リリカルなのはクロスSSその45

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその44
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202567563/


*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ19
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202657072/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:08:21 ID:PEaB9ZoO
>>1
乙です。ウーノお姉さんをもらおうかッ!!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:11:32 ID:/cwY59PA
3だったらなのはのサイドポニーがサイドワインダーに変形する
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:11:48 ID:wVYYTFTR
>>1
乙です!


さて、とりあえずはやてと銀さんを密室に閉じ込めてくるわ
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:12:59 ID:/cwY59PA
乙忘れ……
ということで改めて乙!
6Strikers May Cry:2008/02/13(水) 01:15:59 ID:8Zf4trPK
>>1乙である。

最近どうもキャラを強奪し過ぎなので今回は押さえよう。
では、チンクと初代リィンフォースとリィンフォースUとセフィロスと銀さんで銀髪ハーレムを作るとしようか。
7メタルサーガsts:2008/02/13(水) 01:16:15 ID:YeOyVVgw
>>1乙

そして再びなのはとセッテをいただく
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:16:59 ID:OPCDxeEW
>>8ならクアットロもらう
9反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 01:19:27 ID:vSrdj9d9
>>1乙!

>>6
それがアリなら俺はお宅からバージル、ダンテ、グレイヴ、文治を徴収し、
セフィロス、アンジール、ジェネシスと一緒にロビーの机でも囲ませて異様な雰囲気をかもしてやろう。

そしてアルフだけは手元に置いておく
10仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 01:19:45 ID:XvxPtRIC
>>1 乙!さて、ノーヴェとフェイトさん、そして、ウェンディを頂きます。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:20:44 ID:1By44nhO
>>1乙ですー
12リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 01:22:10 ID:7q77+m+l
>>1乙!

そして、スバルは俺の妹だ! 欲しければ、俺の屍を超えていけ!!
と主張しておこう。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:24:06 ID:/cwY59PA
>>7
なのはのサイドポニーは今やサイドワインダーに変形しているんだけど
それでもいいのかい?
14反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 01:25:03 ID:vSrdj9d9
おっと、忘れてました。

>>12
地獄で先に待ってやがれぇぇぇぇぇぇーッ!(from新ゲ)

…へっ、どうしたそれで終わりか?
元祖スバルをヒロインに置いた職人(多分)なめんなよ!
15リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 01:29:35 ID:7q77+m+l
>>14

お、俺は負けない!
例え大先輩であろうとも、負けるわけにはいかないんだ!
例えスバルを嫁に取ろうとも、ナカジマ家の敷居を跨ぎたければこの俺を踏み越えていけ!
こう、グリグリとw

あとこれだけは主張しておこう!
そちらのスバルがヒロイン(主人公の彼女役)として元祖だということは事実!
されど、ヒロイン(女主人公)として置こうとしているのは多分自分が最初だ!

ちなみに女主人公と主人公の彼女役の両立は認めないので、夜露死苦!
16Strikers May Cry:2008/02/13(水) 01:31:48 ID:8Zf4trPK
>>9
それ凄いヤバイ状況だ……下手して喧嘩とかしたら機動六課が壊滅しかねないぜ。
17反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 01:34:59 ID:vSrdj9d9
>>15
スバル「…ルルーシュが主役?」
C.C.「そんなはずがないだろう、常識的に考えて」
カレン「スバル視点の話の方が圧倒的に多いし」
ルルーシュ「なっ!? ば、馬鹿を言うな! コードギアスの主役と言えば俺…!」
スザク「そういえば作者曰く、『スバル=主役、ルルーシュ=ヒロイン』のつもりで書いてたんだって。こぼれ話なんだけど」
C.C.「男ヒロインとは斬新だな、ルルーシュ?」
ルルーシュ「さぁぁぁくしゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

…なんか段々自分がいやらしく見えてきたな…
18メタルサーガsts:2008/02/13(水) 01:38:56 ID:YeOyVVgw
>>13
おかまいなく。むしろそのほうがよしw
あー、なのはとセッテの2人をあの荒野へ連れて行きてぇー。

>>17
なんとも愉快ですね。
ガンパレの速水の例もあることだし、男がヒロインでも問題ないですよw
19リリカラー劇場:2008/02/13(水) 01:39:36 ID:c2EvkCKn
>>1
乙です。

箸休め的な話ですがFullcolor'Sの出張公演を投下して良いですか?
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:43:46 ID:7q77+m+l
>>17
対抗してみた。

達也「えーと、俺主人公だよな?」
スバル「あたしヒロイン?」
 二人が目線を合わせました。
 ラブはありますか? NONONO。
 恋物語が始まりそうですか? NONONO。
達也「えっと……俺、彼女(希望)がいるんだけど?」
スバル「えっと、なんというかゴメン」
達也「え? なんで俺謝られるの? おい、なんで目線を逸らすんだよ、おい!」

スバル「この物語はあたし、スバル・ナカジマがヒーローに憧れたりしつつ、戦っていく物語です。
愛とか恋愛とか、そういうのに関わっている暇はないの!」
達也「まあ……あたしより強い奴に会いにいく! 系だもんな、キャラ的に。
――波○拳撃てるし」
スバル「鉢巻付けてるからって、言わないでよ!(涙)」

反目氏、すみません。
【どうやらスバルはヒロインではなかった模様です】
21リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 01:47:44 ID:7q77+m+l
>>20
あ、コテ付け忘れた。
恥ずかしいw
22リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 01:49:28 ID:7q77+m+l
さらに何故かsage付いてないよ。 orz

>>19
どうぞどうぞ、支援します。
ヴォルケンリッターの未来が心配
23反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 01:59:16 ID:vSrdj9d9
729 反目のスバル ◆9L.gxDzakI sage 2008/02/13(水) 01:57:08 ID:vSrdj9d9
>>727
くそみそなのニックでも読んでなさい

500ならスバルが旦那に作ったチョコをつまみ食いで食べ尽くさない

ちなみにこの時501KB。
…あれ?

そしてリリカラー氏支援
24リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 02:03:06 ID:7q77+m+l
728 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/13(水) 01:57:06 ID:7q77+m+l
500KBなら、次のスレがR指定になって。
スタイリッシュタイムが始まる。
カッコイイという意味でだ!

729 :反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 01:57:08 ID:vSrdj9d9
>>727
くそみそなのニックでも読んでなさい

500ならスバルが旦那に作ったチョコをつまみ食いで食べ尽くさない

どっちが起こるんだ?
R指定でスタイリッシュタイム?
それともスバルが某どS探偵のDV娘のような勢いでチョコレートを我慢するのか。

このスレの行き先が気になりつつ、リリカラー氏支援!
25リリカラー劇場:2008/02/13(水) 02:04:57 ID:c2EvkCKn
ガンダム「てゆーわけで?第1回Fullcolor'S舞台挨拶だりゃー!」

シャアザク「本編では大変な事になりそうだが、ここではあっち(本編)に出る機会の少ないキャラを紹介していくぞ♪」

なのは「き、緊張するねフェイトちゃんι」
フェイト「う、うん。仲良くできたら良いな……それで、今回は誰を紹介するの?」

ガンダム「フッフッフッ♪聞いて驚いてタンスの角に足の小指をぶつけろ!」
シャアザク「Σ痛い痛いι」

ガンダム「ただいま活躍中のガンダムエクシアくんです!」
エクシア「…………」

ガンダム「では読者の皆に一言どうぞ♪」
エクシア「……俺がガンダムだ」
ガンダム:…………ι

シャアザク「Σ出張公演で判明した真事実!?」
なのは「Σじゃあ、きみは一体誰なの!?」

ガンダム「Σ一発目からこんなんヤダー(泣)」
フェイト「じゃあ……今日からきみはガンニョムで」
ガンダム「Σ何よソレ!?」

シャアザク「あらためてよろしくなガンニョム」
ガンダム「Σや め て く れ(泣)」
26リリカラー劇場:2008/02/13(水) 02:05:23 ID:c2EvkCKn
シャアザク→キャスバル専用ガンダム「まあ、それを言ったら私もガンダムなんだがな」
ガンダム「Σオマっ冗談でもヤメロー!」

フェイト「でも、あっち(キャスバル専用ガンダム)の方が二枚目に見えるよね……」
グサッ!

なのは「だ、大丈夫だよ!ガンダムさんはカッコイイより、かわいいからι」
グサッ!

キャスバル専用ガンダム「いや、フォローになってないぞι」
ガンダム「いーですよ……俺はガンダムっぽくないですよι」

エクシア「とりあえず……俺がガンダムだ」
ガンダム「俺はガンニョムでーす。次回の舞台挨拶はヴァーチェくんでーす。彼からの10秒で30kg痩せるダイエット特集を紹介してもらいまーす」

ヴァーチェ「いや、別に太ってねーよ(怒)」
なのは「教えてほしいの!」
フェイト「私も教えて!」
はやて「私もや!」
ヴァーチェ「Σ人の話聞けー、しかも、アンタまだ本編終わってねー(怒)」

続く
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 02:06:35 ID:oVbwb5fz
>1
乙。
>19
支援。
>20
達也「綺麗な顔してるだろ……?死んでるんだぜ、これ」
28リリカラー劇場:2008/02/13(水) 02:06:53 ID:c2EvkCKn
以上です。

とりあえずは闇の書のシナリオ練り直してる間の箸休めです。
29リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 02:07:31 ID:7q77+m+l
支援!

って終わってるー!? 三倍の速度で投下されたみたいだ……
30反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 02:09:51 ID:vSrdj9d9
デュナメス「俺達出番なかったなー」
キュリオス「まぁ、次に期待するさ」
カスタムフラッグ「あえて言わせてもらおう、不服であると!」

まあ要するに、GJ!
31リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 02:13:23 ID:7q77+m+l
>>28
ガンダムがぐれたーw
フルカラー劇場は全巻持っているので毎回楽しみにしています。
原作の雰囲気そっくりでなんというか……癒されます。

GJでした!
32:2008/02/13(水) 02:14:14 ID:yAFFMyFp
スタイリッシュタイムだとぉぉぉ!?
あの人が来るのか!?

あと気になったんだが微妙にDMCが流行ってる?
いや俺も流されて3買ったけどさ。

あとなの魂の人乙(遅)
33Strikers May Cry:2008/02/13(水) 02:26:52 ID:8Zf4trPK
それじゃあ、投下良いかい? 空いてるよな?

久しぶりに妄想戦士ヤマモトのクロス「妄想戦士リリカル・ヤマモト」の続きなんだが。
34あk:2008/02/13(水) 02:32:20 ID:yAFFMyFp
究極の肩すかし。
だが支援しよう
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 02:33:17 ID:QkcHlWtg
GOGO
36Strikers May Cry:2008/02/13(水) 02:34:39 ID:8Zf4trPK
それじゃあ、投下します。

「リリカル・ヤマモト」の第三話です、もう本当に久しぶりな話だ。
37リリカル・ヤマモト:2008/02/13(水) 02:35:23 ID:8Zf4trPK
妄想戦士リリカル・ヤマモト 第三話「萌えっ娘のためならば……捨ててくれようこの命!!」

先日の八神家の面々との接触を経て山本一行は事件への介入を控えるようになった。
別に遠慮してるとかではなく、ただ単に萌える対象を愛でる変態的な理由からだがアースラスタッフには喜ばしい事だった。

そして彼らは今海鳴で有名な喫茶店、翠屋に来ていた。
もちろんコーヒーやスイーツを楽しむ為ではない。


「うっひょおおおお!!! 見ろあのめがねっ娘を!! なんという萌えっぷり!! ドジっ娘要素を持った天然系で声が白石涼○なんて素晴らしすぎじゃあああああ!!!」

喫茶店にあるまじき奇声を上げて狂喜乱舞するのはめがねっ娘教団教祖である南雲鏡二。
そして、そんな彼にその他の変態達も雄叫びを上げる。

「うむ! 正にめがねを掛ける為に生まれたような逸材だ!! 100モエー(萌えの単位)は軽く超えるな!!」
「あんまり声を出すんじゃねえ! フィギュアの原型が上手く作れねえだろうが!!」

山本と渡辺が南雲に応えるように吼える、その3人と席を同じくする松下は涙を流しながら嘆いていた。

「なんで俺まで、付き合わされてんだよ…」

嘆く松下をよそに変態萌え集団3人はウェイトレスのめがねっ娘でなのはの姉である美由希に生あったか〜い視線と奇声を送り続ける。

「萌えるめがねっ娘のウェイトレスさん! めがねコーヒー御代わり!!」
「フィギュアの原型作るから、1ミリも動くんじゃねえ!!」
「とにかく萌える恥じらいとセリフ追加あああああ!!!!」

3人の凄まじい迫力に美由希は涙目になって怯えまくる。
無理もない、彼女は生まれてこの方、こんな変態的で萌え至上主義の珍生物を見たことは無いのだから。

「なんかこの人達こわいよ〜!」



数分後、山本達が翠屋から追い出された事は説明するまでもない。
ちなみに松下は店長の高町夫妻にひたすら頭を下げて、常識人故の苦悩を味わった。


「さてこれからどうする?」
「もちろん素晴らしいめがねっ娘を探すのですよ、山本殿」
「フィギュアの原型にふさわしい女を見つける」
「黙って帰るって話は無いんかい!!!!」

もちろんだが松下の意見は全力で無視されて、山本一行は海鳴萌えっ娘探索へと移る。
ただの散歩と言う事なかれ、山本の萌えセンサー(原理不明、まあ鬼太郎の妖怪アンテナみたいなもんである)を頼りにしての探索であるが故に彼らは正確に萌えへと向かうのだ。

「むう!! 萌えセンサーが急反応しているぞ、これは良い萌えがあるな。では行くぞ者共!!!」



そしてセンサーが急激に反応、山本に引き連れられた一行は二人の少女に出会う。
美しい金髪に気の強そうなハーフの少女、そして軽くウェーブのかかった黒髪の少女である。
二人の少女は正に美少女といって差し支えない逸材であり、これに反応しない山本一行ではない。

「おおっ! 正にこの金髪っ娘はツンデレだな!! 二人合わせて240モエー!!!」
「めがねの似合いそうなお淑やか系のお嬢さんだ〜♪ さあめがねを掛けなさい!!」
「今からフィギュアの原型つくるぞ! 一歩も動くな! 息もするな!!」

周囲の冷ややかな視線も何のその、山本・南雲・渡辺は一瞬で不審者街道まっしぐらな発言をぶちかます。
38リリカル・ヤマモト:2008/02/13(水) 02:37:20 ID:8Zf4trPK
もちろんだが松下が涙を流しながら制止しようとムダに突っ込んだりもしたがそれは何の意味も無かったりした。

「ひいっ!! 何、この人達っ!?」
「ア、アリサちゃん…何か恐いよぉ」
「すずか、眼を合わせちゃダメよ……こういうのはいつ襲ってくるか分からないんだから」

二人の少女の名はアリサとすずかは山本達の異様な様に今まで感じた事のない恐怖を感じて震える。
その様子に常識人松下はさっそく助け舟を出す。

「ああ、もう! 恐がってるだろうが、これくらいにして帰るぞ!!」
「うっせええぞ松下あぁっ! 貧弱な坊やは黙ってな!!」


いつもの珍騒動を繰り広げる山本達、そんな時突如として周囲の空間が異様な沈黙を呈して人影か消える。
突然の事に驚く山本一行にアリサとすずか。

「ア、アリサちゃん…」
「な、何なのこれ?」
「これはまさか、結界?」



周囲の急変に思わず声を漏ら松下、そんな時彼らに聞き慣れた声がかけられた。

「そこの人…って! や、山本さん!?」
「おう、なのは。こんな所でどうした? また魔法少女の仕事か?」
「何なのは? この変態達と知り合いなの? っていうか何よ魔法少女って?」
「えっと…それは説明すると長くなるんだけど……ってもう追いつかれた!!」

なのはは後ろを振り返り、後方の敵を見据える。
そこには黒い羽根を持った銀髪紅眼の女性が宙を飛んでこちらに接近していた。

「なんだ? あのいかにも神話系なファンタジック美少女は!?」
「おお! 縁無しめがねが似合いそうですな!」
「っていうかフィギュア作らせろ!!」

お構い無しでいつもの変態発言をぶちかます山本一行、だがその女性は唐突に攻撃魔法を放ってきた。

「ブラッディダガー」

短い呪文と共に赤い魔力の剣が飛来する、その衝撃に爆音と煙が立ち込める。
だが煙が晴れて姿を現したのはボロボロの松下を掲げた山本の姿であった。

「“松下シールド”……役に立ったぜ松下、お前の死はムダにはしねえぜ」
「ま…まだ死んでない…」

あろう事か山本は近くにいた松下を盾にして攻撃を防いだのだ、正に悪魔の如き所業である。

「おい、なのはよアイツはなんだ?」
「えっと…闇の書っていう魔道書なんですけど、はやてちゃんって女の子と融合して…」
「はやて? 八神はやてって子か?」
「はい、そうです……知ってるんですか?」

なのはの質問に答える間もなく、山本は次の瞬間には闇の書の意思の下に跳躍した。
39リリカル・ヤマモト:2008/02/13(水) 02:37:50 ID:8Zf4trPK
ちなみに20メートルくらいの高さがあったがこの男に常識は通用しない。

「こんのバカたれがあああ!!!」
「ぐわああ!」

そしてあろう事かぶん殴った、闇の書の意思を、グーパンチで。
恐らくは闇の書にこんな事をしたのは後にも先にもこの男だけであろう、常識で測れない妄想戦士それが山本一番星である。

「き、貴様…何をする…」
「“何をする”じゃねえええ!!!」
「はぐうう!!」

間髪入れずに2発目のグーパンチが唸りを上げて闇の書の意思に決まる、ちなみに瞬間的に張られえていた防御障壁は無理矢理ぶち抜いた。
殴られた闇の書の意思は鼻血までだして涙目になる、っていうか殴られたのなんて初めてだ。

「に、二度も殴ったな……主にも殴られたことないのに…」
「じゃかしいわいボケナス!! あの関西弁系、病弱属性な萌えっ娘を踏み台にして登場するなんてけしからん奴にはこれでもまだ足りねえっつうの!!!」
「訳の分からん事を!!」

さしもの闇の書も、この山本の理不尽っぷりに怒りを感じたのか表情を歪めて怒気を放つ。
そして山本の周囲に無数の雷撃の刃が出現する、それはフェイトの使う魔法フォトンランサーを蒐集したデータから応用したフォトンランサー・ジェノサイドシフトである。
即座に放たれた攻撃に爆炎が上がり、一寸の逃げ場もない攻撃を受けて山本が地に落ちた。



「山本さん!」

落下する山本になのはは悲鳴を上げる、だが彼女の心配は」杞憂に終わる。

「渡辺ブーメラン!!」

技名の雄叫びと共に渡辺がブーメランの如く旋回して山本をキャッチした、着地した山本は服こそ汚れていたが大事は無いようだった(あの攻撃で煤だけで済むところは異常だが)。

「大丈夫か?」
「ああ、大したことねえぜ」

渡辺の言葉にそう答えながら山本は上空の闇の書の意思を睨み付ける。

「おい闇の書とやら!!」
「お前もその名前で私を呼ぶのか?」
「それじゃあお前の名前はジョセフィーヌ! 設定年齢19歳の堕天使見習いでちょっぴりシャイな無表情系キャラだ!!」
「なっ……なんだその名前は!? 勝手に付けるな!!」
「俺の脳内設定だ! 文句あっか!?」
「あるに決まってるだろうが!」
「まあ、それは置いといてだ。早くはやてを解放しな、じゃないとかなり切ない目に合うぜ?」
「それは出来ない、私には主の願いを叶えなければならない…」
「暴れるのがはやての望みかよ? なら力ずくで止めさせてもらうぜ」
「……お前は何故戦うのだ? 魔道師でもないお前に勝ち目は無いぞ?」

憂いと悲しみに満ちた瞳で山本を見つめる闇の書の意思、覆しがたい戦力差だが山本は不敵な笑みを見せる。

「ふっ……俺を誰だと思ってやがる!! 萌えの申し子、山本一番星!! 萌えっ娘を守るためならば命なんぞいくらでも捨ててやるぜ!!!!」


こうして妄想戦士達と闇の書との壮絶な戦いが始まった。

続く。
40Strikers May Cry:2008/02/13(水) 02:41:36 ID:8Zf4trPK
投下終了です。

まあ、山本ならばこれくらいは造作もないでしょう。
っていうかこの面子では数的に萌玉を作れないんだよな、フィニッシュブローをどうしようか。
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 02:43:29 ID:R8bWbi8g
クソッ!変態ばかりだ!なのに清々しい・・・


GJ
42AK:2008/02/13(水) 03:04:14 ID:yAFFMyFp
すまん。目の前で火事未遂が起こりかけてて支援出来んかった。
とりあえず乙
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 03:39:56 ID:5P+ECDEv
GJ!!
山本なら出来てしまいそうなところがすばらしい…ww
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 08:02:09 ID:2Jpd0V0Y
次元の壁を越えて萌えを集めればいいじゃない。
45スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 08:06:23 ID:r6M8RPbx
さてと皆様GJです。
早く超外伝でも書きたいね。
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:04:38 ID:oVbwb5fz
>40
乙。

つ 「十年後の眼帯少女のための萌え」
>42
だ、大丈夫……でしたか?
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 11:24:06 ID:5P+ECDEv
>>40
その場合は漢玉ではどうだろうか?
浪漫回路を解禁してゴッドブレス浪漫炸裂拳を打ってもいいのではないでしょうか?
48スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 14:54:33 ID:r6M8RPbx
えーと、3時半ごろに反目さんの影響を受けて出来た、スパロボXの超外伝を投下しようと思います。
内容は「もしもスパロボXの世界が魔法(チェンジ!!)リリカルなのはA’Sの世界と同じだったら」で
スパロボXの第6話を元にしております。よって一部の文章は第6話から引用している部分がありますのでご了承下さい。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:59:36 ID:2Rsn72X7
ウロスの方にもレスしたが
総容量と分割予定数を申告するのだ
さるさん対応の良き実験にもなる
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:11:04 ID:PJyLrN78
>>26
え?

・・・・・・あ!

なんだ・・・・・・キャスバル専用ガンダムが一瞬、キャロスバル専用ガンダムに見えたww
51スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:13:18 ID:r6M8RPbx
>>49
なるほど、確かに参考になりますし、いい実験かもしれませんね。
調べたところ14KBになります。
分割予定数は8ですが、多くなるかもしれません。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:29:21 ID:88nqNtsu
スパロボx氏の投下の前に……。
>>40
GJ!
鏡二!同意見だぜ!
53スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:30:52 ID:r6M8RPbx
投下いくぜ!支援を頼む!

 宇宙には様々なものがある。その人物がいるかいないか、その技術があるかないかと宇宙によって違いは様々である。
 もしスーパーロボット大戦Xの世界が魔法少女(チェンジ!!)リリカルなのはA’Sの世界とが同じだったら少しは違う再会があるかもしれない。
 この話はミッドチルダに現れたあるロボットとそのパイロットと機動六課の一部のメンバーとの再会を描いた物語である。


 超外伝 休日と新たなる波紋(後編)改め、再会の真ゲッターロボ!


 機動六課はミッドチルダに現状報告をするため「シャイニングガーディアンズ」の一部のメンバーを連れミッドチルダへと戻り、
 ミッドチルダに戻ってから一週間が経ち、事態は進展を迎える。
 「シャイニングガーディアンズ」はレリックを運んできた謎の少女とレリックを保護し、機動六課本部にとヘリで輸送していると、
 そのヘリは「シャイニングガーディアンズ」の敵ジェイル・スカリエッティの作り出した戦闘機人ナンバーズの攻撃を受けようとする。

 機動六課本部ではその砲撃のエネルギーが観測されていた。

「市街地にエネルギー反応! 大きい」
「そんなまさか!?」
「砲撃のチャージ確認! 物理破壊型推定Sランク!」
「何!?」

 シャーリー達の突然の報告にゼクス達は驚いた。

「インヒューレントスキルヘヴィバレル発動!」

 クアットロはルーテシアを通して何かを言い始めた。

「「逮捕はいいけど」」
「「大事なヘリは、放って置いても、いいの?」」
「!? しまった」
「「あなたはまた、守れないかもね」」
「!!」

 その時ヴィータの頭にはあの時の記憶が甦った。8年前なのはを守れず死なせかけてしまったあの時を・・・。
 そして、ヘビィバレルが発射されヘリに当たろうとしていた。
 しかし、なのはの限定解除が承認され、エクシードモードを発動させなのはは間一髪ヘリの前に出てきたが、なのはの前に突然次元の裂け目が現れ、何かが出てきた。
 巨大な何かが・・・。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:34:18 ID:88nqNtsu
支援よん
55スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:35:40 ID:r6M8RPbx
 ヴィータは何故ルーテシアが8年前の事を知っていたのか聞き出そうとしていたが、レリックケースを持っていたエリオにセインが襲い掛かりケースを奪い、そして隙を見てルーテシアを連れ去った。
 そして、逃げられてしまいヴィータはヘリが落ちていないか確認を急いだ。
 ヘリは無事に守られていたが守ったのはなのはではない。突然現れた巨大ロボット、真ゲッターロボであった。

「どこだ!? ここは!?」
「少なくとも俺達の知っていた世界や宇宙じゃなさそうだな」
「隼人、それはどういうことだ?」
「空を見てみればわかることだ」

 流竜馬と車弁慶は神隼人にそう言われて空を見ると、昼間のはずなのに星がたくさん見えるではないか。
「なるほどな」と言い竜馬と弁慶は納得した。
 クアットロとディエチはボロボロの真ゲッター1を見てつぶやいた。

「あのロボット始めて見るけど、何者なのかしら?」
「少なくともドクター達が知らないロボットだと言う事だな。それにしても随分ボロボロだな」
 真ゲッター1がボロボロなわけはヘビィバレルが当ったためではなく、自分達の宇宙に来たインベーダーを倒すために真ドラゴンのゲッター炉心となってシャインスパークを発動させ、
 その反動に耐えられずに起こった事でディエチによるダメージはほとんどない。(両腕はシャインスパーク発動前にファイナルゲッタートマホークを使った反動でないだけだ)


 なのはとフェイト、遠くで見ているはやて、ヘリに乗っているシャマル、近くにいるリインフォースは驚きを隠せない。

「主、これは……」
「嘘やろ……」
「でもこれって……」
「フェイトちゃん、はやてちゃん、シャマルさん、リインフォースさん……。これ私の見間違いじゃないよね……」
「うん、これは間違いないよ……」
「「「「真ゲッターロボ……」」」」

 なのはの目の前にいるのは大きさは違うが10年前の闇の書事件の時に共に戦った真ゲッターロボがあるのだ。
 竜馬はモニターで周りを見回すとある事に気付く。それは少し前に自分があったことがある人間、高町なのはとフェイト・テスタロッサが空にいるからである。

「お前……、なのはか?」

 竜馬の声になのはが反応する。

「その声……、やっぱり竜馬さん!?」
「ふ、どうやらなのはのようだな」
「竜馬、どういう事だ?」
「俺達に説明してくれないか?」

 事情がわからない弁慶と隼人が竜馬に尋ねる。

「後で詳しく教えてやるよ」
「失礼だがなのは一尉にフェイト執務官、あの二人を追わなくていいのか?」

 ゼクスがなのはとフェイトに砲撃したディエチとそれを指示したクアットロを追うように言う。
56スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:38:34 ID:r6M8RPbx
「ああ、すいません」
「竜馬さん、また後で……」

 なのはとフェイトは真ゲッターを後にして逃げようとする二人を追う。

「待て!」
「竜馬、真ゲッターは今まともには動かんぞ」
「ち、仕方ねえ。真ゲッターを降ろすぞ」

 そして竜馬はボロボロの真ゲッターを地上に降ろし、コックピットから外に出る。
 その前にはリインフォースが立っている。

「お前は、リインフォースだったな……」
「流竜馬、久しぶりだな……」
「ああ、それより今はなのは達を追うか……」
「だったらこれを使え」

 リインフォースは竜馬にあるものを投げ渡す。

「これは……、真ゲッターのデバイス」
「そうだ、お前がいなくなった後大事に保管されて改良もされている」
「ふ、今はこっちの真ゲッターは動かねえからこっちの真ゲッターでも使わせてもらうか……。
隼人! 弁慶! とりあえずお前達はここにいろ!」
「竜馬どうするつもりだ?」

 隼人が竜馬に尋ねる。

「俺もこれ使って追いかけるだけよ」
「それは一体なんだ?」
「まあ、見てろって……。チェエエエエエエエンジ! ゲッタアアアアアアアアアア! 1!!」

 竜馬の叫びにデバイスが反応し光が竜馬を包み込み、光が消えるとそこには小さな真ゲッターの姿がある。

「リインフォース! お前はここで真ゲッターを見ていろ!」
「わかった……」
「行くぜええええええええええ!!」

 竜馬はものすごいスピードで空を翔る。

「あれは一体……?」
「私が説明しよう」

 リインフォースは隼人と弁慶に事情を話す。
 竜馬は竜馬達のいた地球で起こった13年前に真ドラゴンに向けての重陽子ミサイルの爆発の影響で開いた次元の裂け目に入り、
 この宇宙での10年前のなのは達のいた地球に竜馬はゲッター線の影響もあり飛ばされてしまい、竜馬はそこでなのは達と会い、
 自分の中にあるゲッター線で出来たリンカーコアを利用してゲッターロボをデバイスにし闇の書事件に協力、事件解決後すぐに自分のいた宇宙にと帰ったことを……。

「竜馬の奴、そんなことがあったなんてな……」
「つまり竜馬にとっては俺達の13年が一ヶ月でここでの10年があいつにとっちゃまだ2、3週間くらいだろうな……」

 その言葉にリインフォースは心で思う。

(あいつは私達と違って時間に取り残されたのだな……)
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:40:50 ID:88nqNtsu
なんか悲しい感じ……支援
58スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:42:24 ID:r6M8RPbx
 なのは、フェイト、ウイングガンダムゼロに追われていたクアットロとディエチが捕まりそうになったがトーレの乱入により、
 クアットロとディエチはその場を逃れる。

「トーレ姉さま……」
「まったく、様子を見に来ただけだったがまさかこんな事に……」
「トーレ姉さま、どうしたんですか?」
「二人とも伏せろ!」

 トーレが二人を無理矢理伏せさせる。そしてその上にはトマホークが過ぎ去り、ビルに突き刺さる。

「ち、避けやがったか!」

 それは竜馬の真ゲッターが投げたトマホークであったが、トーレは何とか気付き避けたのだ。

「こいつ私の動きを読んでいたのか。クアットロ、ディエチ、お前達は逃げろ」
「でもトーレ姉が……」
「いいから逃げろ!」

 その言葉にクアットロとディエチは逃げようとする。

「逃がすかよ!」

 竜馬は二人を追おうとするが、トーレが阻もうとする。

「邪魔すんじゃねえ! トマホーーーーーク、ランサーーーーーーー!!」

 竜馬の真ゲッターから大量のトマホークが出されるが、トーレはそれを巧みに避ける。

「何!?」
「はあああああああ!」

 トーレの拳が竜馬の真ゲッターを叩き付ける。

「うおわ!」

 真ゲッターは地面に落とされ、トーレはその隙に転送魔法で逃げる。

「くそ! 逃げられた!」


 アジトに帰ったナンバーズとルーテシアとアギトがケースを確認すると中は空であり、レリックはキャロの帽子の中に隠れていたのだ。
 無事レリックを守り任務も終わったと思ったその時新たなる熱源が察知された。
 それとともにやってきたのはキャスモドン、ファルゴス、ザリオスを大量に引き連れた、デビルサターン6とディオンドラとアシュラのギャンドラー一味であった。
 しかし、ギャンドラーは2年前の戦争で倒したはずの敵であった。それが何故ここにいるのかは不明であった。

「そのハイリビードを渡してもらおうか」
「ハイリビード? これはレリックだ! そのハイリビードってやつじゃねえ!」
「ふん、名前などどうでもいい。それがハイリビードと似たような効果があるらしいからな。とにかく渡してもらおうか」

 アシュラがレリックをハイリビードと言い、ヴィータが違うと言うがそれでもギャンドラーはレリックを奪いに来る。その時!

「待ていっ!!」
「!?」
「おい、この声って」
「ああ、あの男のようだ」

 デュオがトロワに聞くとそうだと言った。
59スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:45:01 ID:r6M8RPbx
「世の中には2種類のやつがいる。平和を愛しお互いを助けようとする者と戦争を好みお互いを憎みあおうとする者。
だが、愛を貫き通した者にしかすばらしい未来は訪れん。人、それを幸福と言う」
「何者だ!?」
「貴様らに名乗る名前はないッ!」

 その声がどこからか探すと高いビルの上にいたのは1人の男であった。

「お、お前は!」
「誰だあの野郎は?」

 デビルサターン6が驚き、竜馬が聞くとカトルが丁寧に教える。

「あの人はクロノス星のクロノス人で天空宙心拳継承者のロム・ストールと言います」
「かっこいい」

 スバルはロムの登場とセリフにかっこよさを抱いた。

「ロム、まさかお前までくるとはねえ」
「貴様ら、何故ここにいる!? 2年前に貴様らは俺達の手で倒したはず!?」
「あほか、ワイらは倒されてもないし、2年前はお前と会っとらんちゅうに」
(どういうことだ?)

 デビルサターン6の言葉に戸惑うロムだがそれでも彼はギャンドラーを倒すのは変わりない。そして、レイナ、ジェット、ドリル、ジムも来た。

「全員来たようだね。返り討ちにしておしまい!」
「待てぇい!」
「!?」
「え、兄さんはここにいるのに?」
「この声からすると」
「多分、彼ですね」

 ギャンドラーが再び驚き、レイナ達も驚いたが、五飛が冷静に考え、カトルも答えがわかった。

「何度やられても、再び正義と戦い敗北する悪しき者達よ、その行いを考えろ! 人、それを馬鹿者と言う」
「誰だ!? 貴様!」
「お前達に名乗る名はない!」

 その声の主を探すとまたしても高いビルの上にいた。

「今度は誰ですか?」
「もう、ジョウさんったら兄さんの真似をして」
「いいじゃねえかよ。俺だってあんな出方をしてもよぅ」
「生意気なガキだな……」

 リインフォースUが聞こうとしたらレイナが答えた。彼の名はジョウ・マヤ。飛影の搭乗者である。
 そのジョウの登場に竜馬は少しあきれる。

「ロム、久々にいっちょやるか!?」
「ああ、剣狼よ! 勇気の雷鳴を呼べ!」

 ロムが叫ぶと突然剣狼が現れ、それと同時にケンリュウも現れた。

「闇ある所、光あり。悪ある所、正義あり。天空よりの使者ケンリュウ参上!」
「へ、俺も行くぜ!」

 ジョウが叫びながらナイフをかざすと突然どこからともなく飛影が現れ、ジョウを取り込んだ。

「生意気な! 全員やっておしまい!」
「よくわかんねえが、やってやるか!」
60スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:46:01 ID:r6M8RPbx
 ディオンドラがそう言うと妖兵コマンダー達が皆を襲うが所詮は雑魚、攻撃を難なくかわされ飛影のマキビシランチャーで倒されたり、
 デスサイズヘルのビームシザース、サンドロック改のヒートショーテル、アルトロンガンダムのツインビームトライデント、真ゲッターのゲッタートマホークで切り裂かれたり、
 ウイングゼロのバスターライフル、トールギスVのメガキャノン、なのはのエクセリオンバスター、フェイトのトライデントスマッシャーで消滅したりと
 ゴッドガンダムの爆熱ゴッドフィンガーで砕かれたり、ヴィータのグラーフアイゼンに叩かれたり、
 スバルのリボルバーシュート、ティアナのクロスファイヤーシュート、ヘビーアームズ改のミサイル攻撃により吹き飛ばされたりと、簡単にやられてしまった。

「仕方ない、全員撤退」

 ディオンドラはそう言って残ったメンバーとともに全員撤退して行った。

「さてと、今度こそ任務は終了だな」
「そうだね。それと竜馬さんお久しぶりです」
「ああ、久しぶりだなお前達……」

 竜馬は真ゲッターのデバイスを解除して元に戻る。竜馬を知る者達は再会に浸る。
 ドモンやプリベンダーのメンバー、ロム達やジョウはもちろん、機動六課のメンバーでも竜馬の事を知らないのでリインフォースUが声をかける。

「あのなのはさん達とはどういう関係ですか?」
「何だ、このリインフォースによく似てるチビは?」
「チビって言わないで下さいです!」

 竜馬の言葉にリインフォースUが機嫌を損ねる。
 その言葉を聞いていたリインフォースが念話で竜馬に話す。

「私の妹だ」
「お前の妹ね……」

 竜馬はその言葉を特に考えなかった。

「まあまあ、リイン。そう怒らないの。竜馬さんとりあえず一緒に来てくれませんか?」

 なのはが竜馬を機動六課本部に来るように頼む。

「そうだな……、とりあえず一緒には行ってやるけど、その前に隼人達待たせてるし、真ゲッターも運びてえから手伝ってくれ」


 「シャイニングガーディアンズ」はボロボロの真ゲッターをガンダムなどの協力で何とか機動六課本部まで運び、
 ロム達やジョウの話を聞いた後、ゲッターチームと話をする。

「そうですか……。あれからもう13年経ってたんですか……」
「ああ、でも驚いたぜ。こっちも10年経ってるなんてよ。俺だけ年取ってねえって変わってるな……」

 竜馬は笑いながらはやてと話す。

「ところでこの宇宙にはゲッター線はあるのか?」
「隼人、この世界にはゲッター線はないぞ」
「いや、それが今シャーリーに調査してもらったけど何故かこのミッドチルダや地球それにさっき言ったもう一つの地球の方にもゲッター線があるそうです……」
61スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:46:47 ID:r6M8RPbx
 その言葉に竜馬は驚く。

「何だと!? だが10年前に俺が来た時はゲッター線は俺の中にしかなかったはずだ!」

 そうである。10年前はゲッター線は竜馬の体にあるゲッター線で出来た特殊なリンカーコアの中にしか存在していなかったのだ。

「と言うことは……、その地球と繋がった事でゲッターがある宇宙と何らかの繋がりができてこの宇宙にゲッター線が出てきたと言うことか?」

 隼人がはやての言った言葉に答えを出す。

「そうかもしれません……」
「話は変わるが、あなた達に聞きたいのですが……」
「何ですか?」

 ゼクスがゲッターチームに尋ねる。

「出来れば、我々に協力をしてもらいたいのです」
「と言いますと?」
「今このミッドチルダだけじゃなくて私達の地球や繋がった地球が大変なことになるんです。もしかしたら竜馬さん達のいた地球も……。
お願いです。協力してください!」

 はやてが必死に頭を下げて竜馬達に頼む。

「どうするんだ? 竜馬」
「俺はのってやるぜ。10年前に世話になったしな……」
「竜馬さん……」
「だったら話は早い。俺ものろう」
「俺もだ……」
「隼人さん、弁慶さん……。ありがとうございます!」
「気にするなよ。俺達の宇宙もまずいんじゃ折角インベーダーを倒したのに意味がなくなるし、どうせあっちに帰ったところで暇になるだけだしよ……」
「それは言えてるな」
「というわけだ、よろしく頼むぜ! はやて!」

 こうしてゲッターチームは「シャイニングガーディアンズ」の仲間になるのである。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:49:00 ID:88nqNtsu
支援
63スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 15:50:22 ID:r6M8RPbx
投下完了。リインフォースがいるのはチェンジ!!リリカルなのはA’Sの続編だからです。
ちなみにリインフォースUがいるのは設定中ではヴィータが妹が欲しいということやもう一つユニゾンデバイスを作ろうとはやてが考えたためだと思ってください。
さてと新作ネタが思いついてないな。次何を書こうかなって思ってもロボットアニメ系しか思いつかない。
バレンタインネタを書きたくても参戦作品がほとんど恋人持ちだからなのは達の僻みしか書けない…。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:56:14 ID:88nqNtsu
GJ
やっぱり再会物はいいな。心が温まる。
でも真・ゲッター参戦でさらにえらい事になるw

バレンタインネタは竜馬達にはミチルさんがいたっけ?
ここにはいないから、チョコを渡す分には問題はないと思うが。
色々変わって面食らう竜馬を想像すると楽しいw
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:01:15 ID:3oPVdeUq
>>64
チェンゲのミチルさんは故人なんだぜ・・・・・・・・・・しかもえぐい
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:04:23 ID:5P+ECDEv
>>65
インベーダーに寄生されて、それを外に出さないためにゲッター変形を無理やりに解除して圧死だったな
67スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 16:05:31 ID:r6M8RPbx
>>64
>でも真・ゲッター参戦でさらにえらい事になるw
すいません、真ゲッターは最初からスパロボXの参戦作品に入れてますよ。
これはスパロボXに出てきた真ゲッターがクロスものとつながっていたらの話ですよ。
本編のスパロボXの第6話でちゃんと真ゲッターは出てますからご確認ください。
>色々変わって面食らう竜馬を想像すると楽しいw
それは想像しにくいな…。やっぱり今回はパスですね。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:08:06 ID:88nqNtsu
>>67
おお、失礼した……。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:26:30 ID:Nbp45znw
ずっとコテハンで行くならいいかげんトリップぐらい付けろよ・・・
70仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:25:35 ID:XvxPtRIC
今まで投下された作品にGJを送ります。
さて、10分後にデジモン・ザ・リリカルS&Fsideofspirit投下したいけど良いですか。
71リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 18:36:15 ID:NHKgNi17
じゃあ、自分はその次くらいにバレンタインネタ短編を
72仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:36:36 ID:XvxPtRIC
さてそろそろ投下しますか。支援お願いします。
73仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:39:00 ID:XvxPtRIC
では、投下いきます!

デジモン・ザ・リリカルS&Fsideofspirit 第二話
「炎の闘士」

何処までも続く荒野の中をユーノとエリオは走っていた。ユーノは余裕綽々だがエリオは既に息が上がっていた。

「ハァハァ、ユーノさん速いです」
「何言ってるんだこんなの普通じゃないか!」

息を切らしながらも、エリオはユーノに言う。ユーノはどこぞのスポ根漫画のごとくエリオを特訓しながらも旅を続けていたのだ。
その理由は、一時間前のことである。
エリオにユーノはスピリットについて説明したのだ。
スピリットとは、古代デジタルワールドを救った十体のデジモンの力そのものでそれぞれ2種類あるのだ。ユーノの力はいわば、古代十闘士の力を借りているというものである。

「何故、僕らがこの力を使わないといけないか。それは今、デジタルワールド、いや全世界が崩壊の危機にさらされているからだ」
「じゃあ、ユーノさんはその為に…」
「そんな大層な理由じゃないんだ…。ただ、大切な、とても大切な人を守りたかっただけさ…。エリオは、何の為に戦ってるんだ?同じだろ。ただ、大切な人達を守りたい。それだけだろ」
「あ、そうか、そうですね」
「大切な人や皆に笑っていてほしい。だからこそ僕は戦うんだ」
ユーノの話を聞いてエリオは考え込んだ後、何かを決心した様子でユーノに頼み込んだ。

「ユーノさん!」
「何、改まって」
「お願いします!僕を強くしてください!」
「何の為に?」
「皆の笑顔を守りたいそれだけです」
「分かった。けど、特訓はキツイよ?なんたって師匠直伝だからね覚悟してね?」
「はい!頑張ります。」

そして今にいたる。
74仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:42:01 ID:XvxPtRIC
今のエリオの身体はとてつもなく重い。疲れたからではなく、本当に重いのだ。エリオの両手両足には五キロのアンカーが付けられ、背中には十キロのマントを纏っているのだから。

「ユ、ユーノさん?お、重いです」
「何言ってるんだ。この程度で!これでも、僕の四分の一以下なんだからね!」

ちなみにユーノもエリオと同じで両手両足にアンカーを付けたりしているが、両手両足のアンカーは二十五キロ、背中のマントは百キロで、約二百キロを軽々と装着し、まるで、付けてないかの様に振る舞っている。

「そんなことより、ほら見えて来たぞ。アレが『炎の街』だ」

ユーノが指差した先にあったのは目的地であり、火のスピリットの眠る場所、『炎の街』であった。そこには、デジモン達が平和そうに暮らしていた。特に一際目立っているのは大きな駅であった。その駅は『炎のターミナル』と言い、各地を走る、トレイルモンの駅の一つである。

「早く、スピリットが安置されている場所に行かなきゃな。そこまでダッシュだ!」
「ほ、本気ですか?」
「本気」
「ハァ…」

エリオは諦めた。これ以上言っても無駄だからだ。
75仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:44:52 ID:XvxPtRIC
「これは、酷い…」
「そんな…」

外から見ると平和そうに見えていたのだが、実際、街に入って見るとそこらじゅうの建物があるものは崩れ、あるものは燃え盛っていた。

「あんたら、人間だね。旅人かい?」
「わ、あなたは?」

ユーノ達が荒れ果てた街の様子を観察していると、後ろから声が響いた。そこには、ゴツゴツした岩のようなデジモンが居たのである。

「スマン、スマン。久しぶりに人間にあったもんでつい。わしゃあこの街を仕切っとった、インセキモンと申します。以後、お見知りお気を」
「あ、どうも。僕は、ユーノ・スクライアと言います。で、こちらにいるのが一緒に旅をしているエリオです」
「エリオ・モンディアルです!ヨロシクお願いします!」
「悪いことは言わん。早く、ここから逃げたなさい」
「待ってください、インセキモンさん、何が起こったんですか?」
「説明が必要じゃのう。あれは、三日前のことじゃった。近くの岩山に住み着いとる、ケルベロモンが突然、街を襲ったんじゃ!何でも『力を試すんだ』と言ったらしい」
「それで、こんなに街が荒れてるんですね」
「その通りじゃ…」
「街の人達はどうしたんですか?」
「皆、避難したよ。ここにおるのはわしだけじゃ」
「何で、ずっとここに居るんですか?」
「ワシには此処しか無いんじゃよ。」
「それも終わるんだなぁ!」

インセキモンが話していると、その場に声が響いた。ユーノが声が聞こえた場所を見ると三つの首を持つ黒きデジモンがいた。

「ケルベロモン、まだ壊し足りんのか!」
「まだだ、まだ焼き足りねぇんだよぉ!」
「外道が…」
「何だ、文句でもあんのか。俺は強くなったんだ!強さこそ全てだ!」
76仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:49:21 ID:XvxPtRIC
「強くなった?笑わせるんじゃない!貴様は弱い、心も覚悟も意志も弱いんだ!」
「そうかよ、まあいい。俺は忙しいんでな。いけ、野郎共!」

そう言ったケルベロモンの周りには大量のクワガーモンがいた。

「じゃあな!」
「待て!クッ、まずはこいつらか!二人共下がってて!スピリットエボリューション」

その声と共にユーノはヴォルフモンとなりクワガーモンの大群へと挑んでいった。ヴォルフモンはとてつもない強さでクワガーモンを蹴散らしていくが何せ数が数だ。時間がかかる。その間にケルベロモンは、口から火を放ち、次々と建物を燃やし尽くした。

「燃えろ、燃えろ、燃え尽きろぉ!」
「止めろ、止めてくれ!」

ケルベロモンが街を燃やし尽くす中、エリオは己の無力を痛感した。

「僕は、何も出来ない。無力なんだ…」
「そうだ、無力だぁ!」
「でも、でも、目の前の命を全てを救いたいんだぁ!」

叫ぶエリオの心には、不屈の炎が燃え盛っていた。それに呼応するかの様に、エリオのディースキャナが真紅の光を放った。
その瞬間、エリオの周りを灼熱の業火が包んだ。

「この…、ウオォ、あちぃ!」

ケルベロモンは攻撃しようとするが自らの身体が逆に焼けてしまった。エリオの目の前には赤き鎧、「火のスピリット」が現れ、エリオへと吸い込まれていった。そして、エリオは決意と共に叫ぶ!

「スピリットエボリューション」

刹那、エリオの身体は赤き炎に包まれ、その身に、古代十闘士『エンシェントグレイモン』の力を宿す、火の戦士が誕生する。

『アグニモン』

アグニモンは地面に降り立つとケルベロモンを指差し宣言した。

「お前は、僕に勝つことは出来ない」
「ふざけんなぁ!くらえ、ヘルファイアー!」

77仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:52:55 ID:XvxPtRIC
ケルベロモンはアグニモンに向けて、地獄の業火を放つがアグニモンは片手で受け止めると、

「こんな炎は炎とも呼ぶに値しない」

そう言って一瞬で消しとばした。

「くそぉ!ふざけんなぁ!」

ケルベロモンが勢いよく飛びかかって来たが、アグニモンは回し蹴りで遠くに蹴り飛ばした。

「こちらからいくぞ、サラマンライダァーキック!」

ケルベロモンが突っ込んだ壁に向けて、ダッシュ。すると、炎の龍となってケルベロモンを更に吹き飛ばした。

「このまま…、やられてたまるか」
「これで、終りだ!サラマンダァーブレェェイクゥ!」

アグニモンはそう言うと回転しながら炎のキックをケルベロモンへと叩き込んだ。

「グギャアァ!」

そう言い残し、ケルベロモンはデジコードへと姿を変えた。そして、そのデジコードにディースキャナをあて、元の姿に戻ったエリオは言葉を呟きながらスキャンした。

「汚れた悪の魂を、このデジヴァイスが浄化する!」

ケルベロモンの浄化を終え、ユーノの元に走ると、ユーノは案の定最後の二体と対峙していた。

「ユーノさん!」
「来るな!これで終わらせる。」

すると、その右手には獅子の形にエネルギーが集まっていた。

「師匠直伝、獣王拳!!」
「ギャアァァ!」

右手から放たれた獅子の形をしたオーラは、二体のクワガーモンをあっという間に消し去った。

「ユーノさん!」
「大丈夫、何ともないよ」
「ありがとうございます。おかげで街が助かりました。お詫びと言っては何ですがしばらく泊まりなさい」
「いいんですか?」
「えぇ、どうぞ。丁度あの娘も帰って来たみたいですし」
「あの娘?」

ユーノとエリオが首をかしげると辺りに声が響いた。

「お〜い、インセキモンのおじいちゃ〜ん、戻りましたぁ!」

長老の視線の先にはショートカットの似合う一人の女性がいた。ユーノはそれを見た瞬間、スッコケた。

「おぉ、無事に戻ったか、エイミィ!」
「え、エイミィ(さん)!」


次回
デジモン・ザ・リリカルS&Fsideofspirit 第三話
「乙女旋風」

お楽しみに!
78仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 18:58:43 ID:XvxPtRIC
以上で投下終了でござんす。感想待っております。
79リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:14:35 ID:NHKgNi17
乙でした。

なんというか……うん、原作知らないのですごく感想つけにくいです。
分かる範囲ではユーノの口調がなんか違う気がします。
あとは今までご意見なさった他の皆様ではありませんが、
演出意図でも無さそうな所で地の文が少ない部分もやはり目立って感じます。
英字タイトルも例えば「S&F side of spirit」と、単語毎で区切った方が見栄えがいいかと。
感想つけるのは得意でないのでこの辺でご勘弁を……

では自分は30分過ぎからでしょうか。しばしのお別れを。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:15:21 ID:fn12xxs3
>>78
ユーノも活躍してくれるクロスSSって少ないから個人的にはアリガタイw
獣王拳というと、ユーノの師匠はアニメシリーズで泣かせるシーンに出てきたあの百獣の王か
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:17:21 ID:HSfLcpes
乙っす。
>師匠直伝、獣王拳!!
ユーノの師匠ってもしかしてあの人っすか?
82仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/13(水) 19:26:28 ID:XvxPtRIC
支援します。
>>79 ユーノの口調を変えた理由は、異世界に長期間いたことや、ユーノ自身の成長の証拠としてわざと変えてみました。ご勘弁を。また、英語は自らの英語力のなさが原因です。参考にします。
>>80 >>81
早速バレましたね。そのとおり何ですが、百獣の王は百獣の王でもデジタルワールドに五体しか確認されてない、称号を持ってる方です。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:32:29 ID:BFj3RHPC
そろそろかなー支援
84リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:33:45 ID:NHKgNi17
じゃあそろそろ行きますねー
バレンタイン性バイドの浸食力は異常だわ
85リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:35:43 ID:NHKgNi17
 
 ――バレンタインデー
    戦後間もない頃、進駐軍のバレンタイン大佐が
    飢えた子供達にチョコレートを配り歩いたという故事が元になった年中行事。
    「ぎぶみーちょこれーと」と唱えるとどこからともなくチョコレートが飛んでくるとされる。
                民明書房刊「究極蝶☆人 元ネタ大全集 〜ガセビア編〜」より抜粋


「ねぇ、なのは?」
「どうしたの、フェイトちゃん?」
「ばれんたいんって……何?」

 それは、異邦人の少女が発した他愛もない一言から始まった。



SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝 ショートステージ(略してSS)零壱
「バレンタインは女達の戦場なの!」



「ハイ皆さん、今日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます!」

 ――二月十三日 午後八時、喫茶「翠屋」厨房。

 このスレでは毎度おなじみの女性陣……フェイト、はやて、ヴォルケンの面々に
アリサ、すずかとその姉忍、さらには甘党女王リンディと能天気オペ子ことエイミィが
ずらっと雁首を揃えて高町家の女性陣三名の前に整列していた。

 ……アルフ? 犬にバレンタインネタはないだろ常考。
 衛生上の観点から動物を厨房に入れるわけにはいかないし、
チョコ食って中毒で死にかける犬なんぞどこぞの平行世界のザフィーラ一匹で十分だ。
 無茶しやがって。

「これはいったい何の集まりだ高町? 見たところ女性ばかりのようだが……
 私はここで大がかりな戦いがあると聞いていたが、どういう事だ?」
「た、戦い!?
 ねぇ、なのは……私、バレンタインの事について聞きたかっただけなんだけど」

 シグナムの発した相変わらず物騒な発言に、ざわつく厨房内。
 ……かと思いきや、高町家の面々と忍は慌てず騒がず落ち着き払っている。
 あくまでも「慣れたもの」といった感じで。

「そう、シグナムさんの言う通りだよフェイトちゃん。
 バレンタインは……バレンタインはね?」

 たっぷりと「タメ」をつくって無暗に緊迫感を煽るなのは。
 かと思えば、その母桃子や姉の美由希とともに
どこからともなく取り出したエプロンと三角巾を着用し始める。
 しかしその眼は異様なほどぎらぎらと輝いて、一種の威圧感を産み出していた。
 
「私達洋菓子作りに携わる者にとって、バレンタインはまさしく戦場なの!!」
「商業主義と言わば言え! 年に数度の稼ぎ時!」
「愛するあの人の元にハートを届けるお手伝い(有償)!
 それが喫茶・翠屋のバレンタインデー!!」
86リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:36:47 ID:NHKgNi17
 それはまさにジェットストリーム(黒い三連星的な意味で)。
 次女、長女、母の順に嵐のような熱のこもった発言がそれに続き、
アハハうふふと笑い声が聞こえてきそうな様子がさらにその不気味さを煽る。

「……と、言う訳でフェイトちゃん、みんな?
 今日は我が家のお手伝いに来てくれてどうもありがとー!」
「さ、あんまり時間が無いわ。すぐに用意して?」

 普段の彼女達らしくない有無を言わせぬ物言いに、一同に動揺が走った。

「いやいやいや、ちょう待って下さい桃子さん!
 なのはちゃん、わたしらこんなん聞いてへんかったけど?」
「そーよそーよ! フェイトにバレンタインの説明するんじゃなかったの!?」
「あたしはお菓子作るって聞いたから来たのに! 話が違うぞなのは!」

 さすがに数人のメンバーからいくらかの不満の声が上がったのだったが……

「はやてちゃん、お料理得意なんですって? おばさん助かっちゃうわー」
「バレンタインの説明はしたよ? ただし我が家流のだけどね」
「誤解だよヴィータちゃん! お菓子は作るよ! 殆ど売り物だけど」

 なかば抗議に近いその反論にも動じる事無く、返す刃で即座に意見は封殺されてしまった。
 よくよく見ると三人とも目が据わっている。
 これはヤバい。そう思い始めた頃にはドアは堅く閉ざされ、もはやのがれることはできない。
 もう無駄だろうと思いつつも、エイミィはか細い最後の抵抗を試みた。

「いや、けど私達基本的には素人ですよ?
 超一流の桃子さんがいるって言っても、私達じゃ足手まといになりませんか?」
「いいえ、そこが一番大事なのよエイミィちゃん!
 最近の原油高とかで材料費も高騰しちゃってね……
 この辺の子達はチョコを安物で済ませるようになっちゃったのよ」

 先程とはうって変わって今度はやたらとしおらしい態度を取り始めた。

「おかげでここ最近はテイクアウトの売れ行きも下がり気味。
 けど、おばさんは大事なバレンタインにまでそれじゃいけないと思ったの。
 愛する誰かのために贈るチョコは例え高級じゃなくても手抜きはダメ。
 つまり、手作り感こそが一番大事だと思ったわけ!
 細工の上手なプロの作った高級そうな一品よりも、
 多少不格好でもあったかいみんなの愛がこもった手作りチョコを皆に届けたい……ってね」

 しかし結局は最後まで熱く自らの思いを語ってしまった桃子の姿に拍手を送る影があった。
 彼女と同じく、母親としての顔も持つリンディだった。

「素敵だわ、桃子さん。ねぇ、皆さん……今日だけだから、私たちもお手伝いしましょう?」
「そういう事でしたら、喜んで!」
「なーんか無理矢理美談でごまかされた気がするんだけど……」
「お姉ちゃん、知ってて黙ってたでしょ?
 どおりでファリンもノエルも来なかった訳だよ……」
「まぁまぁ、たまにはいいじゃない」

 それが鶴の一声となり、しぶしぶと他の面子も用意を始める中、
ヴィータはまだ納得のいかない表情をしていた。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:37:01 ID:HSfLcpes
支援
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:37:45 ID:BFj3RHPC
ぎぶみーちょこれーと支援
89リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:38:12 ID:NHKgNi17
「けどさ、安いってったって、そんな大事なモノを金ですますような連中の手伝い、
 あたしはあんまり気がすすまねーな」
「あらヴィータちゃん、無論タダでとは言わないわよ?
 私の監修付きでお菓子作りのイロハを教えてあげるし、
 全部終わったら好きなだけ残ったお菓子、持っていっても構わないのよ」

 しぶとく文句をこぼしていたヴィータだったが、その一言を聞いた途端に
ぱぁっと顔が明るく輝き、見るからにそわそわと落ち着きのない様子を見せ始めた。

「マジで!? 聞いた、はやて? お菓子食べ放題だって!」
「あはは……よかったなぁ、ヴィータ。
 桃子さん、ごめんなさい。うちの子がお行儀悪うて……」
「いいのいいの、子供は元気が一番! 遠慮なんかしちゃダメよー?」

 ――ごめんなさい、その子多分生きて動いている年数だけならあなたよりずっと上です。

 はやてはその一言をぐっと飲み込み、てきぱきと手を消毒し始めた。
 料理は得意だがこの厨房は自宅のようなバリアフリー設計になっていない。
 その分、シャマルと相談して役割を分担しなければ。
 味音痴なシャマルはデコレーションと手伝いに回し、自分が調理。
 二人で一人分なら問題は起こらないハズ……と、はやては考えていた。
 この後に登場するスペシャルゲストさえいなければ。

「こんばんわー! 呼ばれて飛び出て武者丸様の登場やでーっ!」
「武、武ちゃ丸君!? なんでここに!?」
「んー、なんやよーわからんけど、桃子はんが来てくれ言うさかい……
 何の集まりなん、これ?」

 呑気な顔をしてはやてに質問する武ちゃ丸だったが、彼はまだここから始まる惨劇を知らない。
 気付いた時にはがっちりとその両脇をなのはと美由希に固められ、
鮮やかな手付きで近場の椅子に縛りあげられていた。 

「な、なんなんやこれは一体!?」
「ごめんね、武ちゃ丸君は実験台なの。
 料理の腕に不安がある人も多いし。具体的には家のおねーちゃんとか。
 今日はそこで心ゆくまで私達のチョコレートを味わってほしいの」
「逃がさないわよ、武ちゃ丸?
 美味しい一品ができたらお店での販売もあるから、みんな頑張ってね!」
「ちょ、姉妹二人してとびっきりの笑顔でんな恐ろしい事さらっと言いなや!
 って、ちょう待ちB太! なんやその遊星からの物体Xは!?」

 ヴィータが手にしているモノ。見た目は何かにチョコをつけた物らしいが、
不吉な気配が半端じゃない。悪しきオーラに満ち満ちている。

「あん? お前さ、タコ焼き好きだろ? だからチョコつけてみたんだよ」
「いや、それはアカンて! 常識的に考えてその組み合わせはオフゥ」

 ▼いちげき ひっさつ !
  むちゃまる は たおれた !

