あの作品のキャラがルイズに召喚されました part112

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part111
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202617563/


まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

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    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
              ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

--------------------------------------------------------------------------------

    _         ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし      ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ       本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l        ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
               ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

--------------------------------------------------------------------------------

   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>     ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’       ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
                姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。

2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 00:44:32 ID:/USw8eTp
>>1

                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 00:46:07 ID:/USw8eTp
●     「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃  ●  ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘  よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃         おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃          (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃           どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃            たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃             ね・え・かたをっかしてよっ
┃              す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃               き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃                ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃                 だからすぅきぃよっなんていわない
┃                  のんのんのんどっこかへいったら
┃                   ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん  ・・・だぁって
┃                    ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃                     あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 00:46:35 ID:/USw8eTp
うむ、やはりこれがないとな。

というわけで、1さんお疲れ様ー
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 00:50:18 ID:DSYcqk59

テンプレ直っているな
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 00:51:50 ID:LhdUiPjk
今度こそザンキさん召喚を祈りつつ

一発一発が1乙の特注品だ一つ残さずもって逝け
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 00:59:09 ID:apxojgtS
「ザンギさん」に見えてザンギエフがワルドにファアイナルアトミックバスターを掛けているのを想像した
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:04:33 ID:wvJP/ty1
ダブルラリアットでエア・ハンマーをすり抜けるザンギさんを夢想した。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:18:52 ID:2Rsn72X7
とりあえずテンプレにはまだ入れるに及ばない注意事項
名乗りもせず内容(一発ネタゆえ先に説明したら興醒めな場合はその旨)説明
無しの投下宣言や投下予告は荒らし・最低行為の前歴者が複数居るため
再来を疑われ拒否されます、最低限の説明はしましょう。

何の事?と言う向きには「Z武」で過去ログ検索することをお勧めします
「こんな奴と同類に見られてはたまらない」と思う事請け合いです。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 01:44:03 ID:D0JJVpV+
英雄伝説空の軌跡からアネラス・エルフィードを召喚。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 02:16:06 ID:LhdUiPjk
>>9
了解
過去ログ見てきたがたしかに同類に見られたくないなぁ

ところで俺が言ったザンキさんは
「音撃斬!雷電激震!」の方だったんだが
12裏口入学生:2008/02/13(水) 02:18:58 ID:VqauVaW4
イートマンのボルト・クランクは?
宝物庫の「鉄蛇の抜け殻」を食べてテロメア付きにってのは・・・。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 02:34:53 ID:xldlMDLa
>>12
とりあえずsageろコテを外せ
14ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:18:18 ID:wGMRhJQg
こんです。誰かいるかな……?

4話目書きあがったので、投下してもいいでしょうか(´・ω・`)
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 03:22:19 ID:5PwSkxxH
カマン
16ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:23:32 ID:wGMRhJQg
5分くらいしたら投下開始しまふ(´・ω・`)
17ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:28:50 ID:wGMRhJQg
   ◇


 ムスタディオは、校舎の隙間に隠れていたキュルケに背を向けて歩く。
 視線の先には、何やら喚きたてるルイズとなだめようとして失敗するコルベールがいる。
 ――気が重かった。
 また何やら追及されるのもそうだが、それ以上にムスタディオの気持ちを沈ませる事実があった。

 今日で、リハビリのプログラムが終わりになるのだった。

 自分の体調が標準まで戻ったことは嬉しかったが、素直には喜べない。――コルベールと話す機会がなくなってしまうからだった。
 出合ってたった数日だが、ムスタディオはジャン・コルベールのことをとても好ましく思っていた。
 しかし。

「――この間も言ったけど。
 あんた、このリハビリが終わったらもうコルベール先生と用もなく話しちゃ駄目なんだからね」
「……ああ。分かってるよ」

 なんでだ、と思う。
 あまりの理不尽さに、ルイズに殺意めいたものすら覚える。

 この四日間は、出会って間もない少女に対してそんな感情を抱かせるほど耐え難いものだった。



「ブレイブストーリー/ゼロ」-04



18ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:30:25 ID:wGMRhJQg
   ◇

 目が覚めた翌日。
 ムスタディオが休息を十分に取った頭で出した結論は、しばらくは使い魔として生活しようということだった。
 帰るための手段も、お金もない。ここで使い魔になることを拒否しても、無一文で途方に暮れるだけだろう。
 この場所において、自分はあまりにも無力だ。

 同時にこの場所は、自分が生きてきた場所とは違う「世界」なのかもしれない。
 そんな仮説がムスタディオの頭の中に生まれていた。

 ――仲間の一人に、クラウド・ストライフという異邦人がいる。
 異邦人というのは、違う国の人間という意味ではない。本人の証言を信じるなら、ゴーグで発掘され、ムスタディオらが聖石の力で起動した機械によって、クラウドは異世界からイヴァリースへと呼び出されたのだ。
 もっともその言葉に信憑性はない。
 ラムザをはじめとした理解のある幾人かは彼の言を信じていたが、クラウド自身に記憶の混濁や人格のぶれが認められ、辻褄の合わないようなことを言い出すこともあった。
 見たこともない戦いの技術を見せられ、それは確かに証拠の一つではあったが、一方で気が狂っている可能性は否定できなかった。
 彼は特殊な組織で戦士として育成され、その過程で気が狂ったところをあの機械で呼び出されたのではないか。
 そしてあの機械は、単なる輸送装置だったのではないか。
 ムスタディオはそう推測する一人だった。

 でも。
 クラウドの言っていたことは本当だったかもしれない、と今のムスタディオは感じ始めていた。

(あいつには悪いことしたな……)

 似たような状況になって、初めて分かる。周りから見れば、自分も良く分からないことを言っている変人なのだろう。
 昨夜のルイズの自分を見る目つきが、それを端的に物語っていた。

19ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:33:21 ID:wGMRhJQg
 そんなわけで、気持ちは固めたものの、リハビリに励む彼の気は依然として重かった。
 しかし、彼の気持ちを明るくしてくれる出会いがあった。
 リハビリの指導を担当してくれたジャン・コルベールである。
 喋りが上手でなく威厳がないと生徒になめられていると苦笑する彼は、しかし話してみると非常に研究者肌な一面を持っていた。
 不器用だけど自分の好きなものには真っ直ぐな知性と好奇心を発揮する彼は、ゴーグにいる技師達にどこか似ていて親近感を抱いた。
 彼とはイヴァリースの古代文明、それに自分の機工士としての仕事の話をした。
 ルカヴィに関する話題や「自分が違う世界から来た」という推測は、ルイズに口外することを禁止されていたので伏せている。……ムスタディオは、彼女の元で厄介になると決めた以上、彼女の言うことはなるべく聞くようにしていた。
 掃除洗濯はもちろんのこと、毎朝非常に目のやり場に困りながら、着替えまで手伝う。
 メイジ達が己の使い魔に要求する能力をムスタディオはあまり持ち合わせていなかったし、彼女の身を守るといっても、彼の装備は検査の名目でオールド・オスマンの手にあった。だからほとんど従者か奴隷みたいな扱いだった。
 雑用をこなす過程で世話になったメイドや教師たちとも、厳しく言い含められた通りほとんど言葉を交わさない。陰気な男だと思われているだろうな、と少し苦々しく思う。

 それなのに、ルイズからの信用は得られるどころか、日々疑いのまなざしが鋭くなっていくように感じた。 
 そのことを意識するようになったのは、ルイズが四六時中可能な限り自分を傍に置いておこうとしている、と気付いてからだった。
 最初こそ使い魔と主とはそんなものなのかもしれない、と納得しかけていたが、他の主従を見ているとどうもそうとは言えないようだったし、トイレや体を洗う時ですら悪態をつきながらついてこようとするのには辟易した。
 ――これは、監視されているのだ。
 ムスタディオは言いつけは守っているだろうと抗議したが、それに対するルイズの反応は、

『……い、衣食住提供してやってるだけありがたいと思いなさい』

 ――自分の主がゼロと呼ばれているのも、ムスタディオが反感をもつ理由の一つだった。
 ルイズが魔法を使えないメイジであることは、この世界に来て目覚めた翌日に判明していた。彼女の魔法は、それがどんな呪文によるものでも、最終的に爆発という結果に到ってしまうのだ。
 この世界においては、メイジとしての能力が貴族の格を決定付ける大きな一因らしい。
 能力のない貴族というヤツにムスタディオは良い印象を持てない。
 イヴァリースにおいて、私利私欲や保身、考えの浅い政策で平民を苦しめた貴族は山といたからだ。
 ましてルイズは能力が低い割に酷く傲慢にふるまっているように見えた。ムスタディオに自分の能力のことを知られてからは、自尊心を傷つけられたのか、八つ当たりのように彼に喚き散らすことが増えた。

 最初は、貴族といえど年下の少女のやることだ、と大目に見ようとする気持ちが確実にあった。
 しかしこれだけ色々重なってしまうと、そんな気持ちを発揮する気になれそうになかった。

   ◇

20ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:34:45 ID:wGMRhJQg
 それでもムスタディオが彼女の元で働き続けようとしたのは、コルベールの説得によるものが大きい。
 コルベールによれば、彼女は才能がないがもの凄く努力しており、皆の誹謗中傷にも負けずがんばっている。
 それに今は少し疲れていて余裕がなさそうだが、根は優しい子なのでどうか支えてやって欲しい。
 彼はルイズに同情しているようだった。

(優しい、か。根はね……)

 かなり奥深くまで掘らないと根は出てこないんだろうな。
 そう思いながら、もう少し様子を見ようとムスタディオは思った。

 その思いは、そう長く続かなかった。
 検査を終えた装備品、持ち物がムスタディオの手に返って来た。手先の器用さを活かして調合しておいたポーションや毒消しを始めとした薬品類。ブレイズガン。そのメンテナンスのためのパーツや工具。返って来たのはそれだけだった。
 それらは確かに、オーボンヌ修道院の地価書庫に足を踏み入れる際、ムスタディオが携帯した品々だ。
 しかし、彼が持って行ったのはそれだけではなかった。
 自分が仲間達との旅を始めるきっかけとなった物。
 仲間から信頼を受けた彼が保管していた、彼らの人生を狂わせたと言っても過言ではない、全ての元凶の一つ。

「……これくらいの、宝石が二つありませんでしたか」

 ムスタディオが管理を任されていた、タウロスとサーペンタリウスの聖石がなかった。
 彼にとって、それは仲間とのつながりを感じられる品でもあった。装備品を持ってきてくれたコルベールに詰問し、大隊規模の捜索隊を組んで探してもおつりが出るような大事な、いや危険な品だから探してくれと詰め寄った。
 そんなに凄い物なのかと興味を持ったコルベールにルカヴィのことを話そうとしたが。
 喉まで出掛かった時、ルイズに止められた。

「ちょっと来なさい。……いいから、来なさい、っつ、こ、来いって言ってるのよ!」

 拒むと鞭が飛んできた。ここ数日で、何か間違いをする度に受けた仕打ちだった。
 今までなら耐えられなくもないことだったが、その時は無理だった。

「大事な話なんだ! なんで水を差すんだよ!!」
「またあの話? るがいーとかなんとか」
「そうだよ。……本当に大事なことなんだ。詳しくは言えない。けど、あれが誰かの手に渡る前に何とかしないと」
「詳しい話なんか、聞きたくもないわ。
 いい加減にしなさいよ!! その話は他の人にはするなって言ってるでしょ!!」
「……っ、なんでだよ!」
「そ、そそんなのあんたのつつ作り話に決まってるからでしょ! 前々から、思ってたのよ! るがいーだかるがうぃだから知らないけど、そんな変な話、本当のわけないじゃない!!」
21ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:36:18 ID:wGMRhJQg
 ここに来て、ムスタディオは自分が完全に狂人扱いされていることを悟った。
 何なんだ、と思った。
 これまでの自分の人生に全く関与していない、赤の他人とも言えるこの少女に、何故ここまで否定されなければならないのか。
 確かに、彼らの戦いはこの世界の彼女達には何の関係もない。違う蚊帳での出来事だ。
 しかしそれで片付けられては、自分がやってきた事は何だったのか。

 腋の下、掌、背中、あらゆる場所から汗が吹き出て、止まらない。
 そのムスタディオに、ルイズの畳み掛けるような言葉が投げつけられた。

「だだだからあんたが変なこと、しししないように見てあげてるのに――
 どこでも誰とでも変な話おっぱじめようとするし、あああああああもう気が狂ってるんじゃないの!?
 あんたつ、使い魔なら使い魔らしく、い犬みたいにじ、じじ従順にしてなさいよ!

 ――あ、あああんたなんか、犬は犬でも狂犬病の犬よっ!!」

 頭に血が昇り過ぎて何も言い返せなかった。
 かといって女子供に暴力を振るうわけにもいかず、その場から去るがの精一杯だった。

 その翌日、リハビリが終わったらコルベール先生と話すことを禁じるわ、と告げられた。

 なんでこんな目に合わなければならないんだ。その気持ちが爆発的に高まっていた。
 貴族だからってこんな仕打ちをしていいのか。
 ラムザから聞いた話を思い出す。自分達「持たざる者」は、こんな仕打ちを受けて黙っていろというのか。自分は犬なのか。それも狂犬病の。
 家畜に神はいない――これも、ラムザから聞いた言葉だった。かつて味方だと思っていた人間の口から出た言葉だ、と悲哀の混じった表情で語られた。
 自分には祈るための神すら許されないのだろうか。ムスタディオは元々神への信仰は薄かった上に、ルカヴィ達と対峙した時、信仰心そのものを失っていた。
 しかしそんな特殊な経験をしたからこそ、ムスタディオは信者達とは違う角度からの神の存在意義を考えていた。
 それは心のバランスを保つために祈る場合だ。神様を心の拠り所にしている人はたくさんいる。

 ――でもオレには。
 心を許すための拠り所すら、持つことを許されないのか。

 気が付けば、今の彼にとって彼の話しに理解を示してくれるコルベールと話すことは、神を信じる者達にとっての神に祈ることと同じくらい大事なことになっていた。
 でもそれすら奪われた。
 誰とも話をさせてもらえない。
 四六時中ルイズが自分を見張っている。
 夜抜け出そうとしてもすぐに気付かれた。目を離す隙がほとんどない。

 頭がおかしくなりそうだった。

   ◇

22ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:37:00 ID:wGMRhJQg
 この四日間は、ルイズにとっても酷く神経をすり減らすものだった。

『――あ、あああんたなんか、犬は犬でも狂犬病の犬よっ!!』

 はずみでそう言ってしまった時。
 無言で部屋から出て行った彼の顔が脳裏から離れない。

 あんな凄まじい怒りを湛えた人間の表情は、はじめてみた気がする。……いや、違う。少し前に、誰かに凄い剣幕で怒られたような気がする。赤い髪の誰かだったような。
 そこまで考えて、酷く疲れていたので思考を放棄した。

 ルイズもルイズで酷い心境だった。

 何かが折れてしまったかのように泣いたあの夜以来。
 自分が急にここに居てはいけない人間なのではないかという疑念が膨れ上がっていた。
 なるべく目立たないように。大人しくなろうと思っていた。
 以前の自分なら絶対にそんなことは思わなかっただろう、と自分でも分かるが、今は他人の目を気にすることについて、全く疑問が浮かばなくなっていた。
 なのに使い魔は頭がおかしいような言動をするし――そもそも彼が使い魔である以上、「人間である」だけで目立ってしまう。

 ムスタディオに酷い仕打ちをする度に、なんであんな言動をしてしまったんだろうと思う。
 けど一方であいつは私の使い魔だからどんな扱いをしてもいいんだとやけくそに思ったり、でも彼も気が狂っているとしても人間だ、平民でも人間だ、あの仕打ちは酷すぎないか、貴族としてあるまじき行為ではないのかと思ったりする。

 自分が何か、どんどん汚れていく気がする。
 しかし行動が激しくなっていくのを自分自身抑えられず、自己嫌悪のループに陥る。
 毎夜、使い魔に悟られないように声を押し殺して泣いていた。

 そのせいか、寝つきが酷く悪くなった。
 あまり食欲も湧かず、朝鏡の前に立つ度に、自分の顔がやつれていくのを目の当たりにした。
 どうにかしなきゃ、と思う。
 でもどうしたらいいか分からないし、相談できるような人もいなかった。

 頭がおかしくなりそうだった。

   ◇

 ――そうして、ムスタディオがキュルケと初めて会話をした翌日。
 事件が起こった。
23ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/13(水) 03:37:52 ID:wGMRhJQg
以上、投下終了です。
ありがとうございました!
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 03:48:21 ID:cd22q3RB
GJだ。
ルイズの心情とかも細かく描かれてて読み応えが非常にある!
続きをいつも期待してしまえるぜ。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 03:49:19 ID:QoZHr432
GJだ
あれ、なんで俺泣いてるんだろう……
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 03:50:21 ID:2ZSsN1zr
なんかヤバい
クロス元知らないけどコレはいいものだ・・
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 04:30:02 ID:X7wkURCD
クラウドへの印象ワロタwでもそれがそっくりそのまま自分に跳ね返ってきてるんだよね・・・
ムスタディオガンガレ、蝶ガンガレ
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 04:55:35 ID:CCkCOOVW
乙です。

この辺りにタメがあると、後でスカっとくるんだろうなあ。
心象とかも描写が細かいと言うか…とにかく俺好みで
続きに期待せざるを得ない。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 08:05:33 ID:2iWCqLL/
うむむむむ・・・
これはいい、これはいいぞ

キャラの内面をここまでしっかり書いてるSSは無かったな
というか、ここまでしっかり書くのは商用作品くらいだ
素人のSSでは、なかなかここまでやらんぞ

さてさて、彼等に希望はありますかな?
30名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 08:45:49 ID:/FnEsVlp
>>9
テンプレに入れたいならさっさと運営池
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 09:36:38 ID:0lAyQ1wK
まだまともだった頃の平井和正作品より犬神明召喚…
と思たが二つ月がある世界で犬神明とか某大尉とか人狼系キャラってどうなるんだ?
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 09:40:48 ID:D0JJVpV+
空の軌跡からティータ・ラッセル(アガット付き)を召喚したらどうだろう?
コルベールと間違いなく意気投合しそうなのだが……。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 09:43:04 ID:1Neh+yBe
月が満ちてくると体臭がきつくなるんだったっけ?
年中臭くなったりしてw
34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 09:51:23 ID:Bnct3JcY
ゼロ魔に月の満ち欠けの描写ってあったっけ? どうにも思い出せんのだが。
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 09:58:54 ID:80i9ckgj
二つあると複雑になりそうだなぁ>満ち欠け
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:00:06 ID:0lAyQ1wK
公転周期と自転周期も…そもそも本当に月なんか?
はっきりせんと月齢に影響されるキャラは出演させにくいな
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:10:40 ID:0lAyQ1wK
自力で月まで移動出来る能力となると…AKIRAの鉄雄とか…

>AKIRA召喚
召喚事故の治療の為にアカデミーに移送されたルイズはそこで謎の「虚無」の能力を覚醒!
自らの使い魔の「月…」の一言で…

健康優良不良少女はキュルケで…

「いいのよぉキュルケェ
私はもうアンタに助けてもらわなくってもいいのよぉ
これからは私があんたを助けてやる
そんときゃ言いな
きゅるちゃんよォ」
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:32:10 ID:Bnct3JcY
キュルケ「“さん”をつけろよ貧乳野郎!!」
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:33:40 ID:D0JJVpV+
>>36
あるファンタジー小説にあったみたいに、あの月は呪文の集合体って可能性もあるわけか。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:34:48 ID:YqElFvPT
このブレイブストーリー/ゼロのルイズ、ジョゼフ一歩手前に見える。
下手をすれば無能貴族の烙印をされて……かもしれない。
41ゼロの夢幻竜:2008/02/13(水) 10:47:55 ID:guXiYFd7
Good morning! How's your doing today?
遅くなってすみません!
11時から投下宜しいでしょうか?進路はクリアーでしょうかっ?!
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:49:30 ID:7f0VPgv8
遅くないよ、支援。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:50:49 ID:JqtwJg7S
どぞー
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:51:20 ID:nCEKHBh3
>>1000ならオリヴァー・マイ技術中尉を召喚
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 10:53:40 ID:CCkCOOVW
黙して支援する也
46ゼロの夢幻竜:2008/02/13(水) 11:01:32 ID:guXiYFd7
進路クリヤーなようなので投下します。

ゼロの夢幻竜 第二十七話「恋慕」

『女神の杵』は、ラ・ロシェールにある宿の中では一番上等な宿である。
アルビオンに渡る貴族達のみならず、他国からフネを利用してやってくる裕福な商人達にとっても、旅の疲れを癒すにはもってこいの場所だと呼ばれている。
ルイズ達一行はそこに泊まる事になった。
ただし、ルイズ、ワルド、そしてラティアスはキュルケ達をそこにおいて別の方向に向かう。
それはアルビオン行きのフネが出るという大木の桟橋だ。
ラティアスが下を行くルイズ達を見つめながら前に進んでいると、目の前に少々小高い丘が現れる。
そしてその上には……異常なまでに巨大な樹があった。
太い幹、四方に伸ばした長大な枝を見る限り、樹齢にして数千年は生きていたのではないかと思わせるほどのものだ。
高さにしても、先の方は夜空に吸い込まれるように消えているので一体どれくらいの高さなのか見当がつかない。
またそれぞれの枝には木の実の様に大小さまざまなフネがひっついている。
昼間なら面白く見えそうな光景ではあるが、今は沈み行く太陽の光の残滓を受けておどろおどろしい雰囲気を醸し出していた。
すると、ルイズとワルドが木の根元へと消えていく。
いや、正確には木の内部へと入って行ったという事になるが。
ラティアスも高度をぐっと下げて木の内部に入った。
中に入ってラティアスはまたも驚かされてしまう。
木の内部は完全な空洞になっていて、外から見た際、彼方此方に伸びていた枝には階段が繋がっていたからだ。
そしてよく見ると、階段の始点とも言える場所にはトリステインの公用語が書かれた鉄板が貼り付けられている。
この世界に来てそこそこの日数が経つが、未だにラティアスは使われている言語を知らない(と言うよりは読めない)ので、鉄板に刻まれた文字が何なのかが分からなかった。
見物をするように辺りを見回していると、いきなり頭上からお呼ばれがかかった。

「ラティアス!こっちよ!」

見るとルイズはとうに木の階段を昇り終えたらしく、桟橋である枝の付け根辺りからこちらに向かって手招きをしていた。
ラティアスは直ぐにそこに向かって馳せ参じる。
そこから外に出ると、先ず目についたのは一艘の木造船だった。
大きさは100から150メイルほどはある。
マストがあって、畳まれている帆を見受ける限りは普通の帆船を想起させるものだ。
だが空中に浮かぶ為か、両舷から鳥の翼を思わせるような羽が出ている事より、それが飛行用の船だと改めて思いしらされる。
ただ、今は上に伸びている枝から伸びたロープによって吊るされている。
また、少し歩くと昇降用のタラップが甲板に伸びていた。
時折吹き付ける強烈な風の冷たさは彼女達に、自分達がいる場所は位置的にかなり高い場所である事を自覚させた。
眼下ではラ・ロシェールの町の灯が、蛍の光の様に淡く輝いている。
それを気に止めるでも無く、ルイズとワルドは船の甲板へと上がった。
出航するのがまだ先になるためか、甲板では船員が一人呑気に毛布に包まって寝込んでいるだけであった。
だが客が来たために、彼はのっそりとした動作でその応対をする。

「なんだなんだ?ウチのフネに用かい?」

酔っているためか何ともぶっきらぼうな対応だったが、ワルドは表情一つ変える事無く質問する。

「このフネはいつアルビオンに向けて出航する?」
「あさっての朝でさあ。アルビオンがここラ・ロシェールに一番接近する『スヴェル』の月夜が明日なんでね。」

話はそれで終いとばかりに、船員は「寒い寒い」と呟きながら再び毛布に潜り込む。
ワルドはその答えに対して残念そうな表情をした。

47ゼロの夢幻竜:2008/02/13(水) 11:02:27 ID:guXiYFd7
「困ったわね……急ぎの用なのに……」

ルイズは不安そうにフネの全景を眺めながら呟く。
今ここで自分達が貴族だという事を明かして無理に出発させたとしても、風石が足りなくなってしまえばお話にもならない。
あっという間に地面に向かって真っ逆さまになるのは目に見えていた。
かと言って、明後日まで待つなどと悠長に構えていれば、それだけアルビオンの情勢が不味くなるのも分かってはいる。
どうすれば良いか考えていると、一つの解決策が浮かんだ。

「そうだ!ねえ、ラティアス!お願いがあるんだけど……」
「?何でしょうか?御主人様。」
「ここからアルビオンまで私を乗せて飛べる?」
「ええっ?!」

それはラティアスにとって全くの不意打ちとも言える質問だった。
ラティアス自身も、てっきり今日はラ・ロシェールで一泊するものだと思い込んでいたからだ。
それが今になって全部フイになったのである。
おまけにここからアルビオンまで最大航行速度で飛んだとしても、時間にしてどれだけかかるか分からない。
だがしかし……主人であるルイズの期待は裏切りたくなかった。
これしきの願いもきけない使い魔とも思われたくない。
考えてみれば、自分は風竜よりも、グリフォンよりも速く飛ぶ事が出来る竜だ。
ルイズが王女アンリエッタから、真っ先にこの任務を受けた第一人者であるという事も加味すれば、自分がルイズだけを乗せて先にアルビオンに行ってもおかしくはない。
仲間と離れる分、戦力に一抹の不安も覚えるが、こなさなければならない任務の優先順位を秤にかければ、間違い無く皿は任務の方に傾くだろう。
だが、ラティアスのそんな決心に水を差す様にワルドが口を挟んでくる。

「ルイズ。今からアルビオンへ向けて出発したのでは、幾らその竜が僕のグリフォンより速くても到着は深夜になってしまうよ。
それに、仮にアルビオンに着いたとしても、無事に王党派のいるニューカッスルまで行けるかどうか怪しいものだ。ここまでの道程が平坦な物ではなかった事ぐらい分かっているだろう?」

分かっている事をいちいち確認するようでイラッと来るものだが、ワルドの言っている事は事実だ。
だがラティアスとて、それを聞いたところで大人しく引き下がる訳にもいかない。

「私は御主人様の使い魔です。御主人様を必ず守ってみせます。私だって飛ぶしか能が無いわけじゃないんですから。」

そう言うとラティアスは手をしまい、翼の角度を地面と平行にする。いつもの高速航行姿勢だ。
ルイズは少々後ろ髪を引かれる思いを抱きながらも、ラティアスの背中に乗る。
それを見たワルドが、しょうがないなといった感じで溜め息を吐いたので、ルイズは慌てて弁解した。

「あのね、ワルド!あなたと一緒に行きたくないという訳ではないの。勿論、衛士隊にいるあなたは頼もしいわ。ただ……私、婚約者としてあなたに釣り合う様なメイジになりたいから……少しでもあなたに認めてもらいたいから……だから……!」

その後は上手く言えない。
心の奥底から迫る感情が、口から出ようとする言葉を引っ込めさせようとするからだ。
暫しの間、静寂がその場を包みこむ。
先に口を開いたのはワルドの方だった。

「分かった。それ以上は言わなくても良いよ、僕の小さなルイズ。多少不安は残るが、僕も君の仲間を連れて直ぐにアルビオンまで向かうよ。それと、使い魔君?」
「はい、何でしょうか?」
「道中はくれぐれも気をつける事だ。僕の婚約者を頼むよ。」
「分かりました!」

ラティアスはしっかりと返事をし、出発の体勢に移る。
ルイズはラティアスの首に腕を回し、振り落とされないようにしっかりと交差させた。

「御主人様、進行方向をお願いします!」
「方向は……フネの船首が向いているのと同じ方向よ。細かい方向は後から指示するわ。全速力でお願いね!」
「了解です!」

そう言うや否やラティアスは急発進をする。
そしてその姿は迫り来る夜闇の中に、点のようになって消えていった。

48ゼロの夢幻竜:2008/02/13(水) 11:03:01 ID:guXiYFd7
残されたワルドは踵を返し、桟橋を後にする。
地上に向かう木の階段を下りながら、彼は思考を張り巡らせた。
思い返してみれば、様々な事が彼の想定の範囲外で起きていた。
最初の誤算は自分の今密かにいる陣営……アルビオンの貴族派の仲間にしようと当てにしていた『土くれ』ことフーケの元を訪れた時に起こった。
てっきりチェルノボーグの牢獄にいると思われた彼女だが、そこに彼女の姿は無かった。
方々を探してやっと見つけた彼女の居場所は厳重な管理がなされた診療所。
ルイズ達の手によって捕まった時に負った怪我が相当重傷だったらしく、水系統メイジが色々と手を尽くしても数週間はまともに体を動かしてはいけないと聞かされた。
縛り首は避けられないというのに、今更治療して何になるのかと診療所の衛兵が呟いていたのは彼の記憶に新しいところだ。
とにかく、これで考えていた策の一つは無しになった。
また、ルイズが竜を召喚していた事より、彼女単独だけでもアルビオン行きが早まってしまった事も想定していなかった事と言える。
もっと自分が集団行動と、一応婚約者である自分の存在の大切さを説いて、しっかり引き止めれば良かったかもしれない。
だが、あの世代はとかく自分の力を誇示しようと、自分をもっと良く見てもらおうと、無理な事を無理と思わないくらい必死に背伸びをしたがるものだ。
ましてや小さい頃から、親によって出来の良い二人の姉達と比べられてばかりだった彼女なら、人一倍そんな感情が強くてもおかしくはない。
まあ、斥候として行かせた説明すれば、残された同級生達にも多少は言い訳がたつという物だが。
その代わり、連中は邪魔になればいつでも切り捨てるか、或いは気付かれないようにひっそりと始末すればいい。
彼等は危険を承知で付いて来たというのだから、何があっても文句は言えまい。
死人に口無しでもある。
そして最後の誤算は、ラティアスと名乗った竜そのものにあった。
風竜、そして自らの駆るグリフォンよりも速く、そして長く飛び、杖も呪文も要らない不思議な技を使い、挙句人間と口を介さぬ意思疎通、ルイズ曰く精神感応を行う。
脅威だ。実力の底が見えないだけに、今自分が与している陣営にとっては底知れぬ脅威だ。
今になれば、無理にでも軽く手合わせをやって実力を測っていれば良かったと考えてしまう。
そうして実力の差を見せ付けておき、自分に全幅の信頼を置かせてから足並みを合わせさせていれば、幾らでもその後起こりうる計算違いへの対処方法はあったかもしれない。
もしあの竜が王や皇太子に丸め込まれて王党派と結託し、王女から与えられた任務序でに貴族派を蹴散らす事となったら……考えただけでも不快極まりない。
階段を降り切ったワルドは、彼方此方に散らした自分の『偏在』に指令を出す。
次から次へと自分が立てた作戦に変化を要求されるこの状況に、彼は徐々に焦りを覚えていた。

下に見えるは双月の光に照らされた海ばかり。
上に見えるはやはり双月に照らされた紺碧の夜空。
空気はからっと乾いており、風らしい風も無いので高速で飛ぶのには申し分ない環境だ。
そんな中ラティアスは、以前トリスタニアに向けて飛んだ時の倍近い速度でアルビオンに向かっていた。
ただ……時折ルイズと会話でもしていないと気が持たない。
夜もとうに更けているために、襲ってくる眠気が半端ではないのだ。
夕方に飛び始めたので、今でかれこれ3時間は経っているだろうか。
飛び続けるだけの体力の事を考えれば、このままだともってあと4時間というところだろう。

「御主人様、方向はこれで合っていますか?」
「ええ。合ってるわよ。」

定期的に方向確認をするラティアス。
暇潰しに学院の事を始めとするこの世界の事について散々話してはいたが、数十分ずっとこのやりとりしかしていない。

「ラ・ロシェールの皆さんは大丈夫でしょうか?」
「心配無いわ。だってワルド様がいらっしゃるんだもの。言い忘れてたけどワルド様は風のスクウェアメイジなのよ。」

ラティアスにとってそれは初耳だった。
だがスクウェアクラスのメイジならば問題は無いだろう。
また、それより実力はやや劣るが、学院生徒組にはトライアングルクラスのキュルケやタバサもいる事だ。
よっぽどの事が無い限り、アルビオンまで来れないという事は無いと考えておきたい。
そこまで来てラティアスは肝心な事を訊いていない事に気がついた。

49ゼロの夢幻竜:2008/02/13(水) 11:03:57 ID:guXiYFd7
「あのう、御主人様。」
「なあに?」
「ワルドさんとは、その、もう結婚をするつもりなんですか?」
「今直ぐじゃないでしょうね。でも近い将来そうするかもしれないわ。」
「そうですか……ところで御主人様はワルドさんのどういう所が好きなんですか?」

何の気無しに投げられた質問ではあったが、その質問にルイズは頬を薄紅色に染めて答える。

「好きより……憧れって言った方がいいかしら。私、学院に入る前から魔法の訓練をしてたの。でもどんなに頑張っても成績は全然駄目。その頃から魔法が出来なかったの。
お母様はいつもそんな私を出来の良いお姉さま達と比べて、物覚えが悪いとか色々理由をつけて私を叱っていたわ。その内我慢出来なくなって途中でよく逃げ出してたのが恥ずかしいわ。
けど、そんな時はワルド様が私を慰めてくれたのよ。ワルド様の領地はヴァリエール家のすぐ近くだったから、よく家を訪ねる事があったの……」

昔を懐かしむようにルイズは目を閉じる。
ヴァリエール家には舟遊びが出来る程の大きさを持つ池のある中庭があり、ルイズは気分を害する事があると、直ぐそこにある小舟に引っ込んで拗ねていた。
と言うのは、中庭自体よりつく人間が殆どいなかったし、両親は家の事情で多忙な事、姉達も舟遊びをやるような年ではない事がルイズにとってそこを都合の良い隠れ場所にしていたからだった。
そんな彼女を偶然見つけ出し、折に触れて優しく慰めてくれたのがワルドだったのだ。
ルイズはそんな思い出を懐かしむ調子も含めて続ける。

「ワルド様、早くにお母様を亡くされてて、お父様も戦争で亡くなっていらしてたから、若くして立派な貴族になる為に、衛士隊に入ってから物凄い努力をされたって今日聞いたわ。
昔お会いした時も素敵だったけど、今はそれ以上なの。強くて、逞しくて、頼りがいがあってそれでいて紳士的で優しい方よ。」
「そうだったんですか……そういった方なら女性は誰でも憧れてしまいますね。」
「ええ。婚約ももう10年以上前に、両方の父親同士が勝手に決めた事だったから、てっきり反故になった物だと思っていたんだけど、きちんと覚えてくれていたのが凄く嬉しかった。
あれだけの地位にいらっしゃるから他の女性のお誘いは沢山あったはずなのに、今でも私だけを見ていてくれたんだと思うと、正直胸がどきどきするわ。」

うっとりとした語り口にラティアスは心なしか嬉しさを感じる。
主人であるルイズが幸せになってくれれば、仕えている身としてこれ以上の幸せは無いものだ。
と、ルイズがラティアスの背中に体をことんと預ける。
食事も取らずに長い事話をしていたので、流石に眠くなったのだろう。
しかし、肝心の案内役が眠ってしまっては道に迷う事になる。
首に絡んでいるルイズの腕の締まりが段々と緩む。
この速度で腕を放されたら、海に向かって真っ逆さまだ。
ラティアスは慌ててルイズを起こす。

「御主人様、起きて下さい。眠いのはよく分かりますけど、私が迷うわけにはいきませんから……」
「えっ……?あっ、そうね。ごめん。」

ルイズははっとしてラティアスの体から身を起こす。
未だ見えぬ『白の国』アルビオン。
果たして一体何が自分達を待ち受けているのだろうか?
ラティアスはそう思いつつも、勢いを失う事無く、夜闇を切り裂く様に飛び続けるのだった。
50ゼロの夢幻竜:2008/02/13(水) 11:05:28 ID:guXiYFd7
投下終了します。
今夜もしかすればもう一話投下できるかもしれないんでその時は支援よろしくお願いします。
ではまたお会いしましょう。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 11:19:50 ID:1JsLna8A
乙でした。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 12:07:53 ID:pE3lM9S4
銃使いというか射撃系・・・タイガーロイド?
忠義に厚いしケッコいけるかも
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 12:21:17 ID:0Lx6J0/o
ゾンダーよりもエンジン王とか呼ぼうぜ
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 12:29:54 ID:70cAfzLw
夢幻竜乙
ワルドが空気になっていく…
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:00:46 ID:fhOrwxPl
前スレ>>1000よ…食い物を召喚って……



みすちーしか居ないな
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:23:46 ID:yWs1Ruqq
乙でした。ラティのレベルがどんくらいか気になりますね〜。


>>36
小早川姉妹とか。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:27:19 ID:qMKS9xVt
……小早川……奈津子だと?
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:30:27 ID:jLyGrZp1
食い物召喚……

すしあざらし
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:35:47 ID:KPUUw1lR
食い物召喚と言われて真っ先に浮かんだのが
既に召喚、完結済みの沙耶な俺は
きっとどこか病んでいるのだろう。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:35:51 ID:2fEDlRAn
ところで前スレに投下された『悪魔も泣き出す使い魔』なんだが

>固定化の魔法がかけられたままのショットガンでは、中に込められた散弾の火薬が爆発を起こさない。

これだとゼロ魔でロケットランチャーやゼロ戦の機銃が使えないって事になるんじゃ?
それともこの作品では固定化とはそういう物だと解釈してるのだろうか
新スレになって言うのもなんだがなんか気になる
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:37:19 ID:qwjvVQI/
食い物…半熟英雄シリーズの某最弱エッグモンスターとか
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:40:16 ID:YApL9XFd
銃使いなのに橘さん、ドレイク、弁護士が挙がらないとは・・・
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:50:26 ID:lp7GyhoN
説明書にわざわざ「そのマシンガンは弾切れが起こりません」と書いてある戦場の狼のスーパージョーも、忘れないで下さい……
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:55:24 ID:LhdUiPjk
>>62
弁護士の助手は挙がってたぞ。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 13:56:42 ID:OPCDxeEW
食い物召喚か
こんにゃく様(本名バシュラール)で頑張ってくれ
ハルケギニアこんにゃくいも探しの旅。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:03:15 ID:GFaEy4/1
鋼の救世主とか?
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:05:01 ID:R+/dujV1
某クロス倉庫でメタルマックスシリーズのキャラクターガ召喚されるのを見て思ったのが
素でがんだーるぶクラスがごろごろごろごろしてるって気付いた…
わんちゃんでも体当たりで戦車吹き飛ばせるしなぁ
その気になればヨルムンガルドも7万の軍勢も敵じゃない…訳ないか
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:07:04 ID:lNu/6IFS
銃というには少々語弊があるが、ロックマンのロックバスターも銃ではあるな。
ソーラーエネルギーの自動チャージらしいから、弾切れは気にしなくてよさそうだし。
…問題は、本人のダメージ修復と武器コピーか。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:13:25 ID:0lAyQ1wK
爆発系キャラ召喚で特技に「イオナズン」と書いてある就職希望の学生なんかどうだろう?

面接官「特技はエクスプロージョンとありますが?」
女子学生 「はい。エクスプロージョンです。」
面接官「エクスプロージョンとは何のことですか?」
女子学生 「虚無です。」
面接官「え、虚無?」
女子学生 「はい。虚無です。敵全員に大ダメージを与えます。」
面接官「・・・で、そのエクスプロージョンは当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」
女子学生 「はい。敵が襲って来ても守れます。」
面接官「いや、当社には襲ってくるような輩はいません。それに人に危害を加えるのは犯罪ですよね。」
女子学生 「でも、アルビオン軍にも勝てますよ。」
面接官「いや、勝つとかそういう問題じゃなくてですね・・・」
女子学生 「敵全員に100以上与えるんですよ。」
面接官「ふざけないでください。それに100って何ですか。だいたい・・・」
女子学生 「100ヒットポイントです。HPとも書きます。ヒットポイントというのは・・・」
面接官「聞いてません。帰って下さい。」
女子学生 「あれあれ?怒らせていいんですか?使いますよ。エクスプロージョン。」
面接官「いいですよ。使って下さい。エクスプロージョンとやらを。それで満足したら帰って下さい。」
女子学生 「運がよかったわね。今日は精神力が足りないみたい。」
面接官「帰れよ。」
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:15:33 ID:RoVJ1k6l
食い物召喚で
魔王エロ大根様を召喚するのか?

エロ大根様は食べると魔法が使える様になるからルイズにはぴったりだな
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:17:04 ID:6Gae+Spo
メカの元でも召喚しとけ
あれも食い物だろう
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:19:56 ID:jLyGrZp1
コピーは聖地からボスがわいてくるか、既に倒し済みで呼ぶか。

後、修復はコッパゲにエアーマン対策に最期までとっといたE缶を精製してもらえば
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 14:36:52 ID:xldlMDLa
>>69
過去にもっと面白いのが投下されてた



こう何度も何度も同じような物見ると新参だらけになったんだなぁと改めて思ってしまう
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:10:03 ID:kD7xOUDk
>>69
初めて来たのなら書き込む前に、まずまとめwikiぐらいは読んでおくべきではないだろうか
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:18:10 ID:yWs1Ruqq
>>57
それじゃねーよwwwwwww
BLOOD+のインスパイア元。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:25:11 ID:QjhGNOOB
FFVから次元の狭間に送られたギルガメッシュを召喚
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:31:55 ID:HlocSCmt
FFTからチョコボ召喚。
敵ユニットとしての嫌な性能の高さを活かして……
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:32:00 ID:jLyGrZp1
小ネタで呼ばれてるな。
FF[のほうだが。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:33:46 ID:8l/KHmc/
FF5の召喚獣でカトブレパスを…その場で皆石化させてしまいそうだから駄目か
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:45:32 ID:7f0VPgv8
ルイズ・キュルケ・タバサでメーガス三姉妹とか。
一名はずれが来るけど。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 15:46:30 ID:Bnct3JcY
前スレ>>1000だけど、食い物召喚はやっぱり難しいから別の小ネタ考えるよ。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:12:59 ID:oavSgJ3E
銃キャラでおっさんが挙がらないなんて

食い物召還なら非常食であるメンチ召還なんかも良いかも?
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:14:44 ID:kvuxJxAX
おでんくんと言う手もあるぞ
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:17:02 ID:AzHcrr94
子供向けだから知らない人も多そうだけど
コロッケ!のプリンプリン召喚ってのを思いついた

ちくしょう…俺に文を書く力があったら…
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:40:03 ID:3he/XZnN
>>84
プリンプリンあのマスク外したら美形だし、素顔さらせば扱いも変わ……らないか
なんたって武器が武器だし
86悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/13(水) 16:41:57 ID:0CfNkxVi
>>60
固定化魔法の概念が、理解できていませんでした。
ロケットランチャーも固定化かかってないと、おかしいですもんね。
ツッコミありがとうございました。修正しておきます。

これから投下します。
87悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/13(水) 16:42:41 ID:0CfNkxVi
Mission10 〜盗賊と魔女〜
破壊の杖を奪還せよ


フーケが目を覚ましたのは、自分が練成したであろうゴーレムの上であった。

(ちょっと・・!これは一体・・・どうなってんだい!?)

気が動転するあまりゴーレムから転げ落ちそうになるが、何とか平静を取り戻して現状を確認する。
アグニ&ルドラのテンペストによって、ゴーレムを覆っていたネヴァンの蝙蝠は残らず焼き尽くされてたが、
竜巻の中心地に居たフーケは奇跡的に無傷であった。フーケはゴーレムの足元を見下ろす。
そこには学院の生徒達から介抱を受ける気絶したコルベールと、その隣では"あの"使い魔がこちらを見上げていた。
事態は最悪。ここをどう切り抜けようか考えをめぐらせようとしたその時、フーケの手元から声が囁いた。

「駄目よ・・・。折角良いところなんだから、・・・大人しくしてなさい」
「な!?なんだいこれは!お前は・・・?」

それからフーケの体と意識の自由は、再びネヴァンに奪われるのだった。


「ねえ、・・・あれ」

ルイズが指を差すそこには、再び動き出したゴーレムが両手の拳を組み、それを頭上に振り上げていた。
ダンテはデルフリンガーを握り、野球打者の素振りを始めた。
88悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/13(水) 16:43:48 ID:0CfNkxVi
「デル公、向こうはまだヤル気みたいだぜ?」
「そ、そいつは威勢の良いこって。・・・ところで相棒よう、俺っちで一体何をするつもりだい?」

今度はバッティングフォームを確認しながら、足首のストレッチを始めるダンテ。

「なあ、ちっとは相棒を労わろうぜ・・・?あんなの受けたら、俺絶対折れるって。アンタはともかく、俺死ぬって。マジ」
「あれは確実に死球」

ダンテは警告するタバサとデルフリンガーに構わず、目の前のゴーレムと対峙し、ルイズ達は固唾を飲みながらその様子を見守った。
錬金によって鋼鉄となったゴーレムの両拳には、ネヴァンが放出する有りったけの電気が蓄えられようとしていた。
ダンテが笑いながらデルフリンガーに答える。

「刺激があるから人生は楽しい。そうだろ?」

轟音と共にゴーレムの拳が振り下ろされた。

「嫌ぁあああああああ!」

ダンテは向かってくる鉄拳に合わせて、絶叫するデルフリンガーを振りかぶった。
激突する両者。ゴーレムの拳に亀裂が入った。

「ヤッハー!、場外まで飛んでいきな!!」

ダンテがそのままデルフリンガーを降り切ると、ゴーレムの両腕が粉々に砕け、破片が宙を舞った。

「もうムチャクチャね・・・」

感心を通り越して呆れるルイズ。両腕を失ったゴーレムはバランスを崩し、後ろへ仰け反った。
ダンテはそれを見逃さず、デルフリンガーを鞘に収めて、コートの裏に装備していたケルベロスを取り出した。

「逃がさねえぜ!」

ダンテがゴーレムの足元にケルベロスをかざすと、氷のスパイクが地面から大量に突き出し、
ダンテの左拳に刻まれたルーンが輝くと、それが巨大な氷柱へと巨大化してゴーレムの下半身に突き刺さった。
ルイズ達は今まで見たことも無い現象を目の当たりにし、先程の炎の竜巻の時以上に、驚きを隠せないでいた。

「嘘っ!!?」
「凄いわダーリン!ねえタバサ!?」

タバサが目を大きく見開く。雪風の二つ名を持つ彼女はこの光景に戦慄する。

「詠唱もしてない。こんなの見たことない」
(お姉さま、珍しくビックリしてるのね)

ゴーレムの半身を覆いつくす程までに変貌したミリオンカラットの氷柱に、ダンテも少し驚いていた。

「ハハッ!どうしたお前等、絶好調じゃねえか!?」
89悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/13(水) 16:44:21 ID:0CfNkxVi
ダンテが身動きの取れないゴーレムの頭部に向かって、ケルベロスの牙の一本をゴーレムの首に絡ませ、
その鎖が縮まる反動を利用して、ダンテは大きく飛び上がった。
ゴーレムの左肩に飛びついたダンテは、「ホァアアォ!!」と、雄叫びを上げながらケルベロスを振り回し、
ゴーレムの頭部を粉々に砕いた。
反対側に見えるゴーレムの右肩には、ネヴァンを持ったフーケが不敵な笑みを浮かべている。

「残念だったな。もうじきお開きの時間だぜ?」
「残念なのは・・・、さあ、どちらかしら?」

フーケが黒いモヤに覆われる。ダンテは咄嗟にエボニーを構え、フーケを撃ち抜いた。

「クソ野郎が・・・!いつの間に入れ替わりやがった?」


フーケが霞の如く消えると同時に、ゴーレムが倒壊を始めた。
ゴーレムが土くれに戻り、ダンテがそれを身に委ねながらゆっくりと降りていく途中、地上からルイズの悲鳴が聞こえた。
急いでゴーレムの土砂から飛び降りると、そこには素顔を露わにしたフーケが、
鎌に変形したネヴァンの刃をルイズの首にあて、キュルケ達の前に立ち塞がっていた。

「ミス・ロングビル、これは一体どういう事ですの?」

問い詰めるキュルケに、ロングビルが冷やかに答える

「フフフ・・・。どうも、こうも、ねえ?」

その口は薄く笑いを含み、妖しい輝きを放つ目で、キュルケ達をじっと見ている。
恐怖に震える身体を押さえながら、声を振り絞りロングビルに問うルイズ。

「ミス・ロングビル、貴女がフーケの正体だったの?」

キュルケの後ろから、鬼の様な形相で、ダンテが割って入ってきた。

「ダーリン!?」
「お人形使った下手な芝居はその辺にしておけよ。もう一度穴だらけにされたいなら、話は別だけどな」

ダンテはロングビルを睨みつけながら、左手に構えたエボニーの銃口を向けた。

「あら?この娘の命がどうなっても良いの?」

ネヴァンの冷たい刃がルイズの喉元に当たる。
ダンテは表情を変える事無く、冷やかに答えた。

「好きにしな」
「ちょっと、ダーリン!」
「フフフ、言い返事ね」
90悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/13(水) 16:45:10 ID:0CfNkxVi
ダンテが言い放ったその一言で、自分が見捨てられたのだと悟ってしまったルイズ。
使い魔に見捨てられた?私が不甲斐ない主人だから?魔法も満足に唱えられないから?
迫る死の恐怖に震えるルイズは、使い魔に裏切られた気持ちも加わり、更にどん底に落とされた様な気分だった。
自然とルイズの目から涙が零れ落ちる。

しかし、目の前に佇むダンテの顔は真剣そのものだった。
その口からはいつもの冗談や軽口ではなく、己の信念を貫かんとする意志の言葉が発せられた。

「勘違いするなよ?お前がどう好きにしようが、そのガキに手は出させねえぞ。
この名を名乗る時に誓ったんだ・・・。もう俺の目の前で、お前等悪魔なんぞに人は殺させねえってな」

ダンテはロングビルに向けた銃口を、その手に持つネヴァンに狙いを定める。

「10秒やるから決めな。棺桶か、ゴミ箱か」

ロングビルはダンテの放つ気迫に圧倒され、観念したように溜息をついた。

「フフフ。そろそろやめておくわ。貴方のその目・・・本気で殺されちゃいそうだから」

ロングビルの周りに大量のコウモリが一斉に集まり、その中からコウモリのドレスを身に纏う一人の女が現れた。
女が現れると同時に、ロングビルはその場に倒れ込み、その女の右脇には今まで鎌の刃を当てられていたルイズが抱えらていた

「魔女・・人間なの?」

妖しい美貌を放つ半裸に近い姿のネヴァンに対して、何だかよくわからないが負けた気がするキュルケ。
そしてネヴァンに臆することなくルイズが問い詰める。

「アンタが土くれのフーケだったわけ?」

ネヴァンがルイズの頬を、右手の指でさすりながら答えた。

「いいえ。私は貴女達で言う破壊の杖よ。不細工で気に入らない呼び名だけど」
「それじゃあ、あのゴーレムは?」
「あれは彼女がつくったものよ」

ネヴァンが後ろに倒れているロングビルに目をやる。

「ミス・ロングビルが?」
「ええ。外に出ようとしたところ、偶然目があっちゃったから、・・・成り行きで付き合ってあげたのよ」
「聞きたい事がもう一つあるんだけどな」
91悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/13(水) 16:45:51 ID:0CfNkxVi
ダンテがネヴァンに詰め寄った。

「その女に陰気臭い野郎が憑いてるのも、お前の仕業か?」
「さあ?私が会った時にはもう一緒だったから。彼女に直接聞いた方が早いんじゃない?」

それからネヴァンはコウモリのドレスを躍らせ、クルクルと器用に回転しながらダンテに抱きかかえられた。

「やっぱり素敵よ・・・。スパーダよりも情熱的な貴方。・・・私、ずっと寂しかったんだから」

ネヴァンが悩ましい姿でダンテに絡みつく。
フーケから開放され、ここ一番に駆け寄ろうとしていたルイズは、その光景を目にして一瞬たじろいだ。

「な・・・なっ!?」
「・・・気に入らないわね」

キュルケは眉を歪めながら、その膝に乗せたコルベールの頭から、残り少ない黒髪をブチブチと引きちぎった。
その度に意識を失っているコルベールが、「あっ」、「あっ」、と小さく呻きを上げていた。
タバサは、そんなコルベールの挙動を観察している。
ルイズとキュルケの二人に見せ付けるように、ネヴァンはダンテの耳元で囁いた。

「小娘達に物足りなくなったら、・・・夜はいつでも空いてるわ。ダーリン」

それからネヴァンはニヤリとしてみせて、雷の咆哮に包まれながら破壊の杖の形に戻った。

ネヴァンを抱えるダンテの目の前にルイズが立ち尽くす。
その顔は嬉しいやら腹立だしいやら、色々な感情がごちゃ混ぜな表情をしており、目には涙を溜め込んでいた。
ダンテはネヴァンを肩に担ぎ、ルイズの様子を冷やかしながら話しかけた。

「ハハッ、俺の御主人様は相変わらず泣き虫だな」
「泣いてなんかないもん!」

それからダンテは、強がるルイズの頭をクシャクシャと撫でながら、珍しく穏やかな口調でこう言った。

「いいんだよ別に。悲しんだり喜んだりして泣いていいのは、人間だけだ」

ダンテが言った、その言葉の本当の意味をルイズが知るのは、もう少し先のことであった。
92悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/13(水) 16:46:29 ID:0CfNkxVi
投下以上です。
バレットウィッチのアリシアが召喚されるSSが読みたいです。
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:52:22 ID:Py0oHzGY
DMC>>乙です
個人的に、魔人化した時のベオヴォルフ装備と、通常or魔人のネヴァンモード(羽根)
が好きです
連撃、空中飛行もなんですが、やっぱり色合いが好きです
白と黒のコントラストか、紫すらも変色する漆黒か
しかもネヴァンの攻撃って普通に使えるんですよね

続話、楽しみにしています!
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:55:45 ID:UOpwSERQ
乙!

