」
慌ててオスマンとヤンがギーシュとルイズの杖を押さえる。同じくビダーシャルもメイ
ジ達を手で制しようとする。
だが、一瞬遅かった。黒ローブのメイジがルーンを完成させていた。
「『エア・ハンマー』!」
杖から凝縮された空気の塊が放たれ、オスマン達へ襲いかかる。
ドゥンッ!
だが、オスマン達には当たらなかった。彼等の手前で空気の塊が破裂し、周囲に突風が
吹き荒れる。
オスマン達の前には不自然に伸びてきた枝葉が壁となっていた。樹木が自ら『エア・ハ
ンマー』から彼等を守ったのだ。
学院長はじめ、その場の全員が目前の光景に目を見張る。誰からとも無く畏怖を込めた
つぶやきが漏れる。
「エルフの先住魔法…」
「うむ。予め精霊にお前達も守ってくれるよう頼んでおいてよかった」
ビダーシャルとオスマンが改めてメイジ達に杖を納めるよう命じる。しばしのにらみ合
いの後、ようやく全員が杖を納めた。
ヤンの背でデルフリンガーが安心した声を出す。
「いや〜、やばかったなぁ。エルフとやり合おうなんて自殺行為だぜ」
オスマン達の心情を代表する言葉だった。
二つのパーティは朽ち果てたヴィークルを挟み、相対して立っている。ヴィークル横に
ヤンとオスマンとビダーシャル、他の者は少し離れて彼等の様子をうかがっていた。
ヤンはヴィークルを調べ、その状態や遺留品を確認する。ヴェルダンデもヴィークルの
付近を調べまわり、同じく朽ち果てた帝国のビーム銃を発見して来た。それは一目見て使
い物にならないのが分かる有様だ。ヤンの背中のデルフリンガーも「ダメだな、こりゃ」
と呟いた。
ビダーシャルは帽子を取り、長い耳を露わにしている。オスマンは彼に、ギーシュに話
した範囲の事を語った。
「・・・と言うわけじゃ。30年も前の事ではあるが、良い機会なので彼がどこから来た
のか、他に残した品がないか調べに来たのじゃよ」
聞いたエルフは満足げに頷いた。
「そうか。『大いなる意思』に導かれたこの出逢いに感謝する。私もお前達が探しに来た
人物を追ってきたのだ。だが事情があるので、詳しくは言えない。
後ろの者達のように、お前達蛮人の協力を得て彼の者の足跡を追ってきた」
そう言って背後に待機するメイジ達と初老の村人を指し示す。メイジ達は軽く会釈し、
村人もペコリと頭を下げた。
「そこの老人は例の男に出会った事があるらしい。この土地にも詳しいというので、案内
を頼んだのだ」
紹介された村人は、おずおずと口を開いた。
「へぇ…そうです。昔、あのお方はわし等の村にフラリと現れたんで。食べ物を分けてあ
げたら、そらぁもう喜んで。お礼にと、近くに住み着いていて村を襲っていた山賊共を倒
してくれたんですだ。
だども、貴族の方々がその噂を聞きつけてやって来ると、すぐにこの森の中へ逃げてし
まわれたのです」
支援
大好きな提督支援!
支援
楽しみな展開だ支援
697 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 23:04:52 ID:+pGzJhRi
村人の話は手帳の手記と一致する。オスマンも、ヴィークルから顔を上げて話を聞いて
いたヤンも納得した。孤独な異境の地で絶望していた時、思いもかけず得られた親切。そ
の嬉しさは今のヤンには痛いほどよく分かる。そしてメイジを恐れる気持ちも。
ビダーシャルはヤンが調べているヴィークルを珍しげに見つめた。
「それで、その不思議な物体なのだが…どうなのだ?それは一体何なのだ?」
聞かれたヤンは思案する。このエルフが今頃になって、何故ヨハネス・シュトラウスを
追ってきたのか分からない。だが、同じ世界から来たと分かれば、次はヤンに興味が移る
だろう。
彼は、この世界に来てから上手になってきた演技力で、とぼけることにした。
「うーん、さっぱり分かりません。どうやら学院に持ち帰って調べるしかないようです」
その言葉を聞いてヴィダーシャルは少し困った顔をした。
「ふむ、それはこちらも持ち帰りたいのだ。悪いが渡してはもらえないか?」
今度はオスマンが困った顔をする。
「いや、彼の墓はこちらで作ったしのぉ。恩人の遺品でもあるし、こちらで管理しておき
たいのじゃ」
そう言ってオスマンはヤンの顔を見る。
ヤンは少し頭を捻り、それでは…と提案した。
「では、これでどうでしょう。ビダーシャルさんは、我々に話せる範囲での情報を提供す
る。代わりに我々はこれを諦める」
その提案にオスマンも、そしてビダーシャルも頷いた。
「よかろう。では、何が聞きたい?」
オスマンは「聖地がどうなっているのか」、ヤンは「彼がどこからどうやってトリステ
インまで来たのか」と尋ねた。これにビダーシャルは、先日ガリア王の前で語った事実を
答えた。
「・・・以上だ。
これらは別に秘密ではないから、話す事に問題はない。いや、むしろお前達にも知って
おいて欲しいくらいだ。お前達が光と崇める存在の真実と、その存在が残した物が、いか
に危険かについて、な」
エルフの口から語られた聖地の惨状。
聖地が吐き出し続ける未曾有の災厄から世界を守るエルフと精霊。
それらを聞かされたギーシュとルイズは、見るからに信じられない様子で顔をしかめて
いる。いや、それはビダーシャルの同行者達も同じだった。『六千年に渡り敵対するエル
フが、自分たちの神たる存在を、大災厄の源として愚弄している』と言う所だろう。
だがヨハネス・シュトラウスの手記を知っているオスマンの反応は違う。オスマンは、
それら全てが真実であると認めざるを得なかった。自分たちが信じてきた事実は、長い歴
史の間で歪み、曲解され、美化してきた紛い物だと理解してしまった。そしてこれらを他
言すれば、教会から異端審問にかけられ殺される事も。
オスマンの顔は引きつり、手は汗でじっとりと濡れる。だがそれ以上にヤンの顔は蒼白
だった。彼の胸中は明らかに絶望で埋め尽くされていた。
そしてヤンの顔が色を失っている事はビダーシャルも気付いていた。
「お前達が光と崇めていた物が、敵であるエルフに闇と断じられているのだ。受け入れ難
くもあるだろう。信じろとは言わない。
だが私は私が答えるべき事を答えた。約束通り、この奇異なる物体は私が持ち帰るが、
構わないか?」
ビダーシャルの言葉に、ヤンは小さく頷いた。そして、震える唇で彼に尋ねた。
「最後に一つだけ、教えて欲しい…」
「何だ?答えれる事なら答えよう」
「『悪魔』が生む嵐で大地に穴が開き始めたのは…いつからです?」
ふむ、と呟いてエルフは首を傾げた。
「正確な年は分からないが…恐らく、ここ千年の事だ」
放射能支援
699 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 23:07:46 ID:+pGzJhRi
千年という年数を聞いかされたヤンは、明らかに更なる衝撃に襲われていた。
そして肩を落とし、力なくもと来た道を戻り出す。ルイズなど他の者が、いくら声をか
けても彼は何も答えない。皆、訳も分からずヤンの後を追って、朽ちたヴィークルを後に
した。
結局ヤンは学院に戻るまで、いや、戻ってからも無言のままだった。
夜、ルイズの部屋では相変わらずヤンが押し黙ったまま床にあぐらをかいていた。壁に
立てかけられたデルフリンガーも、ベッドの上のルイズも、あまりに重苦しい空気で押し
つぶされそうだ。
「もうっ!いい加減にしなさいよ!あんなエルフの言う事なんて信じる必要ないじゃない
の!」「そーだぜ、一体何でそんなに落ち込んでんだ?」
さすがに沈黙に耐えきれなくなったルイズとデルフリンガーが怒り出す。
俯いたまま口を閉ざしていたヤンは、ゆっくりと視線をベッド上のルイズへ向ける。
そして、けだるそうに口を開いた。
「…彼の言った事は、嘘じゃないよ。・・・そして、帰る方法が分かったんだ」
帰る方法が分かった
その言葉を聞いた瞬間、ルイズは全身の血の気が引いた。
「ま!待ちなさいよ!まさか、あんた、聖地に行こうって言うの!?」
だが、ヤンは力なく首を横に振る。
さすがにその様子にルイズもデルフリンガーも不信がつのる。帰る方法が分かったなら
もっと喜んでいいはずだ。
「よぉよぉヤンよ、んじゃ、いってーおめーは、何でそんなに落ち込んでるんだ?」
デルフリンガーの問に答えるヤンの姿は、まるで10歳は老け込んだように見えた。
「帰る方法は簡単さ…聖地の門に向けて、救難信号を発すれば良いんだ。そうすれば、門
の向こう側にいる誰かが、僕の助けを求める声を受け取ってくれる。誰かが確実に、ね」
聞き慣れない言葉にルイズが首を捻った。
「きゅーなん…しんごう…って、何?」
「助けて下さいって声を遠くに届けるアイテムだよ。60年前にハルケギニアへ飛び去っ
たという飛行物体か、砂漠に沈んだ装甲車を見つけて、搭載している通信機を聖地に持っ
て行けば良いんだ。
あとは門が開くのを聖地の畔で待っていればいい。最近活動が活発らしいから、時間は
かからない。いつかは誰かが門の向こうから駆けつけてくれる」
聖地の畔で待っていればいい、と簡単に言うヤン。だが彼が纏う空気はあまりに重い。
「んじゃよー、ヤンよ。おめーが落ち込む理由はなんだってんだ?」
「もっと簡単な事だよ…助けに来てくれた人々は大方が、いや、確実に死んでしまうから
だよ」
ルイズがビダーシャルの語った聖地の有様を思い出す。大地を抉るほどの嵐を生み、灰
になって死んでしまうという『悪魔』達の事を。
「死んでしまうって、エルフが言ってた『悪魔』みたいに?」
ヤンは暗い瞳を虚空に向けたまま頷いた。
「そうさ…僕が助かるためには、助けに来てくれる多くの人を、犠牲にしなくてはいけな
いんだ」
ルイズは絶望を背負って床に座るヤンを見つめる。その姿は一切の嘘も誇張も含んでい
るように見えない。
再び室内に重苦しい空気が漂う。
支援するんよ
氷の衛星にエンジンを付けて支援
支援
くたばれ皇帝支援
艦砲射撃支援
705 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 23:10:44 ID:+pGzJhRi
デルフリンガーが、控えめにツバを鳴らして声をかけた。
「でもよぉ…なんで、みんな死ンじまうんだ?それも大嵐を起こして」
尋ねられたヤンは、ゆっくりと立ち上がった。そしてトボトボと扉へ向かう。
「君たちには、絶対に理解出来ないよ…星の海で暮らすのが、どういう事か」
星の海、と言う言葉が理解出来ない少女と剣を残し、ヤンは部屋を出て行った。
深夜、赤と青の二つの月が質素な村を照らす。
白い幅広の墓石が並ぶ共同墓地の一角に、力なく立ちつくすヤンの姿があった。
素っ気ない、墓碑銘もない幅広の墓石を、ただ見下ろす。
「全く…始祖ブリミルって、本当にバカだったんだなぁ」
ヤンは墓に向けて話し始めた。無論、墓は何も答えない。それはただの独り言だ。
「まぁ、しょうがない事ではあったんだ。六千年前と言えば、人類がまだ四大文明を生み
出した頃だったんだから。エジプトでピラミッドを造ってる人に、人類が六千年後には宇
宙で生活しているなんて、想像出来るはずがない。
それでも、死後は召喚の門を閉じておくくらいの事はやっておいて欲しかったね」
ヤンは天を見上げる。満天の星空に双月がぽっかりと浮かんでいる。
「ヨハネス・シュトラウス…君は一体、運が良かったのか悪かったのかなぁ?たまたま地
上で車に乗っている時に召喚されたから、無事に門を越える事が出来たんだ。でも代わり
に、死より苦しい孤独と絶望を味わう事になってしまったけど」
ヤンの瞳は星空を横切る流れ星を見つけた。それは光の帯を残し、一瞬で消えた。
そして、胸の中に溜め込まれた憤怒と絶望を叩き付けるように虚空へ向けて叫んだ。
「まったく…なんてバカな事をしてくれたんだっ!!
