ルール及び制限
●参加者
・現段階の総合計69名。死者2名、主催者2名につき、実質的な65名。
・前例を鑑みて、人数増加の限界は80名(本スレとの兼ね合いも考えれば70名前後?)だと思われる。
・参加希望の職人がいた場合、現段階でそれを拒む理由は無し。ただし上記の参加者人数との考慮が必要。
●支給品(アニロワに準拠)
・デイバック、食糧、水、コンパス、ランタン、地図、名簿の7種。デイバックには無限の収容力がある。
・ランダム支給品は1〜3個。出典元は問わず。参加者の戦闘力を均一化できるような選択が必要。
●能力制限
・変身系(姿の変化が伴う能力強化。効果時間と発動後の消耗が制限。効果時間の制限は1〜2時間が現在の案)
1)アイテム変身系
変身に必要なアイテムは支給品指定。本来の持ち主が必要なアイテムを得た場合のみ発動。
2)自力変身系
・身体能力人外系
一般人でもギリギリ対応出来る程度にまで能力低下。
・治癒能力系
限りなく制限される。外傷治癒の場合は疲労負荷などの条件で可。
・追加装備系
パワードスーツ、体に装備する類のアイテム。支給品指定。
・カード系(遊戯王カード・ラウズカードなどが対象)
支給品指定。特定のアイテムと併用する事で、モンスター・魔法・罠・効果を実体化。使用後は数時間の充填が必要。
・巨大ロボット系
舞台のどこかに隠されている。戦闘力均一化の問題から2〜3体、操縦者も無差別とする必要があると思われる。
・魔法・必殺技系
全体として威力低下。消耗は大。ただしテンション次第では消耗が先送りにされる場合もあり。
●放送時間
・『6時間おき』というのが現段階での案。『放送無し』の案も有り。
参加者一覧
○万丈目 準 ○早乙女 レイ ?ティラノ 剣山 ?ヨハン=アンデルセン ?ジム=クロコダイル
?丸藤 翔(ゾンビ) ○フェイト=T=ハラオウン(StS) ?エリオ=モンディアル
【コードギアス 反目のスバル】
○ルルーシュ=ランペルージ ○スバル=ナカジマ ○枢木スザク
【SHINING WIND CROSS LYRICAL】
○キリヤ=カイト ○シーナ=カノン
【魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
○セフィロス ●ザフィーラ
【魔法少女リリカルなのは マスカレード】
○天道総司 ?相川始 ○草加雅人 ?フェイト=T=ハラオウン ○クロノ=ハラオウン
?北崎
【宇宙の騎士リリカルBLADE】
?Dボゥイ ?相羽シンヤ
【なの☆すた】
○柊かがみ ○柊つかさ
【魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry】
○バージル=ギルバ
【魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers】
?ビヨンド・ザ・グレイヴ
【仮面ライダーリリカル龍騎】
○城戸真司 ・浅倉威
【NANOSING】
○アーカード ○ティアナ=ランスター ○ヴィータ ○アレクサンド=アンデルセン ○高町なのは(StS)
【魔法少女リリカルマジンガーK's】
?兜甲児
【リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
○本郷猛 ○風見志郎 ?神敬介 ?城茂
○矢車想 ○影山瞬 ○シャマル ○シザーズジャガー
【リリカルなのはFeather】
?鷲崎飛翔 ?ルーシュ・デモン ?グリフィス=ロウラン
【ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
○ユーノ=スクライア ?ヒビノ=ミライ ?モロボシ=ダン
【ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- 〜ミッドチルダ編〜】
○小狼 ○黒鋼
【スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL】
?リィンフォース ?マサキ=アンドー ?シュウ=シラカワ ?ゼンガー=ゾンボルト
【FLAME OF SHADOW STS】
?ウルムナフ・ボルテ・ヒュウガ ?伽藍
【フルメタルまじかる】
?相良宗介
【なのは×終わクロ】
○佐山・御言 ○新庄・運切 ?ブレンヒルト・シルト ○Sf ?ジェットジャガー
【魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】
?八神はやて(StS)
【小話メドレー】
?ゲッコー・モリア
【メタルサーガsts】
○緑の悪魔はんた
【見せしめ】
●天上院明日香 ●一文字隼人
【主催】
○覇王十代 ○神崎士郎
○=本編で存在を確認 ●=本編で死亡を確認 ?=本編未登場
●地図
『各世界の施設が点在するアルハザード』という設定。
A B C D E F G H I J
0丘丘丘丘森川森森森森
1丘丘施丘森川森森森森
2丘丘丘川川丘森森森丘
3施丘丘丘川丘森森丘浜
4丘丘街街街川丘病浜浜
5丘丘街街街丘川丘丘丘
6丘丘街街街丘丘川森森
7丘川丘丘丘山山川森森
8丘川丘丘丘山山川森森
9川丘丘丘丘丘川森森森
丘=平地 街=市街地 川=川 浜=海辺・砂浜
森=森 施=施設 病=病院 山=山岳地帯
D-5=ハカランダがある C-1=アヴァロンがある(内部のどこかにガウェインが隠されている)
>>1乙です。
いっそのこと、なのはキャラをもっと・・・
すみません、自重します・・・
>>1乙です
……さっそくですが、テンプレに修正が入るようです。
【リリカル遊戯王GX】
○万丈目 準 ○早乙女 レイ ?ティラノ 剣山 ?ヨハン=アンデルセン ?ジム=クロコダイル
?丸藤 翔 ○フェイト=T=ハラオウン(StS) ○エリオ=モンディアル
【コードギアス 反目のスバル】
○ルルーシュ=ランペルージ ○スバル=ナカジマ ○枢木スザク
【SHINING WIND CROSS LYRICAL】
○キリヤ=カイト ○シーナ=カノン
【魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
○セフィロス ●ザフィーラ
【魔法少女リリカルなのは マスカレード】
○天道総司 ?相川始 ○草加雅人 ○フェイト=T=ハラオウン ○クロノ=ハラオウン
○北崎
【宇宙の騎士リリカルBLADE】
?Dボゥイ ?相羽シンヤ
【なの☆すた】
○柊かがみ ○柊つかさ
【魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry】
○バージル=ギルバ
【魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers】
?ビヨンド・ザ・グレイヴ
【仮面ライダーリリカル龍騎】
○城戸真司 ?浅倉威
【NANOSING】
○アーカード ○ティアナ=ランスター ○ヴィータ ○アレクサンド=アンデルセン ○高町なのは(StS)
【魔法少女リリカルマジンガーK's】
?兜甲児
【リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
○本郷猛 ?南光太郎 ?キョウキ(桐矢京介) ?志村純一
?矢車想 ?影山瞬 ?シャマル ?月村すずか(StS)
【リリカルなのはFeather】
?鷲崎飛翔 ?ルーシュ・デモン ?グリフィス=ロウラン
【ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
○ユーノ=スクライア ○ヒビノ=ミライ ○モロボシ=ダン
【ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- 〜ミッドチルダ編〜】
○小狼 ○黒鋼
【スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL】
?リインフォース ?マサキ=アンドー ?シュウ=シラカワ ?ゼンガー=ゾンボルト
【FLAME OF SHADOW STS】
?ウルムナフ・ボルテ・ヒュウガ ?伽藍
【フルメタルまじかる】
?相良宗介
【なのは×終わクロ】
○佐山・御言 ○新庄・運切 ?ブレンヒルト・シルト ○Sf ?ジェットジャガー
【魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】
○八神はやて(StS)
【小話メドレー】
?ゲッコー・モリア
【魔法少女リリカルなのはStrikers−砂塵の鎖―】
○緑の悪魔はんた
【見せしめ】
●天上院明日香 ●一文字隼人
【主催】
○覇王十代 ○神崎士郎
○=本編で存在を確認(名簿での名前発見含む) ●=本編で死亡を確認 ?=本編未登場
>>1乙です。さて昨日あれから予約したグリフィス君の話が出来ました。投下したいけどいいですか?
●地図
『各世界の施設が点在するアルハザード』という設定。
A B C D E F G H I J
0丘丘丘丘森川森森森森
1丘丘施丘森川森森森森
2丘丘丘川川丘森森森丘
3施丘丘丘川丘森森丘浜
4丘丘街街街川丘病浜浜
5丘丘街街街丘川丘丘丘
6丘丘街街街丘丘川森森
7丘川丘丘丘山山川森森
8丘川丘丘丘山山川森森
9川丘丘丘丘丘川森森森
丘=平地 街=市街地 川=川 浜=海辺・砂浜
森=森 施=施設 病=病院 山=山岳地帯
D-5=ハカランダがある C-1=アヴァロンがある(内部のどこかにガウェインが隠されている) C-4=翠屋がある
A-3=まねきねこ商店街がある E-5=Devil May Cryがある
テンプレ改訂版は以上です
では投下いきますぜ。始めなので短いです。
それでは投下いきます!
ロングアーチララバイ
「ここは、どこなんだろう」
森の中、一人の青年が立ち尽くしていた。彼の名は、グリフィス・ロウラン。機動6課にて八神部隊長の補佐を勤めている。彼は今、酷く混乱していた。何故ならばほんの少し前、二人のが人間が目の前で殺され、そして、光に包まれ、気付いたらこの場所に居たのである。
「とにかく、八神部隊長と合流してから対策を考えよう」
そう言いその場を立ち去ろうとした時、木陰に一つのデイバックを見つけた。どうやら支給品らしい。グリフィスは中身の確認をした。
デイバックの中身はというと、水、食料、地図、コンパス、名簿、ランタンを見つけた。
そして、更に調べるとまずカードを一枚見つけた。カードには『光の護封剣』と書かれていた。
「何に使うんだ?このカードは。しかし、まだ何か有るのかもしれない。中身をもう少し整理しよう」
次に出てきたのは何に使うのか解らない、牛の様な模様が刻まれたボックス、そして、柄に「洞爺湖」と彫られた一振りの木刀であった。
「少しはましか…。ハァッ…」
ため息を付きながらも調べる手は止まらなかった。
「中身は、これだけか…。うん、何か落ちている?」
それは二枚のカード。どうやら見落としていたらしい。その二枚のカードの名は、『バスターブレイダー』そして、『魔法の筒』と言う名であった。
グリフィスは気になってはいたがとにかく、コンパスと地図を使い、自分の位置を調べることにした。
「ここは、森だけど北側は丘で、川は近くないだから、今の地点はたぶん、J-6だろうね」
冷静に位置を見極めるグリフィス。しかし、その時、周囲にバァン!という銃声が聞こえたのである。
「な、何が起きてるんだ!とにかく、今は行ってみるしかない」
そう言うとデイバックを担ぎ、音が聞こえて来た場所へと向かうのであった。
こうして、青年は一人の少女の元へと向かうのであった。
【1日目 現時刻AM1:39】
【場所 J-6 森の中】
【グリフィス・ロウラン@リリカルなのは
Feather】
[状態]健康。
[装備]木刀@なの魂
[道具]支給品一式、遊戯王カード「バスターブレイダー」「魔法の筒(マジックシリンダー)」「光の護封剣」@リリカル遊戯王GX
「カードデッキ」(ゾルダ)@マスカレード[思考・状況]
基本的にこのゲームには乗らない。
1.早く八神部隊長と合流しなければ。
2.さっきの音は何が起こったのだろうか?
以上で投下終了です。グリフィス君多分次回でザフィーラ発見。頑張ってみました。なるべく、書いていきます。
ぐばっはぁ!
…洞爺湖…ゼンガー親分の洞爺湖、盗られちゃった…ぐすん…(ガン泣き
ともあれGJです。
グリフィス君…妙に苦労人な雰囲気漂うキャラになって…
台詞で動作や状況を説明するのは控えた方がいいと思うよ
すみませんが、グリフィスのロワに対する思いを描写をしてほしいです。
予約していた、セフィロス、Dボゥイ、ゼンガーの話なのですが…洞爺湖が出せなくなったことで難航中…
あれみたいに、見た目に反してやたら硬い手持ち格闘武器ってないですかね? ギャグ方面以外で
なけりゃるろ剣クロスの逆刃刀で行きますが…
>>16グリフィスはこんなのは馬鹿げてると考えてます。隊長と合流したらこの場所からの全員の脱出させるつもりです。
出来ればそこの描写を加えて書いていただけませんか・・・
20 :
マスカレード:2008/02/20(水) 00:07:24 ID:jfFjdyQ6
やたらと硬い手持ち格闘…
パーフェクトゼクター@マスカレード
地球の海を干上がらせる程の隕石同士が激突した際に生じる衝撃を受けても無傷な装甲「ヒヒイロノオオガネ」を強化した素材で造られた剣
物凄く硬いです。最終回で折られましたけど
テックランサー@リリカルBLADE
核爆発の直撃を受けても無傷なテッカマンの装甲を簡単に切り裂く剣
サソードヤイバー@マスカレードorカブトクロス
ディスカビル家に代々伝わる名剣、ディスカリバーをへし折る程の硬度の刀。
資格者なら仮面ライダーサソードに変身可能
こういうのはどうでしょう?
>>17 見た目に反してという縛りがなかなかきついかも
テックランサーとか斬馬刀とか金属系は見た目から除外されるだろうし
ラダムの牙とかどう?
ぜ、全部切れ味のある武器…orz
申し訳ありませんが、やっぱ逆刃刀で。
ラダムの牙というのもオツなのですが、ある事情があって採用できず…orz
30分頃に投下します
>>22 どうぞ!いつかグリフィス君はシーナに会うだろうな。
>>13 正直これも客観的に見て自重して欲しかったなぁ
文章力的にさ
>マスカレード先輩
でも仮面ライダーの世界で硬度とか全然関係ありませんよねw
私は昭和ライダーも見てますが硬度やパワーバランスには何度突っ込んだことかwww(それが長所なんですが)
まぁ、こういうのはウロスで…
聖剣風林火山@風魔の小次郎
・・・・・・出てねえから駄目だな
なんだかんだで参加してるなのはキャラが少ない・・・ライダーはいっぱいいるのに
クロスというのも魅力の一つなのに。
失礼しました・・・
何とか間に合った…
では、投下します。
夜の森は暗い。
微かに漏れる月明かりはあまりに頼りなく、枝の濃い地域はほぼ完全な無明状態となる。
そこを歩くのは、左目に傷を持った男――記憶喪失を騙る、通称Dボゥイ。
その手に握っているのは、何やら一振りの奇妙な日本刀。
本来刃である箇所が峰であり、峰である箇所に刃があるのだ。
本当にこんなものが使えるのか?
最初はそうも思ったのだが、どうやらこれは峰部分の強度もかなりのものらしい。
…本当に何故繊細な日本刀がそんなに丈夫なのかは不明だが。
(俺は間違いなく、アックスのボルテッカに飲まれたはずだった…)
今でもはっきりと思い出せる。
フェルミオンの眩い光が、アースラごと自身を包んでいくさまが。
それが何故か今こうしてここにいる。ふざけた爆破ショーを見せられて。
(何故、人間同士で殺し合わねばならない…!)
歯ぎしりと共に、左の拳が固く握られる。
見ず知らずの人間と命を奪い合えとほざく、馬鹿げた2人組。
自分にラダムの――あの憎むべき悪魔の真似事をしろというのか。
「俺は…心までラダムになりはしない。必ずこのゲームを止めてみせる…!」
命を弄ぶ者達への烈なる怒りを込めて。
望まぬ殺戮を強要された人々を救うため。
殺すのは自分だけでいい。そして自分が殺すのはラダムだけでいい。
「ッ!」
がさり、と。
背後で草の音がなる。
反射的に振り返ると、Dボゥイはその手の木刀を構えた。
油断はできない。このゲームに乗った人間も、いないとは限らない。
「そう身構えるな。俺はお前の敵ではない」
野太い男の声が響いた。
闇の中に溶け込むことなく、堂々とした尊厳をもって、その声はDボゥイの耳に届く。
「…今の、聞いていたのか」
「これだけ静かだからな」
銀髪の武人・ゼンガー=ゾンボルトが答えた。
右手には、ところどころ彫金が彫り込まれた銃剣付ライフルを持っている。
彼はこの異常事態の中にあって、幾分か平静を保っている様子だった。
着ている服を見る辺り、管理局に所属している人間らしい。
そして顔立ちからも、修羅場をくぐって積み重ねられてきた年季が漂ってくる。
…彼はまだ29歳なのだが、Dボゥイには知る由もない。
「アンタも、この殺し合いを止めるつもりなのか?」
「無論だ」
古風な言い回しに揺らぎはない。
むしろ落ち着いている人間には敵の方が多いのでは、と感じて再確認したのだが、どうやら杞憂に終わったようだ。
「あのような連中を許すわけにはいかん」
ゼンガーは確固たる意志と共に言葉を発する。
「俺も、アイツらに好き勝手は――」
Dボゥイが言いながら近寄った瞬間、
――ずどん。
「ぐぅっ!?」
灰色に光る銃撃が、肩を撃ち抜いた。
ゼンガーからではない。明らかに方向が違うし、何より彼の様子を見れば分かる。
「何奴ッ!」
周囲全体に響き渡るような、ゼンガーの怒声。
強烈な覇気と共に放たれた誰何の絶叫は、森の木々を震わすかのようだ。
銃撃音の反響が、水を打ったのように静まり返った。
静寂。
そしてそれを引き裂く足音。
「もうしばらく隠れていたかったが…」
現れたのは、漆黒のコートを身に纏った大男。
ゼンガーと同じ銀色の髪をロングにし、瞳は暗闇の中でなお妖しく光るように錯覚させる。
顔は至って端正。相当な美形だ。両手に握られた得物は、ガンズモードのクロスミラージュ。
「そろそろ食料の心配がしてきた頃だ」
にやりと余裕たっぷりに微笑みながら、青年は言い放つ。
遂にこの男が――セフィロスが動いたのだ。
「…お前はこれを持って逃げろ」
セフィロスの姿を睨み付けながら、ゼンガーはDボゥイへと自身の銃を渡す。
「その代わり、その刀をよこしてくれ」
「っ…そんな無茶な…!」
撃たれた右肩を抑えながら、Dボゥイが口を開く。
どう考えても、彼の持っている銃剣の方がこんな逆刃の刀よりも強力なはずだ。
魔力の弾丸を放つピストル相手に、扱いづらい鉄の棒で戦うのは不利。
「そちらの方が慣れている」
しかし、ゼンガーはそれを一蹴した。
有無を言わさぬ強い口調は、Dボゥイの反論を許さない。
そして、恐らく殺人鬼と化したであろう男を前に、これ以上の口論は危険だ。
ついでに言えば、傷を負ったDボゥイは、今や足手まといでしかない。
「分かった…どうか、無事でいてくれ!」
せめてペガスがいれば。あの赤と白の魔人――テッカマンブレードになることさえできれば。
そんな苦々しい思いを抱えながら、Dボゥイは互いの武器を交換すると、全速力でその場を駆け出す。
ゼンガーはそれを見届けると、手にした逆刃刀をセフィロスに向けて構えた。
誇り高き武人の瞳に、鋭くも熱い眼光が宿る。
「いい度胸だ」
木の葉が舞った。
瞬時にダガーモードへと左の銃を切り替えたセフィロスが、疾風のごとき踏み込みでゼンガーへと迫る。
素早く、そして強烈な一撃。
鈍い灰色の輝きをたたえたダガーが、ゼンガーの逆刃刀へと振り下ろされた。
「ぬぅぅぅぅっ!」
凄まじい剣圧。
ゼンガーの両足が大地を踏みしめ、渾身の力と共に受け止める。
(ええい…鬼か魔物かこの力!)
慢心があったわけではない。
ただ冷静に、客観的に、彼は己の力量を評していた。
しかし、まさかただの斬撃で、自分を追い込むような腕力を持った人間がいるとは思いもよらなかった。
ゼンガーの角張った頬を冷や汗が伝う。
そして、それだけには留まらない。
ガンズモードを保っていた右側に魔力が収束される。複数の魔法陣が、さながら照準のように浮かび上がった。
「ファントムブレイザー」
冷たい声が発せられた。
同時に撃ち込まれる、魔力の奔流。
「うぉぉぉっ!?」
ゼンガーの身体が宙を舞った。
(この威力…ディバインバスターにも並ぶかっ!?)
思い出されるのは、あの白いバリアジャケットの幼女。
その思考と共に、彼の身体は地に叩きつけられる。
猛烈な砲火に、ゼンガーは完全に虚を突かれた。
セフィロスが一度に注ぎ込めるだけの魔力を乗せたファントムブレイザー。
確かにそれは、ゼンガーが何かの折に資料で見た、10年前のなのはの砲撃に匹敵する破壊力。
しかし能力制限がなければ、10年後の彼女のエクセリオンバスターにさえ近付くだろう。
そして、新人のティアナが扱うことを前提にしたデバイスは、その威力には耐えられない。
能力制限がクロスミラージュを救っていた。
(せめて、斬艦刀さえあれば…!)
立ち上がるゼンガーの瞳が、苦々しげにセフィロスを睨む。
対するセフィロスは、彼を嘲笑うかのようにその様を見下ろしていた。
こいつは相当な手練れだ。条件が同じでなければ、不利な方が負ける。
すなわち、自分が殺される。
(…否)
そうではない。
いつから自分はそんな腑抜けた考えをするようになった?
武人は自問する。
自分を守る魔法の力がなければ戦えないのか?
斬艦刀がなければ何もできない腰抜けなのか?
――否。
断じて否!
「…非殺傷設定を使ったな」
射抜くような眼光が、ゼンガーの瞳から放たれる。
その先に立つのは、あの双銃を携えし男。
セフィロスのファントムブレイザーは殺傷設定ではなかった。
もろに食らったゼンガーに未だ外傷がないのが、その証拠。
殺す気がないとは思えない。
すなわち、遊んでいる。この一撃で決まっては面白くない、と。
「間抜けだな…そこまで言える余裕があるからには、この余裕につけこんでみればよかったものを」
「笑止!」
一喝する。
大地を揺るがすかのような、強く、気高き声で。
古の兵(つわもの)を統べる武将のごとき絶叫が響き渡った。
「本力でかからずして何のための戦いか! その程度の覚悟で、他者の命を奪おうなどと笑止千万!」
嘲笑するセフィロスに向け、ゼンガーは雄叫びを上げる。
「どっちなんだ」
やれやれと言った様子でセフィロスが言った。
殺し合いがしたいのかしたくないのか、と。
要するにゼンガーは、殺したいなら本気でやれと言っているのだ。対主催者側の立場を名乗ったというのに。
「貴様が殺す側に回るのは勝手だ。…しかし! その道を行くのならば、俺は貴様を連中同様の『悪』と見なす!」
ゼンガーは構えた。
一分の隙もなく、全身の随所に神経を走らせ、その闘志を研ぎ澄ませて。
逆刃刀の斬れぬ刀身ですら、彼にかかれば剣呑な刃と化す。
「悪? この狂った地で善悪などと…」
「黙れ!」
セフィロスの言葉を、強い語気をもって遮る。
最早問答は無用。たとえ相手が自分より強かろうと、自分は自分がそうと信じる悪と戦うだけのこと。
「そして聞けッ!」
悪にかける情けなどない。
勝てぬ戦であろうとも、悪に退く脚など持たぬ。
「我はゼンガー=ゾンボルト…」
故に、叫ぶ。
「――悪を断つ剣なり!!!」
【一日目 AM1:41】
【H-1 森林】
【ゼンガー=ゾンボルト@スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神】
[参戦時間軸]17話終了後。ラミア達が「向こう側」のヴォルケンリッターの元へ向かった頃
[状態]健康
[装備]逆刃刀@魔法少女リリカルなのはStrikerS―時空剣客浪漫譚―
[道具]支給品一式・ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本 全ての悪を斬り伏せる
1.無為に他者の命を奪うのを、言葉で咎めはせん。ただ倒すだけのこと!
【セフィロス@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
[状態]健康
[装備]クロスミラージュ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]支給品一式、「治療の神 ディアン・ケト」
[思考・状況]
基本 事態を静観し、潰し合うのを待つ
1.ひとまず今だけは食料を奪うためにこいつを殺す
2.随分喚く奴だ。拠点を移さねばならんな
3.向かってくるのならば、六課の連中だろうと容赦なく殺す
【Dボゥイ@宇宙の騎士リリカルBLADE】
[参戦時間軸]8話。アースラがボルテッカを食らった時
[状態]右肩を撃ち抜かれている。止血はまだされていない
[装備]冥銃剣・逢魔ヶ刻@リリカルスクライド//G.U.
[道具]支給品一式・ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本 この馬鹿げたゲームを止める
1.あの人…頼む、無事でいてくれよ…!
2.なのは達と合流する
3.そういえば、身体の調子が…?
[備考]
※テックシステムに蝕まれた肉体は回復しています
投下終了。
親分の武器はDさんからもらう物なので、元作品が同じラダムの牙は使えなかったのさっ。
本当はもうちょい進む予定だったのですが…長くなりすぎちゃったorz
いや、それにしても、ゼンガー言葉は難しいです。その様子の説明も。
>>36 あ、そうそう。そうなのよ。
あとがきに書くの忘れちまいましたorz
「逆刃刀」、で
さすが親分、かっこいいぜっ!
ただ、一時間で食糧の心配ってのは不自然かも……
>>38 籠城する→食料2日分ともたないんじゃない?→誰か殺して手に入れよう→いつにする?→ま、今でいいか
…明日か明後日辺りの投下分(実質後編)で解説しときますorz
>>39 んー、わざわざリレーを潰してまで解説するより
「そろそろ食糧が心配になってな」⇒「今のうちに食糧を調達しておきたくてな」
とか修正する方がいいかも
了解。では、そのように。
…つーかまんまその修正案でいいじゃないかっ!orz
42 :
マスカレード:2008/02/20(水) 01:06:54 ID:emHvfh25
超GJです!
ゼンガーカッコイイです!
そしてDボゥイはやはり予想通りの時間軸からの参戦w
ゼンガーの名乗り口上はいつ見ても鳥肌が立ちますw
DボゥイはDボゥイでこの先どうなるのか……
あと、まだシンヤが参戦してることには気付いて無いんでしょうか?
特にシンヤに関する描写が無かったので、名簿確認は次回以降かなと……
>>+ライダーさん
確かにそうですね〜w
昭和ライダーの強さはもう平成とは別で考えた方がいいと考えるのは私だけじゃないはずw
でもライダーショーとかだと普通に色んなライダーが共演してますし、スペックは目安程度なんでしょうね
話は変わりますが、実は前からずっと光太郎はSS書いてみたいと思ってたんですよね
調度ライダーさんが参戦させてくれたので、もしかしたら光太郎サイド書くかもですw
そこで、RX本編終了後からStS時代までの光太郎の動向や、ここは描写した方がいいって言うような所を、良ければ教えて欲しいんですが……
まだ書くかは未定ですが、仮に1回目は書けなかったとしても、このバトロワ中に数回は書くと思います。
と、いうわけで迷惑じゃなければよろしくお願いしたいです!
>>42 しまった!
行き当たりばったりで思考の「2」追加しちまったもんだからもう…orz
というわけで改定案。
今回改定いっぱいで挫けそうOTL
【Dボゥイ@宇宙の騎士リリカルBLADE】
[参戦時間軸]8話。アースラがボルテッカを食らった時
[状態]右肩を撃ち抜かれている。止血はまだされていない
[装備]冥銃剣・逢魔ヶ刻@リリカルスクライド//G.U.
[道具]支給品一式・ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本 この馬鹿げたゲームを止める
1.あの人…頼む、無事でいてくれよ…!
2.なのは達と合流する
3.エビル…名簿には奴の名前もあった。参加しているのか…!
4.そういえば、身体の調子が…?
[備考]
※テックシステムに蝕まれた肉体は回復しています
無理に追加するより、素直に次回名簿確認シーン入れて、その反応とかも書いた方がいい気がします
シンヤの名前を見つけたとあれば、その精神描写だけでも結構文字数行くと思いますし
もう何していいやら分からねぇぇぇ!orz
…これは今まで通りでおkなのか、もしくは「2」を削って名簿を見てないことにすべきなのか、どっちなんでしょう?
>>45 落ち着くんだ、素数を数えろ
つまりシンヤを見つけていたら、その描写が無いのは不自然なので修正量が多くなる
それならまだ見てないことにして次の人に回した方がスムーズだ、ということだ!
最終改定案
【Dボゥイ@宇宙の騎士リリカルBLADE】
[参戦時間軸]8話。アースラがボルテッカを食らった時
[状態]右肩を撃ち抜かれている。止血はまだされていない
[装備]冥銃剣・逢魔ヶ刻@リリカルスクライド//G.U.
[道具]支給品一式・ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本 この馬鹿げたゲームを止める
1.あの人…頼む、無事でいてくれよ…!
2.そういえば、身体の調子が…?
[備考]
※テックシステムに蝕まれた肉体は回復しています
うん、素数数える前に寝ます。
つまり今夜はもうレス無理ってこった。…おやすみなさい
48 :
マスカレード:2008/02/20(水) 01:31:34 ID:emHvfh25
なんなら次回で私が名簿確認回書こうと思いますが、どうでしょう?
上手く行けば何かに繋げられるかもしれませんし……
>>48 予約の速かった人任せでいいかとー
場当たり的対応をするよりか、じっくり考えてからの方がよいですしね
と言う訳でジム、ミライ、シンヤを投下します。
「絶対に許せない……!」
青年、ヒビノ=ミライはあの部屋で起きた惨劇を思い出し、あの二人の男へ怒りを抱く。
金髪の少女、それに仮面ライダーと名乗った姿を変える力を持った男が呆気なく殺された。
悲鳴や怒号に溢れる中、実際に手をかけたと思われる二人の表情は欠片も動いていなかったのだ。
「何も、できなかった……」
あの時動こうとしたのは何も仮面ライダーだけではない、ミライも十代と名乗った男を止めようとしてはいたのだ。
だが、どれだけ念じようと自分の力の象徴でもあるメビウスブレスは現れず、戸惑っているうちに仮面ライダーもやられてしまっていた。
そして今、メビウスブレスの代わりにミライの手にあるのは――
「……セブン兄さんも、連れてこられたのか」
ウルトラアイ、ミライの――メビウスの先輩であるウルトラセブンに変身するための道具である。
自分の下にこれがあるということは、メビウスブレスも誰かの手に渡っているということだろう。
「とにかく、まずはセブン兄さんと合流しないと」
今の自分ではできることは限られている。
しかしダンに会い、ウルトラセブンへと変身してもらえばこの状況から逃れる術が見つかるかもしれない。
そう考え動き出そうとした彼の耳に、複数の音が聞こえてくる。
「これは……誰かが襲われてる!?」
気づくと同時に、右腕に支給品であるガンナックルを装着し駆け出す。
……もう一つ、何故かレイトウ本マグロが入っていたことは気にしないことにした。
シンヤは不愉快そうに森を歩いていた。
殺し合い……それ自体は別に構わない、むしろ相手を殺せない戦い続きだった彼にとっては憂さ晴らしになる。
問題なのは彼の状況だ。
「テッククリスタルもない、兄さんも同じか……?」
特に不機嫌になる理由は二つ、
一つは自分がテッカマンになるための道具、テッククリスタルを奪われているということ。
そしてもう一つは、彼の兄であるタカヤもこの殺し合いに参加させられていることだ。
「誰かに殺されたりしないでくれよ、兄さん」
……この言葉は別にタカヤの身を案じて出た言葉ではない。
彼はタカヤの死を望んでいる、だが、それはこんな力を奪われ、どこの誰とも知らない人間ごときに殺される展開などではない。
テッカマンとしての力を使い、全力でぶつかり、自分のこの手で殺す。それがシンヤの望みなのだ。
「ん……? ふぅん、丁度よさそうだね」
少し離れたところに、一人の男を見つける。
西部劇気取りなのか、カウボーイハットを付けた男は辺りを見回しながら歩いていた。
まだ開始からほとんど時間は立っていない――はずだ、参加者全員が一斉に送られたと決まったわけではないので断定できないが。
仮にそうだとした場合、あの男がタカヤの居場所を知っている可能性はかなり低いはず。
ならば、何を持って「丁度いい」のか?
「そこの男!」
「っ!?」
「実験に付き合ってもらうよ!」
あえて声をかけてから支給品の剣で斬りかかる。
その斬撃を男――ジムは咄嗟に後ろへ飛び退り回避する。
「へぇ、素人かと思ったけど、思ったよりもいい動きだね」
「Hey boy! こんな殺し合いなんかに乗る気なのか!?」
ジムの叫びを聞き流しながら、シンヤは自分の体の感覚を確かめる。
いつもよりも若干動きが悪い、恐らくだが、万が一にも反攻されることを怖れて何らかの制限を加えているのだろう。
更にシンヤの機嫌が損なわれるが、それは置いておきジムへと声をかける。
「ねえ、カードを持ってないかい?」
「カード、だと?」
突然襲い掛かってきた男にそんなことを尋ねられれば誰だって戸惑うだろう、
だが、その直後シンヤがデイパックから取り出した物を見てジムは目を見開く。
「デュエルディスク!?」
「へぇ、知ってるのかい? これ単体では役に立たないらしくてね、どうしようかって思ってたんだ」
そこまで言って、何か思いついたように笑みを浮かべて再びジムへ語りかける。
「その様子だとカードは持ってないみたいだね、そうなると、用済みかな」
「っ……!」
「だけど、この機械についてはよく知ってるみたいだ……詳しく教えてくれたら、見逃してもいい」
「取引きってことか……OK、いいだろう」
「賢明だね」
ジムも身のこなしには自信があるが、目の前の男は自分では到底太刀打ちできないだろう。
ならば多少の情報を与えてでもこの場を切り抜けることが重要だ、
シンヤはゆったりとした動きでジムに近づいていき――二人の間の空間をエネルギー弾が貫く。
「止まれ! それ以上その人に近づくな!」
二人が振り向いたその先――
ミライがシンヤにガンナックルを向け、叫んでいた。
【ヒビノ=ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
[装備]ガンナックル@ 魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]支給品一式、ウルトラアイ@ ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは レイトウ本マグロ@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
[思考・状況]
基本 殺し合いを止める
1.剣を持った男を止める(傷つけたくはない)
2.セブン(ダン)やなのは達と合流する
3.メビウスブレスを取り戻す
※レイトウ本マグロを武器だと思っていません。
【相羽シンヤ@宇宙の騎士リリカルBLADE】
[装備]ディアスの剣@スターオーシャン・リリカルストーリー
[道具]支給品一式、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX 不明支給品0〜1個
[思考・状況]
基本 自分と兄さんのテッククリスタルを手に入れ、殺し合う
1.何だ、この男?
2.ジムからデュエルモンスターズカードについて聞く
3.テッククリスタルを手に入れる
4.タカヤ兄さんを探す(できれば3の後)
※ディアスの剣が具体的に何の剣かは他の書き手さんにお任せします。
【ジム=クロコダイル@リリカル遊戯王GX】
[装備]なし
[道具]支給品一式、不明支給品1〜3個
[思考・状況]
基本 殺し合いを止め、十代を正気に戻す。
1.な、何だ?
2.剣を持った男から逃れる
3.十代、いったいどうしちまったんだ!?
4.トゥモローガール……!
以上です。
何か修正すべき箇所があったらご指摘ください。
うわ、現在位置と時刻忘れた……orz
【一日目 AM0:53】
【I-7 森林】
これでお願いしますorz
>>54 GJ!
>修正する箇所
では早速1つ。
SOクロスはゲーム版ではなく、東先生のコミック版とのクロスなんで、
ディアスの剣は完全に無銘のものです(要するに「備考」が余分)。
…ちなみにデザインは武具大会以前のものです。
>>56 了解です。
読み込みが足りなかったか……orz
あれ、結局仮面ライダーリリカル電王sts氏の作品からは8人?
多すぎると思うんだけど・・・・・・。
>>57 いえいえ。
元々あの段階では、まだあとがきでしか触れてなかったことですし
悪貨は良貨を駆逐するというか、なんというか
ロワの中でもレベルは高い方だと思うけど一部の職人のせいで台無しになってるな
他人の文章と見比べて浮いてることに気付かないのかな
それだけならまだしも他の職人の足を引っ張るし
それぞれ作風が異なるけど、それもリレー小説の魅力の一つでもある
し、シグナムとチンク姉がいない!!
貴重なマーダーのシグナムと、
僕らの萌姉なチンク姉を、出してやって下さい・・・・・・。
他の"目立つ"ナンバーズ達も出してやって下さいOTZ
作風と呼べるほど立派でもないけどな
元々、台本形式で書いてた奴だし
64 :
マスカレード:2008/02/20(水) 11:31:19 ID:emHvfh25
取りあえずマスカレードの幼フェイトは予約しておこうと思います
少しくらいならメンバー追加してもいいんじゃないでしょうか。
ルール上ではストーリー中増やすとしても全員で70前後になると書かれてますし、キャラが被らないで、かつ今までの話に影響を及ぼさなければ大丈夫じゃないかと。
さすがに十数人追加してとはいいません・・・多くても5、6人くらいかなと・・・
第一なのはキャラが少ない・・・このバトロワはクロスしてるキャラが出てるというのが魅力なのに・・・
ライダーも多いですし(好きですが)
確かに名簿確認をしてるSSは多数ありますが、そこで触れてないなのはキャラとかいるじゃないですか。(シャマルとかヴィータとか)
改めて今決めて、それで今後メンバー追加を絶対にしなければいいだけのことですし。
他作品キャラを増やすのは作者方の混乱を招く可能性がありますが、なのはキャラを出せば元々なのはがメインだったので作者方も書けると思います。
ただオレはシグナムが見たいんです・・・
あとライダーベルトはまだかなぁと楽しみにしつつ・・・
誠に勝手ながら失礼いたしました。
追加・減員するかどうかの話し合いは、人が多くないと無理ですね。
人が増える夜まで待ちましょう・・・・・・。
なかなか欲しいという声が上がらないキャロカワイソス
グリフィスとシーナって予約してもおkなんスか?
キャロ、私は欲しいですけどねぇ……
なのはキャラが少ないっていうのは確かにあるかもですね。今現在、なのはキャラのが陰薄いですし
まぁ案としては、足りない分のなのはキャラを出す為に、職人さん何人かに、特別になのは枠を一人追加するとか……
なのはキャラをまだ一人しか出してない職人さんに、もう一人なのはキャラを参戦させて貰うとか……
ですかね。
ただユーノvsアーカードの回とかは間違いなく修正いりますね
>>反目さん
どうでしょう……
私としてはグリフィスはまだ保留しておいた方が無難な気がしますね……
いろいろな意見があるみたいですし
少女なのはは入れたいなー
……いやね、ぶっちゃけ今気づいたんだけどさ、
OP書いた時も仮決定時のキャラを見て書いた訳ですよ
その……少女なのはいないと微妙に不自然になって……申し訳ないorz
>>65で書きましたが、追加という表現もおかしいんですよね。
ストーリーを早めてしまい、ルールは大丈夫だけど参加者のチェックが不十分だったというか・・・
なのはキャラを参加させれば、それぞれのキャラの行動範囲が更に広がると思うんです。
確かに、私も大人なのはがいて幼なのはが居ないのは不自然に思いますね……
フェイトさんは二人いるのに。
私はなのは分を増やすのには参戦ですね。新たな参戦作品を入れる訳じゃありませんし……
既存の参戦作品から各一人くらい増やしても大丈夫かと思います
まだ一人しかなのはキャラ出してない人もいますし、そういう職人さん優先で
今だからこそ言えますが、
あくまで青眼はガウェインのカウンターとして登場させたつもりだったんです。
まさかこんなオイシイキャラだとは思わなかったし、みんなが嬉々として対青眼談義を始めるとも思わなかったのさっ。
>>68 使えないならシーナを病院に行かせるだけですし、
使えるなら使えるでシーナの行動に説得力を与えられるんですよねぇ、グリフィス君…
とりあえず、皆様の意見を待ちます
>>72 確か、sts電王氏がグリフィスを予約していたはずですよ。
っと、ちょっと言ってみる。
でも、グリフィスが出てるあのSSはいいんでしょうか、OKなんですか?
その分はとっくに投下されてる件
>>72使っていいんじゃないでしょうか?俺も予定ではシーナさんと合流するのかは反目さんに任せてますたから。
今、海外にいるので投下できないので、1週間後に投下してもいいでしょうか?
>>72グリフィスは使ってもいいんじゃないでしょうか?
>>76 了解です。
何となく続きを書くみたいな感じの印象を受けましたんで、確認させていただきました。
>>77 おおおお! 来た来た来た!
待ってましたよ! いやーライディーンはもううろ覚えでして…
>>76 いや、そういう訳じゃなく貴方のSSが修正対象なんじゃないかって話ですよ…
なのはキャラを新しく参加させることでいいんでしょうか
自分は良いと思いますよ。追加する職人はマスカレード氏の提案通り、なのはキャラを一人しか出していない人優先って感じで。
まあ自分もその一人なのですが…自分の所から追加出来るのって、グレアムかルーテシアぐらいなんですよねぇ……。
やっぱ追加人数は合計で5人ぐらいですかねぇ? もしするなら、ナンバーズ辺りを多めにした方が良いと思う。今出てるの、全員主人公サイドだし。
とりあえず、作者さんたちがそれぞれ出したいキャラを表して、そこから数人選出したほうがいいかと。
最近顔を出している人からだと…SMC氏でしょうか?
氏のシグナムやチンク姉は欲しいなぁ…
シグナムの方は、バージルとは別の時間から連れてくるのもいいかもしれないですな。
バージルを愛してる姐さんと、姐さんをまだ愛してないバージルとか。
実はリリなのキャラ以外で、今でもダンテが欲しいのは内緒。特に赤字氏の。
まあそれはともかく、グリフィス君とシーナの話を投下してもおkですか?
>>82 超GJ! ですよ。
ちょっと読んでて混乱しそうだったんですが、分かりやすくなったと思います。
>>84 全力でいいと思います。
GOGO! 支援!!
走っていく。
森を抜け、微かに磯の香りが漂う方へ。銃声のした方へ。
グリフィスは走っていった。
この宵闇の中でも一際暗い森の中では気付かなかったが、今は眼下に何者かの足跡が見える。恐らくここを通った先人のものだろう、と彼は判断した。
足跡の主は、あの銃声を鳴らした側か、あるいはもう片方――狙われた側か。
思うように走れないのがもどかしい。足跡をつけた先人ほど肉体的に強靭ではない、ロングアーチの彼では無理もなかった。
徐々に息が切れ始めた頃、グリフィスはようやく砂浜へと到達する。
「なっ…!」
そして絶句した。
目に映ったのは2人の人間。
うち片方は、確か守護騎士の一角を担うザフィーラの人間形態だったはずだ。直接見たことはないが、資料では確認している。
そしてその彼が、流血で赤黒く染まった砂の上に倒れている。
――死んだ。
それは間違いないだろう。
では誰が殺したか?
「…ッ!」
びくりと震える少女の姿があった。
中世騎士のような赤い服に身を包んだ、同じく赤髪の少女。年齢はなのは達より1つか2つ下といったところだろう。
自分が持っているものと同じ種類のカードを左手に持ち、その傍にはナイフが置かれている。
加えて右手にはリボルバー。よく見るとザフィーラの額には穴が空いている。
殺したのは彼女だ。
それは確定情報と判断していい。
では何故彼女は震えている?
何故ああも怯えたような様子でいるのか?
何か事情があったのだろうか?
「…グリフィス、さん…?」
少女がグリフィスの名前を呼んだ。
彼自身に、彼女との面識は全くないのに、である。
先ほどから理解できないことずくめだ。
このゲームは一体何なのか。何のためのものなのか。何故少女は震えているのか。
そして、何故顔だけで自分の名前が分かったのか。
言うまでもなく、参加者名簿には顔写真などついてはいない。名前が書かれているだけ。
それこそ、既に知り合った仲でもない限り、一見での本人確認などできようはずもない。
「…君は誰なんだ? 何故、僕の名前を?」
故に、グリフィスは正直に問う。
相手をこれ以上怖がらせないよう、できる限りの優しい声で。
「!」
しかし、少女の目は絶望に彩られ、より一層見開かれた。
少女――シーナは途方に暮れていた。
見知らぬとはいえ、殺さなくてもいいはずの人間を殺めてしまった。
その事実はシーナの心を締め上げ、恐慌状態をもたらし、余裕を奪う。
歯ががちがちと鳴った。全身が寒さ以外の何かで震えた。
そこに驚愕も露わな表情と共に現れたのは、確かはやての副官だった管理局員だ。
ようやく知り合いに――恐らく味方に会えたと思った。自分の殺した男もまた、知り合いのザフィーラであるとも知らず。
「…君は誰なんだ?」
しかし、この言葉が全てをぶち壊した。
目の前のグリフィスは、シーナの知る世界とは別のミッドチルダの住人。そんなことは彼女は知らないし、恐らくグリフィスも知らない。
では何故彼はそのように振る舞ったのか。
――他人のふりだ。
シーナはそう理解する。
自分とお前に関係はない。仲間などではない。
そう言っているのだ、と。
「そこの彼は…君が?」
グリフィスは恐らく、精一杯穏やかに尋ねたのだろう。
しかし、その声音はシーナには正確に届かない。
自分は手を切られた。
そう信じた彼女の耳には、相手に対する疑念という名の変換器が取り付けられる。
相手に対する警戒のフィルターがかかった目には、その宥めるような表情は映らない。
そして彼女の脳内には、ありもしない続きの言葉が浮かんでいた。
――ナラバ、君ハ僕ノ敵ダ。
事実無根。被害妄想。
完全なる思い込み。
だが、しかし。
「あ…あぁ…」
シーナにとっては、それは何よりもリアルな真実となる。
「うあ…あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
悲鳴と共に駆け出す。
白き龍の書かれたカードと、透き通るような緑のナイフを強引に掴んで。
ザフィーラのデイパックそのものを手にする余裕など、ありはしなかった。
逃げなければ。
殺される。
嫌だ。
死にたくない。
殺されたくない。
「待って!」
グリフィスの制止も耳には入らず、シーナの姿は黒き森へと消えた。
支援
「…はぁ…」
1人取り残されたグリフィスは、その場でため息をつくと、ザフィーラの死体の元へと降りていく。
目線の先の同胞はもう動かない。それを再認識する。
その目に深い悲しみを宿し、小さく十字を切った。
グリフィスはザフィーラの遺体を担ぐと、その場から歩き出した。
埋葬せねばなるまい。寡黙故にほとんど話らしい話はしなかったが、恐らくいい奴だったであろう、この守護獣を。
(彼女は何故…僕から逃げたんだ?)
同時にグリフィスの中では、解けぬ疑問が渦を巻いていた。
何故自分がこんな目に遭う? 何故彼が死ななければならなかった? 何故彼女は自分にああも怯えていた?
「…ああ、くそっ」
苦々しげに吐き捨て、首を振る。
こんな余計な考え事ばかりさせられるのも、全てはあの2人組のせいだ。
止めなければならない。
これ以上疑問が沸いて、自分がどうにかなる前に。これ以上ザフィーラのような犠牲者が出ないために。
これ以上誰かがシーナのように怯えることがないようにするために。
「…やはり…まずは八神部隊長や、六課の皆と合流しなければな…」
グリフィスの呟きは誰の耳にも入らず、闇に溶けた。
【一日目 AM1:59】
【J-4 砂浜】
【グリフィス=ロウラン@リリカルなのはFeather】
[状態]健康
[装備]洞爺湖@なの魂
[道具]支給品一式、「バスターブレイダー」「魔法の筒(マジックシリンダー)」「光の護封剣」@リリカル遊戯王GX、
カードデッキ(ゾルダ)@マスカレード
[思考・状況]
基本 六課の面々と共にこのゲームを止める
1.ザフィーラを埋葬する。それが済んだらはやてを捜す。
2.あの少女…もう追い付くことはできないか…
「はぁ、はぁ、はぁ…」
どれほど走っただろうか。
シーナは息を切らして立ち止まる。
手を膝につき、ぜいぜいと吐息を吐きながら、焦点の合わぬ目を地面に向けた。
恐怖で血走った瞳はこれ以上ないほどに見開かれ、そこからは涙さえ滲んでいた。
顔中が流した汗と涙でぐっしょりと濡れている。
元の可愛らしい少女の面影はどこにもなく、今はただ、痛々しさだけがその顔を占有していた。
誰も信じられない。
先ほどの遭遇は、シーナの頭にはっきりとその思考を刻み込んだ。
味方などいない。全てが自分を狙ってくる敵。常に自分の命は誰かに奪われようとしている。
誰も信じてはいけない。
「…キリヤ…」
彼以外は。
鬼気迫る様相で逃げ続ける中、何度も何度も足がもつれ、転んだ。
それと同じ数だけ、何度も何度も脳裏に浮かんだ幼馴染みの顔。
「もう嫌…こんなの嫌だよ…キリヤぁ…!」
会いたい。
あのどこか間の抜けていて、面倒くさがりなところがあるけれど、何かあった時には誰より強い、キリヤに。
ぽたぽたと涙が溢れる。
一緒にいないことが、こんなに辛いことだなんて。
涙ながらに見上げた視線の先には、病院の赤十字マークがあった。
【一日目 AM2:21】
【H-4 病院】
【シーナ=カノン@SHINING WIND CROSS LYRICAL】
[状態]健康・恐慌
[装備]カノン@キノの旅 第X話「魔法使いの国(前編)」
[道具]支給品一式、ウィルナイフ@リリカルガオガイガー、「青眼の白龍」@リリカル遊戯王GX番外編
[思考・状況]
基本 死にたくない。キリヤに会いたい
1.この病院に隠れて夜をやり過ごす
2.どうして…どうしてみんなあたしを殺そうとするの…!?
[備考]
※極度の人間不信に陥りました。誰に何を言われようと、キリヤ以外は全て敵としか認識できません
投下終了。
ぶっちゃけ某罪滅し編にかなり影響されてたり。
かがみは何とか平静を取り戻せましたが、シーナは間に合わなかったようです。
そういや、以前参加者駆逐のために主催者が用意したイベントキャラ(ジョーカーでしたっけ?)として、
途中から狂化ディードを出すのはアリか否かと聞きましたが…さすがにそういう形では無理ですよね?
投下乙でした。
中々の発狂街道・・・・・・。
これから、どう進んでいくのやらw
ディード参加は、なのはキャラを増やすかどうかという、
今話し合っている議論で出す事にするか、
とりあえず出さないでおいて、マーダーが足りなさ過ぎるって時に、
出すかどうか話し合うって感じでしょうか?
今さらシンヤの武器が子安繋がりだったことに気付いて俺びっくり。
>>93 前者…ですかね?
GJ。凄く文章力があって尊敬!シーナが、これからどうなるか不吉な予感が…。
狂化ディードが出るんなら、血の雨が降りそう。
流石……シーナの心の描写が凄くよかったです。GJ
>>94 俺も今気づいてびっくり
偶然って凄いぜっ
外部からの参加ですが、挑戦させてもらいます。
アレクサンド=アンデルセン、フェイト=T=ハラオウン(StS)
高町なのは(StS)、マサキ=アンドー で予約します。
投下の期限は3日で良かったんでしたっけ?
長すぎてもあれだし、三日基準でいいかと
でもガチガチではないので、一週間以上とかじゃなければいいと思いますよー
なのはキャラの追加の話は自分も賛成ですね
追加するなら修正が多くなる前に、今の段階で追加してしまった方がいいと思います
なのはキャラが一人しか参戦していない人優先か、もしくはいつもここにいる作家さんから
の参戦にするとか、そういうのでいいと思います
>>97 フェイトとアンデルセン神父は前スレで予約が入っているようですが…
そして職人の皆様GJです
更新終わったら少し加筆修正し、それから万丈目・甲児・宗介のSS投下します
>>100 あれ、本当だOTZ
というわけで、予約は取り消します。
お騒がせしてすみませんでした。
いやいや、予約しておきながら中々投下しない自分が悪いんですからお気にならずに。
だども遅筆な自分とて、予約していた分は完成しとるのですよー。つー訳で、リリカル竜騎氏の投下が終わってしばらくしたら自分も投下したい所存。
>>103 …お先にどうぞ。こちらはもう少しかかるでしょうし
改めてまとめを見てみると、自分が既に他の職人さんの3〜4倍も投下してるのに気付いて、
「妙に必死で気持ち悪ぃな俺」と凹んでたりorz
でもロワみたいな単発ネタって書くの楽だから、ついついやっちゃうんだ…
あと龍騎氏、お手数ですが、黒鋼とつかさの話の削除をお願いします。
…ええ、そうです。NGです。
もう軌道修正してる暇もないし、仮にできてもぐちゃぐちゃになりそうしで…
お騒がせして申し訳ありませんでした(特にメビウス氏)。
>>105 お疲れ様です・・・・・・。
あんまり気負いすぎない方が良いですよ。
それなりに投下されてますし。
あんまり死なないので、人が減りませんが・・・・・・。
>>104 あ、良いのですか? では失礼ながら、先んじて投下させて頂きます。
といっても、アンデルセンとか遊戯王のゾンビ化ってあんま詳しく知らないので“それらしく”書けてるか自信ないんですよね。ある程度は調べたんですが。
話数は多いですけど、話の展開ではまだ序盤ですしね。
>>107 帰宅なので先に支援
大丈夫っすよ、元のSSからあんま遊戯王のゾンビっぽくないですから!
……自分で言って凹むな俺……
ああ…そうだ。そうとも!
筆が速いのは立派な取り柄じゃないかっ!
…自己リレーの概念も知らずに書いてたかがみルートでは、早くも他の皆様を置き去りにしていますがorz
ともかく、何だか元気が沸いてきたよ! ありがとう!
そして終わクロ氏支援!
その丘陵には三つの響きがあった。
――――――――!
一つは激突音。鋼と鋼、殺意と殺意が衝突する。
――――――――!
一つは疾走音。地と脚、速度を持って意思を具象する。
――――――――ッッッ!!!
一つは咆哮。汝生きたもうなかれ、と嘆願する、恐喝する、厳命する。
「殺―――――――――――――――――ッッ!!!」
「あはははははははははははははははははッッ!!!」
哄笑と唸り、それを引き連れて二つの悪意が交わる。
威力が、速度が、槍が、銃が、相手を喰い潰そうと牙を剥く。
苛烈な闘争が、その丘陵を駆け巡っていた。
●
速い、それがアレクサンド=アンデルセンの感想だった。
……雷の様な女だ……
右へ駆けたかと思えば左へ跳び、左へ追えば右へと滑る、捉えたと思ったら避けられ、こちらの隙を見ては銃撃する。
争いを求めてアンデルセンの前に現れた金髪の女、その速度と機動力は正に雷の模倣だ。
「あ―――は―は――――はは―――は――――――」
耳障りな嗤い声はその軌道を添い、アンデルセンの苛立ちを助長させる。
「……糞異端が!」
目の前の女が“ストラーダ”と呼んだ長槍、それをアンデルセンは突き立てる。生じた破裂音は、槍の穂先が空気を突破する音だ。それだけの速度が金髪の女を捉え、
「だめだめ☆」
躱された。女の足裏が丘陵を滑り、流れる様な動作が回避を成す。
「ばぁん」
攻撃の隙をついて女が発砲した。鋼の弾丸が硝煙を抜いてこちらの側頭部を目指す。当たれば確実に致死の一撃、だがアンデルセンにとってそれは避ける程の意味は無かった。
アレクサンド=アンデルセンの肉体には異常な治癒能力がある。それこそ“再生者”と呼ばれる程の、驚異的な治癒能力だ。例え首を刈られ、臓腑を破砕されてもアンデルセンは生き延びるだろう。
それが“普段の”アンデルセンならば。
「―――ッ!!」
だがアンデルセンは回避した。首を大きく捻り、ストラーダを振り上げる事で強引に体重移動、人為的に倒れ込んで弾丸の射線上から外れる。
そのままアンデルセンは丘陵に受身で倒れ、傾斜を利用して転がり、女との距離を取った後に起立する。
「……………」
アンデルセンの睨む先で女は酷薄な笑みを浮かべている。互いの距離はおよそ10歩分、槍を当てるには間があり、銃弾を回避するにも余裕がある、“何があっても対応出来る距離”だ。
……遅い……
アンデルセンの思考、それは女に向けたものではない。自身に向けたものだ。
自分はこれ程までに愚鈍だったか、と。それは否だ、と。
……まるで何かの制約があるかの様だ……
異常な身体能力の低下。相手が飛び抜けた速度を持つという事もあるが、自身の弱体化もまた、戦いが長引く理由だった。
そして身体能力が低下したのならば治癒能力も低下したのではないか、そんな推測がアンデルセンの脳裏にある。それが、“普通の銃弾を受けた程度”で死ぬ程の低下ではないか、と。
その危機感がアンデルセンに回避を行わせる。
……これもあの“主催者”共の仕業か……?
武器の奪取、支給品という形での付与、戦闘力の低下、これらから推測出来る“主催者”の狙いは、参加者の戦闘力均一化、という所だろう。
……あの糞餓鬼共め……ッ!
“覇王”や“神崎”と名乗ったあの男達により一層の殺意を重ね、同時に目前の女へとそれを集約させる。
……それにしてもこの女、喰屍鬼では無いのか…?
先ほど出会った時、この女はまるで夢遊病の如き足取りだった。双眸と表情には生気が無く、腐臭にも似た粘質の気配をまとうこの女を、アンデルセンは抹殺すべき化物と踏んだのだが、
……にしては動きが速過ぎる……
喰屍鬼とは愚鈍だ。遅々とした挙動の奴らは、相応の火力があれば普通の人間でも殺せる。
だが目の前の女は、制限されたとはいえアンデルセンですら追い付けない程の速度を持っている。しかもある程度の思考も出来る様だ。
体験・知識を問わず、アンデルセンはそんな喰屍鬼は見た事も聞いた事も無かった。
まあだからと言って、
「……貴様を殺す事に変わりは無いがな」
巡らせた無数の推測を断ち切り、アンデルセンはストラーダを構え直す。
……我々は何だ?
アレクサンド=アンデルセンはヴァチカンに所属する神父である。それもただの神父ではない。絶対唯一の神、その威光と正義の代行者、イスカリオテ第13課の鬼札なのだ。
その目的は憎むべき化け物共を撃ち抜き、切り裂き、引き裂き、擦り潰し、破砕し、焼き払い、皆殺しにする事にある。
そして何より、アンデルセンは“このゲーム”に関わる自分以外の全てを殺そうとしていた。
目の前の女を殺す理由は、それで十分だ。
「――死ね、化け物」
独白と共にアンデルセンは跳んだ。
丘陵をなぞる様に体躯が飛翔、幾度と触れる事も無く金髪の女に接近した。
「…すごい!!」
そんなアンデルセンに対して、金髪の女は応戦の構えと共に賞賛する。
「すごいよ、あなた!! すごいすごいすごいっ!!」
こちらの戦闘力への賛辞、それを連呼して女は告げた。
「――まるでっ! わたしみたいだ!!」
……ッッッッッッッッ!!!!
