あの作品のキャラがルイズに召喚されました part109
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part108(前スレ)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202009376/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ ---------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
速やかに乙!
乙乙乙
, -‐- 、
(从ルリハ なぎはらえ〜
とパヮ゚,小ヽ
《'  ̄《Uヽ,ゝ
(( _ノ廿_廿_ノ_ 無理で〜す
((ゝ--((OOO)
 ̄ ̄  ̄ ̄
やわらかるいずかw
ルイズが虚無で主砲の役目すれば万事解決
>>1さんお疲れ様でした
>>1乙につき恒例の国歌斉唱
● (デケデケドン! ちゃららららーちゃーらーらーちゃーららーちゃららーちゃらららーららちゃっちゃらちゃららー)
┠〜〜〜┐君の青春は 輝いているか?
┃ ● ∫ 本当の自分を 隠してはいないか?
┠〜〜〜┘ (ちゃっちゃっちゃちゃーらーらら〜)
┃ 君の人生は 満たされているか?
┃ ちっぽけな幸せに 妥協していないか?
┃ (ちゃっちゃっちゃちゃらららっらんちゃーちゃちゃちゃっ)
┃ 宇宙全体よりも 広くて深い物
┃ それは一人の 人間の心
┃ 愛が欲しければ
┃ 誤解を恐れずに
┃ ありのままの自分を
┃ 太陽に さらすのだ
┃
敬礼 (`・ω・´)ゞ
超人機かよ
前スレで死んで復活すると契約解除ってあったけど「魔獣結社」のガス・J(ジェイソン)・加藤の場合はどうだろう?
死ぬとそれ以前の生きている状態に復元する能力(バックアップとってたのを戻すようなもの?)なんだが
メタルダーかー。もうどんなキャラだったか覚えてないや。
>>13 原作は知らないが、契約した状態の時点に遡るなら契約は継続されるんでないの?
使い魔のルーンさえあればルイズとの契約は持続するみたいだし。
なんとなくヒグマドンを召喚したくなった
>>1 こいつは乙だぜぇ!
>>14 戦時中に作られたのにICチップがバラバラ組み込まれてて
40年以上経って最先端の科学で作られたロボットやら強化服着込んだ人間と互角に戦える
ロボットじゃないよアンドロイドだよな超人機
>>17 性格的にはなんとなくファイバードの火鳥にいちゃんに似てる気がするな。
キカイダーみたいに善悪の葛藤に悩むんじゃなくて、赤ん坊みたいな所からいろいろ学んでくってとこが。
それはそれとして前スレ987と990、
>ジョゼフは宗矩と悪だくみに勤しむが毎度失敗するんだなw
>宗矩と組ませるならイザベラ様の方がしっくりこないか?w
前者はコンちゃんゲンちゃんで、後者がドロンボーだなw
「イザベラ様、許してくださいでまんねん〜」
20 :
やわらかるいず:2008/02/05(火) 21:00:45 ID:SFs3wldb
>1 乙です
>6 うわ!! びっくりした AAになってる この喜びを伝えるために たいきゃーーく
21 :
閑人A:2008/02/05(火) 21:01:32 ID:NkQyHOkj
5分後に投稿していいすか?
>>17 ああ、いや、小ネタでもふろうかと考えてみて書けるほど覚えてねえなぁ、って話。
大体の話の流れはわかるんだけど、キャラがつかめてないとかけないっしょ?
よーそろー
支援開始
支援
赤い仮面の支援
ネクストではショッカーライダーのリメイクも出てたと今更知って後悔支援
支援砲撃を開始する
自分、支援いいすか?
>>19 ボヤッキーでトンズラーな宗矩はやだなあww
前スレ
>>994 あー、確かに忠輝は説教よりは相手を励ます行動の方がしっくりくるなあ……。
権力を振りかざして踏ん反り返るタイプの人物ならおちょくったり睨み付けて震え上がらせたりしてるけど。
支援〜
だああやっちまった!
閑人氏すみません!お詫びに支援!
32 :
21:2008/02/05(火) 21:10:05 ID:NkQyHOkj
なんちゃって
コロコロで手羽先の人です。
サーセンwww
ゴミが消えて良かったッスねw
ぶち殺すぞ
NG登録してて見えないが…
左手戻ってきたのかよ…
あんな事言っといてよく投下できるな……
なんだ
ちょっとがっかり
そういや閑人さんってトリ付けてなかったっけ
>>36 でも流石にこれは度が過ぎてるな…やっていい事と悪い事が…
問題の現場にはいなかったのでざっくりと見てきたが、
名前を外して、いち名無しとして発言する分には自由だろ。
もちろん、職人としてそれを言ったのならNGだが―――
自治房なのであれば、ただの人格攻撃にしか見えないので逆効果だぞ。
嵐であれば効果をあげてはいるようだが。
まぁ、どうでもいいわな
面白いから支援
というか毒吐きでやって頂けませんか?
俺のルイズにケチつけたアホはぼこぼこにしてやんよ
∧_∧ ∧_∧
( ・ω・)=つ≡つ);:)ω・).,,';
(っ ≡つ=つ ⊂ ⊂)
/ ) ババババ (左手\
( / ̄∪ ∪ ̄\_)
>>37 確かにな。
ところで名前騙ったとは言え投下宣言したのだからそろそろ投下してもらいたいんだが。
じゃあおっぱい……はありきたりだからお尻について語ろうぜ
大体だな、ルイズヘイトだ、ルイズが嫌いな奴は来るなと騒いでる奴らは、
実際にSSを読んでるのか?
あの作品中のルイズはヘイトされてるのか?
あれは嫌いなキャラの扱いか?
マチルダさんのお尻に押しつぶされたいです
オレは“あえて”巨乳を選ぶ
どうでもいい。
知った事じゃない
ニアそれより、ルイズはロリじゃないから結婚したとしても問題ないどころかみんなが祝福してくれるよね?
>>44 _ -───- _
, '´ `ヽ
/ \
/ ヽ
/ __, ィ_,-ァ__,, ,,、 , 、,,__ -ァ-=彡ヘ ヽ
' 「 ´ {ハi′ } l
| | | |
| ! | |
| │ 〈 !
| |/ノ二__‐──ァ ヽニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ
/⌒!| =彳o。ト ̄ヽ '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ !
! ハ!| ー─ ' i ! `' '' " ||ヽ l |
スカロンの締まったお尻は俺のでいいかな
以前から特撮は嫌いだと公言するやつが常駐うしとるからなあ
毒吐きスレには。
仮面ライダーは既に飽和状態だから出て行けとか言い出す奴もいるし。
お前ら落ち着いて素数を数えるんだ!
まず俺からだ
1
乳キャラをテファにとられたキュルケは尻で生きていくと言うのはどうだろうか?
いやそのネタはもういい
>>51 それこそ毒吐きで吐いてろ
本スレで出すような話題じゃねぇ
56 :
風林火山:2008/02/05(火) 21:28:08 ID:ZQ2akv0x
お久しぶりです
前回から随分時間がたったと思いますが、投下しても大丈夫でしょうか?
取り敢えず2,3,5,7,11,13,17,19…
支援
勘助支援
前スレで左手を叩いたのは何種類かいたような
ルイズファンと特撮嫌いと毒吐き嫌い、それと荒らし
ここで本スレVS毒吐きなんて演出したら、荒らしが喜ぶだけだよん
コッペバン支援〜
うわリロ忘れ
支援
64 :
風林火山:2008/02/05(火) 21:32:13 ID:ZQ2akv0x
それでは、投下させて頂きます
―――――決闘からしばらくしたある日の廊下、腹這いに寝そべっているサラマンダーの姿があった。
勘助の姿を見つけると、ジッと見つめ、やがて立ち上がった。
ついてこい、とでもいうように、勘助を見ながら、ゆっくりと歩いている。
(この使い魔の主人は、キュルケだったはずだが・・・使い魔を通して呼んでいるのか?)
不思議に思いながらも、しかし、無視することはできない。
仕方なしについて行くと、サラマンダーは、キュルケの部屋の前で止まった。
「ここに、入れというのか」
コクリ、と頷くとサラマンダーはそのままどこかへ行ってしまった。
少しためらいながらも、ガチャリ、とドアを開けて入った。
入ると、部屋は真っ暗だった。
窓から入る月光だけが、唯一の光であった。
「扉を閉めて?」
奥から、キュルケのと思われる声が聞こえた。
何のことかわからず、しかし危険はないだろうと、とりあえず扉を閉める。
パチン、と指が鳴る音がして、部屋の中に建てられた蝋燭が、一つずつ灯されて行く。
ぼんやりと、淡い幻想的な雰囲気な光の中に、半裸のキュルケの姿があった。
「あなたは、あたしをはしたない女と思うでしょうね。いえ、思われても仕方ないの。私の二つ名は『微熱』。松明みたいに燃え上がりやすいの」
その格好と相まって、何となく、キュルケの魂胆が読めてきた。
大方、自分に惚れたのなんだのと、色仕掛けでもするつもりなのだろう。
伊達に70近く生きてはいない。
そこいらの娘など、大した問題では無い程度には、勘助はその道に通じていた。
いくら姿が二十歳前後だと言っても、性欲なんぞ操るすべは心得ている。
そもそも、齢70の老人に色仕掛けなぞ、通じるはずもない。
「だから、いきなりこんな風に及び立てしてしまうの。わかってる。いけないことよ。でも、貴方はあたしを許してくれると思うの。あたし、恋しているのよ、貴方に。まったく、恋は突然ね」
とうに、キュルケに興味は失せていた。
何も言わずに、ドアノブに手をかける。
65 :
風林火山:2008/02/05(火) 21:32:52 ID:ZQ2akv0x
「ま、待って!」
焦ったような声が聞こえた。
「あなたを愛しているのよ、あたし!」
いうと、勘助の手をひっぱり、ベッドの上へと押し倒そうとする。
「迷惑!」
勘助が言い、それから逃れようとする。
だが、キュルケはグイッと引っ張り、中々離れない。
「迷惑!」
再び一喝し、強引に手を離した。
あかないドアを蹴破り、勘助は強引に外へと出て行った。
「あ!勘助!あんたなんでキュルケの部屋から出てきたのよ!」
(なんとも面倒臭い・・・)
思いながら、くどくどと説教をしようとするルイズを適当にあしらった。
66 :
風林火山:2008/02/05(火) 21:33:43 ID:ZQ2akv0x
―――――虚無の曜日
「街へ買い物にいくわよ」
唐突に、ルイズが勘助に言った。
突然なにを、と思ったが、自分にそれを拒否する理由もない。
特に何を言うでもなく、それに従った。
が、突然何しに行くのかは興味がある。
「何故、街へ?」
その言葉に、そっぽを向きながら、ルイズが答える。
「こ、この前、確かにあんたは、貴族の腕を切っちゃったけど・・・でも、その、ご、ご主人様のためを思ってやったことなんだし、それに対して、何もご褒美を出さない私じゃ無いわよ」
全く要領を得ない答えだったが、それに聞き返す暇もなく、そのままどんどんと歩いて行ってしまった。
仕方なしに、ルイズの後に勘助はついて行く。
と、ルイズの前方にそこそこの大きさの小屋が見えた。
「あそこで馬を借りて、町まで行くの。あんた、軍師してたんでしょ?馬ぐらい乗れるわよね?」
「ああ」
「そう。じゃ、自分が乗りたい馬選んでいいわよ。話は通してあるから」
その言葉に、適当に頷く勘助。
しかし、いざ馬を見ると、勘助の顔は驚愕に染まった。
「なんと・・・これが馬と!」
その驚きを見て、逆にルイズが驚いた。
「え!?あんた本当は馬見たことないの?・・・本当に軍師なの?」
「い、いや・・・しかし、これほど荒々しく、巨大な・・・」
ルイズは、ふん、と胸を張り言った。
支援すること風のごとく
毒吐き住人なんて、人気作ばかりを選んで叩いてる連中だろ。
一方で初期の頃の作品は必死で持ち上げる。
初期の頃の作家からの転職組
70 :
風林火山:2008/02/05(火) 21:35:18 ID:ZQ2akv0x
「確かに、中々の馬ね。でも、私の家にはこんなのよりももっと凄い馬がいっぱいいるわ」
「これほどの馬が、ほかにいくらでもいるとは・・・いや、しかし、まるで・・・そう、竜のようだ!」
馬は長く乗り、一頭金3つ4つどころか、10や20もする馬も目にしてきた。
いや、だからこそ、この馬達をみて驚きが止まらない。
これほどの馬、どれだけの金を積めば手に入れられるというのか。
信玄が竜と形容した馬など、この馬を見ればヤモリに等しい。
この馬たちは、ただの見かけだけでは無いとすぐわかる、力強さを持っている。
「竜?ドラゴンはこんな形してないわよ?タバサのシルフィードがそうね」
何言っているのかわからない、というようにルイズが言う。
「っていうか、ただの馬にこれだけ驚くなんて・・・本当に馬に乗れるの?」
珍しく、勘助があたふたとしている。
その姿に、ルイズは口を緩ませながら話している。
「さ、もういいでしょ?時間もあまりないんだし、さっさといくわよ」
―――――キュルケは、いつもより遅く目を覚ました。
目を開けてまず浮かんだのは、いかにして勘助を落とすかということであった。
(ふふ・・・私の魅力に屈しなかったダーリン・・・初めてだわ!でも、私の魅力に必ず気付かせてあげる!)
何度目になるか分からない程同じ事を考えていた。
すでに、胸の中には燃えたぎる炎が、さながら蛇のように這いまわっていた。
(今日は虚無の曜日・・・時間はたっぷりとあるわ)
まず、桶に入れた水で顔を洗い、簡単な身支度を済ませる。
そして、空気を入れ替えようと窓を開けた。
さわやかな風が、スウ、と入ってくる。
思わず目を細め、外を眺めると、2頭の馬が学院から出て行くのが目に入った。
(こんな朝早くから御苦労なことね)
と、2頭のうちの1頭にいる者の姿に、なんとなく勘助の姿が重なる。
見れば、もう1頭の馬に乗っている者の髪は、桃色がかった色をしていた。
「まさか・・・ダーリンとルイズが馬に乗ってどこかへ行くなんて・・・」
先を越されてしまう!
まさか、勘助はロリコンだったのだろうか。
だから、自分の姿を見て何も感じなかったのでは・・・
(い、いえ!そんなはずはないわ!)
自分の頭をよぎった妄想を切り捨て、二人が向かった場所を確認する。
「あの方角は・・・街ね!」
確認した瞬間、キュルケはある場所へと向かった。
日本の土着馬は小さかった支援
支援
確か日本の馬が大型化したのは江戸時代にヨーロッパの馬と交配させてからだったような
支援
74 :
風林火山:2008/02/05(火) 21:37:45 ID:ZQ2akv0x
―――――ルイズは、勘助をひきつれて街へと向かっていた。
いや、見れば勘助がルイズをつれて、という表現の方があっているかもしれない。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、勘助!使い魔が、ご主人様、疲れさせて、どうするのよ!」
(っていうか、なんであんな乗り方であんなに早いのよ・・・)
勘助は、体を馬の首に抱きつけるような、作法も何もないような乗り方で走っていた。
にもかかわらず、ルイズは勘助について行くのがやっとだった。
魔法もろくに使えず、人に誇れるような能力もあまり持っていない。
でも、乗馬はルイズの数少ない特技の一つなのだ。
なのに―――
(本当なら、ヒーヒーいう勘助を叱咤しながら行く予定だったのに・・・うぅ・・・)
心の中で涙を流しながら、やっとのことで速度を緩めた勘助に追いついた。
「ようやく、追いついたわ・・・」
息を整えつつ、勘助に言う。
「あんた、まともな馬の乗り方しないくせに、何でそんなに早いのよ」
その質問に、こちらを見ようともしないで、しかし笑うように勘助が答えた。
「確かに、向こうにいた頃も、そのような事を言われたな。だが、これがこの勘助に、一番あっているのだ。作法など、しらん」
そういうと、また速度を上げ始めた。
「ちょ、ちょっと待ってってば!」
必死に追いかけているうちに、いつの間にか街へと到着した。
(予定してた時間より1時間近く早いじゃない・・・無駄に疲れたわ・・・)
「して、ルイズ。何の用があって街へと来たのだ?」
すました顔で、勘助が問うてくる。
いや、実際に今までの事は何でもなかったのだろう。
―――こっちが必死だったというのに。
(いっそのこと、何もしないで帰っちゃおうかしら)
なんて思いが頭を廻ったが、せっかく来たんだし、まぁ、名誉の為にがんばったんだし、このくらいでお預けには・・・
歩きながら、ご主人様からの贈り物を貰って喜ぶ勘助の姿が思い浮かんだ。
大体前スレで物議をかもした発言をしたのは本当に暇人A氏だったのか?
全く同じIDの別人は理論的に発生するんだぞ。
76 :
風林火山:2008/02/05(火) 21:39:12 ID:ZQ2akv0x
「・・・どうした、ルイズ」
怪訝な顔をして勘助がこちらに問いかけてきた。
「へ?え、いや、なんでもひゃいわよ」
(か、顔に出てたのかしら)
何とか取り繕い、顔を引き締め、毅然として歩く。
となりでは、勘助がほお、おぉ、と一々街の様子を見て驚いていた。
それを見て、また顔が弛みだす。
「こら、勘助!よそ見しないでちゃんとご主人様についてきなさい!」
むぅ、と勘助がうなった。
「ルイズ、どこへ向かっているのか、それくらいは教えても差支えないだろう」
その言葉に、内心ウキウキしながら、しかしそれを隠しながら言った。
「それはついてからのお楽しみよ。ほら、ここを入っていけばすぐ、ね」
その先に、古びた看板の武器屋があった。
―――――素晴らしい、と思った。
甲斐や駿河の市場も、確かに賑わっている。
だが、それは座に支配され、いくつかの大きな店が支配するものでしか無く、いわばどれも、閉塞的なのだ。
これほど活気にあふれ、どの店も多種多様な商品を扱っている。
甲斐や駿河においては、全く考えられなかった。
「こら!勘助!よそ見しないでちゃんとご主人様についてきなさい!」
突然、ルイズから声が放たれた。
知らず知らずのうちに、大分離れていたようだ。
(だが、これほどの街・・・聞きはしていたが、この目に見ては、やはり驚かずにはいられん)
驚くと言えば、今のルイズはどこかおかしな感じがする。
これから行く場所と、何か関係があるのだろうか。
「ルイズ、どこへ向かっているのか、それくらいは教えても差支えないだろう」
「それはついてからのお楽しみよ。ほら、ここを入っていけばすぐ、ね」
いえば、妙に浮ついた答えが返ってきた。
(要領を得ない話ばかりする・・・)
後ろに続いて歩いて行くと、小汚く狭い小道に入った。
やがて、剣を模した看板をつけた、そこそこ大きい、武器屋と思われる店を見つけた。
「いらっしゃ・・・旦那、貴族の旦那、うちは真っ当な商売をしてまさあ。お上に目をつけられるようなことは何一つございやせん」
「客よ」
支援
支援つかまつる
議論は後だ。支援に徹しろひよっこども!
目にかなう武器はあるか支援
支援
支援
支援
85 :
風林火山(5):2008/02/05(火) 21:41:54 ID:ZQ2akv0x
ごめんなさい番号忘れてましたorz
↓続きです
ルイズが短く言うと、店主は驚いたように目を剥いた。
ルイズが短く、店主に要求を伝えると、奥へと引っ込んでいった。
「むぅ・・・ルイズ、武器を買いに来たのか?」
「そうよ。あんた、そんなほそっちい、レイピアみたいな物しか持ってないでしょ?」
細いのは切ることに特化したからであって、殺傷力は西洋の大型の剣よりも勝るとも劣らないのだが、せっかくの好意を無碍にする勘助では無い。
やがて、店主が剣を抱えて戻ってきた。
「貴族様、貴族様。これが、店一番の業物でさぁ。といっても、これほどの剣、よほどの大男でなきゃ、腰から下げるのは無理でございやす。お連れ様には、背中から背負うなきゃ、いかんですな」
どれ、と勘助も近づいて剣を見る。
剣は、見るも美しく、大きな剣だった。
(これが、一番の業物だと?なるほど、魔法が掛かっているのならば見た目は関係ないのやもしれん。)
装飾品のような印象を受けたが、魔法が掛かっているとなれば、勘助にはてんで分からない。
だが、これほどの大きさの剣、持ち歩くには不便すぎるし、戦に出ても使いようがない。
護身用にしては、目立ちすぎる。
使おうと思えば、片手で扱えるくらいのものでなければ、いざという時に扱うことができないのだ。
しかし、ルイズは気に入った様子で、値段を聞いていた。
だが、魔法がかかっているといわれ、見せ一番の業物である。
到底、買うことのできるものでは無かった。
「ルイズ。なにも無理して剣など買う必要はないだろう。そもそも、戦で剣を扱うこと自体が稀なのだ」
軽くルイズを慰める。
と、どこからともなく声がした。
「そいつの言う通りだぜ嬢ちゃん!そんなデカブツのナマクラ、そこの武人には似合わねえよ!