「あれ? はやてー、こいつ動かなくなっちゃったぞー」
「ヴィータちゃん、なんてわざとらしい……まだまだ私の試作品も控えているのに」
「いや待てシャマル、お前の『作品』もいろいろ危険だ。ここは私のをだな」
「うふふ、私の好みに合わせた超絶甘々チョコも用意したのに」
「殺す気? ねぇ、みんな武ちゃ丸本格的に殺しにかかってるよね!?
 リンディ提と……さんまで一緒になって!」
90リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:39:14 ID:NHKgNi17
 ヴォルケンリッターの息もつかせぬ波状攻撃と、伝説に謳われるリンディPresentsスィーツ。
 このままではさすがにヤバいと判断したエイミィは止めに入るが、
哀れにも彼女らが用意した「試作品」の数々は全て武ちゃ丸の胃袋に収まり、
例えるならヒキガエルが潰れた音に近いこの世の物とは思えない断末魔をあげて
武ちゃ丸は真っ白に燃え尽きていった。

「なのは……」
「何、フェイトちゃん?」
「私、よくわかったよ。バレンタインは女の戦場なんだね」
「そうだよ! だから、いっしょに頑張ろう!」
「もちろん!」
「その認識は……」
「激しく間違ってると思うの……」

 間違った知識を遥か異次元にまで広げている最中の二人を見て、
精根尽き果てた表情でアリサとすずかは感想を述べたが、誰も聞いている訳がなかった。

 女達によるバレンタインという名の果てしない戦いは深夜を越えてもなお続き……
 そして夜が明けた。



「……それでみんな目が死んでるんだ」
「そやねん。わたしら小学生組は早うにあがらせてもろたんやけど、
 結局シグナムやシャマルらは朝までずぅっと手伝わされてたみたいや。
 武ちゃ丸君は……正直アレ誰でもよかったんと違うん?」

 翌日、客でごったがえす店内を屋外のテーブルで眺めながら、
女子小学生組に合流したススム、シンヤ、ユーノ、クロノの四人は
白化を通り越して灰になった武ちゃ丸を抱えつつティータイムに興じていた。
 どうやらあの後もさんざん色々な味付けを試させられたらしい。
 ボディのところどころが本編の装備と違うトッキーは呆れた様子でそれを見ているが、
彼は昨夜起こったサバトのような出来事を知っているわけではないと武ちゃ丸を擁護しておこう。

「そういや店の中、バイトさんばっかで知ってる顔は士郎さんと恭也さんだけだな」
「けど、なのはのお母さんはさすがよね。徹夜したのにまだ厨房で追加分作ってるんでしょ?」
「あはは……おかーさんはその分、毎年閉店後にばたんきゅ〜だけどね。
 だから今日の晩御飯は私かおにーちゃんが作らないと」

 ユーノはなのはのその発言に少し疑問符を抱く。
 美由希の料理の腕は論外なので置いておくが、それでも一人足りない。
 それに気付くと正面に座っているなのはにその件を問いただした。

「士郎さんは?」
「おとーさん? えへへ……おかーさんの面倒見るのはおとーさんのお仕事だから。
 私達は二人の邪魔したらダメなの」
「はぁー……それも素敵なバレンタインよね」
「ラブラブだよねぇ」

 思わぬところでのろけ話を暴露されてしまった夫婦に中てられたのか、
ユーノとクロノは妙に落ち着かなさそうにしている。
 どうやらこの二人はフェイトと違ってバレンタインの実態を掴んでいたらしい。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:40:09 ID:HSfLcpes
こいつら悪魔だ!支援!
92リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:40:34 ID:NHKgNi17
「ほなみんな、ぼちぼち出してあげよか?
 そこに待ち切れへんでうずうずしてる人もおるみたいやさかい」
「あ、そうだね!」
「えーっと、あ、これと、これと……これ!」
「ま、ついでの義理チョコなんだしありがたく受け取りなさいよね?」

 話を切り出すはやてとそれに続くなのは。もはや示し合せているかのように自然な流れだ。
 それに続くは学校か塾で配るのだろうか、鞄の中にたくさんのチョコを詰め込んだすずかと、
あまりにもあまりにもなアリサ。そして……

「うん……はい、どうぞ。クロノ『お兄ちゃん』?」
「!?!?!?!? ちょ、ままままま待ってくれ、フェイト!?
 あぁ、まぁ……その、なんだ。感謝する、うん」

 最後となったフェイトのチョコより甘い囁きに、まだその呼び方に慣れないクロノは
しどろもどろになりながらも顔を真っ赤にしつつ受け取っていた。

「あ、う、うん! ありがとう、なのは!」

 ユーノよ、一応他の四人もお前に渡してるんだがなのは以外はアウトオブ眼中ですかそうですか。

「サンキューな、みんな」
「うわぁ……母さんや近所のおばあちゃん以外からチョコもらうのなんて初めてだ。
 みんな、ありがとう!」

 前々から女の子にはそれなりに人気のあったシンヤはもはや慣れたもの。
 逆にススムからは微笑ましくも新鮮な感動が伝わってくるかのようだ。
 そんなほのぼのとした光景を視界の端にやりつつ、トッキーは
本編未登場である白い丑のような奇妙な生物?に跨ったまま失神している武ちゃ丸に接近し、
その耳に普通なら嬉しい、しかし今の彼には死の宣告に等しい一言を告げていた。

「武者丸、女の子達がお前にもチョコくれるそうだが?」
「も、もうチョコはいらへん! 堪忍やで、シュシュムゥ〜!!」

 トッキーの一言にはね起きた武ちゃ丸は逃げ惑い、思わずススムに抱きついていた。
 そんな彼らの姿を見た子ども達は誰からともなく吹き出し、やがて全員が
腹の底から楽しげな笑い声をあげていた。当の武ちゃ丸を除いて、だが。
 やがて来る春の陽射しのような暖かい笑顔が、そこにはあった。
 街は、今日も平和である。


 〜おまけ〜

「……ところでさ、クロノ。どっちがなのはの本命チョコだと思う?」
「! そうか……そろそろ君とも白黒つけておかなければな、ユーノ」
「いっせーの、せで開けるよ。いい?」
「フン、かまわないさ。使い魔もどきの吠え面が目に浮かぶようだ」
「その減らず口も今日限りだと思うと感慨深い物があるね。
 じゃあ行くよ?」

「いっせーの、せっ!」

「……あれ?」
「同じ……だな」
「あの、なのは……ひょっとしてみんなに同じ物を?」
「うん、みんな大好きだから、みんな、みーんな同じチョコレートにしたの!
 ユーノ君も、クロノ君も、おとーさんもおにーちゃんもススム君もシンヤ君も、みんな!」
「あ、そ、そう……なんだ……ハハ……」
「……決着はまた先送り、か。やれやれ」
93リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:41:20 ID:NHKgNi17
 〜おまけ 2〜

 ミッドチルダ首都、クラナガンの外れに位置する墓地。
 リンディ=ハラオウンの姿は地球を遠く離れたそこにあった。
 墓石に刻まれた主の名はクライド=ハラオウン。かつて任務中に殉職した彼女の夫。
 死体すら残らなかった彼はこの下に眠っているわけではない。
 ……ないのだが、それでも渡す物があるとするならここに行くしかないと、
彼女は短い帰郷を果たしていたのであった。

「……あなた、地球では愛する人にチョコレートっていうお菓子を贈るって
 すてきな風習があるんですって。私も真似して二つ用意してみたの。
 一つはクロノに。そしてもう一つは……」

 手にしたバッグから、リンディは小さな瓶をとりだして墓石の上にそっとそれを置く。

「あなたは甘い物、苦手だったわよね? だからこれはちょっと特別製。
 カカオを使ったお酒なんですって。ちょっと反則かもしれないけど、原料は一緒よ?
 桃子さん……あっちでのお友達に教えていただいたの。
 グラスも二つ持って来たから、久しぶりに二人で乾杯しましょう。ね?」

 チンと快い音が辺りに響き、甘い香り漂う、しかしほろ苦いその茶褐色をした液体を
ゆっくりと飲み干したリンディは、忙しい日々に自分でも忘れていたかもしれない程の
最上級の笑顔をふわりと浮かべ、愛しい人にそっと囁いた。

「あなた……私は今日も幸せです。大事な息子や、色んな人達に囲まれて。
 いつか楽しかった事、悲しかったこと、私の全部を笑って話せるその日まで
 私は精一杯生きていきます。あなたに胸を張って自慢できるように……
 だから、安心してずぅっと見守っていてくださいね……」
94リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2008/02/13(水) 19:45:28 ID:NHKgNi17
以上です。
おまけ2は昨日一緒に盛り上がったリンディさんファンの同志へのささやかな贈り物。
原作の原作桃子さん風味で。

武者連中の影の薄さは原作が六月〜翌年一月までの半年間がストーリーの舞台のため、
バレンタインは本来どこにも入れられない話なので致し方なく候。

本編は……そ、そのうちどうにか。
最近の規制の厳しさのせいで前後篇になりそうですorz
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:57:41 ID:BFj3RHPC
GJ−!
女の戦場恐ろしいよ女の戦場。おまけにはきゅんと来た…。
本編も無理なさらず頑張ってください、と。
96反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 20:17:48 ID:vSrdj9d9
GJ!
いつも通りの賑やかな展開…かと思いきや、最後のリンディさんにホロリ…
二重で楽しませてもらいましたw

さて、そろそろ自分もバレンタイン小ネタを投下してもよろしいでしょうか?
…過去の職人諸氏と異なり、完全に小ネタなのですが…orz
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:20:42 ID:kQNc/TNu
GJ

しかし蝶人ってパピ・・・
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:22:06 ID:xQBkE/Ks
クランキー支援
99キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 20:24:14 ID:hzcGMSGM
全くバレンタインなど関係ない話を書き終えたオレも支援w
100反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 20:24:22 ID:vSrdj9d9
2/14 〜あの世界のあの人はいかにしてバレンタインを過ごしたか〜

CASE1:コードギアス 反目のスバル

2月13日の夜。
簡素なログハウスのキッチンには、スバルの姿があった。
「よぉーっし! 明日は年に一度のバレンタイン! 材料も調達してきたし、頑張るぞー!」
エプロンを身に纏い、三角巾も被って準備は万端。
夕食に忍ばせた睡眠薬によって、旦那もすやすやと眠っている。
発想が恐ろしいが、まぁスバルらしいと言えばらしいだろう。
キッチンのテーブルを彩るのは、色とりどりのチョコの箱。
「ん〜壮観♪ 何だか買ってきた量の半分くらいになってるけど、気にしない気にしない♪」
明るい口調で言いながら、スバルは鍋へと火をかけた。
さすがは主婦。未だ10代ながらも、慣れた手付きである。親御さんに見せてやりたい。
「まずはチョコを溶かして〜」
歌でも口ずさむようにしながら、ぼとぼととチョコを投入。
右手で鍋の取っ手を掴み、左手で(材料のはずの)板チョコを手に取り、食べる。
やがて手ぶらになった左手は、目もとをごしごしと擦った。
時間が時間なのだ。自然と調理は睡魔との戦いとなる。
原作中で彼女は「5日は寝なくても大丈夫」と言っているが、そんなもんはドブにでも捨ててしまえ。全ては萌えのためだ。
「うむむ…負けてたまるかぁ〜!」
気合いを入れて叫びながら、スバルはチョコをかき混ぜる。これでも起きない旦那が凄い。
やがてチョコは完全に溶けきり、それらが丹念に型へと流し込まれていく。
さらにマーブルチョコが散りばめられ、鮮やかに彩られた。
「うきゅ…ぅぅ…」
しかし、やはり眠い。
スバルの頭がうとうとと船をこぎ、目が開いたり閉じたりを繰り返し――やがて閉じる。
一瞬の意識の欠落。
目を覚ましたのはすぐ直後。
「…ふぇ…一瞬意識飛んでた…」
頭をふるふると振って、チョコを見やる。すると、
「…れ? 1個足りない…」
チョコが2つしかなかった。
今作ったのは3個。うち1つが忽然と姿を消していたのだ。
「…ま、いっか。10個作るし…」
今更1個消えようと大した損害ではない。
スバルは気にせず、チョコを冷蔵庫へと運んでいった。
そしてその過程で再び意識が飛ぶ。
「…はっ!」
覚醒すると、
「? また減ってる…」
101反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 20:26:06 ID:vSrdj9d9
.
そしてその後も眠気に押され。

その度にチョコが1つずつ消えて。

最後の分を型に流した直後に睡魔が襲い…



「…い…おい、起きろ」
「ふにゅ…?」
次に意識が戻った時には、心なしか肌に暖かい日差しが感じられて、目の前には旦那――ルルーシュの姿があった。
「やれやれ…夜通しチョコを作っていたのか?」
ため息をつきながらルルーシュが言う。
どうやらあの時、スバルは完全に寝に入ってしまっていたらしい。
倒れていた床から起き上がり、その目をチョコの型へと向ける。
しかしそこには…
「…ない!? そんな! 3つも一気に作ったのに!」
「口周りを触ってみろ」
「へ?」
言われるままに、スバルの指が自身の唇をなぞる。
付着していたのは、茶色いもの。
「…チョコ?」
「寝ぼけて食べるとは…まったく、お前の食欲には驚かされるよ」
そういえば、意識が消える度にチョコも1つずつ消えていた。
あの時のチョコは、全て自分が無意識のうちに食べていたということか。
そして、今度は3つが一気に消えた。
最後の3つ。
「………」
さっ、とスバルの顔から血の気が引いていく。
「…全部食べていたのか?」
「…ん…」
申し訳なさそうな様子で、スバルが頷いた。
なんという様だ。ルルーシュのためにあれほど意気込んでおきながら、結局自分が全部食べてしまったのか。
考えれば考えるほど、スバルはしゅんとしてしまう。
「…ほら」
と、不意に彼女の視線に飛び込んでくるものがあった。
見ると、それは覚えのないチョコの箱。それをルルーシュの手が持っていた。
「こうなると思って、俺が買っておいた」
世話のかかる奴だ。
そんな感じの笑顔を浮かべながら、ルルーシュが言う。
「あとで一緒に食べよう」
彼はそのままそれを机に置くと、自身も席についた。
チョコを――旦那の不器用な優しさを見届けたスバルの顔色が、ぱあっと明るくなっていく。
まったくたくましい奴だ、といった様子でルルーシュは苦笑いを浮かべた。
そして、声をかける。
「さ、今は先に朝食だ。…頼めるか?」
「…うんっ!」
102反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 20:28:07 ID:vSrdj9d9
CASE2:SHINING WIND CROSS LYRICAL

「基本俺達って、こういう話が回ってくること多いよなぁ」
どこか感慨深げにキリヤが呟いた。
その手には梱包がなされた2つの箱。
「キャラクター的に扱いやすいからですって」
片方はシーナからの。
「どんな形でも、こうして皆さんに会うことができるのはいいことよね」
もう片方はクレハからの。
「いーいっ!? それはあくまで義理なんだから、邪推は禁止よ!」
「はいはい分かってるよ…」
びしっと指を突き立てて怒鳴ってくるシーナを、キリヤは軽くあしらう。
さすがに幼なじみなだけあって慣れたものだ。しかし、それでもツンデレを見抜けない辺りはどうなんだろう。
「よう、随分とモテモテじゃねぇか」
と、そこへヴァイスが通りかかる。
「いやいや…そんなことないですよ」
「謙遜しなさんなよ。俺もティアナからお義理をもらったが、こんなちっこいの…」
「邪魔するぜ、キリヤ」
と、指でサイズを表現するヴァイスの台詞に割って入る声。
そちらを向くと、見覚えのある長身の竜人が歩いてきていた。鱗は氷のように透き通った青。
「ヒョウウン? 何でまたわざわざこんな所まで?」
「姐さんからこれを持ってくように頼まれてよ。ほら」
こいつは本当にセイラン王の自覚があるのだろうか。
そう思うキリヤを尻目に、パシリ全開のヒョウウンは、持っていた箱を次々と彼の手元に置いていく。
「前に、バレンタインっつう習慣を教えてくれたことがあったろ?」
「え? ああ、うん」
「つーわけで、キリヤの分のチョコを持ってきたんだ」
言い終えたころには、色とりどりのプレゼントの箱が並べられていた。
「これ…全部俺の?」
「おう。これが姐さんからで、これがフィリアスの姫さんから。こっちがゼクティとヒルダレイアで、これはヴァイスリッターの3人の…」
「堪忍袋の緒が切れたぁぁぁぁぁぁぁ!」
突然の絶叫。そして殴打。
「ぐぉっふうぅぅぅ!?」
盛大にキリヤは吹っ飛ばされる。
「な…何するんですかヴァイスさん!?」
「黙れ! 今日の俺は、阿修羅すら凌駕する存在だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「あぐっ! や、やめ…ぐはぁ!」
怒りに震えるヴァイスの鉄拳が、次々と容赦なくキリヤに叩き込まれていく。
…まあ、気持ちは分からんでもない。
「…俺、何か悪いことしたかな…?」
とは、ヒョウウンの弁。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:30:46 ID:NHKgNi17
中村悠一自重支援
104反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 20:31:22 ID:vSrdj9d9
CASE3:魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使

ロビー。
銀の長髪を持った美形の男と、青い毛並みを持った狼が、机を挟んでソファーに座っていた。
両者を隔てるのは、木製の盤。
「…バレンタインデーにチョコを多くもらえるのは幸せだ、と聞いたが…」
セフィロスが歩の中から1つを取ると、ぱちん、という音と共に進める。
「…どうやら嘘だったようだな」
「顔がいいのも考えものだな」
ザフィーラが同情混じりの声を上げる。
セフィロスのすぐ横に積み上げられていたのは、おびただしい量の箱、箱、箱。
「フォワードやはやてはともかく、女共全員に突き付けられようとは…」
「さすがに食いきれんか?」
言いながら、ザフィーラは鼻で飛車を器用に押した。
「そういうお前も、そこそこにもらっているじゃないか」
確かにザフィーラのすぐ側にも、6つの包みが置かれている。
「主と守護騎士達…それからリインから、日頃の感謝の気持ちだそうだ。後は、ヴィヴィオの分もな」
「犬科にチョコは毒だと聞いたが」
「変身して食えばいい」
ぱちん、ぱちん、と音を立てながら、男2人の会話は続く。
「ところでセフィロス」
「何だ」
「…お前、やることが済むまで帰れないと言っていなかったか?」
「………」
セフィロスは返事に詰まる。
彼がライフストリームに還ったのは12月で、まだクリスマスも来ていない。
彼のやることが、大変な用事であることは容易に想像できる。
よって、今ここにいるのはおかしい。
「…まさか、チョコをもらうために寄ったとか?」
「それは断じてない。はやてに呼ばれただけだ」
きっぱりとセフィロスは否定した。
「…お前も頭が上がらんな…」
「あれ相手には調子が狂う…」
「…言っておくが、セフィロス」
不意にザフィーラの声に、真剣な響きが宿る。
「何だ」
「…主を嫁にはやらんぞ」
「誰がいるか」
先ほどよりも更に強い語気。否、殺気すらこめられているかもしれない。
ともかく、そんな声でセフィロスは言う。
しかしその隙を突いてか、盤面では、
「残念、また私の勝ちだ」
「………」
詰まれていた。

その後、ザフィーラは読者の皆様が危惧したように盛大にぶっ倒れ、一命こそとりとめたものの、六課の面々を大騒ぎさせることになった。
余談だが、その時のセフィロスは、微かにどこか満足そうな笑みを浮かべていたとか。
105反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 20:34:11 ID:vSrdj9d9
投下終了。
描写こそされなかったものの、
溶けたチョコを平気ですするスバルと、宅配便のためだけに管理局の船を呼ぶホウメイは凄いと思うんだ。
…最強ちわちわコンビ…いや、何でもないです。

最後に一言。
バトロワ企画動き出しましたよ〜
106スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 20:44:07 ID:r6M8RPbx
ええーい!武者○伝さんも反目さんもバレンタインネタはGJです!
くそ、俺も書きたいよ…。というか今風呂上りで思いついてしまったのだが、
前言撤回は簡単なのだが、問題はバレンタインを潰そうとする人に問題がある。
その人物を書いたらある人の作品に影響が出るかも…。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:46:06 ID:xQBkE/Ks
GJ!!
豪華三本立てですね。
しかし、スバルとルルーシュはカワユイな〜。
キリヤ達は、色々諦めてますな〜。そして、ヴァイス君は良い嫉妬の炎をお持ちで。
最後に、セフィロスさんなにしてんすか!?
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:47:05 ID:lsfu7+gM
GJ!!
ルルーシュよ……。そこは唇についたチョコをなめ(ry

そしてセフィロス!この界隈ではそういっている奴ほど……。

109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:48:41 ID:lsfu7+gM
>>106
自分は見てみたいっす!!
110メタルサーガsts:2008/02/13(水) 20:59:33 ID:aBwCEU+z
武者○伝さんも反目さんもバレンタインネタはGJでした!
そしてザフィーラの無事に乾杯w
でも死に掛けても登場できるのと登場機会あたえられないのどっちが幸せなんだろうw
バレンタインはネタの宝庫ですね。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:13:20 ID:RSdvuB4X
数々のバレンタインネタGJ!

にしてもライダー関連クロスの職人様はこういうネタ扱いずらそうだなあ
ライダーって誰も彼も恋愛とは縁がない人間ばっかりだし
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:20:31 ID:IcCmCRRT
そこでアウレフとヴェイトの出番ですよ。
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:21:42 ID:ip7Wukfu
橘さんは小夜子さんが亡くなっちゃったし
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:25:34 ID:xQBkE/Ks
>>111
クウガの中の人にチョコの作り方を教えてもらい、なのはママにチョコを送るヴィヴィオ。
作り方を教えて貰ったお礼にクウガにもチョコを送るヴィヴィオ

これくらいしか思いつかない
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:02:12 ID:XQ0A/D73
>>111
ライダーもたくさんいるけど一番もてなさそうなのはやっぱり乾巧あたりだろうなあ
登場したばっかりのALLライダー氏はどうかわからんが
六課の皆からの好感度最悪な正伝氏はちょっとやばすぎる
チョコどころか爆弾が送りつけられそう
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:04:48 ID:lsfu7+gM
バレンタインと言えば、聖王教会での絡みはないのかな?
大々的に行ったりとか、カリムさんやシャッハさんが誰かに渡すのも良い。
117スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 22:10:59 ID:r6M8RPbx
さてと結局スパロボXのバレンタインネタを作ってしまい、即興で短いものだが出来ましたので
10時半ごろに投下したいと思います。
今回は結構キャラが壊れてますのでご了承ください。
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:11:48 ID:oVbwb5fz
>116
「3/14がさる聖人の命日であり、12/14には彼の従者達に依る聖なる報復(St.Vendetta)が」
「それなんて忠臣蔵?」
119スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 22:32:47 ID:r6M8RPbx
よし!投下だ!

 注意 この話は本編とは(完全に)無関係のパラレルワールドな話です。




 超番外編3 バレンタインでクライマックス!!


 宇宙新暦200年2月14日、ベイタワー基地ではとあるイベントが開催されていた。その名も「バレンタインパーティ」である。
 ちなみに司会は言うまでもないがシャーリーとサブロウタである。

「さあて、始まりました宇宙を越えてのバレンタインパーティを始めます!」
「イエエエエエエエエエイ!!」
「よっしゃあ! 俺の心はもうクライマックスだぜ!」

 デュオは相変わらずパーティになると性格が変わるというか赤い鬼が取りつくようにパーティを喜ぶ。

「デュオ、相変わらずだね……」
「でもデュオさんに上げる人っているのかな?」

 フェイトとはやてが考える。デュオにバレンタインチョコを本命でくれる人はきっといないだろうと考える。
 というか、機動六課以外のほとんど人は既に本命を上げる人が決まっている。
 しかしこれはパーティである。このパーティでは前日までに女性全員がチョコを作り、このパーティ当日男性全員にバレンタインチョコが渡るようにはなっているがそれが誰のチョコかはわからないようになっているのだ。
 ちなみに機動六課メンバーもチョコを作って出している。(罰ゲームの物としてシャマルのもいくつか忍ばせている)

「さああていきなりですが、ランダムチョコ配りといきましょ……」
「艦長! 大変です!」
「どうした!?」

 トーレスの言葉にブライトが反応する。

「たった今レーダーに正体不明の機体2機がこちらに向かっているとの事です」
「何だって!?」

 その報告に全員が驚く。

「とりあえず、モニターをこちらに回して!」

 シャーリーの指示でパーティ会場の広間のモニターを出す。

「今映像が入ります!」
120スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 22:35:07 ID:r6M8RPbx
 そこに映し出されたのはガンダムヴァサーゴチェストブレイクとガンダムアシュタロンハーミットクラブである。

「な、何であいつらがここにいるんだ!?」

 ガロードは驚く。あの機体はシャギア・フロストとオルバ・フロストのフロスト兄弟が乗る機体で二人とも既に自分達の宇宙で倒したはずの相手である。

「この話が本編と一切関係ないからな……」
「ヒイロ、現実的なことを言わないでくれ……」
「すまない」

 ゼクスの言葉にヒイロは謝る。
 ガロードはガンダムダブルエックスを駆り出して出撃し、それにあわせて一部の男性陣となのは、フェイトも出撃する。
 ガロードは通信を入れる。

「お前達! 一体何のつもりでここに来たんだ!?」

 その通信にシャギアが答える。

「決まっている。君達のパーティを潰しに来たのだよ」
「何だと!?」

 その言葉に一同は驚く。そして一同とフロスト兄弟は戦闘に入る。

「何でこんな事をするですか!?」

 戦闘中だがなのはがシャギアとオルバに聞く。

「世界が我らを黙殺し、女性達が我らにバレンタインチョコをくれないから我らは世界全てのバレンタインを滅ぼすのだ!」
「何て理由だ!」
「君達にはわからないだろう。カテゴリーFと呼ばれて女性からバレンタインチョコを一つももらえなかった僕達の気持ちを……!」
「めちゃくちゃな理由だな……」

 ジョウはあきれて物が言えない。というか聞いている人皆ジョウと同じ意見である。
 まあ、最初に言ったしヒイロが言ったとおりこれは本編とは一切関係がない。
 なので人の性格などがめちゃくちゃになる事はあるがここまでめちゃくちゃになるとは誰も思ってなかった。そんな中、フェイトは思う。

(この二人も私やエリオと同じFをつけられている。でもこの場合のFってどういう意味だろう……?)

 確かにどういう意味かは気になるが余計な詮索はやめる事にした。
 フェイトはシャギアとオルバに対して強く言う。

「あなた達は間違っている! そんなことでバレンタインを滅ぼそうとするなんて……、絶対間違っている!」
「ふ、女性である君に言われたくはないね……」
「本当に僕達の気持ちがわかっているとは思えないよ……」

 しかしシャギアとオルバはフェイトの言う事を聞く気はない。
121スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 22:35:53 ID:r6M8RPbx
「ガロード、気をつけて。その人達は世界すべてのバレンタインを滅ぼしても滅ぼしきれないほどの憎しみがあります」
「それって……」
「よっぱどバレンタインチョコが欲しいってことだよな……」
「もう君達に構っている余裕はない!」

 ヴァサーゴとアシュタロンは皆から少し距離をとる。

「あいつら何をする気だ?」
(……、あいつらまさか……)

 ヴァサーゴチェストブレイクとアシュタロンハーミットクラブと戦った事のある面々は嫌な予感がした。そしてその嫌な予感は的中する。
 ヴァサーゴが変形したアシュタロンの上に乗り、アシュタロンの上からはなにやらランチャーみたいなものがでてきて、ヴァサーゴの腹部と合体する。

「あれはサテライトランチャー!?」
「ふ、確かにこれはサテライトランチャーだ」
「でも今回はいつものとは違うよ。今回のは強力な熱風を発射するもの何だよ!」
「つまり、これで君達のチョコを溶かしてしまおうというのだよ」
「本当にめちゃくちゃだ」

 かと言ってこのまま特殊なサテライトランチャーを撃たれてチョコが解けたらパーティは丸つぶれである。
 ガロードはそれを阻止しようとする。

「さあ、兄さんやろう!」
「マイクロウェーブ、照射!」

 ヴァサーゴの方にマイクロウェーブが届く。その前にはツインサテライトキャノン(こちらは冷風仕様)発射準備に入ったダブルエックスが立ち塞がる。

「パーティは潰させはしない!」

 そしてダブルエックスにもマイクロウェーブが照射される。

「馬鹿な!? システムはこちらの手中にあるはず!?」
「兄さん!」
「こうなったらダブルエックスを撃つ!」
「でも、チャージが……!」
「構わん!!」
「やらせるかああ!!」
122スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 22:36:26 ID:r6M8RPbx
 ダブルエックスのツインサテライトキャノンとヴァサーゴチェストブレイクとアシュタロンハーミットクラブのサテライトランチャーが同時に発射され、
 お互い相殺されると思いきやツインサテライトキャノンの方が勝り、ヴァサーゴとアシュタロンを冷風が飲み込み2機は上空へと吹き飛ばされる。
 それに追い討ちをかけるかのようになのはとフェイトが追いかける。

「フェイトちゃん、久々にいくよ!」
「うん!」
「「N&F中距離殲滅コンビネーション! 空攻撃間ブラストカラミティッ!!」」
「「うわああああああああああ!!」」

 二人の合体技の広域攻撃により、ヴァサーゴとアシュタロンは光に飲み込まれ消えていった。

「終わったな……」

 こうしてフロスト兄弟によるバレンタインに悪夢を起こさせるのを阻止する事ができた。


「さああて、気を散りなおしてパーティをしましょう!」
 「バレンタインパーティ」は無事再開され、そしてメインイベントの「ランダムチョコ配り」が行われ、男性陣にチョコが配られた。

「うお! これは一体誰のかな?」
「うまそうだな、甲児! 俺のと取り替えろ!」
「やーだよーだ!」
(これがティファのだったらいいな……)
(エウレカのでお願いします!)
「それじゃあ、皆さんいっせいにチョコを食べてください!」

 男性陣がいっせいに配られたチョコを食べる。そしてシャマルや料理の苦手な女性(リョーコやユリカ)のチョコを食べて倒れるものが続出した。
 倒れたのは、ガロード、デュオ、ジョウ、ボス、甲児、忍である。(ちなみにヒイロも食べたがヒイロは倒れなかった)
 倒れた面々は心の中でこう思ったそうだ。

(こんな事ならあいつらに潰してもらえばよかった……)



 終わり
123スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 22:38:34 ID:r6M8RPbx
投下完了。すみませんね、あの二人の性格と言うか考え方をめちゃくちゃにしてしまって…。
しかし後悔はしていない。
後、まとめのほうに出来た超外伝のほうですが出来ればスパロボXとチェンジ!!りりかるなのはA’Sの間に設置しなおしてください。
これは普通に超番外編2の次でいいです。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:42:02 ID:R8bWbi8g
絵でもつければスパロボアンソロジー辺りにあっても大丈夫そうなネタだなwww
乙、文章読みにくいが心意気は良し
125キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 22:44:25 ID:hzcGMSGM
ぬぉ〜! 貴様ら〜バレンタインだからと浮かれたSSを投下しよってぇ〜GJだが(なに
しか〜し! 私のSSにはそんなものは存在しない〜連載の続きを投下してやる〜
空気など読めるものか〜HAHAHA……とりあえず11時15分辺りを予定。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:58:42 ID:ip7Wukfu
待ってました。最近更新早くてうれしい限りです。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:00:45 ID:6OePGYBc
いっちゃって
128スーパーロボット大戦X:2008/02/13(水) 23:01:53 ID:r6M8RPbx
>>125
OKですよ。ただし自分はもう寝ますので、リアルで見れそうにありません。
そこのところはもうしわけありません。俺が見るのは明日になります。それではおやすみ。
>>124
文章がそんなに読みにくかったかな?前よりはいいと思うのだが…。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:02:24 ID:czLaNDS8
支援
130キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:02:29 ID:hzcGMSGM
一応、こっちでも言っておこうかな? 
とりあえず長い予定なので、支援をよろしくたのんます。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:07:15 ID:rI7JtBSW
バイオベース支援
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:07:49 ID:HSfLcpes
支援砲火なら任せてくださいサー!
133リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 23:10:21 ID:7q77+m+l
支援用意!
船員は対萌防御をしろ! 左手にチョコレートを忘れるなっ!!
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:10:45 ID:6VWYIrdP
ダーク・ネクロフィア支援
135キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:13:37 ID:hzcGMSGM
あんまりお待たせするのも悪そうなのでそろそろ行きます〜支援よろしく〜
136キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:14:39 ID:hzcGMSGM
「やぁ、また会ったね」

「えっと……リニスさん?」

キャロが数日前に偶然であったその女性と再会したのも、また大変な偶然の結果。少なくともキャロはそう信じていた。
場所は何時もの町の一角、小奇麗に整理された表通り。キャロの身を包んでいるのも余所行きと見て取れるスーツドレス。
一方、リニスは以前会った時と同じ黒いスーツに稲妻模様のネクタイ、サングラスに白いコートをビシッと着ていた。

「えっと……そっちの子は?」

「フリードリヒって言います、私の竜です!」

「キュクウ〜」

もはやキャロのトレードマークとして、マフィアやその関係先で認知されるフリードは、今日のようなお使いにも同行する。
それまでは余りに目立つ為窮屈なカバンに押し込められていたから、とにかく外に出られるのが嬉しいらしく一鳴き。

「わぁ……竜を使うって事はアルザスかな?」

「はい……」

「あっ! いや〜別に凄く聞きたいとかそういう事じゃなくて〜」

頷いたキャロの表情が僅かに陰ったのを見て、リニスは慌てて否定の言葉を口にする。
その様子が余りにも必死で滑稽で内心のバクラが大笑いしているが、キャロは流石にそんな気分にはなれない。

「村よりここの方が楽しいですし」

「そう……なんだ?」

村を出奔したばかりの頃は確かに『帰りたい』と言う思いが強くあったのは事実。
だが今は違う。少なくともそれなりの自由意志を持って好きなこと、魔道師の訓練からオフィスでの手伝い、ヘブンのウェイトレスなどができる事が嬉しい。
村では一生を費やしても経験できないだろう様々な事をこの数ヶ月で体験して来た。
振り返れば辛い事も多々あったが、それすらも輝かしいと思えるほどキャロの中で、今までの経験は重要なものに成りつつある。

「ならちょっと聞かせてくれないかな?」

「え?」

「もちろんタダとは言わないよ? お昼ごはん付きで」

リニスが指差したのはこの辺りでも一二を争うだろう高級レストラン。
ボスと一緒でも入った事が無いそんな場所を平然と指名する辺り、キャロはこの女性がやっぱり自分とは違うんだな〜と思う。
137キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:15:50 ID:hzcGMSGM
「それ、ナンパか? 同姓のクセに相棒みたいな小さい女が対象となると……終わってるぜ、アンタ」

「えっ……ルシエさん?……違う、誰」

突然変わった口調と顔つきや雰囲気にリニスは一歩引いた。
そんな不審人物を値踏みするように(自分も不審人物だが…)バクラは睨みつけ、己の名を告げようとして……

「オレ様はバク…「えっと! 今のはバクラさんです」…」

相棒に盛大に妨害された。

「私の村に伝わるユニゾン・デバイスと言いますか。色々お世話になってて〜」

バクラは気に入らない人間には早々に突っかかって行き、キャロを含めた第一印象を完膚なきまでに破壊する。
その辺りの修正を理解し始めたキャロは、すぐさま自己紹介の部分で取り返して軟着陸を狙う。
全く持って相棒の扱いにまで苦労する辺り、この少女はきっとそういう星の下に生まれて来たに違いない。
もしくは作者が悪い。

「じゃあ、ソレも含めて『お話を聞かせて』欲しいよ」


バクラが性癖異常などと言っていたが、キャロはリニスにお昼ご飯をご馳走に成る事にした。
この数ヶ月で本当に『そういう事』をする気の人はなんとなく察知できるようになっていたし、今は誰が相手でも何とかなる。
デバイスとフリード、そしてバクラという存在と仕事をしたという自信を得たからこそ、考えられる思考だ。

「そうなんだ……大変だったね?」

食事を取りながらキャロが訥々と語り終えれば、リニスが発するのはそんな言葉。
ありきたりと言えばその通り。だが飾らない言葉だからこそ、その思いの強さが伝わる。
それは同情などと言う便利な言の葉ではなく、キャロはソレを共感だと理解した。

「はい……ウッ……ヒック」

キャロは今までの経験を口に出して誰かに語ると言う事は無かった。
ずっと一緒に居るフリードやバクラに語る意味は無い。マフィアなんていうお仕事をしている人たちは過去など語らないし、語らせない。
そして語ると言う事は発露であると同時に、口に出すというのは反復により思い出す事でもある。
自分では過去の事、思い出の一つと考えていようが、もっと心や体の深くでは間違いなく傷として残っているようだ。
故に意図せずに流れる涙をキャロは止められなかった。聞き出しておいてなんだが、リニスもソレに貰い泣き。
ここでは言及しないが彼女も色々とあるのだ。

傍から見れば二人してワンワン泣いている女性と少女と言う訳の解らない図が完成した。
138キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:16:41 ID:hzcGMSGM
「でっでも! 今は幸せですから、平気です!」

料理を運んできたウェイトレスに白い目で見られ、ようやく二人は泣き止んだ。だが平静を装うには足りない。
顔を紅くして、俯き加減の宜しくない雰囲気を断ち切ろうと、キャロは明るく宣言した。
そしてようやく運ばれてきた料理に手をつける。残念なことに美味しいはずのソレを完全に理解できるほど落ち着いては居ないらしく味は不明。

「そっか……でも本当は『普通の生活』がしたかったんでしょ? マフィアの下働きなんて……」

「でもそうするしかなかったですから……」

キャロは何かやりたい事があって村を飛び出してきたわけではない。突然出て行け!と言われただけだ。
故に何かしたかった事があるわけではない。そんな夢を考え付く暇もなく生活苦に突入したのだから。
時たま耳元で邪神ゾーク・ネクロファデス(の欠片)が「デカイ盗みでもしようぜ〜」と誘惑してきたが、それは己の夢にしたわけではない。

「もし……今から普通の生活が出来るって言われたら如何する?」

ソレは突然の提案だった。キャロは驚きを、バクラは違和感を大いに感じざるえない。

「私はそうあるべきだと思うんだ」

初めて外されたサングラスの下から出てきたのは赤い瞳。マフィアと関係のある職業をしているとは思えない真っ直ぐな優しい憂いの瞳。
と言う事で……


『キャロとバクラが平和の尊さと儚さについて実感したそうです』
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:18:31 ID:6VWYIrdP
支援
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:18:44 ID:UCwMlcnK
支援
141キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:19:11 ID:hzcGMSGM
「うわ〜良い歌でしたね〜」

キャロはヘブンのVIPルームであるバルコニーから、下の階で奏でられていた歌声をそう評した。
ショーバーと言うからには歌を歌うなり、ダンスを踊るなり、楽器を演奏するなりした上で酒などを提供する場所だ。
故にある程度の演奏は行われているのだが、今日のソレは少々レベルが高かった。普段ならばそのまま仕事を続行するキャロが足を止めるほどに。

『オレ様からすればお行儀が良すぎる気がするけどよ〜』

「ムネに気高きクイーンの〜バラを抱いた〜盟友よぉ称えよぉ〜ナイツ・オブ・ローズ」

『聞いちゃいねえ』と肩を竦めるバクラと今聞いたばかりの歌を勢いで口ずさむキャロ。
しかしその評価は先程の歌とは比べようも無いほどにダメダメだった。

「ハッハ〜魔法はそれなりに使えるようになったが歌はヘタクソだな」

「ガ〜ン!」

数人の女性に囲まれて悠々とソファーに座し、グラスを煽るボスの言葉にキャロは大いに落ち込んだ。
村では歌がうまいと言われていたのだが、どうやらリズムや感性に差が大きいらしい。
そんなショックを受けるキャロに周りの部下や女性たちから笑いや慰めの声が上がる。
もはやボスの周りに居る人間の仲で顔馴染みではない者はいないし、親しくないものもほぼ皆無だ。
既にファミリーと言う言葉も過ちではないだろう。

『ドン』

だがそんなファミリーも終わりは突然来る。衝撃が建物を揺らした。続いて下の階から客達のざわめきが増す。

「どうした? 何があった」

ボスの問いに側近が無線機を取り出し、数秒言葉を交えるとその顔色を一気に悪くした。

「ヤバイですぜボス、強制捜査だ。相手は複数の魔道師、揃いのデバイスとバリアジャケット……管理局だ」

『え? どうして多次元世界の平和を守る人たちが私の平穏を壊しに来るの?』
キャロはそんな疑問が口を出そうになるがふいに思い至る……『アァ私は悪い人だった』
『悪い人たちと居てようやく得られた平穏はソレだけで罰せられる罪なのだろうか?』


「他次元世界に介入か……次元航行艦の武装隊だな。どれくらい持ちこたえられる?」

「もう少しご自分で鍛えた魔道師たちを信頼してくださいな、ボス。一度くらい撃退してみせまさぁ」

自身も幼い頃にボスに見いだされた青年は自身有りげに言う。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:19:38 ID:fsiwIQ05
支援
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:21:07 ID:6VWYIrdP
支援
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:21:13 ID:PEaB9ZoO
この組織の結束の強さは半端じゃないッ!!
支援
145キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:21:14 ID:hzcGMSGM
ボスも不安など表に出しはしない。淡々と処理を告げる彼の傍らでキャロは未だに事態を把握できていないらしく呆然と立っていた。

『相棒、初めての大仕事になりそうだな?』

「あっ……そうだ、私は魔道師……この組織を守る魔道師……」

実に楽しげなバクラの声にキャロは意識を引き戻し、ブツブツと自分の状態を確認するように呟く。
これまで積んできた魔道師の訓練、そして同じ様に積み上げてきた組織への恩が戦いなど決して向いていない少女が自分の定義をそう決めた。
ギュッと待機状態として金の腕輪の形で存在するディアディアンクを握り締める。
キャロとバクラ、どちらも違うベクトルで戦闘への決意と意欲を高めていった。
だが……

「イヤ……お前らは逃げろ」

「え? 何言ってるんですか、親分さん!?」

『そりゃあ、あんまりだぜ?』

魔道師であるはずの側近たちは迎撃の為に部屋を出て行き、女たちはとっくに雲隠れ。部屋に残ったのはボスとキャロ、見えないけどバクラだけ。
ボスは何時も通り冷静に葉巻を咥え、キャロは状況についていけない心が微かに体を震わせ、バクラは(やはり見えないけど)つまらなそうに腕を組む。

「俺はお前に『人並みの生活をさせて魔道師として養育する権利』を買ったんだ。
 管理局に目をつけられたとなれば、もう商売はまともにできない。もし退けられたとしても、ガキを一人養う余裕なんてなくなっちまう。
 だからお前はここに居なくて良いんだ。イヤ、居てはならねぇ」

「そんな悲しい事言わないで下さい! 今まで面倒を見てもらって、危なくなったら逃げるなんて出来ません!
 私はだから魔道師に…『だからどうした』…えっ?」

ボスは一旦大きく紫煙を吐き出して語り出した。昔話だった。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:21:19 ID:NHKgNi17
支援をするが男の花道よぉッ!
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:21:40 ID:/cwY59PA
キャバクラ氏がっ!投稿し終わるまでっ!支援するのをやめないっ!
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:21:52 ID:x9s9Tbbb
支援
149キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:21:55 ID:hzcGMSGM
「俺は昔、管理局の魔道師だった。貧しい家の支えになろうとガキの頃から頑張った。
魔道師ランクなんていっても解らないだろうが、結構上のほうでな?
長期出張が多い職務を必死にこなして、だいぶ出世した頃に任務中に大怪我をした。
この目の傷がその名残、そのときに魔力を殆ど失って実戦部隊から移動。
もちろん地位はそれなりだったから、これからはゆっくりしようと思ってた。親孝行や家族サービスをしようってな?
だがそこで気が付いた……もう親も家族も無い。
本当は親に楽させる為に管理局に入ったのに、いつの間にか魔道師であることが、上のランクを目指す事が目的になってた。
それこそ魔法だけを、魔道師であることが最高の強みであるこの世界の弊害だ。
その弊害を守る仕事をしているのが猛烈にイヤになって……故郷であるここに帰ってきて汚い仕事を始めた。
 まっ! ガキに魔法を仕込んで使ってる時点で俺も大して変わらんか?
だがよ……魔道師であることはまず『自分が自分である為に使え』よ。
 マフィアの組織員である事を守るんじゃなくて、キャロ・ル・ルシエがキャロ・ル・ルシエである事を守る為に使え。
 それが本来の目的を忘れて人生を棒に振った魔道師の先輩の忠告、だから行け……そこの本棚に隠し扉がある」
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:22:27 ID:ip7Wukfu
じゃあ私も支援行きます
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:23:08 ID:x9s9Tbbb
支援
152キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:23:16 ID:hzcGMSGM
長い昔話だぜ……だが、解った。行くぞ、チビ竜」

『なっ!? バクラさん!!』

「流石は盗賊、汚い話の理解が早くて助かるぜ。選別に持ってけ」

驚くキャロの意識を体は反し、淡々と指定された場所へと歩を進める。
自分の命令ではないのに、ソレに続くフリードが今だけ憎い。投げ渡されたのは現金が詰まっていそうな分厚い財布。
いつもなら頑張れば取り返せるはずの体の支配権が、こんなときに限って帰ってこない。
キャロは涙を流しながら、叫んだ。

『なら親分さんも一緒に!』

「アァ、そこ設計ミスでな? 子供しか通れないんだ」

本棚にパックリと空いた穴に身を投げ出す。滑り台のような構造になっているソレは……大人だって楽に潜れるサイズだった。


「ふぅ……言ったか……最後のバカ弟子が」

二本目の葉巻に火をつけたボスに念話が入った。もっとも信頼する高ランク魔道師の側近から。

『スイマセン、ボス……武装隊は押し返したんですが……金色の魔力光の執務官が……ウワァアア!?』

途切れ途切れの通信は最後には悲鳴とともに完全に沈黙した。ソレと同時に扉が吹き飛び、室内に飛び込んでくる人影。
金色の髪をツインテールにし、黒いコート状の防護服の上には白いマントを羽織り、手には鎌のような魔力刃をつけたデバイス。

「テメェか……マチスのヤロウめ」

「良いお友達を持っていなかったようですね?」

そう彼女はリニスと言う名でボスとの取引を行っていた女性。実際の名前は……

「私はフェイト・T・ハラウオン執務官。
貴方を多次元間危険指定物取引法違反の罪で逮捕します。
 それから……あの子は キャロはどこ?」

「はん! 唯のガキの心配とは随分だぜ、後輩」

「え?」

呆けた一瞬の好きでボスが懐から取り出したのは小さな宝石 待機状態のデバイス。
それを抜き打ちのような動きで起動、一瞬で現れた杖が魔力弾を発射。フェイトはソレを紙一重で交わし、己の武器を構えなおす。

「元管理局執務官、先輩として教育してやろう……来いッ!!」
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:24:12 ID:U9KAOzCb
ボスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!支援
154キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:24:16 ID:hzcGMSGM
「さて……これからどうするかね、相棒」

隠し通路は下水道に繋がっていて、そこを通って距離を稼いだ結果、二人が出てきたのは町外れの廃棄区画だった。
人の気配など欠片もしない濃密な闇の中でウェイトレスのスタイルをしたキャロは酷く浮いている。
しかもその小さな体を大の字にして、横になっていればなおさら。その横で心配そうに蹲るフリードの白も闇に映えた。

『どうしましょうかね?』

悲しかったのは事実だ。だがキャロを襲っているのは酷い脱力感。管理局が憎いか?と問われれば『どうだろう?』と答えてしまえるほどに。
余りにも急に全てが動く。必死に辿り着いた居場所は考も簡単に流れてしまう。自分はソレを守ることも出来ない。

「オレ様達が居ても守りきれるかは微妙だったがな……」

『そうですか』

バクラの訂正はきっとさり気ない、もしくは自覚の無い優しさなのだろう。今はそんな事だけが心を暖めてくれるとキャロも心のうちで感謝。

「どこか……遠くに行きたいな〜」

『遠くか……次元でも超えてみるか?』

「良いですね〜」

「キュウゥ……」

もうどこでも良いかもしれない……キャロがそんな世捨て人的な思考を始めた頃、不意に掛かる声が一つ。

「じゃあ……私のところに来ない?」

「え?」

キャロは驚いて顔を上げるとそこに居たのはリニスと呼ばれていた女性。でもその服が今までと違っていた。
その身を包むのは魔力で生成されたバリアジャケット、手に持っているのは杖型デバイス。
そこから導き出される答えは?

「……管理局の魔道師?」

「私の本当の名前はフェイト・T・ハラウオン。管理局の執務官」

ソレが意味するところ位はキャロでもすぐに解る。つまり今回のことは目の前の女性が仕組んだと言う事だ。

「ゴメンね、キャロがあの場所大事にしていることは解っていた。でも貴女にとって優しくてもマフィアは違法組織。
法を犯して、他の人の迷惑になる場所を管理局は見過ごせない……うぅん、この言い方は卑怯だね?
私は許す事ができない」
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:24:31 ID:fsiwIQ05
ボス……
支援
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:24:40 ID:NHKgNi17
志村ー! ハラ「オウ」ン、ハラ「オウ」ンー!!
支援
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:25:02 ID:/cwY59PA
こいつはクセェーっ!良作SSの匂いがプンプンするぜぇー!支援
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:25:08 ID:ip7Wukfu
ボスあんた漢だよ支援
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:25:12 ID:x9s9Tbbb
支援
160キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:25:51 ID:hzcGMSGM
「さて……これからどうするかね、相棒」

隠し通路は下水道に繋がっていて、そこを通って距離を稼いだ結果、二人が出てきたのは町外れの廃棄区画だった。
人の気配など欠片もしない濃密な闇の中でウェイトレスのスタイルをしたキャロは酷く浮いている。
しかもその小さな体を大の字にして、横になっていればなおさら。その横で心配そうに蹲るフリードの白も闇に映えた。

『どうしましょうかね?』

悲しかったのは事実だ。だがキャロを襲っているのは酷い脱力感。管理局が憎いか?と問われれば『どうだろう?』と答えてしまえるほどに。
余りにも急に全てが動く。必死に辿り着いた居場所は考も簡単に流れてしまう。自分はソレを守ることも出来ない。

「オレ様達が居ても守りきれるかは微妙だったがな……」

『そうですか』

バクラの訂正はきっとさり気ない、もしくは自覚の無い優しさなのだろう。今はそんな事だけが心を暖めてくれるとキャロも心のうちで感謝。

「どこか……遠くに行きたいな〜」

『遠くか……次元でも超えてみるか?』

「良いですね〜」

「キュウゥ……」

もうどこでも良いかもしれない……キャロがそんな世捨て人的な思考を始めた頃、不意に掛かる声が一つ。

「じゃあ……私のところに来ない?」

「え?」

キャロは驚いて顔を上げるとそこに居たのはリニスと呼ばれていた女性。でもその服が今までと違っていた。
その身を包むのは魔力で生成されたバリアジャケット、手に持っているのは杖型デバイス。
そこから導き出される答えは?

「……管理局の魔道師?」

「私の本当の名前はフェイト・T・ハラウオン。管理局の執務官」

ソレが意味するところ位はキャロでもすぐに解る。つまり今回のことは目の前の女性が仕組んだと言う事だ。

「ゴメンね、キャロがあの場所大事にしていることは解っていた。でも貴女にとって優しくてもマフィアは違法組織。
法を犯して、他の人の迷惑になる場所を管理局は見過ごせない……うぅん、この言い方は卑怯だね?
私は許す事ができない」
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:26:00 ID:OPCDxeEW
ハイライトの消えた目をするキャロが見えて困る支援
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:26:33 ID:/cwY59PA
志村ーダブり、ダブりー
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:26:35 ID:6VWYIrdP
二重投稿?
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:26:54 ID:FwzLNZHZ
支援

ぼす!かっこよす!
165キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:27:14 ID:hzcGMSGM
スマン、ミスって二回叩いてしまった。上の二つある奴は掲載時は一個でよろしく〜


そのことも解っていた。自分には優しくてもこの人たちは悪い人で、違法だろう仕事をキャロ自身幾つかこなしている。
そんなに重いものではなかったが、何れは自分ももっと汚い仕事をするのだろう事も何となく……

「だけどキャロを守ってあげたいのも、普通の生活をさせてあげたいのも本当なんだ。
 信じてくれ……なんて言えないけど、少しでも解ってくれたら嬉しい」

恐らくソレも事実だ。全くそんな気が無いのに貰い泣きなどしない。この人は本当に真っ白でキレイな人だとキャロは理解した。
墓荒らしをして、不良狩りをして、マフィアに養って貰っていた自分とは全く違う。以前感じた違いは尚強く感じる。
それでも否定できない。私はもしかしたらこういう風に成りたかったのかもしれないから。

「犯罪に手を貸した子供の場合、それが環境の問題だと認定できれば、簡単な試験や面接で保護観察に出来る。
 その責任者も私が兼ねるからキャロにはすぐ……普通の暮らしをさせてあげられると思う」

『普通の暮らし』
前にレストランで言われた言葉をまさかこの人は本当に実現させる気なのだろうか?
キャロは疑問よりも驚愕が勝り、どう反応すれば良いのかわからない。でもその響きは今までの波乱万丈な生活からすれば余りにも魅力的だった。
だが続く言葉に更なる驚愕を与えられる事になる。


166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:27:19 ID:2yKkZH6e
つうかキャロが歌ったのはサンホラだったか
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:27:24 ID:R8bWbi8g
志村ー!今度は二回目!しかもまたハラウオン!
紫苑・・・様じゃない!支援!
168キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:27:48 ID:hzcGMSGM
「でもそれには二つの物を私の渡して貰わないといけない。一つはマフィアから与えられたそのデバイス」

キャロが左手に嵌めた金の腕輪 ディアディアンクを指差し……次に……

「その特殊なユニゾン・デバイスを……渡して」

次に指定されたのはキャロが首から提げていた目玉が刻まれた三角にソレを取り囲む円、それから垂れる円錐で構成されるペンダント 千年リング。

「どうして……ですか?」

「ユニゾン・デバイス自体がロスト・ロギアに指定されるような危険物なんだ。融合事故って言うリスクがいつも付き纏う。
 それに貴女にマフィア入りを進めたのはその管制人格なんでしょ?」

『違う』……とは言わない。墓荒らしもチンピラ狩りもマフィア入りも確かにバクラの発案だ。
しかしそれでキャロが生き残れたのもまた事実。つまりバクラは命の恩人なのだ。悪人が命の恩人だとリスペクトも出来ないというのだろうか?

「あの…『良かったじゃねえか』…え?」
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:27:57 ID:FwzLNZHZ
支援するしかねえ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:28:00 ID:PEaB9ZoO
これSTS本編の黒幕が管理局だって知ったらバクラとキャロキレそうw
支援
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:28:18 ID:ip7Wukfu
プレシアさんの時の庭園は許せない場所に該当するんですか?支援
172キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:28:56 ID:hzcGMSGM
何か言い訳をと開いた口はバクラの良く解らない祝福の声に掻き消された。

『厄介者を始末できて、望んで止まなかった普通の生活が手に入るんだ。良い事尽くめだぜ?』

違う……これは違う。キャロの疲れた心に火が灯るのが解った。
こんな事が会って良いはずがない。だって自分は……ずっと守られてきたのだ。
どんなに悪い人だったとしても、たとえ世界を滅ぼすような邪神だったとしても、事実としてキャロはバクラに助けられてきた。
それをまた放り出すのか? また流されて良いの?

「イヤです……」

「キャロ、お願いだから」

「世界はとっても理不尽で、『こんな筈じゃない!』と思う事ばっかりです」

「……そうだね」

同意などしている場合ではないのだろうが、フェイトは思わず頷いていた。

「私は何度もそういう事に流されてきました。
村から追い出されて、人買いに騙されかけて、人の借金を背負っちゃったり。
街に出てきても仕事が無くて、マフィアに養って貰えるようになったら、壊滅して。
それでも……バクラさんは一緒に居てくれました。バカな私を導いてくれました。
もしここで……「こんな筈じゃない流れ」にまた流されて、また何かを失って手に入れた平穏が……どれだけの意味があるんでしょう?」

フェイトは言い返せなかった。自分だってそんな「こんな筈じゃない原因」なのだと気が付いた。
自分はいつの間にか諦めに似た境地に居て、達観してみていたかもしれない世界の理不尽。
それを全力で否定する目の前の少女が信じられなかった。愛を注いで平和な生活をあげれば、今まで保護してきた子達は満足してくれた。
でもこの子は……

「平穏はきっとステキです。その中に居ればきっと幸せだと感じるでしょう。
 貴女の庇護下ならダンボールに包まって寝ることも、マフィアのお手伝いをする事もないと思います。
 けどその中で『こんな筈じゃなかった』なんて感じたら、『どうして大事な人が一緒にいないんだろう』なんて後悔したら、それこそ取り戻せない。
 だから今はこの険しい道を歩いて行きます……バクラさんと一緒に」

『相棒……お前はやっぱりバカだ』
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:29:58 ID:NHKgNi17
声優ネタw支援
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:30:13 ID:ip7Wukfu
融合事故が心配されるならマッハキャリバーの
スバル乗っ取りはどういう扱いになるんですか?支援
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:30:44 ID:OPCDxeEW
支援
このキャロ後に魔法の呪文「だからどうした」を習得しそうだ
176キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:30:55 ID:hzcGMSGM
「た〜くさん諦めてきたけど、これだけは譲れなかったんです。行こう、フリード」

「キャウウ〜!!」

村に居る事を諦めて、普通の仕事をする事を諦めて、ようやく手に入れた居場所を守る事を諦めた。
どれも仕方がない事情がある。誰も恨んでなんて居ない。ただ憎かったのは……それに抗えない自分自身。
誰かに迷惑が掛かるからずっと我慢してきたのかもしれない、抗う事。だけど……もう我慢するのは止めた。


「待って!」

横を通り抜けようとしたキャロの肩をフェイトは掴んだ。だがそれは鋭い手の一閃で弾かれる。
その一撃が余りにも強力で容赦が無い攻撃だっため、思わずフェイトは距離を取り、バルディッシュを構える。

「聴こえなかったのかぁ? 執務官さんよぉ〜」

ゆっくりと伏せていた顔を上げれば、キャロの愛らしい顔は凶悪な笑みが染めている。
千年リングが光り輝き、前髪の二房が立ち上がり、目元が鋭さを増す。

「相棒はお前のキレイな手を振り払って、オレ様の汚ねぇ手を取った。全く馬鹿だと思うぜ?
 だけどよ……それでも歩き出したこのロード、テメエはソレを拒むんだろう?」

掲げたのは左手の金の腕輪、唱えるのは「ディアディアンク Set Up」の呪文。
身を包むのは藍色系のタイトミニにチューブトップ、クシャクシャのショートブーツにベルト。
その上から砂色の裏地にフードが付いた紅くゆったりとしたコート、手にはデバイス本体たる金色をベースにした手袋。
足元にに広がるミッド式魔法陣は古代エジプト文字で飾れている。


「お前は確かにオレ様達の敵だ……デュエル!!」

最初の一歩は余りにも大きくて、破天荒だった。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:31:08 ID:x9s9Tbbb
支援
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:31:33 ID:/kB2qjEi
マッハキャリバーのあれはスバルの体に染み付いた訓練の成果という説もある支援
179キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/13(水) 23:32:17 ID:hzcGMSGM
異常だ〜(誤字に在らず
何か電波とか止まらなくて、言いたいこと伝わってなかったらすまん。
サンホラは書いているときに丁度聞いてたのでつい……次こそモンスターだしますw
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:32:32 ID:OPCDxeEW
デュエル支援
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:32:38 ID:/cwY59PA
なにこの熱い展開 支援せざるを得ない
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:32:41 ID:6VWYIrdP
融合事故か
遊戯王のHERO達は融合しまくりだけどなw
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:33:32 ID:sKdY9s2C
バクラのターンktkr支援!w
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:34:10 ID:2yKkZH6e
ロードのくだりで痺れたぜ!
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:34:15 ID:U9KAOzCb
ロード入ったwww
社長の名台詞wwww
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:34:55 ID:NHKgNi17
地味にカイザーも入ってたんだぜw
リスペクトw
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:36:13 ID:BZ0xU2MU
くそう、ボスもバクラもキャロもかっこよすぎる。惚れそうだ
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:36:24 ID:sKdY9s2C
>>179
GJ!いろいろと格好いい香具師が多すぎるんだぜw
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:36:41 ID:PEaB9ZoO
GJ!!です。
なんか凄いとしか言えないですw
フェイトには助けることが出来てもバクラのように救ってあげることは出来なかったかと
思いました。まぁたまたま最初に出会ったのがバクラであっただけでもありますがそれも
運命ということでw
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:36:59 ID:U9KAOzCb
>>179
サンホラならStar dustな事態にならないようにしなきゃいけないな
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:37:16 ID:GsF5sAag
>>186
IDがNHK
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:37:51 ID:x9s9Tbbb
なんというか、こころが震えた。

GJ!
193リリカル! 夢境学園:2008/02/13(水) 23:39:11 ID:7q77+m+l
ボスゥウウウウウ!
支援!
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:40:45 ID:OPCDxeEW
>>179
GJ!
手錠を填められたキャロを想像していいなとか思った俺はワイヤーで首吊って首無し騎士の仲間入りしてくる
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:42:24 ID:6VWYIrdP
GJ!
次回は闇のゲームですか?

>>194
生贄コストになってこいw
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:42:42 ID:/cwY59PA
>>179
GJ!
この展開は熱いな

ちょい気になったことが
世界観に合わない単語はなるべく出さないほうがいいと思う
具体的に言うなら>>176の「古代エジプト文字」
地球ではないどこかの異世界での話なわけだし少し違和感が
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:43:38 ID:wVYYTFTR
GJ!

ヤッベェ、マジにバクラがカッケェ
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:43:47 ID:6OePGYBc
キャロとボス、かっけー!
支援!
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:44:11 ID:MXwKe4ok
>>179
GJ!でした
ボスもキャロもバクラもかっこよすぎですよw
とりあえずマチスとやらに罰ゲーム
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:44:12 ID:dY4MjURj
GJ!
登場人物の魅力が十分以上に引き出されているなぁ!
先の読めない展開にヒヤヒヤするぜぇ!
最後に一言…ボスぅううううううううっ!!!
201魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/13(水) 23:45:03 ID:iyL4yQgw
ついさっき顔を出したら、ちょうどキャロが偉大な決断をした瞬間だった。
俺は、今度こそ間に合ったんだ……!

>キャロとバクラ
まず最初に言っておきましょう。ボスゥゥゥ!!
まさに『カッコいい悪党』でしたねぇ。
悪事の裏には事情があり、しかしやはり悪は裁かれなければならない。
キャロとの関係を知りながらも自らの意志を通し、しかし助けたいという気持ちも誤魔化さない。フェイトもカッコいいです。
話の流れ的に、差し出された手をとっても不思議じゃない状況なのに、あえてバクラを選んだキャロの台詞にはマジ燃えました!
これまでこの作品のキャロには萌えさせられてばかりいたが、今回は熱かったっすねぇ。
ラストの引きが秀逸すぎwwwやべえ、神展開www
一体どういう結末になるのか、気になりまくりです。最近そんな作品ばっかりだな、自信なくすわw
202Strikers May Cry:2008/02/13(水) 23:46:07 ID:8Zf4trPK
蝶GJうううううううう!!!!!!!!
掛け値無しに最高だ、俺はそれ以外の表現方を知らない。

もうアニメ本編の流れなんてどうだっていい、この最高にクールなキャロ&バクラの破天荒珍道中をもっと見せていただきたい。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:46:17 ID:crhkXsX3
>>196
このときの主人格はバクラだから問題ないんじゃないか?
別にフェイト視点で描写してるわけじゃないし
204反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/13(水) 23:46:25 ID:vSrdj9d9
GJ!
ええ話や…ボスもキャロも、そしてフェイトさんさえも…
次回にも期待です
205メタルサーガsts:2008/02/13(水) 23:46:47 ID:aBwCEU+z
GJです。
なんでこんなに熱い展開なんだ。
しかもなにげにサンホラがあるよー。
Star DustとArkとHarvestの事態だけは回避をせねばならない。
って、ナイツオブザローズも救われねぇー!!
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:47:11 ID:fsiwIQ05
こんなに格好いいキャロは初めてだぜ!GJ!

>>196
バクラがいるからおかしくないと思うが。
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:49:11 ID:HSfLcpes
あえて言おうGJ!!、そんでもってボスゥゥウウウウウウウ!!!
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:52:35 ID:ip7Wukfu
gj さて最初の関門はフェイトをどうするかだ。
最初のデュエルがリミッターで下げられているとはいえ
Sクラスとはかなりハードだ。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:54:25 ID:U9KAOzCb
ていうかみんなサンホラ知ってるんだな・・・・・・・・・・
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:55:17 ID:6VWYIrdP
>>208
力押しなら無理だろうけど
デュエルは力だけじゃないと決闘王も言ってたじゃないか
バクラだとダーク・ネクロフィアを破壊してもらえば勝利確定だ(ただし、タイマンのみ
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:55:46 ID:rI7JtBSW
GJ!
フェイトそん。
アギトは管理局で普通にやってるし、リインIIなんて階級まで持ってんのにその扱いの差はないっすよ〜
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:56:13 ID:/cwY59PA
>>203
この時の文章が完全に三人称だったからそう思ったんだわ
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:56:21 ID:U9KAOzCb
>>210
むしろゾーマでよくね?
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:57:43 ID:OPCDxeEW
>>211
あれだ
バクラの明らかに俺様悪党なオーラで危険視したんじゃないか
215魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/13(水) 23:59:25 ID:iyL4yQgw
>>211
何気にキャロの体を強制的に乗っ取れるという事実も影響してるかも。
まあ、実際バクラも悪党だしなw
216魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:01:40 ID:JXmtCu64
ところで、次誰か予約してる人いますかね?
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:03:04 ID:jrbX5XVr
>>211
ここで空気読まずにフェイトが嫌悪感を抱いたから、と言ってみる
権力って屁理屈に正当性持たせるためにあるんだぜ?(暴論)
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:03:11 ID:Vmggtgys
>216
ま、まさか…!?次予約しちゃうんすか!?
支援せざるをえないw
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:04:44 ID:akO0atdI
>>216
支援
220魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:05:28 ID:JXmtCu64
ぬぅ、読み返せば読み返すほどキャロとバクラの人の話が面白すぎて、めちゃ不安なのだが…
読み直しとキャロとバクラの人への感想も含めて、20分後に投下を予約したいのですが、よろしいですかな?
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:05:40 ID:DKQClwQn
>>216
マジで!
今日は寝れそうにないな……。
支援
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:06:06 ID:YyAMMpDh
なんかこのまま突っ走ったらキャロはスクライドのカズマ並の漢になれそうだ
脳内でロックレス・ファイヤが流れた。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:07:22 ID:Okf/UKct
210
龍骨鬼や魂喰らう死霊共使えれば一発なんだけどな。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:08:38 ID:Okf/UKct
俺もstylishさん応援する。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:09:27 ID:t4Bm+Yy4
キャロとバクラの人、グッジョブ!!
なんという熱い展開。

>>216
支援
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:09:48 ID:7JUT7OLo
支援という名のロード
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:09:53 ID:UeCNAjrv
小説って書くの難しいな。
他人の考えたキャラを書くのがこんなに難しいとは・・・orz
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:10:06 ID:Vmggtgys
楽しみだが明日受験だw
みんな、支援は頼んだでぇ!
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:10:47 ID:wmT6ra2O
>>228
早く寝ろwwww
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:11:02 ID:PQWNPCcr
GJ
次回のバクラの戦いを楽しみにしています。
そーいえば、まだ機動六課は設立されていないからフェイトにはリミッターは付いてないんですよね。

しかも、バクラは魔法生物とかでない魂を直接操るし、いったいどんな戦闘になるんだろうか?
231魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:13:34 ID:JXmtCu64
おk 前回の誤字の多さを反省し、しっかり見直しするので00:30ごろに投下すると予告するぜ。
それまでDMC4のサイトのトレーラーでも見て暇潰してください。そこのネタも使ってますからw
あと、以前忠告を受けた横を適当なところで折り返す方法ですが、行数の増加やウィンドウのサイズによっては逆に見づらくなるなどの理由で自然のままでいくことにしました。
可能な限り横に伸ばさないようこまめに改行しましたが、気休めかも(汗
すみません、各々で調整してください。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:17:06 ID:IX77X+uM
GJ!!面白かった。
今回一番格好良かったのは明らかにキャロ!
今回でキャラが明確に確立された気がします。
個人的にSSが始まってから一番の話。
勝利を期待しています。
ビギナーズラックってことで。

たぶんボスは管理局に捕まるのが嫌で自害したんじゃないかと予想。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:17:45 ID:wmT6ra2O
>>231
言ったの俺だけど、アレだ
まとめに行けば結局見やすくなるし
このスレでの作品は雑誌連載のものを読んでると思うことにするさw
つか面白いから見易さとか気にしないでガシガシ書いてほしい
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:18:45 ID:DhCS16Mk
空まで飛べる高速近接戦闘型のフェイト相手に人海戦術では相性が悪すぎる
雑魚で時間かせいで大物召喚、しかないか
面白い勝負になりそうだなぁ
235旅ゆく人:2008/02/14(木) 00:22:49 ID:90mHvVC5
>>231
ガンガレ。
申し訳ないが、私は、寝ます……。

今月、仕事がこれからキツクなるんだ……。
工場内で一番体力使う機械なのに……。
更に使えって、上の方が言うんだ……。

知力も時の運も使う機械でね、……大変なんてレヴェルじゃねー orz

でも、『リリカル旅話』第三章は、今月ちうに、必ず、何とか……。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:24:46 ID:jWSq06vv
「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!」

「何も知らぬ無知なキャロを利用する事だ!」
「管理局の利益だけの為に利用する事だ!」
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:24:55 ID:fCHpQne+
大丈夫だッ!!いざという時はバクラが積尸気冥界波を使ってくれるw
238リリカル! 夢境学園:2008/02/14(木) 00:26:40 ID:nabW3Mfd
やれやれ、最近はスレも良作ばっかりで……眩しすぎるぜ。
ここで負けられないと踏ん張るか、それとも敗残者として膝を着くか。

踏ん張り時だな。
そして、今日もまだ終わらない!
魔法少女リリカルなのはStylish氏、憧れと共に支援するぜ!
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:29:20 ID:tqh+Xy9r
>>237
どこのかに座だw

そして、30分頃支援
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:31:10 ID:ZiMDsN+U
>>233
同意。面白ければそれでよし


……読むかどうかはクロス元次第だが

>>キャロとバクラの人
GJ!! (遅
ああ、カッコイイ……そして熱い!
珍しく俺の血が騒いだぜ!!

