あの作品のキャラがルイズに召喚されました part116

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part115
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1203770296/



まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

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    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
              ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

--------------------------------------------------------------------------------

    _         ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし      ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ       本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l        ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
               ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

--------------------------------------------------------------------------------

   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>     ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’       ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
                姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 19:59:05 ID:SHjS3OlA
いちもつ
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 20:00:36 ID:2vt7hYJ7
>>1乙です
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 20:03:11 ID:8RpI7lS9
>>1

後、これ貼っとく

>一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
>SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
>レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 20:03:50 ID:J9ygMPeX
>>1と4乙です。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 20:55:46 ID:C0OeJX1u
もうこのテンプレ展開にいい加減飽きた
新作やるなら工夫してくれよ

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 20:57:40 ID:SHjS3OlA
なんでお前の意見なんざにあわせなきゃならんのか
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 20:59:15 ID:C0OeJX1u
>>7
だってマジ原作なぞってるだけじゃん
ごく一部ましなのあるけどそれも一割もねー
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:00:54 ID:BEHznXPt
メカ付き召喚にはメンテの問題が常に付き纏うわけだが、ならば霊子甲冑はどうかと考えた。
あの程度ならコッパゲでもなんとかなるのではと思うのだが、問題はシルスウス鋼は呪力の類を遮断する特性があるという事なんだ。
そもそもサモン・サーヴァントを弾いてしまっては話にならん。
光武ごとグリシーヌ様を呼び出してルイズが魔法そっちのけで斧に目覚めてしまうというのも悪くないと思うのだが。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:04:18 ID:PpHtRSu/
メカはむずいよなあ…
と前々スレでスレチなACネタを書いて絶不評をいただいた俺が同調してみる。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:06:11 ID:L5ZPBUYh
>>6
だからそーいうのは毒吐きでやれよ。
ここはウンコをひり出す処じゃないし、他人のウンコ見て喜ぶ奴がいる所でもないんだ。

スカトロマニアの巣にお帰りください。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:10:10 ID:C0OeJX1u
>>11
俺はそのウンコをこりもせずひねり出す新参者に文句いってんだよ
このままだと糞まみれになるぞ
ここ最近のSS見てみろよ
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:15:16 ID:MyiVedDZ
記憶が曖昧だが、空の軌跡のパテル=マテルは永久機関を搭載してたような気がする。
そうでなくても、長期間結社に帰らず飛び回ってても平然と動いてるし、
レンがメンテしてるような描写もないので無補給無メンテで13巻までもってもおかしくない
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:15:42 ID:v4OXUfgm
毒吐きはマナーを護らないと荒らしと同じ、と思ってみる

そして、小ネタぐらいなら捻る出せるかなと構想するも纏まらない日々
作者様皆様、本当凄いよなァ…もっと精進せねば
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:16:35 ID:zb0NuP2p
あの、投下していいでしょうか?……まんま、テンプレ展開ですが、今後少しずつずらしてオリジナルっぽくするよう努力するんで。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:17:36 ID:SHjS3OlA
>>15
今はやめときな
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:18:24 ID:B/BrlfU7
召喚されたキャラがゼロ魔原作のイベントをどのように消化していくかを楽しむのもまた一興
無理にオリジナル展開に走っても読み手に対し説明不足だと単に読みづらくたるだけ
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:18:28 ID:OWvkWLJV
投下は歓迎。荒らしとかじゃない限り。
でも俺はこれから仕事なので支援できないのさちくしょー。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:19:18 ID:zb0NuP2p
……とりあえず、空気をかえるためにも投下します。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:19:34 ID:QYygrbF4
>>15
投下支援
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:19:56 ID:PpHtRSu/
今はつらいだろうが支援!
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:20:16 ID:v4OXUfgm
>>19
支援〜
ただ、できれば作品名と、ネタバレにならないなら召喚対象も明記してくださるとありがたい
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:20:17 ID:SHjS3OlA
投下するなら支援するよ
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:20:39 ID:zb0NuP2p
「駄目だ……ここの森も、もう枯れてる」

蒼いジーパンを履き、黄色いブルゾンを着込んだ青年が、目の前にある木をさすりながら呟いた。
節目立ちごつごつとした大木も、表面に白い粉のようなものが浮かび、白髪の生えた老人のような雰囲気をまとっていた。
撫でて木に触れていた指を少しこすり合わせる。手についていた粉は、熱と湿気で、柔らかい白い粘土のようなものになった。
青年はそれを見て顔を歪める。

「石灰だ……」

苦々しげに声を搾り出し、視線を指から隣の山へとあげる。
目の前に広がる、丸裸の山。そこから蟻の行列のように並んだトラックが何かを載せて進んでいく。
その隣も、奥も、見渡す限り禿山となっていた。
人間の乱開発によって切り開かれ、自然を失った山々だけがどこまでも広がっている。
それだけでなく、そこから風に乗って運ばれる乾いた土や発掘物の粉塵が、数少ない、まだ緑を残す山にまで影響を与えていた。

首からカメラを持ち上げ、シャッターを切る。
自分の写した写真を通して、人々が自然の大切さに気付いてくれることを信じて。
被写体の距離を確認し、望遠レンズをつけ、もう一度カメラを覗き込む。

そのとき、ありえないモノが写り込んだ。
光だ。それも、とてつもなく強い、目を焼くような輝き。
レンズ越しでもなお白く、視界一杯に目に付き刺さる光に、思わず目を瞑る。
さらに、それを遮るために前に手を突き出し―――

「え……。うああああぁぁぁっ!!」

その光に青年、瀬川耕司は飲み込まれた。

25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:20:56 ID:SHjS3OlA
支援
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:21:07 ID:PpHtRSu/
支援
27人のいい使い魔:2008/02/26(火) 21:22:17 ID:zb0NuP2p
 

人のいい使い魔


「え……?」
瀬川は、素っ頓狂な声を漏らした。その言葉を出すのが、精一杯だった。

彼の身に起こった現象は、二重三重の意味で衝撃だった。

1つ、何故、自分は突然こんなところにいるんだ?
2つ、何故、こんなに広大な自然が残っている場所があるんだ?
3つ、そして…… 何故、これほどまでにJパワーの波動を感じるんだ?

突然の瞬間移動も確かに衝撃的だった。
むしろ突然の拉致まがいの行為なのだから身の危険から言ってもこれに対する驚きが通常は一番大きいだろう。
さらに、自分の身の回りにはお起きの見知らぬ少年少女たちがいるのだから。

だが、瀬川は違った。
元々、環境カメラマンとして海外などを飛び回っていた身である。状況の変化や、異文化に対する理解能力は高い。
故に単なる周囲の状況以外に強く驚きを感じていた。

まず、この広大な自然。
環境カメラマンとして海外を回ってきたが、ここまで、どこまでも自然が広がる空間は見たことがない。
見渡す限りの草原。その草原の果てに見える色づく山々。
今ではどこにでもある機械文明の細かなもの――タイヤや針金、プラスチックなど――はまるで見当たらない。
肺腑一杯に空気を吸い込む。味すら感じるのではないかと錯覚するほど澄んだ、清らかな空気。
生命力にあふれる光景。こんな場所は、世界を回った瀬川も見たことがない。

そして、全身にみなぎるJパワーの感覚。Jパワーは大自然の精霊達が少しずつ自分に分け与えてくれる大地、いや星の力だ。
それが今までにないほどに充実しているのだ。
この場所に来た途端、精霊そのものの力や量が段違いに増えたような、そんな感覚。
環境がよければ、その総和ともいえるJパワーは強くなる。だが、いくらなんでも異常なほどだ。

「なんなんだ、いったい……?」
困惑する瀬川の声に、答える者がいた。
「あんたは、召喚されたのよ」
集団の中から、さらに小さな少女がその中から出てきた。かなり背が低い。
人ごみに混じったらそのまま見えなくなりそうな、そんな少女だ。
小学生の加那ちゃんと同じくらいの背格好。おそらく、年もそのくらいだろう。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:22:46 ID:C0OeJX1u
>>15
俺はただなぞってるだけで何もひねりも無く作者は読者にどこを読ませようとしてるかなにが狙いなのかはぁ?なSSにウンザリなの
テンプレ展開でも読ませるSSはあるよほんとーにごくごく一部のSSだけど

他の事に労力使ったらとつねづねおもうんよ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:23:09 ID:PpHtRSu/
しえええええん!
30人のいい使い魔:2008/02/26(火) 21:23:18 ID:zb0NuP2p
 
その小さな、ピンク色の髪をした少女が何処かふてくされたような、ぶすっとした声で言った。
「だから……契約が……」
これが、尻切れに小さくなる。最後は何を言っているか瀬川は聞き取れなかった。
「ごめん、もう一回言ってくれるかな?」
怖がらせないよう、優しい口調で。膝を突いて、相手の視線に合わせる。
気付かぬうちに、自分の問題を棚上げして他人を気遣えるのはこの青年の人格がなせる業だ。そうできる人はない。
だが瀬川からすればなんてことのない当然の気遣いだったのだが、それに気を悪くしたのか、顔を真っ赤にして口をもごもごしている。
なんだかため息もついているような様子。
「どうしたのかな?」
どこか具合が悪いのか、と少し瀬川が首をかしげ、頭をかいたところで少女が爆発したように大声を出した。
「ミスタ・コルベール! もう一度やらしてください!」
突然、子供たちの前に立っている頭の禿げ上がった男性に声を張り上げた。

「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
禿げ頭の男性は、首を横に振り、あっさりそれを否定した。
「でも平民ではないですか!」
「それでも、だ。召喚された者がいかなる者であろうと、呼び出された以上君の『使い魔』にならなければならない」
なんというかわがままを言う子供と、それを諭す大人の会話のように見えるが、会話の内容がイマイチ分からないため、なんとも言えない。
ただ、『平民』という言葉には多少違和感を感じてはいた。
いくら文化の発達していない居場所でも、そんな言葉を現代世界で聞くなんて、とますます首をかしげる。

そんな瀬川の考えもよそに、論破されたのか黙りこくった少女は顔を赤らめたまま、早足で瀬川の前に立つ。
すると、懐から杖を抜き出すと、早口で言葉を呟いた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そして……キス。

「むぐ―――っ」

別に危険はないと緩みきっており、逆にどうしたのかと顔を少女に寄せていたため、避けようがない。
完全に奇襲の一発だった。頬にキスを受けたことはあったが、唇は初めてだ。
別に特殊な性癖というわけでもないが、気恥ずかしいやら嬉しいやらで今度は瀬川の顔が一気に茹でダコのようになる。

1秒、2秒、3秒。少女は唇を離すと、また下にうつむいてしまった。
少女の顔は真っ赤だが、同じように瀬川も赤くなっており、これまた少女と同じように視線を合わせようとせず明後日の方向を向くのがやっとだった。

31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:24:27 ID:JPov9BpE
>>6って実はゼロ魔のあらすじとしてはかなり優秀なんじゃないかと言ってみるテスト

逆に言えばここにいる読者はこのテンプレを知っているわけだからイベントを3行に省略しても怒られないんじゃないか?
32人のいい使い魔:2008/02/26(火) 21:24:29 ID:zb0NuP2p
こういうことはふざけてやるべきじゃないよとか、好きな人とするべきだよという言葉が脳に浮かんでは言葉にならず消える。
本人もにぱっと笑ってくれれば、軽い気持ちでしかれるのだが、目の前の少女はそれどころかといった調子だ。
逆に自分が悪いことをしているような気分にまでなって、くしゃくしゃと髪をいじる。

そのとき、急に、痛みが来た。
焼いた針金などを押し付けたときのように、ミミズ腫れに近い火傷の線が左手に刻まれていく。
「あっつ……ぅ、これ……は……?」
突然浮かび上がったそれを撫でながら、しげしげと眺めていると、中年の男性がスタスタと歩いてくる。
学者が遺跡か何かを見るような目で瀬川の手を凝視し、その場の少女に話しかけた。
「ふむ……珍しいルーンだな。ちょっと調べてもいいかな?」
「あ、どうぞお願いします」
少女の答えに満足したのか、手に持っていた帳簿のようなものから白紙の用紙を取り出し、瀬川の手に刻まれたものを手早く写した。

その次の光景は、流石に瀬川も驚くものだった。
常識では考えられないことに、その場にいた人間が全員、浮かび上がったのだ。
特別、何か仕掛けがあるとは思えない。それが、自然であると言わんばかりの様子で次々と。
ポカンとそれを見送る瀬川の前から、あっという間に子供の姿は消えた。

いや、一人残っている。……キスをした少女だけは、飛ばずにまだ瀬川の前にいた。
悠に5分は経ってから、やっと瀬川は少女に口を開いた。


「……ここは、いったいどこなんだい?」






投下、終わりました。
被召喚者は、小説版仮面ライダーJの瀬川耕司です。
マイナーですみません、本当に。 多分姿は、HEROSAGAを参考にして書こうと思ってます。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:25:00 ID:3CHZbYEC
支援
34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:25:28 ID:SHjS3OlA
乙 これからがんばればいいと思うよ

後投下中に雑談すんなよ
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:26:04 ID:PpHtRSu/
乙! よくやった!
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:26:59 ID:3CHZbYEC
乙でした
ふむ、知らないライダーだけどこれからに期待してます
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:29:21 ID:JPov9BpE
ごめんなさい。
良い訳をさせてもらうなら投下開始する時書いてた文章だから投下始まってるとは思わなかったんだよ。
次から書き込む前にリロードします
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:30:14 ID:56PmM3C8
>>31
場合によっては3行どころか1行で流しても問題ないと思う。
特に召喚されたキャラが関わらない場面とか。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:30:34 ID:v4OXUfgm
乙です〜

リロード忘れはよくある事
これから気をつけていけば大丈夫ですよ
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:31:21 ID:4UvWWnli
>>31
もともと原作1巻で完結だからな
広場の決闘あたりから始めてもかまわんかも
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:35:10 ID:PpHtRSu/
たまに小ネタ投下させていただいてるけど、確かに小ネタだと不要な部分削るのに苦労するよ。
全部書きたくても小ネタだと特に要点が薄まっちゃうから、削らねば。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:35:29 ID:U4pyI2vt
最大の仮面ライダー!最大の仮面ライダーじゃないか!
かなり好きなので期待するぜ!
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:37:08 ID:U4pyI2vt
そして>>6
この展開に関しては「予定調和に対する期待感」って形で処理すればいいと思う。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:44:12 ID:4UvWWnli
手厳しい>>6が認める作品てなんだろ?
荒らしかもしれないけど
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:50:24 ID:muvpd38/
1巻を例にすると、召喚、ギーシュ戦、フーケ戦からオスマンとの会話、
この3つが一番キャラごとの違いが出る場面だから、最低限この3つさえ内容が濃くなれば、
後は多少あっさりしてもいいかと思う。錬金の授業やデルフゲットはあまり変えようもないしね。
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:51:25 ID:LG6OyKzE
Jとはなかなか渋いねー
おたく渋いねー

ライダーなら真とかどうか?
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:51:25 ID:LiK8LN9G
もし>>6の希望通りのSSが投下されたところで「原作レイプすんな!!」って騒ぐヤツが絶対に出てくる。
そして投下主が萎えて書くの止めるに1000ガバス
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:53:29 ID:pcazYngG
おお!ジャンボライダーかw
いい趣味してるぜあんた。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:55:28 ID:0II8s7tp
>>46
書いても、序章で打ち切り><
50小ネタ 最強の男:2008/02/26(火) 21:58:09 ID:kAQaN9+E
 書いてみたかったんだ。

 確信があった。
 最強を召喚した、と。
 ありとあらゆる神と悪魔が、ルイズに微笑んだ気がした。
 光があふれる。
 その中心。うつる、人影。
 そこには――

「ひーらりひらひらひひらりらー」

 腰みのをつけて謎の踊りを踊る、おっさんの姿があった。

『ルイズが最強の男を召喚しました』

「つまり、私は遠くから召喚されたのですな?」
「そういうこと。ここはハルゲニアと言われる―――」
「では、自己紹介をかねてキタキタ踊りを!」
「…………」

 † † †

「……馬鹿な!」
 ギーシュが驚くのも道理。
 目の前のおやじはただ踊っているだけだ。
 なのに、七体のゴーレムの攻撃が一度も当たらない。

 ワレキューレのこうげきっ!
 ミス! アドバーグはダメージを受けない!
 ワレキューレのこうげきっ!
 ミス! アドバーグはダメージを受けない!
 ワレキューレのこうげきっ!
 ミス! アドバーグはダメージを受けない!

「ひーらりひらひらひひらりらー」

 アドバーグは不思議な踊りを踊った!
 ギーシュのMPを51吸い取った!

「カウンターマジック!? いや、魔力を吸収しているのか!?」
 
 アドバーグは我を忘れて踊っている!

 † † †

 ゴーレムはアドバーグをふみつけたっ!
 アドバーグは1ポイントのダメージをうけた!
 ゴーレムはアドバーグをしたたかに殴りつけた!
 アドバーグは1ポイントのダメージをうけた!
 土くれのフーケはにげだした!
 しかし回り込まれた!
「盗賊なんてつまらないですぞ! そんなことよりキタキタ踊りを!」

 † † †

「で? 確か学園の倉庫に鎖で縛りつけて置いてきたはずなのに、どうしてアルビオンにいるの?」
「王様に会えると聞きましてな! 私のキタキタ踊りを世界に広めるチャンスと!」
「……不敬罪で首をはねられるわよ?」

 ……やっぱり最強すぎるとお話が破綻しますね。ええ。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 21:59:00 ID:vcHs+oby
>>46
決闘のとこで変身なんかしたら泣き出す奴が出てきそうだw
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:01:51 ID:2+tkDTcg
>>50
魔王ですら殺せないナイスガイですからw
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:05:59 ID:3I0TYMDN
>>52
HP1250だっけ?(ニケ初期HP10・ククリHP6)
草の装備ほとんど裸のままだから元から打たれ強いんだなあれ

>>50
一応キタキタおやじはもう召喚されてるよ
イラストもあるよ
54再生オーガン:2008/02/26(火) 22:14:22 ID:FdFmkI8f
>>6
悪口の中にしか自分を見出せない悪魔め!
ここはお前達のいていい場所じゃない、出て行けぇーっ!!
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:16:01 ID:kAQaN9+E
>>53
情報dクス。今見てきた。
面白かった。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:16:38 ID:CyNtXTWs
>>54
カミーユに見えた
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:22:35 ID:sRugouBb
>>6 のテンプレを壊す事に終始するとだな。
ルイズは魔法が使える
普通の動物の使い魔召還
コルベール出番なし
でも契約しない
そもそもフライ使わない

……なんか疲れるな。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:22:40 ID:3JJ5E35c
いきなりすっとばしてVS七万決戦から書き始めるのも…

確かに原作準拠だとかなり話が進んでいるのでも、アルビオン侵攻作戦くらいまでか…

え〜一番話が進んでるのどれだっけ?
七万決戦までやったの記憶にある限りだと別スレの承太郎召喚もんくらいしか見てないなあ
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:23:44 ID:4J8TlKM/
>>58
連載が続いてるのだと松下かな?
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:34:12 ID:LG6OyKzE
ターちゃんって呼ばれたっけ?
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:34:54 ID:35FP6yQh
このスレの住人が読みたがってる/書きたがってるのは、
○○○がルイズに召喚されたらどんな話になるかではなくて、
原作のあのシーンがサイトではなく○○○だったらどうなる、だ。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:36:05 ID:c+h+B0bc
>>56
でも声はギュネイ。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:37:24 ID:56PmM3C8
>>61
俺は両方読みたいぞ。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:40:54 ID:sRugouBb
>>63
俺ガイル
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:45:51 ID:3JJ5E35c
ルイズが宮本武蔵とあのブルース・リーを召喚する話はまだですか?
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:47:12 ID:C0OeJX1u
>>43
何十回も同じ展開を見せられて平気ならな

>>44
KY 前スレの自称紳士wでさえ自重してただろ

>>47
みんなここでぶっちゃけ書いてないだけで内心はあーまたテンプレ展開か
でも一応支援と乙とつけよーかと惰性でレスしてるだけ
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:47:58 ID:vHecO+6f
おれは史上最強のガンダールヴだ!
どんなやつだって0.2秒であの世に送ることができるんだ!

武器は持たない! カラテだ!!
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:49:03 ID:JPov9BpE
>>61
まぁ、一つの意見ではありますね。
私はゼロ魔のキャラと多作品のキャラの掛け合いを目当てにここに来てますが
(自分の作品読み返して)…あれ?その割には1話を最後にルイズが空気で今書いてる話にもルイズ出て来ないな
………まぁ、そんな事もある
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:49:21 ID:sBcXM6eL
ここ本スレでも毒吐きスレでも「名作だ、期待してる」と繰り返される”爆熱”ですら、
なんとまだ手紙を取りにすら言ってないという現状。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:49:56 ID:rd2Cnq73
>>63
あれ?俺いつ書きこんだかな...

>>66
つまり>>6に沿ってもはずれても文句言う奴が出るって事だろう?
なら作者の裁量に任せて、読み手はテンプレだと思ったらそこだけ読み飛ばせばいい。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:50:09 ID:RWnmh+MI
>>66
おまえさんの言いたいことはわからいでもないことはない
だから毒吐きへ行け

つーかお前の文は読みにくいから推敲しろ
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:53:59 ID:Vz3+N2eS
銀魂のかぶき町四天王をそれぞれの担い手が召喚したらどうなるんだろう
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:56:58 ID:1F69Xk+3
>>63
やあ、俺

>>61
自分の好み押し付けるな
このスレは、その両方を読んだり書いたりするスレだろ?
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:57:33 ID:XSrL9zZg
そんなに原作にない展開読みたいならどっかに依頼してこいよ
与えられる立場の人間が上から目線で文句たれんなよ
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:58:30 ID:c+h+B0bc
クライマックスの大軍相手の大立ち回りを「魔神見参!!」を流しながら書いてみたらノリノリになれた。
問題はそこに至るまでの過程が全然書けていない事だorz
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 22:59:09 ID:C0OeJX1u
>>70
そりゃ何を書くかは作者だがなーいいかげんお前もあきてこねーか?
ただルーチンワークを繰り返してるだけで寒気がしてくる

>>71
当たり前だわざと崩してかいてるんだから素で書いたら特定されるだろ
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:03:16 ID:K8vAwGe9
空気を読まずに聞いてみる。
wiiのバーチャルコンソールであるPCエンジンのソフトやってて思いついた小ネタなんだけど投下していいかな?
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:03:37 ID:rdVJSeNG
文句があるなら自分で書け
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:03:50 ID:2+tkDTcg
支援
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:04:04 ID:c+h+B0bc
>>77
Please!
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:04:30 ID:PpHtRSu/
見えない敵と戦うこっけいさよ。

ところで金剛番長召喚してほしいなあ。
誰か書いてくれんかなあ…
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:04:33 ID:4UvWWnli
小ネタなら投下許可はいらなかったような
83ゼロの兄貴:2008/02/26(火) 23:04:34 ID:K8vAwGe9
「宇宙の(略」
そういいながらルイズが杖を振り下ろすと次の瞬間、彼女の前の地面が爆発しそのすぐ後二回ほど、何かが墜落する音が聞こえた。
「なんだ、サモン・サーヴァントでも爆発するのか?」
「さすがゼロのルイズだな。」
そんな声も爆発で巻き起こった煙が引く頃にはなくなっていた。
なぜなら、煙の中には何かが浮いている姿が見て取れたからだ。
「うそだろ、まさかあのゼロのルイズが成功した?」
「しかも浮いてる、鳥か?虫か?くそっ平民に新金貨五枚も賭けていたのにoTL」
やがて煙が晴れると中庭にいる人すべてが絶句した。
そこには世にも奇妙なナマモノ?×2(身長18寸、体重約90g、頭頂部に穴の開いたブーメランパンツ姿のマッチョ)がいた。

『大丈夫か兄者!』
『ああ大丈夫だ、しかしここはどこだ?われわれはイダテン様の守護をしていたはずなのだが。』

((((((((((喋った!?つーかあれなに?))))))))))そのときみんなの心はひとつになった。

「ミスタ・コルベール、召喚に失敗しました。どうかやり直させてください。」
どうやらルイズはアレを見なかったことにしたいらしい。しかし現実は無情だ。
「ダメだ。この使い魔召喚の儀は神聖なもの、やり直しは認められない。
 第一あなたは召喚に成功しているではないか?さあ、コントラクト・サーヴァントを行いなさい。」
「でっ、でもあんなのを使い魔になんかしたくありません!!アレにきっきっきキスしろっておっしゃるんですか?
 それはいくらなんでもあんまりです、わたしまだしたことないんですよ?」
「そのような些事は私のあずかり知るところではない。次の授業に支障が出る。早くしたまえ。」

『どういうことだ兄者?』
『どうやらわれわれはあのピンク色の頭の者に仕えるよう呼ばれたらしい。』
『なんと。では参ろうか兄者。主の手を煩わせるわけには行かぬ。』
『そうだな弟よ。』
それにしてもこの二人ノリノリである。
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:05:48 ID:sRugouBb
むしろ「原作ってどんなんだっけ?」と言ってみる。


>>76
俺は原作と同じ所は気分によって読み飛ばして、違う所だけ読んでるぞ。
楽しみ方は人それぞれだからアンタの意見に文句は言わん、
だからアンタも周りの人に文句言わないでくれないか?
それでも言いたいなら毒吐きスレで言うもんだと思うぜ。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:05:55 ID:PpHtRSu/
支援
>>82
一応必要。テンプレに無いし守られないことも多いけど。
86ゼロの兄貴:2008/02/26(火) 23:06:27 ID:K8vAwGe9
〜次の朝に起きるまでのルイズの記憶が飛んでいるのでカットされました。〜

キュルケがふたりの肉体美にほれ込み誘いをかけましたが、彼らはそれをとある理由(検閲削除)でかたくなに拒み続けました。


ギーシュ君のワルキューレも彼らの頭頂部から出るmen'sビームには敵わず、哀れ彼の髪はアフロに、バラの造花は灰となりました。
その後マルトー氏にふたりはわれらの筋肉とよばれ、プロテインはありませんが生卵や牛乳などを振舞ってもらいました。

以下略

かくしてアドンとサムソンはゼロの使い魔たちとなり、常に主の傍らに浮き、時にはmen'sビームを放ちゴーレムや風の偏在、7万の軍勢を打ち払い、
時にはそのたくましい体を張って身を挺して主を守ったという。
後のルイズはこう語った。
「せめて何かちゃんとした服を着てほしかったわ。
 下着姿を何とかしろといっても、『この筋肉がわれらの服だ!』っていって聞いてくれないんだから。」
ちなみにデルフはアドンとサムソンに触れられるとたちまち浮き上がり、彼らとともにルイズの子機になったとさ。

各種兵装
ルイズ      ボム(エクスプロージョン)
アドン&サムソン men'sビーム
デルフ      斬撃、魔法吸収

短くてすまん。
はじめてssかいたんだ。少し多めにみてください。
批評は次回の糧にします。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:06:47 ID:X47gfHxf
本日も当スレッドでは人工無能搭載型自動保守プログラムが大人気です。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:07:32 ID:4UvWWnli
そうなのか
支援
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:08:27 ID:sRugouBb
>>86
乙です。
途中で邪魔してしまって申し訳ない。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:08:50 ID:muvpd38/
まとめで面白そうな作品(実際読んで期待できる)見つけても、最終更新日が2007年の夏だったりすると結構悲しくなる。
まあ今年の更新があるやつでも安心できるとは限らないけどさ。
長編書いてて数ヶ月進展ないような作品の作者さんは何かしらの連絡が欲しい。

スレの流れぶった切ってすまん。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:10:03 ID:c+h+B0bc
こりゃまたえらくまたダイジェスト版になりましたな。やったもん勝ちか。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:11:21 ID:FfIEjU+9
>>86
VCのPCエンジンソフトとあるのでまさかと思ったが、やっぱりこいつらかw
そりゃ7万でも勝てんわ
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:12:18 ID:r5OZhbbr
そういや、100スレ記念ってどうなったんだ?
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:12:21 ID:PpHtRSu/
乙です。
>>88
明確な基準じゃないからどっちでもいいんだがね。
変な元ネタじゃないことを確かめるためのルールだから一発屋な小ネタの人ほど必要だと思う。
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:12:34 ID:3JJ5E35c
次の更新がたとえライセでも気長に待つ
きっとゼロのしもべも更新するさ

俺はアシモフがファウンデーションシリーズの新作を書くのを50年待った男だぜ
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:12:49 ID:huGrVeDX
>>90
つ避難所に書き込み
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:13:31 ID:C0OeJX1u
>>78
書いてたよ
中篇を2本と長編1本もちろん切りのいいところで終わってる
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:14:39 ID:56PmM3C8
超兄貴かよ。
なんつー懐かしいものを。

>>82 >>85
1レスで収まるなら投下予告の必要はないと思う。
小ネタでも複数レスにまたがるなら
他の人の投下と交錯しないためにも予告する必要があると思うけど。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:16:35 ID:mSOCEa6E
身長18寸、体重約90gに「あれ?小さくね?軽過ぎね?」っておもってググった

年齢:1兆37億歳
性別:男
身長:18尺
体重:91g
趣味:セキセイインコの飼育
スリーサイズ:104/65/100
好きな食べ物:うな八のうな重
大会出場回数:2回
好きなタイプ:激しさと優しさを兼ね揃えた人

もっと不思議な体重だった
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:16:55 ID:X47gfHxf
>97
それは当然テンプレ展開じゃなかったんだよね?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:18:52 ID:PpHtRSu/
>>98
ああ、申し訳ない。投下予告と元ネタ表記を勘違いしてた。
ちょっとフレイムの餌になってくる。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:19:18 ID:C0OeJX1u
>>100
長編で叩かれて中篇で転向した
中篇も文句あったがな長編ほどじゃなかった
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:21:41 ID:C4kYaVUs
人の質問を理解して答える能力はなさそうだ。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:22:51 ID:RWnmh+MI
文盲すぎワロタ
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:23:23 ID:eX58NcEK
>>90
そういう時は応援スレで簡単な感想と一緒に、待ってるぜ兄貴!って書き込むんだ
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:23:31 ID:56PmM3C8
>>102
特定されたくないならそういうこと書くのもやめた方が…。
テンプレ展開じゃない長編で切りよく終わってる作品なんていくらもないんだし。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:27:55 ID:3ruG4Nnx
なんでスルーできないんだw
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:28:32 ID:xBCV7new
>>93
あったな、確か。

内輪受けな多重クロス三次創作大会だろ、やらんでいいよ。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:29:13 ID:PpHtRSu/
ところで金剛番長を召喚したらどうなるかを一緒に妄想しないかい?
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:31:05 ID:JPov9BpE
>>75
小ネタで投下よろしく
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:31:29 ID:3JJ5E35c
番長ものならとんち番長だな
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:33:10 ID:MaCEO1MW
>>109
一人でやってろ
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:33:13 ID:RWnmh+MI
>>109
お前はどんだけ金剛番長が好きなんだw

どうせなら剛力番長でお願いします
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:34:31 ID:6TqSGIeg
>>108
何かそういわれると物凄いゲテモノのように思えてきたぞ。
>多重クロス三次創作大会

本当にどうなってんだか。企画倒れか。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:36:43 ID:HSy7IbK0
ハッキリ言う

文句があるなら、自分で自分の好きなモノを書け
そして自分の口だけっぷりに勝手に絶望して寝ろ
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:36:56 ID:CqOgVcwB
番長と聞けば某パチンコ番長を思い出してさらに承太郎を連想した俺は姉妹スレにいってくる。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:38:38 ID:PpHtRSu/
>>113
「人をいきなりこんなとこに連れてくるなんて、
あなたたち悪ですわね?」
「ちょっ 人の話を聞きなさい!」
「聞く耳もちませんわ!」

ドゴ ズゴ バキ ピルピル ゴシャ ガラガラガラ……

「先生! 学園の施設には固定化の魔法がかかってたんじゃ…」

「あれは… ヒュペリオン体質!?」
「知ってるの? タバサ!」

「この世に悪は栄えませんわ!」
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:41:27 ID:PpHtRSu/
即興だ… すまない。
単行本派なんで拳タソは手元にないのだよ…
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:45:45 ID:ScBoYsXL
>>114
企画の話が聞こえてきたのがスレ番90台辺りか、
その頃に連載していた書き手がほとんど絶滅したからなw
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:45:47 ID:MaCEO1MW
ふと思った
お前ら本当にゼロの使い魔の原作ラノベなりアニメ一期なり見たことあるのか?
二次創作しか見たことがないわけないよな?
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:47:37 ID:PpHtRSu/
>>120
すいません… アニメ版しか見てないとです…
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:50:22 ID:Vz3+N2eS
一応読んでる
でも行方不明に…
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:51:57 ID:hUBtItgM
アニメ版しかみたことないなぁ 二期が構成ヘタレだけど好きだ。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:51:58 ID:xqhZt+nh
原作だけで書いてます………釘宮さんにはアレルギー持ちなんで
別に普通の役なら平気だけど、ルイズ役みたいに無理にロリツン声出してるの聞くと拒絶反応が

モット伯のエピソード使いたいけど、アニメ見てないからなぁ
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:55:09 ID:LiK8LN9G
>>119
リークすると、そろそろ公開できそう。もうちょっと待っててくだせぇ
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:57:19 ID:w8gFS/eL
>>119
正月が迎えられなかったSSが多いんだよなあ。
俺的にはクレしんと、ハヤテのごとくと、豆粒が途絶したのが痛い。
俺Tueeeeeeeじゃない希少なものだったのに。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/26(火) 23:59:53 ID:FQ0SIYce
読むだけは読んだが、ラブコメ臭が強すぎてちょっと―――という印象だった。
設定は比較的好きなタイプだったでけに残念でならない。
ここのSSはサブコメ臭が薄くて読めるんだがなぁ。


ついでに、ヒロインが微妙。
性格はかなり好きな感じなんだが、攻めというのはなぁ…。
ツンデレはいじめてこそ華だと思うんだ。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:05:08 ID:T+SBgb7m
>>120
一応ラノベのほうはコンプしてる
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:08:24 ID:jXqLQmFW
>>127
モデルになった人物もハンディキャップを抱えてめげない女性だったそうだしね。
逆境を己れの誇りとパートナーの助力で乗り越えていき、それに感謝しているんだけど素直に表に出せない、とか。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:09:11 ID:WK+w+KCs
国立入試も終わったことだし続き書くかな…
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:14:11 ID:rv75vV4o
あたしゃ、このスレでハマって、文庫本編、外伝をそろえてPBも買って、
一通り目を通してから書いてますがな。

アニメ版、漫画版は一切観てないな。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:14:19 ID:PUZM7DRI
原作もアニメもあるが、13巻はまだ読んでない。
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:16:11 ID:LKbiMAfR
>>120
外伝から入った口
一応ラノベはコンプ
間違った事はなるべく書かないためにPBも買った
アニメはニコニコにお世話になってオリジナルの部分は押さえたつもり
ゲームはツンデレスロットに引いたんで手をつけて無いけどお話面白そうだから買っても良いかな?
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:26:46 ID:kM7W3/He BE:124027632-2BP(30)
>>127
可愛い女の子とのラブコメ、これは大事ですね。
人はこれがないと(ry

byヤマグチノボル


ヤマグチだから仕方が無い。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:28:07 ID:kM7W3/He BE:372081863-2BP(30)
sage忘れ失礼
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:39:48 ID:jXqLQmFW
自分の場合召喚に応じたのが爺さんだからラブコメもロマンスもない。
早まったかなー?
137漆黒の瞳の人:2008/02/27(水) 00:43:17 ID:jSoZUCbz
えっと、流れがよくわかりませんが投下してもかまいませんか?
45分くらいに投下したいと思います。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:43:57 ID:rv75vV4o
支援しる
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:45:13 ID:180sfHUq
>>136
それもまた一つの可能性だ
おっと支援だぜ
140漆黒の瞳の人:2008/02/27(水) 00:45:41 ID:jSoZUCbz
では、投下します
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:45:49 ID:KQz3KCb3
>>126
ま、待ってくれ。
姉妹スレで書いてるSSに集中してただけでまだ執筆してるぞ。
次の作品もいずれ投下する予定だ。
142使い魔は漆黒の瞳 2 1/5:2008/02/27(水) 00:46:01 ID:jSoZUCbz
そこはトリスティンでも名だたる有力貴族、ラ・ヴァリエールの領地、その屋敷、さらにはその中庭だった。
花畑を穏やかな風が渡って行く。暖かな陽気に照らされて、清廉な清水を湛えた池はキラキラとまぶしく瞬く。
池の辺には小さなボートが、真ん中には白い石で作られた東屋があり…ルイズはそのお気に入りの場所で、
すぐ上の姉のカトレアと共に午後の紅茶を楽しんでいた。

「それでね、ちいねえさま 私ついに魔法に成功したの! 立派な白馬を呼び出したのよ!」

ルイズは嬉しそうに、先に行われた春の使い魔召還の儀についてその顛末を語っていた。
初めて魔法に成功した手ごたえ。同級生もうらやむ使い魔を召還した様子。
その嬉しそうな様子に、聞き手のカトレアも穏やかな美貌をほころばせる。

「まぁ、白馬なんて素敵ね。私も見てみたいわ。ねぇ、私の小さいルイズ。その子はどこに居るの?」
「え?何処…って、それは…えっ? あ、あの…」

興味深々に瞳を輝かせるカトレアに問われ、ルイズはその後の記憶がはっきりしない事に気づく。
そう、白馬には馬車という余分なものがついていた。そこまでは覚えているのに、その後が…何故か思い出してはいけないような気がする。
何故か目を白黒させるルイズを、微笑みながら見守っていたカトレアは

「そうだわ、私も新しいお友達が出来たの。ルイズにも紹介するわね」

思い出したようにそう告げると、迷宮のように入り組んだ垣根の向こうへ

「カトリーヌちゃん!」

普段らしからぬ大きな声で呼びかけた。

「カトリーヌ? どんな子なの?」
「最近おうちの近くで拾ったの。とっても賢いのよ」

なるほど、カトレアは動物が大好きで、同時に動物にとても好かれる。
また新しい動物でも拾ったのだろう。今度はどんな動物だろうか? 可愛らしい動物ならいいのだけど。
カトリーヌというからには女の子よね。可愛いウサギかしら?
そんなことを考えながら、背後に感じた気配に期待を込めながら振り向いて。

「紹介するわ。カトリーヌちゃんよ」
「お、おれ、か、か、か…かとりーぬ。よ、よろしく」
「ふぇ!?…っ! い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

目の前に現れた、半ば解け崩れた腐乱死体に、ルイズはすべてを思い出す…よりも先に全力で悲鳴を上げた。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:46:13 ID:kM7W3/He BE:330739182-2BP(30)
sage忘れのお詫びも込めて支援
144使い魔は漆黒の瞳 2 2/5:2008/02/27(水) 00:47:19 ID:jSoZUCbz
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

横たえられていたベッドからルイズは悲鳴とともに飛び起きた。
何が何やら分からぬ様子で周囲を見渡す。
清潔なベッドがいくつか並んで、薬品の香りがほのかに漂うそこは。

「な、ななな……え…? ここ、医務室? …い、今の…夢!? それよりもどうしてこんな所に?」

普段めったに訪れないその部屋に、何故自分が寝ていたのか?
直前までの夢見が余りにひどかったがために、根本的な理由、悪夢に至った衝撃の正体さえも混乱した記憶にかき混ぜられしまう。
それでも尚思い出そうとする前に扉が開き、

「目が覚めましたか、ミス・ヴァリエール」

教師のミスタ・コルベールがやってきた。

「はい、ミスタ・コルベール。ですが何故私は医務室に? 色々思い出そうとするとなぜか頭が痛くて」
「…無理もありませんが…忘れてもらっては困ります。まだ貴女はコンクトラクト・サーヴァントを行っていないのですよ?」
「…っ!!!」

その言葉にようやくルイズは思い出した。自分が何を見て気を失ったのか、そしてその直前に何を見ていたのかを。
同時に使い魔を持てなければ留年、という事実をも。

「み、ミスタ!! 儀は、儀式はどうなったのですか!?」
「終了しました。貴女がなかなか目を覚まさなかったものですから。もう、日も暮れようとしていますよ」

ルイズの視界が暗くなる。ミスタ・コルベールの言葉は、日が暮れるどころか、太陽がこの世から失われてしまったに等しいものだ。
折角サモン・サーヴァントを成功させたのに、初めて魔法に成功したのに!
コンクトラクト・サーヴァントを行えなかったがために、自分は留年してしまうのだ。
こんな理不尽があるだろうか!

「で、では! やり直しを!! もう一度儀式を受けさせてください! このような終わり方には耐えられません!!」
「いえ、やり直しは認められません。使い魔召喚の儀は神聖なものです。貴女も知っての通りに」
「そんな…」

悲しみと悔しさに涙さえ浮かべ、コルベールに食って掛かるルイズ。しかしコルベールの言葉は非情だった、途中までは。

「ですから、貴女はこれからコンクトラクト・サーヴァントを行わなければいけません」
「…へ?」
「貴女だけは、まだ儀式が終了していないということです。まずはついてきなさい。貴女の使い魔候補が待っています」
「…え…ええ!?」

そう言ってコルベールは、混乱するルイズを急き立てるように、医務室を後にしたのだった。
145使い魔は漆黒の瞳 2 3/5:2008/02/27(水) 00:48:57 ID:jSoZUCbz
「ミスタ、コルベール。ここは何処ですか?」
「目の前の文字が見えませんか?」
「『学長室』と書いてあるように見えます」
「その通りです。他の何処でもありません」

数分後、ルイズにとってはさらに混乱することに、彼女は何故か学長室に連れてこられていた。
ある意味この部屋は一般性とにとって最も訪れる事の無い部屋だろう。
特に女生徒にとっては、毎年学園で最も行きたくない部屋のNO.1となる部屋でもある。

「それは分かっています。何故学長室なのですか?」
「ここに貴女の使い魔候補がいるからです」
「…ミスタ・コルベール。コンクトラクト・サーヴァントの際には、確かキスを行うのでしたよね?」
「その通りです、ミス・ヴァリエール。予習をしっかり行っていたようで感心です」
「……まさか」
「オールド・オスマンではありません。流石にそれは私も止めます。自重させます」
「………では、オールド・オスマンは他人がキスされるのも見るのが好きだとか……」
「…………さ、入りますよ。ミス・ヴァリエール」
「せめて否定してください!!」

そんな寸劇を繰り広げ入ったそこには、この部屋の主オールド・オスマンが悠々と腰掛けている。
そしてもう一人、見慣れぬ人物が其処に居た。
何やら熱心にオールド・オスマンと話し込んでいたその人物は、入り口に居るルイズに背を向け顔が見えない。
だが体つきは一見細身だが骨太で、しなやかに鍛えられている様子がルイズの未熟な目でも見て取れた。
上品な紫に染められた東方風のターバンと衣服が神秘的な雰囲気を漂わせている。

「おお、来たの。ミスタ・コルベールに、ミス・ヴァリエール。ミスタ・リュカ、その娘が今話していた、君を呼び出した張本人じゃ」

オールド・オスマンの言葉に、その異国風の人物は振り向いた。
凛々しくも涼やかな顔立ちに、透き通った漆黒とも言うべき瞳。
その瞳に見つめられるだけで、何故かルイズは幾つも心中でめぐっていた疑問や混乱が、波が引くように消えてゆくのを感じていた。
同時に穏やかな、安らいだ気分が広がって…

(…え? ちいねえさま?)

ルイズは何故かよく似た雰囲気の実姉と彼とを重ね合わせていた。
146使い魔は漆黒の瞳 2 4/4:2008/02/27(水) 00:50:46 ID:jSoZUCbz
「なるほどのう、まったく違う魔法体系に生態系…幾ら東方に未確認の地が多いとはいえ、こうまで違えば世界そのものが違うというのも判らんでもないわい」
「理解していただいて、ありがとうございます」

ルイズが学長室に呼ばれるしばらく前。リュカは先だってこの部屋に招かれていた。
使い魔召還の儀でルイズが気絶したその時、ミスタ・コルベールはこの馬車の一行が只者ではないと判断した為だ。
無理も無い。腐った死体がたどたどしいとは言え言葉を話し、人がよさそうに頭を下げるなど、只者であるはずが無い。
同時に次々と目を覚まし…そして人語を話すリュカの仲間達をみて、確信は深まっていく。
真紅の鬣を持つ雄牛ほどの体躯をもつ猫科の動物。巨大な一つ目の生き物。この春の陽気の中でさえ白い息を吐く毛むくじゃらな生き物。
蝙蝠にも似た奇妙な生き物に、青い羽色の鳥。ローブ姿の老人は、もしやメイジだろうか?黄金の鱗をもつ子竜の姿さえある。
ましてや、ハルケギニアに半透明でタマネギ型の身体を持つ生き物など存在しないし、ましてやそれに小柄な鎧武者が乗っているなど!
混乱するコルベールに、声がかけられたのはそのときだ。

「その子、大丈夫ですか? ごめんなさい。スミスが驚かせてしまって」
「…貴方は…? この馬車の所有者ですか? この魔物たちは…」

御者台から降りてきたリュカに、コルベールが疑問を投げかける。
だがそれを答える前に、リュカは気を失ったルイズに駆け寄った。
その視線の先は、幾度と無く繰り返されたサモン・サーヴァントの失敗による火傷と裂傷で真っ赤になった少女の手があった。

「火傷ですか? まるでイオを間近でかけられたみたいだ………ホイミ!」
「え、ええ、少し魔法で……何ですと!?」

コルベールは目を見開いた。この青年が杖も無くかざした手の先で、ミス・ヴァリエールの火傷が見る間に癒されてゆくのを。
このような癒しの魔法は、ハルケギニアにはない。水系の癒しの魔法は、貴重な秘薬を併用しなければならない。
だが、この青年はただ魔法の効果のみで少女のやけどを癒してしまった。
杖も無く扱えるような魔法は…エルフの先住魔法が畏怖と共に語られるくらいだが、この青年が使ったそれは、もっと、何かが違う。

其処からのコルベールの行動派迅速だった。儀を終えた大半の生徒を校舎に帰すと、自身はなぞの青年リュカとお互い疑問を交換する。
無論お互いが理解しえぬ事、納得しえぬ事は多々あったが、いくつかの情報を経てコルベールの導き出した答え。

ミス・ヴァリエールは、この恐らくは異郷のメイジである青年を、使い魔として呼び出してしまったのだ。
そしてこの無数の魔物…中にはメイジ(魔法使い)さえも含む全てが彼の使い魔なのだ、と。
147漆黒の瞳の人:2008/02/27(水) 00:52:50 ID:jSoZUCbz
すみません、今日はここまでです。
まだルーンすら浮かんでいません…orz

続きはまた明日以降に
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:53:52 ID:nSeOnNTC
支援
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:53:53 ID:dEV3EqFk
乙です
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:54:48 ID:kM7W3/He BE:1116245669-2BP(30)
>>147
乙!
文章を見るまで「漆黒の瞳ってなんだっけ?」
と忘れてしまっていた・・・・・
Vは思い入れが強いのでこれからも応援しています。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:57:44 ID:IBH/Sgdb
>>126
俺はゴブリンのラッキーを待ってるんだ
152漆黒の瞳の人:2008/02/27(水) 00:57:56 ID:jSoZUCbz
後、前スレで装備品が見たいとか書いてあったので適当に設定しました。
おまけです。

リュカ  :パパスの剣 鋼鉄の鎧 マジックシールド 鉄兜 所持:刃のブーメラン
スラりん :刃のブーメラン 亀の甲羅 マジックシールド 貝殻帽子
スミス  :鉄の杖 毛皮のマント うろこの盾 毛皮のフード
ドラきち :刃のブーメラン 鉄の胸当て うろこの盾 鉄兜
ピエール :鋼鉄の剣 鋼鉄の鎧 マジックシールド 鉄兜
コドラン :鋼鉄の牙 亀の甲羅 貝殻帽子
イエッタ :チェーンクロス 皮の腰巻き 鉄の盾 鉄兜
クックル :刃のブーメラン 鉄の胸当て 毛皮のフード
ガンドフ :チェーンクロス 皮の腰巻き 鉄の盾 鉄兜
プックル :鋼鉄の牙 鉄の胸当て 鉄兜
マーリン :毒牙のナイフ 毛皮のマント うろこの盾 毛皮のフード

強力な武器は無いですけどほぼフル装備…私が5でこういうプレイだった影響もあります。
蛇足でした。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 00:58:59 ID:jXqLQmFW
 父を目の前で殺されたり奴隷にされたり石にされたり。
 使い魔品評会では彼の前半生を物語にして演じたら観客がみんな大泣きしそう。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:00:35 ID:XF9eCwRH
乙でしたー
腐った死体と聞くと何故かエテポンゲ思い出す

ドラクエってゾーマ以外召喚あったっけ?
155ゼロの魔獣:2008/02/27(水) 01:01:27 ID:nWbNvBL4
乙です。
十分後に投下してよろしいですか?
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:01:54 ID:gwbqLdyl
投下乙でした
えー?プックルにビアンカのリボンはー?
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:01:58 ID:kM7W3/He BE:661479348-2BP(30)
>>154
竜王とダイ大から結構召喚されてたはず
158漆黒の瞳の人:2008/02/27(水) 01:03:31 ID:jSoZUCbz
>>155
進路クリアなのですよ

>>156
これは不覚。追加しておきます。
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:04:56 ID:Usr2jLXW
>>152

そしてメンバーに俺のホイミンがいなくて絶望した
>>155
おkおk 支援準備
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:05:58 ID:MAWjcXfs
>>152
先生! どう考えても仲間の数が馬車の許容量をオーバーしている気が(ry

……すみません、重箱の隅をつつくような話でした。
凄く続きに期待が持てます、応援していますので頑張って下さい。GJでした。

161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:09:38 ID:qFutNeNm
>父を目の前で殺されたり奴隷にされたり石にされたり。
マテ、石は時系列的におかしい
162ゼロの魔獣 第27話:2008/02/27(水) 01:10:28 ID:nWbNvBL4
アルビオンへの隠密行から一週間―。

狂乱の四日は思い出の彼方へと過ぎ去り、呆けたような日常が戻ってくる。

アルビオン王家の滅亡、『レコン・キスタ』の台頭、呉越同舟のトリステイン・ゲルマニア・・・。
政治屋にとっては最高の売り込み時であり、歴史屋ならば「嵐の前の静けさ」と評する動乱期であろうが
とかく一介の学生にとっては退屈な日々が続いていた。

もっとも、あれだけの死闘を繰り広げてきたのだ。何一つ変化が無かったわけではない。
螺旋階段を上るが如く、慎一の周囲にも徐々に変化が見られていた。

先ず、慎一を見る周囲の目が変わった。
ギーシュが大々的に自らの手柄話を語った結果、
『最優秀助演男優賞』 の慎一にも好奇の視線が向けられるようになった。

この頃には、初めの頃の慎一が持っていた、抜き身の刃物のような危険さも薄れており
ギーシュ相手に軽口を叩くような姿も見られるようになっていた。
(まあ、それでも何とは無しの緊張感は漂わせていたが・・・)

そして、その変化の際たるものが、シエスタの接近であろう。
初めは慎一を最も警戒していた一人であった黒髪の少女が、ここ最近、妙に世話を焼くようになっていた。

シエスタの中で大きかったのは、真理阿の存在だ。
友人であり、恩人であった真理阿と慎一が同一人物(厳密には違うが)である事を知った事で
彼女は慎一を強く意識するようになった。

また、慎一が普段、着の身着のまま、些事に無頓着な生活を送っている事も、シエスタの保護欲をくすぐった。
だが、彼女が慎一に執着する理由は、別のところにあった―。



163ゼロの魔獣 第27話A:2008/02/27(水) 01:12:17 ID:nWbNvBL4
「最近 よく見るわね・・・ あのメイド」

「・・・・・・」

「私とした事が迂闊だったわ
 そうよね 獣を釣るならやっぱり餌付けよね」

「・・・なにが言いたいのよ? キュルケ」

「別にぃ  ただ 何かアンタ
 ここ最近 妙にカリカリしてるかなあって」

キュルケの指摘を受けルイズがガバッと立ち上がる。

「バ ババカ言ってんじゃ無いわよ!!
 なんであたしが 使い魔とメイドのイチャついてるところを見て
 イライラしなきゃいけないのよッ!!」

「言ってないわよ そんな事 ・・・どこ行くの?」

「部屋!!」

「やめときなさいよ 馬に蹴られて死ぬわよ」

「主が自分の部屋に戻って何が悪いのよ!」

言いながらルイズは、ずんずんずんと進んでいく。

道中考える。なぜ自分がこんなにも怒っているのか?
嫉妬なハズはない。 慎一は自分の好みのタイプでは無い・・・と思う。
宇宙が一巡しても、自分と慎一の恋のヒストリーなど始まりはしないであろう事は断言できる。

真理阿・・・そう 真理阿だ!!
真理阿は慎一に全てを捧げるほど、慎一の事を思っていたのだ。
その彼女を体内に宿しながら、目の前の餌にホイホイ釣られるバカゴリラが許せるワケがない。
主として、真理阿の友人として、徹底的に教育してやる!
そういう事にしておこう。 うん。



164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:12:44 ID:Usr2jLXW
支援支援
165ゼロの魔獣 第27話B:2008/02/27(水) 01:13:53 ID:nWbNvBL4
一方その頃、ルイズの部屋では、史上最強の魔獣が無様にも餌付けされていた。

慎一の辞書に色恋沙汰の文字は無い。
一匹狼の気質である彼にとって、シエスタの甲斐甲斐しさは正直な所煩わしい。
煩わしい・・・ が、豪華な昼飯を棒に振ってまで、冷たく当たる必要は無いんじゃないだろうか?

そんな感じで、今日も今日とて餌付けされていた・・・。

「それにしても いつ見てもシンイチさんの食べっぷりは気持ちいいですね」
「そうか?」
「そうしていると、まるでおじいちゃんが傍にいるみたい」
「そんな年じゃねえ!」

「いえ ゴメンなさい! そうじゃなくて・・・
 ―何ていうか すごく雰囲気が似てるんです

 普段は豪放で明るいのに 時折フッと寂しい目をするところとか」

「・・・そんな目 してたか?」

「してますよ  一人でいる時とか
 まるで ここではない どこか遠い世界を思っているような・・・」

「・・・・・・」

「わたしのおじいちゃん 変な人だったんです
 いつも変わった事を言ってました

 自分は別の世界から来たんだ・・・とか」


「・・・別の 世界?」

慎一のスプーンが止まる。 常ならぬ雰囲気に、シエスタはキョトンとしている。

「なあ シエスタ  ・・・お前の爺さん どうやってこの世界に来たって言ってた?」

「え?   あの・・ 金属の乗り物です 
 ウチの村では『竜の羽衣』って呼ばれてて
 それで東から飛んできたって・・・ 

 それで ・・・確か・・・ 」

「『飛行機』」

「・・・ッ! そうです
 おじいちゃんもそんな事を言ってました  でも なん―― キャッ!?」

突然慎一に両肩を掴まれ、シエスタが悲鳴を上げる。

「そいつは! ソイツは今 何処にある!?」

「シ・・・シンイチさん!?」

「教えてくれ! そいつは・・・ お前の爺さんは生きているのか!?
 その飛行機は 今も飛ぶのか?」
166ゼロの魔獣 第27話C:2008/02/27(水) 01:16:16 ID:nWbNvBL4
「・・・祖父は 祖父は五年前に亡くなりました
 羽衣は・・・ わたしも村の人たちも 飛んだところを見た事がありません」

「・・・そう  なのか・・・?」
「― あの? シンイチさ ・・・あっ・・」

思わず後ずさりしたシエスタが服の裾に足を引っ掛ける。
とっさに慎一が引っ張りあげた結果、ふたりはルイズのベットの上にもつれこんだ。

「・・・・・・・」
「・・・シン・・・イチ さん?   あ あの・・・」

はからずも押し倒される形となり、戸惑いの声を上げるシエスタを気にもせず。
慎一は改めて、少女の顔をまじまじと見つめた。

無限の宇宙を映すようなつぶらな黒い瞳、漆で塗り上げたような艶やかな黒髪。

何故、今まで気づかなかったのか。
ラ・ロシェールでもニューカッスルでも、他には見た事の無い色。

「・・・黒い髪っていうのは この世界では珍しいのか?」

「えっ? ええ・・・   わたしは おじいちゃん似なんです
 おじいちゃんも 若い頃は黒髪だったって
 きっと 東の方から来た人間だからだって・・・ それで」

シエスタは瞳を逸らし、頬を赤らめながら必死に答える。

『聖地』の更に東、『ロバ・アル・カリイエ』―

まったく別の世界からやって来た、という男の話を信じるよりは
伝説でしか知らない未開の地から来たと、村人たちは結論付けるであろう。

だが、まったく別の世界、『地球』からやってきた慎一には直感的に分かる。
おそらくはシエスタの祖父は・・・。

思索に耽りながら、慎一が無造作にその黒髪をなでる。
シエスタは暫くまごまごとしていたが、やがて覚悟したようにひとつ頷くと、ゆっくり瞳を閉じた。

ぎいっ、という扉の開く音がして、

― 目を点にしたルイズが姿を見せる。


時間が止まった・・・。


「ミ  ミス・ヴァリエール・・・!」
「シ シ シシシンイ  こ これはいった・・・」
「取り込み中だ 後にしろ」

慎一が、顔も向けずにぶっきらぼうに言う。

ルイズの中で、ぷつん、と、決定的な何かが音を立てて切れ――

ド ワ オ オ オ ッ ! ! ! !