私達はもう千年も前から、宇宙で暮らしているんだぞ!
核融合炉を搭載した船に乗り!真空の無重力空間を!地上で言うならマッハ100や200
なんて楽に出せるんだ!!おまけに中性子弾頭や熱核兵器やゼッフル粒子を満載した機体
だってあるんだ!!
そんなものが、そんなものを…いきなり地上に喚びだしたらどうなると思うんだ!?減
速無しに大気圏突入させて地上に叩き付けたのと同じだっ!!半径10kmが吹き飛ぶ!?
その程度で済んでいる事を幸運と思えっ!!」
叫びきったヤンは肩で息をする。
虚空に向けられた言葉は、答える者も無く虚しく空に消えていった。
後には、何事もなく静かな夜が戻ってくるだけだ。
「…もし、救難信号を聖地から送れば、確かに助けが来てくれるさ。ただし、無事に門を
越えれるのは、ごく僅か。
聖地の大気に対する相対速度が極めて遅く、地上に着陸出来るか大気圏内飛行能力があ
り、放射性物質の拡散を防ごうとする精霊達の自動攻撃をかわす事が出来る者だけ。…ビ
ダーシャルの言うとおり、30年に一度くらいは、そんなのも来てくれるさ。
この事実を通信機で伝えることが出来れば、強襲上陸艇なんかに乗って来てくれるかも
知れない。けど、そんな事をノンビリ話している間に門が閉じる。閉じなくても、門から
生じる爆風で自分が吹っ飛ぶ」
支援
意外に宇宙経由で来た奴がいるかも支援
708 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 23:13:57 ID:+pGzJhRi
そしてヤンは、再び口を閉ざした。
ただ静かに白い墓を見つめる。
もちろんヨハネス・シュトラウスは何も答えてはくれなかった。
ヤンの背後で何かが風を切る音がした。
振り返ると、暗い空の中に翼を広げる竜のシルエットが見えた。
それはあっという間にヤンの頭上まで飛来してきた。タバサの風竜だ。その背には何人
もの人影が見える。
彼等は墓地の外れに着地し、すぐにヤンの方へと駆け寄ってくる。
ヤンはヨハネス・シュトラウスの墓を振り返る。
「済まない。もしかしたら約束は守れないかもしれない。私は…君の隣に、自分の墓を作
る事になるかも知れないんだ」
そして墓に背を向け、歩き出した。
駆け寄ってくる人々へ。デルフリンガーを抱えたルイズや、ロングビルや、キュルケ、
タバサ、ギーシュの方へと。
第八話 名も無き墓 END
>>669 待ってました。
相変わらずのこの雰囲気が最高に好きですわ。
次回も期待してます。
今かつてない急展開ktkr
乙であります〜
銀英伝知らなくても面白いです
投下乙でした!
いやあ、絶望ですね。
でも、だからこそヤンらしくなっています。
すばらしい!
乙です。
でも相対速度なら、惑星自転速度、太陽系公転速度、銀河系公転速度が……
情報を圧縮した形で送信すれば…ダメなんだろうか?
提督GJ!
やっぱり少しずつでも情報を向こうに送るしかないんだろうな。
提督グッジョブ。
期待を裏切らないスピーディ展開です。
人類の進歩は虚無の許容範囲を越えたかww
宇宙の何処から召喚されるかわからんから、情報だけもらっても何も出来ないんじゃないか?
戦艦やら装甲車やらが移動してる際に目の前に召喚の門が開いても、避けるなんてほぼ無理だろうし。
ともかく提督GJ、面白かった!
宇宙広いからなあ。戦艦がくぐれるぐらいの大きさの門だとしても、宇宙の広さからしてみたら芥子粒以下だろうし
やはり聖地に何らかの指向性があって人工物だけ召喚しちまうの?
721 :
ゼロな提督8:2008/03/15(土) 23:26:24 ID:+pGzJhRi
以上、投下終了です
今回はかなーりSF風味が増しております
>>715>>718 その通りです。だから、魔力で修正しきれなくなった相対速度で突っ込んだ物体は、砕け散ります
いやぁ〜。この設定を今回投下前に書き込まれたらどうしようかと、冷や冷やしてました
では、またー
ちなみに、
>>712の動画を見て笑ってしまうと同時に悲しくなるのは何故でしょうね?
普通の通信機じゃそんな機能は無いと思います。
そして、銀英伝が書かれた頃のパソコンの実態を考えると、
カード型コンピュータの支援などは期待できません。
実際ヤンのような高級将官ですらポケットコンピュータ持っていません。
それどころか携帯電話兼通信機すら持っていません。
野暮なこと言うなよ
あ、ごめんなさい、今書きなおされてるからありかも!?
るるるや提督のような聖地の謎それ自体に触れとる作品もまたええですなあ
小松左京の虚無回廊なんかも見たいが
ハルケギニアはSSの中にあるとか
ルイズがSS召喚とか
6000年前が四大文明って時間軸合ってんの?
いやあ、ドキドキさせてくれるぜ提督の人
GJ
>>725 潜水艦を召喚とな?
あるいは地対地ミサイルか、ナチス武装親衛隊―――
>>725 ポリマーで封印した敵性ユニットが自爆するシーンが印象的だったな。
4巻が待ち遠しい。出るかどうか不明だが。
破裏券ポリマー召喚と申したか
ワープ航法発見した宇宙暦で1000年。
中国が4千年の歴史。
エジプトはその前で、ワープ航法が発見されるまでも時間がある、
じゃなかった?
>>726 ヤンの死んだ宇宙歴800年は西暦にすると3600年。(宇宙暦元年は2801年)
その6000年前だから、紀元前2400年頃。
で、この頃にはすでに四大文明はある。
四大文明で一番最初に消えたのがインダス文明で、紀元前2000年頃だから、時期的には合ってる。
まぁ、ゼロ魔原作の西暦2000年前後を基準にして6000年前の紀元前4000年頃だとしても、四大文明なんだけどね。
トリューニヒトとかは
>>725 ある職人さんはそれやるつもり…と思うんだが
>>734 もちろん召喚したとたんに原子の塵へと還りますとも
地上に叩き付けられて粉々になるか、大気との摩擦熱で燃え尽きるか!
いやあ、是非是非召喚されてくれ。
ゼロ魔世界に民主主義を浸透させるトリューニヒトは見てみたい
ブリミルの遺産ってつくづくろくでもないものばっかだな
マ・クベ大佐、ぶりぶりざえもん、サイボーグ忍者、ザトー=ONEを喚んでみたら…
アーマードコアのレイヴン(ランカー等の名有りではない)をAC諸共召還。
聖地にはインターネサインがあると妄想した俺はドウカサレテシマッタヨウダ
無口な使い魔?
無口なぶりぶりざえもんだったら宝物庫にあるのが某パスと某ベルトになりそうだ…
>>743 悪が暗躍する話はなぁ…
クロコの人には悪いがw
>>744 怪人も居そう
モモタロ○とかウラタロ○とか
ブラックもんがー召喚
ヨハネス・シュトラウス准尉>
彼らの召還、まるで戦国自衛隊のようだ。全滅エンドっぷりもふくめて(苦笑
トリューニヒト召還で民主主義>
同盟の民主主義って、社会主義的な物が多分に含まれている気がするのですがw
まあ原作者が原作者だからしょうがないとも言える(マテ
中の人繋がりで…
ギーシュがスケィス(ランスロットでも可)召還
>>749 凄い期待
ただ、前者だと精神破壊(or想い人破壊)
後者だと性格破壊しないとならないのが難点
やぁ、お久しぶりです皆様。
予約がなければ投下したいのですがよろしいでしょうか。
しえん!!!
鏡を見ながら身だしなみを整えるウェールズを見やり、副官は面白げに頬を緩めた。
「楽しそうですな、殿下」
「ん?
ああ、楽しいとも」
笑いながらそれに答える王子。既にその美しい金髪は鬘の下に隠され、質の悪い脂を塗られた髪の毛を櫛で撫で付ける。
眼帯で片目を隠せば、さきほど船上でルイズと相対した空賊の頭の出来上がりだった。
「どうだろう、おかしくはないか?」
「畏れながら殿下、何を持っておかしいと言えばよろしいのか、
小官には判断できかねます」
遠見の鏡で船室での会話を聞き、ルイズを招いて詳しく話を聞かねばならぬと決めた彼らではあったが、
ではどのような格好で出迎えるかと言う段になって頭を悩ませた。
ことここにいたっては彼女達が貴族派に組しているなどとはウェールズも考えてはいない。
であるならば空賊の扮装は止めても良いのではないかというのが彼の選択であったのだが、
副官は静かに否やを唱えた。
物事と言うものは慎重に進めるべきであり、それが王族の行いならば尚更だと言うのである。
ここで正体を自分から明かすのは簡単ではあるが、それはいささか尚早ではないか、
貴族派に組していないとの言質を本人から取ってからの方が良いのではと具申する。
「要は形式ということか。
遠見の鏡で覗いて知ったと言うのでは体裁が悪いと」
「御意にございます」
ため息をつき、ウェールズは先ほど外した変装をもう一度行う羽目になったのである。
最初は嫌々ながらではあったが、副官の
『よもや誇りあるアルビオン貴族が空賊に扮していたなどとは誰も考えますまい。
あの少女が驚いた顔はさぞ美しいことでしょう』
と言う呟きを聞いたあとは態度が一変した。
それこそ意中の女性の愛を告げられた少年のように、実に嬉しそうに扮装を始めたのである。
この副官、伊達に王子に数年間仕えてはいないようだ。
/*/
――――そのしばらく後、桃色の髪の少女にあっさりと王党派貴族であることを看破され、
しかも最初から気づかれていたことに涙目になる主従の姿があったのはまったく持って余談である。
スレが ガンパレード状況になった支援
/*/
「しかし、カステルモール卿、いったい何故ガリアの騎士と姫君がこのような場所に?」
尋ねてくるギーシュに、カステルモールは困ったように視線を泳がせた。
最初から答えを用意しているのならともかくも、彼はこのような突発的な事柄には弱い。
それ故にタバサとイザベラを間違え、現在に至る要因の一つを作り上げているのだがそれはさておき。
「ああ、申し訳ないが、ミスタ・ギーシュ。
私の口からはそれは言うことが出来ない」
「なるほど、秘密任務と言うことですか?