やっぱり、真剣な部分はビシッと決める男だな〜
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 16:59:27 ID:5AT3al8z

コルベールが残り少ない毛髪抜かれて痙攣してんぞwwwww
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 17:01:22 ID:4aJpGi24
投下乙
コルベール(´・ω・`)カワイソス
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 17:10:18 ID:mEKukZE+
乙です
しかし、コルベール先生…あんなに活躍したのにひどすぎる。ひょっとして、無意識の嫉妬?(w
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 17:51:57 ID:7f0VPgv8
乙です。
>>固定化
いや、固定化がどこまでかけられているか、で解釈すればいいかと、などと横槍を。
燃焼反応を起こすのであれば、酸化反応をするわけでしょうから錆びたり経年劣化すると思われます。
固定化はショットガンやRPGの「周囲」に化学変化を防止する膜を形成して外部からの反応は防止するが、信管など内部で起こる反応は問題なく作動する……と私は解釈してましたが。
以上、ごちゃごちゃとすみません。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:07:57 ID:sKDNF0R2
対象物周囲の空間の固定もしくは対象物の時間進行の停止とか考えているけど
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:10:21 ID:2Rsn72X7
火薬や燃料の類は「「固定化がかかってても物理衝撃には破損する」のと同じように
一定(対象物質によりその値は変わる)レベルを超える外力の入力で効果消失とすれば何の問題も無い
考えるべき、最初の反応による発生エネルギーが連鎖するからこそ爆発やらも起きるのだから
使い捨てカイロは発熱しなくなってもスチールウールに着火すれば燃える
そのレベルの匙加減が有ってもおかしくない
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:15:48 ID:XsJkzm8b
>>91
DMCよく知らんけど
「泣いていいのは」なのか?「泣けるのは」とかじゃなくて?
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:17:28 ID:oXRWQ+OP
ぶっちゃけノボル神がそこまで考えてなかっ(ry
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:23:59 ID:p8m+nqnq
>>102
それ言っちゃ駄目w
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:27:55 ID:7f0VPgv8
それを解釈するのがたのしいんじゃん。
まあ、ゆでの御2人まで突き抜けるともう解釈以前だけどさ。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:38:49 ID:fhOrwxPl
>>104
『爆炎』の魔法の直撃受けて燃えてるメンヌヴィルが描かれたコマ

キュルケ達と一緒に、その魔法の威力に驚いているメンヌヴィルが描かれたコマ
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:47:48 ID:W9+Fbp/2
雫から電波がルイズに着信しました

ルイズがノートに世界地図を描きながらいっちゃった目で
丸を描いている
(まず、アルビオン ガリア ゲルマニア トリステイン ロバ・アル・カリイエ )
そしてノートが○で埋め尽くされる

突然キュルケが立ち上がったと思うと
「セックス 略」


「おい誰か保健室に連れて行け」
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:50:34 ID:W9+Fbp/2
タバサ「晴れている日は良く届く」
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 18:51:00 ID:7f0VPgv8
むしろ、こうかな。

ワルド登場。
ワ「グリフォン隊隊長のワルドです。スクウェアメイジです」

その前の話で
ギ「というわけで風こそ最強なのだ!」
生徒「ミスタ・ギトー、あなたのクラスを伺ってよろしいですか?」
ギ「私かね?私はヘキサゴンメイジだ」
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:00:35 ID:NHKgNi17
>>105
肉より先にガルバトロン様思い出したw
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:01:03 ID:VqauVaW4
強殖装甲ガイバーは・・・
ウィンダールヴはアプトムで。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:12:01 ID:Bp6ryoXz
>>110
……そんなにお前さんはイヴィルアプトムの惨事を演出したいのかー!?
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:15:05 ID:xldlMDLa
サイトのPCからディアボロモン召喚
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:19:19 ID:W9+Fbp/2
痕から柏木千鶴がルイズに召還されました

「ワルドさんあなたを殺します」
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:30:09 ID:hRzVTSMm
>>112
パソコンのデータ食い尽くされてサイト涙目www
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:40:16 ID:V29b9nNI
斉藤一を召喚。
壬生の狼が使い魔になるとは思えんけど。

ワルドとの結婚式ではルイズが喋ってるのを無視して扉を破壊して「ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド、その首、貰ったぁ!」と叫びながら式場に乱入
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 19:59:49 ID:x0H9yfLr
月光魔術團から犬神 明(メイ)召喚
ルイズが性転換したり、秘書つながりで
おマチさんの記すべき事もはばかれる部分が
肥大化し、半狂乱で大暴れ…という所まで幻視できた
確実に避難所行きw
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:14:36 ID:/XEKauhA
>>116
電撃文庫化したあれを中学の頃、オナネタにしたのは内緒だ。

レイプ、百合、レズ、SM、TSとはやりすぎだぜ平井和正………
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:17:10 ID:Bp6ryoXz
エロスは程ほどにしたまえよ。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:19:32 ID:/XEKauhA
すまん。
しかし、ラノベの性描写のボーダーってどんなもんなんだ?
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:21:12 ID:wqXyAsOB
>>119
口付けまでならOKなのだろうか。
けどディープな接吻ってけっこうエロすだよなあ
だって粘膜と粘膜が接触してるんだぜ?
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:22:32 ID:ytWrY6Uk
>>119
朝チュンまで
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:23:28 ID:oXRWQ+OP
>>119
アニメ化した時カットされればOUT
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:23:33 ID:tg3B101Q
ROOM NO.1301 なら肉親とセクロスしてなかったか?
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:25:17 ID:xldlMDLa
>>122
むしろアニメでキュルケが(ry
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:30:04 ID:pVhrtinG
>>119
富士見にデビル17という作品があってだな・・・。

ボーダーなんてあってないようなもんだと思う
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:36:26 ID:BYiYApp6
菊池秀行作品をラノベとするならそんじょそこらのエロゲよりボーダー低いし
どこかの異次元騎士様にいたってはもう・・・
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:38:41 ID:1Neh+yBe
こうやって延々続くから嫌なんだよなぁ・・・
128不謹慎?:2008/02/13(水) 20:48:54 ID:fUpoowXP
シエスタの曽祖父関連でちょっと考えたネタ。使いたいお方はご自由にご利用ください。
<実は数日前に、戦記ものを多数濫読した後にうたた寝していて見た、他愛もない夢が
元になっていますが<よほど疲れていたんだろうな・・・そのときの私。

実は一緒に一式陸上攻撃機も1機召喚されてたりして・・・
そしてそこに搭乗していた「さるお方」は、手当ての甲斐もなく間もなく異郷の土と化
したが、その「さるお方」に心酔し、護衛の任につけたことを心底から誇りに思い、ま
たそれ故に守りきれなかったことを生涯悔いていた曽祖父のことをシエスタ経由で才人
は聞かされていたりして・・・

「さるお方」曰く、「やってみせ 言って聞かせて させて見せ ほめてやらねば 人は動かじ」
「苦しいこともあるだろう。言い度いこともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹の立
つこともあるだろう。泣き度いこともあるだろう。これらをじっとこらえてゆくのが男の修
行である。」

少々ミリオタの気もあった才人は、すぐにシエスタの曽祖父が護衛しようとした一式陸攻の
主を悟る。そして、本人の遺言に従い、隣に葬られていた曽祖父の墓の隣にある、一際目立
つ立派な墓石に彫られた日本語の文字で、自らの推測が正しかったことを教えられる才人で
あった。そして零戦と共に保管されていた「さるお方」搭乗の一式陸攻の中から、旧日本海
軍が極秘裏に開発していた決戦兵器を入手することになる。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:53:49 ID:EZMvlICk
ジパングでも読んだのか?
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:55:03 ID:BkWCSCFY
脳内BGM:映画『硫黄島からの手紙』メインテーマ
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 20:56:51 ID:xldlMDLa
>>128
こんなの誰も使わないだろ
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:02:10 ID:WAMHZDlj
まあ、こんだけ手垢付いたら似たようなネタ考えた奴も書くのやめるだろうな。
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:02:58 ID:b70qbVHo
少し視点を変えて…
無事に放映終了した『獣拳戦隊ゲキレンジャー』より深見ゴウ(とおまけのバエ)召喚
問題はルイズがバエのほうとコントラクト・サーヴァントしちゃいそうなことか。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:08:55 ID:2Rsn72X7
ファンタジーかつミリタリーって話なら紺碧・旭日の後世世界から
噴式蒼莱とかの架空兵器が来てる方が盛り上がる
135ゼロの少女兵器:2008/02/13(水) 21:10:32 ID:n80FF8eT
投下予約よかですか?
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:12:10 ID:wqXyAsOB
しまパン支援
137ゼロの少女兵器10 1/4:2008/02/13(水) 21:13:45 ID:n80FF8eT
   『迷い猫・上』

 曰く、その猫は人語を解するどころか、会話もできるらしい。
 曰く、その猫は誰かの使い魔という訳では無いらしい。
 曰く、その猫は異界の知識を持つ賢者であるらしい。
 曰く、その猫は図書館で本を読んだりもするらしい。
 曰く、その猫さんはとっても紳士なのね。きゅいきゅい。
 曰く、その猫は魔法をつかうらしい。
 曰く、その猫はプロの立喰師であるらしい。


「何よそれ?」

 ルイズは胡乱なものを見る目でキュルケに視線を向ける。

「あら、知らないの? 最近、学院内で流れている噂よ?」

 キュルケが、貴方そんなことも知らないの? って顔で言う。
 隣でタバサが、後でお仕置き…、とボソリとつぶやき。
 上空に舞っていた風竜が、一瞬体勢を崩していた。

「う…、最近、忙しかったから…」
「忙しいねぇ…」

 キュルケは辺りを見回した。
 ここは、トリステイン魔法学院近くの春の召喚の儀式が行われた場所であった。
 ルイズたちの近くには支援艇カルナダインが約30メイルの船体を横たえている。
 そして、絨毯爆撃でも行われたかのようなクレーター群。
 そこから少し離れたところにはギーシュが突っ伏しており、モンモランシーが介抱している。

「しかも、三人して変な格好をしてるし」

 キュルケはエグゼリカとルイズとタバサを、上から下まで眺める。

 すこしダボついた白い生地でのボタンの無い服で、二の腕の半ばまでの長さの袖口と、
 襟元と腰までの長さの裾口は、紺色の生地で補強されている。
 そして下半身はヘソ元までは覆われているが、下着と同じような形状の、
 紺色の厚めな生地の衣服で覆われていた。
 どう見ても体操着とブルマです。

 クラスの、えーと、マリコ…、何たらが、喜びそうな格好な気がするわ。

 キュルケは何となくそう思った。

「うう…、変なものを見る目をしないでよ」
「偏見はダメですよキュルケさん。
 これは体操着とブルマと言いまして、
 私がいたところでは女性が運動をするのに最も適した格好なんですよ」
「動きやすく、機能的」

 三者三様の答えを聞き、キュルケは嘆息した。


 さて、ルイズらがここで何をやっているかというと、平たく言えば特訓というやつであった。
 ルイズには失敗でいいので魔法を連発してもらい、それをカルナダインに観測をさせている。
 タバサにも本人が許容する範囲で魔法を使ってもらい、こちらも観測をしている。
 タバサに協力してもらっているのは、成功と失敗を比較するためであった。
138ゼロの少女兵器10 2/4:2008/02/13(水) 21:14:56 ID:n80FF8eT
 ちなみにタバサに協力してもらうために、エグゼリカはカルナダイン内に有った、
 カプヌ〜ドルなる食品を提供している。

「チープな味だけど、美味」

 と、タバサ嬢の談。

 んで、何だか突っ伏しているギーシュであるが、観測そのものはカルナダインに任せきりなので、
 エグゼリカはギーシュのゴーレムと模擬戦闘を行っていたのであった。
 七体のゴーレムの長時間同時運用はだいぶキツかったようであるが…、
 
「紺色の…、宝石…」

 …だなんてセリフを呟いて気絶したようなので、ある意味役得だったかもしれない。


「しっかし、まあ…。ずいぶんとボンガボンガと吹っ飛ばしたわねぇ……。
 ってルイズ、これだけのことやっといて、疲れてない感じね…」
「ん? まだまだ余裕よ」

 その言葉を聞き、キュルケは恐ろしいものを感じた。

 ちょっと、これだけの爆発を起こしておいて、ほとんど疲れてない?
 隣のタバサの魔法の方の破壊痕の方が小さいのに、タバサの方が疲れてんじゃないの…。
 実はルイズって、物凄い精神力でも持ってんのかしら…。

「キュルケ? どうかしたの?」
「ん? ああ、何でもないわ」
「そう。ならいいけど…。んで、何しに来たんだっけ?」
「あ、そうそう、忘れてたわ。
 猫よ、猫。猫探しを一緒にやらないか誘いに来たのよ」

 キュルケの浮かべる表情は、新しい遊びを提案する子供のそれであった。

「何で?」
「興味無し」
「僕…、もだ…」
「私もね」

 ルイズとタバサ、それといつのまにやら起きていたギーシュとモンモランシーも加わり、
 興味が無い事を宣言する。

「貴方達…、ノリ悪いわね」

 キュルケは嘆息する。しかし、キュルケは諦めない。

「ふふん。貴方達、これを聞いてもそう言っていられるかしら?
 一年生のマリーメイアって子を知っているかしら?」
「ん、ああ、あの子ね。知っているわ」

 答えたのはモンモランシーであった。

 ルイズは、それ誰よ、と呟いている。

「確か…、『ゼロの二号』とか言われている子でしょ」
「ご名答よ」
「ちょ…、何よ『ゼロの二号』って」

 ルイズは『ゼロ』の単語が出て、自分が馬鹿にされた気がして気色ばむ。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:16:07 ID:W9+Fbp/2
エイリアンがルイズに召還されました
140ゼロの少女兵器10 3/4:2008/02/13(水) 21:16:19 ID:n80FF8eT
「あ、マリーメイアさんなら、私も知っていますよ。
 魔法の成功確率が著しく低いとかで、そう呼ばれているとか。
 …向こうは爆発とかが起きないので、純粋に失敗しているみたいですが」
「僕も聞いた事があるな。聞いた噂では、なかなかに可愛い子だとか。
 …痛いよモンモランシー。浮気は二度としないよ」

 エグゼリカとギーシュも会話に加わってくる。
 ギーシュはモンモランシーによって耳を引っ張られている。

「まったくヴァリエールは世間に疎いわね」
「私はここ最近忙しかったって言っていたでしょツェルプストー」
「はいはい、ケンカしていたら話が進まないでしょ。
 んで、そのマリーメイアがどうしたってのよ?」

いがみ合いを始めようとした二人をモンモランシーは諌め、話しの続きを促がす。

「ええ、そうね…。そのマリーメイアって子なんだけどね。
 最近はメキメキと魔法を上達させているのよ。
 失敗もほとんどしなくなって、近い内にラインに達するって噂なの」
「それ…、本当?」

 ルイズは思わずそう漏らした。
 メイジはドット、ライン、トライアングル、スクウェアとランクが分けられる。
 ランクが上がれば、掛け合わせられる系統が増えていき、
 効果が上がり疲労も抑えられるようになっていく。
 メイジがどのランクまで上がれるかは、
 本人の素質も大事であるが、努力がものをいう。
 しかし、エグゼリカが言っていたように、
 その子はルイズと似たような実技では劣等生であったようだ。
 それがここ最近は失敗も無くなり、ラインに到達しようとしているのだという。
 少々、異常な事態だともいえる。

「ホントの本当よ。んでね、ここからが面白いところなんだけど…」

 キュルケは周りのメンツを見回す。ルイズたちは続きを黙って待つ。
 タバサだけが興味なさげに本に目を落としている。

「…なんとね、その子は件の猫に助言を受けてから上達したっていうのよ」

 一同の間を、沈黙が支配する。そして、その静の状況を最初に破ったのはルイズであった。

「あぁ〜…、エグゼリカ、今日の特訓はここまで。うん、帰りましょうか?」
「え? あ、はい。その前に着替えておきましょうか」

 ルイズはエグゼリカを引き連れ、着替えるために支援艇カルナダインへと向かおうとする。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:16:42 ID:V19gYDO2
キュルケのブルマ姿はちょっと・・・な、なにをするきさまらー

支援
142ゼロの少女兵器10 4/4:2008/02/13(水) 21:17:28 ID:n80FF8eT
「待ちなさいヴァリエール。貴方、分かりやす過ぎよ…」
「そうね、分かりやす過ぎね…」

 キュルケとモンモランシーは、ジト目でルイズを見る。

「あ、あらツェルプストー、い、一体何の事かしら。
 私はそんな猫には微塵も興味は無くてよ」
「分かりやすいと言うより、自爆」

 タバサのツッコミが入り、ルイズは固まっている。
 ルイズとしては魔法を上達させてくれるという猫に興味津々なのだが、
 変なプライドやらなんやらが邪魔して素直になれないのである。

「はいはい、分かったから早く着替えてらっしゃい、待っていてあげるから。
 タバサ、貴方はどうするの?」
「…興味無い。疲れたし、此処で休んでいる」

 表情が薄いので気づき難いが、先程までの魔法の連続行使でタバサの顔色は幾分か悪い。
 付き合いの長いキュルケぐらいしか気付き様がないが。


「だーかーらー。わ、私は猫になんか、興味無いって言ってんでしょう」
「はいはい、一緒に捜した方が効率いいでしょ?」
「猫なら、食堂で何か餌になる物でも貰ってきた方がいいですかね」
「ねぇ、モンモランシー。僕もまだ休んでいたいのだがね」
「あのタバサだとしても、貴方と二人にしたくないのよ」

 騒がしい面々がカルナダインより離れて行く。
 タバサは地上に降りてきた風竜のシルフィードにもたれ掛ると、本を広げて読み始める。
 タバサの耳に、ルイズらの騒がしい声が聞こえなくなってきた時、
 カルナダインの近くより、とぼけた口調の中年の声が聞こえてきた。

「ふむ、タバサ。エグゼリカ達はもう行ったかな?」
「行った。もう出て来て大丈夫」

 タバサはその声に対し、本から目を離すこと無く答える。

「やれやれ…。もう少しは隠れているつもりだったが、少々派手に動き過ぎたかもしれないねぇ」
「そろそろ潮時」
「ま、そうだろうね。エグゼリカにゃ挨拶しとかにゃならんか」

 ふぅ、やれやれ、と草原に舞う風に、やけに哀愁漂うオッサンの声が乗った。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:18:44 ID:RoVJ1k6l
>119
手元にある一般ライトノベルだと
捕まった女将軍が口と尻と女陰を薬を盛られた三百人の部下にに休み無く犯されてる
144ゼロの少女兵器:2008/02/13(水) 21:19:01 ID:n80FF8eT
投下は以上。

ちなみに、オッサンの声は、某カピバラでイメージしておいてください。

あと。まとめサイトを編集してくださってる方へ。
ttp://kissho.xii.jp/1/src/1jyou26876.txt


>>141
着せる人物は厳選しますた。
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:21:48 ID:b70qbVHo
少女兵器の人乙ですー
キュルケだともろに風ぞk(ry

>>143
武侠小説もどき自重
私だってあの小説から呼びたいんだっ!(w
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:24:41 ID:nggwlxZ2
>>128
山本五十六か?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:25:50 ID:7+bt2qvV
き、キュルケの体操着&ブルゥゥマァァだと……?




大変ごちそうさまでしたァァァァァ!!!
あとGJ!
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:27:59 ID:wqXyAsOB
ブルマ乙
しかし、愛があればキュルケだって!
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:29:22 ID:OPCDxeEW
>>143
詳しく
>>144
GJ!
キュルケのブルマはそれはそれで見てみたい
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:32:29 ID:+mXdAkog
少女兵器氏の作品と判断にGJを。
キュル姐さんのブルマ姿は逆セクハラ以外のナニモノでもないと愚考致します。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:39:07 ID:RgZ6NfiC
>>149
つ武林クロスロード

注意)レズとフタしか出てきません。キャラデザは基本的にマッシブです。

152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:39:52 ID:P8tgtRfb
>>151
例のPVが壊れてるアレか
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:41:27 ID:+0Uw/TL7
>>146
捨陰党のおじいちゃん!





…………のモデルになった人。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:47:37 ID:EKTn0p9k
ブルマ乙

立喰師だなんて…、
少女兵器氏はなかなかの通だな。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:52:22 ID:gGFAMLRY
武林よりはアフリカン・ゲーム・カートリッジズの方がバランスを考えれば無難
こっちはホモもあるというか上の二作品史か読んでないから違うかもしれないが
この作者は異性愛者を書く気がないのか……
武林には夫婦出てきたけど、その巻の最初を見るとNTRフラグかも知れないし
156151:2008/02/13(水) 21:56:02 ID:RgZ6NfiC
…………っと忘れてた。

少女兵器氏。
ナイス、ブルマ(^_^)b
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 21:59:59 ID:9UM2Vum7
ブルマは世界を救う
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:00:06 ID:0Lx6J0/o
僕の名はエイジ!
ハルケギニアは狙われている!!
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:01:19 ID:reWVVvQD
>>158
打ち切りは勘弁
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:03:31 ID:uf7nKzSp
うーん、帝国軍人で思いついたのですが
かなり前にマガジンZで連載してた
えびふらい先生作
『ねこだまSPIRIT OF TAILS』より
軍人猫さん達を・・・
彼等ならゼロ魔の世界でもって適応できるでしょう!

問題は・・・この元ネタの作品私以外に知ってる人いますか?(汗)
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:10:09 ID:n80FF8eT
>>160
人妻を毎回コスプレさせるやつですな。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:11:02 ID:7byPwMVu
>>160
スパッツがまぶしい作品でした。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:13:45 ID:Bnct3JcY
>>160
ねりわさびの別ペンネームだっけ?
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:15:16 ID:2Rsn72X7
>ねりわさびの別ペンネームだっけ?
別人だ、同好の士らしいが
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:17:03 ID:Xg/LBs/6
前にここで個人サイトでダイ大のポップが召喚される所見たんだけど誰かそこのURL知らない??
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:18:41 ID:52xcsUZ5
>>165
ググれ
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:18:49 ID:2Rsn72X7
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:23:26 ID:zg0NwiMM
マガジンZからなら8マンを
と思ったけど虐殺になるんでやめ
あれ結局打ち切り?第二部なし?
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:27:05 ID:l764rvRi
どこからか超マン召喚とかいう電波が
あれはエルフからみたらどんな存在だろう
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:28:39 ID:FS/ym6gD
ゼロの教師を読んでたらふと浮かんだ。

サイト:高校生――→AT10―――→我等の剣――――――→絶対攻撃→虚無の使い魔
           |                      ↓
           ―→待機「俊敏」→ゼロの使い魔――→C魔法吸収→ガンダールヴ
                                 ↓
                                  ―→勇猛果敢→神の盾

ルイズ:ゼロのルイズ――→MAT10→がり勉少女――――――――→暴走召喚→虚無の担い手
               |                         ↓
                ―→待機「見切り」――→爆裂メイジ――――→C幻影→始祖を継ぐ者
                                         ↓
                                          ――→ダブルムーブ→ミス・ゼロ


アティ先生の人復活しないかなぁ…。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:28:42 ID:reWVVvQD
バロム1を召喚

ルイズとシエスタの友情パワーで変身だ!
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:34:13 ID:2Rsn72X7
>ルイズとシエスタの友情パワーで変身だ!
召喚したのが「バロム1」な時点でそれは無い
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:34:34 ID:grk364qx
>171
パロムに見えた
「メテオ!!」
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:35:08 ID:FwzLNZHZ
>>170
4仕様かwww
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:37:30 ID:G5YpePam
>>170
アティ先生は漏れも待ってる
けど毒吐きで叩かれたからなぁ
あそこ見て消えた職人って戻ってこないんだぜ・・・
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:38:56 ID:FwzLNZHZ
アティてんてー、いい仕事してたからなぁ。
シャインセイバーをサイトに持たせたのは驚愕した。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:40:08 ID:0Lx6J0/o
今じゃ!パワーをメテオに!
178ゼロの魔獣:2008/02/13(水) 22:42:14 ID:JtA8+LOw
5分後に投下しても良いですか?
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:44:39 ID:FS/ym6gD
>>175
今残ってる毒吐き軽く見たけど叩かれたのって随分前?
一応左手の人は復活してくれたから叩かれていたとしてもまだ望みはあると思ってるんだ。

>>178
支援
180ゼロの魔獣 第15話:2008/02/13(水) 22:47:09 ID:JtA8+LOw
―チェルノボーグの監獄。

一切の不審人物が立ち入ることのできないハズのその館内を、
明らかにその場に似つかわしくない不審者が二名、我が物顔で進んでいく。

片方は長身の白仮面。
黒マントからのぞく長柄の杖が、かろうじて彼がメイジである事を推測させる。

もう片方の男の格好は、その場どころかその世界にすら似つかわしくない。
大柄の恰幅のいい肉体にスーツ姿、その上から、さらに白衣を羽織っている。

ふたりは目的の牢獄の前までたどり着くと、その女性とおぼしき囚人に声をかける。
「迎えに来たぞ『土くれ』よ」

『土くれ』と呼ばれたその囚人は何の反応も示さない。
訪問者の方を見ようともせず、空になった茶碗で遊んでいる。
『仮面』の男が言葉を続ける。

「ここから出たくは無いかね『土くれ』のフーケよ」
「・・・・・・・」
「アルビオン王家が滅ぶ瞬間を見たくは無いか?
・・・マチルダ・オブ・サウスゴータ」

フーケはまるで言葉が聞こえないかのように、木製のスプーンをクルクルと回している。
チッ、と仮面が舌打ちをする。
『土くれ』のフーケが一介の学生に敗れ、心を壊された、という噂は耳にしていたが
これ程の重症だとは思いもしなかった。
目の前の彼女の行動が演技であるなら、最後の言葉には何らかの反応を示すはずだった。

まったくの無駄足だった。そう思い、立ち去ろうとした仮面の肩を、白衣の男が叩く
白衣の男は、無言でフーケの手元を指差した。

それは、奇妙な光景だった。
フーケの手を離れたスプーンが、木製の椀の中で独楽のように回転している。
よく見ると、フーケの右手には鳥の骨が握られている。
食事に出たのであろうソレを削り、時間を掛けて練り上げた、杖の代用品といったところか。
無論、そんな有り合わせの得物で使える魔法など、たかが知れているが・・・。

フーケが骨を振るう。
スプーンの先が木串のように尖り、徐々に回転のスピードが増していく。
木椀が削れ、木クズが螺旋状に宙を舞う。木が焦げる臭いが鼻を突く。

やがて、パキッ、という乾いた音とともに、椀が二つに割れ、周囲に静寂が戻った。


「そうか・・・ そうだったんだ・・・!」
181ゼロの魔獣 第15話A:2008/02/13(水) 22:48:47 ID:JtA8+LOw
何事かをブツブツと呟いていたフーケが、突如、嬌声をあげる。

「フフッ フハハッ ハァッハハハハハハハハアアッ!!
 わかったァッ!! わかッたぞォ!! 魔獣ッ!!
 魔法とはッ! 力とはッ! ゴーレムとはッ!!
 全ての答えは回転の中にあった!!
 こんな! こんな簡単な事だったなんてッ!!
 真のゴーレムがッ! 史上最強のゴーレムがついに完成したァ!!
 クァーッハッハハハッハハハハハハアアアア!!!!」

来た当初はまるで狂人のようだったその囚人は、今や完全な狂人そのものと化していた。

「ミスタ・・・人選を間違えたのではないのか・・・?」
フーケの突然の変貌ぶりに、仮面が問う。
「フフ・・・これから戦う相手の事を考えれば、これぐらいのヤツの方がいい。」
白衣の男がニヤリと笑う。

ピタリと嬌声が止まり、囚人の双眸が訪問者達を捉える。

「ここから出してもらえるかい? 旦那方・・・
 そちらの期待以上の働きはしてやろうじゃないか

 この『土くれの』フーケの新境地・・・
 螺旋の妙技を とくと見ておくがいいさッ!!!!」

大きく吊り上ったフーケの両目の奥で、深緑の瞳がグルグルと渦を巻いていた・・・。
182ゼロの魔獣 第16話:2008/02/13(水) 22:50:27 ID:JtA8+LOw
私は夢を見ていた。

その光景が夢であるとハッキリと認識できるのは、周囲に漂う妙な雰囲気によるものだ。
目の前に広がるありふれた雑木林は、同時に、この世界の何処にも存在しない場所ような、ある種の違和感を伴っていた。

周辺で何事か喚いていた獣の片割れが、不意に断末魔の悲鳴を上げる。
死を撒き散らしながら飛び込んできたのは、一匹の魔獣だった。

「―ッ!? 目を開けろッ!!
 お前がそう簡単に死んでたまるかッ!!」

むせ返るような血の臭いが立ち込め、熱い物が頬を伝う。
これは―涙だ。
驚いて目の前の顔を覗き込む。 魔獣が哭いていた。

―死ぬ? 私が・・・
あらためて自らの体を確認する。
全身に矢尻のような針が突き刺さり、何本かは腹部を突き抜けている。
成程、これは死ぬ。

「うるせえ! お前が死ぬわけはねぇッ!!
 お前は お前は お前は俺のすべてだ!!
 俺のおふくろであり!! おれの体であり 俺の血 目 耳 鼻だ!!」

嗚呼・・・。
私の知る魔獣は、こんなにも悲しい顔をする男では無い。
彼はいつだって不遜で、不屈で、傲慢で、激しい怒りの炎と、無限の闘争心を宿した男のハズだった。

宇宙の真理が、全てのカラクリが、頭の中に沸きあがっては消えていく。
伝えなければならない。世界はどう動き、彼は何処へ行くのか・・・。

そして・・・

私が彼に、何を望んでいるのか・・・。


「私は・・・ 私はあなたのもの・・・」



183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:50:47 ID:G5YpePam
支援
184ゼロの魔獣 第16話A:2008/02/13(水) 22:51:34 ID:JtA8+LOw
「おらぁっ! 起きやがれ!」
使い魔に足蹴にされながら、ルイズは目を覚ました。
反射的に抗議しようとして、異常に気付く。

「・・・あんた、何でそこにいるのよ?」

「あん? パレードだか何だかの準備があるから起こしに来いっつたのは テメーだろうが!」

聞きたいのはそこではない。
何で窓際にいるのか?
彼のいた世界には、外壁をよじ登って窓から入らなければならないというマナーでもあるのか?

「・・・ったく 何なのよ」
ルイズが頭を掻く。最悪の夢に最悪の朝だ。
何だってあたしがこの・・・
この、目の前の魔獣に・・・

食べられたい、などと―。


ふっと慎一の口元を見ると、彼はもごもごと何かを頬張っている。
「こんな朝から 何食べてんの?」

「ああ お前も食うか? 精がつくぜ」

膝元に投げられたそれを、ルイズは寝ぼけまなこで拾い上げた。

成程、こいつは活きがいい。
ルイズの指先で、爬虫類の物と思しき尻尾が、ピョコンピョコン跳ねている。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

叫びにならない叫び声を上げ、ヴァリエール家の令嬢は完全に目を覚ました。



185ゼロの魔獣 第16話B:2008/02/13(水) 22:53:20 ID:JtA8+LOw
その日、トリステイン魔法学院では、アンリエッタ王女の歓迎式典が行われていた。
華やかに彩られた街道と、歓声を上げる人々、その中を通り過ぎていく馬車を
慎一は丘の上から退屈そうに見ていた。

「・・・お前さんはいかなくてもいいのか?」
慎一が、傍らで本を読んでいるタバサに話しかける。
余程熱中しているのか、単に完全無視なのか、タバサは答えない。
だが慎一は悪い気がしない。

慎一は反骨と反逆の男である。封建制度の枠の中にいたならば
史上最悪の反乱者として歴史に刻まれるであろう。
異郷の事と割り切っているからこそ口には出さないが
理由もなく偉い奴も、深く考えもせずにそれを賞賛する輩も大嫌いなのだ。

ルイズの頭の中では 【王女】>【自分】>【慎一】 という図式が成り立っているのも腹立たしさの一因だった。
タバサの傾(かぶ)いた行動は、彼にとって一服の清涼剤であった。

それにしたって退屈な世界である。
いっそどこかの国で革命でも起らないものか、などと不謹慎な事を考えていた慎一だったが
ふと、パレードの中心で目を留めた。

「なあ 嬢ちゃん・・・
 あの 馬車の周りにいる奴は何なんだ?」

「・・・魔法衛士隊 城と王女を守る近衛兵」

「へえ・・・」

おそらくは衛士隊の隊長と思われる羽根帽子の貴族をまじまじと見ていた慎一が、ボソリと言った。

「まさにカルチャーショックてやつだな
 この国じゃあ狼に番犬をさせてるのか」



186ゼロの魔獣 第16話C:2008/02/13(水) 22:54:57 ID:JtA8+LOw
―その夜

慎一はいい加減辟易していた。
間近で見た王女がいかに気高く美しく大きく神々しい存在であったかを称賛するルイズの話が
小一時間ばかり続いていた。

『帰り道』が分かるまで、ずっとこんな日々が続くのかと思い
半ば真剣に革命の可能性を考え始めていた慎一だったが、
外からの物音に、ピクリと耳を動かした。

右手でルイズの話を遮りながら、クンクンと辺りの臭いを嗅ぐ。
「お客さんらしいぜ」
「・・・こんな夜遅くに?」
「こっちから仕掛けて見るか?」
「バカ 戦場じゃないのよ」

程なくしてドアが叩かれる。始めに長く2回、それから短く3回・・・。

ハッと何事かに気付いたルイズが、慎一に指示を飛ばす。
「シンイチ! 急いで変身して!! ライオンでも鷹でも熊でも何でもいいわッ!!」
「−ッ!! それ程の強敵なのか!?」
「違うッ!! 使い魔がアンタだなんて知られたくないのッ!!」
「ふざけんじゃねぇ!! 俺は歩く恥部かッ!?」


―扉の外の人物は、フードの上からでも分かるほどに動揺していた。
 ノックの後、急に室内が騒がしくなり、「どうぞ」と言う声が聞こえたのは、その数分後だった・・・。

軽く深呼吸した後、意を決してドアを開ける。

彼女を迎え入れてくれたのは、桃色の髪の懐かしい顔。
昂ぶる心を抑えつつ、魔法で周囲を確認してから、頭巾を取る。

「姫殿下!」
「お久しぶりね ルイズ・フランソワーズ」
客人の名はアンリエッタ・・・
トリステインの王女であり、ルイズの無二の幼馴染であった。

互いの無事を喜びあいつつ、二人は思い出話に華を咲かせる。
魔法学院の一室は、いつしか懐かしの宮廷へと変貌を遂げていた。



187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:55:00 ID:grk364qx
しえん
188ゼロの魔獣 第16話D:2008/02/13(水) 22:56:41 ID:JtA8+LOw
輝ける思い出の日々は過ぎ去り、話は現在へと戻る。
―アンリエッタの政略結婚
―その外交戦略の妨げとなりうる、一通の手紙の存在
―渦中の手紙の持ち主、アルビオン王国皇太子、プリンス・オブ・ウェールズ

アンリエッタ訪問の真の目的は、内乱で揺れるアルビオンへの使者となり
ウェールズに手紙の返還を求めてほしい、という依頼であった。

「お任せ下さい! 姫様の御為とあらば、このルイズ、何処なりとも・・・」

「このわたくしの力になって下さると言うの? ルイズ・フランソワーズ!
 ―これは あなたの想像する以上に危険な任務 
 けれども あなたと その逞しい あなたの使い魔なら・・・」

言いながら、アンリエッタは部屋の隅をちらり見る。

実のところ、麗しい思い出話の最中も、その異物の事が気になって仕方なかった。
アンリエッタは、あらためてルイズの使い魔を見つめた・・・。

筋肉はゴリラ!
牙はゴリラ!
燃える瞳は原初のゴリラ!!

見まごう事なき生粋のゴリラ、ゴリラの中のゴリラがそこには居た。

「これが・・・ あなたの使い魔・・・」

「ええ・・・とても・・・頼もしい相棒です」
何故、よりにもよってゴリラなのか?
慎一の中にある明らかな悪意に、ルイズはわなわなと震えていた。

「・・・風の噂では、あなたが平民の少女を召喚したと耳にしていたのですが・・・」
「雌です!」
「雌・・・ いえ でも 確かにこれほどの使い魔ならば・・・!」
「ええ! ですから今回の任務は安心して・・・」
「俺は反対だ」

突然割って入った男のセリフに、周囲の時間が凍りつく。
ルイズは使い魔に裏切られた事に、アンリエッタはゴリラが喋った事に驚愕していた。

我に返ったルイズが、慎一を咎める。
「なな何を言ってるのよアンタはッ!?
 今回の任務には トリステインの運命がかかっているのよ!!」

「だからこそだ 軽々しくも修行中の学生に任せて良い任務じゃねえ」
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:57:51 ID:zg0NwiMM
燃える瞳はってバイオレンスジャックかよw支援
190ゼロの魔獣 第16話E:2008/02/13(水) 22:58:40 ID:JtA8+LOw
これは建前である。実のところ、慎一はただ気に入らなかっただけである。
昔の友誼をダシに、唯一無二の親友から忠誠を引き出す王女のやり口も気に入らなかったが
それ以上に、その手にまんまと乗せられている主人のことが気に入らなかった。

その身を獣に堕され、異郷で犬呼ばわりされながらも、人の矜持を捨てていない慎一に対し―
目の前の主人は、人の身に生まれながら、心は犬へと堕ちていた。

「それに・・・だ
 そっちの姫さんは 口で言うほど お前の事を信用してねぇ」

「そんな・・・!」「そんなこと無いわ! このバカ犬!!」
2人の反論に対し、慎一が言葉を重ねる。

「それなら教えてくれ 姫様
 あんたが送った王子宛の手紙には 一体何が書かれているのか・・・?」
「・・・ッ!」
「確かにこれは重要な任務さ
 わずかな情報の食い違いが 作戦の成否 ひいては俺たちの命をも左右しかねない・・・
 知っている事を全て話すのは 忠誠に対する最低限の礼儀だと思うがね」
「・・・それは」
「知らぬままに忠誠を尽くすヤツなんざ 山田風太郎の忍者にもそうはいねえぞ」
「・・・あの 手紙には―」

「この バカ犬ゥッ!!」
怒声とともに、慎一の顔面に鞭が飛んでくる。
次々と鞭を振るいながら、ルイズが喚く。

「このバカ! 犬! サル! ゴリラ!!
 どうして! どうしてアンタはいつもそうなの!
 アンタには人の心ってものが無いの!
 男の癖に姫様を困らせてるんじゃないわよ!!」
「効かねえぞ」
「知ってるわよッ!!」

言いながら、それでもルイズは鞭を振るうのを止めない。

―数分後、大きく肩でしながらルイズが宣言した。
「今回は アンタの力は借りない あたし一人でやるわ!
 アンタは地球でもどこでも好きなところへ帰ればいいのよ」

言い終わると、ルイズはずんずんと部屋を出て行った。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 22:58:45 ID:W9+Fbp/2
ボルカノ=ボルカンがイザベラに召還されました

「おいそこの青頭、さっさとご飯を遣せさもなくば裸で踊り殺す」
「うるさいわねえ」
「なんだその口のきき方は、このマスマテュリアの闘犬ボルカノ=ボルカン様を怒らせたら酷いぞ!具体的にいうとだな、
まずタバサとかいう奴の友達三人がやってきて、それぞれ一匹の使い魔がそれぞれ得意な必殺技を出す、
そしてえーと 風と風と風と風と風と メイドが持ってきてくれたクックベリーパイが ・・・・四捨五入して あんたがた ドコサデカさ熊本さ熊本どこさ天馬さ天馬山には狐が追ってさ撃ってさ焼いてさ食ってさ殺す!」
192ゼロの魔獣 第16話F:2008/02/13(水) 22:59:53 ID:JtA8+LOw
「待って! ルイズ」
追いかけようとするアンリエッタを、慎一が引き止める。

「お忍びなんだろ? 今日は帰りな 姫さん」

「でも・・・」

「ああなったら もうテコでも動かねえさ
 今回は俺のミスだ 俺の主人は任務を引き受けた
 だったら俺も 使い魔とやらの任務を果たすまでさ」

「それじゃあ」

「気には入らねえがな」

「ありがとう・・・ありがとう ゴリラさん」



― 帰り際、アンリエッタはルイズの部屋を見上げ、深くお辞儀をした。

主の居ない部屋でそれを見届けた慎一は、右手に瞬くルーン文字を見ながらぼやいた。

「まったくよお ウチの姫さんがたは 面倒臭ぇ仕事ばっかり押し付けやがる・・・」
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:00:30 ID:zg0NwiMM
石川賢+山風=薬師寺典膳火力が足らず殺され続けて死亡支援
194ゼロの魔獣:2008/02/13(水) 23:00:54 ID:JtA8+LOw
今回は以上です。
支援ありがとうございました。

フーケファンの皆さんごめんなさい。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:02:17 ID:RgZ6NfiC
ちょwwwwおマチさん、それ螺旋力wwwwww支援
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:03:28 ID:4hIgMGwW
>>ゼロの魔獣
GJ。にしてもカキコする前にリロードしてよかった。
うっかり割り込む所だったぜ。
つーわけで、カキコする予定だった内容をば。


NARUTOの木の葉崩し後の火影3人(初代〜3代目)召喚とか考えてみた。
死神の腹の中で永遠に苦しみ続ける所を、ルイズの召喚のおかげで助かったとして。

まず、はなっから死んでるから契約不可w
でもルイズが地獄から救い出してくれてるので、居残って恩返し。幽霊に居座られて、夜寝られなくなったルイズはいい迷惑w
さらに全員幽霊なんでタバサが物凄い勢いで逃げるw
そして有事の際には才人と憑依合体!! 肉体が凡人なんで、気をつけないとあっという間にガタが来る!!
オマケに印を結ばないと術が使えないからデルフ涙目だぜ!!

……う〜ん、地味に如何ともしがたいなw
オプションとして才人がNARUTO系列の忍術や幻術、体術を使えるようになるかも知れんが、基本火影が戦った方が良いよなぁ……
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:03:54 ID:LGqZc56p
螺旋力と黄金長方形が混じってるwww
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:05:08 ID:G5YpePam
GJ!
このおマチさんはレア物だぜ
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:06:34 ID:zg0NwiMM

なんとステキなグルグル目
石川画なおマチさんが普通に浮かぶぜ
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:06:39 ID:V19gYDO2
>筋肉はゴリラ!
>牙はゴリラ!
>燃える瞳は原初のゴリラ!!

>見まごう事なき生粋のゴリラ、ゴリラの中のゴリラがそこには居た。

誰もが考え付くネタを堂々とw
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:09:09 ID:Bnct3JcY
ゴリラで腹筋がwwwwww

GJ!
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:14:32 ID:z2MYBVVe
クロマティ高校のゴリラ(たち)を召喚したくなったじゃねえか!
GJ!!
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:21:48 ID:gr28a68Y
今までのこのスレの話の中でルイズがダイ・ハードのジョン・マクレーン
を召喚する話ってない?
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:25:27 ID:BFzM47c9
ねえよ。そしてsageろよ。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:31:59 ID:kp+CbEt+
ヘラクレスの栄光3の主人公を召喚、というのを思いついてみた。
…不死身な上に作中台詞なし(無口の設定)だから難しそうだな。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:32:40 ID:W9+Fbp/2
メイジの精神力=魔法の威力ではないようだけど
始祖ブリミルが最初のメイジだとして
どこからその技術を持ち込んだのか気になる

普通だったら魔法を使える生物と交わっていると考えると思うんだが
ブリミル=エルフ/混血ならば先住魔法のデルフを容易したのも判るし

でなければ、韻竜?と交わったのか
私は一番可能性が高いのは韻竜起源のメイジだと思う
人型になれて、魔法を使うのだから

207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:37:20 ID:Q/gPBJ5H
>206 

気合
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:42:18 ID:XhNYy2vl
ここに書いてよいものなのか分からないが、
ふと思いついたので書いてみる。面接などの
テンプレネタがありなようなので。と言っても、
つまらない替え歌なんですが。んー、これはその、
何て言えばいいか。小ネタかなぁ?んじゃ、投下開始。
209国歌という概念が召喚されました:2008/02/13(水) 23:42:49 ID:XhNYy2vl
『トリステイン国民の歌』
1.
百合の葉の 風さわやかに
晴れわたる 街よいらかよ
王宮は 希望に明けて
日の光 よもにみなぎる  
トリステイン われらの
われらのふるさと

2.
ラグドリアンの 水きよらかに
尽くるなき さちよ恵みよ
系統は 日ごとに伸びて
躍進の いぶきたくまし
トリステイン われらの
われらのふるさと

3.
人の和の 夢おおらかに
盛り上がる 杖よ魔力よ
けんらんの 文化にはえて
とこしえに 若さあふるる
トリステイン われらの
われらのふるさと
――――――――――
元ネタ:栃木県民の歌
http://jp.youtube.com/watch?v=o7pSy6gHx44
トリステインって漢字で書くと 托里斯特尼亞
ってなるらしい。(ソースはWikipedia(中文)だが)
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:43:00 ID:9UM2Vum7
支援
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:52:03 ID:4E5lEZ+G
ジョゼフが戯言シリーズの西東天を召喚
世界の終焉を共に観測する
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:52:12 ID:0Lx6J0/o
トリューニヒト呼びたい
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/13(水) 23:56:39 ID:hLJeA40n
>>209
おお、いい歌だ。
姫様歓迎式典か何かで歌わせちゃってもよろしいでしょうか?
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:01:40 ID:0nIJfoeK
>>206
むしろバスタードの科学者と同類の方がしっくり来る。
自分の思う通りのファンタジー世界を作った。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:02:55 ID:SyJqEnzK
最近銀英伝キャラ呼びたい奴が多いな
ミュッケンベルガーとか呼び出したらルイズ涙目
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:06:24 ID:dpb8jyup
セーラー戦士を召喚したい
誰がいいかな?
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:07:56 ID:5MjQhXhi
アルテミス
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:11:00 ID:Rc6oP4yn
なめくじトリオ
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:14:44 ID:vgzgTTIl
冥王星の子。
せめてSSでは惑星にしてあげて
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:17:47 ID:J9z5wJv2
>>219
でも彼女って機械の体じゃなかったっけ?漫画とアニメで設定違いました?
機械の体ならメンテナンスとかどうするのかな?

アンドロイドというのは男に対してのみで、女のロボットはガイノイドという……らしいぜ。
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:21:09 ID:Vsxf7Jy2
>>220
転生後のほたるなら生身だぜ。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:23:35 ID:5DU9JZHH
冥王星と土星が混ざってますがな
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:24:54 ID:raD+PR5x
冥王星=プルート
土星=サターン
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:28:21 ID:GRnCs9cV
子って言うか冥王せつなことプルートさんはあの面子の中最年長
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:29:07 ID:5MjQhXhi
むかしちびうさがつれてたピンクのねこっぽい機械でいいじゃん
226>>209の続きです:2008/02/14(木) 00:32:09 ID:9Sj5RhXR
『ガリアの歌』
1.
晴れやかな リュティスの朝は
よろごびの 歌ごえ高く
光とび 花はひらいて
こだまする 未来のかなた
この丘に この丘に つどうわれらは
栄えゆき ガリアのいのち

2.
あかねいろ シレ河清く
夕ばえは もえてかがやき
ほこりある 歴史うつせば
この道に この道に つどうわれらは
さち多い ガリアのほまれ

3.
ふるさとを 姿にうかべ
竜のまう 夢はなつかし
もりあがれ こころ合わせて
生産の いしずえ築く
この意気に この意気に つどうわれらは
あすをよぶ ガリアのちから
――――――――――
元ネタ:群馬県の歌
http://jp.youtube.com/watch?v=VKLFSyuXhC0
ガリアは漢字で書くと 戈里亞らしい。(以下略)
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:37:54 ID:PfwRRzJE
冥王星って年増のおばさ(ry
228☆国歌という概念が召喚されました:2008/02/14(木) 00:40:07 ID:9Sj5RhXR
『ゲルマニア国歌』
1.
ゲルマニアの雲の むらさきに
風もみどりの ヴィンドボナよ
恵み豊かな この山河
われら生まれて ここにあり
おお ゲルマニア ゲルマニア
輝くゲルマニア

2.
古き伝統 新しき
いのちをこめて しあわせの
未来をひらく この文化
われらつどいて ここにあり
おお ゲルマニア ゲルマニア
輝くゲルマニア

3.
日に日に進む 産業に
こぞるちからも たくましく
希望はもえる このあした
われら明るく ここにあり
おお ゲルマニア ゲルマニア
輝くゲルマニア
――――――――――
元ネタ:埼玉県歌(1〜3番)
http://jp.youtube.com/watch?v=5KF_u8QQdOM
ゲルマニアは漢字だと 加爾馬尼亞。(以下略)
この三国は略して托国・戈国・加国となるわけか。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:45:14 ID:9Sj5RhXR
以上、投下終了。んー、つまらない駄文をつらつらと
書いてて、ゴメン。しかも途中で書き込み止まるし。
っつか、国歌なのに元ネタは県歌なわけだが。

ニコ動で県歌というものの存在を知って驚き、
そして栃木県民の歌(初音ミクver.)を聞いてて、
トチギ-ケンとトリステインって語が似ているから
置き換えれるんじゃね?って、ふと思ったことから
始まって、思い付きでやってみたわけなのだが。

それじゃ、どうも失礼いたしました〜
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:47:52 ID:/C7v1A50
冥王星の人は大学で物理学してたのに就職先はちびうさと転生ほたるのいる小学校の養護教諭

一体どんな履修をしたんだw
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:52:23 ID:/C7v1A50
おっと、乙でしたー。
うちのは十州に境つらぬる国だぜ!!


>>202
銀魂から近藤を召喚。
コルベール「シュヴァリエのミスタ・コンドウにゲルマニアのショウジョウ公から縁談が………」
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 00:54:57 ID:J9z5wJv2
>>230
そんなことを言ったら「仮面ライダー」で本郷猛を改造した緑川弘博士なんて生化学専攻のはずなのに原子力バイクサイクロンも作ってる。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:08:12 ID:Pm5+KqB8
博士は万能の代名詞だからw
はくしじゃなくはかせだと蒲腐が言ってたwww
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:09:00 ID:Z0maHBTh
オールマイティな天才キャラなんざ今はもう沢山いるんだからツッコンでもしょうがない。

パタリロとか岸和田博士、バカ王子………
235閑人A ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:12:28 ID:lhUaQoCE
5分後から投下して宜しいですか?
236国歌という概念が召喚されました・補訂:2008/02/14(木) 01:13:18 ID:9Sj5RhXR
>>226訂正
『ガリアの歌』
1.
晴れやかな リュティスの朝は
よろごびの 歌ごえ高く
光とび 花はひらいて
こだまする 未来のかなた
この丘に この丘に つどうわれらは
栄えゆく ガリアのいのち

2.
あかねいろ シレ河清く
夕ばえは もえてかがやき
ほこりある 歴史うつせば
とこしえの 文化はみのる
この道に この道に つどうわれらは
さち多い ガリアのほまれ

3.
ふるさとを 姿にうかべ
竜のまう 夢はなつかし
もりあがれ こころ合わせて
生産の いしずえ築く
この意気に この意気に つどうわれらは
あすをよぶ ガリアのちから
――――――――――
元ネタ:群馬県の歌
http://jp.youtube.com/watch?v=VKLFSyuXhC0



度々失礼いたしました。それでは今度こそこれにてドロン。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:14:35 ID:Z0maHBTh
ズゥ〜カァ〜支援!
238閑人A ◇utAARsQ0ec:2008/02/14(木) 01:17:45 ID:GRnCs9cV
名前欄コピペったらどうなるか例示しつつ支援
239もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:19:24 ID:lhUaQoCE
.
「ズゥゥゥゥゥカァァァァァァ!!」

 悪鬼のごとき形相で迫るカメバズーカ。
「ぐっ!?」
 それを迎え撃とうとするV3の全身に走る、高圧電流のような激痛。
 思わず腰が砕けそうになるが、こんな状況で、膝を屈するわけにはいかない。懸命に大地を踏みしめる。
 そんな隙だらけのV3の懐に、カメバズーカは一気に飛び込み、その勢いを殺さぬままに、二本の剛腕で、V3の首根っこを、握り潰さんばかりに引っ掴む。

「ちぃっ!」

 しかしV3は、カメバズーカの勢いを利用して、柔道の巴投げの形で、怪人を後方に放り投げる。
 大地にのけぞって倒れたV3。その彼によって、大地に転がされたカメバズーカ。
 だが、そのままむくりと身を起こすカメバズーカを、予期せぬ攻撃が襲う。――彼の足元の地面が、いきなり爆発したのだ。
「がはっ!?」
 衝撃波をまともに食らって、カメバズーカがすぐ傍の樹に叩き付けられる。
 ルイズが、怪人の足元に転がっていた石に、『練金』をかけたのだ。
「くっ……、何をしやがったズ〜カ〜!?」

 勿論、デストロンの改造人間からすれば、そんな程度の爆発など、物の数ではない。
 だが、ルイズの放った、二発の『失敗魔法』の結果は、恐慌状態に陥っていた、キュルケ、タバサ、そしてフーケの、3人のトライアングル・メイジの精神に平衡をもたらすには充分だった。
(魔法が効いてる……? この化物には、魔法が通用する!?)