― 学院の一室に、巨大な風穴が開いた・・・。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:16:59 ID:nSeOnNTC
支援
168ゼロの魔獣 :2008/02/27(水) 01:18:16 ID:nWbNvBL4
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。
慎一にラブコメは無理なのを確認しつつ続きます。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:20:16 ID:Fk2a9PE5
デリカシーを身に着けましょうGJ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:20:46 ID:OtPnXg08
前スレの  ゼロの騎士 第二話
誰かウィキにのせてあげて、やりかたがわからないのでお願いします
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:21:07 ID:nSeOnNTC
いや、意外とイケるんじゃね?ラブコメ。
GJ
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:21:32 ID:jXqLQmFW
乙。
やはり擬音は「ズワオ!」「ドワオ!」なんですね。
というより石川賢のラブコメなんて想像できないような(ズワオ!
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:21:48 ID:oRVaQYvN
ATーXの著名シリーズまたやらんかな
と魔獣を読んでて思た
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:24:08 ID:MI0hFEOO
乙。
この場合の竜の羽衣がゲットマシンとかじゃありませんようにw
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:24:16 ID:o1sM7hdk
デビルマン呼ぼうぜ
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:26:23 ID:jXqLQmFW
>>175
「アー、おれ、でーもんになっちゃったよー」
「ハッピーバースデー、デビルマン」
こうですか、わかりません!
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:40:26 ID:180sfHUq
雷電を呼んでみないか?
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:42:34 ID:qFutNeNm
既に一号生丸ごとで呼ばれてるわけだが
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:43:12 ID:vKuDYMW5
>>177
男塾の雷電なら来てるよ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:44:35 ID:180sfHUq
MGSの方は来てたっけ?
って一号生ごと…
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:47:12 ID:pe7dDOdT
>>86
兄貴おもしろかった。
ギャグもの一発ならむしろこっちのほうが良いかもしれない。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:48:48 ID:vKuDYMW5
このキャラを召喚して欲しいとか思い付いたら、まとめの検索を使ってみよう(´・ω・`)
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:52:16 ID:180sfHUq
調べてきた、無かったな。
次回作の主役になるため過去に行ってヴォルギン大佐に掘られた方は。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:56:29 ID:kM7W3/He BE:1116245096-2BP(30)
彼の場合、何故か無線が通じてたりしたら面白くなりそうだ。
ローズという恋人がいるのだから必然的に修羅場だらけになるからな
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 01:59:51 ID:vKuDYMW5
派遣戦士山田のりこ召喚キボンと書いて寝る
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 02:00:28 ID:lyyQbRIJ
>>180
MGSの方は小ネタの元ネタ秘密の項目にあるよ
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 02:02:44 ID:180sfHUq
竜の羽衣がアーセナル
シエスタはソリダスに拾われた子供で戦闘訓練を受けてるとか…
と愚考してみる
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 02:27:16 ID:mTmDGpP9
せめてRAYくらいにしとけよw
アーセナルとかデカいってレベルじゃねーぞw
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 02:32:12 ID:ZL/23jSE
以前にあった明日のジョーやキン肉マンとのクロスと同じノリで、久保さん(久保嘉晴)を召喚。

魔法学院を中心にハルケギニア全土から東方、果てはエルフの間にまでサッカーを広めることに尽力し、
W杯アルビオン大会では今なお伝説として語り継がれる「七万人抜き」を見せる。
しかし、試合直後に小康状態にあった白血病の症状が悪化し、そのまま召喚者の腕の中で力尽きる。


「ルイズ、サッカー好きか?」


ガンダールヴ、ヴィンダールヴ、ミョズニトニルン、そして最後にもう一人……。
涙なくては記すことさえはばかれる……。
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 02:37:31 ID:aw+r6Unm
そもそもメタルギアって長距離飛行とかできない気が……
しかしアーセナルは1施設に擬態できる大きさだから羽衣とは似ても似つかんw
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 02:46:19 ID:180sfHUq
いや、アーセナルが羽衣なのは飛べる&G.W.との掛け合いをと…
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 03:08:50 ID:M5jhbYya
確かREXと月光は陸戦型
RAYは水陸両用で水際からの急襲及び支援が目的
REXはレールガンの原理を流用した核発射台でレーダーに核を捉えられる事なく標的に着弾させれる
で、おk?
月光って何に使うんだ?
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 03:14:52 ID:aLb2Jx2a
聖地に眠るラ=グース細胞……時天空の破片……
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 04:05:02 ID:8gmvPelq
>>193
「ときてんくうの破片」と読んで吹いた相撲好きな私。>時天空
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 04:10:03 ID:M5jhbYya
>>194
同志よ
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 04:12:12 ID:tgNVO5tU
音速丸を…
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 04:23:56 ID:sXsIWvsb
おああああああ
前スレ>>908のせいで良栄丸でぐぐって辿り着いたサイト読んでたら
怖くて眠れなくなったじゃねーか('A`;)ノドウシテクレル

後ろで風でギシギシ言ってる窓が超怖いんだが
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 04:26:10 ID:2CIKXRR+
デモンズブレイゾンのレッドアリーマーとか
どう見ても第4の(ry
紋章も何気に火水風地と揃っている上に時や無もある。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 07:10:46 ID:xAUk+COf
前スレになった海で召喚ものならあれだな
やっぱ某サルベージ会社の社員達や敵役のマッドサイエンティストと配下の美女軍団とかは?

もちろんアニメ化に際はひたすらローアングルで

つかもともとフライやレビテーションで浮いている機会が多いのに何故に制服ミニスカ?
あオスマンの趣味か
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 07:18:32 ID:yZDgwXoh
漆黒の瞳の人来ていたんだ。リアルで読めなくてちと残念。でもGJ!
俺もDQ5好きなので、続き楽しみにしています。

……ふと、以前投下された子ネタ思い出した。オチで名前がトンヌ(以下略
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 09:13:05 ID:Bbi5O6PL
黒目の人、魔獣の人GJだ!
ところでリュカのルーンは何になるんだろう?
左手よりも右手の方がそれっぽい気がするんだが

そういえば、アルビオンでウェールズ死んでも、ザオラルで生き返るような気がするな
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 09:19:32 ID:4e2T5l0L
なぬ?進化の秘法をかけられたワルドとな?
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 09:19:34 ID:yMD12OyS
ザオラルでは延々と失敗繰り返しそうな気がする

いや、それより、「イベントシーンなので中の人操作不可、蘇生出来ません」か
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 09:22:13 ID:rC7l9JmU
『使い魔は漆黒の瞳』を見てて思ったことが一つ。

この話に於いてデルフの攻撃力ってどれくらいなんだろう……?
流石に天空の剣クラスの攻撃力は無いと思うが、それでも現在装備しているパパスの剣よりは高い気はする。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 09:28:15 ID:h9Ir+tgL
デルフ出さなきゃいいじゃん

ティファが使い魔召喚してそっちがガンダとかさ
5主人公は剣も装備できるけど、最強武器は杖だったし
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 09:50:51 ID:Bbi5O6PL
>>203
むしろ、蘇生シーンを見たワルドが寝返りとか
ワルドの大元の行動理由は母親の生き返りだよな?
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 10:22:43 ID:f/NiBkny
リュカにガンダールブってある意味ひとしこのみだよな
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 10:43:34 ID:Bbi5O6PL
素の能力がバイキルト+スカラ+ピオリムかかってる感じになるとか?
さらに呪文の強化OKならチートだな
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 10:57:42 ID:3Lz8hit1
ヴィンでモンスターに常時戦いのドラム効果でも色々ヤバそうだ

魔法強化はできるとしてもミョズじゃね?
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:00:47 ID:h9Ir+tgL
ミョズはドラクエの「道具として使うと特殊効果発動」の道具が使える、くらいでいいんじゃないかな。
ガーゴイルもどきの集団を引き連れたミューズが毎ターン賢者の石(効果ベホマラー回数無限)使うとか怖いと思うけど。
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:02:17 ID:oNiFfm2V
そういえばワードナもDIやKADORTOがあった……。
アンアンが棺を開けたら生き返っていたウェールズと御対面……駄目ですか?
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:04:33 ID:6H93FiJW
そして誰も触れないことにあえて触れてみる。

ガンダー効果で天空の剣装備かのうんなんぼなんでもこれはアレすぎだねっ!
しかしミョズに毎ターン賢者の石使われると最上級呪文クラスの火力が必要になってくるよなぁ…。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:11:57 ID:x4xORmeY
「あらゆる武器を使いこなせる」ガンダールヴが優先されるのか
「天空の勇者でないと使えない」天空の剣が優先されるのか
ハルケギニアとDQ世界の伝説同士によるパラドックスだな

まあ、どっちが優先されても面白そうな展開ではある
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:15:51 ID:h9Ir+tgL
ふと思いついた

ミューズ「ジョゼフさま、私はもうこの欲望を抑えることはできません………ご無礼をお許しください!」

ミューズはほほえみの杖を使った!
ジョゼフはにっこりほほえんだ!

ミューズ、悦死

イザベラ「………」

イザベラはほほえみの杖を装備した
イザベラの攻撃!タバサに1のダメージ!
タバサはにっこりほほえんだ!

イザベラ、悦死
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:17:05 ID:E5/Cn64s
おいおい、大事なことを忘れてるぜ
ピエールだって剣は装備可能じゃあないか
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:29:56 ID:b1BvadjP
つまりデルフはピエールが所持することになるのか。
ガンダ以外でデルフ所持者になるのはガンパレードのところのタバサだっけ。

…続きが読みたい…。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:43:16 ID:o1sM7hdk
トライガン完結記念ということでヴァッシュをだな
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 11:44:06 ID:xAUk+COf
>>ガンダ以外でデルフ所持者
悪魔の実や聖石でシエスタ
石仮面でルイズ
アヌビス神でワルドも握ってたなあ

とりあえずヴィンダ扱いでもデルフ所持でいいんじゃね?

>なんとインテリジェンスソードがなかまになりたそうにこっちをみてる!
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 12:08:20 ID:rC7l9JmU
うーむ…この展開の場合、ジョゼフが呼び出したのはゲマでしたとかってオチがありそう。
それだといろんな意味で洒落にならなさそうですが…主に現在の戦力的な意味で。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 12:09:19 ID:ROtNu0/z
>>217
おまいさんはいつの話をしているんだ( ̄- ̄;)
いや、ヴァッシュが来たらそれはそれで楽しいだろうけれどw
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 12:12:04 ID:E5/Cn64s
インテリジェンスソードっていえばDQには人食いサーベルなんていたな
Xには未登場だけど
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 12:12:45 ID:+ncYEoP9
単行本で追ってる人は今日が完結日なんだよ
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 12:35:45 ID:rC7l9JmU
リュカが連れてるモンスター達のリスト見てふと思った。
それぞれのモンスターとゼロ魔キャラで相性良さそうな組み合わせとシチュエーションって色々ありそうだよなと。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 12:36:50 ID:Bbi5O6PL
>>219
戦力なんて飾りです!
上手くやればレベル20台で5のラスボス倒せるらしいし

つーか漆黒の人のレベル設定が気になるな
おまけの装備見ると、かなり金稼ぎ&レベルあげしてる感じ
下手するとギーシュは一度死んで生き返るんじゃね?w
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 12:58:28 ID:oNiFfm2V
ギーシュ・ド・グラモン著
「私は霊界を見た」
「死んだらこうなる」
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:01:01 ID:rC7l9JmU
>225
ちょwwwそれは色々問題がある気がするんだがwwwww

ゼロ魔世界的には、霊界と言うより冥界かもしれないが。
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:05:49 ID:cLCVz6Mx
地獄堂霊界通信とか懐かしい
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:11:38 ID:ROtNu0/z
>>222
なるほど、それは失礼した>217

>>224
「おおギーシュよ、しんでしまうとはなさけない」
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:15:32 ID:1oGM6MEf
>>225
『大霊界〜死んだら驚いた』
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:21:28 ID:kSPeTHAz
>>204
原作でもデルフの役割は”護身用””盾”と明言されてるし、攻撃力はそう高く
ないことにすればいいんじゃないか?
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:22:00 ID:qFutNeNm
>霊界と言うより冥界かもしれないが。
どっちかってーとヴァルハラだろ
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:23:00 ID:XNHLP/3t
>>230
当てたときの効果とかアイテムとして使った時の効果もあるしな
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:39:20 ID:lIQbEwDR
てんくうのたての代わりに盾として装備されるデルフ
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:44:55 ID:h9Ir+tgL
スコップの代わりにパトリシアの「そそう」をすくわされるデルフ
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:45:39 ID:k8rYAR0c
マホキテだろうな>デルフ
天空シリーズもこの効果発揮する装備あった気がするけど
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:52:55 ID:4vv0EDhB
>>217
むしろミッドバレイを
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 13:59:25 ID:rC7l9JmU
確か天空装備ってアイテムとして使用出来た筈。

天空の剣=凍てつく波動(補助効果解除)
天空の盾=マホカンタ

…が発動出来る筈だったっけ。
まぁ、現在のリュカが持っているのが天空の剣だけだし、強化系とか殆ど無さそうなゼロ魔だから……もしかして宝物庫の固定化解除フラグ?
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:04:50 ID:qFutNeNm
剣の能力行使は子供生まれてからマスタードラゴンの封印開放要ったと思ったが
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:07:49 ID://Re6cAm
おいおい先の予想してネタ潰ししすぎだろ、ほどほどにしようぜ
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:12:29 ID:QNBqIuyF
逆にそれが狙いなんだろ
先にネタ潰して同時に新作を潰していうこうという
もうそうとしか思えないというか思わない
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:14:05 ID:Bbi5O6PL
漆黒の人が更に予想の斜め上の展開を用意している事を祈る
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:16:56 ID:x4xORmeY
そうやってプレッシャーかけてどうする
そもそも、予想通りの展開でも別にかまわないんだし
下手に予想を外そうとしてプロットがグダグダになって続けられなくなる方が駄目だ

漆黒の人には予想とか気にしないで欲しい
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:18:06 ID:ObTjKA53
ここでノリダーをだな・・・
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:18:44 ID:cLCVz6Mx
俺の予想!
俺が、ブラストハンドだ!
245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:21:45 ID:x4xORmeY
>>244
ブラストハンドは、妾じゃ!
246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:23:33 ID:QZjqKaZb
>>245
僕もブラストハンドだ!

って、この周期的なブラストハンドは自重しろw
言いたいのは分かるけどさぁw
247名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:25:06 ID:Vz8xA5oJ
なのはクロススレ住人と思わしき奴自重www
248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:26:17 ID:3+3khzrP
>>231
ヴァルハラならこうなると・・・
レナス「この魂はいらないから体に返してしまいましょう」
(スクエニ作品繋がりw)
249名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 14:28:16 ID:VaOTLU7w
>>244,245,246
小ネタ読んでそれ以上何度も繰り返すな
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:07:51 ID:YEKzvv8V
CSで3月からガイファード放送されるから、ガイファードとのクロスを書こうかな
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:24:03 ID:xAUk+COf
ブラスバンドかあ
音楽系の使い魔というとエレキ仮面(ゴレンジャー)とか
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:31:18 ID:priInPNY
貴族だ平民だブリミルだレコンキスタだと、どいつもこいつもくだらねぇ!

とりあえず俺の歌を聴けぇ!
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:36:38 ID:h9Ir+tgL
ギターに電気がこねぇぞバサラw
ギーシュのワルキューレに襲われながら、バイオリンをピックで弾きながら歌うのかよ
あと流石に7万のアルビオン軍に歌を聞かせようと思ったら、そりゃ壮絶な音響装置がいるだろうなぁ
254名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:50:01 ID:xAUk+COf
そこでサウンドウェーブの出番ですよ
ステカセキングでも可
某書によると空想科学史上最強らしいし
255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:51:36 ID:gFo7w59P
新作のネタ潰しに
既出なネタの繰り返し

このスレが未だに勢い保ててる理由がわからん
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:52:51 ID:4e2T5l0L
音の拡大に限って言えば魔法でなんとかなんだろうさ。
まあ、演奏機材込みで召喚されていれば、バッテリーを再生してもらえるだろうがね。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 15:54:47 ID:j9ejwh12
バサラはアコギもひけるっつーの

ところでツインビーって呼ばれたっけ
タルブ上空での空戦で雲からベルが出てきたり、レキシントンがありえないほどの変体兵器に改造されてると思ったら
ガリア王がミョズとして召喚したのがワルモン博士……だと流石に厨スペックすぎるか
258歌手ならこいつだろ:2008/02/27(水) 16:01:02 ID:ObTjKA53
君はッ見たかッ愛〜が〜ッ♪
真っ赤に燃え〜るのを〜♪
259むしろこいつ:2008/02/27(水) 16:04:30 ID:j9ejwh12
ホゲ〜〜〜〜〜〜
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 16:05:54 ID:CE2WWvN6
>>259
歌だけで7万を足止めする勇者かw
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 16:15:00 ID:Vz8xA5oJ
>>260
足止め?
全滅の間違いじゃないのか
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 16:17:21 ID:oNiFfm2V
奴の歌声は草木すら枯らすからな。まさに生体音波兵器。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 16:35:29 ID:BmO182xM
>>259
デボスズメやヤタガラスを墜とす大須母娘を思い出した。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 16:56:31 ID:xAUk+COf
とりあえずみっちゃんと金糸雀召喚で
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 16:58:37 ID:cLCVz6Mx
戦場の絆とかロボなアーケードゲームを召喚したらどうなるだろうか。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 16:59:46 ID:KNSXYjZH
歌といえば初音ミ…
だめだ、確実にオリキャラになる…
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:02:35 ID:gFo7w59P
>>266
だからまとめwikiくらい見ろと何度も(ry
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:11:53 ID:KNSXYjZH
>>267
すまん、見てきた…
元ネタ秘密のところにあったのか。いい話だった。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:15:04 ID:pEKM/+TN
まったく、ブラストハンドブラストハンドと騒いで
やめてよね、PC@である僕が本気になったらどれだけ量産型ブラストハンドが
いたってかなう訳ないだろうw
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:16:32 ID:jBslPIvo
くっ……これがPC@の力か……
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:26:59 ID:KNSXYjZH
あれだ、ブラスバンドなら、ジャイアンとカービィと
ギャオスと佃島パイレーツのヒロイン呼んで最強ユニットをだな…
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:30:11 ID:4e2T5l0L
歌といったらアルトネリコのレーヴァテイル。

そういや、以前「第三世代は延命剤必要だから召喚できない」とか言ってたケド
ダイキリティーはクラスノ結晶で一番単純な物だから、
完結後のヒロイン連中なら材料さえあれば自分で調合可能かも。
そうでなくてもサンプルがあればコルベール先生なら練金で作れそうだし。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:39:54 ID:QMXjtn3P
>>271
となるとデルフリンガーはマイクとかメガホンに転職させられるのか……。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:48:43 ID:6H93FiJW
そーいやリビングセプターをマイク代わりに使った作品もあったなぁ。
アンデッドかつ王女様なので召喚したら色々大変だろうケド。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:53:48 ID:Cyz/p1DH
>>273
響鬼のアレとかガルルセイヴァーな形状になったデルフを連想した
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 17:57:32 ID:bwTiCU52
>>264
 あいつらを召喚?

まとめWiki見てこい。完結作品だ
喚ばれてもいないのにやってきたぞw
277もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:05:07 ID:QughdkOo
5分後に投下してよろしおま?
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:05:23 ID:Yer9P9Oy
どぞー
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:08:40 ID:xAUk+COf
最近、まとめWikiやこのスレを見てから原作を読んだり購入したりしているなあ。
>>276を読む前に原作を知らなくてはと思い慌ててローゼン八巻読破してまた。
あ、るるるをちらと見たら、これはシロ姉をしっかり把握せねばとソフトショップに急行すようとする俺がいr…病んでる?
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:10:04 ID:Yer9P9Oy
普通だろ?
おれだって左手さんの読んでSPRITS全巻買っちゃったし
281もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:10:46 ID:QughdkOo
.
「アルビオン……だと?」

「ええ、いま言った通りよ」
「本気で言ってるのか、ヴァリエール?」
 風見は、普段ルイズの部屋ではなく、コルベールの部屋に居候している。
 だから、今では、ハルケギニアの世情に、少しは詳しくなっている。そして、彼の知識によると、いまアルビオンは確か……。
「当たり前でしょう! こんな名誉ある任務をお断りするバカがどこにいるの!?」
 ルイズが、えへんと胸を張る。

 まあ、その気持ちは、風見にも分からないではない。
 幼馴染みとはいえ、王家の象徴たる姫殿下が、自分を頼ってくれた事が、ルイズにとっては誇らしくてたまらないのだろう。
 だから、コルベールを通じて、自分を呼び出したルイズが、嬉々として、王女に個人的な任務を命じられたことを話されたとき、風見は純粋にルイズのために喜んでやった。
……ルイズが、その“任務”の内容について話し出すまでは。

「気に入らんな」
 風見の態度に腹を立てたのだろう。ルイズの傍らにいた、美髯の貴族が、切り込むように言った。
 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵。
 メイジの花形である王宮魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊の隊長。アンリエッタが一行の護衛にと、直々に命を下した“風”のスクウェア・メイジであり、そしてルイズ・ラ・ヴァリエールの許婚者……。
「君は、使い魔のくせに、主が名誉の任務を与えられた事に不服なのか?」

 しかし風見は、そんなワルドの想像を絶した返答を、こともなげに返す。
「当たり前だ。お前らの名誉など、俺には関係ない」
「なっ……!?」
 自分を真っ直ぐ見つめて、そう言い返す『平民』に、ワルドは呆気にとられ、思わずルイズを見る。見られた彼女は、非常に済まなさそうな表情で、小さくワルドに謝る。

――そんな二人の貴族の様子が、壁にもたれて座り込んだ才人には、非常に、気に食わなかった。
282もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:12:50 ID:QughdkOo
 さっきまで才人は、ルイズと二人、とてもいい雰囲気だったのだ。
 オーケストラも照明効果も無い、寒夜の校庭だったが、才人とルイズにとっては、何にも勝るロマンチックなダンスパーティ。
 そして、部屋に帰ってからも、そのムードが続けば、――いかに不器用な才人であっても――行けるとこまで行けちゃうかも知れない。そんな淡い期待もあったのだが……その夢は、あっさり潰えた。
 それはもう、見事なまでに。
 部屋で彼らを待っていたお姫様――アンリエッタが、彼女に持ち込んだ依頼。それを聞いたルイズは、もはや才人の事など忘れたかのごとく、舞い上がってしまったのだ。

――まあ、それはいい。
『ゼロ』と呼ばれて久しいルイズが、いかに“名誉”に飢えているか、才人は知ってしまっている。
 だが、気に入らないのは、お姫様が連れてきた――ワルドとかいう男だった。
 一目で分かるモテ男オーラを発散する、精悍な美男子。
 彼を見た瞬間、ルイズが目を潤ませて頬を染め、声を上ずらせて眩しそうに視線を逸らし、つまり今まで才人に全く見せた事のない表情をしたのだ。
 いくら彼が、二次元の女性しか知らない鈍感でも、ここまで露骨だったらバカでも分かる。


 これは、恋する少女の表情だ。
 しかも、ただの恋ではない。好意と憧憬が組み合わさった、第三者には、ほぼ介入の余地が無い恋愛感情。名門に生まれ、他人を無意識に見下す少女が、『見上げる』形で表現する愛情表現。――いうなれば“恋慕”というべき感情。


 そして――その青年が、ルイズの許婚者であると聞いた時、才人は、足元がガラガラと崩れていくのを感じた。
 無論、崩壊したのは地面や床ではない。
 これまでルイズとの間に築いてきたはずの、絆のようなものが、である。
 しかも、その貴族が、将来を嘱望されるエリート・メイジだと聞いた日には。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:13:13 ID:priInPNY
覇王支援拳を使わざるを得ない
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:13:14 ID:yI1pASLI
風見さん久々登場支援
285もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:14:31 ID:QughdkOo
.
「もう一度、状況を整理するぞヴァリエール」

「好きになさいよ」
 ルイズは、そっぽを向く。
“名誉”を解さぬ使い魔が、婚約者の前で自分に恥をかかせた事が、少女を苛立たせるのだろうが、風見は無論、彼女のそんな自尊心など意にも介さない。
「王女の命令とやらを平たく言えば、こうなる」


「内戦の真っ只中にあるアルビオンに出向き、レコン・キスタと名乗る反乱軍に包囲された篭城中の城に忍び込み――」

「侵入者である自分たちを信用させ、国交断絶を一方的に宣告した上で、手紙の返還を交渉し――」

「そして、再び包囲軍を突破し、制空権を支配された浮遊大陸から、無事に手紙を持ち帰る――」

「しかも、王女の個人的な極秘任務のため、国からの正式な紹介状は勿論、必要経費すら与えられず、王宮からの援軍は、このワルド子爵ただ一人のみ――」

「以上で間違いはないか?」



 才人は、あんぐりと口を開けていた。
 なんだそりゃ……!?
 アンリエッタが喋っている時は、ワルドとルイズに対する妙な絶望感で、ほとんど話を聞いていなかったが、――こうやって聞くと、身の毛もよだつ話だ。
 そんな任務を――いかに信用できる幼馴染みだからとはいえ――魔法学院の劣等生に命令するオヒメサマとやらに、才人は恐怖さえ覚えた。そして、それを“名誉”だと言ってはばからないルイズにも。
 そう思い、ちらりとルイズを見た才人は、さらに唖然とする。

 ルイズは――真っ青になっていた。
 風見に、無理やり話を“整理”され、自分が安請け合いした任務が、いかに困難に満ちたものかを、ようやく自覚したらしい。
(……ってか、分かってなかったのかよ、お前!!)
 才人は、そんなルイズの性格にも、かなりドン引きだったが、同時に安心もした。
 ルイズが、その任務の困難さを全て理解した上で、嬉々として命令を受けたのだったら、彼女の価値観は、あまりにも才人と異質すぎる事になる。彼は、自分が惹かれつつある少女の、そんな理解を絶した一面を見たくは無かった。
286もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:16:49 ID:QughdkOo
.
「きゃはははは!! コイツぁひで〜や! おい、貴族の娘っ子!! オメエ実は、お姫様に恨まれてるって事はねえかぁ!?」
 やぶれかぶれな笑い声を上げるデルフリンガーに、ルイズがぎょっとしたような反応を見せる。
「なっ、なに言い出だすのよ、この錆び刀!!」
「だってよぉ、オレにはこの仕事、オメエに『死ね』っつってるようにしか聞こえねえぜ?」

「やめろデルフ!!」
 才人は、あわてて剣を無理やり鞘に収めたが、もはや場の空気は収拾しようが無い。
 彼はもはや、ルイズがどんな表情をしているか、確認する勇気さえなかった。
 なにせ、この剣が言った事は、この場にいる全員が等しく思っているはずのことだからだ。
 いや、全員……?
 
「そうだ。それが我らの任務だ」
 ワルドが、――彼だけは全く動じた様子も見せず、そう応えた。
 そうなのだ。
 この貴族だけは、任務の内容も何もかも承知の上で、ここにいるはずなのだ。
 にもかかわらず、何故そんな顔が出来るのだろう。
 格好つけてるだけ、じゃ、ない、のか……?
「大丈夫だルイズ、心配するには及ばない。君のことはぼくが守る。たとえ命に代えてもだ」
「子爵様……!!」
287もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:18:18 ID:QughdkOo
.
 ルイズが、そう言われて頬を再度赤らめた時、才人は無性に腹が立った。
 なぁ〜にが『ぼくが守る』だ! 無責任なこと言いやがって!!
 守りきる前に、肝心のお前が殺されちまうケースを考えないのかよ!?
 戦場で、ルイズが独り、取り残されちまったら、どうする気なんだ!?

 そう思った瞬間、才人はふと、一つの疑問が頭をもたげるのを感じた。
「なあ、ルイズ」
「――え?」
 ワルドと見つめ合って頬を染めていたルイズは、弾かれたように、その照れた顔を才人に向ける。――そんな彼女の様子が、ますます才人の癇に障る。だから必要以上に声に毒が込もった。

「なんでお前が行かなきゃならないんだ?」

「なによそれ、どういう意味よ……!!」
 ルイズの額に険が走る。
 返答次第じゃ、許さないと言いたげな目の色だ。
 だが、それ以上にイラついていた才人は、言葉を選ばなかった。

「だから――わざわざ、お前が行かなきゃならない理由が分からねえって言ってるのさ。そっちの護衛役の貴族サマが一人で行った方が、よっぽど成功率は高いだろう?」
「なっ……なんですってぇ!?」

 やばい!! やばいやばいやばいやばい!!
 脳が、ボリュームを最大にして、警報を鳴らす。
 これ以上は喋るな。これ以上喋ると、地雷に触れる!! 絶対に触れちゃあいけない核地雷に!!
 しかし、彼の理性はすでに、引っ込みのつかない嫉妬で破壊されてしまっていた。


「魔法が使えないお前が一緒に行っても、ぶっちゃけ、邪魔になるだけじゃねえか。そうだろ?」


 その瞬間、才人の身体は吹き飛んでいた。
 魔法で喰らったダメージとは全く違う、骨の髄までずしんと響く一撃。
 その一発のおかげで意識が飛び、壁に叩きつけられたおかげで、その意識が回復する。
 あとに残されたのは、切れた唇に折れた歯。
 才人は、自分が殴られたことに気付いた。
 殴ったのは、無論ルイズではない。ワルドとかいう彼女の婚約者だ。
 
「平民、貴様は言ってはならぬ事を言った。――もう一度同じ事をほざいてみろ!! 二度と、まともな口が利けない身体にしてやるぞっ!!」

288もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:20:06 ID:QughdkOo
.
 怒ってるよ、この大将。
 まあ、当然か? 確かに、こいつの言う通り、一番言っちゃあならねえトコロを言っちまったからなぁ……。フィアンセとしちゃあ、一発くらいブン殴りたくもなるよなあ。

 そう思った瞬間、才人は自分のコンディションを思い出した。
 全身数箇所に負った火傷と、度重なる無理な運動で、限界が近付きつつあったことを。
 その瞬間、痛みがぶり返した。
 しかし、この場で苦悶のうめきを上げることは、嫉妬によって歪まされた、彼の矜持が許さなかった。
 そこにワルドがいたから。
 そして、ワルドのさらに後ろに、ルイズが見えたから。
 才人は、……立ち上がった。

「なんだその目は? いまの暴言を取り消すつもりは無いとでも言いたげだな?」
 そう言いながらワルドが、つかつかと才人に近付く。
「待って、子爵様!」
 ルイズが才人とワルドとの間に、割って入る。しかし、彼女が才人の身体に僅かに触れた瞬間、少年の全身に電撃を浴びたような激痛が走った。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」

 思わずうずくまる才人。
「サイト……!? 大丈夫サイト!!」
「うるせえ触るなっ!!」
 ルイズは、痛みに悶える才人に手を差し伸べようとしたに過ぎない。だが彼は、そんな少女を突き飛ばし、思わず、そう叫んでしまったのだ。

 それは反射行為だった。傷口に触れようとする他者に対し、無意識が命じた防衛本能。
――だが、“絵”としては、これ以上ないほどに象徴的だった。
 少女に対する、少年の峻厳なまでの『拒絶』。
 当然、才人は次の瞬間に、自分の行動がとった意味を理解し、何かを言わんとする。
 いまのは違う。いまの言動に意味はない。おれに、お前を拒絶する意思はない、と。
 が、その瞬間、部屋に響いたワルドの声が、その声を掻き消した。

「平民、やはり貴様もルイズを侮るのか」
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:21:42 ID:rv75vV4o
しえん
290もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:22:04 ID:QughdkOo
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 愕然とワルドを振り返る才人。だが、そこにいたルイズの婚約者は、むしろ沈鬱な声で、才人に止めを刺す。
「貴様も使い魔の端くれならば、主が『ゼロ』という蔑称に、どれだけ心痛めているか、百も承知であろう。にもかかわらず、貴様は……!!」

――違う!! おれはそんなつもりはない!! おれはただ……!!
 だが、才人のその言葉も、ルイズの目を見た途端に、彼の咽頭で自壊してしまう。


「そう、――やっぱりそうだったのね……!!」


 彼女の目は、怒っていた。
 それは、短気なルイズが、これまで見せた事のないほどの深度の怒り。
 そんな目を見せられては、もう才人に吐ける言葉は、この世に存在しなかった。

「結局、なんだかんだ言って、――あんたもわたしのことをバカにしてたのね……? 貴族のくせに魔法も使えない『ゼロ』だって。何も出来ないくせに主ヅラした、鼻持ちならないチビだって。――そうなのね……!!」
「……ちがう……」
「あんたは……あんただけは違うって思ってたのに……、やっぱり他の奴らと同じだったのね!!」
「違うんだルイズ!! 聞いてくれ――」
「出て行って!! いますぐここから出て行って!! 二人とも、二度とわたしの前に顔を見せないでっ!!」




「わかったよ……」
 才人は、そう呟くと、うつむいたまま、扉の向こうに姿を消した。それこそ、主に見捨てられた犬のような表情をして。
 ルイズは、それこそ悪鬼のような表情で、才人を睨み付けていたが、彼の背が、そのまま部屋を出てゆくのを確認した途端、ベッドに突っ伏して泣き始めた。それはまさに、号泣と呼ぶに相応しい慟哭だった。
 
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:23:25 ID:QMXjtn3P
日本代表**ゴール前フリー、ここでシエーーン!!
292もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:23:38 ID:QughdkOo
.
 風見は、そんな少年少女のドラマに、疲れたような溜め息をつくと、しばらく一人にさせてやろうという視線で、ワルドを誘い、廊下に出た。

「まったく――困った事をしてくれたな。おかげでぼくは、一晩中ルイズを慰めねばならなくなった。どうやら今宵は眠れそうもないよ」
 さっきまでの荘重な怒りはどこへやらといった風で、何事も無かったように軽口を叩いてくるワルドに、風見はやや戸惑いを覚える。
「あんたは、俺が気に入らないんじゃなかったのか?」
「はは……、そんな事はないさ。これでもぼくは、――さっきの少年はともかく――君らを買っているんだよ。あの『土くれのフーケ』を首尾よく捕らえたという、君たちルイズの使い魔をね」
「……」
「さっきの君の意見、あれはなかなか鋭い指摘だったよ。だからといっては何だが、おそらくフーケを捕らえる主軸となったのは、君なんだろう?」
「……いまは、そんな話をしている時ではないはずだ」
「ごもっとも。――で、何か話があったんじゃないのかい?」
「ああ。――あんたには、正直なところ、腹を割って話を聞きたいと思ってな」
「話?」
「今回のこの一件、成算はあるのか?」

「……ある」
 だが、――とワルドは付け加えた。
「その詳細を言うわけにはいかない。君たちは既に、ルイズによって一行から外されてしまった身だからね。策は密なるを以ってよしとする。“部外者”に、機密を洩らすわけにはいかないさ」
「“部外者”、か……」
 風見は、思わず苦笑する。
「ああ、気に障ったら許してくれ。――ともかく、ルイズはぼくが守る。なにしろ彼女は、我が愛しの婚約者だからね。君たちも、大船に乗った気分でいてくれたまえ」

 その笑顔には、確信があった。
 風見は、何故ワルドが、この危険な任務に、そこまで確信をもてるのか分からなかったが、……それでも、彼の言葉と表情は、風見から不安を奪った。
「本当に、俺たちがついていかなくていいんだな?」
 その言葉を聞いて、今度はワルドが苦笑する。
「いまさら、ルイズが君たちの同行を許すとは思えんよ。彼女を心配してくれるのは嬉しいが、――まあ、任せてくれたまえ」


 翌朝、払暁――ルイズは校庭に降り立った。
 ワルドの騎乗するグリフォンに乗って、出立するために。
 彼女は、その瞬間、何かを訴えるような目で、母校を見つめたが、――やがて、決意したように振り返り、ワルドに言った。

「行きましょう子爵様。アルビオンへ」

 だが、彼女の傍らに、その使い魔たちの姿はない。

293もう一人の『左手』(その18) ◆utAARsQ0ec :2008/02/27(水) 18:25:27 ID:QughdkOo
投下は以上です。
ではでは。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:26:37 ID:xAUk+COf
ををを今までにない展開!
しかしこの作品の才人とルイズは怒りっぽいなあ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:26:46 ID:/P7t2p00
おつです
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:28:09 ID:priInPNY
・・・・・・・・毎度毎度の事ながら美味しい所で切るなぁ
続きが待ち遠しいじゃねぇか
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:33:55 ID:CE2WWvN6
南海奇皇(ネオランガ)からネオランガ召喚。
ネオランガだけ呼んでもつまらないから島原一家もセットで召喚まで考えたところで、
ゆうぴー大暴れという展開しか思い浮かばなかった。

ギーシュ「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね」
夕姫「ふーん。じゃあ、あたしはランガの王だからランガを使って戦う。文句ないわね」

ルイズ「なにするつもりよ!?」
夕姫「決まってるでしょ。街を破壊するの。一気にトリスタニアを制圧して、そのあと独立宣言して…」
ジョエル「や、やめてください、そんなこと!」


でも真っ先に思いついたのはこのやりとり。

キュルケ「ルイズ、ユウヒはあれで12歳ですって。どうする?」
ルイズ「なにが?(怒)」
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:37:25 ID:MHXIus9T
このサイトの素直じゃないデレ度は原作ルイズに匹敵するっ!
やきもきしたりハラハラしたりしつつも、安心して読める質なのは嬉しいですわ。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:39:48 ID:MHXIus9T
>>297
普通にランガだけ召還で、直接言葉を使わない意思ある物との交流っぽい方が萌えるガネ
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:43:05 ID:QMXjtn3P
最近どの話でもワルド悪役が板についてきた、
本当はいい子なんだけどなぁ。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:51:03 ID:MHXIus9T
空気なワルドは原作で見れるから、
読んでて心地いいきれいなワルドも、話をしっかり盛り上げてくれる悪役のワルドも、どちらも好ましいよ。
同じ後半から空気繋がりで、そろそろ燃えるクロムウェルの時代が来てもいいかもしれない。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:56:49 ID:6H93FiJW
>そろそろ燃えるクロムウェルの時代が来てもいいかもしれない。
確かに。そろそろ知略をもってジョゼフを出し抜くクロムウェルとか出現しそうな気はする。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:57:58 ID:o1sM7hdk
クロムウェル=トリューニヒト
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 18:59:41 ID:xAUk+COf
熱血漢のモリエール夫人が見たいっす!
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:00:52 ID:KNSXYjZH
今投下されようとしている方はいらっしゃいますか?

今投下されようとしている方はいらっしゃいますか?
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:05:44 ID:KNSXYjZH
いらっしゃらないようなので五分後に小ネタ投下予約させていただきます。
壬生義士伝より吉村嘉一郎です。
307虚無義士伝:2008/02/27(水) 19:11:13 ID:KNSXYjZH
「あなたもしつこいわねえ…
あんなに何回も断ったのに飽きもせずに押しかけてくるなんて。

……いいわ、話してあげる。
こんな雨の日にお客をただ追い返すなんてヴァリエールの名が廃るもの。
でも面白い話なんて期待しないでね。

お茶はストレートでいいわね? お菓子は勿論、クックベリーパイよ。
今メイドに持ってこさせるわ。

それにしても今日はよく降るわね……」



「…驚いたわ。 
そりゃそうでしょ、召喚したのが人間で、
それも血まみれでボロボロになって倒れていたんですもの。
最初は私の魔法の爆発で殺しちゃったんじゃないかって…

駆け寄ったコルベール先生が、まだ息がある!って言ってね、
急いで医務室に運んで…

結局爆発の傷ではなかったけど、手は尽くしたわ。
だって召喚したばかりの使い魔に死なれちゃ、目覚めが悪いじゃない?」


「でも大変だったのはあいつが起きてからだったわ。起きた途端

『はあ、ここは極楽でがすか? んだなごとねえべな… んだば、地獄でがすか…』

なんてとぼけた事言ってね。ひどい訛りだったわ。その上私をみて

『はあ、地獄の鬼こさ、もっとおっかねえもんと思ちょったが、めんこい娘っこだなや…。』

なんてふざけた事言ったのよ。 ……あろうことか御主人様を鬼呼ばわりよ!?
だから間抜け面、二、三発ひっぱたいて、あなたは生きてるわって教えてあげたの。
そしたらえらく狼狽してね、どうしたと思う?

…枕元に置いてあった自分の剣を引っ掴んでいきなり自分のお腹を刺そうとしたの。
あわてて皆で取り押さえたけど、何考えてたのかしら?
『止めねで下んせ、わしは死なねばみなみな様に顔向けできねえのす。』
って繰り返しながら、怪我してるのにすごい力で暴れて…
あの時は本当に困ったわ。」
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:11:20 ID:Yer9P9Oy
渋い趣味だな
309虚無義士伝:2008/02/27(水) 19:11:50 ID:KNSXYjZH
「剣を取り上たら今度は押し殺した様な声で泣き出してね、

『お申さげなござんす お許しえって下んせ』

って何度も何度も誰かに謝ってたわ。
事情は分らなかったけど、なんて声をかけたらいいかわからなかった。

……しばらく落ち着くのを待ったわ。
それからちょっと気は引けたけど事情を説明して使い魔になるように言った。
そしたら意外なほどあっさりと承諾したわね。

『お見苦し所さ見せて、おもさげなござんす。お見逃しえって下んせ。
もは、わしに生きる目的さ、ねのす。 
はあ、話しさ聞けば、るいずさあはわしの命さ助けて呉た恩人。
…わしは卑すい小身者でがす。
したけんど、恩人の頼みさ、断る様な不義理さしだくねのす。』

憑きものが落ちたように放心してそう言った…」


「使い魔としてどうだったか? ねえ…
まずまず優秀だったわね。
私を鬼呼ばわりした罰に貧相な食事を出してみたけど、有難そうに食べてたわ。
洗濯なんかも慣れた手つきでやってたし、朝も早いし…

まあ、その辺は使い魔と言うより使用人よね。
彼が戦っている姿を初めて見たのはギーシュとの決闘の時だったわ。
決闘の理由? 詳しい事は知らないわ。
なんでもギーシュの馬鹿が二股ばれた腹いせにあいつに八つ当たりしたみたいよ?
それでもあいつは謝ってたみたいだけど…

…そう、いつもみたいに『お申さげなござんす』って。
ただそれを見たあの馬鹿が調子に乗ったみたいなの。
『ゼロのルイズの使い魔だけに度胸もない、腰の細っこい剣も単なる飾りなのだろう』
とか言ったらしくて…
それで決闘なんてのに乗っちゃったらしいわ。
主人と、それから腰の剣、父親の形見だったそうだけど、
それを馬鹿にされて黙ってちゃ『ナンブブシの名が廃りあんす』とかどうとか。
普段はどんなことでも逆らったりしなかったのに、あの時ばかりはいくら止めても強情だったわね。」
310虚無義士伝:2008/02/27(水) 19:12:25 ID:KNSXYjZH
「それにしても、普段の控え目な印象からは思いもつかない強さだったわ。

…ガンダールヴ?
まあそれもあったんでしょうが、一振り一振りすごい気魄でね、
細身の剣でバッタバッタと青銅製のワルキューレを斬り倒していくのよ?

コルベール先生が言ってたわね。あの腰の入り様は見事だって。 私にはよくわからないけど…

それにあの剣、たしかカタナって呼んでたけど、あれの事も褒めてたわ。
細くて軽くて鋭いのに、とても剛く鍛え上げられてるって。
ハルケギニア中を探してもこんな不思議な剣は見つかるかわからないって。

……あいつ、魔法も知らなかったけど、どんな場所から来たのかしら?
カタナだけじゃなくて、服装も髪形も変わってたし、
ナンブとか云う国に住んでたって言ってたけど、聞いたこともないし。
やっぱり東方かしら、ね?」


「…少し冷えるわね。 お茶もさめてしまったわ。
今代りを淹れてきてもらうわ。

そうそう、あいつの出身地の事と言えば、よく自慢話を聞かされたわね。
フーケの事とか、アルビオンに行った事とか色々あったけど、
そんな事よりもそのことをよく覚えてるわ。
なんとか山が見事とか、なんたら川がきれいとか、そんなたわいもない話ばっかだったけど。
そんな見たことも聞いたことも無い様な場所や景色の話されても、困るじゃない?

…でもその話しする時、あいつ、遠慮がちにだけど、ちょっと笑うのよ。
笑うと人懐っこい表情になるの。 なんだか見てると安心する顔。」


「よく降るわね。明日も雨かしら…

…ここに来るとき、広場の隅にちょっとした畑があるの、気づいた?

…そう、じゃあ帰りに見てくるといいわ。その畑、あいつが作ったのよ。
使い魔としての雑用をしてる合間を見つけて、いつの間にか作ってたの。
暇な時に剣の稽古をしたり、タバサに文字を教わったりしてたのは知ってたけど、そのことは知らなかったわ。

…何でそんな事をしたのか尋ねてみたの。 そしたら笑いながら
『ここの人達は、見も知らねえわしに、随分とよぐして下せえます。
んだからせめてものご恩返しに、手作りの芋でも豆でも食うていただきてえと、思うたのす。』
なんていったの。 なんだか可笑しくて私も笑ってしまったわ。」
311虚無義士伝:2008/02/27(水) 19:12:58 ID:KNSXYjZH
「全く手をつけてないけど、クックベリーパイは嫌いかしら?
  …なら食べてみなさいな、美味しいのよ、それ。



……あいつと最後に別れたのは、アルビオンの大軍から逃げてた、あの時だったわ。

姫様から賜った殿の役目にあいつ一人で行くって言って。
絶対に許さない。 主人の命令に逆らうなんて…
私も付いて行くって言ったのに。
一緒に行くって言ったのに…。
『そんたなことをば言わねで下んせ。』って困ったような顔をして
それでいつもの様に

『お申さげなござんす お許しえって下んせ』

って……

なんで、あやまるのよ… 

なんで一緒につれて行ってくれなかったのよ…
絶対、絶対、許さないん、だから

あいつは生きてるわ だって 私のこと 守るって 言ったもの…

帰ってきたら 文句を言ってやるんだわ
主人の言うことを聞かないなんて 使い魔失格だって
たくさん たくさん お仕置きしてやるわ

……だから あいつは いきてる 
絶対 絶対 いきてる   そうでしょ…?」





「雨は、いや。

……これで話は終わりよ。お茶を飲み終わったら、帰ってね。
またここに来るのは構わないけど、もうこの話は、無し、よ。」
312虚無義士伝:2008/02/27(水) 19:13:41 ID:KNSXYjZH
アルビオンの大軍の真っただ中に、一人の若侍が立っていた。
どれほど斬り合ったのか
自分のものとも返り血とも分からない血と泥で真黒に見えた。
満身創痍、と言っていい。
それでも侍は身じろぎもせずに立っていた。

その左手には今の主君から賜った、始祖の使い魔が使ったといわれる伝説の剣がいまだ気勢をあげていた。

その右手には父から贈られた業物が晒で固定されていた。
父の願いかなわず血に塗れた安定は、それでも妖しく光っていた。

そしてその背には、彼の唯一無二の親友から託された、
最後の南部武士たる士魂、その印しの対い鶴が、銃火に晒されつつも揺ぎ無く翻っていた。

たった一人の若侍を倒しあぐねた七万が、彼を取り囲んでいる。




母上様
嘉一郎はあの世へ 参りあんす 逆縁の不孝をば お許しえって下んせ
したけんど これでやっと父上の所へいけるのす
嘉一郎は 果報者にてござんす

心残りといえば あの娘っこの事であんすか
めんこいコケシャンのようじゃった
妹のみつのように思っておりあんした

お許しえって下んせ そんなに泣かないで呉ろ
主命ば背いた不忠者など きれいさっぱり忘れて下んせ

父上も こうすて 大事なものをば守って三途の川さ 渡ったんじゃろか
嘉一郎は 果報者にてござんす





どこにそんな力が残っていたのか
戦場の空に若侍の朗々とした声が響き渡る。

「南部藩士 吉村嘉一郎、とりすていんの殿軍ばお務め申っす。
皆々様に恨みはござらねども、拙者は義のために戦ばせねばなり申さん。お相手いたす」
313虚無義士伝:2008/02/27(水) 19:16:17 ID:KNSXYjZH
以上です。
BAD ENDっぽくて申し訳ない。

この駄文を書くにあったって久々に原作読んだら泣きそうになって困りました。
どんなに好きな漫画やアニメでも泣かないのになあ…
そんな原作の良さを万分の一でも出せたらなあと思いますが…
まだまだ全く未熟ですね。

最後に、自分は生まれも育ちも関東なので、訛り等おかしいかもしれません。
ご容赦ください。

では両作品の作者に敬意を払いつつ、読んで下さった方に感謝しつつ失礼いたします。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:17:14 ID:JfXEgVMP
乙。
原作読んだことないけど、泣けてきた……。
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:19:56 ID:h9Ir+tgL
乙、震えるぜ!
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:20:58 ID:MHXIus9T
いや、渋く程よくまとまっててなかなか良かったっす。
元ネタあまり知らないけど雰囲気感じられたよ。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:24:41 ID:oNiFfm2V
ミス・ヴァリエール。彼は必ず還ってきますよ。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:32:14 ID:EMoDmiOe
乙と言わざるを得ない
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:34:02 ID:180sfHUq
乙…いや違うな
天晴れと言わざるを得ない
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:40:00 ID:V1KK4jgb
>>292
サイトもルイズもなんで直ぐに火病になるの。
みんなAD/HD持ちの障害児なの?
ワルドも速攻手を出してるし。自制心と言う言葉を知らないのですかw
321名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:47:18 ID:oRVaQYvN
>>320
ルイズはいじめで性格が歪になってる
サイトは異世界の生活にいっぱいいっぱいで心に余裕なし
ワルドは無礼な殴ってルイズの好感度+5ゲットだぜ!
風見は風見鶏の館ニヤニヤ
不自然じゃないよ
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:50:48 ID:+z3N6Zse
さすがに苦しいぞ
323虚無を担う女、文珠を使う男 ◆OceV/UzyoM :2008/02/27(水) 19:52:24 ID:tk1Fa73Y
えーと、投下予約ないですよね?
無ければ5分後から投下したいと思います。

324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:56:21 ID:ZB66mtFm
>>320
原作と状況からしてこんなもんだと思うが。

それより、たまに使い魔の所持品を取り上げるルイズがいるけど、いくら貴族だからと言って
領民の財産を勝手に盗んだりはしないとおもうが。それをやったら山賊か北斗の拳の世界の悪役だ。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:57:05 ID:ZB66mtFm
支援
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:58:20 ID:0vK0c5/M
汚物は消毒だ〜

支援
327虚無を担う女、文珠を使う男-07 1/4 ◆OceV/UzyoM :2008/02/27(水) 19:58:35 ID:tk1Fa73Y
第7珠 〜使い魔、その能力を現す・後編〜

夕食から戻ってきた二人は、横島の寝床についてひと悶着起こした。
「本当なら使い魔専用の厩舎で寝泊りするところを、特別にここで寝かせてあげるのよ。文句を言われる筋合いなんてない」と両手を腰に当てて主張するルイズ。
対して、滝のような涙を流しながら「たった毛布一枚で満足に寝られるかー」と喚く横島。
結局、横島が諦める前にルイズが根負けした。部屋に、使い魔用の藁布団を入れる許可をする。

その後、「もう寝る」と着替え始めたルイズを見て、「出来れば後5年遅く呼ばれたかったなぁ」と呟く横島。
それを聞いたルイズが、その意味を問いただして横島を折檻する事になったりもしたが…
それ以外には特に大きな問題も無く、概ね平和に一日が終わりをつげた。


そして翌日。
昨晩の件もあり、今まで通りルイズが自分で着替えている。
その為、横島は部屋から出て待っていたのだが… ルイズの着替えが終わるよりも早く、隣の部屋のドアが開いた。
出てきたのは、その扇情的な姿で幾人もの生徒を虜にしているキュルケ。

「誰かと思ったらキュルケさんじゃないすか!? いやぁ、隣同士の部屋だったなんて、これはもう運命っすね!?」
「フレイム!!」

昨日の件も懲りずにいきなり飛び掛って来る横島に、慌てず騒がずフレイムに火を吐かせるキュルケ。

「…こうなるのが分かっててやるんだから、ほんと変な奴よね」
「ぎゃー 痛い、痛い、俺なんか食っても美味くなんかねーぞ!!」

フレイムの炎で焼かれた割には元気な声を出している横島。
その彼の黒焦げになった足を、腹が減っているのか、フレイムがかじってる。

「フレイム、そろそろ朝食の時間なんだから、我慢しなさい。
それに、そんなの食べるとお腹壊すわよ」

何か悪い物のように扱われる横島と、名残惜しそうにかじるのをやめようとするフレイム。
そして、開け放たれるルイズの部屋

「もう、うるさいわねー 一体どうしたって…」

そう言ってドアを開けたルイズに見えたのは、ところどころ焼け焦げている上に、フレイムに足を食べられかけている横島。

「ツ、ツェルプストー!? 人の使い魔をエサにするなんて、どういうつもり!!」
「ちょっとしつこいから、フレイムに焼いてもらっただけよ。
別にエサにするつもりなんか無かったわ」
「でも結局あんたの使い魔が食べようとしてたじゃない、これじゃエサにしようとしたのと大して変わらないわよ!!」
「何よ、悪いのはあんたの方の使い魔じゃない。私は悪くないわよ。ほら、行くわよフレイム。朝食に遅れちゃうわ」

まだキーキー言ってるルイズを置いて、キュルケとフレイムは去っていく。
仕方ないので、ルイズも横島に一声かけてから食堂へ向かうのだった。


その後、横島をつれて授業に参加したルイズ。
「また暴走されては敵わない」と思ったのか、予想されたような罵声が浴びせられる事もなく。
また授業でルイズが指名される際も、運良く筆記系統の内容だったため、爆発が起きる事もなかった。
(二日連続で教室を破壊されてはたまらない、と教師陣も思ったのかもしれないが、真実を知る術はルイズにも横島にもない。
なにより、自分の使い魔の前で失敗を起こさなかったという結果の方がずっと大事だ)

そういうわけで、昨日の騒動とは打って変わって平和に放課後を迎える。


328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:58:42 ID:KNSXYjZH
支援
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:58:48 ID:nugArwBL
>そろそろ燃えるクロムウェルの時代が来てもいいかもしれない。
『ときめきメモリアル0』が、再開されるかもと言うことだな!?