もしや我々のように大使の任を仰せつかったとか」
これは困った。まさかにもイザベラの我が侭だとは言えぬし、
タバサことシャルロットがよからぬ事を企んでいるのではないかと言う疑念すらも口に出すのははばかられる。
だがだからと言って沈黙すればギーシュの言を認めたことになる。
救いを求めるように視線を移すが、彼に答える者はいない。
先ほど空賊の長の部屋から戻ってきたワルドとルイズは、風に当たってくると言って部屋を出て行った。
驚いたことにこの船はアルビオン王党派のものであり、我々は賓客として扱われるのだと言う。
故にある程度の行動の自由も保障されたと言うのだが、
カステルモールとしてはいったいどうしてそんなことになったのか理解できない。
自分たちは空賊に捕まったのではなかったのか?
「野暮ねぇ。ギーシュ」
混乱し困窮する彼の窮地を救ったのは、猫のような笑みを浮かべたキュルケであった。
「お姫様と騎士が、二人っきりで小旅行よ?
少しは察しなさいな、モンモランシーに愛想つかされても知らないわよ」
「それだけは絶対にないと確信を持って言えるね」
胸を張って言ってのけたギーシュの横では、何を言われたか解らぬとカステルモールが不思議そうに首を傾げている。
本当に解っていないだろうその様子にキュルケがたまらず苦笑した。これじゃあガリアの王女さまも大変だ。
視線を移せば、当の王女は気難しげな顔でなにやら考え込んでいる。
おそらくは先ほどのルイズの言葉を反芻しているのだろう。
だがそれもしかたがないか。キュルケは深く深く嘆息した。
望むと望まざるとに関わらず、ルイズは人を変える。
彼女自身の言葉で言うなら嘘で嘘を切り裂く、のだそうだ。
自分には嘘をつくことしか出来ない、といつかルイズは言っていた。
『だから、わたしの言葉で誰かが変わったと言うのなら。
それは、その人の中に真実があったと言うことなのよ』
キュルケはイザベラを知らない。
タバサの従姉妹であり、ガリアの王女だと言うことは知っていてもそれだけだ。
後わかることといえばタバサに敵意を、そしてお付きの騎士に好意を抱いているくらいか。
タバサに聞けば色々と解るかもしれないが、当の本人は部屋からの外出許可がでてすぐに使い魔の様子を見に行くと言って部屋を出た。
どうもこの王女とは仲が悪いしようだから、一緒の部屋にいたくないのだろう。
あのタバサがそこまで人を嫌うのも信じられないが、血縁だからこそということもあるかもしれない。
これについては彼女から話してくれるまで待つしかないだろう。
だがまぁ、とキュルケは肩を竦めた。
たとえタバサが嫌っているとしても、ルイズの言葉に考え込んでいるだけこの王女はましなのだろう。
魔法こそが貴族の価値だと信じている者によっては、ルイズの言葉は魔法が使えぬ者の戯言でしかなく、
行動ではなく詐術によって人を丸め込むのがお前の言う貴族のすることかと憤慨する者もいるのだから。
――――ちなみにあえて明言は避けるが、魔法学院の関係者では“疾風”の二つ名を持つ男がそうである。
「しかし、エルフか。
エルフとの混血……というか、混血できるのだな」
「確かにルイズは嘘つきだけど、そんなことで嘘はつかないと思いますよ。
何より意味が無いだろうしな」
そんなキュルケの思いを他所に、ギーシュとカステルモールが親睦を深めている。
カステルモールにして見れば心の主人であるタバサの友人を知っておきたいということもあったし、
考え込んでいるイザベラの邪魔をするのも気がひける。
それより何より、ワルドがいない以上はお互いが唯一の同性であった。
話題は先程の貴族の話から、エルフについてに移行したらしい。
「やはり耳は尖っているのですかね?」
首を捻りながらギーシュが言った。
悪名だけが知れ渡っているが、実際のエルフについての知識は殆ど流布していない。
耳が尖っていることと、先住魔法をつかうということくらいである。
「どうだろう。
耳が尖っていて奇妙な服を着た男ならガリアの王宮で見たことがあるが、
あれは断じてエルフではないだろうしな」
「ほほう?いったいどんな人物なのです?」
興味深そうにギーシュが言い、キュルケも耳をそばだてる。
そんな二人を見ながら、騎士はその男を思い出したのか嫌そうに顔をしかめてこう言った。
「男の癖に顔を白く塗っていて、白い奇妙な服を着ていてな、いつもクネクネと腰をくねらせて歩くのだ」
/*/
徐々に近づいてくるアルビオンの威容を見ながら、タバサはそっと親愛なる使い魔に背中を預けた。
シルフィードがその頭の上に乗せたブータともども心配そうな目で見るのに軽く手をふり、本を開く。
だがその瞳は文字を追わず、脳裏に浮かぶのは先ほど部屋で見た従姉の姿だけだった。
ガリア王ジョゼフの娘、イザベラ王女。タバサにとっては敵の一人。
彼女は憶えている。王弟であった父に仕えていた多くの人々。
自分に優しく接してくれた、性格も身分も違うたくさんの人々。
その多くが職を追われ、あるいは殺され、罪に問われた。
自分たちが、母が、父が何をしたのか。
何の罪もなく殺された父さま。覚えのない不名誉印を受けた大公家。
自分を庇って毒を呑んだ母さま。そして狗として使われている自分。
先ほどルイズの語ったような過去の話ではなく、今も続いているガリアの、そしてオルレアン大公家の現実。
その現実を作っているのはジョゼフであり、イザベラである筈だった。
そうでなければならなかった。
タバサは一度本を閉じ、そっと空を見上げた。
雲の上にいる為に、視界には青い色しか見えない。
幼い頃から見ていた彼女自身の、そしてイザベラの髪の色だった。
タバサは知っている。王家に生まれたが故に他に友人も作れず、ずっと二人きりで遊んでいたあの従姉を。
タバサは憶えている。イザベラが正論で言い負かされた時、そしてそれを彼女自身が理解している時、どんな態度に出ていたかを。
だからタバサは気づいている。イザベラが、ルイズの言葉に本当はどんな感情を抱いたかを。
そしてそれがタバサにはどうしようもなく嫌だった。
膝を抱え、怯えるように身体を抱く。
そっと胸の奥の扉を開け、懐かしいあの時代に心を馳せた。
それはまだ彼女が幼く、父と母と、そして年上の従姉に守られていた頃の思い出。
魔法が上手く出来なくても、それでも自分が姉なのだと胸を張っていた優しいあの子。
いつか二人で立派な王女になって父や叔父の手助けをするのだと誓い合ったあの言葉。
血を被り、手を汚し、汚濁と憎悪の中で時間を過ごし、それでも忘れられないあの光景。
シャルロット・エレーヌ・オルレアンが雪風のタバサになるに至った理由の一つ。
もう絶対に戻らないが故に神聖視されたその情景。
帰らぬ人となった父。心を病まされた母。そして変わってしまったイザベラ――――
なのに、その一つが帰ってきてしまったら。
この手にもう一度それが戻ってくるとしたら。
知らず知らずのうちに腕に力が篭る。
胸の奥に暗い何かが灯る。
イザベラがかつての彼女に戻ってくれるのはいいことだ。
本当に嬉しいことの筈なのに。
なぜだろう。
それをしたのが自分ではないと言うだけで、その切っ掛けを与えたのが自分ではないと言うだけで、
何でこんなに胸が苦しいんだろう。
何でわたしが出来なかったことを、ルイズはいとも簡単にしてしまうんだろう。
まだ出会ったばかりの頃、酔ったキュルケが言っていたことを思い出す。
魔法が使えないルイズは、魔法が使える自分たちでは出来ないことだって簡単にしてしまう。
魔法が使えないルイズが、魔法が使える自分たちよりも貴族らしい事をする。
ならば、自分たちが誇りにしている魔法に意味はあるのか。
もしも魔法が取り上げられたら、自分はルイズに勝てるのかと。
そうか、とタバサは思った。
キュルケもきっと、こんな思いでルイズを見ていたのだ。
「どうしたのね、お姉さま。
またあの女に苛められたのね?
許せないのね、きゅいきゅい!」
心配そうな声のシルフィードの囁きにも返事を返さぬタバサを見やり、ブータはやれやれと首を振った。
長い年月を過ごしてきた大猫には今のタバサの想いが感じ取れた。
ブータの脳裏に車椅子に乗った青年と、整備道具を持った女性の面影が去来する。
猫は竜から下りると、タバサの横で温もりを分けるかのように身体を摺り寄せた。
こればかりは部外者が口を出せる領域ではない。
イザベラとタバサの関係をよく知らぬブータに出来るのは、タバサがそれに呑まれぬように祈ることだけだった。
それは誰しもが抱く心の陰。
ルイズの語ったゆめとは相反する、しかし人の心が生み出したことには違いないあしきゆめ。
人と違うことを受け入れられず、人と違うが故に自分を劣った者として見てしまうその感情。
大切なものを人に奪われそうになった時に抱く、暗く闇に満ちたその思い。
かつて第五世界でブータの友人たちに取り憑いた、嫉妬という名のあしきゆめだった。
今回は以上です。
うーむ、全然話がすすまねぇ。
あじゅじゅしたー
おつつ
ブラックタバサーの誕生かね
>>760 おつつ〜
昔の書き手さんたち全員帰って来てくれる事を祈念しつつ
パソコンを復旧させる
乙です
イワッチそこで何やってんだ・・・w
>>762 せめて
「ルイズと〇〇の冒険は終わらない! ご愛読ありがとうございました」
でもいいから締めてほしい
チーフとスネークとヒットマンの人たち帰ってこないかな
投下乙です
・・・・・・・・・イワタマン(汗
GPM投下乙であります。
>>765 貴様、趣味がばれるぞ。
なんか芝村舞召喚とか電波が飛んで来た。
ルイズにキスされて慌てふためく舞とか
物珍しい動物の群れ(使い魔)にメロメロになっている舞とか
新聞紙でギーシュを叩き斬る舞とか
我は芝村って言いながらモット伯邸に突撃する舞とか
貴族の義務を振りかざすルイズとは割りかし相性が良いかも?