「やい、デル公!お客様に失礼いうんじゃねぇ!」
「お客様!?そんな、まともに剣の価値も分からねぇような娘っ子がかぁ!」
そのやり取りにルイズが当惑する。
インテリジェンスソードというらしい、デルフリンガーという銘の剣は、突然やり取りを中断し、勘助に向かって言った。
支援
かっこいいよ日本刀かっこいいよ支援
支援
支援するでござる
90 :
風林火山(5):2008/02/05(火) 21:43:26 ID:ZQ2akv0x
「おでれーた!おめぇ、『使い手』か」
「『使い手』だと?」
「自分のことも知らねぇのか。まあいい、おめェさん!俺を買ってくれ!」
「・・・勘助、『使い手』ってなに?」
ルイズが、困惑した様子で勘助に問いかける。
「知らん。だが、面白い。ルイズ、こいつを買えないか?」
勘助は、ルイズに頼む。
実際、剣など脇差の一本か二本あれば構わないのだ。
それなら、何もあんなものでは無く、これの様に面白い剣でも構わない。
それに、この剣は錆びついており、店主も疎んでいるようだった。
おそらく、ずいぶんと安い値で買えるだろう。
しばらく、怪訝な顔をして、本当にこれでいいのか、もっと他の物がいいのではないか、と尋ねてきたルイズだったが、やがて
「おいくら?」
と尋ねる。
案の定、新金貨100枚という、ぎりぎり買える範囲で値が付けられた。
「どうしても煩いと思ったら、鞘に納めれば静かになりまさぁ」
勘助は頷き、デルフリンガーを受け取った。
日本刀はロマン
作品によってはぽきぽき折られるところまで含めてロマン
支援
支援
>>75 どう見ても同一IDです。
腐った性根が滲み出ていますね。
17 名前:もう一人の『左手』(その11)[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 12:53:23 ID:1bvgvigj
167 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 14:29:31 ID:1bvgvigj
>>164 そういう劣等感のカタマリを、びっちの鋳型にはめ込んで、錬成したような
そんな少女の心を、どうやって解きほぐすか。
まあ、そこいら辺が、SS職人の腕の見せ所ですな。
日本の軍馬は戦場までの移動手段。
戦闘中は徒歩。
し・え・ん!
96 :
風林火山(6):2008/02/05(火) 21:44:55 ID:ZQ2akv0x
―――――それからしばらくしたある日。
ルイズの部屋にて、小さな騒動が巻き起こっていた。
勘助を間に挟み、ルイズとキュルケがにらみ合っている。
「どういう意味?ミス・ツェルプストー」
ルイズは腰に手を当て、小さな胸を張り、キッとキュルケをにらんでいる。
「だから、勘助が欲しがっていた剣を手に入れたから、そっちを使いなさい、っていってるの。ねぇ、勘助」
正直、勘助は剣自体はどちらでも構わなかった。
だが、キュルケがくれるという剣の価値は惜しい。
ルイズの元から離れ、諸国を見て回り、やがてどこかの国に仕官する。
そんなことすら、この剣を売ればできるだろう。
使い魔として召喚され、旅することすらできない状況であったが、これがあればそれができる。
そのことに、勘助の心は揺らいでいた。
「返しなさい!あんたには、あの喋る剣があるでしょう!」
言うや、ルイズは勘助の剣を蹴とばした。
(だが・・・だが、ルイズには一応なりとも、恩は、ある)
偶然とはいえ、命の恩人でもあるし、それなりに良い待遇を貰ってもいた。
「嫉妬はみっともないわよ?ヴァリエール」
やがて、言う争いが過熱して行った。
二人の手が杖に伸びた瞬間、ゴオっと風が巻き起こり、二人の手から杖を吹き飛ばした。
「室内」
短く、部屋の片隅で本を読んでいたタバサが言った。
そして、二人は落ち着き、冷静に決闘を行うことに合意した。
(貴族というのは、こうも簡単に決闘をするのか)
―――――それからは、あれよという間の出来事だった。
3人の女たちに囲まれ、ロープで縛られ、屋上から吊られてしまったのだ。
(何故、こんなことに付き合わねばならん・・・)
呆れ果ててしまった。
思考が停止してしまったのがいけなかったのだろう。
抵抗する暇もなく、気付いたら屋上から吊られていたのだ。
こんなことに付き合う義理もないのだが、全身から力が抜けるような気がして、何もする気も起きなかったのだ。
はるか下では、二人が立っている。
やがて、ルイズが杖を振り上げ、呪文を唱え始めた。
支援〜
時代劇でありえないくらいバッサバッサ切り捨てていくのもロマン支援
確かに中世日本から見ると、ヨーロッパ的なハルケギニアは真逆な方向で
カルチャーショックですね。
いいところに気が付かれた。
勘助といえば隻眼の竜もいいよね支援
「まさか、このロープを狙う気なのか・・・?」
顔の色がみるみる青くなっていく。
本当に、女が考えることはわからなかった。
―――ドオンッ
勘助の後ろの壁が、突然爆発した。
爆風によって、勘助の体が揺れる。
さすがに、これはもう堪らない。
が、ロープに縛られているため、当然体は動かない。
今度は、キュルケが呪文を唱え始めた。
そして、杖から炎が放たれ、ロープが落とされた。
「ぅわぁっ!」
あられもない声を上げ、勘助が落下した。
タバサがレビテーションを唱えて、ようやく、無事に地面へと着地したのであった。
「残念ね!ルイズ!」
勝ち誇ったように、キュルケが大声で笑いだした。
ルイズは、悔しいのか肩を落とし、地面に膝をついてうなだれていた。
それを、複雑な気分で眺めた勘助だが、やがて、
「ルイズ。ロープを解いてくれぬか」
低い声で言った。
その時である。
「な、何これ!?」
キュルケが突然、大きな声を上げ、ついで悲鳴を上げ、逃げだしたのだ。
つられて見れば、そこには巨大なゴーレムが存在した。
「な、なんだ・・・これは・・・」
茫然として見つめたが、やがてそれの足が持ち上がり、勘助を踏みつぶさんと迫ってきた。
必死に逃げようともがくが、縄で縛られているために身動きがとれない。
我に返ったルイズが、勘助に詰め寄る。
「な、なんで縛られてんのよ!あんたは!」
「・・・ぬしらが縛ったんだろう」
そんな二人の頭上で、ゴーレムの足が迫る。
「さがれ!!ルイズ!」
勘助が怒鳴る。
しかし、ルイズは一向に動かない。
「く、このロープ・・・!」
必死に、勘助の縄をほどいている。
ゴーレムの足が下ろされた。
ここまでか、と勘助は思った。
だが、間一髪。
タバサのシルフィードが二人を足でつかみ、ゴーレムと地面の間をすり抜けた。
2人がいたところに、ずしん、と足がめり込む。
もし生理が来ていたら洗濯どうするんだろうか
まぁシエスタに丸投げするだけだろうけど
支援
中世の貞操観念って稀薄らしいからあんまり気にしないんじゃ?
「何だったんだ・・・あれは」
上空から、ゴーレムを眺めながら言った。
「わからない・・・多分、トライアングルクラスのメイジでしょうね・・・あんなゴーレムを操れるなんて」
勘助は、顔を歪ませた。
ルイズが、逃げずに勘助のロープを解こうとしたことを思い出した。
「・・・何故、逃げなかった」
小さく、問うた。
「使い魔を見捨てるメイジはメイジじゃないわ」
ルイズは、きっぱりと言った。
何故だか、勘助にはルイズが眩しく、この上なく美しいものに見えた。
―――――しばらくすると、ゴーレムは森へと立ち去った。
その姿を見ながら、シルフィードが旋回する。
その背に跨ったタバサがレビテーションを唱える。
二人は、シルフィードの足から背へと移動した。
タバサが短く呪文を唱えると、勘助を縛っていたロープが切れた。
「助かった」
礼を言うと、無表情に頷いた。
巨大なゴーレムを眺めながら、タバサに問いかける。
「壁を壊したみたいだが、何を、していたのだろうか」
「宝物庫」
タバサが答える。
「あのメイジ、ゴーレムの肩に乗っているとき、何か棒のようなものを持っていたわ」
「盗賊か・・・それにしても、随分とまぁ、派手に盗んだものだ」
やがて、ゴーレムは草原の真ん中で、ぐしゃっと崩れた。
そこへ3人が行けば、ただただ、崩れた大量の土の山があるだけだった。
黒いローブのメイジは、どこにもいない。
―――――翌朝のトリステイン魔法学院は、混乱に包まれていた。
昨夜の盗賊、「土くれのフーケ」によって、秘宝・「破壊の杖」が盗まれたのである。
それも、巨大なゴーレムが、秘宝庫の壁を破壊するといった方法で。
宝物庫には、多くの教師が集まっていた。
誰もが、フーケの犯行声明と破壊の後を見ると、口をあんぐりと開け、茫然とした。
しかし、気を取り直すや、殆どの教師達は、好き好きに口を開き始める。
「フーケ!貴族の財宝を荒らしまわっている盗賊が、魔法学院にまで手を出すとは!随分と舐められたものだ!」
「使い手」と言われて「知らん」はないだろ。
雑談自重、支援
支援
日本刀って扱いが極端で面白いよな
支援支援
>>105 日本人は昔から性に関してはなんでもありだからな
「衛兵たちは一体何をしていたんだ!?」
「衛兵などあてにならん!所詮は平民では無いか・・・それより、当直の貴族は誰だったんだ?」
その言葉に、一人の教師が震えあがった。
「ミセス・シュヴルーズ!当直は貴方なのではありませんか!」
「も、申し訳ありません・・・」
ボロボロと、涙を流しながら謝罪をするシュヴルーズ。
「泣いたってお宝は帰ってこないのですぞ!あなたに『破壊の杖』の弁償ができるのですかな!」
さらに激しくなる、責任の追及。
学院長が来るまでに、責任の所在をはっきりとしておきたいのだろう。
「これこれ、女性を虐めるものでは無い」
と、学院長であるオールド・オスマンが現れた。
「しかしですな!オールド・オスマン!彼女は当直であるにも関わらず、自室でぐうぐうと呑気に寝ていたのですぞ!責任は明らかに、彼女にこそあります!」
オスマンは、その教師を見つめながら、鬚をなでる。
やがて、すべての教師を見渡し、言った。
「この中で、まともに当直をしたことのある者が、何人おるかな?」
教師達はお互いに顔を見合わせると、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「さて、これが現実じゃ。責任があるとするならば、それは我々全員。まさか、この魔法学院に賊が入るなど、誰もが想像すらしなかったじゃろう。何せ、ここにいる殆どの人間がメイジなのじゃからな。しかし、それは間違いだった」
穴を見、フーケの犯行声明を見る。
「責任があるとすれば、我々全員じゃ」
ため息交じりに、オスマンは言った。
折れても折れなくてもかっこいいから問題ない支援
―――――ルイズたちは、学院長室へと呼ばれた。
この4人の誰もが、昨夜のことを聞かれるであろうと、聞かれずともわかっていた。
「詳しく説明したまえ」
コルベールが、ルイズ達に説明を促した。
ルイズが、その時の状況を話す。
が、オスマンは話を聞きながらも、話し手であるルイズでは無く、勘助を見ていたことに気づいた。
怪訝に思いながらも、水を差すようなまねはしないが。
「ふむ・・・つまり、手がかりは無い、ということか」
鬚に手を当て、呟くオスマン。
だが、ふと気付いたように、尋ねた。
「そういえば、ミス・ロングビルの姿が見当たらないようじゃが」
「それがその・・・朝から姿が見えませんで」
困惑したように、コルベールが言った。
「この非常時に、一体どこへ行ったのかのう」
「もしかして、フーケに・・・」
その場の誰かが、そう発言した。
誰もが思った。
フーケに囚われたのではないか。
あるいは、フーケに・・・
場の雰囲気が、沈んだように重くなった。
と、姿が見えなかったロングビルが姿をあらわした。
「ミス・ロングビル!何をしていたのですか!大変ですぞ!」
安堵とともに、非常時にどこかへ行っていたことへの叱責が出る。
しかし、それに対して落ち着いた様子で答える。
「申し訳ありません。朝から、調査していたものですから」
「調査?」
「そうですわ。今朝方、起きたらこの通り、大騒ぎではありませんか。フーケのサインを見つけて、すぐに調査を致しました」
ちなみに、日本刀って日本でも結構マイナーな武器。基本は槍だったからなぁ…支援
>>93 別におかしいこと言ってるとは思わんが
実際に原作初期のルイズは最悪な女だと思うぞ
「で、結果は?」
「はい。フーケの居場所がわかりました」
「な、なんですと!」
コルベールが、素っ頓狂な声を上げた。
「誰に聞いたんじゃね?ミス・ロングビル」
「はい。近隣の住民に聞いたところ、近くの森の廃屋に入って行った、黒ずくめのローブの男を見たそうです。おそらく、彼はフーケで、廃屋は隠れ家に違いないかと」
「黒ずくめのローブ?それはフーケです!間違いありません!」
ルイズが叫び、オスマンは、目を鋭くして、ミス・ロングビルに尋ねた。
「そこは近いのかね?」
「はい。徒歩で半日。馬車で4時間といったところでしょうか」
その言葉を聞いて、勘助がピクリ、と体を動かした。
「すぐに王宮に報告しましょう!すぐに兵士を差し向けてもらわねば!」
コルベールが叫ぶ。
オスマンは首を振ると、目を剥いて怒鳴った。
「ばかもの!王宮に応援を依頼している間にフーケに逃げられてしまうわい!そもそも、魔法学院の宝物が盗まれたのじゃ!それを自分で解決できずして、何が貴族じゃ!当然、我らで解決する」
オスマンは、咳払いをすると続けて言った。
「では、捜索隊を結成する。我と思うのもは、杖を掲げよ」
だが、一向に誰も杖を上げるものは無かった。
(・・・これが、普段威張り散らしている教師の・・・いえ、貴族なの?)
ルイズは、ふつふつと、自分の中から何かがわき出ているような感触を覚えた。
(誰も・・・誰も、名乗り出ないじゃない)
「どうした!フーケを捕まえて名を上げようという貴族はおらんのか!」
>>99 >>115 住民の大半がもう二度と来るなコールだったよ
そんな屑をなんで擁護してんの?
俺もルイズを貶める糞SS作家には今後も容赦しねーぜ
支援
オスマンが、声を荒らげる。
(それなら、私が行く)
そう思うと、すっと杖を掲げる
それを見て、教師達は慌てふためいた。
「ミ、ミス・ヴァリエール!あなたは生徒ではないですか!ここは私たち教師に任せて・・・」
その言葉に、反論する。
「誰も、手を上げないじゃないですか」
それは・・・と、教師達が言い淀む。
こんなの、貴族じゃない。
貴族とは、民の為に、王の為に、国の為に、なにより、自らの誇りの為に戦うものの事を言う。
(私は・・・貴族よ!)
なんと言われようと。
確とした思いの元、ルイズは決して自らの発言を覆さない。
と、すらり、とキュルケの杖が掲げられた。
ルイズが驚き、見ると
「ヴァリエールには負けていられませんわ」
笑いながら、キュルケは言った。
それを見て
「心配」
と、タバサも杖を上げる。
教師は、尚も4人が行くことを認めようとはしない。
だが、オスマンは笑いながら言った。
「ミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を持つ騎士だと聞いているが?」
誰もが驚いた。
「本当なの?タバサ」
キュルケも驚いている。
シュバリエの称号というのは、実力を持つ者にのみ与えられるものだ。
「ミス・ツェルプストーは、数多くの優秀な軍人を輩出した家柄で、彼女自身も優秀な炎の使い手だと聞いているが?」
ルイズは、次は自分の番だと胸を張った。
オスマンは、目線を逸らしながら、随分と間をためている。
だが、コホンと咳をすると、目を逸らして言った。
おまけに「そういう劣等感のカタマリを、びっちの鋳型にはめ込んで、錬成したような
」
は、あくまで修飾で「それだけ頑なで気難しい」事を比喩してるだけで「ビッチだ」とは言って無いのに
単語脊髄反射してに噛み付いてるだけと言う事が読み取れないんだから
―――――
「では、馬車を用意しよう。それで向かうのじゃ。魔法は目的地に着くまで温存したまえ。では、ミス・ロングビル!」
「はい。オールド・オスマン」
「彼女たちを手伝ってやってくれ」
ミス・ロングビルは頭を下げた。
「もとより、そのつもりですわ」
言うと、ミス・ロングビルは馬車の用意をしに行った。
「失礼。出来れば、内密に話したいことが」
その姿を確認してから、勘助はオスマンに耳打ちした。
オスマンは、勘助の姿を見、そして少し離れた木の蔭へと視線をやる。
勘助とオスマンは、こっそりとそこへと移動した。
「ふむ。ここならば大丈夫じゃろう?」
勘助が頷く。
「さて。それでは、内密に話したいこととはなんじゃろうか」
「はい。あまり時間が無いので、単刀直入に言わせていただきます。『土くれのフーケ』は、ミス・ロングビルであるかと思われまする」
その言葉に、オスマンが目を見開く。
「な、なんじゃて!?あの、ミス・ロングビルが、じゃと!?」
「恐らくは」
「むぅ・・・彼女がそうだという、確証はあるのかね?」
オスマンが、信じられないというように問いかける。
それに、勘助は答える。
「確証と言えるものは、ござりません。しかし、彼女がフーケである可能性は、十分にあります。」
「第一に」
勘助が、オスマンを見据え、朗々と言葉を発する。
オスマン翁はルイズの胸から目を逸らした支援
支援
>>114 メジャーとかマイナーとかじゃなくて
拳銃と小銃の差みたいなもんだろ。
議論は後じゃ
支援支援
「徒歩半日、馬で4時間はかかる場所の事を、どうして知ることができましょうか」
「第二に、今までその姿を、性別や背格好ですら誰にも悟られることのなかったフーケが、その姿・隠れ家をただの農民に見つかるものなのか。
もし悟られたのならば、それに気付かずに口封じすらしないというのは、到底考えられませぬ」
「第三に、フーケの行方について、向かった方角すらわからないのに、どうしてその調査ができるのか」
「1,2時間足らずでこれらの情報を得ているということは、その者がフーケの協力者であるか。もしくは嘘を掴まされたか。あるいは、フーケ本人であるか。これらのどれかだと思われます」
オスマンは、その言葉に一々とふむ、ふむ、と頷き、考えている。
「しかし、それだけでは彼女を犯人と決める決定的証拠には・・・」
「勿論、それは承知しております。しかし、彼女が現時点において、最も不審なものであることには変わりありません。間違っていれば、それでよし。しかし、もしそうであるならば、対策を講じなければ危険である事は間違い無いのです」
「―――うぅむ。どうやら、彼女には2,3、質問し、必要とあらば拘束しなくてはならないようじゃのぉ」
鬚をなでながら、オスマンは肩を落としていった。
「・・・いえ、それでは彼女に逃げられてしまう可能性もありますし、『破壊の杖』の行方も分からないままかもしれない。上手くしらを切られれば、それまでのこと。なにより、わざわざ危険を冒してまでこの学院に戻ってきた理由もわからない」
その言葉に、オスマンも頷く。
「確かに、それもそうじゃのぅ・・・だが、このまま彼女を放置する訳にもいくまい」
「それについて、こちらから提案があるのです」
「提案・・・とな?」
オスマンの目が、鋭く光った。
そして、勘助は自らの『策』をオスマンに、告げた。
軍師支援
支援
―――――ロングビルの駆る馬車に乗り、言葉通り4時間程でその場所へと到着した。
「あの小屋が、フーケの隠れ家ね?」
キュルケが、ロングビルに念を押す。
「はい。情報が間違っていなければ、ですが」
「結構」
草の陰に隠れながら、それぞれを見渡す。
「いつまでも隠れていちゃ、話にならないわね。誰かが、あそこに姿を確認しに行くべきね」
キュルケが、突然こちらを見る。
「そして、ここは高い能力を持つ私と、元軍人である、勘助!この二人で行くべきね!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!なんでそうなるの!?」
その言葉に、ルイズが慌てたように言う。
「いや・・・私一人で行こう」
いうや、勘助はすぐにそこへと向かった。
全く警戒した様子を見せずに、一直線に向かい、ドアを開く。
(やはり・・・)
腕を上げ、交差させる。
そのサインを見て、隠れていた4人が恐る恐る、といった様子でこちらへ向かってきた。
「なぁんだ・・・誰もいないじゃない」
拍子ぬけしたように、キュルケが言った。
その言葉に安心したのか、皆の肩から力が抜けた。
「辺りを偵察してきます」
ロングビルが言い、
「そう。じゃあ、お願いするわ。こっちは、何か手掛かりがないか、探してみるから」
キュルケが言う。
そして、ロングビルは森へと姿を隠した。
とりあえずNGワードにID:NkQyHOkjを入れればいいって事だけは分かった。
あと2時間ほどしか効果が無いが…
支援
>>117 またお前か、お前こそ二度と来ないでもらいたいのですがね。
はっきり言って迷惑です。
支援
―――――小屋の中を探している勘助達は、筒状の箱を見つけた。
「これは・・・」
その声に、勘助達は集まる。
「『破壊の杖』ね。間違い無いわ。前に見学会で見たものと同じだもの」
「な〜んだ。拍子ぬけね。フーケはどこかへ行っちゃったのかしら」
キュルケが、言った。
「それじゃあ、ミス・ロングビルと合流して戻りましょう」
ルイズが言う。
それにタバサが頷く。
だが、キュルケは頷かなかった。
「ねぇ、この破壊の杖・・・中身がどんなものか見たことないけど、一体どんなものなのか・・・興味、わかない?」
「何言ってるの!私たちのすることは、破壊の杖を取り戻すことでしょう。その正体を見る事じゃないわ」
「良いじゃない、少しくらい。どうせ、破壊の杖を取り戻したんだし・・・それに、もし中身だけ持ち去られてたら意味無いでしょ?」
もっともらしい理屈をつけられて、ルイズが返答に窮する。
そして、そのままキュルケは破壊の杖が納められていた、『箱』を開く。
破壊の杖を見て、4人は息をのんだ。
そこには―――
―――――ドン、と大きな音がした。
その音に、あわてて4人は外へと出る。
キュルケは、しっかりと破壊の杖が入った『箱』を抱えている。
そして、音のした方向へと目線を向ける、と。
「・・・フーケ、ね」
ルイズが忌々しそうに言う。
「やっぱり、そう簡単には終わらないわよねぇ!」
キュルケが、どこか嬉しそうに、言った。
彼女らの視線の先には、巨大な土ゴーレムの姿があった。
他人の名を騙って恥じないID:NkQyHOkjは半島に帰れ。
作者のPCから家族とかがカキコした可能性も否定しきれない
支援。
左手のゴミはまだここにいるの?
