あの作品のキャラがルイズに召喚されました part119
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part118
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204750941/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ --------------------------------------------------------------------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
--------------------------------------------------------------------------------
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
--------------------------------------------------------------------------------
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
● 「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃ ● ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘ よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃ おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃ (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃ どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃ たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃ ね・え・かたをっかしてよっ
┃ す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃ き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃ ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃ だからすぅきぃよっなんていわない
┃ のんのんのんどっこかへいったら
┃ ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん ・・・だぁって
┃ ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃ あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
一乙
松下くん乙
>2はテンプレじゃねぇ、>1乙
もうこのテンプレ展開にいい加減飽きた
新作やるなら工夫してくれよ
爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
>>1 ○________
なぎはらえー |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ
|:l\\\||.:.|l///| .///
__ ィ ,. -――- 、 |:|:二二二二二二二 !// /
/ / \. |:l///||.:.|l\\\|/ /
/ ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ |:|//:::::||.:.||:::::\\l /
ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ
ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / !
ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l
. \\_____ivvvvvvvv| V. ( ( /Tえハフ{ V ‐一 '´ / __. -―=-` / / l l
\! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l
__ |\ l/V _{_____/x| (_|::::__ノ }ィ介ーヘ / ,.-‐ ' ´ / ____  ̄ ̄フ ∧ l
)-ヘ j ̄} /| /___/xx| _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___ { / `< / \|
{ V /`7. /___./xXハ ( |:::::::::::::::::ハ >' ____ 二二二二二二> / __ 〈
. \_ |/ /___l XX∧ __≧__::::::::/:∧/ `丶、 / { {____ハ }
| ヽ /____|]]∧ __|__L.∠ ム' <`丶 、 `丶、 / \_____/ /
| ', { |]]]>' __ ∧ l\ \ 丶、 ` 、 ∠ -――- ..____ノ /
ノ } l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/ V' \ ヽ `丶\/ /
/ ∧ { \ | .|>' / // :/ :/ : ', l \ ヽ ,.-――┬ \ /
入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V ヽ \ ,. '´
`ー′ \ `< | { / | /〃 :|/ __V/ ̄| ̄ ̄{_ \_ ` <
\ `' ┴ヘ { .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' | / ノ`y‐一' >、_/ / ̄ 7丶、_ 丶
\ ヽ /`ー「と_し^´ | | } ム-‐' / / \_/ / / ヘ \
ヽ _>-ヶ--∧_} ノ j /` 7 ̄ ̄ ̄{ (  ̄ ̄`ー‐^ーく_〉 .ト、_>
', / 人__/ .ィ {__ノ`ー' ヽ 人 \__ { } |
V 人__/ / | /  ̄{ ̄ >‐ ァ-、 \ 〉ー} j
{ / ./ ∨ __  ̄ ̄ >-</ / ̄ ̄ 廴ノ '
<ヽ__ /し / < )__ \ _r‐く___/ / < ) \ {__ノ /
Y__>一' / ___r―、_\ >' `ー' ,. ´ >.、 \__ノ {
∠二)―、 `ー‐┐ ∠ ∠_r‐--― <__ ∠ )__ \_
∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|> ∠)__r―――-― ..__{> ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
実例を見た事が無いなら「Z武」で過去ログ検索するよろし
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
>>2 このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
>>16
.hackからモルガナ八相を呼んでみないか?
…多分契約する前に学園の生徒の大半がデータドレイン喰らって意識不明に……
G.U.verの八相ならAIDAとクビアもついてきて三大怪獣大暴れに……
>>1 乙。
無理やりテンプレを無視せんでもいいと思うんだがな。
>>1乙!
爆熱の使い魔を読んでると、ガリア王国のヨルムンガント軍団と
ドモン最強の槍となるゴッドガンダムとの対決が拝めるのだろうかとwkwkしてしまうぜ
対決じゃなくてガンダム無双的蹂躙戦になりそうだが
王蛇とゾルダ呼ぼうぜ!
>>14 デッキだけ→機能するかどうか怪しい(ハルケギニアにはミラーワールドが無い為モンスターが呼び出せない)
中の人込み→どう考えても従わない。特に王蛇の中の人は召喚した連中を皆殺しにする。ガチで。
つーか、どっちにしろ色々難易度高いよ。
少なくとも長編は無理。
モンスター込みだと最悪、エサとして人食いとかさせる必要が出てくる可能性あるし。
それ怠ると契約者が食われるから。
デッキと聞いてMtGが浮かんだ
MoMaデッキ召喚
使い方不明だけど使いこなせるようになったら対メイジ戦で最強に
>>9 お前、前スレの最初に居た奴だな。いい加減にしろよな。
飽きたなら来るな、もしくは自分で書け。
それが出来ないなら死んどけ。
MtGだとマイナーなところでデュエルファイター刃ってのがあるな。
MtGのカードで魔法を使うという奴が。
シヴドラ、セラエン、マインドツイスト、ダリチューとかか
ドイツチーム呼んでこれが我々の電撃戦だ と
永遠のアセリアって定期的に話題に上がるけどSS自体はないのね
エターナルならハルケギニアに順応出来そうな気もするけど、SS書いてくと設定辛くなるのかね
中の人と自分で言っておいて押川善文氏(ゾルダの中の人)と
岡元次郎氏(王蛇の中の人)を呼ぶんだと勘違いした俺ガイル
>>21 全ては永遠神剣の仕業だ、になっちゃうので書くのをやめた。
手塚違いで漫画の神様が・・・
>>18 もう既にネタ化したような
>>9 にマジになるなよ。
スルーの魔法を使うかネタで返すか、どっちかは貴方にお任せする。
むしろ俺は「
>>2」を単純化してしまった
>>9 を尊敬する。
カードバトルではマイナーというか斜め上なところで、PSO EP3というのもあるな。
陣営によるが、カードで武器や防具を召喚して装備したり、モンスターを召喚したり、
魔法(的な科学技術)を使ったり使わせたり。
こんばんわ。
20分から投下よろしいでしょうか。
では投下行きます。
朝。いつもより遅い時間にサモンジは目を覚まして、のんびりと毛布をたたんで伸びをする。
ボリボリと頭を掻きながら横を見ると、ルイズのベッドからはまだ寝息が聞こえてくるが………今日は休みだということを思い出す。
そしてルイズが教室を爆発魔法で破壊したことに対する謹慎は今日まで。明日からは授業に出ることになるのだ。
周囲からの嘘吐き扱いと、キレてしまったルイズの魔法による「暴行」………周囲のルイズに対する目は以前と変わってしまうだろう。
「今日の内に様子を見て、何とかしておかないとまたルイズちゃんが爆発しちゃうかもしれないからなぁ」
呟きながら身支度を整える。欲を言えばお湯で顔を洗いたいところだが、流石にメイジの力をもってしてもお湯の常備はされていない。
シェービングクリームも当然無いため、夜にヒゲを剃り損ねると一日不精ひげを晒すか顔の皮膚の傷を我慢して気合で剃るかの二択。
といってもそんなことは気にせず不精ひげを晒すことを選んで部屋から出るサモンジ。その時タイミングよく向かいの扉が開いた。
「や、おはようキュルケちゃん」
「おはようサモンジさん。身だしなみがなっていないのは減点よ」
早速のチェックにサモンジはたはは、と笑いながらひげをちりちりと撫でる。
「こいつは失礼。ところでキュルケちゃんに頼みたいことがあるんだよ、ルイズちゃんのことなんだけどいいかな?」
「なぁに、朝からヴァリエールのことで頼みごと?」
不機嫌そうに腕を組んで言うキュルケだが、ルイズのことが心配だったのは確かだ。むしろ、サモンジの頼みはちょうど良い。
キュルケはサモンジの、今日一日の生徒や教師たちの噂、ルイズへの反応をか聞いて欲しいという頼みに不承不承という態度で頷いた。
「まあいいわ。平民の、それもヴァリエール縁の人間の頼みなんて聞くんだから感謝して欲しいわね」
キュルケの返事にあいまいに笑いながら手を振るサモンジ。そのまま食堂に向かうキュルケと別れ、サモンジは厨房の方へ回る。
厨房でワゴンを押すメイドにルイズの朝食を運ぶように頼み、賄いを貰うには早いのでしばらく散歩をして時間を潰そうと中庭に出る。
時間を潰すのは、厨房の仕事がひと段落して最後の組みが賄いを食べる時間に合わせて食事を用意してもらうためだ。
普段はルイズと一緒に行動しているため、ルイズが食事を終えて授業が始まってからサモンジだけ食堂に戻ればいい時間だったのだが…
授業の鐘を待ちながら適当に歩くサモンジ。そこに横から声が掛けられる。
「おや、サモンジさん。お暇ですか?」
げ、と内心でこぼしながら振り向いたサモンジの前にいたのは、学院の教師のコルベールだった。
学院のメイジの中では唯一サモンジに比較的丁寧な言葉遣いで話してくる人物である。
とはいえ、本人のお人よしの性格以上に「自分は友好的な人物です」というアピールを意識しているのか、と穿った見方をしてしまう。
「いやあいにく。しばらくしたら賄い飯を貰いに厨房に戻るんで」
そう言って肩をすくめるサモンジ。しかし、コルベールは気にした風もなくにこにこと笑いながら歩み寄ってサモンジの腕を取る。
「そうですか、では食堂で一緒に食事をしながらお話をしませんかな?なに、たまには賄い以外の食事も良いものですぞ」
笑顔を浮かべながら食堂へ促すコルベールに、サモンジは愛想笑いを浮かべながらどうするか考える。
実際のところ、サモンジはこのコルベールという教師とオスマンの事―――要するに学院全体―――を警戒している。
悪意がある、ということではない。以前オスマンが言っていたガンダールヴのとこ、そして破壊の杖などの情報が問題なのだ。
破壊の杖についてはオスマンにしか直接話していないが、ガンダールヴのことについてはこの教師も知っているようであった。
そして破壊の杖は貴重な宝と認識されるほどの重要なものであり、ガンダールヴに至ってはこの星では伝説と言われるほど重要なモノ。
となれば、サモンジが中心領域に帰る手段を見つけても彼らは帰還を認めない、あるいは直接的に妨害する可能性がある。
そうならないためには彼らに「サモンジは未知の国から来ただけのただの平民」と思わせておく必要がある。
といっても、そういう結論に至ったのはオスマンの「私はガンダールヴの味方」という一言を聞いてからなのだが。
すなわち、その前に話してしまった破壊の杖と腕時計のことは少なくとも知られてしまっている。
この2つ、そしてそれ以外については極力彼らメイジが興味を持たないよう、知られないように情報を制限しなければならない。
なおかつ破壊の杖とガンダールヴについてはその価値が低いと思わせることも必要となる。
また、ハルケギニアより進んだ技術を知っていると言うのはサモンジにとって大きなカード、いざという時まで秘匿した方が有利だ。
宇宙から来た、とオスマンに言った件については「サモンジの故郷の神話」とでも言ってごまかそう、とここまで一気に考える
「はぁ、それじゃあありがたくご一緒させてもらいましょうか」
表面上だけは愛想良く返事をし、最大限に発する言葉を選びながらの世間話をしつつサモンジは食堂に足を向けた。
「なるほど、この中に横にしても動く振り子のような物が入っていると。いや、それにしてもこれほど小さな物の中にそれほどの………」
嬉々としてサモンジの腕時計について質問を続けるコルベール。その様子にサモンジも警戒を続けるのに疲れて辟易していた。
最初はやはり破壊の杖、SRM発射筒についての質問だったが、使い方は分かるが作り方は知らないという言葉にあっさり引き下がった。
同様に腕時計についても情報を制限したつもりだが、小型で振り回しても時間がずれない時計、とうことで大いに興味を引いてしまった。
「まあ、私も原理を知ってるだけで作り方を正確に知ってるわけじゃないんですってば」
そう言って肩をすくめるサモンジ。迂闊に興味を引いてしまったが、ここまでにしておかなければ。
兵器より腕時計に興味がある、というのは彼が技術屋、研究者肌の人間だからだろうが………それでも技術の流出は避けたい。
腕時計を調べたいので貸してくれ、売ってくれと食い下がるコルベールをのらりくらりとかわし続ける。
「むむむ、まあ仕方がありませんな。長くなっても仕方ありませんしこれで……ああ忘れるところだった、ルーンのことですが………」
押し問答に負けて席を立とうとしたコルベールが、思い出したようにテーブルに戻って声を潜めながらサモンジに顔を近づける。
その様子に芝居臭さを感じたサモンジは、一瞬硬くなった表情が気づかれてないかと思いながら表情を緩め再び警戒を強める。
SRM発射筒のような兵器と並んで警戒すべき魔法がらみの事、下手な事を漏らして興味を引くわけにはいかない。
「ああこれですか?あらゆる武器を使いこなすと言っても………そんな感じはありませんな。破壊の杖だって、私あれ使った事あったんで」
そう言って空っとぼけるが、コルベールもこれにはしつこく食い下がってくる。
「いやいや、ほんの少しでよいから気付いたことなどありませんか?それは本当に貴重なものかもしれないのですよ?」
そう言ってガンダールヴのルーンが伝説である理由などを説明するが、それが余計にサモンジの口を重くしているとは気付いていない。
これではコルベールにサモンジとの接触を指示した人間―――おそらくオスマンだろうが―――も頭を抱えているだろう。
サモンジはこの時点でコルベールの目的が、オスマンの指示を受けて自分を探りに来た、というものだと確信した。
食堂に向かう途中の世間話、その時コルベールはサモンジの故郷について「この空のさらに上に存在する世界」と表現した。
しかし、サモンジが宇宙のことを話したのはルイズ達の他にはオスマンのみ。
大人で教師のコルベールがそれを聞いたとするならば、その相手は明らかだ。
そしてサモンジは一昨日の破壊の杖騒ぎでは、オスマンとの話を自分から打ち切って部屋を出ている。
おそらくオスマンは、サモンジが彼に対して警戒心を強めたことを感づいているのだろう。
だからこそのコルベールの唐突な食事の誘い………まあ、人選は誤ったようだが。
「ははは、まあルイズちゃんがそのブリミル様の再来って訳じゃないんですし。まあ関係あるとしてもせいぜい劣化版でしょ、これ」
そう言って左手のルーンが見えるようにひらひらと振りながらコップの中の水を飲み干すと、音を立ててコップをテーブルに置く。
言外に示した話は終わりだ、というニュアンスを示したのだが、コルベールはしつこく切り口を代えて食い下がってきた。
「いえ、ミス・ヴァリエールはもしかすると極めて優れたメイジである可能性があります。そのルーンが本物でないと断定は出来ません」
「はいはい、本気じゃないでしょそれ?無理矢理に私のことをを持ち上げようとしないで下さいよ」
流石に不機嫌そうに答えるサモンジを、しかしコルベールは泳ぎだしそうになる視線を必死で抑えてサモンジを見つめ返す。
今の言葉はとっさに搾り出したものだと言うことはサモンジにも分かるが、ルイズが優れたメイジの可能性があるという言葉は逃せない。
サモンジの魔法の知識はここ2週間ほどの授業分しかない。コルベールの言葉を妄言や嘘と切り捨てるには確信が持てないのだ。
昨日の一件でどうもヘンな方向に自信をつけた様子のあるルイズ、それを思うとコルベールの言葉を無視するのは総計かも、と思う。
「サモンジさん、昨日の教室が大きく壊れていたのは覚えていますか?」
頷きながら浮かしかけていた腰を椅子に戻したサモンジを見て、手ごたえを感じたコルベールは身を乗り出しながら言葉を続ける。
「彼女の魔法の失敗は、今までただ爆発を起こすだけで生徒や教師にも大した被害が出たとこはありませんでした。
だからこそ、我々学院の教師も大した問題ではない、ただ魔法が下手なだけ、そう思って見過ごしてしまっていたのですよ、彼女の異能を」
まだオスマンにも報告していない、自分の頭の中だけにある推論を喋りながら形にしていくコルベール。
サモンジは彼の語る「メイジの目によるルイズの評価」、異能という評価に自分でも気づかずに真剣な顔でその言葉を聞いていた。
「そうなのです、彼女の爆発は人の体にほとんど傷を与えないのです。にもかかわらずあの強力な爆発。こんな魔法は存在しない。
昨日、私はあの教室の惨状を見て……死者を覚悟しました。あの爆発は、ラインメイジの固定化のかけられた教室は破壊していたのですから。
砕けた壁、亀裂の入った床と天井………少なくともトライアングルクラスの破壊力の爆発、それほどの威力ながら人だけは無傷………
こんなもの、系統魔法では説明できない。彼女は、彼女だけの魔法を行使していると言えるのです!」
そこで言葉を切ってサモンジの反応を窺うコルベール。サモンジは無言でコルベールの言葉の続きを待っている。
コルベールは自分の推論が形と確信を備えつつあるのを感じ、体を乗り出しながら力説する。彼自身、もうオスマンからの指示は頭にない。
自らが望んだ研究者という立場、その知的欲求がサモンジのルーンの正体を、ルイズの規格外の魔法の解を求めている。
コルベールは場所が食堂であると言うことも、教師と言う立場も忘れて極めて迂闊な言葉をその口から吐き出してしまった。
「ミス・ヴァリエールは既存の4系統以外の魔法を行使している、使い魔にガンダールヴと思われるルーンを刻んだ、ならば、ならば
彼女こそ伝説の虚無ではないかっぎいああぁぁぁぁぁ!?」
支援
絶叫が上がった。
生徒の姿はないものの片づけをするメイドたちの目のある中で、虚無の系統と叫びかけたコルベールが椅子ごとひっくり返る。
見る間に蒼白になりながらガクガクと痙攣するコルベールに、サモンジと周囲のメイドが慌てて駆け寄る。
が、
「あうっ!はおぅ!ひいっ!」
流れるほどに脂汗を流しながら床の上で激しく腰を………主に股間を天に突上げるかのよう跳ね回るコルベール。
酷く………近寄りがたい。彼のやせた体とハゲ頭と相まって、悪魔的とも変態的とも言える。
メイドたちは遠巻きに見ているだけで決して近寄ろうとしない。やがてコルベールの叫びはクライマックスへと昇り詰める。
「のぱぁっ!おごぉ!ぎゅふっ!おふぅ!ぴきぃ!あぎゃ!ひぎぃ!
…………… あ お お お お おーーーっ!!」
一際大きな断末魔とも言える絶叫と共にコルベールが激しく仰け反り股間をさらに天へと突上げる。
悲鳴を上げながらさらに距離をとるメイドたちの目の前で、突上げられた股間が盛り上がる。
さらに大きくなる悲鳴に囲まれて、コルベールの股間の盛り上がりがもぞもぞと異様な動きをし…………服からネズミが飛び出す。
どすり、と完全に気絶したコルベールがブリッジのような姿勢を止めて崩れ落ちる。その体の上を走ってネズミは逃げ去った。
沈黙したまま固まるメイドたち………だが、その内の1人が恐る恐るコルベールに近付き彼の「 」をトレイで突っついてみる。
ビクンッガクガクッ、と気絶したままのコルベールが激しく震える。
その反応を見て、サモンジとメイドたちは何が起こったのかなんとなく察した。
さらに沈黙が続く。
「え〜と、そっとしておいてあげようか?」
沈痛な表情のサモンジの言葉に、メイドたちも沈痛な表情で頷きを返すと何事もなかったかのように仕事に戻っていった。
学院長室。
オスマンは杖を振って遠見の鏡の映像を消すと、大きなため息を付きながら背もたれに身を預ける。
「やれやれ、コッペパン君にこのような仕事は荷が重かったかのう」
言葉通り、コルベールにサモンジと接触するように指示したのはオスマンであった。
あの破壊の杖の一件、彼はサモンジとの密談の際に「私はガンダールヴの味方じゃ」と平民相手には破格とも言える言葉をかけた。
にもかかわらず、昨日の教室爆破の件で事情を聞いた際にサモンジはオスマンに対して砕けた様子を見せなかった。
いや、長い年月を生きて、様々な人々の人生を見送ってきたオスマンには解る。アレは、他人を、オスマンを警戒していた。
フーケが連行されてオスマンと密談を始めた時のサモンジは、学院長であるオスマンに気後れせず比較的砕けた会話をしていた。
あの時オスマンはサモンジに対して、少なくとも性格は陽気で気楽に構える方であり基本的に友好的な人物と判断していたのだが………
一体どの様な心境の変化があったかは解らない。しかし、その変化があったのはおそらくあの密談以降とオスマンは当たりを付けた。
そこでオスマンはコルベールに指示してサモンジから出来るだけ情報を引き出させようとしていたのだ。
破壊の杖や腕時計といったトリステイン、ハルキゲニアではありえない道具の存在とその使用法と製造方法。
そして、ガンダールヴの印と思われえる彼のルーンとその力。
まあ結局のところ、オスマンの見る限りコルベールも最初から警戒されてしまったようでほとんど真新しい情報はなかった。
しかし、オスマンの脳裏に引っかかることがあった。
サモンジのことではない。コルベールがサモンジを引き止めるためにとっさにひねり出した「馬鹿げた」推論。
ヴァリエールの娘は虚無の系統のメイジではないのか。
馬鹿馬鹿しい、何度も浮かぶその思いをオスマンは苛立たしげに頭を振って考えから締め出す。
伝説の虚無。それが劣等生のヴァリエール家三女に宿るなど、始祖ブリミルに対する侮辱ですらある………そう思いもう一度否定する。
確かに固定化のかかった教室の壁を魔法の失敗で破壊するなどありえないと思えることだが、だからといって虚無に飛躍するなど論外だ。
ふん、と鼻を鳴らすとオスマンは机に向き直る。ひとまず食堂での騒ぎは後にして、コルベールが戻るまで仕事を片付けることにする。
考えてみればサモンジがオスマンを警戒するのも、破壊の杖のことを考えればありえないことではない。
メイジたちの宝でありながら使い方が不明のままだった破壊の杖をサモンジは普通に使った上に、オスマンに詳細を話してしまったのだ。
まだ知っていることはないかと尋問、拷問されないか。あるいは拉致されて何かの実験に使われないか、そんな警戒しても当然だろう。
オスマンはそのように自分に言い聞かせると、杖を振り机の上の紙にペンを走らせる。そこに一匹のネズミが机を駆け上がって来る。
「モートソグニル、戻ったか………じゃがな、せめて私と感覚が繋がっていることは考慮してくれんか?………あと、顔を洗って来てくれ」
普段なら笑顔で使い魔を労うところだが、今日のオスマンはそう言って先程のおぞましい光景と感触を思い出してがっくりと机に突っ伏した。
食堂の真ん中で虚無などと口走ろうとしたコルベールを止めろと指示されたモートソグニルが潜り込んだ男の下着の中の光景。臭い。
そして、モートソグニルが噛み付いたモノの感触と味………
主人の抱える精神的な苦痛を感じ取ったモートソグニルは、それを少しでも和らげようとオスマンの頬をペロペロとなめていた。
洗ってない舌で。
以上で投下終了です。
今回の投下でこの日一日分の展開をやるつもりだったのですが、あまり進んでいません。
もう少し展開をまとめるスキルがあればいいのですが。
では。
乙です。モートスグニルGJ。いろんな意味でGJw
コッパゲいろんな意味でオワタww
乙ー
読んでて思わず股間がキュッと縮み上がってしまうw
何にせよコッパゲ合掌
投下乙です。
コッパゲはこれがきっかけで下半身の余分な皮がなくなって、
オスマンとモートソグニルに感謝したそうな。
オトコとしてはあまり想像したくない……
ところで、どこかにワッハマンを召喚してしまうルイズ嬢はおらんかね?
20分から投下したいのですが、よろしいですか?
オーライ
支援
.
「さあ、聞かせてもらいましょうか。あんたが一体、どういうつもりなのか」
そう、押し殺した声で言ったキュルケは、怒っていた。
ここは酒場だ。周囲の喧騒からして、盗み聞きされるとは思えないが、それでも、最低限の用心だけは欠かすわけにはいかない。
キュルケが、眼前の人物を怒鳴りつけたいのを、必死になってこらえているのは、話の内容だけではなく、いま自分が会っている人物が誰であるか、絶対に周囲に知られるわけにはいかないからでもあった。
そのため、目立ち過ぎる貴族のマントを脱ぎ捨て、町娘の扮装までしているのだが、しかし、キュルケ持ち前の雰囲気と、庶民の娘にしては派手なコーディネイトのおかげで――哀しいかな、街の娼婦しかに見えなかった。
そんな彼女が、目深にフードを被った、いかにも済まなさそうな、ワケあり風の女性を睨みつけている“絵”は、ちょっと見には、娼婦同士の縄張り争いにさえも見えた。
いや、見えたどころではない。……実は、こんな場末の酒場で女二人が飲んでいる、というシチュエーションにもかかわらず、男たちが声を掛けるのを躊躇っているのは、そのためだった。
「いや、――あんたが怒るのももっともだよね……。わたしがあんたの立場だったら、やっぱり同じ事を言ってたと思うよ」
うつむいて、そう言うフードの女性。
そんな彼女を見て、キュルケは深い溜め息をつくと、ようやく、その眼光から険を抜いた。
「で、説明してくれるんでしょうね? ――ミス・ロングビル」
『土くれのフーケ』が、王都への移送中に脱走した、と聞いて、一番腹を立てたのは、彼女に家宝を盗まれた門閥貴族でもなく、護送の任に当たっていた魔法衛士隊でもなく、この少女――キュルケ・フォン・ツェルプストーであろう。
何故ならキュルケは、このまま処刑されるであろうフーケ本人から直々に、アルビオンに残した家族の事を、彼女から頼まれていたからだ。
『破壊の杖』強奪事件で、軽口を叩き合う仲になったとはいえ、フーケがなぜ自分に、そんな事を頼んだのか、想像もつかない――といえば、それは嘘に近い。
彼女が、そもそもどんな理由があって、盗賊に身をやつす事になったのか、それは分からない。
だが、――口の悪さはともかく――学院長の秘書をしていた時の、彼女の立居振舞は、その育ちのよさを充分に匂わせるものだった。
彼女の人生を、一体何が狂わせたのか。それを訊くほどキュルケは野暮ではない。
しかし、そんな女性から、家族を頼むと言われてしまえば、断る事など出来るものではない。少々ためらいはあったが、それでもキュルケは“後は任せて、安心して法の裁きを受けな”と言ったものだが……。
何ぞ知らん、後事を頼んだ当の本人が、監獄に移送される最中に脱走を図るとは!!
.
「だから……わたしだって、そもそも脱走したくて、したわけじゃないんだから。――まあ、逃げたくなかったと言えば、嘘になるけどさ」
「……どういうことよ」
「魔法衛士隊を皆殺しにした、ゴリラみたいなメイジが、わたしを迎えに来たんだよ。一緒に来なきゃ、お前も殺す。いかにも、そう言いたげな素振りでね。――いくらわたしでも、杖も無しでそんな化物と戦う気にはならないよ」
「ずいぶん情けないことを言うのね。仮にも『土くれ』の名で、ハルケギニアの全貴族を震え上がらせた女が」
そう言われては、フーケも苦笑するしかない。
「まったくさ。世の中ままならない事ばかりで困っちまうよ」
苦笑いのまま、だが、しれっとそんなことを言う彼女に、キュルケもつられて表情を崩す。
しかし、そのまま杯を飲み干すと、彼女は褐色の頬をきりりと引き締め、フーケに向き直った。
「――で、その『土くれ』さんとしては、これからどうするつもりなの?」
「取り敢えず、奴らについていくよ。あんたにゃ悪いけど、逮捕前にわたしが頼んだ事はチャラにしておくれでないかい?」
「アルビオンにいる、家族のこと?」
「ああ。――どのみち、わたしらも向こうに行かなきゃならないんだ。奴らの当座の目的は、アルビオンらしいからね」
「どういう事? アルビオンが目的って、――大体あそこは今、内戦中のはず……」
そこまで聞いて、キュルケ顔色が変わった。
「まさか……あんたを迎えに来た『奴ら』って……!?」
「ああ」
フーケは唾でも吐き捨てそうな、苦々しい表情で、
「レコン・キスタさ」
――そう言った。
「ルイズ」
「……」
「ルイズ」
「――っ!? 子爵、様っ……!?」
振り返ったルイズを待っていたのは、苦笑いをしたワルドの優しげな瞳だった。
「元気がないね? そんな調子じゃ、殿下から頼まれた大事な任務が果たせないぞ?」
手綱を握るワルドが心配するのも、ある意味、無理はないかも知れない。
街道を疾駆する一匹の魁偉なグリフォン。騎手である青年貴族の懐に抱かれる形でルイズは、その幻獣に同乗していた。
.
出立してから、もう、かなりの距離を走破している。
学院を出るときは登り切ってすらいなかった太陽が、もう遥か西に彼方に沈もうとしていた。しかし、浮遊大陸アルビオンへの中継地たる、ラ・ロシェールの港町への行程は、まだまだ半分といったところだ。
それでも、早馬で二日はかかるという旅程を、たったの数時間で道半ばに達するという脚力は、ドラゴンにも比肩されるという、高位の幻獣グリフォンならではであったろう。
しかし、そんな強行軍は、当然乗り手にも、それなりの体力を要求する。
ワルドは、仮にも魔法衛士隊の隊長であるから、当然とも言えるが、その同乗者たるルイズも、やはり弱音一つ吐かない。
だが、それが彼女ならではの気丈さ故でないことは、ワルドにも分かっていた。
なぜなら彼女は――出発してから数時間、全く口を利こうとはしなかったからだ。
無論、話し掛ければ答えてはくれるが、それは質疑応答……質問に対する答えであり、『会話』でも何でもない。『会話』のキャッチボールをする気にもなれないのだろう。
膝に乗る、婚約者の矮躯が、さらに小さく感じるのは、決して青年貴族の勘違いではあるまい。
ワルドは――ルイズに気付かれぬように――小さく溜め息をついた。
「そんな……わたしは元気ですわ、子爵様」
「だといいが……しかし、どうやらぼくは、君を放って置き過ぎたようだね」
「え?」
「しばらく会わないうちに、君はさっきの平民の少年と、すっかり気持ちを通じ合わせてしまっているようだ」
「そんなっ――!?」
「そんなことはない……かい?」
ルイズを見下ろすワルドの目に、硬い光が含まれる。少女は、反射的に身を竦ませるが、再度、婚約者を見上げた時、彼の瞳は、いつもの優しげなものに戻っていた。
しかし、たった今、ワルドが言った一言は、やはり少女の胸元を、少なからず抉った。(
(サイト……!!)
瞑目するまでもない。
気がつけば、ふと脳裡に浮かんでいる。あの、バカで間抜けな使い魔の少年。
「さっき教えてやったろうが……女の子を傷付けて恥じないようなクソ男は、おれは気にいらねえってな。……それだけさ」
そう言って、瀕死の重傷を負いながらも立ち上がったアイツ。
「お前が何で泣いてるのか、おれには分からないけど――お前が考えてる事は、多分間違ってるぜ」
そう言って、わたしの不安を否定してくれたアイツ。
「迷惑……だったか?」
気絶しそうな激痛の中で、なお、わたしを気遣ってくれたアイツ。
「美しいレディ。どうかこのおれと、ダンスを一曲お付き合い願えませんか?」
月光の下、傷を押して、わたしをダンスに誘ってくれたアイツ。
――思い出すだけで、胸が締め付けられそうになる。
そんな苦くて、それでも甘い、数々の記憶。
(分かってる……本当は、わたしだって)
才人が、部屋で言った一言。
「魔法が使えないお前が一緒に行っても、ぶっちゃけ、邪魔になるだけじゃねえか?」
あれは、かつて同級生たちから散々浴びた、誹謗混じり軽口とは違う。文字通り、口を滑らせただけの一言でしかないという事も。何より、あの少年が、本気でそんな事を言うわけがないという事も。
全部、ルイズには分かっている。
.
ルイズがあの時、激発する切欠となった一言――才人が自分の手を払いのけ、『触るな』と叫んだ事すら、冷静になってしまえば、当然の事として納得できる。
彼は――ただ、火傷が痛かっただけなのだ。
傷が引きつるから『触るな』と言いたかっただけなのだ。
だからこそ――彼女は、呆然自失たらざるを得ない。
自分は、何という事を言ってしまったのだろう。何という取り返しのつかない事を言ってしまったのだろう、と。
「もう二度と、顔を見せないで」
そう言ってしまったのだ。
そんな事を言ってしまったのだ。
そもそも自分に、あの少年を責める資格があるだろうか?
そして自分は、あの少年に許される資格があるだろうか?
――もう、どんな顔をしてサイトに会えばいいのかも、分からないわ……!
「大丈夫だ、ルイズ」
「え……?」
「あの少年は、今までぼくに代わって君を守ってくれていたのだろう?」
ワルドが手綱から片手を離し、ルイズの肩を、そっと抱きしめる。
「君は黙っていたが、ぼくは知っている。君が魔法学院の中で、どんな目で見られ、どんな扱いを受けてきたのか。――そして、彼は、君を庇って決闘騒ぎまでやらかしている」
「……」
「でも、もう安心していいんだ。これからは、ぼくがいる。ぼくが君を守る」
「――ししゃく……さま……」
「彼――正確には彼らだが――には、やるべき事があるはずだ。自分の世界に帰る方法を模索するという“仕事”が。だから、心置きなくそれに専念させてあげよう。君が、彼らに本当に償う道があるとすれば、おそらくそれしかない」
その時、少女を抱きしめるワルドの左手に力が篭もった。だが、ルイズはそれに、なんら嫌悪感を感じなかった。
「そのためには何より、彼らに教えてあげねばならない。ルイズ・ラ・ヴァリエールは、もう自分の足で立てる一人前なのだと。守ってもらわねばならない子供ではないのだと。――そう思わないか?」
「……」
「無論、イキナリ一人で放り出されても差し支えないほど君は強くない。それは承知しているつもりだ。だから――ぼくがいる。君の本来の婚約者たる、このジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドが、これからは君を守る」
ワルドの優しげな瞳が――その瞳に込められた、凛々しい力が、ルイズを射抜く。
「ルイズ――結婚しよう。ぼくらのために。そして何より、彼らのために」
.
「……ちょっと――サイトぉ!! あんたもう、いい加減にしなさいよぉっ!!」
自室に飛び込むなり、キュルケはそう叫んだ。
無論、壁に向かっての怒号ではない。
昨夜いきなり、泊めてくれと言って現れた少年に、だ。
たまたま昨晩は、男を引っ張り込んでなかったから、泊めてやったが、それでも彼がただならぬ雰囲気を発散しているのは分かった。
付き添い然として彼の後ろにいた風見が言うには、少年は、ルイズとかなり派手な喧嘩をやらかしたらしい。詳細が気になったが、『ルイズのアルビオン行きに関して、口論になった』と言うのみで、風見は多くを語ってくれなかった。
一方、当事者の才人に至っては、完全に放心状態だったので、訊く気にもならなかった。
――まあいいか。
そのときはそう思った。
何より彼女は眠たかった。キュルケとしても久しぶりの孤閨なのだ。ゆっくり四肢を伸ばしてベッドに横たわる心地良さは、男との同衾とは、また違うものがある。他人の修羅場は、明日にでも訊けばいい。
そう思い、毛布とソファを貸してやり、彼女は眠った。
朝、目覚めてからも、凝然と宙を睨み続ける彼(その時すでに才人は目覚めていた)に、異常を覚えたが、それでもキュルケは気にしなかった。これから授業をサボり、王都で『土くれのフーケ』と会う用を控えていたし、――何より、女の朝は忙しい。
で、部屋に帰宅してみれば、少年は、彼女が出かけた時と全く変わらぬ姿勢で、呆然とし続けている。間違いない。彼は確実に――朝、自分が出かけた時から、まったく微動だにせず、時を過ごしていたのだろう。
そしていま、“家主”であるキュルケの叫びにも、彼は、すがすがしいほどに反応しない。完璧な無視だ。それも、意図的なシカトではない。自責やら後悔やらの声で耳をふさがれ、完全に外界からの声が聞こえていない状態なのだろう。
キュルケは溜め息混じりに呟いた。
死人を動かすキーワード……さっきフーケから聞いた情報の結論を。
「サイト、あんた――ルイズが危ないって聞いても、まだそんな風でいられるの?」
その瞬間、才人は、親の訃報を聞いたように、彼女を睨み付けていた。
「どういうことだ……!?」
だが、キュルケは、そんな視線にたじろぐような少女ではない。
「事情は知らないけど、いまルイズはアルビオンにいるんでしょう? そのアルビオンが、大変な事になってるって言っているのよ」
そう聞いて、才人は少し落ち着いたようだった。
「アルビオンが今、内戦状態にあるっていうなら知ってるさ。……でも、アイツなら大丈夫さ。頼りになる婚約者の貴族サマがついてるからな」
「婚約者?」
「それに……おれは『二度と顔を見せるな』って言われちまったんだ。今更もう、やれることなんて……!!」
(なるほど……そういうわけね)
この底抜けに向こう見ずな少年が、ここまで意気消沈しているからには、さぞかし激しい喧嘩をしたものだろうと思ったが――キュルケは思わず納得してしまった。ただの諍いではない。『恋敵』が絡んでいたのだ。
公爵家の娘の婚約者というからには、おそらく出自・実力ともに折り紙付きのメイジのはずだ。風見のような改造人間ならともかく、肉体的には『ただの平民』に過ぎない彼が、ヘコんでしまうのも、まあ無理はない。
(もう少しホネがある――と思ったんだけどなぁ……)
.
キュルケは、そんなだらしない才人に苛立ったのか、先程よりも少々厳しい声を出した。
「アルビオンが内戦状態だっていうのは、誰だって知ってるわ。でも、あたしが話したいのは、膠着状態に陥ってる“今の戦況”じゃない。あと二・三日後の“これからの戦況”よ」
二・三日後と聞いて、少しだけ才人の顔色が変わった。今朝、学院を出立したルイズが、丁度アルビオンに到着する頃ではないか。
「二・三日後に、アルビオンが一体どうなるってんだ……?」
キュルケは、マントを翻した。
「いまアルビオンの王党派を包囲している貴族派が、レコン・キスタって名乗ってるのは知ってるわね? その貴族派が再び何人かのメイジを編成して、アルビオンに向かうって、さっき聞いたのよ」
「何人かのメイジ……?」
「なかなか城が陥ちない現状に、イラついたんでしょうね。かなりの手練を揃えたみたいだけど、その『援軍』の中に、あんたも知ってる――あの、大砲背負った亀のカイゾーニンゲンがいるらしいのよ」
才人は目を見張った。
平田さんが? あの人がアルビオンに!? なんで!?
――問うまでもない。解答は、明白だ。
「もし学院長が言っていた“250年前の魔獣”が、あの怪物なら、何しにアルビオンに行くのかバカでも想像がつくわ。そして、そんな怪物がアルビオンで何をするのかもね」
一度、この手で滅ぼしたはずの王国が、自分が眠っている間に、うまうまと再興を果たし、何事もなかったかのように国土に君臨している。もしカメバズーカ――平田拓馬が、そんな状況を気に入らなければ、やる事は一つだ。
しかし、才人には、にわかに信じられなかった。
「平田さんが、今度は自分からアルビオンに出向いて、250年前のケリをつけようとしてるって言うのか……!? まさかそんな!? そんなバカな!!」
しかし才人とは違い、人間“平田拓馬”を知らないキュルケの目は、あくまで冷ややかだった。
「あたしは――その、まさかの話をしているの。学院長の話が確かなら、あの怪物は、たった一人でスクウェア・メイジ百人分の戦力を持つはずよ。そんな奴が本気で暴れ回る矛先に、もしルイズがいるとしたら……!!」
「その話、詳しく聞かせてもらうぞ、ツェルプストー」
風見志郎が、そう言いながらキュルケの部屋に入って来た。
「もし奴が、破壊と殺戮を本貫とする“デストロン怪人”に再び戻るつもりなら、断じて見過ごす事は出来ん」
「行くつもりですか風見さん!? まさか……ルイズのいるアルビオンに!?」
才人が驚きの声を上げる。
「おれたちは『二度と顔を見せるな』って言われたんですよ!? 今更どのツラ下げて――」
しかし、風見はそんな才人の躊躇を、切って捨てる。
「そんな事は、もう関係ない」
.
「――かっ、関係ないって……いくら何でもそんな……」
「もしカメバズーカが、本気で王党派に復讐するためにアルビオンに向かったのだとするなら、いくら何でも見逃すわけにはいかん。俺はまだ――“仮面ライダー”を辞めたつもりはないんでな」
「風見……さん……!!」
風見は、あくまで“仮面ライダーV3”としての自分を崩そうとはしない。
彼にとっては、おそらくルイズを救出することすら、二次的な問題に過ぎないのだろう。
これまで単なる高校生として、なんとなく生きてきた才人とは違い、“仮面ライダー”という明確な価値観のもとに行われる彼の行動は、清々しいほどに単純で、真っ直ぐだ。
才人は、今ほど風見が羨ましいと思ったことはなかった。
風見には、このハルケギニアの全てに優先する、明確な目的意識と使命感がある。だが、それは自分にはない。――ない以上、下らない人間関係のしがらみを優先せざるを得ない。
たとえば……主であるはずのルイズから、ツラ見せるなと言われてしまえば、やはり、彼女の下に赴くのは、気が引けてしまう。
「平賀、お前はどうする?」
「おっ、おれ?」
「カメバズーカ――平田拓馬を正面から説得できるとすれば、おそらくそれはお前だけだ」
風見の言いたいことは、才人にも分かる。
これを機に、ルイズと再び逢えと言っているのだ。そして関係を修復しろ、と。
「でっ、……でも……!!」
「それともここで、留守番していたいか?」
「……でも……やっぱり……」
ためらう才人に、風見は悪戯っぽい目でキュルケを振り向き、合図をする。
そして少女も合図を受け、その意図する言葉を正確に吐く。
「ダメよカザミ、無理強いはよくないわ。そもそもサイトは、まだケガも治り切ってないんだから」
「そうだな。なら仕方がない」
「ええ、本当に仕方がないわ」
「……あああっ!! 分かりましたよ!! 行けばいいんでしょう、行けば!!」
そんな彼を見て、風見は満足げな笑みを浮かべる。
「そうか、やはり行ってくれるか」
「――でも、勘違いしないで下さいよ!! おれはあくまで、平田さんを説得しに行くんスからね!! 断じて、ルイズにワビ入れに行くんじゃないっスよ!! 誤解しないで下さいよっ!!」
「はいはい、わかったわかった。――でも、向こうであの子と会うことがあったら、ついでに仲直りしても、罰は当たらないんじゃない?」
皮肉っぽく言うキュルケに、才人は……ぐうの音も出なかった。
支援
.
アルビオンに向かう、この飛行帆船――フネは、かなり豪華な型だったらしく、船室の数も多く、ちょっとしたバーまで設置されていた。
フーケは、これ幸いと酒を飲みに来たが、先客を見て、やや鼻じろんでしまった。
――カイゾーニンゲン・カメバズーカこと、ヒラタタクマ。
カウンターに座り、ワインをチビチビと――いかにも不味そうに――呑んでいる。
いまさら引き返すのも業腹なので、フーケはワインボトルとグラスだけ掴むと、男を避けるように、バーの隅のボックスに座った。
彼女は、怪人カメバズーカの、いかにも禍々しい姿を知っている。
――いや、知っているどころではない。何となれば、彼を復活させたのは、フーケ自身だからだ。
だから、白い半仮面のメイジから、あの時の“ばけもの”が、レコン・キスタ陣営に参戦する、と聞いたときは仰天したし、その情報をツェルプストーの娘にも流して警告しておいた。命が惜しかったら、しばらくアルビオンには行くな、と。
だが、肝心の平田拓馬と引き合わされた時、フーケは違和感を禁じえなかった。
筋骨隆々ではあるが、こんな50過ぎの、しょぼくれたおっさんが、あの怪物に“変身”するって……本当に……?
「ここにいたのか」
そう言って、バーに入って来たのは、羽帽子を被った白い半仮面のメイジ。
いや、その後ろに、さらに一人の女がいるようだが、フーケからは丁度、逆光になって、彼女の顔は見えなかった。
「ちょうどいい。ヒラタさんもいる事だし、ここで紹介させてもらおう」
そう言って、半仮面は女を前に出し、バーの明かりを点ける。
「レコン・キスタ総司令官クロムウェル大司教の秘書を勤められる、ミス・シェフィールド。今、わざわざアルビオンから小型艇で挨拶に参られた」
「よろしく」
黒いローブに身を包んだ女が、濡れたような声で言う。
フーケは、一応会釈だけはしたが、平田は視線を向けようとさえしない。
半仮面は、そんな平田に苦笑し、先にフーケを右手で指し示した。
「――こちらが、かの高名な怪盗『土くれのフーケ』。名の示す通り、“土”のトライアングルです」
.
その瞬間、フーケは思わず席を立ち、呆然と女を見た。
いや、正確には、彼女が見たのはシェフィールドと名乗った女ではない。シェフィールドのさらに背後に立っていた青年だ。
「――あんた……カザミ……シロウ……?」
そして、フーケの呟いた名を聞き、訝しげに振り向いた平田も、その青年を見て、同じく呻き声を上げた。
「おめえ……何故ここにいる……V3……!?」
二人にとっては見間違えようもない。
フーケにとっては、敵でありながら、何故か成り行きで共闘まで果たした男の名であり、平田にとっては、それこそ忘れようもない宿敵の名だ。
「ほう……?」
そして、名を呼ばれた青年は、フードの女の陰から姿を現し、
「いかにも俺は風見志郎だが……面白いな」
切れるような、不敵な笑みを浮かべた。
「なぜ貴様らが、俺のもう一つの名を知っている?」
そう言いながら、口元に反して、全く笑っていない氷のような視線を、二人に送り付ける青年の額には、ローブの女と同じく、見たこともないルーン文字が刻まれていた。
見る者が見れば、その二人のルーン文字が、全く同じく、こう記されている事を読めたであろう。
――『ミョズニトニルン』と。
投稿は以上です。
おやすみなさい。
左手氏、乙!
あくまでも仮面ライダーとしての責務を優先する風見さんすげえw
乙ー。
V3自体はSPIRITSならJUDOが変身し、S.I.Cならヨロイ元帥が偽装していたが風見の姿までとなると……一体誰だ?
まさか、ショッカーのナノマシンに改造されたTHE NETX版の風見?
あって間もない妹の友達や妹の死を聞いただけで、ショッカーマンセーをやめて反旗を翻した、あのシスコン野朗?
左手さん乙!支援です!!
多分ですけどシスコン社長キタ〜!
でも、SPIRITSを読んだ後では、どーしてもNEXT版はパワーダウンしている風に見えるんですよねw
(それだけ村枝先生の書き方が秀逸なんですがw)
しかし、キュルケ姐さんの娼婦姿。
制服よりも似合っていると思ってしまうのは俺だけか!?
>>60 そもそも制服姿の時点でエロイから、コスプレにしか見えん。
タバサも違う意味でコスプレだよなぁ。
>お前は平田だろう!
乙でした。
このパターンを他でやたら…
ゼロの提督の場合
ルイズ…ヤン・ウェンリー(富山敬版)
ジョゼフ…ヤン・ウェンリー(郷田ほづみ版)
教皇…ヤン・ウェンリー(道原かつみ版)
ティファ…ヤン・ウェンリー(原作版)
63 :
ハルバード:2008/03/09(日) 07:53:47 ID:uWVw3cy8
初めて来てやっとここまで辿り着きました。
よろしくお願い致します。
…携帯から書き込むにはどうすれば?
短いですが、(プリキュア5GoGo!本編を見ながら)続きを書き込みたいと思います。
9:15頃から投下しようと思いますがいいでしょうか?
その夜、カワリーノは一人「絶望の仮面」を手に中庭を歩いていた。
(さて、誰から『絶望』を搾り取りましょうかねぇ…)
「あ、いたいた、カワリーノさん。」
そう言いながら、黒髪のメイドが走り寄ってくる。
「どうしたんですか?シエスタさん。」
「昼間の決闘見ましたよ!もうびっくりです。気迫だけで貴族を圧倒しちゃうなんて!」
シエスタは顔を上気させながら、早口でまくしたてた。
「あ、これ、あのときの仮面ですよね。ちょっと見せてください。」
いきなりの展開にカワリーノの力が抜けたところで、シエスタは『絶望の仮面』を取って、初めてのおもちゃを見る子供のように、あちこち触っている。そのうちに、シエスタは何の気なしに仮面を被ろうと顔の前にもっていった。
「ダメです!」
カワリーノは思わず仮面を取り上げた。目をパチクリさせているシエスタと目が合い、一瞬の沈黙が流れる。
「こ、これは大切なものですから…。」
「すみません、私ったらつい興奮しちゃって…。あ、そうだ、厨房のみんなで今日の決闘の祝勝パーティするんです。それで、カワリーノさんを探してたんですよ。早く行きましょ、みんな待ってます。」
シエスタは、何が起きたかイマイチ理解できていないカワリーノの腕を引っ張っていく。
「やっと来たか、待ってたんだよあんたを。いやー、昼間は驚いたねぇ、俺、見たよ!貴族と決闘して言い負かす人がいるなんて、感動だよ!」
厨房に入るやいなや、コック長のマルトーがまくしたて、カワリーノはコック達の歓声に包まれる。
その夜、厨房ではカワリーノの祝勝パーティが行われた。
賄い料理ではあるが、それなりに豪華な食事が用意され、平民の学院職員の大半がそこに集まり、皆が楽しそうに談笑している。
普段、貴族達のワガママにつき合わされている平民の職員にとって、昼間の決闘でギーシュに立ち向かい言い負かした(ということになっている)カワリーノは英雄に祭り上げられていた。
「ほら、あんたも食べなよ。」
「いえ、私はお茶だけいただければ充分ですよ。」
「それなら、今日学園長に出したお茶の葉が、少し残ってましたから、それを入れてきますね。」
「そんでさ、貴族を一喝して『自分の失敗を、平民になすりつけて場を取り繕うなんて許せませんよ!』って、ピシッと言ってるんだよ、こんな奴がいるなんて俺は感動したねぇ〜」
「私は、ルイズお嬢様のためにやっただけですから…」
「くー、そうやって全然自慢しないところが、またいいねぇ〜。『ルイズ様は平民を呼び出した』なんて陰口叩く奴らもいるけど、ルイズ様は最高の使い魔を呼び出したよ、ホント!」
(これはまた、随分と話が変わってますよ。)
薫り高い紅茶を口にしながら、カワリーノは考えていた。
(私は、こいつらを『絶望』させるつもりで出てきたんですがねぇ…)
厨房の喧騒に包まれながら、それを心地よく感じている。カワリーノは、そんな自分に今まで感じたことのない違和感を覚えていた。
今回は以上です。
前回、支援いただいた方、レスを下さった方どうもありがとうございました。
>ゼロがタンク(ryさん
プリキュア5は敵側のパートだけダークです。
今日の放送でも「3日徹夜で書き上げた報告書を上司が、『ページ番号がついてないからやり直し』と突っ返す」話が(ry
ページ番号wwww
ダークってか、世知辛ぇw
作品投下に来ました。
作品名:モニカがルイズに召喚されました。
被召喚者:モニカ・アレン(グローランサー3)
注意事項
・極左と極右で言い争っているので下手を打つと世界観バッシングに見えます。
気に入らない人はスルー推奨。
・原作の世界観は尊重しますが順守しません。
・好き勝手に書きたい事を書いているので作品として軸がぶれています。
・ネタばれですが当面ガンダールブ出て来ません。いらない子です。
さて、雑談で賑わっている訳でもなさそうなんで10分後くらいから投下します。
乙です
ナイトメアGoGo!
さて、この世界のお風呂事情と言うものを書いておこう。
貴族と違って平民のお風呂は湯船なんてものは無い。
お湯を張って肩まで浸かると言う贅沢は貴族だけのものである。
では平民はどうするのか? お湯で体を拭くか、熱した石に水を掛けてサウナを作るのである。
いつもはルイズが風呂に入っている間に部屋で体を拭いているモニカであるが、そのタイミングを逃してしまったのでサウナに来ていた。
と、言う訳で今回はのっけから入浴シーンである。
残念な事に時間をずらして入りに来ているのでモニカ以外は言っていないのであるが。
ルイズがモニカを召喚しました。 第4話。
フェザリアンの悪癖に一つの事に集中すると周りが見えなくなるというものがある。
成功率の低い事柄をすっぱり切り捨て、必要と思われる事を研究する際は種族全体が一丸となって取り組むのである。
彼らは各自役割分担して自分の適性に適った仕事しかしないから高い科学力を持つに至った。
よく言えば諦めがよく、集中力があるとも言える。 逆に言うと一度取り掛かった事以外どうでもよくなる。
モニカはハーフとはいえ母親の特性を色濃く受け継いでいた。
そしてその特性ゆえにしくじったのである。
つまるところハルケギニアの言い回しを調べるのに夢中になった挙句、食事の時間を逃しておまけにお風呂の時間も逃した訳だ。
気が付けば空には天高く月がそびえ立っていて寮の窓からもれる明かりも消えつつあった。
唯一明かりが消えないだろうと思われるのは彼女の主人の部屋の隣である。 あっ、窓から炎が噴き出してる。
モニカは思った。 『ま、仕方ないわね』 諦めと割り切りの良さは流石はフェザリアンである。
そんな訳でモニカはこの世界はじめてのサウナを堪能していた。
こんな時間にサウナを使っている人間なんて居ないから、ベンチにタオルを広げてごろりと寝転がっても大丈夫。
ちなみに世の中には塩サウナなどと言うものがあるが彼女に塩を掛けて「よし、焼き鳥だ」とか言ってはいけない。
サウナと言う物には大きく分けて2種類あって乾式と湿式に分類される。
モニカが利用しているのは湿式である。 正確には乾式の施設を湿式として利用している。
桶に水を汲んできたハーブを溶かし、もともと設えてある石に定期的にかけてやれば湿式サウナのできあがり。
やっている事は石にたまった熱量で部屋を暖めるのではなく水を蒸気に変える事に使っているだけである。
温度調節や湿度調節をしながら入らなければならないのが一手間だろうか?
乾式サウナは喉や肌、もっと言えば髪の毛や羽を痛めやすいことからモニカはこれの使用を避けているのである。
なにより乾式だと室温が100度くらいになるのでリングウエポンが酷い事になる。
リングマスターの最大の敵は乾式サウナだったんだよ!
ΩΩΩ<な、なんだってー!
暖かい湯気を満喫していると誰かが入ってくる気配を感じた。
迂闊だった、こんな時間まで起きている人間がいるとは想定外だった。(徹夜組は除く)
仕方ないとすっぱり諦めてドアを開けて入ってきた人間に声を掛ける。
「こんな時間にお風呂に入りに来る人が居るとは思わなかったわ」
「いつもはもっと早いのですけど、あの学院長に図書館の本の整理を頼まれてしまいまして
どうも、図書館で派手に魔法を使った生徒が居たようで…」
「それは不幸な事故ね」
「立派な人災だと主張したい所です」
二人そろって苦笑を浮かべた。
こんな時間に入ってきたのはミス・ロングビルだった。 迂闊な生徒の所為で今日は残業のようだ。
「とんでもない秘密を見られたって言うのにずいぶん落ち着いてますね」
「今更バタバタしても事態は好転しないもの」
「あなた…翼人だったんですね」
「………信じてもらえないとは思うけど別種族よ。
半分は人間の血が流れているわ」
「翼が小さいのは種族的な特徴かしら? それとも混血だから?」
「後者よ。 こっちではファザリアンの地位がよく分からなかったからしばらく黙っておこうと思ったのだけど
調べてみたら亜人種はあんまり人間扱いされそうに無い身分だったんで言い出せなくって…」
「私が言うのもなんですけど、ここを離れるという選択肢は?
多芸なあなたなら1人でも生活できるでしょう?」
「そうするのが私にとって一番よさそうな選択肢なのは分かっていたのだけども
ルイズを放ってここを出て行く事も出来なかったの」
ロングビルは考えた。
ここは学院長に報告するべきではだろう。 迂闊な同情で自分の身分を危うくする必要はない。
この娘が人間で無いと言う事がわかれば学院長の悩みの種もなくなる事だろう。
あのセクハラが復活してくる事は間違いないだろうがそれを差し引いても最近気の毒になってきたのだ。
フーケは思った。
この娘は何かに利用できるかもしれない。
学園の宝物庫を狙って早2月、滅茶苦茶な強度の固定化とロックに手を出しあぐねていたのだ。
なんでもスクエア数人がかりで儀式魔法をやったらしい。
セクハラにはうんざりでお宝を諦める事も考えたのだが、それでも何でも願いをかなえてくれるという『奇跡の石』は諦めるには惜しい。
マチルダは妹を思った。
外の世界を見てみたいと言うティファ。 きっと彼女も街に出るのなら出自がわからないように偽装するのだろう。
その耳を見せてしまうとみんなが驚いてしまうから。
いきなり召喚された彼女。 そこに味方も居なかった。 気丈に話しているけれどその内心、どんなに心細かったのだろう?
そこまで考えた時、天使の声を聞いた気がした。
「姉さん、困ってる人がいたら………助けなきゃ、ね?」
満場一致。
ティファがそう言うのなら仕方ない。
それに子供とはいえ馬鹿な貴族を叩きのめしてくれるモニカが居なくなるのは勿体無い気がする。
この件は自分の胸に閉まって鍵をかけておこう。
あのセクハラ爺にはもうちょっと困っていてもらう。
「…いいわ。 ま、黙っていてあげる。 …信用して無い顔ね?
私も似たような子を知っていてね。 その子も街に出る時は隠して出てくるだろうから」
「私はその子の代わり?」
ロングビルは静かに首を振って答えた。
だってその子が言ったのだ。
「世の中、持ちつ持たれつだって言うでしょう?」
あんまりにも愛らしい声だったからどこの天使の声だと思ったけど、よく聞いてみたらただの妹の声だったよ。 by マチルダ
あいも変わらず遅筆で申し訳ない。
2000文字くらい書いてるのに3レス要らなかったのは多分投稿する時の行数を変えたからかな?