  …OK、話を聞いてくれ腐ってるのは確かだが『女子』では無い。
幼少期の刷り込みによりトランスジェンター萌なんだ。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 19:59:11 ID:KNSXYjZH
支援
331虚無を担う女、文珠を使う男-07 2/4 ◆OceV/UzyoM :2008/02/27(水) 20:01:07 ID:tk1Fa73Y
「昨日、あれからまぁそれなりに考えてたんすけど…」

ルイズと横島は学院長室にいた。顔ぶれは昨日と一緒である。オスマン・コルベール・ロングビル。
扉を閉め、サイレントをかけ、それを確認したオスマンが横島を促して話が始まった。

「ここって、俺が元いた所と違って、魔法を使える人がかなり多いみたいっすから、かなり悩んだんすよねー
文珠はそんな頻繁に使える物でもないんで、魔法で出来る事は魔法でやった方がいいかなぁ、と思うわけで」

よく文珠のストック切れでひどい目に合っていた経験を思い出しながら、そう提案する横島。
彼を良く知っている者なら、「そう思うんなら覗きみたいなくだらない事に使うのもやめろよ」とツッコミを入れる所だが、あいにくまだこの世界にそうできる者はいない。
そうして話し合った結果、彼は自身でも反則技だと思っている【模】を使う事に決めた。

「それじゃあ、とりあえず文珠を出してっと」

そう言って、皆の前に手のひらを上に向けて右手を差し出す。
軽く握ったと思うと、淡い緑色の光が手の中から漏れ出し…
次に手を開いた時には、昨日説明のあった通りの小さな珠が現れていた。
ほぅ、と誰かの関心したようなため息が聞こえる。

「とりあえず、これが空っぽの文珠っす。そして…」

【模】の字が文珠に表示される。

「これが使える状態っと。
で、さっきも言ったように、これを使うと『誰か』をコピーしてその力を使う事が出来るようになるんすけど…
誰になるか、まだ決めて無かったっすよね」

そう言って、一息ついた横島は…
いつにもなく真剣な表情で切り出した。

「やっぱりどうせなるなら、ロングビルさんがいいと愚考するわけですが!!」
「おお、お主もそう思うか! ワシもちょうどそう思っておったところじゃよ!」

真顔でいきない何を言い出すんだ? と二人を見つめるコルベールとルイズ。
ロングビルは、ほんの少しだが顔を強張らせた。誰もそんな事には気付かなかったが。

「何をバカな事を言ってるんですか。やはりここは一番実力の高いオールド・オスマンにするべきかと…」
「そ、そうですわよ。私なんかただのラインメイジですよ! こんな私になるよりも、学院長になった方がよっぽど凄いじゃないですか!」
「あんた何考えてんのよ? 今はあんたがどれだけ使えるかの確認なんだから、素直に学院長になっておきなさい!!」

そんな猛抗議がなされるが、横島とオスマンはてんで聞いてない。
「それじゃあ1番、横島忠夫、ロングビルさんの物真似、いっきますー」

ごっくん。3人が止めようとするも叶わず、横島は【模】の文珠を飲み込んだ。
直後、彼の全身からまばゆい光が発せられ…
それがおさまった時にはロングビルに服装・スタイルともにそっくりな、でも顔は横島の面影が残っている女性の姿があった。
見る人が見れば、以前横島がエクトプラズム・スーツを使って自分の理想の女性の姿を取った時の顔を思い出すだろう。

「ほー これはこれは。正直、顔だけ元のまんまとかじゃったらどうしようかと思っていたわい」

そう言いながら、さっそく手を伸ばすオスマンだったが…

「やめんかーっ! 何が悲しゅうてじじいに触られなきゃならんのじゃ!!」
「何を言う、お主は今ミス・ロングビルじゃ。つまりワシの秘書。
そこに秘書がいるなら、触るのが礼儀というものじゃろう」
「「そんな理屈通るわけあるかー!」」
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:01:52 ID:oRVaQYvN
支援
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:01:57 ID:KNSXYjZH
支援
334392:2008/02/27(水) 20:02:33 ID:nugArwBL
リロード忘れてましたスイマセン、支援。
335虚無を担う女、文珠を使う男-07 3/4 ◆OceV/UzyoM :2008/02/27(水) 20:03:22 ID:tk1Fa73Y
ボケた事を言うオスマンに、二人のロングビルが揃ってツッコむ。
ピクリとも動かなくなったオスマン。
それを見て深くため息をつくコルベール。
自分の使い魔がとんでも無い事をしたとおびえるルイズ。
ワナワナと怒りに震えているロングビル。
自分の姿を鏡に映して(遠見の鏡に使ったあれだ)、うっとりしている横島。

最初に我に返ったのは、やはりコルベールだった。生え際が後退しつつあるのは、伊達ではない。
未だに気が付かないオスマンを気持ちの端に追いやって、鏡にキスしようとしている横島に声をかける。

「あー そのヨコシマ君? やってしまったものは仕方ない、さっそく魔法を使ってもらえないかな?」

その言葉で、横島もようやく我に返り…

「あ、すんません。すっかり忘れてました。えーと、それじゃあ…
ちょっと待ってて下さい、魔法使うなんて初めてなんで、使い方を覚えないと…」

と言って、ロングビルをコピー中の横島は、彼女の持つ魔法の記憶を探る。

(あれ? ロングビルさん、さっきラインメイジって言ってたよな。実はトライアングルメイジじゃねーか。
…わざわざ隠したって事は、やっぱり俺も使わないでいた方がいいんかな)

かつて横島は、世界を破滅させようとする魔神を相手にした時にもこの【模】を使った事がある。
横島の思惑とは違い、文珠【模】の効果は「持続時間中、対象の状態を肉体的特徴・技術はもとより、その思考まで含めてシミュレートし続ける」であったわけだが、それを相手に見破られあえなく撤退するしか無かったのは苦い記憶だ。
(シミュレートし続ける、ということは、相手に与えられたダメージまでシミュレートしてしまう、つまり最上の結果の場合でも相討ちにしかならない)

つまりどういう事かと言うと。疑問に思った横島は、ロングビルの思考を読む事も出来る、ということだ。

(なになに…

「もし本当にあたしの力をコピーしたっていうなら、土のトライアングルスペルを使えるってバレちまうわけか。
トライアングルスペルを使わないように丸め込むしかないね…
ダメだったら、『文珠』使うと効果が高まるのでは? とでもごまかすしかないか。
それから最低でも3日は文珠を作れないっていうことだから、その間に…」

あ、あれ? なに、もしかしてロングビルさんって…)


彼が読み取った思考は、ロングビルの物だったがロングビルとしての物ではなかった。
そう、そこにいたのは、ここ最近トリステインを騒がしている怪盗フーケ!!
まぁ彼自身はそんな事知りもしないわけだが。

「ヨコシマ君、どうしましたか?」

コルベールが心配そうな顔で声をかけてくる。
その声に、自分が時間をかけすぎた事と思った横島は、本来の目的である魔法の使い方を探し出した。

「ロングビルさん、ちょっと杖貸していただけます? 本当は杖もコピー出来れば良かったんすけど、さすがにそこまでは無理だったみたいで」
「…あ、杖でしたね。少しお待ち下さい」

多少反応が鈍かったのは、やはり対処方法を考えていたからだろう。
ちょっとでも注意しておけば気付くような不自然さだったが、あいにく横島を除いてはそれに気付く者はいなかった。

オスマンは未だに「う〜ん。う〜ん。ミス・ロングビルや…」と唸っているし…
ルイズは一応こっちを見ているものの、その両手は、年の割には微妙な自らの胸に当てられ、その口からは「あ、あれを使えば私だって…」などという呟きがもれていて、他人を気にするどころでは無いようで…
そしてコルベールはコルベールで、一人考え事をしていた。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:03:55 ID:oRVaQYvN
支援
337334:2008/02/27(水) 20:04:10 ID:nugArwBL
>329でしたスイマセン、支援。
338虚無を担う女、文珠を使う男-07 4/4 ◆OceV/UzyoM :2008/02/27(水) 20:05:09 ID:tk1Fa73Y
「うーむ。着ている物には効果が発揮されても、杖にはそれが及ばないのですな。やはり杖に宿っている魔力が邪魔をしているのでしょうか…
いや、魔力が邪魔をするなら、魔法が使えるという能力がコピーされるのもおかしい気がしますぞ…
これは、やはりもっと多くの実験を行わなければダメかもしれませんな」

コルベールが悩んでいる間に、ロングビルは自分の杖を取り出して横島に渡そうと近づき…
周囲をざっと見回した後、横島の耳元へ顔を近づけてこっそり耳打ちをする。

「私がわざわざラインメイジだって言った事、覚えてるかい?」
「ああ、やっぱりあれは言い間違いとかじゃなかったんすね。実はトライアングルだっただなんて…」
「それ以上言うんじゃないよ? あたしがラインって偽ってるのは、ちゃんとした理由があるんだ。だから…」

そう言うと、ロングビルは横島の手を取り自分の胸に持っていく。
弾力のある、何とも言えない感触が横島を襲い…

「あんたも、あたしがトライアングルだって事は黙っておいてくれたら嬉しいんだけどね。
もし嘘をついてたってバレたら、あたしはここから出て行かなくちゃならなくなる。
そうなると、あんただって悲しいだろ?」

大人の女性からこれほど迫られた事など、数えるほどしかない横島だ。
(その数少ない記憶だって、「実は地雷女だった」竜宮城の乙姫に「ふしゅるる」と唸る逞しき天神族の織姫など、彼だとて遠慮願いたいものが大半である)
そんな彼にとって、この誘惑を退ける事は出来なかった。
ついでに言えば、上司が美人だというだけで「脱税上等、違法行為もなんのその、お金の為なら神でも悪魔でも相手する」職場で働いていた横島だ。
先ほど、ほんのわずかに垣間見た記憶程度の事では、彼女とわざわざ離れる選択肢を取るには足らない。
彼は、一もニもなく首を縦に振った。




それから少したち、気付いたオスマンも含めて皆が注目している中、横島が幾度も魔法を使う。
かなりの回数を使用した後、文珠を使った時と同様に彼の身体が発光し、元の横島の姿が現れる。

「大体こんなもんみたいっすね」

ロングビルに杖を返す横島。
少しして、何かをまとめていたコルベールが横島に質問をする。

「まずはご苦労様でした、ヨコシマ君。ところで、ニ・三質問したいのだが構わないかね?」
「まぁ俺にわかる事なら」
「ありがとう、助かるよ。
さて… 君が行った魔法に関しては出来るだけ記録させてもらったのだが、一般的ラインメイジが使ったとは思えないほどの結果が出ている。
大体、この半分ほども魔法を使ったらそれで精神力が尽きると思うんだが、どういう事だと思うね?」

それに少し考えてみる横島。

「うーん。精神力が尽きる、と同じかどうかは分からないっすけど、少なくとも俺達の言う『霊力』が尽きた状態、にはならなかったすよ。
ただ、文珠の効果時間っていうのは発揮する効果が大きければ大きいほど短くなるんで…
文珠にこめられた霊力が無くなったって事なんすかね?」

もともと横島自身あまり良く分かっていない文珠の事だ。
彼にとってはまるっきり専門外である魔法との組み合わせの事、分かったとしたらその方が不思議だ。
(仮に… 彼の世界での魔法のエキスパートである魔鈴がいたとしても、分からないという事は変わらないだろうが)

文珠を毎回実験に使うわけにもいかないし、今回の件だけでも、文珠が既存のマジックアイテムとはかなり逸脱した効果を発揮するものだと分かった。
残念な気持ちで一杯だったコルベールだったが、これで実験はおしまいとなり解散となるのだった。
339虚無を担う女、文珠を使う男 ◆OceV/UzyoM :2008/02/27(水) 20:05:46 ID:tk1Fa73Y
今回の投下はここまでとなります。
支援ありがとうございました。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:06:23 ID:h9Ir+tgL
乙。
ちぇー、何でそこでトイレに行かないんだよぅ。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:09:57 ID:KNSXYjZH
乙であります!

>>340
無茶いうなよwww
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:10:14 ID:tk1Fa73Y
ああ、言われてみれば。
せめて「オスマンのじいさんが気付いたら実演ということで… ちょっとトイレ休憩に」とでも言わせればよかった。
どうせルイズあたりに「あんたが何考えてるか当てて見せましょうか」っていうオマケがもらえるんだから。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:12:07 ID:ZB66mtFm
乙でした。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:14:14 ID:MHXIus9T
あれ、トライアングルじゃないっすか?とか、フォォォこの記憶にある偉大すぎる巨乳は!?とか
何も考えずに地雷を踏んで欲しかった気もするw
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:19:29 ID:6H93FiJW
横島の人乙っしたー。
まあ、横島も頭悪いわけじゃないから。ただ魂が馬鹿というかネタに走る性なだけで。
346さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:30:39 ID:rF3B5o97
皆様こんばんわ
横島の方、乙であります。
第4話の推敲が終わりましたので5分後くらいから投下よろしいでしょうか?

>>272 レーヴァテイルたちは塔経由で魔法使ってるので、異世界から塔にアクセスできなさそうなのが問題ですねw
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:31:37 ID:KNSXYjZH
支援!
348 [―{}@{}@{}-] 名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:31:59 ID:kc6drQIR
横島グッジョブ面白い!!
文殊は最強だぜ
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:35:24 ID:MHXIus9T
そういう話じゃ無かったような気がするんだが…
350さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:35:38 ID:rF3B5o97
それでは投下開始させていただきます

イザベラ管理人第4話:最初の試練・後編


耕介は再び霊剣・御架月に霊力を流し込みながら思考を回転させる。
(とりあえず今までは予想の範疇…洸牙で魔法の防御を抜けるのがわかったのが最大の収穫か。)
「耕介様、先ほどくらいの攻撃なら僕はまだまだ大丈夫です!」
今は剣に戻っている御架月が、耕介に報告する。
「多分また魔法にぶつけることになると思う。悪い、無理をさせる。」
「いいえ、そんな!あれだけとは思えませんし、油断せずにいきましょう!」
イザベラのいるあたりから何かが砕ける音が聞こえてくるが…意識を向けることはない。
目の前の相手に集中しなければ、あっさりと敗北するだろう。

(まずは<<エア・ハンマー>>で牽制…手数重視…。)
本気になったタバサの対応は早い。
速度と手数を重視して、耕介にプレッシャーを与えて選択肢を限定させる。
まだ慌てることはない、相手の持つ武器が剣である以上接近戦が主体であるはず。
念のためブラフの可能性も考えておかねばならないが、まずは相手になるべく手札を切らせなくては。

次のアクションは耕介から仕掛けた。
体勢を低く保ったまま、タバサへ向けて駆け出す。
3メイルほど駆けた時、タバサがこちらへ杖を向けるのが見えた。
(何か、来る!)
直感的に攻撃が来ると感じた耕介は、咄嗟に森に向けて飛ぶ。
直後、つい先ほどまで耕介のいた場所を突風が駆け抜けた。
耕介は知る由も無いが、それは風のドットスペル<<エア・ハンマー>>だ。

(避けられた…!)
アイスバレットよりも威力は落ちるが面の攻撃に向いているし、何より肉眼では見えない攻撃であるからこそ選んだ魔法だ。
それをこうもあっさり避けるとは、相手は予想以上の難敵。
(まさか、空気の流れを感じられる…!?)
卓越した風のメイジ…タバサのような…であれば、風の流れを読んで障害物の向こうにいる相手を感じることもできる。
あの敵はそんな技能も有している…断言はできないが、今はそう思って臨んだ方がいい。
戦場では、どんなにありえないことでも目の前で起こったのならばそれも織り込んで戦術を組まねば負けるものだ。

走りづらい森の中で、巧くタバサの視線を遮るようにルートを選んで駆け抜ける。
木々の合間から見えたタバサは飛び退って森から離れているところだった。
(まぁ、そうだろうな…剣を使ってるんだからこちらが接近戦主体ってことはバレバレだし。)
タバサに最も近い木の後ろに隠れた時、複数の氷弾が周囲を襲う。
咄嗟に耕介は跳び退り、もう少し離れた木の背後に隠れてそれをやり過ごす。
次いで耕介はわずかに後退し…先ほど流し込んだ霊力を御架月に力へと変換させる。
「いくぞ御架月…神咲無尽流…洸牙!」
解き放たれた白い炎は、氷弾で折れかけていた木々を斬り飛ばしてタバサへ向けて疾走する。

(来た…!)
耕介をいぶりだすために、大量に氷弾をばら撒いた。
ならば次には森からこちらへ走り出る時間を稼ぐために先ほどの遠距離攻撃を放ってくるはず…そのタバサの予測は正鵠を射ていた。
あの攻撃のスピードは<<エア・ハンマー>>に近いほど早いが、さすがに距離が遠い。
タバサはしゃがむだけで白い炎をやり過ごし…”それ”に気づき、すぐさま<<ウィンドシールド>>を展開する。
二発目の…しかも縦の洸牙が飛来してきていたのだ。
(これほど短い間隔で連射…!?)
咄嗟に張った風の盾を食い破ろうと白い炎が牙をむく。
盾が破れるまでの数秒でタバサは横に跳び、難を逃れていた。
さらに評価を改めなければならない。
あれほどの威力を連射できるのならば、仮に遠距離攻撃があれだけだとしても相当な脅威だ。
となれば、耕介の姿を目視できない今の状態はまずすぎる…。
だが、既にタバサは先ほどの回避行動で耕介の位置を一瞬見失っていた。
351さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:37:23 ID:rF3B5o97
(今しかない!)
無理を重ねての洸牙の連射は耕介に相当の負担をかけていた。
元々、御架月は相互循環型の十六夜と違って放出限定だ。
早い話が、十六夜は余った霊力をリサイクルできるが、御架月は込めた霊力を全て吐き出す以外のことができない。
加えて霊剣は燃費が悪く、いかに神咲一灯流当代神咲薫をもしのぐ霊力保有量を誇る耕介とはいえ使いすぎれば霊力の枯渇を起こす。
それでも、タバサの視線をきらせることに成功したのだ、する価値のある無理だった。
「やるぞ、御架月!」
「はい!」
共に死線をくぐってきた相棒同士だ、御架月は耕介の行動だけで、次で勝負を賭けることを理解している。
タバサの隙を突き、耕介が森から飛び出して接近戦を挑むべく疾走する。
やはり遠距離戦では多様な手段のある魔法が圧倒的に有利。
加えてタバサの魔法詠唱速度が早いこともあって、耕介は劣勢に立たされていた。
さらに、耕介には遠距離攻撃手段は洸牙しかない。
魔法で遮蔽物を削られ、細かく魔法を撃たれては耕介に打てる手はほとんどないし、洸牙を無駄撃ちするわけもいかない。
それに気づかれる前に勝負を決める必要がある。
御架月にありったけの霊力を叩き込みながら、体勢を崩したままこちらに杖を向けてくるタバサの周囲に注意を払う。

(速い…勝負を賭けてくる…!)
体勢を立て直した時には、耕介は既にタバサと5メイル程度しか離れていなかった。
すぐさま回避行動中に始めていた詠唱を完成させる…使い慣れたこの魔法ならば他のトライアングルスペルよりも圧倒的に速い。
タバサの周囲に小ぶりの氷の槍が大量に生まれ、冷風とともに耕介へと吹き付ける。
タバサの十八番<<ウィンディアイシクル>>だ。
(あの炎を飛ばす魔法は予備動作が必要…これで詰み…。)
最初に放った時の剣を振る動作…あれはおそらく攻撃の指向性を定めるためのものであるはず。
ならばこの距離からでも充分に回避可能だ。
<<ウィンディアイシクル>>を斬り払われたとしても、隙だらけな振り切った姿勢の耕介をエア・ハンマーなりで狙い撃ちにすれば良い。
タバサは勝利を確信した。

「ぐぅぅ…!」
面の攻撃相手では御架月一本で戦う耕介に対処する術はない。
結果、耕介がとった行動は…。
「……!」
頭を御架月と腕でかばいながら氷の嵐へと飛び込んだのだ。
体のいたるところに氷槍が刺さるが、もう少しだけもてばいい。
ここで退いても結局はジリ貧になるだけ…耕介はなんとしても次で終わらせるつもりだった。

(まさか…飛び込んできた!?)
まさかダメージを無視して突破してくるとはタバサも予想外…この男は今回だけで何度タバサの予想を裏切ったことか。
もしかしたらダメージを回復したりする能力もあるのかもしれない…そう頭の片隅で考えながら未だかつて無い速度で詠唱を完成させる。
タバサの眼前に一本の巨大な氷の槍が生まれる。
タバサの操る魔法の中でも随一の破壊力を誇る魔法<<ジャベリン>>だ。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:38:03 ID:KNSXYjZH
支援
353さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:38:57 ID:rF3B5o97
「神咲無尽流、真威・洸桜刃!!」
体中に傷を負いながらも、氷の嵐を突破した耕介が大上段に御架月を振りかぶる。
御架月の刀身を鎧う煌く白い炎が膨れ上がって、刀身を2倍近くに伸ばす。
(何…足場が…!)
しかし、先ほどの<<ウィンディアイシクル>>で足元がわずかに凍り付いていた。
「ハァァッ!!」
それでも軸足を踏ん張って体勢を保ち、裂帛の気合とともに御架月を振り下ろすが…やはり足に無理な力が入ったせいで全力での斬撃にならない。
((これで…終わる!!))
くしくも両者は同時に同じ思考をしていた。
充分な大きさに達した<<ジャベリン>>が射出される。
炎刃と氷槍が激突し、強烈な水蒸気を発生させ…
「追の太刀・嵐!!」
威力を減じ、それでも氷槍を叩き斬った御架月を、振り下ろした体勢からさらに切り上げる二の太刀による追撃。
水蒸気が炎の剣により切り払われ…そこにタバサの姿はなかった。
「く…!?」
おそらくタバサの反応速度ならば追の太刀・嵐をも避けるだろうと予測はしていた。
だが、視界から消えているのはいったいどういうことか。
周辺は平原で、遮蔽物など何も無い。
嫌な予感に囚われた耕介が焦ってその場を飛びのこうとした時…
「耕介様、上です!!」
御架月の警告はわずかに遅かった。
タバサが空から降ってくる。
ジャベリンを射出した瞬間、タバサは<<フライ>>で上空へ舞い上がっていたのだ。
落下しながら詠唱しておいた<<ブレイド>>で長大な杖に魔力の刃をまとわせ、跳び退り損ねた耕介の肩に触れる直前で止める。
「…私の…勝ち…。」
息を切らしながら、わずかに誇らしそうにタバサはそう言った。
「俺の、負けだ…。」
耕介も息を切らしながら、負けたというのに誇らしげに言った。
そして、耕介はそのまま仰向けにぶっ倒れた。
ダメージと霊力の大量消費のためだ。
タバサも滅多に見られないほどに息を乱して、<<ブレイド>>を解除した杖を支えにしゃがみこんだ。
「わ、わわわ、耕介様!!」
霊剣・御架月から現れた御架月が慌てて耕介に治癒をかける。
珍しく大人しく戦いを見守っていたシルフィードも、タバサの元へ飛んでゆく。
その光景を、イザベラは呆然としながら見ていた。
「あいつ…シャルロットとあそこまでやりあえるなんて…。」
その言葉にはイザベラ自身すらも把握できない様々な感情が篭っていた。
メイドたちがどうすればよいかわからずあわあわしていることにもイザベラは気づかない。
結局、彼女は御架月が耕介の治癒を終えて声をかけてくるまで、自分でもわからない心に苦悩していた。
チーズフォンデュは手付かずのままで冷え切っていた。


耕介は異常な空腹で目を覚ました。
わずかに皮膚が突っ張るような違和感が体中にあるが、特にほかに異常はなさそうなので上体を起こす。
「あ、耕介様!大丈夫ですか!」
そばで心配げに見守っていた御架月が、耕介が意識を取り戻したことに気づいて話しかけてくる。
「御架月…えーっと…俺どうしたんだっけ…あぁ、負けた…のか。」
一瞬、状況がわからなかったが、すぐに倒れる直前まで何をしていたかを思い出す。
周囲を見回すと、どうやらここは自分たちにあてがわれた部屋で、ベッドに寝かされていることがわかる。
ベッドのそばに御架月、少し離れた窓際の椅子に本を広げてタバサが、開け放たれた窓の外にはシルフィードが顔を寄せているのが見える。
「御架月が運んでくれたのか?って無理か…あの風竜?」
「いえ、耕介様をここまで運んでくれたのはイザベラ様ですよ。
凄いんですよ、杖を振ったら耕介様がふわーっと浮かんで!
それで、そこの風竜さんに乗せて、宮殿まで戻ってきたんです。」
「イザベラが…そうか…。お前も、ありがとうな。
御架月も、傷治してくれてありがとうな。」
きゅい!とシルフィードが返事をする。
「いえ、大事なくてよかったです!」
「そういえば、イザベラは?」
部屋をもう一度見回してみても、イザベラの姿はない。
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:39:59 ID:KNSXYjZH
支援
355さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:40:40 ID:rF3B5o97
「えっと、何か用事があるとかで、部屋に戻られましたよ。」
イザベラは<<レビテーション>>で耕介と霊剣・御架月をこの部屋まで運ぶと、歯切れの悪い口調で部屋に戻ると言って去っていったのだ。
「そうか…それにしても、負けちまったかぁ…空を飛ぶ魔法まであるとはなぁ。」
ため息を一つつき、耕介はうなだれる。
「試練失敗か…御架月、ごめんな。俺たち根無し草になっちまった。」
そう、負けたということは試練をクリアできなかったことを意味する。
そうなれば、イザベラが耕介たちを養ってやる理由もなくなるのだ。
最悪、逃亡しなければならないだろう…おそらく殺されるようなことにはもうならないとは思うが。
「耕介様…いえ、仕方ありませんよ。耕介様は全力を尽くされたんですから。
でも大丈夫ですよ!耕介様ならどこでもやっていけます!僕もお手伝いしますから!」
御架月が耕介を元気付けるためにことさらに明るく言う。
耕介が相棒の心遣いに感謝しつつ言葉を返そうとした時。
「大丈夫。」
耕介が起き上がった時に、ちらりと一瞥した以外はずっと本に目を落としていたタバサが突然発言した。
「大丈夫って…何がだ?」
意味を図りかねて耕介が尋ねる。
「貴方は、合格。」
言葉が短すぎて耕介も御架月もいまだにきょとんとしている。
「貴方は私をギリギリまで追い詰めるほどの実力者。花壇騎士として申し分ない能力を持っていると、試験官である私が判断した。だから合格。」
耕介はタバサがこんなに長く喋るのは初めて見たが…徐々に意味を理解すると、そんなことは頭から吹き飛んだ。
「え、合格なのか!?でも俺、負けたんだぞ?イザベラはなんて言ってるんだ?」
「私の判断に一任するとだけ。」
「そうなのか…くぅー!御架月、やったな!!」
「わぁ、やりましたね、耕介様!」
消沈から一転、降って湧いた朗報に耕介と御架月は喜びを分かち合う。
「タバサ、ありがとうな!」
耕介は朗報をもたらしてくれたタバサにも礼を言う。
「……私は事実を言っただけ。礼を言われることじゃない。」
タバサは耕介に視線を向け、それから広げていた本をパタンと閉じる。
「それよりも、貴方に聞きたいことがある。」
「俺に?」
タバサの思いがけない言葉に、耕介はいぶかしげに聞き返す…と同時に、脳裏をよぎるものがあった。
「あー俺の技のことか?」
「そう。あんな魔法は見たことがない。あれは火系統の魔法?」
タバサの疑問はもっともだ。
耕介の技は、元々は400年の間に御架月に蓄積された技を、御架月と同調することで使用している。
そして御架月は霊力を込められると、得た力を白い炎として霊的・物理的両面に作用する破壊力として発現させるのだ。
見た目的には火の魔法と思われても仕方がない。
「いや、俺たちが使うのは魔法じゃなくて…なんて言ったらいいのかな…伝統技能…?うーん…」
「魔法じゃ…ない…?」
「えっと、悪い、シャルロット。質問に答える前にちょっと頼みがあるんだけど…。」
「…何?」
疑問を晴らそうと様々に考えを巡らせていたタバサであったが、それを邪魔されて若干不機嫌そうだ。
「腹減って腹減ってたまらないんだ、何か食べながらでもいいかな?」
苦笑いしながら耕介は、先ほどから強烈に自己主張する空腹に屈服した。
霊力とはすなわち人の活力…簡単に言えばカロリーを消費するので、退魔術師はとかく大食いなのである。
「…………わかった。少し待っていて。」
二つ名である雪風のような視線を耕介に向けながら、タバサは部屋を出て行こうとする。
「あぁ、自分でいててて!」
「耕介様、まだ完璧には治りきってませんからまだ動かないでください!」
ベッドから降りようとした耕介は痛みに顔をしかめ、御架月に諌められる。
タバサはそんな主従をちらりと一瞥すると、改めて部屋を出て行こうとした…その時。
「きゅい!お姉さま、シルフィもお腹すいたのね!お肉ちょうだい!」
4人目の声が部屋に響いた。
御架月だけが目を丸くして辺りを見回すが、耕介とタバサには答えがわかっていた。
タバサは無言で振り返ると、短く詠唱、出力を抑えた<<アイスバレット>>を射出しようとして…精神力がきれていたことに気づく。
「いた!痛いのねお姉さま!可愛い可愛い使い魔のシルフィになにするのね!」
結局、歩いて近づき、杖でシルフィードの頭を叩くことにしたのであった。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:42:15 ID:KNSXYjZH
支援
357さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:42:29 ID:rF3B5o97
「え、今喋ったのって…?」
御架月がいぶかしげな視線をタバサに向ける。
「…………。」
無言でシルフィードを叩きながら、しらを切りとおすべきだったかと若干後悔したタバサであったが…仮にそうしていたとしても、無駄な努力であった。
「ああ、今の声はあいつだな。見た目に似合わない可愛い声だよな。」
耕介の言葉にタバサはやっと停止する。
まるでギギギ…という擬音が聞こえそうなほどゆっくりとタバサは耕介に振り返った。
「貴方…知ってるの…?」
「ん、そいつが喋れることか?ああ、餌をやってる時に少し話したよ。」
笑顔で言う耕介の言葉の意味を理解したタバサはさらに強い力でシルフィードを叩き始めた。
「痛い!やめてやめてお姉さま、ごめんなさい、その人がくれたお肉が凄く美味しくてつい喋っちゃったのね!もうしないのね!」
「な、なぁ、シャルロット、いい加減やめてやらないか?もしかして喋れることを知られちゃまずかったのか?」
さすがにシルフィードを哀れに思った耕介がタバサを制止する。
やっと手を止めたタバサはジーっと耕介を見つめ…
「……秘密。」
とだけ言った。
「わかりました、じゃぁ4人だけの秘密ですね!」
御架月が弾んだ声で同意する。
「何か事情があるみたいだな、わかったよ。そいつが喋れることは黙っておく。」
「……ありがとう…。」
かすかな声でタバサは礼を述べる。
「私はタバサ。そう呼んで。」
最後にそう言うと、タバサは部屋を出て行った。
「きゅい…酷い目にあったのね…。」
シルフィードが涙声で愚痴をこぼす。
「まぁ、秘密にしておきたかったみたいだし、お前もこれからは気をつけた方がいいぞ。
そういえばお前、名前はあるのか?」
「きゅい!シルフィはシルフィードって名前なのね!お姉さまにつけてもらったのね!」
先ほどまでの涙声が一気に弾んだ声になる。
今泣いた烏がもう笑ったという言葉が相応しい、感情の起伏が激しいタイプのようだ。
「そうか、じゃあよろしくな、シルフィード。」
「よろしくお願いします、シルフィードさん!あ、一応治癒をかけておきますね。」
挨拶を交わして、御架月が両手に燐光をまとわせながらシルフィードの体にかざす。
「痛くなくなってきたのね…ミカヅキ凄いのね!」
「えへへ、どういたしまして!」
「幽霊って凄いのね!こんな精霊の力初めて見たのね!」
「これは幽霊の力というわけではないんですが…。そういえば耕介様。」
苦笑しながらシルフィードの治癒をしていた御架月が、そのまま耕介へと振り向く。
「シャルロット様、タバサと呼んでって言ってましたけど、あれってどういう意味なんでしょう?」
御架月の疑問は耕介も抱いていたものだ。
イザベラがシャルロットと呼んでいたのもあり、二人とも自然とシャルロットと呼んでいる。
だが本人はタバサと呼べ、という。苗字と名前という可能性もあるが、それはそれで違和感がある。
「俺もそれはわからないが…彼女がそう呼べって言ってるんだから、タバサと呼べばいいんじゃないか。」
だが、疑問を感じつつも耕介はすっぱりと言い切った。
彼には似たような経験があるのだ。その時の少女は、今では彼の家族の一員となっている。
タバサは自ら望んで「タバサと呼べ」と言ったのだ。ならば耕介は理由を問う必要など感じない。
タバサが話したくなれば話してくれるだろうからだ。
「そうですね、耕介様。無粋なこと言っちゃいました、ごめんなさい。」
主らしいその言葉に、御架月が嬉しげに同意する。
「貴方たちとってもいい人たちなのね!お姉さまのお友達になってくれて嬉しいのね!」
「うひゃぁ!」
嬉しくなったシルフィードに舐めあげられ、御架月の素っ頓狂な声が響く。
和やかな雰囲気はタバサが大量の食事を持って戻ってきても崩れることはなかった。

「俺が使ってたのは退魔術っていう技の一種だ。
君たちメイジがどうやって魔法を使ってるのかは知らないが、俺たちの場合は霊力っていう普段は目に見えない力を使ってる。
その霊力を御架月に込めて、御架月が霊力を破壊力に変換して、さっき使ったような技を出してるんだ。」
タバサが<<レビテーション>>と配給車に乗せて運んできた大量の食事を次々と腹に収めながら、耕介は説明していた。
御架月は食事を摂る必要がないので、凄まじい勢いで食べる耕介の給仕をしている。
シルフィードは厨房に残っていた最後のチーズフォンデュに漬けた肉を食べられてご満悦だ。
358名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/27(水) 20:42:31 ID:CzP2rONU
しえん
359さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:43:32 ID:rF3B5o97
「タイマジュツ…レイ…リョク…聞いたこともない。貴方、何者…?」
耕介に対抗するかのような勢いでタバサも食事をしつつ(トゲトゲの葉の入った器を耕介の手の届かないところに避けるのも忘れない)タバサは耕介から話を聞いている。
「まぁそこに行き着くよなぁ…。」
何者か、という問いに対して耕介は言いよどむしかない。
異世界から来たなどと言っても信じてもらえるわけもないのだ。
厨房でしたような作り話をしてもよかったのだが…なんとなく、この子に仕方なしとはいえ嘘をつくのは気が引けるものがあった。
「うーん…信じてもらえないかもしれないけど、これから話すことは本当のことなんだ。
俺と御架月はね、多分異世界から召喚されたんだ。」
「耕介様、いいんですか?」
いくら魔法が幅を利かせる世界とはいえ、異世界などという概念はないことはイザベラの反応からわかる。
到底信じてもらえないようなことを正直に話す耕介に、御架月は心配げな視線を向ける。
「異世界…?」
「ああ。俺がいたのは日本っていう国で、そこで俺はさざなみ寮っていうところで管理人をしてたんだ。」
御架月に視線だけで答え、耕介はタバサに自分がここにくることになった経緯を話す。
「サモン・サーヴァントで呼ばれた…異世界の住人…。」
「そういうことになる。
それで、帰る方法を探すにはイザベラに協力してもらったほうがやりやすいだろうから、取引をしたんだ。
俺は帰るまでイザベラの使い魔になる、その代わりイザベラは俺が帰れる方法を探すのを認める…ってね。」
「質問しても…いい?」
「ああ、俺でわかることならなんでも答えるよ。」
それからタバサは1年分以上喋ったのではないか?というほどに耕介を質問攻めにした。
―――貴方の世界では平民みんながそんなに強いの?  人によるとしか言えないけど、俺みたいなのは少ないと思うよ。
―――れいりょくというのは私にもあるの?      あるだろうけど、霊力を扱えるかはわからないなぁ。
―――貴方の世界とハルケギニアはどう違う?     うーん、色々あるけど一番の違いは魔法の有無かなぁ。
―――たいまじゅつは何を目的にしてるの?     退魔術は簡単に言えば人を呪う幽霊を倒すための技だ。
こんな調子である。
そしてタバサは最後の質問の答えに劇的に反応した。
「幽霊…倒せるの…?」
無表情は動いていないが、ずっと椅子に座ったままだったのに今はベッド上まで迫ってきている。
「え、あ、ああ。魔を退ける技だから退魔j。」
「教えて。」
耕介の言葉を半ばで遮り、タバサは酷く真剣な瞳で言う。
「た、退魔術を覚えたいのか…?」
「覚えたい。」
その瞳は酷く真剣で切実である。その理由は…御架月との一連の出来事から想像はつく。
だが、それは耕介には出来ない相談なのだった。
「教えてあげたいのは山々なんだけど、俺の退魔術は御架月を使うことを前提にしてるからなぁ…。」
申し訳なさそうな表情で頭をかく耕介。
神咲の技にはもちろん霊剣を使わない退魔術もあるが、耕介は元々御架月を救うために退魔術を覚えたといっても過言ではない。
そのため、彼は霊剣を使う術以外は呪符を少し扱える程度である。
しかし自分では呪符を書けないのでそれも無理…となると、耕介が教授できることがない。
「そう…。」
ほとんど感情を感じられないが、どうやら残念がっているらしい声を出すタバサ。
しかし、その視線は御架月にジッと向けられていた。
「え、えっと、タバサ様ごめんなさい、僕の主は耕介様なので…。」
背筋にうそ寒いものを感じながらも、御架月は謝罪する。
「仕方がない。」
キュルケならば気づいただろうが、タバサは至極残念そうにしながら椅子へと戻って行った。
しかし、まだ出会って一日しか経っていない二人にそんなことはわかるはずもない。
気づく可能性のあるシルフィードは肉に夢中であった。

日が傾いた頃から沈む頃まで続いた食事を終えてからも2,3質問してからタバサはあてがわれた部屋へと戻って行った。
本来ならすぐにも翼人掃討任務にいくつもりであったようだが、精神力が耕介との戦いできれたので、出発は翌日になったのである。
耕介はやっと動けるようになり、イザベラの元へ向かうことにした。
御架月は治癒を連続で使ったため、今日はもう眠っている。
イザベラの部屋の前のガーゴイルが耕介に反応し、道をあける。
コンコン、と扉をノックする耕介。
だが、反応がない。
もう一度だけノックして反応がないようなら他へ探しにいこうと思っていた耕介だったが、扉越しにかすかに返答があった。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:44:51 ID:KNSXYjZH
支援
361さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:44:52 ID:rF3B5o97
「誰だい?呼んだ覚えはないよ。」
その声は普段の強気なイザベラらしくない、とても平坦な声。
「俺だ、耕介だ。入ってもいいか?」
その声に違和感を覚えながらも、耕介は返答する。
1分以上の間があり…
「入ってきな。」
また平坦な声で返答。
ますます強まる違和感を感じながら耕介は扉を開け、部屋へと踏み入った。
部屋は灯りすらつけられておらず、光源は窓から差し込む月光だけだ。
「イザベラ…?」
そしてイザベラは、テラスの椅子にこちらに背を向けて座っている。
あまりにも様子がおかしい。だが、何故なのか全く見当もつかない。
とりあえず耕介は用件を済ませることにした。
「イザベラ、俺負けたっていうのに試練合格にしてくれたんだってな。てっきり負けたからダメだと思ってたよ。」
苦笑しながら礼を言うが…イザベラからの反応はない。
嫌な沈黙を感じていると…ぽつりと声が聞こえた。
「別に…シャルロットの判断に任せただけであたしはなにもしちゃいない。」
その声もやはり平坦で、感情を感じさせない。
イザベラはどんな時でもプラスにしろマイナスにしろ感情豊かに話す少女であるのに…違和感は最高潮に達した。
「それでも、ありがとう。
でさ…どうしたんだ、イザベラ、なんか様子がおかしいぞ?」
思い切って耕介は直球で聞いてみる。
また、沈黙が降り…
「……別に。どうもしないさ。あんた、明日はシャルロットについて翼人掃討にいきな。これも試練だからね。」
やはり感情を込めず、イザベラは早口に言い切った。
「え、まだ試練があるのか…?というか、どうもしないわけないだろ。話せることなら、俺に話してみないか?」
耕介の言葉は真摯であった。
だが、それ故に。
「誰が試練が一つだけだ、なんて言ったんだい。それと、イザベラ”様”だ。馴れ馴れしく呼び捨てにするんじゃないよ。」
「あ、ああ…すまない、イザベラ様…。」
「わかったらとっとと出ていきな。あたしはもう眠るんだから。」
どう見てもそんな風には見えないが…耕介は自分が拒絶されていることに気づいている。
「わかった…また明日な、イザベラ様。」
こんな状態では話を聞くことなどできようはずもない。耕介は仕方なしに自室へと戻って行った。
結局、イザベラは一度も耕介に視線を向けることはなかった。
362さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:45:31 ID:rF3B5o97
イザベラには耕介が煩わしかった。
どうしようもないほどに煩わしかった。
自分がどれだけ傍若無人に振舞っても決して態度を変えない耕介に憎しみすら覚えていた。
他の連中のように自分を恐れたり蔑んだりするような男ならこんなにも煩わしく思うことはなかっただろう。
だが、耕介はそんなことはしない。
「君をバケモノと思ったことはない」…あの言葉は心底、本気で言っているのだ。
出会ってからたった二日だが、それが何故だか理解できる。もはやそれは確信と言っていい。
だが…いや、それ故にイザベラは耕介が煩わしい。
最初はただの妙なインテリジェンスソードを持っている平民としか思っていなかったし、自分がそんなものを呼び出してしまったことに始祖とやらの痛烈な皮肉を感じていた。
だが、この平民の正体はなんだ?
突然常識の違う場所に呼び出され、主には殺されかけ、理不尽なことしか言われない。
それでもこの平民…いや、耕介はそんな境遇に絶望するでも不貞腐れるでもなく、プチ・トロワを歩き、厨房に入り込む。
常に前向きな姿勢を崩さない。
加えて、トライアングルクラスのメイジであるシャルロットと戦わされてもギリギリまで追い詰めるほどの戦闘能力を見せ付けた。
あの妙な力がなんなのかはわからない。だが、あれは紛れもなく耕介自身の力だ。
常識的に考えれば、能天気なところと不敬なところを除けば、耕介は非常に優秀な使い魔だろう。
だが…その主である自分はどうだ?
水のドット…しかも扱える魔法は少なく、精神力も少ない。初歩的な魔法である<<ウォーターバレット>>4発で弾切れになるのがいい例だ。
従妹であるシャルロットの足元どころか影さえ見えない。
メイジの力量は使い魔を見よ、という。
それならば、耕介を召喚した自分は将来凄いメイジになる?そんな笑い話、信じられるはずもない。
考えれば考えるほど、思考の奈落へ落ち込んでいく。
自分と、耕介やシャルロットを比べてその差に泣きたくなる。
どうして自分はこんなにも才能がない?
ハルケギニアでは血筋とはすなわち魔法の才能と言い換えてもいい。
ならば自分は最高級の才能を有しているはずだ。
実際、シャルロットは父シャルルと同じようにその天才性を存分に発揮している。
自分の才能のなさは、おそらくは無能王と呼ばれる魔法を全く使えない父王ジョゼフの遺伝なのだろう。
だが、自分はわずかながら魔法が使える。
そのことも今はたまらなく呪わしい。
父と同じなら諦めもつくだろう。魔法など捨て、父とともに政治の世界に生きることもできただろう。
だのに自分は魔法が使える…父が自分に無関心なのはそのせいではないのかとイザベラは思う。
世界はイザベラにとって、呪わしく、歯車がかみ合わず、酷く生き難い。
いっそのこと命を絶ちたいとすら思う。だが、それは怖い。どうしようもなく怖い。
(ハン…結局あたしは無能で臆病者で…この王女という父上のおこぼれで得た地位にしか意味がないってことかい…。)
だからイザベラは周囲に自分が王女であることを誇示し続けてきた。
この地位が奪われることを恐れ、父を暗殺され、母の心を壊された哀れなシャルロットさえも迫害している。
幼い日には共に遊んだことも、食事をしたこともあるシャルロットとの温かい思い出に唾を吐きかけ、踏みにじっている。
自分が他の人間にどう思われているかなどわかっている。だから他人のことを…過去の思い出さえも含めて、考えることをやめたのだ。
なんて救いようがない…そんな自分が、およそ信じられない聖人ぶりを見せる耕介を召喚した。
よく考えてみればこれは始祖の皮肉なのか。だとしたら始祖はとてつもない天才だろう。
イザベラは双月に照らされたテラスで、ずっとずっと涙を流さずに泣いていた。
363さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:47:08 ID:rF3B5o97
以上で投下終了になります。
支援ありがとうございました!
書いててふと思ったのですが、イザベラ様の可愛さを伝えるためのSSであるはずなのにタバサのほうが活躍している気がしますorz
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:47:28 ID:KNSXYjZH
支援
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:48:29 ID:KNSXYjZH
乙であります!
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:54:45 ID:6H93FiJW
お疲れ様ですー。
いやいや、十二分に可愛いイザベラさまが見れて自分はによによしておりますよ?
367名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 20:55:41 ID:4e2T5l0L
乙でごわす。

しかし・・やっぱタバサは退魔術に食いついてきたな。
次回以降も楽しみです。

あと

>>346
ジャクリさんの詩魔法における反射衛星砲やらアルトネリコの放電やらはあくまでイメージ上の物で、
塔とレーヴァテイルは命の塔を通じて時間と空間を超越した形で塔と繋がってそこから力も得て居るらしいので、
問題ないようですよ。 トウコウスフィアでの解説によれば。
 まあ、確かにアルトネリコ第一塔設計にテルが関わっている時点で常識崩壊していておかしくないという設定だし。
(でなけりゃもっとタイムラグがあってもおかしくないですから)
368さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 20:59:45 ID:rF3B5o97
>>367
おぉ、そうでしたか。トウコウスフィアは全然見てなかったなぁ、情報ありがとうございます。
369名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:00:21 ID:xAUk+COf
えーこの時点でタバサは才人が耕介と同じ”日本”という異世界から来てるって知らないっけ?
少なくとも似たような人種だなあくらいは…
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:02:52 ID:o1sM7hdk
ジャーク将軍とその部下達とかはどう?
371さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/27(水) 21:07:14 ID:rF3B5o97
>>366 ありがとうございます、さらに精進して行きたいと思います

>>369 
外伝の翼人編は時系列的にギーシュとやりあう前のようです。
この時点でタバサとサイトは全く関わっていないので、二人を関係付けるかは微妙かなと思ってこのような形にしました。
人種的に似てるってことは考えたかもしれませんね…その辺は二人の身長が相当違うからと解釈してもらえると助かりますorz

それでは次の投下の時にお会いしましょう〜
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:14:57 ID:Pj+pPzRa
さざなみの人乙。
いつイザベラがデレるのかが楽しみで仕方ないw
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:20:28 ID:QMXjtn3P
>>371
イザベラは良い子ですよねえ。
イザベラ派が見つかって凄く嬉しいですよ。
乙でございます。
後、
>初歩的な魔法である<<ウォーターバレット>>4発で弾切れになるのがいい例だ。
にワロタ。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:26:35 ID:m8dqDQIC
>>370
 シャークと聞いて、ベルセルクのシャーク・アドン思い出した

 うむ、喚んだらなかなかカオスになりそうだ
375名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:27:23 ID:m8dqDQIC
>>虚無義士伝
 これはいい、素晴らしい

 良い出来でした
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:28:53 ID:m8dqDQIC
「模」を使う頃の横島は、かなりシリアス入ってるし女性経験も積んできてるからなぁ

ちょっと落ち着いて、こんなモンだとも思う
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:32:37 ID:4e2T5l0L
>虚無義士伝

しっかし西南戦争に参加した長男を出してくるとは思わなかった。
自分はTV版のドラマでしか知らないけど壬生義士伝はかなり好きなもので、ここで見れるとはと感動しましたよ。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:44:45 ID:8G91B6+l
西南じゃなくて戊辰戦争の函館戦っす。
虚無義士、原作を読んだ身としてはすごい面白かったですよ。
できるなら連載して欲しいけど、バッドエンドにするしかないしなぁ……。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:49:56 ID:JQFX4kCV
>さざなみ氏
乙であります。

しかし、さざなみ寮っつーかとらハシリーズと言うと、ファンディスクのミニシナリオで、ゲストキャラが

「これ以上普通の人を巻き込む訳には……」

と言った直後の、ヒロイン勢+αの、

「いわゆる超能力者です」×2
「退魔士です」
「退魔士見習いです」
「退魔士所有の霊剣です」
「忍者の国家免許持ちです」
「元暗殺者でした」
「吸血種と人狼のクウォーターです」
「剣道のとある流派の名取りでした」
「自縛霊です」

コンボ(順不同)が、あの世界の人外魔境っぷりをよく表してるなあと。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:53:02 ID:V/570LLX
流れを切って申し訳ありません。

100スレ記念企画ですが、100スレ突破記念企画としてようやく完成いたしました。

ttp://noname.mydisk.jp/aniversary/anniversary.html
ttp://noname.mydisk.jp/aniversary/index.html

初めに宣言した締め切りに間に合わず、本当に申し訳ありませんでした。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:54:12 ID:oNiFfm2V
>>379
普通の人が一人もINEEEEEE!!
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 21:56:15 ID:sj8T3rrN
>>371
投下乙でございまする。

>イザベラ様の可愛さを伝えるためのSSであるはずなのにタバサのほうが活躍している気がします
いえいえ、イザベラ様の可愛さは十分に伝わってきますとも。はい。
包容力MAX&ポジティブシンキングの耕介に戸惑うトコもまた乙なもんですw

あー、いっそイザベラとタバサをさざなみ寮に放り込んでみたいかも試練w
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:02:21 ID:879d9JfI
>>380
おぉ、やっと企画スレキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
参加してる作家さん多いねぇ
384名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:03:03 ID:xAUk+COf
ヒロインの一般人比率が異様に低い作品だたなあ
2だと愛さんとゆうひくらいかあ
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:15:20 ID:6H93FiJW
>「剣道のとある流派の名取りでした」
比較的一般人と言えなくも無いお方。
名取りって時点で十分に逸般人な気もしますがー。
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:16:47 ID:JQFX4kCV
>>381
いや、ここには名乗りを上げていないだけで、一応普通の人もいますヨ。

「大人4人がかりじゃないと運べないピアノを一人で運んでしまう身長151センチのバスケ少女」
とか
「背が低いうえに童顔なので、未だに小学生に見られちゃうのがコンプレックスな子」
とか
「世界的に有名な歌手(ネイティブ言語は関西弁)」
とか
「料理の腕が壊滅的なさざなみ寮オーナー(前世はペンギンw)」
とか
「護身道の県大会優勝者&準優勝者」
とか。

スレチスマソ。
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:19:10 ID:gFo7w59P
>>380
おお完成したのか
あとでじっくり読ませてもらいます
乙かれ様でした
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:21:24 ID:o1sM7hdk
ここでアスラン、橘さん、ゾフィー隊長の次期コンパチメンバーを召喚してだな…
389名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:22:20 ID:PR9711Ok
>>380
こんなくだらねえ物を書いてる暇があるなら、本編の続きを書いてくれよって奴が何人もいるなあ
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:25:03 ID:DTpSkNlE
>>389
気持ちは分かるが落ち着け。
391ヨラン・ペールゼン:2008/02/27(水) 22:27:28 ID:BJ6fd62D
>>389
よく言った。なら貴様が下らなくないものを書いてくれ。
命令違反は銃殺よ♪
392名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:28:05 ID:KNSXYjZH
>>379
「自縛霊です」 あれか? バニングスの前世の人か?
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:30:48 ID:6H93FiJW
>>380
お疲れっす。後でゆっくり読ませていただきます。

>>389
まあ落ち着けって。お祭みたいなモンなんだからそんなカリカリするなよ。
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:32:06 ID:NwEZBOQi
>>388
ジョゼフに召喚させればガリア滅亡するんじゃね?
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:33:12 ID:QMXjtn3P
>>386
>「料理の腕が壊滅的なさざなみ寮オーナー(前世はペンギンw)
ペンギン?
オーナー?