もうキミの居場所はないよ?
あ、失礼
支援
支援
支援
支援
>とりあえずNGワードにID:NkQyHOkjを入れればいいって事だけは分かった。
これで前スレで「総意」を自演してバレバレだったバカだと言う事が判ったから
それでいいんじゃねえか?
多分ID変わったらまたバレバレの粘着やるから再度NG登録で万事OKって事に高確率でなるから
多分心配要らん
「破壊の杖は取り戻したのだ。戦う必要もあるまい!」
勘助が叫び、すぐに撤退する。
が、すでに大分近くまで来ていたゴーレムに、あっという間に追いつかれた。
「きゃあああああ」
ゴーレムの拳が、ルイズに向かって振り下ろされた。
タバサが真っ先に反応する。
自分より大きな杖を振り、呪文を一瞬で完成させ、巨大な竜巻がゴーレムを襲う。
一瞬動きが止まったが、しかし、ゴーレムにダメージは全くなかった。
ついで、キュルケが杖を振った。
すでに完成されている呪文により、巨大な火の玉がゴーレムをめがけて飛ぶ。
一瞬のうちに、ゴーレムの巨体は火に包まれた。
しかし、火に包まれたゴーレムは、それを意に介さずに動き続ける。
―――ドォン!
ゴーレムの一撃が、地面へと叩きつけられた。
ルイズはそれから、何とか間一髪逃げた。
すると、そのままルイズは呪文を唱え始めた。
「なっ!?何をしている!引け!ルイズ!」
唇を噛みしめながら、呪文を唱える。
そして、ゴーレムが体勢を整えるのと同時に、呪文は完成した。
拳が振り下ろされる。
同時に、杖が振り下ろされる。
その巨体にふさわしい、豪快な一撃が、しかし、ルイズの爆発により、わずかに右に逸れた。
だが、それだけである。
ゴーレムの腕にも、全くダメージは無かった。
今の、攻撃に戸惑っているのか。
それとも、遠くへ逃げようとしているタバサ達を追うか迷っているのか。
ゴーレムの動きは止まっている。
「逃げろ!ルイズ!」
その言葉に、ルイズは肩を震わせ、叫ぶ。
「いやよ!あいつを捕まえれば、もう、誰も私を『ゼロのルイズ』だなんて呼ばないでしょ!」
その声は、真剣だった。
そして、切実な思いがあふれている。
(だが・・・そんなことの為に、命を捨てるか!)
ID:zKes5QmO
ヘイト作家様自作自演ご苦労様ですw
「そういうことは、相手を見て言え!勝てない相手に挑むのは愚か者のすることだ!」
「でも!あんた言ったじゃない!誇りの為に戦ったって!貴族を相手にして!」
「確かに戦った!だが、それは勝算があったからだ!勝算のない戦いは戦いでは無い!貴様のそれは、自殺とかわらん!」
「でも・・・でも、私は貴族よ!」
「それがどうした!例え貴族といえど、勝算が無いのであれば戦わないだろう!」
ルイズは、杖をぐっと握った。
「敵に後ろを見せない者が貴族なのよ!勝算がなくたって、命をかけることが貴族の誇りよ!」
ルイズを潰すことに決めたのか。
ゴーレムは、足を持ち上げ、ルイズを踏みつぶそうとしている。
しかし、それでもルイズは逃げない。
ただ、杖を掲げ、呪文を唱える。
――――ボンッ
ゴーレムの胸部が爆発した。
それを意に介すこともなく、ゴーレムの足は落とされた。
(愚か者が・・・!)
苦々しい思いで、勘助は疾走する。
間一髪でルイズを救出し、距離を取る。
「状況を理解せんか!」
走りながら、バシッとルイズを頬を叩いた。
「お前が今したことによって、2人の命が危険に晒された!いいか、逃げるということは決して貶められることでは無い!」
厳しい目でルイズを見据え、叱る。
「状況を正しく理解し、それによって逃げる事は、勝利へと繋がる『戦略』である!ただ闇雲に敵に向かうのは、自分だけでは無く、味方をも危険にさらす行為であると心得よ!」
ルイズの目が、ハッと見開かれた。
「お前は、そのまま逃げろ。タバサの竜を探し、共に逃げるのだ」
>>117 何度も書き込めばそれで多数派ってか。
匿名掲示板で住人の大半とか言ってる時点でバカ丸出し。
危うしルイズ支援
つーか皆作品投下中なんだからスルーしようぜ
>>21の思惑どうりに騒いでどーすんの
あと他人を騙るような奴とまともに話しても無駄だろ
だだこねルイズのお供はつらいよ支援
コクリ、とルイズが頷いた。
「行け」
ゴーレムから背を向ける。
と、突然振り返り、問うた。
「ねぇ、勘助?貴方は、逃げないの?」
心配げに、ルイズが勘助を見つめている。
それに、勘助は背中を向けゴーレムと対峙しながら答える。
「そのまま逃げてもいずれ追い付かれよう。私が、足止めをする」
「そんな!魔法も使えない貴方が、『トライアングル』クラスのメイジに勝てるわけないじゃない!『ドット』のギーシュとは違うのよ!」
勘助は、フッと笑った。
「ルイズ。この山本勘助は、数多の戦場を勝ち抜いてきた、歴戦の軍人よ。僅か数騎を率いて、敵兵犇めく敵陣を駆けたこともある。この程度、どうということはないわ」
行け、と首を振る。
今度こそ、ちゃんと逃げただろう。
確認すること無く、背中に下げた大剣を、鞘から引き抜いた。
「おうおう、相棒!格好良い事いうじゃねぇか!」
自身を相棒と呼ぶ、おかしな剣に軽く笑いながら答える。
「何、事実だ」
「言ってくれるねぇ!・・・だが、相棒。あいつは相性が悪いぜ?」
「百も承知。もとより、倒す気なぞ無い。時間が稼げれば、それで良いのだ。」
「そうかい」
「あぁ。勝算が無い戦いはしないのでな」
その言葉がおかしかったのか、フっと笑う。
その頃には、もう目前、といった距離にいるゴーレムめがけて駈け出している。
勘助かっこいいよ支援
名軍師支援
呉先生だとこうはいかない。
支援
支援
―――――ルイズは、走る。
ただ闇雲では無く、キュルケとタバサを探しに。
タバサは知らないが、キュルケの性格なら一直線に逃げるようなことはしないはずだ。
きっと、見つからないように、しかし監視できるような位置にいるに違いない。
(・・・・・・いた!)
案の定、二人が乗っている竜は近くにあった。
「キュルケ!タバサ!」
ルイズが叫ぶ。
それに気付いた二人は、高度を落としルイズを迎える。
「無事だったのね、ルイズ!」
キュルケがルイズに抱きつく。
と、タバサが言う。
「勘助は?」
ルイズは、唇をかみしめる。
「勘助は・・・足止めをしてるわ」
えぇ!?とキュルケが驚いた。
「だから・・・お願い。戻って。勘助のいる場所に」
二人は、お互いに頷きあった。
「勿論よ」
「・・・ありがとう」
礼を言う。
だが、胸中をかけ巡る思いは感謝などでは無い。
勘助の事だ。
(平民のくせに・・・)
平民のくせに、貴族であるギーシュを倒した。
平民のくせに、貴族である自分の頬を打った。
平民のくせに、たった一人でゴーレムに立ち向かった。
(わたしは・・・貴族よ)
だから>139を見ろと支援
見たら風林火山とのギャップに悩まされる支援
勘助に言われたこと。
そんな事は理解していた。
理解しているつもりだった。
だが、それを行えなかった。
そして、勘助を危険にさらし、結果、彼は一人で足止めをしている。
いくら軍人だと言っても、メイジが相手ではそう持つはずがない。
ましてや、相手は『トライアングル』クラスなのだ。
(タバサとキュルケだって・・・あいつには叶わなかった。)
2人とも、『トライアングル』の実力を持っている。
それでも、フーケには勝てなかった。
というか、手も足も出なかった。
3人でかかっても、勘助を逃がす隙が作れるかどうか。
少なくとも、シルフィードに勘助を乗せる暇は作れないだろう。
どうすればいいのか。
わからない。
だが、ただ一つだけ、ルイズは思った。
(勘助は、絶対に死なせない。平民を助けられない貴族なんて、貴族じゃ無いのだから)
―――――大剣を握りしめながら、勘助は思った。
(不思議だ・・・剣を握ると、体が軽くなる)
およそ人間と思えない速度で、勘助はゴーレムの攻撃を避ける。
避け様に、ゴーレムの腕を軽く切りつける。
ゴーレムが態勢を立て直す。
その間に、足を切りつける。
再び、拳が落ちてくる。
また、避ける。
続けて、切る。
避ける。
切る。
幾度も、幾度も繰り返す。
一向に、ゴーレムは止まらない。
蓄積した傷により、ゴーレムの腕がボロッと崩壊する。
だが、即座に元に戻る。
「きりが、無いな!」
避けながら、呟く。
「何せ、あのゴーレムは土だからなぁ。流石に全部壊しちまえば時間はかかるが、腕の一本や二本なら、大した力も使わずに治せる。所詮、剣じゃあれはそうそう倒せねぇよ」
メンバーの半数が死亡してもおかしくない戦い支援
支援
ふむ、と頷く。
と、空から声が投げかけられた。
「勘助!大丈夫!?」
(この声は・・・キュルケか)
と、ルイズがタバサに向かって何事かを言い始めた。
「タバサ!それかして!」
「レビテーションをお願い!」
顔だけそちらを向くと、竜からルイズが飛び降りていた。
レビテーションでゆっくりと地面に降り立つ。
「勘助!そこをどいて!」
勘助の後ろ、ゴーレムの正面から、ルイズは勘助に怒鳴る。
(まさか・・・あれを使うつもりか!?)
ルイズが『それ』を構える。
そして、ブン、と振った。
・・・・・・
何も起こらない。
(当然だ)
苦々しい面持ちで、勘助は思う。
破壊の杖を持っているからだろうか。
ゴーレムは、標的をルイズに変更し、一直線に追う。
「な・・・なんで何も起きないの!?本当に破壊の杖!これは!」
上空から援護が来るが、それらをすべて無視し、強引に迫る。
「逃げろ!ルイズ!」
言葉を聞くか、聞く前にルイズは走りだす。
だが、それは後ろでは無い。
前へと、ルイズは走りだした。
「勘助!貴方が逃げなさい!」
ゴーレムの股をすり抜け、呪文を唱える。
ほんと真面目に戦うとゴーレムは強敵だな
たまにワルドより強いんじゃないかと思う支援
支援
まあ、圧倒的質量だからね
(なっ!?)
「何を!ルイズこそ逃げろと言ったはずだ!」
ゴーレムの体が爆発に巻き込まれる。
当然、物ともしない。
「うるさい!平民を助けられないようじゃ貴族じゃないの!時間なら私が稼ぐ!あなたが逃げなさい!」
ルイズは尚も逃げようとしない。
気づかぬ間に、顔色を青くしならが勘助が叫ぶ。
「引け!そんな事は関係ない!死ぬぞ、ルイズ!私ならば勝算があるのだ!引け!ルイ―――」
「―――え?」
ルイズが目を見開き、驚いている。
ゴーレムの足が、持ち上げられていた足が、
―――ドスンッ
と振り下ろされたのだ。
ルイズが動く暇も無く。
「な、に・・・?」
呆気ないほど、唐突だった。
事実、勘助には何が何だかわからなかった。
(なん、だ・・・?これは・・・何が起きた?)
必死に頭の中を整理する。
確か、あそこにはルイズがいたはずだ。
今、そこにはゴーレムの足がある。
あぁ、今足がどけられた。
―――そこには、何も無い。
「あ・・・」
視界が暗くなった。
わけがわからない。
今、自分が何をしているのかもわからなくなった。
ただ、由布姫の姿が浮かんだ。
たまにじゃなくいつもワルドより強いと思ってる支援
支援
でっかいのも強い
ちっさいのも強い
それはおっぱいに通じるものがある支援
(死んだ・・・)
雪の夜。
確か、その時に姫様は・・・
それが、今、目の前で起きたような錯覚を起こしている。
「ああ・・・」
口からは、勝手に声が漏れている。
「なるほどねぇ。これが、勝算かい?相棒。・・・相棒?おい、相棒?」
何か、剣から音が漏れているような気がする。
だが、聞こえない。
何も、聞こえないのだ。
(死んだ・・・!)
明るく、温かいはずだったこの場は、しかし、冷たく、暗くなっている。
寒かった。
こんな、寒さの中、姫様は死んだのだ。
「ああ、あ・・・」
(姫様が・・・)
死にたくはない、と姫様は言っていた。
死ぬのは嫌じゃ、と姫様は言っていた。
だが、だんだんとその腕は細くなっていった。
やがて、自分はもう、長くないと。
(尊く、気高く、美しいものが・・・)
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
口から声が漏れる。
視界が真っ暗になる。
心の底から、暗い思いが浮かびあがってくる。
「死んだ!姫様が!美しく気高いものが!」
「お、おい!相棒!」
しえん
おおきいことはいいことだ〜♪
トラウマいやああああああああああああああああああああああ支援
ええええええええ
目の前で死んだものは何だったか。
わからない。
ただ、姫様が死んだことはわかった。
目の前の、醜い土の塊に殺されたことはわかった。
だったら、それを壊すしかない。
あの塊は、フーケが作ったものだ。
だったら、それを殺すしかない。
「ぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
叫ぶ。
心が、暗い光によって震えあがる。
手が食い込むほどに、深く剣を握る。
足が勝手に動いた。
手が、勝手に動いた。
気づけば、ゴーレムの右腕は肩から切り離されていた。
「―――あああああああああああああああああああッッッ!」
瞬時にゴーレムの右腕が再生しようとする。
だが、気付いた時には左腕が肩から離れている。
右腕が戻った頃に、右足が切り離されていた。
左腕を再生している間に、左足が切り離されていた。
左腕が戻った時には、右腕が再び離れている。
右足を再生している間に、胴体が割れた。
何かを再生しようとしている間に、その他の部分が壊れて行く。
もはや、再生しても無駄だと悟ったのだろうか。
ゴーレムは、再生することは無くなった。
「あああああああああああああああああああああ!!」
鬼の様な貌で、勘助はひたすらにゴーレムを切り伏せる。
もはや、そこにあるのは土の塊でしかない。
だが、勘助はゴーレムだったものをひたすら切りつける。
「相棒!落ち着け!」
デルフリンガーの言葉なぞ、聞こえない。
「勘助!落ち着いて!もうゴーレムは!」
キュルケの声なぞ、聞こえない。
強く握りしめられた手は、皮がむけ、血だらけになっている。
>>117 お前さんが読解能力のない低脳キ印なのは
スレの住人の大半が良く分かったからもういいだろう
マスかいて寝ろ
多分、ギーシュのヴェルダンデが足元から攻めれば、勝つ見込みは
かなり高かったかもしれませんね。
つよっ!?支援
もうやめて!
ゴーレムのライフはとっくにゼロよ!
支援
>175
作品投下中は雑談はよそうぜ
支援
「フーケェ・・・フーケェェェェェ!」
もはや、勘助に意識は無い。
何をしているのか、何を云っているのか。
「グッ―――」
そして、唐突に、勘助の体は崩れた。
(姫様・・・姫様・・・)
頭の中は、ずっとその言葉で埋まっていた。
―――――ルイズの視界には、ゴーレムの足がある。
そして、それが振り下ろされた。
「―――え?」
気づけば、何と自分の、呆けた姿がすぐそばにあった。
そして、それをめがけて、
―――ドスン、と。
ゴーレムの足が、ルイズを踏みつぶした。
「え?」
訳がわからない。
なんで自分の姿がそこにあるのか、なんてことじゃない。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ―――」
勘助が、叫んでいた。
(勘助・・・?)
「殺した!姫様を!」
叫んでいた。
(姫様って・・・?)
自分の姿が踏みつぶされるのを見て、勘助は姫様が死んだ、と言った。
勘助は、そこに誰を見ていたのだろうか。
もしかして、姫様とは自分の事?
だが、今まで自分は姫様、などと呼ばれたことは無い。
支援
支援!
(誰が、死んだの・・・?)
