あの作品のキャラがルイズに召喚されました part108
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part107(前スレ)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1201721373/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ ---------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
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>1乙
● 「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃ ● ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘ よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃ おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃ (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃ どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃ たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃ ね・え・かたをっかしてよっ
┃ す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃ き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃ ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃ だからすぅきぃよっなんていわない
┃ のんのんのんどっこかへいったら
┃ ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん ・・・だぁって
┃ ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃ あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
「あ、あんたたちなんて、ぜ、全然怖くもないんだからねっ! 」
…現実世界には有り得ない、桃色の髪をした少女のローブの下の地面は濡れていた。
嗅ぎ慣れた小便の臭いが鼻に附く。フード付きのナイロンパーカーを着た、我が国民の
特徴をした少年は倒れ付したまま動かない。…犬、とこの少年は少女に呼ばれていた。
「そこの少年は日本国国民だ。我々陸上自衛隊員には日本国民を保護する義務が
ある。…抵抗するのなら排除するまでだ」
糞メイジめ。基本的人権すら理解せん、野蛮人が貴族だと? 頭に来る。真の貴族とは
家柄でも無い。魔法とやらを遣えるからでも無い。気高き自己犠牲の精神を持たねば
ならぬ者の事だ。その基準で行けば…今、この世界では俺達自衛隊員は人民解放軍を
演じているのだ。平民の解放。権利の付与。自由と平等をもたらす正義の戦士達だ。
「こ、このい…サイ…」
「煩(うるさ)い。目標正面の的、テェ! 」
可愛い顔をしていようが愛らしい声だろうが、魔法の遣い手は生かして置く言い訳には
金輪際、ならない。虐殺こそが正義だ。そして平民の不満を抑えるための富の再分配も
必要だ。…末端の小隊の指揮官で俺は法を実行する道具でいい。物言わぬ肉塊と化した
少女は少年の衣服を汚すだけの存在となった。…これでいい。国民の保護が最優先事項だ。
「こんなに打たれた跡が…可哀相に…」
少年を介抱する、部下の女性3曹がショートボブを揺らし涙を浮かべていた。現地志願の
兵だと聞く。確か佐々木だとか言った姓を持っていた。…彼女に任せて置けば安心だろう。 END?
とまあ、腹立ちまぎれにぶち殺しシナリオだ。目覚めた少年は…どうなるのだろうね?
貴族? ちゃんちゃら可笑しいわ! 首切ってナンボよ! 一山幾らさ! 魔法使いは皆殺し!
性奴にも怖くて使えんと来たモンだわい! 灰にして畑の肥料にでも使うしかないわ! 喝!
無から有を可能にする人種など小官の敵以外の何者でも無い。
物理法則に従う者には脅威以外の何者でもないのだからな。
メイジの方が危険度高。最優先で潰す。ルイ(ryは気丈にも立ってた、と解釈してくれ。
本来なら頭なんぞ狙わせんが、声で発動するらしいので首から上を潰した…と。
穴だらけだが、サイ(ryが死んだら佐々木少尉の後裔が某ナカサト伍長張りに可哀相で不憫だ。
さて、閑人A氏待ち。
7 :
閑人A:2008/02/03(日) 12:36:45 ID:1bvgvigj
>>6 すむません。
それでは10分後から投下します。
あと
>>1さん、乙です。
新スレの初っ端の変なのは置いておいて、
閑人A氏、お待ちしています。
wktk
言い忘れてた、特注の
>>1乙だ。全弾持っていけ!
>>7 前哨支援
いきなり投稿宣言も無しに投下ってどうよ…閑人A氏さんの後に投下予約します
自衛隊スレの基地外をコピペで召喚するなよ。
うう、昔は良かった……今やFスレは引っ越しても引っ越してもヘンなのが追跡してくるからなぁ……
あれはさておきライダー支援
左手氏待ってました!
>13
その点は同情するけどさあ……
さて10分以上たったのだが・・・・・
まさか閑人A氏、また事故った?
.
「キュルケ」
「なによ」
「あんた、……確か、風竜を使い魔にしている、あの娘と仲が良かったわよね?」
「タバサのこと? まあ、付き合いはあるけど……それが?」
「その娘、まだ起きてる?」
「まあ、宵っ張りで本の虫だから、ひょっとしたら、まだ起きてるかも……って、どこ行くのよアンタ!?」
「決まってるでしょっ!! その娘のところに行って、ドラゴンを借りるのよっ!!」
そう叫ぶや否や、ルイズは宝物庫を飛び出した。……それから15分後、紆余曲折の果てに、魔法学院の上空に、赤・青・桃の3色の頭を乗せたシルフィードが飛び立って行くのが見えた。誰も見ている者はいなかったが。
夜風が身にしみる。
寒風吹きすさぶ冬の夜空を駆けるドラゴンの背は、恐ろしく寒い。本来なら、暖かいベッドの中で布団にくるまれている時間であるだけに、この寒さは一際だ。
キュルケとしても、もはや行きがかり上、ルイズに付き合わざるを得なかったとは言え、この成り行きに100%納得しているわけではない。
だから、タバサが、こうもアッサリこの一件に協力してくれた事を、キュルケは、かなり不思議に思っていた。いつもは、他人の揉め事など全く興味を示さないはずの、この寡黙な少女が、なぜ、ここまで協力的な態度を示すのか。
「ルイズ」
それまで、竜の首に跨って、黙々と読書に勤しんでいたはずの彼女が、ふと、眼鏡の位置を直しながら、ルイズを振り返った。
「――え? なに?」
高速移動中ゆえの向かい風にガチガチ震えていたルイズは、不意に名を呼ばれて、驚きの声を出す。だが、ルイズからすれば無理も無い。普段は聾唖者かと思われるほどに無口なこの少女が、いきなり自分の名を呼んだのだ。
こんな夜中に叩き起こして、使い魔を借りておいて今更だが――それでも、この寡黙な少女が自らコミュニケーションを取って来たことに、驚きを禁じえなかった。
「聞きたいことがある」
そう言うと、タバサは器用に、シルフィードの背をずりずりと座ったまま、移動してきた。
「なっ、なによ……?」
「カザミシロウのこと」
その名を出された瞬間、ルイズの顔から感情は消えた。
「彼は何者なの?」
.
「かめ……ばずーか?」
たしかに、『杖』の中ほどに、ちょこんと、小さな黒い物体が付着している
言われて見れば、亀の甲羅に見えないことも無い……。
しかし、それが一体どうしたというのだ?
亀はともかく、「ばずーか」という言葉の意味は分からない。だが、それでもフーケにとって、この才人の反応が、全く不可解なものであったのは当然だ。
そして、その疑問は、やがて、この『杖』に対する期待へと置換される。
覗き見た者を、これほどまでに怯えさせる“情報”とは一体何だったのか?
それほどの“情報”を秘めた、この『杖』の正体とは、一体何だったのか?
――少なくとも、単なるガラクタじゃない事は、確かだねえ……!!
「立ちな、坊や!!」
フーケは、山小屋の隅でガタガタ震える才人を捕まえ、無理やり立たせた。しかし、彼はまだショックから立ち直れないらしく、顔を真っ青にしてブツブツ小声で、何かを呟いている。
「かっ、カメバズーカ……!? 嘘だろ? ありえねえありえねえありえねえありえねえ……」
「いい加減にしな!! 何を見たのか知らないが――いや、何を見たのか、今すぐここで、全部吐いてもらうよっ!! アレは一体、何だったんだいっ!?」
才人は、うつろな、仔犬のように怯えた眼差しで、フーケを見た。
フーケは、その目を見た瞬間、さすがに嫌な予感に気圧されてしまった。
もとよりフーケは、この少年がただの“平民”では無いことを知っている。
学院長室の壁に、『練金』で小さな穴をあけ、そこで為される会話を、可能な限り“盗聴”している彼女は、ルイズ・ラ・ヴァリエールが召喚したこの少年が、何者であるかを既に知っている。
(そのクセに、風見が改造人間であることを知らなかったが)
異世界から召喚された、伝説のルーンをその身に刻む、虚無の使い魔『ガンダールヴ』。
ドットクラスとはいえ、メイジと決闘し、なおかつ一歩も退かない激しい気性の持ち主。
そんな少年を、ここまで怯えさせるとは、……もしかして自分は、何かとんでもなく危険な“物体”を持ち出してしまったのか……?
そう思った瞬間、才人の口が、ようやく他人に伝達する意思を含んだ言葉を、彼女の耳に届かせた。
「――カメバズーカ……デストロンの怪人、改造人間……東京都全滅作戦のために、体内に――げっ、げっ、げっ、げっ……!!」
「はあっ!? なに言ってるんだいアンタ!?」
「原爆を……ヒロシマ型原子爆弾を内臓……!!」
「――爆弾……だってぇ!?」
さすがに、その一言は、フーケを黙らせるだけの威力を持ち合わせていた。
そして、その瞬間、才人は先程食べたパンを――それ以前に食べた昼食を含めて――吐いた。
支援
支援です。
支援
.
才人は、文字通り気が狂いそうだった。
その妙ちくりんなバズーカを触った瞬間、圧倒的な量の情報が脳に流し込まれた。
改造人間カメバズーカという個体が所有する、驚異的な戦闘能力と破壊能力。
彼を改造した、暗黒組織デストロンの暝い意思・歪んだ野望・社会と世界に対する純粋な悪意。
東京都全滅作戦を妨害し、自分を殺した仮面ライダー1号2号への苛烈なまでの復讐心。
そして、デストロンによって誘拐、改造され、洗脳によって封じ込められた、名もなき健康な、一人の市民の悲鳴……!!
いや、いや、いや、問題はそこじゃねえ!!
なのに、何故コイツがここにいる!?
『仮面ライダーV3』は、あくまでフィクションだったはずなのだ。
すでにして、風見志郎が身近に召喚されている以上、彼と戦っていた“怪人”がここにいても、何の不思議も無い。――というのは理屈だ。あくまでも理屈だ。納得しろと言われて、納得できる者など、いるわけが無い。
この怪人の実在を認めると言う事は、本郷猛や一文字隼人の存在も、いやいや、それだけではない。才人がかつて熱狂した、ブラウン管の向こう側の存在、それらがみな実在している可能性すら内包している事になる。
いやいやいやいや!! 問題はそれですらねえ!!
ハルケギニアに召喚されて、すでに一週間以上たつが、――才人は風見を、未だにある種の抵抗無しには見られない。むしろ、異邦人であるはずのルイズやキュルケの方が、現実味のある存在として受け入れられる。
それは何故か?
ふと、そう思った時、ようやく才人は理解した。
風見や、このカメバズーカの存在が、才人に、嫌でも『サモン・サーヴァント』に於ける、ある恐るべき可能性を示唆している事実に気付いたからだ。
いや、気付いたのは今ではない。もうずっと前、風見志郎と初めて出会った瞬間から、もう才人は気付いていたはずなのだ。ただ、潜在意識がそれを認めてしまうのを、必死になって抵抗していただけだったのだ。
「もういやだ……母ちゃん……おれ、耐えられないよ……!!」
才人の正気は、これ以上、この受け入れがたい現実を前に、回路を切った。
自我を、狂気の侵蝕から防衛するために。
自身の吐裟物にまみれた床の上に、糸を切られた人形のように、才人は崩れ落ちた。
「ちょっ、ちょっと、坊や、――なに寝てるんだよっ!! とっとと起きなっ!!」
再び失神した才人を、叩き起こそうとしてフーケは、不意に動きを止めた。
『破壊の杖』にへばりついた、小さな石ころのように干からびた、亀の甲羅。
「まさか、ね……!」
それが、僅かながら、……動いた気がしたのだ。
そして、おそろしく小さい音であったが、何かがうめくような声さえも。
……ずぅぅぅぅ……かぁぁぁぁぁ……。
生きてるーーー!?!?! 支援
ぎゃぁぁぁ復活したぁぁぁぁぁ!?
.
目的地まで、あと約2km。
V3ホッパーの教える最終誘導地は、この林道沿いの小さな山小屋。
いかに『土くれのフーケ』が名うての盗賊だったといっても、まさか、こんなに早く正確に、自分が追いついてくるとは予想していまい。ならば、不意をつける。上手くすれば、女がゴーレムを出す前にカタをつけられるかも知れない。
しかし、この暗い山道のどこかに、もしフーケの使い魔が見張りをしていたら、バイクの駆動音は、いくら何でも目立ち過ぎる。そういう意味では、ライトも同じだ。
ならば、そろそろ、ハリケーンを捨てるか?
ハルケギニアの夜は明るい。二つの月が煌煌と輝いている以上、闇夜に方角を失う事は無い。
俺が気配を消して、徒歩で近付けば、……しかし、いまの体調を鑑みれば、体力の無駄な消耗は、可能な限り避けたい。
(っっ!?)
だが、その瞬間、風見は、遥か上空から自分めがけて、何者かが接近してくるのを感じた。重く、太い、大きな気配が。
「――ちっ!」
思わず、舌打ちをし、急ブレーキをかける。
一瞬、フーケの使い魔かと思ったが、次の刹那には、気配の正体に風見は気付いていたからだ。
重くて大きい気配に混じって、敵意なき無邪気な気配、――それが三つ。
おそらくは、彼の主を名乗る少女と、その級友たち。
果たして、彼の数m先に舞い降りた、巨大な竜の背に乗っていた、3人の少女たち。
「カザミ!!」
そこからぴょんと飛び降りて、まっしぐらにこっちへ向かってくるピンク色の頭髪。
――ルイズ・ラ・ヴァリエール。
風見は小さく溜め息をついた。
「アンタどういう了見!? 御主人様を置いて先に行くなんて!!」
「……」
風見は肩をすくませながら、エンジンを切り、ヘルメットを脱いだ。
「何をしに来たヴァリエール」
彼の眼差しは、相変わらず人を拒む冷たい光を放っていた。
干からびていたのがサイトのゲロで復活ぅぅぅぅ?!
支援
な、何だって!!、支援
.
「――何をしにって……!!」
イキナリそう言われて、ルイズは、思わず立ち竦む
さすがに彼女といえど、ここまでの言われようは予想外だったようだ。ルイズはてっきり、風見が、自分とともに才人を救いに行く事に、同意していると思っていたから。
だが、彼女を見つめる男の瞳は、おそろしく冷ややかだった。
「きみたち」
風見は、その目をルイズではなく、その向こうの風竜の背にいまだ座っている二人の少女に目を向けた。確か一人は、ルイズの隣人のツェルプストーとかいったか。もう一人の青い髪の少女は知らなかったが、おそらくは、彼女たちの学友か級友か。
まあ、どっちでもいい。
そう思った瞬間、風見は気付いた。三人目の名も知らぬ碧髪の少女が放つ、尋常ならざる鋭い眼光に。
(何者だ!?)
思わず、体が警戒信号を放つ。
しかし、今はそんな事をしている場合ではない。
ルイズの傍らにいるということは、少なくとも、敵ではないと判断していいはずだ。
なら、取り敢えずは、問題ではない。
風見は、先程言いかけた言葉を、再び口にした。
「きみたち、済まないが、ヴァリエールを学院まで送り届けてくれないか?」
ルイズは、しばし、絶句した。
「まっ、待ちなさいよっ!! アンタ一体どういうつもりっ!?」
「どうもこうもない。便宜上とは言え、お前は俺の主だ。あえて死地に道ずれにする気は無い」
「サイトは――サイトはわたしの使い魔なのよっ!! 貴族に使い魔の命を見捨てろって言うの!?」
「主を死なせては、使い魔もクソも無い」
「いやよっ!! 絶対に帰らないわっ!!」
ルイズの拳は、その白い肌が、さらに青白くなるまで握り締められ、彼女の並々ならぬ決心と覚悟を物語っていた。
「――ねえ、カザミ」
キュルケが、シルフィードの背から飛び降り、ルイズの隣に並ぶ。
「確かに貴方の言う事にも一理あるわ。でも、この子は仮にも貴方の主なのよ? そう邪険にする事は無いでしょう?」
そう言われて、風見は、お前は口を出すなと言わんばかりの目で、キュルケを見つめたが、……やがて、諦めたように、深い溜め息をついた。
「なら、――言い方を変えよう」
「どういう意味?」
そう問い掛けるキュルケには答えず、風見は言った。
「ヴァリエール。お前がいると戦闘の邪魔なんだ」
「なっ!?」
「お前は奴らとは戦えない。自分の身を自分で守れない。――足手まといだ」
そう、それが現実。
支援
.
ルイズは震えた。
体から、全ての力が流れ出し、思わずへたり込みそうになった。
しかし、何とかこらえ、風見を睨みつける。
そうやって気を張っていないと、二度と立てなくなってしまいそうだったから。
ギーシュに『メイジじゃない』と言われた時も、同様の震えは起きた。が、今度の風見の言葉の刃の鋭さは、ギーシュの比ではない。
ギーシュの言葉に含まれた、安っぽい悪意、挑発、傲慢、偏見。そういったニュアンスを、ルイズは、今の風見の言葉に、1mmたりとも見つけられなかったからだ。
彼のいま発した言葉は、紛れも無い客観的事実にのみ基づいた言葉である、ということが、彼女にもはっきりと感じ取れたからだ。
「あ、あんた……平民のクセに、いったい何様のつもりよぉっ!!」
いまの風見の“暴言”には、さすがにキュルケも反応せざるを得ない。
永年の宿敵であり、悪友とでも呼ぶべき少女を侮辱された、というだけではない。
風見のいまの言葉が、何もルイズ一人にのみ向けられた言葉ではないことを、キュルケは敏感に感じ取ったからだ。
しかし、風見は眉一筋動かさない。少女たちの火のような視線を、こともなげに受け止め、ハリケーンから降り立つ。
「確かに俺は貴族では――メイジではない」
その時、風見の身体から、熱い風のうねりのようなものが発散された。
(えっ?)
いや、錯覚ではない。その証拠に、風見の腰に燦然と輝く、変身ベルト“ダブルタイフーン”
――変身、
「だが、……俺はそれ以上に」
――V3!!
「ただの人間でも、無い……!!」
「カザミシロウ……カイゾーニンゲン……!!」
シルフィードの背で、タバサが呟いた。その目を驚愕で、大きく見開きながら。
足手まといつきで完全勝利できたら格好良いと思わんかね
支援
支援
……あれ、タバサ改造人間って単語知ってたっけ?支援
.
そんなタバサの囁き声が聞き取れないほど、V3の五官はにぶくはない。
(やはり、喋ってやがったか、ヴァリエールの奴)
しかし、その事に対する腹立ちは無い。
その事態を予想したからこそ、あえて変身し、この異形の姿を見せつけたのだ。
俺は――風見志郎は、ただの平民ではないと。
お前らでは戦えないと彼女たちに指摘した以上、俺独りでも、フーケのゴーレム相手に充分戦えるのだと、そう分からせるために。
V3が恐れているのは、彼女たちがフーケに何かをされることではない。
いまの、パワーの調節が利かない自分とゴーレムとの戦闘に、彼女たちを巻き込んでしまう。それこそが、彼の最も忌むべき事態だったのだ。
風見――V3は、そのままハリケーンから離れ、ルイズとキュルケの横を、スレ違うように通り過ぎる。
どちらにしろ、彼はここからは、徒歩で向かうつもりだった。
そして、タバサとシルフィードの前に差し掛かった瞬間、
「待ちなさいよっ!!」
ルイズの一喝が、彼の足を止めた。
「お前は戦えない……そう言ったわよね、あんた」
「ああ」
「意見を変えろ、とは言わないわ。確かにそれは、あんたの言う通りだから――でも」
「でも?」
そこでV3は初めて、ルイズを振り返った。
少女の、小さな身体に似合わぬ、爛々と光る目がそこにあった。
「サイトは、……ギーシュと戦えると思ったから戦ったわけじゃないわ!!」
「……」
「戦えると思うから戦う。戦えないと思うから戦わない。――それは正しいかも知れない。でも、でも……」
「……」
「――人には、戦うべきときがあるはずよっ!! 勝ち負けに関係なくね!!」
そう叫んだルイズの眼差しは、さしものV3すらたじろがせる気迫があった。
支援
カメバズーカの生命力に驚嘆すべきかゲロで蘇るところにツッコむべきかタバサなんで改造人間の単語を知ってると言えばいいのかとにかく支援
まぁ、自分で自分の身を守れない奴は戦場に立つ資格がないな。支援
いや、問題はカメじゃない・・・
世界扉がバダンの侵攻に晒される地球に繋がっているとしたら・・・
才人はどこから来た?
自分から一般人を戦場に巻き込むなんてライダーとしてまずいだろ支援
いわば存在そのものが毒なのだ。
たった一人の愚兵が隊を死に追いやる。 支援
.
「ヴァリエール……」
そう呟いたV3に、タバサがぽつりと言った。
「あなたの負け」
(ちっ)
内心、舌打ちをすると同時に、風見の胸の内に、苦笑いが込み上げる。
(確かに、一本取られたか……)
彼の胸中に、家族を自分の眼前で、むざむざとハサミジャガーに殺された時の、あの言いようの無い怒りが、疼くように思い出される。
(戦えないから戦わない……それは違う。たしかにな……)
「ヴァリエール、俺の指示に従えるか?」
「えっ?」
V3は、タバサを含めて、その場にいる3人の少女を順々に見回し、
「いや、ヴァリエールだけじゃない。お前ら全員、俺の指示に従えるかと訊いているんだ」
「……どういう事……?」
「平賀の救出作戦に、お前らが参加するならば、改めてプランを練り直す必要がある。お前ら一人一人に、何が出来て、何が出来ないのか、それらを把握した上で、新たに作戦を立てる必要がある」
「あんたが戦闘指揮をとる。――そういう事?」
キュルケが、いかにも不服そうに口を開く。
「あんたみたいな得体の知れない奴には従えない、って言ったら、どうするの?」
「ここから帰ってもらう」
ナタで割ったように、V3は即答する。
「帰りたくないし、従う気もない。そう言うなら、――悪いが、ここで全員、眠ってもらう事になる」
「へえ……!」
さすがに、そこまで言われては、キュルケの赤毛も、怒りで逆立つ。
「一応言っとくけど、あたしとタバサはトライアングルよ……それでも、あたしたち全員を相手に勝てるつもりなの……!?」
「待ってキュルケっ!!」
そう言って、一触即発のV3とキュルケの間に入って来たのは、ルイズだった。
「従うわカザミっ!! あなたが立てた作戦に。だから、もうこれ以上はやめてっ!!」
「ルイズっ! どきなさいっ!!」
目を血走らせて、杖を構えるキュルケ。しかし、そんな彼女の胸倉を、ルイズは引っ掴んだ。
「いま、この瞬間にも、サイトは殺されかけているかも知れないのよ……!! こんなところで遊んでる暇なんか、どこにも無いのよっ!! 何で、それがわからないのよっ!?」
その時だった。
「あなたに任せる」
叫んだルイズ。
怒鳴られたキュルケ。
そんな二人の気勢を削ぐように、タバサがV3を見つめて、低く響く声で言った。
「タバサ……!?」
「それが一番早い」
タバサが、キュルケを向き直って言った。
そしてルイズも、上目遣いにキュルケを睨みつける。
もはや、こうなってしまっては、いかに強情な彼女といえど、空気を読まざるを得ない。
「分かったわよっ!! 言うこと聞きゃあいいんでしょっ!! 好きにしなさいよ、もうっ!!」
あれ、ルイズがかっこよく見える!?
支援
>>39 それこそサイトが倒れた理由な気がしないでもない、と言いつつ支援
支援
カメバズーカ見た目は可愛らしいんだけど中身がなあ
.
亀の甲羅が、ぴくりと震えだしてから、もう数十秒が立っている。
そして、その振動が増すごとに、甲羅の体積が、徐々に徐々に、巨大化してゆく。
……ずぅぅぅぅ……かぁぁぁぁ……!!
地獄の底から聞こえてくるような、そんなうなり声が響く。
その瞬間、ようやくフーケは、凍り付いていた体のヒューズが繋がった事に気付く。
もう、間違いない。疑いようが無い。
幾多の危機を乗り越えてきた、フーケの無二の相棒『女の勘』が、警報ランプを音量最大にして、わめきたてる。
――やばい、やばい、やばい、やばいやばいやばいやばいやばい!!
フーケは走った。
才人を、ドアから山小屋の外に放り出し、自らも飛び出すと、すぐさま可能な限り巨大なゴーレムを錬成する。――が、ありったけの魔力を込めたにもかかわらず、ゴーレムの身長は、10m以上伸びなかった。
(ちぃっ!!)
分かっている。
V3を相手に戦った時に、ゴーレムの錬成に使った魔力が、まだ回復していないのだ。
普通なら、10mクラスのゴーレムでも、並みのメイジなら束になってかかられても怖くは無い。
しかし、――今は違う。
この得体の知れない恐怖から逃れるためには、たとえ30mクラスのゴーレムでも、不安だった。
「ずぅぅぅぅかぁぁぁぁぁ!!」
動き出す…
支援
支援
何か支援者が多いなあ、と思いつつ支援
ついに復活しやがった・・・
支援
支援
.
その瞬間だった。
山小屋が、凄まじい音を立てて、爆発を起こした。
「くあああっ!?」
フーケは、才人を引っ掴むと、とっさにゴーレムを盾にして爆風を逃れた。
しかし、その肝心のゴーレムは、彼女の本来の魔力の三分の一のパワーしか発揮できない。
爆発そのものは、ゴーレムが壁になってくれたおかげで、やりすごせた。
だが、その数秒後、ゴーレムがこっちに倒れ込んでくるのが、彼女には見えた。
「うわあああああああっ!!」
ゴーレムの下敷きになる、という確実な死の予感が、フーケの動きを凍りつかせる。
しかし、……ゴーレムが地響きを立てて倒れた時、彼女は少年の胸に抱かれていた。
「おいっ、大丈夫かよっ!?」
才人の左手のルーンが光っている。
見ると、彼はフーケを抱き上げながらも、その右手に、赤く錆びたナタを握っている。
おそらくは、山小屋の薪割り用の物であろうが、少年が、いつの間にそんな物を握ったのか、彼女自身全く気付けなかったことに、内心舌打ちをする。
が、次の瞬間、そんな苛立ちなど、吹き飛んでしまうほどの戦慄が、フーケを襲った。
ケシ飛んだはずの山小屋。
そのもうもうたる土煙の中で、誰かが、――いや、“何か”が蠢いているのが見える。
「――カメ……バズーカ……!!」
才人が、絶望に満ちた声で、つぶやく。
支援
ライダーキック支援
支援
支援
ヤバイヤバイヤバイヤヴァーーーーーーイ!
支援
ハルケギニアが汚染される!?
支援
.
「ズゥゥゥゥゥカァァァァァァ!!!」
なるほど、カメバズーカとはよく名付けたものだ。
ウミガメほどもある巨大な甲羅を背負い、直立歩行する一匹のカメ。
その背(甲羅)には、『破壊の杖』の本体たる、1・5mほどの灰色のバズーカガ取り付けられ、何故か黒い手袋に黒いブーツ。ベルトのバックルは、サソリのリレーフが刻まれている。
「な……なに、あれ……!!?」
――ばけものだ。
カザミシロウが変身した時も、その異形の姿に瞠目したものだが、――あの“ばけもの”が放つ、凄絶なまでの妖気は、まさにカザミの比ではない!!
「ゴーレム!!」
反射的にフーケは、ゴーレムに命令を出していたが、その瞬間、カメバズーカはこちらの殺気に気付いたかのように、ギラリと青く光る目を向け、背中のバズーカを発射した。
「うそ……!!」
信じられなかった。
いかに本来の魔力の三分の一しか発揮できなかったとはいえ、この『土くれ』のゴーレムが、一撃で、コナゴナに粉砕されてしまったなどと!!
「逃げろっ!! 逃げるんだ!!」
ルーンを光らせた才人が、フーケを抱えて、人間離れした速度で走り出す。
だが、その一瞬、彼は見ていた。
カメバズーカの胸に刻まれた、光り輝く刻印を。
そして、それは、自分や風見の左手に刻まれた謎のルーン文字と、同じ文体であったことを。
何気にカメバズーカってデストロン屈指の怪人だよね。 支援
支援
支援
まさか…リヴィンダールヴ?
支援
支援
サイトがげろまみれなのを気にしつつ支援・・・カメこえええ。
支援
どんどん、最悪な方向に…
支援
な、何だって!!、支援
支援
リィンダールヴだったわw
支援
……胸、という事は言う事さえはばかられるアレか? けどそれなら形違うような気もする……支援
支援多いわwwwww
支援
支援
支援
支援を! 一心不乱なる支援をッ!!
支援する!
支援
いかんっ!支援者が暴走しているッ!!
支援
自動支援スクリプト(類似品:自動保守スクリプト)が動いてるみたいだな。他に任せて支援撤退だ。
だぁ!規制かぁ!?
さるさんかァ!?
支援
改造人間そのものが武器として、ガンダールヴのルーンが反応し、
さらにそのゲロが化学変化を起こしてウンヌンカンヌン…………
なんてトンデモ説をあげてみる。
支援
87 :
閑人A:2008/02/03(日) 13:16:37 ID:1bvgvigj
投下はここまでです。
たくさんの支援感謝します。
え〜〜と、タバサさんは、移動中のシルフィードの背で、ルイズから話を聞いた、
……という風に書いたつもりでしたが、尺の都合で、シーンを一つすっ飛ばしたんで、
分かりにくかったですな。
以後、反省します。
ではでは。
>>81 気にするな、このスレが始まったばかりのころはこんな感じだった 支援
支援
乙した
乙!
またいいところというか、悪いところで切りおって!
GJ!
乙です
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 13:17:57 ID:H+FZp0Ok
固定化だ!固定化しちまえぇ
支援
乙ー。頑張って持ちこたえるんだサイトとフーケさん。
乙かれ、続き楽しみにしています。
乙
まさか仮面ライダーV3だけではなく、平賀才人も虚構の存在なのか?
よーし、では行きます
やっと書けたので1話目投稿!!
クロスするのは、サモンナイト クラフトソード物語というGBAのRPGです。サモンナイトらしからぬ作品ですが。
1話目という事で説明を多くしたつもりですが、分かりにくかったらウィキってください。
サモン・サーヴァントってどう考えても召喚魔法じゃなくて拉致魔法だよね。
人間呼んだりしたら文句言われて当たり前、服従なんてしてもらえる方がおかしいと思うですだよ。
ハルキゲニアの人々をどこぞの白い冥王の様に見下しはしませんが、すごいと思う事も無いと思う様なキャラが良かったので
では、約5分後に投下開始します。寒くてお腹痛いのでトイレに行ってから…
タイトルは『虚無の鍛聖』です。
ここでサイトとおマチさんのフラグ発生を考えているオレはもう駄目だ
GJ
支援
>>98 ちょいたんま!
少し間をあけてたほうがいいっす!
>>98 大作の後で緊張するかもしれんがガンバレ。
支援
乙
支援
GJ!
頑張れサイトパパとフーケママ!
>>98 >>102の言うとおり、もちょっと時間を空けたほうがいいかも
感想を書く時間がなくなっちゃうから
支援
>>105 二人の共同?作業で復活したから子供はカメバズーカとでも言うオチかー!?
>>98 ストップストップ
ハル「ケ」ギニアな
あと感想とかあるから大体10分は空けると吉って聞いた
鉄人のおたま期待
感想の時間なので30分までちょっと待ちます
閑人Aさんすいません
てかV3いなかったらカメバズーカに勝てないな…怪人殺すのってマジに大変
サイトは犠牲者の事まで知ってるならV3に幻滅する可能性大
……自爆してどうするんだorz
>>109だったよ。
>>97 サイトも実は風見と同じ世界の人間で、バダンの侵攻によるトラウマで『現実』をテレビの中の
『虚構』と思い込んでいたと言う線も
GJ!!
しかし、ハリケーン号も確か原子炉で動いてなかったか?
>>109 脳改造されれば、殺されるまで元に戻ることはないからねえ
ショッカー怪人ならピラザウルスやイソギンジャガーみたいな例外もあったが、
デストロン怪人以降は「欠点」を改良されてしまったのかそういうことはない
あ、プロペラカブトみたいに自分から志願して改造手術を受ける連中も多かったな>デストロン
それじゃ投下してもよろしいですか?OKサインがでたら投下します。
仮面ライダーって現実的に知れば知るほど結構キツいお話
ヒーローの必要な世界なんて無いほうが良いよね…ホントに
>>116 鉄人のおたまは俺にとっての最強武器支援
英雄なんて要らないッ! って剣の英雄が言ってたよ。支援
関係ない事を長々喋るのはちょっと空気読めてない感あるが
投下自体は歓迎だ。来い!
1つ、武器は鋼の堅さに非ず。1つ、武器は友の助けに非ず。1つ、武器は剣の腕に非ず。
この3つこそ吾等鍛冶士の誇る三宝なり。決して忘れるべからず。
【1つ。鍛冶屋の腕は人間のみの物ではない。守護獣と鍛冶屋との絆と腕こそが鍛冶屋の柱である】
【1つ。決して屈せず、諦めてはならない。相手が王であれ、正しいと信ずる心を枉げる事は誇りを枉げる事である】
【1つ。己の為に鎚を振るう事はしてはならない。殺しの為の刃を打ってはならない。命を活かす為に鎚を打て】
1つ………そんなに思いつくものじゃない。無理無理そんなの。
「ダメだ…『決して口伝してはならず渡してはならない教えなくてはならない事のすすめ』って何が何なんだか分かんないよ」
ノートとペンをそこに置いて ぼすん と暗い草むらに身体を投げてみる。
5年間で伸びた身長と、それ以上にこの2年で伸びた髪が風にさらされる。故郷のように潮の香はしてこなくて、緑の風が過ぎていく。
あ、故郷じゃこんな事できないか…草花といえば自分の事を兄と慕ってくれる元気な少女が育ててる物くらいだったから。
「焦らないで下さいクリュウ様。リンドウ様から言われた事はワイスタァンに帰るまでに果たせばいい事じゃないですか」
自分と同じ髪の色の少女がいつもの様に(ボクといる時はいつもだけど)笑顔で覗き込んで、軽くウインクしてみせた。
ボクが鍛聖になったからか、彼女の姿は以前よりもやや大人っぽく、髪も長くなってきている。
本人曰く『頑張ってきた』かららしいけど、いつも隣に居た記憶しかない。何時に何を頑張っていたんだろう?
「そうは言っても2年だよ?鍛冶屋になる前から親方の下で働いて鍛冶屋になって、みんなと会って、パリスタパリスさんに帰ってもらえて、鍛聖になって
それからこうしてシュガレットと旅を始めてから。父さんみたいになりたい夢が消えたわけじゃない。でもさ」
「『何かが足りないんだ』ですか?本当に、どこまでもクリュウ様はシンテツ様の血がお強いんですね。ふふふ…♪」
「笑わないでよ。何かが足りないんだ。鍛冶屋としての腕前もそうだし武器の扱いにしても商売のやり方も…ボクには色々足りないよ
でも、そうじゃない。そうじゃない何かが足りないんだ。もう持ってる気はしてる。笑わないでよシュガレットぉ…」
「ふふ…だって…ふふふふふっ♪クリュウ様も大人になってきたという事です。心配要りませんよ」
「ずるい!シュガレットだけ知ってるなんて!!」
「ダメです。教えませんよ〜♪」
笑い声を上げながらながら、くるくると焚き火の周りを回る。いつもの様に金色に輝く月と宝石の様に輝く星々。
あんな輝きを自分の作ったものに込めたい。
目には見えなくても、大切なこと。目に見えないからこそ、大切で尊いもの。それが、自分の目指し続ける事なんだと思うから。
>>116 ウルトラマンがまるっきり善の戦士なのに対し、仮面ライダーはどっか暗ーい陰を背負ったダークヒーローだもんねえ。
支援
支援
ダークヒーローといえばDMCのダンテ。そういや最近見ないね
とかいいつつ支援
「つかまえたっ!!」
「きゃんっ♪……クリュウ様、本当に、大きくなりましたね」
「まだ、もうちょっと背は伸びて欲しいし、声も変わってないよ。…でも、ちょっとは成長できたのかな?」
子供では無いけど、まだ大人でもない。一人前ではあっても、まだ一流じゃないんだ。(当人に意識が無いだけで、既に超のつく一流になってます)
――――――――――――――ん?
腰の剛斬刀の柄を掴んで振り返る。何かの気配がした……と思う、多分。何かに…何かがあるような気がする。ワケ分かんないけど、そんな。
「シュガレット」
「良く分かりませんが、多分召喚術に近い力だと思います」
「サモナイト石や大規模な施設や儀式も無しに?」
「膨大な力を持つ存在か、或いはそんな力を持った何かを持った者なら…でも、そんな力を持った者の話なんてサプレスでも殆ど聞きません」
思い当たるのは大体ハヤトさん達とやっちゃったはずなのに…ホント大変だなぁ…。これも『統治者としてのルール』なのかなぁ?
まさかね。災いはやってくるものだからどうしようもない。でも幸せは作る物だからいくらでも作れる。作ればいいんだ。
「クリュウ様?」
「ごめん、ちょっと考えてただけだよ。武器は…全部揃ってるね。材料も問題無い。行こう」
「はい。気をつけてくださいねクリュウ様。クリュウ様1人の身体ではないんですから」
「言うべき性別と言うべき状況が違わないかなシュガレットさん」
――――――来ない。
完全に出来た。詠唱も魔法構成もバッチリだったはず(普段もそう。なのにいつも爆発しちゃうのは何でなのよ)なのに。
「やっぱりゼロだ!!召喚しても出てきやしないなー」
「褒めてやれよ。あの『ゼロ』が爆発させてないんだぜ?これだけの奇跡を見せて貰ってるんだ」
「はははははは!!そりゃ確かに有り難いな」
「……ぅ…」(ギリッ……
「ミス・ヴァリエール、落ち着きなさい。ゲートは形成されているのですから術そのものは成功しています」
彼の頭が眩しく輝いて一瞬世界が真っ白になった。術が失敗したからなんかじゃない。そうじゃないったらそうじゃないのよ!!
「ですがミスタ・コルベール、私の使い魔は出てこない理由が分かりません!」
「基本的に、サモン・サーヴァントはゲートを開くだけの魔法ですからな。相手がそれを恐れたり嫌がったりすればそういう事も有り得るのですよ」
「嫌がるっですって?馬鹿な事言わないでください!!」
「ははははは!!『ゼロのルイズ』に仕えるなんて不名誉な事だもんなー?使い魔が可哀想だ」
「仕える使い魔が出てきてくれても愛想尽かされて逃げられるのがオチよねー」
好き勝手言ってくれるじゃない。でも、成功したんだから私の使い魔は世界のどこかに必ずいる。それだけは嘘じゃないんだから!!