ボリュームはちょっとパワーダウンしてるだけだと思います。
最近気が付いたんだけど2話位まで私、リングウエポンをリングウエッポンって書いてました。
作品キーアイテムの固有名詞を間違えるなんて恥ずかしい事をやらかしたものです。
穴があったら2000年くらい埋まっていたい…
以下、書いてるときに浮かんだ一発ネタ妄想とも言う。
ごきげんよう
ごきげんよう
さわやかな朝の挨拶が澄みきった青空にこだまする
汚れを知らない心身を包むのは貴族の名誉とメイジの誇り
スカートのプリーツは乱さぬように
メイジのマントは翻らせないように
ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ
ここは王立トリステイン魔法学園
ブリミル様のお庭に集う貴族の園――――――
名付けて「ブリミル様がみてる」
多分まだ誰もやって無いと思うけどそのうちにやられそうなのでおまけにした。
反省はしていないが後悔はこれからやる予定。
ケティを妹にしてモンモンの嫉妬を受けるギュー子お姉さまとかはやらない。
75 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/09(日) 11:17:36 ID:MsKzA00t
466 :名無しさん:2008/03/09(日) 01:58:43 ID:NoI9NKsY
>>464 んなもんはスレの始まった時からそうだろ。
やたらと”良作”扱いする奴らがいるけど、むしろ初期の作品こそ俺Tuee、俺Sugee、俺Motemoteeの嵐じゃん。
俺Tueeしたいだけだからギーシュをボッコにした所で飽きて投げ出し、
俺Tueeしたいだけだからフーケをボッコにした所で飽きて投げ出し、
ワルドを(ry、モットを(ry、
ルイズなんざ屁とも思ってないから虚無に覚醒する所まで書かない。
ルイズは単なるハーレム要員に過ぎないから、見せ場なんか書く気が無い。
つうか、ナデポは既に管理人がやってるし、説教は爆熱が既にやってますが?
ナイトメアの人GJ
プリキュアの敵役は本当においしいキャラばかりだぜ
まじめな話、ちょっと確認したい
ゼロな提督第6話、ヤンの推理
あれって、ヤンの解説以前に分かった人、いる?
また、矛盾点とか無い?
実際作中で言ってた、『複数犯』『昔は学院、今は王宮に潜入していた』て可能性
無視出来るほど低いかなぁ?
自分としては
『複数犯』:フーケの「メイジ相手限定で、マジックアイテムを中心に狙う」というのはリスクが高い。
ポリシーとして同調出来る、高リスクをものともしない、シッポをまったく掴ませないほど
有能な仲間達
・・・いると考えるのは難しい
『昔は学院、今は王宮に潜入していた』:それこそご都合主義ってくらい低い確率
で、納得することは出来るんだが、他に意見はないかい?
作中で結論でてることを引きずるなら避難所の雑談でも行ってろ
軸がずれている作者さん、GJでした!
自分も1時から投下します。
翌日、目を覚ました幸村は外に出て槍を振るっていた。
「早いな幸村」
そこに、大振りの三叉槍を持った前田利家もやって来た。
「前田殿か。そなたも鍛錬にござるか?」
「最近はあまりやっていなかったからな。武士たるもの、鍛錬を怠ってはならん」
利家は槍を中断に構え、突き、斬り払いの動作を行う。
「うむ、ルイズ殿やアンリエッタ姫の為にも、我等尽力して働かなければなりませぬな!」
と、ここで利家は槍を振るう手を止め、幸村を見て言った。
「……幸村、お前はこの世界でずっとルイズに仕えるのか?」
利家は普段と違い、真面目な顔つきになって問い掛ける。
「何を今更!拙者はもう甲斐には帰れぬ身。それを使い魔としてルイズ殿が置いて下さったのだぞ」
「帰れる方法があるかもしれんぞ」
「ま、前田殿……そ、それは真にござるか!?」
幸村は利家の言葉に耳を疑った。利家はさらに続ける。
「あの破壊の杖の持ち主……ザビーとは日本で会ったと言っただろう?多分、一度この世界に来て、南蛮野菜を持って元の世界に戻ったのだ」
「で、では……その戻る方法さえ分かれば!!」
「ああ、帰れる事が出来る筈だ」
帰れる……日本へ……お館様や佐助のいる甲斐の国へ。
もうこの異世界で一生を生きていくしかないと思っていた。
しかし、戻る事が、帰る事が出来る方法があるかもしれないと言うのだ。
だが。
「それで、帰る方法が分かったらお前はここに残るのか?それとも帰るのか?」
お館様の事を思い出していた幸村だったが……利家の言葉で一気に現実に引き戻された。
「お前はどうする?戻って武田信玄に仕えるか、それとも残ってルイズに仕えるか」
「そ、それは……」
「それがしは帰りたい。まつの待っている加賀に帰りたいのだ。お前はどうなのだ?」
幸村は返答に困り、考え込んでしまった。
「ここにいたのか。おはよう使い魔君」
考え込んでいると、自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。
声のする方を見ると、ワルドが立っていた。
「おおワルド殿、昨夜は失礼致した。お主も魔法の鍛錬でござろうか?」
「いや、君に用があるんだ。君はガンダールヴらしいね?」
『ガンダールヴ』……オスマンから聞いた伝説の使い魔の名前だ。
しかし何故この男が知っているのか。
その疑問が表情に出ていたのか、幸村の顔を見たワルドが少し首を傾げる。
「その、僕は歴史と兵に興味があってね。土くれのフーケを尋問した時に、君に興味を持って調べたんだ」
と、ワルドは少し笑みを浮かべると幸村に言った。
「それでだ、僕はあの盗賊を捕まえた君の実力を見てみたい。手合わせ願えるかな?」
それを聞くと、疑問の表情を浮かべていた幸村の顔が一変する。
「手合わせとな?」
「ああ、もしかして嫌かい?」
そんな事はない、むしろ武士の幸村にとっては嬉しい。
この世界で彼が戦ったメイジといえば、ドットのギーシュとトライアングルのフーケである。
聞くところによると、この男は魔法衛士隊の1人で腕の立つ強者らしいではないか。
そんな人物と戦える機会を逃す理由は幸村になかった。
「否、拙者もお主と一戦交えてみたい。受けて立とう!」
「決まりだな」
はは、と軽く笑った後、ワルドは踵を返した。
「付いて来てくれ。この宿の中庭に練兵場があるんだ」
かつては陛下の閲兵を受けていた練兵場……
しかし、戦のない今となってはただの物置き場と化し、樽や空き箱が積まれている。
幸村とワルドはそこでお互い向き合っていた。
利家は少し離れた場所から2人を見ていた。
幸村の背中から、デルフリンガーが嬉しそうに喋り出す。
「よぉ相棒、また久しぶりの出番が来た……」
「すまぬデルフ殿」
だが幸村は背負っていたデルフリンガーを取り外し、利家に放り投げる。
「あれ?相棒?おーい!」
「この勝負、デルフ殿の力ではなく己の力で戦いたいのだ」
幸村は呼びかけるデルフにそう言うと、槍を構えた。
それをワルドは左手で制する。
「立ち会いにはそれなりの作法というものがある。介添え人がいないとね」
ワルドがそう言うと、物陰からルイズが現れた。
ルイズは2人を見てハッとした顔になる。
「ワルド、来いって言うから来てみれば……何をする気なの?」
「彼の実力を試してみたくなったんだ」
「もう!そんな馬鹿な事は止めて。そんな事している場合じゃないで……」
文句を言おうとしたルイズだったが、途中で後ろから誰かに口を塞がれた。
振り返ると、背後に利家が立っていた。
「むが!ひょっと、はにすんのよ!?」
「ルイズ、ここはやらせてやってくれ。男に……武士に一騎討ちを断る道理はない」
利家はルイズの口を押さえたまま、幸村とワルドを見る。
「ふむ、どうやら良いようだな。では始めるとするか」
ワルドは腰から長い杖を引き抜き、フェンシングと似た構えを取った。
幸村にしてみれば見慣れぬ構えである。
だが別段気にした様子もなく、幸村は十文字槍を構えた。
「真田源二郎幸村っ!!参る!!!」
支援します。
幸村は一歩踏み出すと同時に突きを繰り出した。
ワルドは杖でその突きを受け止める。衝撃で火花が散った。細身でありながら、幸村の槍に負けぬ程の強度である。
幸村は槍を回転させ、ワルドの杖を振り払った瞬間槍を突き出した。
だがワルドは素早く後ろに飛び退き、構えを整えて相手の出方を伺う。
「なんでぇ、あいつ魔法は使わねぇのか?なぁ裸の大将」
利家の手に握られたデルフリンガーがとぼけたような声で尋ねた。
「分からん。唱える暇がないのか、それとも……使うまでもないのか……」
利家は今の状況を見ながらそう答える。
ルイズは、ただ黙って2人の様子を心配そうに見つめていた。
「どうしたワルド殿、魔法は使わぬのか?」
幸村もまた疑問に思ったのだろうか。構えを解かずにワルドに言った。
「魔法衛士隊のメイジはただ魔法を唱えるわけじゃない。詠唱も戦いに特化しているんだ」
ワルドは羽帽子に手をかけ、杖を構える。
「杖を剣のように扱いながら呪文を完成させる、構える仕草……そして……」
ワルドは杖で突きを繰り出す。1回……2回と、幸村はそれを受け止めた。
しかし、3回目の突きを受け止めた時、予期せぬ事が起こった。
「……突き出す動作もね!」
ワルドがそう言った直後、杖を中心に激しい竜巻が発生した。
「ぬおおっ!?」
その強力な風に、幸村の槍は弾かれ、上空高くに打ち上げられる。
「僕の勝ちだ」
ワルドは勝ちを確信したのか、そこで杖を降ろそうとした。
支援。
支援
支援します、幸村がんばれ
その瞬間、幸村は上空へと跳んでいた。
ワルドは一瞬自分の目を疑う。
この使い魔は一気に3メイル……いや、それ以上の高さまで跳躍していた。
これが伝説の使い魔の能力なのかと思った。
そして次に彼の目に映ったのは、空中で槍を掴んだ幸村の姿だった。
ワルドはすぐさま立っている位置から飛び退く。
一瞬遅れて、ワルドの立っていた地面に幸村の槍の柄が突き刺さった。
さらに幸村は刺さった槍を軸にして回転。回し蹴りを放つ。
そのまま回転の勢いを利用して槍を引き抜き、大きく薙ぎ払った。
ワルドは1歩2歩と後退し、この連撃を避ける。
「やるじゃねぇか相棒……しっかし……」
デルフリンガーが感心したように声を上げる。しかし、どうも相棒の様子がおかしい。
フーケのゴーレムと戦った時はもっと速く、疾風のように戦っていた。
ワルドと戦っている幸村も素早いが、前よりも動きが鈍いのである。
「どうしちまったんだろうねぇ、なぁ裸の?」
(まさか……あの話をまだ考えているのか?)
利家は顎に手をかけ、バツの悪そうな顔をした。
一方、幸村も不利を逆転したものの、心の中で自分の失態を悔やんでいた。
(何たる不覚!戦いの最中に別の事を考えるなど!!)
集中しなければという意思が幸村を奮い立たせる。
『お前はどうする?戻って武田信玄に仕えるか、それとも残ってルイズに仕えるか』
だが、すぐに利家の言葉が頭の中で思い出される。
その度に幸村の動きに隙が出来てしまう。
そして、その隙を逃す程ワルドは甘くなかった。
「デル・イル・ソル・ラ・ヴィンデ……」
ワルドの口から魔法の呪文が漏れる。
それに気づいたのは戦っている幸村ではなく、デルフリンガーだった。
「相棒!何してんだ!魔法がくるぞっ!!」
デルフリンガーは慌てて幸村に向かって叫ぶ。
その声に幸村はハッと我に返った時には、既に遅かった。
ボンッ!という音と共に、幸村は横に吹き飛んだ。
巨大な空気の衝撃、「エアハンマー」が直撃したのである。
「ごはっっ!!」
口から声の代わりに息が漏れる。
幸村は10メイル以上も吹き飛ばされ、積み上げられていた樽に激突してやっと止まった。
「勝負あり、だな」
ワルドは杖を腰に戻し、幸村を見て言った。
「君は……何か別の事を考えながら戦っていなかったかい?」
ワルドの言葉に幸村は跳ね起きる。それを見たワルドは半ば呆れるように言った。
「やはりか、戦いの最中に他の事に気を取られるなんて……」
幸村は顔を伏せ、黙って答えない。それは事実だったからだ。
「これで分かったよ。少なくとも、今の君ではルイズを守れない」
幸村はまた答えなかった。
それもまた事実かもしれなかったからである。
支援!
ざんねん、ゆきむらはまけてしまった。
これにて、投下終了です。
92 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/09(日) 13:37:11 ID:/g5j7iWV
BASARAの人乙っしたー!
なーんかこれでワルドが適当に頭にのってフルパワー幸村にきゃん言わされそうな気がしてきた自分。
ケドどんな展開を予測しても熱(苦し)い話になりそうだっぜ!
すみません…sage忘れてました…
>>92 そういうのは書いてから宣言しようよ
アホが煩いから
BASARAお疲れー
なんか、戦国無双されるアルビオン5万が見えてくるんだが・・・
>>92 書き上がったら投下よろー
BASARA乙ッ!
BASARA乙です。
やっぱりアルビオン戦は4人で中央突破ですか?ww
BASARA乙
そういえば関ヶ原もアルビオン戦と状況が似てたなぁとか思ったり
>>92 書くな
書いてもここには投下するな
以上
>92
とりあえずSageな。
あとは投下の際にはテンプレを熟読な。
投下の前には誤字脱字、おかしな展開がないかしっかり推敲な。
これさえ出来てれば投下を拒む理由はない、あと自信がないならまずは避難所の練習スレでやってみるのも悪くないな。
日本中の杉花粉召喚されねーかなって気分だ
ほう、花粉少女と申すか。
>>58 S.I.Cの平行未来のV3では?人類が核で滅び千年間死に場所を求めさ迷っていた彼がキカイダー00に倒される前か倒された後かに召喚されたとか
ルイズ他全員、寄生虫飼ってるだろうから花粉症にはなるまい
>>108 小梅けいとのアレか?
確かに避難所行きだな。
ここで俺が空気を読まずに小ネタ投下を実行する。
支援するよ〜!
支援
あいまいな夢の中で見るのはあの町。
ここよりもっと文明が進んでいて、広大な湖と自然がある綺麗な田舎町。
s i l e n t h i l l N i h i l i t y
「ん、んぅ〜……。」
夢の中ではいつも何処かの墓地の管理小屋に置いてあるベッドの上で目覚める。
私はベッドから起きあがり、開けて外へ出た。まず目の前の視界に入ったのは辺りを覆う濃霧。
そうだ、今日は少し嫌なことがあった。
学院教師のミセス・シュヴルーズが私に練金をしろと言ってきた。私はいつも失敗してしまうのに。
今日一日の気分で外の様子は変わる。
何故かは知らないが気にしなくていいのだ、これは夢だからその日その日を楽しめばいい。
そんな事を思い出しつついらいらしながらも私は下へと降りる階段を渡っていった。
周りには無数のお墓、その中にミセス・シュヴルーズの名があったけど気にしないことにした。
気が付けば町の中に入っている、ブルドンネ街よりも栄えているけど人っ子一人いない街。
あまりここへは近づきたくないけど、湖へ行くにはここを通るしかないので我慢をして歩く。
春の使い魔召喚儀式で、私はこの「夢の街」を手に入れた。
それに気づいたのは当然夢の中で、召喚した直後には失敗したと勘違いし絶望と悲しみでいっぱいだった。
その心を、濃霧から垣間見える湖の景色に心うたれ、いつしか私はこの夢に浸り続けていた。
儀式が失敗して再び一年となり。新入生達とは相成れず、休日の時は昼間まで寝るようになってしまったとしても。
勿論一度はこの事を教師や生徒達に話した。しかし何処か精神病患者を見るような眼差しで見られるだけだった。
所詮は夢。誰もそれを理解してはくれない。
私は気晴らしに煉瓦とは全く違う固い材質でできた道路を靴の踵でコツコツ鳴らしながら歌を歌って歩く。
この歌は優しいちいねえさまに教えて貰った。自然と元気が出てくる歌らしい。
いよいよテンションがあがってくるという時、足突然が宙に浮きそのまま頭を地面に打ち付けてしまった。
「イタっ!……なによぉ〜…?」
夢の中ならここで起きるか痛みを感じないのに、頭にジンジンとくる痛み。
私は頭をさすりながら起きあがり、足下の赤い染みを見て目を見張った。
これは………血痕!?どうしてこんなものが……
ずりっ………ずりっ………
ふと右の方から音が聞こえてきた。
人の体を引きずる音にも聞こえるし。すり足で歩いているようにも聞こえる。
「人…?こんなところに…?」
私は足音の方が気になり、音の方へと歩を進める。
最初は歩いていたのだがいつの間にか私は出来る限りの力で走っていた。
血痕は途切れることなく、一本の細い赤色の道を延々と作っていく。
彼女は足下の血痕を見ながら走っている。まるで導かれるかのように。
まっすぐと続いていた血痕は緩い右カーブを描いて右方にある文字が読めない店の中へと続いている。
ルイズは足音を立てないよう慎重に一歩一歩歩き、店のドアを開けた。
その瞬間、頭の中を騒音が揺さぶる。
ベルの音にも聞こえるし、何かのうめき声にも聞こえてしまう。
思わずルイズはその場に座り込み、両手で耳を防いで辺りを見回す。カウンターの方に目をやると赤い小箱が置かれている。
ルイズはそれを急いで取ると右耳を防いでいた手を外して確認した。やはりこの箱から騒音が出ていたようだ。
箱の表面には四角や丸の形をしたボタンがはめ込まれている。
「もう、うるさいのよこれ!」
ルイズは音を止めようとボタンをでたらめに押しまくるが一向に音が止まない。
なによこれ!どうやったら止まるのよっ!!
思わずルイズは片手で箱を頭上に掲げ、地面に叩きつけようとしたが微かに騒音以外の
不快な音を耳にしてしまった。
何かを引きちぎる音、そう、よく裏通りの酒場にある分厚いベーコンを噛みちぎる音に似ている。
頭上に赤い箱を掲げたまま横に目をやり
「ひっ!!」
思わず声を出してしまった。
横では騒音に目もくれず怪物が人を食っていた。
ルイズは夢の中なのに馬鹿げすぎていると思った、しかし同時に夢なのにおかしいと思った。
その怪物は異様に現実感があった。まるでほんとうに存在するかのような。
あり得ない形の頭、太くて長い腕。元は純白だったが血や何かの染みですっかり汚れたシャツ。
それは一心不乱に頭を振り回し餌である男の頭を噛みちぎろうとしている。
しかし怪物は人の悲鳴に反応したのか頭をルイズの方に「ぎょろり」と向く。
「なんで…なんでよ!今までの夢にはこんな奴いなかったのに!」
声に出して彼女は叫んだ。異様なまでに現実感のある化け物に。
口のような線しか見あたらない顔。目は何処にあるか分からない。
怪物は鈍い動きでゆっくりと立ち上がり腕を地面に擦らせながらもルイズの方へと歩いてくる。
彼女はすぐに杖を取り出し戦おうと思ったが腰に差していた杖はない。
(そんなっ!今までの夢ではちゃんと差してたのに!)
なんだこれは?一体どうなってる?何故は今日はこんなにも初めての事が多い!
ふと目の前が暗くなり、頭上を見上げると接近していた化け物が右腕をゆっくりと天井へ掲げ、振り下ろした。
振り下ろされた腕はルイズの頭に直撃し、見事粉々にな―――――らなかった。
ルイズは咄嗟に出入り口の方へとんだためむなしく床を叩くだけに終わった。
急いで立ち上がったルイズは後ろにあった出入り口のドアを開けると外へ出て…
足下に出来た穴へと落ちていった。
もとここまでくると恐怖を通り越して理解不能になってくる。
丸腰の自分、化け物や食われていた人間に突如出来た穴。
そして今も尚肌身離さず持っている赤い小箱。今はもう喧しくない。
(あぁ…今日の夢はさんざんだったわ、明日になればきっとまたいつもの夢に…。)
目を瞑って頭の中でそう呟き、奈落の底へ落ち行く少女の手を何者かが掴んだ。
だれ?私を助けてくれたのは、もしかしてあの愛しの子爵様?
……………なにかしらこいつ?また化け物。
一瞬人と見間違えたが頭だけではとても人には見えない。
頭を振るわせているミイラのような生き物なんてハルケギニア中何処探したっていないわよ。
どっちにしてもこんな悪夢から覚めて欲しい。はやく朝食のクックベリーパイが食べたい。
またあの赤い小箱から騒音が聞こえてくる。本当にうるさいわね…。
『ここに穴へ落ちた一人の少女がいた、その子は夢と現実を無意識に混ぜ合わせてしまい。ここへ迷い込んだ。』
『その少女は今まで馬鹿にされ。何かする度に罵られ、嗤われてきた。』
『少女は儀式で夢の中にこの街を呼び寄せた。少女は夢の中へと沈んでいく。』
『やがては後悔するだろう。もう二度と元の世界へ、自室のベッドに戻れないことを…』
「ん、んぅぅ…。嫌な夢だったわ。」
ルイズは目を擦り、体を起こし、辺りを見回した。
何処だここ?
自分は確か自室のベッドで異様な悪夢を見て、その後ベッドから飛び起きたはず…。
しかし周りは霧に覆われ、体も薄ら寒い。
まさか夢の続き…と思ったが服装はいつも寝るときに着ているネグリジェ。
とりあえず頬をつねって見るも何も起こらない。
ルイズはベッド代わりに寝ていたベンチから起きあがるとすぐ近くにあった看板へと近寄った。
そして彼女は気が付いた。看板にデカデカとルーンが描かれていたことに。
「これって…使い魔のルーン?」
まさか看板が使い魔?そんな馬鹿な、と思いふとその看板に張られていた地図が目に入った。
見たことがない文字、しかしルイズはそれをスラスラと読み上げた。
「『サイレントヒルへようこそ』………サイレント、ヒル…?……ヘックション!」
突如出たクシャミでルイズはネグリジェ一枚では寒いと感じ、別のベンチに置かれていた子供用のコートを見つけ羽織った。
そしてルイズは見つけてしまった。夢の中で見つけた赤い小箱を。
もう頭の中では理解していた。
夢の中では体感できなかった体温、そして肌にまとわりつくねっとりとした霧。
赤い小箱を手に取ったルイズはベンチの下に書かれていた文字を見つけてしまった。
『ここに逃げ道があった、今はもう無い。』
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール失踪事件
この名前の少女はトリステイン魔法学院の生徒であり。毎年恒例の春の使い魔召喚儀式を終えてから一週間後に喪失。
学院の全教師が総力を挙げて付近を探索したが見あたらなかった。
失踪したミス・ヴァリエールは儀式に失敗して以来精神的に脆くなっていた。
それが失踪に繋がるのか不明。
王宮派遣調査団の聞き込みで教師のミスタ・コルベールに話を聞いてみたところこう述べている。
「あの儀式から翌日、彼女が奇妙なことを言っていました。『私は夢の中に街を召喚したんです。
そこは濃霧に覆われていますが綺麗な湖と自然があって、神聖な場所なんです。』と。少し興味深かったのですが、そのとき私は多忙でして…適当に返事を返してしまいました。」
これを聞いた医療関係のメイジ達は精神に原因があると言い、妄想に類するものだと断定している。
しかしそれが前述の通り失踪と関係あるのか不明。
なおミス・ヴァリエールの自室を調べていた時壁に小さな文字が書かれていたのを発見した。
『彼女は消えた。静かな丘に行った。もう戻らない。彼女がそれを望んだのだから。』
支援
はい、ここで終了です。
ルイズが逆にサイレントヒルに呼ばれて(誘われて)しまいました。
あと代理の方、アドバイスと代理の方有り難うございました。
>>110 投下乙
一応これ逆召喚物になるんじゃないだろうか?
個人的にはサイレントヒルの人間キャラが出てきて欲しかった
>>110 どう見ても逆召喚モノでした。本当に縛り首の刑です。しっばりくびーしっばりく(ry
本当はその路線で行きたかったのですが自分の文才では不可能だと感じてしまいました。
小ネタならありでしょ。
この路線で長編連載するなら避難所かと思うが。
静岡! 静岡!
17:30頃から第3話の投下をしたいのですがよろしいでしょうか?
サイレントヒルの人が投下したばかりなので、もう少しあけたほうがいいですか?
静岡ちがうw
投下GJでした!
サイレントヒルに逆召喚ですか。
場合によっちゃUFOと遭遇し、あの男と出会って…
「ワタシノムスメヲシラナイカ?」
とか言われるのだろうか…
(なんで、こんな事になっちゃったんだろう…)
ルイズは『魅惑の妖精』亭にて、肩も腿もあらわなビスチェで酒を運びながら思っていた。
話は、アンリエッタ女王から依頼を受けたことから始まる。
「町で、役人達が権力を傘に、平民達に横暴な圧力を加えている」という噂があり、その真偽を確かめたいとの事。ルイズは2つ返事で依頼を受け、平民に扮装して町の調査をすることになったのだが…。
「早々とお金を使い果たしてしまわれたという事ですね、お嬢様。」
「だって、宿も、馬も、あんなに高いと思わなかったんだもん…」
「だから、お金を増やそうとカジノへ行って全額すってしまわれた訳ですね、お嬢様。」
「絶対勝てるって思ったんだもん…」
「あのお金は、女王陛下が極秘任務のために苦労して工面されたものなんですよ。それをカジノに注ぎ込んでしまうとは、女王様にどんな顔を合わせるつもりなんでしょうねぇ、お嬢様は。」
「だって、だってぇ…」
「そんなお嬢様のために、私が、いい話を捜してきました。」
「え…?」
「捜査の基本は、まず『情報収集』です。この際ですから、平民達の酒場にもぐりこんでしまいましょう。住み込みということにしておきましたから宿の心配もありませんし、お金も稼げるかもしれません。一石三鳥ですよ。」
…で、今こうして酔っ払い達の相手をしているのである。
(カワリーノの馬鹿…これのどこが『いい話』よ…)
『魅惑の妖精』亭では、チップレースが行われていた。
その週にもらったチップの一番多い人には『魅惑の妖精』亭の名前の由来ともなった『魅惑の妖精ビスチェ』を1日使える権利が得られるのだ。
一応、お金を稼ぐ事も目的にしていたルイズは「あれくらい、すぐに取ってみせるわよ!」と宣言したものの、慣れない客商売に失敗を繰り返し、まだチップの1枚ももらっていなかった。
時間ばかりが過ぎて行き、ルイズが焦りだした頃、事件は起こった。
チュレンヌ徴税官が、部下を連れて店に訪れ、「こんなに流行っているなら、もうちょっと税金を取らなければならんな」と客を追い出し、店を独占したのである。
「だれか、女王陛下の徴税官に酌をするものはおらんのか!」
相手は「チップ1枚払ったことがない」と評判のある徴税官。こんな奴につこうなんて物好きは誰もいない。
「おや、誰もつきませんね。今ならチップレースのポイント稼ぎ放題だというのに」
カワリーノが小さくつぶやくと、それに反応したルイズがグラスをもって席へ向かった。
「お、お客様お素敵ですわね。」
「この店は、男を働かせておるのか?いや、ただの胸の小さい女か。」
「…っ!」
「あまりに平べったいから男かと思ったわい、どぉれ、どのくらいの大きさかこの私が確認してやろう」
「ふっざけないでっ!!!」
ルイズの蹴りが徴税官の顔面にヒットした。
チュレンヌ徴税官は顔を真っ赤にして怒り出した。
「この、平民の分際でよくも足蹴にしてくれたな!この店にも特別重い税をかけてやるから覚悟しろ!!」
「はい、そこまでです!」
ルイズと徴税官の間にカワリーノが割ってはいる。
「何だ貴様は?」
「私、こういうものです。」
「じょ、女王陛下の勅命書っ!!?」
チュレンヌ徴税官の顔から血の気が引いた。
「実は、この町で役人が権力を傘に来て平民を虐げているとの噂があり、女王陛下がたいそう心を痛めておいででしてねぇ、そこで勅命を受けて査察をしていたのが私達なんです。」
チュレンヌ徴税官は口をパクパクさせている。
「この店に横暴な役人がよく来るということで、網を張っていたんですが、いやぁ、こんなに簡単に引っかかっていただいて助かりましたよ。」
カワリーノは徴税官の肩を叩きながら、話を続ける。
「あなた、ヴァルベール公爵家の御息女に酌をしてもらいながら『男みたいな胸』だなんて、牢獄に入っても一生自慢できますよぉ。」
チュレンヌ徴税官はガックリと膝を落とした。
「後は、王宮に報告したら終わりですね。ご協力感謝しますよ、ミ・マドモアゼル…」
一件落着で店が沸く中、ルイズは肩を震わせていた。
「あ、あんた、全部知ってて、わざと黙ってたわね!!」
「さすがはルイズお嬢様ですね。こんなにも簡単に徴税官の口を割らせてしまうとは素晴しい。」
「それくらいでごまかされるかーーっ!!」
一件落着の後、自分の部屋に帰ったルイズは机につっぷした。
「あー、もう、つかれたー」
その机にカワリーノが数枚の紙を並べる。
そこには『魅惑の妖精』亭で働くルイズの姿が、鏡のように映し出されていた。
「な、なによこれ…?」
「向こうの世界の道具で作った『写真』というものです。ルイズお嬢様のあんな姿、めったに見られるものではありませんから記念に残しておきませんと…あ、この写真なんか王宮への報告書につけて出したら王女様も喜びますよ。」
ルイズの顔が一瞬青ざめた。
それから、その時の自分の姿を思い出して、耳まで真っ赤にしながら叫んだ。
「な、なに考えてんのよ!こんなの人に見せられるわけないじゃない!!」
「そうですか?この引きつった表情なんか最高ですよ。」
「店で働いてる時、なんか変なものを持ってると思ったら…こ、これは私が全部、預かっておくわよ。」
「いいですよ、まだまだ幾らでもありますから。」
「ちょ、ちょっと、それも全部渡しなさい、カワリーノっ!!」
*カワリーノはデフォルトで時空転移能力を持ってますので、一度「向こうの世界」に戻って現像してきたんです…っと。
これで第3話終了です。
ネタ優先で順番を飛ばして「魅惑の妖精亭」です。
間の話は、ネタを思いついたら書こうと思います。
>ダークってか、世知辛ぇw
プリキュア5本編で「人件費をケチって、タクシーで自ら出陣して650円の領収証をもらう幹部」もいましたよ。
>>131 なんというか…
ヤミ帽的シナリオ進行?
>>131 カワリーノ、一見下僕のフリしてなんというサドw
> 「人件費をケチって、タクシーで自ら出陣して650円の領収証をもらう幹部」
よりによってそんな嫌なところをリアルにしなくてもw
やべ、来週からプリキュア見ようかな。
> 「人件費をケチって、タクシーで自ら出陣して650円の領収証をもらう幹部」
なんという財政難。
確かプリキュアって女の子向けを装ったドラゴンボールなんだってね。
>>135 あの月光蝶を習得しているとかしていないとか…
プリキュア5の悪の組織がレッドリボン軍並みの愉快な連中だという事はよく分かった
ヴァルベール
>>138
本当だ、間違えてました。
×ヴァルベール
○ヴァリエール
遅くなりましたがサモンジ中尉グッジョブ!
いいもの見せてもらいました!
モートソグニルグッジョブ!
すばらしい戦闘能力だ!
コルベールナンマンダブナンマンダブ(-人-)チーン
ナイトメア乙です。
> 「人件費をケチって、タクシーで自ら出陣して650円の領収証をもらう幹部」
そんなところだけリアルにするなスタッフww
なんか敵役の皆さんを応援したくなるww
カワリーノさんのドSっぷりはネウロを思い出すぜ
ハルゲキニアでもスーツ姿なんだろうなぁ
143 :
ゼロの武侠:2008/03/09(日) 19:13:21 ID:LWm/WRMX
15分から投下していいですか?
アニメ版ジャングルの王者ターちゃんの梁師範です。
144 :
ゼロの武侠:2008/03/09(日) 19:15:46 ID:LWm/WRMX
その日、私が呼び出した物は鉄の塊だった。
形状としては鳥に近い物だったのかもしれない。
だけど、その鼻先というべき部分は地面に押し潰され、
翼に見えた部分は両方とも根元からへし折れている。
誰がどう見ても、それはただの鉄屑だった。
どっと沸き上がる笑い声。
諌めるコルベール先生の声も小さく、彼等を制するには到底至らない。
しかし級友達の嘲笑する声は突如として止んだ。
代わりに響くのは内より木霊する打撃音。
あたかも雛が卵を割って生まれ出でるように、
鼓動と共に鋼鉄は変形しその身に亀裂を走らせる。
突然起こった変化に、私も彼等も凍りついた。
それは、この中に潜む未知なる物が与える恐怖によるもの。
「何を笑っていやがる。そんなに面白いコトでもあったのかよ」
そして一際大きい破砕音の後に、不機嫌そうな男の声が聞こえてきた。
二つに裂けた鋼鉄を内側より両腕で押し広げながら、そいつは現れた。
打ち砕かれた破片を踏み締めながら一歩一歩私へと歩み寄る。
目つきは険しく、さながらゴロツキやヤクザを思わせる風貌。
加えて、顔に深く刻まれた傷跡が真っ当な人間でない事を際立たせていた。
ふるふると震えながら隣に視線を向ければ、
“召喚に成功してよかったですね、ミス・ヴァリエール。
まあ、アレを使い魔にしたいかどうかは別ですけど”
なんて感じで笑顔を浮かべながら気安く人の肩を叩くコルベール先生。
どう考えてもやり直しを求められる状況でないのは理解できた。
私は始祖に心の底から訴える。
お願いです。今の失敗でいいですからもう一度だけやらせてください。
ええ、こうなったら平民でも一向に構いません。
もう実力に見合わぬ高望みなんてしません。
だから言葉の前に拳が出てきそうなこんな生き物と契約しろだなんて、
そんな御無体な事を仰らないでください。
余談ではあるが、私の願いは一度して叶った例がない。
今までも、恐らくはこれからもだ。
145 :
ゼロの武侠:2008/03/09(日) 19:16:58 ID:LWm/WRMX
「あん?」
周囲を威嚇しながら見渡せば、
そこにいるのは珍妙な格好をした少年少女。
大人といえば引率らしきハゲが一人いるだけ。
その奥には歴史遺産っぽい塔が何本も立っている。
何故こんな所に自分がいるのか。そもそもここは何処なのか。
よほど強く頭を打ち付けたようだと彼は前後の記憶を手繰り寄せた。
「たまには中国に帰ってもいいんじゃない?」
そう。全てはこのヂェーンさんの一言から始まった。
パトロールから帰ってきて、ペドロと手合わせして、
蓮苞ちゃんのいない寂しさをエテ吉の拾ってきたH本で紛らわそうという憩いの一時に、
正にそれは青天の霹靂だった。
「いや、だけどよ。俺がいなくなったら何かと大変だろ」
「大丈夫なのだ。梁ちゃんは安心して蓮苞ちゃんに会いに行けばいい」
「そうですよ! ジャングルの平和は自分と先生にお任せ下さい!」
「なら途中まで俺の自家用ジェットで送ってやるぜ」
「……おめえら、それほどまで俺の事を」
思わず緩んだ涙腺に目元が潤む。
得がたき友と出会えた幸運に心より感動を覚えた。
気兼ねする必要もなく、蓮苞への募る思いに突き動かされて、
その日の内に俺は仲間に見送られながらアナべべと共に旅立った。
しかし、俺にツキがあったのはそこまでだった。
思えば天候が崩れかけていたのを気に留めるべきだったか。
あるいはセスナの免許しか持っていなかったはずのアナべべが
ジェット機を操縦できるかどうか訊ねれば良かったのかも知れない。
事前に中古ではなく新品で購入した物か確認しておいても間違いはなかった。
まあ、今考えてみればその事故は起こるべくして起きたのだ。
荒れ狂う嵐に巻き込まれた小船の如く、激しく機体が揺さぶられる。
操縦桿を握ろうとも、こちらのコントロールを受け入れようとはしない。
大枚叩いたジェット機を捨てるのを惜しむアナべべをパラシュート背負わせて蹴り飛ばす。
そして、さあ次は自分の番だと飛び出そうとした直後だった。
大きくバランスを崩した機体は突如として急降下を始めた。
天井に磔にされるみたいな加速の中、外へと出るのは不可能に近かった。
一か八か、天井を百歩神拳で撃ち抜いての脱出を試みる。
―――だが、それは視界を覆う眩い光に遮られた。
146 :
ゼロの武侠:2008/03/09(日) 19:18:31 ID:LWm/WRMX
そして、気が付けば俺はここにいた。
機体こそ原形を留めていないものの、身体を締め付ける重圧も消え、
地上へと降り立った事を実感させてくれた。
あれだけの高度から落ちてよく気絶だけで済んだものだと、
ターちゃんを髣髴とさせる自身の頑強さに呆れながら身体中の埃を払う。
どこがハッチか見分けが付かなくなった鉄の箱から、
どうやって出たものか考えている最中、周りに多数の人の気配を感じ取った。
都合よく現れた人達に助けを求めようとしたのも束の間、
連中は俺を取り囲み、笑い声を上げ始めたのだ。
目の前で飛行機事故が起こり、助けを求めている人間がいるというのに――。
ギチリという鈍い音が噛み締めた奥歯が響き渡る。
怒りに我を忘れて拳を打ち込む事、幾数回。
叩き割った外壁から、ようやくこうして大地を踏み締められたという訳だ。
「なるほど」
顎に手をやりながら前後の事態から推論を導き出す。
並の人間ならば何が起きたのか判らずパニックになるだろう。
だが何千年もの歴史を誇る中国拳法、その西派白華拳の強者どもを束ねる彼は違う。
鍛え上げられた胆力は動じず、磨き抜かれた観察眼が全てを見通す。
「つまり、どっか余所の国に墜落しちまったんだな」
―――そして彼は、全く見当外れな答えを口にした。
147 :
ゼロの武侠:2008/03/09(日) 19:19:08 ID:LWm/WRMX
以上で投下終了です。
乙
「この娘は、シルフィード。こっちは、シェ、シェフィールド…。
ちょっと時々ごっちゃになるねん。
分かってるねんで、ミョズなんとかがシルフィード…」
「ミョズニトニルンはシェフィールドです」
予約なし・・・投下するならいまだ。
151 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 19:56:25 ID:m/kX0fJC
オールド・オスマンの秘書、ロングビル。
のんきでスケベな学院長の優秀な秘書として、時にはセクハラを受け、時には暴力行為で返しと多忙な日々を送っていた。
しかし、その日々も、春先に行われた使い魔召喚の儀式から変わってしまった。
セクハラとタバコをプカプカすることぐらいしかしていなかったオールド・オスマンが、人が変わったかのように精力的に動いているのだ。
正確に何をしているのかは不明だが、それによりロングビルの仕事が減り、時間を持て余すようになった。
もっとも、これは帰って好都合だった。
彼女が巷を騒がせている怪盗フーケだということは、この学院で知る者はいない。
今の内に狙いの場所、学院の宝物庫を徹底的に調べるとしよう。
中に入っている貴重そうなお宝の情報は、すでにコルベールを色仕掛けでたぶらかして手に入れている。
暗い笑みを浮かべ、ロングビルは行動を起こした。
学院内を疾走している九郎。その後方からは一人の生徒が追ってきていた。
「逃げるな! 正々堂々と戦え!」
「冗談言うな! こんちくしょう!」
眼が覚めてから散々な目に会っている気がする。
ルイズからは決闘にどうやって勝ったのか聞かれたため、アルの事などをぼかして話をしたら、いきなり怒られた。
どうやら魔法のような力を使えたことを黙っていたことが御気に召さなかったようだ。
さらには他の生徒達からの決闘の申し込み。
つい先ほどのことだ。
ルイズに命じられ彼女の下着などを洗うことになった。
シエスタに洗い場を教えてもらい、いざ向かおうとした時、いきなり来たのだ。
やんわり断ろうとしたが聞き入れてくれず、シエスタに洗濯物を頼むと一目散に逃げ出した。
で、今に至る。
石造りの床を必死に走る九郎。
しかし、そこは生身の足。
魔法で空を飛んでショートカット可能なメイジ相手では難しく、徐々に追いつかれていた。
「待てといっている!」
「ふざけんな! こっちは洗濯とかで忙しいんだよ!」
あっち行ってこっち行ってと走り回る九郎に嫌気がさしたのか杖を構える生徒。
それに気付いた九郎は周囲を見回すが、そこは誰もいない伽藍とした廊下。
やばいやばいやばい。
何処か身を隠すところがないか見回すが、天井を支える柱ぐらいしかない。
ないよりマシとそこに向かおうとしたとき、
「うぎゃー!」
今まさに魔法を使おうとしていた生徒の悲鳴が響いた。
152 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 19:57:28 ID:m/kX0fJC
見ると、そこには真っ黒に焼け焦げた生徒が倒れ伏していた。時折、ピクピクと痙攣している。
何が起こったのかと近づくと、人間が這い出れるほどの隙間から、赤いトカゲが顔を出していた。
「あれ? お前は確か、キュルケとかいう子の使い魔」
火トカゲ、フレイムは肯定するかのように喉を鳴らす。
そして、のっしのっしと歩くと九郎に擦り寄った。
「助けてくれたのか? サンキュ」
きゅるきゅる、と嬉しそうに唸る。
相変わらず人外の者に好かれるのぉ、という空耳が聞こえたような気がしたが無視する。
と、フレイムはやおら九郎のズボンの端を咥えると、軽く引っ張った。
「? 何処かに連れて行こうとしているのか?」
肯定するように唸る。
少し考えたが、助けてくれた恩もあるし従うことにした。
ルイズの服の洗濯はその後でも出来るだろう。
後にこの選択を死ぬほど後悔することになる。
虎ほどの大きさのあるフレイムの後をテクテクと歩く九郎の姿は何処となくシュールである。
場所は生徒が生活する部屋があるフロア。
さらにいえば見知った場所、ルイズの部屋の側まで来ていた。
ここで九郎は思い出していた。キュルケとルイズの部屋はすぐ側だったということに。
予想通り、フレイムはキュルケの部屋の前で止まる。
そして、ここだと云わんばかりに首を振る。
とりあえず木の扉を叩く。
がちゃり、と戸が開いた。魔法で開けたようだ。
入ろうとした時、すぐ隣の壁が修復したばかりのように真新しかったのが見えた。
部屋の中は真っ暗だった。
傍にいるフレイムだけがぼんやりと赤く光っている。
「戸を閉めて?」
言われたとおりに戸を閉める。後ろ手で。
何ともいえない嫌な予感がしたからだ。隙を見せたくない。
パチンという音と共に壁のロウソクが灯る。
しかし暗くて先は見えない。
「さあ、こっちに来て」
「は、はあ。お邪魔します」
声のする方にゆっくりと歩を進める。それに併せてロウソクが灯っていく。
お香を焚いているのだろうか? どこかで嗅いだことがあるような匂いが部屋に充満している。
ベッドの側のロウソクにも火が灯り、そこに腰掛けているキュルケの姿を浮かび上がらせた。
「お願い、傍に来て」
その姿は、ある種異様だった。
服装はいつものまま。胸元を大きく広げた制服姿。
しかし――
何かが違う。
そこにいるのは本当にキュルケなのか?
彼女の事を理解できるほどの付き合いがあるわけではないが、それでも何度か顔を合わせているし面識もある。
ルイズをからかっている様子も見ている。
153 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 19:58:49 ID:m/kX0fJC
だが、今目の前にいるキュルケはそのどれとも違った。
まるで、そうまるで――
「ねえ、早く傍に来て」
すらりとした脚を見せ付けるように組み替えて九郎を誘う。股の間にある白い領域から目が
離せない。
褐色の肌がぼんやりとしたロウソクの明かりに照らされて、この世のものとは思えない魔性
の魅力をかもしだしている。
無意識に後ずさる。踵が何かと接触した。
思わず振り向いた九郎の目に映ったのは、怯えているフレイムの姿だった。
フレイムはキュルケを見て怯えている。ありえない。
キュルケがフレイムを可愛がっていることは知っている。フレイムもキュルケに懐いている。
それが怯えている、つまりあれはキュルケではない――
「――っ!?」
思い出した。この香のことを。
同時に、九郎の脳裏にアルの言葉が蘇った。
今、ピースが繋がった。
「そうか……そういうことか……」
「……どうしたの? こないのならこっちから行くわよ」
「黙れ! この阿呆!」
「――なっ!」
いきなり罵倒され、驚きに目を丸くするキュルケ。
しかし九郎は構わずに続ける。
「ったく、面倒臭いやり方しやがって! 何のつもりなんだ、ええ!?」
そして叫んだ。一際大きく。
「なあ、クトゥグア!」
一瞬の間――驚愕の表情――表情が消える。
そして……笑みに変わる。
「――よく気付いたな、我が主」
もはやその口調はキュルケのものではなかった。尊大で、九郎がよく知る者にそっくりな
もの。
154 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 19:59:33 ID:m/kX0fJC
炎の神性クトゥグア。そして、彼のパートナー、アル・アジフの断片の一つ。
九郎はテーブルの上に置いてある香に視線を向けた。
キュルケの中にいるそれは、キュルケの顔のまま、ふむと納得した表情をした。
「なるほど。ズカウバの燻香でか。力を補うために焚いておいたのが裏目に出たな」
「それとフレイムだな。アルの断片でも、こいつがここまで怯えるほどの力を持った奴なんてそういない」
「なるほどなるほど。後はこの娘の属性を知れば自ずと理解できるか」
納得したようにうんうんと頷くキュルケ=クトゥグア。
一方の九郎は力が抜けたようにへたり込んだ。
「ったく、キュルケの中に入って何がしたかったんだ?」
「ん? 母より抜け落ちてしまい力がなくなっていたからな。てっとり早く取り戻そうと」
「それとキュルケにとりつくのとどういう関係があるんだ?」
「同じ火の属性ということもあるが、それ以上にこの娘の性格が力を取り戻すのに都合がよかったのだ」
「性格って……あ」
思い当たる節がある。というか、今味わったばかりだ。
「この娘は惚れっぽく、その上、不特定多数の異性と付き合っている。だから、手っ取り早く食事が出来るのだ」
「食事……? …………って、おい!」
こいつらページモンスターの「食事」。それは人の精。
「残念なことに、妾がとりついたときは既に主に心が移っていたときだったのがな……
いや、これはこれで都合がよいと見るべきか……」
ブツブツと思考に入る。
だんだんと怪しい展開になりそうな気配を敏感に感じ取った九郎。
相手が言葉を発するよりも早く行動に移す。
「まあ、とりあえず。せっかく見つけたんだ。回収させてもらうぞ」
「どうやって?」
「――うぐっ」
「我らが母はルイズとか言う小娘の内に封じられている。今の汝に妾を回収することが出来るのか?」
「……そ、それは……」
狼狽する九郎の姿を見て、キュルケ=クトゥグアはニヤリと笑みを浮かべた。
獲物を狙う猛禽類のような目つきに変わる。
「……な、何を考えている? おい?」
「いや、妾の食事ついでに、この娘の願いも叶えてやろうと思うてな」
唇を湿らせながら近づく。
九郎は慌てて逃げようとしたが、何かに足をとられて転びそうになった。
「だあっ! と、何だ――って、フレイム!?」
九郎の足にフレイムがしがみついていた。
慌てて振り払おうとするが、強靭な力でしがみついていて離れない。
復活記念、憎悪の空より支援。
となると次はベド探偵と氷属性のイタクァ…
タバサが危険だ!支援。
157 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 20:06:54 ID:m/kX0fJC
何か書き込めない
158 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 20:07:44 ID:m/kX0fJC
<おっと書き込めれました。
<では、続きを・・・
「炎の眷属は全て妾の僕。この世界の生物とて例外ではない」
「おま――ぬあッ!?」
キュルケ=クトゥグアはゆっくりとボタンを外し、服を脱ぎ去った。
九郎の視界に、ゆたかすぎる褐色のふくらみが二つ飛び込んでくる。
そしてそのまま下も脱いでいく。一枚一枚気分を出して見せ付けるように。
ほどなくして、何も身に着けない生まれたままの姿となった。
燃えるような赤い髪に褐色の肌。
滑らかなラインに、豊満なスタイル。
その姿はある種、幻想的にすら感じられた。
一瞬、見とれていたがすぐに気を取り直すと、慌てて顔を背ける。
「ば、馬鹿! 他人の身体で何やってるんだ! キュルケに悪いだろ!」
「気にするな。先ほども言ったが、この娘は汝に好意を抱いている。元々、ことに及ぶつもりだったのだ。
何の問題はない。
それに――」
情熱的な瞳で見つめる。
しかし、その表情は真剣なものだった。
「かつても言ったが、汝は神の写し身たる妾をしかと支配しなければならぬ。白き王よ」
そう告げると、九郎の首に絡みつくように腕を回してきた。
その身体が異常に熱を帯びているのが分かる。
吐息が熱い。
「それとこれとどういう……むぐっ」
いきなり唇を押し当てられた。
強引に舌を入れられ、唾液を流し込まれる。
「んんん……――〜〜!!」
熱い。まるで熱湯を口の中に入れられているみたいだ。
口を塞がれているため飲むしかない。喉が灼けそうだ。
キュルケ=クトゥグアは首に手を回し身体を密着させ、体重をかけてきた。
圧し掛かってくる裸身。思わず仰向けに倒れてしまう。
豊満な胸が九郎の胸板との圧力に潰れ、形を変える。
熱くて気持ちよくて――
九郎は頭がクラクラしてきた。
その間にも唾液は流し込まれる。異常なまでに。
腹の奥から熱くなり、何かが上がってきそうな感じがして――
「――チッ、どうやらここまでのようだな」
突然、舌打ちをして口を離す。
そして九郎に圧し掛かったまま、顔を戸の方へ向けた。
その瞬間、戸がもの凄い勢いで開けられた。
そこに立っていたのはルイズだった。
1行目を改行にして22行以上の書き込みは
何のエラーメッセージもなくそのまま異次元の彼方に消滅する
さんざ注意されてる基本認識事項だが?
160 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 20:11:39 ID:m/kX0fJC
ぼー、としていた九郎だったが、ルイズの姿を見た途端、跳ね起きた。
キュルケ=クトゥグアは倒れてしりもちをついた。胸が揺れる。
「――あ、あうあうあうあうあ……」
やばいやばいやばいやばい――
ルイズは無言のまま立っている。
その顔に表情はなく、ただ虚ろな瞳でこちらを見つめている。
だが、よく分かる。ハッキリと理解できる。完全に理解できる。
――ルイズは怒っている。
限りなく。心底。奈落のように。
よく見ると口元が小刻みに震えていた。
今まで分かったことは、ルイズには三段階の怒りがある。
第一段階は口より手。
第二段階は手より足。
そして最終の三段階は足より先に声が震える。
ルイズは何処からか杖を取り出した。
そして流れるように、撫でるように、躊躇なく――
――魔法を解き放った。
「このたわけが――――ッ!!!!」
今のアル? などと思う間もなく、空間が大爆発した。
ルイズの失敗魔法。
ゼロのルイズと呼ばれる由縁。どんな魔法を使おうと必ず起こる爆発。
今はアルの力によりある程度の魔法は使えるようになっているが、今回は意識してやったものではない。
怒りの感情のまま無意識で起きた爆発は、従来のものと比べて凄まじい威力を宿した。
それは九郎達を飲み込み、テーブルや椅子、調度品など、キュルケの部屋そのものを破壊してしまうほどに。
161 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 20:12:31 ID:m/kX0fJC
だが、それは突然湧き上がった白い焔に呑み込まれた。
焔は激しく燃え盛り、あろうことか爆発を“焼き尽くした“。
その焔を放ったキュルケ=クトゥグア。果たしてその表情は怒りで歪んでいた。
「……気に入らんな」
「お、おい……」
様子が違う。明らかな敵意をルイズに向けるキュルケ=クトゥグア。
一方のルイズは、今の炎に驚いたのか驚愕の表情をしていた。
「キュルケ、あんた今のは……?」
「今の力、混沌と似た力を感じる。気に入らん」
言うや否や掌をルイズに向ける。
「――何を!?」
咄嗟にその腕を取り、向きを変えた。
ルイズの後方の壁が火球によって破壊された。
「何をしているんだ!? ルイズを殺す気か!」
「そうだ。あの力、存在させるわけにはいかん」
「正気か!? アルもいるんだぞ!」
「案ずるな。母を傷つける事無く、あの娘という器のみを焼き尽くしてくれる。
そうすれば母も解放されよう」
「アホか! お前は!」
何とか止めさせようと、必死にキュルケ=クトゥグアを押し留める九郎。
その様子を見ていたルイズの目は瞬く間に怒りで釣りあがった。
それもそのはず。ルイズからしてみれば、裸のキュルケが九郎と乳繰り合っているようにしか見えない。
「あ、ん、た、ら、ねえぇぇぇっ!!」
キュルケが使った先ほどの変な魔法のことは、もはや忘却の彼方。
再び怒りに身を任せた第二撃を放とうと杖を振り上げる。
一方のキュルケ=クトゥグアも、九郎を押しのけて構える。その口がブツブツと何かを呟く。
162 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 20:13:02 ID:m/kX0fJC
「フングルイ ムグルウナフ クトゥグア……」
とんでもない呪文を呟いていた。
「だー! 止せ! 止めろ! そんなものを使ったら学園が蒸発する!」
「離せ、主よ! 奴だけは! 奴だけは!」
完全に神の属性に引きずられている。
キュルケの身体を器にしているせいか、力がそれほどでもないのが幸いした。
後ろから羽交い絞めにして何とか押さえつける。
そしてその様子を見て(以下略)――
もはや止まらない。
自分の力ではどうにもならない。
「誰でもいいからこの事態を何とかしてくれー!」
「了解した」
祈るような叫びに答える声。
次の瞬間、全てを埋めるような白い風が部屋を吹きぬけた。
それが雪を孕んだ風だと気付いたのは、純白の中に白銀の竜の姿を見たときだった。
視界が白い闇に染まり――意識がフェードアウトした。
ロングビル――フーケは、目の前で起こったことに目を丸くした。
宝物庫の前まで来たはいいが、自慢のゴーレムを以てしても固定化の魔法で固められた扉を破ることが出来ず途方に暮れていたとき、いきなり何処かから飛んできた巨大な魔力によって扉が破壊されたのだ。
しばらく呆然としていたが気を取り直し、急いで宝物庫の中へと入った。
今の爆発に誰かが気付く前に仕事を済ませなければならない。
破壊の余波か、ところどころで炎がくすぶっているのを避けながら奥へと進む。
お宝は沢山あったが、フーケが望むものは唯一つ。
しばらくして目当ての箱を見つけた。
中を確認するとにんまりと笑い、壁に向かって杖を振った。
壁に文字が刻まれる。
『双子の魔獣、確かにご領収いたしました。土くれのフーケ』
163 :
斬魔の使い魔:2008/03/09(日) 20:15:13 ID:m/kX0fJC
以上です。
>>159 何分、久しぶりだったもので失礼。
気をつけますね。
支援
やっと続き出来ました〜。
また長くなったんで2話に分割。7話と8話、投下します。
執筆が週一でしかできないとどうしても間が空いちゃいますね。
基本二週間に1話くらいのペースになると思います。
今週は休出が挟まったのできつかった。
梁師範来てるー!!
ターちゃんだと見た目があれだし呼ばれんよなぁって思ってましたがこれはこれで良いチョイス!
続き期待してます。
乙!