 いかに人に畏怖を撒き散らす“ばけもの”といえど、それと戦おうとする者がいる限り、人の心はいつまでも凍てついたままではいられない。『ともに戦う』という選択肢を投げ捨てて逃亡するには、この世界のメイジたちの気位は高すぎるのだ。

 フーケが、怪人の足元に『練金』をかけ、両足を大地に埋め込ませる形で動きを封じ、
「今だよっ!!」
 そのフーケの声に呼応するように、キュルケが『フレイムボール』を放ち、カメバズーカの甲羅を、紅蓮の炎に包み込む。
 だが、それでも、怪人の表情が変わったのは一瞬だけだった。
「ズ〜〜カ〜〜、悪いがお嬢ちゃん、こんなヌルい火じゃあ、水ぶくれ一つ作れねえぜぇ」

――が、その時、フーケが自分に残った最後の魔力で、キュルケの炎に巻き上げられた木の葉を“油”に錬成し、同時にタバサが、特大の『エアハンマー』をお見舞いする。

「なぁっ!?」

 急激に、大量の油と酸素を補給された炎は、それこそ爆発的なまでの燃焼を引き起こし、カメバズーカの全身を覆い隠すほどの勢いを見せる。それは普通の人間なら、一瞬で気化してしまうほどの高熱だった。

「やるじゃないか、お嬢ちゃんたち」
「あんたもね、おばさん」
 だが、そのキュルケの余計な一言に、フーケがブチ切れる暇さえなかった。

「よし、今のうちだ。全員、早くここから逃げるんだ! アイツは俺が引き受ける!!」
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:20:03 ID:GRnCs9cV
支援
241もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:21:06 ID:lhUaQoCE
.
「なっ、何言ってるのよアンタっ!? ここまで来て、手柄を独り占めする気なのっ!?」

 そのV3の台詞に、やはりと言うべきか、真っ先に反応したのは、ルイズだった。
 さっきの二発の失敗魔法こそが、怪人への反撃の先鞭だったと思っている彼女にとっては、眼前の怪物を追い詰めているとおぼしき今の情況で、敵前逃亡する事は考えられない事だったからだ。
 永年、『ゼロ』のレッテルを貼られ続けた彼女は、――無理からぬ事だが――それほどまでに、自らの汚名をすすぐ栄誉に貪欲だった。

「そうよカザミ、悪いけど、いまさらあの獲物を、あんたに譲る気は無いわ」
 キュルケも調子に乗って、ルイズの尻馬に乗る。
「人を散々ビビらせておいて、蓋を開けりゃあ、とんだ張子の虎じゃないの」
 このキュルケという少女は、こと虚栄心の一事に関しては、ルイズをさらに凌ぐ。そして何より、自分をこれほど怯えさせた存在が、戦闘を開始してみれば、案外恐れるに足ら無かったという事実が、悔しくて仕方が無いのだ。
 その思いは、何もキュルケだけではない。
「まったくね。これじゃあ、私としても、何で腰まで抜かして、こいつから逃げたのか分からないよ」
 フーケもぼやくように呟く。
 フーケにしても、眼前で、あっさり火だるまになっているカメバズーカを見て、拍子抜けした事は間違いないのだ。タバサだけが、いまだ鋭い眼差しを怪人に注いでいたが、それでも、油断していないだけで、勝負はついたと判断しているようだった。

――だが、それでもV3には分かっていた。
 自分たち改造人間は、この程度のことで死ぬような、ヤワな存在ではない事を。


「ズゥゥゥゥゥカァァァァァ!!」


 推定一千度以上の高熱で炙られ、完全に活動を停止したかに見えたカメバズーカが、突如、広大な森林に響き渡るような声を轟かせた。
「なっ……!?」
 彼女たちは、先程までの余裕はどこへやら、その咆哮を聞いた瞬間に、顔色を失ってしまう。

 そしてカメバズーカは、自らを包む巨大な炎球を、内側から弾き飛ばしたのだ。……かつてV3が、コルベール相手にそうしたように。

――これほどの炎ですら、改造人間カメバズーカを焼き尽くす熱量には、至らなかったのだ。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:22:20 ID:GgL5qsar
支援だ
243もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:23:10 ID:lhUaQoCE
.
「危ない!!」

 カメバズーカが弾き飛ばした炎球は、一千度に及ぶ高熱を含んだ弾丸となり、四方八方に、放射状に撒き散らされる。
 もしV3が、とっさに盾にならなければ、彼女たちは、その炎球破裂の余熱だけで、黒コゲになって即死していただろう。

「きゅいっ!!!?」
 数cm大の小さな炎が、仰向けにひっくり返って気絶していたシルフィードを、叩き起こす。だが、その程度の火傷で済んだのは、この風竜にとっても、果てしない幸運だったと言えるかも知れない。
 カメバズーカが撒き散らした、高熱の火炎弾は、周囲の木々を一瞬にして火だるまにし、その炎は瞬く間に、燃え広がっていったからだ。

 それほどの高熱をまともに浴びたV3である。
 いま、怪人から攻撃を喰らえば、例え彼といえど、無事には済まなかったであろう。
 だが、カメバズーカとしても、全くの無傷というわけではない。
 鱗状の人工強化皮膚は、ところどころ焦げ付き、焼けただれ、ぞっとするような傷痕を晒している。
「ズ〜〜〜カ〜〜〜」
 口から、ごほっと黒煙を吐くと、カメバズーカはガクリとよろめいた。

(いま……だ……!!)
 V3は、怪人と同じく、焦げ痕の残る自らの肉体を引きずりながら、渾身の鉄拳を、硬い皮膚によろわれた、そのほおげたにめり込ませる。
 カメバズーカは、悲鳴すら上げられず、暗い森の奥に殴り飛ばされていった。

(くぅぅ……っ)
 膝を着きそうになるのを、かろうじてこらえ、V3は振り返る。
「もう一度言うぞ……お前らでは、あいつと戦えない。ここは俺に任せて……逃げろ!!」
「カザミ……」
「――聞け」
 V3は、言葉を続けた。

「あの怪人――カメバズーカの体内には、爆弾が仕込まれている。――それも、ただの爆弾じゃない。核爆弾だ」
244もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:24:18 ID:lhUaQoCE
.
「かく……爆弾……?」
 タバサが未知の単語に反応し、眼鏡を嵌め直すが、フーケはその言葉に思い当たっていた。
「それって、まさか、ガンダールヴの坊やが言っていた――ゲンシ爆弾とかいう……?」
「そうだ。爆発すれば、半径数十リーグ以内の物は、何もかも吹き飛ぶ。何もかも、だ」

「うそ……でしょ……?」
 キュルケが呟くように訊き返すが、V3が冗談を言っていないことは、その語調の空気からして、歴然であった。

「今すぐ魔法学院へ飛んで、Mr.オスマンに伝えるんだ。大至急、学院にいる全ての人間を退避させろ、と。分かったな?」
 顔面蒼白になりながらも、タバサは頷く。
 それを確認すると、V3は彼女たちに背を向けるが、
「待ちなよっ!!」
 フーケが、その背中を、怒鳴るように呼び止めた。
「私たちはドラゴンで逃げる。それはいい。でも、アンタは……どうする気なんだい?」

「あいつは俺の――“仮面ライダー”の敵だ。お前らの手を煩わせるわけにはいかない」

 その場にいた全員が、その言葉の正確な意味を理解できなかったであろう。だが、この異形の両者の間には、余人には計りがたい深き因縁が存在するのだろう。それだけは分かった。
「ヴァリエール」
「えっ――?」
「平賀に、……優しくしてやってくれ」

 目だけで振り向いて、そう答えると、V3は、カメバズーカを殴り飛ばし、転がっていった方向に走り出し、姿を消した。――ルイズには、その背中が僅かだが、寂しく微笑んだような気がした。

「カザミィィィッ!!」

 ルイズの叫びを合図としたように、紅蓮の炎に染まる森の奥から、バズーカ砲弾の爆音が響く。
 それは、人間には介入できない、改造人間同士の戦闘開始の号砲であった。
245もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:25:28 ID:lhUaQoCE
.
――ズキンっ!!

 カメバズーカに、地面に放り投げられ、脳震盪を起こしかけていた才人は、ようやく眼を開けた。手首から走る鋭い痛みが、気付け薬代わりになったようだ。
 指は――動く。かなりの痛みを伴う事に変わりは無いが、それでも、骨は折れていないようだ。
 その事実を、才人は暗澹たるショックとともに受け止める。
 改造人間のパワーを以ってすれば、カルシウムの足らない現代人の骨など、文字通りひとひねりだったはずだ。にもかかわらず、おれの右手は無事なままだ。
 何故だ。
――考えるまでも無い。疑問の余地すらない。余りに単純明快な、その答え。
 
「風見……さん……」

 体を起こす。
 それに気付いたルイズが、こっちに駆け寄ってくる。
「サイト! 無事だった!? ケガは無い!?」
 そんなわきゃねえだろ、と思いながらも、脂汗を流しながら、かろうじて笑って見せる。
「良かった……!」
「ルイズ」
「取り敢えず……取り敢えず、撤退するわよ。こんなところでグズグズして、カザミの志を、無下にするわけにはいかないわ」
「ルイズ」
「急いで! カザミは言っていたわ! あの“ばけもの”が自爆したら、魔法学院さえ巻き込むほどの大爆発を起こすって!! だから――」
「見捨てるのか? ――風見さんを」

 その言葉を聞いた瞬間、ルイズのからだは凍りついた。

「風見さんは、お前にとっても“使い魔”の一人だろう?」
「……」
「そんなあの人を、見捨てるのか?」
 そう問い掛ける才人の、射抜くような瞳をルイズは、真っ直ぐに正視することは出来なかった。
「……かっ、カザミは……カザミは死なないわっ!! サイトだって知っているでしょっ!? アイツはただの人間じゃない。それに……」
「だからって見捨てるのかっ!?」
「ただ見殺しにするんじゃないわっ!! 今こうしている間にも、あの“ばけもの”が自爆するかも知れないのよっ!! 一秒でも早く私たちは、学院に帰って、みんなを避難させなきゃならないのっ!! それに――」
「いま、ここにいても、私たちに出来ることはない、――か?」

 才人に台詞を奪われて、ようやくルイズは彼に向き直った。――駄々をこねるな、と言わんばかりの目で、少年を睨み返す。


「――そうよ。悔しいけど、あの“ばけもの”を相手に戦えるのは、カザミだけ。私たちじゃない。だから私たちは、私たちに出来ることをするしかないの」

246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:26:26 ID:GgL5qsar
纏めに入った?
支援
247236:2008/02/14(木) 01:26:40 ID:9Sj5RhXR
割り込んだ形になった御詫びも兼ねて支援!
248もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:26:45 ID:lhUaQoCE
.
「きゅいきゅいっ!!」
 むこうで、シルフィードが呼んでいる。
「なにやってるの二人ともっ!! 早く来なさいっ!!」
 キュルケが焦れたように叫んでいる。
 そう、こんな無意味な口論をしている暇は無い。
 一刻も早く、ここから脱出しなければ、純粋に命が危ないのだ。
 そんな事ぐらい、才人にも分かっている。
 核爆発の威力の凄まじさは、世界唯一の被爆国民たる平賀才人が、この場にいる誰よりも承知しているからだ。
 だが、それでも、……釈然としない。あの二人を置いて、自分たちだけおめおめと逃げるなんて出来るわけが無い。特に、彼の“記憶”を知ってしまった以上は。

「ルイズ、確かにお前の言う事は正しい。でも……やっぱり納得できねえ」
「何言ってるのよサイトっ!? 私たちに、他に出来ることがあるわけ――」
「戦いを止めさせる」
「なっ……!?」
「おれが二人を止めて見せる。そうすれば、何も起こらず、誰も死なずに済む」

 ルイズには、この使い魔の少年が、もはや何を言っているのか分からなかった。
 普通の人間が、まさに怪物同士というべき、あの二人の間に入って、どうやって戦闘を止めさせることが出来るというのだ。
「何ふざけたこと言ってるのっ!! あの“ばけもの”が説得の効く相手だと、本気で思ってるの!? 巻き込まれて、犬死にするのが関の山じゃないのっ!!」
「“ばけもの”って言うなっ!!」

 そう叫んだ才人の目は、純粋なまでに真っ直ぐな目をしていた。
 ギーシュのゴーレムに、瀕死の重傷を負わされても立ち上がり、カメバズーカ相手にナタ一本で立ち向かおうとした時の、――あくまでも退く事を知らない眼差し。
 ルイズは知っていた。
 この眼をした才人には、もはや一切の理屈は通用しないという事を。

「あの人は……好きでバズーカや甲羅を背負ってるわけじゃねえんだ。――あの人は」
「サイト……」
「あの人は……人間だ」

 言い切るように言うと、才人はそのまま、少女を置いて駆け出した。
 二人の改造人間が戦う――いまや炎が逆巻く、紅蓮の森に。
249もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:28:43 ID:lhUaQoCE
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 カメバズーカが撒き散らした炎は、いまや瞬くうちに延焼を重ね、月下に森厳と静かにあるはずだった森林は、まるで昼間のように明るかった。しかし、樹木を照らすのは日輪ではない。さながら煉獄のような白熱の炎である。

 才人は、ハンカチで口元を覆い、煙を吸い込まないようにして、走った。
 もし、こんな山火事の中、方向を見失ったら最後、確実に自分は死ぬだろう。カメバズーカの自爆や、森の延焼に巻き込まれるまでもない。一酸化炭素中毒で、あっさり窒息してしまうはずだ。
 だが、それでも、才人には確信があった。
 自分が、間違いなく風見の――V3のいる方向に向かっている事を。
 そして、自分が話せば、二人が戦うことの無意味さを、必ず理解してくれるであろう事を。

「ズゥゥゥゥゥカァァァァァァ!!」
 カメバズーカがV3を、燃え盛る大木に叩きつける。
 その衝撃で、稲妻に打たれたように、巨木が縦に真っ二つになるが、そんな程度の攻撃で仮面ライダーが動けなくなるとは、怪人も思ってはいない。――当然V3本人も。
 ダメージが残る重い身体を、意地だけで動かし、迫り来るカメバズーカのみぞおちに、前蹴りを返す。
 よろめくカメバズーカに、さらにジャンプからのキックを見舞うが、一瞬走った激痛が、半呼吸ほど隙を作ってしまう。怪人は身を翻し、躱されたV3の蹴り足が大地を抉る。
「くっ!」

――正直、このコンディションでは、格闘戦はキツイ。
 V3は、そう思わざるを得ない。
 だが、殺意だけで活動しているような、今のカメバズーカを相手に時間を稼ぐためには、近接戦闘が一番確実なのだ。
 こいつに考える間を与えてはならない! もし、こいつが通常の“怪人”としての思考を取り戻す余裕を与えれば最後、いつ自爆という確実な手段に出るか分からないからだ。
 
 その時だった。

「――やめろぉぉっ!! 風見さんも平田さんも、もう止めてくれぇぇっ!!」
 パーカーのあちこちから、いや頭髪からも白い煙がくすぶらせ、才人が血を吐くような叫びを上げていた。

「ひ、らが……!?」
「小僧……!?」

 次の瞬間、V3は反射的に動いていた。カメバズーカから才人を庇う位置に。
「馬鹿なっ!? 何故お前がここにいる!? 俺の戦いを無意味なものにする気かっ!!」
「……ええ、無意味な戦いです。だから、おれはここに来たんです」
 そう言うと、才人は、V3の背からすり抜けて、二人の中間地点にに立った。
 V3もカメバズーカも、眼前の少年の意図がまるで分からず、呆気に取られている。

 
「平田拓馬……昭和XX年X月X日生まれ。アマチュアレスリング・フリースタイル、全日本選手権優勝二回。世界選手権優勝一回、準優勝二回」

「おい……小僧……!!」
 カメバズーカの顔から表情が消える。

「その後、靭帯を傷めて現役引退。平成XX年、XX大学レスリング部に顧問として招聘を受ける」

「――何のつもりだ……小僧……!!」
 カメバズーカの背が震える。

「その3年後、同大学非常勤講師の某女性と結婚。同年、妻との間に長男・拓也誕生。その翌年現住所に自宅購入。その翌年……」

「小僧ぉぉぉっ!!」
 もはや、カメバズーカの声は、絶叫と化していた。しかし才人は、いささかもたじろぐ事無く、そんな彼を真っ直ぐ見つめたまま、最後の一言を発する。


「――デストロンに誘拐、身柄を拘禁され、第一次改造人間計画候補素体とされる」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 カメバズーカは膝を着き、耳を塞ぎ、まるで本物のカメのように小さくなってしまっている。
 V3は、そんな“敵”の姿を見て、呆気に取られていた。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:30:54 ID:GRnCs9cV
支援
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:31:12 ID:l6g/vrla
支援
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:31:12 ID:3VpKe1gn
「ズゥゥゥゥゥカァァァァァ!!」(笑)
253もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:32:16 ID:lhUaQoCE
.
「平賀……お前がいま言ったのは……?」
「風見さん」
「……本当なのか。洗脳が……?」
 才人が、頷く。
「ここにいる方は、もう“怪人”ではありません。人の記憶と意志をもった人間です。デストロンという秘密結社が、このハルケギニアに無い以上、お二方がこれ以上争う必要はないはずです」

「……」
 V3には信じられなかった。
 ショッカーやデストロンといった暗黒組織の科学力はダテではない。
 やつらが施した“脳改造”という名の洗脳固定は、改造人間本人の生存本能よりも更に上位に、組織の価値を置く。つまり脳改造を受けた者は、いわば、組織という名の宗教の殉教者になるということだ。
 それほどの洗脳が、そう簡単に解除されるはずが無い。それになにより、このカメバズーカは自分の存在を確認した瞬間、問答無用で襲い掛かってきたではないか。

 だが、そう思う一方で、やはり才人の言う事も一考の余地はあると思っている。
 自分とて、召喚される前は半壊していたはずのダブルタイフーンが、復元していたではないか。洗脳によって破壊された、改造人間の自我も復元しないとは、誰が言い切れる?
 

「確かに……」
 カメバズーカは、顔を上げた。
「俺の名は、平田拓馬……俺自身、ほとんど忘れかけていた名だがな……」
「じゃあ、やっぱり、――洗脳は解けていたんですね?」
「ああ。お前が、俺の前で意地を張っているのを見て、その時ようやく気付いたんだ。……自分の記憶が戻っている事にな」
 それを聞いて、才人は、顔をほころばせた。
 あの時、自分を嬲るように、右腕を捻り上げたカメバズーカが、そのまま才人の手首をへし折らなかったのは、やはり、人としての意識が回復していたからだ。
「だったら、……だったら、もう止めましょうよ! これ以上二人が戦う意味なんて無いじゃないですか!?」

「悪いが……それだけは無理だ」
 カメバズーカは、そう言うと、さっきまでと同じ、殺意にまみれた目で、V3を睨んだ。
「コイツは、俺を殺した……俺自身の仇の片割れなんだ。絶対に、許せねえ……!!」

 才人は失望しなかった。
 カメバズーカの、その答えは、半ば予想できるものだったからだ。
 しかし、それでも確認は取れた。もはやここには、組織に狂信的な忠誠を尽くす、“怪人”はいない、と。それが分かっただけでも、充分だった。
 だから才人は、この場を静める最後の賭けに出た。
 ポケットから、さきほど砕け散ったナタの一部――といっても、かなり大きな破片だったが――を取り出し、自分の首筋に当てた。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:32:52 ID:U8WrrzpU
カメバズーカ……支援
255もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:33:47 ID:lhUaQoCE
.
「平賀……?」
「――おい、小僧……何の真似だそりゃあ?」
「見た通りの眺めですよ」
 才人は、緊張で、頬を引きつらせながら、
「平田さん……あなたの恨みや怒りはもっともだと思います。……でも、でも、それでも敢えてお願いします。――おれの首に免じて、この場は矛を収めてください!!」
「小僧……!!」
「おれに、あんたたち改造人間を腕ずくで止める力は無い。でも、せめて……覚悟ぐらいは……あんたらにも……!!」
 そう呟くと、少年は唇をかんだ。


「くっ……」
「ふふっ……」
「くははははははっ!!」
「くっくっくっ……!!」

 才人がぽかんと口をあける。
 それはそうだろう。いくら何でも、仮面ライダーと怪人が、並んで笑い合っている光景は、視聴者として育った少年には、シュールすぎる“絵”だったからだ。
 
 ひとしきり笑い終えると、カメバズーカは全身から煙を噴出し、見る見るうちに、――人間の姿になった。 筋骨隆々の、体格のいい、五十代の男に。
「まったく、度胸だけは一人前だな、小僧」
「平田さん、――あんた……!!」
 V3は驚かない。
 ハンマークラゲやテレビバエ、マシンガンスネークといった怪人たちも、人間形態への変身機能を備えていた。ならば、このカメバズーカに同じことが出来たところで、驚くには値しない。
 おそらく、この男こそが、改造人間カメバズーカの、世に在るべき、本当の姿なのだろう。

 しかし、同じく変身を解いた風見志郎に、男――平田が向けた眼差しは、先程と変わらぬ鋭いものであった。

「今日のところは、小僧に免じて見逃してやる。――だがV3、いつか必ず、俺は貴様と決着をつける。それだけは覚えておけ……!!」

 そう言い捨てると、男は才人に、優しい、だがそれ以上に寂しい目で笑いかけ、そのまま森の奥に姿を消した。
 燃え盛る炎が渦巻く、金色の森の中へ。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:36:32 ID:GgL5qsar
支援
257もう一人の『左手』(その13) ◆utAARsQ0ec :2008/02/14(木) 01:36:51 ID:lhUaQoCE
投稿はここまでです。
次回から、ようやく話が本筋に復帰します。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:38:16 ID:U8WrrzpU
なんという燃える展開っ……!
乙でした!
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:38:47 ID:l6g/vrla
GJ!!
相変わらずかっこよすぎる
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:39:24 ID:IljxFtDp
いい仕事だといわざるをエナイ
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:40:43 ID:GgL5qsar

良い展開だし面白いんだが、サイトが勇敢に過ぎる気が……
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:41:59 ID:eqPSys00
ルイズとサイトの立ち回りが入れ替わっております
263ゼロの夢幻竜:2008/02/14(木) 01:42:11 ID:qq8iTsS2
今晩は。昼間のお約束通り投下します。
閑人さんの後間を取って2時からにしますが宜しいでしょうか?
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:52:09 ID:KdKYgGOT
熱い、熱いぜV3。そしてサイト
なにより、悲しいぜカメバズーカよ・・・

夢幻竜さん支援、つか2時がよいかと
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:55:15 ID:ywFM0g8C
2時了解。
しえん。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:55:33 ID:XOqu4SDj
>>151
二巻で出てきた夫婦忘れちゃ可哀想w
一応夫の方は男性の味方キャラで唯一挿絵があった人なんだからw
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 01:56:16 ID:Pm5+KqB8
燃えるぜ!面白けりゃ魔改造でもGJだ!!
268ゼロの夢幻竜:2008/02/14(木) 02:00:41 ID:qq8iTsS2
では投下します。

ゼロの夢幻竜 第二十八話「胎動」

一人の怪しい男がいた。
白き仮面を着けた彼は、貴族派の陣営に入る事を認められてからも、自らの出自を明かさず、ただ『密偵だ』としか答えなかった。
身なりから年若い貴族であるというのは十分に分かるが、果たしてどこの誰なのか?
それを知る者はここ、貴族派に与する兵達の詰め所でも指を折って数える程度しかいなかった。
さて、その噂の若い貴族であるが、今日の夜はいつに無く慌てていた。
簡易的に作られた詰め所を忙しなく行き来し、名のある将校達数名と共に何やら話し合っている。
将校達の面持ちから何かとても重要そうな事だというのは分かるが、一体何について話し合っているのやら。
双月はとうに天高く昇っており、時刻にしてそろそろ日付が変わるのではないかと思われたその時だった。
突然貴族出身の全兵に招集がかかったのだ。
兵士達は皆こんな時間に何事か、といった表情で互いの顔を見合わせながら、集合場所であるかなり開けた丘に集まった。
集まって暫くの間は小うるさい雑談が休む事無く続いていた。
が、中央に設けられた演台に一人の将軍が姿を現した時、その場は一瞬にしてしんと静まり返った。
彼はざわめきが治まり、全ての兵が進んで自分の言葉に耳を傾けるようになったのを確認すると、あらん限りの声で話し始める。

「諸君!先ずはこんな時間にも拘らず、こうして集まってくれた事に感謝の意を表明しよう。この場に集まってもらったのは他でもない。これから行われる我々の義ありし戦いについてだ。」

その場にいた全兵の動きが凍り付いた様に止まった。

「皆に通達されていた決戦日の日取りは、明々後日の正午となっていたのを私も知っている。だが事態は我々の見えぬ箇所で着実に動いているようだ。……本日我が密偵によって齎された報告に因れば、
王党派は明日にでも我々に対し攻撃を構えるつもりでいるそうだ。我々はそれに対し、ニューカッスルへの攻撃を明日の正午に早める事とする。」

その言葉を聞いて丘にいる兵士達は騒然とした。
まさかそんな……一体何故……考えられない!
中には密偵がでっち上げの情報を持って来たのではないかという者もいた。
と言うのも、王党派は今、ニューカッスル城で篭城していると聞かされていたからだ。
更に貴族派の兵が5万近くいるのに対して、王党派はたったの300人程度しかいないというのも確かな情報として兵士達の中では知られていた。
圧倒的に不利な状況にも拘らず、自分達から動こうとする者が果たして本当にいるだろうか?
いるとすればその連中はとんでもない痴れ者連中だ。
しかし将軍は、そんな風に浮き足立つ兵士達を続く言葉で制する。

「確かに!我が方は人員、そして物資とあらゆる面の数において勝ってはいる。しかし、諸君!追い詰められた獣というのは、時として思いもよらぬ策と力を発揮するものだ。
この戦い、皆は圧倒的な勝利で終わると思っている事であろう。しかし!戦と名の付く以上、そこに屍が生まれない事は無い。
また、この戦において死する事無き者達も、気を緩めて良い理由にはならない。何故なら!この地における戦いはほんの前哨戦に過ぎないからだ!
我々はこのアルビオンだけではなく、いずれ隣国であるトリステインを、そしてガリア、ゲルマニアを正しい動きに戻す為に戦うのだ!その理由はここにいる皆が一番良く知っているだろう。」

始め、密偵の情報通達だけで終わるかと思われた全兵召集は、次第に兵士の士気を鼓舞する為の演説へと変わっていく。
兵士達は微動だにしない。
皆、段々とエスカレートする将軍の口上を、一言も聞き漏らすまいと毅然としていたからだった。

269ゼロの夢幻竜:2008/02/14(木) 02:02:11 ID:qq8iTsS2
「この大陸に存在する王権国家は最悪だからだ!ここアルビオンにしても!一体王党派連中は先王亡きこの数年の間、この国を何処に導いたというのか!
国家財政は混乱し、我々が奉納する夥しい量の品々は国務の名の下に浪費され、我々が営々として築き上げた物は完全に失われてしまった!
連中はそれを懸命に秘匿して平然としていたが、最早そんな甘い対処が許される段階ではない!皆も知っての通り、領地や財産を失う者は次々と増えていった。
数年前、ほんの一握りの者達の涙と共に始まったそれは、今日ではここに集まりし者達皆にまで行き届く事となった!そんな事態を引き起こしたのは他ならぬ王党派だ!
それ故に!我々は団結して立ち上がらなければならない!我々のように自己管理の出来る貴族にとって、搾取するしか能の無い王族ほど愚かしい存在はない!
それ故に!我々は武器を取るのだ!この国の王党派による我々への仕打ちに対し、我々の我慢はもう限界に来ている!
連中の中に、如何に話の分かり、我々の事情を賢明に汲む事が出来る者がいたとしてももう説得など出来はしない!
何故か?!王の耳に入る前にそれは官職達によって黙殺され、耳を傾けられる事も無いからだ!諸君!思い出して欲しい!
連中が打ち出す新たな法など、我々に得のあった例があっただろうか?否!全部連中が玉座から引き摺り下ろされない為の、その場凌ぎの法だったはずではないか!
我々は明日からそのような法を遵守する必要も、勿論義務も無い!我々にその様な行動しか生み出させないような王党派に我々は何も望まない!我々に残された選択肢はただ一つ!
今こそ、我々自身が全力を尽くして王党派を倒し、新たに生まれるこの国の主権を握り、このハルケギニアに新たな風を吹かせる事である!
このまま生き続けたとて、身の回りの自由も、今と未来に繋がる幸福も!突然天からやって来るわけではないからだ!これからの諸君の働きこそが!
次代にまで語り継がれるであろう全てを物語る事になるからだ!この国の未来は王党派連中の内ではなく、我々の内にこそ存在する!
私はこの戦い、いや、この戦いに准じるこれから起こるであろう全ての戦いに全身全霊を没頭させる!最後に……この一言を以って召集を解散させる事とする。
あらゆる戦いにおいて、努力、英断、矜持、頑強さを持ち合わせる事によって、エルフとも勇敢に戦った始祖ブリミル・ヴァルトリと我々は同じ位置に昇る事が出来るだろう!」

その瞬間、丘で爆発的な喚声が上がり、次いで将軍を褒め称える声が相次いだ。
中には随喜の涙を流している者まで見受けられる。
自分を囲む周りの様子に、将軍は満足そうに微笑みを返す。
演台から降りると、例の仮面の男が囁くように話しかけてきた。

「私からの報告を兵に伝えるだけだったにも拘らず、素晴らしい演説でしたね。ミスタ・ホーキンス。」
「いや。私は恐らく伝える事の半分も話せてはいなかっただろうな。急な予定の変更で兵士達が明日出撃する事になったのだから、その前の休みを妨げるわけにもいかないのだ。」

予想通りの褒め言葉にホーキンス将軍は謙遜する。
彼にしてみればこんな場所に立って、延々と遠大な考えや主張をぶち上げるのは得意な事ではない。
寧ろ、彼らの後ろで匿って貰っている、総司令官のオリヴァー・クロムウェルがやるような事だ。
ただ、今彼は所用でこの場にはいない。
大方、戦火が飛んで来る様な事の無い場所にでもいるのだろうと見当をつけて、仮面の男は話し続ける。

「良いお心遣いです。前線の兵士達もきっと万全の準備と覚悟で戦いに望む事が出来ましょう。」
「そう言ってくれると嬉しいものだな。だが真の戦いはこれからだ。我々は革命、革命と連呼しているがそれはあくまで世を変えるための『手段』に過ぎぬ。」
「『手段』……ですか?」
「そうだ。その後の『状態』、つまりどう新しい世界を構築していくかを同時に考え、そして実行する事が出来ねば『状態』は混乱のままになり、やがては全てが破綻してしまうだろう。」

そう言いつつホーキンス将軍は天を仰ぎ見た。
自分はこの戦いをはっきりと義によって立つ戦いだと言い切った。
自分の選び取った道に誤りは無い。
鮮やかに光る双月に向かい彼は祈る。始祖ブリミルよ、我等を護りたまえ、と。

270ゼロの夢幻竜:2008/02/14(木) 02:03:43 ID:qq8iTsS2
丁度同じ頃、ルイズを乗せたラティアスは未だ空を飛び続けていた。
だが、速度は飛び始めたときより大分遅くなりだしていた(それでも馬が出せる最大速度の2〜3倍近くの速さで飛んでいたが)。
瞼は既に鉄の塊の様に重く、容赦なく目を覆い隠そうとしていた。
ルイズによれば、雲海が見えはじめたのでアルビオンはもうすぐだと言っていたが。
ところで、アルビオンに着いたとしてラ・ロシェールのような港町はあるのだろうか?
その事が気がかりになったので、ラティアスはルイズに訊いてみた。

「御主人様。アルビオンにもラ・ロシェールの様な港町ってあるんですか?」
「あるわよ。スカボローっていう所。アルビオンが見えたらそこまで誘導するわ。」
「分かりました。」

ラティアスは小さく頷き、再び飛行に集中する。
取り敢えず休む事が出来ると分かると、気分も軽くなるものである。
暫く進むと、雲の量が本格的に多くなりだした。
また徐々に高度を上げていって、靄の中に突っ込む事を避けなければならなくなった。
そうしてかれこれ15分は経ったろうか。
寝惚け眼をしていたルイズは、遥か前方に見えてきた『何か』を見つけた。

「見えてきたわ。あれがアルビオンよ。」
「え?見えてきたって……何ですかぁ?!あれぇっ?!」

その『何か』はラティアスを驚嘆させるのに十分だった。
『何か』とは巨大な大陸であった。
但し、それが海上にあったのなら何も驚く事は無い。
肝心なのはそれが空中に浮いている事であった。
しかもその陸地には高く聳える山も、幅の広そうな川もあった。
ルイズは得意気に説明をする。

「浮遊大陸アルビオン。ああやって空中を浮遊しながら、大洋の上を彷徨っているのよ。でも一ヶ月に何回か双月が重なり合う時に、ハルケギニア大陸の近くまで来るのよ。
大きさはトリステインと同じくらいなの。別名で『白の国』って言われてるわね。」
「『白の国』ですか?」

はてな?ここから見る限り、陸地は夜闇がある事もあってか、外観としてはかなり黒々としている。

「どうしてそう呼ばれてるんですか?」
「あそこを見て。大陸を流れている川から水が落ちているでしょ?でも海に落ちる前に水は小さな粒になって霧を作るの。それが積もり積もって、今私達の周りにあるような雲の海を作るの。
外側から見た時、陸地を雲の白色で覆っているかのように見える事と、雲がハルケギニアの広範囲に渡って大雨を降らせる事の二つから『白の国』って呼ばれているのよ。」

ルイズの丁寧な説明でラティアスは納得した。
やがて、このまま行けば岩壁に衝突してしまうと思ったラティアスは、100メイル進むごとに同じ分だけ高度を上げていく。
どんどんと陸地の表層が視界に入ってくると同時に、少し遠くの場所にうっすらと輝く街の灯が見えた。

「あれがスカボローね。今日はあそこで一旦休んで、明日の朝、日の出と共にニューカッスル城まで行きましょう。」
「はい。あ……それと御主人様。スカボローからニューカッスルっていう所までどれくらいあるんですか?」
「ええと、そうね……馬で1日かかるぐらいの距離かしら。」
「……やっぱり遠いんですね。」

明日、またもひとっ走りする事が確定したラティアスは、溜め息一つ吐いてしょげかえってしまった。
そんなラティアスをルイズは元気づける。

「大丈夫よ。1日かかるっていうのは馬で走った時の話よ。あなたなら半日もかけずに着くと思うわ。」

271ゼロの夢幻竜:2008/02/14(木) 02:04:10 ID:qq8iTsS2
確かに、とラティアスは思う。
しかしそれは、あくまで何の障害に当たる事も無く順調に行けた場合の事である。
出立前にアンリエッタ王女が言った言葉、『旅は危険に満ちています』。そしてワルドがラ・ロシェールから出る際に言った言葉、『道中はくれぐれも気をつける事だ』。
その二つの言葉がラティアスの頭の中で何度も繰り返された。
盗賊に会うかもしれない。貴族派の兵隊に会うかもしれない。
そんな時は自分が主人であるルイズを守らなくてはならない。
と言うよりはそれは使い魔としての義務であり責任だ。
自分が持っている力を最大に生かして、立ち向かわなければ命は無いものと考えた方が良いかもしれない。
それにここまで来て碌な覚悟も無しに戦いを恐れるのならば、自分とルイズだけが先にアルビオンへ来た意味、いや、ひいては自分がこの旅に随伴した意味がまるっきり無いではないか。
そう考えていると、背中にいるルイズが大欠伸をしながら呟く。

「取り敢えず、明かりのある所まで行きましょう。夜は遅いけど、まだやっている宿屋があるかもしれないわ。」
「分かりました。」

ラティアスがそう言った途端、彼女のお腹が大きく鳴った。
あまりのタイミングの悪さに、ラティアスはばつが悪くなる。

「それと美味しい物を出してくれるお店もね。」
「あぅ。見つかると良いですねぇ〜。」

徐々に襲ってくる恥ずかしさに、思わず泣き声で答えてしまうラティアス。
そんな彼女を、面倒見の良い姉のように慰めるルイズ。
と、その時ルイズの心に一人の女性の姿が浮かび上がる。
ちい姉さまこと、自分より八つ年上で二番目の姉に当たるカトレアの事だった。
ルイズからすれば優しくて、温かくて、包み込むような印象がある理想的で魅力的な女性だ。
幼い時から将来はそんな女性になりたいと思っていた。
しかしながらいつもから掲げている、ハルケギニアにあるどんな山より高いプライドがそれを邪魔していたものだ。
でも……ラティアスと接している時はそれがあまり出ない。
寧ろ、理想である姉に近付いているような感じさえも自分で感じられた。
……私はこの子にとって良い主人で、お姉さんでいれているのかな?
ラティアスがスカボロー港に到着した時、ルイズの心はその一色で染まっていた。

272ゼロの夢幻竜:2008/02/14(木) 02:07:28 ID:qq8iTsS2
投下終了します。さあ、いよいよ話が原作とずれてまくってきました。
ルイズ達がニューカッスルに着くのが先か、レコン・キスタが攻城を開始するのが先か。
あ、あと勿論残された人たちについても描きますよ。相変わらず遅筆で済みません。
では、また近い内にお会いしましょう。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 02:16:03 ID:htjPYwxu
投稿乙!、読んでいて支援しそこねた。
ううむ、こんな調子で、無事に到着できるのかねえ。
274ゼロの夢幻竜:2008/02/14(木) 02:24:41 ID:qq8iTsS2
すみません。修正お願いして宜しいでしょうか?
一体王党派連中は先王亡きこの数年の間、この国を何処に導いたというのか!→一体王党派連中はこの数年の間、この国を何処に導いたというのか!
まとめに載せる時お願いします。誠に申し訳御座いません。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 07:18:23 ID:IolTVIRX
サイトの記憶の残滓より

キガツクトワタシハキゾクニナツテイタ
ソレデモワタシハ チキウニカエリタカッタ
ダケドチキウノヒトビトハコチラニジユヲムケル
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 07:23:27 ID:R3dVPD9V
えーと・・・ジャミラ?
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 08:15:59 ID:rbuCmGq9
ジャミラといえばアルジェントソーマ。妖精くんことフランクを召喚。
何らかの影響でエイリアンもハルケギニアに来襲。

ユーリ・レオノフは地球に帰りたい一心でジャミラ化までしたから悲惨な結果になりそうだッ!
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 09:15:35 ID:COyaghNw
フランクというとフォトジャーナリストのフランクさんしか思い付かないw
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 09:19:19 ID:DqTUec0j
>>275

PSPのR-TYPE TACTICSじゃないか?
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 10:55:17 ID:TiSABB1c
>>155
凄い遅レスだが…あの作者は富士見ミステリー文庫のブロークン・フィストシリーズでちゃんと異性愛者を書いてるから安心してくれ。
…まあ、このシリーズは別の所で問題作なんだがな?あの密室殺人トリックは反則だw。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 11:10:17 ID:3OlMX7rM
フランクさん呼んだら
なんでもルーンの力が適用されそうだ
あの人なら缶ジュースですら人を殺せるからな
ワルドモツ抜きされちゃう

そしてなにくわぬ顔でメイド服着るからな
パーフェクト
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 11:21:53 ID:9Jz4UiN2
フランクさんは極めたら唾で殺せるからな。
後sageようぜ。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 11:59:16 ID:U8WrrzpU
防弾機能とか当然ついているだろう特殊部隊のスーツを貫いて
内蔵ぶっこ抜きを決められる人や
特殊部隊のヘルメットを無視して
フェイスクラッシャーを決められる人を俺は1人しか知らないw

実績とか極めてればXバスターとかレーザーブレードの本物とかもてるしw
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 12:05:48 ID:IolTVIRX
>>279

元ネタ分かる人がいるとは思わなかった
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 12:32:44 ID:iZlXdjIk
シエスタ救出する為、メイド服+レッドアリマーマスク装備でモット伯の館を襲撃
壷をブン投げ、石膏像で殴り飛ばし、モツ抜きをモット伯にかますフランクさんを夢想
286ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 12:55:02 ID:zMvu06aG
SS投下するからね?
リリカルなのはより、なのは(10歳)を召喚。
287ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 12:56:30 ID:zMvu06aG

煙が晴れ、ようやく姿を現した人物の顔をルイズは覗き込むようにして訊ねた。
「あんた誰?」
 それは茶色の髪をツインテールに結んだ小柄な女の子だった。少女は答える。
「えっと、高町なのは。なのはだよ」
十歳くらいだろうか。少女らしい可愛らしい声だ。だが、名前だけ言われても素性がわかるわけではない。
質問の仕方が悪かったかもしれない。
「その格好、平民よね」
黄色いパーカーにオレンジ色のスカートといった格好は、貴族の間では見られない。
平民の普段の格好などよく知らないが、あまり高級感が感じられないから平民の衣服なんだろうとルイズは結論付ける。
「あのぅ、どちらさまでしょうかぁ」
「ルイズ・フランソワ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
平民は一度で覚え切れなかったようで、困ったように頬をかいた。
「えっと、それで、そのルイズさんが私になんのご用でしょうか」
 周りからは平民を呼び出しただの、ゼロのルイズだのとあざ笑う声に混じって、一部ロリコンの息遣いが聞こえてくる。
ルイズは顔を真っ赤に染め、口早に状況を説明すると、まだよく飲み込めていない様子の平民にコントラクトサーヴァントを行った。
平民の左手にルーンが刻まれ、契約は無事に完了した。

288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 12:59:01 ID:9lrivbyj
しえん!
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 12:59:16 ID:c73joiHC
投下OK?と訊き
答えは聞いてない、と申したか!支援!
290ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:00:18 ID:zMvu06aG
「べ、別にあんたみたいな平民の使い魔で満足したわけじゃないんだからね、し、しし、進級のためよ、進級の!」
「コントラクトサーヴァントは無事に完了したようだね。珍しいルーンだからちょっとスケッチさせてもらえるかな」
 コルベールが授業を終わりにすると、ほかの生徒たちが空に浮かんで飛び去っていく。
ルイズとなのはは、その場に取り残された。魔法で飛んでいく生徒たちを見上げて、なのはは尋ねる。
「ここは魔導士の訓練所かなにかさんですかぁ?」
「トリステイン魔法学院よ」
「う〜ん、知らないなぁ。ねえレイジングハート、クロノ君たちと連絡とれる?」
 なのはが胸元の赤い宝玉に話しかける。
マジックアイテムかなにかなのだろうか、宝石に話しかけること自体は奇異にも思わないが、ルイズは平民がマジックアイテムを持っていることに疑問を抱いた。
「あんたのそれ、なにかのマジックアイテム?」
「はい、レイジングハートっていって、インテリジェントデバイスなんですけど・・・・・・」
 そう言って、なんども宝玉に話しかけてみようとするなのはだが、一向に返事が返ってくる様子はない。
まあ、平民が持っているくらいだから安物のアイテムなのだろう。
おおかた貴族が作るのに失敗したマジックアイテムの一部をたわむれに平民にくれてやったのだろう。
「壊れちゃったんじゃないの?」
 レイジングハートのなのはの間に結ばれた絆の強さを知らないルイズはいとも簡単に残酷な質問を投げかける。
なのはは大きく目を見開く。
「そんなはずない、修理すればきっと直ってくれるよ!」
 十歳くらいの女の子の思わぬ剣幕に圧されて、ルイズはわずかにひるみ、気まずさを感じながら答える。
「そ、そう。まあ、大事にしまっときなさい。あんまり大事そうにしてると、盗られるわよ」
 貴族は平民のものなど欲しがりはしないが、なかには質の悪い連中が悪戯で隠したりするかもしれない。
最近では不思議と少なくなったが、ゼロのルイズと揶揄され始めた頃には、授業中にちょっかいを出されたり、いろいろ嫌なことがあったので、ルイズはなのはに忠告を与える。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:02:17 ID:dFRByrGl
全力で支援!
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:05:43 ID:nPqlJTDb
現在、無職じゃボケェェェ
っと言いつつ支援。

まあ。就職先は見つかったけどな。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:09:00 ID:4K9iUahX
支援
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:11:15 ID:dFRByrGl
なのは厨の俺としては、支援せざるをえんな!
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:11:55 ID:c73joiHC
>まあ。就職先は見つかったけどな。
憎しみで人が(以下自主規制支援)!!


296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:12:24 ID:I7xmOtts
支援
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:15:32 ID:yf31tDtp
規制に引っ掛かったか?
ともあれ、無機物萌の俺としては、レイジングハートにはぜひとも活躍してもらいたい。
なのは? あんなのレイジングハートの付属物です。 そして支援。
298ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:18:59 ID:zMvu06aG
テスト
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:19:28 ID:omhXKsmd
レイハさんそのものを召喚したい気もするんだよな、俺。

≪ぶっ放してください、マスター!!≫
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:20:06 ID:omhXKsmd
>>298
1行目が空っぽだと弾かれる。
全角スペースあたりをいれておくべし
301ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:21:04 ID:zMvu06aG
その後、ルイズはなのはを自室に連れて行き、住んでいる土地の名前などを尋ねてみたが、あまり情報は得られなかった。
わかったのは、なのはの年齢がジクウ管理局というところと連絡を取りたがっていることと、彼女が大切そうにしているマジックアイテムがとても大切なものということだけだった。
 そのジクウ管理局とやらに親が勤めているのかとルイズが訊ねると、そうではないという。
十歳の女の子を突然に親元から引き離してしまったということに罰の悪さを感じているルイズだったが、どうもなのはは普通の十歳とは違うようだ。
 翌朝、早起きのなのはに起こされて食堂へ行くと、見慣れた豪勢な料理に混じって、小さな一枚の皿が自分の近くに運ばれてきた。
ルイズが昨日のうちにコック長に使い魔の料理を頼んで置いたのだが、あまり見たことのない料理だ。
薄く焼いた卵で包んで、その上にトリステインの国旗が刺さっている。
「ねえ、これの中身はなにが入ってるの?」
「これはマルトーさんが考案したオムライスっていう料理なんです。
料理長のマルトーさんが、すっかりなのはちゃんを気に入っちゃったみたいで、腕によりをかけて作ったんですよ」
なのははいつの間に仲良くなったのか、メイドと仲良さそうに話している。
シェスタが厨房に呼ばれて去った後、ルイズはなのはに小声で尋ねた。
「あんた、いつの間にあのメイドと仲良くなったの?」
「シェスタさんとは今朝、洗い場でお友達になったんです」
 話によると、なのはは今朝、朝の散歩に出かけたものの学園内で道に迷ってしまい、シェスタに助けてもらったのだという。
 なのはの説明にルイズは一応納得したが、平民の子供とはいえ貴族の使い魔になったのだから、きちんと自覚も持ってもらわないと困る。
「いいこと、あんたは仮にも私の使い魔になってるんだから、一人であんまり外をうろついちゃだめよ」
 そう諭すルイズだが、同じ卓についていて話を聞いていた生徒の一人が彼女をあざ笑った。
「はは、さすがはゼロのルイズだ。平民のしつけが板についてるじゃないか」
 その言葉を発端に、嘲笑の輪が広がっていく。
「まったくお似合いの使い魔だぜ」
「ペタンコ同士、気が合いそうだな!」
意地の悪い野次に、なかには眉を顰めるものもいるが、誰もそれを咎めようとするものはいない。
否、一人だけいた。
302ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:21:46 ID:zMvu06aG
「なにが、おかしいんですか」
 小さな呟きが卑屈な笑いを鎮める。最初、その声がどこから聞こえてきたのか誰にもわからなかった。
なのはがゆっくりと立ち上がり、もう一度告げる。
「今の言葉の、どこがそんなに面白いんですか?」
 一同の視線がなのはへと向けられる。まさか平民の子供に意見されるなどとは夢にも思っていなかったのだ。
「はっ、驚いたね。まさか平民にこんな反抗的な口を聞かれるとは。ゼロのルイズ、ガキはちゃんと鞭でしつけとけよ!」
 最初の発端を作った一人、金髪のキザ男ギーシュが強がりに聞こえる声音でなおも侮蔑を放った。
 食堂に険悪な雰囲気が満ちる。なのはは家で喫茶翠屋の手伝いをしているから客扱いには慣れている。
こういうとき、どう対処すればいいかは自然と身につけている。だが、良くも悪くもなのはは父の背中をみて育った。
なのはは相手を威圧するように真正面からギーシュの顔を見据える。
「な、なんだ、その反抗的な目は。平民が貴族に文句をいうつもりか!」
こんなとき、父の士郎ならば言うだろう。いや、父に限らずとも、フェイトや兄の恭也でもきっとこう言うはずだ。
「表に出て話そうか」
「な、なんだとぉ!」
 にわかに周りの貴族達がいろめきたつ。
なぜなら、手袋を投げつけるのが貴族間の決闘の合図であるならば、「表に出ろ」と相手に告げるのは事実上、不良貴族達のタイマンの合図であったからだ。
「おいおい、ギーシュ。平民に舐められてるぞ」
「ちょ、ちょっと、あんたみたいにちっこいのがギーシュとケンカして勝負になるわけないじゃない。今すぐに謝っちゃいなさい」
 ルイズはなのはの身を案じて、袖を引く。だが、なのはは引かない。
ひとの寂しさや悲しみを放っておけない強く優しい心を持つがゆえに、伝え合うことを諦めたくない。
303ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:23:03 ID:zMvu06aG
 決闘はヴェストリ広場で行われることになった。
 なのはは思い出す。
初めて会った頃、アリサや鈴鹿とは友達じゃなかった。まだ何も話をしたことがなかったから、気持ちを知ることができなかった。
「使い魔にとってご主人様がどんなに大切か知ってるよ。いろんな人たちを見てきたから。
私はルイズさんが言葉で傷つけられるのをみたくないから、絶対に見たくないから、誰にも馬鹿にさせない。
ゼロのルイズなんて、誰にも呼ばせたりしない。そのためにぶつかり合わなきゃいけないなら、私は引かない!」
「ふん、だったら平民が貴族の前でなにができるか思い知るがいいっ」
 ギーシュがバラの造花を振るう。すると、一体のゴーレムが土の中から現れた。
「これが僕の魔法、ワルキューレだ。言葉を伝えたくば、まずはこのワルキューレを倒してからにしてもらおうっ」
 なのははギーシュが土から錬金してみせたワルキューレを見て、実力のほどを見定める。
本来のなのはならば決して負けることはない相手だが、今はレイジングハートが沈黙していて、補助が受けられない状態だ。使える魔法は限られてくる。
「行けっ、ワルキューレ! 小生意気な平民を懲らしめるんだ」
 青銅のゴーレムが予想以上の速さで突進してくる。
なのはは左手を前に突き出し、桃色の魔法陣を展開させると堅固なバリアが出現する。
 分厚い金属がぶつかり合ったような轟音を立て、ワルキューレの拳が弾かれる。
「ふ、防いだ!? なんなんだ、あの光る盾は!」
 ギーシュの驚きの声が上がる。もう一度、ゴーレムを突進させ、シールドを打ち破ろうと試みる。
 なのはの世界では魔法はプログラムとして準備され、自分自身やデバイスにセットして魔法の力を行使する。
それらの魔法を知るきっかけを与えてくれたのはユーノだが、戦闘のための魔法やそれを効果的に運用するための闘い方を教えてくれたのはレイジングハートである。
魔法の存在など知らずに過ごしてきたなのはが強敵と互角以上に渡り合えたのはレイジングハートの信頼と援助があってこそのものだった。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:23:28 ID:nPqlJTDb
支援砲撃、ただし零距離で
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:24:28 ID:dFRByrGl
>>297 無印なのは、かわいいじゃねえかよおおおおっ!
でもレイハさんは萌える。あとユーノ召喚だとルイズがレイハ使ってたよな、確か。
つーことで、全力全壊支援!
306ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:24:46 ID:zMvu06aG
 なのはは、いざというときのために自分自身に組み込んでおいたシールドをとっさに展開したが、そのシールドはワルキューレのパワーに徐々に押され始めていた。
「ま、まさか平民に魔法が使えるとは思わなかったが、しょせんは防ぐだけのもの。さあ、いつまで持つかな」
 ギーシュが造花を振るい、さらにワルキューレの出力が上昇する。
「くっ、このままじゃ」
 なのはシールドの限界を悟り、右手に小さな光弾を生み出す。
「ぷっ、なんだあれ、ファイアーボールか? ちっちゃすぎるだろ」
 なのはが浮かべた光弾をみて、ギャラリーの一角から忍び笑いが漏れる。
バリアを展開しつつ、光弾を操作するのは難易度の高い技術なのだが、学生レベルではそのやり方を教わること自体がありえない。
それがどれほどの技術であるか、ほとんど誰にも想像がつかない。
だが、さすがにハルキゲニア有数の魔法学院、その技量の高みに気が付き、内心で戦慄するものもわずかながらいた。
決闘騒ぎを聞きつけ、遠見の鏡で見物しているオスマンとコルベール、そして間近で見ているキュルケとタバサである。
キュルケは赤い唇を噛み締め、少女の闘いを見守っていた。
(二種類の魔法を同時展開なんて、私にあんな芸当ができるかしら)
 キュルケとなのはでは魔法の質が違う。
そもそもの概念も違うが、自分の烈火のごとく激しい魔法や、タバサの冷徹で鋭利な魔法とは違って、なのはの放つ桃色の魔力が秘めているのは紛れもない優しさだ。
ひとを思い遣る、そのまっすぐな強さにこそ戦慄を覚える。
(負けちゃ駄目よ、なのは。ルイズのためにも、絶対に勝ちなさい)
 手に汗を握り、我知らずキュルケはなのはを応援していた。
 だが、左手で展開したバリアはとうとうヒビが入り始め、今にも破れそうになっている。
なのはは魔法弾を操作し、バリアを迂回させてギーシュの持っている杖に狙いを定める。
 だが、そのため大きく曲線を描く進路をとった光弾は、反射的に身を守ろうとギーシュがワルキューレを自分と光弾の間に飛び込ませる時間を与えてしまい、防がれてしまう。
それでも光弾の直撃を受けたゴーレムは粉々に砕け散り、破片が草むらに散らばる。
なのはの光弾はただ小さいのではない。威力を一点に高めるために収束し、高密度の魔力を込めた弾体である。
ファイアーボールがテニスボールだとしたら、なのはの弾は研ぎ澄まされたライフル弾だ。
その威力を目の当たりにして、さすがに目の前の出来事に不審を覚えるものが出始める。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:24:50 ID:4K9iUahX
友達になりたい相手を動けなくしてから全力砲撃ぶっぱなす幼女支援
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:25:21 ID:omhXKsmd
そうなんだよな。ちびなのはさんでもアクセルやプロテクはデバイスなしで撃てるんだっけ
309ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:26:01 ID:zMvu06aG
「な、なあ、まさかギーシュの奴、苦戦してるんじゃないか」
「だってよ、相手は平民だろ」
「いったい誰だよ、あれを平民って言い出したやつは。魔法をつかってるじゃないか」
「ねえ、でもあの魔法、なにか変じゃない。杖を使ってるふうもないし、あんな光の盾で防ぐ魔法なんて習ってないわよ」
 ワルキューレが倒されたことで、ギャラリーがどよめき始める。
 なのはは肩で息をさせ、ギーシュに話しかける。
「ギーシュさんは貴族なんだよね。魔法って確かにすごく便利だけど、使い方を間違えればひとを傷つけるんだよ。
ギーシュさんの魔法はなんのため、誰のために魔法を使うの?」
「ぼ、僕は、」
「答える必要ないぞ、ギーシュ。平民は力づくで黙らせろ!」
 ギャラリーのなかから声が上がった。それは平民に地位を脅かされたと感じ始めた敏感な弱さから発せられた声でもある。
 ギーシュ自身もその感情にしたがって、再びバラの造花を振るう。今度は二体だ。
 一体で苦戦していたなのはは己の力量不足を痛感していた。
(帰ったら、いっぱい魔法の練習しなきゃ)
 すでに幾度もの戦場を経験し、エース級の戦闘能力を有するなのはだが、それはこれまでレイジングハートの支えあってのことだ。
ベルカの騎士たちとの闘いではデバイス自らがベルカ式のシステムを取り入れ、騎士たちと渡り合うことができた。
「どうだね、降参するなら今のうちだが」
「絶対にいや!」
「ならば仕方ない、トドメだ、ワルキューレ!」
 二体同時に突進してきたワルキューレになのはは歯を食いしばる。瞬間、胸元で強烈な光が膨れ上がった。
《Protection》
 突如として響いた声。その声にもっとも驚いたのは、なのは自身だったに違いない。
今度は先ほどのものより一層強固なバリアが展開され、ワルキューレ二体の突撃を苦もなく受け止め、二体いっぺんに弾き返す。
「レイジングハートっ!」
《ご心配おかけしました。よく頑張りましたねマスター》
 聞き慣れた、待ち望んでいた声。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:26:21 ID:dFRByrGl
翔けよ、隼! 支援!
311ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:27:22 ID:zMvu06aG
「もう大丈夫なの、レイジングハート」
《いつでも全力で行けます》
その心強い声に押され、なのはは中空に浮かんだレイジングハートをぎゅっと握り締める。
「じゃあ、ひさしぶりに行くよ! お願い、レイジングハート」
《all right」》
「風は空に、星は天に。
 そして、不屈の心はこの胸に。
 この手に魔法を。
 レイジングハート、セット・アップ!」
《Stand by.....ready》
 不思議な声とともに少女の全身が強い輝きに包まれる。少女の身体を覆っていた衣服が分解され、白いバリアジャケットの媒体として再構成される。
「次から次に妙な魔法を!」
「今度はこっちの、番だよ!」
《Flash Impact》
 なのはの身体が一瞬にして掻き消え、立ち上がりかけていたワルキューレの前に出現すると、そのまま杖を叩きつける。
一体は吹っ飛ばされ、もう一体はその衝突に巻き込まれ、弾丸ライナーの軌道に乗って背後の塔に叩きつけられる。
ギーシュの頬を掠めて行ったワルキューレは、塔に激突した後、数秒の間をおいて地面に崩れ落ちた。
間接はあらぬ方向に折れ曲がり、青銅の腕が一体の背中を突き破って、腰半分がもげて地面に刺さっている。
それはあたかもギーシュの行く末を暗示しているかのようであった。
(あ、あんなものを生身に食らったら死んでしまう)
 ギーシュは身の危険に焦りながらも必死で方策を練る。先手が防がれた以上、いったん防御で凌いで、相手の隙を突く以外にない。
 三度、魔法を発動させ、残りのゴーレムを全て生み出す。
これほどに魔力を消耗すれば、しばらくは魔法が使えなくなってしまうだろうが、背に腹は代えられない。
二体を防御に回し、一体を正面、最後の一体を背後に忍び寄らせて隙を窺う。
(これが大人の賢さってものさ、ガキとは違うのだよ、ガキとは!)
正面からぶつかって勝てないのなら、背面を突く。軍人の家系だけあって、ギーシュの戦術としての理論を正しく理解している。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:27:28 ID:dFRByrGl
疾風 迅雷! 支援!
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:28:30 ID:dFRByrGl
鳴り響け、終焉の笛! 支援!
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:28:41 ID:yf31tDtp
がんばれレイジングハート支援
315ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:28:42 ID:zMvu06aG
だが、惜しむべきは実戦経験が圧倒的に不足していることだ。
いくら理論を叩き込まれたといっても、ギーシュのそれはしょせん座学にすぎない。
譲れぬもの同士がぶつかり合う激闘の最中で、幾度も傷つき、倒れながら磨いた戦闘技能の前では理論などなんの役にも立たない。
表情には出さずとも背面を警戒していたなのはは、とんぼ返りに飛翔し、翻りざまに砲撃で残りのワルキューレ全てをなぎ払う。
《divine shooter》
 圧倒的火力の砲撃が空中からワルキューレの身をそぎ落としていく。
カートリッジ節約と、主の身体にかかる負担軽減を理由に威力を抑えた攻撃を提案をしたレイジングハートだが、それでもいとも簡単に青銅のゴーレムを跡形もなく消滅させていく。
「馬鹿な! 詠唱もなしに、これほどの威力が出せるはずは!」
 砲撃がようやく収まった後の広場は縦横に芝生が抉れ、魔力の残滓による硝煙が立ち上っていた。
 ゴーレムを失ったギーシュにはもう魔力さえも残っていない。低空で飛翔するなのはがギーシュめがけて思い切り杖で腹を抉る。
みぞおちを強打され、くの字に折れたギーシュは身体を天に突き上げられ、息を吸うこともできず、降参の声もあげられない。
 意識を失いかけたそのとき、ギーシュの目に現実を疑わせる光景が飛び込んできた。
 杖を囲んで四つの環状魔法陣が展開し、自分の身を突き上げる杖の先端に魔力が充填されていく。
尋常でないほど膨大な魔力の収束にギーシュの全身から血の気が引いた。
(そんな、この期に及んでトドメまで刺すのか? もう魔力もないのに!)
 すでに勝負がついているのは誰の目にも明らかなはずなのに、なぜここにいたってトドメの一撃を食らわなければならないのか。
それも全ては、ゼロのルイズと呼んで彼女の主を傷つけたせいなのだと、ギーシュは今更になって己の発言の迂闊さに気付かされた。
「ディヴァィィィィインッ、バスター!」
はるか天空まで突き抜ける砲撃。
零距離から発射された主砲の一撃は圧倒的威力をもってギーシュの身体を飲み込み、砲撃が収束したあとにはギーシュの身体がどこにも見当たらなかった。
遠見の鏡で見ていたオスマンが呟く。
「こりゃ、グラモンのバカ息子は死んだかのう」
「のんきに構えている場合ですか、学院内で生徒が死亡したとあっては一大事ですぞ!」
 コルベールが慌てて水魔法使いを広場に派遣する。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:29:35 ID:6BQkSri6
>「はっ、驚いたね。まさか平民にこんな反抗的な口を聞かれるとは。ゼロのルイズ、ガキはちゃんと鞭でしつけとけよ!」