>>Stylish氏
Stylishな展開を期待します支援
241魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:32:13 ID:JXmtCu64
時間だ。状況を開始する。
オラに支援を分けてくれ!
戦場でもみんな笑顔。ハートフル&スタイリッシュバトルアクション
魔法少女リリカルなのはStylish、始まります。
242反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/14(木) 00:32:15 ID:Eotc+OSL
支援だ! 支援射撃の射線を確保しとけ!
…あん、俺か?
悪いが、ちょいと野暮用でな…行ってくる。
このRPG-7、借りてくぜ。



と言いつつも実際は寝るだけだったりorz
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:32:59 ID:tqh+Xy9r
支援
244魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:33:22 ID:JXmtCu64
 その日、幼い巫女の呼び掛けに応えた者は―――<神>か、あるいは<悪魔>か。


「おおっ、なんということじゃ。この子は黒き火竜の加護を受けておる……!」

 長老の震える声を、祭壇に立ったキャロは呆然と聞き流していた。
 ―――アルザスの部族には竜を行使する力が受け継がれている。そして、その力を色濃く発現した者がル・ルシエの末裔として巫女となるのだ。
 それを決定するのは流れる血。齢わずか6歳のキャロが、巫女として竜召喚の儀式を行ったのもそれ故であった。
 そして、選ばれし聖地と儀式の力によって半ば無意識に引き出されたキャロの能力は、かの地における最大最強の竜を喚び出した。
 アルザスの土地に単体生息する稀少古代種。
 その中でも<大地の守護者>と称され、近隣の原住民からは信仰の対象とすらされている竜。
 その名は―――。

「ヴォル、テール……」

 祭壇の前に圧倒的力の奔流と共に出現した巨竜を見上げ、キャロは自分の成した事を理解しきれずに呆然と呟いた。
 その足元で、既に彼女の使役竜となり、また友となった幼竜<フリードリヒ>が偉大なる高みを見上げている。

「見事。……しかし、これは……」

 予想を超えた儀式の結果に、長老は言葉を詰まらせた。
 辺りを見渡せば、儀式に参列した集落の者達が一様にヴォルテールにひれ伏している。
 彼らは神に等しい竜と、それを召喚し、いずれ使役するであろう少女に抱く。尊び、敬い―――そして恐れる心を。
 強すぎる力が呼ぶものは、災いと争いのみ。
 長老の胸に宿る危惧は、目の前に広がる圧倒的な神秘の具現に煽られるように、徐々に大きくなっていった。
 しかし、とりあえず今は儀式を終えなければならない。少なくとも、これは儀式の成功を意味するのだから。

「キャロ、ヴォルテールに名を告げ、契約を果たしなさい」
「あ、はい!」

 長老の言葉を聞いてキャロはようやく我に返った。
 凄まじい威圧感のまま佇み、しかし微動だにしない巨体を見上げると、ひょっとして自分が待たせているのだろうか? という非常に恐縮な気持ちが湧いてくる。
 キャロは慌てて儀式の手順を思い出しながらそれを進めていった。

「わたしはル・ルシエの末裔! 真竜ヴォルテールよ、この身と魂を捧げます!」

 つたないながらも精一杯の声で決心の言葉を紡ぎ、幼い巫女は期待と不安の中、自らの名を告げた。

「わたしの名は<キャロ・ル・ルシエ>―――!!」

 儀式を飾る最後の言葉が高々と発せられる。
 ここに誕生した、一人の竜召喚師。その幼い身の成長を見守り、加護を与える竜の返礼は―――。



 唐突に、巨竜の腹を巨大な鉤爪が突き破り、鮮血が雨の如く周囲に降り注いだ。


245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:33:26 ID:wmT6ra2O
たまにはお前の遊びにつきあってやろう支援
246魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:34:20 ID:JXmtCu64
「……え?」

 全身に血を浴びたキャロは、目の前で起こった鮮烈な光景を一瞬理解出来なかった。
 自らの体に起こった異変に、まるで断末魔のような雄叫びを上げて悶え苦しむヴォルテールの腹で、ハサミ状の爪を備えた腕が蠢いている。
 その腕一本がヴォルテールの腕に匹敵する巨大な物で、それが突如体内から腹を破って突き出てきたのだ。
 キャロと長老を含むその場の誰もが自らの目を疑うことしか出来ない中、悶え続ける竜の腹の傷を、更に内側から生え出たもう一本の腕が左右に開いた。
 再度血が噴き出す。ヴォルテールの腹にはもはや大きな穴が開いている状態だった。
 神と讃えられた竜は最後に一声咆哮し、それが悲鳴のように響いた後で、ついに力無く仰向けに倒れ込んだ。

「ヴォ、ヴォルテールが……っ!」

 誰かが悲鳴を上げた。
 しかし、その絶望と混乱は周囲に伝播することはない。目の前に広がるあまりの惨劇に、心の全てが凍り付いてしまっている為に。
 巨竜の腹を内側から突き破った腕の主は、更に三本目、四本目と何本もの腕を突き出して、傷口から姿を現そうとしていた。
 いや、それは<腕>などではない。
 全て<脚>だ。節足動物が持つ甲虫のようなそれである。
 そしてハサミのような爪のある両腕を含め、計八本の脚を持つソイツは、絶命したヴォルテールの腹の中から全身を引きずり出した。
 丁度蜘蛛をベースにサソリの特徴も兼ね備えた全容。しかし、大きさはヴォルテールに匹敵する。
 全身を覆う甲殻は殻というより岩石や鋼のような質感を持っていた。
 体が真紅に染まっているのは血を浴びたせいだけではなく、節々の隙間から見える内側の肉体によるものだ。
 信じられないことに、その外殻の下には『溶岩で出来た肉体』が詰まっていた。

『―――GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』

 六つの眼で周囲を見回し、巨竜の腹から生まれ出た巨大な蜘蛛の化け物は邪悪な産声のように咆哮を上げた。
 真竜のそれに匹敵するほどの魔力と威圧感が周囲を吹き抜け、そこに感じる禍々しさに人々の心は一瞬で恐怖に塗り潰された。

「あ……<悪魔>だ……っ!!」
「<悪魔>が、黒き火竜を食い殺したんだ!!」

 湧き上がる恐怖がようやく人々の体を突き動かした。
 混乱が極まってその場が魔女の釜の底のような有り様となる中で、キャロはただ呆然と佇んでいる。

「あく、ま……」
『その通りだ、小娘。珍しいか?』

 キャロの呟きに、意外にもくぐもった声が答えた。
 その人語は、目の前で自分を覗き込む六つの眼を備えた蜘蛛の頭から発せられたものだ。
 キャロはもう驚く気力すらなかった。

『<門>の開く感覚と呼び声を感じたから来てみたが……まさか貴様のような小娘がワシを喚び込むとはな!』

 喜びと憎しみが同居しているような声色で、蜘蛛は喋る。

「わたしが……喚んだ?」
『グァハハハッ! 末恐ろしく、そして憐れな小娘よ! 自らが<悪魔>と縁を持つことすらも知らなかったのか!?』
「<悪魔>と、わたしが……うそ……っ!」
247Strikers May Cry:2008/02/14(木) 00:34:27 ID:qtSnzs2O
よっしゃ、最高にクールで激しいビートの時間と来た! Time to rock!!

それじゃ、俺はこのデス・ホーラーとパンドラ(DMC4)で最大限の火力支援を行うぜ!!
248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:34:30 ID:GRnCs9cV
繰り返しになるが今後のさるさん対策の情報収集のため
投稿者は総容量と分割予定数の事前申告推奨
249リリカル! 夢境学園:2008/02/14(木) 00:35:04 ID:nabW3Mfd
……予言は当たっていた。
前の500KBの予言は当たっていたんだよ!
スタイリッシュタイム支援!!
250キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 00:36:11 ID:PMEqiWb+
トラップカード発動! 熱烈支援!
このカードは通常の倍以上に支援することが出来る(なに
251魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:36:30 ID:JXmtCu64
 目の前の怪物よりも、ソイツが突きつけた真実に恐怖を感じ、キャロはその場にへたり込んだ。
 傍らのフリードが幼い体を盾にして主の前に立ち塞がる。
 しかし、その勇ましい雄叫びは巨大な怪物の歯牙にも掛けられない。
 六つの眼が邪悪な赤い光を宿し、周囲の混乱も幼い竜の叫びも無視して、ただ幼い少女だけにそれを注いだ。

『燃え滾る我が身を使役しようという、愚かな幼い召喚師よ。
 不安定な今の力では、今しばらくの間<この世界>に身を置くのが限界だ。
 しかし、小娘。貴様のその力、認めよう。久しくなかったぞ、人の世に姿を現せる機会など。忌まわしき、かの<魔剣士>が我らを封じて以来―――!』
「……<魔剣士>?」

 そうしたやりとりの間に、怪物が全身に帯びていた真紅が徐々に色を失い始め、それと共に全身の輪郭がぼやけ始める。
 その怪物自身の言うとおり、儀式によって半ば無意識に引き出されたキャロの力は不安定だったのだ。

『フン、霊的にかなり高位の生物を寄り代にしたが……やはり無理があるか』

 同じようにして消滅していくヴォルテールの死体を一瞥し、怪物はつまらなさそうに吐き捨てる。

『―――では娘よ。我を使役しようと驕る卑小な人間よ。
 我が力の加護を受けるがいい。我が名は<ファントム> この身に宿した煉獄の炎は、貴様の敵を尽く焼き尽くすだろう……』

 その言葉に、力なく首を振り拒絶の意を表すキャロを嘲笑うかのように、クモ特有の四方に割れる口を大きく開いて<ファントム>は告げた。

『そして大地も、空も―――貴様自身さえも、永劫にな! HAHAHAHAHAHAHAHAHA―――!!!』

 大地さえ恐怖で震わせるよう哄笑を上げ、火の悪魔は姿を消していく。
 最後に、自らの主へ呪いを残しながら。
 最悪の嵐が過ぎ去ったように騒然とするその場で、キャロはただ自らを抱き、震えていた。




 強すぎる力は、災いと争いしか生まない―――奇しくもそれは証明された。
 <神>を殺す<悪魔>の降臨という、最悪の形を以って。

「すまんな……お前をこれ以上、この里に置くわけにはいかんのじゃ……」

 優しかった老婦に告げられた、部族からの追放。
 その老婆の目に、かつてキャロを見ていた慈しみや優しさは無く―――拭い切れぬ恐怖が、幼い少女に向けられていた。
 儀式の最中で起こった惨劇から、ル・ルシエの集落には不穏な空気が漂い続けている。
 誰もが恐れを抱いていた、一人の少女に。
 誰もが憎悪を感じていた、呪われた娘に。
 一人として見送りに来ない旅立ちの日。
 傷ついたキャロは、ただ一匹自分に寄り添ってくれるフリードを抱き締め、集落の出口へと向かう。

 ―――誰が悪いのかは分かっていた。
 ―――誰が呪われているのかは分かっていた。



252Strikers May Cry:2008/02/14(木) 00:37:22 ID:qtSnzs2O
やべええええ!! 俺の最愛の悪魔であるファントムたんが来たああああああ!!!
デス・ホーラーのケルベロスOD支援。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:37:31 ID:Okf/UKct
ファントムだあ支援
254魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:37:39 ID:JXmtCu64
 儀式があった後日、未だショックの抜け切らないキャロが長老の下を訪れた時。
 テントの前で聞こえた、里の偉い人達の怒鳴るような話し声。

『あの小娘は持っているのだ……っ』

 怒りと恐怖の滲み出た声で叫ばれた言葉。

『<悪魔>の力を!』







「あ……っ」

 眼を覚ますと、そこはキャロに割り当てられた宿舎の一室だった。
 カーテンを開けたままの窓から部屋に入り込むのは、僅かな月の明りと夜の闇。
 薄暗い部屋を見回し、自分が夢を見ていたことを確認すると、キャロはため息を吐いて額の汗を拭った。
 部族から追放されて、もう数年。しかし、あの日の事は決して忘れられない。
 忘れられるはずがないのだ。
 あの日、灼熱の悪魔と邂逅したその瞬間から、すでに自分は捕らえられてしまったのだから。
 ―――<悪魔>との契約に。

「……早く、寝なきゃ。明日は部隊の顔合わせなのに……」

 自分に言い聞かせて、再び横になる。
 疲れと眠気を感じているが、眠りたくないというのが正直な気持ちだ。
 しかし、寝ておかないと明日の部隊発足と同時に行う初の訓練で他の人の足を引っ張ることになる。
 キャロは自分の枕元で眠る白い幼竜の姿を見て気持ちを落ち着かせた。
 呪われた自分の元に居続けてくれるこの小さな友が唯一の救いと言っても過言ではない。
 フリードの規則正しい寝息を聞き、ほんの僅かな安心を得ると、キャロは小さく笑って寝返りを打った。
 寝転がったまま窓の外を見る。
 雲の少ない夜空に、青白い光を放つ月が浮いていた。
 こんな夜は、眠ろうという気になれない。月の魔力に満ちた空気を呼吸するだけで、体の奥から疼くものがある。
 きっと、闇に触れた者は皆そうなるのだ。



 だから―――こんな夜は、<悪魔>がよく騒ぎ出す。







魔法少女リリカルなのはStylish
 第六話『Blood link』






255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:37:46 ID:wmT6ra2O
ファントムが来るとはー支援
256リリカル! 夢境学園:2008/02/14(木) 00:37:58 ID:nabW3Mfd
ヴァ、ヴァルテールが死んだ……
どうするんだ? 支援!
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:38:09 ID:tqh+Xy9r
幻影支援
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:38:47 ID:GRnCs9cV
「ヴォ」ルテール
259魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:38:48 ID:JXmtCu64
 放たれた魔力弾が飛び掛ってくる獣の群れを次々と空中で撃ち落していく。
 発射される際に瞬く、血のように赤く火のように眩しい魔力光が燃え滾る生命をそのまま反映しているように見えた。
 闇が形を持ったような謎の襲撃者達を前にして尚、不敵な笑みを絶やさないこの男―――ダンテの。
 路地裏の暗闇から次々と湧いて出てくる猿と犬の合成獣を相手に戦うダンテの姿を、ヴィータとザフィーラは完全に傍観の位置で見届けている。
 だがそれは『傍観している』というよりも『呆然としている』と言った方が正しかった。
 ―――ダンテの常軌を逸した戦い方に。

「飽きもしないでよく来るぜ。そんなに腹が減ってるかい、ワンちゃん?」

 両手の銃型デバイスを忙しなく動かし、ひっきりなしに照準を切り替える作業を行いながら、ダンテは楽しむ素振りすら見せて襲い掛かる敵を笑い飛ばす。
 無造作に敵の最中へ歩み寄るダンテの背後に回り込んだ一匹が、当然のように死角から奇襲した。

「いいぜ、来なよ。マッズイ餌の時間だ」

 唐突にダンテは振り返った。見えないはずの奇襲をまるで予定調和のように待ち構えて。
 不揃いな牙を剥き出しにして開いた敵の口にデバイスを突っ込み、銃身をノドの奥まで潜り込ませる。

「……クセェ、糞でも食ったか?」

 虚ろな瞳を見開いて動揺する獣を片腕にぶら下げ、ダンテはそのままデバイスを別の標的に向けた。

「歯を磨いて出直しきな!」

 体内で発射された魔力弾が獣の体内を貫通して、同時に標的の頭も綺麗に吹き飛ばした。




 ―――魔力弾を用いた戦闘という点でならば、ダンテの戦い方は決して珍しいものではない。
 本物の銃弾並にまで集束・圧縮された魔力弾の貫通力は確かに恐るべきものだが、誘導性を付加していない点では魔法としては未熟の域だ。
 ただ単純に固めた魔力を標的に撃ち出してるだけ。
 使用しているデバイスの技術レベルが低い点を含めても、ダンテは魔導師としての能力は大したことはない。
 しかし、異常なのはその魔力弾を湯水のように消費し続けても疲労しないダンテの魔力量だった。
 拳銃タイプのデバイスで、まるでマシンガンのように魔力弾を連射し、迫る敵を薙ぎ払う。
 カートリッジに溜めた魔力を使うわけでもなく、それは純粋にダンテの持つ魔力を消費して行われていた。

「……底無しか、あの男」

 もはや戦闘というより単なる射的ゲームとなりつつある一方的な戦況を眺めて、ザフィーラは呻くように呟いた。

「おまけに一発も外してねえな」

 魔力量だけではなく、周囲を敵に囲まれながら余裕すら見せて弾丸を命中させていくダンテのテクニックにもヴィータは感嘆し、半ば呆れる。
 無茶な姿勢や無謀な状態で攻撃するダンテのスタイルは、以前はやてとアクション映画で見た人に魅せるそれだ。
 計算し尽くされたようでいて無茶苦茶。行き当たりばったりだがバカみたいに強い。そして、そのスリルを楽しんでみせてさえいる。

「派手好きな野郎……」

 翻る真紅のコートを見つめ、ヴィータは突如現れた闇を狩る男をそう結論付けた。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:38:50 ID:wmT6ra2O
節子、ヴァルテールちゃう、ヴォルテールや! 支援
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:39:01 ID:Okf/UKct
俺はバイドどころかインフェスタントにも寄生されちまったぜ支援。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:39:18 ID:IX77X+uM
まさかファントムを呼び出す危険を持つキャロ殺害フラグが立ったのか?!
支援



263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:40:31 ID:z17LWUrl
キャロの不幸が原作以上になっちまった…けどダンテなら何とかしてくれる支援
264魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:40:41 ID:JXmtCu64
『―――やっぱり、あの人は管理局の魔導師ではないみたいね』
「見りゃわかるよ。あんな派手好きなバカがいたら、目立たないわけねー」
「第三の戦力か……三つ巴だな。どうする?」

 ザフィーラがヴィータに意見を求めた。暗に「あの男の加勢をするのか?」という意図が含まれている。
 無関係の一般人を襲った時点で、あの正体不明の化け物達はすでに完全な敵だと定めていた。
 殺戮を好むケダモノに投降の猶予を与えるほど二人は甘くはない。
 だが、突如現れた正体不明の男を無条件で味方と判断も出来ない。
 ただ一つ、その戦闘力が脅威である事だけ分かっている。
 相変わらず敵の数は無尽蔵だが、全く危うげのない一方的な戦いを眺め、ヴィータは分かりやすい表情で悩んでいた。
 手持ち無沙汰にグラーフ・アイゼンで肩をトントンと叩く定期的な音だけが響く。

「―――決めた」

 その音が10を超えた時、ヴィータはアイゼンを振り降ろして軽く地面を叩いた。

「ザフィーラ、そのガキ守ってろ!」

 答えを聞く間もなくヴィータは赤い外套をなびかせて戦闘の最中へと駆け出す。
 真っ直ぐに、ダンテへと向かって。

「オイ、そこのカッコつけ野郎っ!」
「!?」

 ハンマーを携えて駆け寄る少女に気づき、ダンテは一瞬目を見開いた。
 グラーフ・アイゼンの先端が上下にコッキングされ、内部のカートリッジが銃の薬莢のように魔力を爆発させる。
 全身に漲った魔力を乗せ、ヴィータは掬い上げるようにハンマーを空へ走らせた。

「頭、下げろぉぉぉっ!!」

 ―――ダンテの背後、丁度彼に向かって飛び掛って来た一匹の愚かな獣に向かって。

「おっと」

 上体を反らしたダンテを飛び越え、強烈な一撃を敵の横腹にメリ込ませたヴィータは振り抜いた遠心力を殺さず、全身で回転する。

「アイゼン!」
《Raketenform》

 空中で身を捻りながらヴィータが命じるまま、グラーフ・アイゼンの先端が変形を開始する。
 削岩機のような尖った先端が突出し、敵の体に更に深く潜り込んだ。その反対側ではロケットの噴射口に似たパーツが出現し、そこに火が灯る。
 魔力噴射によってその名の如くロケットのように加速したハンマーは回転の勢いを更に増幅させた。

「でぇりゃぁぁあああーーーッ!!!」

 先端に敵が突き刺さったままの不安定な重心を、ロケットの推進力と腕力と気合いで押さえ込み、ヴィータは雄叫びを上げてハンマーを振り回す。
 別の一匹をそのまま横殴りに薙ぎ払う。重なるようにして二匹目の獣がハンマーの先端にへばり付いた。
 そして、竜巻のような回転に巻き込む形で周囲の獣を次々とハンマーが捉えていく。
 あっという間にグラーフ・アイゼンの先端には獣が折り重なって出来た巨大な塊が出来上がった。

「ラケーテン……!」

 ロケットの軌道を上に逸らし、小さな体に見合わぬ怪力と魔力ジェットの推進力で敵の塊を頭上高く持ち上げる。

「ハンマァーーーッ!!」

 腕力、推進力、そして重力。全てを合わせて、ヴィータはグラーフ・アイゼンを地面に振り下ろした。
 ハンマーと地面にプレスされ、幾つもの獣が重なって出来た塊は粉々に砕け散り、周囲に飛び散って消滅した。
 アスファルトを砕き、白煙を上げるハンマーの先端を軽く振る。
265リリカル! 夢境学園:2008/02/14(木) 00:40:53 ID:nabW3Mfd
ダンテのスタイリッシュさは止まることを知らない。
あとこれなら追い出されてもしょうがないなぁ、と支援。

ヴォルテールの名前間違えた orz
266魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:41:46 ID:JXmtCu64
「―――オラ、次にペシャンコになりたい奴はかかって来いよ」

 周囲の闇を恐れもなく睨みつけ、ヴィータは獰猛に笑った。

「……イカスぜ」

 幼い少女の外見を吹き飛ばすような見事な啖呵に、ダンテは心底感嘆した。
 警戒していると言えば見栄えはいいが、まるで怯えるように動かなくなった周辺の黒い化け物の群れを眺めると笑いが込み上げる。
 この小さな戦士を、<悪魔>は恐れているのだ。

「お兄さんのお手伝いをしてくれるのかい、お嬢ちゃん。あいにく飴玉は持ってなくてね、お駄賃はないけどいいか?」

 出番を失った銃型デバイスをクルクル回しながら、挑発するように笑いかけるダンテをヴィータは敵と同じように睨みつけた。

「これがあたしの仕事なんだ。時空管理局魔導師ヴィータ! 覚えときやがれ、この野郎」
「魔導師? 驚いたね、獣臭い悪役の次は魔法少女と来た。だがいいのかい、俺がボスかもしれないぜ?」
「誰もテメーを信用するなんて言ってねーよ」

 試すような態度のダンテを鼻で笑い飛ばし、ヴィータはグラーフ・アイゼンを担ぐ。
 周囲を漂う空気が張り詰める感触を、歴戦の騎士としての感性が捉えていた。戦いが再開されるのだ。

「突然出て来て、知った顔で化け物どもを撃ちまくるテメーも胡散臭いことに変わりはねぇ」
「確かにな。それでも味方してくれるってのか?」
「ああ、テメーの正体も目的も分からねえけどな……」

 ヴィータの答えがどういうものなのか、期待する表情のダンテを睨み上げて言葉を続ける。

「服の趣味はいいと思うぜ」

 言って、自らの赤い外套を手で叩めかせ、ヴィータはニヤリと笑った。

「……俺もさ」

 同じ表情を浮かべ、ダンテもまた真紅のコートを見せ付けるように翻してデバイスをガンホルダーに滑り込ませた。
 わずかな言葉と邂逅の中で奇妙なシンパシーを得た二人は、グラーフ・アイゼンとリベリオン、互いの得物を手にして徐々に輪を縮めつつある敵の包囲を見据える。

「OK、ベイビー。真夜中の舞踏としゃれ込むか……Shall we dance?」
「ダンス? そんなモン、踊ったことねーよ」

 最初にヴィータが駆け出した。
 向かい合ったダンテの横を擦り抜け、その背後ににじり寄っていた敵に突撃する。

「せいぜい、相手を振り回すだけさっ!」
「いいねえ……激しいのは嫌いじゃないぜ!」

 背後で憐れな標的を空高く殴り飛ばす音を聞いて、ダンテも負けじと眼前の敵を真一文字に切り裂いた。
 月下、悪魔とのダンスが再開する。



267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:43:21 ID:wmT6ra2O
機動六課社交ダンス部 支援
268魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:43:42 ID:JXmtCu64
「やはりこうなったか……」
『よかったの、ザフィーラ?』
「構わん、私も同じ判断だった。あの男はとりあえず理性的だ、詳しい話は後でいい」
『それもそうね。応援は止めておくわ、話がややこしくなりそうだから』
「それがいい。戦力は十分増強できた」

 暗闇の中で映える二つの赤い影が化け物の群れの中で暴れ回る様を眺め、ザフィーラは断言した。
 あの男が何者かは分からないが、その戦闘力と人間性だけは信用できる。彼は初め、ヴィータを守ったのだ。
 未だにへたりこんだままの少女の傍で戦況を眺めていたザフィーラだったが、二人の猛攻からこぼれた数匹が接近するのを察知して意識を切り替えた。
 犬のような顔をしながらも嗜虐的な笑みに見える『表情』を浮かべる黒い獣と、青い獣が相対する。
 その背後では、おそらく彼女の人生で最大の不幸であろう、狂った戦場に居合わせた少女が怯えていた。

「目を瞑って耳を塞げ。恐れることはない、次に目を開けた時には全て元に戻っている」

 居住権を持たない子供。管理局員の職務に含まれない人種。しかし、そんな事はザフィーラには全く関係なかった。
 名も知らぬ少女がこれ以上怯えぬように、力強い声で囁く。

「しゃべる……お犬さん……」
「犬ではない」

 常軌を逸した状況で精神的に疲労し尽したのか、あるいはそんな状況で心強い言葉を聞けたからなのか、少女は呟きながら気絶した。
 最後に漏らした言葉に対して、ザフィーラは人間の時ならば肩を竦めているだろうため息を吐く。
 まったく、何度も言っているだろう?

「この身は牙無き人々の盾となる―――」

 無抵抗の獲物に対して、嬉々として群がる畜生ども。
 立ち塞がる青い獣が生み出す障壁によって、その黒い侵攻は完全に止められた。
 かつてはたった一人の主の為。そして今は、誇り高い意志を胸に抱いて多くの人々の為に。
 青い獣は自らの義務を全うする。

「守護獣だぁっ!!」

 出力を上げた障壁がその輝きを増し、放出される凄まじい圧力によってへばりついていた黒い獣が全て消し飛んだ。
 少女を守護する盾を破れる者は、もはやいない。




「Yeah!!」

 爽快とでも言わんばかりの雄叫びを上げて、ダンテが地面を蹴り砕く。
 滑走して放たれる刺突。初動から爆発的な加速を得た突進と、その運動エネルギーを乗せたリベリオンの剣先が反応する間もなく敵の胴体を貫いた。
 剣に突き刺さったままの敵を意に介さず、そのまま肉厚の刀身で獣の群れを薙ぎ払う。
 その背後では、グラーフ・アイゼンの一撃によって吹き飛ばされた黒い塊が仲間を巻き込んで盛大に壁に激突していた。
 まさに一騎当千。
 いずれも力任せの豪快な戦闘スタイルを好む二人の暴虐に、もはや闇の眷属達は成す術もない。

「数が減ってきたじゃねーか! 朝まで持ちそうにねぇな、コイツら!」
「どうした化け物ども? 夜更かしが大好きな子供が物足りないって言ってるぜ!」
「あたしは子供じゃねー!」
269メタルサーガsts:2008/02/14(木) 00:44:55 ID:E4nMrdwr
スタイリッシュ支援
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:47:16 ID:tqh+Xy9r
悪魔と踊ろう支援
271魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:47:34 ID:JXmtCu64
 すでに旧知のような軽口を叩き合いながらも、ダンテとヴィータは手を休める事無く周囲の闇を駆逐していく。
 無尽蔵を思われた黒い獣の群れは、圧倒的な武力の前についにその勢力を弱め始めた。
 もともと無限の数などなかったのか、あるいは他の何かが決定打になったのか。
 その『何か』を思い浮かべ、ヴィータが自然と背後の真紅のコートへ視線を走らせた―――その時。

『―――魔力反応! 今までで一番大きなうねりが起きてるわ! 近い、具現化する!!』

 突然響いたシャマルの報告を、しかしヴィータはどこか予想していた。
 唐突に現れた理不尽な化け物ども。
 そんな奴らと始めたこの狂気の戦いの幕を引くのにこの静けさは在り得ない、と心の何処かで確信していたのだ。

「オイ、大物が来るってよ!」
「分かってるさ、ベイビー。デザートの時間だ」

 念の為ダンテに警告を発するが、しかしやはり、彼は独自の感覚で以ってその敵の出現を察知していた。
 二人、魔力が集束し歪みつつある空間を睨みつける。
 いつの間にか黒い獣は姿を消し、小物の退場を終えた舞台に真打が上がる準備は整っていた。
 空中で光を伴いながら闇が凝固する矛盾を孕んだ現象が起こり、そしてソレはついに形を成した。
 <悪魔>に相応しい背中の羽。人間の上半身と蹄を持った下半身。赤い体毛に覆われた四肢、そして山羊の頭を持つ化け物。
 人と交わり、堕落させる悪魔の象徴たるその姿は、まさしく背徳の存在として相応しい様相だった。
 先ほどの獣とは違う格と威厳を見せ付けるように、山羊の怪人は組んでいた腕をゆっくりと解く。
 そして、ただそれだけの動作で<魔法>を発動させた。
 見た事もない立体型の魔方陣が怪人の眼前に展開される。デバイスも呪文も用いず、それは『動作の一つ』であるかのように行使された。
 集束された魔力は四つの弾丸となり、それは眼下の二人に向けて明確な敵意を孕み―――。

「長いぜ」

 <魔法>の行使に集中していた敵を鼻で笑い、ダンテはリベリオンを弾丸のように投げつけた。
 展開されていた魔方陣を容易く打ち砕き、そのまま刀身が胴体の真ん中にダーツの的よろしく突き刺さる。
 驚愕に眼を見開き、<山羊>は甲高い悲鳴を上げた。

「デザートは味わうもんだが、正直味に飽きがきててね」

 胸から剣を生やしたまま、空中で悶える<悪魔>に対してダンテは皮肉るように言った。
 リベリオンの不気味な装飾も相まって、まるで酷く不恰好なピアスを付けているような滑稽な姿を一笑する。
 痛みを憎しみに変えた<山羊>は胸に刺さった剣を引き抜こうと腕を伸ばし、そこでようやく気付いた。
 すでに眼前まで迫った、空を飛ぶもう一つの赤い影に。

「つまんねー手品に興味はねえ―――」

 自慢の相棒を肩に担いだ鉄槌の騎士。
 恐れず、怯まず、ただ勇ましく。異形の敵と相対してなお燃え滾る炎を纏い、必殺の一撃を解き放つ。

「とっとと引っ込みやがれ!!」

 翻る赤い外套。全身を使った回転運動により、遠心力の乗ったハンマーが狙い違わずリベリオンの柄を叩いた。
 凄まじい衝撃によって、杭のように打ち込まれる刀身。剣先が背中を突き破り姿を現す。
 完全な串刺しとなった<山羊>はそのまま後方へ吹っ飛んだ。
 背後のビルに激突し、貫いた剣によって壁に磔の状態となる。
 早々たる退場。もはや悲鳴すらなく、山羊の怪人はそれで絶命した。

「Come on!」

 ダンテの鋭い呼びかけに対して、それに応える意思を持っているかのようにリベリオンが自ら壁から抜け、高速で主の手に舞い戻った。
 支える物を失った<山羊>の体は、しかし落下する事無く。抉られた胸の傷から亀裂が走るように消滅し、四散した。
 最後の敵の消滅を見届け、ヴィータが地面に着地する。
 同じく自らの手に戻った愛剣をダンテが背中に固定した。

『……魔力反応無し。終わったみたいね』
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:47:38 ID:JHdbD1vx
支援
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:49:16 ID:wmT6ra2O
ボス涙目w 支援
274魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:49:22 ID:JXmtCu64
 そして、それが終了の合図であるかのように、戦闘は完全に終結したのだった。




「―――で?」

 シャマルも合流し、保護した少女の安否が確認したところで、ヴィータは何故かその場に残ったダンテを睨みつけた。
 この不可解な現象の貴重な情報源となりそうな男を黙って帰すつもりは毛頭なかったが、それを分かっているかのように余裕の態度で佇む姿が気に食わなかった。

「質問はハッキリとな、お嬢ちゃん。小学校で習わなかったか?」
「知ってる事を! とっとと! 吐きやがってくれねーですか!? このスカシ野郎!!」

 完全にからかって楽しんでいるダンテに、もはや噛みつかんばかり勢いでヴィータは詰め寄った。
 その様子に、シャマルが「まあ」と驚いて口元を押さえる。

「ヴィータちゃん、『スカシ』なんて乱暴な言葉をいつの間に? いけないわ」
「外野うっせー! こっちは尋問してんだぞ、もっとマジメになれよ!」
「熱くなるな、ヴィータ。そいつに乗せられているぞ」
「Easy does it. 落ち着けよ、ワンちゃんを困らせるな」
「何が『いーじー』だ! それ知ってんだぞ、英語だろ!? 分かる言葉で喋れよ、『テリヤキバーガー』とか『ドナルドマジック』とかっ!」
「ヴィータ、テリヤキは英語ではないぞ……」
「っていうかヴィータちゃん、今の単語……またジャンクフードこっそり食べてたわね? 体に悪いから止しなさいって言ったでしょ」
「う……っ、ウマイからいーんだよ! 一週間に一回ならいいってはやても言ってもんね!」
「ハハッ、あのチープな味はクセになるからな。分かるぜ」
「だろ!? なんだ、お前いい奴だなー」
「ヴィータ、丸め込まれているぞ」

 騒々しい会話の後には、何故か意気投合する赤い二人が出来上がっていた。
 服装も似通った二人の談笑が何故か妙に絵になっていて、ザフィーラとシャマルは同時にため息を吐いた。
 なんだか有耶無耶のまま話題が流れてしまいそうだが、時間もあまり残されているワケではない。

「ヴィータちゃん、それにダンテさん。そろそろ事後処理と調査の為の部隊が来るわ」

 一変して真面目な顔になったシャマルの言葉に、ダンテはともかくヴィータは我に返り、自らの職務を思い出した。

「そちらのお仲間さんか? ひょっとして、俺は逮捕されんのかな?」
「しねーよ、一応協力者だろ。けど……」
「ややこしくはなりますね。今回の不可解な事件について、重要参考人として確保されるかも」
275リリカル! 夢境学園:2008/02/14(木) 00:49:35 ID:nabW3Mfd
泣き出す暇もないw 支援
276反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/14(木) 00:51:15 ID:Eotc+OSL
戻ってきたぞッ! 支援
277Strikers May Cry:2008/02/14(木) 00:51:21 ID:qtSnzs2O
とうとうダンテが管理局の眼に止まるか支援。

兄貴みたいになるなよ。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:51:22 ID:Okf/UKct
ワンちゃん言われてるぞザフィーラ支援。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:51:29 ID:tqh+Xy9r
瞬殺されたw支援
280魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:52:34 ID:JXmtCu64
 呑気なダンテの質問に、ヴィータは少々気まずげに言い淀み、シャマルがそれを補足した。
 管理局の用いる<確保>の方法がどういうものになるか、目の前の男の性格を察すれば何となく予想できる。
 大人しく市民の義務を果たすような真っ当な人間ではないだろう。
 しかし、確かな理性と義憤を持って少女とヴィータを救った彼に理不尽な強制をするなど、気が進まないのも確かだ。

「そいつは困ったな。仕事は終わったから、さっさと帰って寝たいんだ」

 ちっとも困った様子ではなく、まるでヴィータ達を試すようなあからさまな態度を取るダンテをヴィータが不機嫌そうに睨みつける。
 事実、彼女達が自分をどう扱うか、ダンテは試しているのだった。

「……さっきの<敵>は一体何なんだ? お前、知ってんのか?」

 しばらく考え、ヴィータは結局一番疑問に思っていることを口にした。
 その質問にダンテはわずかに思案し、しかしやがて何かを諦めるように肩を竦めると、何気ない口調で答えた。

「アレは<悪魔>だ」
「<悪魔>だと?」

 あまりに自然な流れで口にされた為、三人はその言葉の意味を一瞬正確に理解できなかった。
 奴らは<悪魔>―――そんな幻想的な名称を、目の前の信仰心など欠片もなさそうな男は口にしたのだ。

「それは、アナタの表現の一つとして……ですか?」
「いいや、アイツらは<悪魔>だ。それ以上、正体を言い表しようがない」
「オメー、そんなの……」
「信じられないか? だろうな。それでいい、それが正常だ」

 そう言いながらも、ダンテは『悪魔を信じる』という異常を自ら抱えている様子だった。
 目の前の男の人柄からして、妄言とは思えない。奇妙な説得力があった。

「<悪魔>は存在する。そして、俺の目的はソイツらを狩る事だ」

 事情の説明もなく、ただ端的にそれだけを断言して、ダンテは沈黙した。
 まるで言うべき事は全て言い終えたかのように。
 それをどう判断するか。信じるか、信じないか。同じように黙り込む三人を見据え、ただ静かに待つ。
 しかし、その答えを出す前に時間は来てしまった。

「……ヴィータちゃん、ザフィーラ。もう部隊がそこまで……」

 クラール・ヴィントのセンサーに捉えた反応をシャマルが伝えた。

「…………行けよ」

 唐突にヴィータが告げる。
 ダンテは一瞬その言葉の意味が分からず、瞬きすることしか出来なかった。
 そんな彼の様子を苛立ったように睨みながら、ヴィータは何処ともない路地裏を指差し、声を荒げる。

「行けって! ややこしくなる前にズラかりたいんだろ? 適当に言っとくから、もうお前行けって」
「……いいのか? 心遣いは嬉しいが、ちょいとマズイと思うんだが。なあ、ワンちゃん?」
「守護獣だ。ヴィータ、それでいいのか?」
281魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:54:43 ID:JXmtCu64
 仕事仲間としてヴィータの独断を咎めるわけでもなく、ザフィーラは純粋に尋ねる。

「今の話、他の局員に言って信じると思うか? 絶対に揉めるぜ、下手したら犯罪者並の扱いになっちまう。―――それに、助けられたしな」

 借りは返す。一本気な分かりやすい性格のヴィータが持つ信念の一つだった。
 その結論に、ザフィーラとシャマルは苦笑を浮かべるしかない。そして、同意した。

「そういうワケだ、行くといい。あの<悪魔>とやらが現れ続ける以上、おそらくまた会うことになると思うがな」
「そいつは嬉しいね。気のいい奴らとつるむのは嫌いじゃない、特に美人もついて来るなら尚更な」
「やだっ、美人だなんて!」
「誰もシャマルのことだって言ってねーよ」
「安心しろよ、お前さんも美人になるさ。保証する、10年後だがな」
「うるせーっ、あたしはもう十分<いい女>なんだよ!」

 穏やかな空気の中、先ほどまでの戦闘の空気を振り払うように小さな笑いが響く。
 ダンテ以外の三人にとって、この判断は職務放棄に繋がる行為だったが―――しかし今は、見知らぬ者同士でありながら同じ窮地を乗り越えた仲として談笑できるこの結果を素直に喜んだ。

「それじゃ、俺はそろそろ退散させてもらうぜ」
「見つかるなよ。そこまでフォローできねーぞ」
「その時は他人のフリをしてくれればいいさ」

 路地裏の暗闇へ向かうダンテの背中越しに、また軽口が応酬される。
 ダンテは最後にもう一度振り向くと、今思いついたと言うようにヴィータに尋ねた。

「そういえば、お嬢ちゃんの名前は<ヴィータ>でよかったよな?」
「そうだよ、覚えとけ」
「<ザフィーラ>?」
「ああ」
「<シャマル>?」
「はい」
「OK、覚えた。俺は表では何でも屋をやってる、何か面倒事が起きたら依頼しな。<合言葉>の代わりに名乗ってくれれば、格安で受け付けるぜ?」

 そう言って、もう見慣れたものになってしまった不敵な笑みを浮かべると、今度こそダンテは踵を返した。

「オメーは<ダンテ>だろ?」

 もう振り返らないだろう背中へ、最後にヴィータが小さく声を掛ける。

「……悪くねー名前だ」
「お前もな」

 軽く手だけを振り、ダンテは路地裏の暗闇の中へと姿を消して行った。
 残された三人は、まるで嵐が去った後のような静寂の中で佇む。
 そこに異常な静けさを感じるのは、やはり先ほどの喧騒のせいだと三人が同じように思う。
 そして、それはあの<悪魔>の襲撃による喧騒などではなく、あの印象的な男との邂逅だったと―――やはり三人は共通して感じていた。
282キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 00:55:15 ID:PMEqiWb+
ちょっ! このキャロ何処かのキャロよりヤバイ支援
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:56:18 ID:Okf/UKct
キャロは他の大悪魔も使役する事が出来るのか 支援
284魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:56:42 ID:JXmtCu64
「とりあえず、今夜はこれで終わりそうだが……」
「でも、この事件は始まったばかりかもね」

 ザフィーラの言葉が持つ不安を具体的なものにして、シャマルが続けた。
 当初の目的であるガジェットは撃破し、謎の襲撃からも生き残った。しかし、同時に多くの謎も残ったのだ。

「<悪魔>か……」

 呟くヴィータの言葉には、不思議と疑念など含まれていない。
 ダンテの言葉を聞き、またその存在を目の当たりにした三人だけが持つ、奇妙な確信がそこにあった。
 ―――<悪魔>は実在する。

「やっぱり、もう少しお話聞いた方がよかったしら? 尋ねれば話してくれそうだったし」
「だが、理論立てて話すようなタイプには見えん」

 本人がいないのをいいことに、ザフィーラの発言に全員が失礼にも頷いていた。事実だが。

「それに、分かったこともあるぜ。あの猿もどきや山羊の化け物……魔法生物とかそういうんじゃねーのは確かだ。っていうか、たぶん生き物じゃねえ」
「確かに、それは立証できるな」
「どういうこと?」

 唯一、敵と直接交戦しなかったシャマルが疑問を抱いていた。

「忘れたのか? あたしら、非殺傷設定の魔法使ってるんだぜ」
「あっ!」

 ヴィータの指摘に、シャマルはようやく気付いた。
 物理保護の施された一撃で吹き飛び、バラバラになった敵の肉体。ザフィーラの障壁で消し飛ぶ黒い獣―――。
 精神的なものや魔力へのダメージ干渉しか行わないはずの非殺傷設定の魔法攻撃を受けて、それでも敵は<肉体>を損傷させていたのだ。
 ならば、奴らの<肉体>は血肉を持ったそれではなく、魔力と同じような霊的で精神的な要素で構成されている事になる。

「それって、一体どういう存在なの……?」
「案外、最初のガジェットもアイツらを調べる為にこの辺うろついてたのかもな」
「否定できんな。<悪魔>か……あながち、ただの表現とも思えなくなってきた」

 静寂を取り戻した夜闇の中、三人の騎士は明かされた先で更に待つ謎を見つけ、言葉を失くす。
 闇の中に潜む、その朧な存在に気付き始めた者がいる。
 しかし、まだ真相に近づく者はいない。
 今はまだ。




285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:57:26 ID:feOQNeTp
ヴィータがいい女過ぎるぜ。素晴らしい。
支援
286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:58:19 ID:UeCNAjrv
GJ過ぎる
ダンテはすでに名が知られているのかな?
287魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:58:37 ID:JXmtCu64
 夜が明け、朝日が窓から部屋を照らし出す。
 機動六課の中枢となる部隊長オフィスは、今ようやく形となっていた。
 部隊の指導者が座るべきデスクには八神はやてが腰掛けている。
 その瞳は、虚空を鋭く見据え。

「今が、<選択>の時や―――」

 両手を口元で組んだ体勢で、はやては厳かに呟いた。



「…………はやや、はやてちゃんいきなり何言ってるですか?」
「いや、こういうボス的な位置に座っとったら、なんかそれっぽいこと言わなあかんような気がしてなぁ」
「はやてちゃんって、時々バカですよねー」

 傍らの専用ミニデスクに腰掛けたリインフォースUのツッコミを受けて、はやての顔が引き攣る。
 可愛い顔して時々発言が辛辣なこの子。
 
「しゃ、しゃあないやん! ようやく、部隊が形になったんやから。ガラにもなくはしゃいどるんや」
「ガラも何も、はやてちゃんは毎回テンション変ですけどねー」
「……なあ、リイン。ひょっとして私嫌われてんのかな?」
「でも、気持ちは分かりますよー。リインもワクワクしますっ!」

 言動が釣り合ってないリインを見ると、その無邪気な笑顔も裏がありそうな気がした。
 はやてはその疑念を極力考えないようにしながら、気持ちを切り替える。笑顔はちょっとだけ引き攣っていたが。

「私もや。ようやく出来た、私の城……ここから全てが始まるんやからな」

 全てが真新しい部屋を見回しながら、はやては感慨深げに呟いた。
 窓から見える景色。保存剤の匂いが残る備品。全てが感じ慣れない、新しい感触だ。
 まるで新品のスニーカーを初めて履いた時の気分だった。
 今はまだ真新しい感覚にはしゃぐ呑気な高揚しか感じないが、歩むうちにいつしか馴染み、それは変わっていく。
 この部隊が管理局に名を轟かせるエリート部隊となるのか、それとも食い詰め者の独立愚連隊となるのか―――全てはこれから決まる。
 その不安と期待を存分に感じると、言い知れぬ高揚感が湧き上がってきた。

「はやてちゃん、なんか悪どい顔してますよー?」
「ほうか? まあ、私も使命感だけでこの地位まで昇ってきたわけやないからなぁ。性分や」
「悪の女幹部って感じです!」
「ええな、それ。偉いさんは悪人が適任なんやで」

 普段人に見せる柔らかな笑顔などではなく、僅かに犬歯を見せて口の端を吊り上げる笑み。
 はやてのそんな表情を、リインは嬉しそうに眺めていた。
 調子に乗って以前見た時代劇の悪代官の笑い方を真似るはやてと、それを冷めた仕草で熱く見つめるリイン。
 そんな奇妙な空間に、来訪者を告げるブザーが鳴った。
288魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 00:59:48 ID:JXmtCu64
「はい、どうぞ」
「「失礼します」」

 訪れたのは、はやてと同じ制服に着替えたなのはとフェイトだった。

「おおっ、お着替え終了やなぁ」
「お二人とも素敵ですぅ!」
「にゃはは」
「ありがとう、リイン」

 照れくさそうに微笑む二人を満足げに眺め、はやては納得するように何度も頷く。

「うんうん、似合うてるよ二人とも」
「そうかな? へへ……」
「匂い立つエロスを感じるで!」
「ありがとう、はやて…………え、ありがとう?」

 グッと親指をアップさせながら賞賛するはやての言葉に何か狂った表現を聞き取り、フェイトは思わず疑問系になった。
 なのはが「また始まった」とばかりに頭を抑える。

「はやて、それ褒め言葉?」
「もちろん。タイトスカートの僅かなスリットから見える脚線美が卑猥でええ感じやー」
「そんな爽やかな笑顔で言われても……」
「特にフェイトちゃんは黒ストやしなぁ、ヒールもベストチョイス! 昼下がりに上司に背後から襲われても仕方ないくらい様になっとるで!」
「それもう褒め言葉じゃなくてセクハラだよ!」
「大丈夫や、同性ならスキンシップで済むから」

 顔を真っ赤にしたフェイトの悲鳴に近い叫びを受け流すはやての笑顔は悪魔のそれだった。
 相変わらず無邪気な笑顔のリインと疲れたように肩を落としたなのはを傍らに、二人の喧騒はオフィスを満たした。
 はやて達三人にとっては馴染みのやりとりが部屋の空気を馴染み深いものへと変えていく。
 ようやく、普段の調子が戻ってきた感触をはやては感じ取っていた。

「―――ところでフェイトちゃん。手、大丈夫なん?」

 どこまでも盛り上がりそうな会話を適当なところで切り上げ、はやては不意に視線をフェイトの右手へ降ろした。
 フェイトは両手を白い手袋で覆っていた。
 軍隊式デザインも含まれる制服にその手袋は違和感のあるものでは無かったが、はやてとなのははその下に隠しているモノを知っていた。
 フェイトの右手には3年前から傷がある。
289Strikers May Cry:2008/02/14(木) 01:00:51 ID:qtSnzs2O
デビルブリンガー来る!? 支援
290魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 01:00:52 ID:JXmtCu64
「うん、朝にはもう血は止まったし」
「やっぱり、昨日の夜は疼いたか」
「満月だったもんね」

 僅かに眉を顰めるはやてとなのはに、フェイトは何でもないと笑って見せた。
 強がりではない。もう既に『慣れたもの』なのだから、この程度気にすることでもないのだ。
 フェイトの右手には傷がある。
 3年前に、今はフェイトの保護下にいる少女と初めて出会った時に刻まれた古傷が。

 ―――キャロに付けられた傷があるのだ。

「おかしな傷やね。もう完全に塞がっとるのに痕が消えないどころか、いまだに時々血を流す。悪くはなってへん?」
「大丈夫、変わらないよ。良くはなってないけど酷くもなってない。気にしなければ、なんてことない」
「気にするのっ。この前寝てる間に出血して、血だらけで起きて来たフェイトちゃん見た時は寿命が縮んだよぉ……」
「お医者さんもお手上げなんですよねー?」

 手袋に隠れた傷を擦ってフェイトは苦笑するだけだが、その傷が何でもないものであるはずがなかった。
 時々夜中に血を流し、傷が一晩中疼く時もある。
 これを刻んだ存在は、傷以外のものを自分に残していったのだろう。
 3年前に邂逅した一人の少女と、竜と、そしてそれ以外に確かに『いた』黒い存在―――それをフェイトは鮮明に覚えている。

「……今日、その例の子も部隊に来とるわけやけど……大丈夫?」
「何が?」

 フェイトを案じる様子で、しかしどこか試すような厳しい視線を向けるはやてに、彼女は微笑のまま応える。

「キャロと会うのは久しぶりだから、嬉しいよ」

 何の気負いも無い口調でフェイトは答えた。本心からの言葉だった。

「……ほうか。なら、何も言うことないな」

 はやては僅かな緊張と共にため息を吐き、苦笑した。傍らのなのはも同じ表情を浮かべている。
 変わらない親友の心根を見るたび、三人が浮かべてきた表情だった。
 似た者同士。どいつもこいつも頑固で強がりだ。
 新たな部隊で再び集った三人は、部隊長補佐のグリフィスが呼びに来るまで、かつての頃のような空気の中で笑い合っていた。




291魔装機神:2008/02/14(木) 01:00:52 ID:wWoXQEyE
設定年齢19歳、蟹座のB型支援
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:01:01 ID:Okf/UKct
はやてがこなたになっとる支援
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:02:29 ID:Okf/UKct
マジでキャロの精神状態が心配だ支援
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:02:33 ID:tqh+Xy9r
デビルブリンガー支援
295魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 01:02:52 ID:JXmtCu64
 機動六課の本部となる隊舎。
 さすがに新設とまではいかなかったが、新たな部隊の発足に向けて隅々まで磨き抜かれたロビーに、同じく新しい輝きを放つ部隊のメンバーが勢ぞろいしていた。
 裏方や事務のスタッフに加え、中核となるフォワード陣のルーキー達、そして指揮官のベテラン魔導師達が整列している。
 選抜されたティアナ達はもちろん、彼らの上司となるヴィータ達ヴォルケンリッターも揃っている。
 多種多様。しかし唯一つの志の元に集まった彼らは、スピーチ台に登る八神はやてを一様に見据えていた。
 まだ歳若いが、洗練された美しさと、何より上に立つ者の威厳を放つはやての引き締まった顔立ちに彼らは敬意を抱く。
 台に登ったはやては鋭い視線でゆっくりとメンバーの顔を見渡し、やがて静かに口を開いた。


「あ、オィィィーーーッス!!」


 片手を上げて、はやては長さんバリに挨拶をかました。
 沈黙と、物凄い微妙な空気が当たりに漂う。
『アレ、外した?』という顔で上げた手をフラフラさせるはやてと、驚きと困惑の間で微妙な表情の隊員達。
 傍らのグリフィスはアゴが外れ、なのはとフェイトは揃って頭を抱えていた。

「えーと、私の世界の亡き偉人に倣った挨拶でしたが……どうやら皆さんには分からなかったよーやね。残念」

 そういう問題じゃねえ、と言わんばかりの二つの視線を両脇から感じながら、はやては笑って誤魔化す。
 全員の微妙な雰囲気が抜けない中、ただ一人シグナムだけが目頭を押さえて肩を震わせていた。
 傍らのヴィータは、顔を俯かせたシグナムが「長さん……っ」と何か涙声で呟くのを聞いて、心なし距離を取った。ファンだったらしい。

「機動六課課長。そして、この本部隊舎の総部隊長八神はやてです。気軽に首領(ドン)はやて、もしくはボスと呼んでください」

 はやては朗らかにそう言って、呆気に取られる面々を見回した。
 皆、彼女がどこまで本気なのか分からなかった。

「平和と法の守護者<時空管理局>の部隊として、事件に立ち向かい、人々を守っていくことが私達の使命であり、為すべきことです」

 完全にはやてのペースとなった空間で話は進んでいく。

「実績と実力に溢れた指揮官陣、若く可能性に溢れたフォワード陣、それぞれ優れた専門技術の持ち主のメカニックはバックヤードスタッフ。
 全員が一丸となって事件に立ち向かえると信じています―――というのが建前や」

 最初の悪ふざけが嘘のように順調な滑り出しだったはやてのスピーチが、唐突に変化した。
 スピーチの内容を事前に聞いていたなのは達も含めて、全員が様子の変わった部隊長に注目する中、普段の口調に戻ったはやての話が続く。

「リミッターを設けてまで配備されたSランクの魔導師に加え、素質のある新人を選り抜き、各分野には最高のスペシャリストと装備を加えた。
 私達の部隊には多大な<投資>が掛かっとる。それもこれも、この機動六課が実験的な意味合いを含む部隊やからや」

 形式的なスピーチを捨て、歯に衣を着せぬ表現を躊躇いなく使いながらはやては困惑する隊員を見回した。

「私がこの部隊を設立するにあたって最初に掲げた理念―――『対犯罪への速効性』
 それが実現出来るか否かはこれからの活躍にかかっとる。私達が全ての先駆けや。そしてその部隊の性質ゆえに、私達は常に戦いの最前線へ立たなあかんやろう……」

 当初の朗らかな雰囲気は欠片もなく、緊張で引き締まる表情に切り替わったはやて。
 その言葉に、実戦を知る者達も実戦を知らぬ者達も、いつの間にか耳を傾けていた。
296魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 01:04:40 ID:JXmtCu64
「不穏な事件は増えるばかりや。謎の襲撃事件を含め、局員に出る被害は増す一方。
 命を捨てろとは言わん。けど、さっきも言ったように私達は『人々の為に戦う』 だからこそ、いつか自らが盾にならなあかん瞬間が来るかもしれん」

 冷徹とも言える声で、はやては告げた。

「管理局員となった時点で、その覚悟は出来てると思う。だからその時に、この中の誰かに<不幸>が訪れても、許しは乞わん」

 はやては口を引き締めて背筋を伸ばし、自分を見る部隊の人間全ての視線を見つめ返した。

「―――せやけど約束する。後悔だけはさせへん。皆が胸に抱く信念を裏切ることだけは絶対にせん」

 八神はやてのその誓いを、その場にいる誰もが胸に刻む。
 そして抱いた。飾り立てた正義ではなく、厳しい現実の中でも尚足掻いて手にしようとする彼女の正義に向かう心を。

「皆の未来を、私に預けてくれ」

 話を終え、はやては静かに敬礼をした。
 結成式を締めくくる祝福の拍手はなかった。ただ、誰もが彼女の敬礼に対して一糸乱れのない返礼を返した。
 その時確かに、彼らは一つの意志の元に一丸となったのだ。
 <機動六課>が誕生した、真の瞬間だった。



 舞台は整い、時は満ちた。

 兄の夢と仇を追って戦いに身を投じた銃使い―――。 

 かつての憧れに手を伸ばし、走り続ける格闘魔導師――。

 過去を背負い、未だ見えぬ未来へ顔を向けた騎士見習い―――。

 そして、闇の契約に縛られながらも進むことを選んだ召喚師―――。

 幾つもの邂逅を経て、物語は紡がれる。



 光と闇を交えた演劇の幕が、今ようやく上がる。







be continued…>





297魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 01:05:18 ID:JXmtCu64
<ダンテの悪魔解説コーナー>




ブラッドゴート(DMC2に登場)

 人間を堕落させる悪魔の代表として、随分と分かりやすい見た目を持つのがコイツらだ。
 山羊の頭と人間の体を組み合わせた姿は、悪魔を綴った本の挿絵には大概載ってるよな。
 うすらデカイ体格を利用して随分と達者な格闘術を使ってくるのも脅威だが、雑魚どもとは違ってコイツは魔法を行使できる。
 空中からバラ撒かれる魔力弾は誘導性もあって威力も高い。
 だが、その瞬間こそが最大のチャンスでもある。無防備に集中した隙をついて地面へ叩き落してやろうぜ。
 山羊らしく草でも食ってろってな。
 ま、正直なところ、コイツの自慢の魔法もこの世界の魔導師から見たら手品みたいなもんだろうがね。
298反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/14(木) 01:05:54 ID:Eotc+OSL
シリアスなのかコメディなのかハッキリしてwww支援
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:07:19 ID:IX77X+uM
GJ!!でした。
ここのキャロは下手に追い詰めると、敵味方壊滅フラグが立ちましたね。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:07:34 ID:feOQNeTp
はやてカッケェェ!
ちょっと○のゆ○さんところのはやて風味だ…
支援
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:08:11 ID:tqh+Xy9r
GJ!
悪魔狩人見習にもなりつつある人
デビルブリンガーの疑いがある人
悪魔召喚師になりつつある人
個性豊かすぎですw
302リリカル! 夢境学園:2008/02/14(木) 01:08:18 ID:nabW3Mfd
ついに本幕の幕が上がるー
GJ!

もうこの瞬間から次回までの間が一日千秋状態です!
ダンテのスタイリッシュが、キャロの不吉な運命が、はやてのシニカルさが
先を楽しみでたまらなくさせます!
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:08:28 ID:wmT6ra2O
GJ!!
本編をただなぞるだけで終わりそうにない独自設定の数々
これから先どう物語に影響を与えていくのか楽しみだ
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:08:43 ID:gumOcFpp
果てしないロード入りました
バクラに社長が混ざってますよ?
融合事故?
305キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 01:09:33 ID:PMEqiWb+
スタイリッシュなはやてが素晴らしいぞ。
このエロくて、ギャグでシリアスなのをスタイリッシュと言うのか解らんがw
そして〜キャロ、気に成るよキャロ。GJです!
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:10:15 ID:Okf/UKct
gjファントムは3の大悪魔達みたいに
武具になったりするのだろうか。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:10:38 ID:IX77X+uM
最近キャロ大人気。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:10:55 ID:fCHpQne+
GJ!!です。
ここでファントムを出すということは後の嫌々ながらダンテと共闘フラグですねッ!!w
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:12:26 ID:DKQClwQn
GJ!
ヴィータはいつの間にかスタイリッシュになってるw
っていうかはやてがオカシイwww

キャロとフェイトはなんか不吉な予感がするし、
これからどんな展開になるか楽しみだ!
310魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 01:14:45 ID:JXmtCu64
ごめん、最後の『To』 be continued…>が抜けてた……orz
とりあえず、投下は終了です。クソ長い文を読んでくれてありがとう。
次回から容量と投下数をあらかじめ言います。ごめんね、長いよねorz

フェイトの手の傷に関しては、なんかデビルブリンガー説が出て吹いたけど、別に普通の傷です。
コミック版でアーカムが負ってた古傷の設定を元にしました。この辺も今後キャロ絡みで詳しく明かしていく予定。
僕はねー、薄幸の少女が大好きなんすよ。だからね、キャロはちゃんと救われるんです。幸せになるんです。
……でもね、その前にまず薄幸にならなきゃ! うんと酷い目に遭って傷ついてどうしようもなくなってから助けてあげるんだぁ! フヒヒッ
とか考えながら書いてます。歪んだ愛ですwサーセン、特にキャロとバクラの人ww

あと、ゲーム未経験者にはどうでもいいことですが、ファントムはDMC1に出た魔帝の側近とは別物の奴だと思ってください。
性格と力がよく似た別の個体です。あのファントムは魔帝への忠誠心あるから動かしづらいので。
まあ、気にしない人にはそれこそどうでもいい細くですがw
それでは、また次回。ようやく原作アニメの第三話か…先なげえ
311反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/14(木) 01:15:24 ID:Eotc+OSL
寝ようと思ったら結局最後まで見ちゃったじゃないかぁ!
いけずなStylish氏にGJ!

スタイリッシュな戦闘シーンでは「DRINK IT DOWN」が脳内再生され、
フェイトさんやキャロの壮絶な設定に度肝を抜かれ、
はやてのギャグには腹筋を盛大に刺激され…

…まあ、要するに…

俺のちっぽけな自信返せorz
当時頑張って書いてたのに、何かこっちのザフィーラの方がカッコいいよOTL

今思えばSMCの最終回…あそこでダンテとヴィータがタッグ組んでたのが、今回の話を暗示してたのかもしれない…(遠い目)
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:16:24 ID:z17LWUrl
GJ!スタイリッシュなヴィータに痺れながらもシグナムが長さんのファンだった事に大爆笑w
313メタルサーガsts:2008/02/14(木) 01:17:29 ID:E4nMrdwr
GJでした。
クールでスタイリッシュがかっこいい。
ダンテだからクールでスタイリッシュと思ったのにヴィータまでクールでスタイリッシュ。
殺伐アクションがどうしてクールでスタイリッシュになるんだ、うらやましすぎる。
こういうもの書けるものなら書いてみたいのだけどな。
そしてまだ原作3話で先長いのは・・・がんばりましょう、お互いに。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:17:58 ID:gumOcFpp
Stylishのはやてはいいなあ
たぬき+こなた+魅音=???
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:18:14 ID:tqh+Xy9r
>>309
いろんなでエロ自重ですw
どこのボインに反応する慈母ですか

>>310
そういえば、魔界小蜘蛛が成長した姿だから複数がいるんだっけ?(DMC1とDMC2は違う個体
このままいくと、ダンテがキャロが呼び出したファントムの上にいつのまにか座っていて
自分から乗ったのにコートが焦げたことを文句を言うわけだな
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:20:53 ID:siXROC4r
あー、そか、ファントムって同種族多いもんね。
SM1,2で踏み潰しまくったし。
キャロと契約してるのはその一匹が成長した個体か。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:21:33 ID:u/jb9+o6
GJ!
さすがは底無き力の剣士、無尽蔵すぎる
ダンテはこれから女運の悪さを発揮していくのだろうか?
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:23:58 ID:CNEeuKkQ
地味にザフィーラ、覚悟のススメかw
319Strikers May Cry:2008/02/14(木) 01:26:44 ID:qtSnzs2O
>>310 嗚呼、完璧にGJ!!
なるほど、魔界には似たような個体の悪魔が種族として存在する以上は同系統の悪魔が複数いても問題は無いと(例、中級クラスのシン・シザーズが何体も存在するように)。
しかしファントム(このSSの)が言っていた“門”そして“寄り代”という表現からするとミッドチルダは魔界とは完全に切り離されていないけれども特定の方法でならば高位悪魔の呼び出しが人間でも出来るようですね。
もしも悪魔の呼び出しに魔具が必要ならば閻魔刀の出番ですぜ!

そして少なくとも竜使役というよりは悪魔使役の能力を持っているキャロが悪魔狩人であるダンテにとってどう評価すべき相手なのか気になります。

しかしこれでようやく舞台が整った、まったく先の予想が付きません。
楽しみにしてますぜ兄貴。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:27:28 ID:H4hC6Hv7
>>315
最後はチンク姉の攻撃をスタイリッシュに利用して
「――君は自由だ」ですか?
321魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/14(木) 01:46:12 ID:JXmtCu64
DMC4のネタを含めた感想が意外と多くてビックリ。
やはり、買っておいてよかったぜ。話題についていけないところだった…
ちなみに本作はDMC4発売前に考えた話なので、一応使ってるネタは3までですね。
4は結構新しい要素が多いので、メインで使う予定はありません。
まあ、楽しいで台詞とか使ったりはしてますがw
キャロはネロを一部イメージして書いてます。デ、デ、デ、デモンズパゥワー! キリエ役はエリオw
DMC4ならネロを主人公にして、別の物語で書きたいですねー。
奴はリリなのクロス向けのキャラですよ。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:55:04 ID:ZiMDsN+U
>>Stylish氏
駄目だ、もうGJですむLevelじゃねえ……

要するに……参りましたぁ――!
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 02:08:41 ID:ZiMDsN+U
書き忘れ

>>Stylish氏
投稿に向けて執筆中だが、今回で自信無くしちまった
緻密な設定、違和感のない回想、予測不可能な展開、なによりも既に性格が一部変わってるキャラクター達 (しかも凄くいい意味で
……例えStSまで続きを書けたとしても、紅服コンビ出された時点で負けているっ――!
というわけで、戦う前から完敗しちゃったので逆に応援します!
もちろん、続きに期待!
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 02:14:45 ID:tqh+Xy9r
>>321
右腕を隠しながら管理局で働いてても不思議ではなさそうだな
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 02:16:38 ID:z17LWUrl
>>324
それは管理局のトップがダンテに殺されるフラグじゃ?
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 02:20:50 ID:fCHpQne+
あんまり問題ない気がするのは勘違い?w
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 02:21:23 ID:DKQClwQn
>>325
問題ないじゃんwww
328名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/02/14(木) 03:21:19 ID:T3nRrGNt
>>Stylish氏

えがったですよー。ダンテとヴィータの共闘なんて最高っす。
後はナカジマ姉妹とティアのダンテとの現場での遭遇がマジ楽しみです。

後、ロリッ子は須く幸せになるべきだと思います。
薄幸という過程を持って!
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 03:25:55 ID:FpO8hllZ
最近のキャロの人気っぷりに全米が嫉妬したw
330名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/02/14(木) 03:29:42 ID:T3nRrGNt
後、ヴォルケンから話しを聞いたはやてが「Devil May Cry」に正式に依頼をしに行く時は、
やっぱりティアナが乗っているバイクで店内に特攻するんですかね?
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 03:47:34 ID:fZhccYFP
>>310
富士鷹ジェビロの作品、好きでしょう貴方w
いやーにしてもファントムとは!GJ!
332スーパーロボット大戦X:2008/02/14(木) 07:46:30 ID:9YN+6Fqt
さてとお二人ともGJです!
どっちのキャロも原作より目立ちそうだぜ。
さてとバクラにしろダンテにしろクールすぎる!そこが痺れる!あこがれる!
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 09:54:47 ID:ahBdTsoF
>>310
キャロ〜〜負けるな〜〜〜
里を追い出されて、部隊をたらい回しにされて不幸せな所をやっと安息の地を
見つけても、さらになにかあるようだ〜〜〜(泣き)
悔しいが俺達には、こんな応援しかキャロにはしてやれん〜〜〜(泣)
334節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/02/14(木) 11:13:08 ID:r9w5hQuD
連載なのに、一発ネタを。『なのはのくせになまいきだ。』です。

だいさんわ チョコを まつのは がじぇっとだけか

ス「やぁみんな、マッドサイエンティストのスカリエッティだ!
 まぁ散々諸氏がやっているが、時事ネタと言う事で、チョコレートやビスケット、ケーキやキャンディーでダンジョンを作ってみたぞ!」
11「ドクター、食べていいッスか?」
ス「まぁ待ちたまえウェンディ。一応これは接待用だからな。
 魔王達が来て食べて食べ過ぎて動けなくなり、このアジトに住み着いちゃえという作戦を……

……なんだね?セイン」
6 「何と言うか……ディグダグ?」
9&10「「古っ!?」」
8 「……ドクター、後、『僕ってウパ』や『パロディウス』でもあったネタだよ……」
5 「お前達……最早何のクロスだか分からんな……」

12「……(もぐもぐ)」
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:27:38 ID:I7tx6zIF
SSStylish!
ダンテがイカしてるぜ
336キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 13:46:17 ID:PMEqiWb+
昨日のうちにお返事を書こうかと思ったのだが、余りの量と眠さに敗北した(なに
故に今回も完結に、私の感性の命ずるままにお返事しますw

>ロード&リスペクト
うん、やっぱり言わせとかないとまずいかな?と
あれ? オレ、リスペクトなんて書いたかしら?(自覚症状なし

>ボス大人気
この人に下手な扱いをしたら俺の執筆人生終わるw

>手錠キャロ
テメエはオレを怒らせた! 
そんなことして良いのはオレだ…(罰ゲーム

>サンホラな話
中々ハッピーエンドが見つかりませんw
聖戦と死神は良いよね〜カッコ良いよ、姫様w

>フェイトそん
意外と不評が少ないかなw 彼女が苦悩しているのもわかってくれたら幸いです。

>古代エジプト文字
何やら議論になりかけましたが、前にもこんな描写をした気がする。
まあ、良いか(おぃ

>モンスターの話
次こそは…チャンと出すので待っていてくれ〜


そしてなにより……
>GJの嵐!
マジでありがとう。ちょっとくどいかな?とか悩んだのだが、
魂の導くままに書いてよかったぜ。気分的には神を生贄に嫁を召喚して勝った社長の気分だw

次こそはバトル〜そういえばバトルって今回初めて。
フェイトそんは私の思うフェイトそんバトルスタイルを選択予定。
キャロとバクラはまあ、予想通りと言うかw

追記 このお返事は全部のレスを網羅しているわけではないのが、心苦しいけど許してちょうだい
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:15:50 ID:jWSq06vv
だめだ俺の脳内でDMCDMCと書き込みがあるほどデトロイトメタルシティーに変換される・・・!