勘助が只管叫び、只管ゴーレムを切りつけていた。
その貌は、まるでオークか、いや、エルフのようだ。
(泣いているの・・・勘助)
しかし、ルイズにはそれが、泣いているかのように見えた。
キュルケや剣が何事かを叫んでいた。
勘助は、それなぞ聞こえないというようにひたすら『土』を切りつけていた。
と、勘助の周りをうっすらと、雲のようなものが包み始めた。
「グッ―――」
勘助は、そのまま崩れ落ちた。
「勘助?」
ルイズが、勘助の元に歩み寄る。
と、トン、と肩を叩かれた。
「すまない。遅くなってしまったね。ミス・ヴァリエール」
振り返ると、そこには、コルベールの姿があった。
「先、生?」
なんでここに、と続けようとしたところ、気付いた。
彼の後ろには、シュヴルーズや、ギトーら教師達がいる。
そして、彼女の横には、眠っているロングビルが―――
「元より、君たちだけではフーケを相手にするのは危険だ。だから、本当は我々も一緒に行くはずだったのだがね。」
コルベールは、諭すように優しく話す。
「彼が・・・ミスタ・山本が、そのままではミス・ロングビル―――いや、『土くれのフーケ』に逃げられてしまう恐れがあると、言ってね」
「え?」
「我々教師は、気付かれないようにこっそりと後をつけて来たんだよ」
ポリポリ、と頬を掻きながら、言った。
「もう少し早く、彼女を捕らえられれば良かったんだが・・・そうすれば、彼をあんな思いにさせずに済んだし、スリープ・クラウドで無理やり眠らせる事も無かったんだが・・・」
ブービートラップに向けて無駄口を叩いている暇があるなら黙って支援
遍在?ではなくて……イリュージョン?
ただ伏して支援をする也
たぶんギトーGJ支援
なんだろ
人型ゴーレムでも作って誤魔化したかな?
支援
「あ、あの、ミスタ・コルベール」
「何だい、ミス・ヴァリエール?」
「ええと・・・頭が混乱してるんですけど、その、ミス・ロングビルがフーケで、それに気付かれずに先生たちが来て、私たちを助けてくれたんですか?」
「まぁ、そういうことだね。さぁ、ミス・ヴァリエール。学院に帰ろう。彼も、連れて行ってあげなくてはいけないね。」
コルベールが、レビテーションを唱える。
勘助の体が浮き、近くに待機してある馬車へと運ばれた。
こうして、『土くれのフーケ』の事件は、解決された。
支援
支援
支援
193 :
風林火山:2008/02/05(火) 22:25:09 ID:ZQ2akv0x
すいません。本当は、もう一つ分あったんですけど・・・
保存してなかったみたいで、これで投下終了ですorz
中途半端な感じですいません;
ちなみに、つぶされたのは蜃気楼とかそんな感じのつもりなんですね
それと、だんだんと原作の勘助から離れてしまってるみたいで・・・
自分の脳内のイメージで書いてるので、そこら辺は申し訳ないですorz
GJ!
勇者だぜ風林火山の人!
だけど時代劇の雰囲気なら1、2時間じゃなくて一時とか一刻とか言って欲しかったっす
GJでした
勘助がんばり過ぎ。
GJ!
>>176 たぶん奴が最強の使い魔
地中を馬が走る速度で穴掘って進めるって非常識にもほどがある。
ぐじょー
GJ!!
そして、投下中は静かにしろ、お前ら。
とりあえず、バッチイのには触らないことにするとして
>>61 ルイズファンはあんなに空気読めなくない。
そこだけは訂正してほしい。
熱いぜ軍師どの
GJ
>もう一つ分あったんですけど・・・
wiki登録後に加筆修正しとけば問題無し
タイミングによっては後日加筆版再投稿もアリかもね
>>202 了解しました
一時間の下りとか、ちょっと修正した奴含めて後日しておきます
>>199 すまん
でも最初の何人かは熱狂的ファンって感じがしたのよ
後のはしらんけど
>>200 それは考えつかんかった
こっちもすまん
乙&GJ!おもしろかったよ。
そして投下中に変なの沸いてマジでご愁傷様だった。
PC前の俺は言っていた。 「GJ」と。
咆えろ隻眼の竜支援
支援しようと思ったらすでに終ってたGJ
・・・・・・orz
投下予約しておきます。
10時頃より予定。
良作の後だと、凄く気遅れしますなぁ。
今回は情報整理の為の幕間的お話です。
話もほとんど進みません。
>>204 あの発言自体をたたいた人には、ルイズファンもいたかもしれないけど、
そこから派生して閑人氏自体をたたいたのは別物ですよ。
兵器支援
>>209 支援準備。けど今は22時まわってますよw
誰か
サガ・フロンティア2のギュスターヴを召喚したお話を書いてくれないかなー
ルイズヘイトはとことん追い込んでやるよ
明日の午前10時じゃないの?
いや日本時間とは限らんよ
なんかこのところスレの進み具合が早いような気がする。
うわん、時計を見ずに書いてたから間違えた…。
んじゃ、10時55分頃より。
箱のエグゼリカの配信はまだなのか・・・
しえん
>>221 俺と一緒に
や ら な い か ?(支援を)
では、ゼロの少女兵器の人が投下終了15分後に投下予約支援。
エグゼリカはドリキャス作品だから厳しいんじゃないかなー
そんなことより大統領配信しろ支援
>>222 当たり。 袋子は俺の者。
黙って支援する作業に戻ります。
投下前支援
箱は例のK国支配人が怒られ中だから日本市場はどうなるか
『夜の散歩』
ギーシュさんとの決闘から数日後。
そろそろ深夜という時間に、私はベッドを抜け出して支援艇カルナダインへと来ていた。
戦力分析を行うためであった。
トリガーハート用機動ユニットは、地球での戦いで一部損傷したが、
メインリアクター及び各部フィールドジェネレータには支障はなく、飛行には問題無し。
半自律随伴砲撃艦アールスティアは大破。
自律中枢ユニットの損傷および、砲撃/駆動エネルギー供給用のエネルギーレセプタの損傷。
補修用マテリアルの不足により、修理の目途は立たず。
アンカーユニット半自律随伴アンカー突撃艦ディアフェンドは喪失。
「はぁ〜…」
私はため息をついた。
飛ぶ事はできるが、空戦は無理だろう。
まあ、ルイズさんが戦場に飛び込むような事がこの先になければ、
必要にはならないとは思うけど…。
しかし、噂では隣国のアルビオンという国で、王政打倒のための内乱が勃発中であるという。
状況の推移次第では、このハルケギニアは動乱の時代を迎えるかもしれない。
私自身にも不安要素があるんだよね。
そう思い、私は左手の甲に刻まれた使い魔のルーンを見る。
システム・ガンダールヴ。
使い魔のルーンと共に、勝手に組み込まれた未知のプログラム。
カルナダインの分析によれば、このルーンはある種のストレージ領域を持つと思われる回路であるらしい。
しかもそこを基点として、私の基幹プログラムに一部干渉しているとの事だ。
人格にまでは影響を与えてはいないみたいだが、少し恐ろしく感じてしまう。
支援
身体能力の強化と武器兵装の熟達化。
前者は私にとって迷惑であった。
こちらの意志に関係無くリミッター解除だなんて迷惑もいいとことだ。
後者ははっきり言ってビックリした。
手に取った得物の基本情報を取得し、使用方法とモーションパターンの構築だなんて、
いったいどういった仕組みなのか分からない。
プログラムの起動条件は、手に武器となるものを握った時。
私自身が『兵器』であるのだが、それに反応しないのはよかったと思っている。
常にリミッター解除だなんて、活動時間が大幅に制限されてしまうからだ。
今では何とか発動条件に一部改変を行い、
武器を手に持っても一時的に起動を抑える事は可能になった。
ただし長時間は無理で、発動してしまった際は、出力の低減で対応する事とした。
しかし、この世界の『魔法』というものは、あまりにも異常で異質過ぎる。
資質に左右はされるが、個人が扱う力としては、
『魔法』が引き起こす結果が、あまりに強大過ぎるのだ。
土の系統魔法は、物質変換をいとも簡単行い、ゴーレムなどの半自動人形を作りだす。
火や水の系統魔法は、熱量変換を容易に行い、炎や氷塊を作り出す。
風の系統魔法は、暴風を起こすことが可能だそうだ。
『チルダ』の開発局の人間が見たら、眩暈でも起こすだろう。
それくらい馬鹿げている。
そして、ルイズさんの魔法の失敗によって起こる爆発現象。
あれは特に危険だと思われた。
私とカルナダインの予測では、物質のエネルギーへの直接変換。
四大系統魔法は、発動後は物理現象に準ずるため、防御手段はあるだろう。
しかしあの爆発は、防御手段そのものを爆砕することが可能である。
おそらく空間干渉フィールドでも、爆発そのものは防御可能ではあるが、
フィールド内を直接攻撃さえたら防ぐ手立ては無いだろう。
私個人の感想では、あれのどこが失敗なのかが不思議だ。
支援
ボー・ブランシェがルイズに召還されました 小ネタ
「っく、俺は確か森にいたはず」
「だから私が使い魔として召還したのよ」
「くそー仕方あるまい、元の世界に帰るまで使い魔とやらをやってやろう」
そして
「人間はよりすぐれた人間によって正しき道を選ぶ、そこに幸福があるのだ。そして優秀なものは、より弱きものたちを守る義務がある。それが私の信じる「ネオナチ」のあり方だ!!」
「そのかわり支配するものは誰よりも優れてなければならない。そのために欠かさぬ努力を、精進を重ねなければならないのだ!!」
「ま・・・あんたの偏った論理なんかどうでもいいから・・・取りあえず服を洗濯しておいて」
そのあと
「決闘だ」
「貴様、二股とは紳士の風上にも置けぬ奴だ!このボー・ブランシェが教育してくれるわ」
「ふふふ、怖気づいて逃げたりしなかったようだね、でははじめるぞ!いけワルキューレ!」
「ぬ、青銅のスプリガンか、これも腐れ縁か!これもいい機会だ名誉挽回だ!」
アダダダダ
ば バ
「お・・・おじさんすげえ」
「みたか、コレが爆裂粉砕拳だ!」
ゆらり
「ま、まだだ!」
バッ
プ ン ン
「な・・・」
プン
グシャ
グシャ
グシャ
グシャ
「やったー、おじさんすげー!」
「おおー!」
「風の偏在?」
「どうだ、今のが分身烈風拳だ、おぼえておけよ」
スルー支援
ここ数日の私とカルナダインの情報収集と観測によって、
魔法という現象に仮説を打ち立てた。
カルナダインの観測によれば、この惑星上にはある種の不活性エネルギーに満ちているという。
そしてメイジが魔法を使うと、この不活性エネルギーが励起状態になっている。
おそらくメイジとは、この不活性エネルギーを励起させることが可能な素質を持っているのだろう。
あと、ルイズさんの魔法の失敗の際に起こる爆発についてだが、
一部は光と熱に変換されて爆発を起こすが、
大部分が不活性エネルギーへと変換されていることが観測された。
ルイズさん以外では同じ爆発現象が起きないところをみると、
ルイズさんはメイジという特殊な資質を持つ者の中においても、
更に特殊な素質を持っているのかもしれない。
今後の更なる情報収集と分析が急がれる。
情報収集に関してだが、ルイズさん以外の協力者を得た。
名前はタバサさん。
非常に物静かな方ではあり、物凄い読書家であるようだ。
タバサさんは、ルイズさんを『ゼロ』などと言ったり、
嘲笑などをしたり数少ない人である。
絵本などから文字を学習しようとしていたら、学習の協力を申し出てくれた。
なぜ協力してくれるのか聞いてみたが、いずれ話すとのことらしい。
何らかの思惑はあるようだが、協力は嬉しい限りなので申し出を受けることにした。
おかげで読みは何とかなりなったが、書きに関しては…。
『違う。そのつづりではトリガーニートになってる』
…もうしばらく掛かりそうである。
>233
人の投下に割り込むとは……
雷皿♂最低だなっ!
238 :
虚無の王:2008/02/05(火) 22:58:48 ID:TEcW/KP/
支援!
私は「ゼロのトランスフォーマー」氏の投下終了10分後に予約したいと思います。
>>233 乱入してくるとはとんでもない奴だ
リロードはするようにしておくれ
>トリガーニート
それはいろいろだめだろう支援
俺も支援しやがります。
さて、今後は…、と思っていると。
ルイズさんに渡しておいた、発信機兼体調モニター機能を持ったバンクルが、
ルイズさんが睡眠より覚醒したことを知らせてくる。
心拍数が増加している。
もしかしたら私がベッドに居ないことに動揺しているのかもしれない。
早く帰って安心させてあげよう。
支援艇カルナダインから出て、私は空を見上げた。
空には二つの月。
「これを見ると、やっぱ地球とは違う星なんだなぁ、って改めて認識させられるな…」
ふと、私はルイズさんとの『約束』を思い出す。
『エグゼリカを必ず元の世界に帰してあげるわッ!』
彼女は、ルイズさんは誇り高い人だ。
『約束』は必ず果たされるであろう。
だからこそ私も、『約束』を果たさねばならない。
トリガーハート・ナンバーTH・エグゼリカは、
『約束』が果たされることを信じ、ルイズさんを守る使命を全うしよう。
そもそもハルケギニアにニートと言う言葉があるのか支援
虚無の王死ぬほど期待支援。
乙!
毎度思うけど支援の意味わかってない人いそう。
乙!
これってあれだよね、カップめん食ってる女の子のゲームだよね?
連続で書き込むと規制かかるから?
>>246 支援乱れうちはここの風物詩だと思っている、
と、初代からの住人が言ってみる。
>>239 レイヴンだ。レイヴンがいるぞ。
支援の意味ってなんなんでしょうか?支援
最近は連投規制が甘くなったらしいけど支援は本スレの華だぜ
そういや大統領ネタはあるのに
ACネタはなかったな
では投下します。今回は外伝。
前スレの佐山ウイルスには蔓延してもらいたいな。
生徒達へ新庄教の洗脳完成したあたりで、ウイルス駆除のために新庄本人にも呼ばれてもらいたいな。
支援
ギゴギゴギゴ支援
1匹の環形生物が、自身の体節に生えた、持ち前の頑丈な剛毛を駆使して、土の中を掘り進んでいる。
その生物の生きる上での糧となる、有機物や微生物をより多く食する為だ。
今日もまた、人間の、あいや地上の生物の目から遁れながら、
自分なりに懸命に生きている彼を、愛着を込めて仮に蚯蚓くんと呼ぶ事にする。
環形生物としては、常人には考えられないほどの、高い思考能力を持つ蚯蚓くんは、喜怒哀楽の感情をも有する。
蚯蚓くんには、土竜に食われたり、うっかり地上に迷い出て、そのまま干乾びて死んだり、
人間に捕まり、散々弄ばれた後に足で踏み潰されたり等で、無残な最後を辿った、幾多の仲間達がいた。
感情豊かな蚯蚓くんは、仲間の不幸を目の当たりにするたびに、嘆き、悲しみ、
そして、自分もいつか仲間達と同じ道を歩むのだろうか、と恐怖に脅えた。
元々短命の定めとは言え、この世に生を受けたからには、寿命の限り精一杯に生き抜きたいのが心境と言うもの。
少なくともこの蚯蚓くんは、安易に生涯への絶望を覚え、生きる意味を簡単に見失うような輩では無かった。
しかし、蚯蚓くんの種族に浴びせられる世論は、かくも厳しい物ばかりが羅列される。
外見が気持ち悪いだとか、所詮釣りの餌だとか、動物実験の格好の材料だとか。
土壌生物である蚯蚓くんが、何処でその世論を聞いたかは知らないが、彼は悔しかった。
そして、必ず汚名返上してやると、心に深く誓った。
そんな覇気を胸に刻みつつ、休む事も無く彼は、今日も微生物を捕食するために土を彫り続ける。
終わりは誰も知らない。
しかしこの日は、体内に得た獲物の数も頗る良好で、巨大な岩を始めとする障害にもぶつからない。
漆黒の無機物の宇宙空間を、蚯蚓くんは比較的優雅に泳いでいた。
今日はこのまま眠りについても文句は無かろうとまで思い、動きを止め、暫しの休息を過ごそうとした。
だが、その時であった。
突如として、光が蚯蚓くんを奇襲した。
地中という暗闇の世界に太陽の光が現れたという事は、それは何らかの形で土壌の表面が抉られ、
蚯蚓くんの活動域に微小の空気による空洞が発生した事を意味する。
蚯蚓くんは、その体に備え付けられた、人の肉眼では確認できない程の小さな眼で、光の襲来を感知し、
危険から逃れる為に、さらに深く潜ろうと身構えたが、
巨大な何かが、力強く、且つ内臓を潰さない程度の圧力で、蚯蚓くんの細い体躯を瞬時に掴み取った。
蚯蚓くんは、為す術無く地上に持ち上げられた。
突然のショックで一瞬気絶し、意識を取り戻した蚯蚓くんは、自分が何者かに片手で握られているのを推察した。
蚯蚓くんの視点から見た、己の自由を奪った者の外見的印象は、
先ずあまりにも巨大で、加え環形動物である自分とは対照的な、複雑な体の構造をしていて、そして、冷たい。
簡潔に結論を陳べれば、蚯蚓くんを捕まえたのは、大きさ約2.5メイル、橙色のガーゴイルであった。
>>250 連投規制引っ掛からないように他の人の書き込みで投下する職人のレス比率を少なくすることだと思うよ
AC4で書きたいがネクスト無双です、ありがとうございました支援
ふぁ、ファーマー!? 支援
支援はシステム的には投下の次に一レスで十分
それ以上はただのレス数浪費
太陽が煌煌と青い空を彩る下、赤く光る眼を持つ梟に酷似した頭部が、蚯蚓くんを睨みつける。
見るからに残忍そうな顔立ちである。
4本の鉄の爪で構成された無骨な右手が、一刻も早く危機から逃れたいがために必死にうねる蚯蚓くんを逃さない。
そしてガーゴイルは、蚯蚓くんを一瞥した後、低く唸った。
意外にも、それは動物的な唸り声であった。少なくとも、無機質さは感じられない。
だからと言って、この状況がどうとなる理由も無い。ガーゴイルは、蚯蚓くんを掴んだまま歩き始めた。
蚯蚓くんは、これから身に降りかかるであろう、あまりにも残酷な情景を想像し、吐き気を催した。
自らを掴んでいるこの鉄の鍵爪で、体躯を抉った挙句、内臓を外部に曝すつもりなのだろうか。
或いは、明らかに腕よりも短い脚で、踏み潰す可能性も大いにあり得る。
何れにせよ、未来への道は、硬く閉ざされてしまった。そこに待つのは、死あるのみに違いない。
覚悟を決めた蚯蚓くんは、比喩的な意味で瞼を閉じ、短かった今生に永久の別れを告げた。
だが、蚯蚓くんが次に身に感じたのは、土の柔らかい感触であった。
先程居た地面とは違う、程よく冷たく、さらさらとした土の上である。
あのガーゴイルが、蚯蚓くんをその場所に落としたのだ。
蚯蚓くんは、暫し警戒していたが、危険が無い事を察知すると、素早く土の中へと消えた。
蚯蚓くんの行く末を見届けたガーゴイルは、ふん、と鼻を鳴らした様な音を発して、
自身の足元に開いた、蚯蚓くんが掘った小さな穴を見つめ、土で穴を埋めた。
再びガーゴイルは音を発し、頭を太陽へと向ける。
雲ひとつ無い、良い天気である。
ガーゴイルの佇んでいる場所は、4メイル四方のレンガで囲まれた、茶色い敷地の中央。
そこは、まだ何も生えていない、造作真っ最中の花壇であった。
別の場所で蚯蚓を採取して、ここに放ったのは、花の栽培に適したより良い土をこさえる為。
蚯蚓の糞は、良い土を作るのに適しているのだ。
今日までに此処に集められた蚯蚓の数は、先程の蚯蚓くんの加わりで約30匹となる。
存外骨の折れた蚯蚓採取も、これで十分であろう。
そう認識したガーゴイルは、一端そこから離れ、花壇から外に出た。
小さな花壇の北の方角に、敷地を囲む壁が建立しているのが見える。
ここが、ガリアの王都リュティスの東端、ヴェルサルテイル宮殿のさらに北に位置する、
プチ・トロワと名付けられた、ガリアの王女が住まう宮殿敷地内の最北端であるからだ。
先程も記したが、このガーゴイルは此処で何をしているかと言えば、何故か花壇をせっせと造っているらしい。
既存の花壇は、一応あるにはある。リュティス自体、森を切り開いて造られた荘園であるし、
そもそも王女の住む宮殿の庭園なのだから、寧ろ大なり小なりあって当然なのだが、
その王女の性格が、言ってしまえば捻くれているためか、殆ど手入れを命じてない故、
花壇と言うよりは廃墟と表現した方が相応しい。
特に敷地隅っこともなれば、宮殿敷地内であるにも関わらず、えらく辺鄙な場所にも見受けられてしまう。
そんな場所にて、ガーゴイルは新たな花壇を作ろうとしていた。
意図は、彼のみぞ知る。
「此処におられましたか、ボーンクラッシャー。……様」
花壇の土をじっと眺めていたガーゴイルの名を、背後から呼ぶ人間の声。
振り返ることも無く、ガーゴイル――ボーンクラッシャーは、野生の狼のソレに近い唸り声で、短く誰何した。
「はっ。某、東薔薇騎士団、バッソ・カステルモールであります」
慇懃でありつつ、それがし、とえらく古風な語録を使って返答する男、カステルモール。
名乗の通り、ここ北薔薇騎士団ではなく東薔薇騎士団所属であるため、普段は姿を見せないのだが、
職務の関係で、時折この宮殿に訪れる事も少なくない。
「姫殿下が御呼びです。至急、宮殿にお戻り下さい」
姫殿下、の単語に、ボーンクラッシャーはぴくりと体を反応させる。
それまで不動だった彼は、打って変っていそいそと宮殿に帰る仕度を始めた。
「ボーンクラッシャー様、此処で何をなさっているのですか?」
黙りっぱなしでは場の空気も些か重いので、カステルモールは話題を振るが、何も返答は無い。
カステルモールは、溜息をついた。此処に来るまで散々歩き回った所為で足も若干重たい。
何処かで散歩でもしている、さっさと探して来い。となんとも御上品な口調にて、
王女から直々の捜索命令が下ったため、広いプチ・トロワの敷地内を何十分も巡り歩いていた次第である。
随分と時間を費やしてしまった。後で王女から文句を喰らうのを覚悟せねばならない。
しかし捜し求めた末が、敷地内庭園の最北端、
普段は誰も足を運ぼうともしない、朽果てた花壇の跡だとは思いもよらなかった。
しかも、此処で何かを造っているように見える。そこら中に、真新しいレンガ等が散乱しているからだ。
王女はこの事を知らないのだろうか。いや、場所が場所、知る由も無いだろう。
カステルモールは再び溜息をつくと、徐に目付きを鋭くし、ボーンクラッシャーを睨み付ける。
彼は以前より、屈辱に等しい想いを、目の前で背中を向けるこのガーゴイルに抱いていた。
NHK大河がアリなら黒田三十六計もアリか?