問題は青のあっちゃんが時空を超越して取り返しに来る事
ウルトラ系好きだからゴモラ召喚の続き来ないかな〜
それとウルトラ系召喚(長編)は他はレオだけなのか
東光太郎(タロウ)召喚とか
召喚:でも本編終了後の為バッヂ無し(変身出来ない)
VSギーシュ:元々才人以上ある身体能力で圧倒
VSフーケ:ゴーレム相手に大苦戦、飛びついたりするも振り落とされる
だが発見された「光の遺産(バッヂ)」で変身、ストリウム光線でゴーレム爆砕
何故か皆(ギーシュやマリコルヌ含む)に慕われるとか
オスマンが「一見バカバカしい作戦」を発動させて大成功しちゃうとか
実は竜の羽衣は「スカイホエール」だったとか(そしてシェスタの祖父はZAT隊長)
オールドオスマン(30年前)を救ったのはゾフィーだったとか
その時バッヂ残したのは「(30年後を)ウルトラ予知してたから」とか
最終的には「魔法に頼らず自分の力で進んで行く事」をルイズ達に教えて去って行くとか
妄想するだけなら楽なんだよな
GPM投下乙です。
人の胸にあるゆめふたつ。
タバサがあしきゆめに飲み込まれないことを願いながら、マーチを歌いながら応援したいと思います!
―その心は闇を払う銀の剣
>>768 青は問題かな?舞がルイズの使い魔でいることに納得してたら
舞の付属品としてルイズを守るんじゃないかな
ひぐらしかられ鉈ん召還
ごめん、いってみただけ
「ゼロな提督」の筆者さまGJ!待望の墓参シーンもあって、大変満足できました。
しかし・・・重い、重すぎる!自分を救助するために多くの人命を犠牲にするようなマネ
は、確かにヤンの性格上、できるわけがない。
果たして、犠牲を伴わずに元の世界へ帰還する方法をヤンは見つけることが出来るのか?
続きが待ち遠しくてたまらないです。
>>725 >ハルケギニアはSSの中にあるとか
この設定でプロットを作ってる最中だ
768と771見て思ったんだが、舞と青ってリィとルゥみたいだな…
あか天シリーズはガンパレと比べて、
いささかマイナーだと思うんだ、出版社的にも
超遅レスですがダニエル・ヒトラー乙
すかしゲルマニア軍、活躍するSS少ないなあ
ダニエル氏にはトリスティン分割の後、電撃線でマジノ線突破、ガリア・アルビオン連合軍をダンケルクで打ち破りガリアを制服して欲しいが
ヴィシー傀儡ガリア政権に射ルロット
亡命自由ガリア軍の長にイザベラとか
俺も蝶遅レス
まろやかの人お待ちしていました〜ん、乙でした
自分は金色狼と天使はこのスレ的に合わないと思うんだ。
シェラはまだ多少可能性あるかもだけど。
リィは寝不足で衰弱してるからって無理矢理眠り薬投与したら
起きた途端に殺しに来るキャラだから、
使い魔にした途端に首掻っ切られても可笑しくない
起き抜けに一国の国王とぶん殴り合うんだもんなw
衣食住提供するっていっても狼だから狩りして生きていけるし
問答無用で叩き殺して終幕とか嫌過ぎる
やっぱレットかなー
リィやルゥより、レティ。それよりさらにシエラの方が動かしやすそうな気がする。
シエラだと、女形の行者をしてた役柄、女中として仕える画がよく合いそうだし、男だと発覚したときが面白そうだ。
あんまり引っ張るのも何だから俺はここで切り上げるけど、デル戦記からの召喚モノ読んでみたいな
たとえシェラでもルイズの下で忠誠誓ったらシェラじゃなくなる。
難しい。
レットが面白がって、というならまだありかもしれないが、
その場合対7万戦が存在しなくなる。
7万の指揮官を皆殺しにするからそもそも追撃できない。
それ以前にアンドバリの指輪がクロムウェルの手にある、
とわかった時点でクロムウェル暗殺、指輪奪還、
レコンキスタ瓦解という流れになる。
ガリア王ジョセフも暗殺されて終わりだね。
魔法での警戒はマジックアイテム装備&ガンダールヴの力でなんとでもなる。
昨日予告したとおり、9:00より最終回を投下します。
ルイズは、自分の部屋で膝を抱えてベットに座っていた。
そんな彼女の目の前には、封を切っていない紅茶の包みが置かれていた。
『帰ったらお茶が飲みたい』と言ったとメイドから聞き、実家から取り寄せた最高級品である。
茶葉は昨日届いたが、それを飲む人はここにはいない。
「馬鹿。」
ぽろりと涙が目頭からこぼれる。
「一蓮托生のパートナーって言ったじゃない。なんで、一人で行っちゃったのよ。」
ルイズは流れる涙をぬぐいもせずに、じっと想いをめぐらせる。
「大切な『仮面』を、なんでメイドなんかにあげちゃうのよ。」
シエスタは、ルイズがいくら頼んでも、絶対に仮面を離さなかった。
部屋にある服や宝石全て(売れば新金貨1000枚にはなるだろう)と交換してと頼んでも、首を縦に振らなかった。
「わたし、あんたがくれた物、これしか持ってないのよ。」
ルイズは、自分が写っている写真をぐっと握り締めた。
写真は涙の跡で、所々にじんでいる。
「ねえ、こんな事ができる『向こう側の世界』ってどんな所なの。一度でいいから、見たかった…でも…。」
写真を抱きしめ、顔を伏せた。今までのことが頭の中を駆け巡る。
「わたしを…、ひとりにしないでよ…馬鹿…。」
とある街角で、金髪オールバックの男が働いていた。
かつては、ナイトメアの幹部だった彼も、今は別組織の一員である。
「ええと、次の奴は、目録のこっちのページの…あー忙しい忙しい。」
「ブンビーさん、お久しぶりですね。」
「カ、カカ、カワリーノさん!どうしてここへ…ってか、生きてたんですか!?」
「プリキュア達の店に行ったんですが、別の店になってました。彼女達がどこにいるか知りませんか?」
「ああ、それなら、あそこの湖の反対側に移転したんですよ。」
カワリーノは、軽くうなずくと会話を続けた。
「ブンビーさん、あなたと部下には随分とむごい事をしてしまいましたね…。」
「え…?」
「それでは、ごきげんよう。新しい仕事、がんばってくださいね。」
そういって、カワリーノの気配は消えた。
「カワリーノさん、随分と雰囲気がかわりーの…
なんていってる場合じゃない、あー忙しい忙しい!!」
ある日の昼下がり、新ナッツハウスでは、ココ&ナッツとのぞみが店番をしていた。
その扉につけた鈴がカランと鳴り、男が入ってきた。
「いらっしゃ…お!お前は!?」
「ナイトメア!?」
あまりにも意外な来客に、ココとナッツは思わず身構える。
「大丈夫だよ。カワリーノさんは、戦うつもりなんて全然ないから。」
そういって微笑む夢原のぞみに、カワリーノは笑みを返した。
「私のことを、はじめて、名前で呼びましたね…。」
「だって、今まで怖かったんだもん、はは…」
ココとナッツは、呆然とふたりの会話を聞いている。
(こんな相手を、『絶望』させようとしていたのか…私は)
のぞみの笑顔を見ていたカワリーノは、ふと、かつての自分が可笑しく思えてきた。
「わたしも…、あなたが怖かったですよ。」
「嘘!?」
「本当ですよ、夢原のぞみさん。」
カワリーノはココとナッツに向き直り、話を始めた。
「ココ王子、ナッツ王子、あなたたちには随分と酷い事をしてしまいましたね。今さら『許してくれ』などと言えた義理ではありませんが…」
「確かに、パルミエ王国はナイトメアのために一度滅んだ。だが、国民は一人も欠けることなく生きていた。
お前を許すかどうかなんて、俺にも良くわからない…
けど、戦わなくてすむなら、それが…一番いいと思う…。」
「俺も…、ナッツに賛成だ…。」
カワリーノは深々と頭を下げると、いつもの口調に戻って話しかけた。
「さて、今日は『客』としてここにきました。私の大切な方へのプレゼントを2つ、用意していただきたいのです。
一人は、そうですね…そこの夢原さん位の背格好をした女の子で…」
「それだけじゃわからないな。服装やら雰囲気によってもかなり違ってくる。」
「ああ、それなら…」
カワリーノとナッツは、話しながら色々とアクセサリーを選んでいる。
ココは、そんな様子を複雑な顔で眺めている。
のぞみは、ココの方にとびっきりの笑顔を見せると、店の奥へ駆け出していった。
やがて、カワリーノがある商品を選んだ頃、彼の前にひとつの髪飾りが差し出された。
「もう1つは、デスパライアさんの分だよね!」
「ふふ…、全く、あなたにはかないませんね…」
きれいにラッピングされた2つの包みを持ってカワリーノが消えるのとほぼ同時に、ナッツハウスに残りの4人が帰ってくる。
「あれ?…のぞみ、今、誰かいなかった?」
「うん!実はね…」
ナイトメアの円形闘技場跡に1輪のつぼみがある。
5色に光る、そのつぼみにカワリーノが触れた瞬間、彼は別の空間にいた。
「遅かったな、カワリーノ。」
「デスパライア様…。あのとき、私を助けて下さったのは貴方ですね。」
「いいや、ブラッディじゃよ。」
「え…?」
「我は、しばらく動けぬのでな。ブラッディに目となり手となって動いてもらっている。」
カワリーノの後ろから、ステッキを突く音が聞こえ、振り返ると、かつての上司がいた。
「仮面をつけるときは、かならず、先に『迷い』と『後悔』を相手の心に植えつけておけ、」
「…相手の中で、『絶望』に変わり『仮面』の効果を何倍にもしてくれる…」
それは、かつてカワリーノが何度も教えられた、仕事の基本。
「だが、お前が『仮面』をつけたときには、何の『迷い』も『後悔』もしていなかったな…
それでは、『仮面』の効果が長続きしないのも当たり前だ。この未熟者が!」
カワリーノは呆気に取られた顔でブラッディを見ていたが、やがて笑い始めた。
「ふふふ…そういえば、そうでしたね…私ともあろうものが、こんな基本を忘れるとは。」
「お前は優秀な部下だった…。優秀すぎて、このワシやナイトメアすら『絶望』させる程にな…、
それくらい抜けていた方が丁度いい。」
「私も、そう思います。」
「デスパライア様、あの日、貴方がプリキュアを選んだ理由がようやくわかりました。
あの頃…、私は、ただ一心にデスパライア様のためになることだけを考えてきました。
その心が、いつの間にか私自身を歪め、ナイトメアを歪め、お預かりした組織を崩壊させてしまいました。
懺悔の言葉もありません…。」
「もうよい、カワリーノ。その責めを負うのは我の方じゃ…。
ドリームコレットの話を聞いたときから『不老不死』と『永遠の若さ』に目がくらんで、我は何も見ていなかった。
ブラッディのことも、変わりゆくナイトメアも…ずっとそばにいたお前のことさえ何も気がついてやれなかった。
すまなかったな…カワリーノ。」
「デスパライア様…もったいなきお言葉、ありがとうございます。」
「ブラッディ、カワリーノ…ナイトメアは今日で解散じゃ…。また、『ゼロ』から新しいページを開くがよい。」
ブラッディは、微笑んでデスパライアに意見した。
「カワリーノの奴は、すでに『ゼロ』の使い魔となっております。」
「そういえば、そうじゃったな。」
「デスパライア様、これをプリキュア…いや、夢原のぞみから預かってきました。」
彼女は、包みを受け取ると、指輪をひとつ抜いてカワリーノに握らせた。
「お主の『ゼロ』によろしくな…。」
ルイズは寮の自分の部屋で、浅い眠りについていた…。
制服のまま、写真を抱きかかえてうずくまったまま、眠っていた…。
泣き疲れた彼女の寝顔をランプの明かりが照らしている…。
ルイズの顔に影が落ちたのを感じたのか、彼女はふと目を覚ました。
「お嬢様、ただいま…もどりました。」
「な、なによ、遅かったじゃないの…。」
−THE END−
これにて、最終回は終了です。
初期案では「オチ」がありましたが、綺麗にまとまったのでここでラストにしておきます。
それは、「おまけ」として投下しておきますが、色々と台無しですので覚悟してご覧下さい。
「ところで、なんで大切な『仮面』をメイドにあげちゃったのよ。」
「あれですか?『力』を使い果たした『仮面』は、ただのオブジェです。誰が持っていても問題ないでしょう。」
「え?そ、その程度なの…」
「前に欲しそうにしていましたし、お嬢様の面倒を頼むのですから、捨てるよりはマシでしょう。」
「じゃ、じゃあ…わたしも、…えっと、その、なにか…」
「ちゃんと用意してございますよ、ルイズお嬢様。」
「指輪はわかるけど…、こっちのは何?」
「『向こうの世界』で売っている『ヌーブラ』というものです。
それを胸につければ、お嬢様のようなペタンコでも、少しはあるように見せかけることが…」
「うっさい、ペタンコ言うなぁ!この馬鹿っ!!」
*
「ところで、何で店に『ヌーブラ』なんておいてるココ?」
「プリキュアは変身したらペタンコだけど、私服の時は胸があるように見えることがあるナツ。そんなときは大抵…何をするナツやめ…(ry…grehyaneuys…のぞみgp
これで本当に終了です。
SSを書くのは初めてですので、美味しいところのつまみ食いになってしまい、統一感とか出せませんでしたが楽しかったです。
また、面白いネタを思いついたら参加させていただきます。
今まで読んでいただいた方、支援や感想をいただいた方、Wikiに登録いただいた方、どうもありがとうございました。
>プリキュアどんだけ強いんだ?