クラウザーさん俺をレイプしてくれーーー
338一尉:2008/02/14(木) 15:34:17 ID:j2XCPoeY
ストライクダカー[僕達の出番は。]
NダカーN[さあな。]
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:59:56 ID:r9w5hQuD
>338
ダカーに在らず、ダガーなり。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:04:49 ID:ExRnAv6C
>>338
というか、毎回気になるが
sageろよ。メ欄にsageって入れたらおkだぜ?
それとも、わざとageてんの?
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:13:15 ID:PMEqiWb+
……少なくとも一尉というのは誤爆ではないか?と言ってみるテスト。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:17:32 ID:qfx7xc9Q
俺は初めて見る気がするな
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:23:52 ID:jWSq06vv
誤爆だろう
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:40:57 ID:ExRnAv6C
いや、過去のレスを見る限り、誤爆では無いと思う。
確認できたのはその42だが、

53 名前:一尉[105] 投稿日:2008/01/31(木) 21:27:56 ID:QnurJFnW
んなアホやんな。八神隊長おおお
773 名前:一尉[105] 投稿日:2008/02/04(月) 18:41:37 ID:O6saWBNq
たからドリルを取れよおお。

とレスしてる


これ以上はウロスでやるべきか?
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:50:37 ID:DNkSCNMF
>節制の14殿
懐かしゲームネタはGJ。
ディグダグがアリならミスタードリラーなんかもOK?
通常ブロック→ケーキ、×印→チョコ、ホワイト→ビスケット、クリスタル→キャンディ
主役はギムレット装備のギン姉で。
346Strikers May Cry:2008/02/14(木) 16:58:54 ID:qtSnzs2O
リリカル・グレイヴのバレンタインネタが出来たんで投下するぜ? 準備は良いかい?

今回は戦闘もシリアスも無い、ナンバーズ主役の話だぜ。
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:00:22 ID:5dPL4Vj6
支援
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:02:06 ID:PMEqiWb+
無視で良いだろう……それよりも!
グレイブでナンバーズなバレンタインを満喫するのが最優先だw
支援!
349リリカル・グレイヴ:2008/02/14(木) 17:02:39 ID:qtSnzs2O
では投下します、今回はまあ番外編なので軽く楽しんでください。

ミッドにバレンタインがあるかどうかとか細かい事はなしでお願いします。
350リリカル・グレイヴ:2008/02/14(木) 17:04:47 ID:qtSnzs2O
リリカル・グレイヴ外伝 鮮血のバレンタインデイ

ここは地下深くに居を構える研究施設、ジェイル・スカリエッティの根城にして戦闘機人ナンバーズと死人兵士ビヨンド・ザ・グレイヴの住まいでもある。
そして今日は2月14日、乙女が鬼へと変わる日でもあった。





「これだけっすか……」

ウェンディはそう言いながら机の上に鎮座した赤い包みを見つめる。
そしてウェンディだけでなくこの施設に住まう全てのナンバーズがここに集まり、その赤い包みを見つめていた。
その包みの中にあるのは説明するまでもなくチョコレートである。

「さて……問題はこれを誰が頂くか…」

セインが続けて口を開き、現在争点になっている話題をストレートに切り出す。
そう、この施設には現在チョコと名の付く物は机の上にあるこれ一つきりなのだ。

全員分のチョコレートを通販で買ったのだが発送の段階でトラブルが起こり、買い置きしてあったチョコはこれ一つ、そして施設のナンバーズは11人。
言うまでも無く数が合わない。
行き詰ったナンバーズは問題のチョコ一つを囲んで思い悩むに至っていた。

そして次に口を開いたのはナンバーズ長女ウーノであった。

「そう言えばこれを買ったのは私だったわね」
「なっ! そんな事言ってこの貴重なカカオの至宝を独り占めする気っすか!?」
「そうだよ! それにどうせウーノ姉はドクターにあげるんでしょ!?」
「なっ! べ、別にドクターに上げたって良いじゃない」
「あの変態中年に上げるくらいなら、日ごろお世話になってるグレイヴに上げるべきっすよ!」

チョコの権利を主張するウーノにウェンディとセインが猛反論。
もはやこの論争は開始より数時間を経ているが延々と平行線を辿り、一向に解決の糸口を見出せない。
そこでナンバーズ1番の単細胞ことノーヴェは事態を混沌へと導く爆弾発言を放つ。

「めんどくせえ! こうなったら勝負して決めようぜ!!」


その言葉に一同沈黙、ノーヴェの言葉を取るのならばつまりはナンバーズの姉妹がたった一つのチョコを巡って戦いをするという事である。
だが沈黙は一瞬で破られた。

「がはあっ!」

オットーが断末魔を漏らす、彼女の胸からは赤い刃が突き出していた。
それはディードの放ったツインブレイズの凶刃、あろう事かディードは自分の近くにいたオットーを問答無用で突き刺したのだ(ちなみに非殺傷設定なので死にません、念のため)。

「な…ディード……なんで…」
「ごめんなさいオットー、でも私はグレイヴにチョコを渡したいんです」

ディードの凶刃を合図にナンバーズ同士での血で血を洗う凄惨な戦いが始まった。





「エリアルキャノン!!」

ウェンディの声と共に彼女の武装ライディングボードから砲撃が放たれる。
351リリカル・グレイヴ:2008/02/14(木) 17:06:14 ID:qtSnzs2O
ウェンディの眼前に佇んでいたチンクはこの攻撃を最低限の体捌きで回避して距離を測る。

「甘いぞウェンディ!」

そして砲撃の合間を縫って投げられたチンクのダガーナイフが、ウェンディの身体に突き刺さる(もちろん非殺傷だ)のにそれ程時間は掛からなかった。

「うあああっ!!」

ウェンディはその身体に深々とナイフの刃を埋めて倒れ伏す。
この戦いで倒れたナンバーズは彼女でもう3人目、オットーに続けて戦闘能力の無いウーノが倒れたのだ。
戦いは始まってまだ10分も経っていないが、もう既に混沌の域に達していた。

「すまんなウェンディ、姉もこの戦いは引く訳にはいかんのだ……お前の分も想いを込めてグレイヴにチョコを渡す、だから安らかに眠ってくれ」

倒れたウェンディにすまなそうな顔をするチンクだがその時彼女に波打った壁から影が飛び掛る。

「隙あり!!」

それは固有技能ディープダイバーにより機を伺っていたセインである。
ウェンディを倒した隙を逃さずセインの魔手がチンクへと迫る。
だがチンクはこれでもナンバーズ中でもトーレに次ぐ最高の実戦経験を持つ戦闘機人である、この程度の不意打ちなど意味を成さなかった。

「きゃあ!!」

セインが壁から身を投げ出した瞬間、彼女の背後で小規模の爆発が起こる。
その爆発力に吹き飛ばされたセインにさらにトドメのダガーナイフが踊りかかった。

「甘いなセイン、最初からお前の奇襲を読んでナイフをセットしておいたのだ」

これでチンクの倒したナンバーズは二人、まだその他のナンバーズが残っているならば残りは6人。





チンクがウェンディとセインを撃破していた頃、別の一角では高速で宙を交錯する二つの影があった。
それはナンバーズの中でも飛行戦闘を得意とするトーレとセッテであった。

「ISスローターアームズ!!」

セッテの掛け声と同時に二つのブーメランブレードが高速で軌跡を描きながらトーレに迫る、だがトーレはこれを苦も無く回避してセッテの懐に潜り込んだ。

「遅い!!」

トーレの手に装着されたライドインパルスのエネルギー翼の刃がセッテに迫り、彼女の戦闘能力を殺がんと高速で襲い来る。
セッテも伊達にトーレから訓練を受けている訳でなく、トーレの攻撃をなんとか腕で受けて致命打を逃れた。

「くうっ!!」

なんとかトーレの攻撃を受けきったセッテだが、もはや腕は使い物にならない状態だ。
それでも彼女の瞳には降伏の二文字は無く、闘志に満ちている。

「もう止めろセッテ、これ以上は無駄だ」
「……嫌です」
「どうしてもか?」
「はい……彼にチョコを渡すのを、他の姉妹には譲らない!」
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:06:46 ID:PMEqiWb+
むしろオットーにチョコを上げなさい、ディード支援
353リリカル・グレイヴ:2008/02/14(木) 17:07:17 ID:qtSnzs2O
「そうか、ならば全力で応えよう!!」

トーレは全速で一直線に攻撃を仕掛ける、対するセッテは上手く動かぬ腕で持ったブーメランブレードを振りかぶって最後の抵抗を行った。
だがセッテの攻撃は虚しく空を切り、トーレの刃が下腹部に深く突き刺さっていた(非殺傷ですのであしからず)。

「セッテ……安らかに眠れ」

自身の倒した妹に涙ながらに呟くトーレ、だがそんな彼女に無慈悲な狙撃が火を吹き心臓を貫通した(言っとくが非殺傷だよ?)。

「がはあっ! ま、まさか……ディエチか…」

その遥か後方では狙撃砲を構えたディエチとそんな彼女の傍らに佇むクアットロの姿があった。

「ふふふっふのふ〜♪ お馬鹿なトーレ姉さま、そんな風に派手に殺りあってたらバレバレですよ〜?」
「う〜ん……やっぱり漁夫の利なんて気が乗らないよクアットロ」
「あら〜、ディエチちゃ〜ん、そんな事言ってたらこのバトルロワイアルで勝ち残れないわよ〜?(もちろん最後はディエチちゃんにも死んでもらけど)」
「そうかな…(なんか最後に裏切られそうだけど)」

ナンバーズ、残り5人。





「うおおおおお!!!」
「くううっ!!!」

ノーヴェの放った蹴りをディードがツインブレイズの刃で受け流す。
だがジェットエッジの加速を加えられたノーヴェの蹴りは受け流されてなお重く、ディードの体勢を大きく崩した。
その隙を逃さずノーヴェは連続で回し蹴りを放つ。

「貰ったあああ!!!」

だがノーヴェの攻撃がディードを捉える前に空を切って鋭いナイフの刃が踊り掛かり、爆炎を巻き起こしてノーヴェを吹き飛ばした。

「きゃあああっ!」
「くううっ!!」

その攻撃に転がるノーヴェとディード、そして二人に近づく銀髪隻眼の少女の影。
それは説明するまでもなく、生き残ったナンバーズの一人チンクであった。

「ノーヴェ、ディード、二人とも生き残っていたようだな」
「チ、チンク姉…」
「チンク姉さま…」

ダガーナイフを両手に構えるチンクの瞳はいつもの優しい眼差しではない、それは無慈悲で残酷な戦士の目だった。
相手が可愛い妹であっても今の彼女に手加減する気など毛頭無いのだ。
チンクはナイフの狙いを二人に付けながら横目で周囲を確認すると物陰に向かって叫んだ。

「隠れていないで出てきたらどうだ、クアットロ!!」

その声にチンク達から離れた空間が揺らめき固有技能シルバーカーテンで隠されていたクアットロとディエチの姿が露になる。

「あら〜? やっぱりチンクちゃんはできるわね〜、なんでばれちゃったのかしら?」
「気配、そしてディエチの砲が持つ熱だな。さあ役者は揃った、最後の戦いを始めようじゃないか」

次の瞬間、目標をクアットロとディエチに変更したディードがツインブレイズを翻して襲い掛かる。
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:13:15 ID:a8MhVXJ5
ウーノさん何してるんだろう支援
355リリカル・グレイヴ:2008/02/14(木) 17:15:31 ID:qtSnzs2O
ディエチは即座に応戦しようと砲を構えるがそれは間に合わずディードの振るう赤い凶刃に倒れた。

「クアットロ姉さま、お覚悟!!」

ディードがクアットロに向き直った瞬間、ディードの胸を鋭い爪が貫いた(だから非殺傷だってば)。
それはスカリエッティの使う鉤爪型デバイス、まさか作戦指揮を行うのが基本であるクアットロが近接戦を行うなど考えてもいなかったディードはその凶刃をあっけなく喰らったのだ。

「お馬鹿なディードちゃんねぇ〜、最後まで油断しなければ死なずに済んだのに(死んでないけど)」

こうして遂に凄惨な戦いはチンク・ノーヴェ・クアットロを残すのみとなった。


ノーヴェはエアライナーを展開し自分の駆ける道を作る、チンクは手に持ったガーナイフに固有技能ランブルデトネイターを発動し爆発的な破壊力を持たせる、そしてクアットロはシルバーカーテンによって作り出した幻で自身の身体を無数に増やした。

一触即発、少しでも均衡が崩れればそれが命取りになる。3人が3人とも汗を額に浮かべて緊張にツバを飲む。

そんなところに予期せぬ闖入者がやってきた。


「あ〜、みんなここにいたのかね。ところでさっき机の上にあったチョコを食べてしまったんだが、あれは誰かのオヤツかい?」

まったくもって緊張感の無いスカリエッティの言葉に3人は盛大にずっこけた。
こうして虚しい姉妹同士の戦いは一人の勝者も産まずに終わりを告げた。

言うまでもないがスカリエッティはナンバーズの皆にフルボッコにされた(ウーノ除く)。





グレイヴが血液交換から起きてみれば、施設はメチャクチャに壊れ、ナンバーズは皆沈痛な面持ちでうなだれていた。

「…?」

不思議そうな顔をするグレイヴにナンバーズは皆、どこかすまなそうな表情をする。
そして涙ぐんだ声でウェンディが謝りだす。

「すまないっすグレイヴ、あたしらがバカだったす……せっかくのバレンタインなのに上げるものが何も無いなんて…」

ウェンディが泣きそうな顔でグレイヴに謝ってくるが、バレンタインという風習をよく知らないグレイヴは首をかしげる。

ナデナデ、とりあえず泣きそうなウェンディの頭を撫でる、それはもう子犬にでもするように優しく。

「う〜、もっとして欲しいっす〜」
「ウェンディだけずるい! あたしも〜」
「ちょっと待て! そこは勝者(3人いたけど)の姉だろう!!」
「勝ち組で1番の年長者の私ですよね〜、グレイヴさん♪」
「お前ら退け! ここはあたしとチンク姉が先だ!!」
「「………(セッテ・オットー・ディエチ・ディードの無口組み既に先に並んでる)」」
「なあ! 先を越された! この私がスローリーだと! ライドインパルスも堕ちたか…」

結局是全員の頭を撫でることになり、今日も騒がしく慌しい日々が過ぎる。

ちなみにこの後、ドゥーエの送ってきたチョコの詰め合わせを巡って第二次バレンタイン戦争が勃発する事になるとは誰も予想できなかった。


終幕。
356Strikers May Cry:2008/02/14(木) 17:19:58 ID:qtSnzs2O
投下終了です。

急いで書くとなかなか上手くいかないっすね、ちなみにウーノさんはスカの治療でもしてるでしょう。
彼女は唯一グレイヴに懐いていないナンバーズですから。
357反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/14(木) 17:23:36 ID:Eotc+OSL
なぁ、みんな…最近みんなおかしくないか…?
俺が言えたことじゃないかもしれない。ひょっとしたら、俺が発端なのかもしれない。
…だが、言うだけは言わせてもらう…

お前らディードを何だと思ってるんだwww

ともあれGJ!
カオスかと思いきやまさかのガチバトルに燃えました。
そして氏のチンク姉愛がひしひしと伝わってきたぜw
358リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/14(木) 17:27:46 ID:EMw/+tlo
GJ
オレンジwww
しっかしメイクライさんとこのグレイヴはナンバーズにもてもてだな。
次のパーティでは家の龍ちゃんと剣を交えてみますか?(もちろん冗談です)

バレンタインネタか…僕もやりたいけどやったらまた皆さんを不快な気分にしてしまう可能性があるので僕には出来ませんね…

すずか→キョウキとか、シャマル→地獄兄弟とか、シグナム→大介とか、リンディ→七人ライダーとか、既存のキャラでもやりたいネタはあるんですが…
359反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/14(木) 17:48:15 ID:Eotc+OSL
>>358
ではついでに、地味ながらもウチのアンジールも放り込んでみる。

………………

ナンバーズ姉妹で内部抗争勃発!

無口なあんちゃんが萌えるんだ! 元祖ハーレムの力見せてやれ! グレイヴ派
・クアットロ、チンク、セイン、ディエチ

足りないぞぉ! お前達には漢臭さが足りない! アンジール派
・トーレ、セッテ

う、うっせーな! こっちにいちゃ悪いかよ!? 龍派
・オットー、ノーヴェ、ディード

ぽっと出の野郎に興味はねぇ!&つーか全員よく知らねぇ! スカリエッティ派
・ウーノ、ドゥーエ

スカ「こりゃ負け戦かな…」
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:48:56 ID:CzZlNZYS
>>358
ライダーは数がいるから妥当なのを選べば大丈夫と思いますよ。
ただオリジナルライダーとだと荒れる可能性が高いからやめたほうがいいかと。

なんとなく
リイン剣崎
なんか微妙に面白いかも。
361スーパーロボット大戦X:2008/02/14(木) 17:54:19 ID:9YN+6Fqt
>>356
GJ!!まあ急いで書いたのならこれくらいになるのは仕方ないですよ。俺も昨日書いて投下したバレンタインネタも即興で作ったものだし…。
本当のことを言いますと1時間で書いたものです…。
>>357
>お前らディードを何だと思ってるんだwww
うーん、最初はただの無口な子だと思ったけど反目さんの「片翼の天使」を見て復讐がピッタリな子と認識した。www
362リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/14(木) 18:04:37 ID:EMw/+tlo
…いままで言うと恐ろしそうだから言わなかったんですが…
リィンは剣崎が見つかってた時喜んでたけど別に深い意味はありません。
ただ仲間が見つかって大げさに喜んだだけです。
故に、リィンは別に剣崎に深い思いなんて抱いていないのです!
…今まで黙っててゴメンネ!
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:10:20 ID:c73joiHC

あるキャラ限定じゃなくて、色々とやり過ぎたからだろう。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:12:44 ID:5KXaEv7p
>>362
いろいろ妄想していた俺に謝れコノヤローwww
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:21:57 ID:2740zovw
>>362
お前は俺を怒らせた!!
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:36:41 ID:tWZ5gCVP
362
ということは、剣崎に再び戦ってもらうことなったときに橘に怒ったのも深い意味は無いんですか。
367StS+ライダー:2008/02/14(木) 18:46:07 ID:EMw/+tlo
あれはリィンだけじゃなく皆の本心です。
リィンだけじゃなく、なのは達もどれだけ理想と指名の狭間で剣崎が傷ついて戦ってきたか知っているんです。
そして人を捨ててまで今も頑張っている剣崎を再び戦いに駆り出すのが許せなかったんですよ。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:15:22 ID:QWkFQbrO
>>367
悲しいZe
期待してただけにNa
この気持ち、俺だけじゃないはずDa
369名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:56:23 ID:jgngmTfP
>>367
なのは達も始を封印するという手段を認めて、協力しようとしたんですかね。
370なのは×終わクロ ◆kemLfXL4JU :2008/02/14(木) 20:38:33 ID:gk70ptBf
取り合えず念の為、言っといた方が良いか、と思って書き込んでみんとす。

姉妹スレ『リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ』がゆるゆると開始されました。参加を表明された職人様、または参加してみたくなった職人様などは参加してみると良いやも、と提案してみます。
371OSGS:2008/02/14(木) 20:38:38 ID:WqJ2PEzk
感想をかきたいのにクロス先がわからない今日この頃です。
無知と引き出しの少なさを恥じながら、四十五分から「OSGS第三話」を順次投下いたします。


・ミザルは出てきませんッ!
・エルザム、レーツェル、リィンU、なのは、ガジドロ参式
・正直欝展開
・NGはOSGSでおねがいします。
372一尉:2008/02/14(木) 20:38:39 ID:j2XCPoeY
まつはつはつはおもしろいでんな。仲間割れだな。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:41:22 ID:GRnCs9cV
age荒らし発生中
気持ち待った方がいいかもしんない
374名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:41:54 ID:fCHpQne+
支援、ミロンガのエンドブレイカーカッコいいのに弱いの何故orz
375OSGS:2008/02/14(木) 20:41:57 ID:WqJ2PEzk
了解です。
376OSGS:2008/02/14(木) 20:49:15 ID:WqJ2PEzk
※では投下します。
第三話「黒い竜巻」

――エルザム・V・ブランシュタイン

 PTX006−03。呼称はゲシュペンストmkU三号機。だが正式名称以外の名を、エルザムが搭乗するゲ
シュペンストは所持している。
 漆黒の駿馬――トロンベという名を。
 燃えさかる臨海空港の広大な発着路をゲシュペンストは疾走する。
 背中から緑色の光を撒き散らした虫=バグスは自在に空を飛び、本体が方向を変化させるたびに緑の光が明滅
する。かつて南極にあらわれたときにも
 追われるゲシュペンストは背と脚のバーニアで瞬発的な移動をくりかえす。そして地上を飛び跳ねながら、両
腕にもったメガ・ビームライフルの銃口をバグスへ向けた。夜陰を赤色の粒子が駆け抜け、バグスを直撃した。
夜陰に光の花が咲く。だが爆散したバグスにかまわず二体のバグスがゲシュペンストに接近、殺到した。

「駆けよトロンベ……その名の如く!」

 青白い噴射剤がゲシュペンストの背中に広がった。ゲシュペンストは噴射に推される形で前に出た。
 右のマニュピレーターが左腕にマウントされているプラズマカッターを抜きざま、バグスをきりつけた。
 頭部を割られバグスは沈黙。エルザム・V・ブランシュタインは撃墜を確認もせずに、プラズマカッターを翻
し、迫っていたもう一体に突撃した。

「技を借りるぞ、ゼンガー!」

 プラズマが形成する刃が横一文字にバグスをとおりぬけ、白い甲虫型の体を熱断する。
 断末魔はない。
 ゲシュペンストはバグスの爆発にまきこまれるよりもまえに、後方へ下がっていた。

「もう五体か……だが」

 下がりながら、エルザムはプラズマカッターを収めていた。
 上空で待機したままだったバグスが降下しながら光線を吐きつける。
 バックステップで距離をとりながら、バグスに背を向けてジグザグに疾走をはじめた。一瞬前までゲシュペン
ストが存在していた位置に光線が叩きつけられ、地面をえぐっていく。だがゲシュペンストにはかすりもしない。
 二度、三度と回避を続けるうちに、ゲシュペンストの機動をよみはじめたらしい。光線の精度は一射ごとに増
している。このままではいつか、直撃をもらってしまう――。だがエルザムは余裕のスタンスを崩さなかった。

「異星人の作ったものにしては、知能と危機管理に欠けている……か! しかも――魔法技術にはまったく対応
していないと見える。やはり偵察機というのは間違いないようだな」

 激しい挙動を繰り返すゲシュペンストの操縦席に揺られながら、エルザムは冷静にバグスの光線を避け続けた。

 なぜなら。

 教導隊の秘蔵っ子、若手ナンバーワンの名を持つ少女が、その愛杖レイジングハート・エクセリオンと共に、
バグスのさらに上空で待機していたからだった。天才といわれるエルザムでさえ、高町なのはの射撃技術には心
底、感心していた。彼女達の使う魔法とエルザム達が使う人型兵器は確かに違う。しかし彼女のセンスは、そん
な技術や兵器の違いを超越しているものだった。

 だからこそ、エルザムは彼女に背中をまかせたのだ。ほとんど初対面であるにもかかわらず。

 コクピットのモニターが鮮明に彼女の姿を映し出す。
 白色のバリアジャケットが夜陰に映え、両耳の上のあたりでまとめられた髪が宙を泳ぐ。
 まだ幼さすら残す少女だが、その砲撃は星光のような力強さと美しさをもっている。

「そろそろ頃合か。高町二等空尉」
「了解……」

 ミッド式魔法の環状魔方陣が桃色に輝く。
 そこで初めて、バグスは高町なのはの存在に気がついた。
377OSGS:2008/02/14(木) 20:49:46 ID:WqJ2PEzk
<<Load cartlids>>

 エルザムはメガ・ビームライフルを放ち、なのはに向かおうとしたバグスを打ち落とす。

<<accel shoter>>

 コクピットにインテリジェント・デバイスの声が響いた。

「まだ未調整のライフルよりも、よっぽど強力だぞ……彼女の砲撃は」

 無数の魔法弾が、驟雨の如くバグスに突き刺さったのは、エルザムの独白からコンマ5秒後のことだった。無
数の誘導魔力弾アクセル・シューターは一発もあやまたず――バグスの背部をうちぬいている。推進機関を損傷
したバグスは地面に落ち、自重で地面に叩きつけられた。正体不明の部品が地面に転がる。
 魔法で浮いていたなのはは、徐々に高度をさげ、ゲシュペンストの肩に足をつけた。

「フッ。さすが管理局で名うての実力を持つだけあるな、なのは二尉。では……ここは受け持とう。高町教導官
はこのまま離脱。要救助者をお願いする」
「取り残された人がみつかったんですか!?」
「ああ。ここから少し離れたターミナルの中のようだ。ゲシュペンストで進入できる場所ではないし、君の砲撃
なら簡単に天井をぬけるだろう。だがまだバグスがでているかもしれない。十分に警戒して――」
「任務にあたれ、ですね。了解しました。エルザム少佐もお気をつけて」
「ああ。新品同様のゲシュペンストを傷つけるわけにはいかないのでな……まだ何がでてくるかわからん。」

「不屈のエース……いや、エース・オブ・エースか」

 白い衣装を夜陰に翻す少女の背を見送りながら、メガ・ビームライフルを放り投げた。まだ試射もおわってい
ないライフルは、すでに機能を停止していた。

 ぎぎぎぎぎぎぎぃ……

 墜落し、元型を留めないほど損傷したバグスの一体が起きあがり、緑色の瞳をエルザムに向ける。飛行能力は
うしなっているらしく、飛び上がるようすはないが、口についている砲門は、なのはの飛び去った方角へ向けら
れていた。エルザムはゲシュペンストを操りバグスの頭部を蹴りつけた。強制的に顔面の方向をかえられたバグ
スはそのまま円形の光線をあさっての方向へ放った。

「無粋な真似はしないでいただきたい――エアロゲイター」

 カイ・キタムラが作った近距離格闘戦のモーションデータをロードしながら、エルザムはバグスに対峙した。

「多脚型の機体――ゲシュペンストの四肢の有用性を試す機会でもある……。捕獲してみるか」

 未知の敵機にさえ余裕の言葉をつぶやきながら、エルザムはゲシュペンストを疾駆させた。
 機体は風を纏うようにゆるやかに動き、竜巻のように四肢を振るう――。
 左、右、左、右のコンビネーションでバグスの体勢を崩し――。

「わたしを甘く見るのは遠慮していただこう――!」

 手弾のあらしに、バグスの頭部はごなごなにくだけ、その機能を停止したころ――

 同時に、空に一条の、桜色の魔力砲撃が舞った――
378OSGS:2008/02/14(木) 20:50:17 ID:WqJ2PEzk
――レーツェル・ファインシュメーカー

「皮肉、か」

 愛機ヒュッケバイントロンベの足元で、エルザム・V・ブランシュタインはパイロットスーツのヘルメットを
手に取りながら、ふとそんなことをつぶやいた。

「お元気ですか〜、エルザム少佐」
「……いまのわたしはレーツェル・ファインシュメーカーだ。エルザムなどではない」

 エルザムに問いを投げた少女は、薄暗い格納庫のなかではっきりと笑う。年頃に『見える』少女がうかべるに
は、陰気に過ぎる笑顔にエルザム――否、レーツェル・ファインシュメーカーは眉をひそめた。好きになれる類
の表情ではない。PTの格納庫をわずかに照らす天井の照明が、彼女のメガネのふちをなぞり、その円形をあら
わにする。メガネの向こうで、目が鋭利で冷たい輝きをはなっていた。
 彼女の名はクアットロ。四番を意味する名をもつ少女は、人間ではなくドクター・スカリエッティの技術によ
ってうみだされた『戦闘機人』。見た目どおりの少女ではない。
 クアットロは白いマントをどこか大仰にひるがえし、目の前にパネルを開いた。

「では、謎の食通様。手短に今回の任務の説明をいたしますね。食通様にはこれから暴走したリニアレールを止
めていただきます」

 レーツェル・ファインシュメーカー――ベルカの言葉で『謎の食通』を意味する名に揶揄をこめたのか、クア
ットロはレーツェルのことを謎の食通と呼んだ。

 なるほど、語感は悪くない。

「おまえたちにしてはなかなかおとなしい任務だが?」
「……なにか勘違いをしているようですが。わたしたちは別に、騒乱をひきおこすのが目的で行動しているわけ
ではありません。今回も予想外の出来事が発生し、食通様に事態の収拾をお願いしたいだけで〜す」
「……」

 しらじらしい。いくらそのつもりがなくとも、結果的に混乱が起こるならば、それはおなじことだろう。レー
ツェルの顔に浮かんだわずかな嫌悪になにかを感じたのか、クアットロは肩をすくめた。

「話をもどします。ドクターとわたしたちが長年捜し求めている『レリック』が、ミッドチルダで発見されまし
た。『レリック』の反応をキャッチしたガジェットドローンが行動を開始。ですが、大量生産され、われわれの
手からはなれ、自立行動を開始したガジェットドローンはすでに遠距離制御をうけつけません。ですので早急に
外科的な手術が必要となりま〜す」
「――それが『われわれ』ということか」
「はい。『あなたがた』のことですね。ああ、妙な考えをおこさないでくださいね。あなたの背には――」
「フッ……自分の立場くらいは理解しているつもりだ」

 自虐をもって答える。いまは彼女達の犬同然だった。

「でしたら問題ありませんね。ではいまから転送の準備に入っちゃいますね〜」
「了解した――」
(すまんトロンベ。わたしはお前を、濁天の空へ向かわせているのかもしれない……。だが、しかし)

 レーツェルはモニターに映る風景を見た。
 第187管理外世界の人間が発案し、ミッドチルダで秘密裏に建造された、人工冬眠施設の天井は、異様に高
く――ゆるやかなカーヴを描いていた――。

「レーツェル……いくのか」
379OSGS:2008/02/14(木) 20:50:40 ID:WqJ2PEzk
 操縦席から下ろされる紐状タラップに脚をかけようとしたレーツェルのまえに、男が歩み寄る。
 大柄な長身にアッシュグレイの髪を刈り込んだ男。
 銃器大勢、魔法主流のこのミッドチルダにおいて、どうしても場違いに見える『獲物』を腰につるした男。
 名は――ゼンガー・ゾンボルト。

「ゼンガーか。参式のようすはどうだ?」
「あと半日ほどで使えるようになるが、まだ細かい調整が終らん。今回の出撃は見送らざるおえまい」
「そうか。では、わたしがさきにでるとしよう」
「……そうか」

 レーツェルは、友の顔に深くきざまれた煩悶を読みとった。ゼンガーの巌のような顔には疲労の色が濃くにじ
んでいる。
 迷い、という言葉がこれほど似合わぬ男もいない。ゼンガー・ゾンボルトを知るものならば誰もが納得できる
だろう言葉だが、いまのゼンガーの顔には、行動には、精神には、迷いの感情が浮き沈みしている。普段の竹を
割ったような、不器用でも迷いのないゼンガーからは想像もつかないような苦悩の表情。しかし、いまのレーツ
ェルには掛ける言葉が存在しない。

 ゼンガーには力がある。護る剣と悪を断つ剣という、無双の力がある。だが、その振るう場所を、ゼンガーは
迷っているのだ。

 何層にもわたる天井が異様に息苦しさを助長していた――。

「よかった。間に合いましたのね」

 レーツェルとゼンガーは、声の方向へ振り返った。

「レモン・ブロウニング……」

 ゼンガーがつぶやく。ATXチームの部下と同じ性をもった女性が、妖艶な笑みをうかべながら立っていた。



 一人の赤毛の青年を連れて。



――リィンU

 『勤務日誌、あれこれ。五月十三日』

 機動六課の決課式から数日たちました。
 この数日間、なのはさんやヴィータちゃんの訓練をうけて、新人フォワード人のみんなは、みるみる成長して
きたように思えるです。
 当初の予定にはなかったパーソナルトルーパーの運用も、ベテランの隊長さんや副隊長さんのサポートのおか
げで、いまのところ目だった問題は起こっていません。
 それにしても――。


 初めて間近で目にするパーソナルトルーパーをリィンフォースUは、ぽかん、口をあけて見上げていた。
 リィンの目の前には白銀の装甲を地に、目が覚めるような青のラインがはしる機体。ベルカの言葉で『白騎士
』の名を持つパーソナルトルーパーは、PTにあまり詳しくないリィンにも、先鋭で軽そうな印象を与えている。
 だが、ゲシュペンストよりはずんぐりとしていないヴァイスリッターでも、着せ替え人形サイズのリィンから
すれば巨大だった。まさにスケールが違う。

「はぁ〜、やっぱり大きいですねぇ、パーソナルトルーパー」
「そりゃあリィンちゃんからすればおっきいでしょ。プラモデルのサイズスケールよん? コトブキヤあたりの
百四十四分の一?」
380OSGS:2008/02/14(木) 20:51:31 ID:WqJ2PEzk
 背後から掛かったからかう声に、リィンは頬をふくらませながらふりかえる。脇のあたりにジャケットを抱え
てエクセレンが笑っていた。

「むっ! そういう意味じゃないですよぉ! 標準的な魔導師、騎士の身長からしても、スケールが大きいなぁ、
って思ったのですっ!」
「そうそう。ちっちゃいのはリィンちゃんだけじゃないもんねぇ。ね、なのはちゃん」
「にゃはは……でもリィンは魔法で大きくなれますから」

 エクセレンの後ろについてきたなのはが苦笑する。こちらも湯上りのようで管理局制服の上着を手にしている。
どうやらシャワー上がりのようで、なのはとエクセレンの髪はどこかしっとりとぬれていた。

「あ、なのはさん。午前中の教導おつかれさまでした。おかげでデバイスの最終調整もおわりましたよ〜」
「そっちお疲れさま。リィンはいま休憩中?」
「はいです。それにパーソナルトルーパーって、あんまりみたことが無かったので、見学中です♪」
「と、いってもキョウスケのゲシュペンストとラミアちゃんのアシュセイヴァーは偵察任務中なんだけどね」」

 エクセレンは愛機にちかより、空中でパネルを開く。リィンはエクセレンの肩越しから表示をみる。どうやら
武装の火気管制に関するデータらしい。

「ん〜っと。セレクタ、モーションセレクタ……ここかしら? 空中砲台との連携、そのモーションプランって。
どうかしらなのはちゃん」
「あ、それです。たぶんそれをアレンジすれば……空中連携へ応用できます。わたしとエクセレンさんのコンビ
ネーション第一号にできるかも……ですね」
「ふふふ。シャワー室で肌をひっつきあわせて考えただけあるわね」
「……エクセレンさん。それを言うなら頭をつきあわせて……です」

 リィンは首をかしげる。なんでなのはが顔をあからめたのかがよくわからなかった。とにかくエクセレンとな
のはが話しているのは連携戦闘のことらしい。新人たちはともかく隊長、副隊長格のなのは、フェイト、シグナ
ム、ヴィータは、すでにパーソナルトルーパーとのコンビネーションを模索している。

(コンビネーション――リィンもいくつか、プランを立ててもらったですけど……。正直、あんまり使う機会が
無いような――)

 たしかアルトアイゼンとのコンビネーション……だったが、いまいち現実性にとぼしいものだった。
 時間を見ていくつかのパターンを試しているものの、あまり成果はあがっていない。さまざまな要因が連携を
難しいものにしているのだ。
 いくつかのプランが頓挫で終っているが今回はかなりの自信があるらしい。なのはとエクセレンの声が明るか
った。

「んと、どんなコンビネーションなんですか?」
「ダブルボルテッカって言ってね――」
「エクセレンさんがうそつきです……。なのはさ〜ん」

 助けをもとめて、リィンはなのはの肩に座った。なのはは苦笑しながらパネルを開き、データをとりだした。

「エクセレンさんの長距離射撃と、わたしのアクセル・シューターを順番にうちこんでいく形かな。弾幕を張り
ながら、機をみて一撃必殺の攻撃をあてていく射撃コンビネーション」
「結構むずかしいのよね〜。魔導師の魔力弾は自由自在にまげられるけど――」

 エクセレンは格納庫のハンガーに引っかかっているブーステッドライフルを指差した。

「アレとかは射線が曲がらないわけだし。うっかりなのはちゃん撃ったりしたらシャレにならないしね。無駄が
なく、それでいて有機的に組めるコンビネーションは組むのがむずかしくって」
「もうすこし鎌度があがってくれば、また別の方法もかんがえられるんですけど……。いまのところは、この形
で組んでいきましょう。いきなりキョウスケ隊長とエクセレンさんのようなコンビネーションは無理ですし」
「ランページのこと? あれはまあ、わたしたちの愛の力で完成したというか――。でもなのはちゃんでもぜん
ぜんオッケーよ。ああ、でも――」

 エクセレンは淋しげに顔を伏せて言う。
381OSGS:2008/02/14(木) 20:52:01 ID:WqJ2PEzk
「フェイトちゃんやはやてちゃんがいるもんね……残念」
「あの、どこからツッコミをしたらいいのかわからないんですけど……」

 なのははこまったようにまゆを細めて言う。

(まだ出会ってからそれほど時間は経ってないはずですけど、会話のリズムがです……。仲良しさんですよね、
なのはさんとエクセレンさん)

 ノリの良い姉とおとなしい妹の構図か。

(なのはさんもご実家にはしばらくかえってないようですから……懐かしいのかもしれません)

 リィンフォースUにはまだ、親しい人と別れるという感覚がよくわからなかった。


――高町なのは

(それにしても――大分かわっちゃったな、ゲシュペンスト……)

 なのははヴァイスリッターをみあげて思った。リィンはエクセレンにいろいろとレクチャーをうけているよう
だ。役職柄、なのはもPTには詳しいのだが、さすがに現役のパイロットとはおしえられるものが違う。どうに
も手持ちぶさになったなのはは、かつての戦友の姿をぼうっと眺めていた。三年前の空港火災からのつきあいだ
が、ゲシュペンストだったという面影は、脚や腰、ディティールにあるだけ。なのはが知る機体とは、もはや別
物といっても過言ではない姿になっていた。

 厳重な情報統制があったのでスバルはしらないはずだが――。ヴァイスリッターの母体となったゲシュペンス
トmkU量産試作型三号機は、スバルの救出に一役かっている。スバルの救出にいけたのは間違いなく、このゲ
シュペンストと当時のパイロット、エルザム・V・ブランシュタインのおかげだった。もっとも、そのエルザム
はなのはたちがいなければ、あの場は乗り切れなかった――と言っていたが。

(エルザムさん、か。わたしたちは管理世界の防衛で精一杯だったけど……)

 コロニー統合軍のエースとして、L5戦役に参加していたはずだが、その後の足取りはさっぱりわからない。
ともに戦ったというキョウスケやエクセレンもわからないという。ただ、L5戦役後に彼らの上官ゼンガー・ゾ
ンボルトもいずこかへ出奔していることから、どこかで特殊任務についているのではないか、というのがキョウ
スケたちの予想だった。

(会ってみたいな……)

 おなじ『教導隊』をかんする部隊の隊員として、なのはがおそわったものは多い。技術体系はもちろん違うが、
それ以上のメンタルな部分で、なのはは教導隊の面々とエルザムを尊敬していた。プロとして、自分の感情以上
に大義を優先するその姿勢やそこに見え隠れする強さ――。その強さが、大きな挫折からうまれていることを知
っても、なのははエルザムに対する感情を変えなかった。




 『大義』と『大切なもの』を護ることに板ばさみになったとき――とるべき行動を教えられた、から。




「おっと、なのはちゃんもリィンちゃんも。そろそろデバイスルーム、いかなくちゃいけないんじゃない?」

 パネルに表示された時計を示しながら、エクセレンが言い、なのははもの思いを中断した。

「あれ、もうそんな時間ですか?」
「そうよぉ。なんかヴァイスちゃんをじ〜っと、恋する乙女みたいに眺めている間に時間がたっちゃったみたい
よ?」
382OSGS:2008/02/14(木) 20:54:09 ID:WqJ2PEzk
「え――そんなに長い間、ぼうっとしていました?」
「……リィンが声をかけても、気がつかなかったです。リィンたちもずっとおしゃべりしていたので気がつかな
かったんですけど」

 リィンが言った。なのはは髪に指を当ててみた。なるほど、たしかに髪の毛は乾ききっている。

「じゃ、いこっかリィン。って、リィンもシャーリーとデバイスの調整するんじゃなかったっけ?」
「あ――わ、忘れてたですッ! 先にしつれいするですよッ!」
「あ、リィン――」

 とめるまもなく、リィンは飛んでいってしまった。根が生真面目かつ、ほがらかなリィンらしくはあったのだ
が、すこしあわて者というか落ち着かないというか。

「最近――ねむれてないんじゃない?」

 だから、いきなり神妙な声をかけられてすぐに反応できなかった。その声色からはついさきほどまで、リィン
やなのはをからかっていた人物と、同じ人物だとはどうしても思えないほど、真剣な声だった。
 声の主、エクセレンにふりかえったなのはは、大丈夫ですよ、と答えた。

「そうかしら? いまさっきだってぼうっとしていたし、明らかに最初あったときより体のキレがわるくなって
いるわよ」

 エクセレンの指摘に、なのははおもわず舌を巻いた。見るところを見ている。表面だけでいえば、ノリがよく、
面倒見のいい女性に見えるエクセレンだが、時々みせる観察眼やするどい指摘は、彼女の内面が表面どおりでは
ないことを示している。同世代の友人達とはまた違う付き合いやすさをエクセレンに感じるなのはだったが、心
配されるのはだれよりも苦手だった。

「魔導師は体が資本。そうでしょ? 譲れる仕事は全部ほかにゆずりなさい。いくら若いっていってもいつか倒
れちゃうわよ?」
「大丈夫ですよ。それにわたしは教導官ですから。新人たちのプランを立てるのもわたしの役目です」
「――そう。ならいいわ。ごめんね、なのはちゃん」
「いえ」
「さて、わたしはこれから、待機しながらヴァイスの整備かしらね〜」

 う〜ん、と大きく伸びをするエクセレンの背中に、すこしの罪悪感を抱きながらなのはは格納庫を後にした。
上着を纏う。休憩は終わり。午後にはデバイス実機をつかった訓練が予定されていた。

 休んでいる暇など、どこにもない。


――ガジェット・ドローン参式 

「彼」にとっては意味不明な独白。
 騎士はわずかに露出した口元をゆがませていた。「彼」の感情認識装置は、その笑みを「懐古」によるものだ
『どこで間違えた?』と分析する――分析するものの、「彼」の記憶に騎士の姿は刻まれていない。
 騎士の言葉がこちらの判断力抑制をねらったものだと判断し、騎士の台詞を思考から排除する。
 ジェイル・スカリエッティの手により、「彼」が作成されてからまだそれほど時間は経過していない。 参式は必殺のタイミングを見計らって、待機させていた多目的アームを騎士に向かってたたきつけた。
 起動してまだ日が浅く各種データの蓄積はすくない「彼」だが、先に稼働していたガジェット・ドローン壱式 参式はアームの命中コンマ01秒まえまで、騎士の表情をカメラに捉えていた。
の膨大な記憶<<ログ>>が「彼」には焼きつけられている。さらにはガジェットドローンの相互リンクシステムが 騎士の口元には、深い笑みが刻まれていた――。
「彼」の知識とデータをより正確なものにし、「彼」の判断力を高めていった。
 その知識が「彼」にゆがんだプライドを植えつけていく。壱式よりも強固な装甲を持ち、弐式のように群れず「貫け――アスラーダ」
とも高い戦闘能力を持つ「彼」は、先にロールアウトした二機を心底から睥睨していた。
 聴覚機能が故障したのだと「彼」は判断した。ソコから騎士の声が聞こえるはずがない。十センチも離れてい
 己以上に、偉大なる父スカリエッティの力になれるものはいまい――そんな「彼」には強烈な自負があった。ない距離から、騎士の声が聞こえるはずがない――。
 「彼」は己の能力限界をためすように、与えられた使命をはたしはじめた。壱式と弐式を文字通り手足のよう
に使い、いくつかのロストロギア『レリック』の確保を行った。 そして参式は、己の中心部に突き立つ『何か』の音を聞きながら、思考と機能を停止した。
383OSGS:2008/02/14(木) 20:58:57 ID:WqJ2PEzk
※ガジドロ参式以下を投下失敗(泣) 仕切りなおします。

――ガジェット・ドローン参式

『どこで間違えた?』

 ジェイル・スカリエッティの手により、「彼」が作成されてからまだそれほど時間は経過していない。
 起動してまだ日が浅く各種データの蓄積はすくない「彼」だが、先に稼働していたガジェット・ドローン壱式
の膨大な記憶<<ログ>>が「彼」には焼きつけられている。さらにはガジェットドローンの相互リンクシステムが
「彼」の知識とデータをより正確なものにし、「彼」の判断力を高めていった。
 その知識が「彼」にゆがんだプライドを植えつけていく。壱式よりも強固な装甲を持ち、弐式のように群れず
とも高い戦闘能力を持つ「彼」は、先にロールアウトした二機を心底から睥睨していた。

 己以上に、偉大なる父スカリエッティの力になれるものはいまい――そんな「彼」には強烈な自負があった。
 「彼」は己の能力限界をためすように、与えられた使命をはたしはじめた。壱式と弐式を文字通り手足のよう
に使い、いくつかのロストロギア『レリック』の確保を行った。
 今回も「彼」の有用性を証明するためだけにあるような簡単な任務のはずだった。

『どこで間違えた?』

 思考ログへそんなテキストが踊ったことに「彼」自身驚いていた。
 ロストロギア『レリック』を積み込んだリニアレールを強襲。機関のコントロールを奪い目標を達成。さらに
は撤収。計画としては損害はほとんどない――はずだったのだ。
 だが実際はどうか? 航空戦力――弐式は二機のアーマードモジュールの攻撃で数を半減させ、リニアレール
に忍び込んだ騎士はリニアレールを操っていた壱式をことごとく粉砕した。
 そして今に至る。

『どこで間違えた?』

 もともと「彼」が練った布陣を知っていたかのように効率的にうごいた騎士は、すべてのガジェットドローン
を沈黙させつつ、「彼」の前に現れた。
 白いコートに身を包む、敵対勢力。フードの下からのぞく両目がするどく参式をにらみつけている。
 データベースと、騎士のデータを照合する。該当なし。
 次に騎士の外見的特性と推定魔力値から戦力を分析する。
 騎士の纏うコートは、偉大なる父スカリエッティが作り出したに「防御外套」シェルコートに酷似している。
しかしシェルコートは高い防御力とAMF発生機能をを両立した装備であるが、量産は難しく戦闘機人「チンク」
に供与されたあとには、生産されていないはずだった。だが騎士が纏うシェルコートに酷似した装備は、チンク
装備のオリジナルとほとんど変わらない能力を持っている。

 では、これはなにか? 思考回路に走ったわずかな漣を無視し「彼」は分析を続ける。

 「彼」が敵対する人間を騎士だと判断した根拠は、騎士の握るアームド・デバイスにあった。形状は槍。これ
も一般的に普及している種類のものではない。カードリッジシステムを搭載しているらしい。刃と柄の間に余剰
魔力排出機構が見える。最大瞬間出力はどれほどになるのだろうか。
 あとは体格の情報を整理する。魔力によって身体を強化するベルカ式魔法の使い手に体格の情報は必要なかっ
たかもしれないが、「彼」はいつに無く慎重だった。できうる限りのデータを採集したかった。この後行われる
戦闘に関係する、どんな小さなファクターさえ見逃したくなかった。
 騎士の身長は百八十センチメートル強。騎士の手足には優秀な反応をしめす筋肉。人体としてもかなり優秀な
ようだ。

「計算は終ったか――V型」

 声紋データ認識。確認、照合。該当なし。騎士がデバイスを構え「彼」にむかって矛先を向けた。
 これで敵対する騎士のデータはあらかたそろったことになる。
 「彼」はするすると、多目的アームを本体から露出させた。同時に中央部に搭載されている光学兵器をアイド
リング。AMFの出力を上げ、戦闘態勢に移行する。素性がどうであれ、任務の邪魔をするのならばしかたない。
できれば生きたままとらえたかったが、偉大なる父スカリエッティの技術なら、死体からでも十分なデータがと
れるだろう。
384OSGS:2008/02/14(木) 21:02:54 ID:WqJ2PEzk
「また――おまえと戦うことになるとはな。これも因縁か」

 「彼」にとっては意味不明な独白。
 騎士はわずかに露出した口元をゆがませていた。「彼」の感情認識装置は、その笑みを「懐古」によるものだ
と分析する――分析するものの、「彼」の記憶に騎士の姿は刻まれていない。
 騎士の言葉がこちらの判断力抑制をねらったものだと判断し、騎士の台詞を思考から排除する。
 参式は必殺のタイミングを見計らって、待機させていた多目的アームを騎士に向かってたたきつけた。
 参式はアームの命中コンマ01秒まえまで、騎士の表情をカメラに捉えていた。
 騎士の口元には、深い笑みが刻まれていた――。

「貫け――アスラーダ」

 聴覚機能が故障したのだと「彼」は判断した。ソコから騎士の声が聞こえるはずがない。十センチも離れてい
ない距離から、騎士の声が聞こえるはずがない――。

 そして参式は、己の中心部に突き立つ『何か』の音を聞きながら、思考と機能を停止した。

 「彼」の思考ログテキストには『どこで間違えた?』という、己への疑問だけが三十行にわたりのこっていた。




※投下終了。またミスった。もうイヤだぁ……で、ミザル番外編の次回予告をおっことしておきます。
『ラッド! 裏口は俺とエヴァンとジョーで固めた、このまま行くぞ! 』
「了解だ――ハーヴェイ! そちらもぬかるなよ! 羽々斬・ドライブイグニション!」
<<jaholl! >>
 ラッド・カルタスの殺意を顕現するように、アームド・デバイス<<羽々斬>>が舞う。
 六課が襲撃されたときに、もしもこの相棒があれば、すこしは被害を減らせたのではないか――ラッドは思う。単なるうぬぼれではない。羽々斬の性能がそれほど凶悪――否、優秀なのだ。
――
「報告は正確に。そうだろ、相棒」
<<……四十機。撤退をオススメします>>
「自分で退路を断っているからな……そんなかっこ悪いことはできんさ」
――
「「「「「ラッド・カルタス……わたしたちのメモリーに残る情報では、オリジナル素体に恋愛感情を抱いていた……」」」」
「そんな一斉にいわないでくれ。照れるじゃないか」
「「「「「われわれに協力すれば、わたしたちの一人が、あなたの想いに応えてもよろしいんですよ?」」」」」
「そいつぁ重畳。閨の友にはもってこい――かもしれんがな」
「「「「「彼女の思考情報も共有。あなたの望む『ギンガ・ナカジマ』になることも可能ですが?」」」」」
「それじゃ意味がない。女は口説いて然るべきものだ」
――
『カルタスどうした!? カルタスッ! カルタァァァスッ!』
――
 何一つとしてわすれたくなかった。
 空気のつめたさ、風のにおい、大地のやわらかさ。
 どれ一つとっても、キャロは忘れたくない。この一年でたくましさを増したフリードリヒがキャロの頬をぺろりとなめた。
 きっと――塩味がしたはずだ。あの人の役にたちたくて、ただそれだけではじめた管理局入り――。
 しかし、隣に立つ少年やさまざまな出会いを、キャロは『機動六課』から貰っていた。
 はじめて得る『家族』のような安心感。それも今日で終ってしまうと思うと――。
 だから忘れない。忘れるものか。

 この一分一秒を――。



※こんな感じになってます。もちろん反目のスバル氏に書いていただいたドリル銀河大戦もやりますので、もう少々おまちください。

385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:07:38 ID:rfv7p0I8
支援
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:19:57 ID:fCHpQne+
GJ!!です。
大人エリオ登場ですかw
なんか、ハードボイルドが似合ういい漢の雰囲気が漂ってますね。
387OSGS:2008/02/14(木) 21:20:17 ID:WqJ2PEzk
実験してみたかったんですが、00分越したので何にもならなかった……。
一応こんかいはさるさん貰いませんでしたが……
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:06:52 ID:rfv7p0I8
今日は投下すくねぇな、昨日の投下ラッシュの反動でもきたんすかね?
389キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 23:11:12 ID:PMEqiWb+
時代に取り残されないように、山場の執筆をぶった切ってバレンタインデーSSを書いてみた。
しょせん勢いなので意味不明な事になったが……投下して良いかな?
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:11:42 ID:jWSq06vv
キャロバクラの投下3つほしい
391戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:12:02 ID:EaR+iQ/3
職人の皆様GJですー。
モンハンの世界にバレンタインなんて習慣はない…はず。
とりあえず20分あたりに投下よろしいですかね?
ジェイがリンディ茶に挑戦するお話ですが(違
392戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:13:22 ID:EaR+iQ/3
ん…被りましたね。
それじゃあ自分はキャロとバクラの人氏の後にいたしますかな。
ではでは、支援。
393キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 23:14:30 ID:PMEqiWb+
了解、先に行かせて貰います。

「たっ! 大変です、バクラさん!
今日は2月14日ですよ! バレンタインですよ!?」

「そうだったな……で?」

「で?……じゃないです! 
他の世界ではストロベリーだったり、カオスだったりな素晴らしいバレンタインを過ごしているのに……
どうして私達はシリアス真っ只中!?」

「しょうがねぇだろ、現在最大級の山場だぜ?
 オレ様も脱ぐと早くなる露出狂執務官を、どれほど素晴らしくブチ殺すかを考えるのに忙しいんだ」

「バクラさん……バレンタイン的なことしたいです」

「あ〜ん? 興味ねえよ、チビ竜とでも戯れてろ」

「ちょっとで良いんです、一緒に……ね?」

「……しょうがねぇな、付き合ってやるか……」

「はい! ありがとうございます!!」


とまあそんな話があったりなかったりして、この先のお話は本編とは一切関係ないものと明記した上で……


『キャロとバクラが慌ててバレンタイン的なことをするそうです』
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:15:22 ID:t4Bm+Yy4
支援
395キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 23:15:22 ID:PMEqiWb+
「チョコが売り切れてなくて良かった〜」

この頃住み着いたオンボロアパートのキッチンで、身近なスーパーのビニール袋からキャロが取り出すのはまさしくチョコ。
チョコレートと言う正式名称を持つカカオ豆などで生成されたお菓子だ。今日、このバレンタインと言う日には無くてはならない代物。

『で? 誰にやるんだ、ソレ。チビ竜か?』

「え……それは勿論……バクラさんです。日頃のお礼に」

物珍しそうにチョコレートを凝視していたバクラはキャロのそのはにかんだ答えに意外そうな顔をし、呆れたように肩を竦めた。

『オレにくれても食うのはお前の体だぜ、相棒?』

「夢の無い事をいう人ってキライです……」

興味深そうにチョコを狙っているフリードを叱り付け、キャロは湯煎の準備に取り掛かった。
まずは買ってきた一番安い板チョコを細かく刻み、ボールに集めていく。
次に熱した鍋にそのボールを浮かべる形で湯銭していくわけだが、その様子を見ながらまた情緒など読めない盗賊が余計な一言。

「別にそのままでも良いぜ? 喰ったら同じだし」

「貴方はよくても私はイヤなんです……せっかくの思いを伝えるチョコが板チョコなんて」

「キャウ〜!!」

チョコレートが良い感じに溶けて来れば当然、香りが辺りに立ち込め始めるもの。
その独特な香りは幼竜の感覚器を大いに刺激したらしく、フリードが大興奮。
何時もは言い付けを良く聴く良い子なのだが、今回ばかりはそれが出来なかったらしく、鍋に飛び掛ろうとする。

「フリード! 危ない…キャッ!?」

ソレを防ごうとした反動でキャロのドジっ子性能がフルドライブ。
何を如何したのか解らないが、チョコが入ったボールが盛大に宙を舞う。
そしてソレがぶちまけられた先は……千年リングの上。
396キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 23:16:25 ID:PMEqiWb+
「随分と美味そうになっちまったな」

『すみません……』

呆れたバクラの声に、キャロのか細い謝罪が重なる。
チョコの海から引き上げた千年リングはキレイにコーティングされ、チョコレートで出来た芸術品のようでもあった。

「さっさと洗わねえと固まっちまうな」

『勿体無いですよ!』

「オレ様にこれを食えと?」

『うっ……だったら私が食べますから、変わってください』

「おっおい……」

キャロ自身もチョコレートなどここ最近食べていない
もとよりバクラに食べてもらう分と自分が食べる分で半分ずつ、小さなものを二つ作ろうと思っていた。
床の上ではなく千年リングに掛かった部分なら、問題ないだろうと判断したらしい。
貧乏人の根性は健在である。


「はむ……甘くて……美味しいです」

まず三角を囲む円の部分から指で掬い取り、口に運ぶ。指についたチョコは勿論まだ固まりきっておらず、指を舐めるように味わう。
次にパラソルチョコのようになった指針の部分を直接口に入れて、しゃぶる。
その熱心な様子はまるで恋に浮かされたようでもあったりして……板チョコのクセにブランデーでも入っていたのか?
紅く染まった頬と潤んだ瞳、少女らしくない色気を漂わせたキャロ。

「バクラさんの……味がします」



だが……この盗賊はどこまでも雰囲気を読まない。

「そんな味するはずがねぇだろ」

『コレ、死体を溶かして作ったんだが?』といわない辺りがバクラの優しさである。



結論……ラブでもバトルでもなく、バレンタインデーはエロスと言うのを目指してみた。
    しかし30分そこそこではどうしようもない。
397キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 23:17:34 ID:PMEqiWb+
以上でした〜(少な!?
まあ、番外なんてこんなもので良いんです。
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:17:39 ID:4K9iUahX
千年リングにぶっかけとな!?
支援
399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:19:52 ID:jWSq06vv
キャロ幼女のくせにこんなエロい事してると人生変わるわよ
400戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:22:23 ID:EaR+iQ/3
GJ−。
盗賊は雰囲気を読まないからこそエロスの中でも笑いを生み出してくれるっ…!
ごちそうさまでした(何が
401キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/14(木) 23:30:08 ID:PMEqiWb+
たとえどんなに酷いオチだろうと、今日のうちに投下できたので私は満足ですw
戦国の鉄の城氏はもう投下して良いんじゃないかな? 
この勢いだけでエロスに辿り着いた話には感想とかつかないだろうし
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:30:49 ID:DKQClwQn
盗賊がどう見てもツンデレwww
GJ!
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:30:58 ID:ExRnAv6C
>>401
付く付かないはともかく、ウロスの方に感想をしてもらえばおkだと思うんだが
404戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:33:25 ID:EaR+iQ/3
>>401
そっすかね?
俺としちゃあもう少し待ったほうがいいかなぁ…とか。
せめて35分過ぎたあたりかな?
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:33:32 ID:fCHpQne+
GJ!!です。
クゥ!!ここにたまたま通りかかって、勘違いするティアナとエリオがいないのが残念w
そしてそのまま人のいない部屋で二人で・・・w
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:34:58 ID:rfv7p0I8
>脱ぐと早くなる露出狂執務官
やばい、すんごい的を獲てるよバクラさん・・・・
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:37:30 ID:fCHpQne+
戦闘中にスピードUPする為に脱いだところを口撃で精神的負荷を与えるんだw
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:40:27 ID:tqh+Xy9r
GJ!
脱ぐと速くなるというのが不思議だよな
個人的なイメージは逆だと思うけど
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:42:28 ID:VSXhvzKE
>>401
相手にかかった熱い物を舌でゆっくりと舐め取る幼女とな!?

>>406-408
あやまれー、キャストオフすると異様に早くなる某ガンダムとか某バーチャロイドとかにあやまれー!w
410リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/14(木) 23:42:57 ID:EMw/+tlo
GJ
皆さんやはりバレンタインネタ多いですね…
俺なんか何を間違ったのか季節はずれの水着回書こうとしてる…
ほんっとに情けない…

それと…皆さんはやはりリィンの恋愛ネタって結構見たいのかな?
剣崎×リィンを楽しみにしていた方が数人居たんで驚きました。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:44:11 ID:Pt9z0xIE
脱ぐと速くなると聞くと銀戦車が浮かぶw
412旅ゆく人:2008/02/14(木) 23:44:13 ID:90mHvVC5
バン・アレン帯、……もとい、ヴァレンタインねぇ。
チョコどころか、……あー、仕事の愚痴は止めときまショー。

――おや?
ニジュク「(息を切らして)……とぉちゃくぅ!」
あれ、どうしたの、……って?
サンジュ「(やっぱり息を切らして)……ついたあ!」
おやまあ、二人とも、何をそんなに――。
ニジュク「んとね、これ、つくってきたの」
サンジュ「クロちゃんとね、つくってきたの」

あれまあ、袋いっぱいに、何入れとるの?

ニジュク「えへへ、ちょこれーとだよ」
サンジュ「えとね、きょうって、ばれんたいんってゆーんでしょ?」
ニジュク「だからね、いっぱいつくったの」
サンジュ「いっぱい、いっぱいつくったの」

……私のために? いや、そうではないね。

ニジュク「さくしゃちゃがおせわになってる、この、すれの」
サンジュ「みんなのために、つくったの」

……うん、そうか、大変だったね。

ニジュク「ちょと、たいへんだった、えへへ」
サンジュ「でも、クロちゃんとつくってて、たのしかったの」
ニジュク「そしたら、こんなにたくさんになっちゃた」
サンジュ「ねぇ、さくしゃちゃん、みんな、よろこんでくれるかな?」

だそうですよ、皆さん、この二人のチョコレート、いかがでしようか?