でも ふんぐるいむぐるうなふ は
イカタコさんの方ではないでせうか
待ってました。 支援します
クトゥグアでも合ってるよ。
第7話 弟子
「はい、どなたですか?」
なのはがノックに答えると、返ってきたのは女性の声だった。
「あたしよ、キュルケ。あ、でも、本命はタバサだから、悪いけど閉め出さないでね、ルイズ」
ルイズは一瞬叫びそうになっていたが、それを聞いて何とか押さえ込んだ。
視線でなのはに扉を開けるようお願いする。彼女も無言のまま頷くと、静かに扉を開いた。
扉の向こうには、思ったより多くの人がいた。
キュルケとタバサは予想通り。それに加えてもう一人。
金髪美形の優男、ギーシュも二人と一緒にいた。
「で、なんの用?」
一行を迎え入れた室内で、ルイズは不機嫌そうに問い掛けた。
ちなみに不機嫌なのは、全員の視線が自分ではなく、使い魔の方に向いているからだ。
用事のほうも何となく予想が付いた。
そして、それを切り出したのも、予想通りタバサだった。
彼女らしい、単刀直入な一言。
「弟子に、してほしい」
坦々とした口調とは裏腹なまでに、その瞳には炎が燃えさかっていた。
ギーシュが意外そうな顔でタバサを見ている。ルイズもだ。
そして申し込まれたなのはは。
「ご主人様、どうしますか? ちなみに私は、許可が出たら考慮してはみますけど」
些細なことであるが、そしてささやかであるが、ルイズの心に喜びの炎がともる。
ああ、この使い魔は。変わらず私を立ててくれる。
そしてルイズは答える。
「まあ、あたしに異存はないわ。なのはもいいみたいだし、気持ちも判るわ。あれを見せられちゃねぇ」
タバサも、こくりと頷く。下を向いた顔に、ほんのかすかな笑みが浮かんでいたのに気がついたのは、残念ながらキュルケだけであった。
一連のやり取りを見て、なのはも彼女を受け入れることにした。
「んじゃ、とりあえずは受けてあげる。ひょっとしてギーシュ君も弟子入り希望?」
「は、はい! 今日一日で、僕は明らかに昨日までの僕とは一線を画した強さを手に入れたと思います! 出来うるなら……僕は、もっと強くなりたい!」
顔を真っ赤にしながら勢い込むギーシュ。そこには普段のすかした少年の姿はない。
(あーあー、二人とも、なんか熱血しちゃって。ちょっと意外ね)
ルイズは、そんな二人の様子に、人の持つ複雑さを一つ知ったような気がした。
焦ると良くないんで、自分のペースでいいっすよ
支援
「じゃ、ちょっといいかな」
ルイズの部屋が豪華であっても、学生寮は学生寮。さすがに五人分もの椅子はない。しかたがないので弟子二人+1はカーペットの上に直に座らせられる羽目になった。もっとも不満そうなのはキュルケだけであるが。
上座に立ったなのはは、弟子入り希望の二人に向かって語りはじめた。
「弟子入りするのはいいんだけど、あらかじめ言っておくわ。
まず、今の私が使っている魔法は覚えるのはたぶん無理。逆にあたしが系統魔法を教えるのもたぶん無理よ。そこは理解しているよね」
頷くタバサとギーシュ。
「その上で改めて問います。私に弟子入りして、なにを覚えたいの?」
「フライを維持しつつ他の魔法を使う方法」
タバサは間髪を入れずに答える。
「僕は、ワルキューレをより強くするための方法です」
少し遅れてギーシュも答えた。
二人の答えに、なのはは力強く頷く。
「うん、それなら教えられると思うけど……ご主人様」
確認するようになのははルイズに問い掛ける。
「ここでは飛行魔法と他の魔法の併用が出来ないんですか?」
「ほとんど不可能に近いわ」
これまた打てば響くように即答えが返ってきた。
「あらルイズ、魔法使えないのによく判ったわね」
キュルケにしっかり突っ込まれていたが。
「なによキュルケ、私だって勉強はしてるのよ! これ、座学で習ってるじゃない!」
「まあそれはそれとして」
怒るルイズの気をそらすように、キュルケはなのはのほうに向かって言う。
「判りやすく言えば、右手で数式を解きながら左手で呪文の書き取りをしているようなものですわ。不可能ではありませんけど、このハルケギニア中を探しても、可能なのは十指に満たないでしょうね」
「あ、そういう理由なの。なら、たぶん教えられると思う。それ、私たちには基礎の基礎だから」
さすがに全員の注目がなのはに集まった。その瞳が一様に『基礎の基礎』という点に向いている。
支援
支援
「マルチタスク、っていってね」
なのははそう答えるとちょっと遠い目をした。
「同時に複数のことを思考する技術があるの。ミッド式の魔導士にとっては、これほとんど必須の技能だから、出来ない人がいないくらい。私も九才の頃には出来てたよ」
「うわ、さすがにそれは想像もしてなかった」
ルイズもびっくりしてなのはの方を見る。
「特に空戦……空で戦うタイプの魔導士は、これが出来ないとそもそもお話にならないし。ただ、ちょっと問題があるのよね」
「問題?」
タバサが真剣に聞いてくる。
「ええ。マルチタスクの訓練は、念話が通じないと効率がかなり悪くなっちゃうから」
「念話?」
聞き慣れない言葉に、タバサがなのはのほうを注視する。
「ミッド式ではこっちのコモンスペルくらい平易なものなんだけど、ま、要は声じゃなくて心で会話することよ」
ルイズ以外の顔に驚きの声が上がる。そもそもそんな発想すらしたことがなかった。
「ちょっと試してみるね」
なのはは目の前の三人に念話を送ってみる。しかし、反応があった人物はいない。
(駄目みたいね)
愚痴をルイズに向けてみると、
(なんかそうみたい。ひょっとしたら私たちの念話って、主人と使い魔を結ぶ線があるから使えるのかしら)
こちらはちゃんと繋がるようだ。
なのははルイズの意見にも一理あるような気がした。かといって念話が繋がらないのは先にも述べたとおり不便である。
一応念話によらないマルチタスクの訓練法もあるのだが、なのははそもそもレイジングハートとの間に念話が通じていたため、それを使用しない訓練となると思いつかなかった。
とりあえずなのはは、念話を通じさせるためにいろいろと対処法を考えた。
資質を持たない一般人にはまるで通じない。だがここにいる者は全員魔法が使える。資質0とは考えにくい。
だとするとたいてい問題になるのは出力と距離である。事実上この問題は一体化していて、違いが問題になるのは『繋がるが聞き取りにくい』と言った場合程度である。
そこでなのはは一番簡単な解決方法を試してみた。
「ちょっとごめんね」
といいつつ、なのははタバサの手を握る。なにをするのか、と思ったタバサは、いきなり未知の衝撃を受けることになった。
せいえん
支援
支援
(これで通じないとちょっとまずいなあ)
「な、なに、いまの」
珍しく、本当に珍しく、タバサが感情の交じっているうろたえ声を上げていた。
端から見ているキュルケとギーシュには何が何だかさっぱりである。
そして混乱するタバサの脳裏に、さらなる声が響く。
(落ち着いて。今のは私が話しかけている声。言いたいことを思い浮かべて、頭の中で話してみて)
(……こう?)
(うん、そんな感じ。零距離なら一応は繋がるみたいね。となるとやっぱり魔力がらみか)
(……不思議。言葉を使わないで意識を通じ合えるなんて)
(あ、誤解しないでね。これはただ声を使わずに会話しているだけよ。嘘だってつけるし。それ以上の深い繋がりは、また別のものだから)
(了解)
ほんの短い間に、いくつもの言葉が交わされた。タバサも最初の混乱から立ち直ると、いつものペースに戻っていく。念話においても、言葉に感情のこもらない、平坦なしゃべり方になっていく。
それを感じ取ったなのはは、そこで手を離した。
「ふう、何とか会話そのものは出来るみたいね。最低限は何とかなりそう」
一方、タバサのほうではキュルケとギーシュが興味深げにしていた。
タバサはものは試し、と、キュルケの手を握って念話を送ってみる。が、なにも起こらない。
「駄目」
そう短くつぶやくと、なのはに向かって言う。
「ナノハ、私からキュルケには送れなかった。試してみて」
いわれてなのははキュルケの手を取って念話を送ってみる。
「あら、ミス・ナノハ……きゃっ!」
その後の展開はタバサと同様だった。二人とも念話の感覚を理解した上で試してみるが、やはり繋がらない。
もののついでにギーシュも試してみたが、やはり同様であった。
「結論からすると」
何故かルイズがまとめるかのように場を仕切る。
「ナノハとの間には念話が通るけど、私たち同士では不可能。私とナノハは離れていても繋がるけど、他の人とは接触しないと繋がらない、っていう事ね」
「そうなりますね、確かに。後できちんと記録を取って調べてみましょう」
「残念」
タバサは言葉通り残念そうにしていた。キュルケは、
「あら、せっかくキスしながら愛の言葉をささやいてもらえるかと思ったのに、ナノハとだけじゃそうも行かないわね」
などと何か問題のありそうな発言をしている。
ちなみにギーシュは赤くなり、ルイズが切れかかって杖に手を伸ばしたのを慌ててなのはが止める羽目になった。
「ちょっと、ツェルプストー! なによその問題発言」
「あらルイズ、愛している人と一体化しながら愛の言葉をささやいてもらえるなんて、幸せ冥利に尽きないこと?」
「ちょ」
「まあご主人様、落ち着いてください。恥ずかしくとも不謹慎と言えるほどじゃないです」
何とかなのはの押さえで、ルイズは正気に戻った。
「でもそうすると、こちらの人達には、念話の資質無いみたいですね」
なのははちょっと困った顔で言う。接触すれば使えるから、トレーニング自体は出来るが、そもそもマルチタスクの訓練は、恒常的に行うからこそ効果の出るものである。
そもそも念話が必要になるのも、日常生活と平行する形で訓練をするためであり、またそれこそが最高に近い訓練法でもある。ある意味二四時間練習しているようなものになるからだ。
現になのはも学業と仮想訓練の併用でこれを完全なものにしたのだ。
「あたしとは問題ないのにね」
ルイズもちょっと不思議そうに言う。
「そうよルイズ、あなた魔法てんで駄目なのになんで?」
キュルケも突っ込むが、今度はルイズもさらりと流す。
「だとするとやっぱり、使い魔とのラインかしら」
「あり得ますね……試してみますか?」
その提言で、一同は部屋を出ることとなった。
しえん
支援
わくわく、わくわく、支援
使い魔達のたまり場から少し離れたところで、キュルケ達は己の使い魔を呼んだ。
フレイムとヴェルダンデはやや大きい程度の動物であるが、シルフィードはかなりの大きさである。
「うわ、おっきい」
それがなのはの感想であった。夜なので細かいディティールが見えないのも大きかった。
そしてなのはが説明する。
「皆さん、使い魔との間には、ある程度感覚が繋がっていますよね」
頷く三人。
「ですので、これから使い魔の方のほうに念話を送ってみます」
そういってまずなのはは、フレイムに手を触れる。一瞬警戒したようだったが、すぐにおとなしくなった。キュルケがおとなしくしているように命じたようだ。
(まずは、あなたに。こんばんは、フレイムさん)
なのはが念話を送る。すると。
(『……よろしく、主の友』)
明確な言葉ではない、しかし充分に意味の理解できる不思議な『言葉』が返ってきた。
なのはは驚いてキュルケの方を見る。
「ねえキュルケさん、あなた、フレイムさんとの間で会話できるの?」
問われたキュルケは不思議そうな顔をしている。
「いいえ、フレイムは私の命令は理解しているけど、言葉は交わせないわ」
「だとすると……」
再びなのははフレイムに触れ、改めて念話を送る。
(フレイムさん、お願い。まず、私の送る念話を主人に伝えてみてくれる? 続いて、あなたの意志を同じように主人に送ってみてほしいの。出来る?)
(『……主の望みは我が望み。また、交わすべき言葉なぞ無いが』)
(挨拶で充分よ。望むことはなくても、それだけでたぶん主さんはものすごく喜ぶわ)
(『主が喜ぶのなら』)
(じゃ、今からね。キュルケ、聞こえてる?)
次の瞬間、キュルケの身がびくりと震えた。
(嘘、聞こえたわ、ナノハ)
(うん、返信もOK。これならやりやすくなりそう)
(まさか使い魔にこういう使い方があったとはね。驚きだわ)
(ふふ、驚くのはそれだけじゃないわよ)
(『改めてよろしく、主様』)
(へっ!)
今度は完全にうろたえはじめたキュルケ。タバサもギーシュもルイズも、なにが起こったのかさっぱりだ。
「どうしたの、キュルケ」
代表する形で聞いたルイズに、キュルケは何故か感極まったような喜悦を浮かべながら、ルイズに抱きついた。
「ちょ、キュルケ!」
「話せたのよ! フレイムと!」
「「え〜っ!」」
驚くルイズとギーシュ。タバサは珍しいことに何故か冷や汗を浮かべている。
だが三人はそんなことに気がついた様子もなく驚きを共有している。
「ねねキュルケそれって」
「そうなのルイズ実はフレイムってしゃべれたのよ」
「嘘なんでサラマンダーが人語を解するのよ」
「たぶん使い魔になったからでしょそれよりちゃんと言葉が交わせるなんて想像もしてなかったわ!」
「なら僕のヴェルダンデとも会話できるのかなナノハさん是非次は僕のヴェルダンデで試してみてください」
ギーシュまで交えてのものすごいマシンガントークだ。息を継いでいる様子が全くない。
そのまま会話は続いていたが、三人とも見事に酸欠になってこけた。
「興奮しすぎ」
ただ一人冷静だったタバサのツッコミに、みんなが顔を赤くしていた。
続いてはギーシュの熱烈な『要望』により、ヴェルダンデで試してみる。
結果は同じで、やはりナノハとヴェルダンデ、そしてヴェルダンデとギーシュの間にも念話が成立した。ナノハとヴェルダンデの間では接触していないと通じなかったが、ヴェルダンデとギーシュの間は、キュルケとフレイムのように、距離を隔てていても繋がった。
ちなみにフレイムやヴェルダンデも、こういう事が可能だとは思っていなかったようだ。
また、二人ともそもそも、知性そのものは人の命令を理解できるほどになっていても、人間が無意識下に蓄えている膨大な知識……いわゆる言語や常識といったデータベースが存在していないため、そもそも会話をするという発想そのものが存在していなかったのだ。
使い魔が人間の命令を理解できるのは、命令と共にそれに付随している付帯条件なども主側から送られていたのであろう。
だが、特にギーシュの様子を見ていると、ヴェルダンデが主人との間に日常会話を成立させることが可能になるのは、そう遠くないかも知れない。
赤子も最初は言葉を話せないのだ。
何か一杯帰って来てる――――!!!!
支援
キュル×ナノ フラグ?そんなことない?
さて、となると残りはタバサとシルフィードのペアである。だが、実はタバサ、表面的にはともかく、内心は焦りまくっていた。
そう、実はシルフィードはただの竜ではない。素で人間に匹敵する知性と、会話を可能とするだけの知識及び理解力を持つ『韻竜』である。
それはまあいい。このままだとここにいる人達に彼女の正体がばれそうな気もするが、幸いここにいる全員、口は堅い、とタバサは思っている。
自分の欲のために友を裏切るような恥知らずはいない。
だが問題なのは……。
そして数分後。
なのはの念話を受け、そしてそれをタバサと繋げることを理解したシルフィードは欣喜雀躍した。
「タバサ、水臭いわよ。でもこの子がただの風竜じゃなくて風韻竜だったなんて、さすがと言うかなんというかね」
「まさかそんなすごいものが実在してたなんて」
「く、悔しくなんかないもん! あたしの使い魔はもっとすごいんだから!」
「落ち着いてくださいご主人様」
……案の定シルフィードの正体は一同にばれまくっていた。無理もない。念話が通じたとたん、まだその切り替えがうまくいかないシルフィードが、
「すごいのね! これなら私、お姉様と思う存分おしゃべりできるのね! 人前でしゃべると怒られるけど、これならばれないのね、きゅいきゅい!」
と、ご丁寧に肉声のほうでぶちかましてしまったのだから。
タバサは頭を抱えたが後の祭りである。仕方なくみんなに、
「秘密」
ただ一言そういっただけであるが、何故か全員(なのはまで)そのとたん米搗きバッタよろしく頭を上下していたのがいかなる理由かは、彼女の名誉のために秘密にしておこう。
……なお、後の話になるが、タバサはマルチタスクを誰よりも速く習得し、そしてなのはに匹敵するまでに使いこなせるようなる。
理由? 考えるまでもあるまい。
「まあ、とりあえずこれならみんなにマルチタスクを教えるのは何とかなるわ。私が使い魔さん達のたまり場で、彼らに接触して教えればいいから」
なのははいろいろあって混乱する場を、何とかまとめ上げた。
「マルチタスクさえ覚えられれば、みんなの生活を維持したまま、いろいろな練習が出来るようになると思うわ。ギーシュ君なんかは、ワルキューレの操作演習とかなら仮想で出来るようになるし」
「それは楽しみです」
ギーシュの目には期待が満ちあふれていた。
「で、みんなにお願いしたいんだけど」
「何かしら。私は別に弟子入りする気はないけど、たいていのことなら引き受けるわよ」
キュルケは情熱的な瞳をフレイムに向けつつ答える。
ルイズが少し不機嫌そうな表情になったが、あえてそれは無視してなのはは答えた。
「マルチタスクくらいは教えてもいいわ。たぶんあなたのためになると思うし。でね」
そこでなのはは息を整える。
「これはご主人様のためでもあるんだけど……一度みんなが魔法を使っているところを見せてほしいの。出来るだけたくさんのバリエーションで、強さも手抜きから全力全開まで。そして、ここが一番大事なんだけど」
そこでいったん言葉を切り、全員の注目を集める。
「失敗したところが見たいの。爆発しない、普通のメイジが失敗するところを」
その一言で三人は理解した。もちろん答えは。
「いいわよ」
「了解」
「わかりました」
全員そろっての肯定であった。
その日はこれで終わりとなるが、最後にタバサが言った。
「ナノハ、何度か念話して感じたんだけど」
「? 何かしら」
「この感覚、コモンスペルに出来るかも知れない」
「そうなの? 出来たらいいわね。協力できることはするわ」
残念ながら、彼女の努力が実るのは、もう少し後のことであった。
何かと騒がしい一日が終わり、タバサが自室に戻ると、いつの間にか机の上に書状が置いてあった。
少し嫌な気分になり、それを手に取る。普段なら気にもしないが、今回はおそらく召喚状だろうと思ったからだ。
タバサが風竜を召喚したのはとうに知れているだろう。だとすればまず間違いなく見せに来いという指令が来るはずだ、と、タバサは思っていた。ついでに周辺の揉め事を解決して来いといわれるかも知れない。
だが、意外なことに書かれていた内容はまったく別のことであった。
そしてそれを読み進めたタバサに、苦悶の表情が浮かぶ。
指令書は、こう命じていた。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの召喚せし人間の使い魔に接触し、能力・使用魔法・性格その他について可能な限り詳細に報告せよ』
しかも、その後の署名はイザベラのでも北花壇騎士団のそれでもなく、紛れもない国王印が記されていた。すなわち、この指令は国王直々の命令と言うことになる。
「なんで、彼女が……」
ガリアの諜報員は、当然今日の決闘も報告済みのはずだ。だが、わざわざ自分に命令してまで彼女を調べようとするのはいささか不自然だ。合理的に考えるのなら、彼女の存在はガリア王にとって看過できないほど重大なもの、ということになる。
そして彼がわざわざ非合理な命令を出すことはない。ということは。
彼女は思わず震えた。報告はしないとまずいだろう。こんな手を打つ以上、自分も見張られているのは間違いない。だが、これは。
彼女はそこに光を見た思いがした。それが愚かな虫を誘う蝋燭の炎なのか、それとも長き迷宮の出口なのかはまだわからない。
だが、その光は間違いなく自分の運命を破壊する。それだけは確信できた。
ところできゅいきゅい、もとい、シルフィードは?、支援
支援
7話はここまで。少ししたら8話も続けていきます。
けど全部で17Kbあるのにさるさん引っかからないな。
タイトルを通し番号で変えてるせいかな?
出来る人確認してほしいな。
21:00を回ったので、8話続けていきます。
第8話 秘書
弟子入りから三日ほどが過ぎた。
基本的に彼らの日常には大きな変化は見られない。
強いてあげるなら、使い魔と一緒でない授業において、キュルケやタバサが時々ぼうっとしていて教師に怒られたくらいであろう。
少なくとも表面上は平和であった。
そしてその日の夜、ルイズの部屋にて。
弟子達との練習が終わった後、相変わらずパソコンに向かって何かを打ち込んでいるなのはに、ルイズが声を掛けた。
「なのは、ちょっといい?」
「はい、なんでしょうか」
手を止めてなのははルイズに向き直る。ルイズはなのはの全身を一瞥してから、少しもったいぶって声を掛けた。
「もう三日近く着た切り雀ね」
「しかたありません。換えもあまりないですし。一応洗濯物が乾いてますから何とかなってますけど」
何しろ着の身着のままで召喚されたのだ。そうそう替えの服が学院内で手に入るわけがない。
「そうよね。でも使い魔の管理は主人の仕事。だからね、買い物に行きましょ。明日は虚無の曜日だから、街まで出られるわ」
「……お願いします」
一瞬、いいんですかと言いかけたが、ここで遠慮するのはむしろ無礼だとなのはも気がついた。
「ただあれね。問題なのは街まで行く服装をどうするかね。最初に着ていた服も今着てるメイド服も、町中じゃちょっと目立ちすぎるわ。ただでさえなのはって結構人目を引くタイプだし」
「うーん、あんまり自覚はないですけど」
ミッドチルダではかなりの有名人であるなのはだったが、由来が由来だけに町中で取り囲まれるようなことはなかった。だがそれ故に、自分の容姿に関しては意外と無頓着な一面もある彼女であった。
「誰かから普段着借りてくるしかないわね」
「誰かいますか?」
ルイズは少し考える。平民に頼むのは論外だ。その方が目立たないだろうが、なのはには合わないというか、ルイズが認めたくない。それに平民にとって服はどんなものでも貴重品である。かといって貴族となると、なのはと同年代の人物の心当たりは……。
「ダメ元だけど一人いるわ。行ってみましょう」
二人は連れだって教職員寮のほうへと向かっていった。
ミス・ロングビル。表向きは没落貴族の末裔で現在の職業は学院長の秘書。だがそれは仮の姿。実のところ彼女の名前は別のもののほうが有名である。
土くれのフーケ。
それは最近トリステインを騒がせている、魔法怪盗の名である。土系統の練金とゴーレム使役を得意とし、ときには繊細、ときには過激な手段でもって盗みを働く。
あるときは壁や鍵、ときには金庫すらも土に変えてしまい、ときにはゴーレムの一撃で強襲する。
狙われるのはマジックアイテムがほとんどで、金銭や貴金属類は取らない。そして現場に必ず犯行声明を残していく。まさに『怪盗』であった。
但し、ミス・ロングビルとフーケが同一人物であることを知るものはこの近辺にはいない。
そんな彼女が今現在狙っているのは、学院の宝物庫に収められている秘宝の一つ、『破壊の杖』。かつてオールド・オスマンが学外の酒場で酔ったとき話に出た一品である。
酔っぱらいの話と言うことで話半分に聞くとしても、その杖は一撃でワイバーンを屠る火球を発することが出来るらしい。本人が使ったのなら眉唾だが、話によればそれを使ったのは彼の命を救った人物だという。
恩人のことで嘘を言う人物は少ない。酔っぱらいの話としても、論理的に破綻したところもない。故にこのネタは信用できる、と彼女は踏んでいた。
だが、ここの宝物庫はトリステインの仕事でも一番の難物であった。
さすがは魔法学院というか、掛かっている固定化が半端ではない。固定化と練金は相反する性質があり、強力な固定化の施されたものを練金で変質させることは出来ない。
ならば力ずくでと行こうにも、壁があまりにも厚すぎて彼女のゴーレムでも破壊は難しい。
だが世の中に完璧はあり得ない。頑丈な堤も蟻の一穴で崩壊する。そのための下調べを彼女は怠らなかった。
そんな彼女は、最近宝物庫の裏手で自主練習する生徒を見かけていた。何かと話題の『ゼロ』のルイズとその使い魔のタカマチナノハ。彼女と決闘した『青銅』のギーシュ。あと外国からの留学生である『微熱』のキュルケと『雪風』のタバサ。
ここ二三日、彼らは使い魔達と一緒にいろいろな魔法の実践を行っていた。
見つかるとまずいと思い、遠巻きから眺めていたが、中心となっているのはあのタカマチナノハらしかった。彼女の前で他の人が使える魔法を一通り披露しているようであったが、珍しいことに彼女たちが失敗しているのをこの目で見ることになった。
今日もいるのかと思ったが、さすがに虚無の曜日の前と言うことで誰もいなかった。
ちなみに現代日本の常識だと休日の前は夜更かししている人が多いと思うが、学院では虚無の曜日は貴重な外出日である。街まで行くのに馬でも数時間かかるため、当日早起きして出かけるために前日早寝する方が多いのである。
これ幸いとばかりに一通り調べてみたところ、ほんの少し違和感を感じた。
わずかであるが、『固定化』に綻びが生じている。虫食いの穴のように、壁の一部だけ、固定化が解けているのだ。
残念ながらそこを突破口に出来るほどの大きさはない。だが、わずかとはいえ固定化が解けているからには理由があるはずである。必死になってここ数日の様子を思い出した。
そして一つだけ思い当たることがあった。
丁度目の高さにある、一番大きな綻び。確か昨日、丁度ここに、ルイズことミス・ヴァリエールの失敗爆発が炸裂していた気がする。
(まさか、彼女のあれ、『固定化』の魔法すらぶっ飛ばすのかい? だとしたら……)
今の段階ではどうにかなることでもないが、心には留めて置こう。そう考えて自室に戻ったとき、危うく叫びそうになった。
今の今まで考えていた、とうのミス・ヴァリエールとその使い魔タカマチナノハが、自室の前に立っていたのだ。しかもドアをノックしている。
噂をすれば影が差すというやつだろうか、などと言うことを思いながらも、彼女は二人に声を掛けた。
ルイズとなのははミス・ロングビルの部屋の扉をノックした。だがなんの返事もない。
「もう寝ちゃったのかしら」
「さすがにちょっと早い気もしますけど」
などと話していたところ、突然背後から、
「何か用かしら」
という声がしたので二人は飛び上がり掛けた。
振り向くとそこには部屋の主が興味深げに二人を見つめている。
「まだお帰りじゃなかったのですか」
さすがに少し驚いてルイズが聞く。こんな夜遅くまで仕事だったのだろうかと。
だが返ってきた答えは少し違うものだった。
「夜の見回りよ。本当は宿直の担当者の仕事だけど、ここの先生達ったら、誰もやらないのよ。私もやりたいとは思わないけど、ほら、最近いろいろ物騒な噂があるでしょ?」
「あ、土くれのフーケですか?」
ルイズも噂は聞いていた。
「ええ。ここにも貴重なマジックアイテムはいっぱいありますからね。そうそう、だから見てたわよ、ここ数日の自主練習」
それを指摘されてルイズは思わず顔が真っ赤になっていた。
「見ていたのですか?」
なのはも思わず質問する。
「邪魔しちゃ悪いと思ったから、遠くからですけどね。あそこは一応、見回りのチェックポイントですから」
そのことには思い至らなかった二人であった。
「必要なら許可を取りますけど……」
少し心配そうに聞くルイズに、ロングビルは笑って返した。
「そんなものいるものですか。現に私が見回るまで、本来の業務であるこれをやっている教師の方、誰もいなかったんですのよ」
そういって意味ありげに二人の方を見る。最初意味がわからなかったが、少ししてはたと思い当たった。
許可など出したら、宿直の見回りをサボれなくなる。
正解が浮かんだとき、それを待っていたかのようにロングビルの声がした。
「で、何の用なの? まさか立ち話しに来たわけじゃないでしょ?」
「あ、はい、不躾ですがお願いしたいことがありまして」
あたふたしながら言うルイズに対して、ロングビルは微笑みを――彼女にしては珍しく心からのそれを浮かべながら、部屋の鍵を開けた。
「いいわ、お入りなさい。話を聞くわ」
教職員寮の造りは基本的にはルイズ達の部屋とさしたる違いはなかった。だが彼女の部屋とルイズの部屋を比較したら、それが同じような作りだとはとうてい想像できないであろう。
一言で言えば、物が極端に少なかった。最低限のものはあるが、どれも年季が入っている。おまけに私物らしきものがまるで見あたらない。
極端に生活臭の薄い部屋であった。
「びっくりした? 平民の部屋と変わらないでしょ」
「ええ少し」
ロングビルは別段卑下することのない口調で言う。ルイズはその口調に思わず本音で答えてしまった。
なのはは黙ってまわりを観察している。実は念話でルイズに話しかけていた。
(お願い、まずかったでしょうか)
(今更よ。こうなるとお願いしない方がむしろ失礼だわ)
普通の貴族と変わらないと思っていたルイズにとって、この殺風景は意外であった。
「で、どんな用? こんな夜にわざわざ」
傍らでお茶を入れつつ、ロングビルが聞いてくる。実に見事な手つきであった。
お茶を受け取りつつ、ルイズは頼みを口にする。
「実は、彼女に服を貸していただけないかと思いまして」
ロングビルもそれを聞いて納得した。確かに、この学院内において彼女と同年の女性は意外に少ない。生徒はほとんどが十八以下だし、教師は大半が三十以上である。二十代前半の女性比率は、メイド達を入れても意外なほど少なかった。
考えてみれば当たり前の話だが、意外な盲点と言えよう。
「明日買ってこようと思ったんですけど、街に行くまでの服にいいのが無くて」
「それはお困りでしょう」
このときロングビルは彼女と親交を深めておこうと思った。おそらく彼女らはあの場での練習を続けるであろう。そんな中、あの固定化を解除したと思われる、ルイズの失敗爆発が充分な大きさで炸裂する可能性がある。
プロバビリティの犯罪、というものがある。ターゲットを『確率的に被害に遭いやすい状況に誘導する』ことによって害する、ある意味気長だがそれ故に完全な犯罪だ。
彼女らと近づいていれば、それを的確に知ることが出来る。そういう計算が働いていた。
支援
後トリップ外れてるよ
支援
支援
彼女が出してくれた何着かの服を試着し、一番サイズ的にもぴったりだったものを借りることになった。部屋は殺風景であったが、服そのものはそれなりの数をロングビルは所持していた。
実は各所への潜入に使うため、ある程度のバリエーションが必要だったためであったが。
お礼を言ってはいさようなら、では何となく寂しい気がしたので、少し世間話に高じることになった。
「ミスロングビルって、アルビオンの出身なんですか?」
「あらよく判ったわね。あまりいい思い出はないけど、今でも大事な人があっちに住んでるわ」
「お茶の入れ方で……恋人、じゃなさそうですね」
「当たり前じゃない」
「あの、ひょっとして、こんなにここが殺風景なのは、仕送りでも?」
「殺風景はひどいわね。でも正解よ」
当たり障りのない会話の中、ロングビルは少し心が和むのを感じていた。
何故か、見た目も性格も全然違うのに、ルイズの姿が妹同然の少女と重なる。
そのうちにふと思い至った。
ルイズも、そしてあの子も。環境は違えども、共通する点が一つある。
二人ともまわりからその存在を否定されてきていた。
ルイズは『魔法が使えない貴族』として。
あの子は存在そのものが。
一見するとルイズの方がましに見えるが、彼女はあのヴァリエール家の娘である。その辺の貧乏貴族とは格が違いすぎる。彼女の感じてきたプレッシャーは並の魔法下手な貴族の何倍にもなるだろう。
ましてや彼女は『下手』ではなく、『使えない』のだ。魔法至上主義的な色の濃いトリステインにおいては、彼女の否定され方はそれこそあの子に匹敵しただろう。
そんなことを考えていた彼女の視線が、使い魔の女性の方に移る。
ここ数日、ミス・ヴァリエールの性格が丸くなったような印象をロングビルは感じていた。
秘書としてここに勤めてそれほどの時は経っていないが、それでも彼女は悪目立ちする存在だった。決闘前から名前を知る、数少ない生徒でもあった。
そんな彼女に対する印象は、一言で言えば毬栗。ミス・ツェルプストーとの喧嘩などから、かなり刺々しいところがあると感じていた。
その刺が随分と抜けている。ある意味初めて魔法に成功――多少問題有りであるが――したことと、このタカマチナノハという女性の性格も大きいのであろう。なのはと呼んでください、と挨拶した彼女からは、見た目の歳より遙かに落ち着いた印象を受けた。
同時にフーケとしての本能が警告していた。決闘のときに垣間見た実力以上に、彼女が並ならぬ修羅場をくぐっているプロだ、と。
出来るだけ敵には回さない方が良さそうだ、とフーケとしての彼女は認識している。
だが、ミス・ヴァリエールの従者としての彼女は、あの子と自分の関係に近いのかも知れないとも感じていた。ナノハの態度にはそんなことを思わせる何かがあった。
気がつくと結構な時間が経っていた。年の近い女性同士、そして貴族であって貴族でない、魔法を使える平民、といったような立場、そういった面があったせいか、結構深いところまで語り合ってしまった気がする。
二人が部屋を辞した後、ロングビルは今の逢瀬を思い返していた。
ナノハのほうも本来話してはいけなさそうなことまで話していたようだ。
支援
出身地がこことは別の、月が一つしかない世界だとか。
彼女が使ったあの魔法も、そこではごく一般的なものだとか。
ルイズが魔法を使えないのは、彼女が拙いせいではなく、もっと根本的なところに理由があるとか。
……冷静になってみると、ある意味金になりそうなヤバいネタも聞いてしまった気がする。
そして思うのはあの子、ティファのこと。
彼女には大きな秘密が二つある。一つは秘密というか、生まれのこと。
ハーフエルフ。人間とエルフの間に生まれたもの。
この地において人間とエルフは種族レベルでの宿敵である。だが実際には、両者は意外に近しい存在だ。交わって子がなせる以上、他の亜人とは比べものにならないくらい両者の距離は近しい。
だが今の世間でこの事実が知られたら、下手をするとエルフ以上の迫害を受けることになる。近親憎悪というのはただの憎悪より激しいものだ。
だが、それすらもう一つの秘密に比べればまだ小さい。いや、個々の秘密ならそうでもないが、複合したら最悪のことも考えられる。
ティファは……『伝説』の使い手であった。
『虚無』。始祖の使いし伝説の系統。今では失われた始祖の御技を、よりにもよって人間とエルフの間に生まれた忌み子が担っている。それは考え方によっては、始祖の神性を汚すものともなり得る。
うまくやれば逆に始祖の恩寵として彼女の立場を守るのにも使えるが、裏目に出たら最悪のこととなる。
「世が世ならあの子は王弟の娘として世に立つ存在なんだよね……ん?」
ふと彼女は何か引っかかるものを感じた。そしてはたと思い至る。
「そういえばミス・ヴァリエールも王の庶子の系列なのよね。立場もあの子に似てたってわけか」
その時何かが彼女の脳裏を走った。根本的に系統魔法の使えない貴族。
「そういえばティファも系統魔法はからっきし使えなかったっけ……まさか、ね」
何かを振り払うようにして、彼女は寝床に入った。
「勿体ないわね」
ミス・ロングビルの部屋を出たルイズが開口一番に行ったのがこの言葉であった。
「何がですか?」
そう問うなのはにルイズは答える。
「ミス・ロングビルよ。あの人、没落しているとはいえ、当人はまがう事なき貴族だわ。だいぶ所帯じみてるみたいに見えるけど、心根に貴族の誇りを宿している。なんであんな貴族らしい人が没落して、貴族の誇りをかけらも持たない輩が貴族面しているのかしら」
だからかも知れません、とは言えないなのはだった。
「いずれにせよ、悪い方じゃありませんね」
借りてきた服を手に、なのはも思う。
はっきりとは言わなかったが、遠い異国に家族同然の人物を残しているらしい。決して安くはないだろうここの給料を、かなりの額送金しているようであった。あちらと違って為替の手段も発達していないここでは、手数料もリスクもかなりのものになるであろうに。
ものすごく大事にしている様子が、言葉や態度の端々から伝わってきていた。
「いつか私がちゃんとした貴族になったら、ああいう人をとりたててあげたいわ」
ルイズはそんなことを言う。
知らぬが仏、とはよく言ったものである。
だが、この逢瀬が、世人のあずかり知らぬところで運命を大きくねじ曲げたのも、また事実であった。
「さ、だいぶ遅くなっちゃったわ。早く寝ましょ。なのはのベッドも入ったことだし」
「はい、ご主人様」
仲良く部屋に戻る二人を、双月だけが見守っていた。
支援
支援
支援
支援
以上、投下終了です。
虚無の曜日の買い物まで行くかと思ったんだけど、行かなかったなあ。
何故かロングビルと仲良くなってるしw。
たぶん次は二週間後くらいかと。
アルビオン行きあたりまでは構想まとまっていますので、気長にお待ちください。
そこまで行くとお迎えが来て終わる可能性高いですけど。
フーケ戦あたりから、元と離れはじめます。
GJです
お疲れ様です。気楽にマイペースで。
斬魔キテタ━━━━ヽ('∀`)ノ━━━━!!!!
お久しぶりだよGJ!!キュルケにクトゥグァ、タバサにイタクァかwタバサの危機ww
生身九郎は火力がクトゥ&イタだのみだからなぁ…序盤で居場所がわかってるのはいいね
地道にバルザイで頑張ってるとデルフの出番減るしね。
G3、シザーズ、デルタ、レンゲル、ザンキさん、ドレイクをだな…
>>211 そこはレンゲルじゃなくて、ギャレンでしょう
ノエインから誰かをよんでほしいぃぃ
全然話にもならないけどそこまでマイナーなのかなぁ…
>>213 そう言うのは誰かに書いてもらうのを待つのではなく、
自分で書くのだ!!
>>213 自分で書けば理想名展開のお話になりますよ。
皆様こんばんは
第9話の推敲が終わったので15分頃から投下したいと思います。
先に全国一千万のイザベラ様ファンの方に陳謝しておきます、中篇に続いてまたイザベラ様出てきません(;;・ω・)
それでは投下開始させていただきます
イザベラ管理人第9話:何故信じるのか・後編
エルザはいつも不思議に思っていた。
彼女は吸血鬼である。当然、その両親も吸血鬼であるが…今はもういない。
両親がドジを踏んだのか、相手が一枚上手だったのかは定かではないが、ともかく両親はメイジに殺された。
両親はエルザだけを逃がして、灰へと還っていった。
あてどもなく走り、精霊の力を使って追っ手を撹乱し…その間もその疑問はずっとエルザの頭から離れなかった。
(どうして、人間は私たちを殺そうとするのだろう?)
自分たちが人間を殺して血を吸うのはひとえに生きるためである。
人間たちが動植物を殺して命を繋ぐのと同義だ。
だが、動植物たちは人間が自分を殺すからといって、人間を皆殺しにしようとはしない。精霊の力を使うエルザにはそれがわかる。
要は食物連鎖だ。植物を動物が食べ、動物を人間が食べ、人間を妖魔が食べる。
だのに人間は自分より上位に位置する存在を認めようとはしない。人間を捕食する妖魔の類を皆殺しにしようとする。
全く理解できない。何故自然の摂理に逆らおうとするのか?摂理から外れようとするのは人間だけだ。
少しも理解できない。何故上位者であるはずの吸血鬼の天敵が捕食対象である人間なのか?
さっぱり理解できない。何故吸血鬼は天敵である人間の血にこうまで惹かれるのか?
動物の血がダメなわけではない。一応何も飲まないよりはマシ程度には命を繋ぐことができる。
だが、人間の血とは比べるべくもない。栄養価の問題だけではない。吸血鬼は本能的な部分で何故か人間の血を求めるのだ。
外見通り、吸血鬼の中ではエルザはとても若い。だが、彼女はその吸血鬼の謎に答えのようなものを得始めていた。
それは多分…温かいからだ。
エルザは両親と十数年しか一緒にいられなかった。吸血鬼としては幼児のようなものだ。
それでも人間社会に溶け込んで生きていく術は両親から叩き込まれていたし、両親が死んでからの30年の放浪でその術を現在の人間社会の常識とすり合わせ、さらに完璧なものにした。
哀れな孤児を装い、寺院前に倒れこんだ自分を拾い上げてくれた老人の良心を利用して養子になることにも苦労しなかった。
吸血鬼は日光に弱いので(別にあたっても即死ぬわけではないが)体の弱いフリをし、両親がメイジに殺されたという事実を巧みに利用して万一にも自分を打倒しうるメイジが近づかないようにする。
人間は貪欲なくせに甘いところもあるから、エルザの幼い外見で震えて泣き出してみせればたいがいは近寄ってこなくなる。
そして、村に溶け込み…目安としては半年程度。次に、よそ者が越してくるのを待つ。そうすれば何か事件が起こっても注意はそのよそ者へと向かう。
加えてエルザの外見ならば吸血鬼と疑われることなどほとんどありえないと言っていい。
それまでは業腹なことだが、動物の血で我慢する以外にない。だが、そうすることで彼女はたった一人でも30年を生き抜いてきた。
その長い孤独と放浪の中で、彼女なりの結論が出た。何故、吸血鬼が人間の血を飲まねば生きていけないのか。
きっと、温かい人間の血を飲むことで、自分の冷たさを誤魔化したいのだ。
人間は時に吸血鬼よりも冷酷だが、及びもつかないほど温かいこともある。
おそらく、吸血鬼の始祖あたりが人間の温かさに触れて、それを渇望したのではないだろうか。
そして、その渇望は吸血鬼という種族自体に刷り込まれた…そうでも考えなければ、これほどの”人間の血”への渇望に納得のいく説明ができない。
だから彼女は今日も人間の血を吸う。天敵に見つからぬよう細心の注意を払い…天敵に襲い掛かる。
どれだけリスクを伴おうと、この欲求にだけは抗うことなどできない。いや、既に抗おうなどと考えもしない。
だが、ここで間違ってはいけないのは、彼女は単に”人間の血”に惹かれているのであって、”人間”に惹かれているわけではないということだ。
故に彼女はどれだけ殺そうと、どれだけ良心を踏みにじろうと、なんら感じるものはない。”人間そのもの”に対して抱くのは、厄介な食料だなぁ、程度の感想だ。
今までずっとそうだったし、これからもそうだろうと彼女は考えていた。
だが…それは間違いだったと知った。今まで人間に興味など覚えたこともないエルザだったが…初めてそんなものを抱いた。
そう…彼女はほしいものができたのだ。優先順位を入れ替えてでもほしいものが。
お待ちしてました!支援!
うお!大好きなのが来た!
支援です。
その後予約が無いならいぬかみっな使い魔の第3話(実質2話)
を投下したいと思っております。
「永遠の…命?」
耕介は不思議そうに…いや、悲しそうにそう聞き返した。
「うん!お兄ちゃんにはね、エルザと一緒に永遠の命を生きてもらうの!ね、凄いお礼でしょ?人間って皆、不老不死が大好きだもんね!」
双月の光を浴びて神秘的に輝く金をまとい、吸血鬼エルザは弾んだ声で耕介の声に答えた。
耕介はエルザの言葉に答えず、ただその場に在るだけ。
その姿にエルザは疑問を覚えながらも言葉を重ねる。
「エルザね、お兄ちゃんがほしくなっちゃったの。本当はタバサお姉ちゃんをここに呼び出して殺すつもりだったんだけど…」
だが、エルザはその疑問を封殺した。どうせ彼が何をしようとも、ここに来た時点で詰みだ。彼が如何に優れた剣士だろうと、所詮剣士なのだ。
「やっぱり、我慢できなくってお兄ちゃんを呼び出しちゃった。こんなにほしい!って思ったの、人間の血を1年ちかく飲まなかった時以来かなぁ」
やはり耕介は何も答えず、そこに佇むだけ。
「ねぇ、お兄ちゃん、エルザと一緒に来てくれるよね?エルザ、ずっと一人で寂しかったの。だから一緒にいて?」
無垢な微笑みを浮かべたエルザは、耕介の肯定の言葉を待った。彼は人間なのだ、ならば答えなど決まりきっているはずだ。
「……ごめんエルザ。せっかくのお礼だけど、俺は不老不死なんていらない」
数瞬の後…やっと口を開いた耕介の放った言葉は、エルザの余裕を一瞬で突き崩した。
人間は有限だから、いつも無限を求めるもののはず。だのに何故彼はあんなにもきっぱりと断る?
「ど、どうして?お兄ちゃん、死にたくないでしょ?死ぬのって凄く怖いよね?それともエルザが怖い?お兄ちゃん、吸血鬼が人間の血を吸うのは人間が食事をするのと同じだって言ってくれたじゃない!あれは嘘なの!?」
耕介の言葉が全くの本心からのものだと理解したエルザは…だからこそ彼を理解できず、早口にまくし立てる。
だが、耕介は至って平静なものだ。
「安心して、エルザを怖がってるわけじゃないよ。それに、死ぬのは俺だって怖い。でもさ、俺は人間なんだ」
「何…言ってるの…?」
エルザには耕介の言葉の意味がわからなかった。人間だからこそ不老不死はあらゆるものを超える魅力を持つものではないのか?
「ああ。色々と理由はあるけど…一番の理由は俺が人間だからだ。
俺が今まで得た大事な人たちや色んな経験は、俺が人間だったからこそ得られて、大切に思えるものなんだ。でも俺が人間でなくなってしまったら…きっと大切なものたちが変質してしまう。だから…俺は不老不死はいらない」
耕介はゆっくりと…だが、確固たる意思を込めて言い切った。
そして、耕介が込めた意思をエルザは過たず読み取った。当然だ、彼女は誰よりも人間を観察して生きてきた。この程度が読み取れぬはずがない。
「そう…」
エルザは悲しげにそれだけ呟くと、顔を伏せた。
様々な感情が彼女の胸中を錯綜し…数秒の後に残ったのは、それでも渇望であった。
「じゃあいいよ。本当は同意の下に屍食鬼になってもらおうと思ってたけど、無理やりにしちゃうから」
顔を上げてそういいきったエルザの表情は…笑顔であった。
だが、先刻までの笑顔とは決定的に違う、捕食者の笑顔。
まずは精霊の力でもって大地を走る根を操って捕えさせるか、単純に速度で圧倒し押し倒して吸うか…そうエルザが思考した時。
耕介は、鯉口を切っていた御架月を完全に鞘に収め、地面に突き立てた。次に空いた左手を横に振った。
当然だろう、彼には結論が出たからだ。結論が出たならば、槙原耕介として、最善を尽くさねばならない。
「一緒に永遠は生きられない。けど、俺が死ぬまでなら一緒にいられる。エルザ、一緒に来ないか?」
そう言って耕介は右手をエルザへと伸ばした。
耕介は、エルザが話し合う余地さえもない、吸血鬼という全く”別の存在”であるならば、人間として倒さねばならないと思っていた。
だが、エルザは寂しがりやの子どもだ。誰がなんと言おうと、耕介にはそう見える。だから手を差し伸べる。それだけのこと。
エルザの思考が漂白される。その言葉はエルザがほしかった言葉に似ていて…だが、決定的に違う意味を持つ。
「お兄ちゃんの言ってることわかんないよ…」
困惑と同時に、恐怖も覚える。人間とは、こんなにも理解しがたい生き物だったか?
「1年も飲まずに済んだのなら、必ず致死量まで血を飲まなくてもいいってことだろ?なら、俺の血を飲めばいい。飲まれすぎると困るけどな」
つまり、耕介は人間のままエルザを受け入れると言っているのだ。そのために血を提供すると。
エルザの知る限り、人間とは異端を許さぬものだ。妖魔はもちろんのこと、同じ人間同士でも”常識”から外れればそれは排除すべき異端となる。
sien
「お兄ちゃん…ほんとに…人間…?」
ここにきてエルザの混乱は最高潮に達した。
こんな人間がいるはずがない。常識から外れる…どころか、種族さえ違う上に自らを食料とする吸血鬼さえ受け入れる人間?
違う、そんな人間はいない、いるのならどうして自分の両親は死ななければならなかったというのか!
「もう…もういい!無理やり屍食鬼にしちゃうんだから!!根よ、伸びし森の根よ。彼の腕を掴みたまえ!」
地を走る根の精霊の力が引き出され、白い花を蹴散らして耕介の足元から呪縛の手が伸びる。
大地から伸びた根が耕介の四肢を捕え、束縛する…だが、突如上空から降ってきた風の刃が根を全て斬り飛ばした。
「えっ!?」
上空からタバサが落下しながら<<エアカッター>>を放ったのだ。そのまま落下途中で<<レビテーション>>をかけて落下速度を緩め、着地する。
タバサが現れたのを見て、エルザは理解した。
「なぁんだ…お兄ちゃんたち、最初からエルザを疑ってたのね。お兄ちゃんのさっきの言葉も時間稼ぎなんだ…」
急速に心が冷えていくのが感じる。先ほど感じた焦燥や恐怖などもはや吹き飛んでいた。
「違う。さっきの言葉は本当だ。タバサは俺とエルザが外に出た時から、ずっと上空にいたんだ。俺が頼んで、待ってもらっていた。」
御架月を手放した後の耕介の行動は、タバサへの『手を出さないでくれ』という合図だったのだ。
「へぇ…そう。お兄ちゃんたち、いつから気づいてたの?」
耕介の言葉に嘘はないように思う…だが、エルザにはもう関係のないことだ。既に戦闘は開始されてしまったのだから。
「最初は単なる候補だったよ。犠牲者の家を回って、吸血鬼は煙突から侵入できる体格だろうと考えていたから。
俺たちが来た日の夜、エルザが男に襲われたって言った時、エルザの疑いが濃くなった。俺たちはある手段でアレキサンドルさんが屍食鬼だってわかってたからね。でも、あの夜アレキサンドルさんは動いていなかった。
それに、窓の残骸が外側に散らばっていた…ということは吸血鬼は内側から窓を破壊したことになる。なら、窓以外から侵入してきたはずだ。でも、タバサが家を調べたけど、煙突も含めてどこにも痕跡はなかった。
最後に、お婆さんの家が燃やされた時…村人が持っていた布の切れ端は村長の家の煙突で見つかったって聞かされた。後で村長さんに聞いたけど、エルザが見つけたんだってな。
でも、これらは全て状況証拠だ。だから断定はしてなかった。君が俺を誘いに来るまでは…ね」
そう、状況証拠しかなかった。限りなく黒に近くはあるが、灰色だった。それをエルザは自分で黒だと示してしまったのだ。
「そっかぁ…焦りすぎたかぁ…そういえば、色々とおかしなことあったよね。屍食鬼に襲わせた時に、誰かの声がしたし。あれって、お姉ちゃんの使い魔かな」
タバサは何も答えず、エルザに殺気をぶつけるのみ。
「酷いなぁ、お兄ちゃんたち…エルザを騙してたんだ」
「貴方も、私たちを騙した」
エルザの白々しい悲しみの演技にタバサが厳しい声で答える。耕介はそんなタバサを制し、後ろに一歩下がらせた。
「エルザ、君はこのままだとずっと追われ続ける。俺がなんとか俺の主にとりなすから、一緒に来ないか?」
耕介は未だにエルザの説得を諦めていない。
タバサはそんな耕介の後姿をジッと見つめていた。タバサにはこうなる予感がしていたのだ。
何故なら、彼は一度も吸血鬼を討伐するとは言っていない。事件を解決するとしか言っていないのだ。
ならば、翼人との一件を考え合わせれば耕介がこうすることは明白。
だが、今回ばかりは…相手が悪いとタバサは考えていた。なにせ相手は狡猾な吸血鬼なのだ。
吸血鬼は人間を食料としか思っていない。だまし討ちにされる可能性が高い…故に、例え耕介に恨まれることになろうと、その時は自分が吸血鬼を殺すしかない。
「本当に…エルザと一緒にいてくれるの?お兄ちゃん。エルザを騙して殺しちゃうんじゃないの?」
寄る辺のない者の不安げな表情で、声は絞り出すような小さな声だったが、エルザの声は風にかき消されることなく耕介たちの下に届いた。
そして、耕介は全く迷いなく断言した。
「ああ。エルザが俺たちと一緒にいられるように、全力を尽くすよ」
タバサは呆れてしまう。今まで出会ったどんな人間ともこの男は違う。違いすぎる。
分かり合えると思えば、吸血鬼にさえも手を差し伸べるなんて、正直に言って狂っているとしか思えない。
だが、耕介はいつも真剣なのだ。だから、誰かが護ってやらねば、すぐに死んでしまうだろう。
なら、自分が共にいる間は、護ってやるしかないではないか。
「わかった…お兄ちゃん。じゃぁ、エルザを信じてくれた証に、少しだけ血を吸わせて?」
「ああ、わかった」
エルザの要求に、耕介は即答した。予想していた範疇だったからだ。
タバサにも予想の範疇だったが…改めて呆れてしまう。しかし、危険があるとすればここだ。耕介にもエルザにも気づかれぬように<<エアハンマー>>の詠唱を開始しておく。
耕介は散歩にでもいくような気軽さでエルザの下へと歩いていく。
エルザは耕介が全く警戒していないことを理解し、嬉しそうに顔をほころばせた。
耕介はエルザの目前に辿り着き、しゃがみこんだ。身長差がありすぎるのだ。
エルザが耕介の肩に手をかけ、首筋に口を近づけ…そして、耕介はその囁きを聴いた。
「根よ、伸びし森の根よ、彼女の腕を掴みたまえ」
タバサの意識は完全に耕介とエルザに向けられていた。故に、それを避けることも魔法を放つこともできなかった。
「あ…!」
タバサのちかくに放置されていた根が再び鞭のようにしなり、タバサの杖を弾き飛ばして四肢を捕えたのだ。
「タバサ!?ぐぁ…!!」
耕介は咄嗟にタバサへ振り向こうとし…やはり避けることができず、エルザの爪に左脚の腱を引き裂かれた。
それでも耕介はエルザを突き飛ばし、右足だけでできる限り後ろへと飛んだ。
だが、片足だけで満足に着地できるはずもなく、無様に倒れこんでしまう。
「お兄ちゃん、ダメなんだよ?もう戦いは始まってるのに」
天使のように無垢な笑顔を浮かべたエルザがゆっくりと朗らかに言った。その声は蹂躙者の愉悦に満ちていた。
状況はまさしく最悪。タバサはなんとか束縛を解こうとするが、精霊の力によって動く根はビクともしない。耕介は左足の腱を斬られ、素早い動きなど望めようはずもない。
「く…エルザ…」
痛みに顔をしかめ、耕介は笑顔を崩さないエルザを見つめる。やはり彼女は”別の存在”なのか?
「私がほしいのはね、一緒に永遠を生きてくれる人なんだ。大好きな人が死ぬのを看取るのは辛いんだよ?私ね、もうそんなの見たくないの。優しいお兄ちゃんはわかってくれるよね?」
そう言ったエルザの笑顔にはわずかに寂しさが混じっていたように見える。
それはほんのわずかなもので…耕介の錯覚と言われればそれまでだ。だが、耕介にはそれだけで充分だ。それだけで信じられる。
諦めず、耕介が何事か口にしようとした時…突風とともに何かが飛来した。
「――――に応え、彼女の束縛を解きたまえ!」
ドップラー効果で前半部分が判然としないが、タバサを束縛していた根はその声に応えてタバサから離れた。
それは放り出されたタバサの杖とタバサを瞬く間に奪い去り、再び上空へと舞い上がる。
「な…精霊の力!?」
いまや状況は逆転していた。
エルザの使役を受けていた根が制御を離れたということは、相手はエルザよりも強力な使い手。しかも吸血鬼の動体視力をもってさえも速すぎて見えなかったが、相手は空を飛べる。
あれほどの速度で空を飛び、精霊の力を操る種族など…いや、いる。エルザの両親が健在だった頃に、聞かされたことがある。
「まさか…韻竜…」
もはや滅びたとさえ言われる、群を抜く才知を誇り、強大な精霊の力を操る古代竜種。いったい何故そんなものが彼女たちに与しているのかはわからないが、今エルザの敵であることは間違いない。
あんなものに勝てるはずがない。吸血鬼は個体としては妖魔の中でも弱い部類に入るのだから。
しかし―――エルザはすぐには逃げなかった。彼女はどうしてもほしかったのだ。
もうこうなってしまった以上、何を置いても逃げなければならない。だが、おそらく後何十年生きようとも、吸血鬼さえも受け入れようなどというバカな人間が現れるとは思えない。
だからエルザは耕介だけでも連れて行こうと、飛び掛った。
しかし…それは叶わなかった。
「耕介様にこれ以上の手出しはさせません!」
黒い着物の少年…御架月がエルザの行く手に立ちはだかったのだ。
「その声…あの時の…!もう…もう、なんなのよ!」
もうエルザにはわけがわからなかった。つい先ほどまで、自分は耕介を手に入れられるはずだった。
それが今は、理解しがたいことばかりが起こり、自分を追い詰めている。
突然現れた韻竜、これまた突然現れた謎の少年。わかっていることは、そのどちらもが敵だということだけだ。
もうエルザに残された道は一つだけだった。せっかく手に入りかけた温かさの欠片さえも得られずに逃げるしかない。
「エルザ!」
おろ、冒頭に改行入れてるわけでもないのですが、書き込めなく…ちょっと避難所の代理投下スレにお願いしてきますorz
よし来たやってみる
すいません
出来なかった
では、私が試しに
60行を超えてるとか?