メゾン・ド・ペンギン?
396ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:35:45 ID:JfXEgVMP
こんばんは。
次が出来たので投下してもいいでしょうか?
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:37:21 ID:5lJsMj/p
当たり前といえば当たり前だが、ハルケギニアに召喚されたからって上条は上条だし、シャオはシャオ。
二人を会わせてみたって、それは「とある魔術の禁書目録」と「守って守護月天」のクロスにしかならないわけだ。
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:37:39 ID:xAUk+COf
他サイトだが3の恭也召喚もどっかにあるからこれで1の真一郎も召喚させれば…
でもいたって普通人、ケンカもそれなりに強い設定なのにヒロインで勝てそうなのは小鳥くらい…
399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:38:16 ID:mq5lIGfG
支援
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:38:32 ID:KjyNUp2u
>>388
逆に考えるんだ
味方を逃がすためたった1人で7万人相手に立ち向かい、1人も殺さなかった才人に感動して
ハルケギニアを守りにきたゾフィー兄さんが才人と一体化すると

とりあえずサイトの頭に火がつくのは確定だな
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:38:38 ID:k5uB1v9h
>>380
読み終わったよ、乙。
よくまとめたもんだ・・・
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:39:05 ID:BJ6fd62D
>>396
投下を許可するッ!
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:39:14 ID:nSeOnNTC
支援
404名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:39:27 ID:2d1Knmk0
支援です
405ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:39:35 ID:JfXEgVMP
 ムスタディオは、村人やシエスタの家への挨拶もそこそこに飛空挺の調査を始めた。
 取るべき選択肢は幾つかあった。
 シエスタの家で「祖母」の遺品を見せてもらう。
 話を聞く。
「祖母」の墓へ赴く。
 それらを選ばなかったのは、まず自分の世界で最後に居た場所を見たかった、というだけではない。
 ムスタディオは他の選択をしたほうが効率的だと感じながらも、後回しにしてしまった。

 仲間の一人が死んでいるかもしれない。
 箱の蓋を開けるのはあまりにも恐ろしく、確認する覚悟が未だ、つかなかったからだった。



「ブレイブストーリー/ゼロ」-09



「地に墜ちた箱舟」の表面は、乾いた色の苔で覆われていた。
 三隻の内二隻はかなり損傷が激しく、今にも倒壊しそうだったが、六十年もの間崩れずにいたようだ。
 シエスタに話をいくらか聞いてきたが、どうも墜落直後に大規模な調査隊が派遣され、大勢のメイジによる「固形化」の処置が行なわれたのだという。それによって墜落直後の状態を保っており、苔などが付着してもそこから成長できずにいる。

『当時はなんだか、すごい騒ぎだったみたいですよ。アルビオンくんだりからもわざわざ調べに来た方がいたみたいで。
 村では我が物顔の貴族達がたくさん闊歩して、迷惑をかけられたみたいです。すごい発見だって貴族の方々ははしゃいでいたけど、この地に生きる自分たちにはいい迷惑だった、って祖父が言っていましたわ。
 ……けど、すぐに調査の方々が来てくださったおかげで、祖母は一命を取り留めたんです』

「祖母」はかなり酷い火傷を負って倒れていたのを見つけられた。
 しかし二日もしない内に駆けつけた調査隊の水メイジによって治療を施された。
 それはいくら何でも早すぎる気がする、と普段のムスタディオなら思っただろう。
 しかし今の彼はそんなところに気を回す余裕がなかった。別のことに混乱していた。

 その「祖母」が、あの決戦の場、またはその周辺に居た人間なのは間違いない。
 しかし、六十年前というのは何故だ。
 そのことについてしばらく考えようとして、首を振った。何故六十年前。ひいては何故召還されたか。自分には窺い知れないことだろう。ただ事実としてあること。
 ムスタディオは考えを飛躍させ、可能性を考える。
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:40:53 ID:mq5lIGfG
支援
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:41:04 ID:k5uB1v9h
しえん
408ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:41:37 ID:JfXEgVMP
 まず、あの戦いの場そのものがこの地に呼び出されていることを鑑みると、この地には爆心地に居た人間、周辺の人間が自分のように召還されているかもしれない、ということ。生物、物、もしかすると敵味方も関係なしに。
 そして、ムスタディオがトリステイン魔法学院に、「箱舟」と「祖母」がそれなりに離れたタルブの村に、六十年もの時間差を置いて呼び出されたことを考えると――皆場所・時間をばらばらにして召還されているのかもしれない、ということ。

(……なんだか、空想魔学小説みたいだな)

 現実味がない想像。しかしそれは、ムスタディオにとっては恐ろしい実感を伴っていた。
 皆、「祖母」のように天寿を全うしているかもしれない。
 そもそも、召還直後に火傷から死亡しているかもしれない。

「……くそ」

 箱舟の入り口で足を止めている自分に気付く。
 あれこれ考えることがある。しかしそれを言い訳にして調べることすら後回しにしようとする自分がいた。
 何を怖がっているのか、心当たりが多すぎて考えるほどにうずもれてしまう。
 ムスタディオは両頬を思い切り張ると、ブレイズガンを構えて朽ちた飛空挺へ足を踏み入れる。


   ◇


 それは一番原型を留めている飛空挺だった。
 帆柱もプロペラも落ちていないし、船体もそこまで破損していない。
 ハッチを探し当て、中に進入してもその印象は変わらなかった。
 船底から少しずつ上がっていくが、動物や魔獣が住み着いている様子もない。
 隣接した船で炸裂したアルテマの余波、次いだ墜落の衝撃でそこかしこが歪んではいるものの、ゴーグの地下で発見される機械たちよりよっぽど状態が良く、基本の骨格はほぼ保たれている。聖石があれば、案外動くかもしれないな、とすら思った。
 甲板への扉を開くと、陽光に目を焼かれた。ぷは、と深呼吸をして船内の淀んだ空気を肺から追い出す。
 しかし、日の当たる場所にでたというのに陰鬱な雰囲気は消えない。それどころか悪寒にまで変わりつつあった。
 甲板も比較的綺麗な状態を保っていた。剣や魔法で削られた痕もなければ、血痕もない。
 ムスタディオは、それだけ確認すると隣の飛空挺を見据えた。

「……やっぱり、あれか」

 隣の飛空挺は損傷が一番激しく、半分ほどしか原型を留めていない。火事の後みたいに黒焦げで、ここから見える甲板は周辺部分を残して崩落していた。
 陰鬱な雰囲気は、そちらから漂っている。
 船底から上がっていくのは損傷の酷さから諦め、ムスタディオは甲板から甲板へと飛び移ることにした。バランスを崩してこの船に寄り掛かるように建っていたので、比較的容易だった。
 欄干に掴まりながら、崩落した甲板を覗き込む。

「うわあ……」

 墜落直後にかけられた「固形化」のために、炸裂当初の生々しさがそのままそこに残されていた。
 しかしそこから見える船の形は――記憶の中にある、最後の戦いの場に何か被る。何よりもこの雰囲気が、「あの場所」であることを物語っていた。
 中心部、陥没の一番激しい場所の中空を見る。
 血塗られた天使が炸裂した瞬間がフィードバックする。
 そしてその際に、仲間達の前に銀色の鏡が浮いていたことも。

『調査隊の方々によると……ええっと、家族からの又聞きの又聞きなんですけど、人型の魔獣みたいな死骸はいくつか見つかった、と思います。でも、人の死体は箱舟の上や、中からは見つからなかったって』

 ――やっぱり、皆この地に召還されているかもしれない、と思った。
 しかしムスタディオには、その可能性と希望は抱き合わせではないように感じられてならない。


   ◇


409ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:42:44 ID:JfXEgVMP
 穴の底にも降りてみたが、目ぼしい物は何もなかった。
 ヴァルゴの聖石はどうなっただろう、と思う。聖天使が倒されたなら、この場所に残っていたはずだ。調査隊が持っていってしまっただろうか。それとも自分が紛失したように、どこかに消えたか。あの石なら足がついていても不思議ではない。
 やはり、探さなければ、と思った。
 しかしそのためには学院に戻り、まずタウロスとサーペンタリウスの消息を突き止める必要がある。

「…………」

 疲労を感じたムスタディオが甲板へ上がると、自分を呼ぶ声が聞こえた。

「ムスタディオさーん!」

 ムスタディオが登ってきた飛空挺の甲板の入り口で、シエスタが手を振っている。

「どうしたんだい?」

 甲板から甲板へ飛び移り、尋ねる。返事の代わりに、両手に掴んだバスケットが差し出された。

「ええっとですね、お昼になっても戻ってこないから、うちの家族が心配してました。これ、一緒に食べませんか?」

 明るい様子のシエスタは、しかしどこか一歩引きたいのを我慢しているように思えた。
 それに、と思う。彼女の家族はこんなどこの馬の骨とも知れない自分を心配してくれているのか。その言葉は、シエスタの気遣いではないだろうか。

「……ありがとう。優しいね」

 疲れた頭が、柄にもないことを口走らさせる。

「え? あ、いや、そんなことは……ムスタディオさんを連れてきたの、わたしですし。目的地に着いたんだから後は勝手に、なんてできませんし」
「……あはは、そうか」

 シエスタのしどろもどろな様子に、笑ってしまった。
 気遣いはありがたかった。
 シエスタから見れば、自分は脅迫者もいいところだろう。
 おびえながらも気を使ってくれていることを申し訳なく思う一方で、何の制限もなく他人と接することを気持ちが良く感じる自分がいた。

410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:43:08 ID:mq5lIGfG
蝶期待 支援
411ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:43:55 ID:JfXEgVMP
「ここ、見晴らしいいですよね」

 ムスタディオにバスケットを渡すと、シエスタは欄干を両手で掴んで身を乗り出す。ムスタディオもそれにならう。
 そこからは、タルブの村が一望できた。
 ムスタディオは目を細めて、しばらく地上を眺めていた。
 頭に浮かぶのは「祖母」のことだ。
 彼女は、この村で、どんな気持ちで一生を終えたのだろう。
 調査隊について行くことだって出来たはずだ。というか恐らく調査隊の方から彼女へ申し出があったと予想がつく。
 しかし彼女はそれを断ったのだろう。この村で結婚し、子を産み、農耕に励み、異国の地に眠った。
 それは、この地で生きていくと腹を括ったからこその行動だったのではないだろうか。

(……オレは、まだ腹は括れないな)

 けど、戻れるとも思ってないや。
 なのに手がかりに縋りつかざるを得ない、自分の半端さが情けない。
 ――「祖母」は、誰だったんだろう、と思う。
 名前はまだ聞いていなかった。それすら、後回しにしていた。

「――けど、普段誰も来ないんです。なんだか薄気味悪くって。子供達も、いい遊び場になりそうなものですけど」
「そうだな……ここには良くないものが漂ってるんだ」
「そんなの分かるんですか?」
「ああ、なんとなくだけどね」

 そんな会話をしながら、何か、今なら聞く覚悟が持てそうな気がした。
 ムスタディオは表情を引き締め、シエスタに問う。

「あのさ、君のおばあさんのこと、改めて聞かせて欲しいんだ」


   ◇


412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:44:56 ID:CaDNFidc
支援
413ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:45:23 ID:JfXEgVMP
 ――まず、シエスタから聞いた名前は、全く聞き覚えのないものだった。
 敵の神殿騎士だったのかと、思う。これだけ広範囲に渡って大規模な召還が起こっているのだ。周辺に居た女神殿騎士が巻き込まれていても、不思議ではない。
 思うのに。
 恐ろしい予感は消えないのは、何故だろう。

(――偽名かもしれないんだ)

 シエスタの口から語られる、祖母のこと。
『箱舟』が60年前に落ちてきた時に、傍らに重症で倒れていた。緊急で到着した調査隊の水メイジにより九死に一生を得る。
 変なことを口走るので皆信用しなかった。それ以外は毅然とした働き者で器量もよく、元貴族ではないかと噂される村の人気者。
 剣技に長け、何種類かの「おまじない」――白魔法だろう――を用いた。

「先住魔法かって驚かれるし、研究のために誘拐されたり「アカデミー」というところに連れて行かれるかもしれないからって、本当は秘密になってるんですけどね」

 ……ムスタディオは考える。
 白魔法の心得があり、剣を用いる女性の仲間は四人。
 どんな剣技を用いていたのか、訊こうと思った。もしそれが特殊な物なら、さらに二人に絞られる。髪の色でもいい。なんでもいい。

「箱舟の上で見つかった物はどうしたんだい?」

 口から飛び出たのは違う質問だった。何をしてるんだ、と思って、自分が酷く緊張していることに気付いた。背中に大量の汗が滲み、服が張りつきかけていた。

「あ、はい、祖母の持ち物や祖母がこれは自分の仲間の物だって言ったものは私の実家にあります。その他は調査隊の方々が持っていったそうですわ」
「そうなんだ。ところでさ、あ、」

 核心を尋ねようとして、喉が干上がっていてどもり、それでも無理に言おうとして、

「その品々を、よかったら見せてくれないかい」

 やっぱり口から出たのは遠まわしな方法だ。
 嫌なことを、考えている。
「彼女」だけではあってほしくない、と願う自分がいる。
 同時に、彼女かもしれないと予感する自分がいる。

414ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:46:11 ID:JfXEgVMP
「え……いいですけど、でもそんなに多くありませんよ」
「そうなのか。じゃあ今、持ってこれるかな?」
「大丈夫ですけど……ご飯を食べてからにしませんか?」
「いや、今がいいんだ。今すぐに確かめたいんだ、頼むよ」

 どことなく嫌そうなシエスタに畳み掛ける。そうでもしないと叫びだしそうだった。少しおびえたようになったシエスタが分かりました、と言って船の中に消えようとするが、彼女が家を往復する時間すら耐えられそうにないムスタディオは彼女を呼び止める。

「おばあさんのお墓は、どこにあるんだ?」

 あそこですと指差されたのは村の外れだった。
 白い墓石の群が見える。

「あの一番外れにあるし、変わったお墓だからすぐに分かると思います」
「そうか。そこでどうしても確認したいことがあるんだ。よかったら、そこに遺品を持ってきてくれないか。頼む。――頼むよ」

 身体が居ても立ってもいられなくなっている。その勢いに任せて土下座まですると、何かを察したのかシエスタは慌てて踵を返して行った。内部から反響する足音が聞こえなくなるまで、ムスタディオは身体を震わせながら、待った。

 誰かといたら、逆に何かに屈服してしまいそうだった。
 誰かの口から証言を取るのは、恐ろしすぎた。
 覚悟がついた気がしていたのに。

 ――しかし、それでも。
 どうしても確認しなければいけない。
 嫌な予感に嘔吐しそうだった。
 一歩一歩が果てしなく重い。


   ◇


415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:46:28 ID:t7IsIcJm
>>392
初期案ではなのちゃん(なのはさんにあらず)の転生前だった人。
416ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:46:40 ID:JfXEgVMP
 タルブの村の外れにある墓地。白く幅広の墓石が並び、人影はなく、どこか閑散としている。
 そのまた外れで、ムスタディオは立ち尽くす。
 そこには、一振りの剣が突き刺さっていた。

「…………あ」

 ムスタディオはもはや声もでない。
 焼けていくらか変色し、雨風にさらされて錆の浮いた刀身。
 しかし、それは、確かに、今や記憶の中だけに居る、ある騎士が握っていたものだった。
 膝が落ちる。剣にすがりつく。錆びた刃は肌を傷つけない。心を抉る。
 墓石に目線が下りる。よく分からない、こちらの文字でその人の名前が書いてある。
 そしてその傍らに。見慣れた文字が、厳粛に刻まれていた。

「……う、ぁ」

 意味のないうめきが口から漏れる。イヴァリースの文字をこんな地でお目にかかるとは夢にも思わなかった。
 こんなもの、見たくなかった。
 ムスタディオは目をきつく閉じた。
 それでも、網膜にその光景が焼き付いて離れない。
 その碑文は、たった三文。

 ――アグリアス・オークス。享年八十二歳。異界に眠る。

 とだけ。記されていた。

 わけが分からない、と何度も頭の中で繰り返した。
 自分と同じ時を生き、戦い抜いた人間が何故八十二歳なんて老婆で、それどころか骸となって墓の下で眠っているのか。
 意味は分かっているのに実感が湧かない。――湧かない。湧かないと思い込もうとしている。
 しかしあがく心とは裏腹に、身体が、目から涙を流させ始める。

 アグリアスさんは死んだのか、と思った。

 そう思った瞬間、何かが嫌な音を立てて正しく嵌ったような気がして。
 ムスタディオは口からほとばしる泣き声を止められなかった。
417ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/27(水) 22:47:39 ID:JfXEgVMP
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:49:38 ID:mq5lIGfG
支援
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:50:03 ID:9mB1ZAIL
……GJ.泣ける。
なんかバッドエンドフラグがたったのはきのせいか?
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:51:50 ID:6H93FiJW
乙っした!
きっと怒涛の巻き返しがあると信じてる!
…信じたい!
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:52:16 ID:QZjqKaZb
アグリアスさーん!
やべぇ、一番危惧していた可能性が来たよ。
GJ!
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:52:42 ID:mq5lIGfG
よりにもよってアグリアスだったか・・・
なんてこった・・・

ともあれ、GJ!!
ますます目が離せない
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:53:00 ID:BJ6fd62D
時空がねじれているのか?
シエスタは何者なのか?
謎が謎を呼び、タルブの村で禁忌が目を覚ます。
ムスタディオはここに何を見出すのか。

劇的なるものが、牙を剥く。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:57:48 ID:RIhX/UCO
マジレスすると、時間と空間は絶対的ではない

例えばブラックホール周囲では時間の流れが遅くなる
ワームホールの出入り口を光速で移動させる事が出来ればタイムワープが(理論上)可能

別世界へ行く際、時間軸がずれても不思議はない
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 22:59:49 ID:MHXIus9T
一レス一レス、息を詰めてしまう緊張感があるね。
鬱系なのに続きに対する飢餓感が止まらない。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:01:51 ID:BJ6fd62D
>>424
なるほど。
そういえば「デトネイター・オーガン」の敵であるイバリューダーも、探査船に乗ってブラックホールで遭難した地球人の成れの果てでした。

「ゼロの使い魔」原作の舞台である異世界と地球は同じ時間が流れているみたいですが、この作品はどうなるのでしょうか?
427ゼロの夢幻竜:2008/02/27(水) 23:03:25 ID:lApd529S
今晩は。予約が無いようでしたら、15分から投下開始します。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:04:56 ID:2d1Knmk0
支援します
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:06:33 ID:JfXEgVMP
支援。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:07:04 ID:4oxTCuvQ
>>389
こんなくだらない物でもいいから、せめて生存証明をして欲しかったって書き手の名前が一つも無い俺はどうしたら…
431名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:09:02 ID:nSeOnNTC
支援
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:10:14 ID:knUpBNW9
>>430
応援スレへGOGO
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:16:04 ID:gFo7w59P
>>380
今読み終わった
SSの質も量も最高です
よくぞ完成させてくださいました
全ての作者様にGJを送ります
正直企画倒れで終わったのかと思ってました



それと「こんなくだらないもの」とか言ってるやつが何故か多いが
少なくとも100スレ目以降に投下されたSSのなかでは一番まともで面白かったと思う
434ゼロの夢幻竜:2008/02/27(水) 23:16:12 ID:lApd529S
では投下します。

ゼロの夢幻竜 第三十一話「一矢」

貴族派のホーキンス将軍は、総攻撃という事態に対してこの上ないほど悠然とした態度で向かっていた。
昨夜の演説で、敵はどれ程の覚悟を持って挑んでくるか分からないので、気など抜かぬようにと言いはしたが、現状を見つめているとそう思っていては部下達から気が入りすぎているのでは?と、つっこまれるかもしれないからだ。
第一、戦力としての差があまりにも歴然としているのだからしょうがない。
何千という魔法戦士だけではなく、何百という銃士隊、幻獣、亜人、そして幾つもの巨砲を搭載した艦隊まで使っているこちらに対し、王党派にはただ魔法兵士が300人程度いるだけである。
しかも、如何に一流の戦闘を積んだトライアングル、スクウェアクラスのメイジであろうとも、たった一人なら同程度か一クラス下のメイジが何十人、何百人と束になれば太刀打ち出来るものではない。
ドット、ラインメイジ200〜500対スクウェアメイジ1でははっきり言って勝負にならないだろう。
質はモノを言わせる時もあるが、数がどうしてもそれを勝る時もあるというものだ。
次に敵はひたすら篭城形式の戦闘をしている事もあった。
ニューカッスル城は堅牢な事で知られていたが、逆に言うなら、それが破壊されてしまえば後は一気に切り崩すだけである。
攻める方向が一方向しかないのは如何ともし難い事ではあったが、それを考慮したとしても得る見返りは非常に大きいものだ。
そもそもホーキンスは、ニューカッスルをあまり壊す事無く戦闘を終わらせたかった。
堅牢と噂されているのであればそれを有用に使わない手は無いし、新政府の象徴として使える建物も今のところはあれぐらいしかない。
遥か前方では砲撃による煙や炎が見え隠れしていたが、どうやらそこまで大きいものではない。
破壊された区域が少なければ急いで修理させても悪くはないだろう。
尤も、あの自分の体面ばかり気にする総司令官殿が、それを簡単に許してくれるかどうかは分からないが。
まあ、勝敗は早くて半時間、遅くとも一時間と経たない内に決するだろう。
ホーキンスはそう予測を立てていた。
そんな時、前線付近で待機をしていた伝令兵が彼の元に向かってきた。
表情を察するに、何かこちらにとって不都合な事でも起こったかのようだった。

「何が起きた?手短に話してくれ。」

手短に話してくれとは言ったものの、別にそこまで急ぐような事は何も控えてはいないし、特段忙しいわけでもない。
ただ、将軍としてこのような状況で手持ち無沙汰だと思われるのもなんなので、一応言ってみただけだった。
伝令兵はそんな彼の思いなど露知らず、かしこまった調子で前線からあった報告を告げていく。

「はっ。最前線からの報告によると、先刻ニューカッスル城の城門手前に竜が一頭現れたとの事です。」

竜が一頭。その言葉を聞いてホーキンスは危うく脱力しかけた。
それが風竜か火竜かどちらであったとしてもこちらにとって不都合な事でなければ、ましてや驚く事でもない。
王党派の連中が秘蔵の一匹として飼い馴らしていたという事も十分に考えられるからだ。
加えて、そんな竜が一頭出てきたところで、この戦局が大きく傾く事など考えられるわけが無い。

「竜一頭出てきた程度で何を慌てる必要がある。王党派の連中が我々に対して向けているせめてもの虚勢だろう。捨て置け。」
「それが……唯の竜ではないとの事です。」

唯の竜ではないと聞いてホーキンスの体は一瞬だけ固まる。

「唯の竜ではないとはどういう事か……出来るだけで良い。その時の状況と特徴を克明に教えてくれ。」
「はっ。大体の城壁が破壊されたので、最前線にて構えている兵士が城内への総突撃を検討しておりました時にその竜が現れました。大きさは1メイルから2メイルの間。
体色は赤と白が主になっており、空中に浮遊していたそうです。」
「それは風竜か?それとも火竜か?」
「いえ、それが……対面した小隊長の一人が、近くにいたその方に詳しい者に訊ねたのですが、その竜はどんな風竜や火竜とも似ても似つかないとの事です。」

はてな?とホーキンスは首を傾げた。
通常戦闘に用いられる竜というのは、風竜か火竜が主流である。
それでないというのは一体どういう事だろうか?

「似ても似つかない?では何かね?その竜は死滅したという伝説の古代竜、韻竜であるとそう言いたいのかね?」
「恐らくは……」

435ゼロの夢幻竜:2008/02/27(水) 23:16:44 ID:lApd529S
ホーキンスは、そんな馬鹿なと思いつつも、ひょっとするとという感情も織り交ぜつつ話を聞いた。
もし齎された話が真実だとするならば多少は気を引き締めなければならない。
知能が高い韻竜は人語を解すだけでも驚きに値するが、一番厄介な事は今ではエルフぐらいしか使わないとされる先住魔法も操るとする事だ。
先住魔法の恐ろしさをホーキンスは身に染みて知っているので、敵に回せばどれ程の脅威になるか軽く頭で勘定をしてみる。
苦戦する事は間違い無い。
人的、物的被害に関しても当初の予想より大きくずれる事になる。悪くすれば桁が一つ増える事になるだろう。
しかし今一つ解せない事がある。大きさが1メイルか2メイルそこそこしかないという事だ。
ホーキンスはそれ程竜の生態等に詳しいわけではないが、経験によれば、どんなに小柄な幼生の竜でもその倍以上はあるものだ。発育不良なのだろうか?
ともあれ、予断を許さない状況となったのは確かである。
そう思ったホーキンスが、軍全体に対して進撃の一時中断を通達しようとしたその時だった。
突然、前方で強烈な爆発が起きた。
巻き上がる土煙と水蒸気に多くの銃士や騎士達が、後方に向かって吹き飛ばされる。
判断を出すのが遅れた……!
その一瞬はホーキンスがこの日で一番悔しい思いをした一瞬となった。

436ゼロの夢幻竜:2008/02/27(水) 23:17:41 ID:lApd529S
神様、あとほんの少しでいいです。勇気を下さい。
城門の前に出てややあった後に、特大級のミストボールを銃士隊に向かって幾つも放ったラティアスはそう願わずにいられなかった。
確実に勝てる戦いではないだけに、襲ってくる恐怖の量は半端ではないからだ。
統制を失った銃士隊は少しの間混乱していたが、直ぐに態勢を建て直してラティアスを狙撃しようと何発も撃ち込む。
しかし高速で高空を飛び回る小柄なラティアスは、しとめる、しとめない以前に視認する事が異常なまでに難しいものであった。
相手を撹乱させながら、ラティアスは次の作戦を考える。
対象がばらけてしまって集中的に狙う事が出来ないなら、上手く誘導して一箇所に集めてやれば良い。
円を描くようにして範囲を拡げていけば、他の兵士達も巻き添えにする事が出来るだろう。
考え新たに、ラティアスは後方に控えている騎兵隊を巻き込みながら、ミストボールで銃士隊を駆逐していく。
だが、上手く注意を配りながら絶えず動き回っていなければ直ぐに、更にその後方にいるメイジの騎士達が繰り出す氷の槍や風の刃、そして炎の球が自分を襲ってくる。
必死になってかわす事に専念していると、今度は攻撃の方が疎かになり、敵の進攻を許してしまう事になる。
またミストボールが如何に攻撃用の技であっても、所詮は強烈な風による攻撃だ。
相当当たり所が悪くなければ、相手は直ぐに戦線復帰してしまうだろう。
炎系の技のように、確実に相手の息の根を止めさせるというわけではないのだ。
それが分かっているだけに、ラティアス自身はフーケ討伐の時に出したサイコキネシスを出したいと思っていた。
しかしあの時は懐に『こころのしずく』があった。
あれの力に関する助けがあって初めて打ち出せたものなのか、つまり今は出せるかどうか不安定なものなのか。今では分からない。
技その物に関してよく考えてみても、撃てば間違い無く敵に大損害を起こすのは目に見えていた。
だが、一発放てばあっという間に飛べなくなるほどの精神力切れを起こすのもまた事実だった。
となると、今のところは地道に攻めていくしか他あるまい。
すると、同士討ちを避けるためか発砲と弓の発射が次第に止んでいった。
これを好機と見たラティアスは、敵の動きを更に混乱させるべく陣の奥へと突っ込んでいく。
しかし、貴族派の動きは一種の陽動も兼ねていた。
陣の最深部で待機していたマンティコアなどを筆頭とする幻獣部隊が、ラティアスを墜とさんと急に戦闘を仕掛けてきたからである。
人間を相手にしている時は大きさの事もあってまだましとも言えたが、自分より遥かに大柄な生き物を相手にするのは流石に震えを覚えるものがあった。
いや、実際ラティアスが元いた世界で人間がやっていた携帯獣同士の戦いなら、自分より大柄な相手との戦いはありはしたが問題は別の所に存在する。
それは数だ。かなりいるので、一騎ごとにいちいちミストボールを放っていては直ぐに力が尽きてしまうだろう。
そこでラティアスは自身の姿をさっと消して、ある一頭の竜まで近付いた。
目の前で突然消えたラティアスに竜、騎士共々驚いているようだ。
だが、竜の方は鼻が利くそうなのでラティアスの居場所を探ろうと、周囲に対してかなり警戒をしている。
どうか気付かれませんように……と、気配を殺したラティアスは祈った。
その竜の向こう側にはもう一騎の竜騎兵がいる。
やはりラティアスを探そうと、鼻を動かしながら首を彼方此方に動かしていた。
そして、二頭の竜と自分が一直線上に並んだその時、ラティアスは前方の竜に向かって力の限りに体当たりをした。
体当たりされた竜は姿勢を整える間も無く、慣性のまま奥にいた竜に思い切り衝突する。
衝突された奥の竜は、集中していたのを乱されたのがよほど腹に来たのか、騎士の制止も聞かずに怒りに任せて暴れだし、乗っている騎士を振り落とさんばかりの勢いでぶつかってきた竜に、攻撃をかけた。
次にラティアスは、同じようにして別の竜にも攻撃をかける。
ラティアスが考え付いた作戦は、竜という人にあまり懐かない動物の特性を利用した同士討ちだった。
混乱が始まってからは狙いをつけるのがなかなか難しくなっていったが、一旦火がついたそれは治まる気配を見せる事が無かった。
後はその混乱にちょいちょいと足し火をしていけばいいのである。
冷静に対処している幻獣も少なからずおり、彼等は気にする事も無い様子だったが、血の気の多いものは騎士を振り払いそうになってでも相手に攻撃をしかけていた。
その様子を見ながらラティアスが高度を下げていたその時だった。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:18:00 ID:KNSXYjZH
支援
438ゼロの夢幻竜:2008/02/27(水) 23:18:18 ID:lApd529S
地上部隊の進攻の遅さに業を煮やした艦隊が、ニューカッスル城に向けて再度大々的な集中砲撃を開始させたのだ。
ニューカッスルはそれを受け、無残な姿を外に晒していく。
その中には主人であるルイズ、そして国王ジェームズ1世がいるであろう謁見用ホールもあった。
風が吹きすさぶ中、ラティアスの心の中で何かが音をたてて切れる。
あそこには御主人様がいた。王様もいた。御主人様は私に、どんなに怪我をしてもいいから戻って来てと言った。
主人の命令には従うのが使い魔である。
この戦闘に介入したのは自身の自由意志だが、それに伴って課せられた事はきちんと全うしなければならない。

「なら……ボロボロになってでもこの軍を撤退させようじゃないの!!」

ラティアスは艦隊の方をキッと睨みつけ、再びミストボールを放とうとする。
しかし、それは放たれなかった。エネルギー切れである。

「やだっ?!もう出せないの?!!」

こうなると残された手段は一つしかない。
ラティアスは敵からの攻撃をかわしながら、精神を極限にまで集中させる。
前とは違い、頭の中に眠っている何かを揺り起こすような感覚だった。
それにしても力の引き出し方がなかなかはっきりと見えて来ない。
前回は『こころのしずく』があったから、綺麗に見えてきたというのなら分からないでもないが。
眼下では隊列を整えなおした騎兵隊と魔法戦士隊が、再び進攻を開始しようとしている。
そして……やっと力の引き出し方を思い出したラティアスは、迷う事無くそれを全開にする。
その瞬間、空気が一瞬にして歪み、空中を飛ぶ幻獣達は次々にコントロールを失っていく。
ラティアスを中心として吹き荒れる風に、前線の兵士達は何事かと一、二歩後ろに後ずさってしまう。
次いで爆発的な衝撃波が辺り一帯を襲った。
その勢いは前回フーケに対して炸裂させたものより弱冠規模が大きく、兵士も馬も亜人も皆、まるで風に吹かれた木の葉の如くその場から1〜2メイルほど舞い上がり、やがて後方に向かって吹き飛ばされる。
舞い上がらないにしても、念動波を基にした衝撃波に対する反応は様々で、両耳を両手で押さえて絶叫している者もいれば、口元を押さえて必死に嘔吐するのを抑えている者もいる。
艦隊の最前列にいる戦艦に至っては、衝撃の大きさにただただ煽られるのみだ。
ゆっくりと、しかし確実に進路が変わり、それに伴ってバランスも崩していく。
フネの中でもマストや翼が波を受け流しきれずに途中から折れていくのはザラだ。中には船体が罅割れていく物もある。
やがてその内の一隻が航行を持続する事が出来なくなったのか、遂に地上に向かって落下し始めた。
落下地点にいる兵士達は蜘蛛の子を散らす様にあちこちに逃げる。
しかし、普通に空を順航するより速い速度で地面に衝突した戦艦は木っ端微塵に大破し、四散した破片は容赦無く逃げ遅れた兵士達を襲っていく。
魔法が使えるメイジはそれを払う事が出来るが、平民上がりの傭兵はそんな術等無く次々に破片に捕らわれていく。
メイジの兵士達はそんな混乱の中で呪文を完成させ、ラティアスに対しせめてもの一矢を、と攻撃する。
しかし、激しく渦巻く念動波はそれらを次々に打ち破っていく。
中にはスクウェアスペルクラスの物だろうか、念動波を打ち破ってラティアスの身を焦がし、切り裂いていく。
純粋に痛かった。血はあちこちから流れてくるし、体の一部は動かなくなっている。
下手をすれば骨の一本でももっていかれているかもしれない。
だが、それで集中力を切らしてしまっては技が続かなくなるし、飛ぶ事もかなわなくなる。
ラティアスは残っている体力の半分を攻撃力に変換し、尚も攻撃を続ける。
更に新たな一隻の戦艦が航行出来なくなったのか、失速しながら地面に近付いていく。
地上では、続け様に起こった混乱が軍の中程にまで波及したらしく、統制など細々とした所でしか取れていないといった状態だった。
と、地上部隊の一部が徐々に後方へ移動し始めだした。
艦隊も二隻も沈められたのでは堪ったものではないと思ったのか、ゆっくりと転進していく。
それは攻撃中止の合図でもあった。
ラティアスは感慨無量の気持ちで後方に退きだす。

「終わった……やった、やりましたよ、御主人様……」

戻った時の賞賛を心待ちにしつつ、ラティアスはふらふらと城のホールに戻っていった。
439ゼロの夢幻竜:2008/02/27(水) 23:18:47 ID:lApd529S
「攻撃中止……ですか?」
「そうだ。攻撃中止だ。一時撤退する。」

やや間の抜けた調子で自分に訊き返してきた副官に対し、ホーキンスはぴしゃりと言い放つ。
当然と言えば当然の判断だ。
何しろ例の竜は極めて短時間で自分の近くにいる兵士にまで動揺と混乱を齎したのだ。
これは唯単に誤算だとかで片付けられるほどの損害ではない。
また負傷者の数も見積もっていた数値の倍以上となった事だろう。

「損害を報告してくれんか?」
「はい。現在までに確認された数値によると死者106名、負傷者は706名との事です。」

何という事だとばかりにホーキンスは瞠目した。
見積もっていた数値以上ではないか。
しかも現段階での数ゆえに増加する事は容易に考えられる。
5万も存在する軍の人間全体からすれば、そこまで深刻に考える損害ではないのかもしれないが、今地面に墜落したものも含めれば、戦艦が二隻も沈められたのだ。
更に、体の彼方此方に傷を負いながら息も絶え絶えにやって来た前衛部隊の隊長が報告する。

「前衛部隊は完全に瓦解して機能しません。再編成するには少なく見積もっても5〜6時間はかかるでしょう。」

だが、再編成がもし出来たとしても兵全体の士気が問題になってくる。
恐らく今日のような進撃速度は望めないだろう。
ホーキンスは苦い顔をしてその場にいた全員に告げる。

「例え再編成が短時間で可能であったとしても、進軍する時にはそれなりに猶予という物が必要になってくる。この分では少なく見積もってもあと2〜3日は間を空けねばならんだろう。
それに……あの竜が一匹しかいないという保障はどこにも無いのだ。」

その言葉に全員が震え上がる。
前線を瓦解させ、戦艦を沈める事の出来るあの竜が何十頭とこちらに向かってきたら万に一つもこちらに勝ち目は無い。

「我々はあの竜に対して策を講じなければならない。加えて、あの竜が先住魔法を操るというのであれば、我々はエルフに立ち向かうのと同じ覚悟であの竜に立ち向かわなければならない。
……取り敢えず今日の残りは前衛の再編成に専念する。明日明後日は兵士達に休息を与えると共に、かの竜に対しての対抗策を講じる事とする。
再進撃は少なくともそれ以降になるが、各種準備を怠らない様に。」
「はっ!!」

ホーキンスの指示を聞いた指揮官達は、さっと敬礼して各々の持ち場へと戻っていった。
それから彼は馬の向きを反転させてその場から退こうとする。
その直前、彼は煙の棚引くニューカッスル城を見つめ直した。
完全に甘い判断と油断が今回の大敗北を招いたのは確かだ。
連中はそこを突き、更に秘蔵っ子を繰り出す事で自分達を一時的にせよ追い詰めた。
何とかしなければ……
彼は小さく心の中で呟き、指揮所となっていた丘の上を、スカボロー方面に向かって下って行った。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:20:07 ID:ZB66mtFm
支援
441ゼロの夢幻竜:2008/02/27(水) 23:20:34 ID:lApd529S
投下終了します!!
ラティアスの強さについては(自称)程ほどにしておきました。
戦局がひっくり返るようじゃ正に俺Tueee!!ですし(滝汗)。
ではまた近い内にお会いしましょう。
442小ネタ:2008/02/27(水) 23:21:06 ID:TIuDq9kR
ゼロの鬼太郎

「父さん」
「ウム、この鏡からは何か力をかんじるぞい」
ビビビ
「うーん毛針!」
シュシュシュシュシュ
鏡を通り抜けて消えてしまった
「うーん、いったいなんなんでしょう・・・」
「聞いたことも無いワイ」

その頃召還ゲートからはなたれた針の雨はコルベールの頭に全て刺さった
ぐさささささ
「うぎゃああああ」
コルベール師が頭を抱えて転げまわっている、血が乾いてきて
禿が見えなくなる


「よーし、いけちゃんちゃんこ!」
鬼太郎のちゃんちゃんこは一族の霊力が髪の毛に込められており、
凄まじい霊力が篭っているのだ!

「うわ、なに服!空を飛んでいるわ!」
「よし、いまだ!」

ぶっちょー
「契約の名の下にルイズが命じる ちゃんちゃんこ!」
ぴかぴかどん!
鏡が消え、鬼太郎のちゃんちゃんこはルイズに手に残った」
「父さん・・・ちゃんちゃんこが戻ってきません」
「軽々しく飛ばすからじゃ!(いつもの二倍高い声)ご先祖様になんとお詫びしたらよいものかぐすす(目から涙)」

おわり
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:22:33 ID:ZB66mtFm
夢幻竜の人、乙でした。
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:22:55 ID:BJ6fd62D
作者様乙。
ラティアス任務完了、大義であった!
ルイズ、主人としてねぎらってあげるように。最優先事項よ♪
445名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:24:23 ID:KNSXYjZH
夢幻竜の方、投下乙であります。

>>442
乙だけど、人の投下後は多少時間をおいた方がいいですよ。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:27:32 ID:TIuDq9kR
ぬりかべ フーケに土くれに戻されてあぼん
子泣き爺 フーケに地蔵状態を土くれにされてあぼん
砂掛け婆 ギーシュに勝利 フーケに勝利 ワルドにあぼんされる
いったん木綿 ギーシュにあぼんされる
鬼太郎 エルフにあぼんされる
猫娘 命七つ持ってるから平気
ぬらりひょん クロムウェル死亡後、悪い妖怪連合を組織
鼠男 手紙を持ってワルドと一緒にレコンキスタに寝返るも、オナラが臭いので殺されそうになり義憤(笑)によりアンドバリの指輪を盗み出し
今度はジョゼフの元に 一番死なない感じ
447名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:34:50 ID:f6q5CCnY
亀レスだけど虚無義士伝GJ!
原作TV版(渡辺謙主演)の方見てた身としては、
嘉一郎登場とあの名乗りはたまりません。
いいもの見せてもらいました。
俺も頑張って書こうかな…。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:39:16 ID:vURfwtpG
とらハの一般人は、379に上がった人たちとひとつ屋根の下に暮らしながら
その人たちを普通に扱い、常に笑顔を絶やさず、時には叱り飛ばす、豪胆な人
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:48:33 ID:BJ6fd62D
>>447
よし、がんばれ!

>>448
マーサ・ケント(スーパーマンであるクラーク・ケントの養母)みたいですな。
超常能力者がいても怯えたり甘やかしたりしない。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:49:30 ID:QvuG0vnH
あの世界の一般人がみんなそうってわけじゃないけどな。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:55:03 ID:964ewbys
>>433
m9(^Д^)プギャー

糞企画を立てた張本人か、乗せられた書き手の中の誰かか知らんが必死だなww
100番台以後に始まったどれよりもまとも?
馬鹿じゃねえの。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:56:43 ID:+ncYEoP9
一番必死なのが誰なのか分かってない様子
453名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/27(水) 23:59:17 ID:/DWLvWAF
>>451
みんな生温かい目でスルーしてんだ
空気読もうぜ。
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:00:17 ID:owPdxJkg
少なくとも>>451の空っぽのおつむよりは遙かに素晴らしいと思うがね。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:00:58 ID:D3uoAM2r
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:13:40 ID:aNKJExN+
ゴッドマン呼ぼうぜ
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:23:39 ID:Ticc9a0B
>>456
ゴッドマン対ワルド その1
ゴッドマン対ワルド その2



ゴッドマン対ワルド その6
とか一話分が六話に分割されて、毎回微妙にリセットされて、
しかもワルドがかなりブサイクで、デルフで首を締め上げようとする神男SSなんて誰が読むんだw
458漆黒の瞳の人:2008/02/28(木) 00:25:49 ID:7hAN27l0
えーっと投下してもいいですか?
予告は無いように見えますが…
昨日途中で終わってしまった2の後半を30分位に投下するつもりです。
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:26:39 ID:udpnqbUO
>>457
じゃあ、グリーンマン呼ぼうよグリーンマン
460名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:27:22 ID:TkB+R2d1
>>457
最後は崖からぺらっぺらなワルドが落ちて爆発
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:27:23 ID:BQEwN2/J
文珠の人乙です

文珠の『模』は相手の今の状態をトレースしてるから
コピーしている相手が、精神力使わなかったら
文珠で変身していられる時間は、どんな魔法でも使いたい放題
って事になるのか?
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:27:25 ID:cXoQDoDf
リュカ支援
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:27:52 ID:RsJGxRTk
だが安心しな!すぐに支援してやんよ!
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:29:29 ID:Hdf0JoKI
支援
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:29:51 ID:s2/gU+vX
スミス支援!
466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:30:07 ID:bTY+yW2Z
カボチ村のすぐ後か……私怨
467漆黒の瞳の人:2008/02/28(木) 00:30:31 ID:7hAN27l0
では投下します。
今日は短めです。
468使い魔は漆黒の瞳 2 後半 1/2:2008/02/28(木) 00:31:56 ID:7hAN27l0
「そんな、そんな事って…信じられません…」

自身の気絶していた間のやり取りを聞き、ルイズは信じられないとばかりに頭を振る。
無理も無い。
使い魔として呼び出したのが人間で、それも杖もなしに魔法を扱えるメイジなどと、普通に考えれば達の悪い冗談でしかない。

「信じられなかろうとも、事実は事実じゃよ。ミスタ・コルベールが証人じゃ。
 何より、ミス・ヴァリエール、そなた自身の傷一つ無い手が、雄弁に事実だと語っているのではないのかね?」

だがオールド・オスマンの言葉は嘘を言っているようには聞こえない。
ミスタ・コルベールも、奇妙な研究をする変人ぶりで知られてはいるが、生徒を冗談でからかう性格ではない。
何より…幾度と無く失敗を繰り返したサモン・サーバント、その余波で軽度の火傷を負っていたルイズの手は一筋の傷も無い。
もし異郷のものとは言え治癒の魔法を本当に扱えるのなら、ルイズが呼び出したのは少なくとも水系統のドットクラスではあるわけだ。

「本当、なのですか?…あの、私が呼び出したのはやはりあの白馬か、馬車の中に居た魔物達の何れかなのでは?」
「そうであれば、話は簡単であったかも知れぬ。じゃが、そうではない…そうじゃの?ミスタ・リュカ」

静かにルイズ達のやり取りを見つめていた青年…リュカが、オールド・オスマンの言葉に頷く。

「はい、あの銀の鏡が現れたのは、僕の目の前でした。パトリシアの前でも、馬車の中に居たみんなの前でもなく」

なんでも、このリュカと言う異国のメイジの青年は、ある事情で旅をしているらしい。
今まで滞在していた町を離れ、新たな町にたどり着こうとする途中、突如目の前に現れた輝く銀の鏡に触れ意識を失い、
気がついたときには、あの草原に居たと言うのだ。

「ピエールやスラリンも、僕の目の前に現れた銀の鏡を見たと言っています。
 まるで旅の扉…僕の居た国にあった、遥か遠くの二点を結びつける魔法の扉のように見えたとも。
 僕も不意を突かれたので、避けることも出来なくて、そのまま触れてしまいました」
「ミス・ヴァリエール。サモン・サーヴァントの対象となった生き物の前には、召還の扉となる門が開かれると言います。
 ミスタ・リュカが見た銀の鏡こそがその扉なのでしょう。これはサモンサーヴァントの対象が彼であると言う事実です」

冷静に答えられ、ルイズも段々と状況が理解できてくる。
つまり、本当にこの異郷の黒髪の青年、リュカを、ルイズは使い魔として呼び出してしまったのだ。
魔法の仕えない貴族が、異郷の正体不明とは言え魔法を使える青年を。
なんと皮肉なことだろう! もし始祖ブリミルが魔法を仕えないルイズを哀れみでもして彼を遣わしたならとんだおせっかいだ!
それも、あの馬車に居た魔物全てを使い魔としている(本人は否定しているが)ほどの存在を!
そんなに魔法の仕えない自分に惨めな思いをさせたいのだろうか?
言い知れぬ感情の渦に身を震わせながら、ルイズはせめて別の道はないかと食い下がる。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:31:57 ID:RsJGxRTk
だまして悪いが支援せぬ気など元より無い!
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:32:06 ID:Ticc9a0B
ピエール支援
471使い魔は漆黒の瞳 2 後半 2/2:2008/02/28(木) 00:33:26 ID:7hAN27l0
「で、でもあの白馬は…というか、馬車はなんなのですか!? えっと…ミスタ・リュカを呼び出したのなら、アレは…」
「それなのですが、どうも『所持品』としてまとめて呼び出されてしまったのではないかと思われるのです」
「…はぁ?」

ふと浮かんだ問いに対するコルベールの答えに、ルイズは思わず間抜けな声を漏らした。

「そ、それってどういうことですか?」
「前例で言えば、牡鹿を召還した際にその背に枯葉が乗っていたことがあります。
 つまり、召還の際には、生き物そのものだけでなく、身体に触れていたもの、剥がすとしても剥がせない物などは、
 一緒に呼び寄せられてしまうこともあると言うことです。ミスタ・リュカは召還の際に手綱を握っていたそうです。
 それが一因で、ミスタ・リュカ、手綱、その先の白馬、更には馬車と、その荷台に居た魔物全て一度に呼び出す結果となったのでしょう」
「そんな…」

唖然として声も出ないルイズ。
幾らなんでも、背に乗った枯葉と馬車とでは差が大きすぎる。
だが、こうしてコルベールが言う以上は…起きてしまった事実なのだろう。
流石にコルベールも困惑の色を浮かべている。もっとも、ルイズに逃げ道を用意する気は無いようだが。

「…ミス・ヴァリエール。貴女に選択の余地は残念ながらありません。知っての通り使い魔召還の儀は神聖なものです。
 呼び出した使い魔と契約が出来なければ、貴女は留年となります。これに例外はないのです。
 幸いなことに、ミスタ・リュカはいくつかの条件を前提として、貴女の使い魔となる事に了承してくれました。
 ですから、後は貴女の決断しだいなのです」

コルベールの言葉に、リュカがオスマンに視線を向ける。
それは完全に納得したとは到底言えない色を含んでいるようにルイズには見える。
同時に返されるオスマンのはぐらかすような好爺の笑い。
無言のやり取りの後に、リュカは立ち上がるとルイズの目の前に立った。

「あなたが不安に思うのも、思うようにいかないのも判ります。知らないものは、怖いものだから」

彼自身何かを決意するようなりんとした表情を浮かべ、いまだ混乱収まらないルイズをその透き通った瞳で見つめる。
それだけで、ルイズの中にあった無数の混乱と憤慨と嫉妬…その他諸々の感情の渦が、春先の雪解けのように消えていった。
何より、彼の表情が姉のカトレアの物によく似ていたから…ルイズは決心できた。

「…ミスタ・リュカ。屈んで。今のままだとコンクトラクト・サーヴァントが出来ないの」
「?…これでいい?」

頭二つ分は差のあるリュカに、片膝をついてもらい、ルイズは奇妙なほど落ち着きながら契約の魔法を唱え始めた。

「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

杖をリュカの額に、そして唇を重ねて、ルイズはついに使い魔を得て…リュカの右手に使い魔の証たるルーンが浮かんだ。
学長室の窓の外、昇り始めた二つの月のように、淡い光を一瞬輝かせながら…
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:33:36 ID:kg0/2Z36
遅れながらFFTの人GJ。
…って、今書いてるSSのプロットとネタが完全に被ってしまった。orz
しかも書いてる作品同じFFTだし…プロットから組みなおすかorz
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:34:03 ID:kg0/2Z36
って割り込んじゃった。
支援
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:35:39 ID:RsJGxRTk
随分と調子よさそうだねえ?
支援とも知らずに。
475漆黒の瞳の人:2008/02/28(木) 00:37:08 ID:7hAN27l0
以上です。
やっとルーンが刻まれました。
…じつはガンダとヴィンダどちらにするかギリギリまで悩んでいました
最終的にガンダは諸事情鑑み止めました。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:38:24 ID:TkB+R2d1
乙でした
477名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:42:05 ID:RsJGxRTk
乙っした。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:42:29 ID:ZpmQX/fT
ああ リュカってDQ5にいたかと悩んでたが読み返してみてようやく何かわかったw
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:43:12 ID:63BR5NGi
GJ!
もしパパスがジョゼフに召喚されてたらかなり歴史が変わってるかも。
有能なガリアの賢王ジョゼフと他の虚無の担い手(移送系)が現れるまで彼を補佐する佐王パパスとかな!
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:45:22 ID:uPS7vCFe
そうか、ヒゲ面親父同士のキスから始まるすとーりーが見たいのか
481名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:52:24 ID:PtwjvPK9
乙ー
DQ5の主人公はDQシリーズでも随一の不幸っぷりだから、このリュカには幸せになってもらいたいモンですタイ
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:53:32 ID:/Seb2TfI
二人の何のストーリーを繰り広げるつもりだw
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 00:59:44 ID:owPdxJkg
割と素直に契約に応じてくれたね。
まぁ奴隷生活経験者にとっては使い魔なんてどうってことはないか。
相手がメイジである以上ルイズもそんなに無体なことはしないだろうし、苦労人リュカは精神的に大人だからつっかかったりもしなさそうだし。

>>479-480
オエー(吐)
そういえば男メイジが男使い魔を召喚した時も契約は男同士でKISS?
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:09:18 ID:s2/gU+vX
>>480
見たい
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:20:26 ID:49Cz+2/l
なあ、ちと聞きたい
まとめサイトにあげてある作品をいくつか読ませてもらったんだけど、
手紙を届ける話に出てくる白い仮面を付けた風系メイジって誰なんでしょうか?

アニメしか見たことないんで、教えてくだされ
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:23:11 ID:3vKCsAAj
>>313
ちょっと遅レスになりますが、投下乙です。
好きな作品からの召喚で切ない物語に仕上がっており、とても楽しめました。

ところで、最初見た時、途中まで「貫一郎」の方かと勘違いしてましたよ。
なんか変だと思い投下予告を確認してみたら、ちゃんと「嘉一郎」って書いてありましたね。
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:23:43 ID:UeqDOoCJ
>>485
10時になるのを待って書店へ行きゼロの使い魔を立ち読みする事、
それが今の貴方に積める善行よ。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:24:55 ID:NcXNiLX4
>>485
隊長ロリド
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:26:10 ID:RsJGxRTk
>>487
ブックオフって書こうとしたらもっと上がいて吹いた。
立ち読みて……
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:26:49 ID:shx11VTd
>>487
いやいや、年甲斐もなく主に児童向けの移動図書館に乗り込んで
ラノベの棚を制圧するんだよ
491ゼロの魔獣:2008/02/28(木) 01:30:07 ID:/8MZoyeZ
5分後に投下してよろしいですか?
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:32:42 ID:RsJGxRTk
支援!
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:33:46 ID:49Cz+2/l
ここアニメ板やろ、マジ引くわ
494ゼロの魔獣 第28話:2008/02/28(木) 01:35:39 ID:/8MZoyeZ
ニューカッスル

アルビオン王家終焉の地となった、かつての名城は、今や見る影もない。
王党派最後の砦は、物理的な意味で文字通り『壊滅』していた・・・。

百倍以上の敵に囲まれ、完全に進退が窮まった事で、王軍三百はその悉くが死兵となった。
城門に迫る敵を薙ぎ払い、一人でも多く道連れにせんと、烈火のごとく逆襲をかける。
その裂帛の気合は、生き延びて勝利の美酒を味わいたい雑兵達に耐えられるものではなかった。
前線の思わぬ崩壊に『レコン・キスタ』首脳部が採ったのは、考えうる中で最も単純かつ頭の悪い策であった・・・。

瓦礫の山に悪戦苦闘する火事場泥棒どもに侮蔑の視線を投げかけつつ、羽帽子の長身が進んでいく。
向かった先は、レコン・キスタ旗艦−『レキシントン』・・・今回の戦いの趨勢を決定付けた艦であった。

「首尾はどうだったかね? 子爵」

「・・・今 手の者に回収させているところですよ
 しかし いまさら『彼』に何の用です? ミスタ」

「フフ・・・ 適材適所というヤツさ
 まあ 私のちょっとした趣味といった所だよ」

『ミスタ』と呼ばれた白衣の男は、そう言ってニヤリと笑う。
「それにしても」 と、辺りを見回しながら、羽帽子の男・ワルドが話題を変える。

―改修前、『王権(ロイヤル・ソヴリン)』の名を冠し、王家の守護神とまで謳われた名鑑の名残はどこにも無い。
 優美なマストは取り払われ、物々しい砲台と無骨な計器類が立ち並ぶ・・・
 明らかに既存のハルケギニアの『船』のルールを飛び越えた、空の要塞であった。

「実に閣下の好みそうなデザインだ
 まったく・・・異界の技術とは恐ろしい物ですな・・・」

この『異物』がハリボテで無いことを、ワルドは既に知っている。
先の戦いにおいて、この艦は単独で城門に突撃し、
逃げ惑う味方と必死の形相で踏みとどまる敵を、城ごと吹き飛ばして見せたのである。

495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:37:01 ID:6h1DaOT6
ダイの大冒険のヒュンケルがルイズに召喚されました
496ゼロの魔獣 第28話A:2008/02/28(木) 01:37:22 ID:/8MZoyeZ
「なに・・・ 私の知人が構築した技術を この世界の魔法技術で応用してみただけのことだよ
 もっとも その友人は 既にこの世の者ではないがね・・・」

「・・・魔獣・・・ですか」

ワルドの指摘に、男の瞳が黒眼鏡の底で怪しく光る。
−ややあって、男が口を開く。

「魔獣といえば・・・ 慎一くんに噛まれた傷の具合はどうかね?」

「すこぶる良好ですよ
 いまだったらオークと殴りっこしても勝てそうだ」

そう言いながら、ワルドは永遠に失われたハズの左腕−
その肘先に取り付けられた銀色の篭手を巧みに動かしてみせる。

「それは長上 介抱祝いといってはなんだが ひとつ贈り物を用意させて貰うよ
 ― 子爵は乗馬は嗜むのかな?」

「一応は 乗りこなせない幻獣など存在しないと自負していますが」

「結構 だが こいつは予想以上のじゃじゃ馬だよ
 覚悟して置きたまえ」

白衣が指を鳴らす。
ひとつの巨大な影が現れ、二人の頭上を高速で飛び去っていく。
突風に煽られる羽帽子を押さえながら、ワルドはまず驚愕の色を浮かべ・・・
次いで子供のように瞳を輝かせた。




497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:37:38 ID:RsJGxRTk
支援
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:39:04 ID:6h1DaOT6
るろうに剣心の斎藤一がルイズに召喚されました
499ゼロの魔獣 第28話B:2008/02/28(木) 01:39:40 ID:/8MZoyeZ
トリステイン南方、ラ・ロシェールのさらに先、タルブ―。

広大な草原に囲まれた寒村、その近くに建てられた簡素な寺院を
慎一はシエスタを連れ立って訪れていた。

「・・・ これが 『竜の羽衣』 なのか・・・?」

「ええ おかしな話でしょう?
 こんな鉄のカタマリが 空を飛ぶはずなんてないのに」

「・・・・・・」
「あの・・・ シンイチさん・・・?」

―ここに来るまでの道中、慎一は一つの仮説を立てていた。
 シエスタの祖父は、何らかの事故に巻き込まれ、
 飛行機に乗ってこの世界にやってきた『地球人』なのではないかと・・・。

その予想、半ばまでは当たり、残りの半分は外れていた。

目の前にある鉄の塊は、間違いなくこの世界の物ではない。
おそらくは『飛行機』であり、シエスタの祖父は、ほぼ間違いなく『異邦人』であろう・・・。

― おそらく、と言ったのは、それが慎一の知る一般的な飛行機では無かったからである。

慎一が古い記憶を辿る。
子供のころ見た特撮ヒーロー番組。
地球を跳梁する宇宙怪獣、 巨大な敵に立ち向かう地球防衛軍。
ピッチリとした近未来的なスーツ、 ビビビーッと音の出るスーパー光線銃。

― 慎一の眼前にあるのは そんな世界から飛び出してきたかのような『戦闘機』だった・・・。 

慎一は『竜の羽衣』 の周囲をゆっくりと回り、その全体像をあらためて確認する。

外見は上履きを巨大化させたかのような流線型、
塗装の類は施されておらず、全体が地金の渋い銀色で覆われている。
翼は無く、機体後部にモヒカンのような尾翼が申し訳程度に一本。
後方にはジェット機のようなブースター。

特徴的なのは、コックピット前方、機体の上部に取り付けられた防弾ガラス。
半透明の黄色と緑、六角形の窓が組み合わさって、亀甲模様を作っている。
ガラス内部には人が入れそうなスペース。一瞬複座型かとも思ったが、シートは無い・・・。

そこまで調べた時、慎一は機体表面に、引っかき傷のような文字が彫ってあることに気付いた。

「・・・『試作壱号機 ― 荒鷲』」
「えっ?」

慎一の言葉に、シエスタが驚きの声を上げる。

「シンイチさん その字・・・読めるんですか?」

「・・・爺さんの遺品を見せてくれるか?」



500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:40:56 ID:uPS7vCFe
予想通りアレかwwwww
支援
501ゼロの魔獣 第28話C:2008/02/28(木) 01:42:21 ID:/8MZoyeZ
程なく、シエスタは二冊の本を持ってきた。
とりあえず慎一は、辞書のように分厚い一冊を開く。
中には頭痛がするような大量の数式と、やたらと細かい図面・・・。
一目で機体の仕様書である事が分かったが、それ以上の事は慎一には分からない・・・。

ひとまず本を閉じ、小さい手帳の方を開く。
それは、シエスタの祖父の手記であった・・・。

【昭和49年 4月4日】
慎一はそこで首を傾げた。
シエスタの論述が正しいならば、彼女の祖父がこの世界に来たのは終戦の前後であるはずだ。

来る途中で時間軸が捻じ曲がったのか、地球とハルケギニアでは時間の流れが違うのか
或いは・・・彼の住んでいた『地球』は、慎一の知る『地球』とは、似て異なる世界なのか・・・?

「・・・・・・」
「何か 分かりましたか?」

「・・・この機体は、宇宙開発用に作られたものだったんだ」
「宇宙・・・?」
「コイツでお月様まで飛ぼうとしてたって事さ・・・」
「そんな事・・・?」

慎一にとっても、にわかに信じられる記述では無い。
だが、ここに書かれている事が事実ならば、
このマシーンは十三使徒・・・慎一の知る科学者達が作り上げたものではないだろう。

十三使徒の科学力は自然のコントロール ― 地球の『内』を向いた保守的な思想に乗っ取っていた。
この機体にはその逆 ― 地球の『外』を目指した技術が詰まっていることになる。

ページを進める。記述は徐々に、男の身辺の話へと移っていく。

三体の変形合体により高い汎用性を持たせるスーパーロボット計画。
その合体テストの際に発生した事故。
中央の機体がサンドイッチになって大破し、臨界状態となった炉心が爆発、
先頭の機体に乗っていた『彼』は、強烈な爆発に巻き込まれ―

― 気が付いた時には、ハルケギニアの空を飛んでいた・・・。

それは、筆者の心の痛みが伝わってくる文章であった。

−事故に巻き込まれた仲間の安否
−プロジェクトを失敗させてしまった無念
−日々募っていく望郷の念

いつしか慎一は、タルブの草原で夕焼けを望む『彼』の横顔をそこに見ていた。

『この手記を手に取ってくれたあなたに・・・』

最後のページに書かれていたのは、『彼』から慎一にあてたメッセージであった・・・。

502ゼロの魔獣 第28話D:2008/02/28(木) 01:44:09 ID:/8MZoyeZ
『この手記を手に取ってくれたあなたにお願いがある。
 あなたにこの、竜の羽衣を託したい。

 私はもう、生きて故郷の地を踏むことは無いだろう。
 技術や手段の問題ではない。
 私はこの地で愛する家族を手に入れ、すっかり根を下ろしてしまった。
 故郷に帰るための翼を失ってしまったのだ。

 だが、この機体は違う。
 この機体には、無限の未来を託して散っていった仲間たちの想いが宿っているのだ。
 
 不躾な頼みである事は承知だが、是非、この機体を本来あるべき場所へ
 虚空の彼方へと、解き放ってやって欲しい・・・。』



慎一は静かに手記を閉じた。

「・・・シエスタ この『羽衣』の事なんだが」

「ええ 私には 難しいことは分かりませんが・・・
 でも シンイチさんに預けることで 祖父もきっと喜ぶと思います!」

「ありがとう」

慎一は機体の上に四つんばいになると、ゴリラの筋肉を纏い、鷹の翼を広げた。

「え! ええっ!? ここから?」

「一足先に学院に戻る 休暇明けには迎えに来るさ
 家族水入らずで 骨休めしとくといいぜ!」

重厚な銀色の機体がズズッと持ち上がる。
慎一は緩やかに、夕焼けのタルブの草原へと飛び立った―。


― 元の世界に戻るための手がかりを得た慎一ではあったが、問題はいまだ山積みであった。
  
この機体は、専門知識を持つシエスタの祖父にも動かせなかったのだ。
半世紀以上もブランクのある骨董品を、ド素人の慎一が治さねばならない。
慎一としては、一縷の望みにかけるしかなかった・・・。



学院に戻ったときには、既に太陽が頭上へと来ていた。
機体の置き場に困り、とりあえず、かつて決闘を行った広場へと着陸する。

衆人が注目する中、慎一はある人物を待っていた。
―やがて、人込みを掻き分けながらこちらに向かってくる禿頭・・・。

「シ シ シ シンイチくーん! その素晴らしいマシーンはどうしたんだい!?」

学院一の変人 ジャン・コルベール

―― 慎一の一縷の望みが、気持ち目玉をグルグルさせながら現れた。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:45:55 ID:PtwjvPK9
支援
504ゼロの魔獣 :2008/02/28(木) 01:47:53 ID:/8MZoyeZ
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。

・・・上で予想されてたアレです。
悔しかったので、時空を超えたサイボーグ武士に乗ってやってきたに変更しようかとも思いましたが
絵ヅラがシュール過ぎるのでやめました。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:50:32 ID:udpnqbUO
乙です。

コッパゲのビジュアルが、敷島の爺さんに変換されますたw
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 01:54:54 ID:aT/1Fomi
魔獣の人乙!
というかそっち(サイボーグ武士)の流れだと
シエスタのフルネームが柳生シエスタになるのなw
(まあ、あっちだと影能で帰りそうだが)
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 07:48:52 ID:yiHhuphX
>>487
やあ、映姫さまw
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 08:12:45 ID:+5scsq/d
さざなみ、夢幻竜、漆黒、魔獣の人達みんなGJ!
夜中の投下でタイムリーに見れなかったのが残念だ
509名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 09:33:16 ID:vTP/JdMH
サイボーグ武士出すなら、個人的には汚猥衆に活躍してもらいたいな………
510名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 11:16:17 ID:+N0otU8J
しししし試作型ゲッター一号機!?
             支援→乙〜^^
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 11:33:21 ID:E6HxNdin
>>504
まさかコルベール先生が豹や熊を製造するのか?
鷲の解析ができれば不可能ではないだろうが
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 12:40:42 ID:Z8ZNfTf3
毒吐きの奴らむかつくな。
何様のつもりだ?
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 12:42:00 ID:Fid1wtb5
>>512
こっちであっちの話題するんじゃありませんっ!
つかお前がどっちの人間だかわかっちまうぞwww
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:03:18 ID:AM/xsjp5
仕方ないな、じゃあ今日も金剛番長が召喚されたら
どうなるかについて、語り明かそうじゃないか。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:03:38 ID:G9kX7cWP
なんか電波が飛んできた

召喚、失敗、爆発 なんかよく分からないものが
ル「な、なによこれ…」

ギ「やぁ!これはズンドコベロンチョじゃないか!」
キ「ズンベロを召喚するなんて見直したわ!」
コ「こんな見事なズンドコベロンチョは珍しい!これで立派な魔法使いですな!」

ル「ズンドコベロンチョってなんなのよ…」
みたいな
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:05:42 ID:AM/xsjp5
>>515
ちょwwww
元ネタ何wwwww
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:12:21 ID:vTP/JdMH
分かりました、これはモケケピロピロです

こうですか、わかりま(ry
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:19:31 ID:AM/xsjp5
そういえば子供の頃、早く寝ないと
「もんもんじい」が出るって言われたけど一体何だったんだろう…?
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:20:30 ID:ClkmTLFN
>>518
ぎーしぇのGFかな
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:25:42 ID:2HzJdUh9
がんだむふぁいたー
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:26:19 ID:XhsLYA4W
ゴーレムフェチだろ
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:28:52 ID:E6HxNdin
>>517
破戒坊主乙
あのパーティーの面々が召喚されたら楽しいことになりそうだが
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:35:09 ID:6ykUOfrj
>>512
書き手様ですが何か?
それも、わざわざ自分から書き手でございと宣言する様な自己顕示欲旺盛な書き手様ですが何か?