――何故、この不細工で無粋極まる存在に、我々はわざわざ‘様’付けをせねばならないのだろうか。
プチ・トロワ内で、このガーゴイルは、王女に次いで、召使や兵を従う権力を所持している上に、
毎晩、平民の生活費1年分の費用を要する、豪勢な晩餐を食す王女の隣で、最高級のワインを啜る有様。
湯浴みと憚り事以外であれば、常に主君の傍らに身を置いている。
王女自身もそれを望んでいるらしく、溺愛してるとも言えよう。
例えばこのボーンクラッシャーとやらが、あの王女の使い魔であれば、まだこの扱いは理解し難くも無い。
しかし見た所、この化け物には、使い魔の証である左手のルーンは刻まれていない。
そう、こいつは、使い魔でもなんでもない、只の悪趣味造形なガーゴイルに過ぎない。
たかが護衛ガーゴイルの分際に、御誂えが殆ど叶う身分を与えるとは、王女の沙汰も常人の知れたものでは無い。
第一、何故魔法人形がワインなど摂取するのか。
気に食わない点はまだある。この輩は、王女以外の人間に対して極端に無愛想だ。
いや、ガーゴイルに愛想を求めるのも妙な話だが、しかし通常ガーゴイルは人間に尽す為に存在する。
故に、意思の疎通を難なくこなせる様に、人間の言葉を操れるように作られてる筈だが、こいつは物を言わない。
極端に無口なのか、それとも、製作者の魔法人形職人に、意図は不明だが口を訊けない様に造られたのか。
何にせよ、こいつは私に不快感を与える要素を、多く具えすぎている。
聞けば、背中から生えた奇妙な鍬状の尾で、
北花壇騎士タバサ――シャルロット様を脅すという愚行まで働いたらしい。
腸が煮え返る。それが、私の率直な感情だ。
隙を見て、鞘に納まれた私の剣を素早く抜き、彼奴の小さな頭を薙ぎ落とす覚悟は、あるにはある。
それに対する嗜虐王女の厳罰など、これまでのシャルロット様の苦渋を思えば、今さら恐れるに足らない。
私をここぞとばかりに精神的にも肉体的にも甚振り、高笑いする王女の姿がありありと脳内に映し出されるが、
知った事か。
だが、認めたくは無いが、今ここで奴の暗殺を決行した所で、返り討ちに遭うのが関の山。
以前、余興の狩りで、ピエルフォンの森の中を、見た目からは凡そ計り知れない、俊敏な動きで駆け巡り、
鹿を捕え、例の鍬の尾でその鹿の息の根を止め、返り血を浴びたボーンクラッシャーの姿は今でも覚えている。
その光景を目にし、珍しく嬉しそうに笑っている王女の横で、私は思わず冷汗を垂らした。
また、不思議な変身能力も持っており、6メイルもの大きさを誇る、鉄の装甲車へと姿を変え、
宮殿から他の場所へ外交目的等で外出する際も、王女の乗る馬車を護衛している。
あの装甲車に圧し掛かられでもしたら、潰れた蛙の様に綺麗に熨されるだろう。
下手な喧嘩は売らない方が良い。悔しいが、そう意識している。
始祖とやらよ。
このボーンクラッシャーなる強靭な後ろ盾を、何故シャルロット様でなく、
あの苦労知らずの小娘に与えられたのか。
私は、今一度あなたを訝しもう。
それにしても、本当に不細工な面構えだ。
みみず君支援
支援
支援
しえん
――という具合に、カステルモールの怨望は、当のボーンクラッシャーの知る事無く、
しかし確実に、膨れ上がっていた。
背後で密かに膨張する恨みを察する事も無く、ボーンクラッシャーは、
予め用意していた水を汲んだバケツで、腕や脚部に付いた土を洗い落とし、
最後に一通りの点検を済ませ、軽快な足取り(といっても若干短足なので速度は箆棒に遅い)で、
カステルモールを引き連れ暢気に宮殿へと歩み始めた。
敢て正直に言って、機械生命体がせっせと農作業に勤しむ姿は、シュールを越えて、最早情けなくも見える。
悪のデストロンが花壇を作る必要性が、一体何処にあるというのだろうか。
物を造る、という‘ビルドロン部隊’だった頃の本能が蘇った可能性はあるが、確定は出来ない。
しかし、彼にとって、恩人のために物を製作するのは、決して苦では無く、寧ろ楽しい事であるらしい。
幾年の戦いの歴史を沿い、無駄な破壊と殺戮の繰り返しに疲れ、尚且つ嫌気がさし、
新しい主君の元、幸運に得た無聊の日々を貪る彼としては、格好の時間の有効利用でもあった。
似合わないからと言って、それを否定したり止めさせるのも酷な話であろう。
――明後日種を植え、巧く育てれれば、期間で言えば約3ヶ月弱で、寂れた花壇は賑やかに染まる。
春と夏の境目、人間が尤も快適に過ごせると言われるこの時期、種植えのタイミングとしては丁度良い。
宮殿の花壇としてはまだまだ小さいが、
他の薔薇花壇や、百合花壇に引けを取らない規模に拡張する計画も構想中である。
花壇の事は、実はまだ主人には内緒である。
彼の主人は、自身がガリアの王女でありながら、
与えられた役職が北花壇騎士団団長である事に、えらく憤慨してるのは周知の事実。
無理も無い。‘北花壇’とは名ばかりで、他の各花壇の様な、特定の花が咲いた花壇を所有してはいない。
花を持たない騎士団に下る使命など、ガリア王国が直接触れたくも無い汚れ仕事ばかりである。
廃棄物処理場の職務管理長に任命されて喜ぶ年頃の少女がいる理由も無い。
役割が変わる訳でも無かろうが、
せめてモチーフとする花は、欲しがっているに違いない(あくまでボーンクラッシャーの独断)。
が、花を植えさせてくださいと頼んだ所で、素直によろしいと許可してくれる性格でないのは重々承知している。
ならば、花ぐらい趣味の範囲として、勝手に植えてしまおうではないか。
王女の次に偉いのだから、少なくともこのプチ・トロワ敷地内で何をやろうとも、文句を言う輩もいるまい。
プチ・トロワの庭園に、ついに象徴となる花が百花繚乱すれば、
それを目にした主人の顔(所謂サプライズを予定している)は綻び、花を植えた者に頌詩を贈るに違いない。
そして、例え気休め程度だとしても、ガリア王女としての自信を得てくれるであろう。
因みに、何を植えるかは、既に決めている。このハルケギニアでは珍しい、夏を象徴する個性的な、あの花。
帰路を歩むボーンクラッシャーは、そのあまりにも完璧な筋書きに、密かに酔い痴れた。
心なしか、上機嫌にスキップでも披露しそうに見える。
そんな彼の音声判別装置に、後ろに付くカステルモールの
「この、ボンクラ野郎が……」
という怨恨の言葉、と言うより愚痴は、届かなかった。
しえん
しえん
>>261 否、俺たちの熱い心を支援という言葉に乗せて、職人さんに届けるという目的もあろう。
トランスフォーマーの人応援してるぜ、支援
以上です。wikiには↑のタイトルで登録していただければ有難いです。
ほのぼのボーンクラッシャーGJw
GJにございまする。
さてはボンクラから逆算したな、この話
GJだ
ニコニコの「やさしいボンクラ」を思い出した。GJ
279 :
虚無の王:2008/02/05(火) 23:28:14 ID:TEcW/KP/
GJです。
30分頃からいきます。
そういう理由だったのか…
規制のことすら知らなかったぜ、支援
戦わないお話というのも新鮮ですね。素晴らしい。
ところで皆様に質問。まとめWikiに用語集を載せている人がおられますが、あぁいうものはどうすればいいんでしょうか?
1:ここに投稿。
2:避難所に投稿。
3:直接まとめWikiに投稿。
火の塔を過ぎた。
空を置き去りにして来た広場は、冷たい闇に沈んでいた。
僅かな物音、背筋を撫でる冷感、些細な切っ掛けが度々ギーシュを捕まえ、ヴェストリの広場へと振り返らせた。
神を信じて生きる少年は、その度に始祖を呪う言葉を吐き捨て、同じ数だけ、自身を悪罵した。
互いの名誉と生命とを賭けて戦うべき決闘の相手を、一人死地に残して来た。
貴族として、これ程恥ずべき事は無い。
だが、今、ギーシュを呵責するのは、もっと少年らしい、純粋な感情だ。
学生の姿は殆ど見られなかった。
幸福な恋人達が二人で迎える朝に備え、独り者が夜を諦めるには十分過ぎる時間だった。
「どう言う事なの!ねえ!」
気付くとアウストリの広場だった。
女神の様に美しい少女達は、揃って一人だった。
ルイズの声は、いつもより甲高かった。
その鋭さで、モンモランシーから彼女が知りもしない事実を抉り出そうとしていた。
ギーシュは空気を啜り込むと、拳を固く握った。
恋人を庇わなければならないし、不幸な仲間が、残酷な現場をその目にしないで済む様、取り計らってやらねばならなかった。
四つの目線が一度に振り向いた。
使い魔と、片思いの相手と、恩人と、恋人の悪友と。
それぞれの立場に従って異なる光を放つ目が、一つの事を聞いていた。
「ギーシュ!空はどうしたの!?」
「――――ルイズ。そして他の皆も。どうか、落ち着いて聞いて欲しい」
一番、落ち着かなければならないのは、他ならぬ当人だった。
心臓が胃を乱雑に蹴り飛ばして、ひっくり返した。
適切な説明の言葉は、どこにも見つからず、舌は空転するばかりだった。
「ギーシュ!ねえ!ギーシュ!」
再三再四の強硬な催促が、頭の中に積み上げられた積み木を滅茶苦茶にした。
「落ち着いて!落ち着いてくれ給え!大変な事が起きている!オールド・オスマンが彼を亡き者にしようとしているんだ!」
単純な少年の思考回路は、意図せずして正解を選び取った。
核心に飛び込めば、細部は自ずと着いて来る物だ。
ルイズの表情が、冷めた脂の様に固まった。
「……それ、どういう事?」
「王国のあちこちで暴動が起きているだろう。オールド・オスマンは彼が原因だと考えている」
「そんな筈無いじゃない!」
「300歳の爺さん考える事なんて、僕に判るもんか!とにかく、学院長は本気だ。手勢を集めて、たった一人の平民を囲んでいるんだ!」
一つの魔法燈が、溜息と共に目を閉じた。
広場からは人影が消えていた。
役割を終えた灯が、一つ一つと消えて行く。
残るのは、五人を照らす二つだけとなった。
時が凍り付いた。
ギーシュは警戒した。
それは、項垂れた、敗者の沈黙とは違った。
放たれる寸前の魔法が、杖先で保つ静止の時間に過ぎなかった。
>>261 1レスでいいのか。知らんかった。
けど支援は浪費じゃないと思うんだぜ書き手的には。
支援
1レスだと猿くらったような……
「何人?」
「50人以上だ。殆どは学生だが、教師も居る」
「場所は?ヴェストリの広場の、どこ?」
「……聞いてどうするんだ?」
ルイズはもう、ギーシュを見ていなかった。
夜空の色に染まった芝生の上を、魔法灯の光が嘗める様に移動した。
義理固い少年は、空との約束を思い出さなければならなかった。
「待つんだ!一体、どうする気だ!」
「決まっているでしょうっ。空は私の使い魔よ。使い魔を見殺しにするメイジは居ないわっ」
声だけが返って来た。
ルイズが一体自分の話をどこまで聞いていて、どこから聞いていないのか、ギーシュには判らなくなった。
出来もしない練金の魔法に指名された時だって、もう少しは動揺を見せた筈だった。
「言っただろう。オールド・オスマンは彼を亡き者にしようとしている!その為、50人以上もの手勢を集めている!そんな所に行ったらどうなるかくらい、判るだろう!」
空の言葉は、敢えて口にしなかった。
きっと、逆効果になる。
「勿論、判っているわっ。生命が惜しいなんて、貴族じゃないっ」
胸に刺さる一言だった。
勿論、ギーシュとて我が身可愛さに一人立ち去った訳では無かった。
絶えず、如何に生きるべきかを教えられて来た。それは、如何に死ぬべきかにも通じる。
だが、あの時、あの広場には、どんな生き方も死に方も埋まってはいなかった。
「彼は王権に唾する賊徒として裁かれるんだ!生命だけならいい!名誉だって失うかも知れない!」
「物事の価値は私が決めるわっ。貴族の誇りに、名誉や、まして生命より安い値を付ける気なんてないっ」
「貴女、こんな時まで素直じゃないわねえっ」
不意だった。
ルイズの隣に、キュルケの微笑が現れた。
「なによ、それっ!」
「別に。じゃ、行きましょうかっ」
「付き合う」
二つの真っ白な背中と、褐色の背中が遠離って行った。
ギーシュは一人立ち尽くしたが、それも一時だった。
彼には三人の乙女よりもずっと悩む時間が有って、なにより男だった。
「待ちなさいよ!どこ行く気!」
攻守が変わった。
最後まで残った魔法燈の中に、モンランシーが立っていた。
水精霊の様なドレスの中に、痩せぎすの影が浮かんでいた。
「決まっている。彼の所だ」
「何、言っているのよ!そんな所に行って、どうなるかくらい判らないの!あなたが言った事じゃない!」
「こんな事を言うと笑われるかも知れないがね。彼と居る時、僕は貴賤の別を忘れた。友情の様な物を感じていたんだ。主人であるルイズが行った。無関係な筈の二人だって行った。皆、女の子だ。ここで行かなければ、僕は一生、貴族を名乗れなくなる」
「何、気取っているのよ!似合わない!」
「そうだ。僕は気取っているんだ。そして、多分、それが貴族の務めなのだ」
「馬鹿じゃないのっ!」
モンモランシーは叫んだ。ヒステリックな声だった。
そして、女は一切の刺も含まぬヒステリーを起こせるものだ。
「私は行かないわよ……」
「勿論だ。是非、そうして欲しい」
「嫌だわ、男、て。残された者の事なんて、一つも考えないのね……」
「それは誤解だ」
昔から考えていた事が有る。
女は子を残す。教育を与え、一門に人士を残す。
では、男は?