>行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
まずここチェック
230 :
代理:2008/03/09(日) 22:47:52 ID:2FWUNZiW
耕介の叫び声に一瞬だけエルザは振り向いたが、精霊の力を使って花弁を巻き上げて姿を隠し…シルフィードが舞い降りたことによって起きた突風に花弁が吹き散らされた時には、もはやエルザの影さえも見えなかった。
「耕介様!今治癒をかけます!」
危機が去ったことを確認した御架月が、耕介の足に燐光をまとわせた手を触れさせる。
タバサは耕介を御架月に任せ、再び舞い上がろうとした。
「タバサ!頼む、手は出さないでくれ!」
この期に及んでの耕介の無謀としかいえない言葉にタバサは厳しい目を向ける。
「もう伏せていた札は全て使った。次は油断してくれない。もう無理」
そう、こちらの伏せていた手札はもう見せてしまった。シルフィード、御架月…今度は確実に警戒される。
耕介にもわかっているのだ。もはや説得はリスクばかりで賭けとさえも言えないほど分が悪い。
失敗して自分が危険にさらされるのはいい。だが、もしかしたらタバサやシルフィードにも怪我や…最悪、死なせてしまうかもしれない。
いずれにせよ、逃がしてしまえばエルザは逃げた先で食事を続け、犠牲が増えるのだ。
マイナス要素ばかり…リスク計算ができる者なら諦めるべきだと即座に理解できる。
もう一度言おう、耕介とてそれはわかっている。それでも…それでも、まだ望みはあると、耕介はタバサに目で訴えていた。
「………わかった。でも、ダメだと判断したら私はすぐに彼女を殺す」
「タバサ!ありがとう…」
タバサ自身、自分が信じられない思いだった。正直なところ、さすがに付き合いきれないとも、単なるリスク計算もできない狂人の戯言と断じても良かった。
でも、何故だか耕介ならそのリスクをも超えられるのではないか…そんな風に思ってしまったのだ。
タバサとシルフィードが飛び去っていった後、無残に荒らされた花畑の中で耕介は呟いた。
「御架月…説得が失敗した時、俺がお前を振れない状態だったら…俺の体を操ってエルザを…殺してくれ」
耕介に治癒をかけていた御架月がハッと顔をあげ、耕介を見つめる。
耕介は、御架月が強制的に耕介の体を動かすことのリスクもわかった上で言っているようだが…やはり御架月は言わずにはおれない。
唯一無二の相棒として、大切な家族として。
「そうなった時、耕介様の体はまともに動かない状態のはずです!そんな状態で僕が無理やり動かしたりしたら取り返しのつかないことになるかもしれないんですよ!?」
霊剣・御架月は元々無念を残して死んだとある少年の霊が霊剣に憑いて誕生したものだ。
故に悪霊としての側面も持っており、持ち主の意思を奪って御架月が強制的に体を動かすこともできる。
だが、憑かれた状態のままだと身体的にも霊的にも消耗が激しい…それらを代償として人間としてはありえない機動も可能になるが。
「それでもだ。嫌な役を押し付けることになるかもしれないが…頼む、御架月」
沈痛な面持ちで耕介はさらに重ねて御架月に頼み込む。
そう、これは嫌な役回りだ。これから耕介がしようとしているのは分が悪すぎる、自殺行為にも等しい賭け。
その賭けに負け、最悪の状況になってしまった場合の尻拭いを御架月にやらせようというのだから。
しばらく無言の睨みあいが続き…御架月は呆れたようなため息をついた。
「…わかりました…耕介様にそこまで頼まれては、僕は頷かざるを得ません。でも、そんなことにはならないと…信じます」
「ありがとう、御架月。いつも苦労かけて悪い…」
耕介の言葉に首を横に振って答え、御架月は治癒に専念する。
御架月は時折、不安になることがある。耕介の誰とでも…それこそ、人間以外の存在とでも分かり合おうとする。
悪霊と化し、妖刀として復讐を遂げるために様々な人間を操ってきた御架月は、常人からすれば排除の対象でしかない異端の存在だ。
だが、耕介はそんな御架月の声に耳を傾け、妄執を解いてくれた上に宿主として自分を受け入れてくれている。
耕介が過酷な神咲の修行を受け、それまで触れたこともなかった剣を振るうきっかけは、ひとえに御架月を受け入れるためなのだ。
そんな耕介だからこそ、御架月は主と仰いでいるし、彼の望みを叶えるためならなんでもする。
だが、いつか…御架月を救ったその優しさこそが耕介の命を奪う…御架月にはそんな気がしてならないのだ。
さざなみ寮で過ごす分にはそんな危険は少なかっただろう。だが、ここは異世界ハルケギニア。今日のようなことはこれからも起こりうる。
(僕が頑張ってお守りしないと…)
タバサが同じことを考えていたなど、御架月は知る由もない。
数瞬の後、御架月の感覚に反応するものがあった。魔法の反応だ。
「…!耕介様、合図です!」
231 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/09(日) 22:48:57 ID:2FWUNZiW
アレキサンドルの襲撃時と今、合図として使ったのはこの御架月の霊的感覚を使ったものだ。
ハルケギニアでは御架月の霊力察知能力は充分な効力を発揮できないが、魔法が使われたことはわかる。
故に、連絡を取りたい場合は何らかの魔法を使って御架月に察知してもらうことで合図としたわけだ。
「よし…左足の調子も悪くない…次で決着をつけよう、御架月!」
軽く左足の調子を確認した後、耕介は立ち上がって、保険の意味も兼ねて霊剣・御架月に霊力を流し込んだ。
「繋がったところですから、あまり無茶はしないでくださいね。明日には、皆で帰りましょう!」
互いに頷き合い、合図のあった場所に向けて耕介は走り出した。
「く…根よ、伸びし森の根よ、彼の者を捕えたまえ!」
大地を割って現れた根がタバサの杖を弾き飛ばそうとする…だが。
「根よ、我が声に答え、あるべき場所に戻りたまえ!」
別の声が響き、エルザの声に従っていた根たちは時間を巻き戻すかのように大地へと戻っていく。
エルザよりも強い精霊の加護を持つ者が、エルザの与えた命令を上書きしているのだ。
「お姉ちゃんが韻竜を使い魔にするくらい強力なメイジだったなんて…ほんとに、ついてないなぁ…」
状況の悪さに冷や汗をかきながらも、エルザは軽口を叩くのをやめなかった。
有体に言ってエルザの今の状況は最悪と言える。
森を全速力で逃げたが…所詮、空を圧倒的な速度で駆け抜ける風竜を撒けるはずもなかった。
結果、前門の韻竜、後門のタバサとなってしまっている。
だが、わからないのは、彼女たちが積極的な攻撃を仕掛けてこないことだ。
ダメもとで悪あがきなどしているエルザだが、もはや自分の命運が尽きていることなどわかりきっている。
死を間近に感じる恐怖で、恥も外聞も投げ捨てて命乞いでもしようかとも思うが…口をついて出るのは、くだらない軽口ばかりだった。
「そういえばさっき、お兄ちゃんが『主』って言ってたけど、お姉ちゃんが主ってわけじゃないんだね。お姉ちゃん、誰か知ってるなら教えてほしいな?」
エルザの無駄口にもタバサは全く反応しない。油断なくこちらを見据え、逃げようと重心を移動させただけで<<エアハンマー>>を飛ばしてくるのみだ。
(エルザをここに足止めして、何がしたいのかな…誰かを待ってる…お兄ちゃんを待ってるのかな)
なるほど、そう考えればしっくりくる…だが、やはり理由がわからない。
今更耕介が来て何をしようというのか?
「もしかして騙し討ちしちゃったから、エルザを自分の手で殺したいのかな」
不意にそんな思考が口から漏れるが…即座に自分で否定した。耕介はきっとそんなことでは怒らない。
根拠の乏しい、実に都合のいい妄想だが…何故だか、エルザにはとても説得力があるように思えた。
(それとも…お兄ちゃん…まさかもう一度エルザに話しかけてくれる気なのかな?)
なんとなく、これが正解である気がする。騙し討ちされて殺されかけたというのに、耕介はまだエルザに話しかけてくれるのではないか…先ほどと同じような、都合のいい妄想だ。
しかし…どうにも、この妄想は正しい気がしてならない。そう思わせるほどに耕介は温かかった。
(やめよう…エルザは吸血鬼、人間に期待なんてしちゃダメだよ)
甘い妄想は捨てて、今は如何にこの窮地を脱するかを考える…たとえそんな道がないとわかりきっていても。
「タバサ!」
だが…耕介は現れた。いつの間に治癒したのか、左足も治っているようだ。
耕介の登場とともに、タバサが一歩引いた。どうやら本当に耕介を待っていたようだ。
耕介に対してどう反応すべきか…正直なところ全くわからない。今までのエルザの常識に準じれば、耕介は自分を殺そうとするはずだ。
だが、耕介は…そうでない可能性もある。本当に、人間とは厄介なものだ。結局、エルザはシンプルにいくことにした。
「お兄ちゃん、そんなに自分でエルザにトドメを刺したかったの?それとも、エルザと一緒に来てくれる気になってくれたのかな」
希望と諦念を等分に抱きながら、どうせ殺されるならお兄ちゃんも道連れにできないかなぁ…と捨て鉢な思考も湧いてくる。
しかし、韻竜に追いつかれた時点で頼みの綱である精霊の力が封殺されてしまっている。それも叶わぬ望みだろう。
エルザがそんな危険な思考を弄んでいると…耕介が口を開いた。
「いいや、俺はさっきと同じことをしにきたんだ」
その言葉に、エルザは呆れるしかない。
(お兄ちゃん…本当にまたエルザに手を差し伸べるつもりなんだ…)
同時に嬉しさも湧き上がってくる。本当に…なんて愚かで命知らずでお人よしで…狂おしいほどに温かい。
sageろ
>>229 あ、もしかしたら一行が長すぎたのかも、Jane Doe Styleで書き込みしてるので容量と行数には気をつけていたのですが(´・ω・)
タイトルも入れろ。
235 :
代理:2008/03/09(日) 22:51:48 ID:2FWUNZiW
なるほど、こんなものを吸血鬼の始祖が味わったとしたなら、人間の血を欲するという本能が刻み込まれるのも仕方なかろう。
けれど…本当にそうなのだろうか?本当に耕介は自分をまた受け入れようとしてくれているのか?先ほど抱いた、希望と経験則のせめぎあいが更に加熱する。
先刻、自分は何をした?手を差し伸べた彼を騙し討ちにし、強制的に屍食鬼にしようとした自分をまた受け入れようとするなど…信じられるのか?
熱い希望と冷えた経験。30年、人間の疑心暗鬼を煽り続けて生み出してきた光景が、今更に自分を縛る。これが因果応報というものか。
一方、耕介も薄氷を踏むような緊張感を抱いていた。
今も耕介は、エルザを寂しがりやの見た目通りの子どもだと思う。だが、それとは別に、自分が殺されかけたのもまた事実。
しかも、失敗すれば自分が死ぬだけでなく、タバサやシルフィード、他の人間たちにも累が及ぶ。
それに…やはり、死の恐怖はいかんともしがたい。他の家族と会えぬまま、異世界に御架月だけを残して死ぬなど、考えただけで背筋が凍る。
イザベラと喧嘩別れした上に死別なんて、洒落にもならない。タバサのこととて、放っておくなどできない。
だが…やはり、自分の命を秤に乗せようとも…エルザを放っておくこともまた、できない。
(いくら考えても、いい案なんて思いつかない…なら、いつも通りでいくしかないんだ。迷うな、槙原耕介!今までしてきたことをまたするだけだ!)
改めて自分に気合を入れ直す。そう、目指すのは『皆が幸せな世界』。そうであってほしいと願うから、必要なことをするだけだ。
「タバサ、俺が動けなくなったら御架月を投げ渡してくれ」
タバサは顔をしかめ、非難するような視線を耕介に向けるが…結局、御架月を受け取ってくれた。
武器を手放し、こちらに歩いてくる耕介を見て、エルザの胸中でせめぎ合う熱さがさらに熱を帯びる。
だが、同時に冷えた部分が囁いてくる。
(さっきの不思議な格好の男の子がいない…また騙すんじゃないの?)
エルザが周囲に視線を走らせ、あの少年を探していると、耕介が口を開いた。
「御架月、出てくれ」
耕介の言葉とともに、エルザの視界に信じがたい光景が展開された。
タバサの持つ剣が発光したかと思うと、その光が人の姿をとり…先ほど探していた黒い奇妙な服の少年になったのだ。
「な、何!?変化?」
精霊の力の一つに、風の力を借りて自身の姿を変えるものがあるが…それとも違う気がする。
「霊剣・御架月…こっちでいうなら、インテリジェンスソードみたいなものと言えばいいかな。俺の相棒だ」
人の姿をとれるインテリジェンスソードなど聞いたこともないが…目の前で起こったことはエルザの知識で説明できることではなかった。
仮に耕介の言葉を信じるなら…彼はインテリジェンスソードも受け入れていることになる。
単純に己が扱う武器として愛着を持っているだけかもしれないが…あのミカヅキとかいう少年は、エルザが耕介に襲い掛かった時、自主的にかばっていた。となると…今までの彼の行動から、答えは出る。
人間でない存在を既に受け入れている耕介なら、やはり信じてもいいのではないか…?
けれど、どうしても不安をぬぐうことができない。できようはずもない。
まるで崖を登っているようだ。希望が大きくなればなるほど、裏切られた時の失望も大きくなる。
そう…変わらないと思っていた、父と母がいる安らぎの時間が…突如破壊されたあの時のように…。
「エルザ、やっぱり他にいい方法を思いつかないから…もう一度同じことをするよ。俺と一緒に来ないか?」
そう言って、耕介は花畑の時と同じように右手を差し伸べた。
不安もある。恐怖もある。でも、信じると決めたのだから、揺るがせてはならない。
236 :
代理:2008/03/09(日) 22:53:01 ID:2FWUNZiW
エルザはぐらついている自分を自覚していた。
だが、孤独な放浪の間に心の奥底にまで根付いた不安をどうすることもできない。
彼女が屍食鬼にすることにこだわったのには、もう一つ理由がある。それは、相手を自由にできるからだ。
屍食鬼は生前のように行動させることもできるが、吸血鬼の意思一つで記憶と操作と理性の剥奪ができる。すなわち、絶対に裏切ることがない。
エルザは怖いのだ。信じていたものが崩壊するのが。愛する人を失うのが。だから何者も信じず孤独に生きてきたのだ。
だのに今更になって他者をほしくなるとは…酷い皮肉だ。
胸中で渇望と不安がぶつかり合うエルザとは対照的に、耕介はもはや考えることをやめていた。
この段にきて、もうあれこれ考えても無駄なことだ。ただ、通じることだけを信じ、歩み寄るだけだ。
耕介はゆっくりと歩き出した。エルザを怯えさせないように、充分に時間をかけて近づく。
エルザの体が無意識的に一歩下がり、攻撃態勢をとろうとする。
それにタバサが反応しそうになるが…すんでのところで踏みとどまった。まだ…待つべきだ。
御架月もまた、気が気でない。だが…今は信じるだけだ。自分を受け入れてくれた耕介の想いが、エルザにも通じるように。
そして、ついにエルザは手が出せぬまま、耕介が目前までやってきた。
それはまるで花畑の出来事の再演。
耕介は膝をついてエルザと視線の高さを同じにした。
「俺は、永遠に生きることはできない。でも、別れが決まっているからといって、最初から否定するのは寂しいよ。
別れの寂しさも、共にある喜びも、全部自分を作るものになる。だから、一緒にいよう、エルザ」
エルザはその言葉に明確な何かを思ったわけではない。色々な形容しがたい想いが溢れて…だが、一つだけ言葉にできる。
(もう、怖がらなくていいんだ…)
人間全てを信用できたわけではない。今まで散々醜い部分を見てきたのだからそんなことは不可能だ。
耕介のことを、聖人君子だなどと思ったわけではない。彼は自分が騙し討ちにした際、確かにエルザを恐れていた。
けれど、それでも耕介はエルザに手を差し伸べた。エルザ自身が手を跳ね除けたのに、また同じように手を差し伸べた。
未だに不安は晴れない。今この瞬間にも、タバサから魔法が飛んでくるかもしれない。耕介に裏切られるかもしれない。
でも、それら全てよりも圧倒的に大きい感情がエルザを支配して…エルザは我知らず涙を零した。
戦いの空気に消えていた虫の声がまた戻ってきた。双月は変わらずエルザを照らしている。
エルザは在りし日に失った温かさを、また取り戻せたのだ。
すばらしい名作でした!
感動をありがとうございます!
23時くらいから第3話(実質第2話)を投下しても良いでしょうか?
238 :
代理:2008/03/09(日) 22:59:43 ID:2FWUNZiW
以上、イザベラ管理人第9話:何故信じるのか・後編から
>>230-231、
>>235-236をさざなみ寮生さんのかわりに、コピペさせていただきました。
コピペの最中、上げてしまったり、名前を入れそこねてしまった事、大変申し訳なく思います。
ID:2FWUNZiW様、本当にありがとうございました。
代理投下を試みてくださった方々も感謝の極みです(*・ω・*)
長い間スレ占拠してしまい申し訳ありません、次はこうならないように気をつけます。
240 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/09(日) 23:02:48 ID:3ZPctHVw
第一話投下しといて早々一週間の旅行が入ってしまったwwww
sage忘れすまぬ
草原に、啓太の断末魔にも似た絶叫が響いた。
「いっっっでえぇぇぇぇ〜〜〜!!!! 将来が不安になるほどいでえええ!!!」
啓太はアレ対処に立ってぴょんぴょん跳ね、ようとしてすっころんだ。
ずり下がったズボンに足を取られたのだ。あわててズボンとパンツを
たくしあげてフルチン状態を直しながら立ち上がった。
あらためてぴょんぴょんとびはねながら絶句した。周囲の状況に、である。
啓太は、今の一般的若者程度には常識的な知識があった。霊能者として
厳しい修行を積み、ようこの縮地や赤道斎の転移アイテムになじんでもいた。
よって、この瞬間にはすでに、多くの事を察していた。
「ゼロのルイズがサモンサーヴァントに成功した?」
「露出狂を呼んだのか!」「よっぽどたまってたんだな。」
「違うわよ〜〜〜!!!!!!」
「即座にお相手してくれる好色呼んだ訳か!」「なるほどな!」
「あの性格と成功率ゼロじゃあ誰も相手しないだろうし納得だ!」
「何よその侮辱は〜〜〜!!!! 死にたいの!? 死にたいの!?」
「んなすごまれてもゼロのルイズじゃな。」「ぜんぜん怖くねえ」
「何十回もサモンサーヴァント失敗した挙句露出狂なんて前代未聞だな!」
「何よ、マント着てるメイジなら充分成功よ! 魔力持ってるでしょ!」
「巨大な犬も呼んだしな!」「けどあれってどう考えてもすでに使い魔だろ?」
「振りチン男の召還て成功に入るのか?」「さすがゼロのルイズ!」
「皆、これからは彼女の希望に答えてゼロと言うのはやめよう。」
「エロのルイズってか?」「ぎゃははは! お似合いだ!」
「なんですって〜〜〜!!!! ここここ、殺す! 殺す!」
「だから怖くねえって。」
「ううう! いやぁぁぁ!! せ、先生、コルベール先生!?」
「はい、なんですか、ミス・ヴァリエール。」
痛みを和らげるためにぴょんぴょん飛び跳ねながら、啓太は冷静に周囲を
“偵察”していた。目を油断無く周囲に配り、聞き耳を立てる。
少し離れた所に倒れているともはねは、見たところ大怪我は無い。
草原。現代にはありえない澄んだ青空と霊気に満ちた甘い風。
ビルの一つ、送電線の一つも見えない景色とクラシカルな城。
タクトを持ちマントを着たピンクブロンドの少女。
その後方に立つ多数の似たような装いの少年少女。
様々な色の目と髪、西洋的な顔立ち。クラシカルな西洋風の制服。
彼らの肩や隣にたたずむ無数の動物や妖怪達。
なにより、彼らの話すあまりにも符号のあいすぎる会話。
「マント着てるって事は貴族だよな?」
「使い魔から見て結構強そうだな。」「着ている服、いい物っぽいぜ。」
「形は変だけど織りはすごく細かいな。」「あれだけ光沢がいいとかなり高い。」
「それ以前にマントだよ!」「あんな見事な白銀のマント、ありえないぜ!」
「てことはよっぽどいい家か金持ち。」「もしくはその両方。」
「先生、サモンサーヴァントは成功しましたけど、どうすればいいんでしょう!?」
「ふむ、巨大な犬とメイジ、ですか。複数というのは前例を知りませんね。」
ここはおそらくは、西洋の魔法使い育成用に作られた異界だ。
猛省蘭土のように結界で守られ、通常の世間から隔絶された異界。
あるいは、より隔絶した全く別の世界の可能性もある。
少なくとも日本ではない。こんな修行場は日本に存在しない。
おそらくはそこに、神や悪魔のように召喚されたのだ。
だとすれば。
「悪魔が召喚者にいい感情持たずにはめようとする気持ちわかっちまったよ。
嘘をつきまくり、自分をえらそうに見せようと大言壮語する理由もな。」
啓太は、深々とため息をついた。
支援
「ふむ、貴族を使い魔にするわけにも行きませんでしょう。
となると必然的にあちらの大犬と、ということになるのでしょうが。
他人の使い魔と契約なんて出来るのですかね? これは面白い実験だ。」
「面白がらないでください! コルベール先生、もしかしたら
飼いならしている幻獣に乗って移動していただけかもしれません、
とにかく交渉させてみてください!」
「ふむ、もっともですね。」
この間。啓太は痛みが何とか収まってきたこともあり、荷物を素早く回収し、
ともはねの無事を確かめ、しばらく話をせず、犬形態で従うように言い含めていた。
敵を知り己を知らば百戦危うからず。相手の知らないカードは多いほどいい。
無論その最中も周囲の雑談に聞き耳を立て、情報収集を忘れない。
「貴族呼ぶとはな。」「家の格によっちゃ大問題だ。」
「なあ、これって、失敗よりまずいんじゃないか?」
「外国の貴族だったら外交問題にならねえか?」「戦争もありかも。」
「やべえ、ゼロのルイズ最悪の失敗だ!」「さ、さすがだな。」
「うるさいわね、少し黙っていてよ!」
そういって、距離をおいていた啓太とともはねに向かって、
二人の魔法使い風の人物が歩み寄ってくる。
啓太は、ともはねに低くつぶやいていた。
「修行達成の褒美で買って貰った女神転生シリーズ。あれで悪魔学に
興味を持っていろいろ勉強して助かったな。使い魔として呼び出されたなんて。
唯々諾々と従ったら奴隷同然にされちまう。油断は絶対に出来ないぞ。
お前も当分油断するなよ。下手を打てば、一生ここでこき使われることになる。」
「はい、啓太様。」
ともはねも、低く返事をした。
啓太は、マントの内側で密かにかえるの消しゴムを4つほど指に挟んだ。
そして、二人を初めとして、ほとんどのものが手に杖を持っているのを見て、
ふと思いついた。衛星携帯電話を取り出し、アンテナを伸ばしてマントから出す。
歩み寄ってきた二人がぴたりと止まり、あわてる。
「あ、申し訳ありません。警戒しなくて結構です、害意はありません。」
そういって杖をしまい、傍らの少女にも同じようにさせる。
啓太はわずかに警戒を解いた。一瞬で杖を引き抜けるだろうが、敵意は感じない。
「私はトリスティン魔法学院で教鞭を取っているジャン・コルベール 。
そしてこちらは。」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。」
啓太は、その場にいる全ての人間を正面射界に置き、
目を離さずにともはねと話していた。後方や側面を衝かれない位置取りをする。
指揮官としての才能をこそ最も求められる啓太にとって、基本的な動き。
ちらと、衛星携帯電話の画面を見る。
圏外
赤道斎のアイテムで世界中を移動することを想定して購入したのに。
それが圏外。ここが異界であることは、確信に変わった。
となれば、補給もバックアップも期待できない完全孤立無援。
弱みは、見せられない。携帯をしまう。意図的に名前の意味を抜いて名乗る。
「ケータ・カワヒラだ。まず、説明してもらおう。何のために俺達を拉致した?
返答によってはただで済ますわけには行かないぜ。」
かくして、場所は学長室に移った。
すでに一教師の手に負える事態ではないのである。
いるのは、学長のオールドオスマン、教師のコルベール、召喚主のルイズ、
啓太、犬神のともはね、ムジナのマロちんである。
コルベールからあらましを聞いたオールドオスマンは、啓太を上から下まで
何度も見た後、おもむろに質問する。
「ケータ・カワヒラ、殿と!? 国はニッポン!?」「きゅ〜」
「そうだ。どうしてくれるんだ? 俺は急いで帰らなければならない。」
オールドオスマンは、あらためて啓太の頭の上から足の先まで見回す。
「う〜〜む、う〜〜む、帰る方法は、残念ながらないんじゃよ。」
「ほう、最初から努力を放棄すると?」「うるる!」
「い、いや、無論探す、探してみるつもりじゃ! しかしのう・・・
むしろお前さんに聞きたいのじゃが。自力やら国からの迎えやらで、
帰る方法に心当たりは無いのかね? むしろそちらに期待したいんじゃが。」
啓太は、ふと考えた。
「ない、事も無いな。大妖孤と赤道斎が「なんと!!!!」出てくれば…?」
突然、オールドオスマンが大音声を上げた。
「どうしたんだい?」
「い、いや、なんでもないんじゃ、こちらでまったく無い魔法技術を
おまえさんの国で持っているらしいと聞いて、驚いたんじゃ。」
「…? まあ、いい。あの場にはようこや時子もいた。
白山名君との契約も切れていない。手がかりは、いくらでもある。
時空操作が得意な知り合いが二人もいるし大概何とかしてくれるだろう。
まず間違いなく迎えに来てくれるだろうさ。問題は時間だ。」
期末試験が近い上に受験生である。この時期に休むなど冗談ではない。
「あの二人、白山名君も含めて3人か。その3人でも、
相当の時間がかかると思う。星辰がそろわないのに異世界に
強引に入り込んだりしたら両方の世界に多大な被害が出る。
こういうときは普通、両方の世界が最高に近づき、流れが重なる星辰を選んで
繋ぐんだ。こっちの星辰がどうなってるかわからんが、
数年は待つ覚悟がいるだろうな。下手をすれば何十年もかかるかもしれない。」
ハルケギニアにはまったく無い概念の魔法技術についてのレクチャーに、
その場はしんと静まり返っている。
足元にうずくまるともはねと、その頭に載るムジナが不安そうに啓太を見ている。
「召喚という技術は、掟に則り自分の世界に“呼ぶ事を許可”して
“拒否反応を抑え”て“招く”という行為だ。因果律はあまり歪まない。
だが、召喚なしでとなれば、強引に穴を開け、繋ぐんだからな。
それくらい待たなくちゃならない。
だから、送還の魔法が無いか確かめたんだ。俺たちはこの世界の異物だ。
異物は排除しようとする世界の防護機能がある。それを利用し、
もっとも収まりのいい世界に送り返す事で両世界の因果律の安定を図る。
送還の魔法はそういうもんなんだ。これなら、星辰はあまり関係ない。」
世界に強すぎる影響を及ぼす“神”が、めったに現世で力を振るわず
厳密な条件を設け、その範囲内でのみ力を振るう理由はここにある。
条件を厳しくすることにより、因果律のゆがみを最低限に抑えるのだ。
契約した一族の誕生日のみ出現する死神。
年1回だけ鐘を鳴らした召喚者の猫語での願いをかなえるだけの猫神。
ゆがめる因果律に相当する努力を要求する3神達。
いずれも代償を必要とする形なのは、因果律安定の手段なのだ。
啓太が、最強クラスの死神“暴力の海”を恐れなかった理由はこれだ。
奴はケイの誕生日の前日に力を振るった。啓太が振るわせた。
それは重大な契約違反であり、その分力を大きく減じることになったのだ。
支援
「俺が一番恐れるのは、大妖孤が強引に世界同士を繋げることだ。
本来離れているべきものを強引にくっつけ、穴を開け、世界を傷つけ。
余波で世界間に大穴が開いてしまうかもしれない。その穴から
異質な世界の物同士が行きかったりしたら。下手を打つと両方の世界が滅びる。」
そこまでいかなくても、娘婿がさらわれたと大妖孤がこの世界で
暴れたりしたら山脈だろうが大都市だろうが簡単に壊れてしまう。
「何しろあの人でたらめだからな。死人生き返らせるわ7万人を一瞬で
何十キロも移動させたり。山を一撃で吹っ飛ばしたり。なんだってやりかねねえ。」
コルベールとルイズが驚愕し、オスマンは真剣な表情で聞き入っている。
「さて、話は戻るが。俺達を何年も拉致したままにする事の保障を、
どうしてくれるんだ? どう責任とってくれるんだ?」
オールドオスマンが、慌てて答えた。
「一生徒の不始末なのじゃから。ことを大げさにしないでくれると
大変ありがたいのじゃが。むろん出来る限りの便宜を図るし補償もさせる。
ミス・ヴァリエールもきちんと処罰するじゃて。」
補償も“させる”。“する”ではなく“させる”。
自分で払わないということか。
きちんと処罰“する”。罰を“受ける”ではなく“する”。
自分は罰を与えるだけで罰を受ける気は無いということか。
それは。とても。啓太を納得させうるものではなかった。
無 責 任 な 政 治 家 や 官 僚 の 顔がよぎる。
「わかっていないようだな。トカゲの尻尾切りを見逃すほど馬鹿じゃな無い。」
啓太は、厳しい目を二人の教師に向けた。
「雇い主は使用人の教育と行動、ひいては失態について責任を負うだろう?
指揮官は部下の教育と行動、命令によって生じた事態に対して責任を負うだろう?
ならば。
授業において、教師の監督と命令によって生じた事態は教師が責任を負う。
教師の教育と授業要綱には学長が責任を負う必要があるはずだ。
小娘一人に責任を押し付けて、自分は知らんふりとは、それでも教育者か?」
オールドオスマンとコルベールは恥じ入ってうつむいた。
一方、ルイズは思わぬところからの援護に目を丸くしている。
啓太は、落ちこぼれとして荒れていた中学時代を思い出していた。
そして、不良仲間との交流。その頃テレビで見た番組。
啓太は、大演説をぶち始めた。
「そもそもだ。人には個性がある。得手不得手がある。
色盲や難聴、失明、手足の欠損といったわかりやすいものは対処しやすい。
だが、中には算数がどうしても覚えられない子、字を覚えられない子、
記憶力がやたらと低い子といったわかりにくく対処しにくい子もいる。
比率は40人にひとりいるかいないかくらい、といわれているな。
そういう子には、いくら努力しろといっても無駄だ。
必要なのは常人とは異なる個性に合った教育だ。
ハイジは文字を絵に例えて教える方法ではアルファベットを覚えられず、
単に形そのままの図形として教え込むことで驚くほど簡単に字を覚えた。
算数の成績が徹底的に悪いある子は数字そのものを脳が受け付けない構造だった。
その子は2+3という計算を、スイカ2個の絵と3個の絵を足す、
という形で問題を解けるようになり、数式を解けるようになった後に
アラビア数字を理解できるようになった。
どっちもその後普通に勉強が出来るようになっている。
こういった教育を受けられなかった子供は、努力に対して徒労感を募らせ、
努力しても無駄だと思うようになり、性格をゆがめ、ドロップアウトしていく。
なぜ、他にも指導方法があると考えなかったんだ?
なぜ、指導方法を模索しなかったんだ? それは欠点じゃない、個性なんだ!
個性を伸ばす方法なんて千差万別だ。それをせず、ただ普通に教育して
普通に実技をやらせ、失敗しました、それは彼女の責任です。
私達は関係ありません。そんな事は俺は認めない。断じて認めないぞ。」
コルベールとオールドオスマンは、驚愕の目で啓太を見ていた。
「君は、教育者なのかね!? すばらしい見識じゃ!」
「うむ、そういった考え方は初耳ですな。目からうろこが落ちましたぞ。」
「普通の学生だよ。これくらいNHK見てればわかるようになるさ。」
「えぬえいちけー??」
「ああ、TVのってわかんないか。魔法の鏡みたいなものでな、
常にニュースや芝居、講義なんかを国中で見聞きできるようにしたアイテムだ。
遠話の鏡なんかと違って、一方的に送るだけだが、かわりに1箇所から無数の鏡に
送れる。見れるものは時間によって変わるが、いくつかの中から選択できる。」
コルベールが興奮して詳しく聞こうとするが、それらをまったく聞いていない
少女がいた。ルイズである。啓太に取りすがって聞く。
「本当? 私でも、魔法をちゃんと使えるようになるの?」
「ああ。君の個性にあった勉強法を探し、個性に合った勉強をすれば。
かく言う俺も落ちこぼれだった。けど、16の時に克服したよ。」
「あなたも!?」
「君もかね!?」
「なんと!」
それは。
ゼロのルイズと呼ばれ続け、激しい劣等感にさいなまれ続けたルイズにとって、
逃すことまかりならぬ希望の光だった。
さて、オールドオスマンに交渉した啓太は、いくつかの条件を提示し
快諾をもらった。帰るまで学校に置いてもらい衣食住とちょっとした小遣いを
出してもらう。帰るまで暇なので勉強を教えてもらう。図書館の利用。
帰る為の方法探し。異教徒、異国人でも普通に動ける各種書類手続き申請。
その他、故郷と違うことによる不便さを解消するための“ちょっとした”助力。
ともはねが足元で騒ぎだしたのでこっそり話を聞くと、このさいだから
学校に行きたいというので、話すことをは制限しつつも
化けることを許可してそちらも頼んだ。
先住魔法!? と驚く彼らに、魔法を使える使い魔は例が無いのか、と聞くと、
ややあって韻龍なる使い魔の例があったはずだ、となり解決した。
啓太は、オールドオスマンにお金と学院という組織としての賠償を要求したのだ。
そして、コルベールには、ルイズの能力開発・分析を徹底して行うこと。
ルイズにはその指導にとにかく食らい付いて能力開花させることを罰とした。
二人とも、嬉々として同意した。二人とも新しい地平が見えていたのである。
残る問題は一つである。
「で、使い魔がいないと進級できない、と。」
「そうなんです、どちらか片方でいいので私にください!」
「そうはいってもなあ。」
啓太は、頭をかいた。
「ともはねはだめだ。俺と契約しているし解除はできない。(道義的な理由で)
となると、マロちんか。しかしなあ、許可出すとかって問題じゃないぞ。」
そういって、啓太はともはねの襟に手をやった。
フードからムジナが出てきて啓太の手に移る。
目線を合わせる高さに持ってくると、啓太はムジナと交渉し始めた。
「と、いうわけで、どうしても使い魔になってもらいたいんだと。」
「きょろきゅきゅ!」
「気が進まないって。」
啓太も、なんとなくだがムジナの言う事がわかるようになってきている。
「そ、そこをなんとか!」
「私からもお願いしますじゃ。」
「教育者として、お頼みします。」
頼むのは、あくまで啓太である。啓太の所有物として扱っているようだ。
それに軽く眉をしかめ、再度交渉する。ムジナがふいっと横を向いた。
「嫌だって。」
「ケータ殿、その幻獣は契約しているわけでもないのに言葉がわかるんですか?」
「ああ、かなり知能が高いぜ。マイペースだけど。それに使える奴だぜ。」
「ほう!」
「すばしっこいし、接着の能力(中略)や魔力の強い人間の感知なんかが出来る。」
「ほうほう、実に興味深いですなあ。」
「コルベール君、今はそちらよりも。」
「お、おお、そうでしたな。」
啓太は、ため息を一つついて言った。
「あのな。俺にじゃなくてこいつに直接交渉したらどうだ?
本人の意思を無視して頭ごなしに奴隷になれなんて言って、承諾すると思うか?」
「「「え?」」」
「ナチュラルに気づいていないみたいだがな、俺はムジナのマロちんに
対等の存在として交渉している。敬意を持って、な。
貴族だからと他人を支配して当然、命令して当然という傲慢な考えじゃあ、
衝突を起こし敵を作り続けるだけだぜ? 交渉はまず相手と対等な立場に
立つことから始まるんだ。睥睨していれば友達にはなれない。
そら、ルイズ。使い魔になってくれと頼みな。腰を低くしてな。翻訳してやる。」
後がないルイズは、なんでこんなかわいい動物に公爵令嬢の私が、
と思いながらも、必死に頭を下げた。その結果。
ムジナ「やれるモンならやって見やがれ(意訳)」
ということになってしまった。
後は学長室でムジナが逃げ回り、ルイズがコントラクトサーヴァント
の呪文を唱えながら追っかけまわすというどたばたである。
「ぜえはあ、ぜえはあ、い、五つの力を司るペンタゴきゃあああ!!」
「がんばるのですミス・ヴァリエール!」「きょきょろきゅ〜〜!」
「がんばるんじゃ!」
「まて〜〜〜!」「きゅきゅきゅ!」
「そこじゃ!」どんがらがらがっしゃん!
「うわああ、あんなに本を引っ付けて。」「お、おもい〜〜〜!」
「啓太様、手伝わなくていいんですか?」「我の使い魔となせ!」
「これは試練だ。実力でやってもらうしかないだろう。」
「そっか、そうですよね。」「きょろきょろきゅ〜〜〜」
「そうでなきゃマロちんも納得しないだろうからな。」
啓太は、交渉が一通りうまく行ったので、充分リラックスしていた。
それゆえに。
「きゃああ〜〜〜!!!!」
「あぶない!」
ムジナの接着能力で重りをつけられたルイズが転ぶのを、
とっさに助けてしまった。そのまま勢い余って、
「ぶちゅ」
「え”」「あ”」「う”」「い”!?」
受け止めたルイズと啓太の唇が不幸にも重なって。
コントラクトサーヴァント臨界状態のまま重なって。
「い、いででででで!!!」
猫耳メイドやストリーキング、股間だけ露出、この歳でオムツプレイ、
20人の半裸マッチョ相手に舐められたりなでたりといったプレイ。
とにかくいろいろな変態行為を経験してきた啓太は。
この日、使い魔になった。
初登場がフルチンなのかw
以上で終了です。
支援ありがとうございました。
乙であります。
原作読んでませんが、なんという超弩級の変態…!
啓太の性格的にはちょっとエッチで節操が無いだけで、
いたってまともな性格傾向なのですが。
運が悪いというかそういう変態を許容できる度量があるせいで
変態がまわりに寄ってくるせいか。そうなっちゃうのです(-人-)チーン
こんばんは。
次ができたので投下してもいいでしょうか?
ところでアラビア数字ってのは
ジョジョ3部で出てきたあのややこしい数字のことだよな
ひでぇww
プリンセスワルツの面々が召喚される電波を受信した
っと、すみません、感想タイム無視してました。
もうしばらくしてから出直します。
ok
かもん
無論支援
一斉に外野が騒がしくなる中、コルベールと名乗った教師が慌てる。
「そ、それを今から説明させていただきます。ご存知のように春の召喚の・・・」
啓太は、いくつか質問をはさんで必要な情報を引き出した。
同時に、会話を慎重に選んでペースをつかみ、嘘をつかずに誤解を与えていく。
魔法の中には嘘を見抜もの、言霊として厄介な制約が付くこともあるからだ。
「ほう、お前が俺を拉致し、奴隷にしようとしていると。
一つ聞くがここじゃあ奴隷制度は法的に認められてるのか?」
と、彼らを犯罪者だと自覚させて罪悪感をあおり。
「日本も知らない? どんな田舎だ? 人口?1億2千万ほどだが。」
と、さりげなく故国を強国だと教え。
「帰すことも出来ない? とんだ欠陥呪文だな。いや、ここの技術が低いのか?」
と、故郷の技術をすごそうに思わせ。
「あんた貴族?」とピンクブロンドのルイズという少女が問えば
「横柄な小娘だな。見てわからないのか?」と質問返しで貴族だと誤解させ、
どのレベルの爵位なのか探ろうとするのに対しては
「爵位はまだ継いでいない。おれは結婚前だし未成年だ。」と嘘をつかず誤解を与え、
(貴族娘と結婚できれば継ぐ事になるので嘘ではない)あるいは
「爵位制度は国ごとに違うだろうから」と、煙に巻き。
領地は田畑すらある広大な山(犬神)や森(猫又と狸)の面積をぼかして答え。
(神社=裏山に鳥居あり。初代は僧侶。犬神の祭祀をしてきた?
ともとれる一族なので寺社地を保有していると考えられる)
すでに、ルイズは涙目である。コルベールも蒼白だ。
>>244-245 の間に入るそうです
小ネタで書いてみようと思うんだけど
ミョズニトニルンの能力って具体的にどんな感じ?
代理の方乙です。
では、投下開始したいと思います。
――ムスタディオが学院から消えて、二週間が経っていた。
されどそれで何が変わるというわけではない。
使い魔が一匹消えたところで大した騒ぎにはならない。
食事は三食取る。
授業は毎日みっちりある。
夜になれば男の子達が代わる代わるキュルケの部屋にやってくる。
それでもキュルケの頭の隅に、常に居座る罪悪感があった。
それは、ムスタディオとの和解をさせるためにルイズを追い詰めたのは自分であり。
同時に、ムスタディオが消えてしまったことでその機会が失われ、傷ついたルイズが再起不能になってしまったことから生じるものだった。
ルイズが部屋から出てこなくなって、一週間が経っていた。
ムスタディオが消えてからの一週間、ルイズは女の子として気の毒なほど恥も外聞もなく探し回った。
そうして見つけたものは、ムスタディオがどこにもいないという事実だった。
それからの一週間、彼女は一歩も部屋から出てきていない。時々使用人が部屋に食事を持っていっているようだが、食は細いようだ。
キュルケも何度か様子を見に行ったが、発破をかけようとなぐさめてみようと一切良い反応は返ってこなかった。
……ルイズはもう駄目なのかもしれない、と思った。少し悲しかった。
しかし、これはこれで良いのかもしれないとも思う。
ルイズを知るものが、誰しも一度は考えたことだ。
もし、彼女に本当に魔法の才能がなかったとしたら。
もし、彼女がこのまま魔法を使えず一生を終えるのかもしれないなら。
無駄なことはやめて実家に帰ったほうがいいのではないか。
キュルケは思う。
ルイズが幸せになる道は、メイジとして大成することだけなのだろうか。
ヴァリエール家は公爵家だ。例えばお見合いなどしてみれば、引く手数多だろう。
今は酷く傷ついているだろうが、いずれそれも癒える時が来る。別の道を歩むことも出来るだろう。
これはこれで、一つの機会なのかもしれない。
キュルケは、今日はそれをルイズに言いに行くつもりだった。
彼女なりの、半端に口を出してしまったことに対するけじめのつもりだった。
支援します、サー。
>>264 つ『才気煥発の極み』
しかし。
朝の準備を済まし、部屋を出たところで彼女の決意は挫かれてしまう。
扉を開けた途端、鉢合わせた人影があった。
キュルケは一瞬ルイズかと思って胸を湧かせ――別の意味で心臓が止まるかと思った。
その人達――そう、人影は二人だった――は、何か相談事をしていたらしく、朝っぱらの朝食にギリギリ遅刻するような時間、呑気に井戸端会議をしていた。それが学院の生徒だったなら、キュルケはそのような印象を抱いたはずだ。
しかし実際の雰囲気は真剣かつ沈んだものであり、そして彼らは。
キュルケが今最も会いたいと思っていた使い魔と、メイドだった。
「ブレイブストーリー/ゼロ」-12
◇
ドアノブががちゃがちゃと立てる音を、ルイズはまどろむ意識の端で捉えていた。
部屋の扉がノックされている。誰かの大声が聞こえる。開けて。開けなさいルイズ。大事な用があるの。話を聞いて。耳を塞いだ。
開けて何をするのだろうと思った。何の話なんだと思った。ご飯はもういらない。誰の顔も見たくない。こんな使い魔に逃げられる落ちこぼれメイジの顔を晒したくない。
ムスタディオは、自分の行ないに耐え切れずに出て行ってしまったのだ。
ムスタディオに謝りたい、と思った。ここ一週間は、それしか考えてなかった。
自分の行いを清算したかった。
でなければ、何をする勇気ももう持てそうになかった。
母さま。父さま。ちいねえさま。あねさま。ごめんなさい、と思った。
自分は、もうここから動けそうにな
「入るわよっ!!」
鋭い声と共に、鍵をかけていたはずの扉が開け放たれた。入ってきたのはキュルケである。彼女は妙に興奮した様子でルイズがうずくまるベッドに一直線にやってくる。ルイズは布団を被ろうとしたが、剥ぎ取られてしまった。
「まったく、人が呼んでるんだから顔くらい出しなさい!」
「……何の用、ツェルプストー」
見つめるキュルケの情動がそのまま瞳の色に表れている。ルイズは気まずくて、目を逸らした。何を言いに来たんだろう、ともう一度思う。
彼女はルイズが部屋に篭ってから何度か現れ、その度に聞きたくもない言葉をルイズに突きつけていた。耳を塞ぎたくなる。
しかし、そんな陰鬱な思考は、キュルケの次の行動で吹き飛ばされてしまう。
「あなたまたそんな……っ、いいわ。今日は何か言いに来たわけじゃないの。本当はそのつもりだったけど。
ほら、あなたたち何まごついてるのよ! 入ってきなさいったら!」
キュルケが入り口に向かって大声を出し――入ってきたムスタディオと使用人を、ルイズは何もかも忘れて見つめた。
「……ただいま帰りました、ヴァリエール様」
それは、聞きたいとあれほど願っていたムスタディオの声だった。
すまなさそうにしている彼の姿は、二週間前と変わってないとも言えるし変わっているとも言える。服は同じ。担いだブレイズガンも変わらない。怪我がなくなっている。肌の色も焼け、普通の人と遜色なくなっている。
「……さっきそこでばったり会ったから。それだけよ。後はあなたたちで話をしなさい。じゃあね」
キュルケが出て行くがルイズは見向きもしない。ムスタディオを観察する目が止められない。隣の使用人はルイズの視界にすら入っていない。気まずい沈黙が流れる間、ルイズだけはムスタディオを凝視し続けている。
帰って来た。目の前にいる。
なんとか表層に浮き出てきた思考が、謝らなくちゃとルイズを急かしている。
「――何を、してたの」
うん、と思った。まずはわけを聞こう。消えた理由。
そしてそれを許せばいい。
「ミス・ヴァリエール。ムスタディオさんがこの二週間何をしていたか、私から説明いたしますわ」
そう言ったのは隣の使用人――よく見れば、それはシエスタだった。
この二週間の経過を語ろうとする彼女に、ルイズは言った。
「あなたには、聞いてないわ」
――あれ、と思った。
わたしは、いま、なんて、
「ムスタディオ。あ、貴方はこの二週間、何をしていたの?
ど、どんな言い訳をするつもり?」
シエスタが絶句し、ムスタディオが自分を見ている。
だが一番驚いているのはルイズ本人だった。自分は何を口走っているのかと思った。
あれだけ悲しんでいたくせに、シエスタの声を聞いた途端――無断で消えたことへの怒りが湧き始めていた。
それは心配の裏返しだったが、色々な気持ちとまぜこぜになって濁り、ルイズは自分の本心を見透かせなくなってしまう。
ただ、ムスタディオの視線が痛い。
「ヴァリエール様」
「……な、なによ」
ムスタディオは神妙な顔をしていた。その口から何が飛び出てくるんだろうとルイズは震える。
せっかく戻ってきてくれたっていうのに、これじゃ今までの繰り返しだ。謝るどころの話じゃなくなってしまう。
ルイズは泣きそうになった。
「無断でいなくなって、すみませんでした」
しかし――ムスタディオの口から出た言葉はルイズへの否定ではなく、謝罪で。
その次の動作。彼は両手を地面について、土下座をしていた。
◇
何を言われようと、どんな展開になろうと、最初から土下座しようとムスタディオは決めていた。
自分の素直な気持ちは、きっと言えば泥沼になる。だからただ謝罪の意思を、誠意を持って伝える。
墓の前で覚悟を決めてから、ムスタディオは色々なことを考えていた。自分がやらなければならないことと、自分が通すべき筋について。
その全てを考え、纏めたわけではないが――彼は、まず自分の主とうまくやっていくことの大事さを思っていた。
ルイズの協力をきちんと得られれば、ムスタディオに出来ることは飛躍的に増える。
そして何より。ルイズとの決着をつけないことには、自分自身前に進めそうになかった。
だから彼は、自分の気持ちを殺してでもまず謝罪することを選んだ。
「無断でいなくなって、すみませんでした。
長い間学院に戻らなかったのは、その、大怪我をしていたんです」
ムスタディオは、ルイズに説明する。とはいっても、自分が体験してきたことをそのままではない。きっと信じてもらえないから、シエスタと口裏を合わせた内容である。
――ムスタディオは毎朝洗濯の場で一緒になるシエスタとそれなりに仲が良く、あの朝シエスタのお使いに護衛と称してついていった。しかし道中で野生の魔獣に襲われ、撃退したものの大怪我を負ってしまい、近隣の村で昨日まで療養していた。
……嘘をついていることに、罪悪感が尖る。
「シエスタは一人で大丈夫だと言っていたんだけど、心配だったのでついていってしまいました。……その結果、こんなことになってしまいました。本当にすみません」
もう一度頭を下げる。シエスタが何か言いたそうにしているのを横目で見る。シエスタの立てた計画では、彼女も責任の一端を担うことになっていた。
勢いに任せて、ムスタディオは謝罪の言葉を重ねる。
「それと、今回のことで自分の勝手さに気付きました。
今までの態度とか、口汚さだとか、平民であるオレが貴族にしていいものではありませんでした。
もう妙なことも言いません。許してください」
地面に突いた両手が、微かに震えている。押さえつける。
自分の非だって、間違いなくあったのだから。この謝罪は、不要なものでは決してない。
そう自分に言い聞かせる。
「――そして、お願いがあります」
頭を下げたまま、ルイズの反応を待つ前に、口が先走っていた。それは本当ならまだ言うべきでないこと。シエスタと話し合った時、これは関係が落ち着いてからすべき交渉ですね、と決めていたことだった。
しかし、それを抑えられるほどムスタディオは冷静ではいられなかった。
「どうかコルベール先生と話すことを許してください。
生まれ故郷とは違う地へとやって来て、凄く不安を感じています。先生とはあちらでの仕事の話などが出来て、とても落ち着くことができるんです。さっきも言ったけど、おかしなことは話しません。
だから、どうか、許してください」
誰もがしばらく何も言葉を発しない。
身体の震えだけが増していくような沈黙の後。
ルイズの声がした。
「それが、行方不明になって、帰って来た途端に、い、言うことなの?」
頭を恐る恐る上げたムスタディオの目に映ったのは、今にも泣きそうなルイズの顔だった。
ベッドの上にぺたりと座り込んだ様子に、今更ながら目がいく。肩は弱々しく震え、俯いた拍子に桃色がかったブロンドがこぼれ、顔が隠れる。
「何よ、好き勝手ばっかり言って……」
「――ミス・ヴァリエール?」
好き勝手ばかり言っているのは貴女の方ではないか、とシエスタの顔に書いてあるのが見て取れる。何事か言いかけるシエスタをムスタディオは手で制した。
それは、ルイズ自身が一番よく理解している、と何となく分かったからだった。
「……あんなことになって、もう、も、戻ってこないって、お、も、思って、たんだから……」
ばか、と弱々しい声がした。
その罵倒を、ムスタディオは甘んじて受け入れた。
ついに枕に顔を押し付けてしまったルイズの声は、言葉尻が嗚咽に解けて意味を成さなくなっている。謝罪の言葉はない。でも、その様子で今は充分だと感じる。
何か言葉にしずらい感覚だったが、今までの関係が変化を迎えたと感じられる空気みたいなものが、その場に感じられたのだった。
◇
好き勝手ばかりしていたのは自分だとルイズは思う。
この期に及んでまだこんな口を叩いてしまうのかと思うと、ほとほと自分が嫌になって、泣けてきてしまった。
本当に泣きたいのはムスタディオの方であるはずなのに。
それがまた情けなくて、嗚咽が止まらない。
泣きながら、でも一方で安堵している自分がいた。
彼は自分とやり直してくれる気になってくれたのだ。
自分も、気持ちを入れ替えて接していこう、と思った。
前に進める気がした。
◇
窓枠に切り取られた、部屋の中の風景。
ベッドに突っ伏して泣き出したルイズに、おろおろした様子のムスタディオ。なんだか微妙な表情をしているメイド。
「彼、何だか感じが変わって帰って来たわね」
それを、少し遠くの上空からキュルケは監視していた。
部屋を出てすぐタバサの部屋に駆け込み、風竜に乗せて貰っていたのだ。
「土砂降って地固まる」
隣で本を読んでいたタバサがぽつりと言った。
「……そうね。これからどうなるのかしら」
キュルケはそう言いながら、目はずっと窓の中の様子を追っていた。
だから、気付かなかった。
タバサの眼光は鋭く、ムスタディオに注がれていることを。
タバサが右手で本を持ちつつ、余った左手は腰にぶら下げたポーチを触っていることを。
そのポーチには、拳ほどもある石が二つ入っていることを。
戻ってきたのね、という、吐息を漏らすような微かなタバサの言葉を。
以上、投下終了です。
支援ありがとうございます。
ジャガーさん呼ぼうぜ
乙です!ルイズとムスタディオがやっと和解したと思ったらタバサの様子がおかしい…
乙です、ミスタ。
やっぱり、シェスタの能力とムスタディオのサポジョブが気になりますねぇ。
乙。
とこおrで「土砂降って地固まる」の部分、雨降って地固まるの間違いじゃないの?
おや?
タバサの様子が…。
どうなるかね
>>277 いや、どう考えても比喩表現だろう…
「もうどうしようもないぐらい拗れてたけど、なんとかなったねー」
ってこと
>>278 そのコメント、全力でBボタン押したくなった。
タバサが・・・イヤーンな展開に・・・
ザヨゴー!!
>>283 うっかりな橘さんを呼ぶ気かよ、ハルキゲニアが滅びちまう。
ここは初代橘のおやっさんを呼ぶべき。
間違えて鬼のサポートをする立花のおやっさんが…
バッカーノ!のロニーさんを召喚する、というのを想像してみて途中まで書いてみたんだが…
どうやっても万能になるし万能にしない為の制限も思いつかないしで挫折。何か案ねえかなあ
万能は全能じゃないし、できるからってやるかどうかは状況次第
と適当なことを言う
「少女ミーシャの旅 ホロコーストを逃れて3000マイル」からミーシャ呼ぼうぜ!
ナチスのユダヤ人虐殺から逃れ、両親を探しながらヨーロッパ中を4年間もさ迷い歩いた7歳の女の子だ。
時に狼と共に暮らして生肉を食らい、時にはナチスの兵士を殺しとサバイバル技術も申し分ない。
今まで作者の自伝と称してたらしいが、実は完全なフィクションだと告白したから問題ないぜ。
>>288 全能に限りなく近いが全能ではない。でも多分ハルケ世界だと全能。
基本性能がチートなんですもの。
やったことがうそ臭いレベルなフィンランド人の元ケワタガモキラーな狙撃兵をだな
「ガチムチパンツレスリング」からアニキ呼ぼうぜ!
ギーシュとの決闘でズボンをケツから破りパンツを脱がそうとするといなや
自らのあwせdrftgyふじこlp;@:「」
DVDは完全なフィクションだから問題ないぜ。
>>292 超兄貴ってSTGなかったっけ。
……いや、やめておこう。トリステイン魔法学院が筋肉の城になってしまう……
MGS3からジ・エンドを喚ばないか?
1週間で死んじゃうよ!
みんなに質問。
クロス先のキャラと才人が同時に召喚されるのはあり?
それが一番の問題なんだよな。
無理やり、昔から召喚したり何の脈絡もなく
若返らせるという手もないわけではないが、あの爺さん
モシンナガンしか使わないからなぁwいつの間にかどっかに消えてて
おマチさんも悪奴もヘッドショットでさくっと捕縛できそうだ。
有りじゃないか?
DODとのクロスじゃカイムがキュルケのサイトがルイズの使い魔だし
V3とのクロスだとV3もサイトもルイズの使い魔だ
今バイトから帰ったが魔砲さんきてた!
毎度毎度GJっす。
>>296 設定に整合性があり
話が面白ければおk
世の中には
召喚されて即さっさと帰ってしまう
ガンダールヴなのに良識と理論武装だけでフーケを倒しちゃう
こんなゼロ魔設定を覆すキャラでストーリーが進むSSだってあるんだ
同時召喚くらいなんともないぜ
同時召喚の前例で一番有名なのは「もう一人の左手」厳密には同時ではないものの、
「ディセプティコン・ゼロ」も個人的に好みでした。やはり主役(現)と合わせる
パターンも見たい人は少数ながらいます。
死にかけた老人を召喚したルイズ
自分を敬わない彼に腹を立てるが、
それは彼自身の寿命が長くないからだと知る
そして7日目、ルイズを馬鹿にしたギーシュとの決闘な臨んだ彼は
ギーシュの薔薇を撃ち抜いた後でルイズに詫びながら息絶える
このオウムは彼の形見なのだ、と新しく召喚された使い魔に
寂しげな顔で紹介するルイズ……
ジ・エンド召喚ならこんな感じで
>>設定に整合性があり
そこが難しい…
何とか二人同時に召喚される説得力のある理由を考えようとしてるんだけど思い浮かばない。
ロッキーシリーズのデュークが召喚されて
「お前はやれる、絶対やれる!」「わたしはやれる、絶対やれる!」
ってルイズと頭グリグリすり合わせるのを思いついた。
丹下段平の小ネタが既にあるのに気づいた……orz
>>303 いっそのこと4人召喚して虚無のルーンが一人ずつに刻まれるとか
スタート時点で話終わっちゃうけど
ルーンに見覚えがあったコルベールは必死である衝動を抑えていた。
この場に召喚された虚無とその使い魔全てを片端から切り殺してしまいたいという衝動を!
コッパゲ先生が虚無のルーンを知っていて尚且つ争いの種になりそうな虚無の存在を認めない、例え対象が生徒であろうとも容赦なぞせぬ思考の持ち主になってるという魔改造
ダークシュナイダーを召還→即レイプ
>>306 その世界だとなんとなくオールドオスマンが曖昧になってそうで怖いな。
モット伯爵は単にシエスタにベッドで膝枕されて絵本をよんでもらいたかっただけなのに
いつもかわいそうだよな
スカウトしたのも一目見てお母さんに似てるって思っただけで
特にエロイ事をしようなんて思わないし
ちょっと過激なこと要求しても
「もっとお母さんみたいに怒ってください!!」
とかいうだけでシエスタも最初は戸惑うかもしれないけど
長く続ければモット伯爵の母親も板についてきてそこそこいい環境になるはずだったのに
いつも使い魔がやってきたりして連れ帰られて・・・
モット伯が本気になればシエスタの養子になるくらいのことはやってのけるって信じてる!
そのためなら貴族の地位なんかかなぐり捨てる男の中の男だと誰もがが信じてる!
ぶっちゃけコブラ部隊召喚したらどうなるんだ?
レッドアイズのコブラ部隊ならわかるがそうじゃないならわからねえ
すまん MGSの特殊部隊の連中(FOXHOUND 、デッドセル、コブラ部隊、ビューティー&ビースト)
を使い魔として呼んだらどうなるんだろうと…
レッドアイズの連中はもはや人間じゃねえ…
あれは悪魔だ
単発ネタ書いてみたから投下。誰もいないし、イイヨネ?
間久部字楽(マクベ アザラク)を召喚
ルイズが字楽を召喚しました。色々あったけど馴染んできたところで巨大なゴーレムが拳を宝物庫の壁に向かってたたきつけている所に出くわしました。
以上前フリ終わり
「ぬう、なんじゃいアノどでかい土人形は。」
「ゴーレムよゴーレムッ!『土くれ』のフーケに違いないわ。あそこって確か宝物庫だもの。行くわよアザラク!」
「フム。世間を騒がせているとかいう噂のアレか。あの土人形の肩にツッ立っておるヤツを捕まえればよいのだな?」
「見ッ見えるのッ!?まぁいいわ!そうそれ、そいつを捕まえるのよ!」
一方壁が頑丈でお困りのフーケさん。何度も叩けどヒビ一つ入らない。このままモタモタしていては学校の教師連中に捕まってしまうことは必定。
「ああもうあのハゲ!何が『物理攻撃に弱い』だよッ並の城壁より硬いじゃないのさ!」
焦るフーケさん!と、そこで奇跡がッ!
再度拳を振り上げ打ち下ろさんとしたその時、ルイズの失敗魔法が壁にクリティカルヒットしたのである。そして入るヒビに気付く!
「ハハッこいつはラッキーだねぇ!感謝しとくよ!」
撃ち込まれた拳が遂に壁を砕く。意気揚々と、しかし迅速に破壊の杖を探し出し、確保。
「さて、あとは…」
と、サインを残そうとしたフーケ。だが背後に怪しい影がッ!そこには影から這いずり出てきた字楽先生がいたのだッ
「なッどうやって…!」
驚愕により硬直するフーケ!
「人様のモノを盗むとはなんという奴だ、そんなことでは神罰をくらって地獄に落ちるぞ。反省したまえ!」
そして、言うが早いかフーケの首の辺りを掴んで持ち上げる字楽先生!