それは、アンデルセンが金髪の女と同種である、という意味。神威の代行者が、有象無象の化け物と同種であるという意味。
「しいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃねええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
憤怒が威力となって女に叩き付けられる。その両脚が竦んだ様に固まり、銃を持つ腕も半ばから上がっていない。それは萎縮だ。
そんな女の胸へとアンデルセンはストラーダを振り抜く。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
それは咆哮を越えた、最早超音波の域に至る叫び。
アンデルセンの一撃が迫り、金髪の女が致死を得ようとした、直後、
アンデルセンが消失した。
「――――?」
取り残された金髪の女は呆然とした表情、視線を左右に振ってアンデルセンを探す。
しかし、つい先ほどまで女を殺そうとしていた男の姿はどこにもなく、代わりに、やや離れた場所に第三者の影を見た。
それは白い侍女服を着込んだ女だった。
「――ご無事で何よりと判断します、ハラオウン様」
そう言って侍女服の女は一礼した。
●
Sfがその戦いに気付いたのは、彼女が丁度アヴァロンから出てきた頃だった。
簡単な探索と共にその施設を後にしたSfは、遠目に見える市街地を目指して進もうとしていた。だがそこで一つの反応が得られた。
それはフェイト・T・ハラオウンの子体自弦振動だ。周辺にハラオウンが居ると知ったSfは進路を変更、反応がある方へと歩を進めた。
そうして見つけたのが、ハラオウンと見ず知らずの男の戦闘だった。
「しいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃねええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
周囲を威圧する殺意の叫び、その轟きにSfはハラオウンの危機を悟った。
……このまま放置した場合、九分九厘でハラオウン様は殺害されます……
Sfにとっての優先順位で、ハラオウンはそれなりに上位の存在だ。彼女が失われる事は好ましくない。
故にSfは介入を決行した。
「IS、発動」
呟きは機能発動を意味する音声。環状の幾何学模様が足下に生じ、一拍遅れて侍女服のスカートから数百の小影が飛び出し、さながら竜巻の様にSfを周回する。
周回する影の群、それはSfの能力によって解体されていた武器の部品だった。やがてそれはSfの掌に集結し、本来の形へと再構築される。
ブーメランブレード、長さにおいてSfの身の丈を超える、巨大な弓なりの刃だ。
一対を成すそれの片割のみを構築したSfは、両先端に備わる取っ手を握った。両脚は地を力強く踏みしめ、上半身を大きく捻る。それはブーメランブレードの投げ抜き姿勢だ。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
構えたSfの視線の先で、男がハラオウンに接近する。長槍の矛先がハラオウンの胸部を捉え、数秒と経たずに致死を発生させるだろう。故に、
「………………っ!!」
Sfはブーメランブレードを投げつけた。砲丸投げにも似たモーションから放たれた刃は旋回しつつ高速で往く。
そして男の体に喰らいついた。
跳び上がっていたという状況も相まって、男はそのままブーメランブレードの威力のまま、遠くへと吹き飛ばされた。あれだけの慣性が加えられた武器だ、恐らく死亡しただろう。
「まあ、どうでも良い事ですが」
基本的に全参加者の排除を予定していたSfにとって、むしろそれは幸先の良い結果だ。
突如として男が消えた事に驚いたのはハラオウンが右往左往と視線を向け、やがてこちらに気付いたのか視線を定める。それに応じてSfはハラオウンへと近寄っていく。
「――ご無事で何よりと判断します、ハラオウン様」
目前まで歩み寄ったSfを、ハラオウンは未だ呆然とした目で見ている。
「危うく死ぬ所でしたよ? それを助けたSfに対し、ハラオウンは賛辞すべきと判断します。どうぞ」
と告げてSfは頭を下げ、登頂をハラオウンに差し出した。賛辞として頭を撫でられる為だ。
しかしハラオウンは一向に動かない。一拍、二拍と時間が過ぎ、三拍を過ぎた所でSfは顔を上げた。眉はハラオウンを避難する様に顰められており、
「ハラオウン様、その行動は恩知らずというものの体現だと判断しますが?」
Sfの確認、しかしそれへと返したハラオウンの言葉は、Sfの確認に対応したものではなかった。
「――あなた、だぁれ?」
直後、Sfはハラオウンに押し倒された。
「……は?」
後頭部と背に痛みと痺れを得て、Sfの唇から間の抜けた声が漏れる。
「あなたがやったの? あのひとをけしたのはあなた? あなたなんでしょう?」
ハラオウンは倒れたSfに飛び乗り、その腹部に尻を乗せて馬乗りとなる。両足は左右の二の腕を踏みしめ、Sfの反撃を封じる。
「じゃああなたがたたかってくれるの? たたかってくれるんでしょう? もうしんじゃうけど」
支援
「ハラオウン様? 一体どうされたのですか」
感情を持たない戦闘機人のSfは平静な声色でハラオウンに問う。だが相手はそれに気を止めた風も無く、片手に持った銃をこちらの額に向ける。
銃口が表皮に密着され、感覚素子がその硬度と冷たさをSfに知覚させる。
当然だが、この距離で銃撃されれば頭部は炸裂、Sfは生を保てない。
「――ハラオウン様」
「し」
Sfの呼びかけは、
「――お止め」
「ん」
届く筈も無く、
「――下さい」
「で」
引き金にかかる指が動じ、
「ね」
ハラオウンの上半身が消し飛んだ。
●
まず最初に起こったのは両腕の落下。肩と連結する二の腕がまるごと消失した為、肘から先が支えを失って地に落ちたのだ。
それから一時の静寂があった。
腹から上が無くなったハラオウンの胴体が、Sfに馬乗りしているという猟奇的な風景がそこにある。
思い出したかの様に血が噴き出したのは、その数秒後だった。
まるで噴水の様に、まるで花火の様に、粘質の赤が豪快に吹き上がる。
死んだ事を嘆く様に、生から解き放たれて歓喜する様に。
フェイト・T・ハラオウンの遺骸は、その体液を持って周囲を赤黒く染めた。
●
「クァハハハハハハハハハハッ! 死んだか!? 死んだか屑売女!!」
血を吹き散らすフェイト・T・ハラオウン“だったもの”。それを遠目にしてアンデルセンは哄笑する。その右胸はやや腫れ、右肩と左脇腹には裂傷がある。
「クカッ! クカカカカカ!! ゲァハハハハハハハハハハハハハ!!」
痙攣する様な大笑、そこには喜悦はあれど負傷の焦燥は無い。アンデルセンにとって、身に負った傷はその程度のもの、という事だ。
結果から言って、アンデルセンの身体能力と治癒能力は確かに低下していた。本来ならば右の肋骨や左右の裂傷程度、治癒するどころか負う事すら無かっただろう。だから、確かに弱くなっていた。
だがそれでも、“巨大な刃の全力投球を受けた程度”で死なない。アレクサンド=アンデルセンは例え制限を受けようとも、その程度で死なないのだ。
巨大な刃の一撃を受けたかに見えたアンデルセンは、実はストラーダを挟む事によって直撃を避けていた。それでも骨折や裂傷は得たが、地に着いたその瞬間から反撃に移る事は出来た。
食らい付いてきた長大な刃を握り、投げ返してやった。
その結果が、つい先ほどまで戦っていた金髪の女の胸から上を切り飛ばすという一撃だ。
「ク……ククク……クハハ………」
いつしか哄笑は静まり、アンデルセンは暴走する愉悦を胸の内に収めた。まるで幽鬼の如く立ち上がり、揺らめく殺気で笑みを彩り、アンデルセンは闊歩する。
「――さあ、次に死ぬのはどんな屑だろうなぁ?」
●
そんな散血の死が発生してから、数刻後。一人丘陵に取り残されたSfは、ようやく再起した。
「………とお」
粗方の血を放出したハラオウンの遺骸を腹の上から押しのけ、Sfはどうにか立ち上がる。
その全身は、ハラオウンの血によって赤黒く染め上がっていた。
「最早洗っても落ちない、と判断します」
唇を尖らせ、心無しか立腹した様子のSfはハラオウン“だったもの”を見下ろす。だがそれも詮無い事だと判じたのか、それに背を向けて周囲に目をやる。
見定めるのは、分断されたハラオウンの手に握られた銃だ。
「有り難く頂く事にします」
拾い上げたハラオウンの細腕は半ば死後硬直を起こしており、引き剥がすのに苦労した。だが戦闘機人としての馬力を使えば、数分と経たずに銃は回収出来た。
それを懐に仕舞い込んでSfは遠くを、その先にある市街地を見やる。
「……幾らかずれは生じましたが、当初の予定を続行します」
そうしてSfは、再び市街地に向けて歩き出す。
白かったその身を赤く染めた侍女は、次こそは自らが参加者を殺めるべく、行進する。
【フェイト=T=ハラオウン@リリカル遊戯王GX 死亡】
【一日目 AM1:55】
【現在地 D-1】
【アレクサンド=アンデルセン@NANOSING】
[参戦時期]第三話 撤退中
[状態]右の肋骨全てにヒビ・右肩と左脇に軽度の裂傷(絶賛治癒中)
[装備]ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]支給品一式・ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本:参加者・主催者を皆殺し
1:他の参加者は何処かな……?
[備考]
※治癒能力と身体能力の制限に気付きました
【Sf@なのは×終わクロ】
[参戦時間軸]第七章・対王城派戦後の撤収途中
[状態]健康・全身血塗れ
[装備]ブーメランブレード@なのはStrikerS(片方)・ヴァッシュの銃@リリカルTRIGUNA's
[道具]支給品一式・ラウズカード『ハート2 SPIRIT』@マスカレード
[思考・状況]
基本 早急な帰還を目指す
1.手っ取り早い手段として他参加者を排除する
2.まずは参加者が集まってそうな市街地を目指すとしましょう
3.あの男は何者なのでしょう?
4.ハラオウン様のあの様子は一体……?
[備考]
※ラウズカードは『未知の力を持つ道具』程度に認識しています
※D-1に“フェイト=T=ハラオウン@リリカル遊戯王GXの切断死体”“フェイトのデイバック”“ブーメランブレード(片方)”が放置されています
という感じで投下終了。
如何だったでしょうか? 自分なりに頑張った、と主張。
死者1名追加、あと前にSfを使いたいと仰って下さる御仁が居られたので、よりマーダー化した血塗れメイドを進呈(たまたまですが)。
>>117 反目のダンテに対する未練が断ち切られた!
白熱のバトルシーンを見て、反目の自信が喪失された!
Sfを進呈されたはいいものの、本当に街までたどり着くのか不安になってきた!
というわけでGJ!
>>117 投下乙でした!
流石アンデルセン、期待通りに殺して下さる!
フェイトは、ここで退場か・・・・・・。
あ、スンマセン…読み込みが足りませんでしたorz
アンデルセンと戦うのかと曲解してた…ゴメンナサイ
ゼクターやベルトですら没収されるのに武器作る能力って便利すぎじゃん
ISは彼女の固有の能力だから。
>>121 そんな事を言い出すなら元々身体能力が高い超人やら内臓武器がある奴やらはどうなるって事になるんだぜ
>>117 投下乙です!
フェイト…まあ元々死亡フラグだったもんなぁ
そろそろ参加させるなのはキャラを決めませんか?
125 :
マスカレード:2008/02/20(水) 22:41:25 ID:emHvfh25
フェイトさぁああああああああああああああああああぁぁん!!!!!!
フェイトさぁぁぁああああああん……!!
アンデルセンと遭遇した限り乱入が無い限り死亡という予想はしていましたが……
まぁやはり死んじゃいましたね……
一番好きなキャラだけにショックは受けましたが、これがパロロワなんですね
なんかメインキャラが一人死んじゃうと他もどんどん殺せる様な錯覚に陥ってしまいますね
取りあえず本格的に幼フェイト・北崎・光太郎を予約しますね。
126 :
マスカレード:2008/02/20(水) 22:42:10 ID:emHvfh25
忘れてました……
GJでした!
幼フェイトまで凶悪マーダーと鉢合わせっスか
絶望的だ…ww
GJです
フェイトさん…アンデルセンと会わせた時点で「どっちが生き残っても強力なマーダーになるかな」程度にしか考えてなかったんですが…
とりあえず、十字切っておいていいですか?
それと、投下していいですか?
どうぞー
カモン! ですねぇ。投下支援ですよぅ。
万丈目準は、怒っていた。
明日香が殺された事、そして何より、手を下したのが十代であるという事に。
もちろん十代の豹変に対する戸惑いや、明日香の死による悲しみもある。だが、それ以上に、
「おのれ……十代!」
十代に対しての怒りが勝っていた。
持っていたデッキも奪われた。支給されたはずの荷物も無い。
それでも、大切な仲間が少なくとも一人、場合によってはもっと多くここに呼び寄せられているだろう。
故に彼は、咆哮する。
「貴様の思い通りになると思うなよ……この万丈目サンダーが、貴様の目論見だけは阻んでみせる! ガボゴボ……」
自らの決意を、その声に乗せて放った……流されながら。
……そろそろ彼の現在位置を教えた方がいいだろう。
彼は現在、B-7の川をB-8方面へと流されている真っ最中である。
スタート地点が運悪くB-7の川の上だった事に加え、意外と流れが速いので、川岸に着けずに流されているのだ。
ちなみに支給品は彼と一緒に川に落ちた後、川の底で来るかどうかも分からない出番を待っている……
あ、溺れた。
一方、その流された先であるB-8の川岸。
そこでは、兜甲児が状況を飲み込むのに四苦八苦していた。
「こりゃあ……一体どうなってんだ?」
そう言いながら、自分がここに送られる前の事を思い出す。
確か管理局に保護され、協力すると伝えてから数日たった後、クロノと一緒に引越し荷物を運び込んでいたはずだ。
それが何をどうすればこんな大量の人をかき集めて殺し合いなんて状況になるのだろうか。少なくとも彼の持つ知識では全く分からない。
ふと、これは夢ではないのかと思い、自分の頬をつねってみる。
「痛てて、こりゃ夢じゃねえみてえだな」
痛かった。
となると、これは夢ではない。紛れも無い現実だ。
ならば今考えるべきは何故こうなったかではない。これからどうするべきかである。
……とはいっても、正義感の強い甲児のことだ。こんな殺し合いには乗るはずが無い。
「……覇王だかなんだか知らねえが、こんなふざけた事許せるわけねえだろッ!」
やはり、である。
先程の光景……明日香と隼人が首輪を爆破され、死んだ時の事を現実と認めた瞬間、その心に湧き上がったのは怒り。
いくらなんでも、無抵抗の相手を問答無用で爆殺とは非道にも程がある。
そしてそれは、そのままあの二人の主催者へと反抗するための力になる。古来より、強い意志は人に力を与えるものだ。
この瞬間、甲児は主催者へと抗う道を選んだ。
その頃万丈目は……
「……(ブクブク)」
流されながら溺れていた。そろそろB-8に到達する頃だろう。
(天上院君の仇も取れずに、こんな所で終わるのか……く……そ……)
溺れながらそう考え、そしてついに意識を手放した。
B-8地点には、川の他にその岸に岩場がある。
その岩陰に一人の青年の姿。見た限りでは、まだ高校生といった外見だ。
彼の名は相良宗介。極秘傭兵部隊『ミスリル』所属の兵士である。
今の彼を取り巻く状況は、一言で言うと「非常識の極み」だ。
何せいきなり拉致され、「殺し合え」だ。これが常識的ならば一体何が非常識だというのか。
ラムダ・ドライバの存在や、なのは達の一件で非常識には慣れていたつもりだった。だが、これはそれ以上である。
「……装備を確認しておくか」
そう言うと、手持ちのデイバッグを開いて支給品を確認する。
この殺し合いに乗るにしろ乗らないにしろ、自分の装備は知っておく必要があるからだ。
最初に出てきたのは名簿。かなめや上官の名があったら、すぐに合流せねばならない。そう思いながら開いた。
幸いそれらの人物の名は無い。だが、それ以上に自分の奇縁に驚く宗介だった……いや、実際に驚いているのかは謎だが。
(まさかこんな所にまで一緒だとはな……)
名簿には、なのはとヴィータの名が載っていた。
彼らには、かつてなのはが空を飛ぶ写真を見て、それをどこかの組織の兵器の類だと勘違いした挙句に拉致したという関わりがある。
その事は誤解だと分かり、謝罪と謝礼金を送ったのだが……どうやらここでも一緒だったらしい。
まあ、魔法などという芸当ができるのだ。そう簡単には死なないだろうし、それに今の所合流する理由も無い。
そう考え、名簿をしまって次の支給品を手に取る。
取り出したのは、一丁の拳銃だった。
この銃には対になるもう一丁の銃があるのだが、それは数十分後に因縁まみれの吸血鬼の少女によって使われている。
その名は『エボニー』。とある悪魔狩人によって使われた銃である。
「銃か……殺し合いをさせようと言うのなら、これは当たりの部類に入るか?」
そう言いながらエボニーを懐に忍ばせ、そして再び支給品のチェックに入った。
その頃万丈目は……
「……(ブクブク)」
未だに溺れていた。そろそろ助けないと命が危ない。
だが、どうやら神とやらは彼を見捨てなかったようだ。
「おい、大丈夫か! しっかりしろ!」
何者かが彼を助け、川岸まで運んだのだから。
もっとも、彼は意識が無いので気付いてはいないが。
時間はほんの数十秒ほど巻き戻る。
「それで、バルディッシュ……お前は本当に俺の事を知らないんだな?」
『ええ。少なくとも私のメモリーには、あなたの事は記憶されていません』
甲児は自分の支給品であるバルディッシュと話していた。
最初に見た時にはただのアクセサリーかと思ったが、説明書に載っていた「フェイトのデバイス」という情報に食いつき、今は情報交換の真っ最中である。
もっとも、彼はバルディッシュを直接見た事が無い上に、バルディッシュにも甲児の事は記憶されていなかったのだが。
余談だが、フェイトがバルディッシュと話した内容にも無いというのは、甲児にとっては多少ショックだったらしい。
『甲児、あなたは話によると、どうやらサーと協力して闇の書事件に関わっていたようですが……
どれだけメモリーを漁っても、闇の書事件の時にはあなたの姿はありませんでした』
「な、何だって!?」
これには多少甲児も驚く。
バルディッシュによると、彼が関わっていたはずの事件……通称『闇の書事件』には甲児は参加していなかったという。
リンディからカイザー暴走の一件を聞かされ、その時にフェイトと戦っていたから、記憶にあってもおかしくないというのに、だ。
これは甲児に関するメモリーが抹消されたという事か、それとも……
『疑うつもりはありませんが、あなたは本当に闇の書事件に「ん? ちょっと待てバルディッシュ」
と、甲児がそこで何かに気付いた。
近くの川の上流の方から何かが流れて来る。目を凝らして見ると、どうやら人間が浮いているらしい。
動く様子は皆無。ぷかんと浮いたまま流れて来ているという事は……!
「ありゃあ……」
『どうやら溺れているようですね……甲児、一体何を!?』
甲児が流されてくる人影を見つけ、それが溺れているのだと理解する。
そして、それと同時にバルディッシュを置き、川へと飛び込んだ。
バッシャァァァァァン!
何かが勢いよく水に落ちるような音。それも距離から考えると、すぐ近くだ。
この場合、重要なのは何かが水に落ちた事ではない。水に落ちる何かがあるという事だ。
見た限りでは会場に動物はいない。ならば落ちた、もしくは落としたのが人である可能性、大である。
それを念頭に置き、宗介は岩陰からその様子を伺い始めた。
「おい、大丈夫か! しっかりしろ!」
岩陰から見えた限りでは、特徴的な髪型の男が川から一人の男を引っ張りあげている最中のようだ。
この状況下で一体何をしているのだろうか。まさか溺れていた男を救出したとでも言うのか?
……まあ、いい。どういうつもりにせよ、これから見ていれば分かる事だ。
その間に殺し合いに乗るか否かを決める時間としても十分過ぎる。そして場合によっては……
彼はそう考えながら、懐のエボニーに目を移し、そして再び甲児へと目を向けた。
【一日目 AM0:37】
【現在地 B-8 岩場】
【相良宗介@フルメタルまじかる】
[参戦時期]4ふもっふめ終了後
[状態]健康
[装備]エボニー@魔法少女リリカルなのはStylish(残弾10/10 予備カートリッジ5/5)
[道具]支給品一式・ランダム支給品0〜2(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗るかどうかを考える
1:殺し合いに乗るかどうかを考える
2:あの男(甲児)を見張る。場合によっては殺害
[備考]
※岩場は川や川岸が見える位置に存在します
「くそっ、駄目だ。気絶してる」
甲児は川から引き上げた男……万丈目を見てそう結論付ける。
引き上げた時は一瞬最悪の想像が浮かんだが、息があることからそれは杞憂だったらしい。
だが、先程まで溺れていた男だ。おそらくそう簡単には目を覚まさないだろう。
それを考え、ため息が漏れる。
『どうするつもりですか、甲児?』
ここでバルディッシュの声がした。
溺れていた人間を見て、それを助けることに気がいっていたせいだろうか。甲児はバルディッシュの存在を忘れていたような表情だ。というか忘れていた。
……一瞬だけ心の中で「忘れててすまねえ」と謝罪した後、甲児が答えを返す。
「ん? ああ、とりあえずこいつが目ぇ覚ますまでここで待ってようぜ」
【現在地 B-8 川岸】
【万丈目準@リリカル遊戯王GX】
[参戦時期]第5話 ゾンビ生徒との戦闘直前
[状態]気絶
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本:十代の思い通りには絶対させない
1:……(気絶中)
[備考]
※支給品はスタート地点の川に落ちた際、回収できずに終わりました。現在はB-7の川底に沈んでいます
【兜甲児@魔法少女リリカルマジンガーK's】
[参戦時期]第四話 引越しの最中
[状態]健康
[装備]バルディッシュ@マスカレード
[道具]支給品一式・ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:この男(万丈目)が目を覚ますまで待つ
2:バルディッシュの言い分に困惑
投下終了
副題『万丈目がネタキャラと化したようです』
遊戯王GXとフルメタ未見なので、キャラがおかしい可能性大ですorz
GJ!
万丈目…アイテム無しでどうやって生き残るっていうんだ…?
ところで龍騎氏に1つ確認を。
実は自分がリリなのクロススレに来たのは、既にNANOSINGが6話ぐらいに差し掛かったころなんで、
あまり内容を把握できてないのですが…
ティアナの原作からの変化は、ヤクトミラージュ以外はどんな感じなんですか?
吸血鬼の少女、というのが気になりまして…
万丈目www良くも悪くも本編そのままになったかwww
>>137 SSを読んでは……?
吸血鬼って、一話の話ですよ
そういえばマップ絵つきでありましたけど、まとめに載せないんですか?
やっぱり、議論が忘れられてるOTZ
投下されると否応無しに流れが変わるからなぁ…
それとも避難所に議論スレでも立てるか?ただ、より閉鎖的になりそうで怖いんだが
もともとの出展がクロスSSからなのに閉鎖的なのを心配してもな
勢いがあるのはいいけど、足場固めないうちに書きたいだけ書くとあとでにっちもさっちもな状態になるよ
議論は、
・なのはキャラを増員を決行
・追加する人数はルールの項目を鑑みて5人(総合計が70人になる計算)
・追加する職人は「参加させているなのはキャラが1人もしくはいない職人が優先
というまとまりで良いのでしょうか?
だとすれば……自分の所からは「なのはFINAL WARS」の「ルーテシア・アルピーノ」を出したい所存。ていうか、他にいなかったりとか。
後、個人的な意見を言えば「シグナムとナンバーズを増やした方が良いと思う」って感じ? ヴォルケンであの人だけ仲間はずれだし、参加してるなのはキャラはみんな主人公サイドだから、っていうのが理由。
あんまり参考にされてないっぽいので、ロワのWikiの宣伝を(ry
まだ全部できてないけど。
ttp://www5.atwiki.jp/nanoharow/ 議論しても、投下のたびに議論が中断してしまいますし、
議論・毒吐き・死者スレ用に、なのはロワ専用の掲示板を借りてきましょうか?
今の避難所を使う場合や、私が避難所を用意するって方がいるなら自重しときます。
>>137 変化は一応元ネタのセラス準拠なので・・・
・怪力(大体デコピンで人間を血祭りにあげられる程度)
・日光に弱い(浴びれば灰になる)
・流れる水を渡れない(渡ろうとすれば同上。自分の棺桶に入っていれば例外)・ウォルター曰く「血を飲まないなら、せめて生まれた地の木で作った棺桶で寝ないと、力が弱まる(意訳)」
こんなところでしょうか。あとはドラキュラ伯爵でも思い浮かべればそれで出来上がりです
>>139 ・・・すいませんでした。時間がなくて出来ませんでした。
今日帰ったら早速やるとします
それと、前スレでも聞いたことですが・・・
リインが支給品なら、参加者のリインはどうなるんでしょう?
>>145 参加者は参加者扱い、支給品は支給品扱いで良いのでは?
支給品の方は、強制的に所有者の言う事を聞く様に制限が
掛かってるとかで、別物扱いとして。
大人フェイトと幼フェイトの違いみたいな感じで、「異世界のリインが二人いる」って事で良いんじゃないですか?
>>145 そうそう、元ネタを知らなかったから色々こんがr…ておああああああぁぁぁぁぁぁ!?
長所も弱点もまさにキ@ガイスペック…これがHELLSINGクオリティ…
…日傘探さないと危険?
>>146 >>147 なるほど、つまり別口として扱うということですか
リイン予約しようと思っていたので、ほっとしました
ということで、リイン・ヨハン予約します
こ、今度こそ!
高町なのは、エリオ=モンディアル、マサキ=アンドーで予約します。
ル…ルールーが欲しい…
彼女がいれば剣山との話が1つ書けるのに…
あと、万が一狂化ディードの許可が出た場合ですが…
・義手はAMFバリアだけを外してそのまま運用
・最初から武器があるのでランダム支給品無し
・構造上手持ち武器を保持できない
これらの設定を適用してもいいですかね?
…いや、あくまで出せればの話ですが。自分は結構キャラ出してる方ですし
152 :
マスカレード:2008/02/21(木) 13:09:15 ID:ZEt+6kBT
私もなのはキャラの追加に参戦ですよ
反目さんのルーテシアも、他出てないなのはキャラも参戦したら楽しそうですし
ディードもライダーロワで言うケルベロスみたいな役割はどうでしょう?
マーダーっていうかジョーカーですが
私もジョーカーポジションでダブト出したかったけど、あれはなのはキャラじゃないですしね……
・少女なのは
・ルー
・チンク姉
・シグナム
・ディード(別枠?ジョーカーとしての中盤以降の登場?)
・他戦闘機人
とりあえず追加候補として挙げられてる名前を
>>152 ジョーカーっつうと、確か主催の手先(意訳)ですよね?
計 画 通 り
実際問題、ウチのディードはかなり特殊ですからねぇ…主催側の優遇措置がないと、義手没収されかねないという…
あと、ウチのSSでのルーちゃんは基本空気なので、こっちは終わクロ氏頼みですorz
ディードってどれくらい強いんですか?
>>153 キャロが完全に忘れられてあるという事実。
>>154 頼まれた!? っても家のルー子もまだ第1話しか出来てないから、白天王死んでてクモンガ連れてるぐらいしか個性ないすよ!?
ガウェイン&青眼に並ぶ最後の巨大支給品として出すか? んでモリアに取られてオーズ的扱いになるとか? あーそれから、はんた、草加、城戸を予約したい所存。病院戦を進めるぜ。
ここまで来てまだ特に欲しいと言われないゼストキングカワイソス
>>155 切断力:以前よりもダウン(義手の爪よりもツインブレイズの方が強いです)
取り回しのよさ:以前よりも圧倒的にダウン
馬力:以前よりもアップ
それ以外の身体能力:変わらず
戦う姿勢:以前よりも容赦なく(何かしら吹っ切れたので)
結果・相手に与える被害:以外の1.5倍くらい
備考:付け焼き刃の戦闘スタイル故に、攻撃自体は大雑把です
>>156 「本編終了から時間が経過している」
それだけで価値ある個性ですぜ旦那。
そして病院戦承認!
俺はそれが書かれた後、その続きを書き…
青 眼 を 召 喚 す る !
>>145 追加、というか修正
・身体能力アップ(特に力。詳細は
>>145)
・第三の目(吸血鬼の持つ超感覚。視力増大・幻術などの打破。額に目があるようにイメージすれば使用可能)
・繁殖(他者の血を吸って殺せば、その人物はグールに。但し男吸血鬼が処女を、女吸血鬼が童貞をその手段で殺した場合は相手は吸血鬼に)
…確実に3つ目は制限対象でしょうけど
大丈夫!忘れられてんのはキャロだけじゃねぇ。少女はやてもいる。
適当さに定評のある俺がまとめたんだぞ!抜けがないわけあるまい!!
……や、すいませんでした
サイズが大きすぎますとか出てマップ画像がアップできない…
…(・3・)アルェー?
163 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/21(木) 21:41:19 ID:f+r0Kj/v
まとめサイト見てきたんだけど……
nanoharow @ wiki……
nanoharowaじゃないの?(最後のaがない)
ごめん。sage忘れた……orz
お、何か空いてるみたいなんで今の内に意思表明。「なのはキャラ5人追加」は決定した、って事で良いんですよね?
ならば自分ところから“ルーテシア@魔法少女なのはFINAL WARS”を参加させたい所存。
あとの4人はなのはキャラが1人、もしくは無しな職人さんのセレクションにお任せ。ただ自分としてはシグナムとキャロは誰かが入れといた方が良いと思います。ヴォルケンと新人4人組でこの人達だけ仲間はずれですもんねぇ……。
あーそれから、まとめやwikiにある参加者名簿でジェットジャガーが「なのは×終わクロ」の欄にありますが、ジェットジャガーは「なのはFINAL WARS」からの参加ですよぅ。誤記ってますよぅ。
し ま っ た !
……すいませんでした。修正しておきますorz
んと、お待たせいたしました。
小狼・モリア・ダンの話をかけましたので、今から投下いたします。
ちと量が多いので、日をまたがないときついので……
よかったら支援よろしくです
(俺は……)
小狼は、一体自分はどう動くべきなのかを考えた。
まず自分に支給されたのは、鉈と千年リングの二つ。
正直、バクラに関しては分からない事だらけなので置いておくことにする。
その後、小狼は鉈を見つめ……かつて、自分が愛刀の緋炎を手にした時の事を思い出す。
彼は元々、蹴り技を主体にここまで戦ってきた。
しかし、旅の最中でそれが通用しない相手と出会い……彼はそれを機に、新たな武器として緋炎を手にした。
その扱い方に関しては、黒鋼に師事をしてもらったが……その時に、黒鋼は小狼へとこう告げたのだ。
―――刃物はな、相手を選ばねぇ。
―――使い手が未熟なら、その未熟な切っ先のまま、斬る必要のないものまで斬っちまう。
―――例えば己自身、例えば守るべきもの。
―――お前が斬るべきものを斬れるようになるまで、それは解くな。
未熟な小狼では、まだ刀を扱いきれない。
だから、完全に力を己の物へと出来るようになるまでは、刀は抜いてはならない。
その忠告は、刀をずっと振るい続けてきた黒鋼だからこそ出来るものであった。
大切な者を守る為、守り通すための力を求めていた彼だからこそ、その言葉には説得力があった。
小狼の実力は、彼のレベルにはまだ届いていない。
しかし……それでも、その力でもやれる事はある。
守るべきものを守る事、その者の為に為すべき事……
(……そうだ)
何故今まで、迷いを抱えていたのか……答えはもう、出ているではないか。
黒鋼と共に、この殺し合いから生還する。
あの時、刀を手にした時に決めたように……生きてやると決めたことをやる為に。
守ると決めた、大切な者の元へと戻る為に。
その者のために、やり遂げなければならぬ事をやり遂げる為に。
小狼は、強く覚悟を固めた。
主催者を倒して、そして殺し合いを止めると。
「よし……!!」
すぐに小狼は地図を広げ、今後の事を考える事にした。
主催者を倒す為、その為に必要な事は何かを。
(くそ……どういう事なんだ!?)
バクラは今、予想外の事態に対して焦りを覚えていた。
それは、他ならぬ小狼の事である。
バクラは、己の持ち主の記憶を知る力がある。
彼はその力で、彼の事や黒鋼の事を知る事が出来たのだが……ここで予想外の事態が起きた。
彼の記憶をより深く探ろうとした所、その記憶には欠落があったのだ。
(記憶喪失じゃねぇ……こいつ、記憶そのものがねぇのか……!?)
小狼は、幼少時の記憶を持っていない。
本人は何かしらの理由で、自らの記憶を喪失してしまったと考えているようだが……
これは、記憶喪失などではない。
もしも記憶喪失であるのならば、それはただ記憶を『忘れている』だけ。
バクラの力なら、その忘れた記憶を知る事は出来る。
だが、彼にはその記憶その物が無い。
まるで、彼の人生はそこから始まったかのように……記憶を失う以前の記憶その物が『存在していない』のだ。
(それだけじゃねぇ……所々で、記憶が途切れてる部分がありやがる。
その点だけの記憶が、こいつの中には存在していない……?)
そして、記憶の欠落が見られたのは幼少時だけではなかった。
彼は異世界を旅している最中に、自らの意志とは関係無しに、突然体が動いてしまった事が数度あったらしい。
その時の事は、小狼は覚えてなく……そしてその記憶もまた、欠落している。
何故、この様な事態が起きてしまっているのか。
バクラは、全く見当がつかなかった。
(……こいつに聞いても、分かる訳がねぇ。
分かってたら、こんな事になる筈がねぇもんな……)
「……バクラさん?」
『あ……なんだ、呼んだか?』
「はい、これから何処に行くかを決めました」
本線出発進行!支援!
小狼は地図を広げ、自分達が今いる地点を指さす。
そしてその後、地図の上を走らせ、ある地点へと移動させる。
それを見て、バクラは思わず声を上げてしまう。
『あん……すぐそこじゃねぇか。
街とか病院とか、人の集まる場所に行く気はねぇのかよ?』
「勿論、人の集まる場所には行くつもりです。
だけど、多分そうやって考える人は大勢いますから……」
『……ああ、成る程な。
確かに、ゲームが始まってすぐの今じゃ、そういう場所には色んな奴等が集まりすぎる。
しばらく間を開けて、落ち着いてからの方が都合はいいな』
「はい……それに、ここは多分役に立つと思います」
小狼は、すぐ側のA−4にある施設―――工場を目指すつもりでいた。
彼がここを目的地にした理由は、大きく分けて二つある。
まず一つ目は、バクラも察したように、すぐに人の集まる場所へと向かうのは危険な為。
確かに、多くの参加者と接触は出来るが……同時に、殺し合いに乗った者達と出会う可能性も高い。
しばらく時間を置き、それから行くのが得策だからという為である。
そして、二つ目の理由は……首輪。
己の首に取り付けられた首輪を外すには、専門の知識と技術が必要不可欠になる。
そうなると、工場の存在はかなり大きい。
どの程度の規模のものなのかは、地図からは分からないが……行く価値はある。
『しかしそう言うって事は、ゲームには乗らないって判断していいんだよな』
「はい」
小狼は、自分は殺し合いに乗らないと言い切った。
先程は、この突然の事態に困惑し、更にバクラの存在もあったために、物事を全く冷静に考えられなかった。
だが……今は何とか平静を取り戻し、普段の彼に戻る事が出来ていた。
そして、主催者を倒すという道を即座に選んだ。
バクラはこれに対し、正直に言えば面白くないと感じた。
しかし……小狼の体を乗っ取ろうとは考えなかった。
いや、出来ないのだ。
(……こいつは、乗っ取れるかどうかちょっとやべぇかもしれねぇしな)
小狼の記憶を探った所、彼は相当に肝が据わった人間であるという事が分かった。
やろうと決めた事は、絶対にやりぬく人間である事が分かったのだ。
その最もたる例が、異世界への旅立ちを決めた時。
小狼は、自分の愛する者―――さくらを救う為に、その者と己との関係性を対価として魔女に差し出した。
普通、大切な者とこれまで培ってきた記憶が全て失われるとあれば、大抵の人間は長考してから結論を出す。
しかし、小狼は違った……対価を告げられた後に、それを払うと即答したのだ。
大切な者の命を救うため、己にとって掛替えの無いものを、迷うことなく差し出す。
それは、口で言うことこそ簡単だが……実行するには、あまりにも難しすぎる事である。
それだけではない。
これまでの旅においても、小狼は相当の真似をやらかしている。
さくらの羽根を手にするために、灼熱の炎の中に迷わず飛び込んだ事もあった。
卑劣な領主を打ち倒すため、単身で敵の本丸へと乗り込んでいった事もあった。
敵の攻撃を受けて全身を傷だらけにされながらも、決して倒れずに立ち向かった事もあった。
自らに戦う術を教えてくれた恩師を相手に、刀を向けた事もあった。
羽根が門外不出の国宝品として厳重に保管されていた時には、盗みまでも決行した。
(……幾らなんでも、ここまでやれる奴ってのはそうはいねぇぜ)
バクラは、小狼に対する評価を改めていた。
先程、出会って間も無くの時には、過小評価してしまったが……とんでもない。
自分は、相当の大物を新たな主としてしまったらしい。
これだけ強い意志を持っている相手を、果たして乗っ取れるだろうか。
(まあ……それだけじゃねぇんだがな)
それに、問題はもう一つある。
その問題こそが、彼の記憶の欠落だった。
一体、小狼がどんな謎を抱えているのかは分からないが……これを知った今となっては、迂闊に踏み込めない。
何かとてつもない事が起きるかもしれない……そう考えてしまったのだ。
(……旅に出てからの、こいつの記憶が欠落してた所。
それは全部、こいつが窮地に陥った時だったな……ここでやってんのは殺し合いだ。
もしかすると同じことが起こるかもしれねぇし、その時を待ってみっか)
バクラは時を待つ事にする。
この先、小狼が戦いに一切巻き込まれないという事は絶対に無い。
何かしらの危機が、きっと彼には訪れるだろう。
その時に、何が起こってくれるか……それを直接目にしなければ、何も出来ない。
『よし、それじゃあ工場に行くか?』
「はい……ですが、その前に」
『ん?』
小狼はデイバッグからメモ帳とペンを取り出し、何かを書き始めた。
まだ何か、やる事があるのか。
バクラは興味深げに、メモ帳を眺めてみる。
すると……メモの文面を見た瞬間に、バクラの顔から笑みが消えた。
『ここから先、重要な事に関しては筆談で行きます。
主催者は間違いなく、俺達の会話を聞いています』
『何だと……!?』
小狼は「やっぱり何でもありませんでした」と口で言いながらも、さらに筆記を続けた。
バクラは、自分達の会話が盗聴されている可能性に、今の今まで気付けていなかった。
しかし、考えてみれば当然の事である。
主催者達が、何らかの方法で自分達を監視しているのは確実。
そして、一番に考えられるのは……首輪からの盗聴。
『……分かった。
だが、俺との会話なら別に筆談の必要はねぇ。
普通に、話したい事を頭ん中で考えてみろ』
『……こう、ですか?』
『そうそう、そういう感じだ』
バクラは、小狼に心底驚かされていた。
確かに彼の記憶には、その頭脳を活かして危機を乗り越えた場面が幾つかある。
この若さで一人前の考古学者なのだから、常人よりも頭が回るのは当然といえば当然なのだろうが……
もしかすると、自分以上なのではなかろうか。
『全く、大した奴……』
「っ!!」
バクラが声をかけようとした、その時。
小狼が突然、地を強く蹴って横へと跳んだ。
一体何事かと思ったが、この直後。
それまで小狼が立っていた場所に、一発の銃弾が飛んできたのだ。
『はっ……早速お出ましかよ!!』
「誰だ!!」
二人は同時に、銃弾が飛んできた方向へと視線を向ける。
そこに立っていたのは……何とも、奇妙な男であった。
まるでラッキョウの様な末広がりの珍妙な体型をした、謎の巨漢。
そもそも、人間であるかどうかですら怪しい。
小狼とバクラは、その相手―――ゲッコー・モリアに対して、その様な感想を抱いていた。
「キシシシ……外しちまったか」
『こいつ……なんか、結構やばい感じがしやがるぜ』
「……あなたは、このゲームに乗っているんですね?」
「当たり前だ。
そうじゃなきゃ……こうして、狙わねぇよっと!!」
モリアは454カスールの銃口を小狼へと向け、その引き金を引く。
小狼は素早く横へと跳び、再び回避。
銃弾は、それまで彼が立っていた場所の背後にあった木に命中し、大きな風穴を開けた。
その破壊力を目にし、小狼は驚きを隠せない。
「何て威力だ……!!」
『ありゃ、流石に当たるとやべぇな』
「けど、近寄らないことには……!!」
小狼は、モリア目掛けてジグザグに動きながら、直進していく。
銃弾の攻撃は強力だが、その軌道は直線的なものである。
こうして横移動を軸にすれば、途中でペースを落としでもしない限り、何とか攻撃を避けられる。
遠距離から攻撃する手段が自分には無い以上、こうして距離を詰めるしか手はない。
「ちょこまかと動く奴だぜ。
やっぱ、なれねぇ武器は使うもんじゃねぇなぁ……なら!!」
『他にも何か、隠し持って……なっ!?』
直後、バクラは信じられないものを見た。
なんと、モリアの影がバラバラになったのだ。
とっさに上空を見上げるが、月明かりを遮るようなものは見当たらない。
そういう、光の問題で影が形を変えた訳ではなさそうである。
ならばこれは……魔法か、もしくは何かしらの能力。
「欠片蝙蝠(ブリックバット)!!」
予感は的中した。
バラバラになったモリアの影が、無数の蝙蝠となり……実体化したのだ。
モリアの力とは、影を支配する能力。
彼は『カゲカゲの実』を食べ、その力を手に入れた悪魔の実の能力者であった。
その能力により、彼は自分の影を立体化して操っているのだ。
蝙蝠達が牙を立て、小狼目掛けて一斉に襲い掛かってくる。
『影を操る力か……厄介なのを持ってやがんな。
どうするんだよ、おい?』
「大丈夫です、この距離ならギリギリ……!!」
小狼は、バクラに落ち着いて答えた。
そして、強く地を蹴って跳躍し……蝙蝠の群れ目掛けて、自分から突っ込んで行ったのだ。
バクラはそれを見て驚くも、確かにそれが正解であると感じた。
ここは蝙蝠を相手にどうこうするより、その大元を叩いた方が早いから。
今は両者の距離が、それなりに詰められている……攻撃が十分に届く範囲にあるからだ。
蝙蝠の牙が、小狼の身を掠めていく。
しかし、小狼はその勢いを落とさず……そのまま真っ直ぐに、モリアへと蹴りかかっていった。
「うおっ!?」
モリアはその一撃を、とっさに両腕で防御した。
直後、彼の腕に痺れが走る……予想していたよりも、小狼の蹴りは強烈であった。
しかし……それでも、耐え切れないという訳でもなかった。
モリアは、倒れる事無く踏ん張りきり……そして、力強く両腕を振るい上げた。
「くっ……!?」
小狼の体が、空へと投げ出される。
モリアはそこへ目掛け、カスールの銃口を向けた。
命中すれば、重傷は免れないだろうが……小狼も、この程度では終わらない。
彼はとっさに、鉈をモリア目掛けて投げつけたのだ。
刃物が飛んできたとあらば、流石にモリアとて避けざるをえない。
銃を降ろし、横へと跳んだ。
それとほぼ同時に、小狼も地面へと着地する。
(間を空けたら駄目だ……すぐに、攻撃に!!)
小狼は、再びモリアへと向かっていった。
ここまでの様子を見る限り、モリアは中・遠距離戦を得意としている。
ならばここは、至近距離で一気に行くべきである。
小狼は力強く地を蹴り、跳躍する。
そして、モリアの胴体目掛けて再び一撃を叩き込みにかかる……が。
「キシシシシ……残念だったな」
「これは……影……!?」
小狼の蹴りは、モリアをすり抜けた。
影法師(ドッペルマン)。
一体化させた影と自分自身とを即座に入れ替える、モリアの能力の一つである。
彼はそれを使って、小狼の攻撃を回避していた。
そして……小狼の背後を、取っていたのだ。
カスールの銃口が、小狼の脳天へと向けられる。
「くっ……!!」
『クソ……この野郎!!』
最悪の状況だった。
距離が近すぎるから、回避はまず間に合わない。
バクラが彼の体を乗っ取ったとしても、これではどうしようもない。
モリアが、引き金を引こうとする。
もはやここまでか。
小狼が、そう感じた……その時だった。
「なっ……何だ、こりゃ!?」
「え……?」
突然、モリアの体に異変が起きた。
引き金を引くことが出来ない……体が、全く動かないのだ。
まるで金縛りにあったかの様に、指一本動かす事が出来ない。
小狼は、その光景を見て唖然とするが……その直後。
彼の背後から、何者かが大声で叫んだ。
「今だ、早くこっちに!!」
小狼へと声をかけたのは、バイクに跨りカウボーイハットを被った中年の男。
モリアの動きを封じている張本人―――ウルトラセブンこと、モロボシ=ダンだった。
小狼は彼の言葉を聞くと、すぐに踵を返して彼の元へと走る。
そしてその意を察し、彼が跨っているバイク―――サイクロン号に飛び乗った。
「よしっ……しっかり、掴まっているんだ!!」
小狼が飛び乗ったのを確認し、ダンは金縛り―――ウルトラ念力を解いた。
ようやく、モリアは身動きが取れるようになるも……遅かった。
既に二人は、彼の射程範囲外に逃れていたのだ。
「くそっ……!!」
モリアは舌打ちし、銃を降ろす。
あの乱入者さえいなければ、確実にあの小僧を殺せた。
質の良さそうな素材を一人、早速手に入れられたというのに……実に惜しい。
「……まさかこの殺し合いも、世界政府のクソ爺共が仕組んだってか?」
モリアがこの殺し合いの場へと呼ばれたのは、世界政府から時空管理局への派遣要請を下された直後だった。
彼は最初の内は、その要請を快く思っていなかったが……部下からのある提言により、考えを改めた。
その内容は、異世界に潜む実力者達を確保すれば、更なる戦力の増強が図れるという事であった。
モリアにとって、戦いにおいて最も重要である要素とは、優秀な部下の存在。
かつて四皇の一人カイドウに敗れた時も、部下の質が違ったからこそ自分は敗北したのだ。
だから、時空管理局へと出向く事を決めたのだが……気がつけば、何故かここにいた。
こんな面倒な真似を、何故自分がしなければならないのか。
最初はそう思っていたが……広場での光景は、中々興味深いものがあった。
自分の見知らぬ力を持つ、謎の能力者達。
あの様な者達が、この会場には多く集まっているというのであれば……中々、強力な部下を作れそうである。
だからモリアは、この殺し合いに乗った。
この場で新たな部下を作り、元の世界へと帰還するために。
「まあ、考えてても仕方ねぇか……早いところ、次の相手を見つけねぇとなぁ」
その為にも、成さねばならぬ事がある。
一つ目は、部下の器となる優れた死体を手に入れる事。
二つ目は、その器に入れる実力者の『影』を手に入れる事。
モリアはこの二つの目的を為すべく、更なる獲物を目指して歩き始めた……
【一日目 現時刻AM0:55】
【現在地:B-2 丘】
【ゲッコー・モリア@小話メドレー】
[参戦時期]小話メドレー開始時
[状態]健康
[装備]454カスール@NANOSING
[道具]支給品一式、レナの鉈@なのはStrikers-NEXT
[思考・状況]
基本:優秀な部下を作り、ゲームに優勝する
1.強い人物の『影』を奪い取る。
2.奪い取った影を入れる為の器として、死体を手に入れる
「すみません、助かりました……俺は小狼って言います。
貴方は?」
「モロボシ=ダンだ。
まあ、無事で良かったよ」
それから、暫くした後。
二人はモリアからの追撃が無いのを確認して、サイクロン号から一度降りた。
互いの情報を交換する為、ゆっくりと話をしたかったからだ。
まずは簡単な自己紹介をした後、ダンは小狼へと手を差し出した。
小狼はそれに答え、彼と握手を交わす。
良い人だと、小狼はそう感じたが……この直後。
彼にとって……いや、彼とバクラにとって、少し予想外の事態が起こった。
「それと……後ろの君は?
見たところ、人間というわけでは無いみたいだが……」
「え……?」
『なっ!?
ちょ、ちょっと待て……お前、俺が見えているのか!!』
何とダンは、バクラが見えていたのだ。
驚き、小狼と二人で顔を見合わせる。
もしかして、殺し合いをするに当たり、バクラの姿は誰にでも見えるようになっているのではないだろうか。
そんな考えが、二人の頭によぎるが……すぐに二人は、それを否定した。
先程遭遇したあの男は、自分の事が見えている様子ではなかったからだ。
ならば、何故ダンにはバクラの姿が見えているのか。
二人はしばし、考え込み……すぐさまその答えを、導き出した。
『……お前んとこの姫さんと、同じ様な力があるって事か?』
『……かも、しれません』
さくらには、目に見えぬ存在―――幽霊などを見る事が出来る力があった。
そして彼女は、他にも様々な力を幾らか持っている。
思い出してみれば、ダンは先程不思議な力であの男を押さえ込んでいた。
もしかすると……彼は、同じ様に特殊な力を持っている存在なのかもしれない。
「見えるのか、か……つまり君は、本当なら小狼君にしか見えない存在という事でいいんだな?」
『……ああ。
俺はバクラ、こいつが持ってる千年リングに宿ってる魂だ。
お前……一体、何者なんだ?
ただの人間なら、俺の姿が見えるわけがねぇ……!!』
「……ただの人間なら、か」
ダンはしばし考えた。
彼が先程小狼を助けたのは、彼が殺し合いに乗っている人物には見えなかったから。
その瞳に宿った、確かな正義の光を見たからであった。
出来る事ならば、あの奇妙な男も倒しておきたかったが……ウルトラアイが無い今、それは出来なかった。
あの場では、ウルトラ念力で動きを封じるのが精一杯であった。
それでも、小狼を無事に助けられたから良かったが……しかし。
彼と違ってこのバクラという人物には、どこか得体の知れない所がある。
果たして、自分の正体を話していいものか。
そんな不安が、頭を過ぎるが……
(……だが、今は状況が状況だな)
しかし、現状を考えればそうも言ってられない。
折角、同じ志を持つ仲間と出会えたのだから。
それに、二人は薄々自分の正体に気づいているようである。
ここはやはり、素直に話すべきだろう。
「……君の言うとおりだよ。
俺は、人間じゃないんだ。」
『人間じゃない……?』
「君達は、ウルトラマンは知っているか?」
「ウルトラマン、ですか……?
いえ、俺は知りませんが」
「そうか……なら、一から説明しないとな」
ダンは小狼とバクラに、全てを説明し始める。
ウルトラマンの事、光の国の事、M87星雲の事。
異次元に生きる悪魔ヤプールの事、ヤプールが狙っているであろう闇の書の事。
そして……自分自身、ウルトラセブンの事を。
小狼とバクラは、ただ驚くしかなかった。
異世界の存在であるとはいえ、話のスケールを考えればそれも無理はない。
しかし……バクラはここで、ある違和感を覚えた。
彼の話には、一つだけ奇妙な点があったからだ。
『……モロボシさんよ。
あんたの協力者って……もう一度、よかったら言ってくれねぇか?』
「ああ、分かった。
ヒビノ=ミライ、高町なのは、フェイト=テスタロッサ、ユーノ=スクライア、クロノ=ハラオウン。
尤も、俺はメビウスから話を聞いただけで、直接の面識は誰とも無いんだが……」
『……やっぱりな』
「バクラさん……やっぱりって?」
『俺は、フェイトとユーノって奴には一回会ったことがあるんだ。
んで、その時……ユーノは、遺跡で発掘調査をしてた。
どう考えたって、闇の書の捜査なんてのとは無縁のな』
「何……!?」
『どう考えても、おかしな話だよなぁこりゃ……』
バクラの感じていた違和感。
それは、ユーノ=スクライアの事であった。
ダンの言う話では、彼は仲間と共に闇の書の捜索をしていると言う。
しかし自分が出会った彼は、それとは到底関係が無いと思われる遺跡の調査を行っていた。
闇の書とやらの危険性を考えれば、他所で遺跡を調査する余裕があるとは思えない。
『……相棒、モロボシ。
メモとペンをすぐに出しな……こいつは、ちょっと状況を整理した方がいい。
俺達三人の間には、何か妙な行き違いがあるぜ……』
【一日目 現時刻AM0:55】
【現在地:A-3 丘】
【小狼@ツバサ〜ミッドチルダ編】
[参戦時期]1話終了後
[状態]健康
[装備]無し
[道具]支給品一式、千年リング@キャロが千年リングを見つけたそうです
[思考・状況]
基本:主催者を倒して、このゲームを止める
1.ダンとバクラと、情報を整理する。
2.A-4の工場を目指し、首輪の解除に使えるものがあるかどうかを確認する。
3.黒鋼やなのは達と合流する。
4.ダンのウルトラアイを探す。
5.影を操る男(モリア)に注意する。
[備考]
※千年リングにはバクラの人格が宿っています。死霊の召喚は不可。
※ダンから、ウルトラマンに関しての情報を得ました。
※自分達の情報に差異があることに気付きました。
[バクラ思考・状況]
基本:暫くの間は、小狼に任せて様子を見る。
1.ダンと小狼と、情報を交換する。
2.小狼の記憶が欠落している理由を知りたい
【モロボシ=ダン@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
[参戦時期]14話終了後
[状態]健康
[装備]無し
[道具]支給品一式、サイクロン号@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー
[思考・状況]
基本:主催者を倒して、このゲームを止める
1.ダンとバクラと、情報を交換する。
2.ミライ達と合流する。
3.A-4の工場を目指し、首輪の解除に使えるものがあるかどうかを確認する。
4.ウルトラアイを探す。
[備考]
※バクラの姿が見えています。
※ウルトラ念力は、暫くの間相手の動きを封じる程度の効果しかありません
※自分達の情報に差異があることに気付きました。
以上、投下終了です。
タイトルは『決意と覚悟』でお願いします。
……バクラ、何か予想以上に悪戦苦闘しましたわ(汗
GJ!
…ってわぁーッ! やっぱりバクラに苦戦されてる!
なんかもう、扱いづらい爆弾をぶちこんでスイマセンorz
GJ!!
うあー! 小話メドレーの嘘予告なんてみみっちいものから、ここまでしっかりモリアを描いて頂けるなんて!! 感謝と同時に尊敬してしまいますぜ、自分は!!
モリアだ…なんてモリアらしいモリア……
モリアもマーダーの一人か
GJです
なんというモリアらしいモリア…
あれ?何でだろう。最強勇者ゾンビ軍団なんてものが脳裏に(ry
…さて、
>>109のレスによって、◆UOleKa/vQo氏=リリカル遊戯王GX氏がほぼ確定した件
>>185 言うな! 武士の情けだッ!
…しかし、既に皆が知っているというのならば、言うべき言葉は一つ。
よくぞ帰ってきた
すみません、リリカル龍騎氏にお聞きしたいんですが、
デバイス化したカイザーの正式名称はマジンカイザーでよろしいのでしょうか?
それと、作中では喋ってませんでしたが、ユニゾン、インテリジェンス、
アームド、ストレージのどれにあたるのでしょうか?
名称はマジンカイザーで合ってます
分類は…すいません、明日まで回答待ってもらえますか?
明日までにはリリカルマジンガーの5話投下できると思うので…
思えばあのマジンカイザーほど、魔力持たない人には役立たずな支給品も珍しいですな。
全身に硬い重りがつくだけという…
ところでルーちゃんってもう予約してもいいんですかね?
よろしいなら剣山とルーで1つ書きますが
リリカル龍騎さん、回答ありがとうございます。
明日まで、待っときます。
追加する参加者って全員決まったんでしたっけ?
それと、一部減らすって話はどうなったんでしょう?
んー、現状としては「なのはキャラを5人追加して参加者総数を70人とする」っていうのが決まってますよな。まあ2人脱落してるから、今からだと実質的には68人ですが。
んで「追加したいキャラ」って明言されてるのが、今んとこ家のゴジラクロス版ルーテシアだけっつう話ですよな。残り4人が決まれば、問題はないと思いやす。
……減らすって話は、無しの方向で?
候補でも有力なのが
・シグナム
・少女なのは
といった感じでしょうか
どの作品からかはまだ決まってませんが。
話の流れ斬っちゃってすみません……
北崎・フェイト・光太郎の話を書くつもりだったんですが、色々と事情があって、書くに書けなくなってしまい……
一回キャンセルしたいんですが、よろしいでしょうか?
問題を解決した後にまだ予約が入ってないようなら、その時もう一度予約入れます……
それから皆さんGJです!
色んなとこで色んなバトルが始まってますね
雰囲気出て来たって感じですw
一般人枠でアリサもよくね?
今参加してる職人さんで、なのはキャラが1人か0なのは自分を除けば、なのはFeather氏、メビウス×なのは氏、魔装機神氏、+仮面ライダー氏って所かな?
この人らが選出するも良し、他の職人さんが出すも良し、大元のなのはから出すも良し、ですねぇ。
自分としては、参加してる職人さんの中から出したい所すが。やっぱシグナムとかキャロは出した方が良いと思うなぁ。この人たち、除け者過ぎて哀れなんだもの。
>>195 SMC氏はバージルとグレイヴしか出してない過疎っぷりだZE!
個人的にシグナム姐さんとチンク姉はあの人待ち。
でも最近なかなか顔出してないみたいなんですよねぇ…
ところでバトロワ専用避難所の件は?
作ろうかと言ったけど、誰も反応してくれなかった……。
自分は正直に言わせてもらうとSMC氏のシグナムは好きになれません。
なんていうか、元々クロスでの恋愛とかに抵抗あったんですが、そこへきて
あの18禁を読んでしまったので、どうにも素直に喜べないんです。
もちろん自分の意見なんて何の発言力も持たないと思いますが、こういう意見を持つ人もいるってことはわかってもらいたいです
>>197 ほんじゃ、お願いしていいですかね?
明日になったら死者スレで書きたいネタもありますし
作ったほうがいろいろと便利だと思います。
うい。
今日は無理なので、
明日作ります。
>>198 そんなこと言ったら誰も出せなくなるってことぐらい理解できるよな?
ゾンビ化したフェイトやはやてのことを知らないヴィータ、旦那の下僕のティアナ、
これらのキャラが全部許容できてる人しかいないと思ってたのか?
よく分からないんですけど、なのはキャラをあと数人いれたら参加者は決定なんですよね。
>>202 もちろん理解しているつもりですが?
自分はこういう意見もあるという旨を述べたまでです。
なにもそれを無理に通そう等とは最初から思ってません。
それに誰も出せなくなるっていうのは少し極端では無いでしょうか?
自分は元のイメージを崩さないままに、クロス先キャラとの出会いで変わったキャラも見たことがありますが。
まあこんな事を言っても何にもなりませんし、あくまで「数ある意見の一つ」と捉えて頂けると幸いです
>>204 言い方変えようか
自分の好き嫌いだけ言ってどうする気?