「昔、金持ちの貴族に馬鹿にされてねえ。祖父や先祖を恨んだものさ。でも、今なら判る。男が子孫の為に残せる物は、誇り高き、勇敢な生涯だけなんだ」
行って来る――――そう言い置いて、ギーシュは三人を追った。
背後で最後の魔法燈が消えた。
モンモランシーはもう、何も言わなかった。
彼女は泣いているだろうか。仕方が無い。泣くのは女の仕事なのだから。
ギーシュは振り向かずに駆ける。杖を握る手に力が籠もった。守る杖後に憂い無し。騎士道精神揺るぎ無き。
戻って、自分に何が出来るだろう。ふと考えて、止めた。
想像を超えた事態に、想像を働かせる事は無駄だった。
名誉や尊厳を守る事ばかり考えて、逆にそれを失うのだとしたら、馬鹿馬鹿しい話だ。
どんな状況であれ、男は一人敢然と立てば良い。
二人の背中が見えた。ルイズとキュルケだ。
パーティドレスの背は、大胆に開かれていた。
或いは見納めかも知れない。せめて視線でくらいは、舐めても罰は当たらないだろう。
本塔を迂回した二人は、ヴェストリの広場への最短距離を選ばず、女子寮塔に向かっていた。
舞踏会に杖を持ち込む不作法者は、恐らくタバサ一人だった。
杖を携え、“牙”を華奢な脚に備えた少女の姿だけが無かった。
プライドが高ければ、我も強い二人が、タバサに抜け駆けを許すとも思えない。
その俊敏を活かして、状況を探りに行ったのなら、有りそうな話だ。
恐るべき破壊魔法を操る二人だが、脚力では流石にギーシュが上だった。
白と黒のコントラストも鮮やかな剥き出しの背中に、指を這わせて見ようとも思ったが、自分の年齢が、それを冗談で許してくれそうも無い事を思い出した。
その滑らかな肩を男らしく叩く事も諦めて、背後から声をかけた。
その声は、二人の耳に届かなかった。
当人の耳にさえ届かなかった。
もう一度、声をかけ直す事は勿論、今、自分がどこに居て、何をしようとしたのかさえ、綺麗に頭から消えた。
爆音が耳を劈いた。
本塔と火の塔の間に、もう一つの塔が聳えていた。
“塔”は三人に向けて倒れて来た。
誰も、動く事が出来なかった。
視野に墨がぶち撒けられ、硬い感触が頭を叩き、舌の上に砂が貼り付いた時にも、その正体が吹き上がる土砂である事に気づけなかった。
三人は激しく咳き込んだ。
粉塵が眼に食い込み、唾液をたっぷりと吸った砂が、どこまでも執拗に口腔を舐っていた。
目が開く様になったのが先か、砂煙が収まったのが先かは、誰にも判らなかった。
視野を取り戻した時、三つに増えていた塔は、一つに減っていた。
夜空に二つの月が並んでいた。
月の滴から生まれた巨大な龍は、その強暴な食欲を以て地上を食い荒らし、本塔も、火の塔も、広場の緑も、その一切を天に持ち去ろうとしていた。
「圓月杯!」
その光景は、フーケのゴーレムを丸飲みにした竜巻を、否応無しに連想させた。
学院長秘蔵の恐るべきマジックアイテム。
まさか、たった一人の平民相手にこんな物まで持ち出すとは、夢にも思わなかった。
烈風と土砂の城壁に、一つの影が浮かんだ。
黒いドレスから覗く白い背中が、妙に艶めかしく、鮮やかに見えた。
タバサだ。圓月杯の余波に巻き込まれたらしい。ギーシュは救出を謀る。
少年の勇気と献身は然したる意味を持たなかったが、正しく報われた。
彼女の使い魔シルフィードは彼よりも遙かに忠実に、機敏に、転落する主人のスカートを銜え上げた。
惜しむらくは、決定的な瞬間を記憶に刻むだけの余裕を、ギーシュが欠いていた事だろうか。
前に職人さんが支援が無いとさみしいって言ってたぜ支援
支援だぁ
おわぁ支援
ヴェストリの広場から、砂が絶え間なく飛んで来た。
その多くは空気とぶつかり、砂埃となって舞い上がった。
大振りの粒だけが礫となって体を叩いた。
明日には青痣を覚悟しなければならないだろう。後、10メイルも前に居たら、皮膚に突き刺さっていたかも知れない。
ルイズの顔に、絶望感が滲み出した。
圓月杯の力が、貴族の矜持と、持ち前の強情を吹き飛ばした時、そこには17歳の少女しか残っていなかった。
ギーシュは反射的に飛び出した。鈍い頭に、珍しく虫の知らせが下りた。
御陰で、ルイズに一歩先んじる事が出来た。
「待つんだ!」
ギーシュはルイズを抱き留めた。
返って来たのは、無言の抵抗だ。それだけに直接的だったが、同じく興奮状態に有る少年は、ミミズ腫れ程度で怯みはしない。
「放してっ!」
「待てっ!落ち着くんだっ!あんな所に飛び込んだらっ……!」
「あそこに、空が居るのっ!」
つい、とキュルケが歩み出た。
燃え上がる情熱を身上とする女の眼は冷めていた。
平手が一閃。ルイズの恐慌と興奮とを断ち切った。
「キュルケ……?」
ルイズが声を落とした所に、もう一発。
「!……何するのよ!」
「少しは、落ち着きなさい。杖を持たずに、何が出来るつもり?」
「彼は大丈夫」
状況を確認して来たタバサの言葉に、ルイズから憑き物が落ちた。
仮にもヴァリエール公爵家の三女だ。
知性も教養もあれば、常人では正視も叶わない打撃とて、正面から受け止め、耐えるだけの精神は備わっている。
「……杖を取りに行きましょう」
もう、拘束は必要無かった。
取り敢えず、圓月杯の効力が収まるまで、出来る事は何も無い。
杖を手にする二人だけが残された。
タバサの無表情は、いつもながらに、その内心を窺う事を許さなかった。
眼鏡を外すと、こびり付いた砂を丁寧に落とす。
ギーシュは滅多に見る事が出来ない、その素顔に見入った。
彼女が言った事よりも、言わなかった事が気にかかった。
* * *
支援
ここまでくるとギーシュ主役だね支援
一つの広場と、二つの塔を食い散らかした巨龍が、不貞不貞しく蜷局を巻いていた。
“空”は土砂で濁り、手が届く先さえ見えそうも無かった。
満腹の竜巻がその目を閉じるまで、一同は巨大な石像の陰に身を潜めた。
変わり者の貴族が寄贈したと言うイーヴァルティの像だ。
左手を失い、凡人と堕した勇者は、メイジの弾除けが精々だった。
四人の心臓が刻む時間は、その長さと言い、形質と言い、まるで異なる物だった。
ギーシュは武者震いを起こして、突撃の時を待っていた。
方策は何一つとして思いつかなかったが、我が身に不幸が訪れた時に叫ぶ言葉だけは決まっていた。
女王陛下万歳!女王陛下万歳!女王陛下万歳!――――
キュルケは固く唇を結んでいる。杖先で発射の瞬間を待つ炎の様相だ。
ルイズは瞬きも忘れて、風の向こうを睨んでいる。そうする事で、中が覗けると信じているのかも知れない。
脱げ落ちた貴族の仮面を拾う事も忘れ、言い知れぬ不安と恐怖に小さな胸を痛める女の子の素顔を晒している。
純白のドレスは所々が破れていた。
白い肩には血がうっすらと滲んでいた。
風が若干衰えるのを目にして、飛び込もうとした代償だった。
眼前で最早何者とも知れぬ石像が真っ二つにへし折れるのを目にしては、退くしか無かった。
「ねえ。タバサ。空は無事なのよね?」
タバサは振り向いた。
ルイズの表情には覚えが有った。
物心付いて間もない頃だ。母が病気で伏せったと聞いた時、鏡の向こうに見えた顔だった。
「――――多分」
「多分、て!」
タバサは竜巻に向き直った。
シュヴァリエの少女は、危機を前にして、珍しく考え込んでいた。
脳裏で構築される複雑な思考は、実の所、単純極まりない事実を忌避しての物だった。
ルイズが先頭を切って飛び出した。
ギーシュは敢えて風上に立った。
砂が礫と化して頬に弾けた。
蹌踉け、蹌踉けて危うく庇う筈の乙女を押し倒しかけたが、それでも体ごと吹き飛ばされる程では無かった。
後からは二人が悠々着いて来た。
タバサが杖を振るった。
スカートを抑えたり、造花の薔薇を心配する必要は、もう無さそうだった。
グズグズの地面が、靴の中にこっそりと土を放り込んだ。四人は構わず進んだ。
レビテーションに無駄な精神力を費やしたくは無かった。
半ばを残した本塔を抜けた。
最初に息を飲んだのは、ルイズだった。
陰気な広場は、地獄絵図の様相を呈していた。
崩れた塔から、砕けた石像から、紫と黒のマントが垂れ下がっていた。
その上は見ない方が良さそうだったが、目を背けた時には、既に胃が横転していた。
ルイズは口元を抑えた。
俯いた時、誰かと目が合った。
錯覚だった。
どこの誰とも判らず、貴族かどうかも判別出来ないその男は、どんな物も見ていなかった。
「空ぁっ!」
声に涙が混じった。
足下には砂塵が立ち込めていた。
何も見えなかったが、恐らく、何も有りはしなかった。
狂風神の雫が、何もかもを風に溶かして、持ち去っていた。
粉塵の向こうに、影が浮いた。
堆く積もった瓦礫の上。見間違え様が無い。毎日、目にして来た姿だ。
支援。
「空っ!」
迷子の子犬が飼い主を見付けた時、ギーシュは思わず、その手を掴んでいた。
何かがおかしい。
あの影は、確かに空だ。その筈だ。
何故、頭があの高さにある?
「……なんや、ボーズ。ルイズ、来させるな言うたやんか。ホンマ、使えんやっちゃなあ」
ルイズは影とギーシュの間で目線を巡らした。
掴まれた手を、振り解く事はしなかった。
「空……?」
ルイズは影に向き直った。夢遊病者にも似た足取りだった。
その後に続いたギーシュに、その足取りを真似たつもりは無かった。
キュルケも同様だ。
タバサだけが、足にした“玉璽〈レガリア〉”に相応しい、鋭い眼を見せていた。
革ベルトを備えた、長大な杖が振るわれる。
砂塵が渦となって弾け飛んだ時、三人は声を失った。
瓦礫の山は、どこにも無かった。
そこには、精神力を最後の一片まで削り、遂には力尽きたメイジ。勇敢なる貴族達の体が、無造作に折り重なっていた。
「オールド・オスマン!」
ギーシュは叫んだ。
サハラのエルフでもここまではしないだろう、残忍と野蛮と侮辱の山。
その頂点に倒れるのは、齡300とも噂される学院長だ。
それだけなら、ルイズも、キュルケも、ギーシュも顔色を失い、為す所を忘れる事は無かっただろう。
義憤に燃え、その名誉を踏みにじられた貴族を悼み、救出を急ぐと共に、報復を誓った筈だ。
三人は恐る恐る目線を上げる。
そこには、今決して、目にしたくない人物が居た。
その安否に胸を痛め、探し求めた筈の人物が居た。
空は傲然、堆く積まれた貴族の上に座していた。
スニーカーは失われ、ジーンズはズタズタに裂けていた。
その下に、金属の脚が覗いた。
曲板が肋骨の様に機械部品を庇い、踵と爪先には大小の車輪が備えられていた。
「圓月杯」
タバサの声は、誰の耳にも届かなかった。
いや、誰の意識にも届かなかった。
空だけが表情を見せた。
義足の後輪には、確かに例のルーンが記されていた。
「さて――――」
空は目線を泳がせた。
誤魔化す素振りとは違った。
獲物を射落とした猟師が、ふと“空”に投げかける視線だった。
三人は空の声を待った。
その顔には、どんな表情も浮かんでいなかった。
羽ばたきが耳朶を打った。
反射的に伸ばした手を、ずしりと重たい感触が叩く。
ルイズの手に収まったのは、一冊の本だ。
装飾画家、細密画家、飾り文字画家、製本師。幾多の職人達の労苦が重なった古書は、見るからに豪奢な物だった。
「これ……?」
「始祖の祈祷書。四の秘宝の一つや」
「秘宝?」
「せや。四の担い手、四の使い魔、四のルビー、四の秘宝」
それは、誰も知らない筈の予言だった。
「担い手は、始祖の秘宝と始祖のルビーとを手にする事で、虚無の力に覚醒する。ま、そいつは学院の宝物庫に在った奴さかい。偽書の可能性も高いけどな」
何を言っている?
空の長広舌を、三人は呆然聞き流した。
鼻に圧迫感を伴う刺激が走った。急激に流れ込んだ血で頭がパンパンに膨れ、正常な思考を押し潰した。
空は続ける。
秘宝は単体ではその意味を為さない。必ず始祖のルビーと相伴わなければならない。
そして、ルビーはトリステイン、アルビオン、ガリアの三王家並びに、ロマリア教皇が所持している。
トリスタニアなら、目と鼻の先だ。
「奪って来るか?」
空は平然と言った。恐ろしい提案だった。
ルイズは足下が小舟の頼りなさで揺れるのを感じた。
何を言っている?
空は何を言っている?
「……どう言う事?」
肺からありったけの空気を集めて、漸く、それだけの声を絞り出した。
「思うとったより、鈍い奴っちゃなあ、ルイズ。見てみ」
空は左手を差し出した。
手背で、ルーンが不気味な光を放っていた。
「こいつはな、四の使い魔の一つ。ガンダールヴのルーンや。『始祖ブリミルの使い魔たち』にも載っとる」
「……それ、て……」
「決まっとるやろ。お前の系統は“虚無”や」
支援の道
ルイズは固唾を飲んだ。
鉛の感触が、喉を押し広げて、胃に落ちた。
虚無?
なんだ?
何の事だ?
空は何を言っている?
「な、何よ。何言ってるのよ……私の“道”は“爆風の道〈ブラスト・ロード〉”よ。あんたがそう言ったんじゃない……あんたが、そう言ってくれたんじゃない……!」
「何も知らへんかったからなあ。御陰で、ちょいと脇道に逸れとったわ。お前の力の正体判った以上や。もう、見当違いの手探り続ける意味もあらへんやろ」
「いやよ……」
声が震えた。
虚無は始祖ブリミルが操った伝説の系統だ。
十数年間の苦しみを贖うにも、ずっと自分を心配してくれていた家族を安堵させ、喜ばせるにも、自分を“ゼロ”と蔑んで来た連中を見返すにも、これ以上の物は無い。
だが、望外の幸運を、ルイズは喜んで受け止める気になれなかった。
半年間、二人で歩んで来た“道”を平然、脇道と言い捨てる空を受け容れたくなかった。
「私の“道”は“爆風”よ。私は“破烈の王”だわ。虚無なんて知らない」
「あんなあ、ルイズ。よう考えてみい。なして、6000年も経った今、ずーっと消えとった“虚無”が復活しようとしとると思う?」
ハルケギニアは、6000年もの間、他の文明圏との接触も殆ど無く、狭い半島に閉じこもって来た。
その文明は自重で歪みに歪んでいる。いずれ自壊自滅は免れないだろう。レコンキスタはその先兵だ。
「今、お前みたいな“虚無”の担い手が生まれとんのはや。もっぺん始祖の奇跡を再現しろ。もっぺん世界を作り直せ。そう言うこっちゃないんか?それがお前の運命やったら、貴族として逃げたらアカンやろ?」
後退ると言うよりも、倒れまいとする足取りだった。
ルイズは首を揺らした。
世界を作り直せ?
その前は?
堆く折り重なった貴族達の上から、異邦人の冷たい瞳が降りて来た。
「いやよ……私は虚無なんて知らない……世界なんて知らない……」
「担い手はお前だけやあらへんで。ワイの知っとる限りでもう一人居る。ガリアの王様や」
ルイズよりも、タバサが反応を見せた。柳眉が僅かに跳ねる。
「やばいおっさんやで。レコンキスタも、あいつが糸引いとる。いつか、この国にかて手伸ばすやろ。あないなんに、この世界委ねてええんか?放っといてええんか?」
ルイズは力無く首を揺らした。その仕草には、どんな意味も含まれていなかった。
ただ、眼にした事、耳にした事、全てを受け容れたくなかった。
「ワイはどうなる?虚無の使い魔として、こっち喚ばれたんやで?その為に喚ばれたんやで?」
「違うっ!」
ルイズは体の中に残っていた、ありったけの声を吐き出した。
「違うっ。あんたは、虚無の使い魔なんかじゃないっ。あんたは……あんたは私の……」
滲んだ声が、目尻の涙に溶け落ちた。
空は頭を垂れた。重い溜息が、その広い肩を押し潰していた。
オスマンの剛腕によって狂った歯車を組み直す方法は、足下のどこにも転がってはいなかった。
とにかく、この時、この場にルイズが来てしまったのが致命的だ。
こうなると、選べる方法は限られて来る。
「――――どうしても、その気になれへんか?」
「だって!……私の“道”は虚無なんかじゃないもの!あんたは虚無の使い魔なんかじゃないもの!」
「そか」
空はそのままの姿勢で言った。
最後の風が、広場に舞い降りた。
土煙った“空”には、星が戻っていた。
二つの月が、消え去った本塔越しに光りを投げかけていた。
ルイズは肩の震えを大きな息で吐き出した。
頬に熱が溜まり、体の芯は凍て付きそうだった。
沈黙が重かった。
誰もが事態を飲み込めずにいた。
ルイズはもう一度、空に呼びかけた。呼びかけようとした。
「ルイズ。お前にはホンマ、感謝しとる。色々世話んなったし、ワイ学校通った事無かったさかい。ここは居心地ええ所やった」
ルイズは身を強ばらせた。
主人の心理が乗り移ったかの様に、心臓が身を縮こまらせた。
いつもの様に聞いていた礼の言葉。
今は絶対に聞きたくない言葉だった。
「空……」
無意識の一歩、縋る様な手振りを、空の目線が止めた。
力の無い、涙に滲んだ微笑が、足取りと共に凍り付いた。
「せやけどな――――」
立ち尽くすルイズに、空は言った。
「お前、もういらへんから」
支援
足下が、パクリと開いた。
滑り落ちる視界に残る目には、どこかで見覚えがあった。
昔、家族と街に出かけた時の事だ。
しつこく付きまとう旅芸人を、従者が小銭を投げ付け、追い払った。
這い蹲って金を拾い集める無頼者に、姉エレオノールが見せた目――――。
学院の厨房からは、定期的に誰かが辞めて行く。
規則でも引退でも無い。
料理長のマルトーは、誰か一人に“使えない奴”と言う役割を回す。
ガス抜きの道具となった使用人は、やがて全ての自信を失い、本当に失態を繰り返し、逃げ出す様に辞めて行く。
一度だけ、目にした。立ち去り際の丸い背中に、厨房の一同が向けていた目――――。
耳の中で、何かが切れた。
ルイズは自分が泣いている事に気付かなかった。
自分が両膝を付いている事に気付かなかった。
どんな物も目に入らず、どんな音も聞こえなかった。
空は自身を、虚無の使い魔と称した。
真っ向否定したルイズは、一方で、彼が自分にとって何者であるのかを、断じる事が出来なかった。
心の中で、ヴァリエール家の三女と、一人の少女が葛藤を繰り広げていた。
「ワイが“空”の飛び方、教えたるっ」
「それはお前にしか出来へん、お前だけの魔法やろ。お前だけの“道”やろ」
「ルイズ〜。急げ。特訓やで。特訓、特訓やっ」
「なんちゅーの?御主人様守るんが使い魔の仕事やろ」
「ルイズかて出来る事が有る。それで十分やろ」
「そんでも一切合切認めへん、言う親やったらな、そん時はワイが連れて逃げたるさかい。安心しとき」
「せやなあ……毎朝起きたら、おはよう、言うてくれる奴居るんは、悪くない気分やな」
脳裏に空との半年間が浮かんだ。
今なら判る。自分は、この異世界から来た奇妙な男を、本当の兄の様に感じ始めていたのだ。
なのに、たった一言が、この人生最良と思えた半年間も、共に歩んで来た道も、二人で交わした誓いも、自身の気持ちも、その全てを“嘘”に変えてしまった。
ルイズは泣いた。火が付いた様に泣いた。
信じ、頼り、慕った男の言葉が剃刀の鋭利さで思考を、年齢を裁ち落とし、貴族の令嬢を幼児に返した。
空ーーーー!?
支援支援支援
これはキツイ…
支援
「空ぁぁぁっっっっ!!」
崩れ落ちた塔の狭間に、絶叫が木霊した。
「……貴方と言う人はっ!貴方と言う人はっ!」
ギーシュは半ば曇った視野で、空を見上げていた。
杖を手にする手が震えた。
体の中を、凍てつく様な霧を含んだ風と、激情の炎とが交錯した。
「彼女がどれほど、貴方の身を案じていたか!……どれほどの決心を持ってこの場に来たか!……それが、貴方には判らないのかっ!そんな彼女に、貴方はそんなにも残酷な言葉を投げかけるのか!」
「なんや、ボーズ」
空はゆらり、と立ち上がった。
「また、決闘かい?」
「これは決闘では無いっ。男の、いや、人としての道を踏み外した、貴方への裁きだっ!」
タバサの目は空の踵へ吸い込まれた。
ウィールのスカルマークが、おいでおいでと誘っていた。
圓月杯。狂風神の雫。
恐らく、あれがタルブには無かった“風の玉璽”だろう。
魔法の力を決して受け付けず、物理的な衝撃に対しても無敵に等しい防御力を誇る筈の本塔。
その外壁はめくり返され、上から半分は無造作にもぎ取られていた。
宝物庫の秘宝も、6000年間蓄えられた書物も、歴史の向こうへ消えてしまった。
広場?そんな物はどこにも無い。
“王”の力。
“玉璽”の本当の力。
この二つが得られるなら、タバサがその小さな胸に秘めてきた渇望は、容易く成就出来る。
空とルイズの関係が解消されるのも、寧ろ都合が良い。
都合が良いが……。
「でも、なんだか不愉快」
タバサは大きな杖を一旋させると、“玉璽”を転がした。
キュルケは唇を噛み締める。臼歯の間で、半年間の記憶と、諸々の感情とを磨り潰す。
赤い唇が破れ、血が滴り落ちた。
空の脚が、月明かりを冷たく弾いた。見たことも無い、不思議な金属は、銅鏡の様に磨かれていた。
脳裏に、甲斐甲斐しく車椅子を押すルイズの姿が浮かぶ。
「普通に立てるんじゃないっ!馬鹿にしてっ!」
ヴァリエール家との関係も、嘗てルイズに抱いていた反感も、腹の底で沸々燃える焼灼感の中で、忽ち灰に変わった。
恋に生きる女にとって、少女の純情を弄んだ空のやり口は、何よりも許せない物だ。
「何、腑抜けてるのよルイズ!あの男はもう、私達の敵よ!」
ルイズは弾かれた様に顔を上げた。
背筋が凍った。涙の隙間に、空の姿が土足で踏み入った。
自分を見下ろす目。ドブの様に濁った目――――。
(……誰、この人?)
ルイズは胸の内で頭を振る。
(私、こんな人、知らないっ!)
――――To be continued
なんという外道支援
306 :
虚無の王:2008/02/05(火) 23:46:46 ID:TEcW/KP/
今回はここまでです。
御支援誠に有り難うございます。
鍛針功を使うんだ支援
空、なんてヒドイお人
GJ
乙っした
原作でも唐突に外道になったんだよな・・・
やべ、魅入られてた
支援!
GJ!!
なんという漆黒の悪!
普通の悪党のように薄汚れても濁ってもない、
自分が悪だと認識した上で、自分自身のために悪を行う!