こんな感じです。動画の4:30ごろにカワリーノさん(変身後)も出てます。
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2204683
ぶあははははは! 最高! 最高の落ち!
しかも本編は実にきれいにまとまっています! 感動をありがとう!
すばらしい長編でした!
完結おめでとうございます、お疲れ様でした。
最初は、カワリーノなんぞで、どんなお話になるのやら、と思ったものですが、
だんだん話に引き込まれ、最後はきれいにまとまっていてとてもよかったです。
最後に、GJ!!です。
ブンビーさん、ナイトメア唯一の生き残り? どうなりますかねえ。
カワリーノさんの方乙でした
綺麗にまとまった本編も最後のオチも面白かったです
完結お疲れ様です。
いつまで経ってもHHOの本編が出ないから山口貴久でも召喚してみようかと思った
復讐を企てる者同士、シャルロットにはシンパシーを感じそうな気がする
「あ、あんた何者よ!?」
「ただの通りすがりのサラリーマンさ。単身赴任のね」
空間断裂も避けるニンジャリーマンは強過ぎるだろうw
巌なら、全てを一人であっという間に解決してくれる
でもその前に、ARMS達が時空を切り裂いて迎えに来てくれる
バランスブレイカーであり、ストーリーブレイカーです
800 :
sage:2008/03/16(日) 10:46:08 ID:srWAvDg8
久々にまとめwikiでエデンの林檎読んだが何度読んでも面白いな。
更新止まってるのが非常に残念だ。
あの、良ければ11時から投下していいでしょうか?
支援
「はあ……どうにかしなきゃいけないよな……」
洗濯かごを小脇に抱え、瀬川はルイズの部屋を出る。
あの爆発事件――ルイズが『ゼロ』のルイズと呼ばれていることを知った日――から3日が経過していた。
その間、ずっと空気が重い。
確かに、よく知りもしないのに口を出した瀬川も悪かろうが、それでも何日も続くと気がまいる。
結果、余計に話しかけられなくなり、さらに空気が重くなる悪循環。
どうにかしようとは呟いたものの解決策が見つからないのが現状だ。
階段を下りて、一階の水場に歩いて向う。水道など、この世界にはないため一々行かねばならない。
「――あ、おはようございます」
井戸のそばには、もう先客がいた。ぺこりと黒い髪の頭を下げるメイド服姿の少女。
「おはようございます、シエスタさん」
こちらも軽い会釈とともに挨拶を。
本当は手の一つでも振るなりしたいところだが、手はかごをもつのに使っている。
この2,3日の間、ルイズの雑用をこなすうちに知り合ったのだ。
女物の下着の洗い方やらで手間取っている時に、通りかかった彼女に助けられて以来、
彼女にはいろいろとお世話になりっぱなしだ。
食事に関しても、そうだ。
料理長のマルトーさんの計らいとはいえ、栄養的にも十分な食事がいただけるのは、
シエスタの口添えがあったからこそなのだ。
ルーンの刻まれた使い魔の人間、というのはルイズが言う通り物珍しいらしく、
召喚されて4日ほどなのに厨房や清掃のメイドさんやコックではそれなりにうわさになっていたそうだ。
「今日は水が冷たいですね」
「いやいや、シベリアで核汚染の環境調査に行った時の水はこんなもんじゃなかったですよ。
あれはもうほとんど氷だったからなあ……」
「『しべりあ』?」
「あ、気にしないでください、俺がいた地方にある土地の名前です」
手を動かしながらも軽い調子で口も動かす。
ルイズとあの調子なのもあって、こういう些細な会話ができるだけでもかなりの助けになる。
精神的にも、物質的な意味でも、彼女やコックの皆には頭が上がらないほどの施しを受けていた。
「よいしょ、っと……ってきゃああ!?」
洗い終えたかごをシエスタが重そうに持ち上げようとした。
絞ったとはいえ、水を吸った洗濯物の重さは相当のものなのだ。しかも、足元は石組みで、水びたしときている。
そのため、思い切り足を彼女は滑らせた。
「おっと、大丈夫ですか?」
こける前に、背中を瀬川が支える。
脇の下に手を通して持ち上げ、シエスタを立たせると、ひょいとシエスタの手のかごを持ち上げた。
「俺がもちますよ、女の子が無理に重いものを持つと体に悪いですよ」
「でも、コウジさんの分は……」
「手は二つあるんですよ? 両手に持てば大丈夫です」
肩を軽くすくめて破顔一笑、にっこり笑うと瀬川は先を歩きだす。
もう完全に自分で運ぶ気の瀬川を見てシエスタも申し訳なさそうな様子で歩き出した。
「すみません。本当に」
「いやいや、気にしなくていいですよ、男なんですから当然です」
物干し台まではせいぜいかかって10分だ。
それに、普通の人間なら重いと感じるかもしれないが、瀬川の体は特別製だ。
こんなものは軽い軽い。軽い足取りで歩く瀬川に比べて、シエスタが逆に遅れてしまうほど。
シエスタが物干し台についても、ロープ準備するまで持ち続けてもなんでもない。
「それじゃ、干しましょう」
2人してロープに服を通して行く。
なんだかんだ言って不器用な瀬川が苦戦する横で、するすると通していくシエスタ。
瀬川が半分も終わらないうちに、すべて終わらせてしまった。
追加で言うのなら、瀬川がルイズの分だけなのに対して、彼女は厨房にいる大人数の分をやっているのである。
スピードで言うと、2倍3倍では済まない。
「今度は、私がやりますよ」
そう言うと、瀬川の分までやり始めるシエスタ。今回は、シエスタのほうが頼りになる。
ここ毎日だが、何度見ても彼女の手際の良さに目を見張る瀬川。
「大丈夫ですよ、慣れです、慣れ。すぐコウジさんもできるようになりますよ」
シエスタの言葉に曖昧にうなずきながら、
『きっと自分はいつまでたってもできないだろうな』と内心小さくため息をつく瀬川であった。
「本当に、悪いね。何か手伝えることがあったら何でも言ってくれ」
シエスタが差し出すロープの端を思い切り瀬川が引くと、洗濯物が勢いよく空に舞い上がる。
風を受け、青空の下なびく洗濯物を眺めるのは、何となく気持ちがよかった。
「そういえば、明日は虚無の曜日なので、少し羽を伸ばせますね」
一仕事を終え、少し気の抜けた声で体を伸ばしながらシエスタが言った。
「『虚無の曜日』ってなんですか?」
瀬川は知らない言葉を問い返しながら、
休めるってことは日曜日とか土曜日みたいなものか、と少し想像をめぐらせる。
ここにきてから、知らない単語を聞いたらイメージでまず自分の知識内のものと当てはめるようになっていた。
そうでもしないと、色々と困るのは、さんざん思い知った。
「虚無の曜日は、学校が休みなんです。そのせいで、食事とかもあまり作らなくていいんですよ。
それに、掃除とかも虚無の曜日だけやらなくていいんです。コウジさんも明日一日は自由でしょう?」
「うーん、それはどうなのかな……」
やはり日曜日だと分かったものの、何をするかと言われればまだ想像がつかない。
しかも、ルイズをあのまま放っておくのも果たしていいものか。そもそもルイズが自分を自由にしてくれるのか。
腕を組み、空を見上げるように視線を上げ、山にある常緑樹林が目に入った。
「そうだな……山に行くのも悪くないかな」
この世界の自然を知るためにも、そして瀬川の趣味の森林浴という意味でも、とても魅力的に思えた。
「じゃあ、パンと簡単な食事でも包みますか?」
「いいんですか?」
「ええ、この間いただいた『カンヅメ』のお礼です」
そういえば、スープのお礼に缶詰の開け方を教えて全部厨房に渡しはしたが、
あれはあくまでスープのお礼で、こう食事の準備をさせるというのはどうなのか。
というか、サバの味噌煮とかサンマのかば焼きとか思い切り日本な缶詰を彼女たちが食ったのか?