意見じゃなくてただ「このキャラ好き」といった人に「俺は嫌い」と呟いてるだけだろ
少数の意見でも聞くべきです。
このロワの展開上どこの誰を出せば面白いかとか……
そういうこともよく話し合って決めればよいかと。
オレはシグナムが出れば…って、毎度毎度同じこと言ってるなオレ……
>>196
なんというか、シグナムは出しにくいっす。
バージルがヴィヴィオ登場前後の一番危険な状態で出してしまったので、出したら確実にBADENDの時のような惨事になりかねません。
まあそれも面白そうなんですが。
そしてチンクはグレイヴ絡みでのアイディアを検討中です。
っていうか中々ロワの良いアイディアが出なくて悩んでます。
>>205 言い方を変えても何も変わりませんよ。
嫌いと言ってるように取れたのならあながち間違いでもないでしょうし。
第一、最初から絶対に正しい意見なんてありませんよ。
貴方の言い分をそのまま鵜呑みにするなら、それはつまり「自分はこんなキャラを出したい」という意見を
述べた人の意見は全てまかり通るという事になりますが? それ以外の人の意見は全て無視しろと、そう仰る訳ですね?
ロワの性質上、色んな人の好き嫌いはありますし、そういった意見の一つを挙げただけに過ぎません。
何も自分が正しいとも思っていませんし、貴方が正しいとも思っていません。
リレー小説である以上色んな人が意見を出し合う事に、特に問題は無いと思いますが。
どちらにせよ、ここでそんな討論を繰り返しても何にもなりません。そろそろ話もスレ違いになりそうですし。
こんな下らない事を長々と書き込んでしまった自分が言うのも何ですが、お互いに自重しましょう。
>>207 そっかぁ…
姐「何故だバージル! 私達は…!」
バ「知らんな(バッサリ)」
姐「ぐふっ…本当に覚えていないようだな…
なら、今度は忘れないでくれ…私は、お前が誰を殺して、誰に憎まれようと…お前を…愛しているから…」
バ「…!?」
…ってな展開を期待していたのですが。残念無念。
そしてチンク姉を楽しみにしてます。
…さぁ、最大の候補が消えましたぞ。どなたが姐さんをとる?
やはり避難所は必須のようですね。
>>201さん、よろしくお願いします。
避難所、ありがとうございます。
では今後このスレは「作品投下」「支援」「感想」のみの書き込みに限定。「感想」も「毒」に分類される様なものは「避難所」の毒吐きスレにレッツゴー、という事で?
って、露和の方だったかOTL
すまんな、さっきのは無かった事(ry
>>213 既に、本家の方でばっちりつかっちゃってたから・・・・・・。
毒吐きとか死者スレが向こうにあると、色々と荒れそうで・・・・・・。
ちゃんとリロードしよう、俺OTZ
すみません、ちょっと間に合わないっぽいです。
なのは、エリオ、マサキの予約を、
一日延期させていただいてもよろしいでしょうか?
初っ端から、すみません。
アーカード「君達では私を倒せません。薔薇と共に散りたまえ…」
といった感じでカブトと対決…しないですよね…
>>190 今回の回答もかねて、本スレに5話投下してきました
…さて、いいかげん予約分書き上げねば…
>>218 しかしアーカードを倒すのは、あくまでも人間でなきゃいけないっぽいんだよな。
本人が「化物を倒すのは、いつだって人間だ。
人間じゃなければいけないのだ」って言って、人間やめたアンデルセンをぶっ殺したりしてたし
つまり、変身して装甲を纏いパワーを強化というのはダメで、生身のままで戦えということですか?
>
>>222 いや、変身は全く問題ないですよ。
アーカードの言う「化物を倒すのは人間じゃなきゃ駄目」ってのは、文字通り『人外』の相手を指してますから。
セフィロスとか、バージルとか、ウルトラマンとか。
……あれ、何かアーカードが倒せるかどうか凄い不安に
だからオレは、仮面ライダーカブトのゲームに出てくるコーカサスの声がアーカードと同じだから言ってみただけで…
自分がボケて解説するなんて恥ずかしい…穴があったら入りたい……
>>224 声ネタ…
よし、666の混沌の人を呼ぼうか
>>223 このロワの中で、『コイツは物凄く強い!』とか『反則じゃね?』っていうマーダーはどれくらいでしょう?
知ってる限りでは
・アーカード
・北崎
なんですが。
つ「はんた」
いや、だって素手で戦車を叩き壊す超人ですよ?
>>227 初めて知るキャラが多数いるので少し戸惑ってしまいました。
バージルやセフィロスってどれくらいの強さなんでしょ?
>>288 剣圧でぶっといパイプを輪切りにし、ザックスが戦ってたイフリートを一撃で仕留め、斬撃でビルを次々と両断する。
それがセフィロス!
よかった、何とか間に合った…
リイン・ヨハンのが完成しました。誤字脱字の確認を終え次第投下します
「一体この状況は何だ……?」
B-2の平地。リインフォースはそこに独り、佇んでいた。
今の状況は、説明するなら「いつの間にか連れ去られ」「殺し合わされている」の二言で済む。
最初は前のようにどこかに召喚されたのかとも思ったが、少なくともあれだけの人数を召喚する術などリインは知らない。
おまけに、今の姿は二度と使うことはないだろうと思っていたパイ=エンダーの姿。
ようやく主と暮らせるかと思った矢先にこれである。リインの中には、確かな怒りが渦巻いていた。
(さて、どうする……?)
リインフォースは考える。ここを生きて出るにはどうすればいいのかを。
まずは殺し合いに乗る場合。これは生存確率が低すぎる。
最初の部屋の時点では、見えただけでも軽く60はいた。もしかしたらもっといたのかもしれない。
自分は闇の書の管制人格だったから、戦闘能力には自信がある。だが、それでも下手をすれば一人で60人を相手にしなければならない。
おまけに自分の魔力も大きく削られている。この分では蒐集した魔法の威力も落ちているだろう。
そんな状況で戦い続け、それで最後まで生き残ることができるとはさすがに思っていない。
ならば抗い、主催を倒すか?
……少し考え、それも困難だと結論付けた。
それをするには、まず首輪を外す必要がある。だが、それまでに襲撃が無いとも限らないし、主催側に感付かれれば首輪がボン、である。
そしてリインが出した結論は、「どちらも困難」。彼女らしからぬ弱気な結論だった。
……ふと、彼女の頭にとある可能性が浮かぶ。
その瞬間、リインが足元にあるデイバッグを漁り、参加者名簿を取り出した。
……果たして、彼女の思い浮かべた可能性は見事に的中していた。
「主はやて……何故あなたまで、この狂った所に……!」
彼女が思い浮かべた可能性、それははやてが参加している可能性である。
それが的中していると分かった今、彼女の取る道は一つ。かつて自身の存在を消してまではやてを救おうとした彼女なら、おそらく進むであろう道を。
「……主はやて、あなたは私が、必ず生還させてみせます……!」
その道とは、はやてを生還させる道である。彼女はそのためなら何だってするだろう。
たとえ同じように名簿に載っていた仲間を、その手で殺してでも。
……もちろん、そうせずにはやてを生還させる術があるならば、迷わずそれを取るが。
決意を固めた彼女がまず行ったのは、支給品の確認である。
力が制限されている以上、支給品は言わば生命線。ならばそれを確認するべきである。
そうして最初に手に触れたものを取り出すと……世にも恐ろしいものが出てきた。
その恐ろしいもの……リンディ茶スペシャルブレンドを前に、しばらく固まるリイン。
このある意味劇物な品を見た彼女は、リンディ茶をデイバッグにそっと戻し……
「……さて、私の支給品は何だ?」
見なかったことにしやがった。
しかも、「私は何も見ていない」と何度も呟いている。かわいそうなのでこれ以上は触れないであげよう。
続いて彼女が取り出したのは、一台の携帯電話。説明書には『カイザフォン』と書かれていた。
カイザギアがあれば変身が可能とあったが、今は持っていない。故に、これは単なる携帯電話としてしか使えないだろう。
電話が繋がる相手がいるのならば有用だが、あいにく今はいない。その上扱いをよく知らないので、とりあえずは保留としておいた。
他に支給品があるのなら、それを武器に使えるかとも思ったが、あいにくラスト一個……いや、一本も役には立たなさそうだ。
「……主催者はこんなもので殺し合いをさせようというのか?」
ネギが出てきた。実際には首領パッチソードという名で、それなりに使えるはずなのだが、彼女はそれを知らない。
主催者はバカかと思いながら、デイバッグにネギをしまった。
と、その時である。カイザフォンが突如鳴り出したのだ。
これにはリインも多少面食らう。まさかここまで早く着信があるとは思っていなかったのだ。
そして着信があるという事は、カイザフォンの存在を知る何者かがかけてきているという事。
「く……これか?」
悪戦苦闘しながらも、何とかボタンを押して電話に出ることに成功したリイン。
そしてカイザフォンからは、
『もしもし、聞こえるか?』
男の声がした。
同刻、J-6南部の森の中。
ヨハン=アンデルセンはそこで、豹変してしまった十代について考えていた。
ほんの少し前まではアカデミアにいて、足りない食料を節約しながら食べていたはず。それが何故、ここにいる?
しかも、大量に集めた人間(その中には万丈目とレイの姿もあった)が殺し合いを強制させられ、見せしめにされた明日香は死亡。おまけに主催は十代。
これは十代をよく知る人間から見れば、到底あり得ないような出来事である。
百歩譲って他はあるとしても、十代がそれをやるわけがない。それこそ何か及びもつかないような事が起こらない限りは。
「これは……十代に何かあったな」
その及びもつかないことの正体は分からないが、それでも十代に何らかの異変が起こったというのは間違いない。
ならば逆に考えれば、その異変の正体が分かれば十代を止められるかもしれないという事。
そのためにも、まず必要なのは情報だ。それがあれば、もしかすると十代を元に戻す手立てが見つかるかもしれない。
となれば、まず行うべきは支給品の確認だ。この中に手がかりがある可能性もあり、身を守るためにもやっておかなければならない事である。
最初に取り出したのは、一丁のごついライフル。よく見ると、「当たり」と書かれたメモ用紙が貼られている。
「何々……この紙は一部の強力な支給品に貼られたものです。これを使って遠慮なく殺ってくださいね……だって?」
この「当たり」の紙が貼られているという事は、ヨハンの支給品である銃……ライサンダーZは、相当の当たり武器だという事がよく分かる。
それを見たヨハンは沈黙。真偽はともかく、相当強力な銃だという事は見た目からも分かる。
紙の内容にイラついたのもあるが、それ以上にこの銃が乗った者に奪われた場合の事を想像し、身震いした。
「これは、乗った奴に渡すわけにはいかないな……!」
そう言いながら、別の支給品を探すヨハン。次に出てきたのは一台の携帯電話。
説明書には『ファイズフォン』と書かれていたが、どうせ単なる変わったデザインの携帯電話だろうと思い、デイバッグにしまおうとした。
が、そこで一度思いとどまって開き、電話帳を出す。
そこに登録されていた番号は、主要施設全ての番号と、他に支給されている電話……カイザフォンとサイガフォンの番号。
もし誰かが電話に出れば、その人物と情報交換が可能。そう考えたのだ。
そしてヨハンは最初に目に付いたカイザフォンへと電話をかけた。
しばらく待つが、出ない。相手は電話に気付いていないのだろうか。
もう切ってしまおうか。そう思った頃に、発信音が消えた。相手が電話に出たのだろう。
ヨハンは確認のため、電話の向こうにいるであろう何者かに呼びかけた。
「もしもし、聞こえるか?」
【一日目 AM1:25】
【現在地 B-2 平地】
【リインフォース@スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL】
[参戦時期]10話終了〜11話開始までの間
[状態]健康、パイの姿
[装備]なし
[道具]支給品一式、カイザフォン@マスカレード、リンディ茶スペシャルブレンド(砂糖40倍)@仮面ライダーリリカル電王sts、首領パッチソード@ナナナーナ・ナーノハ
[思考・状況]
基本:はやてを生還させる(手段は問わず)
1:電話の相手に対処
2:私は何も見ていない……
3:はやて生還のために、あらゆる手段をとる。必要とあらば殺しも辞さない
[備考]
※首領パッチソードの詳細を知りません
【現在地 J-6 森】
【ヨハン=アンデルセン@リリカル遊戯王GX】
[参戦時期]第九話 食事中
[状態]健康
[装備]ライサンダーZ@魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――
[道具]支給品一式、ファイズフォン@マスカレード、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本:十代を止める
1:十代の豹変の理由など、情報を集める
2:そのために電話の相手と情報交換
3:ライサンダーをマーダーに渡さない
[備考]
※一部の強力な支給品に「当たり」と書かれた紙が貼られています
※どうやらサイガフォンが誰かに支給されているようです
投下終了
本当はサイガではなくデルタにしようと思ったんですが…デルタフォンって携帯電話として使えましたっけ?
GJです!
『しやがった』に盛大に吹きましたww
携帯として使えますよ。それにしても、リインがカイザフォンを持つとは……安全に変身できるのはオルフェノクである北崎か草加ぐらいなんですよね…
>>235 携帯で、ロワ用のまとめページからSSが見れません…
GJです!
灰化するのは人間だけのカイザフォンよりも、上級オルフェ以外は全て灰化してしまうサイガフォンの方が悪質さはよっぽど上なんですよね
そうなるともう北崎以外には使えない気が……
その辺の制限とか、特別なルールとかもまた考慮した方がいいかもしれませんね
デルタフォンは一応電話としても使えます。ただ、一々番号を音声入力しなきゃならないのでかなり面倒ですが……
さて、マスカレードとなのは+ライダーさん、他にもスクリームさんや正伝さんの作品からデルタドライバーを複数持ち込もうとしてた私はどうしようw
まぁ登録されてなかった事にすればいい話ですが
ライダーズギアといえば、イーグルサットやホークアイの描写も考えなきゃならないんですよね
この世界にもイーグルサットがある……みたいにすれば面白いかもです
さ……早くマスカレード17話を書き上げてロワも書かないと……
239 :
マスカレード:2008/02/24(日) 06:49:13 ID:IC20yXu9
あ……そういえばヴィヴィオとかも忘れられてましたね
GJ!
こういう戦いの中で遠距離会話が出来るってのは便利そうですよねぇ。そしてカイザ&ファイズの変身は成るのでしょうや!?
あーそれから、ちょっと遅くなりましたけど家の予約分も完成しましたので投下したい所存。
ちょっと未定気味だったルールを固めてみたので、その辺のOK・NGも見て貰えると有り難い。
突然の頭痛に、草加雅人は足を止めた。
それは硝子を引っ掻く様な甲高い幻聴を伴い、彼の意識を責め苛む。
「…………っ」
思わず右手を額に当て、顔を顰めてしまう。と、その様子に気付いたのか同行者がこちらへ振り向いた。
「雅人、どうかしたのか?」
同行者、城戸真司。
この“ゲーム”において草加が最初に出会った、自分以外の参加者。
もう一つの言い方をするなら、草加が最初に手に入れた“駒”か。
「…いや、ちょっとめまいがしてね。気にしないでくれ」
そう言って草加はごまかしと共に笑みを返す。だがそれは“本当は大丈夫ではない”という事を匂わせる、苦笑に近いものだった。
「本当に大丈夫か? どっか部屋に入って休むか?」
思惑通り、城戸はこちらを気遣って休憩を提案してきた。その事に、相変わらず単純な奴だ、と感想を抱き、と同時に城戸が見渡した自分達の周囲を再確認する。
そこは白亜の廊下だった。
清潔さを主張する為か壁や天井が白の壁紙で包装され、床は黒のタイルが敷かれている。向かって左の壁にはスライド式の扉が、右の壁には窓硝子が並列し、施設の2階という高地故に地上を見渡せる。
典型的な病院の廊下だった。
「休む部屋には事欠かないぞ。何たってここは病院なんだからな」
励まそうとしているのか笑みを向けてくる城戸に、そうだね、と草加は相づちをうつ。
……馬鹿な男だ……
再三になる城戸への評価を草加は抱く。
参加者同士が殺し合うこの“バトルロワイヤル”、その中にあって無心に自分以外の参加者を助けようとする男。これを馬鹿と言わずして何と言うのか。
……まあ、だからこそ扱い易いんだけどな……
相づちと共に浮かんだ草加の笑み、それが嘲笑であったと城戸は気付かないだろう。
「本当に大した事じゃないんだ、気にしないでくれ」
「……本当か?」
殺し合いという状況に不安を抱き、些末な事にも過剰な対応をしてしまうのだろう。歯切れの悪い城戸の態度に、草加は内心で鬱陶しく思う。
そうして、何か話題を変えるか、と視線を上げれば丁度いいものを目に入った。
「じゃあ…城戸君、あの部屋で休まないか?」
草加が前方を指差し、城戸はその先を見る。
やや斜めに向かう指先は左手の壁、つまり並列する病室の扉を向いている。指が定めるのはその内の一つ、扉の脇に無数のネームプレート入れが張り付いた扉だ。
無数のネームプレートが必要になる病室、それは複数の病人が寝る大部屋だと言う事だ。
その扉を開いて中を見た時、草加はその予想が正しかった事を確認した。
「おお、ベットが沢山ある」
一歩後ろに立つ城戸が内装を口にする。
大部屋に置かれたベットは全部6つ、向かって左に3つと右に3つ、全て枕のある側を壁に密着させた配置だ。シーツや壁は白く、正面の壁一面に嵌められた窓硝子が夜の野外を見せている。
「ここを拠点にしよう、城戸君」
言いつつ草加は室内に歩を進めた。
「部屋は大きくベットもある。出入り口は一つだけ、窓は大きくて開放感があり、しかも2階だから敵に入られる心配もない」
まあオルフェノクみたいな化け物がこの“ゲーム”にいた場合、その限りではないだろうが。
「……ここで一休みして、それから病院内を探索しようか。それから、傷付いた参加者に出会ったらここへ連れてこよう。ここでならきっと守れる」
そんなつもりは一切無いがな、と草加は内心で付け加える。傷付いている奴がいたら始末する、そうでなくとも利用する、助けるという行動は論外だ。
「成る程な……、やっぱり雅人は頭が良いな!」
「それ程でもないよ」
……お前が馬鹿なだけさ……
城戸に背を向けているのを良い事に草加は露骨な嘲笑を浮かべる。そのまま一番奥の左側に並ぶベットへと腰を下ろし、
「俺はこのベットを使わせてもらうよ。城戸君も、好きな所を使うと良い」
城戸に行動を促す。
言われた城戸はどこか嬉しげに室内へと足を踏み入れ、
「そうだな、俺はどのベットを使わせてもらおうか――」
た瞬間、盛大にずっこけた。
「……………………」
その結果に草加は呆然とする。それ程までに見事な転倒ぶりだったのだ。
一切の受身を取る事無く、全身の全面を大振りにして床へと叩き付けられる。その遠心力のせいなのか両腕は上に伸びきり、城戸は一直線の姿勢で床に倒れている。
……馬鹿の上に、阿呆だったのか……
その感想を内心に収めるのは、非常な労力が必要となった。あらゆる嘲笑の動作を殺し終えた所で、草加は口を開く。
「……大丈夫か、城戸君?」
心配する振りをして草加はベットから腰を浮かせる。直後、
「っ!?」
何かが病室の床に飛来した。飛来物は衝突の衝撃に砕け散り、甲高い音を立てて破片を周囲に散らす。
突然の異変に草加は両腕で頭を庇い、腰を引かせた。それを解除するのは、破砕発生から数拍後だ。
「一体、何が」
恐る恐ると腕を下ろし、飛来した何かを草加は見る。
衝突によって砕け散ったそれは、原型を影も形も留めていない。だが霧散した破片からそれを予想する事は出来る。
透明度の高い硬質な破片、大多数は粒子と呼べる程に細分化されている。そこから草加が想像する原型は、
「……瓶?」
それは瓶だったのだろう。辛うじて残っていた大きな破片、それが円柱を象っていた事からそう思う。
しかし何故そんなものがここにある、否、飛来したのか。
考えようとした草加は面を上げた。
「――!?」
そして見た。
視線の先、倒れた城戸の背を踏みつける人物を。巨大な鉄槌を右手に持ったその男を。
「動くな」
男は城戸を踏みにじり、軽く苦悶を上げさせる。
その事で草加は、新たに現れた事が敵にしかなりえない事を悟った。
そしてその男が三度目の言葉を放つ。
「――お前らが“ゼロ”の手下か?」
放たれた声色は、まるで悪魔の様だ、と草加は思った。
●
はんたがその男達を見つけたのは、丁度そいつ等が病室に入っていく所だった。
……奴らか……?
二人組の男、その後ろ姿にはんたは疑惑を抱く。つい先ほど、自分をこけにしたゼロなる男の手下なのだろうか、という疑惑を。
ゼロ、思い起こすのも忌々しい男。それを思い起こしてはんたの内心が荒れる。
……借りは必ず返してやる……
この自分を相手にし、小細工で逃げ延びた口の達者な男だった。奴に曰く、この病院には“黒き騎士達”なる手下が潜んでいるらしい。ゼロが病院に仕込まれた爆薬を操る以上、奴の手下を狙うしかない。
目の前の2人が“黒き騎士達”なのか、それとも違うのか。
……どちらでも構わないがな……
その思いによってはんたは考察を断ち切る。
はんたがこの殺し合いにおいて選んだスタンスは“皆殺し”だ。
自分を除く全ての参加者、その末には主催者である2人の男も殺す。そうやって全てを終わらせる。
それこそがはんたの選んだ道だった。
故にはんたは、二人組の男を強襲する事にした。
「成る程な……、やっぱり雅人は頭が良いな!」
「それ程でもないよ」
二人組の片割、“雅人”なる男はすでに部屋の奥だ。もう一人の方は出入り口の辺りに立っている。
通路の暗がりによって身を隠したはんたは息を殺し、もう一人が動くのを待つ。そして、
「俺はこのベットを使わせてもらうよ。城戸君も、好きな所を使うと良い」
部屋の奥から響いた“雅人”の声、それによって動作を作った。
「そうだな」
“雅人”の言葉にもう一人が歩を進め、
「俺はどのベットを」
通路がもう一人の男の死角になった所で走り込み、
「使わせてもらおう」
扉の縁に背を付け、そして後ろ手に一つの物品を室内に投げた。
投げ入れたのは院内で手に入れた空の酒瓶。円柱型のそれは室内を転がり、もう一人の男が持ち上げた男の片足を潜り、下ろされた足裏と床の間に割り込んだ。
それによって生じるのは、円柱を踏んだ事による着地の不安定、
「か――」
そして転倒だ。
男は豪快にも前のめりに倒れ、その前面を床に叩き付ける。
「……大丈夫か、城戸君?」
どうやら“城戸”というらしい転倒した男、それを気遣ってか“草加”が動いたのをはんたは悟る。
しかし“城戸”を転倒させ、宙へと跳び上がった酒瓶がそれを止める。
「っ!?」
中空を下る酒瓶が床に落ち、その衝撃によって炸裂した。破片を室内にまき散らし、“雅人”を驚愕によって停止させる。
その隙をついて、はんたは動く。
起立と疾走は同時に発生、扉を回り込んで室内に入り、左足を持って転倒する“城戸”の背を踏みつける。
「――!?」
「動くな」
“城戸”は踏みつけられた事によって、“雅人”は視界を広げた事によって、はんたに気付く。
だがはんたはそれを無視して問う。殺すべき相手に、気遣う必要などない。
「――お前らが“ゼロ”の手下か?」
●
「……ゼロ? 誰の事だ?」
突如現れ、城戸を踏みつけた男の問い。それに対して草加は率直な感想を口にする。
……人の名前か?
しかし名簿を見た限りでは“ゼロ”という名前の参加者はいなかった筈だ。ならば偽名という事か。そしてこの男は“ゼロ”と敵対関係にあるという事か。
……まさか、もう衝突が始まっているのか?
“ゲーム”が始まって2時間が過ぎた。
自分や、おそらく目の前の男の様に“ゲーム”に乗った者達が既に争い始めていても可笑しくはない。
ただ、今ここで襲われる、というのは想定外だった。
「質問に質問で返すな。訊いているのは俺だ」
現状の主導権は男が握っている。どうやら男は、こちらのあらゆる行動を許すつもりはなさそうだ。
「お前は“ゼロ”の手下か? 違うのか?」
再度の問い。
もしここで男の意にそぐわぬ事をすれば、どうなるか。
城戸にそれが行けば良いが、自分に来る可能性もある。よしんば城戸に行ったとしても、次に来るのは草加だろう。
故に草加は正直に答える事にした。
「……違う」
「そ、そうだそうだ! 俺達はゼロなんて奴、知らないぞ!?」
男に踏みつけられた城戸が便乗して喚く。が、黙れ、という男の一言と共に踏みにじられて押し黙った。
「とぼけているのか? それとも、本当にそうなのか?」
まあどちらでも良いが、と男は区切る。そして、
「――お前らを殺す事に変わりは無い」
断言した。
……頭おかしいんじゃないか!? この殺人鬼が!!
自身の指針を棚上げして草加は内心罵倒する。
殺人という行動に耐える方法は、主に二つある。
誤摩化すか、軽視するか、だ。
自分はこうした理由があったから人を殺した、という理由付けが“誤摩化し”。
人を殺す程度の事が一体なんだというのか、という理由付けが“軽視”。
自分は前者だが、この男は恐らく後者にあたるのだろう。
……こんな糞野郎を相手にしてやれるか! 何か、何か対応策を……
最初から城戸の救出という行いを除外し、草加の思考は巡る。
「お前の支給品を寄越せ。さもなければ、この男の脚を砕く」
「……雅人! 俺に構わず逃げろ!!」
……当たり前だ! 誰がお前を助けるか!!
城戸を踏みつける男の要求、踏みつけられた城戸の言葉、そのどちらも草加は罵倒する。城戸の救出を最初から考えない草加にとって、それはどれ程の価値も無いからだ。
……糞野郎……俺を殺す前に、こっちの全てを奪い取ろうという判断か!
考える。
何とか自分だけでも生き残る方法は無いか、と。しかし男はその猶予を与えるつもりはない様だ。
「俺がやらない、と思っているのか?」
こちらの不動に痺れを切らして男は動く。
背に置いていた足を城戸の右足首に移し、右手に持った巨大な鉄槌を高々と振り上げ、そして、
城戸の右膝を粉砕した。
「――――――――――――――――――――――――――っッっ!!!」
城戸の口から溢れるのは獣声。大き過ぎる痛みが、本能としての反応が、城戸の声から人間らしさを消失させた。
そして男が鉄槌を持ち上げた時、そこに城戸の膝は無かった。否、“膝だったもの”ならばあった。
圧倒的な腕力と重量によって振り落とされた一撃によって平たく潰れ、さながら薄いハンバークのとなった肉体を“膝”と定義出来るならば、の話だが。
圧縮されたのが原因か、皮膚から血液が噴出し、平面化した肉皮に砕かれた骨の輪郭が浮き出ている。
「お前が望むなら、或は遅いなら、あと三回は繰り返せるな」
男の言葉は忠告だ。仲間の四肢を守りたければさっさと言う事をきけ、と。
……下らない、俺が言う事を聞いたらまとめて殺す気だろうが!?
だが男にとって、そして城戸にとって不幸な事は、“草加が城戸をどれ程も助けたいとは思っていない”という事だった。
男の忠告は草加にとっては幸運、“あと3回分の猶予が出来た”と思うだけだ。
だから、
……何か、何か考えなければ……
「――左脚」
……早く考えろ……生き残る術を……!
「――右腕」
……ああ時間が無い、早く早く早く早く……ッ!!
「――左腕」
城戸の四肢が全て粉砕されても、草加の思考に乱れは無かった。焦りもあって良案は浮かばなかったが。
「……っ……ぁ…………」
四肢の関節を平たい肉片に変えられた城戸は、陸に上げられた魚の様に喘いでいた。目は血走り、脂汗に濡れ、全身を浮かせて呼吸し、喉を傷付けたのか僅かな血痕が周囲に散っていた。
そして男は、最早城戸に価値は無しと見たのか、足を退けてこちらを見やる。
「何だ、お前そうだったのか。……だったら最初から言え、無駄な労力を使った」
そうして男は、草加に対する感想を一言にした。
「――お前は、誰がどんな目に遭っても無視出来る糞野郎か」
それと共に男はこちらへと歩んできた。
「糞野郎相手じゃあ、この手は通じないな」
城戸の四肢を肉片に変えた鉄槌を下げて。
「鎮圧する手間を避けようと思ったが……結局二度手間か」
後退りする草加だったが、その背中は直ぐに窓に衝突する。逃げ場は無い。
「――糞野郎の相手は、本当に面倒だ」
そして男は鉄槌を振り上げた。今度は時間をかけるつもりは無いのだろう。鉄槌は、草加の額を狙っている。
……死、ぬ……
逃げ場を失い、致死の攻撃に迫られ、草加から一切の感情が消えた。
冷えきった脳髄と意思。そして、
「――死ね」
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!! 真理いぃぃぃぃっっ!!!」
鉄槌は振り下ろされた。
●
どうやら気絶していたらしい。
四肢に感じる激痛、それによって城戸は目を覚ました。
「……ぎ、…っ、………ぐぅ……」
それぞれの関節が全て叩き潰されていた。血管、骨格、神経、筋肉、その全てがただの肉屑となり、手足は全く動かない。
まるで虫けらにでもなった様な感覚、それに城戸の感情は波打つ。
だが、この“ゲーム”においても助け合いを望んだ城戸の意思は、喚く事よりも心配する事を望んだ。
「――雅人!? 草加はどうした!?」
唯一動く首を回して城戸は周囲を確認する。自分の体をここまで痛めつけた犯人、そいつが残る草加雅人を狙わない筈が無い。
必死になって首を回し、そして城戸は雅人を発見した。
「……雅人! 雅人、大丈夫か!?」
雅人は床に尻をつき、その背をベットの格子に預けていた。その表情は驚愕と恐怖、双眸を最大限に剥き出し、一つ所を凝視している。
「雅人っ! おい、雅人、どうしたんだよ!?」
「……ば、ばけものが……ばけものが……っ!!」
震える声を漏らし、雅人は凝視する方向を指差した。一体何を、と思い見たものは、
背から4対の三角の突起を生やした、男の後ろ姿だった。
「……な、何だよ、これ」
男は、確かに城戸の四肢を粉々に砕いた男だった。
その男が何故、体内から三角の突起を、爪を生やしているのか。
「――ぉ」
とその時、男が僅かに苦悶した。身じろぎし、今まで隠れていたその向こう側が見える。
そこにあったのは、窓硝子から両腕を生やす人型の虎だった。太い両腕に生えた4対の爪が男の胴を貫き、その先端を背から露出させていたのだ。
そして城戸には、その怪物を見た事があった。
「――ミラーモンスター」
白に青で彩られた、虎型のミラーモンスターがそこにいる。獰猛な双眸は両腕によって貫いた男を凝視し、獰猛な気配が硝子越しにでも伝わってきた。
……なんでコイツがここに……!?
「ぐ……ぉ…」
男は首をもたげ、窓硝子に移るモンスターを睨む。
その表情は城戸から見る事は出来ない。しかし、そこに込められた感情の強さは解る。何故なら、有り余る怒気が男の背から滲み出していたのだから。
「……おま、えぇ…っ!!」
強靭な両腕がモンスターの両腕を掴む。強靭な握力が強固な腕を握り締め、圧壊させようとする。しかし、臓腑を貫かれたその状態でどれ程の力が入る筈も無く、男はそのまま、窓硝子に引きずり込まれた。
窓硝子は割れる事も無く、まるで水面の様に男を引きずり込む。そして響くのは、猛獣が獣を補食する生々しい音。城戸にとって、疎みながらも聞き覚えてしまった音だった。
皮を裂き、肉を喰らい、血を啜り、骨を咀嚼し、命というものを一滴残らず摂取する音が響く。
それが途絶えた後に、ようやく病室へと静寂が戻ってきた。
残されたのは、四肢を潰された城戸と、未だ抜けきらない恐慌に呆然とする草加、そして散乱した男の所持品。
「――一体、何だったんだ」
雅人の呟きが、やけに大きく聞こえた。
「あの化け物は一体何なんだ……? どうして窓硝子の中にいた……?」
『――教えて欲しいか』
その瞬間、声がした。
城戸のものでも雅人のものでもなく、ましてや喰われた男のものでもない、新たな声。それが強い耳鳴りを引き連れて、窓硝子に現れた。
モンスターと同様に、病室の窓硝子に現れた男。
「――神崎!!」
城戸にとっては馴染み深く、雅人にとってはこの“ゲーム”に巻き込まれた元凶とも言える存在。そんな男が、突如として城戸達の前に出現した。
『いい様だな、城戸真司』
「うるせぇ! それより何なんだ、このゲームは!? これも……ライダー同士の戦いの戦いだっていうのか!?」
こちらを見下す神崎に城戸は吠え、しかし神崎の興味は城戸に向かなかった。おそらくその一言だけが言いたかったのだろう。
神崎が視線を向けた相手は、草加雅人だ。
『草加雅人。城戸や浅倉とは違う種の仮面ライダーに変身する男。……お前には、カードデッキを預けた』
「……な、何!?」
城戸の驚愕、だが目前の二人はそれを無視して話を進める。
草加は震えつつも自身のデイバックを開き、中から支給品を取り出す。取り出されたそれは、深い青をした長方形の箱、中央には虎を模した紋章があった。
城戸は見た事のない物だったが、カードデッキの一つである事はすぐに解った。
……雅人に…カードデッキが支給されてたのか……
予想だにしなかった事実だが、それならば先ほどの出来事も納得出来る。
カードデッキの持ち主、契約者の危機に契約モンスターが防衛行動をとったのだ。
「これが、何だと言うんだ」
タイガのカードデッキを片手にし、草加は神崎へと問い掛ける。
『それがカードデッキ。お前の知るライダーベルトとは完全に機構の異なる……俺が造ったライダーベルトの様なものだ。鏡や硝子にかざす事で、仮面ライダーに変身する事が出来る』
神崎の言葉に雅人が押し黙る。
話しているうちに頭が冷えてきたのか、値踏みする様な目で神崎を見返し、
「……どうして俺にそれを教える? 参加者同士を殺し合わせる事が、お前の目的じゃないのか?」
『そうだ。故にこの戦いにおいて、カードデッキには戦いを促す機能を持たせた』
何、と問い掛ける雅人に神崎は語る。
『カードデッキには、持ち主に力を貸す契約モンスターがついている。だが契約モンスターに長期間人間を喰わせないと、契約違反となってそのモンスターは持ち主を喰らう』
そして、
『――この戦いで配るにあたり、カードデッキにはその猶予期間を6時間にまで短縮しておいた』
「な、何だと!!?」
城戸と雅人が同時に驚愕する。
それはつまり、6時間に1人、契約モンスターに喰わせなければ自分が喰われるという事だ。
『加えて言えば、仮面ライダーに1分間変身する毎にその猶予時間は30分消耗される。つまり最長でも……12分の間しか仮面ライダーには変身していられない』
もしも12分以上変身し続ければ、その瞬間に変身が解けて契約モンスターに喰われる。
「だ、だったらカードデッキなんか捨てれば良い!」
『それも無駄だ』
城戸の叫びに神崎は答える。
『カードデッキを捨てた場合、或は他の参加者に捨てた場合も契約モンスターは持ち主を喰らう』
「……そんな」
それでは八方ふさがりではないか。
自分が生き残る為には、自分以外を殺さなければならないではないか。
『そうだ。生き残りたければ殺せ、自分以外の参加者を。それ以外にお前が生き残る術は無い』
窓硝子の向こうで、神崎が雅人を指差す。
『――戦え、戦わなければ生き残れない』
戦え、戦え、戦え、戦え。
その言葉だけを反響させ、神崎の姿は窓硝子から遠のいていった。
●
神崎が消えた病室、そこには静寂だけが残された。
城戸は部屋の出入り口辺りに倒れ、そして草加は俯いてしゃがみ込んでいた。
……神崎……この戦いを仕組んだ、“主催者”の片割……
とんだ糞野郎だ、と草加は毒気づく。
自分をこんな場所に連れ込み、人間の四肢をああも無惨に潰せる男と戦わせ、その果てには、窓硝子に潜む化け物の飼い主に仕立て上げた。
……それも、時限爆弾付きとはな……
成る程、よく出来た仕組みだ。
半日に1人を喰わせろ、さもなくば自分が喰われる。使用すればその分だけ猶予が減るから確実に相手を喰わせる必要がある。そして、捨てても譲っても自分は喰われる。
成る程、これまで徹底されては、
……殺し合うしか、無いよなぁ……?
自分が生き残る為、自分が帰還する為、その為に他の参加者を犠牲にするしかない。
「おい、雅人……雅人!」
と、城戸の呼びかけに草加は思考の奥に沈んでいた意識を取り戻した。
「大丈夫か…?」
四肢の関節を潰され、床に這いつくばる城戸。頭だけを持ち上げてこちらを心配そうに見る。
「神崎の口車なんか気になよ。大丈夫、何か方法はあるって!」
城戸はこちらへと励ましを送る。
這いつくばったまま励ますその姿を、草加はまじまじと見つめた。
「ど、どうした?」
……あぁ、何だ……
どうやら当面、あのデストワイルダーなる虎型の化け物に喰われる心配はなさそうだ。何故なら、
……こんな所に、都合の良い“餌”があったじゃないか……
四肢を潰されて身動き出来ない、格好の獲物が。
「お、おい雅人?」
城戸の窺いを無視して草加は立ち上がり、城戸へと歩み寄る。そして城戸の胴を担ぎ上げ、近場のベットへと投げ捨てた。
「…ぎ、ぐぁ……っ!!」
粉砕された四肢が刺激されて城戸が悲鳴を上げる。
だがそれさえも草加は無視し、隣のベットから剥がしたシーツで城戸の体をベットに縛りつけた。
「――雅人! 一体何のつもりだ!?」
驚きに問い詰める城戸を、そこに至ってようやく草加は応対する。
「……“餌”だよ」
暗く残忍な笑みを浮かべて、草加は呟く。
「時間になったらモンスターに喰わせる……“餌”が無いとヤバいだろ? それを保存してるのさ」
「“餌”って……俺の事か!?」
その言葉は無視する。当然の事を改めて言う無駄を草加は好まない。
だから草加は城戸に背を向け、病室を後にした。新たな“餌”を捕獲する為に。
廊下に出れば、並列した窓硝子がある。そしてそこには、獰猛な両眼でこちらを見る虎型の怪物もいた。
「――待っていろ化け物、すぐに“餌”を捕まえてやる」
期間限定の下僕となったその化け物に笑いかけ、草加は病院の廊下を行く。
「――草加っ!! 草加あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
背後に響く城戸の叫びを、やはり無視しながら。
草加雅人、残る猶予は――5時間59分。
【緑の悪魔はんた@メタルサーガStS 死亡】
【一日目 AM2:33】
【現在地 H-4 病院内】
【草加雅人@マスカレード】
[参戦時間軸]ACT.14終了後くらい。
[状態]健康
[装備]カードデッキ(タイガ)@リリカル龍騎
[道具]支給品一式・デュエルディスク@リリカル遊戯王GX・拡声器(メガホン)・ウェットティッシュ・城戸のデイバック
[思考・状況]
基本 利用出来る物は全て利用し、最後の一人になる
1.病院に来た奴は全員“餌”だ……
2.早く参加者を捕まえないとな
4.カイザギアも探さないとなぁ
5.北崎は俺が殺す
備考
※病院を拠点兼“食料庫”と定義しました
※城戸真司に対する認識が“馬鹿”から“餌”に変わりました
※ゲーム中盤くらいまでは演技を続けるつもりです
※名前は知りませんが地獄兄弟、特に「影山瞬」を怨んでいます。天道総司も同様です
※ウェットティッシュは元からの草加の持ち物です。没収漏れです
【城戸真司@リリカル龍騎】
[参戦時間軸]第二十話〜第二十一話あたり。オーディンを殴った後
[状態]両肘・両膝部が粉砕・ベットの上に拘束
[装備]無し
[道具]無し
[思考・状況]
基本 神崎の思い通りにはさせない。絶対にこんな戦い止めさせてやる!
1.雅人、正気に戻ってくれ!!
2.体中が痛ぇ……っ!
3.なのはちゃん達と合流したい
備考
※名簿のなのはやフェイトを自分の良く知るなのはやフェイトだと勘違いしてます。
共通の備考
※まだ草加は、自分がなのは達の知り合いである事は明かしていません。 故に真司は、草加がなのは達の知り合いである事は知りません
※病院の2階にある大部屋病室に、“四肢を砕かれた城戸真司”が拘束されています。また同室に、“はんたが持っていた全ての所持品”が散乱しています
【カードデッキについて】
支給品化に際しての制限は以下の5つです
・仮面ライダーへの変身時間は最大12分です
・6時間毎に1人、契約モンスターに“生きた参加者”を喰わせないと所有者が喰われます
・参加者を1人喰わせると、猶予が6時間に補充されます。猶予は6時間より増えません
・変身を1分継続する毎に30分の猶予を消費します。猶予を使い切るとその瞬間に変身が解除され、契約モンスターに喰われます
・所有者が自らの意思でカードデッキを手放すと、その所有者は契約モンスターに喰われます。強奪の場合は免除されます
投下終了。
こんな具合でどうでしょう?
龍騎系仮面ライダーの制限は独断ですが……バトルロワイヤルの死亡者数を維持するには、丁度いい安全装置になると思いますが。
そしてこの案が通った場合……グリフィス君の運命や如何に。
GJ!
いやー…やはり強いですな、ミラーモンスター。
戦車を拳で壊す男(龍騎氏談)がイチコロ…
そいでは宣言通り、シーナ、城戸、草加を予約させていただきます
GJでした!
いきなりの拷問・・・・・・。
今後、城戸は生き残れるんだろうかw
ただ、カードデッキの制限がきつすぎる気が・・・・・・。
詳しくは、議論スレで。
GJ。グリフィス君…、このままじゃ、一番危険?
よっしゃ完成!
これよりシーナ分を投下しますが、よろしいですか?
シーナ=カノンが、あの悪魔と白虎の闘争――それが「闘争」と呼べるものだったのかは疑問だが――に巻き込まれなかったのは、幸いとしか言い様がない。
皮を裂き、骨を砕き、肉を食らうその音は、引き裂けかかった彼女の心を容易に四散させるだろう。
仮にそれよりも早く現場に立ち会っていたとしても、姿なき「魔王の僕」を捜す男に殺されている。
そしてそんなことは露知らず、少女はふらふらと歩いていた。
食糧とするために、コンビニからカロリーメイトをいくつか拝借。
敢えて栄養食を探したのは、フェンシング部部長というスポーツマンとしての、せめてもの矜持だったのかもしれない。
そのままおにぎりの棚が、何者かによって漁られていたことに気付く余地もなく、シーナは暗闇をさ迷う。
とりあえずは病室を探すつもりだった。
安心して休める場所が欲しかった。
敵が来ないとも限らないが、扉の鍵を閉めれば助かるだろう。
ほとんどパニックになりかけた頭で、そんな思考を巡らせているうちに――
「!」
シーナはその男に出会った。
草加雅人は廊下を歩くうちに、徐々にだが冷静さを取り戻してきていた。
同時に頭の中に浮かぶ、疑念。
(ゼロという奴は…何故仲間の存在を示した?)
白虎に食われた男の言葉が引っ掛かる。
仲間を使って密かに包囲させる場合、それを標的に知らしめるメリットは、あまりない。
相手が気付かぬうちに、文字通り「闇討ち」をさせた方が圧倒的に有利なのだから。
にもかかわらず、ゼロはその存在を教えた。
何故か?
よほど自信があるからか? 相手に粗捜しをさせて疲弊させるためか? そもそもその存在がはったりなのか?
それとも…この思案こそが最大の狙いか?
(狡猾な奴だ)
自分と同じで。
草加は哄笑する。
恐らく、そのゼロという奴は相当な切れ者だ。
仲間がいる、とその存在を示唆しただけで、こうも人の頭脳を掻き回す。
この暗闇の中に敵が潜んでいるかもしれないし、いないかもしれない。
故に、常に警戒を要求され、余裕を奪われ、戦闘を強要される。
まさに「魔王の呪術」。
しかし、草加にとってその洗脳はさしたる意味を持たない。
どの道それを受ける前から、餌を探すことに変わりはないのだから。
獰猛な僕を僕として扱うために――獲物を狩るために、階段を降りる。そしてそこで――
「?」
草加は少女に出会った。
「ひっ…!」
反射的にシーナは後ずさる。
正しい判断ではあった。草加は今まさに、自分のための贄を捜している最中だったのだから。
しかし、彼女は別にそこまで考えていたのではない。
今は単純に、他人が怖い。それだけのこと。
一方の草加の脳裏を横切ったのは、餌を見つけた喜びではなく、疑問だった。
(…こいつはゼロの手下の1人なのか?)
ひどく怯えた少女の正体を、男の視線が探る。
刺客の割にはいやに臆病だ。こんな奴に命を狙わせる理由はない。
しかし、仮に彼女の役目が、命を狙うことではなかったらどうだ。
単に人の気配を振りまいて病院をうろちょろする――それこそフェイクならば。
その場合、少女に気を取られた標的を狙う、別の手下がいる可能性がある。
あるいはそんなものは最初から存在せず、手下の1人だと仕立て上げられた偽物かもしれない。
ミラーモンスターに命を奪われたあの男にとっての、自分達のように。
まあ、いい。
今は目の前の餌が先だ。
刺客が隠れているのならば、あの白虎に襲わせればいい。
念のため、腕にデュエルディスクを嵌めておく。打撃用には使えるだろう。
「…どうしたんだい? そんなに震えて」
つとめてにこやかに、草加はシーナの元へと歩み寄った。
しばらく善人面は続けるつもりだ。その方が「狩り」もやりやすい。
しかし、それで懐柔できるシーナではなかった。
表情は優しい微笑みだったとしても、目が笑っていない。
それは事実であったのかもしれない。しかし、彼女が見ていた草加の表情は、それではなかった。
過度の恐怖と警戒が生んだ、あるはずのない、残忍な笑顔。
「そんな所でぼうっとしていると…
――俺ガ殺シチャウヨ?
それこそ被害妄想。
実際に放たれた続きの言葉――それは恐らく、「誰かに殺されるよ」といったような内容だったのだろう――は届かず、
全くの虚言に刷りかわる。
ある意味では、それが真理に近いものであったのは、皮肉でしかなかった。
「あ…ぁあああっ!」
震えるシーナの指が、カノンの引き金を引く。
鋭い銃声。しかし、当然弾は当たらず。
「警戒することはないだろう。俺は君の味方だよ?」
「嘘…嘘よそんなのっ!」
辛うじて声を絞り出し、シーナは拒絶した。
誰も信じてはいけない。顔見知りですら自分の手を切ったのだ。
こんなわけの分からない奴など、信用できるはずもない。
「大丈夫だ」
しかし草加はその反応を気にも留めず、胡散臭い笑顔をシーナの目に映し、一歩一歩歩み寄っていく。
「うわああぁぁぁぁっ!」
ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。
黒光りする拳銃が4連発される。残弾全てを打ち切って、少女は男を威嚇した。
当たるはずもない。できれば当てたくはないのだから。
しかし、そのうちの一発が偶然、
「ッ!」
デュエルディスクのジョイントを掠め、壊した。
腕にその身を固定していた金属ベルトが外れ、ディスクもまた床に落ちる。
瞬間、シーナの思考が急激にクリアになった。
あの機械のプレートには、何かを置くスペースがあった。
そしてその大きさは、あのカードと大体一致する。
人を1人殺してしまったことで手に入れた、青白い龍の描かれたカード。
であれば、あの機械の役割は何だ? 1番不自然のない役割は?
…カードの効果を引き出す機能だ。
そこに行き着いたシーナの行動は素早かった。
無我夢中で駆け出し、デュエルディスクをかっさらう。
草加の制止の声が聞こえた気がしたが、そんなものはどうだっていい。
「…お願い…」
カードの龍に祈る。
その力がこちらの望み通りのものならば、この声に答えよ、と。
「青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)」と書かれたカードが、ディスクにセットされた。
「助けて…ッ!」
――ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォーンッ!!!
咆哮。
耳をつんざくような雄叫び。
自然を離れたことで人間が忘れていた、根源的な恐怖をもたらす、肉食獣の声。
否。
そこに立つのは、そんなちゃちなものではない。
龍。
誇張でも何でもない。伝承やお伽噺でしか表現されないような、龍そのもの。
極めて機械的な容姿をしたミラーモンスターとは異なる、純然たる生物。
人間の数倍はあろうかという巨体を窮屈そうに丸め、片方の翼を、シーナを守るかのように回している。
全身に纏うのは、純白の龍鱗。その目を染めるのは、青き光。それらから滲み出る、圧倒的なまでの存在感。
味方にとっては、ため息が出るほどの美しさ。
敵にとっては、思わず身震いするほどの恐怖。
まさしく、純潔にして醜悪。
青眼の白龍。
その力は神をも脅かす――古代の歴史にその名を冠した白き龍が、今この病院に姿を現した。
「何だ、これは…」
今度は草加が後ずさる。
無理もない。これほどの巨大さを誇る化け物など、自分は聞いていない。
何より、あの胡散臭いディスクが、これほどのものを呼ぶなどとは。
「!」
巨龍が開いた口元に、青白い光が収束される。
まずい。
冷や汗が頬を伝った。
自分が従えるミラーモンスターなど、比較にすらならないようなサイズのドラゴンだ。何をされるか分かったものじゃない。
よけの姿勢を整える。
滅びのバーストストリームが吹き荒れた。
間一髪で横っ飛びで回避。同時に背後の壁が、爆発。
恐るべき破壊力は、わざわざ後ろを見て確認するまでもない。大量の爆薬にも匹敵する破壊の光だ。
草加の眼前に、白い塊が現れたのはその時で、
「がふっ…!」
それが青眼の巨大な尾であったのを知った時には、身体は壁に打ち付けられていた。
生暖かい液体が額から流れる。
胸の激痛は、肋骨が数本持っていかれたことを訴えていた。
やばい。
掛け値なしにあの龍はやばすぎる。
異常事態の中、しかし草加は冷静に判断した。
「えっ…?」
シーナが状況を飲み込んだのは、この時だ。
眩い光と共に物凄い雄叫びが上がり、気付けば自分は巨大な青眼の懐にいた。
そして、それを理解した時には、吹っ飛ばされた男が頭から血を流していた。
「…!」
呆然としていた少女を再び襲う、恐慌。
殺されたくはなかった。だから草加を威嚇した。
しかし、殺すのも真っ平御免だった。あんな気分は味わいたくなかった。
(…違う…)
そう、こんなつもりじゃない。
自分の身を守ってほしかったが、それは自分を庇えという意味だ。
敵対者を殺せ、というわけではない。
「ま、待って…違…!」
『ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォーンッ!!!』
震える声でのか細い制止は、しかし強烈な咆哮にかき消された。
青眼は尚も草加を睨む。
所有者の身を庇うだけでいいならば、シーナはカードを横向きに置くべきだった。
しかし、青眼のカードは縦向きにセットされている。
すなわち、
【 攻 撃 表 示 】
攻撃を指示されたモンスターは、主を守るという命令をどう解釈するか。
答えは簡単。
「主を害する者を、1匹残らず皆殺しにせよ」。
無論、シーナの真の意図はそれではない。
されど龍は、その命令を忠実に実行する。
汝我が主のために死にたまえ。
青い瞳が冷たい殺意と共に、男を見据えていた。
【一日目 現時刻AM2:40】
【H-1 病院】
【シーナ=カノン@SHINING WIND CROSS LYRICAL】
[状態]健康・恐慌
[装備]カノン(残弾ゼロ)@キノの旅 第X話「魔法使いの国(前編)」
[道具]支給品一式、地面に落ちているデュエルディスク(「青眼の白龍」を攻撃表示でセット)@リリカル遊戯王GX、
ウィルナイフ@リリカルガオガイガー
[思考・状況]
基本 死にたくない。キリヤに会いたい
1.待って…お願い、止まって!
[備考]
※極度の人間不信に陥りました。誰に何を言われようと、キリヤ以外は敵としか認識できません
※「青眼の白龍」は攻撃態勢を取っています。召喚時間制限が来るかシーナの声が届くまで、全ての敵を殺そうとします
【草加雅人@マスカレード】
[状態]額から出血・肋骨3本骨折
[装備]カードデッキ(タイガ)@マスカレード
[道具]支給品一式、拡声器(メガホン)、ウェットティッシュ、城戸のデイバック
[思考・状況]
基本 利用できるものは全て利用し、最後の一人になる
1.何だこの化け物は!?
2.冗談じゃない…こんな所で死ねるか!
3.北崎は俺が殺す
[備考]
※ゲーム中盤くらいまでは演技を続けるつもりです
※名前は知りませんが地獄兄弟、特に「影山瞬」を怨んでいます。天道総司も同様です
※ウェットティッシュは元からの草加の持ち物です。没収漏れです
投下終了。
社長嫁絶賛暴走中。
果たして草加は、そしてもうすぐやって来るであろうユーノ君達の運命は!?
おっと…随所に間違いが
【シーナ=カノン@SHINING WIND CROSS LYRICAL】
[状態]健康・恐慌
[装備]カノン(残弾ゼロ)@キノの旅 第X話「魔法使いの国(前編)」
[道具]支給品一式、地面に落ちているデュエルディスク(「青眼の白龍」を攻撃表示でセット)@リリカル遊戯王GX、
ウィルナイフ@リリカルガオガイガー、カロリーメイト4箱
[思考・状況]
基本 死にたくない。キリヤに会いたい
1.待って…お願い、止まって!
[備考]
※極度の人間不信に陥りました。誰に何を言われようと、キリヤ以外は敵としか認識できません
※「青眼の白龍」は攻撃態勢を取っています。召喚時間制限が来るかシーナの声が届くまで、全ての敵を殺そうとします
【草加雅人@マスカレード】
[状態]額から出血・肋骨3本骨折
[装備]カードデッキ(タイガ)@リリカル龍騎
[道具]支給品一式、拡声器(メガホン)、ウェットティッシュ、城戸のデイバック
[思考・状況]
基本 利用できるものは全て利用し、最後の一人になる
1.何だこの化け物は!?
2.冗談じゃない…こんな所で死ねるか!
3.北崎は俺が殺す
[備考]
※ゲーム中盤くらいまでは演技を続けるつもりです
※名前は知りませんが地獄兄弟、特に「影山瞬」を怨んでいます。天道総司も同様です
※ウェットティッシュは元からの草加の持ち物です。没収漏れです
GJです
ついに青眼降臨!
草加の動向が気になりますね…
大きさはアニメのと同じくらいでしょうか?
あと制限時間は未定ですか?
263 :
マスカレード:2008/02/24(日) 15:00:20 ID:IC20yXu9
>>夜食
GJ!
城戸がぁぁああああああああっ!!!
なんとか草加から解放されて龍騎サバイブになってくれるかもと期待してただけにショックですね……
さて、実は私がタイガのカードデッキを選んだ理由は別のポイントにあったんです。
変身しようとしても出来ず、実は香川の複製カードデッキでしたっていう……
まぁ草加のカードデッキは当たりだったんですね……
しかも草加に四肢粉砕とは……まさか草加も自分が小説版で同じようなことをされるとは夢にも思わないだろうなw
>>白き龍
GJ!
さっきの余裕とは真逆、草加がピンチに!
しかもデストワイルダーじゃブルーアイズには敵わなそうな……
草加はもう死亡フラグな気がしてならない……!
ライダーロワといい今回といい、草加は巨大な龍にはろくな目に合わされてませんねw
GJ!
タイガに変身してフリーズベントを使えばなんとか助かるか…
これが王蛇のデッキならスチールベントで青眼強奪、もしくは
ガイのデッキならコンファインベントで青眼無効とか出来たのに…
タイガのデッキにはリターンベントって便利なカードもあるんですよね
草加がどこまでタイガのカードデッキを使いこなせるかにかかってますね
予約したのにもかかわらず、城戸を使うのを完全に忘れてたorz
とりあえず、彼の分はそのまま解除で…
>>262 制限時間は適量が分からなかったので、今のところぼかしてます。
10分〜20分が妥当…かな?
GJ!
デュエルディスクの起動方法よくわかったな
まあ、最初から起動させっぱなしだったのだろう
落ち着いて社長嫁を制御しないといろんな意味で粉砕!玉砕!大喝采!
あれって魔法の領域まで到達したブレス攻撃だっけ?
まともに食らったら即死だってw(ウルトラマンのようなネオスが2500に対し嫁は3000
、、、もしや暴走マーダー一歩手前フラグ?
GJ
…シーナが登場回数あと5回以内にるるる化するに500ペリカ
>>263 許せえぇぇええええええええっ!!!
いやぁ……はんたの凶悪さ&草加の危機っぷりを出すには犠牲者が必要だったんですよ。許してくだせぃ。
しかしまぁ……これは議論の題材として言う訳ではありませんが、自分が出したカードデッキの制限、あれって通ったとした場合、王蛇デッキとインペラーデッキって文字通り「呪いのアイテム」的扱いになりますよね。
王蛇は場合によっちゃ契約モンスター3体だし、インペラーに至っちゃ数えきれませんものなぁ……。火の車も良いとこだ。
城戸があんな状態だと…龍騎サバイブになれるかどうか…いや、それ以前に変身できない…
GJでした!
シーナ、どんどん追い詰められてくなぁ。
バトロワラジオ更新してきました。
…ふぃー、あっちもこっちもやるのは疲れるぜ…
>>267 うん、この際目指しちゃうよ? クイーン・オブ・カワイソス。
そりゃーそうと、もうディードとかルーちゃんとかって予約おkなんですかね?
>>263 >>269 だ、駄目だ! 希望を捨てちゃいけない!!
思い返すんだ……確かセフィロス辺りが治癒系のカードを持っていた筈! デュエルディスクも丁度病院にあるし……そんな感じの治療系支給品を使えば何とかなる!!
って自分でやっといて何言ってんだ、って話ですがNE!!