わかるだろ、
初期の作品は名作揃いだと繰り返してみたり、
ここで人気がある作品ほど叩いてみたり、
ちょろっと書いて投げ出した初期の書き手、ろくに反応も貰えない駄作の書き手が嫉妬に狂ってんだよw
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:47:36 ID:PtwjvPK9
肥え溜めの話をこっちに持ってくるなよ
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:50:15 ID:9CUWIbiv
「魔界天使ジブリール」の天使ラブリエルを召喚したルイズが
異例の桃色髪天使「魔界天使ジブリール・ゼロ」になる話を考えてた
アモーレはシエスタとの天使式、悪魔式のあらゆるレズプレイでチャージ
元ネタ話の馬鹿っぷりとかキャラやパワーバランスもゼロと親和性高くて
書き易いと思ってたが、ゲーム本編で先にやられてしまい、泣く泣くボツ

「魔界天使ジブリール・ゼロ」の登場するジブリール3、今回はヤマグチ氏は係わってないそうです
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 13:53:43 ID:qad4Hs8b
>>523
うん、それを気にしちゃうような気の弱さで
肥溜めを覗いたあなたが悪い。
本スレで乙くれた方もいるだろうに肥溜めの評価を気にして
本スレで暴れるのは、乙くれた方に失礼だと思うよ?
あと、何書いてるのかはばれない様にお願いします。後引くと面倒だから。
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 14:02:39 ID:qad4Hs8b
ああ、すまん、512と523は別人か。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 14:19:21 ID:xpxqKSKJ
>>517
つまりこのスレの住民はみんなワイトというわけか
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 14:22:48 ID:qad4Hs8b
もんもんじい調べてきた。
漢字だと百々爺。関東地方。夜街角などに出る。
効能は子供が親の言うことを聞くようになる。

………効能?
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 14:27:22 ID:eCp+C11h
>>523
100レス企画に対する酷評にも、即座に反応して絶賛してみせたからなあ。

あの書き手の中に毒吐き住人がいるのは確かだろう。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 14:49:00 ID:JvDXYtYZ
ブレイブストーリーは楽しみにしてたんだが、
アグがなぁ。ラムアグは鉄壁すぎるんで違和感がある。

PSP版発売前の阿鼻叫喚を思い出すな
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:03:36 ID:V/W1B+kN
>>531
カップリングは人それぞれですからなぁ。
想像の余地がむちゃくちゃあるゲームだったし。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:13:07 ID:s2/gU+vX
>>531
ここはゼロ魔スレだ、血反吐を吐いて耐えるのだ。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:18:43 ID:sjHPnwm0
>>516
世にも奇妙な物語
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:21:34 ID:TmAYkU8m
記念企画見ようとしたが
好きな作品が一つも無かったからすぐ閉じた

絶望した
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:29:52 ID:ZdwfQYYQ
>>531
FFTは知らないけど、
ムスタディオが片思いしてたんだってことでいいじゃない。
537名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:33:27 ID:J+ST+/+j
なぜか>>517を見てダムダムゾンゲルゲを思い出した
538名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:34:15 ID:UeqDOoCJ
>>536
違う、そうじゃない!
問題は多分アグさんが一人で死んだ事にあるんだ!

つまり、アグリアスの墓の隣にラムザの墓があれば(ry
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:40:01 ID:unLZ7+sz
>>531
鉄版はラムアルマだろ
540名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:40:50 ID:cyWWod0e
>>537
みんな死んじゃいます><

オルロック召喚という電波が
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:44:21 ID:ZdwfQYYQ
>>522
ルイズがエルフを召喚してパニックに、というネタはよく話題になるが、
ジョゼフがスイフリーを召喚してビダーシャルと遭遇ってシチュはどうか。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:49:35 ID:E6HxNdin
>>541
ビダーシャル 「蛮人に感化され堕落したエルフの面汚しめ!」
スイフリー 「お前の様に視野が狭い生き方をするつもりはなくてね。」
てな感じで凄い反目し合うんじゃなかろうかw
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:50:12 ID:+5scsq/d
オルロックと聞いて月下の夜奏曲の中ボス思い出した
544名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 15:55:04 ID:h9Wv1M6h
>>542
付け耳おしろいエルフじゃあ純正エルフとは気が合うまいw
545悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 16:04:03 ID:+gsP8ymI
これから投下します
546悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 16:04:41 ID:+gsP8ymI
Mission15 〜2つの依頼〜
秘書の願いに応えよ


降臨祭の日。
オスマン学院長の秘書である、ミス・ロングビルは、
アンリエッタ王女を迎えるパレードで賑わう外には、顔も出すこともなく、
学院長室で、いつもの様に書類をまとめる作業に勤しんでいた。

そんな中、窓の外から流れてきた一筋の風が、書類の一枚をめくった。
開けた憶えも無いと言うのに、どうしたのだろうか?
不思議に思いながら窓を閉めようとするロングビルに、男の声が背後から話しかけてきた。

「元気そうだね。マチルダ」
「!?」

声のする方を振り返ると、そこには白い仮面をつけ、
黒いマントをまとった、長身の男がそこに立っていた。

「失敗した上に、報告にも帰ってこない君に、司教はお怒りだよ?」

ロングビルは震える肩を必死に抑えながら、弱気な態度を見せないように、なんとか反論してみせる。

「わたしは、あんた達に金で雇われてただけだよ。別に忠誠を誓ったわけでもないだろう」
「そうだね、その通りだ。そこでだ、君はもう要らない事になった。ああ、大丈夫だ。
換えの補充もできているし。君に憑けていたアレも、無事に監獄から回収させてもらった」
「…それで、用済みになった盗っ人は、さっさと消えて欲しいって訳かい?」

ロングビルは、今、自分の命がここで絶たれる事を覚悟する。
しかし、次に仮面の男の口から出たのは、意外な言葉であった。

「いや、命の保障はするよ。ここで学院長の秘書、ミス・ロングビルとして一生を過ごすがいい」

拍子抜けしてしまったロングビル。
しかし、まだ油断するには早い。そう思うと、握りしめた拳の力を抜くことができなかった。
そして、白仮面の口元から空気が漏れる音がし始めた。

「それからもう一つ、司教の計らいでね。君はもう、マチルダでもフーケでも無くなったろう?
だから、我々が保護している君の家族、アレも消してあげようと。そう言う事だ」
「ちょっと…待ってよ!?」

それを聞いた、ロングビルの顔が、一気に引き攣った。

「その役目は、私が仰せつかった。明日にでもアルビオン行きの任務があるからね。
その帰りにでも済ませておこう」
「…ちょっと……っ!」
「さて、長話もここまでだ。それでは、ごきげんよう。ミス」
「待ちなって言ってるだろう!!」

必死に引き止めるも虚しく、仮面の男は風の様に消え去り、残されたロングビルはただ一人、
風に煽られて舞い散る書類に囲まれながら、呆然と立ち尽くしていた。

「…待ってよ…」
547悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 16:05:21 ID:+gsP8ymI
その夜。
アンリエッタ王女は、学院の生徒である旧友の部屋の前に訪れていた。
扉の前で一呼吸置いてから、規則正しくノックする。
初めに長く二回、それから短く3回・・・。
扉が開かれると、アンリエッタは深く被った頭巾の奥から、ギョッとした顔を除かせた。
目の前に現れたのは、見た目の可愛らしい旧知の友ではなく、
立派な体躯の上半身を露わにしている大柄な男だった。
多分、風呂上りの様子だった。

「あっ…あのっ…」
「トイレなら、真っ直ぐ行って突き当りだ」

恐る恐る尋ねようとするアンリエッタに、男は濡れた銀髪をカシャカシャと掻きながら、
面倒臭そうにそう答えると、バタンと扉を閉めた。

あ、あれ?部屋を間違えたのかしら??
でも、ここは、女…子、寮…?

予想外の事態に困惑するアンリエッタは、どうにか気を落ち着かせる。
それからもう一度、ゆっくりと深呼吸してから、恐る恐る扉をノックした。

「!?」

今度こそルイズが出てきた。もう自分の正体に、気づいている様子だった。
アンリエッタは、今にもルイズを抱擁したい気持ちを抑え、しっ、と唇に人差指を当ててみせる。
それから杖を取り出し、先ずはルイズの部屋に探知の魔法を掛けて回った。
…それにしても部屋の中がうるさい。
部屋の隅に置かれた箱から、大音量で何やら歌の様なものが聞こえていた。
ルイズは、困惑しているアンリエッタの様子に気がついたのか、先程の大男に命令している。

「姫殿下の御膳よ!さっさとこの、やかましい雑音を消しなさい!」
「雑音ね。ハッハッ!お前、今までノリノリで聞いてたじゃないか」
「な…!なっ、何そんなデタラメ…!?」
「ホラ、姫殿下に見せてやろうか?ニヤけたツラして、ニワトリみたいに首を上下に・・・」
「やめてええぇ!!」

ルイズの真似事をしてみせる男と、顔を真っ赤にさせてそれを否定するルイズの様子は、仲の良い兄妹の様にも見えた。
その光景を見ていたアンリエッタは、思わず吹き出してしまった。「羨ましい」と、そう思いながら。

それから、男が流れる歌を止めようと、箱を弄り始めたが、
いつまで経っても鳴り止まない様子だったので、男はその箱を豪快に蹴り飛ばす。
騒音が響き、アンリエッタがビクッ!と肩を震わせる中、今度こそ静かになった。


フリッグの舞踏会が終わった後、ダンテは宝物庫に置かれていた私物を、ルイズの部屋に次々と運んでいった。
ルイズ自身は、物珍しさもあってか、あまりそれを嫌がる素振りは見せなかった。
机こそ無いもの、今ではルイズの部屋の半分は、すっかり"ダンテの事務所"と化している。

ジュークボックスの電源は、バイクの整備がてらに、作ったバッテリーによって供給されていた。
バッテリーと言っても、コンセントの付いた箱に、
電気を帯びたネヴァンの蝙蝠を二、三匹、適当に突っ込んでいるだけの御粗末な代物だが。
大音量で流れるハードロックを、最初は嫌々聞いていたルイズだが、今ではお気に入りの様子である。
夜通し流れる騒音に耐え切れずに出て行った、隣部屋の住人もいたが、
たまに、夜中にも関わらず、タバサが本を何冊か持って、ルイズの部屋に来る事もあった。
548悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 16:05:56 ID:+gsP8ymI
目の前で人目もはばからず、ぎゃあぎゃあ騒ぐルイズに、アンリエッタが控えめに声を掛けた。

「お久しぶりね、ルイズ。変わり無いみたいで、嬉しい」

それを聞いたルイズは、両手で引っ張っているダンテの髪と頬を振り払い、アンリエッタの両手を握った。

「ひっ、姫殿下!いけません!こんな下賤な場所へ、お越しになられるなんて…」

感極まったアンリエッタは、動揺するルイズに抱きつき、それから一歩下がって、急な夜の来訪に頭を下げた。

「お取り込み中に粗相をいたしたようで、ごめんなさいね。本当にごめんなさい。わたしのおともだち」
「何をおっしゃいます!姫殿下が詫びる様な事は、何一つございませんわ」

それから再び抱き合う2人を横目に、ダンテは部屋から抜け出そうとしていた。
それに気が付いたルイズが声をかけた。

「ちょっと、姫殿下がわざわざお越しくださったというのに、どこ行こうってのよ!」
「感動の対面なんだろ?終わるまで先生の所で飲んでくるよ」

それを聞いたルイズは、怒涛の勢いで引き止める。

「駄目よ!ミスタ・コルベールの部屋は、今じゃツェルプストーの巣窟じゃない。絶対行っちゃ駄目だからね!」
「クラスメイトを害虫みたいに言ってやるんじゃねえよ。誰のせいで隣の部屋から出てったと思ってんだ?」
「うぐ…!もっ、もとはと言えば、アンタが私の部屋に、こ、こんなモン持って来たのが、いけないんじゃないの!」
「あーあー、そういう事にしといてやるよ」

それからダンテがドアノブに手を掛けようとしたとき、足元に何やら気配を感じた。
そっと開けてみると、そこにはロングビルがダンテの足元で、
部屋の様子を探らんとばかりに、しゃがみ込んでいた。

「いい?今夜ミスタ・コルベールの所に行ったら絶対許さないんだから!」

ダンテは、「あっ」と目を合わせた瞬間、「はわわわ」などと声を漏らして取り乱すロングビルの姿が、
ルイズ達に見えないように、ゆっくり扉を閉めながら、返事をしてみせた。

「わぁーかったよ!厨房で寂しく飲んでりゃいいんだろう?」
「飲みすぎるんじゃないわよ。それから、寝る前には絶対帰ってきなさい!いいわね?」
「子供扱いは勘弁してくれよ…」

ダンテは、主人に不満を漏らしながら、
壁に掛けられたコートとデルフリンガーを手に持ち、勢い良くドアを開ける。
今度はロングビルに換わってギーシュが、外でしゃがみ込んでいた。
ダンテはそれを軽く蹴り飛ばして、ルイズの部屋を出て行った。

「姫殿下。御見苦しいところを見られた様で、…御無礼をお許しくださいませ」

ダンテを見送った後も、ギーシュに気づかなかったルイズは、振り返って慌しく謝罪するが、
当のアンリエッタは、あまり気にした様子も無く、ルイズの部屋の周りをまじまじと見回していた。
ルイズの部屋の壁には、先程ダンテが持っていったデルフリンガーをはじめ、
ケルベロス、ネヴァン、ショットガン等々が所狭しと掛けられていた。
アグニ&ルドラは、タバサの部屋で管理されていた。
549悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 16:07:04 ID:+gsP8ymI
「それにしても、ルイズは、その、何と言うか…
やはり、武家としての、ヴァリエールの血が濃く流れているのね」
「ちっ、違います。そこにある物は、全部アイツの持ち物ですから」
「あら、そうでしたの。…今の彼、私から見ても素敵な殿方ね。
年上の婚約者がいたとは聞いてたけど、ルイズにピッタリだわ!ウフフ」

再び顔を真っ赤にさせて、アンリエッタに反論するルイズ。
こればっかりは何としても誤解を解きたかった。

「ち ち ち 違いますってば!あんなの婚約者でも何でも…。
アレは私の単なる使い魔ですから!本当に、何でも無いですから!」
「は?」
「つ・か・い・い・ま、ですから!」
「は、はあ…」


場所は変わって、アルヴィーズの食堂。
生徒達の声で賑わう、昼間の様子とは打って変わって、
夜は小さな魔法人形達の舞踏会が繰り広げられていた。
食堂の席には一組の男女が、その観客として席についている。

「夜のお誘いは大歓迎だね。アンタも眠れないクチかい?」

ダンテの問いかけに、ロングビルは答える様子も無く、ただ黙って俯いていた。

「どうした?俺に何か用があって来たんじゃないのか?」
「あんたに頼めるような義理じゃないんだけど…」

どこから話せば、何をどう頼めばいいのか、考える事も覚束ない
ロングビルに代わって、ダンテから話を切り出してきた。

「制裁ってヤツか?」

ロングビルが、ハッとして顔を上げる。
それからダンテが、人差指で顎先をトントンと叩きながら、わざとらしく考え込み、
じっとロングビルの瞳を見詰めた。

「大抵、頭がキレてタマの小さい野郎ほど、やらしいお仕置きを考え付くのが相場ときたモンだが…」

ロングビルは、ダンテのその瞳の奥に引き込まれそうになるのが怖くなり、
慌てて目を逸らそうとしようとしたところ、じっと黙って見詰めていたダンテが口開いた。

「家族ってところか?」

最初から何でも知っていた様な素振りのダンテに、ロングビルが声を震わせながら聞こうとする。

「何で…」 知っているのか?

それ以上は声が出せなかった。
それからダンテは、肩をすくめながら言ってみせた。

「これでもな。"ソッチ"の職歴は、アンタとタメ張れそうだぜ?…今はベビーシッター1年生だがね」

なんだ、こいつもこちら側の人間だったんじゃないか。
それが判ると、ロングビルは思わず苦笑を漏らした。
それからのロングビルは落ち着きを取り戻したのか、
身内の命が狙われんとしている状況を説明した。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 16:07:22 ID:xpV4rNMj
悪魔支援
551悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 16:08:13 ID:+gsP8ymI
「血も繋がって無い、他人同士なんだけどね。妹みたいなモンさ」

ロングビルはそう言いながら、テーブルの向こうで、クルクルと金髪を舞わせる、
少女の小人形を、いとおしそうに見つめていた。
それからダンテが、改めて問い質した、ロングビルが正直に答えた。

「これからどうしたいんだ?」
「今すぐ傍に行ってやりたい。本当に、今すぐにでも…」

それを聞いたダンテは、タン!とテーブルを叩きながら、
颯爽とロングビルに向かって身を乗り出し、手を差し伸べた。

「オーケー。決まりだな」





投下以上です。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 16:16:05 ID:h9Wv1M6h
乙〜
ニワトリのようにかw
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 16:54:06 ID:shx11VTd
陰湿とかじゃなく、爽やかかつナチュラルに邪悪なのがGJ!
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 16:54:29 ID:pPGLHekJ
お疲れ様です。

いきなりテファが来るとは珍しい展開。

関係ないけど、おマチさんのバストって
胸革命が自分が特別大きいと感じないぐらい大きいんだっけ?
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 17:03:54 ID:Fid1wtb5
おっぱいおっぱいでマジおっぱいだな
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 17:20:49 ID:CKGhIzse
なんだか
もりあがって
参りました

グッジョブ!
557名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 17:33:30 ID:avar4rV+
乙!!!
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 17:39:47 ID:+5scsq/d
おマチさんのは護国おっぱいなんだぜ
てなわけでGJ!
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 17:56:41 ID:vTP/JdMH
乙ー
原作挿絵のおマチさんはいまひとつだけど、デフォルメの効いたアニメ版のおマチさんはおっぱい以外もよいですぞ
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 17:56:56 ID:zg5NRUlH
ここで聞くのも変なんだけど、
奇乳エルフの名前って
ティファニアとテファニアどっちが正しいんだっけ?

原作だとティファニアだった気もするんだが、
矢鱈とテファって名前を略す人がいるから
テファニアが正しいような気がしてきちまったんだが。

もしかしたら、俺の手元にある原作本だけ
表記が間違っている可能性もあるのでちょっと確認したい。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 18:02:04 ID:PtwjvPK9
ティファニアが本名
テファが愛称

そして奇乳言うなw
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 18:03:08 ID:Q3QVBeO4
>>560
本名ティファニアで愛称がテファ(原作でもおマチさんがよく使う)
さっちゃんの本名がさっこじゃなくてさちこだったり
リコの本名がロドリゲスだったり
イザの本名がイズュラーヒンだったりするようなもん
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 18:12:54 ID:ClkmTLFN
ダンテ格好良いな!作者の人GJ
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 18:24:49 ID:Fid1wtb5
奇跡の乳
略して奇乳
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 18:30:37 ID:shx11VTd
まさにレヴォリューション
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 18:42:26 ID:D8GvKf69
テファのバストはレヴォリューションだ!
567小ネタ:2008/02/28(木) 18:53:25 ID:2OQ49xF0
ゼロの召還教師

ルイズに召還され、レイハの姿が無いのを不審に思った南雲は突然の
接吻により混乱をきたした。

「きみはだれかれかまわずキスをするキス魔なのか、それとも っぐ」
問い詰めようとした矢先に手の甲を激しい光が舐めるように広がり
見慣れない甲骨文字を髣髴とさせるルーンが刻み込まれる
「これは何かの拷問か?」
2メイル近い大男が現れ仕方なく契約したルイズであったが、いきなり威圧してくるこの男に少々びびり失禁してしまったのはご愛嬌である。

「あ、あんたはおよびじゃ無いんだけど呼び出したから仕方なく使い魔にしたのよ」
「使い魔だと?俺は奴隷じゃないんだ、そっちがその気ならこっちにも考えがある」
コフォーーーと妙な呼吸法を始めた南雲の周りに黄金の雪が集まり始まる
「(ここはソルバニアに近い世界なのか?!)コフォおおおおおおお」
その神気がだんだんと手に集まるのを見てルイズは使い魔の余りの短絡ぶりに自分のことを棚にあげて痛みつける事にした

しかしそこに仲裁する禿様が光臨した

「ちょっときみたち、使い魔と主人がそのように殺しあおうというのは問題外だ。本来、強い絆で結ばれ信頼関係を築かなければならないのに、特にルイズくんは魔法が使えないのだから彼のような強そうな使い魔はぴったりじゃありませんか」

と同時に
「ぐー」
南雲の腹の音が響き渡った
神気も霧散し、戦闘状態を解除した南雲はルイズに向き直り
「腹が減った、まず腹ごなしをしてから”ゆっくり話を聞こうか”」
「しょうがないわね、食堂で何か貰ってきてあげるわ」

つづかない
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:23:39 ID:7i2d6V49
小ネタ以前にまとまらない話を投稿するなよw
dファーですらオチがついてるのに…
気にしすぎかもしれないがリリなのから流れてきてる気がするなぁ
569名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:26:29 ID:7DSl7Jks
そんなことよりネタだ!
570名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:34:31 ID:avar4rV+
MGSからグレイ・フォックスを…
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:36:05 ID:Q3QVBeO4
     ___
   /    ヽ\
  │       │  
   へ-  ─ヾ  │    わたしは そうりょマンクス
   ,-、  ,-‐、  ∂ \  たたかいもできますが ちりょうのつえもつかえます
  |  し 丶 √ │││ よろしければ デッキにいれてください
  | ー=一  │ ││
   \    /  │ │
  / ゝ── /ノ  丿
  ( \__ /   /│

Venerable Monk / ありがたい老修道士 (2)(白)
クリーチャー /人間(Human)・モンク(Monk)・クレリック(Cleric)
ありがたい老修道士が場に出たとき、あなたは2点のライフを得る。
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:36:39 ID:Q3QVBeO4
すまん、誤爆
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:38:22 ID:FC5RAqdP
>>570
薬が切れると暴走するのでは?
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:40:43 ID:1j8lKssY
いぬかみっからエロ犬神使い“裸王”川平啓太を召還。

煙が晴れると素っ裸の男が大の字に寝ていた! 変態を呼んだ、
とはやし立てる級友達。コルベール、ディティクトマジックして驚愕。
890漬物石だと!? トライアングルメイジクラスではないか!
(白山名君との契約強化後ならスクウェアメイジということで一つ)
アレ丸出しで品評される啓太。しょっぱなから裸王全開でその後も脱ぎまくる

といった話を考えたんだが、どう考えてもすぐに赤道斎と大妖孤と白山名君が
迎えに来て奴隷扱いされてる啓太の境遇に激怒、トリスティンオワタEND
しかおもいつかない。どうしたもんかな。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:43:06 ID:aNKJExN+
烈ホントに食われたのか!?
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:49:36 ID:avar4rV+
>>573
そこら辺はルーン補正で何とか…ならないかも
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:50:21 ID:ZdwfQYYQ
>>574
「迎えに来て大問題」なネタは迎えに来たあとの話を読みたくなって困る。
何スレか前の天地召喚ネタとかも楽しそうだったなぁ。
578名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 19:50:44 ID:ClkmTLFN
>>574
赤道斎の国家設立ストーリーにすればおk
579名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:06:17 ID:VQiGJ3zO
迎えに来させるためのネタとして、
『逢えば編するヤツら』から成田・悪悟を呼んで、成田・良子に迎えに来させるのを考えたんだが…。

あのハイテンションが再現できねぇorz
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:18:38 ID:Svq4vRsx
漆黒の瞳の人で召喚された主人公がもしドラゴンの杖、王者のマント、光の盾、太陽の冠装備状態で、
仲間モンスターもヘルバトラーにプチターク、グレイトドラゴン、キラーマシンとかだったらもっとえらいことになるんだろうなぁと読んでてふと思った。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:20:33 ID:1j8lKssY
>>578
なるほど! 裸でマッチョな国が出来るんだな!!

(想像してみる)
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
ごめん無さいすいません僕が悪かったです、もうしませんママorz
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:22:07 ID:Ui4kD910
>>580
その状態ならビアンカもしくはフローラ、息子に娘もいるよな。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:22:33 ID:avar4rV+
グレイ・フォックス召喚をまじめに妄想してみました…

どうやってもフーケのゴーレムに踏み潰されちゃう最期しか思い浮かばないorz
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:23:35 ID:2OQ49xF0
一騎当千から関羽
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:25:15 ID:D8GvKf69
>>583
そうか?
俺はヨルムンガンドに踏み潰される最期しか思い浮かばないがw
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:28:07 ID:aNKJExN+
>>584
蒼天にしようぜ
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:28:23 ID:Ui4kD910
>>583,585
どちらにせよ踏み潰されちゃうのには変わりないのなw
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:31:50 ID:1j8lKssY
>>577、579
迎えに来た後、か。確かに1発ネタとしてすごく面白そうだよな。


さておき川平薫(こいつ14巻でも本名出ていない不遇キャラ)
だったらまだ問題少ないんだけどな。風として拡散していた間、
トリスティンで使い魔をしていた、というネタが使える。
期間は時空の歪みなどを神の力で無理やりやったのでとすればいい。
これなら迎えに来ないし色々できるからストーリーは作りやすく活躍させやすい。

しかしさわやか系過ぎるのでギャグにならない。
いっそ啓太に魔法教えさせてみるか?
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:34:13 ID:eGLZbFGd
>>577
「迎えに来て大問題」なネタは迎えに来たあとの話を読みたくなって困る。


数あるSSの中には、迎えが来るどころか、召喚されたけど自力で元の世界にあっさり帰って
さらにまたやって来て、その上でストーリーが普通に進むという変わりダネもある


だから、恐れる事はない。迷う事はない。望むままをなせ
さぁ、あなたが見たいSSをあなたが書こう!
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:36:02 ID:avar4rV+
>>585
それも一時は考えたんだが
どうやってヨルムンガント戦まで薬を持たせるかが問題になって
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:36:49 ID:1j8lKssY
わかった、書いてみる。
テキトーに最近出たネタでも拾ってみるか・・・?
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:40:11 ID:ZdwfQYYQ
>>589
「迎えに来て大問題」なネタとして、

 「こんなチート展開やってられるか」と言いのこしてガリア王ジョゼフは退位した。

で始まる学園物を妄想しているんだが、本編始まるまでのあらすじを書くだけでもたるい。
俺は長文書くのに向いてないらしい。
そのうちなんちゃってプロローグだけでも書けたら投下するよ。
593名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/02/28(木) 20:42:46 ID:dQJgHt/v
メタルの轟音を聞きながらヘッドバンキングするルイズ……どんどん染まっていくなぁ。
虚無の魔法もスタイリッシュになるんだろうか。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:42:50 ID:wrg6b6Rc
投下いいですか?
スパロボとコードギアスのクロスでルルーシェ
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:45:02 ID:7DbIZR+p
ルルーシェって誰だよwオリキャラか?
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:45:11 ID:D8GvKf69
>>590
麻薬系の葉っぱなんてどっかに生えてるだろうし、規制もされてないだろうし、コルベールがいるし
あるいは強行にルーン効果でずっと正気です、とか
フーケゴーレムのとこじゃあ、グレイフォックスが何か言葉を遺しても、ルイズに響かないと思うんだよね
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:45:16 ID:YvKRR9Fe
全力で支援
これでいいか?
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:45:19 ID:Fid1wtb5
多重クロスは勘弁
599名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:47:05 ID:wrg6b6Rc
>>595
コードギアスはあまり知らないので細かいつっこみは止めて下さい。
ニコニコで数話見ただけなんです。
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:48:27 ID:ZdwfQYYQ
>>598
スパロボ知らんけど
スパロボとのクロスでコードギアスがメインなんじゃね?
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:49:11 ID:u5EsqNZ0
>>594
>投下いいですか?
絶対に許さないよ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:49:58 ID:7DbIZR+p
>>599
理想郷に逝ったほうがいいよ
ARCADIAでぐぐってみ
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:50:32 ID:EsattiNn
>>599
せめて全部見てから書けよ



まあ、そういう俺は国立入試で1ヶ月半も止まったままなんだがな
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:52:35 ID:vB73RXIQ
投下するんならしろよ
おぅ早くしろよ
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:53:59 ID:Fid1wtb5
投下釣りか
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:54:14 ID:1ajww1Et
迎撃体制に入る
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:55:17 ID:duZfhWTo
>>599
よし、この言葉を贈ろう。
『半年ROMれ』
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:56:02 ID:YvKRR9Fe
お前らのせいで尻込みしちゃってんじゃん
可哀相に
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:57:09 ID:7DbIZR+p
投下してもフルボッコは目に見えてるし
契約だけで終わりそ
610いぬかみっな使い魔:2008/02/28(木) 20:57:09 ID:1j8lKssY
副題:カエルの聖女(一発ネタスマソ)

「迎えにきたケロ。」
「白山名君! 来てくれたのか!」
「そうケロ、ようこに頼まれて大妖孤と赤道斎が開いた仙道を通ってきたケロ。
 早く帰るケロ、あんまり長く維持できないケロ。」
「い、いやまて、今帰るわけには・・・」
「どうしたケロ? 帰りたくないのかケロ? ・・・・・・・・!
 な、なんだこれケロ! 酷いケロ! 心を操る術をかけられてるケロ!」

その後。

怒った白山名君の放つカエル爆弾攻撃にルイズは気絶することも
 出来ないほどの恐怖に逃げ惑った。ルイズを共に乗せて風竜で逃げるタバサ。
流れ弾が自信満々で出してきたヨルムンガント軍団を粉砕していく。
ガリア王ジョゼフ、涙目。

かくして、必死で止めた啓太のとりなしもあって白山名君は啓太と共に帰っていった。
使い魔契約はディスペルで解除である。
かくしてガリア王の野望はただのとばっちりで粉砕されたのであった。
カエルの神獣を召還し、使役したとしてルイズはカエル聖女とたたえられた。

カエル聖女ルイズの人気はとどまることを知らず皆が熱狂して出迎えた。
行く先々でカエルの垂れ幕やらカエルの人形やら
カエルの石像やらで歓迎されるようになったルイズ。

しかし、彼ら民衆は知らなかった。ルイズがカエル嫌いであることを。
歓迎に念を入れれば入れるほど、ルイズの苦悩は深くなっていったことを。

たたえよ、カエル聖女ルイズ。伝えよ、カエル聖女ルイズの伝説を。
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:57:19 ID:7AhmrOhX
原作把握も出来ていない多重クロスって。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 20:59:57 ID:o9MZMjfR
スパロボとのクロスなんてロクなもんじゃねえ、って他スレのばっちゃが言ってた
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:00:01 ID:OblbRmjc
>>610
ワロタw
614いぬかみっな使い魔:2008/02/28(木) 21:13:26 ID:1j8lKssY
ありがとうございます。
この調子で長編も書いてみたい、のではありますが、色々難しい。
しかしラストはこれでなんとでもなりそうな分、気が楽になりました。

やっぱり書いてみるものですね。
では、長編書くとなると時間かかりますので期待しない程度に待っててください。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:18:07 ID:Or2pwOFf
召喚して涙目wな展開なら刀語から、【逆さ喋りの白鷺】召喚。
会話すらできないと思う。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:22:34 ID:7DbIZR+p
うちの婆ちゃんの名前がようこなんだよな
登場人物の名前が親類やダチにあるとすげー萎えるorz
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:22:52 ID:avar4rV+
>>596
一応、トリステインも国なんだから麻薬ぐらい規制してるだろ…
って、あれ?実際のとこ、どうなんだろ
原作で麻薬らしき物はタバサの母親を狂わせた魔法薬しか出てきてないし…

やめとこ、これ以上は考察スレだ
618塩沢さんならこいつだな:2008/02/28(木) 21:23:35 ID:aNKJExN+
ルイズ「ちょっとあんた何者よ!?」
???「私は救いのヒーロー、ぶりぶりざえもん」

対ギース戦
ぶりぶりざえもんは役に立たず結局ルイズの爆発魔法でなんとか倒す。

「ふん、口ほどにもない」
「あんたは何もしてないでしょうが!!」

対フーケ戦
「あ、三時間たった。救いのヒーローは三時間しか地上にいられないのだ」
「あのブター、逃げやがったな…!」

対ワルド戦
「よし来い!!」
「コラコラコラー! あんた何寝返ってんのよ!!」
「私は常に強い者の味方だ!!」
「寝言は寝てから言え! このブタ」
ワルドぶりぶりざえもんを蹴飛ばす。
ルイズ達に袋叩きにされるぶりぶりざえもん。

対七万人戦
なんとか他の兵隊の力で勝つ。
「救い料金一億万円」
「テメーは何もしてないだろうがこのブタ!!」
「私をブタだと!? 私のことをブタと言ったやつはいくら主人であろうと許さん!!」爆発魔法を食らうぶりぶりざえもん。
「ぶひーッ!!」

ー完ー
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:25:15 ID:+6SSbSzw
>>616
銀英伝から田中芳樹を辿って行って、初めてそれを経験した俺。
……何もそんなレアかつネタ臭のする苗字にしなくても……
620名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:29:09 ID:BB1eVoZI
麻薬、銀英伝ときたらタバサの母親が飲まされたのはサイオキシン麻薬というネタしか浮かばないな
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:31:48 ID:woV74Kb6
なに、ルイズ涙目展開?

ヴぁんぷ!からゲルハルト・フォンバルシュタイン子爵。
軽妙洒脱で紳士、気遣いもバッチリだが液体の体なのでルイズ達の言葉は分かるけど
筆談が出来るかどうか妖しい。
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:33:10 ID:qI8g8Pc0
>>618
ぶりぶりざえもん「…………」
ルイズ「あんた最近喋らないわね?」
でおk
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:34:39 ID:avar4rV+
…ワロタww
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:35:45 ID:7AhmrOhX
>>622
……泣いた
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:37:14 ID:vB73RXIQ
塩沢さん(´・ω・`)
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:38:07 ID:E6HxNdin
>>618
>対ギース戦
オールバックでマッチョな風の系統が使えるギーシュ?
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:42:55 ID:avar4rV+
そして>>622に泣いた
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:43:01 ID:7DbIZR+p
土の塔から転落か
629異世界BASARA:2008/02/28(木) 21:50:44 ID:NMfHl1qp
誰もいなさそうなので、10時に投下します。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:57:30 ID:qI8g8Pc0
バッチこーい
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:57:36 ID:b9VRIYwD
ドゾー
632名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 21:58:01 ID:iuQq9R2u
>>622
全俺も泣いた……
633異世界BASARA 1/9:2008/02/28(木) 22:03:44 ID:Qk7jVg3Y
ラ・ロシェールで一番上等な宿、「女神の杵」。
この宿に泊まる事になった一行は1階の酒場でくつろいでいた。
利家は運ばれてきた料理をタバサをと一緒に食べている。
ギーシュはクタクタで、テーブルに突っ伏していた。


「……………」ブルルルル…
忠勝は中に入れないので、外で眠りについていた。


しばらくして、乗船の交渉に行っていたワルドとルイズが帰ってくる。
ワルドは椅子に座ると困ったように言った。
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと、出ないそうだ」
「急ぎの任務なのに……」
ルイズは口を尖らせている。
聞けば、明日の夜は月が重なる『スヴェルの月夜』らしい。
その翌日の朝、アルビオンがこの港町に最も近づくと言うのだ。

「そんな船を待たなくても、タダカツに乗ってアルビオンまで飛んで行けばいいじゃない。ねぇ?」
キュルケはそう言うと、タバサの方を向く。
しかし、タバサは本から目を離して首を横に振った。

「充電中」

成る程、忠勝とて人間である。

朝早くにキュルケに起こされ、ルイズに追いつくまで飛んで来たのだ。
戦国最強の男も、流石に休まなければならないのだろう。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:06:46 ID:0fqbkUtz
電動支援
635異世界BASARA 2/9:2008/02/28(木) 22:07:53 ID:Qk7jVg3Y
「さて、今日はもう寝よう。部屋を取っておいた」
ワルドは鍵束をテーブルの上に置く。
「キュルケとタバサは相部屋、ギーシュとウジマサが相部屋だ」
ワルドはそれぞれキュルケ達を見る。
「そしてトシイエとユキムラ……おや?ユキムラは何処へ行ったのかな?」
「ああ、幸村なら外で槍と剣の鍛錬だ」
利家が、脂の乗った骨付き肉に齧り付きながらワルドに言った。

「何よあいつ!じっと待っていられないのかしら!」
ルイズはそう言いながら、目を吊り上げて腰に手を当てた。
だが、次にルイズの頭にある事が浮かぶ。
「ま、待ってワルド。トシイエとユキムラが相部屋なら私は……」
「ああ、僕と相部屋だが?それが何か?」
ワルドはさも当然だと言うようにルイズに告げた。
「そんな、ダメよ!私達まだ結婚している訳じゃないのよ?」
ルイズは慌てて騒ぐ。
だがワルドは首を振ると、ルイズを見つめて言った。
「大事な話があるんだ、2人で話したい」

鍵が配られた後、キュルケ達はそれぞれ部屋に行こうとした。
と、キュルケは利家が立たずに未だ座っているのに気づく。
「あら、あなたまだ食べるつもりなの?」
「ん……それもあるが、幸村を待たんとな。あいつ部屋が分からないだろ?」
それだけ言うと、利家は運ばれてきたスープを皿から直接啜り始めた。

「さぁウジマサ!今日という今日はどっちが主人か教えてやるからね!」
「上等じゃ!お主にも北条家の素晴らしさを朝まで語ってやるわい!」

ギーシュとウジマサはそんな口論をしながら階段を上がって行った。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:08:25 ID:OegT8L2B
リアル投下初遭遇支援
637名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:09:56 ID:avar4rV+
えっ、ホンダムって電動式だったの?知らんかった…支援
638異世界BASARA 3/9:2008/02/28(木) 22:12:58 ID:Qk7jVg3Y
『女神の杵』、流石貴族も相手にする宿だけあって部屋も上等なものである。
宿の主人の趣味なのか、ベッドは天蓋付きで、高そうなレースの飾りが付いていた。

部屋でルイズはポケットの上から、アンリエッタから預かった封筒を押さえた。
「心配なのかい? 無事にアルビオンのウェールズ皇太子から、姫殿下の手紙を取り戻せるのかどうか」
ルイズの様子に気づいたのか、興味深そうにワルドが覗きこんでいる。
「そうね、心配だわ……」
「大丈夫だよ、きっと上手くいく。なにせ僕がついているんだから」
「そうね……あなたがいれば、きっと大丈夫よね。あなたは昔から、とても頼もしかったもの……」
そこでルイズは一呼吸置き、ワルドを見て言った。
「それで、大事な話って何?」

ワルドは急に遠くを見るような目になって話し始めた。





「ルイズ殿!ただいま戻りましたぞ!!」

その頃、入り口の扉を開けて幸村が入って来た。
鍛錬が終わり、戻って来たのである。
しかし、戻って来たら主のルイズどころかキュルケ達もいないではないか。
幸村はキョロキョロと店を見回した。
「おお戻ったか幸村。皆部屋に行ったぞ」
利家は手と口を、デザートのケーキのクリームまみれにしながら言った。
そして、アルビオンへは明後日の朝に出発する事、それまではこの宿に泊まる事を告げる。
「なんと、ルイズ殿は急いでいるというのに……ところで前田殿、そなたはキュルケ殿と部屋に行かなかったのか?」
「ああ、キュルケ殿はタバサと一緒の部屋だ、お前はそれがしと同じ部屋だぞ」
そう言った後、利家は咀嚼していたケーキを飲み込む。
一通り食べ終わって満足したのか、利家はやっとイスから立ち上がった。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:14:19 ID:7DbIZR+p
しえん
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:14:32 ID:wphaFewB
紫炎
641異世界BASARA 4/9:2008/02/28(木) 22:15:56 ID:Qk7jVg3Y
しかし、幸村はここで首を傾げた。
キュルケとタバサが一緒、おそらくギーシュは氏政と一緒だろう。ならば……
「前田殿、ルイズ殿は……」
「ん?ルイズならワルドと一緒の部屋だぞ?」


――ワルドと一緒の部屋だぞ――

   ――ワルドと一緒の部屋だぞ――

        ――……一緒の部屋だぞ……――


利家の言葉が頭で反響し、何度も繰り返される。
「……ワルド殿と……一緒……?」
「うむ、何やら大事な話があるらしいぞ、婚約しているから結婚の話じゃないのか?」

『結婚』……
その言葉から、幸村の頭の中にルイズとワルドの行動がシミュレーションされる。


「ルイズ!僕と結婚しよう!」

「ダ、ダメよ!私まだ16よ!!」

「ヨイデハナイカヨイデハナイカ!!」「イヤアァァァァァ〜」

「ううう……私汚れちゃった……」「HAHAHAHAHA」


約10数秒、シミュレーションは終了。
その短い時間の間、幸村の脳内では破廉恥行為が繰り広げられていた。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:19:29 ID:0fqbkUtz
短絡つーか直結思考支援
643異世界BASARA 5/9:2008/02/28(木) 22:19:35 ID:Qk7jVg3Y
「ぬああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーっっっ!!!」
そのような妄想をした幸村は、あらん限りの絶叫を上げた。
そして、そのまま階段を駆け上がっていった。
(止めねば!手遅れになる前に拙者が止めねばあぁぁぁーっ!!)



「任務が終わったら、僕と結婚しようルイズ」
「え……」
突然、予想しなかった言葉にルイズははっとした顔になった。
ワルドが結婚を申し込んできたのである。

「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。 いずれは、国を……、このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っている」
「で、でも……」
「でも、なんだい?」
「わ、私……。 まだ……」
「もう、子供じゃない。 君は16だ。 自分のことは自分で決められる年齢だし、父上だって許してくださっている。 確かに……」

ワルドは、そこで一度言葉を切った。 それから再び顔を上げると、ルイズに顔を近づける。

「確かに、ずっとほったらかしだったことは謝るよ。 婚約者だなんて、言えた義理じゃない事も分かっている。 でもルイズ、僕には君が必要なんだ」
「ワルド……」

ワルドと結婚……婚約しているのだからいずれはそうなるだろう。
だが、その事を考えると、幸村の事が頭に浮かぶのだ。
ワルドと結婚しても幸村は使い魔として忠実に従うであろう。しかし、それは何だか嫌だとルイズは感じた。
では幸村をほっぽり出したら?
彼の強さはあのフーケのゴーレムと渡り合い、さらに素手でも多数の男をねじ伏せる程だ。
外に出ても傭兵としてやっていけるだろう。
だが何故か……何故か分からないが、嫌なのだ。幸村が自分の元から離れて行くのが嫌なのである。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:19:49 ID:7DbIZR+p
支援
645異世界BASARA 6/9:2008/02/28(木) 22:21:55 ID:Qk7jVg3Y
「でも、でも……」
「でも?」

ルイズはしばらく俯いた。しばらくして顔を上げると、さらに話を続けた。



その頃、階段を怒涛の勢いで駆け上がり、荒い息をつく1人の男が廊下にいた。
男は血走った目で、各部屋のドアを見る。

「ハァハァ……どれだ?どの部屋にルイズ殿は……!」

男の名は真田幸村である。
ルイズとワルドが破廉恥な事をしていると思い込み、ここまで来たのだ。
しかし、来たのはいいが、肝心のルイズの部屋が分からなかったのである。

「ええいまどろっこしい!!1つ1つ調べるまでよ!!!!」

幸村はそう叫ぶと、手近にあったドアを力任せに開いた。
武田信玄に鍛えられた彼の腕力の前では、鍵など問題ではなかった。
「な、何だね君は!?いきなり入ってくるとは無礼な!!」
中にいたのは太り気味の貴族の男だった。
幸村はすぐにドアを閉める。
「違う!ならばここか!?」
次に幸村は反対側のドアを開いた。

「いいかい!使い魔とは本来主人の命令には絶対なんだ!それを君はやれ食事が不味いだの暖かい毛布が欲しいだの……おまけに僕の近くじゃなく学園長室にいる時間の方が長いなんてあってはならない事だよ!!」
「やかましい!お主はまだわしの凄さが分かっておらんのじゃな!?お主わしの住んでいる城がどれだけ凄いか知らんじゃろ?かの甲斐の虎、武田信玄すら退けた難攻不落の小田原城じゃぞ!!」
だがここも違ったようで、ギーシュと氏政がお互い向かい合って口論をしていた。
646異世界BASARA 7/9:2008/02/28(木) 22:23:46 ID:Qk7jVg3Y
「ええい!ならばここはどうだあぁぁーっ!!!」
そして、今度はギーシュ達のいた部屋の隣のドアを開いた。

「あら?ユキムラじゃない?トシイエと一緒じゃないの?」

部屋にいたのは、ベッドで本を読んでいるタバサと、バスタオルを体に巻いたキュルケだった。
タオルで隠しているものの、胸や臀部のラインが見えて、かなり色っぽい。

「……ふぐぁ!?」

それを見た幸村は、当然の事ながら鼻血を噴き出す。
その勢いで仰向けに倒れる……寸前で、幸村の頭にさっきのシミュレーションがフラッシュバックした。


『ううう……私汚れちゃった……』
(ルイズ殿……!!!!)


倒れるように見えた幸村だったが、頭が地面につくかという距離で止まった。

「……なんのこれしき……!!うおおおおおおぉぉぉぉぁぁぁぁーーっっ!!!!!」

ブリッジ状態になった幸村は大きな声で叫ぶと、徐々に体を起こす。
そして完全に体を起こすと、「失礼した!」と言ってドアを閉めた。


「……何だったのかしら、ねぇタバサ?」
「知らない」
647異世界BASARA 8/9:2008/02/28(木) 22:25:27 ID:Qk7jVg3Y
その頃、ルイズの部屋では……


「あのねワルド……小さい頃、私思ったの……いつか、皆に認めてもらいたいって。立派な魔法使いになって、父上と母上に褒めてもらうんだって」
ルイズは顔を上げて、ワルドを真っ直ぐ見つめた。

「まだ、私、それが出来ていない」
「君の心の中には、誰かが住み始めたみたいだね」
「そ、そんな事ないの! そんな事ないのよ!」

まるで心を読み取られたかのようなワルドの言葉に、ルイズは慌てて否定した。
「いいさ、僕には分かる……分かった、取り消そう。今、返事をくれとは言わないよ。 でも、この旅が終わったら、きみの気持ちは、僕にかたむくはずさ」
ルイズは頷いた。
「それじゃあ、もう寝ようか。 疲れただろう」
それからワルドはルイズに近づいて、唇を合わせようとした。

が……

バアァァァン!!!!

「ルイズ殿っっっ!!!!」
ドアが勢いよく開かれ、幸村が入って来た。
何故か鼻から下を全て真っ赤にしながら。
「ユ、ユキムラ!?」
幸村を見たルイズは、慌ててワルドから離れる。
だが少し遅かった。幸村はワルドとキスしかけているルイズの姿を見てしまったのである。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:26:09 ID:7DbIZR+p
支援金
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:26:25 ID:0fqbkUtz
想像して吹いた支援
650異世界BASARA 9/9:2008/02/28(木) 22:27:56 ID:Qk7jVg3Y
「うわああぁぁ!!なりませぬルイズ殿!早まってはなりませぬぞっ!!!」
幸村はまだ鼻血が止まらないのも気にせず、ルイズの肩をガシッと掴む。
「おおお落ち着きなさいよユキムラ!わ、私は別にワルドといやらしい事しようとしてた訳じゃないのよ!?これはそう…あ、挨拶よ!寝る前の挨拶みたいなものなんだからね!」
ルイズも何を勘違いしたのか、声を震わせ、早口で捲し立てる。

それを見ていたワルドは苦笑いを浮かべて、首を振った。
「使い魔君、ルイズの言う通りだ、僕達は何も変な事をしていた訳じゃないよ」
「む、むぅ……ま、真でござるか?」
「ああ本当さ!さ、今日はもう休みたまえ。君だって疲れが溜まっている筈だろう?」
そういながら、ワルドは幸村を外に出した。

「ルイズ」

ドアを閉めた後、ワルドは振り返ってルイズを見つめた。
「急がないよ僕は」
それを聞いて、ルイズは頷く。
2つの重なりかけた月が、ラ・ロシェールを照らしていた



ところで、所変わってキュルケの部屋……

コンコン

「今度は誰……トシイエ?どうしたのよ?」
「キュ、キュルケ殿……部屋が分からん……」
「……あなた、それじゃユキムラを待っていても意味がなかったじゃない……」
「ダメダメ」
651名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:28:36 ID:MoctY/us
前の話でデルフとの会話のときに
子作りは気合で出来るとか行ってなかったっけ?
652異世界BASARA:2008/02/28(木) 22:30:46 ID:Qk7jVg3Y
これで投下終わりです。
いや、自分も忠勝は人間だと信じていたけど…やっぱりあの人ロボ……


ギュイーンガガガ…


…何か工事の音がうるさいな、ちょっと文句言ってくる。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:30:55 ID:0fqbkUtz
GJ〜。

>>651
第三者同士の場合はもっと免疫無いんだろ
654悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 22:38:32 ID:+gsP8ymI
続き投下します。

BASARAの人GJでした。

>「充電中」
>成る程、忠勝とて人間である。

ちょっと待てwww
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:39:44 ID:PDLeg+kV
>>654
支援
656悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 22:39:48 ID:+gsP8ymI
Mission16 〜真夜中の制裁〜
ロングビルをラ・ロシェールへ届けろ


深夜の女子寮

「はあ・・・」

ルイズは自室で一人、溜息をつきながら考え込んでいた。
先程見送ったアンリエッタ王女からの依頼。
二つ返事で了承したのは良いもの、自分なんかが、
こんな大層な任務を無事に果たせるのかどうか。
そんな事を考えている内、外からコンコンと窓を叩く音が聞こえた。
タバサだった。

「何?明日は早いからもう寝るわよ?」
「杖」
「…ああ、アレね」

ルイズは壁に掛けられたネヴァンを取り、外で待っているタバサに渡してやった。
ネヴァンを手に取ったタバサは、
いつもの無表情には変わりは無いが、僅かにほころんだ顔をしていた。

「今度は自分で弾いてみたいわけ?誰に習うの?」
「オールド・オスマンの腰痛が完治したら」
「あんたも物好きね…」
「明日返す」
「いいわよ。邪魔だし、暫く持っておいて」

それからタバサは、ルイズに軽くお辞儀をして、風竜の使い魔と共に去って行った。

タバサの向かう先には、いつもと違う、軽装の格好をした学院長の秘書と、
何やら車輪が二つ付いた奇妙な物に跨っている、ルイズの使い魔が待っていた。

「助かったぜ、おチビ」

タバサが訂正するように、短く訴える。

「タバサ」
「悪い悪い、おチビのタバサ」
「…」
「ハッハー、悪かったよ。怒るなって」

微妙にムッとした顔で、ネヴァンを抱きしめるタバサの頭を、
クシャクシャと撫でながらあやすダンテ。
それからタバサは観念した様に、ダンテにネヴァンを渡した。
この男に何を言おうと無意味だ。と、そう思いながら。

「やれやれ…。そんなモン、何に使おうってんだい?」

ロングビルは、ついこの間、自分の体を乗っ取り、
魔力を根こそぎ奪い取ったネヴァンを見て、思わず身震いした。

「殴れる物は2つくらい持ってないと、落ち着かなくてね」
「殴れる…」
657悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 22:40:15 ID:+gsP8ymI
それを聞いたタバサは、脳裏に焼きついた光景を思い浮かべた。
この間の、フリッグの舞踏会で見たオスマンの勇姿を。
その間にダンテ達は、これから向かう目的地のルートを、
バイクの点検をしながら確認していた。

「それで、これから俺達は何処へ向かえばいいんだ?」
「アルビオンに行くには船を経由しないとね。まずは、ここから離れた港町を目指すよ」

ダンテ達の会話が耳に入ったタバサは、ハッと我に返り、
地名を言うことでダンテ達の目的を問い詰めた。

「アルビオン?」
「ああ、これからちょっとした郵便配達だ。急ぎの荷物でね」
「荷物扱いするんじゃないよ!」
「…そう」
「それでな、タバサに頼みがあるんだが…」
「?」
「俺が明日までに帰れなかったら、ウチの御主人様の面倒を見ておいてくれないかね?」

神妙な顔で何を頼むのかと思えば、この男にしては珍しい。
そう思ったタバサは、頬を少し緩ませて、快く返事をした。

「わかった」
「ハハッ、良い返事だ。帰ってきたらイカしたヤツを一曲、教えてやるよ」
「待ってる」

タバサからの了承を得たダンテは、バイクのエンジンを起動させる。
ガソリンは、コルベールが事前に研究してくれていたお陰で、
早い段階で手に入れる事ができていた。
オリジナルのキーは見つからなかったが、
シュヴルーズが、破壊の杖の一件のお礼だと、
粘土を用いた錬金の魔法で作ってくれた、手製の物だ。

唸りを上げるバイクを、怪訝な顔で見ているロングビルに、
ダンテが声を掛ける。

「ホラ、後ろに乗れよ」
「…本当に間に合うんだろうね?出港は明日の明朝だよ?」
「ああ、勿論だ。飛ばして行くぜ?しっかり掴まってろよ!」

バイクの後部に渋々跨るロングビル。
それを確認したダンテが、暖気させたエンジンにギアを入れる。

「ええ?ちょっと!?何?……きゃああああぁぁぁ!!!!」

轟音を響かせながら、瞬く間に学院から姿を消した二人。
それを間近で見ていたタバサがポツリと呟いた。

「良い…」
(お姉さま?)
658悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 22:40:54 ID:+gsP8ymI
トリステインからラ・ロシェールの港町までは、早馬でも二日はかかる。
しかし、ダンテの運転するバイクは、最高時速を常に維持し続け、
ものの数時間で、道のりの半分を通り過ぎようとしていた。ただ…

「怖い!怖いっ!もっと、ゆっくりでいいから!!」
「チンタラ走ってたら!船に間に合わないぜ!?」
「ひぃいいいぃぃぃ!!」

それはロングビルにとって、地獄の数時間だった。

港町まであと僅か、といった所で、ロングビルが後ろから追跡してくる、
「何か」の気配を感じ取った。
大地を蹴るヒヅメの音が聞こえる。
こんな時間に馬を走らせるような貴族は、先ずいない。
ロングビルが恐る恐る振り返ると、そこには、人間の身の丈の倍を、悠に越す様な
大きな馬が、青白い炎を揺らめかせながら、自分達に迫ってこようとして来た。
それを見たロングビルが、慌ててダンテの耳元で叫んだ。

「ちょっと!何か来てる!こっち何か来てる!」

幾多の英雄を乗せて、戦場を駆け巡ったといわれる戦馬ゲリュオン。
それが魔界の瘴気を吸って魔獣へと変貌してから、ダンテに三度目の挑戦を挑んできた。
とうとう、ダンテが運転するバイクの右に付いたゲリュオン。
その姿が目に入ったダンテが、興奮気味に叫んだ。

「ハン!お前もリベンジってところか?面白え!」

ゲリュオンは、ダンテのバイクと並走している状態から、急に反時計回りのスピンターンを始める。
その反動で、ゲリュオンの引いていた荷馬車が、車輪に付いている突起物を
突き出しながら、ダンテ達に襲い掛かってきた。
荷馬車の車輪に付いたスピアが迫る瞬間、
ダンテは持ち前の怪力で、バイクごとジャンプし、その場で宙返りをして見せた。

「イィヤッ!ホーォウ!!」
「嫌ああぁぁ!!!」

着地と同時に、二人の全身に衝撃が走る。
膝をガクガク震わせながら、ダンテにしがみ付くロングビル。

「ハッハー!相変らずやる気満々じゃねえか!」

それとは正反対に、ダンテは闘争心に火を燈し、
死と隣り合わせのスリルを楽しんでいた。

ゲリュオンが高々と前足を上げ、それを振り下ろす事によって地響きが鳴る。
それを繰り返す度に、鬼火の様な青白い炎が、
地上を這いながらダンテ達に襲い掛かって来た。
その度に、歓喜と恐怖の悲鳴を上げながら、バイクが宙を舞った。
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:41:19 ID:0fqbkUtz
支援
660悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 22:41:34 ID:+gsP8ymI
前回り一回転

「YeaaaHa ! ! ! !」
「きゃあああああぁぁぁぁぁ!!!!」


横ひねり一回転半

「Foooow ! !」
「降ろして!今すぐ降ろしてえぇ!!」


宙返り二回転

「Wow.Ho.Hoooo ! ! ! ! !」
「やぁぁぁめぇぇぇてぇぇぇぇ!!!」

次にゲリュオンは、荷馬車から投てき用の槍を飛ばしてきた。
それに反応したダンテは、懐からエボニーを左手で取り出し、
バックミラーで狙いを調節しながら、振り返ることなく、それらを撃ち返す。
ダンテがエボニーを収めると、今度は何を考え付いたのか、
自分の両脇からロングビルの両手をハンドルに伸ばした。

「おい、代わりに持っといてくれ」
「もう、やだ!何っ!?何なのよぅ!」

ダン!と、衝撃が走り、ロングビルが気が付いたときは、
目の前で運転していた筈のダンテが、姿を消していた。
ロングビルは一心不乱ながらも、手渡されたハンドルの制御を
真っ直ぐに保ちながら、少女の様に泣き叫ぶ。

「…ちょっと!どうすんのよコレ!どうすればいいのよ!!」

バイクの止め方を知らないロングビルは、恐怖と緊張で両腕を強張らせ、
硬直した右手で握られたアクセルは、フルスロットルを維持し続けていた。

バイクをロングビルに預けて、空中に飛び上がったダンテは、
両手に構えたエボニー&アイボリーを交互に乱射させ、
ゲリュオンの放つ槍を迎撃していた。
投てき槍の最後の一投は、
右手の得物をアイボリーからデルフリンガーに持ち替え、
真っ二つに叩き斬って見せた。
その間に、エボニーの銃身にダンテの魔力が込められ、
真っ赤な魔力を帯びた弾丸が一発、ゲリュオンのたてがみに向けて発射される。

弱点であるたてがみを攻撃され、堪らず悲鳴を上げながらその場に倒れ伏せるゲリュオン。
それとは余所に、バイクのハンドルを必死に握りながら、
始祖ブリミルに向けて、心から祈りを捧げていたロングビルの後ろに、
ドスン!と、音を立ててダンテが降ってきた。

「ご機嫌麗しいな御婦人?」

ダンテの両手が、ロングビルの手を覆うように、ハンドルを包み込む。
それからダンテは、アクセルを緩め、クラッチを入れてから、急ブレーキをかけ、
ドリフトターンしながら、バイクを停車させた。

「はぁ、はぁ…生きてる…?」
661悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 22:42:07 ID:+gsP8ymI
土埃が舞う中、ロングビルは命の確認が取れると同時に、一呼吸置いて、
「…だっはーぁ!」と、大きく溜息をつきながら、二の腕を枕にして、バイクの燃料タンクに突っ伏した。
しかし安堵の溜息も束の間、自分が跨っているものが、再び唸り声を上げた。
後部席に座っているダンテが、アクセルを回し始めたのである。
そして目の前には、大地を前足のヒズメで引っ掻く、巨大な馬が佇んでいた。

「ハッハハッ。あんだけガッツあるんじゃあ、馬にしておくには勿体無いぜ!」
「ねえ…、馬鹿な事考えてるんじゃないでしょうね?絶対考えてないでしょうね!?」

ロングビルの嫌な予感は、的中しているも同然だった。
その内心を読み取ったかのように、ダンテの背中からデルフリンガーが、
刀身をスッと覗かせてこう言った。

「あー、姐さん。…もう諦めて、ハラ括っといた方がいいと思うぜ?俺は…」

デルフリンガーが鞘に引っ込むと同時に、バイクのエンジンにギアが入った。
そして、ロングビルの意思とは関係なく、バイクの後輪が悲鳴を上げ、
前から突進してくるゲリュオンに対して、ウィリーの状態で突っ込んでいった。

「もういやぁあああ!!!!」

激突するのも間近、といった所で、半ば諦めたような笑顔をさらけ出したロングビルは、
帰りを待つ妹の笑顔を思い浮かべながら、心の中で謝罪した。

ああ、ティファニア…。行ってあげられなくて…、ごめんね…

その瞬間、ゲリュオンが青白い炎に包まれながら、
フッと霧のように消えてしまった。
相手が消えてしまい、咄嗟に急ブレーキをかけてバイクを停車させる。
ダンテが気が付いた時には、ゲリュオンの気配は完全に無くなっていた。

「フン、消えちまったか…」

ダンテが辺りを見回すと、遠くの方で明かりがポツポツと輝いていた。
それを見つけると、前の席で倒れ込んでいるロングビルに声をかける。

「おい、港町ってのは、あそこでいいのか?」

反応が無い。頬をペチペチと叩いてやっても、起きる気配がしなかった。
仕方ないので、ダンテはそのままの状態で、バイクを方向転換させ、
明かりの見える方角を目指す。

その遠くで、仮面を被った男がマントをなびかせながら、
ダンテ達の後姿を見送っていた。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:42:47 ID:7DbIZR+p
支援
663悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/28(木) 22:42:58 ID:+gsP8ymI
投下以上です。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:46:01 ID:0fqbkUtz
乙です
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 22:51:42 ID:PDLeg+kV
GJ!!
姐さんかわいいよ姐さん
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:00:13 ID:7hAN27l0
GJ!
…DMC3初プレイ時、ゲリュオンも武器になる…
そう考えていた時期が僕にもありました。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:04:29 ID:B8oq7ZIQ
悪魔も泣き出す使い魔、乙です!支援!!