だがフーケも伊達に盗賊稼業をやってはいない。危機に陥ったことだって当然ある。そしてこういった時に対処する為の切り札も。
必死で精神を集中させ、腰に吊るしておいた一掴みの土を即席の槍を作り突き出す。弾かれるように二人は離れ、その隙にフーケは自らのゴーレムの肩の辺りに飛び乗る。
数十メイルはあった距離を一瞬で詰めた上によくわからない方法で自分の背後まで移動してきたヤバいのが既にいるからにはサッサと逃げなくてはならない。
そう判断し逃げ出そうと、フーケはゴーレムを反転させる。その瞬間、得体の知れない悪寒を感じるッ『これが殺気というヤツかッ』等と考えつつも体は迅速に反応している。
が、数瞬回避が遅かったか、破壊の杖を持つ左手に字楽の飛び蹴りがヒットする!そのままの勢いでカッ飛んでいく字楽には目もくれず、奪ったばかりのお宝の行方を探す。
杖は、ルイズが確保していた。その事を確認するや否やゴーレムの手を伸ばす。魔法の使えない生徒から宝を奪うのはとても容易な事の様に思われた。安堵するフーケ。
だがしかし。
二十数メイルの高さをカッ飛びながら落ちていった字楽をガン無視していたことが彼女の不運。いや、無視しなくとも結果は変わったかどうか。
ルイズ の かげから アザラク が とびだしてきた!
「ぬおりゃぁああああああああああああああ」
という声と共に超重量の拳を支える字楽先生。呆然としていたルイズは我に返りその隙に退避する。
その姿を見たフーケは舌打ちしつつ
「チッホントに平民かい!?仕方ないねえ!」
言い、更にゴーレムのもう一方の腕を乗せて押しつぶそうとする。
流石にツラいか、顔を歪ませた字楽先生。だがその目がルイズの持つ破壊の杖を捕らえた瞬間!
「小娘ッ」
「へ、わたし!?」
「そうオマエだァオマエェッ!バッバッバズッバズーカッ!バズーカを早くッ」
「ばずーか!?ばずーかって何!どれ!?」
「バズッバズーカだっつのバズーカッ!その手に持ってるソレだソレェェェェエ!」
「これ!?」
得体の知れない金属の棒で何をするのかがわからなかったが、とりあえず言われた通りに投げ渡す。
破壊の杖を片手で受け取った字楽は再び影に沈みこみ、ルイズの背後に出現する!
発射用意を整えゴーレムに照準を合わせると、盛大に顔を歪ませ、呟く
「Hasta la vista baby.」
ゴーレムは土くれに返り中からロングビルが出てきてロングビルがフーケの正体だとわかりました。以上。
↓その後
「虚ォ無ゥスゥメェェェェ!」
「な、何よ!」
「ヒトがぁああゆーふーにバズーカ渡せって言ったらぁ モタモタしてちゃ駄目でしょう 手に持ってるものが一つしかないんだから。 バズーカっつったらソレ渡すの。ネ!?」
ミグミグミグミグミグ ギニャー
「アザラクハスバラシイツカイマデス。サイコウノツカイマデス。」
>>277 強烈なまでに頭の悪いレスだなw
これがゆとりか。
321 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/10(月) 04:55:06 ID:M0T1ycY+
>>317 乙、しかし元ネタわかる人間がどれほど居ることか…
>>321 再販もされているし、作者はマイナーじゃないのでたぶんある程度はわかるんではないか…と思う。
バズーカ渡すシーンとか結構パロディのネタになっているような気がするし。
ああ、タイラントと組み合ってた先生か。
ヘルスレ向きじゃね?
コルトパイソンでも可ッ!!
>>320 「頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者」
これを強制テンプレ化しよう
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
頭が悪いのはブレイブストーリー/ゼロ の作者
また 低脳キ印が湧いたか・・・
昨日暖かかったからなぁ
もうこの手の煽りをする奴は釣りにしか見えなくなった
釣りじゃなかったのか・・・
真性に決まってるじゃないか
どっちにしてもスルー対象だが
>>303 タバサも虚無の担い手にしてしまうとか。
タルブの戦いあたりで話をまとめれば
ジョゼフのことは深く考えなくても良いし。
>>316 名前のある奴らがみんなパーフェクトソルジャーばりの性能だからな
>313
「小指からレーザーが出る」
「対装甲ビームは足から出る」
「ブレイクダンスで薙ぎ払う」
「投票権が二倍になる」
「中年過ぎると関節炎になる」
のコブラ部隊ですか?
コブラ部隊と聞いて
左腕がサイコガンな男が思い浮かんだ私は若くないですか?
コブラ部隊・・・
ザ・ボスはもう召喚されてたな。
ジ・エンドは召喚されたとたん死にそう。
ザ・ソローは最初から死んでるしなぁ・・・
ザ・フューリーは火炎放射器とロケットの燃料がないと役立たず。
ザ・ペインとザ・フィアーは使えるかな?
>>332 死んでも蘇って戦うという伝説の戦士ですね。
ザ・ソローはジョジョスレの隠者の紫みたいに主しか見えない(物体を持ち上げる等して存在をアピールする事は可能)というのは?
ガンダム無双SPECIALより武者MK-II召喚。
彼の望み通り、可愛い女の子に乗ってもらいましょう。
問題はどこに格納するか。全高20mはあるからなぁ。
コブラはコブラでも
チ ン コ ブ ラ ブ ラ 部 隊
というのはどうか?
>337
リベリアの「お尻まるだし将軍」に率いられたチ ン コ ブ ラ ブ ラ 部 隊ですか?
コブラ部隊・・・・・・・G.I.ジョー達に負けても負けても負けても負けても
装備はともかく人員の損失は最後まで一切無かったというあの伝説の部隊?
>>336 >ガンダム無双SPECIALより武者MK-II召喚。
>彼の望み通り、可愛い女の子に乗ってもらいましょう。
何ィ!?こいつ自分の意志持ってんのかwww
ところでその話はどこで知ったの?
>>342 ゲームやってると普通にわかる。
武者ガンダムシナリオで開始早々武者と会話してるし、
一応彼(?)が主人公のシナリオも存在するし。
…っていうか、アレどう見ても20mで収まるサイズじゃねえぞw
あの武者2機、25m〜30mはあるw
>>344 まぁ細かいことは気にするな。
20mだろうと50mだろうと
でかいことには変わりない
>>342 最初から上司の武者ガンダムと話したり独り言を言ったりします。武者がラオウっぽい口調で、MK-IIはクールな策士だけれど時々熱さを見せる。
女の子に乗ってもらいたかったとはエピローグムービーでの言葉。武者2機はエンディングがちょっと切ない。
>>343>>346 そうなのか、サンクス。
しかしPS3で出しておきながらPS2でこれかよ、バンダイひでえなw
問題はMkUがルイズを乗せるくらい可愛いと認識するかどう(ry
かわいいけどかわいげはないってことで一つ。
摩亜屈「我が主、ルイズ……●REC」
そりゃ武者じゃなくてアイドルだろw
烏丸所長呼ぼうぜ
ルイズが黒化するのか?
というか変態ロボ呼ぶならネーブラの方がいいかも知れんな。
(元ゲームと)中の人同じだし、体格も近いしw
呼んでどうするかはさておいて。
烏丸といったらアレだ、
ちとせを呼ぼう
>>354 機体だけだけど(しかもTV版)すでに呼ばれてます
詳しくは小ネタ「アネゴな使い魔」を
>>347 ではティファの使い魔で・・・
へ?イザベラ様ではどうかって?
・・・なんか脳内ボイスがカテ公になりそうだから勘弁!w
ガンダムなんて呼んだら7万とか一瞬で殲滅して戦闘がつまらなくなりそう。
じゃあコアファイターを
サテライトキャノン?
じゃあカンタムロボを
いっそガンガルとかどうだ
DODの人、頼むから帰って来てくれ
もうSDガンダムかSD頑駄無でいいじゃない
俺もアティ先生とアバン先生の教師二人の復帰を願う。
最近は読んでないが、昔ボンボンの表紙に破れガクランを着たガンダムが小学生と並んでいる表紙を見たことがあったな。
もうガンダムなら何でも良いのかよボンボン………
ボンボンはもう……orz
ところでその漫画、キャラはあれだが内容だけはガチで面白かったりする
ガンダム番長だっけか
…何でも良いのかどころか、休刊しちゃったよボンボン…
ダブル光太郎をだな…
ヒーロー戦記ネタ?
ダブル浅野をだな・・・
いやいや、ダブルこうじを
平行宇宙のどこかにいるかもしれない「虚無の使い手ではない(つまり普通に魔法が使える)ルイズ」
を召喚してダブルルイズとか
オリキャラ並に性格改変する必要があるだろうけどな“ゼロじゃない”ルイズ
リヴィオ・ザ・ダブルファング
その線なら時系列を無視してまだ小さいワルドとであったころのルイズとかもありか?
ゼロとあだ名される未来の自分を見て絶望するも、過去に戻って「未来を変えてみせる」と一層努力する、と………
でもルイズの場合、どんなに努力しても自分の力だけじゃ魔法使えるようにならないから無駄な気合なんだよな。
やるなら未来のルイズか。
小ネタを投下します。
黄昏フロンティアの『ぱちゅコン!』より、パチュリー・ノーレッジを召喚します。
五分後ぐらいより。
『きょむコン! 〜Intercept the Albion army!〜』
朝靄に包まれた小高い丘に、二人の少女が佇んでいた。
一人は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
桃色がかったブロンドの髪が腰まで伸び、鳶色の瞳を持っている。
体形はスレンダーであり、本人の名誉の為に言うなら均整のとれた身体つきである。
その身に黒いマントをまとい、その下には白のブラウスとグレーのプリーツスカートが見てとれる。
いつも強気な表情を浮かべている彼女であったが、今は不安を露わにした表情であった。
もう一人は、パチュリー・ノーレッジ。
藤色の髪が腰まで伸び、アメジストの様な色の瞳を持っている。
頭の上には布製のブカブカな帽子の様な物を被り、三日月を模したアクセサリーが付属している。
体形はルイズよりもスレンダーであり、ある種の儚さを感じさせる。
その身に前の開いたローブをまとい、その下にはゆったりとしたワンピースが見て取れた。
いつも眠そうな顔をしているが、早朝の為か更に眠そうな顔であった。
そして、二人に共通するのは、脇に古めかしい本を抱えている事であった。
二人の立つ小高い丘は、アルビオンの主要都市の一つであるシティオブサウスゴータ南西百五十リーグに位置する場所である。
現在はトリステイン・ゲルマニア連合軍と、アルビオンとの戦争中であった。
連戦連勝を重ねていた連合軍であったが、今はアルビオンの姦計により内部より反乱を起され敗走中であった。
連合軍側は軍港のあるロサイスにて全軍撤退中であり、アルビオン側は追撃するべく、七万の軍勢で迫っていた。
そしてそのアルビオンの七万の軍勢の先陣が、朝靄の中より二人の視線の先に見え始めた。
それに対峙する連合軍側は、ルイズとパチュリーの二人以外は誰もいない。
「パ、パチュリー、き…、来たわ」
まだ数リーグ離れているとはいえ、七万の軍勢を前にして、ルイズは恐怖と緊張感を露わにしていた。
「あら、ルイズ。貴方はこれを何とかすべく殿(しんがり)を引き受けたのでしょ?
何を今さら怖気づいているのよ」
対するパチュリーは無感動とも思える口調であった。
「まさかルイズ、貴方は勢いで引き受けたんじゃないでしょうね?
それに巻き込まれた『使い魔』の身にもなってほしいわ」
パチュリーは眉をひそめてルイズを非難する。
パチュリーは、ルイズが春の使い魔召喚で呼びだした『使い魔』である。
彼女は『幻想郷』と呼ばれる、ハルケギニアとは違う異世界に住まう『魔法使い』であった。
そして人間ではなく、『魔法使い』という種族であり、十代半ばの外見ではあるが、百年以上の歳を重ねている。
召喚された当初は『使い魔』として呼び出された事に憤慨していたが、図書館を自由に使用出来るなどの便宜を条件に、何とかルイズは契約を果たした。
378 :
きょむコン! 2/6:2008/03/10(月) 16:08:11 ID:IAkqvoEu
「まあ、所詮人間は数十年の寿命だし、異世界の知識に触れられるしいいか。
やろうと思えば、帰る方法なんていつでも見つかるだろうし。
むきゅ〜」
と、パチュリー本人の弁。
「い、勢いで引き受けてないわよ。だだだだ、だってそう命令されただけだし…」
「断ろうとすれば出来たはずよ」
「…あ、いや、それは」
「…やっぱり勢いで引き受けたわね」
パチュリーは溜め息をつく。
「で? ルイズはどうやってあの軍勢を止めるつもりなのかしら?」
「それは…、ありったけの精神力でエクスプロージョンを…」
「それは無理。今のルイズじゃ数十人を吹っ飛ばして打ち止めよ。
その程度じゃ僅かな時間しか稼げないわ。連合軍は全滅ね」
パチュリーはルイズの意見をすぐさま却下する。
「じゃ、じゃあ、パチュリーの魔法で…」
ルイズはかつてパチュリーが、アンリエッタとウェールズの放ったヘクサゴン・スペルとすら拮抗する魔法を使えたのを思い出し言う。
「それも無理。さすがに私でもあの数を正面から迎え撃っても、大した時間は稼げないわ」
パチュリーは次の意見も却下する。
「じゃあ、どうしろって言うのよッ!!」
ルイズは立て続けに意見を却下されて苛立つ。
自分で勝手に引き受けておいての逆ギレだが。
その様子を見て、パチュリーは嘆息する。
まったく、素質は十分にあるのに感情の起伏が激しいのが欠点よね。
魔法を扱う者にとっては、心の有り様こそが大事なのに。
「ふう、心の動くままに行動する欠点はいつか直しなさいよ…」
パチュリーは眠たげな目でルイズを見つめる。
「ねえルイズ。戦争で大事なことって何だと思う?」
「え? あ、う…、強さとか?」
「そうとも言えるけど、抽象的過ぎるわ。
戦争に勝つには、数こそが大事なのよ。数こそが強さであり、戦争に勝利する為の要素の一つ。
戦争とは数、と何処かの次男も言っていたわ」
そう語るパチュリーを見て、ルイズはある疑問を持つ。
「数って言っても、味方は全軍撤退中よ?
味方は誰もいなくて、ここには二人しかいないじゃないッ!」
戦争は数と言うなら、七万を相手に二人では敗北の二文字しか無い。
「簡単よ。味方がいなければ、作ればいいじゃない」
sageんか
「は?」
パチュリーの言葉を聞き、ルイズは絶句する?
ミカタヲツクル?
ナニヲイッテイルノデショウカ? コノムラサキモヤシハ?
「何を絶句しているのかしら?」
「ななななな、何言ってるのよッ! みみみ、味方を作るって、どどどど、どうやってよッ!!」
ルイズは感情を昂ぶらせてパチュリーに詰め寄る。
「はいはい、落ち着きない。どうどう。
今からやってみせてあげるから…」
パチュリーはそう言ってから七万の軍勢に向き直り、左手を斜め前に突き出す。
左手の甲には使い魔の印たるルーンが刻まれており、それは伝説の使い魔のルーン『ガンダールヴ』であった。
「来なさい、デルフリンガー…。アポート(物質転送)」
そう呟くと手の先の空間が歪み始め、その一瞬の後に虚空から軽い反りを持った長剣が現れ、地面へと突き刺さった。
「うおッ! なんでい、『使い手』のはずなのに、剣なんて振り回しているのが全然似合わないどころか、想像も出来ないような相棒じゃねぇか」
自称・伝説の魔剣デルフリンガーは、出てくるなりボヤキ始めた。
「俺なんてよぉ、学院に置き去りにされて、もしかして錆び剣に出戻りかなぁって思って…」
「黙りなさい」
パチュリーが静かな声で言うと、デルフリンガーはピタリを喋るのと止める。
「力を貸しなさい」
「力を貸せって…。うおッ! おでれーた、何だいあれは…。六、七万はいるんじゃねぇか?
無理無理ムリムリ絶対に無理。俺に出来るのは身体操作と、魔法を吸うぐらいだ。
例え『ガンダールヴ』が屈強な奴でもあんなのは無理ッ!」
デルフリンガーは鍔をカタカタと鳴らして拒否を表明する。
「あれを相手に切った張っただなんて、馬鹿な真似はしないわ。
貴方の中に日頃から貯め込み続けた魔力を解放しろって言っているのよ」
「貯め込み? おい、ちょっと待て。日頃から俺にバカスカ魔法を撃ち込みまくっているのは、虐待の一種だと思っていたぞ?」
「馬鹿な事言わないで欲しいわ。貴方の特性を知った上でやっていたのよ。
こういう時の為の外付け魔力貯蔵庫とする為にね」
パチュリーは唇を軽く釣り上げて嗤う。
「う、嘘だッ! その顔は嘘をついてる顔だ。それに、第一俺にはそんな事を出来る能力なんて無いぞ。
せいぜい貯め込んだ魔法の力で『使い手』の体を動かすぐらいだッ!」
「んー、まあ、ストレス発散の部分が有ったのは否定しないわ。
貯蔵庫云々に関しては、ルーンを“いじった”から出来るようになっているわ」
パチュリーはデルフリンガーの柄に手を添えた。
「うにゃ? う、お、あ…、な、なんでいこれは? ち、力が抜けていくぅぅぅ…」
デルフリンガーが情けない声を上げる。
「さて、魔力は充分ね」
パチュリーは魔力が自分に還元されていくのを感じとる。
「何? 一発ドカンとぶっ放すの?」
「違うわ。味方を作るって言ったでしょ?」
パチュリーはルイズの言を否定すると、手に持った魔導書を体の前に掲げ、手放して中に浮かせる。
そして、軽く手を振ると魔導書は独りでに頁を開く。
とある頁で止まった時、パチュリーの左右に二つずつ約五メイル間隔で地面に発光する円が描かれる。
光がおさまると、円の中に六芒星の収まった魔法陣が合計四個出来ていた。
「さて、後は…」
パチュリーは懐に手をやり、コルク栓で封をされたガラスの試験管の様な物を取り出す。
その中には、少し癖の付いた金髪が入っていた。
「それで、何をするのよ?」
「まあ、見てなさい…。我、土くれに命を……」
パチュリーは小声でかつ早口でスペルを唱える。そして、唱えていくに従い、試験管の中の金髪が減っていく。
ルイズは視界の端に、何やら動くものを見つける。視線を向けると魔法陣の中で土が盛り上がり、人型を形成していくのが見て取れた。
「味方を作るって、ゴーレムなの……、って、えええええぇぇぇぇッッ!!!!!」
その土くれはただ人型になるに止まらず、外見が人そのものを模していく。
そして、ルイズが驚愕したのは、そこにいたのはギーシュ。
『青銅』の二つ名を持つ、ギーシュ・ド・グラモン であったからだ。
「ななななななな、何でギーシュが…、ひッ! ギーシュが…、た、たくさん…、いる」
ルイズは意識を手放しそうになった。そこにはギーシュモドキのゴーレムが次々を現われてきたからであった。
そして、そこには百体のギーシュ・ゴーレムが現れていた。
「ね、ねぇ…、なんなのよ、これ…」
「こっちの世界で何度かゴーレムを見ているとき、自分でも操りたくなって、ゴーレム製造の魔法を独自のアレンジをしてみたのよ。
髪の毛を埋め込むとその持ち主の姿と能力をコピーした自立型ゴーレムに成るようにね」
パチュリーは何かを操作するように指先を動かしながら答える。
「そ、そうなの…。あ、でも、なんでギーシュなの?
ヘタレなギーシュなんかより、もっと強い人の方がよかったんじゃない?」
ルイズはドットクラスのメイジのギーシュがでは、百人いても役に立たないだろうと思案する。
「理由は二つ有るわ。
一つは、ギーシュの基本性能が低いから、ゴーレムの製造の為のコストが少なく済む事。つまり数を揃えるのに丁度よかったという事。
もう一つは、ギーシュの持つ能力が、今の状況に求められている事に合致するという事よ…。
さあ、ギーシュ。敵が来たわッ! 迎え撃ちなさいッ!!」
パチュリーは軽く説明したのち、滅多に出す事の無い大声で号令を放つ。
「ギーシュ・ド・グラモン 、参るッ!」×百人
百人のギーシュ・ゴーレムが一斉に唱和し、薔薇の造花の杖を振るう。
そしてそれぞれが、青銅の人の等身大ゴーレムのワルキューレを、七体ずつ出現させる。
ルイズとパチュリーの前に合計七百体のワルキューレが現れた。
「言ったでしょ? 戦争とは数だと…。
進路、敵陣中央。楔形陣形で突撃」
そう命令が下されると、ギーシュ・ゴーレム達はワルキューレの背に乗り、七万の軍勢へと駆けだした。
「アンリエッタ女王陛下が為にぃぃぃぃッ!!」
そう叫びながら突っ込んで来る集団に最初に接触したのは、前衛の捜索騎兵隊であった。
すぐさま迎撃態勢を取るが、七百の青銅のワルキューレに一瞬にして飲み込まれ、すり潰されていく。
その光景をフクロウの使い魔の視界にて見ていた銃兵隊を指揮する士官は、すぐさま部下に命じて弾を込めさせる。
「前列構えッ!! まだ撃つなよ。もう少し引きつけてからだ……。
よし、てぇッ!!(撃て)」
横列に並んだ銃兵隊の一列目が、一斉射撃にてワルキューレ群に弾を放つ。
統制された射撃は、敵前面に居たワルキューレ数十体を破壊し、それを操っていたらしいメイジも何名かを射殺する。
「第二列前へ…。ん? な、なにぃッ!!」
銃兵隊の士官は驚愕した。敵集団は進撃速度を、いささかも落とす事無く突っ込んで来る。
それは味方の死も、自らの死も厭わない保身無き突撃であった。
「恐れるなッ! 第二れ…」
士官は貴族の矜持ににて恐怖を押し殺し、指揮を続けようとする。しかし、部下たちは迫る“それ”に恐慌を始めていた。
そして、その銃兵隊をもすり潰し、ギーシュ・ゴーレムと青銅のワルキューレは、ただひたすらに進撃していく。
パチュリーの両脇にある魔法陣は、倒された分だけギーシュ・ゴーレムを再生産していき、現れたギーシュ・ゴーレムは再び突撃して行く。
アルビオン軍は倒しても倒しても、次から次へと現れる青銅のワルキューレと、全てが同じ顔をしたメイジたちで混乱状態となっており、進軍は停滞していた。
「こ、これなら何とかなるかしら?」
「無理ね。今は一時的な混乱で対処出来てないだけで、統制が回復すれば、七百程度じゃどうにもならないわ」
パチュリーはすぐさま否定する。
「じゃ、じゃあどうするのよ…」
「近接型で足止めして、遠距離攻撃を行う弾幕型を投入するのよ」
そう言うと、パチュリーは新たな試験管を取り出す。
それには、緑色の髪の毛が封入されていた。
「ええい、どうなっているッ!!」
七万の軍勢を指揮する歴戦の将軍であるホーキンスは、状況を把握するべく部下を走らせていた。
保身無き突撃。
しかも、何故か全員同じ顔だというメイジの集団。
前衛は混乱の極みに陥っており、進軍はほぼ完全に止まってしまった。
敵連合軍のこの攻撃は、余りにも不可解過ぎた。
この突撃の目的は時間稼ぎであるのは明白だ。しかし、あまりにも大雑把過ぎる。
ゴーレムは攻城戦に使われるのが常だ。小型ゴーレムを大量にかつ集中運用するのは、確かに野戦でもある程度は有効であろう。
しかしこの、まるでメイジを使い捨てにするがごときの挺身攻撃は何なのであろうか?
平民の兵士なら使い捨てにするのはまだ理解出来る。だがメイジ、貴族を使い捨てにするなんて出来ない。
実はそのメイジもゴーレムであるという事を知らぬが故に、ホーキンスも少なからず混乱していた。
そして報告を聞きながら思案し、統制を回復するべく指示を出していると、連続した轟音と怒声と悲鳴が周囲で響き始めた。
ホーキンスが何事かと視線を巡らせると、恐ろしいものを見た。
突撃を受けたのと同じ方向から、一メイル程の岩塊が飛来して来てきた。
全長三十メイルのゴーレムが二十体も並ぶのは壮観であった。
「まさか、『土くれのフーケ』とはね…」
それぞれの巨大ゴーレムの脇には、トリステイン王国をはじめ各国にて怪盗として恐れられていた、『土くれのフーケ』ことマチルダ・オブ・サウスゴータが立っていた。
無論、パチュリーが作り出したマチルダ・ゴーレムである。
巨大ゴーレムたちは巨腕を振るい、指先を立てて地面へと付き入れる。そして土の塊を掴み上げると、マチルダ・ゴーレムは錬金の魔法にて岩塊へと変えた。
そして、巨大ゴーレムは次々と岩塊をアルビオン軍へと投擲していく。
その攻撃によりアルビオン軍は前衛のみならず、後衛の部隊も混乱に陥っていた。
時折、魔法にて岩塊を迎撃しようとする動きはあるが、一メイルの岩塊の重量はそれをものともせず着弾し、アルビオンの軍勢を消耗させていく。
一部の部隊はギーシュ・ゴーレムたちを突破し突撃してくるが、再生産されるギーシュ・ゴーレムの波状攻撃にてすり潰されていくのであった。
「あ、待ってパチュリー、白旗が揚がったわ…。降伏するみたい」
巨大ゴーレムの連続岩塊投擲によりルイズたちの周囲の地形が変わり始めた時であった。
アルビオン軍後衛中央にて白い布が巻き付けられたパイク(長槍の一種)が振られているのが見て取れた。
「あら、残念…。そろそろ飛行型を投入しよかと思っていたのにね」
パチュリーの手には、青い鱗の様な物が封入された試験管が握られていた。
「む、無理…、もう、これ…、以上は死んで、まう」
デルフリンガーの息も絶え絶えな言葉は、見事に無視されていたのであった。
この後、引き返してきたトリステイン・ゲルマニア連合軍は、ガリア王国の大艦隊による攻撃を受ける事になる。
しかし、パチュリーの作り出したルイズ・ゴーレムによるエクスプロージョン乱れ撃ちにより、ガリア艦隊は全艦隊が落とされる事によって事無きを得るが、それは割愛。
「ねえ、パチュリー。どうして私のゴーレムだけ消さないの?」
「あら、いいじゃない。面白いし…。特に私が」
「そうね。ところで、一体ぐらい、ちびルイズを持っていっていいかしら? アカデミーで調べてみたいし」
「あら、なら私も一人お持ち帰り〜♪ いいでしょ?」
「エレオノール姉様も、ちいねえさまもダメーーーーッ!!」
ルイズは微妙に受難な日々であったとさ。
384 :
きょむコン!:2008/03/10(月) 16:15:53 ID:IAkqvoEu
乙でした〜!
ちいねえさま、ちょっとレナ入ってるっぽいセリフだが別に違和感ないw
乙!
多分だが、あんた皇国の守護者とか、パンプキンシザーズとか好きだろwwww
ギーシュwwwwwww
388 :
きょむコン!:2008/03/10(月) 16:37:32 ID:IAkqvoEu
>>386 その通りです。あと『A君(17)の戦争』も好物です。
以降は、名無しに戻ります。
>>388 やっぱりww
それは知らなかったけど、今度探して読んでみるよ。ありがとう。
てっきりギーシュは
元ゲームのバグ技である牧場戦法でのイケニエになるかと一瞬…
テコンX召喚
無能王がアッガイもどきを大量に召喚だ!
ダイの大冒険よりまぞっほはどうだろう。
>392
やってる事は駄目人間なのに、ポップを諭し、柱を止めるために尽力した姿は……確かに男だった。
能力は低く、かっこ悪く、しかし最後の一線を守り通す『兄貴』なキャラは何処かにいないものか。
>>392 つペンウッド卿
歳的には伯父貴だけど
あと能力低すぎ
ペンウッド卿は、ルイズの力になるというよりも、ルイズの生き方に影響を与えそうだ。
ゼロのガンパレードでのA的な存在になりそう。
内藤サミュエル
……マイナー過ぎるか……
発火術だけは達人クラスだけど。
円環少女の中年はいいキャラが多すぎる。
ケイツ君とかベルナーとかクレメンスとかステファンとか。
>きょむコン!
三次は禁止じゃなかったっけ。
>393
「金剛番長」より卑怯番長
>>397 江頭2:50が二次元の存在と申したか。
>>398 卑怯はいい奴だったが能力は低くない。金剛が段違いすぎただけで。
>>397 お前のせいでテンプレを10回ほど読み返してしまったじゃないか
>>399 何が言いたいんだ?
ぱちゅコン!自体が東方の二次創作だから、それを元にして書いても良いのかって事なんだが。
>>401 三次が駄目ってのはテンプレに書くまでも無い当然のマナーって以前も議論されてた事。
もしかして駄目と言われてたのは、まとめ内の作品を三次化する事に限ってたのか?
>>389 皇国の方と中の人は一緒だ――だから、続きは……後は解るな?
405 :
きょむコン!:2008/03/10(月) 17:53:26 ID:IAkqvoEu
同じ黄昏フロンティアの『東方萃夢想』の伊吹 萃香が出てたので、
大丈夫かと思ったのですが。
まあ、荒れる元になるのなら、まとめサイトに載せないでください。
>>403 ああ、すまん。三次ってのを三次元の事かと思ってたわ。
二次創作三次創作の三次ね。ぱちゅコンとか東方とか知らんかったから……
小ネタだしそこまで細かく考えなくていいんじゃないか?
よく知らんが東方ってその辺ややこしいんだろ?
問題あるならまとめから消去すればいいんじゃ……
空気変えようぜ
忍術を少々使える使い魔、というバランスブレイカーな天啓をいただいたのだが、どうか
東方萃夢想は一応公式。
いや、こっちも細かい事を言った。スマン。
NARUTOから召喚
全てバランスブレイカーです
>>403 その過去の議論とやらは知らないが、3次がダメっていうのはこのスレ内の作品の、ってことなんじゃないのん?
要するに商業化されている、またはそれに準じている作品からならおkなんじゃね?
物凄い憶測で語ってるが
>>407 そんなあなたに
ババババクレツきゅうきょくけん
信長を爆死させて
「しんぱいごむよう、みねうちでござる!」と言い切る男。
ってリロード忘れた俺空気読めてないorz
>>404 中の人って原作の方の人?
漫画版から皇国見た俺としては(むしろ原作読んで無い)
連載終了に関して悪い噂聞いてから印象よくないなあ……
太平洋戦争関連のifシュミレーション短編は面白かったけど。
>>407 伊賀の忍犬とか
飼い主より強いといわれる某忍者格ゲーの犬?
ルイズ「ゴー!パピー!」
>>416 雷花剣!
螺旋水車!
残像三分身!
朧分身飛翔剣!
あとなにかあったっけ? 懐かしいなあ。
>>404 つまり新刊は絶望的ということですね><
こうですか、わかりません・・・・
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ
>>407 変幻戦忍アスカのプロテクターだけ召喚、エロエロスーツで戦うルイズと申したか。
あ、でもサイズが合わn(ry
>>419 サイズなんてただの目安だ
足りない分は勇気(詰め物とか)で補えば良い!
ありゃそもそも完全オートフィットだ
サイズ合わずとかありえねえ
>>421 たしかあのスーツぴったり合うように仕立ててあるはず。
あの制作者(男)がどうやって『完璧な』サイズを調べたかは謎だが。
423 :
407:2008/03/10(月) 18:25:45 ID:UFuqiwgz
知らん間にレスつきまくっててびっくりした
俺が思いついたのは静かなる狼なサラリーマン忍者の高槻さん
>>414 が正解か。
にしてもバランスブレイカーにもほどがあるwwwwww
読んで見てえwwww
なんかルイズが虚無に目覚めず、爆発魔法のまんま水の心を会得した格闘魔法使いになりそうな予感w
やっぱりボンボンと言えば餓狼伝説だわねえ
どこかにボンガロテリーを召喚する話を描いてくれる職人はいないかねキムしゃん?
ここはいっそのこと石川賢の柳生十兵衛を召喚
忍空、キャト忍伝てやんで
ナムカプの有栖零児かシャオムゥ、もしくは両方召還。
あっちは萌え属性の宝庫だからシャオムゥ喜びそうだ。
ツンデレ、沈黙、メイド、お嬢様ばっかりだからな。
>>423 彼が変に韜晦した態度とらず最初から表立って暴れてたら主人公たち必要なかったよね。
キースシリーズにだって普通に勝てる。
パッパラ隊のとびかげ
…すまん、忘れてくれ
8巻でルイズが、使い魔再召喚した時に呼び出すのが薫が死んだと思った時の剣心
ケンシロウを召喚したらきっと虚無要らん、七万の軍勢も、ひでぶ、あべし!
ケロロ軍曹のアンゴルモアたんなら、星ごと破壊してくれる
ってゆーか、支離滅裂?
>>432 どう見ても鬱展開(ry
つーか、その状況だと特に剣心の方が自力でアクション起こす事がありえないから
余程な事が無い限り話が成り立たなさそう
うしとらのヒョウさんか流か凶羅
対妖怪以外だとどんな戦いするやら……
普通に強いだろうけど。
ところで前にも名前があがったけど、SDガンダム召喚、
これって一応姉妹スレの方がいいのかな??
>>435 ?は奥さんと子供の元に帰らせて上げるべきだと思う。
この板は実体参照文字は不可だったか?x93E2;
>>433 俺もケンシロウ召喚SS見てみたいw
各話のサブタイトルがいちいちカッコいいのになりそうだw
>>435 流や凶羅はともかく(こいつらはこいつらで難物だけど)、ヒョウは難しいだろうな
奴には復讐と言う確固たる目的が有る以上、ルイズであろうが誰であろうが従うとは思えないし、
かと言ってよくある今わの際の召喚は原作での描写の関係上難しい
後、
>>438みたいな意見もあるし(俺も同意)
そんな事よりも何よりも、ヒョウ召喚を難しくしているのは字にして武器である
「金票(←これで一つの字。中国の投げナイフの一種)」と言う漢字が変換、表記出来ない事が
多いと言う事に尽きるな
まあ、入れてるフォントとかにもよるんだろうけど
>>437 うーん、向こうの方が安全かもな
だが、よく考えてほしい。
北斗あるところ乱ありという。奴が一カ所に居着くとモヒカン雑魚や怪しい拳法使いが次々と現れて平穏な生活はできなくなるぞ。それでも契約する?
第一声はやはり「み、水……」だよな?
遅れ馳せながら
魔砲の人、乙です
で、個人的見解を
偏見と言うか主観と言うか個人的感情かも知れませんが、
マルチタスクでなのはを超えるのは無理では?
10歳(A's時代)の頃には、RHのバックアップが有ったとは言え、
あの量のアクセルシューターを操作しつつバスターブッ放すんですから
雪風の御嬢さんの年齢は知りませんが、10年経った状態のなのはに
同時並列処理で匹敵するのは、ユニゾン状態の夜天の主か理論・経験に於いて
上回っている上位の人間かと
ケンシロウはケンシロウでも
霞拳志郎にすれば良いじゃないか!
最初はサラリーマン風の平民使い魔
ギーシュイベントで「ゼロの文句はおれに言え!」と本性を現す
モット伯?中坊化したケンシロウに潰されます。
ケンシロウ書いてみたことあるけど、あんまりにもしゃべらねえからやめた
AC北斗から召還はヅァギ様以外酷い戦闘シーンしか書けなかった
世紀末は難しいぞ
>>446 ギーシュにたいして
ジャギ様「お前ほどの男が何をためらう?両方とも物にしてしまえ!
今は悪魔が微笑む時代なんだ!」
こうですか?判りません!
世紀末なら良いんだろうけど、ルイズに召喚されたらきっと言われるぜ
「クサイ!!」てな
>>446 トキならどうだろう 彼は拳法家以前に医者であろうとするだろうし
しかし、北斗だと解唖門天聴は基本だろうな
ところで水メイジはトキの病を治せるんだろうかね
アルビオン編でワルドがケンシロウをブチキレさせてしまった場合、
そのまま危ない秘孔つかれてあべしひでぶにゃんとなりそう
>>450 長期の放射線障害≒末期癌の可能性が高い
難しくないかな?
>>451 そこは秘孔の伝達前に腕を切り落としてセーフですよ。
>>451 飛んで逃げても剛掌波や天破活殺、天将奔烈が待っているからな
>>446 某格ゲー北斗?確か小技でぺちぺちひたすら当ててひたすらコンボ決めてやっとゲージがちょっと減る
北斗の拳の対極に位置するようなゲームなんだっけ?
水影心はどこまでパクれるんかな
魔法までパクれたらマジ無敵
ケンよりレイのほうがいい気がする
>>456 てめえの血は何色だー!
でワルドにプッツンする姿しか想像できません。
>454
もうそういうレベル超えてるゲームになってるよ
世紀末を生き抜く強敵(とも)はバスケットが大好きなんだ
>>422 亀だが、あのプロテクターの製作者は装着者の兄ですから。
普通にジャンプではとても描写できない危険な兄妹関係の賜物かと。
>>454 触られたらそのまま即死する世紀末ゲーですよ?
1チャンスのダメージではサムスピどころかブシドーブレード級
ト〜キはまさに世紀末〜
>>453 敵であっても女は手にかけないケンだけど、男の悪人に対してはケンは本当に容赦ないもんねぇ。
ラ・ロシェールの道中で襲ってくる傭兵団もきっと北斗神拳の餌食に…
>>461 とりあえず生き残りは依頼人について新一で喋らされるね
ウェールズには刹活孔
>>461 パンチ一発で爆散する傭兵の人達
そしてその中に混じってるピンクっぽい傭兵が出す「あべし」を取ってパワーアップするケンシロウ
沢山取ると服が吹き飛んで上半身裸になるぞ!
ルイズが
勿論、大事な部分は髪の毛で隠れて何が有ろうと見えないので大丈夫
【全然大丈夫じゃ有りません】
無限アップ後のマリーオが呼ばれていたら七万相手でも平気だぜ
アルビオンから落っこちても軽快な効果音と共に何故かスタート地点に戻っているぜ
浚われた姫を取り返しても
性懲りも無く姫が勝手に浚われるぜ
タヌキスーツで空飛べるぜ
ファイアーマリーオになれば無限にファイアボール投げまくりだぜ
>>462 >とりあえず生き残りは依頼人について新一で喋らされるね
「ほぇぇ〜、ホントの事言ったからたしゅけて・・・」
「駄目だな・・・」
「しょ、しょんなぁ〜〜あべしっ!」(ブシュゥゥゥゥ)
とかねw
しかし裏切り者のワルドは栗坊になるな・・・
>>454 それは稼動初期の話だな。
今は1回のミスが死ぬことに直結する世紀末ゲー
実はワルドはトリステインを思うがゆえにレコンキスタへ。
アルビオンで『強敵』として散っていく。
ロックマンが呼ばれていたら
フレイム→ファイアマン
シルフィー→エアーマン
どんどん強くなるロックマン
いけ すすめ
カナン様とかデュマデュオとかばるどぅあだったら世界は変わる
>>417 絶・天狼抜刀牙
は違うか
BBなら最近再販かかった飛駆鳥大将軍をデスネ
・・・どこにも売ってねぇよチクショウ
>>471 カナン様が呼ばれたら魔法学院全滅フラグが立っちゃう気が
第4話が完成しましたので、22:00頃から投下したいのですがいいでしょうか?
ところで寄生獣よりミギー召喚はまだかな?
るろ剣から、人体発火を起こして炎に包まれた、まさにその瞬間の
志々雄真実を召喚。もちろん無限刃付きで。
「ど、どうされたのですか?お嬢様!」
カワリーノが部屋に入ると、そこにはシャツ1枚だけのルイズがいた。
スカートをはいていない、いや、それどころかシャツの隙間から覗く腰のラインには、どこにも下着らしきものは見当たらない。
ルイズはその格好のまま、カワリーノに抱きついてくる。
「ルル、ル、ルイズお嬢様、なんというはしたない格好を、せ、せめて下着くらいはいて下さい。」
「はかないんだもん!」
「どうされたというのですか!?」
「わたし、色気ないんだもん。知ってるんだもん…。」
「お嬢様、お、落ち着いて下さい。そ、そうです、お嬢様は今、疲れているんですよ。とにかく、今日はもうお休みになって…」
「やだ、私がベッドに寝たら、いっつもカワリーノはいなくなっちゃう…。『デスパライア』って人に会いに行ってるんでしょ!」
その名を聞いたカワリーノの動きが止まる。
「わたし、知ってるんだもん…。カワリーノが寂しそうに呟いてるの聞いたんだもん。わたしを置いて、会いに行ってるんでしょ!」
カワリーノは、いつもにも増して感情のない声で話し始めた。
「私が、デスパライア様に会う事など、もう、ありえません。」
(そう、あのお方は私よりもプリキュアを選んだのだから…)
「私が部屋を空けているのは、お嬢様の眠りを邪魔しないためです。そうおっしゃられるのでしたら、今日はずっとこちらにいましょう。」
「ほんと!」
「ええ、本当ですとも。」
「じゃ、カワリーノの昔の話をして、そしたら眠るから」
「昔の話ですか…、そうですね。私が前にいた組織に『ブンビー』という部下がいました。これがまた、失敗ばかりしている奴で…」
始まりは偶然だった。
例の『魅惑の妖精』亭で働いているルイズの写真がキュルケに見つかったのだ。
ルイズは写真を全部処分せず、1枚だけ「記念に」と持っていた。
それをうっかり落してしまい、拾ったのがキュルケで、散々からかわれたのだ。
(それもこれも、全部カワリーノの馬鹿が、あんなもの作ったからよ!)
腹立ち紛れに、近くにいたギーシュのワインを取り上げて飲み干したら、それに惚れ薬が入っていたのだ。
それが、効きはじめた頃、帰ってきたカワリーノ相手に「ばかばかぁ、どうして私を見てくれないのよ!」といきなり抱きついたのである。
「…失敗したばかりか報告書にまで嘘を書こうとしましてね。そこで私は言ってやったんですよ…」
いつの間にか、ルイズはすやすやと寝息を立てている。
「やっと寝てくれましたか…しかし、どうしたというんでしょうね。お嬢様は…」
その時、カワリーノは部屋の外に気配を感じた。
「『惚れ薬』ですって!?」
モンモランシーの部屋でカワリーノが叫んだ。
ギーシュに『あいつにだけは逆らわない方がいい…』と散々吹き込まれている彼女は、(半分怯えながら)ルイズの部屋に来て全部話すことにしたのだ。
「ルイズが飲んじゃったのは、偶然なのよ…本当に…」
「それで、効果はどれくらいで切れるんですか!害はないんですか?!」
「害はないと思うけど…、効き目が切れるのは個人差があるから1ヵ月後か1年後か…」
「そんなに待てません!他に方法は?解除する薬とか!」
「解毒薬の作り方は知ってるんだけど、材料の秘薬『精霊のなみだ』がないのよ。」
「それはどこにあるのです?」
「ガリアとの国境にあるランドグラン湖の水の精霊の涙なんだけど、馬を飛ばしても半日はかかるわよ。それに行っても手に入るかどうかわからないし」
「今すぐ行きますよ。」
「今すぐ!?まだ夜中じゃない。厩舎の係もまだ寝てるわ。」
「地図を貸しなさい、すぐに行けるようにしますから。」
モンモランシーは唖然として本棚を指差した。
ギーシュは、壁に張り付いて首を振るばかり。
カワリーノは地図を開いて場所を確認している。
「大体わかりました。一度場所を確認して戻ってきますから…」
「カワリーノぉ…やっぱりモンモランシーと逢ってるんじゃないぃっ…」
泣きそうな顔のルイズが、ドアを開けて入ってきた。
「バカバカぁ…、今日はずっと居てくれっるって言ったのにぃ…」
「お嬢様、申し訳ありません。すぐに部屋に戻りましょう…」
「寂しかったんだからぁ」
「すみませんお嬢様。…いいですか、明日の朝一番で出発ですよ!!」
ルイズをあやしながら部屋に戻るカワリーノを見送って、ギーシュとモンモランシーは顔を見合わせた。
支援
次の日の朝、ギーシュとモンモランシーとカワリーノ(とその腰に引っ付いたルイズ)は学院の中庭にいた。
「厩舎はあっちよ。」
「馬なんて要りませんよ。」
「じゃあ、ラグドリアン湖までどうやっていくわけ?」
カワリーノは手をかざして位置を探る。
(場所は、この辺り…。異物がある?もう少し上か…一度行っていれば正確な位置がわかるんですが…。よし、ココですね。)
カワリーノが軽く声を上げると、その前に黒い扉が現れる。
「さ、行きましょうか」
「ど、どうなってるのこれ?」
「僕に聞かないでくれモンモランシー」
「どうしました、行きますよ。」
ギーシュとモンモランシーが恐る恐る、その扉に足を踏み入れると…そこは湖だった。
「ちょ、ちょっと、なんで扉の向こうが水なんだよ…」
ギーシュとモンモランシーは必死で手近にあったものに捕まった。
それは、民家の屋根だった。
「村がひとつ沈んでるじゃない…」
「水かさが大分増しているようですね。道理で地図どおりの座標だと異物があったはずです。」
「あ、あいつ杖もなしに飛んでるわよ、ギーシュ」
「もう、なんでもありだよ…モンモランシー」
そして、タバサとキュルケを殺しかけたり、「アンドバリの指輪」を探す約束をしたり、色々と紆余曲折ありながら、カワリーノたちは「精霊のなみだ」を手に入れ学院に帰った。
何はともあれ、無事に解毒剤は完成して…
「なななんてこと!一生の恥!今生の不徳だわ!!こ、この私が使い魔相手に、あんな事やこんな事までっ!!」
「ルイズ、カワリーノさんは君を元に戻すため努力してくれたんだよ。」
「薬のせいよ、貴方のせいじゃないわ、ルイズ」
「うっさい!元はといえば、こいつが『写真』なんか作ったりするからこんな事になったのよっ!!」
ルイズは平手を振り上げ、カワリーノはそれを微動もせず受け止めた。
「えっ…」
ルイズは相手が全く避けないなどと考えてもいなかったようで、一瞬動きが止まる。
「『写真』の件に関しては、私も悪ふざけが過ぎました。そのせいでお嬢様の名誉を傷つけてしまったようで、返す言葉もございません。」
「わ、わかればいいのよ…こ、今回は、これで許してあげるわ!」
ルイズは顔が赤くなるのを感じて、後ろを向きながらこう宣言した。
「でも、覚えておきなさいよ!今の私の主人は私だけなんだからね!!」
これにて第4話終了です。
しかし、まさかカワリーノさんでラブコメを書くことになろうとは(3時間前までは)夢にも思いませんでしたw
お疲れ様です
乙です。
ところで、
>今の私の主人は私だけなんだからね!!」
と言う記述、間違いではないでしょうか?
>>487 ×:今の私の主人は私だけなんだからね!!
○:今のあなたの主人は私だけなんだからね!!
ですね、指摘ありがとうございます。
あああ(プリキュア5本編じゃ)誤字があったら、報告書を突っ返されるよぅ
乙です。
カワリーノさん、素で強いから話がサクサク進むw
俺はブンビーさんファンだけど、このカワリーノさんも好きだぜ。
>>475 まとめに田村玲子が召喚されている作品があるのでそれで我慢してください
ヤンも召喚されたことだし凡人も召喚されないものか・・・・・・
でもそれって3次創作になるか・・・・・
凡人は再び誰かに憑依していると思っていた。
外伝とか書かないかなあ。
だから他所の話題だすなよ……
翔一と葦原と氷川と木野さんだったら誰がいい?
毒吐きでもないんだから、まぁ雑談の範囲じゃね?
三次は禁止だしあまり出して欲しくない話題ではあるが・・・
氷川はバックアップがなければ成立しないだろ
>>429 駄狐とむっつり色男は二人で一つ。当然ペアで召喚。
この二人、もう魔法や二つの月くらいなんかじゃ驚かないんだろうなぁw
それにしても無限のフロンティアが待ち遠しくてたまらん。
この二人好きだから、単発キャラで終わらなくて嬉しいぜ。
>>494 木野さんかな
魔法ではなく、医療技術で仮面ライダーに変身しなくても結構活躍するだろうし
>>497 使い魔になれとか云われたら駄狐が「公務員の副業は禁止されておるんじゃ」
とか言い返すんだなw
>>496 基本「ただの平民だ!」で生身で活躍する氷川さん
G3は電力供給はコッパゲがなんとかするにしても、交換部品の問題から滅多には使えない切り札って事で。
>>494 まずは性格的にもすぐに打ち解ける上に料理人として生きていけそうな翔一
次は医者としての技能を使えそうな木野さん
不器用な氷川と
不幸な芦原は…
>>500 でも、電力供給問題が解決出来るようになるのは原作だと13巻の辺りだから、道のりはかなり遠い罠
前倒しするにしても、その展開にそれなりの説得力を持たせるのは多少頭をひねる必要があるな
魔法がまったく効かない奴は召喚されたっけ?
>>503 全く、ではないが上条当麻が召喚されてる――て、最近来てないな。
好きな職人を好きな文体の職人が書いてるから大分好きだったんだが。
>>501 大穴で自殺した雪菜さん(翔一の姉)
初の女性ライダーは伊達じゃない!
>>502 まぁG3はハルケギニアじゃ強すぎるし、終盤まで封印でも良いとは思うけどね。
氷川さんいくら不器用つったってサイトよりははるかにハイスペックだし。
つかアギトから召喚なら翔一、葦原、氷川の三人が別々に召喚されて
三者三様の視点で物語を奨めた方が「らしい」気がする
あと小ねたで3×3EYESのクーヨンが召喚されてたはず
出てきてはないが、
ブリーチの更木剣八ならどんな攻撃魔法でも
『なんだ?これっぽっちかよ』で済みそうで恐いな・・・
魔法無効、というと労働八号を思い出す。
範囲魔法の起点にして敵中へ特攻させるのですよ。
>>510 バトル漫画の主要人物は殆どがオーバースペックだから…
バキの加藤清澄でさえギーシュゴーレムぐらいなら自力で倒せそうだ
テグス装備でガンダールブ発動
ボーボボやドンパッチならどんな魔法もなんだかんだで何かになっちゃうよ
人間の拳で青銅製のゴーレム壊せるかな?
基本的な質問かもしれんが、ギーシュのゴーレムってムクだっけ?がらんどうだっけ?
>>513 効くことは効くけど効果は使用者さえ予想できないほどカオスに
ガチャピンキッド召喚
>>514 がらんどう、ある程度厚みを持たせてあるのかと
>>514 中身も詰まってるとすると、プロボクサーのパンチ並の威力っつーか青銅のハンマーでぶん殴られるようなもんだからなあ。
軽くコツンとやられるならまだしも骨砕けるぞ普通。
仮面ライダーで呼ぶの難しいのはG3と555系かな?
ハルケギニアってバトルファイトあったのかな?
ライダーマンは仮面ライダーと呼ぶべきか否か
アギトといえばキャッチコピーが確か『既に仮面ライダーである男』『仮面ライダーになろうとする男』『仮面ライダーになってしまった男』だった。
この『仮面ライダー』を『使い魔』に置き換えると……
漢の浪漫はタバサかティファか
>>522 『虚無の使い手』の使い魔になろうとする奴はいるかもな。
>>514 中まで詰まっていると1体で500キロ前後になるからがらんどうじゃ無いかな?
がらんどうなら同じ青銅の剣を叩きつければ切れるだろうし
中まで詰まっていたら同じ材質の武器だと
菊池秀行作品の人かルパンのゴエモンでないと切れない筈
>>520 後、実質まともなやり方では十全のスペックを発揮出来なくなる可能性が高くなるのが龍騎だな
あれのライダーって基本的にミラーワールドと言う隔絶された特殊な空間とそこに巣食うモンスターが
いる事が前提だし
そしてハルケギニアにまでミラーワールドを持って来てしまうとほぼ確実にゼロ魔蹂躙になる
なんかアニメ系板なのに仮面ライダー人気高いな。スレ住人層が特撮好き多いのか?
魔法無効だけじゃなくて魔法反射も入れると結構出てくる気がする。
DQのマホステやマホカンタ、FFのリフレク。空間操作して相手の攻撃を相手の
背後に来るように歪ませるとか。
ここ、ライダー召喚作品は左手とか結構あるけど、円谷系が全然無いんだよな。
やっぱ等身大じゃないと扱いにくいか。
>>512 バトル物と聞いて『テニプリ』が頭を過るのは正常ですよね?
>>518 場合によって中身つめたりつめなかったりするんじゃなかったっけ?
>>528 つーかそれエルフの先住魔法とかぶるし。>魔法反射
アニメ板住人だからって、必ず特撮が嫌い(好きじゃない)って訳でもないんだぜ
静かに朝焼けが大地を包んでゆく
>>530 >バトル物と聞いて『テニプリ』が頭を過るのは正常ですよね?
きゅいきゅい「お姉さま あの使い魔怖いのね!多分あの「てにす」とか言う魔法で
竜族を滅ぼした事でもあるに違いないのね!」
>魔法無効化
無効化の度合いによっては話が根底からひっくり返りそうだからなぁ
契約はおろか、召喚のゲートすら無効化してしまうとか
そこまでやれるのって……いるのかどうか判らないけど
>>530の後半を読んで、ガソリンでたぷたぷになったワルキューレの突撃を想像した
キカイダーって召喚されたっけ?
世紀末の話題だったのにアミバ様のアの字も出てこないとはどうしたことか。
>>527 初代〜ゼクロスまでのライダーは体のメンテナンスしないと命に関わる。
ブラック〜Jはメンテナンスフリーでよさそう、特にZOなんか雷に打たれて二年間
放置されてても活動できてるし。
ジャギ様も居ねぇな
ハート様を忘れちゃいかんぞ君たちぃ
>>539 そのあたりはルーンの効果とかでいいんでないか?
話の根幹にかかわるような設定ならともかく、
枝葉となる設定はある程度柔軟にすり合わせないと、クロスオーバー系SSなんて書けないだろ
ハート様なら安牌だな。
部下思いで人当たりもいいし。
ハートさまは召還されていたような・・・(コネタで
>>539 自力でなんとかしそうな初代とライダーマン
ギギとガガの腕輪の力で問題なさそうなアマゾン
メンテ問題はこの他の連中だな
シエスタが割ってしまったコップの破片でハート様が怪我でもしたら・・・
ライダーってメンテナンスしていた記憶無いんだよな…
ここの住人は大体がBLACKやRXの直撃世代なのかな?
>>547 物心付くか付かんくらいにZOのビデオ見てたっけなぁ。
生で見たのはクウガから。
メンテナンスって誰ができるんだ? おやっさんか? アマゾンのバイクとか作ってるくらいだしできそうではある。
>>547 初代ライダー リアルタイム
歳は聞くな
■ おすすめ2ちゃんねる 開発中。。。 by FOX ★
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ライダーに限らずメカ系は修理メンテはどうするかが難点だな。
補給は条件次第でハゲ先生という手段があるけど。
特にサイボーグな人たちは厳しいな
専門家以外が下手にいじると機能不全とか最悪死に繋がる事も有るし
コルベールでも手に余ると思う
みんなある程度の自己修復機能内蔵してる
XなんかTV1話で太腿槍で突かれて変身解けて立つのも辛いって状況で
「半日で良くなる」と言われてたぞ
逆に考えるんだ
「メンテが出来ない事を逆手にとってパワーバランスを取ろう」
と、考えるんだ
昭和のライダー達はなんかスーパー1以外メンテしてないよ
アマゾンは確か生体改造のみだから、ブラック〜Jまでと同じメンテいらず
機甲の兵士ならばきっと大丈夫
破壊の杖? 鋼鉄の箱ですよ!
デュマデュオ「私に魔法など(ry」
MGS2又は4からヴァンプを召喚したら…?
魔法無効系能力といえば、「魔法の国ザンス」のビンクがいるな。
いささか描写しづらい能力なのが難点だが。
タイミング外してるが、ギーシュのゴーレムががらんどうかムクかの話にレスくれた方々有難う。
どういう関節のつくりになってるのかなって思ったところから気になったんだ。
ムクで、人形みたいな関節なんか無いのに動くとかだったら怖いなーって。そっちの方がファンタジーッぽいのかもしれないけど。
仮面ライダー話題だけど、龍騎ならミラーモンスターがハルケギニアでは実体化して存続できる(他のハルケギニア原産モンスターみたいに)
ってしちゃえばいいんじゃない? と
>>542さんに近い視点で思う。
>>559 まず契約しようとした時点でものすごい身体能力発揮されて
ルイズ涙目じゃないかな。ヴァンプはバイセクシャルだし。
ヴァンプで思い出したが…
MGS4のトレーラー見終わった後に…
俺「お前も金のないニートに?」
弟「違う!将来を恐れていないだけだ!」
俺「働けニート」
弟「テメーだけは殺す!」
うららかな春の日に部屋を飛び交う椅子とPC(デスクトップ級)
なんて出来事が…orz
>>561 なにを血迷ったか初めての二次創作でゼロの使い魔と龍騎のクロスを書いてたんだが…
書いてみようかな…続き……
>>564 最高のほめ言葉をありがとう
まぁ正確にはアホ家族なんだが…
父がMG好きで従兄弟のとこの双子にリキッド・ソリッドと名付けようとしたし…
双子ならタカヤとシンヤがいいのでは。
>>565 なんからき☆すたのそうじろうみたいな親父だなw
ぜひ我が家のお隣にほしい家族だw
>>566 クリスタル無しにすればバランスとれそうで良いかも
>>560 それって誰もが魔法を一つ使える国で、一人だけ魔法が使えなかった人だっけ
読んだの随分前だったから曖昧だ
そうすると、シエスタのひいお爺さんは変身して飛んできたのかな
>>570 ドルフ? ビンクの孫だったよな、確か。
ゴエモンインパクトを召喚
フーケと「オテダマ」を…
>>568 お隣さんみてニヨニヨしたいお年頃なんだぜ。
改造人間話でライオットアクトのエージェント召還の話とか妄想してた
あれ、武器が無いと強さ激減だから無理か
その前に知ってる人が居なさそうだけど。
改造人間と言えば草薙素子少佐。
でも定期的なメンテナンスが必須だからヤバイ。
いい加減に雑談を止めろ。
他のスレ住人も心の底ではそう思ってる。
証拠↓
581 :名無しさん:2008/03/11(火) 01:25:27 ID:S71VM8ZM
特撮雑談長すぎワロタ
582 :名無しさん:2008/03/11(火) 01:36:15 ID:0J4D1lEg
もはや風物詩だな。もう文句言う気も起きない。
583 :名無しさん:2008/03/11(火) 02:23:44 ID:wUC9Z23I
本スレはまったく同じ話題を延々とループさせてるのに何で飽きないんだ?