つエリクシル
…いや、こんなイカサマ級の回復アイテムは多分支給されないでしょうけど
このロワSSでしか知らないんですが、セフィロスが城戸に使ってくれるかどうかも……
ガウェインが出てくるくらいならファイズフォンとカイザフォンでジェットスライガーだって呼べるよね
うん、まず無理だね……。
>>275 あのロボットバイクが次元の壁まで突き破れるんなら呼べるだろうな
278 :
マスカレード:2008/02/24(日) 23:55:12 ID:IC20yXu9
ジェットスライガーはひそかに工場あたりに隠しておこうと企んでたり……
とりあえず、マスカレード17話はまだ書き上がりそうにないので、息抜きと言っては何ですがロワの方にも手を出してみます
北崎とフェイト(死体)予約しますね
はい、死体です。幼フェイトさんでは無く、大人フェイトさんの死体です
何に使うかってそりゃあ……
まぁすぐ書き上がると思いますのでしばしお待ちを。
>>278 うおうっ!? 死体の予約とはまた斬新な…
あんまり死体をいじいじすると、あっちのフェイトさんに怒られちゃうよ?w
では議決された時のために、ジョーカーディードを予約しときます。
バトロワ職人、読者、及びまとめ管理者であるリリカル龍騎氏にお報せします。
以前より挙っていた「なのはキャラ5人を追加」という議題の、追加するキャラが決定しました。
・高町なのは(A's)@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは
・シグナム@エーストライカーズ
・ルーテシア@なのはFINAL WARS
・チンク@リリカルグレイヴ
・ディード@片翼の天使
以上5人が追加キャラです。
今このレスを区切りとし、この5人は参加者を追加したく存じます。これにより参加者は70人、生存者は68人となりました。
今後職人様方は、このキャラがバトロワに参加している、という事を踏まえた作品を造られる事を希望します。
またリリカル龍騎氏には、これらのキャラをバトロワ参加者の項目に追加して頂きく願います。
それでは、議決されたようなんでディード投下します。
何だかんだで狂化ディードとも付き合い長くなったなぁ…
…みんな飽きてないだろうか…
夜空を見上げる。
濃紺の闇の中に、淡い輝きを伴って浮かぶのは――満月。
僅かに歯ぎしりをする。
月は嫌いだ。
あの日のことを思い出すから。
戦火が照らす宵闇。燃え盛る六課隊舎。ガジェットドローン達。最愛のパートナー。抵抗する守護騎士。
そして――悪魔。
あの月と同じ銀色の髪をたなびかせ、あの月と同じ輝きを放つ瞳でこちらを見据えて。
醜く笑った。
そこから先は、熱さしか覚えていない。
斬り落とされた腕の痛みなど、すぐに吹き飛んでしまった。
血、肉、皮、神経、フレーム、ケーブル…全てが地獄の業火に舐め回された。
今でもその苦しみは、記憶という形でこの脳髄をえぐり続ける。
回想する。
『お前にやってもらいたいことがある』
狭い真っ白な部屋の中、たった1人で向き合った、黒い鎧の男。
『殺し合いだ。このリストに載っている者達を、全て殺してほしい』
手渡された名簿には無数の名前。
そして、そこにはあの悪魔の名があった。
セフィロス、と。
彼女は尋ねた。コイツも殺していいのかと。
『構わない。リストの人間は、全てお前の獲物だ』
願ったり叶ったりだ。
彼女はすぐに受け入れた。
ようやくあの男を殺すことができる。
あの地獄の日々を招いた悪魔を、この世から消すことができる。
そうして、自分はようやく解放される。
『では頼んだぞ――ディード』
こうして、彼女はこの地に降りた。
眼下に広大な狩り場を見下ろす地へ。
恐らくここは山の頂上。地図にご丁寧に描かれたマーキング――「1」の横一列からは遠い。
これらのエリアのいずれかに、あの男を落としたということだろう。
手の込んだことだ。奴を殺したければ捜せ、その過程で見つけた敵を殺せ、ということか。
いいだろう。
やってやる。
あの銀月を仰ぐ。
その先に憎むべき敵を見据えて。
お前がいる限り、悪夢は終わらない。
毎晩のように自分を苛む、千の責め苦。
恐怖の炎は、眠る時すら自分に安息を許さない。
それも終わりだ。
ここでお前を殺すことで、終わらせてやる。
お前と戦うためにドクターからもらった、この鋼鉄の両腕が、お前をその高みから引きずり下ろす。
引き裂いて、捻り潰して、ぐちゃぐちゃにして。
自分の痛みを身体に叩き込んでやる。
1匹の餓狼が吼えた。
痛みを棄てるために、仇敵の血を欲する。
吐き出すために食らうという矛盾を為すために。
奴は自分が殺す。
邪魔をする者は――
「皆殺しだああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーッ!!!」
【一日目 現時刻AM0:20】
【G-8 山頂】
【ディード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
[参戦時間軸]11話中。自室で寝ていた頃
[状態]健康・憎悪
[装備]両腕の義手
[道具]支給品一式、救急箱
[思考・状況]
基本 セフィロスを殺す
1.邪魔をする者は全て殺す
[備考]
※主催者から直接送り込まれた、いわばジョーカーです。食糧は他の参加者よりも充実しています。
※左の義手からはAMFバリアが外されています。
※腕の構造上、手持ち武器を握って使うことができません。
投下終了。
ジョーカーってこれでいいのかな…
実は狂化ディードを生み出したことで生じた誤算が1つ。
…こんなん静御前演じられるの?
既に脳内再生がギアスのカレンに差し変わってる自分がいるのさっ。
GJ
これはまたややこしいキャラが入ったな・・・w
えっキャロは!?
>>285 ……言うな、言わないでやってくれ。
半ば早い者勝ちではあったが……あの少女よりも、今回選出された5人の方が出し易かった……というか人気があったんだよ、バトロワ的に。
確かにまぁ、惜しくはありますがね。
>>284 GJ!
狂気と憎悪で胸がいっぱいですな、そちらの末っ子さんは……。作品の最後にして唯一の台詞を見た時、マジでビビりましたよ……?
さてさて、自分もニューメンバーで一本書きたいですね。ちょっとネタがあるんです。
つー訳でルーテシアとアーカードを予約したい所存。……さすがに今度は、死者出しませんよ?
GJですー!
凶悪なマーダーがまた一人……
私もマーダー増やしちゃいましたけどね……(ぉ
投下しちゃいますね
ゆらりゆらりと、この平原を歩く青年が一人。
一歩一歩の速度が不自然なまでに遅い。
フラフラと、正気を保っているのかさえ怪しい足取りで、青年は歩き続けていた。
その顔には何の表情も有りはしない。ただ、ぼーっと、前だけを見て歩いている。
何を考えているのか解らない……と言うよりも、何も考えていないのではないか? とさえ思える程の無表情さで。
外見からして、歳は恐らく16歳程度だろう。歳の割には童顔な顔つきだが、逆にそれが一層不気味さを掻き立てている。
彼の名は「北崎」。
「北崎」という名前だけで十分だ。それ以外の呼び方等存在しない。
北崎の服装は、薄い半袖のシャツを1枚着ただけといういかにも真夏的なスタイル。
それも、肩部分はこれまた随分とアンニュイにずり落ち、襟が大きく広がっている。
見た感じ、だらしない子供が少し大きめのシャツを着ている……というような印象だ。
そこまではまだ普通と言えるだろう。
北崎のスタイルにおいて、最も不自然な点は、その腹にある。
何が可笑しいかと言われれば、それは誰の目にも一目で見当がつくだろう。
北崎の腹には、明らかに不自然で、機械的で、それでいてスタイリッシュなベルトが巻かれているのだ。
黒地に、白のラインが入った無機質なベルトは、細身な青年には似つかわしく無い、異様な存在感を放っていた。
「ねぇ……誰かいないの……?」
北崎は呼びかける。
誰か、遊んでくれる相手を探し求めて。
だが、返事は返って来ない。仮に誰かが居たとしても、そんな迂闊に飛び出しはしないだろうが。
「……つまらないなぁ……せっかく、こーんなに楽しい楽しいゲームが始まったっていうのにさ……」
ゆったりとした口調で呟く北崎。
彼は今なんと言った? そう、“ゲーム”だ。
この殺し合いは、北崎にとって単なる楽しいゲームでしか無いのだ。
そもそも、北崎からすれば自分が負ける事など有り得ない。
勝って当然。負ける方が例外。
以前、一度負けた事があるが、それでも死に至りはしなかった。
パンチホッパーのライダーパンチを受け、ベノスネーカーの毒液に身体を溶かされても……。
その直後、キックホッパーの連続ライダーキックをピンポイントで受け続けても……。
そのまま王蛇・ブレイド・カリスのトリプルライダーキックを正面から受け止めても……。
最後に、二人の魔導師が放つ桜色の砲撃と、金色の雷撃の直撃を喰らっても……。
北崎にトドメを刺すには至らなかった。
逆に言えば、それだけの攻撃を与えても、北崎を倒す事は出来なかったのだ。
それはむしろ、北崎という危険な男に、無邪気な復習心を植え付けただけでしか無い。
次は負けない……次は殺す……。
それが北崎の単純な思考だった。
それに、運命の悪戯か、あの日北崎に敗北という屈辱を合わせたアイツらは、一人を除いて全員がこのゲームに参加している。
北崎はまだそれを知らない。……いや、知る必要も無いのだが。
どうせ会った奴は全員壊れるまで“遊ぶ”つもりだからだ。
「ん……なんだ……?」
暫く歩き続けた北崎は、目の前に広がる異様な後継に立ち止まる。
それは、上半身から上を切断された女性の死体。周囲を赤黒く染め上げる程に血を噴き出し、死亡した女性の死体。
「なぁんだ……もう終わっちゃったのかぁ……」
呟きながら、女性の死体……つい先刻まで、フェイト=T=ハラオウンであった筈のそれに近寄る。
その口調からは、まるで自分だけ仲間外れにされた子供の様な……まるで自分も一緒に遊びたかった、という様な意思が感じられる。
戦う事自体を楽しむ北崎にとっては、この戦いに参加出来なかった事がよっぽど残念だったのだろう。
「あーあ、可哀相に……僕ならもっと綺麗に始末してあげるのになぁ……」
極めてゆったりと、囁く様に言いながら、フェイトの死体を見下ろす北崎。
綺麗にと言うのは少し正確では無いかも知れない。
そもそも北崎に殺されれば死体すら残りはしないのだ。何しろ、北崎は『オルフェノク』なのだから。
それも、最強クラスのオルフェノク。事実、北崎を越えるオルフェノクは、滅多に存在しない。
上の上のオルフェノクだけで構成されたラッキークローバーを、実質的に牛耳っているのは他ならぬ彼なのだから。
北崎は表情一つ変えずに、地面に横たわったフェイトの、長い金色の髪を掴み、持ち上げた。
ちなみに上半身だけとは言え、片手で大人の体を持ち上げようとすればかなりの腕力が必要になるが……。
まぁオルフェノクである北崎にはそれくらいは簡単な事なのだろう。
「あーあー……嫌だなぁ……」
既に光を失ったフェイトの目を見た北崎は、独特の口調で愚痴を零す。
自分がやりたかった。自分が遊んで欲しかった。出来る事なら、楽しいゲームがしたかった。
北崎は、つい先程までフェイトであった上半身を、地面に投げ捨てた。
同時に、その上半身は色を失う。赤い目の色も、金の髪の毛も、美しい色白な肌も。
それら全てが灰色一色に変色した身体は、そのまま表面から崩れ落ちて行く。サラサラと、零れ落ちる砂の様に。
これが北崎の能力。触れた物全てを灰化させてしまうという、極めて悪質な能力だ。
そこには既に、フェイトと呼べる物は存在しない。ただ、灰色に煌めく灰が、小さな山を作っているだけだった。
……いや、一つだけ残っている。
今さっき、フェイトが灰化する寸前までその首に巻かれていた、無機質な首輪だ。
「そっかぁ……そういえばこれは灰にならないんだったね……」
北崎の瞳に、楽しそうな輝きが宿った。
自分が触れば何でも灰になってしまう。紙飛行機も、ワイングラスも。嫌でも、北崎の意思に関係無く灰化してしまうのだ。
そんな北崎にとって、灰化しないデイバッグや、一部の支給品……それから、自分にも装着されたこの首輪は、本当に面白い物だった。
北崎は、一切の傷を付けずに取り外す事が出来た首輪を、嬉しそうに手に取った。
触っても触っても、いくら触っても灰になる事はない。北崎は嬉しそうに、フェイトの首輪を自分のデイバッグに放り込んだ。
この首輪は記念に貰っておこう……。と、そんなところだろう。
まだフェイトの下半身がそこには残されていたが、北崎にとって、もはやそれには何の用も無かった。
次に、フェイトに支給されたデイバッグを見付けた北崎は、まるで新しい玩具を見付けた子供のように、瞳を輝かせた。
北崎の目の前に転がる邪魔な下半身を蹴飛ばし、フラフラと歩いて行く。目的は、その先に落ちているデイバッグ。
その中に入っていたものは、北崎が探し求めていた物だった。
それは、グレーと黒のカラーリングのグリップ。特殊な形ではあるが、携帯電話としても使える。
「見ぃ付けたぁ……」
笑う北崎。グリップに書かれた文字は、「SB-333P」。
それは、北崎が探していた力。北崎が、今最も欲していた力。
今、北崎が腰に巻いているベルトに対応するトランスジェネレーターデバイス……『デルタフォン』だ。
デルタドライバーとデルタムーバーは北崎に、デルタフォンはフェイトに支給されていたらしい。
自分に支給されていたのは、ムーバーとドライバーがセットになったデルタギアと、訳の解らないカブトムシ型の機械だけ。
そしてこのデイバッグに入っていたのが、デルタフォンと1枚のカード。
カードが何なのかは北崎には解らない。だが、綺麗な絵柄をしていることは確かだ。
それが特に北崎の欲しかった物という訳では無いが、それだけでも北崎がこのカードを貰うには十分な理由だった。
カードをポケットに押し込んだ北崎は、今さっき手に入れたデルタフォンを指先でくるくると回転させながら立ち上がった。
一回転させては掴み、また一回転させては掴み。デルタフォンを回す北崎の表情は、先程までとは違っていた。
「新しい玩具を手にいれた。」「早く遊んでみたい。」そんな期待に満ち溢れた表情で、北崎は微笑んだ。
さて暗黒の四葉の頂点に君臨する龍人は今、こうして新たな力を手に入れた。
持ち主の闘争本能を掻き立て、凶暴化させる、Δ―デルタ―のベルトを。
いや、装着者が北崎では凶暴化等という副作用は意味を成さないだろう。
そんな副作用が無くとも、この男程に凶暴な奴はいない。戦いそのものを楽しむ、言わば戦う為に戦うような男なのだから。
デルタギアはこの男にだけは渡してはならない、最悪の力だ。
いや、今更歎いてももう遅い。事実、デルタギアは北崎の手に渡ってしまったのだから。
もう引き返せはしない。北崎は、飽きるか死ぬまでデルタギアを手放す事は無いだろう。
積まれた灰の山が風に舞う。
フェイト=T=ハラオウンという人間であった名残は既に無く、ただキラキラと、灰は風に飛ばされて行く。
いつしか、山は消えていた。軽い灰は、優しく吹く風に乗り、いずこかへと霧散したのだ。
そんな光景には目も暮れず、北崎は再び歩き出した。
自分を楽しませてくれる、「面白い」遊び相手を求めて。
「ねぇ……誰か僕と遊ぼうよ……」
【一日目 AM2:12】
【現在地 D-1】
【北崎@マスカレード】
[時間軸]なのは達に敗北以降。正確な時間軸は後続の書き手さんに任せます。
[状態]健康・上機嫌
[装備]デルタドライバー、デルタムーバー@マスカレード
デルタフォン@なのはStrikerS+仮面ライダー
[道具]支給品一式
ハイパーゼクター@マスカレード
アドベントカード(疾風のサバイブ)@リリカル龍騎
[思考・状況]
基本 この楽しいゲームに乗って、遊ぶ。
1、僕も遊びたいなぁ……
[備考]
※灰化出来る物と出来ない物があります。武器等、主催側が用意したアイテムは灰化しません。
生きた人間に触った場合は、すぐには灰化せず、触った部分から少しずつ灰になって行きます。
※名前は知りませんが、影山瞬・矢車想・浅倉威・高町なのは(A's)・フェイト=T=ハラオウン(A's)・仮面ライダーカリス(相川始)の6人は北崎の獲物という認識です。
見かけた際にはすぐにリベンジゲームを始めるつもりです。
※相川始だけは、素顔を見ていない為に仮面ライダーカリスとしての姿しか知りません。
※地図を見て居ないので、行く宛はありません。相手が現れるまで、ただ歩き続けます。
※D-1には“フェイト=T=ハラオウンの切断死体(下半身のみ)”“フェイトのデイバッグ(中身は支給品のみ)”“ブーメランブレード(片方)”が放置されています。
投下終了
なんだろう……自分の文章力のしょぼさに涙が……(ぇ
ってゆーかこれ絶対フェイトさんに怒られるってー……
だって消しちゃったもん死体をさー……
フ「よくも私の死体を……」
北「ごめんなさぁい……そんなつもりじゃなかったんだ……」
フ「ま、まぁそれなら……仕方ないけど……」
北「じゃあ仲直りの握手だ……!」
フ「うんっ♪……ってうわぁあああ!?手が灰に!?」
北「……どうしたの……?」
フ「て、手が……!」
北「握手が出来ないんじゃあ仲直りは無理だね」
こういう展開を予想しちゃいました(ぇ
292 :
マスカレード:2008/02/25(月) 07:10:58 ID:d9s4XMlO
あーーー!
ミス発見!
道具に「首輪」を追加しといてください
今回のメインは、無傷な首輪入手イベントっていうのもあるのにそれを忘れてどうする……orz
GJです!
ギャァァァアアア!
既にデルタに変身できるようになってる…北崎恐ろしい子……
まさか北崎がハイパーゼクターを所有するとは…とはいっても使いこなせそうにないからあえて北崎の所有物にしたんですね。
もし資格を持たない者が使うと、ハイパーゼクターが暴走して次元の彼方に吹き飛ばされますし。天道しか使いこなせないし…
あとはベルトと欲をいってパーゼクですね。
とりあえず天道の往く道は長く険しい……
すみません、今日のお昼が期限のはずですが、
夜じゃないと投下できそうにないです・・・・・・。
本当にすみません。
あ、今キリヤパートのネタ思い付いた・・・
ということで、キリヤ、ティアナ、スザク予約します
あの、神崎の話は他のデッキ所持者には伝わってるのでしょうか?
297 :
マスカレード:2008/02/25(月) 20:35:27 ID:d9s4XMlO
これまでの描写を見るに草加以外にはまだ説明してないっぽいですね
一人一人に説明に回るのも大変ですね……神崎……
>>297そうですか。ではグリフィス君を予約します。修羅にします。
あ、すみません忘れてました。ザフィーラの死体も予約します。
ネタバレしてどーする……
>>298 あー、カードデッキ関係の設定を使うおつもりなら、避難所のカードデッキ制限に関する議論を見ると良いと思われ。制限がちょいとキツかったんで、緩和する方向で話が進んでるんですよ。
ある程度まとまり始めましたが……まだ確定ではありませんので、ちょいとその辺をご考慮されると良いやも。
やっと帰って来れました・・・・・・。
10:00から投下します。
遅くなってすみません。
投下します。
「殺し合いなんて、絶対止めないと・・・・・・!!」
高町なのはは、この殺し合いを止めようとしていた。
時空管理局の局員として一人の人間として、こんな惨劇を許す訳にはいかない。
既に殺し合いをしている人間も、犠牲になった人もいるかもしれない。
いや、既に死んでいるのだ。
天上院明日香という少女と一文字隼人という青年。
少女は十代という男と知り合いだったようだが・・・・・・、あの男は何の感情もなしに殺し、
突然姿を変えた青年も、同じ様に首輪を爆発させて殺した。
「機動六課のみんなも、アーカードさんもいる。
みんな、こんな殺し合いをする様な人たちじゃない。。
早くみんなと合流して、これ以上犠牲がでるのを止めないと!」
そう口には出してみたものの、不安はある。
先ほどいた場所で見た、過去の自分の姿。
それが幻覚でないことは、参加者名簿が証明していた。
・・・・・・なぜか、高町なのはとフェイト・T・テスタロッサの名前だけが二つある。
あの少女は過去の自分だとでも言うのだろうか?
だが、自分がこんな殺し合いに参加した記憶などあるはずがない。
かつての自分の姿をした少女が誰なのか、そしてその少女はこの殺し合いでどう動くのか。
あの少女が本当に自分自身なら、この殺し合いを止めようとするはずだ。
・・・・・・だが、あの"高町なのは"が主催者の手で用意されたものだったら?
人造魔導師。
プレシア・テスタロッサの手で、フェイト・テスタロッサは誕生した。
それと同じように、高町なのはを基に作られたとしたら?
あの人間とは思えないような瞳を持った男、十代と呼ばれたあの男なら、
その程度の禁忌、平然とやってのけるのではないだろうか。
そして、自分と同じ顔をした少女が暴れ回れば、当然自分は警戒されるだろう。
いや、それどころか高町なのはである事を利用して、油断した機動六課のみんなを・・・・・・、
「ううん、考えすぎだよね。
幾らなんでも、10歳位の私が現れれば警戒するに決まってる。
ここに集められた人の内、6人に1人位は、私の事を知ってるのに。」
ただ、そうなるとあれは誰なのか・・・・・・。
とりあえず、答えが出ない疑問は後回しにして、もう一つの不安について考える。
何故か、この場所では魔法を行使するたびに、強い疲労感があるのだ。
それだけではなく、魔法の効果自体も格段に落ちている。
アクセル・シューターは、全力でも10個程度しか同時に発動できず、
防御魔法の効果は、本来の半分もあるかどうか程度だ。
そして、それが最も激しいのはエリア・サーチだった。
精々、半径50m程度の範囲しか把握する事ができない。
これでは、他の参加者と合流することはかなり難しいだろう。
魔法をサポートしてくれるレイジング・ハートがないとはいえ、
ここまで魔法を使えないはずがない。
「他の人達と、早く合流するには、やっぱりこれを使わなければ駄目なのかな?」
そう言って、取り出した物、それは拡声器であった。
これを使えば、自分の居場所をはっきりと示す事が出来る。
そうして集まった人達と共に、この殺し合いを終わらせる。
だが、当然ながら集まってくる人々が善良だとは限らない。
集まってきた人を殺そうとする者、集団の中に潜伏し、
他人を盾にしながら優勝を狙おうとする者もいるかもしれない。
それでも、合流できるというメリットは大きい。
どんな人物が集まってくるか、警戒は必要だが対処する手段はある。
拡声器と別の支給品、それは魔力を宿す剣だった。
永遠神剣"求め"。
強力な魔力を持つこの剣があれば、近接戦闘がそこまで
優れていない自分でも危険人物でも鎮圧できる。
慎重な彼女がそう思える程の力をそれは持っていた。
そして、剣を片手に拡声器を口に持ってくる。
この殺し合いを終わらせるため、彼女は語り始めた。
「ちくしょう、何が殺し合いだ!
そんな事、俺が絶対に食い止めてやるぜ!」
マサキ=アンドーは、走り続けていた。
こんな殺し合いを許す訳にはいかない。
殺人を犯すものを無力化し、脱出に協力してくれる者を作る。
そのためには、とにかく人の集まる街へと向かうのが一番だ。
そう彼は考えたのだ。
幸い、彼に与えられた支給品はレヴァンティン。
その性能はシグナムとの模擬戦把握しているし、使用に十分なだけの魔力も持っている。
魔装化のためのネックレスが無いのは痛いが、並大抵の相手なら負けはしない。
待機フォルムのそれを握り締め、彼は走り続ける。
────後ろにある町を置き去りにして。
しょうがないのだ。彼の方向音痴は、並大抵の物ではない。
闇夜の中、道も目印も無しに目指した方向に進むのは、確かに難しいかもしれない。
だが彼は、地図とコンパスを持っているにも関わらず目指している町とは逆方向に進んでいた。
目の前に高々と聳える山を、彼はひたすら走り続ける。
「よし、この山を越えれば街か?」
地図を見れば明らかにおかしいと気付きそうなものだが、
実際に見ながら走っているのにこれである。
マップの端まで走り抜きそうな勢いだったが、突如聞こえた声に中断せざるをえなかった。
「あー、あー。聞こえますか?」
「な、何だ!?」
突如聞こえた声、ハウリングが混ざって聞き取りずらいものの、
どうやら、その声は女性のもののようだった。
突然の事態に足を止めた彼は、次の言葉に愕然とする。
「私は、時空管理局機動六課に所属している高町なのはです。
この声が聞こえているみなさん、どうか私の話を聞いてください。」
「な!? 馬鹿野郎! シュウの野郎にやられて、歩けなくなる位の大怪我をしたんだろ!?
そんな状態で、何て無茶をしてるんだよ!?」
高町なのは、その少女をマサキは知っている。
南極でシュウと戦い、そしてその身に重傷を負ったはずだ。
ブラックホールクラスターの直撃を受け、歩く事すらできない程の重体。
そんな状態で、誰かに襲われたら一溜りもない。
早く彼女のところに向かわなければならない。
「レヴァンティン、力を貸してくれ!」
「Jawohl!」
アクセサリから剣へと姿を変え、同時にバリアジャケットを身に纏う。
バリアジャケットの仕様を変更する時間等ないため、
登録されているシグナムのものそのままだ。
彼は飛ぶ。一刻も早く彼女のもとへと向かう為に。
「突然こんな場所で殺し合いをしろなんていわれて、
怯えている方もいると思います。」
「畜生っ、何時もよりスピードが出ねえ!
早くなのはの所に行かなきゃならないってのに!」
飛行魔法を使い、彼は疾走する。
それは、並みの空戦魔導士を遥かに凌駕する速さだったが、
本来のスピードとは程遠かった。
「殺さなければ殺される、そう思っている方もいるかもしれません。
ですが、それで本当に良いのでしょうか!?」
更に、マサキは加速する。
いかにマサキが方向音痴であろうと、声のする方向を目指せば、
高町なのはの元へと辿り着ける。
「私達が互いに信じあい、十代と神崎、あの二人を倒して、
みんなで生きて帰る事だってできるはずです!」
「見えた! よし、他の奴らはまだ来てない!」
ついに、高町なのはの姿を目にする事ができた。
あとは、早くここから離れさせなきゃいけない。
「で、でかい。あんなにでかかったか!?」
その目に移る少女は、どう見ても少女と呼べる背丈ではないのだ。
だが、その姿は間違いなく高町なのはだ。南極では遠目に見ただけだが、それは間違いないはずだ。
そして、考える時間もない。向こうもこちらに気付き、放送をやめ剣を握っている。
───どうするべきか。
慌ててきたため、レヴァンティンを握りっ放しというのがまずかった。
向こうが警戒してるのは、こちらの警戒に気付いたからだろう。
向こうから攻撃してくる様子はない。
とにかく、ここは危険だと伝えなければならない。
「俺はマサキ、マサキ=アンドーだ。管理局でアンノウン01って呼ばれてた奴だ。
大怪我負った状態で無茶しすぎだ! 危険な奴が来る前に、とっととここを離れるぞ!」
早く彼女をつれてここから離れなければいけない、そう判断し、
必要最低限の事を告げ、彼女を抱えて飛んでいくため近づく。
だが、彼女から返ってきたのは意外な言葉だ。
「アンノウン01・・・・・・?
それに私は今、大怪我なんてしていませんよ!?」
叫びながら、彼女は武器を構えバックステップで後方に下がる。
拡声器は地面に落ちた物の、その機能は生きている。
嘘を言っている様な気配はなく、大怪我を負っているとは思えない動きだ。
・・・・・・どういうことなのか。
直接は見ていない物の、ボロボロになって倒れふした姿は見ている。
フェイト達の話だと、そうとう酷い状態のはずだ。
いや、そもそもアンノウン01を知らないという事がありえない?
そんな事を言えば、わざわざ自分はなのはではないと言っているようなもののはずだ。
さっきから、拡声器は全ての言葉を垂れ流している。
(ここには、なのはや自分の事を知ってる人間はかなりいるはずだ。
なのに、知らないと言ったのはなぜだ?)
(・・・・・・分からない。
だが、拡声器から声が流れている以上、急に攻撃してくる事はないはずだ。)
「レヴァンティン、待機状態に戻ってくれ。」
「Jawohl!」
武器を戻し、こちらから攻撃の意思がないことを示す、それが彼の取った行動だった。
バリアジャケットが消え、本来の姿に戻る。
武器を手放した事に相手も驚いたのだろう、目を見開いていた。
だが、少なくとも攻撃してくるようなそぶりは見えない。
「さっきも言ったが、俺はマサキ。
あんたが南極で戦ったシュウって奴を追ってる奴だ。
歩けなくなる程の怪我を負ったって聞いたが・・・・・・、違うのか?」
「・・・・・・確かに大怪我を負った事はありますが、
南極なんて行った事はありませんし、大怪我をしたのは数年前・・・・・・、っ!
まさか、それがあそこにいて、名簿にあるもう一人の高町なのは!?」
途中まで警戒していた様だが、何かに気付いたのか唐突に叫ぶ。
(なる程、確かに名簿には高町なのは、そしてフェイト・T・ハラウオンの名が二つあった。
ただの表記ミスだと思ってたが、こいつは未来の高町なのはだってのか!?
・・・・・・いや、こいつは俺の事を知らないって言ってたし、南極なんて行った事がないとまで断言した。
どういう事だ?)
何がどうなっているのか分からない。
再び、辺りを静寂が満たす。
「ああ、ここにいたんですか、なのはさん。」
それを崩した物、それは一人の乱入者だった。
ばかでかい2丁の拳銃を持った赤髪の少年だ。
・・・・・・だが、その姿を見て彼と断定するのは難しいだろう。
両手はダラリとぶらさがり、本来持っていた活気はまるで見られない。
何より、その目。まさに、どろりと澱んだそれは、死んだような目としか言いようがなかった。
「え、エリオ? 無事だったの!? どこも怪我してない!?」
(知り合い、か? 殺意も無いし、高町なのはの知り合いみたいだ。
やけに元気がないが・・・・・・、この年でこんな事に巻き込まれれば無理も無い、か?)
誰かに襲われたのかもしれないと思ったなのはと、
幼さ故に怯えていると考えたマサキだが、すぐにそうではないと気付かされる。
「えぇ、大丈夫ですよ。なのはさん。
・・・・・・それよりも、はやく戦いましょう?」
相変わらずだらりとした右手を上げ、その銃を構える。
殺気もなく、当然というように構えられたそれは、正確になのはの心臓を狙っていた。
「え、エリオ? 何を言って、「何を言ってやがるんだてめぇ!?
なのはの知り合いなんだろ! 殺し合いをしろと言われたからって、本当に殺すってのか!?
他の知り合いを殺して、自分だけ生き残ろうってのか!? それで良いって本気で思ってるのかよ!」・・・・・・」
突然のエリオの言葉にマサキは叫ぶ。
・・・・・・だが、内心の思いは別だ。
(殺気は無い。第一、殺すんなら俺と喋ってる間に撃てば良かったんだ。
名前も放送で広がっちまった。わざわざ自分が不利になるようなことをして何になるんだ?)
殺気も無しに戦いを申し込み、拡声器を通じて自分が危険人物だと思わせる。
それに何か意味があるのではないか。そう考えた瞬間だった。
「うるさいですよ。僕は、今からなのはさんと戦うんですから。」
────一瞬だった。
予備動作もなく左手が構えられ、そこから放たれた魔力弾は──、
マサキの脇腹を吹き飛ばしていた。
「がっ!?───あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
(いてえいてえいてえいてえいてえいてえっ!?
なん、で、撃てる!?殺気も、なしに、こんな魔力、弾を!?
た、だ、引き金を、引くだけ、じゃ・・・・・・、ないってのに。
なん、で。ちくしょ、ぅ、すまねぇ、りぃ・・・・・・)
視界が消えていく。抉られた箇所からの猛烈な熱さと激痛。
それとは逆に、全身から熱が奪われてゆく。
零れ落ちた血は地面に広がり、彼も倒れ臥す。
なぜこんな事になったのか、それを考える中、彼の意識は消えていった。
「エリオ・・・・・・? 何で・・・・・・、何でこんなことを!? なんでその人を殺したの!?」
死、突然起きたそれをなのはは理解しきれなかった。
確かに既に二人の死を目の当たりにした・・・・・・が、
それは人の死を見ても平然としていたあの十代がやったものだ。
自分の仲間、起動六課のメンバーであり、フェイトの義理の息子、
エリオが平然と人を殺すなど、想定すらしていなかった。
・・・・・・いや、心の奥底では思っていたのかもしれない。
はやてのためにヴォルケンリッターが殺人を犯すのではないか、そんな思いが心の奥底にあった。
しかし、今のエリオが誰かの為に殺しているようには見えない。
なら、ただ生き残りたい為だとてもいうのか。
あの優しいエリオが、自分が優勝を目指すなどと言う事がありえるのか?
「ああ、この人ですか? 大丈夫ですよ、死んでません。
デバイスもデュエルディスクも持ってないし、邪魔でしたから。。
そんなことより、早く戦いましょう? 戦えば、そんな事も気にならなくなりますよ。」
だが、そんな疑問を嘲笑うようにエリオは平然と言ってのけた。
(邪魔ってどういう事? 死んでいない? あれだけの血が流れていて?
・・・・・・死んでないなら、まだ間に合うのなら助けないと!)
とにかく、まずは倒れた青年を救い出そう。
生きていれば、何だってできる。
傷口を止血して、治療の魔法を使えばまだ間に合うのかもしれない。
倒れた男に近づこうと、一歩踏み出した瞬間だった。
「っ!?」
再び、エリオの構えた銃口から弾が放たれる。
足元へと放たれたその牽制により、動きを止めざるをえなかった。
「駄目ですよ、なのはさん・・・・・・。
僕と戦ってくれなきゃぁ。ずっと、ず〜っと、戦いたかったんですから。
・・・・・・そっか、僕が弱いから戦っても面白くないですよね。大丈夫、心配いりませんよ。
なのはさんを驚かせる凄い物持ってるんですから。さあ、いきますよ?
────マジンカイザー、セットアップ!!」
首からかけていたキーホルダーから光が溢れ、エリオの姿を変えていく。
作り上げた兜十蔵博士をして、"神をも越えられる悪魔も倒せる"といわしめた力。
究極の魔神がその姿をあらわす。
「いきますよーっ、なのはさん! 僕の攻撃、受けて下さい!!
マジンカイザー、ターボスマッシャーパンチ!」
「なっ!?」
腕のタービンが突如回転を始めた、そう思った次の瞬間、腕が前方へと飛ぶ。
バリアジャケットだけを飛ばしたのだろう、生身の腕がが見える。
だが、そんな事に気を取られている暇などなかった。
前方へと転がり込むなのは。
彼女が居た空間を、二つの魔力弾が襲う。
・・・・・・そう、エリオはヤクト・ミラージュを握ったまま腕を飛ばしていたのだ。
そして、マジンカイザーの武器はまだそれだけではない。
「流石なのはさん、ならこれならどうです!? 光子力ビーム!」
二筋の光線が、目から放たれる。
想定外の攻撃に反応しきれず、体勢を崩したなのはでは避ける事の出来ない必殺の一撃。
だが、なのははそれはあっさりと弾いていた。
防御魔法を使ったわけではない、ただ光線に剣をぶつけただけだ。
第四位永遠神剣の持つ圧倒的な力の前で、その程度の攻撃は無意味だ。
なのはの次の行動は早かった。
エリオが、この短期間で未知のデバイスを使いこなせているとは思えない。
彼本来の戦闘パターンと違う以上、攻撃の間の隙も大きい。
永遠神剣の力を借りて、肉体を強化する。
その恩恵は機動が重いはずのなのはですら、一瞬の内にエリオの懐へと潜り込める程だ。
そして放たれたのは斬撃、ではない。魔力を載せただけのただの蹴りだ。
永遠神剣の力は、強力過ぎる。
斬るのに使っても、神剣魔法に使っても、まず間違いなくエリオを殺してしまうだろう。
蹴り、ディバインバスター、バインド、この流れなら、殺さずに捕まえられる。
「エリオ、少し眠ってもらうよ!」
反応する事すらできない蹴りを腹に受け、エリオの体が浮く。
(よし、非殺傷設定のディバインバスターで・・・・・・!?)
それは、確かに意識を刈り取られるはずのものだ。
並大抵のバリアジャケットでは、衝撃を殺す所か耐え切れずに消滅してしまっただろう。
だが、マジンカイザーの防御はそんな物を遥かに超えている。
「ぐうっ、うおぉぉぉっ! ルストッ、トルネード!!」
殺し切れなかった衝撃に耐えながら、エリオは反撃に討って出る。
風が唸り、現れたのは幾つもの竜巻だ。
一つ一つが人体をバラバラに切り刻むだけの力をもったそれは、至近距離のなのはを襲う。
彼女の体を竜巻が切り裂こう、というぎりぎりだった。
「──オーラフォトンバリア!」
神剣により生み出されたオーラフォトンの壁が、それを受け止める。
なおも暴風は荒れ狂う。が、それも時間の問題だろう。
圧倒的な魔力量によって支えられたバリアは、小揺るぎもしない。
────やがて、竜巻も消えさる。
自らが生み出した風に乗ったのだろう、詰められていた筈の距離は、再び離されている。
更に、先ほどまで飛び回っていた両腕はいつの間にか元の場所に戻っていた。
「流石ですよ、なのはさん。こんなに楽しいなんて・・・・・・!!
でも、なんで本気を出してくれないんですか?
その剣の力を使って戦えば、もっと、もっと楽しいですよ?
早く、全力で戦いましょうよ?」
楽しそうに、本当に楽しそうにエリオは笑う。戦い以外何も無いように。
本気で戦いを楽しんでいるのだろう。
そこからは一片の殺意もない。
だが、戦いに付き合っている暇は無い。
マサキという青年は、見ただけでも重傷だと分かる。
エリオは死んでいないと言っているが、ならば急いで治療しなければならない。
「エリオ、あなたに何があったのかは分からない。何で、そんなに戦いたがっているのかも。
でも、せめてこの人を治療させて。このままじゃぁ、死んじゃうって分かるでしょ!?」
「駄目ですよ、なのはさん! 僕は、僕は戦いたくて堪らないんですから!
・・・・・・あぁ、そうだ。なのはさん、次は全力でいきますよ。
なのはさんも、本気を出して下さいよ。
じゃないと・・・・・・、その人まで黒焦げになっちゃいますから!」
エリオの持つ全魔力が、一点へと集中されていく。
後ろには倒れた青年、なのはが避ければ確実に巻き込まれてしまう。
────人質、そんな物を使ってまでエリオはなのはと本気で闘おうとしていた。
「エリオッ、あんな重傷の人を人質に使ってまで、そんなに私と戦いたいっていうの!?
何で、一体何で・・・・・・!?」
その叫びへの答えはない。
エリオから感じられるのは、ただ戦いへの期待だけだ。
「さあ、いきますよ! ファイヤーブラスター!」
魔法が放たれる。だが、その瞬間なのはは踏み込んでいた。
エリオまでの距離は離れ、魔法の発動を防ぐ事はもはや叶わない。
だが、彼女は駆ける。
あと数歩、そこまできてファイヤーブラスターは放たれた。
その圧倒的な熱量の前では、どんな人間だろうと消し炭になる以外ありえない。
・・・・・・はずだった。
こりゃ規制かかったかな?支援
エリオの戦力がえらい事に支援
もいっちょ支援
さあ、これでどうだ
やべ、支援遅れた
すみません、さるさん食らっちゃいました……。
残りは、明日の朝投下しますOTZ
時期が掛かった割に、微妙なできですみません。
318 :
マスカレード:2008/02/25(月) 22:25:40 ID:d9s4XMlO
やっぱりいつみてもエリオはかぁいいなぁ支援
予約したグリフィス君のが出来ました。投下よろしいですか?
北崎って最悪クラスのマーダーだよなぁ
ライダーロワではいきなりV3に当たったせいであれだったけど、本格的に戦えばかなりやっかいな敵になると思う
灰化といい、ドラゴンのフォームチェンジといい、戦闘能力といい…
それこそアーカードやアンデルセンと同クラスの最悪マーダーだろうしさ
>>317GJ!粗末出来なんかじゃないです。さて、この空気で投下よろしいですか?
>>320 それより上の実力のマーダーっていたっけ?
10分後に投下していいかな。
グリフィス君のが出来ました。そろそろ投下いたします。支援よろしく。
反応ないのでそれでは投下します。
修羅となる日
グリフィスロウランはザフィーラを埋葬する場所を探して歩いていた。
「川か…」
そこは川であった。どうやら、道を間違えたらしい。こんな場所では埋葬も出来ない。
「何でこんなことに…」
訳も分からず、殺しあえと放り出されたこの場所。既に、事切れている仲間の一人。
「どうしろって言うんだよ!」
一人項垂れていたその時、
『ウモオォォォ』
突如牛の様な咆哮が響いた。
「あ、ああぁ…」
そして眼鏡をとりおとしかけた。その中には緑の牛の様な化物がいたのだから…。
「な、なんなんだよ」
『知りたいか』
「お前は…」
耳鳴りと共にそこにいたのは主催者の一人、神崎。グリフィスは睨みつけるが意にもかえさず淡々と話し始めた。
ミラーモンスターそれかこの化物の正体。
カードデッキ、このモンスターがこの場にいる理由。神崎はグリフィスに自らの作ったカードデッキを渡していた。
カードデッキとは、ライダーと呼ばれるものに変身する為に必要なアイテム。
ライダーには契約モンスターが一体いる。
マグナギガ
それがこいつの名前である。
契約モンスターには12時間ごとに生きた参加者を食わせなければならない。
自らの意思で手放した場合と合わせ、破ると自分が食われることを…。
『一分変身するごとに十分、余裕がなくなる』
「つまり、最大でも一時間二十分程度というわけか…」
『そのとおりだ。足掻くことだな』
「ま、待て!」
神崎は既に姿を消していた。
グリフィスは一瞬目を閉じ、開いた。何かを決意したかのように。
「すみません、八神部隊長。僕はもう、そちらに戻れそうもありません。」
まるで自分に言い聞かせるかのように呟いた。
「すまないザフィーラ…。マグナギガ、食っても、いいぞ…」
その声が聞こえたのかマグナギガはザフィーラの死体をミラーワールドに引き込み喰らった。
その音は、グリフィスの耳を捉えて離さなかった…。
ポツン、ポツン。
そんな音がしたかのようにグリフィスの両目から涙が流れていた。
そして、やがて顔を上げるとそこには覚悟を決めた男の顔があった。
「こんな思いは僕だけでいい…」
そして、心に誓った。全てのカードデッキを破壊、またゲームに乗った者を殺し、主催者も殺す、と。
「行くぞ、マグナギガ。全てを終わらせる為に」
この時を持って、一人の男は深き闇へと身を落とした。
全てを終わらせる為に修羅となったのだ。
もはやこの男に、光は降り注がない…。
いずれあるであろう必然の出会いまでは…。
【1日目 現時刻AM2:20】
【場所H-5 川の付近】
【グリフィス・ロウラン@リリカルなのは
Feather】
[状態]健康。
[装備]木刀@なの魂
[道具]遊戯王カード「バスターブレイダー」「魔法の筒(マジックシリンダー)」「光の護封剣」@リリカル遊戯王GX
「カードデッキ」(ゾルダ)@マスカレード[思考・状況]
カードデッキ破壊。そしてゲームに乗った者を殺し、主催者も殺す
1.こんな思いは僕だけでいい
2.八神部隊長…。
以上で投下終了です。グリフィス君、修羅化です。ある意味危険です。
カードデッキのルールちゃんと読みました?
間違いなくNGだと思うんですが。
ルール的にも、ロワにおいての文章力的にも。
>>329カードデッキのは議論スレを参考にしたんですが駄目ですかね。確か、規制緩和の方向だったような?
なぜグリフィスはマーダー的存在に?
元々知らないからなんですが、グリフィスは自ら汚れ役を被るキャラなんですか?
んな、フェムトじゃねえんだから
そもそもグリフィスがマーダーになった経緯が解りません。
その辺の精神描写とかしっかりしてください。
というよりもリレーにおいてこの文章レベルは致命的過ぎる。
次の作者さんに繋げにくい上にグリフィスが何を考えて何をしようとしてるのかがさっぱりわかりません。
カードデッキについてもルール無視にも程がある。
ハッキリ言わせて貰うとNGだと思います。間違いなく
>>333 落ち着いてください
すみませんが、リリカル電王さん。あなたの文章には欠如してるものがあります。それはキャラの心です。(あれ、デジャビュ?)
グリフィスにはマーダー的存在になることにどんな葛藤があったんでしょうか。もちろんそこに到った根拠も必要です。
よろしければ、その描写も追加して再UPされてはどうでしょうか?
>>333>>334皆様、鋭い言葉ありがとうございます。もう一度、キャラの描写を加え、再upしてみます。不肖仮面ライダーリリカル電王sts精進いたします。そのため今回のはNGということでお願いいたします。誠にご迷惑をおかけしまして、すみませんでした。
残ってた部分の投下いきます。
「ぅああああぁぁっ! エリオオオオオォォォォォォッ!!」
主催者への、エリオへの、そして自分への怒り。
やり場のない怒りが、なのはの心から溢れてくる。
その怒りに呼応する様に、オーラフォトンが求めを覆う。
フレンジー、怒りを力へと変えるその技を使ったのだ。
神剣を纏うオーラフォトンが、ファイヤーブラスターとぶつかる。
二つの力は拮抗し────、
一瞬の内に勝負はついた。
・・・・・・結局の所、勝負を分けたのは圧倒的な魔力量の差だった。
ファイヤーブラスターを押し切ったその凶剣はそのまま振るわれ・・・・・・、
バリアジャケットごと、エリオ切り裂いたのだ。
だが、そんな中でもエリオは笑っていた。
全力で戦えた事に、そして、これだけの戦いがまたできる事に。
test
────何で、こんな事になってしまったんだろう?
倒れ伏す青年を前に、なのはは考える。
機動六課のみんなが殺し合いに乗るなんて思ってもみなかった。
なのに、エリオは殺し合いに乗ってて・・・・・・、私はそのエリオを殺した。
何で、何でこうなっちゃったんだろう・・・・・・。
────ここは、彼女がエリオと戦った場所ではない。
あの後、すぐにマサキという青年を抱え、移動を開始した。
自分が殺したエリオの傍にいる事が耐えられなかった。
抱えた青年がもう死んでいるなんて分かっていながら、
もう体が冷え切っている事に気付いていながら、
安全な場所でこの人を治療しなくちゃと、自分に言い聞かせた。
誰かに会いたい、けど、他のみんながエリオのように殺し合いに乗っているのではないか。
────そして、エリオの様に殺さなければならないのではないか。
焦りと不安が渦巻き、今は、ただ何も考えたくはなかった。
【一日目 AM2:26】
【現在地 F-7】
【マサキ=アンドー@スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL 死亡】
【高町なのは@NANOSING】
[時間軸]第八話終了後
[状態]精神的疲労 、魔力消費中、体力消費中
[装備]永遠神剣"求め"@リリカル×アセリア
[道具]支給品一式、不明支給品0〜1個(なのはが確認済み)、不明支給品0〜2個(マサキが確認済み)
[思考・状況]
基本 みんなで生きて帰る。
1、何で、こんな事に・・・・・・。
2、エリオ・・・・・・。
闇夜の下、一人の少年が動く。
彼、エリオ=モンディアルは生きていた。
別に不死身だから、などという理不尽な理由ではない。
その証拠に、高町なのはの求めによって切られた傷からは、血が流れていた。
・・・・・・そう結局の所、なのはは彼を殺せていなかったのだ。
オーラフォトンはバリアジャケットを破るのに使い尽くされ、
剣で切り裂かれる以上のダメージは受けていなかった。
決して軽傷とは言いがたいが、内蔵までは届いていない。
もっとも、人を斬った事のないなのはは気付かなかっただろうが。
──まだ闘うことができる、それだけで笑みがこぼれる。
今度は、最初から本気で戦いましょうね、なのはさん。
次こそ、負けませんから・・・・・・!!
レヴァンティンを手にし、新たなる敵を求めてエリオは立ち去る。
もっと、もっと戦いを楽しむために。
【一日目 AM2:26】
【現在地 F-7】
【エリオ=モンディアル@リリカル遊戯王GX】
[時間軸]第六話終了後
[状態]左胸上部から右脇腹への裂傷、デュエルゾンビ化 、魔力消費中、体力消費大
[装備]マジンカイザー@魔法少女リリカルマジンガーK's
ヤクトミラージュ@NANOSING
[道具]支給品一式
レヴァンティン@スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL
ローザミスティカ@ヴィータと不思議なお人形
[思考・状況]
基本 戦いを楽しむ。
1、また、なのはさんと本気で戦いたい。
※2時丁度に、F−7で高町なのはの放送がありました。
※周囲8マスまで、聞こえている可能性があります。
※F−7には、壊れた拡声器が転がっています。
以上で、投下は終了です。
遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
空白行を前につけたら書き込めないんだっけ・・・・・・OTZ
追加キャラを加えた、参加者一覧です。
【リリカル遊戯王GX】
○万丈目 準 ○早乙女 レイ ?ティラノ 剣山 ○ヨハン=アンデルセン ○ジム=クロコダイル
?丸藤 翔 ●フェイト=T=ハラオウン(sts) ○エリオ=モンディアル
【コードギアス 反目のスバル】
○ルルーシュ=ランペルージ ○スバル=ナカジマ ○枢木スザク
【SHINING WIND CROSS LYRICAL】
○キリヤ=カイト ○シーナ=カノン
【魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
○セフィロス ●ザフィーラ ○ディード
【魔法少女リリカルなのは マスカレード】
○天道総司 ?相川始 ○草加雅人 ○フェイト=T=ハラオウン(A's) ○クロノ=ハラオウン
○北崎
【宇宙の騎士リリカルBLADE】
?Dボゥイ ○相羽シンヤ
【なの☆すた】
○柊かがみ ○柊つかさ
【魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry】
○バージル=ギルバ
【魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers】
?ビヨンド・ザ・グレイヴ ?チンク
【仮面ライダーリリカル龍騎】
○城戸真司 ?浅倉威
【NANOSING】
○アーカード ○ティアナ=ランスター ○ヴィータ ○アレクサンド=アンデルセン ○高町なのは(sts)
【魔法少女リリカルマジンガーK's】
○兜甲児
【リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
○本郷猛 ?南光太郎 ?キョウキ(桐矢京介) ?志村純一
?矢車想 ?影山瞬 ?シャマル ?月村すずか(sts)
【リリカルなのはFeather】
?鷲崎飛翔 ?ルーシュ・デモン ?グリフィス=ロウラン
【ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
○ユーノ=スクライア ○ヒビノ=ミライ ○モロボシ=ダン ?なのは(A's)
【ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- 〜ミッドチルダ編〜】
○小狼 ○黒鋼
【スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL】
○リインフォース ●マサキ=アンドー ?シュウ=シラカワ ○ゼンガー=ゾンボルト
【FLAME OF SHADOW STS】
?ウルムナフ・ボルテ・ヒュウガ ?伽藍
【フルメタルまじかる】
○相良宗介
【なのは×終わクロ】
○佐山・御言 ○新庄・運切 ?ブレンヒルト・シルト ○Sf
【魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】
?八神はやて(sts) ?ジェットジャガー ?ルーテシア
【小話メドレー】
○ゲッコー・モリア
【魔法少女リリカルなのはStrikers−砂塵の鎖―】
●緑の悪魔はんた
【エーストライカーズ】
?シグナム
【見せしめ】
●天上院明日香 ●一文字隼人
【主催】
○覇王十代 ○神崎士郎
○=本編で存在を確認(名簿での名前発見含む) ●=本編で死亡を確認 ?=本編未登場
現在の予約状況
・幼フェイト・北崎・光太郎
・キリヤ、ティアナ、スザク
だいぶ、見出キャラも減ってきた・・・・・・。
ティラノ 剣山、ブレンヒルト・シルトで予約します。
確かマスカレードさんは、幼フェイト・北崎・光太郎の予約を一時的に取り消してたと思います。
それと、Dボゥイが既出なのに未出扱いになってますし、終わクロ氏がルーテシアとアーカードで予約していたはずですが・・・
うわぁ、取り消しで消すのを間違えたOTZ
現在の予約状況はこちらです。
・ルーテシア、アーカード
・キリヤ、ティアナ、スザク
・ティラノ 剣山、ブレンヒルト・シルト
GJ!
エリオが3つもデバイスを…燃費大丈夫?w
チンクとバージル予約します
GJ。
エリオが恐ろしい事になっちまったなぁ……w
とりあえず、未出キャラを埋めにかかります。
黒鋼・つかさ・浅倉で予約します。
反目さんの黒鋼・つかさがNGとなった原因は俺にもあります故……
凶悪犯が一名混ざってはいますが(ぁ
グレイヴの話がまったく進まない、クロス本スレもロワも‥‥
ともかく頑張ってみる。
>>350
期待してお待ちしておりますよ。
何やら期待されてしまったようだ…
応えられるか不安ですが、チンク姉投下します
1人の少女が鉄の船を見上げる。
少女というよりは、むしろ幼女と形容した方がしっくり来るような容貌。幼い顔立ちには、それに釣り合わぬ黒い眼帯。
「よし…」
呟くと、戦闘機人ナンバー5・チンクは、飛行要塞アヴァロンへと足を踏み入れた。
かつり、かつりと足音を鳴らし、薄暗い廊下を歩いていく。
これが空を飛ぶ船だと思える人間は、かなり限られてくるだろう。
普通の常識では、飛行可能な乗り物といったら、航空機か飛行船ぐらいしか浮かばない。
しかし、ミッドチルダでは、こういう乗り物が空を飛ぶのが常識なのだ。
そしてこういった形の物は、航空機よりはむしろ艦艇の役割をなす物の方が多い。それも軍用の。
故に、少し離れたスタート地点からこのアヴァロンを認めたチンクは、ここにある施設があると確信し、足を運んだのだ。
(…あった)
そして、お目当ての部屋へとたどり着く。
すなわち、格納庫。
なにもその格納庫自体を探していたわけではない。これが質量兵器を禁止するミッドの船なら、大規模な格納庫はない方が自然だろう。
彼女が探していたのは、つまり工具がある部屋だった。
支給品のデバイスである、レイジングハート・エクセリオン――魔法の心得のないチンクには無用の長物だ――を爆破したことで、
触れた金属を爆弾に変えるIS・ランブルデトネイターが健在であることは確認済だ。
であれば、弾薬を稼いでおくに越したことはない。
スパナやドライバーなどの工具は、投擲武器として扱うには適したサイズだ。
この格納庫は、刃舞う爆撃手にとって、まさにおあつらえ向きの爆薬庫。
(これで武器は調達できる…)
チンクは格納庫へと入り、ひとまず工具箱を探し始めた。
そう。
彼女はこのゲームに乗っている。
名簿に見つけた2人の家族が死なないようにするには、他の参加者を殺すのが手っ取り早いからだ。
その2人を思い返す。
まず、あの死人兵士――グレイヴは放っておいても平気だろう。彼が負ける姿はまず想像できない。
血液交換が必要になる頃には、近場の敵は粗方掃討しているだろう。
問題はもう1人――ディードの方だ。
このゲームには、高町なのはやフェイト=T=ハラオウンなどの強敵が何人か存在している。
否、ゲームの公平性を保つために、顔も知らぬ無数の参加者達の中にも、彼女らに匹敵する実力者を用意していてもおかしくないだろう。
そしてそれらの強敵達は、ディードの手に負える相手ではない。自分ですら怪しいくらいだ。
故に、自分が助けなければならなかった。
もっとも、ここにいる彼女が自分の世界とは別世界の住人であり、
そしてそのディードが、鬼食らう鬼――復讐を胸に誓う羅刹であることなど、チンクには知る由もないのだが。
「ん…?」
ふと、奥の方に何やら大きな影を見い出す。
近寄ってみると、そこにあったのは、人型の巨大な機動兵器だった。
漆黒の機体に黄金のラインを走らせ、背中には6枚の翼を有している。
さながら神話の魔王のごとき、雄大さと禍々しさ。
ナイトメアフレーム・ガウェイン。
それがこの人形の名前。
(あそこから人が乗る造りになっているのか…)
ハッチの開け放たれた背中を見て、チンクはさぞ残念そうにため息をつく。
ガジェットのように、外部から入力した敵を自動攻撃する機体ならば戦力になったろうが、
操縦の必要があるなら話は別だった。
(あんなデカブツ、いきなりどうやって動かせと言うのだ。私はそんなに器用じゃない。)
しかし、それにしても大きい。
ナイトメアの中でも大型機の部類に入るそれは、身長6メートル級のまさに巨人だ。
ガジェットのV型ですら、こんなに大きくはない。せいぜい背中のコックピットブロックほどのサイズではないか。
そして、その巨体を見たことで、ふと、チンクの中にある1つの想いが芽生える。
「…これ…吹っ飛ばしたら、気持ちいいかな…」
人間誰しも、思いっきり派手に物をぶちまけたいという願望があって然るべきである。
そしてそれは、チンクも例外ではなかったようだ。
これだけ巨大な金属の塊は滅多にない。一体どれほどの爆発を起こせるだろう。
「…はっ、いかんいかん」
しかし、今は緊迫のバトルロワイアルの真っ只中。
そんな私情に気を取られている場合ではない。
というより何だ、このいかにも子供っぽい思考は。私らしくない。
ほんのり顔を赤く染めて首を振ると、チンクは再び工具を漁る作業に戻った。
そして、遡ること数分。
「ほぅ…」
チンクがアヴァロンへ入るのを、目撃していた者がいた。
銀の髪を後ろになでつけ、異様に長い日本刀を腰に差して。
1人の女性を引き連れた男が、その様子を見ていたのだ。
そして今。
半魔の剣士は獲物を求め、鋼鉄の船の中をさ迷っている。
【一日目 現時刻AM2:14】
【C-1 アヴァロン内部】
【チンク@魔法戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers】
[参戦時間軸]第五話中。地上本部襲撃直前。
[状態]健康
[装備]特になし
[道具]支給品一式、ランダム支給品0〜2個、無数の工具(具体的な数は続きを書かれる職人様にお任せします)
[思考・状況]
基本 グレイヴとディード以外の参加者を殺す
1.現在地で武器を調達。医療品も手に入れておくべきだろう
2.ディードを捜して合流する
3.あれは是非とも一思いに爆破させてみたかっ…って何を考えているんだ私は…
[備考]
※支給されたレイジングハート・エクセリオン@リリカルなのはStrikerSを爆破しています
【バージル@魔法少女リリカルなのはStrikerS Strikers May Cry】
[状態]健康
[装備]正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
[道具]支給品一式、ランダム支給品0〜1個、リインフォース@魔法少女リリカルなのはA's
[思考・状況]
基本 目についた参加者は一人の例外なく殺す、もしくは利用する
1.周辺を警戒しつつ索敵。今のところは派手に動くつもりはない
2.あの小娘(=チンク)を見つけ出して殺す。その後はまたしばらく様子見に戻る
投下終了。
実は登場する間もなく大破していたレイハさんエクセリオン。
しかし、まだ大丈夫だ! まだ無印時代のカートリッジ無レイハさんがいる!(ぉ
やべえ、バージル兄さんに見つかった!! チンク早く逃げて〜。
別世界のエクセリオンがあるという裏技も……
投下乙っす
レイハァァァァァァ!?
ああ、でもこのチンク姉かぁいいなぁ……
矢車と影山を予約します。
GJでした!
あぁっ、レイハねえさ〜んっ!
だが、これであの超アイテムを支給できる!
本スレでおなじみ例の愚妹にPC持ってかれましたorz
確か期限は今日だっていうのに、予約分書き上げられるんだろうか・・・
GJ!レイハさん大破。任せろコピーベントがある。それよりマジンカイザーのデバイスって確か顔隠してますよね?
例の愚妹にPC持ってかれたので、期限内の完成・投下が絶望的になりましたorz
つきましては、申し訳ありませんが期限を今週末まで延長出来ませんでしょうか?
誰を予約してましたっけ?