おチビは受けたw……と同時に、少しウルっときました。
ジェシカいい子やったな〜

しかし、疑問が一つ。
果たしてワルド如きが悪魔を操れるのでしょうか?
668名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:06:22 ID:RK0Wp63X
>>667
とっくに身も魂も上位悪魔に喰われて操られているに一票
669名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:08:12 ID:kBeoq+hg
>>667
作品により強さの設定はまちまちだからねぇ
まあ大抵は中ボスクラスの噛ませだったりするけど
670松下:2008/02/28(木) 23:13:25 ID:wmcQr9E1
悪魔泣乙! というわけで、続けて「悪魔くん」が来ました。
5分後に松下の第十七章を投下します。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:16:35 ID:b7K6sIXn
悪魔も泣きだすお方GJ!!
おマチさん可愛い。思わず大笑いさせていただきました♪

そしてパナソニックの方、支援!!
では、投下開始。どうしても黒いです。


始祖ブリミル降臨祭まで、あと三日。
トリステイン王国の王宮、その執務室では、アンリエッタ女王とマザリーニ枢機卿が『始祖像』の前で謀議を続けていた。
女王が纏うのはウェールズ皇太子と戦死者を悼む喪服、しかし腹の底は漆黒。
乱世での小国の元首は、そうでなくては生き残れない。

「……では手筈通り、マツシタが始末されたとの情報が届き次第、タルブを急襲させます。
 実行部隊はマンティコア隊のド・ゼッサール隊長に任せます。一気呵成にやらねばなりませんね」
「ええ、陛下。すでにタルブとラ・ロシェールにはスパイを放ち、リッシュモンとモットを寝返らせてあります。
 チュレンヌは意外に兵法の才があったようで、警備隊長をしているそうですが。
 守備兵は500名ほど、メイジはほぼ出払っていて、残るフネも小型船が数隻。問題なく奪えますぞ」

「アルビオンでのマツシタと異端軍団の始末はブラウナウ伯爵に一任しましたが、大丈夫なのでしょうね?
 万一彼を取り逃せば、悪魔の力で復讐してくるでしょう。それに、ルイズのこともありますし」

ゲルマニアの大貴族・ブラウナウ伯爵の魔手は、すでに松下の背後、トリステイン王国政府に伸びていた。
自分に生意気な口をきく異端者・マツシタ一味を抹殺できる。そう聞いて、女王は伯爵からの提案に飛びついたのだ。
枢機卿は無表情に、女王の問いに答える。

「伯爵はゲルマニアとロマリアを味方につけております、万が一にもマツシタに逃げ場はありますまい。
 無論ミス・ルイズ・フランソワーズは、マツシタから引き離しておくよう言ってあります。
 『虚無の担い手』とはいえ、こちらはマツシタほど危険でも異能でもありませぬからな」

女王はそれを聞き、にっと唇を吊り上げた。
「ええ、彼女の『虚無』の力をこちらに引き寄せておけば、我が国は国際的発言力を増せるはず。
 この件は表に出せませんが、ゲルマニアに対してもあくまで強気な姿勢を崩さないこと。
 アルビオン戦役終了後の会議では、有利な条件で領土を得てみせるわ。私もテューダー王家の血をひくのだし!」

上機嫌にコロコロと笑う、若く美しい女王。だがマツシタを取り立てた枢機卿は、浮かぬ顔だ。
「……しかし、やはり惜しい気もいたしますな。マツシタの政務や魔法の才は、まさしく悪魔的な異能。
 ロマリアから異端容疑を受けたとはいえ、『使うべき物は使う』の精神から言えば、生かしておくのが得策やも……」
「おや枢機卿、大した入れ込みようね。けれど彼の革命思想は、国家にとっては害毒よ。クロムウェル以上にね。
 あのまま振舞わせればトリステインの、いえ、ハルケギニアとブリミル教のためにならないわ。
 もちろん彼のもたらした『東方』の技術や知識は、おいしい所だけ頂きますけれど!」

おほほほほほ、と女王が『いい気味だ』とばかりに笑った。
マツシタめ、何が『新しい権威と新しい王国が現れ、天地が更新され、人間も覚醒して新しくなる』だ。
『粉挽きどころか、奴隷や乞食だって解放され、気軽に私と会話できる』だって? 冗談じゃない。
人間社会の秩序とは、本来人民に不平等を強制するものだ。万人平等の千年王国なんて、実現できるはずがない。
673名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:20:13 ID:aT/1Fomi
 迎えに来て大問題、の亜種かもしれんが、
召喚元の世界から続々とやってくる、ってのはどうかな。
伊藤勢版モンコレのシン・メーンのおっさんが
配下をぞろぞろ呼び出したりしてるけど、ああいうのとか。
(シン・メーンの召喚は呼びっぱなしだしね)
ふぅ、と枢機卿は溜息をついた。女王と教皇とゲルマニアに逆らえるほど、彼の権威や権力は強くない。

「……王とは、国家とは、そうしたものやも知れませんな。正義は我々、負ければ悪魔ですか。
 人民はどう思いますでしょうな、この意外な事件を」
「王権は神と始祖から付与されたもの。王は人民に拘束されるべきではないし、人民も王に反抗すべきではないわ。
 いいこと枢機卿、あなたも、母君マリアンヌ太后も含めて、この国内に私以外に『絶対者』がいてはなりません。
 自分を救世主だなんて称する人間は、始末されて当然。そう、『私が国家』よ!」

おっほほほほほほ、とアンリエッタ女王は、激務で血走った目のまま高笑いした。


《全ての人は、上に立つ権威に従うべきである。
 なぜなら神によらない権威はなく、存在する権威は全て神によって立てられたものだからである。
 従って、権威に逆らう者は、神の定めに背く者である。背く者は、自分の身に裁きを招く事になる。
 …あなた方は、彼ら(権威ある者)全てに対して義務を果たしなさい。
 すなわち貢税を納めるべきものには納め、恐るべき者は恐れ、敬うべき者は敬いなさい》
  (『王権神授説』:新約聖書『ローマ人への手紙』第十三章より)


さて一方、ギーシュはジュリオやジェシカと共に、密かにブラウナウ伯爵と面会していた。
ハルケギニアには珍しい黒髪にちょび髭、身長175サントほどの、痩せぎすの中年男である。
その正体は、ロマリアの教皇が世紀末の地球から召喚した悪魔的天才児、『ガンダールヴ』のダニエル・ヒトラーだ。

ギーシュは伯爵から、どーんと金貨の詰まった袋を受け取り、目を白黒させている。
「い、いやあ、こんなに頂いちゃって、よろしいんでしょうか伯爵」
「気にする事はない。お近づきのしるしさ、未来の元帥閣下!
 部下のジュリオがくだらん事を喋ったようで、失礼したね。神より名誉と富がお好みかな?
 若い者はそうでなくては、覇気がなくっちゃならんよ! それ、もう一杯」
伯爵は手ずからギーシュに酒を注ぎ、何度も乾杯をする。

「まあ、どーんと構えていたまえ。任務はさして難しいことではない。
 なに、ちょっと彼を、我々が指示する場所へ誘導すればいいだけのことだから」
「はあ、はい……」
しかし、伯爵の差し出した羊皮紙の勅命書には、《教皇・女王・皇帝》の三つの印璽が押されている。
これでプレッシャーを感じないハルケギニア人はいまい。そして、絶対に断れない命令だ。
伯爵はニヤニヤしながら、硬直しているギーシュに語りかける。
「いいかいギーシュくん。人生は短く、かつ儚い。
 今までの戦場で見たとおり、人間は大抵どんな力を持っていても、脆く死んでいくのだ。
 そして死んだら、生は、自分というものは、永久に帰ってこない。
 ならばこの命のある間、人生は楽しまねばウソだよ!」
「は、はい、よく分かります」
「そのためには、まずカネがなくてはならん。それともう一つ重大な事、すなわち自由だ。
 今、きみが『悪魔』の束縛から離れ、自由になる時が来たのだ!」

「あ、悪魔……。つまりその、マツシタのことですね」

「そう。きみも聞いているだろう、マツシタやクロムウェルの言い草を。
 まあいつの時代にも『夢想主義者』ともいうべき連中がいるものなんだ。
 なるほど、彼らの言う事は人間を幸福にし、かつ理論上は正しいのかもしれないが、
 現実には決してそうではない、むしろ害悪の元だ。彼らは現実から遊離し、観念を弄んでいるに過ぎんよ」
「た、確かにそうです。それに僕も随分マツシタに苛められました」
うむうむ、と伯爵は頷く。
「ならば分かるだろうギーシュくん、彼らは『救世主』などではなかったのだ。
 このように世界を混乱に陥れているものが、どうして世界を救うものであろうか!」

伯爵はどん、とテーブルを叩き、ずいっとギーシュに顔を近づける。
「きみが今マツシタを敵の手に渡せば、くだらん革命ごっこも速やかにケリがつき、多くの民草は無用に殺されずにすむ。
 しかもきみは自由になり、3万エキューというカネを貰って、悠々と栄光に満ちた人生を楽しむことができる。
 今のチャンスを除いて、きみが自由になれる日がいつ来るであろうか!
 さ、ゆくのだ! 我々はきみの働きに期待している!!」

一方的に発破をかけられたギーシュは、松下に感づかれないよう術をかけられ、連絡員のジェシカとともに宿舎へ戻された。
金貨の入った袋は、怪しまれるということで伯爵が一時預かり、当面必要な分だけカネを渡されたが。

ジュリオはそれを見送り、胡乱げな表情で主人に呟く。
「……いいのですか? あんな男で」
「いいのさ。『東方の神童』ことメシアは、悪魔の力では始末できない。『人間』でなくては殺せないのだ。
 それも、人間に裏切られて死ぬという『悲劇的英雄の筋書き』を設定する必要があったのだよ。
 ギーシュ・ド・グラモンには小悪党の才能がある、立派にユダの役を果たしてくれるさ」
「ユダ、ですか。二千年前『東方』に現れた救世主を裏切り、十字架につけさせたという男ですね……」

ダニエルから重用されているジュリオは、メイジではないが様々な知識を授けられている。
機転も利くしルックスもいいし、手駒としては役に立つ男だ。少々無駄口が過ぎるが。
「しかしダニエルさまは、いったい何がお望みなのです?
 ゲルマニアの皇帝位ぐらいは買えるほどの富、ロマリアの教皇聖下という権威の後ろ盾。
 そしてエルフさえも倒せるであろう、恐るべき武力と知力。
 強大な魔力に不老不死の肉体、それに『ガンダールヴ』。これ以上、何が必要で?」

ジュリオの問いに、伯爵……いや、ダニエルは薄く笑う。
「ははは、きみにはそれを問うだけの力はないね。
 まあ見ていたまえ、今に世界は大変革を迎えるだろう。素晴らしい世界になる。
 何なら孤児院の暴れん坊だったきみを、教皇なり皇帝なりに据えることもできるよ。ジュリオ・チェザーレくん」
「僕も暗殺されそうだから、高望みはやめておきますよ。狂言回しがせいぜいの役目です」


《「先生、我々(神にのみ仕える選民)はカエサル(ローマ皇帝)に税金を納めてもよいのでしょうか」
 「偽善者たちよ、なぜ私を試そうとするのか。デナリ銀貨には何が刻まれているか」
 「カエサルの肖像と銘が刻まれています」
 「ではこうするがよい。カエサルのものはカエサルに納め、神のものは神に返せ」》
  (『神のものは神に』:新約聖書『マタイによる福音書』第二十二章より)


こちらは松下の宿舎。ギーシュはジェシカを連れて、『信者』たちの集いに帰ってきた。
「おお、よく帰ってきてくれたわねぇ! この放蕩娘、心配ばかりかけて!」
「ごめーん、この半ズボン売れなかったの。一応はマジックアイテムなのにねえ」
ジェシカが家宝を持って戻ってきたので、父親のスカロンは涙ながらに抱きしめて叱る。シエスタも喜んでいる。
ギーシュによれば、郊外でアルビオンの兵士たちに攫われそうだったのを、通りかかった自分が偶然救い出したのだそうだが。

「いやあ、彼女が第二使徒シエスタの従妹だったとはねえ。世の中は狭いものだなあ」
「ふーん、本当かしら。まあ無事でよかったわ。
 けどあれよ、やっぱりこの半ズボンはジェシカに履かせて客引きした方がいいわよねえ」

「あらルイズちゃん残念、男でないと履けないのよぉ、その『魅惑の妖精の半ズボン』は。
 でも魅了の他にサイズ自動調整の魔法もかかっているから、このスカロンだって履けるの」
「是非ともやめてほしいわ、我がトリステイン王国の名誉のために。
 あ、でもこれ、四百年前に美少年の給仕が時の王様から賜わったそうよね……ああ、爛れているわ」

「んじゃあ英雄ギーシュさま、これを履いてみませんこと?
 薔薇のような美しさをいや増し加え、万人から愛されること請け合いよぉ!」
「やめて! ギーシュの変態度が増し加わるだけだわ! そうでしょ、マツシタ!」

「……いいからきみたち、静かにしろ。仕事の邪魔だと言っているだろうが」
松下は職務に忙殺され、ギーシュどころではなかったりした。
夜空に満開の花火が打ちあがり、人々は歓声をあげ、乾杯する。
シティ・オブ・サウスゴータは、ハルケギニア最大の祝祭『始祖降臨祭』を迎えた。
正月とクリスマスが一時に訪れたようなお祭り騒ぎが、これから十日間も続くのだ。
連合軍が駐屯したお蔭で、街の人口は倍近くに膨れ上がり、いたるところに兵隊の泊まるテントや天幕が張られている。
それらを目当てに商人が集まり、街はかつてない活気に湧いているのだった。

「始祖ブリミル降臨から、今年で6243年目というが……そんな昔のことが今も記憶され、祝われているとはな。
 神話みたいなものじゃないか。『東方』のある国の神話的皇祖の即位紀元さえ、せいぜい2600年ちょっとだ」
「我々ハルケギニア人の始祖であり、神に最も近い方の降臨祭よ。
 始祖以来続く四大王家もトリステインとガリアに残っているのだし、始祖の実在を疑う人はいないわ!」

祝杯をあげる松下やルイズの目の前で、ぞろぞろと街の大通りを行進するのは、醜く奇怪な仮面を被った男女たち。
その服は羽根や貝殻、葉っぱや鈴などでゴテゴテと装飾され、手には木の枝や棍棒を持っている。
まるでオークやオグル、トロール鬼どもが、再び練り歩いているようだ。黒猫やライオンなど、獣の姿をした者もいる。
「なんだ、あれは?」
「へえー、アルビオンでは、まだこんな野蛮な風習が残っているのね!
 本で読んだ事があるわ、あれは『冬の悪鬼』たちよ」
「冬の悪鬼……」

ルイズの蓄えた無駄知識は、なかなか侮れないものがある。
「アルビオンは標高3000メイルの高地だから、冬は長く厳しいの。
 食料も乏しくなるし、嵐や豪雪や雪崩の被害は激しく、病気にも罹りやすくなるわ。
 それにアルビオンには、今もハイランド地方にいるような恐ろしい亜人が多かったの。
 彼らは原住民から『山の精霊』として崇められていたけど、それを征服してアルビオン王国ができたのよ。
 だから、降臨祭ではああして『冬の悪鬼』が地上を再び練り歩き、最後に『始祖』によって退治され、
 季節の変わり目を迎えるってわけ。それでもまだ、本当の春は遠いのだけれど……」

なるほど、あれは日本のナマハゲのような『来訪神』が、ブリミル教に取り込まれた姿か。
そういえばヨーロッパでも、ああした土着の鬼神が祭になると練り歩くという。
と、やがてヒトデのような姿をした二体の悪魔が現れた。民衆はそれらを嘲り、石を投げつける・

「おお、あれはデカラビアとブエルの扮装だな。こうしてぼくらの戦いも、民間に語り継がれていくのか」
「あっち側から来るのは、蝋燭の灯を持っているわね。きっと春の太陽をもたらす『始祖』の軍勢だわ」
よく見ると、『始祖』の軍勢の先頭に立つのは、松下やルイズ、ギーシュなどの扮装をした人々だ。
解放軍の先頭に立って戦った記念であろう。彼ら彼女らはもはや、この街の英雄なのだ。
その頃、ロンディニウムのハヴィランド宮殿では。
神聖アルビオン共和国の元首、神聖皇帝オリヴァー・クロムウェルは、心底怯えきっていた。
黒髪の美人秘書、ガリアから派遣された魔女・シェフィールドにしがみつき、ひざまずいて懇願する。

「しぇ、シェフィールド殿、ががががガリアは本当に、トリステインを叩いてくれるのでしょうな?
 連合軍はもう、すぐそこまで迫っているのですぞ? どうかお願いいたします、せめてこの私だけはお救いください!」
「ええ、勿論。タルブであんなことが起きていなければ、我々はとうにあの国を潰していたわ。
 それに安心なさい、ベリアル老によればゲルマニアの本国も、密かにトリステインを攻撃するそうよ」
「げ、げ!? げげげのゲルマニアが、でございますか?!」

くすり、と魔女が笑った。しがみつくクロムウェルの顔を爪先で蹴り飛ばし、話を続ける。
「そうよ。サウスゴータの敵軍は、私がこの『アンドバリの指輪』で反乱を起こさせるわ。
 そしてアルビオンの精鋭軍と秘蔵艦隊とゲルマニア軍とで、混乱するトリステイン軍を殲滅。
 トリステインはアルビオン・ガリア・ゲルマニアの三国で分割される予定ですって。
 そのあとは三国連合して、エルフと戦うばかりよ。どう、安心した?」

クロムウェルは鼻血を垂らしながらも、喜悦の表情を浮かべる。
「は、はははは、凄い! ジョゼフ陛下とベリアル閣下は、そこまで策を巡らしておられるのか!
 かかかかか勝てる、これでこの戦は勝てる!! うはは、はははは」

魔女は喜びに打ち震えるクロムウェルに背を向け、主人との連絡のため自室へ向かう。
「まあせいぜい、道化の偽メシアを演じていなさい。オリヴァー・クロムウェル」


ここはガリア王国、ヴェルサルティル宮殿のグラン・トロワ宮。
国王ジョゼフ一世は、愛人モリエール夫人を連れて、部屋に築かれた巨大な箱庭を眺めている。

「これは陛下、ひょっとしてハルケギニア大陸の模型なのですか?」
「そうだよ、夫人。ここに引いてあるのが国境線、ここに守備兵。これが首都だね。
 見てみたまえ、こちらの島では戦争が始まっており、この小さな国は島国に主力を送り込んで手薄になった。
 それというのも、両隣の大国と同盟や条約を結び、安心しているからなのだが……。
 そこで突如、二つの大国は手を結ぶ! しかも攻め込まれた島国に味方してね!
 さあ大変だ、この小国はたちまち風前のともし火となる!」

モリエール夫人は、ふと首を傾げる。
「……え、それはまさか、トリステイン王国のこと? 島国とはアルビオン、では両大国とは……」
「ん、ああちょっと待ってくれ、独り言を言わせてくれ」

国王は『島国』に置いてある、黒衣の美女の人形を取り上げ、耳に当てて喋りだした。
「……おお、そうかそうか、『ミューズ』! そんなに傀儡は喜んでいるか!
 サイコロの出目も彼の命を救ったようだ、そちらへは我らの艦隊が行けなくなった!
 そう、まさしく賽は投げられたのだよ、ミューズ!
 まぁ、いずれ全て余のものになるさ、ハルケギニアもサハラも『東方』も! さらに先へ(プルス・ウルトラ)!」

(つづく)
679松下:2008/02/28(木) 23:34:03 ID:wmcQr9E1
投下終了。
「さらに先へ」というガリア王家の銘文は、神聖ローマ皇帝カール五世の遺言ですな。
彼の治めた「日の沈まぬ帝国」がジョゼフに築けるかどうか、はてさて。

では、また。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:35:41 ID:Y/BrzQBi
GJした!!
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:41:09 ID:YvKRR9Fe
DMCと使い魔くん乙
とくにDMCはリアルに今やってるから今後が楽しみだわ
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:42:39 ID:aNKJExN+
ピクル呼ぼうぜ
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:51:24 ID:CKGhIzse
悪魔も泣き出す人乙です

おマチさんよく無事だったなw
そういえばクイックシルバースタイルはどうなったんだろうな〜
684ゼロの魔獣:2008/02/29(金) 00:00:59 ID:8LM2RnAx
五分後に投下して大丈夫ですか?
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:01:14 ID:HLhtTkm8
支援
686名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:04:03 ID:EwNn6VrZ


このビッチ姫は腹の底から腐ってんなww
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:04:27 ID:1QklpcNQ
ゲッタァァァァァ!!!!支援!
688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:04:30 ID:qPJfSQVX
よし北!
支援だ、しえーん!!
689ゼロの魔獣:2008/02/29(金) 00:05:19 ID:8LM2RnAx
「結論から言おう シンイチ君 あのマシーンは 動かすことができる!」

いかがわしい研究道具が立ち並ぶ掘っ立て小屋の中で、コルベールは高らかと宣言した。

「いや・・・ しかし 
 あの機体は 知れば知るほど素薔薇しい
 君達のいた世界は魔法の代わりに科学の発達した世界だとは聞いていたが
 まさか これほどの物とは思わなかった。
 あれを作った人間は 間違いなく天才だよ シンイチ君!
 例えば この機械を動かしている原動力一つとってもそうだ
 君の論述と背面のブースターから この機体の原動力は油・・・君達の世界で言う化石燃料だと思っていたが
 それはまったくの見当違いだった!
 何だと思う? 何だと思うかね シンイチ君!」

「・・・・・・・」

結論から言おうと言った割りに、コルベールの話は延々と結論に到達しなかった。

慎一が不機嫌そうに禿頭を睨む。 その目は真っ赤に充血している。
その顔からはハッキリと疲労の色が見て取れる。
無理もない。 慎一はこの四日間コルベールの部屋に監禁され
広辞苑のように分厚い仕様書の翻訳をさせられていたのだ。

「聞いて驚くな! 放射線! 放射線だよ!
 この概念を理解するまで 私も相当な時間を費やした
 空の彼方から目に見えないエネルギー源が降り注ぎ、大気に満ち溢れていたとはね
 しかし 考えれば考えるほどこれは素薔薇しい発見なのだよ!
 莫大なエネルギーを無公害で取り出せる究極の炉心
 しかもエネルギー源は空の果てに無限にある!
 星の海を泳ぐ船を作り出すのに これ程最適なシステムは無いと断言できる!」

「・・・・・・・」

―この四日間、ろくに眠ってもいないのは、コルベールも同じハズである。
 無精髭が伸び、頬は大きくコケ、眼窩は窪み、体からは香ばしい匂いを発しているが
 その気力は一切萎える事無く、瞳はむしろ爛々と輝いている。

「それだけじゃあないぞシンイチくんあの機体が特別製なのはエンジンだけじゃない例えばこ
 の外装通常の金属じゃない特殊合金で放射線の当て方によってはチップが分裂したり大きく
 変形したするんだこの機体はそれによって三種の特徴を持つロボットへと変形してあらゆる
 状況に独力で対応できるように設計されているんだイヤー実に惜しい残りの二体も揃って
 いたなら変形合体のメカニズムを解析して様々な技術へと応用できるであろうにいずれにせ
 よこの機体の発見はハルケギニアの歴史を大きく変えうる物だこの技術が公に研究される
 ようになればわれわれに生活も大きくへん・・・」
「ど り ゃ あ あ あ ! !」

慎一の鋭い前蹴りが水月を直撃し、コルベールが悶絶する。
690ゼロの魔獣 第29話A:2008/02/29(金) 00:07:29 ID:8LM2RnAx
「・・・な・・・ぜ・・・ シン・・・イチ・・・く・・」
「俺は・・・ 科学者がキライなんだ!」

とばっちりである。

だが、ここで突っ込んでおかねば、コルベールは間違った方向に進んでいたかもしれない・・・。
徹夜明け、二人の男の脳味噌は完全に煮えていた。

「機体は動かせるといったな
 何故、シエスタの爺さんはあれを飛ばさなかったんだ?」

「・・・純粋なエネルギー不足だよ
 彼の世界とハルケギニアでは 降り注ぐ放射線の量が違いすぎた
 残念ながら 機体に十分なエネルギーが戻る前に 彼の寿命の方が先に来てしまったんだ・・・」

「・・・・・・・・・」

「だが さっき計器類を確認したところ 
 彼が最後に記録を取ったときよりも 遥かにエネルギーが回復していることが分かった
 これは推測だが ここ数年で降り注ぐ放射線の量が劇的に増加したのだろう・・・
 宇宙規模で 何らかの変化が起こりつつあるんだ」

「・・・・・・・・・・」

「ある程度 機体の改修は必要になるだろうが・・・ 
 それさえ終われば あれは飛ぶよ」

―話が出来過ぎていた。
 帰るべき宿命を背負った男の前に、帰るための手段が用意されている

 始祖ブリミルの導きか?  『神』の仕組んだ罠なのか?

 慎一は何か、大いなる意志が働いていることを感じずにはいられなかった・・・。

「それにしても  やはり興味深いのは放射線だ
 これは彼らの仮説に過ぎないという事だが
 あの放射線はただのエネルギー源じゃない 生物の進化を促す効果があるのだという
 彼の上司の研究によれば君達の世界にかつて君臨していた恐竜と呼ばれる大型の竜が
 滅んだのも未熟な猿が人間となり地上に君臨するだけの知恵を手に入れるに至ったのも
 その放射線の作用によるのだというもちろんにわかには信じがたい話だがもしこれが事実
 であったなら始祖ブリミルによって人類の繁栄がもたらされて来たこのハルケギニアにも
 少なからぬ影響を与えつづ・・・」
「お り ゃ あ あ あ ! !」

慎一が背後を取ってチョークスリーパーを繰り出す。
しばらくもがいていたコルベールだったが、やがて白目を剥いて昏倒した。
慎一はコルベールを寝かせ、毛布を掛けた。

「寝るぞ 修理は明日からだ・・・」
言いながら、部屋を後にしようとした慎一だったが、彼の意識もそこで途絶えた・・・。




691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:07:52 ID:Zo544zW9
コルベール自重www支援
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:08:55 ID:EwNn6VrZ
コッパゲwwww
支援
693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:09:19 ID:KERwN4gl
コッパゲ哀れw
694ゼロの魔獣 第29話B:2008/02/29(金) 00:09:42 ID:8LM2RnAx
翌日から、広場の片隅で機体の改修が始まった。

コルベールの指示の元、どこぞから集めてきた金属を
キュルケが溶かし、慎一が打ち、タバサが刻み、ギーシュが部品へと仕上げていく。
始めはイヤイヤ働かされていた三人だったが、秘密基地でも作るような童心が次第に空気を支配し
皆、なかなかどうして共同作業に没頭していた。

(尚、この頃トリステイン城下では、ジャイアントモールが金属類を盗み出す事件が多発していたが
 特に今回の話とは関係ない)

五人の共同作業を、『ゼロ』のルイズは友達の輪に加われない子供の心境で見ていた。

普段なら、「何で使い魔のために肉体労働しなきゃならないのよ!」 
と突っぱねるであろう彼女だが、こうなってみると寂しいものである。
かといって、気位の高さと劣等感が邪魔をして、うまく近づくことも出来ない。
慎一が、中古のバイクをいじる少年のようないい表情をしている事も、無性に腹が立った。

(何よ! 私だって 私だってね!!)
ルイズが縫い針を動かす。
行き所の無い怒りで悶々としながら、彼女の指先は得体の知れない物を縫い上げていた・・・。




― 2週間後

機体の修理は終わり、試運転の日は明日へと迫っていた。
キュルケの手で外装を真紅に塗り替えられ、ギーシュから『イーグル号』の名を貰った機体の上に
慎一は仰向けに寝転がっていた。

頭上には満天の星空、ヒンヤリとした金属の感触が背中に心地いい。

これからの事を、慎一は思索する。
695ゼロの魔獣 第29話C:2008/02/29(金) 00:11:07 ID:8LM2RnAx
機体が無事に飛んだなら、まず行かねばならないのはアルビオンだ。
別の世界から、ハルケギニアへと持ち込まれた注射針・・・。
慎一を執拗に狙い続けた悪意の正体を、彼は見極めねばならなかった。

その後は東へ。
『聖地』、そして『ロバ・アル・カリイエ』・・・
シエスタの祖父がやってきたその地には、元の世界へ戻るためのヒントがあるように思えた。

それでも帰る術が見つからぬ時は・・・

―簡単である。 イーグル号で星の海へと飛び出せばいい。
 少なくともこの世界からは離れられる。
 放射線で動くイーグル号なら、理論上は半永久的に宇宙を進めるはずである。

「きゃっ!?」

背後からの悲鳴に慎一が現実へと帰る。
そこにいたのは久しくロクな会話をしていなかった桃色髪の少女。

「どうした? 何かあったか」

「い い 今  アンタの後ろに 白衣の幽霊が・・・」

「幽霊だあ? 何を馬鹿な・・・」
言いかけて、『彼』の言葉を思い出す。
イーグル号は、散っていった仲間たちの想いを宿した機体だと・・・。

「・・・まあ そんなに悪いヤツじゃないだろうよ
 それよりどうした? こんな時間に・・・」

「な なんでもない・・・」
サッと、ルイズが盆を後ろに隠す。 慎一は足元へと目を向ける。

―いびつな形の、不揃いなサンドイッチが地面に転がっていた。

 慎一は、おもむろにその一つを拾い上げ・・・。

「あっ!? ダ ダメよッ!!」
迷わず口元へと放り込んだ。

「・・・なんだ イケるじゃないか
 また何か 新手のイジメかと思ったぜ」

「・・・ あ 当たり前じゃないの! 誰が作ってやったと思っているのよ
 か か 感謝しなさいよね! 普通なら使い魔のアンタなんかに こんな事はしないんだから・・・」




696ゼロの魔獣 第29話D:2008/02/29(金) 00:12:50 ID:8LM2RnAx
双つの月を見上げながら、二人はイーグル号へ腰を下ろす。

―しばしの沈黙。
 だが、あの時のような気まずさは無い。

「・・・ いよいよ明日ね」

「気が早すぎだろ 明日は単なる試運転だぜ」

「でも いずれは元の世界へ帰る・・・でしょ?」

「・・・・・・」

「シンイチ もう一度だけ聞くわ
 この世界に 留まるつもりは無い・・・?

 あなたにとって 復讐はそんなに大事なものなの?」

「・・・おふくろを殺し 俺の体を切り刻んだ十三人を 俺はこの手で八つ裂きにしなきゃならねえ・・・

 ―だがよ それだけじゃ無いぜ」

 そう言いながら、慎一はイーグル号の外装を撫でる。

「こっちに来て 俺もいろんな物を背負っちまった」

「・・・・・・」

「それに よ・・・」

―そこから先は、聞くまでも無い。
 この世界が気に入っているからこそ、尚更慎一は離れなければならないのだ・・・。
697ゼロの魔獣 第29話E:2008/02/29(金) 00:14:36 ID:8LM2RnAx
「・・・あんたがいなくなったら あたしはまた『ゼロのルイズ』に逆戻りね」

「次の使い魔を呼べばいいだろ? ブリミルだって そこまで杓子定規じゃねえだろうさ」

「無理よ あんたを呼べたのだって 失敗を重ねた果ての偶然だったのに」

「何言ってやがる あれが偶然なワケねえだろ?
 お前は真理阿や 『神』のヤツですら使えなかった力で 俺をこの世界に呼んだんだぜ」

「でも・・・ 基本的な魔法だって使えないし 何度やっても爆発ばかりだし・・・」

「・・・真理阿はお前には言わなかった・・・
 いや 時機を見て話そうと思っていたんだろうが・・・ 
 俺はそんなまどろっこしい事はしねえ

 教えてやるよ ルイズ・・・  お前は 『恐るべきメイジ』 だ」

「・・・え?」

慎一が説明する。
ルイズの中にある、メイジとしての才能は、『失敗』と称される爆発の中にある。
四系統のいずれにも属さない、未知の現象。

時に、固定化された壁を破壊するほどの威力を持ち、
時には障害を乗り越え、ゴーレムを内側から破壊する。
しかも、研究の進んでいない現象ゆえに、一切の対策が無い・・・。

「四系統それぞれの達人は世界中にいるが
 『爆発』を使いこなしうるメイジは おそらくはお前しかいねえ

 一つだけ助言するぜ ルイズ
 メイジの道を生きたければ 既存の魔法の法則を追うのはやめろ
 どんな条件で爆発が起こるのか 威力と精度をコントロールする術を身に着けるんだ」

慎一の言葉を聞くと、ルイズは複雑な表情で俯いた。


慎一が自分の『失敗』を『個性』だと・・・ 新たな光を当ててくれた事は、涙が出るほど嬉しかった。
魔法という概念を知らない世界から来たからこそできる、一切の偏見の無い公正な評価―。

だが、慎一の言葉が事実であるなら
ルイズの能力が、最大限に発揮される場所とは・・・。
698ゼロの魔獣 第29話F:2008/02/29(金) 00:16:06 ID:8LM2RnAx
「ワルドの野郎は お前の能力に気付いていた・・・
 そしておそらくは この学院の教師の何人かも気付いている
 ―気付いた上で知らない振りをしているんだ ・・・お前のためを思ってな」

「・・・・・・」

「だが 俺はそんなに優しくねえ
 後はお前が決めろ ルイズ
 血の道を進む覚悟で自らの才能を極めるか・・・
 魔法の事は諦めて、別の人生を模索するか な」

―それは、魔獣の力を肯定し、復讐に生きる道を選んだ慎一だからこそ出来る助言。
 血河を往く魔獣ならではの、苛烈な優しさだった・・・。

「・・・良く考えてみるわ

 ありがとう シンイチ・・・」



自室へと戻るルイズを見送りながら、慎一は再び思索に耽る・・・。

先程のルイズへの助言、あれではまるで餞別・・・ 別れの言葉ではないか。

なぜ いまだ十代の少女に、あんな苛烈な選択肢を突きつけたのか・・・?

― つまるところ、答えはひとつ 『獣のカン』 でしかない。

静寂に包まれた夜、降り注ぐ月明かりの下で
慎一は激動の朝が来る予感を感じていた・・・。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:17:23 ID:WtaFbhHI
台詞に読点くらい使ってくれ
700ゼロの魔獣:2008/02/29(金) 00:17:29 ID:8LM2RnAx
以上で投下終了です。
コルベールを先に書いたら出オチになってしまった事を悔いつつ続きます。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:22:25 ID:7isJm6u7
読点とか三点リーダと使いなよ。
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:23:16 ID:fNb+TYO8
乙です!

>>699
効果としてあえて句読点使わない場合もある。
書き手さんがどう書きたいかに任せればいいジャマイカ。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:23:22 ID:tkK7nRTv
沈黙の艦隊から海江田をだな…
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:25:46 ID:EwNn6VrZ
魔獣の人乙

イーグル号だけの状態でも手足と胴体が生えて来る可能性もあるんだよな・・・
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:32:44 ID:hosB1xyI
ゼロ犬のアンとパナソニックのアンとどっちが腹黒か?
結局ジョゼフやダニエルの手のひらで踊らされているあたり小物か…

復讐のあまりバオーごと浮遊大陸に上陸させて住民虐殺しまくろうとする方が
706名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:33:57 ID:k8yL+jY1
>>617
亀レスだが、麻薬=ドラッグネタならDクラッカーズでいこうぜ。
3Bがジョゼフあたりに召喚されて悪さしてるなら、クスリ使い放題だ。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:47:10 ID:wvOqWwzd
遅れ馳せながら、DMC乙です
戦馬が登場。アイツの能力が一番反則
そして何度御世話に成った事か
自分も、使役出来ないに同意です
能力云々もですが、彼(彼女?)程の能力とチカラを持った悪魔を高ランクとは言え
子爵様が使役出来るとは到底思えないので
実力で服従させたとなると尚の事
保持特殊能力とタフを見ても、先ず倒せない
708名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 00:50:50 ID:ErZ6Wmi3
魔獣の人乙&投下速度とばしすぎwwww
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:03:54 ID:cZ2O73SZ
>>701
慎一が話すときには一応句読点や区切りがある。
たぶんコッパゲが話しに熱中してマシンガントークしてるってのを表現したかったんだろう。
まぁ読みにくかったのは事実ではあるけどさ
710ゼロの少女と紅い獅子  第七話:2008/02/29(金) 01:07:50 ID:gcWBbyh7
お久しぶりです。投下したいのでよろしければ支援願います。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:08:39 ID:Kddzn7v9
ヘヤァァァァッ! 支援
712ゼロの少女と紅い獅子  第七話:2008/02/29(金) 01:09:29 ID:gcWBbyh7
「ふむ、アルビオンか……」
 口ひげをいじりながらマザリー二が呟く。
 トリステイン王宮内の枢機卿執務室、マザリーニはその部屋の主である。
 右腕のワルドが特に報告したい事があると言うので時間をとってみれば、成るほど確かにこれは急を要する事であった。
「『暗黒の欠片』か、話と危険性はそれと無く先王や古参の重臣から聞かされたよ」
 そこで言葉を切り、考えるように天井に目をやるマザリーニ。
「だが、正直君が出張る事とは思えん。アルビオンなどに向かうなら尚更な」
「『暗黒の欠片』の正体を知っている者によれば、一国を壊滅せしめる、とのことですが」
 無表情にワルドが応える。
 言葉と裏腹にその様はいたって沈着冷静である。
「確かヴァリエール公の三女の使い魔だったか。ふむ、何時ぞやの怪物騒ぎの事と絡めれば、知っていてもおかしくは無いが……。
これについてはいつか正式に調査が必要だな」
 枢機卿として政治家として常に有能であろうとする彼の元にはこんな情報も入ってきていたのである。
「まあ、その件についてはさて置こう。問題は行き先だ」
 
 アルビオンが平和ならばさっさと行って来いと言う運びになっていただろう。
 だが現在アルビオンは内乱中であった、しかも現王室の命脈は風前の灯である。
 無論大軍はおろか一部隊も送るのは困難であろう、そんな事をすれば増援と取られるだろう。他でもない反乱軍に。

 ハルケギニアの統一と言う大層なお題目を掲げた反乱軍『レコン・キスタ』。当然、トリステインへの進攻も何時かは
企てる事だろう。
 現にそのことを察したマザリーニを初めとするトリステインの重臣は、王女アンリエッタとゲルマニア帝との婚礼を図ろうとしていた。
 この婚礼がなされそのまま軍事同盟となる前に、進攻の口実をみすみす『レコン・キスタ』にくれてやる訳には行かなかった。

 枢機卿の懸念をよそにワルドはあくまで淡々と応じる。
「少人数ならば問題はないかと」
「君のほかには?」
「ルイズ・ヴァリエールとその使い魔、あとは必要ありますまい」
 彼の説明にやや顔をしかめるマザリーニ。
「彼女らを連れて行く必要は有るのか? 私は君一人でも十分と思うがね」
「有益と踏んでの選択です」
 殆ど間もなく即答するワルド。あまりの即答ぶりに些か不審を覚えたマザリーニであったが気を取り直す。
「まあ、君がそう言うなら口は挟むまい。ところでアルビオン到着後の行動にアテは有るのかね」
「ある程度は。逃げるためにわざわざアルビオンに渡ると言う行為が異常ですので」
 ワルドの返答に細身の枢機卿は目を細める。
「連中絡みである、と?」
 ワルドが軽く頷くのを見て彼は
「くれぐれも気を付けたまえよ」
 と、幾つかの意味を含ませ嘆息交じりに形だけの激励を送った。

 その時執務室の扉をノックする者がいた。今は秘書も席を外しているため、マザリーニが応答しなければならなかったが、
返事を待たずに扉は開かれた。
 王宮内でそんな事を許される人間は限られている。
「雑務の事で話があると聞いて待っていたのに、随分と待たせるのですね枢機卿。それともそんなに忙しいのかしら?」
 入ってきたのはトリステイン王女アンリエッタであった。
「これは、殿下にご足労いただくとは恐れ入ります」
 もっとも、台詞ほど恐れ入っている様には聞こえなかったがマザリーニは頭を下げる。
 ワルドも同様に礼をとった。
「それで? 二人で何を企んでいたのかしら」
「企むなど……。少々厄介なコソ泥の後始末の方法を模索しておりましただけです」
 マザリーニはアンリエッタに顛末を説明した。
 その最中、アルビオンと言う単語にアンリエッタがピクリと反応するのをマザリーニは見逃さなかった。
「殿下、小煩いようで恐縮ですが……」
 マザリーニの諫言を彼女は首を振って打ち消す。
「分かっております枢機卿。もう詮無き事であると。明日にはニューカッスルの王城は陥落するかもしれない」
 そこで一度言葉を切りため息をつく王女。マザリーニはため息に眉をひそめるが今度は何も言わない。
「でも……好きな人を案じて嘆くのは私の勝手でしょう?」
 アルビオン王子ウェールズとアンリエッタが両思いであることは、王宮内の極僅かの人間の間では公然の秘密であった。
 世相が常識的な範囲で平和であるならば、婚礼の相手はウェールズであったであろう事は想像に難くない。
 とは言え、その事を王女自ら口にするとはマザリーニも思っていなかった。
713ゼロの少女と紅い獅子  第七話:2008/02/29(金) 01:10:27 ID:gcWBbyh7
「いやはや、これは大事で御座いますな。しからばゲルマニア帝との婚礼は直ちに破棄いたしましょう」
 珍しく芝居がかった態度を取る枢機卿にアンリエッタは苦笑を浮かべる。
「白々しいですよ枢機卿」
 それから思い出したようにワルドの方を見る。
 ワルドはさして興味もなさそうに
「はっ、お仲がよろしいのは結構な事ですな」
 と、こちらもワザとらしく見当違いな事を口にした。

「それにしても、ルイズ・フランソワーズがその様な使い魔を召喚していたなんて……」
 言葉尻に僅かに懐かしさを滲ませながらアンリエッタが呟く。
「危険、とは申しませんが少々調査が必要ですな。殿下はヴァリエール公の御息女を存じておられる?」
「昔、遊び相手になってもらいました。そういえば、子爵の領地はヴァリエール公家の近くでしたわね?」
 話を振られたワルドは首肯し応える。彼は微笑を浮かべ、
「はい。私も彼女の事は幼い頃から知っております」
「彼女も連れて行かねば成らないというのなら、くれぐれもよろしくお願いしますよ」
 アンリエッタの何気ない一言に、しかしワルドは跪いて頭をたれる。
「はっ、この身に変えましても。不逞のやからの指一本、彼女には触れさせません」
 そう言うと彼は立ち上がり、二人に一礼すると退室しようとした。
 だが、部屋のドアの前でふと立ち止まると振り返えり再び口を開く。
「枢機卿。もし、賊の足取りを追っている最中に偶然ニューカッスル近くに行く事になり、
たまたま王党派の方々と遭遇した場合は保護すればよろしいですかな?」
 聡いワルドらしかぬ発言にマザリーニが露骨に顔をしかめる。
 遠回しに外患を引っ張り込むと言っている様なものだ。
「いいかね子爵。その様な偶然は、絶対に、起こり得ない」
 何か言おうとするアンリエッタをこればかりはと目で制してマザリーニは続ける。
「もし、その様な偶然が起こり得るとしたらそれは王党派の方々、と言うより王族の方々自信がお望みであればの話だ」
 強く言おうとして言葉がおかしくなっていたが合えて指摘するものはいなかった。
 ワルドはもう一度一礼すると今度こそ退室した。


 執務室を出たワルドは早足にその場を立ち去る。
 そしてめったに誰も来ない一角で壁に背を預けると、自分の顔を押さえて苦悶の声を上げた。
「勝手に……出てくるなと、言っているだろう……」
 応じるものは誰もいない。だが彼は構わず続ける。
「貴様の望むとおりになっているだろうが……。そして俺が望む通りにもなっている」
 違和感が引いたか彼は顔から手を離した。
「そうだ、全て望み通りだ」
 そして、もと来た通路を戻っていく。
「望みどおりにならないとすれば」
 再び立ち止まり、夜空を見上げて呟く。
「あの娘だけだ」
 鉄面皮に僅かに表情が浮かんだが、それを見たのは満天の星と双月のみであった。



 厳しさに定評のあるギトーの授業中でありながら、ルイズは上の空であった。
 
 いつの間にかアルビオン行きが決まってしまった。

 数日前、ワルドが学院長室に現れた後、話はとんとん拍子に進んでしまったのだ。
 ゲンは早速足取りを追うべきだと主張し、これにワルドも大して反対しなかった。むしろ彼女にはタイミングの悪さから
ゲンの思い付きを煽っているようにすら見えた。学院長にいたってはアルビオン行きの話が出た時点で鼻毛を抜き出した始末である。
 
 彼女自身はアルビオン行きには反対であった。
 だが話の内容が内容だけに彼女も強硬な反対はしにくかった。
 もっとも彼女自身、何故反対するのかと言えば明確な答えはなかった。
 戦争中だから危険というのはあまり理由にならない。確かに危険では有るが、ゲンとワルドが共にいて、なお危険な状況などは考えたくもない。
 あえて指摘するならば自分が話についていけず蚊帳の外にいる。それだけならともかく、自分がそれでもこの話に
首を突っ込まざるを得ないのが、自身の使い魔に幾ばくかの原因があると言う事であった。
 無論、彼女自身はこの点を頑なに認めようとはしないが。
714ゼロの少女と紅い獅子  第七話:2008/02/29(金) 01:11:18 ID:gcWBbyh7
 放っておけないのは分かる。怪獣の恐ろしさはその身をもって知っている。フーケや仮面男を放置できないのその通りだ。
 
 だが、彼女はその中心にいない。
 
 他人事、でもない。だが、自分はただ振り回されているだけ。中心にいるのはゲン。ついでワルド。

 気に入らなかった。だが、それを口に出してゲンやワルドに知られる事はもっと気に入らなかった。
 仕方がないので本日何回目かのため息をついて、その代わりとした。

 奇跡的に、目敏いギトーの授業を上の空で乗り切ったルイズは食堂に向かおうとして教室の出口でキュルケに捕まった。
「タマには一緒に食事でもどう?」
「その台詞、同姓から言われるとは思わなかったわ。ま、別に良いけど」
 そんな訳で、彼女とタバサに捕まったルイズは珍しく三人で食事をする事になった。


「で、わざわざ声かけてきたって事は何かあるんでしょ?」
 他愛もない話がひと段落した頃ルイズは話しを振ってみた。無論キュルケに向かってである。
 タバサは先程から黙々と食べ物を口に運んである。邪魔するのも悪いような気がした。
「ん〜、まあそんな別に重要な事でもないんだけどさ」
 と、勿体ぶった後キュルケはルイズに向き直る。
「そろそろ落ち着いたことだし、貴方の使い魔の正体を教えて欲しいのだけど?」
「知らない本当よ」
 質問が終わるとほぼ同時にルイズは反射的にそう答えた。
 キュルケは一瞬目を見開いた表情を見せたが、直ぐに目を細めルイズに顔を近づける。
「そんな訳ないでしょうが、赤い球の事とか聞いてないの?」
 キュルケの質問にもルイズは目を合わせようとせず、
「知らないわよ、あいつに聞いても何も教えてくれないし。その内教えるって言ったきりだもの」
 聞けない、或いは聞きにくいと言うのはこの際言わないで置く。わざわざバカにされる材料を相手にくれてやることもない。
 だが。
「あらら、手綱はしっかり握らないとだめよ」
 キュルケは大して深い意味はなく発言したつもりだったが、その言葉は今のルイズには中々効いたらしく彼女は思わず机に突っ伏してしまった。
 その様を見てキュルケが半分呆れたような笑いを浮かべる。
「あ、もしかして結構深刻?」
「うるさいうるさい、ほっといてよ。大体なんでゲンの事がそんなに気になるのよ?」
「え? そんなの面白そうだからに決まってるじゃない」
 ルイズの問いにキュルケは当然とばかりに応じる。
「アンタ……いつか火傷するわよ」
「フフン、ツェルプストーがそう簡単に火傷するわけないでしょう」
 豊満な胸を張って威張ったように応じるキュルケを見て、ルイズはため息をついた。

「まあ、じゃあ彼のことは良いわ。じゃあ次は赤い巨人」
「あれだって勝手に現れたのよ、っていうか近くにいたからって私が何でも知ってるわけないでしょう?」
 これは完全に嘘である。彼女はその目でゲンが光に包まれ巨人に変貌するを見ている。
 しかし、それを明らかにするのは何故か躊躇われた。
 存在してはならない者への畏怖がそうさせたか、或いはいずれ話す――つまり今は聞くな――といった事を気にしていたか判らない。
 ただ少なくとも、面白そうだから、で聞いて来る相手には(その真意はさて置き)応えるつもりはなかった。
 
「知ってる事を言ってくれればいいじゃないの。なにをそんなにムキになってるのよ」
「ムキになってなんかいないわ」
「そうやって直ぐに反駁するのをムキになってるって言うのよ」
 やれやれ、とキュルケは肩をすくめる。
 
 と、それまでキュルケの横で黙々と食事を行なっていたタバサが、脇に置いていた分厚い本を机に載せた。
 タイトルは『ハルケギニアの民間伝承』、驚くべき事に彼女はまだ料理の残っている皿を脇にどけてその本を開いた。
「アンタにしちゃ変わった本ね」
 キュルケが意外そうに口を開く。日頃タバサが読んでいるのは学術書の類、それも大体は魔法に関することである。
 これも学術書には違いないだろうが、少々毛色が違う。
 タバサはページをめくりながら唐突に、
「巨人の伝説はハルケギニア全土に点在してる。アルビオンにも」
 と呟く。そうしてある章を開くと二人が見えるように本を少しずらした。
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:12:13 ID:fNb+TYO8
支援
716ゼロの少女と紅い獅子  第七話:2008/02/29(金) 01:12:23 ID:gcWBbyh7
「場所はバラバラなのにも拘らず、殆どの言い伝えには共通点がある。輝く巨人である事、一度現れれば常識はずれの奇跡を起こす事、
現れたかと思ったらものの数分でいなくなること、そして――」
 彼女はそこで一度言葉を切って、チラリとルイズの方を見た。
 ルイズは嫌な予感がした。
「そして? 最後は何なの」
「二つ有る。一つはその地域に闖入者が現れてること、もう一つは何らかの災厄で命を落としたと思われてた人が生きてた事。伝承の殆どは
この人物が登場するあたりから始まってる。そしてこの人物達は話の最後にどこかに行ってしまう」
「でも、それは御伽噺にはよくある話じゃないの?」
 そうキュルケが意見を述べるとタバサは首を横に振って続ける。
「巨人が出てくるだけなら、謎の人物が現れるだけならもっと有るかもしれない。でも、こんな特異な共通点が幾つもあるのは
作られたにしては不自然。なにか元があるはず。一番簡単なのは全部本当である事」
 そこまで喋ってタバサは自分に向けられる二つの好奇の視線に気づいた。
 キュルケとルイズは目を丸くして彼女の事を見つめている。件の光の巨人がいま目の前に現れてもこれ程には驚かないだろう。
 それ程タバサが多弁になるのは珍しかった。
 タバサは、コホン、と小さく咳払いをし
「更に言えば件の人物が巨人に変身すると明確に書かれてるのもある。これらの伝承に今回の件を当てはめると共通点が多い。そして
今回の場合にその人物に当てはまるのは、オオトリ・ゲン」
「ら、乱暴すぎるわよ、幾らなんでも!」
 突然のタバサの断言に思わず大きな声が出てしまうルイズ。
 対してタバサは落ち着き払って応える。
「これは伝説から考えられる仮説に過ぎない。別に彼がそうだと決まったわけじゃない」
 それからルイズを正面から見据えて続ける。
「彼が伝説の巨人だったら何か困るの?」
「べ、別に困ったりはしないけど……」
 そう、ルイズが困る事は何もないはずなのだ。
 平民の使い魔ごときの頼み(使い魔が頼み事をすること事態の異常性はさて置き)ならば最悪黙殺してもトリステインの貴族の行動としては
取り立てて問題があるわけではない。
 ルイズが躊躇する原因は記憶に引っかかってるコントラクト・サーヴァントの時のゲンの、レオの言葉。

『私の力を頼り過ぎないで欲しい』

 彼は言外に自分の力の危険性を語っていたのだ。そしてそれは数日前に思い知った。
 無暗にその力を借りようなどとは思わなかったし、今はそんな必要もない。
 この二人に話しても、何か無茶な事を言ってくる事はないだろう。
 だが、人の口に鍵をかけることは出来ない。どんなに他言無用と念を押しても、誰かに漏れればそこからは瞬く間に広がるだろう。
 その時、私は? ゲンはどうなる? 彼の力は掛け値なしにトリステインどころかハルケギニア全土をを敵に回して有り余るかもしれない。
 例えばトリステインの国軍がその力に目をつけたら?
 そんな大事には成りはしないと分かってはいても、小さな不安が彼女の心に巣食いチリチリと燻るのだった。

「と、とにかく知らないものは知らないの。ゲンがあの巨人だって思うなら本人に聞けばいいでしょう」
 話は終わりだとばかりにルイズが強引に幕引きを図る。
 タバサもこれ以上は別に議論するつもりはないようだ、開いていた本を片付け始める。
 と、それまで黙って推移を見ていたキュルケが口を開いた。
「ところで、タバサ。アンタにしちゃ随分調べたみたいね? そりゃあんなもの見たら興味の一つも沸くでしょうけど」
 タバサは一瞬動きを止めたが、それもつかの間。聞こえなかった風に片づけを続けようと鞄を開いた。
 その鞄の中に見覚えのあるタイトルを見つけたキュルケは、断りもせずにその本を鞄から抜き取った。
「あっ……!」
 タバサの制止は一瞬間に合わず、手を伸ばしたときにはその本はキュルケに奪われていた。本のタイトルは、
「えーと? 『イーヴァルディの勇者〜外伝・光の巨人伝説〜』へぇ、この御伽噺こんなのもあったの」
 さして興味もなさそうなキュルケ反応に、心なしかほっとしている様に見えるタバサは、
「『イーヴァルディの勇者』は色んな伝承の複合体だから混ざっててもおかしくない」
 そういいがら本を取り返した。
「……まさかそれに影響されてあんな事言ったんじゃないでしょうね?」
 ルイズの突っ込みに今度こそ完全に動きが止まるタバサ。
 ウソでしょう? と言いたげなキュルケの無遠慮な視線が突き刺さる中彼女は、
「関係、ない」
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:12:37 ID:ErZ6Wmi3
革命的支援
718名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:12:43 ID:fNb+TYO8
支援
719名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:13:09 ID:fNb+TYO8
支援
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:13:37 ID:Kddzn7v9
ウルトラ関係で書物漁り……はて、なんかデジャヴが、支援。
721ゼロの少女と紅い獅子  第七話:2008/02/29(金) 01:14:08 ID:gcWBbyh7
と、殊更に早口に言うと手早く本を片付けてその場を立ち去った。
 残された二人が思わず顔を見合わせていると、タバサは振り返り
「関係ないから」
 と、もう一度念を押すように言って今度こそ食堂を出て行った。


 一方その頃、その食堂の奥、つまり厨房の更に奥の一角でゲンが大量の洗物と格闘していた。
 最近はもっぱらここでの仕事が多い。

「戦争中?」
「ええ、そんな噂を聞きます。どうなってるのかまでは知りませんが……」
 横で同じく皿を洗っていたシエスタにアルビオンの事をそれとなく聞いてみたところ、帰ってきたのがこの回答だった。
 実はルイズから既にアルビオンの情勢は聞かされていたのだが、平民と貴族では戦争の捉え方も違うかもしれない。
 そう思っての質問だったが、結果は会話の糸口になった位だった。
「アルビオンがどうかされたんですか?」
「いや、ちょっと気になってね。この辺の事はあまり知らないから」
 あいまいな返事で返答を避けるゲン。
 シエスタはそれには特に疑問を挟まず、ため息をつく。
「嫌ですよね、戦争って。まあ、もしトリステインが巻き込まれても私の田舎やこの学園は襲われる事もないでしょうけど」
「君の故郷には強い軍が居たりするのか?」
 ゲンの質問に、シエスタは一瞬目をぱっちりさせた後可笑しそうに答えた。
「逆ですよ、何もありません。本当にただの田舎です、一つだけ変わった建物がありますけど」
 そこで言葉を切ったシエスタは思い出したようにゲンの方を見る。
「そういえば、オオトリさんの故里はどんな所なんですか?」
 その問いが出た瞬間、ゲンの脳裏をかすめたのは二つの故郷。
 星の海に消えたL77星。
 命を懸けて守った地球。

「そうだな……綺麗なところだ。自然が豊かで美しい。ここからは少し遠いから、帰るのは一苦労だな」
 その言葉の端々にシエスタは小さな寂寥感を感じ取ったが、その理由を尋ねる前にゲンが口を開いた。
「ところで君の故郷のある代わった建物ってのは一体どういうものなんだい?」
「えっ? ああ、そうですねえ。本当に変わってるんです。80メイルくらいの講堂みたいな建物なんですけど、変な出っ張りが
あったり形も変だし。私のひいおじいさんが作ったって聞いてるんですけど。今は集会場の代わりですね」
 

 洗物から開放されたゲンが厨房の裏口から出ると、表の方から青い髪の少女が来るのが見えた。
 
 確かタバサと言ったか。そんな風にゲンが思っていると、彼女はゲンに気づくとてくてく彼の方に近づいてきた。
 やがて数歩の距離まで来ると足を止めたタバサはジッとゲンを注視した。
 そのあまりの唐突さに思わずゲンもたじろく。
 やがて、彼女は何か言おうと口を開こうとしたとき一羽のフクロウが何処からともなく飛んできた。フクロウは
タバサに手紙を渡すと直ぐに飛び去った。
 フッ、とため息ともつかぬ息を洩らすとタバサは手を口に当てて笛のように吹く。
 直後、青い竜が上空から舞い降りた。タバサはすばやく竜に乗るとゲンの方にチラリと目をやり、
「また……」
 と呟いて、竜に指示を出す。
 青い風竜は彼女を乗せてあっと言う間に空の彼方に飛び去った。               第七話 終わり


第七話終了です、年内どころか最長スパンになってしまいました。我ながら情けない。
今更になって原作のイベントに無意味なものは少ないことを思い知っております。これまた情けない
戦闘をお待ちの方はもう少々ご辛抱をを。ルイズの活躍は首を長くしてお待ちください。
支援してくれた方に感謝しつつ、それではさいなら。
722名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:15:06 ID:fNb+TYO8
乙!
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:16:23 ID:QVwDX5v9
レオー!!gj!!!
724名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 01:58:56 ID:Q8apwlnk
まさか    MAC基地
725名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 02:10:26 ID:xQpXCHFf
そういえばレオは亡国の王子なんだよな。
国どころか星自体が滅ぼされた過去を彼女が知ったらどんな反応をするだろうか?
少なくともフーンと他人事で済ますほど非情じゃないと思うけど。
726名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 02:29:29 ID:o/O1IZd4
一族郎党皆殺しってやつなんだよな
弟も誰かに助けられるまで(詳しく分からん)何処かで奴隷扱いだっけ?
……ひでぇ。あんまりだ!
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 02:38:08 ID:Kddzn7v9
マグマの糞野郎に母星を破壊されたぜ!