584 :名無しさん:2008/03/11(火) 02:36:59 ID:5nv/pOjw
同じ人間が常に張り付いてるわけじゃネーだろうよ
585 :名無しさん:2008/03/11(火) 02:47:52 ID:wUC9Z23I
いや明らかに同じやつだろ
586 :名無しさん:2008/03/11(火) 04:54:33 ID:ZJTM.Tp2
まあ、同じじゃなかったとしても。
同じこと考える奴は居るって事じゃね? 類友ですよ、類友。
587 :名無しさん:2008/03/11(火) 05:49:06 ID:tHBK9XdA
同じ連中にしか見えないな
588 :名無しさん:2008/03/11(火) 06:48:10 ID:.nsUAVtk
ネタ潰しでスレを衰退させたい連中にしか見えない
絶望先生にあった百見様みたいな
雑談からはじまる二人の恋の〜♪
しかし投稿が無い…
爆熱の人や皇国の人は何処へ行ったのか……個人的に凄く楽しみなんだけどなぁ。
最速の兄貴とか自殺志願のお兄ちゃんとか、楽しみな人たちがいなくなって、雑談だけが増えてゆく……。
雑談は必要悪だと思うなぁ。
提示できるネタが無くて皆が押し黙り、衰退して行ったスレも多いことだし。
枯れ木も山の賑わいというか、無いよりはマシというやつだ。
それに投稿する立場としても、他の投稿の直後とか、感想のあとよりは、
自分の裁量で割り込みがかけられる雑談の最中が一番投下しやすい。
・興味のない雑談? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
スレと無関係な雑談はどうすれば
>>579 ここが駄作と荒らしだらけのスレになったから同類扱いされたくなくて消えたのでは?
林檎の人とガンパレードの人をまってますじょ?
4月過ぎたら帰ってきてくれるかなぁ。
三月は普通に考えても忙しい時期だからなあ。姉妹スレの方もここんところ投稿少ないし。
もちっと待って状況が変わるのを待つしかないのかも知れず。
俺は虚無の使い魔と煉獄の虚神の人が帰ってくると信じている。
豆粒ほどの小さい使い魔に一番戻ってきてほしいなぁ……
作品の方向性も、ああいうキャラの心情を丁寧に書いてるのが好きだ。
この程度の雑談くらいで大騒ぎする事もないと思うけどね。
流石に投下中に関係ないことレスしてる奴はリロードくらいしろアホ、て思うが。
荒らしをスルーできない奴や、10レス程度の雑談がガマンできない奴は
大体は肥溜めでトグロ巻いてループ座談会してるんだし、何度もここで蒸し返すようなものでもないだろ。
肥溜めから汚物を持ってくるここは下水処理場か?
一部最近のでまとめに載ってない作品があるな
超マイナーだが
「旋光の輪舞」よりペルナさんを呼んだ話を誰か…
銀様ぁぁぁぁぁ!ミーディアムの人ー!まーだでーすかー!
>>585 きっと新刊が面白くて執筆が進まないに違いない。そう考えよう。
……どこまでも噛ませ属性だった因果魔導師が見直されたよな。
if世界とはいえ、ルイズいろんなもの召喚しすぎだろ
正にサモンマスタールイズだなw
従えることが出来てないパターンも多いからマスターの称号はちょっと早くないかw
ギーシュ「さあ来いルイズウウ!ボクは実は一回振られただけで死ぬぞオオ!」
>>572 アルビオンから飛んでくる巨大な岩を投げ返す。
これが「オテダマ」ですね。
>>576 583 :名無しさん:2008/03/11(火) 02:23:44 ID:wUC9Z23I
本スレはまったく同じ話題を延々とループさせてるのに何で飽きないんだ?
584 :名無しさん:2008/03/11(火) 02:36:59 ID:5nv/pOjw
同じ人間が常に張り付いてるわけじゃネーだろうよ
585 :名無しさん:2008/03/11(火) 02:47:52 ID:wUC9Z23I
いや明らかに同じやつだろ
こういうことを恥かしげも無く断言できる奴ってどんな思考回路をしてんだろ?
世の中は自分の思った通りにできてるとか思ってそうだ。
一度でいいから頭をかち割って脳内のお花畑を見てみたい。
毒吐きからわざわざコピペってくる思考回路の方が10倍以上異常
汚物は消毒だ?!!
>589
作者自身が遠慮したのもある品
邪気眼なのは精神衛生上よろしく無いので仕方ない
wikiは皆の物ですから^ ^
515 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/09(日) 23:01:13 [ o/RwA7cU ]
最初っから原作なぞってつえーすげーするだけの駄作も結構あったんだぜ
それこそ本スレ以前から存在してた
最近来て適当に飛ばしてチェックしてケチつけて騒いでるだけなのが見えすぎて駄目だわ
それだけも何も、どんな物でも後で溢れてから、ありがちなのを先にやっただけと駄作凡作扱いとか典型的な批評家気取りの子供がやらかす厨パターンじゃねーか
良作が作った面白い流れをコピーしてる奴が溢れてるのは事実だけどね
519 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/09(日) 23:23:56 [ DpRJAwLM ]
>>515 例えばエヴァSSなら、
ディラックの海から逆行してきたシンジがやり直すとか、使徒を擬人化してハーレムに加えるとか、第二の特務機関を作るとか、
今となっては馬鹿一のテンプレに成り下がったギミックであっても、そこには最初に始めたSS作家が存在していて、
それを最初に考え出したことは、庵野でもガイナックスでもなく、そのSS作家の功績だ。
で、翻ってゼロ魔SSではどうか?
このスレの、初期の書き手が生み出したものが何かあるか?
どれもこれもノボルが生み出したもので、このスレのみならず、ゼロ魔SS界で生まれたものなんて皆無だろ。
良作が作った面白い流れ?
それは丸っきり原作の流れ、ノボルの作った流れだ。
このジャンルをブームにした、それのよって新しい書き手を呼び込んだ、
確かにそれは初期の書き手の功績と呼べるだろうけどな。
539 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/10(月) 00:45:25 [ 4BqFF.s. ]
ルイズが虚無以外の力を得るとか使い魔ハーレムとか使い魔が保護者とかの実例が示された時点で
>>519は否定されてるだろ。
ルイズが使い魔が習得してる魔法を覚えるのは過去の良作家が考えたアイデア。
使い魔がゼロ魔世界の女性キャラにモテモテになるのも過去の良作家が考えたアイデア。
精神的に成熟した使い魔がルイズを教え導くのも過去の良作家が考えたアイデア。
新参の駄作家どもは勝手に使うなよ!
うららかな春だなあ
なあみんな、たまには外に出てみようぜ
うちの庭の梅ももう満開だ。香りがここまでくるよ。
春なんだなあ……
そう言えばもう春休みなんだよな……さて、スルーして、と。
>>603 本気で俺たちの編み出したネタだって考えてるなら、どうしようもない馬鹿だな。
書かれたもん読むだけの、与えられるだけの人間が上から目線ででかい口たたくなよ
わかる?お前のこと言ってんだよ?
609 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 14:07:09 [ OBhJGYzo ]
まあ、そのウンコを好んで食いに来る”るいとら作者”みたいなのもいるんだけどなw
俺Tueeeeeeeしまくって作品を崩壊させてしまったから、今は毒吐きに棲んで新しい作家を叩いてる奴もいるってことだ。
>>609 はいはい、過去の良作の作者様
自演活動お疲れ様です
たまには外に出て蒼天を見ようよ。
暗い部屋の中にこもりっきりじゃ、クリティック気取りのひねくれ者になっちゃうよ。
よく考えたら藤田キャラは結構召喚されてるけど、うしおはまだ召喚されてないな
614 :
ゼロウォーズ:2008/03/11(火) 14:52:25 ID:X57TalkU
初めて書いてみました。投下予定が無ければ、14:55ぐらいに投下して良いですか?
キャラクターは、以下のとうりです。
日下 兵真(くさかひょうま)16歳
技
【無】虚空剣
【火】天翔流星爆
【水】一凍両断
【土】コスモライザー
【風】空破滅殺剣
【光】閃光爆裂破
【闇】エクスキュート
必殺技
【無】ギルティブレイク(リアライズ後)
>>614 オリキャラは受け付けておりません
お帰りください
現在召喚されてるのは
とら ミネルヴァ アシハナ ギィに… あと誰かいたっけ?
おk、俺が誰か召喚してみる。いつになるか分かんないけど。
617 :
ゼロウォーズ:2008/03/11(火) 14:55:11 ID:X57TalkU
わすれた。ごめん
作名 カオスウォーズ
>>614 すまない、ゲームのキャラだとは思わなかったorz
619 :
ゼロウォーズ:2008/03/11(火) 14:57:04 ID:X57TalkU
OK?
620 :
ゼロウォーズ:2008/03/11(火) 15:00:07 ID:X57TalkU
今回は、見送るよ。
>>620 よし、次来るまでに推敲を繰り返してその分の質を上げといてくれ
待ってます
622 :
ゼロウォーズ:2008/03/11(火) 15:06:36 ID:X57TalkU
避難所じゃないの?
もちつけ
>>622 というか
>>615は何かの間違いだったようなので、
深く気にせず今からここに投下したらいいんじゃないかと。
625 :
ゼロウォーズ:2008/03/11(火) 15:30:35 ID:X57TalkU
ありがとうございます。15:35ぐらいに投下します。
夢を見たんだ・・・
どこかの広場で、小さな女のこが泣いている夢を・・・
俺は今、学校の裏山に来ている。理由は誰かに呼ばれたからだ。
「誰に?」と聞かれれば、「わからない」と、答えるしかなかった。でも・・・【確実】に誰かが呼んでる。
「なんだろう?胸騒ぎがする・・・なんだ?」
過去に異世界【エンディア】に飛ばされた時と、同じ感覚を感じていた。
「ん?光?まさか・・・【エンディア】に何かあったのか?考えても仕方ない。行くか再び【エンディア】に!」
でも、この光が【エンディア】ではなく、まったく別の異世界に通じるゲートだとは、この時俺は知らなかった。
第1話 異世界からの来訪者
広場の真中に一人の少女、その子を見守る大勢の人々。
そして、少女の目の前で、大爆発が起きた。
何で成功しないの?私はやはり[ゼロ]なのか?と落ち込んでいると、
爆風が晴れ、一人の少年がそこに居た。
「ゼロのルイズが成功させた・・・」
「待てよ。でも人間だぞ。しかも、〈平民〉だ。きっと迷い込んで、ここに着たんだ」
「爆風の中にか?いくら〈平民〉でも、そこまでするか?」
「でなければ、説明がつかない」
(何を言っているんだ?こいつ等は?)
周りの人間から、発せられる言葉に少女は怒っているのか、体が震えそして、
怒りはそばに居る〈平民〉に向けられた。
「アンタ誰!!」
「声デカイよ。ガキはおとなしく家に帰って、寝てろ」
「何なの?アンタ!」
「ガキの相手なら、後でしてやるから少し黙ってろ!」
(この手のタイプの子供は、大体性格が悪いんだよな・・・適当に相手するか…)
「アンタ、聞いてんの?」
「ごめん、なに?」
「アンタ、誰?」
「日下 兵真(くさかひょうま)。わかった?『あんた』って名前じゃないんだよ。
おれからも聞きたいんだけど、ここ何処、お前誰?なんで震えてんの?」
兵真がそう聞くと、少女の体が、さらに震えた。
「さっきから、『お前』とか『ガキ』とかなんなのよ・・・」
「ああ・・・そのことか・・・悪かったな・・・」
(やっぱり、性格悪そうだよ。【エンディア】に来て、この手のタイプか・・・ついてないなぁ)
「名前と、場所教えろよ。」
「私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
ここは、トリステイン魔法学院よ。わかった!」
(【エンディア】に、魔法学院なんてあるのか?それとも、新しくできたのか?)
「そうか・・・俺、用件があるから、じゃあな」
「ち、ちょっとなんなの、用件って?」
(なんだ?このガキは。人の用件まで聞いてくるか?)
「うるさい!!ガキ!!人の用件にまで、かかわるな!!」
「あ・・あんたねぇ・・・平民が、貴族にむかってそんな口を叩いて良いと、思ってるわけ?」
「はぁ?・・・貴族?あっそだから?」
一触即発のこの状態に終止符を打たせるべく、一人の男が動いた。
「ミス・ヴァリエール。もう止めなさい(喧嘩の事)」
「えっ!コルベール先生、あと、少しだけやらせて下さい(召喚の事)」
「駄目です。わかりましたか?」
「はい。アンタ、貴族にこんな事される平民なんて居ないのよ。光栄に思いなさい。」
(私、こんなの使い魔にしないと、留年なの?)
「おい、どうした?」
「あんたは、黙ってなさい!」
「なんなんだよ・・・」
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
「バカだろ。お前?」
そう、唱えるとルイズは、キスをした。
「なにす・・・ッ!!!うあッッッッ!!」
「使い魔のルーンが刻まれているだけよ!」
炎にでも、焼かれたような感覚はすぐに収まったが、
それと同時に兵真の『怒り』の炎が燃えた。
「てめえ、なにする!使い魔?そんなもの俺はやらねえし、
用件を終わらしたら、さっさと帰るから他の奴にしろ」
そう兵真が言い終えると、今度はルイズの『怒り』の炎が燃えた。
「アンタは、私の使い魔になったの!それと、さっきも言ったけど、
貴族にむかってそんな口を叩いて良いと、思ってるわけ?」
そう言い放つとほぼ同時に、ルイズのハイキックが兵真の頭にヒットした。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ」
「お前はフライもレビテーションもできないんだろ?」
そして、飛んでいってしまった。
兵真は、薄れ行く意識の中こう思った。
(空を自由に飛びたいな)と・・・
兵真が意識を失った後、コルベールが兵真の手を見て、何か書いていた。
630 :
ゼロウォーズ :2008/03/11(火) 15:42:58 ID:X57TalkU
ありがとうございました。今から2話目と、用語解説を書いていくつもりです。
春ですね
そーですね。
言葉にできない
てか何で「はじめてかきました><」なやつらはいきなり長編に挑戦するのだろうか
練習スレあるからそこに行けばいいのに
>>635 ゼロの使い魔の世界観は初めてと言う意味。ごめん
厳島エミリーを…。
いや、キャラデザの人が好きなだけなんだ…。
639 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/11(火) 16:47:19 ID:VcW/cQfO
>>634 言葉様召喚と申すか
そういやあの人ずっと止まったままだな
今でも楽しみにしてるんだけどな…
>>631 >>633-634 >>1 のルール読んでます?
>・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
投稿者のマナーについての発言だとしても、もう少し言い方があるでしょうに。
>>637 乙です、ミスタ。
いろいろレスが付いてますが、気を悪くされませんよう。
>>637 ああいうのは全部無視するといいよ
ただの糞だから
ありがとう。
wikiの登録はどうすれば良いですか?
手伝ってくれると助かります。
wikiの登録は有志の人に任せていいんじゃないでしょうか。
職人さん乙!これからも遠慮なく投下して下さいっす
>>630の「今から書きます」を「今から投下します」と読み違えて
今の今までwktkして待ってた俺に、誰か慰めの言葉をかけてください。
>>613 うしおははっきり言って、獣の槍という力、生まれなどの背景、その総てがうしおととらという作品
の中で完結しているし、うしお自身の考え方や欠点などを含めてかなり完成度の高い主人公な
ので他の作品とのクロスにはあまり向いてないんじゃないのかなーなんて思います。
>>646 ただ、元ネタの記述なしでいきなり技名が書いてあったのには驚きました。
次からは気を付けて下さい。
後、会話文の間にはもっと地の文を入れた方が読みやすくなります。
勝手なお願いではありますが、ご配慮下さい。
>>648 慰めの言葉
このスレはボロボロだあ!!
>>652 違う。
コノスレハボドボドダァ!!!
>>649 やっぱり難しいか
獣の槍も一緒だと強すぎるし、無しだと自分としては何か欠けてるような感じがするし
香上と片山の凸凹コンビで考えてみたけどどうやって二人同時に契約させればいいか思いつかない
ミカシード形態に期待
てかあれガリーノいたよな…
657 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:39:50 ID:aPpPuRux
さて、唐突ですが第七話です
予約無いようなので行きます
支援要請にはいつでも応えられますぜ!
支援三連
660 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:45:09 ID:5dwISj5d
聖地。
この言葉を聴いて、ヤンは何を想像するだろうか。
宇宙暦800年、新帝国暦2年ごろの聖地といえば、地球そのもの。貿易国家フェザーンの
影の主であり、麻薬を使って信徒を洗脳しテロに利用する狂信的宗教集団『地球教』の本拠
地のこと。
ハルケギニアと同じ文明レベルの時代の地球で言うなら、それはイスラム教徒を中心とし
たアラビア世界の宗教的中心地。かつキリスト教とユダヤ教の聖地であり、長きに渡る泥沼
の宗教戦争が行われた悲劇の舞台。
歴史家としてのヤンならば、中東戦争と呼ばれた20世紀前後の地獄のような戦争をも思
い浮かべるだろう。そして、テロの嵐が吹き荒れるパレスチナ。21世紀のゲットーとも揶
揄されるヨルダン川西岸の巨大分離壁【アパルトヘイト・ウォール】。エルサレムの嘆きの
壁で一心不乱に祈りの言葉をささげるユダヤ教徒達。その壁の上にイスラム寺院アル=アク
サー・モスクが建ってる図は、かなり悪趣味なジョークとして記憶の中に含んでいることだ
ろう。
同時に、ハルケギニアの聖地の実情がいかなるものか彼は知らない。始祖ブリミルがらみ
の地とは知っているが、どんな地なのかまでは分からない。それは大方のハルケギニアの
人々も同じことだ。
何しろハルケギニアの人間と聖地に暮らす亜人「エルフ」とは、極めて険悪な関係にあり、
両者の接触は大方が戦争と言う形で行われているのだから。それも、侵攻した人間側の度重
なる惨敗という結果で。ハルケギニアの聖地回復運動は『レコン・キスタ』という名称で現
在も行われているようだが、6000年経過した現在に至るまで、一度も聖地を奪還したこ
とはなかった。
ゆえに、すでに聖地がいかなる場所か、ハルケギニアの誰も知らなかった。
では、このヤンが召喚されたハルケギニアの聖地とは、いかなる場所なのだろうか?
ヤンを含め、ハルケギニアの多くの人が、砂漠の中に浮かぶオアシス都市を、耳の長いエ
ルフたちが住む石造りの町を思い浮かべるだろうか。始祖ブリミルがらみの遺構や石碑の一
つくらい残っていることを期待もしているだろう。加えてヤンならモスクや尖塔が並ぶイス
ラム風の風景も。
いや、おそらくかつてはそういう姿をしていた時期もあったかもしれない。
ゆえに、彼らは驚愕とともに、失望するだろう。
この、聖地の実際を目にすれば。膝を地に付き天を仰ぎ、始祖の福音はハルケギニアから
失われたのではないか、と絶望するだろう。ヤンもきっと、涙を滝のように流して悔しがる
に違いない。
なぜなら、そこには、何もないのだから。
ここは夜の聖地。エルフに蛮人と蔑まれる人間が奪還を目指す場所。
確かに、何もなかった。
砂漠ですらなかった。
双月の下に、ただひたすら荒野が広がっていた。それも、大きく盆地状にえぐられた大地
が。半径10リーグ以上の見事な円形の盆地が、赤茶けた土壌をさらしていたのだ。
そんな盆地の端、盛り上がった土手の上に数人のエルフが立っていた。彼等は盆地の中央
を見つめている。
うち一人が盆地の中央を指さした。薄暗い、だだっぴろい大地の先を。
盆地の中央で、何かが光った。
光ると同時に、何かに包まれるように光が阻まれる。
だが、包もうとする『何か』より、『光』の方が強かったらしい。包もうとした『何か』
は『光』に吹き飛ばされた。
しえn
662 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:47:00 ID:5dwISj5d
盆地が光に満たされる。
そして次に盆地中央から、球形に『壁』が放たれた。
それは月明かりでもハッキリ分かるほどの圧倒的破壊力を持って、『光』を中心として盆
地周囲へと広がっていく。土煙を巻き上げて…いや、地盤そのものを巻き上げて、盆地の端
にいたエルフ達へも襲いかかろうとしていた。
襲いかかろうとしているのは見えるのに、全てを破壊しながら向かってくるのに、僅かな
地響きしか耳には届かない。『壁』が音速に近いか、音速を超えているからだ。音より早く
とどいた地盤経由の振動が足下から音へ変換されて届いたのだ。
「我と契約せし大地の精霊よ。古の盟約に従い我らに加護を」
エルフ達が呪文とも独り言ともつかない言葉を発する。とたんに彼等の眼前で大地が盛り
上がり、巨大な土と岩の壁となって彼等を包んだ。エルフ達は月明かりも失い、暗黒の中に
守られる。
遙か10リーグ以上彼方から届いた『壁』が、大地の精霊が生み出した壁に衝突する。
瞬間、中のエルフ達の耳に、いや全身に轟音が届いた。彼等の全身を震わせ、内臓をかき
回し、鼓膜を破る程の振動が。大地の精霊が加護してすらなお、エルフ達の命を守るのが精
一杯だった。
『壁』が通り過ぎるまで、さほど長い時間ではなかったはずだ。だが彼等にとっては死を
覚悟させる永劫の時といってよかった。
『壁』の名残である細かな振動も去り、静寂が再び闇の中に帰ってくる。
大地の精霊は契約を守りきり、エルフ達を双月の下へと解放した。
彼等は盆地を恐る恐る覗き込む。そこには、さっきとおなじ盆地があるだけだ。いや、先
ほどより抉られた盆地がある。
『光』は既に消えていた。
「ビダーシャル!あれをっ!」
エルフの一人が天を指さした。ビダーシャルと呼ばれたエルフも天を仰ぎ見る。
星空の中、光が流れていた。
流れ星ではない。明らかに燃えさかる巨大な何かが放物線を描いて落下しているのだ、彼
等の近くへ向けて。
それは爆発音を上げて大地と衝突した。
とたんに周囲の大地そのものが触手の如くわき上がり、燃えさかる何かを飲み込む。一瞬
にして大地は落下してきた物体を地下深くへ飲み込んでいった。
カラン
ビダーシャル達の近くで乾いた金属音がした。
彼が地面を見ると、先ほどの物体の破片が落ちていた。大地の精霊は無害と判断したのか
もしれない。それは大地に飲み込まれはしなかった。
ヒョイとエルフの一人が金属片を手に取る。何かプレートの様な物が、爆発の衝撃で本体
からはがれたようだ。
黒こげのプレートを袖で拭くと、そこには絵が描かれていた。赤・白・青の三本線、真ん
中の白線中央には五稜星
それが自由惑星同盟の国旗であることは、エルフ達の知らない事だった。ほぼ全てが今夜
と同じように地の底へ封じられているのだから。
第七話 聖地
なんという展開支援
664 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:49:45 ID:5dwISj5d
ガリア王国。
トリステインとほぼ同じ文化形式を持つ国で人口約1500万人のハルケギニア一の大国。
魔法先進国ともいえる国で、王宮では様々な魔法人形(ガーゴイル)が使われている。王都
の名はリュティス。
リュティスはトリステインとの国境部から1000リーグ離れた内陸に位置する。大洋に流
れるシレ河の沿岸にある。人口30万というハルケギニア最大の都市。河の中洲を中心に発
展した大都市で、主たる都市機能に加えて魔法学校をはじめ貴族の子弟が通う様々な学校を
内包しており、街並みは古いながらも壮麗なものとなっている。
その郊外には壮麗な大宮殿が見える。王族の居城、ヴェルサルテイル宮殿だ。王家の紋章
は2本のラインが入ったねじくれ組み合わされた杖。宮殿中心には、薔薇色の大理石と青い
レンガで作られた巨大な王城『グラン・トロワ』。そこから離れた場所に、薄桃色の小宮殿
『プチ・トロワ』がある。
「――つまり、虚無が集うのを妨害してほしい、と?ビダーシャルとやら」
「そうだ。お前達が聖地と呼ぶ、忌まわしき『シャタイーン(悪魔)の門』、我らでも封じ
きれないのだ。
風と大地の精霊が奴等の生む嵐を聖地内に押さえ込もうと努力はしてくれている。だがも
はや追いつかぬ」
『グラン・トロワ』の一室で椅子に座るガリア王ジョゼフは、異国からの客人を前にして
いた。
当年45歳ながら、30歳前後にしか見えない美貌と逞しい肉体の男性は、薄茶色のローブ
をまとう長身で耳の長いエルフと相対している。
「ふぅむ…いささか信じがたい話だ。お前達エルフですら太刀打ち出来ない、聖地よりわき
出す悪魔、か」
「いや、あれは恐らく悪魔ではない。
風と大地の精霊が言うには、あれらは湧きだしたとたんに粉々に砕け、火竜のブレスを上
回る炎をまとい、風の精霊もかくやというほどの嵐で大地を抉り、そして死ぬ。しかも数十
年に渡り消えぬ毒をまき散らしてから、だ。例え湧き出した瞬間に死ななくとも、直後に地
面に叩き付けられて粉々になる。
我らエルフが総力を挙げ、大地の精霊の力を借り、全てを大地の奥底に封じているので、
今以上の被害にはなっていない。だが、その毒を一身に受ける大地の嘆きと怒り、もはや収
まらぬ。
しかし思うに、門から飛び出したがために、あれらは死んでしまうのだろう。門を通った
がために悪魔と呼ばれるほどの被害を周囲にまき散らすのだ。彼等とて死にたくはなかった
ろうにな」
「彼等?」
ガリア王家の象徴とも言える青い髪が揺れる。
「そう、彼等だ。ごくまれにだが、あれら『悪魔』には人が入っている事があるらしい。そ
れも、お前達と同じ蛮人が」
「ほほう…それは、会ってみたいものだ」
エルフの長い金髪はサラサラと左右にゆらめく。
「無理だ。さっきも言ったとおり、門を通ると同時に、ほぼ全てが死ぬのだ。後に残るのは
灰になった蛮人の遺体。それも残っていればの話だ」
「…なぜ死ぬのだ?しかも、そんな派手に」
「分からぬ。全ては地の底に封じてあるのでな。理由は私も知りたいが、そのためには地の
底へ潜り、毒に冒される覚悟がいる」
ジョゼフはふぅ〜むと息を吐きつつ、椅子に身を預ける。
支援砲撃、ってぇーっ!
666 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:51:33 ID:5dwISj5d
「興味深い…実に面白い話だ。それら全てが『虚無』の力、シャタイーンの復活によるもの
だ、と?」
「うむ。テュリューク統領はじめ、我らネフテスにも懸念が広がっている。この数十年の活
発な門の活動とも併せ、世界を滅ぼす大災厄が六千年の時を経て再来するのではないか、
と」
「なるほど、な」
ジョゼフは、ふと何かを思い出したように首を傾げた。
「待て。さっき『ほぼ全てが死ぬ』と言ったが、これまでに生きて門を越えた者はいないの
か?」
ビダーシャルは、重々しげに答えた。
「うむ…実は無事に門を越えた先例がある」
「ほほう?詳しく話せ」
とたんにガリア王は身を乗り出す。
「私が知っているのは2例。
一つは60年程前だ。その時は門から光も嵐も起きなかった。それは門から湧き出すと、
大地と風の精霊の手を振り切って、西の彼方へと飛び去ったそうだ。その後の事は分からぬ。
恐らく、お前達蛮人の世界へと向かったのだろう」
「ほう…もう一つは?」
「もう一つは、30年ほど前だ。その時も門から光も嵐も起きなかった。代わりに門から、
鉄の馬車が走ってきたのだ。馬も無しに走り、車体全てを鋼に覆われたほろ馬車の様なもの
だ」
「…悪いが、想像がつかん」
王は首を傾げつつも、楽しげに口の端を歪ませている。
「すまんが、私にも上手く表現出来ぬ。それ程までに奇妙なものだったのだ。そしてそれは
必死に大地と風の精霊の手から逃れようと、土煙を上げて走ってきた――聖地を囲む土手を
乗り越え、砂漠を走り、我らエルフの集落に向けて」
「ほほう!それで、どうなった!?」
ジョゼフは更にエルフに向けて身を乗り出す。
詰め寄られるビダーシャルは、苦々しげに言葉を繋げた。
「その鉄の馬車は精霊に追われ、恐慌状態だったらしく、我らに向かって突っ込んできた。
我らは身を守るため、精霊の力を借り鉄の馬車を止めようとした。
すると、その馬車が火を噴いたのだ」
「火を?」
エルフはゆっくりと頷く。
「荷馬車には大砲が積まれていたのだよ…それも、大地の精霊の加護により築かれた岩の守
りを、後ろの同胞ごと貫く脅威の威力を持つ大砲を。反射することも出来ぬほどの、な」
「な!?」
馬車に大砲を積む――もしハルケギニアでそれを行ったらどうなるか。
重くて馬車が動かない、という以前に重量で壊れる。
壊れないほど頑丈な馬車を作っても、重いので地面に沈んで動かない。馬でも引っ張れな
い。
よしんば岩で舗装した道を走らせたとしても、発砲した反動で馬車ごとひっくり返る。
だがそれでもエルフの先住魔法による防壁を貫けはしない程度の威力だ。いや、『反射
(カウンター)』によって全て跳ね返されるだろう。
だが、その鉄の馬車は、全てを易々と実行したということだ。
「結果…その鉄の馬車を止める事は出来た。同時に、その集落は壊滅した」
ジョゼフの頬に、汗が一筋流れる。
「念のために聞くが…その集落には何人のエルフがいた?」
「500は下らぬ。戦える者は100ほどいた」
王は、もはや言葉を失った。
聖地回復運動をいくら行っても、エルフの10倍以上の兵力でもって戦ったとき以外勝て
た試しは無い。つまり、その鉄の馬車一台で人間1000人以上の軍勢に匹敵するのだ。
しえん
668 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:53:36 ID:5dwISj5d
「鉄の馬車を止めた後、数名の同胞がその中を調べてみると、やはり中には蛮人達がいて、
その中に一人だけ生存者が気絶していたらしい」
「ほほぅっ!で、今その者はどこにいるのだ!?」
ジョゼフは椅子をひっくり返して立ち上がる。だが、ビダーシャルは残念そうに首を左右
に振った。
「いたらしい、と言ったであろう?その者を見つけた同胞は、既に生きてはいないのだ。全
員が、意識を取り戻した生存者に殺された。手負いの蛮人一人に、だ。しかも、止めたはず
の馬車は再び動き出したのだ。
そして生存者は馬車を駆り、どこへともなく逃げ去った。我らには、もはや追う事は出来
なかった」
ジョゼフは座り直し、顎に手を当てて考え込む。
「では、おそらくその者もハルケギニア、いやガリアに向かったやも…」
その言葉に、ビダーシャルは再び首を横に振った。
「期待はできまい。馬車自体が我らとの戦いでかなり破損した。走り去りはしたが、もはや
使い物にはなるまい。そして中の生存者も、ただでは済まなかったろう」
「そう、か・・・」
エルフは苦しげに天井へ視線を上げる。
「今にして思えば、我らに否があったのだ。馬車を止めるのではなく、精霊達に彼等への追
撃をせぬよう頼めばよかったのだから。だが、あの混乱の中ではもはや手遅れだった。
だからといって、精霊による聖地の封印を解く事も叶わぬ。聖地から湧き出す嵐と毒を最
小限に抑えねばならんのだ。
悲しいが、今も聖地では悪魔達が断末魔をあげている。そしてそれはここ数十年、激しさ
を増している」
ガリア王は、眼を閉じて頭を傾け、じっくりと思索にふける。
しかる後、エルフに向き直った。
「なるほど、卿の話は実に興味深かった。だがまずは、お前達エルフと交渉するとなると、
それなりの信用も対価も示してもらわねばならん」
「うむ、それは承知している。まずは交渉の権利を得なければなるまい」
ジョゼフとビダーシャルの会見は、その後もしばらく続いた。
所変わって、トリステイン魔法学院。『フリッグの舞踏会』から数日経った。
ゼッフル粒子発生装置は再び宝物庫で眠りについた…大穴が開いたままだが、もはや秘宝
でも何でもないので、別に構わなかった。
斧は次の日、トリスタニアから飛んできたエレオノールと公爵に引き取られた。公爵はヤ
ンの手柄を率直に讃え、エレオノールは高慢で高飛車ながらも、一応「よくやった、褒めて
つかわす」と礼を言った。そして今度は騎士達の大部隊に囲まれて去っていった。
なぜ『破壊の壷』と『ダイヤの斧』を無事に取り戻せたのか、公爵もエレオノールも城の
衛士達も首を傾げた。
結局、「壷が空と分かったので捨てた。斧はマジックアイテムではないし平民が所有して
いた物だったので返した」という結論で事件は収束した。
さて、使い魔を見ればメイジの格が分かるという。では今のヤンを見ると、ルイズの格は
どうだろう?
ダイヤの斧という神話級の逸品と共に、死亡した状態で召喚された。
公爵から箱一杯の金貨を受け取り、王室からの斧の代金も月々受け取る予定の彼は、も
はや一介の平民と言うには裕福すぎた。並の貴族より金回りが良い。
アルヴィーズの食堂では、貴族の子弟達を前に怖じ気づく事もなく主を擁護した。
フーケに奪われた『破壊の壷』と『ダイヤの斧』も奪還した。
何故だろう、ジョゼフとビダーシャル側を応援したくなる支援
670 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/11(火) 18:55:48 ID:fKEOdBu9
インディ・ジョーンズが召喚された話ってない?
技術レベルがコレだけ違うと話の構成が難しいけど、
それだけに期待が出来るよね支援
支援砲、発射!
673 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:57:28 ID:5dwISj5d
これだけ聞けば、伝説の英雄とは言えずとも、何かひとかどの人物が召喚されたかとも感
じる。
にもかかわらず、彼女の魔法の成功率とも関係なく、あんまりルイズの評価は上がってい
なかった。
「だーかーら!あんたはなんで毎朝毎朝主人と一緒に起きてるのよー!たまにはあたしを起
こしなさいよー!」
「ルイズ…他力本願は良くないよ。人間、自らの努力を忘れては」
「あんたが努力しろーっ!」
「んじゃ、デル君に頼もうか」
「あ・ん・た・が!努力しろっつってんのよーーっ!!」
二人はそんな会話をしつつ、食堂へと走っていた。
こんな光景を毎朝見せる主人と使い魔では、どんなに上がった評価も次の瞬間には地の底
まで落ちるだろう。ルイズはこんなに寝坊する生徒ではなかったはずなのだが、すっかりヤ
ンに毒されたらしい。
それでなくても、いつももダラダラしているとしか見えない態度で、半分寝ている目で、
ちょっと猫背なのだ。見た目はもう、ホントに、冴えない中年男なのだから。
そんなヤンは一ついつもと異なる所がある。両手に白い薄手の手袋をはめている。オスマ
ンから左手のルーンが『ガンダールヴ、伝説の使い魔の印』と知らされたヤンは、すぐルー
ンを隠す事にした。
さて、その日の午前。
本塔最上階の学院長室では、今日もオスマンが重厚な造りのセコイアのテーブルに肘をつ
き、鼻毛を抜いていた。
おもむろに「うむ」とつぶやいて引き出しを引き、中から水ギセルを取り出した。
すると部屋の隅に置かれた机に座ってデスクの上の書物を鞄に収めていた秘書が杖を振
る。水ギセルが宙を飛び、秘書の手元までやってきた。
つまらなそうにオスマン氏がつぶやく。
「年寄りの楽しみを取り上げて、楽しいかね?ミス・ロングビル」
「オールド・オスマン。あなたの健康を管理するのも、私の仕事なのですわ」
秘書は鞄を手にして立ち上がり、部屋を出ようとする。だがその前に机の下へ杖を向けよ
うとした。
オスマン氏は、顔を伏せた。悲しそうな顔で、呟いた。
「モートソグニル」
秘書の机の下から、小さなハツカネズミが現れた。オスマン氏の足を上がり、肩にちょ
こんと乗っかって、首をかしげる。
オスマン氏はネズミにナッツを与えつつ、ネズミに耳を寄せた。
「そうか…見えなかったか。残念じゃ」
秘書は鞄を自分のデスクに置き直し、しかるのち、無言で上司を蹴りまわした。
「ごめん、やめて、痛い、というか、最近老人いびりが、きついぞい」
「学院長には、ほとほと愛想が尽きそうですわ!ヤンの件で分かりました。老人といえど、
甘い顔をしてはならないと!セクハラが全女性に対する侮辱であり犯罪だという事を、身を
持って教えて差し上げますわっ!」
ロングビルにしてみれば、『破壊の壷』が単なるガラクタと分かった以上、もう学院に無
理にいる必要はない。単にフーケ騒ぎのほとぼりが冷めるのを待っているだけだ。なので、
学院長のセクハラに我慢する必要は無かった。
ゼーゼーと息をつきながら、改めて本を収めた鞄を手にする。
「それでは、私は図書館でヤンに講義をしてきます。学院長はちゃんと仕事をしてて下さ
い!」
「そ、その、ミス・ロングビルや…秘書の仕事は?」
ギロリ、と釣り上がった眼で睨まれた学院長が、ヘビに睨まれたカエルの如く縮こまる。
「今朝は急ぎの用はありません!全部、午後に済ませますわ」
ドカンッと盛大な音を響かせて扉を閉めたロングビルは、図書館に向かっていった。
674 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 18:59:25 ID:5dwISj5d
ロングビルは図書館に向かう前に、女子トイレに入った。
手洗い場の鏡を前にして、学院長を蹴り回して乱れた髪を直す。そして口に紅をひく。
服装も正して、鏡の前で自分の姿を最終チェック。
そして改めて、鼻歌交じりに図書館へ向かった。
その姿を、朝食を片付ける二人のメイドが見かけた。
「あらー?あれってミス・ロングビルよね。鼻歌歌ってるなんて、珍しいわねぇ」
「ああ、あれよカミーユ。図書館でヤンさんにぃ…こ・じ・ん・じゅ・ぎょ・う!」
「ええー!マジマジ!?ドミニック、マジなのー!?」
「そーなのよぉ!ヤンさんったら、あんなぼんやりしてても、ホントはすっごいのねー」
「そうねー、ヤンさんって不思議な人よねぇ〜。おまけに今や並の貧乏貴族より、よっぽど
お金持ちだしねぇ」
二人のうわさ話は留まる所を知らない。更に通りがかった他のメイドも加わり、益々話は
盛り上がる。
そんな感じで、ヤンは実力以外の所で評価、というか話のネタにされていた。
鼻歌交じりに図書館へやって来たロングビル。窓際のテーブルにヤンの姿を見つけるや、
笑顔が僅かに引きつった。
なぜならヤンはお茶を片手に、お盆を手にして立ってるシエスタと楽しげに談笑していた
からだ。
「へぇ〜、タルブのワインって美味しそうなんだねぇ」
「そうなんですよ!とっても良質なブドウが沢山採れるんです。是非一度来て下さいな、ヤ
ンさんも絶対気に入りますよ!」
こほん、とロングビルがわざとらしく咳をする。
慌ててシエスタが事務的なメイドの顔に戻り、秘書に向けて一礼した。
「それじゃ、ヤンさん。ミス・ヴァリエールのお部屋の掃除と洗濯はお任せ下さい」
「あ、いや、それは僕が後で」
いいんですよー、と一声残してシエスタは去っていった。
ロングビルは、周囲に誰もいなくなったのを確認してから、ヤンの前にどっかと腰を降ろ
した。
「さすが将軍様。英雄色を好む…てやつかい?」
睨まれたヤンは慌てて首を振る。
「おいおい、ちょっと世間話をしていただけだよ。第一、僕には妻も子もいるからね」
「どーだかねぇ…ま、気をつけな。あんたの手に入れた金を目当てに近寄ってくるヤツは、
ゾロゾロ湧いてでるだろうからねぇ。この国に関しちゃ世間知らずなのを良い事に付け入ろ
うとするやつらが、ね」
「そうだね、気をつけるよ。ところで、その鞄の中身は頼んでおいた物かな?」
ヤンの視線は彼女がもつ鞄の方へと向いている。
「ああ。始祖ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリと、ガンダールヴ
伝説についてさ。といっても、おとぎ話程度くらいしか伝承が残ってないけどさ」
「それで構わないよ。簡単にでも教えてくれればいいから」
そんな感じで、二人はお昼まで授業を続けた。
お昼になり、ヤンは厨房で食事を取る。
ヤンは普段、食事の時間も惜しいくらいに図書館の本が読みたかった。なので昼食はほと
んどサンドイッチのような軽食を頼んでいた。
パンに挟まれた食事を見てると、サンドイッチ、ハンバーガー、クレープと挟むものだけ
は得意と言っていた妻のフレデリカを思い出す。ハルケギニア召喚前になって、ようやくま
ともな食事を出してくれた気がするが、さて今頃はどうしているのだろう、と郷愁に囚われ
る。
675 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 19:01:34 ID:5dwISj5d
その郷愁を生む原因になったアルジサマはどうしているのか、と気になって厨房から食堂
を覗き込む。そこにはテーブルに座って昼食をとるルイズの姿があった。
テラスに教師はおらず、生徒達は皆、気楽に歓談しながら優雅な貴族の昼食を楽しんでい
る。だがルイズは誰とも言葉を交わすことなく、黙々と食事をしている。そして食べ終わる
と、すぐに食堂を一人で去っていった。
後には学生達の談笑の輪が残る。
ヤンはかつて養子のユリアンに「運命は年老いた魔女のように意地の悪い顔をしている」
と語った事がある。ハルケギニアの年老いた女性メイジ達は、普通に年をとった顔をしてい
たので、この点は間違っていたようだ。
だが運命がヤンに望みもしない軍人生活を10年以上強いたのは事実だ。そしてルイズに
も『ゼロ』と蔑まれる生活を強いた。有力貴族に生まれた出来損ないメイジ。その苦痛はい
かほどか、考えるだけでもヤンの心にさざ波が広がる。
「戦争孤児だったユリアンはトラバース法(軍人子女福祉戦時特例法)で僕の所に養子とし
て来てくれて、色々僕の面倒を見てくれたっけ…というか、僕の面倒を押しつけられたとい
う感じかもしれないなぁ」
そんな独り言をいいつつ、彼は一旦ルイズの部屋へ向かった。
「よー、お前さんの勉強は終わりかい?」
シエスタに掃除されて綺麗になったルイズの部屋。壁に立てかけられたデルフリンガーが
鞘からピョコッと飛び出す。
「うん。ガンダールヴについて色々聞いてきたよ。それじゃ、改めて『使い手』について教
えてもらおうかな?」
ヤンはロングビルから聞いた事をデルフリンガーに語って聞かせる。そして最後に「何か
思い出さないか」と尋ねる。
剣の回答はいつもと同じだった。
「ぜーんぜん思いださねー!」
カクッとヤンの頭が垂れる。
「そんなこと言っても、君は六千年生きているんだろ?つまり、始祖と同時代。そして僕の
ルーンを懐かしいって感じるんだろ?だったら『伝説の使い魔ガンダールヴ』を知ってるっ
てことじゃあないのかい?」
「いや、そうは言われてもなぁ…六千年前のことだぜ、覚えてるわけがないわな」
今度は溜め息をついてしまう。
「君って無駄に人間並のAI組まれてるんだねぇ」
「それ、褒めてんのか?」
「うん、褒めてる」
「嘘つけ」
「ばれたか」
コンピューターなら外付けの記憶装置をいくらでも付けれるが、この剣にはどう見ても端
末だの端子だの付けれそうにない。なら、トコロテン方式で古い記憶を忘れていかないと新
しい記憶を入れる容量が出来ない。
なにもそんな所だけ科学的にしなくても、と肩を落とすヤン。結局この日の午後は徒労で
時間を潰したのだった。
そして放課後。
デルフリンガー片手のヤンは、また厩舎の前でルイズと落ち合った。
「おっそいわよ!さぁ、今日もみっちり特訓するからね!」
ルイズの持つ乗馬用のムチが、鬼教官の教鞭に見えたのは、多分、気のせいではない。
676 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 19:04:57 ID:5dwISj5d
「ゲルマニアについて知りたい!?」
ヤンの馬と並走しながら、ルイズは素っ頓狂な声を上げた。
「バカ言わないでっ!なんであんな成り上がりの国の事なんか知りたいのよ!?」
相変わらずおっかなびっくり馬に乗りながら、ヤンは頑張って答えた。
「うん、そろそろ他の国の事も知りたいと思ってね。それに、今度お姫様が嫁ぐんだろ?お
隣の国ってこともあるし、ヴァリエール家のすぐ隣がゲルマニアなんだってね」
ジロリ、とルイズがヤンを睨み付ける。
「そうよ…あのツェルプストーよ。先祖代々の仇敵よ」
「なら話は簡単だよ。孫子曰く『敵を知り、己を知れば、百戦危うからずや』。ああ、孫子
というのは僕の国の兵法学者ね。敵の情報を集める事は政戦両略の基本だよ」
むぅ〜、と不服げな声を上げるルイズ。渋い顔で手綱をさばいている。
「あんたの言いたい事は分かるけど、私はそれほどゲルマニアに詳しくないわよ」
待ってましたとばかりにヤンは声を上げた。
「んじゃ、講師を呼ぼうかな!」
ルイズの顔は、ますます渋くなった。
「なーるほどねぇ!よぉく分かってるじゃないのぉ。ま、ゲルマニアの事なら私にまっかせ
なさーい♪」
「では、よろしくお願い致します。ミス・ツェルプストー」
というわけで、日が暮れてからルイズの部屋にはキュルケが来てくれた。もちろんルイズ
は非常にイヤそうな顔だ。
そんなルイズの顔とは裏腹に、キュルケは満面の笑みを浮かべている。そして当然のよう
に、キュルケの後ろにはタバサが付いてきている。
「全く、なんでキュルケなんかを私の部屋に入れなきゃいけないのよ!ご先祖様になんてお
詫びすればいいの!?」
肩を震わせるルイズだが、キュルケはケロリとしたものだ。
「だぁってぇ〜、今度うちの皇帝のアルブレヒト三世とトリステインのアンリエッタ姫が結
婚するんでしょ?軍事同盟のために。
だったらぁ、私達も過去の怨恨は水に流さなきゃいけない、とは思わなぁい?」
むぐぐーっとルイズも反論出来ずに口を閉ざしてしまう。
「んじゃ、ヤンの要望通りゲルマニアについて教えてあげるわね。ありがたくよーっく聞き
なさいよ!」
壁に立てかけられたデルフリンガーがいきなり声を上げる。
「おうおうヤンよ!若い娘に囲まれて、鼻の下伸ばしてんじゃねぇぞ!」
「デル君!バカな事を言わないでくれよ」
と言いつつもヤンは顔が赤くなる。
と言うわけでテーブルを囲み、キュルケのゲルマニア講座が開かれた。
タバサも黙って椅子に座る。キュルケの話を聞くつもりのようだ。
「・・・というわけで、あの皇帝ったら自分が戴冠するため、政敵の親族をぜーんぶ塔に幽
閉しちゃったのよ!
頑丈な扉の付いた部屋に閉じこめて、食事はパン一枚に水一杯。薪の暖炉は週に二本って
いう有様よ!」
「うわぁ、酷い事するわねぇ」
「相変わらず王族のやるこたぁえげつねぇなぁ」
キュルケの口から語られるのは、勢力争いの果てに皇帝の座を勝ち取った野心の塊のよう
な男の悪事。デルフリンガーがうんざりした感想をつぶやく。聞かされるルイズも恐れ呆れ
るが、ついつい話にのめり込む。
タバサは相変わらず無表情。でもちゃんと聞いているらしい。
「どーお?ヤンもこーんな酷い皇帝は、なかなかお目にかからないでしょ」
キュルケに話を振られたヤンは、うーんと唸って天井を向いた。
「えーっと、僕の隣の国では、それと似たような事をして皇帝になった人がいるんだ」
ルイズが隣に座るヤンをチラリと見る。
677 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 19:06:22 ID:5dwISj5d
「ふーん、それって例のフリー・プラネッツでの事?」
「いや、フリー・プラネッツは僕の国の名前。その皇帝は、えーっと、ローエングラム王朝
を建てた、初代皇帝ラインハルト1世って言ってね」
ふとヤンは、こんな遠い異国の話なんて興味あるかな、と気になり3人に視線を戻す。
だが意外にも3人とも興味ありそうな視線を投げかけてくる。
なので、なるべくハルケギニアと共通する言葉を使って話を続けることにした。
――帝国軍三長官を一身に集めた帝国軍最高司令官となり門閥貴族勢力を打倒。
帝国宰相を排除し、自らが帝国宰相を兼任。幼い皇帝の元で事実上の支配者となる。
門閥貴族の残党に幼帝を誘拐させ、同盟に亡命させる事で、戦端を開く口実とする。
ゴールデンバウム朝から皇帝位の禅譲を受ける。実態は簒奪であったが。
23歳にしてローエングラム王朝を建て、初代皇帝ラインハルト1世として即位する。
なお帝国宰相一族の女子供は辺境に流刑。10歳以上の男子は全て死刑――
ここまで話した所で、女性陣の反応は・・・
ルイズは、かなり嘘臭そうに顔をしかめていた。特に23歳の皇帝という辺りで。
キュルケは、素直に感心したような感じに見える。
タバサは、やっぱり無表情。でもちゃんと聞いているのだろう。
デルフリンガーは、さらにえげつねぇニーチャンだなぁ、と呆れた。
とりあえず最後まで聞いてもらえたので、ヤンは満足した。
「まぁそんなわけで、僕の国は最初から最後まで、その皇帝に負けっぱなしだったんだ」
最後まで聞いてもらえたのはいいけど情けない話だなぁ…と気が滅入りそうになる。
で、改めて女性達を見ると、ヤンの顔を真っ直ぐ見つめ、そして何かを納得したようにそ
ろって頷いた。
何について全員頷いたのか、ヤンは聞く気にはなれなかった。
「へぇ〜、凄い皇帝なのねぇ。ねぇねぇ!あなたのお国の話、もっと聞かせてくれないかし
らぁ?」
そう言ってキュルケがヤンにずずずいと近寄り、胸をすり寄せる。
「いや、あの、僕はゲルマニアの話を・・・」
寄られるヤンはタジタジだ。自分の半分くらいの年齢の女性に戦略的撤退を余儀なくされ
てしまう――つまり、後ずさる。
ヤンを挟んで反対側にいたルイズがグイッとヤンを引っ張り寄せる。
「何してんのよあんたは!真面目にやんなさいよ!」
「あーら、いいじゃないのよぉ〜。あたしの国ばっかりじゃなくてぇ、ヤンの国の事だって
知りたいじゃないのぉ」
二人の若い女性に引っ張り合いをされるという、彼の人生で滅多に無かった体験。ヤンも
大汗を流して困り果てる。その有様にデルフリンガーの笑い声が重なる。
タバサは講義が終了した物と判断し、鞄から本を取り出して読み始めた。
そんなこんなで、ルイズの部屋からは深夜まで黄色い声が響いていた。
夜も更けて、皆がアクビを出し始める。
「ふわぁ〜。ありがとうございました、ミス・ツェルプストー」
「ああんもぉ〜、いい加減キュルケって呼んでよねぇ〜」
「呼ばせないわよ!さぁさぁ、もう帰りなさいよ!」
「はいはい、それじゃ、また明日ぁ〜」
キュルケとタバサは自分の部屋に戻っていった。
ダメだ、支援が止められない!?
どう見てもフーケが姐さん女房支援
680 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 19:08:57 ID:5dwISj5d
「ふわぁ〜…それじゃ、ルイズ。僕はトイレに行ってくるよ」
「…はふぅ…すぐ帰ってくるのよぉ」
ヤンは部屋を出て、寮塔からも出る。女子寮塔は女子だけなので、女子トイレしかない。
だから使用人用のトイレへと向かった。
「よぉ、見てたわよ」
トイレから帰る途中、ヤンは女性の声に呼び止められた。
寮塔の前に立っていたのはロングビル。
「おや、どうしたんだい、こんな夜更けに。新しい獲物の品定めかい?」
「よしとくれ。職業柄、夜型なのさ。だから軽く夜の散歩でもと思ってね。そしたら寮塔の
窓にあんた達の姿が見えてねぇ」
そういってロングビルはヤンに歩み寄る。
「それにしても、意外だねぇ。あんた、あのアルジが嫌いだと思ってたよ」
「うん?何の事だい?」
とぼけたように肩をすくめるヤン。
だがロングビルは真面目な顔でヤンを見つめている。
しばし沈黙した後、ヤンは諦めたように息を吐き、月を見上げた。
「僕には息子がいたんだ。戦争孤児でね、ユリアンっていうんだ」
ロングビルは黙ったままヤンの話を聞く。
「あの子は国の政策で、僕の所に養子として来てくれてね。色々僕の面倒を見てくれたん
だ…というか、僕の面倒を押しつけられたという感じだね」
「あんた、手間がかかりそうだもんねぇ」
「まぁね。無駄飯食いと呼ばれたのは伊達じゃないよ」
「いばッて言う事かい?」
クスクスと緑の髪を揺らして笑う。
ヤンも笑い出す。
「あの子は、政府に僕の所へ行けと命じられて、僕の息子という立場を押しつけられた。で
も、あの子は文句を言うどころか、本当に僕の面倒をよく見てくれたよ。掃除も、洗濯も、
食事に茶の入れ方まで、本当に完璧に家事をこなしてくれた。
それどころか、軍にまで入って、僕を必ず守ると言ってくれたんだ」
ロングビルは笑うのを止める。ヤンの瞳に寂寥が含まれているのが分かったから。
「で、自分を見てどうなんだろうって思ってね。
使い魔という立場を押しつけられた時、僕は即座にルイズの下を出て行こうとした。当然
家事なんて出来やしない。ルイズを守ると言っても、彼女がこのハルケギニアの貴族制度の
中で生きていくのを守るなんて、僕には難しいよ」
「…で、せめて、あの子に友達の一人でも…てか?」
「う、ん…まぁ、ね。我ながら、傲慢で身勝手な考えだと思うんだけど」
「あんたを奴隷にしようとした娘だよ?」
「でも僕は奴隷にならなかった。なら、その事は水に流していいんじゃないかな」
ヤンは恥ずかしげに頭をかく。
そして笑われるか、呆れられるかと思ってロングビルを見直した。
だが、彼女は微笑んでいた。
681 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 19:11:36 ID:5dwISj5d
「あんた、本当に軍人らしくないねぇ」
感心したように、嬉しそうに言うロングビル。
「うん、自分でも向いてないと思う」
ヤンはロングビルの端正で知的な眼を見る。月明かりに照らされた緑の髪がキラキラと輝
いている。
思わず赤面して、顔を下に向けて更に頭をかいてしまった。
そんなヤンの丸まった背を、ロングビルはバシッと叩いた。
「なーに縮こまってンだ!そんなんで、あの子を守れると思ってるのかい!?」
「ごふっ!い、いや。守るッて言われてもなぁ…僕はいつまでハルケギニアにいるかも分か
らない身だし」
「だったら!いる間はあの子を守ってやんなよ。どーせ迎えが来るかどうかさえ分からない
んだろ?」
「うん、まぁ、そうだね」
「んじゃ、早くあの娘ンとこに帰りなよ。きっと寂しくて泣いてるぜ」
「それは無いと思うけど。それじゃ、おやすみ」
ヤンとロングビルは手を振ってそれぞれの寝床へ帰って行った。
二つの月は夜の闇の中でも学院を明るく照らし出している。
それは、何か聖なる場所のようにも見えた。
第七話 聖地 END
682 :
ゼロな提督7:2008/03/11(火) 19:13:16 ID:5dwISj5d
というわけで、第七話投下終了です
自分としては、こういう穏やかな日常の方がスキなんですが、どーも一般的には・・・
なので投下逃げー
乙&GJです!
原作知らないけど、面白くて一気に読めました。
自分のペースでこれからも頑張ってください!
GJです!
日常描写は俺も好きですよ。
お疲れ様っす!
日常ネタは私も好きです。メリハリがつきますしね。
686 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/11(火) 19:29:52 ID:fKEOdBu9
つーかよく書けるな
>>682 毎回楽しみにしてますよ。
今回もGJでした。
ただ、ヤンのラインハルト評が、それだけがちょっと気になった。
> 「どーお?ヤンもこーんな酷い皇帝は、なかなかお目にかからないでしょ」
に対して
> 「似たような事をして皇帝になった人がいる」
と言いってラインハルトを引き合いに出すのなら、
「でもね」みたいに続けて多少のフォローは入れて欲しかった。
今回の話だけだとラインハルトも酷い皇帝って言い方になってるような。
まあ、ルイズ以下聞き手が深く突っ込んで聞かなかったから流しただけなのかも知れないけど。
>>650-651 うう、ありがとう。
でもなんだろう。俺の目から流れるこれはうれし涙じゃないような気がするぜ。
ふと思いついたんだが、
「Otogi Story P.E.T.S.」から「ルイズがご主人様のオリジナル守護天使召喚」って、
このスレ的にはどうなの?
GJでした>ゼロな提督の投稿者様。
日常と言えば、そろそろヤンもお茶の淹れ方くらいは上達したのかな、と。
怠惰な性癖と生来の不器用さよりも、美味しいお茶を飲みたい&ルイズに飲ませて
あげたいという意欲の方が勝って、上手くなっているのではないかなどと想像して
しまいます>作品の雰囲気から。
ゼロの提督面白かったです!職人さんGJぐっじょぶ
ゼロの提督、いつも楽しみにしています。
学園は割とのんびりしてますが、聖地はかなりやばいことになってますね。
オールドオスマンがその話を知ったらショックで死んじゃうかもw
>>688 それはルイズが召喚するよりむしろちいねえさまが召喚する方が自然じゃないかな?
提督グッジョブ!!
一つの読み物としてすごく面白いです。
向こうの兵器群がきっちり話に絡むようで期待大。
しかし、ヤン。
紙のないハルゲキニアのトイレにどんな感想を持ったか聞きたいものだw
ハルゲキニアのトイレはした後紐で尻の穴を拭くんだよね?
紐はちゃんと置いてある桶の水で洗って何度も使うんだよね?
昔のトイレは拭き取りが適当だったのか・・・
そう考えるとルイズのパンツはバッチイのかもなw
提督のマチルダが可愛いすぎる
>>688 元ネタ知らんから何とも言えんが、そのオリジナル守護天使とやらが元ネタにいないオリキャラだと言うのなら
「お帰りください」と言われても不思議じゃない
そうでないならまあ、問題ないと思うよ、多分
はさむことは得意なフレデリカさん乙!