嫌ですって?そんな事許せない。許せない!!ここで呼べなかったらこのまま私は『ゼロ』のままじゃないのよ!!
「出てきなさいよバカーーーー!!!!私が呼んでやってるのに来ないってどういう事なのよバ――――――
―――――― ずんっ どすみしめきゃっ☆ごきぼきっばきべきぼきごしゃっ…こきっ。
い、息、で、できな………重くて、痛………かふっ……………
支援
ラジィは俺の嫁支援
支援
「…ったあ…シュガレット、大丈夫?」
「………」
「シュガレット?良かった、無事だったんだ。………おじさん誰ですか?貴方がボク達を呼んだんですか?」
髪の毛がちょっと可哀想と言うかスッキリしていると言うか…でも親方よりは若そうな眼鏡のおじさん。
「いや、私ではなくてだね…その、君の下で潰れている彼女、ミス・ルイズだと思うのだが…何故『呼ばれた』と?」
「ボク達の世界にも召喚術があるからです。…こんなに執念深くて無理矢理なものじゃありませんけど」
「世界?それはつまりこの世界とは違う世界という事ですか?実に興味深い。是非とも教えて頂きたいものですな」
「ボク達の世界ではでs」
「あのー…クリュウ様、そろそろ降りてあげないと下の方が死にそうなんですが。せめて荷物を除けてさし上げるべきではないかと」
「……えっと、死んでないよね?」
「おそらくは…」
槍筒(武器を入れる入れ物にこの呼び方で良いのか未だに疑問だ)を横に立てて下敷きにしてた女の子を見る。
ピクリとも動かない。死んでないといいけど、ピンクだなんて変わった髪の色だなぁ…赤や黄色や青は普通にあるけど。
と、そうじゃなかった。
「しっかりして。ほら、えーと、みするいず?」
「わたしの名前にミスって繋げて言うなぁーーーーーー!!!!」
「おっと」
ぐぁばっ!!!!と戦闘中に吹っ飛ばしたスライムが起き上がる様に背中の力だけで立ち上がるピンク色の髪の赤い顔のナニカ。
慌てて飛び退くことが出来たのは結構ラッキーだったかも。モンスターって言われても信じるくらいの妙な動きだったけど何者なんだろう?
「呼び出しても出て来ないわ出て来た途端に御主人様を足蹴にするなんて何考えてるのよアンタは!?」
「「はい?」」
「召喚しただけで契約するだなんて何をワケの分からない事仰ってるんですか?大体、人間を召喚するだなんて聞いた事無いですよ?」
「いや、ハヤトさん達の例もあるよ?」
「人間や私達程度の存在がエルゴと同じ事を出来るはずないですよ、クリュウ様」
まあ、それはそうだけどね。誓約者は無色のサモナイト石で召喚される物と同じ世界の住人らしいけど…だったら此処はどこなんだろう?
何かの形でリインバゥムに関係してるのかな?…ダメだ、ぜんぜん分からないから考えるのをやめよう。
……ああ、赤いのは頭から流れてる血なんだ。あの子気付いてないのかな?…致命傷じゃなさそうだからいっか。
支援
ちょいまち。
シルターン系召喚術は人間召喚も普通にありえるんだ!支援
「で、私に呼ばれたのはどっち?わたしはこっちの浮いてる彼女が良いんだけど。浮いてるし、妖精か精霊の類よね。名前を言いなさい」
「確かに私は精霊です。でも私のご主人様はクリュウ様で私はその護衛獣です。そうでなくても貴方の言う事には答えたくなんてないです。
呼び出しておいてそんな不躾に名前を言えだのどちらが良いかなんて言うような人間に力を貸すなんてサプレスの住民全てを代理してお断りします!!」
「ちょっと、シュガr」
「じゃあこの私の上に落ちてきた平民がこの私の使い魔だって言うの!?冗談じゃないわよそんなの!!」
「平民だから何なんですか?クリュウ様はこう見えても剣の都ワイスタァンを治める最高評議会の鍛聖でいらっしゃるんですよ?貴方こそ名前を名乗ったらどうなんですか」
こう見えても、ってその言われ方はどうなんだろう。確かにそんな身分の人間がほいほい旅に出ちゃうのも問題なのかも。
「はぁ!?どこから見てもただの旅の剣士じゃない。もっとマシな嘘をつきなさいよ。魔法も使えない人間が統治者になれるはず無いじゃない。
まあいいわ。私の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。彼との契約を取りy「不可能です。無理言わないで下さい」め…なんで!?私が呼び――――」
「呼び出されて『はいそうですか』なんて獣でも従いませんよそんなやり方。それなりの身分のある人の交渉法とは思えません」
「呼び出された使い魔が召喚したメイジに服従するのは当たり前でしょ!!いいから従いなさい!!」
「何度も繰り返しますけど嫌です。絶対にお断りします。私は断固としてクリュウ様以外の方に使える気はありません」
うわー、大変だなー。……置いてきぼりにされてるボクにどうしろって言うんだろう。
常識から何から違う場所みたいだけど、それより先にこのピンクの子が言う『使い魔』の問題を片付けなくちゃいけないのかな?
あー…女の子って強いよね…こっちの世界って月が2つあるんだなー… 月が2つ!?
「やめたまえミス・ヴァリエール。貴族の者がその様に取り乱すとは情けないですぞ。クリュウとシュガレット、だったと思ったが身体に異変は無いかね?」
「はい。私には異常は無いです…貴方がこの女性に関しての責任者だと私は思うのですが、名前はやはり名乗って頂けないのですね」
「ボクにも特に変な所は無いです。そこまでこだわらなくて良いよシュガレット、そういう人達なんだから」
「待ってくれたまえ。その点について正式に謝罪させて欲しい。私はこの学院で教師をしているコルベールだ。無礼を詫びよう」
「ミスタ・コルベール!!こいつらは貴族である私に怪我をさせたんですよ!?たかが平民の分際で!!」
「ミス・ヴァリエール。貴女が貴族がしてはならない事をした事にも気付かないのですか?名乗りもせず交渉もしない。彼らが問題ではない
貴女は何者ですか、ミス。貴族たらんとする者が礼儀も弁えずにその様な態度をする事は家の名に泥を塗る行為ではありませんかね?
誇りを持つ事はただ平民の上に立つという事ではありません。それくらいは貴女達にも私達は教えたはずだと思いましたが」
「…っ、だからって!!」
「ともかく、召喚には成功したのです。彼らの件と貴女についての件は後ほど話し合えばいいでしょう。貴女で最後でしたね、全員自分達の寮に帰りなさい。以上、解散とします」
もしさるさんに引っかかったなら10分くらい待て
あと第一行目空白だと投下ができないので注意 支援
…先生だったんだ。えと…つまり此処は貴族の子供の為の学校で、この国は魔法を使える人間が支配者だって事か。
どうでもいいけど、いつまでボクはこうしていればいいのかな?
「クリュウ様、とりあえずあの方は悪い人ではなさそうですね……あのコルベールという方『は』」
頭は寂しいけど、って言うのは流石に失礼だね。シュガレットもやっと機嫌を直してくれたみたいで良かった。
「さて…弱りましたな」
広場にいた生徒達がいなくなって、残ったのはボク達とコルベールさん、ピンクの髪の…名前何だったっけ?の女の子
生徒達が居た時には気付かなかった赤い髪で肌の焼けてる女の子と、短い青い髪の大きなロッドを持った女の子。
「生徒は2年生に上がる時に必ず使い魔を召喚して契約し、それが昇級の証とされます。使い魔と契約できない以上は……」
「2年生になれないというわけですね、コルベールさん」
「その通りです。これは我が校の格式ある伝統ですので特例を作るわけにはいきませんな」
勉強なんてした事が無いから良く分からないけど、学業も結構厳しいんだ、大変だなぁ。さっきからずっとシュガレットばっかり話してない?
「何時までイライラしてるのかしらルイズ?無理なら無理で新しく使い魔を作ればいいじゃない…って無理だったわね」
「……軽率」
「…。タバサとしてはどうなの?あの2人。精霊の彼女もいいけど、剣士風の彼、結構強そうね。話がホントなら身分も大臣クラス以上よ」
「…………」
ボクを見る彼女の目が、一瞬鋭くなった。実戦を潜り抜けてこないとああいう目は出来ないはずだけど、何で貴族のあんな小さな女の子が?
「……帰る」
「あ、ちょっと!!もう…私も行くから待ってよ。…クリュウだったわね。私はキュルケ。あっちの青い髪の子がタバサよ。また会いましょう♪」
あっという間に空に浮かんで向こうに飛んでいく。こっちでは飛行魔法が普通に使えるみたい。メイジ=魔法使い=貴族なのかな?
ともかく、残るは4人。
支援
大丈夫そうだな
ヘイトに片足突っ込みそうでちょっとドキドキ。
支援
クリュウ様以外の方に使える気はありません → 仕える気はありません
支援
「…………〜〜〜〜……!!」
すっごい睨んでる。やっぱりあの重さで上に乗ったから相当痛かったんだよね。
「ごめんね。上に落ちて、痛かっただろうに、あの時ちゃんと謝れなくて、ホントにごめん」
「そんな事を言って欲しいんじゃないわよ!!どうして私に従わないのよ!?使い魔で平民で従わないなんて異常よ!!」
「どうしてって言われても、何で従わなくちゃいけないの?身分で言うならボクも貴族だし…何年かしたら故郷に戻らなきゃいけないから無理だよ」
「うるさいうるさい!!呼ばれた以上は従いなさいよ!!魔法も使えない人間が貴族に逆らうなんて不可能よ!!勝てるわけ無いじゃ――――――――」
そんな事でこの国って決まってるんだ。今まで見てきた軍事国家や独裁政権だって社会的にはともかく制度的にはこの国よりマトモだったのかな?
それでも大丈夫って事はこの国の人達は大半が良い人なんだろうか?それとも、彼女だけが取り立てて性格とかが、その、ダメなんだろうか?
それはそれこれはこれ、って納得できない人間に何言っても仕方ないんだろうけど、その質問に対してのボクの答えは決まりきってる。
「勝てるよ。さっきここにいた人達全員が相手でもボクは勝てる」
「……あんた気でも狂ってるの!?魔法を使う相手に平民如きが何を出来るって言うのよ!?」
「ボクも魔法使えないわけじゃないけど、魔法を使わなくたって素人には勝てるよ。…戦いたくはないけど」
「〜〜〜〜〜っ!!もぅいいわよ!!その精霊私に寄越しなさい!!私がその子と契約する、それでアンタが帰れば赦してあげるからとっとと寄越しなさい!!」」
「無理だよ。ボクが生きててシュガレットとの契約を望んでる限り契約は変えられないし取り消せない。ボクが死んだら元の世界に彼女は帰る、それが契約だから」
「それでは確かに無理ですな。他者の使い魔を奪い自分の者にできる術があったとしても、その様な事は…」
貴族ってこういうタイプばっかりだよね。王様にヘコヘコしてる様に見えて実際は王様に忠誠なんてなくて自分が一番偉いと思ってる。
シュガレットにこだわってるのも自分の為だけ。とにかく自分を良く見せたいだけ。そんな人間の中身はたかが知れたものにしかならないのに。
でもコルベールさんも多分、貴族だよね?…変なの。国が違うとか、そういう事かな?
「お分かり頂けたのなら、私達を開放してもらえませんか?ここにいても私達はお邪魔みたいですから」
「待って、シュガレット。コルベールさん、ボク達がもしこのまま立ち去ったら」
「ミス・ヴァリエールは留年、という事になります。本来ならば召喚された対象の身体のどこかにルーンが刻まれるはずが見当たらない。
召喚された対象があなた方ではなかったという事です。それは彼女には明日もう一度サモン・サーヴァントの儀式をしてもらえば証明されるでしょう
……ですが、それでは納得できない者達がいるのです。彼女と生徒達、教師達がね。理由はおいおい分かると思うが…私としては彼女を留年させたくは無い。
クリュウくん、どうか彼女の使い魔になってくれないかね。形だけでいい。頼む!!」
「…………」
深々と下げた頭が傾きかけた太陽を反射して鏡みたいに…これ以上は流石にしつr…これ、2度目?
前言を撤回したい気分になってきた…この人もやっぱり貴族的な感じだ。良い人ではあるみたいだけど。
それに対して彼女はコルベールさんとボクを酷い目で睨みつけて、目線を合わすとそっぽを向いた。……何て酷い子なんだろう。
自分達の先生に対してそんな目つきをするなんて。自分の事を思って言ってくれてるのに、それは酷いよ。
仕方なく、こう言っておいた。
「ボク達に考える時間をください、コルベールさん」
元ねた知らないけど、面白そうじゃないですか。
支援。
支援
うん?
ルーンはコントラクト・サーヴァントで刻まれるはず
意図的な改変かしら
支援
シュガレット単品召喚+ガチ百合をちょっと期待してたのは公然の秘密 支援
(2時間後 学院長室)
「…という次第でして…身勝手ではありますが」
「待ちたまえミスタ。確かにゲートは開いて、そこから件の2人が出てきたという事に間違いはないかの」
「はい、それは私達も見ていましたので」
「それを成し遂げたのがあのヴァリエール家の3女とは、不思議な事もあるものじゃな。これまではあんなに…」
「それを言ってしまっては終わりでしょう、オールド・オスマン」
苦笑交じりに紫煙をふぅ、と長く吐いた後老人が口を開く。
「ミス・ヴァリエールをを2年に上げる事に異論は無いのじゃが…ミスタ、呼び出された2人と一緒に今夜ワシの所へ来る様に伝えてくれんかね」
「はぁ。…オールド・オスマン、私の感じた事なのですが彼は恐らくこの国で一番強い兵よりも…いえ、メイジよりも強い様に思えます」
「…それはミスタの『炎蛇』としての眼がそう見たのかね?」
「………」
「すまん。じゃが、どうもこの目で見ぬ事にはのう…歳をとると偏屈になってしまっていかん。ところで、件の2人は今どこにおるのかのう?」
「学院で働く平民達の所へ行ってもらいました。ミス・ヴァリエールは相当不機嫌の様ですが」
「………子供達とのんびり出来ると思ったからこそ選んだというのに、まったく的外れじゃった。賑やかでたまらんなぁ」
「…その通りですな」
顔を見合わせて苦笑する。
彼らは子供らに教える立場になりたくて教師という仕事になろうとした訳ではなかったのに現在教師をしている。
後悔は無い。ただ、ちょっとばかりトラブルが起きそうなだけだ。
―――――――後にとんでもなく後悔するのもまたこの種の良い人達のお約束なのだが、それはまた別の話。
>>140 そーね。
知らなかった、とか言ったら可哀想な人を見る眼で見つめてあげよう。
支援
し・え・ん
(同時刻 学院内食堂付属厨房)
案内されたのは城内(学院だから構内?)の食堂の、そのまた奥にある厨房。
昼間を過ぎていたから食堂には生徒の姿は無くてけっこう涼し…もとい、寒い。
「鍛冶士か…そんなに若いのにもう一人前か」
「ボク達の町は誰でも一度鍛冶士にならないといけないんです。…ボクの場合は父みたいな鍛冶士になりたいと思ってたからなんですけどね」
「こっちの筒は何なんですか?すごく重そうですね…剣?…槍に斧に……こんなに!?」
「旅先で作ったんです。ある程度売れたんだけど、それでも結構残っちゃって包丁やおたまもあるから買ってくれたら嬉しいかなぁ、なんて」
「ほう……見せてもらえるか?まずは包丁を見たい。もちろん試し切りもさせて欲しいな。シエスタ、そこの野菜使うから取ってくれ」
「包丁ですね。えーと、包丁は確か此処らへんに、サイジェントで売った時のが…あった!はい、どうぞマルトーさん」
実は、ワイスタァンじゃおたま以外の家庭用のものはあんまり作った記憶が無いんだよね。
教わった秘伝がそれだけじゃないかとか言わないで……誰に言ってるんだ、ボクは。
旅に出てから包丁、鍋に水道に歯車やロレイラルの召喚獣用のパーツに船に…鍛冶屋の仕事を飛び越えてる気がしないでもないけど。
真剣な眼で見られてる。…流石は職人、普通の人みたいに甘くない。でもこれも鍛冶士の醍醐味って奴だよね。…醍醐って何なんだろう?
シュパパパ!!ってあっという間に皮をむいて野菜を刻んで……止まった。
「よし買った!!他のも見せてくれ!!」
「私、こっちのナイフ頂いてもいいですか?こっちのハサミも細工がすごい……目移りしちゃいます…」
「ラグズナイフは戦闘用のモノなんですけど…あ、待って。そっちハサミはまだ未完成の試作品なんだ。欲しかったらあげるよ」
「おーい、このフォークとナイフのセット売ってくれるか?」
「庭の作業用に草刈ガマが欲しいんだ、錆びちゃってね」
「ちょ、ちょっと待ってください!!順番に待ってください。ちゃんと売りますから」
そこで帳簿を取り出して気付いた。ボクはこっちの世界の通貨は持ってないし商売方法もルールも知らない。
つまり完全にゼロから再出発って形になったんだって事に。
「それから…申し訳ないですけど、ボクはこっちのs…国の通貨や商売方法を知らないので、適正価格も分からないんです。
品物は先に差し上げますから、支払いはそれまで待ってもらえませんか?問題があったら困るので…
あ、ちゃんと帳簿には書きますからご自分の名前と購入される品物を教えてください」
「ちゃっかりしてやがる。みんなもそれでいいな?誰か今度の買出しに連れて行ってやれ。…でクリュウ、お前さんは何処で寝るんだ?」
「もしよろしければ私達の部屋が空いていますけど……」
「ただいま戻りましたクリュウ様ー♪やはり間違いなくリィンバウムではない様です。文字らしきものも一切分かりませんでした……
――――――って何いきなり浮気してるんですかクリュウ様!!許婚である私というものがありながらまた女の子を引っ掛けるだなんて!
これで何人目ですか!?サナレさんラジィちゃんあの双子姉妹にそれから(中略)何人落とせば気がすむんですか!!」
……タイミング最悪だよシュガレットさん。引っ掛けるとか多分って何の事やら。
なかなかの人物だなw
支援
というか、リィンバウムの主人公クラスは、どこの行っても適応できるヤツらばっかりだww支援
おたま支援
赦せない。赦せない赦せない赦せない赦せない赦せない赦せない赦せない赦せないっ!!!
何が赦せないか?何もかもよっ!!あの平民もそれについてた精霊のあの娘も、ミスタ・コルベールも…
何でよ!!何で!?何で……
「何でなのよっ!!!」
噛み締めた歯が歯茎を押し付け、血が滲み出てその味が口中に広がる。悔しくて頭がどうにかなりそう。
ゼロ。少し、じゃない。少しも何も無い事を意味する言葉。誉れの名じゃない。どうしようもないからつけられた名。
「嫌よ…折角、折角成功したのに!!やっとゼロって言われずに済むって思ったのにっ!!」
壁を何度も何度も叩く。癒されなんてしないのに、ただ、胸の痛みを誤魔化したくて。
『ははははは!!『ゼロのルイズ』に仕えるなんて不名誉な事だもんなー?使い魔が可哀想だ』
『仕える使い魔が出てきてくれても愛想尽かされて逃げられるのがオチよねー』
『魔法の才能ゼロのルイズ!!』
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいっ!!!!」
指が痺れるくらい筆記を覚えた。
喉が痛くなるほどに呪文の詠唱だってやった。
試験でだって学院の上位にずっとい続けられるように努力した。
貴族らしくいられるように何時だって何処でだって………
だから、これは涙なんかじゃない。
これは涙なんかじゃない。
「…っく…う、…あ…ぅ……っ……っ!!!!」
違う。今泣いてるのはヴァリエール家の3女じゃない。
ただの、何処かの女が惨めに泣いているだけだから……これは、違うんだから!!
惨めだな。HAHAHA
支援
支援
「恨むわよ、タバサ。あのルイズを焚きつける様な事をさせようだなんて」
「………キュルケや私では無理。……適任」
「そーね、あの状態じゃマトモに対応するどころじゃないものね」
「他人事だと思って…確かに魔法の才能はゼロだけどそれ以外は結構彼女優秀なのよ?魔法にしたって……」
「そうかしらね。ともかく頼んだわよモンモランシー。さーて、彼の様子でも見てから帰りましょうか」
「…私は帰る」
「ちょっと、タバサってば付き合ってくれたっていいじゃない…あ、それじゃよろしくねー」
「置いてきぼりとは…ハァ…。仕方無い。ルイズ、起きてるんでしょう返事しなさい。オールド・オスマンからの伝言よ」
たんたんっ…
「起きなさいって。学院長直々の言いつけなんだから起きなさい!!…ルイズ…?」
だんだんっ!!
「何時まで不貞腐れてるのよ。起きなさいルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!!」
かちゃっ。
間抜け。そんな言葉がぴったりな今の自分を自覚して全身の力が抜けていくのを感じて立ってられない。
いないなんて反則だと思う…ちょっとこれは幾ら何でも恥ずかし過ぎる。あれだけ騒いでおいて結局一人芝居だったなんて。
「何やってるのよ私の部屋の前で」
「………オールド・オスマンが呼んでるわよ。さっさと行って来たら?」
流石にここで責める気にはなれない。隠してるつもりの涙の跡と赤くなった目を見て責められる程の冷血じゃないつもり。
ほとぼりが冷めてからでも十分だろうと思う。同じ女として、これくらいの余裕はないとやってられない気分だったから。
「私のほうが、バカよね」
冷たい廊下よ、どうか私の呟きを忘れていて。…どうか彼女の悲しみを飲み込んで。
この夜が、どうか全てをとは言わなくてもせめて幾許か彼女を慰めてくれるように、私は祈った。
神なんか信じてない。ブリミルなんていたかどうか分からない人物も信じていないけれど。
無様なり
支援
154 :
虚無の鍛聖:2008/02/03(日) 13:59:25 ID:oUSjhZfv
以上ですー。クリア後の設定なんて捏造じゃんと言う無かれ
クリア後の設定じゃないと色々とヤバイのですよ
ガンダールブが誰なのかは後のお楽しみという事で
ルイズがちょっと可哀想な気もしましたが、普通はこうなるよね?
というかそこまでおたま好きかーーー!!俺も大好きだチクショーーーー!!!!
おたまの穴あきバージョンをじゃくしという。
乙
原作知らんが乙
なんか色々と違うストーリーになりそうか
クラフトソードメインだとケイナさんとかカザミネさんとか出ないんだっけ……
原作は知らんけんど乙
挫折から立ち上がるのを見てみたいな
乙
先読みはあれだが、
ひょっとして おたま にガンダールブ印が?
GJ!
おたま?
普通のおたまでイベントボス殴り殺したりするくらいには大好きです。
GJ〜
ぜひギーシュ戦ではハンマー(鍛冶師の信念)一本で戦う姿を!
163 :
虚無の鍛聖:2008/02/03(日) 14:08:44 ID:oUSjhZfv
>>136 今気付いた
…何やってるんだ俺。だから深夜作業はあれほど危険だと(ry
>>160 ムチャな……デュープリの「おたま」を先に考えたよ
>>161 おたまの鍛聖 の称号を貴方に送ります
乙でした。
ルイズになんかムカってきたわw
あえて言おう。逐一レスは要らぬと
>>165みてふと葉隠覚悟が召喚されたらと思った。
小ネタにあるようなテファによる召喚ならともかく、ルイズに召喚されたら「クロスキャラによる説教ウゼー」にしかならないか。
>>164 そういう劣等感のカタマリを、びっちの鋳型にはめ込んで、錬成したような
そんな少女の心を、どうやって解きほぐすか。
まあ、そこいら辺が、SS職人の腕の見せ所ですな。
ルイズがビッチっていうのは全然違うと思うんだけど。
あえて説教が仕事の人を召喚してみたり。
鬼弾幕な閻魔様とか。
あと説教はシリアスじゃなくてギャグにすれば面白いかもしれん。
思想だの何だのについて、延々と作者の考えをキャラに代弁させたりするから気持ち悪く見えるわけで。
あくまで説教するのは怒られて当然のバカをやった時だけなら鼻につかない。かも。
原作のギーシュ達みたいな。
まあ原作キャラを説教しようなんて考えそのものがキモいんだけどなorz
召喚直後のルイズは思い通りのものが召喚できずに落ち込むのがデフォルトになってますね……そこからどう挽回するかが作者さんの手腕でもありますが。
さて、手ひどく拒絶されたルイズにクリュウとシュガレットがどう対処するかで、大人達のスタンスもある程度絞れるかな?
サイトは強化外骨格を着られるんだろうか
>>171 あれ色々とシグルってて大義の為に自分を捨てられるドMじゃないと使えないからな
ビッチはアン様の専売特許ですぜ?
大十字九郎ちゃんなら着れますね
>>172 MGSはMGSでもMADGEARから召喚……
そういやホモキャラって召喚されたっけ。
昔、ルイズがバンコラン菌(の培養液が入ったフラスコ)を召喚してハルケギニアがゲイ天国化、結果人類滅亡なんてSSを考えていたけど。
>>167って「左手」の作者の人か
せっかく面白いと思ってたのにルイズをそういう風に評価されちまうとな
職人として自信を持ってるのはかまわんが、びっち呼ばわりはないんじゃないか?
>>179 評価するのはいいんじゃないの?
人それぞれ感じ方は違うさ
ただこういう事言う奴にここに投下して欲しくはないけどね
出て行って欲しいな、切実に
自分の居場所作ってやる分にはビッチ呼ばわりしようが屑呼ばわりしようが自由だから
あーあ
>>176 ロリコンは英霊にNG出されるんじゃないか?
>>178 ソドムか?ロレントか?それともエルガド(ナイフ雑魚)か?
まあ、お茶でも飲んで落ち着け。
∧_∧
( ´・ω・) みなさん、お茶が入りましたよ・・・・。
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
そうだぜよ。お茶でも飲んで落ち着けェ。
やりたいネタは沢山あっても、書けるSSは限られているのがなんとも
>>178 ギーシュに眼力が付いたらおもしろいかも
ルイズは無能な働き者ではあっても、倫理観はまともそうですしねぇ。
>>187 コンプレックスさえ解消されれば結構まともな働き者になるんじゃないか?
原作ルイズにコンプレックスが無かったら、
なんの面白味も無いストーリーになっちゃうんだよな。
何故原作者がルイズにコンプレックスを持たせたか、
そしてそれをどう解消するかとか、
ゼロ魔に限らずよくある話の作り方だし。
まあ巻を追ってくごとにルイズ可愛いと思ってくるんだが、一巻の冒頭を読むだけじゃあぶん殴ってやりたくなるようなキャラだからな………
キャラを貶めるのもいいけど持ち上げることもせにゃあなあ。
>リィンバウムの主人公クラスは、どこの行っても適応できるヤツらばっかりだ
考えてみた、教師にして士官学校主席の3の抜剣者。宿屋経営者にして料理人の4の響界種。
そしてクラフトソードは言わずもがな一流の鍛冶師。
1の誓約者と2の超律者、エクステーゼ主人公が生活スキル怪しいな。
誓約者は何してるんだっけ?石工か何かで孤児院の食費でも稼いでるのか?
その気になれば国でも興せるだろうに。
>>190 言いたいことがチトチガウ
誓約者→あっさり異世界にとけこみおった
超律者→放り出されてもまぁいいか
抜剣者→変な島でもなるようになるさ
越響者→生活力がまずおかしいレベル
>>186ギーシュとサイトがアッー!
しかし原作サイトはルイズにまして可愛く描かれてると思うのは俺だけ?
>>183 一つ貰うよ
つ旦
「左手」の人は、自分がルイズをどう考えているか宣言したわけだよな
ルイズをどう評価して書くかは作者の自由だけどな
見方が薄っぺらい上に、その見方を押しつけてる感じがいかんね
>>190 誓約者はチーム『フラット』の所属するチーマー、スラムのチーマー達から自宅を守る
文字どうりの自宅警備員
超律者は蒼の派閥の所属員、あの世界で言うなら公務員。
結構違うもんだと思われる。
コマンドーから筋肉モリモリマッチョマンの変態、メイトリクス大佐を召喚
別に良いんじゃないの?
アンアンをビッチって呼んだりキュルケを失敗キャラとか言っていいけどルイズをビッチと呼んじゃいけないって理由が分からないんだぜ。
ぶっちゃけそんな大差なくルイズも性格悪い、と俺は思う。解釈の違いだけどな。
そして性格悪い=駄目なキャラって訳じゃないぞ。
俺はどっちでもいいけど。
>>196 どっちでも良いと思うならそもそも書き込むべきでない
つうかお前が挙げた例二つも十二分にNG発言だっつーの
普通に読んでくと性格悪いとまでは行かないと思うけど、まぁこれは個人の解釈か。
ただ、性格が悪いことをビッチとは言わないし、書き手が特定のキャラを貶めるようなことを言うべきではない。
>>196 その二つの例だけでも、俺を不機嫌にするには十分すぎなんだぜ?
>>188 絶望的に応用力に欠ける印象があるからなぁ。
そのくせ、変な責任感とおせっかいな部分があるから、余計な事をしてすべてをダメにしてしまいそう。
虚無が使えようと、魔法に優れていようと、無能な働き者以上にはなれない気がする。
とりあえず、絶望のどん底までたたき落して、
あらゆる意味で人の限界、自分の限界を思い知らせれば変わるだろうけど、
そこまでやると別のお話になっちゃうしねぇ。
>>196 考えが浅くて惚れやすいからってアンアンをビッチと呼んでいい理由もわからんがね
作者が公言しなけりゃかまわんさ、勝手に考えてりゃいい
しかしファンはむかつくだろ?
ついでに言うと売女呼ばわりは下品だぜ?
まあつまり好き嫌いとはもちろん個人の自由だけど
貶されたキャラが好きな人もいるから心のそこで叫んでなさいって事
>>200 どう見ても原作初期の段階で絶望のどん底に突き落とされてますが
>>203 初期型ルイズの場合、「魔法が使えない」が無能の原因だと思ってる節があるからなー
虚無が使えるようになったら元の木阿弥かと
どっちかと言うと性格の問題
しょうがねえだろ! 散々イジメられてきたんだから性格がねじまがっても!!
>>203 自分の限界を思い知らないうちはどん底とはいえないよ。
いずれにせよ、家庭に入るとか、ルーチンワークなしごとをするのならともかく、
それ以外の方向に進むつもりなら、
無能な怠け者か有能な働き者にランクアップさせないと。
個人的には、虚無使いという特性上、無能な怠け者の方が使いやすいと思う。
本来ルイズがどうであれ
SS書きとして言っちゃダメなこと言っちゃったんだからなぁ…
そうなの?
スレの流れがアンアンをビッチ呼ばわりする感じの時でも、
誰も全くそういうこと言わないからそうは思えなかったんだけど、
そういうことならやっぱここでビッチ呼ばわりはいかんと思うよ。
>>197 相変わらずカブトボーグの知名度の低さに涙
フラック有りとは言え、侵略軍を一人で壊滅させた魔法使いを無能呼ばわりってどんだけー。
駄作続きの中でやっと心の底から楽しめる作品が出たと思ったらこんな下らん事で終わっちまうのかよorz
はいはいおみゃーらお茶飲んでオチつけィ。
>>209 無能じゃなくて、能力あるけど思いっきり空回りしてるキャラだな
敢えて言うなら『有能だけど余計な事をする働き者』だな
>>200 手前の高校時代を考えれば、自分も回りもそんなもんだったけどな。
逆にそのぐらいの歳で達観した考え方、行動とれるほうがおかしいわw
だからこそ、作品内で成長させるエピソードが生きてくる訳で。
まぁビッチは言いすぎだわ、
尻軽女のヤ○マンとか売女って意味だぜ?
個人HPなら同じような嗜好の連中が集まりやすいから、あまり問題になりにくいかもしれないが、
ココでそれはなぁ…
錯乱坊を呼びたい
>>209 無能だ、とは言っていない。
「無能」で「働き者」なのではなく、「無能な働き者」だと言っている。
要するに、自分を客観視できず、余計なことに首を突っ込んで、
結果的にダメにしてしまう人種のことだ。
自分がどのくらいの力を持っているのか、
自分の足りないものは何なのか、
この仕事は、自分一人でできるか、
そのあたりを理解できないのに、それに手を出すのだから、
無能な働き者意外に表現できんよ。
>>206 お前さんはきっと軽い絶望さえ一度たりとて感じた事なんか無いんだな
そうじゃなきゃ間違ってもそんな事は言えない
荒れてる時にネタ振り。
いままで映画(邦画洋画問わず実写で)のキャラってベイダー卿とT-800ならびにT-1000、それとプレデター以外に召喚されたのいる?
トランスフォーマーとか?
初心者だが、タルブの戦いは殺傷OK設定なのか非殺傷せっていなのか、SSによって
まちまちなのが結構気になる。
殺傷OKだと、なんかルイズが一方的大虐殺の共犯者に見えてしまって・・・やっぱ
少し引いてしまうかも。
>>212 「無能な働き者」でひとつの単語だからね?
「有能な怠け者」、「有能な働き者」、「無能な怠け者」、「無能な働き者」、
この四つのうちの出れ科に分類するとしたら、
「無能な働き者」以外に入れるしかないと思うわけで。
>>216 努力すれば何とかなる、と思えるうちは本当の絶望とは言えんね。
何をどうしようと、自分が自分である限りは絶対に乗り越えられない壁に突き当たって、
それが自分にはどうしようもないと認めざるを得ない状況に追い込まれたら、ちょっと考えが変わるよ。
ああそうだった! ブラックアウトのひと復活しないかなー
ディセプティコン諜報員・オデレータの活躍待ってます。
>>217 ギャオスにゴジラがでかいところで
あとはマスクとか
ミナミの帝王はVシネだからまた別か?w
>>220 ロンメルは偉大だが、
それの威を借りてこんなとこで演説ぶち上げてもねぇ…
わざわざ反感買うような書き込みを続けるのは大人げねえぞ。
>>217 ギャオスも召喚されてるね。
>>217 ギャオスとかガイガンみたいな特撮は実写に入らないんだかね?
小ネタでエイリアンも呼ばれてたよ
オチはお約束というかまあ奴らが呼ばれたらそうなるわなって感じだったけど
マスクの人もう続き書かないんかな…
>>224 映画と特撮作品を分けて考えていた。スンマセンOTZ
マスクだのエイリアンだの結構呼ばれてるなあ。
>>219 作者次第じゃね?死ぬか死なないかは。
けどふつー戦争なら大なり小なり人が死ぬもんだ。
そして死んだとしてもその責を負うのは国だ。兵士じゃない。
アンアンを売女と呼ぶのもギーシュを決闘イベント用の噛ませと呼ぶのも
マチ姉を年増と呼ぶのもアニメ2期を黒歴史と呼ぶのも
全部ナシってことでおk?
>>219 戦争だから殺傷が無いのは不自然だけどな
原作だって地上でアンアン率いるトリステイン軍が圧勝してるから結構死人が出てる
空ではサイトが竜騎兵を何人も殺してる
ぶっちゃけ竜騎兵と地上軍を蹂躙して死者ゼロにしたのってリンディさんぐらいじゃないか?
70 :名無しさん:2008/02/03(日) 14:58:41 ID:24gzxEIk
17 :もう一人の『左手』(その11):2008/02/03(日) 12:53:23 ID:1bvgvigj
167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 14:29:31 ID:1bvgvigj
>>164 そういう劣等感のカタマリを、びっちの鋳型にはめ込んで、錬成したような
そんな少女の心を、どうやって解きほぐすか。
まあ、そこいら辺が、SS職人の腕の見せ所ですな。
左手の作者、ルイズに偏見持ってるみたいだな。
初期の性格がアレなのは承知だが、わかったように勝手に解釈してSS書くんじゃねーよって感じだ。
71 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:07:55 ID:VO2ML7bI
良くいえば独自解釈
悪く言えば差別偏見
いずれも邪魔な固定観念であることは間違いない
72 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:12:50 ID:MXmN5HFA
ぶっちゃけヘイト
73 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:13:44 ID:owZ31b.2
てか、それ以前に風見のキャラに違和感感じまくりなのは俺だけ?
74 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:18:28 ID:wymfsdBs
あれNGにしたからよくわからんが
>>70の
文章だけ見る限りだとヘイター臭いな。
76 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:21:49 ID:YFQKcXtg
ヘイター臭いというかヘイターだろ。
例え嫌いなだったとしてもルイズが好きでスレ見てる人間も当然いるんだし、
普通なら
>>70みたいな偏見に満ちた書き方はしない。
>>229 なんで誤読するかな。
少なくとも書き手なら原作に敬意を払え。
まぁ普通の書き手なら注意するまでもなくそんなこと言わないか。
読み手が一方的にそれを言うのは、まぁ止められんだろ?
85 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:52:29 ID:owZ31b.2
ルイズは精神的に未熟であっても尻軽ではないような。
偽善とかと同じで、単なる罵倒する言葉として使われてるんだろうけど。
89 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:59:13 ID:24gzxEIk
>>83 ルイズが嫌いな奴ってヘイターくらいしかいないだろ。
そういうカスは来なくていいよ。
90 :名無しさん:2008/02/03(日) 15:59:28 ID:wymfsdBs
本人かそれとも同類なのか。どっちでもいいけど乙
好みなんざ自由だろうけど書き手がルイズ嫌いです><なんて書いてるんだから
そりゃ叩かれるわな。
93 :名無しさん:2008/02/03(日) 16:01:17 ID:24gzxEIk
このまま左手は消えてくれることを願う。特撮オタうざかったし
107 :名無しさん:2008/02/03(日) 16:29:02 ID:OD16Loes
>>105 まぁ、読み手がキミの言うその「批判」とやらをした場合は別にスルーするまでなんだけどね。
今回はそれをしたのが書き手だから批難浴びてるわけで。
とりあえずキミが作者じゃないなら擁護はやめた方がいいよ。
108 :名無しさん:2008/02/03(日) 16:31:10 ID:agR92/hE
ていうかあんなのどうでもいいよ
モンモンとギーシュの初登場見てたらアレな人だなってわかるじゃん
111 :名無しさん:2008/02/03(日) 16:34:30 ID:.efcsLMw
閑人Aとか名乗ってたりレス返ししてる時点でアレだってのは解かってたよ。
だから今回の件はついにやっちまったかーって感じがした。
----------------------------------------------------------
そう言うわけなので左手は消えて下さい。
それがスレ住人の総意です。
また荒れてるな
とりあえずいつもの荒らしの人乙。
>>229 アンアン売女呼ばわりはともかく、ギーシュは原作でもカマセだからしかたない。
カマセだってまだイイ方じゃねえか! 世の中にはカマセを通りこしてヘタレキャラや背景軍団の一員になっちまったヤツもいるんだぞ!!