キリヤ、ティアナ、スザクを予約してました
了解です。
ゆっくりどうぞ。
地獄兄弟投下します
「くそっ、一体何だってんだ!?」
影山は一人毒づく。
いつの間にかあのような部屋に連れられ、殺し合えなどと言われても訳が分からない。
湧いてくるのは、何の躊躇いもなく人を殺したあの二人への怒り。
「……一体何なんだ?」
矢車は一人呟く。
いつの間にかあのような部屋に連れられ、殺し合えなどと言われても訳が分からない。
湧いてくるのは、何の躊躇いもなく人を殺したあの二人への疑問。
「これは……殺し合いに参加させられた奴のリストか?」
知り合いがいないか、名簿を読み進め……思わず声をあげる。
「シャマ姉!? それに兄貴まで!」
他にも知っている名前はいくつかあったが、彼にとって重要なのはその二人だけだ。
「これは……この殺し合いに連れてこられた奴のリストか?」
名簿を読み進め、思わず声をあげる。
「シャマル!? それに相棒も……!」
他にも知ってる名前はいくつかあり、彼はそれらにも目を通す。
「兄貴は平気だろうけど、シャマ姉を守らないと……!」
ホッパーゼクターが呼んでも現れないことには気づいていたが、それでも矢車なら並の相手では敵うまい。
だがシャマルは違う、単独での戦闘力はほとんどない筈だ。
一刻も早く見つけ出し、守らなくてはならない。
「相棒なら平気だろうが……シャマル……」
ホッパーゼクターが呼んでも現れないことには気づいていたが、それでも影山なら多少は問題ないだろう。
だがシャマルは違う、単独での戦闘力はほとんどない筈だ。
一刻も早く見つけ出し、守らなくてはならない。
――二人が想うのは、同じ女性
「待ってて、シャマ姉!」
「シャマル……」
――二人が願うは、同じ願い
「シャマ姉を助け出すんだ……!」
「助けてみせる……この闇の中で、俺は光を目指す……!」
――二人を動かすのは、同じ理由
「だって、俺はシャマ姉が……!」
「……」
――二人が選ぶ道は……
「シャマ姉のためにも、ここから脱出する方法を見つけないと……!」
「シャマルを優勝させ、ここから脱出させる……!」
【影山@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
【一日目 現時刻AM0:22】
【F-8 山】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3個
[思考・状況]1 シャマルを探し出し守る
2 脱出する方法を探す
3 兄貴はどうするのかな……
【矢車@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
【一日目 現時刻AM0:22】
【B-10 丘】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3個
[思考・状況]1 シャマルを探し出し守る
2 シャマル以外の者を殺害しシャマルを優勝させる
3 相棒はどうする……?
投下終了
いつか双子キャラとかでやってみたかったネタを使ってみましたー
あんなーに一緒ーだっーたーのにー♪
…要するに、GJ!
そっか…こういうのもアリかぁ…
乙です。
読んでないからなんですが、この兄貴達は特殊ですね。
まさかマーダーにはしるとは・・・
375 :
マスカレード:2008/02/27(水) 22:18:49 ID:yBXK/dXP
GJです
これは色々と擦れ違いそうですね
元々はマーダーだった筈の人物が、色んなキャラとの出会いで対主催に回るのはパロロワの醍醐味だと思いますが……
これはどうなるのか……
GJです
悲劇になりそうな感じが良いです。
あと、ルルーシュ=ランペルージとルーシュ・デモンを予約します
おお!
ついに来た!楽しみにしてます!
皆様、お早うございます。
黒鋼・つかさ・浅倉が書きあがりましたので、これより投下しますね
「お姉ちゃん……」
オフィスビルの一室で、柊つかさは膝を抱え部屋の隅で座り込んでいた。
その体は、恐怖心の為に震えている。
いきなり、訳も分からぬままに見知らぬ場所に呼び出され。
殺し合いをしろと告げられ、目の前で二人の人間がその命を奪われた。
友人とも、そして大切な姉とも離れ離れにされた。
こんな状況では、恐怖心に心を支配されるのも無理は無い。
ちなみに、奇しくもこの時……彼女の姉であるかがみもまた、同様の状態に陥っていた。
「……会いたいよぉ……」
会いたい。
姉に、友達に。
つかさは入り口のドアへと目を向け、しばし考える。
ここでじっとしていても、何も始まらないのは分かっている。
しかし、外にはどんな危険があるかも分からない。
そんな二つの思いが、つかさの中で交錯する。
その為、外に出る決心が中々つかず動けないでいたが……その時だった。
ガチャ。
「!!」
ドアノブが動いた。
誰かがこの部屋へと、入ってこようとしているのだ。
つかさの表情が凍りつき、その身は強張る。
かがみやなのは達が来てくれたという、希望的観測は出来なかった。
恐怖心がそれを妨げてしまっていたのだ。
そして、ドアが開かれ……一人の男が、部屋の中へと入ってきた。
「何か気配がするかと思ったら……やっぱり、誰かいやがったか」
「あ……」
入ってきたのは、ガタイの良い長身の男。
その目つきは悪く、目があった瞬間につかさは思わず身を竦ませ、視線を逸らしてしまった。
しかし……本当に彼女が恐怖を覚えるのは、この直後だった。
彼女の視線は、男の手に向けられ……そして彼女は見てしまったのだ。
その手に握られている、一振りの日本刀を。
「い……いや……!!」
「おい」
「いや……来ないでぇぇっ!!」
男に対し、つかさは悲鳴を上げた。
このままでは殺される。
とっさにデイバッグに手を伸ばし、一心不乱に中身を漁る。
その行動に対し、男は大いに焦った。
それもその筈……普通に話しかけただけなのに、こんな反応をされてしまったのだから。
「おい、ちょっと待て!!
お前、何か勘違いをしてないか……うおっ!?」
男が口を開き、説明しようとしたその瞬間。
一本のペットボトルが、顔面目掛けて飛来してきた。
男の接近を阻止しようと、つかさが投げつけてきたものである。
男はとっさに首を傾け、それを回避。
そのまま、つかさへと向き直り……大声で怒鳴った。
「待てっつってんだろ!!
俺はお前を殺そうとか考えてねぇし、殺し合いにも乗ってねぇ!!」
「へ……?」
つかさは動きを止め、呆然として男に向き直る。
男は額に手を当て、大きく溜息をついた。
こんな状況だから仕方ないとはいえ、いきなりこんな目に合うとは思わなかった。
それからしばらくして、男は、つかさへと名を名乗った。
「俺は黒鋼だ。
お前は?」
「あ……はい。
柊つかさです……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「イライラするなぁ……クソッ!!」
月明かりが周囲を照らす中。
一人の男が、歯軋りしながら叫び声を上げた。
その男の名は、浅倉威。
凶悪な連続殺人犯にして、仮面ライダーと呼ばれる十三人の戦士の一人。
彼は今、自分が置かれているこの状況を面白く思っていなかった。
しかしそれは、いきなり呼び出され、殺し合いをしろと言われた事に対してではない。
浅倉はこの殺し合いを、異常な事態とは全く捉えていなかった……それも当然である。
彼は元々、ライダー同士の戦いという名の『殺し合い』をしている最中に呼び出されたのだ。
そしてその戦いの主催者は、神崎士郎……この殺し合いの主催者である。
首輪の装着や参加者の増加、戦いの場がミラーワールド以外に移った等という、新たな要素こそあるものの。
この殺し合いは、ライダー同士の戦いとは根本的に何も変わらない。
彼にとっては、結局の所普段通りなのだ。
ならば何故、彼が苛立っているのか……答えは簡単、ここまで誰とも出会えていないから。
誰とも戦えていないからである。
「誰でもいい……いねぇのかよ?」
浅倉は、身の回りに暴力がなくては生きられない性質だった。
常に誰かを殴るか、誰かから殴られるかしなければ、落ち着く事が出来ないのだ。
彼が犯罪に手を染めてきたのは、その為である。
そんな彼にとって、誰とも戦えないこの状況は苦痛でしかなかった。
周囲を見回し、誰かいないのかと確認する。
すると……その時であった。
浅倉の目に、興味深い光景が飛び込んできた。
「ん……?」
少しばかり離れた場所にある、そこそこの大きさをしたオフィスビル。
その窓の一つに、一瞬でこそあったものの……何者かの影が移ったのだ。
見逃してもおかしくない、本当に一瞬の出来事だった。
しかし……幸か不幸か、浅倉はそれを見てしまっていた。
浅倉の顔に、邪悪な笑みが浮かぶ。
「やっと見つけたぜ……ククク……ハハハハハァッ!!」
ようやく、戦う相手が見つかった。
浅倉は笑い声を上げ、そしてビルへと走っていった。
その手に、自らの支給品……カードデッキを握り締めて。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「黒鋼さん……本当、ごめんなさい!!」
丁度その頃。
つかさは黒鋼が殺し合いに乗ってないと知り、彼に頭を下げて謝っていた。
冷静になって考えてみれば、護身用の武器を手にしているのは、寧ろこの状況じゃ自然。
それに、目つきが悪いということだけで怖がってしまったというのは、相当無礼な真似である。
見かけで人を判断してはいけないと、改めて想い知らされていた。
「……もう気にしてねぇよ。
だから、お前もそう気にするな」
黒鋼は、つかさを責めるつもりなど毛頭無かった。
彼女があの様な状況に陥ってしまうのも、仕方がないと言うのが分かっているからだ
自分の様に、戦う力を持つ者ならば兎も角……彼女の様なそうでない者には、この状況は辛すぎる。
精神的に参りああなってしまうのは、寧ろ当然である。
「……兎に角だ。
これからどうすりゃいいか、今はそれを考えるのが先決だ。
お前、ここに知り合いはいるのか?」
「あ……はい」
つかさは名簿を広げ、自分の知る名前を指差していく。
大切な姉である柊かがみ。
掛替えの無い友人の高町なのは。
姉の友達であり、なのはの親友であるというフェイト=T=ハラオウン。
何とかして、彼女達と合流を果たしたいが……ここでつかさが、あることに気付く。
「あれ……名前が二つある。
どうしてだろう……印刷ミスかな?」
なのはとフェイトの名前が、何故か二つある。
誤植だろうかと、彼女は思ったが……黒鋼はそうは思っていなかった。
彼には、思い当たる節があったのだ。
「……いや、違うな」
「え……違うって、どういうことなんですか?」
「こいつは多分、文字通りの意味だ。
高町なのはとフェイト=T=ハラオウンは、ここには二人いるってことだ」
「二人って……同姓同名とか、そういうのですか?」
「そういう意味じゃねぇ。
文字通り、こいつ等が二人いるって事だ……って、いきなり言われても分からねぇよな。
……ちょっと長い話になるぞ」
黒鋼は、自身の事をつかさへと話し始めた。
自分は日本国の忍であり、真の強さを知る為にと主君に異世界へと送られた事。
その先で出会った者達と共に、異世界を旅している事。
その旅の最中、時空管理局という場所に辿り着いた事。
そしてその直後に、この殺し合いへと呼び出された事。
話せる限りの全ての事を、黒鋼はつかさへと話した。
「え、異世界って……えぇ!?」
「まあ、驚くのが当然だな」
当然では在るが、つかさは黒鋼の話にただただ驚くほか無かった。
異世界からやって来たなどといきなり言われれば、それは当然の反応である。
しかし自分が置かれている状況を考えれば、それが真実であると思う他無い。
そして……逆に言えば、黒鋼の言う話が全て真実とすれば、筋が通る。
いきなり見知らぬ場所へと呼び出された事も、広場で見たあの非現実的な光景にも、納得がいく。
「で、でもそれと名前が二つあることと、どういう関係が?」
「俺達は旅の最中に色んな連中と知り合ってんだが、そいつ等と異世界で再会する事が時々あった。
前に会った世界のとは別の、その世界のそいつとな」
「えっと……異世界の、同じだけど違う人って事ですよね?」
「ああ、だからこの二つの名前も多分同じだ。
異世界から呼び出された、別人って事になるだろうな……実際、俺はこの二人と機動六課で会ってる」
「えぇ!?
でも、なのはさん達は同じ学校の友達だし、時空管理局とかそんなのって……あ」
つかさは途中まで喋り、そして気付いた。
自分の世界にいるなのはとフェイトは、単なる学生。
黒鋼が旅した世界にいるなのはとフェイトは、時空管理局という場所の局員。
異世界の、同じだけど違う存在……黒鋼の言うとおりである。
ならばこの名簿に記された二つの名前は、それぞれ異世界からやってきた、同じだけど別人の存在という事になる。
「何だか……ちょっと、ややこしいですね」
「ああ、そいつは俺も同感だ……さてと。
これでやる事ははっきりしたな……お前の姉貴と友達を、とっとと探しに行くぞ」
「え、でも黒鋼さん。
黒鋼さんの知り合いもここに……」
「小僧とも合流はする。
だが、あいつには戦う力があるが……お前の探してる奴等に、それはないんだろ?」
小狼には自分と同じく、戦う術がある。
しかし、つかさの探している者達にはそれがない。
何時危険人物と出会うか分からないこの状況下において、そんな者達を放っておく訳にはいかない。
(……あんなの、他人にさせんのも御免だしな)
黒鋼には、幼少時に魔物と呪術師の襲来によって両親を殺害された過去があった。
その時の彼にあったのは、尊敬する父を失った悲しみと、愛する母を守れなかった絶望。
彼が力を欲したのは、その時からだった。
父と交わした、大切なものを自分の力で守り抜けという約束を、今度こそ果しぬく為に。
守ると決めたものを奪おうとする者には一切の容赦をしないという信念を持ったのも、その時からだった。
黒鋼にとって、全ての始まりとなったあの時の自分と同じような思いを、他人にさせたくは無かったのだ。
その為には、襲い掛かってくる者の命を奪う事も躊躇うつもりはない。
自身にかけられた、人を殺める度に強さが減るという呪いの事を、気にするつもりもなかった。
「……黒鋼さん……」
「どうした?」
「……優しいんですね、黒鋼さんって」
「あぁ?何だそりゃ?」
「あ、やっぱり。
本当に優しい人って、それを言ったらはぐらかす人だって友達が前に言ってましたから」
「気持ち悪いこというな、おい!!」
つかさの言葉に対し、黒鋼は怒鳴って反論する。
その様子を見て、ようやくつかさは笑みを浮かべた。
この殺し合いの場に来てから、初めての笑顔であった。
(黒鋼さんって、どことなくお姉ちゃんと似てるなぁ……
こなちゃんが言ってたけど、こういう人を『ツンデレ』って言うのかなぁ?)
あってるようで間違ってる、そんな考えが頭に過ぎる。
黒鋼は、そんな彼女に対して溜息をつくが……この直後。
彼は突然、表情を変え……刀を抜いた。
この行動には、つかさも当然驚く。
「黒鋼さん……?」
「……どっか、隠れてろ」
「え?」
「安全な場所に、しばらく隠れてろ……
どうやら、ちょっと厄介なのがきやがったみてぇだ」
黒鋼が感じ取ったのは、何者かが近づいてくる気配。
その気配は、あまりにもどす黒い……強烈な殺意であった。
自分は殺し合いに乗っていると言わんばかりの圧力。
これまで黒鋼が感じてきたものの中でも、最大級の殺意であった。
「ようやく、見つけたぜ……!!」
やがて、その殺意の大本である人物……浅倉威は二人の前に姿を現した。
待ち望んでいた戦いの相手を見つけられ、浅倉は狂気の笑みを浮かべる。
つかさもここにきて、浅倉の殺意を感じ取る事が出来た。
人を見た目で判断するなと、先程感じたばかりだったが……それでも、はっきりと彼女には分かった。
この男が、この上なく危険であると。
「テメェ……殺し合いを楽しんでやがんな」
「あぁ……?
それがどうしたってんだよ……」
「く、黒鋼さん……」
黒鋼は、無言のまま浅倉へと刃を向ける。
この男は危険すぎる……ここで止めなければ、どうなるか分かったもんじゃない。
警戒しながら、黒鋼は浅倉の様子を伺った。
それに対し浅倉は、カードデッキを部屋の窓ガラスへと向けた。
「さあ、始めようじゃねぇかよ……!!」
「何だ、ありゃ……!?」
直後、何も無い空間から一本のベルトが出現する。
そしてそれは、浅倉の胴体へと瞬時に装着された。
黒鋼もつかさも、この光景には驚きを隠せないが……真に驚かされるのは、この直後。
浅倉が、カードデッキをベルトに装着した瞬間であった。
「変身!!」
デッキが装着されたと同時に、真紅のスーツと甲冑がその身に纏われる。
黒鋼とつかさは、それに見覚えがあった。
そう……広場で殺害された、一文字と呼ばれていたあの者と同じである。
彼は確か、自らをこう呼んでいた……仮面ライダーと。
「あの人って、まさか……!!」
「……広場でやられた奴の同類か」
黒鋼の顔つきが険しくなる。
すぐに殺害されこそしたものの、あの仮面ライダーの身体能力はかなりのものがあるように見えた。
もしも目の前の男が仮面ライダーならば、死闘は必死だろう。
つかさは、そうであって欲しくないと思ったが……
「楽しませてくれよ、俺を……!!」
その悪い予感は、見事に的中してしまっていた。
今の浅倉は、仮面ライダーの一人……仮面ライダー龍騎である。
龍騎はデッキからソードベントのカードを取り出し、ドラグバイザーへとベントインする。
直後、その手へとドラグセイバーが握られ……彼はそれを振りかざし、黒鋼へと接近していった。
「刀同士でやり合おうってか……面白ぇ!!」
黒鋼も強く地を蹴り、龍騎へと向かった。
両者が勢いよく、刀をぶつけ合わせる。
そのまま両者は、拮抗状態にあったが……しばらくして差が出始める。
若干ながら、龍騎の方が黒鋼を押し始めた……パワーでは、龍騎の方が勝っていたのである。
黒鋼も、素手で石の壁を粉砕できるほどのパワーの持ち主ではあるが、流石にライダー相手では分が悪かった。
「どうした……押し返してみろよ?」
「はっ……言われるまでもねぇ!!」
ならばと黒鋼は、とっさに刀を傾けた。
その刀身をドラグセイバーが滑り、そのまま黒鋼の真横へと振り下ろされた。
力での勝負では龍騎が勝ってこそいたが、剣の腕では黒鋼の方が圧倒的に上だった。
そして黒鋼は、素早く龍騎の真横へと移り刀を振るう。
「天魔・昇龍閃!!」
黒鋼がなぎ払いを繰り出すと同時に、彼を中心とした螺旋状の気が上方へと放出される。
その直撃を受け、龍騎は天井へと吹っ飛ばされる。
そして、ぶち当たってもその勢いは衰えず……彼はそのまま、天井をぶち破った。
一つ上の階まで、龍騎の身は吹っ飛ばされたのである。
「黒鋼さん、凄い……!!」
つかさは、黒鋼の強さに驚いていた。
最初はどうなるかと思ったが、これならば大丈夫かもしれない。
そう思い、安堵の表情を浮かべるが……しかし。
肝心の黒鋼はと言うと、相変わらず険しい表情のままであった。
「黒鋼さん……?」
「……まだだ。
あいつはまだ、くたばっちゃいねぇ……!?」
その直後だった。
天井をぶち破り、黒鋼の頭上から何者かが襲い掛かってきた。
真紅の巨龍……龍騎の契約モンスター、ドラグレッダー。
ドラグレッダーは大きく口を開き、黒鋼へと食らいつきにかかる。
「こんなのまでいやがんのか……おい、お前は逃げろ!!」
「黒鋼さん……で、でも!!」
「いいから行け!!
こんなんまでいるんじゃ、巻き込まねぇって保障は出来ねぇ……!!」
黒鋼はとっさに後ろへと下がり、間一髪この一撃を回避する。
しかしドラグレッダーは、そのまま首を捻り黒鋼へと追撃を仕掛けてくる。
すぐさま黒鋼は刀を前に出し、ドラグレッダーの牙を受け止める。
だが……ドラグレッダーを相手に踏ん張りきるのは、流石の黒鋼でも不可能だった。
ドラグレッダーは、そのまま進撃し……黒鋼の身ごと、窓ガラスをぶち破りビルの外へと飛び出した。
「ぐぅっ!?」
黒鋼の身が、宙に投げ出された。
彼が居たのは、オフィスビルの二階。
落ちて死ぬレベルの高さでこそないものの、このまま地面に叩きつけられるのも流石にまずい。
とっさに黒鋼は体を反転させ、何とか足から着地しようとする。
しかしそこへ、ドラグレッダーの容赦ない攻撃が迫った。
ドラグレッダーの口から、巨大な火球が放たれる。
「ちっ!!」
黒鋼はとっさに刀を振るい、それを切り払う。
そして、何とか地面へと着地するが……この直後。
彼の上空から、更なる追撃が襲い掛かってきた。
「オオオオオォォォォォォォォッ!!」
襲い掛かってきたのは、ドラグレッダーの主である龍騎。
黒鋼が外へと投げ出された直後、龍騎もその後を追い外へと飛び出してきたのだ。
龍騎は黒鋼目掛けて、勢いよく刃を振り下ろす。
ドラグセイバーを用いる龍騎の必殺技の一つ、龍舞斬。
黒鋼は地を蹴って跳び上がり、それを迎え撃ちにいく。
「ハァァァッ!!」
「破魔・龍王刃!!」
両者の刃が、空中でぶつかり合う。
しかし今度は、先程とは威力が違う。
龍騎の繰り出した龍舞斬は、威力自体はAP2000とドラグセイバーによる一撃と大差は無い。
だが黒鋼の放った破魔・龍王刃は、単なる一撃とは訳が違う。
黒鋼の倍はあるであろう巨大な相手を、一撃で両断する程の威力を秘めているのである。
「ッ!!」
ドラグセイバーが叩き折られる。
黒鋼の強烈な一撃に、耐え切れなかったのだ。
そのまま黒鋼は刀を振りぬき、龍騎へと切りかかる。
しかし、龍騎もそう簡単にやられるほど柔ではない……彼とて、多くの修羅場を潜った身である。
「ハァッ!!」
龍騎はとっさに体を捻り、黒鋼の刃は切っ先が胴を掠るだけに終わる。
更に龍騎はそのままの勢いで、黒鋼の肩へと裏拳を叩き込んだ。
不安定な体勢から繰り出された為に、威力自体はそれ程ではない。
しかし、何とか距離を離すのには足りるだけの反動を得る事は出来た。
そのまま龍騎は黒鋼との距離を離し、そして二人が同時に地面に着地する。
「ハハハ!!
この感じだ……もっと俺を楽しませろ!!」
「こんなに骨のある奴は、久々だな……あの野郎とやりあった時以来か……!!」
【1日目 現時刻AM1:00】
【場所 E-6 街中】
【黒鋼@ツバサ〜ミッドチルダ編〜】
[参戦時期]1話終了後
[状態]全身に軽い打撲と切り傷。
[装備]草壁の日本刀@コードギアス 反目のスバル
[道具]支給品一式、不明支給品1〜2個。
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、殺し合いから脱出する。
力の無い者は優先的に守る。
1:目の前の仮面ライダーを倒す。
2:つかさが無事に逃げ切れるだけの時間は稼ぐ。
3:つかさの探している者達と合流する。
4:小狼と合流する。
[備考]
※なのはとフェイトが、二人居る事に気付きました
※必要ならば、自身の強さが減るのを承知で人を殺めるつもりでいます。
※つかさと情報を交換しました。
【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】
[参戦時期]18話、須藤殺害後。
[状態]健康、龍騎に変身中。
[装備]ドラグバイザー、カードデッキ(龍騎)
[道具]支給品一式、不明支給品1〜2個。
[思考・状況]
基本:このゲームを楽しむ。
1:目の前の男との戦いを楽しむ。
2:男を倒した後、他の獲物を探し出す。
[備考]
※カードデッキの制限については、既に神崎士郎から説明を受けています。
※ソードベント・アドベントのカードを使用しました。
一度変身を解いてから再変身しなければ、使用は不可能です。
「ハァ、ハァ……!!」
黒鋼と龍騎がビルの外へと飛び出した頃。
つかさは隙を見て、ビルの外へと逃げ出していた。
怖かったから逃げたというわけではない……いや、多少はそういう気持ちがあったかもしれない。
しかしそれ以上に、このまま黒鋼を放っておく訳にはいかなかった……彼を助けたかった。
その為にも、誰か助けを呼ばなければならない……あの仮面ライダーを止められるだけの、強い力を持った者を。
そう思って、つかさは外へと飛び出したのである。
「待ってて、黒鋼さん……すぐ、誰かを……!!」
【1日目 現時刻AM1:00】
【場所 E-5 街中】
【柊つかさ@なの☆すた nanoha☆stars】
[参戦時期]2話終了後
[状態]健康、黒鋼に対する焦り。
[装備]無し
[道具]支給品一式、不明支給品1〜3個。
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、殺し合いから脱出する。
1:誰か助けを呼んで、黒鋼を助ける。
2:かがみやなのは達と合流する。
3:小狼と合流する。
[備考]
※なのはとフェイトが、二人居る事に気付きました
※黒鋼と情報を交換しました。
※赤い仮面ライダー(龍騎)を、危険人物と認識しました。
以上、投下終了です。
黒鋼vs浅倉、色んな意味でぶっ飛ばしてます。
しかし浅倉、本来の龍騎である真司とは正反対な奴だよなぁやっぱり……
カラーリングは普通だけど、もう中身はリュウガって感じだ(ぉ
乙です!
浅倉あああああああ!
龍騎になるとは予想外でした・・・
つかさ、20分ほどそこで探せば姉に会えるかもしれない
>>371 B-10じゃなくてB-9の間違いでは?
あと、
>>259の草加達の位置がH-4ではなくH-1になってました。
さすが同作品のシステムだけあって、違うライダーの武器も使いこなしてますなー
てか黒鋼つえぇw
>>391 あー、wikiのカラーの方の地図の座標で書いてました
文字の方は0から始まってる事を失念……申し訳ない
GJでした!
推理があってるんだか、間違ってるんだかw
>>392 すみません、地図間違えてましたOTZ
後で修正しときます。
気が付いたら今日の睡眠時間が僅か1時間だった俺参上orz
GJ!
龍騎に変身するとか、色々と驚きどころや燃え場は満載だったのですが、1番びっくりしたのは…
>草壁の日本刀
そんなんでいいのかよっ!(ガビーン)
395 :
マスカレード:2008/02/28(木) 15:31:29 ID:3FaWrv8P
GJです
浅倉と当たってしまった=死亡フラグみたいに思えてしまう……
なんせ浅倉も最悪クラスのマーダーの一角ですし。
今現在の市街地の状況を纏めると、つかさがE-5地点に居たのが1:00。
かがみが隣のD-5地点に居たのが1:12。そこからE-5に移動し、スザクと別れたのが1:24。
だいたい1km徒歩で10〜20分……つかさの足で考えると遅くても30分くらい?
つかさがその周辺をしばらくさ迷ったのか離れたのかは解りませんが、1:12〜1:をまでの12分間の間でかがみには会えなかった。
まぁ実際歩いてみれば1kmは結構広いですからね。
そして、現在のつかさの場所から2マス離れた場所、37分後のD-4にいるのが天道&ヴィータ。
それから忘れてならないのが、現在浅倉達が暴れてるE-6が1:00。その24分後がキリヤ達のバトル。
まぁこれがどうなるかは龍騎さんが投下するまで解りませんが……。
つかさが適当にさ迷い続けたとして、最初に会うのは天道かヴィータの可能性が高いですね。
ただヴィータはD-5からD-4と場所を移したことからも、現在のつかさと同じく北にに移動してるのが確定してる訳ですね。
で、天道はヴィータの向かいから歩いて来たということは、天道の進路は南。
このまま誰も新キャラが現れなければ、流れ的につかさは天道と当たる確率が高いんですよね。
さて、どうなるか……
い、いちおーウチの新庄君も市街地の端っこ、C−6に1:06頃いるんですけどね?
ひょ、ひょっとして忘れられてる? 終わクロキャラは書きづらいからかな? それとも新庄登場回をちと独走しちゃったせいかな〜?
つかさに一番近いキャラのことですよ
398 :
マスカレード:2008/02/28(木) 17:20:41 ID:3FaWrv8P
>>396 あ……すみません、時間と方角的につかさとは合流しないだろうなぁと勝手に推測してました……
>>397さんの言う通り、このままつかさが北方向へ進めば天道に当たる確率が高いかなぁと。
新庄君がいるC-6から現在戦闘中のE-6まで約2km、恐らく戦闘に気付く事は無いだろうと思ったんです
動くとしたら24分の銃声を聞いてからか、なのはさんのメガホンボイスを聞き取れた場合くらいかな……と勝手に推測しまして……
誤解を招くような言い方で申し訳無いです……
いえ、左様なご意向を悟れなかった自分に非があるのです、こちらこそすみませんでした。
ちょっとナーバスになっていたもので…申し訳ない。
んー、前回のレスから一つも新しいレスが入っていないという事にびっくりな心境。
予約分のルーテシア&アーカード分の話が出来たので投下してみるのす。
ちょっとアーカードに自信がありませんが、まあ一丁やってみるのです。
広々とした森があった。
地には草、天には枝葉、見渡せば樹々が乱立している。日の出る頃ならば木漏れ日の差す清々しい風景ともなるだろうが、深夜の現時では薄気味悪いだけだ。
側を流れる川の音は草木のざわめきと重なり、その森林を静寂で彩った。
獣は無く、虫も居ない、まるで造られたような森だ。
だがそんな森にも、その領域の内に居座る生き物があった。
それは森の中にあって川に近い部分。中心部に比べて若干樹々が少なく、月明かりも多めに差し込む場所だ。
注ぐ月明かりに照らされた生き物、それは一対の人型だった。
片や薄紫の長髪をたたえた黒衣の少女。否、短い袖やスカートから露出するか細い手足を見れば、幼女と称する方が良いのかもしれない。
しかしもう一方は人間ではなかった。確かに人型ではある、だが身の丈は2メートル近くあり、目は二対、全身は黒の外殻で覆われ、露出する筋肉は紫だ。
人型の虫、そう表現出来るものだ。
そして人形の虫は地にあぐらをかいて座し、少女は組まれた足に腰を下ろし、人形の虫に小柄な全身を預けていた。
まるで頼る様に、まるで泣きつく様に、まるですがりつく様に。
少女、ルーテシア=アルピーノは己に尽くす召喚獣、ガリューに寄り掛っていた。
ルーテシアの胸中を一言でまとめるならば、それは“嘆き”という言葉に尽きる。
……また、誰か死ぬの……?
ルーテシアはこの戦いに召喚される前、世界の存続をかけて怪獣達を捕殺する役目についていた。史上最強の生物ゴジラに対抗するべく、10体の怪獣達を使い魔とする役目に。
そしてルーテシアはその1匹目、巨大な蜘蛛の怪獣であるクモンガを連れていた。
クモンガが見つかり、捕らえられ、殺され、そして自分に回された時の事を、ルーテシアは今でも覚えている。
……死んだ子を、使ってる……
魔導師社会において使い魔は広く用いられる技術だ、それ自体に深い罪悪感は無い。だが、自らの手で素体を殺して使い魔を造る、等という話は聞いた事も無い。
遺体を道具とする為に命を奪う、そんな話があっていい筈は無い。
故に、表にこそ出さないがルーテシアは当時から深い自責を抱えていた。自らの手で死なせたクモンガを、己の下僕とする事に。
……私の周りには…“死”ばかりがある……
何時からか、ルーテシアはそう思う様になっていた。
かつての保護者、ゼスト=グランガイツは死人であり、そして再び死んだ。
かつての協力者、白天王はゴジラによってヴォルテールと共に殺された。
手に入れた使い魔、クモンガが自分に仕えるのは殺されたからだ。
そして今、自分が巻き込まれたこの戦いにおいては、
……見ず知らずの人が、死んだ……
今も目に焼き付いている。あの“主催者”達に歯向かい、殺された2人の人間を。首輪が炸裂し、首から上が吹き飛んだ男と女を。
「…………っ!」
血や肉の吹き飛んだ光景を幻視し、ルーテシアは思わず頭を抱え、双眸はキツく閉じる。幻さえも見たくないと言うように。
……助けてくれる人はみんな死んで、同じ場所にいただけの人も死んで……
じゃあ自分は何なんだ。近くにいただけで命を潰す自分は一体何なのか。
「――まるで、私が」
想いが思考を凌駕し、言葉として紡がれそうになった。
自分が“それ”なのではないか、という事を言葉で紡がれそうになった。
だが、
「…………ぁ」
身を預けていた巨躯の両腕が、ルーテシアの体を抱き締めた。装甲に塗れた無骨な腕ではあるが、こちらを支えようとする労りを感じる。
自身を抱え込んだ巨躯をルーテシアは見上げた。
「……ガリュー」
そこにあったのは親愛なる従者の顔だ。
喋る事もなく、表情を変える事も無い、だがそれでも、想われていると解る相手だ。
「ガリュー……っ」
胎児の様に身を丸めてガリューにすがりつく。
この状況にあって、唯一頼れるものに。
自分に残された、最後の希望に。
「違うよね。私、“それ”じゃないよね……?」
心身と言を震わせてルーテシアは問う。
抱いた懸念を否定して欲しい、その一心にガリューへと問い掛ける。
ガリューはその答えを言う事は出来ない。人間とは異なる生体を持つガリューには、発声器が無いからだ。だが、行動を持って意思を示す事は出来る。
より強くルーテシアを抱き締める事、それがガリューの意思だ。
「――ガリュぅ……っ」
ルーテシアもまたガリューを抱き返し、そして、
「ほう、二度目の獲物も子供とはな」
第三者の声を聞いた。
「!?」
見やるのはガリューと同時、視線の先には一人の男が立っていた。
その姿が歪んで見えたのは凶暴な笑みと殺意に意識が竦んだせいか。それだけの危険性を男は滲ませていた。
間違いない。この男は、
……殺し合いに、乗ってる……っ!!
「――さあ少女よ、お前はユーノ=スクライアの様に私を楽しませてくれるか?」
●
その男はアーカードという名前である――という事を知る筈も無く、ガリューは跳んだ。ルーテシアを跳ね飛ばさぬように脇に退かせ、転じて弾丸の如く跳躍したのだ。
一拍の間もなくガリューはアーカードに接近、外殻に彩られた左腕を振り抜く。
だが、ルーテシアには予感があった。それも飛び抜けて悪い予感が。
「――ガリュー! 駄目!!」
ルーテシアが静止を叫んだのは、丁度ガリューの腕が粉砕されたのと同時だった。
「…………ッ!!」
まず外殻が、次いで筋肉が、そして血液が散逸する。
それを為したのは、ガリューの拳よりも遅く振られ、しかし先に攻撃を成したアーカードの右腕だった。
肘から先が消失したガリューの左腕、それと交差するようにしてアーカードの右腕があった。その先にはガリューの体液が付着した拳が握られている。
「――――――――ッッッ!!!」
それでもガリューは止まらない。左腕が失われたならば、と今度は右腕を突き抜く。
しかし、
「……は」
短く鼻で笑うアーカード。と同時に、彼の返す右腕によって突き出されたガリューの腕は左腕と同様に砕かれた。
「どうした“虫人間”!! 貴様はその程度か!?」
挑発と嘲笑を交えたアーカードの咆哮、ガリューはそれに応えた。
突如としてガリューの肩甲部から一対の触手が伸びる。本来ならば両腕と併用する事によって同時に4つの攻撃を繰り出す為の器官、それが発動したのだ。
初速から最高速度、不意打ちとして放たれた触手がアーカードを貫こうとする。
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
だがそれは、アーカードの哄笑の下に防がれた。
両の手が触手を掴み、その切先をアーカードの胴からずらしたのだ。結果、触手による攻撃はアーカードの掌を僅かに抉ったのみに留まる。
だが同時にそれは、ガリューがアーカードによって捕らえられた事と同意だ。
触手を掴まれ、更に両腕を失ったガリューは、その胴体をアーカードの前に晒していた。
「――臓腑を散らせ」
ガリューが触手を伸ばして距離を空けようとする間もなく、抜き放ったアーカードの右脚がガリューの胸を貫いた。
「!!!!!!!」
外殻も筋肉も血液も内臓も、その他諸々も含めたそれがアーカードの脚と共にガリューの背から噴き出した。
「……ッ…ッッ………ッ………ッ…」
しかしアーカードの虐殺はこれに留まらない。
痙攣するガリューの体を串刺しにした右脚を抜き、両手は触手を離してガリューの両肩を掴む。そして繰り出されるのは、
「殺――――――――――――――――――――ッッッ!!!」
直角90度で突かれた、天に向けての蹴りだ。
火山の噴火にも似た威力と速度はガリューの顎を撃ち抜き、その獰猛な攻撃力によって首をへし折った。否、引き千切ったというべきか。
うなじの外殻がへし折れ、伸びきった喉の肉が破れて内部を露出させた。闇夜の暗がりでさえなければ、口内と食道が見て取れたかもしれない。
喉の限界を超えたガリューの頭部が、上下逆さまに真後ろを見た。
間を空けて後方、アーカードによる虐殺を呆然と見続けていたルーテシアの姿を。
「――いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」
崩れ落ちたガリューの遺骸。
直後に沸き出したルーテシアの悲鳴。
そして、ガリューの脇を抜けたアーカードがルーテシアを蹴り跳ばした。
ガリューの破壊からルーテシアへの一撃、その間――僅か10秒。
●
「……あ、ぁ……ぁ」
背後の樹木へと背中を強打したルーテシアが呻く。
強固なガリューの肉体を軽く粉砕した男の蹴りを受け、即死しなかったのは奇跡的だったと言える。だがそれが幸いだとは、ルーテシアは決して思わない。
肩甲骨と背骨に染み渡る痺れ、頭蓋の振動から来る脳髄の激痛、内臓のうねりと胃液の上昇を我知らずと知覚する。
「――ほう、耐えたか。弱小の身と思ったが……中々頑丈だな」
ゆっくりと、悠然と男が歩んでくる。最早ルーテシアが動く事など出来ないと理解しているからだ。まあ最も、例え動けても逃がす事は無かっただろうが。
ルーテシアを蹴った左脚が、ガリューを貫いた右脚が、散らばったガリューが森林の草を踏みしめる。だがそこには、散らばったガリューの残骸以外に落ちているものがあった。
それはルーテシアが持っていた支給品だ。
蹴飛ばされた衝撃で手放したルーテシアのデイバックが、その収容物を散乱させたのだ。
食糧、地図、ランタン、筆記用具、その他諸々の物品があり、そしてその内の一つが男の目に留まった。
「拳銃、か。……見た事も無い種類だな」
その奇異さが男の興味を引いたのだろう、小さな火器が男の手に握られる。
男はそれをしげしげと見つめてから、やがて、
「これは貴様の支給品だな、少女よ。――ならば、これで始末をつけてやろう」
宣言と共にルーテシアの額に銃口を密着させた。
「……あ」
ひんやりとした鉄の温度を額に感じてルーテシアは声を漏らす。だがそれも全く無意味な事だ。
その程度で引き金を引かぬ者が、ああも無惨にガリューを破壊する筈が無い。
「――や、やぁ」
目尻から零れた涙、それは恐怖だったのか拒絶だったのか。
やはりそれを気にする事も無く、男は引き金を引く。
そうして、ルーテシアの後頭部から奔流が噴いた。
●
額に銃口を押し付けた状態で弾丸を放てば、当然頭部は破砕される。
散った火花が表皮を焼き、吐き出された弾丸が頭蓋を抜き、脳髄を掻き回し、再び頭蓋を抜け、液状化した頭部の内容物と共に後頭部から噴き出す。
故に少女の後頭部から噴き出した奔流は、彼女の脳髄や脳漿や頭蓋の破片だとアーカードが思っていた。
だが、それは違った。
「……何!?」
噴き出したのは液体ではない。まるで硝子の破片にも似た、光の断片群だ。それが後頭部から噴き出し、空中へと逆巻いていく。
「これは……」
原理不明の光の奔流が暗闇の森林を輝き染める。
驚きに棒立ちとなったアーカードが、そして本人にも何が起きているのか解らないのか、少女もまた光の渦を見ている。
そして、二人の脳裏に何かが響いた。
それは声だ。アーカードでも少女でもない、新たな声が二人の意識に語りかける。
――我は汝……
―――汝は我……
――――我は汝の心の海より出でし者……
何時しか奔流が一つの形を造った。その形状は、
―――――“潜影の従者”、ガリューなり……
つい先ほどアーカードが破壊した筈の、“虫人間”の姿だった。
「馬鹿な! 亡霊とでも言うつもりか!?」
驚くアーカードの叫びが、奔流より生じた“虫人間”に向けられる。
アーカードは化物の存在を信じている。何故なら自分こそが化物、吸血鬼だからだ。しかし亡霊の存在は信じない。死者を信じて、どうして生者を虐殺する事が出来ようか。
アーカードが否定を持って睨む先、ガリューを名乗る“虫人間”が先ほどと同様に腕を振りかぶる。だから先ほどと同様に、再びアーカードはその腕を打ち砕こうとした。
「二度目の死に浸れ……ッ!!!」
繰り出されたアーカードの拳、だが今回は、そちらの方が遅かった。
アーカードよりも後に抜かれた筈のガリューの拳が、しかし先んじてアーカードを捉えた。人外の鋭利を誇る拳がアーカードに迫り、
「―――――――――――――」
その首を断ち切った。
中空を舞う頭部、アーカードの意識はそちら側にあった。僅かに回転する頭部が視界が振り、取り残された首から下を見る事が出来た。
首が刎ねられた場合、人は死を免れる事は出来ない。だがアーカードはその限りではない。
何故なら彼は吸血鬼、それも数ある吸血鬼の中にあって最高を誇る、真性の吸血鬼だからだ。その治癒力と生命力は、正に不死性と呼ぶに足るほどの強さだ。
事実、アーカードは過去に首を刈られた事があったが、その後に蘇生を果たしている。その事実こそが、“首を落とされた程度で死なない”という事を決定的にする。
少なくとも“それが本来の”アーカードならば。
だが、現状はその限りではなかった。
……なんだこれは!!?
余りの生命力の弱さにアーカードは驚愕を思う。
痛みがある。脱力感がある。意識が遠のくのを感じる。今まで“首を落とされた程度”で感じた事など無いその感覚。これではまるで、
……私が死ぬかの様ではないか!!?
有り得ない。この程度の事で、自分が死ぬなど。だが事実、近付いてくる“死”をアーカードは感じていた。
「――お、ぉ、おおおおおおおおおっ!!!」
首のみとなったアーカードが吠える。死に抗い、生を維持しようと叫ぶ。それに体が応えた。
首を失った肉体が、地に落ちたアーカードの首を求めて動き出す。
千鳥足で、遅々とした動きで、首無しの肉体が首へと歩み寄り、それを目前にして跪いた。そして両手が伸びて頭部を掴み、お互いの首の断面を繋ぎ合わせた。
繋ぎ合わせた頭部と肉体が、僅かながらも癒着するのをアーカードは感じる。これを維持すれば、生を保つ事が出来ると確信する。だが、
「ぐ……お、ぉ、ぉ、おぉぉぉ……」
押さえる両腕が痙攣し、密着を維持出来ない。固定を維持するには、肉体の支配が不完全なのだ。押さえる両腕がぶれて密着をずらしてしまい、癒着した端から千切れてしまう。
……このまま、で、は……
死ぬ。
真性の吸血鬼。最強の化物。殺戮に愉悦するアーカードという存在が、消滅する。
「――が、ぁ」
死への拒絶、しかしどういう訳か衰えた生命力と再生力によって、それを果たせない。
このままでは何時か手が滑り、頭部を落とし、そのまま死ぬ。
だがそこへ、新たな力を感じた。それが左右のこめかみに発生し、首と胴の固定を援助する。
何者かに寄って、頭部が支えられているのだ。そしてその何者かは、この状況には一人しかいない。
……どういう、つもりだ……
つい先ほどまで殺そうとしていた、そして殺されかけた少女。アーカードの敵対者である筈の少女が、アーカードの再生を支えていた。
●
ガリューを虐殺した男によって額を撃ち抜かれたルーテシア、彼女が感じたのは一種の虚脱感だった。
まるで蛹から抜け出す蝶の様に、中身が自分から這い出してくるような感覚。
そうして発生したのは、死んだ筈のガリューだった。
光の渦から形成されたガリュー、それが繰り出した一撃が、ルーテシアを殺そうとしていた男の首を刎ねる。
「……ぁ」
宙を飛んだ男の頭部、それを見届けてガリューの姿が霞んだ。
まるで、役目を果たした、と言わんばかりに輪郭が霞み、ルーテシアから噴き出した光の断片へと戻り、暗闇の森へと散っていった。
「……ガリュー」
ルーテシアが愛し、また向こうもこちらを愛していたと断言出来る相手、召喚獣ガリュー。故に死して尚、ルーテシアを護る為に現れ、男を撃退してくれた。
と思う程に、ルーテシアは楽観的ではなかった。
そう思う要因は、再び現れたガリューの勝利そのものだ。
ガリューの戦闘力は、男のそれに遠く敵わなかった。故の虐殺、故の危機だったのだ。
それが拳銃によって撃ち抜かれ、光の渦から再び現れた途端に逆転し、男の首を刎ねた。そこにどんな原理があるのか知らないが、一度殺された事によってその力を得たのは解る。
殺された事によって、ガリューはルーテシアを護る力を得たのだ。それはつまり、
……ガリューが死ななきゃ、私は助からなかった……
同じだ、とルーテシアは思う。今までと同じだ、と。
かつての保護者、ゼスト=グランガイツは死を経て自分を助け、後に再び死んだ。
かつての協力者、白天王は自分の命令を持ってゴジラと戦い、その末に死んだ。
新しい協力者、クモンガは自分に仕え助けてくれるのは、自分達に殺されたからだ。
この戦いの冒頭で死んだ二人は、何も関係ない筈なのに自分の目の前で死んだ。
そして今、自分の守護者であるガリューは、死ぬ事で得た力で自分を殺そうとした敵を殺した。
……私の周りは、死んだ人ばかり……
だから思ってしまう。彼らが死んだのは、自分と出会ったからではないか、と。
自分は――関わる者に“死”をもたらす“それ”なのではないか、と。
「や、ぁ」
違う。違う、と否定したい。自分はそんな、おぞましいものではない、と。
だが先ほどは否定してくれたガリューも今はいない。あるのは、無惨に破壊されたガリューの遺骸だけだ。
その事実が、よりルーテシアの思いを助長させるのだ。
……ちがう、よぉ……私は、誰も、死なせるつもりなんて……
だが死んでいる。皆、全員、死んでいる。ひょっとしたらこの戦いも、自分がいるから発生したものではないのか? 自分が原因でより多くの人が死ぬのか?
「――ぁ――や―や―ち、ちが―――ちが」
全身が痙攣する。声が震える。心が、砕けそうになる。
全ての災禍は、全ての死は、あらゆる原因が自分にあるのではないか、と。10歳になるかならないかという幼稚な心を踏みにじる。
その時、
「――お、ぉ、おおおおおおおおおっ!!!」
「……え?」
刎ねられた筈の男の頭が、吠えた。更にそれに応えて、男の胴体が動き出した。
「う、うそ」
信じられない光景だった。首を失って死なない存在など、失って尚動き続ける存在など、ルーテシアの知る常識の遥か外側にある事実だった。
「ぐ……お、ぉ、ぉ、おぉぉぉ……」
やがて首無しの胴体が落ちていた頭部を掴み、お互いの首の断面を密着させる。と、皮膚や筋肉が次第に癒着していくのがルーテシアの目に映った。
……まさか、死なないの……?
生きるというのか。首を繋げば生き続けるというのか、この男は。
「――が、ぁ」
しかしそれは難しいようだった。首を落とされたせいか、頭を固定する両腕がぶれて癒着を維持出来ていない。このままでは近いうちに頭を取り落としそうだ。
……そうなれば、死ぬ……
きっと死ぬ。絶対死ぬ。生き返る事が出来ない。
だから、ルーテシアは男の癒着を助けた。男へと駆け寄り、両の細腕によって男のこめかみを持ち、首の癒着を支える。男が膝をついていたおかげで何とか背は届いた。
自分を殺そうとした相手を助けるその行動、それはルーテシアの心を護る為の防衛手段だった。
自分と一緒に生活した男は死んだ。
かつて自分を助けてくれた巨人は死んだ。
新しく自分を助けてくれる大蜘蛛は死んでいる。
何の関わりもない人間達は自分の目の前で殺された。
つい先ほどには自分を守り続けてくれた召喚獣も死んだ。
この上、自分を殺そうとする者まで死んだ日には、
……私は“それ”になっちゃう……
近寄るだけで相手を死なせる、呪われた、おぞましい“それ”になってしまう。それだけは嫌だった。
だからルーテシア=アルピーノは男を生かす。
男の為ではなく、自身の心を護る為に。
死にかけた男を生かす事で、自分は周囲を死なせる“それ”ではない、と証明する為に。
●
“死”の為に生きる男、アーカード。
“死”によって生かされた少女、ルーテシア。
――――出会う筈の無い二人が、今、出会っていた。
【一日目 AM1:15】
【現在地 I-7】
【ルーテシア=アルピーノ@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】
[時間軸]ミッドチルダ1終了後
[状態]健康
[装備]無し
[道具]支給品一式・召喚器@P3Lyrical・不明支給品0〜2個
[思考・状況]
基本 誰にも死んで欲しくない
1.私は“それ”じゃない……皆を死なせるものじゃない……
2.お願い……死なないで……
※“死”に対して過剰な忌避感を持っています
※固有スキル『転移魔法』……現在位置の周囲8マスの中で行った事のある場所のみ、自分、ないし任意対象1〜3体を瞬間移動可能。ただし、魔力・体力の消耗大。
【アーカード@NANOSING】
[参戦時間軸]第八話開始直後
[状態]千切れた首を再生中、首に首輪が着けられていない
[装備]無し
[道具]支給品一式、不明支給品1〜3個
[思考・状況]
基本:闘争を楽しむ
1:この小娘……何を考えている?
2:何だこの弱体化は……?
3:ユーノとの再戦を楽しみに待つ
[備考]
※名簿はまだ見ていません
※心臓に首輪が装着されています
※首の断絶を癒着中です。長期の安静・固定が行われない場合、肉体に対する制限と相まって死亡します
※治癒力・生命力の制限に気付きました
投下終了。
……すみません。予約の時に「死者出さないYO」と言っといて……しっかり死者出してました。参加者じゃありませんがね。
ガリューがペルソナ化したのはあれです、ヤマオカ理論。あの爺さんが坊ちゃんのペルソナになったのと同じ理屈。
アーカードに自信がないなぁ、やっぱり。あんま知らないもんなぁ………。
GJ!
危ねぇ危ねぇ…あの時自分がルーちゃん予約してたら、しょーもないのでこれ潰す羽目になってたのか…
そして首だけで吼えるアーカード…すげぇ、何かこう、生々しい感触が伝わってきます。
このバトロワを通じて終わクロ氏のファンになった自分。終わクロクロスは一度も読んだことないけどorz
GJでした!
なかなかの超展開w
これからどうなっていくのやら。
411 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/28(木) 23:48:20 ID:NoHmBeOk
ユーノ戦で首から上が粉々に吹き飛んでもすぐに回復したはずなのに、なぜ今頃斬首されただけで回復が困難に?
ユーノ戦で治癒力の大半を使ったからとか?
↑サゲ忘れてました。すみません
>>412 感想無しなら、毒吐きか議論スレを使ってくれ……。
失礼しました。
ではそうします。
>>411 ぬああああああああああっ! 読み落としてたあぁぁぁぁぁぁぁ!!
いえ、自分の中で治癒系の制限っつーのは「常人以上超人以下、傷の度合いにもよるけどくっつけとけばその内治る”って風に考えてたので、それに準じた描写となっちまったのです。申し訳ねぇ……自身の読解力と記憶力の無さが斯様な失敗を作ってしまうとは……!!
と、とりあえず「治癒力の大半を消耗したから」っていう理屈でお願いします。
この辺も議論スレでやっとくべきなんですかねぇ……?
投下乙
アーカードはむしろ死にたがってるんだから、こうまで生き延びようとするかね?
それは相手が"人間"だったらの話。自分と同じ化け物なら絶対自分は殺せないって言ってる。
流石に、完全な奇襲では死んでも死に切れないだろw
全力で殺しあって人間に殺される事を望んでるし。
投下乙です。
ただ、話自体は、悪くはないけど……
議論スレの方でも言われてますが、この話はNGっすね。
アーカードらしくなさすぎるというか……
すみません、夜まで帰ってこれそうにないです……。
夜まで延長をお願いします。
入れ間違えた!
さらに間違え……。
>>268 遅まきながら感想を。スレ進んでないなと思ったらスレ2がたっていたオチ。しかもはんた死んでてまず驚きました。
ウィザードリィと世界樹の迷宮とメガテンとメタサガにおいて不意打ちによる理不尽な死は日常なのでこの結末は妥当かと思います。
たんすが噛み付いてくるとか階段が噛み付いてくるとかキッチンが襲い掛かってくるという概念はあっても
鏡やガラスからモンスターが飛び出してくるというファンタジーな概念がはんたにはないから死亡要因としてよかったかもしれません。
達磨にするという凶悪さはすばらしかったです。
私のシナリオだと火達磨にするけど逃げられるという進行になっていましたから。
カードデッキの性質が明確にされたのでバトロワ1回目ということもあってちょうどよかったかもしれませんね。
すみません、書きあがった作品でとんでもない勘違いを
している事に気付いてしまいました・・・・・・。
ティラノ 剣山、ブレンヒルト・シルト の予約を破棄します。
キャラを長時間拘束してたのに、すみません。
キリヤ・ティアナ・スザク回がようやく完成…
誤字脱字などの確認が終わり次第、投下おk?
…しかし、今回やけに時間かかったなorz
427 :
マスカレード:2008/03/01(土) 20:41:59 ID:5VIp0XWK
マスカレード17話がまるで進まない……
ちゃんとプロットも練ってどこをどうするかまで考えてるのに、何故か筆が進まないという……orz
息抜きに再びロワに手を出してみようかと思います。
っというわけで始とつかさ予約しますね
マスカレードの更新待ってくれてる方には本当に申し訳なく思います。
この次にはちゃんと投下しますのでしばしお待ちを……
>>リリカル龍騎さん
待ってました!
投下どうぞー
チェック完了。次のレスから投下します
ティアナ=ランスターは思案する。
(こいつ、何であたしの名前を……?)
思案の内容は、眼前にいる謎の男。確か先程まで読んでいた詳細名簿には「キリヤ=カイト」とあったか。
この男は、ティアナの名を知っていた。間違いなく初対面のはずなのに。
ただのストーカーとかならばまだいいが、友人と話すような口ぶりからしてそれは無いだろう。
ならばこの男は一体何者だ? ……いや、考えたところで答えなど出まい。
……と、眼前の男が一歩前へと踏み出した。先程近寄るなと言ったのを忘れたのか?
危険人物かもしれない相手が接近してきても、今の自分なら素手でも倒せるだろう……並の相手であれば。
だが、詳細名簿によるとこの男は「心剣士」なる特異能力の持ち主。能力の詳細は書かれていなかったが、近付けてはまずいかもしれない。
故に、キリヤの足元を狙い、威嚇のために銃弾を放った。
キリヤ=カイトは思案する。
(ティアナ……?)
思案の内容は、眼前に在る理解不可能な状況。
自身のパートナーであるはずの少女が、こちらに銃を向けているという状況に。
おまけにその少女は、こちらのことを一切知らないような口ぶりである。
故に、キリヤは困惑する。
何故? どうして? 俺が分からないのか?
キリヤの心の中を疑問符が埋め尽くすが、それでも足は前へと進む。
こんな状況ではあるが、それでも話せば分かってくれると信じて。
……だが、それは足元への銃弾で破られた。
「近寄るなって言ったはずよ」
ティアナの放つ言葉は拒絶。眼前にいる男が何者かほとんど分からない以上、この状況では当然だろう。
もしかしたら、(あるとは思えないが)知り合いを装って殺しにきたマーダーの可能性もある。
威嚇射撃で怯んだのか、キリヤが一度停止した。今度こそ止まって真相を話すだろうか。
そして、その内容はティアナがキリヤを敵とみなすには十分だった。
「憶えてないのか? 俺達は仲間のはずだろ?」
BANG!
アイボリーから放たれた弾丸が、キリヤめがけて飛んだ。
狙いがそれたのか、それとも意図的に狙いをはずしたのか、その弾丸はキリヤの顔の横を通り抜け、そのまま近くのビルのガラスを割る。
ティアナが自分を倒しにかかってきた事に驚き、さらに混乱するキリヤ。だが、次のティアナの一言で、その理由を理解した。
「生憎ね、知り合いのふりをして騙そうとしても、そうはいかないわ」
ああ、そういう事か。
つまり、このティアナはキリヤの事を「知らない」のだ。
何故知らないのか、それはさすがに分からない。もしかしたら、一部の……もしくは、全ての参加者が記憶を弄られているのかもしれない。
だとすれば、自分も……? いや、それは今は保留だ。
とにかく今は、自分の敵となってしまったティアナを止め、それからゆっくり話す必要がある。
キリヤはそう考え、つるはしを正眼に構えた。
戦闘開始だ。
最初に動いたのはティアナ。殺さず無力化できれば最良だと思ったのか、致命傷になり得ない部位を狙って発砲。
だが、いつも扱っているデバイスとは違い、アイボリーには非殺傷設定などというものは無い。当たれば穴が開くし、そこから血も流れる。最悪の場合死にかねない。
いつもの吸血鬼やグール相手ではないせいか、デバイスではない本物の銃で人を撃つのは抵抗があるのだろうか、弾が当たらない。
もちろん、これで怖気づいて去ってくれればいいが、残念ながらキリヤはその程度では退かない。
それを理解したティアナは、弾切れになったアイボリーに予備マガジンを装填して再び発砲。
「ぐっ!?」
一発左腕に当たり、痛みが走る。
だが、キリヤはそれをものともせずに接近。そのままつるはしをブンと振るい、攻撃を仕掛ける。狙うはティアナの右腕だ。
もちろん殺すつもりは無いので、つるはしは単なるフェイントでしかない。
対するティアナは、そうとは知らずにつるはしの持ち手の方を受け止めようとするが、その前につるはしの方が止まった。
これはフェイント。それを理解した時にはすでに遅し。ティアナの腹めがけてキリヤの拳が飛ぶ。
命中。気絶させるために放ったのでそれなりに威力はあったが、それでもティアナを止めるには至らない。
むしろティアナにとっては殴りやすい位置に来たも同然である。左拳を振りかぶり、キリヤへと振り下ろす。
振り下ろすより一瞬早くキリヤがそれに気付き、慌てて後方へと下がって回避。
拳が当たったアスファルトの地面には、轟音とともにヒビが入っていた。
(……忘れるところだったわ。吸血鬼には怪力があったのよね)
(ティアナってこんなに腕力あったのか……)
互いに思う事は、ティアナの発揮した怪力についてである。
ティアナは使う機会が無かったせいか、吸血鬼特有の怪力のことを忘れていたようだ。
キリヤはただ純粋に驚いていた。ティアナが見せた怪力に。
もっとも、彼はティアナが吸血鬼と化した事実を知らない上に、ティアナが格闘戦をしているのを見たことがないせいで「人間」ティアナ=ランスターの腕力だと勘違いしているようだが。
……とにかく、これで間合いは再び離れた。仕切り直しである……
いや、二人の視界にスザクの姿が入ったため、一度戦闘は中断された。
枢木スザクがこの戦闘を見たのは、この一連の攻防が中頃に達した時だった。
彼がここに来た切欠は、かがみとともにDevil May Cryに潜伏していた時に聞きつけた銃声。
彼はそれが戦闘音だと思い、回式・芥骨を手に音の方向へと駆けた。
そしてそこに着くと同時に、キリヤの呻き声。アイボリーの銃弾が当たったのだ。
止めるべきかと思い、足を前へと進めるが、それは一度中断されることになる。
その理由は無論、ティアナの見せた怪力である。その時の音が一瞬、スザクの足が止まった。
そして、その時に離れた二人がこちらを見ていることに気付く。どうやら気付かれたようだ。
さて……どうする?