「料理長、驚いてましたよ。
『味も良く、品質もいい。こんな見事な保存食は見たことがない』って。
私も一口いただきましたが、とても美味しかったです。
コウジさんのいたところではあれが普通に買えるんですか?」
……食ったようだ。
「ええ、まあ……」
こう言われると言葉を濁すしかない。
そうひょいひょい自分が異邦人だとばらすのは、あまり得策ではないとルイズで学んだからだ。
余りもものを知らない以上、いつかばれるかも知れないが、できるだけ隠しておきたい。
どう答えようかと悩む瀬川を救うように、鐘の音が空に鳴り渡る。
「あ、昼食の準備の時間ですね。じゃあ、コウジさん、また」
そう言って去っていくシエスタの背中に手を振って見送る瀬川。
彼女が見えなくなるまで瀬川は手を振り続け――
「――食事の返事をしてなかったな」
頭を掻いた。
結局、ルイズのことを考えて瀬川がいかなかったことは言うでもない。
だって、彼はそんな性格なのだから。そして、その虚無の曜日の夜。簡単な事件が起こる。
突然の地響きに、瀬川は目を覚ました。
結局、一日ルイズのそばにはいたが何もできなかったな、後悔交じりにまどろんでいた時のことだ。
深夜、突然巨大な音が学園に広がったのだ。
「なんだ……なんなんだ!?」
椅子からとび起き、かぶっていた毛布を脱ぐと、彼は地に伏せ、床に耳を合わせた。
先ほどほどひどくないが、やはりはっきりと感じる断続的な地鳴り。
顔をあげると、ルイズも寝ぼけ眼をこすり、あたりをきょろきょろと見ている。
「……な、なに? 何が起こったの?」
「俺もまだ、いまいち……外で何か起こってるみたいだ」
瀬川は窓を開け放ち、身を乗り出した。そして、絶句。
暗い闇の中、30m、いやこの世界の単位なら30メイルはある巨大な黄土色の何かが動いているのだ。
言葉を失い、固まる瀬川の脇の下からルイズも顔を出す。
「何あれ……ずいぶんと大きなゴーレムじゃない!?」
そうか、あれはゴーレムかと瀬川の薄い知識の中のゴーレム象と照らし合わせて微妙に納得しつつ、
なんでそんなものがこんな夜中にいて、何をやってるんだと余計に混乱する。
「30メイルなんて……普通の攻城用でも20メイルなのに」
目を細め、闇の中目を凝らす。よくよく見れば……壁を殴っている?
「大変だ! よくわからないがこの学園を壊そうとしてるぞ!?」
あわてる瀬川。しかし、ルイズは落ち着いていった。
「それは大丈夫よ。ここはね、全部の壁にスクウェアのメイジの『固定化』がかけてあるの。
絶対に、そこいらの野党のようなメイジに破れるシロモノじゃないわ」
「でも……」
何か言おうとする瀬川を遮り、ルイズは指差した。
瀬川は、また視線をルイズからゴーレムへ戻す。その指の先では、ゴーレムが崩れ、土の山に戻っていた。
壁は……見える限りなんともない。
「だから言ったでしょ。多分明日何か連絡があると思うから、それを待ちましょ」
もう終わった以上、これ以上は確かにやることがない。
ルイズがあくびを一つし布団に戻ると、瀬川も毛布にくるまった。
「……しかし、誰も行こうとしないってのはどうなんだ?」
答える声はない。結局、もやもやも睡魔に負け、瀬川は朝までぐっすり寝ていた。
◇ ◆ ◇
「何が物理衝撃が弱点よあのハゲ……『固定化』以外はかかってなかったみたいだけど、
厚みが厚みだけあって、やっぱり無理ね。私のゴーレムでもやっぱり駄目だったね」
山の裏手の広葉樹林の中、闇に溶け込む黒いローブの女性が独り言ちた。
人は彼女を『土くれ』と呼ぶ。世界を股に掛ける大怪盗であり、マジックアイテムの収集者。
その彼女の名は……フーケ。
手には、黒金の筒が握られている。それは、盗んだ『破壊の杖』だ。
「しかし、地面のちょっと下からは『固定化』がかかってないなんてね。
これなら下から掘りぬきゃ入り放題じゃないか。女湯とか地下にあったけど覗かれてないだろうね?」
彼女は、本壁は破れなかった。まともに魔法がかかった部分はさすがは魔法学院。
トライアングルメイジでも上位に位置する彼女でもまるで無理だった。
だが、彼女は図書館である資料を発見した。それは、この学院の設計図。
これを見ることにより、地面の下の壁には『固定化』がかかってないことを知ったのだ。
これにより勝算が生まれ……この2,3日の間にやった実験によりそれは裏づけられた。
一人になるタイミングを計って、女湯の壁に小さく錬金。
そして、花壇の下を手入れと偽って掘って、そこから見えた壁に錬金。
結果は両方が成功した。
ゆえに、彼女は行動を起こしたのだ。
ゴーレムで大きく素早く壁際を掘り、降りて即錬金。あとは、奪って逃げるだけだ。
もちろん、馬鹿な奴が近寄らないよう、その間はゴーレムに暴れさせる。
どうせ、目立つし急いで掘るさい音がする以上、そうやったほうが得策だった。
証拠に、この防壁を過信し、面倒事に巻き込まれるのを恐れた教師どもはやってこず……
まんまと本番の盗みも成功した。
「しかし、これはいったい何なのかね?」
慌てて形状だけ確認し、目当ての物を盗んだわけだが、使い方がわからずフーケは首をひねらせていた。
『破壊の杖』だけあって、一応は杖なのだろうがなんだか杖っぽくない気もする。
振っても魔法をかけてもうんともすんともいいやしない。
「はあ……獲ったはいいが使い方がわからないじゃ話にならないね」
フーケは、丘の上から身を乗り出し、学院を眺める。目に映るのは、学院の誇る大図書館。
あの図書館になら、このマジックアイテムの資料もあるに違いない。
それで駄目なら……知っている人間を見つけるとするか。
「そっちの策も考えなきゃね……」
低く舌打ちすると、フーケは、また元いた場所に帰っていく。
国家に追われる怪盗が帰っていく先は――トリステイン魔法学院だった。
◇ ◆ ◇
次の日、ルイズを朝食に送り出し、部屋の掃除を瀬川はしていた。
1階から持ってきて、ルイズが顔を洗った残りの水を再利用し、雑巾を濡らし、よく絞って拭く。
とある事情により子供のころから、粉塵やホコリには特別気を使う瀬川からすれば、
雑用の中でもあまりに苦にならない労働だ。むしろ、毎日こうするのは当然とすら思っている。
「埃だらけの部屋で呼吸すると体に悪いからね」
ランプも、柱も一つずつきゅっきゅっと磨いていく。最後に、窓ガラスまで丁寧に拭いて終了だ。
さて桶の水を、流すため1階に戻ろうかという最中、ルイズが部屋に戻ってきた。
「おや、遅かったね。やっぱり昨日のことで話が………」
桶の前にかがんでいた瀬川が身を起こす。
しかしルイズはその瀬川を無視し、ベッドにそのまま突っ伏してしまった。
何か調子でも悪いのかと思い、近寄って声をかけようと瀬川はした。だが、
「出てって!」
ヒステリックな声。ルイズはこちらを見ようともしない。
ただ、顔を枕に押し付けたまま、金切り声をあげた。
「いったいどうしたんだ急に……」
「もう出てって!」
肩を叩こうと、伸ばした手が行き場なく空をさまよい、わななく。
喉が一瞬で乾き、息をもらすのも痛いくらいだった。何があったのかわからない。
何を言っていいのかすらわからない。
力なく手を下ろす。酷く、壁がある気がして、瀬川は結局桶をもって部屋を出るしかなかった。
――自分が、いったい何をしたと言うのだろう?
何かもわからないまま、ただ切迫感だけを感じる。
そして、やるべきことが見えず落ち着かなく校舎をうろつくことしかできなかった。
自分がなにかルイズのためにならないことをしたというなら、自分で解決しなければならない。
だが、理由すら漠然としかわからないのだ。
どうするべきだ?
どうやればいいだ?
どこへいけばいいんだ?
ぐるぐる回る3つの言葉。しかし一つも答えは出ない。
「コウジさん……どうしましたか?」
かけられた声でハッと我に返る。後ろを振り向くと、シエスタが心配そうな顔でこちらを見ていた。
「桶の水を捨てるんですか? 水場ならこっちですが……」
「シエスタさん」
強い口調で瀬川は言った。
「朝の食堂で何があったか教えてください。知らないなら、心当たりのある人を」
――シエスタとあって20分後そのほど経ったころ。
瀬川は、朝食が終わり生徒のいないがらんとした食堂の椅子に腰掛けていた。
ここにいるのは、シエスタと金髪の若いコック、そして背の高いメイド。
この3人は朝食の配膳や運搬をやっていたらしく、今日の朝食の様子を語ってくれた。
「話に聞くに、昨日この学院に、『土くれ』という名の盗賊が忍び込んだんだとよ。
そいつが何か大事なもんを盗んだらしいぜ。んで、居場所が分かったってことで
先生に加えて生徒も引きつれて討伐隊を作るんだと。少数先鋭だと送った順に
少しずつ潰されるかもしれねんだってさ。だから生徒を募って数を増やすとかなんとか……」
金髪のコックが山高帽を片手にそこまで言って言葉を濁した。
「あたしのほうが近かったし、あとは私が話すわ。
……それで、あんたのご主人のヴァリエール嬢が志願したんだけさ。なんていうか、その……
反対されてね。いや、違うかな。除け者にされて嘲りモノにされたって言ったほうがいいかもね」
テーブルに腰掛け、指をいらただしそうに背の高いメイドは叩いた。
「そりゃみんな黙ってる中いの一番に志願したのは凄いさ。
あたしも貴族は嫌いだけど、へぇ気骨のある奴もいるもんだと少し感心したもんだ。
だけど、それに先生連中が、がん首そろえて全員嫌な顔してね。
それを見てガキどもが調子に乗ったのさ。酷いものだったよ。学年もクラスもありゃしない」
そこまで言うと、憎々しげに周囲を彼女は睥睨した。
睨みつけているのは、食堂のテーブルではない。先ほどまでそこにいた人間たちだ。
「あれで品性豊かな貴族って言うんだからクソったれたもんだよ。
あれだけ人数が自分が行ったなんてわかりゃしないと思ったのかね。
どんどんエスカレートして最後にゃやれ、貴族の血を引いてない私生児だの、
そいつ自身を否定するよな滅茶苦茶なことをどいつもこいつも平気で言いやがる。
先生どもが止めても数が数だからね。まるで治まる気配なしってやつだ」
胸糞悪い、と吐き捨てると背の高いメイドはくしゃくしゃと頭をかいた。
「あの、それで……」
最後に口を開くのは、シエスタだ。
「私は、最後に少し配膳しただけなので、よく聞こえなかったんですが……
『まともに召喚できず、平民を連れてごまかしてる』とかそんな野次もあって……」
一々言葉を選んで口ごもるシエスタを見かねたのか、背の高いメイドが口をはさんだ。
「ま、要約すりゃ確かにそうさ。でも、言い方や内容はもっと汚いもんだった。
きれいなのは言葉遣いだけで、中身が腐りきってやがる。んで、誰が言ったか知らないが、
それが連中のつぼにはまったらしくてね。使い魔の……まあ、あんたのことに関しての
大合唱ってわけだ。別にあんた自身のことじゃない。『平民』を呼び出したってことへのアレさね」