なにこれ?これギーシュの台詞?
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:30:07 ID:dFRByrGl
一撃必倒! 支援!
318ルイズ×なのは(幼):2008/02/14(木) 13:30:22 ID:zMvu06aG
広場では生徒達が空を見上げていた。
砲撃が貫通した積乱雲が上空に漂い、常識をはるかに超えた威力に皆が放心している。
そして、上空から黒い豆粒のようなものが落ちてきて、それは見る間に接近し、人の形をあらわにする。
天空近くまで打ち上げられたギーシュがようやく地面まで堕ちてきたのだ。
なのはは空に浮かんで、ギーシュが激突する前に魔法陣をクッションにして受け止める。
ギーシュは空中を落下している間、失っていた意識をようやく取り戻す。その顔は傷つき、弱っていたがどこか晴れ晴れとしていた。
「僕の・・・・・・完敗だよ。もう指一本・・・・・・動かせない」
 なのはたちの魔法とは違い、バリアジャケットもないハルケギニアのメイジは紙のように装甲が薄い。
物理ダメージを0に設定しているとはいえ、痛いものは痛い。
まともに食らえば、その痛みに失神し、数日は起き上がれなくなるのが当然だ。
それでもギーシュは最後の力を振り絞るようにして、唇を動かす。
「君に・・・・・・ひとつお願いがある・・・・・・んだ」
 声は弱弱しかったが、それでもギーシュは気丈に笑みを作る。
「名前を・・・・・・教えてくれないかい?」
 その言葉に、なのははギーシュと気持ちが通じ合ったのを感じた。だから元気いっぱいに答える。
「なのはだよ。わたし、高町なのは!」


《続く》


319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:31:01 ID:omhXKsmd
備考→デバイスナシふぇいとデふぉとんらんさー同時制御3個

ってレイハさん復活きたああああああ
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:31:44 ID:9Jz4UiN2
はあ…
321名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:31:49 ID:yf31tDtp
なのはは基本的に話し合いで解決するタイプなんだけどなぁ。
アリサとの一件も、散々注意した後での話だし。
話し合いで解決する、話し合いで解決できないのなら、話し合いで解決できるようにする、
というのが彼女のやり方なんじゃないかな、と。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:32:11 ID:dFRByrGl
轟天爆砕! 支援!
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:33:29 ID:omhXKsmd
話し合うために叩きのめす……

As以降だと、「話をききなさーい」と同時にディバインバスターぶっ放してるからのぉ……
324ゼロの女帝:2008/02/14(木) 13:38:08 ID:40UaJh2s
なのはさん乙

ところで他に予約無ければ、随分久しぶりですが投下したいと目論んでる所存であります
宜しいでましょか?
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:38:55 ID:rzOmPKYN
>>323
その時は敵さんが先に仕掛けてきてるから…
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:39:08 ID:c73joiHC
乙でした
綺麗ななのはさんだ!・・・アレ?言ってる事おかしいな?
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:40:56 ID:nPqlJTDb
まあ、なのはを一度も観たことの無く、二次情報しか知らないオイラにとっては、
喧嘩上等!正面突破!零距離砲撃魔砲少女って認識なんだがね。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:41:56 ID:dFRByrGl
乙でした。ムチャクチャやるなあ、なのはさん。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:42:28 ID:omhXKsmd
>>324
自分なら、感想タイム挟みますです。でも支援はするお
330ゼロの女帝:2008/02/14(木) 13:44:35 ID:40UaJh2s
>>329

了解したのであります
予約が無ければ55分あたりから投下するのであります
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:45:53 ID:5Ef3sZ4U
>316
たまにいるゲスギーシュなだけじゃあないですか。
ああ、新参者かな?
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:47:02 ID:5Ef3sZ4U
支援しますぞ
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:47:41 ID:omhXKsmd
>>327
仕掛けてきた相手は迎撃する。
基本的には、話し合い要求→拒否されたら話し合う気になるまで戦闘。
「話さないと、言葉にしないとわからないこともきっとあるよ!」な子

のはずなんだけどなぁ・・・
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:47:43 ID:yf31tDtp
>>327
売られたケンカは買って、相手が抵抗できなくなるまでフルぼっこだけど、
自分から喧嘩を売ることはないな、

正面突破はその通りだけど、ゼロ距離砲撃はめったなことじゃ使わない。
敵の攻撃を完全無力化するバリアで攻撃を防ぎ、
防御不可能な超高出力砲撃で、相手をバリアごと吹き飛ばすのがなのはの戦い方。

これに、大量の誘導弾による接近防御とけん制が加わる。
ちなみに、普通の相手なら誘導弾1発だけで十分ぼこれるらしい。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:49:46 ID:Vd5SS4aR
>>324
支援
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:50:46 ID:dFRByrGl
最後の非殺傷DB(だよね?)よりも
その前の生身の相手にフラッシュインパクトのが気になったり。
でも戦闘シーン迫力あるなあ。GJでありました。
ギーシュの性格は書く人によって変わるから… 好きなんだけどギーシュま…
ってことで支援
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:51:53 ID:omhXKsmd
おーけい、そろそろ支援体制に移ろうか。
どうしてだろう。ダイレクトカノンサポートなんて単語が浮かぶのは
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:53:19 ID:9lrivbyj
まぁ、いいじゃない。
素直に楽しもうや。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:54:03 ID:5Ef3sZ4U
支援。

>337
そう考えるのは君だけじゃあない。僕もさ・・・・
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:55:23 ID:nPqlJTDb
>>333
>>334
あんたらの、なのはに対する熱い愛を感じるな。

つまり、話し合える状況を『作って』から話し合う訳なんだな。


零距離砲撃魔砲少女

から

弾幕系とどめは零距離砲撃魔砲少女に認識を修正しとく。

…あれ?
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:55:54 ID:16m4pD7P
なんつーか、なのはもルイズもどっちも二次創作読んだだけで書いたような内容だな・・・・・・
というか、百合っぽい雰囲気を出したいのは分かるがギーシュ踏み台にされすぎじゃないか
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:55:57 ID:dFRByrGl
支援

>>337 その単語から逆にヘルシング連想した俺は何かされたようだ。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:56:38 ID:nPqlJTDb
ageちまってすいません。

支援。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:57:11 ID:omhXKsmd
>>342
グッド。両方大好きさ


さぁ、一緒に支援だ
345ゼロの女帝 第四話:2008/02/14(木) 13:57:33 ID:40UaJh2s
「本当にやるのかい、ゼロのルイズ」
「・・・・・・・・・あたりまえよ」

そんな、短い会話から始まったルイズとギーシュの決闘
しかしルイズに戦う術は無く、ただギーシュ操る五体のゴーレムに蹴られ殴られ、掴まれた後投げ飛ばされたりしていた

痛い
もういやだ
泣いてしまおうか
逃げ出したい

でも彼女は、決して逃げない
それは彼女の、最後のささやかな意地なのだから
 
そんな彼女を、学長と教師は鏡越しに沈痛な表情で見つめていた。
そしてコルベールは考える。
これで、彼女が自分を無能だと思ってしまってくれれば
教師としてあるまじき、しかしこれが彼女にとって最も幸せな道なのだと自分に言い聞かせながら
 
そんな彼女を、彼女の使い魔は見つめる。
ここで手を貸してはいけない
手を貸したりすれば彼女の心は挫けてしまう
 
「どうだい、もうやめないか。
 レディを傷付けるのは正直好みじゃないんだよ」
そんな偽善に満ちた言葉を、心の中で中指おったてて拒絶する。
「それは、あんたが負けを認めるってことかしら?」
その言葉に対する返答は、(多分)手加減してるんだろうけどそれでも痛烈なボディブローだった。

ああ、助けてよ
誰か、誰でもいいから助けてよ
父さま 母さま お姉さま ちい姉さま コルベール先生      セト・・・
(ルイズちゃんも出来る事をやればいいのよ
 出来ない事をしろ、なんて言ってないんだから)

(あたしに出来る事って何よ・・・・・・  あたしに出来る事なんて    出来る・・・事・・・)

爆音とともに、ゴーレムの一体が内部からはじけ飛ぶ
「こ・・・・・・これは・・・・・・」
ギーシュが薄れる煙の向こうに見たのは、ニヤリと妙にハードボイルドな笑顔をした「ゼロのルイズ」
「ようやく暖まって来たわぁ・・・・・・お遊びはここまで
 最後まで付き合ってもらうからね
 いくわよギーシュ!」



四体目のゴーレムが、強烈な爆発に吹き飛ばされて壁にめり込む。
「ギーシュのゴーレムが・・・・・・」
「全部吹っ飛ばされたぜ」
「あのルイズが・・・・・・」

いくつものクレーターが開いた中庭で、戦慄するギャラリーたち。
その顔に走る緊張はルイズがギーシュと互角に闘っている、という事実だけが原因ではない
さっきから関係無い所を爆破するルイズの魔法を恐れてるからでもあるのだ
あ、マリコルヌがこんがりといい香りさせてるな
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:58:19 ID:DmKBnKGi
俺も支援するぜ
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:58:51 ID:nPqlJTDb
支援
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 13:59:28 ID:omhXKsmd
支援
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:00:40 ID:KXo43c8i
>>341
まあ、二次創作あさっているとそうなるかもしれない。
原作は大抵数回しか見ないけど、二次創作はいろんな作品を何回も見るから
原作の性格と二次創作の性格がごっちゃになることがよくある。
自分だけかもしれないがEVAなんて二次創作だけで大体の話理解したし・・・
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:01:18 ID:dFRByrGl
>>341
333や334の言ってることを抜きにすればなのははちゃんと見てると思う。
展開早くするためにそうしたと考えて今後に期待だ。
ゼロ魔に関してはアニメ版しか見てない俺には判別できん。
ってことでそろそろ支援
351名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:01:22 ID:yf31tDtp
支援
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:01:26 ID:9Jz4UiN2
支援。いい加減話やめろよ。
353ゼロの女帝 第四話:2008/02/14(木) 14:03:10 ID:40UaJh2s
だが、決闘はまだ終わってはいない
ギーシュは自分がまだ負けていない事を分かっているし、ルイズも自分がまだ勝っていない事を知っている
「さあギーシュ!まだ出せるんでしょ!
 本気で来なさい!」
「おや、君が知っているとは思わなかったね
 僕のゴーレムが五体で打ち止めではない事を」
その言葉に驚くギャラリー、そしてモンモランシー。
なぜギーシュについて自分が知らない事をあいつが知っている?
場違いとは知りながらひそかな嫉妬心に心を燃やすモンモランシーであった
 
「じゃあお言葉に甘えて」
その言葉とともに姿を表わす二体のゴーレム。
どよめくギャラリーと少々狼狽するルイズ
「何よ、アンタ六体までが限界なんじゃなかったの?」
「いや、七体までは出せる
 かろうじて、だけど
 父上からの教えでね、『味方にばれる事は敵にもばれる』ってんで五体までしか出せないフリをしてたんだが
 なぜ君は六体目を出せる事を知ってるんだい?」
「そんな事どうでもいいじゃない」

これは失敗だった
多分この爆発を起こせるのはあと一回が限度
その一回を使ってしまったらへたり込むのを耐えるのがやっと
その一発で二体のゴーレムを吹き飛ばし、負けを認めさせるつもりだったのだが・・・
考えろ 考えろ 死に物狂いで考えるんだ
・・・・・・・・・・・・アレだ!
 
「ギーシュ・ド・グラモォン!」
大声で、二体をこちらに向かわせ、一体で自分を守っているギーシュに叫ぶと、ちらりと
あのモノを視線で指し示す。

すると、ギーシュは顔を青ざめ、杖を下ろして彼女に告げる。
「分かったよ・・・・・・僕の負けだ」


「おいギーシュ、なんでおまえの負けなんだ?」
「見たまえ」
ギーシュが視線で指し示したのは、最初に爆破されたゴ−レム。
「アレは、内部から破壊されている。
 つまり彼女の爆発は『見えない所』『密封された所』にも起こせるという事だ
 例えば・・・・・・『ゴーレムでかばわれた術者』を爆破する事だってね」
その言葉に青ざめる一同。
「つまり彼女は・・・・・・凄い術者ってことさ」
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:03:10 ID:dFRByrGl
>>352
申し訳ない。支援。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:03:58 ID:omhXKsmd
雑談自重。ダイレクトカノンサポート継続。猿を倒し、エンプレスの突入を援護せよ
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:04:24 ID:Vd5SS4aR
>>324
支援
357ゼロの女帝:2008/02/14(木) 14:04:54 ID:40UaJh2s
以上です
私のところでは、以外にキレ者なギーシュ、という風に書いてみましたが
これだとシエスタ苛めるというのに繋がらないな・・・
まあいいか
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:07:07 ID:dFRByrGl
乙であります! 雑談申し訳ない… orz
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:07:46 ID:5MjQhXhi
ちょっと頭冷やそうか
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:07:46 ID:omhXKsmd
乙であります、女帝閣下

なんか、ゼロ魔魔法同士のガチをひさびさに見た気がするわ
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:10:19 ID:dFRByrGl
ギーシュもルイズもかっこいい! つーかマwリwコwルwヌwww
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:12:17 ID:F2r1rki/
乙。
考えてみれば「壁の向こう側から一方的に攻撃できる」ってゲームとかでも極悪な能力だよな。
まあルイズの場合は距離が近いと壁と自分も一緒に吹き飛ばす恐れがあるけど。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:13:41 ID:nPqlJTDb
見えない内側を爆破出来るってことは、頭の芯から吹っ飛ばせるな…。

ルイズ、恐ろしい子…。


つか、マジでやったらスプラッタやね。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:16:08 ID:4K9iUahX
GJ!
防御無視で威力射程ランダムな爆発が飛んでくるとかじゃなくいきなり発生するとか普通に怖いのにバカにされる不思議
うっかり人の頭が弾けてもおかしくないのに不思議と人間に危害は無いんだよな
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:16:59 ID:omhXKsmd
というか、偏在を一撃消滅させてるのを考えると
ワルキューサイズのゴーレムなら掠っただけでディスペルされてもおかしくないという……
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:22:03 ID:yf31tDtp
>>365
魔法のランクや難易度と、術の強度は別なんじゃね?
偏在だと、破壊されたそばから修復は難しそうだけど、
ゴーレムは修復しながら行動することができるし。

むしろ、高等魔法の方が、ディスペルには弱い気がする。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:24:25 ID:omhXKsmd
>>366
あー、それはあるかも……
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:34:19 ID:em976XPk
>>364
自転車の乗り方を教えている教室で、ボク車が運転できるからイイモンと言いはっても馬鹿にされるのと同じかな?
369名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:37:06 ID:omhXKsmd
というか、どうして誰もルイズの異常性に気がつかなかったのか、という疑問は昔からあるんだよな
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:40:01 ID:U8WrrzpU
異常が発生した原理を考えもせずに馬鹿にするなんてのは
停滞した社会によくあることじゃね?
371名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:42:48 ID:c73joiHC
作者がそこまでかn――
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:43:05 ID:XuCoQLPv
やめて!もうヤマグチノボルのライフはゼロよ!
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:43:22 ID:9Jz4UiN2
初期の状態でさえ劣化版とはいえキラークイーンみたいな能力。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:50:39 ID:F2r1rki/
まあ、実際はルイズが爆発を使えるものと思わず外ではあまり使わなかったとかって理由をつければ。
せいぜい授業で錬金使ったときみたいなのしか知らなければ、攻撃魔法として活用されたらヤバイとは気づかないだろうし。
初期版でもエクスプロージョンの対象指定と同じこと(爆心地の自分は無事)をやってたわけだから
ボンバーマンでハートの無敵時間を利用して爆風の中に爆弾を置いてすべてをなぎ払うかのように、
自分を対象にレビテーションをかけながら走ればめちゃ強いだろうね。

全裸になるけど。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:54:23 ID:em976XPk
>>374
女性 はだかで 攻撃 学園 …… けっこう仮(ry
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 14:56:51 ID:VAiKAc9A
よく解らないけど、
自分もしくは指定箇所を中心とした「自分以外」無差別爆破
っては凶悪かつ高度なのは解るけど、
使い道が鉄砲玉ぐらいしか無いというのと
それしか使えないというのが大きいのではないのかと。

まぁ作者があま(以下略
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:05:36 ID:PZIjvTUF
むしろ周辺空間をランダムで爆破してるんだから今まで死人が出なかったことが不思議なくらいだ
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:10:22 ID:AQdjh59p
アニメ版だけじゃなく原作版なのはのキャラが召喚される話が見てみたいな。
久遠とかクロノ&リンディとか。流石に原作なのはで話作るのは難しいと思うけど。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:11:13 ID:omhXKsmd
原作ならローウェルだろうjk
380名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:11:26 ID:em976XPk
自分の体内や表面で爆発が起きないのは良いとして、
自分だけ爆発の被害が少なめって設定をしたらギャグ
マンガになりそうだ。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:11:31 ID:nPqlJTDb
今まで死者が出ていないのは、ルイズが無意識で回避してたとか。

避難所向きの話になってきたな。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:17:23 ID:FdZH26OW
使い魔の影響で威力が上がって学園の生徒を爆殺→魔王エンドになった小ネタがあったな。
イムニティのやつ
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:17:28 ID:wXv3Hv37
>なのはの年齢がジクウ管理局というところと連絡を取りたがっていることと
ここ変だな
384ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2008/02/14(木) 15:19:39 ID:7sx5xsKQ
なんか昔の私も来てるみたい、というわけではないですが、30分くらい目安でゼロと魔砲少女6話、投下よろしいでしょうか。

あちこちで言われそうな独自設定全力全開です。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:20:55 ID:yf31tDtp
全力全壊で支援する
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:21:45 ID:F2r1rki/
あいよー支援一丁。
どうせクロスだ、多少のオリキャラ化は気にせずゴー
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:27:24 ID:dFRByrGl
なんと、20歳なのはさんまでいらっしゃるとなんといい日だ!
出かけようと思ってたがそれどころではない、支援!
388ゼロと魔砲使い 第6話-01:2008/02/14(木) 15:30:07 ID:7sx5xsKQ
第6話 考察

 決闘だか特訓だかもはやよく判らない戦いが終わったその夜。
 夕食後、主と使い魔はそろって机に向かっていた。
 主は結果的にさぼってしまった午後の授業の分の勉強を。
 使い魔は今日集めた魔力の測定データの整理を。
 時間にして一時間半くらいの間、主従ともに無言のままの時が過ぎていったが、この辺で主人の気力が尽きたようだった。
 「うーん、ちょっと一休みしようかしら。なのは、お茶入れてくれる?」
 「はい、かしこまりました」
 その言葉には、今までにない親愛が籠もっていた。元々なのははほとんど敬語を使わない、フレンドリーな人物である。公式の場ではそうではないが、そういう場面では目に見えて言葉が固くなる。
 ルイズに使い魔として使えることを決めたときから、彼女は意図的に敬語を使ってきた。
 まだ社会的な習慣は理解しきれてはいないが、初日の夜ルイズから聞いたことから察するに、そうした方がいいと思ったからだ。
 だが結果として、今までのなのはの言葉はやや他人行儀なものになりがちであった。
 それが今日の出来事をきっかけに少し変化しはじめていた。
 お互いがお互いのことを知り始めたということだ。
 それがこういった、何気ない動作に見え始めていた。
 
 
 
 さすがになのはにはルイズの実家のメイドほどうまく紅茶を入れる技はない。その点はやや不満であったが、二人して一服していると感じる、何とも言えない健やかさが心地よいルイズであった。
 「そういえばなのは、さっきからそのぱそこんとかいうやつとにらめっこしてたけど、何か判ったの?」
 「ええ、ものすごい限定的ですけど、この世界の魔法のことが、少しだけ判りました。ある意味全然違うんですね、私たちのところと」
 「まあ確かにね。系統魔法にはああいう、破壊力のある光を操る魔法なんか無いもの」
 ルイズは決闘の最終局面を思い出す。なのはが光の円陣で出来た盾をかざしつつしていたアドバイスは、ギーシュの操るワルキューレの動きを加速度的に良くしていった。
 そんな中、さすがに攻撃を裁ききれなくなったなのはは、光の玉を一体のワルキューレに向けて放った。
 その一発は、信じられないことに苦もなくワルキューレの片腕を切りとばしたのだ。
 「見た目ウィル・オー・ウィスプみたいな光の玉なのに、触れただけでワルキューレの腕がぽっとんだったものね」
 「あ、あれは、ちょっとこちらも予想外だったんですよ」
 そう、なのはにとってはまさに予想外だった。
 その時なのははよけきれないと見た一体の攻撃を、『非殺傷設定』のディバインシューターでそらそうとしたのだ。
 ところが普通なら魔力衝撃ではじけ飛ぶはずのワルキューレの腕が、攻撃の命中部位からもげるように落ちてしまったのだ。
 自分の魔法が効き過ぎるみたいだと判断したなのはは、ギーシュをほめると同時に、次の攻撃でけりを付けると宣言した。
 『まさかこんな短時間でつい攻撃魔法を使わされるなんて。すごいね。じゃあ、あと一回。次はこっちからも攻撃するよ。ちょっと威力ありすぎるみたいで、たぶん一撃で壊しちゃうから、ラストチャンスだね』
 『判った。実際こっちも精神力がきついから、これで終わりだろう』
 腕の飛んだワルキューレを、ギーシュの使い魔であるジャイアントモールのヴェルダンデが引きずっていく中、残りの六体がなのはに対して、最初とは見違えるほどのコンビネーションで向かっていく。互いが互いの動きを隠し、姿の相似性を利用してなのはの遠近感を狂わす。
 『そう! 同じ姿なら、そう動かさないと!』
 感心しつつもなのはは容赦しない。
 『じゃあ、行くよ。アクセル・シューター!』
 確認したいこともあったので、まず非殺傷設定で四発。この四発は、先ほどと同じように、一撃でワルキューレの腕や足、胴体を破壊するというより、分解するような感じでもぎ取った。
 残る二体には、非殺傷設定解除のものを使用。こちらも一撃でワルキューレを戦闘不能に追い込んだが、あくまでもなのはがよく知るような、物理的な大ダメージで破壊されていた。
 『これまで、かな』
 と、なのはが一息入れたとき、背後に殺気を感じた。とっさにシールドを展開するも、それより速く、ワルキューレの攻撃が腹部に命中。弾かれながらも放ったディバインシューターが、腕のもげたワルキューレを完全破壊した。
 ヴェルダンデが運んでいたワルキューレであった。片付けと見せかけてなのはの背後に地下を通して運んでいたのだ。
 『作戦勝ち、ですね』
 『お見事』
 それを聞くのと同時に、やり遂げた男の表情を浮かべたまま、ギーシュは気絶したのだった。
389ゼロと魔砲使い 第6話-02:2008/02/14(木) 15:31:05 ID:7sx5xsKQ
 「へえっ、判ったの? なんかすごいわね、なのはって」
 「いえ、この機械があったおかげですよ。これがなかったらさっぱりでした」
 なのはスキャナーを指さす。実際今日一日で、スキャナーによって採取された魔力のパターンは、なのはに大量の情報を提供していた。
 「それで一番大事というか、私たちの使う魔法とここの系統魔法の違いは、元となる魔力ですね」
 「魔力?」
 実はハルケギニアには魔力という概念がない。魔法の現象が『ごく当たり前のもの』であり、それを制御する力は『精神力』だからだ。
 ついでにいうとこちらでいう『物理学』の概念もごく一部にしかないし、あってもほとんどが経験則である。つまり独立した学問として成立していない。
 そのため、いわゆるエネルギー保存則に当たる概念がこちらにはない。それ故、魔法を使った作用に対して、『何らかの代償』が必要になる、という発想そのものが存在していなかった。
 消費されるのはあくまでも魔法の『発動及び制御』に使われる『意志の力』、すなわち精神力である、ということである。
 なのはは、ルイズのいぶかしげな様子から、今ここで語ったことすべてではないが、自分たちのいう『魔力』に当たる概念がルイズに判らないことには気がついた。
 「魔力というのは、魔法が発動したときに消費される力のことですよ」
 「へっ? 魔法を使うと何かが減るの? そりゃ精神力は減るけど、それは違うでしょ?」
 「う〜ん」
 なのはは少し困った。なのはにもルイズ達にエネルギーの概念がないことに気がついたのだ。ルイズは実践はともかく理論においては詳しいことは、昨日の夜の説明で判っている。そのルイズが判らないというからにはこれは一般レベルのことであろう。
 「そうですね、ちょっと魔法から離れて説明します」
 なのはは少し方向性を変えることにした。
 「簡単な話ですけど、地面に置いた岩を動かすとします。まず人力で動かすとどうなりますか」
 「えっと、動かした人が疲れる」
 「正解です」
 馬鹿みたいな話だが、これが大事なのである。
 「つまり、岩を動かすには、誰かが力を振り絞って疲れないといけないわけです」
 「当たり前よね」
 「では、魔法で動かそうとすると?」
 ルイズは少し考える。
 「風か水の魔法、エアハンマーやウォータージェットみたいに相手をはじき飛ばす魔法か、ゴーレムを作って動かせばいいのかしら」
 「まあ、方法は何でもいいんですけど、魔法を使って動かすことも出来ますよね」
 ルイズは頷く。
 「だとすると、その魔法は、岩を動かす人が疲れたのと同じだけの力を使っているわけです」
 「あっ」
 その説明は、今まで考えたこともない方向からの考察だった。言われてみれば確かにそういう気がする。
 「つまり魔法を使うと、人が疲れるみたいに、何かが疲れるって言うこと?」
 「ええ、疲れるって言うより減るんですね。そういう力の源を、私たちのところでは魔力って言うんです」
 「納得。要するに魔法って言うのはその力に命令していろんな事をするわけなのね」
 「大正解です」
 なのはは少し驚いていた。誰だ、彼女を落ちこぼれ扱いしたやつは。確かに実技はあれでも、この少女はこんなにも頭がいいじゃないの。
 彼女は本気で怒ると同時に、いかにこの世界において『魔法』という力が影響力を持っているのかを実感していた。
 そしてなのはは話を戻した。
 「で、この機械はその『魔力』がどういう働きをしたかを目で見ることの出来る形にして示してくれるものなんです。見えると言ってもほとんど数字の羅列ですけどね。で、調べた結果」
 「ふんふん」
 ルイズもだんだんなのはの話に興味が出てきていた。こんな突っ込んだ講義は、今まで聴いたことがない領域だ。
 「この世界の魔力は、基本的にあらゆるもの――空気にも、水にも、大地にも、炎にも、そして我々人間や動物たち、植物たち、そういったすべてのものと共にある、言い換えると宿っている力なんです」
 そこまで言うと、なのはの思いはこのことに気がついた原因――先の決闘の最終局面の分析に飛んだ。
390ゼロと魔砲使い 第6話-03:2008/02/14(木) 15:32:53 ID:7sx5xsKQ
 なのはは何故非殺傷設定の魔法があのような反応をしたのかを調べていた。
 センサーのデータを元に、レイジングハートが分析エミュレートを実行する。
 そのためのデータをチェックしていたなのはは、ある数値の異常さに気がついた。
 「ね、レイジングハート、この数字、変じゃない?」
 なのはが示したのは周辺領域の魔力素含有量だった。
 なのは達の世界で使われるミッド式やベルカ式の魔法は、周辺に存在する魔力素をリンカーコアと呼ばれる魔法的器官を通じて魔力に変換し、これを周辺空域に展開することにより様々な事象を引き起こす魔法である。
 含有量とは、その魔力素が周辺にどれくらい存在しているかを示す値である。
 これが高い領域では魔力の吸収量が増えるため、回復が早くなる。
 だか、今表示されている含有量は異常とも言えた。ミッドチルダの平均の数千倍にもなる。
 “異常はありません”
 レイジングハートは冷静に告げる。
 「でもこれじゃまるで世界全部が魔力出てきているみたいだよ」
 “その通りです”
 「……へっ?」
 “スキャナから読み取ったデータによれば、この世界においては、ありとあらゆる物質に魔力が浸透しています。おそらく素粒子レベルでの現象と思われます”
 「うそ……」
 判りやすくたとえるなら、ミッドチルダや地球では、魔力素は大気中の塵のようなイメージになる。ところがここハルケギニアでは、あらゆる物質に――分子・原子どころか素粒子のレベルで――魔力が付着しているのである。
 糖衣錠みたいに、素粒子が魔力でコーティングされているようなのだ。
 “粒子と結合した魔力は安定度が極めて高いので、通常吸収されることはまずありません。例外があるとすれば、スターライトブレイカークラスの魔法を使用したときくらいでしょう”
 「なんか世界そのものがロストロギア扱いされそうだね」
 “かも知れません”
 シャレがシャレにならず、なのはは頭を抱えた。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:33:05 ID:dFRByrGl
しえーん!
392ゼロと魔砲使い 第6話-04:2008/02/14(木) 15:33:31 ID:7sx5xsKQ
 “そして、この世界の魔法は、融合した魔力に対して術者が働きかけることによって成り立っています。細かい操作原理などはもう少しサンプルを集める必要がありますが、大枠はこれで間違いないと思います”
 「ミッド式とは全然違うね」
 “はい。仮にハルケギニア式としますが、術者が取り込んだ魔力を展開するミッド式とは違い、魔力と結合している物質やエネルギーを、その結合した魔力に働きかける事によって間接的に操作することによって成り立つ魔法体系です。練金が可能なのもそういう理由です”
 「確かにね。魔力と物質が結合しているんなら、元素変換もバリアジャケットの生成と大して変わらないっていうことになるものね」
 バリアジャケットは魔力を物質化して生成する。但しあくまでも疑似物質であり、天然に存在する物質とはあり方が違う。
 ミッド式では鉄をアルミにするような真似はほぼ不可能である。だがここでは、魔力という『タグ』を介して元素の結合すら書き換えられるのである。
 ミッドチルダや地球ではこうはいかない。
 もっとも、これは魔力の粒子結合という現象が『この世界固有の事象』ならである。
 固有ならそれはこの世界自身の特徴であり、違うのならこの現象を引き起こしている何らかのシステムが存在することになる。
 しかし固有なのかそうでないのかは、なのは達もまだ知ることは不可能であった。
 「でもだとすると非殺傷設定の魔法がゴーレムの腕をもいじゃったのも判るな。あのゴーレムの腕、ある意味すかすかだったんでしょ」
 “はい。関節機構のないゴーレムが動くため、あのゴーレムの一部分は、金属粒子の結合が切れ、魔力のみの結合で形を維持していましたから”
 普通に考えれば、青銅がゴムのように変形することはあり得ない。展性の限界を超える。
 ギーシュの作ったゴーレムは、可動部分が動く際、一時的に分子結合の『金属粒子としての結合』がばらばらになっており、『分子に結合した魔力のみが連結している』状態になっていたのである。粉になった青銅が魔力というのりでまとまっているような状態である。
 そのため、ゴーレムは金属の質感を保ったまま、関節部が自在に動くことが出来たのである。
 ちなみにこれはゴーレムの形成時にも起こる現象である。練金された物質が分子単位の粉末状に分解され、魔力を通して再結合することによって素早く且つ術者のイメージ通りに再構成されるのである。
 だがこれは言い換えれば、結合を維持する魔力が乱れたとき、本体も破損すると言うことである。そしてなのはの放った非殺傷設定の魔法は、『魔力にのみダメージを与える』魔法である。
 結果として、関節や可動部を維持していた魔力がなのはの魔法攻撃によってダメージを受け、その部分からもげ落ちたり崩れたりしたのである。
 「いろいろ試してみないと判らないけど、あのワルキューレみたいな魔法で一時的に生成されたものに対して、非殺傷設定の魔法は致命的って事ね」
 “そうなります”
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:34:44 ID:dFRByrGl
支援!
394ゼロと魔砲使い 第6話-05:2008/02/14(木) 15:35:06 ID:7sx5xsKQ
 「そして、私の放った魔法は、そういった『魔力』のみにダメージを与えることが出来るんです。本来は対人非殺傷――魔法で攻撃したときに相手を殺さないようにするためのものなんですけど」
 「そういうことも出来るのね」
 ルイズは少し感心したように言う。
 「ええ。私、故郷では犯罪者の取り押さえとかも職務のうちですから。非殺傷とはいえ、攻撃を受けるとしばらく動けなくなりますので」
 「相手を捕縛するための魔法なのね」
 「はい、そうです」
 ルイズは判ったとばかりに大きく頷き、少し考えるようなポーズになった。
 「だとすると、私の魔法、なんで爆発しちゃうのかしら。なのはの言うとおりなら、魔法って、ものに宿る魔力……精霊みたいなものに働きかけて起こすのよね。ならなんで爆発が?」
 「ですねぇ」
 なのはも少し考える。と、そこに別の言葉が割り込んできた。
 “おおよそですが見当は付いています”
 「のわっ!」
 突然の声にルイズが飛び退く。
 「だ、だれ?」
 「あ、この子です」
 そういえばまだ紹介してませんでしたね、と、なのはは胸元からペンダントを取り出した。
 「この子はレイジングハート、もう十年来の相棒になるインテリジェントデバイスですよ」
 「インテリジェントデバイス? 知恵ある……デバイスって、杖のこと?」
 「ええ。この子は杖ですけど、必ずしも杖とは限りません。まあ、だいたいこちらのメイジが振る杖に近いかと。ただ、この子には知性が付与されていて、私のことをサポートしてくれるんですよ、いろいろと」
 なのはの言葉には、友人を自慢するような響きがあった。
 「すっごい。変形とかもするし、すごいお宝の杖じゃない」
 ルイズもさすがにびっくりだった。
 “それよりマスター、彼女の魔法が爆発する理由ですが”
 レイジングハートが話を元に戻す。
 「あ、そうだった。ね、何か判ったの?」
 なのはが改めて質問する。
 “はい。これは午前中の授業で、ミス・ルイズが爆発を起こしたときに検知したものですが”
 それと同時に、パソコンのディスプレイに二枚の図が表示される。
 人型の枠に、無数の矢印が表示されていた。片方はてんでばらばらで、どちらかというと人から離れていこうとしていたが、片方は明確に人の方へベクトルが集中していた。
 「これなに?」
 そう聞くルイズに、レイジングハートが答える。
 “魔法発動時の魔力の流れです。この魔力は、我々が使う意味での、物質に宿っている力だと思ってください”
 「うん」
 ルイズが頷いて了解の意を示す。
 “散っている方はミス・シェヴルーズのもの、集中しているのはミス・ルイズのものです”
 「これって……」
 なのはがそれを見てあることに気がつく。
 「ご主人様の方は、私たちが魔法を使うときのものに近いわね」
 「?」
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:35:58 ID:dFRByrGl
一つ覚えの支援、通ると思ってか!
396ゼロと魔砲使い 第6話-06:2008/02/14(木) 15:37:11 ID:7sx5xsKQ
 ルイズには意味が通じていなかった。それに気がついたなのはが解説する。
 「私たちの魔法は先ほど説明したのとは違って、ものに宿っているのと同じ『魔力』を、いったん自分の中に取り込むんです。取り込むのは物質と結合していない魔力ですけど」
 「私たちは間接的、なのはは直接的なのね」
 飲み込みの早さに、なのははますますルイズがものすごく頭がよいことを確信する。
 まったく持って勿体ない、と思う。
 「その通りです。取り込んだ魔力を一定の手順に従って展開・放出することによって魔法が発動します。それが私たちの魔法です。扱いやすくて強力ですが、あまり応用は利きません」
 「なるほど……でもだとするとなんで私はあなたの魔法に似ているのかしら。ミス・シェヴルーズの方は別に魔力集まらないんでしょ?」
 “はい、そしてそれこそが爆発の原因です”
 レイジングハートが断定した。
 “理由は不明ですが、ミス・ルイズ、あなたが魔法を発動しようとしたとき、対象となった石から大量の魔力が強制的に結合を解かれてあなたの方へ引き寄せられました。そのため結合を解かれた石が物質としての安定を崩して爆発したのです”
 「私が魔法を使おうとすると、魔力を引きはがしちゃうの?」
 “はい。私はそれによってこの世界の物質が魔力を帯びていることに気がつきました”
 「確かにここまで一体化している魔力結合、強制的に解除したら反動出るよね」
 なのはも納得がいったという顔をしていた。
 「爆発のエネルギーが魔力還元されるのも当然かあ。還元ていうより解放だもんね」
 “その通りです。マスター”
 細かいことはともかく、何となくルイズにも理由はわかった。
 「つまり、私が魔法を使おうとすると、精霊が言うこと聞くんじゃなくって私の元に集まっちゃうから爆発するのね」
 “正確には違いますが、現象的にはその通りです”
 「……私って、魔力って言うか、精霊に好かれてるのかなあ」
 “結論を出すためには、もっとたくさんの資料を集めて比較してみる必要があります”
 「ま、まだデータ取り開始して一日なんだし、慌てないで行きましょ、ご主人様。でも一つだけ言えそうですね」
 「なに? なのは」
 不思議そうに聞くルイズに対して、なのはは言い切った。
 「魔力の流れからしても、ご主人様には普通ではない特別な何かがあります。系統魔法が使えないことにも、きっと訳がありますよ。ご主人様はただの『ゼロ』ではありません」
 「なのは……」
 ルイズは何故かそれ以上言葉が出てこない自分を感じていた。なんでこの使い魔はこうも肯定的なんだろう。どこまで行っても自分を否定する言葉が出てこない。
 ただひたすらに現状を肯定し、都合の悪いことは真っ向正面からぶっ壊していく。
 とことん前のめりな不思議な人。
 と、感極まっていたとき、せっかくの感動に水を差す音がした。
 こんこん。
 礼儀正しく響く、ノックの音であった。
 
 
 
 
397ゼロと魔砲使い 第6話-07:2008/02/14(木) 15:38:30 ID:7sx5xsKQ
 さて同じ頃、遙か遠き異国――ガリアの地にて。
 
 その夜、ガリアの『無能王』ジョセフは、密偵からの通信をまとめた資料を読んでいた。
 名前と裏腹な有能さを持つジョセフは、情報の重要性も認識していた。
 今目を通しているのはそのうちの一つ、姪に当たるシャルロット・オルレアンに関する報告である。
 遙か遠い田舎の国に追いやった姪であるが、監視は欠かさない。今日の報告には、彼女が使い魔として風竜を召喚したことが書かれていた。
 遠見の鏡を応用して作り上げられた情報網は、鳥の使い魔も及ばぬ早さで各地の情勢をジョセフの元へ届ける。その日の出来事をその日のうちに1000リーグもの遠隔地へと伝えられるのだ。
 「ほう、竜となれば格段に足が速くなるな。彼の地からここまででも一日で到着できるか。イザベラが聞いたらどう思うかな」
 「喜んでこき使いそうですね」
 相づちを打ったのは、一見美丈夫に見えるが、よく見れば異形の者――エルフの男性であった。
 彼の名はビダーシャル、故あってこの地でガリア王に仕えている者である。
 「そうそう、それよりおぬしが興味を持ちそうな情報も来ておるぞ」
 「ほう、と、申しますと?」
 「その使い魔召喚の儀式でな、『人間』を召喚した者が現れたそうだ」
 その言葉に、ビダーシャルの目がつい、と細められる。
 「それは確かに興味深いですな」
 「ちなみに召喚者の名はルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール。トリステイン王家の庶子を源とする公爵家の娘だ。そして使い魔の証は左手へ刻まれたらしい」
 「……確かに条件は満たしておりますね。これで二人目、ですか」
 「ああ。加えてその娘、学院ではまったく魔法の使えぬ無能力者として『ゼロ』なる二つ名を付けられているそうだ。皮肉よの」
 「覚醒していないというわけですな。これで使い魔が武器を片手に一働きすることが出来たら、ほぼ確定でしょう……陛下?」
 ジョセフはくつくつと笑っていた。ビダーシャルはいぶかしげに王の方を見る。ジョセフはその視線に気がつくと、姿勢を改めて語りはじめた。
 「そうそう、その使い魔だがな、これまたとんでもない型破りらしいぞ」
 「と、申しますと?」
 「なんとな、今まで見られたことのない特異な魔法を使うそうだ。光の円陣とともに現れた光球は、ドットとはいえブロンズゴーレムを一撃で粉砕し、円陣の盾はその攻撃もことごとく止めたとか……どうかしたか?」
 今度動きが止まったのは、ビダーシャルのほうであった。
 しかも、今までジョセフが見たこともないほどの、まがう事なき殺気を当たりにまき散らしている。
 「今、光の円陣、と、言いましたな」
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:38:39 ID:dFRByrGl
時空を超え刻まれた悲しみの記憶
まっすぐに 受け止める 君は光の 女神 支援!
399ゼロと魔砲使い 第6話-08:2008/02/14(木) 15:39:08 ID:7sx5xsKQ
 「……あ、ああ」
 珍しくジョセフは気圧されていた。いつもまったく感情を表さないこの男が、珍しくそれをむき出しにしている。
 「もし、それが事実なら……」
 「事実なら?」
 「我々エルフは、その全力を持ってかの者を討たねばならぬ。そのために人間全員を道連れにしようとも」
 さすがにジョセフもあっけにとられた。いくら何でも話が大きすぎる。
 「おい、どういう訳だそれは。禁忌に触れん範囲でかまわんから説明しろ」
 「まあよかろう。おまえ達の言う始祖ブリミルは、神から虚無の力を授かったのだろう?」
 「ああ。おまえ達は悪魔の力だと言うがな」
 ビダーシャルは腕を組み、視線をどこでもない位置に固定したまま言葉を続けた。
 「この世には大きく分けて二つの魔法があることが知られている。一つはおまえ達が使う系統魔法、もう一つは我々の使う精霊魔法。だが、実はもう一つ、この世に知られる魔法があるのだ」
 「初耳だな」
 「当たり前だ。かつてエルフはその魔法を相手に部族の命運をかけた戦いを行っているのだ。しかもそこまでして我々は相手をあの悪魔(シャイターン)の門に封じることに成功しただけだという無様な有様なのだからな」
 「聖地に封じたというのか?」
 「さすがに私といえどもその目で見たわけではないから詳しくは知らぬ。教えられた知識でさえ、私の立場を持ってしても真実かどうかが判らぬほどの秘事だ」
 「……よほどのものらしいな」
 ビダーシャルが珍しくもため息をつく。
 「これは真実かどうかは判らぬが、我々が何とか打ち勝てたのですら、実は相手が何らかの理由で自滅したからだという噂もあるくらいだ。人間よ、興味本位で手など出すでないぞ」
 「なるほど、それがお主達が聖地を封印している理由か」
 ジョセフが判ったというように言うと、ビダーシャルは首を横に振った。
 「あくまで理由の一つでしかない。そうでなければたとえお主にでも話せたと思うか?」
 「確かにな。言われてみればその通りだ」
 「いずれにせよ」
 そこでビダーシャルは再び元の事務的な態度に戻る。
 「たとえ噂でもそのようなことがあるのなら、この目で確かめないといけないな。王よ、場合によっては私は暇乞いをせねばならないかも知れない。ああ、もちろん代わりの者は来る」
 「どういうことだ?」
 「今彼の地に一番近いところにいる同族は私だ。この話の真偽を確認するとなれば、我が゜動かねばならない」
 「なるほど。だが慌てなくともよい。彼の地にはシャルロットがいるのを忘れたか。彼女にまず調べさせればよかろう」
 それを聞いて、彼は息を抜いた。
 「失礼。少々取り乱していたようだ。貴公の言うとおりだな。最終的にはこの目で見ねばならないだろうが、慌てる必要はないか」
 「全くだ。だがビダーシャル、そなたをここまで慌てさせるその光のメイジ、いったい何なのだ?」
 「簡単だ。さっきも言ったが、かつて始祖ブリミルは神より虚無を授かった」
 ジョセフは頷いた。かつて己の力に目覚めたとき、香の薫りとともに脳裏に浮かんだ文言が頭をよぎる。
 「ならばいるはずであろう? 始祖に虚無を授けた『神』が」
 さすがに息をのむジョセフ。
 「かつてエルフが門に封印せし第三の魔法、それは天空に光の円陣を描くもの。精霊を食らいつくし、世界を滅ぼす禁断の魔法。それを我らは『悪魔魔法(シャイターンズ・マギウス)』と呼び、それ力を振るう者を『悪魔』と言ったのだ」
 「ふっ、吹いたものよ」
 眉根を寄せるビダーシャルに対し、ジョセフは小さく笑い続けていた。
 そして傍らに置かれた羊皮紙とペンを手に取る。
 「さて、我が姪にも一仕事してもらわねばならぬか」
 
 そしてこの一筆は、後に一人の少女の手に渡ることになる。
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:39:36 ID:F2r1rki/
けうっ!私が書いてるSSで使う予定のハルケ魔法の解釈がかぶった!
でも支援(泣
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:40:23 ID:dFRByrGl
通す! レイジングハートが力をくれてる! 泣いている子を救ってあげてって! 支援!
402ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2008/02/14(木) 15:40:30 ID:7sx5xsKQ
投下終了。

本日はここまで。いかん、タイトルにトリップ付け忘れた。

次は修行編かなあ。
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:41:41 ID:9lrivbyj
支援!!
404名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:42:27 ID:omhXKsmd
>>395
通す!レイジングハートが支援をくれてる!
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:45:05 ID:omhXKsmd
ふっ 読みふけってるうちにリローを忘れるとは……

考察が細かさに俺が噴いた
貴様、設定厨(褒め言葉的な意味で)だな!
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:48:08 ID:yf31tDtp
あう、ちょっと席を離れたすきに投下が終わっていた、
ともあれGJ!!

いろいろと裏設定は多いようで楽しみです。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:51:35 ID:nPqlJTDb
GJ! 読みふけってまったよ。

>>400
解釈被りなんて気にスンナ。書いてまえ。

俺も魔法の原動力と、ルイズの爆発の解釈が被ってるけど、
気にせず突っ走る予定。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 15:56:35 ID:F2r1rki/
乙ー。
ビダーシャルが動くのは珍しいですな。期待ー
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:00:49 ID:dFRByrGl
GJ! 両手いっぱいのGJ!!
前回省略されてた決闘の詳細が読めるとは思わなかった。
設定も作りこまれてて読みふけっちまったぜ!
>>404 せっかくのってくれたのにネタが尽きて自分で返しちまった… すまん… orz
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:03:02 ID:TmS03RGd
正直に言えばなのは関係は専用スレに移ってほしい
今までも荒れてたし今後も間違いなく荒れるのは分かりきってるから
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:03:58 ID:K+SrRk8z
元作品はよく知らないが読みふけったGJ

しかし、ガリアの王様はジョゼフなのでお気を付けを
412ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2008/02/14(木) 16:11:20 ID:7sx5xsKQ
>>411

うお、ナチュラルに間違えて覚えてたっ! 指摘感謝。

まとめに上がったら訂正しておきます。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:15:24 ID:wXv3Hv37
なのはの両親が喫茶店やってんだから紅茶の入れ方ぐらいマスターしてない?
原作(とらハ3)の方では確か店手伝ってたよね?
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:23:04 ID:T9u6Cyf2
俺、いまだにブルミルだかプルミルだか区別がついてないんだぜ
13巻まで読んでるのにな。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:25:36 ID:9Jz4UiN2
読んでねーだろw
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:28:41 ID:/C7v1A50
>>414 プリオンだよ

マジレンジャーの末っ子かお姉ちゃん召喚も考えたが魔法の設定とか結構難しいんだよな………
お姉ちゃんならシエスタと一緒にモットの所へ潜入捜査とかできそう。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:31:15 ID:JVtZZoRq
>>415
目が悪いんだろ
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:33:30 ID:9lrivbyj
>>416
ちょ、なんというBSEwwww
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:34:37 ID:dFRByrGl
よたよた歩く牛を召喚とな!?
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:34:48 ID:TgW5X2A7
>>416
プリミエールじゃなかったか
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:35:53 ID:hncYTfH+
>>414
ブリブリザエモンだろ
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:38:35 ID:gQ3TcdSq
>>416
つまり、>>414の脳が異常プリオンに(ry
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:42:23 ID:HGb2/sE4
>>419
その牛を学院の人間全員が食べるのか……
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:44:08 ID:dxif0Zsr
そのパズルのピースは…
俺が飲み込んだ
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:44:27 ID:2r12Fh8c
>>363
モヒカン「たったわばっ」

こうですか?判りません!
426名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:49:37 ID:C9uQDLZ1
>>425
北斗残悔拳(エクスプロージョン)!!