キリヤとティアナは、突如現れた相手に面食らっているようだ。
何故こんなところにいたのだろうか。いや、それ以前にいつからいた?
スザクの出現が戦闘を止めた事にも気付かず、この状況について少し考える。
そして、彼らが脳内で導き出した結論は、互いの相手とは全く逆のものだった。
(あの人……もしかして、この戦いを止めに来たのか?)
(まさか……漁夫の利を狙って最初から?)
この場合、正解はキリヤの方なのだが、それはどうでもいいだろう。
ここで重要なのは、スザクの思惑よりもこの二人がどう思ったかなのだから。
キリヤ=カイトは仲間だと思っていた相手に撃たれた。
ティアナ=ランスターは疑い深くなり、平行世界での仲間へと銃を向けた。
枢木スザクはこの両者の戦いに介入した。
それらの要素が何をもたらすかは、未だ分かってはいない。
ただ、一つだけ言える事があるとしたら……このままではろくな結果にならないという事。
この結末がどうなるか、それはスザクの手にかかっている……
【一日目 現時刻AM1:25】
【E-6 市街地】
【キリヤ=カイト@SHINING WIND CROSS LYRICAL】
[状態]健康・左腕に銃創
[装備]破壊神のつるはし@なのはのくせになまいきだ
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本 このゲームを止める。
1.あの人、もしかして戦いを止めに……?
2.ティアナを止め、話を聞いてもらう
3.夜を街で明かして、朝になったらシーナを捜しに行く
[備考]
※心剣は抜けます
※参加者の記憶が改竄されていると思っています
【ティアナ=ランスター@NANOSING】
[状態]健康・多少疑い深くなっている
[装備]アイボリー(予備マガジン数:4/5)@魔法少女リリカルなのはStylish
[道具]支給品一式、詳細名簿、ランダム支給品0〜1個
[思考・状況]
基本 仲間達と合流し、今後の方針を練る
1.あの男、まさか……!
2.正面の相手(キリヤ)を無力化する
3.夜を街で明かして、朝になったら仲間達を捜しに行く
4.捜索はまずマスターから。残りは二の次
[備考]
※詳細名簿には以下の情報が載っています
・参加者名(顔写真付き)
・参加者の能力(但し特殊能力の詳細は載っていない)
【枢木スザク@コードギアス 反目のスバル】
[状態]健康
[装備]回式・芥骨@リリカルスクライド//G.U.
[道具]支給品一式、ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本 誰にも人殺しをさせず、このゲームを終わらせたい
1.見つかったか……さて、どうする?
2.もう迷わない。たとえ偽善だろうと…僕は、自分の信念を貫く!
投下終了
待たせたわりに出来は…orz
GJ!
すげー! ちゃんとキリヤを書けてる!
こんなドマイナーなキャラ、知らない人の方が多いと思ってたんですが…ちょっと安心。
さあスザク、一体どうする…?w
…正直言って、反目氏のSS見るまで存在知りませんでしたw
おまけに近所のゲオやブックオフに無かったため、資料は必然的に反目氏のSSに。
それで「ちゃんと書けてる」ということは…反目氏がSSで把握できるくらいよく書けてたという事だと思いました。アレ?作文?
NONONO。
そうかもしれないけれど(ぇ)、それだけじゃないのです。
…ほら…シャイニングはいわゆるキャラゲーだから…内容は結構薄いのw
資料でしたら、アニメ版「SHINING TEARS CROSS WIND」のDVDなんていかがざんしょ?
まだSSに出てないソウマが主役なので、キリヤとシーナはサブキャラになるのですが、キャラ把握には十分と思われます。
全13話というコンパクトな仕上がりですしねw
GJでした。
全員すばらしい空回りのようなw
……あと、大丈夫だと思うけど、
動画サイトの事なんて話さないように。
放映当時はソウマから心剣出たところで夜中なのに大爆笑した覚えがある
たまたまチャンネル変えたらそのシーンで吹いた覚えがあるwww>ソウマから心剣出た
ツッコミ所だらけって聞いたが、どうなんだ?
それまでは女から心剣出てたからなんかハーレムっぽい印象
ソウマかキリヤかどっちか忘れたが崖から落ちそうになって手を掴んだ、そしたらなんか剣が出て
「お前が俺の心剣だったのか・・・」(顔赤らめて)
実況はアッ―!で埋まった。あともしかしたらキリヤから出たんだったかも。石田が喘いでたはずだから
すみません、避難所の修正スレだと文字が表示されないので、ここで誤字修正をお願いさせて下さい。
自分が修正案を出した二作、そのどちらにも ???? ←な所があるのですが、これは ―――― ←が表示されなかった為です。
ですので ???? の部分は ―――― って感じに修正して欲しいのです。
投下専用のこのスレでこれを書き込むのは間違いとは思いますが、ここ以外では表示されないので……お許しください。
お前らwww
剣が出たのはキリヤから。
ソウマの究極心剣を持っていたのがキリヤだった…ってやつ。
今予約が出てるキャラって、つかさと始以外に誰でしたっけ?
リリカルなのはFeather氏がルルーシュ=ランペルージとルーシュ・デモンを予約してますねぇ。
そのぐらいでしょうか。
>>442 修正お疲れ様です、私が見た限りでは問題ないと思います。むしろルーこえぇwww
はっはっは、実は当初の予定だと、『死んだと思ってたアーカードがルーの前で蘇生、それを見たルーが「死なないでくれてありがとう」とか言って血塗れの口でアーカードにディープキス』っていうヤンデレルートだったんですよね。
流石に好き嫌いがありだったし、それはそれで別の問題が出そうだからやめましたが。
修正乙
しかしまたディープキス?
非難所の議論スレが止まってる…誰か反応してくれ…
誰かいないかなぁ・・・
流れを止めぬようにと。
なのは(幼)、本郷予約します
久々にFF7ACを見て、セフィロスの超超人ランクに何となく納得のいった俺参上。
…ありゃDMCとかスタイリッシュアクションとかのレベルじゃねぇ、もっと恐ろしい何かだ…
剣山、リイン、ヨハンの3人を予約します
今予約が入ってるのは
・なのは(幼)&本郷
・剣山&リイン&ヨハン
・始&つかさ
・グリフィス(修正のため)
ほかに誰でしたっけ?
失礼、
・ルルーシュ&ルーシュ
もありました。
追加予約していいですか?このままだとグリフィス君の話が…。
どうぞ
追加予約です。グリフィス君に加えてエリオ・モンディアルを予約します。
さすがに気にしすぎだとは思いますが
二人の現在位置などは大丈夫ですよね……?
結構離れてるので、ちょっと気になっただけですので流してもらって構いませんが
>>452 実際、このスレで一番能力を下げられるべきはセフィロスなんじゃなかろうか?
>>459 下がってますよー、と言ってみる。
魔力ランクAAAまで減少、KHUからの魔法大幅性能ダウン、多分剣の攻撃力もあそこまでキチ@イじみてはいない。
でもアレよりも強いともっぱらの噂のカブトって…
カブトは仮面ライダー統一なので超人レベル
超超人はハイパーカブトです。
光速以上のクロックアップを数十倍越える『ハイパークロックアップ』
地球の海を蒸発させるほどの隕石同士の衝突による衝撃にも無傷な装甲
パーフェクトゼクター装備時ですが、全てのゼクター(ザビー・ドレイク・サソード)をセットすることにより発動する必殺技
『マキシマムハイパータイフーン』:ソードモードの場合。いかなる物質をも斬り裂く剣。範囲は無限
『マキシマムハイパーサイクロン』:ガンモードの場合。完全消滅。半径100km。
天道だからこその強さ
Hカブトって…超超人的は言い過ぎでは…
たしか剣王や究極クウガに勝てないという説があったのでは…
まぁスレ違いですのでこういうのはウロス行きですね。
いや、あの二人も超超人だろ・・・
>>461 そうそうそれそれそれ!
いやはや、どうにもクウガ・アギト以外には疎いものでして…
…さ、執筆執筆。
ま、基本準超人以上には程度の違いこそあれ制限ありますしー
466 :
マスカレード:2008/03/05(水) 00:03:58 ID:OklVlrlm
私の主観で述べさせて貰えば
究極クウガ>剣王>Hカブト>オーディン>その他
って具合の順位だと思います。昭和は鬼のように強いので平成のみのでの順位ですけどね
まぁクロスでの強さ議論は果てしなく鬼門ですし、人によってそれぞれ好きなライダーも違いますので、あまり深く考えずに軽く聞き流して下さいな
今回の超超人とかのランク付けはロワ議論スレでの制限有りの場合での表現ですので、目安程度に考えておいた方がいいですね
そもそもハイパーに辿り着けるかという問題もありますし……
>>462 ○○より強い以前に、出てません・・・まずそのキャラが。それこそ関係ないですよ。
正直本人の強さがどうであったとしても、クロックアップやアクセルファイズとかマッハとか時間操作系や超加速にはどうしようもない気はする
ほほう、結構予約が入り始めましたね? では自分もここらで予約を希望。
ティアナ、キリヤ、スザク、かがみ、新庄を予約〜。本ロワにおいての最大登場人数更新するぜ! んでもって市街地戦を一区切りだ!!
……それから確認なんですが、『Devil May CryはD−5の中のD−6寄りにある』って事で良いんですよね? 少なくとも数分で駆けつけられる距離すよね?
ちなみに……これで予約は、
・なのは(幼)&本郷
・剣山&リイン&ヨハン
・始&つかさ
・ルルーシュ&ルーシュ
・グリフィス&エリオ
・ティアナ&キリヤ&スザク&かがみ&新庄
の6つですね〜?
>>469 >『Devil May CryはD−5の中のD−6寄りにある』
イエス・イット・イーズ。
その通りでございます。
あの無駄に広い事務所が対主催の拠点になる…かな? かな?
反目さん、顔が恐いです。…こっち見ないでください
>>471 orz
…普段のお持ち帰りスマイルのつもりだったのに…
…ま、いいや。ひとまずコテ外しコテ外し。
ティアナ、キリヤ、スザク、かがみ、新庄
で一つのパーティ結成。
黒鋼、つかさ、始、天道
でもう一つパーティ結成と予想。
今街にいる人たちで強引にパーティ結成してみた。反省はしてない
誰もいない…投下するなら今のうち…
ヨハン達の分を投下します
「あ゛あ〜、もうどうなってるザウルス!?」
浅黒い肌をした1人の少年が、不機嫌そうな声を上げてバンダナの頭をかきむしった。
ティラノ剣山という名前のこの少年は、今デイバックを担いで、1人開けた場所を歩いている。
夜の闇の中でこうもだだっ広いと、広大さよりも殺風景さが目についた。
身内が目の前で殺されるという凄惨な出来事が起こったとはいえ、せっかくまともな場所に来れたと思ったのだが、
これではあの砂漠と同じようなものではないか。悪いことずくめもいいところだ。
「大体、兄貴は一体どうしちゃったんだドン!? あの兄貴が、あんな風に明日香先輩達を殺すはずがないザウルス!」
独り言を呟きながら、剣山はその足を進めていく。
否、前言撤回。叫びながら、だ。
「おまけに俺達にも殺し合えだなんて…ああーっ、もうわけが分からないザウルス!」
よほど単純なタイプなのか、いちいち大声を張り上げて胸のうちをぶちまける。
しかし、彼の苛立ちだけはまっとうな反応だ。
あの漆黒の鎧を身に纏いし覇王――遊城十代は、本来は強い正義感と優しさを持った熱血漢である。
そしてその人柄に触れ、強烈なシンパぶりを見せる剣山だからこそ、この突然の変化に戸惑うのも、無理はなかった。
「とにかく、兄貴がおかしくなったのには何か理由があるはずだドン! でもってそれがあるからには、きっと元に戻す方法もあるはずザウルス!」
剣山は意気込む。
わけも分からぬうちに兄貴分が様変わりし、わけも分からぬうちに先輩が殺されたバトルロワイアル。
この瞬間、彼が取るべき道は決した。
「まずは兄貴を元に戻す! そうすれば、兄貴がこの馬鹿みたいな殺し合いを終わらせてくれるはずザウルス!」
あまりにも短絡的な答え。
事実、どうやって十代を正気に戻す方法を探すかすら、未だ考えていない。
しかしその一方で、彼の選んだ道は、このゲームの核心を突いてはいた。
そう、このバトルロワイアル、主催者が中止するという手段こそが、最も安全確実な中断方法なのだ。
主催者を倒すという方法もある。だが、相手の方が強かった場合はどうしようもない。
ならば主催自らに止めさせるのが、一番安全なのである。
もっとも、それが可能か否かは別問題なのだが。
「…お?」
ふと剣山は、自分の目の前の地面が途切れていることに気付く。
その先に見える大地を見る限りでは、どうやらこの場所は、小規模な丘になっているようだ。
切れ目へと駆け出し、その下を覗き込む。
5〜6メートルほど下に続く地面に、1人の女性が立っていた。
若干長めの金髪に、穏やかな目付きをした青い瞳。
基本的に異性には滅多に興味を持たない(一時期、例外あり)剣山だったが、少なくとも可愛い部類に入るであろうことは理解していた。
そしてその視線が女性の姿を探り――耳元で止まる。
(あれ…ひょっとして、携帯電話ザウルス!?)
目が見開かれた。
自分のデイバックに入っていたのは、食料と地図にコンパス、あとは武器になりそうなものくらい。
外界との通信手段となる物などはもちろん入っていなかったし、恐らく他の参加者も持っていないと思われた。
それがどうだ。眼下の女は、携帯電話などという便利な代物を持ち、しかも通話している。
誰と話しているんだ? そして何を話している?
好奇心のままに剣山は駆け出した。
手頃な斜面を見つけ、そこを一気に下り降りる。
全力疾走の後に息も切らすことなく、剣山は声を張り上げた。
「おおぉーい! そこの人ぉぉぉー!」
「っ!?」
当然のごとく女性はそれに気付き、反射的に身構えた。
「何者だ? 返答によっては…」
「わっ…とと、落ち着くザウルス! 怪しいもんじゃないドン!」
視線を鋭く尖らせて警戒する女性を身振りで宥めながら、剣山はそちらへと歩み寄っていく。
何となく明日香先輩みたいな人だ、と内心で冷や汗をかいた。髪も金色だし、声音も似ている。
実際、これはかなり危ない手段だった。相手が丸腰で、今後の方針を模索している最中だったからよかったものの、
これが武装した殺人者ならば、あっという間に殺されている。
「…ああ、気にするな。人が来ただけ…」
反応から、ひとまず即座に命を奪われることはないと判断したのか、女は冷静に電話に応じる。
しかし次の瞬間、その表情に驚きの色が宿った。
「…何だって?」
「もしもし、聞こえるか?」
剣山が女――リインフォースの元に姿を現す数分前、ヨハン=アンデルセンは、ようやく通じた電話に向けて問いかけていた。
『聞こえている。…お前は何者だ?』
返ってきたのは、リインフォースの冷静な声。
ぶしつけにかけられた誰何の言葉に、ヨハンは律儀に答える。そもそも、話しかけた側から名乗るのは礼儀というものだ。
「ヨハン=アンデルセンだ。あんたは?」
『…リインフォースという』
思ったよりも簡単に名乗りに応じてくれたことに、ヨハンは安堵していた。
こういう便利な物を持っている者は、優先的に狙われてもおかしくない。
よって警戒して名乗ってくれないのではと懸念していたのだが、どうやら自分が先に名前を言ったのが功を奏したようだ。
よって、そのまま質問に入る。
「参加者の中に知り合いはいるか?」
これだけの数だ。何人か見知った顔がいてもおかしい話ではない。
例えば、自分のデュエルアカデミアから、多数の参加者が出ているように。
それらの人員とその特徴を把握しておけば、今後の行動もある程度は楽になる。
『八神はやて、高町なのは、フェイト=T=ハラオウン、マサキ=アンドー…』
読み上げられていく名前に、ぴくりとヨハンの眉が動いた。
「高町なのはとフェイト=T=ハラオウンの2人には、俺も会ってる」
聞き覚えのある名前があったのである。
なのはとフェイトの2人は、あの砂漠の広がる世界の調査に来た、時空管理局なる組織の人間だ。
『そうなのか?』
「ああ、魔法を使う若い女性で…」
『若い…女性?』
リインフォースの怪訝そうな声が、ヨハンの言葉を遮る。
何かおかしなことでも言ったのだろうか、という疑念を浮かべるヨハンだったが、
『彼女らはまだ、幼い少女のはずだぞ?』
まさかそんなことを言われるとは、夢にも思わなかっただろう。
「は!?」
思わず間抜けな声を上げるヨハン。
自分の聞き間違いであると思いたかった。
何せ彼女らは、明らかに20代前半はいっているはず。それが「幼い」とは一体どういうことだ。
確認のためにも、再び彼は口を開く。
今の言葉が、何かの聞き間違いであることを願いつつ。
「えっと…あの人達は、時空管理局の実働部隊・機動六課の分隊長クラスで間違いないよな?」
『彼女らはまだ管理局に関わって、1年も経っていないと聞いている。本局の実働部隊も、五課までしかないはずだ』
祈りは届かなかった。
全くもって、お互いの会話が噛み合わない。
ヨハンは思わず頭を抱え込んでしまいたい衝動に駆られる。
どうやらお互いの知るなのはとフェイトは、全く異なる立場の人間のようだ。
同姓同名の別人だったのかもしれないが、2人も同時にそうなるとは考えがたい。
「…待てよ?」
その時、不意にヨハンの脳裏に浮かぶものがあった。
思い出すのは支給品の名簿。確かあれには…
「今の2人の名前…確か、なのはさん達の名前が2つあったよな?」
そうだ。
名簿には、なのはとフェイトの名前が2つ載っていたのだ。
当初は誤植かと思って無視していたのだが、今になって、ヨハンの中にある可能性が浮かぶ。
『確かにそうだが…』
「なら、俺の知ってるなのはさん達と、あんたの知ってるなのはさん達…両方が参加してる可能性があるよな?」
『…つまり、私の知らない、未来の高町なのはがここにいると言うのか?』
その言葉に、ヨハンはより一層自身の説に対する確証を強める。
自分が知らず、リインフォースが知っている「もう1人のなのはとフェイト」の存在を計りかねていた彼だったが、
なるほど確かに、彼女らがまだ幼かった頃の過去から来た存在と見なすのがアリならば、全ての疑問はクリアーだ。
恐らくこのリインフォースなる女も、過去から来た人なのだろう。
「そう考えるのが、一番しっくり来るだろうな」
『しかし、どうやってだ? どうやって奴らは時間を超えるなどという真似を?』
もっとも、新たな問題はある。
リインフォースの言った通り、過去から人間を連れてくることが、本当に可能なのかということだ。
「分からない。ただ、これだけの人間を一度にワープさせるだけの力量を考えると…」
『…ぉぉぉーい…ぉぉ…』
『ッ!?』
電話の向こうリインフォースが、遠くから聞こえた声に反応したのは、この時だった。
「? おい、どうし…」
『何者だ』
厳しい誰何の声。それだけならまだいいだろう。
しかし、次の瞬間に聞こえてきた声は、ヨハンに新たな驚きをもたらすには十分だった。
『わっ…とと、落ち着くザウルス! 怪しいもんじゃないドン!』
先ほど以上の驚愕がヨハンの表情を彩る。危うくカイザフォンを落とすところだった。
あまりに特徴的すぎる、「ザウルス」「ドン」という語尾。いくら何でもこれを聞き間違えるはずはない。
であれば、「本人」だ。まず間違いないだろう。
まさかこんなにも早く「仲間」と接触できるとは、思いもよらなかった。
「おいあんた! 今の声は…!」
電話に向かって叫ぶ。今は一分一秒が惜しい。
『…ああ、気にするな。人が来ただけ…』
「そいつに代わってくれっ!」
『…何だって?』
怪訝そうなリインフォースの声が返ってきた。
無理もないだろう。いきなり正体も知らぬ相手に代われなどと言うのだから。
しかし、ヨハンにはそれを気にしている暇はなかった。
「――そいつは俺の仲間だ!」
【一日目 AM1:28】
【現在地 B-2 平地】
【ティラノ剣山@リリカル遊戯王GX】
[参戦時期]第九話 食事中
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本 十代を元に戻し、ゲームを中断させてもらう。
1.殺し合いは断固反対
2.兄貴…明日香先輩達を殺すなんて、一体どうしたんだドン…
3.おお、怖…明日香先輩みたいザウルス、この人…
【リインフォース@スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL】
[状態]健康、パイの姿
[装備]なし
[道具]支給品一式、カイザフォン@マスカレード、リンディ茶スペシャルブレンド(砂糖40倍)@仮面ライダーリリカル電王sts、首領パッチソード@ナナナーナ・ナーノハ
[思考・状況]
基本 はやてを生還させる(手段は問わず)
1.この男…ヨハンの仲間と聞いたが…?
2.なのはとフェイトが2人…しかも向こうは未来人だと?
3.はやて生還のために、あらゆる手段をとる。必要とあらば殺しも辞さない
[備考]
※首領パッチソードの詳細を知りません
【現在地 J-6 森】
【ヨハン=アンデルセン@リリカル遊戯王GX】
[参戦時期]第九話 食事中
[状態]健康
[装備]ライサンダーZ@魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――
[道具]支給品一式、ファイズフォン@マスカレード、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本 十代を止める
1.十代の豹変の理由など、情報を集める
2.まさか、剣山をこんなに早く見つけられるなんてな…
3.過去のなのはさん達を連れてくるなんて真似…本当にできるのか?
4.ライサンダーをマーダーに渡さない[備考]
※自分の知らない方のなのはとフェイトが、過去の人間であることに気付きました
投下終了。
原作が同じキャラ同士の絡みを最速で達成!(ぇ
リインの偽名にニヤリとしたのも私だw
投下乙
ファイズフォンとファイズギアは別々?
GJ!それしか言えません。
質問ですが、川は普通に渡れますか?
後、今の状態のエリオは飛べるのでしょうか?
川についちゃよく分かりませんが、エリオは飛べませんよー。
マジンカイザーにはスクランダー付いてないって設定だそうで
本人も飛行魔法使えないしな。
フェイトなら飛べたんだろうが。
>>484>>485ありがとうございます。参考になります。飛べない…、よし、ファイヤーブラスター決定だ!
あー…一応リリカルマジンガー本編において「『Z』か『神』ならばスクランダー使える」と明記してましたが…
それはそうと、GJです
さて、ヨハンと剣山はあのジンクスから逃れられるんでしょうか…?
>>487 うぎゃあ! 申し訳ねぇっすorz
というわけで電王氏、今のカイザーは普通に飛べるそうです
>>487そうですか。では飛べるというわけですね。
>>488いえいえ、いいですよ。
ともかく、これで川にファイヤーブラスター叩き込まずにすみました。参考にしますね。
まあ、正確には魔力で作った翼なので、飛行魔法の亜種みたいなものですが…
ともかく、その辺のことも本編未登場の設定も合わせて支給品スレに書いておきます
でも、エリオが飛行魔法を
使えないのに変わりはないような……。
支給品スレに解説書いておきました
さて、後はキャラ解説スレへの説明投下→はやて・すずかの予約→書き上げて投下→電波来た単発パラッパクロス執筆…
さらにその間に学校主催の会社説明会の参加…やる事山積みだな…
>>492 乙です。
ふと、カイザー装備のエリオが、アルターっぽい演出でレバ剣をカイザーブレードに変異させるというムチャクチャイカス電波が…
…無理だよね、うん…
エリオにそんな能力が無いのが致命的で(ry
しかし、マジンカイザーって本気でチートアイテムなようなw
そういえばカイザーの解説に
「なお、元になった機体が機体だけに、ものすごく頑丈である」
って入れるの忘れてたorz
496 :
マスカレード:2008/03/05(水) 22:27:20 ID:OklVlrlm
>>反目さん
GJです
いいキャラしてるなぁ剣山w
カイザフォンは一体どうなるのか……
始&つかさ書き上げました。
ですが、諸般の事情で今すぐの投下は無理なので、用意が出来たら投下しますね
キャラ説明の投下完遂…
では、はやてとすずか予約します
498 :
マスカレード:2008/03/05(水) 23:22:06 ID:7732ASni
ではそろそろ投下したいと思います。
毎度ながらやたらと時間かかると思いますので、他に投下したい方などいませんでしょうか?
何もなければ5分後くらいに投下開始しますね
「いいともー!」
「わーしえんー」
「がんばれー」
…以上、バトロワスレへ出張してきた「あの娘達」でしたw
出張ピポスバル吹いた支援w
「(……一体どういう事だ)」
注意深く周囲を見渡しながら、見慣れた街を進む男がいた。
支給された数枚のラウズカードは、カリスラウザーのカードボックスに収納。
残りの、地図やコンパスといった支給品はデイバッグに入れたまま持ち歩く。
さて、ここで問題が一つ。
支給されたラウズカードの中に『ハート2 SPIRIT』のカードは存在しなかった。それは何を意味しているか。
「(―――俺を再びあの姿にするつもりか……?)」
しかし、だとすれば何の為に? この殺し合いを円滑に進めさせる為だろうか?
あの姿に戻ってしまうという事は、彼……相川始という一人の“人間”にとって堪らなく嫌な事だった。
今だって、別にする事は何も変わらない。全てのアンデッドを倒し、自分の力に変える。今までもその為に戦って来た。
しかし、いつの間にか、心のどこかでその運命を呪うようになっていた。
敵を封印すればする程、自分の中に潜んだ争いを好む獣のような心が封じ込められて行く。
あの残忍な、本能の赴くままに戦いを続ける悪魔の姿には二度と戻りたくは無かった。
いや……戻りはしない。戻る訳には行かない。絶対にだ。
そう願いながら数分も歩いていると、気付けば自分の良く知る場所へとたどり着いていた。
そこは、元居た世界で、自分が人間として暮らしていた街。自分が居候していた喫茶店、ハカランダが存在する街だ。
このまましばらく歩けば、交差点がある筈だ。そこを曲がれば、自分の帰るべき場所……ハカランダが存在する。
「(――待て。)」
ふと、立ち止まった。何かに気付いた様に、表情を険しくする。
―――俺は今、何を考えていた……?
このまま進めば、そこにはハカランダがある。天音ちゃんや、遥香さん達と一緒に暮らしていたあの喫茶店が。
そこに行ってどうする? この世界に天音ちゃん達が存在しない事など、最初から解っていた筈だ。
帰りたかった? そんな馬鹿な事があるものか。
――人間の匂いがするぞ? カリス。
ふと不意に、グロンギの化け物に言われた言葉を思い出す。
――人間の匂いだと? 馬鹿馬鹿しい。
俺は53番目の存在……人間等では無い……。
そう自分に言い聞かせる。が、それとは裏腹に、再び歩き始めた道は真っ直ぐにハカランダを目指していた。
◆
「誰か……誰か……!」
肩で息をしながら、か細い声で呟くつかさ。
元々運動が得意な方では無い為に、少し走っただけでもかなりの体力を消耗してしまう。
だが、それでも助けたい人がいるのだ。何も出来なかった自分に、優しく声をかけてくれた人を。
その思いだけで、つかさは走り続けた。
距離にして1kmは走っただろう。直感のままに角を曲がり、そこに誰か……黒鋼のような「いい人」がいてくれると信じて。
「(無事でいて……黒鋼さん……!)」
それだけを祈りながら、走り続ける。そしてまた一つ、角を曲がった。
◆
「これは……」
見慣れた交差点を曲がった始は、ふと立ち止まった。目の前にあるのは、紛れも無いハカランダだ。
しかし様子が可笑しい。ハカランダの前の道路に散らばっているのは、小さなガラスの破片。
コップか? 何故こんなものが落ちている?
これは恐らく……いや、間違いなくハカランダで使われていたコップ。それが何故こんな道端に散乱しているのだろうか。
……考えていても仕方が無い。
始はすぐに、ハカランダへと向かって歩き出した。
ゆっくりと扉を開け、中に入る。
だが、特に変わった様子は無い。いつも通りのハカランダだ。
……いや、今の始にはそれが問題だった。
「うぉぁっ……ぐぅあぁぁ……っ!!」
始はテーブルにもたれ、苦しげに呻き出した。
いつも通り、ここに人間として居続けたい。心のどこかで感じていたそんな気持ちを、始の中に潜むジョーカーは否定する。
結果、ハート2という最大の抑止力を失った始にとって、この風景は心の中のジョーカーを暴れさせるだけに過ぎなかった。
ヒューマンアンデッド……いや、人間としての始の姿が、一瞬だけ黒い化け物に変貌する。
「俺は……人間では無い……――」
それでもそう言い聞かせ、すぐにハカランダの入口へと引き返す。
「――だが……あの姿には二度と戻らない……!」
手にしたカードは、ハートのA―チェンジマンティス―。主催側に支給された数枚のうち、最も信頼のおけるカード。
ハートAを筆頭に、始には数枚のラウズカードが支給されている。
これらのカードがある限り、例えハート2が無くともすぐに精神を支配される事は無い。
だが、それでも状況はかなり危なかった。始としての人格を保つ為に、たったこれだけのカードではバランスが悪すぎるのだ。
問題はそれだけでは無い。ハート2が無ければ、例え変身したとしても人間としての姿に戻る事は出来ないのだ。
つまり、カリスに変身する事は出来る。だが変身を解除する事が出来ない。これでは変身制限を受けているも同然だ。
だがそれでも、戦いになれば敵は襲って来るだろう。そうなれば、今の始が生き残る術は変身するしか無くなる。
よっぽどの敵で無ければ今のままカリスアローで対抗する事も出来るだろうが、それでどこまで戦えるかは解らない。
そしてアンデッドの姿に変身したが最後、始はそのままジョーカーとしての精神に支配されるだろう。
支給品からハート2というたった一枚のカードを没収するだけで、始の中のジョーカーは獣のように暴れ出す。
その名前の指す通り、主催側に仕組まれた天然自然のジョーカーになってしまう可能性を秘めているという訳だ。
………………
…………
……。
ここに来て何を求めていたのかは自分自身にも解りはしない。ここに来れば何かがある。そんな気がした。
だが、店内をいくら見渡しても、自分が求めた何かは、そこには存在しなかった。
低く呻きながら店から出る。この世界には、天音ちゃんも遥香さんも存在しない。
恐らく、あの神崎と十代という二人の男に集められた参加者しか存在しないのだろう。
こんな世界にいても、何の利益も無い。俺を待ってくれている人の為にも、俺は元の世界に帰らなければならない。
――始さん!
ふと、脳裏に過ぎったのは、始にとって最も大切な人達の笑顔。
「天音ちゃん……遥香さん……」
別に人間の味方をするつもりは無かった。だが、どういう訳かこの二人の話となると、平静を保ってはいられなくなる。
自分はアンデッドだ。だが、あの二人を守る為ならばこの身を投げ出す覚悟さえ出来ている。そのつもりだった。
こんなところでこんな下らんゲームに参加している間にも、二人に危機が迫っているかもしれない。そう考えると、いても立ってもいられなかった。
―――俺は何をやってるんだ……こんなところで……!
ハカランダを後にし、再び歩き出す。割れたコップの破片を踏み締め、一歩一歩前進して行く。
あの十代とかいう男が言っていた様に、この首輪がある限りゲームから抜け出す事は出来ないのだろう。
逃げ出す事が出来ないのなら、ここにある全てを抱えたまま、走り続ける。始にはそれだけしか出来ない。
どうせやる事は変わらない。バトルファイトの敵がアンデッドから人間に変わっただけだ。
ハート2を何としても取り返し、早く元の世界に帰って、再び天音ちゃんに会わねばならない。
今度はジョーカーとして戦うのでは無く、一人の参加者として、このゲームに優勝する。
それが相川始が選んだ道だった。
少しでも気を抜けば、その体はすぐにでも黒い化け物へと変わってしまう。
相川始という人間の姿に、一瞬だが醜い化け物―ジョーカー―の輪郭が浮かび上がっていた。
その時であった。
「ひっ……!」
「……!?」
交差点の中心まで歩いた所で、小さく聞こえる悲鳴。そこにいたのは、弱々しくへたりこむ一人の少女。
震えながら、怯えた瞳でこちらを凝視する少女に、始は向き直った。
何故姿を見られただけであそこまで脅えられなければならない? いや……聞くまでもない。答えは簡単だ。
見られてしまったのだ。醜い化け物としての姿を。
ジョーカーアンデッドとしての俺の姿を。
◆
「ひっ……!?」
思わず悲鳴をあげてしまった。
次に、その足は動かなくなり、目の前の青年を凝視するだけしか出来なくなっていた。
―――何? 今のは……?
つかさがそう思うのも無理は無い。
今、自分の目の前に呻きながら現れた男が、一瞬だが醜い化け物へと変貌したのだ。
さっきだって、自分は「仮面ライダー」へと変身する男を見た。それなのに、何故こうも驚くのか。
それはつかさが見た姿……ジョーカーの姿が、あまりに不気味過ぎたからだ。
まるで不気味な黒い骸骨にゴキブリを混ぜた様な姿。一瞬見ただけでも、そんな印象を抱いた。
すぐに人間の姿に戻りはしたが、その男の表情もとても普通とは言えない。まるで相手を威嚇するかの様に歪んでいるのだ。
実際にはジョーカーとしての意識と戦っているうちに、その様な表情になっているだけなのだが、今出会ったばかりのつかさにそんなことが解る筈も無い。
どうする? 逃げるのか? ここまで走って来て。
つかさの中に「逃げる」という選択肢が浮かぶ。だが、そう言う訳にも行かない。
決めた筈だ。「絶対に誰かを連れて黒鋼さんを助けに行く」と。
こうなったら、一か八かに賭けるしか無い。
「(黒鋼さんだって、話して見ればいい人だったんだから……!)」
もしかしたら目の前にいる彼も、ちゃんと話せば解る相手かもしれない。
こうすぐに前向きな考えに切り替える事が出来るのも、つかさのいい所と言えるだろう。
……単純と言ってしまえばそれまでだが。
「あ、あの……お願いします、助けて下さい!」
つかさは、勇気を出して、一歩前ふと前進した。目の前の相手が「いい人」であると信じて。
◆
―――俺は勝ち残る。この戦いに、絶対に勝ち残って見せる。
そう、心に決めた矢先だった。目の前に現れたのは、明らかに力を持たなさそうな少女。
―――こいつが俺にとって一人目の獲物……。
始はバトルファイトというゲームの性質を良く知っている。他人を騙し、陥れて、どんな手段を使っても生き残る。
それがこの手のゲームのルールだ。この娘には悪いが、ここで見逃して後々厄介な事になる訳にも行かない。
まずはこの娘を殺し、他の参加者も全員倒す。始はその鋭い眼光で、少女を睨んだ。
そして、その為の第一歩。ジョーカーの力を使い、その手に巨大な弓―カリスアロー―を具現化。
……しかし、始がそれを振るう事は無かった。
「……お願いします、助けて下さい!」
―――何だと……?
突如として、目の前の少女が、大きな声でそう言った。
少女も自分と同じく一歩踏み出し、真っ直ぐにこちらを見詰めている。
天音ちゃん以外の誰かに助けを求められたのなんて、これが初めてだ。一万年生きて来たが、初めての体験だ。
このゲームでは誰も信用出来ない筈だ。それなのに、初対面の俺に助けを求める。それだけ危機的状況に陥っているという事か?
手に握ったカリスアローが、ゆっくりと下ろされる。
―――俺は……忌み嫌われていた。
何故カリスアローを下ろしたのかは、俺自身にもさっぱり解らない。もしかしたら罠かもしれないというのに。
頭では解っていても、体が動かない。俺の中に潜んだジョーカーが、「そいつを殺せ」と暴れ回る。
―――俺は……死神……53番目の存在……。
そうだ、何を迷う必要がある。俺は死神と恐れられた最終兵器の筈だ。
今も目の前の少女は一人で喋り続けている。今俺がこの少女を殺そうと思えば、それは一瞬で済む。
それなのに、何故か俺の体は動かなかった。
―――解らない……俺は一体……。
解らない。これが人間としての感情……?
そんなものがある筈が無い。俺はアンデッド。最後の切り札。この世界のどの生物とも相入れない存在。
―――始さん!
再び頭に過ぎった、大切な人の笑顔。
彼女達を守る為に、俺は帰らなければならない。さっきもそう誓った筈だ。
元の世界へ帰る為、全ての参加者を倒すと。
―――俺は……何をやってるんだ……一体!
気付けば始は、目の前の少女に向かって走り出していた。
◆
「あの……えーっと、助けて欲しいんです!」
目の前の青年が、手に巨大な弓を生み出した。生み出したという表現が正しいのかどうかは不明だが。
いや、今はそんなことは関係無い。とにかく状況を説明しなければならない。
「あ……その、正確には助けて欲しいのは私じゃなくて……あ、いえ、私も助けて欲しいんだけど、そうじゃなくって……」
何を言ってるのか自分でもよく解らない。テンパり過ぎなのか、状況の説明が上手く出来ない。
それでも、目の前で動かない青年に解って貰おうと、必死に説明する。
「えっと……だから、黒鋼さんが私を助けてくれて、私も助けたくって……でも一人じゃ無理で……ってあれ?」
もはや意味が解らない。状況を知っている者にしか伝わらないであろう説明を長々と続ける。
「違う違う……だから、黒鋼さんが私の為に戦ってて……私も戻らなくちゃならなくって……えっと……」
別に自分の為だけに戦ってくれている訳では無いと解ってはいても、今の自分にそこまで説明する余裕は無い。
解ってくれるまで説明を続けよう。もうその考えだけでいっぱいいっぱいだった。
しかし、つかさの言葉はそこで中断される事となった。
もう一声発しようとしたその時、目の前の青年が突然走り出したのだ。
「へ……っ?」
さっきまで目の前にいた青年が、既に自分の後ろにいた。すれ違う瞬間に一言。「行くぞ」とだけ言いながら。
驚きの余り、つかさもそれ以上は何も言えなかった。
「えっと……た、助けてくれるのかな……?」
呟くが、既に青年はつかさの遥か前方を走り出していた。訳が解らない。あの説明だけで伝わったのだろうか。
そもそも「行くぞ」とはどこに行くというのだろうか? 解らない事だらけだ。
……いや、この際そんなことはどうでもいい。
どっちにしろ脳天気なつかさにそこまで考えられる精神的余裕は無い。
あの説明だけで全てを理解してくれたのだろうと勝手に解釈し、つかさも走り出した。
「ちょっと待って……! 私も行きますー……!」
◆
つかさの遥か前方を走る始は、何かに呼ばれる様に戦場を目指していた。
それが黒鋼のいる場所なのかどうかは解らない。
だが、あの娘のお陰で自分の中の何かが動かされた気がした。……と言っても、それが何なのかは解らないが。
今はとにかく、闘争本能の赴くままに戦場に向かうだけだ。
戦いが俺を呼ぶと言うのなら、望み通り行ってやる。ただそれだけだ。
―――俺はジョーカーにはならない。絶対に……勝ち残ってみせる。
【1日目 現時刻AM1:19】
【現在地 E-5 ハカランダ前】
【相川 始@マスカレード】
[時間軸]ACT.12終了直後
[状態]ジョーカーがいつ暴れ出すか解らない不安定な状態。
[装備]カリスアロー
[道具]至急品一式、ラウズカード(ハートA『チェンジマンティス』、ハート3『チョップヘッド』、ハート5『ドリルシェル』、ハート6『トルネードホーク』)、不明至急品0〜2。
[思考・状況]
基本:早く天音ちゃんの元に帰る。その為なら手段は選ばない。
1.解らない……俺は何をしようとしている……?
2.俺は何故この女の子を殺せなかった……? いや……今すぐに殺す必要は無いか……
3.ハートの2を取り戻す
4.俺はジョーカーにはならない
[備考]
※つかさに“ほんの少しだけ”天音を重ねています。
※もう一人のジョーカー(志村)の存在を知りません
※所持しているラウズカードで自分の中のジョーカーを押さえ込んでいます。
※カリスアロー及びカリスラウザーは至急品では無く、本来の始の能力です
【柊つかさ@なの☆すた nanoha☆stars】
[時間軸]2話終了後
[状態]走り続けてバテ気味、黒鋼に対する焦り
[装備]無し
[道具]至急品一式、不明至急品1〜3個
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、殺し合いから脱出する
1.ちょっと待って……とにかくあの人を追いかけなきゃ!
2.待ってて、黒鋼さん。今戻るから!
3.お姉ちゃんやなのはちゃん達とも合流しなきゃ!
4.小狼って人とも会えるといいなぁ
[備考]
※かがみ達がハカランダから立ち去った数分後の出来事です。故についさっきまでここにかがみ達が居た事は知りません。
※始のことは、取りあえずいい人と認識しました。
507 :
マスカレード:2008/03/06(木) 00:11:10 ID:N62XH8fS
投下終了
この始は難しかった……
つかさも色々と単純な性格のようで、ある意味ではかがみよりも逞しいですね。
本当は始がカリスアロー出現するも、殺せずに動かなくなった所で、始を殺人者と誤解した天道がつかさを助ける為に介入……
ってやりたかったんですが、リレー潰してまでそれをやる必要は無いかなと自重しました。
ラウズカードも元になるクロス世界がいくつかあるので特にどこからという描写は無しです。
そういえばなの☆すたの世界のひよりの台詞からして、仮面ライダーはつかさ達の世界では子供向け特撮番組っていう設定なんですよね……
まぁつかさもかがみも仮面ライダーを見てないので名前しか知らないってことにすればいい話ですが。
仮面ライダーキバこと紅渡の父親、紅音也がたまに始さんに見えるのは私だけじゃないはず(ぇ
GJ!
…っ肝が冷えたぁぁぁ〜…
怖ぇな始…いきなりつかさがどこぞの沙慈君大好きな執務官のお世話になるんじゃないかとひやひやしましたよw
とりあえず、始に怯えちゃったピポスバル達は帰らせましたからね(ぇ
GJ
始さんいいやつ過ぎる……
所持品がラウズカードなのはすぐにジョーカーにならないようにするため、いわばストッパーなんですね。
GJ!
携帯で読んでから、途中絶対つかさ死んだかと思った…
ツンデレ具合がかっこよかったです
GJっす。
つかさ、始に殺されるかと思ってたよ……
けど、万が一カードを手放したらやばい事になりかねないのが怖い……油断は出来ないか。
んでは、なのはと本郷が書きあがりましたので投下いたしますね。
「一文字……!!」
本郷猛は、空を見上げ亡き親友の名を呟いた。
一文字隼人は、本郷にとって唯一無二の相棒であった。
共に数多くの修羅場を潜り抜けてきた、大切な戦友だった。
誰よりも気を許せる、掛替えの無いパートナーだった。
本郷は強く拳を握りしめ、目の前の木へと強く叩きつける。
「……この殺し合いは、必ず止める。
だから、安心してくれ……!!」
一文字を失った事への悲しみ、覇王十代と神崎士郎に対する怒り。
様々な想いが、その拳には込められていた。
しかし本郷は、復讐の為に戦う気はなかった。
一文字は、自分達がこうなった全ての元凶へと戦いを挑み、そして死んだ。
仮面ライダーとして、正義を貫いて散っていったのだ。
だから、そんな彼の心に報いる為にも……この殺し合いを、必ず止めてみせる。
一人でも多くの命を、この手で守り抜いてみせる。
「お前の正義は……俺が引き継ぐ!!」
正義の戦士……仮面ライダーとして。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「フェイトちゃん、ユーノ君、すずかちゃん、クロノ君、ミライさん。
それに、ヴィータちゃん達まで……」
高町なのはは、名簿に記された名前を見て驚きを隠せなかった。
自分の知っている者達が、これ程まで多く参加させられているとは思ってもみなかったからだ。
直接の面識は無いはやてとダンの二人も含めれば、合計で十一人にもなる。
「兎に角、皆と合流しなくちゃ……!!」
なのはは、殺し合いに乗るつもりなどは一切無かった。
この殺し合いを止めて、無事に元の世界に帰る。
その為にも、まずは皆と合流しなければならない。
自分一人の力だけでは、現状をどうにかする事は出来ないだろう。
だが、皆で協力すればきっと道は開く……きっとこの殺し合いを止められるに違いない。
なのはは一回深呼吸をし、気合を入れる。
その後、現在地を確認する為に地図を開こうとするが……その時だった。
「あれ……?」
少しばかり離れた場所に、誰かが立っているのが見えた。
なのはは少しばかり近寄り、その男の姿を見……そして気付く。
先程自分は、彼―――本郷猛の姿を一度目撃している事に。
なのははすぐに歩み寄り、声をかけた。
「あの、すいません!!」
「っ!!」
本郷は、声の聞こえてきた方へと振り向きとっさに身構えた。
なのははそれに少しばかり驚くが、本郷はそんな彼女の姿を見て警戒を解いた。
彼女に全く敵意が無いのが、一目見てすぐに分かったからだ。
その後、優しく微笑みながら彼女に答える。
「俺に何か用かな?」
「えっと……あなたの事、さっきの広場で見ました。
一文字さんって人の知り合いですよね……?」
なのはが本郷に声をかけたのは、彼が絶対に殺し合いに乗っていないと分かっていたからだった。
そう判断した理由は、広場で一文字が殺害された時。
本郷は彼の側にいて、彼が倒された事を悲しんでいたからだ。
そんな人が殺し合いに乗る筈がないと、そう感じたから声をかけた……そしてこの判断は、正しかった。
「……ああ。
俺は本郷猛だ、君は?」
「私は高町なのはです。
よろしくお願いします、本郷さん」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「成る程……やはりこれは、異世界に呼び出されてしまったと判断していいか」
本郷となのはは、互いの持つ情報を交換し終える。
なのはは時空管理局や魔法、ウルトラマンに関して話せる限りのことを本郷に話していた。
本来ならばやたらに人に話すべき事ではないが、今は状況が状況である。
尤も、信じてもらえるかどうかという問題はあったが……それは完全な杞憂に終わった。
本郷は意外にも、自分の話をあっさりと信じてくれたからだ。
聞いてみたところ、どうやら彼は以前に、時空管理局の局員と接触した事があるらしい。
「しかし、驚かされたよ。
君の様に小さい子供が、魔法使いをしているなんてな」
「にゃはは……よく言われます」
本郷は、なのはに正直感心していた。
幾ら管理局の魔法使いとはいえ、彼女はまだ9歳という幼い子供。
しかし……それを感じさせないほどに、随分としっかりしている。
普通はこんな状況に陥れば、泣き叫んだりするのが当然である。
しかし彼女は、すぐに己が為すべき事を見つけ、自分に接触をしてきた。
「……強い子だな、この子は」
「ふぇ?」
「いや……とりあえず、君の仲間の名前を教えてくれないか?」
「はい、分かりました」
本郷はペンと名簿を取り出し、名前に一つずつチェックを入れていく。
絶対に殺し合いには乗らないであろう者達と、接触に注意が必要であろう者達。
二つのグループに分け、印をつけていくが……ここで本郷が、ある事に気付いた。
「ん……?」
「本郷さん?」
「……なのはちゃん。
君の名前が、名簿に二つあるんだ。
それと、このフェイトって子の名前もだ」
「え!?」
なのはは慌てて、名簿を確認する。
確かに、自分とフェイトの名前だけが二つある。
先程は、どうやら見落としてしまっていたようだが……どういう事だろうか。
どちらか片方だけなら兎も角、二人でこうなっているとなると、入力ミスなどとは思えない。
それに……なのははここで、もう一つ気になる点を見つけた。
「……フェイトちゃん?」
「何か、心当たりがあるのか?」
「……この名簿に書かれているフェイトちゃんの名前、少しおかしいんです。
フェイト=T=ハラオウンって……」
なのはは、フェイトがハラオウンの性を名乗っている事のおかしさについて本郷に話した。
確かに彼女には、養子縁組の話は出ている。
だが、まだ彼女は養子となってはいない……ハラオウンと付くのには、少しおかしいのだ。
本郷はその話を聞いて少し驚くが、すぐに冷静さを取り戻して頭を働かせる。
IQ600の天才である彼には、これがどういう事なのかを導き出すのには大して時間はいらなかった。
「……未来から来たということか?」
「え?」
「この子は、君のいた時間の未来から来たということになるんじゃないか?
そう考えれば、君とこの子の名前だけが二つあることにも説明がつけられる」
「あ……」
本郷の言葉を聞き、なのははハッとする。
確かに彼の言うとおりならば、辻褄が合う。
普通ならば、時間を越えるなんてとここで言うだろうが、幸いにもなのはは、時間を越えた経験のある人物を一人知っている。
ミライから聞いたが、彼は一度過去へと飛んだことがあるとの事だった。
しかし、そうなると……この殺し合いには、未来・もしくは過去から来たもう一人の自分がいる事になる。
何だか妙な気分だなと、なのはは苦笑した。
「もう一人の私かぁ……会ってみたいような、会うのが怖いような……」
「まあ、事情を説明するのは少し大変だろうが、心強い味方にはなってくれるだろうな。
さて……それじゃあ、そろそろいくか」
そろそろ動き出すとしよう。
本郷はデイバッグからヘルメットを二つ取り出し、その内の一つをなのはに手渡す。
彼の支給品の一つは、サイドカーだった。
バイクの運転が得意な本郷にとって、これは当たりの部類に入る代物だろう。
「これ、本郷さんの支給品ですか?」
「ああ、他にももう一つあるが……こっちは、外れ品に入るかな?」
そう言うと、本郷は自分のもう一つの支給品を見せた。
翠屋のケーキ詰め合わせセット。
サイドカーと違って、これははっきり言えば外れの品である。
しかし、なのはは当然ながらそれに見覚えのあった。
「あ、これうちのケーキだ」
「君の?」
「はい、私の家は喫茶店なんです」
「そうか……それじゃあ、後でゆっくり食べさせてもらうよ。
そういえば、君の支給品は?」
「あ、はい……この二つです」
なのはは、自分の支給品を本郷に見せた。
一つ目は『ほのお』の魔法マテリア。
説明書によると、これを持っていればファイア系の魔法が使えるという。
デバイスを没収されている今、なのはにとってこれは心強い武器であった。
そしてもう一つは……大切な仲間の武器、メビウスブレス。
ミライがウルトラマンメビウスへと変身するのに、必要不可欠な道具である。
「そうなると……そのミライを見つけて、どうにかしてこれを渡さないとな」
「はい……これが無いと、ミライさんは変身する事が出来ませんから」
「ああ、分かった」
本郷はなのはが乗ったのを確認して、エンジンをかけた。
二人はとりあえず、人がそれなりに集まりそうな場所へと向かう事にした。
ここから一番近い場所でその条件を満たしているのは、病院である。
魔法少女と仮面ライダー。
共に強い想いを持つ、二人の戦士。
彼等は今……主催者へと反逆の狼煙を上げた。
【1日目 現時刻AM0:45】
【現在地 H-1】
【高町なのは@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
[時間軸]12話中盤、ウルトラマンダイナの正体発覚直後。
[状態]健康
[装備]『ほのお』の魔法マテリア@片翼の天使
[道具]支給品一式、メビウスブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止め、元の世界に帰る。
その為に、仲間を集める
1.病院に向かい、そこで仲間を探す
2.フェイト達と合流する。
戦う術のないはやてとすずかの二人とは、可能ならば最優先に。
3.本郷の仲間と合流する。
4.ミライにメビウスブレスを渡す。
[備考]
※本郷と情報を交換しました。
ただし、本郷が過去にリンディと会っている事は聞いていません。
(管理局の局員と会ったことがあるとだけ話しています)
※自分とフェイトとが、この会場には二人いる事に気付きました。
彼女達は、未来もしくは過去の時間軸から来たのではないかと推測しています
※『ほのお』の魔法マテリアは、ファイガまでの使用が可能。
つまり、マスターされている状態です。
※アクセル・シューター等の様な簡単な攻撃魔法と、防御魔法の使用は可能。
ただしどちらも、レイジングハートが無い為力が減少しています。
※はやてとダンの二人とは、直接の面識はありません
【本郷猛@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
[時間軸]四話特別編終了後〜本編開始までの間
[状態]健康
[装備]無し
[道具]支給品一式、リヴァルのサイドカー@反目のスバル、翠屋のケーキ詰め合わせセット
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止め、元の世界へと帰る。
その為に仲間を集める、一人でも多くの命を守り抜く。
1.病院に向かい、そこで仲間を探す
2.なのはの仲間達と合流する。
戦う術のないはやてとすずかの二人とは、可能ならば最優先に。
3.自分の仲間と合流する
4.ミライにメビウスブレスを渡す。
[備考]
※なのはと情報を交換しました。
ただし、過去にリンディと会っている事は話していません。
(管理局の局員と会ったことがあるとだけ話しています)
※なのはとフェイトが、この会場には二人いる事に気付きました。
彼女達は、未来もしくは過去の時間軸から来たのではないかと推測しています
※光太郎との面識はあります。
他のライダーに関しては、次の書き手さんにお任せします
※ハラオウンという名を聞いて、フェイトとクロノはリンディの関係者であると判断しました
以上です……って、早速ミスやっちまってるよorz
現在地を、【H−1】→【H−0】に訂正お願いします。
H−1じゃ、セフィロス達の場所に入っちまう……
本郷に関しては、正直参戦のタイミングが微妙でしたのでこの様な形にしました。
問題ありましたら、意見お願いします
GJ!
あ…あれ? なんか見覚えのあるタイトルがいっぱいあるよ??
そういえばヴィヴィオにマテリア使わせてたなぁ&リヴァルをバイクに乗せるの忘れてたなぁ…
…しかし…
>IQ600
…マジで?
あ、そうだ…
これを機に、歴戦のバトロワ猛者たるメビウス氏に質問を。まだここ見てるかな…
今回のサイドカーやら、あとダンのサイクロン号やらを見て思ったんですが…
あの辺のマシンって、バトロワでは有利なのか不利なのかどっちなんですかね?
や、確かに疲れることなく高速で移動できるのは便利でしょうけど…エンジン音でマーダーに気付かれてしまうのがネックなような…
今後の参考までに、1つご教授をお願いします
んと、そこまでロワに参加しているというわけでもないですが。
乗り物系は、はっきり言って状況次第です。
確かに移動とかは楽にはなりますが、そちらの言う通りにエンジン音とかの欠点は当然ありますし。
途中でガス欠にでもなれば、単なる荷物でしかないですし……有利か不利かは、その時の状態次第です。
>IQ600
これはマジです。
いやまあ、人間離れにも程があるのは分かりますが。
昭和ライダーすげぇ…
ともあれ、ありがとうございました。
そういや音のない乗り物ってあるんかなぁ…
つチャリンコ
GJ
サイドカーと聞いて『サイドバッシャー』だと思ったヤツはナカーマ
友よー!! 自分もナカーマぞー!!! サイドカーって言われたらそれ思い浮かべるよね? そうだよね!?
なのはってマテリア使える設定?
FFZの冒頭のセリフを見る限り、マテリアにもちゃんと「使い方」があるみたいだけど
流石本郷さん、どんな状況でも冷静だぜ!
>>523 あんたは間違いなく同じロボロワの住人だなw
サイクロン号に追いつくチャリが存在するとは思わなかったがwww
>>526 説明書に書いてある、とかでいいのでは
エアリスとの会話を見るとそれほど難しいわけじゃないようですし
>>527 まとめ読んでるだけのにわか住人だがなw
…真面目な話、サイクロン号並みのスピードで走るチャリンコって、間違いなく接触兵器だと思うんだ
529 :
マスカレード:2008/03/06(木) 22:56:33 ID:KkkbApiw
GJ!
ウルトラマン世界と仮面ライダー世界の住人同士がいい感じに出会いましたね
ミライと本郷とか、見てみたい組み合わせです
仮面ライダーを知る幼フェイトとウルトラマンを知る幼なのはって組み合わせも見てみたいですw
>>524 なら私もナカーマですw
「サイドカー?……まさかサイドバッシャー!?いきなりヤバイ兵器が参戦したー!?」
って思ったら普通のサイドカーで安心した反面ちょっとがっかりだったり(ぇ
だから平成ライダーは終盤タイガが出た頃から見始めた龍騎で打ち切ったと何度言えb(ry
で、「サイドバッシャーってどんなのだろう?」と思ってググり、玩具の画像を見つけたのですが…
…ゴメンナサイ、ゲテモノメカにしか見えませんでしたorz
動いてる所見たら印象も変わる…のかな?
ところで今のフェイトそんって、下半身だけで本人確認できる状況なんスかね?
可能ならシグナム予約しますが…
>>530 格好良くはあるけど出る番組間違えてるZE、という印象
服はバリアジャケットそのまんまなら知ってる人間ならわかるかと
……もしソニックフォームだったらすごい状態だな
ただ、バリアジャケットはデバイス共々没収されてますからねぇ。
…まぁ…全裸ってことはないだろうけど…
確かリリカルGX中では管理局制服が普段着でしたっけ?
>>532 YES
そうなると、なのはは青いスカートとしても、はやてと区別がつかないですかね
……靴とか?
NONONO、実はあるのですよ…
黒 ス ト ッ キ ン グ という最大の特徴が!