他にも、どんな悪口があったか、どんな様子だったか彼女たちは教えてくれた。
「んで、嬢ちゃんも最初は顔真っ赤にして反論してたけど、やっぱり数が数だからね。
内容も、今まで噂に聞くようなもんともまるで違う。そのせいで、食堂を飛び出したってわけさ。
あとは『主賓』がいなくなった食堂は静かになり、志願者が周りに威張り散らしながら、
何人かでグループ作って今後のために会議室へ。残りは授業で解散。これで終わり」
そう彼女たちは話を締めくくった。
「なんてことだ……」
愕然とした様子で瀬川はうなだれた。まるで……いや完全にこれではいじめではないか。
大きな原因の一つに自分がなっていることは分かったが、これではどうしようもない。
今度は一転して湧き上がってきた怒りに震え始めたこぶしを抑え、どうにか冷静に訊く。
「なんとかして、どうにかできないか?」
真剣な顔でその場にいる3人を見つめる瀬川。その様子を見て呆れた様子で背の高いメイドが言った。
「別に、放っておけばいいじゃないか。貴族なんかのためにあたしらがやれることなんてないよ。
第一、あんただって急にこんなことにつれてこられて困ってる被害者なんだろ?」
「それでも……それでも俺は、子供には笑っていてほしいんだ。明るい未来を信じてほしいんだ――」
――だって、妹にもそうあってほしかったから……
思わず喉までせりあがった最後の言葉を飲み込み、大きく一つ息をつく。
対して、愚直なまでの瀬川の物言いに、三人は目を丸くした。
「ヒュー、立派な男だな。ガキんとき聞かされた英雄、イーヴァルディみてぇだぜ」
茶化すように口笛を吹き、コックの男が笑った。
「『イーヴァルディ』?」
「いや、ガキの物語に出てくる勇者さ。『イーバルディの勇者』。
あんたみてぇに、ちょっとしたことのお返しに、命まで張っちまう人間さ。しかも魔法も使わずな。
大体どこの家でも、これを聞かされて育つもんだぜ」
「別に……そんな『勇者』ってわけじゃない、俺は……」
――結局助けられなかったんだから。
だからこそ、もうあのときのような想いはしたくない。
「でも、あんたみたいなの嫌いじゃないぜ。大将、一つ解決する方法を教えてやろうか?」
瀬川は、コックの肩をつかみ、頭を下げた。
「頼む、教えてくれ」
ちょっとその瀬川の反応にたじろぎながらも、コックが答える。
「簡単さ。あんたのご主人が立派なやつで、あんたもすげぇ使い魔だって証明すりゃいいんだ」
「ちょっと、あんた何言ってんさ」
コックの男が言おうとしたことを察してか、背の高いメイドが口をはさんだ。
しかし、瀬川は次を促した。
「簡単さ。あんたがフーケをとっ捕まえればいい。貴族っ子連中の鼻っ柱も折れて最高だろ?」
「馬鹿……! あんたも真に受けんじゃないよ。あたしたちが貴族の、まして30メイルもある
ゴーレムをどうにかするなんて、夢のまた夢さ。素直にあきらめな」
女は、冷めた声でそう瀬川に声をかけた。
なるほど、確かにそうだ。ただ、どこにでもいる人間ならばそうだろう。
だが、違った。彼は、違った。幸運にも彼には、人を守る力が――人の夢を守る力があった。
大いなる、大地が授けた勇気が、その力を使う彼の身を奮い立たせるのだ。
瀬川の瞳には、強い光が宿っていた。
「教えてくれ。フーケは……どこにいるんだ?」
幾万年と星を壊してきた侵略者たちと、たった一人で戦い抜いた男がそこにはいた。
「本当に……いくんですか?」
3人とも――言い出したコックも――呆れと驚きを半分ずつ混ぜたような目になった。
「正気かい、あんた?」
「もちろんだ」
間髪いれずに答える瀬川に顔を見合わせる3人。
「おいおい、あんた。思うだけならタダだけど、やるとなったら洒落ですまねぇぜ。あてでもあんのかい?」
「分からない。でも、何かできるかもしれないのに、やらずに終わるのは嫌なんだ」
「近くの森の廃屋って話さ。けど、それ以上は知らないね。けど、轍の跡は残ってるだろうから、それを追えばいいさ。
……今ならきっと追いつける」
あきらめたような様子で背の高いメイドが言った。
「お、おい……」
「ありがとう」
それだけ言い残すと、1秒でも惜しいと瀬川は駆け出していった。
「シエスタ、ヴァリエールのお嬢ちゃんに私たちが買出しに使う馬を渡してやんな。それも一番速い奴」
瀬川が食堂から消えると、そうポツリと背の高いメイドはシエスタに声をかけた。
「え……え?」
言われたことの真意を読み取れず、シエスタは先輩のメイドの顔を覗き込んだ。
「きっと私らがとめたって無理さ。どうせ、どうにかして突っ走っちまうに決まってる。
あいつがお嬢ちゃんのために、ってことなら……とめられるのものお嬢ちゃんだけだろうさ。
ものの道理くらいは分かるだろうから、事情を話して追ってもらいな」
「でも、もしかしたら本当に捕まえてくるかもしれねぇぜ?」
「あんた、本気でそう思ってんのかい?」
コックの軽口を、ピシャリとたしなめる。
「そんなことができるのは、お話に出てくる英雄や勇者だけさ。平民が貴族に勝てるんだったら、
とっくの昔に世界はひっくり返ってるよ。でも……」
背の高いメイドが空を仰ぐ。
「でも……?」
シエスタも、つられて空を見た。天窓から見える切り取られた空を。
「夢があるね。そしてそれをまだ真顔で見てる夢見がちな大馬鹿もいる」
テーブルからおり、厨房へ戻っていく中、自分の肩を叩きながら言った。
「本当にできたら、あいつは勇者かもね。『イーヴァルディの勇者』みたいな、ね」
「懐かしいねぇ、俺もガキんときおふくろに読んでもらったよ」
「……うるさいね。そら、シエスタ。急がないと手遅れになるよ。人を見殺しにするのは気分が悪いだろ?」
「は、はい!」
パタパタと食堂を飛び出していくシエスタ。
――彼女たちは知らない。
彼が、誰にも知られず、世界を救ったということを。
誰にも誇らず、何の見返りも求めず、異形の悪魔と戦ったことを。
『イーヴァルディの勇者』――たった一食の恩義のため、そして人のため自分の命を投げ出して戦う偉大な勇者。
魔法を使わず、武器を持って戦う『平民』。誰を指すのかも分からぬ、英雄譚の登場人物。
それは………
投下終了です。多分、あと1話で終了ですので、それまでお付き合いいただければ幸いです。
投下GJ
説教するわけでもなく、自分勝手でもなく、体操のお兄さんポジションのキャラは見ててやっぱいいですね
ってかもう最終話? 楽しみにしてたのに早い、早いよ……折角自分としては久しぶりの当たりだったのに……
最後までがんばってください!
今予約ありますか?
とりあえず前回できなかった予告。
次回予告
シエスタ「ビームで簡単にミスタ・グラモンを倒したマジクさん。」
「だけど,すぐにミス・ヴァリエールに連れていかれ…」
ルイズ「きっちりかっちり説明してもらうわよ。」
マジク「うぅっ。面倒だなぁ。」
「こんなとき…都合よく説明してくれる神様がいたらなぁ。」
???「そうであろ。そうであろ。」
「余のありがたみが,こう…背筋のあたりからゾクゾクっとのぼってきたであろ?」
シエスタ「そんなことは放っといて。」
「次回,第3話『今になって分かる説明役っぽいものの大切さ』に…」
コルベール「我は癒す斜陽の傷痕。」
投下します
第3話『今になって分かる説明役っぽいものの大切さ』
ルイズは何が起こったのか理解できずにいた。
確か自分の使い魔は危機的状況に陥っていたはずだった。
6体ものゴーレムに囲まれ,平民の彼にはどうしようもない。
――どうにかなってはならない窮地。
彼が死ぬことで自分は新たな使い魔を呼ぶことができるようになる。
それは願ってもないことだ。
でも何故か彼を死なせたくはない。
そう思いギーシュに膝を屈して頭を下げてまで許しを請おう。
いやっ,それは公爵家の三女としてどうなの?
などと考えあぐねていた。
そうしていたら彼――マジクがおもむろに右手をあげて何事か叫んだのを聞いた。
次にルイズが見た光景は,
マジクから放たれた純白の熱衝撃波がゴーレムをあとかたもなく粉砕するところだ。
「えっ?なっ何がおこったの?」
「今あの平民,魔法を使ったぞ。」
「馬鹿な,杖もルーンの詠唱もなしにか?」
野次馬達の悲鳴まがいの声を聞いて,やっとルイズは状況を認識する。
どうやら自分の使い魔はありえないことをしたのだと。
(早く――あの馬鹿をどこかに移動させて説明をきかないと。)
ルイズはマジクの元へ走った。
「えっ?なっ何がおこったの?」
「今あの平民,魔法を使ったぞ。」
「馬鹿な,杖もルーンの詠唱もなしにか?」
野次馬達の悲鳴まがいの声を聞いて,やっとルイズは状況を認識する。
どうやら自分の使い魔はありえないことをしたのだと。
(早く――あの馬鹿をどこかに移動させて説明をきかないと。)
ルイズはマジクの元へ走った。
マジクはギーシュからの敗北宣言を聞きだしたあと,ふとあることに気付いた。
野次馬達の中からシエスタを見つけだし声をかける。
「シエスタ。もう日がくれちゃうよ。」
「はい?」
「まだ仕事が残ってるだろ。マルトーさんやメイド長に叱られちゃうよ。」
「はぁ。」
「この不況の世の中。少し仕事が遅いだけで,
クビにさせられることなんてよくあることですし。
残った仕事を残業して片付けたところで残業手当はスズメの涙。」
「ええ。」
「まあ家の宿なんてパートの人が残業するほどの仕事は,
何故かなかったけど…それはおいといて。」
マジクはシエスタの手をとり体を引き寄せ
「ぼくが手伝えば,ギリギリで終業時刻には間に合うはずだから急ごう。」と
シエスタと共に走りだそうとしたが――
「待ちなさいっ!この馬鹿いぃぬぅっ!」
走ってきたルイズにぶん殴られ,5メートルほどぶっ飛ぶ。
「ったく,この馬鹿犬っ!」
そのままズルズル引きずられていった。
唖然にとられていたシエスタは
「…あっ,仕事しなきゃ。」
そそくさと食堂に帰っていく。
なんだか気が抜けた野次馬達も
付き合ってらんねーと解散した。
――院長室
この珍事を見ている二人がいた。
由緒あるトリステイン魔法学院が院長。
エロじじいことオールド・オスマン。
いっけん貧弱,だけど私すごいんです,な禿げ眼鏡。
炎蛇のコルベール。
「いや,しかしまいりましたな。」
コルベールが心底困り顔でポツリとこぼす。
「契約の際に彼に刻まれたルーン。書物によると伝説のガンダールヴとのこと。
真偽を確かめるのに丁度よくミスタ・グラモンとの決闘…」
「だというのに,ガンダールヴのものと思われる能力は見られずじまい。
それどころかもっとやっかいなことになりそうじゃしなぁ。」
同じく困り顔のオスマンが言葉をひきとる。
「あれは系統魔法では断じてない。」
「では先住魔法とでも?」
「いや,それとも違うじゃろ。」
「…」
「…」
院長室に沈黙が流れる。
――ルイズの部屋
「で?あんた何者なの? さっきのはどうやったの?