ルイズ「今杖で付いてる秘孔は頭維(四合)って言ってね、この杖を抜いてから3秒後にあんたは死ぬ」

ヨルムンガント「いやだ!!し、死にた……たわば!!」
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:51:20 ID:VstMln3G
>>424
ダデャーナザァン!
ナニシテルンデス!?
428ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 16:52:00 ID:9lrivbyj
ところで、第五話が出来たんですが投下してもいいですか?
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:53:21 ID:caQgQkYA
>>420
プリザエースに見えた。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:54:09 ID:F2r1rki/
>>425
古い。こうでしょ
ルイズ「零式螺旋波紋呪文!」
ワルド「(ごぽぉ)」
ルイズ「散り際に微笑まぬ者は生まれ変われぬぞ」
431名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:58:01 ID:HGb2/sE4
>>428
よっしゃ来い
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:58:02 ID:pjEBQupB
支援準備!
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:58:23 ID:yf31tDtp
我に合見えし不幸を呪うがよい 星よ降れ!支援!
434ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 16:59:13 ID:9lrivbyj
 その日の朝から、ルイズの様子がおかしかった。

「ヴァリエール様、朝が来ましたよ」

 起きて一番に洗濯を済ませてきたムスタディオは、寝ているルイズを起こす。この世界に来てからの彼の日課だった。
 労働者達の生活力に満ちた朝の空気の中で深呼吸し、少しだけ気分をリフレッシュさせるが、その後に彼女を起こすと考えると、肺の中に溜めた空気がやや淀む気がした。そのまま寝ていてくれないかなと半分本気で考えていると――本当に起きなかった。

「おい、ヴァリエール様、朝ご飯を食べられなくなるぞ」

 彼女が反応を示したのは、四度も呼びかけた後だ。

「……ん、分かってるわよ……」

 起き出したのはさらに経ってからだった。のたのたと下着を身に着けている。彼女のブラウスのボタンを留めながら顔を見上げてみると、赤みがさしていた。汲んできた水で洗顔も済まさせたというのに、未だ起き抜けみたいに目がぼんやりしている。

「ヴァリエール様、体が重くないですか?」
「……少しぼんやりする。なかなか目が覚めないわ」

 声にも力がなかった。いかに関係が悪かろうと、病気となれば話は別だ。
 ちょっとごめんよと断りを入れ、ムスタディオはルイズの額に手をやる。

「……なに、してるのよ」
「熱を見てるだけですよ。そんな目で見るなって……けっこう熱いぞ。喉とか、どこかに違和感はないですか?」
「……どうもないわ。ぼうっとするだけよ」
「はあ、まあ風邪か何かだな。医務室に行きましょう」

 しかし、ルイズはぶんぶんと首を振った。ムスタディオの手が払われる形になる。

「遅刻しちゃうじゃないの……そんなこと絶対できないわ」

 少しの間説得をしたが、ルイズは頑として首を縦に振ろうとしなかった。
 仕舞いには「食事をしっかり取って、勉学を受けられる感謝を胸に集中すればすぐに治るわよ」とやぶれかぶれのことを言い出したので、ムスタディオとしても納得せざるを得ない。

「分かったよ。悪化しても知らないからな」

 しかし午前の授業の間、彼女はお世辞にも集中出来ていると言える様子ではなかった。
 本人もそれを自覚したのか、お昼休みに医務室へ向かうことになった。

 ――それがきっかけになるとは知らずに。



「ブレイブストーリー/ゼロ」-05


435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:59:40 ID:yf31tDtp
命脈は無常にて惜しむるべからず…葬る!支援!
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 16:59:49 ID:F2r1rki/
ムスタディオもルイズがテンパり過ぎて壊れないか心配しつつ支援。

でもアグにプレゼントしたって聞くと殺意が沸く。不思議!
437ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 17:00:32 ID:9lrivbyj
 疲労による発熱、と養護教諭に告げられた。

(オレが熱出したいくらいだ)

 力なく思うムスタディオは、医務室のベッドで寝息を立てているルイズを見つめていた。処方された薬を飲んだルイズに、今から少しだけ休むから起きるまで絶対に傍を離れるな、と言い含められていた。
 ルイズは、自室で眠っている時でも見せないような穏やかな顔をしていた。
 表情の膜を取っ払ったらこんな端整な顔立ちをしているのか、と気付く。嫌われていることを改めて感じ、気分が沈んだムスタディオは視線を外して医務室を見回した。

 数日前と何ら変わりの室内。隅の机で養護教諭が書類を書いている。
 この場所で目覚めてから、この悪夢みたいな生活が始まったのだ。
 否応なしにここ数日間の記憶を、そしてそれ以前のことを反芻させられる。

 その内に、ふと何故だろうと思った。誰とも会話させてもらえず、主の少女には犬と呼ばれこき使われる。
 しかし、それだけだ。以前の命を賭して戦う日々とはまるで違う。平穏と言ってもいい。
 何故こんな小さなことで自分は、狂おしいほど圧迫感を感じているのか。

 ――それはいつもの自問自答だった。
 以前の彼は考えるより動き、思いついたことを即実行するような性質だった。仲間との他愛無い会話も大好きで、くだらないことを言って笑わせていた。頭も悪いほうではなく、敵を欺いたことは何度もある。
 しかし日常的に誰とも接することがなくなり、与えられた莫大な時間の中。
 彼は誰かと話す代わりに延々と何かを考えるようになり、今までは気付きもしなかった自分の側面へ目を向け始めていた。

 今までの自分と、今の自分は明らかに違う気がする、とムスタディオ自身もそれを感じていた。
 何が原因なのだろう、と今日まで考え続けていたが――何となく分かった気がしていた。

(……義務感、とか、自分から、とかそういうのかな)

 あの戦いの日々は、絶対にやり遂げなければという気持ちを伴って流れていた。
 この生活は、自ら望んだものではない。
 よく考えれば、生まれてから今日まで、身分の違いや貧困による理不尽に苦むことはいくらでもあった。
 しかし、その中にも機工士としては充実した日々は送れていたし、仲間と共に戦った日々は、今思えば死や失望と隣り合わせであれど仲間との強い絆、そして「自分自身を生きている」強い実感があった。
 それがこの場所には――

「……はは」

 乾いた笑い声が口から漏れた。顔を両手で覆った。
 仲間の大切さを、思う。改めて、改めて皆生きていて欲しい、と思う。
 そして、オレ、こんなちっぽけだったんだなあと思った。

 ――何か、一人になりたかった。
 一人になれなくても、自分を監視する目から逃れて行動したい。

 ルイズを見やる。
 しばらく目を覚ましそうにはない。

「……すいません、ヴァリエール様が休んでいる間に、昼食とってきます」


   ◇
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:00:57 ID:yf31tDtp
骸の手の死を歌い、恐怖の戸を叩き 死の川を渡れ…支援!
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:01:26 ID:lGTOpmGM
某理○狂のも入れるとアニメ版なのはさん三人目かあ

>とらは版なのはさん「くそっ、どいつもこいつもアニメ版なのはっ!何故やつを認めてこのわたしをっ!」
440ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 17:01:57 ID:9lrivbyj
「おお? その香水は、もしや、モンモラシーの香水じゃないのか?」
「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモラシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモラシーと付き合っている。そうだな?」

 煌びやかな食堂は、何やら騒がしかった。
 金色の巻き髪に、フリルのついたシャツを着た派手なメイジが周りの男子生徒や女子達と口論をしている。断片的に聞こえる内容からすると、どうやら金髪の彼が二股をかけたらしい。

「――ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ……」

 ばちん、と良い音が食堂に響き渡る。

「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ! さようなら!」
「――やっぱり、あの一年生に手を出していたのね?」
「お願いだよ。『香水』のモンモラシー。咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」

 もう一つ良い音が反響する。

「うそつき!」

 走り去る足音。ざわめきが大きくなっていく。

「…………」

 少し前の彼なら仲介を買って出るか野次馬に混ざるかしていただろうが、ムスタディオは肩をすくめるだけで床に下ろした腰を上げようとしない。貧しいスープを啜る。傍らのルイズの席は空席だった。
 勝手にしてくれ――そう思った時、視界にある姿が映った。

「君が軽率に、香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「あ……も、申し訳ございません! まさかこんなことになるなんて思っても見なかったんです!」

 先ほどの男子生徒――ギーシュというらしい――が、給仕の少女に言い掛かりをつけていた。ギーシュの落とした香水は彼を引っ叩いた女生徒にとって大切な人にだけ贈る印であり、それを給仕の少女が善意で拾い、渡そうとしてしまった。それが今の騒動の発端らしかった。
 給仕の少女に視線を絞る。見覚えがあった。毎朝洗濯の場で一緒になる彼女は、最低限のことしか話さないムスタディオにも親切に接してくれていた。
 確かシエスタと名乗った、「平民」の少女だった。

 ムスタディオは目を細め、スープの皿を床に下ろす。
 立ち上がって二人の下に歩いていくと、ぶっきらぼうに言い捨てた。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:01:59 ID:4K9iUahX
支援
442名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:02:09 ID:yf31tDtp
三界六道貫く秘剣、仏の道の許さずも 共に地獄の火とならん!支援!
443ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 17:02:57 ID:9lrivbyj
「おい、やめろ」

 椅子の上で高慢な風に足を組んでいたギーシュが、怪訝そうにムスタディオを見る。

「なんだね、君は。見ての通り今は取り込み中だ。後にしてくれたまえ」

 ムスタディオはギーシュの言葉を無視して続ける。

「その娘を責めるのは筋違いだろ。二股をかけたお前が悪いぜ」

 周りの男子生徒たちがどっと笑った。

「その通りだ! ギーシュ、お前が悪い!」

 ギーシュの顔に羞恥が広がっていくのを、ムスタディオは底の冷えた目で見ている。

「……一体なんだね君は。見たところメイジではなさそうだな、平民か。どこから入り込んだのか知らないが、高貴なるこの場には相応しくない。出て行きたまえ」

 平民、という言葉にムスタディオの表情が黒い陰を纏ったことに、誰も気付かない。

「じゃあお前の行いは、高貴って言えるのかよ」

 気付けば、そんなことを口走っていた。

「二股がバレたからって、その責任を善意の平民に押し付ける。そんなプライドが貴族の高貴さなのかい? オレの知っている貴族は、そんな下らないものは持ち合わせていないぜ」

 周りの反応は多種多様だった。何だコイツはとムスタディオを睨む者、面白がってギーシュを囃し立てる者。シエスタは顔を真っ青にして「ムスタディオさん、何てことを! グラモン様に謝ってください!」と懇願してくる。しかしそのいずれもムスタディオは見ていない。
 彼の視界の中では、ギーシュが表情をなくしていた――その目だけが光り、ムスタディオを見返している。

「……君は、そうか、見たことがあるぞ。ゼロのルイズの使い魔だな。
 皆、どうやらミス・ヴァリエールは使い魔のしつけすらまともに出来ないらしい。だから代わりに、この僕が上位者に対する礼儀を教え込んでやることにしよう!」

「好きにしろよ」

 ギーシュの友人達から好奇のどよめきが上がった。

「よろしい。ではヴェストリの広場で待っている。準備する時間を与えよう。心が決まったなら、出てきたまえ」

 気障な仕草でそう言い放ち、取り巻きと共に去っていくギーシュを見送る。
 振り返ると、シエスタはいつの間にかいなくなっていた。ムスタディオは首を振り、ギーシュのことを考える。
 戦いの経験もなさそうな、痩せた貴族に遅れを取るとも思えない――ブレイズガンに触ることはルイズに禁じられている。空手でもやってやろう。そう決めたムスタディオはそのまま誰かに広場の場所を尋ねようとしたが、

「ちょっとあんた! 何してるのよ!」

 響き渡った主の声に振り向くと、食堂の入り口に、不安そうなシエスタを伴ったルイズの姿があった。


   ◇


444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:03:04 ID:E5g7nV0M
小さき者、弱き者、死に急ぐ者
身を守る術を思い出せ… 支援!
445名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:03:13 ID:yf31tDtp
この指先に全身全霊を込めて! 地獄への引導! 支援!
446ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 17:04:36 ID:9lrivbyj
 ルイズを揺り起こしたのはムスタディオではなく給仕の少女だった。
 寝ぼけた頭で何故使い魔がいないのか不思議に思っているところに、

「大変です! わ、私のせいで、ムスタディオさんが、グラモン様と決闘を!」

 眠気も熱っ気も吹っ飛んだ。
 すぐさま食堂に走り、ムスタディオを捕まえて叫ぶ。

「人が休んでる間に勝手にうろついて、何やってんのよこのバカ犬!! あんた何考えてるのよ! 勝手に決闘なんか受けちゃって!」
「しつけられてない犬が……吠え付いただけだろ。嫌いな臭いを出してる貴族にさ」

 ムスタディオにそんな好戦的な挑発をされたのは、初めてだった。
 しかし何が彼をそんな言動に駆り立てたのか考える暇もなく、ルイズは激昂してしまう。

「さっさと謝って来なさい! メイジに魔法も使えない平民がかなうわけなんか、絶対にないんだから! 今ならまだ、痛い目にあう前に許してくれるかもしれないわ」
「痛い目なんて、どうでもいいんだ……いい加減にしろよ」

 ヴァリエール様、とシエスタと名乗った給仕がルイズの服の裾を引っ張る。何よ、と噛み付こうとした彼女の顔が先ほどよりもっと蒼白なのを見た時、そこでやっとムスタディオの様子がいつもよりおかしいことに気がついた。
 わなわなと震えているムスタディオの口が動き続ける。

「魔法が使えない者が貴族。貴族がこんなに偉そうに。魔法が使えることがそんなに偉いのか……持たざる者であることは、そんなに悪いことなのかよ……!」

 恐ろしいほど押し殺した、しかし滲み出る怒気を隠せない声だった。
 ルイズは一瞬、息が詰まった。それは相手の感情にたじろいでではない。

(持たざる――者)

 嫌な考えがもの凄い速度で伸びる根のように絡み合い、姿を現す。
 貴族。メイジ。魔法。
 持たざる者。

『わ、私は……どうせ、どうせ持たない者なのよ』

 自分も、持たない者かもしれないと、心のどこかで思ってしまっていた。
 だというのに。いや、だからこそなのか。
 自分は、皆から受けているからかい、誹謗中傷と似た仕打ちを彼にしてしまっていたのではないか。

 心が凍りつく。しかし裏腹に、口も動いていた。
 生まれてからこの瞬間までに積み上げられた性格が、本心をよそに売り言葉に買い言葉を放っていた。

「わ、わ悪いわよ! さっきから権利ばっかり口にして、あんた私の言うことちっともきかないじゃないの!
 権利主張するのなら義務を果たすか、それなりの力を見せるかしなさいよ! この口だけ!!」
447名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:05:13 ID:yf31tDtp
入相の鐘の響き、天に光消ゆる時 現在りしは幻と知る…支援!
448ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 17:05:16 ID:9lrivbyj
 ――恐ろしい、沈黙があった。

 ただムスタディオが黙っただけだというのに、周囲の喧騒が全く耳に入らなくなった。
 彼の目のせいだった。
 今までの不満が一切抜け落ちた、人形のガラスみたいな目。

「口だけじゃないってところを、見せればいいんだな」

 ――その、声に。
 取り返しの付かないことを言ってしまった後悔があった。
 既に遅かった。後悔は先にできない。

「分かった」

 それだけ言うと、ムスタディオは踵を返す。
 食堂を出て行く後姿を、ルイズは呆然と見つめていた。
 シエスタがあたふたと何か言っていたが、罪悪感に支配された頭には意味が入ってこなかった。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:05:55 ID:yf31tDtp
風に潜む古の力秘めたる精霊達よ 魔に汚れし空を払え! 支援!
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:05:57 ID:2r12Fh8c
>>430
ワルド「さらば!左手!」左腕を切断
「残った右がやけに熱いぜ!」
こうですか?ry
451ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 17:06:37 ID:9lrivbyj
以上で投下終了です。
皆さん支援ありがとうございます。

修羅場ばっかでゴメン(´・ω・`)
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:07:48 ID:E5g7nV0M
>451
くそっ、やられたっ! めっちゃいいところで次回……!
面白かった、早いうちに続き期待してるぞ!
453名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:07:52 ID:4K9iUahX
>>430
「ゴーレムの拳がめりこんだ分臓物を吐き出した! これにて帳消し!」なルイズですね?
支援
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:09:37 ID:2r12Fh8c
乙です。

格闘技における脱力と緊張の差と同様に
ツンとデレの差が破壊力を生み出す!
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:09:49 ID:nPqlJTDb
最近、続きものの作品は、いいところで切られるのでやきもきするぜ。

ともあれ、GJ!
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:10:15 ID:AQdjh59p
>>439
そりゃあーたクロノとか久遠なら兎も角なのちゃんは戦闘シーンが作りにくいからね。レイジングハートは純粋に魔法の杖だし。
…魔法が使える時点のなのちゃんならあるいは。
それとムスタディオ支援。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:19:56 ID:yf31tDtp
天駆ける風、力の根源へと我を導き そを与えたまえ! GJ!!

まぁ、ムスタディオは具体的に貴族に氾濫していた立場ではないですからねぇ、巻き込まれただけで。
機工士自体職人的な技術者集団ですし、こういう生活は耐えられないでしょうねぇ。

もっとも、こういう状態で下手に力を見せると、なんとかに刃物でもっとがんじがらめになりかねないのですが―――

しかし、ムスタディオはどんなアビリティが使えるんだろう。
ただの棒でも、足を狙う&腕を狙うは使えるので、ワルキューレは全員ドンムブ状態でしょうが。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:20:23 ID:gQ3TcdSq
ブレイブストーリー/ゼロ氏、投下乙でした。
ムスタディオの固有ジョブは機工士だけど、育て方次第で普通に魔法職としても使えるからな。
ここのムスタも魔法は普通に使えそう……ルイズ発狂フラグw
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:21:58 ID:pTTPKfYP
離脱タイミングを考えるとムスタディオの戦力は……そしてルイズに召喚されてからの彼のフラストレーションを考えると……この戦いが彼の分水嶺になる事になる事を考えると……手加減、という選択肢は無いだろうな。
いや、ここまで丁寧に書いてくれる作者さんだ、ギーシュにもきっと見せ場が……?
460名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:24:41 ID:zWOyTXeo
ギーシュ叩きのめそうが殺そうが別に問題ないけど
良くある都合の良いパワーバランスにならないことを祈ってます。
クロスオーバーである以上両世界を秤にかける必要なんて無いわけだし。
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:24:52 ID:HGb2/sE4
>>458
発狂じゃなくてルカヴィ化じゃないか?
決闘後にルイズが看病イベント無い場合は、本気でそっち方面に話進むかもしれん
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:25:00 ID:JcC+yluK
更にルイズを追い詰めてどうするんだよw
必要なアビ揃えるために転職とかするからな
ああ、久しぶりにFFTやりたくなってきたよチョコボのセーブデータ付きで
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:28:11 ID:HGb2/sE4
>>462
そういえばムスタディオは素早さに秀でたキャラだったのを思い出した
ならば弓や盗みに忍術関係のアビリティは揃ってるかな
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:28:15 ID:yf31tDtp
>>458
ムスタディオ自体の能力的に、MPが低いので魔導士系は向かないんですよねぇ。
まぁ、物理攻撃力も低いので戦士系にも向いてはいないんですが―――


まじゅう語とか使えたら、微妙なことになりそう、ゼロ魔的に。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:31:21 ID:jWBnPqZ+
召喚時点を考えたら苦戦すらしづらいだろうけど・・・

期待
466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:33:39 ID:xq22A97C
銃があればブレイク系とか狙う系もあるし、心配は要らなさそうだけど。
やりこみデータだと白羽取り97%でギーシュ涙目だな。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:34:57 ID:yf31tDtp
>>465
しかし、FFTって装備品でHP上げるゲームだから、
いくらラスボス直前でも装備なしだときついと思う。

まぁ、デジェネーターでドーピングでもすれば話は別だけど。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:50:52 ID:gQ3TcdSq
>>464
MP低いんだっけ?
うちのムスタは吟遊詩人の「詩う」を付けさせてたんで、
そのため成長過程でほぼ魔法職をマスターしてたからそんなイメージなのかも。
当然、その延長で「算術士」まで行ってたしね。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:55:02 ID:lGTOpmGM
なのはならヴォルケン召喚見たいけどなあ
はやてでなくルイズが闇の書召喚とか

いや既出作品二作とかぶるのはわかるんだけどさあ
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 17:57:04 ID:bDLNx1at
乙ー

徒手空拳とはいえ、ギーシュ相手に苦戦するかどうか・・・
ラスボス戦時だからなぁ、召喚されたの。素手でも無茶苦茶強いわな
実戦経験も人生経験もギーシュの比じゃないわけで

ここらの演出と展開に期待も不安も感じるわけで
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:01:12 ID:yf31tDtp
>>468
まぁ、銃が装備できるアイテム士から、白魔→陰陽→話術士、と育てて銃装備可能を手に入れて、
そのまま魔導士極めるのもありだけどね。

スピードが高いから、弓使いやシーフあたりに手を出して行くのが能力的にみるとベターかも。


システム的に言うと、Faithが97まで上げられるラムザを魔導士にするのがベストなので、
それ以外のキャラは戦士系に偏りがちになるかも。


アグリアス→戦士 ムスタディオ→スピート&トリック ラムザ→魔法
というのが、中盤での育て方としてはお勧め。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:04:39 ID:F2r1rki/
>>471
あれ、そうなの?
ラムザが魔法向きって知らなかったからアグと一緒に2番手斬り込み隊にしてたよ。
もちろん一番槍はオルランドゥとマリアドールの剛剣コンビだったけど。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:20:20 ID:rzOmPKYN
いくらゲームとのクロスだからとはいえいろんなジョブ極めてるから無敵です><
とかやられたら正直萎えるんだがな。まあこの作者がそんなことやるとは到底思えないけどさ。
SSなのにゲーム的な表現で書かれると違和感ありまくりだしな。そういう趣旨の作品ならそれもありだけど。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:35:28 ID:C9uQDLZ1
ゼロ魔に関係無い話ここまで
475悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/14(木) 18:36:39 ID:3JfqRgap
感想と指南ありがとうございます。
>>101
どちらにしようか悩んだのですが、
3〜1の序盤までのダンテは「悪魔も泣き出す=俺が泣かすまでシバいてやる」みたいな意気込みが
あったんじゃないかと思って、あのような表記にしてみました。

投下します。
476悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/14(木) 18:37:14 ID:3JfqRgap
Mission11 〜穢れなき魂〜
ロングビルを救え


学院から戻ったルイズ達女子生徒三人は、帰ってきて早々、医務室に送られたコルベールに代わって、オスマンに報告をまとめていた。

「それでは、今回の事件はフーケと破壊の杖の暴走によるものだったと?」
「はい、破壊の杖を使っていたミス・ロングビルも、フーケの命令に従って意志を奪われていた様です」
「そうであったか・・・。それにしても、メイジとは聞いておったが、ミス・ロングビルがそれ程の使い手だったとはのう」
「オールド・オスマンもご存知では?」

オスマンからロングビルとの出会いの経由を聞いた3人は、冷やかな目をオスマンに送った。

「「「(死ねばいいのに)」」」

その視線を察知したオスマンは、慌てて話を切り替えた。

「ま、まあ何じゃ。お主らの活躍で、ミス・ロングビルも無事に帰ってこれたし、破壊の杖も回収できた。
ミスタ・コルベールを含めるお主ら三人には、その報酬としてシュヴァリエの爵位申請を出しておこう。
ミス・タバサは既にシュヴァリエの爵位は持っておるからのう。精霊勲章の授与を申請しておこうぞ」

動揺する3人。かしこまってキュルケが聞き返した。

「・・・ほんとうにいいんですの?」
「うむ。経由はどうであれ、君らもフーケ討伐に加わったのじゃからのう。然るべき報酬を受けるのは当然じゃ」

3人はお互いに顔を合わせ、その表情を徐々に明るくしていった。それから暫くして、ルイズが神妙な顔でオスマンに尋ねる。

「オールド・オスマン、私の使い魔には、何もないのですか?」
「彼にはロングビルの捜索を第一にお願いしたからのう・・・。
彼は貴族ではないから、爵位は授けられんが、・・・うん、彼が望むものを、でき得る限り用意しておこう」

それからルイズは、納得したのかしてないのかといった表情で、渋々と承諾した。

「ほら、オールド・オスマンがそうおっしゃってるのなら、それでいいじゃないの」
「・・・うん。わかってるわよ」

ルイズの表情を見かねて、オスマンはポンッと手を叩いた。

「ほれ、そう暗い顔をするでない。今日はフリッグの舞踏会じゃ。破壊の杖も元に戻ったことで、予定どおり執り行うぞ」
「そうでしたわ!はやく準備しなきゃ!」
「ほっほ、今日の主役は、見事フーケを討伐してみせたお主らじゃ、せいぜい着飾るのじゃぞ」

そう言われ、学院長室を後にする三人。ルイズは退室した後も、オスマンの言葉が引っかかって、釈然としなかった。
ゴーレムを倒したのも、フーケを捕らえたのも自分達ではない。多少の協力はあったもの、あとは全部、自分の使い魔がやった事だった。

「もう、いつまでもウジウジしてるんじゃないわよ」
「でも・・・やっぱり納得できない」

そこへ医務室から戻ったコルベールが、フラフラと体を揺らせながらルイズ達に向かって来た。
ルイズはコルベールに、報酬として爵位を授かった事を報告した。
477悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/14(木) 18:38:05 ID:3JfqRgap
「ほほう、君達がシュヴァリエを授与とな?何と素晴らしい!」
「ミスタ・コルベール。この称号は勇敢に戦ってみせた貴方に相応しいものです。ですが、私には余りに勿体無く・・・」

言葉を詰らせるルイズを、コルベールが励ました。

「何を言うミス・ヴァリエール。君は、この私にインテリジェンスソード・・・、いや、デビルアームズというのかなアレは?
とにかくそれを私に託し、使い魔の主として、見事に指揮してみせたではないか!」
「ヴァリエール、ジャンの言うとおりよ。・・・もっとも、ダーリンに次いで活躍してみせたのは、他ならぬジャンなのですけれども」

コルベールに向けて流し目を送るキュルケ。多少、困惑気味なコルベールは髪が残っている後頭部を掻いた。

「ミス・ツェルプストー、・・・ジャン、というのは・・うむ、まあそれは置いといて。
その、私の事について、君達にお願いがあるのだが・・・」

それは、コルベールが炎の魔法を使った事、フーケの討伐に行った事を黙っていて欲しいとの事であった。

「ジャン!今夜は舞踏会なのよ!?そこで、学院の男連中に貴方の勇ましさも語れなんて、・・・辛すぎるわ!」
「いいのだよ、ミス・ツェルプストー。ここに居るのは変わり者、臆病者のコルベール。そうしておいてほしいのだ。
フーケ討伐にも君達四人だけで向かったと、そういう事にしておいてほしい」

タバサが小さく頷いた。が、コルベールの要望に食い下がらないキュルケ。それをルイズがなだめた。

「いいじゃないツェルプストー。ミスタ・コルベールにもシュヴァリエは授与されるのよ?」
「アナタ、ダーリンの時と比べて随分薄情ね・・・」
「うっ、うるさいわね!私の使い魔なんだから当然でしょ!」

プッっと吹きだすキュルケ。
自分の口から咄嗟に出た言葉で、ルイズは更に顔を真っ赤にさせた。
コルベールとキュルケは、そんなルイズの様子が微笑ましく、笑みを溢す。
コルベール相手では文句も言えず、ルイズは無表情で自分を眺めていたタバサに食って掛かった。

「なっ、何よ。言いたい事があるならハッキリ言いなさいよ!」
「使い魔」
「へ?」
「何処?」

ようやくタバサの言いたい事が理解できたルイズ。そういえば、学院に戻ってから一度も姿を見せていない。

「ああ、彼ならミス・ロングビルに用があるとかで、まだ医務室に残っておるぞ」

さっきから頭に血が昇りっぱなしのルイズは、怒りの矛先を、今度は自分の使い魔に向けた。

「あんの犬、・・・杖の魔女にまで、ふ、ふしだらに誘われておいて、今度は学院長の秘書にまで手を出そうってワケ?」
「ミス・ヴァリエールは、何だかよくわからん勘違いをしておるようだが?」
「いつもの事ですわ。それよりジャン。フー・・・、ミス・ロングビルは本当にあれでよかったの?」

その一言で、四人が固まる。それからコルベールが第一に口を開いた。

「うむ・・・。彼がそうした方が良いというのであれば、きっとそうなのだろう」
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:38:10 ID:oQjLdsxv
支援
479悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/14(木) 18:38:29 ID:3JfqRgap
一方、医務室のベッドに横たわるロングビルが目を覚まそうとしていた。

「うん・・・ここは?」
「気がついたかい御婦人?」

周囲を見回すと、そこは見慣れた学院の風景。そして見慣れない、赤いコートを羽織った銀髪の男がこちらを見下ろしてた。

「あの、貴方は?ここは医務室のようですが、わたくしは一体どうしてしまったのです?」
「俺はただの使い魔さ。美しい御婦人が俺の目の前に倒れてたもんでね、ここまで運んできたって訳だよ」

全身に圧し掛かる疲労感を堪えながら、ロングビルは学院長の秘書として装い、赤いコートを羽織った使い魔に感謝の意を振舞った。

「まあ、それはご丁寧にありがとうございます。何とお礼を言って良いやら・・・」
「使い魔風情に、かしこまらなくたっていいぜ。ついでに落し物も見つけたんだけどな。これもアンタので間違いないかい?」

ロングビルに手渡されたのは、秘書の証でもある上品な眼鏡、そしてフーケのメッセージが綴られたメッセージカードだった。
それからロングビルは、観念したかの様に口調を変えて、ダンテに尋ねた。

「やれやれ・・・、バレバレって訳だね。それで、わたしをどうするつもりだい?」
「どうもこうもしねえよ。俺は落し物を届けに来ただけさ」

それからダンテは、それらと一緒に拾った、一通の手紙が入った封筒を、ロングビルに渡した。
それを受け取ったロングビルは、一瞬で顔を強張らせて沈黙した。

「・・・」
「これもアンタので、間違いないかい?」

ロングビルに宛てられたその封筒は、差出人の名前は書かれておらず、表には"家族へ"と、ただ一行が書かれてた。

「俺はここの字が読めないんだがね。これはアンタにとって大事な物なんじゃないのか?」

ロングビルが声を震わせてダンテに聞いた。

「・・・何が、望みだい?」

それからダンテはロングビルのベッドに腰掛けた。

「聞きたい事が一つ。今頃、アンタに代わって、牢屋のお世話になってるドッペルゲンガー。どこで拾った?
それから忠告したい事が一つ、あんなモン2つも3つも憑けてたら、魔法使いのアンタ等でも寿命が縮むぜ?」

「・・・アレが何なのか知ってるみたいだね。」
「まあね。もともと俺が飼ってた様なモンだ」

ダンテの話では、魔女の姿に戻ったネヴァンにドッペルゲンガーが憑き、
人間に変装したネヴァンの影が、フーケとして宮廷の牢獄に入ってるとの事だった。

「あんたといい、あの魔女といい、一体何者なんだ?・・・まあいいさ、話してやるよ」

すこし間を置いて、ロングビルが口を開いた。
480悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/14(木) 18:39:04 ID:3JfqRgap
「わたしは、とある組織に雇われてる身でね。
各地に存在するといわれている、強力なマジックアイテムを回収するっていう依頼を負ってたのさ」
「安い深夜ドラマだな。どっかで聞いた話だぜ」
「訳わかんない事言って、話の腰を折るんじゃないよ!」
「落ち着けよ。感動長編なんだ。まだプロローグも済んでないんだろう?」

ダンテの口が開く度に、ロングビルはムスっとした顔になり、機嫌を悪くしていった。

「・・・もう喋んないよ」
「わかった、わかった。5分黙っといてやる」

ロングビルはニヤけたダンテの顔を見ると、一度溜息をついてから話を続けた。

「それで、この学院に潜入する際に、その組織があの影、ドッペルゲンガーって言うのかい?それを私に無理矢理憑けさせたのさ」
「悪趣味だな」
「まったくだよ。黒いモヤみたいなのがまとわりついて気持ち悪いし。ちょっと呼び出すだけでも、魔力の消費が半端じゃないんだ」
「そんなんで、あんなデカブツやら破壊の杖やら使ってたのか?随分タフだね」
「あの時は、杖の魔女に体を乗っ取られてたからねぇ。私の魔力と体力の限界にも、お構いなしで暴れてくれたもんだよ」

ロングビルは乾いた笑いを溢しながら、握力が殆ど残って無い手を震わせながら拳をつくった。

「お陰で、・・・もう分かるよ。杖を握ったところで魔法一つも唱えられない。正真正銘ただの平民になっちまったって訳さ」
「アンタは貴族じゃないのか?」
「随分前に、家も身分取り上げられてね、・・・元、貴族さ」
「そりゃ、可哀想なこった」

ダンテの何気ない一言に対して、ロングビルは感情を昂らせて、湧き上がる思いを言葉にして、ダンテにぶつけた。

「わかるかい?取り潰しに遭った貴族はね、家も名も、恥も誇りも捨てて、体を売るか、手を汚すかしないと食っていけないんだ!
あんたみたいな、貴族の娘にぬくぬくと飼われている家畜同然みたいなヤツが、下手に同情なんかしてんじゃないよ!」

ロングビルは息を切らした様子で、肩を上下させている。その顔には薄ら涙を浮かべていた。
医務室に沈黙が広がる中、向かいのベッドから「ガタン!」と何かが落ちる様な物音がした。
481悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/14(木) 18:39:31 ID:3JfqRgap
ギーシュだった。

ギーシュは寝起き全開といった顔で、状況がよく呑み込めていない様子だった。
しかし聞いてはいけないものを聞いてしまったという事は、
向こうのベッドから睨みつけるダンテと目が合ってから、それなりに理解はしていた。
口をパクパクとさせるロングビルを余所に、小動物の様にプルプルと震えるギーシュに向かって歩み寄るダンテは、
怯えるギーシュの肩を組み、二言三言とボソボソ告げると、またロングビルの元へ戻って話を続けた。

「ええと、何の話だったか」
「・・あ、ああ」

ギーシュの登場を境に、頭が真っ白になったロングビルに代わって、ダンテが話を続けた。

「そうそう、恥も誇りも、ってヤツか。別にそれを捨てる事が悪い事だなんて、俺は思わないぜ?」

それからダンテは、自分の胸を親指でトントンと突きながら、ロングビルに言ってみせた。

「魂さえ捨てなければな。どんな掃き溜めに居ようが、アンタ自身が醜く変わる事は無いさ」

どうにかして自分を取り戻したロングビルは、口数少なくダンテに反論した。

「知った風に説教垂れてんじゃないよ・・・」
「そうだな、説教なんざ俺の性に合わねえ」

ダンテはロングビルのベッドから降り、医務室を出ようとした。

「じゃあな御婦人。お大事に」

ドアが閉まり、医務室に再び静けさが戻る。それから暫くしてロングビルがポツリと呟いた。

「・・・御婦人御婦人って・・・わたしはまだ23だよ・・・」
482悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/14(木) 18:39:56 ID:3JfqRgap
投下以上です。
支援ありがとうございます。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:42:11 ID:lGTOpmGM
格闘ものですか…

「使い魔君、君が勝ったのは閃光のワルド個人であって、ハルケギニアのメイジに勝ったというわけじゃいのはわきまえておられるでしょうね?」
「…ほう、どいつに勝ったらメイジに勝ったって言えるんだい?」
「ふふん、決まってるじゃないかえ この烈風のカリンにだよ」

とカリン様乙な話を期待する私は熟女スキー
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:54:19 ID:eqPSys00
なんという餓狼伝
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:55:07 ID:2r12Fh8c
>>483
ガンダールブのルーンで強化された長田がフーケゴーレムを
バックドロップで沈めるんですね?判ります!


海原雄山や烈海王と並びルイズ以上のツンデレ力(ちから)を持つ
ツンデレ王者藤巻と言う手もあるが…
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 18:55:43 ID:9Jz4UiN2
悪魔の人乙
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:03:53 ID:nuI3GEvp
>>483
た。
った。
だった。
いだった。
だいだった。
うだいだった。
ほうだいだった。
れほうだいだった。
かれほうだいだった。
叩かれほうだいだった。
ルイズに叩かれほうだいだった。

ということだな
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:09:02 ID:552YH7oH
悪魔の人乙っす。
でもこれはマチさん戦線離脱フラグ?
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:11:00 ID:A3R9NN5/
>>485
柊力みたいなネーミングやめいwww
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:15:58 ID:C9uQDLZ1
>>489
オーラ力……


ルイズをオーラバトラーに載せたら結構強いのではなかろうか?

爆発するオーラ斬り
491小ネタ投下:2008/02/14(木) 19:19:32 ID:3ePE1WEf
妄想戦士ヤマモトより純愛番長が居たら

「うおおおおおおタバサのおっぱいの先っちょが服からちらっと見えてしまったああああ」
「何錯乱してるんですか番長ーーーー!!」

「これがわしの純愛じゃあーーーーー!!」
突然学ランからチンを取り出すや、馬並みのそれをはげしくさすり始める番長
「うおおおおお、わしの思い受け取れーーーーーーー!!」
「ば、番長、応援するッス」
「それ」どんどこどーん「それ」どんどこどーん「あそれそれ」どんどこどーん

「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」
凄い勢いで白い鉄砲水がタバサの横の壁を直撃し、壁を貫通する
「ギーシュ!わしの愛が思わずタバサを殺してしまう所だった!!!!わっしはわっしはどうすればいいんだあ!!!!!」
「番長!」はしっ
「ギーシュ!」はし

番長は下半身を露出したままギーシュと抱き合う
「「おろろ〜ん」」

タバサは番長のエナジーが壁を貫通する所を見て、白目を向いてたったまま気絶している

次回 ギーシュの後輩 おたのしみに
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:20:57 ID:dxif0Zsr
三橋呼ぼうぜ
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:21:38 ID:2r12Fh8c
>>490
嫉妬のオーラ力でハイパー化しちゃうから駄目ー!
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:23:18 ID:nPqlJTDb
面白いが、自重しろw

そういうのは避難所向けじゃ。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:24:00 ID:lGTOpmGM
夢枕文体のゼロ魔スレとかないんだろうか?



496番長支援:2008/02/14(木) 19:39:27 ID:3ePE1WEf
「やあケティまた今度遠乗りに行こうか」
「ギーシュ先輩、また後で」

ぎらn
「おいギーシュあの子は何だ?」
「後輩のケティですよ、番長が来る前まで同じサークル活動をしていたんですよ」

「くそぅ・・・わっしはわっしはおなごには縁が無いんじゃあ!!!!!おろろーん」
「番長・・・」

次の日
「番長せんぱい!ギーシュ子でーす!」
「うわ!どうしたんだギーシュそんな格好をして!」
「番長を勇気付ける為っす!」
「う、う、うおおおおおおなんていい奴なんだギーシュ!」
はしっ! はしっ!
「ギーシュ!」「番長!」
「「おろろーん」」

ころころころ
物陰から香水の瓶が転がってきた
そして其処には顔を蒼白にしたモンモラシーが

「ケティと別れろと言ったからって何も番長と薔薇の関係になるなんて・・・ギーシュ、いくらなんでも女装までするなんて・・・」
ばっ!

「ま、待ってモンモラシー!行かないで!うわっ、と、と、と」
びたん
「いたた、ギーシュ大丈夫か?」
「ええ番長」
ギーシュは番長を押し倒した形で、まさに今立ち上がろうとした時に物陰から小柄な女の子が姿を現す

「服を貸してくれとあんなに頼むから、貸したのに・・・こんな事だったなんて!なんて!先輩の馬鹿ああああ!!!!!!!」

「うわ、待ってくれケティ、誤解だ!誤解なんだって!」
「ギーシュ、二股を掛けるとは漢の道をなんだと思っている!」

「今はそれどころじゃないっス!」
「待て逃げるな!離さんぞ!」
二人はばたばたと取っ組み合いを始める

「うわ」「薔薇のギーシュ」「ユニーク」

其処にルイズ・キュルケ・タバサが通りかかり
ギーシュは次の日引きこもりになるのであった

おわり
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:40:42 ID:1jm7dWpe
DMC3>>乙です
ドッペルゲンガーって、もしや
あの疑似2Pプレイを可能にする?
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:44:03 ID:IZnF7GRS
あえて誰も知らなさそーなネタ。
JET先生の倫敦魔魍街からホームズご一行+ベーカー街のあの下宿。
狼男のホームズ(肉体労働担当)、吸血鬼のワトソン(頭脳労働担当)。
料理上手な大家で幽霊のミセス・ハドソンと裏の墓地にいる旦那様。
切り裂きジャックとして射殺された下宿ゾンビ(かなり腐乱)のジャック。

タバサ涙目だな。
499名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:48:25 ID:rbuCmGq9
>>498
元ネタ知らんけど、BBC放送ドラマのホームズはどう見ても吸血鬼ツラだったよなあ……
ジェレミー・ブレッドがそもそも(ry ってのは無しなww
500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 19:53:07 ID:4xFDdhTS
ホームズと聞いて名探偵ホームズ(犬)召喚とか思いついた
501名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:05:27 ID:Tjp3PKX6
いや、いっそミス・ホームズ(猫)を!
502名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:08:25 ID:C9uQDLZ1
対抗してルパンを召喚だ!
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:10:00 ID:Tjp3PKX6
迷犬ルパン召喚…
知ってる人いるだろうか
504名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:11:59 ID:rbuCmGq9
三毛猫ホームズなら知ってるけど……
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:14:30 ID:9oDfijPV
>>503
ヤンジャンのいぬばかのあいつか?
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:16:12 ID:+oqARSBo
夜天の使い魔って一部終了なんだよな
だからってドーダコーダ言うわけじゃ(ry
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:19:04 ID:iPbld0c+
なぜか探偵つながりでバーローを思い出した
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:20:24 ID:yf31tDtp
>>506
第二部は自分のブログで連載してるよ。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:22:16 ID:Tjp3PKX6
>>505
いや、辻なんとかさんの小説であるのよ
古本屋で探さないと見付からんかもしれんが…
チャウチャウの血の入った雑種でかっぱらい癖のある犬
510名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:26:42 ID:HEHBz+zm
>>506
ジャンプで言うところの第一部終了
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:26:55 ID:rzOmPKYN
>>509
迷犬ルパンの名推理とかいうやつだっけ?見た記憶あるな。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:35:47 ID:3DumO8ol
犬じゃなくて狼だけど漫画版デビルチルドレンのフェンリルが来たら面白そうだ
そういえばあの人も隊長だったな
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:36:40 ID:7YfbrOGk
犬とか猫とか言ってるからモンタナジョーンズを思い出して
「ゼロとゼロ卿」ってタイトルだけ思いついたけど
まったくストーリーの膨らませ方が浮かばん
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:36:50 ID:hC+fe4Xv
>>509
知らない、チャウチャウと柴の合いの子なんて知らない
三毛猫とのクロス小説なんてもっと知らない
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:37:36 ID:Tjp3PKX6
>>511
それだ!
三毛猫ホームズと共演してる話もある
とりあえずルイズに召喚されたら…駄目だどのルーンが付くか予想できん
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:39:31 ID:dFRByrGl
隊長と聞いて「ドミナントとの約束だ!」を思い出す俺は間違いなくレイヴン。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:41:33 ID:jOCbkhzk
ところで皆の衆

今夜はそろそろ、これを召喚しないか

「降臨せよ!しっとマスク様ぁ!!」


全てのカップルに死を!破滅をっ!滅びをおっ!!!
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:43:45 ID:C9uQDLZ1
>>516
隊長「また君か!やっかいだよ君は!!」

俺はこっちの隊長を……
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:47:34 ID:IZnF7GRS
あの、魔魍街の小ネタをうっかり書いてしまったのですが、
投下してもよかですか?
誰も知らないのに、これは蛮勇と呼ぶべきか。

三毛猫は読んだことありますが、チャウチャウMIXは図書館で見かけただけでしたな。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:48:36 ID:nuI3GEvp
>>516
俺はハーレム隊長が浮かんだ
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:49:02 ID:dxif0Zsr
隊長と言えばゾフィー隊長
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:49:38 ID:nPqlJTDb
支援
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:49:49 ID:Tjp3PKX6
>>520
ハーレム隊長呼んだらルイズ涙目な予感
ぜってぇ言う事聞かないw

>>519
支援体制にはいりますよ
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:50:24 ID:HGb2/sE4
>>518
自分も見てみたいが、あいつもジョゼフと組ませた方が面白そうな件について
ルイズに召喚されるはムネオの方で
(ウインタールヴは凸、語ることさえ憚られるのはスパコーってとこかな)
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:52:00 ID:dFRByrGl
知らなくても支援。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:52:14 ID:yf31tDtp
美神ママかな>隊長
527ゼロの魔魍街:2008/02/14(木) 20:53:35 ID:IZnF7GRS
小ネタ、いきまーす。



ゼロの魔魍街

「ルイズちゃん、ルイズちゃん。起きないと遅刻するよ?」
穏やかというよりお人よし、そんな印象を抱かせる声にルイズは目を覚ます。
覚ましたしょっぱな目に映るのは、さわやかな朝には徹底的に不似合いなシロモノであった。
それなりのどアップ。顔の主は成人男性。一応。
「まあ、ジャックさん。ルイズさんを起こしてくれましたの?」
鈴の音のよーに軽やかな声がジャックと呼ぶ、その一応成人男性は、程よく腐乱した、
服着て動き回る水死体だった。
何でも、連続殺人犯とされて射殺されたものの、冤罪を晴らすべくゾンビになったとか。
いやまあ、気持ちはわかなくもないが、冤罪が晴れたなら成仏しろよ。
何度内心ツッコんだかわからないルイズだが、それを言ったら、鈴の音のよーな声の主も、
そうかもしれない。
「あらやだ、わたくしったら。物は通り抜けられなかったのよね」
声の主は、品のよさそうな、どこかおっとりした趣の妙齢のご婦人である。
上半身が扉を通過して部屋に出てさえいなければ、だ。
「ハドソン夫人(さん)、おはようございます」
振り向いた拍子にジャックの顔からぽと、と丸っぽいモノが落ちる。
「ジャックさん、目、落ちましたよ?」
にこやかに穏やかにご婦人、ハドソン夫人がのたまう。
だから落とすなそんなモン! とのツッコミも、ルイズはとっくに放棄している。
だって意味ないし。つーか諦めたし。
「…着替えるから。服、お願いできる?」
朝っぱらから拝むべきでないモノ拝んだルイズがひーぎゃー悲鳴を上げることも、
なくなった。
厭きた。むしろ慣れた。
慣れたら人として終わりかもしんないとゆー気がしないでもないが、
それでも慣れちまうのが人間である。
慣れる以外、この人外魔境で何とかやってく方法があったら、ぜひとも教えてもらいたい。
ルイズの、諦めの果てに悟りの境地にまで達しそうな何かの宿る声に、
ハドソン夫人は扉を透過しクローゼットに歩み寄ると、手早く衣類を取り出し、
ルイズのそばまで持っていく。
実際ハドソン夫人は、家政に関しては非常に有能だし気もきいている。
唯一難があるとすれば、彼女が幽霊だということくらいだろう。
今日もタバサさんに卒倒されてしまいまして、ああボクもですよー、
などと、着替えるルイズの傍らでは、幽霊と水死体が和やかに歓談している。
確かにスゴい使い魔を望みましたよ始祖ブリミル。
でも、だからってあんな人外大魔境スペシャルのカオスなご一行下宿込みでなんてお願いは
しとらんですよ。
とぉーくなってるルイズの視線は窓の外、ハルケギニアの建築物とは明らかに異なる様式の、
裏庭ならぬ裏墓地つきの小さな館に向けられる。
裏墓地には夫人の旦那様がお住まいになっていて、引越しの挨拶に、文字通り土の下から出てこられた。
館は、ハドソン夫人の経営する下宿であり、そこには狼男と吸血鬼が下宿している。
うん、そのどっちかだけでよかったですから。
全部すべてまるっとゴリっとはいらんかったとです。
それでも、何だかんだで十分順応しているルイズは、ある意味偉大な人間であるのかもしれない。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:54:28 ID:QrX1idhN
>>224
忘れられる事も多いがちびうさは900歳
529ゼロの魔魍街:2008/02/14(木) 20:55:20 ID:IZnF7GRS
支援、ありがとうございました。
以上です。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 20:55:34 ID:9Jz4UiN2
支援いらずだったか。乙
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:02:46 ID:OXQqBnxv
原典のホームズって召喚したら、コカインが切れてやばいことになるよな。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:11:49 ID:siXROC4r
山風の黄色い下宿人だと
同時期にロンドンに留学してた或る日本人がホームズ&ワトソンと競演してたな
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:12:40 ID:GRnCs9cV
>忘れられる事も多いがちびうさは900歳
そのちびうさが生まれる前から、と言うよりあの面子の前世の時代から生き続けてる
桁違いの年上だって事はもっと忘れてはならない
こんばんわー、拙僧、今話題のバレンタインでございます。チョコくだされーい。(チリーン)
チョコ……それはこげ茶色でトンカツじゃない、美しい何か。
この要求が受理されない場合、わが軍はチョコ産出地域である南方に対して武力行動に出る。

あのーそういうわけで、神聖マルコメ帝国の第五話を投下するぜ?
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:15:23 ID:IZnF7GRS
ジーク・ナオン!
支援するですじゃー。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:15:54 ID:QrX1idhN
>>533
漫画だと一度死んで生まれ変わってる。
537神聖マルコメ帝国AZ 第五話 1/5:2008/02/14(木) 21:18:06 ID:/PrGmZ8M
俺、なんでこんなもん必死に書いてんだろ?


ナオンと……である。略し過ぎ?