まさに外道!
乙&GJ!
外道展開は読めてた。読めてたけど前半のいい人っぷりが
忘れられなくて…
しかしGJ!毎度の事ながら魅入るね。
ある日突然180度態度が変化する、それが空のおそろしさです。
GJ!
なんか、身体が謎の汗でびっしょりなんだが、俺だけか?
5分後に投下させてもらっていいでしょうか?
「魔獣戦線(無印)」の真理阿を召喚で。
ところでヘイトって何?
エア・ギアって絵柄(というより書き文字)で敬遠してたけどこんな話なんですか?
ダークヒーロー・アンチヒーロー街道を驀進していますね。
>>317 よーそろー!
>>318黄色い巨人を一定以上暴れさせると変身する赤い巨人です
(やったわ! 成功よ!!)
まばゆい閃光の中、ルイズは確かに見た。
黄金のたてがみに巨大な牙、鷹のごとき翼を持つ獅子
筋肉はゴリラ! 獲物を捕らえる猛禽の眼光
そして・・!
(え・・・!! そ、 そんな!?)
「グワオオオオォォォォォ!!!
ナメんじゃあねえええええええぇぇぇ!!
俺はまだ くたばっちゃあいねえぞおおおおおおおオオォォォ!!!!」
(コイツ コイツは魔獣・・・? それとも・・・)
ルイズが我に返ると、爆風は既に収まっていた。
立ち上る白煙の中から現れたのは、長い黒髪の少女
見るからに平民といったみすぼらしい格好だが、吸い込まれそうな程に大きな瞳が愛らしい。
「ちょっ、ちょっと! 平民がどこから入り込んだの!?
私の使い魔はッ!? あのおっきな魔獣はどこに行ったのよ!!」
「・・・あなたが、私を呼んでくださったの?」
少女の一言に、場が静まり返る。
本来なら「ゼロのルイズが平民を召喚した」と囃し立ててもよい場面だったが、
少女の妙に落ち着き払った態度が、その場の空気を制していた。
少女は膝を屈し、三つ指を突く。
(その作法の意味を、その場に居合わせた面々が知るべくもないが)
「私は、あなたの使い魔を務める、真理阿と言います。
少しの間ですが、よろしくお願いします。」
そう言ってふかぶかと一礼すると、少女はルイズを見上げ、ゆっくりと瞳を閉じた・・・。
結論からいえば、真理阿は『役に立つ』使い魔だった。
召喚から3日経ち、あらためてルイズはそう思った。
まず、彼女よく働く。
ルイズが指示を出すまでもなく、掃除や洗濯にと甲斐甲斐しく動き回る。
おそらくは天性の働き者なのだろう、同年代のメイド(シェスタと言ったか?)と親しくなった真理亜は
そのまま厨房の仕事を手伝いに行き、たちまち平民たちの間で人気者になった。
(手伝ったお礼にと貰った布団を繕いなおし、その日のうちに寝所まで確保した。)
平民だけではない、彼女はどういうわけか、他の使い魔たちから好かれた。
彼女の前では本来獰猛な性質の使い魔も、鼻を鳴らして擦り寄ってくる。
じゃれつくフレイムを見て、「どっちが主人か分ったもんじゃないわね」などとキュルケは苦笑したが
彼女自身、真理阿の事を気に入っているらしく、いつものように毒づいてこない。
それは、キュルケに限った事では無いらしく、初めは平民を召喚した事を馬鹿にしてきた学友たちも
公の場で彼女を侮辱する事は無くなっていった。
しかし! しかしである。
ルイズは気に入らない。
平民の小娘を召喚し、公衆の面前で接吻するハメになった。
その事実だけでも耐え難い屈辱だというのに、彼女は平然と平民たちの仕事の真似事をする。
しかも、彼女はただ従順なだけではない。
一度、ルイズは彼女に
「使い魔は主にだけ仕えていればいいのよ!主を貶めるようなマネはしないで!!」と抗議したが、逆に
「平民の上に立つ貴族がそんな狭量でどうするのか」と、たしなめられた。
ルイズは主従関係を持ち出して優位に立とうとしたが、真理阿は未熟な妹に言い含めるかのように
時に強く、時に優しくルイズに迫り、まったく頭が上がらない。
普段は同年代に見える真理阿が、その時は何故か、母親のような貫禄すら感じさせた。
結局その日、ルイズは使い魔にセイザ(真理阿の故郷の風習らしい)させられ
小一時間足が痺れて立てなくなるほど説教を受けた。
ゼロのルイズの汚名を返上できず、使い魔に八つ当たりもできない。
悶々とした日々を送るルイズは、数日後、ある騒ぎに首を突っ込む事となった・・・。
「決闘だ!決闘を申し込む!!」「望むところよ!あたしの魔法でギッタギタにしてやるわ!!」
突然振って沸いた決闘騒ぎに、食堂は熱狂に包まれる。
騒ぎの敬意は実に些細な事だった。
その日給仕を務めていたシェスタは、香水のビンを拾い、落とし主であるギーシュに届けた。
ところが、それが原因でギーシュの二股が発覚、結果ギーシュは二人から袖にされてしまう。
面目を失ったギーシュは怒りのハケ口をシェスタに向けた。
まあ、よくある話である。
ところがそこに、同じくストレスのハケ口を求めるルイズが通りがかった。
ルイズは真理阿直伝の正攻法でもってギーシュを責める。(というか、当り散らした)
その後、壮絶な舌戦が繰り広げられ、ついには決闘、である。
「お待ちなさい」
凛とした声が響き、場が静まる。声の主は真理阿だった。
ルイズはここぞとばかりに、真理阿にくってかかる。
「何よ!使い魔の分際で口を出そうっていうの?
侮辱を受けているのは、あなたの大切なお友達なのよ!」
その言葉を聞き、シェスタの体がピクン、と震える。
真理阿は一瞬彼女に目をやり、穏やかにルイズの方に語りかける。
「もちろん彼女の名誉は守られねばなりません
けれども メイジ同士の決闘は禁止されているのでしょう ですから・・・」
そこで言葉を一度きり、今度はギーシュの方に向き直る。
「この決闘 私がお受けします! 主を守るのは使い魔の務め
それに 平民の名誉は平民の手で守られるべきです」
支援
オオオオと、再び食堂が沸く
「ギーシュとルイズの使い魔の決闘だ!!」「平民が貴族の喧嘩を買ったぞ!!」
あまりに意表をついた発言に、ルイズは声も出ない。
一方、ギーシュの方は、平民に決闘を挑まれる屈辱で、かえって冷静さを取り戻していた。
「殊勝な心がけだね、ミス・マリア。平民、それも女性に手を挙げるのは本意ではないが、
僕にも守らねばならぬプライドはある。 ヴェストリの広場で待っているよ」
言い放ち、ギーシュは食堂を後にする。ギャラリー達も我先にと広場に走り出す。
後に残ったのは、ルイズと真理阿、シェスタの3人だけだ。
「な!な、な、な何勝手な事言ってんのよアンタ!?」「そうですよ真理阿さん!!」
ルイズとシェスタが同時に食って掛かる。
「いい!魔法の使えない平民じゃ、メイジ相手に勝ち目なんてないんだから、
いますぐギーシュに謝ってくるのよ!!」ルイズが叫ぶ。
「真理阿さん!私なんかの為に無茶はしないで下さい」シェスタが泣く。
2人の言葉を遮りながら、真理阿はバツが悪そうに、しかし、あくまで穏やかに言った。
「ごめんなさい こんなの本当は良くないって、私も分っているの
けれど こういう場面ではどうしても 血が騒ぐのを抑えられなくって」
血が騒ぐ・・・?
そんなのはいつもの真理阿からは間違っても出てこない言葉だ。
ルイズはまじまじと真理阿を見つめる
背はルイズより低い。あくまで華奢な平民にしか見えない真理阿だが、
ピンチの時はナイスバディの剣士に変身して大活躍・・・とでもいうのだろうか?
「大丈夫ですよ だって・・・私」
怪訝そうな表情のルイズに対し、真理阿は笑う。
「こう見えて とってもカンが鋭いですから」
「もうやめてよ!! ギーシュ! こんなの一方的じゃない!!」
ルイズの悲痛な叫びが広場に響く。確かに眼前の光景は一方的なものだった。
ギーシュの呼び出した、7体のゴーレム━青銅のワルキューレを前に、真理阿は近づく事さえ叶わない。
ただひたすらに避け、逃げ惑い、攻撃をかろうじて剣で受け止めるだけである。
「そうはいかないよルイズ! グラモン家の名誉にかけて
当事者であるミス・マリアが音を上げるまでは 攻撃の手を緩めるわけにはいかない」
そう言いながら、しかし、ギーシュはある違和感を感じていた。
平民相手にわざわざ魔法を見せたのは、別にメイジのプライドなどといった大層なものでは無い。
下手に剣を使って、女性に傷つけるのを恐れたのだ。
7体のワルキューレなら安全に相手を捕らえ、屈服させる事が出きる・・・ハズだった。
しかし、対手である真理阿は動きこそ素人そのものだが、
どういうわけか、たまたまワルキューレのいないスペースへと逃れていく・・・。
(まったく、実戦というのは難しいものだ)
目の前で起こっている現象を、ギーシュは自身の手加減のためと解釈した。
一方、真理阿は真理阿で、今後の対応を考えあぐねていた。
彼女の一族には、人の心を読んだり、未来を予知したりといった不思議な力がある。
真理阿自身の言葉で言えば『カンが鋭い』のだ。
かつてはその力をゆえにつけ狙われた事もある真理阿だったが、今の彼女は非力な少女ではない。
人形が何体いようと、繰り手であるギーシュの気配を読めば、回避は容易であった。
筋肉はゴリラで一瞬バイオレンスジャックかと思った支援
しかし、問題はそこから先である。
決着は、いかにして着けるべきだろうか?
ただ負けてやるのは論外だ、かかっているのは主と友の名誉なのだ。
だが、負けないにしても遺恨が残らない形に持ち込みたかった。
(引き分け・・・)
ワルキューレから逃げ惑ううちに、たまたまギーシュの懐に潜りこみ・・・相打ち。
それがベストなシナリオと考えたが、相手は9体である。機会は容易に回ってこない。
(甘いんだよ お前は 気にいらねえ奴は全部ブッ潰してしまえばいい!!)
不意に胸に沸いてきた凶暴な野性を、真理阿は心の中で打ち消した。
そんな真理阿の思考が届かないルイズは、最早気が気では無かった。
全てはロクに魔法も使えない自分が、決闘などと出しゃばった真似をしたからである。
心優しい真理阿は、その身代わりになろうとしたのだ。何とか止めねばならない。
(私に・・・私に魔法が仕えたら ・・・魔法・・・?)
そう、ルイズ自身はロクに魔法は使えない。だが失敗のとき、必ず爆発が巻き起こった。
あれをワルキューレにぶつけてやればいい。
決闘を邪魔されたギーシュは怒るだろうが、その時はその時だ。
謝るなり、改めて決闘を申し込むなりどうとでもできる。
(待ってて真理阿 今助けるわ)
ルイズは杖を握りしめ、小声で詠唱を唱えた。
友を思い焦る余り、ルイズは大切な事を忘れていた。
魔法を使う練習は積んでいても、当てる練習はしていなかった、という事だ。
真理阿の方も、目の前の相手に集中する余り、ルイズの思考を汲み取れなかった。
戦場でのミスは甚大な被害を伴った・・・。
ルイズの魔法は、ワルキューレの前方ではなく後方で爆裂した。
1体のワルキューレがスクラップと化しながら飛び跳ね
真理阿の腹部に突き刺さった。
「何!? 一体なにが起こったの!?」
パニックに陥る群集を尻目に、キュルケが叫ぶ。
広場の中央で突然爆発が起こり、青銅の破片が飛んできた。問題はその先だ。
フレイムが! 比類なき力を持つ炎の化身が怯えている!?
立ち込める爆煙の中に、何がいるというのか。
「タバサ!」
キュルケは、とっさに風の障壁で破片を防いでくれた友人の名を呼ぶ。
「獣臭」
青い瞳の少女は、いつに無く険しい表情で煙の先を見つめていた・・・。
黒煙の中、ギーシュは眼前の光景を呆然と見つめていた。
爆風はワルキューレの背後で起こったため、ギーシュ自身にダメージは無い。
だが、千切れ飛んだ戦乙女の上半身、その凶器と化した頭部は、確かに真理阿野脇腹を貫いたかに見えた。
その半身が、何故か真理阿の足元に転がっている。首から上を除いて、だ。
それは砕け散ったというよりも、何者かに食い破られたかのような痕跡だった。
真理阿はと言えば、服こそ破れているものの、腹部には傷跡ひとつない。
「危ねえじゃねえか、真理阿。俺じゃなきゃ死んでたぜ。」
真理阿の声がする。
だが、ギーシュの直感が告げている
こ い つ は 真 理 阿 じ ゃ な い ! !
ギーシュは本能に身を任せ、急ぎ6体のワルキューレを集結させる。
「クズ鉄人形 文字通り 喰いでは無さそうだが・・・」
真理阿が指を鳴らす
「寝起きのウォーミングアップにゃあちょうど言いか!!」
風を巻いて、一匹の魔獣が走り出した。
慎一キター! 支援
「うおおおおおおおっ!?」
ギーシュは絶叫した。目の前のコイツは、まさに魔獣そのものである。
最初の突撃で、3体のワルキューレが吹き飛ばされた。
遠目には、ただ、ワルキューレが力任せにブン殴られただけに見えた
だが、最初にやられた一体は、鎧をカギ爪のような何かで引き裂かれていた。
別の一体は、巨大な牙で咬み砕かれたかのようだった。
そして最後の一体は、ハンマーで叩き潰されたかのように大きくひしゃげていた。
「くそ! クソッ! くそォッ! いけええェェェェッ! ワルキュゥゥゥレェェェッ!!」
このままでは自分が肉隗と化す。 ギーシュは勇気を振起し、全ワルキューレに命令を下す。
上から一体、下から二体の同時攻撃
魔法が使えない生物では、捌きようの無い攻撃である・・・がッ!
「腹くくるのが遅えんだよおぉッ!!」
凄まじい速度で真理阿が踏み込み、突き出した両手で人形の頭部を握り潰す。
「三匹目ェ!!」
二つの頭部を抱えたまま真理阿は飛び上がり、上体にひねりを加え、突き下ろされた槍をくぐる。
そのまま喉元に噛み付き、一気に首を引きちぎった。
シェーン
>>323 筋肉はゴリラ!ってバイオレンスジャックの描写だったな支援
「ひっ・・・」 ギーシュは思わず腰を抜かす。
蛇に睨まれた蛙の心境を、はからずも彼は理解した。
ペッ、と首を吐き捨てながら、真理阿がうそぶく
「悪いな ここん所負け戦続きでな 俺ァどうにもムシャクシャしてんだ それによ・・・」
言いながら、右手に持った首をギーシュに向けて振りかぶる
「俺は テメェみたいな偉そうなヤツが、大ッ嫌ぇなんだよおおおぉおおおぉぉっ!!」
ギーシュはとっさに目を閉じる。
・・・が、
青銅の塊はあらぬ方向にスッポ抜け、真理阿はもんどりうって倒れこんだ。
見ると、右手甲のルーン文字━契約の証が、不思議な輝きを発している。
「チッ・・・ 真理阿のヤツめ・・・コイツが首輪代わりってかぁ・・・」
魔獣が呟く
「わかってんだよ・・・今のオレには お前に逆らう力すら残ってねぇ・・・」
黒煙が払われると、ギャラリーの視線は広場の中央に集まった。
真理阿が地面に突っ伏している。
ワルキューレは、どれも無残な鉄隗と化している。
一方のギーシュは、情けない格好でへたり込んでいる。
ルイズは自分がしでかした事の大きさに耐えられず、腰を抜かしたまま立ち上がれないでいた。
と、ムクリと真理阿が起き上がり、何事も無かったかのように体のススを払いだした。
水を打ったような静けさの中、真理阿はいつもの柔らかい笑顔で言った。
「この勝負、私の負けです。主の魔法に助けられましたから。」
支援
善意が時として悲劇を呼ぶ支援
339 :
ゼロの魔獣:2008/02/06(水) 00:11:39 ID:N4j65yCA
以上です。
支援ありがとうございました。
支援
しょっぱなから大暴れだ
乙
>>318 才人の双子の弟・平人の事……ってのは嘘で、英語のhateを辞書で引いてみましょう、
>>318 自分のお気に入りのキャラの扱いが悪い作品のこと。
正確に言えば間違ってるけど、ヘイトヘイト騒いでる連中の認識だとこんなもんだ。
俺は閑人A氏が戻ってくることを信じてるぜー
>>345 ドルアーガの塔の勇者が願うなら実現しそうだな
40分位から投下いい?
されど罪人は竜と踊るのガユス召喚で
魔獣戦線って最後主人公が真理阿食う奴?
古古い記憶でよく覚えてないが面白かった。
>>343 今の状況での正解ですな。
>>345 まあ、こんな場所はさっさとオサラバして別の場所に投稿した方がいいかも知れんけどなあ。
ここじゃあ人気作を潰したがる毒吐きと、特撮アンチが手ぐすね引いて待ち受けてるからな。
多分、NTや理想郷辺りの方が投稿環境としてはましだろう。
自作自演、水増しで叩くなんてことが出来ないだけでも上等。
ガユスの咒弾をどうやって補充するか気になりますー。
期待ー
>>349 そうやって出ていった職人さんが増えたよね
寂しいかぎりだ
>>345 実際、作品自体は面白いしな。
ルイズの扱いも悪くないし。
最新の話では邪険にされていたけど、
破壊の杖のシーンで出しゃばるのは原作からしてそうだから、
そこまで言い始めたらきりがないし。
逆に言うと、あのあたりまででルイズの扱いを悪くする方が難しいというか、
最低限アルビオンの話が終わるぐらいまでいかないと、
どういうキャラに成長するのかはつかめないのだが。
今日も豊作ですな
支援
投下します
0
俺と相棒はロルカ屋に発注した咒弾を取りに行き、大量の咒弾の重みに耐えつつも。
我が親愛なる借金と不幸を生み出すアシュレイ・ブフ&ソレル咒式事務所に帰って来た。
事務所には、鏡があった。
それは圧倒的な違和感、宙空に浮いた豪奢な鏡。
俺はすぐに知覚眼鏡で目の前に浮いた鏡の成分を検索する。
水酸化ナトリウムと硝酸銀とアンモニア水溶液を混合させた銀鏡反応。
しかし咒力は感じない。似たような構成の化学錬成咒式第五階位<積層転咒珀鏡、サブナック>で錬成された咒鏡では、咒力が確実に検出されるが、目の前の鏡からは一切の咒力も質量も感じられない。
これはある程度の推測ではあるが、虚数空間から顕現した咒力鏡であると推察。以上、何も分からん。何これ?