弟が捕まって生き別れだぜ! ペットのロンもだぜ!

地球に星の弔いにマグマをぶっ倒しに行ってセブンにジープで追っかけられたぜ!

MACの仲間がしょっちゅう殉職するぜ!

弟に再開して間も無く偽者野郎が現れてウルトラ兄弟にボコボコにされたぜ!

挙句の果てに円盤生物が現れてMAC全員とか居候先の女の子とかみーんな死んじゃったんだぜ!

カワイソスすぎるだろ、常識的に考えて……。
728名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 02:50:03 ID:o/O1IZd4
今更ながら、本当に子供向けの特撮ヒーロー物なのか!
ストーリーが解かる歳の子供が見たら、軽くトラウマになりそうだ。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 03:12:08 ID:SgEQCBXi
>>727
再会したロンも円盤生物登場以降は設定が蒸発しちゃったしな……
ゲンといつも一緒だったトオル君も凄まじい不幸さだった
730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 04:04:32 ID:OEH5t8KU
>>726
亀レスだが確かウルトラマンキング(ウルトラ一族の最長老)にアストラは助けられてた
レオとアストラの両者をウルトラ兄弟と認めたのもたしかこの方
731名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 04:29:17 ID:SgEQCBXi
>>730
バラバラ死体のレオを復活させたしな、キング
その時初めてタイマーの音が他のウルトラと同じになったんだっけか
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 04:56:31 ID:OEH5t8KU
もはや何でも有りだなキング
そもそもウルトラの星の人々が超人化したのも
この方が人工太陽プラズマスパーク作ったおかげだし
一説によると御歳約30万歳だそうな
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 06:13:02 ID:hosB1xyI
帰ってきたウルトラマンとかいいね

ルイズがウルトラアイ(ただの黒ぶちメガネ)を召喚

変身すると身長40メイルの巨人に
ただ上半身だけウルトラマンっぽく顔は素顔、下は学院のスカートのまま

734名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 07:04:57 ID:7payElp9
>>733
そして変身タイムリミットが近づくにつれてコスチュームが消えていき、最終的にはスッポンポンにw
735名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 07:22:56 ID:FsUECjxc
>>734
それなんてアルティメットガール?
736名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 07:34:20 ID:Sxja3qSK
タバサが変身すると、マッパになっても恥ずかしがらないから必殺技がでないと
………それはそれで!
737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 07:51:26 ID:SgEQCBXi
ウルトラならSEVEN X的に異世界にモロボシ召還とか
……還暦の人間体にキスして地上で活動出来る様にして、
ギーシュもフーケも鈍器のアイスラッガーで一撃な使い魔になりかねないけど
738名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 07:54:12 ID:4Kns6XRU
>>733
その後、ルイズは少年少女のメイジが乗り込む汎用巨大ゴーレムの劇作家に…
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 10:38:32 ID:/+HtOjX8
BSE牛とかエイズのサイトとか別世界の病気にかかった生き物を召喚するとかなりまずいな。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 10:39:17 ID:1QklpcNQ
>>737
SEVEN Xは何でかしらんがカラータイマーの縛りがなかったからなあ。
無制限ってわけではないだろうが三分間以上は活動できそうだ。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 10:49:43 ID:fNb+TYO8
>>739
確かにな。あの世界に検疫とかあるのかな?
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:02:28 ID:SgEQCBXi
>>740
カラータイマーが鳴る前に最終回以外苦戦の苦の字も(ry
等身大も結構出てるから使い勝手自体は悪く無さそう
743名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:04:48 ID:1922HgXZ
そしてウルトラセブンって活動時間に制限ってあったっけ?
と思った直後に額のアレが自作カラータイマーという話を思い出した。
結局公式にはどうなってるんだろうか。
744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:09:41 ID:Sxja3qSK
たしか、地球みたいな辺境にいるせいでカラータイマーの制約が出てるだけって設定のはず。
だから、光の国とかで戦うなら常時光の戦士モードで戦える。


こんなとんでもない不利な条件でよく地球を守ってくれてたよなぁ………
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:20:50 ID:CqANWeHK
>>741
一度疫病が蔓延したら水の秘薬なんて焼け石に水でしかないし、
さすがに検疫の発想くらいはあるでしょ。

…と思ったが、どんな場所から召喚したのかもよくわからん生物相手にも
わりと気軽に肉体的接触(キス)してるんだよなあ。
召喚の際に消毒されちゃうので安心とか?
746名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:22:15 ID:SgEQCBXi
>>743
あんまり覚えてなかったから、気になってWiki見たら
>活動時間:不定(太陽エネルギーがあれば復活できる。)
RX並で吹いた
747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:41:42 ID:CqANWeHK
RX→太陽光があれば回復
ロボライダー→火があれば回復
バイオライダー→水があれば回復

…RX倒すには光も熱も水もない暗黒空間にでも閉じこめるしかないのか
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:45:03 ID:+YA7bFlv
金庫に閉じ込めればいいんじゃない?
749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 11:48:59 ID:HdSX+lxz
/ ̄/|
| ̄|/ <暗いよー、狭いよー、寒いよー、喉渇いたよー


つまりこんな感じか。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:00:34 ID:1922HgXZ
>>749
まず真っ先に面堂終太郎が思い浮かんだ26歳。
次に浮かんだのはアイアンメイデンの刑だったけど。
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:08:18 ID:ytPAi3CR
>>744

1億とも2億とも言われる彼らの感覚だと精々1,2日の事だからとか。
それでもありがたい事だけど。

>>747

そこで奇跡のキングストーンですよ!!
・・・ホントに手が付けられんな。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:11:34 ID:QCMmGAEN
面堂いいな
剣じゃないけど刀持ち歩いてるし
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:23:10 ID:SgEQCBXi
閉じこめても内からリボルケイン、外からライドロンという突破口があるからな……>RX

>>745
何となく『仮面ライダークウガ』のメ・ギノガ・デを召喚したルイズを思い浮かべてしまった
訳が分からず立ち尽くすギノガに、意を決してキスするルイズ→毒噴出でルイズの心臓と共にEND
まぁギノガを呼び出してもメリット感じないけど
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:24:06 ID:tkK7nRTv
錯乱坊か温泉か竜之介の親父とかは?
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:26:04 ID:QCMmGAEN
それならコタツネコのほうがいい
やたら強いし、なにより和む
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:32:16 ID:UrVGuOYg
とりあえず、うる星は召喚済み
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:35:15 ID:fNb+TYO8
>>755
ならばねこ鍋を…
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:40:33 ID:/+HtOjX8
あの世界の肉は何の肉だろ。
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:41:44 ID:QCMmGAEN
>>757
確かに和むっちゃ和むけど
召喚の儀での爆発後に土鍋がある光景はえらいシュールだぞw
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:45:54 ID:ytPAi3CR
うる星に鍋の流れで何故か
うる星やつらの食い物が湧いてくる鍋(通りすがりの宇宙船の落とし物)の
エピソードを思い出した。

こたつねこってほとんど動かなかったような覚えがあるのだが。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 12:51:31 ID:QCMmGAEN
>>760
縄張り(こたつ)意識は高いから
こたつから動かそうとすると反撃(突き出し)してた
アニメの印象が強くてスマンけど
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 13:18:36 ID:S4sCWnq0
何出しても錯乱坊の「汁粉」で台無しか
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 13:43:20 ID:r4P7edeK
>>739
名前忘れた子の村みたいに関係者まとめて焼き殺すしかないんじゃね?
764名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 14:04:30 ID:wuNjXZj4
>763

アニエスな。
そういえば、ダングルテールの虐殺は名目上は疫病対策だったな。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 15:22:35 ID:FsUECjxc
>>763-764
なんかミッキーが病気の広がるのを防ぐためにナパームで村を燃やした話思い出した。
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 15:27:00 ID:7isJm6u7
ミッキー
KOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!
767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 15:27:36 ID:a38DIT7U
朝嗅ぐナパームの匂いは最高だぜ
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 15:28:42 ID:ytPAi3CR
まぁファンタジーモノでの定番の鬱イベントの一つだな。
>疫病退治に集落一つ住人ごと丸焼き

>>765
エリ8か
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 15:42:28 ID:TEBSbzw8
>>752
しょっちゅうデルフをへし折られるけど
すぐにどこからともなく新しいデルフを取り出すんだな
770名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 15:46:54 ID:bsgfyOmh
おおっ!!
ウルトラマンレオの人復活してる。これは嬉しい。
しかもストーリーゼロの設定も反映させてる。
>>721
このレオって、『ウルトラマンレオ』最終回直後のゲン?
それとも『ウルトラマンメビウス』後のゲン?
771悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/29(金) 16:25:35 ID:rukN7xyt
これから投下します。
772悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/29(金) 16:26:19 ID:rukN7xyt
Mission17 〜闇に潜む影〜
商船の秘密を暴け


青い、心が晴れゆくような空の下で
ラ・ロシェールの港町から出港した一隻の商船が、
アルビオンを目指す。
その甲板の隅で、ロングビルが一人、
魂の抜けたような呆けた顔をしながら、
体育座りの格好で、しゃがみ込んでいた。
そんな彼女に、ダンテがはしゃいだ様子で話しかける。

「風の波に乗って、空の船旅とはね。貴重な体験だ!」

ロングビルは、その声に反応したのかしてないのか、
顔の向きと表情はそのままで、呪文のように囁いた。

「もう…、あんたのアレには、
二度と乗らないから…、
 絶対乗らないから…、
 一生乗らないから…」

「ハハッ、一生分楽しんで貰えたみたいで、何よりだね」

そこへ、顎鬚を蓄えた小太りの中年男性、
この商船の船長が歩み寄ってくる。
船長は下卑た笑いを交えて、ダンテ達に話しかけてきた。

「いやあ。お客さんは運が良いねえ。
この船を逃したら、後は風石をケチって『スヴェルの月夜』まで出港を渋る様な
貧乏商船くらいしか無いところだったよ」

船長は、この船に乗り込む際にロングビルが渡した、
大量の金貨が詰められた布袋を、ジャラジャラと振りながら言ってみせた。

「お客さん方は、今日一番の"お得意様"だからねえ。
到着するまで、ゆっくり寛いで下せえ。」
「だ、そうだぜ?御婦人も何かお困りでしたら、何なりと御申し下せえ」

船長の声真似をするダンテにウンザリしたロングビルは、
膝に顔を埋めてボヤくようにお願いした。

「一人にしてちょうだい…」
773悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/29(金) 16:26:45 ID:rukN7xyt
一方、早朝のトリステイン魔法学院。
その門前には、アンリエッタに託された任務を負うべく、
出発の準備をするルイズと、その話を聞いて付いて来る事になったギーシュ。
それに加えて、タバサとキュルケの姿があった。

「ちょっとルイズってば、そんな顔して大丈夫なの?」
「うるさいわね…。あんた達までゾロゾロ付いて来て、
…余計にイライラするじゃないの」
「なによお。折角、人が心配してやってるっていうのに…。
私だってねえ、今日はジャンと2人っきりで、課外授業の予定だったんだからね!」

文句を言うキュルケだが、それでも渋々と付いてきたのは、
男よりもタバサとの友情を選んだ結果であった。

「だったら早く、私の目の前から失せなさい。三度は言わないわよ」
「もう…、何だってタバサは、こんな面倒なのに付き合ってやってるのかねえ」

タバサは何も答えず、シルフィードの上で、ただじっと読書を続けている。
オロオロするギーシュは、ヴェルダンテを使って、場の空気を何とか
和ませようと試みたが、それも虚しい一人劇場に終わっていた。
そんな風にルイズ達が、出発前だというのに悶着を起こしている最中、
一匹の幻獣が一人の貴族を乗せ、上空から降りようとしてきていた。

「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ!
…到着が遅れたようだね、すまない」
「ワルド、…さま?」

ワルドはグリフォンから降りるや否や、
呆気にとられるルイズを抱きかかえて、
目下がクマで真っ黒に覆われたルイズの顔色を伺った。

「ルイズ!僕の小さなルイズ!やあ、どうしたんだい?
そんなやつれた顔をして!」

ルイズに代わって、キュルケが事情を説明した。

「それが、昨晩から姿を消した使い魔を、今日の朝までずっと待ってたみたいで…」
「それはそれは…、それで、君の使い魔は戻ってきたのかい?」

ルイズは俯きながら、仏頂面で答えた。

「…もういい。もうどうでもいい。あんなヤツ」
「ふむ、主人の心中も察しないとは、不届きな使い魔だね。
ああ、安心していいよ、ルイズ。僕が君の傍にずっと付いてあげるから」

残りの3人と2匹に見守られる中、2人だけの世界に包まれた
ワルドは、ルイズを抱えながら、再びグリフォンに跨った。

「そういう訳で、僕の婚約者が受けたこの度の任務に同行する事になった。
道中よろしく頼むよ」

爽やかな笑顔を振り撒きながら、挨拶と共にルイズの婚約者宣言をするワルドに、
呆然とするキュルケとギーシュ。
その間、ワルドの優しい声と腕に包まれたルイズは、
安堵の溜息をついた直後に、寝息を立て始めた。

「さあ出発だ!」

ワルドの掛け声と共に、グリフォンと飛竜は一行を乗せて、
大空へと身を乗り出した。
774悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/29(金) 16:27:14 ID:rukN7xyt
再び、場所はアルビオンを目指す商船

部屋の一式を酒場に仕立てた船室の中、

ロングビルはカウンターで一人、
ギャンブルに戯れる船員達を背景に、アルビオン産のエールを楽しんでいた。
酒場の船室に一人の男が入ってくる。
男はロングビルの隣に座って、バーテンに注文した。

「ストロベリーサンデー」
「おいおい、お客さん…」
「無いなんて言わせねえぞ。ここに来てからもう、一杯だって食ってないんだ」

苦笑するバーテンの気持ちを代弁する様に、
アルコールを入れて、顔を赤らめたロングビルが口を開いた。

「ここは酒場だ。ガキが来る所じゃないよ」
「ハッ、キツいお言葉だね」

ダンテは、ロングビルと同じものを注文して、隣の客とバーテンに乾杯してみせる。
それから酒の肴にと、ダンテがロングビルの事を聞きだした。

「そういえば、血の繋がっていない家族って聞いたけど?」
「あんたには関係ないでしょう」
「お届け先は良く知っておかないとね。これでも仕事はキッチリさせておきたい性分なんだ」
「…やれやれ。つまんない話だよ」

自分の家が仕えていた王家の者が、異種族との子を儲けた事。
親がそれを庇った事で、家を取り潰された事。
親の意志を継いで、子の面倒を見る決心をした事。
ロングビルは酔った勢いで、洗い浚いダンテに話した。
ダンテは、その話に水を差す様な事はせず、珍しく真剣な顔で、
ただ黙って聞いていた。時折、首に掛けた"お守り"を指で弄りながら。

「…だから、あの子は、わたしの命よりも大事なの。
血の繋がらない絆なんて、あんたにはわからないでしょうけどね」
「いや、わかるよ。…俺も、育ての親は、どこの素性とも知らない婆さんだったしな」

ダンテは懐からアイボリーを取り出し、その銃身に刻まれた文字の、
スペルミスの部分を、いとおしそうに親指でなぞった。

"BY .45 ART W 「A」 RKS"

「もう、いなくなっちまったけどな。いつも口やかましくって、
…最後の最後までしつこい世話焼きだったよ」
775悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/29(金) 16:27:59 ID:rukN7xyt
口から出る言葉とは正反対に、親の死を惜しむ、今にも泣き出しそうな、ダンテの表情。
それを横目で見ていたロングビルが、ダンテにそっぽを向いて、優しい言葉をかけた。

「フン、今のあんたが立派がどうかは別にしてさ、
大事に育ててくれたんじゃないか。感謝しなよ!」
「ああ、今でも感謝してるぜ。だから…
アンタも、その娘を残していなくなる事には、絶対なるなよ?」

ダンテに背を向けたロングビルの涙腺は、もう限界だった。
瞳に溜め込んだ涙をぐっと堪えながら、
ジョッキに残ったエールを一気に飲み干す。

「それにしてもよ」
「何よ?」
「こんな血生臭い所で、よく飲んでいられるな?」
「…な、何を言い出すのよ、急に…」

ロングビルは、急な話題の切り替えで、思わず目を丸くする。
ダンテは、顔をゴシゴシ擦りながら問い詰めるロングビルを余所に、
辺りの様子を見回し、足元をじっと見ながら、言葉を続けた。

「10や20って数じゃねえな。一体何を運んでる船なのか知らないが…」
「やったぜ!見ろよ!"ロイヤル・ラファエル・アヴェニュー"だ!!」

突然、後ろのテーブルで、カードゲームを楽しんでいた男の一人が、
ダンテの言葉を遮るように叫んだ。
しかし、ダンテはそれも構わないといった様子で、大勝を当てた男に忠告する。

「"ロイヤル・ストレート・フラッシュ"ってところか?
そんな役出してたら、寿命が縮むぜ?」

立ち上がった男はゆっくりとダンテに近付き、

「みんな!一杯…」

ダンテの首を絞めんとばかりに襲い掛かってきた。

「奢るぜ!!」

ダンテを背にした左脇から、アイボリーの銃口が除いている。
まるで最初から予定されていた段取りの様に、男の眉間に45口径の弾丸が届けられた。
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 16:30:43 ID:UIOlhVc8
支援
777悪魔代理:2008/02/29(金) 16:38:59 ID:+nnkOFf0
一瞬の出来事。
何が起きたのかも分からなかったロングビルが気づいた時には、
ダンテがカウンターから飛び退き、
ダンテがそこに座っていた席に「何か」が突進して来ようとしていた。
木っ端微塵を撒き散らしながら半壊するカウンター。
その衝撃で床に叩きつけられようとするロングビルを、
ダンテが受け止める。その腕の中で、ロングビルが小さく呟いた。

「やだ…何?こいつら…」

人間から、人間ではない者へと、その姿を変えた船の乗組員達。
亜人でも幻獣でもない、人間を畏怖させる様なその存在が目に映り、
ロングビルは一気に酔いを醒ました。

ダンテは、ロングビルを床に置くと、
今度は両手に2丁の拳銃を構えて、乗組員だった者達に銃口を向ける。
即効だった。
相手はダンテに飛び掛ることもできず、次々と打ち込まれる銃弾に、
為す術も無く倒れていく。
その内の一匹がダンテの右腕に噛み付く。
最初にダンテへ飛び掛った、大勝を得た男だった。

「やるじゃねえか、ロイヤル・ストレート・フラッシュ野郎!」

右腕は出血しながらアイボリーを手放すもの、ダンテは痛がる素振りも見せずに、
残った左の肘と右の膝で、噛み付いた相手の頭を勢い良くプレスしてやった。
それを受けた者は、目から、耳から、口から大量の血を噴出しながら、
悲鳴を上げる。
バタバタと床で悶え苦しむ様に、ダンテは慈悲のカカト落としを食らわせた。

ロングビルは、肩を震わせながら、その一部始終を見ていた。
その瞳に映るダンテの姿は、先程までに見せていた優しい表情は隠れ、
その目は、破壊の杖の一件で見せた、鋭い狩人の様な眼差しだった。

「…何なのよこいつら!」
「さあ?どこのペットショップで見つけたのか、船長にでも聞いてみろよ」

ダンテはモット伯の屋敷前でのルイズと、大して変わらない反応を見せるロングビルに、
やれやれ、とった顔で肩をすくめながら、いつもの軽口を叩いた。

「雲行きが怪しくなってきたようだぜ?外の天気でも見て来るか…」
778悪魔代理:2008/02/29(金) 16:40:02 ID:+nnkOFf0
498 名前:悪魔の人 投稿日:2008/02/29(金) 16:33:57 [ U5Gzq59w ]
以上です。
お手間をおかけします。

779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 16:45:05 ID:LtMev7qE
乙!やっぱダンテかっけえな
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 17:04:24 ID:1dJnj5Ws
悪魔の人、代理の人GJ!
ところでおマチさんが完全にヒロインと化してる件
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 17:05:48 ID:TsgJ1ORN

アニメ版は完全に外伝的な内容だったけどあれはあれで面白かった
782ルイズ風水回廊記:2008/02/29(金) 17:24:29 ID:f2iLVYD3
乙! では間を空けて30分から投下します。
作品元はカオスシードで、飛天石の召喚です。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 17:26:51 ID:Lzo5KGTd
玉皇宝華支援!
784ルイズ風水回廊記:2008/02/29(金) 17:29:27 ID:f2iLVYD3
あまりの寝苦しさに目を覚ます。
気が付けば蒸し暑い空気が辺りを包んでいた。
汗で肌に張り付いた長い髪が鬱陶しい。
私の自慢だけど、こんな時にはバッサリと切り落としたくなる。
服も着替えたいぐらいに汗ばんでいる。
さっきまではむしろ寒いぐらいだったというのに、
突然のこの茹だる様な暑さは何なのか。

寝転がりながら視線を巡らせれば、そこは貧相な小屋。
白い塗料が壁を覆い、屋根を木造の木組みが支えている。
それは実家の屋敷や学院とは程遠い瑣末な物に見えた。
どこか田舎の平民の家だろうか?と見覚えのない景色に首を傾げる。

――――そもそも私は、どうしてこんな所で寝ているの?

こんがらがった記憶を一つ一つ紐解いてく。
最初に頭に浮かんだのは春の使い魔召喚儀式の事だ。
他の級友達が次々と召喚に成功する中、私だけが緊張で動けなくなっていた。
どんな使い魔が出てくるのだろうという期待感よりも、
使い魔が出てこなかったらどうしようという恐怖が勝っていた。
進級の懸かった大事な儀式、失敗は決して許されない。
最後に私の名前が呼ばれた時、震える手足を堪えながら私は杖を振るった。

そうして出てきた物は巨大な岩だった。
見上げるような大きさの、卵にも似た岩塊。
勿論動いたり、ましてや喋ったりしない只の岩。
周りを取り巻く級友達が声を大にして笑う。
“こんな物が使い魔なのか?”
“ゼロにお似合いじゃないか、役立たず同士で”

召喚のやり直しを求める私に、コルベール先生は取り合ってもくれなかった。
“これは神聖な儀式だからやり直しは出来ない”とにべもなく答えた。
そんな体面や理屈なんてどうでもいい。
使い魔の出来はメイジの実力が反映される。
この役にも立たない石は嘲笑の対象として刻まれるだろう。

どんな形であろうと私は使い魔の召喚に成功した。
分相応な使い魔と共に、嘲笑われながら学院に残るのだ。
これから受け続けるであろう罵りや冷たい視線を想像し、彼女はきゅっと固く口を結んだ、

……いっそ、どこかへ消えてしまいたい。

心の水面より顔を覗かせる気持ちを押し殺し、彼女はそっと岩へと手を触れた。
その直後、彼女の身体は重力の楔より解き放たれた。
己が身体が光の粒子に変わり、世界を駆け巡るような錯覚。
そして、私の意識はそこで途絶えたのだ。
785ルイズ風水回廊記:2008/02/29(金) 17:30:36 ID:f2iLVYD3
「そうよ、あの岩に触れた所為だわ」

がばっと起き上がりながら私は結論を口に出した。
思いついた限りでは、それ以外に理由が考えられない。
だけど、まだ判らない事はたくさんある。

まず第一にあの岩は何だったのか?
意識を失う間際の感覚と目覚めた状況から、どこかに飛ばされた可能性が高い。
だけど、そんな力を秘めたマジックアイテムなんて学院の宝物庫にだって無い。
ううん、それどころかハルケギニア全土を探してもあるかどうか。
当たりを引いたと喜ぶべきか、それとも厄介な物を抱え込んだとみるべきか、大いに頭を悩ませる。

次に、ここは何処なのか?
そもそも家があるぐらいだから誰かがいるのは確実。
加えてトリステインより暖かいんだから南の方、それも相当な田舎だ。
もしかしたら『東方』に来てしまった可能性だってある。
ここから一歩足を踏み出すと、そこには殺気を漲らせたエルフの集団が…等と、
想像するだに恐ろしい映像が脳裏に浮かび上がる。

「お目覚めになられましたか」

不意に背後から掛けられた声に身を震わせる。
しかし、それは相手を敬うような礼儀正しい口調。
どうやら私が貴族と分かっているみたい。
なら貴族として平民風情に恥ずかしい所を見せる訳にはいかない。
オホンと小さく咳払いして相手へと向き直る。

「全く、貴族を床の上に寝かせたままなんて……」

ぴたりとルイズの言葉が止まった。
彼女に話し掛けていた者の正体、それは平民などではなかった。
ましてや人間でもエルフでさえない。
喩えるならスコップを持った大きな猫狸。
フワフワした体毛から申し訳程度に出ている手足と耳。
おまけに、丸い尻尾がちょこんと付いてる。
それが人懐こそうな表情を浮かべて近付いてくる。
目にした瞬間、ピシリとルイズの常識という名の器に亀裂が走った。

「い、いやぁあああああああ!!」
「あの、落ち着いてください」
「きゃああああ!!」
「別に危害を加えるつもりはありませんから」

半ば狂乱状態になった彼女を静めようと宥めるも逆効果にしかならない。
初めて目の当たりにする不思議生物が流暢に喋るなんてのは悪夢以外の何物でもない。
彼女が自力で平静を取り戻すまでの間、小屋から叫び声が耐える事はなかった。
786名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 17:30:53 ID:Sxja3qSK
カオスシード!
ダッシュ攻撃しつつ支援!
787ルイズ風水回廊記:2008/02/29(金) 17:32:43 ID:f2iLVYD3
「落ち着かれました?」
「ええ。おかげさまでね」
「それは良かった。あのままでは話も出来ませんから」

はいと手渡された取っ手のないカップを受け取る。
何故か心が落ち着く香りに誘われて、内を満たす茶に口を付けた。
飲み慣れた紅茶とは違う不思議な味だけど、決して不味くはない。
それに叫び疲れて喉がカラカラだった事もある。

茶を啜りながらジトッとした目でルイズが見据えるのは、
ちょっとした気配りも出来るこの毛玉に手足が生えた怪奇生物。
『東方』には色々と怪しげな物が多いと聞く。
その中には、言葉を話す二足歩行小動物がいても可笑しくはない。
頭では理解できないけど、そう割り切ろうと彼女は決めた。

それによくよく見れば、どことなく愛らしい姿形をしている。
ふわふわした毛並みも手触りが良さそうな感じ。
実家に連れて帰れば、きっと小姉様も喜んでくれるかもしれない。
きっと私みたいに取り乱したりはせず、
「まあ、お喋りできるなんて珍しい狸さんね」と平然と受け流すに違いない。
なんだか考えるだけで頭が痛くなる光景だけど、その可能性は非常に高い。
あるいはアカデミーに連れて行けば、世紀の大発見間違いなしだ。
亜人以外で人語を解する種族なんて韻竜ぐらいしか確認されていない。
この生き物の学術的な価値は計り知れない物がある。
あの高慢なエレオノール姉様も私を見直すだろう。
溜息をついたり薄ら笑いを浮かべたりとルイズの百面相を眺めていた彼が徐に口を開いた。

「申し遅れました。僕は窟子仙といいます」
「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「……随分と長ったらしい名前ですね」
「そっちこそ変な名前じゃない」

貴族に対して無礼な口を利くクッシセンに強気で言い返す。
何というか開き直ってしまえば、さほど怖くはない。
まさか手にしたスコップで人の首を刎ね飛ばすとも思えない。
魔法は使えないけど取っ組み合いになれば必ず勝てる自信がある。

「それでここはどこなの? 言葉が通じるんだからハルケギニアよね?」
「残念でした。ここはハルケギニアじゃありません」
「違うの!?」
「ハルケギニアというのが何処にあるのかは知りませんけど違います」
「それじゃあ、ここはどこなのよ!?」
「ここは仙界……僕達みたいな仙獣や仙人が住む国です。
その中でも、この村は仙獣が多いので仙獣界という事の方が多いですね」

驚愕する私に追い討ちを掛ける様に並べ立てられる知らない言葉。
踏ん張っていた膝の力が抜けて、その場にへたり込む。
その時、私は見知らぬ世界に投げ込まれた事を初めて自覚した。
常識も通用しない異世界、そこで一人になったという事実が恐ろしかった。
こんな場所には居たくない。誰に笑われても構わない。
トリステインに帰りたい、どんなに嫌な場所でもあそこが私の居場所なんだ。
どれほど自分が恵まれていたのか、世界と切り離されてやっと気付いた。
まるで迷子にでもなったかのような恐怖と孤独感。
それを理解しようともせず無神経にクッシセンが話し掛ける。
788ルイズ風水回廊記:2008/02/29(金) 17:34:10 ID:f2iLVYD3
「時の潮が満ちるまで村を見て回られたらどうですか?」
「……! ふざけないで!!
帰れるかどうかも判らないのに、そんな気分になれる訳ないでしょ!?」
「勿論帰れますよ」

目に涙を浮かべていた私に、あっけらかんとクッシセンは言い放った。
え?と間の抜けた声を出す私を無視して彼は続ける。

「ルイズさんは飛天石でここに来られたんでしょう」
「ヒテンセキ? 何それ、聞いた事ないわ」
「離れた場所と空間を繋げる力が込められた石です」
「そんな魔法があるの!?」
「魔法じゃなくて仙術ですから」

厳密に言えば、彼らが言う仙術とは魔法とは異なるものらしい。
より近い物で言えば先住魔法の類になるのだろう。
ともかく、そのヒテンセキには異なる世界を繋ぐ力がある。
彼が言うには、この小屋は人間界と仙獣界を結ぶ場所で、
ここに時の潮という物が満ちれば再び人間界と繋がるという。
そうすれば私は学院にあるヒテンセキを頼りに問題なく帰れるらしい。
それまでの間、滞在を余儀なくされるので暇潰しにと観光を勧めたのだ。

一切の杞憂が吹き飛び、脱力から大きく項垂れる。
もう喜んでいいのか、恥ずかしがればいいのか区別もつかない。
とりあえず言われた通り、気分転換に外へ出る事にした。
どうせやる事もないし、このモヤモヤした気分も晴れるだろう。
お気をつけて、と私の背に声を掛けるクッシセンに振り返り訊ねる。

「ところで仙獣って何なの?」
「人間に召喚されてお手伝いする者です」
「それって使い魔ってこと!?」
「うーん、多分そうだと思います」

何気なく訊いただけの他愛もない質問。
でも、その返答は私が想像していた以上の物だった。
ここにはクッシセンの様な誰も見た事がない使い魔がたくさんいる。
その中には物凄い能力を秘めた者だっているに違いない。
もしかしたら小姉様の病気だって治せるかもしれない。
彼等を使い魔にして帰れたなら、私の評価は逆転する。
誰も私をゼロなんて蔑んだりはしない。

目的のない散策ではなく、使い魔を見つける決意と共に外へと踏み出す。
気付けば仙獣界の湿った空気なんて気にならなくなっていた。
まだ見ぬ使い魔とこれから始まる冒険への期待が胸の内に満ちていた。
789ルイズ風水回廊記:2008/02/29(金) 17:35:59 ID:f2iLVYD3
以上、投下終了です。
カオスシードの一シナリオ・仙獣界の皇帝の話になります。
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 17:47:31 ID:Sxja3qSK
乙ー。
なんかルイズが楽観的すぎで、後々出くわすいろいろな場面を考えると………
真剣もって武装してたり仙術使ったりしながら本気で殺そうと攻撃してくる人間を相手にどう反応するか期待。
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 17:56:44 ID:Sxja3qSK
ってあれ?
このシナリオって戦闘無かったか、ごめん。
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 17:58:49 ID:9gZT0S3R
乙ー
でもさ、これ明らかに逆召喚だよなぁ
正直、本スレじゃなくて避難所の方が安全だと思うよ
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 18:04:33 ID:1dJnj5Ws
引っ張り動作しながら乙!
イノシシやウマ辺り連れて帰れば大当たりだな!
794さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:08:46 ID:Xasvz+6I
皆様こんばんは
カオスシードの方、乙であります。
特に予約なさそうなので15分くらいから5話投下させていただきます。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 18:15:36 ID:O+1KjSXC
しえんします
796さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:15:41 ID:Xasvz+6I
イザベラ管理人第5話:翼人と人間・前編


耕介は普段よりも少し遅めに目を覚ました。
霊力を大量に使った後は、大量の食事と睡眠が必要になるからだ。
なんとも燃費の悪いことである。
まずは、御架月の点検と身支度(といってもメイドが善意で持ってきてくれた服に袖を通すだけだが)。
さすがに何日も同じ服を着るのは色んな意味で厳しいので、メイドの心遣いが助かる。
次に、翼人掃討に同行する旨を伝えるためにタバサを探すことにした。
タバサは前庭でシルフィードに餌をやっていた。
「タバサ、シルフィードおはよう。」
タバサは耕介を一瞥してわずかに頷き、シルフィードはきゅい!と一声鳴いた。
タバサの性格をなんとなくつかんできた耕介は用件を手短に言うことにする。
「タバサ、イザベラの試練で俺もヨクジン掃討に同行することになったから、出発する時は俺も連れて行ってくれ。」
突然のことにタバサはいぶかしげな視線を向けるが、イザベラの命令とあっては是非もない。
「わかった。2時間後くらいに、出る。」
短くそう言うと、シルフィードへ餌をやり終わったようで、プチ・トロワへと戻っていった。
「さて俺も…あ、忘れてた。シルフィード、エギンハイム村…だっけ?にはお前ならどのくらいで着くんだ?」
「お姉さまは2時間くらいって言ってたのね。」
周囲に人影がないことを確認してからシルフィードは小声で耕介に答える。
「そうか…ならちょうどいいくらいかな。ありがとな、シルフィード。移動の時はよろしく頼む。」
きゅい!と鳴き声で応じるシルフィードに手を振り、耕介はプチ・トロワに戻っていった。
目指すは厨房、時間がないので急がねばならない。

厨房は戦場である。
その戦場の指揮官であるマルコーはコックたちに指示を飛ばし、自身も獅子奮迅の活躍をしていた。
そんな忙しく立ち働くコックたちに混じって、耕介の姿があった。
「コースケ、そっちの鍋頼むわ!」
「はい!」
耕介は、イザベラの任務がない時だけ、厨房での手伝いをマルコーに願い出ていたのだ。
まずは簡単な手伝いをこなし、徐々にこの世界の料理の作法を盗むつもりである。
と言っても初日から時間がないのが申し訳ないところだ。
「コースケ、そろそろ用意しないとならねぇ時間じゃねぇか?」
マルコーの言う通り、タバサの予告した出発時間が迫ってきていた。
「あぁ、そうですね。じゃ、マルコーさん、申し訳ないんですが今日はこれで抜けさせてもらいます。」
「おう、殿下の任務じゃしゃぁねぇ、がんばってこいよ!」
マルコーをはじめとするコックたちが温かい言葉をかけてくれる。
たとえ出会ってから一日とはいえ、同じ料理の道をいく戦友同士なのだ。
「はい、ありがとうございます!あ、この余った食材少しもらっていいですか?昼食用に簡単なもの作りたいんで。」
「おう、その辺のはまかないにでも使おうと思ってた分だ、好きなだけもっていきな。」
耕介はありがたく野菜や腸詰のあまりをもらい、手早くパンに挟んでサンドイッチをこしらえる。
本当はマスタードがほしいところだが、どうやらないようなので贅沢は言えない。
それでもマルコーたちが作ったソースのあまりを少しもらってパンに塗ったりと工夫をこらす。
この辺は料理人としての意地である。
作っている最中、食材の中に昨日の夕食の時にタバサが大量に食べていたトゲトゲの葉を見つけた。
タバサがよほど好きらしい食材に興味を引かれ、耕介は1枚だけ食べてみることにした…地獄への道であったが。
「ぬぐ…!これは…ゴーヤーを生で食った時以上…!!」
強烈な苦味に舌がおかしくなりそうなほどだ。
慌てて水で飲み下すが、口の中は未だに苦味でいっぱいである。
「タバサは苦いのが好きなのか…。」
さすがにこれをサンドイッチに使うことはできない、苦味が強すぎる。
「さて出来たっと。それじゃ、いってきます!」
耕介は厨房の皆に挨拶をすると、次なる目的地に向かった。まだまだ急がねばならない。
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 18:17:40 ID:O+1KjSXC
しえん
798さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:18:01 ID:Xasvz+6I
部屋に戻った耕介は、御架月に話しかける。
「御架月、どうだった?」
「やっぱり、まだ寝ておられました。イザベラ様、本当にいつも昼頃まで眠ってらっしゃるみたいです。」
どうしても昨夜のイザベラが気になり、耕介は御架月にイザベラの様子を見に行くように頼んでいたのだ。
しかし、やはりまだ寝ているらしい。もしやとは思っていたが、本当に貴族とは怠惰なものであるようだ。
「そうか…ありがとうな、御架月。なら仕方ない、プランBでいくか。」
「ぷらんB…?」
「ああ、ちょっと気になることがあってな。」
耕介はあらかじめメイドにもらっておいた羊皮紙とインクを取り出した。
そして、そこではたと気づいた。
「………考えてみればさ、御架月。」
「なんでしょう、耕介様?」
「俺たちの言葉が通じてるのっておかしいよな?」
「そういえば…そうですね。全然文化が違うのに言葉だけ同じというのはおかしいですよね。」
召喚されてから波乱続きで気に留めていなかったが、これは明らかにおかしいことだ。
文化が違えば言葉が違うのは確実だ、なのに言葉が通じている。
「うーん、俺たちを呼び出したサモン・サーヴァントってのが関係あるのかな…。」
「そうかもしれませんねぇ…でも、突然どうしたんですか?」
「ちょっと、イザベラに書置きを残していこうと思ってな。でもそうなると、日本語じゃダメだよなぁ…。」
耕介と御架月が揃って頭をひねっていると。
扉が何の前触れもなく開き、タバサが顔をだした。
「そろそろいく。」
短くそれだけ言うとタバサは出て行こうとする…相変わらず没交渉である。
「ああ、わか…そうか!タバサちょっと待ってくれ!」
タバサを見送ろうとした時、耕介は閃いた。
そう、ないものはあるところからもってくれば良いのである。
「ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
タバサは振り返り、いぶかしげに耕介を見つめた。

準備万端となった耕介は今、空の人となっている。
「こ、これはちょっと怖いな…。」
耕介、御架月、タバサの一行はシルフィードに乗り、エギンハイム村へ向けて空を飛んでいる。
しかし、耕介にはどうにもシルフィードの上は落ち着かないのであった。
騎乗用の鞍などがあるわけでもなく、シルフィードの体に直接座る上に、バランスは背びれをつかむことでとっているのだ。
少しシルフィードが暴れるだけで、地面向けて真っ逆さまである。
「タバサは怖くないのか?」
相変わらずタバサは本を広げているが…シルフィードの上でも本を読んでいるとは、筋金入りの活字中毒っぷりだ。
「…<<フライ>>がある。」
タバサは顔も上げずに短く答える。
「あぁ、あの飛ぶ魔法か。確かにあれがあれば落ちても問題ないか。」
「コースケ失礼なのね!シルフィはお姉さまやコースケを落としたりしないのね!」
不満げなシルフィードであるが…足場が安定しないというのは不安を感じるものである。
「そうだな、頼むぞ、シルフィード。そういえばタバサ、ヨクジンの掃討とは聞いたけど、ヨクジンってなんなんだ?」
イザベラとは昨夜から会えずじまいなので、耕介は翼人の詳細を知らないのだ。
「背中に鳥のような翼が生えている先住民族。先住魔法を使う。」
「先住魔法…タバサたちが使ってる魔法とは違うのか?」
「先住魔法は自然さえあれば杖なしで使える魔法で、とても強力。自然そのものが敵になる。」
タバサはさらりと言ったが…耕介はそれを流すことはできなかった。
「自然が敵って、勝てるのか?というか話を聞くと翼の生えた人間って聞こえるんだが…。」
耕介としてはそれは否定してほしい事だった。
「勝てるかはわからない。数による。翼人は外見的には翼の生えた人間。」
タバサはまたもさらりと言った。
「タ、タバサ、ちょっと待ってくれ。翼人ってのは人間とどう違うんだ?」
わけのわからないことを聞いてくる耕介に、タバサはいぶかしげな視線を向けつつ答えた。
「翼と考え方と先住魔法。他は基本的に同じ。」
「…えっと、今更こんなことを聞くのはどうかとは思うが、今回の任務はどうして『掃討』なんだ?」
「………翼人がエギンハイム村の産業である林業に悪影響を与えている。」
タバサは耕介の質問の意味を理解し始めていた。
「…うーん…話し合いでなんとかできないか?」
799さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:18:57 ID:Xasvz+6I
タバサは一瞬だけ耕介に視線を向けたが、再び本へと視線を戻す。
耕介が心底からそう言っていることを、タバサは昨日の会話と、手紙の一件から理解していた。
そして、その上で彼女はこう答えた。
「……私達は兵士。与えられた任務をこなすだけ。」
それが『ガリア北花壇騎士・雪風のタバサ』の結論だ。
心を壊された母を守り、憎き仇に近づくために、15歳の少女が歩む氷の道。
「…タバサ……。」
耕介には何故タバサがそこまで無感情になれるのかはわからない。
だが、こんな幼い少女を駆り立てる『何か』と、彼女の力になってやれない自らの不甲斐なさに怒りを覚えるのだった。
それでも、これだけは言っておかなければならない。
「タバサ、君がどうしてそうしようと思ったのか、今は聞かない。でも、タバサが何か助けがほしくなった時は相談してくれ。できる限り力になるよ。」
槙原耕介とはそういう人間であるからだ。
タバサは本から顔をあげることもなかったが…一言だけポツリと言った。
「…………どうして?」
答えは簡単だ。
「子どもは困ったら大人を頼るもんだ。」
耕介は単に腹が立つのだ。子どもが幸せに暮らすこともできなくなるような『何か』に。
好意の押し付けだとか、偽善だとか、罵られても仕方ないこともわかっている。
それらを全て理解した上で、なお耕介は信じたいのだ。
『皆が幸せな未来』を。
タバサは結局、エギンハイム村に到着するまで、本から顔を上げることはなかった。

ガリアとゲルマニアの国境沿いに広がる『黒い森』と二国から呼ばれる深い森の一角に、エギンハイム村はある。
そこに住む村人たちは今、重大な危機に瀕していた。
その危機から村を救わんと屈強な猟師たちは今まさに『危機』に立ち向かっている。
「く、くそ、バケモノどもめ!!」
だが、森に生きる狩人たちの中でも特に弓に優れた名手たちが放つ矢がことごとく『それ』には当たらない。
いや、正確には当たらないのではなく、逸らされるのだ。
「空気は蠢きて矢をずらすなり。」
『それ』の口が言葉を紡ぐだけで頭、首、胴に過たず命中するはずだった全ての矢が突然軌道を変える。
「ひ、ひるむな、いくぞ!」
村長の息子サムは斧や鉈を構えた猟師を叱咤し、矢がダメならばと斬りかかる。
「我らが契約したる枝はしなりて伸びて我に仇なす輩の自由を奪わん。」
しかしそれも無駄なこと、『それ』が先ほどと違う言葉を紡ぐだけで、足元から木の根が飛び出し屈強な猟師たちを身動き一つ取れぬほど堅固に束縛した。
「ちくしょう、動けねぇ…!」
「や、やっぱりあんなバケモノどもと戦うなんて無謀だったんだ!」
根の束縛の対象にならなかった者たちは戦意を喪失し、我先にと逃げ出し始める。
もはや戦いの趨勢は決していた。
やはりただの人間がバケモノになどかなうべくもないのである。
「枯れし葉は契約に基づき水に代わる力を得て刃と化す。」
バケモノたちは止めを刺すことにしたらしい。
言葉と同時に、猟師たちの足元に散らばっていた枯れ葉が舞い上がり、鋼のごとき強度を与えられる。
サムたちの運命はもはや火を見るより明らかだ。
それでもサムはバケモノどもを最後の最後まで睨みつけてやる、と意地を張った。
その、鳥のような翼を生やし、自分たちを無感情な目で睥睨する血も涙もないバケモノどもを。
だから、何が起こったのかを目撃したのはサムだけだった。
突然凍てつくような風が吹きすさび、鋼となった枯れ葉たちを虚空へと追いやったのだ。
「え…?」
バケモノたちの視線が空へと向けられる。
そこには…空から黒いマントをはためかせて落ちてくる人間…いや、少女がいた。
バケモノたちは再び言葉を紡ぎ、枯れ葉に必殺の威力を持たせ、今度は少女に向かって射出する。
だが、少女は如何なる手段か、空中を飛び回り枯れ葉をことごとく避ける。
どうやらこの少女が先ほどの風の主らしい。
「騎士様だ…!」
捕まっていた猟師の誰かが感極まった声でそう言った。
「騎士様…騎士様が来てくれたのか!」
猟師たちは思わぬ救世主が現れたことで歓喜の声を上げる。
見た目は年端もいかぬ少女だが、メイジであることは明白。これで自分たちは助かるのだ!
800名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 18:19:38 ID:O+1KjSXC
しえん
801さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:20:10 ID:Xasvz+6I
その時、上空を影がよぎった。
「タバサ!!」
上から誰かの声が降ってくる。
サムがハッと視線を上げると、上空からさらにもう一人、人影が降ってきたのだ。
その声に呼応して、全ての枯れ葉を避けて大地に着地していた少女が杖を振る。
人影の落下速度が若干緩和され、大地に転がりながら着地する。
それは長い棒を持った長身の男だった。
「ふ、二人も騎士様が来てくれたぞ!」
猟師たちはもはや勝利を疑わなかった。
何度領主に騎士の派遣を要請しても全く連絡がなかったので諦めていたが…領主様は我々を見捨ててはいなかったのだ!
二人の騎士は猟師たちの大歓声をもって迎えられた。

長身の騎士…耕介は素早く周囲を確認し、猟師に死傷者がいないことを確認する。
(良かった、みんな捕まってるだけだ。)
できれば話し合いでなんとかしたいと耕介は考えているが、既に死傷者が出てしまっていてはそれも難しい。
何より、目の前で人が苦しむ様など見たくはない。
上を見上げると、4人ほどの人間が空に浮いているのが見える。
「あれが翼人…!」
背に鳥のような翼を持っていることを除けば人と変わりない姿である。
その場に滞空している様に違和感を覚えるが、おそらく魔法で浮いているのだろうと推測。
まずはこの場を収めなければならない、とりあえずは根を斬り猟師たちを脱出させるべきか、いや再び魔法で捕えられる可能性もある…。
どうやって矛を収めさせるかを耕介が考え始めた…その時。
「待って!貴方たち、森との契約をそんなことに使わないで!」
悲鳴のような女性の声が、緊迫した戦場となった森に響いた。
翼人たちの向こう側から美しい亜麻色の長髪をなびかせながら少女が現れたのだ。
その少女の背にもやはり翼が生えている。
「アイーシャ様!?」
翼人たちにとっても少女の出現は予想外だったのだろう、彼らに動揺が生じる。
その隙をタバサは見逃さなかった。
魔法を発動させるために詠唱をはじめ…。
「ま、待ってください!」
タバサの腕を掴んだ誰かが邪魔をしたせいで詠唱が乱れる。
「退いて!争ってはいけません!」
アイーシャと呼ばれた翼人の声によって、4人の翼人たちは渋々と飛び去っていった。
最後に翼人の少女も飛び去ろうとしたが、去り際に彼女はちらりとタバサの方へ視線を向けていった。
一応翼人が去るまで警戒を緩めずにいた耕介だったが、やっと一息つく。
捕らわれていた猟師たちの拘束も解け、彼らはタバサと耕介の元に集まってきた。
「本当にありがとうごぜぇます、騎士様!…あ、騎士様でいらっしゃいますよね?」
猟師たちは窮地を救った二人を勝手に騎士だと認識していたが、冷静になってみれば必ずしもそうとは限らないことに気づいたのだ。
「ガリア花壇騎士、タバサ。」
タバサが短く答えると、猟師たちは再び歓声を上げる。
そしてその熱視線が次に捉えたのは耕介の姿であった。
「え、あ、あぁ、俺もか、えっと、ガリア花壇騎士…になるのか?耕介です。」
マキハラコウスケと言っても通じないと思われるので苗字は省いた。
冷静に聞けば妙な自己紹介ではあるが、歓声を上げる猟師たちは特に気にしなかった。
「やったぞ、騎士様が二人も来てくだすったんだ!これであのバケモノ鳥どもを追い出せる!」
だが、その歓喜の声はタバサの横にたたずんでいた誰かへの罵倒へと変化した。
「おいヨシア!おめぇ、騎士様の魔法を邪魔するなんて、罰当たりなことを!」
猟師たちの冷たい視線がヨシアと呼ばれた華奢な少年へと向けられる。
少年は悲しそうな表情で俯いたままだ。
不穏な雰囲気を察して、耕介は横槍を入れることにした。
「あの、待ってください皆さん。まずは村へ戻って、お話を聞かせてもらえませんか?」
耕介の提案に猟師たちは気を逸らし、とりあえず村へ戻ることとなった。

エギンハイム村の村長の家へと案内された二人は、最大限の歓待を以て迎えられた。
「さぁさ、騎士様方、ご存分に食べて英気を養ってくだせぇ!」
目の前には、おそらくこの小村で精一杯のご馳走が並べられている。
ちょうど時間が夕暮れ頃ということもあり、二人はありがたくいただくことにした。
タバサは一心不乱に食事を続け…耕介は村長から話を聞くことにする。
802さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:21:18 ID:Xasvz+6I
「あの、村長さん、聞きたいことがあるんですが。」
「はい、なんでしょう騎士様?」
人の良さそうな村長は笑みを浮かべながら応対してくれる。
「翼人と皆さんの関係を聞かせていただきたいんですが…。」
耕介の質問の真意がつかめず村長は困惑したようだったが、結局はそのまま答えることにしたらしい。
「へぇ、わしらは代々、この『黒い森』と呼ばれとる森に根を張って、木材を切り出したり家具を作ったりして生計を立てとります。
ですが、半年ほど前からあのバケモノ鳥どもがわしらが木を切るのを邪魔しおるんです。そのおかげでわしらは収入を断たれて困っとるわけでございます。」
「翼人が邪魔を…。翼人たちはどこからきたんですか?」
「そこまではわからんのですが…とにかく奴らはわしらがあの辺の欅に近づこうとすると魔法で攻撃してくるんですわ。」
村長のその言葉に、耕介は引っかかるものを感じた。
「あの辺って…他の木はダメなんですか?」
耕介の質問に村長は少し渋い顔になった。
「ダメってわけじゃないんですが…あの辺の欅は幹も太くて加工しやすいんで、一番売りやすいんで…。」
「そうですか…ありがとうございます。」
ある程度納得のいった耕介は食事を再開する。
食べながら考えるのは、やはり村人と翼人を和解させる方法だ。
村側の言い分はわかった。次はなんとかして翼人側と接触し、向こうの言い分を聞かなければならない。
耕介がそんなことを考えていると、突然部屋の扉が開き、サムと呼ばれていた男が入ってきた。誰かを連れてきたようだ。
「さっきはこの野郎が失礼なことを…申し訳ねぇこってす。どうぞ、騎士様のお好きに煮るなり焼くなりしてやってくだせぇ。」
それは縄で後ろ手に縛られたヨシアであった。
「そ、そんな、待ってください。何もそこまでしなくても…。」
耕介の言葉と、タバサが無言で首を横に振ったこともあり、ヨシアの縄は解かれた。
「お優しい騎士様方に感謝しろヨシア!」
ヨシアは悲しそうに顔を俯かせ、去っていった。
どうやらまだ、聞くべきことがあるようだ。