 『神聖マルコメ帝国AZ(あのゼロ)』
  第五話 MG部隊設立

前回のあらまし:ルイズの誇るワルドによって、ファーザーたちは安全に晒されていたが、
           ワルドはブタッキー(中森)だったので、ファーザーたちは危機に晒された。

港町ラ・ロシェールに到着して二日目。明日の朝にはアルビオン行きのフネが出る。
ファーザーは中森に決闘を申し込もうとして、取り巻きのナオンたちに、よってたかって殺された。
なぜか僕、マリコルヌも一緒に。ああ、何だか危ない被虐趣味に目覚めそうだ。

「おのれ―――、あのブタのばけもん、ブタッキーめがー!!
 なぜわしの前途には、いつも男と犬の魔手が伸びているんじゃよ―――!!」
「……男と犬?」
ファーザーの妄言は、いつも何が何だかさっぱり分からない。
部屋で昼食(トンカツ定食)を食べる僕が訝しげにしていると、ファーザーは蔑みと憐みの混じった口調で語り始める。

「フン、きさま……まだ男と犬の恐ろしさを知らんと見える。
 いいか? 有史以来常に人類社会とともに存在し、あらゆる重要な場面に現れ、
 世界を動かしてきた謎の組織―――『男』。そしてその尖兵が『犬』とヤクザじゃよ。
 歴代教皇の全ては男で占められ、かつてナオンが教皇になったという事実は、
 すでに伝説として歴史の闇の中に沈められている―――」

「……そりゃ、嘘じゃないけど。
 男って、別に全世界的に秘密組織を作って、計画的に活動しているわけじゃないだろうが」
「なあに、世間にそう思わせておくのが、奴らのやり口よ。
 奴らの秘密を知ったものは皆、狂人として社会から隔離され、密かに葬り去られてきたという……」
「お前の病的妄想なんぞどうでもいい。今は中森をどうにかしないと」

「ふむう、そうじゃった。ではここに主権者たるわしの名において、
 神聖マルコメ帝国における『MG部隊』の設立を宣言する。」
(バーン ドドーン ジャーンジャーンジャーン ゲェッカンヌ)

「……何だそれ。」
「フフフ、まぁわしに全て任しておくのじゃよー。(ピーン)」
538神聖マルコメ帝国AZ 第五話 2/5:2008/02/14(木) 21:20:12 ID:/PrGmZ8M
【MG(MOTEMOTE GAIJIN)部隊】

 MG部隊とは、MO(モテる男)を地上から抹殺するために創設された、
 顔・体格・性格など、すべてがトップクラスのMNO(モテない男)から編成される最精鋭武力集団で、
 国軍に属する公然軍事SOG(特殊作戦部隊)にあたる。

 《隊規》
  一、ナオンにもてる者は殺す
  二、ナオンにいいよる者は殺す
  三、ナオンにもてない者と友達になりたい


「かつて天下にMNOを募った際、猫ばかりが募兵に応じた上、
 はからずもブタッキーが現れた苦い思い出がある。今回の募兵には慎重を期さねばにゃー」
「モテない男っつっても、僕らのパーティーでは、他に男はギーシュとヘビトカゲとサイトしかいないぞ。
 ヘビトカゲはともかく、ギーシュとサイトは一応MOだろうが」

「ボケーーッ、任意のカップルからナオンを引き算すれば、たちまちフラレナオンとMNOが発生する。
 この悪魔の方程式をあてはめるとじゃなー、つまりあのーあれー、
 日野を釘宮から引き抜こうってわけよ。バールのようなもんについてる釘抜きで」
「そんな神をも恐れん真似が、お前のような存在に可能なのか?
 異端審問官に連れて行かれて、略式宗教裁判ののち、火炙りにされるのがオチだぞ」

【いろんな事情があるので、危険なネタはほどほどにしておく。】

こいつのたわ言は9割がた聞き流したほうが良いが、たまには真実を含んでいることもある。
それを見つけ出すのが、正気を保っている僕の役割だろう。
「……つまりお前の妄言からノイズを抜いて整理すると、サイトをけしかけて中森と戦わせればいいんだな?」
「然り。両者共倒れしたのを見計らって、ナオンたちをいただいちまおうぜ?
 ホホホ、これを『才人争豚の計』と申します」

と、そこへ忍び寄る一つの影。
「ふーん。あの中森って奴と、俺を戦わせようってのか」
「うわあ、サイト!? 今の話、聞かれていたのか?」
「しまった、機密が漏洩したー! ええい、死ねこの脇役!!
 きさまの死を通じて、人間的に成長してやる!!」(グオオ)
ファーザーは混乱して殴りかかるが、サイトは思わず背中の長剣を抜き、振り下ろす。
「誰が脇役だ、この変態おやじ!!」(ザシュッ)

【ファーザー死亡】

「あ。し、しまった、つい……」
「大丈夫だって、こいつしばらくすれば生き返るから」
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:21:44 ID:dFRByrGl
支援
540神聖マルコメ帝国AZ 第五話 3/5:2008/02/14(木) 21:23:11 ID:/PrGmZ8M
僕とサイト、それに復活したファーザーは、部屋の中で密談を始めた。
「―――まぁ、俺もあいつにはムカついてるから、見返してやりたいな。
 ちくしょう、俺のルイズを……」
「じゃあ話は早い、さっさと中森に決闘を申し込んで来いよ」
「……でも、あいつは強いし。見た目はどう見ても、ただのデブオタなのに!
 なんでだ! なんでなんだよ!! ちくしょう!!(ガッ)」
「サイト……」

ファーザーが、自暴自棄になっているサイトを叱りつける。
「ええい、夢をあきらめるな斉藤。悪・即・斬の壬生狼の誓いを忘れたか!」
「俺は斉藤じゃなくて、平賀才人だってんだろうが、変なおっさん! 
 つうか、そんなの知っているって事は、あんたも地球から来たのか? 宇宙人とか言ってるけど」
「わしは善良なる一般宇宙人じゃよー。細胞内によくわからないオルガネラが存在し、DNAは左巻き。
 あと、パンツ丸見えなのは宇宙の掟です。ちなみに旧町田市民(市民権なし)。」

「……まあ、どうだっていいよ。大体、あんただって中森に決闘申し込んで、ルイズたちに殺されてたじゃねえか!
 キュルケやタバサも味方につけてるし、この俺があんなのに勝てるわけがねえよ!」
フッ、と鼻で笑うファーザー。
「やりもせんうちから敗北主義とは、正しい思想教育が必要じゃなー、このダメな負け犬。
 いいか? これは帝国全体の総意であり、すでに作戦は開始されている。
 ならばこのわしが、きさまをMG部隊員に相応しい男として叩き直してやるぜ!
 そこの広場までついて来い!!(ゴオー)」


【阿鼻教官】

 阿鼻教官は、モテモテ王国海兵隊におけるハートマン軍曹的存在であり、
 彼のしごきに耐えて生き残った者は一人もいないと噂されている。

「よーし微笑みデブ、まずはきさまがブタッキーの代わりとしてサイトと立ち会え。
 どっちも本気でやらねえと、この『破壊の杖』が火を噴くぜ?(チャキ)」
「うわあお前、何持って来てんだ学院の秘宝を!?」
「それ、俺が使っちまったから、もう弾はないはずだぞ。どうやって持ってきたんだ?
 ま、ドットとスクウェアの違いこそあれ、マリコルヌも中森も風メイジ。練習相手としては悪くないかもな」

サイトが長剣(デルフリンガーという魔剣らしい)を構え、僕も仕方なく杖を抜く。
これもまあ、友情のためだ。あと自分のためでもある。
なんだか決闘騒ぎと聞いて、どこからかギャラリーが集まって来たが。
541神聖マルコメ帝国AZ 第五話 4/5:2008/02/14(木) 21:25:35 ID:/PrGmZ8M
そして、夕方。僕の百戦百敗、とばっちりでファーザーが6回ほど死亡した。
サイトには怪我一つない。あいつって、こんなに強かったのか? ……ああそうか、僕が弱いんだ。

「よーし、何か吹っ切れたぜ。ありがとな、マリコルヌとファーザーのおっさん!
 負けて元々だ、中森にケンカ売ってくる!」
『ひゃひゃひゃ、調子を取り戻したじゃねえか相棒! その調子さ!』

「……うう、今回の作戦の意図は何じゃっけ。なぜこうなった?」
「―――というか、サイトが仮に中森に勝ったら、あいつがMOに復帰するだけだろうが。
 案外、負けてもナオンたちに心配してもらえるかも」
「くっ、他兵を借りて敵を討つというところに、そもそもの誤りがあったか。
 このままでは軒を貸して母屋を取られ、深山に虎を放って身を守るようなもの。
 ならばいっそ宿屋に火計を仕掛け、二つの害悪をすみやかに排除して」
「やめろ!!」(ドガッ)

ファーザーを殺してから、疲れた体を癒すべく、僕は一階の酒場へ向かう。
早くも日は落ちて、二つの月が夜空に浮かんでいる。
酒場に行ってみると、サイトがなぜか中森と打ち解け、楽しげに酒を酌み交わしていた。
ナオンたちと一緒に。……ナオンたちと一緒に。

「ふーん、中森さんも数年前に日本から来たのか。名前で分かるけど奇遇だなー、しかも秋葉原からかよ」
「ええ、ほんと早く帰りたいです。でもなんだか知らないけど強力な魔法使いになってるし、
 ワルドって貴族に気に入られて養子にされてるし、とんとん拍子に出世しちゃって、どうしようかって。
 あと、あのファーザーって人も見覚えがあります。よく思い出せないけど」
「ええっ、中森子爵って異世界から来たの? ロマンチックだわ」

「あはははは、すげーなあ。俺なんかただのアキバ系高校生だぜ?
 『ガンダールヴ』なんて伝説の使い魔らしいけど、ご主人様のルイズからは犬扱いだし。
 いっつも鞭でしばかれてるから、そのうちマゾに目覚めそうだよ」
「ははっ、なんだか僕と気が合いそうですね。頑張って、一緒に地球へ帰りましょうよ」
「ぎゃっははは、二人の友情にかんぱーい」
「もーっ、私たちも混ぜてよ、かんぱーい」

―――もういい、僕のことはほっといてくれ。部屋に帰るとしよう。
飛行船が出港するのは、明日の朝か。まあ、ファーザーは置いていこう。
ギーシュも自分の部屋でのんだくれているだろう、いつも通り。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 21:25:38 ID:pwD4RU6X
支援
543神聖マルコメ帝国AZ 第五話 5/5:2008/02/14(木) 21:27:51 ID:/PrGmZ8M
そう思った時、突然背後で轟音がした。
振り返ると、岩でできた巨大なゴーレムの足が、今までいた広場全体を踏み潰していた。
見上げれば高さは30メイル、トライアングルクラスの大きさだ。まさか、アルビオン貴族派の刺客か?

……あ、そう言えばあそこにはファーザーが。まあいい、急いで逃げなくては。

「きゃああああ!?」「いかん、敵襲だ!!」「くそっ、酒場に踏み込んで来たぞ!」
中が騒がしい。サイトたちがいる酒場にも、別の敵が来たようだ。くっ、僕はどうすれば?
無関係を装って、部屋から荷物を持って、こっそり抜け出そうか? ええい、しかし見殺しにするわけにも……。


「おおおおおおおおおお、胸くそわり――――――!!!」(カッ)


絶叫、閃光、爆音。広場に立っていた30メイルの巨大ゴーレムが、唐突に爆発した!

「なっ!!?」

ゴーレムは瞬時に『土くれ』に変わり、砂埃がもうもうと立ち込める。
僕は呆然と、それを見ていた。

……そこに立っていたのは、血塗れのファーザーだ。いや、流血は速やかに止まり、傷口がどんどん塞がっていく。
しかも胸にある謎のルーンが光り輝いていた。まさか、アレの力なのか!?
いや、ルーンだけではない。頭頂部の赤色灯も耳の突起物も、目や鼻や口や指先も輝きを纏っている。
いっそ神々しいほどだ。パンツ一丁のくせに。

「……こ、これが、わしの超能力(ちから)……?
 で、できたぜ、幻の大技『バンカラきりもみレーザー』が!!」

【バンカラきりもみレーザーとは、「胸くそわりー」の叫びを合図に、
 バンカラな人から全方位に発射されるレーザーである。
 欠点はみさかい無く発射される事。時々バンカラは巻き込まれて死ぬ。】

(続く。)
544キムタク:2008/02/14(木) 21:30:21 ID:/PrGmZ8M
投下終了。いったい何が起こってるんじゃろか。
しからばホワイトデーにまた来るんじゃよー。ジークナオン。
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:04:08 ID:v7DLSpuR
わろた
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:12:03 ID:U8WrrzpU
悪魔も泣き出す人乙です
ここ数日でガンガンお話が動き始めてうれしい俺。

1の小説版だと確かにダンテに打ち負かされる悪魔共が
力及ばぬ悔しさとダンテの強すぎる力に泣き叫ぶシーンがあったっけ。

これからのおマチさんが家族をどうやって養うのか不安。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:20:16 ID:4b7oXmXn
マルコメ帝國かあ
作者の出世作のかっこいいスナフキン召喚してくれないかなあ
548異世界BASARA:2008/02/14(木) 22:32:50 ID:BgPaq4RC
あ、そういえば今日バレンタインだったんだ……
まぁ自分に縁のない事は置いといて、少ししたら投下してもよかですか?
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:33:07 ID:8OxOdG8V
go!
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:33:48 ID:9Jz4UiN2
違うよ。今日はいわしの日だよ
支援するぜよ。
551名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:33:52 ID:dMLyulz2
熱血支援
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:34:21 ID:yf31tDtp
武田式支援
553異世界BASARA 1/5:2008/02/14(木) 22:38:29 ID:BgPaq4RC
そうだよね!今日はいわしの日だよね!
では、投下します。


ラ・ロシェールに向かう道を、ルイズ達は馬で走っている。
とは言っても、馬に乗っているのは幸村、ギーシュ、氏政の3人で、ルイズはワルドのグリフォンに乗っていた。

「も、もう半日も走りっぱなしだ……どうなっているんだ……」
ギーシュは馬に体を預けたまま、1人呟いた。
「どうしたギーシュ殿!この程度で音を上げるとは!」
隣で走っている幸村が、ギーシュに激を飛ばす。
既に疲れ果てているギーシュと違い、幸村はまだまだ余裕という感じであった。

次にもう一方の、並んで走っている氏政に目をやる。
彼の顔は余裕というより、鬼気迫るような顔になっていた。
そしてその恐ろしい顔でワルドの背中を見ている。

「ぬぬぬぬぬぬ……許さん……許さんぞ、よくもわしの可愛いケティを……」

どうやら、今朝の一件の事を根に持っているようだ。
いきなり現れたワルドに、一瞬でケティの心を奪われたのがどうにも我慢できないようである。
気分は『可愛い孫を何処の馬の骨とも分からん男にぶん取られた』という感じか……



(あんな訳の分からん髭面の男に、ケティはやらんぞおおおぉぉぉいっっ!!)
氏政は心の中で叫ぶと、馬の速度をさらに上げた。
お前だって髭が生えているだろうに……



「……か、彼等は化け物か?」
ギーシュはぐったりしながら、またポツリと呟いた。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:40:41 ID:to2VPOwt
支援
555異世界BASARA 2/5:2008/02/14(木) 22:41:11 ID:BgPaq4RC
幸村は魔法学院を出発してから、ルイズを見る度に気が気でなかった。
「どうしたい相棒?随分と穏やかじゃねぇな?」
そんな幸村の様子を見て、背中のデルフリンガーが声を掛けてきた。
「ルイズ殿とワルド殿、結婚はいささか早過ぎではござらぬか?ルイズ殿はまだ子供であるぞ?」
「あん?娘っ子はもう16だろ?それなら結婚できる年齢じゃねぇか?」
「そうは言うが……ぬぉっ!?」

幸村は何か言おうとしたが、ワルドの手がルイズの肩に触れたのを見てまた騒ぎ出した。
一頻り騒ぐと、幸村は静かになる。そこを見計らってデルフリンガーが喋り始めた。
「相棒、結婚して子作りすんのが人間ってやつだろ?まさか赤ん坊がどうやって出来るか知らないのか?」


「何を言っている、子供とは気合を込めれば天から授けられるのだろう?」
「………は???」


デルフリンガーは、自分の使い手が何を言っているのか理解出来なかった。
「拙者もいつかは気合を込めて子を授かるが……ルイズ殿ではまだ子を育てられんだろう?」
幸村は、子供とは気合を込める事で神様が授けてくれるものだと思っているらしい。
で、自分はまだ未熟だから呼べない。ルイズならば尚更だと、そういう事のようだ。


(……ダ、ダメだこの相棒……早く何とかしねぇと……)


背中のデルフリンガーは、自分の使い手であるガンダールヴの将来がとても不安になった。
556異世界BASARA 3/5:2008/02/14(木) 22:43:21 ID:BgPaq4RC
「凄いな君の使い魔は。これなら今日中にラ・ロシェールに着きそうだ」
グリフォンに跨ったワルドが未だ疲れを見せない幸村を見て感心した声を出す。
「でも、少しペースが速くない?ユキムラは平気そうだけど、ギーシュがへばっているわ」
ワルドは一番遅れているギーシュを見る。
ギーシュは半ば倒れるような格好で馬にしがみついており、今にも落馬しそうである。
「ふむ……できれば港町まで止まらずに行きたいのだが……」
「馬で2日かかる距離よ?ユキムラの馬だって疲れてきているわ」

ルイズはさらに続ける。
「それにあいつ馬鹿だから『馬がダメなら自分の足で走るまで!!!』とか言うかも……」
「やけに彼の肩を持つね。ひょっとして恋人かい?」
ワルドは笑いながら言った。
「そそそそんなんじゃないわよ!た…只、使い魔を置いて行くなんてメイジのする事じゃないから……」
ルイズは顔を真っ赤にして反論するが、次第にモゴモゴと口篭もっていった。
しかしワルドはそれ以上追及せず、そうか……と言って納得してくれた。

朝からずっと飛ばしてきた甲斐あって、遂にラ・ロシェールの入り口が見えてくる。
「皆!ラ・ロシェールの入り口が見えて来たぞ!」
ワルドが後ろの3人に告げた。

その瞬間、ワルドの横を猛スピードで何かが翔け抜けて行った。

「ひょーーーーーっひょっひょっひょっっ!!!!」
氏政だ、氏政が笑いながらワルド達を追い抜いて行ったのである。
「ひょっひょっひょっ!わしじゃわしじゃあ!わしが一番乗りじゃああぁ!!!!」
「ま……待って……主人を置いて行く使い魔がいるか……」
ギーシュは息も絶え絶えになりながらも、何とか氏政を止めようとする。


正にその時だった。

有頂天の氏政に向かって松明が降り注いだのは。
557名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/14(木) 22:45:06 ID:Wtu2GwSI
しえん
558名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/14(木) 22:45:12 ID:Wtu2GwSI
しえん
559異世界BASARA 4/5:2008/02/14(木) 22:46:57 ID:BgPaq4RC
「し、しえええぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!!!!」


いきなり飛んできた松明の炎に馬は驚き、その勢いで氏政は馬から放り出された。
そこを狙って、今度は何本もの矢が放たれた。
「ひぃっ!!」
氏政は情けない悲鳴を上げて顔を手で覆う。
ところが、矢は彼に届く事はなかった。
小型の竜巻が発生し、放たれた矢を明後日の方向に吹き飛ばしたのである。
「大丈夫か!?」
尻餅をついている氏政にワルドが声をかける。さっきの竜巻は、彼の魔法だったのだ。

「な、何だ?奇襲か!?」
氏政が襲われたのを見て、ギーシュが喚いている。
「おのれ……奇襲とは卑怯な!」
幸村は背負っているデルフリンガーと槍を掴むと、崖の上へ駆け上がろうとした。

……ゴゴゴゴゴゴ……

しかし……そこに聞いた事のある音が響き渡る。
これを聞いた幸村は、ハッとして崖の上を見上げた。

「うわあああぁぁぁぁ!!!ボボボ……ボブだ!夜明けのボブだあぁぁ〜!!」

次に聞こえてきたのは悲鳴。
さらに、竜巻が巻き起こったかと思うと、崖の上から弓を射っていた男達が転がり落ちてきた。

―――この地響きみたいな音、それに“ボブ”ってまさか―――

ルイズがある使い魔の名前と姿を頭に浮かべたその時。
昇り始めた月をバックにして、見慣れた巨人の影が浮かび上がった
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 22:47:22 ID:to2VPOwt
しぇん
561異世界BASARA 6/6:2008/02/14(木) 22:49:10 ID:BgPaq4RC
「タダカツ!?」
「おお!やはり忠勝殿でござったか!」
それはルイズの予想した通り、タバサの使い魔のボブ……改め本田忠勝であった。
忠勝は地面に降りて来ると、その肩から赤い髪の女性と、裸の男が飛び降りてくる。

「お待たせ♪」
「皆大丈夫かぁ!?助太刀に来たぞぉ〜!」

女性は赤い髪をかきあげ、男は大振りな三叉槍を振り回して叫ぶ。
キュルケと前田利家だった。
2人の姿を見たルイズはワルドのグリフォンから降り、ツカツカとキュルケ……
……ではなく利家の方に向かって行き、首根っこを引っ掴んだ。
「あんた喋ったわね?キュルケには言うなって言ったのに……約束を破ったわね!」
ルイズは怒りで体を震わせながら利家の首を絞め上げる。
「だ……だって飯抜きにするってキュルケ殿が!ぐ、ぐぇ……」
「そこら辺の動物でも捕まえて食べればいいでしょうがぁーっ!!」

「子爵、あいつ等はただの物取りだと言っていますが」
「そうか、なら捨て置こう」
尋問を済ませたギーシュの言葉を聞いて、ワルドはグリフォンに跨る。
男達はキュルケやタバサに罵声を浴びせていたが、忠勝が一睨みするとすぐ静かになった。
「今日は宿で一泊しよう。明日、朝一番の便でアルビオンに渡るぞ」
ワルドはルイズと一緒にグリフォンに跨り、幸村やギーシュも馬に乗る。
氏政は悔しそうにワルドを見ていたが、彼等が走り出したのを見ると、馬に乗って後を追い始めた。



「……な、なぁ……あいつって夜明けのボブだろ?」
「あれ?俺は死神ボブって聞いたんだが……」
「俺はボブ・ザ・アイアンマンと……」
残された男達が、去っていく一行を見ながら口々に呟いていた。
562異世界BASARA:2008/02/14(木) 22:52:46 ID:BgPaq4RC
投下終了です。
ところで、まとめにwikipediaへのリンクを載せた方がいいでしょうか?
何だか数が多くて分かり辛そうなので……
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:05:31 ID:AJXBVvq1
つか戦国時代なら初潮がきたあたりで嫁入りもふつーにしてたんじゃないの?
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:06:24 ID:4xFDdhTS
そのへんは幸村だからでおk
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:11:36 ID:yf31tDtp
>>563
一応幸村は設定年齢17だけど、
「恋はいいねぇ」と言っただけで「破廉恥でござる」と大騒ぎするやつだぞ?

ゼロ魔をリアル中世ヨーロッパでとらえちゃいけない以上に、
BASARAをリアル戦国時代で考えちゃいけねーよ。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:11:54 ID:4b7oXmXn
あれっ、さっきまで筋肉にらめっこの人がまとめに載ってたのに消えてる?
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:13:44 ID:2afdHLpv
BASARA世界は戦国時代と言っていいものかどうか・・・
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:16:52 ID:dxif0Zsr
ユリアンとかさどうだろうか
569名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:16:58 ID:AJXBVvq1
>>565
バサラだと初心なのか
Wii無双とwowの糞アニメでしか人物像を知らん
570名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:22:24 ID:NB3c5dvn
「幸村!赤子とは(女が)気合で生むものじゃあぁー!!」
「おおお館様!拙者も気合を込めまする!!!!」
「幸村!気合、気合じゃあぁぁ!!!」

多分BASARAでこんなやり取りがあったと妄想した。
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:32:37 ID:yf31tDtp
>>569
ウィキペディアでいいので、戦国BASARAの項目を一度見てみるといいよ
いろんな意味で笑うから。
572ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 23:52:35 ID:9lrivbyj
こんばんはです。
次ができたので投下してもいいでしょうか??
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:53:12 ID:7hJMQTfM
なんという頻度…支援
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:53:14 ID:yf31tDtp
カ〜エ〜ル〜の〜 き〜も〜ち〜!支援!
575ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 23:54:40 ID:9lrivbyj
「ギーシュが決闘するぞ! 相手はルイズの平民だ!」

 ヴェストリの広場は、魔法学院の敷地内、『風』と『火』の塔の間にある、中庭だった。西側にある広場なので、そこは日中でも日があまり差さない。決闘にはうってつけの場所であるとギーシュは考えていた。
 予想通り、噂を聞きつけた生徒たちで、広場は溢れかえってる。
 その中心に佇むギーシュは、優雅な物腰を心がけながらも内心ややイラついていた。

「あの金髪の平民、随分な口を叩いていたけど、まさか逃げたんじゃないだろうね」

 食堂から付いてきた取り巻きの一人が言う。
 そう、決闘の相手が中々やってこないのだった。
 しかし、ギーシュは彼が逃げたとは考えていない。

「それはないだろうね。この場合、使い魔の行動は主の行動だろう。あれだけの侮辱を行なった上に逃げたとなると、ゼロのルイズの面目は地に落ちるよ。ルイズは必ず彼をここに連れてくるさ。戦いに来るか、それとも謝罪によこすかは分からないけれどね」

 薔薇を模した杖をぴん、と弾く。
 もっとも謝ってきたところで、許す気はあまりない。誠意の見せ方次第だ。

「ギーシュ!」

 その時、人垣を掻き分けてギーシュの方へ駆けるように近づいてくる者がいた。ルイズである。

「やあ、ルイズ。申し訳ないがこれから君の使い魔をちょっとお借りするよ。……しかし彼はいったいどこにいるんだ? まさかとは思うが、逃げたのかい?」
「……っ、知らないわよあんなやつ! それよりもギーシュ、バカな真似はやめて! 大体、決闘は禁止じゃない!」
「禁止されているのは、貴族同士の決闘のみだよ。平民と貴族の間での決闘なんか、誰も禁止していない」
「そ、それは、そんなこと今までなかったから……」

 言い淀むルイズを、ギーシュは少しだけからかってやろうと思った。使い魔が失礼を働いたのだ。主が少々皮肉を言われても、文句は言えまい。

「ルイズ、君はあの平民が好きなのかい?」

 どう反応するか、と思った。
 まんざらでもないのならこの性格だから、顔を赤くして否定するだろう。
 あるいは、本気で怒り出すか。

「――そんな、こと、」

 しかしルイズの反応は、どの予想ともかけ離れたものだった。
 彼女の顔が一瞬で蒼白になり、体が心なしか震えている。何か言おうとしているが言葉になっていない。

(……なんだ? 使い魔との間に何かあったのか)

 ギーシュが怪訝に思った時だった。
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:55:10 ID:/JUl0QQO
ムス蔵支援
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:55:42 ID:yf31tDtp
静寂に消えた無尽の言葉の骸達 闇を返す光となれ!支援!
578ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 23:56:03 ID:9lrivbyj
「ゼロのルイズの使い魔が来たぞーっ!」

 野次馬たちの間からざわめきの波紋が湧いた。そちらに視線を向けると、くすんだ金髪が見えた。ルイズの使い魔が生徒達の層を抜けて決闘の場に入ってくるところだった。

「ふん、ようやく来たか。ルイズ、君は使い魔の側へ行きたまえ。
 ――諸君! 決闘だ!」

 ギーシュが薔薇の杖を掲げ、うおーッ! と歓声が巻き起こる。
 生徒達の声に腕を振って応えながら、ギーシュは使い魔が妙な物を肩から提げていることに気付いていた。



「ブレイブストーリー/ゼロ」-06・a



「それは……何かの武器かい? それを取りに戻っていたから遅れたんだね」

 ギーシュは鷹揚な仕草で、使い魔――ムスタディオの持つそれを眺めていた。
 全長1メイルはあるだろうか。中心部は金属製の無骨な光を放ち、それを挟んで木製の取っ手と細長い筒が生えていた。
 なんだか分からないが面白くなりそうだ、と思う。

「喧嘩じゃなくて決闘なんだろ。で、あんたたちは魔道士だ。素手でやるわけじゃないだろ」
「へぇ、よく分かっているじゃないか。そうだ、メイジである僕は魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」
「代わりにオレは、こいつを使わせてもらうぜ」
「ああ、それが君の剣であるなら何も言わないよ。
 言い忘れたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」

 言い放ち、薔薇を振った。舞い落ちた花びらが光をまとい、甲冑姿の女戦士へと姿を変える。
 戦乙女ワルキューレを模った、青銅の身体を持つ彼のゴーレムだった。
 傍にいたルイズが目の色を変える。

「ちょっと、ギーシュやめなさい! こんなことして何になるのよ!」
「ルイズ、もう決闘は始まってしまったんだ。外野が口を挟むのは無粋だな」
「そういう問題じゃないでしょ! む、ムスタディオもいいから謝りなさい! それにあんた、その武器――」
「ヴァリエール様は外に出ていてくれ」

 ムスタディオが短く、しかし妙に存在感のある声を出す。
 絶句するルイズを見て、ギーシュは目を細めた。

「いいからどいているんだ、ルイズ。僕は誇りを傷つけられた。許すわけにはいかない。同じ貴族たる君にも分かるだろ?」
「そ、それはあんたが悪かったからでしょ!」

 よく通る声で非難するルイズに、薔薇を差し出す。

「僕が非があるのか、そうでないのを決めるのは君じゃない。既に全ての決定権は、この決闘にゆだねられているんだ」

 薔薇に口付けをしてみせる。決まった。

「む、無茶苦茶なこ――」

 決まったと思ってしまったので、ギーシュはそれ以上ルイズの話を聞かず、

「さあ、行けワルキューレ!」
579名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:56:31 ID:yf31tDtp
天と地の精霊達の怒りの全てを 今そこに刻め! 支援!
580ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 23:57:08 ID:9lrivbyj
   
 命令を下されたワルキューレは突貫を開始し、
 十メイルほどあった距離をあっという間に縮めんとし、
 その先にいたムスタディオが金属の武器を構えるのが見え、

 ぱん、と乾いた音が響いた。
 
 その音は、直後に鳴り響いたガラスが砕けるような、そして金属が引き裂かれる不快音にかき消された。
 騒がしかった声援や野次が一瞬で消えうせた。ギーシュも何が起こったのかすぐには理解できなかった。
 ギーシュとムスタディオの中間で、ワルキューレが動きを止めている。いや、動こうとしているのだが、ぎしぎしと歪に蠢くのがやっとだ。

 ――ワルキューレの甲冑の隙間という隙間から、大小様々なつららめいた氷柱が飛び出していた。
 それは甲冑を押し広げ、青銅の体は原型を失うほど歪み、破壊されている。
 結果、広場の中心に突如として大きな氷の華が花開いたような様相を見せていた。

 慌てて華の向こう側にいるムスタディオを見る。構えた武器の筒の先から一筋の煙が上がっていた。
 いや、違う。あれは冷気だ。
 あの筒から――氷の魔法が飛び出したのか。
 その時になって初めて、ギーシュは決闘相手がただの平民でないことを理解した。

「……これだけか?」

 ムスタディオのつぶやきが聞こえた瞬間、ギーシュの顔から表情が失せた。

「……そうか、君もメイジだったんだね。厳つい外見にだまされたが、それは杖だったのか。
 よかろう、なら僕も容赦はしない!」

 ギーシュが薔薇を振ると、花びらが舞って新たなワルキューレが六体現れる。七体のゴーレムによる波状攻撃、これがギーシュの得意とする戦法であった。
 先ほどまではただの平民と侮っていたから、一体で充分だと思っていた。
 しかしこの相手は、そうはいかない。
 全力で倒すに値する。

「美しく舞いたまえ、麗しの戦乙女達!」

 ギーシュが薔薇を振り下ろす。それを合図に、六体のゴーレムが次々とムスタディオに向かって突進した。
 人垣のざわめきが復活するが、直後に連続で鳴り響く銃声にかき消された。


   ◇


 火蓋の切られた決闘を、様々な思惑の元に眺めている者達がいる。


   ◇


581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:57:22 ID:yf31tDtp
生命の大樹よ、魂の終焉を迎え 朽木と為りて入滅せよ… 支援!
582ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 23:58:05 ID:9lrivbyj
 決闘を見物しに来た生徒たちの人垣。その最前列に、キュルケの姿があった。
 平民と貴族の決闘なんてなぶり殺しである。しかも最近様子のおかしいルイズの使い魔だ。
 心配した彼女は、我先に、という勢いで広場にやって来ていたのだった。

「彼、メイジだったのね」

 生徒達がギーシュとムスタディオをそれぞれ好き勝手に応援している中、つぶやくように言う。
 しかも中々の使い手と見える。皆があっけに取られている内に氷の魔法を次々に撃ち出し(しかも詠唱を必要としない魔法だなんて、見たことない!)、既に全部で三体のゴーレムを撃破していた。
 最初はどうなることかと思ったが、これならヘタをするとムスタディオの方が勝ってしまうかもしれない。
 少し安心していると、

「違う。あれ、魔法じゃない」

 平坦な声の訂正を入れられ、キュルケは傍らを見下ろした。
 タバサだった。最初は一緒にいなかったが、彼女の身長では人垣の中からは見えなかったのだろう。最前列に出てきたところを見つけて捕まえたのだった。

「あんたが野次馬根性発揮するなんて、珍しいわね」

 そうからかってみたが、すぐに違うことに気付く。
 タバサはいつもの通り無表情だったが、これは無表情を装おうとしているものだ。親友であるキュルケにはそれが分かった。
 何を動揺しているのだろう、と不思議に思ったが、同時にタバサが他人に興味を持つのは珍しいことなので、それはそれで楽しい。

(さてはこれは、一目惚れかしら!)

 恋に生きるツェルプストーが一人、微熱のキュルケは実に勝手な解釈をするのだった。

「で、それはそうと魔法じゃないってどういうこと?」

 返事はない。
 タバサは食い入るように、戦いを見守っている。
 ふとキュルケは、そのタバサの両手に見慣れない手提げ袋があることに気付く。
 握り締められて形の崩れた袋は、中に収まっている物のシルエットをあらわにしていた。

(珠か、石ころか何か……二つ、かしら?)

 そんなことを考えた瞬間、金属と金属がかち合うような鈍くて重い音が腹に響く。
 慌てて広場に視線を戻したキュルケが見たのは、ゴーレムに体当たりを食らい、杖のようなものを弾き飛ばされるムスタディオの姿だった。


   ◇


583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:58:21 ID:yf31tDtp
絶対なる原理を知らしめたまえ 偉大なる戒律の主…支援!
584ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/14(木) 23:58:48 ID:9lrivbyj
「ふむ、どうも雲行きがおかしくなってきたのう」

 そこは学院長室だった。
 魔法で形作られた『遠見の鏡』を維持しながら、オールド・オスマンがコルベールに話しかける。
 鏡に映し出されているのはヴェストリの広場、その中心で行なわれている決闘の模様である。
 金髪の使い魔がゴーレムの体当たりを受ける。彼は最初の勢いで三体を倒したのはいいが、その後は数に物を言わされて苦戦しているようだった。
 オールド・オスマンは、その右手に刻印されたルーンが淡い光を発しているのを見つめている。

「確かに君が持ってきた文献にある紋様と同じものじゃの。それに中々強力な魔法の使い手のようじゃ。しかし――伝説にあるガンダールヴの能力とはちと外れてはおらんかの?」
「そ、そのようですな……」

 コルベールが興奮した様子で学院長室に飛び込んできたのは、少し前のことだ。彼はムスタディオのリハビリの際にスケッチさせてもらったルーン文字が、始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴのものに酷似していることを突き止め、その報告に来たのである。
 しかし少し妙な事態になっている。伝承にあるガンダールヴは主人の呪文詠唱の時間を守るために特化した存在で、あらゆる『武器』を使いこなし、千人の軍隊を撃退するというものである。
 しかしコルベールが熱っぽく説明している傍で始まった決闘を見てみると、たった六体のゴーレムに苦戦し、しかも肉弾戦が主体ではないようだ。

「し、しかしまだ始まったばかりですし、彼がその能力を余すところなく発揮しているとも限らんでしょう」

 コルベールは禿げた頭に光る冷や汗をハンカチで拭きながら、様子を見ましょうと促す。

「……いや、ワシとて彼がただの使い魔とは思っとらんよ。
 ただ、何か条件みたいなものがあるのかと考えているだけじゃ」

「条件?」

 オールド・オスマンは質問には答えず、代わりにこんなことをのたまった。

「あと彼、周囲の生徒達のことも考えて立ち回っておるようじゃのう」


   ◇


「――ふうん。あの杖、ああいう風に使ったらいいのね」

 土くれのフーケは誰にでもなく、そう言った。
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:59:37 ID:yf31tDtp
天の与する光に砕ける闇の瞳 己が生命を知れ… 支援!
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/14(木) 23:59:55 ID:3ePE1WEf
ルイズのチョコは頂いた
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:00:29 ID:/sG5oXgf
おマチさんに『破壊の杖』の使い方がばれた?!
支援。
588ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 00:00:34 ID:9lrivbyj
以上、投下終了です。
長くなりそうだったので後編へ続く(´・ω・`)

あと、相性が悪いみたいで僕のパソコンからだとwikiを編集できないです(汗
もしよかったら、どなたか今までの分をwikiに登録して頂けませんか?
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:06:32 ID:O0Hky0bb
天空に時の手を掲げ 星の裁き…GJ!!

銃で撃ちまくりかぁ。
らしいと言えばその通りだけど、いろいろ期待していた身としてはちょっとさみしかったり。
ムスタディオの武器はブレイズガン…ということは、破壊の杖はブラストガンあたりか?

しかし、この流れだとデルフ涙目?
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:10:46 ID:ZkxT+AYP
むむ、ガンダー補正が効いてない?
それとも裏があるのか

後編をお待ちしています
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:11:31 ID:UIUkw/ug
辻政信をラオスから召喚。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:15:14 ID:W+41s+UI
>584
志村ー右手右手ー!
593デニム:2008/02/15(金) 00:15:34 ID:rQhjsif0
>>591
我々は偵察のみが任務だったはずだ!
やめろ、辻ーン!
594ゼロの魔獣:2008/02/15(金) 00:21:21 ID:f6iq47m6
5分後に投下して良いですか?
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:22:04 ID:a+qKqdIJ
支援仕る
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:23:40 ID:i42wk9ob
ガンダールブってネタとして使いにくいよな…
以前小ネタ書いたときに、小ネタとは言えガンダーもデルフもスルーで
ゼロ魔と言えるのかって突っ込まれて orz ってなったよ…
デルフはキャラとしていいし、語り部にもなって便利だけどガンダーは
強キャラだと必要ない気がするし、弱キャラだと本家ゼロ魔のサイトと同じ展開になるだろうし。
うまくガンダールブネタに使ってる書き手さんは尊敬するよ。
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:24:59 ID:i42wk9ob
おっと危ない危ない、支援!
598ゼロの魔獣 第17話:2008/02/15(金) 00:27:03 ID:f6iq47m6
「―で 何でお前がここに居るんだ?」

「フッ このギーシュ・ド・グラモン
 トリステイン王家の一大事と聞きつけ 及ばずながら尽力しようと駆けつけたのさ!」

「ルイズならとっくの昔に出発したぞ とっとと追いかけたらどうだ?」

主の居ない一室では、男二人の不毛な会話が続いていた・・・。
ギーシュが今朝になってルイズの部屋を訪れたいきさつはこうである。

昨夜、奇妙な来訪者の姿を目に留め、『たまたま』アンリエッタの依頼を耳にしてしまったギーシュは
すぐさま義侠心を奮い立たせ、アルビオン行きに名乗りを挙げようとした―

―が、突然室内に怒声が響き渡り、次いで物凄い剣幕のルイズが飛び出して来たため
出るに出られなくなってしまったのだ・・・と。

「まったく シンイチは貴族の意地ってもんが分かってないな・・・」
タメ息をついてギーシュが続ける。
「今から馬で追いかけて 一緒に連れて行ってくれなんて
 そんなミソッカスみたいな真似ができるかい?

 ここは密かに先回りして ルイズのピンチに颯爽と現れるのがベターってワケさ」

「・・・そのために 俺の力を借りにきたのか?」

あまりの虫の良さに腹も立たない。
あれ程最悪のファースト・コンタクトであったのも関わらず
実は慎一は、この金髪の若者が嫌いでは無かった。
お調子者であるという一点において、彼は、慎一がかつて共に旅をしていた少年と似ていた。

それに実際、この話は渡りに船だった。

真理阿やアンリエッタにも頼まれていたし、命を救われた恩もある。
慎一にはルイズを守らねばならない、それなりの責任がある・・・のだが
昨夜の大喧嘩の後、ノコノコとルイズについて回る気にはどうしてもなれなかった。
ギーシュを送ったついでに、アルビオンに物見遊山と洒落込む、と言えば
かろうじて、かろうじて男としての面子も保てるのでは無いだろうか?
(キュルケに言わせれば、慎一のそういうところが『可愛い』のであろう。)

「よく分かった じゃあ早速出発するか!」
「そう タバサに頼んでシルフィードを借り・・・ええッ!!」

慎一はギーシュの首根っこを捕まえると、一息に窓から飛び立った。
力強く翼をはばたかせ、みるみる上空に舞い上がると、ピタリと急停止した。

「・・・おい ラ・ロシェールってのはどっちだ?」
ギーシュは声にならない。顔が青紫に鬱血し、口からあぶくを吹いている。
震える指先で、かろうじて目的地を指差した。

「なんだ 逆方向じゃねぇか・・・ 早く言えよ」
そう言うと、慎一は風竜もかくやというスピードで、一気に雲のかなたへと飛び去った。


「タバサ! 今すぐシルフィードを出して!!」
自室に物凄い勢いで駆け込んで来たキュルケに対し、窓の外を見ながらタバサが言った。
「・・・あのスピードは 無理」
599ゼロの魔獣 第17話A:2008/02/15(金) 00:30:20 ID:f6iq47m6
―ラ・ロシェールに向け快調に飛ばし続けていた慎一ではあったが
 ふと、前方の異変に気づき、翼を大きく旋回させて乱暴に着地した。

ぶつけた尻をさすり、朝食を幾分か戻しながらギーシュが抗議する。
「シンイチ 休憩するならもっとエレガントに・・・」
「敵がいる」

慎一の飼っている『目のいいヤツ』は、1キロ先の獲物を捉えていた。
それは、通りすがりの旅人を襲うには、あまりに物々しい一団だった。

「情報が筒抜けじゃねぇか 白土三平の漫画でもありえねえ・・・」

「だ だが チャンスじゃ無いか・・・ 奇襲を企むものは
 自分達が奇襲を受けることは想定していないものさ・・・」
「ほう」
慎一は素直に感心した。死に掛けの若者に兵法を説かれるとは思ってもいなかった。

「いい機会だ・・・ ここは ボクの親友の力を借りるとしよう・・・」
ギーシュが指を鳴らす。
たちどころに何者かがもこもこと地面を盛り上げ、高速でこちらに近づいてきた。

慎一は括目した。 その使い魔の巨体にではない。
その生物が地面を掻き分けながら、自分のスピードについてきた、という事実にである。



哀れな襲撃者たちは、文字通り足元をすくわれた。

彼らは元、アルビオンの傭兵であった。といっても、今は金で雇われているワケでは無い。
ラ・ローシェルの街の酒場『金の酒樽亭』で飲んだくれていた所、
店に入ってきた目つきの悪い女に、いきなり仲間の一人が椅子で叩き伏せられたのだ。
彼らにも傭兵の意地がある。突然の乱入者相手に果敢にも立ち向かったものの
酒の回った体でどうにかなる相手ではなかった。
酒瓶でどつき回され、テーブルで押し潰され、ウォッカで火ダルマにされ
遂に彼らは暴力に屈するところとなった・・・。

殺らければこちらが殺られる・・・
全身に生傷を負い、悲壮な決意を持って襲撃計画に望んでいた彼らの一人が、
突然大地に飲み込まれた。

背後からの悲鳴に全員が振り返った。それが新たな悲劇の始まりだった。
前方の大地が裂け、そこから出現した悪魔に、瞬く間に半数がぶちのめされた。
前歯を折られ、みぞおちを打たれ、睾丸を蹴り飛ばされ
後から出てきた金髪の若者が名乗りを上げる頃には、既に大勢が決していた―。
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:31:26 ID:i42wk9ob
sien
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:32:28 ID:xQr1V3L8
支援ー
602ゼロの魔獣 第17話B:2008/02/15(金) 00:32:35 ID:f6iq47m6
ギーシュがワルキューレを使い、事後処理にあたる。
次々に身ぐるみを剥ぎ、縛り上げていく。
慎一が魔獣を使わなかったのは、優しさからではない。
彼らの知る情報を、聞きだす必要があったからである。

―と、
傷の浅かった傭兵の一人が、後方で何かゴソゴソとやっている。

「おい テメー! 妙な動きしてんじゃねえ!!」
言いながら近づいた慎一の前で、異変は起こった。

突如、男の体がビクンと震え、その全身が痙攣する。
全身の筋肉が異常に盛り上がり、着ていた服が裂ける。男が天を見上げて咆哮する。

とっさに身構えた両腕の上から拳が跳んできた。
ダンプカーでもぶつかったかのような衝撃が走り、慎一の体はサッカーボールのように大きく跳ね飛ばされた。

悲劇の場は惨劇の場へと姿を変えた。

男の瞳は、既に正気のそれではない。
両手を縛り上げられた傭兵達は、まともに抵抗することも出来ず。
かつての仲間に抉られ、絞られ、叩き潰されて、断末魔の悲鳴を上げる。

「クッ! ワルキューレッ!!」
ギーシュの叫びに、近くの戦乙女が槍を繰り出す。
男は避けない。青銅の槍は腹筋で止まり、飴細工のように捻じ曲げられる。

ギーシュは男を包囲すべく、ワルキューレに同時に指示を出す、
と、男が突然、猿の如く飛び跳ね始めた。
男はその巨体からは想像もつかない動きで飛び回り、紙人形でも相手にするかのように
次々とワルキューレを引き裂いていく。

「な 何なんだよコイツはァ!?」

「下がってろギーシュ! コイツは俺の獲物だ!!」
ペッと奥歯を吐き捨てながら、慎一が叫ぶ。
その瞳がただちに猛禽のそれへと変わり、飛び回る男の姿を捉える。

飛び交う男の軌道にあわせ、慎一が跳ぶ
中央で両者が交錯し、動きが止まる。
両手を絡め、互いの額を擦り合わせながら、戦いは純粋な力比べとなる・・・。
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:32:52 ID:guUqQ2Vv
モグラさんが意外にがんばっているー!?支援
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:34:38 ID:hnF0BZXA
なんかモグラ食って魔獣が強化されそうだ

支援
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:34:55 ID:i42wk9ob
ヴェルダンデ、美しいかはともかくかわいいよな… 支援
606ゼロの魔獣 第17話C:2008/02/15(金) 00:35:44 ID:f6iq47m6
ずずっ、と慎一の体が徐々に後退していく。
勝利を確信した男が雄叫びを上げ、慎一の首筋に齧り付く。

「ウオオオオオオオオオ!!!!
この俺をッ ただで喰えると思ってんじゃねえええええ!!」

大きくのけぞりながら慎一が吼える。
その額から、ズルリと鷹のクチバシが飛び出す。

「うおおおおおおおお!!!」
慎一がその尖った頭部でヘッドバットを繰り出した。
ビキッと鈍い音がして、男のこめかみが大きく穿たれる。

奇声を上げてよろめく男を、慎一は絡めた両手で引き起こす。
その右腕が獅子の頭部に、左手が熊と頭部へと変化し、男の両手を噛み千切る。

「噛み付きってのはこうやるんだよおおオオオ!!」

慎一が大口を開け、男の頚動脈目がけて牙を剥く。
ぞしゅっという炸裂音と共に、周辺の頚骨、鎖骨ごと一口でそぎ落とされる。
歯形状に開いた風穴から、噴水のように血がふき出し、遂に男は倒れこんだ。




「アンタら・・・いくら相手が賊だからってやりすぎよ」

木陰で頭を抱えながら、気分が悪そうにキュルケが言う。
シルフィードで追ってきた彼女達は、惨劇を遠目で目撃することとなった。

「・・・・・」
タバサも脂汗をかいている。若くして数多くの修羅場をくぐり抜けて来た彼女ではあったが
これ程までに酷い現場に立ち合ったことは無い。

「―信じてもらえないとは思うが
 コレをやったのは慎一じゃない 彼らの仲間の一人さ」
足元で怯えている使い魔、ジャイアントモールのヴェルダンデを抱きしめながらギーシュが弁護する。

慎一は気にした風も無く、黙々と遺留品を漁っている。
「バチが当たるわよ ダーリン」
「どうせ死人にゃいらん」

そんなやり取りをしながら、慎一は目当ての品物を発見した。

「お前らの国の傭兵は、こんな物を持ち歩いてるのか?」

「なんだい? それが男を怪物にしたマジックアイテムなのかい?」

「・・・いや そんな大層な物じゃねえ」

そう言いながら、慎一は、是が非でもアルビオンに行かねばならない事を悟った。
男を変貌させた道具は、おそらくは慎一の世界から持ち込まれた物・・・

―1本の注射針。
 そのガラス管の中には、まだ半分ほど、透明な液体が残されていた・・・。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:36:34 ID:i42wk9ob
sien
608ゼロの魔獣:2008/02/15(金) 00:38:00 ID:f6iq47m6
以上です。
支援ありがとうございました。

そのまま過ぎる展開で続きます。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:39:51 ID:xJAdjGDv
バルビアとシャフト……?
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:51:53 ID:ZIGFcfmL
マイメロとかウサミミ仮面とか召喚されたっけ?
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 00:53:05 ID:zFr0EKQH
>>610
キミに召喚されるのを待ってるんだよ
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:08:44 ID:wDxvo/AD
>>610
ミョズがクルミ・ヌイだったりするのか
613悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:19:40 ID:uDaoYkc+
少し長くなりますが、スパートという事で一気に投下します。
614悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:20:38 ID:uDaoYkc+
Mission12 〜フリッグのライブ〜
舞踏会に参加せよ


「・・・ですからオールド・オスマン、シュヴァリエの件ですが、まことに申し訳ないが・・・」
「うーむ、お主の事じゃから、そう言い出すんではないかと思っていたが・・・、勿体ないのう」

学院長室へダンテが入ると、なにやら揉めているコルベールとオスマンの姿があった。
ダンテが入室すると同時に二人の顔が入り口へ向いた。

「帰ってきたぜジイサン」
「おお、使い魔殿よ、よくぞ戻ってまいられた。それで、ワシの秘書はどうじゃったかね?」
「ピンピンしてるぜ?魔法は使えなさそうだけどな」
「随分な量の魔力を、アレ等に使われてしまったからな。・・・ハハッ、それは私も同じ様だが」

コルベール達は、フーケの正体がロングビルだったという事を、オスマンに知らせていない。
宮廷に連れて行ったのも、ネヴァンの姿を模したドッペルゲンガーであった。

「そうか・・・まあ話を聞くに、それも無理なかろう」
「そうそう。おたくらが言ってた破壊の杖ってヤツ。あれもその辺で拾ってきたってのか?」
「うむ、その通りじゃ。・・・あれはいつだったかのう」

オスマンが机から立ち上がり、沈む夕日を見つめながら話しはじめた。

「学院の外をブラブラしておったある日、落雷と共に、おぬしらが見たという魔女が、ワシの目の前に現れたのじゃ。
彼女は酷く疲れておった様子でのう。どこか暗くて休めるところは無いか?という事で、ワシは学院の宝物庫にかくまった。
そしてその夜、彼女にイイコト・・・オホン、介抱してやろうと思い、宝物庫へ行ったのだが、彼女はそこに居なかった。
代わりに杖の様なものが、宝物庫の壁に立て掛けられておってのう。それからその杖の様なものを"破壊の杖"とでっちあげて、
今まで保管しておったのじゃが・・・まさか本物だったとはのう」

その話を聞き終えた二人は、それぞれの感想をオスマンに述べた。

「ハッ、元気なジイサンだ。気に入ったぜ」
「このジジイ・・・」

コルベールの一言に、オスマンは大きく目を見開き、毛を逆立てながらコルベールに食って掛かった。

「カァーッ!使い魔殿がワシをかっておるというのに、何じゃお主は!?不満か?不満ならシュヴァリエ授与しちゃうよ?いいの?」
「すみません、今のは失言でした」

慌てて謝罪するコルベール。しかしオスマンの怒りは収まらなかった

「謝っても許さないよ?君が口から火を吹いたり、剣振り回したり暴れん坊だって、学院のみんなに言い触らしちゃうんだから!」
「子供みたいに泣き喚かないで下され。ていうか、私は火を吹いたり暴れたりなんかしませんから。できませんから」

自分を余所に口論するオスマン達に気づかせる為に、ダンテは足で床を大きくノックした。
615悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:21:10 ID:uDaoYkc+
「取り込み中悪いが、無視されるのは嫌いなんだよ。そろそろご褒美が欲しいところなんだがね」
「ほ、ほれっ、オールド・オスマン。使い魔殿が・・・」
「うむ・・・ゴホン。さて、伝説の件じゃったな」
「その、伝説のナントカってのは、コイツの事か?」

ダンテは自分の左手のグローブを外し、手の甲をオスマンに向けて見せた。

「オールド・オスマン・・・これは」
「うむ・・・、見紛う事なきガンダールヴのルーンじゃ。・・・と言っても、まあ本物を見るのは、ワシもこれが初めてじゃがのう」
「コイツが光ってる時はな、いつにも増して絶好調なんだ。ガンダールヴってのは一体何なんだ?」

自分の手の甲に刻まれたルーンを、食い入る様にみるオスマンに、ダンテは尋ねた。

「ほっほっ、伝説じゃよ。あらゆる武器を使いこなしたという、伝説の使い魔」
「ハン、そんなご大層な奴が、あのおチビちゃんの使い魔とはね・・・」

その疑問に関して、コルベールが口を開いた。

「うむ、そもそもガンダールヴというのは、失われた虚無の属性を操るメイジの、唯一人の使い魔なのだが・・・」
「じゃあアイツが、その虚無ってヤツの魔法使いって訳か?」
「わからぬ・・・。彼女の成績を見れば・・・その、何というか・・・」
「ハッ、使い方を知らないだけなんじゃないか?」

ダンテのその一言に、コルベールとオスマンの二人は、ハッとした顔になる。

「俺が今まで見てきた御主人様の感想を言うとだな。ありゃ、ママからドアの開け方も教えてもらってないようなガキんチョだ」

オスマンとコルベールは、ダンテが何を言いたいのかは、おおよそ把握できていた。しかし、二人はその話の続きを黙って聞いた。

「聞いたところアンタ等も、その虚無ってヤツの知識は、先生の髪の毛程も無さそうだしな。虚無の授業も教科書も無いんだろう?
それに、アイツは魔法が使えないわけじゃない、俺をここに呼んで見せたんだ。それで落ちこぼれだの何だのって、言ってやるなよ」
「いや、それはだな・・・」

コルベールは言葉を詰らせた。ルイズの系統が本当に虚無だとすれば、それは至極、正論であったからだった。
返す言葉も見つからず、顔を俯かせる二人を余所に、ダンテは学院長室を出ようとした。

「さて、ご褒美のありがたい話も聞けたしな。そろそろ帰るぜ」

やっとの事でオスマンが呼び止め、入り口の前でダンテが振り向いた。

「使い魔殿、いや、ミスタ・ダンテ」
「なんだい?」
「その・・・、ミス・ヴァリエールが虚無の担い手かどうかは、こちらでも調べてみよう。それから、彼女の事を改めて・・・」
「ああ、心配すんな。俺がアイツの使い魔をやってる間は、面倒見ておいてやるよ」

ダンテが学院長室を出て行こうと、ぶっきらぼうにドアを開けると同時に、「フギャッ」っという、小動物の様な鳴き声が聞こえた。
ドアを開けると、そこには鼻を抑えてしゃがみ込む、涙目のルイズの姿があった。
616悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:21:46 ID:uDaoYkc+
「ド・・・ドアの開け方も知らないのはドッチよ・・!」
「盗み聞きとは、品が無いぜ御主人様?」
「あ、あ、あんまり遅いから、迎えに来てやったんじゃないのよ!」

ダンテはルイズの様子が面白かったので、少しからかってみた。

「御主人様がわざわざ御迎えに来て下さるとは、そりゃ光栄だね。感激で涙が出そうだ。ほら、帰るなら、おててつないでやろうか?」
「だ、誰が繋ぐかっての!バカじゃないの?」

慌てふためくルイズは、怒りと羞恥心で顔を真っ赤にさせながら、堪らずその場から逃げ出してしまった。
それから、廊下の曲がり角に差し掛かる頃、ルイズが振り返って、ダンテに向かって叫んだ。

「今夜は、いつもの食堂で舞踏会よ!早く部屋に帰って待ってなさい!いいわねっ!?」

ルイズはそう言い残すと、ダンテを置いて走り去っていった。

「忙しいガキだな・・・」

ルイズの姿が見えなくなるまで、呆れた顔をしながら見ていたダンテ。その背後から気配がした。

「遅いから迎えにきちゃった、ダーリン」
「どうつもこいつもご苦労なこった。もう戻ってもいいぜ、破壊の杖のフーケさんよ」

フーケと呼ばれたネヴァンの魔女は、構わずダンテの背中に寄り添う。

「その事だけどね。アイツ、私から離れて、牢屋からそのままどっか行っちゃったわよ?」
「帰ってこないってのか?・・・ハッ、嫌われたもんだな」

ネヴァンはダンテの背中にくっ付いて、指で撫でながら囁いた。

「あら、私は逃げないわよ?いつまでも貴方の腕に抱かれるのが、・・・私の本望だわ」
「ハハッ!、いいね。今夜はパーティーだそうだぜ。空いてるかい?」
「フフフ・・・。勿論」