ニジュク「ねぇ、さくしゃちゃ?」
サンジュ「さくしゃちゃんも、ほしかった?」

……いや、二人のその気持ちだけで、私ゃ、満足さね。
うーん、芋焼酎が、今夜はことのほか、美味い。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:45:15 ID:puNVH/zl
>>408
そりゃあんた、着衣でやるもんじゃないんd(ry
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:45:50 ID:feOQNeTp
>>410
オリキャラなんて反則技使ってまで恋愛方向にいったんだから
期待してた人多かったんじゃね?
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:46:55 ID:feOQNeTp
>>412
ありがたくいただいていきます!
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:47:34 ID:y0uh/O8f
>>414
なんか皮肉に聞こえるなw
417戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:48:29 ID:EaR+iQ/3
…結局30分待ってみたんだ。
ではモンハンクロス投下したいと思います。
ジェイがリンディ茶に挑戦する話であってバレンタインは関係ない…orz
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:49:49 ID:rfv7p0I8
>>410
期待してたぶん結構来ましたね。例えるなら心の超合金ニューZαがこなごなに
砕け散った感じですね・・・・
419戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:49:54 ID:EaR+iQ/3
魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER

第十四話「挑戦」


あのときは雪で、吹雪で。
あのときは寒くて、忙しくて。
あのときは何かを狩りに行ったのか、何かを採りに行ったのか。
あのときの少女は……。

思い出すのは四年前の出来事。視界いっぱいに広がる白銀の世界。
変わらない仕事を終わらせに行っていた。珍しく一人で。本当に些細な日常の一ページで終わらせるつもりだった。
だけどストライプの飛竜が女の子を襲っているのが見えて。振り返っても俺ってお節介だったんだなぁと想う。
気付けばアイテムポーチから閃光玉を取り出して走り出していたんだ。
炸裂する閃光。真っ白な視界の中でも女の子を抱きかかえて、もう一人の女の子の小さな、小さな手をしっかりと握り締めて。
走る。走る。走る。
小さな体と小さな手を離さぬように。落とさぬように。気付けばベースキャンプ。
女の子と話をして、迎えが来た。と呟くと空には空飛ぶ船。
二人の女の子は空を飛び、空飛ぶ船へと向かっていく。その雪のごとく真っ白な衣服に身を包んだ少女と、燃え盛る炎のように赤い衣服に身を包んだ少女。
はっきりと憶えてる。そして今、この瞬間。その子とまた会い、ともに戦っている。仲間として。

――ここで、俺の思考は止まる。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:50:48 ID:rfv7p0I8
支援!
421リリカル! 夢境学園:2008/02/14(木) 23:51:32 ID:nabW3Mfd
支援する!
422戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:52:12 ID:EaR+iQ/3
「Please get up; Jay….(起きてください。ジェイさん…)」
「ん……あぁ?」

俺、ジェイの再び思考が開始したときには辺りはどうしようもなく騒がしい。
ようやく思い出した。ここは管理局地上本部のロビー。視線を横に向ける。売店や自動販売機を使って食欲や喉の渇きを潤すためにものを買い、一息つく局員の姿。
反対側は入り口で、局員だけじゃなく一般市民の方々も足を運んで受付へと行き奥に消えていく。そして自分はロビーの片隅にあるテーブルで一息ついている。
軽めの素材でできているにも関わらずゆったりと座れる椅子。窓から当たる心地よい日差しもあって眠ってしまったらしい。
視線を下に。椅子と同じ素材であろうテーブルに四つのアクセサリー。なのは達が持つデバイスというやつだ。
なのは達は今お偉いさん方の会議に出席してるようでデバイス達をここに置いてきている。不自由だなぁ。

「I seem to have dozed off.(居眠りしてしまったようですね。)」
「んー…。」

真ん中に置いてある赤く丸い宝石、レイジングハートがぴかぴかと光って喋りだす。
まだ眠気がとれてないためまともに返事できてたのかわからない。

「After all a sleep of 1st had better wait for several minutes?(やはり、一日の睡眠時間が数分はお控えになったほうがいいのでは?)」
「慣れちゃったんだよなー。もう。」

レイジングハートの隣に置いてある蒼い宝石、マッハキャリバーが続けて喋りだす。
始めてこのデバイス達に会ったときはそりゃもう驚いた。いきなりアクセサリーが喋りだすのだから。でもまぁ、慣れた。

「The custom do not be a terrible thing.(習慣とは恐ろしいものですね。)」
「自分でもそう思うぜ。まったく。」

そして喋るのは小さなハンマーの形をしたグラーフアイゼン。
俺はやっとこさ覚醒してきた意識をそのままの状態に保つためんー、と唸りながらのびのび。

「It seems that you had better drink coffee, but.(コーヒーなどを飲んだほうがいいと思われますが。)」
「いや、いいよ。それに俺はどっちかっていうと緑茶のほうが好きだ。」

次はカード状をしたデバイス、クロスミラージュ。
正直言ってなんだが、のびのびして完全に目を覚めたはいいものの暇だ。
どうしてこうお偉いさん方が集まる会議ってのは長いんだろうな。まぁ、対策を練ってるんだ。長くなるのは仕方ないとはいえ……。
一度覗いてみたがどう見ても責任の押し付け合いにしか見えないのは俺だけか?
423戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:53:09 ID:EaR+iQ/3
ぽけーっとして窓から写る景色を眺める。ミナガルデやドンドルマとは比べ物にならないほど都会だ。もちろん科学も発展している。
昔俺達が居た世界でも魔法があったとは言われているが……。あくまで昔の話だ。でも、ロマンがあっていいじゃないか?
この世界で解明されていないこと。それは開けないほうがロマンがたっぷり詰まっているものなんだと俺は勝手に解釈。解明したときの興奮も捨てがたいが。
とりあえず緑茶を一口。
そしてまたぼーっとしている俺に声をかける人が。

「ここ、いいかしら?」
「ん?ここでもよろしけりゃどーぞ。」

目の前には薄い緑色の髪を伸ばした女性だ。顔を見る限り結構若そうだ。
その女性は「では、お言葉に甘えて」と言うと俺の正面の席に座った。
…座るなり俺の顔をニコニコしながら見つめてきている。なんだか照れてしまう。目線を逸らす。

「あなたがジェイ・クロードさんね?」
「は?どうして俺のことを……。」

いきなり自分の名前を言われて平然と聞き流せるものは少ないだろう。

「私はリンディ・ハラオウンです。フェイトとなのはさんから貴方のことは聞いていますよ。」
「リンディ・ハラオウン…ハラオウン…あれ?」

ん…ハラオウンっていう苗字に聞き覚えが…。

「あ、すみませんね。フェイトの母なんですよ。」

俺は盛大に椅子から転げ落ちた。


「で…リンディさんは俺に何か?」
「特に用はないんだけど…せっかくだからお話でもしようかと。」
「よく俺の顔わかりましたね。」
「えぇ、一応六課の後見人ですからどんな人かは写真つきでなのはさんから聞かせてもらいました。」

こんなところまで行き渡ってたのか。でもまぁ、後見人なんだし信頼するべきかな。
しかしこのリンディさん。フェイトの母親なのに若く見えるのは気のせいか?

「ジェイさんは確か…モンスターハンターという職業でしたよね?」
「はい。人に害を与えるモンスターを狩る。…悪く言えばパシリですね。」
「あらあら、ずいぶんと謙虚ですのね。」
「事実ですし。」

口を手で隠しクスクスと笑うリンディさん。自然に和やかな雰囲気になってきている。
突然席を立ち、持ってきたのは二つのお茶。中には完全に溶けていない粉が浮遊している。
424戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:54:03 ID:EaR+iQ/3
リンディさんはそれを一飲み。頬を赤く染めて満足そうな笑みを浮かべている。

「んっ…。」
「………。」

反射的に目を逸らす俺。その飲み方どうにかしてほしいなぁ。リンディさんは満足げに飲んでいるのだが…。
甘さが足りないと懐から取り出したのは抹茶チョコ。お茶と抹茶チョコ、交互に口にするリンディさんは子供のよう。

「…甘党ですか。」
「もちろん♪」

…ついていけない。
試しに俺もそのお茶を飲もうとしたとき、何かを聞いた、感じた。
過去にこのお茶を飲んだであろう者達の訴えが俺の頭に渦巻く。
飲んではいけない!
無茶するな!
俺の二の舞にだけはっ…!!
そう聞こえなくも無い。だが差し出されたものに手をつけないのは無礼。
カップを取り口に運ぼうとする直前、視線が刺さる。そういえば空気が先ほどとは違う。
………なんで局員達はこちらを見ているのか。それほどこのお茶には何かあるのか?
無視して一口。

「……リンディさん。」
「はい?」
「俺はこれよりとんでもないものを口にしたから平気ですが…、他の人には出さないほうがいいかと。」
「あら、どうして?」
「甘い、しつこい、まどろっこしい、カロリー、血糖値ともに高い。以上です。」
「はっきり言うわね…。」
「これでもつらいです。一瞬でも気を抜けば天に昇りそうな味だからこれ以上の犠牲者は。」
「………。」

空気が元に戻る。
俺はあらかじめ頼んでおいた普通の緑茶をすする。苦い。けど今はそれがとてつもなく美味い。
まさに「緑茶ってこんなに美味かったのか……!」と思うくらい美味い。
425戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:56:23 ID:EaR+iQ/3
「相手はティガレックス…でしたっけ?」
「おや、そんなことまで知ってましたか。」
「貴方達とは因縁の対決になるんでしょうね…。」

どこか切なげな表情をするリンディさん。

「因縁の相手だろうと、なんだろうと狩るまで。それが俺たちゃモンスターハンターっす。」
「ふふ…、頼もしいのね。」

ふと後ろで自分を呼ぶ声が聞こえる。バリアジャケットに身を包んだなのは達。
もう出動の時間らしい。レイジングハート達も持って、兜も持ったし鬼神斬破刀も持った。
ジェイはリンディに一礼をして走り出した。微笑んで見送るリンディ。
その先でジェイは、突然襲い掛かった壮絶な甘味で体の力が抜け、そりゃもうド派手に転んだとか。

余談だが、この一杯でこれから始まる戦いの運命がかなり変わってしまったことを彼はまだ、知らない。
426戦国の鉄の城:2008/02/14(木) 23:58:31 ID:EaR+iQ/3
投下終了。「とんでもないもの」についてはご想像にお任せしまs(ry
いきなり狩りの場面から―というのも何かそっけないもので。
最初はデバイス達とのやりとりで行く案だったのですが企画倒れ。

次回はティガレックスと直接対決…のお話。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:59:00 ID:tG+iK24y
支援
428節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/02/15(金) 00:00:08 ID:r9w5hQuD
チョコネタの感想は……皆さん乙。

【義理】

あ、顔の辺りから塩辛い汗が。
>345
書いてから思い出しましたが、未プレイなので放置しました。

後まぁダンジョン経営系とかも同系列になるんかねぇ。

そしてリンディ茶乙。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:26:31 ID:tbzPr0l/
GJ!!です。
ティガレックス可哀想に・・・ただ同じ種族というだけでなのはさんに虐殺されるのだから。
彼女は恐らく数年前の屈辱を忘れていないぜ・・・たぶん死体も残らないような圧倒的な火力で
消し炭にされるんだw
430魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/15(金) 01:17:32 ID:VxobrO2n
>キャロとバクラ
クールだ! クールになれ…!(ポップ)
千年リングにチョコをぶちまけ、それをキャロが舐め取った。ここから導き出される答えはなんだ…っ!?
って、エロス以外にあるかコノヤロwww
このスレもきっとバレンタインで浮かれてやがるぜ、と思っていましたがまさかこんな素敵投下ラッシュとは。ご褒美です。
まったくキャロとバクラの人が描くキャロは萌え地獄だぜ!
431322 ◆tRpcQgyEvU :2008/02/15(金) 01:21:43 ID:gsKf5PNU
かなり久々ですがEDFの続きを投下していいですか?
反応がない場合は1時35分に投下始めます。
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:22:43 ID:5rpXEVmg
おおおおおお!待ってたぜ!!

これより支援する!レンジャー!!
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:23:56 ID:FdjufC8m
こちらレンジャー2支援する!!
434322 ◆tRpcQgyEvU :2008/02/15(金) 01:29:44 ID:gsKf5PNU
魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――"mission6『魔法の世界』"

――新暦七十五年 三月十八日 十一時四十五分 スカリエッティアジト――

 耳鳴りがするほどの静かな病室で、ストーム1はベッドに腰掛け文庫を読んでいた。
暇つぶしにとあの眼帯の少女持ってきたこの本は、全文英語で書かれているので内容はさっぱりわからない。
それでも所々に『Magic』の単語があることから、多分これはファンタジー小説かなにかだろう。
次は日本語の本が読みたいな。そう思いつつ、ストーム1は本を閉じてそのままベッドに寝転がった。

 それにしても、こんなにゆっくり出来るのはいつ以来だろうか?
思い出そうとして見ても、脳裏をよぎるのは苦しかった戦場の記憶のみ。
常に死の危険にさらされ、喉が乾けば泥水を啜り、腹が減ったら虫を食らって飢えを誤魔化した。
温かい布団もベッドもある筈が無く、眠くなったら地面に耳をつけて眠る日々。
病気になったり、重傷を負ったら、自分で治すか苦しんで死ぬかの二択しか選べなかった。
それを思えば、ここに居れば、流動食だがまともな食事は取れるし、ちゃんとベッドで眠ることも出来る。
ドクタ―が来ることはなかったが、ガジェットという名のロボットが代わりに治療をしてくれた。
おかげで、今では体の痛みもすっかり消えて、喋ることも、歩く事だって――松葉杖を使う必要はあるが――出来るようになった。
黴臭さとゴキブリさえ我慢すれば、中々快適な環境だと言えよう。

 だけど彼は、この居心地の良い牢獄にずっと居たいとは思っていなかった。
 おそらく、『星舟』はまだ死んではいない。
かなりの手傷を負わせたはずだが、あれくらいで倒せるようならずっと昔に倒せている。
じきに奴は傷を癒して攻撃を再開するだろう。 
そうなったら、民は再び戦火に焼かれ、全ての命は奴等の贄となり、地球は死の星と化してしまう。

――そんなことはさせない!

『星舟』の弱点はわかっている。
あの時だってかなりの所まで追い詰めた。次は決して負けない自信はある。
どれだけの戦力差があろうとも、絶対に奴を倒してかつての平和を取り戻す。
今度こそ絶対に、たとえ刺し違えてでも『星舟』を倒してやる!
そのためには、良く食べ、良く眠って、早く怪我を治さないと……。
435322 ◆tRpcQgyEvU :2008/02/15(金) 01:30:56 ID:gsKf5PNU
>>434

「あの、起きてるッスか? ごはん持ってきたッスよ」
 そのとき、ゆっくり扉が開けられる音と、女の声が彼の思考を遮った。
扉の方へ視線を向けると、赤毛を頭の後ろでまとめた十六、七くらいの少女がいた。あの子はたしか……
「君はたしか、ウェンディだったな。怪我はもう治ったのか?」
「私は大丈夫ッスよ。それとノーヴェももうなんともないッス。これも全部、ストームさんのおかげッスね」
 そう言った後、彼女はベッドの側にある椅子に腰掛けた。
「まだ、こんなものしか出せないッスけど」
 そう言って彼女が差し出したのは、流動食が入った見なれたパック。今のストーム1が食べられる唯一の食物だ。
一言礼を言い、それを受け取ったストーム1は、すぐにパックを開けて中身の冷めたいゼリーを口の中へと流し込んだ。

「ストームさんは、体の調子はどうなんッスか?」
簡単過ぎる昼食を終えた後、ウェンディが心配そうに聞いてきた。
「どこか痛いところとかないッスか? お腹は? 頭は? まだ歩けないみたいッスけど、もしかして踵のあれが切れちゃってるとか……」
「おいおい、少し落ちついてくれ」
 矢継ぎ早に質問を浴びせかけるウェンディを、ストーム1は苦笑し、止めた。
「まだ少ししか歩けないことと、飯をあまり食えないこと以外は問題ない。だから、君が気にするようなことはない」
「そうッスか。それでも、何かしてほしいことがあったら遠慮しないで言ってくれってもいいッスよ? 
 私が出来ることならなんでもしてあげるッス」
 ストーム1は少しだけ顔を上げ、黙ってウェンディを見据えた。
 普通に考えれば、彼女の申し出はとてもありがたいものだろう。
問題ないとは言ったものの、彼の体はまだまだ安静が必要な状態だ。介護の手は多いにこしたことは無い
それでもストーム1は、彼女の好意を受け入れるべきかを迷っていた。
無論彼は、常に他人を疑い好意の一つも受け入れられない卑屈で狭量な男ではない。
ただ、今の彼を取り巻く状況が、ドクターの診断もない、外部の情報が一切入ってない、ここがどこかもわからない、
彼女達が敵か味方かもはっきりしないという異常な状況が、ストーム1をいつもより用心深くさせていた。
436322 ◆tRpcQgyEvU :2008/02/15(金) 01:32:36 ID:gsKf5PNU
>>435

 ウェンディは丸腰だ。チンクのように武器は持っていないし、警戒心や敵意なんて欠片も感じない。
彼女自体は信じても良さそうだが、まだ油断は出来ない。
ウェンディに害意は無くとも、彼女の後ろにいる者がどう思っているかわからないからだ。
チンクは言った。『この部屋は常に監視されている』と。
それが正しければ、このやり取りもどこかで誰かが監視していることだろう。
その誰かが、これを通じて自分の出方を観察しているのかもしれない。
彼女への対応で、自分が有害なのか、無害なのかを見極めるつもりかもしれない。
もしも有害ならば、自分を即刻処分するつもりなのかもしれない。
だとしたら、ここは彼女の申し出を受け入れ、こちらに敵意がないことを示しておくべきか。
それとも、一旦答えをはぐらかして、向こうの出方を見るべきか。それとも……

「あの、ちょっといいッスか」
 出しぬけに聞こえたウェンディの声が、思案を続けていたストーム1を現実に引き戻した。
「ストームさんに会ったら訊こうと思ってたんッスけど、なんであの時、私を助けてくれたんッスか?」
「なんでって……」
「だって私はストームさんの仲間じゃないッス。なのに、今より酷い怪我してたのに、私の為にあいつ等の中に突っ込むなんて、
 なんでそんなことが出来たッスか? どう考えても普通じゃないッスよ」
他意も打算も感じない、ただ真実を求める視線がストーム1に向けられた。
「なぜ……か……」
 そう呟き、ストーム1は瞑想するように瞼を閉じた。
 奴等に襲われ生死もわからぬ女。彼女を助けるためにノーヴェに武器を預けて飛び込んだ自分。
なぜか? と尋ねられても、彼にとってはとても単純で当たり前の答えしか思い浮かばない。
ストーム1は瞼を開き、ウェンディの目をしっかり見返し、答えた。

「奴等を倒し、民衆を守る。それが俺の仕事だからだ」
「……それだけ?」
 ウェンディの表情は、驚いているのか呆れているのか、口をぽかんと半開きにした間抜けなものだった。
「ああ、それだけだ」
 ストーム1は小さく微笑んだ。
「ストームさんも死んじゃったかもしれないんスよ?」
「死ぬことなんて怖くない。あのとき俺が死んでいたとしたら、それが俺の寿命だったということだ」
 ウェンディは呆れかえったように溜息を吐いた。
「まるで英雄みたいなこと言うッスね」
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:33:36 ID:FdjufC8m
ストーム1支援する!
438322 ◆tRpcQgyEvU :2008/02/15(金) 01:34:51 ID:gsKf5PNU
>>436

(英雄なもんか……)
 心のなかで呟いて、ストーム1は彼女に背を向け、黒ずんだ壁と向き合った。
 俺は、英雄なんかじゃない。
多くの者を死なせ、命を賭けても『星舟』を堕とせなかった俺が英雄と呼ばれていいわけがない。
英雄にふさわしいのは死んでいった仲間たちの方だ。
じいさん、谷口、結城、春香、『ジェノサイダー』と呼ばれ、仲間からも畏怖された俺の恋人、涼子。
そして、地球の為に、世界中で戦い散った、幾多の名も無き兵士達。彼等こそが本物の英雄なのだ。
それに比べれば、討つべき敵も討てず、怪我を言い訳に惰眠を貪る俺は、只の、只の――

 悔しさと怒りに唇を噛み締めたそのとき、無遠慮に鉄扉が開き、ウェンディより小柄な少女が部屋に入ってきた。
一対の松葉杖を担いだ、赤毛のショートカットと琥珀色の瞳が特徴の少女。
彼女はあの戦いで世話になったウェンディの姉、ノーヴェだ。
「……ウェンディ、なんでお前がここにいるんだよ」
 ストーム1が声をかけようとした矢先に、ノーヴェは苛立たしげに舌打ちした。
「え……あー……その……ストームさんとお話したかったし、訊きたいこともあったから来たっスよ。ノーヴェもストームさんとお話しに来たんスか?」
「ばぁか、そんなんじゃねえよ。ま、こいつに用はあるけどな」
 ノーヴェはストーム1をキッと睨みつけた。その視線から感じるのは、隠す気の無い怒りと苛立ち。
なぜそんな目で睨まれるのか。答えを探しあぐねるストーム1に、ノーヴェは「おい」と声をかけた。
それから担いでいた松葉杖を差出し、言った。

「ドクターが呼んでる。案内するからこれ使ってついて来い」

439322 ◆tRpcQgyEvU :2008/02/15(金) 01:35:21 ID:gsKf5PNU

投下終了。Bパートは出来次第投下します。
あと、ストーム1のお仲間さんについては

じいさん→おじいちゃんの地球防衛軍

谷口→谷口さんの地球防衛軍

結城→原作

春香→天海春香の地球防衛軍

涼子→姉の地球防衛軍――谷口の泣くころに――

のストーム1がモデルです。この中の誰かさんは本編でも登場予定?
それでは、また後日に。ノシ
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:40:17 ID:H7XnV8ky
投下乙ー
ってここで切るんですかいw
次に期待
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:42:00 ID:FdjufC8m
GJっす!!
何気にお仲間が豪華ゲストなのに吹いたw
442メタルサーガsts:2008/02/15(金) 01:49:53 ID:u+TMp5BR
GJです。
しかし、もろにストーム1=おじいちゃんだとばかり思ってたw
おじいちゃんのクレイモアが芸術すぎてストーム1=おじいちゃんイメージだったよ。
さて、ストーム1がこれからどう動くのか。今後がとても楽しみです。
そして豪華ゲストすぎるお仲間に乾杯w
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:59:20 ID:Tjgye68c
>味方からも恐れられた涼子

味方こそが一番恐れる兵器じゃねーかwww
ペリ子はいないの!?ねぇペリ子は!?

知ってるよ3だからいないって事は・・・続編なのに誰もやらねえでおじいちゃん、姉だの・・・
2の皇帝都市や灼熱、絶対包囲の絶望知ってくれと何度・・・

ハッ!愚痴っぽくなってしまった、GJです
続きお待ちしております
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:02:01 ID:tbzPr0l/
GJ!!です。
ついに、スカ博士とご対面ですね。
私的にはじいさんがいいなぁw
445名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:08:25 ID:FdjufC8m
登場するんなら、俺的にはファーストEDFに登場しEDF3にも登場した結城隊員がいいな。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:17:02 ID:hB/2hWch
GJでした!

にしても知り合いがある意味豪華過ぎw
しかも彼女が涼子姉さん……大丈夫なのか?主に命の危機的な意味でww

>>443
一応3は1のリメイクらしいけどね……絶対包囲とか未だにこせてない
447名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:46:33 ID:Tjgye68c
>>446
1と2は続編とわかるけど3はデザインから何から殆ど別物
似てる所といったら話と操作とゲージぐらいだ・・・

PS3なんて無駄に性能高い物あるんだから
地球防衛軍4でも繋ぎロードの無いモンハンでも作れるだろうに・・・
本当にソニーは解ってないな!wwww

尚2になると主人公が殆ど化け物呼ばわり、本当に人間なの?恐ろしい物だ・・・等等
頼れる反面みんなから恐れられる存在になってたりwww
たった一人で皇帝都市を撃墜した後の彼は本当は幸せなのかもしれない・・・と思ったり・・・
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:00:02 ID:F8ZlVkQB
E D F ! E D F !
待ってたぜなGJ!

てゆーか、このオールキャストで倒しきれなかったフォーリナーってどんだけーwww
難易度がINFどころかIMPを楽に越えてそうだ……
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:17:42 ID:i1DPNmAo
>>439
待ちわびたぞ、ストーム1!あーウェンディが先攻しましたかw 
ストーム1と関わる事で数字娘ズ(主に9と11)がどう変わるか、逆も合わせて楽しみにしています
次回の博士との邂逅も気になる所、だけどEDF兵装開発班の方がMADに感じてしまうw
一発一発が特注チタン製のベアリングをインパルスに込めつつ、GJ!
450リリカル! 夢境学園:2008/02/15(金) 03:33:06 ID:vlPfkaMk
遅れあそばせながらGJ!

まさかあの破壊天使ジェノサイドシスターが彼女だなんて……
どこの勇気あるガンシップが彼女を倒したんだ?w
真っ向勝負でもマザーシップが悲鳴を上げるような化け物なのに!
次回を今から期待してまくりです!
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 07:27:12 ID:RJcxlgwy
gj 魔法技術を導入した四足やヘクトル(大、小) 空母達は
かなり強力になっていそうですね。障壁装置の導入
転送装置 転移魔法の導入で降下ハッチが廃止されていたり。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 09:59:54 ID:MICgBukG
>>439
むしろフォーリナ涙目な気がするんだが……
どうやって地球人類に勝ったんだろう?
453名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 10:17:19 ID:GJDHbb33
補給を断った後物量で時間攻めならいけるんじゃね?
武器の無い戦士は動きがいいだけの人間だぜ
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 12:01:14 ID:s1YUOfH+
>>453
いい動きをしているね が見えた
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 12:21:15 ID:Q2M+GGPi
>>452
黒アリ「ねえねえ、この星ってさ、なんかすっごいヤツ一頭いない?」
赤アリ「いるいる。てか一頭じゃなくね?」
星船「ああ、いたいた。いたよ。6人ぐらいいて俺、涙目。」
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 12:43:17 ID:vdII5Ylv
投下乙です
sageてなかった sagaって何だよorz
457一尉:2008/02/15(金) 14:25:07 ID:02+QwJBH
そうえは地球防衛軍つてとこか見たよう気する。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 14:50:24 ID:lh3K0F4v
>457
江川達也が日本映画専門チャンネルで語っていたアレだろ?
モゲラがダイナマイトで倒されたり女さらったりする奴。後盆踊り。
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 16:37:46 ID:+KEup692
>>453
いい動きだらけの人間だぜ に見えた。
460リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 17:50:42 ID:hQNm85Yr
夜の十一時半頃から投下おk?
季節はずれの水着回だけど。
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:36:18 ID:tbzPr0l/
待ってます。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:39:05 ID:7NO0xAXM
待ってます。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:40:17 ID:M18eR4mw
>>458
age荒らしにかまうな
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:41:38 ID:vdII5Ylv
まだ普通の会話になってるんだから、変に波風立てるのもどうかと
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:05:27 ID:44bkn9yW
まったり行こうぜ、まったりヽ(´ー`)ノ

そして支援
466R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:30:25 ID:Z5pkNe4V
投下します


「結界出力を10万増強・・・そっとだ、そっと外せ・・・」
「プログラム、侵入を開始。外部制御回路の解析に入ります」
「いいぞ、そのままだ。乱暴に扱うな。丁寧に、丁寧に・・・計測値がまた跳ね上がったぞ。出力を20万増強・・・」

時空管理局第14支局。
本局への緊急連絡という形で中間報告を終えた解析班は、本格的に不明機兵装の解析に入っていた。
というのも、本来は機体の解析を行う予定であったのだが、魔法によるシステムへの介入不能、そして制御中枢に直結しているとみられる自爆機構の発見などにより、先ずは補助兵装の解析と相成ったのだった。
方法は至って単純。
制御装置らしき4本のロッドの内1本を取り外し、其処に擬似的に組み上げたシステムを強制的に介入させようというものだ。
対象である「フォース」が、魔力増幅触媒として機能した事を受けての判断だった。

「まただ、計測値上昇。出力を10万増強」
「大丈夫なんですか? このままじゃ結界ごとボン! ですよ?」
「あと400万も余裕があるのに、随分と弱気じゃないか。問題ない、続けろ」

ただ、解析法が決定に至るまでの過程で、少々の反論が生じた。
制御装置を外す事によって、高エネルギー収束体であるフォースが暴走するのでは、との危惧だ。
しかしその意見も、兵器としての観点からの分析によって霧散した。

フォースに取り付けられた制御装置は4つ。
実戦投入された兵器であるからには、設計当初から戦闘行為による損傷を考慮されている筈。
つまり、4本の内1本が欠落した程度では、エネルギー収束体が暴走する事など有り得ない。
それでは兵器として不完全である。
不完全な兵器ならば、実戦に投入される筈が無い。

その見解により、制御装置の除去によるシステムへの介入・解析法が採用された。
結界によってフォースを空間に固定し、機械式アームによって制御装置を引き剥がす作業が始まったのだ。
しかし、フォースの固定こそ上手くいったものの、制御装置の除去段階に至ったその時、予想だにしなかった問題が発生した。
収束エネルギーの漏出である。

「・・・くそ、また上昇した。出力、40万増強」

制御装置の剥離が進むにつれ、徐々に上昇する結界内のエネルギー計測値。
その都度、結界出力を上げる事で対処しているものの、今のところ暴走に至る様子は無い。
いざという時の為に、ロストロギア暴走に備えた緊急用即時展開型超高出力結界発生システムもスタンバイしている為、解析操作続行との判断が下された。
そして、操作開始から約50分後。

「見えました、主任。制御装置の内側です」
「ああ、見える。あれがそうか」

高出力魔力振動刃とアームによって引き剥がされた制御装置の内側に、白い紐状の物が見て取れた。
一見すると植物の根の様にも見えるそれは、神経組織に酷似した機構らしい。

「端子を接続しろ。恐らくあれが制御中枢へのアクセスラインだ。力尽くで割り込むぞ」
467R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:31:54 ID:Z5pkNe4V
主任の指示と共に、神経組織を取り囲む様にミッドチルダ式魔法陣が浮かび上がる。
更にその外側に、正三角形の魔法陣。
システムとの相性を考慮し、念の為に組み上げられたベルカ式プログラムだった。
やがて白い光が、発光するミッドチルダ式魔方陣の中心から神経組織へと、溶け込む様に拡がり始めた。
介入成功。
解析班の其処彼処から歓声が上がる。
主任は込み上げる勝利の感覚を堪え、矢継ぎ早に指示を出した。

「プログラム侵攻率をモニタしろ。浸透の完了を確認した後に解析を始めるぞ」
「はい! プログラム侵攻率、23%。26・・・28・・・33・・・」

歓喜を滲ませて返事を返し、侵攻率を読み上げる分析官。
彼女の口から紡がれる数値が60を超えた事を確認した主任は、背後の部下へと新たな指示を飛ばす。

「局長に連絡だ。それと結界出力を180万まで・・・」
「しゅ、主任!」

緊迫した声。
周囲の局員達が一斉に、計器を前にした分析官へと目を遣る。

「侵攻率、0%! あらゆる数値が0を指しています!」
「何だと?」

騒然となる隔離区。
技術者達が慌てて手元の計器へと目を落とすと、つい先程まであった反応が全て消失している。
主任は反射的に、結界の出力を設計限界値まで引き上げていた。
更に周囲の局員達も、何を言われずとも緊急用結界の起動に備える。
しかし異変は、彼等の想像を遥かに超える規模・速度にて進行していた。

「プ、プログラム、逆侵攻を受けています! 侵攻率、40%! 52、66、82・・・!」
「主任、フィールドが!」

悲鳴の様な叫び声に視線を上げれば、神経組織を染めていた白いミッドチルダ式プログラムの光が、フォースと同じく禍々しいオレンジの光によって、先程とは逆に侵食されてゆく様が目に入った。
光は数秒で空中の魔法陣へと到達し、その輝きを自身の色へと染めてゆく。
やがて魔方陣はオレンジの光によって完全に支配されたが、それでも侵食は留まる所を知らなかった。

「ベルカ式プログラム、解析対象からの干渉を受けています!」
「馬鹿な!」

局員達の目前で、信じられない現象が起こる。
オレンジの光が、接続すらされていないベルカ式プログラムを侵食し始めたのだ。
ものの数秒で侵食され尽くしたプログラムを、誰もが呆然と見つめる。
しかしその驚愕も、突如として鳴り響いた別の警告音によって取って代わられた。

「エネルギー計測値上昇! 結界が保ちません!」

見れば、結界内のエネルギー計測値が凄まじい勢いで上昇している。
結界出力値は既に最大値である630万を指しているが、誤作動を起こした結界内魔力計測機器は580万を指し、しかもその数値は未だに上昇を続けていた。
主任が顔色を変え、叫ぶ。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:32:10 ID:eUuLmD23
それ外しちゃらめぇぇぇぇ!支援
469R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:33:13 ID:Z5pkNe4V
「対ロストロギア結界を起動しろ! A1班を残し総員退避! 隔壁閉鎖!」
「・・・起動しました!」
「動力区画、魔力炉出力を上げろ! 結界出力が足りない!」
『馬鹿言わないで下さい! これ以上出力を上げたら炉心が吹っ飛びますよ!?』
「今やらなきゃ隔離区が跡形無く吹っ飛ぶんだよ! いいからやれ!」
「主任、計器が!」

白、緑、赤。
各々の色に発光していた空間ウィンドウが、次々にオレンジの光に侵食されてゆく。
戦慄と共にそれらを見つめる技術者達の背後で、彼等以外の局員が退避した事を確認したシステムによって隔壁が閉じられた。
その表面に表示された巨大な警告ウィンドウもまた、一瞬の内に破滅のオレンジへと変貌する。

「結界出力上昇! 680、770、850・・・」
「緊急用結界、1290万で出力固定!」
「け、結界内エネルギー計測値、更に増大・・・690、720、760・・・」

こんな馬鹿な事があるか。
馬鹿でかい魔力炉の出力を、高々6m前後のエネルギー収束体が上回る?
有り得ない。
こんな事は有り得ないのだ。

「940・・・1020・・・結界破壊・・・せ、1110・・・」

オレンジの発光と共に球体が膨れ上がり、周囲を赤い光が飛び回る。
侵食された数十のウィンドウを埋め尽くすかの様に、新たに無数の空間ウィンドウが展開され、隔離区域を第97管理外世界の文字が埋め尽くした。
無数に現れては次々に消えるそれらのウィンドウの中に、繰り返し表示される「BYDO」という単語がある事に気付く者は居ない。
そして遂に、フォースを中心に空間が歪曲する。
警報発令。

『緊急事態。艦内に次元断層が確認されました。局員はナビの誘導に従い、最寄りの脱出艇へと避難して下さい。緊急事態。艦内に・・・』
「き、緊急結界、破損!」

空間歪曲、拡大。
此処にきて、主任は悟る。



こいつは兵器なんかじゃない。
人間の理解を超える、純粋な「悪意」そのものだ。
第97管理外世界の連中はそいつを機械で押し込めて、無理矢理人間の兵器に仕立て上げたのだ。
正気じゃない、狂ってる。
こいつを生み出した存在も、こいつを兵器として運用する者も。



直後、肉眼での視認すら可能となった空間の歪みが、隔離区域を呑み込んだ。

*  *  *
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:33:56 ID:eUuLmD23
木星ラボの二の舞\(^o^)/支援
471R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:34:36 ID:Z5pkNe4V
時空管理局本局20番ドック。
先の戦闘による損傷を受け、修復の為にドック入りしたクラウディア。
その艦橋でクロノ・ハラオウンは、不明機との戦闘によって得た情報の分析を繰り返す。
本来ならばクルーが行うべき作業なのだが、クロノは第14支局から送られてきた不明機の解析情報と照らし合わせた上で、もう一度あの戦闘に対する総合的な評価を下したかった。
無論、「次」の戦闘に備える為に。



第97管理外世界を包囲していた艦隊の消失。
時空管理局の受けた衝撃は大きかった。
転移直前の艦艇が砲撃により撤退し、新たに戦略魔導砲アルカンシェルを搭載した3隻のVX級次元航行艦が派遣されるまでの僅か6時間で、総艦艇数40を優に超える大艦隊が姿を消したのだ。

無論の事、管理局艦艇は直ちに捜索を開始。
しかし、突如として生じた虚数空間からの砲撃により、1隻が推進システムの一部を損傷。
直後、3隻の周囲を取り囲む様に5隻の不明艦艇が姿を現した。
通常航行ではない。
先の砲撃と同じく、極小規模の次元断層が発生し、その中から艦艇が姿を現したのだ。
魔力を動力源とする管理局の艦艇では決して不可能な、虚数空間への潜伏・航行。
不意を打たれた管理局艦艇は、完全に包囲された。
不明艦隊は質量兵器による攻撃を開始。

しかし、管理局艦艇の艦長達は優秀であった。
砲撃を受け損傷した1隻が即座に応戦、敵艦隊が怯んだ隙を突き2隻が異なる方向へと突進、更に弾幕を張る。
敵艦隊の注意が2隻へと移った瞬間を狙い、損傷艦は全速にて後進を掛け、同時にアルカンシェルをチャージ。
2隻が次元空間へと脱した事を確認し、アルカンシェルを発射。
敵艦との距離が思いの他近かった事もあり、空間歪曲に敵を巻き込む事はできなかったものの、不意を突く事には成功した。
その隙に損傷艦は次元空間へと脱出。
そこで他の2隻と合流を果たし、推進補助を受けながら本局へと帰還したのだ。
こうして、第97管理外世界を舞台とする艦隊戦は幕を閉じた。



管理局創設以来、数えるほどにしか発生していない本格的な艦隊戦。
「ゆりかご」の件があるとはいえ、あれは単一目標に対する砲撃戦である。
数に勝る敵艦隊との戦闘経験などあろう筈も無い彼等が今回の戦闘を生き延びる事ができたのは、ひとえに艦長達の指揮能力の高さ、そしてクルーの優秀さによるものだろう。
艦の性能面に於いても、敵に劣っているとは思えない。
虚数空間への潜行可能という事実は厄介ではあるものの、戦闘に於いては互角の能力を有しているだろう。
問題は艦そのものではなく、「艦載機」の方だ。
第14支局からの報告によれば、あの球体は放たれた魔法の悉くを吸収してしまうらしい。
超高威力の魔法ならば打つ手はあるかもしれないが、そんな魔法を扱えるのはほんの一握りの魔導士だけ、少なくともAAAランク以上の魔導士のみである。
やはり、戦闘の主体は次元航行艦となるだろう。

そんな見解を他の艦艇指揮官と述べ合ったのが3時間前。
クロノは現在、戦闘そのものとは異なる情報に注目していた。

「画像拡大」

魔力を用いて空中に映像を映し出す空間ウィンドウ。
そこに映し出される、白亜の艦体。
周囲に虹色の弾幕を形成するその艦の名を、L級次元航行艦エスティアといった。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:34:54 ID:8mX/wgWn
支援
473R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:36:02 ID:Z5pkNe4V
「画像処理、解像度を上げろ」

そもそもの疑問は、「誰がエスティアを運用していたのか?」という事だった。
L級の時点で高度に自動化された管理局艦艇は、操艦だけならば1人でも可能だ。
しかし先の戦闘の様に、全兵装を用いて高速飛行体を迎撃するとなると、少なくともブリッジクルーが3名、兵装担当の技術官が8名は必要である。
だが23年前のエスティア撃沈の際、艦内に残っていたのは艦長であるクライド・ハラオウン1人の筈。
その彼にしても、冷静に考えれば23年もの間、虚数空間の中で命を保っていたとは考えられない。
しかし現に、エスティアは対空魔導兵装を使用し、更に戦闘機動すら行いつつ不明機との戦闘を繰り広げていたのだ。
誰が、「何者が」エスティアを操艦していたのか?

映像記録のエスティアを徹底的に分析し、クロノはそれを見付け出した。
左舷推進システム外殻、其処に刻まれた文字の羅列。
記録との照合の結果、本来は存在する筈の無いマーキングである事が確認された。
つまりエスティアは、何者かによってそれを刻まれたのだ。

「・・・やはりな」

そして遂に、拡大されたその名称が、クロノの眼前へと現れる。
忌まわしき計画、忌まわしき狂気の名。



「SUMPLE-D7 PROJECT《R-TYPE》」



艦内に、敵襲を知らせる警報が鳴り響いた。

*  *  *

少なくともこの次元は、既知の異層次元とは構造を異にしているらしい。
1つの次元内に通常三次元空間が複数存在する、「新種」の異層次元。
唐突に22世紀の太陽系と繋がったその次元には、21世紀の地球と、これまで一般には存在すら知られなかった高度文明都市と巨大異層次元航行艦。
どうやらこの次元は、異層次元・・・「海」を支配する勢力が、各三次元空間・・・「陸」を統括しているらしい。
ならば、差し詰め我々は「海賊」か。

防御隔壁の向こう、果て無き次元の海を思い描きつつ、彼は空間ウィンドウを見詰める。
電子技術の発達により実現された空中に映し出される映像は、先程から静止したまま動き出す気配が無い。
彼は静止した画像を瞬きもせずに視界へと捉えつつ、司令官の証である帽子を被り直した。



地球軍では異層次元航行艦隊司令に対し、各状況に於いて常識外とも思える決定権が与えられている。
これは、異層次元を航行する艦艇が常に地球とのリアルタイム通信経路を確保している訳ではない事、突発性、または偶発性のバイドによる脅威に対し速やかに対応する事を目的としての措置であった。
元からこうであった訳ではない。
2164年に起こった「デモンシード・クライシス」、「サタニック・ラプソディー」の両事件による、苦い経験を基に構築されたシステムである。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:36:12 ID:eUuLmD23
やっぱりエスティア回収しちゃってるぅぅぅ!サタニックラプソディー\(^o^)/支援
475R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:37:22 ID:Z5pkNe4V
これらの事件に於いて地球軍は、指揮系統の混乱からまともに行動を起こす事すら不可能であった。
「サタニック・ラプソディー」発生直後、軍は緊急展開が間に合わず、複数の主要都市の壊滅を許してしまっている。
太陽系内に展開していた複数の艦隊は、司令部との連絡が付かない事、突如として現れたバイド攻撃体との戦闘により動くに動けず、結局は「R」開発陣及び競合する各企業が送り込んだ3機の新型R戦闘機により事態は収束。
「デモンシード・クライシス」に至っては、軍は投入する片端から兵器群のコントロールをバイドの種子により奪われ、徒に被害を拡大させただけだった。
極め付けに、事態を収拾したのは軍ではなく、都市戦闘を想定して開発された「R」派生型である「R-11B PEACE MAKER」を駆る民営武装警察。
軍に対する信頼は、文字通り地に墜ちた。

それらを踏まえ、翌年の第二次バイドミッション終了後、軍は大規模な組織改革を敢行。
指揮系統の大幅な見直しが為され、特に太陽系を離れて作戦行動を取る深宇宙遠征艦隊、異層次元航行艦隊司令に対してはそれまで以上の決定権が与えられた。
異層次元中継通信を用いた即時交信が可能とはいえ、最悪の場合バイドによって空間ごと取り込まれる可能性もある。
その様な状況に於いて、艦隊が地球と交信する術は無い。
かといって、太陽系外部に司令部機能を持つ拠点を築く事は、余りにもリスクが高すぎた。
よって、艦隊司令は独自の判断によって次元消去兵器を含む戦略兵器運用決定権を有し、同時に状況に対する最適な判断を下す為、各種作戦行動認可の権利を有する事となったのだ。

艦隊司令は太陽系外に於いて、常に軍司令部からの指示を疑う事ができる。
司令部の見落としは無いのか。
援軍の到達時刻は予定通りなのか。
敵勢力の情報は本当に正しいのか。
指令は艦隊を無用な危機に曝すものではないのか。
艦隊司令は外部より齎される全ての情報に対して自艦隊が収集する情報を照らし合わせ、その指令が艦隊を動かすに値するものか否かを判断する。
次元消去兵器による星系破壊すら可能な戦力を指揮するがゆえに、通常の軍組織では有り得ない権限を与えられる艦隊司令。
無論、組織としては叛乱という危険性をも内包する事となる。
しかし、それほどの危険を冒してでも即時対応を可能としなければ対処できないほど、バイドとは危険極まる存在なのだ。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:37:58 ID:SVpv6PyT
支援支援
477R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:38:32 ID:Z5pkNe4V
他星系、或いは異層次元へと展開する各艦隊司令は、バイドに対し各々に異なる見解の下、戦線を展開している。
ある者は迎撃に徹し防衛ラインを死守し、またある者は積極的攻勢を仕掛け敵生産拠点を叩く。
ある者はバイド中枢の探索に力を注ぎ、またある者は異層次元を漂う兵器群を片端から殲滅する。
各々の見解も作戦も異なる彼等に共通するのは、艦隊司令としての高い能力、地球を守るという使命感、そして自らの艦隊を構成する数万の兵士達を、生きて地球へと送り返すという揺ぎ無い決意。
異層次元ポイント04137003へと向かう艦隊もまた、そんな者達の1人によって指揮されていた。



艦隊に存在する3隻の超弩級異層次元航行戦艦「ニヴルヘイム」級。
その1隻、旗艦「クロックムッシュU」の艦橋で彼は、先の戦闘に於いて363部隊機が最後に送信した画像を前に思考する。
ウィンドウに映し出されるのは、バイドにより汚染され、363部隊機と死闘を繰り広げた不明艦艇。
地球軍の艦艇設計思想とは根本から異なる、優美ささえ感じさせる白亜の艦体。
しかし画像はその全体像ではなく、左舷後方の推進ユニットらしき部位の外殻装甲を映し出していた。
そこに刻まれた、明らかに英語と分かる文字の羅列。

「SUMPLE-D7 PROJECT《R-TYPE》」

そのウィンドウの隣にもうひとつ、異なる映像を映し出すウィンドウが現れた。
格納庫内の映像らしきそれには、1機の異層次元戦闘機とその特別整備班が映し出されている。
漆黒の強化フレームをベースに、所々にバイオレットの塗装と耐エネルギーコーティングを施された、新鋭実験機。

「R-9WF SWEET MEMORIES」

その甘い名称とは裏腹に、パイロット達が何よりも恐れる「R-9W」シリーズの最新鋭機である。
このシリーズの特徴としては、パイロットのメンタル面に与えられる異常なまでの負荷が上げられる。
生物の持つ先天的なエネルギーを用いた特殊波動砲の実験機として開発されたこのシリーズは、初代である「R-9W WISE MAN」、第二世代機「R-9WB HAPPY DAYS」共に、ある特徴を備えていた。
通常のR戦闘機に見られるラウンドキャノピーではなく、直線上の「試験管」型キャノピーを採用しているのである。
これはナノマシンを介した周囲の状況把握をより円滑に行う為の措置との事だったが、パイロット達にとってそんな事は関係なかった。
彼等にとって重要なのは、これらの機体に搭乗した仲間が消耗の余り自力で動けず、キャノピーごと次のパイロットへと「交換」される一連の光景だったのだ。
人間を機体と波動砲制御の為の単なる部品と看做したその開発思想に対し、パイロット達が抱いたのは反発を通り越して恐怖だった。
そして第三世代機であるR-9WFもまた、その恐怖の象徴たる試験管型キャノピーを備えている。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:38:35 ID:eUuLmD23
次元消去兵器作っちゃてるぅぅぅ!支援
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:39:26 ID:OQvFRIwN
支援
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:39:47 ID:f1AC5so+
EDFのクロノ君は生きてる気が少しもしないのに、
R−TYPEのユーノ君は死んだ気がかけらもしないのはどうして支援
481R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:40:03 ID:Z5pkNe4V
元よりR戦闘機は、倫理面での配慮に欠けたシリーズではある。
2121年に対バイドミッションが発令されてからというもの、地球文明圏の軍事技術は異常としか言い様の無い進化を遂げた。
凄まじい速度で増殖を続ける、癌細胞の如き兵器群。
それらによって得られた無限とも思える量のデータを反映し、対バイド兵器として完成されたのが「R」だ。
しかし、幾ら兵器が発達しようとも、それを操る人間が居なければ意味が無い。
無人電子制御兵器という手もあったが、それを大量配備してはバイドの思う壺。
片端から敵戦力に組み込まれてしまう。
かといって、兵器を制御する人体は脆く、それに合わせて機体能力をスペックダウンさせていてはバイドには対抗できない。
「R」開発陣の下した決定は、当然の帰結といえた。



「人体構造に合わせて機体をスペックダウンするのではなく、機体構造に合わせて人体に処置を施せば良い」



第二次バイドミッションにて出撃した「R-9C WAR-HEAD」。
パイロットは四肢を切断され、生態コンピューターとして機体中枢へと神経接続された。
第三次バイドミッションにて採用された「R-9o RAGNAROK」。
パイロットは過酷な機内環境に耐える為に、14歳少女の肉体へと幼体固定され、神経系を機体へと直結された。

無論、彼等は作戦終了後に回帰手術を受け、問題なく正常な肉体を取り戻している。
パイロット・インターフェースに関しても短期間の内に劇的な改良が為され、それらの機体運用時に於いて通常のパイロットが搭乗可能となった。
しかし「TEAM R-TYPE」に属する一部の技術者達にとって、それらは追い詰められたが故の苦肉の策ではなく、通常の機体開発に於いても反映されるべき事項に過ぎないと認識されているのも、また事実である。
彼等にとってパイロットとは所詮、機体の1パーツに過ぎないのだ。
使えなくなれば取り替えれば良い。
その思想が設計段階からして如実に表れた機体が、R-9Wシリーズだった。

そのR-9Wシリーズ最新鋭機、R-9WF。
一体どんな人間が搭乗するというのだろう。
パイロットのプロフィールは明らかに偽造であり、当てにはならない。
何より当の本人が、キャノピーから出る様子が無いのだ。
機体と共に送られた担当技術者達はそれを異常とも思わず、淡々と出撃準備を行っている。
恐らくパイロットは既に、何らかの処置を受けているのだろう。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:40:11 ID:eUuLmD23
>>480
死んでないw支援
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:40:43 ID:SVpv6PyT
こういう絶望系は大好物支援
484R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:41:36 ID:Z5pkNe4V
何もかもがおかしい。
不明艦艇に刻まれた「SUMPLE-D7」、そして「PROJECT《R-TYPE》」の文字。
2166年時点で既に存在が判明していたという異層次元高度文明都市。
下されない殲滅指令。
見計らったかの様に派遣された新鋭R戦闘機。
検出されないバイド係数。

司令部は何を隠している?
敵は本当にバイドなのか?



バイドでないとすれば、司令部の目的は何だ?



3時間後。
出撃したR戦闘機群の部隊リストには、データ収集用偵察機「R-9E2 OWL-LIGHT」5機の各コールサインが追加されていた。



ミッドチルダ新暦77年10月27日。
「AB戦役」、勃発。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:42:00 ID:eUuLmD23
えぇぇ!戻れたんかい!?支援
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:42:28 ID:OQvFRIwN
支援
487R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:43:09 ID:Z5pkNe4V
投下終了です
支援ありがとうございました

なに?
地球軍艦艇と管理局艦艇の違いが見分けられない?
簡単だ同志、StS26話のアルカンシェル一斉射と、TACTICSバイド軍エンディングでの地球軍艦隊一斉射
それぞれの場面での、君の嫁(不特定)の立ち位置を見るがいい

StS:ゆりかごorスカ基地脱出 ⇒ VX級かっけー ⇒ お空でドーン
R-T:しばし、たたずむ ⇒ 撃たれて振り返る ⇒ やめろよぅ 俺の嫁に何するんだよぅ

次回予告
脱ぐと速い人、わんこと戯れる(緊縛プレイ的な意味で)
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:44:40 ID:8mX/wgWn
GJ!
ああ、フォースを開放しちゃったな
6mで半径3万kmだっけ?

次回は光学チェーンに捕まるか、食われるかの2択?
それとも暗黒の森へご招待?
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:47:32 ID:SVpv6PyT
どうあがいても絶望な雰囲気がたまらん!乙でしたー
そして22:30からジョジョ四部とのクロスを投下したいんですが大丈夫かな?
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:48:04 ID:S3CHsd6U
あーあ、半径3万mが消失したか
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:49:53 ID:vKj0OljA
>>489
待ってる!!!
492R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 21:51:09 ID:Z5pkNe4V
>>489
四部キター!!
もち待ってます!
493スーパーロボット大戦X:2008/02/15(金) 21:52:18 ID:ktXF1qJ0
>>489
JOJOで来たか…。それに10時半ごろかだったら俺は10時ごろから1発ネタで「ギャグマンガ日和」を投下したい!
よろしいでしょうか?
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:52:39 ID:oqFCD21B
もはや名前は脱ぐと速い人で固定なのかw
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:53:01 ID:tbzPr0l/
GJ!!です。
ミッド人からしたら地球人は頭がおかしいと認識されちゃう兵器だw
その分、かなり強いけど。六課側とかスカ博士側とかじゃなく、星対星なのが
戦いの規模が大きくて凄い。地球側の艦長さんが相手も人間だって速く気づいてほしいなぁw
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:54:52 ID:tbzPr0l/
>>489
ヤッタァァァ!!ジョジョのクロスがキタァァァ!!
誰が登場するんだろうw
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:56:08 ID:HqfueMQE
GJ!
なんという覚めない悪夢
泥沼よりひどい戦争になりそうだ
あんなオーバースペック機体でも負け越す戦争なんてやっていたら正気ではいられないからな
流してきた膨大な血と涙が最後のフォースになるのだろうか?
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:56:23 ID:nmgiJSbd
>>489
君がッ!投下するまで!wktkするのをやめないッ!
499スーパーロボット大戦X:2008/02/15(金) 22:00:17 ID:ktXF1qJ0
反応がないようだが一応予告したから投下します!

 名探偵なの! フェイトちゃん!!



「はーい」

 私立聖祥大付属小学校5年1組のフェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウンちゃんは近所でも有名な名探偵だよ。
 例え事件の犯人が家族や友人だろうが警察に通報しちゃうくらいの心構えを持った女の子だよ。
 嫌いなものはユーノ・スクライア、そして好きなものは高町なのはだよ。


『学校で大事件!?』

「きゃあああああ!」
「うん? 事件みたい」

 教室から聞こえる女の子の叫びにフェイトは反応する。

「うわ、久しぶりにフェイトの名推理が見られるぞ」

 フェイトについていくユーノ。教室に言ってみるとなのはが泣いていた。

「どうしたの? なのは。机の中に犬の死体でも入れられてたの?」

 その言葉にユーノは顔青くする。

「妙に発想が現実的で恐ろしいよ、フェイト」
「世の中は荒んでいるから何が起こっても不思議じゃないんだよユーノ」
「何かが盗まれたとかだよきっと……」
「そうなの?」

 フェイトよユーノは泣いているなのはに聞いてみる。

「私のスクール水着が盗まれたの……。えーん、えーん」

 その言葉にユーノは驚く。

「な、何て破廉恥な……」

 ユーノはそう言いながらフェイトの顔を見る。するとフェイトは怖い顔をする。
 それはTV版StrikerS第8話のなのはの怒りの表情に近いものである。

「うわ! フェイトの顔が変わった! この顔はフェイトのインスピレーションが働いた時の印だ。この顔の特徴からからフェイトは皆から別名「フェイトちゃん、顔悪!」って言われている。
あの怖い顔から逃れられる犯人はいない。さあ、始まるぞ、フェイトの名推理が……!」

 フェイトが見ていたのはユーノである。何とユーノ格好は女子のスクール水着な上に胸の刺繍には「高町なのは」と書かれていたのだ。
 その事がバレてユーノはクロノに逮捕され、時空管理局本局送りになった。
500スーパーロボット大戦X:2008/02/15(金) 22:01:03 ID:ktXF1qJ0
『覗く淫獣は最低だ!』

「きゃああああ!」
「うん、事件かな。どうしたのはやて?」

 フェイトがはやての家に来てはやてに事情を聞く。

「フェイトちゃん、覗きや。誰かが私の入浴シーンを覗いてたんや」

 そしてフェイトは近くにいたユーノに怖い顔をする。

「な!? 違う僕じゃないよ。そりゃあ確かに前科はあるけど……」

 ユーノの前科は覗きと言うレベルを超えているのだが、今は黙っておこう……。

「ユーノ君やないわ。犯人は逃げる途中、ワンワンって泣いてたから……」
「だったら犯人はザフィーラだね」
「!?」

 ザフィーラはすぐにクロノに逮捕され、護送された。
 ユーノはその護送される様子を見てこう言う。 

「まったく、犯人はわかりやすすぎるよ。でも実は真犯人は他にいるのかもしれない……。例えば捜査をかく乱させる為にフェレットのくせに犬の鳴き真似をするなんて卑劣だよ!
最低で卑怯な行いだよ!」

 ユーノはフェイトが怖い顔で自分を見ている事に気付いてなかった。
 そしてユーノもクロノに逮捕され護送された。ザフィーラはと言うと無実の罪だったのに疑わしいとの事で出てきたのがユーノと同じ時だったとか……。


『フェイトちゃん、最後(!?)の名推理!』


 なのはがフェイトに相談を持ちかける。

「ストーカーから悪質な手紙が送られてきたの……」
「な、何ですって!」

 それを聞いていたユーノは怒る。

「僕の大好きななのはになんて事を……、許さない!」

 その手紙の内容はこうである。

「なのはへ 今日の夜、君のベッドの中で一緒に寝てあげるよ。ふふふふふふふふふふ ユーノ」

 そしてユーノはクロノに逮捕されました。
501スーパーロボット大戦X:2008/02/15(金) 22:01:33 ID:ktXF1qJ0
『盗難事件を暴け!』

「最近事件がなくて暇だね」
「平和が何よりだよ、フェイト」

 フェイトとユーノが平凡な話をする。

「ちょっと、屋上から飛び降りてよユーノ」
「僕が死ぬよ。それにそれじゃあ推理するところないよ」
「私はユーノにいなくなって欲しいから執務官だけじゃなくて探偵もやってるんだよ」
「い、嫌な執務官だ……」

 そんな恐ろしい話をしているとなのはの叫び声が聞こえ、急いでフェイトとユーノはなのはの元に駆けつける。

「どうしたの!? なのは」
「フェイトちゃん、大変! 私の縦笛の先端部分が盗まれたの……」

 その言葉にユーノは驚く。

「せ、先端部分のみを……。一体何のために? これは奇妙な事件だね、フェイト……」

 ユーノがフェイトの方を見るとフェイトは怖い顔をしている。

「おわ!? フェイトの顔が怖くなった。フェイトのインスピレーションが働いた印だ。さすがフェイトだ。もう犯人がわかったようだね。
一体誰なんだ? フェイト……。一体誰が犯人だと睨んでいるんだーーーーーー!?」

 ユーノの口からは縦笛の先端部分が見えており、その縦笛はなのはのものだった。
 そしてユーノはクロノに逮捕され、護送されました。


『フェイトちゃん、最後はソニックムーブやソニックフォーム以上のスピード解決』

 なのはがフェイトに駆け寄る。

「フェイトちゃん助けて! 悪質なストーカーが追いかけてくるの!」
「本当!?」

 そして追いかけてきたのはフェレット姿のユーノであった。

「うおおおおおお! なのはあああああああ! うおおおおおおおおお!」

 ユーノはすぐに人間の姿に戻りクロノに逮捕され護送されましたとさ……。



 終わり
502スーパーロボット大戦X:2008/02/15(金) 22:03:35 ID:ktXF1qJ0
投下完了だ!
新作ネタが思いつかないよ…。orz
反目さん何か書いてください。
あなたやSMCさんの影響でよくスパロボXの番外編系書いてるもので…(もはや人頼み)。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:06:34 ID:tbzPr0l/
GJ!!
ユーノがクマ吉くんかw
クロノも大変だ、いちいち逮捕しに来なきゃいけない。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:06:49 ID:o3gfPUoB
よりにもよってそれかいw
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:08:15 ID:8mX/wgWn
変態という名の紳士w
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:10:39 ID:hXJIfENT
クマ吉以上に迂闊なユーノだな
ザフィーラが逮捕されたってのにw
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:11:44 ID:SVpv6PyT
ギャグマンガ日和ネタを見るとアニメのOP曲が脳内再生されるw乙でしたー
508OSGS:2008/02/15(金) 22:17:59 ID:7NO0xAXM
ザフィーラがかわいそうw
疑わしきは犯罪化かw
509名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:22:56 ID:tbzPr0l/
六課の中には魔王が住むの〜頼れる仲間はみんな眼が死んでるぅ〜(ティアナが特に)
魔法にかけた青春でもみんな眼が死んでるぅ〜な感じw
510ストライカーは諦めない:2008/02/15(金) 22:30:19 ID:SVpv6PyT
予告してた通りジョジョ四部クロス投下開始
511ストライカーは諦めない:2008/02/15(金) 22:31:46 ID:SVpv6PyT
「んーっ静かでいい所だねー、空気もおいしいし。ねっ、ティア」

「観光で来てるんじゃないのよ、バカスバル」

ここまで私達を乗せてきたバスを見送りつつ、隣ではしゃぐ相棒に釘を刺す。
―――第97管理外世界日本国M県S市杜王町
スバルの言う通り、いい町だと思う。騒がしくなく、しかし活気が無いということもない。人々は暖かく、そして平穏に暮らしている。
だからこそ、信じられなかった。この町に凶悪な違法魔導師が潜んでいるかもしれない、などということは。
なぜ私、ティアナ・ランスターとスバル・ナカジマがここにいるのか。話は一週間ほど遡る。
ジェイル・スカリエッティが引き起こした大事件、通称JS事件。
その事後処理も一段落付いたか、と思われた頃に唐突に私達は部隊長室に呼び出された。
何事かと思いつつ中に入ってみれば、そこには隊長陣三人がそろい踏みしていた。
忙しいこの三人が、特に忙しい筈のこの時期に集まっているのだ。ただ事ではないのだろう。自然と身が引き締まる。
スバルもそれを理解しているのか、いつものどこか抜けた雰囲気はなりを潜めていた。

「そんなに硬くならんでええよ。ちょっとお願いしたいことがあるだけやから」

私達の緊張を見て取ったらしい八神部隊長は、朗らかな笑みを浮かべて言った。

「お願い……ですか?」

「そや。お願いや。嫌やったら引き受けてくれんでもええ。とりあえず聞いてくれるか?」

八神部隊長の目配せを受けて、なのはさんが引き継ぐ。

「第97管理外世界……私やはやてちゃんの出身世界なんだけど、二人にはそこに向かってほしいの」
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:32:29 ID:tbzPr0l/
支援
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:32:32 ID:44bkn9yW
支援ッ!!
514ストライカーは諦めない:2008/02/15(金) 22:32:59 ID:SVpv6PyT
「えっと……どういうことですか?」

スバルが困惑気味に尋ねた。私も正直戸惑っている。

「うん……ちょっと困ったことになっててね……」

“ちょっと”と言うなのはさんの表情には陰りがあった。

「その世界のある町はね、昔から失踪者が多いんだ。
それだけなら管理局も動かないんだけど、ここ数年で失踪者の数が一気に増えたの。異常と言ってもいいくらいにね。
現地の人たちも必死で捜索したんだけど、手掛かり一つ見つからなかった
ここで、管理局はある可能性に気付いたの。
……もしかしたら、魔法を使う何者かがやっているのかもしれない……」

それは可能性の話だ。だけど、もしも、そうだとしたら……

「その時はまだ可能性でしかなかったし、管理局が直接動く必要はないんじゃないかって声も多かった。
でも、もし違法魔導師が何かを行っていたんだとしたら管理局はそれを何年も見逃していたことになる。
そんな失態を認める訳にはいかないって人達が強行に調査隊を派遣したの。
だけどね……」

スバルが固唾を飲んだのが分かった。私も手に嫌な汗が滲んでいた……

「帰ってこなかったの。一人も。通信も繋がらない。
……たぶん、殺されたんだと思う。潜んでいた何者かに。
これにはさすがに管理局も焦って、本格的に調査団を送るって事になったんだけど……」

珍しくなのはさんが言い淀む。

「JS事件で今はどこも人手が……ね。それに加えて相手は調査隊を誰にも知られることなく始末する様な実力者。
どこの部隊もやりたがらなくてね……。巡り巡って機動六課に、ってこと。
この捜査にはフェイトちゃんが行くのがもう決まってる。
二人にはその補佐役についてほしいんだ」
515ストライカーは諦めない:2008/02/15(金) 22:34:00 ID:SVpv6PyT
なのはさんの話が終わり、今まで黙っていたフェイト隊長が口を開く。

「本当は私一人でやるつもりだったんだけど……ティアナは執務官志望なんだよね?
危険は伴うけどこの捜査はいい経験になると思うんだ。
名目上は補佐役だけど実際にはほとんど別行動になるからね。最初から一人で、っていうのも難しいだろうからスバルと二人でならどうかと思って。
もちろん無理にとは言わない。ティアナにはティアナのやり方があるだろうしね。これは夢に向かうための一つの選択肢だと思ってくれればいい。
……どうかな?」

―――私はそれを受け入れた。
打算が無かったと言えば嘘になる。でも、私の中には確かな怒りがあった。罪のない人々を苦しめる犯人への、怒りが。
この出来事は私のちっぽけな、これから出会うこととなる人々の揺るぎない正義と絶対に砕けない勇気、光り輝く黄金の意志に比べれば本当にちっぽけな心に、火を灯したのだ。

だから、私は今、ここ――杜王町――に居るのだ。



魔法少女リリカルなのはStrikers×ジョジョの奇妙な冒険part4
ストライカーは諦めない
―――始まります


「それで、これからどうするの?」

……ワクワクという擬音はきっと今のスバルのためにあるんだろうな、と思わされるような目をしていた。
初めて訪れた場所だ。色々と見て回りたいのだろう。相変わらず子供っぽい相棒に思わず苦笑する。

「捜査に協力してくれてる団体が人を送ってくれるそうよ。とりあえずその人を待ちましょ」

「待つ必要はねーぜ。もう来てるからな」

ベンチに腰掛けて新聞を読んでいた男が立ち上がり、静かにそう告げた。
大きな男だった。身長だけではない、何か人間としての大きさを感じさせた。
一見すれば恐そう、ともとれそうだがその眼の奥に湛えた静かな知性がそうさせなかった。

「スピードワゴン財団の空条承太郎だ。アンタ達は時空管理局の者だな?」

TO BE CONTINUED...
516R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 22:34:37 ID:Z5pkNe4V
全隊ィィィィィ
支援!!
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:34:48 ID:vKj0OljA
最高だ……
支援
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:36:35 ID:hXJIfENT
君が!
投稿し終えるまで!
支援をやめない!
519ストライカーは諦めない:2008/02/15(金) 22:37:00 ID:SVpv6PyT
短いけど投下終了。
1999年なのにおかしくね?と思う人もいるかもですがそこはスルーしていただくということで…
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:38:13 ID:tbzPr0l/
GJ!!です。
管理局がスピードワゴン財団と知り合ったのはイギリス繋がりなのか気になりますw
誰も帰ってこないということは・・・彼だぁw
スタンド能力に驚いてほしいなぁ。そして、三人の中に美しい手の持ち主はいるかなw
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:38:36 ID:44bkn9yW
続きを書くまで僕は君を殴るのをやめない支援!
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:41:00 ID:8mX/wgWn
GJ!
お出迎えが空条承太郎かw
スタンドは理解できても静止した時の世界を認識するのは無理だろうな

>>520
きっと、あそこで振り返ってしまったんだよ
あれヒントないとほぼ即死だろ?
523R-TYPE Λ:2008/02/15(金) 22:44:00 ID:Z5pkNe4V
あ・・・ありのまま、今起こった事を話すぜ!