ヤムチャとかヤムチャとかヤムチャとか!!
その点ギーシュはカマセ役以後も重要な役割をこなす脇役キャラとしての地位を得たんだからな、幸せってもんよね。
それはそうと、殺伐としているなか空気読まなくて申し訳ないんだけれど、SSを投下していいかな。
なんという猛者だ。俄然支援しよう。
>>229 原作者がそう書いているなら別に書いても問題無い
読み手がそう書くのも、個人的には気に食わないが止められる物ではないとは思う
しかし、二次創作以降の書き手がそういう事を素で書くのはどう考えてもナシ
原作に対する最低限の敬意と礼節って物を持てよjkって話
>>235 私はスレ住人の意見を代弁してるだけですが。
毒吐きスレでこれだけ沢山の批判があるんだから住人の大部分がそう思ってるのは明らかです。
皆さんはスレを荒らしたくないから毒吐きスレに書き込んでる様ですから私が代弁させて貰いました。
確かに多少スレが荒れるかもしれませんがこの癌をスレから排除する為には仕方ありません。
最後には皆が私が取った行動に感謝するでしょう。
そうだな、支援をしようか
1期:まだ普通のアニメ
2期:原作レイプ、黒歴史、監督のオナニー
3期:制作スタッフ総入れ替えしないかぎり黒歴史確定
あなたが嫌いなキャラのことを好きな人もいるから、貶すなら場所柄考えてくれ、というお話。
良い悪い以前にもの凄い場違い。
>>243 貴方がスレが荒れるのを恐れているのは理解出来ます。
ですが膿は今出し切らないと後々大変な事になります。
今ここではっきりと閑人Aにスレの総意を叩きつけ追い出さないと後でさらに酷く荒れる事になる。
支援支援〜
トリステイン魔法学院―――――ハルケギニアと呼ばれる大陸の西に座すトリステイン王国。その王都近くに存在する魔法使い達の学校。
そこでは春の行事である『召喚の儀式』が行われていた。
まだまだ未熟なメイジ(魔法を行使する人間をこの世界ではそう呼ぶ)である少年少女の生徒達が、次々と様々な『使い魔』を召喚していく。
これから自らの半身といっても過言ではない存在となる使い魔を召喚し、契約する神聖なこの儀式に失敗は決して許されない。
そして今、桃色がかったブロンドの勝気そうな少女が、召喚魔法『サモン・サーヴァント』の呪文を詠唱した。
それがこのハルケギニアに恐るべき“侵略者”を呼び寄せ、また自らが住む世界の終りを告げる鐘の音であるとも知らず。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ……我が導きに答えなさいッ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
真!! ゼロの侵略者 〜ハルケギニア最後の日〜
第1話「恐怖!! 復活のインベーダー!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
………………その呪文の通り、“それ”は宇宙の果てから召喚された。
暗い闇の宇宙からせまり来る恐怖の声をあげて、召喚者の世界にやって来たのである。
“それ”は決して神聖で美しくはなかったが、狂暴にして凶悪といっていいほど力強く、そして『生』に対して異常なまでに貪欲な存在でもあった。
だが……召喚されるその直前、“それ”は憤怒の叫びと断末魔の悲鳴をあげていた。
不倶戴天の敵によって星ごと一刀両断に斬り裂かれ、細胞の一片まで残すことなくその身を焼きつくされる“それ”。
叫び、吼え、呪い、のたうちながら消滅していく“それ”の思いは最期まで同じだった。
『まだ生きたい、死にたくない』
しかしその願いは叶えられず“それ”はこの宇宙から死に絶え、すべての生命の根源たる『 』へと還っていくはずだった。が―――――
緑の光に飲み込まれていく“それ”の最後の欠片、その前に突如として銀色に光る『鏡のようなもの』が現れる。
その物体、いや現象はこの宇宙でつい先ほど起こったワームホールと呼ばれるものと同種の効果を持っていた。
尚も崩壊していく“それ”の欠片を『鏡のようなもの』が飲みこむと、“それ”はその世界から完全に消え去った。
毒吐き特有の頭の悪さが滲み出たレス群だな
表現・言い回しの是非はともかく
「相当ややこしい方向性で凝り固まってて良い方への誘導に苦心しそう」だと言うだけの話だろ
それが学習・理解を経てどこまで高まるのかを描写できるかと言う事が書き手の腕の見せ所だと言う話じゃないか
まさに差別利権に群がる「自称被差別者」の論法と同じだな
ハルケギニア終了のお知らせ
支援
自分の作品を書きつつ支援
インベーダーかよw
支援
はじめてのしえん
256 :
ゼロの侵略者:2008/02/03(日) 17:02:02 ID:pJk6vcTQ
「こ、これが私の使い魔?」
ルイズは自分が召喚したものを見て困惑した。
彼女だけではなく、周りの同級生や教師のコルベールも不思議そうな表情をしている―――――なんだアレは?
目の前のそれは黒いヘドロのようなもので、絶えず蠢き蠕動し、表面には無数の黄色い目玉が生えている。はっきり言ってかなり不気味で醜怪だ。
とても美しいとは思えないし、お世辞にも力強いようには見えない。「神聖で美しい、強力な使い魔」とはかけ離れた存在である。
ルイズは己の期待とまったく違うものを召喚してしまったことに少なからず落胆したが、同時に生涯初めての魔法の成功に対する喜びと、困惑があった。
説明するまでもないが、彼女は『ゼロ』という不名誉なアダ名をつけられ嘲られているように、幼い頃から魔法の才能が無いと「思われて」きた。
貴族に生まれておきながら、ことトリステインという国家において貴族という特権階級を支え、かつ司るファクターの第一である魔法が使えないのだ。
まして彼女は王家の血筋に近い公爵家の令嬢で、貴族としての位が高ければ高いほど必ず魔法の才能に秀でてなければならないのがこの国の常識である。
それ故どんな初歩的な魔法の呪文を唱えても、何故か必ず爆発を起こして失敗してしまうルイズが他の貴族から低く見られるのはしかたがないことかもしれない。
だが、それでも彼女は気貴くあろうとした。決して卑屈にならず、前を見て歩こうとした。それが他の生徒の敵愾心をあおり、己への侮蔑が増す原因になろうとも。
このようにルイズは実技において同級生たちに劣るが、代わりに座学では他より優れていようとした。誇りを保つため、魔法の知識だけでも一番であろうしたのだ。
彼女は決して愚鈍ではなかった。その頭脳は記憶に関して優秀であり、また弛まぬ努力もあって彼女の知識はクラスメートよりはるかに富んだものとなった。
覚えた呪文(ルーン)は数知れず、『コモン・マジック』は勿論のこと四系統の大抵の呪文は空で唱えられるし、同世代のメイジが知らない魔法も知り、その呪文を覚えた。
魔法の呪文だけではない、秘薬や幻獣、精霊の知識においても上級生たちに引けは取らないほどだった。
前スレ1000の宣言通りかw支援
258 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 17:02:48 ID:BxdFHW8F
なんつーか、
軍 板 帰 れ
もう解ってんだよ、お前だろ。どこでも同じ事しかしない阿呆は病院逝け。
タイトル周りで空白多すぎ
支援
260 :
ゼロの侵略者:2008/02/03(日) 17:04:23 ID:pJk6vcTQ
話が反れたが、ドラゴンとまではいかなくても、グリフォンやユニコーンなどの強力で美しい幻獣、でなければ有名ではないが学識あるものならその価値が分かる
希少な存在を召喚して同級生たちを見返してやろうと思い、万が一に自分が知らない種類の幻獣を召喚した場合へそなえて、それに関する情報を改めて得ようと
再び書物をひも解くまでしたルイズの膨大な幻獣の知識に、“こんなもの”は無かった――――というのが彼女の困惑の理由なのである。
ルイズは幻獣に関する書物のみでなく、過去の召喚の記録も読んだ。『稀有な召喚』というタイトルの書籍には珍しい動植物や幻獣の他に、他人が造り出した
ゴーレムやガーゴイル(西洋の鬼瓦的な存在の、翼が生えた醜悪な怪物を模した石像ではなく、ハルケギニアでは意志を持つゴーレムを指す)を召喚した者、
中には単なるマジックアイテムを召喚した者や、さらに精霊を召喚した高名なメイジなどが記されていたが、やはり“こんなもの”を召喚したという記録はなかった。
(コレみたいなのに関する記録はどこにも無かったわ…………ひょっとして私、凄く珍しい幻獣を召喚したのかも! ああっ、でも実際役に立つかどうかは………)
無論のことルイズも全知ではない。彼女の知らない存在も多々あるだろう。故にその思考はネガとポジ両方に向いていた。
「………ミス・ヴァリエール、『コントラクト・サーヴァント』を。使い魔を召喚したのならばそれと契約しなければ」
思索の沼に沈みつつあったルイズを現実世界に引き戻すべく声をかけたのは、同じく思索の沼に溺れかけたものの自力で這い上がった教師のコルベールである。
若くして頭髪の後退が激しくなった男性であるが教育者としては優秀で、奇妙な実験に没頭しているということを除けば生徒の面倒見も良い名教師だ。
彼もまた自身の知識と経験にはない召喚物に困惑していたが、教師連のなかで博識とはいえど自分は幻獣の専門家ではない、ということで己を納得させた。
―――――――アレが何なのかであるかは後回しだ。それよりこの神聖な儀式を遂行せねばならない。
召喚から契約まではスムーズに行われなければならないものだ。
生徒の手に負えないものが召喚された場合の対処も自分は任されているが、
正体不明の不気味な存在であるものの、アレは極端に弱っているようだ。危険はあるまい―――――――
コルベールはそう思った…………すぐに後悔するとも知らず。
>>232 人のふり見て我がふり直すべきじゃないかって言ってるんだよ。
少なくとも本当にそういうマナーを皆で遵守しようって気があるなら、
例え読者であろうとそういう事を言うやつに対して、そういう発言は止めとけって促すぐらいはするべきじゃないの?
そういう事せずに特定のキャラ、今ならルイズを悪く言う時だけ、相手の気持ちを考えろとかマナーを守れとか言うのはおかしいよ。
それじゃマナーを口実にして、自分の好きなキャラを庇ってるだけにしか見えない。
実際、他の作者が姫さまビッチ呼ばわりしてても非難を受けてるのは全然見ないし。
そういうダブルスタンダードは良くない、と言ってるつもりだよ。
ああ悪い更新してなかった
支援
263 :
ゼロの侵略者:2008/02/03(日) 17:07:23 ID:pJk6vcTQ
「はい……わかりました、ミスタ・コルベール」
ルイズは承諾した。
すでに何十回という失敗を繰り返し、もはや次の授業に差障りがでると言うコルベールに必死に頼み込んでの召喚。
本来の『サモン・サーヴァント』の呪文とは異なる、自分のありったけの思いを込めた祈りのごとき詠唱。
コレはそうしてやっと自分の目の前に現れたものだ、何の不満があるのだろう。
こうなってはこの正体不明の生き物(なのか?)を己の使い魔として受け入れ、共に歩んでいくしかあるまい。
そのように決心したルイズを遠巻きにだが、真摯に見つめる生徒がいた。
蠱惑的ボディーラインを誇る褐色肌の美少女で、名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
隣国・帝政ゲルマニアよりの留学生であり、優れた「火」のメイジだ。先ほどその実力に見合った、虎のように巨大なサラマンダーを召喚している。
彼女は自慢の赤毛と豊満な胸を揺らしながら、自分と対照的な体型の眼鏡をかけた青髪の少女に話しかけた。
「ルイズったら変な使い魔を召喚したわねえ………アレが何なのか分かる、タバサ?」
「解らない…………でも、何か“よくないもの”だと思う」
タバサと呼ばれた少女はその身の丈を越すほどの杖を強く握りしめ、身体に薄っすらと汗を滲ませている。
彼女はとある理由から命を危険にさらす仕事を何度もやり遂げており、その外見からは想像できない百戦錬磨の戦士だった。
その戦士としての勘が、彼女にあの存在が不穏なものであると知らせている。
何かは分らないが、禍々しくおぞましいもの。ヒトを蛙とするなら蛇に喩えられるような………
自身の勘だけではない、彼女が召喚した風韻竜の幼生もまた主の心に警告を発していた。アレは恐ろしい悪意に満ちた存在であると。
他の使い魔もその危険性に気付いているようだ。あるものは怯えて縮こまり、あるものは毛や鱗を逆立たせながらアレに向かって低い唸り声を上げ威嚇している。
同級生たちは自分の使い魔をなだめるのに必死だった。
タバサの返答にキュルケはルイズのことが心配になったが、すでに彼女は『コントラクト・サーヴァント』を行おうとしていた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そう唱えて使い魔に、いやこれから使い魔となるものに優しく口づけたその瞬間――――――ルイズは弾かれるようにして倒れこんだ。
地面に投げ出された彼女の身体は小刻みに痙攣し、口からは血泡を吹いて眼はあらぬ方向を向いている。
キュルケがルイズの名を叫びながら駆け寄ろうとするが、タバサに押し止められた。
その理由はすぐに分かった。
タバサも、コルベールも、周りの生徒達も、その場にいた全員が“それ”を凝視している。
精々数十サント程度でしかなかったそれは、今や2メイルもの大きさになっていた。
沸き立つ湯のようにボコボコと音をたて、大小の目玉が浮かんでは消えていく。
そしてさらに膨れあがったそれは、ついに形を成した。
『『 ぶ は ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ あ !! 』』
それは産声だった。
それは復活に歓喜する生命の叫びであり、同時に破滅の産声だった。
黒い繭を突き破るか、あるいは古い殻を脱ぎさるようにして現れた“もの”。
そいつらは天を見上げて、ささやくように呟く。
とりあえずてめーら全員表出ろ。
せめて投下中くらい静かにしてろ。
インベーダー支援。
しぇん
何故感想を書いただけでここまで殺伐となるかね・・・ 誰がなんとルイズを思おうがその人の勝手 この話終了で投下支援
支援
何という厄介な奴の復活だ
支援
やばそうな予感がする支援
270 :
ゼロの侵略者:2008/02/03(日) 17:11:01 ID:pJk6vcTQ
「………僕の推測が正しければここは地球じゃないね、スティンガー君」
雲を突くような凄まじい巨躯の大男が言う。真黒い肌にその人種にしては珍しい金髪で、頬から顎にかけて覆う髭が人外の獣の雰囲気をかもしていた。
「う、うん、そうだね。ここは地球じゃないよね、コーウェン君」
応えた男は大男に輪をかけて異様な面相だった。辛うじて人類の範疇に含まれているが……妙に引きつり青ざめた、非人間的印象を与える顔だった。
「大気と土中に含まれる成分」
「僅かな重力の差、自転速度までもが違う」
「それに見たまえスティンガー君、衛星が二つもある」
「うん、そうだね。それに何よりも」
「ああ、何よりも」
二人は次の言葉を実に……実に感慨深く、様々な感情を込めて言った。
「「 ゲ ッ タ ー 線 の 照 射 量 が 違 う 」」
二人はそこで初めて周りの存在に気づいたかのように顔を下げて辺りを見回し、
そして幼子が見たら引きつけを起こしそうな笑みを生徒達に向けて、「挨拶」した。
「やあ、はじめまして!」
にこやかに、しかし邪悪極まりなく微笑む二人。その胸には見たこともないルーンが服の上からでもわかるほど光り輝いていた。
この日この時この場所こそ。
人類とは決して相容れない、この世界に存在してはならぬ『侵略者』が伝説の『虚無』によってハルケギニアに降臨し、
また、この星に滅びをもたらす『世界最後の日』の始まりであるとは、まだ誰も気づかなかったのである。
素数を数えながら支援
1,4,6,8,9,10,12,14,15,16,18,20,21,22,24,25,26,27,28,30,32,34,35,36,38,39,40,42,44,45,46,48,49,50,52,54,56,58,60,62,63,64,65,68,69,70,72,74,75,76,78,80,81,82,84,85,86,89,90,92,94,95,96,98,99,100
272 :
ゼロの侵略者:2008/02/03(日) 17:13:00 ID:pJk6vcTQ
異常です。はじめに名前欄にタイトルいれんの忘れた………
>>259すいません読みにくいでしょうか。
「よしタイトルつけるべ! そうすればカッコいいし!!」なんて思った俺死ねorz
ちょ、その二人かよ!
危険すぎるw
まあ何はともあれ乙。
ちょいとルイズの扱い酷いな。
支援
>>271 わざわざ素数以外を数えてるのはネタなんだよな?
>>251 閑人Aお疲れ様です。
どう言い訳しようと貴方がゼロの使い魔の主人公の1人を「ビッチ」と呼んだのは明らかです。
これが偏見じゃないなら一体なんなのか説明してごらんなさい。
>>272 いやタイトルそのものより回りの空白が
ともかくGJ!
ところでこれは小ネタなのかい?
連載を期待したいんだが
前スレ1000の人お疲れ
変な議論してる連中は無視するに限る
投下支援しよう
閑人Aのひとには、頑張ってほしいね。
少なくとも、これでスレの総意ではないことが証明されたわけだ。
ちなみに私は、前スレで『風の白猿神』のネタを最後で言い出した者だよ。
すれに『びっち』の一言に過剰反応しすぎ。
彼も思わず筆が滑ったのだろう。
この場合、親しみを込めたつもりじゃなかったんだろうか?
(だってカタカナじゃないから)
彼の本当の言いたいことは、最後の行の方だと思われる。
>>275 どう見てもネタだろう……
作者の方投下お疲れさんです
GJ!!
出だしとしてはいい感じだけど、これからどうやったら話が展開できる?
そして
>>271 素数を飛ばすのならちゃんと91も数えろ。
7×13=91だ。
インベーターといわれたから、空から降ってくるなんかをがんばって打ち落とす話だと思っちまったw
こいつらがハルケギニアにどんな影響を与えるか楽しみだぜ
>>272 異常なんかいw
いや確かにあの二人は異常だけどさw
まあ、ちょっと空白空け過ぎかなとは思った
狙いは何となく分かるけどさ
ともかく、投下乙です
投下乙ー
元ネタの方は知らないけど、ろくなことになりそうにないということだけは判った
間違いなく今まで召喚された使い魔の中で最凶ではないか
GJ!
ダイナミックスレは消失したのだろうか?
>>276 お前はIDが全然違う人間になに言ってるんだ?
あんたが閑人A氏が大嫌いだってのはよく分かったから毒吐きに戻れ
投下乙でしたー
ゲッターは2〜3頭身の修理屋さんなイメージしかありませんが
何かエラいことになりそうですね
>>276 ビッチでもロリでもペドでもホモでも
「みんな生きておるんじゃ友達なんじゃ〜!」
って金髪の裸侍が言ってた。
>インベーダー
世界オワタ…
ジョゼフの使い魔にゲッターチームを呼んで対抗するしか…
>>287 すまん、素数を数えると言って素数だけ飛ばすのはネタとして理解できる。
だが、素数ではない91を飛ばすのは、どういうネタになっているんだ?
>285
俺も同じ事考えた。
ルイズがナゴヤ打ちとかするんだな、って
>>291 かなり前に石川先生が戦ってる虚無の彼方へ旅立ってしまいました
>>295 どうもスミマセング
お詫びに何回か投下したまま続きを投下してないSSの続きを書くので許してください
299 :
ゼロの侵略者:2008/02/03(日) 17:22:25 ID:pJk6vcTQ
今読み返してみると空白あけすぎ、行詰めすぎ、『』や“”、三点リーダ使いすぎなSSだなこりゃ
ちなみにゲッターロボには早々とは出てきてもらわないつもりです。
巨大ロボットとゼロ魔は水と油だよママン…
オレtueeeeeeせんよう二人にはいろいろ制約をつけたいと思ってます。
なんでタバサが二人の危険性に気づいてコッパゲが気がつかなかったか、なんてのも追々。
あと……一応連載のつもりですが、一か月に一度投下できればまだ良い方なペースになるとおもいますOTZ
ふと思ったんだが最初の契約で、早乙女博士みたくルイズがインベーダーに寄生されてるんじゃね?
302 :
ゼロの侵略者:2008/02/03(日) 17:24:10 ID:pJk6vcTQ
>>301ネタバレらめえええええええ!!
いやバレバレだけど
ハルゲニア終了のお報せ
インベーダーの人投下乙
>>223 志村!ゼークト!ゼークト!
>>300 貼ってから言ってんじゃねえw
すごいいい感じの絵だがサイトは黒い方がいいなあ、とわがまま言ってみる
ゲッターサイトか
>>281 ID変えたならもう既に不可能だろうけど、そうじゃないなら
「そう言った意味で書いた訳じゃない」って本人が書けばそれで済んだ話なんだぜ?
>>306 お脳が小学生未満の集まりであるこんな掃きだめで言うだけ無駄。
全てのSS作者が一斉に2ch引き上げたら蒼海だろうなぁ。
絶望のどん底って言ったら自殺未遂の所くらいだろ
>閑人Aお疲れ様です。
証明の手立ては無いが一応主張だけはしておこう
別人じゃヴォケ
>どう言い訳しようと貴方がゼロの使い魔の主人公の1人を「ビッチ」と呼んだのは明らかです。
お前がセンテンスが長くなって理解超えたら単語に区切って切捨ててから
意味捏造するタイプの良くある低脳だって事は良く解った
「過去の精神的外圧で培った(=歪められた)明らかに方向性を間違えた頑なさ」を比喩する表現でしかないだろこんなもん
じゃなきゃ語尾に「ような」なんて付くかよ
皆黙ってNGIDにID:sFbxpKamを入れるんだ
意見の代弁とか勝手に言った時点でコイツは自分の発現に責任を持ってない
とりあえずお前ら落ち着いて素数でも数えようぜ
まず俺からな
1
こーやって荒れるのを防ぐために毒吐きがあるんだろーに。
おまいら毒行って思う存分やれ毒行って。
それと毒吐きスレの内容持ち出した馬鹿はどう自己弁護しても馬鹿か荒らしだ。
おまえ自身が最悪の膿だから回線切って首吊って死ね。
よりによって最悪の存在を・・・・
惑星破壊レベルの攻撃ぶち込んでやっとなんとかなるかどうかな奴らだぞ
1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21…
>>310 そうそ。新シャアで相手するだけ無駄なんで河岸変えた職人がいたのを勝手に勝利宣言して
悦に入ってるだけなんだからなw
で、河岸変えた人に限ってPG組める人だったりして奴の伎倆じゃ素っ裸にされるの確実で
荒らせないからこうやって新しい獲物探してるわけだw
>>317 奇数は決して2で割れない数
二人の絆を強く結んでくれる
って誰かが言ってた
素数もいいけどおっぱいもね!
>>321 品乳主義である
同志以外はシベリアでおっぱいの形の雪球でもつくっているといい
>>322 腰から太ももにかけての尻を含むなだらかなラインこそが至高
デコがあればそれでいいのだ
ゲッターか…最近完結した某板のエヴァクロスの職人さん、書いてくれんかな。
あ、いやインベーターさんが悪い言うわけやないんで。
>V3世界の謎
あれですか、風見志郎達がいた世界では(志郎自身は見てないが)、平凡な高校生が異世界の魔法使いの少女に召喚され
戦ったりほのラブしたり大きいおっぱいもんダリする小説やアニメがひそかに好評だったり…?
乳に貴賤なんか無いってじっちゃは言ってた!
それよりキュっとくびれた腰とかすらりと伸びた脚線美とか(ry
鎖骨ってエロいと思わないか?
>>328 ごめんね、ゲッターチーム好きの方ごめんね。
巨乳も貧乳も腰尻太股のラインもデコも脚線美もいいモンだが、
俺は愛くるしくも鋭い犬歯こそが至高と感じる。
おまえらwwww
性癖発表会みたくなってるwww
すまん鎖骨もだな
巨乳も貧乳も腰尻太股のラインも脚線美犬歯もいいが
それよりもヒザの裏こそが至高なりと俺は考える。
ああ、鎖骨なら仕方ないな
それに俺としたことがまつげの撥ね方という重要なものを忘れていたようだ
ゲッター乙
巨乳も貧乳も腰尻太股のラインも脚線美犬歯も鎖骨膝裏まつげ撥ねもいいが
すらっとしたへその重要さを忘れていたのは我ながら迂闊
>>321 俺はでかければでかいほどオーケー
しかしルイズのツンデレおっぱいは別ばらにつき大好物ですがなもし
!``ヾ,lヽ/ヽ、
l`ゞ ! ゞ ヾ,'
ゞ ノl ゞ'ノ
} ,--、 ,-、__ /}
/! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´ミ r ゞ' ヾl ヾ ノ``ヽ―-、
. / l ゞ、_,, l j' _l__{ _,,/ ヽ、 ` ̄ ̄`―-、_
/ | / ( }、-、== __,--,ノr ノゞ ヽ、 / ヽ ` ̄`ヽ、
__〉 `、 / /ゞ`/、ll,ヾ `<, `´ミ ヽ、 / }
ゝ ヾ ヽ、/ / ミ l -===-'´/ ゞl ヽ/ | 「ロリと熟女、両方好きだね僕は。下は8歳から上は40まで。
/´ ヾ、、 l / !/ゞ ヾ、,、 ./ ゞ l , -‐'´ / 鎖骨も好きだけどアバラはもっと好きだよ。
/´ ヾ、 ヽl / ゞ, ~ ~ ,ヾr´. } / / / 小ぶりのスベスベな尻も好きだけど、ムチムチなヒップも良いね。
/ ヾ、l / ゞ,-ヾr―、r´ / ヾ、/ ゝ、
/,--、_,--、_ ヾ、/ヾ ヽ、l / / / /
, , ( ヾ r'ヾ l ゝ ヽ、/ / / /
l = r ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ( / / r'´
ヾ, lヾ l r――――――ヽ | ヾ r`' / /
`´ゞ-: | | | ヽ/ / |
| | | | / ノ
l ヽ/,-―-、 ノ
ヽ rゝ ヽ、 ヽ /
/l ヽlヽ ヽ、`'''‐ r-‐'''"ヽl >
ヽ、lヽ、lヽ__ヽ ヽ_,-‐''ヽ::::::::::ヽ、/
) ,-‐''ヽ_,;;;;;;;;;;;;;;ヽ/ `ヽ
| /´::::::::ヽヽ;;;;;;;;;;;;;ゝ、, |ゝ __
| r::::::::::::::::::l ヽ;;;;;;;;;;/ノ ヽ,r´ヽ、/_,-‐´lノ^l
/ ヽ:::::::::/ゞ、 lr‐´ ノ r´ l ノ
|、 r r;;)/ ヾ . |、 「何書いてるのさ、スティンガーくん……」
ヽ、 ヽ-‐''" ,、ノ´ ノヽヽ、
 ̄l / . /ヾ^⌒ヽ、
| / ノ ノ,-'"ノ ヽヽ
___ ヽ /r ,,ノ,-―''"`´,rノ´ ) }
__ ヽ ヽ__/´ l ヽ、ゝ-‐'''"" ノ .j
ヾ、 ヽ、 | `ヽ、 ,ノ´ |
`ヽ ヽ .| `"""''''''""´ ヽ、
/::L ヽ) ヽ、
ヽ、{::::::::ヾlヽ {
ヽ、 `ヾ ̄''r ヽ、
` ̄''ヽ、 ノ ヽ、 ノ
ほっそりした足の魅力に気付かないうちはまだまだだってばっちゃが言ってた
ええーい、わかっとらん奴が多すぎる。
まつ毛とか鎖骨とかそういう細かい部分を上げるのであれば、
何よりもまずは耳たぶであろう。
和風で黒髪ロングでAカップないしはBカップのセーラー服を着た
ちょっとSな女の子に跨られたいです!><
ちょっと待て
細かい所まで追求してはキリがない
ここは電車の壁にもたれかかる時のボディバランスの取り方ということで一度落ち着けるべきだ
すまない、日本人の癖に何よりもまず先に女の命たるみどりの黒髪を忘れてたぜ。
あと随分具体的だな
>>344
347 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:14:39 ID:1aZyiSvs
貧乳好きには性犯罪者の割合が高いからな。
公言するようなことじゃない。
うさ耳≧狐耳>猫耳>犬耳
ただしルイズにつけるならぬこ耳。テファにつけるなら牛耳+角
反論は受け付ける!
>>346 そんな、夢を見たんだ。
後、もう少しだったのに……!
巨乳派「ろりこん、キンモー☆」
貧乳派「マザコン乙」
>>348、究極の獣パーツは狼耳+尻尾+小振りながら尖った一対の牙だぜ。
ルイズは犬耳だろう常識的に考えて
なあ・・・・そうだろ松ッ!
>>350 でかかろうと小さかろうと、おっぱいが好きな奴に悪い奴はいねぇ!!
>>344 服装を語るのなら、セーラー服のようにだれが来てもそれなりにかわいく見える服装は論外だろ。
シックなロングスカートとか、セミフォーマルなパンツとかを可愛く着こなす女性こそ最強。
皆のもの!おっぱいと鎖骨、そして腰から尻にかけてのラインを愛でるのじゃ!
後、アレだ。Sっ気のある子に背中踏まれるとちょっと目覚めそうになるよね!
シエスタとキュルケは犬耳+尻尾だろう。
シエスタは耳がヘニャってて、キュルケのはピンと立ってるんだ。
テイルズのリオンを召喚するストーリーを投下する神はおらんか?
>>348 獣耳に強い弱いの概念はない…
ドジッ子にはドジッ子の…お姉さまにはお姉さまの…
それぞれに適した獣耳がある。
それが『萌える』ということだ…
いい事言うな
まさかエロレスで荒れた流れを変えてしまうとは
キュルケにニーソはいた脚でコキコキしてもらいたいデス。
石川キャラはオッパイついてるだけで他は男と変わらねえし………OTZ
>>351 獣パーツなら目だろう。
猫の目がもつあの引き込まれそうな雰囲気がわからんか?
胸もいいが腹のさわり心地サイコー
三段腹は世界最強のぷにぷにである
萌えアイテム談義の途中ですが投下よろしいですか?
支援!支援!
基本は各パーツとのバランスだろ
調和が大切
>>361 犬系キャラに猫目は合うまいよ、兎系や牛系に犬歯が合わん事を失念してた俺が言えた義理じゃないが
はじめました氏支援仕る。
>>363 む、なるほど、あれは確かに良いものだ。
だが、折れそうに細いウエストを抱き寄せた時のはかなさも捨てがたく―――
両立はしないところが悲しい。
ともあれ支援準備OK
支援の心は母心。創作ノートを近所で音読。
では、投下させていただきます
―伝説の使い魔はじめました 第二話―
ルイズが打ちひしがれている間に、サララは鍋に駆け寄ると
倒れていた梯子をかけ直し、鍋に手を入れる
どういう理論になっているかは分からないが、この鍋は、手を突っ込むだけで
中に入っている道具と、その数が認識できるのだ
どうやら、無くなった道具も、壊れた道具もないようで胸を撫で下ろす
大切な商売道具だし、何より先祖伝来の品である
壊れてしまった日には顔も知らない先祖たちに申し訳が立たない
「さて、ミス・ヴァリエールと、そちらのお嬢さん。あなた方も、教室へ……」
「あの……ミスタ・コルベール」
軽く痛む頭を押さえながら、ルイズは彼に話しかけた
頭を押さえた拍子に取り落とした猫が騒いでいるがとりあえずスルー
「どうしたのですか、ミス・ヴァリエール?」
「……この猫が言うには、彼女はその、魔女、つまりメイジなんだそうです」
足元のチョコを恨めしい顔でにらみつけた後、先程聞いた事実を報告する
「何と……」
予想外だったらしく、コルベールはルイズとサララの顔を交互に見やる
「失礼ですが、お嬢さんは貴族ですか?」
コルベールの問いに、サララは首を横に振る
貴族なんて呼べるのは、吸血鬼の伯爵様と王様たちしか知らないけれど、
少なくとも自分がそうでないことだけは確かである
ご投下くださいませご主人様
支援
せっかく節分だ、ラムかジャリテンでも召喚されないかな
ええい!ボクっ子はまだか!
獣耳とか半端にパーツがついてるだけのより
ちゃんともふもふした毛皮やずらりと並んだ凶悪な牙、ふりふりと揺れる尻尾というふうに獣と人間半々なタイプが好みの俺は異端?
支援
「だんじょんの町とやらで商人をやってた、ってこの猫「チョコ」……チョコが」
ちょっとうんざりしたような顔で、ルイズは名前で訂正する
「私には、何も喋っているように聞こえませんが……ああ!」
訝しげにしていたコルベールが、ひらめいたような顔をする
何となく頭の上でランプが灯ったようだ
「その猫はこちらのお嬢さんの使い魔ですよね。
おそらく、こちらのお嬢さんを経由して、精神がリンクしているんでしょう」
彼の説明にルイズは成程、と納得する
暗記するほど読み込んだ教科書の『使い魔の能力と役目』のページには、
『使い魔は主と精神をリンクし、会話することが出来る』と書かれていた
ならば、使い魔の使い魔とも、きっとリンクできるのだろう
「ふうむ……しかし、だんじょん、とは聞かぬ名の町ですな
よもや……東方の……いや、しかし……」
ぶつぶつと呟き出すコルベールを尻目に
ルイズはサララという名らしい少女に目をやる
自分が困惑しているというのに、彼女は鍋に手を突っ込んで何を
ボーっとしているのだろうか、腹立たしくなってきた
「えーっと、あんた、サララだっけ?何やってるの?」
そう聞かれてルイズの方に顔を向けるサララ
鍋の中身の確認を、と言おうとしたが答える前に勝手に話し始める
「なんで、由緒正しいヴァリエール家の三女が……。
あんたみたいな、まほ……何処のものともしれない
田舎者を召喚しなくちゃいけないのよ?」
魔法の使えないメイジ、と言おうとして思いとどまった
魔法を使えない苦しみは、自身が一番良く知っている
わざわざ、それを口に出して言うこともあるまい
支援するぜよ。
「ねえ、それよりボク疲れたんだけど」
チョコがルイズの足元で不平の声を上げた
「もう少し敬意を払いな……って、猫にそんなこと求めても仕方ないわね。
ミスタ・コルベール!」
未だに思考の海に沈んでいるらしいコルベールに呼びかける
「つまり……あ、ああ、失礼。どうしましたかな、ミス・ヴァリエール」
はっとして、ルイズの問いに反応する
「あの、私達先に部屋に戻ってもいいですか?」
サララが梯子を降りて鍋の横に立つのが見えた
「あんな大きな鍋を持って教室に行くわけにも行かないでしょう?」
平民を連れ、鍋を持って教室に入ったら、あの同級生達が
また笑い転げるに違いない それは避けたかった
「そうですね、しかし、あの鍋を運べるのですか?」
コルベールは二人を交互に見比べる
「あ……」
ルイズはしまった、というような顔をした
これが他のメイジならフライなりレビテーションであの鍋を動かせるが
か弱い女二人とついでに猫ではあんなもの運べまい
「あ、それなら大丈夫だよ。ね、サララ?」
チョコが問うのにこくりと頷くと鍋の中から篭手を取り出す
それを片腕に装着すると、ひょい、と鍋を持ち上げた
「「え?」」
ルイズとコルベールがその光景を見て困惑する
小柄な少女が自分の身長よりも大きいであろう巨大な鍋を軽く持ち上げたのだ
支援
タバサが幽霊召喚ねただとあれだな
身体が左右に分割された元男性美人美大生召喚とかしか思いつかんな
となるとギーシュは喋るジャイアントモールを使い魔に持つもぐら使いの黒髪の女性を召喚して
ハルケギニアにもぐらの為の王国を作るのに協力したり
ジョセフは念動力者、瞬間移動能力者、ライオンに変身できる亜人を召喚しハルケギアに戦乱を起こそうとしたり
ルイズは感情同調能力者夫妻を召喚か…
>>368 死ぬわww
それはともかく、伝説の剣はじめました支援
「あれ?占いカードと日記が落ちてるよ!
鍋の陰になってて分からなかったけど」
チョコ言われて、その存在に気がついたサララは
一旦鍋を下ろすと日記と占いカードを拾いパンパン、と汚れを払う
「ね、ねえ、い、今の何したの?」
「何って……知らない?怪力の篭手。力が上がるやつ」
「ししし、知らないわよ!何そのマジックアイテム!」
マジックアイテム、という言い方に首を傾げるが
まあ、魔法のかかった道具であることに違いはない
場所が違うと流れる商品も違うのだろうと、サララは一人で納得する
珍しいということは、高く売れるのか、いや、
入手が難しいから、あまり簡単に売るわけにも、と
パチパチと脳内で算盤を弾いている辺り、商人である
「……ふむ、確かに見たことのないマジックアイテムですな。
さて、私はもう教室に戻りますね。お二人と……そちらのチョコくんは、
ミス・ヴァリエールの部屋でこれからを話し合ってください」
コルベールはレビテーションを唱え、学院に向かって飛んでいった
「いいなあ、箒も無しに空が飛べてー。ね、君は飛ばないの?」
そうチョコに言われて、ルイズはギクリ、とした顔をする
「う、うるさいわね!あんたらは、歩いてくるんだから、合わせてあげてんのよ!
ほら、学院はこっちよ。とっとと来なさい!」
「あ、待ってよー!おーい!」
チョコがその後を歩くのを、サララも慌てて追おうとする
先程拾った日記と占いカードは、ワンピースのポケットにしまう
そして、ひょいと鍋を抱えるがそこでふと違和感を感じる
確かにこの篭手は、着けたものの腕っ節を強くするが
自分がこの鍋をこんなに軽く感じる程、効果があっただろうか?
少し悩むが、まあいっか、と笑顔を作りえっちらおっちらと
自分の『ご主人様』になるらしい少女の後を追いかける
「早く来なさい!もたもたすると、置いていくわよ!」
サララの額に刻まれたルーンが、ぼんやりと光を放っていたことに
気がつくものは、その場には誰も居なかった
しえんだよ〜
鍋を抱えた少女と猫を引き連れ歩きながら、ルイズは内心ドキドキしていた
「(見たこともないマジックアイテム……ひょっとしたら、
私、当たりをひいたんじゃないの?)」
商人だと言うからには、まさかアレ一つだけ、ということはあるまい
あの鍋から取り出したからには、あの鍋も何らかのマジックアイテムなのだろうか?