ダンテはネヴァンを連れて、再び校長室の扉を開けた。


そして夜。アルヴィーズの食堂では、フリッグの舞踏会が開かれていた。

「はい、ジャン。あーんして」
「ミス・・・いやあ、はは・・・」

今夜の主役達でもあるキュルケは、コルベールに人目もはばからずベッタリくっ付いて、料理よ酒よと手厚く介抱している。
その隣の席ではタバサが、それに対抗する様に、黙々と目の前の料理と格闘していた。
その様子を珍しがって観賞するギャラリーも、少なくはなかった。

ルイズはというと、清楚で美しいドレスに身を包みながらも、舞踏会では姿を見せずに、未だに寮の自室で使い魔の帰りを待っていた。
617悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:22:14 ID:uDaoYkc+
「待ってろって言ったのに、・・・居ないってどういう事よ!」

ルイズが着飾ってから自室に戻ると、そこに使い魔の姿は無かった。
床にはデルフリンガーが無造作に転がっていたので、一度は帰って来ていた様子だったが、それから使い魔が戻ってくる気配は無かった。
人気の無い寮塔に、ルイズの叫びが虚しく響き渡る。

ルイズはダンテのエスコートで、舞踏会に入場したかったのだった。
自分の使い魔がフーケを捕まえて見せたのだと、誇示したかったのは勿論。
その流れで、感謝の意を込めて、二人で踊りたいという気持ちがあった。

自分勝手で、いつも人を小ばかにしているような性格。
危険な事には首を突っ込みたがり、得体の知れない化け物共と戦ってきたという、
別の世界からやって来た、殺しても死なない様な、正体不明の男。
ただ、ルイズにとってそれはもう、あまり気にするような事ではなかった。

自分が虚無の系統なのかも知れないという事も、今のルイズにとってはどうでもよかった。
使い魔となったその男が、親身になって自分を認めてくれるという事。家族だって、自分を認めてくれる者は多くない。
失敗ばかりする自分を励ましてくれ、そんな自分に頭を悩ませる教師達の前で、悠然と庇ってくれる。
この学院に入学して以来、初めて、他人が差し伸べてくれた優しさ。それが何よりも嬉しかったからだ。
「失敗ではない」「魔法が使えないわけじゃない」そんなダンテの言葉が、ルイズの頭に何度も響いた。
すこし年の離れた男兄弟が居たら、きっとこんな感じなのだろうか。そんな風にも思えた。

「ふーん。俺の知らないところじゃあ、相棒は随分と優しいんだねえ。思わず泣けちゃうよ」

気がついたら、床に転がっていたデルフリンガーを引き抜き、寂しさを紛らわすために、心の内を喋ってしまっていた。
ハッと我に返ったルイズは、デルフリンガーを握り締め、その鍔元まで顔を近づけると、ドスの効いた声で囁いた。

「喋ったら、溶かすか、へし折るわよ」
「(畜生・・・何で俺ばっかり・・・畜生・・・)」

刀身に涙腺があれば、デルフリンガーは泣いているところだった。
それから暫くして、ルイズの部屋の外から、ドアをノックする音が響く。
ルイズは顔を輝かせ、デルフリンガーを床に投げ捨てて、使い魔の名を呼びながらドアを開けた。

「ダンテ!」
「きゃあっ」

扉を開けるとそこには、驚いた顔のシエスタが立っていた。
ルイズはヘナヘナと肩の力を抜き、溜息をついた。
(あいつがノックして入る事なんて無いもんな・・・)

「あの・・・ミスタ・ダンテから伝言ですよ。先に行ってるから早く来い・・・って」

シエスタが言ったその言葉に反応して、ルイズのこめかみが動いた。

「ぁあ?今、何つった?」
「ひいっ。わ、わたしに怒らないでくださいっ。とっとにかく、準備はできてるから早く来てくれって・・・」

ルイズの心の内に眠る悪魔が、今まさに目覚めようとしていた。

「あのバカ犬・・・。いいわ。準備ができてるのなら、さっさと躾けに行ってやろうじゃないの!」

それからルイズは、抜き身のデルフリンガーを左手に、乗馬用の鞭を右手に持ち、
怯えるシエスタを押し退けて、颯爽と舞踏会へ向かった。
618悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:23:08 ID:uDaoYkc+
場所は変わって、再びアヴィリーズの食堂。

「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢の・・、(えっと、いいのですか本当に?)
(・・・はあ、それでは)・・・。おな〜〜〜り〜〜〜〜!」

少し、微妙な間隔を空けて、門に控えた呼び出しの衛士が、ルイズの到着を告げた。
ホールの壮麗な門が開き、そこへ現れたルイズの姿に、会場の皆が息を飲んだ。
ホワイトのパーティドレスに身を包み、肘までの白い手袋に包まれたその両手には、愛用の鞭と使い魔の愛剣が、それぞれ握られていた。
目を釣り上げ、仁王立ちで佇むその姿は、ちょっとアブナイ人と間違えられても、差し支えない印象だった。

会場内の生徒や教師達は、踊りに勤しむ足や、料理に伸ばす手を止め、珍獣を見るような目つきでルイズを凝視していた。
今のルイズは、ある意味で注目の的となっていたのである。
そんな視線を払いのけて、会場内の生徒達に片っ端から使い魔の所存を聞きながら歩いて回るルイズ。
そこへ、水色の清楚なドレスで着飾ったモンモランシーが、ルイズに話しかけてきた。

「ちょっと、ルイズってば!」
「何よ?私は今忙しいの。後にしてちょうだい」

獲物を求める野獣と化したルイズにとって、モンモランシーは眼中に無い存在だった。
それでもモンモランシーは引き下がらない。

「そうはいかないわよ。ギーシュがいないの。どこにいるのか、貴女知ってるんじゃない?」
「知るわけ無いでしょ!私だって使い魔を探してる真っ最中なんだから」

使い魔の所在も分からないと知るや、モンモランシーの顔が一気に青ざめた。

「・・・何だか嫌な予感がするわ。ねえ、貴女の使い魔が、またギーシュに何かしたんじゃないでしょうね?」
「だから、私が知るわけ無いでしょう?大体ねえ、そんな所業を見つけたら今すぐ息の根を止めてやるわよ!」
「息の根をって・・・、物騒な事言わないでよ!ていうか一体どっちの息の根よ!?ねえ、ギーシュをどこにやったの?今すぐ返して!」

半狂乱のモンモランシーがルイズの首を絞めた。
それから二人が取っ組み合いを始めてから暫くして、楽士達は手を止め、それを合図に段々とホールの明かりが暗転していった。
何事かとざわめく場内。それから暫くして、ステージを隔てていたどん帳が、ゆっくりと上がっていった。
ステージにスポットが当たる。そこには、学院の宝物庫から引っ張り出された品の数々と、ルイズ達の探し人があった。
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:23:20 ID:CuBLScKx
乙でGJ! でした。


>>596
ガンダ補正を、逆に足かせにするという手もある。

身体強化されて手加減しずらくなって、
戦闘で躊躇してるってのもあったぞ。

ようは、発想次第。
620悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:23:49 ID:uDaoYkc+
破壊の杖と呼ばれていたネヴァンを抱えるダンテ。
その左右には、同じくレスポールギターを抱えたオスマンと、ベースを持ったギーシュ。
後ろには設置されたドラムセットには、半べそをかいているマルコリヌが座っていた。

ステージの両サイドに設置されている、ネヴァンが拵えたアンプから、ギターチューニングの電子音が響く。
それから中央のダンテが、ネヴァンをギューン!と鳴らしながら、その場でジャンプすると同時に、
ステージバックから爆発音と共に、何本もの火柱が舞い上がった。

「 R e t ' s L o c k ! 」

ダンテの咆哮と共にそれは始まった。

雷の弦を掻き鳴らすダンテ
軽快な指先でギターを弾くオスマン
おぼつかない挙動でベースを弄るギーシュ
一心不乱にドラムを叩くマルコリヌ

ステージ上で繰り広げられる奇行と共に、アヴィリーズの食堂全域に響き渡る絶叫と轟音。
皆唖然として、その光景を見ていた。
その異形さから、何か新種の魔法の儀式なのだろうかとも思う教師も何人かいた。

ダンテはこのメンバーだと、まともな演奏にならないのは分かり切っていたので、ジュークボックスを背後に置き、
そこから大音量で流れるBGMに合わせてにギターを弾いていた。ギターとボックスの電源はネヴァンの蝙蝠から供給されていた。

主役は自分達だ。そう確信したギーシュは、興奮しながらギャラリーに薔薇を撒き散らしていった。

マルコリヌは段々ハイになってきたのか、きらめく汗を飛び散らせながら、さらに激しくドラムを叩いた。

ダンテにとっても意外な存在だったのはオスマンだった。夜な夜な宝物庫に入っては、独学で練習でもしていたのだろうか。
一流ギタリストと呼んでも差し支えない程の指さばきを、ステージ前で呆けている教師達にこれでもかと見せ付けていた。

今し方、優雅な舞踏会を満喫していた貴族一同は、オスマン達のパフォーマンスを、ただ見ている事しかできなかった。
そんな中、ステージを見るコルベールは手を叩いて喜んでいた。

「ほれ、ミス・ツェルプストー。あの花火は私が作ってみせたのだ!」
「・・・そ、そうだったの?流石は炎蛇の手腕ねっ。とても力強い輝きですわ!」

キュルケは呆気に取られる自我をどうにか保ち、コルベールを賛美した。

「そうかね!気に入ったかね!
しかし、彼は破壊の杖の本当の使い方を教えてやる、と言っていたが。成る程、アレは楽器だったのか!」

楽器というのは解ったが、コレを果たして音楽と呼んでいいのか。流石のゲルマニア育ちのキュルケも頭を痛めた。
タバサはいつもの無表情だったが、ヒーローショーを見る子供のように、目の奥底を爛々と輝かせながらステージに食い入っていた。
そんなタバサの期待に応えるかの如く、オスマンがギターを背中に担ぎ、首を上下に振りながら演奏して見せた。
621悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:24:32 ID:uDaoYkc+
「・・・何あれ?」
「私に聞かないでよ・・・」

ルイズとモンモランシーは、ギーシュが投げた薔薇の花が頭に付いたのを気づく事も無く、ステージの様子を硬直しながら見ていた。
オスマンが、とうとうギターを逆さに持って、アンプを殴り出した。それを見たダンテは、オスマンをステージから蹴り飛ばす。
何だかよく分からないうちに、周囲の観客達はダンテ達に喝采を浴びせていた。

「Yea Haah!!! F o o o ! ! ! ! !」

ギャラリーから熱い声援を送られたダンテは、興奮も絶頂に達し、その場にしゃがみ込みながらスライディングし、
満足気な顔でそのまま仰向けに倒れこんでしまった。
熱気冷めやらぬ場内。そんな空気に触発されたのか、ルイズに握られていたデルフリンガーが、こう叫んだ。

「おでれーた!こんなイカレた使い魔は初めて見たぜ!」

フリッグのライブは、その夜が明けるまで続いた。
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:25:12 ID:xQr1V3L8
支援!!
623悪魔も泣き出す使い魔:2008/02/15(金) 01:26:31 ID:uDaoYkc+
投下以上です。
弾切れになりましたので
暫く間は細かい修正や書き溜めの作業に潜ります。

感想ありがとうございました。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:26:44 ID:cuhuNOBq
支援
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:27:46 ID:Sn+l2iga
なんかバックトゥザフューチャーを思い出すなぁw
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:30:12 ID:3WyGb1Oj
投下乙

そしていつも以上に壊れ気味な学院長自重w
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:38:05 ID:zXX6KLwD
タバサが、『ROCK』に目w覚wめwたw
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:51:11 ID:OQULBlvB
トリステイン・メタル・シティw
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 01:58:09 ID:nAFFYeSJ
GJ。
背弾きかよ学園長。
練習したことあったなぁそういや。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:19:30 ID:FoIBbY5Y
>>596
肉体を限界まで使って戦闘技術を付加する

逆に考えれば
最初から極まった戦闘技術所有
GENKAITOPPA済み

の奴なら変化無しかもしれない
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:21:50 ID:JUYmr0ga
それにしてもこのオスマン、後で歯ギターをしそうですね
632名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:42:23 ID:f5o+n8Yt
羽入召喚、でもルイズには見えません
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:43:00 ID:NkCyzWV5
>FFTの人
暫定だが更新してきた。
6話の「左手」を「右手」に直した(?)けどOKですかね?
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:43:57 ID:NkCyzWV5
すまん、右手を左手だったorz
Lv1でアルテマに挑んでくる λ...
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 02:50:21 ID:DtuKxjpT
DMC>>乙です
個人的に、DMC3は冒頭の事務所でのシーンが一番印象に残ってます
悪魔でスケボしながら弾バラ撒くシーン等々

再帰、楽しみに待ってます!
636ゼロの夢幻竜:2008/02/15(金) 02:51:18 ID:FQd76VYl
今晩は。テンポ速いようですが、
3時から投下して宜しいでしょうか?
637ゼロの夢幻竜:2008/02/15(金) 03:02:47 ID:FQd76VYl
では投下します。

ゼロの夢幻竜 第二十九話「開戦」

ギーシュ・ド・グラモンは何よりも先ず、名誉を重んじる男だ。
父親からよく聞かされている『命を惜しむな。名を惜しめ。』の言葉を胸に、如何なる時も貴族として良く振舞うようにしていた。
グラモン家の末っ子とはいえ、古き時代から軍事面で王室と親交のあった名家の出身という看板を背負うのであれば、そうせざるを得なかったと言える。
だから、アンリエッタ王女から賜った(実際は首を突っ込んだ)任務を、必ずや遂行させると息巻いていた。
例え、それにメイジとしての実力がついて行かなくても、である。
一方、キュルケは一種の退屈凌ぎで一行に途中からついて来た。
ラ・ロシェールの市外に着くまでの間に、ワルドから任務の話を聞いた時は流石に身が締まる様な思いをしたが、軍人としての教育も、魔法使い同士の戦いにおける実力も伴っているのと、友人でもあるタバサがいる事から直ぐに元の気楽な調子に戻った。
任務に関しても、首尾良く遂行する事が出来れば、直接任されたルイズの悔しがる表情も久方振りに見れそうだったからだ。
尤も、そういった顔をしているルイズを弄るのもまた、一種の楽しみでもあるわけだ。
最近周りにはいつも影のように寄り添う(キュルケがそういう印象を持っている)生真面目な使い魔がいるために、そんな機会が無かったのが余計にその楽しみへの枯渇感を煽っていた。
そんなものだから、ワルドから策の一つとしてルイズがラティアスと共に、斥候として先にアルビオンへ行った事を聞かされた時、二人は人目も憚らず酒場で一頻り叫んで唖然とした。
動じなかったのはその時後ろで黙々と食事を進めていたタバサとモンモランシーぐらいだ。
モンモランシーに関しては元々、この一件は予期せずして、しかも香水の一件で破局したギーシュによって半ば強引に巻き込まれたものであった為に、外野がどう動こうとそれが策の一つであるのであれば、慌てる必要は無いと考えていた。
そもそも戦い自体をあまり好まない彼女としては、なるべく無難な道を選び取って任務を遂行出来るなら、それ以上の物は何も望まなかった。
タバサに関しては相変わらずの無口と無表情ぶりを良い意味で発揮しつつ、テーブルの上に置かれた鳥の丸焼きと格闘していた。
ワルドは二人を宥めつつ気さくに「心配する事は無い」と言ってはいたが、要するに一触即発の両陣営の中を先陣切って様子を見に行けと言う事である。
こういう場面ではそういう者が一人は出ないといけないというのは、ギーシュ、キュルケの両名共に分かっていたつもりだったが、いざ自分の知人からそういう役目を行う者が出るとなると、体に走る緊張感には只ならぬ物があった。
その後は特に何が起きるというわけでも無く、5人は食事を取って眠る事となった。

翌朝、まだ朝日が昇って直ぐの頃、モンモランシーはいつもより早く目を覚ました。
大き目のベッドから身を起こし、服を着替えた彼女は顔を洗う為に部屋を出る。
すると反対の方向からキュルケが大きな生欠伸をしながらやって来た。

「お早う。随分眠そうだけどよく眠れたの?」
「ええ。睡眠はたっぷり取らないと美容に悪いのよ〜。そう言うそっちはどう?愛しの彼が居なくてぐっすり眠れなかったとか?」
「馬鹿言わないで。愛しの彼ですって?私はあいつが持ち込んだ厄介事に巻き込まれただけなのよ。寂しくも何ともないわ。」

キュルケの冷やかしに、むすっとした表情で受け答えるモンモランシー。
しかしその表情には至極僅かばかりではあるが、「自分の元に帰って来て欲しい」という感情を読み取る事が出来た。

「あなたもルイズと一緒で素直じゃないのねえ。少しくらい縒りを戻す気があるんなら本人に直接言えばいいのに。」
「な、無いわよ、そんなもの!それにあんなゼロのルイズと一緒にしないでよ!それにしても、どうせならギーシュが斥候でアルビオンに行った方が良かったくらいだわ!」
「……あなた、本当にそう思ってる?」
「も、勿論よ!あの色ボケったら、女の子と見れば誰にでも言い寄ろうとするんだから……何よ、疑ってるの?」
「別に?ただあなたの反応が見たかっただけよ。じゃ、あたし先に下に行っとくからね。」
638ゼロの夢幻竜:2008/02/15(金) 03:04:02 ID:FQd76VYl
底意地が悪いのね、とモンモランシーは思う。
キュルケはそんな視線などまるで気にも留めず、すたすたと階下に向かって歩いていった。
その場に残されたモンモランシーもそのまま水汲み場まで行こうとする。
が、途中でギーシュのいる部屋を通りがかった時、彼女はその扉をそっと開けた。
中では当の彼が大口を開けながら未だに眠っていた。
さっきは突っかかるような物言いをしてしまうほどギーシュをこき下ろしたが今は違う。
正直、彼に戻って来て欲しかった。
本格的に彼が自分の元に戻ってくるのがまだずっと先になりそうなのは、彼女自身よく分かっていた。
だが、彼女としてはそれでも良かった。
例え何日、何週間、何ヶ月経とうとも……
そんな時、今度はワルドが階段を昇ってギーシュの部屋までやって来た。
何かあったのか、やけに真剣な顔をしている。

「お早う。君はもう起きていたようだな。」
「お早う御座います。あのう……何かあったんですか?」
「うむ。先程桟橋に行って、フネの船長と出航に関しての話をつけてきた。朝食を取ったら直ぐに出発する事になるだろう。」
「ええっ?!」

急と言えば急な予定変更だ。
出発は明日の朝のはずではなかったのか?
モンモランシーは胸に出てきた疑問をそのまま口にする。

「でも『スヴェル』の月夜は今夜ですよ!まだアルビオンはこちらに一番近い位置にいないのでは?」
「その事なら安心したまえ。足りない分の風石はこちらで調達出来た。さ、ギーシュ君を起こさないといけないんでね。そこを少しどいてくれるかな?」

言われてモンモランシーは、自分が部屋の出入り口をと塞いでいた事に気付く。
慌てて退くと、ワルドは小さく『有り難う』と言って部屋の中に入っていった。
その直ぐ後にモンモランシーは水汲み場に向かって再び歩き始める。
しかし、顔を洗う理由が先程とは違い一つ増えていた。
639ゼロの夢幻竜:2008/02/15(金) 03:04:57 ID:FQd76VYl
「いやああああっっっ!!寝坊しちゃったぁぁっっ!!」

スカボローの中心近くにある小奇麗な宿。
その一室から爆発の様なルイズの悲鳴が上がった。
朝、日の出と共に出発するとあれほど自分に言い聞かせたにも拘らず、時刻は既に7時を回っていたからだ。
外では既に多くの人達が行き交っている。
今からニューカッスルに向かうとすれば、
ベッド脇を見ると、あれだけの大声を出したにも拘らず、いつもは起こす側に回っているラティアスが気持ち良さげにすやすやと眠っている。
その様子を見て一瞬、何で起こしてくれなかったのよ……と怒鳴りそうになったが、考えてみれば彼女はへとへとになるほど何時間もかけて、昨日の夜自分をアルビオンまで運んでくれたのだ。
しかも深夜でもやっている、それなりの格式を持った宿を探すのに、スカボロー中を連れ回したので食事を取るのも眠るのも大分遅くなってしまった。
起こすべきか。それとももう少し、あと一時間だけでも休ませておくべきか。
個人的には後者を選びたかったが、のんびりしている事は出来ない。
仕方なく、ラティアスを起こそうとベッドから身を起こした時だった。
途端に外が騒がしくなる。
何事かと思って閉めていたレースのカーテンを開けてそっと外を見ると、貴族派の一個中隊が街路を整然と通っていくところだった。
また、隊を形成しているのはなにも貴族出身の者だけではない。
一目で傭兵だと分かる者もいれば、鎖に繋がれた鬼や獣人などの亜人もいる。
幻獣に跨った兵士さえもいた。
慌ててカーテンを閉めたルイズの背に冷たい汗が流れる。
この調子なら貴族派は、数日以内にニューカッスルへ向けて総攻撃を行うだろう。
そうなったら全てがお終いだ。
アンリエッタが思い描いた最悪のシナリオに一直線となる。

「ラティアス!ラティアス、起きて!」

ルイズは未だ呑気に眠っているラティアスを揺り起こす。
ラティアスはやはりまだ眠り足りないのかのっそりと目覚め、寝惚け眼とはっきりと回らない舌でルイズに質問する。

「んー、にゃにごとでしゅか?ごしゅじんしゃまぁ?」
「寝惚けてる場合じゃないわよ。今外を貴族派の兵士達が通って行ったの!急いでニューカッスルに行かないと、貴族派の総攻撃が始まってしまうわ!
ラティアス!まだ疲れているとは思うけどお願い!全速力で私をニューカッスルまで連れて行って!」
「ふぇっ?!わ、分かりましたぁっ!!」

ラティアスは返事一つで眠気を無理矢理すっ飛ばす。
御主人様の命令ならば、眠いだのなんだのとは言ってられない。
先ず、ルイズの着替えを始めとする身支度を手伝う。
それが終わったルイズは一旦階下へ降り、主人に宿代を払った。
朝食に関してはいちいち食べている時間が無いので、思い切って省く事にした。
再びルイズが部屋に戻ってきた時、ラティアスは両手で器用に窓を開けて、主人に出発を促した。

「さあ、行きましょう!御主人様!」


640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:05:13 ID:M18eR4mw
ガンダールヴ:左手 神の左手 あらゆる武器を使いこなす
ヴィンダールヴ:右手 神の笛 あらゆる動物を自在に操る
ミョズニトニルン:額 神の頭脳 あらゆるマジックアイテムの自由行使
名称不明(記す事すらはばかられる):胸 異名・能力一切不明
うっかりすると間違えるから叩き込んどけと言われるレベルの基本事項

あと「ブ」じゃなくて「ヴ」と言う点もよく間違えられている
641ゼロの夢幻竜:2008/02/15(金) 03:05:50 ID:FQd76VYl
その頃、アルビオン大陸の端に位置するニューカッスル城のホールでは兵士達の召集が行われていた。
召集とは言っても数は300人程度とたかが知れている。
玉砕の覚悟でもしているのだろうか、皆思い思いの事を喋っていた。

「故郷には誰かいるのか?」 「母親と妻と生まれて間もない娘がいるよ。」
「最後に会ったのは?」 「丁度2〜3ヶ月くらい前かな?寂しがっているだろうからこの戦いが終わったら直ぐにでも会ってやりたいよ。」

「今日も睨み合いで終わっちまうのかねえ?」 「終わるさ。またこっちに戻って来てお前さんと一杯やる事になるだろうよ。」

「お前、新兵上がりだろ?大丈夫か?」 「大丈夫ですよ!ウチの隊長はあと3人竜騎士を倒したら勲章物だって言ってるような人ですから!」

その様子を遠くから一人の凛々しい青年が見つめていた。
彼こそがアルビオン王家の皇太子、ウェールズ・テューダーその人であった。
今、王家の為に散らんとする兵士達の姿を見る彼の心境は非常に複雑だった。
彼等も、そしてレコン・キスタに与し自分達に向けて刃を向ける者達も、元を正せば同じ国に住む大切な民達である。
穿った考えをするならば、心ならずしてレコン・キスタに与する者達もいるだろう。
そんな彼らを今から討ちに行くというのは、少々心が揺れる事でもあった。
そして思う。自分は自らの地位を自覚するようになった頃から、父である国王ジェームズ1世と共に常に民の為に行動してきたつもりだ。
一体今まで行ってきた執政の何が不味かったのだろうか。
そんな事を考えていると、老メイジのパリーが暗めな顔をしてやって来た。

「どうしたのだ、パリー?」
「はっ!殿下にお伝えせねばならぬ事が御座います。少々申し上げにくい事ではございますが……」
「気遣いはいい。続けてくれ。」
「分かりました。では……先程から『王党派の一兵士として戦う』という若者達が、こちらに来ているのです。」
「それは、一体どういう者達だ?」
「はい、それが……召集年齢を満たしていない者達ばかりなのです。各々に武器を持っていつでも立ち上がる覚悟は出来ていると豪語しているのです。それも平民貴族関係なく。殿下。如何致しましょうか?」

召集年齢を満たしていない者達、つまりは年端も行かない少年少女達という事だ。
自陣が窮地に追い込まれているからといって、戦が何たるかも知らない少年少女達を戦場に出すわけにはいかない。
大体、年若い女や子供を国防という名目を利用して駆り出すなど、軍事作戦行動としては下の下ではないか。
ここで名誉の敗北をして命を落とすのは、今ホールにいる者達と自分だけで十分だ。
そう考えたウェールズはパリーに対し、静かに答えた。

「パリー。私から彼等に伝えてくれ。『諸君等の揺るがぬ忠誠、そして比類無き勇には深く感謝する。しかし、此度の戦において鮮やかに散るのは我々だけで良い。諸君等は直ちに避難し、明日へとその命を繋いでくれ。』と……」
「!……かしこまりました。殿下。」

パリーはそう言うと、一礼をしてその場を後にしていった。
総攻撃はいつ起きてもおかしくない。
後何回その姿を見れるだろうかと思いつつ、ウェールズは兵士達の言葉に耳を傾けるのであった。

642ゼロの夢幻竜:2008/02/15(金) 03:06:22 ID:FQd76VYl
ラティアスはニューカッスルまでの道中を、死に物狂いで飛び続ける。
背中からルイズがあまりの速さに喚く声が聞こえてきたが、それすらも無視した。
折角ワルドが自分達を斥候として先に行かせたのに、その任を果たせないのでは意味が無い。
朝食と昼食を食べていない事も気にかけず、ただただルイズから指示された方向に向かって飛び続ける。
そうしてかれこれもう5時間近くは飛んでいるのではないかと思われたその時だった。
目の前に白く美しい外壁を持った城が姿を現した。

「見えたわ!あれがニューカッスルよ!」

組み合わされた尖塔が目立つその姿は、名城と言っても差し支えないだろう。
いかにも御伽噺に出てきそうな外観にラティアスはほうっと溜め息を吐いてしまう。
そんな時、背中からルイズのとびきり嬉しそうな声が聞こえて来た。

「こんな短時間でよくやったじゃない、ラティアス!」

その言葉にラティアスの頬がほんのり赤く染まる。
ルイズに自ら行った事で褒めてもらう度にラティアスは、自分の居場所がまた一つ確立していくかのように思えた。
その時だった。突然城門の右方が轟音を立てて爆発する。
そのあまりの音と衝撃の波にラティアスは一瞬バランスを崩してしまった。

「きゃああっっ!」
「ひゃああっ!」

高度がガクンと下がり、ルイズは危うくラティアスの背中から落ちそうになる。
しかし、すんでのところで彼女は姿勢を持ち直す事に成功した。
徐々に黒煙が晴れていくと、砲撃を受けたその場所は酷く抉り取られていた。
一体何が起こったのか。
それはラティアス達がいる場所より、斜め下方向で白煙を上げている砲門が雄弁に語っていた。

「ああっ、そんな……!!」
「始まってしまったんですか……」

そう。ルイズが予想していたよりも早く、そして自分達がニューカッスルに着く前に、総攻撃の狼煙は上げられたのであった。
643ゼロの夢幻竜:2008/02/15(金) 03:11:11 ID:FQd76VYl
以上で投下終了します。
ところで7〜8スレほど前に考えていた召喚ネタですが、
本腰入れて、三つのネタのどれか一つにとっかかろうと思っています。
どれになるかはまだ未定ですが……
では近い内にまたお会いしましょう。
644ムスタの中の人:2008/02/15(金) 03:16:19 ID:xQr1V3L8
ラティアスの人、乙です。
毎回楽しみに読んでます。

>>634
うおおお、ありがとうございます!!

ガンダールヴのルーンが左なのって、才人が左利きだからかな?
ムスタは右利きかなぁと思って右にしてたんだけど、違ってたらスマソ(´・ω・`)
645名無しさん@Lv1:2008/02/15(金) 03:19:34 ID:NkCyzWV5
>>644
利き手だからでしたか、原作の設定でも特に言及されてないので、作者さんの考えでいいと思いますよー。
それじゃあ修正してきますわ。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:29:22 ID:uMiHjwQA
>>644,645
いや >>640も書いてるが
作品中にきちんと設定されてるぞ<左手

独自の設定変更ならまあ仕方ないかもしれんが
そうでないなら原作設定にしたがったほうが良いと思うがな〜
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:32:23 ID:tdYnBckZ
DMC(デビルメイクライ)とD・M・C!(デトロイト・メタル・シティ)は良く似ている…
しかしそんなことはどうでもよかった。

出た〜!ダンテさんの1秒間に10連射撃!
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:34:00 ID:Sn+l2iga
こんな時間に乙です。
7スレ前というと、何の話してたっけ?
まあなんにせよ、とても楽しみになことは違いない。

ところでTRANSFORMERS MUSIC LABEL版のサウンドウェーブが、
『MP3プレーヤーに偽装した自分のクローンをばら撒き、
 若者を洗脳しつつ音楽を収集して、地球上の全音楽を
 母星に持ち帰ることが野望』
という可愛いやつだったので、ぜひ召喚したいのだが…

ハルケギニアの音楽事情ってどうなってたっけ?
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:35:32 ID:uMiHjwQA
ちなみに13巻の181Pな<設定
650名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 03:37:41 ID:FoIBbY5Y
>>647
某所のSSでも
DMCとのクロスです。

いよいよ登場
ダンテキターッ!と思ったらクラウザーさんだったことが有るし…

不意打ちってレベルじゃねーぞ!
651ムスタの中の人:2008/02/15(金) 03:39:00 ID:xQr1V3L8
>>646
うわああ、ホントだ。
すみません(´・ω・`)

>>645
よかったら左手のままにしておいてください(汗
それと、2話にも「右」って表記しているところがあるので、左に直してもらえますか??
652名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 04:30:43 ID:M18eR4mw
神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。
神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。
神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。
そして最後にもう一人・・・・・・。記すことさえはばかれる・・・・・・。
四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた・・・・・・。

これが始祖の伝説を歌ったものの一部だと作中に記された一節だ
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 05:25:09 ID:nmgiJSbd
4人目はどんな無茶な奴でも出せるね
654名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 05:45:24 ID:rW7oqEFC
こんばんはー。投下したいのですがよろしいでしょうか?
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 05:48:48 ID:tr9nYCZg
タイトルか元ネタプリーズ。
656楽園のゼロ:2008/02/15(金) 05:52:08 ID:rW7oqEFC
失礼しました。これでよろしいでしょうか?
ちなみに元ネタは「楽園の魔女たち」です。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 05:59:51 ID:xoWjTIPX
良いんじゃないかな。
658楽園のゼロ:2008/02/15(金) 06:02:32 ID:rW7oqEFC
許可感謝です。では、早速…
659楽園のゼロ 1/3:2008/02/15(金) 06:05:03 ID:rW7oqEFC
視界の端でまた爆発。爆発爆発爆発。何度やっても爆発。正直もう疲れた。
嗚呼始祖ブリミル、私は一体後どれくらいサモン・サーヴァントの呪文を唱え続けねばならないのですか?

「疲れてるのはこっちだぞ、ゼロのルイズ!」
「そうだそうだ!いつまで失敗魔法に延々と付き合わされなくちゃならないんだ?」

ギャラリーが何か言ってるけど、無視ね無視。
…でも、やっぱりちょっと、ううん、だいぶ疲れた。
もうなんでもいいわー。とっとと何かお手軽に強いのが来てくれないかしらー。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。
我の運命に従いし使い魔を召喚せよ…お願いもうなんでもいいから早く来て…」

祈り?が届いたか、振った杖の先でようやく光の鏡が形成された。
人生で初めて魔法が成功したにも関わらず、疲れきったルイズにはそれを喜ぶ余裕などなかった。
ただ憑かれたように鏡を凝視し、ひたすらに強い使い魔が来てくれることを望んでいた。

彼女の呼びかけに応えた?使い魔は、確かに強かった。
だが、少々…いや。かなり、あたまが軽かった。

そして少し先の未来で、彼女は最後の言葉を深く後悔したのち、始祖ブリミルに懺悔することになる。
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 06:06:06 ID:M18eR4mw
とりあえず>>9読んどけ
>>655の態度の意味判るから
支援
661楽園のゼロ 2/3:2008/02/15(金) 06:18:20 ID:rW7oqEFC
その時マリアはひとりの少女の希望などどこ吹く風で、港町ローカイドの「楽園」出張所であり、
ご近所の皆様方から「幽霊屋敷」の呼び名で親しまれている屋敷の厨房にて、献立片手に料理中だった。

「きょうのごはんはシチューだねっ。うふふー、シチューシチュー」
一体何がそんなに楽しいのかは知らないが、とりあえずマリアはいつも通りだった。

そんなマリアの真横に、突如として光の鏡が現れた。
ただしマリアは気付かない。
ただ楽しそうに、ひたすらナベをかき回している。

マリアがまったく気付かないことに業を煮やしたかのように、光の鏡は部屋中を煌々と照らした。
そのあまりの存在感に、さすがのマリアも鏡に気付いた。

「ほえ〜っ?これ、なんだろ…?」
662楽園のゼロ 3/3:2008/02/15(金) 06:20:27 ID:rW7oqEFC
鏡である。
ただし、とてもあやしい。

ふつうの人間、いや生物ならば、危なそうなものには絶対にさわらないだろう。
だが悲しいかな、そういった危機感がないと普段から言われるマリアには、
このあやしすぎる鏡に「さわらない」という選択肢ははじめからなかった。


「へんなの〜。えいっ、さわっちゃえ〜!」

疑いもせず、ただ「へんなものにさわりたい」という思いだけで、マリアはそれに手を伸ばした。
その歳の割にちいさな手が、鏡の表面に触れた瞬間。

ずぶり、とマリアの手が鏡にしずんだ。
663楽園のゼロ 3/4:2008/02/15(金) 06:22:24 ID:rW7oqEFC
「えええっなにこれ?!ぬ、ぬけないよおおおっ?!」

ようやくなにか変だということに気付いたらしく、
慌てて手を引き抜こうとするマリアだが、時既に遅し。
マリアが手にしたナベごとその内に取り込んだ鏡は、
出現時と同じく唐突に、跡形もなく厨房から消えた。


その頃、鏡出現からマリアが鏡に引き摺り込まれるまでの一部始終を見ていたサラ・バーリンは、
その鉄面皮とあだ名される無表情をまったく崩すことなく、手にしたフラスコをしばし揺らし。
ややあって、本当にこまっているのかどうかすら疑わしい声で呟いた。
「さて、これは困ったことになったのだろうか?」
664楽園のゼロ:2008/02/15(金) 06:25:09 ID:rW7oqEFC
すみません、3/3のはずが1つ増えましたorz
初回投下終了です。支援ありがとうございました。

>>660さん
失礼しました。投下前に>>1を読んだつもりが、
>・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。
これを見落としていたようです…。以後、気をつけます。
665楽園のゼロ:2008/02/15(金) 07:49:17 ID:rW7oqEFC
>>9について触れていませんでしたorz申し訳ないです
過去ログ保管庫で該当レスを見てきました。
確かにあれと同類に見られるのは耐え難いですね。
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 07:52:04 ID:j5KXk/yC
そいやパルフェ、レネット、フローラ、ロマネスクもまだかと思いつつ家を出る
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 08:16:19 ID:nBJOF3B0
テンプレになってない事を強要するなよ。
それで荒れる荒れるっていってんのはお前らだけじゃん。
668名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 09:49:11 ID:hnF0BZXA
>>659
そーいやマリアって貴族で魔法使いだよな、この時点なら。
そして凄腕のゴーレム使い。
669名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 10:15:54 ID:QmJFBR8i
>>667
本人乙
670名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 10:33:29 ID:elIOyV6U
>>664
好きな作品からだから期待してるんだが、もうちょっと文章量を増やしてくれ。

とにかく乙。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 11:03:37 ID:ymJO1ZrS
うわー、奥さん召喚しちゃった。
あれでも、この状態だと杖持ってないですよね。まあ、マリアは魔法使えなくても十分強烈ですが。
バルちゃんが居る時点か、居ない時点かで大きく違いそう。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 11:48:37 ID:n/DBg3rX
バルちゃんがいたら、まず最初にマリアに何かしらの忠告はするだろう
バルちゃんの忠義というか懐きっぷりは半端じゃないし

まあ、どの段階で召喚されてもお師匠様の介入という究極手段が存在するがなー
673名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 12:57:41 ID:xMHGAMIR
天地無用の柾木天地を召喚しようとすると天地を持ってかれた魎呼達の話の方が膨らむのは逃避エネルギーですか?
674名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 13:32:29 ID:Xx4oZCAT
それはたぶん違う。

でも天地が召喚されちゃった場合、絶対に早い段階で一家そろって取り戻しに来そうな予感がする。
そしてルイズの部屋に謎の扉が出来たり、
学内にニンジン畑が出来たり温泉が出来たり
いろいろとカオスな展開になりそうな予感。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 13:50:38 ID:yiVwxIcZ
実は鷲羽ちゃんが「始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル」
676名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 13:52:41 ID:N81TSRnn
>675
その言い方だと、鷲羽ちゃんじゃなくてその弟子の方にならんか
677名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 13:59:52 ID:OQULBlvB
都合よく、休眠中の王家の樹もありまんがなw
678名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 14:04:56 ID:8Vehn9iM
いきなり前見せ?
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 14:18:46 ID:FbrhvZJo
乙です。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 14:49:40 ID:jdp/M8XE
>>674
オスマンと勝仁が向かい合って茶をすすってたりするんだな。
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 15:05:21 ID:dB+oJ7Ip
あいつらなら7万人戦もわけのわからん方法で治めるんだろうな
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 15:08:53 ID:C3C6BQUH
>>681
「こんなこともあろうかとこの鷲羽ちゃんが復元したブリミルとやらの使った魔法装置を……」
「あー、つまづいちゃいましたー」(湯飲みが機械に。一気にショート)
「「「「美星ー!!!!」」」
こうですか、わ(ry
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 15:14:54 ID:3zR5e9HM
カオス過ぎて小ネタにしかならんわいw
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 15:17:55 ID:nNKuuPDw
sageてね
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 16:52:03 ID:f1f8dnnV
沙砂美と魎ちゃんを妄想したが、強すぎてやめた。
エルフ相手でもこのコンボでは瞬殺だわな。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 16:56:23 ID:rAmIcrlo
人間の怒りってもんを見せてやるぜー!!
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 17:02:01 ID:33AmA1FO
奥田ひとし版天地無用から巫薙ってのを考えたことあるぜい。

やっぱりバランスブレイカーだったけど。
688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 17:09:32 ID:8wzVvjpU
バランスブレイカーを呼び出しているSSが皆無というわけでもないからやりようはあると思うが、難しいよな
689名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 17:09:54 ID:G0jn2hwe
プリティサミーなら大してカオスにならない!   気がする
690名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 17:15:00 ID:Aud0Vy6z
佐藤十兵衛ならきっとなんとかしてくれる
691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 17:15:55 ID:aMjrbROs
>>686
かえんりゅう一発で昇天するくせにw
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 17:50:32 ID:RxeMxZvN
十兵衛・・・十兵衛ちゃんから眼帯のみ召喚
ルイズ涙目キュルケ主役
693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 17:53:04 ID:rAmIcrlo
前田慶次呼ぼうぜ
694名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:09:22 ID:CuBLScKx
>>692
その眼帯は乳革命の方に召喚させるべきだと愚考します。
695名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:11:34 ID:y0wlHAV0
ハルケギニアには数名を除いてきょぬーは一杯いるから問題ないさ
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:12:35 ID:NNRDWQhb
天地を召喚するの場合絶対追いかけてくるよな、やっぱ。
柾木に居候する宇宙人達の人間関係は基本的に天地が中心だしw

ってレスしようとおもったら6時間くらいリロードしてないの忘れて
すでに言われてて俺涙目w
697名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:38:06 ID:M18eR4mw
天地系統のメインキャラ呼んじゃバランスブレイクどころの話じゃないだろ
樹持ちなら端役キャラでも惑星上でなら下手な神に匹敵するってのに
698名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 18:42:40 ID:jdp/M8XE
天地召喚の場合、バランスがどうこうよりも
天地争奪戦に巻き込まれたルイズをどう描くかの方が大事な気がする。
とりあえず魎呼とルイズは仲良く喧嘩してそうだ。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:01:02 ID:C3C6BQUH
門柱x2でも出すか?
あいつらならいなくなっても探さないんじゃねw
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:06:49 ID:NNRDWQhb
>>699
どっちかがポストやってたから無くなられるとちょっと不便そうだな
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:10:20 ID:uMiHjwQA
天地キャラで呼ぶ?

天南静竜で良いんじゃねw
居なくなっても誰も気にしないし、強いことは強いが抜けてるしw
ギーシュあたりと絡ませれば面白そうだぜ
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:10:23 ID:33AmA1FO
ルイズが天地ファミリーで仲良く出来そうなのは…意外と阿重霞あたりとウマが合いそう。
ただし天地が絡むと即座に喧嘩になるだろうケド。

巫薙はおとなしくて常識人だけど…魎呼並みかそれ以上に強いからなぁ…
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:19:19 ID:suVraaA8
天地で強くて喚んでも特に問題無さそうなのはじいちゃんかな。
それなりに人間も出来ているし。
砂沙美喚ぶと何故かプリティーサミーになってしまいそうな気がする。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:25:35 ID:33AmA1FO
>>703
おk。
つまり富士見ファンタジア文庫版プリティサミーを呼べということだな?
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:30:10 ID:sSf/Epvk
ルイズがサミーの魔法の才能に嫉妬してまう暗黒面を突かれて悪の魔法少女ピクシイゼロと化してまう話はどうか?
706名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:32:45 ID:NNRDWQhb
>>703
じっちゃんなら世話も上手そうだしな〜
ただお兄様いなくなってアエカ(変換できねぇw)涙目だが
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:36:31 ID:zYvADqzS
>>705
ルイズが敵役とは新しいな
君に期待しようwktk
708名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:47:19 ID:7lVYI1UE
美星を呼ぶのが一番面白そうな気がする
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:50:50 ID:hgAW7QLk
>>705
しかし…ミサさまの魅力はギャップ萌えもあッてのもの…。
ルイズがピクシィゼロになッたッて、そンには――はッ! 
もしやッ!
・ ・ ・
あンたがやろうとしていることとはッ!
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 19:55:17 ID:vOnniV0P
>>709
ど、どういうことなんだキバヤシ!?
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 20:01:05 ID:suVraaA8
>>705
タバサ「ピクシイゼロ・・・・・いったい誰なの?」
キュルケ「ピクシイゼロ・・・・何物なの・・・・?」
ギーシュ「ピクシイゼロとは誰なんだ?」

デルフ「・・・お前らマジで言ってるのか・・・・」

こうですか><わかりません!?
712名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 20:21:51 ID:rAmIcrlo
日食の日に生まれたルイズとシエスタは謎の組織に拉致されシエスタはキングストーン太陽の石を、ルイズはキングストーン月の石を体に埋め込まれ改造されてしまう…!
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 20:25:21 ID:yaEtlj4R
>>712
ブリミル「早くブラックサンとの決着をつけるのだシャドームーンよ」
ということですか分かりません
てかそれならシエスタじゃなくてテファだな
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 20:29:14 ID:ODkWJxrP
神の手を持つ贋作者ゼロ召喚。

虚無の4人のうちティファニア以外は誰が召喚しても
ウガァァァ―――――ッ な結末になりそうだ。

ティファニアだけは
「私への報酬は、貴方が一生をかけて〜〜することだ。」
となりそうだ。
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 20:44:33 ID:0Hp3I45R
ながいけん閣下つながりでカレーが食べられないエスパー氏とか。
何かあるとカップルに八つ当たり(主に男)。
絡んできた不良の手・足・頭とってシマウマの足と猫の頭くっつけるお茶目さん。
エスパーとしてはロック>>(超えられない壁)>>アキラ>>エスパー氏ってとこか?
それ以前に閣下のFR時代の漫画知ってる人がいるのか?
716名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/02/15(金) 20:46:24 ID:i8XJLO2h
悪魔も〜

投下乙ですた。今回も最高に楽しませて貰いました。

>オスマンが、とうとうギターを逆さに持って、アンプを殴り出した。

パンクまで混じってるのかよ学院長www
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 20:59:53 ID:66BEH1Hh
>>714
>虚無の4人のうちティファニア以外は誰が召喚してもウガァァァ―――――ッ な結末になりそうだ。
祈祷書とかルビーとかの贋作つくって、ルイズ達の目の前で「本物は一つでいい。」と言ってぶち壊すのかw
718名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:00:47 ID:v21nBSRk
贋作と言えば藤田玲司
719名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:02:03 ID:66BEH1Hh
>>715
怪盗ドロボウさんやでっち上げ探偵に極悪非道なメロスの方がいいな
720ブレイブストーリー/エロ:2008/02/15(金) 21:04:07 ID:xQr1V3L8
こんばんはです(´・ω・`)
次の話が書きあがったんですが、投下してもいいでしょうか?
721名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:05:12 ID:XNTI/Act
ちょっとマテwww
722名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:05:25 ID:3b5puXZh
エロ・・・だと・・・?
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:05:45 ID:66BEH1Hh
>>720
早っ!ヘイストでもかけてんのか
カモーン!!
724名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:06:05 ID:G11HpEUL
>>715
…いるんだなぁ、これが(w
725ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:06:51 ID:xQr1V3L8
Σ(´・ω・`)うえっ

zのキーが弱ってるんだようorz
726名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:07:41 ID:3b5puXZh
返せっ!
思春期の俺のワクワク感を返せっ!
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:07:58 ID:0Hp3I45R
支援。


>719
うわ知ってる人いた!もしやあなたもカモノハシ?!
728ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:10:00 ID:xQr1V3L8
 
 
   ◇


「メイジだったのか」という叫びをムスタディオは無言で聞いていたが、実のところギーシュの言葉は勘違いだった。
 ムスタディオは魔法を修めたことがない。
 だから彼が用いた氷の魔法に見える何かは、彼の武器の効果に依存するものだった。
 それは、機工士やトレジャーハンター達の間では「魔ガン」と呼ばれている。彼とその仲間が戦いの最中に討った、とある神殿騎士の遺品だった。
 通常の銃は鉛の弾丸を射出するが、これは代わりに定められた魔法の弾丸を撃ち出す。魔法を修めているかどうかは使用条件にない。そしてその効果から「ブレイズガン」とムスタディオは呼んでいる。
 機工学と魔法の融合による産物のため、機工都市ゴーグでも未だ再現されていない古代文明の遺産の一つ。
 彼が決闘に遅れたのは、これを部屋まで取りに戻り、ごく簡単な動作確認を行なっていたためだった。
 ルイズには触ることを禁止されていたが、そこはもう気にすることさえ疎ましかった。
 何もかもどうでもよく、やけに獰猛な気持ちだった。



「ブレイブストーリー/ゼロ」-06・b



 ――三体目まではまるで鴨撃ちだった。
 油断を狙って次々とゴーレムを撃ち凍らす。
 それで終わらせられたら楽だったが、そうもうまくはいかない。
 四体目へ狙いを定めようとして――標的が目の前で拳を振りかぶっていた。

 元々ムスタディオは戦いにおいて後方からの支援狙撃を担当していたため、接近戦はそこまで得意ではない。
 体力と俊敏性は人並み以上あるし、必要に応じて身に着けた手段もあることにはあるが、かさばる魔ガンを両手で扱いながらは難しい。
 また身を隠したり敵を欺くことには長けているものの、いかんせん、こんな開けた場所では小細工の施しようがない。
 そして、開けた場所というのがムスタディオにとって大きなネックの一つだった。
 照準を定める構えを解き、ブレイズガンを水平に掲げてゴーレムの拳を受け止める。
 反動で距離を取り、狙いを定めるが、動きながらなので照準がブレる。
 そしてブレたその先に、大勢の生徒達の姿が見えた。

729ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:11:01 ID:xQr1V3L8
「……くっ!」

 自分の腕前なら、そうそう彼らには当たることはない。
 そうは思ってもためらいが生まれてしまう。
 何の備えもない彼らにこんなものが炸裂すれば、一発で命をなくしてしまう。そんな躊躇が隙を呼び、ゴーレム達に着々と逃げ場を奪われていく。
「敵」しか居なかった戦場ではこんな煩わしさはなかったのに、と今更のように感じ、考えなさすぎだ、と自分を罵った。

 決闘といってもこんな展開になるとは思ってなかったため、ムスタディオは相手を思い切り叩きのめす方法を考えていた。
 つまり自分が取りうる一番破壊力のある手段である。
 それが仇となった。
 こう威力が強すぎては誤射や流れ弾による被害が出かねない――しかし、それで良いと思っていた。
 ギーシュもまた己が持つ最大の魔法を持ってかかってくるから、ブレイズガンと魔法の単純なぶつかり合いになると思い込んでいたのだ。

(まさか、魔法なのにこんな直接的に来るなんて……!)