「俺は支援したと思ったら、既に投下が終わっていた」

な・・・何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何をしでかしたのか分からなかった・・・
頭がどうにかなりそうだった・・・
リロードし忘れとか、寒くて指が動かないとか、そんなチャチなモンじゃあ断じてねえ

もっと恐ろしい、睡眠不足の片鱗を味わったぜ・・・


冗談はともかくGJ!
ティアナとスバル・・・ヤベェよ、手首が
荒木の分身たる変態漫画家は2人に接触するのか?
次回を楽しみにしてます

524スーパーロボット大戦X:2008/02/15(金) 22:49:39 ID:ktXF1qJ0
>>519
GJ!!俺はJOJO好きだぜ。
そして誰も帰ってこなかったか…。となると皆あれを見てしまったんだな…。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:51:44 ID:RJcxlgwy
絶対に振り返っちゃいかんのだよ。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:58:38 ID:eUuLmD23
>>487
GJ!
やはりやってしまったかwww解析班wwエスティアはいったい何に使われたのか?
つうか管理局側もいきなりアルカンシェル発射かよwww
アルカンシェルは対象との距離を効果半径より離れる必要があるのがネックか。
スウィート・メモリーズktkr
そういやパイロットインターフェイスはケルベロスから神経系に直接端子を接続だなあ。
あとR-9oになっちゃってるのでR-9/0で書いた方がいいと思う。
>>488
んにゃ3万m。
>>497
トゥルーファイナル波動砲を信じろ!
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:59:10 ID:tbzPr0l/
>>523
三人の人生はそれなりに暗いものやハードだから彼の漫画の糧に絶対なるw
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:01:07 ID:44bkn9yW
GJ!

ジョジョで第四部が一番好きなのは俺だけか?
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:02:15 ID:s1YUOfH+
よかった……!
派遣されたのが漫画家じゃなくて本当によかった……!
GJです。
荒事やってるなら手が荒れてるだろうから大丈夫か?
それはそれで悲しいものがあるが。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:04:59 ID:8mX/wgWn
>>526
単位間違えてた
消滅部分は半径30キロか

トゥルーファイナル波動砲w
銀河戦艦を打ち破れと?天元突破呼んで来いw
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:08:44 ID:tbzPr0l/
>>528
分かるッ!!凄い分かるッ!!でも五部も熱くて好きなんだぜッ!!
四部は吉良の信条やスタンスが凄く良かった。
532リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 23:33:00 ID:hQNm85Yr
そろそろ投下おk?
533仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/15(金) 23:38:15 ID:RIhOZYxN
支援!支援!
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:38:24 ID:44bkn9yW
ok
535リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 23:39:13 ID:hQNm85Yr
反応無い…投下します。

【レッドドラゴンサイド】五話「AAMONからの招待状」Aパート

【第70管理外世界西部 森林】
レッドドラゴンのメンバーは、緑が生い茂り、空気が澄んだ美しい世界に来ていた。
この世界は化石燃料を極力使用していない為、大気汚染が進んでおらず、綺麗な自然を保っている。
そして、北が冬、東が春、西が秋、南が夏と、東西南北の季節が違い、その特殊な気候を利用した観光地としても有名な世界である。

この美しい世界にAAMONが目撃されたとの情報を得た龍たちは、この世界の西部にホテルを取り、訓練時にはホテルの近くにある森林をトレーニング場の代わりにしていた。

そしてこの世界に来てから四日目の早朝、ノーヴェとディード、ウェンディはそれぞれの道着を身に付け、シャッハと共に龍が待っている森林の深くに向かっていた。

「じゃあ!あんたも龍と闘ったのか!?」
「はい。僅差で負けてしまいましたが…」
「そっ、そっか…(勝ってたら、攻略法聞こうと思ったけど…)」

ノーヴェは龍の弱点を見つける数少ないチャンスを失ったことに少しがっかりする。

「でも、あれは私が勝てる試合でした!剣の腕は総じて互角!もう少しああしていたら、きっと勝てました…だって…」

ここからシャッハの長台詞が続き、ノーヴェとディードの耳を苦しめる。
しかも5分経っても終わる気配が無い。

「ノーヴェ姉様…ウェンディ…もしかして…シスターは…」
「結構…負けず嫌いスか…」
「話なげぇ…」
「それで…ん?」
「「「ん?」」」

ふと、四人は美しい歌声を耳にし、シャッハは長話を止め、ノーヴェとディードは耳を塞いでいた手を離す。

「ああ…綺麗な…歌ですね…」
「ほんとっス…」
「ノーヴェ姉様…この声…」
「龍…」

四人は走って歌声が聞こえた方角に向かう。
そこはいつも演習場に使っている場所で、中心には龍が立っていた。
今の彼は瞳を静かに閉じ、穏やかな表情で歌っていた。

「聴〜かせてよあふれるメロディ、ま〜よ〜い子の心の森に、いつの日も汚れ知らずに本当の、愛が、微笑むまでは…」

その歌は、望月宏が父親から貰った時計のオルゴールに入っていた歌「微笑みの行方」だ。
536リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 23:40:04 ID:hQNm85Yr
「めぐり逢う明日に…優しさ 繋ぎ合ってゆく〜のさ 今は涙ぬぐう 瞳見つめながら…
風に花がそよぎ…鳥たちが空に踊るように 僕らも歌になる そんな夢の中へ…」
「あいつが…歌を…」

ノーヴェは無骨なイメージがあった龍が歌を歌っていたことに驚き。

「泣かないで… ひとりきりで 微笑んで… そばにいるよ 
泣かないで…悲しみに…二度と振り向かないで歩こう〜」
「シスター、良い歌…ですね…」
「はい…本当に…」
「心温まるっス…」

ディードとシャッハ、ウェンディは歌にすっかり魅せられていた。

「聴〜かせてよあふれるメロディ、ま〜よ〜い子の心の森に、いつの日も汚れ知らずに本当の、愛が、微笑むまでは…
…ん?」

龍は歌い終えた後、呆然と立っている四人に気付き、目を細めた。

「お前達…見ていたのか?」
「え!?き…聞いてなんかねぇよ!お前の歌なんか…」
「「「ノーヴェ(姉様)!」」」
「あ…」
「…」

龍は無言で四人に一歩一歩近づいてくる。
目つきは…鋭い。

「「「「ヒ…」」」」

四人は龍の気迫に圧倒され、動けなくなってしまった。
しかし、龍はそんな四人に容赦なく近づいていく…
そして至近距離に入ったとき、背後から鞘に収まった日本刀を取り出して…

「「「「(斬られる!)」」」」
「…!」

鞘に収めたままディードに渡した。

「「へ?」」
「り…龍?これは一体…」
「お前の剣と共に買った、刃引きの剣だ。今日からそれを使って稽古する。」
「は…はい!」
「それからシャッハ!」
「はい!」
「ノーヴェとウェンディの訓練を見てやってくれ。俺は、奥でディードに付きっ切りになる。」
「わ…分かりました。」
「頼むぞ。」

龍はシャッハにそう言うと背後からもう一本刃引きの刀を取り出し、ディードと共に森の更に奥に向かった。

「良かった…」
「怒ってない…」
「助かったっス…」

ノーヴェとシャッハは安心し、ほっと胸をなでおろした…
537リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 23:41:11 ID:hQNm85Yr
【二時間後】
「諸君、本日の訓練は終了だ。」
「終了?」
「どういうことスか?」

セインとウェンディは龍の意外な台詞に驚き、目を大きくする。

「そのままの意味だ。今日の訓練はこれで終わりだ。」
「どういうことだ?」

チンクは瞬きしながら龍に問いかける。

「今からホテルを移動するから、荷物をまとめる。故に、訓練をしている時間は無い。」
「移動?何処に行くの?」

セインやウェンディと同じように目を丸くしながら龍に問いかけるディエチ。

「南だ。」
「「「「「「南!?」」」」」」」

行き先を聞いた途端、七人のナンバーズは一斉に驚いた。
そしてそれと同時に(オットー&ディード以外)目を輝かせる。
南は常夏の地域。
美しい海が広がり、ビーチリゾートで有名な場所だ。

「つまり…」
「それって…」

七人の中でも特に嬉しそうな目をしていたセインとウェンディは何かを期待するような笑顔で龍を見つめた。
そして龍の口から出た答えは、彼女たちが待ち望んだものだった。

「お前達の活躍は目覚しい。AAMONの捜索も大事だか、戦士には休息も必要だ。少し休んでもバチは当たらないだろうだから…お前達に二日間の休暇を与える。」
「「っしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」

【第70管理外世界南部 ビーチリゾート】
翌日、メンバー達は水着に着替え、海水浴を楽しんでいた。
(セイン、ディエチがへそ出しのタンキニ、チンクがスクール水着、他は全員ビキニ(ノーヴェが青、ディードが紫、ウェンディが黄色、シャッハが水色、オットーは居ない。))

「セイン〜!ディエチ〜!行くっスよ〜!」
「「おお〜!」」

セイン、ディエチ、ウェンディの三人はビーチボールで遊び、

「チンク姉、大丈夫?深くない?」
「ああ…大丈夫だ。」

ノーヴェとチンクは共に海を泳ぎ(チンクは浮き輪付き)、
538リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 23:42:11 ID:hQNm85Yr
「…」

ディードはパラソルの下で読書をしている龍の隣でダンベル運動をしていた。

「…ディード。」
「はい?」
「お前ビーチに来てまで、それはないだろう。」
「…貴方に言われたくはありません。」

ディードは黒いウェットスーツを着込み、小説を読んでいる龍を細い目で見た。

「龍、なぜウェットスーツなんですか?」
「…」
「なぜビーチで小説を読むんですか?」
「…」
「…貴方に私を否定する権利はありません。」
「…そうだな。」
「あの…」

恐る恐る二人の背後から声をかけるシャッハ。

「なんだ?お前も行かないのか?」
「せ…聖職者として、このような肌をさらすような格好で人前に出るのは…」
「根暗共が…」
「「お前が言うな。」」

同時に突っ込みを繰り出すシャッハとディード。
そしてパラソルの下でそんなやり取りを繰り返す三人の元に、チンク達が戻ってきた。

「は〜あ!遊んだっス〜、休憩休憩…」
「ねぇねぇシスター!次は一緒にやろうよ!」

セインはシートの上に座っているシャッハの手を引っ張る。

「ちょ!セイン!止めてくださ…」
「良いから良いから…ん?」
「…」

セインとシャッハの引っ張り合いの前に居た龍はふと後ろを振り向き、二人の胸元に目線を送る。
それから三秒後、「フッ…」と軽く吹き出した。

「「あああああああああ!?」」

視線に気付いた二人は二人同時に手を出し、龍の胸倉をつかむ。

「今何見て笑った!?何見て笑った!?」
「何を見て笑ったんですか!?」
「別に。」
「「…嘘をつけえぇぇぇぇぇぇぇえ!!」」

「…と、不毛な争いは無視して。ディード、オットーはどうしたんスか?」
「部屋に居ます。」
「部屋?あそばないんスか?」
「水着を着ると…分かってしまいますので。」
「ああ…成程…結局謎は深まるばかりスか…」
539リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 23:44:50 ID:hQNm85Yr
何処か妙に納得し、顎を撫でるウェンディ。
その時…

「ディード〜!」
「ん?オットー?」

噂をすれば何とやら…薄着を着たオットーが一枚のハガキを持ち、こちらに向かって走ってきたのだ。

「ディード!皆!」
「オットー、どうしたの?」

ディードはそう言って汗だくで走ってきたオットーにタオルを渡す。

「うん…龍、皆、これ見て。」

オットーは汗をタオルで拭きながらハガキを皆に見せた。
龍はまとわり着いている二人を無理矢理突き放すとオットーからハガキを受け取った。

「さっき、ホテルに届いたんだ。」
「暑中見舞?誰だ…む!?」

龍はハガキを裏返し、差出人の名前を見た瞬間、片手に持っていた小説を落として目をかっと開いた。

「なんだよ?誰から来たんだよ?」
「…AAMON。」
「何!?」
「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」」」」」」」

そう、暑中見舞の差出人は、AAMONの大幹部・ヨロイ元帥だったのだ。
龍は心を落ち着け、ハガキに書いてある文章を読みはじめる。

「「暑中お見舞い申し上げます。レッドドラゴンの諸君、我々には向かうものは必ず殺す。首を洗って待っていろ。 ヨロイ元帥」…ふざけた奴め…」
「見ろ龍、裏に住所まで書いてある。」
「ん?」

チンクにそう言われた龍はハガキを再び裏返す。
すると確かに、ハガキには列記とした住所が書いてあった。

「ゴーダム市ノルツ区6-57…アジトの在り処か?」
「わざわざ教えてくれるなんて…」
「親切っスねぇ〜」

感心するセインとウェンディ。

「感心してる場合かよ!龍!一気に攻め込もうぜ!あたしら全員で行けば楽勝だ!」
「…アホノーヴェ。」
「あんだとこのクソ隊長!」
「落ち着いてくださいノーヴェ!これは確実に罠です!うかつに動くわけには行きませんよ!」
「あ…そっか…」

シャッハに言われ、ノーヴェは頭を冷やして考える。
確かに変だ。こんな簡単にアジトの場所を敵が教えるのはおかしい。
よく考えればこれが罠だということは子供でも分かる簡単なことだ。
540リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/15(金) 23:47:39 ID:hQNm85Yr
「…じゃあ、このまま無視すんのかよ龍!?」
「無視はしない…出向いてやる。」
「しかし騎士龍…」
「全員では行かん。行くのは、俺とノーヴェ、ディード、そしてウェンディだ。シャッハ、お前は五時間経って俺たちが帰ってこなかった場合、皆を連れて来い。」
「分かりました!」
「行くぞ、ノーヴェ、ウェンディ、ディード。」
「おう!」
「行くっス!」
「はい…!」

十分後、四人はそれぞれ自分達の部屋に戻り、夏服に着がえて住所に書いてある場所に向かった。

「……………僕は連れて行ってくれないんだねディード…」

この後オットーは自室の隅で体育すわりをしながらすすり泣いたという。


投下終了
俺は皆に殴られようと蹴られようと、殺されようとしても文句は言えない!だが…俺はなぜかこんな回を書いてしまった!(結城風に)
皆さん…あと5話だけ…5話だけお待ちください。
そうしたら昭和ライダー復活編ですから…
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:47:41 ID:l7GUg0kH
支援
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:51:57 ID:44bkn9yW
>>540
例え世界中が敵になっても、俺はあなたの作品を愛し続ける!!

ってな勢いでGJ、相変わらず面白いッスね。
そして昭和勢はもうすぐか・・・・・・。
543リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:13:30 ID:6ms1lllX
支援!
ところで、今の予約状況はどうなってるんでしょうか?
544名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:14:03 ID:I6F3y9/m
予約はないと思う
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:19:53 ID:/GFqkR6D
 ナンバーズ達の水着姿を実際に見られないのが実に惜しい!
チンク姉は体系が体系だけにスク水ですか。しかも浮き輪付き!
オットーの性別は未だに謎のままですか・・・。
ショートジョンとかの全身を覆う様なモノなら一緒に遊べたでしょうに・・・。
オットーつくづくお気の毒・・・。
クアットロめ・・・余計な口止めしやがって・・・。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:19:56 ID:/E36RkRK
GJ!!です。
ヨロイ元帥めwやってくれるw
547リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:20:11 ID:6ms1lllX
>>544
了解。

ところで一応確認したいんだけど、エロがなければPCゲームとのクロスも平気ですよね?
今更だけど。
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:25:19 ID:oFfZnnZi
>>539
我々には向かう→我々に歯向かう
じゃね?
チンクのスクール水着乙

あと次の人支援
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:26:25 ID:C/bTEzX5
>>540
GJ! ライダーあんまり詳しくないので、印象で面白かった部分をば。

>>チンクがスクール水着
>>チンクは浮き輪付き
 なんか萌えるまえに、あまりのチンクの境遇に泣きそうになっちまったっすw
 まあ、たしかにすいすい泳げるより、泳げないほうが可愛いかもしれませんが。
 おかげで一瞬、ルーとチンクにバタ足をおしえるゼストの姿が浮かんだ。

>>「せ…聖職者として、このような肌をさらすような格好で人前に出るのは…」
 もう手遅れなようなw

>>「「暑中お見舞い申し上げます。レッドドラゴンの諸君、我々には向かうものは必ず殺す。首を洗って待っていろ。 ヨロイ元帥」…ふざけた奴め…」
 会話の切り方が気に入りましたw 原作再現ですか? 間違っていたらもうしわけないです……。
 ついでにこの部分はすこし文章がねじれているかもしれませんね。

 水着回ということでしたんで、気合を入れてみさせていただきました。面白かったですw
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:27:37 ID:C/bTEzX5
>>547
もうすでに何名かやっているような気がします。いざとなったら避難所に投下すればよいのでは?
551リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:30:42 ID:6ms1lllX
うーん。
一応、こっちで投下してみます。
二十分空けて、五十分からの予定です。

おさるさん対策のレス数と容量は……今から確認します。
552リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/16(土) 00:31:29 ID:eWK0rFtK
ほんとだ…字が間違ってる…
申し訳ないない…早口言葉十回言ってくるっす…

次の人支援
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:31:48 ID:8MnjX6oY
>>551
時に何とのクロス?
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:40:21 ID:wlVR2uye
>>551
もしや黒サイクか!?
555リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:43:43 ID:6ms1lllX
多分知っている人がいたら、1レス目でわかる。
ヒントは黒猫がヒロイン。
……うぅうう(トラウマ)

ウロスにも宣言しましたが、大体11KB レス数12予定。
途中で止まったら、避難所に投下します。
よろしくお願いします。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:45:32 ID:I6F3y9/m
PCゲーム自体は規制になる理由はないはずでは?
FPSとかエロとまったく関係ない作品とかも多いんだし
PCエロゲーでもエロ要素がまったくないのならギリギリセーフかと
バイド汚染が確認された時にはODSを導入した砲撃を食らう覚悟ぐらいはしておこう
557リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:49:52 ID:6ms1lllX
>>556
常に覚悟は決めてます。
それにエロはまったくないので、大丈夫です。
原作でもないしなー。っと、そろそろ投下します。
長いので、どうか支援よろしくお願いします。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:51:16 ID:/E36RkRK
支援一閃
559リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:51:50 ID:6ms1lllX
時間ですので、投下開始します。
支援よろしくお願いします。
ちょっとダークな雰囲気ですので、ご注意を。





 
 ああ、今日も視界の片隅で道化師が踊っている。
 青白い仮面を付けたキミ。
 死人のような笑顔を被ったキミ。
 何故そんなにキミは踊るの?
 何故そんなに笑い声を上げるの?

 遠くで、耳元で、彼方で、目の前で、道化師が囁くのだ。

「こんにちは、***」

 昨日も、今日も、明日も――
 きっときっと踊っている。

 狂気をリュートのように奏で上げる声と共に。



560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:52:23 ID:oFfZnnZi
支援
561リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:52:49 ID:6ms1lllX
 
 世界はいつだって、こんなことじゃないことばかりだ。
 どんなに努力をしても。
 どんなに想っても。
 届かない。零れ落ちるものがある。
 だって人の手は二本だけだから。
 全てを救おうとする仏だって、千本しか腕がない。
 無限の悲しみを掬い上げることなんて出来ない。
 だから……

 ――悲しみが途絶えない。

 薄暗い世界。
 太陽が降り注ぐ青空の下で、古ぼけたビルの中で、誰にも聞こえない泣き声が響いている。
 そこには見捨てられた場所。
 誰もが蓋を閉じ、目を瞑り、放置している場所。
 クラナガンに存在する廃棄都市の一角の、ビルの中。
 ボロキレのような服と薄汚い毛布を被った汚れた少年が、たった一人で震えていた。

「……寒い。さむい、さむいよぉ」

 壁によりかかり、清潔とは言い切れない毛布に包まりながら少年は震えていた。
 パンの欠片もろくに入れていない胃はもはや鳴くことすらも諦め、汚れた服の中の肌はカスカスにアバラが浮き出ているほどに痩せて、顔は青白い少年。
 それは変わった光景ではない。
 廃棄都市の深遠に一歩足を踏み入れれば簡単に見つけられる無数の浮浪児の一人。
 移住権を持たない、社会に反する違法者。
 金もなく、働き場所もなく、ただ生きることすらも困難な一人の子供。
 そんなのはどこにでも存在している。
 どんなに人が努力しようとも、救いきれない誰かが出る。
 時空世界の安定を掲げる時空管理局にだって出来ない。
 この世界、ミッドチルダにとって働き手になる年齢は低い。
 魔法という名の年齢によらない力が存在するからだ。
 この少年ほどの年齢で、自身の数倍にも達する年齢の大人をも超える階級を持った子供すらもいる。
 魔法の力。
 レアスキルという固有能力。
 才能さえあれば、誰だって認められる素晴らしき世界。

 そう、才能さえあれば。

 ならば、金も才能もない普通の子供はどう生きればいい?
 親にすがって生きる? 正しい生き方だ。
 社会の保護を受ける? それもまた選択の一つだ。
 そう、それなら。
 それなら――それすらも受けられない子供はどうすればいい?
 ただ死ぬだけだ。
 ただ苦しむだけだ。
 誰も彼もが救われるなら、不幸なんて存在しない。
 誰も彼もが幸せなら、絶望なんて存在しない。
 苦しむ人なんてどこにも見当たらない。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:53:19 ID:+yUcvjk7
PCゲームで黒猫ったらレンしか知らないぜ支援
563リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:53:22 ID:6ms1lllX
 
「……痛いよぉ」

 少年は苦しむ。
 体の中から発せられる苦痛に、蝕むような痛みに、誰にもすがる事も出来ずに苦しむ。
 誰も救ってくれない。
 誰も助けてなんてくれない。
 病気にかかれば、治ることを祈るしかない。
 怪我をすれば、自分で治すしかない。
 それすらも出来ないなら……死ぬしかない。
 そんな覚悟なんて出来るわけもなく、けれども目の前で幾人もの同じ境遇の子供が死んでいった様を見たことがあった。
 誰にも知られずに、誰にも名前なんて覚えられずに、死んでいく。
 光に当たらない影は誰も見ない。
 見えないものは、存在しない。
 そんな風に、世界は出来てるんだから……

「大丈夫かい?」

 カツンという足音がして、熱にうなされた視界に翻った灰色の外套を見ても、少年は幻だと信じていた。

「内臓器官に損傷あり……重度の肺炎か」

 額に触れる冷たい手。
 まるで死人のような体温の感じない手が、ひんやりと少年の熱を奪っていって。

「大丈夫、すぐに治る」

 無表情に浮かぶ、その人影の“右眼”から緑色の光が輝いて。

 少年は、それを美しいと思った。




564リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:53:54 ID:6ms1lllX
 
 どんなに時代が進もうとも。
 どんなに世界が変わろうとも。
 消えないものがある。
 そう、御伽噺もそんな消えないものの一つ。

「“巡回医師”?」

 クラナガンに住む平凡な主婦。
 台所で洗い物をしながら息子の話を聞いていた彼女は、子供の発した一言に首を傾げた。

「そうだよ。病気や怪我をしていると治してくれるんだって、ケビンくんが言ってた!」

「ケビンくん、ね。またあの子と遊んでたの?」

 子供の無邪気な顔と裏腹に母親の顔は曇る。
 ケビンという少年が、息子の遊び友達にいることは知っていた。
 それが普通の子供ならば、彼女はなにも言わずに、ただ祝福しただろう。
 けれども、それが――廃棄都市に住む浮浪児だと知っていれば喜べなかった。

「前にも言ったでしょ? あんまりあそこに行っては駄目よ、危ないから」

 息子を傷つけないように、そして自分の醜さを覆い隠すように、彼女は優しく息子を叱りつけた。

「はーい」

 しょぼんと暗くなる息子の顔に、僅かな罪悪感の棘を感じながら母親は洗い物を再開しようとして。

「ねえ、ママー」

 彼女は気付かなかった。

「なぁに?」

 息子が不意に目を向けた方向に。


「さっきからあそこで踊ってるピエロさん、だーれ?」


 何かが映っていたなんて。



565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:54:17 ID:6sM5ZRBF
インガノックktkr支援
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:54:25 ID:oFfZnnZi
支援
567リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:54:39 ID:6ms1lllX
 
 カッチ、カッチ、カッチ。
 時計が鳴る。
 まだか、まだかと鳴り響く。

 何度も、何度も、何度も。
 気が狂うように鳴り響く。

 カチ。

 音が止まる。
 そして、誰かが手に持った白銀の懐中時計の針は零時を指していた。

「時間だ」

 誰かがそう告げる。
 白銀の懐中時計を持つ誰かがそう告げる。

「主よ、望んだ時が来た」

 それは黄金の螺旋階段。
 誰にも知られない場所に築き上げられた黄金の階段。
 それを踏み締めるのは、“顔無き人影”

「喝采せよ! 喝采せよ!」

 狂気に歪んだ声が響く。

「現在時刻を記録せよ。クロック・クラック・クローム!」

 音割れた声が鳴り響く。

「ああ、素晴らしきかな! 盲目の生贄は新たなる階段を昇る!」

 それは狂人。
 それは廃人。
 それは異形。

 誰でもない、誰かかもしれない、誰かが叫んでいる。
 どこかの誰かの台詞を真似て、どこかの誰かを再現している。

「これこそが私の愛の終焉である!」

 既に終わった愛を繰り返す。



568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:55:27 ID:wlVR2uye
数ヶ月前に発売したやつじゃねぇかwwww

支援
569リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:55:35 ID:6ms1lllX
 
 踊る道化師の噂。
 街が少しずつ歪んでいるのが、誰もが悟っていた。

「都市伝説みたいやねー。それどこから聞いたの、リイン?」

 機動六課部隊長室。
 ロングアーチ隊長の八神 はやてはそう言った。

「武装隊の人たちがぼやいていたですー。街の犯罪率が上がって、忙しくなったってー」

 小さな小さな人型のユニゾンデバイス、リインUが言った。
 街の犯罪が増えたのだと。
 まるでドラックでもやっているかのように、突然暴れる人が出てきたのだと。
 拳を、刃物を、魔法を使って、怯えるように犯罪者が増えている。
 全てが全てではない。
 けれども、彼らは語る。

 “道化師が囁くのだと”

「奇っ妙な話やね。ただでさえ、レリックのことで頭が痛いのにあかんわー」

 クルクルと指の間でペンを回しながら、はやてはぼやく。

「うちらとは関係ないやろうけど、早く平和になってほしいわ」

 そう思っていた。
 その時までは。




 狂気と正常の境目を判断するのは難しい。
 交差するかしないかどうか、運命とは正気と狂気のように姿を変えて、形を変えて、飛び掛ってくる。
 故に誰も想像しえない。
 街に蔓延する狂気の噂とは正反対に、見捨てられた廃棄都市の中だけで噂される“巡回医師”と彼女達の運命が交差するなどと。
 想像は難しい。
 予測は困難だった。

 そして。

 物語は狂いだす。
 鮮麗に描かれていた筋書きは、狂気に歪む。
 ありえない人物達が踊り出す。
 “両手の無い男”
 “鋼鉄の少女”

 そして。
 そして――
570名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:55:56 ID:oFfZnnZi
支援
元ネタは知らないが雰囲気が好みだ
571リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:56:20 ID:6ms1lllX
 
 狂気に歪むものがまた一人。

「アハハハハハハッ!」

 端正な顔を歪ませて、歪に体の姿勢を歪めて、のけぞるように嗤う男が一人。
 無数に周囲に浮かぶモニターには、“誰か”と“何か”が映っていた。
 そこには。
 華麗な少女が銃を用いて戦う光景が。
 苛烈な少女が拳を用いて戦う映像が。
 鮮烈な少年が槍を用いて戦う視界が。
 可憐な少女が竜を用いて戦う画像が。

「アハハハハハハハッ!」

 滑稽な怪物が爪を用いて戦う光景で。
 冷徹な人形が刃を用いて戦う映像で。
 奇妙な甲冑が剣を用いて戦う視界で。
 滑稽な化物が牙を用いて戦う画像で。

「アハハハハハハハッ!」

 埋め尽くされて。
 覆い尽くされて。
 咆哮が、怒声が、罵声が、悲鳴が、絶叫が、響き渡って。

 あらゆる色と音が狂笑を上げる男を埋め尽くして。

「――アハハハハハハハッ!!!」

 嗤わせる。
 喜ばせる。
 震えさせる。

 それは狂人。
 それは超人。
 それは超越者。
 人の形であって、人で無き者。
 愚かなる脳髄が命じた理想郷の知識で作り上げた結晶。
 無限の欲望と名づけられたヒトでなき構造物の笑い声。

 大脳の一部を変質させ、誰かが望んだ狂気に侵されて、誰もが望んでいない悪夢を呼び覚ます者。
 そう。
 呼び覚まされる悪無とは。
572リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 00:57:27 ID:6ms1lllX
 
 ――死。

 それは死そのものだった。
 もはや生物ではなく。
 もはや現象として任じられるもの。

 41の大災厄。
 41の死。
 その名を知る者はここには殆どいない。
 しかし、それを見た者は誰も忘れることを許さない。

 それは“クリッター”

 “死の螺子の突き刺さった死の現象”。

 そして、それは最強と呼ばれる翼あるもの。
 最強の幻想。
 最悪の悪夢。

 ドラゴン。
 いつの時代にも最強と呼ばれた幻想。

 それが時空の安定を司る管理局のビルの頂上に、翼を広げていた。

「なんなの、あれは……」

 それに立ち向かうものが居た。
 たった三人だけれども、最高に近い三人が居た。
 高町 なのは。
 フェイト・T・ハラオウン。
 八神 はやて。

 幾多の幻想を打ち破り、戦っていた彼女たちの前に現れた死。
 それにどうしょうもなく、本能的に体が震え出す。
 それは自然なこと。
 人間であれば、誰もが震える現象を前にして、彼女達は立ち向かっている。

 ただそれだけで、偉業だった。


573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:57:44 ID:oFfZnnZi
>>571
ラスト一行は悪無→悪夢だと思うんだが意図的にやってるのかな?
支援
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:58:27 ID:0fvBOmVj
支援
575名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:59:26 ID:/E36RkRK
支援
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:59:32 ID:oFfZnnZi
支援
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:00:22 ID:Ar8H4PwO
無駄に改行しすぎじゃね?演出なんだろうが。
でも支援
578リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:03:08 ID:6ms1lllX
おさるさんくらった。
大丈夫かな? 書き込めたら残り投下します。
579リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:04:32 ID:6ms1lllX
 ――右手を伸ばす。もっと、上へ。

 ――虚空へと――

 ――鋼の右手が伸びて――

 ――右手を伸ばす。

 ――前へ

 彼の右手へ重なるように、まっすぐに。
 何かを掴み取ろうとする手。
 指間接が、擦れて、音を、鳴らしている。
 それはリュートの弦をかき鳴らすように、金属音を生み出す。
 静かに右手を前へと伸ばす。
 なぞるように鋼の右手も前へと伸びた。

 誰かが立っている。
 彼の背後に誰かが立っている!

 金属の擦れる音。
 彼の意思に、応じるように

 ――動く。そう、これは動くのだ
 ――自在に、彼の思った通りに。

【RUOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!】

 咆哮が上がる。
 空間すらも焼き尽くす紅蓮の吐息が、視界の全てを焼き滅ぼしていく。
 生身の体では避け切れまい。
 鋭い反射神経を備えた≪猫虎≫の兵や、神経改造を行った重機関人間でさえも、
身体強化魔法をかけた魔導師であっても。

「え!?」

 しかし、生きている。
 彼は――”ギー”はまだ。

 傷ひとつなく立っている。
 鋭き咆哮が切り裂いたのは虚空のみ。
 
「遅い」

【RUOOOOOOOOOOOO!?!!】

「喚くな」

 咆哮が上がる。
 視界の全てを、町のすべてを、狂乱させる彷徨が怒りの色を交えて吼えあがる。

 クリッター・ボイスか。
 人間の頭脳全てを崩壊させる恐慌の声。

 しかし、彼の精神と大脳はまだ死んでいない。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:05:13 ID:4YQkQ0XM
支援
581リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:05:27 ID:6ms1lllX
 真紅の鋼の”彼”が彼を守る。
 死にはしない。まだ。
 睨む”右眼”へ意識を傾ける。
 目の前の全てを”右眼”が視る。

 ――全てのクリッターは不滅――

 ――物理破壊は不可能――
 
 ――ドラゴンの場合――
 
 ――唯一の破壊方法は――

 ――“現在”という時間からの完全消去――

「……なるほど、確かに。人は君に何も出来ないだろう」

 故に、確かに人間には破壊出来ない。
 
 唯一の破壊方法は完全消去。
 故に、絶対に人間には破壊出来ない。
 けれど、けれど。
 
 ――けれど。
 
「けれど、どうやら。鋼の”彼”は人ではないようだ」

 ――”右眼”が視ている!
 ――”右手”と連動するかのように!

「鋼のきみ。我が≪奇械≫ポルシオン。僕は、きみにこう言おう」


「”光の如く、切り裂け”」




 【赫炎のクラナガン】
  ――始まりの時はまだ先である (つまり始まらない)
582リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:07:36 ID:6ms1lllX
投下完了!

クロス先は【赫炎のインガノック】から、ゲーム終了後をイメージしてみました。
途中でおさるにひっかりましたが、ご支援ありがとうございます。
3レス目で気付かれた時は驚いたw

>>573
普通に誤字でした。(汗)
指摘ありがとうございます。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:14:29 ID:Ar8H4PwO
GJ!元ネタ知らないけど、面白そう。原作をちょっと知りたくなった。
批判じゃないんだけど、氏の文は何となく小説というよりADVゲームのような
文章付きのPVのような、そんな錯覚を受ける。これの場合は嘘予告ってのもあるんだろうけど。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:16:37 ID:h94viV13
インガノックとは、またマイナーな……。
少年王の呆気無さ過ぎる死に方に腹筋壊れるほど大爆笑したのは、たぶん俺一人だけじゃないはず。
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:20:56 ID:C3PIRi1V
ライアーは好きです、メガラフターは一番好きです。
メガラフターならなのはとクロスしやすくね?絶対平和主義だから。
ゆりかごだっていちころだけど、トラックより遅くて初期のダイガードより
装甲が薄くてキャノンの無いボール並みに攻撃力が低いロボ、メガラフター。
ゴー、メーガラーフター♪戦うなメーガラーフター♪
586リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:24:57 ID:6ms1lllX
>>583
今回の場合は、最後の文章辺りは原作の文面や口調をかなり取ってきました。
色々と手を加えてますが、多分それでよりADVっぽくなってしまっているのかな?

他の作品でもそうなのなら、ちょっと意識しなおす必要がありますね。

>>584
マイナー上等。
もはや開き直りました。
少年王の雑魚っぷりには吹きました。
”彼女”がやられた恨み倍増で、ぶちのめしたるー! 気分だったのに、あまりの弱さに
逆にへこみましたね。
巡回殺人者の方が強いってどういうことだよ。最古の≪奇械≫使い。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:26:35 ID:Buk6Z5hW
GJ!でもたしか「光の如く」は「切り裂け」じゃなくて「引き裂け」だった気がする。
588キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:30:50 ID:3i0Xp2PI
うむ、全く知らないお話だった!(おぃ
だけど続きが気に成る感じだZE

そして何だか筆が早いのでキャバクラの続きを投下したい。
何時ごろが良いかしら?
589リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:32:12 ID:6ms1lllX
>>585
おおお仲間が! しかし、メガラフターやってないんだorz
個人的には天使の銃弾と蒼天が最高でしたね。
あとインガノックの黄金螺旋の果ての、”アレ”って某M牧師が射殺した奴と同類では?
と思ったのは多分自分だけじゃないはず。
M牧師強いよ、インガノックのラスボス一人(二人だが)で射殺だよ!

>>587
げふっ!
”刃の如く、切り裂け”と間違えていた!!
引き裂けでした。うう、せっかくの悪なる右手も泣いてる。
指摘ありがとうございます。

しかし、知っている人が思ったより多いな。
このスレの住人の深度は侮れない!w
590Strikers May Cry:2008/02/16(土) 01:33:31 ID:rd5095Nv
もうそろそろ30分くらいすぎてんじゃね? っていうか早く投下してください。
キャロとバクラが読みたくて仕方がありません。
591リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:35:04 ID:6ms1lllX
>>588
誰が気付いているだろうか。
彼が普通に、”キャバクラ”と言っていることに。

バイド汚染進行中!
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:37:27 ID:jmMFZ+pH
闇のゲームはまだかな〜

気になって寝れねえ
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:40:36 ID:m7zMMsj8
しかしキャロバクラの人早いな
もう次書けたのか
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:40:47 ID:BGT86fsZ
進路クリアー、投下どうぞ!!
595キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:41:13 ID:3i0Xp2PI
OK、投下します。
何か最後まで行くつもりだったのだが……バトル書くのが楽しくて無理w
魔法関係、カード関係、全てにおいて捏造の嵐だから気をつけて
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:43:32 ID:ORcIYGMC
正直キャロとバクラの人の名前がキャバクラの人に見えてしょうがない支援
597リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:44:13 ID:6ms1lllX
支援支援!
598キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:44:30 ID:3i0Xp2PI
覇気が全て無くなった様な廃棄区画の一箇所で、思いと思いのぶつかり合い。
片や紅いコートを纏った桃色の髪の幼い少女、一方は白いマントを羽織った長い金髪の女性。

『力がたりねぇ! アイツは今までのザコとは桁が違うぜ、最初から全力でいく!』

「もっと強くですか!?」

『そうだ、もっと強く! もっと高く!』

少女 キャロに発破をかけるのは、邪悪なる意思の欠片にして古代の盗賊 バクラ。
キャロがソレに答えて力を増せば、彼女の腕に嵌められた手袋型デバイス ディアディアンクからさらに光が溢れる。

「召喚行くぞ! あわせろ、相棒!」

『はい!!』

突き出したのはディアディアンクが装備された左腕。周囲に広がるのはミッド式魔法陣をベースに見慣れない文字が渦巻く得意なもの。

「『名も無き哀れな怨霊たちよ、この呼び声に答えよ! 
汝らに偽りの体と名を与えん! シモベとなりて我らが敵を討ち滅ぼせ!」

今まではバクラ一人で行っていたそのプロセス、今回はキャロと二人で行う。それは今まで以上の力の発露を意味していた。
桃色の魔力光で描かれていたはずの魔法陣は血の様な赤黒を経て、真っ黒な闇の色へと変わる。
液体、いや粘液のように泡立つ不気味な魔法陣からゆっくりと現れる手や頭部。

「死霊召喚!」 

『来な、首なし騎士! ゴブリンゾンビ! 夢魔の亡霊!』

中から飛び出してきたのは首の無い板金鎧と異形の亜人の屍骸、ベッドから溢れ出る不定形な人型。
手にはそれぞれ武器や防具を装備しており、戦闘への意欲……などと呼ぶに生ぬるい妄執を漂わせている。
数は三体ずつ、計9体。キャロとバクラを含めて数ならば10対1と圧倒的に有利な状況。
それを一瞬で作り出すのがこのバクラ式とも呼べる召喚術最大の利点だ。

だが……

「……行くよ、バルディッシュ」

『イエッサー』

煌くのは金色の閃光。翻る白いマントと金色の髪。
僅かに先行する形となっていた二体が瞬く間に切り伏せられ、煙となって掻き消えた。
ソレを成したのはバクラたちと対峙する管理局執務官フェイト・T・ハラオウン。
そしてその手に握られ、鎌状の魔力刃を形成するインテリジェント・デバイス バルディッシュ・アサルト。

「おいおい、マジかよ……」

『スゴイ……』

敵対者すら舌を巻くその速さや魔力、戦闘経験の差。管理局本局のS+ランク魔道師は伊達や飾りではない。つまり……


『バクラとキャロが最強の敵と激突するそうです』
599キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:45:49 ID:3i0Xp2PI
「ケッ! あのスピード……トロイ雑魚共じゃ話にならねぇか!?」

バクラは目の前で繰り広げられる一方的な戦闘を見て吐き捨てた。
本来ならば数で圧倒的に勝る此方が一方的な戦闘を行うはずだったのだが、どうやら現実はそこまで甘くないらしい。
跳び回っているのか、飛び回っているのか解らないスピードで動き回る稲妻が的確にモンスター達を両断していく。

『バクラさん、ブーストやってみます!』

「覚えたてじゃねえか、大丈夫かよ」

覚えたての技をいきなり実戦で使うというのは、どんな世界・どんな状況でも危険が伴う。
だがバクラのそんな心配をキャロは一喝する。

『今使わずに何時使いますか!?』

その目に宿る果たしかに勝利を渇望するデュエリスとの心意気。その様を見てバクラは
何時にも増して鋭い笑みを浮かべ、GOサインを出した。

「へっ……言うじゃねぇか、やってみな」

『はい!』

そこで体の制御をバクラからキャロへと移行し、可憐な唇は本来の持ち主の意思をもって紡ぐ。
シモベに与える更なる力の名を。

「我が乞うは、疾風の翼。朽ちた騎士たちに、駆け抜ける力を」

『ブーストアップ・アクセラレイション』対象の機動力を向上させる補助魔法だ。
キャロとバクラが攻略難易度の高い敵、撃破の為に習得した方法の一つ。
放たれた淡い光がフェイトに蹂躙されかけていたモンスターたちを覆い、その動きに大きな変化を齎す。


「動きが変わった?」

『恐らく加速系の補助魔法です』

四体目の異形をバルディッシュの切り伏せようとしていたフェイトは、回避された事に驚きの声を上げる。
首の無い鎧は先程の動きとは比べようが無い速さで自分の攻撃を回避し、さらには背後をとって一撃を入れてきた。
まるで冗談のような劇的な変化、初めて使った魔法で制御が出来ていないのか?
「こんなに加速すると対象者は体を壊すのでは?」
そんな心配を一瞬思い描き、フェイトはその考えを投げ捨てた。

「そっか……死霊なんだった」

壊れるべき体も、悲鳴を上げる心も持ち合わせてはいない。
板金鎧は軋みを上げ、亜人の屍骸はボロボロと腐敗した体の一部が落下している。
だと言うのに自分に必死に喰らいつき、攻撃を加えようとしてくる。
600Strikers May Cry:2008/02/16(土) 01:46:21 ID:rd5095Nv
頑張れキャロ! せっかくだから俺はこの“ケルベロス・センターヘッド”で存分に支援砲火するぜ。
601キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:47:00 ID:3i0Xp2PI
虚ろな動きに軽い恐怖と……憤りを覚えた。
死霊を使役するなんて聞いた事が無いが、間違いなく外法の術。
それを持って自分を攻撃してくるのは自分がいつも救いたいと願う、悲しい子供たち。
自分と重ねている事くらい分かっているが、それでも何とかしたいと心を割いてきた。
なのに、目の前の少女は自分の手を振り払い、確実に悪であろう存在と歩く道を選ぶ。
他の道なら幾らでも祝福できたのかもしれないが、それだけは許可できない。
許せないはずなのに……ソレほど自分の道を持っているキャロが羨ましくさえある。

「アァ……本当に世界はこんな筈じゃないことばっかりだね……母さん」

『大丈夫ですか?』

「うん、平気。一気に行くよ! 実力で取り押さえる」

それでも自分は自分の正義を信じるしか今は出来ない。
後でゆっくりお話を聞かせて……うぅん、お話を聞いて欲しいな? キャロ


『まだ早くなるのは!?』

バクラはさらにスピードを増し、手に持った鎌と精製・発射の速度が早い射撃系魔法でスピードを上げているモンスターを切り裂くフェイトに舌を巻いた。
ソレと同時にキャロがとんでもない事をしているのに気が付いて、目を剥いた。

「ゴメンなさい、バクラさん……もうこれ以上は……」

どうやらキャロはフェイトのスピードに追いつけ、追い越せとブーストの量を増していたらしい。
それは一瞬で勝負が付くのならば構わないが、今のような状況では自殺行為だ。

「バカヤロウ! 相手に張り合って無茶すんじゃねぇ!
 こっちは全体をブーストしてんだぞ!? ぶっ倒れた元も子もない」

どうやらスピード勝負、直線的な加速で追いついて袋叩きプランは諦めなければならないようだとバクラは思考。
既にモンスターの数は三体まで減っており、ゼロになるのも時間の問題。

「相棒、ブーストは中断だ! チビ竜、対空防御!」

『え? でも……』

「キャゥウ!!」

バクラの指示にキャロは躊躇いを示し、フリードは同意を行動で示した。
モンスターの動きが止まったのを後期と見たフェイトに、フリードの火炎が飛ぶ。

「相棒、アレを試すぞ」

『でもまだ成功したことないですし…「今使わずに何時使うんだ!?」…はい!!』

僅か前にした確認を繰り返し、キャロとバクラは頷きあう。
今にも閉ざされようとしている二人のロード、その門へと走り込む感覚に心が沸き立つ。
一方フリードの炎は文字通り、牽制の意味しか成さなかった。炎に一瞬怯んだものの、フェイトは動きを止めない。
瞬く間に最後のモンスターが雷で吹き飛び、その矛先はキャロたちへと向かう。
602キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:48:59 ID:3i0Xp2PI
「母なる闇、偉大なる汝が供物として墓所の死霊を贄とせん」

フェイトが最後の敵を倒してから見た光景は、両の手を祈りの形に組み、頭を垂れて目を閉じるキャロの姿。
とても戦闘中にとる体勢ではない。それは神に祈りを捧げる巫女のようだから。
しかし穏やかな気分には成れそうにない。彼女を中心に開かれた魔法陣とそこから湧き立つ闇。
その魔法陣を目掛けて倒された死霊たちが飛び、飲み込まれていく。その光景は理論ではなく感性に危険を訴えかけてきた。

「答えよ、我が呼び声に。汝が腕にて泣き叫ぶ者を死の安息を」


『このままではマズイ』
フェイトの生物学的直感と腕利き執務官の知性が満場一致で叫んでいる。

「バルディッシュ! カートリッジ、ロード!!」

主の叫びに忠実な武器は答える。叩かれた撃鉄が弾丸を叩き、内蔵された魔力を一瞬でフェイトへ供給。

「プラズマ……スマッシャー!!」

先程の射撃魔法とは違う太い砲撃系魔法。地を削り自分へと万進する破壊の奔流にもキャロとバクラは目をくれない。
ただ今まで以上の願いを込めて、その魔法の言葉を紡ぐのみ。

「『闇の世界の支配者 ダーク・ネクロフィア召喚!!』」

一瞬遅れてフェイトの砲撃が着弾! 轟音と土煙が辺りを満たし、フェイトは状況確認の為、慎重に歩を前へと進める。
本当なら砲撃など危ない事はしたくなかったが、あれほどの闇を感じさせられては仕方がない。
これで昏倒してくれていたら良いのだが……すぐに駆け寄りたい衝動を抑えていた彼女の第六感に再び嫌な予感が駆け巡る。

「っ!?」

大きく跳躍したフェイトの横を巨大な魔力の塊が通り過ぎた。
キャロが撃ったのか? イヤ、違う。そんな力も詠唱する時間もなかった。
ならば……

「ふ〜ヒヤッとしたぜ……」

晴れた煙の中から現れた人影は……二つ!
片やバクラが主人格として操る小柄な少女と長身の……女性? ソレは人間ではない。
無駄なものを排除した顔立ちに尖った耳、凍えるような無感動を移す小さな瞳。
体はボンテージ風の鎧で覆われ……覆われているのではなくそれ自体が体なのだ。
腹部は肋骨だけで構成されており、内部の空洞が見える。関節はまさしく人形のソレ。
片腕が抱くのは下半身を失い、欠損が目立つベビードール。

「それは一体……」

「さっきまでのザコ共とダーク・ネクロフィアは一味違うぜ!」

その異形はバクラとキャロが召喚したモンスターだ。だが今までのものとはその形成プロセスが大きく異なる。
今まで用いていたのは死霊を核として魔力で肉付けする過程で、その形を調整しただけの大差ない代物。
だがこのダーク・ネクロフィアはもっと根本的な闇の存在、死霊などでは片付けられない高位の魔。
異なる次元にこの形で確かに存在しており、その力や能力は死霊たちの比ではない。
しかしそういう存在を呼び出すには色々と特殊な条件が必要なのはゲームでもお約束だ。
ダーク・ネクロフィアを呼び出すには既に体を失った死霊を生贄に捧げることが必要。
つまりキャロとバクラが行っていた物量戦はこの生贄を稼ぐ為でもあったわけだ。
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:49:06 ID:6ms1lllX
支援!
ここのフェイトはどうしても応援出来ないぜw
604キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:50:13 ID:3i0Xp2PI
「ダーク・ネクロフィア、お願い!」

キャロはその存在に対して覚える感情は間違いなく恐怖だった。
時には掃除だってさせる死霊を用いた下位モンスターにさえ、恐いという感情を覚えた彼女だ。
フェイトが恐怖を感じたのと同様、いやそれ以上の恐怖がキャロの心を犯す。だが!
『闇に喰われるか、闇を従えるか』
初めて会った時にバクラに言われた言葉だ。この闇さえも自分達の道を助ける一翼とせよ。

「ケラララララ!」

『どうやら闇の世界の住人すら、相棒を主と認めたようだな?』

ネクロフィア本体は変化無いが、腕に抱かれた人形がけたたましく笑うことで、その意思を伝えた。
バクラの言葉通り、確かにこの瞬間キャロはこの怪物を従えた。

「■■■■■」

「っ!? 砲撃魔法!」

呪文でも言葉でもない。搾り出すようなソレは音だ。
その結果としてネクロフィアの前方で漆黒の魔力が集結し、流れとなって溢れ出す。
フェイトたちの魔法とは全く違う理論で作られた砲撃は、飛び回るフェイトを追う様に放たれる。
威力と速射性には優れるらしいが追尾性のない直線系、故にネクロフィア自身がフェイトを追尾する形で移動を開始する。

「砲撃型……飛行は可能でも早くは動けない。接近戦は無理だね」

もちろんフェイトもただ逃げているわけではない。全ては未知の召喚獣を見極める為。
拘束具のような足は恐らく歩行は困難、故に浮遊・飛行が移動手段と言う事だろう。
片腕は人形を抱えるという行為により塞がっており、上半身も稼動部位が少ない。
プラズマ・スマッシャーを防御したことから防御力もそれなり、砲撃は直射型だけだが威力・連射性ともに申し分ない。
それでも……

「私の知っている砲撃魔道師には及ばない!」

鬼のように固い障壁と変化自在な大威力砲撃、管理局の白い悪魔と恐れられる親友。
彼女と何度もやりあって来たフェイトには、ネクロフィアも厄介な敵以上にはならなかった。
遠距離から振られたハーケンから飛び出す刃の部分。回転して飛翔するその技の名はハーケンセイバー。
もちろんネクロフィアはそれを障壁で止めようとする。だが止まらない! 
回転する刃が障壁を食い破り、軽い破砕音と共に粉砕する。そこでネクロフィアは敵対者が視界から消えている事に気が付く。

「ハァアア!!」

慌てて視界を巡らせようとした瞬間、頭上から響く裂帛の声とそれが伴う金色の刃を確認して……真っ二つに両断された。
605キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:51:25 ID:3i0Xp2PI
「貴方達の切り札は倒しました、大人しく武装を解除しなさい」

極めていつも通りに、事務的に上空からフェイトは地上で微動だにしないキャロに語りかけた。
両断されたダーク・ネクロフィアが煙になって消え、その途中で人形が耳障りに泣いている。

「フッフッフ……」

「何がオカシイの? これ以上の抵抗は無意味よ」

「ヒャーハッハッハ! テメエはオレ様の罠にはまったんだよ、執務官様〜」

バクラのその言葉にフェイトは身を硬くし、辺りを見回す。
もちろんソレらしきものなど確認できないが、確認できないが故に罠だと彼女は認識する。
相手の余裕が確かに何かが有ると告げていた。

片やバクラとキャロといえば……

『本当に上手く言ったんですか?』

「たぶんな……ダメだったら唯のハッタリよ」

『そんな〜』

実はそんなに余裕と言うわけではない。何せ初めて試みることだ。
全てがバクラの知るダーク・ネクロフィリアとイコールではない事は察するに容易い。
だがこの余裕を貫く事には意味がある。常に強気に、相手を弱気にさせた者に勝利は近寄ってくるもの。

「ダーク・ネクロフィアを倒してくれてありがとうよ、執務官様〜
おかげでこいつの特殊能力が発動するぜ!!」

「倒された事で働く能力?」

存在しない者がどうして存在する者に影響を与える事ができるのだろうか?
魔法と言っても画一化された技術である管理世界には通じない概念だろう。
これは例えば第97管理外世界の概念を当て嵌めれば説明は付く。世界は大きな二つの要素で出来ている。
光と闇、陰と陽、現世と幽世、人の生きる世界と死者が眠る世界。それら対極は常に影響を与え合って存在している。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:52:08 ID:A+JjbryO
( ゚∀゚)o彡゜支援!支援!
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:53:17 ID:6ms1lllX
全力で支援!
ボスの敵を4分の1ぐらい討って、勝ち逃げだあああ!
608キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:54:18 ID:3i0Xp2PI
「まず一つ目の能力は……破壊されても怨霊となって場に残り、敵に憑依する!」

「憑依?……ヒッ!?」

理解できないと首を傾げかけて、フェイトは全身に走る鳥肌に悲鳴を上げた。
何か見えないものが全身に纏わり付いてくるような、冷たい何かが全身に染み込んで来るようなイヤな感覚。
体が言う事を利かず、フラフラと地面に落下してきてしまった。それでもフェイトはバルディッシュを構え、攻撃を放とうとする。

「この……フォトン……」

「憑依した怨霊はテメエの変わりに攻撃を実行する。
もちろんターゲットは……オレ様の訳ねえよな? スピリットバーン!」

「クハッ!?」

現れたネクロフィアが抱いていた人形のような霊体はフェイトに対して、ブレスのような波動を吐きかけて攻撃を加える。
自分から出たものに攻撃されるという奇妙な状況。ここで初めてフェイトにバクラ達は攻撃を加えられた事になる。
盛大に廃ビルに打ちつけられたフェイトにさらに追い討ちが入る。

「そしてもう一つ……ダーク・ネクロフィアが墓地に置かれた事により、遅延誘発型儀式魔法が発動します」

口調がキャロのそれに戻るが何時もの明るさや可憐さはなく、戦う戦士や奪う意味を知る盗賊の重さを備えていた。

「指し示せ、邪神の導き。我らと対峙する者へ死の運命を告げん! ウィジャ盤発動!」

闇の中から競りあがってきたのはアルファベットと数字が羅列された長方形の盤。
その上には中央に穴の開いたハート状の板が乗っている

「ウィジャ盤は霊との交信に使うマジックアイテム……盤上をプランシェットが動いて文字を指し示し回答を得ます。
まず一文字目……」

プランシェットに手を置き動かすのは、倒されたダーク・ネクロフィア。幻のように揺らぐ様がその存在も不確かなものだと印象付ける。
指し示されたのは『D』の文字。ここで人格がバクラに交代。

「特別にこの先の文字も教えてやるぜ、正義の味方さんよ〜
Dの次はE、その次はA・T・Hと続く。続けて読んでみな?」

「……! DEATH……デス、死?」

「そう! この先一定間隔で文字を紡ぎ、DEATHを示し終えた瞬間……テメエは死ぬ」

フェイトは恐怖よりも驚きの感情が先行していた。
先にも示したが管理局で発達している理論化された魔法において、全ては分かり易い実像に完結する。
もちろん何の理屈もなく『死を与える魔法』など全く知られていない。
だが憑依の時にも感じたバクラの自信……ハッタリではないとフェイトは確信すると同時に冷や汗が垂れた。
ゆっくりと首を絞められるような、心臓にナイフをゆっくりと沈められるような感覚。

これは間違いなく死の感覚。


「憑依により攻撃を封じられ、ウィジャ盤が死の宣告を告げる。
この完璧なオカルトコンボの前ではフェイトさん、貴女は私たちには勝てません」
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:56:00 ID:m7zMMsj8
ちょっ、殺す気満々w
支援!
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:56:02 ID:ORcIYGMC
支援
611キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/16(土) 01:56:12 ID:3i0Xp2PI
以上でした〜
しかし最後はどちらが悪い奴か解らないくらいフェイトそんボコボコw
本当は今回で決着の予定が……バトルは幾らでもかけそうだw

カードの能力は私の便利なように改変しているのであしからず。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:58:10 ID:A+JjbryO
バクラTUEEEEEEEE・・・
フェイトがギブアップするか援軍到着か…

>>611
乙、毎度毎度楽しみにしてます。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:58:17 ID:ORcIYGMC
乙でした

このフェイトは言わば自分の働き先を奪った張本人だしこれくらいやっても良いよねw
614Strikers May Cry:2008/02/16(土) 01:58:33 ID:rd5095Nv
GJだぜ、そうとしか言えないぜ。

カードの効果とかもうほとんど覚えてないけど、かなり最悪のブツを出しやがったなキャロ。
このまま全力でぶっちぎってやれ!
615リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 01:58:58 ID:6ms1lllX
もはやデスノート!
GJ!!

フェイト死にそうでピンチ!
しかし、それで簡単に倒せるような気もしない……
どっちが勝つのか、予測が出来ないですね。
凄い先が楽しみです!
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:59:54 ID:wlVR2uye
GJだぜぇ……
このまま逃げ切ってくれよォ……
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:06:53 ID:oFfZnnZi
バリバリに外道で外法な戦法なのにキャバクラを応援したくなるのは何故だ
GJ!
遊戯王どっかにしまってたな……ちょっとバーンデッキ引っ張り出してみようかな
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:19:48 ID:I6F3y9/m
GJ!
なんというオカルトコンボw
タイマンだと極悪だよな
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:22:57 ID:4CHJuA0T
しかしふと思ったんだがウィジャ盤って直接プレイヤーをしとめる効果だけどモンスター扱いのフェイトそんにきくのか?
本局で突入命じたフェイトそんの上司あたりがころっとくたばってたりしてw
620名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:24:18 ID:EGcwO8zy
GJ

カードは全くやったことも触ったことも無いけど!!
漫画だけは読んだけどルール知らんから全く解らんのですが・・・
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:25:32 ID:CEUXLx1g
GJ!
オカルトコンボ恐っw
フェイトに呪いを解く魔法は無さそうだし、
勝負あったかな?
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:26:38 ID:MMscEoKB
GJ!
アニメ版オカルトコンボキター
カードゲームの方だとある意味一発で勝利しちゃうからこっちの方がいいかも
後、12分間根性で盤を守れれば勝てる
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:27:17 ID:b/cEbtJY
まさにデスゲームwwwwww
笑いが止まらんwww
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:29:53 ID:oFfZnnZi
>>619
管理局デッキを使う三脳がコロっと……ん?
結果的によくね?

当時ウィジャ盤は場に揃える前に勝手に死んでくれたから出番無かったなあ
まあ毎ターン1000から1500を本体に直接飛ばすデッキだったから明らかにウィジャ盤入れる事自体が間違いなんだが。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:31:39 ID:wlVR2uye
つか、モンスター扱いで気になったが。

サンダーボルト使ったらモンスター扱いのキャラは全員フィールドから消滅するのかね?
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:32:47 ID:I6F3y9/m
>>622
破壊したら装備カードとなって相手を永続洗脳だからな

ウィジャ盤で殺すのは忍びないから
Tが出たら降雷皇でも出してみます?
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:35:14 ID:2lT/Usv0
この良作の後の投稿するのは気が引けるのだが、四十五分ごろに投稿していい?