「(占いがどうのこうの、って言ってたからには、もしかしたら、
未来予知もできちゃったりするマジックアイテムもあるの?)」
必死に抑えているが、ついつい顔がニヤける
彼女の想像の中ではあらゆるマジックアイテムを使いこなす自身が
拍手喝采で迎えられている様子が浮かんでいる
「(それに……)」
次に浮かんできたのは、病弱な自身の姉の姿である
「(ちいねえさまを治せるマジックアイテムもあるかも……)」
相当遠くから来たらしい自身の使い魔とその使い魔を肩越しに見る
巨大な鍋がフラフラしている
頭にハテナマークを浮かべていたルイズだが、さっと青ざめる
落ち着いて考えれば分かることではないか
大体、彼女は帽子と前髪で元からそんなに視界がよさそうではないのに
自分の身長よりも大きな鍋を抱えているのだから
間違いなく彼女は
「わあああー!サララー、危ないーーー!!」
前が見えていない!!
『ガシャーン』
少し日が暮れてきた空に二人の少女と一匹の猫の悲鳴が響き渡った
支援の魂父魂。 おっぱいちっぱい大好きです。
ここは一つ支援と行こう
支援
助太刀いたす。支援だ!
やっべ、いいなこれ 支援
以上で投下完了です
大筋は決まっているけれど、細かいところが
さっぱり書けやしません
ルイズが優しいのは、魔法が使えない魔法使い、という
自分との共通点を見つけているからです
鍋の移動方法やサイズに関しては多少脚色が加えてあります
実際、どうやって運んだんだろ……荷車?
まだまだ拙い文章でもうしわけありません
支援
乙
しかし、ペースが遅いな、支援の量が足りぬのか? 支援して見せようぞ。
>>388 ぐっじょぶです!
やっぱりマジックアイテムにミョズニトニルンと言う組み合わせにはワクワクさせられるなぁ〜
乙っぱい
>>388 乙です。ささりょー絵のルイズとサララが脳内に浮かびますた。
乙なのじゃ
GJ&乙。本編ミョズさんはあんなだがミョズキャラは穏和なイメージがするのが多いんでいい。
ぐっじょぶ。
アイテム使いって基本文系っポイしね>穏和なイメージ
>>378 新井素子姫とは懐かしい。
ガンダールヴのルーン効果は左側だけに効くのか両方オケなのか、悩ましいねぇw
399 :
虚無の王:2008/02/03(日) 18:56:37 ID:xZqF1ngB
今、空いてます?
空いている様でしたら、1900時頃から投下したいと思います。
アイテム使いは非戦闘の温和系か達観した知恵者かマッドなサイエンティストってイメージで、
こいつらがガンとかヴィンになることはあっても、逆がミョズにセレクトされるってのはあんま考えにくいからね
支援
恋と虚礼とが立ち去り、ホールには明かりだけが落ちていた。
飲み止しのグラスがテーブルの縁に肩を並べ、深皿の半ばには冷め切った料理とソースとがこびり付いていた。
甘みと酸味ではち切れんばかりの果実は、盛られたそのままの姿で取り残されている。
一人の使用人が、鋏を手に悠々と現れた。
頭上で燃えるシャンデリアが床まで降ろされた。芳しい香りと暈光を放つ蜜蝋が、一本一本断ち切られて眠りに就く。
ホールの四隅で、魔法灯の頼りない光だけが揺れていた。
談笑の声はアウストリの広場へと渉っていた。
少年少女達が太陽の下、その快活さを発散して来た東向きの庭園は、半年間の思い出と、会う事の叶わない二ヶ月間を大袈裟に嘆いて見せる、新たな恋人達の秘めやかな語らいの場と化していた。
二つの月と、絢爛たる星々の投げ降ろす光は優しかった。
芝生にくつろぐ少年少女達が、時として、ブリミル教徒の堅持すべき廉正を踏み外したとしても、それを暴き立てる事はしなかった。
乾いた空気が心地よい。夏を迎え、夜もその冷淡を忘れていた。
二組のヒールが、煉瓦敷きの舗道を叩いた。
純白のパーティドレスを身に纏ったルイズ。
歩を並べるモンモランシーのドレスは水の精霊を想わせた。
「嫌になるわね。全く」
声と足音が、噴水に吸い込まれた。
ギーシュと空。二人の決闘を気に止める者は居なかった。
昼の若い退屈な時間と違い、この夜は特別だ。
誰も彼もが、恋人の瞳に世界の全てを覗こうと夢中でいる。
「なのに、あいつはこの私では無く、平民の男と向き合っているんだわ。信じられない」
ホールの窓から、鈍い光が漏れていた。
同じ様にして捨て置かれたルイズは、同じ様にして怒る気にはなれなかった。
ギーシュの姿が脳裏に浮かぶ。青ざめ、強張った顔。
壊れたアルヴィー人形だって、もう少しは暖かみの有る顔を見せるだろう。
「ルイズ。貴女、憶えている?」
こんもりとした植え込みと、薔薇のアーチとが織りなす緑の小部屋に、小さなテーブルとベンチが覗いていた。
入学直後。まだ、“ゼロ”の悪名を頂く以前だ。
知り合った女生徒同士、編み物がてらに語らった場所だった。
「恋愛には手練手管が必要だわ」
セックスアピールに乏しいモンモランシーだが、トリステイン女性の例に漏れず、極めてプライドが高い。
実経験も手伝って、紳士達が如何に不純で、移り気で、忠実な愛を捧げるに足りない存在であるかを熱弁する。
自分はそんな彼等の鼻面を引き摺り回し、とことんまで奉仕させ、振り回してやるのだ、と。
「とにかく、こちらを手に入れた、なんて殿方を思い上がらせては駄目ね。御世辞を言いたい放題に言わせておいた所に、不意打ちを食らわせて上げるの。そうすれば、こっちの物よ。
なんと言っても、私達に必要なのは口やかましくて、嫉妬深くて、そのくせ恋の勝者を気取った自惚れ屋じゃない。いつでも恐れおののき、恋いこがれている、従順な恋人なんですから」
うら若い少女達は、友人の勇ましい演説に喝采を上げる。
そこで抗弁したのが、ルイズだった。
「きっと恋と言うのは、あんた達の思惑や手管よりも、ずっとずっと強い物だわ。紳士淑女が恋に夢中になるのは、本当に愛し愛されていると感じている時だけで、それは始祖も理解して下さる事に違いないもの」
自分が恋する姿さえ想像出来ずにいた、由緒正しきヴァリエールの末っ娘は、大真面目に至誠の愛を訴えた。
前王朝時代の遺物を前に、女生徒達は揃って眼を丸くした。
「それが貴女の手管なのね!」
からかったモンモランシーも、からかわれたルイズも、はっきり憶えている。
「あの時、思ったわ。あなたとは絶対、友達になれない、て」
「私だってそうだわ」
植え込みの向こうで、影が動いた。
人目を避ける、絶好の場を見付けた先客には、周りが見えていなかった。
熱烈に愛を交歓する少年少女。恋に恋する二人の乙女は、まずは凝視し、続いて目を見合わせ、物音を立てぬ様、慎重に慎重を重ねた足取りでその場を立ち去った。
寮塔の窓にぽつぽつと灯が点った。
それは、寮監の目を盗んだ幸運な二人と、一夜の青春に諦めを抱いた不幸な一人の数に等しかった。
庭園の中央では、噴水が陽気に踊っている。
夜の闇が、火照った頬と項から熱を攫って行った。
「そう言えば……――――」
「ええ」
あの日、二人は互いそっぽを向いて茂みを出た。
噴水は恋の宮廷と化していた。
寄り集まった紳士達は、誰もが母親や後見人、僧侶には到底見せられない、自由奔放な言葉と仕草を以て、一人の女神に崇拝と信仰とを捧げていた。
縁石に座しているのは、同じ一年生だった。
情熱的な肢体に、燃える唇は、手練手管を弄する事とも、心に依り所を求める事とも無縁だった。
赤毛の少女は自然のままに、あらゆる男達を傅かせる、無繆の王権を手にしていた。
二人の姿を認めて、少女は微笑を投げ落とした。
三女のルイズはよく知っている笑みだった。初めて魔法に挑み、失敗した時、姉エレオノールが見せた笑みだ。
それ以来、キュルケ・アウグスタ・フレデリカは不倶戴天の敵となった。
最後にフォン・ツェルプストーが付こうが付くまいが関係無い。
それはモンモランシーも同様だった。
「本当。世の中、判らないわね」
「全くね。その通りだわ」
噴水には誰も居ない。
一つの夜が終わろうとしていた。
アウストリの広場は、毎日がそうであった様に、暗闇と退屈との中に沈もうとしていた。
「同病相憐れむ」
声は頭上からだった。
二つの月の間で、小さな影が一転した。
スカートを抑える仕草に、少女の慎みが見て取れた。
黒いドレスが、羽根の軽さで地に舞い降りる。
“牙の玉璽〈レガリア〉”の脆弱なサスは、何とか着地の衝撃を吸収した。
「ちょっと!……あなた、何が言いたいのよっ」
「あんたには言われたくないわよっ」
ドレス姿の可憐な少女達。
三人は、揃って発育と無縁だった。
揃って恋の夜を孤独に過ごしていた。
「わ、わたしは偶々よ!」
モンモランシーにはギーシュと言う恋人が居る。
確かに、浮気性で、目移りが酷くて、気配りが無くて、思慮にも欠ける少年だ。
それでも、彼を選んだ事に後悔はない。
ルイズは沈黙を守った。
至純の愛を理想に描いた乙女も、今では自分が思っていたよりも素直になれない性格である事を知っていた。
何より、相手を疑う事を知っていた。
真実を語れない時は、口を閉ざしておいた方がいい。
タバサもまた、何時もながらに表情を見せない。
過去、言い寄って来た上級生に教師は、揃って嫌な目をしていた。
数年後には、悪質な犯罪に及んで家門を潰すだろう。
今はそんな事よりも、言うべき事が有る。
「彼はどこ?」
「空の事?ギーシュが連れて行ったわ」
ギーシュは舞踏会の最中、ホールの真ん中で空に決闘を申し込んだ。
あの場に居たのなら、知っている筈だ。
「どこへ?」
「知らないわよ。いつもの通り、ヴェストリの広場じゃないの?」
「どうかしら?最近、あいつと学生の決闘には、学院も神経尖らせてたじゃない」
もっと別の、目立たない所かも知れない。
モンモランシーはそう主張する。
「いつもの事よ。私はもう慣れたわ。あの二人なら、心配要らないでしょう」
「今夜は心配」
「どうして?」
「様子が変」
「どう変だ、て言うの?」
「判らない。でも、嫌な予感がする」
「予感、て……!」
モンモランシーは失笑した。
某かの根拠を得ているのかと思いきや、予感と来た。
全く、いい加減な事を言い出すタバサと言い、真に受けた様子のルイズと言い、どうかしている。
「ねえ。あなた、どうしてあいつの事を、そんなに気にするの?」
「その質問には答えられない」
「何よ。人には言えない秘密でも有るの?」
「そう。秘密」
「秘密の関係、て事ね!」
恣意的な誤解に、タバサは頑なな沈黙で答えた。何時もの事だ。
ルイズの様子が何時もと違った。
短気と強情とを薄い胸一杯に溜め込んだトリステインの乙女は、この夜に限って、深読みと先走りより、不安と懸念を選んでいた。
「もう、うんざりだわ!」
モンモランシーは天を仰いだ。
「気の利かない男達の事なんて、忘れましょうよ。そうだ。私の部屋にいらっしゃい。取って置きのタルブワインがあるの。今日、この夜を私達だけで、特別な物にしましょう。なんと言っても、私達は一人なんですからね」
教区寺院での説法よりも退屈な提案だった。
女だけで飲み明かす無惨な夜は、一生に一度もあればいい。
ルイズも、タバサも、生命を司る水メイジが考えているよりは、長く生きるつもりでいる。
「あら。お集まりね」
煉瓦道に、ぱっと炎が上がった。
一人の夜と訣を分かって久しい赤毛の女は、今夜に限って、日替わりの従僕を連れていなかった。
目がチカチカした。
身を包むよりも、効果的に晒す事を狙った際どいドレスに弾ける褐色の肌。
官能的とさえ言えるその姿は、慎みと言う言葉の対極に有りながら、決して品位を失ってはいなかった。
「ねえ、貴女達。ダーリンを見なかった?」
「あんたも、あの男なの?呆れた」
「今夜の所は、諦めるつもりだったんだけどね。舞踏会では結局、踊れず終いだし。こんな夜くらいは、ルイズを安心させて上げていいでしょう」
「空に何か用なの?」
「だから別に。ただ、タバサが心配しているみたいだから、一緒に探していたのよ」
生憎、誰も空の行方は知らなかった。
「気にする事なんてないわよ。用が有るなら、明日でいいじゃない。大体、嫌な予感も何も、ギーシュがあいつに勝てる筈無いんだから」
「違う。そうじゃない」
「じゃあ、なんだって言うの?」
「まあまあ」
キュルケの声が割って入った。
確証が無いから、予感と言うのだ。
何も無ければ、それはそれで良いではないか。
「手分けして探すしか無いのかしら」
「馬鹿馬鹿しい。放っておきなさいよ」
「私も行く!」
モンモランシーの楽観論に、ルイズはどんな感銘も覚えなかった。
彼女は空と感覚を共有出来ない。
見える筈の物を見る事が出来ない人間が、どうして暢気に構えていられるだろう。
「じゃあ、私はこの辺りをもう一度、探して見るわ。ルイズは南側をお願い。タバサにはヴェストリの広場をお願い出来る?反対側だけど、貴女なら一っ跳びでしょう」
「ヴェストリの広場?止めておきなさいよ」
指名の当人よりも先に、モンモランシーが反応した。
「あそこ、昼でも真っ暗じゃない。この時間じゃ、何も見えないわ」
「……何を隠してる?」
不意に、タバサが言った。
幼い外見に似合わず、幾多の修羅場を潜って来た騎士だ。こうした人間は、自分の勘に絶対の信頼を置いている。
一度、何かを嗅ぎつければ、その正体が判らずとも躊躇はしない。
「な、何言い出すのよ!別に何も隠してなんかいないわ!言いがかりは止して!」
モンモランシーはそれと正反対の人間だった。
良識有る人々と、善意を交換しながら生きて来た令嬢には、どんな場合でも相手に善意を期待する癖がついていた。
確証を与えなければ大丈夫――――相手の行動に根拠と整合性とを求めてしまうのは、お上品な人間がしばしば陥る陥穽だ。
キュルケの目が左右した。
その情熱故に、却って退屈を持て余した女は、人をよく見ていた。
「そんな事より、今はダーリンを探しましょうよ。タバサは辺りを一走りして。ルイズはヴェストリの広場を見て来なさい」
さり気なく、役割が交換されていた。
ルイズは異を唱えなかった。
何と言っても、今、問題となっているのは、自分の使い魔だ。
「ちょっと。待ちなさいよ、ルイズ!」
ルイズの行く手に、モンモランシーの声と体が割り入った。
「ゲルマニア女に好きな様に命令されてどうするのよ!第一、危ないわ。あんな所」
返答は視線の砲列だった。
三組の異なる瞳が、同じ色に染まり、揃って同じ要求を突きつけた。
「な、何よ……」
「ねえ。貴女、ルイズとは何時頃から一緒に居たの?」
「ヴェストリの広場には人を近付けたくない。取り分け、彼女は」
「モンモランシー。どう言う事なの?」
三人の声が、鉛の重さでモンモランシーにのしかかった。
実の所、良心を自責の泥沼へ引きずり込む重石の半分は、彼女自身の罪悪感で出来ていた。
由緒正しきモンモランシ家の令嬢とは言え、未だ学生の身。嘘や隠し事を突き通すだけの胆力が備わるには、もう少し時間が必要だった。
「判ったわよ!」
モンモランシーは観念した。
始祖ブリミルの手に接吻をしつつ、もう片手でサハラの悪魔の手を取る方法を、この年頃の貴族が知っている訳が無い。
「ギーシュよ!あいつに頼まれたの!決闘の間、ルイズを近寄らせない様にして欲しい、て!」
それは言葉の吐瀉だった。口にした方は、これですっきり出来ると考えたかも知れない。
聞いた者が納得するかは、また別だ。
「あのギーシュが?」
「気が利かない。気が回らない。思慮が足りない――――全て、あなたが言っている事」
「モンモランシー!本当の事を言って!」
一つの嘘を吐けば、それを隠す為、さらなる嘘を強いられる。世の常だ。
そして、一つを明かしたその時、残りの嘘を隠し通せる人間も多くは無い。
ヴェストリの広場にルイズを近付けるな。出来れば他の者も。
そう、ギーシュの口から頼まれたのは事実だった。
「それを言わせたのは?」
その質問に、モンモランシーは抵抗しなかった。
「オールド・オスマン」
* * *
ギーシュ・ド・グラモンは分かり易い少年だ。
鍵盤を撫で回し、画板に向かい、或いはぶ厚い書物を凝視する事に日を費やす手合いなら、彼を軽蔑するのかも知れない。
公平と平等の区別も付けられない類の連中なら、旧き良き貴族の少年に憎悪を抱くのかも知れない。
そうした人々が、沈鬱と孤独の中に、有りもしない真実を探している間、この少年は冒険に挑み、乙女と語らい、酒と音楽とに浸り、人生を謳歌するのだ。
ヴェストリの広場は陰鬱な場所だ。
昼の間に積み重なった陰が自重で潰れ、夜には重たい闇へと姿を変える。
空気はタールの粘度であちらこちらにこびり付き、どこにも行けずに喘いでいる。
今夜はフリッグの舞踏会だ。特別な夜だ。
広場は陰気者なりに、幾つもの小さな灯で着飾っている。
だが、その光はいかにも弱々しく、今にも凍死してしまいそうだった。
青ざめた顔が、ぼんやりとした灯に浮かんだ。
何時でも分かり易い少年の表情は、今日、この日に限って、不可解に満ちていた。
「どこまで行く気や?」
駆動輪が泥土をかき混ぜた。自在輪には土と草とが幾重にも絡みついていた。
ここ何日もの間、雨は降っていない筈だった。
蝋人形の顔をした少年は、それでもしっかりとした足取りで、奥へ奥へと進んでいた。
見えない糸が、闇苅へと続いていた。
その先端が誰の手に握られているのか、洞察するのは容易い。
それよりも、人形にどこまで自覚が有るかの方が気になった。
そこは、風の塔のすぐ傍だった。
本塔から続く石造りの渡り廊下が、夜と蔦と時間とに埋もれていた。
屋根を支える円柱と円柱の間には、アーチ状の装飾が見てとれた。
「では、決闘だ」
造花の薔薇が、短剣の勢いで抜き放たれた。
「ええけど。理由くらいは聞かせて貰えるんやろな」
決闘と言うからには、理由が有る筈だ。
毎週の様に繰り返していた、パーツ・ウォウとは訳が違う。
今夜は最も決闘に相応しからぬ夜で、なにより、薔薇を自任する少年が、何よりも大切にする筈の夜だった。
「最近、我が王国各地で暴動が相次いでいる事は、あなたも御存知かと思う」
予め用意した科白を、読み上げる口調だった。
辿々しさでは、タニアリージュ・ロワイヤル座の大根役者と同程度だったが、深刻の度合いでは天地の開きが有った。
「ワイの所為やと?」
「オールド・オスマンはそう考えている」
「お前は?」
「貴方がしばしば貴族を打ち破り、それが暴民に要らぬ過信を与えているのは事実だ」
「決闘でワイに勝てば、収まる筈や、て?」
「発端は僕が貴方に敗れた事だ。ならばこの件は、僕の責任に於いて解決しなければならない」
「トリステイン貴族の誇り、ちゅう奴かい?」
「違う!そうじゃないっ!」
蝋人形の頬に、初めて朱が差した。
「オールド・オスマンは、貴方を亡き者にしようとしているんだ!」
トリステインの貴族にとっては、死刑宣告に等しい一言だった。
異朝の王にとっては、単に想像の範疇と言うだけだ。
ヴァリエール家の威光が末娘の使い魔に細々とながら及んだとしても、それは金で買える範囲を出ないだろう。
単純なる隠蔽体質にしろ、王政府との緊張関係による物にしろ、魔法学院の学院長が、学院内の叛乱分子を、学院内で片付けようとするのは、極自然な事だった。
「で、お前はその先兵、ちゅう訳か?」
「言った筈だ、ミスタ。僕の責任に於いて解決する、と」
「オスマンの爺さんを出し抜いて、ワイの首を奪る?」
「平民は決して貴族には勝てない。その事実が再確認されれば、そんな必要は無い」
ギーシュは空と擦れ違い、背を見せずして距離を取った。
ストームライダーの俊速を前に、距離は意味を成さない。
それは純然、礼式に則る為でもあり、拒否を許さない為でもあった。
「さあ、ミスタ・空。勝負の方法を」
薔薇が震えた。若い瞳が、どこまでも真っ直ぐに空の眼を射抜いた。
空は元の世界を思い出した。
自分の翼の下に集った“塵芥”は、風に乗っている時こそ、仲間面をした。
追い風を御しきれず、壁に激突すると、忽ち仇敵に変貌した。
対し、ギーシュは追い風よりも、向かい風こそを求めていた。
「……ボーズ。お前、ええ奴やな」
お定まりのパターンだった。
他者との関係を打算で計る人間は、誰かに背を向けた時、初めてその相手が友人たり得た事に気付く。
その時には、自分でその資格をドブに捨てている。
「ホンマ、ええ奴過ぎるわ」
“空”が焼けた。
広場に敷き詰められた闇は、ズタズタに引き裂かれて火にくべられた。
四方に点る小さな灯が、瞬く間に夜を飲み込み、巨大な火球へと成長した。
ギーシュは愕然とした。
広場を照らしていた灯の正体。それは、発射を待つ杖先の“火球”だった。
本塔の、風の塔の中屋根に、杖を手にしたメイジ達が座していた。
紫のマントを纏う者が在り、黒いマントが居た。
社交家の少年は、全員の顔を知っていた。魔法学院に通うのは、上流貴族の子弟ばかり。
特別に付き合いが悪く無い限り、学生同士が互いを知らない事など無い物だ。
過半は成績優秀者として知られていた。
極一握りは性酷薄な、避くべき人物だった。
全員が一様に、卸し立ての制服を身に着けていた。
そして、渡り廊下の屋根に数人の教師と、オールド・オスマンその人の姿を目にした時、ギーシュは自分が嵌められた事を知った。
減少傾向に有るとは言え、尚武の精神を忘れる事の無い貴族は、訓練としての狩猟を怠らない。
教師、学生、併せて50人を超えるであろう、貴族達が見せる沈黙と緊張は、ギーシュのよく知っている物だった。
猟犬を、使い魔を放ち、従者を使い、獲物を追い立てさせている時の顔だ。
既に呪文の詠唱を終え、撃発の一瞬を待つ時に見せる眼だ。
「ギーシュ・ド・グラモン――――」
オスマンの口が、岩の重みで開いた。
ギーシュは入学以来、初めて、この老人に相応しい声を聞いた。
「君は二つの道を選ぶ事が出来る。黙って、この場を立ち去るか。それとも、我々と杖を共にするか」
「待って下さい!オールド・オスマン!」
ギーシュは叫んだ。
「この男は僕が倒します!最初に敗れ、貴族としての名誉を傷付けられたのは、この僕です!どうか、挽回の機会を与えて下さい!」
「そんな選択肢は与えていない」
支援
支援
支援
いよいよきな臭くなってきました!
支援
声にも増して重厚な視線が、その懇願を拒絶した。
齡300。その噂が本当なら、ギーシュは老人の一割も生きていない。
その容貌に、頭脳に、何より心魂に刻まれた年輪が、十重二十重の鉄壁と化して、少年にそれ以上踏み込む事を許さなかった。
二桁に登る火球が折り重なり、空の姿を眩く照らし出した。
二つの月に変わって、二つの太陽が登れば、この様に見えるのかも知れない。
車椅子越しの大きな背中が、嫌に遠く映った。
オスマンが合図の一つも出せば最後。その姿は、永遠に手の届かない所に消えてしまうだろう。
目を貫く炎が、ギーシュに決断を迫った。
背を向けて、この場を立ち去るのか。
あくまで学院のメイジとして、空との戦い――――否、抹殺に荷担するのか。
それとも……
「ミスタ……」
指先まで響く拍動の中から、声が零れ落ちた。
オスマンは土のスクウェア・メイジと聞いている。
教師達は揃ってトライアングル。学生達とてライン以上が殆どだ。
この布陣を前にしては、あの恐ろしいエルフとて、逃れる術が有るとは思えない。
息苦しさに、視界が歪んだ。
燃えさかる火球が、広場の空気を軒並み焼いてしまったかの様だった。
分かり易い少年は、生まれて初めて、決断を忘れた。
自分が決断しないと決断してしまった事には、とうとう気付かなかった。
「ギーシュ。頼みが有る」
空の声が、薄い空気に喘ぐ脳を引っぱたいた。
「ルイズをここに、近寄せんといてくれ」
ギーシュは逡巡した。
空の背中が、巌の様に聳えるオスマンの姿が、交互に映った。
今、この場を離れる事を、少年の部分が忌避していた。
「頼むわ……」
この時、自分がどんな顔をしているのか、ギーシュには判らなかった。
鏡が有ったら、目を背けたかも知れない。
ギーシュは振り向かずに駆けた。
結局、自ら決断する事を止めた以上、他人に従うより無かった。
二つの目線が、その背中を見送った。
残る目は、たった一体の獲物に注がれていた。
舞踏会の為に誂えたであろう、目が痛くなるほど鮮やかなドレスが見えなくなった時、二人は改めて視線を交換した。
巨大な火球に炙られた風が、右で、左で、のたうっていた。
淀んだ空気は不可視の力で圧縮され、引き千切られ、研ぎ澄まされて、凶器にその姿を変えていた。
これ程歪んだ“空”は初めてだ。
支援
「残念だよ。ミスタ・武内」
どこかで聞いた様な呼び方だった。
「ワイもやで。ホンマ、オスマンの爺さんは意地悪いわ。今までやって来た事、半分パアやん」
集まった顔触れの過半は、決闘で下した相手だった。
教師はどちらかと言うと、記憶に残らない顔が並んでいた。
「知っとる事、最初に全部話しといてくれたらなあ。もう少し、穏便に動いたんやけどなあ」
「そして、静かに、だが確実に我が国を……否、この世界を浸食する、か。なるほど。沈黙は金とは、よく言うた物じゃ」
正直は必ずしも美徳では無い。思慮の無い正直を馬鹿正直と言う。
悪友に親しむ者は、共に悪名を免れず。
より良い人生を望むなら、信じる相手は選んだ方がいい。
「だが、それを許しておくほど、我々は甘くは無いぞ。異界の王よ。何を企んどったかは判らんが、お主の野望など、所詮は空虚な妄想に過ぎんかったと言う事じゃ。残りの半分も、もう気にする必要など無い」
「ルイズはどうなる?」
「この期に及んで、使い魔の“フリ”かね」
嘲笑と言うには、態とらしい言い方だった。
「相手をもっと選ぶべきじゃったな。なるほど、“成り済ます”なら出来る限り権力に近く、魔法に疎い者が便利じゃろう。じゃがな、どんな魔法も使えない娘が、召喚と契約だけは成功させた。これは、あまりにも御都合主義が過ぎる。ワシとしても、疑念を抱かざるをえん」
下手な言い訳だ。
だが、この際、作り話の巧拙などどうでも良い。
自分の件で、ルイズを問責しない。
それは、始祖の教えにも拘わらず、誓いを立てる事が大好きな貴族達の総意と見て良さそうだった。
王国随一の大貴族であるヴァリエール家が、離反に傾かざる得ない様な状況を避ける為にも、適切な判断だ。
「学生思いやな。爺さん」
「なればこそ、彼等が生きる未来を蹂躙する事は許しておけん。ここで幕引きじゃ。風の王」
オスマンの動きに呼応して、火球が一際眩く燃え上がった。
軽妙俊速、直接決戦を本分とする風メイジ達が、広場に次々と飛び降りる。
間接戦力の土メイジ達は、塔の窓から憎むべき貴族と王権の敵を見据えている。
その後には、水メイジ達が控えている。
駆動輪を撫でると、重い感触が返って来た。
鬱々とした沈黙を守っていた広場は、散々に掘り返され、擽られ、湿った溜息をついていた。
空気が凝結した。
土も水も風も火も、そして時さえも、広場の全てがオスマンの支配下にあった。
系統魔法は意志力により世の理を曲げる。
その杖が振るわれた瞬間、50余の殺意は一つに束ねられ、この世界に必要の無い存在を消去する筈だった。
駆動輪から手すりに手が移された。空は車椅子型エアトレックの神速を放棄した。
今や、そんな物は何の意味も持たなかった。
翼のシンボルを持つスニーカーが、ステップからずれた。
オスマンは瞠目した。
小さな動揺が、貴族達の間に波紋となって広がった。
勝利の女神〈NIKE〉を散々踏みつけにしていた足が、暴君の傲慢でハルケギニアの大地を蹂躙した。
車椅子のサスが軋む。
長く薄い影が、四方八方に伸びた。車椅子に頼っていた男が、傲然、立ち上がった。
刹那。火炎の怒濤が迫った。
火線が束と走り、大地が割れ、雷の雲が天を埋め、風の刃が不可視の檻を為す。
奔湍、押し包む魔力がエネルギーの渦と化して、世界を小さく小さく握り潰す。
灼熱の狭間に、長身の影が揺れる。
NIKEのシンボルマークが弾け飛んだ。
――――To be continued
支援
乙
乙
壮絶の一言です
420 :
虚無の王:2008/02/03(日) 19:15:09 ID:xZqF1ngB
御支援どうもっ。
今回はここまでです。
乙でした。
ちょ、そこで切るのかよwwww
GJ!
いいところで続くw
何という生殺しw
タバサが自分によく似た少女を召喚してまう話…
使徒にもうひとりの自分を見せられながら自爆した少女か「消失世界」でもうひとりの自分に消滅されらた少女か…
どちらも召喚された瞬間にタバサがいたら混乱してくれまいか?
>>前スレ995
じっちゃん召喚してタバサ涙目
マジGJ!
毎度おもしろい。つーかいい所で切るなあwwww
芝居ががったセリフが良いなぁグッジョブ。
オスマン老&生徒ズ、真面目になると死亡フラグ立たせ杉。
つか、ギーシュがもう主役路線一直線だわ。
芝村召喚がかったに見えた
そら確かに芝村も芝居ががってるがw
ガンパレの人にしろ空の人にしろ、セリフ回しの上手い人って羨ましい。
憧れるわ実際。
妄想戦士ヤマモトを読み返していて気づいたんだが
ヤマモトドリルパンチでコンクリの壁を粉砕し
ヤマモトドリルキックでコンクリの壁に下半身埋まってるし
これはかなり強い部類に入るんじゃなかろうか
そんな事言ったら裏松下は秋葉周囲を一掃出来る爆弾を喰って平気なんだぞ
ゼロ魔風に言えばエクスプロージョンを食べても大丈夫って感じなんだぞ
戦闘ロボを改造したフィギュア、いやフィギュアを改造した戦闘ロボに
戦いを挑んで女は殴れないとかいっちゃうヤマモトだからな・・・
ワルキューレの出来が良かったら戦えないか
萌えの左手ガンダールヴ。
勇猛果敢な妄想の絵師。
右に握ったペンと左に握った原稿で
導きし我に。
萌えの右手がヴィンダールヴ。
心優しき妄想の人形師。
あらゆる素材を従えて
導きし我にフィギュアを与える。
萌えの頭脳はミョズニトニルン。
知恵のかたまり妄想の眼鏡。
あらゆる眼鏡を溜め込んで
導きし我と視力を奪う。
そして最後にもう一人……。
記すことさえはばかれる……。
四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。
ヤマモト・ト・トモト・ユト・イチ・イェ・イチバンボシ
ルルーシュで構想練ってます死にたいです
そういえばルイズって一応三姉妹の末っ子なんだよな。
妹属性とは言いがたいキャラではあるがヤマモトは大丈夫か?
>>435 展開読めるから止めといたほうがいいよ。
ルルーシュ召喚したら合衆国ハルケギニアってなるぞ
ナナリーがいなけりゃ建国せずに帰還しようとするんじゃね?
二人目と三人目はわかる、消去法で四人目も予想できる。
しかし一人目がわからん・・・
テイルズ世界から召喚とか言ってみるがPとDとEとLしか知らない罠
投下準備完了しました、宜しいでしょうか?
支援はするが、タイトルを名前欄に記入した方がいいと思うんだぜ
「いや、だからだなキュルケ、気持ちは有り難いのだが、俺は貰う筋合いの無いそう言った高価なものは……」
「ふふ……遠慮しないで良いのよトニー」
キュルケは俺を物で釣ろうとしてるのか。こんな時ふと思う、ルイズが何時もどおり、ワンパターンに乗り込んで来てくれると正直、結構
嬉しいんだがなぁ……。
「やっぱり、成就が困難なほど、恋は燃えるのよね」
「ヤるだけが恋愛じゃねぇんだけどなぁ……」
呆れ混じりに言ってみる。シチリアンとしてみれば、もう少し雰囲気くらい楽しみたいものだぞ。それに、あのルイズの膨れっ面を見るのも
勘弁して欲しいしな。
「お前さんは美人だが、早急にってなると話は別だぜ?」
「ふふっそう来なくちゃ♪」
やばい、火に油を注いでしまったか?好意を持って貰えるのはありがたいが、やっぱりなんか違うんだな。そんな事を考えていると、回廊
から騒がしい音が聞こえてきた。多分ルイズだろう、助かった。
「トニー!!何で何時も何時もツェルプストーと一緒にいるのよ!!」
やっぱりルイズだった。ワンパターンなのかもしれないが、こんな時はこれが嬉しかったりする。
「茶に誘われただけだ、そう頬を膨らますな……紅茶美味かったぜ、有難うよ。今日はこれ以上このお姫様の機嫌が悪くならん内に帰るぜ」
「あらそう?……なら、またお誘いするわね」
茶の礼を言ってそそくさと部屋から出るが、ルイズの頬は膨れたままだった。嫉妬深いのか?
GTAか。支援
「どうして茶なんかで誘惑に乗るのよ!!」
「社交ってやつだ、気にするな」
油を搾り取られたのも併せ持ち、今のルイズの機嫌は最悪でヒステリックだった。
「お茶飲みたいならどうして私に言わないのよ!!」
ヒスを起しているのも併せ持って言っている事もかなり滅茶苦茶なものだが、今日は何も言わずに聞き流す。
「ならルイズ、お茶貰えるか?一緒に飲めるのなら尚嬉しいのだが?」
「……!!わっ分かったわよ!!……イスに座って待っていなさい!!ツェルプストーとは比べ物にならない程の美味しいお茶を煎れるから!」
上手く乗せたともいえなくも無いが、向かい合って座って飲んだ紅茶は中々美味しかった。
――翌日。
ルイズを起して洗濯を済ませると、マルトーに結構豪勢な朝食を振舞ってもらう。だが、場の雰囲気は何か足りなかった。料理ではない。
人的で、だ。
「マルトー、何か寂しくねぇか?」
「んん?料理物足りないか?」
「違う、人数的にだ。普段いる奴……そう言えば、シエスタいねぇな」
気になって言葉に出してみると、雰囲気は一気に暗くなった。
「トニー、お前シエスタから何も聞いてねぇのか?」
「何、辞めた?」
「ああ、今朝早く迎えの馬車が来て出て行ったよ。ジュール・ド・モットと言う貴族のところへ行ったさ」
そう言われると、昨夜のシエスタの雰囲気は合点が合う。恐らく、本人は此処を辞めたくはなかったのだろう……いや、違うな。人身御供に
なると分かってだろうな。
支援!
悪には悪を…だな
「結局、平民は貴族の言いなりになるしかねぇのさ」
「……気にいらねぇ」
mission:『シエスタ:メイドの危機 act.1』
「この世界での貴族が直々って事は、要は人身御供、まぁマシな言い方をすれば『妾』『愛人』目的だろ?」
『そうだな、良く分かってるじゃん相棒』
誰もいない隠れ家で喋る剣デルフリンガーに話し掛けると、気のない返事と言うか、軽い返事が返ってくる。
「最悪だな……デルフリンガー、俺今日遅くなるってルイズに言っておけ」
『何?……お前、まさか……』
「何、ちょっと軽〜く頭を叩きに行って来るまでさ。朝までには帰ってくる」
―― ギーシュを探せ
あんな気立ての良い子を人身御供に出来るか。だが、そのヘンタイ貴族の所在は分からん。とは言え、ルイズやキュルケには聞けないので、
一番聞きやすいギーシュを探してみるか。あのバカは愛の語らいに最適な場所に絶対居るだろうから、探しやすいのもあるしな。
(やっぱり、こんな所に居たか)
軽く目星を立てて、来た初日にルイズに追っかけ回された逃走経路に噴水があるのに気が付いた俺は、迷わずその場に行ってみると案の定、
ギーシュがモンモランシーと、まぁ甘ったるい言葉の遣り取りをしていた。こうしてみると、多少はよりが戻ったのだろう。
「ようギーシュ、元気そうだな」
「おお……トニー」
俺を見たギーシュはちょっとビクッとはしたが、昨日の今日もある為外見は平静に対応してきた。
支援だ
支援しかあるまい
支援
今日はこれまでです。
次からは、予告にタイトルを入れます。
がーんだな。
予想をくじかれた
ちょっと短すぎだよ〜。
もちょっと書いてよ〜。
と駄々をこねてみる。
いや、あんまり長いとそれはそれでダメだと聞いていたので。
了解しました、次からは増量して投下します
乙でした。
>>442 アーチェやリフィルさんを召喚したら大騒ぎだよな、テイルズキャラ。
Rのアガーテも召喚した際の反応が見てみたい。美人だけど獣人、でもドレスと冠付けてるし。
少女兵器の人の作品を見て、買おうと思って忘れてた設定資料集を買ってきた。
む、ノーマルエンド後ということはもしや……。
ついでに、ネットショップの検索画面に出てきたドラマCDも買ってきた。
……あんまり期待してなかったけど、何だこの濃ゆいネタのオンパレードわwww
# そう言えばクルで(EASYなのに)ノーコンティニュークリアし損ねてたのを思い出した。
# ちょっとDC引っぱり出してくるノシ
>>458 リフィルさんの弟は来とるな。
連載再開は絶望的っぽいが。
>>458 ハーフエルフって言ってもテイルズの皆さんは耳が長くないからなぁ…髪も金髪じゃないし。
テイルズからはキールとかハロルドあたりの学者系が来て欲しいなと思ってる。
そういえばロードス島からは誰も召喚されてないのか
あれも古典なのかね
コテコテの古典
塩野七生氏の「ロードス島攻防記」か。
確かに古典だな。
まあ古典だな
同じ世界から召喚されてるキャラはいるけどね
あのシリーズから召喚されて面白そうなキャラって誰だろ?