ゼロの提督氏、投下乙です。
何という穏やかな日常風景。
が、その余韻を楽しむ間もなくルイズのうんこパンツに記憶が上書きされてしまったw (´゚Д゚`)ウヴァー!!
>はさむことは得意なフレデリカさん
凡人のせいで変な想像しちゃう
>>688 >>697 元ネタ的にはオリキャラでも、ゼロ魔的にオリキャラじゃなければいいかも知れない。
「カラッポの使い魔」の人修羅ヒラガ・サイトとか。
いや、リアルタイムでは読んでないんだけど投稿当時はどうだったん?
でも、ハルケギニアに召喚された平賀才人が、
実は胎果の麒麟でルイズを王として十二国に連れ去る、みたいな話は避難所だろうなぁ。
大丈夫、そのうんこパンツもシエスタがせっせとその白い手を汚しながら洗ってきれいにしてくれるよ!
そんな下の話より、ルイズとタバサが作る口噛み酒の話でもしようぜ。
ゼロ提督7ですが
「なぜ聖地では全てが吹っ飛ぶのか」
これを語りあうのはルール違反ですよね
テンプレ違反ではないようですが、倫理違反かと
俺が口を挟むのもなんだが、この世界紙はあるぞ?
印刷技術も発達してるし。
魔法で紙をほいほい作れるからね。
※一時的な錬金の場合恒久的な錬金よりずっと簡単です。
どうみても先の展開への伏線だから、倫理違反というか無粋
>>704 避難所の考察スレならそういった話題もOKだと思いますyo
>>705 ハルケギニアは中世ヨーロッパ風と言われがちだけど、実はルネサンス期なんだよね。
銃があるし。元ネタは三銃士らしいし。てことは紙もあるんだろう。
このスレサイコーだ
俺の嫌いなサイトがでないから
うんこパンツとはけしからんな
ではおマチさんとルイズのパンツは俺が洗おう。
>>709 少なくとも原作への敬意や愛のない人は、このスレにいるべきじゃないと思うんだ。
仮にそう思っていても、そのことを黙っていられるだけの分別を身につけるまでカキコは控えたほうがいいかと。
トイレが部屋の片隅に置かれた壷でないことを被召喚者たちのためにも切に願う。
>>712 部屋の片隅に置かれた壷なら
ルイズのしーしーが拝めると何故考えないとも思ったが
肥え壷ってウジが・・・('A`)
このスレのヤンは嫁に見つかったらヌッ頃されそうだなw
>>714 フレデリカはそんなことしないよ。
ハマーン様みたいな声で絶対零度の笑みを浮かべるかも知れないけど。
シエスタのじーちゃんはデューク・フリート氏に願いたい。ばーちゃんがハマーん様
「トイレを壊された戦艦」がヤンを迎えに来そうな気がしてならない。
617 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 16:11:40 [ tHBK9XdA ]
もしや、荒らしが台頭しているスレの空気を一変させるための道化になりに来たんだろうか
618 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 16:58:19 [ MgVGg4k6 ]
例の奴、あれで初めてじゃないとかある意味すげえ
何度か書いた事あった上であの出来なのかと呆れるよりも同情しちまった
619 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 17:01:57 [ EEOG/MHw ]
技表とかでた時点で、NG登録したお( ^ω^)
620 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 17:06:15 [ a.1JNxUw ]
なんか微妙なのに限ってwiki登録とか積極的だよな。
621 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 17:15:59 [ Tcrf/Z/U ]
単に自己顕示欲が強すぎてまともな推敲する前に発表しちゃうからじゃないか
622 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 17:16:03 [ TrqxpMUY ]
「おい、足元にあるこれ、ウンコかな」
「わかんねぇ」
「臭い嗅いでみろ」
「うーんわかんねぇ」
「さわってみろよ」
「うーん、わかんねぇ」
「食ってみろよ」
「ああ、こりゃウンコだ」
「よかったな、踏まなくて」
623 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 17:40:29 [ MGniCCq6 ]
にしても、何でこう無闇矢鱈に持ち上げる奴が多いんだろう
あれ、そんなに面白いのか?
624 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 17:47:34 [ a.1JNxUw ]
褒め殺しかと思ったがそうでもないのか…?
原作知らん俺にはなんとも言えん。
625 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 17:52:33 [ MgVGg4k6 ]
レスしてる連中の口調から察しろ、って感じか
他所からのお客さん、便乗愉快犯、自演の混合あたりだろう
どう見ても普通ならスルー対象だからなあれ
626 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 18:26:26 [ 6I8oN7oc ]
書き慣れていないようだから、優しくしてるんじゃないの?
627 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 18:29:39 [ v/Fhikw2 ]
善意の目で見て、わざとアレな出来の作品を投下したわけじゃないと考えても、あの内容じゃ作者も三日後に見直して黒歴史認定して見なかったことにすんじゃね?
それかwiki登録してもらった後でほぼ全文書き換えとか。
628 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 18:29:39 [ tFE1YrEU ]
完結しないで逃亡する気がするのは俺だけかな?
629 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/11(火) 18:43:18 [ MGniCCq6 ]
>>627 でも、周りが変に持ち上げてて、それを真に受けてる可能性があるからそう言う事に気付くのが遅くなると思うぞ
つーか、三日で気付けて黒歴史にするだけの分別があるんだったら最初から投下しないと思う
まあ、最終的なオチは
>>628だと思うけど
16〜19世紀だからね。
コークスや(メイドに限らず)制服は19世紀以降だ。
提督乙! ってなんだこのトイレ談議は。
マーラ様が来たなら、同じくメガテンのベルフェゴールならどうだ。便器に座っているぞ。
日常と言えば、いくら図書室の時間が惜しいからといって、サンドイッチみたいなファストフードを、
それもよく咀嚼もせずに水で胃に流し込むような食事の仕方は体によくありませんぞ。>ヤン提督
少なくとも、あの世界で自分の体の維持を最優先させるなら、面倒でも十分に咀嚼して内臓への負担
を軽減し、消化酵素の浪費を抑える食習慣は身につけるべきかと・・・
提督って毎度おもしろい
ちと気になったんだけど、盆地ってクレーターじゃないよな?
元ネタ知らない作品が多いな
みんなはwikiとかで予習するの?
>>682 俺も日常スキです!
ええ、なぜか日常でフリチンになる使い魔の話を書くくらい(w
>>723 クレーターに似て非なるもの、っぽいね。
クレーターだと上から高速で衝突すると出来るものだけど、
この描写だと空気を押しのけて、地の底からでるっぽい。
>>682 というか、バトルシーンなんて要らんから日常シーンを丁寧に描いてくれって思うことの方が多いしな。
これからも今の路線で頑張ってくれ。
>>714 >>715 本編にそんなシーンがなかったので想像しようがないが、
この場合、死んでたと思ったら生きてたというだけで許しそうな気がするが。
でも、忘れないだろうなぁ…。絶対に。
>>728 笑顔で杖と銃を向け合うフーケとフレデリカなら簡単に思いつく
管理人さんみたいなエプロンつけてる状態から数秒で軍人の顔にはや代わりする人だしな
しかしヤンはフーケの好意に気付いていないのでした、まる
ヤンは緑フェチなのか
60年前の生き残りはたぶんシェスタ祖父だろうな。銀英伝で該当しそうなのはちと思いつかん。
30年前のはたぶんまだ生きてるだろうけど、50〜70代くらいでゼロ魔で出てきてそうなの誰?枢機卿くらいか。
銀英伝原作だと外伝4巻の第2次ティアマト会戦辺り。とすると、730年マフィアの誰かか、帝国側だとミュッケンベルガー父とかかな。
>>733 なにも有名人である必要は・・・
名もない一般兵でいいやん
今見ました。
提督の方GJです!
いや〜、にしてもこの一面をポプランかシェーンコップに見せてみたいもんですなぁ。
「お前もついにこちら側の人間になったか!」
という感じでからかう二人の姿が目に浮かんで仕方が無いww
ラインハルト陛下、コメントを。
外伝4巻見たら第2次ティアマト会戦は745年だから55年前だった。
シェスタの祖父はこっちかな。
エンジェル伝説から北野君をだな…
>703
それは佐々木さんが、タルブ広めた技術ですぜ旦那。
>>738 「おい、ゼロのルイズが悪魔を召喚したぞ!」みたいなw
外伝で銀英伝側の描写は出るのか出て欲しくないような…
ええい、悪魔も泣き出す使い魔の続きはまだか
TSは病気
擬人化は文化
ふたなりはHENTAI
つまり紳士は皆ふたなりなのか
>>738 悪魔も泣き出す使い魔も泣き出す使い魔w
>>710,
>>719 昔読んだ子供向けのかなりいい加減な情報なんだが、18(19かも)世紀初頭までは、ヨーロッパの女性の下着って下半身部はスッポンポンだってのを見たことがあるんだが
残念ながら、ゼロ魔の世界には反映されてないようだが(w
どうでもいいが未だにシェスタていうやついるんだな
それで単語登録でもしてるのか?
日本でなら確かに女性用下着がなかったので、すっぽんぽんだった
もしドロワーズが買えないほどビンボーな下層階級だったら・・・確かにヨーロッパでも、だろう
>>747 ネタに本気になっちゃいけませんよ。
そんなことよりシェスタシェスタお昼寝さ。
>>733 いや、死んでるだろう。
時期などから察するに、オスマン老の恩人だと思うぞ?
提督作者としては、そういう設定よりも
ヤンがルイズを父のごとく暖かく守る姿を見て、萌えて欲しいと思ってるんじゃないか?
ヤンとしては「兄として」なんて考えてたりして
予約がないなら50分に投下します。
ペルソナ 〜トリニティ・ソウル〜 / PERSONA - trinity soulの神郷慎
シエスタのじいさんがむちゃくちゃきになるなあ
>>748 その本の記述だと、かごみたいなスカートの貴婦人や、足を高くあげて踊るバレリーナもって書いてあったんだが…
ちなみに下着が普及したきっかけは、窓拭きのメイドが高い窓をふく時に履きだしたとか、
日本の場合、どっかのデパートで大火事があった時、下に何もはいてないので恥ずかしくて飛び降りることができず大勢の女性が焼死したのが、下着普及の原因になった、とも書いてあったなぁ
余談ながら復刊リクエストがかかっている”へんな学校”の下着学教室の話
ttp://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=21572
ん?さるさんか?
756 :
PZero:2008/03/11(火) 22:56:49 ID:4tbDD5gs
PZero01
周囲の嘲弄を背景に渾身一滴今日も今日とてルイズは杖を振るう。
ハルゲニアの大地が震え、花を謡う。オージー魂も爆発だぜ。
爆発だあーーーー!!!
煙がおさまると平民が出てきた。
http://www.persona-ts.net/character/shin.html 周りの生徒と教師がへーみんへーみんとはやし立てるなか教師がルイズに契約をしろと急かす。
「早くしたまえ。ゼロのルイズ。」
「ちょwハゲ頭だいじょうぶ?これ平民ですよ?こんなゴミと契約しろと?」
「じゃあ落第しますか?つーかてめえには平民でも分不相応だクソガキ早くしろ。後の授業が押してんだよ!」
慎はむかつく会話のやり取りを聞きつつ流川になる。しかし原作補正でルイズとハゲにフルボッコされ強引に唇を奪われる。
慎の左の手のひらにルーンが宿りクラス全員の契約はようやく終わる。
「ゼロのルイズ。やっと契約を終えたようですね。やれやれ。ん?珍しいルーンだな。」
苦しんで這いつくばってる慎のわき腹を蹴り上げ教師と生徒は談笑つつ杖で慎の左手を叩き払う。
コルゲールはルーンをメモに書き映すと生徒たちに教室に戻るよう指示する。
「じゃあ教室に戻るぞ。ゼロのルイズは歩きな。ボクのフライは一人専用なんだ。HAHAHA」
コルベールがフライで厨に浮き学園に消えていく。残された生徒たちもそれに続く。
慎までもがペルソナを使い学園に向かう。
ここにきてついにルイズの怒り爆発、慎に向けられた爆殺のあおりを食らって数名の生徒が命を落とすことになる。
支援
……春ですな
誤字少しは直そうぜとか言いつつ支援
春の陽気は人を狂わすのかな
もともとなのかな
もしかして、書きながら投下してる?
BETAが召還されたらメイジの抵抗もむなしく人類滅亡
魔法学院が士官学校になり
ルイズも戦時任官
ちょっと聞きたいんだが、渾身一滴って言葉あるの?
乾坤一擲の間違いじゃないよな?
リンク・・・
おかしいな、へーみんへーみんがえーりんえーりんで再生される……
>>736 「正しい認識だ」じゃないの?
キルヒアイスやアンネローゼを侮辱した場合と違って
乾坤一擲といわれるとなぜかダンクーガ思い出す・・・
769 :
漆黒の瞳の人:2008/03/11(火) 23:21:53 ID:kaA6zoLa
間が開きましたが…投下してもよろしいですか?
待っていた
支援
>>762 そういえば武ちゃんの人も2ヶ月ほど投稿してないな
続き楽しみにしてるんだが
774 :
漆黒の瞳の人:2008/03/11(火) 23:24:16 ID:kaA6zoLa
では、25分くらいから投下いたします。
「うっわ〜! 見なよ! 月が二つあるよ!?」
「ピヨピヨ!」
「ほ、ほんとだーにゃ! それも、両方見たこと無い色に模様だーにゃ!」
「つ、つき…? あ、あれ? 月って、ほ、ほんとは…い、幾つだっけか?」
「グルルルルルル」
「え、え、一つだってばさ〜」
「おつきさま、ふたつ? どっち、みたらいい?」
「ガウガウ」
「これは面妖な。やはりここはワシらの知らぬ大地なのかのう?」
「かつてリュカ殿は妖精の住まう世界に行った事があると聞く。そこは海の色も空の色も普通とは全く違っていたとか…やはり、そうであるとしか思えないな」
トリスティン魔法学園の一角。
大型の使い魔たちのため用意された厩舎の傍で、リュカと共に呼び出されたその仲間たちは、上天に昇った月を見て、わいのわいのと騒ぎ立てていた。
リュカが禿頭の中年男性に連れられて行ってから暫らく経つ。馬車と共にこの場所でリュカの帰りを待つことにした仲間たち。
だが見知らぬこの地と人々の様子、判らぬことばかりに加え、長たるリュカの不在は一行に不安の影を落としていた。
そこへ蒼紅の双月が昇ったのだ。今まで北大陸をくまなく旅し、西大陸に渡っても変わりの無かった『空』の違いに、一行が騒ぐのも無理は無い。
その騒ぎは隣の厩舎で今日召喚されたばかりの他の使い魔達も驚くほど。
「うるさいのねー!きゅるきゅる!!」
そんな苦情の声も掻き消えてしまう騒ぎであった。もっともそこまで騒げば、注目も集める。
何事かと遠く学生の宿舎の窓から様子を伺う学生。
使い魔との感覚の同化に成功したばかりのところへ、この騒音をぶつけられ悶絶する者。
遠巻きに何事かと様子を伺う学園の使用人達。
そして、学長室を辞したリュカと、その後ろに隠れるように様子を伺うルイズ。
二人は、学長室を辞した後、此処へ足を運んでいた。お互いのことをより不覚話し合うべきと判断したからだ。
「どうしたんだ? そんなに騒いで?」
「あ、リュカ! 見てよ! 月が二つなんだよ!……ん?リュカの後ろにいるのって、だれ?」
「あ、さ、さっき…あ、あった子だな…! す、すぐに、気絶したけど」
「ひっ! ミ、ミスタ・リュカ! やっぱり死んでるように見えるのですけど!!」
ルイズはどうやら、スミスの外見のインパクトに半ばトラウマに近いものを植え込まれてしまったらしい。
プライドの高さも大きな特徴なのだが、今は完全に畏怖の念で多い尽くされてしまっている。
「でも、スミスは良い奴だよ。心は誰よりも綺麗だとおもうし」
「くさってーけどにゃー」
「ドラきちも茶化すなよー」
「…まぁ、無理も無いのう…ワシもスミスの顔を心の準備無く目の前におかれたら、そのまま臨終するかもしれん」
「老師、洒落になっていませんぞ」
とはいえ、その他の仲間達はさほど恐ろしい姿をしている訳でもない為、ルイズも次第に打ち解ける。
そしてようやく、お互いの事、お互いの知る事を話し始めた。
トリスティンの事、メイジの事、使い魔の事。
ラインハットの事、リュカの事、仲間の事。
お互い納得のいかぬ事象もあった。
支援
特に、リュカが使い魔となった事を語られる段では、ピエールなどルイズに掴み掛からんほどに詰め寄ったほどだ。
曰く、偉大なマーサの息子たるリュカを、再び奴隷に貶める気か!と。
その場は他ならぬリュカの取り成しで事なきを得たが、ルイズにとってはスミスに続いて苦手な相手が出来た瞬間でもあった。
逆に、ルイズが眉根を顰めたのは、リュカが貴族ではないと言う点だった。
ルイズの知る常識では、魔法を扱える者はメイジであり、貴族である。
貴族から身を落して平民となるメイジも居るが、それは例外の範疇にあるものだ。
故にミスタ、と敬称を付けても居た。だが、この異郷のメイジは貴族ではないという。
いや、正確には『判らない』と言うべきか。
詳しい言及はリュカもその仲間も避けたためルイズには知る由も無いが、この異郷の青年の辿った数奇で過酷な運命は、
その出自を確かめるに困難な状況を作り出していた。
ただ、幼い頃に召使が居たとの話がされると、ルイズも何かに納得したようだった。
ちなみに、ルイズとリュカがほぼ同年齢という点は、スラリン等から盛大に驚きの声が上がったのは言うまでもない。
夜半過ぎ。長くお互いの事を語り合った一行は、馬車の中で何時も通りに眠りにつこうとしていた。
普段ならば、誰か一人は周囲の警戒の為起きているのだが、今夜は全員眠りの床に在った。
なんと普段はあまり眠りを必要としないスミスまで転寝をしている。
学園内にモンスターは出ないのだ。そしてリュカは一応学園内で保護を受けうる対象である。
ならば警戒する必要も無い。何より今日は全員疲れていた。
だが、その中で二つだけ、寝息を立てていない者が居た。
「本当に良かったのですか? リュカ? やはり私たちの誰かが代わりに…ルイズとかいう娘の使い魔になった方が良かったのでは?」
「元の世界に戻る方法を探してもらう条件だったから仕方が無いさ。これで少なくとも、手がかりも無しに見知らぬ土地をさ迷い歩かなくてすむ」
リュカと参謀役のスミスだ。
ちなみにルイズは自身の部屋に戻っている。
リュカもルイズの部屋で眠ると言う選択肢が無いでもなかったが、うら若い娘と同じ部屋で寝泊りするのは問題があると断っていた。
そもそもリュカたちの馬車は旅の間の寝所でもある。寝るのも慣れた場所のほうが良いと言うものだ。
「ですが、このような印が刻まれるとは…まるで焼印のようではないですか」
「確かにこれが浮かぶときは呪文で焼かれるような熱さだったさ。だけど…まぁ、あの教団のころに比べたら、大した事無い。
それに、使い魔の役目をみんな手伝ってくれるんだから」
「……確かにそうですが……」
リュカは、ルイズと契約を結ぶ前にオールド・オスマンと幾つか約定を交わしていた。
一つ目は、元の世界に帰る方法を学園が責任を持って探す事。
二つ目は、少なくともルイズが在学している間は、リュカとその仲間を学園が庇護の下に置くこと。
三つ目は、元の世界へ帰る方法が判り次第、ルイズに再度の使い魔召喚を認める事。
これらの要求が呑まれるのであれば、ルイズの使い魔となってもよい、と。
代償として、ルイズの使い魔になる事以外にリュカの扱う『魔法』の情報を求められたがこれは許容範囲だ。
もっとも使い魔になると言っても、教えられた使い魔の役目の中でリュカに出来るのは、主を守る事、くらいであろう。
同時にそれはリュカでなくとも…リュカの仲間達でも出来る事だ。
結果、その条件を聞いたピエール達は、リュカの代わりに交代でルイズの護衛につくことを申し出たのである。
そしてリュカには…この世界の知識を学んでもらうと同時、元の世界に帰る手段をさがしてほしい、と。
「…リュカには果たさなければならない使命があります。それをこのような異界で時を無為に過ごさなければならないのが、口惜しいのです」
ピエールは、リュカの仲間の中でも最も忠誠心が高い一人だ。それはリュカの母マーサをかつて深く敬愛して居た事から始まっている。
故に、闇の世界へ連れ去られたマーサを救わんとするリュカがこんな偶発的な原因で使命への遠回りを強いられる事に我慢できないのだろう。
だが…そんなピエールの様子に、リュカは首を振る。
「無為、かどうかは、わからない。ピエール、これを見てくれないか?」
「それは…その光は!?」
リュカが取り出した物を見て、ピエールの上下4つの目が丸く見開かれる。
とりだされた『それ』は、馬車の中を清涼な光で淡く照らし出している。
「この世界に来て、気がついたらこうなっていた。原因はわからないけれど、もしかすると、近くにあるのかもしれない」
そういうと、再び淡い光を放つそれをしまい込む。
再び夜の帳が落ちた馬車の中、ピエールは考え込むように言葉を漏らした。
「……もしや、我々は来るべくして来たと言う事でしょうか?」
「それを明日から調べたいと思ってる。…そろそろ寝よう。明日ルイズを起こしにいかないといけないんだ。ピエールもそろそろ寝たほうがいい」
そう言って、眠るプックルの傍で身を横たえるリュカ。ピエールも言葉に従い身を横たえる。
目を閉じるピエールの隣でコドランが、自身の零す甘い息につられるように深い眠りに落ちている。
ピエールもその香りに身を任せていった。
天空の装備の一品が放っている光の意味を思いながら。
支援
781 :
漆黒の瞳の人:2008/03/11(火) 23:31:05 ID:kaA6zoLa
今日は此処までです。
文の分割位置とか微妙すぎました
あと、ミスを一点。
>>リュカと参謀役のスミスだ。
参謀役はピエールでした。
申し訳ありません。
>>738 つまりこうか
ギーシュイベント
北野(あれ? さっきお話ししたメイドの子が怒られてるぞ?)
北野(ダメだよ、喧嘩は良くないよ。そうだ、喧嘩はダメだって、ちゃんと言えばわかってくれるよね)
北野「ケヒャィーーーーーー!(ケンカはダメー!)」
ギーシュ「ヒィィすんませんでしたぁぁ〜! ボクが悪かった〜!」
北野「……(あ、謝ってくれた。良かった。やっぱり話せばわかってくれるんだなぁ)」
フーケイベント
ロングビル(ダ、ダメだ…あんな悪魔がいる学校で盗みなんてできない…ガクブル)
ワルドイベント
ワルド(ダ、ダメだ…あんな悪魔に勝てるわけがない…そ、そうだ、偏在を使えばなんとかなるかも…よし、ちょっと試してみるか…)
北野「………(あれ? ワルドさん、何怖い顔して杖を構えてるんだろう? そうか、周りに警戒してるんだ。でも、何でもかんでも暴力で解決しちゃ駄目だよね)」
北野「ワルドさん?」
ワルド「ヒッ! ハッ、ハイッ!」
ガシッ、と北野の腕がワルドの杖を掴み、顔を見上げながら言う。
北野「ワルドさん…暴力はいけませんよ」
ワルド(お…終わった…み、見抜かれていた…駄目だ、この悪魔に勝てるわけがない…)
7万の兵士
「ダ、ダメだ…悪魔がいる…か、勝てるわけがねぇ!」
総崩れ
そして聖地は北野君に奪還され、後に「悪魔の地」と呼ばれるようになった
ごめん、こんなのしか思いつかない
>>209 妹さんがああいう上司になっちゃったもんねー。
お姉さんであるあなたもむべなるかなって感じか。
体育会系だったら体育会系だったらで面白いけどさ。
いやいや可愛い子に気を使うのは男の甲斐性って奴だから。
悪いとか思わずに当然だよねとか思ってくれていいんだぞ?とか。
さてさて、そろそろ俺はお暇しようかな。
それじゃまたどこかで会った時にはよろしくー
ガチ誤爆
漆黒の人乙!そしてGJ!やっぱりピエールが喋ってくれると嬉しいな。
そして人語を話さないのはプックルとコドランでおk?
787 :
漆黒の瞳の人:2008/03/11(火) 23:45:32 ID:kaA6zoLa
>>786 人語×はプックルとコドランです。その通り。
あと、ついでにピヨピヨがクックル。
ピエールは小説版が大好きなので…たぶん準主役になるかと。
この人数でまともに会話させようとして、この2週間挫折してたです。
漆黒の人GJ
今までに無いほのぼの感がたまらん
>>782 そんなへっぴり腰なワルドは嫌すぎるw
ということは書きためてないのか。少し残念だけど、その代わりに長く投下なくても待てそうです。
頑張ってください!
まぁリュカご一行様だけで大所帯だからねぇ。
とはいえルイズもおとなしくしていそうだし、原作とはかなり違うお話になりそうです。
Wake up! The hero!
燃え上がれ〜♪
光と闇の果てしなきバトル〜♪
792 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/12(水) 00:23:15 ID:DHX06BiW
か
ひさびさにキートン投下していい?
P L E A S E
>>787 乙!小説版の仲間達は漢だって聞いてたがなるほど納得。
スライムナイトのピエールにはゲームでもとてもお世話になりましたぜ。
>>794 ゴーゴーゴー!
アジトにて
フーケは待機を命じられていた。露見はしていないとはいえ、自分のやったことは、重大な裏切り行為だ。だが、それでも自分は見て見ぬふりは出来なかった。何故だ?
あのキートンという男が憎くて堪らないのではないのか。一度ならず、二度までも自分に屈辱を与えたあの男が。
壁にもたれかかり、考えていると男が入ってきた。例の仮面の男である。
「うまくいったの?」
男は椅子に座りこむが、黙ったままだ。まさか、ばれてはいないと思うが…。
どうやら、誰かを待っているらしい。とりあえず、自分の問題ではないようなので、少しはホッとするフーケだった。
気まずい時間が流れた後、ドアが開けられる。
入ってきたのは男であり、外見からは紳士と言った感じだろうか。
とはいえ、いささか小賢しいような雰囲気をも持っている人物であった。
「やあや、諸君。遅れてすまないね。色々とあちらでも揉めていてね、余も忙しかったのだよ」
ワルドと同じテーブルの椅子に座ると、男はおもむろにワインを飲む。
丸い球帽と緑色のローブを付けている為、僧職か何かを思わせるものの、軽薄な感じでもある。
「閣下。問題が発生したため、ドレを処分しました」
「なんだって?」
閣下と呼ばれた男が怪訝な顔をする。ドレは、様々な依頼をこなしてきた有能な男だ。
それがあっさりと処分されたと言うのだから、すぐには納得できなかった。
「何故だね?勿体ない、昨今あれほど器用な男はそうはいないよ。せっかく、アルビオンの件でも働いてもらおうと思っていたのに」
「"教本"を見て、図に乗っていただけでありましょう。ドレは自尊心が強いので、後々我々の活動に支障をきたす恐れがあります。ご心配なさらずとも、奴の代わりなど幾らでもおります。クロムウェル閣下」
クロムウェル…オリヴァー・クロムウェルはううむ、と唸る。
クロムウェルは謀略関係に関しては、目前の男にまかせっきりだ。自分は報告を受け取るだけであるし、何よりも、己の立場上、下手に動き回って煩い連中に勘付かれてもいけない。
自分が欲しているのは、『地位』だ。今でこそ、自分は閉職に置かれているが、必ず上り詰めなければならない。アルビオン皇帝という地位を。
「ま、まあ、君がそういうのであれば、そうなのだろう。今後も働いてくれよ、ワルド君」
「勿論でございますとも。クロムウェル閣下」
ワルドと呼ばれた男…いつの間にか、仮面を取っていた男は薄く笑いながら答えた。
「お話中、申し訳ありません。閣下、ワルド様」
ドアがノックされたかと思うと、別の仮面の男が部屋に入ってくる。
何かあったのかと尋ねるクロムウェルに、男は淡々と話し始めた。
「監視員からの報告によりますと、見慣れない子供が目撃されたと」
「子供?子供ぐらい、そこいらにいるではないのかね」
(見慣れない、と言っただろう)
フーケは心の中でそう呟く。自分は表情には出ないタイプだが、クロムウェルは勘付いたのか、渋い顔でこちらを見たので慌ててそっぽを向いた。
「報告にあった男と同じく、奇抜な服装をした少年だったとのことです。ゲルマニア国境方面へと走り去ったと、目撃者が語ったそうです」
仮面の男はそう言うと、ワルドの方向を向く。当のワルドは頷くと、男に目配せをする。男は2人に深々と頭を下げると静かに退室していった。
「ワルド君、報告にあった男とは、一体なんだね」
「これは失礼しました、閣下。その男は我々にとって少々面倒な輩でして、排除を計画したのです。先ほどのドレの件もそれでして…」
ワルドからの報告を受けたクロムウェルは目を丸くして驚く。伝説の"ガンダールヴ"らしき者が現れたと聞いたのだから無理もない。
そんなクロムウェルの動揺をなだめると、ワルドはフーケの方向を振り向いた。
「こちらのフーケを苦しめたのも、そのガンダールヴでございます。閣下。ですが、ご安心下さい。既に次の手は打っておりますゆえ」
「ふむ。だが、その子供はどうするのかね。色々と使えそうな気もするが」
「そちらも問題なく進めます。閣下、我らは閣下の御為ならば身を惜しみませんので」
クロムウェルは機嫌よく頷くと、世間話をし始める。当のワルドは薄笑いを浮かべたままであったが。
「ところで、だ。例の部隊の訓練はどうだね」
例の部隊?例の部隊とは何か。フーケは目前のクロムウェルが吐いた言葉が気になった。
どうやら、自分には知らされていないことがまだあるらしい。それほど信頼されているわけではないのか、それとも…。
「そちらの方も滞りなく…」
「うむ、うむ。しかし、素晴らしいモノだね、アレらは!ロマリアの連中が血眼になるのも頷けると言うものだ。我々の常識からは考えられないもの…。なんと素晴らしい!」
興奮した調子で騒ぎ出すクロムウェルであるが、当のワルドは黙ったままであった。
フーケもまた、自分の知らないところで事が動いていることを知った。クロムウェルは兎も角、ワルドは何が目的で、何のために準備を整えているのか。
「単純な男だ」
上機嫌のクロムウェルが去っていった後、ワルドがぽつりと呟く。
蝋燭の灯がゆらゆらと揺れるのをフーケは見つめていた。重苦しい雰囲気ではあるが、目前のワルドは先ほどから薄く笑ったままだ。
先ほどの言葉通り、ワルドはクロムウェルに服従するつもりは、さらさら無いのだろう。
クロムウェル自身がどう思っているのかは知らないが、この男は、ただ己の目的の為だけに動いている。
それが何なのかは、今はまだわからない。
だが、自分はこの男についていくしかないのだろう。
夜の闇はまだ明けない。
所変わって、トリステイン魔法学院。
フーケ騒動の次は爆弾による破壊活動未遂。生徒達の間にも動揺が広がり始め、教師も頭を抱えていた。
そのような中、いつも通り、ルイズとキートンの二人はオスマンの学院長室へと呼ばれていた。
「しかし、爆弾とはな」
オスマンは溜め息をつく。自分の学院が狙われたのだから無理も無い。
明確な破壊活動が実行に移され、それ自体は未遂に終わったものの既に学院中に噂が広がり始めている。
教師達の中に、キートンを遠ざけるべきだという声がある――
苦渋の表情で報告するコルベールを前に、ルイズらも深刻な面もちだ。
シュヴルーズなどはそういった教師らをなだめる側に回ったものの、依然として不満が集まっている。
曰く、あの男が来てから問題続きだ、学院が今後も狙われるのではないかなどの声があがっていると。
爆弾による大惨事こそ免れたものの、それによって植えつけられる恐怖というものは絶大だ。
フーケのときとは違う、はっきりとした「殺意」というものが形となった以上、なんらかの対策を取るべきなのだろう。だが、具体的に如何すれば良いか?
いまさらキートンを放逐するなど出来ない。何よりも、目前の少女がそれを許しはしないだろう。
無論、自分も反対なのは言うまでもないが。
「提案があります」
ルイズが凛とした声で発言する。
「良い考えでもあるかね、ミス・ヴァリエール」
「キートンを私の実家へと向かわせるのはどうでしょうか。今は、皆が落ち着く時間が少しだけ必要なのだと思います。幸い、私の両親も、彼に会いたいと言っていましたから。勿論、私も付いていきます」
「だが、それだと君に迷惑がかかるのではないかね?無理せずとも、我々が彼らの説得を…」
「申し訳ありません、学院長。実は、ルイズと相談済みなんです」
キートンが少し寂しそうな表情で言う。こうも立て続けに事件が起きてしまったのでは、学院自体に迷惑をかけてしまう。
何よりも、行くところの無い自分を迎えてくれたオスマンらに対して申し訳が立たない――
別に、二度と帰ってこないという訳ではない…。ルイズによると、両親が誘拐事件の報告をキートン本人からも聴きたいという話であるため、オスマンもやむなく了承した。
朝、学院から馬車が一つ出て行く。操るのはキートン、後ろに乗っているのはルイズだ。
出発するにあたり、キートンを慕う生徒達やオスマンらが見送りに来てくれた。これは二人にとって幸いなことであったが、それに加え、オスマンから餞別ということでコート(現代のものとは多少外見が異なるが)も送られた。
二人は彼らに別れを言うと、馬車を走らせ始める。目指すはルイズの生家、ラ・ヴァリエール公爵領。
「迷惑をかけて、すまないね」
馬車の手綱を操るキートンが呟く。自分のせいでルイズの学業が疎かになりかねない。
教育に携わる立場として、それを痛感しているのがキートンだ。自分にとって、揉め事に巻き込まれるのは日常茶飯事だとはいえ、後ろにいるルイズにとっては迷惑極まりないだろう。
そう考えたのだが――
「あたっ!」
突然、頭を軽く叩かれた。
慌てて後ろを振り向くと、ルイズが恐い顔をして睨んでいる。
「使い魔の面倒を見るのは、主人の務めでしょ。途中で放り投げるなんて、わたしの性分にあわないもの!
…ちょっと、なんでニヤけてんのよ、まったく!」
ゴトゴトと馬車が揺れる中、ルイズの声が辺りに響いた。
「はじめに言っておくけど、父様と母様に失礼の無いように。周りのものを勝手に動かしたりしないように。姉様達にも失礼の無いように!」
「あ、ああ。わかった。肝に命じるよ」
「…その台詞、前にも聞いたわよ」
ルイズの実家は、それはもう素晴らしいものだった。音に聞こえたヴァリエール家らしく、外装も美しいの一言だ。
ルイズに姉がいたのは驚きだったが。
ただ、屋敷の方から何かを感じる。なんというか、威圧感というか…寧ろ、殺気か?
なんとなくだが、自分がここに呼ばれた訳がわかったような気がするな――
キートンは少しだけ、鬱屈な気持ちになった。
以上です
支援ありがとうございまする
乙ですた
既に深夜ですが、皆様こんばんは。
第10話の推敲が終わりましたので、予約なければ5分頃から投下したいと思います。
>>688 女神転生やペルソナみたいに主人公が非固定的なやつでならまだしも
それはねぇよ…俺の狐を汚しやがったらたたじゃおかねぇw
では、投下開始させていただきます
イザベラ管理人第10話:涙の理由・前編
任務を終え、双月が照らす漆黒の星空をプチ・トロワへ向けて飛ぶ最中、シルフィードは心労で鱗が剥げそうな思いだった。
(そろそろいい加減にしてほしいのね…)
正直、このままではプチ・トロワにつくまでに鱗がなくなってしまいそうである。
その心労の原因は…背に乗せている3人であった。
「へぇ〜お兄ちゃんって別の世界から呼び出されたんだ。だから変なんだね!」
そう言って朗らかな笑い声をあげるのはエルザだ。
自分の定位置だ、と言わんばかりに胡坐をかいた耕介の膝の上を占拠している。
「変って…別に普通だろ、俺」
エルザのあまりな言葉に反論する耕介だったが…実は先ほどから感じる恐ろしいほどの寒気に顔を引きつらせている。
そして、その寒気の発生源は…耕介から少し後ろで本を開いているタバサである。
その顔は本に向けられているが…視線は耕介の後姿へと向いていた。
その上目遣いの視線が、二つ名である雪風のような寒気を伴って耕介に吹き付けているのだ。
「変だよぉ、お兄ちゃんみたいな人、エルザ初めてだもん!これでもエルザは50年くらい生きてるんだよ?」
だが、エルザはそんなタバサの視線を知ってか知らずか…いや、知っていて、しかしとりあう気などさらさらないらしく、耕介を質問攻めにしていた。
「え、50年…吸血鬼って成長遅いんだな、長寿だからか?」
他愛ない会話を耕介を続けているが…内心は疑問でいっぱいである。
彼にはタバサの視線の意味を理解できないのだ。聞こうにもエルザが離してくれないので、今のような状況になっている。
ある意味この事態の中心人物であるエルザは、50年生きていると聞いても純粋な疑問以外に特別な反応を見せない耕介の態度にますますご機嫌度を高めていく。
「そうだよー。お父さんとお母さんは200年ちょっとくらい生きてるって言ってたかなぁ…むふー」
「お、おい、エルザ…」
ご機嫌度が高まったエルザは、まるで暖を求める猫のように、耕介の膝に乗ったまま向き直ると、背中に手を回して思いっきり抱きついた。
(そういえば美緒や小虎もこんな風によくひっついてきたなぁ…)
さざなみ寮に君臨する破壊魔にして周辺一帯の野良猫のボスとその子分を思い出して懐かしい気持ちに浸りつつエルザの背を撫でてやる。
エルザのご機嫌度はさらに天井知らずに高まり、その表情は蕩けんばかりの幸福そうな笑顔。
そしてエルザのご機嫌度に反比例するかのように、タバサのご機嫌度は下降の一途であり…背中に吹き付ける視線が氷河の域にまで達したのではないかと思うほどだ。
さすがにその視線に耐えかね、耕介は体をひねって後ろを向き、意を決して声をかけることにした。
「タ、タバサ…何の本読んでるんだ?」
まず無難な会話を振った耕介を、臆病風に吹かれたと見るべきか、ワンクッション置いただけと見るかは意見が分かれるところである。
「吸血鬼の生態について」
短く返したタバサの声は…口から氷を吐いているのではないかという寒々しさであった。
普段のタバサならもうそこから続けることなどないが…今回ばかりは違った。
「吸血鬼が無闇やたらに血を吸われないように対策を考えるべき」
その言葉の意味を耕介は図りかねたが…エルザは正しく理解したらしい。
「大丈夫だよ、タバサお姉ちゃん。エルザはお 兄 ち ゃ んからだけ血をもらうから」
『お兄ちゃん』の部分だけを強調したエルザの言葉に、タバサの頬が一瞬引きつった気がするが…目の錯覚だろうか。
「いつ血の誘惑に負けるかわかったものじゃない。吸血鬼は危険」
タバサも負けじと淡々と言い返す。
その言葉にエルザはさらに楽しそうに、外見に似合わぬニヤリといった笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんの血はとっても美味しいから、エルザ少しだけで満足できちゃうし…すぐに飲みつくすなんて優雅じゃないわ。なんならタバサお姉ちゃんも飲んでみる?」
雪風のタバサと、人間社会を生き抜いた吸血鬼エルザの舌戦に耕介は引きつった笑顔を浮かべて固まるしかない。
同時に、二人の視線が交わる中間点ではバチバチと火花が散っている気さえする。
御架月はこの雰囲気に耐えかねて霊剣・御架月の中に篭りっきりである。
普段のシルフィードなら、喧々囂々と喋りまくっているところなのだが…この空気ではさすがにそんな元気も出ない。
(お姉さまに心許せる人ができるのは歓迎なのね。でも今のお姉さま、お父さんを妹に取られて駄々をこねてる娘みたいなのね…)
シルフィードは飛ぶ、寒風吹きすさぶ氷点下の戦い(イメージ図)を背負って。
時間は前日深夜に遡る。
耕介は、涙を零して嗚咽を漏らすエルザを抱き寄せ、ゆっくり背を撫でてやっていた。
その様は悲しむ娘と、慈しむ父親のようだ。
二人の様子に何故か懐かしさのようなものを感じて戸惑っていたタバサだったが、日が沈んでからかなり時間が経っていたことを思い出した。
穏やかな雰囲気を壊すのは忍びないが…いつまでもこのままでいるわけにはいかない。
「コースケ、日が昇らないうちに」
まだ日の出には時間があるが…日が昇ってからでは遅いのだ。
日の出は吸血鬼であるエルザにとって致命的だ、一度村へ戻るために移動する必要がある。
「そうだな。エルザ、いこうか」
いまだ涙が止まらないエルザの顔を優しくハンカチで拭いてやり、耕介は立ち上がろうとした。
だが、シャツが引っ張られる感覚に耕介は中腰の姿勢でとまらざるを得なくなった。
エルザがシャツの胸元を持ったまま離してくれないのだ。
耕介を見上げる瞳は潤んだまま、何かを訴えている。
耕介はその瞳の意味を過たず読み取り、エルザを抱きかかえて立ち上がった。
「耕介様はさざなみ寮では父親役みたいなものでしたが…まるで本当の親子みたいです」
タバサの隣で雰囲気を壊さぬように沈黙を護っていた御架月が嬉しそうに呟いた。
その光景に懐かしさのようなものを感じていたタバサは…その言葉で答えを得た。
泣いている女の子と、あやす父親…そう、自分もああやって優しい父に慰められていた。
具体的な状況など覚えていないが、自分が泣いていたら、優しい父は必ずあの穏やかで温かい声で話しかけてくれた。
『どうしたんだい、可愛いシャルロット。何か悲しいことがあったなら、お父さんに話してくれないか』
普段は政務で忙しい父が自分をかまってくれる嬉しさもあって、タバサはよく泣いていた気がする。
その中には泣き真似も含まれていたが…父はいつも優しく慰めてくれた。今思えば、きっと泣き真似などバレていたと思うが…。
そういえば、父にかまってほしくて政務中でも膝に乗ったりも…
「タバサ、どうした?」
優しい記憶の温度に包まれていたタバサの心は、耕介の言葉で現実へと引き戻された。
どうやら、少し惚けていたようで、エルザを抱えた耕介が目の前に立っていた。
「泣いてるじゃないか、何かあったのか?」
そう耕介は言って、ハンカチでタバサの頬を拭ってくれる。
その仕草と声に再び追憶にふけりそうになって…タバサは気づいた。
我知らず、涙を流していたことに。
「わわ、タバサ様、どうされたんですか!?」
御架月が慌てて声をかけてくるが、タバサにはその声は意味持つ言葉として届いていなかった。
ビクッと一度震えて我に返ったタバサは、目にも留まらぬ早業で耕介の手からハンカチを強奪すると素早く後ろを向き目元を拭った。
耕介と御架月が声をかけてくるが、タバサはなかなか言葉を返すことができなかった。
数秒、深呼吸を繰り返して自己を取り戻し、声の震えを気づかれぬように細心の注意を払う。
「なんでもない。目にゴミが入っただけ」
正直、かなり苦しい言い訳である。だが、如何に百戦錬磨の雪風のタバサといえど、こんな状況は初めてであるので致し方ないところであろう。
「そうか、ならいいんだけど」
耕介も御架月もその声に特にネガティブなニュアンスを感じなかったので、追求はしない。
故に、タバサは窮地を脱したと思い込み、油断していた。
「本当に、何かあった時は良ければ俺に相談してくれ。できる限り力になるよ」
耕介はその言葉とともにタバサの頭を数回撫でてから、御架月とともに離れていった。
その言葉は、以前の翼人掃討任務の道中にも言われていた。当時のタバサには、その言葉は特に意味を持たない偽善者の妄言でしかなかった。
だが、今度は違った。その言葉は確かな意味と現実感を伴ってタバサの心へと届いた。
タバサが耕介とともにした時間は少ない。合計してほんの1週間程度だ。だが、タバサには確信できた。
耕介はタバサが助けを求めれば必ず力になってくれるだろう。自分のできることはなんでもしてくれるだろう。
タバサにはそう思える人がもう一人いる。それは彼女の唯一といって差し支えない友人キュルケだ。彼女もタバサが助けを求めれば必ず手を貸してくれるだろう。
だが、耕介に抱いた気持ちはキュルケとの友情とは少し違う気がする。
数瞬考え…ぽろりと真珠のような涙がまた一粒こぼれる。その時、答えが出た。
なんだ、答えなどわかりきっていたじゃないか。
(コースケは…父様に似ている…)
外見が似ているわけではありえない。だが、温かくて、優しくて、穏やかで…タバサ…いや、シャルロットの父シャルルのようだ。
同時に、脳裏をよぎるのは母から父が死んだと聞かされた時のこと。
この世は理不尽にできている。優しい人は、呆気なく悪意にさらされて殺されてしまうこともある。
だから、今度こそはシャルロットが護らなければ。もう、あんな思いなど二度としたくないのだから。
いつの間にやら眠りこけていたシルフィードを叩き起こし、一行は村へと引き返した。
エルザと耕介たちがいなくなっていたことで村長は酷く取り乱していたが、吸血鬼事件が解決したことを伝えるとやっと我を取り戻してくれた。
作り話―エルザが森に潜んでいた吸血鬼にさらわれ、耕介たちが追ってこれを倒した、という内容―で納得してもらい、今晩は休むことにする。
もう時間も遅かったし、何より全員大立ち回りで疲れていたのだ。
そして翌日…耕介は律儀にいつも通りの時間に起きてしまい…幸いにもそれに誰よりも先に気づくことができた。
自室で眠っていたはずのエルザがいつの間にか耕介のベッドに入り込んでいたのだ。
といっても子どもがベッドに入っていた程度で驚く耕介ではない。すぐに状況を理解し、エルザの顔にかかった長い金髪をそっとどけてやる。
だが、この時の耕介は全く幸運であった。もしもタバサがこの状況に気づいていたら、この部屋が氷漬けになっていたとしても不思議ではない。
「全く、しょうがないなぁ」
耕介は、言葉とは裏腹に優しい声と笑みでエルザを起こさぬよう注意しながら抱えあげた。
眠るタバサも起こさぬようにそっと扉を開けて部屋を出、目指すはエルザの部屋だ。
エルザの部屋は村長の家の中でも最も日の当たらない作りになっている。
閉め切られた窓から最も離れた位置にあるベッドにエルザをそっと寝かせた耕介は、一つの気が重い…しかし、絶対にやらなくてはならないことをこなすために居間へと向かった。
居間のテーブルには既に村長がおり、茶を飲んでいた。簡単に挨拶を交わし、耕介もお茶をいただくことにする。
この家に集められていた女性たちは昨夜早々と眠っていたためか、耕介よりも早く起きており、既に自宅へと帰ったらしい。
二人は他愛ない雑談を続けていたが、それはしばらくすると途切れ…耕介は用件を切り出すことにした。
「村長さん。実は、お話したいことがあるんです」
「なんでしょう、従者様」
耕介の深刻そうな声音とは対照的に、村長は平静のまま応えた。
これから耕介が切り出そうとする用件に、なにか予感めいたものを感じていたのかもしれない。
「エルザを、王宮に連れて行きたいんです」
だからなのか、耕介がそう言っても村長は特に表情を変えることはなかった。
「理由を…お尋ねしても?」
ただ、短くそう返しただけだった。
(さあ、ここからが正念場だ)
これから耕介は、1年間エルザを慈しんできたこの善良な老人に嘘をつかなくてはならない。
気が咎めるし、本当のことを話した方がいいのではないかとも思うが…エルザたっての願いとあっては耕介に断れるはずもない。
「彼女の両親はさる貴族の方と懇意にしていた行商人でした。彼らが殺されたと聞いたその貴族様は、友人であった彼らの子を是非引き取りたい…と」
エルザはやはり怖いのだ。耕介のことは信用したとはいえ…1年間ともに暮らしたこの老人も吸血鬼という存在である自分を受け入れてくれるとは限らない。
だが…耕介は、この老人はエルザにとって信用できる人ではないだろうかと思う。
「そうですか…そうですな、あの子は体が弱い。こんな寒村よりも、貴族様の屋敷に住まわせてもらう方が何倍も良い。ですが、一つだけ聞かせていただきたい」
何故なら、この老人は心から…
「あの子はそれを望んでいるのですかな?もしそうでないなら…残念ですが、絶対にお渡しするわけにはまいりません」
エルザのことを愛しているのだから。
「うん、お爺ちゃん。エルザが行きたいって言ったの」
耕介が村長の言葉に答える前に、いつの間にか起き出して来ていたエルザが居間の戸口から答えた。
エルザは本来、日の出ているうちに起きることは稀だ。吸血鬼とは夜に生きるモノなのだから当然である。
なら何故、今現れたのか…理由は二つある。
耕介の性格からして、なるべく早くエルザを連れて行くことを村長に話そうとするはずだと推測したのが一つ。
もう一つは…この家を離れるのなら、自分でケジメをつけたいと思ったのだ。
「そうか…なら、わしから言うことは一つだけだ。元気でいるんだよ、エルザ。わしの望みはそれだけだ」
30年の放浪の間に、たくさんの人間を見てきた。
孤児であることをいいことに、こき使おうとした者もいる。
容姿端麗なエルザを人買いに売り飛ばそうとした者もいる。
けれど、この老人のように、エルザを慈しんでくれた者もまた、いたのだ。
今まで、エルザはそれら全てを例外なく利用し踏み躙ってきた。単純に、エルザは生きるためにそうしてきたから今更罪悪感など抱くわけもない。
だが、今回は違う。生きるため、必要に迫られてではなく、自分が耕介についていきたいと思うから行くのだ。
ならば、まだ本当のことは怖くて話せなくても…いつか本当のことを話せるかもしれないこの人との別れは、自分の意志で行いたい。
「ごめんなさい…ありがとう、お爺ちゃん」
多分、この老人は何かを気づいている。けれど、エルザにそれを問いただすことはしない。
ただ、エルザの幸せを祈ってくれているからだろう。
二人は抱きしめ合い…温かさを交換する。
いつの間にか居間には二人だけで…耕介はいなくなっていた。
耕介たちは、屍食鬼となったアレキサンドルを倒した後に吸血鬼がまた屍食鬼を作った可能性を考慮して半日様子を見る…という名目で出発を夜にした。
エルザを連れて行く準備をしたり、件の老婆を村長の家で世話することになったため、準備や王宮への必要経費請求の書類を作ったり、耕介の作った食事を全員で囲んだり…穏やかで、何故か物悲しい時間を過ごす。
朝以降、エルザも村長も特に態度が変わったところはない。きっと、変わる必要もないからだろう。
そして時間はあっという間に過ぎ…日が沈んだ。
別れの時間だ。
「エルザ、忘れ物はもうないかい?」
「うん、お爺ちゃん。何度も確認したよー」
二人は相変わらず普段通りで、まるでピクニックにいくかのような気軽さだ。
けれど、それが二人の決めたことならば、耕介たちに言えることなど何もない。
その二人とシルフィードを挟んで反対側に、見送りにきた村人が数人いた。薬師のレオンもその中にいる。
「騎士様、従者様…数々の非礼をお詫びします。村を救ってくださって、本当にありがとうございました」
そう言ってレオンが頭を下げるのと同時に、他の村人たちも頭を下げた。
「いえ、解決できてよかったです。村長さんやお婆さんのこと、助けてあげてください」
「はい。せめてもの罪滅ぼしになればいいんですが…」
激情に駆られて、あばら家を焼き討ちした若者たちだが…事件さえ解決した今なら、彼らは元の余裕を取り戻せる。
ならば、二度とあんなことは起こらないだろう。彼らとて、好き好んであんなことをしたのではないのだから。
「お兄ちゃん、いこ!」
タバサの<<レビテーション>>によってシルフィードの背へあげてもらったエルザが耕介を呼んだ。
耕介もシルフィードの背に乗り、後は飛び立つだけだ。
村人たちが飛び立ち始める耕介たちにお礼の言葉とともに手を振ってくれる。
シルフィードが大人の頭程度に浮かんだ時、エルザが大声を張り上げた。
「お爺ちゃん、お手紙書くね!元気でいてね!エルザ、またお話しに戻ってくるから!」
村長はただ頷き、手を振った。
徐々に風竜が漆黒の夜空に消えていく。もう豆粒ほどにしか見えない。
「行ってしまったか…」
最後まで涙を流さなかった老人は…愛娘の幸運を始祖ブリミルに祈り、やっと自分に泣くことを許した。
支援であります
イザベラがメイドから北花壇騎士7号帰還の報せを受けたのは就寝時間前だった。
「そうか…討伐できたんだね…」
と言っても、イザベラはまだ眠るつもりはなかった。というより、眠れないだけだが。
目を瞑れば余計なことを考えてしまい、どうにも眠気が訪れないのだ。
そして、今でもそうだということは…いまだイザベラは結論が出せていないということだ。
「全く…我ながら本当に情けないね…」
もうしばらくすれば、耕介とシャルロットがやってくる。
果たして、自分はどうすべきなのだろうか…。
イザベラがワインで満たされたグラスを眺めながら何度目ともしれない思考のループに陥っていると…コンコンと扉がノックされた。
数秒迷ったが…もうなるようにしかならないと、単なる逃避ともとれる結論を下したイザベラは入室の許可を与えた。
「や、イザベラ。帰ったよ」
入室してきたのは案の定耕介たちであり…その第一声はイザベラの予想範囲外だった。
あいつ、出発前のこと忘れちまったのか?とか、気でも遣ってるつもりかい?とか、色々と思うところはある。
だが、イザベラはとりあえず無難にいくことにした。
「相変わらず無礼な奴だね、イザベラ様、だろ。あんたには王族に仕える者の自覚ってもんがないのかい」
自分で言った事だが、耕介にそんなものはないだろうな、とイザベラは思う。
案の定、耕介の答えはイザベラの予想通りだった。
「そうだったな、悪い。どうにも慣れなくて」
そう思うならまず言葉遣いから直せと思うが…本当はイザベラはもうそれはどうでも良かった。
敬語も使わない相手など、本来なら叩き出しているが…イザベラは耕介の言葉遣いにもう慣れてしまっていた。
敬称をつけずに呼ばれることも、イザベラとしてはありえないことに『まぁいいか』とさえ思っている。
だが、耕介との接し方に迷う今は…そういう細かいところを指摘する”普段の”イザベラを装う必要があった。
それに、気になることもある。
「えっと、イザベラ様。サビエラ村の吸血鬼事件を解決してまいりました」
耕介が右手をこめかみのあたりに当てて妙なポーズをとっているが、そんなことはどうでもいい。
報告とて、本当はどうでもいい。生きて戻ったという時点で解決したことなどわかりきっている。逃がしたのなら、先に何らかの連絡が入るはずだ。
「で、そいつはなんなんだい」
イザベラが気になっているのは、耕介の足にくっついている金色の”何か”だ。
イザベラの目がおかしくなっていないのなら、それは長く艶やかな金髪が美しい5歳ほどの少女に見える。
満面の笑顔がその美貌をより華やかなものにしている。
騎士が吸血鬼を退治しにいって、戻ってきたら少女を連れてきた…意味がわからない。
「あーえっと…イザベラ、落ち着いて聞いてほしい。後、害意を持ってるとかはないから、安心してくれていい」
イザベラは耕介の言いにくそうな表情に言い知れぬ不安を感じた。
そう、この男はコースケ・マキハラ。常にイザベラの想像の数リーグ先をかっ飛んで行く男である。
「この子、エルザっていうんだけど…吸血鬼なんだ」
そして、自分の不安がものの見事に現実となったことに、イザベラは寝不足からだけではない頭痛を覚えた。
以上で投下終了になります、支援ありがとうございました!
本当はイザベラ様登場してから最後まで一気に貼り付けようとしたのですが、何故か書き込みできず(´・ω・`)
わけたら書き込めたのですが、何かあるんでしょうかねぇ…orz
さざなみきてた〜〜〜!
すばらしい!
これで極ロリ担当ができた〜〜〜!!!
さざなみの方、乙です!
タバサが耕介に父親の影を見るのは、ある意味納得
さざなみ寮では確かに「お父さん」みたいな感じですからね、耕介はw
イザベラの心だけでなく、タバサの心も開いていって欲しいですね
ただ、エルザを救おうとするのは耕介らしいですけど犠牲になった人とその遺族は納得できないだろうな…
さざなみGJ!
これでイザベラ様の頭痛の種がまた一つw
そしてお父さんを取られたタバサの嫉妬が可愛い。
エルザvsタバサの『お父さん(お兄ちゃん)争奪戦』を背中で繰り広げられたシルフィードもとんだとばっちりだなw
しかし耕介、風の谷のお姫様並に『ほら、怖くない』が得意な奴だな。
さざなみ寮で得たものは余りにも多く、大きかったという事か……
乙。
それにしてもエルザと聞くと、どうしても某キチガイが作ったほうのエルザを思い浮かべてしまう。
痩猪エルザと申したか。
エルザというとウルスラとの二重人格なESP少女
聖エルザ・クルセイダーズ
>>817 奇面組召喚と申したか
>>819 それだとARIELや宇宙英雄物語と世界が繋がってしまうぜ
>>821 > 奇面組召喚
冷越豪:ガンダールヴとしてルイズが召喚
出瀬潔:ミョズニトニルンとしてジョゼフが召喚
大間仁:「記すこと(ry)」としてテファが召喚
物星大:ヴィンダールヴとしてロマリア教皇が召喚
一堂零:4つのルーンを備えた状態で勝手に出現。
>>805 アニメか漫画版の主人公召還すれば主人公追っかけて守護天使が押し掛けてくると言う展開も……
>>802 >報告にあった男と同じく、奇抜な服装をした少年だったとのことです。
ひょっとしてもう一人の平賀?