初めて書いたから勝手がわからん上に、テキストで44kぐらいのサイズなんだけど
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:38:34 ID:MMscEoKB
降雷皇はさすがに無理だからw
たしかに召喚コストはウィジャ盤が抽出してくれるけどな

新規支援
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:39:13 ID:0fvBOmVj
GJでした!!凄いくらいキャバクラを応援してました。
フェイトはここで・・・殺るっ!
か、どうかはともかくとしてとりあえず逃げきるために人質にするのかな。
そして身代金を失業手当代わりにするとか。むしれるだけむしる。

勝ってほしいなー。勝って大金を掴め・・・人生を変えろ!
金を掴め・・・!キャロ・・・!ってかんじです。

ちなみに前回更新が終わった後、私の頭の中で何回もフェイトがキャバクラに
敗北してました。現在このスレで一番好きなキャラかも。
完全にフェイトの敗北を願ってたw
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:42:43 ID:I6F3y9/m
そういえば、ウィジャ盤って永続罠だったような
発動までにルール上1ターン(3分)準備がいるから遅延誘発型と呼んでるわけだな?
まあ、全部魔法扱いでもいいけどね


そして睡魔支援
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:42:48 ID:6ms1lllX
>>627
投下してもいいんじゃない?
45分ごろから支援開始。

バイト数的に必要かわからんが。
あと最初の一行は文章をいれるか、全角スペースをいれるのを忘れないようにな。
異次元に文章が吹っ飛ぶからw
632名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:43:45 ID:plWq0lg6
stsでファランクスシフトって使ったっけ?
なんかもううろ覚え・・・
ジェノサイドシフトが外道すぎて放送されなかったのは覚えてるんだが
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:44:33 ID:I6F3y9/m
>>631
異次元に吹っ飛ぶというのが最初に目にはいったもんだから
「バイト数〜」ではなく「バイド数〜」と呼んでしまった俺は汚染されすぎてる
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:45:46 ID:6ms1lllX
>>633

フォースが無い今、バイドを食い止める手段はないのさw

では支援!
新規期待!!
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:45:54 ID:2lT/Usv0
ではいきます。

 注意、この作品には一部原作を改変しているところがあります。原作しか認めない、何でアトリや志乃が出ないんだ。遥光を出せ、といった方は読まないほうが良いです。また、リリカルなのはに合わせて世界観すら歪めていますので、あらかじめご了承ください。



 目が覚めると、周りには何も無かった。
 蒸気に囲まれた町並みも、モンスターのいるエリアでもなく、そこはただの荒野だった。
「ここは……」
 生き物の気配は無かった。
 それはそうだ。
 植物も、水も、一切無いこんな世界で誰が生きていけるというのか。
 訳も分からず、歩き始めた。
 立ち止まることはしたくないと思ったから。
 一時間歩いて、半日歩いて、一日歩いて、それからまた数日歩いて、それでもこの景色は変わることは無かった。
 不思議と喉は渇かなかった。お腹は空いたが、耐えられないほどじゃなかった。
 どれくらい進めたのだろうか。まっすぐに歩いてる自信も無くて、もしかしたらゆっくりと回って同じ場所を歩いてるんじゃないかって不安になった。
 俺はどれくらい歩いてるんだろう。
 何日、何ヶ月。
 分からない。
 このまま、ずっとここを歩き続けるのか。
 そう思ったとき、音が聞こえた。

 ポーン

 俯いていた顔を上げる。
 ハ長調ラ音。
 安心のため息をつくと同時に気が付いた。
 その頬には、涙が流れている。
 どうして。
 目の前に、一つの人影が見える。
 それは、白い服の女性の姿。
「……」
 
『あなたに夕暮竜の加護のあらんことを』

 そんな声が、聞こえたような気がした。


 『魔法少女リリカルなのはsts//音が聞こえる』始まります。


 初めて彼に会ったのは何年前だったか。よくは覚えてなかった。
 白い髪に赤い目の、無愛想そうな青年だった。
 はじめて会ったときは砂漠を歩いていた。そこは管理外世界で、確かどんな生物もすんでいない、死の星だったはず。
 時空震反応がもし無かったら、きっと誰も訪れることは無い。そんな世界だった。
 そんな場所で彼は一人歩いていた。
 両手には銃を持って、その背中を丸めて、まるで生気なんて感じられないような様子で。それでも歩き続けていた。
 彼は『The・World』と呼ばれる世界の住人らしいということは後で聞いた。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:46:33 ID:2lT/Usv0
 保護した当時は色々と問題になったらしいのだが、それでも悪いようにはならないというクロノ君の言葉を信じた。実際、特に大きな問題は起きなかったらしい。
 いくつかの不明瞭な点はあるが、調査によると事故によって時空転移にでも巻き込まれた可能性くらいしか浮かび上がらなかったそうだ。
 管理局で保護を受けて約半年後、彼はわざわざ私のところまで来てお礼を言ってくれた。
「助かった」
 無愛想に顔を背けながら、少し頬を染めて言う彼の姿に私は思わず噴出す。明らかに私よりも年上なのに、全然そんな感じがしなかった。むしろ同年代や年下を見る感じだった。
 結局、私が笑った所為か彼は不機嫌そうになって、結局あんまりお話は出来ずに分かれた。自己紹介がちゃんとできたのはフェイトちゃんの時よりマシだったけど。
「私は高町なのは。あなたは?」
「ハセヲだ」
「はせお君だね」
「ハセヲだ!」
 発音が気に入らなかったのか君付けが気に入らないのか知らないが(おをヲと書くことは後で知った)、えらくハセヲは不機嫌そうにしていた。でもそんなにこだわることなのかな。
 風の噂で、彼がその後時空管理局に入ったことを知った。
 なんでも後々聞いたところによると、人を探しているらしい。そのためには時空管理局が一番だと思ったそうだ。
 いつまでたっても見つからない自分の出身世界を探すことも兼ねてるらしい。
 魔力資質はそこまで高くなかったらしいが、もともと彼は冒険者(そういう職業らしい)なので戦闘経験は豊富。
 再会した時には、その魔力の高さに比例しないその戦闘能力に驚いたものだ。さすが、クロノ君お勧めとはやてちゃんはえらく上機嫌だった。
「本日より機動六課に配属になりました、ハセヲ二等陸尉です」
 そう、彼は突然やって来た。白いつなぎの様なバリアジャケット。デバイスを双銃、双剣、大剣、大鎌というまったく別の四タイプに変形させるふざけた男。
 フェイトちゃんも似たものだが、彼女は基本的に振るというタイプの武器を使っている。
 それに対してハセヲのそれは、撃つ、刻む、潰す、薙ぐといった別々の方法を使っている。
 AMFをもつガジェットを双銃で足止め、大剣で潰し切り、囲まれれば大鎌で薙ぎ払い、懐に入れば双剣で切り刻む。
 一人で前衛から中衛までをこなせるマルチアタッカー。
 彼は頑なに、
「俺はマルチウエポンだ」
 と言い続けていたが。
637名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:46:35 ID:6ms1lllX
G.U.!? 支援!!
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:47:42 ID:2lT/Usv0
 無茶苦茶な魔導士だと思う。
 だけど、ハセヲは無茶苦茶で無愛想で怒りっぽくて、でも面倒見が意外に良くってフォワードのよい相談相手みたいな、そんな男。
 フェイトちゃんはエリオが真似したら困るって不機嫌そうにしていたけど。
 ハセヲは元いた世界では大きなギルドのマスターをしていたらしい。
『カナード』
 そういう名前の初心冒険者支援用の組織だそうだ。
 ティアナなどは信じられないといった顔をしていたが、私はらしいなと思った。
 面倒見がよくって、どこと無く兄貴肌で、なんとなく頼りになる。私のハセヲのイメージはこんな感じだったから。まあ、兄貴肌と言ってもお兄ちゃんとは全然違うタイプだったけど。
 年上のはずなのに、結局再会しても同い年みたいな感じは抜けてなかったし。そう言えば、結局始めてあった時と姿も全然変わってなかった。全然身長伸びないねとか言ってからかった事もある。
 彼は年上のはずなのにとても話しやすかった。
「カナードってどういう意味なの?」
「えっと……確かヒコーキの何で……」
「なるほど、うる覚えって意味だね」
「ちげーよ! ヒコーキの何かだよ!」
 からかうとむきになる彼は本当に面白くて、気さくなのにどこか惹かれる部分があって、私は何度戦技教導隊に誘ったか分からない。
 彼なら立派な魔導士を何人も導いていけるって、そんな確信に近い想いがどこかにあった。
 あの時もそうだ。
 私とティアナが揉めた時、その間に立ったのはハセヲだった。
 あの当時は気が付いてなかったけど、でもきっとそのとき私はきっとこう願ってた。
 いつまでもこんな、楽しい日々が続けばいいのにって。



 そいつは不思議な奴だった。
 あたしよりも年上な筈なのに、あたしなんかよりもずっと子供っぽく笑う奴だった。
 あたしと同じセンターガードをこなしたかと思えば、いきなり前衛に立ったりする不思議な奴。マルチウエポンだと、そいつは笑ってた。
 あたしは、きっと凡才なんだと思い込んでいた。
 特別に強い砲撃を持つわけでもなく、何か特別な魔力変換資質やレアスキルを持っているわけでもない。
 魔力量も特別に多いわけじゃない。
 そう思って暗闇にいたあたしに道を示してくれたのがそいつだった。
 えらそうで、不器用で、そんなあいつだけどそういうやさしさは持っていた。
「俺がいた世界は少し変わっててな」
 あたしが悩んでると勝手にやってきて、いきなり話し始めた。聞いてないって何度言っても独り言だとかで無視して話を続けて、結局最後まで聞かされた。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:50:10 ID:6ms1lllX
支援
44KBって……何レスぐらいになるんだ?
30レスぐらい?
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:50:27 ID:2lT/Usv0
 彼の世界では、世界はいくつも分かれてるらしい。
 もともとはひとつの世界を無理やり分裂させて、無数の世界を作り上げているそうだ。
 原因は無限に湧き出てくるモンスター。
 そのモンスターがどうやって生まれてくるのか、どうして存在するのかなどは一切不明だったらしい。
ただハセヲは小さくモルガナがどうだとか言っていたが。
 そんなモンスターの脅威から人々を救うために立ち上がったのがC.C.と呼ばれるひとつの企業団体だった。世界の安定とともにその世界の仕組みを作り上げた大企業らしい。
 世界を無数のエリアに分断する。そして冒険者を募ってエリアを攻略してもらい報奨金を払う。
 すると十数回か数十回かは分からないが、攻略され続けたエリアは何故かモンスターが現れなくなるらしい。
 そしてそのエリアをC.C.社が管理して人々の住めるタウンにする。そしてタウンの人々から管理費を取る。
 そんな世界だから冒険者が後を立たないらしい。
 そんな中で数千人を越える初心者指導を行い続けたカナードのギルドマスターが俺だとハセヲは偉そうに笑った。
 冒険者には鉄則と呼ばれるいくつかの制度がある。
 それはレベルであったり、職業であったり、リーダーの存在であったりパーティの制限人数であったり。
 たとえば冒険者にはその人に応じたレベルというのが存在するそうだ。こちらのランク付けに似たようなものらしい。もっともあちらはもっと厳密で、百以上の数値で定められる。
 そしてあらかじめC.C.社が調べたエリアレベルと見比べて仕事を選ぶらしい。
 ほかにも大人数の冒険者が徒党を組むとモンスターがそれを察知して大量に現れるらしい。
 それはいったいどういう原理なのかは知らないが、最小で四人のときに数十対の群れがやってきたことからパーティの最大人数は三人までと決まっているそうだ。
 そして、一番心に残っているのがこれだ。
「俺の世界は、冒険者の中でも職業が決まってるんだ」
 たとえば双剣士とか斬刀士とかな、といって彼はその手に一つの大剣を取り出した。
 それは普段使っている流麗な剣シラードではなくギザギザのもの。まるでのこぎりみたいだと横目に見ると、にやりと笑ったハセヲはそれを“動かした”
 思わずしりもちをついてしまった。人がターゲットトレーニングをしている最中にそんなことをするハセヲは十分に人が悪いと思う。
 そう、その剣は本当にのこぎりのように無数の歯の部分だけが回転したのだ。削り切るための剣だと言う。
64122レスの予定:2008/02/16(土) 02:52:03 ID:2lT/Usv0
 ハセヲの世界ではこういった武器が多数あって、初心者じゃまず扱いきれない。だから職業を決めて、使う武器を定めてからみんな一種類の武器を使いこなすそうだ。
 もちろん、使いこなせない奴らもいる、といってハセヲは小さく笑った。それは嘲笑ではなく自嘲的な笑みだった。
 特にハセヲのギルドではそんな奴らが多かったらしい。
 それもある一種類の職業の奴らだけが揃いも揃って駄目駄目で、それでもその職業を目指す奴らは減らなかったらしい。
 どうしてと、自然と聞き返していた。
「そいつらが全員、マルチウエポンだったからさ」
 そう言って、ハセヲは手に持つ大剣を消した。
 ハセヲは言わなかったけど、彼らはみんなハセヲに憧れてたんだろう。きっとスバルがなのはさんに憧れるように。
 パーティ人数制限がある彼の世界では、マルチウエポンという職業が生まれるのは必須だったのだろう。
 前衛もできて中衛もできて、そしてハセヲ曰く回復や補助などの後衛も可能な万能職業らしい。だがそれは、きわめて特殊な武器の多い彼の世界では、デメリットが大きくなりすぎるらしい。
 つまり、使いこなしきれない。
 人よりも多くの武器を使いこなさないといけない彼らは、いずれ能力不足の器用貧乏と成り果てる。
「それはお前にも言えることだぞ」
 そう言って、ハセヲは睨み付けるようにあたしを見た。
「昨日の訓練、特訓か? 見させてもらった。接近戦用の練習だったな。大方手持ちの技の種類が増えれば強く慣れるとか考えたんだろうが……」
「無駄だって言いたいの!?」
「そんなもん直ぐに結果が出るわけ無いだろ」
 あいつは呆れた様にため息をついた。絶対わざとだ。無性に腹が立つ。
 そう思って下唇をかむと、あいつはその腕輪をつけた左手を差し出してきた。
「これはな、俺の世界のパーティリーダー用の装備でな、味方の状態をある程度把握できる腕輪だ。もちろんこれも慣れが必要だがな」
 そう言うとその腕輪を外してあたしに放り投げてきた。慌ててあたしは抱き込むようにそれを受け取った。両手でデバイスがふさがってる状態の人間にこんなもの投げるなと思う。
 付けてみろと言われたので言うとおりにすると、頭の中に何かのモニターらしきものが浮かび上がった。それにはあたしのレベル、装備、そして武器熟練度と呼ばれるものが写っている。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:52:06 ID:6ms1lllX
支援!
多分途中でおさるさんになるだろうけど、その場合は00分を過ぎれば解除される。
それでも駄目だったら避難所だ、支援!!
643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:52:51 ID:2lT/Usv0
「それはな、俺の世界に昔いた勇者の装備を真似て作られたものらしい。まあ、今のお前じゃ自分のステータスくらいしか確認できないだろうがな」
 熟練度をよく見てみろといわれて、確認した。
 双銃熟練度4
 高いのか低いのか分からなかった。
 ちなみにレベルは23という数値だ。
「俺がパーティに入る。本来なら俺のステータスは確認できないんだが、まあ裏技使えば何とかなるだろ」
 そう言って彼が軽く左手を上げると、“ハ@ヲがパーテ%に入りまし$”とモニターに現れる。そのステータスはところどころ文字化けしていたが、肝心なところは確認できた。
 双銃熟練度30
 ステータスの欄を見ると限界みたいだ。いや、この腕輪で表示できる限界なのだろう。他の三つの熟練度も30になっている。レベルにいたっては150だ。
「きっとなのはやフェイトだって同じ様なもんだと思うぜ。強くなるってのはそういうことだしな」
 悔しくて、無力感で膝をついた。
「だったら、だったらどうすればいいの!? あたしのやったことは、無駄だったって言うの!?」
 思い返すのは支えてくれたフォワードの仲間たち。みんなとやってきたことを捨てなければいけないのだろうか。
 強くなりたい、そう思う。
 誰よりもとか一番とかを目指してるわけじゃない。ただ、何も失わないくらい強くなりたい。それがいけないことなの。
「駄目だなんて、誰も言ってないだろ。捨てるのがいやなら全部持っていけばいい」
「へ?」
 見上げると、ハセヲが手を伸ばしてきた。今までに本当にたまにしか見せない真摯な顔。
「決めろ。ここで一つの道にこだわり抜いて最高のガンナーになるか、それとも全て拾って苦しみの道を行くのか」
 普通に考えれば、あきらめるべきだ。接近戦なんて直ぐにマスターしきれるはずも無い。スバル以上に戦える自信も無い。エリオのように早く動けるはずも無い。だったら、『捨てる』べきだ。
 でも――。
 捨てたくない。
 そう思える。
 それほどまでにこの数日は大切に思えた。
 コンビだと言って、必要も無いのに一緒に特訓に付き合ってくれたスバル。そしてその特訓を支えてくれたエリオとキャロ。彼女たちとの日々が無駄だなんて思いたくない。
 だったら……。
「だったら、拾ってやるわよ。全部拾って、最高のマルチウエポンにでも最高のガンナーでも何でもなってやるわ。そうよ。あんたに出来て、あんたに出来て、あたしに出来ない筈が無いっ!」
 そう言って、私は銃を握り締めた。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:53:47 ID:2lT/Usv0
 そうだ。ハセヲだって、特別な才能なんて無い。なのはさんのように特別に強い砲撃を持ってる訳じゃなく、フェイトさんのように特別に速い訳でもない。
 レアスキルは何も無くて、特別な魔力変換資質は何も無い。それでいて、魔力量も特別に多いわけじゃない。
 だったらあたしと同じだ。負けるわけにはいかない。
 あたしの、ランスターの魔法で負けるわけにはいかないんだ。
「なら、全部に関わりぬけよ。味方も敵も、痛みも苦しみも、全部に関わりぬいていけ」
 そう言って、ハセヲは笑った。
 ほら立てよ。そういいながら手を伸ばしてきたので、その手を握って立ち上がった。なんとなく、本当になんとなくだけど今までとは少し違って優しい手だと思った。
「やる」
 その言葉とともにモニターに再び現れる文字。
“双銃の書を手に入れた”
「何?」
「使うかどうかはお前に任せる。使ったら多分引き戻せないけ……」
“双銃の書を使用しました”
 ハセヲが言い終わる前に、あたしはモニターを操作してやった。呆れるような顔でハセヲが見てくる。
「言ったでしょ。全部捨てないって」
 そう言って笑うと、あいつは呆れたような顔のまま小さく笑った。
 同時に景色が変わった。すぐ近くにいたはずのハセヲがいなくなり、レンガ造りの町並みが見える。あたしは十字路の真ん中に立っていた。
 空は天井で見えず、頭上に一つある大きなステンドグラスから差す光が幻想的な光景を作り出していた。
 体が不思議な光に包まれていき、その光が消えるころにはあたしのバリアジャケットが変わっていた。
 まず、両手の手袋が二の腕までを覆うものに、靴はブーツに変わっている。そして腕と足にはそれぞれ装甲板が取り付けてあった。
 かといってそれらの装備は特別重いものではない。それは今までよりかは少し重く感じるが、そう動きを妨げたりはしないだろう。むしろこれが最低限なのだと思い知る。
 接近戦をするには武器や魔法だけじゃない、装備そのものを見直さないと駄目なんだというこの時ようやく思い至った。
 接近戦を仕掛けるにはデメリットもある。今までと比べて格段に攻撃をくらいやすくなるんだという事を忘れていた。これならば、相手の攻撃にもよるが一撃くらいなら耐えられるだろう。
645名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:54:38 ID:2lT/Usv0
“クロスミラージュに双銃の書が干渉しています。システムリミッターによって双銃の書がブロックされています。システムリミッターをリリースしますか?”
 モニターに現れた文字を不思議に思いながらも、とりあえず“Yes”を選択する。
「お前ちゃんと読んでんのかよ? 全部捨てないってことは、何でもかんでもハイハイするって意味じゃねーぞ」
 わ、分かってるわよ! ちゃんと読んでるし考えてる。ただここまできて、やっぱやめたは無いでしょ。
“システムリミッターリリース。第二形態ダガーモードの使用が可能になりました。双銃の書によって干渉されています。システムに相似点が見られます。
 双銃の書によって更新・最適化を行いますか?”
 ダガーモード、自然と頭の中に浮かび上がった。それはあたしが考えたものと似たものだった。
 ただ、デバイス形状そのものを変化させるこちらのほうが理論上出力は遥かに上がるはず。浅知恵だったのか、あたしの考えは。無駄だったのか、あたしの決意は。いや、無駄じゃない。
「Yes!」
 これで無駄にならない。そして今までの特訓はこれからのための経験になる。無駄にしてたまるものか。
“クロスミラージュが最適化されています。双銃剣・双幻忍冬(クロスミラージュ=スイカズラ)を手に入れました”
 それは、クロスミラージュともダガーモードとも違う
 モニターにはもう双銃の欄はなかった。代わりに双銃剣の欄が新しく生まれていた。
 双銃剣熟練度5
 これはいわゆるデータで、これだけで強くなったなんてことは無い。それは分かってる。でもうれしくて、捨てずにすんだことが本当にうれしくて、少しだけあたしは泣いた。

 その後行ったのは、スバルを交えたトレーニングだ。相手はもちろんハセヲ。慣れるまでは相手してやるって言っていた。
 その結果は散々で、結局のところスバルの攻撃は全部双剣ではじかれて、もちろんあたしの接近戦は全然通用しなくて、結局射撃はほとんど手甲で防御された。
 武器を双剣と双銃しか使わなかったことを考えると、本当に手加減してたんだろう。
「よく見ろ」
「よく考えろ」
「陽動はいいが、手を抜くな。気を抜くな。それを捨てるって言うんだ」
 結局、その日は動けなくなるまで訓練してようやく新しいデバイスに慣れた。次の日の訓練に響くかと思ったけど、そんなことは無かった。
 むしろいつもより疲れが取れていてビックリだ。ただ昨晩気を失う寸前にハセヲがウリプス・ウリプスと連呼していたのが気になる。
 ちなみにスバルはまだ余裕があるのか倒れたあたしを運んでくれたらしい。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:54:39 ID:6ms1lllX
黄昏の腕輪?
それとも薄明の腕輪?

腕輪の効果はデータドレイン以外は属性値のチートだけだよ支援。
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:56:11 ID:2lT/Usv0
 

「さあて、じゃあ午前中のまとめ。2on1で模擬戦やるよ」
 そう言われて、あたしたちは打ち合わせ道理に以前のバリアジャケットとデバイスを纏う。今日あたしは一度も新バリアジャケットも新モードも使用していない。
 もちろん手を抜いたのではない。
 油断を誘うためだ。
 なのはさんに勝つ。それが今までの特訓の目標だった。
 もちろん、それは絶対じゃないしそのこと事態に意味なんて無いけど、今までやってきた自主練の成果を見せる意味でも模擬戦は良い舞台だと思う。
 射撃主体のスタイルは変えず、でも相手に合わせて戦い方を変える。
 ガジェット相手なら射撃援護だけで十分だが、なのはさんに射撃で勝つ自身は正直言ってない。防御もなのはさんのほうが上だ。
 思い浮かぶ方法は二つ。
 一つは幻影と併用して無理やり弾幕を張り、相手の動きを止めきる。そして無理にでもスバルの攻撃で防御を抜いてもらう。 
 でもこれは特訓成果を発揮できるかどうか。そして問題が二つ。幻影併用の弾幕で足を止めきれるかどうか。
 なのはさんには幻影だって分かってるし、十分に足を止めきれるか。そしてスバルの攻撃で確実に防御を抜いて攻撃を与えられるか。
 だったら方法はもう一つ。フィールド貫通・防御破壊効果をモードそのものに組み込んだ魔力刃で防御を切り裂く。そしてそこにスバルの攻撃。
 これが決まれば確実になのはさんにダメージを与えられるはず。
 今までのスタイルは捨てない。そこに新しいものを組み込んでやる。
 それがあたしの戦闘スタイル。
 それまでのプロセスを正確に組み立てる。あたしとスバルに出来ること。それをうまく組み合わせれば。
 模擬戦が始まった。突如視界に広がるウイングロード。
 スバルには出来るだけなのはさんの視界を遮る様に、それでいて不自然じゃないように伝えてある。それは打ち合わせ通り、昨日ハセヲで予行練習しただけのことはある。
 一瞬だけだがなのはさんの視界からあたしとスバルの姿が消えた。
 私はすばやく幻影を立ち上げると出来るだけ視界に入らないように移動を開始する。
 オプティックハイドは使わない。あれは他の魔法との併用には不向きだし、ここで姿を消しても意味があまり無い。
 代わりにフェイク・シルエットを使用。スバルの幻影を作り出してウイングロードの影から建物の影に隠れさせる。
 一瞬だけでも気を紛らわせればいい。それとタイミングをずらしスバルも飛び出す。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:57:07 ID:2lT/Usv0
 先が本物、後が偽者。
 一瞬でこれを見極められる人なんていない。それだけの自信がある。
 その隙になのはさんの視界から完全に消える。スバルと幻影に気を取られて、なおかつあたしがなのはさんでもあたしよりスバルに注意する。
 単純な攻撃力ならスバルのほうが上だから。なのはさんほどの防御を持ってたら、自然とそうなる。
 その考えは当たった。
《ティア、成功》
 移動中に聞こえたこの言葉に、思わず笑みを深くする。これで作戦の第一段階は成功。
 次は第二段階。
 ウイングロードが全て切り替わる。
 今まで展開されていたものの中で無駄と思われるものを全てカット。スバルが移動に使う分だけ展開持続させる。
 代わりに。再びなのはさんの目の前にウイングロードを展開。一瞬だけだが視界を遮って、その隙に。
「クロスファイアシュート!!」
 生み出したのは8発。2発を最短ルートで、2発を少し弧を描く様になのはさんに。残りの4発はウイングロードの陰に隠しながら。
 ここからは練習してない。でも、イメージは出来る。一瞬でも気を抜かなければ。



 なんだかいつもと違うと思う。
 模擬戦前にすごく気合十分だった理由は、これなのかな。
 ウイングロードの使い方をずいぶんと変えてきた。移動用と同時に、目くらまし。
 さらに同時にティアナの幻影。
 スバルの魔法が助ける形で現れたそれと、同時に飛び出したスバル。どちらが本物なのか。どちらも偽者なのか。
 一瞬迷う。こういう時は射撃しながら両方が見える場所に移動する。どちらが本物だったとしても、どちらも叩ける位置へ。
 どちらも偽者だったとしても、どちらもほうって置く事はしない。早めに潰せるなら潰すべきだ。
 移動しながらのディバインシューター。
 視野を広く、次につながる戦い方をする。センターガードの基本なのだから。
 同時に考えるのはスバルがどうするのか。防御するのかな、避けるのかな。進む、退く?
 一人のスバルは、すぐ左に逃げた。同時にさらにウイングロードを製作。
 わずか一メートル四方、畳くらいの大きさも無いそれだが、誘導しきれなかったシューターはそれにあたり爆発。
 もう一人のスバルは受けるのでも避けるのでもなく、なんと飛び降りた。
「え!?」
 そんなのは回避ですらない。
 驚きつつも下にウイングロードがあることを確認した。同時にシューターを向かわせる。着地とほぼ同時に着弾。
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:59:14 ID:I6F3y9/m
支援
650名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:59:32 ID:/ZXwf6yO
支援支援
651名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:00:10 ID:2lT/Usv0
 
 しかし私は見た。着弾寸前に着地したスバルが掻き消えたのを。ならそれは幻影で、本物は。
「さっき避けたほうかな?」
 それとも、それも幻影?
 どちらなのか、マルチタスクは使っても同時に二つのものは見えない。飛び降りたスバルの幻影に注意がいって、見失ってしまった。
 なかなか面白い戦い方だね、でも。
 今日の二人の戦い方は、いつもと全然違う。スバルのウイングロードの使い方は幻影主体のもので、いつもスバルが移動選択用に出してるものが出てない。
 それだとスバルの攻撃が丸見えで、幻影を生かしてるようで殺してもいる。
 ティアナの戦い方は幻影主体で、スバルの移動を生かしてるようで、射撃自体が少ないからスバルの移動を生かしきれていない。

「クロスファイアシュート!!」

 そう思った瞬間だった。やって来たのはクロスファイア。その数は4。スバルのウイングロードもティアナの幻影も、このための伏線? だとしたら、甘い。
 ほぼ同時の攻撃だが、数も少ない。同時ではない上に、軌道も単純。
 避けれる。
 そう思った瞬間。

「ウイングロード!!」

 目の前に、一筋の道。青い道は私の下を塞ぎ、避ける方向を限定する。
 でも、それだけ。

「甘いよ!」

 同時に一瞬だけ飛行を解いて、ウイングロードに着地。そして数歩かけるとジャンプ。同時に飛行。直ぐ後ろで爆発。もちろん背中にプロテクションは忘れない。
 さっきのスバルと同じ避け方。

「ウイングロードの使い方は面白いけど、相手も利用できるってことを……」

 考えて。
 そう言おうとした。
 そう言うはずだった。左右下方向からのさらに2発のクロスファイアが来なければ。

 アクセルフィン

 とっさに動いた。避けたのは上でも後ろでもなく、前。そしてすぐに上に避ける。
 下方向から来たそれらは思った通り、弧を描きながら上に。そのまますぐに私に飛び掛ろうとして、私のプロテクションに当たって砕けた。
 クロスファイアはまったく別方向から来た。誘導系の魔法であるのでそれ自体は疑問は無い。
 だけど軌道が見えなかった。
 前の二つに気を取られたのはある。だけどそれ以上に。

「幻影とウイングロード、だね」

 本来移動用のスバルの魔法を、ここまで攻撃に組み込むとは思わなかった。
 スバルのウイングロードとフェイク・シルエットで気を引く。同時にウイングロードで隠しながらの誘導射撃。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:01:16 ID:TxJ4nzMy
支援
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:01:20 ID:2lT/Usv0
 面白い戦い方だ。
 いや、ウイングロードを戦いそのものに組み込むのは私も考えていた。
 当然だ。
 彼女たちの指導官は、私なんだから。
 ただ、スバルがすぐにこれを使いこなせるようになるとは思わなかった。スバルの性格ならぶっつけ本番は無理だ。
 練習したんだろう。
 でも。

「上手いけど、下手だよ」

 使い方は上手だと思うけど、でも利点を消してる。
 スバルの長所の接近攻撃も、まだ一回も通ってない。当然だ。
 陽動に回した分、スバルの行動範囲は狭まった。
 本来の戦い方なら、そろそろ一撃繰り出してもいい頃合なのに。

 そう思った瞬間、再びウイングロードが消えた。同時にまた現れる。私を囲む形で。
 スバルが攻撃に回ったのだろう。だったら、ティアナは?

 思うのと、見つけるのはどちらが先だったろうか。

 砲撃用の魔方陣。そしてそこから飛んでくる2発のクロスファイア。クロスファイアで気を引いた後の、遠距離射撃?
 だとしたら、甘い。

「アクセルシューター!」

 目標はクロスファイアと、ティアナ本人。さらにスバルにも。さて、どうする?
 スバルはウイングロードを乗り換えて避ける。危ない避け方だが、受けるよりかずっとマシ。
 ティアナは、避けない!?
654名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:02:22 ID:2lT/Usv0
 それどころか砲撃魔法を撃とうとして、そこで着弾! まさか!?
 足音が聞こえる。すぐ近く。
 マッハキャリバーを履くスバルな筈がない。だとしたら。
 背後に気配を感じた。
 上に魔力を感じる。
 上と真正面からの、ほぼ同時攻撃。しかもかすかに見えるのは、ティアナの銃先から見える、オレンジ色のダガー。

 なんて、危ない。

 ラウンドシールド

 スバルの攻撃をシールドで防いで、ティアナの攻撃はレイジングハートで防ぐ。

 何でこんな。一歩間違えれば二人ともぶつかって大怪我する。ウイングロードのせいで、後ろには逃げれないけど、それでも横に逃げればどうなるか分からないのかな。

 失敗したら、大怪我するんだよ。

そう思って。



「Xthモード!」



 その瞬間、ティアナの声が聞こえた。



 今だと、そう確信した。
 横に逃げない。
 なのはさんなら、横に逃げないはずだ。
『だってなのはさん、やさしいもん』
 スバルが言った言葉は本当だから。甘くは無いけど、でも優しい。
 だから。

「Xthモード!」

 そう叫んだ。
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:03:45 ID:2lT/Usv0
 同時に光が満ちる。体が少しだけ重くなって、でもそれは頼もしい重さで。
 スバルのリボルバーナックルの重さもこんなものかなとふと思った。
 装甲板が、両手の銃剣が、今とても頼もしく思える。
 後はタイミングだけ。

《ミスらないでよ、スバル!》
《もちろん!》

 ならもう心配ない!
 きっとやれる。




 なのはのレイジングハートがティアナのダガーを止める。同時にスバルの攻撃はなのはのラウンドシールドに止められた。

 そして。



 不意打ち!!



「疾風双刃!!」



 それがティアナの切り札だった。



「アーツ?」
 SAのこと? スバルが使う?
 はじめはそう思った。でもそうじゃなくて、それはハセヲの世界のスキルらしい。
 魔法とは違う、接近戦用の職業の人が使う近接戦闘法。
 アーツ。
 他にも連撃と反撃とか教えてもらったけど無理だわ。
 反撃は何とかなるかもしれないけど、連撃は無理。何発もなのはさんに当てる自信が無い。
 あたしに仕えるのは単体でのアーツ発動だけ。
 いくつか見せてもらったけど、天下無双飯綱舞とかJUSTICEとか反則でしょ。
 結局覚えたのは、熟練度5までの技。本当は削り三連とか思えてもらいたかったらしい。これは特に固い敵に有効らしくて、バリアブレイクの性質があるとはハセヲ談。
 後2熟練度が足りないらしい。結局特訓したが届かなかった。熟練度は6でストップ。
「ガジェットだって簡単に潰せるぜ」
 それはハセヲだからじゃない?
 でも本当なら、絶対に覚えてやる。
 まあ、覚えてない技を頼りにするわけもいかない。一双燕返しはなのはさんに聞くかは微妙らしい。飛行モンスター専門の技らしいし。
 使うのは疾風双刃。それしかない。
 それを反撃されずに確実に当てる。
 どうやって?
「なら、不意打ちでもするか?」
 ハセヲの言葉に、私とスバルは目が点になった。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:05:51 ID:2lT/Usv0
 


 ダガーがレイジングハートに触れた瞬間、三体目の幻影が消えた。
 驚くなのは。同時に消える背後のウイングロード。
 陽動から移動用に完全に切り替えたと思わせた、最後のフェイク。
 そして。
 なのはの視界外からの、

 不意打ち!!

「疾風双刃!!」

 それは両方ともハセヲの世界の技術だ。モンスターの視角外から攻撃することで攻撃力を上げる“不意打ち”
 そして双剣では初期アーツである、“疾風双刃”

 本来なら組み合わせることが出来ないこれを、スバルの協力で組み合わせることに成功した。
 正直、ハセヲも驚きである。


 なのはは咄嗟にレイジングハートを捨てる。持ったままでは間に合わない。スバルはシールド突破できてない。
 なら。
 レイジングハートを捨てた右手で、さらにシールド展開。
 逆袈裟からの三連撃を、何とか防ぐ。
 同時にそのアーツでシールドが壊された。
 でも、遅い。
 なのはの右手は、そのままティアナのデバイスの刃を掴み取った。



 見たことも無い形だ。
 モードUじゃなくて、でもモードTでもなくて、たとえるなら今までのクロスミラージュの銃身の下からドスが飛び出ている感じ。
 そして銃身から突起したものが手を防護する形になっている。まるで拳銃に、私たちの世界の銃剣を無理矢理くっつけた感じ。そして刃に沿って現れているのは高密度の魔力刃。
 そう思った瞬間、ティアナが笑った。
 
 まだ、気がついてないの?

 瞬間、手に持った魔力刃が消えた。



 やっぱりなのはさんはこうした!
 予測通りだ!

 あたしはそう思った。
 後から思えば馬鹿だけど、そう思ったんだ。
 さっきから予測通りのことばかり。
 アドリブもいくつかあったけど、問題は無かった。

 なのはさんは優しいから、私たちに怪我をさせるような戦い方はしない。だったらあそこで避けれるはずが無い。
 そこに、前後からの攻撃。
 幻影を入れると三方向。
 さらに私の完全な不意打ち。
 足音を紛らわすのが課題だったが、幻影だと誤解させれた。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:07:27 ID:2lT/Usv0
 なら後は。
 バリアブレイク付与の、



 ダブルトリガー!!

「JUDGMENT!!」



 これで!

 同時に撃たれたのは!

「クロスファイアシュート!」

 なのはさんの、魔法。
 しかもそれはあたしの!
 どっちが強いか?
 そんなの決まってる。
 ダブルトリガーは追撃足りえるが、決めて足りえない。さらにバリアブレイク付与のせいで威力も下がってる。

 やられた!!

 そう思った瞬間。
 黄色い光の中を走る白い影が見えた。
 あれは?



 アーツ“疾風双刃”
 発動直前での、強制打消し。
 これは本当に裏技だ。おかげで両腕が痛い。ただこれをすると、俺でも地形を超えた瞬間的な移動が可能になる。たとえばこんな。
 俺はなのはとティアナの間にいた。
 アーツを打ち消した俺はすぐに両手の双剣で二つの射撃を払う。弾数は左右数えて……あんまり数えたくない。
 とりあえず、普段こんな攻撃を捌くことはめったに無いだろう。
 イメージするのはあいつ。
 あいつに出来て俺に出来ない筈があるか!
 両手に持つのは、あいつと同じ虚空ノ双牙!
 痛む腕で無理やり、全ての攻撃をはじいて切り裂いた。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:08:44 ID:2lT/Usv0
 戦いの最中、俺はうれしそうに笑った。あいつは本当に抵抗らしい抵抗はしなかった。強いが甘い奴だと思った。
 だけど、その力で敵を倒すと極稀に相手を意識不明にすることがある。
 それを知ってたけど、俺はそんなことするつもりは無かった。
 直前で止めて、俺の勝ちだって言うつもりだった。
 結局、暴走だ。
 相手がクーンでよかった。これで別の奴が相手なら。
 ああ、いや。
 クーンは生きてたよ。
 殺しちまったけど、生きてた。
 クーンが持ってた力はクーンだけの特別な力があって“増殖のメイガス”って呼ばれてた。
 あいつは咄嗟に俺に殺される直前で、自分自身を増殖させたんだ。
 もちろん、そんなこと今まで試したわけもないし、出来るって決まってたわけでもない。
 ただあいつの機転で俺は救われた。
 殺さずにすんだ。
 そこで気がついたよ。
 力を手に入れたって、それに使われるわけにはいかないって。
 わざと無茶して、わざと無理して、そんなの駄目だって。

 言い終わりだ。
 そういう風に右手を軽く上げる。それだけでなのはは分かったのか、治療し終わった右手と左手でティアナの両手を握ると、顔を覗き込んだ。
 ティアナの顔は蒼白になってた。
 そう、気がついたのだろう。
 こいつも無理をしたのだと。
 もともと頭の良い奴だ。分かっていたはずだ。あそこでなのはが避ければどうなっていたか。
 無為やり作り出した不意打ちは、代わりにティアナから視界を奪った。
 あそこでなのはが避ければ、スバルとティアナはお互いに攻撃して自爆しただろう。
 カウンターのように。
 結果どうなるか。
 訓練中ではあるが、二人に十分な加減が出来るはずもなく。
 他に上空にいるティアナが幻影だと気がついていた場合だ。もしなのはが気が付けば、必ず避ける。
 受ける意味なんてないからな。
 結果どうなるか。
 分かりきったことだ。
 なのはが避けないと予測して、勝手に信じ込んで、そのせいで勝手に仲間や自分を危険にさらしたんだ。

「ティアナ、無茶は駄目だよ。何で訓練をするか、それは実践で通用するか危険じゃないか試すため。模擬戦はそのまとめで、力試しなんかじゃない。分かるよね」

 優しい口調だった。それゆえに痛い。
 スバルは不思議そうにしてたが、しばらくして気が付いたようにあっと小さく叫んだ。


659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:09:04 ID:VVbwzb94
支援!
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:11:15 ID:2lT/Usv0
 
 幸せな日々だった。
 俺はこの機動六課に来てから満たされていたんだろう。
 まるで“カナード”のホームにいるような感覚だった。もしくはG.U.の奴らといるときか。イコロでもいいな。
 こう考えるとギルドマスターの癖にいろんなところに顔出してるな、俺。
 まあ、そんな毎日だったんだ。
 ずっとこんな日だったら良いなって思ってた。
 分かってたのに。
 知ってたのに。
 幸せなんて毎日続くわけが無い。
 いつか問題が起きて、それを何とかしてくから幸せになれるんだって。
 ただ、俺の場合それが少し特殊だっただけ。

 そいつと会えた時の感覚は、“ようやく”だった。

 もしくは“もう”でも良い。
 早いと思ってるのか遅いと思ってるのかは分からない。どっちもだったかも。
 とりあえず俺の感覚では分からなかった。
 思い出すのは、隠されし禁断の聖域“グリーマ・レーヴ大聖堂”
 そこで俺は、昔こいつに敗れた。
 でも今なら。
 俺はこいつに勝たなくちゃいけない。
 こいつと俺はライバルみたいな関係で、だから戦友だとはっきりと言える。
 だからこそ倒さなくちゃならない。
 そう、決めたから。
 彼女が望んでいるから。
 そんなお前を見ていたくないから。
 だから!

「蒼炎のカイト!!」
「ハ@ヲ!!」

 二人の双剣がぶつかった。

 ここに、英雄が二人揃った。
 一人は“蒼炎のカイト”
 一人は“死の恐怖ハセヲ”
 かつて共に戦った、最強の騎士と最強の碑文使い。

 お互いに鏡のように双剣を繰り出す。
 同じように弾き、同じように組み付き、同じように武器を合わせ切り刻む。
 一度たりとも攻撃は通らず、一度たりとも攻撃を許さない。
 当然だ。
 俺はこいつに敗れてから、こいつの双剣だけを目指してきた。
 カイトの双剣は、俺の憧れで超えるべき目標だ!

 かつて戦ったのはいつだったか。
 ハセヲがまだ一人だった頃からの戦いだったのかもしれない。
 ハセヲは昔、双剣の連撃をカイトの片手に防がれた。
 それからの始まりだったのかもしれない。

 そして、次に戦ったのはいつだったか。
 再びあったのは隠されし禁断の絶対領域“モーリー・バロウ”
 そこでの戦いで、俺は確かにこいつを超えて。
 そこから因縁が始まったのか。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:11:57 ID:2lT/Usv0
 
 いや違う!

 因縁なんてもんじゃねえ!
 そんな軽いもんじゃねえ!
 魂が、心が、俺の中の俺が全力でこう言ってる!

 こいつとの始まりは!
 もっと昔だ!

 神話の時代に、初めて戦った!
 神話の時代に、俺たちは戦った!

 もっと単純に、もっと簡単に、俺たちは憎みあってたから戦った!

 そんな時からの、運命なんて生温い言葉じゃ言い表せない何かが、確かに俺たちの中にある!

 だから、俺はこいつのこんな姿を見ていられない。
 だから、俺はこいつのこんな力と戦いたくはない。

「ジェイル・スカリエッティに操られて、お前は満足かよ! そんな力で、俺と戦うつもりかよ! 答えろ!! 蒼炎!!」
「ハア@;ァ&$ァ@ァ#ァァァ!!!!」

 答えは無かった。
 でもその叫びが、そんな筈は無いと。そう叫んでいるようでとても嬉しく。

 右だけ、銃に変えた。本来攻撃用じゃないブレードでカイトの虚空ノ凶刃を無理やり押さえ込む。その間に連射連射連射!
 お互いに斬り合いは止めて力押し。単純な力だけ。

 ハセヲの右手の銃ブレードは砕けた。
 カイトの左手三枚の刃が一枚砕けた。

 ハセヲの銃がカイトの肉を削り、カイトの刃がハセヲの腕を削った。

 お互いに額をぶつけ合う。睨み合いながら、二人ともニヤリと笑った。

 離れたのは、同時だった。

 腕が痛い。まるでズタズタになったよう……、いやその通りだったな。
 だがカイトの腕も千切れかけだ。肩は潰れて飛び散った弾は頬や腹を抉っている。

 だが、まだまだだ。
 そう思うだろ! お前もお前らもな!!

 俺の中にある全ての力、古の碑文に記された八つの禍々しき波の力!
 その全てが、こいつを倒せと叫んでいる!!
 こいつがこいつである内に、倒すんだ!!

 そうだろ!!

 ス ケ ィ ィ ィ ィ ィ ス !!!!



662リリカル! 夢境学園:2008/02/16(土) 03:15:14 ID:6ms1lllX
いまさら1レス投下しそこねていたことに気が付いたorz
とにかく支援!
663名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:25:18 ID:NkTJTgxU
支援
664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:29:35 ID:wlVR2uye
これは連投規制かさるさんに引っかかったか?
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:32:01 ID:NkTJTgxU
避難所行きですか?
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:32:19 ID:oFfZnnZi
ポーン支援
さるさんかな
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:39:46 ID:oFfZnnZi
さるさんらしいな
避難所に来てた
代理が必要だそうで
俺は携帯なんで誰かパス

あと作者さん、携帯ならべっかんこを使うと閲覧・書き込みがスムーズですよ
668名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 03:42:43 ID:NkTJTgxU
代理投下やりましょうか?
669代理投下行きます:2008/02/16(土) 03:44:27 ID:NkTJTgxU
えっと、おさるさんくらったのでだれか見てる人がいたら代理投稿お願いします。
あと三レスくらいです。

 空に、二つの化け物が出たとき、それが何なのか分からなかった。
 それのうちの一つがハセヲの姿だと分かったのは、その魔力の光と優しさからだった。
 ただ、もう一つは誰なのだろう。
 そう思うと、どこからとも無くカイトという声が聞こえた。
 それを確認もせず、あたしは空を見た。
 そこには、全ての戦いが終わった筈なのに戦い続けてる二人がいた。

 一つは白い巨人。流線的なフォルムで、背中には大きな剣のような羽が八つ。その瞳は三つ、手には大きな鎌を持っていた。
 もう一つは青い炎で出来た赤い巨人。背中に大きな輪が浮かび、さらに六枚の羽。その両手には巨大な刃が三つずつ、六刃。

 二つがぶつかり合うたびに、大気が大きく震えた。
 まるで、昔の神話に出てくる神様同士の戦いのようだった。



 奴の蒼炎弾を俺の鎌が弾き、俺のホーミングショットを奴の双剣が弾いた。
 何度か打ち合いをやってみたが、結局のところ変わりない。

 やはり、小技は効かない。なら、決まってる。

 動いたのは、やはり両方同時だった。
 双剣と、鎌。
 ぶつかり合って、反動で分かれる。
 音はその後に来た

 ドゥン!!

 その音を聞く前に再び動いた。
 速さはこっちの負けだ。なら、スピードを遅くするなんて出来るか!
 再び突撃。
 今度は弾き飛ぶのではなく、弾かれながら無理やり進む。
 お互いの位置が逆になり、さらに再びぶつかり合う。
 ぐるぐると、ぐるぐると。
 ぶつかっては弾け、弾けては飛び掛り。
 まるで惹かれあう星々のように、二人は回りながらぶつかり合う。
 何度が打ち合いきりあった後、自然と別れた。
 体の所々が焼き切れ、奴の体も所々が削り切れてる。
 状態はほとんど同じ。
 このまま打ち合っても削りあい。結局無意味だろう。
 なら。
 一撃で決める。

 鎌を大きく振りかぶる。同時に奴も双剣を高く上げた。
 似たもの同士だな。
 そう思って笑うタイミングまで一緒だった。
 最後の激突、そして、



 データ・ドレイン



 光が消えた。同時に二人が降りてくる。
 ハセヲとカイト。
 まったく似てなくて、でもどこか似てる二人。
 二人とも背中を向け合って、倒れそうなところを無理やり立っている。
670代理投下行きます:2008/02/16(土) 03:46:38 ID:NkTJTgxU
目は、覚めたか?

 うん

 二人の声がとても遠く聞こえた。
 すぐ近くにいるはずなのに。
 二人は不思議と神々しく思えて、近寄っちゃいけない気がする。

 待たせたな

 そんなに待ってないよ

 皆集まってきた。でも不思議と近寄るものはいない。
 まるで舞台を見てるように、自然と足が止まるのだ。
 同じ所にいる筈なのに、まったく別の世界にいるような感覚。

 こっちこそごめん、君につらい役目を押し付けて

 気にすんな、俺もなかなか楽しかったしな

 声を出してはいけない。
 舞台なんだから。
 神話なんだから。
 私たちは口を出せない。

 それより、いいのかよ?

 君こそ、どうなのさ?

「は、ハセヲ!」
 我慢なんて出来なかった。だって彼らは今にも……。
 私の声がきっかけになって、二人を呼ぶ声があたりに響く。
 機動六課の皆がハセヲのことを呼んでる。
 ナンバーズの人たちがカイトという人の名を呼んでいる。

 まあ、未練はあるな

 でも、覚悟はしてたから

 そう言うと、彼は顔を上げた。
 泣くなと、言った気がする。それでようやく泣いてることに気が付いた。
 思わず駆けつけそうになって、そのときになってようやく体が動かないことに気が付いた。
 周りは何も無い白い世界。
 私たちとハセヲたちの周りにはガラスの壁があって、いくら叩いたってそれは砕けなかった。

 じゃあな

 またね
671代理投下行きます:2008/02/16(土) 03:47:15 ID:NkTJTgxU
そう言って、彼らは最後の瞬間まで優しく微笑んでいた。







 それは、無限書庫で見つかった一つの神話の物語。
 それはほとんど失われて、ほんの一部しか解読できなかった。
 それは今から、数百年前の話。
 黄昏の碑文と呼ばれる、一つの神話の物語。
 そこに描かれるのは、青い炎を身に纏った一人の勇者の物語。
 そこに紡がれるのは、大きな鎌を担いだ一人の勇者の物語。
 二つの物語は紡がれ、一人の少女へとたどり着く。
 一人の少女は、世界を救ってくれた英雄二人を強く想っていた。
 二人に感謝を、二人に友愛を。
 その想いを持って、彼女は自分の住む世界の守護者を生み出した。

“蒼炎のカイト”
“死の恐怖ハセヲ”
672代理投下行きます:2008/02/16(土) 03:47:37 ID:NkTJTgxU
眠りに付いたはずの二人の英雄が起きたのはどうしたことか。
 始まりは、一つのかけらだった。
 それは少女の父と母が残した、少女のためのもの。
 それを見つけてしまった男がいた。
 その名は、ジェイル・スカリエッティ。
 彼はそれを元に生み出した。いや、蘇らせた。
 長き眠りについていた、傷ついた勇者を。
 永き時を経て、癒されるはずだった英雄を。
 体に無理やり埋め込まれた欠片で、操り人形のように扱っている。
 そんな彼を見ていられなかったのが、滅びた世界と数多の世界を渡り歩く少女だった。
 彼女はかつての楽園で一人願った。
「助けてあげて、欲望に取り付かれた誇り高き勇者を」
 そんな彼女の願いを聞き届けたのは、守護者の片割れ。
「……ああ、まかせろ」
 そうして彼は歩き出した。
 方法は一つ、データドレインで、奴の中にある欠片を、フラグメントを破壊する。
 それで奴は救われる。
 守護者の力はほぼ互角、だからこそ、命がけになることは分かっていた。
 それでも、彼は歩く。
 きっと、どこまでも。



「ここが、ハセヲの生まれた世界だったんだね」
 それは砂だらけの世界。
 いくら守護者といえども、滅び行く人々は救えなかった。
 だからいずれまたこの世界を訪れ、ここで暮らし行く人々のため、守護者たちは眠りについていたのだ。
 砂しか見えない世界を、なのはは歩いていた。
「管理局が調べたハセヲのデータ。全部偽者だったんだってね。管理局のデータを改竄、さすがだね」
 もともと人では無かったハセヲは、そうやって管理局の調査を掻い潜っていた。
 結局ハセヲの正体は管理局でも分からずじまい、一部の関係者を除きハセヲは行方不明ということになっている。
 あの事件から、もう一ヶ月がたった。
 時の流れは速くて、なんだか時々なのははついていけなくなる。
 だから速すぎる流れに逆らうかのように、なのはは自然とこの出会いの世界を思い出していた。
 不思議と、今なら分かる。
 歩いてみると目に見えるのは不思議な世界。
 砂漠だらけの、世界のはずなのに。

 見た事も聞いた事も無いような巨大な瀑布。
 この世の最果てとも思える場所にそびえる、不思議な門。
 夕焼けの染まった、レンガ造りの教会。
 池の中に、白い大きな木がそびえ立ってる。
 比較的新しい建物が建っている、そばに蒸気船の止まる島。
 五つの石碑と、中心に鎮座した竜の石像。
 
 歩けばいくらでも見えるようで、その中の全ての光景にハセヲがいるようで、なのはは立ち止まった。

「ハセヲ。ぅうっ、あい…たい…よ……」

 ポーン

 それはハ長調ラ音。

 音が、聞こえる。

 The end
673代理投下行きます:2008/02/16(土) 03:48:01 ID:NkTJTgxU
以上代理投下でした。
>>668-673
代理ありがとうです。助かりました。

>>667
べっかんこ、教えてくれてありがとう。これで書き込めてるのかな。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 05:20:05 ID:CoBqqvxh
今更だけどR-TYPE読んだ。
って寝た直後に投下とは……なんというタイミングの悪さ。
欝展開が続きそうだが一人も欠けることなく最終的には大団円になってほしい。
あ、死なないのはリリカルキャラで、アレイムキャラはいくら死んでもOKですので。
というか、名前もキャラ設定もないし、それが彼らの役目として固定されているような感じしかしないため。
結局この艦隊はTACTICSのとは別物で黒幕は22世紀の地球で目的はミッドチルダの魔法技術?
バイド開発には魔道工学が使われているから、でなければ殲滅命令を下さない理由がないし。
個人的にはここでTACTICSバイド軍エンド後設定の地球を去った後のコンバイラが流れ着いてきて、
フェイトを助けバイドの暴走を阻止、そして攻めてきた敵(地球軍)の正体が明らかになる展開を希望したい。
人の心を持ったバイド(元人間)が、狂気に堕ちた22世紀地球軍と戦う展開なんて燃えないか?
コナミのSDスナッチャーに『肉体をもった悪魔よりも、心の宿った機械の方がより人間に近い』という台詞がある。
ここでは『狂気に満ちた人間よりも、心の宿ったバイドの方が真の意味で人間に相応しい』を訴えたい。
辛い展開が続いても最後にはそんな絶望さえを覆すカルタシスの後に希望が示される終わり方を、個人的に希望。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 06:51:41 ID:GmF0wu01
>>675
お前ウザイ、NTの9言並みにウザイ
こうなって欲しい、こうなることを希望って、何様のつもりだ?
そんな展開が見たいなら自分で書け

まったく、自分じゃ何一つ創作も出来やしない奴ほどぐだぐだ言ったりするな
677名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 07:00:20 ID:BzObR28M
ああ、R-TYPE・・・・・・
息を止めて読んだSSは初めてだよ……


俺も管理局対抗組織が作り出した一本腕の物語を頑張って書くぞー!
678名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 07:13:14 ID:cK5gEg5G
>>677
一本腕……アインハンダークロスと申したか
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 07:21:23 ID:ngkN+3Wr
>R-TYPE Λ殿
ウォーヘッドやラグナロックの解説GJ。
その内サブタイトルに、『アノ地球(ホシ)ヲコワスタメ。』
とでも入れるおつもりですかい?(まんまスパロボ)

Vプレイ当時、ラスボスのトドメの刺し方が解らず、必死こいて撃ち込んだり、弾をよけまくったりしたなぁ。
4本腕の軌道を見切るために、スタート(ポーズ)連打なんて無粋な事も…。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 07:46:58 ID:8MnjX6oY
>>675
SSの先の展開について言及するのはやめるべきではないでしょうか
もしもその展開に近いプロットを作者が考えていた場合書きづらくなるなど弊害が出るかもしれません

その上作者に対する要求が多すぎです
作者はあなたのためだけに作品書いているわけではないはずです
個人的な希望を押し付けるような真似は控えるべきだとは思いませんか?
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 08:24:54 ID:QgqXnqhT
>>611
乙。

レス見るとなんだかここのフェイトさん評判悪いなあ。
保護する対価としての要求でそんなに傲慢な事言ってたかな?
俺はフェイトさんを応援するぜ!
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 08:49:56 ID:ykOkBjrT
>>681
いや普通にフェイトさんは正しいと思うよ?
だがキャバクラのキャロは既に救われていた、それだけなんだよ
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 08:53:36 ID:ZShBIeT4
後はボスがあまりにも格好良い大人だったんで、StSにまともな大人が少ない分その鬱憤もかさなってるかと思われ
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 09:01:28 ID:cK5gEg5G
俺の主観だとむしろ評判いいと思うんだがw
あれは傲慢とか正しいとかじゃなくて立ち位置の問題だぜ

あと、彼女は自身の行為を否定されて揺らぐのがもの凄く似合うと思うんだ
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 09:31:03 ID:YT7UZl3J
>>682
キャロが既に自立してるからなあ。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 09:34:20 ID:CEUXLx1g
>>681
フェイトさんは来るタイミングが悪すぎたからねw
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 09:51:29 ID:ykOkBjrT
でもまぁ、もしも千年リング渡せとフェイトさんが言わなかったら
案外大人しく付いていったかも?決別した最大の理由はそこだしw
688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:41:03 ID:qgi8c/FP
執務官であるフェイトとしては千年リングは取り上げないといけないよなぁ。
ロストロギアかどうかは置いておくとしても、犯罪教唆をしたのは確かだし。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:01:00 ID:VVbwzb94
組織人としての限界でしょうなぁ

ウィジャ盤の効果がコントローラーに行くとすると、
犠牲者はフェイトさんじゃなくて上司?
690名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:20:53 ID:bHWdWrl0
御前等、GXでの事例を適用して良いなら
デュエリスト立場に立ってるモンスターが自身(または自身の分身)を
場に召喚して出陣するのなんてザラだったじゃないか。
今回のキャバクラ出演のフェイトはこの扱いでは無いのけ?
691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:24:42 ID:VVbwzb94
なにいってやがるですかwww

長編なら確執と和解がおいしいから

こ こ で こ ろ す な ん て も っ た い な い !

むしろ泥仕合のままドロー希望
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:27:48 ID:tgHyNR38
>>690
首領・ザルーグかwww

三期は鬱すぎる
693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:34:32 ID:Fim/fx+9
>>688
しかしそうしないと生き残れなかった。
694名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:43:57 ID:VLyTYw4f
キャロ「『切り抜ける』…? 『切り抜ける』ってのはちょいとちがいますね… 『ブチ殺し抜ける』…!」
695名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:57:06 ID:tgHyNR38
>>691
レッドアイズ・バーンで終わらせるのか
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:02:40 ID:ORcIYGMC
>>692
つまり覇王十代を呼べという事かwww
697名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:15:09 ID:4CHJuA0T
ここはディアバウンドでとどめを刺して能力吸収ですよ。
ソニックフォームなキャロ〜www
698名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:15:25 ID:BO2F8xrK
簡単に言うと「善玉」がキャロとバクラで、「悪玉」がフェイトさんということか。
それで「善玉」を応援して、フェイトさんが立場上難しい事になり応援も少ないと言う事か。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:20:22 ID:3BXn4f1R
スピリットバーンのライフ(この場合は魔力か)吸収はなくなってるのかな?
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:23:42 ID:S2dcRdAl
697さすがに殺すと色々面倒だし
戦闘不能にすれば能力得られるで緩くした方が。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:25:44 ID:BO2F8xrK
>>700
能力は奪うのか、それとも使えるようになるのか?
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:27:10 ID:tgHyNR38
>>701
使えるようになるんじゃね?

脱げなくなったフェイトそんなんて・・・・・・・・・・
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:57:07 ID:qgi8c/FP
なんかもー、フェイト=脱ぐのイメージが定着してしまったなぁw
せめてキャストオフと言ってあげるべきか?
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:11:49 ID:0S56prhO
キャストオフだとこーりんしか思いつかない。
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:16:17 ID:gE+ZCdaA
フェイト=マジカル脱げ女
プレシアママンもBJあんなだったし、というかアリシアで狂う前からあんな格好だtったんじゃろか
706名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:19:32 ID:tgHyNR38
テスタロッサの血に脈々と受け継がれる【脱衣魔法】――――――羞恥を忘れた時その力は全てを凌駕する。
ただし全裸は不可。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:30:33 ID:qfenwEZ5
>>705
え? 無印での回想だかフェイトの幻視だかでは
アリシア存命の頃のプレシアって普通のワンピースか
ドレス纏って登場してなかったっけか?
708名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:34:00 ID:Kd1nQV61
テスタロッサの女は勝負所でキャストオフするんだよ!
フェイトは脱げ女で、脱げ女がフェイトだよ!!
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:42:33 ID:egoaWalj
>>701>>702を見て能力を奪って脱ぐと素早くなるキャロ妄想した俺オワタ
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:51:17 ID:rd5095Nv
そろそろ脱衣ネタはウロス行った方が良いぜ。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:51:24 ID:QkDbbfmK
6年後のキャロは脱ぎまくりにきまっとる
712名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:51:45 ID:DsG/q7IM
むしろはいてない。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:51:52 ID:68Sd1ji1
フェイト「裸身活殺剣を使うしかない!」
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:16:11 ID:HXXPFaOa
>>713
その昔「裸身剣」という伝説の剣法があってだな・・・
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:23:38 ID:zmmPwi9K
>>708
こうか?
フェイト「クロスッアウッッ!!」
716名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:25:40 ID:suACPvdk
脱げば脱ぐほど強くなるッッッ!!!
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:33:09 ID:havNinO1
>>715
変態仮面自重www
718名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:36:46 ID:w+adimYz
とりあえず続きはウロスでや ら な い か
719ゲッターロボ昴:2008/02/16(土) 14:37:49 ID:UXn6N6hJ
第一話20KB超えてますよ…
というわけで投下いいですか。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:44:29 ID:rd5095Nv
じゃんじゃか投下してくれや。
721ゲッターロボ昴:2008/02/16(土) 14:47:52 ID:UXn6N6hJ
了解。
では開始します。

第一話「試練の時」

 それは厳めしい鋼の塊だった。
神話の時代を再現したような、馬鹿馬鹿しいほど大きな鋼鉄の巨人だった物。
巨人だった鋼の塊は、膝をついて紅蓮の炎に染まる空を見上げていた。
その巨人には既に左腕が無く、分厚い装甲も剥げ落ち無残にも超合金製の骨格を曝け出していた。
巨人が膝をつく場所はクレーターの中心だ。
地面に穿たれたいくつものクレーターが痛々しい。
次元世界有数の繁栄を誇った街並みは粉塵と瓦礫、無数の骸と炎の充満する地獄へと変わり果てている。
巨人と「神」の尖兵の戦の果てがこの地獄だった。

既に朽ち果てた巨人の青い装甲が開き、中から人間が一人、飛び降りた。
まだ若い。少女といってよい年齢の、青い髪のショートカットの女性である。
少女は周りの惨禍を見ると顔をくしゃくしゃに歪ませた。
かつて自分が遭遇したそれを遥かに超える光景に、一瞬意識を持っていかれそうになる。
今すぐにでも生き残っている人がいないか、炎の中に飛び込んで探したい衝動を必死に抑えて、
少女は巨人の胴に取り付きよじ登り、ハッチを見つけるとそれを力任せに引っ張り開け放った。
そして少女は中にいる筈の、今一番無事な顔を見たい親友の名を叫ぶ。
答えは、ない。
今度こそ本当に泣きそうになりながら、
少女はあらん限りの力で狭いハッチの隙間に身体を滑り込ませて中を覗き込む。

そこにあったのは

血塗れでコクピットに倒れ伏した友の姿。

流血によってそのオレンジ色の髪は真紅に染まっている。

赤い、赤い血が足元まで流れてきた。

少女は絶叫した。


 


 寝汗のひんやりとした感覚に目を覚ましたスバル・ナカジマは、のろのろと起き上がると深呼吸をした。
夢の中の惨状はその背中にびっしょりと汗をかかしていたし、手足の先が妙に冷えていた。
時刻は午前3時を指したところだ。
風邪をひいたらどうしよう、と思う。もし引いたら今日受ける魔導師試験は受けられなくなるし、
相棒のティアナはおおいに心配することだろう。
いやに現実感のある夢だった。
目蓋を閉じれば生々しく紅蓮の炎が目に浮かぶようで、ひどく恐ろしい。
自分が数年前に出会った空港火災事故のそれよりも、遥かに規模が大きく禍々しい光景。
ひょっとして試験の不安が夢として形になったのではないかとも思ったが、多分違う気がした。
もしかしたら、本当に起こることなのかもしれない。
あれは実は予知夢だったとか、そんなことになったりしたら――嫌だ。
それだけは許容できない。
ぶんぶんと頭を振って思考を切り替える。
何故あんな夢をみたのかわからないが、今はとにかく寝よう。
そう心に決める。
が、しかしそう思っても一度目が冴えると中々眠れるものではない。
寝汗をたっぷりかいたせいか、妙に背中がすーすーする。
ルームメイトである親友の寝息が、今はひどく羨ましかった。
722ゲッターロボ昴:2008/02/16(土) 14:49:19 ID:UXn6N6hJ
 ナカジマ家はミッドチルダと呼ばれる次元世界に元々住んでいた一族ではない。
そのルーツを遡れば、第97管理外世界――地球の日本と呼ばれる国家につきあたる。
魔法の存在しないこの世界の住人たちの中で、ナカジマ一族はふとしたはずみでミッドに漂着、帰化した一族だ。
スバルとその姉ギンガの父であるゲンヤ・ナカジマはその末裔であり、管理局地上本部に勤務している。
ギンガも父と同じ職場で陸士として働いており、二人はスバルにとって大きな目標だった。
一方姉のギンガや父のゲンヤは、スバルのことを危なっかしいと思いつつも大切にしている。
母のクイント・ナカジマは既に他界していたが、その悲しみを乗り越え3人は幸せに暮らしていた。
しかしその死の元凶がスバルに迫っていることを、このときはまだ誰も知らなかった。


 魔導師試験当日
空は蒼穹と呼ぶにふさわしい快晴であった。雲ひとつ見当たらない青空。
臨海区にある試験会場たる廃棄都市もまた、日光に照らされその朽ち果てた街並みをはっきりと映し出していた。
その光景は廃ビルの屋上から一望できた。
まるで――今朝の夢の惨状の成れの果て――。
脳裏に浮かんだそんな思考。
溜息をはきかける。
スバルはネガティブな発想を振り払うべくシューティングアーツの型を繰り出した。
ひゅ、と小気味よい鋭い空気を切る音ともに拳が打ち出される。
見事な動きである。
続けて二撃、三撃と拳を打ち出していく。
それでも、やはりあの光景は脳裏に焼きついて離れてくれない。
今度こそスバルは溜息をはきだそうとし――転んだ。
足元に瓦礫があったのに気づかなかったらしい。ばたん、という音とスバルの

「痛ぁ〜」

という声が空しく宙にこだました。
いよいよ重症ね、と隣のティアナは相棒の様子に溜息をつきたくなった。



ティアナは相棒の様子がおかしいことに今朝から気づいていた。
ティアナがどうしたのか、と聞くとスバルは

「昨日緊張して眠れなくって」
とティアナを安心させようとゆるい笑顔とともに答えた。
しかし。
そんな嘘に騙されるティアナ・ランスターではない。
第一普段から4、5日は寝なくても大丈夫と豪語している相棒がそんなことで参ってしまうわけがないのだ。
スバルは朝からことあるごとに溜息をついたり、急に格闘術の型の練習をしたりと妙にせわしない。
最初は試験の不安のためだと思っていたが、どうも見ていると違うらしい。
伊達に長い間コンビを組んでいたわけではない。
昨日はいつもどおり能天気だったというのに、今日の朝は表情がぎこちなかった。
(いったいどうしたんだか)
試験に影響が出ないといいんだけどとティアナは思いながらも、アンカーガンの最終チェックを行う。
感度良好。
愛用の拳銃型ストレージデバイスの調子はいいようだった。
不安点は隣でう〜、とちょっと泣きそうになっている相棒だけだ。
ティアナは今度こそ溜息をついた。
(大丈夫かしら)
やっぱり不安だった。
そろそろ試験が始まってもいい頃合だ。
723ゲッターロボ昴:2008/02/16(土) 14:51:59 ID:UXn6N6hJ
その日、試験が始まることはなかった。
代わりに廃棄都市で観測されたのは大規模なAMFと通信妨害。
廃棄都市近郊には無数の影、影、影。
ガジェットドローンと呼ばれる自律機械の群れが、雲霞の如く廃棄都市に迫っていた。



地上本部では突然の廃棄都市への襲撃に警戒態勢がしかれる中、
一機のヘリコプターがヘリポートから発着しようとしていた。
そのヘリに乗り込むのはスーツを着込んだ一人の男だった。年は20代後半から30代前半といったところだろうか。
顔は端整なものだったが、どこか冷血なものを感じさせる顔つきである。
前髪が妙に長いのも印象的といえる。
見送りには、数人の人物がいた。
中心にいるのは地上本部のトップであるレジアス・ゲイズ中将。壮年にさしかかったやや肥満気味の髭の大男だ。
その傍には娘であり秘書官のオーリス・ゲイズと若い女性の副官が一人。どちらも美人だった。
そしていずれもどこか異様な空気を纏っている白衣姿の男達がいた。
彼らはある計画の中心的メンバーである。
その中にいた出っ歯の老人が飛び出し、ヘリに乗り込もうとしていたスーツの男に声をかけた。

「おおい、隼人。かならず生きのいいパイロットをひろってくるんじゃぞ。この前のは話にならなんだ」
「それはまだわかりませんよ、敷島博士。まあ、今度のは大丈夫だと思いますがね」
そう言い笑みをこぼし、老人に耳打ちする。
敷島博士と呼ばれた老人は、それはいいわい、カカカと笑うとひょこひょこと見送りの人垣に戻っていった。
ヘリに乗りかかった隼人は、レジアス中将の方に向き直り言った。

「では中将。後のことはよろしくお願いします」
レジアスはうむ、と頷き

「では頼んだぞ、隼人二佐。あれにはミッドの平和がかかっている」
と返した。
ええ、と言うなり隼人が乗り込みドアを閉めると、ヘリはローターの回転音を上げ発進した。

「それでは快適な空の旅を、てわけにもいきませんがよろしくお願いします、二佐」
ヴァイス・グランセニック陸曹はそう挨拶し新型ヘリ「JF-704式」の操縦桿を軽やかに握った。
相棒のインテリジェント・デバイス、ストームレイダーも自分の流儀で挨拶する。
後部座席の隼人はああ、よろしく頼む、と言うとこの男には珍しく物思いにふけり始めた。
今頃廃棄都市の二人は大いに困惑していることだろう。
(失望させてくれるなよ)
ヘリは高速で廃棄都市に向かって直進していく。
神隼人という劇物を乗せて……。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:52:58 ID:4YQkQ0XM
支援
725ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:40:27 ID:rd5095Nv
ティアナは開始予定時刻になっても始まらない試験に、困惑しきっていた。
遅い。いくらなんでも遅すぎる。
そう思いながら隣の相棒に目を向けた。
スバルもまた困惑している様子で、形のよい眉をひそめている。

「ねえティア…もう始まってるはずだよね」
「そうよね…機器の故障かしら」
もしそうなら最悪だ。試験は数ヶ月先に持ち越しになってしまう。そんな長い期間待っていることはティアナにはできない。

「試験官の人が遅れたとか……」
スバルの希望的観測にすがりたくなるが、あえて反論する。
「それにしても遅すぎるわ。今回の試験――」
そこまでいったところで異常に気づいた。魔導師でなければ感じ取れないであろう違和感。
魔力の集束が極端に難しくなっている。

「スバル、これって…」
「あの…AMFってやつなのかな」
AMF(アンチ・マギリング・フィールド)――近年各次元世界で増加した、謎の自律機械ガジェットドローンによる事件でかならず観測される力場であり、この中にあって