やっぱりディードか?
2310頃から、エルロイ風味に擦り切れた「リリカルなのは」のフェイトちゃん(30歳)が、ルイズに召喚されるという話を
投下したいのですが、よろしいでしょうか?
グローランサの世界からエルフを召喚してみたい。
468 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:58:28 ID:H4F0isx3
魔法少女ではなく魔法少年召喚…
最初はへたれでが、実は世界を滅ぼすほどの特殊な魔法の持主
でも性格や人格が育ってなく分不相応な地位
つうわけでEVAのシンジ君…でなく御厨 恵召喚
つかこれだと三次創作かあ?
ルイズがアスカもといエリカがキャラかぶるか
>467
野菜召喚か
>>466 なあ、それどう控えめに見てもオリキャラにしかならん気がするのだが
>>466 えーっと、それって実質オリキャラ召喚になるように見えるんだけど
スレ違いじゃないかな
アニメではなかったと思うけど、アニメ以外の媒体でそういう描写があったんなら謝る
>>467 かなりイメージの違うエルフになるなw
>>465 ロードスじゃないが
黒くないダークエルフ、スイフリーを召喚。
>>462 オルソン召喚はラストが読めるけど、見てみたいのだけどね。
ガンダールブをつけるとシャレにならなくなるキャラということで。
>>461 リフィル先生は面白そうだ。
実はゼロス召喚とか考えていたりする。
>>466 蟹様、誰も喜びませんよこんなの
↓
やはりドブ泥の中をクソを喰らいながら這いずり回る捜査官なフェイトちゃんが、ラガーヴーリンをグラス
で一気しないと眠れないアル中化して、ヴィヴィオたんがおろおろと心配するという毒電波を受信しました。
クロノはペド化して、裏で持っている娼館で9歳の頃のフェイトちゃんそっくりの少女娼婦に薬を決めてアヘ
らせてケツの穴まで精液まみれにしてみたり、戦争愛好家と化して正規の部隊以外に私兵を養い、現場で
執行実包を過剰使用するなのはさんとか、そんな毒電波を受信しております。
はやて? んなもん地方の業務隊を四騎士と一緒にドサ回りさせられて中央から遠ざけられているに
決まっているではないですか(謎
>470さん >471さん
了解しました。そうしますと、避難所に投下しても許されるのでしょうか?
>475さん
えー ここで名前をばらされても困るのですが(w
というか、やはり誰も喜びませんか。とゆーか、あまりにコア過ぎますね。
さて、どうしたら良いのでしょう?
ここはオリキャラ禁止だよ。避難所も例外じゃない。
スイフリーとベラだと、確実に前者のが黒っぽいもんなぁw
大首領とか貧乏性とか魔性の女とか肯くだけとかダメダメ怠け者とか、
ほんとフォーセリアのエル(と、ハーフエルフ)は地獄だぜw
>>467 何色呼ぶ気だ。
ブラウンは冬眠するぞ。
なんかとんでもない劇物みたいだなー
正直、どこで出してもとてつもない非難が飛びまくる気がするが
>>475 某民主党のスレ以外じゃ受け入れられないでしょうねぇ。
それがわかるということは俺もあそこの住人で、俺個人は読んでみたいが、
とりあえず空気を読みましょう。
SWキャラは別スレあるぞ
>483さん >478さん
了解です。それでは理想郷あたりに投稿する事を考えるといたします。
>>441 ペンと原稿=漫画家って事は、たぶん黒崎堕美泥なんじゃないだろうか。
二番目が渡辺で、三番目が南雲。すると消去法で四番目が松下。
まさか、この流れで外道ハンターXが登場するとは思えんし。
>>477 確認しておくけど、そのフェイトはどんなメディアでも表現されてないあなたのオリジナルキャラクターなんだよね?
もしそうなら完全にスレ違い
本スレにも避難所にも投下してはいけない
オリジナルキャラクターを許容してくれるサイトに投稿させてもらうか、自分でサイトを立ち上げる必要があるよ
>>472 戦士系のキャラだと元から強すぎてガンダールヴにする意義を感じないのがなあw
でもオルソンなら特殊な設定といい感じに反応して面白くなるかもね
>>459 確かトリガーハートって一応は生殖機能みたいなのついてたよな?
行方不明のクルエルティアがシエスタの曾祖母だったりしてwww
>>464 リア厨の時、水野良と思って買ってしまった。
当時は、せっかくのなけなしの小遣いはたいて買ったのに全然違う内容に「クソッ!騙された!」
とか思って地団太踏んだものだ。
今では『ローマ人の物語』全巻揃える程の塩野七生のファンだぜw
>>487 欠点は、7万人相手にして、一人づつ全部殺したあげく、
自分も魂燃やし尽くして死ぬ結末しか思いつかない点だがな>オルソン
>>484 普通に気づいてなかった
教えてくれてサンクス
そこはそれ、リプレイ版のオルソンで
492 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:13:52 ID:iWGVjVFk
投下OKですか?
よーんよーんよーんのオルソンさんなら大丈夫だな
見せ場全部持ってかれるぐらいだし
無問題と思われる
495 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:15:27 ID:iWGVjVFk
それでは行きます
―船首 第一船倉 火薬庫―
「いーっくしょん!」
看守が大きなくしゃみをする。そう、看守が。
今、スネークがいる場所は空賊船・船首船倉。ルイズたちとは別々に捕らえられてしまった。
持ち物は全て取り上げられた上に、手には手枷をはめられている。
取り上げた物の使い方が分からないらしく、銃やRPG-7は船倉の外に置かれている。
どうにかして回収したい。そして、何とか脱出したいが、ここは雲の上。
逃げられる場所なんてあるのだろうか?
「いーっくしょん!」
「風邪か?」
またくしゃみをした看守に話しかけるスネーク。
「ああ。国にいるときはそうでもなかったんだけどなぁ…。
くしゃみだけならまだしも、下痢もなんだよ。」
話に乗ってくる看守。
これなら、こっちのペースにもってこれるかもしれない。
「う…は、腹が…。」
トイレへ駆け出す看守。この15分で3回目になる。
すこし腹に落ち着いてもらわないと、交渉も出来ない。
「…ルイズは大丈夫だろうか?」
496 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:16:00 ID:iWGVjVFk
―船尾 第二船倉 物置―
声を荒げてルイズが主張する。
「大使としての扱いを要求するわ!」
「うるさいぞ、静かにしてろ!」
こちらの看守は船首の看守と違って、任務に忠実だ。
余計な話をせずに、淡々と監視をしている。
ルイズとワルドの二人が同じ船倉に閉じ込められているのだが、杖は取り上げられているため、何も出来ない。
「すこし静かにしていよう、ルイズ。ここから逃げられる場所はない。」
「…。」
無能な己に腹が立つ。
気持ちだけが焦る。早くウェールズ様に会わなくては。
「落ち着くのよ、ルイズ。」
自分に言い聞かせる。
こんなとき、あのスネークなら何をするか?
使い魔の行動を真似るのは癪に障るが、そんな事ばかり言ってはいられない。
自分にはやり遂げなければならない任務、いや、親友との約束がある。
「この船は何処へ行くの?」
「うるっさい!静かにしないと飯抜きにするぞ!」
全く取り合わない看守。
先ほどまでの決意も吹き飛んだ。
「私は大使なのよ!それなりの対応をしなさい!」
「うるさーい!お前はもう、飯抜きだ!」
それきり看守は、何も反応しなくなってしまった。
ルイズは自分の短気さをうらんだ。
その後、食事を持って看守が船倉に入ってきた。
「ほら、飯だ。」
そういって看守はルイズにも食事を出した。
「これ…。」
「ああ、さっきはすまなかったな。俺も大人気ないマネをした。」
食事をおいて、外へ出て行く看守。
手にパンを持って小刻みに震えるルイズ。
「ワルド…。」
「なんだい、僕のルイズ?」
「空賊も捨てたモンじゃないわね。」
「…。」
なぜかほだされてしまったルイズであった。
497 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:16:38 ID:iWGVjVFk
再び船首。
こちらも楽しいお食事タイム。
だが、スネークには考えがあった。
「食うか?」
「いらないのか?悪いな。」
自分に出された食事を看守に差し出したのだ。
看守が船倉に入ってくる。
座り込んでスープを飲み始めた。
「お前、いい奴だよな。本当、トリステインにもいい奴はいるよな。」
「そうか?」
看守が食事をしながら話し始めた。
スネークは座って、相槌を打つ。
「そうさ。…実は俺、昔はトリステインに住んでいたんだ。
両親もそこに住んでいる。結婚して、アルビオンの王宮に転職したんだ。
子供もいた。」
「…子供の名は?」
「ジョニーだ。」
「いい名だ。」
親指を立てるスネーク。
ニヤリと笑みを浮かべる看守。
「そうか…、いい名か…。あんたが言うんだから、そうだろうな。」
喜ぶ看守。
「実は、俺もジョニーだ。
俺の家系は代々長男に“ジョニー”と名づけるんだ。」
「ジョニー一族か。」
リプレイ版でいいのならスパークも展開的に面白そうだ
ガンダールブ補正を不幸で帳消しにしてしまえるぞ
499 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:17:21 ID:iWGVjVFk
感傷に浸っているのか、看守の目にうっすら涙が見える。
「どうして戦争なんだろうな…。」
「…辛いな。」
「ああ…だけど、あんたほどじゃない。」
看守がポケットからビンを取り出す。
シエスタのトマトケチャップだ。
「これくらいなら返しても大丈夫だろう。返すよ。」
ビンを受け取るスネーク。
「俺がしてやれるのはこれくらいだ…。」
スネークは看守を手招きし、耳打ちする。
「ここから出してくれないか?」
当然、だめもとだ。
だが、はっとした顔で看守が立ち上がった。
「それは駄目だ!…おい、逃げ出そうなんて考えないでくれよ!?
そしたら俺は、あんたを切らなきゃいけなくなる。」
看守が腰の短剣を指して言った。
「…少し話しすぎたな。じゃあな。」
食器を持って外へ出てしまった。
鍵をかけられた音がする。
ただ、振出ではない。
ジョニーの話にはひとつだけ、おかしな点があったことにスネークは気づいていた。
500 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:18:15 ID:iWGVjVFk
―船首 第一船倉 火薬庫―
ゆらゆらと船独特のゆれが看守を眠りに誘う。
こっくり、こっくりと確実に舟をこいでいく。
だがそんな看守の眠気を吹き飛ばすスネークの悲鳴が耳に飛び込んできた。
「どうした!?」
声のした方―スネークのいる船倉に入る。
そこに“生きている”はずのスネークが―血だらけで倒れていた。
急いで駆け寄り、抱え上げ、容態を確認する。
「…?」
特におかしな所はない。
しいて言うなら、さっきからトマトケチャップの匂いがすることだけだ。
突然看守の顔面に衝撃が走り、口の中に鉄の味が広がる。
血を吐きながらたち上がる看守。
殴った本人、スネークをにらみつける。
手枷をつけられた両拳を振るようになぐった様だ。
「お前、騙したな!?」
「やかましい!」
その言葉と共に、どこかの元貴族の囚人のように蹴りを叩き込む。
そのうち、看守は静かになり、看守から鍵を奪い取った。
一応、生きてはいるようだが、しばらく目は覚まさないだろう。
カチッ
自分の手枷を外し、奪われた装備を回収する。
「おう相棒。無事だったんだな。」
「ああ。おまえもな。」
「おうよ。つかまった後に余計な事を話すようなへまはしねぇぜ。」
「そうか。そのまま黙ったままで頼む。この先は騒ぎを起こすわけには行かない。」
看守を縛り上げ、デルフを黙らせ、警戒しながら船倉を出た。
501 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:18:49 ID:iWGVjVFk
―左舷 居住区―
木造の狭い通路を気配を消して進む影がひとつ――スネークだ。
足元はゆらりゆらりと揺れ、船に慣れていない者なら忍び足などできない。
だが、船への潜入は初めてではないため、たいした問題ではない。
それ以上に問題なのはこの船の狭さだ。
いくら先ほどの商業船より大きいとはいえ、ただの帆船。
メタルギアRAYを搬送していたタンカーとは比べ物にならない。
人も多く、狭い室内の装備に変えるスネーク。
右手にはM9、左手にはナイフを持ったCQC用の装備だ。
M9とナイフを同時に構え、警戒しながら通路を進む。
「…実は俺…、」
曲がり角の向こうから話し声が聞こえる。
壁張り付きでその会話を盗み聞きする事にした。
「城に帰ったら、プロポーズしようと思ってるんですよ。実はもう、花束も買ってあったりして。」
「おう、はやくしろよベケット。早くしないと、他の奴に取られちまうぞ。」
「お、脅かさないでください!」
どうやらただの雑談のようだ。
二人とも雑談を終え、持ち場に戻る。
ベケットと呼ばれたほうがこっちに向かってきた。
「まずい。」
ここには隠れる場所がない。
かといって騒ぎを起こせば、もう一人の奴が気付く。
「くそっ…!」
久々の潜入で若干勘が鈍っている。
こんなときはどうするか…?
502 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:19:20 ID:iWGVjVFk
―左舷 居住区―
「ん?」
視界の端に見慣れぬ四角い物を見つける。
近寄って見てみる。ただの紙製の箱のようだ。
「なんだ、ただの箱か。しっかし、大きいな。
まるで人でも入っていそうだ。」
そりゃないか、と自分で突っ込みを入れて空賊が去っていく。
ガタッ!!
箱が吹き飛び、何かが中から出てくる。
それが後ろを向いた空賊のひざの裏を蹴って重心を崩し、拘束した。
喉元にナイフが突きつけられる。顔は見えないが、男のようだ。
「騒ぐな。」
「だ、誰だ…?」
思わず冷や汗が頬を伝う。
男の声から、従わなければ殺す、という殺意を感じた。
「この船の秘密を放せ。」
「な、なんだと?」
静かに反論する。
喉にナイフの先端が触れた。
反論すら許されないらしい。
「言え!」
「…船長室は…甲板の一番上の扉だ。」
それだけ捻り出す。
しかし、後ろの男は満足していないようだ。
「答えろ!」
「この船は…空賊船じゃない。」
男はナイフを下ろし、軽く首を絞める。
まだ情報を聞きだす気らしい。
「吐け!」
「…くっ、放せ…!」
これ以上は何も言わないだろうと感じたのか、男はナイフを下げる。
ベケットが気を抜いた瞬間、首に回した腕の力が強まる。
息が出来ない…!
「かはっ…。」
肺から息がもれ、ベケットは意識を手放した。
背後の男はベケットの身体を第一船倉に隠し、ベケットの服を着て蛇のように音もなく姿を消した。
503 :
蛇の使い魔:2008/02/03(日) 23:19:56 ID:iWGVjVFk
―船尾 第二船倉 物置―
「ふぁ〜あ。退屈だ。」
看守が伸びをする。
ずっと一人で見張り続けるのも中々大変なのである。
「それにしても、あの女の子…結構いい線行ってるよな。
もう少し胸があったらいいんだけどな。」
ドンッ!
その言葉を聴きつけたルイズが扉を荒々しく蹴る。
ひっ、と看守は小さく悲鳴を上げ、虚勢を張ってルイズを怒鳴る。
「うるさいぞ!静かにしてろ!」
扉の向こうから強烈な殺気を感じながら、警備を続ける。
すると、こちらに向かってくる人影が一人。
仲間のようだ。
「食事だぞ。」
「ああ。悪いな。」
食事を受け取る看守。
持ってきた仲間の顔を見てみるが、見覚えがない。
「おい、ちょっと待て。」
「何だ?」
たくましい体つきの仲間が振り向く。
うほっ、いい男…じゃなった。
「おまえ、何処のチームだ?」
答えの代わりにパンチが一発。
看守はその一撃で気絶してしまった。
男が扉を開ける。
中にいたルイズとワルドが身構えるが、その男の顔を見て構えをとく。
その男には見覚えがある。
ずいぶん遅いお迎えだった。
「待たせたな!」
今回は以上です。ワルドが空気過ぎて困る。
ジョニー!ジョニー!
支援
乙
やぱり箱に入ってやり過ごすは基本かw
投下乙そしてGJでしたー
ジョニーと段ボールの登場にニヤニヤしました
あと、ベケットの台詞だめぇ撃墜されちゃう
支援
ハルケギニアの製紙技術が、いつの間にやら高くなってんなw
乙です
PJwww
蛇さん乙&GJ
やはりスネークと言えば段ボールは基本w
それでは、23:35頃から投下したいのですが、よろしいでしょうか?
可能な限り支援する!
>472
いっそバブリーズだよ全員集合とか。
MGS本編のリスペクトGJw
デッドライジングをプレイしてるが、フランクさんとかどうだろうか。
記すことさえはばかられる使い魔になりそうだ。
やっぱり箱は史上最高のスニーキングアイテム。
大変に乙でございました。
30分くらい後にちょこっと投下しますよ、と宣言。
今日は投下が多いねえ
蛇の人乙。ダンボールは万能兵器だな
そして
それでは行きます
―Rrha ki ra tie yor ini en nha― 【ここにおいで(貴方を拘束しここにイニシャライズして入れます)】
トリステイン魔法学院の恒例行事、春の使い魔召喚の儀式は万事滞り無く進み、最後の一人を残す
のみとなっている。
その最後の一人である桃色がかったブロンドの少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
は、必死に涙を堪えていた。
入学以来、いや、幼い頃から魔法が成功した例(ためし)は一度も無く、結果は常に爆発。
その所為で、クラスメイトからは「『ゼロ』のルイズ」と不名誉な二つ名で呼ばれる始末。
そんな彼女にとってこの使い魔召喚の儀式は、自分が『ゼロ』では無いことを示せるかもしれない最後の
機会だった。
しかし。
目の前には失敗魔法の爆発によって出来た穴、穴、穴……
その数は既に数十個。
その様を眺めているクラスメイトの、嘲笑の視線が背中に突き刺さる。
それでも尚、杖を振ろうとするルイズを見かね、禿頭の教師が彼女の肩を抑えた。
「ミス・ヴァリエール、もう良いでしょう。今日はここ迄になさい」
その声音はあくまでも優しく、しかしそれ故にルイズを意固地にさせる。
「……嫌です……」
コルベールとて、ルイズがどんな思いでこの使い魔召喚の儀式に臨んでいるかは十分理解しているつもりだ。
「しかし……」
だからと言って、彼女の気が済むまでやらせてやるわけにもいかない。
「お願いします、ミスタ・コルベール!後一回、後一回だけやらせてください!!これで駄目だったら、
退学でも構いません!!だから…………」
「仕方ありませんな、ミス・ヴァリエール。ただし、本当にこれが最後ですぞ」
故に、それが彼に出来る最大限の譲歩だった。
「……はい!」
眦に溜まった涙をブラウスの袖で拭い、ルイズは瞼を閉じ、静かに杖を構える。
周囲の雑音も、今は耳に入らない。
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!
私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!!!」
呪文を唱え、杖を大きく振りかぶり――――
しえん
―Wee ki ra parge yor ar ciel― 【全てを脱して(一つの世界から貴方を切り離す)】
「イイコトなんて、何一つ無かったけど」
私の帰郷に同行すると言った彼を、冗談半分で
「帰ってこれる保証は無いわよ?」
と脅かしてみたら、
「いいさ、君が側にいてくれさえすれば」
なんて、寒気がするほどクサイ台詞に続けて、
「俺も、君が生まれた場所を見てみたい」
などと返すものだから、ワザと自嘲気味に口の端を歪めて答えてやる。
実際、私にとって“そこ”は、ニンゲンと世界に対する憎悪と、私が犯した“罪”への悔恨しか存在しない
場所……の筈だった。
かつては、そう思っていた。思い込もうとしていた。
だけど……
「それでも、帰りたいんだろ?」
私の心を見透かすように呟く彼の言葉に、
「……そうね」
思わず本音が漏れてしまう。
あぁ、そうだ。それでもあそこは、私の……愛する“故郷(ふるさと)”なのだ、と。
そんな私を優しく見つめ、
「それなら、行こう」
微笑んで、彼が差し出した手を、
「そんなことしなくても迷子になったりしないわ。何処かの塔管理者(かみさま)じゃあるまいし」
あえて無視し、彼を背にして歩き出す。
背後から感じる、諦め半分、落胆半分のため息に、素直に手を繋いでやるべきだったかと、幾許かの
後悔が胸を過った。
それにしても……
この私が、こともあろうに「男連れ」での帰郷だなんて、アイツらが見たらどんな顔をすることやら。
あの“自称16歳”が、ニヤニヤしながら生温かい目で見つめてくるのは確実だ。
まぁ、あの子は素直に、アイツは何も考えずに、各々祝福してくれそうではあるけれど、それはそれで、
なにか気恥ずかしい物が無いでもない。
だが、その気恥ずかしさは決して不快ではなく、むしろ心地好い幸福感を与えてくれる。
…………
つい物思いに没頭して、我知らず歩みを早めてしまったらしい。
気が付くと遥か後ろ、雑踏の向こうから彼が私を呼んでいる。
まったく、私らしくもない……と呆れつつ、
彼の元に駆け寄ろうと、
踵を返した―――
>>513 ハンガーから被り物果ては唾や水鉄砲でもゾンビを殺せるフランクさんはガンダールブだろう常識的に考えて…
スマブラXにも出てきたし、スネークにMGL140持たせるのも良いかも。
そして何気にスネーク並みに不死身な彼と、死亡フラク鉄板で打ち立てちゃった彼に、敬礼!!
支援砲撃
―Was yea ra chs mea yor en fwal― 【私はあなたの全部を受け入れるから(貴方は私になる翼をもって)】
ルイズは、
杖を
振り下ろした――――
―Ma ki ga ks maya yor syec― 【怖がらないでその身を委ねて(貴方の深いところに魔法を掛けます)】
私の
目の前に、
“鏡”が――――
零の謳姫
第一話
ダンボール…
「やあ、おれはせかいをほうろうしているさすらいのジョニーって言うんだ」
すまん…変な幻視が…
今迄で一際大きな爆発が起こり、砂煙が濛々と立ち込める。
服や髪についた砂埃を払うのも忘れ、ルイズは爆発の中心を見つめ、祈る。
(始祖ブリミルよお願いします。ドラゴンやグリフォンだなんて贅沢は言いません、犬や猫だって構いません。
どうか私に使い魔をお与え下さい……でも、カエルだけはお許しください)
やがて砂煙が薄れ、中から現れたのは……
「女の……子?」
背格好はルイズとほぼ同じ。
太腿までを覆うブーツも、肩当てと一体化した長手袋も黒。
起伏に乏しい―よく言えばスレンダーな―肢体を包む、微妙に扇情的なエナメル地のビスチェと、
サイドが完全に紐状になった、ビスチェと同じ材質のショーツも黒。
眉の上で前髪を適当に切り落とした、長く艶やかな髪も黒。
そんな黒一色の中で、肌の透ける様な白、勝気そうな瞳の藤色、髪に巻きつけたリボンと肩当てから
突き出た突起の先端部、ビスチェに走るラインの赤が、鮮やかなコントラストを見せている
自分の身に起きた事態を把握しきれずにいるのか、呆気にとられた表情をしているが、すっきりと整った
顔立ちは、百人中百人が、彼女を美少女と評するに違いない。
とは言え、これはどう見ても……
ルイズが受け入れがたい現実に苦悩していると。
「平民だ、『ゼロ』のルイズが平民を召喚したぞ!」
「流石はルイズ、俺達には出来ないことをやってのける!」
彼女らを遠巻きに見ているクラスメイトからドッと失笑が湧いた。
「それにしても、なんて格好だよアレ」
「どこの酒場から踊り子を攫ってきたんだよ、『ゼロ』のルイズ!」
確かに少女の格好は、チクトンネ街界隈の場末の酒場か旅芸人一座で、扇情的な音楽に合わせて
肌も露わな衣装で艶かしく身をくねらす踊り子に見えなくもない。
「って言うかアレってさあ……ウッ」
更にいかがわしい稼業を想像したのか、男子の中には、鼻血をこらえている者、果てには
「そ、そのヒールで踏みつけながら、ぼ、僕を『この汚らわしい豚がッ!』って罵ってくれぇ!」
と息を荒げて、絶叫する者――仮にその名を、マリコルヌ・ド・グランドプレとでもしておこう――までいる始末だ。
――この際、彼らが何故そんなものを知っているかとの理由は不問にするとしよう。――
支援
大量投下が何だ!俺が全部支援してやる!
「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しを!」
「ミス・ヴァリエール。残念ながら、例外は認められない。春の使い魔召喚の儀式は全てにおいて優先する
神聖なものなのですぞ。」
当然のことながら、ルイズの訴えは却下された。
「でもっ」
それでも喰い下がろうとするルイズに、コルベールは「よいですか」と言い聞かせる。
「失敗を繰り返して漸く召喚できたのに、契約を行わないのであるなら、良くて留年、事によっては本当に
退学と言う事にもなりかねませんぞ?」
「う……」
先程はああ啖呵を切っては見せたが、ルイズとて退学は本意ではない。
覚悟を決め、頭を軽く振って、こちらに訝しげな目を向けている少女に近づき、
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン。
この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」
ルイズは口付けた。
(女同士なんだから、ノーカンよ、ノーカン!)
心の中で呟きながら。
「…………!?」
いきなり見知らぬ相手に唇を奪われた怒りか羞恥か、その両方共か、漸く我に返った少女の頬が
朱に染まる。
少女は、ルイズを突き飛ばしながら身を離すと、両手を頭上に掲げ、
「…………ッ!!」
いきなりくず折れ、左手を押え、蹲った。
「……すぐ終わるから安心なさい。『使い魔のルーン』が刻まれてるだけだから」
突き飛ばされた勢いで尻餅を搗いていたルイズは、起き上がってスカートの裾を叩くと、少女を見下ろし、
――突き飛ばされた恨みもあってか――いささか冷淡に宣告する。
「…………」
その言葉が理解できているのかどうか、少女はルイズを睨みつけると、そのまま意識を失った。
ワシの支援は108式まであるぞ!!
支援
四円
「失礼……」
コルベールは少女に近寄ると、彼女の左手の手袋を外し、
「『コントラクト・サーバント』の方は一回で成功したようですね、ミス・ヴァリエール。しかし、このルーンは……」
手の甲にルーンが刻まれているのを確認すると、それをメモ帳にスケッチした。
そして生徒達に向き直り、宣言する。
「これで、春の使い魔召喚は終了しました。皆さん教室に戻りなさい」
コルベールの宣言とともに、生徒達が次々と飛び立っていく。
「ルイズ、お前は歩いて来いよ!」
「あいつ『フライ』はおろか『レビテーション』さえ出来ないんだぜ!」
野次を飛ばす生徒にルイズが投げつけた小石は、虚しく空を切った。
………………
…………
……
先程までの喧騒は嘘のように消え、草原にはルイズとコルベール、そして気絶した少女だけが残される。
ルイズは、暫らくはクラスメイトが飛んでいった方向に向けて小石を投げたり怒鳴ったりしていたが、やがて
それにも疲れたのか、ゼエゼエと肩で息をしていた。
「落ち着きましたか?ミス・ヴァリエール」
「あ……はい、」
そこに、第三者の声が割って入る。
「まったく、ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー、五月蝿いったらありゃしない。お里が知れるわよ?お嬢ちゃん」
決して大きくはないが、その澄んだ声は、草原全体に響くかのようだった。
「なんですって!……って、えっ!?」
怒鳴り返そうとして、今の声の主が誰であるかに気付いたルイズが視線を向けると、目を覚ました少女が
少しふらつきながらも立ち上がり、こちらを睨んでいた。
「……まぁそんな事はどうでもいいんだけど。そこの貴方達。ここはどこで、これは一体どういう事なのか、
説明してもらえるかしら?」
あからさまな詰問口調で、少女はルイズ達に詰め寄り、ルーンが刻まれた左手を突きつける。
「あなたねえ……「お止しなさい、ミス・ヴァリエール」
“ご主人様”に対し不遜な態度の少女を咎めようとするルイズを制し、
「宜しいでしょう。しかし、ここでは落ち着いて話も出来ますまい……ミス・ヴァリエール、本日は特別に
この後の授業を免除します。彼女を学院に案内し、この学院や、使い魔のことについて教えてさしあげ
なさい」
コルベールは二人に促した。
不承不承、ルイズはコルベールに従う。
「わかりました、ミスタ・コルベール……っと、その前に……」
あらためて少女を一瞥し、ルイズはマントを脱いで彼女に押し付けた。
「なにかしら?」
「あなたねぇ、そんな格好で学院内を歩き回るつもり?取り敢えずは、これで隠しときなさいよ」
自分の体を見下ろした少女は、
「必要ないわ。見られて恥ずかしい体してないもの」
にべも無くルイズの提案を拒否したが、
「あなたが恥ずかしくなくても、こっちが気にするのよ!」
ルイズの剣幕にあきれたのか、渋々とマントを受け取り、
「面倒ね……まあ、これはこれで、チラリズムがマニアックかも」
ニヤリと笑みを浮かべた。
「あのねぇ……あっ」
少女との会話に脱力しかけていたルイズは、肝心な事を訊ね忘れていたのに気付く。
「そう言えばまだ、名前を聞いていなかったわよね。私はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・
ド・ラ・ヴァリエール。あなたは?」
マントを羽織りながら、少女は暫し思案し、答えた。
「…………蛇刳(ジャクリ)」
零の謳姫 第一話 了
――幕間――
ルイズと少女―ジャクリ―の遣り取りが一段落したのを確認し、コルベールは、先程ルーンをスケッチした
メモに目を落とす。
彼女に刻まれたルーンは“二つ”。
片方のルーンは、実物は初めてだが、ルーン自体は図書館の蔵書で見たような覚えがある。
そしてもう片方のルーン。
円弧と放射状の線、それに水平線と鉛直線を組み合わせた、波紋を図案化したような文様の連なり。
こんなルーンは20年の教師生活で、文献ですら見たことが無かった。
いや、そもそも“一体”の使い魔に複数のルーンが刻まれる事自体ありえない筈だ。
(……ミス・ヴァリエールが召喚した彼女は、本当に“ただの平民”なのでしょうか……)
ルーンをスケッチすると同時に、念の為にかけた『ディテクト・マジック』は、――彼女の下腹部に、ルーン
とは別に紋章の様な形の痣が存在するのを感知はしたが、――明らかにジャクリが“平民”であると示して
いたと言うのに。
コルベールは、そんな不安をどうしても拭い去ることが出来なかった。
――もしコルベールがスケッチをジャクリに見せていたなら、彼女はそこに、ある言葉を見出していたに
違いない――もっとも、ルーンを自らの目で見て尚、その事実を口にしなかった彼女が、コルベールに
それを伝えることはしなかっただろうが。
その言葉は、彼女を彼女たらしめるもの。
その言葉は、彼女の本質。
その言葉は――
MULE_TEIWAZ_ARTONELICO
投下終了。
というわけで、ムスメ調合RPG『アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩』から、ジャクリを召喚。
不定期投下になると思いますが、ゼロ魔一巻目分までは書き続けていきたい所存。
536 :
514:2008/02/03(日) 23:58:38 ID:nWKn/Ksb
投下お疲れ様でしたー
と続けて投下だとあれなのでやっぱり20分後に投下しますですよ
投下乙
まだ最初なんでこれからに期待
そして支援
母さんがキターッ!?
乙ですた〜。
乙です
アルトネリコやってみたいけどディスガイア3に時間をすべて取られてるしな〜
乙です!!
とうとう出たか、全裸ロリ元ラスボス母さんw
塔の設定とかヒュムノスとか細かい設定がどうなるか気になるけど、
楽しみにさせてもらうぜ!
乙です
>>539 アレ? 俺書き込んだっけかな?
予告通り、今から投下しますー
口付けは、長くて短かった。ルイズが感じたのは柔らかく、暖かい感触。
――吸血鬼だって言うから、もっと冷たいと思っていたのに。
意外なくらい温もりに溢れていて、瑞々しかった。少し、羨ましくなる。
実を言えばルイズ自身も負けてはいないのだが、そこは隣の芝生は青く見えるという物。
どちらともなく唇が離れていく時に、不覚にも、もう少し――などと思ってしまったほどだ。
契約の口付けが、終わる。
周囲はまた、沈黙に包まれていた。
吸血鬼と言う危険な存在が、こうも簡単に人間との契約を結んだ事への驚きに。
何か裏があるのではないか、と思っている者も少なからず居る。
それだから、フィオナが左手を掲げた時に一瞬空気が硬化したのも無理はないだろう。
心配性な何人かは、振り下ろされた左手がルイズを叩き潰すのではないかと思ってしまったほどだ。
見てみれば、そんな事は到底出来そうにない、たおやかな腕だったと言うのに。
その左手に、淡い光が走って紋様を描いていく。使い魔のルーンだ。
それを興味深そうに眺めながら、フィオナは我が左手にそれが刻まれていく熱さを享受していた。
「なるほど、これが使い魔の契約と言う物ですか」
己の左手に紋が刻まれる事など、何程の事でもなさそうな様子で零された言葉。
神経質な女性ならば己の肌に刺青でも刻まれようものなら、怒り狂うかもしれない。
自分も、知らぬ間にそんな事になれば気に入らないとは思うだろう。
しかし、彼女が私を使い魔にすることを望み、自分は使い魔になる事を受け入れた。
その結果としてルーンが刻まれるのならば、それは致し方ない事だ。
それよりもこの感じた事のない感覚と、我が身に刻まれる紋様の意味を知りたかった。
自分の精神を縛るような効果があるとしたら、不愉快極まりない事だ。
今の所、意味知覚にその様な効果は捉えられていないが、用心するに越した事はない。
「ミス・フィオナ。少々、宜しいですか?」
そう考えていた所に、言葉が掛けられた。ゆっくりと振り向けば、表情を強張らせた中年の男性の姿がある。
「……ミスタ・コルベール?」
怪訝そうな己の契約者の声。
契約をしたから安心だと思っているのだろうか、フィオナはその声に混ざった幾許かの安堵を感じ取った。
だが、目の前の男性はまだ安心できない、とそう思っている。成る程、自分は吸血鬼である。最もな事だ。
フィオナはルイズに手だけで少しだけ待っていて欲しい、と示し、艶然と微笑んだ。
支援
……支援だ
支援
未だ杖を構えたまま、コルベールは『それ』と対峙していた。
吸血鬼は強力な力を持った、狡猾な妖魔だ。それが人間との契約に応じたという話は、今までに聞いた事がない。
あくまで可能性の話だが、その力を以てコントラクト・サーヴァントに抵抗しているかもしれない。
見せ掛けのルーンによって安心感を与え、学院に侵入して内部より破滅させていく――最悪の光景が、脳裏に
映し出されている。契約を止めさせるべきだった、と、驚きで決断の遅れた自らを、コルベールは悔いた。
「信用出来ませんか?」
「……出来ませんな」
目の前の”それ”から微笑と共に投げ掛けられる問いに、短く答える。
それですらも隙を作る要因に思えるのだから、今の自分の緊張は並大抵の物ではないのだろう。
吸血鬼は、取り付く島もない返事を予想していたと言うように、微笑を崩さない。
その唇が微かに動いた時、己の教え子が自分と吸血鬼の間に飛び込んで来ていた。
「ミスタ・コルベール!使い魔との契約は神聖な儀式だと教えてくれたじゃありませんか!例外は認められないと、
それだけ神聖な儀式なんだと!彼女は、もう私の使い魔です!何かあったら私が責任を取ります!だから――」
生徒の必死な様子の理由が、コルベールにはしっかりと理解できる。
魔法を成功させた事のないルイズの初めての成功の証、それが目の前に居る使い魔なのだ。
それがなくなってしまうかも知れない。失敗だったと言う烙印を押されてしまうかもしれない。
強大な使い魔という一筋の光明に、ルイズは縋っているのだろう。
尚も必死に言い募ろうとする彼女をそっと押し留め、コルベールは考える。
確かに、彼女の言う通りだ。春の使い魔召喚の儀式は、それだけ大切な物だと自分は教えた。
使い魔のルーンは刻まれている。その様子は、しっかりとこの目で確認した。
――そこでコルベールは一つの魔法を思い出した。
ディテクト・マジック――探査の魔法なら、使い魔のルーンの真偽を確かめられるのでは?