というわけでシグナム予約〜。
GX氏には感謝の極みフタエノキワミです。
おっと、フェイト好きの癖に重要な事(?)を忘れるとは何たる失態
wktkしてますオトリヨセー
>>530 私はサイドバッシャー大好きですよー
確かにあれは動かないと解らないかもですがw
ジェットスライガー、サイドバッシャー、シャドーチェイサーあたりが1番好きです。
はい、目つき系バイク?ですw
そしてうちの北崎の悪質な能力のせいでフェイトさんには不敏な思いを……(泣
今だから言える事ですが、私は北崎も大好きなんですが、敵枠ならキングが1番好きだったりします(ぇ
意外と仲間いたのねww
昭和ライダーについて議論したいと思いますので、よかったら非難所の議論スレに来て下さい
うへへへへへ…遂に手に入れたぜ、PS2版デモンベイン…(じゅるり)
それはともかく、誰もいないのであればシグナム投下します。
丘の上を1つの影が歩く。
闇の中に桃色のポニーテールを揺らすのは、気高き美貌を持った烈火の将。
右手に地図を、左手にコンパスを持ち、西へ西へとシグナムは進む。
(…頭の痛くなる思いだな)
ため息をついた。
彼女を悩ます頭痛の種は3つ。
1つは当然、この狂った殺人ゲームだ。
訳も分からぬうちに妙な部屋へと連れ込まれ、何もできぬうちに人を2人も殺されて、そして今度は自分達にも殺し合いを強要してきた。
無論、仲間意識が戦意を鈍らせたわけではない。
あの室内の一角に垣間見たはやてを生かすためならば、誰が相手だろうと戦い抜いてみせよう。
フェイトやなのはに内心で短く謝罪し、覚悟を決めて名簿を見たのだが、そこには第2の頭痛の種が待ち受けていた。
(まさかテスタロッサまで増えていたとはな…)
そこには、高町なのはとフェイト=T=ハラオウンの名前が2つずつ載っていたのだ。
百歩譲って、なのははよしとしよう。今機動六課には、10年前から飛ばされてきた過去の幼い彼女がいる。
問題はフェイトだった。なのはの場合に当てはめるとするならば、過去の彼女までもが現れたことになるのだから。
否、もしかすると、まだ見ぬ未来のフェイトが来た可能性もある。
しかしそれがアリならば、なのはの方も未来人かもしれない。
そう考えているうちに訳が分からなくなって、シグナムは考えることをやめた。
とりあえず、「増えた」と認識することで己を納得させて。
そして今は、地図上に示されたアヴァロンなる施設を目指している。
夜を明かすならば市街地や病院の方が好ましいとも考えたが、
何分そこは便利な地点なだけあり、必然的に人が集まるであろうことを考慮して避けた。
もちろん、数百年の時を闘争の中で過ごしたシグナムには、夜戦であろうと問題なくこなせる能力はある。
しかし、それは平時の装備の場合だ。
今、彼女の腰には1つのナイフが収められている。
シグナムに与えられた支給品の中で、今すぐに使うことができる武器はこの短刀のみ。
当然、不慣れな得物で戦うのは危険だ。それを彼女はわきまえている。
故に、更に戦いづらい要素となる夜を避け、こうして寝床へと向かっているのだ。
ちなみに、他に用意された支給品は二種類。
1つは、デュエルディスクなるアイテムによって使用可能となる紙製のカード。
恐らく傷を癒すためのものであろう「ホーリー・エルフの祝福」に、
「ジャイロイド」と「幻獣王ガゼル」の2枚のモンスターが書かれたカードもあったが、その中で注目したのは「稲妻の剣」の存在だ。
長剣ならば、最も慣れ親しんだ武器として使いこなせる自信がある。
朝になったら、まずはデュエルディスクを探すのも悪くない、とシグナムは認識していた。
(…しかし…)
だが、残る支給品は――そう、現在進行形でシグナムを悩ませている第3の頭痛の種だった。
(…あれは私をおちょくっているのか?)
最後の支給品はシールが3枚。それも絵柄は全て、微妙に残念そうな表情のヴィータ。
このシールを支給品として受け取った人間の顔…とでも言いたかったのだろうか。気分が悪かったので捨てた。
(…うん?)
と、シグナムはここで、遠くに何かの影を見つける。
そこにあった2つの物体のうち、片方は地面に刺さった巨大なくの字状の物体。恐らくブーメランブレードというやつだろう。
そして、暗い中で目を凝らしてよく見てみると、どうやらもう片方は人間の下半身のようだ。
少なくとも1人、既に死人が出たらしい。
思ったよりも若干早かった人死にに僅かに驚き、彼女はその屍に向かって歩いていく。
しかし、ある程度近づいた瞬間、余裕綽々な表情はたちどころに消え失せた。
その死体が穿いていたスカートに見覚えがあったから。
慌てようが傍目にも分かるスピードで、管理局の制服を着た下半身へとシグナムは走り出す。
まさか死んだのが身内だとは思わなかった。頭の中を、猛スピードで思考が駆け巡る。
(やられたのは誰だ? シャマルか? まさか主はやてか? もしや…)
そして、立ち止まった。
目と鼻の先へと到達したことで、ようやくシグナムは理解したのだから。
下半身だけの死体が、その鍛えられた美脚を黒いストッキングで覆っていたことに。
そしてそれが、自分が好敵手として認めた戦友のものであることに。
「…テスタロッサ…だったのか…?」
瞳が色を失う。
力なく呟くと、シグナムはその場にふらふらとへたりこんだ。
目の前のフェイト――見たところ、どうやら自分の知っている方のフェイトのようだ――は、見るも無惨な姿へと変わり果てていた。
胸から上あたりをすっぱりと斬られ、その上半身は跡形もなく消え失せている。
固まりかけた血液によって汚れた制服を身に付けた下半身だけが、ごろりと無造作に捨てられていたのだ。
「テスタロッサ…」
震える手を、屍へと伸ばす。赤黒く変色した、形のよいウエストを両手に抱いた。
殺したくなかったわけじゃない。
守るべき主を生かすためには、いずれ戦わなければならない相手だ。
その果てに、フェイトの命が失われることになるということも分かっていた。
しかし、
「…こんなにも早く…逝ったというのか…ッ!」
こんな形で死ぬことは望んでいない。
我知らず、涙が流れた。
闇の書事件の際に巡り会った、自身の闘争心を満たすに値しうる強敵。それから10年もの間、互いに高め合い、認め合った。
いつしか背丈が自分と並ぶようになった少女との10年は、これまでの数百年よりも遥かに勝る、長く、そして有意義な時間だったろう。
故に、叶うことならば、引導は自分が渡したかった。
永遠にも等しき生涯における最大のライバルへの敬意として、全力の闘争をはなむけとする。それがシグナムの望みだった。
それが、顔を見ることすら叶わぬうちに殺されたとは。
絹のような美しい金髪、愛らしさと大人っぽさの共存するあの笑顔――それらが跡形も残らず、無惨に消し去られたとは。
しばらくの間、シグナムはフェイトの亡骸に顔をうずめ、赤子のように泣きじゃくった。
「………」
ひとしきり泣きはらした後、シグナムはゆらりと立ち上がる。
強く凛々しき烈火の将が、普段ならば絶対に見せないしおらしい表情で、最後にじっとフェイトだったものを見つめた。
「…誰だ」
そして一転。
次の瞬間には、その瞳には凄絶なまでの眼光が宿る。
戦友の残酷な死を目の当たりにした彼女の悲しみは、新たな形をなして新たな矛先へと向かう。
すなわち、怒り。
テスタロッサを殺したのは誰だ。
そこに刺さった刃で彼女を真っ二つにしたのは誰だ。
その上半身を容赦なく蒸発させた外道は誰だ。
震えるような悲哀は怒りに。沸々と湧き上がる憤怒は憎しみに。そして、轟々と渦巻く憎悪は――
「待っていろ、テスタロッサ」
顔に残った涙すら拭わず、シグナムは遥か彼方を睨む。
ブーメランブレードを右腕で引き抜き、巨大な刃を肩へと預ける
まともに戦えるような時間になるまで、アヴァロンでやりすごすつもりだったが、気が変わった。
まどろっこしい方法はもうやめだ。
殺した奴を探し出す。テスタロッサの仇を、何が何でも見つけ出してやる。
そして一分一秒でも早く、それこそ自分が戦う相手の中で、1番最初に■してやる。
彼女の受けた痛みそのままでは足りない。その何倍もの苦痛と恐怖を身体に叩き込み、その上で■す。
そうとも――この命に代えてでも、必ず■してやる。
■してやる。
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
そう――
「――私が殺してやる」
桃色の髪の復讐鬼が流した雫が、今は血の涙を思わせていた。
【一日目 現時刻AM2:32】
【D-1 丘】
【シグナム@エーストライカーズ】
[時間軸]一話終了後
[状態]健康・憎悪
[装備]ブーメランブレード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]支給品一式、剥ぎ取りナイフ@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
遊戯王カード(「ホーリー・エルフの祝福」「ジャイロイド」「幻獣王ガゼル」「稲妻の剣」)@リリカル遊戯王GX
[思考・状況]
基本 フェイトの仇を殺す
1.待っていろ…テスタロッサ…
2.アヴァロンにこもるのはやめた
[備考]
※強い殺意によって、はやてを守るという使命を半ば忘れかけています。
※自分の知らないなのはとフェイトが、別の時間から来た彼女達であることに気付きました。
※D-1に、フェイト=T=ハラオウン(StS)の死体(下半身のみ)があります。
※シグナムのスタート地点であるG-2に、フォワードチョコおまけシール×3@シール(題字:都築真紀)が落ちています。
投下終了。
…最近マジで普通の文章と厨二文章の境界が分からない…なまじ厨二系を読んだことがないばかりに…
繰り返しの演出はシーナでも使ったので、「正直また使うのもどうよ?」と思ったのですが、
やはりインパクト勝負で採用することにしました。行数稼ぎにもなることですし(ぇ
改行一字ずらしてやった方が見栄えがいい
こんなふうに
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■
してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■し
てやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■して
やる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してや
る■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■
してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■し
てやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■して
やる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してや
る■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■
してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■し
てやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■して
やる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してや
る■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる■してやる
こうすれば縦にも読める
GJ!
シグナム怖ぇ……w
復讐鬼になったシグナムが他メンバーとどう絡むのか、色んな展開が考えられますね
このまま狂化マーダーになるか、対主催になるか……
幼フェイトや他ヴォルケンあたりが鍵になりそうですね
>>544 ピギャー!
はやてへの奉仕マーダーではなくフェイトのための復讐鬼になるとは……
題名から察するに、ラストは
覇王「実は俺は一回刺されただけで死ぬぞ!」
シグ「守るべき主がいたような気がしたが、そんなことはなかったぜ!」
となるわけですね?
あ、八神はやてとシャマルを予約します
>>546 おおお落ち着くんだ、はやては既に龍騎氏にとられてる!
…まぁ、元が一般人だった十代はレバ剣一発で死ぬでしょうけどもwww
GJです
…ごめん、正直恐怖で泣いたorz
…しかし、なんて物を支給してるんだ主催…思わず吹いたw
>>546 あ、すいません。はやては俺が予約済みです
あ……なんつー初歩的なミスってかミス以前の事をorz
申し訳ない、見なかったことに・・・・・・
了解、見なかったことに…というか、見直し終わったら投下するので、その後ならはやて予約できるんですがね
というわけで、見直し終了次第投下します
月村すずか。彼女はただ単に運動神経がいいだけの、普通の女だった。
唯一変わっている点といえば、その人脈のみ。魔法使いや仮面ライダー、果ては異世界人までもが彼女とは顔見知りである。
だが、それ以外は何も変わらない、前述の通りの普通の女だった。だから、こんな殺し合いには呼ばれるいわれは無いはずである。
それなのに……
「殺し合いだなんて……どうして、こんな事に……!」
彼女は今、会場南東部の森の中にいた。
なのは達から次元世界の事や次元犯罪者については聞いていたから、こんな風にいろいろな世界から人をさらうなんて芸当をやる人物も出るだろうとも予想は可能。
ただ、彼女は自分がそれに巻き込まれるとは思っていなかったらしい。狼狽が見て取れる。
おまけに、最初に見せられたスプラッタショーもその狼狽を強める一因になっていた。
辺りにはビュンビュンと音を立てて、強風が吹き荒れる。今なら周りに誰がいても気付かないだろう。
……と、その状態からある事を思い出した。最初に十代が言っていた言葉である。
『お前たちを会場へと飛ばす、こちらで用意した支給品と一緒にな』
「そ、そうだ、支給品……」
思い切り混乱しながらも、それだけ思い出したすずかはすぐに周りを見る。
そして、見つけた。自分の分とおぼしきデイバッグを。さっそく開き、中身を確認。
まず初めに出てきたのは、折りたたまれた一枚の紙。開いてみると、大量の名前が記されていた。
これだけ多くの名が書かれているという事は、これは参加者名簿なのだろう。
出来れば自分の他に誰も来てないでほしいと願いつつ、すぐに目を通す。そして、見つけた。
「嘘……なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん……!」
よりにもよって彼女の親友が三人も呼ばれていた。最後の一人であるアリサが呼ばれていないだけまだマシなのだろうが。
そして、もうしばらく読み進めると……彼女にとって、最も呼ばれていてほしくない人物の名があった。
「え……!!??」
もはや驚愕と混乱で、言葉も出ないらしい。
先程見つけた親友の名。それだけでもショックは大きい。そしてその上に、彼女の恋人……キョウキの名が記されていたのだ。無理も無いだろう。
現在の彼女の状態は、仰天を通り越して石化といっても過言ではない程度に固まっていた。
数分後、ようやく正気に戻ったのか、再び行動が開始された。
この近くに殺し合いに乗った人物がいれば確実に死んでいたが、運良く乗った者は誰もいなかったらしい。彼女が生きているのがその証明だ。
そして、名簿を見た彼女が最初に行ったのは、その行動方針の確定。
「殺される前に、ここから逃げなきゃ……なのはちゃん達と、センパイと一緒に!」
その名簿に記された名。その主とともにこの会場から逃げるという行動方針を。
ならば、当面の目標はそのメンバーの捜索、そして自身の生存である。死んでしまっては探せるものも探せない。
ふと、自分で言った「殺される前に」という言葉を頭の中で反芻し、そして身震いする。
こんな物に自分の仲間は決して乗りはしないと信じてはいるが、何しろここには70もの参加者がいるのだ。その中の誰が乗っているとも限らないのである。
そして、その乗っている相手に見つかれば、非力な自分などすぐに殺されてしまうだろう。
そうならないためにも、自衛の必要がある。幸い手元には支給品がある。最低限の自衛に使えそうなものくらいは入っているだろう。
そう思って支給品を調べ……取り出したのは一枚の封筒。開いて中身を取り出す。
その中身である紙には、「ハズレ 残念でした」としか書かれていなかった。
「え、嘘、まさか!?」
まさかこんなものしか入っていないのか。そう思ってデイバッグの中身を穿り返す。
そしてその結果、出てきたのは地図や食料などの基本的な支給品だけであった。
実を言うと封筒にはサバイブ『烈火』と呼ばれるカードも入っているのだが、すずかはそれに気付かない。
まるで主催者が言外に「さっさと死ね」とでも言っているかのようなセレクト。それは死を確信させるには十分だった。
最初に立てた目標が真っ先に一つ否定され、それはすずかを絶望に叩き落とす。
そして自身の生存を絶望視し、泣いた。
さて、すずかにとっての不運は、実はもう一つだけあった。
それは、彼女が探そうとしていた人物の一人、八神はやてが近くにいた事である。
探したい人物が近くにいるというのは、普通なら喜ぶべきことだろう。だが、この場合は違う。
辺りには前述の通り強風が吹き荒れているので、風の音のせいで互いの存在に気付かないのだ。
そしてすずかが絶望している間に、はやてはさっさと移動を始めてしまった。それも今すずかがいる方向とは真逆の方へと。
……つまり、近くにいた探し人とは完全にニアミスしてしまったという事である。もはや不運を通り越して神に嫌われているとしか思えない。
これが永遠の別れとなるのか、それともどこかで会えるのか……それはたった今「すずかを嫌っているのではないか」と評した神ですら分からないだろう……
【一日目 AM1:22】
【現在地 I-9 森の中】
【月村すずか@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
[参戦時期]第二部平成ライダーサイド三話、キャンプ中
[状態]健康・生還を絶望視
[装備]なし
[道具]支給品一式・封筒(中に「ハズレ 残念でした」と書かれた紙と、サバイブ『烈火』@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダーが入っている)
[思考・状況]
基本.キョウキや仲間と合流し、この会場から逃げる
1.絶望した! あまりのハズレ支給品に絶望した!
2.なのは達やキョウキを探す
[備考]
※近くにいたはやてに気付きませんでした
※狼狽しまくっていたため、なのはとフェイトの名が二つある事に気付いていません
※サバイブ『烈火』に気付いていません
さて、今度はその今しがたニアミスした八神はやてへと目を向けてみよう。
彼女がここを立ち去るよりもほんの少し前、はやてもまた、支給品を確認していた。
最初に出てきた氷の剣アイスソード、これはまだいい。重量はあるが、両手持ちなら使えなくは無いだろう。
問題は、次に出てきた支給品である。
「な、何やこれ? 重……」
やたら重く、白い箱のようなもの。それがはやてに支給されたものである。
あまりの重さに四苦八苦しながらも何とか取り出し、そしてその正体を理解した。
「……何で冷蔵庫なんか支給されてるんやろ?」
支給された白い箱、その正体は冷蔵庫だった。なるほど、これならば重いのも納得がいく。
しかもミッドチルダに引っ越すまでの間、八神家で使っていたものと同型のもの。どこで手に入れたのだろう?
開けてみると、ちゃんと冷蔵庫としての機能も動いており、さらに色々食材も入っている。
ちなみにコンセントはささっていない。どうやったのかは知らないが、バッテリー式にでも改造したのだろう。
上段の冷凍庫にも、ちゃんと中身は入っている。何故かイチゴのカップアイスが10個も。木のヘラもセットで。
ちょうど小腹が空いていたのだろうか、アイスとヘラを一つずつ取り出し、それを口に運んだ。
「そう言えば、ヴィータはイチゴのアイス好きやったな」
アイスを食べながら、頭に思い浮かぶのは今はいない家族の顔。家族の好物を食べている事が、それを思い起こさせているのだろう。
「……あれ? 変やな、このアイス、しょっぱいわ……」
はやてはそう言いながら、アイスを食べ進める。自身の涙のかかったアイスを。
そしてアイスを食べ終わる頃、視界にとある四文字のカタカナが入る。
名簿に書かれた『ヴィータ』の四文字が。
すぐにアイスのカップを放り出し、名簿を取り出して読み進める。そしてそれが見間違いではないという事がはっきりした。
それだけではない。他にもシグナム、シャマル、ザフィーラ、そして……十年前に消えたはずの、リインフォースの名が書かれている。
他にも六課の仲間や親友の名が書かれていたが、そんなものはもはや目に入らない。
ただ、いなくなった家族がこの会場にいる。彼女にはその事実だけで十分だ。
ただ、今の彼女には多少疑わしく思っていることがある。それは――――
「リインフォース、やて……?」
――――リインフォースの存在である。
彼女は十年前に消えた、言わば今は存在しないはずの人物である。
後に同名のデバイスを作り上げたが、それはリインフォース『U(ツヴァイ)』。もしもそちらのリインなら、Uの表記があるだろう。
ところが、この名簿にはその表記が無い。となれば……十年前に消えたリインフォース本人か、同名の別人だ。
ちなみにいつもの彼女なら、リインフォースが本物かどうかもう少し考えただろうが……アイスソードの副作用「持ち主の知力を下げる」により、判断が単純化。本人だと疑っていない。
いずれにせよ、彼女の方針は決まった。冷蔵庫と名簿をデイバッグに収納し、アイスソードを手に駆ける。
(急がなあかんな……みんなが、殺される前に!)
八神はやては会場を疾駆する。全ては家族に会うために。
ちなみに他の事は……親友の事すら頭に無い。これもまた、すずかにとっての不運と言えるだろう。
【一日目 AM1:22】
【現在地 I-9 森の中】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】
[参戦時期]
[状態]健康
[装備]アイスソード@リリカルなのはMS
[道具]支給品一式・冷蔵庫(中身はイチゴ味のカップアイス9個+食材)
[思考・状況]
基本.家族に会いたい
1.シグナム・ヴィータ・シャマル・ザフィーラ・リインを探す
2.それ以外は今の所度外視
[備考]
※近くにいたすずかに気付きませんでした
※アイスソードの副作用により、多少頭が悪くなっています
ここで天気予報です。
現在J-9地点を中心とした気圧性の強風が吹き荒れています。
低気圧は半径2エリアほどの小規模なものですが、風以外の音を消すには十分な強風です。
現在はまっすぐ北西に向かっており、このままのペースならば二日目の昼にはA-0地点を通過するでしょう。
夜の闇と風の音に紛れて迫るマーダーに殺られぬよう、軌道上の参加者の皆様は、十分にご注意ください――――
[備考]
※J-9地点に移動性の低気圧(半径2エリア)による強風が吹いています。
低気圧はゆっくり北西に向かっており、おそらく二日目の昼にはA-0地点を通過します。
また、強風の音でよほどの大きな音以外はかき消されるようです。
投下完了
副題「はやてが史上最強レベルの死亡フラグを手に入れたようです」
GJ!
>アイスソード
「な、なにをするきさまらー!」
でしたっけ?(うろ覚え)
どちらにせよ両者共カワイソス
実ははやてについては、後々の展開を考えてたり。
…や、中盤頃を目処としているので、無視してくれて構いませんが
>「な、なにをするきさまらー!」
ええ、まさにそれです
アイスソードはそれのせいで死亡フラグ…いや、ズガンフラグと化したある意味恐るべき武器…
とりあえずはやてオワ…てませんよね?まだ終わってませんよね?
はやての参戦時期忘れてた…orz
[参戦時期]のあたりにミッドチルダ1終了後って脳内保管お願いします
このバトルロワイヤルだと文字通り「殺してでも奪い取る」ですからねー。
はやて、強く生きろ。
でも近接戦弱い指揮官タイプのはやてに頭の悪くなるアイスソードってw
アイスソードwwwこれは危険www
しかし某所では最初にこれをもっていた人は超絶強化されている……諦めるなはやて!
大変に遅くなってすみません。
誰も予約が無いなら投下しても良いですか
お待ちしとりました。どうぞ!
ルルーシュは自分の領土と化した病院を歩いている所に妖しげに光る一つの宝石が落ちていた。
「何なんだ、これは?」
ルルーシュはその宝石を手に取り、調べようと、した時。クラールヴィントから、けたたましい警告音が鳴り、
慌ててクラールヴィントを見る。
「如何した。クラールヴィント、状況を説明しろ」
「強大な魔力、反応確認。危険、キケン、危険、キケン」
クラールヴィントの警告が発した。次の瞬間、窓に映っていたのは巨大な火柱。
驚愕するルルーシュを尻目に無数に現れる火柱は辺りを次々破壊してゆく、
「クソッ……何だというのだ、これは!!。 クラールヴィント、今すぐエリアサーチを最大して人物を特定しろ」
「諒解…………人物特定完了」
クラールヴィントからデータ表示された。しかし名前以外のパーソナルデータは全て?隠されている、
名前はルーシュ・デモン。
そしてルーシュの方は。
「ふざけるなッッ!!!。 こんな餓鬼どもの児戯に、何故この私が付きあわねばならないのだ!!!」
ルーシュは怒り満ちていた。先程の火柱も怒りに任せって、撃ってただけであった。
その怒りも甲児達の様に殺し合いに対する怒りでもなく、浅倉の様に殺しが出来ない怒りでもなく。
ルーシュの怒りは目的を邪魔された怒りであった。
「何が、覇王だ!!。 何が好きな願いを叶えてやろうだ。 あんな餓鬼どもにゴッドライディーンが出せるのか?
否、否、否、出せるものかッッ!!!」
彼はゴッドライディーンの為なら何人でも殺せるだろう、たがゴッドライディーンは12個のゾディアックオーブと女神セイラが、
居なければ現れないという特殊な条件な為。 このロワイアルは時間の無駄なだけであった。
病院に人の気配を感じ。
「この際、ライディーンでも嬲って愉しむか」
ルーシュは笑いながら瞬間移動をした。
再びルルーシュの方は。
「ルーシュ・デモン……こいつがあの火柱を起こしてるのか?」
ルルーシュはこの事態をどうやって切り抜けるかを考えていた。
「なんだ只の餓鬼か」
病院の暗闇にルーシュの声だけが響いた。
「誰だ!! 其処に居るのか?」
ルルーシュは声を荒げて叫んだ。
「はぁ、最早ライディーンでもないとは」
ルーシュは溜め息交じりにルルーシュの目の前に現れた。
「貴様が……ルーシュ・デモン」
ルルーシュがルーシュの名前を呟き、ルーシュはルルーシュを完全に見下したように言った。
「お前、何か武器は持たないのか?」
ルーシュはルルーシュに問いかけてるにも関わらず、ルルーシュの言葉を待たず、
喋りだす。
「そうか、武器は何もないのか。 そこのリングも武器とは言えないな」
「なっ」
ルルーシュは焦った。 自分の思っている事をルーシュが口にしてる事である人物が、
頭をよぎる。
(こいつはマオのような能力を持っているのか?)
ルーシュはルルーシュを興味なさそうに見つめ、言った。
「はぁ。 お前、本当にただの人間かぁ。 まぁ、殺らないより殺るほうがいいか」
退屈な表情でルルーシュに近づき始めた。
(いやだ、いやだ。 俺はスバルやナナリーを護りたいんだ)
ルルーシュの怒りに手に持ってた宝石が反応し強く輝きだす。 退屈な表情のルーシュは一転、
歓喜の表情に変わった。
「ゾディアックオーブ……まさか、こんな所にあるとは。 お前、ゾディアックオーブを寄こせ」
ルルーシュはルーシュの変わりように一つの結論に至り、強気な態度でルーシュ言う。
「残念だが、それは出来ない」
(こいつのあの変わりよう、これは何かの武器かもしれない)
ルルーシュは大きな勘違いをした。 ゾディアックオーブは12個、揃って始めて意味を持つもの、
一個だけでは只の宝石に過ぎない物である。ルルーシュはライダーパスを外に向かって投げた。
「ゾディアックオーブか?」
ルーシュはライダーパスをゾディアックオーブと見まちがえ外に出た。
「この隙にあいつを倒せる武器を。 クラールヴィント、大至急エリアサーチをし、何か武器を探せ」
「諒解…………50m先、手術室に支給品を確認」
「よし、行くか」
手術室に全力で向かう。
「此処か」
ルルーシュは手術室の支給品を箱を空けると中から出て来た物は。
「ラジカセ……だと」
ルルーシュの表情は絶望に染まる、更に追い討ちするかのように新たな、
絶望が来る。
「お前は相当、殺されたいのか?」
ルーシュはルルーシュの耳元で囁き、次の瞬間、ルルーシュは壁に叩き付けられていた。
「……っ!!」
「さてと、どう料理しようか」
ルーシュはルルーシュを殺そうとした瞬間、ラジカセから美しく詩情に満ちた優しい歌が流れだした、
するとルーシュは苦しみもがき出す。
「ぐぁぁぁぁぁぁああああああああ」
「何なんだ、これは?」
ルルーシュは困惑していた。歌が流れ出した、途端ルーシュが苦しみもがきだした状況を
理解し自分の有利な状況と判断した。そしてラジカセを手に取り、
今度はルルーシュがルーシュを見下し言った。
「無様だな……ルーシュ、そのまま死ね」
「舐めるなよ…………餓鬼」
ルーシュの身体は消滅しかけていた。 ルルーシュはその言葉を負け犬の遠吠えと思い、
聞き流していた、次の瞬間手術室は紅い閃光に包まれた。
閃光が終わると。 ルルーシュは生徒会室に居た、カレンを除く何時ものメンバーと共に。
「なぜ……ここに?」
「全員、そこを動くなっ!」
叫び声のあと銃声が鳴り響く。そのあとに現れたのは黒の騎士団、
玉城 、扇 、カレン、そしてゼロ。
「なっ。 貴様、誰だっっ!!」
ルルーシュはゼロに詰め寄る、その行動に玉城 、扇 、カレンはルルーシュに銃を構える。
ゼロはカレン達の行動を手で静止する、 そしてルルーシュに向かい言う。
「我が名はゼロ、日本を……世界を変える者」
その言葉を聞いたとき、ある声がルルーシュの頭の中に響き回る。
(お前は世界の誰にも必要とされてない存在、お前は世界から弾かれる存在)
「黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れぇぇぇぇぇぇえええ」
生徒会室は一変、暗闇に変わりナナリーだけが居た、ルルーシュはナナリー向かって走り出す。
「ナナリーィィィィィィィィ」
(そうだナナリーは俺を必要としてくれる)
ナナリーは笑顔で振り向く、だがナナリーの口から出た名前は。
「あっ、スザクさん」
急に現れたスザク、ナナリーはルルーシュの存在も気にもせずにスザクのもとへ近き、暗闇に消えた。
ルルーシュは途方にくれ暗闇を歩き出す。
「俺は世界の誰にも必要とされてない存在、俺は世界から弾かれる存在」
ルルーシュは呟きだす。
「ルルーシュ」
優しい少女の声と共に光が現れ暗闇をかき消し、スバルがルルーシュの目の前に現れた。
「ス……スバル」
ルルーシュは笑顔になりスバルとの思い出が走馬灯のようによみがえる。
「ルルーシュ……わたしねあなたの事を考えたんだ……やっぱり、
あなたって世界から弾かれる存在と思うの」
「えっ」
ルルーシュは心臓を撃たれて死んだ。 スバルが冷たい表情と声でルルーシュに向かって喋りだす。
「如何だったかな? 私が作った悪夢は少々お粗末だったが楽しめたか?」
スバルの周りに影が集まり出してルーシュに姿を変えた。
「さて、先程の歌で私の身体は殆ど消滅してしまったから、お前の魂と身体を使わしてもらうぞ」
ルルーシュは暗闇に取り込まれていった。 ルルーシュは目を覚ました、正確にはルルーシュの身体を、
使っているルーシュだが。
「はっっっっっっっっっっつつ」
ルーシュの笑い声が病院に響き渡る。
【一日目 AM3:22】
【現在地 H-4 病院の手術室】
【ルーシュ・デモン@リリカルなのはFeather 】
[参戦時期] 1話終了時点
[状態]ルルーシュに憑依
[装備]クラールヴィント@なのはStrikerS+仮面ライダー
[道具]支給品一式・ゾディアックオーブ@リリカルなのはFeather
[思考・状況]
基本.ゾディアックオーブ探し
1.他の参加者に恐怖と絶望を
2.清らかな心を持つ女性を捕まえる
投下完了。
本当に、申し訳ございません。こんな時間を掛けてこんな物しか出来なくって、
もうNGでもかまいません。 反目のスバル様、ルルーシュをこんな風に使って、
誠に申し訳ございません
GJ!
あーよく分かってらっしゃる。ルル絶対こういうやり口には弱いわwww
しかしなかなかえげつないことをするもんですなぁ、コイツも…
名前が似ると性根も似るんでしょうか?w
ただ、ちょいと4箇所ほど気になった所がありますので指摘をば。
・ルルーシュの初期配置所
これだと、最初病院の中にいるように見えるのですが、彼は既に病院から出て、すぐ裏から様子をうかがってます
…間違ってたらスンマセン
・時間
いくら何でも1時間も何もせずにその場に留まるかなー…というのが正直なところ
・クラールヴィントのサーチ
この描写だと、ルーシュは病院内からスタートしたことになりますよね?
ただ、メタルサーガ氏の書かれたSSの中では、はんた以外に参加者は確認されなかったのですが…
・ブロックワード(?)
原作ではスザクから言われたあの言葉ですが、このバトロワに出てる段階ではまだ言われていません。
V.V.のトラップに引っ掛かった瞬間から飛ばされてきたので、オレンジが神根島まで追いかけてきたことすら知らない。
以上。長々と&偉そうにスイマセンでしたorz
反目氏が指摘された問題の他に、
他人の体を乗っ取るってのが気になります。
どう考えても禁止されるべき能力でしょう。
詳しくは議論スレで。
遅くなりました。自分が予約していたティアナ&キリヤ&スザク&かがみ&新庄の話が出来たのですよぅ。
誰もいらっしゃらないみたいなので、投下しますねぃ?
二度と繰り返したくないと思った。
失われたのは、大事な人の大事なもの。
悲しんだのは、想い半ばに折れたその人の心。
悔やんだのは、それを止められなかった自分の非力。
あの時そうしていれば、そう思った事は数え切れないほど沢山。
後悔ばかりが募る、やり直しが効くならそうしたい過去。
だから自分は思ったのだ。
もう二度と同じ事は繰り返したくない、否、繰り返さない。
あの失敗を、大事な人が損なわれるその結果を、自分は二度と起こさない。
そう誓ったのだ。
●
新庄が拠点に定めたのは、市街地の一角に建つマンションだった。
乱立するビル群にあって一際高い建造物、その上層階の一室に新庄は足を踏み入れる。
そこはかつて、フェイト・テスタロッサがPT事件の最中に住んでいた部屋である――などという事を知る筈も無く、新庄は全室を確認した後にバルコニーへと進み出た。
落下防止の壁でストームレイダーを固定し、備え付けの望遠鏡で周辺を見回す。全てはあらゆる戦闘に介入し、殺し合いを未然に防ぐ為だ。だから、
「…………あれは……」
見始めて数分後、2人の少年と1人の少女が構え合う状況を見つけた時、新庄は思わず息を飲んだ。
……もう、殺し合いが始まってるの……?
この市街地に放逐されてまだ2時間弱、その短期間で3人もの人間が戦ってる。
「――――――っ」
その事実に背筋が震えた。
『落ち着きなさい、新庄』
それに感づいたのか、新庄が“先生”と尊称するインテリジェントデバイスが諭す。
『よく見なさい。攻撃しているのは女の子の方だけで、男の子達は殆どやり返さないでしょう? 少なくとも男の子達は戦いを望んでいないわ』
「……あ」
『この距離なら、変な介入を受けない限り武器を撃ち落とせる。もしあの内の誰かが死にかけたら私達で止めましょう。第三者に狙撃された、と知ればあの子達も戦いを止めるでしょう』
「はい」
弱まりかけていた表情を引き締め、新庄はストームレイダーを握り直す。いざという時の抑止力、新庄が自らに課したスタンスを貫く為に。
『……そうよ、二度も同じ失敗をしないわ』
「先生?」
続いた言葉は新庄に向けたものではなく、ストームレイダーが自身へ向けた言葉の様だった。
『――私が彼を傷付けてしまった失敗を、貴方にする訳にはいかないのよ』
言い聞かせるような、思い詰めたようなストームレイダーの様子に新庄は心配する。
……大丈夫、かな……
このマンションへ入る前に聞かされた、ストームレイダーの過去。本来の主を支え切れなかったという彼女の悔恨を新庄は思う。
……でも……
その時ストームレイダーは続けて言った。“一緒にやっていこう、と言えたら良かった”と。だから自分はそれに応えたい。ストームレイダーが望みつつも出来なかった事を自分はしてあげたい、と。
「……うん」
小さく呟き、意思を固める。その直後、
『――新庄!』
緊迫を込めたストームレイダーの呼び声を聞いた。
まさか、とも、遂に、とも思い、改めて覗いた望遠鏡の向こうで、遠地の三人が戦闘を開始した。
●
胡散臭い男がまた増えた、というのがティアナ=ランスターの感想だった。
自分を呼び止めた訳知り顔の白髪男、そいつとの交戦中に現れた双剣を持つ茶髪の男、その両方を見据えてティアナは銃を構え直す。
「落ち着いて下さい、僕は殺し合いに乗っていません!」
「ティアナ、やめろ!」
男達が口喧しく制止を呼びかける。こいつらは、この状況にあって見ず知らずの人間がどれ程信用出来るのか、それについて考えた事は無いのだろうか。
「……馬鹿ばっかりね」
嘆息を吐き、同時に発砲する。
「――っ!!」
二人の男は飛び退いて回避。しかし白髪男の方は、先ほど与えた銃創のせいか動きが鈍い。
……狙うならこっちね……
思うも早々ティアナは地を蹴った。吸血鬼化によって強化された身体能力が、一瞬で両者の距離を詰める。そうして至近距離から撃ち抜いてやろう、と銃を構え、
「やめろ!」
「!?」
茶髪の男がこちらに追い付いた。男は左脚を回しつつ跳び、遠心力を利用して速度を高めたのだ。更に、加速した左脚がティアナへと飛来する。
「ぐ……っ」
白髪男に向けていた銃を構え直し、その銃身で回転蹴りを受ける。そこで生じたのは予想外の強打、耐えきる準備の無かったティアナは後方へと退かされた。
……この男、並みの戦闘力じゃない!
純正でないとはいえ、化物の身体能力を持つ今のティアナに押し勝つ事は容易ではない。今の攻防は、茶髪の男に対する認識を改めさせた。
「貴方は殺し合いに乗っているんですか!?」
見据えた茶髪の男がこちらへ確認を叫ぶ。
「もしそうなら……鎮圧します!」
持ちつつも今の一撃に使わなかった双剣、骨に似たそれを男は構える。もしも今の質問に是と答えれば、今後はそれも用いるという事だろうか。しかし、
……鎮圧、鎮圧ね……
殺すとは言わないのね、とティアナは思う。それは茶髪の男が放つ気迫からも理解出来る。
双剣を持つ茶髪の男、彼が有するのは“死なせない為”の戦意だ。多くの者がそれを掲げ、しかし矛盾と偽善によって何時かは手放す意思、それをこの男は強く滲ませている。
……矛盾に気付かない程の阿呆、という事でもないでしょうね……
無知ならば、ここまで意思は据わらない。しかして頭が良ければ、それを続ける事の困難が理解出来ない筈がない。鑑みて思う、茶髪の男に対してのティアナの印象は、
「――馬鹿、ね」
どれ程辛いのか、どれ程難いのか、それを理解した上で突き進む、真性の馬鹿だ。
……どうしたものかしら……
ここまで馬鹿を極めるとただの馬鹿よりも厄介だ。その事は、あの青い髪をした相棒との付き合いで解っている。あれと同等以上に、この男は面倒だろう。
とティアナは推測し、硬直した。だがどうもそこまで読んだのは、ティアナの方だけだった様だ。
「――おいお前、何言ってんだ!?」
茶髪の男に庇われていた白髪の男、彼が怒鳴りと共に茶髪の男の肩を掴む。
「俺の仲間に何する気だよ!!」
「仲間? でも今さっきまで襲われて……」
肩を強く引かれ、また白髪男からの注意を聞いて、茶髪の男の目線がティアナから白髪男に移った。
……好機!
図らずもこちらに胴を晒した状態で、男達はティアナから注意を逸らした。これを狙わぬ手はない。思うと同時の行動、腕を振り上げ、銃を構え、引き金に指をかける。
「「―――――!」」
その動作に気付いて二人はティアナを見る。だがもう遅い。向こうが脚を動くよりも、こちらが指を引く方が早いのは自明の理だ。
「!!!」
そして銃音は響いた。
●
新庄とストームレイダーが監視する先で、少女が銃を構えた。対する少年2人はそれを回避出来るだけの準備がない。
……ここだ……!
自らに定めた“介入”というスタンス、それを行うのは今だ。
ストームレイダーから聞こえる細々とした駆動音、狙撃を外さない為の演算や調整を行っているのだろう。どうやら彼女もこちらと同じ判断の様だ。
……撃つ、んだよね……
その事に怖さがある。もし彼女に当たったら、もし彼に当たったら、もし何の効果も無かったら。失敗を、そして行動が成功してもそれが本当に正解なのか、そういう事を新庄は恐れる。
「――でも」
動くと決めた。
かつて自分が犯した失敗、それをもう繰り返さないと。迷いや恐れのせいで、動く事すらなく失敗する事はもうしない、そう決めた。
……ボクは、もう……!!
意思の確固は表情に表出、新庄が決意を滲ませると同時にストームレイダーが補正完了を叫んだ。
『いけるわ……新庄!』
「はいっ!!」
指にかかるのは、ストームレイダーの引き金。その感触に指先が僅かに震え、しかし、新庄は撃った。
弾丸の向かう先は――少女が今にも撃たんとする銃本体。
●
結局の所、放たれた弾丸は2発だった。
一つはティアナが、疑わしき二人の男に対して放ったもの。
もう一つは新庄が、そんなティアナと二人の男の交戦を止める為に放ったもの。
新庄やストームレイダーは緊張を内心に敷き、逆効果で失敗もしかかった。だが放たれた非殺傷設定の魔力弾そのものは何の失敗も無い、確かにティアナの銃を撃ち落とす軌道をとっていた。
そう、このままいけばティアナは撃つ前に銃を失い、そして3人は第三者の介入に警戒し去っただろう。
だがしかし、現実は、一寸先の未来は、そうならなかったのだ。
「――だめえぇっっ!!!」
茶髪と白髪の男、スザクとキリヤ。そして銃を構えたティアナ。その三人の間へ、悲鳴をあげて割り込もうとする者があった。
紫の髪を左右で結わえた小柄な少女、柊かがみである。
スザクが向かって尚続く交戦の音に心配し、彼の後を追って来たのだろう。そして、そのスザクが銃撃されようとする現場にかち合った。
仲間の危機にかがみは叫び、そして身を呈して庇おうとした。
今時それが出来るものはそう多くない。実に見上げた心持ちと行動だった、そう言えるだろう。
だがこの場合、それは全くを持って逆効果だった。
何故ならかがみが走り込む軌道は、新庄が放った魔力弾の射線と交差していたから。
身を呈した防御、第三者の放つ弾丸、幸を狙って不幸にもぶつかった2つの善意は、最悪の結果を作る。
「―――――――――――――――――――」
新庄・運切の魔力弾が、柊かがみに直撃した。奇しくもそれは、左目。
「――――あ」
突然の衝撃、付随する痛みにかがみが。
「――あ」
大事な女性が撃たれるという現実にスザクが。
『あ』
かつて誤射した本来の主の実妹、それを彷彿とさせる現実にストームレイダーが。
「「『あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっッ!!!?』」」
叫びは同時に、重なった。
●
何故だろう、何故こんな事になっているのだろう。
スザクは目の前で起こっている現実を理解する事が出来なかった。
……どうしてかがみさんが、ここに……?
恐らく、自分が出て尚続く戦闘に心配して追いかけて来てしまったのだろう。
……どうしてかがみさんが、あんな事に……?
それは、目の前の女性が放った弾丸から自分を庇った為だろう。
……どうして僕は、かがみさんを護れなかった……?
考えるまでもない。それは自分が、
……“俺”が、弱いから……っ!!
自分が弱いから、枢木スザクという人間が薄弱だから、故に柊かがみは傷付いた。
だから、あの時と同じ失敗を繰り返す。
主として人間として、信頼と忠誠と愛情を誓った、あの王女を護れなかったあの時と。
……“俺”はまた、同じ事を……同じ失敗を……
そうとも、あの時と同じだ。大事な女性を、“あの男”に撃ち殺された。
「ゼエエエエエエエエェェェェェェェェェェロオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!!」
瞬間に生じるのは、跳躍と咆哮。スザクはかがみを撃ったその女に迫る。
「……っ!?」
かがみの乱入、そしてスザクの豹変に驚いたのか女が硬直した。それを見逃す程に今のスザクは尋常ではない。
「らアぁぁぁぁぁッ!!」
先ほど女に喰らわせた回転蹴り。しかし殺意を込めた今、その威力と速度は桁が違う。銃を手中から引き剥がし、返す脚で女の頭部を打ち抜く。
「……ぐ」
頭蓋を振るわせ、頸椎を捻る一撃に女の体が揺らぎ、倒れる。一点を見ない視線は意識の撹乱が故か。
……よくもかがみさんを……ッ!!
報復と怒りと、その他諸々を込めてスザクは追撃する。だが、
「何してんだテメェッ!!!」
白髪の男が介入した。この女を庇おうというのか、手に持つツルハシを振りかぶって迫る。
結果は、
「「「――――――――――――――ッ!!」」」
スザクが辛くも上半身を起こす女の首に刀身を添え、しかし白髪の男がこちらの額にツルハシを密接させ、故にもう片方の剣を白髪の男に向けるという、一種の三すくみ。
「……何故邪魔をすんですか?」
額にツルハシの先端部を感じつつ、スザクは白髪の男を睨む。
「この女は貴方を殺そうとし、僕を殺そうとし、そしてかがみさんを撃ったんですよ?」
「ティアナは俺の仲間だ……殺させない」
ティアナ、とはこの女の名前だろうか。しかし、それと仲間だと言うならこの男も。
「じゃあお前もこの女と同類か……?」
「落ち着けよ」
向けたこちらの表情に冷や汗を流し、白髪の男は空いた手で脇を指差す。スザクは白髪の男へ意識を向けつつ、指差された方を見る。そこにあったのは、
「……穴?」
道路を成すアスファルト、その一辺に作られた小さな穴だった。
「解るか? それはティアナが撃った弾の跡だ。……ティアナは確かに撃ったが、そのかがみって子には当たってない」
そもそも撃たれた場所はティアナの射線上じゃなかったろ? と白髪の男は補足。
「お前等全員、構えを解け。この状況を第三者が……“狙撃手”が見てる。何時までもここにいると、俺等も撃たれる」
「証拠は?」
撤退を勧める白髪の男をスザクは問い詰める。
「証拠はあるのか? 構えを解いた瞬間に、“俺”もかがみさんも殺そうとしてるんじゃないのか?」
第三者がいるという証拠は?
その穴が銃によって作られたという証拠は?
“俺”達を殺す為にお前とこの女が共謀しているのではないという証拠は?
「――貴様等を信じられるという証拠は………」
言いきろうとしてそれは止まった。否、止められた。
肩に感じた小さな牽引、かがみの小さな手が触れられた感触によって。
「……だいじょう、ぶ、わたしは、だいじょうだから……」
銃撃を受けた左目を押さえ、しかし押さえ切れない涙に濡れつつ、かがみはスザクを見る。
「――だから、お願いだからそんな顔をしないで」
震えるかがみの声、その内容にスザクは驚愕した。
……“俺”は……今どんな顔をしているっていうんだ!?
人を護りたいと、貴方を護りたいと、そう願い誓った自分が、今はどんな顔をしているというのか。
「――あ」
膝が震えるのを感じた。声が震えるのを感じた。意思が、震えるのを感じた。
……“僕”は……何を……?
気付かぬうちに腕が落ち、双剣が双方から離れた。その事を承諾と受け取ったのか白髪の男は、
「早い内にここから離れよう。どこか、屋内に入れば狙えない筈だ」
弾き飛ばされた銃を拾った後、ティアナなる女性に歩み寄り、その腕を肩に回して担いだ。
「……じゃあ、着いてくると良い。ここに来るまで僕達が隠れていた場所がある」
そしてスザクは、彼の打ち出した方針に空虚な声で答えた。そのままゆらりと身を回し、向くのは自分やかがみが出てきた方向だ。
「…こっちだ」
そのまま歩を進めて先導する。後ろから女性を担いだ白髪の男がついてくるのを聞きつつ歩む。
「――――スザク」
途中、かがみの前を過った。こちらを心配そうに見る彼女に、
……自分の方が、もっと辛いのに……
スザクは感想する。全く、先ほどかがみに言った事はその通りだった。“勇気があるのは自分ではない、かがみの方だ“と。
「……行こう、かがみさん」
言葉と共にスザクは笑む。
しかしそれを見返すかがみは、その表情を辛そうに歪めていた。
【一日目 現時刻AM1:50】
【E-6 市街地】
【チーム:ダブル・ボーイミーツガール】
[共通思考]
1.“狙撃手”に気をつけろ
2.少なくとも“狙撃手”を解決出来るまでは互助を維持
3.一先ずかがみを安静にする為、Devil May Cryを目指そう
【キリヤ=カイト@SHINING WIND CROSS LYRICAL】
[状態]健康・左腕に銃創
[装備]破壊神のつるはし@なのはのくせになまいきだ
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本 このゲームを止める
1.ティアナ、大丈夫か?
2.あの女の子(かがみ)は大丈夫だろうか……?
3.機会を見てシーナ探索を提案しよう
[備考]
※心剣は抜けます
※参加者の記憶が改竄されていると思っています
【ティアナ=ランスター@NANOSING】
[状態]健康・多少疑い深くなっている・意識がもうろうとしている
[装備]アイボリー(予備マガジン数:4/5)@魔法少女リリカルなのはStylish
[道具]支給品一式、詳細名簿、ランダム支給品0〜1個
[思考・状況]
基本 仲間達と合流し、今後の方針を練る
1.……首痛…頭がくらくらする……
2.何か妙な事になったわね……
3.“狙撃手”が解決したら独立して仲間を探しに行こう
4.捜索はまずマスターから。残りは二の次
[備考]
※詳細名簿には以下の情報が載っています
参加者名(顔写真付き)
参加者の能力(但し特殊能力の詳細は載っていない)
【枢木スザク@コードギアス 反目のスバル】
[状態]健康・焦燥
[装備]回式・芥骨@リリカルスクライド//G.U.
[道具]支給品一式、ランダム支給品0〜2個
[思考・状況]
基本 誰にも人殺しをさせず、このゲームを終わらせたい
1.かがみさん……ごめん……
2.僕はまた…同じ事を……
3.“狙撃手”……許さない!
【柊かがみ@なの☆すた】
[状態]健康・左目に重傷
[装備]特になし
[道具]支給品一式(500mlペットボトル等)、カイザギア一式(カイザフォン除く)@マスカレード
[思考・状況]
基本 誰も殺したくない。家に帰りたい
1.スザク…誰も殺さないで……
2.……目が…痛いよぉ………っ
3人から4人に増え、自分達の捕捉範囲から離れていく少年少女を新庄は見ていた。
誰1人として死なせず戦いを終わらせた、当初の願いを果たしつつ、しかし新庄の表情は晴れない。
……撃っちゃった……あんな、小さな子を……
乱入者たる4人目の少女、それを自分は撃ってしまった。突然割り込んで来た少女が悪い、と考える事は出来なかった。
……よりにもよって、目を……
精密な望遠機能は、少女が左目でこちらの弾丸を受けた事を見せた。放った魔力弾は非殺傷設定、間違っても死ぬ事は無いだろうが、しかし目に当たれば失明の可能性もあるらしい。
と、そこで新庄は思い至った。何故ストームレイダーが、それを断言出来たのかを。
……昔、そういう事実を起こしたから……
その瞬間にわき上がる感情は、焦り。まさか、という予想を抱き、見やったストームレイダーは、
『……ぁ………ああ……ぁ、ぁ……』
意味の無い呻き、意思表示を示すコンソールの無作為な点滅、それがストームレイダーの挙動だった。
「――先生」
『……や、やぁ……違うの…待って待ってまってよ……違うんだってば………違うのよぉ……っ』
もし彼女の体が人だったならば、きっと頭を振って涙を流していただろう。
そう思わせる、声。
『………わたしは、わたしは、もう、おんなじしっぱいはしないんだからぁ……っ!』
泣き崩れる彼女を、言葉も無く新庄は抱き締めた。
【新庄・運切@なのは×終わクロ】
【一日目 現時刻AM01:50】
【現在地:D-6 マンションのバルコニー】
[参戦時間軸]第七章・対王城派戦後の撤収途中
[状態]健康・女性体
[装備]ストームレイダー(残り最大残弾:14/15)@なのはStrikerS
[道具]支給品一式・CDプレイヤーinロッキーっぽい曲@銀魂
[思考・状況]
基本 無血解決を目指す
1.先生…傷付かないで………
2.撃っちゃった……子供を、撃っちゃった……
3.あの子、大丈夫かな……
[備考]
※性転換体質があります。PM6:00からは女性体(運)、AM6:00からは男性体(切)となります。
※ストームレイダーの弾数は、カートリッジ1発につき最大5発。数発分を消耗して強力な弾を放つ事も可能。
投下終了。
名付けて副題は『Second Miss〜目潰し編〜』。実はかがみが死んで、キレたスザクがキリヤとティアナを殺してマーダー化する、名付けて『心崩し編』もあったのはヒミツ。
GJ!
新庄が仲裁役になるとばかり思っていたのですが、これは予想外w
ああ…今の姉ちゃんの惨状を見たら、つかさは卒倒しちゃうかもなぁ…
…えーと…2回連続では言いづらいのですが…
キリヤの口調にちと問題ありです。
温厚な部類に入る彼は、「テメェ」とは言わないんですよ。
…何か揚げ足取るみたいでスンマセンorz
x2mLcXFsoE氏にWslPJpzlnU氏、投下乙です。
ただルーシュが他人に憑依するのは、議論の必要アリかと思います。
ロワのルールを覆しかねませんので。
乙です
かがみ治ってほしい…
それが気掛かりで気掛かりで…
…っと、注文つけてばかりなのもアレなので、スザク、かがみ、キリヤ、ティアナ、Sfを予約します
すみません。予約追加でザフィーラの死体を予約します。
思ってみたらグリフィス、ザフィーラの死体の側にいたし。
死体の予約はしない方が良いですよ。
電王氏+グリフィスはろくなものにならない前例が・・・
よぅし、こんな真昼間ならば誰とも被るまい!