胸革命の方に召喚されたわけじゃないようで非常に気になる
零ちゃんが召喚された次の日に奇面組のみんなが
呼ばれても無いのにハルケギニアに見学に来ててもおかしくないから困る
ジャガーさんやハマーとかは
破壊大帝メガトロン様…の部下のサウンドウェーブ。
フレンジーとランブル、デストロン一有能なコンドルとバズソー、ジャガーと五体のカセットロン収納状態だったら…
と思ったんだが、サウンドウェーブはともかくカセットロンが人間に従うとか納得しなさそうだし駄目か。
メ「今日のゼロ魔は旅にグルメに温泉特集。視聴率はいただきだ!」
ちびまるこのナレーションとかの、声だけの存在を召喚してしまうなんてのもアリやもしれんね。
神の左手ならぬ「神の声」なんて具合に、あれこれルイズに突っ込み入れたり助言してみたり、
はたまたレコンキスタが悪巧みしてるシーンにまでうっかりナレ入れちゃったり…。
でもサイレントかけられたら何も出来なさそうだw
個人的には広川太一郎さんのナレで是非見てみたいな、なんつったりなんかしちゃったりして
最強のナレーターは政宗一成だろう…
俺はMEZZOのドラマCDを聞きながら
>>831を支持する
>>830 『さて、今日のゼロの使い魔は、ここトリステイン魔法学院から物語を始めよう』
『その時である! 見よ、ギーシュの作り出した8体(1体作画ミス)のワルキューレの姿を!!』
『レコンキスタの暗躍とはなんなのであろうかっ!?』
『うぉっ、をぉおおおおお!!!』
……いい加減続き書いてきます。
>>831 >>833 幾らなんでも、亡くなられてまだ一ヶ月も経っていない方をネタにしようとするのはどうかと思うが
>>834 ギーシュの決闘のくだりは面白い事になりそうだねw
ちょいとそこのお兄さん、てな具合にモンモン香水を注意してあげるくだりで
ギーシュが決闘しろと怒っても相手が居ないのでどうしようもないとかw
ナレーターの性質上、劇中のあらゆる出来事を逐一見ているだろうから、
怪しい動向を察知した時はルイズにチクリを入れてあげたりなんかしたりして。
>>835 スマソ…大好きな人だったのでつい…
>>830 某ゲームをプレイ中の鈴木史朗を召喚とか?w
「召喚されている間にいかにたくさん敵を殺すかというラノベなのですが、
私は一応クリア時間内に大体6万人から7万人は殺(と)れますけど、
普通の平賀才人ですとおそらく2000人から300人殺れれば立派だと思います」
「まずラ・ロシェールへ向かう途中で襲ってくる傭兵たちを焼きます。
そして、焼いた後手榴弾で一応ぶっ殺しときます。 そうしませんと前へ進めませんので」
「いよいよラストシーンになります。 あぁ、来た! くっそー、このワルドめ! 何だ、ちきしょう!
これ(焼夷弾)でも食らえ! えぇい! 偏在がよく来るなー、しかし。 あぁ、来た! エライこっちゃ!
ボス(ワルド本体)ですよ。 こんなの相手にしてらんないなー。 あと(弾が)3発しかないのにこれどうすんだ?
くわぁー! これ(焼夷弾)やって、これ(ライフル)で狙うか。 これであと何秒かであいつをやっつければ……。
この野郎ぉ! ――PAM!(ライフルでワルドの頭部を吹き飛ばす) 殺った――!!
オーケー! 9万3150人!!」
>>827 笛で7万の軍勢相手にするのか
それでもジャガーさんならやりそうで困る
ナレーションならルイズの中の人つながりで若本御大を……
いや、何でもない。
>>838 最近はスタンドっぽいたてぶえマンあるから楽勝だろうなあ
>>835-836 まあ、亡くなってすぐだからこそ故人を偲ぶ主旨で、ってのもあるよね。
D&D関連から召喚するなら誰だろ。ガイギャックス…(つд`)
>>839 >ナレーションならルイズの中の人つながりで若本御大を
「みなさんご存知ですか?トリステイン王国のどこかに、こ〜んな大きな学校があるのを」
「次回はぁ、しゃべる剣と戦いま〜す」
とか?
若本さんのナレーションといえば
『使い魔!それは!ハルケギニアのメイジを護るために戦う、神秘の動物達である!』
>>834 『だがしかし!その光景を見ているものがいた!』
とか
『さぁ!戦いだぁっ!』
とか
『大丈夫だと言ってるだろうがぁ!』とか『だから貴様はいつまでたってもゼロのルイズなのだ』とか…
あ、最後の2つは司令官とメガトロン様だ。
ナレーション秋元洋介は既にあるよな
ストーカーとしてレディーゴー
>>839 ルイズの洗濯板じゃ「一日一回のおっぱい」が出来ないなぁw
基本的にルイズが召喚するのは、ルイズの前にある運命を彼女と一緒に歩ける存在であることが前提、かと思われます。
そのため、ある程度の『強さ』と『覚悟』を持つキャラクターが召喚されるのですが……此処はいっそ、清々しいまでに使い魔として役に立たないキャラクターを呼ぶのはどうでしょうか。
ドクターウエスト(デモンベイン)、トカとゲー(ワイルドアームズ2)、マントー(天外魔境シリーズ)、アクターレ(ディスガイア2)……ことごとくアレですが。
いやあ、春だね!
春全開だね!!!
すいません、第4話(実質3話)出来たので、予約無ければ
5分後くらいを目処に投下したいのですが。
「ひょうひゃひゃいへひょ!ひひょひょひひょ!」
「ほ〜〜う、そんな事言えるのかな、この口は。」
「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!」
「誘拐犯が故意じゃあ無い女の子だからと優しくしてあげたのに!」
「ふゅるひてふゅるひて!」
「恩をあだで返すってのは最低だよ?」
「いひゃいいひゃい!」
啓太は思う様ルイズのほっぺを引っ張りこねくり回している。
ほっぺむにむにの刑だ。
口調だけはわざとらしくちょっと丁寧に、行動は丁寧どころではなかった。
あまりの事故にオールドオスマンもコルベールも頭を抱えている。
ともはねはひたすら啓太を心配している。ムジナのマロちんもだ。
そのため、ルイズを哀れんでくれるものは、この場に一人もいない。
啓太は、一通り飽きるまでルイズのほっぺをひっぱると、
ルイズを放り出してソファーに深く座りなおした。
主人とペットの地位確定のためのしつけ。今は充分だろうと判断したからだ。
「で、どうしてくれるんだ。解除方法無いんだろ?」
「は、はい、ありません。」
「ううう、痛い(涙)」
ギロリ、と啓太がルイズをにらむ。ルイズは小さくなって口を閉じた。
よしよし、効いてる効いてる。これならようこのように主人よりもえらそうに
振舞うことが当然、という関係に持っていけるだろう。
だがついでだ。もう一押し。
「まったく、美人でボインバインの優しいね〜ちゃんならまだしも、
こんなちびで洗濯板の使い魔だなんて冗談じゃない!」
「なあんですってえ!」
「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!」
「ほ〜〜う、そんな事言えるのかな、この口は。」
「ふゅるひてふゅるひて!」
即座のお仕置き再開に、ルイズはだまった。
終わったあとルイズが恨みがましそうな目でにらむが、啓太がちらと目をやると
あわてて目を逸らす。充分恐怖を植え込めたようだ。
「礼儀もなってない。胸も無いくせに横柄な態度とるな。まったく。」
啓太のぼやきに、オールドオスマンが乗った。
「ほうほう! 君もかね! やはりおなごは胸が大きいに限るからの!」
「学長!」
コルベールが、必死の形相で止めた。オールドオスマンの下品トークで
啓太の機嫌を損ねたらまずいと思ったのだろう。
一方啓太は、ここで猥談で盛り上がっておけば、学院の最高権力者と
ソウルブラザーになれて何かと便宜を図ってもらえるようになった、
かもしれないのにと残念に思っていた。
オスマンが咳払いをしてまじめな話に移る。
「う、うむ、なんとか解除方法を探しては見る、が。難しいじゃろうなあ。」
オールドオスマンが、はるか遠くを見る目になった。
むしろ、遠い過去を思い起こすような、というべきだろうか。
「私も調べてみます。しかし、まさか人を使い魔に出来るとは
前代未聞ですな。おや? なんだか珍しい形のルーンですな?」
コルベールが、啓太の左手を取り、しげしげと見つめる。
「普通と違うなら解除方法もあるかもしれません。
手がかりになるかもしれませんし、書き写させてください。」
「ああ。」
啓太は、素直にスケッチさせるままにしておいた。
それを聞いたオールドオスマンが、実に複雑そうな顔になる。
どう対処したものか、悩んでいるのだろうか?
「わしにも、見せてくれ。ふむ、これは! なんとな。」
オールドオスマンの目が、鋭く細められ、深いため息がもれる。
啓太は、この焼き印にも似たルーンが、実に気に入らなかった。
なにより、大妖孤の問題がある。迎えに来てくれたときにこんなものがあったら。
大妖孤が暴走し、結果として吉日市が壊滅状態になったのは、
“娘婿”である啓太が猫耳メイドというけったいな格好をする事を好む変態だ、
と誤解したことによる。その時、少なくとも途中までは長めのコートで
ごまかせた事を考えると、隠しておいたほうがいいと思えた。
30分後。
「はい、もう一度手を出してください。」
「ああ。」
そこいらから適当にミス・ロングビルが引っ張ってきたメイドに、
啓太は手袋を作ってもらっていた。
「どうでしょう?」
指を覆う部分のない、伸縮性に富んだ素材で作られている手袋が形になっている。
「ああ、シエスタ。ありがとう、実にいい感じだ。」
「良かった。」
「右手の分も頼むよ。」
「任せてください。」
このメイドが器用なのか、出来は実に満足のいくものだ。
それに、と啓太は思う。黒髪に黒い目、どこか懐かしい雰囲気の清楚な少女。
なにより大きな胸。80センチは確実に超えているだろう。
85センチくらいあるかもしれない。
いい。実に良い。
確認して見たが、この学院は全寮制である故に多くの
若いメイド達が生徒や教員達の世話を焼くために働いているという。
全寮制ということは、若い女の子も沢山いるということ。
呼び出されたときに周りにいた女の子達の中にも、いい線行ってる
のがたくさんいた。
啓太は、ふと自分の日常を思い出してみた。
好きになったようこには受験に合格するまではとお預けを食わされ。
時子やケイが日々壮絶な嫉妬の嵐を吹き荒れさせ。
ちょっと色目を使っただけで全身火あぶりにされていたあの日々。
しばらく、この世界で骨休めするのも良いかもしれない。
幸いというかなんと言うか、この世界にいなきゃいけない
理由も出来てしまったし。いいわけ自体はなんとでもなる。
沢山の女の子をはべらす理想をここで達成するのである。
となれば、出来るだけいい環境で暮らすための交渉を再開すべきだろうか?
その後、啓太は「よほど大きくない限り使い魔は主人の部屋で寝泊りする」
という話に調子よくあわせ、しばらく女子寮内にあるルイズの部屋で
寝泊りするという話に持っていった。
「罰の一環として、ルイズを当面床で寝かせるため」にである。
また、啓太がマロちんに頼み込んで、ルイズの使い魔のフリをしてもらう、
ルイズもその演技をする、啓太の女子寮ぐらしはただの罰の一環として振舞う、
といった事が定められた。
魔法学院の制服を縫ってくれる事になったシエスタにも口止めである。
かくして、啓太が使い魔家業を案外あっさり受け入れた背景には、
“覗き環境最高”と“大奥在住”という二つの要素があったのである。
皆が学長室を出て行き、一人になったオスマンは、深いため息を吐いた。
「なんと言う運命のめぐり合わせじゃ… どう、したものかの…
しかし、まだ確信はもてぬ。いや、確かめる勇気がわしにないだけか。」
オールドオスマンの苦悩は、深かった。
さて、夕食をすませルイズの部屋に移った啓太達は、雑談をしていた。
ルイズがさんざんごねたり高飛車に「主人なんだから使い魔は従いなさい」
と命令したりしたのだが、それらは全て啓太の“教育”によって封殺された。
今はルイズの家族について“なごやかに”話になっている。
「へえ、ルイズの下の姉さんは病弱なのか。」
そういって、啓太はルイズの髪に目をやった。
「当てて見せよっか? 君によく似たピンクの髪だろう?」
「な、なんでわかったのよ!?」
「そりゃあルイズの髪を見て病弱だと聞けばね。」
そういって、ルイズの髪をくしゃくしゃとかき混ぜる。
「ちょ、ちょっと、何するのよ!」
ベッドの上でごろごろしていたともはねが、いいなあ、という目で見ている。
「このピンクの髪はアルビノに近いんだ。黒い色素も、赤い色素もろくにない。
そういう髪の色なんだよ。そして、アルビノは基本的に体が弱いんだ。」
そういって、啓太は静かに説明する。
「哺乳類の髪には、基本的に色素が2種類しかない。黒と赤だ。
色素が無ければ白髪になる。 この3色の組み合わせでいろいろな
髪の色が出来る。黒+赤だと黒が勝っちゃうので黒。薄い黒+赤だと茶色。
茶色が薄くなると金茶色→金色に。ごくわずかの黒だと銀髪。
赤い色素だけが強いと赤毛になる。 赤すらわずかならピンクブロンドだ。
アルビノに限りなく近い。アルビノになる理由はいくつかあるけど、
色素を作れるほどの余裕すらないほど体が弱い、もしくは一部が弱っている、
というものがある。あるいは、メラニンが無くて紫外線を遮れないため
その分皮膚がんなどになりやすい、というものもある。
いずれにせよ、基本的に体が弱いことを示す特徴なんだ。」
856 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/12(水) 17:31:28 ID:GRamNTGQ
爆れつハンター ゼロの使い魔
両方とも魔法使い=貴族の世界だが・・・・だれも書かないな
ルイズは、説明の半分も理解していないようだ。
「随分詳しいのね。お医者さんなの?」
「医者じゃないけど、医者志望だからね。そのための勉強を少しはしている。」
本当は獣医志望だが、この世界に獣医という概念があるかどうか疑わしいので
より大雑把な医者として説明しておく。
「医者の卵なの!? じゃ、じゃあ、姉さまの病気を治す方法知ってる!?」
「ん、基本的には体を丈夫にする食べ物を食べて、規則正しく生活して
適度な運動をして、無理をさせずに、という療養方式だね。
あとは、やはり漢方薬かな。」
「カンポーヤク?」
「俺の故郷でよく使われている薬剤体系のことさ。最低でも4000年の
歴史があり体質改善には定評がある。ともはね。」
啓太は、ともはねを呼んだ。うれしそうに空を飛んで啓太の膝に収まる。
「なんですか、啓太様。」
「なあ、ともはね。養命酒みたいなものは、作れるかな?」
「体を丈夫にして体調を整える薬ですね。ごきょうやが害が無くて簡単なのから、
って課題出してたので、そのものずばり2ヶ月目くらいにだったか作りました。
レシピもありますよ!」
そういって、ともはねは自分のリュックを引っ掻き回し始めた。
移植しゃべる、ビニール袋、10得ナイフ、布の手提げ袋、
と言ったもののあとに、PSPが出てきた。
ともはねはメモリースティックを選んで挿すと、PSPの電源を入れた。
起動音が鳴り、メニュー画面が開く。
「何これ、きれい。」
「まあ、魔法の鏡みたいなものだと思ってくれ。」
ともはねは、素早く調剤レシピのアイコンを開いて検索を始めている。
「紙とペンを頼む。これを使うには特殊な魔力が必要なんだ。
そして、今のところその特殊な魔力の補給はかなり面倒なんだ。
長時間使い続けることは出来ない。だから、別に記録をとっておかないとね。」
ルイズがダッシュで紙とペンとインク壷をテーブルの上に用意する。
「ここを使って!」
ともはねが、机の上でさらさらとペンを走らせる。素直に言うことを聞いた
ルイズに、よほど姉さんの事が大事なんだなと啓太は思った。
ちょっとはかわいげがあるじゃないか、と思う。
本当は、と啓太は思う。啓太のカバンに入っていたノートパソコンは、
百科事典と医学大全、漢方大全、獣医百科、化学大辞典などが入っている。
医師や薬剤師志望が多い館ならではのソフト取り揃えを片っ端から
入れているわけで、それを使えばもっとずっと詳しい治療法もわかるはずである。
しかし、啓太はまだそれをするつもりはない。まずは、充電方法を模索する
必要があるのだ。AC100Vの電源を作るのは難事だ。
このハルケギニアでは、導線1本、電圧計や電流計の作成から
始めなければならない。道は果てしなく遠く、そちらの検索にこそ
バッテリーの電力を使わなければならないのだ。
ともはねのPSPは手動充電器があるから問題ないのだが。
あのノートパソコンは、こっそり起動試験をしたあと
電源を切り、バッテリーも抜いておいた。消耗を抑えるためである。
携帯も同様である。ノートパソコンからUSBで充電できるが、
ノートパソコンの充電そのものは出来ないのだから。
「はい、レシピが出来ました。」
啓太に持ってこようとしたともはねの手から、ルイズが強引に紙を奪う。
亜人などに礼儀正しくする必要はないということだろうか。
先ほどまでもたびたびあった、そこはかとない傲慢さが見て取れる。
「ちょっと! これじゃ読めないじゃない、ちゃんとわかる言葉で書いてよ!」
ともはねに紙を突きつけるルイズに、啓太は足払いをかけた。
「いたっ! な、何を一体!」
「しつけのなっていない小娘だな。お願いします、だろう、ルイズ?」
何事も最初が肝心である。誰がご主人様であるかを教え込まなくてはならない。
さもないと、後々まで舐められ、酷いことになる。
使い魔として奴隷扱い。冗談ではない。
啓太は、最初に持った犬神、ようこで懲りているのであった。
同時に、当時の自分の傲慢さを反省もしており、
それを自分に返されてはたまったものではないとも思っている。
因果応報とはこういうことを言うんだろうな、とは啓太の内心だ。
「なななん! あのね、私はヴァリエール公爵家の3女よ!
しかもあんたの主人よ! 使い魔の癖になにするのよ!」
啓太は、ため息をついた。
「あのな。お前は爵位持ってないんだろう。しかも継承序列は3位。
つまりは、親の威を借りてるだけのただの平貴族だ。それをまず自覚しろ。」
「なななな!」
「お前に敬意を評している人はお前を見てるんじゃない。
お前が振りかざしてる親の影を見てるんだ。5歳の子供同士の喧嘩で、
親を呼び出して相手をぶちのめしてもらって喧嘩に勝ったと自慢する奴が
かっこいいか? 親に頼らなきゃ何も出来ん無能にしか見えん。」
「な、何たる侮辱!」
「図星を指されて激昂するのもみっともないぞ。」
「そういうあんたはどれだけ偉いってのよ!!」
ルイズが、ぶんぶん腕を振るう。
「あのな、俺は13の時にはすでに一人立ちしているの。」
「それがどうしたのよ!」
啓太は、ひょいひょい危なげなくよけながら言い負かしていく。
ルイズはすでに何度目かのなみだ目である。
「俺は、13の時にはすでに魔法の力を使って怪物たちを倒し、
呪いを解きく事によって金を稼いでいた。学費も生活費も稼いでいた。
一族全てのやる慣習だからな、当然俺もやったんだ。
対して、ルイズ。お前はどれだけ貴族の義務を果たしている?」
「そ、そんなの、そんなの関係ないわよ! 私はまだ学生なんだからね!」
「人に養われている身分で、領民のために何一つ働いていないわけだな?」
「わるかったわね、私はまだ書生の身よ!」
「じゃあ明らかに俺のほうが偉いな。仕事で必要とはいえ、
この歳で10人以上も食わせるのは大変だったんだぜ?」
「き〜〜!(ぶんぶん)」
支援
ルイズは、啓太が先ほどまでのようにおしおきをいきなりしてこないせいか
ひたすら暴れている。もう先ほどまでの教育を忘れたとなると、前途多難だ。
「まったく。この小娘は高貴なる者の義務を知らないのか?
義務を果たしているからこそ、権利を主張できる。
えらい人はより多くの困難な仕事をし、義務を果たしているから偉いんだ。
ルイズ。お前はこの歳までに、何をやった?
どれだけ領民の生活を良くし、どれだけお金を稼ぎ、
どれだけの敵から領民を守った? 領民が税を払うのは、領主がそういった
義務を果たしているから、そのお礼として、給与として払うんだ。
けして、血筋に払っているんじゃない。血筋に頭を下げているんじゃない。」
「何よなによなによなによなによ!(ぶんぶん)」
「話は戻るがな、使い魔が言うこと聞くのは、主人が世話をしてやるからだ。
寝床を与え、食事を与え、外敵から守り、健康管理をしてかわいがる。
全部領主の統治と基本は同じだ。お前はその義務を果たしていない。
俺に保護を与えているのは学長だからな。偉そうな顔をするな。」
啓太は、いくら暴力を振るってもまったくの無駄である、と教え込み、
徒労感を叩き込むつもりで手を出していなかった。
赤道斎のマントを着ていなかったら、それは成功していたであろうが。
がくん!!
なんなくルイズの拳をよけていたその時、赤道斎のマントがベッドの端に
引っかかり、啓太の態勢を崩した。ほぼ同時に、毛布が引っ張られ、
それがルイズノ態勢をも崩す。振り下ろされるルイズの手が泳ぎ、
啓太のズボンに引っかかる。
啓太の学生ズボンを締めていたベルトは。
召喚のさいのショックで、壊れかけていた。
それゆえに。
引っかかったルイズの手で啓太のズボンとパンツがずり下がり。
フルチン状態になった啓太の股間に向けて。
態勢を崩したルイズの顔が猛スピードで倒れこんだ。
頭部や額での打突技はヘッドバットといっただろうか。
では、顔面での打突技は、なんと言うのだろう?
啓太「いで〜〜〜〜!!!」
ともはね「啓太様、大丈夫ですか!?」
ルイズ「いや〜〜〜!!!!!!(水差しと洗面器にダッシュして顔を洗う)」
マロちん「きゅ〜〜〜!!??」
ルイズの部屋は女子寮の3階にある。その3階の部屋のドアが、一斉に開いた。
「何!? 今の悲鳴!?」
「男の声がした!?」
「たしかルイズの声!」
「まさか!?」
杖をひっつかんだ女の子達が、ルイズの部屋に殺到した。
「「「「大丈夫、ルイズ!?」」」」
そこには。
顔を涙とよだれと汗(?)でぐしゃぐしゃにしてないているルイズと。
股間を押さえて痛みに耐えている男(+α)という状況で。
それはどう考えても強姦男が女に金蹴り反撃を食らったという図で。
「うう、穢れちゃった、穢れちゃった、私もうお嫁にいけない!」
「「「「お、女の敵〜〜〜!!!」」」」
「わ、まて、誤か」
ちゅど〜〜〜ん!
「ああっ! 啓太様!」
あらかじめ唱えていたキュルケの火炎魔法が啓太を窓の外へと吹き飛ばした。
キュルケ以外の女の子達が窓から追撃に移り、あるいは後方援護として
窓から啓太に追い討ちをかける。
「大丈夫、ルイズ?」
キュルケが心配そうにルイズをなだめる。
「うう、うわ〜〜ん!!!!」
“寝る”ために薄物の夜着に着替えていたキュルケの胸にすがるルイズ。
混乱した頭は、相手が誰かということすらもう関係なくて。
宿敵が自分の胸に取りすがって無防備に泣いていると言う状況に、
キュルケはなんとも得体の知れぬ快感を味わった。
「大丈夫、私がいるから。さて、あなたをこんな目に合わせた奴に
おしきしてやらないとね。」
「え、あの、うむぷっ!!」
何か言いかけるルイズを胸に強く抱き、キュルケはフライを唱えると
窓から飛び出した。地に下りると同時に啓太に魔法攻撃を叩き込む。
ズボンはルイズの部屋に落ちており、下半身はパンツ一丁の啓太は。
「だ〜〜〜!!! お前ら話を聞け〜〜〜!!!!!」
等といいながら必死に防戦していた。しかし、何しろ数が多い。
相手は女の子で攻撃もままならない。こんな状態では
赤道斎のマントでも完全に防げるわけでもなく、
パンツが黒焦げになる→剥がれ落ちてフリチンになる→もっと攻撃される
という事態の悪化を招いたのであった。
かくして。
「な〜〜んだ、そういうことだったの!」
「そうだ! ルイズへの罰として俺はルイズの部屋に(後略)」
「ちゃんと説明してくれたらよかったのに。」
「お前ら問答無用で襲ってきたんだろうが〜〜〜!!」
誤解が解けるまでには、ルイズが何とか落ち着き、
彼女達が魔力切れになるまで待たねばならなかったのであった。
かくして啓太は、シエスタをまたも呼んで、パンツを作ってもらう羽目になった。
緊急なので紐パンみたいになってしまったが、我慢するしかなかったそうである。
余談:
次の日の放課後からともはねは薬草探しを始め、数日後には
養命酒ともはねスペシャルがヴァリエール家に送られることになる。
それには啓太のさまざまな生活や食事上の注意事項が添えられていたそうだ。
以上で終了です〜〜
しえ☆すた ・・・てのも懐かしいな
啓太君なかなかやってくれますな。
これもルイズが大人になったらいい思い出に……なるのか?
投擲?/パト<A>を狙う:15
誤爆った
専ブラで他のスレ見ながら書き込むもんじゃないね
裸王はハルケギニアでも相変わらずだな
パプワくん呼ぼうぜ
呼ぼうと思えばパプワ島ごと呼べるな
>>871 タンノくんに迫られるギーシュの図しか思い浮かばないのはなんでだろう。
ルイズに炊事選択やれと迫るパプワと頭に噛み付くチャッピーなら想像できる
あとイカ男に惚れるキュルケ
×選択
○洗濯
秘石眼の力開放すれば七万本気で殲滅できるけどやらないだろうな
マジックあたりならやりかねんが
シンタローに料理の駄目出しされて「お義母さまッ!」なシエスタとか
エレオノール姉様がパプワ島に召喚される話でどうか?
ルイズは実家に監禁中
むしろちいねえさまがパプワ島に流れ着いて
公爵「カトレアがいなくなったのを知ったら…ルイズはパパのことを嫌いになっちゃうよぉ〜!!」
サイト「いや、元々ルイズはあんまりお父さんのこと好きじゃないし」
そういえばPAPUWAからは誰一人召喚されてないね。島ごと召喚されてもおかしくないのにw
あのノリを再現するのは難しいんで二の足踏んでる人が多いんじゃね?
以前に作者と担当召喚を小ネタでやった人なら出来るんじゃないかな
宇宙世紀0079からガデム艦長と旧ザク、補給艦パプアを。
「間合いが、遠いわぁーっ!」
つ 宇宙仕様で歩行も困難
では吉田戦車のいじめてくんでひとつ
お仕置き魔ルイズにかかれば一日に百回爆発しても足りないぜ
ですから「やさしくしてねちゃん」「もう子供じゃないわちゃん」「友達の家に泊まるって言ってきたのちゃん」をギーシュやマリコルヌやワルドに…
オッパイノペラペラソース
それにしてもこのサイトノリノリである
ルイズの魔法がトンでもない事態を!ああ!大爆発である
「見てよこの痕、ルイズの爆発に巻き込まれたんだよ」
底には生々しい傷がいくつも刻まれている
「ほんと、ルイズには参るよHAHAHA」
アナタのおっぱいはペラペラですね
って言う意味
>>888 「アナタのおっぱいはイザベラですね」
に見えた。
>>887 ルイズが錬金を唱えた。なんと!その時!
いきなりの大爆発!周囲の人は恐慌状態の中、ルイズは「失敗したわ」の一言!
アホすぎるアホすぎるぞルイズ!
シュヴルーズ「あの時私は、まず周囲の生徒を静めるべきだと思いました」
それから数日後、そこには元気に食事を取るマリコルヌの姿が!
マリコルヌ「あの時はほんとに驚いたよ。もうルイズをからかったりなんてしないよ」
楠田枝里子「では私たちもルイズちゃんの魔法がどんなものなのか体験してみましょー!!」
田中「えぇ!?俺かよぉ!?」
>>890 今日は月曜日かと思ってしまう程に脳内で再生されてしまうw
せ…世界まる見え・・・・・・
それにしてもこのアンアン腹黒い。
ナレーションのひとは、ちびマルコのと一緒なんだぜ。
あー、黒い瞳の人が来てたんだ。
あのモンスターたちを原作で待つ運命を知ってると、なんだか悲しくなるな。
パニッシャー(映画版)を召喚
毎回戦闘がギリギリ
>>896 ワルドは気絶させられているうちに檻に放り込まれて湖に沈められます。
ああ、マシンガンとかロケットランチャーとか内蔵してあってすっごく堅い武器ね。
アルマゲドンからハリー召喚
起爆スイッチ押した瞬間こっちの世界に
今日からマ王の有利or勝利
異世界移動はお手の物?
ラピュタのロボット兵召喚しないかな
>>886 オッパイのペラペラソース!
↓
「バラバラにしてやる!」
いっそうムスカを
>>896 アメコミでならスパイディとかX−MENチームとかとガチでやりあう奴なんだがな
フーケ捕まえに行く時、フーケ以外はみんな仕掛け人とか
907 :
埋め:2008/03/12(水) 23:10:34 ID:bB2LhTco
ジオブリーダーズから流星の・・・田波くん
「うそだろ!」
ルイズのエクスプロージョンが塔の根元を抉り、倒れ始める
「宇和あああああぁぁぁああああああああああ」
とととととと
倒れる方向に走り出し、ロングビルと一緒に倒れる
どごおおおおっんんんんんん
ものすごい地響きで辺りがシーンとなるが、隣の塔がドミノ倒しで
どんどん倒れていく
そしてすべての塔が倒れて辺りに動くものが無くなった後
「・・・死んだかな?」
ルイズは思わずひとりごちてしまった
ガラガラ
ちょうど倒れてくる塔の窓の部分に居た為、ぺしゃんこにならなかった田波くんとロングビルが
崩れた塔の裂け目から這い出てくる
「・・・ケホッ」
「絶対に使い魔なんて辞めてやるぅ!グスッ」
「まぁ、こんな事もあるわよ」
じとー
「その汗はなんだ!その汗は!」
埋める前に新スレを立てるべきだろ。
さらにそれ以前に前スレがまだ埋まり切らずに残ってる
前スレは500kbだ
45分から投下していいですか?
あ〜おい青〜い、青い車の支援
支援
.
「なぜ知っているだと……? テメエ一体、さっきから何言ってやがるんだ」
じわりと声に殺気を込めて、平田がそのままカウンターから立ち上がり、風見ににじり寄る。それはまるで、猫科の大型肉食獣が威嚇するような迫力があった。
――が、そんな見る者の目さえ背けさせるような圧力を、風見は無言のまま、弾き返すような鋭い眼光で睨み返している。口元の冷笑さえも、いまだ浮かべたままだ。
(――ちがう)
不意にフーケは気付いた。
この男は確かに、風見志郎だ。
顔と体格が同じというだけではない。そんな外見的特徴など、魔法を使えば、いくらでも似せられる。だが、そんなことでは、絶対に解決出来ない内面的特徴というものがある。
そういう意味では、この男は紛れもなく風見志郎本人だ。
この雰囲気、体臭、なにより余人には絶対に真似の出来ない、その氷のような眼差し――『土くれ』の名でトリステインを荒らし回った自分を、一睨みで『死』さえ予感させた鋭い眼光。……こんな目のできる男が、ハルケギニアに二人といるとは思えない。
だが……だが、違うのだ。
自分が知っている風見志郎と、この男は……明らかに違う。
どう違うと問われれば、上手く言語変換できないほどの違和感でしかないが、学院長秘書ミス・ロングビルとして、少なからず彼と接した記憶から照らし合わせ、それだけは断言できる。
――この男は、自分が知る風見志郎とは、明らかに別人だ。
(どういうこと……!!?)
フーケは混乱した。
結論から言えば、眼前の男は、風見志郎であって、風見志郎ではない。
そんな事がありえるだろうか!??
「いいだろう……お前がその気なら、相手になってやろうじゃねえか……!!」
低い声でそう呟くと、平田は、その場で軽く腰を落とし、瞑目する。それと同時に、彼の全身を、吐き気を催すような緑色の霧が包んだ。そして、彼の殺気が、その煙の中で、歴然と変質してゆく。――妖気ともいうべき、おぞましの空気へ。
その不気味な煙の中から光る二つの光――それこそまさしく、フーケにも見覚えがある、改造人間カメバズーカの目であった。
「ほう……?」
平田の煙幕を見た途端、風見の口元からようやく笑みが消える。
そして彼は、平田の“変身”に呼応するように、自らの両腕を右横に流し、ポーズをとった。その瞬間、彼の腰に出現する変身ベルト――ダブルタイフーン。
「――おやめなさい!!」
二人の改造人間の間に割って入り、凛とした声を響かせたのは、さきほど紹介された黒いローブの女だった。
「このような愚劣な諍いは許しません!! どうしても続けたければ、私を殺してからになさい!!」
.
――風見は、やや驚いた表情をしていたが、やがてポーズを解き、苦笑しながら平田に背を向けると、無言でこの場を去っていった。
平田――カメバズーカも、緑の煙の中で無気味に光る瞳を閉じると、その数瞬後に消えた煙の中から現れたのは、……さっきまで不味そうに酒を飲んでいた、中年のおっさんだった。そして、そのまま彼も、部屋の外に姿を消した。
大した度胸だ。フーケは、女の胆力に思わず舌を巻いた。
あの二人が、もしその気になれば、女の細首一本など、文字通り一ひねりのはずだ。しかも二人ともに、他人の言葉に容易に従うような男たちではないはずなのに。
そういえば、フーケが知る風見と共に召喚された、才人という少年も、底抜けに向こう見ずなガキだった。
そこまで思い出して、あまりに明確な事実にフーケは気付く。
才人のルーンは、彼の左手の甲に刻まれている。それは伝説の使い魔“ガンダールヴ”のルーン。かつてフーケ自身が才人を拉致して、その能力を利用しようとしたから、それは確認済みだ。
だが、その情報を盗み聞きした時、オスマンのジジイはこうも言っていた。
才人と同時に召喚された風見にも、同じ箇所に、全く同じルーンがあると。――むしろ、その事実の方が、驚愕に価する、と。
しかし、いま見た風見志郎が、その身にルーンを刻んでいたのは、左手ではなく、額であった!!
「あなた」
不意に声をかけられて、反射的にフーケは振り向く。
「カザミシロウを知っているのね?」
その微妙に湿り気を帯びた声も、フーケは気にいらなかったが、それでも彼女は訊かずに入られなかった。
「あんたシェフィールド、とか言ったっけ? 一体全体これはどういう事なの……? あのカザミは一体何者なの……?」
フーケは、もはや恐る恐ると言った感じで尋ねるが、彼女は切れるような笑みを浮かべ、こう答えた。
「それは、あなたが知る必要のないことよ」
「こんなところにいたのか、ルイズ」
トリステイン船籍のマリーガラント号。そのデッキに、彼女はいた。
「ここは冷える。風邪を引いたら大変だから、なかに入りなさい」
そう優しく言うワルドに、ルイズはあいまいな笑みで答えた。
「だって子爵様、船の中は、いかにも汚くて……」
彼女はまだ、あまり元気も回復していないようだったが、それでもマシになった方だと言える。なにせ、往路のグリフォンでは、ロクに口も聞いてくれなかったからな。――そう、ワルドは胸中で呟く。
.
「まあ、客船じゃないんだ。そこはガマンするしかないよ」
「でも――汗臭い平民の船員たちが、大勢いるでしょう。それでつい……」
その瞬間、ワルドの眉間がピクリと震えたが、――目深に被った羽帽子のおかげで、彼女には気付かれなかったようだ。
「そうか……なら、仕方ない。ぼくも付き合うよ」
「あら、仕方無しなら、別に付き合って戴かなくて結構よ。子爵様」
ルイズは、ちょっぴり拗ねたような目を向ける。
「おっと、これは失言だったねレディ。ではもう一度」
ワルドは、片膝をつき、帽子を脱いで、うやうやしくルイズの手にキスを捧げた。
「我が麗しの婚約者よ、どうかこのわたしが、貴女の傍らに侍ることを許したまえ」
「もう―― 子爵様ったら……」
完成された美丈夫といった雰囲気を持つワルドが、こういう態度をとると、まるで一枚の絵画のようなカッコよさがある。さすがに、そういう大人の男のダンディな魅力にかけては、才人はワルドの足元にも及ばない。
(いやだわ、わたしったら……こんなときでも、またサイトのことなんか……)
思わずワルドから目を逸らし、ルイズは取り繕うように言った。
「ゆっ、許しますわ、子爵様……。どうぞ、お願いします」
「……ありがとう」
ワルドは再び、羽帽子を目深に被り、ルイズの傍に立った。
(汗臭い平民、か……)
その顔色は、もはや帽子に隠れて見えなかった。
「ねえ、子爵様――」
「その、子爵様というのも、いい加減やめないかい? ルイズ」
「え? ――だって」
「さっきも言ったと思うけど、その他人行儀な口の利き方は、そろそろやめよう。ぼくらは、将来を誓い合った仲なんだから」
そう言われて、ルイズは反射的に俯いた。
「すいません子爵様……でも、その、……やっぱり、帰国したらすぐに結婚と言うのは、早すぎるような気がするんです……お父様にも意見を伺わなくてはいけないし、ですから……」
「そうか」
「……」
「分かった。――まだ当分時間はあるからね。ゆっくり考えてくれたまえ」
そう。――あせる必要はない。この少女を口説き落とす時間なら、まだまだたっぷり残っている。かつて王都で、プレイボーイの代名詞とまで言われた自分だ。こんな年端も行かぬ少女を惚れさせるなど、それこそ、赤子の手を捻るようなものだ。
しかし、同時にワルドも理解している。
いまルイズに、自分のプロポーズにためらわせている本当の理由は、彼女が口にした年齢や公爵の意向などではなく、使い魔である、あの少年の存在なのだという事が。
――だが、手はすでに打ってある。
早晩、あの少年は間違いなくアルビオンにやってくるだろう。そのときに、改めて彼の自信を砕いてやればいい。自信を無くした男から女を奪うなど、やはり赤子の手を捻るよりも簡単だ。
ただ、問題はあの風見という男だ。奴がその時どう動くかは、流石のワルドと言えど予想しかねる
(どっちのカザミも、手を焼かせやがる……!!)
そんな思いはおくびにも出さず、ちらりとワルドは、困惑したような瞳で下を向く婚約者を見る。
俺はこの娘を手に入れる。
手に入れなければならないのだ。
そう心に誓う。
誓う相手は、勿論、ルイズでもなければブリミルごときでもない。
もうこの世にはいない、ワルドが心底から愛した、ただ一人の女性だ。
その女性を愛したからこそ、いまのワルドがある。
――そしてワルドは、今の自分をとても誇りに思っていた。ルイズのような、ただの貴族娘とは違う女を愛した自分も。愛することによって、かつての自分と様変わりした、いまの自分も。
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「ねえ、子爵様」
「――ん?」
「なんで、そんなにわたしとの結婚にこだわるの? だってわたしは、魔法もろくに使えない『ゼロ』なのよ」
自嘲するようにルイズは言う。
だが、彼女は知らない。周囲が『ゼロ』と嘲る、魔法失敗による怪現象が、一体何を意味しているか。――しかし、ワルドは知っていた。
彼女とその使い魔が『土くれのフーケ』を捕らえたと聞いた時に、彼はそれまで放置していた婚約者の情報を、徹底的に集め、吟味したのだ。
幸い、魔法学院には、同じく“風”のスクウェアたる旧友のギトーが奉職していたので、ルイズの情報を集めるのは簡単だった。退屈な教師生活に飽き飽きしていたギトーは、魔法衛士隊への再就職をほのめかすと、すぐに食いついてきたからだ。
そして、ギトーからもたらされる情報を分析した結果、結論は、おのずと明らかだった。
「ルイズ、きみは『ゼロ』なんかじゃない。いや、それどころか、きみには計り知れないほどの魔法の才能が眠っているはずだ。それはこのぼくが保障する」
「何を言ってるんです子爵様、わたしは――」
「聞くんだ、ルイズ」
ワルドは少女の顔を覗き込み、真摯な目線で語り始める。
きみの魔力によって起こる爆発は、確かに系統魔法では説明不可能な怪現象である。
しかし、かつて魔法学院の教師たちの中で、魔力の発現が爆発にいたるプロセスを解明した者がいるか? 誰もいやしない。それは彼らが無能だという事もあるが、それ以上に、説明の仕様がないからだ、と。
逆に考えれば、きみはおそらく、このハルケギニアで唯一、四つの系統で括りきれない魔法を操る事が出来る存在なのだ、と。
つまり、断じて、ただの失敗魔法などではないのだ、と。
その証拠に、きみは、サモン・サーヴァントで人間を召喚したではないか。普通、召喚の儀式は、使い魔が高等生物であればあるほど成功とされる。ならば、人類に勝る高等生物が、この世にいるか? いやしない。
これこそが、きみがただのメイジではない、何よりの証明である、と。
ワルドの話は、きわめて論理的だった。
だからこそ、その話は、文字通りルイズの魂を貫いた。
かつて、こんなに論旨明快に、自分が『ゼロ』であることを否定してくれた者は、どこにもいなかったからだ。
無論、系統魔法を使えないルイズを慰めてくれた者たちは、いた。
カトレアを始めとする、彼女の家族。そして、使い魔たる才人。
だが、家族の慰め方は、常に同じだった。今はともかく、いつかは魔法が使えるようになるでしょう。だから、諦めずに頑張りなさい。端的に言えば、そういう事だ。
才人にいたっては、この世界に於ける、“魔法の使えない貴族”がいかに惨めな存在かも分かっていない。――だからこそ、余人とは違う偏見のない目線で、彼女を見てくれる、ということなのだが、やはりそれでは、ルイズの心は完全に癒しきれない。
今は『ゼロ』であっても、いずれはなんとかなる、という家族。
『ゼロ』と呼ばれる事が、おまえの全人格を否定する材料になるのか? という才人。
だが、違うのだ。
ルイズが欲していたのは、自分が『ゼロ』ではない、と言ってくれる存在であり、そのことを論理的に証明してくれる者であったのだ。
無論、ワルドは自分が至った結論の全てを話したわけではない。
彼女が何者なのかなど、それこそルイズが召喚した使い魔たちのルーンを調べれば、バカでも分かる事なのだが、いまのワルドは、それを彼女に告げるつもりはない。ルイズを自分に惚れさせるためには、彼女の劣等感を残した方が、何かと便利だからだ。
しかし、ルイズに、そんなワルドの胸中は分からない。
――やっぱり、わたしの本当の騎士(シュヴァリエ)は、この人なのかもしれない……。
ルイズは熱っぽい視線で、婚約者を見上げながら、何故かズキリと痛む心で、そう思った。
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「――で、早速、その作戦とやらを聞こうか?」
ギーシュが鼻水を拭きながら、風見に言う。
上空数十mの高度を、滑るように飛行する風竜の背。
その寒気そのものと呼ぶべき薄い空気が、おそるべき風速の向かい風となって乗り手を襲う、ウィンドドラゴンによる高速飛行移動。……寒気忍び寄るこの季節に、それを初体験したギーシュは、ラ・ロシェールに降り立った時、さすがに鼻声になっていた。
「あわてるな。話はツェルプストーたちが帰って来てからだ」
風見は、振り向きもせず、ギーシュに告げる。
その口の利き方といい、どう考えても、平民が貴族に対する態度ではない。不遜そのものだ。
――だが彼に、風見と面と向かって、その無礼を咎める度胸はなかった。
ギーシュは、その端正な顔をゆがめると、才人を振り向き、風見に聞こえぬように囁いた。
「なあサイト、あのカザミってのは、一体何者なんだ? 何であんなに偉そうなんだ?」
そう問われても、才人としては答えようもない。
「まあ、ナニモノって訊かれても……見た通りの人だとしか……ってか、そんな怒りをおれにぶつけられても、正直こまるんだが……」
「どういうことかね? きみと彼は、同じくルイズの使い魔だったんじゃないのかね?」
「だから言ってるじゃねえか、――見た通りの人だって、よ」
「そっ、それで説明しているつもりかね、きみぃぃっ!!」
ここは港町ラ・ロシェール。
タバサ、キュルケ、ギーシュ、そしてギーシュの使い魔ヴェルダンデを乗せたシルフィードは、一度この地で小休止を取っていた。
乗り手がタバサだけならば、単独でガリアまでの連続飛行すらこなすシルフィードだが、さすがに3人もの少年少女に加え、体重数百kgのジャイアントモールまで背に載せては、その状態で、学院からアルビオンまで直接飛べと言っても、出来ない相談だ。
それでも、学院から早馬で二日の距離にあるラ・ロシェールまで、たった半日ほどで辿り着けたのは、さすがにシルフィードと言わざるを得ない。
――もっとも、当のシルフィードとしては、眼下の街道を、タンデムに才人を積んで爆走する、風見のハリケーンを、ついに引き離せなかった事の方が、悔しいらしかったが……。
「ただいま」
「ふう、行って来たわ」
タバサとキュルケが帰ってきた。
で、どうだった? と風見が訊く前に、キュルケは結論を口にする。
「――ダメね。ここからアルビオンに向かう便は、次はもう、いつになるか分からないってさ」
ギーシュが、ええっ!?っという表情をする。
港町からフネが出ないという事は、ここからアルビオンに向かうには当然――。
「つまり、またシルフィードの厄介になるしかないって事よ」
「そっか。……ごめんな、タバサ」
「わたしは構わない」
才人の謝罪に、タバサはこともなげに言う。
だが、こんな一文の得にもならない仕事で、他人の使い魔を酷使している事実は、才人にとっては、非常に申し訳ない状況でしかない。
「そうよサイト、どうせ謝るなら、ギーシュに謝った方がいいんじゃないの? これからまた、お寒い思いをさせちゃうけど、頑張ってガマンしてねって、ね?」
キュルケは、悪戯っぽい流し目でギーシュを振り返る。
そこには、やや狼狽したまま固まった、金髪の少年がいた。
「なっ、何を言ってるんだキュルケ!! 仮にもぼくは貴族の一員だぞ! 暑さ寒さでコーディネイトを変えるようなポリシーのない真似なんて――」
そう。彼の上着は、いつもの胸元が開いたフリルの薄手のシャツ一枚に、マントのみという、お世辞にも旅行向きとはいえない格好だった。
出立前に、あれほどみんなが注意したのに、彼は“ポリシー”の一言で、それを無視したのだ。
派手好きのキュルケですら、少しは厚手の野暮ったいコートを羽織っているというのに。
「おいギーシュ」
才人が、さっきのタバサに向けた目と180度真逆の冷たい視線で言う。
「おまえ、ここにいる間に、ちゃんと買っとけよ、防寒着」
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「とりあえず、今晩はこの町で一泊しましょう。一秒でも早く熱いお風呂を浴びて、ワインでもやらなきゃ、ギーシュじゃないけど眠れそうにないわ」
キュルケが、そう言いながら宿場町――ラ・ロシェールは、一応港町なので、諸侯や太守クラスの大貴族が利用する官営旅館『本陣』が存在する――の方向に歩き出し、不意に振り向く。
「カザミ、宿ではちゃんと聞かせてもらえるんでしょうね? アルビオンに着いてからプランとやらは!?」
そう。すでに賽は投げられ、矢は放たれた。
才人は、この場の誰よりも心配そうな目で、風見を見る。
聞いた話では、ワルドは『成算はある』と風見に告げたようだが、いまや、そのワルドは一行の中にはいない。いない以上、風見が述べた任務遂行上の問題点――それらを全て、独力で解決しなければならないということだ。
制空権を握られた、アルビオンへの空路。
数万の大軍勢が包囲する、ニューカッスル城塞への潜入。
城塞への潜入後、トリステインの正式大使を名乗り、返還交渉に及ばねばならない王女の“手紙”。
ちなみに、王女の私的な隠密行動であるため、自分たちが正式な“大使”である事を保障する公式書類は、一枚も用意されてはいない。万が一、事が露見した場合を考えて、アンリエッタは極力、証拠は残さないようにしたいのだろう。
……風見は一体、こんなムチャクチャな任務に、どうやって活路を見出そうと言うのだろう。そもそもワルド子爵は、本当に成算などあったのだろうか?
いや、不安要素はさらにまだ存在する。
レコン・キスタが“増援”として送り出したという、もう一人の改造人間カメバズーカこと平田拓馬……!!
考えるほどに、才人は、これからの旅程のおぞましさに、背筋が寒くなる。
だが……ルイズはもう、今頃アルビオンに着いているであろう。その傍らに自分がいない。そう思うと、自分たちを待ち受ける困難の、さらに数百倍の後悔と不安が、才人を苛むのだ。
一刻も早く、ルイズと合流せねばならない。後の事はそれから考えればいい。本音を言えば、こんなところで、ぐずぐず一泊している暇さえ才人には惜しいのだ。
そして風見は、隣を歩く才人の焦燥など、全く知らぬ者のように、確かな声でキュルケに応える。
「ああ、安心しろ。確実なプランはすでに――」
そう言って、風見は自分の眉間をちょんちょんと突付くと、
「ここにある」
「大丈夫さ、ルイズ。君はぼくに全てを任せていればいいんだ」
昨夜、風見が洩らした任務遂行上の問題点。
さすがのルイズも、今になって少しは不安になってきたらしい。
が、そんな少女の不安を物ともしない、太い声で、子爵は微笑む。
「ちゃんと、確実なプランは、――ここにあるからね」
誇らしげに、ワルドは、自分の羽帽子を突付く。――同時刻に、ラ・ロシェールで風見が全く同じ台詞を、全く同じポーズで言ったと知ったなら、彼は思わず失笑するだろうが。
だが、ワルドと風見では、プランの内容は全く異なる。
そもそもプランも何も、レコン・キスタの大幹部たる顔を持つワルドにとって、たとえ何万の軍がニューカッスルを囲んでいたとしても、全く関係のないことなのだ。
何故なら、城塞を包囲する貴族派の母体となった組織こそが、レコン・キスタという反王制思想組織なのだから。つまり彼にとっては、アルビオンを埋め尽くす包囲軍は、敵ではなく味方に過ぎないのだ。
当然、彼の懐には、レコン・キスタ最高司令官クロムウェルの書付が眠っている。
これを使えば、道中の不安どころか、道行く貴族派は、逆に、護衛すらつけようと言い出しかねない。勿論、そこまでの好意は、自分がスパイである事を喧伝しているようなものなので、受諾する気はないが。
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アルビオンが見えてきた。
隣の少女には見えなかっただろうが、グリフォンでの長距離飛行に慣れたワルドの、鍛えられた視力には見えた。その空中にポツンと浮かぶ白い“石ころ”が。
白く見えるのは、視覚的に月光に反射するのが、大陸の下半分を包む霧の部分だけだからだ。
これが昼間ならば、下半分の白霧に加え、今は夜空に隠された、上半分の黒々とした山塊という、白黒まだらの見事な“石ころ”が、青空をバックにとても美しく展開するであろう。
その“石ころ”が、本来の浮遊大陸と呼ぶに相応しい巨大さを、見る者に意識させるには、まだかなりの距離と時間がかかるであろう。――おそらく夜明け頃まで。
だがワルドは、いまの遠目に見えるアルビオンの眺め――空中にポツンと、寂しげに佇む、孤独な“石ころ”の眺めが、たまらなく好きであった。
(あの者に一度、見せてやりたかった)
ズキリとした胸の痛みと共に、ある女の顔が浮かぶ。
彼がまだ、グリフォン隊の平隊士だった頃。
王都で、“メイジの花形”魔法衛士の名を辱めぬ程度の女遊びに励んでいた、あの当時。
勿論ただでさえワルドは女にもてた。
そんな彼が魔法衛士隊の名を出せば、口説けぬ女などいなかった、と言っていい。
そんな中、出会ってしまった一人の女。
彼の行きつけのカフェの斜向かいにある、花屋の娘。
貴族娘のように、驕慢でも横暴でも自侭でもなく、あくまでその場で咲き続ける事を本貫とする、路傍の花。その美しさを必要以上に訴える事すらない、ささやかで、それ以上に淑やかな花。
それでいて明るく、元気で、傍にいる者――いや傍どころか――斜向かいの店から彼女を見ているワルドさえ、ホッとさせるような、あたたかな空気の持ち主。
歴とした子爵位を継いでいるワルドにとって、そんな町娘など、釣り合おうはずもない。それどころか、彼は、その娘に話し掛けた事さえなかった。無論、その娘が話し掛けてくる事も。彼は貴族で、何より彼女は平民だったから。
そして、ある日、彼女は唐突に、――死んだ。
道行く貴族の馬車を遮ったという理由で、“無礼討ち”として、真っ昼間の公衆の面前で、焼き殺されてしまったのだ。
カフェの親父から、その事を聞かされた時、ワルドは呆然と立ち尽くした。
彼は泣く事さえ出来なかった。敬愛していた母の訃報の聞いた時の、さらに数倍の衝撃に、心を攪拌されていたからだ。その、あまりに大き過ぎる衝撃に、彼の心は、その感情をどう表現すべきか、分からなくなってしまっていたのだ。
そして、ワルドは不意に知った。
自分は、彼女を愛していたのだ、と。
しかし、――それでも、彼の心は『慟哭する』という表現解答を、見出せなかった。
そして、その日から、ワルドは泣けなくなった。
ワルドは今でも忘れてはいない。彼女の弔問に、花を持っていった時の、突き刺さるような遺族の、いや遺族を含む、すべての平民たちの視線を。
無論、彼女を殺した貴族はワルドではないし、それどころか、その場に自分がいれば、むざむざ彼女を殺させる事もなかったであろう。
しかし、彼女が平民であり、貴族に平民を殺す権利がある以上、今この瞬間にも、彼女と同じ、非業の死を遂げている平民たちがいることも間違いないのだ。そして、貴族の権利を始祖が保障しているなら……神がいる以上、平民たちは救われない事になる。
何という、無情。貴族とは鬼畜なのか?!
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最近のライダーの身体能力って昭和ライダーと比較してどの程度差があるんだろうか。
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ワルドは、気付いてしまったのだ。世界の大いなる矛盾に。
万民の幸福を保障すべき、神と始祖が、同じ理屈で、他者の幸福を蹂躙している事実に。
そして彼は、復讐を誓った。神と始祖と王家を頂点とする、社会の全てに対して。
口すら利かず、名すら知らぬ、自分がただ一人愛した、平民の少女のために。
ワルドは、その日から変わった。
魔法衛士隊のたしなみとも言われた女遊びも、スッパリと足を洗い、ひたすら魔法の勉強と戦闘訓練、そして幻獣調教の腕を上げることに励んだ。
彼の頭を支配していたのはただ一つ、――出世してやる、という一事だった。
ただひたすらに、王よりも、始祖よりも、神よりも偉くなり、全てをこの手で創り変えてやる。
それが俺の、この世に対する復讐なのだ、と。
そのためだけに、ひたすら謹厳実直に隊務を勤め、そして彼はグリフォン隊の隊長にまでなった。
これまで以上に礼儀正しく、そして平民たちには容赦しなくなった。平民どもに媚びている、という悪評は、出世の足を恐ろしく引っ張る事を知っていたからだ。
ルイズとの結婚を、いまさら強く望むのも、出世のためだ。
長女エレオノールの悪名は、貴族サロンに轟き渡っている。いまさら彼女と結婚を前提に交際しようと考える男など、まずいまい。次女カトレアに至っては死病に取り憑かれ、あと数年で死に至るだろう。
何よりルイズの属性が、彼の予想通り“虚無”であるならば、『虚無の担い手』の夫として、公爵家を継ぐ事さえ、決して夢ではない。
そして、レコン・キスタという組織を知り、加盟を果たし、今では幹部格の扱いすら受けている。幹部格、どころではない。いまやトリステインにおける貴族派の、事実上の束ね役といっても過言ではないだろう。
彼らの提唱する『共和制』という概念には、確かに魅力を感じる。
『王家』を固定せず、一国を束ねるに足る能力を持った貴族を、議会“貴族院”が選び、国王に任命する。
任期は終身。だが世襲権はなく、王の息子が王位を継ぐのは、王位を継ぐに足る器量の所有者と、議会が認めたときのみ。……真に優れた王のみを選ばんとするシステムだ。
だがいずれ、その精神は失われ、所詮は王家に取って変わりたいだけの俗物が覇を競う、愚劣なパワーゲームの場になってゆくはずだ。そして、司令官クロムウェルや、他の大貴族どもが、小賢しい俗物に過ぎないことを彼は知っている。
しかし、彼ほどの才覚者が、公爵家の爵位と領地と兵力を継ぎ、『虚無の担い手』ルイズを妻としたならば、――俗物ひしめく貴族派内でワルドに逆らえる者は、すぐにいなくなるだろう。
ならば、最終的にハルケギニアを、この手に握る事さえ、決して出来ない相談ではない。
ワルドは、傍らの少女を優しげな眼差しで見下ろした。
自分の野望のためとは言え、こんな、いたいけな少女に犠牲を強要する事に、まるで胸が痛まないと言えば、いくら何でも、それは嘘だ。
思えば、不憫な娘だ。――ワルドはそう思う。
生まれてこの方、魔法が使えないことを周囲にひたすらバカにされ、その挙げ句、ようやく心を通じ合わせた少年とは、生木を裂くように引き離され、この自分に愛のない結婚を選ばされようとしている。
だから、――せめて、この俺に惚れさせてやる。
強制的に俺を選ばされたのではなく、俺に惚れて、せめて自分から俺を選んだ、というかたちにしてやる。そのためならば、俺はいくらでも優しくなろう。どんな事でもしてやろう。
そう思う。
だが、――心までは、くれてやるつもりはない。
俺の心はお前の物ではない。
そして当然、俺の物ですらない。
俺の心を所有できるのは、所有者の名乗りをあげられるのは、ただ一人、名すら知らぬ、あの少女だけなのだから。
その時、鐘楼に登った見張りの船員が叫んだ。
「右舷上方の雲中より、フネが接近してきまぁすっ!!」
なるほど、確かに一隻のフネが、ゆらゆらと近付いてくる。
それを見てルイズは、
「いやだわ……反乱軍のフネかしら」
そう、眉をしかめた。
ならば、逆にこっちとしても、手間が省けるな。
ワルドは胸の内で呟いた。
だが、彼は知らなかった。
ワルドに取っては致命的なことに、……そのフネが、空賊を装った、王党派の私掠船であることを。