 いくら頭に血が昇っていたからとはいえ、その浅はかさを呪ってしまう。

 早合点は焦りに変わる。
 周りを気にしながら戦わないといけないもどかしさが相俟り、動きが鈍る。決断が曖昧になる。
 ――そして失敗を生んだ。

 前を見ながらの後退は効率が悪く、前進してくるゴーレム達に包囲されつつあった。
 拳や刃を潰した剣で殴りかかってくるそれらに業を煮やしたムスタディオは、突破のために右方の一体に銃撃を仕掛けた。思い切って飛びずさり、狙いを外しても地面を穿つよう脚部を狙い撃つ。
 それが致命的だった。
 身体のどこかを狙い撃てば動きが止まる、というのは対生物にしか当てはまらない定石だ。
 ゴーレムは脚部と地面が氷で接着されたのをお構いなしに突撃する。
 ひずんだ脚と氷が裂ける。
 ムスタディオは銃身で受け止めようとしたが、無防備だったのが災いしてブレイズガンを跳ね飛ばされた。

 反動で体勢が崩れる。
 倒れながら、他の二体が自分を取り囲んでいるのを見ていた。
 背中から地面に弾む。

 その瞬間から袋叩きが始まった。

730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:11:15 ID:hFLKk4xH
エロっておまwww確信犯だろwwww
支援
731ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:12:24 ID:xQr1V3L8
 胸の真ん中と左頬と腹と右太股と左脇腹を打たれたのは覚えている。
 実際はその倍くらいかもしれなかったが一撃一撃が凄まじく重く、意識が朦朧としているので分かったものじゃなかった。

「ギーシュ! もうやめて! これ以上やったら死んじゃう!」

 ルイズの懇願が遠くで聞こえる。

(――あの女でもさすがに、この状況だったら、心配はしてくれるんだな……)

 そんなことを考えていられたのは一瞬だけだった。背中に蹴りが突き刺さり、袋からぶちまけられた果物みたいに地面を転がった。
 野次馬達の声が聞こえて来る。打撃が止んでいた。
 口の中で雑多な味がする。血と土と雑草の汁。
 吐き出しながら、ぐらぐらする頭と拡散する思考の焦点を尖らせようとする。
 誰か人間の足音がした。こちらに走り寄ってくるそれに「来るな!」と怒鳴り、両手を地面に突いて立ち上がろうとした。
 ――何か硬い物が指に触れる。

「……まだ続けるのかい? 杖を失ったメイジに勝ち目はないと思うが、その心意気だけは認めよう」

 四つんばいで顔を上げる。歯が砕けそうなほど噛み締めると目に映るものがやや焦点を結ぶ。
 こちらに近づこうとして足を止めたような格好のルイズ。
 勝ち誇った風のギーシュ。
 遠巻きにこちらを窺うゴーレム。内一体は二十メイル強離れたところに転がるブレイズガンへの道を塞いでいる。
 そしてさらに遠巻きに観戦する生徒達。
 ギーシュを呼ぶ声が多く聞こえる、気がする。

 気が済まない、と思った。
 まだどこも折れていない。体の骨も、心も。
 やけくそにそう感じる。

 指に触れたものを確かめる。
 ゴーレムの破片、折れた剣だ。
 ……このふらふらの状態でできるか、と自分に問う。大丈夫だ、と自答した。
 銃なしに戦うのは久々だし、あまり空手で長期戦は出来ない。だから意表を突いてやる。
 折れて短くなった柄を握った途端、急に体が軽くなるのを感じた。……きっと気のせいだと思い、立ち上がる。
 さっきまで霞んでいた視界が、不思議に澄み切っていた。

「あんたも寝てなさいよ、バカ! 早くその剣を捨てるのよ!」

 主人が叫んでいる。その声より――ギーシュがルイズに目を逸らした瞬間を、ムスタディオは見逃さなかった。

 全身に捻りという捻りを加え、剣を投擲した。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:12:33 ID:i42wk9ob
支援
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:13:22 ID:W+41s+UI
あ……れ…………ギーシュ死亡フラグ?
支援
734ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:13:26 ID:xQr1V3L8
   
「えっ?」
「なに!?」

 ギーシュやルイズの息を呑む声を、ムスタディオは聞いていなかった。起こった出来事に自分でも驚いていたからだ。
 ムスタディオの手を離れた剣は、刀身を軸に独特の回転運動を行ないながらゴーレムの体幹へと突き刺さる。そして強弓が放つ矢が人間を斬り飛ばすように、青銅の体をたやすく吹き飛ばしていた。
 それは仲間から教わった特殊な投擲技術だった。しかし彼はお世辞にもきちんと習得していたとは言い難く、一瞬の時間稼ぎのつもりだったのだ。
 だがその驚きは一瞬のもので、次の瞬間、ムスタディオはがら空きの空間に身を躍らせた。
 その先にはブレイズガンが転がっている。

「――! ワルキューレ、かかれ!」

 そのまま一息で駆け寄るが、剣から手を離した途端、体が砂袋を詰めたように重くなった。
 稼いだ時間はそこで尽きる。踏み込む足がよろめいたところで追いすがったゴーレムに背中から殴り飛ばされた。

 が。
 倒れた先に、くすんだ木色の銃握が見える。

 再度包囲されているのが見えた。ムスタディオは一も二もなくブレイズガンを抱き掴む。
 目の前の一体に零距離で弾丸をぶち込んだ。吹き飛ぶ氷漬けに後ろからやって来ていた一体が巻き込まれる。その二体にまとめてもう一撃、仲良く転がっていったところで――裸にされたギーシュに照準を定めた。
 焦りの見えるギーシュの口が動く。
 何か言う前に引き金を絞る。


   ◇
735名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:13:51 ID:j5KXk/yC
>>725
噴いたw
736ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:14:45 ID:xQr1V3L8
  
  
「ま、参った」

 ギーシュがへたり込んでいた。
 片手に握っていたはずの薔薇がムスタディオの魔法で撃ち抜かれ、凍ったままバラバラになって散らばっている。
 そして彼の口から発せられた言葉を――ルイズは信じられない気持ちで聞いていた。
 ムスタディオがギーシュに向けていた杖の先を下ろす。その顔や服から覗く肌には、あちこち痣ができている。

「ぜ……ゼロのルイズの使い魔が勝ったぞー!」
「うわあーっ! どうしたんだよギーシュー!」
「何者なんだあいつー!」

 生徒たちが熱狂して喝采を上げる中、ルイズは本当に勝っちゃった、とぼんやり思った。ただの平民なのに。
 いや、ただじゃなかった。魔法を使う平民。平民なのに魔法を使える。
 自分は、貴族であっても使えないのに。

 ――またそんな嫌なことを、と思った。

 頭を抱えて首を振りたい。大声で叫びたい。
 そんなことを考えるのはもうたくさんだった。

 もういいと思った。彼は凄い使い魔だ。言動がおかしいのは目をつぶろう。彼が魔法を使えるのは凄く悔しい。体が震えている。何で、と思う。でもそれもいい。そんなことを考えていると、さらに悪い場所へずぶずぶ沈んでしまう。
 謝って対応もよくしよう。謝る。謝らないといけない。謝らなければいけない。
 何度も何度も心の中で繰り返すと、少しだけ覚悟がついた気がした。

 生徒達が熱狂して喝采を上げる中、ムスタディオがゆっくりこちらに歩いて来る。数歩先で立ち止まった。
 覚悟はついた気がしたのに、ルイズは彼の顔を見上げられない。ただ一つだけ、まず労いの言葉をかけようと思った。

「あんた、よくや」

 ったわねと言おうとしながら顔を見て。
 あれ、と思った。

 ガラス玉みたいな目だった。
 何か、彼と自分との間に温度差が、決定的な温度差が。
 反射的に口がごめんなさいと言いかけて、でもその前に、

「口だけじゃなかっただろ」

 その言葉を聞いた。

 ――気がついたら腰が抜けて、地面に座り込んでいた。

 ムスタディオはルイズに手を貸さない。見向きもしていない。
 彼は少しだけびっこを引きながら、誰の手も借りようとせずに人垣に向かって歩き去っていく。

 もう仲直りなどできないところまで来てしまったのだ、という思いが腹の底でゆっくり、確信的な確かさで回りはじめている。

 キュルケとタバサがやってきて引っ張り上げられるまで、ルイズは立ち上がれずにいる。


   ◇


737ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:15:37 ID:xQr1V3L8
『遠見の鏡』に、二人の男の姿が映っている。
 杖を突きつけるムスタディオと、地べたに座り込んで降参を宣言するギーシュ。
 コルベールは、やや戸惑いながらオールド・オスマンの名を呼んだ。

「オールド・オスマン」
「うむ」
「ブナンザ君が、勝ってしまいましたが……」
「うむ」

 妙な沈黙に包まれた。コルベールは掌に汗をかいているのを感じた。
 何故だか分からないが、お互いがお互いの出方を探っているような気がする。

「ミスタ・コルベール」

 穏やかに口火を切ったのは、オールド・オスマンだ。

「君はあの使い魔についてどう思う? 確か君は、彼のリハビリを指導していたんじゃろう?」
「ああ、はい……ブナンザ君、彼は不思議な青年ですな。我々が見たことも聞いたこともない遠方より召還されたと言っておりました。こちらとは少し異なる文化が発達していたようで、機工学という技術に携わっていたようです」
「機工学とな。それはどういうものなんじゃね?」
「はい、何でも今は失われた技術だとか。
 彼の国では、古代においてはおびただしいフネが空を埋め尽くし、街にはからくり仕掛けの人間が闊歩していたそうなのです。
 古代の遺跡を発掘し、それらの残骸を掘り起こして復元する。利用できるものは生活に取り込む……彼がやっていたことはそういうものだそうですな。とはいえ、まだ市井には浸透しておらんようでしたが。
 ああ、そういえば彼は、その技術を用いた武器を持ってきたと言っていましたな。
 もしかしたら、あの無骨な杖にも何かからくりがあるのかもしれません」
「ほう、それはまた、おとぎ話のようじゃのう」

 オスマンの目が細められ、眼光が増す。しかしそれにコルベールは気付かなかった。
 それより訂正したい言葉をオスマンが口にしたからである。

「お言葉ですがオールド・オスマン、おそらく彼からすれば、始祖ブリミルの話だっておとぎ話のように聞こえるでしょう」
「ほっほ、君は研究熱心じゃの。いや、言ってみただけじゃよ」

 オスマンが眉毛をひょいと上げた。
 その途端学院長室に沈んでいた嫌な雰囲気が消えた気がして、コルベールは内心ほっとした。

「全てが誠とは思えんし、全てが嘘とも限らん。慎重に判断する必要があろうて。
 わしはの、何か彼については一面的な判断を下してはいかん気がしてならない。
 彼はガンダールヴなのか。いやそもそも何者なのか。
 ――もう少し様子を見ることにしよう」
738名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:16:38 ID:j5KXk/yC
しえん
739ブレイブストーリー/ゼロ:2008/02/15(金) 21:16:58 ID:xQr1V3L8
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。

色々期待してくだすってたみたいなのに、
戦闘シーンつまんなくなってスマソ(´・ω・`)
740名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:18:01 ID:i42wk9ob
乙! そしてエロス!
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:21:25 ID:66BEH1Hh
>>739
投下乙です
決裂フラグ立っちまった……
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:24:14 ID:j5KXk/yC
別にルイズにへーこら頭下げなくとも自活できる技能あるしなあ
743名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:24:53 ID:a+qKqdIJ
エロス乙。
このまま欝展開が続くのか、それとも後のイベントで仲直りフラグが立つのか・・・
744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:28:38 ID:KJ8l5lcQ
エロスエロス言わないであげようよ乙
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:32:35 ID:woYRFyyj
エロの使い魔乙
746名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 21:33:09 ID:66BEH1Hh
>>742
確かに自活は出来るけど、聖石が見つかってないから学院を出てはいかないだろうね
あとムスタディオが貴族を目の仇にする逆アルガス化が起こりそうな気がする
747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:02:56 ID:rW7oqEFC
エロス乙であります
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:11:45 ID:SfgySIHP
エロって言うなああああっ!

あ、乙っす!
749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:13:42 ID:nBlpKeZF
三体のロボットZZ1号・2号・3号がルイズに召還されました
750 ◆ZeroMa862I :2008/02/15(金) 22:17:27 ID:0u3ZkJ8X
てすつ
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:22:27 ID:b9U26HXw
おつかれさまー。
確かに、飛び道具を持っている時に回りに野次馬がいたなら躊躇してしまいますね。
もしかして野次馬が居なかったならギーシュに死亡フラグが立っていたのかもしれない。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:24:50 ID:cuhuNOBq


このままだとブレイズガンがフーケに狙われそうだ
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:29:19 ID:3ASJZzWX
つーか前回ラストで既に獲物リストに追加されてなかった?
何はともあれブレストゼロ氏にGJと続きへの期待を捧げたい。
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:31:34 ID:tr9nYCZg
>>717
ゼロが作るのは「本物」だぞ。
本物を二つ並べて「本物は一つでいい」ってぶっ壊すのがお約束。
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:34:41 ID:O6oJ18Cq
聖なるかなよりナルカナ様召喚

当然4人目で…
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:38:22 ID:hKrilc+m
>>754
デルフをもう一個作ったりしてな…
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 22:58:58 ID:rAmIcrlo
ローゼンリッター連隊とかどうだろうか
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:00:34 ID:O6oJ18Cq
シェーンコップは不味い
ブルームハルトにしておくんだ 奴なら結婚するまで女に手を出さない紳士だ
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:02:30 ID:P67Z8qfA
>756
デルフ「ちょっとまて。おれはほんもの、うぎゃあああああああ」
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:04:31 ID:v21nBSRk
ならリューネブルクとかどうだ?
リンツとか
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:05:25 ID:yaEtlj4R
>>754
「ミスタ・ゼロ!始祖ブリミルの使い魔の謎を解いて頂きたい!!」
ゼロ「承知した――!!」
こうですか分かりました
>>758
ブルームハルト結局童貞のままヴァルハラに行ったんだよな(´・ω・`)
ヴァルハラは帝国だなんて言葉は聞かない
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:06:06 ID:0BXre9hZ
生き汚い砂坊主召喚
裏切りそうだけど
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:12:35 ID:o3gfPUoB
真っ先にキュルケの下に走るなw
764虚無を担う女、文珠を使う男:2008/02/15(金) 23:22:08 ID:Mv9MGcLa
ちょっと短めですが、第5話が出来ましたので投下予約したいと思います。
5分後くらいでいいですか?
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:23:08 ID:xQr1V3L8
支援準備ー
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:24:43 ID:Nqh3c/iN
しーえんしーえん
767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:29:28 ID:nBlpKeZF
幽遊白書から浦島
768虚無を担う女、文珠を使う男-05 1/3:2008/02/15(金) 23:37:24 ID:Mv9MGcLa
すみません、PCトラブってました。 では投下開始。

第5珠 〜意外なる伏兵〜

横島とギーシュが決闘を始めるその少し前。

トリステイン魔法学院の学院長であるオスマンは、召喚の儀の監督責任者であったコルベールと密談を交わしていた。
コルベールが調べた所によると、ルイズが召喚した使い魔に刻まれているルーンは、どうやら「ガンダールヴ」の物らしい。
ガンダールヴとは、始祖ブリミルが従えていた4体の使い魔のうちの1体であり、あらゆる武器を使いこなす事が出来たと言われている。
今となっては伝説の存在であり、記録もほとんどが失われている。今述べた事でさえ、子供向けのおとぎ話くらいにしか載っていない、怪しい話なのだ。

「まだまだ分かっている事も少ないですが、早急に報告書を作成して王宮に連絡するべきかと」
「分かっている事をまとめるのは大いに結構。じゃが王宮への報告は控えるべきじゃとわしは思うがね」
「は? と言いますと?」
「彼の事はわしも幾らかは聞いておる。ミス・ヴァリエールについては、わしも気にかけておったからな。それによると、彼は少々変わっているとはいえ、普通の人間だったと言う事じゃが?」
「で、ですが現に彼は不思議な力を用いて武具を召喚? しております」
「その報告も聞いておる。じゃが、彼はコントラクト・サーヴァントをする前からその力が使えたのじゃろ? ならばその力は、使い魔になって手に入れた物ではあるまい」

ガンダールヴであるかどうかはまだ判断できない、と話を続けるオスマン。
曰く、メイジの実力と使い魔の実力は表裏一体。ミス・ヴァリエールが伝説と呼ばれる使い魔を召喚出来るか、と考えると疑問に思わざるを得ない。
曰く、彼はそもそも伝説どころか、使い魔である事すら信じにくい。忠誠心も無さそうであり、ルーンが刻まれているがために、辛うじて使い魔と判断しているだけである。
さらにコルベールにとって意外だったのは、仮に本物だったとしても、王宮への報告はするべきではない、という話だった。

「彼のような者が伝説じゃったと知れてみい。威厳もへったくれも無くなってしまうわ」
「は、はぁ」
「と言うのは建前じゃ。万が一王宮がガンダールヴなんぞ手に入れたら、愚かな真似をするに決まっておるわい。
君なら良く分かると思うがの。わしはミス・ヴァリエールから使い魔を取り上げるような事はしたくないのじゃ」

結局、件の使い魔については、独自に調査を行い、問題が発見されるまではオスマンとコルベールの二人だけの秘密とする事になった。
そうして、コルベールがオスマンの配慮にいたく感心しているところ、学院長室のドアがノックされた。

「ロングビルです。学院長、お伝えしたい事があるのですが…」

やってきたのは、横島から決闘の事を聞いたロングビルだった。
手短に決闘の件を聞かされたオスマンは、「どうせ大した事にはならんじゃろ。放っておけ」と言い放った。

「何せ、コルベール君からの報告の通りなら、使い魔の彼はドットメイジ程度の魔法ではどうにもならなさそうじゃしな。のう、コルベールや」
「その通りですぞ! 何せ彼はガンダ…」

ロングビルに自分の発見を伝えたく、先ほど決めたばかりの事を思いっきり無視した話をはじめようとするコルベール。
美人である上に独身であるロングビルと、何とかお近づきになりたいが故の事だったが、いくら何でもこれは無い。オスマンがあわてて会話を遮る。

「君は何を言っているのかね。わしが言っているのは、召喚の儀の際に確認された、彼の異常な生命力の事じゃよ」
「あの… ミスタ・コルベール? 今、何を言われようとなさったんです?」

オスマンとコルベールの態度に不審を感じたロングビルがそれを聞き出そうとするが、その目論見は次のオスマンの言葉であっけなく崩れてしまう。

「あー、ミス・ロングビルや。そんな事よりもっと大切な事があるんじゃが」
「え? 何でしょうか?」
「前々から言うておる事じゃが、たまには黒もいいもんじゃぞ」

一瞬、ぽかんとした表情をしたロングビルだったが、素早く辺り(主に足元)を見回す。
1匹のハツカネズミが逃げ去っていくのを確認し、オスマンが話の最中にも関わらず、使い魔を使って自分のスカートの中を覗いていた事に気づく。

769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:39:17 ID:55zz7nBL
しえん
770虚無を担う女、文珠を使う男-05 2/3:2008/02/15(金) 23:40:19 ID:Mv9MGcLa
「が、学院長!? 今度やったら許さないって言いましたわよね!!」

そう言いつつ、ちょうど手に触れる位置にあった飾り皿を思いっきりオスマンに向けて投げつけ、「ヴェストリの広場へ行ってきます」と出て行ってしまった。
ぶつけられた箇所をさすりつつ、魔法で割れた飾り皿を元に戻すオスマン。

「どうせ減るもんでもなし、そんなに怒らなくたっていいとは思わんかね、コルベール君」
「学院長、あなたは毎日こんな事やってるんですか」

コルベールは、「同意を求められても困ります」というような表情をしている。

「まぁちょうどいい機会じゃ。少し様子を覗いてみるとしようかね。君も興味があるじゃろう。
彼の能力の確認が出来るじゃろうし、ひょっとすると、ガンダールヴかどうかの判断の足しにもなるやもしれんな」

そう言って、オスマンはヴェストリの広場を確認する為に、遠見の鏡を準備したのだった。


一方、現場のヴェストリの広場。
3体のワルキューレを相手に横島が逃げ回っていた。

「いやいやいや、手加減してくれていいから、いや、ほんと」

軽口を言いながらも、頭の中は焦りで一杯になっている。
何合か斬り合って分かった事は、結局今の自分の霊波刀(ハンズ・オブ・グローリー)ではワルキューレを壊すのに時間がかかりすぎる、という事だ。
壊す事に注意を回すと、他の2体への対処がおろそかになる。やはり、もう少し近づいた上で、何とか隙を作って杖を奪うしかないか…
と思っていると、都合の良い事にワルキューレ達の動きが急に鈍った。

チャンス!?

とギーシュに目を向けると、詠唱と共に杖を振っている。
通算5度目の『錬金』。対象は… まさに横島の足元にある1枚の薔薇の花びら。

(た、頼むぞー 効いてくれ!!)

その次の瞬間、ギーシュ・横島ともに掛け声をあげる。

「『錬金』!」
「サイキック・猫だまし!!」

横島の足元よりさらなるワルキューレが生成されるとともに、横島の周囲を強烈な光が包み込む。
手に霊力を纏わせた状態で柏手をうつ、ハンズ・オブ・グローリーの応用技だ。
本来柏手とは場を清める為に行う物であるが、横島はこれを主に目潰し技として使っている。
柏手の音と共に、手に纏った霊力が拡散するのだが、その際に発光する現象を利用するのだ。霊力を使っている為、視覚の代わりに霊覚(霊的な感覚)を使っている相手にも効果がある。
唯一の懸念は、霊的発光現象にすら影響されない視覚をワルキューレ達が持っている事だったが…
幸いにもそれは杞憂だったようで、ワルキューレ達の動きは、まるで目が見えていないかのようにバラバラになっている。

「今だっ! ハンズ・オブ・グローリー 手甲バージョン!!」

ワルキューレ達が戸惑っている隙に、ギーシュへ向かって走りながら、再びハンズ・オブ・グローリーを使う。
だがその形状は刀剣ではなく、右手全体を覆う手甲のようなものであった。
それを確認したギーシュが、自分の側へワルキューレを呼び出そうとしていたが…

「伸びろー!!」

霊力で出来た指部分が、まるで触手のようにギーシュへ向かって伸びる。

「う、うわぁ!! 化け物っ」

触手のような物が横島の右手から生えているのを見たギーシュは、今までの決闘を台無しにするような情けない声をあげて、ぺたりと座り込んでしまった。
771虚無を担う女、文珠を使う男-05 3/3:2008/02/15(金) 23:42:53 ID:Mv9MGcLa
「だーっはっはっは。どうだ怖いか…ってちょっと待てっ! 化け物呼ばわりは無いだろ!? これは俺が初めてまともに使えるようになった由緒ある霊能なんだぞ!!」

失礼な事を言うギーシュに、指をうねうねさせながら近づく横島。
がたがた震えながら後ずさるギーシュ。

「そ、そんなの嘘だ! レイノウだか何だか知らないが、そんなおぞましい姿した奴の事なんか信じられるか!!」

パニックになりかけているギーシュの様子を見て、精神にダメージを負う横島。
仕方がないので、ハンズ・オブ・グローリーを解除しようとしたその時、意外な人物が現れた。

「あなた達、いつの間にそういう趣味に目覚めたの… って、フレイム!!」

声の主は、キュルケだった。「キュルケさん、わざわざ俺の為に」と飛び掛ってきた横島の相手をフレイムに任せた彼女は、まだ話が出来そうなギーシュから事情を聞く事にした。

「ふーん。ルイズの使い魔と決闘ねぇ。私はてっきり、あなた達がそういう趣味に目覚めたのだと思ったわよ」
「き、君は何を言っているのだね。そんな事あるわけがないだろう」
「まぁ… それもそうね。さすがに私もあれはどうかと思うわ」

キュルケが横島へちらりと視線を向けると、フレイムの炎に焼かれて煤だらけで倒れている横島がいた。

「そういえば、君はなんでここにやって来たんだい? こんな所、滅多に人も来ないと思っていたんだが」
「さっき爆発音が聞こえたのよね。てっきりルイズが魔法の練習でもしてるのかと思って」
「君も飽きないねぇ。毎日のようにルイズの事をからかってるのは知ってるけど、わざわざこんな所まで出張ってくるなんて」

ギーシュの言葉を聞き、少し沈んだ顔になるキュルケ。

「それなんだけどね。今日はちょっとそういう気分じゃないのよ。あんなルイズからかったって全然面白くないわ。
折角使い魔を呼び出してメイジとして歩き出したと思ったのに、その使い魔をいらない、と言い出すんですもの、もうダメかもしれないわね」
「それは僕も聞いたがね、言うほど悪い使い魔じゃないんじゃないかな」

そう言って決闘前のやり取りから含めて、説明するギーシュ。

「本当にそんな事を言ってたの? 全然そうは見えないけど」
「まぁ何だかんだ言って、彼も使い魔だって事だと思うよ。それなりに腕も立つみたいだしね。正直言って、ワルキューレを合計5体も投入してケリが付かないとは思わなかった」
「でも、本心でそう思ってるなら、ルイズもあんな事言わないと思うんだけど…」
「どうせルイズの事だから、意思疎通も出来てないんじゃないか?
彼女の性格なら、決闘なんて普通は認めないだろうに、ここに現れる気配もないしね。
視覚共有だって出来てないんだろう」
「それは十分あるかもね…」

二人が話していると、そこへロングビルがやってきた。
横島については自分が医務室へ運ぶから、二人には授業へ向かうように、とロングビルが言う。
言われてみれば、そろそろお昼休みも終わる。二人は素直に横島の事をロングビルに任せると、授業の準備へと向かっていった。

ちなみに、途中から決闘の様子を見ていた学院長室では、オスマンとコルベールががっかりしていた。
ドットメイジの作るゴーレムに追い込まれ、ピンチを抜け出したのは武器の力ではない。あげく、目標を放りだして女生徒にモーションをかける。
ただの平民でない事は確かで、その上召喚主がきちんと手綱を取れていないだけに、そのままにしておくわけにもいかない。
問題点を挙げてみて、改めて深くため息をつく二人だった。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:45:43 ID:TDcmuUlt
まあ、なにも知らんと不気味かも(名前の元ネタは確かにアレだし)支援
773虚無を担う女、文珠を使う男:2008/02/15(金) 23:46:02 ID:Mv9MGcLa
今回の投下は以上になります。
支援ありがとうございました。
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:46:18 ID:wW5waG+R
投下乙
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:46:22 ID:FbrhvZJo
支援します
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:47:43 ID:dttZG5BB
またお前か
巣に帰れ
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:56:58 ID:/pcsP1Z0
投下乙です
本来見せ場であるギ−シュ戦が地味に終わった・・・w
なかなか女運に恵まれそうも無いなw
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/15(金) 23:57:27 ID:nBlpKeZF
しかしワルドは本当にあやしい人相だなぁ
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:04:09 ID:6a5/oloK
支援
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:06:28 ID:6a5/oloK
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:08:30 ID:4yoCFhyj
シルエットミラージュのシャイナか
サガフロ2のギュス様かジニーで話を考えてるけど
まったくまとまらん
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:10:05 ID:YwoN3zAL
ヒドラの市召喚!
ギーシュ戦であの迷台詞が爆発!
とかどうよ。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:12:59 ID:LnmAWLI3
>>782
市「勝負は顔で決まるざんすよ」
ギ「君に言われちゃおしまいだよ……」
784名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:21:54 ID:i0PAZNAV
デスマスクだろ
785名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:25:47 ID:bicHT1Sb
スレで天地無用の話題やってたからすっげー懐かしくなって、天地関連の昔買ったOVAやら
小説やら漫画を押入から引っ張り出して見直しているんだが、改めて思うがスゲーなこの作品。
今現在数多のアニメや漫画で表現されてるありとあらゆる、所謂“萌”要素みたいなものが
ギッシリと詰まっている。
それが15年前の作品であるにも関わらず、色褪せるどころむしろ新鮮とすら感じられる事に
ちょっと驚愕してる。
この時代、こんな作品があった事自体奇跡に近いんじゃ無い?

自分もそうだが、この作品のせいでこの道に転んでしまった人間が沢山いるっていう話も頷ける。
786名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:28:02 ID:iBGmYfVc
>>782
市でも単独で7万全滅させられると思う。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:30:13 ID:8l7zLp0N
ここは一つシジフォス召還して
ハルケギニアでの日々は夢界に囚われている間に見た夢って事で(マテ


今ならハスガード師匠とかマニさんとか召還しがいの有るの多いな

でもチャンピオン繋がりでヴォルケンか雑魚達の召還とかも良さげな気が……
788名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:33:40 ID:eEFP1E4m
真面目にやると戦車と正面からどつき合える強いんだよな。
>ヴォルケン

ザコってどれぐらいの強さだろ?
一般人よりは強いんだっけ?
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:34:12 ID:YwoN3zAL
>>786
毒の使い手だしかなりやばいかもね。
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:35:12 ID:U/9QXX/M
>>781
やはりデルフ使うのは嫌がるかなギュス様
ジニーは「杖とはこうやって使うのだ!」とかやりそうだけど
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:35:13 ID:oFfZnnZi
>>787
チャンピオンならヘイト
ゼスモス+ガンダールヴで地面に腕の断面押し付ける→石の腕を作ってガンダ補正かけながらブン殴る
とか
そういえばエレセロスってヴィンダールヴ?
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:39:34 ID:ysJbLs68
>>781
シャイナ姉さんは強過ぎだぜいくらなんでも
おそらくパラサイト無しだろうと鬼畜
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:40:47 ID:IYsxkfyG
ギュスの場合は不思議パワーじゃなくて
自分で研ぎそうだな>デルフ
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:45:34 ID:GkAnPzwy
ヴォルケンと聞いたらヴォルケンリッターに自動変換される俺
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:48:18 ID:3L29wvmA
>>791
ヘイトは苦戦しそうだなぁ
強い憎しみを持つ対象が無い
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:49:55 ID:gWdi8JdK
むしろ復習を中断された憎しみの矛先がルイズにいくことは間違いない
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:51:48 ID:8l7zLp0N
>>788
腹ぶち抜かれてても戦車ひっ返せるしシリアスモード入れば戦闘力はかなりのモノ
ついでに剣の名手で怪人だし爆発には相性が良い(いつも喰らっている的な意味で)

雑魚はマイティにガチで勝てる程度には強い……と言うかマイティが弱すぎるんだけど

取り敢えず首落とされて壁に飾られても雑談できる程度にトンでも。


……何故か十市召還を妄想したらエリカチックに餌付けされるタバサの姿が連想されたんだ……ゆるゆるセーターにブルマぁな姿で。
798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:54:40 ID:qUNA47JO
ギーシュとの決闘の際の台詞は
「貴族だろうが品格のない奴はただのごろつきだ・・・」
だな>ギュス様
799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:57:00 ID:4yoCFhyj
>>792

パラサイトが無いと攻撃手段が無い…
いやカツアゲとかリフレクターはあるけど
800名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 00:59:48 ID:ysJbLs68
>>799
生身の人間がシャイナに殴られたら普通に死ぬと思うよ

どうでもいいけどデルフはパラサイトっぽいよなwww
801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:04:36 ID:vYYkxqtB
シャイナさんときくとサンダークロウしか思い出せない
802名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:12:02 ID:3L29wvmA
関係ないけど
「シャドウ・バイキング・タイガークロウ!!」
ってのを思い出した
803名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:14:22 ID:++Bq6Aoe
アルコルかよ
804名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:18:41 ID:+a2y6bUG
皆さんGJです。

ここ見てるとなんだか自分も書きたくなってくる不思議。
そんなんで、アレコレ練ってて思いついたのが、マイナー鬱小説バイトでウィザードから兄殺しの妹とか先の無い兄とか。

妹なら毎回振り回されて、死んだり死に掛けたりしながら虚無に目覚めるルイズとか。

兄ならルイズたちとの交流で心を癒されながらも、それゆえに体のことを打ち明けぬまま戦い、散ってゆく姿とか。

でも、ハルケギニアじゃ術が使えない。
どうしたもんかな。
大規模設定改変じゃ風呂敷畳め切れないし。
805名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:25:00 ID:NuKUysf8
ガンダールブ=神の盾
って事で「神の盾」ヨゴを召喚。

……まぁ、ヨゴがルイズを認めるかどうかは別問題だが
806松下:2008/02/16(土) 01:26:15 ID:0SsdrhiT
ああ今晩は、松下だが。
しばらくぶりに、幕間をひとつ投下しに来たよ。
よろしいかな?
807面白かったので転載:2008/02/16(土) 01:27:45 ID:vYYkxqtB
604 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/15(金) 21:45:34 ID:SMB9k9zi
   , ´  ̄`ヽ  
   ! . ノベ)ソ)  
  从(!゚ ヮ゚从  
    ([l蟹l]⊃ 
    く/_|〉  
     UU   
>80さん
 ま、ネタばれになってしまいますが、なのはさんは基本的に挫折を知らない天才で、生まれてからこのかた
挫折ばかりであったフェイトちゃんの内面を理解できていないんですよね。で、フェイトちゃんは母親との
関係がアレでしたから、母に捨てられた後、精神の安定を保つために依存の対象としてなのはさんにすがりついた。
 旗から見ると夫婦だろ、みたいな関係は、無自覚かつ一方的な依存関係なわけです。
 で、フェイトちゃんの精神はそれによって一層病んでいき、なのはと部署が別れた事で、病んでいた部分が
一気に噴出したわけです。というわけで、自分が母親に扱われたようにヴィヴィオを育てようとして、親子仲が
悪化していった、と。

 なのはさんとフェイトちゃんの関係が、友情ではなく依存であるとフェイトちゃんが気がつくとき、それがあの
物語のラストシークエンスですね。
808面白かったので転載:2008/02/16(土) 01:31:19 ID:vYYkxqtB
途中送信した

どうやら

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part108
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202009376/466

の作品らしい
ここに投下されなくて良かった
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:31:56 ID:ysJbLs68
マツシタ支援
では、投下しよう。幕間といっても本編みたいなもんだが。


「ふうーッ……もうじき、降臨祭か……」

グラモン元帥の四男ギーシュ・ド・グラモンは、士官用宿舎の窓辺で、溜息をひとつついた。
ここはアルビオン大陸南部、古都シティ・オブ・サウスゴータ。
人口は四万を数えるアルビオン有数の大都市で、サウスゴータ地方の中心都市でもある。
先日連合軍によってクロムウェルの共和制政府より解放され、始祖降臨祭の準備で賑わっている。
その戦いでは、このギーシュも活躍したのだった。彼は戦闘の様子を回想する……。


この都市は、始祖ブリミルが最初にアルビオンへ降臨した場所であり、小高い丘の上を利用して建設されている。
円形の城壁と五芒星形の大通りを有し、観光名所としても知られている歴史ある街だ。
連合軍が上陸したロサイス港と、首都ロンディニウムを繋ぐ街道の中間点にあり、古来交通の要衝として栄えてきた。
ここを抜けば、アルビオンの南部を制したに等しい。

連合軍6万人の軍需物資は、豊富とは言えせいぜい6週間分。
最初から長期戦は不可能な話であり、短期決戦で一気に首都を攻略する腹積もりであった。
それに一年の初めに当たる始祖降臨祭、ヤラの月の初日から10日間は、宗教上休戦せねばならない。
ゆえに、このウィンの月いっぱいで戦争にメドをつけねばならないのだ。
しかし、ロサイスに上陸してから10日あまり。総司令官ド・ポワチエ将軍は、軍議を続けていた。

「かなり警戒しておりましたが、激しい抵抗はあれっきりですな。時間と兵糧を無駄にしてしまいました。
 ロンディニウムに籠った敵は、まだ動きません。籠城戦の構えかと」
「ふむ、しかし我が方もアルビオンの南部全域を抑えれば、どうにか補給はできよう。
 ロサイスの戦いで敵艦隊に大被害を与え、空は制した。ひとまずこの都市を攻略する事に全力を注ぐのだ。
 ウィンプフェン参謀総長、周辺の鎮撫は進んでおるかな?」

「ええ、地域住民は連合軍の味方です。クロムウェルたちは無理な清貧を民に強制し、
 蛮族や亜人を派遣して食料を略奪させたようです。民心はすでに、敵側から離れているのが実情ですな」
「よおし、明後日より攻撃を開始するぞ! 艦砲射撃で大砲と城門・城壁を崩しておけ!
 一番に突入した部隊には、立派な勲章を授与してやる!!」

かくして、上陸から15日目。ようやくシティ・オブ・サウスゴータ攻撃が開始されたのである。
その頃、シティ・オブ・サウスゴータでは、亜人どもによる略奪と破壊の限りが尽くされていた。
アルビオンの北部、ハイランド(高地)地方に棲むオーク・オグル・トロールといった鬼たちだ。
巨体怪力で山のように食物を喰らい、棍棒で人間を叩き殺すのが趣味という物騒な奴らである。
そしてシティの中心部、市議会庁舎には、さらに異様な存在が二体いた。

青く輝くヒトデのような怪物は、ソロモンの72の霊の一柱、『五芒星の侯爵』デカラビア。
獅子の頭から五本の山羊の脚が突き出た怪物は、同じく『星辰の総統』ブエル。
共に医術や秘薬の知識に詳しく、多くの使い魔を操る魔神だが、彼ら自身にさして戦闘力はない。
亜人の多い占領軍を抑えるための雑魚悪魔である。

「ああ、この都市は『霊脈』がよく通っていて、心地よいのう。わざわざ五芒星の結界まで張ってあるし」
「ほんにのう。まぁ、まずは人間どもをこの街に引き入れて、エサにしちゃろうぞ」
「亜人どもは血肉を食らうじゃろうが、わしらには魔力の高いメイジの霊魂がご馳走じゃ」
「あやつらの死骸は、秘薬の材料にもなるぞい。ひひひひひ」

城壁の外では、戦列艦による艦砲射撃が終わり、朝もやの中を兵士たちが突撃してくる。
松下率いる『千年王国』軍団は、別働隊として市内上空を『魔女のホウキ』に乗って飛び回る。
彼らは魔法や銃弾を放ち、頭上から亜人どもを始末しているのだ。
時々飛んでくるバリスタの巨大な矢は、メイジたちが協力して撃ち落す。

「……これは、見事な五芒星の結界だな。うかつに踏み込むのはやばそうだ」
「伝説によれば、始祖ブリミル自らが設計したそうよ。本当かどうか知らないけど」

松下とルイズは、高みに立って地上を見下ろしていた。
五芒星、ペンタグラムは『明けの明星』や霊魂、人体という霊的小宇宙を表す重要な図形だ。
東洋では陰陽道において五行を表すシンボル、晴明桔梗紋(セーマン)として知られる。
完全数たる四に一を足した、変化と転変の数。魔法学院の塔と同じく、四大系統と虚無を表すのだろうか。
あるいは周囲の円形の城壁こそ、『大いなるゼロ(0)』を象徴するのかも知れない。

「一番槍に興味はないが、あの中心部に聳えるひときわ高い建物に、怪しい気配があるな。
 『占い杖』も反応している。青色と銀色のオーラが立ち昇っているのが見えるかな?」
「なんとなく、見えるわ。あれは確か市議会の庁舎だし、そいつらが亜人を指揮しているのかしら。
 そうね、頭を潰せば……でも、私は今、あんまり『虚無』の魔法が撃てないわよ」
「ふむ、偵察を出すか。どんな奴か分かれば、対策は立てられる」

メイジの一人が使い魔のカラスを飛ばし、庁舎内の偵察をした。やがて彼は、情報を松下に伝える。
「おっ、あれは第四使徒のギーシュじゃないか?」

ふと城壁の方を見やると、ギーシュ率いるグラモン中隊、総勢150名が突入を始めている。
案外手際よく、20ほどのオーク鬼の集団を片付けていた。
ギーシュの指揮が上手いというより、副官のニコラという軍曹が戦慣れしているお蔭だったが。
やがて崩れた櫓の一つに、薔薇と豹をあしらったグラモン家の旗がひるがえった。

「へーえ、凄いわ! 一番槍じゃない! 私たちも負けていられないわ、手柄を立てなくちゃ」
「そうだなあ、ここはひとつ、彼と協力しようか。第二使徒シエスタよ、あの中隊に連絡してくれ。
 敵の大将は市議会の庁舎にいる、我々『千年王国』教団がご案内しよう、とね」
「分かりました、『我らのメシア』!」
「さあルイズ、ホウキ部隊を呼び集めよう。地上戦に移るぞ」

総勢1000名の『千年王国』軍団はグラモン隊と合流し、大通りを市議会庁舎に向かって進撃する。
襲い来る亜人や敵兵を踏み潰し、大通りに面した建物を次々と制圧し、
一同は聖歌を高らかに歌いながら行進する。市民は歓呼して『解放軍』を迎え、花を撒き散らした。

「こ、これが勝ち戦か! ぼかあ今、猛烈にカンゲキしている!(わなわな)」
「うはははは、初陣で幸先がいいですぜ、グラモン中隊長!」
「諸君、これは『千年王国』を築くための緒戦に過ぎない。
 共に団結し共に攻め、地上に天国を、万民に自由と平和をもたらそう!」
「はははは、何だか知らねえが景気がいいや、『千年王国』バンザーイ!」
「戦闘というより、凱旋式みたいね……気分がいいわ、みんなもっと歓声を!!」

《群衆の多くの者は上着を道に敷き、他の者たちは葉のついた枝を野原から切って来て敷いた。
 そして、前に行くものも後に従うものも、共に叫び続けた。
 『ホサナ、主の御名によって来たる者に祝福あれ!
  今来たる我らが父祖、ダヴィデの国に祝福あれ!
  いと高き所に、ホサナ!』》
   (『イエスのイェルサレム入城』:新約聖書『マルコによる福音書』第十一章より)
ぶおおーーーーっ、という角笛の音が、市内に響き渡る。悪魔デカラビアとブエルの全身に悪寒が走った。

「な、何じゃ? このビビビと体に響く、いやな音は?」
「あ、あれじゃ! 来おったぞ、『東方の神童』が!」

松下は自ら嚠喨と角笛を吹き鳴らし、市内の住民に『解放者』の到来を告げていた。
何万という大軍が続々と城壁を越えて攻め込むや、市民も隠し持っていた武器を手にして総決起し、
連合軍と協力して亜人どもをそこかしこに追い詰め、掃討していく。
市議会庁舎から見下ろすと、黒い大波が押し寄せてくるようだった。

「ははははは、これぞ『神の笛』だ! さあ市民諸君、暴虐を働いてきた敵兵をことごとく滅ぼし、
 この町を清めよう! 大いに叫べ、ハレルヤ、ホサナ!!」

 「「HALLELUJAH!! HOSANNA!!」」(神様万歳!! 救いたまえ!!)

「わしの家は叩き壊されたぞ!」「私の子供は食べられちゃったわ!」
「俺の嫁は凌辱されちまった!」「メシもカネも略奪されたぞ!」
「清めろ! 聖(きよ)めろ!!」「降臨祭の前の大掃除じゃあ!!」
「打倒、クロムウェル政府!!」「打倒、共和制政府!!」
「市議会庁舎へ向かえ! 占領軍の大将をぶっ殺せ!!」

まるで『ハーメルンの笛吹き』のように、松下の後ろには市民や軍勢が続々と集まり、中心部を目指す。
その数は130人ならぬ、数万人。松下はまた角笛を吹き鳴らし、士気を高める。

「あっぐ、く、苦しい! この音はたまらぬ、まるで『ソロモンの笛』じゃ!」
「い、いかん、早く逃げ出さんと、リンチにかけられて嬲り殺されるぞ!!」

《そこで民は呼ばわり、祭司たちはラッパを吹き鳴らした。
 民はラッパの音を聞くと同時に、みな声をあげて呼ばわったので、石垣はみな崩れ落ちた。
 そこで民はみな、すぐに上って町に入り、町を攻め取った。
 そして町にあるものは、老若男女も牛も羊も驢馬も、ことごとく剣にかけて滅ぼした》
  (『エリコの陥落と聖絶』:旧約聖書『ヨシュア記』第六章より)
814名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:39:09 ID:++Bq6Aoe
他スレ絡みの情報だが8.5kBを投下量が超えると
支援関係無く規制に放り込まれるようだ
正時(00分)過ぎると容量カウントも規制も解除らしい
サンプリング条件が足りないのでまだ未確認ながら
留意した方が良さそうな参考情報
支援
815名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:39:17 ID:vYYkxqtB
支援
「それ、市議会庁舎に攻め入れっ!!」

うわーーーっと目を血走らせた大群衆が攻め入ったから、たまらない。
悪魔たちは空を飛んで逃げ出すが、どうしたことか庁舎の建物より高くは飛べず、城壁の外にも出られない。
松下は慌てふためく悪魔を嘲笑い、ホウキで飛びあがって魔法の縄をかけ、降伏を勧告する。
「ははははは、結界をぼくが利用して、外へ出られないようにしたのだっ。
 この都市の住民は、みなぼくらの味方だからな。さあ観念しろ、悪魔ども!」

「「お、お助けを、『悪魔くん』サマ!!」」
「サマはよけいだよ。どうせきみら悪魔は殺しても死なないんだし、
 ひとつ暴徒と化した民衆に嬲り殺されてくれないか? あれを抑えるにはそれしかないぜ」
「そりゃひどい! カミサマ、マツシタ様、お助け!」
「わ、わしらはあなたの手下になります! この都市もそっくり献上します!
 どうか民衆に執り成して、わしらばかりはお救いください!!」

『民の声は神の声』とは昔から言われているが、メシアに人民への執り成しを願った悪魔も、
そうザラにはいないだろう。そこで松下は、こう提案した。

「じゃあ、きみら自身の偶像をこしらえて、それを密かに身代わりにするんだな。
 そうしたらこの壷の中に大人しく封印されていたまえ。時が来たら出してやる」
「「は、はい! 『東方の神童』よ、感謝いたします!!」」

こうして、シティ・オブ・サウスゴータの攻略は、僅か1日で終了した。
悪魔どもが土の塵と藁でこしらえた生贄の偶像は、松下とギーシュによって破壊され、
集まった民衆の前で灰になるまで焼き尽くされた。
ド・ポワチエ将軍は彼らを英雄として賞賛し、多数の勲章を授与したのち、
翌日シティの中央広場において、共和制政府からの解放を宣言したのであった。

 「「連合軍、万歳!! 解放軍、万歳!!」」

集まった市民は、自由の回復を喜び、万歳をもってこれに応えた。
「……と、早々に片がついたのはよかったが……随分のんびりしているなあ、連合軍は」
ギーシュは、宿舎の窓から大通りを見下ろし、また呟く。

ここ、シティ・オブ・サウスゴータの解放が今月の半ば。しからばここに守備兵を5000も残し、
全軍をもってロンディニウムを包囲するのが、常道であろう。
ところが市内の食料庫や金庫はカラッポだった。やむなく連合軍は民心安定のため、食料などを市民に分配する。
もともとギリギリだった兵糧は、これで半分に減った。破壊された建物の修復などもやらざるを得ない。
ロンディニウムを包囲するには軍需物資がどうにも不足で、本国からの輸送を待つことになった。

そこへ、クロムウェル側から休戦の申し込みだ。期間は始祖降臨祭の終了まで。
両軍とも体勢を立て直す必要があり、トリステイン・ゲルマニア両国政府もやむなくこれを受諾。
シティ・オブ・サウスゴータは、復興特需と降臨祭の準備で、お祭り騒ぎの気分に満ちていたのだった。

「ああ、アルビオンはやはり寒い。3000メイルも上空の、高地だもんなあ。
 雪がちらついてきたじゃないか、白銀の降臨祭になるな」
熱いワインを啜り干しリンゴを齧りながら、ギーシュは呟く。あれから『英雄』としてさんざん祝勝会に連れまわされ、
エールの飲み過ぎで腹具合が悪くなったようだ。しばらく飲み会はキャンセルしよう。

宴席ではバッチリもてたが、戦地ゆえモンモランシーやケティに会えないのは、少し辛い。
大体アルビオンは料理も酒もいまいちで、女の子は美人でもみんなキツいのばかり。
ええい、本国からの慰問団はどうした。手紙のひとつも寄こしたってよさそうなもんじゃないか。
ああ、こっちから書くのを忘れていた。よし、ひとつ恋文でも書こうか。

と、ドアがトントンとノックされた。
「お、誰だい?」
「ゲルマニアの士官で、チェザーレという者だ。ミスタ・ギーシュ・ド・グラモンはこちらかな?」
「……何だ、男か。声は若いが、サインでも貰いに来たのかな。やれやれ、英雄は辛いヨ」
ギーシュは椅子から立ち上がると、金髪を櫛で整えてドアへ向かった。
「うっほん、どうぞ、入りたまえ」

しかし、ドアの向こうにいたのは、信じられないほどの美少年だった。満面の笑顔で握手を求めてくる。
「やあ、英雄殿、初めまして! ジュリオ・チェザーレです!
 ぼかあロマリア人の神官だが、ゲルマニアのブラウナウ伯爵に取り立てられてね、
 今はゲルマニア軍に属している。よろしく、ミスタ・ギーシュ」
「ああ、よ、よろしく、ジュリオくん」

彼の美貌と爽やかな笑顔、有無を言わせぬ勢いに、ついクラッと来たのはナイショである。

(つづく)
818松下:2008/02/16(土) 01:44:29 ID:0SsdrhiT
投下終了、支援感謝。
一気にサウスゴータ市が陥落しました。水木成分が戻ってきたかなあ。
ヴィンダールヴでもメイジでもない、ただのジュリオが出て来たが、何を企んでいるのでしょう。

では、また。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 01:48:13 ID:ysJbLs68

またブラックに……
820名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 02:00:26 ID:lVPM0W3I
ID:vYYkxqtB
なにこいつ?
821名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 07:05:47 ID:+yB7bwmK
誤爆か?スルーしとけばおk
822名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 08:21:09 ID:5pEVibZv
水木先生の大規模戦闘シーンというとみんなが両手を上にかざしながら
「うわー」と突っ込んでる映像しか頭に浮かびませんなぁ。

何はともあれ乙でした。 ねずみ男汁でもどうぞ。
823名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 09:26:11 ID:yYTwaEnf
>>782
セイントは、基本的に武器を手に戦うことを禁じられているんで、あまりガンダールヴの能力が生かせないのがもったいない
まぁ、ライブラのクロスの武器を使ったときはどれだけパワーアップするか、なんてそらおそろしい気もするが…


824名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 09:27:33 ID:f12qNaDr
鎖でも持たせとけ
825名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:03:14 ID:bilZEGwc
ギュス様はルイズの気持ちも
タバサ、ティファニアの気持ちも
分かるキャラだな
826名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:05:45 ID:9bdVCAn4
有名どころだとひぐらしキャラって召喚されてないのな。
ホーム(雛見沢)じゃないと本領発揮できないからかな……
827名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:06:56 ID:LuM53yju
>>826
最悪L5まで行って首引っかいて死んじまうだろうし、使い勝手も悪そうだな
828名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:07:20 ID:f12qNaDr
学院にウィルスをばらまけばなんとかなるんじぇね
829名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:11:36 ID:WYUaWXu8
雛見沢症候群は、雛見沢でなければ発症を抑えにくいという設定がある。親戚の葬式に行った圭一が僅か数日で急激に悪化した訳でもあるし。
……いや、罹患したならルイズが最初に発症するのは目に見えているとか、隣室で実は結構気の良いキュルケがやばいとか、そんな事はあまり考えていませんよ?
830名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:14:40 ID:01JpuW+Z
>>827
本編の期間が長いからな、どうしてもループ構造の為のキャラとは相性が悪い
ひぐらしのテンポが安定してるのは3日っていう短いループを繰り返してるからだぜ?
831名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:15:47 ID:9bdVCAn4
設定上の難しさもそうだけど雰囲気的な難しさもあると思うんだ。
あれはちょっと昔ののどかな田舎町だからキャラが一層立って怖くもあるというか。
あとwiki見たら一応小ネタでk1は召喚されてた。
832名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 10:39:10 ID:jcOxfYmb
女こまし編の圭一が召喚されたらただのエロゲーになりそうだな
833名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:30:32 ID:qNXllEQi
羽入召還でウェールズが死ぬところからスタート
そしてループして記憶のあるルイズがウェールズを助けよとする
・・・駄目だな、ルイズ死なないとループできなさそうだし
834名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:38:37 ID:3L29wvmA
セイントは私欲のために戦ってはいけないってのが最大のネック
クロスに見放されるよ
835名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:41:35 ID:6PILGEKx
>>825
王族でありながらアニマがなく術が使えないコンプレックスがあって。
そして鋼の剣に自分の生きる道を見い出してついには大成したわけだしな

晩年のギュス様はかっこいいよな〜
836名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 11:43:17 ID:5pEVibZv
最初の青銅トーナメントやってる時はほとんどの奴が私利私欲で戦ってたけど
大丈夫だったじゃん。

結論:車田漫画に整合性を求めてはいけない
837名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:04:11 ID:V6+MPdah
とは言えデスマスクなんかは完全に聖衣に見放されてるからな。
完全に無私無欲でなきゃいけないわけでもないが、あのレベルにまで堕落しちまうと駄目って事かも知れぬ。
838名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:14:29 ID:mMivWsiE
>>836
>星矢
それ以前にどっから見ても傲慢お嬢様だった沙織さんが、正義の女神アテナの化身でしたって時点で。

839名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:15:00 ID:c7zypyYE
蟹ならマニゴルドを召喚……
840名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:17:40 ID:gtH+NkzY
ギリシャ神話のアテナも結構……
841名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:22:01 ID:QkDbbfmK
>838
その正義の化身がトーナメントで私利私欲のまま戦えって言いだしたからクロスとしても「はいはい。分かりました」ってとこだったんだよ
842名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:26:48 ID:3cjakjfX
>蟹さま
Gを見るとあれは、アテナ補正だったんじゃないかなあ。
力量差が激しいのと時間のなさ故にああなったとか。
843名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:42:11 ID:iBGmYfVc
ジョゼフがデスマスク召喚
ルイズがマニゴルド召喚
教皇がセージ召喚
ティファニアがテュポン封印中の盟召喚

蟹尽くし
844名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:44:34 ID:Sxm2My1M
鍋は誰が召喚?
845名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:55:49 ID:gtH+NkzY
>鍋
聖地
846名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:56:42 ID:kfFdsN5j
ルイズがオデッセイを召喚。
いや、実際には召喚できてないんだが、ルイズ的には召喚完了で。
847名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:56:52 ID:0h+3U2bL
蟹つながりでギャラリーフェイクから藤田玲司
まあミョズニトニルンでしか活躍不可だが
848名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 12:58:16 ID:ePUsTE/d
>>844
おマチさんかギシーシュが鍋を錬金
シエスタが調理
ひたすら食べるタバサ
849名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:00:32 ID:XqEbKsaX
カニは鍋以外にも色々食い方があるんだぜ?
850名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:03:16 ID:5t7cHnzf
フリスビーとか。
851名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:10:11 ID:3L29wvmA
藤田玲司やゼロはもとよりミョズニトニルンの能力を備えてる気もするけど・・・
まぁ藤田なんかはガンダールヴ持ってても使い物にならなそうやね
852名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:26:05 ID:f0JuU2+C
>>807
なのはにはユーノがいて、くっついて終わりで良いと思うんだ
フェイトはAs以降ただキモいキャラとしか見えなくなったからな…4期なんて正気の沙汰じゃない
スタッフが監督初め都築とか腐ったのばっかり。あの作品ほど百合派とか百合同人作家がウザい作品もそうそう無い


蟹といえばやはりGの老いた方の教皇の若い頃なんかどうかなーと思うのですが
853名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:33:39 ID:5pEVibZv
Gの教皇って牡羊座アリエスのシオンだろ?ムゥの先代の。
今一つ、本人のキャラがわかりにくいなぁ。
854名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:38:25 ID:thK9vn8s
>>852
お前の気持ちも分からなくもないが、ここはstsアンチスレじゃない。

Gの蟹なら活躍できる。
855名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:48:15 ID:Z5+JOf+T
G蟹は神様倒したからな
856名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:49:24 ID:9bdVCAn4
蟹くいてー!
蟹と言えば、っていうか蟹じゃないけどエビラ召喚ってのはどうだ?
857名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:54:37 ID:a4uNXuBe
蟹といえば蟹アーマーを召喚して、ルイズに強制装着(むしろ寄生)。

蟹光線をぶっ放せッ!!
858名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:55:49 ID:y6haCifj
蟹と言えば無限の住人より卍召喚
主人公なのにそれほど強くない
859名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:56:50 ID:LuM53yju
蟹というと某エロゲを思い出すのは俺だけでいい
860名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 13:58:33 ID:9bdVCAn4
>>859
らきすた見ててあの扇子ちょっと欲しいと思った。使い道ないけど。
861名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:02:28 ID:QQCg9AlG
無限の住人の卍かあ…確か一話で「しなねえもんだから太刀筋は鈍る一方だ」みたいなこというてたかなあ。
百人斬りの勢いで七万人斬り…は絶対に無理だろうなあ
862名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:06:07 ID:thK9vn8s
ゲゲゲの鬼太郎だったかに出てきたおばけ蟹みたいなの召喚どうだろ・・・・・・

ゼロのルイズが妖怪を召喚しました。何かようかい?
863名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:08:43 ID:9bdVCAn4
妖怪だったら… 
ゲゲゲには負けるけどうしとら妖怪が召喚されるとうれしい俺ジュビロスキー。
そういえばうしとらにもカニマジムンいたな。
864名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:16:53 ID:P2bW3nPo
仮面ライダーから、ライダーではなく怪人を召喚。
人間形態で油断を誘っておきながら、突然牙をむくその恐怖――勿論その怪人はシオマネキングです。
865名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 14:41:33 ID:5dwmmp1n
卍がガンダールヴになったらルーンは何処に刻むんだろう。
もう左手ねーけど、左肩でも良いのかな。
866名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:04:34 ID:oFfZnnZi
頭と両腕と胸が無い奴を呼んだ時のルーンの位置が気になるが
ヒルデガーン下とかシャレード下半身とかぐらいしか浮かばなかった
867名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:07:05 ID:F2/1U2Bh
こんなスレがあったのか
868名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:08:50 ID:IJnXamKM
>>866
ゴールデンメタルスライムのゴメちゃんで。
869名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:09:21 ID:3L29wvmA
>>867
sageてねー
870名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:10:08 ID:A5e+9IqT
けつちゃん(気分は形而上) 
871名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:18:41 ID:tu0+60FH
>>868
左羽につくんでない?
むしろ普通のスライムで
872名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/16(土) 15:34:15 ID:lVPM0W3I
>>863
お前がwiki見てないことはわかった
873名無しさん@お腹いっぱい。
>>866
一瞬ケツ妹子とか思ったけど頭はあるな