とりあえず、鏡に映った冴えない顔をした眼鏡で赤毛の攻性咒式士を見ていると、何故か知らずに溜め息がでる。
鏡の中の男はまた厄介事か、と言わんばかりに景気の悪そうな顔である。実に不幸と胃酸に愛されていそうな奴だ。実際不幸だがな。
ちなみに鏡の中の男はガユス・レヴィナ・ソレル、つまりは俺。……自分の冷静な自己解釈に泣きたくなってきた。
そしてくだらない思考を振り払い、今の状況を傍らにいる人類と言って良いのか、むしろ良くない奴に聞いてみる
「しかし、何だよこれ? あとギギナの存在の方も何だか分からないから死んでくれ」
机に身を隠した俺は横に居る、全自動ギロチンとドラッケン族のハーフであるギギナに問う。
この腐れた相棒の秀麗な美貌は、俺に性格の悪さと風貌の良さの相関性の無さを教えてくれる。
「知るか、腐れ錬金術士。しかし鏡に写らないほど存在が虚数なガユスにはお似合いな鏡だ」
ギギナは美麗の唇から俺への皮肉を吐き出す。死ね、主に俺や人類の為に。
「しかし、妙だ。ここまで完全に視認可能かつ咒力波長も感じられない物質なんてあるかよ?」
支援
「現実に固着したまま二分も持つ咒式などあり得ん。ふむ、破壊してみるか?」
言うや否や、ギギナは真業物級魔杖刀<屠竜刀ネレトー>を背中から抜く。
歪んだ正四角形の化け物の様な長大なネレトーは、金剛石をも凌駕する硬度のガナサイド重咒合金製で九三五ミリメルトル、持ち手を両手持ちの状態に変形して二四五十ミリメルトルというまさに竜を狩る為に使用する魔杖剣を構えた。
「ちょっ、待て、破壊してどうする? 遅効性発動型の咒式罠だったらどうすんだよ?」
「…………」
何その沈黙。俺はすかさずギギナを馬鹿にする。
「今更気付いたのかよ、馬鹿」
「私は、鏡を破壊するとは言っていない。ついつい、ガユスの本体、つまり眼鏡から下のパーツを分解してやろうと思ってな」
絶対に気付いていなかった事に命を賭けよう、ギギナの。
「やった、分解清掃代金もうけた! とでも言うと思うか? あんまり馬鹿な事ばかり言っていたらただでさえ馬鹿なのに馬鹿が馬鹿にしか見えないぞ、馬鹿ギギナ、やーい馬鹿」
ギギナは俺の屈めた頭上にネレトーを抜き打つ。超高速の抜刀は俺の髪を一房切り落とした。
「何だ、ガユスだったのか。新種の眼鏡かと思って、ついつい切ってしまった」
「なあギギナ。虫から昆虫に進化したいならすぐに刀を抜く癖を治した方がいいぞ」
「どちらも虫ではないか」
軽口を応酬しつつも、警戒を崩さずに事務所の中から外までの咒力を感知する。しかし反応は無い。
同時にギギナも低位生体錬成系咒式で犬の疑似聴覚反応を利用した超聴覚で音を探査している。
「何か反応はあるか?」
「いや、何もない。お前は?」
「全く、使えん眼鏡だ。ちなみに私は何も聞こえん。見張られているという気配もないしな」
「皆さん、ご覧下さい。自分を棚に上げわざわざイヤミを言う辺りが彼の精神性の低さを表している事を理解していただけただろうか?」
「くだらん。で、どうする? 動いてみるか?」
ギギナは俺に向き直り問う。俺は頷き、最大業物級魔杖剣<断罪者ヨルガ>を腰から抜いた。
白々と鋼色に輝く、刃渡り八○二ミリメルトル、柄を入れた全長一一○三ミリメルトルの咒銀合金の直剣を鏡に向け魔杖剣の弾倉を回転させ、薬室に咒弾を送り込む。
最初のギギナの発想と同じような行動が癪にさわるが、動きが無い状況では、例え罠でも先制できた方がいいと判断。
直接的に鏡に触れ組成を確認する。
ギギナには罠だった場合の襲撃に備え窓側に待機するよう視線で指示する。
あわせて平行して各種耐熱対冷帯電咒式を仮想準備。
そして俺は魔杖剣の切っ先を鏡に合わせ探知咒式を発動しようとする。だが出来なかった。
何故なら剣先が吸い込まれ抜けないからだ。そこで俺は自分の見積りの甘さと間抜けさを痛感する。ギギナにやらせればよかった。
「クソッ、ギギナ!」
俺は苦鳴をもらしギギナを呼ぶ。
そして推測。恐らくこの鏡は門だ。数法量子系咒式第七階位<軆位相換転送位、ゴアープ>を利用した相転位門。
この咒式は、自己の体を環状抑制力場で包み、量子段階まで情報化し非物質化する。
そして位相空間での素粒子力場で、自己の熱量の一部を電子や陽子などの亜原子粒子段階に導いて開放、分解して波動に変換する。
元の座標と転位先が相対的に運動しているために起こる、光や電磁波等の波動の偏移を演算し、情報と物質波動を転送。
作用量子定数に干渉して統合。そして自己を咒式で再生する瞬間転位法である。
解り易く最悪の例えで言うと一方通行のFAX。転送された情報は俺の情報ではあるが全くの別人。
しぇーん、かむばーっく
紫煙
支援です。
そしてこの一瞬で俺の腕は肩口まで飲まれていた、情報に解体されてゆく余り味わいたくない感覚に包まれる。
そこでギキナは俺に向かい疾走。だが俺の強化脳は0,1秒足りない事を計算していた。
「掴まれガユス!」
残った左手は近くにあった咒弾が大量に入った箱を掴む。それで少しでも距離を稼げれば。
ギキナはネレトーの撃鉄を弾き、生体変化系咒式第二階位<蜘蛛絲、スピネル>を発動。蜘蛛の糸を生成して俺に伸ばす。
だが、きっかり0,1秒足りずに、俺は鏡に吸い込まれた。
最後に“俺”が考えたのは消える。……いや、それよりギギナの前で醜態を晒すのは嫌だな。と、解体されながらそう思った。
そして。
「あんた誰?」
抜けるような青空の中、俺は胃薬を錬成した。
362 :
されど:2008/02/06(水) 00:57:54 ID:/VuNBehq
読みにくい悪文ですが投下終了
支援ありがとうございました
乙でした。
ルイズに咒式師としての才能があることになるんでしょうか。
され竜大好きなので期待してますー
な、何ぞこの文章の再現度・・・・。
ハルケギニアでもこの空気を保つことを期待します。
乙
ルイズ「私は皆が好き!だから皆は私が好き!」
なのか?
>365
それなんて撫子www
ActionのSS大好きだった俺が通りますよっと。
一応まだ週三回更新はしてるが、投稿すらももう週一の状態だからな、ほぼw>Action
7時間で1/3消費とかすごいなw
>>369 時ナデの更新停止してから半年くらいは
蒲鉾の自虐コメで笑えたけど今はもう笑えない…。
好きだった職人さん達も、蒲鉾と喧嘩したらしく
離れていっちまいやがりました…。
スレの消費のされかたがもっとまともだったらよかったのにねえ
ここも普通に一日一スレ、早いときは2スレだった頃が懐かしいな。
遅いほうがいいけどねw
なんという大量生産大量消費w
>>369 時代の流れですね
昔は凄くあったカノン系だってほぼ更新や連載してないし、サイトは次々と閉鎖されてますからね
かつての作品が炎系じゃなくて俺に大ダメージ!みたいな状況なんだろうな
作品は多いほうがいいなぁ。読むのは大変だけど、ある程度大量生産しないといい物はなかなか出てこない。
まぁいい作品だけ大量に、が一番望ましくはあるんだがw
>376
そりゃ辛い物があるな……w
>>375 ねぎまもfateも減ってきたよねぇ・・・跡地とか見るとさ
ここはすごく活気があることを認識するよ
昔は数ある作品の中から良作を見つけ出すのを楽しみにしていたんだ
中二病って言葉が流行らなければきっと今も……
ここももともとは奇妙な使い魔から派生したんだっけ?
ダースベイダー召喚スレがゼロ魔二次ブームの火付け役かと
いや、その前にベジータ召喚があったか
シャナとジョジョクロスからジョジョスレが生まれて次にここが生まれたんだっけな。
ベジータはもっと前か?
言っておいてすげー難だけどスレ違いな話題スマソ
>>380 中二病って言葉が流行る流行らないは関係なくね?
ぶっちゃけ形容詞に中身が伴ってない感じなんだよな>中二病
単に自分の表現力のなさを示しているだけに見えなくもない
エヴァ、ナデシコ、GSを発端として
葉鍵、型月と異常な数が生産されたもんだなぁ
388 :
吸血鬼の人:2008/02/06(水) 03:07:29 ID:+RwGXK5v
10分くらいから投下しますねー。
「フィオナ……一つ聞きたいんだけど」
ルイズは、訝しげな表情を微笑を浮かべる己の使い魔に向け、言った。
「それじゃああなた、何が出来るの?」
虚無のメイジと、吸血鬼
ルイズの部屋に辿り着き、中へ通されてから待つこと暫し。
教室に戻り、何がしかの用事――知る必要はないと考えたため、フィオナは聞かなかった――を済ませてきたのであろう。
主が戻ってきた事に音で気付くと、主の寝台に腰を落ち着けていたフィオナは、音を立てずに立ち上がった。
歩を進め、部屋の中心で立ち止まると、扉へと向き直り、主が戸を空けるのを待つ。
「お早いお帰りでしたね」
扉が開くと同時に、フィオナは主へ向けて声を掛けた。表情を見た所、機嫌は悪くはなさそうだ。
まあ、機嫌が悪かろうと主に媚び諂うつもりはないのだが。使い魔の契約の内容に、主のご機嫌取りまでは含まれていないだろう。
自分が認識している契約内容以上の事をするつもりはないし、それを強いられても当然ながらお断りだ。
「ええ、ちょっとした説明だけだったもの。大人しくしてた?」
頷く事で答えながら、まるで子供か、ペットに掛ける言葉だと密やかに苦笑。
その間に主は、ついさっきまで自分が座っていた寝台に早くも腰掛けていた。
「勿論です。それはそうと……聞きたい事があるのですけれど」
ある程度、使い魔という響きから想像が付いてはいる。しかし、今の自分は契約内容を詳しく把握しているわけ
ではない。そう前置きをしてから、フィオナは己が交わした契約の内容を問うた。
「そうね、説明しないと……使い魔には、大きく分けて三つの役割があるわ。まず、一つ目は感覚の同調ね。
使い魔が見たり聞いたりしたものは、主人もそれを知る事が出来るの」
主が知った事は、使い魔もまた知る事となる。その逆もまた然り。
そう説明をした所で、ルイズは少し考える表情になった。
使い魔召喚が成功していた事で浮かれていたのか気付かなかったが、彼女の見ているものが自分には見えない。
「…でも、私の方は機能していないみたい。フィオナの方は、私の見てるものとか見えた?」
「いいえ。そもそも、どのような状態になるかが私には分かりませんから」
穏やかに返されたフィオナの答えは薄々予想していたものではあったが、それでも少し寂しい。
他の生徒たちは皆繋がっているのだろうに、自分たちだけその繋がりがないというのが、使い魔との絆を希薄に
している様な気がする。
恥ずかしくて言葉では言えないが、そんな思いを溜息にして吐き出すと、ルイズは気を取り直して説明を続けた。
「二つ目は、主人が必要とするものを見つけて来る事。秘薬とか、それ以外にも色々。硫黄とか、コケとかね」
少しの期待を込めてフィオナに目を向けた。
これから生活を共にする使い魔は口元に手を当て、考えながら頷きを返してくる。
「可能でしょうね。ただ、この世界の植物や鉱物には詳しくありませんので、対象の詳細な特徴が必要ですが」
”この世界の”と言うところに僅かな引っ掛かりを覚えたが、出来ると言う答えへの満足がそれを押し流す。
うんうん、と機嫌良さそうに頷きながら、ルイズは最後の役目をフィオナへと伝えた。
「後はご主人様の護衛。その能力で、主人を敵や危険から守るのが一番の役目なの。これは吸血鬼だからできるでしょ?
吸血鬼は先住魔法を使えるんだもの、この中では一番簡単な事だと思うわ」
同意を求める言葉にフィオナの湛える微笑みが、一瞬だけ苦笑に変わる。
それに首を傾げながらも、当然返されるであろう出来るという返事をルイズは待ち――
「ええ、護衛なら十分可能ですね。私は魔法は使えませんけれど」
返ってきた言葉に驚いて、使い魔をまじまじと見詰めてしまった。対して、使い魔は微笑を崩さない。
「え、だって……吸血鬼って先住魔法を使うものだって……」
「残念ながら、私は使えません」
この次に紡がれたのが、冒頭のルイズの問いである。
「何が出来るの、とはまた難しい質問ですね。その質問は、どの様な答えを意図したかによって、返答が異なるのですけれど。
人のように会話が出来る、物が掴めるなどといった事は、お望みではないのでしょう?」
からかうようにフィオナは笑みを深め、謳うように言った。
理知的な光を宿す紅い瞳は細められ、直前の言葉から覚えるであろう、楽しげな様子を更に強調していた。
そんな対応に少し苛立ちを覚えたのだろうか、ルイズはと言えば眉根に少し皺を寄せている。
「当たり前じゃない。本当は分かってて言ってるでしょ」
感情や思考を隠す相手の方が話す分には刺激的で面白いが、偶にはこういう素直な反応をされるのも悪くない。
ふふ、と小さく含み笑いを漏らすとフィオナは何処まで話すべきだろうか、と考えを巡らせる。
純粋速度移動、能動透過、衝撃浸透―――これらの小手先の力は、必要な時に教えれば良いだろう。
数秒と経たずにそう結論を出すと、彼女は口を開いた。
「腕力と素早さ、丈夫さには少々自信があります。後は細々とした能力なので、必要になった際に。さて――」
その返答に対し、ルイズが何処となく不満そうに頷くのを見届けると、フィオナは言葉を続けた。
伝えるべき事―――この使い魔の契約は隷属の契約ではない、と言う事を、伝えるために。
これ以上話す事があるのだろうか、と不思議そうに見つめるルイズに向かい、微笑んだままで言を紡いでいく。
「これより私があなたに使えるに当たって、これだけは覚えておいていただきたいのです。この契約は私が、
召喚者たるあなた、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに全面的に隷属する、
と言う内容ではない事を」
己を召喚した少女へと淡々と告げるのは、託宣の言葉。自分はあなたの奴隷ではない、と言う宣言だ。
フィオナは束縛される事を好まない。奴隷のように扱われる事などあろうものならば、即座に契約を打ち切るつもりでいる。
ルーンの有無など知った事ではない。絶対的な精神支配能力が付与されているならともかく、刷り込みによる好意など、
強靭な意志力さえあれば跳ね返せるのだ。
自分は、格下の存在として呼びつけられたのではない。少女の呼びかけに、己の意志で応えたのだという自負がある。
あくまで対等に与え合う存在であると理解させ、納得してもらわなければ、フィオナにとってはこの契約は成立しない。
「私はあなたが説明した三点に置いては、可能な限りでの助力を行います。あなたを主として敬いはしますが、
品性を捨てて媚び諂うつもりはありませんし、あなたが私を奴隷のように扱うというのであれば、力を貸すつもりも
ありません。本質的には、お互いに対等な協力者であると認識してください」
自分は奴隷ではない、あくまで力を貸す事で対価を受け取るだけの存在である。その意思を感じ取ったのだろうか。
穏やかな口調で一言一言を区切りながら紡がれる言葉に、初めは驚きを顔に見せていたルイズも、表情を引き締める。
これがただの平民であり、使い魔としての仕事が殆ど出来なさそうだなどと認識していたら、反応も違っていただろう。
しかし、目の前に存在する相手はそれらをこなすと言った。こなせる力も、きっとある。
それなら、権利を保証しない理由はない。
―――実の所、使い魔の儀式に望んだ当初は雑用なども押し付けようと思っていたのではあるが、起こったのは爆発。爆発、爆発、
故に余計に必死になって召喚を繰り返し、漸く成功したと思ったら召喚されたのは吸血鬼、そして一悶着。
激動と言って差し支えない今日の出来事は、ルイズからその記憶を綺麗さっぱり流してしまっている。
主が忘れているために、従はそれを知る由もないのではあるが。
ルイズは立ち上がり、可能な限り厳かな――それでも、愛らしさは抜けないが――声を作ってフィオナに告げた。
「ええ、分かったわ。お互いに助け合い、支え合う関係でないといけないとミスタ・コルベールもおっしゃっていたもの。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの名に置いて、フィオナ・アイスハイム・イストラッド、
あなたのその権利を保証すると、ここに宣言します」
フィオナの顔に、宣言までの間は消えていた薄い微笑が再び戻り、頷いた。
それを満足だと取ったルイズは、こっそりと安堵の息を吐く。目の前にいるのが吸血鬼だ、というだけで緊張の種には十分だ。
あの口付けの瞬間よりも、こちらの方がきっと彼女に取っては意味ある契約なのだろうな、と、ふと思う。
他の生徒と使い魔とはきっと随分違う関係なのだろうけれど、満足感を感じている自分がいる事がルイズは不思議だった。
「とはいえ」
そんな事を思っていると、フィオナの明瞭な声が部屋に響いた。
「感覚の同調については出来ないようなので、代わりに、身の回りの世話をある程度ではありますが、して差し上げます。
必要ない、結構だというのであれば、好意の押し売りになりますので、しませんけれど」
付け足された言葉に、ルイズの顔がパッと輝く。フィオナは気を遣ってくれたのだと、そう考えたのだろう。
そう簡単に見て取ったフィオナであったが、否定もせず、肯定もせずただ微笑むだけだ。
「ううん、お願いするわ。折角の使い魔の好意だもの、ご主人様としてそれを無駄にするなんて出来ないから」
「そうですか。では、着替えや学業の準備は任せてください。掃除洗濯は、どうやら小間使いに任せられるようですし、
私が進んでする必要もないでしょう」
「それじゃあ―――」
使い魔の心遣いに喜んだルイズが、明るい笑顔で何処に何があるかを説明していく。
部屋の説明が済めば、いい機会だとばかりに、フィオナは己の方から質問をした。
学院の間取り。周辺の地理。学院にどの様な施設があるか、周囲にどの様な街があるか。
自分はこの辺りの事は何も知らないので、現在の周辺の状況を知っておきたいのだという言葉に、『仕方ないわね』等と
零しながらも、面倒見よくルイズは答えていく。
夕食の知らせが来て一旦中断したのではあるが、ルイズが部屋に戻れば自然とそれは再開した。
結局、それが一段落したのはルイズが部屋に戻ってから暫く経った頃。
夜の帳が外を覆い尽くしてから、気付けば結構な時間が経っていた。
使い魔と向かい合わせに座り、次は自分から質問しよう、と考えていたルイズが小さな欠伸を漏らす。
知らず知らずの内に疲れていたのだろうか。だとしたら、授業もあるし、明日に疲れを残すわけにはいかない。
少し早いけれど、そろそろ、眠る準備をしないと。質問は、また明日すればいい――そう考えたところで、ルイズは期待を込めて
フィオナを見遣る。夕食前に話した事を、思い出したからだ。
聡明な使い魔も、その視線に込められたものに気付いたのだろう。そっと息を吐くと歩み寄ってきた。
「そろそろ眠くなってきた、と言う顔ですね。では、立っていただけますか?」
頷き、立ち上がった自分の身体に細くて長い指が触れて、衣服をそっと脱がせていく。
第三者から見れば如何わしい物を感じさせる可能性のある光景ではあるが、当事者の表情を見ると、姉離れできない妹に
呆れている姉、とも見えなくはない。
ルイズを着替えさせ終わり、布団の中に主が潜り込む姿を確認すると、フィオナはゆっくりとルイズから離れた。
そして、再び椅子へと腰を落ち着ける。彼女にとっては、こうして思索する時間は好ましい。考える事が未知の世界の事とあらば、尚更に。
灯りが落とされれば、部屋の中を照らし出すのは月明かりのみ。
ルイズが眠りに就くのを邪魔しまいと、フィオナは静かに物思いに耽る。
「ねえ、フィオナ……」
その最中、当の主から小さな声が届いた。声から察するに、相当に眠いのであろう。
しかし、それを押しても聞いておきたい事なのかもしれない。無言のまま、続きを促す。
「…フィオナは、どうして私と契約したの?」
身を苛む眠気のせいか、あどけなく聞こえる声。もう意識を繋ぎとめる事すら、怪しいのではないだろうか。
「ただの、暇潰しです」
なら、眠りに落ちるまでに答えないと意味がない。フィオナは一言で言葉を返した。
しかし、その言葉を聞く寸前でルイズの意識は眠りに落ち、健やかな寝息を立てている。
その寝息で間に合わなかった事に気が付くと、フィオナは吐息の音すら立たないほどに小さく苦笑した。
また、改めて聞かれた時にでも答えればいいだろう。
この様子では、自分がそう問い掛けた事すら覚えているかどうか。
ひとしきり笑った後で、何とはなしに夜空を見上げる。
見た事のない星空を眺め、過ごす夜もまた一興と思えたのだろう。
月が一つしかなかった元いた世界とは、まるで違う、二つの月がある空。
自分の知らない星空を見詰める事で、彼女が初めて迎えるハルケギニアの夜は過ぎていった。
以上、投下終了です。
それではー。