スザク、かがみ、キリヤ、ティアナ、Sf分、行きます
若干の時間を経て、舞台は再びDevil May Cry。
天井の大きなプロペラが相も変わらず室内の空気をかき回し、
使われる見込みのないドラムセットとジュークボックスがひっそりと佇んでいた。
1人の少女が、ビリヤード台の9つのボールを並べていく。
オレンジのツインテールが低く屈み、色とりどりのナインボールへ狙いを定めた。
「つまり、その魔力ダメージというものへの治療法は、通常の怪我に対するそれと同じでいいんだね?」
癖っ毛気味の茶髪をした背の高めの少年が、オレンジ髪の背中へと尋ねた。
傍らのソファーには、苦しそうに脂汗を流す、紫の髪をした小柄な少女が寝ていた。
「まあ、そんなとこ。どちらにせよ、眼球の治療をするのには技術も機材も足りないけど」
答えながら、キューがボールを突く。
9色のボールが蜘蛛の子を散らすように拡散し、壁にぶつかりながら転がっていき、コーナーの穴へと吸い込まれていく。
落ちたボールは、しかし僅かに4つ。
思ったよりも上手くいかないものだ、と少女は顔をしかめた。
4人の少年少女が入り乱れた大混戦から数分。一同はこのだだっ広い事務所へ到達し、互いに状況を整理していた。
まずはそれぞれが自己紹介をし、1人が魔法に関する簡単な説明をし、今に至る。
ここに集まったうち、オレンジのツインテールは、ティアナ=ランスター16歳(高1相当)。茶髪の癖っ毛は、枢木スザク17歳(高2)。
紫髪の小柄な少女は、柊かがみ18歳(高3)。そして色素の薄い髪が、キリヤ=カイト17歳(高3)。
この年齢に、最も驚いたのがティアナだったらしい。
まさかあの馬鹿達やあんな幼女風の少女よりも自分が年下だとは、思いもよらなかったようだ。
「そうだな…とりあえず、情報を整理しよう」
キリヤが腰かけていた椅子から立ち上がる。
アイボリーによって生まれた銃創からの出血は、既に応急措置によって止まっていた。
患部付近に、かがみからもらった制服のリボンが巻かれている。
「まずはそれぞれの行動方針から。…俺は、このゲームを止めること」
言いながらペンを取り、ビリヤード台にメモを広げ、自らの発言内容をすらすらと紙に記す。
「僕は…少なくとも、誰にも人殺しをさせないこと」
「あたしは未定。仲間と合流して話し合うつもり」
続いてスザク、ティアナの順に答える。
スザクがそちらへと歩み寄り、今話せる3人全員がビリヤード台へと集まる形となった。
「かがみは何て言ってた?」
「家に帰りたい…と言っていました」
キリヤの問いに、スザクが沈痛な面持ちで答える。
「そっか…」
かがみは現在、ソファーに身体を預けたまま、睡眠に入っている。
この状況は一般人にとってよほど辛かったのだろう。Devil May Cryにたどり着くや否や、そのまま力尽きたように寝入ってしまった。
ここは自分達のように、戦闘に慣れた者だけが暴れ回る場所じゃない。無力な一般人達もまた、この煉獄へと放り込まれた。
それを改めて認識し、3人は一様に暗い表情となる。
「…ところで、それぞれ持ち物は?」
沈黙を破り、口を開いたのはティアナだった。
「あ…俺は、食べ物や地図なんかと、あとはこれだけ」
キリヤが腰からつるはしを抜き、指し示す。
腰の鞘は本来短剣を収めるためのものなのだが、今回はつるはしをそこに預けるため、改造を加えていた。
「あたしはあの銃と替えのマガジン…後は、この何だかよく分からない塊」
言いながら、ティアナはデイバックに手を突っ込み、その中身を差し出す。
青白く輝く、どこか水晶のような物体だった。
これは残酷な運命によって敵味方に引き裂かれた双子の魔人が、
その恐るべき力を解き放つための重要な鍵なのだが、今のところは関係のないことだ。
「僕はこの短剣と、やっぱり地図や食料と…これ」
しかし、最後にスザクが取り出した物は、他2名を驚かすには十分なものだった。
「これ…デバイスじゃない!」
かがみを起こさない程度にティアナが声を上げる。
カード状の待機形態は、一般的な管理局員の用いるストレージデバイスのもの。
機動六課へ転がり込んで間もないキリヤでも、既に教わっていたことだ。
そしてこちらは両者とも知る由もないことだが、これはS2Uと呼ばれるタイプのもので、執務官クロノ=ハラオウンが用いていた機種である。
「デバイス?」
「さっきティアナが話した、魔法を使うのをサポートする機械だよ」
怪訝そうな表情を浮かべるスザクに、キリヤが説明した。
「…まぁ何にせよ、これで持ち物調査は終わりね」
若干呆れた顔で、ティアナが呟いた。
どうやらこの支給品、本当にランダムに配られているらしい。でなければ、魔法の心得のないスザクがデバイスを持つことはあり得ない。
ということは、一見役に立たなさそうなこのクリスタルも、特定の誰かにとっては武器になり得るのだろうか…と彼女は思考していた。
「そうだな…じゃあ、今後どうするかを」
すっかりまとめ役が定着したキリヤが、新たなメモを用意して切り出す。
「言っとくけど、あたしは今の状況が打開されたらここを抜けるわよ」
最初にティアナが口を開いた。怪我人のかがみは、アーカードとの合流を急ぎたい彼女にとっては足手まといでしかなかった。
そしてこの連中、全面的に信頼していいものなのかはまだ分からない。
キリヤの方はまだいいだろう。彼が自分達に敵意を持っているのならば、こんな回りくどい真似はせず、さっさと1人で逃げていたはずだ。
そして少なくとも、固まったところを一網打尽にするような、悪知恵を好むタイプとも思えなかった。
問題はスザクだ。
普段通りの馬鹿を貫いてくれれば、基本的には無害で済む。
だが、あの時見せた獰猛なまでの殺意が、ティアナにとってはどうしても気がかりだった。
彼の方は、どうも精神面において複雑な事情を抱えているらしい。そして、再びあの怒りが爆発すれば、面倒なことになりかねない。
そもそも彼女は――
「そりゃどうしてさ?」
呑気に尋ねてくるキリヤの声が、その思考を遮った。
思えばこの男、先ほどから妙に馴れ馴れしい。
まるで自分を知っているかのような口ぶり。それが演技でなければ、一体何なのだろうか。
「アンタが色々と怪しいからよ」
「えぇ?」
「アンタ、あたしを知ってて…しかも、仲間とか思ってるみたいだけど…あたしはアンタのことなんて知らないわよ?」
せっかくだ。この場ではっきりさせてもらうことにしよう。
ティアナは切り出した。
そしてそれを聞いたキリヤの表情は、瞬時に真剣な面持ちへと変わる。
「そっか…やっぱり、覚えてないんだな」
彼の推測――参加者の記憶が改竄されている、という可能性は、一応濃厚になったらしい。
先ほどの戦闘中ならば、ゲームに乗った故の裏切りで説明はつく。
だが、ある程度の落ち着きを取り戻し、こうして休戦している段階では、正体を偽るメリットはない。
「俺は仲間と一緒にミッドチルダに飛ばされて、それから機動六課に協力することになったんだけど」
「知らないわ。六課にもHELLSINGにも、キリヤ=カイトなんて名前はない」
「…HELLSING?」
呆けたような顔でキリヤが言った。
管理局にそんな部署があるという話は聞いていない。ましてや、ティアナが六課以外に関わりを持っているなどとは。
「第97管理外世界――地球のイギリスにある機関よ」
ティアナはそれだけを短く答えた。
元々、彼と自分が無関係であることの証明のために出した名前だ。あまり深く追求されるいわれはない。
「EUにそんな機関が? 初耳だな…一応隣国だから、ブリタニアにそういう情報が入ってきても、おかしくないと思うんだけど」
だがHELLSINGの名は、更なる状況の混乱を招くことになった。
「ブリタニア?」
キリヤとティアナが、一斉に発言者たるスザクの方を向く。
彼の言葉から、それが国名であるということは理解できる。だが、それはあまりにも不自然だ。何故なら――
「そんな国…あったっけ?」
そう。キリヤの住んでいた地球――そしてティアナが活動する地球にも、そんな国家は存在しないのだから。
「そんな馬鹿な!」
これに驚いたのはスザクだった。
無理もない。彼の住んでいた地球では、ブリタニアといえば世界の3分の1を占める超大国。
言ってしまえば、彼らの認識しているアメリカを、より強大にしたような国家なのだ。知らない人間がいるはずもない。
そして何より、日本人であるキリヤにとっては、それは絶対にありえないことのはずだった。
「ブリタニアと言えば、世界一の大国だよ? 大体キリヤさん、僕らの日本だって、7年前にブリタニアに占領されて…」
「ちょ…ちょっと待ってくれ! リーベリアに行く前のことだったけど、日本は至って平和だったぞ!?」
しかし、キリヤは狼狽で返す。
当然だ。恐らく数ヶ月ほど前だろうか…ともかく、その時まで暮らしていた日本は、侵略などとは無縁な国家だった。
大規模な戦争は第2次大戦以降行っていない。外国に上陸されたなどという話は論外だ。
「それはあたしも知らないわよ。大体、日本がそうなってたら、なのはさんや八神部隊長は…」
「なのは…さん…? ティアナ…君、高町さんを知っているのかい?」
「はぁ!?」
いよいよ頭の痛くなってきたティアナだった。
どういうことだ。
キリヤの話では、彼らはHELLSINGと関わりを持たない機動六課と行動を共にしていて、
スザクの話では、地球の日本はブリタニアとかいう国に占領されていて、しかも彼自身がなのはと面識を持っている。
話が全く噛み合わない。全員が全員、全く違う形で世界を認識しているのだ。
「…あー…とにかく、情報をまとめてみよう」
頭をかきむしりながらキリヤが提案した。
数分後。
キリヤのメモ用紙には、それぞれの人間がそれぞれに認識する世界のあり方が、びっしりと書かれていた。
個人的な体験についても、色々と書かれている。
キリヤがティアナから、心剣と呼ばれる特殊なデバイスを引き抜いたこと。
ティアナは英国で、グールと呼ばれる化け物と戦っているということ。
スザクは日本で、ナイトメアフレームというロボット兵器を操っていること。
全部が全部、他の人間の認識ではありえないことだった。
「…これは…パラレルワールドってやつかな…」
ペンを手に取るキリヤが呟く。
「要するに、あたし達は全員が全員別の世界の人間で、たまたま世界の大元や暮らしている人間が一緒だったってこと?」
「そうとしか考えられないよ」
そして、ティアナの確認に答えた。
ここまで複雑な記憶の改竄は、明らかに必要の範疇を超えている。
それを行うならば、ゲーム進行に都合の悪い記憶だけを排除すればいいだけのことだ。こんな世界観をでっち上げる必要はない。
であれば、答えは簡単。
ここにいる全員が全員、似たような形をした、しかし別々の世界から来た人間ということだ。
だから、例えば、今ここにいるティアナは、キリヤの知るティアナと同じ容姿・性格・戦闘スタイルを持った別人ということになる。
恐らくスザクの知るなのはも、その範疇に当てはめることができるだろう。
「ひとまず、認識のずれはこれで説明がついたな…」
ため息をつきながら、キリヤが言った。
その表情は、彼の複雑な内心を見事に反映している。
永らく頭を悩ませていた疑問の氷解に対する安堵と、結局目の前のティアナが自分のパートナーとは別人であったことに対する落胆。
その2つの相反する感情が、そこに内在しているようだった。
「じゃあ、改めて今後の方針を話し合いましょう」
スザクがキリヤに提案する。
その場にいた2人がそれに賛同し、再び元々行っていた話し合いへと議論が戻った。
「ともかく…ここで篭城するには、ある程度の食糧が要るわね」
ティアナの言うとおり、食料確保は重要な課題だった。
この場に集まった4人の参加者に支給された食料の量には、かなりバラつきがある。かがみに至ってはペットボトルの水2本なのだ。
実質3人分の食料を4人で分けるのは無茶な話だ。合計してみても、2回目の食事分まではもたないだろう。
であれば、新たに食料を確保する必要がある。
「誰かがコンビニとかを探して、そこから食料を持ってくる」
スザクの提案に、残る2人が頷いた。
「じゃあ…キリヤだっけ? アンタ、探してきなさい」
「うえぇぇ!? お…俺が!?」
いきなりの指名に、キリヤが間抜けな声を上げる。
「元はと言えばアンタが妙な提案しなければ、あたしはさっさと他の仲間を探しに行けたのよ! 責任取りなさい!」
「わ…分かったよ」
苛立たしげな響きをもって詰め寄るティアナに、キリヤはあっという間に屈した。
元々彼はこういう押しには弱い。女性のそれには特に。
それが彼がいわゆる苦労人であることの所以であり、幼馴染みシーナの尻に敷かれていると言われることの所以でもあった。
しかし、結局は誰かがやらねばならないことだ。左腕の怪我も、既に支障をきたすには至らない。
「じゃあ…スザク、そのデバイスを貸してくれないか?」
そしてキリヤはスザクの方へと向き直り、尋ねた。
心剣士が魔導師の亜種のようなものと定義付けられている以上、自分に魔力適正は存在することになる。
であれば、こんな戦闘には向かないつるはしよりも、スザクの持つS2Uの方が使い勝手はいいはずだ。
「分かりました。どうぞ」
スザクは快く了承してくれた。
元々、魔法を知らない彼にとっては無用な長物だ。加えて、ティアナは立派な得物を既に持っている。
ならば、武装面で劣るキリヤが持っておくに越したことはない。
待機状態のS2Uを手渡し、そして思い出したようにデイバックから取扱説明書を取り出し、一緒に差し出した。
ストレージデバイスであるS2Uの性能は、インテリジェントデバイスのようにデバイスから聞き出すわけにはいかない。
それ故の配慮として、簡単な説明書が付属していたのである。
「ありがとう。…じゃ、行ってくる」
「狙撃手にはくれぐれも気をつけて」
短く礼を言い、スザクの忠告を聞くと、キリヤはDevil May Cryを後にした。
「…お、あったあった」
目的のコンビニを10分足らずで見つけられたのは、僥倖としか言いようがない。
実際問題、どこからか狙いを定めているであろう狙撃手から逃れるために、いちいち身を隠しながら進んでいくのは骨が折れた。
(にしても…ティアナって結構キツイ性格だったんだなぁ)
先ほどのやりとりを思い出し、改めてティアナの性格を再認識する。
自分が年上ということで、いわゆる真面目な後輩といった感じの彼女の振る舞いをみてきたキリヤだったが、
ああいう素の態度というのは、あまり向けられたことはなく、スバルに対するツッコミとしてしか見たことがなかった。
とはいえ、別にそれがどうというわけではない。ティアナはティアナだ。何より、そういうのはシーナで慣れている。
(…これが終わったら、シーナとも合流しないとな…)
ふと、その幼馴染みの姿を思い出す。
彼女は今どうしているだろう。元気に生き延びているだろうか。
はたまた、あれで難しい性格の彼女のことだ。ひょっとすると、精神的に追い詰められているかもしれない。
「…っと、今はコンビニだな」
そこで思考を打ち切り、キリヤは目の前の仕事に集中することにした。
できれば、こんな面倒な仕事、さっさと終わらせてしまうに越したことはない。
必要なものは食料だ。あとは、自分の怪我をちゃんと治療したり、他に怪我人が出たりした時のためにも、救急セットがいるだろう。
そんなことを考えていた矢先、
「見つけました」
「………」
少年は血塗れのメイドに出くわした。
「…何で俺ばっかりこんな目に遭うんだああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!!」
かくしてキリヤは、S2Uを展開する暇もなく、弾丸と巨大ブーメランの飛び交う中を必死に逃げる羽目になった。
【一日目 現時刻AM2:11】
【チーム:ダブル・ボーイミーツガール】
[共通思考]
1.“狙撃手”に気をつけろ
2.少なくとも“狙撃手”を解決出来るまでは互助を維持
[備考]
※自分達がそれぞれ別の世界から来ていることに気付きました
【E-5 Devil May Cry】
【ティアナ=ランスター@NANOSING】
[状態]健康・多少疑い深くなっている
[装備]アイボリー(予備マガジン数:4/5)@魔法少女リリカルなのはStylish
[道具]支給品一式、詳細名簿、テッククリスタル@宇宙の騎士リリカルBLADE
[思考・状況]
基本 仲間達と合流し、今後の方針を練る
1.キリヤの帰りを待つ
2.スザクって奴、あっさり他の参加者に武器を渡すなんて…やっぱり馬鹿?
3.“狙撃手”が解決したら独立して仲間を探しに行こう
4.捜索はまずマスターから。残りは二の次
[備考]
※詳細名簿には以下の情報が載っています
参加者名(顔写真付き)
参加者の能力(但し特殊能力の詳細は載っていない)
【枢木スザク@コードギアス 反目のスバル】
[状態]健康
[装備]回式・芥骨@リリカルスクライド//G.U.
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本 誰にも人殺しをさせず、このゲームを終わらせたい
1.キリヤさんの帰りを待つ
2.かがみさん……ごめん……
3.僕はまた…同じ事を……
4.“狙撃手”……許さない!
【柊かがみ@なの☆すた】
[状態]睡眠・左目に重傷
[装備]特になし
[道具]支給品一式(500mlペットボトル等)、カイザギア一式(カイザフォン除く)@マスカレード
[思考・状況]
基本 誰も殺したくない。家に帰りたい
1.(睡眠中)
【E-5 コンビニ付近】
【キリヤ=カイト@SHINING WIND CROSS LYRICAL】
[状態]健康・左腕に銃創 (応急処置済み)
[装備]S2U(待機状態)@魔法少女リリカルなのは
[道具]支給品一式 、破壊神のつるはし@なのはのくせになまいきだ
[思考・状況]
基本 このゲームを止める
1.あのメイド(=Sf)から逃げる
2.ひとまずコンビニは後回し。今は対処するためにも、仲間達と合流したい
3.機会を見てシーナ探索を提案しよう
[備考]
※心剣は抜けます
【Sf@なのは×終わクロ】
[状態]健康・全身血塗れ
[装備]ブーメランブレード@なのはStrikerS(片方)・ヴァッシュの銃@リリカルTRIGUNA's
[道具]支給品一式・ラウズカード『ハート2 SPIRIT』@マスカレード
[思考・状況]
基本 早急な帰還を目指す
1.手っ取り早い手段として他参加者を排除する
2.まずは目の前で逃げ回っている白髪の男(=キリヤ)を排除
3.あの男は何者なのでしょう?
4.ハラオウン様のあの様子は一体……?
//////////
投下終了。
今回の投下分で、大体キリヤがどんな口調かが分かるようにした…つもり、です。
中の人つながりで、温厚なアスランを想像してもらえるといいかもしれません。
男や幼馴染みに対しては「お前」、女に対しては「君」という辺りも共通してたり。
Sfがどういう風に街を歩いてキリヤの元まで辿り着いたかは…すんません、後続の方にお任せしますorz
仕事はええええええええええええ!!
まさかティアナがテッククリスタルを所持してるとは…
というか、Sf移動すんの早いな…
え…移動…?
…ああああああああああああああーっ!
あの段階…まだ1:55だったぁぁぁぁぁっ!
えーと…超人の最大速度で走ったと仮定しても…早過ぎ…orz
時間をAM2:46ぐらいに変更お願いします
ってタイトルすらない!
OTL
タイトルは、「ビリヤード台での会議」で…
…ひねりがないなぁ…
やばい、グレイヴのロワ話が何回書いても上手くいかない‥‥
誰か書いてみませんか? 正直言って俺より皆さんが書いた方が良い出来だと思うんで。
キャラ解説のほうお願いします
それじゃ避難所の方に書いておきます。
GJ。キリヤ不憫やなぁ。
さて、グリフィス君とエリオのが出来ました。投下したいんですがいいですか?
反応ないのでいきます。
戦士のエチュード
グリフィスは川岸にいた。ザフィーラの埋葬の場所を探して。
「とにかく、ザフィーラを埋葬しよう。でないと報われない」
傍らにはザフィーラの遺体。右手には木刀、左手にはデイバックを持っていた。
「ザフィーラ…、あなたはもしかしてあの娘を…」
ザフィーラの遺体の近くにいて、ザフィーラを殺害したと思われる少女。
もしかしたらあの娘は自らの身を守っただけでは?
だとしたらザフィーラは殺し合いに乗ったというのだろうか?
そんなことを考えながらも埋葬場所を探していた。
「だとしたら、あなたも彼女も罪を問われるべきなんだろうな…」
真面目な彼はそんなことを考えていた。
移動しようと、デイバックを持っていく為にザフィーラの側から離れた瞬間、赤い熱線が先程までいた場所を抉りザフィーラの遺体を消し去った。
(なんなんだ、一体)
そう考え、上空を見ると、そこには身体に大きな傷を負った、魔導師だと思われる人がいた。
グリフィスがザフィーラの遺体を川岸に運んだ頃、少年エリオ・モンディアルは川の対岸にやって来ていた。
彼は、戦う相手を求めここまでやって来たのだ。
ヤクトミラージュを握りしめ、マジンカイザーを使い。
そして、エリオは見つけた。新たなる敵を、グリフィスを。
本来グリフィスは非戦闘員。しかし、今のエリオにはそんなことはどうでもよかった。
ただ、戦えればいいのだから…。
だから放つのだ無慈悲の閃光を。
「ファイヤーブラスター!」
しかし幸か不幸かグリフィスは移動し、閃光は外れた。
エリオにはこう移った避けたのだと…。
「次はあなたが相手をしてくれるんですか?グリフィスさん」
グリフィスは焦っていた。突然の襲撃者に。今、自分に武器はない。木刀は先程の攻撃の衝撃で落としてしまった。
どのみち、木刀では魔導師には勝てない。
グリフィスは先程の攻撃で断定した。相手は魔導師だと。
そして今の自分に魔導師と戦う力はない。ならば方法は一つ。
逃げる、とにかく逃げきることである。
幸い近くに森がある。森の中なら相手が飛んでいようと関係はなくなる。
しかし、エリオはそれも許さないかのように射撃をしてくる。
「うわッ!あ、眼鏡が」
激しい攻撃にふとした拍子に転び、眼鏡とデイバックの中身が放り出された。
グリフィスは急いで立ち上げろうとする。
その右手にカードデッキをつかんでいることに気付かず。
地面に放たれた魔力弾の光。それは眼鏡に反射しグリフィスとカードデッキを写した。
そして、グリフィスの腰にバックルがセットされる。
「これはもしかして…」
グリフィスは考える。これはこの箱の力を引き出すものではないのか、と。
しかし、エリオは待ってくれない。
「鬼ごっこは終わりですか?」
「一か八かだけど、ウオォォォ!」
エリオの放つ魔力弾が迫る中、グリフィスはデッキをバックルにはめこんだ。
そして、
「やっぱり戦いはこうじゃないと」
そこには緑の鎧を纏った戦士がいた。グリフィスである。
戦士の名はゾルダ。
神崎が作り上げたデッキの力を纏った姿である。
「早く戦いましょうよ。ねっ!」
「狂ってる…」
【1日目 現時刻AM2:46】
【場所 I-5 森付近】
【グリフィス・ロウラン@リリカルなのは
Feather】
[状態]健康。疲労(中)ゾルダに変身中
[装備]マグナバイザー、カードデッキ(ゾルダ@マスカレード
[道具]遊戯王カード「バスターブレイダー」「魔法の筒(マジックシリンダー)」「光の護封剣」@リリカル遊戯王GX
[思考・状況]
基本的にこのゲームには乗らない。
1.目の前の魔導師の拘束しなければ
2.部隊長…、どこに…。
〔備考〕
※カードデッキの制限については知りません。
※魔導師がエリオだとまだ気付いてません。
【1日目現時刻AM2:45】
【場所 I-5 森付近】
【エリオ=モンディアル@リリカル遊戯王GX】
〔時間軸〕第六話終了後
〔状態〕左胸上部から右脇腹への裂傷、デュエルゾンビ化、魔力消費大、体力消費大
〔装備〕マジンカイザー@魔法少女リリカルマジンガーK's
ヤクトミラージュ@NANOSING
〔道具〕支給品一式
レヴァンティン@スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神
THE BALKE
OF MAZIKAL ローザミスティカ@ヴィータと不思議なお人形
[思考・状況]
基本 戦いを楽しむ
1.グリフィスさんと戦おう。
2.なのはさんを探す
以上で投下終了です。
乙……はつけない方向で、ぶっちゃけ面白くないです
文章の構成というか書き方がおかしく感じました、手元のラノベを参考に書いてみたらどうでしょうか?
後は状態表がかなり見にくいです。
キャラとキャラの間に改行いれるのと、後は[ ]を他の書き手さんに合わせてみてはどうかと
いきなり長々と失礼しました。しかし氏の作品は他を手本とし、直すところを直せば良作になると感じます
余計なお世話だ、というのは当然の話。しかしどうか心の隅に留めておいて下さい
勝手ながら、次回作に期待させてもらいます。お目汚し失礼しました。
感想乙です
>>610助言ありがとうございます。ラノベは持って無いけど。
学校で借りて勉強します。
失礼
投下&感想乙です
投下乙です。
ザフィーラが殺し合いに乗っていた可能性に対してのグリフィスの思い、ってのは次の書き手さんにお任せ、ということでよいでしょうか?
少し地の文が淡白で襲われている、という緊迫感が湧きにくいかもです(俺が言えたことでもないですが)
高町なのは(StS)、早乙女レイ、影山瞬を予約します。
皆様投下GJです
スバルさんの作品の状況説明を見てて思ったんですが、各デバイスの参戦元が原作になってますよね?
クロスロワという性質を利用して、そのキャラが元いたクロス世界からの参加という形にした方が良くないですか?
レイジングハートも原作StrikerSからのは破壊されたとしても、ナノシングから参戦したレイジングハートは生きてるという考え方も出来ますし。
話は変わりますが、そもそも参戦してない作品からもアイテムを持ってきてますが、そのほとんどにレイジングハートやバルディッシュは出てますよね。
なら各デバイスも無数に参戦できるんじゃ…と思ったんですが、どうなんでしょうか
一応レイが持ってるマッハキャリバーは反目のスバルからの出典とさせていただいてます、
無数に参加させられるのは確かにそうですが、あまり支給品枠を同系列のアイテムだけで埋めてしまうのはどうか、というのが自分の考えです。
同じアイテムが沢山ってのも味気無いですしね。
基本同じアイテムは出さない方が良いかと。
私も同意見ですが、大人・子供で二人参加してるなのは&フェイトだけは例外な気がするんですが、どうなんでしょうね?
大人時レイハと子供時レイハは物も違いますし……
何はともあれ皆さんGJです!
とりあえずチームが一つ纏まったみたいで安心……
まだつかさとは合流しないとは思いますが、今のかがみを見たらつかさは何て言うか……(涙
スピリットのカードの行方も気になりますね
ゾルダに変身したグリフィス君もいい感じだと思います
どことなく北岡っぽくなっていくグリフィスが目に浮かぶ気がしますw
それにしてもストームレイダー、またしても目を撃ってしまうとは……
予約に期限が無いとの噂を聞き付けましたので、小フェイト&光太郎を予約します
マスカレード17話投下後の執筆になりますが、そう時間はかからないだろうと……
ん〜、予約は無期限つうか、割と長めって感じじゃないですかね。自分的には「長くて2週間前後」って風に思ってたんすが。
>>615 >S2Uの話
うーん、難しい問題ですね…
一応ルルに渡したクラールヴィントなんかは、シャマルが活躍するStS+ライダーからの参戦だったりするんですが、
S2Uは特に原作との差異がデカイものがなく、しかもあったとしても非人格型のストレージではあまり意味がないということで、
原作からの出典という形にしたのですが。
…クロスミラージュが原作からだったのは、クロス先から出すという発想に至らなかった段階だったからというのは内緒(ぇ
>レイジングハートとバルディッシュ
レイジングハートとレイジングハート・エクセリオン、
バルディッシュとバルディッシュ・アサルトが別物、というのでおkかと。
同名アイテムは2つ以上は出さないという方向で。
あの…キャラだけ渡して放置してる僕が言うのもあれですが…
光太郎はRXじゃなくてパワーダウンさせられてBLACKからスタートってのは無理ですかね?
やっぱRXは強すぎると思うです…
俺が覚えてないだけだったらすみません
ブラック時代の話は書かれてたでしょうか?
そうでないのならちょっと無理かと
把握的な問題も含めて
BLACKは第一部二話一部で戦闘してます。
パワーが急激にダウンし(それでもスーパー1に匹敵する実力ですが)、必殺技がライダーパンチとライダーキックに変わるだけでアクションはRXと変わらないので問題ないかと…
あ、いえそうではなく参戦時期はどうなるのかなと
すでにマスカレード氏が予約をされている以上、場合によってはそのプロット自体が使えなくなってしまいます
その辺りはどう融通を効くようにするのかな、という話です
時期か…普通に二話一部〜一部最終話辺りでオーケーだと思いますよ。
BLACKとして戦っていた頃の光太郎が参戦するのではなく、ただRXがBLACKになるだけですので。
マスカレード先輩の方も、パワーダウンするだけなら支障は無いかと…
まぁ、BLACKになるのは僕のこの案が通ればの話しですが…
マスカレード先輩の意見も聞きたいです。
RXかどうか決めたあとでいいので、キャラ解説のほうをお願いします
無理じゃないですか?
これはリレー小説なので、最初に決めた事を変更すると色々厄介な事になります。
すでにプロット組んでいる方もいるでしょうし。
把握の関係もあります。
それに強すぎても、超人を倒す方法なんてたくさんあります。
毒殺、不意打ち、数で押す等。
心配しなくても平気ですよ。
既に作者であろうと絶対的な決定権はないです
もちろん予約者に相談を受けたり、キャラ情報などの助言はとても助かりますよね
なのは(StS)、レイ、影山投下します
『あー、あー。聞こえますか?
私は、時空管理局機動六課に所属している――』
「この声、なのはさん……!?」
マッハキャリバーが自分には移動手段として不向きということで、
新たな移動ルートをマッハキャリバーと考えていたレイは拡声器で増幅された声を聞く。
しばらく聞きいっていたが、誰かと言い争うような声が聞こえ、その後爆音が響いたところで我に返る。
「いけない……行こう、マッハキャリバー!」
『異議はありません。しかし戦闘に巻き込まれた場合戦闘力の無い仮マスターは危険です』
「そ、それはそうだけど……」
冷静に状況を分析するマッハキャリバーにレイは進みかけていた足を止める。
確かにマッハキャリバーは非力な自分には扱えず、デュエルモンスターズのカードもデュエルディスクがなければただの紙だ。
戦闘になっているのだとしたら、自分等が行っても足手まといになるのがオチであろう。
「だけど……そうだ! なのはさんにマッハキャリバーを投げ渡してすぐ逃げる! これならいいかも!」
『……扱われ方に抗議したいですが、高町なのはと合流するという点ではよい考えかと』
「エリオ……」
もはや体温を感じなくなったマサキの体を抱えながら、なのははただ歩き続ける。
一度でも立ち止まってしまったら、再び動きだせる自信がなかったのだ。
「病院……急がないと……」
急ぐ必要などない、すでにマサキが絶命していることにはなのはも気付いていた。
ならば何故歩みを速めるのか――認めたくないだけだ。
自分が拡声器など使わなければ、エリオに気づき止められていれば、この青年は死なずにすんだかもしれない。
名も知らぬ青年の死、その原因が自分であると認めたくなく、かといってエリオの――自分が殺した者のせいにすることもできず、なのははただ目の前の死から目を逸らす。
「なのはさん!」
「え……?」
聞き覚えのない声に背後から呼びかけられ、思わず振り返る。
当然足は止まり――両腕に遺体の重さがかかり、マサキの死体のことを知覚してしまう。
「あ…ああ……!」
「なのはさん……? その人は……」
明らかに様子のおかしいなのはに、レイは先ほど考えていたことも忘れ問いかけようと一歩近寄る。
見知らぬ人間が接近する、それは今のなのはに動揺を与えるには十分なことであり、バランスを崩してマサキの体を落としてしまう。
「あ」
「え?」
レイの目に飛び込んできたのは、男の体にあった大きな傷となのはの血まみれの体。
男の体は重力にひかれてべしゃりと地面に叩きつけられたまま動かず、
なのはは今まで男の影になっていたのだろう、一本の剣を持ったまま硬直している。
「え……まさか、死んで……なのは、さん……?」
「あ、ああ……ち、ちが、私じゃ……!」
もしもレイが異世界の事に気づいていなければ、なのはがこんな事をするはずがないと思ったかもしれない。
もしもなのはがもう少し冷静でいれば、抜き身の剣を持って警戒されている相手に近づくなどという真似はしなかったかもしれない。
ifは起こらず、レイは「異世界の一つには残忍ななのはがいるのでは」という考えてしまう。
ifは起こらず、なのははただ自分の無実を伝えようと今の自分の姿も忘れてレイへと近寄る。
――結果。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
「っ!?」
レイは悲鳴を上げ、なのはは怯んで動きを止める。
それは第三者から見れば「少女を襲う殺人鬼」としか見えず――
「はぁ!」
「きゃっ……!?」
男に背後から殴りかかられるのを、咄嗟に転がり回避。
すぐに体勢を立て直して襲撃者を見ると、その男――影山は自分とレイの間に立って戦闘態勢に入っていた。
「まさかあんたが殺し合いに乗ってるとはな」
「ち、違う! 私は殺したりなんて……」
「とぼけるな! その男の死体は何だっていうんだ!」
「――っ!」
なのはが言葉に詰まっている間に、へたり込んでしまったレイへ一足のローラーブレードのような物を投げ渡す。
戸惑うレイに、影山は無愛想に言葉をかけた。
「さっさと逃げろ、そこにいられたら邪魔だ」
「で、でも……」
「いいから――ああ、金髪のシャマルって女を見かけたら俺が……影山がこう言ってたって伝えてくれ、絶対脱出する手段を見つけるからって」
「あ、は、はい……そうだ、お願い、マッハキャリバー」
影山の殺し合いには乗っていないという言葉に安心し、レイはマッハキャリバーを首からはずす。
『何でしょう、仮マス――!?』
「あの人を助けてあげて!」
言葉を最後まで聞きもせず、影山へマッハキャリバーを投げ渡す。
「デバイス……!?」
「助けてくれてありがとうございます……気を付けて!」
「……あ、ああ」
戸惑いながら影山が頷くのを見て、レイは今受け取ったローラーブレードを履いて町の方へと逃げ出していく。
【早乙女 レイ@リリカル遊戯王GX】
【一日目 現時刻AM3:07】
【F-6 丘】
[状態]:健康・悲しみ・不安
[装備]:
[道具]:支給品一式(E・HERO バーストレディ@リリカル遊戯王GX、E・HERO ウイングマン@リリカル遊戯王GX
融合@リリカル遊戯王GX、北高女子用制服@ティアナ・ランスターの憂鬱)
[思考・状況]
1 あの場から離れる
2 影山さん、大丈夫かな……
3 異世界のなのはさんが、あんな人だったなんて……!
4 信頼できる人間(遊戯王メンバー)との合流
5 シャマルに会ったら影山からの伝言を伝える
6 十代を正気に戻す
7 ゲームには乗らない
レイが立ち去ったのを見て、影山は今だに動かないなのはへと向き直る。
「意外だな、お前はこんな殺し合い、一番嫌うと思ってたんだが」
「だから……違うの! 私じゃ……私、じゃ……」
――私じゃない。
そう言いきることがどうしてもできない。
そう思ってしまえば楽なのに、事実自分が攻撃したわけではないというのに、
どうしても否定することができなかった。
そんななのはを見て、影山は大きく溜息を吐きながらマッハキャリバーを起動する。
「殺しはしない……シャマ姉が悲しむから」
「シャマ姉……? シャマルさん……?」
「これ以上殺しなんて考えられないよう、叩き潰す!」
叫びながら影山は走りだし、リボルバーナックルで殴りかかる。
咄嗟に永遠神剣で受け止めるも、続いて放たれた素手の拳は剣で受けるわけにもいかずにまともに喰らってしまう。
「あくっ……!」
「どうした、そんなものか!?」
「お願い……話を聞いて……」
「そんな言葉に騙されるか!」
いいように攻め続けられ、なのはは少しずつ応戦する気持ちが薄れていく。
エリオを殺してしまった自分がのうのうと生き延びていいものか、仲間にどんな顔をして会えばいい?
それならいっそ、この男の拳を受けてそのまま眠りにつきたい、
殺す気はなくともリボルバーナックルの一撃を頭に食らえば、威力としては十分だろう。
ほら、次の一撃なんてよさそうだ、剣を下げて、このまま拳を受けよう。
「なっ――!?」
驚いてる……当然だよね。拳を止めようとしてるみたいだけど、もう遅いよ。
ごめんなさい、あなたを人殺しにさせます。
ごめんねエリオ、そっちで謝らせてね。
ごめんねスバル、ティアナ、アーカードさんとならきっと大丈夫だよね。
ごめんねはやてちゃん、シグナムさん達は、きっと全力で守ってくれるんだろうな。
ごめんね……フェイトちゃん。
「何やってんだ、この馬鹿!」
「っ!?」
結論か言うならば、影山が拳を止めるのは間に合った。
なのはに当たる直前にマッハキャリバーを解除し、わずかに短くなったリーチが彼女の命を救ったのだ。
「お前のその瞳、本当の闇を見たのか……何があった」
散々暴れて冷静になったか、なのはの顔を見ながら影山はようやく話しを聞く体勢に入る。
「私は……エリオを、殺した……!」
「エリオを、だと……? あの男の事はは無関係とでも言う気か?」
「違う……あの人も私のせいで、私が止められなかったから……」
要領を中々得れなかったがなんとかなのはから話を聞き、何があったのかを知る。
そういった事情ならなのはは殺し合いには乗っておらず、エリオの事も正当防衛と言えるだろう。
――今の話を信じるなら、な。
無論、なのはが真実を言った証拠などありはしない、自分を騙すための作り話という可能性もある。
――だけど、この瞳の闇は本物だ。
地獄を見た者にしか判らないであろう瞳に宿る闇。
なのはの瞳には矢車や影山と同じ絶望の闇が宿っていた。
「おい」
「え……?」
「お前、俺の妹になれ」
【影山 瞬@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー】
【一日目 現時刻AM3:22】
【F-7 山】
[状態]:健康
[装備]:マッハキャリバー(待機状態)@反目のスバル
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜2個
[思考・状況]
1 これでいいんだよね、兄貴
2 シャマルを探し出し守る
3 あの女の子(レイ)、探すべきか?
4 脱出する方法を探す
5 兄貴はどうするのかな……
【高町なのは@NANOSING】
[時間軸]第八話終了後
[状態]精神的疲労極大 、魔力消費中、体力消費中
[装備]永遠神剣"求め"@リリカル×アセリア
[道具]支給品一式、不明支給品0〜1個(なのはが確認済み)、不明支給品0〜2個(マサキが確認済み)
[思考・状況]
基本 みんなで生きて帰る……自分にみんなといる資格があるのか疑問。
1、いもう、と……?
2、私は、みんなとどう会えばいいの……?
3、エリオ……
投下終了、正直ラストは暴走しながら書いた、後悔はしていない。
俺が書くとなのはキャラは妙に精神面が弱くなるようです……
修正すべき点、矛盾点、要議論すべき場所があったらご指摘ください
あ、早速抜けが……
【早乙女 レイ@リリカル遊戯王GX】
【一日目 現時刻AM3:07】
【F-6 丘】
[状態]:健康・悲しみ・不安
>[装備]: スバルの自作ローラーブレード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
ということで……
乙
レイは誤解(?)したまま逃げてしまった…今後どうなることか…
そしてなのはは地獄兄弟の仲間入り…盛大に吹かせてもらったぜwww
638 :
マスカレード:2008/03/12(水) 01:13:26 ID:wCe2knqJ
GJ!
なのはさんが兄弟入りとは意外な……w
こういうのもロワらしくていいと思います。
チーム地獄兄弟……っという地獄チームを想像してしまいました
>>レイジングハートとバルディッシュ
バルディッシュアサルトもレイジングハートエクセリヲンも子供・大人で同じ名前ですが、中身は全然違いますし、大丈夫だと思うんですが……どうでしょいか?
バルディッシュアサルトに関してはデバイス自体の形すら違いますし。
>>RX
このロワにおいてはほぼ全員、それも強ければ強い程制限も強力になりますし、私は大丈夫だと思うのですが……
以前私が纏めた変身キャラ制限でも、一応RXはブラスターブレードやその他最強フォームと同等くらいにしてますし
なら最初はパワーダウン状態で参戦、後にRX復活、終盤でフォームチェンジ可能というのはどうでしょうか?
とりあえず避難所議論スレの変身制限に軽く目を通して頂けると幸いです
>マスカレード先輩
はい…やっぱり僕的にはBLACKからRX…と劇場版ティガ方式にしたほうがやはり良いと思います。
制限が強力な奴にかかるほど強力になるのなら、やはりRXにかかる制限は退化するほど激しいものが必要だと思いましたので。
彼の強さは笑って済ませない部分も沢山ありますので…
幼いフェイトと光太郎の活躍、楽しみにしてるです。
正直笑って済ませないほどやばいのはRXだけじゃないと思う。
第一ライディーンやらテッカマンやらアーカードみたいな、RXレベルかそれ以上のやつらはごまんといる。
RXとかの能力の心配するなら、自分でも何かいい案を出して、キャラ紹介するなりしたらどうかと思います。
特にライダー氏の作品はその他のライダーキャラやなのはキャラとの顔見知り関係とかが曖昧過ぎて非常に書きづらいものと思われますし。
紹介スレでキャラ紹介をちゃんとして、各なのはキャラや各ライダー作品(龍騎氏やマスカレード氏)からの参戦ライダーとの面識を説明してはどうです?
余計な御世話かも知れませんが、恐らくキョウキや志村は書ける人少ないんじゃないかと思います。
その辺を皆にしっかり説明しておいても罰は当たらないと思いますよ?
解説か…そういや書いて無いな…
ちょっと時間下さい。
上手く出来るかどうかはわかりませんが、分かりやすく書いたら向こうに出してきます。
>>635 投下乙です。
何げに信頼できるメンバーから機動六課がはずれちゃったのですな……
これが悲劇にならないことを祈るばかりです
>>635 乙
なのはさん可愛そうやのう……。
なんとかなれば良いが。
GJ!
…ってわぁお、誤解が渦巻くスバラシイ状況にw
果たしてなのはは見ず知らずの男の妹になってしまうのか…
…バレたらパパンと真お兄ちゃんが黙っていないような気がしますがwww
GJです
…なんという誤解のオンパレード…これはレイ疑心暗鬼フラグ…?
なのはさん、地獄兄弟末妹の照合付与まであと…何話くらいでしょう?
さて、エリオ・グリフィス・シーナ・草加予約します
647 :
646:2008/03/12(水) 22:38:03 ID:jJMzllVP
>>Strikers May Cryさん
グレイヴについてお聞きしたいことがあります。質問はグレイヴについての解説の次に書いてあるので、お願いします。
避難所がよくわからなくなってる…荒らしと判断していいんだよな?
予約されてるキャラって、
・フェイト&光太郎
・グリフィス&エリオ、草加&シーナ
でしたっけ?
今や貴重なただ同じ文をコピペするだけの荒らしですね
むしろ恥ずかしげもなくこんな捻りのない荒らし方をする無知さを俺は評価したいが
予約キャラはそれであってるはずです
誰かいないか・・・?
ノ
恋愛相談以外なら受け付けるZE
作者さん達が少ないせいか、話がゆっくりなのはしかたない
でもね……待ち遠しいんだよ…時々チェックしては変化なしでorzして…
そいつは勘違いしてるぜ
ここよりちょっと前に始まったロワがあるが、そこはまだ50話に達していないんだ
このぐらいのスピードがロワの標準さ
むしろここの人達は予約してから書くのが早いからな、返ってそんな印象になってしまうんだろう
リレー小説だから他の人の立てたフラグとかも把握してネタを作らなくてはならない、
あまり急かさず応援しようぜ
ああ、それはわかってる。頭ではわかってるんだ。
でもね、『まだかな、まだかな』と、待望する気持ちがあるんだ…見逃してくれ……
お、消えてる。
やってくれた人に感謝。
あ、すいません。神崎を追加予約してかまいませんか?
話の展開上、神崎を出さざるを得なくなったので…
神崎くらいなら予約しても誰も困らn(ry
まぁそんなわけで、おkですよー
了解です。それでは、神崎を追加予約させていただきます
…しかし、予約しても誰も困らないって…扱いが(ry
いや……主催を絡めた話って滅多にないじゃん?っつう意味で……
言葉足らずでスンマセン
あー……すいません、こちらも理解力足りてませんでしたorz
…で、投下おk?
どうぞ、お待ちしておりました。
「さあ、戦いましょうよグリフィスさん」
そう言いながら、エリオが前方へとヤクトミラージュを構え、発砲する。
その軌道上にはグリフィスの……いや、仮面ライダーゾルダの姿。その心臓を射貫かんと、魔力弾が飛ぶ。
対するゾルダは命中スレスレの所で横に跳び、回避。魔力弾は近くの地面を削るだけに終わった。
ただの魔力弾にしては大きな穴。それはヤクトミラージュの威力を知るには十分。普通なら見た人間を大いに戦慄させる事だろう。
だが、ゾルダの関心はそちらには無く、今の自分にあった。
(体が軽い……あの箱の力なのか?)
元はといえばグリフィスは非戦闘員であり、それ故身体能力も高い方ではない。
だから、今のように気付くのが手遅れな程に遅いと……いや、例え気付くのが早くても直撃を受けて死んでいただろう。
だが、今の彼は違う。今はカードデッキの力によって仮面ライダーへと姿を変えている。その身体能力は元の比ではない。
もっとも、その身体能力もある程度の制限は受けているのだが……それでもこの状況には十分すぎる。
さて、彼の手元にある武器は変身した時にいつの間にか現れていたマグナバイザー。これでどう動く?
案1:距離を詰め、思い切り殴って気絶させる。
この案は仮面ライダーの高い身体能力を生かして接近し、思い切り殴って気絶させるという案である。
……だが、いくら身体能力があったとしても、いつまでもあの魔力弾を避けきれるとは思えないし、先程の赤い光のこともある。おそらくまだ飛び道具を隠しているとみていいだろう。
そして何より、グリフィスは前述の通り元の身体能力が高くはないので、体力もそんなにある訳ではない。よって体力が尽きたら終わり。そのまま撃たれてジ・エンドだ。
よって、この案は没。別の案を用意するべきだ。
案2:マグナバイザーで牽制し、やはり隙を突いて距離を詰めてパンチ。
この案はマグナバイザーという銃を使って遠くから牽制し、その隙に接近、後は案1と同じである。
大筋は案1と同じだが、銃で牽制をしながらという分、相手に隙も出来やすいはず。
そして出来た隙を突いて全力のパンチで一撃。グリフィス自身の銃の腕が心配だが、牽制なのでただ玉をバラ撒くだけでも十分だ。
他にいい案は無さそうだ。ならばこうするべきか……?
「さっきから逃げ回ってばかりじゃないですか。そんなんじゃ面白くありませんよ」
と、思案している間にエリオからの追撃。その目から光子力ビームが発射される。
放たれた光子力ビームは左腕を直撃。非殺傷設定が外れているのか、かなり痛い。
神崎の創ったミラーワールドの仮面ライダーは、100tという威力にも耐えうる強力な装甲を持ってはいるが、その強度も制限されているのだろうか。
ともかく、こうなれば右手に持つマグナバイザーを撃つ他無い。そう考え、ゾルダも発砲した。
幸い連射性能は十分にあったので、相手を近づけないための弾幕を張るのには十分。
だが、エリオも相変わらずヤクトミラージュや光子力ビームでゾルダを攻めたて、その度にグリフィスがそれを後退や横跳びなどで避ける。
少しずつ互いの体力は削られ、一進一退の攻防が続く中、いくつかの疑問が頭に浮かんだ。
(おかしい……何であの魔導師、あれだけ魔法を放っているのに魔力が尽きないんだ?
それに、あの声……)
それはいずれも眼前にいる魔導師の事である。
まずは声の事、この声はどこかで聞き覚えがある。というより、自分と同じ六課のメンバー、エリオ=モンディアルの声によく似ている……
いや、グリフィスの事も知っていたし、もしかすると本人なのかもしれない。だとすれば、六課のメンバーが殺し合いに乗ってしまっているという事か?
それに、万が一エリオだとすれば、この魔力量はあり得ない。
確かにエリオは10歳でBランクを取れる程の秀才ではあった。だが、これだけの威力の魔法をここまで連発できるとは到底思えない。
実際にはローザミスティカから魔力を引き出して使っているので、それで魔法を乱発できているのだが……グリフィスがそれを知るはずも無い。
……とにかく考えるのはこの魔導師を止めてから。そう思い、考えるのをやめた。
……そしてその直後、戦闘が否応無しに終了させられた。
「嫌アアアアアアァァァァァーーーーーッッッ!!」
先程自分から逃げた少女の悲鳴。それが戦闘中に少しずつ近づいていた病院の方から響く。
その声にほんの一瞬だが、ゾルダの行動がストップ。だが、エリオにとってはそれで十分だ。
『Sonic move.』
……お忘れかもしれないが、彼の持つ三つの武器は全てデバイスである。
それ故、エリオ自身の魔法を扱う事も十分に可能。自身の得意とする高速戦闘へと切り替え、素早くグリフィスの懐に飛び込んだ。
「ターボスマッシャァァァ――――」
「!! しまっ……」
懐に飛び込んだときには、右腕のタービンが既に高速回転を始めている。
距離は零。威力は十分。右手のレヴァンティンは既にリリース済みだ。
そしてボディブローの要領でその拳をゾルダの腹に叩き込み――――
「――――パァァァンチ!!」
――――そのまま右腕のデバイスごとぶっ飛ばした。
殴り飛ばされたゾルダは、そのまま病院の壁に激突して前のめりにダウン。それと同時に変身が強制解除される。
起き上がる気配は無い。気絶……いや、死んでいるのだろうか。
「もう終わりですか、グリフィスさん?」
なかなか起きないグリフィスに痺れを切らしたのか、エリオが話しかける。
だが、当のグリフィスに意識は無い。だから、このように話しかけても返事があるはずが無い。
エリオはそれを死んでいるとは微塵も思ってはいない。彼にとっては、例え死ぬことになっても自分同様の存在になって起き上がるはずだから。
「……気絶してるのかな?」
故に、エリオはグリフィスが気絶していると思い、その場を後にする。
相手が気絶してしまっているという事は、その相手が目を覚ますまでは戦えないという事。
ならば目を覚ますまでの間に他の誰かと戦い、そして目が覚めた頃にもう一度来て戦おう。エリオはそう思ったのだ。
「楽しみだなぁ……今度はどんな人と戦えるんだろう?」
【一日目 AM2:50】
【現在地 H-4とH-5の境界線上 病院付近】
【エリオ=モンディアル@リリカル遊戯王GX】
[状態]左胸上部から右脇腹への裂傷、デュエルゾンビ化 、魔力消費大、体力消費大
[装備]ヤクトミラージュ@NANOSING
[道具]支給品一式・レヴァンティン@スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL
ローザミスティカ@ヴィータと不思議なお人形・マジンカイザー(スタンバイ)@魔法少女リリカルマジンガーK's
[思考・状況]
基本.戦いを楽しむ。
1.グリフィスさんが目を覚ますまでの間、他の参加者と戦う
2.上記の戦闘は、出来ればなのはさんとがいい
さて、先程の悲鳴だが……その事を知るには、少しだけ時を遡る必要がある。
今回の話は白き龍が現れ、そして草加を思い切りぶっ飛ばした時まで遡るとしよう。
この化け物は絶対にヤバい。
それが草加が青眼の白龍に持った第一印象だった。
たった今自分を思い切りぶっ飛ばした尻尾、そして何より先程のブレス。これ以上受けたらほぼ確実に死ねるだろう。
もちろん草加は死ぬつもりは無いので、これ以上受けてはいけないと理解もしている。だが、それならばどうすればいい?
真っ向から相手をする……没。殺してくださいとでも言っているようなものだ。
逃げる……これも没。病院というせっかくの食料庫を捨てるのも勿体無いし、何より逃がしてくれるとも思えない。
ならば……デュエルディスクを壊すか?
そのように考える間に、もう一発バーストストリームが飛ぶ。食らったら確実に死ぬと分かっているので、ズタボロの体に鞭打って回避。心なしかアバラの骨折が酷くなった気がする。
「ちっ……もう迷っていられる状態じゃないな」
そう呟くと、草加はある決定を下し、あるものを探してて周りを見る。
目的のものはすぐに二つ見つかった。だが、どちらもシーナからは距離がある。これではあの方法は使えない。
ならば……仕方が無い。その二つのうち、自分に近い方へと急ぎ、そしてカードデッキを取り出した。
変身の仕方は神崎から教わっている。すなわち、目的のもの……窓ガラスなど自分の姿が映るものにカードデッキをかざせばいい。
そうしてかざした瞬間、草加の腰にはVバックルと呼ばれるベルトが出現。
彼はすぐに変身の仕方の続きを理解。よく考えれば、かざすだけで変身は出来ないだろう。カイザギアだって913と入力しただけでは変身できず、ベルトに装着する必要があった。
ならばカードデッキも同様に、ベルトにカードデッキを装着せねばならない。そう理解し、気付けば草加は叫んでいた。
「変身!」
それは元の世界でカイザとして戦っていた時の名残だろうか。
彼はそう叫ぶと、タイガのカードデッキをベルトに装着し、仮面ライダータイガへと変身を遂げた。
もう猶予時間がどうとか言っている場合ではない。この状況で生き残るには、猶予時間を削ってでもカードデッキに頼るしかないのだ。
……さもなくば、神埼が言っていた「放送」とやらで自分の名が呼ばれることになるのだろうから。
「待って……止まってよ……!」
その頃シーナはと言うと、自分の手で呼び出した龍を止めるべく呼びかけていた。
『ウオォォォォォーーーーンッッ!』
だが、その呼びかけは届かない。デュエルディスクに縦向きに置かれたカードは、攻撃あるのみという意味なのだから。
それを知らないシーナは必死に呼びかけるが、龍はそれを無視して草加へと襲い掛かる。まるで「主の敵は全員殺す」とでも言うかのように。
そして再び、滅びのバーストストリームが放たれる。標的はもちろん草加。
ド ガ ン !
着弾箇所が吹き飛び、埃が高く舞い上がる。この威力だ。おそらく生きてはいないだろう。
放射より少し前に草加が何かをしていたようだが、何をしようと生きていられるとは思えない。
そしてその事実は、シーナの心をさらに破壊する。
「あ……そん……な……あたし……また……人を……」
手を下したのは龍だと言えば、罪悪感からは逃れられたかもしれない。
この龍がこんなとんでもないものだとは知らなかったと言えば、誰かが「シーナは悪くない」と言うかもしれない。
だが、それでもこの龍を召喚したのはシーナだ。その事実はシーナにとって、「また人を殺してしまった」と認識させるには十分だった。
もはやシーナの精神は、完全に崩壊してしまっていた。
『FREEZEVENT』
パキン。
ビキビキバキバキ。
謎の電子音声が響いた直後、龍の体が突如凍りつく。
何が起こっているのか今のシーナには分からない。いや、まともな状態のシーナでもこれは分からないだろう。
そして龍が完全に凍った頃、前方からシーナの方へと歩いてくる影が。
それは、妙な鎧を着けた人影……仮面ライダータイガ・草加雅人その人である。
さて、何が起こったのかを説明するとしよう。
草加がタイガに変身した直後、バーストストリームがタイガめがけて飛来した。
だが、仮面ライダーの身体能力ならば、来ると分かっている攻撃を避けることなど容易い。
もしも草加が元の世界での仮面ライダーでなければ、もしかしたら諦めていたかもしれない。
だが草加は、カイザに変身していた事もあって、仮面ライダーの身体能力の高さは知っていた。
だからこそ、その身体能力を利用して避ける事を思いついたのだ。
その結果、回避は成功。そのついでに舞い上がった埃に身を隠すこともできた。
「ほう、神崎の仮面ライダーもなかなか優秀じゃないか」
タイガはそう呟き、そして神崎が言っていたことを思い出す。
神崎によると、この変身アイテムの名は「カードデッキ」……つまり、何らかのカードが入っており、それを戦闘で使うことが可能という事だ。
その事に思い至ったタイガは、カードが入っているであろうカードデッキに触れ、カードを取り出せそうな位置を探す。
そして、見つけた。カードを取り出せる位置を。
この状況を何とかできるカードとまでは言わない。せめて少しの間だけでも龍の動きを止められるカードが出るよう考え、そして引く。
その瞬間、手元の斧『デストバイザー』が稼動。カードを入れることが出来そうな大きさの空間が出来た。
「ここにカードを入れろ……という事か」
すぐに理解し、カードを投入。そして手でデストバイザーを閉じた。
『FREEZEVENT』
結果、龍は冷凍され、タイガはこの状況を切り抜けることに成功した。
こうも都合よくいくものかと思うかもしれないが、今使われた『フリーズベント』の効果を考えてほしい。
このカードの効果は単純明快、『カードによって呼ばれたモンスターを凍らせる』というもの。
ならば別の種類のカードとはいえ、カードで呼び出された青眼の白龍が凍るのも納得がいくことだろう。
「あ……」
シーナには、今の状況が理解できない。
人を殺してしまったと思ったら、呼び出した龍が凍り、そして着弾箇所とおぼしき場所から人影。
彼女は最初の部屋で仮面ライダーを見たから、どこぞの特撮みたいに変身する人間がいるという事も分かってはいる。
だが、シーナの頭はそこまで考えず、ただ「死んだはずの男が化け物になって生き返った」としか思えなくなっていた。
そんなシーナの意図など知らず、タイガは一歩、また一歩とシーナに接近。対するシーナは恐怖のあまりそこから動けず、涙まで流していた。
そのままタイガはまっすぐ手を伸ばし、デュエルディスクからカードを外して龍を消し、変身を解除。
そして次に草加が言った言葉は――――
「おい化け物、餌の時間だ。この女を食っていいぞ」
――――事実上の、死刑宣告だった。
草加にしてみれば、消費した時間を再び補填しようというだけだったのかもしれない。だが、シーナにとってそれは「お前を化け物に食わせて殺す」と言っているに等しかった。
涙で顔をくしゃくしゃにしたシーナに、デストワイルダーが迫る。現れた鏡は、先程草加が見つけたもう一方の窓ガラス。
「ひッ! 嫌……嫌ぁ……」
死を拒み、龍が大暴れしたことで出来た小さな瓦礫を投げるが、デストワイルダーはそんな物では怯まない。
そして、鋭い爪の生えた手をシーナに近付け――――
「嫌アアアアアアァァァァァーーーーーッッッ!!」
ガツガツガツッ
ボリッボリッ
クチャクチャ
ズズッ……ゴクン
【シーナ=カノン@SHINING WIND CROSS LYRICAL 死亡】
草加は真司とシーナの支給品を自分のデイバッグに移しながら、一人考えていた。
今しがた女を食わせた事。これは今考えると軽率だったかもしれない。
何せ数分前に一人食わせた後だったのだ。猶予時間はどれだけ食わせても12時間が限度という事を考えれば、今食わせるより病室に縛って保管した方がよかったかもしれない。
それに、もしかしたら今の戦闘の音や最後の悲鳴で、当初の自分と同じ目的で病院を目指していた者達を警戒させてしまったかもしれない。
そうなっていれば、病院に参加者が寄り付かなくなる可能性もある。最悪の場合、放棄も考えなければならないか……?
ズ ド ォ ン !
そう考えている間に、轟音。その音源は病院の裏口あたりだ。
そして音が鳴ったということは、そこに音を発する何かがあるという事。
草加はこの病院に来るまでの間、参加者以外の生物は会場にいないという事を理解している。ならば裏口にいるのは間違いなく参加者だ。
……どうやら放棄は考えなくてもよさそうだ。こうも都合よく次の餌が来てくれたのだから。
草加はそう考え、裏口へと向かって歩き出した。
【一日目 AM2:50】
【現在地 H-4 病院】
【草加雅人@マスカレード】
[状態]額から出血・肋骨3本骨折
[装備]カードデッキ(タイガ)@リリカル龍騎 、ウィルナイフ@リリカルガオガイガー
[道具]支給品一式、拡声器(メガホン)、ウェットティッシュ、真司の支給品(ランダム0〜3個)、DMカード「青眼の白龍」@リリカル遊戯王GX番外編
[思考・状況]
基本 利用できるものは全て利用し、最後の一人になる
1.音の正体を調べに行く
2.病院に来た参加者を捕らえ、デストワイルダーの餌として保管する
3.カイザギアも探さないとなぁ
4.北崎は俺が殺す
[備考]
※ゲーム中盤くらいまでは演技を続けるつもりです
※名前は知りませんが地獄兄弟、特に「影山瞬」を怨んでいます。天道総司も同様です
※ウェットティッシュは元からの草加の持ち物です。没収漏れです
※シーナをデストワイルダーに捕食させました。このまま変身・命令を行わなければ、一日目PM2:50に猶予時間が切れます
「う……?」
全てが終わった後、病院の裏口と思われる壁から立ち上がる影があった。
その正体は先程までエリオと激闘を繰り広げ、そして思い切り吹き飛ばされた彼――――グリフィスである。
時間は先程から一分程後。どういう理由かは知らないが、あれからすぐに目を覚ましたらしい。
目を覚まし、起き上がろうとするが……腹と背中がひどく痛む。先程殴り飛ばされた衝撃によるものだろうか。
思い返せばあの時、腹を殴られた後で背中から壁にぶつかったのだ。ゾルダに変身していたとしても、痛みが残るのは当然だろう。
そしてその痛みは、彼の目を覚まさせるには十分だ。それにより、頭が急激にクリアになり、そして今の状況を思い出させる。
そのクリアになった頭で最初に考えたのは、手元のカードデッキの事。説明書が無かったが、デバイスとは違う強力な「何か」だという事は理解できる。
痛みに耐えながら起き上がり、そしてその疑問を口にする。
「これは一体何なんだ? さっきは何故あんな事が……」
『知りたいか?』
……ん?
この周囲にはグリフィスしかいないはず。それなのに、一人分多く声が聞こえる。
その声の主は誰だ? そう思いながら、グリフィスが辺りを見回す。
そして、見つけた。自分をこんな所に放り込み、そして今なお続く殺し合いを開催した張本人の姿を。
「神崎士郎……! 何故こんな所に?」
『グリフィス=ロウラン、お前が持っているそのカードデッキの事を教えに来た』
【一日目 AM2:51】
【現在地 H-4 病院付近】
【グリフィス=ロウラン@リリカルなのはFeather】
[状態]腹部・背中に打撲、疲労(少)
[装備]なし
[道具]支給品一式・カードデッキ(ゾルダ)@マスカレード、DMカード「バスターブレイダー」「魔法の筒(マジックシリンダー)」「光の護封剣」@リリカル遊戯王GX
[思考・状況]
基本.基本的にこのゲームには乗らない
1.「これ(カードデッキ)が何なのかを教える」だって……?
2.部隊長(はやて)を探す
[備考]
※カードデッキの制限を知りません
※戦った相手がエリオだと薄々感づいています
※四分間の変身により、猶予時間が消費されました。このまま変身・命令を行わなければ、一日目AM11:16に猶予時間が切れます
※洞爺湖@なの魂はI-5地点の川付近に落としました
【神崎士郎@仮面ライダーリリカル龍騎】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本.バトルロワイアルの進行
1.グリフィスにカードデッキの説明をする
2.それが終わったら、カードデッキを持つ他の参加者にカードデッキの説明に行く
投下終了
いや、そろそろ誰か死なせないと今後の進行に影響が出そうだったというか…その…orz
ちなみにタイトルはいいの思いつかなかった結果ですorz
GJ……ひょえええぇぇぇぇぇーっ!
シーナが……シーナがぁぁぁぁぁぁ!
さすがに俺もバトルロワイアルを甘く見ていたようですぜ……
実はどっかでキリヤを殺す予定だったんです、自分。
で、放送でそれ知ったシーナがプッツンして、「みんな殺してーっ!(スペシャルサンクス:ルーちゃん)」ってな感じで青眼暴走、と。
……ああ、俺も男だ! 暴走マーダーの座はレイに譲るさ! というか誰だフリーズベントなんて入れ知恵しやがった奴!(ぇ
>誰だフリーズベントなんて入れ知恵しやがった奴!
あー…龍騎ライダーのカードデッキは、引きたいカードが自由に出てくる設定みたいです
だから「動きを止められるカード」と考えた結果、引きたいカードがフリーズベントだと認識されたってことで
連投失礼します。
草加の備考欄に抜けがあったので、それを補填させていただきます
※デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、カロリーメイトは病院内に放置されています
>>674 NONONO、前に「どうやって青眼倒そっかー?」ってな流れでフリーズベント出した人がいたじゃないですか。あっちに対してです。
……あくまで冗談混じりの発言ですよ、これ。
根に持ってなんかないさ……そうとも、まだ避難所のボツSSスレが……ヒヒヒ……(ぉ
なるほど、そういうことですか。了解です
…で、今の容量483Kなんですが…次スレどうしましょう?
GJ!
まさかシーナが死ぬとは…!草加、憎いことをしてくれるww
あともう少しで終わりでしたっけ
念のために作っといたほうが良いかと。
避難所の議論スレで、施設について質問してる方がいます。意見があったらお願いします。
…あと、朝昼晩の時刻の設定を議論スレに書きました。あれでいいでしょうか?
>>676 反目氏ー、そんな気がないのはよくわかるんだけど
あんまりそういう事は言わないほうがいいですぜ
本人や第三者は冗談ですむけど、投下した人は多少なりとも責任を感じちゃうので
人間ってのは不器用なのですよ
日頃が日頃だけに急に名指しで呼ばれてびっくり。
>>681 あ、スンマセン。
どうも今日は上手く会話ができてないな……このレスの内容にも結構頭捻ったり……
そして実は携帯からなので、どなたか次スレよろorz
なら俺が立ててきます
>>684 乙ですー、
なんら問題ないですし、通しでいいと思いますー
Yes sir.では通しということで