まさかとは思うけど魔法?というより何で私が使えないのに,
あんたなんかが魔法をつかえるのよ。こんなのってないわ。
ついでにあのメイドとなっ慣れ慣れしくしすぎよ。」
理不尽にも広場からここまで乱暴に引きずられたマジク。
決闘では無傷だったのに…今ではいたるとこから出血し,捻挫に打ち身に打撲と
牙の塔でもそんなにはなかった惨状にいながらなんとか答える。
…はぐれ旅で培われたものはそこまで偉大なのだろうか?
「召喚された日にもいったけど,ぼくはマジク。マジク・リン。
牙の塔に所属する上級魔術士で,さっきのは魔法ではなく魔術だよ。
詳しく説明すると長くなるけど………【以下略あしからず】
………という訳さ。シエスタと仲がいいのはご飯とかめぐんでくれるし。
ぼくとしてはこれから最低限,人並みのご飯がでてきてくれるとうれしいです。」
さりげに要求を付け加えながらマジクは説明し終えた。
…下手に魔術の説明しようとしたら大陸の歴史からなにやら説明しないといけないから
大変だよね。
「ふーん。音声魔術,黒魔術…光や熱といったエネルギーや,肉体そのものを扱う…ね。
いまいち分からないわ。何かみせてみなさいよ。」
やや興味をひかれてマジクに魔術を求めるルイズ。
(いい加減に癒さないと…危ないからなぁ…ぼく)
構成を編む。
「我は癒す斜陽の傷痕」
マジクの体の傷が消えていく。
「す,すごいわ。さすがにやりすぎたと思って
水の秘薬を用意しなきゃいけないだろうなぁ〜っていう傷を
一瞬で治すなんて。」
「そ,そうかな?どうってことないよ。自分の傷を治すなんて。
本当に難しいのは他人の傷を…」
「ねぇ。他にどんなことができるの?」
本当は純情で好奇心旺盛なルイズ。
自分達とは違う魔術にほとほと感嘆していた。
一方マジクは,先ほどまでは人になるべく魔術は見せたくないと考えていたが…
なんか色々考えるのが面倒くさくなっていた。
(なんなんだろうね,この展開。)
(異世界に呼び出されて,使い魔にされて,おまけに決闘…)
溜息をこぼし,
(前っから,こうだ。ぼくの意思に関係なくことは起きる。――起きるんだ。)
(なら今,何か考えてもしょうがないじゃないか。)
ルイズをみつめて,
(なら今は…ルイズを楽しませれば…上出来かな?)
≪ゼロのルイズ≫――魔法がまったくつかえないルイズがそう呼ばれているのを,
マジクは知っていた。
(なにもできないのは――つらいことなんだ。)
かつての自分が味わったあの気持ち。
マジクの場合は周りには,同年代の魔術士がいなかった。
(でも,ルイズの周りには…)
自分とは比べられないくらい辛かったろうなと考えていたら,
「ちょっと,マジクっ!わたしの話をきいてるの?」
「あぁ,ごめん。」
怒られた。
「そうだなぁ,まずは…」
このあとルイズは眠くなるまで,マジクの魔術を楽しんだ。
次回予告
マジク「ぼくの生活水準があがって大満足な今日この頃…」
ギーシュ「だけどそんな平和が続くはずがなかった。」
キュルケ「ダーリン。この男たちを…倒してみ・せ・て。」
「勝ったら全力で愛してあげるから。」
ルイズ「ちょっとキュルケ。人の使い魔に手をださないでよ。」
ギーシュ「次回,第4話『長編と短編とテレビで変わるもてっぷり』に」
タバサ「我は導くは死呼ぶ椋鳥!」
以上で投下終わります。
今回もなにかしらあると思いますが,
よろしくお願いします
823 :
初投下:2008/03/16(日) 12:26:32 ID:jR1MOUAE
マジク乙
いい人の使い魔乙、次で巨大化かー、wktkがとまらない
今回の洗濯シーンといい、カメラ初めて触ったシーンといい、凄く和むw
いいなあこんな召喚者w
投下乙。
あんまり仮面ライダー好きじゃないけどあんたのは好きだぜ。
続けられる形で終わるんだったらもうちょっとできないかね?
とにかく期待してる。
823です、投下します。
「(ここはどこだ?)」
烈光が目を覚ますと、そこには全く見覚えの無い世界が広がっていた。
「(元の場所・・・じゃないな・・・ここは・・・)」
石造りの建物、着物ではなく、白い服の上に黒い衣らしき物をまとった若い男女達。
その中で桃色の長い髪の少女が彼を見て顔を引きつらせていた。
「こ、これのどこが・・・」
「なんか、変なの召喚したぞーっ」
「やっぱりゼロのルイズだ!!俺達とは右斜め上を行ってるぜ」
「ははははははははは!!」
「ルイズ涙目〜ってか?」
少女は本当に目に雫を溢れんばかりにためていた。苛めにあっているのだろうか?
彼らの言葉が理解できない今、その場の雰囲気から状況を把握する術はなかった。
「おい、ここはどこだ?それに君達は何者だ!?」
少女に問いかけるが、こちらの言葉も通じないらしく無視された。
実際、その少女――ルイズは得体の知れないゴーレムを使い魔として召喚してしまったことに
納得がいかず教師ミスタ・コルベールに講義していた。
「ミスタ・コルベール!、サモンサーヴァントをやり直しさせてください」
「だめだ、やり直しは認めない。サモンサーヴァントは神聖なもの、それをやり直すとは始祖ジブミルを冒涜するに値する
彼は君の使い魔として召喚されたのだから、コントラクト・サーヴァントを続けなさい」
「・・・わかりました」
ルイズは観念し、烈光に近づく。
「(な、何だ?)」
右手に持った菜箸――杖を天向ける。
「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、われの使い魔となせ」
「(何が起ころうとしているのだ?)」
目の前で詠唱を始める少女をただ注視する烈光。その彼に少女が唇を寄せる。
彼の赤い角張った部分と柔らかい唇が触れる。
「???」
その少女にとっては大事なファースト・キスだが、意味不明の儀式に巻き込まれた烈光は
自分は何かの生贄にされたのだと覚悟を決めた。それを証明するかのように左手に刻まれるような激痛、
体の内から焼かれる苦しみが彼を襲ったのだから。
「(俺は殺駆三兄弟とやらとスイカ割をしてて・・・スイカを割った瞬間霧に包まれた所までは覚えてるが)」
※(SFCゲームソフト 大将軍列伝 特別合戦第三章 対決!スイカ割り!!殺駆三兄弟の挑戦!! 参照)
自分が何故こんな目にあってるのか今までのことを思い返すが、全く記憶が無い。
「不覚を取った」
これが烈光の、召喚された世界――ハルケギニアでの第一声(ルイズたちが耳にした)であった。
GJ
ところで、マジクがガンダールブの能力+デルフを持ってもレッド・ドラゴンに勝てると思えない…
ってか、オーフェンに勝つ事が出来るんだろうか?
「ちょっと、いつまで倒れてんのよ!!」
耳元で突然怒鳴られ、目をパッチリと開く烈光。この異世界にいるのは夢ではなかった。
「いきなり怒鳴るのが初対面の者に対する挨拶か?」
「うるさいわね!!あんたは私の使い魔なんだから私に絶対服従なんだからね、わかった!?」
「使い魔?何のことだか知らないが、新生闇軍団の手先か?」
問いかけに対し質問で返す烈光。二人の視線がぶつかり、火花が散る。
「まあまあ、ここはひとまず落ち着いて」
コルベールが間に割り込み、二人の距離を引き離した。
「ミス・ヴァリエール、コントラクト・サーヴァントは無事終了しましたね。彼には私が説明しましょう」
「わかった」
「私はこのトリスティン魔法学院の教師を勤めておりますコルベールです」
「天宮(アーク)の国の武者、烈光頑駄無だ」
「れ・こう・がんだむ・・・随分変わったなですねぇ」
「・・・(あんたの名も俺の国では聞かないが・・・)」
「ま、話は戻しまして、この学校では多くの魔法を学び一人前のメイジを育てます。
今日は二年生の進級に伴い、メイジのパートナーとなる使い魔の召喚の儀式をしておりまして、
このミス・ヴァリエールがこうしてあなたを使い魔として召喚したのです」
「ふむ、それで使い魔って言うのは具体的には何をするんだ?他の連中を見たところ、愛玩動物にしか見えないが・・・」
「あんたは作りが人間と同じだから、あの子達とは違う使い方を考えてるんだから」
今のルイズの話は聞き流す。
「なるほど、話はわかったが、こっちにも事情がある。俺は自分の国がかつてない危機に晒され、
一刻も早く帰りたいのだが・・・」
「それは無理よ。私達の魔法は呼び出すことは出来ても、還す事が出来ないの」
「ふざけるな!、そんな馬鹿な話あるか」
「・・・ある」
いつからいたのか、青い髪の眼鏡をかけた少女が本を見ながらボソッと言う。
「あのなぁ」
何だか相手にするのもだるくなって来た。
「・・・(こんな世界で俺はやってけるのか?)」
兎にも角にも、こうして烈光頑駄無の使い魔生活は始まった。
―次回を待て!!―
経験値が違いすぎて無理じゃね
以上で投下終了です。
つたない文章で失礼しました。
オーフェンの弟子乙です。
体術が師匠に劣る分、魔術が大盤振る舞いで派手ですなあ。
射程内なら戦艦でも一撃だなww
オーフェンが都市殲滅兵器、緑宝石の鎧と威力で押し合えた描写を見ると
弟子のマジクも対7万戦でいいとこいけそうだ。
_ ∩
( ゚∀゚)彡 ジャンボライダー!ジャンボライダー!
⊂彡
マジクは魔術の才能はすげえのに結局ヘタレのまま終わるとは思わんかった
GS美神で言う横島くらいのパゥワーアップするかとおもってたぜ
誰も言わないから言う
頑駄無面白かった!!
>>774 V3召喚のSSがそれを匂わせてるような希ガス
だから、あのSS書いてる奴を天才じゃねーかと思ったんだが
頑駄無乙!
一介の若武者から身を起こして大将軍にまでなった上
SD戦国伝史上屈指のキーパーソン
がんばれルイズ!使い魔に実績負けしとるぞw
さて…
埋 め な い か
もう梅のシーズンは過ぎそうだぜ?
うめ
そういやサイヤの使い魔どうなったんだろうか
ひと月か前に投下があったハズだが…
作者さんは健在だぜ?
強いマジクに違和感があるが、これはこれで面白いな。
さぁ埋めようか
なぎはらえー
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だが断る
誰だろう?
酷いなおいwダブル主人公のときもあるだろw
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l / / / l{ ハ ヽl ヽ j∧!: :',ヽ: : : : : : : : : :./ `ヽ、 ―― 名前だけが出てくるよりいっそマシよ! ――
| l l j 八_ リ>'7! ハ jハ: :}ベヽ: : : : __,ノ . : : : : : : : : : : : : : : ノ
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j/ .∧ :代::汀 ル' j_;ソ {'!:::了 ヽ { ̄ ̄ ̄ \  ̄ ̄`ヽ、: : : : : : : : : : (
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{ ヽ イー" ノ/ // //j/ < 僕のかっこいい活躍は、まだかい?
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