「ミス・ヴァリエール、後少しだけ、時間を貰えるかな?」
支援
結果だけ言おう。コルベールの提案と説明を、フィオナはあっさりと受け入れた。
ディテクト・マジックの結果、使い魔のルーンは真であると判断され、ルイズはフィオナを正式に使い魔とする事とあいなった。
ルーンを刻まれた使い魔は、主に対して幾分か従順となる。保証書としては寂しいが、それはこの決断をコルベールにさせた要因の
一つなのは間違いがない。何はともあれ、当面の問題は去ったと言える。
イレギュラーな事態はあったが、春の使い魔召喚の儀式は何とか無事に終わったのだ。
その事に、コルベールは人知れず安堵の息を吐いた。
緊迫した雰囲気に萎縮していた生徒たちも、段々と普段の雰囲気を取り戻してきている。
「さて皆、教室に戻ろうか」
そして、儀式の終了を告げるこの言葉で、トリステイン魔法学園においてはお馴染みとなった光景が繰り返される事となる。
詰まる所が、『魔法を使用できる生徒たちがルイズを馬鹿にするという一連の流れだ。
コルベールに追従し、空を去っていく生徒たちを見送って――もとい、睨みつけてからルイズは一つ溜息を吐いた。
自分の使い魔は、今の光景を見てどう思っただろうか。ただでさえ、吸血鬼と言う強大な力を持った相手だ。自分が彼女の主である、
と言う事に疑問や失望を抱いてしまったりはしないだろうか。
希望と絶望は表裏一体。抱いた希望が大きいほど、やってくる絶望もまた大きい。
ゼロと呼ばれる彼女にとって、隣にいる自分の使い魔は、大きな光明だった。
使い魔との契約が成功した。それは魔法が使えた、と言う事の確かな証明。
それも、相手は強い力を持っているであろう吸血鬼だ。メイジの力量を見るには、使い魔を見ろと言う。彼女の存在こそが、
自分の秘めた力を示してくれていると、そう思えるから。
だからこそ、不安も大きい。使い魔が抱いた自分への想い、それへの不安は心を鈍く疼かせる。
「とりあえず、私の部屋に連れて行くわ。その後は、部屋で待っていて」
「ええ、分かりました」
その不安が声に乗っているのが、自分でも分かった。高まる不安。答えが返ってくるまでの時間が、酷く長く感じられる。
そんな、ルイズの耳に届けられたのは涼やかな声。暗い何かを含んではいない。安堵が、心に満ちていく。
―――大丈夫、私は失望されてない。
そう思ったからだろうか。何処となく嬉しそうにルイズは歩を進めていく。
そんな己の主を、付き従うフィオナの紅の瞳が、興味深そうに見詰めていた。
ゴッドハンドだとジーン以外でも大体の主要キャラはネタにつかえるかも
でもエルヴィスだと人が主食だし
シャノンの場合だと最初の初キス時に多分ルイズの貞操が5割強ヤバイ
あとギーシュとフーケとワルドに毒チワワフラグが
支援
途中で名前が抜けやがりましたが、短く投下終了です。
禿が教室戻ろうって言ってるのにルイズと使い魔ったら部屋に直帰なので、
その辺り書いてみようと思ったら、先が思いつかなくなったとです。
こんな漢字でノロノロ書いておりますが、宜しくお願いします。
乙ー。けど出来ればもう少し、もう少しだけ長く読みたい俺が居るんだ。
遅レスですが蛇さんGJです。
ベケットさんの名前と台詞に吹いたwww
AWACS≪警告、アンノウン急速接近中 ブレイク!!ブレイク!!≫
乙です
俺ももうちょっと見たかった
それと
>>485のやつが既に理想郷にあったww早っw
>>555 まったく期待してなかったら、なんか面白くなるかもだったぜ
五分後くらいに投下しまーす
フレアを渡しつつ支援準備
| /| /| ./| ,イ ./ l /l ト,.|
|_≦三三≧x'| / :| / ! ./ ,∠二l |. || ■ ■■ ■
|.,≧厂 `>〒寸k j / }/,z≦三≧ |. | リ ■ ■■■■■ ■■ ■■■■ ■ ■ ■ ■
/ヘ { /{ 〉マム / ,≦シ、 }仄 .j. ./ ■ ■ ■ ■ ■ ■
. V八 {l \/ : :}八 / ,イ /: :} ノ :| /| / ■ ■ ■ ■ ■
V \ V: : : : : :リ \ ./ .トイ: :/ ノ/ .}/ ■ ■ ■ ■ ■
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V \ヽ\ヽ\ ヽ \ヽ\ | \. ■ ■ ■ ■ ■
\ , イ▽` ‐- __ 人 \ ■■ ■■ ■ ■■
:∧ ∨ ∨ / ハ
::::∧ ヘ, / , イハ |
::::::∧. ミ≧ 、 ,∠, イ: : : : :.', |
::::::::::} 了`>ァ-‐ ´ } : : : : : : : : ', |
:::::::/ | ∨/\ / : : : : : : : : : } |
:::::/ レ'7 ̄{`ヽ. V/ : : : : : : : : : / .|
::/ / / V∧/: : : : : : : : : : / /
パスの書き換えを行いつつ支援
タバサがその事実に思い至ったのは、結局意味があったのかなかったのか分からない軍議が終わり、それぞれに別れてしばらくのことだった。
内容としては単純明快。
アムルタートは富嶽を知っているか、の一事である。
聞く機会は幾度と無くあったのに、その都度違うことに意識が向けられ聞きそびれてしまっていた。
もし富嶽とアムルタートが関わりがあるのであれば、もしかすると富嶽の人々もアポルオンへの情報を持っているかもしれない。
運が良ければ手を貸してもらうこともできるだろう。
それ故に、別れたばかりのイルルヤンカシュとハイゼンガーを追ったのではあるが。
一夜明け、将は将で交流を深めている間に兵も兵でうち解けはじめていたらしい人と竜の混雑が原因で、二人がどこへ行ったのか皆目分からなくなってしまっていた。
何も聞けるのが二人だけ、というわけではないが、竜人兵の言動には今ひとつ不安が残る。
少なくとも龍将とか言ったあの数人なら確実に、と脚を杖を片手に探し歩く。
人型、中間、龍型と、多岐にわたる容貌のアムルタートが存在する事実に不思議な感慨を抱きつつ、見知った顔を探す。
アジ・ダハーカは真っ赤な上に首が二つに大柄で、ハイゼンガーは完全な人型の上に青い鎧だ。少なくともどちらかは目立っても良いだろう。
いるるんは小柄だから埋没してしまってもおかしくはない。
どこにいるのだろう、と周囲を見回していると、聞き慣れた声が聞こえた。
「おねーさまー」
声のした方に振り向くと、怪物が少女に絡んでいた。
より正確に言えば、少女の姿をした竜に怪物のような竜が酒を飲みながら絡んでいた。
シルフィードと、それから、確か龍将の一人だ。
ラハブ、という名前を記憶から掘り出して、タバサは二人に近付いた。
「部下が『え、ラハブ様? なんか女々しいよね』って言ってるのを聞いてしまった時の気持ちがあなたにわかりますかぁー」
そもそもその発言が女々しいのではないだろうか、とタバサは思った。
泣き上戸なのかなんなのか、杯を干すラハブはそのままに愚痴を口にしている。
隣に座るシルフィードは大変なのねー、と分かっているのか分かっていないのかよく分からない相槌を打っていた。
「もちろんその部下は訓練と称して痛めつけたあと上官を怯懦と罵った咎で告発しておきましたがぁ」
大きな口で器用に杯の酒を飲み干してはぷっはーと息を吐く。
自慢にもならないようなことを言うその姿は、どこか哀愁にまみれていた。
とりあえず、タバサは肉料理を前に上機嫌なシルフィードの隣に座る。
探していた相手ではないが、十分に意思の疎通は出来そうだ。
とりあえず愚痴を言い終わるまで待とう。
「そもそもですねぇー、わたしは怯懦とか女々しいのではなく頭脳労働担当なだけでアポルオンの相手をするよりも誰かをサポートした方が良いと考えてですねぇー」
自己正当化の言動か、はたまた誰かに慰めて欲しいのか。
とりあえずは酒の力を借りて普段たまった鬱憤を吐き出しているらしい龍将は、シルフィードが聞いているのかいないのかも構わずタバサが訪れたことにも気付かず言葉を続ける。
「だいたいねぇー、パワー馬鹿が多すぎるんですよぉ。罠があったら踏みつぶせ、策を弄されれば力尽くで乗り越えろって無理がありすぎですよぉー」
それは確かに凄い、とタバサは頷いた。
それを実際に言いそうなのがアムルタートの更に凄いところだろう。
いつのまにか目尻に浮かんでいた涙を大きな指でちょんと拭い、ラハブは大きく息を吐く。
そして現実を受け入れたくないと言うように首を大きく振りたくり、ああと額に手を当てた。
「策略の深遠さを理解できるのは人間ばかりですかぁ。私も人間が好きなわけじゃないですがそれは評価しますよぉ」
ねぇ、とシルフィードに問いかける。
「でもね、ハイゼンガーもすっごい自分勝手でねぇー、作戦立てるのは良いんですがちゃんと他の部隊とすりあわせをしてもらわないとぉー」
話が飛んだ。
愚痴っているうちに更に愚痴が湧いてくるタイプのようだ。
愚痴が長くなりそうだ。
どうせ気付かないだろうが、一度座ったうえでその席を立つというのは気が進まない。
タバサは、この椅子に座ったことを後悔した。
ラハブに涙を禁じえない支援
「おやぁー、冥龍皇様の連れていた方じゃないですかぁ」
ラハブがタバサに気付いたのは、タバサが椅子に座って十五分ほど立ってからのことだった。
大きな目をぎょろりと動かしてタバサを眺めている。
相変わらず料理を頬張っているシルフィードを尻目に一礼して、口を開く。
「少し、良い?」
「なんですかぁー?」
ぐあー、と口が開き酒気を帯びた吐息がタバサの顔に吹き付ける。
眼鏡が曇る。
肉食生物特有の生臭さに、タバサはほんのわずかだけ眉をひそめた。
「聞きたいことがある」
その言葉を口にした途端、ラハブは大きいその目にうるうると涙を浮かべはじめた。
ああ、と呟いて拳を机に叩きつける。
「あの人間受けの良いハイゼンガーでも武勇の誉れのアジ・ダハーカでもなく私を頼ってくれるなんて貴方が人間でももうなんでも答えさせていただきますよぉ」
どうやら相当疲れているらしい。
元々そのつもりであったわけではない、という事実がほんの少し居心地悪くさせる。
とは言え罪悪感を感じても仕方がない。
表情は平静なまま、用件を口にする。
「富嶽と言うのを、知ってる?」
「えぇー、知っています、知っていますよぉー」
上機嫌のラハブは自分がそれを知っていたことが嬉しいと言うように知っていますと何度も繰り返す。
まだ何かありますか? という期待がその目に込められている。
とりあえず、これで一つ情報を得る道が出来た。学院まで帰れば話を聞くことはできるだろう。
それにしても不思議なのは彼らが元いた世界だ。
富嶽人の戦闘能力やアムルタートの性向を考えるに、相当殺伐とした世界なのではないだろうか。
あの恐怖のメタロードと言う存在も同じ世界にいたらしい。
一度見てみたいものだ。
とは言え、そこで毎日冒険行を繰り返すのはお断りだが。
いつまでたっても次の問い掛けが来ないせいか、ラハブははぁーと大きく溜息を吐いて目を閉じた。
「富嶽はねぇー、色々面白い魔剣がそろってましてねぇー。物干し竿とかいいですよねぇー」
魔剣の話から何故洗濯の話になるのだろう、と思いながら、タバサはこくりと頷いた。
「そういえば何故富嶽のことをぉ? 誰かに聞いたんですかぁー?」
ようやくそこに疑問を持ったらしいラハブが、首を傾げながら聞く。
教えても良い物だろうかと一瞬躊躇したが、どうせそのうち知ることである。
それは、とタバサは口を開いた。
「いるから」
「いる? というとぉ?」
「この世界に。会った」
ああなるほどぉと言って、ラハブは自分の顔を撫でる。
相当に酔いが回っているらしく、視線はだんだんと胡乱なものとなり、タバサを見ているのかも分からない。
そろそろ潮時か、と考えて、タバサはシルフィードの袖を引いた。
「調べ物に行く」
「きゅい、まだ食べ終わってないのね」
「後で食べれば良い」
きゅいー、と悲しげな声を上げて、シルフィードは渋々とタバサについて席を立った。
シルフィードは名残惜しげに何度かテーブルの上にならべられた料理へと視線を向けながら、タバサはこれと言って後に残すものは無いというように離れていく。
テーブルには、幸せそうな寝顔で突っ伏すラハブだけが残された。
「あれでよろしかったのですか?」
ハイゼンガーの言葉を背に受けて、イルルヤンカシュはうむと頷いた。
あれ、とは先ほどのジョゼフとタバサに向けた説明の事だろう。
確かに、イルルヤンカシュはあえてアポルオンのなんたるかを説明しなかった。
太陽の力を持つという事実も、それは多くに秘せられた秘密ではあるがあくまで表層だ。
それよりも深奥、それが何故生み出され何故太陽の力を帯び何故黄泉還りを取り込むのかという事実は、告げてはいない。
それが持つ『死』の力も、最初に彼らが言い当てた入り口という言葉がある意味では当を得ていたという事実も。
その多くの事実を、イルルヤンカシュは伏せたまま終わらせた。
無論、この世界の人間が造物主を知らぬという理由もあろう。
オリジンでもそれは変わらなかった。大多数の人間は造物主を知らずただの御伽噺だと思っている。
そんな人々にアポルオンはただの脅威ではないのだと語ったところで何になる。
造物主を知らねば当然神々と造物主の大戦など知るはずもなく、そこにあったいくつもの決断を知ったところで意味はない。
それになにより、それらを語るということは。
「姉上のことまで教えることになろう。そこまでする必要はないじゃろう?」
姉上。他の真龍の誰よりもイルルヤンカシュに近しい姉。
この世界にはその霊は無く、ただ肉体が存在するのみだ。
だから、それを知らせる必要はない。
問いと言うよりは、そうであるなという確認。
その言葉に、ハイゼンガーは頷いた。
それを見て、イルルヤンカシュは僅かに頬をつり上げる。
常の快活な笑いでもなく龍の女王らしい酷薄な笑みでもない、僅かに陰鬱な陰の入り交じった笑みだ。
「よもや姉上とはな」
「それもまた、破滅の瞳の陰謀かと」
うむ、と答えてイルルヤンカシュは瞳を閉ざす。
アムルタートがこの世界に足を向けた理由の一つ、真龍の気配は間違いなくグリシーナの陰謀によるものだろう。
その陰謀がどういった理由で起こされたものかは分からない。
だが、それに対処する道は決まっている。
どんな陰謀があろうとも――
「全力を挙げて叩き伏せよ」
陰謀の上に胡座をかいてアムルタートを笑おうと言うのなら。
その陰謀ごと踏みつぶすまでだ。
あぁ……やっぱ例のキャンペーン後なのね。うっかり殺っちゃう所だったよいるるん支援
これはどういうことだ、とジョゼフは目を細めた。
彼の前にはアポルオンが海へ向かった際の順路を書き込んだ地図が置かれている。
ことが起ってすぐの話だ。まだ被害などは明確ではなく、まともな資料など作れるはずがない。
だが、少なくとも順路は変わりはしない確かな情報である。
その順路がおかしいのだ。
地図に、戦場からアポルオンが海中に没した位置まで一直線に線を引く。
アポルオンはその線上をまっすぐに突き進んで――などは、いない。
大きく迂回し何度も蛇行した上で、その最終地点として海岸線に出ている。
『奇跡的にも都市に被害は無いようで――』
伝令の言葉を思い出す。
奇跡的に?
なるほど確かに奇跡的だ。
貿易港とそれによって発展したいくつもの都市を的確に回避し大きな街道を避けた進路はそれが偶然と言うならば奇跡的だろう。
だが、生憎とジョゼフにはそうとは思えない。
イルルヤンカシュに聞いた話を考えれば、逆に人の多い場所を通過する方が自然だ。
なのに、実際はその正反対。
酷い違和感を感じながら、ジョゼフは地図を眺める。
ヒト以外に、何かアポルオンの興味を惹くものがあったというのだろうか。
否。
そんなものがあったとして、あらゆる場所において都市を避ける理由にはなるまい。
よもや誰かがそれを防いだか。
否。
軍勢で掛かってさほどの傷も負わせぬ怪物を追い返すことなど出来ようはずもないし、追い返すような存在に気付かぬ訳がない。
ならばどういうことだ、と自問する。
何が原因で都市はアポルオンの被害から逃れ得たのか。
民が助かった良かった幸運だ、などという考えは無い。
その答えを知ることこそが、アポルオンとの戦いにおいて重要な意味を持つ――かもしれないのだ。
かもしれない。そのような言葉にすがらなければならぬ自分を、ジョゼフは嘲る。
その程度か、お前は。
どうせお前などではアポルオンが倒せる理由もないだろうに。
自らをなぶる己の言葉に牙を剥き、否と答える。
こんなところで諦めていては簒奪者の名が廃る。
アポルオンを打ち倒し、無能王ジョゼフここにありと知らしめるのだ。
取るに足りぬ心中の一人芝居は、同時にジョゼフの意志を固める意味を持つ。
こんなところで終わるわけには行かぬのだ、と呟いて再度地図に目を向ける。
何か図形を描いているのか、とも思ったがそういう分けでもない。
文字を描いているとするならば、ジョゼフには異界の文字は分からぬので意味がない。
とはいえ、そんなことをする智恵がアポルオンにあるものか。
あとでイルルヤンカシュに尋ねておこう、と心に留め置きつつ、ジョゼフはふうと息を吐く。
あえてそこを通らなかったのか。それとも通れなかったのか。
どちらにせよ――その理由を見つけることができれば、それが光明になる。
そう信じて、ジョゼフは思索を続けた。
今回の投下は以上です。
このところの怠惰を打ち破って間は短くなりましたが、変わりに内容も短くなってしまいました。
次はもう少し長く投下したいと思います。
乙ー。
どう見ても肉体だけじゃなくて霊魂も残ってます本当に(以下略
GJ
しかしアムルタートも以前は陰謀渦巻く悪の秘密結社だったような記憶があるんですがそこんとこどーでしょういるるん様
GJ!!
ようやく富嶽関係者再登場のようですね、次回を楽しみにしています。
ラハブもなぜなにのせいか元ネタのギータより随分と丸くなったもんだw夜明けの人GJ−
・・・つーか、このスレTRPG者多いな
KNIGHT−ZEROの続編が早く読みたい!
あれ読んでから、懐かしさのあまりナイトライダーのBGMCDを注文してしまったよ。
野島さんの声でKITTがルイズに語りかける場面をこのところ二晩連続で夢に見る
くらい気になってます(しかし何故か、その夢ではいずれもルイズはターボブースト
でやたらとジャンプを繰り返してた<いくらナイト2000でも大丈夫か、と起きてから
思ったほど)。
テイルズシリーズからなら、どうみても先住魔法です本当にありがとうございましたなクラース……の子孫フレイン・K・レスターを召喚。
世界が違うから契約の指輪はたぶん再契約が必要になるだろう事で序盤のバランスはとれるかな。
ただ、何より一人限定で時空間跳躍可能なマカロンの存在がヤバい。
いつでも帰還できるのはもとより、始祖の祈祷書を使って始祖ブリミルを過去から拉致ってこれる。
剣と魔法のライトファンタジー世界に魔法使い召喚とか発想が貧困。超貧困。
強すぎるからバランス取った云々とか言ってみても結局バランスブレイカー。安っぽい。
どーせなら斜め上に突き抜けてドッヂ弾平キボンとか書いてみろよ。
こんな時間なのですが、投下してもよろしいでしょうか?
こんな時間なのですが、支援をさせて頂きます。
せんせー、支援するでござるよー
ありがとうございます。
書いてみてから、「この時間なら予告だけして投下すれば良いかな」と思って困ってました。
後、前回タイトルで誤字がありました。すみません。以後気をつけます。
では、第2話投下いたします。
支援
第2珠 〜下僕、盛大に勘違いする〜
魔法学院、医務室。
ルーンが刻み終わるまで離れられないというコルベールが、気絶しっぱなしの横島を運んだ場所だ。
「こらっ。いい加減に起きなさい!」
「うぎゃあー!!」
そろそろ夕食の時間だというのに、全然起きる気配が無かった為、ルイズが実力行使に出た。鞭による強烈な一撃を受け、何ともなさけない声が医務室に響く。
「い、痛えー 何でいきなり鞭で叩かれなきゃあかんのだ。俺が何か悪い事したか!」
「ご主人様に向かって口応えしない!! 大体、あんたがいつまでも目を覚まさないのがいけないんでしょ? あんたのせいで、私は午後の授業全部パーにしちゃったんだから、少しは反省しなさい!!」
(まぁ、勘違いとはいえ、騒ぎの原因の一旦は俺にもあるんだよな)
と思い、謝る横島。
「あー。その。何だ。ごめん」
その言葉に、ルイズはピクピクとこめかみをふるわせ、鞭を手で弄びながら言う。
「謝る時は、『ご主人様、申し訳ございませんでした。もう二度としませんから、どうかお許し下さい』でしょ!!」
何かのきっかけで、簡単に爆発しそうな雰囲気のルイズに、思わずベッドから飛び降りて土下座を始める横島。
「ご、ご主人様、申し訳ございませんでした! もう二度としませんから、どうかお許し下さい!!」
(つ、つい条件反射で謝ってしまった。これじゃこれからの俺の立場が決まったようなもんじゃないか…。チクショー 早く文珠たまらねぇかなぁ)
横島の言っている事と思っている事は全く違うのだが、見事な土下座姿を見て悦に入ってるルイズは気づかない。
「分かればいいのよ、分かれば。今回は特別に許してあげるけど、次無礼な態度をとったら、ご飯抜きの刑だからね。覚悟しなさい!」
「ありがたき幸せでございますー」
「何か、わざとらしいわね。あんた、本当は『けっ。いつかそのうち逃げ出してやる。今のうちにせいぜい威張っておけ』とか思ってないでしょうね?」
「そ、そんな、滅相もございません! 一生丁稚でいいっすから、飯抜きだけは勘弁して下さい!」
「そんなの当たり前よ! あんたは下僕だけど、私の使い魔でもあるのよ。あんたが死ぬまで一生こきつかってあげるから覚悟なさい!」
と、一通り騒いだ後。ルイズは本題を切り出した。横島がコルベール達に話した内容を、すでにコルベールから聞きだしたルイズだったが、さっぱり意味が分からなかったのだ。
「それはともかく。コルベール先生が、
『瞬間移動に失敗した、とか何とか言っていましたが… サモン・サーヴァントの影響や、私の勘違いで怖い思いをさせてしまいましたし、おそらく混乱していたのでしょう。
次に目を覚ましたときは落ち着いているでしょうから、その時によく話を聞いておいて下さい』
って言ってたんだけど。あんた、一体何を話したのよ」
横島は、自分でも再確認するように、丁寧にゆっくりとルイズに説明を始める。
【横島がここに現れた経緯について、横島の言い分】
@自分は、霊能力で瞬間移動が出来る能力を持っているが、制御に失敗した結果ここに飛ばされたのだと思っている。
Aどこかにたどり着きそうだと思ったら、光り輝く何かに包まれたような気がした。
B気づいたら、あたりは塵・埃だらけで何も見えなかった。
C事が起きる直前に、壊れかけた装置を持っていたが、とうとうこのとき爆発してしまった。
支援
支援でござる!
「俺がここに来た理由は大体こんな感じかな。後はコルベールさんから『サモン・サーヴァント』や『使い魔』の事についての話があったんだけど…」
「そのあたりはいいわ。それにしても、あんたほんとにそんなホラ話が信じてもらえると思ってるの? あんたが何て言ったって、使い魔のルーンが刻まれてる事実に変わりはないの。いい加減、私の使い魔だっていうことを認めなさい。」
そういうルイズは、全然信じる気配が無い。
「それで、私の使い魔である以上、あんたが何を出来るのか、主人の私は知っておく必要があるわ。瞬間移動とかバカな事言ってないで、本当の事言いなさいよ? まずは、分かりやすそうな所から… とりあえず、あの光る剣を出してみて。」
(こいつが何をどう考えてようが、関係ないか。せいぜい文珠がたまるまでの辛抱だ)
と思った横島は、言われたとおりに霊波刀を作り出す。
「えーと、これの事だよな?」
一瞬、横島の手が光ったと思うとその直後、光輝く長剣が現れる。
一度遠目で見たときは、「何かのマジックアイテム」の線で考えていたため、さすがにこれには驚いた。
「そ、それの事だけど… それ、マジックアイテムの類じゃないわよね?」
「さっきもチラッと言ったけど、これは俺の持ってる霊能の1つ。道具とかは何もいらないな」
(霊能、ねぇ。もしかして先住魔法の事かしら? 平民だと思ってたけど、亜人の一種? 使い魔になってるはずだから、人間じゃないにしても、危なくはないでしょうけど…)
「一応聞いておくけど、あんた、生まれはどこ?」
「日本の東京っていうんだけど… そう言ったって分かんねーよな。何て言ったら分かっかなぁ…」
「ニホン? トーキョー? 聞いた事ないわね」
「そうだよなー ピートの親父の持ってた世界地図なんて『ヨーロッパ』『アフリカ』『アジア』の3つだもんなぁ…」
「は? あんた何言ってるの?」
「いや、だから『ヨーロッパ』『アフリカ』『アジア』しか無いなんだろ、ここの世界って」
「あんたの地方ではこっちの事をそう呼んでるの? ここは『トリスティン』で、他には『ガリア』『ゲルマニア』とかあるけど、『ヨーロッパ』とかそういうのはないわよ?」
ルイズの話を聞いて、どことなく余裕の表情だった横島の顔に焦りの表情が浮かぶ。
「え? あ、あれ? ヨーロッパって昔そんな名前だったっけ? で、でもカオスのじいさんは確か『ヨーロッパの魔王』って呼ばれてたんだよな。ど、どうなってんだ?」
「さっきから何を言ってるのか分からないけど、とりあえず、あんたがここじゃないどこか遠くから呼ばれたっぽい事は分かったわ。その不思議な力があれば、もしかしたら護衛くらい務まるかもね。それっていつでも使える?」
混乱しはじめる横島をよそに、剣の事についての興味がつきなさそうなルイズ。だが、横島はそれどころではなくなってしまった。ルイズの肩を掴んで乱暴に揺らしながら問い詰める。
「お、おい! ここは一体どこなんだ! トリスティン魔法学院って言ってたけど、それってヨーロッパにあるんじゃないのか!?」
「ちょ、ちょっと、何よいきなり!? やめなさい、痛いでしょ!!」
「そんなん知ったことかー 『ここはどこかの異世界です』とかだったら、ボス倒さなくっちゃ元に戻れないんだぞー」
過去に何度も苦労した光景がよみがえる。ゲームしかり、映画しかり。どこかに吸い込まれる度に、そこにいるボスを何とかしなくちゃ帰れなかったのだ。
あの時は、ほとんど美神が何とかしたが、今は横島ただ一人。以前に一人で愛子に吸い込まれた時でさえ、後から美神が助けに来てくれたから帰れたのだ。
「い、い、度胸ね… ファイヤー・ボール!!」
そんな横島の状況など、ルイズにとっては全く関係ない。いつまでも言う事を聞かない事に業を煮やして、ファイヤー・ボールの詠唱を行う。
横島は横島で、「文珠を使って美神を模して、時間移動で帰還する」という計画が崩れさってしまったショックで、口から魂を吐きそうな雰囲気だ。
結局、ルイズの呪文は「横島を黙らせる」という意味において成功した。
「今度無礼な態度を取ったらご飯抜きって言ったわよね!? 私は夕食に行ってくるから、少しそこで反省してなさい!!」
そう言いながら、部屋を出て行くルイズ。残された横島は、食事にありつけなくなってしまった事実に、ただただ、泣くしかないように見えた。
支援
そして、それから1分後。
静かに立ち上がった横島は、こそこそとドアの前まで行き聞き耳を立てる。ほんの少しだけドアを開けて、外の様子をうかがう。誰もいない事を確認して。
「だーはっはっはっは。ちょっとさっきは混乱したが、ゲームか映画かの世界に吸い込まれたって事なら、放っておいてもそのうちボスとご対面〜 だろ。
このGS横島忠夫の手にかかれば、こんな事せにゃならん雑魚妖怪なんか目じゃないわー。
そうと決まればまずは腹ごしらえだな。どうせ貴族なんてのんびり食後のお茶の時間とかもあるんだろ。それまでに戻ってくればいいんだ、ちょろいちょろい」
横島には、反省のかけらも見当たらなかった。
そして夕食の時間もとっくに終わり、ルイズ自室にて。
横島は、ロープでぐるぐる巻きにされて床に転がされていた。
食堂で残飯をもらおうとうろちょろしていたところを、あっさりルイズに見つかったのだ。
「かんにんや〜 腹が減って死にそうだったんや〜」
「言い訳しない! ご主人様がダメって言ったら、あんたがどう思おうとダメなの。下僕扱いしたのがそもそも間違いだったわ。言ってもわかんないんじゃ、下僕以下よ。あんたは犬扱いでちょうど良いくらいだわ。」
「ほんとすんませんでした!! もう十分反省したから、鞭はやめてー」
「だめね。ここで甘やかすとろくな事にならないわ。覚悟はいい?」
「全然良くないー ヘルプー」
「問答無用!!」
「1つ!!」「はぎゃー」
「2つ!!」「みぎゃー」
「3つ!!」「むぎゃー」
「4つ!!」「あぎゃー」
10分ほど、鞭で叩かれる音と、横島の叫び声がひびく。
「はぁ、はぁ、はぁ。と、とりあえず、これくらいで勘弁してあげるわ。今日のところはもう寝るから、明日の朝、皆が起きる頃に起こして頂戴。あ、そうそう。分かってると思うけど、あんたの寝床なんてないから。屋根があるだけマシと思いなさい」
「うぅ。あんなに叩くなんて、くせになったらどうするつもりや」
何か不穏当な事を言われたような気もするが、意図的に無視して着替えを始めるルイズ。ブラウスやらスカートやらを横島へ投げて、
「それと、これの洗濯もしておくこと。授業が始まるまでにやっておけばいいけど、朝食の時までに終わってなかったらご飯抜きだから。じゃあお休み。」
ベッドに横になったルイズが合図をするとランプが消える。
(はぁ。これが美神さんのだったら、洗濯でも何でも喜んでやるのになー。美神さん、おキヌちゃん、シロにタマモ… 必ず俺は、元の世界に帰るからなー)
そう思いながら、横島も眠りについたのだった。
翌日。
魔法学院での朝食の時間もそろそろ、という頃。
昨日の騒動の為、いつもより疲れていたルイズは、未だに眠っていた。
起こすように、と命令されている横島も、未だ夢の中。
「ルイズ、起きてるー? そろそろいかないと、朝食に遅れるわよ?」
そんな二人の目覚まし時計になったのは、ドアの外から聞こえるキュルケの声だった。
「う〜ん。今おきる〜」
寝ぼけ声で答えるルイズ、そして怒声。
支援
「って、えー 何、もうこんな時間なの!! この寝ボスケ、どうして起こして… って、ご主人様が起きたんだから、あんたもさっさと起きなさい!! 一体何様のつもり!!」
「あ、あんなに疲れてたのに、目覚ましもないんじゃ起きれるわけがあるかー!!」
「それに、朝食までに洗濯すませて無かったらご飯抜きって言ったわよね! どうやら本当にご飯抜きにされたいみたいね!!」
「どうせ起きてたって、こんなぐるぐる巻きの状態で洗濯なんか出来るかー!!」
「うるさい、うるさい、うるさいー 起こさなかったのは事実なんだから、あんた朝食抜き! 授業までに戻ってこなかったら、昼食も抜きにするからね!!」
使い魔自慢をしようと思っていたキュルケだったが、今扉を開けてこの騒動に巻き込まれるのは馬鹿らしいわね、と思いなおしたようだ。
「ルイズ、先に行ってるわよ? 後でゆっくり私の使い魔見せてあげるから、楽しみにしててねー」
使い魔の不手際に対して怒鳴るルイズの声と、それにただひたすら謝るだけの男の声を聞きながら、キュルケは彼女の使い魔であるサラマンダー、フレイムを連れて朝食へ向ったのだった。
それから5分後。洗濯籠を持った横島が、とぼとぼと寮の外を歩いている。
「は、腹減ったなぁ… 霊力もフルに使ったのにこれじゃあ、この先持たないぞ…
お! この草、何か齧った後があるぞ。こ、これなら食っても死なん…よな?」
そう少し涎をたらしながら、庭の端っこの方に生えていた草を摘み始めたところ、
「あ、あのう。すみません、どちら様でしょうか? ここはトリスティン魔法学院と言って、関係者以外は立ち入り禁止となっているのですけれども…」
後ろから、若い女の子の声で話しかけられた。その声に、ビクッと身体を震わし、ゆっくりと振り向きながら
「あ、怪しいものじゃないっすよ! ちょっとこの草食べられな… じゃなくて」
声をかけてきた女の子が、巷では「メイド」と呼ばれる格好をした、日本人っぽい顔立ちの可愛い子である事を確認した横島は、稀に見せるシリアス顔で自己紹介を始める。
「初めまして、可愛いお嬢さん。僕は横島忠夫といいます。本当はGSなんですけど、故あって今はミス・ヴァリエールの使い魔なんてものをやっております。
ここで会ったのも何かの縁。ささ、ちょうどそこに、座って休むにぴったりの木陰もありますし、僕と愛の語らいをしませんか?」
そうは言うものの、横島の格好はルイズの躾でボロボロになったかなり変わった服である。さらに、左手には女物の衣服が入った洗濯籠、右手にはどこからどうみてのただの雑草が握られている。はっきりいって、あんまり関わり合いになりたい手合いではない。
「み、ミス・ヴァリエールの使い魔さんですか?」
(人間の使い魔さんって聞いた事ないですけど、やっぱり使い魔になるような人はちょっと変わってるんですね)
いくら変人だとは言え、貴族の使い魔だというのであれば無下に扱うわけにもいかない。洗濯籠の中身がまだ未洗濯であることを確認すると、
「え、えーと… あ、もしかして洗濯場をお探しですか? それでしたら、ご案内するくらいならば出来ますが…」
と言葉を繋ぐ。その言葉に、
(お、もしかして脈有り? やっぱゲームならこういう展開ないと嘘だよなー)
と一人勝手に納得している男。
「あ、そうそう。そうなんだよ。ちょっとこの洗濯物頼まれちゃってね。頼れる男って辛いねー」
「そ、そうなんですかー」
乾いた笑いで答えるメイド。こんな場面を他の人に見られたら… と思うと、自然と足も速くなる。そうこうしているうちに洗濯場に到着し…
「この前までいた所なんてね、もうすごかったんだから。」
「あ、ここが洗濯場になります。えーと、ここにある物は自由に使っていただいて構いません。後… い、一応何か他に分からない事とかあります?」
「あ、ここがそうなんだ。ありがとう、助かったよ。そういえば君の名前まだ聞いてなかったよね。何ていうの?」
「ど、どうやら特にないみたいですね。私はお仕事がありますのでこれで」
そういって、わき目も降らずに駆け出して言ってしまうメイドの女の子を見て
(初々しくてかわいいなー ああいう子がいるんだったら、ここの生活も少しはいいかな?)
と、腹が減っている事も忘れて、メイドが立ち去っていった方向をしばらく見続けていた横島だった。
支援
今回は、ここまでとなります。
支援ありがとうございました。
投稿してみてわかりましたが、ちょっと読みにくいですね…
次回以降は、もう少し頻繁に改行するようにします。
拙者は、読みやすかったでござるよ
お疲れ様でした
otu
横島は普通に下僕属性だね…。
面白かったッス GJ
次回を楽しみにしてます。
終わりのクロニクルの、軍神パパこと鹿島・昭緒は
何気にガンダールヴ能力の持ち主だなぁ、と気づいた。
書こうかと思ったが、俺TUEEEEEじゃ済まない強さなのでやめた。
あの人動画推奨だから電池切れたらかなりやばいんじゃないかなw
なにせ大事な説明中に娘の動画をみんなに見せたりする人だしww
おつでしたー
なんというか、横島ならいいか、と考えてしまうw
横島相手なら初期ルイズも理不尽に見えないわw
鞭に霊力乗ってないもんなw
美神さんの折檻に比べたら、鞭ぐらいちっちゃいちっちゃいw
キュルケ相手に「ぼかぁもう!」をヤルのが今から楽しみだ。
文珠で「解」「呪」か「解」「毒」の文字を入れればタバママも・・・。ゴクリ・・・
そしてタバサルートに突入してめくりめくるロリコンロードへ!?
いっそのこと「解」「脱」を使う
一番マズイのは「豊」「胸」ができるってルイズにばれたらだろ。
「育」「毛」でコッパゲ歓喜
>>603 その場合、文珠の効果が切れてぺったんこになった瞬間が地獄だなー
文珠の効果は基本的に発動している間だけの物だが、起こされた現象によっては大丈夫かもしれない。
大体『癒』の効果が切れて傷が戻る、なんて無いわけですから。
……それでも『豊』『胸』と『育』『毛』は宇宙意思によって無かった事にされそうだ。
>『豊』『胸』と『育』『毛』
毎日少しずつ「有るべき姿」に戻っていく様子に恐怖する二人…
ホラーだな……
原作の横島は、基本的に一文字、同期合体の時の二文字、血清を取りにきたときの16文字の使用が可能。
ただしこの横島は『使い魔補正』がかかるから、シリアスシーンで何処までいけるか……ですね。シリアスになると霊能者として役立たずになるわけですし。
>>608 朝目覚めると髪が一摘み抜けているコルベール
授業中に「フサッ」とまた一房落ちる髪の毛
「ウワァァァァァ!」と叫ぶコルベール
朝目覚めると胸が1サイズ縮んでいるルイズ
そしてある時胸に挟んでいた杖が「ストン」と落ちる
「アああアァァぁぁ…」と絶句するルイズ
こうですか?判りません!
ルイズに「大」「人」もしくは「成」「長」の文珠を使用すれば肉体的に…
ダメだ…これじゃまな板は改善されないか
ところでもう書いてあったかもしれないけどこの横島は
アシュタロスとの大戦の後の横島って設定と考えておk?
>>601 どうも勘違いされがちだが文殊は毒や病気の治療はできないぞ。
べスパの霊毒は治療できなかったし、十数文字扱える未来の横島ですら
血清つくる以外どうしようもなかったから過去に戻ったわけだしな
まあ要するにだ。
ルイズのおっぱいが貧乳か虚乳のどちらかってことだろ。
虚乳というか…無乳だな
あわせて、虚無か
>614
カタカナで書くと「ムニュウ」
なんかよさげな響きだぞ
何のネタだったか忘れたが『血の繋がった妹など、妹ではない』というのがあった気がする。
胸の大きいルイズなど、ルイズではないと声を上げて叫ぶハルケギニア全住民の姿が幻視できた。
そういうこと言うのは、多分「天国に涙はいらない」
……アブデルで書きたくなってきたのは俺だけでしょうか
キュルケとアンアンをガン無視し、シエスタの成長に嘆き
ルイズとタバサをこよなく愛する天使を……
公式設定で計算するとCカップもあるというのに、なんと不憫な子…
>>612 怪我も治せるし消滅寸前の妖怪を蘇生させたりもできる。
コンクリートの分子構造を変化させるなんてこともできる。
毒や病気の治療が出来んってのは無理があるだろ。
単純に相手の毒の方が強くて効果が出ないとかならあるだろうけど。
未来横島?
あれは知らんw
>612
毒の現物があれば、出来ない事は無いんじゃないかといってみる。
でも、何も無い状態からの『解』『毒』は多分無理だと思う。
横島は水の精霊よりは弱いだろうからタバサママンは無理だと思う。
もしくは毒そのものの構造を換えるとか…
まぁ文珠になんて入れればいいか想像つかんが
場合によっては「免」「疫」もしくは「抗」「体」でなんとか
字数を稼げばいけるんじゃね
思いつかないけど
>>622 それでも…
それでもガンダールヴ+対極文珠ならなんとかしてくれるはず
まぁ、ガンダールヴ効果の付加で対極文珠作れるかどうかわからんが
というか文珠をガンダールヴのルーンが武器と判断すれば効果上がるんじゃね
そもそも原作の横島は基本的に一文字だ。
二文字以上を当たり前に使われると違和感。
>シリアスになると霊能者として役立たずになるわけですし
その辺り曖昧なんだよね、あの漫画。いや、大好きなんだけどさ。
曖昧だから、色んな解釈が出来て議論になる。
ルイズやコルベはともかく、タバママがどうのこうの言ってもしょうがないだろ。
書き手がそもそもアニメしか知らんと公言してるんだから。
これ以上やるならどっか行った方がよくね?