日が暮れたこともあり、この日は休むこととなった。
夜の森で自然を味方につける翼人を相手にするのは自殺行為だからだ。
二人は親子か師弟と思われたらしく、同じ部屋をあてがわれていた。
若い男女が同じ部屋…というとあらぬ方向へ妄想が突っ走りそうになるが、そこは耕介とタバサである。
耕介にとってタバサは子どもであるし、何より彼は女子寮で様々な女性に囲まれて暮らしていたのだ、この程度で揺らぐような理性の持ち主ではない。
タバサに至っては、男女の機微など存在しないかのように耕介の存在を黙殺している。
「やっぱり、この姿で自然に触れる方が気持ちがいいです。」
「不自由させて悪いな、御架月。」
耕介はやっと外に出られた御架月と会話を、タバサは相変わらず本を読んでいる時、窓を叩く者があった。
言わずもがな、シルフィードである。
「きゅい!お姉さま、コースケ、シルフィともお話してほしいのね!」
二人を森に降ろした後、放置されていたシルフィードであったが、機嫌を損ねてはいなかった。
耕介が朝に作っておいたサンドイッチを食べてご機嫌であるからであった。
シルフィードが窓を開けて首を入れた時…タバサも耕介も立ち上がった。
「誰だ?」
耕介の誰何の声とともに、御架月が剣へと戻る。シルフィードも動きを止めた。
「ぼ、僕です…ヨシアです。」
耕介が扉を開ける。そこにいたのは、タバサの詠唱の邪魔をしたあの少年であった。
「やぁ、ヨシア君。来るんじゃないかと思ってたよ。」
「え…?」
耕介には、彼が今夜やってくるという予感があった。
アイーシャと呼ばれた少女は去り際にタバサのほう…正確に言えばヨシアを見つめていたし、彼は翼人を排除することに否定的なようだ。
これらを考え合わせれば、彼が何かを訴えにくるのは必然と言える。
「入ってくれ。俺たちに言いたいことがあるんだろ?」
ヨシアは耕介の優しげな雰囲気に悲壮感を薄れさせ、一礼して部屋へと入ってきた。
窓から顔を突き出すシルフィードに気づき、ギョッとするが、タバサが短く「使い魔。」と説明する。
「そ、そうでしたか…。あの、そちらの騎士様のおっしゃる通り、僕はお二方にお願いしにきたんです。」
「なんだい?」
タバサは何も言わないので、耕介がヨシアを促す。
「……翼人に、危害を加えないでもらいたいんです!」
803名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 18:22:14 ID:O+1KjSXC
しえん
804さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:22:23 ID:Xasvz+6I
わずかに躊躇ったヨシアだったが、すぐに真剣な声で耕介の予想した言葉を言った。
「事情を聞かせてくれるね?」
耕介の優しげな声にヨシアは救われたような顔になると、事情を話し始めた。
「は、はい。翼人たちは季節ごとに巣を作る木を変えるんです。今は春なので、家族が増えます。だから幹の太い欅に巣を作ってるんです。
だからあの辺に近づくと翼人たちは木を切られまいとして邪魔をするんです。
でも、俺たちは他の木を切れば生活できるんですが、あの辺の欅を切った方が儲かるからって、皆どうしても諦めてくれなくて…。」
「で、領主に翼人掃討の依頼を出したわけか…。」
繁栄を求めるのは人の常だ。
だが、翼人たちが巣を作っていることをわかっていてなおその欅を切ろうとするということは、村人たちは翼人を同じ人と認識していないのだろう。
「そうなんです。それに、元々この森に住んでたのは翼人たちなんです。後からやってきた俺たちが自分の都合で翼人たちの巣を奪うなんてこと、許されるはずがない!」
「そうなのか…君はずいぶん翼人について詳しいんだね。村長も知らなかったことなのに。」
耕介は感心したように頷き…すぐさま傍らの御架月を取っていつでも抜けるように構えて窓へ視線を向けた。
タバサも杖を構え窓へ厳しい視線を向ける。
「ま、待ってください、私、ヨシアに会いに来ただけで、危害を加えるつもりなんてありません!」
そこにはシルフィードと窓の隙間から顔を出した、アイーシャと呼ばれていた少女がいた。

アイーシャを迎え入れ、耕介たちは二人の関係を聞いていた。
「へぇ、二人は恋人同士なのか。」
種族を超えた恋…素晴らしい美談だ。
「はい。アイーシャは俺たちの知らない森のことを知っているし、魔法で傷も癒してくれた。俺たちはもっと協力し合えるはずなんです。」
「でも…私たち翼人も、村人たちも、取り付く島もなくお互いを否定しあっていて…。」
二人は寄り添いながらも悲しげに視線を落とす。
「私たち…もうどうすることもできないのかしら…。」
アイーシャの悲しげな声が沈黙の降りた部屋に沁みる。
「…皆、試してみたい案があるんだ。」
難しい顔で考え込んでいた耕介が出した案に、ヨシアとアイーシャは真剣な表情で聞き入る。
「そ、そんなことできるんでしょうか…。」
それは現状では難しいと言わざるをえない提案であった。
「でも、成功すれば素晴らしいわ!」
だが、成功すればそれはまさしく八方丸く収まる案。
「タバサ、いいか?」
耕介に問われたタバサはわずかに考え込んだ後頷いた。
彼女とて無理に戦いたいわけではないのだ。
その時、遠くから荒い足音が聞こえてきた。
その足音は瞬く間にこの部屋へと近づいてくる。
「うわ、まずい!」
その足音は部屋の前で立ち止まり、次の瞬間扉が吹き飛びそうな勢いで手荒く開かれ、間一髪アイーシャはベッドの向こうに隠れた。
そこにいたのは…
「コースケ!!!」
いかにも怒髪天を衝いているイザベラであった。
805さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/02/29(金) 18:24:27 ID:Xasvz+6I
時は数時間前に遡る。
イザベラは夕方頃に空腹で目を覚ました。
結局あの後なかなか寝付けず、眠れたと思えば悪夢で目を覚ますのを繰り返し、あまり眠れていない。
だがどんな時でも生きている以上は腹が減るものだ。
陰鬱な気分は晴れないが、何かを食べようとメイドたちを呼んで言いつける。
用意された食事をもそもそと食べていると、メイドの一人が進み出てきた。
「殿下、マキハラ様からお手紙を預かっておりますが…。」
イザベラは顔をしかめ、それでもメイドから手紙を受け取った。
「なんなんだい、全く…。」
耕介を翼人退治にいかせたのは、ひとえに耕介の顔を見たくないからだ。
だのに手紙を残していくとは、少しは空気を読めと言いたい。
その手紙には、どこかで見たような流暢なガリア公用語でこう書かれていた。
「おはよう、イザベラ。あんまり寝すぎると体に悪いぞ。それと、一人で泣くな。悲しみを誰かにぶつけるだけで楽になれることもある。泣きたくなったら、俺でよければいくらでも付き合うよ。困った時、子どもは大人を頼るもんだ。遠慮するな。」
その手紙を読み終わった瞬間のイザベラの胸中は、まさしく混沌であった。
色々とつっこみたいことがあった。
寝すぎとあたしの悲しみを同列に扱うなとか、元凶が何言ってやがるとか、子ども扱いすんなとか、言いたいことが山ほどある。
山ほどあったので、イザベラは行動することにした。
「今すぐ竜騎士を一人手配しな!エギンハイム村に向かう!」
「え、は、はい!?」
泡を食ったメイドが飛び出していく。
様々な感情が錯綜した結果、頬を引きつらせて凶暴な笑顔を浮かべたイザベラは決意した。
「あのバカをぶん殴る!!!」
今の彼女を外見だけで王女とわかる人間は、世界広しといえど存在しないだろう。


以上で投下終了です、支援ありがとうございました!
806名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 18:25:27 ID:O+1KjSXC
毎回楽しみに読ませてもらってます
GJでした。
807ゼロ・HiME:2008/02/29(金) 19:04:07 ID:W0brj2x/
第10話と11話の間に入る幕間その1が書きあがったので投下します
進路クリア?
808名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 19:05:03 ID:2fNutuL8
よーそろー 支援だぜい
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 19:06:04 ID:ErZ6Wmi3
>>807
百 合 支 援 !
810ゼロ・HiME:2008/02/29(金) 19:06:16 ID:W0brj2x/
んでは、いきま
811名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 19:07:27 ID:ifCIBVM7
イザベラさまあw、まさかラストで乱入してくるとわ、
何はともあれGJです。

耕介さん、毎回良い味出していますね、
しばらくはこんな調子で、タバサの冒険のイベントがらみで、
イザベラ様やタバサと関わっていくのでしょうが、
この二人とどのような関係を築いて行くのか、楽しみにしています。
あるいは、いつか本編のキャラ、
ルイズやサイトやキュルケなどと関わるのも楽しみです。
特にサイトは同じ日本人だし……本当に同じか?
812ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 幕間その1 1/3:2008/02/29(金) 19:16:13 ID:W0brj2x/
 ここは王都トリステインの裏通りにある安酒場。
 時刻は夕刻。仕事帰りの一杯や、夕食を求めてやってきた者達でごった返す中、いかに
も飲兵衛といった風体の男達が会話をしている。

 「おい、聞いたか? あの『土くれ』が魔法学院の宝物庫に押し込んだって話」
 「ああ、聞いた聞いた。何でもゴーレムで壁に大穴開けて秘宝とやらを持ち出したとか」

 どうやら彼らの話題は巷で噂の怪盗『土くれのフーケ』についてのようだ。

 「まあ、そこまでは順調だったらしいんだが……残念ながら追っ手の学院の生徒にお宝
を取り返されちまったそうだ」
 「なんだって! で、『土くれ』は捕まっちまったのか?」
 「馬鹿言え、『土くれ』がそんなヘマこくわけねえだろ。相手は貴族の子弟だぜ、軽く
あしらって逃げたって話だ」
 「まあ、貴族の餓鬼どもに捕まるほど落ちちゃいねえってこったろう。なんにせよ貴族
の奴らはまだ当分枕を高くして眠れねえって訳だ」
 「へっ、いい気味だぜ。それじゃ、俺らのうさを晴らしてくれる『土くれ』に今夜も乾
杯といこうぜ!」
 「おおっ〜!」

 衛兵や役人が聞いたら無事では済みそうにないことを声高に叫んでいるにも関わらず、
誰も止めようとしない。
 なぜなら彼らほどでは無いにせよ、一部の心無い貴族への不満というものは平民の誰も
が大なり小なり持っているのだ。たかが酒の席でのうさ晴らしに目くじらを立てる必要も
無い。

(別にあんたらの為にしてる訳でもないのに、勝手に心配されたり、乾杯される筋合い
はないんだけどねえ)

店の隅にあるテーブルで一人ワインを飲んでいた目深にフードを被った女性――話題の
渦中の人物『土くれのフーケ』は心中で毒づく。
 
 (あんな小娘にいいようにヤラれた挙句、洗いざらい吐かされちまうなんて、我ながら
情けない。しかし、どうやったらあの年であんな技術が身につくんだか)

 自分がされた仕打ちを思い出したのか、顔をしかめてグラスに注いだワインをぐいっと
一気に飲み干す。

 「……久しぶりに故郷に帰って出直した方がいいかも」

 そう呟いて机に突っ伏すと、フーケは故郷アルビオンに残してきた妹分の少女のことを
考える。
 その少女――ティファニアは父が家名を賭して救い、自ら庇護してきた娘であり、フー
ケにとっては何よりも大切な愛しい存在である。
 もっとも出会った頃、フーケは世間知らずでおっとりしたテファを手のかかる妹ぐらい
にしか思っていなかったのだが、ある日、寂しがるテファをなだめているうちに、なし崩
し的にそんな風になってしまった。
 
 (保護者としては失格なんだろうけど……きっかけはどうあれ、今じゃあたしの方がベ
タ惚れだしねえ)
813名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 19:21:19 ID:ifCIBVM7
>寂しがるテファをなだめているうちに、なし崩し的にそんな風になってしまった。

それってどんな風なんだろう?、しえん
814ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 幕間その1 2/3:2008/02/29(金) 19:22:52 ID:W0brj2x/
フーケがそんな埒もない事を考えていると、酒場に黒マントを纏い、白い仮面で顔を隠
した奇妙に捩れた杖をもったメイジらしき長身の男が入ってくると、彼女の向かいに腰掛
けた。

 「なんだい、あんた? 女を見繕うつもりなら他所をあたっておくれ」
 「これはまたご挨拶だな、『土くれ』のフーケ……いやマチルダ・オブ・サウスゴータ」
 「――!」

 男の言葉を聞いたフーケの顔が蒼白に変わる。
 それは、かつて捨てる事を強いられた貴族としての名前であった。その名を知るものは
ごく一部の者を除いて、存在しないはずだった。

「……あんた、何者?」

 フーケは男を威圧するように睨みつけながら尋ねた。だが、男はその問いには答えずに
笑って言った。

 「再びアルビオンに仕える気はないかね、マチルダ?」
 「はっ、正気かい? 王家に父を殺され、家名を奪われた私が仕える訳ないだろ」
 「無論、誰も今の王家に仕えろとは言わんよ。早晩、腐臭漂うアルビオンの王家は倒れ
るのだからな」
 「……そいや今、アルビオンじゃ貴族の反乱がおきて、内戦状態だったね」
 「反乱ではない。無能な王家を打ち倒し、我々優秀な貴族が政を行う為の『革命』だ」
 「でも、それがあんたのような貴族様と、何の関係があるって言うのさ」
 「我々は、ハルケギニアの将来を憂い、国境を越えて繋がった貴族の連盟だ。我々に国
境は存在しない。そして、ハルケギニアは我々の手で一つになり、始祖ブリミルが降臨せ
し『聖地』を取り戻すのだ」
 「そいつはまた酷い妄想話だね……それで、その国境を越えた優秀な貴族の連盟とやら
が、私のような卑しいこそ泥に何の御用かしら?」

 男の真剣な言葉を一笑にふすと、フーケは皮肉っぽい口調で尋ねる。

 「我々の崇高な目的を果たすには優秀なメイジが一人でも多く欲しい。協力してくれな
いかね?」
 「夢物語は、寝てから語りなよ。私は貴族が嫌いだし、ハルケギニアの統一なんかに興
味は無い。おまけに『聖地』を取り返すだって? あんな辺境、エルフが欲しいならくれ
てやればいいじゃない」

 フーケはひどく冷めた顔で付合いきれないという風に肩を竦め、そのまま席を立って男
に背を向けた。

 「『土くれ』よ、お前は選択することが出来る」
 「言ってごらんよ」
 「我々の同士になるか。または……」
 「ここで死ぬか……とでも言うつもり? 悪いけど、こっちも大人しくやられるつもりは無い
わよ」

 フーケが獰猛な笑みを浮かべて杖を構えるが、男はそれを制するように手を振りながら
答える。
815名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 19:24:02 ID:2fNutuL8
>なし崩し的

あそこに白い花が・・・w
816ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 幕間その1 3/3:2008/02/29(金) 19:27:29 ID:W0brj2x/
 「いや、別に断ってもかまわんよ……その代わり君のお父上の元領地が戦場になるやも
知れんが」
 「……結局、否応なしって訳かい。ご立派なことで」
 「そういうことだ、観念したまえ」

 男は悔しそうな表情を浮かべたフーケに向かって席に戻るようにうながす。

 「いけ好かない男だね……わかった、協力するよ。で、あんたらの貴族の同盟とやらは、
なんて言うのかしら?」

 フーケは席に戻ると、腕組みしながら男に尋ねた。

 「……貴族嫌いの君がそれを知る必要があるとは思えんが?」
「これから同じ旗を仰ぐことになるんだ。組織の名前ぐらい聞いておくのが礼儀っても
んだろ」
 「そういうものかね」
 
 男は苦笑すると、居住まいを正して誇るように組織の名を告げた。

 「我々はレコン・キスタ、いずれ我らの名は大陸に知れ渡ることになろう――とはいえ、
我々の決起までにはまだ少し時間がある。それまではお前の好きにするがいい」

 そのまま男はフーケを置いて、酒場を立ち去った。

 「さて、どうしたもんか……」

 フーケは目を閉じると、自分が生き残び、テファを守るためには、どう立ち回るべきか
を考え始めた。
817名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 19:28:31 ID:ErZ6Wmi3
百合〜♪百合〜♪支援
818ゼロ・HiME:2008/02/29(金) 19:30:27 ID:W0brj2x/
以上で投下終了です。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 19:32:29 ID:ErZ6Wmi3
投下乙
820名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 20:03:36 ID:/+HtOjX8
>>794
乙です。イザベラがかわいく見えて困ります。
821名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 20:46:50 ID:/PwQ/2YM
>792
いいんじゃね?
「夜市」っていう前例もあるから大丈夫だろ
822名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:06:34 ID:URbHMLTC
>>807
ID:W0brj2x/

お前はテンプレ>>1も読めないのか
ここで投下は明らかにスレ違いだボケ

それと一言つまらん
823名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:19:03 ID:tkK7nRTv
>>822
物狂いか
824名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:19:10 ID:+YA7bFlv
>>822さんお帰りでーす
825名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:20:36 ID:9woYZbzT
>>822
びっくりしたなぁもう。
言ってる事がよく分からないので説明お願いしまーす。
826名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:22:09 ID:URbHMLTC
おっとっとアドレス指定を間違えた
けど>>807もつまらんよ
この事実は変わらない
827名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:22:47 ID:XpSzVh34
>>823-825
まあまあ、そう構ってやるもんじゃないぜ
そんなことより俺のキンタマを見てくれ。コイツをどう思う?
828名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:23:58 ID:7isJm6u7
すごく…くさいです…
829名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:24:40 ID:FsUECjxc
>>822
気に食わないんだったら目を潰して見えなくなるようにすればいいんだよ♪
830名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:25:00 ID:9woYZbzT
>>827
なにっ!? 三つあるだと!?
831名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:25:36 ID:URbHMLTC
お前らもくだらん劣化コピーを読むんで時間を浪費するより

俺のようにガンダム無双や超昂閃忍ハルカを
しているほうが充実した時間を過ごせるぞ
832名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:27:48 ID:fG7Rwvwi
時間の浪費こそ人生よ
833名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:28:13 ID:MHNLS6K1
さざなみの人乙
イザベラ様が次回は活躍か?

Himeの人乙
百合百合な花が咲き乱れておりますな
834名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:35:15 ID:CTOGbA1u
どうせいつか死ぬのに浪費とか言われてもなぁ
835名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:37:18 ID:8FHCFJr7
どう見ても自分のイチモツさらけだした自称釣り師だから、触らない方がおk
836名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:48:28 ID:fNb+TYO8
しょうがないなお前ら。
そんなに俺と「金剛番長が召喚されたらどうなるか」について語りたいか!
いいだろう。
837名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:49:18 ID:7isJm6u7
またかよwwww
838名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:51:33 ID:Skq3ta8M
>>836
知ったことかーー!!
839名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:53:08 ID:DdE5A2NQ
えーと、だな。こんな時には素敵な呪文がある。
「汗を吸ってお尻のラインがくっきり浮き出た旧学校指定水着最高」というのがな!
840名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 21:57:01 ID:W1BYAj7/
>>839
スクール水着最高と言う事か?
全くもってその通りだな!!
841名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:00:51 ID:4Fj57EiH
駄目だ、どうしても深夜の学校に忍び込んで盗んだスク水をその場で着こんだ上、そのまま脱糞して逮捕され
警察に犯行の動機を聞かれると、気持ち良かったからと応えた実在の人物が思い出されてならん
842名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:06:37 ID:SCLNlO3k
スク水といや、スク水兵器の人、最近来てないな。
843名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:10:00 ID:bsgfyOmh
>>841
本人乙www

漢だなあんた?
844名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:10:19 ID:I+Wvbwny
>>836
番長は俺も大好きだけど、正直クロスでやるにはまだ元ネタの方の情報が不足してると思う
一発ネタならともかく、長編とかでは色々厳しいだろうね


まあ間違いなくガンダのルーンとデルフはまともに使われなくて涙目になるだろうけど
番長が剣とか振るってるところなど想像出来ん
片手で馬車を担いで振り回すとかなら余裕で想像出来るけどなー
845名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:11:11 ID:0HbqsnCV
これだけは言いたい。

ハルケギニアにはブラジャーがない。

と言うことは、体操着の下はノーブラなんだ。

これだけで、分かるな?
846名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:14:38 ID:fNb+TYO8
>>844
確かにデルフがいらない子になっちゃうなあ…
847名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:14:53 ID:Um3ZaE/d
神絵師が書いてくださればわかります
848名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:15:06 ID:qyJRQppY
>>845
つまり擦れてティクビがビンビンなんですね、わかります
849名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:17:29 ID:fNb+TYO8
あのシャツ薄手の生地な気がするし、
夏になれば汗で……    ゴクリ。
850名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:17:52 ID:W1BYAj7/
>>848
エッチなのはいけないと思います!
851名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:19:09 ID:X3zwA7bG
>>844
孤児院繋がりで。
テファに召喚されて、マチルダ姐さんの相棒やってる秋山優(卑怯番長)とか。
852名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:20:19 ID:zF3rZtUG
>>822
Himeが糞なのは同意しとく
853名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:21:52 ID:ytPAi3CR
>>849
貴族は仕事をしないのが仕事な世界だから
汗をかくようなことはないんじゃないかな。

汗をかくような場合(狩りとか戦闘とか)はそれ相応な格好をするだろうし。
854名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:23:58 ID:CuEK45Wa
吸血鬼ハンターDから、「貴族」を一人召喚してだな
855名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:25:41 ID:plk0eEPM
しかし見事すぎるくらい住人が腐りきったな
856名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:26:29 ID:I+Wvbwny
>>851
面白い組み合わせでは有るが、それでは卑怯番長の方の孤児院が潰れてしまうぞ
あそこ支えてるの現状では実質彼だけだし
857名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:43:25 ID:C2TETlGr
マリコルヌを主人公に据えて食傷気味のルイズルートを打開してだな
858名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:43:41 ID:c77anbTC
>>854
真っ向勝負だとエルフが100人ぐらいで挑んでも勝てそうにないな
文字通りの化け物だし
弱点さえ知ってれば策を練れば何とかなるかな
859名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:47:52 ID:lExj3+AH
>>856
金剛番長がなんとかするだろ
しかし来週過去がわかるらしいが彼意外といいとこの坊っちゃんだったりして
860名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:50:24 ID:X3zwA7bG
>>856
…………しまったッ!!

「しまった」繋がりで電通院洸先生@グランセイザーを召喚。
ルイズに下着の洗濯命令されて、

「グランセイザーのやることではないな」
861名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:54:19 ID:fNb+TYO8
>>859
俺もそう思う。
だがここで来週の金剛番長の話はスジがとおらねえな。
862名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 22:59:21 ID:bsgfyOmh
>>850
まほろさん召還されててそうで召還されてないのな。
おっぱいの価値とはバストサイズにあらずって事を気付かせてくれた画期的な貧乳キャラだと
思うんだ。
863名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:01:11 ID:gTS1APda
金剛番長より 建設重機喧嘩バトル ぶち切れ金剛から召喚したらどうなるかを語ろう

とりあえずタルブの村には適当な建設重機
宝物庫にも適当な建設重機
デルフは重機に設置される(ショベルカーのショベルなどに)

戦後処理に大活躍
864名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:02:07 ID:fNb+TYO8
>>862
その考えを普及させた人物は召喚されてるがな。
865PSYFERの人:2008/02/29(金) 23:18:48 ID:O1aXHL68
前回より短いけど投下可能か?
866名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:20:24 ID:7isJm6u7
長さなんて関係にゃー!

かもん
867名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:21:30 ID:fNb+TYO8
支援
868PSYFERの人:2008/02/29(金) 23:21:41 ID:O1aXHL68
四人目と左手

決闘の次の日の朝食の時間、修太の姿は食堂にはなかった。
それが無性に気になっていたマリコルヌは、ルイズに聞いてみることにした。
「ルイズ」
「何?」
「シュータの姿が見えないけど?」
「それがね……」
ルイズは昨日、決闘の傷が癒えたヴィリエと、キュルケに(自分が)重傷を負わせた件で厳重注意され、修太の食堂入室許可を取り消された事を説明した。
「根っこは去年と全然変わってないな……」
マリコルヌは、去年の決闘でルイズがギーシュを半殺しにした事を思い出しながら呆れ果てた。

一方、厨房では修太が朝食にありついていた。
「しっかし災難だったな、我らの焔」
「うん……」
キュルケに襲われた時の事を思い出して少し身震いしながら修太は答えた。
修太が着ている際どいワンピースを見ながら、マルトーは愚痴を続けた。
「あいつら何を考えてんだ? よりによってこんなの着せるなんて」
修太が着ているワンピース、実はスカートの丈が短いだけでなく、胸の部分が大きく開いていたのだ。
そのため、本来なら服に隠されて見えないはずのルーンが完全に露出していた。

その日の夜の女子浴場。
修太を洗いつつ、その尻を揉みしだいていたルイズは、少し考え事をしていた。
「……街まで行って服を買ったほうが良いわね」
「え?」
「シュータ、今度の虚無の曜日、街へ行くわよ」
「どうして?」
「貴方の服を買うために決まってるでしょ」
ルイズはそう言って、自分と修太に湯をかけ、泡を洗い落としてから浴槽に入った。
しれっとキュルケがその会話を聞いていたが、二人は気付かなかった。

場所はいきなりトリステイン王都、トリスタニアの裏通りにある宿も兼ねた酒場、『魅惑の妖精亭』に移る。
店主である筋肉質のオカマ、スカロンが一人の客と談笑していた。
「お探しの人、見つかった?」
「まだだ。手紙にゃ『トリステインで仕事をしている』って書いてあったんだが……」
この客、一週間ほど前に遠路はるばるアルビオンからやって来て、人探しのためにこの店に滞在していたのだ。
なお、道中で襲い掛かってきた賊の類を返り討ちにして、彼らから奪い取った物品を質に入れたり、現金を巻き上げながら路銀の足しにしていた。
「手ぶらで帰るわけにも行かないしな……。おマチの奴、この国のどこで働いてるんだ?」
悩む男と、どうしたものかと困り果てているスカロンが座っているテーブルに、一人のウェイトレスが近づいてきた。
「ちょっと、ウイスキー1杯で粘りすぎよ。ほかにも何か注文してよ」
「そういきり立つなよ、ジェシカ」
「こっちも客商売だからね、悪く思わないでよ」
ジェシカの棘のある一言をこれ以上聞きたくなかったその客は、昨日より割高なモノを注文した。
その男の左手には、コントラクト・サーヴァントで刻まれたルーンが焼き付いていた。
「いい子に育ってくれたんだけど……」
「そのようだな。可愛い顔してあそこまで金にがめついとは思わなかったぜ」
男の一言はどうやらジェシカに聞こえていたらしく、怒声が返ってきた。
「聞こえてるわよ、オーゾラッ!!」
(ティファニア……、お前とは違って、この街の娘連中はすれた奴ばっかりだぜ……)
神の左手、静大空は自分と契約した少女のことを考えながら、明後日の方向を向いていた。
869名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:22:08 ID:OEH5t8KU
嘉門
870PSYFERの人:2008/02/29(金) 23:24:42 ID:O1aXHL68
数日後、虚無の曜日。
いつもより早い時間にたたき起こされた修太は、少し寝ぼけ眼であった。
「まだ太陽が昇りきってない……」
「学院から街まで馬でも3時間程かかるのよ。今日は色々買い込まないといけないし……」
食堂で食べるのが億劫だったらしく、ルイズは修太と一緒に厨房で朝食を済ませた。
出されているはしばみ草のサラダの余りの苦さに絶句しながらも、修太は無言かつ素早くはしばみ草のサラダを食べきった。
「大丈夫?」
「まだ苦いのが口の中に……」
数分後、用意されていた馬に乗ったルイズと修太は、トリスタニアへと向かった。
直後、二人の外出を察知していたキュルケとタバサも、シルフィードに乗ってトリスタニアへと向かった。
もちろん、タバサは強引に同行させられただけである。

「結構こじんまりしてるね」
「そう? 一応、ここが大通りよ」
東京と比べると、流石に狭く感じるのかもしれない。
「? 気のせいかしら……」
気配を感じたルイズは一瞬振り向いたが、キュルケとタバサはすばやく人ごみに紛れたため、気のせいだと思いその場を後にした。
二人が入った店は、少し広く、下着の種類も豊富であった。
「ルイズ姉ちゃん、その下着とかスカート、誰がはくの?」
「……嫌?」
「うん」
何故かヒモパンや裾の生地がシースルーになっているスカートをルイズが掻き集めているのを見て、先手を打って釘を刺した修太であった。
少ししてから、店に一人の男が入ってきた。
「いつまでもこの格好ってワケにはいかないし、山賊連中から分捕った金もまだたんまりあるから、新しい服でも買うか。ついでにティファニアへの土産も買っとくか……バストが合うかどうか分からんが」
自分に合いそうな服を適当に見繕い、少女への土産を漁っていた男の左手にあるルーンを見て、修太は思わず声を漏らした。
コルベールの研究室で見た虚無の使い魔のルーンの一つと、同じ形状をしていたから。
「虚無の使い魔……」
修太の声が聞こえたのか、男が修太の方を向いた。
「坊主、今「虚無の使い魔」って言わなかったか?」
「うん」
即答した修太は、胸のルーンを男に見せた。
「なるほど、お前は「四人目」か」
「うん」
二人の会話を聞いていたルイズは即座に割って入った。
「あんたも虚無の使い魔?」
「ああ、俺はオーゾラ・シズカ。訳あって今は『神の左手』だ」

『神の左手』とも呼ばれし神の盾、左手に魔剣、右手に槍を持ち、主を守るガンダールヴ。


チクトンネ街。
それはトリステインの“闇”。
金に糸目をつけなけりゃ何だって揃う。
次回、「追いかけたらトリスタニア」
死んで花実が咲くのなら、ロマリアと聖地は花盛り。
おマチ、そんな奴のことはわからない。
871PSYFERの人:2008/02/29(金) 23:25:59 ID:O1aXHL68
以上で投下終了。
今回は凄いバクチに出たけど……大丈夫かな?
872名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:26:36 ID:fNb+TYO8
乙!
873名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:31:36 ID:tkK7nRTv
バトルホッパー呼ぼうぜ
874名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:34:11 ID:1QklpcNQ
>>873
いやいや、ここはあえてマシントルネイダーをだ。
875名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:39:04 ID:CajOvIpe
876名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/29(金) 23:46:21 ID:JRuv3b5u
ぼくと魔女式アポカリプスから宵本澪を召喚してみたらどうかと考えた。
根源闇滓の設定がいまいちよく分からんのだが召喚したら死ぬ様な気がした。
877名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:03:29 ID:IYTahbuX
ウルトラマンのプラズマスパークを呼ぶというのは…
878名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:11:53 ID:tHX6Ypqw
せっかくのオリンピックイヤーなのでこち亀の日暮を呼ぶのはどうだろう
879名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:24:34 ID:IYTahbuX
こち亀にそんなキャラ居たっけ?
最近読んでないからわからん
880名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:27:22 ID:/kunk47m
>>879
ずっと前からいるわ…

山岡とか雄山とかはどう?
881名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:28:12 ID:yTVTHfrf
>>879
4年前と8年前と12年前と16年前と20年前に読んでればわかるはず。
882名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:33:40 ID:bWDM+gH+
>>879
マジレスだが4年に一度、オリンピックの年だけ起きる予知能力者。
予知以外も使えるみたいだけど。
>>881
実はオリンピックイヤー以外に2回ほど起きてきてたりする。
ちなみに4年に一度しか寝ない兄弟がいたりする。
883名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:34:48 ID:IYTahbuX
あぁ!あのオリンピック男か
884名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:35:55 ID:IqvetLYI
>>882
何時ぞやのこち亀SPでスーパーサイヤ人になって
大暴れしたことがあったな。
885名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:38:16 ID:S4gh+70r
技術職・専門職で、全く戦争に関わらず己の道を行くような使い魔はいないものか。

ハルケギニアで日本酒造りに命を掛ける夏子とか、
医療技術の普及に尽力する宗方先生とか。
886名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:38:28 ID:UlVB5mhz
1000回記念の時に逆に4年に一度だけ寝る双子の弟が出てきたんだっけ
887名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:42:27 ID:cJ45svLR
>>885
沢木惣衛門とか朝比奈大吾とか西根公輝とか東和馬とか……
888名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:43:16 ID:y22ruyi9
>>885
そう言うのが無いのは単純だよ

・オリジナル展開確定+場合によってはある程度以上題材に関する専門知識が必要になる

この通り、結構ハードル高いから
889名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:43:26 ID:voKB6TH4
>>862
まほろさんは13巻で教皇に現在の美里家の光景(原作版)を見せられて何食わぬ顔で優のそばにいる流河まほろを見て泣き崩れるか
アニメ版での優の境遇を見せられて泣き崩れるか…
890名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:44:30 ID:+c96PwR9
かもすぞーっとハルケギニアに日本酒の製法が伝わるのかw
891名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:54:33 ID:f5/6PTlx
>>890
ふとルイズがオリゼー達を肩に乗せてる光景が頭に浮かんだ。
結構可愛い構図だと思うんだけど、ルイズからはオリゼーが見えないという罠。
892名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 00:57:36 ID:cJ45svLR
>>891
それはいい… すごくいい…! 可愛ええ…
893名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:01:03 ID:NIuZnzNf
>>891
そこはひとつ、使い魔になる関係上、
巨大化して、見える大きさになった言うことでw
894名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:04:02 ID:cJ45svLR
>>893
つ 原作より、「合体してみた」


……いや、どっちにしても沢木にしか見えないんだけどね。 orz
895名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:10:02 ID:NIuZnzNf
>>894
おおっ、確かに合体→巨大化か!
だけど、勝手に分裂していくからな、あやつらはw
896名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:12:00 ID:f5/6PTlx
うーむ…個人的には菌達とルイズの掛け合いが見てみたい所。
まぁ…ルイズの場合、菌達におちょくられた挙句に失敗魔法の行使に出そうだが。
897名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:13:05 ID:e+HPoHgS
ばっか、おめー、樹教授を召喚すればいいんだよ!
898名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:13:14 ID:IYTahbuX
もうこいつ呼んじゃえ
つメカ沢くん
899名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:16:55 ID:cJ45svLR
>>896
1・沢木を呼んで間接的に会話。
2・魔法で何とか。
3・今やってるナルトみたく、沢木の目を…
900名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:19:30 ID:npMFC3R3
4・「菌が見える力」を召喚
5・シエスタの先祖が沢木
901名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:22:59 ID:f5/6PTlx
>>899-900
3番は色々と危険ですなwww
ルイズ主体なら1、2、4。シエスタ主役パターンなら5ですかなw
902名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:23:27 ID:Ji0f96nh BE:1012889377-2BP(30)
.hack G.Uの小ネタを書いてみたのだが、おk?
903名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:25:41 ID:NtZjfZ4P
>>902
Come on!
904名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:26:43 ID:cJ45svLR
支援
905名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:27:35 ID:f5/6PTlx
>>902
ゲートは開いている。往くがいい!
906超流麗凄艶究極使い魔:2008/03/01(土) 01:27:48 ID:Ji0f96nh BE:165370324-2BP(30)
超流麗凄艶究極使い魔

「宇宙の果てのどこかにいる私の下僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!! 私は心より求め、訴えるわ!我が導きに答えなさい!!」
チュドーーーーーーーーーン!!!!!
散々失敗を繰り返し、今日何度目かの爆発がトリステイン魔法学院に響き渡った。
また失敗かとすでにサモンサーヴァントを終えていた他の面々は一様にため息をついた。
が、等の召喚をした本人の心情は周囲とは違った。
(手ごたえあった!今度こそわたしにふさわしい究極の使い魔が!)
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
トリステイン魔法学院きっての落ちこぼれ。
あらゆる魔法を失敗する所から付いたあだ名が『ゼロのルイズ』
今回のサモンサーヴァントでその汚名を返上する!
今度こそ魔法を成功させ、自分も立派なメイジであると周囲に認めさせるのだ!
そう気合を入れたはいいが、実際に本番になるとまた失敗を繰り返したのだが、今度こそ成功したと確信した。
(そう、この煙の向こうに、世界で最も強く、美しい使い魔が・・・・・)
「ふっふっふっふっふ、我がグラフィックを傷物にしただけでは飽き足らず、不正な転送まで行うとは・・・ついにその本性を表したなトライエッジ!!!」
その爆煙の中から語気の割りに軽い口調の声が響いてきた。
「なっ何なのよあんたは!」
「ふん、悪党に名乗る名前はないわ!!!」
とう!っと、一声上げて爆煙の中から“それが”飛び出した。
そして見事なムーンサルトを決めて大地に降り立ったのは、黄金色に輝く鎧を着けた何かだった。
「鈍き俊足のドーベルマン、ぴろし3!ただ今参上!!!」
(((((((名乗ってんじゃん!!!))))))))
その時、その場にいた全ての人の心は一つになった
キラーンと擬音が鳴りそうなほど歯を輝かせ、天を指差すベタなポーズを決めながらそれは周囲を見回した。
「・・・・・・・・・」
しばしの沈黙の時間が流れ、
「いや〜失敗失敗。単なる不具合による転送ミスのであったか。すまなかったな諸君」
その瞬間、止まっていた時が再び流れ出したかのように周囲から喧騒が沸いた。
「おっおい!ルイズが平民を召喚したぞ!」
「まて!あれは平民なのか!?」
「だが杖を持ってないぞ?」
「だが平民にあんな鎧が買えるわけがないだろ!」
「それ以前にあれは人間なのか!?」
そう言われるの無理はない。
その胴体に比べて異常なまでに広い肩幅を持つ鎧はどう見ても人間に合わせた規格ではない。
それもそのはず。
このぴろし3は正確には人間ではない。
The World R:2という世界最大級のネットゲームで生み出されたPC(プレイヤーキャラクター)なのだ。
なぜただのデータに過ぎないPCが召喚されたのか、またなぜゲームの中でないにも関わらずプレイヤーが操ることが出来るのか、それはあえて突っ込まないでおこう。
907超流麗凄艶究極使い魔:2008/03/01(土) 01:28:48 ID:Ji0f96nh BE:289396872-2BP(30)
平民だ、貴族だ、いや亜人だと様々な憶測が飛び交う中、ぴろし3は現在の自分の状況を分析していた。
「ふむ、何やらよくわからんがどこぞのギルドエリアに飛ばされてしまったようだな」
貴族とか平民とかはそのギルドの決まりの様なものだろうと、予想をつけてた。
「では皆の衆、お騒がせして大変すまなかった、ではさらばだ」
「旅路の果てまでも 頭上に星々の輝きのあらんことを!! ジュバ!」
天に拳を掲げ、軽く飛び上がると、・・・・・・何も起きなかった。
「おんや〜?・・ジュバ!」
同じ事を繰り返したが、やはり何も起きなかった。
「ふむ、転送が出来ないとは、これはまた奇怪な・・・・」
「何さっきからブツクサ言ってんのよーーーーー!!」
突然、背後からのとび蹴りをくらい、思いっきり前のめりに転んだ。
「ぬお〜〜〜〜〜〜、何をするか小娘! いきなり人を後から蹴り飛ばすとは笑止千万!
たとえネットゲームとはいえ、天が許してもこのぴろし3が許さんずぉぉぉぉぉぉ!」
微妙に間違った言葉遣いはデフォなのでお気になさらず。
「何言ってんのよ!あんたはわたしの使い魔になるために呼ばれたんでしょうが!」
「つかいま?」
ふむっと、首をうならせて考え込み一つの結論に至った。
(なるほど、これは強制イベントの一種か)
となると回りの人々はPCではなくNPC(ノンプレイヤーキャラクター)という事になる。
そういえばギルドを作ったときのグランティイベントのNPCはかなりよく出来ていたなあと、自身のギルド、プロジェクトG・U(グラフィック・うまい)を作ったときの事を思い出していた。
(となるとこのイベントを解消しないとここからは出られぬという事か)
そう結論付け、この場に従う事にした。
「よかろう、よき目をした人よ!私が貴殿の使い魔となってやろうではないか!」
「(よ…よき目?)なっ生意気な事言うんじゃないわよ、あんたはわたしの下僕なんだからね」
「ふむ。して、使い魔になるにはどうすればよいのだね?」
「え!そ・・・それは・・・・」
何やら言い辛いようで、俯いたまま答えようとはしない。
そこにコルベールと名乗る人物が来て、事の詳細をぴろし3に伝えた。
「なんと、そんな簡単な事でよいのか? ではルイズよ、私からの熱いベーゼを受け取るがいい!」
「え!?ちょっとまだ準備が、い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
意識が遠のく中、ルイズが最後に見たものは、頭突きの如く迫るぴろし3の顔面であった。

Fin
908超流麗凄艶究極使い魔:2008/03/01(土) 01:29:27 ID:Ji0f96nh BE:558122393-2BP(30)
これで終わりです。
こういうぶっとんだキャラは割と書きやすいですねw
と言っても、まだまだ未熟者ですので、まだまだ上手く書けない所も多いのですが…
さらに精進して、次にはもっと良い作品が作れるようにがんばります。
909超流麗凄艶究極使い魔:2008/03/01(土) 01:31:37 ID:Ji0f96nh BE:248055034-2BP(30)
あ、しまった!
最後の「ルイズよ」を「よき目をした人よ」に書き換えるのを忘れてしまった○TZ
すみません、ほんとにすみません・・・・
910名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 01:34:08 ID:NtZjfZ4P
乙乙。
よりにもよってお前かぴろし3wwwwww

地の文とセリフがくっつきすぎてると若干読みづらいから
たまに改行をはさむといいと思うのです。
911超流麗凄艶究極使い魔:2008/03/01(土) 01:37:00 ID:Ji0f96nh BE:868191067-2BP(30)
>>910
なるほど。
ありがとうございます。
今後の参考にさせていただきます
912名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 02:04:09 ID:p8ksJi65
社長! なにやってんの社長!
913ゼロの魔獣:2008/03/01(土) 02:56:11 ID:tY5pXBHp
5分後に投下してよろしいですか?
914名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 02:57:25 ID:tpnk2FhX
魔獣支援
915ゼロの魔獣 第30話:2008/03/01(土) 03:00:52 ID:tY5pXBHp
『レコン・キスタ』 − タルブに侵攻。

学院に早馬が到着したのは、明け方のことだった。
急報を受け取ったオールド・オスマンは、ただちに教師陣を集め、今後の方針を指示する。

一時間後、広場へ集まった全生徒を前に、コルベールが簡潔な連絡を行う。

「・・・そのため当面の授業は中止 連絡があるまで生徒は自室で待機とします
 以上 速やかに解散するように」

突然の集会の内容に雑然とする学生たちを掻き分け、慎一がコルベールの下へと進む。

「話がある ・・・爺さんのところへ連れてってくれるか?」



「トリステインは負けるのか?」

学院長室に入るなり、慎一が踏み込んだ発言をする。
傍らにいたコルベールは、慎一の無神経さに怒りを通り越して驚愕する。
一方、当の学院長の方は眉ひとつ動かさない。

「・・・なぜ そう思うのかね? シンイチ」

「昨日の今日で本土決戦とは 展開が早すぎる
 トリステインの艦隊戦力はどうした? あるいは既に全滅してるんじゃないのか?」

「・・・・・・・」

「何故だ? なぜ ヤツらにはそんな芸当ができる
 一夜にして世界のパワーバランスを変えるような力を
 ヤツらはどうやって手に入れた?」

「・・・シンイチ君  キミは一体 何が言いたいんだい?」
要領を得ない慎一の言葉に、コルベールが割って入る。

「・・・聞き方を変えよう 敵艦の中に マストも羽も持たない船は無いか?」
「・・・ッ!?」
「やはりか・・・!」

二人の反応を見て、慎一は険しい表情で歯を食いしばる。
916ゼロの魔獣 第30話A:2008/03/01(土) 03:02:04 ID:tY5pXBHp
「・・・イーグル号を動かす コルベール 準備を頼む」

「!? シンイチ君? まさか!」

「・・・あの『竜の羽衣』とやらで どこに行こうというのかね?」

部屋を後にしようとする慎一の背中に、オスマンが問いかける。

「失礼とは思ったが 君の事はずっと観察させてもらっていたよ・・・

 君の中には 確かに好戦的な資質が宿っているようじゃったが
 その一方で 可能な限り戦闘を避けようと努力している風も見受けられた
 ―この世界の歴史に 影響を及ぼすのを嫌うかのようにの・・・

 それが何故 今更になって国家間の争いに介入しようとする?
 君にとってあの少女は そうまでして守らねばならぬ存在なのかね?」

「・・・俺は この世界に庇を借りに来ただけの通りすがりだ
 他人の母屋に土足で踏み込むような真似はしたくなかった

 ―だが 今はもう そんな事も言ってられなくなった」

コルベールには、その先の言葉が予想できた。
敵艦の情報が入った時から、そうではないかという予感がしていた。

「俺の推測が正しければ 敵艦の本当の名前は 『箱舟』・・・
 俺達の世界の兵器だ」



917ゼロの魔獣 第30話B:2008/03/01(土) 03:03:55 ID:tY5pXBHp
ヴェストリの広場
学院内に戒厳令が敷かれている今 広場に人影は見受けられない。
― イーグル号の真下に立っている 古ぼけた剣を持った少女を除いて、だ。

「こんな時にお出かけ? シンイチ?」
「早々何度も置き去りにゃあさせねーぞ! シンイチ!」

「・・・今度ばかりは連れて行けねえ コイツは俺の戦いだ」

「あなたと真理阿の でしょう?」
ずいっ、と、ルイズが慎一に迫る。

「だったらアンタに あたしを止める権利はないわ
 この戦いは あたしと真理阿の戦いでもある・・・
 真理阿はあたしの使い魔で あたしの親友なんだから

 それに この国の命運を使い魔の・・・異邦人のアンタに任せてぬくぬくとしていられる程
 あたしはプライドの安い女じゃ無いわ!」

「・・・言いたい事は分かるが ハッキリ言って足手まといだ」

「足手まといになる時は 打ち捨てて行って結構よ
 あたしもアンタが足手まといになる時はそうするわ
 それでこそ 五分と五分
 確かに未熟かもしれないけれど 
 それでもあたしは アンタと対等な友人でありたいと思っているわ」

―慎一は、認めざるを得なかった。
 さっきまでの自分は甘かった・・・と。
 この世界を、できる限り自分の戦いに巻き込みたくない。
 出来る事なら、命の恩人である少女を、戦火から遠ざけたいと願っていた、と。

だが、目の前にいるのは、自分よりも覚悟の座った『戦士』であった。
過酷な運命を覚悟した少女に、彼がしてやれる事はひとつだった。

「・・・分かったよ だが 箱舟は俺の手で堕とす。
 お前は姫さんを守ってやれ」

「言われるまでも無いわ!」

慎一がニヤリと笑う。それを受け、ルイズも不敵な笑みを浮かべる。

「待ちなさい」
918ゼロの魔獣 第30話C:2008/03/01(土) 03:05:30 ID:tY5pXBHp
イーグル号に乗り込もうとした二人を、コルベールが制する。

「無駄だぜ コルベール
 こいつは何を言ったって 聞くようなタマじゃねえ」

「分かっているよ・・・
 イーグル号を始めて見た時から こうなる予感はしていた・・・

 だからこそ ミス・ヴァリエール!
 こんな事もあろうかと用意しておいた コレを着てから行きなさい!」

ルイズは受け取った生地を広げ、全体を確認する。
赤と白を基調としたボディスーツに黄色のスカーフ、水色のバイザーの付いたヘルメット・・・。

「・・・コルベール先生 これは・・・?」

「シエスタの祖父が着ていたという防護服を 女性用に仕立て直した物だ
 プロトタイプとはいえ イーグル号の出力は 一般人が長時間耐えられる代物ではない・・・
 魔獣の肉体を持つシンイチ君はともかく 君には身を守る鎧が必要だ」

「で で でも 先生! 今は一刻を争う・・・」

「 着 ・ る ・ ん ・ だ !」
有無を言わさぬ迫力でコルベールが迫る。
生徒の安全を願う心が、彼に例えようの無い凄みを与えていた。
そういう事にしておこう・・・。



五分後・・・
立派な地球防衛軍のルーキーの姿がそこにはあった。
スーツからくっきり浮かび上がるボディラインが、彼女の二つ名を強調する。

「・・・シンイチ 言いたいことがあるならハッキリ言いなさい」
「『なかなか似合ってるんじゃないか? お嬢様』」
「利いた風な口をきくなあああ!!」

叫びながら、ルイズが慎一の顔面に布切れを叩き付ける。

「アンタにはそれよ シンイチ 感謝して使いなさいよ!!」
919ゼロの魔獣 第30話D:2008/03/01(土) 03:07:31 ID:tY5pXBHp
慎一は、渡された代物を確認する。

鮮血で染め上げたような真紅の布―。
上等な生地である事は一目で分かるが、無駄に長く、しかも異様にズタボロである。
ルイズはこれで、何をしろというのか・・・?

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・!!  マフラーかッ!?」
「遅いわよ!」

ともあれ、マフラーらしき代物を巻きつけながら、慎一はイーグル号へと乗り込む。
秘密図鑑から飛び出してきたようなコックピットを確認しつつ、
練習どおりの手順でスイッチを入れていく。
ブウゥゥゥン、という起動音と共にモニターが立ち上がり、周囲のランプが次々に点灯していく・・・。

「いけそう? シンイチ」
慎一は無言で中央のスイッチを入れる。
キュイィイインというエンジンの回転する音が響き、ブースターの奥が淡い光を放ち始める。
卵から雛が孵るような高揚感が内部を包む。

外でコルベールが何事か喚いている。
前を空けろと慎一が手で合図する。

「気を付けるんだ!! ソイツの力は未知数・・・」
「イーグル号! 発進だああアアァァッ!!」

慎一がレバーを思い切り倒す。

刹那、シートに取り込まれるかのような強烈なGが二人にかかり、爆音と衝撃波が広場を支配する。
地面を抉り、大木をひっくり返し、風圧でコルベールを吹き飛ばしながら、機体が超スピードの世界に突入する。

「シ! シシシン シンイ ま・・・!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」

ズ ワ オ ! !

厳重な防護の施された外壁をたやすくブチ破り、イーグル号が一陣の風になった・・・。
920ゼロの魔獣:2008/03/01(土) 03:09:35 ID:tY5pXBHp
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。
慎一のコスプレをした竜馬のコスプレをした慎一がイーグル号に乗り込むという
カオスな展開になったところで続きます。
921名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:19:04 ID:OmOn+3d6
乙!

チェンゲ竜馬ネタかwww
しかしコッパゲがすっかりマッドサイエンティストにw
922名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:19:29 ID:yc8zAWwJ
 魔獣の人、乙です。
しかしルイズのスタイル(体型)と
ダイナミックプロ系のヒロインコスチュームの相性はある意味最強なのかも。

 で、すぐ次で恐縮なのですが、虚無義士伝に当てられたので、
私も時代小説ネタでひとつ小ネタをぱ。
新撰組つながりで「燃えよ剣」版の土方歳三です。
問題なければ、3時30分から投下します。
923名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:22:43 ID:tY5pXBHp
支援支援
924名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:31:10 ID:yc8zAWwJ
 大丈夫ですかね?
では、これから投下をば。
925名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:32:11 ID:OmOn+3d6
沖田と野グソ経験持ちの土方さん支援
926燃えよ零:2008/03/01(土) 03:33:41 ID:yc8zAWwJ
 もし、これを聞いた彼が長州の藩士であれば、
白昼に竜が蛇行するのを見たほどに仰天したであろう。
だが、彼は新撰組の存在など知るはずもなく、
また、その恐るべき剣客集団において、「鬼」の異名を持つ者が、
目の前にいるこの男だということなど知るはずもない。
アルビオンの騎士は、怪訝そうに首をかしげると、言葉を返した。

 「しんせんぐみ?
  …いずれにせよ、司令部に用ありというのであれば、
  目的を告げられよ」

 「目的?」

 騎士に問われた歳三は、薄く笑った。

 「今申したはずだ。
  新撰組副長が司令部に用がありとすれば、斬り込みにゆくだけよ」

 あっ、っと驚いた騎士に、
歳三はデルフリンガーを抜き放ち、一撃を見舞った。
血しぶきを上げて倒れる騎士。
混乱し、騒ぎ立てる兵士たち。
そして様子を見ていた他の騎士たちが血相を変えて近づくのに対し、
歳三は、デルフを片手に、一気に駒を奔らせた。

 …兵士たちを跳ね飛ばし、騎士たちの攻撃をかいくぐり、歳三は行く。
幾多の攻撃に晒され、血は止め処もなく流れ、全身に傷のないところはなく、
それでもなお、左手の紋章から煌々と光を放ち、歳三はデルフリンガーを振った。
そして、目の前の敵を、斬って、斬って、斬って、進んだその先に、
未だ群れなす兵士たちの向こうに、目指す司令部が見えた。
そこにいる、おそらく司令官であろう男の、困惑と驚きの表情を見て、
歳三はニヤリと笑うと、声も限りに叫んだ。


 「新撰組副長、土方歳三、推参!」
927名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:34:16 ID:yc8zAWwJ
 以上です。
前から「燃えよ剣」屈指の名シーンと、ゼロ魔のvs7万のシーンが
重なって仕方なかったところに、虚無義士伝を読んでしまったので、
もうたまらず書いてしまいました。
突貫する直前のところで終わらせたのは、
また土方を死なせるのはあまりにも忍びなかったので。
またいけそうなら、今度は柳生一族の誰かで書いてみたいです。
928燃えよ零:2008/03/01(土) 03:36:21 ID:yc8zAWwJ
 う、一番最初のが書き込み失敗した模様。
以下、今一度。

===

 状況はアルビオン7万の軍に対し、
土方が向かっていくところからです。
(勿論、ルイズは眠らせて、土方&デルフのみで)


 歳三は、行く。
目の前には7万の兵。
逃げるトリステイン軍の混乱の中で選び出した一頭の馬を駆り、
歳三は、7万の大軍に向かって、正面からゆっくりと馬を進ませた。

 「…? あれは誰だ?」
 「わからん。まさかたった一騎で敵ということもあるまいし」
 「しかし、妙に威圧感のある人な。きっと名のある騎士に違いない」

 歳三を発見した兵士たちは、たった一騎で悠然と駒を進める歳三の姿に気圧され、
そして、道を開けていった。

 「そこの貴殿、止まりたまえ。
  一体何用で来られたのだ」

 この異様な光景に、流石に歳三に声を掛ける騎士がいた。
おそらくは隊長クラスの騎士であろう。
歳三の正面に立つ。
駒の歩みを止め、歳三は答えた。

 「司令部へ行く」

 「司令部へ?しかし何故このような正面から…。
  貴殿、名はなんと申される」

 アルビオンの騎士は、歳三のあまりの大胆さに、友軍の伝令かと思ったのだ。

 「名か」

 歳三はちょっと考えた。
虚無の使い魔、ガンダールヴとはどういうわけか名乗りたくなかった。

 「新撰組副長、土方歳三」
929名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:38:05 ID:yc8zAWwJ
 今度は大丈夫でした。
順番は928>926>927になります。
前後逆になってすいません…。
930名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:44:14 ID:6f5cqcUi
乙。どんまい。
普通に面白くなりそうだと思う。いっそ本編を書いてほしい。
俺も「黒龍の柩」の土方召喚とか書いてみたくなった。
いつか書くかもしれん。
931名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:45:45 ID:fy1pR+Dt
>一行目改行、且つ22行以上の長文は、
>エラー表示無しで異次元に消えるそうです。
>SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイみたい。
932名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 03:47:18 ID:tY5pXBHp
乙です。
個人的には、隆慶一郎補正のかかった柳生厳勝参戦希望です。
933名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/01(土) 04:13:17 ID:yc8zAWwJ
 ちなみに余談。
壬生義士伝版の土方でもいいかもなあとも思ったり。
ギーシュ辺りが土方に薫陶を受けて超成長して、
後にマルトー親父あたりがギーシュのことを聞かれて曰く、

「あいつはたしかにええかっこしいだったが、
 あそこまで格好をつけられる男ってのはそうはいねえ。
 まったく、見てくれだけでなく、中身も格好いい男だったよ」

 とか答えるとか。

 あと、隆慶先生絡みだと、
うっかりするとすぐ女を抱いてしまうので、避難所なんだよなー。
934名無しさん@お腹いっぱい。
>>926-929
「燃えよ零」氏、投下乙です。
>>926だけでも場面が十分分かるあたり、よく練りこんであると思います。
ここの土方はほっかむりして宵闇にまぎれてモット伯を切り捨てに行ったんだろうかw

それと、今ちょうど部屋整理してて、不用品をヤフオクに出品しまくってる所だったのだが、
出品予定の「燃えよ剣」を売ることを踏み止まらせた貴方は偉大w