は攻撃魔法はもちろん、飛行や防御、機動や移動に関する魔法すら妨害されることが確認されている。
二人は魔導師試験の為の勉強の中でこのフィールドの存在を知った。
魔導師殺しとでもいうべき兵装であるこれの存在に、ひどく驚いたものだ。
しかし。
何故この場でそれが感じ取れるのか。まさか魔導師としての力を試す試験でそんなものは使うまい。
となると残っている可能性はただひとつ。

「ここが襲撃を受けてるってこと…?」
「そういうことみたいね……ッ?!スバルッ!」
ティアナがいきなり大声を出しスバルを引き倒した。
刹那、スバルの頭の在った空間を光線が通過した。ティアナはアンカーガンを抜き光線の発射された方向に向け魔力弾
を撃ちまくった。
カプセル型のボディを持つ自律機械、ガジェットドローンTが火花をはきながら爆散する。
くそっ。
何故ここまで接近されるまで気づかなかったとティアナは己を責める。もう少しでスバルは死ぬところだったのだ。
AMFという特異環境に初めておかれたのであるからこれは無理からぬことだったが、それでもティアナは己を責めずにはいられなかった。
もう二度と―――兄さんの時のような思いは誰にもさせないと決めたのに。


 危なかった。
それがスバルが最初に思ったことだった。
もしティアが引き倒してくれなければ頭部を撃ちぬかれていたのだ。
そうなれば、頑丈さが取り柄の自分とて――死ぬ。
震えた。
怖い。
久しく感じていなかった死の恐怖。
数年前のトラウマ――空港火災事故のときのそれが蘇る。

血だまりが地面を―――赤く――染め上げて――炎の中――佇む男―――。
726ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:40:58 ID:rd5095Nv
「スバル!大丈夫?!」
現実に引き戻される。
ああ、心配してくれてるんだ。
スバルは妙に安心した。すとん、と憑き物が落ちたように落ち着く。
「うん、大丈夫だよ」
よかった、とティアナがほっと息をつき、無事だったならそう言いなさいよ、といった。
きつい言い方だったがいつものことだったのでスバルは
「ごめん」
軽く謝るにとどめた。
「それでこれからどうするの、ティア」
スバルの問いに、ティアナはアンカーガンを周囲に向け警戒しながら答えた。
「とりあえずここからの脱出が最優先ね。もう試験どころじゃないだろうし――」
引き金が引き絞られる。カートリッジが使用され膨大な魔力が消費される。
放たれた魔力弾は一発。
ヴァリアブルシュートと呼ばれる多重弾殻射撃。
AMFを突破し本体に打撃を与えうるティアナの射撃魔法である。
着弾。
貫通した魔力弾はさらに数体のガジェットを貫き破壊した。
素早くカートリッジを再装填し、射撃。
面白いようにガジェットが爆発していく。
「――行くわよ、スバル」
「わかった、ティア!」

 スバルは自分の魔法を発動させる。
ウィングロードと呼ばれる、足場を空中に発生させる魔法。
空中に架かる光の橋。
そこを高速で駆け抜ける。
ローラーブーツを履いているスバルはともかく、自分の脚で走っているティアナには相当きつい筈だが、立ち止まるわけにはいかない。
ガジェットドローンの光線が上空の二人に向けて発射されているからだ。
弾幕の中を駆ける二人に不思議と光線は当たらない。
まるで天の加護でも受けているかのように。
だが、その加護も長くは続かない。
弾着修正を行ったガジェットの光線が二人に迫る。
わきにスバルを抱きかかえ、ティアナはアンカーガンをビルの外壁へ向ける。ワイヤーが廃ビルの壁面に取り付き固定される。
ワイヤーの巻上げが開始され二人の身体が宙に浮き、数瞬前、二人がいた空間を光線の十字砲火が通り過ぎる。
窓を蹴破り着地。
ワイヤーを巻き上げながらティアナは喋る。
「スバル、あんたの拳であの壁打ち抜いて」
「オッケー!」
リボルバーナックルで魔力を圧縮、拳を強化し、踏み込みながら上体の筋肉で壁に殴りかかる。
一撃で壁が粉砕され、空中に通じる穴がぽっかりと開いた。
「あらためて見てもすごい威力ね」
「感心してる場合じゃないってば」
そうだったとティアナは思いなおす。
「それじゃあたしにつかまって。アンカーガンで向こうのビルに行くから」
スバルが自分の腰に掴まったのを確認するとワイヤーを向かいのビルに向け発射させ固定。

飛びださんとしたとき――3発の射撃が二人を襲った。
とっさに防御魔法を張るが、AMFで弱まったバリアでは限界があった。
バリアが打破られティアナの防護服に1発光線が着弾した。
腹に灼熱を感じながら、ティアナは意識を失った。
姿勢を崩し落下していく。
「ティア―――ッ!!」
とっさに空中で姿勢を入れ替え、自分が下になるスバル。
ティアナを抱きかかえ、転がるようにして着地する。
着地の衝撃でまいあがった土埃が二人の白い防護服を汚した。
727ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:41:27 ID:rd5095Nv
土埃の中スバルは立ち上がり、腕に抱えた失神したティアナを地面にゆっくりと横たえ、光線の発射方向を睨んだ。
前方30メートルほど先に、そいつは在った。
大きな球体のボディに、そこから生えたベルト状の2本の腕がうねうねと蠢き周りを威嚇している。
球体の下部からは多足歩行ユニットがにゅっと伸び、多脚生物のような動きでスバル達の方へと歩いてきていた。
後にガジェットドローンV型改と呼ばれる大型・重装甲の機種。
その背後からは無数のガジェットドローンT型が浮遊しながら接近中だ。
無数の発射口から、光線が一斉にスバルを狙い発射される。
刹那、スバルは跳んだ。光線を全弾回避。
大地を蹴り向かうはガジェットの大群。

「ティアを」
着地と同時にローラーが回転しスバルの身体を急激に加速させる。
頭の中でスイッチを入れるイメージ。
全身の強化骨格が唸りをあげる。
その瞳の色は、金色。
「よくもぉぉ―――ッ!!」




 突撃するスバルをモニタリングする機影が上空にあった。
隼人の乗るヘリである。

「二佐、あいつらやばいですよ!」
「かまわん。この程度のコトで死ぬのなら、今死なせてやったほうが親切だ」

ヘリを操縦していたヴァイスが叫んだが一蹴される。
ギリ、とヴァイスは奥歯を噛み締めた。
下の二人がどうなるか、なるべく考えないようにしながらヘリの操縦に専念する。
そうでもしないとなりふり構わず二人の女の子を助けてしまいそうだったから。
そんなヴァイスの姿を横目に隼人は極めて冷静だった。

「それに、ここで終わるようなタマではないだろう」
隼人はそう呟くとモニターの中のスバルに視線を戻した。
728ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:41:55 ID:rd5095Nv
 衝撃音とともに、また一体ガジェットが砕け散る。吹き飛ばされたガジェットは仲間を巻き込み爆散。
濃密なAMFの中、スバルは既に魔導師として戦うのをやめていた。
おそらくあの一際大きいガジェットが放つAMFのせいなのか、魔力を集束させるのが難しくなってきていたから――ではない。
魔導師にとって重要な、魔法が使えないということすらも、今のスバルにはどうでもいいことだった。
頭にあったのは、友を傷つけられたことに対する怒り。
その思いだけが、今のスバルを突き動かしていた。
忌むべき戦闘機人としての自分が目覚めていくのを感じながら、スバルは拳を眼前のガラクタに叩きつける。
魔力による強化も無い、純粋な筋力で打ち出された拳がガジェットの装甲を叩き割り、破片へと変えていく。
十数発の光線が飛来するも、疾風の様な機動性に追いすがることができず、当たらない。
それでもなお、意思を持たぬ自律機械は戦闘を続行せんとスバルに近づき、砕け散っていく。
回し蹴りがガジェット二体を巻き込みながら放たれ、最後のガジェットドローンTをスクラップにした。
人機融合。
その成果がまさにそこにあった。
次々と撃破され消滅した軍勢を前に、ガジェットドローンV型改がスバルを最優先目標に設定、襲い掛かってくる。
光線発射。
後ろに目がついているような動き。
回避。
多脚生物の如き動きで接近しベルト状の両腕を振るうが、攻撃は当たらないどころか逆にスバルに捕縛される結果となった。
スバルは全身の筋肉を使ってガジェットの右腕を引きちぎると着地し、ガジェットドローンV型改の多足歩行ユニットに回し蹴りを見舞った。
IS発動。
振動破砕と呼ばれる、スバルの戦闘機人としての能力。四肢の末端部から目標の物体に振動波を送りこみ破壊する、恐るべき能力である。
スバルの目論見どおり、振動破砕を叩きつけられた歩行ユニットは粉々になった。大地に落下する球状の本体。
がら空きの本体にリボルバーナックルを叩きつけ、振動破砕を使用する。
球状のボディに亀裂が入り、煙を噴出し内部から爆散してガジェットドローンV型改は沈黙した。


 目を開けるとそこにスバルの顔があった。
「スバル……?」
「ティア?!良かった…起きたんだね」
うん、といって起き上がりスバルを見ると、彼女はボロボロだった。
防護服は衝撃に耐え切れず一部が欠損しているし、足のローラーブーツは亀裂が走り使い物にならなくなっている。
「あんた…その傷いったい…」
そこまで言って気づいた。
自分達の前にうず高く積み上げられたスクラップの山に。
ガジェットだったものの亡骸。
「これ……一人で…?」
言ってから気づいた。
聞いてはならないことだったということに。
泣きそうな顔でスバルは言った。
「……うん。戦闘機人モードを使っちゃった。やっぱりあたし…」
その後に続く言葉は聞くまでも無くわかった。
やっぱりあたしは人間じゃないんだ、と。
ティアナが何もいえず立ち尽くしていると、何かが空から接近してきていた。
「新手?!」
それぞれのデバイスを構える二人の目の前に、ヘリが現れた。

729ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:42:23 ID:rd5095Nv
 ローターの回転音。巻き上がる土埃。

そんななかでも、鳴り響く音。

ぱちぱち、ぱちぱちと。

ヘリから一人の男が拍手しながら降りてきた。

男はいかにもブランド物の黒いスーツを着こなし颯爽と現れ、宣言した。

「私は神、神隼人。これから先貴様らに地獄を見せる男だ」

ティアナの本能がこの男は危険だと告げる。

「スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター。流石私が目をつけた人間だ。
いや、お見事お見事。君達の勇姿を見ていたらつい昔を思い出してしまったよ」
そう言い隼人は口元に笑みをたたえる。

「貴方はいったい何者ですか?」
「地上本部特務所属、神隼人二佐」

ティアナの無礼ともとれる問いに、隼人は余裕をまったく崩さず答えた。
特務部隊。
その噂はスバルもティアナも知っていた。
地上本部のトップであるレジアス中将の下で何事かを進めている、謎の部隊として聞いたことがあったのだ。
膨大な予算を給与されながら、本局上層部しかその実態を知らない、などと噂される奇妙な部隊。
それに属する男がいったい自分達に何の用なのだろうかとティアナは思う。

「ついでに言うなら君たちの事は色々と調べさせてもらったよ」
いったい何が目的でここに、とティアナが問う前に隼人は飄々と言った。

「スバル・ナカジマ。地上本部のゲンヤ・ナカジマの娘。地上には姉のギンガ・ナカジマも勤務」
そして――と、なんでもないように隼人はその言葉を口にする。

「姉とともに初期に生み出された戦闘機人の片割れ。それが君だ」

息を呑んだ。
スバルは驚愕していた。
どうして隼人がそのことを知っているのだ、と。
自分の秘密――スバルが人体と機械の融合体、戦闘機人であることを知っているのは限られた人物だけである。
スバル自身以外では、父のゲンヤと自分と同じく戦闘機人である姉ギンガ、
そしてスバルが自らそのことを伝えた親友のティアナの3人。
それ以外の人物が知っている筈が無かった。
なのに。
目の前の男はそのことをはっきりと告げた。スバルの驚愕はやがて警戒へと変わる。
スバルは能天気な性格をしているものの、その頭脳は明晰である。
眼前の男が戦闘機人である自分に気づくには、その出生記録からたどる必要があった筈だった。
もしそうなら、男はずいぶんと前からナカジマ一家について調べていたことになる。
特務などという組織に属しているのなら、調べ上げるのは不可能ではない。
だが。
(なんであたしやギン姉に前々から目をつけることができたの?)
それがどうもわからない点だった。
そこまで思考が行き着いたとき、スバルは唐突に閃いた。
ひょっとしたら。
この隼人という男は自分達の卓越した身体能力に目をつけたのではないか。
スバルは訓練校時代に度々その驚異的身体能力をまわりに見せていたし、ついさっきもその力を発揮したばかりだ。
そこから辿ったのであれば、ある程度説明はつく。
730ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:42:48 ID:rd5095Nv
そこまで考えたところで思考をスバルは切り替えた。
なんであれ目の前の男のアプローチは友好的とは言い難い。
きっとろくな用事ではないのだろう。
表情を険しくし、脚を一歩前に進ませそうになったとき、肩を誰かに掴まれた。
振り返ると
ティアナが肩を掴み立っている。
その目はこう言っていた。
まだ続きがあると。


 ティアナ・ランスターは兄の死に納得していなかった。
厳密に言えば兄が死んだ、ということ自体は既に心の中で決着しているもののその理由がどうも欠けていたのだった。
彼女の知っていることといえば、兄が任務の最中に殉職したというだけであり、
兄の死の真相はどんなに周りの大人に聞いてもわからなかった。
彼女が聞くことができたのは兄の所属していた空士部隊の上官の、兄への侮辱の言葉。
空士の面汚し、という台詞だけだった。
この言葉はまだ幼い少女だったティアナの心をひどく傷つけた。
唯一の肉親を失い、その肉親すら汚された少女に尋常な生き方ができるわけがない。

そして幸か不幸か、彼女は魔導師としての才能がありそれしか生き方を知らなかった。
管理局で執務官となり兄の名誉を取り戻し、兄の魔法の有用性を証明する。
それが少女の生きる理由となった。
幾度となく失意と挫折を味わおうと目的のために前進し続ける。
それがティアナ・ランスターという少女の在り方だった。
そして今、目の前の男は何かを知り語ろうとしている。
知りたい。
それがスバルをその場に止まらせた理由だった。
目で隼人を促す。
そして隼人が口を開きかけたとき、それは起こった。

 風が天に昇っていき、突如として暗雲が立ち込め空を覆いつくし始めた。
暗雲は雷光を撒き散らし、台風のそれのようにぐるぐると雲をかき乱しながら渦を形作る。
先ほどまでの快晴が嘘のような暗さにスバルとティアナは戸惑った。
馬鹿げた非日常の連続に頭がついていかない。
そんな困惑する二人を尻目に、隼人は顔を強張らせていた。
731ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:43:12 ID:rd5095Nv
「ついに来たか」
何が来たというのか、という二人の疑問はすぐに解消された。
なぜなら。
天空の渦の中心から現れた「それ」が目に入ったから。

 「それ」の姿を初めにとらえたスバルの感想は、とにかく大きいというものだった。
廃棄都市から遠く離れた空中にあってなお存在を主張する巨体。
その全身からは棘が何本も生え、黒い巨体を暴力的に見せていた。
さらに人型の上半身にぶら下がるように、太い棘の生えた球体をはやした異形だ。
右手の大鎌と相まって、「それ」は本能からくる恐怖をスバルに与えた。

「鬼。あれが我々が倒さなければならない敵だ」
隼人はそう呟くとついてこい、と言い足早にヘリコプターへと向かった。


 数秒ほど呆然としていた二人だったが、最初に動いたのはティアナだった。

「待ってください!」
兄の死の真相について聞けるかもしれない、という思いが普段冷静な彼女を焦らせていた。
隼人に追いすがる親友をスバルは止めたかった。
悪い予感がした。あの男についていったらもう戻ってこられないのではないかという予感。
今自分たちは極めて危うい境界線の上にいるのではないかという感覚に身を任せ、
友を止めようと声をあげかけたとき上空の巨大な鬼が動いた。
鬼の下半身にあたる球体から数本の棘が、首都クラナガンへ向けて射出される。
射出された太い棘はビルディングに突き刺さり――爆発。轟音とともにビルディングが崩壊する。
瓦礫とかした外壁が地上に降り注ぎ、悲鳴が上がった。
鬼が咆哮し、空気が震える。


 スバルの脳裏で今朝の夢の惨状がフラッシュバックした。
紅蓮の炎に包まれる街と瓦礫の山となった街並み、道端に転がるいくつもの骸。
大地に穿たれた無数のクレーター。
生存者の呻き声。
親を探し泣き叫ぶ子供――まるで過去の自分。
けれどそれを救ってくれる存在はいなくて―――とても悲しい光景。
気づいたときには駆け出していた。
ティアナが相棒の突然の行動に驚いた様子で言う。

「スバル!あんた何を――」

「隼人さん!あれを、あれを止められないんですか?!」

スバルの悲鳴にも似た声を聞き、隼人は言った。

「いや、止められる」

ヘリに片足を引っ掛けて、凄惨な笑みを浮かべて隼人は言い切った。

「そのための特務、そのためのネオゲッターだ!」

「ネオ……ゲッター…?」

巨人の目覚めは、近い。
732ゲッターロボ昴 代理:2008/02/16(土) 15:43:52 ID:rd5095Nv
以上になります。
ゲッターがまるで出てきません。
第一話なのになあ……


代理投下終了、任務完了。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:43:56 ID:WCsoms8h
支援
734名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:57:46 ID:9NvPzqji
GETTER!! じゃない、GJ!
735ゲッターロボ昴:2008/02/16(土) 16:43:51 ID:UXn6N6hJ
代理の方、ありがとうございました。
736名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 18:27:55 ID:xWgXUS5c
燃ゆる生命の嵐を胸に 闘う時だ!

叫ぶぜ! グッジョブ!!
737リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 20:03:37 ID:k9kGJpcE
九時くらいに投下させてもらいます。
738名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 20:10:24 ID:1fKCjCG3
リリカルTRIGUN氏
とても面白いので楽しみにしています。
739リリカル龍騎 ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 21:00:01 ID:qr78LfLW
職人の皆様GJです

さて、リリカルTRIGUN氏の投下にかかる時間も計算に入れて…9:45頃にリリカルなのはMSを投下予約しておきます
ロワスレ入り浸ってこっちに投下する本編おろそかにしてどうするよ俺…orz
740リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:06:06 ID:k9kGJpcE
>>738
感謝の極みです!ありがとうございます!
>>739
んじゃあ、出来るだけ早く投下させていただきます。
それでは、投下を始めさせていただきます。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:06:42 ID:UPA+kkWX
>>737
支援

>>739
龍騎氏、NANOSINGも楽しみにしています。
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:06:55 ID:F9kHN6v5
きたきたきたきたああああああ支援!
743リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:08:44 ID:k9kGJpcE
高町家の末っ子、高町なのはの朝は早い。
なのはは寝ぼけ眼をこすりながら立ち上がった。

「おはよう、レイジングハート」

レイジングハートに朝の挨拶をすませ、着替えを始める。
今日は寒そうなので暖かい服を選んだ。

着替え終えた後、魔法の練習を行うため桜台・登山道を目指す。
まだ日も昇っていない薄暗い海鳴市を一人歩く。

(う〜、もうちょっと服を着てくれば良かったかな?)

予想を越える寒さになのはは体を震わせつつ先を急ぐ。

それから15分後、ようやく登山道に辿り着く。ここまで来れば残りは少しだ。

なのはは元気良く登山道を登り始める。
それと同時に日が昇り始め薄暗かった海鳴市が段々と明るくなっていく。
その光景を登山道が眺めるなのは。

(……綺麗だなぁ)

なのははこの景色が大好きだった。
日光の反射によりキラキラと光る宝石のような海鳴市。
まるで、早起きした自分への神様からのプレゼントのように感じる。

そんな景色を見ながら歩を進めていくといつもの場所についた。
そして、いつものようにエリアサーチを行う。
エリアサーチを行いながらなのはは思う。

(ヴァッシュさんを見つけた時も今日みたいに寒かったなぁ……)

744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:09:17 ID:F9kHN6v5
支援
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:09:29 ID:Y78mnzbW
待ってました!支援
746リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:10:07 ID:k9kGJpcE
――早いものでヴァッシュさんが高町家で生活するようになって一週間がたった。
ヴァッシュさんも段々と翠屋での仕事にも慣れ、なかなか楽しそうにアルバイトをしている。
でも片腕が無いのであまりお客さんの前出る仕事はしていない。もっぱら、厨房で皿洗いやケーキの装飾などをしている。
……それと、これはお姉ちゃんから聞いたことだけど、ヴァッシュさんは最近、翠屋に来る女子高生の間で人気になっているらしい。
なんでも『厨房にいる隠れ美男子』と呼ばれ密かに思いを寄せる人までいるらしい。
そのことをヴァッシュさんに言ったら、手を叩いて喜んでいた。

なのはは、その時のヴァッシュの様子を思い出し、おもわず笑ってしまう。
『周辺に人の反応はありません』

そんななのはにエリアサーチを終えたレイジングハートが声をかける。

「よし、それじゃ頑張ろっか。それで、今日はどんな訓練するの?」
『今日は広域防御魔法の練習をしましょうか』
「うん、分かった」

なのははコートとレイジングハートをベンチの上に置き、広場の中央へと進む。

そして、立ち止まり目をつぶる。

深く息を吸い、集中力を高めていく。
魔法を使用する上で大事なことは集中すること。
集中力が切れれば魔法が暴発することだってあり得る。
――それは分かっている。分かっているんだけど、どうも上手く集中出来ない。
最近はいつもそうだ。何故か集中することができない。それは魔法に限ったことでは無く、勉強の時や遊んでいる時もそうだ。
この前もアリサちゃんやすずかちゃんに心配された。
――何でだろう?
いや、分かっている。
自分はあることで悩んでいる。

747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:11:20 ID:F9kHN6v5
紫煙(むしろこっちが似合う気がする
748リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:11:22 ID:k9kGJpcE
『……今日は止めときましょう、マスター』
「えっ?」

いつの間にか全く違うことを考えていたなのはに飛んできたレイジングハートからの言葉。
その意味が分からずつい聞き返してしまう。

『今の状態で魔法を使用しても失敗するだけです』
「そ、そんなこと……」
『いえ、失敗します』
なのはの言葉を遮りレイジングハートは続ける。
『先程のマスターは明らかに集中力を欠いていました。そんな状態では成功するわけがありません』

辛辣な言葉を飛ばしてくるレイジングハートになのはは一言も言い返せない。

『どうしたんですか、マスター?最近様子が変ですよ』

普段レイジングハートはこんなに喋る子ではない。
そのレイジングハートがここまで言うということは自分は相当な状態なのだろう。

『……ヴァッシュ・ザ・スタンピードのことですか』

その言葉に驚くなのは。
「なんで分かったの……?」
『マスターの様子を見ていれば分かります』

その言葉になのはは顔を歪める。そしてうつむき、ポツリと呟く。

「……分からないの。管理局にヴァッシュさんのことを伝えた方がいいのか、伝えない方がいいのか……」

――なのはは悩んでいた。
ヴァッシュに管理局のことを伝えるべきか、伝えないべきか。

――ヴァッシュさんは高町家に残ってくれた。
それはとても嬉しいことだ。……でも、それはずっとでは無い。
管理局にヴァッシュさんのことを伝えたらすぐにではないにしろ、ヴァッシュさんの世界は見つかると思う。
そして、自分の世界へ戻る方法が分かればヴァッシュさんはあの時と同じように悩むだろう。元の世界に戻るか、このまま高町家に残るか、を。
あの時のヴァッシュさんはとても苦しそうだった。
――あんなヴァッシュさんを見るのはもう嫌だ。
でも、管理局にヴァッシュさんのことを伝えなかったら、ヴァッシュさんは一生元の世界に戻ることはできないと思う。異世界に帰るということはそれほどのことだ。
――それをヴァッシュさんが喜ぶのか?

749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:11:36 ID:oFfZnnZi
支援
750リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:12:26 ID:k9kGJpcE
もちろん自分にとっては喜ばしいことだ。

でもヴァッシュさんがそれを望むのか。それが分からない。
あの時は高町家に残る道を選んでくれたけど、あの時のヴァッシュさんには並々ならぬ覚悟を感じた。
その覚悟がヴァッシュさんを辛い世界で命を賭けた旅をさせているんだと思う。

その覚悟のことを知らない自分がヴァッシュさんの道を閉ざして良いのか?

――それがなのはには判断出来ない。

『……マスター、家に戻りましょう。今日は休日です、ゆっくりと休んで下さい』

レイジングハートは何も答えてくれない。
それはそうだ。これは自分が考えなくてはいけないことだ。
そう、ヴァッシュさんを引き止めた自分が。

「……そうだね。戻ってからゆっくり考えよっか」

なのはは笑みを作る。
レイジングハートを心配させないように。
だが、その笑みを見てレイジングハートの不安はつのる。

なのははそんなレイジングハートに気づくことなく、歩き始める。
ヴァッシュのことで頭を悩ませながら。

751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:13:15 ID:F9kHN6v5
紫煙
752リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:14:14 ID:k9kGJpcE
■□■□

「おはよう!」

家に着いたなのはが最初に見たのは笑いながら片手をあげるヴァッシュの姿だった。
まだ朝早くなのに元気な人だ。

「……おはよう、ヴァッシュさん」

陽気なヴァッシュとは対称的になのはは暗い。
そんななのはにヴァッシュが心配そうな顔をする。

「どうしたんだい?何か元気がないみたいだけど」
「な、なんでもないよ!」
なのはは慌ててごまかし笑いを浮かべる。

「……だったらいいんだけど」

訝しげな眼でなのはを見つめるヴァッシュ。

「そ、それよりヴァッシュさん、早起きですね!」
そんなヴァッシュを見てなのはは話題を変える。
「まぁね。前の生活で馴れちゃったからかなぁ、つい早起きしちゃうんだよ」
なのはの気持ちを察したのかヴァッシュもその話題にのる。
「へ〜そうなんですか?」
「まぁ、早起きは三文の得ってね。早起きは良いことだよ」

ヴァッシュはヘラヘラと笑いながらそう言う。
だが、なのははこの言葉に対し――
「……ヴァッシュさん、お年寄りみたい」
――爆弾を落とした。
しかも、恐ろしい事にこの天然娘は自分が爆弾を放ったことに気付いていない。

「ヴッ!」

ヴァッシュの動きが止まる。
そりゃあ百数十年も生きてはいる。こんなことを言われたことが無いわけではない。……だが、これだけ純粋な子に言われるとショックだ。
――負けるなヴァッシュ!幾度となく死線をくぐり抜けてきたお前だったら耐えられるさ!

自分自身に活を入れ、何とか気持ちを立て直すヴァッシュ。
だが、それも――
「あ、そーいえばお兄ちゃんとお姉ちゃんも言ってたよ。ヴァッシュさんがお年寄りみたいだって」
――再び投下された爆弾に粉砕された。
まさに会心の一撃。
何とか耐えていたヴァッシュもその言葉に崩れ落ちる。

「わ、わ、どうしたの!?ヴァッシュさん!」

いきなり机に突っ伏したヴァッシュを見て、なのは驚く。

「……いやいや、全然気にしてないよ……うん」
それから数分間ヴァッシュが立ち直ることはなかった。

753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:14:58 ID:F9kHN6v5
紫煙
754リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:18:21 ID:k9kGJpcE
■□■□
「……あ、そういえばなのは宛てでこんなのが届いてたよ」
ようやく立ち直ったヴァッシュはそう言い、懐からある物を取り出した。
「フェイト……って書いてあるのかな?」

それは小さな小包だった。
それを見てなのはは目を輝かせる。

「フェイトちゃんからだ!」
「フェイト?誰だい、それ?」
「私の友達です。……今は遠くにいて会えないけど」

なのははヴァッシュから小包――フェイトからのビデオメールを受け取ると嬉しそうにそれを見つめる。
ヴァッシュはそんななのはを見て理解した。
フェイトという子となのはがどれほど深い友情で結ばれてるかを。

「……僕も会ってみたいなぁ」
「なら今度遊びに来る時紹介しますよ!」
「本当かい?いや〜楽しみだなぁ」

ヴァッシュはそう言い机の上に置いてあった朝刊を広げ読み始める。

――今では楽々と新聞を呼んでいるが、ヴァッシュさんは全くと言っていい程、日本語の読み書きが出来なかった。
聞いたり話したりは日本人と見紛うくらい上手いんだけど、何故か読み書きになるとサッパリになってしまう。
まぁ、異世界の人なんだから仕方がないのかもしれないけど……。
それとお金の単位も元の世界と違うらしく、その事にも四苦八苦していた。
だが、驚いたのはここからだった。
何と、ヴァッシュさんは二週間で日本語の読み書きをほぼマスターしてしまったのだ。
これにはお父さんやお母さん、お兄ちゃん達も驚いていた。
当のヴァッシュさんも驚いていて、「いや〜僕には勉強の才能があるのかもね」などとお気楽なことを言っていた。
今では新聞を読んだり、テレビを見たりしながらメキメキとこの世界の知識を身に付けている。

(フェイトちゃんもヴァッシュさんと会ったら喜んでくれるかな?)

黙々と新聞を読むヴァッシュを見ながらなのはは考える。
フェイトちゃんは少し内向的だけどヴァッシュさんとなら直ぐに仲良くなれる気がする。

ふと新聞から顔を上げたヴァッシュさんと目があった。微笑みかけてくる。
見ているものも和やかな気持ちになる笑み。
それを見てなのはは嬉しくなる。
――ヴァッシュが毎日を楽しそうに過ごしている。
――あの時のつらそうな顔はもうしていない。
それが嬉しい。
それどころか、ヴァッシュさんが来てくれたお陰で騒がしかった高町家ももっと騒がしく、そして楽しくなった。

――ずっとこの日々が続いてくれれば。
心の底からそう思う。

そこまで考えなのはの顔に暗い色が灯る。
――でも、分かってもいる。ヴァッシュさんは異世界の人だ。いつかはこの楽しい日々も終わりを告げる。
だけど、私が管理局に伝えなければ?この日々は終わらないかもしれない。

――ヴァッシュさんはそれで良いと思うのか?

先ほど、レイジングハートに話した悩みがまた頭の中に浮かんでくる。
さっきまでのとても楽しい気分が段々と暗くなっていく。

755リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:21:21 ID:k9kGJpcE
「どうしたんだい?」

いきなりヴァッシュさんに話しかけられた。
その顔はどこか心配そう。

「別に何でもないよ」
それに対しなのはは何でもない、と言うように笑いかける。
その心配させないための微笑みが他人を余計心配させることを知らずに。

■□■□

「お使い……ですか?」
昼飯を食べ終わり束の間の休憩を味わっていたヴァッシュはそんな言葉を発しながら士郎を見た。
士郎から告げられたことは単純明快。
午後は厨房に入らなくていいのでお使いに行ってきてくれないか?とのこと。

別段断る理由もないが、何故この忙しくなる休日の午後から?

「でも、これから忙しくなるんじゃないんですか?」
その質問に士郎は手を振り答える。

「大丈夫さ。ヴァッシュ君はこの三週間、頑張ってくれたんだ。たまには休暇をあげようと思ってな」
そこで士郎は言葉を切ると台所で桃子の手伝いをしているなのはの方を見る。

「……それに最近なのはの様子が変だろ?出来れば元気づけて欲しいんだが……」
どうやら、そっちが本命らしい。

「そういうことなら任せといて下さい!」
ヴァッシュはドンと胸を叩き、にこやかな笑みを浮かべ承諾する。
(そうと決まれば善は急げだ)

「なのは、ちょっといいかい?」
「どうしたの、ヴァッシュさん?」
いきなり呼ばれたことに少し驚きながら洗い物から顔を上げるなのは。

「店長からの指示でね。ちょっとお使いに付き合ってくれないかい?」
「別にいいですけど……」
少し戸惑った顔でなのははそう呟く。

「よし!なら早速行こうか」

威勢良くヴァッシュは立ち上がる。そして二人は休日の海鳴市に繰り出していった。

756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:22:11 ID:8MnjX6oY
支援
757リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:22:50 ID:k9kGJpcE
■□■□

「え〜っと、士郎さんから頼まれたのは……と」
「出来るだけ安いのを選んで下さいね!」
「大丈夫、大丈夫」

カートを押すなのはの横で、ヴァッシュが楽しそうに、野菜や食料をカゴの中へと入れていく。
鮮やかな金髪と左腕が無いことも重なり、相当他の人に注目されているが、ヴァッシュはそんなことを気にせずにポイポイと商品を手に取る。

なのははヴァッシュに合わせカートを押して行く。

「それにしてもこのデパートっていうのは面白いねぇ」
周囲を眺めヴァッシュは感嘆の声を上げる。
「これくらいのデパートだったらどこにでもありますよ」

「そうなのかい!?いや〜スゴいなぁ!僕の世界にはこういうのが無かったからね」
楽しそうに歩くヴァッシュが、なのはにはまるで子供みたいに見えた。

「それに魚なんて見たこともなかったし」
ヴァッシュがカゴに入っている魚を指差しそう言う。
「そうなんですか?」
「うん。僕の世界では海っていうもの自体が存在しなかったからね」
「それなら今度、お母さんにお魚料理作ってもらいましょう!」
「いいねぇ〜」

そんな他愛もない事を話ながら二人は買い物を続けていった。

――楽しい。
なのはは正直にそう思った。
ヴァッシュさんの笑顔を見ているだけでこちらもつられて笑ってしまう。
こうしていると本当にヴァッシュさんをあの時引き止めていて良かったと思う。

――だが、それと同時に再びあの悩みが頭の中に浮かんでくる。
『ヴァッシュさんのことを管理局に伝えるか、伝えないか』

(ダメだよ……!ヴァッシュさんもいるのにそんなこと考えてちゃ!)
せっかくの楽しい気分が台無しになってしまう。
なのははその考えを振り払おうと頭を振る。

758リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:23:51 ID:k9kGJpcE
――でも、いいの?
心の中で声が響く。
――このまま答えを出すのをズルズルと引き伸ばして、本当にいいの?
それはもう一人の自分が語りかけているかのように感じた。
――そ、それは……。
――ちゃんとヴァッシュさんに聞かなくちゃダメだよ。
――で、でも、それじゃあ、またヴァッシュさんが苦しむんだよ!そんなの見たくない!
――……そうやって逃げるの?
――え?
――それは逃げてるだけだよ。それじゃあダメ。ちゃんとヴァッシュさんに聞かなくちゃ。ヴァッシュさんは悩むかもしれない、苦しむかもしれない。だけどその苦しみを通らなくちゃヴァッシュさんは先には進めないんだよ……。
――で、でも……。

「もしも〜し、聞いてるかい?」
「ふぇ!?ど、どうしたの!?」

ヴァッシュに話しかけられなのはは思考の海から急浮上させられた。

「なんかボーっとしてたよ」
「そ、そうかな?」
「あ、もしかして疲れたのかい?だったら言ってくれればいいのに」

そう言うとヴァッシュは買い物リストと山のようなカゴの中身を見比べる。

「……うん。頼まれたものは全部あるね。んじゃ行こうか」

ヴァッシュは微笑みながらそう言いカートを押し始める。
それなりに混んでいるのにそれをものともせずにスイスイと進んでいく。

――どうすればいいんだろう?
ヴァッシュを追わずになのはは考える。

――まるで冷静で大人な自分と会話していたかのようだった。

どちらか正しいのかは分かっている。
でも、拒否してしまう、それが逃げだと分っていても。

「お〜い!迷子になっちゃうぞ〜!」

ヴァッシュさんがレジに並びながらこちらに手を振っている。
なのはは陰鬱とした気分のままヴァッシュの元へと向かった。

759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:24:36 ID:F9kHN6v5
紫煙
760リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:25:26 ID:k9kGJpcE
■□■□

会計をすませると、ヴァッシュさんがクレープを食べないかと進めてきた。なんでも自分の世界には無い食べ物なので食べてみたいとのことだ。

「美味しいですか?」

今なのはの目の前には両手に花ならぬ、両手にクレープ状態のヴァッシュがいた。
ヴァッシュは端から見ても分かるほど美味しそうにクレープを頬張っている。

「うん!美味しいねぇ!」

(ヴァッシュさんって花より団子なタイプなんだろうなぁ)
歓声を上げるヴァッシュを見てなのははそう思った。

それから二人で他愛もない話をしながらクレープを食べていると(ヴァッシュさんは追加でもう二つ買った)いきなり後ろから声をかけられた。

「あ、やっぱりいた!」
声のした方に振り向くと馴染みのある二人の女の子がいた。
「アリサちゃん!すずかちゃん!どうしてここに?」
「ん、その子達は誰だい?」

二人がそれぞれ疑問の声を上げる。

「みんなでお出掛けしようと思ってなのはちゃんの家に電話したの。そしたら士郎さんにデパートにいるって言ってたから……」
「そうゆうこと!……でそのトンガリ頭の人は?」
「ト、トンガリ……」

初対面にも関わらず、遠慮知らずのアリサの言葉に怯むヴァッシュ。
「ダ、ダメだよ……アリサちゃん。初対面の人にそんなこと言っちゃ……あのスミマセンでした」
「にゃははは……」

アリサの言葉にすずかはまるで自分が言ったかのように謝る。
それを見てヴァッシュは苦笑する。

「いやいや気にしなくていいよ。え〜とすずかにアリサ、だね。僕はヴァッシュ・ザ・スタンピード。よろしく」

761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:26:07 ID:8MnjX6oY
支援
762リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:26:36 ID:k9kGJpcE
「ふーん、ヴァッシュねー。変な名前」
「ア、アリサちゃん!」
「へ、変な名前……」
「で、なんでなのははこのヴァッシュって人と一緒に仲良くクレープ食べてるの?」
「あれ、前に言わなかったっけ?」
なのはは首を傾げる。
「あ、もしかして長期のバイトさん?」
すずかが思いだしたかのように手を叩く。

「あ〜あの、『厨房にいる隠れ美男子』って噂になってる」
「そう!その美男子こそ僕、ヴァッ「でもそれ程でも無いわよね」」
「ア、アリサちゃん!」
「何よ。本当のことじゃない」

ヴァッシュ・ザ・スタンピード、撃沈。
どうやらヴァッシュとアリサは予想以上に相性が噛み合うらしく、痛烈な口撃でヴァッシュは攻め立てられていた。
「ヴァ、ヴァッシュさん!アリサちゃん言い過ぎだよ!」
頬を膨らませそう言うなのは。
「ほら、アリサちゃん謝らなくちゃ」
「わ、分かったわよ。すずかはうるさいんだから……」
「何か言った?」
「な、何でもない……」「ほら、早く謝らなくちゃ」
「う〜ごめんなさい」
渋々といった感じでアリサが謝る。

「いや……全然気にしてないよ……うん」
それにしてもこのヴァッシュ、押されっぱなしである。

「にゃははは……」
そんな三人を見てなのはは苦笑する。
――とても騒がしく楽しい時間が過ぎていった。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:28:29 ID:8MnjX6oY
支援
764リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:29:00 ID:k9kGJpcE
■□■□

「ノォ〜〜〜!ギブ!ギブゥ!」

その光景を一言で言うのなら異常。
公園の片隅にある砂場に五、六人ほどの子供たちが群がり暴れまわっている。
それをなのはとすずかは見守ることしか出来ない。
いや、あまりの気迫に止めようという気もおきない。
その子供たちの中心にいるのは、ド派手な金髪の頭をした一人の男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードだった。

「よ〜し、次は卍固めいくわよ〜」
「そんなハイレベルな技どこで覚えたの……ってイタイ!イタイ!ギブ!ギブ〜〜〜!」

――そして、そこにはヴァッシュに対し今までにない爽やかな笑顔で関節技をかけているアリサがいた。
更にそれに続くように、他の子供たちが各々に好きな技をヴァッシュにかけている。

――何故こんな事になったのか順を追って説明していこう。

四人はデパートの帰り道公園へと立ち寄る→なぜか、そこに居た子供たちがヴァッシュに群がり始める→最初はまとまりつくだけだったが徐々にエスカレートしていき関節技祭りに突入→見かねたアリサが仲裁に入る→ミイラ取りがミイラ。
そして今にいたっている。

めくるめく展開の早さになのはもすずかも止める暇さえなく、ヴァッシュは子供たち+アリサの玩具にされているのであった。

「どうしよう?なのはちゃん」
「う〜ん、飽きるまで待つしかないのかな……」
「ヘルプミ〜!」

アリサたちを止めるのを早々に諦めたなのはとすずかは近くのベンチに腰を下ろす。
何か声が聞こえたが気にしない。
――二人とも良い判断だ。

「アリサちゃんも楽しそうだね」
元気に暴れまわるアリサを見てなのはは心の底からそう思った。
「そうだね」
すずかも相づちをうちその光景を眺める。

(ヴァッシュさんも楽しそう)
所々で本気で痛そうな声を上げているが、まぁ楽しそうだ。
それを見てなのはの顔に自然と笑みが浮かんでくる。

765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:30:43 ID:nXPtsA7y
支援
766リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:30:53 ID:k9kGJpcE
「良かった……」
ふいに隣にいるすずかが声を上げた。
「?何が?」
すずかの言葉の意味が分からずなのはは首を傾げる。
そんななのはを見て嬉しそうに笑いながらすずかが口を開く。

「なのはちゃんが本当に楽しそうな顔してて……」
「ふぇ?そんなことないよ、いつも楽しいよ」
「うそだよ。最近のなのはちゃん、いつも何かに悩んでるような顔してたもん。アリサちゃんなんか、ずっと心配してたんだよ」
すずかは真っ直ぐになのはの目を見て話す。

「今日みんなで遊ぼうって話になったのだって、なのはちゃんに元気になって欲しかったからなんだよ」

すずかの言葉になのはは何も言えなくなってしまう。

「だから良かった!今日のなのはちゃん本当に楽しそうだもん」

微笑みながらすずかはそう言うと、アリサとヴァッシュの方に駆けていく。
(気付かれないようにしてたんだけどな……)
本当にあの二人にはかなわないな……。

――アリサちゃん……すずかちゃん……ありがとう……。

なのはの心に浮かぶのは感謝の気持ち。
二人には心配かけてばかり。いつもこうだ。
(ダメだよね……このままじゃ……)

――なのはは決意した。
それと同時に立ち上がりみんなが暴れている方へ走り出す。
その顔にあるのは笑顔。
――その笑顔は見ただけで人を和ませる最高の笑顔だった。

767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:31:29 ID:F9kHN6v5
紫煙
768リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:32:07 ID:k9kGJpcE
■□■□
「あ〜体中が痛い……」
「にゃはは……」

すっかり暗くなった公園。
そこのベンチにヴァッシュとなのはの二人は座っていた。
もう時刻は六時を回ってる。

子供たちやアリサたちも帰ってしまい、ここにいるのは二人だけ。
「それにしてもアリサは凄いねぇ。将来格闘技でもやった方がいいよ。うん」
この場に本人がいたらかかと落としの一発でも飛んできそうなことをヴァッシュが言った。

「でも、ヴァッシュさんも楽しそうだったよ」
「まぁね。こういうのも久しぶりだしね」
「久しぶり……って前にもあったんですか、こういうの?」
「うん」
ヴァッシュはさも当たり前のように肯定する。
流石に、これにはなのはも呆れてしまう。
「まったくヴァッシュさんは……」

そんななのはを見てヴァッシュは嬉しそうな笑みを浮かべる。
「……いや〜良かったよ」
「何がですか?」
「なのはが元気になってくれてさ」
「え?」
「自分で気づいてなかったのかい?最近よく張り詰めたような顔してたよ」
ヴァッシュは優しく語る。
(ヴァッシュさんにもバレているとは……。私ってそんなに顔に出やすいのかな?)
こうしてみると悩んでいるのを必死に隠していた自分がバカみたいだ。

なのはは苦笑する。そして苦々しい笑みはどんどん本当の笑みに変わっていく。
――心が軽くなった気がする。

「ねぇ、ヴァッシュさん」
なのははその笑みのままヴァッシュに語りかける。
「ん、なんだい?」
「この世界は楽しいですか?」
「あぁ!とっても楽しいよ!」
ヴァッシュはなのはの問いに迷うことなく答える。
なのははそんなヴァッシュを見て、決めた。
管理局にヴァッシュのことを伝えない、と。

――せめて……せめてヴァッシュさんの傷が――ヴァッシュさんの心にある大きな傷がが治るまでは管理局に伝えなくても良いんじゃないかな……。

なのははそう思う。

――あんな辛そうな顔で元の世界に戻ろうとするヴァッシュさんは嫌だ……。
戻る時はせめて笑いながら、元の世界に帰って欲しい……。
だから、その笑顔を取り戻せるまでは――

なのはは決意した。

――自分の我が儘かもしれない。
でも、ヴァッシュさんがどちらの道を選ぶにせよ苦しまないで、笑いながらその道を選べるようになるまでは、なのははヴァッシュを守ろうと決意した。


お気楽な笑みを浮かべる人間台風を眺めながら、小さな魔導師はそう決心した。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:35:59 ID:1fKCjCG3
支援
770リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:36:16 ID:k9kGJpcE
投下終了です。ご支援感謝!
いやーそれにしても日常編を書くのは難しい……。
今回もキャラの口調等、違和感を覚えた部分があったらツッコミよろしくお願いします。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:37:31 ID:F9kHN6v5
いい仕事すぎて涙が出たぜ……
後半、読みふけって紫煙がおざなりに
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:37:32 ID:1fKCjCG3
リリカルTRIGUN氏GJ
リリカルTRIGUN氏のこの作品を読んで、トライガンのことを知り、漫画やアニメを見ました。

これからどうなっていくのかがとても楽しみです。頑張って下さい。
773名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:40:16 ID:UPA+kkWX
GJ!
俺は日常編が好きだ。
それにしてもなのはは良い子やね。
774リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 21:40:45 ID:BoNkq5K7
タイトル忘れてた……。
とりあえず「台風の天敵、そして魔法少女の決意」でお願いします。
775リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2008/02/16(土) 21:48:35 ID:Apq3lHx9
リリカルTRIGUN氏GJ です。
誰も投下する方いないんでしたら自分も十時五分程から投下してもいいでしょうか?

776リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2008/02/16(土) 21:52:21 ID:Apq3lHx9
次スレの方がいいですかね?
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:52:59 ID:8MnjX6oY
>>770
乙かれさま

ちょいと気になった点
・片手の人が手を叩いて喜ぶって無理じゃないか?
・アリサやすずか、子供達が片腕のことを完全にスルーするのは……
・初対面の隻腕の人に間接技かけるほどのフランクさに違和感が
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:53:40 ID:UPA+kkWX
>>776
ちょっとまった。リリカル龍騎氏が先に予約を入れていたはず。
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 21:54:42 ID:++Bq6Aoe
>次スレの方がいいですかね?

文章量計算してみれば済むだろ
今残20kB
足りるか足りないかだけの話
780リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2008/02/16(土) 22:08:48 ID:Apq3lHx9
>>778
そうのようですね。
確認ミスでした。
すいません。
>>779
その程度の事も確認せずに安易な台詞吐くなんて軽率でした。
ほんとすいません。
自分はしばらく待機していますね。
781リリカル龍騎 ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:09:29 ID:qr78LfLW
GJです
日常のシーンをこれだけ上手く書けるとは…うらやましいです

…こんな良作の後で投下というのも気が引けますが、先に予約していた分投下します
…予約した時間からずれてますね、かなり。投下終わった時間見ると丁度いいくらいになってますが
782リリカルなのはMS ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:10:22 ID:qr78LfLW
「ん……?」

 グレイがこの世界に現れてから二日が経った。
 彼が目覚めたのはベッドの上。それも宿屋にあるような上等なものではなく、どちらかと言うと簡素なものだ。
 しばらくグレイはその場で停止する。どうやら状況を飲み込んだ上で、これからの行動を考えているのだろう。
 この状況になるまでに憶えている事は、エロールによってこの世界に飛ばされたこと。続いて燃え上がる建物の中での戦闘。それからの記憶は無い。
 これがどういう事かを考え、戦闘後に建物から連れ出され、ここに運び込まれたのだと結論付けた。
 あの場にいた中でそれができそうなのは、白服の女、高町なのはただ一人。あの後で誰かが来たのでなければ、なのはに連れ出されたのだろう。
 ふと、近くに来ていた看護婦が気付き、話しかけてきた。

「あら、目が覚めたんですね」

 そう言うと、看護婦がグレイへと歩み寄ってくる。対するグレイは、その看護婦に問い、看護婦もそれに答えた。

「ここはどこだ? 何故俺はここにいる」
「ここですか? ここは聖王医療院です。あなたはミッド臨海空港でモンスターと戦って、その後ここに運び込まれたんですよ」

 実に簡潔な回答。おかげで先程の考えが正しかったと証明された。
 さて、グレイの頭には現在、一つの単語が引っかかっていた。『ミッド臨海空港』という単語である。
 ここで言うミッドとは、おそらく彼の目的地であるミッドチルダ。つまり到着時の状況はともかく、目的地には到達できたという事らしい。
 と、ここで看護婦がグレイに一つ伝言を伝えてきた。

「ああ、そうそう。あなたが目を覚ましたら伝えるように言われていたことがあったんでした。
 目が覚めて、もし動けるようになったら時空管理局本局に来てほしいって、高町教導官からの伝言です」

 ……本局とは一体どこだ?


 Event No.02『高町なのは』
783リリカルなのはMS ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:11:03 ID:qr78LfLW
 目覚めてから数日後、グレイが本局ロビーの椅子に座っている。受付の順番待ちである。
 普段から腰に差している古刀は無い。どうやら管理局で預かっているようだ。
 先日の伝言には、本局に来たときに返すとの旨もあった。だから刀を返してもらう意味でもこちらには来る必要があったのである。
 ちなみに他の荷物は病院を出る際に返してもらっている。
 と、そんなことを言っている間にグレイの番が来たようだ。受付カウンターまで移動し、用件を伝える。

「高町教導官という人物に呼ばれて来た。取り次いでくれ」
「高町教導官に……ですか? ただいま確認しますので、少々お待ちください」

 そう言うと受付嬢は通信モニターを開き、なのはへと連絡を取る。
 こう言っては悪いが、いきなり現れてエースオブエースとまで呼ばれるような有名人に呼ばれたといわれても信用するのは難しい。
 待つこと数十秒、モニターの向こうになのはの姿が映った。

「あ、高町教導官。あの実は、教導官に呼ばれたっていう男の人が来ているんですが……」
『男の人? その人って、灰色の長い髪をしてませんでしたか?』
「え? あ、はい。確かにそうでしたけど……」

 その言葉になのはがしばらく考える。対する受付嬢は反応の無くなったなのはに怪訝そうな表情だ。

(もしかして、空港の時のあの人じゃあ……)
「あの……高町教導官?」
『あ、すいません。じゃあ、その人に待合室で待ってるように言ってくれませんか?』

 受付嬢の表情が変わった。本当になのはに呼ばれていたのがそんなに驚くような事なのだろうか?
 とにかく、すぐに了承して通信を切り、グレイにその旨を伝えた。


「遅い……」

 十数分後の待合室。グレイが暇そうな表情でそこにいた。
 近くの本棚から本を取り出して読もうとするも、マルディアスとは文字が違うために読めない。
 かといって剣の練習もこんな狭いところではできないし、術の練習もまた然り。
 それ故に暇潰しすらできずに椅子に座っているほかなかった。他にできる事があるとすれば集気法で回復速度を上げるくらいか。
 と、待合室のドアが開く。そこから現れたのはグレイにとっても見覚えのある女性だった。もっとも今は服装も髪型も違っていたが。

「えっと……怪我の具合はどうですか?」
「見ての通りだ。動ける程度には回復している」

 まずはその女性、なのはがグレイの具合を聞き、それに答えを返す。
 もっとも、動ける程度に回復したら来るよう言われていたので、ここに来ている時点である程度想像はつくのだが。
 それを聞き、なのはがほっとしたような表情を浮かべて礼を言う。

「そうだ、あの時はありがとうございました」

 急に礼を言われ、頭に疑問符を浮かべるグレイ。どうやら例を言われる理由がサッパリらしい。
 どういうことか分からないので、なのはに直接聞くことにしたよう。

「……? 何の事だ?」
「ほら、あの時命がけでモンスターと戦ってたじゃないですか」
「その事か……あそこを出るのにあれが邪魔だっただけだ。感謝されるいわれは無い。
 それより、俺を呼び出して何の用だ、高町教導官?」

 グレイがそう聞くと、なのはの表情が変わる。今までの優しい顔から多少厳しい顔に。

「一つ、あなたにとって重要な話をするために呼びました」
784リリカルなのはMS ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:11:56 ID:qr78LfLW
 話は空港火災の日まで遡る。

「なのはちゃん、ちょっと話があるんやけど」
「どうしたの?」

 空港火災の日、そこで指揮を執っていた茶の短髪の女性『八神はやて』がなのはを呼び止めた。
 表情からすると、何か真面目な話題なのだろう。いつになく真剣な顔である。

「まず、これを見てくれへん?」

 そう言ってはやてが出したのは、空港内で確認された何かの反応のデータが映ったモニター。
 それは人間だったりモンスターだったり、あるいは炎だったり色々である。
 少しずつ時間を進めるような形でデータを進め、そしてある所で一時停止をかける。

「……ここや」

 はやてが指差した箇所。その箇所には一秒前まで何の反応も無かった。一秒前までは。
 だが、そこに突如人間一人分の反応が現れた。同じように転移の反応も同時に。
 これが何を意味するか、理解に時間はかからない。

「え? これって、もしかして……」
「せや。転移魔法かそれとも次元漂流者かは分からへんけど、この時間に誰かがここに転移して来てるって事や」

 そのまま再生ボタンを押し、その反応を追う。その反応はどうやら出口を探しながら移動しているようだ。
 移動した軌道上のモンスターの反応は少しずつ減っていっている。その反応の主が倒したのだろうか?
 そしてある程度進んだ時点で再び一時停止。

「そして、この反応がなのはちゃんや」

 そう言いながら、その反応の近くにある別の反応を指差す。どうやらこれがなのはの反応らしい。
 近くには子供一人分の反応と、大物モンスターの反応もある。

「はやてちゃん、これ……」

 なのははすぐに感づいたようだ。その反応の主の正体に。
 そう言ったなのはに対し、はやても頷いて返した。

「これは多分、なのはちゃんが助けた灰色の髪の人の反応やと思う」
785リリカルなのはMS ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:12:29 ID:qr78LfLW
 そして、その詳細や目的を確かめるためになのはがグレイを呼び出し、今に至るという訳である。

「えっと……」

 そういえばなのははグレイの名を知らない。そのため少し言いよどむ。
 それを察したグレイが、自分の名を名乗った。

「まだ名乗っていなかったな。俺の名はグレイ」
「それじゃあ、グレイさん……ここは、あなたがいた世界ではありません」

 この後の反応はなのはにも予想はできている。おそらく驚くか、あるいは現実を受け入れるのに多少考えるかの二択。
 今までの次元漂流者の場合は、ほぼ全てがそのどちらかだったと、データで見たことがあったし、今まで見てきたのも大抵そうだったからだ。
 だが、グレイの反応はそのどちらでもなかった。

「知っている。ミッドチルダだろう?」

 その事に逆になのはが驚いた。
 ここが異世界だと知っている上で、それで猶ここにいる。それはどういうことか。
 いくつか思い当たる可能性はあるが、直接聞いたほうが早い。もしかしたら犯罪目的で違法に転移を行った可能性もある。
 表情を若干厳しいものに変え、その疑問を口に出した。

「それはどういう事なんですか? 場合によっては、あなたを拘束しなければいけなくなるかもしれません」

 これはどうやら、グレイがエロールから聞かされていた真相を話す必要があるようだ。というより、そうしないと面倒になりそうである。
 意を決し、その真相を話した。


「――――俺が聞かされているのは、それで全部だ」

 その話は、なのはにとっては信じがたい事であった。
 何せ異世界の邪神が復活し始め、完全な復活のための力を蓄えるためにミッドチルダに来ているなどと聞かされても、どう反応すればいいのか分からない。
 だが、グレイの目は嘘をついている目ではない。おそらくは真実なのだろう。

「じゃあ、一人でそのサルーインと戦っているんですか?」

 相手が神だというのなら、一人で戦うのは無謀。なのに一人でいる……という事は、まさか一人で戦っているのだろうか。
 なのははそう思い、グレイへと尋ねる。そして返ってきたのは否定だった。

「いや、仲間があと四人いる。この世界に飛ばされる時に散り散りになったようだがな。
 ……そうだ、時空管理局……だったか? お前達の方で同じように見つけてはいないのか?」

 飛ばされる時に散り散りになった四人の仲間。それがこの世界に来ているのならば、管理局の方で見つけているはず。
 その事に一縷の希望をかけて同じように質問を返すが、なのはから返ってきたのは否定。

「……残念ですけど、あの日に転移してきたのはグレイさんだけでした」
「そうか……分かった」

 やはり落胆しているのだろうか、グレイは声のトーンを幾分落として返す。
 そうして次の瞬間には、席を立った。
786リリカルなのはMS ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:13:02 ID:qr78LfLW
「仲間を探す時間は無い。俺はサルーインを探しに行く」

 それはあまりにもいきなりな事。そのせいでなのはは面食らい、のけぞる。
 そのまま椅子ごと後ろに倒れるのを何とか踏みとどまり、何とかグレイを引き止めようとした。
 あても仲間もないのに出発するという自殺行為を止めたいという一心で。

「待ってください! 出発するって言っても、あてはあるんですか?」

 沈黙。
 やはりあては無かったらしい。

「それに、相手は神なんですよね? 一人で戦って勝てる相手なんですか?」

 さらに沈黙。
 「あ、これは絶対無茶だ」という思考が頭を支配しているのだろう。だからといって他の手など思いつかない。
 そういう事を考えていたグレイに対し、なのはがとある提案を持ちかけようとした。

「……グレイさん、管理局に協力する気は『なのはさん!』

 が、急にオペレーターからの通信が入り、中断せざるを得なくなった。

「どうしたんですか?」
『例の海賊たちです! 次元航行艦が一隻襲われました!』

 海賊? この世界にも海賊がいるのだろうか。
 そのような疑問を浮かべるグレイを尻目に、通信で二言三言話したなのはが椅子から立ち上がる。
 そしてグレイへと向け、謝罪の言葉を口にして部屋を飛び出した。

「ごめんなさい、グレイさん! 急ぎの用ができました!
 後で続きを話すので、ここで待っててください!」


 部屋に残されたグレイは、一人考えていた。
 会話の内容からすると、その急ぎの用とは海賊退治だろう。
 ならばある程度役に立つことはできるだろうし、何より待たされるのは御免だ。
 そして結論……なのはに同行し、手を貸す。話の続きは移動中でも可能だろう。
 その結論を出したグレイは、荷物袋から予備として持っていた武器『アイスソード』を取り出し、それを背に負って駆け出した。
787リリカルなのはMS ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:15:34 ID:qr78LfLW
投下完了
今回のは状況説明だけなので、もしかしたらつまらなく感じたかと思われます
…とりあえず、ミンサガの海賊キャラ誰かと某ハゲの登場フラグが立ったということでお許しを

しかし、リリカル龍騎が進まない…orz
もういっそ、香川研究室がらみの話が終わってからやろうと思ってた話を先に持ってこようか…


あ、490KB超えてますね。次スレ立ててきます
788リリカル龍騎 ◆YHOZlJfLqE :2008/02/16(土) 22:18:33 ID:qr78LfLW
789リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/16(土) 22:29:22 ID:BoNkq5K7
リリカル龍騎さん、GJです!
>>777
ご指摘ありがとう御座います!
そうですよね……。『手を叩いて喜んだ』の部分とアリサ達のリアクションの部分は修正しとかなくては。
あ、でも片手なのに関節かけられるところはヴァッシュなので仕方ないかとw
いや〜本当にご指摘感謝します。
790なのはVSボウケン:2008/02/16(土) 22:57:24 ID:Ar8H4PwO
>>787
投下&スレ立てGJ!やはりサガはいい。ホークかシルバーか、どちらにせよ、
海賊といえば例のBGMが耳から離れません。
ミンサガの禿は返り討ちにされることがあるから困る。色んなキャラが見てみたいです。
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 23:32:14 ID:8w2VHGAn
>787
乙。

次は、みんな大好きゲラ=ハですか。
792Strikers May Cry:2008/02/16(土) 23:51:57 ID:rd5095Nv
>>770
リリカルTRIGUN氏、GJですぜい!!
やっぱりヴァッシュはアリサに関節を極められてるのか、これはもう宿命だな。
そして士郎さん、義手くらい用意してあげてくださいヴァッシュが不憫です。

しかしこの展開からいくとA’sの再構成モノになるのかな? まあどんな風に進んでも期待大です、全力で応援させていただきます。
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 00:19:36 ID:fg6kpKvT
TRIGUNさんGJ
義手くらいって言うけど簡単なやつでもあれでなかなか値が張るんだぜ
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 00:20:25 ID:nHgkSEw3
フック船長みたいなのも?
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 00:23:21 ID:9bp1RoJp
>>794
あんなのつけてたら警察に捕まるだろ
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 00:25:52 ID:fg6kpKvT
ヴァッシュの左腕は上腕部の真ん中あたりから切れてるから
フック船長タイプにしても肘とか手首付けると結構行くはず
まあ管理局と渡りがつけばやたら高性能なのでもくれるだろうけど
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 00:27:55 ID:UVkubO61
ミギーでもつければ近接戦闘も万全になるな
798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 00:35:09 ID:fg6kpKvT
AA発動したらヴァッシュ自身がミギーみたいなもんだしな
終盤見るにナイヴズみたいな使い方もできないわけじゃないみたいだし
ただし髪はガンガン黒くなるけどw
799魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/17(日) 01:41:44 ID:ZnbY5kf/
>リリカルTRIGUN
このスレに感想を投下するしかねえ! もってくれ、オラのスレよ!!
そんな気持ちで感想書きます。だって、好きな作品が投下されたらすぐに感想するしかないじゃないか!(ザラ
待ってましたの日常シーン!
いや、バトルとか普通は期待するべきなのかもしれませんが、ヴァッシュに関しては別。
なのはとの心温まる交流がもう染み渡りますねぇw
いいよ、なのは。その判断でいいんだよ。せめて二年くらいは穏やかに過ごさせてやってくれ…
まあ、バリバリA's時間軸なんで無理なのは分かってるんですがねw
ストーリーの展開も気になるけど、もうちょっと日常シーンが見たいと思う複雑な気分です。
いずれにせよ、次回も楽しみです。頑張ってください!
追伸:長身のヴァッシュと少女時代なのはの背の差を想像すると萌え死ぬ。
800名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/17(日) 16:00:56 ID:flAPfgom
では埋めましょうか……………………………
                      
801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 19:03:26 ID:tFAdTuIK
ダレも埋める気ないのか??wwwww
埋め。
802名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/17(日) 20:13:45 ID:flAPfgom
4キロバイトって、単純計算で2048文字、
原稿用紙5枚分だからね。
雑談でもすればすぐに埋まると思うんだけど、
すでに新スレに皆さん移行しているので、
ここでやることがないんだろう。
でも原稿用紙五枚って、文庫本の見開きひとつだと思えば
たいした量ではないかもしれない。
803名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/17(日) 20:21:29 ID:flAPfgom
今確認したけど、手元の文庫本では1ページが
横17文字、縦42文字だったから、
1ページで、
17×42=34+680=714文字あることになり、
2ページでも1428文字、つまり原稿用紙
三枚半ということになる。
正確には2048文字は文庫本3ページ弱ということか。
実際には本によって文字のサイズとかが違うから一概には言えないんだろうけど。
804名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/17(日) 20:26:47 ID:flAPfgom
容量が変化しないな……
805名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 20:27:04 ID:dktDNqDd
それじゃほんとに雑談を。

リリカルなのはがもしも漫画連載から始まっていたらという電波が届いた。
俺は週刊誌とかで、できるだけ長く続いて欲しいな。
50巻はあるなのはなんて、俺としたらとても素晴らしい。
806名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 20:51:56 ID:YvrCgMc+
長く読みたい反面、綺麗なうちに終わってほしいと思う時もあるから難しいな。
他愛ない日常とかも書けば結構続きそうだけど、週間ペースだと無印からStSまでどれくらいだろう?
807名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 20:58:47 ID:RzRpMyXB
銀魂とかぬ〜べ〜的な流れにすれば、結構続くと思うw
ただ、純粋なストーリーだけなら15〜20くらいかな?
808名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 23:08:18 ID:4XbNd+cE
管理局所属としての小さな事件を繰り返す短編連載みたいな体裁なら長く続いても良いと思うんだが、
NARUTOみたいに長編エピソードだけの、「オイ作者銀魂でも読んで出直せ」みたいな、
主人公以外のキャラにも重みを持たせやすい小エピソードの数々がどこ行ったよ、
見たいな長期連載はもうおなかいっぱい
鰤やワンピも似たような構成できるはずなのに長編エピソードだけだし最近のジャンプときたら……
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/17(日) 23:09:38 ID:XdFtSoeu
>>805
掲載誌はチャオンピオンREDしかないな。
810Strikers May Cry:2008/02/17(日) 23:21:33 ID:VrgyqS9P
漫画版か……できれば週間連載で巻数は15〜20くらいが無印〜A’s、ストライカーズはアニメ版の3倍くらいの用量を詰め込んで20巻前後が希望。
っていうかストライカーズは消化不良に終わった箇所が多かったので、個人的にはスバルとノーヴェのガチバトルが見たい。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/18(月) 10:27:42 ID:KeO4BQZ3
某種死みたいにある程度作者が自由に出来るならそれもありかなとは思う。でも今まで見たいに原作者が口はさんできたら……。

>>810
流石にそれは無理だwwww
812名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/18(月) 21:03:21 ID:iWybov53
アニメに比べて尺に余裕があるなら、A’sとStSの間を補完してほしいな。
色々悩んだりしそうで、ドラマも多そうな思春期を吹っ飛ばしたのは残念だった。
813名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/19(火) 12:34:10 ID:0wbw0ffw
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814名無しさん@お腹いっぱい。
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