>>627 シリアスに混ぜるのはどうかと思うが、肉欲煩悩以外でも霊力発揮はしてるよな。
ミニ4駆の話とか。
そういえばアニメ版しか見てなかったんだっけな
惜しいな…友人なら全巻一気に原作貸すんだが…
アニメ版ってことはほとんどティファのキャラもわからんってことか
まぁ、ティファと横島が対面したらR18展開に行く可能性があるからなwwwwww
>>628 例えを出すと他にもある。あーそっか、ミニ四区の時もそうか。
男前モードになるって事は、かなりピンチの時だし、
そんな事態にならないこした事はないよね、うん。
これ以上は、議論スレかな?
誤植した。
「事態にならないに」脳内変換を頼む!m(_ _)m
>>629 いや、
テファを見るなり「生まれる前から好きでしたー!」とか叫びながら飛び掛る
叫ぶ台詞は「ちちしりふとももー!」でも可
↓
ルイズに爆発で吹き飛ばされるか、フーケのゴーレムで殴り飛ばされてKO
これだろ
解毒とか治療とか云々もさ、タバサママンにせよカトレアにせよ横島の場合(出来もしないのに)
診察とか抜かして、それにかこつけてセクハラ三昧しようとしてフルボッコ、そして信用をなくして
治療行為禁止になると言うコンボが炸裂する所しか見えない
つーかそうなってこその横島だな
>>626 終盤は二文字も普通に使うぞ
糸とメドゥーサと専で縛とか
二文字を一個に入れるやり方と、二個使うやり方が、ごっちゃになってる気がする。
まぁ当たり前だけど、ばんばん使えるものじゃないってことで。
でもなぁ…
横島はスケベだの女の敵とか言われつつ天然ジゴロなところがあるからなぁ…
もしかしたらアニエスやマチルダねぇさんすらも墜ちるかも…
(´・ω・`)ブチコロスゾ
魅惑の妖精亭の店長とのアッーまだー?
>>635 タバサママとのフラグが立つんだったら見てみたい
ぅぉぇっぷ
〃⌒ ヽフ
/ rノ
Ο Ο_)*** 白竜会のオカマを思い出した
>>632 横島はあたるとちがってやっていい時(相手)と悪い時(相手)を弁えてると思うのです
悪人とか敵とかは遠慮なくセクハラかますけどけが人や病人といった弱い者相手には
そーゆーことしないイメージなのですが・・・
文殊の方GJです!
話ぶった切って悪いんだが
小ネタ書き終わったんだけど
投下するのは
時間をおいて見直してからのほうがいいですよね?
>639
見直してからの方がいいと思うぞ。
見直しても誤字はあるんだ。
見直さなかったらどうなることか。
レスありがとうございます。
誤字もそうだけど内容が大丈夫かどうか
厨二病気味だから 自分。
出先から帰ってきたらもう一度見直して
夜中にでも投下してみます。
マリコルヌがマリコヌルに
シュヴルーズがシュブルーズに
ガンダールヴがガンダールブに
この辺は基本。まずは見直してからで
そういや某所で白白竜会のオカマ召喚されてたなwww
>>610 コルベールの方はただの放射能汚染だから大丈夫だよ
聖地でマリコルヌが魔女っ娘ステッキを入手して、魔法のぽっちゃりマゾっ子マリコに変身
3×3EYESの藤井八雲とパイ召還という啓示を得たのだがどうだろう?
聖地から遠いと言うことで八雲の再生能力と獣魔召還不可ということで。
当然ルイズとパイのロリ&ヒンニュー比べと言うことで。
>>645 ありえねぇ。
奴ならそのステッキを幼女に渡して「ボクをぶて!ボクを蔑め!」の方向で行くはずだ。
無論、ブリーフ+目隠し+ボールギャグ+自縛でフル装備スタンバイだ。
作品を投下する準備が出来ました。
投下しますね
「どうかしたの?トニー」
頭上でクエスチョンマークが飛来しているモンモランシーは何しに来たのか?と言いた気な表情で俺に尋ねてくる。
「ああ、ちょっと聞きたいのだが、ジュール・ド・モットって言う変……いや、貴族の所在を教えて欲しいのだが?」
首尾よく所在地を聞き出した俺は、『レオーネセンチネル』に荷物を取りに行く。多少なりと武装の準備するのと、
「これは持って行った方が良いな」
トランクに入っていた『カメラ』を持ち出して何時ぞやに盗んだ馬車に乗せ、日が昇りきらぬ内に学院を出立した。今回ばかりは流石に
貴族を巻き込むわけにも行かないので一人で行動するのと、地理的に詳しくないのでさっさと出発した方がいいだろうという判断だ。
「なんだあの二人は……くそっ随分と遠いじゃねぇか!」
だがその目的地は、多分話よりも遠い気がする。目的地に到着した頃にはすっかり日が暮れ、闇に包まれていた。歩いていかなくて正解だ。
闇に包まれている為に周りを完全に見通すことは困難だが、ヘンタイ貴族の住処はまるで砦で、横には城壁がうずたかくそびえている。
変態はリバティーシティにも大勢居るが、こう権力を握ってしまうと性質が悪い。俺は目立たない場所に馬車を繋いで武装して懐に仕舞うと、
門番の居る入り口に割と堂々と入っていった。
「何だ貴様は!?」
「俺は魔法学院から寄越されたトニー・シプリアーニと言う者だが、ここの貴族に用があるのだ、通せ」
強行突破も考えたのだが、『魔法学院』の名前を出したら割とすんなり応接間に通された。少々拍子抜けをしたが、五分後、本当にその
ヘンタイ貴族は現れた。余裕に満ち溢れた嫌な空気を発しながら、俺の対になる席に少々無作法に座る。
「……此方も取り込み中だ、用件は手短に願うぞ」
ヘンタイ貴族は立ち振る舞いこそ貴族だが、顔立ち・衣類・喋りなど全てに於いて下品且つ変態の域に思える。これは相当美少女・美女を
手当たり次第に漁っていたのだろうと容易に想像がついた……多分、取り込み中と言うのも、女とイタしてる為だろう。
「まぁ大した事じゃないがね……好色趣味って言うのも人それぞれだが、金あるんだ。女はプロの方が良くないか?」
「!?……何が言いたい、トニー・シプリアーニ?」
スマートに行くぜ!支援!
遠回しに言い放った言葉に見事に釣られたこのヘンタイ貴族は、目の色を変えて言い返してくる。
「聞けば、職権乱用で女手当たり次第に漁ってるそうじゃねぇか、国家元首にばれたら色々とヤバいだろ」
「……いっ…言っている意味が良く分からんね……そろそろ遠回しで無くて直接用件を言ったらどうかね……!?」
俺の揺さぶりが効果を発揮し、このヘンタイ貴族は明らかに動揺している。正直情報は極々僅かだが、はったりもここまで効果を発揮すると
虚も実だ。俺はこのままの調子で攻めてみる事にする。
「今日、学院から連れてきたシエスタと言う平民が居るだろ?あれ、王宮と学院の立場を問わず評判の良い子でな、アンタが連れ去ったって
事が広まった途端、悪い噂が流れてるんだよな。大人しくシエスタを学院に帰した方が身のためだぜ」
「!?……な…何を言い出すかと思えば……そ…それは大丈夫だ。シエスタはうちの使用人なのだからな……シエスタを呼べっ」
ヘンタイ貴族はそう言いながら、シエスタを呼び横に連れてくる。すると、毒々しい原色の赤色のエプロンドレスを纏ったシエスタが、引っ張り
出され、言うに事欠いて彼女の首元に臭そうな息を吹きかける。シエスタもどうして良いのか分からないようなリアクションに困っていた。
「まぁ、こう言うことだ。安心して帰りたまえ、シプリアーニ」
「……本性見せたな貴族さんよ、俺はそのショットを拝みたかったのよ。これで、俺の確証は実になったと言う訳だ」
「!?」
勝ったと思っていたのだろう精神状態に冷や水をかけてやると、ヘンタイ貴族の顔がまるで茹でたロブスターの如く面白い位に真っ赤に染まった。
「使用人?おいおい、笑わせる事を言うな……アンタが根っからの女好きって言うのは周知の事実なんだよ。相手が平民だからって好き勝手な事
並べるな……お前みたいな粗チン野郎には娼館の女でも勿体無い、いや立ちんぼでも勿体無いわ」
行き成りの悪言雑言にこのヘンタイ貴族は思わず立ち上がる。恐らく、生まれてこの方こんな罵られ方はされたことないだろう。
「なっ!?貴様……誰に向ってそんな口を!!」
「アンタだ、ヘンタイ貴族。お前みたいな下衆野郎はな、下手に女に手を出して、翌日湖畔に水死体になって浮かんでる方がよっぽど相応しいわ」
この言葉がトドメになったか、わなわなと身体を震えさせながら身体を真っ赤にさせ、メイジのシンボルともいえる杖を手にする。
「言わせて置けば好き勝手……命が惜しくない様だな……そこへなおれ!!」
「良いのか?俺を殺せば、ヴァリエール家と魔法学院を相手に抗争を引き起こす事になるが、それでも良いのなら遠慮は要らん、殺しな」
俺は顔色一つ変えずにしれっと言い放つ。実際ヴァリエール家とそこまで深い仲ではないが、言ってやればそこそこ脅しにはなるだろう。
「止めて下さいっ!!トニーさん!!」
一触即発の状況で、シエスタは悲鳴にも似た声をあげる。
「シエスタ」
「伯爵、この者の無礼をお許しください」
シエスタは俺が殺されると思ったのか、跪いてヘンタイ貴族に許しを乞う。だが、この貴族は当然のように拒否してきた。
「ならん!斯様な平民の無礼を捨て置いては……」
「こいつにはできねぇよシエスタ。仮にも俺はヴァリエールと魔法学院の使者という扱いだ。そんな者を殺したとなれば、ヴァリエール家は宣戦
布告と見なしてヒットマンを送ってくるだろうよ。そうなりゃ身の破滅だぜ、こう言う抗争は裏社会と一緒だからな」
すかさず追い討ちの言葉を続ける俺に、シエスタは顔面蒼白、ヘンタイ貴族は茹で蛸のように真っ赤に顔を腫らしていた。
「相手が伯爵でも、そうかわらねぇんだよ……おい、殺す気になったか、貴族さんよ?」
「グググ……この場はシエスタに免じて命だけはくれてやる……早々に立ち去れぇい!!」
殺したくて殺したくて堪らないのだろうが、流石にヴァリエールやヒットマン、抗争等の単語が並んだら一線を超える勇気は出なかったのだろう。
もっとも、後でルイズにはちゃんと尽くしてやらんといけないだろうが……。
「まぁ、そうなるだろう。流石に抗争になったら潰されかねないだろうしな」
「ググ……貴様…減らず口を……おいっ!!何をボサッとしてるんだ!この者を屋敷から叩きだせ!!」
「その強気と言動が、後々後悔にならないように気をつけることだな」
捨て台詞とも言うべき言葉で締めると、俺は背後に立っている監視とも言うべき二人の衛兵に囲まれながら敷地内の母屋の屋敷から出された。
この世界に無理矢理来させられて気に入らない事だらけだが、こんな胸糞悪いのは初めてだ。今回ばかりは許さん。
俺はキョロキョロを左右を視線を送りながら屋敷内を見渡すと、この邸宅は思ったほど警備の監視が厳しくない事に気がつく。
「兄ちゃん達、すまんが靴紐が解けた。ちょっと直すから待ってくれ」
俺が何食わぬ顔してそう言うと、『仕様がねぇな』と言わんばかりの表情を浮かべて顎を突き出す仕草でOKを出した。そしてゆっくりと
座った瞬間―――
「ぐええぇぇぁああっ!!」
懐に素早く手を入れピストルを取り出して抜撃ち、ほぼゼロ距離射撃での銃撃で俺の左後ろに立っていた衛兵の腹部に銃弾を二発浴びせ、
悲痛な断末魔と共に転倒、恐らく絶命しただろう。
「ちょっ……!おい…お前どうなって……ふぇっ?!」
現状を把握できていない俺の右後ろに立って居たもう一人の衛兵は、聞いた事も無い音と共に倒れた同僚を見て慌てふためいている所に
後ろから頭部を銃撃、始末した。
「……おぅ、上手い具合に丁度良いじゃねぇか」
始末した二人の衛兵の死体を草叢に放り投げて隠滅すると、隠滅する前にひっぺ返した連中の防具を身に付けて変装する。これなら、屋敷
内に居ても早々怪しまれまい。
――二度と立ち直れないような弱みを握れ
今回はこれにて終了です
もうちょっと読みやすくした方がいいかもですね
乙ー。
水に落ちた犬を叩く、どころか落とし穴に突き落として穴を塞ぎに行くとはトニー兄さん……
裏社会とは恐ろしいところよのぅ。
>>642 >マリコヌル
流れのせいでタコ魔族を思い出した
少女漫画ネタが少ないので
蒼の封印から緋子こと計都王女を召喚……ダメだ、ヤツは人間を食料にしか思っとらんし、
蒼子は蒼子でハルケギニアが鬼だらけになりかねん……
658 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 16:21:47 ID:jyWXP4OX
少女漫画ネタか
スクランブルすずめちゃんとかドリームネットPAPAとかから誰か召喚されるのも面白そうだな
少女漫画ならBASARAなんかいいかも
フルーツバスケットをだな
GTAつながりでサンアンドレアスのCJを召喚。
・・・タルブにあるのがハンター(武装ヘリ)かハイドラ(ハリアーもどき)に。
何気にシリーズの中じゃ1番正義感&戦闘能力があるかも。工作員の訓練も受けてるしなあ。
じゃあ「海の闇、月の影」より小早川流風と流水姉妹
きっと流水はガリア王が呼んでしまうんだな
>>657 「ぼくの地球を守って」から
ルイズが亜梨子(ヴィンダールヴ)を、ジョゼフが春彦(ミョズニトニルン)を、
教皇が迅八(ガンダールヴ)を、テファが輪(記すことすら〜)を召喚で。
少女漫画なら新條まゆは外せまい。
世界一の殺し屋召喚で、そのきれいな顔を吹っ飛ばしてやる!
きれいな顔、のフレーズで舞踏会で肘打ち踊りを披露する男に心を奪われる女子生徒たちが幻視された。
タイトルにハルヒ召喚って書いてて、ホスト部の面々を召喚<少女漫画
ギーシュと二人ノリノリで「薔薇は愛でられるべきもの!」とかポーズキメてる殿。
傍観してるタバサとハルヒ。そしてガンダールヴなハニー先輩でデルフ涙目。
「天使禁猟区」からだと、どのキャラ呼んでもタイヘンな事になるだろーなぁ。
マッドハッターことベリアルを召喚して、魔法を使えるようにしてもらうルイズ。
そんかし、エグい代償を求められるとゆー。
「僕の地球を守って」の小林輪召喚して、ハルケギニアの戦乱を止めるために暗躍してもらうとか。
秘密裏にジョゼフあたりと接触して悪い事する、腹黒ショタの活躍を見てみたい。
クロスにならないが「お父さんは心配性」なヴァリエール公爵とか楽しそうだ。
まぁあのテンションを文章で再現出来る鬼才はそうは居ないだろうけど。
人間じゃなく「笑うミカエル」から「ムナサワギの悪魔色の液体」召喚。
煙を吸ったせいで怪力を発揮するルイズタバサキュルケとか。
実写映画版の能力なら、無駄にド派手な展開もできるぞ。
クライマックスは巨大化したルイズがレキシントン号を拳で粉砕とかどーよ。
>>662 おお、なまか(同じ作者繋がり)がいた。
以前、このスレでハイスコアのゴンちゃん召喚ネタを見たような気がするが気のせいだったかのう………
>>657 少女漫画・・・・・・・・・
「エロイカより愛を込めて」からクラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐を召喚
ルイズやアンアンをその鉄拳で修正
近代兵器は殆ど使いこなせるからガンダールブ補正はあまり意味無しだけど。
ふしぎ遊戯から軫宿を呼べばカトレアは治せる。もしかしたらタバサママも治せる。
でもタバサママを治すなら井宿の方が適任。
パタリロから玉ねぎ部隊の誰か来ても
サイト以上には役立つと思うけど
面白くなるかどうかは書き手の力量次第w
>>666 教室掃除しようとしたら逆に教室を破壊しちゃうのか>笑う大天使
ルイズ→ケンシロウ
タバサ→コロポックル
キュルケ→オスカル辺りか……
最後に先生と結婚したのはコロポックルだっけ?オスカルだっけ?
サイトと一緒にアンドレを呼んだら自分と似たところ似てないところを考えて
色々と面白いことになるかもしれん
>>657 那州雪絵の「月光」から騎士の誰か(カイトかサバあたりが面白そう?)を召喚。
ユース・ドームの騎士とハルケギニアの貴族の似てるようで違う社会的地位に戸惑ってもらう。
>>671 先生と結婚したのはコロボックル
オスカルはアンドレと結婚してケンシロウはにーちゃんとそろって独身
675 :
357:2008/02/04(月) 17:16:45 ID:3F5CC4Er
オスカルというとベルばらしか思い浮かばん。
>>438 お願いします。
>>673 デストロイヤー(お花)召喚とかも面白そうな。
「ルイズ、お前は歩いて帰れよ」
「なんですってー!!」(怒りでバビューンと飛行)
>>676 「ここはグリーン・ウッド」から忍を。
奴なら平然とハルケギニアの魔法を修得しそうだ。
「やってみたらできたんだよ」とか言ってw
少女漫画とか言うから柳沢教授召喚が読みたくなっちゃったじゃないか
ミニ四駆の大神博士を呼んだら…
漆原教授「君は、魔法使いになる このウォークマンを賭けてもいい」
ルイズ「・・・」
>>680 おまっ チョビ呼びたくなったじゃねーかwwww
ルイズ「また『お父さん』が子供を産んだわ」
grandmaショートストーリー更新。
見たいやつは見にいけーい!
13巻読んだけど、ヨルムンガント量産されとる。
これなら今後の展開によっては巨大ロボットもからめやすくなる………かも。
なんかどっちかって言うとMTGのゴーレムみたいなもんじゃね?
って思う。
>>686 そこに到達させるまでが一苦労だけどな
例えヨルムンガント登場を前倒しさせるにしても、最低でもタルブ戦くらいまで進ませないと運用
出来る状況を作れないし
しかも前倒しの整合性や説得力を得る為にそれ以降ある程度以上の、それこそ避難所行きに
なりかねないくらいのオリジナル展開を余儀なくされる恐れが出てくる
後、召喚するロボの戦闘能力によってはルイズの虚無がいらない子になりかねない
この辺はまあ書き手の腕次第かも知れないけど、やっぱりロボ物は色々と難易度が高いよ
コルベールが半壊したヨルムンガンドを捕獲・改修して世界の蛇くんとして使うのとか無理かな
>>688 生身でもタルブ戦を乗り切れるぐらいそこそこいける人を召喚してしばらく生身で戦う
タルブで破損したロボを発見
コッパゲ先生がレストア開始
ヨムルンガルドが出てくる辺りで登場
迫水王あたりが適当かな?
(生身の時はリーンの翼と剣術と勢い)
>>681 作中のモノローグみたいな感じでしゃべるのか?
ルーンはヴィンダールブですね。
ああ、またデルフが空気にw
パワードスーツ型なら案外なんとかなるんじゃなかろうか
>>691 喋らない。
ただひたすらに平和でなんだかずれた魔法学校と学生生活を語る物語。
>>691 ガオガイガーでいいじゃない
ガイガーー → ジェネシックガオガイガーでパワーアップ
ゼロ戦の代わりにカイザーパイルダーでもいいかもしれん
巨大ロボットがあいて?
ガイバーギガンティックの真の力を解放すれば・・・
696 :
ゼロの侵略者:2008/02/04(月) 19:39:39 ID:R6KhNrhz
>>690 絶望した! ほぼ自分が考えているプロットと同じで絶望した!!
いや、もう少しひねるようにしますけど………OTZ
>>695 ギガンティックがXDになろうが、俺はアプトムの造型が大好きだ。
えー、薔薇乙女も使い魔。最終話が出来上がりました。
またも、いや今まで以上に、ダラダラと長いです
予約無ければ投下しますね
第六部
エピローグ
薔薇戦争は終結した。
トリステイン国内にいたアルビオン残存兵は艦隊ごと投降、まとめて捕虜となった。
思いっきりふんぞり返って『シャルル・オルレアン』号を降りてきた王女イザベラは、
トリステイン高官達の非常に複雑極まりない作り笑いと、事情を知らされない一般兵達の
歓呼の声で王宮へ迎えられた。
彼女は、大后マリアンヌを差し置き、一番にルイズ達との会見を要求した。
謁見の間に通されたイザベラの前に、ヒクヒクと頬を引きつらせ、額に血管を浮かべた
ルイズが跪く。
(ちょっと、ルイズ…落ち着きなさい)
(わっ分かってるわよ!)
後ろで同じく跪いていた真紅の囁きに、やけくそ混じりに答えるルイズ。だが、やっぱ
り声が震えている。
「お、王女イザベラ様・・・こ、ここ、此度の援軍、かか、感謝の言葉もございません」
「おほほほほほっ!!いーのよいーのよぉ!!この前はぁ、あんたの使い魔とぉ、ちょっ
とした誤解があったのよねぇ〜。そぉれぇでぇ、お詫びでもしようかと思って、来てあげ
たのよーっ!」
「お、心遣い。痛み、入ります。
え〜・・・私といたしましても、ガリアの首都リュティスを潤す恵み豊かなシレ河のご
とき王女の髪が、かように美しいままであることを知り、安堵して胸をなでおろしており
ます」
「・・・ガリアは魔法大国だからねぇ。あんた等が、黒こげにしてくれた、あたしの髪を
元に戻すくらい、オチャノコサイサイってやつさ!」
イザベラの流れるような長い髪は、以前と変わらぬ艶やかな青をたたえている。でも、
ルイズの皮肉に引きつった頬は艶やかとは言い難かった。
ルイズは、おのれ〜ヌケヌケと〜、という内心の怒りに、肩が小刻みに震えていた。そ
れはジュンの左右に控える真紅と翠星石も同じ。いや、謁見の間にいる全てのトリステイ
ン高官達が『全部ガリアの自作自演だろーが!』という突っ込みを入れたいのを必死で耐
えている。
何しろ彼等の頭上には、今度はガリア艦隊がいるのだ。おまけにガリアとレコン・キス
タの関係を示す物的証拠も証言もない。内心、ルイズ達に同情しつつも、これで納得して
帰ってくれるなら、と考えていた。それに、思いっきり好意的に解釈するなら『トリステ
インの力を認めて侵攻を諦め、和平を申し出に来た』と言えなくもない。
トリステインの人々の祈りを知ってか知らずか、ガリア艦隊はさっさと帰って行った。
ガリア王ジョゼフ一世とマリアンヌとの会見の日取りだけ決めて。
ちなみにジュンは、イザベラの前に跪いたまま、力尽きて気絶。そのまま丸一日こんこ
んと眠り続けた。
後日、未だあちこちに焼け跡を残すトリステイン城に、両用艦隊を率いる『シャルル・
オルレアン』号からジョゼフ一世が降り立った。
大后マリアンヌ始め、マザリーニなどが総出で出迎えたガリア王は、マリアンヌに駆け
寄っていきなり抱きつき頬にキスをして、一気にまくしたてた。
「おおっ!麗しき女王陛下よっ!!トリステインの友人達よ!ご無事で何よりだ!かの恐
るべき戦乱を乗り越え、今日無事に会う事が出来たのも、始祖ブリミルのご加護に違いな
いっ!
いや先日の、我が娘の失言については申し訳なく思っているのだよ。まったく、娘は年
若く世間を知らぬゆえ、恐れ多くも女王陛下とトリステインに対する暴言の数々!父とし
て顔から火が出る思いだ!かの少年剣士の申し出を取り次いでくれれば、すぐにトリステ
インへ援軍を送ったものを!娘へは私から、きつく叱っておいた!どうか無礼の数々は平
にお許し願いたいっ!
ともかく、遅くなりはしたが、僅かな弱兵ながらも援軍は送りましたぞ!もちろん礼な
どいらぬ!共に始祖ブリミルより連なりし王家の血を引く兄弟ではないか!王家に弓引く
不逞の輩を成敗するに、何の見返りを求めようかっ!
さぁ宴だ!諸君等の武功と勝利を、共に杯をくみかわして祝おうではないかっ!!」
出迎えた人々はガリア王のあまりの厚顔さと勢いに、のっけからあっけにとられ何も言
えなかった。
次いでアルビオンからも大使達が降り立った。仲介役だオブザーバーだの何のかんのと
お題目を付けて、ゲルマニアの大使や、ロマリアの神官達やらもやって来る。
こうして、薔薇戦争講和会議は戦勝祝賀会と共に開かれた。
アルビオンへの捕虜返還交渉は滞りなく終了。賠償金という名の身代金として、ハヴィ
ランド宮殿の宝物庫が丸々支払われることになった。事実上はトリステインの勝利とはい
え、上々の収穫である。財務卿であるデムリは「これで街も艦隊も再建出来る!」と涙し
た。
うち半分を、マリアンヌはジョゼフに支払おうとした。だがジョゼフは受け取ろうとし
ない。再三の申し出にようやく「それなら後日、トリステインに送られてきた宝物の中か
ら一つ、私自ら一つ選んで持ち帰ろう」ということになった。
トリステイン王宮の人々は正直「こいつ、また来る気なのか・・・」と、うんざりして
しまった。
2/3が焼失したトリスタニアは、都市設計に従った新市街再建が決まった。
空海軍が戦争の主力となった現在では、城壁だの道路の迷宮化だのは防衛上の意味をな
さない。なので、城を中心として大通りを放射状に延ばした、壮麗優美かつ経済活動に都
合の良い街が設計される予定である。
トリステイン軍は、生き残った艦船と没収したアルビオン戦艦を元に再編成中。近衛隊
や竜騎士隊も、同時に没収した火竜を使って再建する予定ではある。ただし航海士官も騎
乗する騎士も著しく不足しており、実現には大きな困難が予想されている。
ウェールズは、『イーグル』号と共に無事帰還。『イーグル』号はトリステインで唯一
大きな損害の無い戦艦であったため、暫定ながらトリステイン艦隊の旗艦とされた。また、
正式にトリステインへの亡命受け入れが宣言された。
ワルドは、ジュン達が秘密を守ったため、無事にトリステインへ戻る事が出来た。所領
を増やし、爵位も伯爵に上がった。ただし魔法衛士隊が壊滅しているため、正式な役職に
ついては現時点では宙に浮いている。
アンリエッタとウェールズの婚儀は、当人達が
「艦隊が半壊しトリスタニアが灰になった今、我々のためになど金や人を割くなど、とん
でもない!第一、既にルイズを巫女として結婚式を済ませました」
と、頑なに拒否。さすがにそれは王家として示しがつかぬとマザリーニが、そして会議
において少しでも存在意義を示したいロマリアの神官達が翻意を促し、結局王宮内の焼け
残った教会で結婚式のみ上げる事になった。
神官として式を取り仕切るのは、左が鳶色で右は碧眼の「月目」が特徴的な、線の細い
中性的美少年。新郎新婦と同じくらい注目を集めつつ、各国の貴人重鎮が居並ぶ割りには
簡素で素っ気ない式を、無事に執り行った。
アルビオンに対しては、トリステイン・ゲルマニア・ロマリア、そしてガリアも含めて
のハルケギニア大陸封鎖令が宣言された。これはアルビオンとの交易を禁じ、アルビオン
を大陸から孤立させることで経済的打撃を与え、レコン・キスタの弱体化を待つ、という
ものだ。
と言っても、アルビオンはそんな宣言を待つまでもなく、地理的に最初から孤立してい
る。交易が出来なくなって経済的打撃を受けるのは他の国も同じだ。おまけに、裏でアル
ビオンと通じていた事が公然の秘密となっているガリアまで一緒になって出した宣言なの
で、実効性は疑わしいと見られている。
市井では、『大陸でのレコン・キスタの活動を王家一丸となって封じる』と言う意味の
共同宣言、と評されている。
当の神聖アルビオン共和国はというと、表面上は落ち着いていた。主であるガリアに裏
切られたという形ではあるのだが、別に何かガリアから表立っての支援を受けていたわけ
ではないのだから。
だが、アルビオン艦隊は全滅し、天下無双と呼ばれた竜騎士を100騎も失った事にか
わりはない。おまけに、身代金として宝物庫の中身を全部トリステインに支払わされてし
まった。内戦で国家財政は困窮していたというのに。
オリヴァー・クロムウェルの権威失墜は隠しようもない。遠からず内紛を起こす、と目
されている。
ルイズやギーシュをはじめ、多くの生徒が学院に帰還した。無論、戦死した者も多い。
数を減らした男子生徒達は、女生徒達と警護の女性騎士達に拍手と涙と熱い抱擁、そして
未だ癒えていなかった傷を治す『治癒』魔法で迎えられた。
特に、『たった一騎でアルビオン艦隊と渡り合い、壊滅させた』ルイズ達は、歓喜の渦
の中に放り込まれた。真紅も翠星石も、すっかり仲良くなったメイド達に囲まれ抱きしめ
られ、もみくちゃにされてしまった。
当然ジュンもその中で、特に一番に駆け寄ってきたシエスタに、熱いキスと力の限りの
抱擁を受ける、はずだった。
だがシエスタを追い抜いて駆け寄ってきたスカロンに、
「きゃあーーっ!!凄いわすんごいわあーー!!こんな可愛いのに強いわ救国の英雄だわ
なんて〜!!もう我慢出来ないわ!お願い抱かせてキスさせてえー!!」
んぎゅーぶちゅうぅ〜〜「ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁ」
ヘロヘロだったジュンは抱きしめられ唇を奪われた。
そのまま気絶し、さらに一昼夜うなされ続けるのであった。
それからしばらくして、ようやく戦後の混乱も収まった頃
―――トリステイン魔法学院、ダエグの曜日の朝。
今日も生徒達がアルヴィーズの食堂へ向かう。
ルイズも食堂へ行こうと部屋を出ると、丁度隣の部屋のドアが開いた。
「おはよう、ルイズ」
「おはよう、イザベラ」
隣の部屋から丁度出てきたイザベラに、イヤそうに挨拶した。イザベラは王冠もドレス
も着ず、ルイズと同じ制服に身を包んでいる。
「なんだい、その不景気なツラは。毎度毎度、いい加減にしなよねぇ」
「あーら、ごめんあそばせ!美しき王女様の輝けるオデコに、ついつい目がくらんじゃい
ましたわ!」
「そ、それは申し訳ございませんねぇ!今度から、あんたの胸のように控えめにしてあげ
ますわ!」
「ちょっとあんた達ねぇ・・・毎朝毎朝、人の部屋の前でケンカしてんじゃないわよぉ」
向かいの部屋から出てきたキュルケは、もはや朝の恒例となりつつある二人のにらみ合
いに、いい加減呆れていた。キュルケの仲裁すらも、いつものこととなりつつある。
ガリア王は、アルビオンから送られてきた品々から自らの取り分を選びに来た折、マリ
アンヌとマザリーニに一つの提案をした。
「我が娘は世間を知らなさすぎる。それが原因で、かの少年剣士と諍いを起こしてしまっ
た。ここは一つ留学でもさせて、見聞を広めさせようと思うのだ」
ただし「イザベラの部屋はルイズの隣」という条件を、怨恨の解消だの将来を担う人材
同士の深い交流だのと、もっともらしい理由と共に示された時は、二人とも露骨な下心に
呆れた。
ちなみにジョゼフが光り輝く財宝の山の中から自ら選んだのは、古ぼけたボロボロのオ
ルゴール一個のみ。茶色くくすみ、ニスも完全にはげ、ところどころ傷がある。どうみて
も骨董品。
これだけ欲の無さを見せつけられた以上、ジョゼフの申し出を断る事は出来なかった。
トリステインとしても、留学生の受け入れを拒む理由はないし、ガリア王家との友好も深
められる。なので、イザベラのトリステイン魔法学院への留学を快く受け入れた。イザベ
ラの部屋の場所くらいの譲歩もせざるを得なかった。
そんなわけで、ルイズとイザベラは晴れてめでたくお隣様。もちろん二人には「仲良く
しなさい」との勅命が下された。ジョゼフは去り際に、「時々娘の顔を見によらせてもら
いますぞ。ああもちろん!出迎えなんて不要ですからな!」と再訪を約束する事を忘れな
かった。
「ちょいとルイズさん、ケンカはだめですぅ」「まったく、毎回よく飽きないものだわ」
そういってルイズの部屋から出てきたのは、真紅と翠星石だ。その後ろからジュンも出
てくる。
「まったく、女ってのは朝っぱらからやかましいわな」
「そうだよ、二人とも。とにかくご飯に行こう」
ジュンは相変わらず小姓の服を着て、デルフリンガーを背負っている。ただし、服の上
にマントを羽織っていた。
彼は薔薇戦争での武勲を認められ、シュヴァリエに叙された。だが今着ているのはシュ
ヴァリエの、黒地にビロードで銀色の五芒星が躍るマントではない。白地で、長袖がつい
た、何の飾りも素っ気もないマントに袖を通している。
白衣だ。
イザベラもキュルケも、白衣から立ち上る刺激臭に顔をしかめて鼻をつまむ。ルイズも
腰に手をあてプリプリと怒り出す。
「ちょっとお、ジュンったら。いい加減そのマント脱ぎなさいよ!臭いんだから」
「あ、ゴメン。まだ実験の途中なんだ。ご飯終わったら、すぐ戻らないと」
実験、と言う言葉を聞いて、イザベラがキラーンと目を、そしてオデコを輝かす。
「なになに!?また新型の溶鉱炉とか作ってたのかい!?この王女が聞いてやろうッてん
だから、さっさと話しな!」
「いや、その・・・」
額を光らせて詰め寄られ、ジュンはちょっとタジタジ。
「きー!ガリアなんかに教える技術は何にも無いわよ!さぁ、朝食にするわよ!!」
「ほらほらぁ、イザベラも早く来ないと、おいてくわよぉ」
「ちょっちょっとお待ちよ!このイザベラ様を置いていくんじゃないわよ」
キュルケに促され、一行は食堂へ歩き出した。いつのまにやら、タバサも後ろをついて
きていた。
待ってました。支援です支援。
ジュンは日々、コルベールに師事して勉強に励んでいる。
公爵家で執事としての修行をするよう勧めるヴァリエール公爵夫妻、新たに結成される
近衛隊の一員に勧誘するアニエス、等の様々な申し出が彼に送られた。もちろん彼は全て
拒絶し、学院で勉強に励むことにした。
そして、勉強とは魔法に限らなかった。日本の学校ではほとんどやらせてもらえない、
数々の危険で費用のかかる化学実験も、学院でならコルベールの協力を得て行う事が出来
るのだから。そして同時にコルベールも、ジュンから地球の自然科学を学び取り続けてい
た。コルベールにとっては、ジュンが軽く描いた元素周期表ですら、目から鱗が落ちる勢
いだ。
二人が最初に手がけたのは、墜落したゼロ戦の破片をかき集めての材料解析。例えば機
体を構成する、50年以上前の技術で作られたジュラルミン合金。それだけでもハルケギ
ニアでは新技術新素材だ。ジュンも化学などを、受験用の公式でなく実践として身につけ
る事が出来る
雛苺と蒼星石の復活を目指し、今日も彼は勉強と実験に励む。
ルイズ達が寮塔を出ると、数名の騎士達が入り口に立っていた。彼等はイザベラの姿を
見るや、彼女の前にザッと整列した。
「おはようございます、イザベラ様」
「カステルモールは、どうしたい?」
イザベラがキョロキョロと不機嫌そうに、そして不安そうに周囲を見渡す。
「はっ!ただ今団長は、学院長の下へ」
「お待ちをぉ!・・・カステルモール!ただ今参上致しました!」
遠くから一人の騎士が駆けてきた。ピンとはった髭が凛々しい、二十歳過ぎの美男子。
東薔薇騎士団団長バッソ・カステルモールだ。
留学生とはいえ、イザベラは王女。というわけで警護として東薔薇騎士団員もついて来
ていた。彼等は学院の外の草原に天幕を張って駐屯している。
走ってくるカステルモールを見たとたんにイザベラの顔はパッと明るくなり、そして即
座に怒ったような表情でプイと顔を背けた。
「遅い!団長としての心構えがなっていないね!」
「も、申し訳ありません」
肩で息をつきながら頭を下げる騎士を、イザベラはチラリと横目で見る。
「まったく、あんたはあたしを守るのが仕事なんだ!あたしから片時も離れちゃならない
ということを忘れンじゃないよ!?
ところで、学院長になんの用だい?」
「は、はぁ。その、先日イザベラ様が申していた、私の寮塔への出入り許可の件なのです
が」
「ああ!それかい!それで、どうだったね!?当然ながら、立ち入り許可は下りたんだろ
うねぇ!?」
まさにワクワクという感じな顔を寄せてくるイザベラに、カステルモールは頭を下げた
まま、すまなそうに答えた。
「いえ・・・。やはり、婦女子のみが住まう寮塔に、警護といえど男性が立ち入る事は許
されない、と」
聞いたとたんにイザベラは激怒して地団駄を踏み出した。
「なんだよ何だよそれはっ!?このイザベラ様の言う事が聞けないってのかい!?
第一、あのギーシュとかいうやつとか、みんな入ってきてるじゃないか!というかジュ
ンはどうなんだよ!?その平民なんか、ルイズの部屋でイチャイチャしながら暮らしてる
じゃないか!」
そういって指を指されるジュンは、イチャイチャだなんて人聞きの悪い〜、と呟きつつ
も頬を赤くして俯いてしまう。
しえん
支援支援支援
支援しまーす
壁に八つ当たりで蹴りを入れだしたイザベラをなだめるのは、やっぱりキュルケ。
「まぁまぁイザベラ、落ち着いてよねぇ。ジュンちゃんは『使い魔』ていう特殊な立場な
んだしぃ。ギーシュだってバレないようにコッソリとモンモランシーの部屋へ入ってきて
るんだから。
つまりぃ、そこの騎士さんもコッソリ忍び込めばいいのよぉ♪」
その言葉を聞くや、イザベラは即座にカステルモールに詰め寄った。
「それだよっ!カステルモール、あんた今夜から、毎晩あたしの部屋に忍び込みな!」
イザベラ以外の全員が、引いた。
カステルモールは、真面目に答えようかどうしようかと、困った。
脂汗をダラダラ流した末に、ようやく騎士は言葉を絞り出す。
「あ、あの、イザベラ様、それは、その・・・無理、です」
「なんでだよ!?」
「いや、その、なんでと言われても」
「なんでも何もないよ。あんた、護衛の騎士のクセに、このあたしの夜間警護をしないつ
もりかい!?」
「いえ、そういう事では、なくて、ですね・・・」
ずっと黙って聞いていたタバサが、ようやく一言を口にした。
「夜這い」
聞いた瞬間、イザベラは我に返った。
真っ赤になったり真っ青になったりと繰り返し、周囲からの冷たくも暖かい視線に気付
き、オタオタオロオロと狼狽したあげく右手を振り上げ
バッチーン!
と大きな音が響いた。カステルモールに平手打ちを喰らわし、ダッシュでどこかへ走っ
ていった。
騎士達は慌ててイザベラを追いかけていったが、頬を真っ赤に腫らした団長は、涙目の
まま立ちつくしている。
ジュンは何故か、彼が他人に思えなかった。
放課後、ルイズ達とキュルケ・タバサは学院の門に集合。シルフィードに乗って再建中
のトリスタニアへ飛んだ。
といっても彼等は別に街に用は無い。半ば焼け落ちて放棄された貴族の邸宅に降り立っ
て、その一室にある大きな鏡の前に薔薇乙女達が立つ。
波打つ光を放ちだした鏡に全員入っていく。
薔薇乙女達はルイズ・キュルケ・タバサ・デルフリンガーのおかげで、ルイズの鏡台以
外の出入り口も沢山発見出来た。おかげで、イザベラと東薔薇騎士団の目が光る学院を離
れ、毎回入り口を変えながら地球へ向かえるようになった。
今や彼等に、ハルケギニアに行けない場所はない、と言っても過言ではない。
しえんしえんしえーん
支援します
もうやめて!俺の腹筋の耐久力はとっくにゼロよ!
でも支援
ちょっとマテ、イザベラ様w、支援
支援〜
―――日本、深夜。有栖川大学病院の一室。
赤い非常灯が照らす病棟。ほの暗い個室にピッピッピ・・・と機械音が響いている。
懐中電灯を持った巡回の年配看護師がモニターをみつめ、心電図の波形やSpO2と書か
れた数字をチェックしている。ベッドで眠る少女の酸素マスクをつけ直し、携帯端末に表
示させたドクターの指示と見比べながら、ダイヤルを回して酸素流量を微調整する。
最後に室内をクルリと懐中電灯で照らし、病室を出て行こうとした。
「・・・?」
ふと看護師は振り返る。そこには洗面台があるだけで、モニターからの規則的な音が聞
こえるのみ。
看護師は、ちょっと首を傾げながら出て行った。
看護師が出て行って少しすると、洗面台の鏡から光と共に人影が二つ出てきた。羽を生
やした少女と、メガネをかけたショートヘアの少女だ。二人はベッドサイドに立ち、ベッ
ドに眠る少女を見下ろす。
メガネの少女が『治癒』のルーンを唱え、手をかざす。
からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ
その日の朝、同じ病室では何人もの医者と看護師が、モニターの心電図や血液やらの検
査結果の束をペラペラめくりながら、頭を寄せていた。
ベッド上の少女は、いつものように開け放たれた窓の外を見つめて歌っている。
「・・・やはり、どう考えてもこれは、回復に向かっているとしか」
「しかしね、どうしてリエントリーが、こんな急に自然回復していくというんだ?薬は変
えてないぞ」
「それは・・・分かりません。でもとにかく、これでアブレーションをせずに済んだこと
だけは確かかと」
「まぁ、な。波形はPからTまで全て改善か。Qなんか先月まで反転してたのに。どう
なってるんだ?
君、最近何か患者に変わった事は無かったかね?」
尋ねられた看護師は、慌てて首を横に振る。
「ふむ・・・どういう事か分からんが、不整脈の頻度は下がり続けている。WBCは正常
値でCRPは減少、免疫も回復。TPだって上昇傾向だ。
根本的治癒にはなってないけど、ともかく、この患者の場合カテーテルアブレーション
は時間稼ぎでしかなかったんだ。姑息的手段を取らずに済んだのは幸いだな。
なぁ、柿崎さん。一体何があったんだい?何でも分かる事があれば教えてくれないか
な?」
柿崎めぐは、医師の問いかけには何も答えなかった。
からたちの棘は痛いよ
青い青い・・・
「バカじゃないのぉ?いつまで歌っているつもりかしら?」
医師も看護師も出て行った病室の窓に、水銀燈が降り立った。
「黒い天使が舞い降りるまで」
めぐは水銀燈にニッコリ微笑んだ。
「ふん、言ってなさぁい」
水銀燈はめぐに背を向けて、窓際に腰をおろす。
支援
しぇ〜ん
「ねぇ、最近夢を見るの。同じ夢を何度も」
「ふぅん、どんな夢かしらぁ?」
人形は気のない感じで尋ねる。
「貴方が鏡から出てくるの、メガネの女の子を連れて。その子が私に手をかざすと、発作
が収まって、楽になるの」
「ハッ!バカバカしい、童話じゃあるまいし。ただの夢ね」
「ええ、これは夢。ただの夢。でも、その夢を見始めてから、私の発作は減り始め、熱も
あんまり出なくなったの」
「そう?ま、ただの偶然でしょ」
水銀燈は相変わらず素っ気なく背を向け続けている。
「ねぇ、これ食べる?」
チラッと水銀燈が視線を後ろに向けると、めぐが皿にのせたシュークリームを差し出し
ていた。
「あら、珍しい物があるわね。どうしたのぉ?」
「親達がお見舞いに置いていったの。美味しいわよ」
「そう・・・」
視線を戻した水銀燈だが、ふとある事に気がついて振り返った。
「美味しいって、あなた、それを食べたの?」
「ええ」
水銀燈は、目を見開いた。『点滴だけでいい。食べ物なんかいらない』と言っていた以
前の彼女なら、シュークリームも食べる事はないだろうから。
「最近ね、食べ物を美味しいと感じるようになったの。病院食がゲロみたいなのは相変わ
らずだけどね」
「そう、なの・・・それホントに、美味しいのぉ?」
「ええ、とっても」
そう言ってめぐは、シュークリームのはじっこをかじって微笑む。
「・・・一つ、頂こうかしらぁ」
二人は一緒にシュークリームを頬張った。水銀燈の羽はパタパタと羽ばたいている。
とある公立中学校の職員室、放課後。
担任の前にジュンが立っている。
「いや〜、さすがだな桜田。学校に復帰して即、学年トップとはなぁ。もしかして、ずっ
と家で勉強してたのか?」
「ん〜、この夏はずっと勉強してたのは、本当です。今も、その、塾みたいなのに通って
ますから」
「そーかそーかっ!やっぱりなぁ。いやはや、さすがの秀才だなぁ・・・これで、遅刻早
退とか欠席が減ってくれればなぁ」
「世の中、上手く行きませんね」
ぬけぬけと答えるジュンに、担任の梅岡先生も何も言えない。
何しろ彼は、どんな不良生徒よりも出席率が悪いのに、どんな模範生徒よりも成績がい
い。そして内申書なんて気にもとめてない。教師にとっては最悪の、最も頭の痛い問題児
と言えた。
彼にとって、大学受験のためだけにペーパーテストを繰り返すだけの高校進学は、無意
味だ。薔薇乙女達のため、伝説上の錬金術を独学で現代に蘇らせようとする彼にとり、日
本での学歴や社会的地位など役に立たないのだから。第一、ハルケギニアだけで十分生活
出来る。
その事をひがんだ他の生徒が、何度もジュンを挑発した。だが彼は全く相手にしなかっ
た。実力行使に出る、いわゆる熱血系の教師もいた。が、ポケットに手を突っ込んだまま
でヒラヒラと避ける彼に触れる事も出来なかった。
そんな彼が何故いまだに日本の公立中学校に来るのかと言えば、文系知識はハルケギニ
アでは手に入らないから。そして、やはり家でPCに向かってるだけでは、最新の地球の
情報は不十分だから。
ガラリと職員室の戸が開いて、女生徒が中を覗いた。
「すいません、桜田くんはいますか?」
「はーい、ここだよーっ・・・て、巴か。どうしたの?」
「お客様よ。近くまで来たから、是非会いたいって」
と言って柏葉巴は、後ろにいた人物に声をかけようと振り向いた。だが彼女が振り向く
より早く、その人物はジュンの所へ飛んで来て彼に飛びついた。
職員室の教師達も生徒も、目が点になった。
ジュンがいきなり、白いワンピースをひるがえして飛び込んで来た長いピンク色の髪の
少女に、抱きつかれて熱烈な口づけをされていたから。
たっぷり10秒くらい、小さな体を妖しく愛おしげに絡ませ合った後、ようやくルイズ
は唇を離した。
『へっへー、来ちゃった♪』
『おい、ルイズ。なんて事すんだよ。みんな驚いてるじゃねーか』
『あらー?これがこの世界の挨拶じゃなかったっけ?』
『知ってて言ってるだろ?これは日本の挨拶じゃないって』
『もっちろん!だってぇ〜、こういう場所でないと真紅と翠星石が邪魔するんだもん』
なんて話しをしつつも、二人は抱き合ったまま離れない。
周りの人々は、さらに目を白黒させた。ジュンが外人の美少女と抱き合いながら、聞い
た事もない外国語で突然流ちょうに話し始めたのだから当然だ。
梅岡先生が、近くにいた英語教師に尋ねる。
「先生、あれって英語・・・じゃないですよね?」
「えと、あれは・・・ああ、どうやらオランダ語のようですね。かなりなまってるけど」
「凄すぎだぞ、桜田。・・・というか、お前、何者だ?」
もはや呆れかえった教員達の前に、さらに二人の女性が入ってきた。ブランド物の黒い
スーツに、はち切れそうな豊満な胸を収めた赤毛褐色女性、キュルケ。そしてジーンズの
上下を着た青いショートヘアの少女、タバサ。
二人とも、両手に大荷物を抱えている。
『ジュンちゃーん、買い物帰りにちょっと寄らせてもらったのよぉ』
タバサがコクリと肯く。
『ああ、分かったよキュルケさん。それじゃ先生、そろそろ帰りま・・・おっと』
ジュンは軽く咳払いして、喉を押さえる。
「それじゃ先生、そろそろ帰ります」
日本語でそう言うと、ジュンは軽くルイズの背を押す。ルイズは梅岡先生に、ピンクの
髪をペコリと下げた。
「オジャマシマシマ、サヨナラデス」
怪しい日本語で挨拶をして、ルイズはジュン達と共に職員室を去っていった。
後には、呆然とした教師と生徒が残された。
一行はワイワイおしゃべりしながら桜田家に到着。
ルイズとジュンが、彼の部屋に入るのを、窓の向こうの空から見つめる目があった。
次の瞬間、ジュンの部屋の窓に向かって急降下!
ガッシャーーーンッ!!
支援
ジュンの軸足はどっちに向いているのかな?、支援
ジュンの部屋の窓ガラスをぶち破ったトランクが、二人に向かって突っ込んだ。
だが、トランクは二人を素通りしてしまった。二人の姿は揺らめき、消えてしまう。
『ふっふーん♪残念でした、『イリュージョン』でーっす』
部屋の扉を開けて改めて入ってきたのは、杖を持った本物のルイズ。
「うぬぬぅ、やられたですぅ!」
室内をふよふよと舞うトランクから出てきたのは、翠星石。
「新魔法を、バカな事に使わすなよなぁ」
ヤレヤレと入ってきたジュンは、ポケットからメリケンサックを取り出しルーンを発動
させ、
ガッシャーーーンッ!!
もう一枚の窓ガラスをぶち破って突っ込んできたトランクを、ヒョイと身をかがめてか
わした。
「いい加減、もう喰らわねーよ」
と言ってジュンが体を起こし、二つめのトランクを白い目で見ると、
どごっ!
後頭部に、さらに飛んできた三つ目のトランクが直撃した。
「やったかしらーっ!上手く引っかかったのかしら!?」
二つめのトランクをパカッと開けて出てきたのは、金糸雀。
「いい気味だわ!公衆の面前で、破廉恥な行為に及ぶ不届き者への罰よっ!」
三つ目のトランクから出てきたのは、真紅。
『ちょっとカナリアッ!あんた関係ないじゃないの!なんであんたまで突っ込んでくるの
よぉ!』
ぎゅにぃ〜〜
「ひたひ!痛ひぃ〜!ゴメンかしら〜真紅達悪党にそそのかされたのかしらぁ〜!」
詰め寄るルイズに両の頬をつねられて、金糸雀は半泣きだ。
「あっつつつつ、・・・全く毎度毎度ぉ〜」
床につっぷしたジュンが、後頭部をさすりながら体を起こす。
その両横に、頬をふくらませてプンプン怒る真紅と翠星石が立つ。
「な、何だよぉ〜。・・・悪かったよ、お前等に隠れてあんな」
チュッ
ボソボソと謝るジュンの両頬に、真紅と翠星石がキスをした。
キョトンとする彼を無視して、二人はルイズを睨み付ける。
「これで、おあいこなのだわっ!」「ちょーしに乗るなですぅっ!」
『あー!ふんだ、何よそれくらい!だったらこうよっ!』
今度はルイズがジュンに飛びつき抱きしめる。
「お!お前等いい加減にしろぉーーーっ!!」
3人にもみくちゃにされるジュンの叫びは、当然のように無視されるのであった。ワク
ワクと眺めている金糸雀にも。
支援!
オジャマシマシマwww
支援
ドタバタとうるさい音が響いてくる1階では、キッチンでキュルケ、タバサ、巴、のり
がエプロン姿で夕食を作っていた。
『上の連中は、相変わらず派手にやってるようだわな』
そう呟いたのは、壁に立てかけられたデルフリンガー。
『そのようねぇ。全く仲良いわねぇ・・・あ、タバサ。お塩取って』
タマネギをみじん切りにしているキュルケは、テーブルでジャガイモをむくタバサに声
をかける。
「はい、お塩ですよ」
でも、塩の瓶を手渡したのは、のり。
瓶を先に取られたタバサはキョトンとした。
『ハルケギニア語、分かる?』
「うん、ちょっとだけだけどね。大分、聞き取れるようになったわ」
ボールに入れた牛ミンチ肉をこねてる巴が、それを聞いて尊敬の目でのりを見る。
「驚きました、もう会話も出来るようになったんですね」
『大したものねぇ。こんなに早く聞き取れるようになるなんて、驚いちゃったわぁ』
同じく感心しているキュルケも、のりの日本語を聞き取っていた。
少々の言葉と、いくらかの身振り手振りと、そして大半を占める『なんとなく』によっ
て、キッチンの4人は一緒に夕食の花丸ハンバーグを作っていた。
―――同時刻。ハルケギニア、ガリア領アーハンブラ城。
ガリアとエルフの領土の境界線上に位置する、砂漠の丘の上にある城。その城壁は細か
い幾何学模様に彩られている。
現在は廃城となっており、軍事拠点としては機能していない。だが丘の麓にオアシスが
存在するため、城下町は交易地として栄えている。
その無人であるはずの城の上に、数名の人物が立っていた。
「――・・・大丈夫だ。精霊は我らの他に誰もいない、と言っている」
長身で痩せた男が、丘から周囲を見渡して語った。薄茶色のローブに羽付き帽子を被っ
た男は、金髪の隙間から長い耳をのぞかせている。
エルフだ。
「くくく、精霊の言葉すらあてにならん。かの者達、まさに風。どこにでも現れるのに、
掴む事も見る事もかなわぬ」
そう言ってさらにくぐもった笑いを響かせるのは、ガリア王ジョゼフ。共も連れずに一
人でエルフとの会見に臨んでいた。
「まぁまぁ、お二人とも。彼等をあまり恐れていては、戦う前から敗北を認めるようなも
のですよ」
二人に言葉をかけたのは、エルフの後ろにいる男。細身で長身、薄茶色のローブをまと
い、頭はすっぽりとフードで隠している。フードの隙間からのぞく黒髪と短い耳が、人間
である事を示していた。
ラプラス?支援
恐れる、という言葉を聞いて、エルフの男は眉をひそめた。
「我々はあいにく、お前達蛮人とは立場を異にしている。別に魔法人形達と対立していな
いのだ。ゆえに恐れる必要もない」
「だが、興味はあるようだな。ビダーシャルとやら」
ジョゼフの一言に、ビダーシャルと呼ばれたエルフは素直に頷いた。
「うむ。あれほどの人形は、我らでも作れぬ。お前のもたらした情報が正しいなら、それ
がこの世に7体も存在するというのだ。気にならぬはずがない。
しかも、お前達が『虚無』と呼ぶシャイターン(悪魔)の復活と同時に出現したのだ。
『シャイターンの門』の、ここ数十年の活発化と合わせて、ネフテスの老評議会でも懸念
が広がっている」
「くっくっく・・・そうだろうな。あんなガーゴイルがハルケギニアに7体そろえば、お
前達エルフも太刀打ちできないだろうからな」
黒髪の男は、飄々と口を挟む。
「揃えば、の話しだねぇ。残念ながら残り5体は未発見、というか、本当に7体なのかど
うかも怪しいね。それとこちらの情報では、例の虚無の少女と使い魔の少年、エルフと事
を構える気はないようだよ?
虚無だって、4つのうちの一つが確認出来ただけ。残り三つはやっぱり、いるのかいな
いのかも分からないままなんだから」
男の口調は、あくまで呑気なものだ。だがその釣り上がった視線は、ジョゼフに不審を
抱かせ続けていた。
ビダーシャルが、意を決したように口を開いた。
「だからこそ、テュリューク頭領は私を派遣したのだ。お前達蛮族の王と交渉するために
な」
「ふむ、して要求は?」
「虚無が揃うのを阻止して欲しい。それと、かの虚無と人形達の定期的な情報提供」
「見返りは」
「向こう百年間の『サハラ』における風石採掘権、それと各種技術提供」
「気前がいいな」
「お前達蛮人にとっての光を踏みにじれ、というに等しいのだからな。なにより人形達の
秘密は、お前と同じく喉から手が出るほど欲しいのだ」
ジョゼフは、わかったというように頷いた。
「だが、後もう一つだ。エルフの部下が欲しい」
「分かった。私とこの者が仕えよう」
あっさり即答したビダーシャルに、ジョゼフは拍子抜けした。
当のエルフと後ろの男は、満足げに頷いていた。
「正直、お前から申し出てくれて助かった。お前の下にいれば、かの人形達を直接目にす
る機会も得られよう。老評議会の認可も既に受けてある」
ジョゼフは、つまらなそうに肩をすくめた。
ふと王は、エルフの後ろに控える男に目を移した。その男はジョゼフに見つめられて、
彼にニッコリと微笑み返した。
「ところで、その者は誰だ?エルフではなかろう」
問われてビダーシャルは、ようやく後ろの男を紹介した。
「数ヶ月前、我らの集落に迷い込んだ男だ。蛮人とは思えぬ知恵と力を有していてな。我
らネフテスの客人として、様々に力を貸してくれている。
お前との交渉の件を聞き、是非私と共にハルケギニアに行きたいというので、連れてき
たのだ」
ビダーシャルに促された男は一歩進み、フードを外してジョゼフに深々と一礼した。
「お初にお目にかかります。僕はロジャー・ラビットと言います。以後お見知りおきを」
男の小さな丸メガネがキラリと光った。
支援
ジサクシェーン
ラプラスお前隠す気ねーだろwww
支援
し〜え〜ん〜
夜のアーハンブラ城。
城から遠く離れた砂漠の中に、ロジャー・ラビット名乗った男は一人立っていた。
――どうやら、上手くいったようだね――
どこからか、少年のような声が男に話しかけてくる。
男はポケットに手を入れ、大きな赤い宝石を取り出した。その宝石は自ら赤い光を放っ
ていて、リング状の光をいくつも周囲にまとっている。しかも、ふわふわと勝手に宙を舞
い始めた。
――もーっ!ヒナは早く会いたいのぉ!真紅や翠星石や金糸雀やジュンやのりや!みん
なと早く会いたいのぉー!!――
もう一つの、こんどは小さな女の子の声が響いてきた。
男のもう一つのポケットから、もう一つ赤い宝石が取り出され、同じく宙を舞う。
「ふふふ、ダメですよ薔薇乙女達。役者が舞台に立つ時を誤れば、どんな劇もくだらぬ喜
劇へと墜ち果てます」
――ふん。相変わらずだな、ラプラスの魔。雪華綺晶(きらきしょう)から僕らを守っ
て逃げてくれたのは感謝するけどね。でも、僕らはお前の暇つぶしに付き合う気はな
いよ――
――そーなのそーなの!ヒナも蒼星石も、真紅達に会ったらすぐ一緒に遊ぶのっ!――
「ふふふ、分かってますよ。まぁそう焦らないで。アリスゲームは、まだまだ終わらない
のですからね。第七ドール雪華綺晶も、この地に遠からず舞い降りる事でしょう。
そして地球とハルケギニアを結ぶ物語も、始まったばかりなのですから。
破滅への序曲か、新世界の幕開けか。そうでなくては観客が退屈してしまいすよ」
そういう男の頭は、徐々に形を変えていく。
シルクハットを被ったウサギの頭へと。
二つの月が照らす砂漠。
ラプラスの魔は、二つのローザミスティカを手にして楽しげに笑っていた。
―――ルイズとジュンの名は、後の世に様々に語られ続けた。
中でも有名な物語は、無能王と呼ばれたジョゼフとの、長きにわたる抗争だ。第一幕で
ある薔薇戦争から始まり、その全てが虚実織り交ぜて人々を興奮させ続けた。
時にはハルケギニアの王家全てを巻き込んだ政治劇。
あるいはエルフ達との命がけの和平交渉。
はたまたイザベラとタバサの確執の仲裁役。
多くはジョゼフとジュンの知略戦として。
その裏では虚無対虚無の魔法戦を。
たまにはジョゼフがジュンの背中にこっそり「チビ」と張り紙したり。
お返しにジョゼフが履こうとしたスリッパを床に接着剤で貼り付けておいたり。
時々お互いを深読みしすぎて動けなくなったり自滅する喜劇ともなった。
そして何より、薔薇乙女達のアリスゲームと、『究極の少女』争奪戦。
ルイズとジュンが、ジョゼフやエルフと紡いだ物語は、あらゆる舞台・歌劇・小説・お
とぎ話の題材となる。冒険物語・ラブストーリー・少年の成長物語・戦記物としても、人
類の歴史と共に語られ続けた。
そして彼等が地球とハルケギニアを結び、両世界の架け橋となるのは、それほど遠くな
い未来―――
エピローグ END
というわけで、「薔薇乙女も使い魔」終了でーっす
はぁ、やっと書き終わった・・・
皆様、こんなダラダラとクソ長い話しにお付き合い頂き、有難うございました
m(_ _)m
なんといえばいいのかまとめ切れないのでとりあえず一言だけ言っておこうか
お疲れ様でした
いい終わり方だったと思う。回収しきれない所あったしなwwww
ともあれGJ!お疲れ様。
何というか………もう、乙としか言いようがありません
GJ!!、完結おめでとうございます。お疲れ様でした。
個人的には、ルイズたちが日本に来る話、もうちょっと見てみたかったなあ、と思ってます。
(オーフェンの人みたく)外伝が欲しい所ですが、無理っすかね。
これはもう、なんとも……いいお話でした
Nice work!!お疲れ様でした。
面白かった〜、職人さん超乙!
739 :
支援?関連?:2008/02/04(月) 20:33:33 ID:bgasP7vm
乙でした!
ジュンとジョゼフwww
張り紙とか接着剤とか小学生かおまえらwww
一生仲良く喧嘩してろw
完結おつです 名作をどうもありがとう
薔薇乙女さんGJ!!
お疲れ様でした。
良き作品をありがとう。
薔薇乙女終了か…お疲れ様でした
でも何だか続きそうな終わり方だw
GS美神はよく知らないんだけど文珠って蓬莱学園の応石みたいなもの?
第六部 おまけ
「――・・・やらなければ、いけないのか?」
「ええ、そうよ。ジュン、あなたが自分の手で、やらなければいけないの」
ジュンは、震える自分の右手を見つめる。
「ルイズ、でも、なんで僕がエレオノールさんを、この手で」
「地球、nのフィールドという秘密を、守るためよ。・・・あたしだって、つらいの」
「そんな・・・!どうして僕が、僕が、この手で、エレオノールさんの・・・」
ルイズも、肩を震わせて俯いたままだ。
ジュンは自問自答し続けた。
どうして、どうしてこんなことになったんだ!?
どうして僕が、この手で、エレオノールさん・・・
ある日のハルケギニア、トリステイン魔法学院。
本塔最上階の学院長室では、今日もオスマンが重厚な造りのセコイアのテーブルに肘を
つき、鼻毛を抜いていた。
おもむろに「うむ」とつぶやいて引き出しを引いた。
中から水ギセルを取り出した。
すると、部屋の隅に置かれた机に座って書き物をしている秘書が杖を振った。
水ギセルが宙を飛び、秘書の手元までやってきた。つまらなそうにオスマン氏がつぶや
く。
「年寄りの楽しみを取り上げて、楽しいかね?ミス・・・」
「オールド・オスマン。あなたの健康を管理するのも、私の仕事なのですわ」
「ふぅ。そのセリフを聞くと、ミス・ロングビルが戻ってきたような気がするのぉ」
「・・・そのミス・ロングビルとやらにも、同じ事をしようとしていたのですか?」
といって秘書は机の下に杖を向けようとした。
オスマン氏は、顔を伏せた。悲しそうな顔で、呟いた。
「モートソグニル」
秘書の机の下から、小さなハツカネズミが現れた。オスマン氏の足を上がり、肩にちょ
こんと乗っかって、首をかしげる。
オスマン氏はネズミにナッツを与えつつ、ネズミに耳を寄せた。
「なに、そうか、見えなかったか。残念じゃ」
秘書は立ち上がった。しかるのち、無言で上司を蹴りまわした。
「ごめん、やめて、痛い。もうしない、許して、エレオノール様」
エレオノールは、荒い息で、オスマン氏を蹴り続けた。
コンコン
「失礼致します、アニエスです。王宮からモット伯とワルド伯が参られました」
「うむ、通してくれ」
扉を開けて入ってきたアニエスの前には、重々しく腕を後ろに組んで客人を迎えるオス
マン氏と、何事もなかったかのように机に座るエレオノールがいた。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!支援
『エレオノールの場合』
エレオノールはアカデミーをクビになった。
表向きは『薔薇乙女強奪未遂事件』の責任をとらされてのことだ。一歩間違えれば王宮
とルイズ達との完全な決裂を招き、薔薇乙女を敵に回すという結果に至りかねなかったの
だから。
その後、学院に就職。現在、オスマン氏の秘書として働いている。
もちろんヴァリエール家の権威をもって、エレオノールの地位を守る事は出来た。だが
あえてそれは行われなかった。
ゼロ戦からの通信により、虚無の使い手と知れ渡ってしまったルイズ。未知の技を提供
するジュン。そして薔薇乙女達がいるトリステイン魔法学院。今や、いや今まで以上にハ
ルケギニア全土の注目を集めている。
堂々と留学してきたイザベラと東薔薇騎士団だけではない。ロマリアからも留学生とし
て若い神官の受け入れを要請されている。その他ありとあらゆる国家・組織の目と手が学
院へ、表に裏に及んでいる事は間違いないだろう。
アニエス率いる警護隊が学院に常駐しているが、彼等は魔法の使えない平民の女性ばか
り。教師や生徒は皆メイジだが実戦経験に乏しい。軍やトリスタニアの再建に忙しい今、
これ以上学院に人を裂けないという国の事情。
ヴァリエール公爵夫妻としては、ルイズ達を学院から呼び戻して公爵家にて守りたいと
考えていた。だがそれは完全に拒絶されてしまった。なので、エレオノールがルイズ達を
守るために学院に来てくれることになった。
これにはアカデミーも、何故かとてもとても積極的に同意してくれた。
というわけで、学院にてエレオノールを受け入れさせられたオスマン氏。そして教員の
空きはなかった。空いていたのは、自分の秘書だけ。
学院長はフーケが秘書をしていた過去を懐かしむ毎日であった。
オスマン氏の前に立つのは二人の貴族。ジュール・ド・モットと、ワルド。
モットは読み終えた書簡をクルクルと丸めてオスマンに手渡した。
「以上です。やはり艦隊の再建には、アカデミーのみならず学院の協力が必要ですな」
「だからとて、コルベール君とジュン君の派遣、というのはじゃなぁ・・・」
「聞けば、かの鉄の鳥の残骸を調べ上げる毎日とか。あの機動力を艦隊に生かせれば、ど
れほどのものかは言わずもがなかと」
「残骸なら、アカデミーにも送ったじゃろ?」
「かのシュヴァリエは半分に出来ませんからな。はっきりいって、アカデミーではお手上
げの状態です。何故あれが宙を舞えたのか、それすら分からないと」
「やれやれ。とはいえ、当人達が首を縦に振らぬ事は明白じゃ」
「そこを学院長のお力で・・・」
そんな二人のやりとりを、ワルドは退屈そうに後ろで黙って聞いていた。しばらくして
交渉をモットに任せ、学院長室を退室していった。
ワルドはコルベールの研究室にやってきた。
コンコン
ワルドが扉をノックするが、返事はない。
コンコンコンコン
さらにノックする。が、何か話し声が聞こえてくるのに、やっぱり返事がない。
彼は、掘っ立て小屋の横にまわり、窓から中を覗いてみた。
そこには、机を挟んで熱心に話しをしている師弟の姿があった。
支援!!
自分たちの身柄が知らない所でやりとりされてるなんて気にもせず、当の二人は今日も
実験室にこもっている。
激しい異臭が染み付き、様々な試験管・薬品・地図などが散乱する掘っ立て小屋の中、
二人は机の上に広げたものを見比べていた。それは二枚の細長く黒い板。黒い板の表面に
は白い横スジが走っている。一枚の板にはぼんやりとした5〜6本、もう一枚には2本の
スジがくっきりと浮き出ている。
「信じられませんぞ・・・本当に『観測する』という行為だけで、『かんしょうしま』に
差がでましたぞ」
「僕も『干渉縞』なんて初めてみましたよ。この実験は話しか知らなかったんですけど、
まさか本当に、こんな見事に差が出るなんて」
「これが君の言う『りょうしろん』の中の『物質の波動性証明』なのですな!?
いやはや、全く信じられない。光と電気と、その辺の物が全て同じ物で、しかも波の性
質をも併せ持つとは!
だが、正直、その波が『存在の確率』の波だというのが、今目の前にしても信じがたい
のだが・・・」
「それは、僕にもよく分からない話なので・・・。でも、これでこの前僕が描いた元素周
期表について、どうしてあんな風な並びになっているのかは説明出来る・・・はずです。
難しくてサッパリなんですけど」
「いやいや!今はこれで十分ですぞ!さぁ、次はこちらの」
トントントン
窓枠をワルドが叩いて、ようやく二人は来訪者の存在に気がついた。
コルベールとジュンは、ワルドと机を挟んで座っている。ワルドは彼の調べてきた事実
を二人に語っていた。
「なるほど、やはりエルフとのコネクションは見つかりませんでしたか。まぁ、しょうが
ない話しですぞ」
コルベールはガッカリした様子でワルドの話しを聞いていた。
ジュンも落胆を隠せない。
「やっぱりハルケギニアには、エルフと話の出来る人はいないのかな」
ワルドも溜め息混じりで話しを続ける。
「全く、困ったモノさ。この調子では、我々自身がエルフの国と国境を接しているガリア
まで足を伸ばさないといけないかもな」
「いやいや!あのジョゼフという男は、とても信用出来ないですぞ!ガリアを迂回するな
り考えないと」
ジュンは先住魔法やエルフの技術を知るために、コルベールは『東方』を自分の目で見
るために、ワルドは聖地へ行くために。どうにかして聖地のエルフと接触出来ないかと頭
を捻り続けていた。
だが今のところ、さしたる成果は得られていないようだ。
コンコン
研究室の扉がノックされた。入ってきたのはエレオノール。
「失礼します。モット伯が帰られるそうですわ」
「おっと、そうか。お邪魔したね。それじゃ二人とも、また何かあれば連絡するよ」
そう言って出て行こうとしたワルドに、ジュンはこっそりと一枚の紙片を手渡した。
支援
なんか小難しいこと話してるー!?
「妹の使い魔に、ご執心のようですわね」
「救国の剣士、始祖の再来たる虚無の使い魔、『東方』の若き技術者、そして一人の女性
を巡るライバル。執心なのは当然ですよ」
二人は学院の門へ、並んで歩いている。エレオノールのメガネが、一瞬キラリと鋭い光
を放つ。
「そうですわね。でも、お気を付け下さい。『良い英雄とは、死んだ英雄だけだ』という
言葉もございますの」
「ふっふっふ。美しい顔で怖い事を言うモノだね、心するよ。ところで、僕のフィアンセ
はどうしているかな?是非会っていきたいのだが」
「授業中ですわ。・・・あの」
エレオノールは急に歩みを止め、ワルドの方を向き直った。
「ルイズの事なのですが。何か、その、少し変わったと思われませんか?」
さっきまでの事務的な態度とは違う、姉としての表情に、ワルドの顔も少し和らぐ。
「そりゃあもう、凄く変わったとも!魔法が使えるようになって、すっかり自信もついた
ようだし。国の将来を担う人材としての自覚が」
「あ、いえ、そうではなくて、いえそれもあるんですけど、それとは違って・・・その、
ですね・・・」
エレオノールは、言いにくそうに視線をそらし、頬を染め、口元に指を当てる
その仕草に、ワルドもピンと来る。
オホンッと一つ咳払いして、小さな声で姉の耳元にささやいた。
「もちろんレディとしても、成長しているようですね。まだまだ少女のようですが、将来
は殿方の視線を集めることでしょう」
「はぁ・・・それは、姉として嬉しい限りですわ」
と言いつつも、何か納得出来ない感じのエレオノールだった。
夕暮れのトリスタニア旧市街。
急ピッチで進む新市街建設の仕事を終えた人々が集う安酒場。その中に、妙に気品のあ
る男女が酒を酌み交わしていた。
「あははははっ!その姉貴はねぇ、妹に抜かれるんじゃないかと気にしてたのさ!」
「特に、胸かい?」
「あったりぃー!あのタカビーの胸、ぜぇったい布きれ詰め込みまくりだわ。『最近、妹
の胸が大きくなってきた』って、対抗心燃やしてるんだろうねぇ!」
でも、話している内容は品がなかった。
「くははははっ!まさに骨肉の争いというヤツだ!マチルダよ、お前の爪の垢でも煎じて
飲ませてやればどうだ?」
「やなこったい。クソッタレの貴族共にくれてやる物なんか1ドニエたりと持ってないん
でね」
「おやおや、それでは今日の酒代も、このワルドのおごりかい?」
「・・・あんた、女に払わす気だったのかい」
「冗談だ、そう睨むな」
「わかってるさ。それよりも、今回は何をもらったのさぁ?」
「うむ、これだ。・・・といっても、相変わらず俺にはサッパリ意味が分からん」
といってマチルダに手渡したのは、ジュンから受け取った紙片だ。そこには、ハルケギ
ニア語に翻訳された元素周期表と説明文が書かれていた。
支援
全身全霊を持って支援する…!
あ、後でwiki修正しなきゃ…
――ワルドと『土くれのフーケ』ことマチルダ・オブ・サウスゴータは陽気に酒を酌み交
わしていた。
フーケはもちろん今でも指名手配されてはいた。が、薔薇戦争のゴタゴタですっかり存
在を忘れ去られた。張り出された手配書は街と共に焼け、人手不足のため新しいものも未
だ掲示されていない。新たに盗みを働かない限り、直接フーケの顔を見た人物でないと彼
女が誰だか思い出せない。そして平民と貧乏貴族ばかりが来る安酒場に、彼女と面識のあ
る人はいない。
現在、彼女は盗みよりも確実で、安全で、効果的に『貴族に一泡吹かせる方法』を思い
つき、日々実行していた。貴族の権威を根本的に、かつ合法的に失墜させる方法を――
紙片を受け取ったマチルダも、一応は目を通す。でも、いくら目をこらしてじぃーっと
見つめても、説明文を読んでも何のことだかサッパリ。
「う〜む、相変わらずあの坊やの言う事は分からないねぇ。でもま、ゲルマニアの鍛冶職
人あたりなら、意味がわかるんだろうよ。いつものように、安く広く売りさばいてくるさ
ね」
「うむ、頼んだぞ。ジュンも貴族の傲慢さには腹を立てているからな。お前が彼の技術を
広めれば広めるほど、平民の地位は上がり貴族の権威は失墜するんだし」
「任せな。ところで、夜はまだまだ長いんだ。今夜はとことん付き合ってくれるんだろう
ねぇ?」
「もちろんだとも」
二人は嬉しげに乾杯を繰り返した。
さてさて就寝の時間。場面はトリステイン魔法学院。
人間は汗をかいたり垢がでるので、風呂に入らないといけない。でもエレオノールはま
だ風呂には入らず、自分の部屋で書類に目を通していた。
夜も更けた頃、コンコンと彼女の部屋をノックする人がいた。
「夜分失礼致します。ローラですが、ルイズ様達が入浴に向かわれました」
「ご苦労、下がってよろしい」
その報告だけ聞くと、エレオノールも浴場へ向かった。
学院の風呂場は本塔にある。半地下構造で、5体のゴーレムが警備している。窓ガラス
は魔法がかけられ、外からは覗けないが内側からは外が見える。固定化と魔法探知装置も
つけられている。
男子生徒諸君は「余計なところに大金かけやがって!」と恨みをつのらせていた。
そんな要塞のごとき女風呂の脱衣場に、ルイズとキュルケとタバサの3人がいた。
『女3人寄ればかしましい』と言う。この場合ルイズとキュルケの二人がかしましかっ
た。制服を脱ぐ手より、口の方が忙しい。
「ふっふんだ!何よ、おっきければ良いってもんじゃないのよっ!いずれ、そんなの、垂
れちゃうんだからっ!」
「あぁ〜ら、そぉれは大変だわぁ〜。気をつけないとね。ルイズは良いわねぇ〜、垂れる
心配ないんだしぃ」
「くぅぉっ!これからよ!見てなさい、絶対ぜぇったいっ!将来素敵な胸になるんだから
ね!」
黙って聞いてたタバサが、ポンとルイズの肩に手を置いた。大丈夫、とでも言いたげに
コックリと頷く。
「・・・何よ」
「ジュンは、胸の大きさを気にしてない」
瞬間ルイズは、風呂にまだ入ってないのに全身真っ赤になった。
「にゃにゃにゃにがにゃにがよーっ!!じゅ、ジュンは、関係ないわよっ!」
地球のテクノロジーだだもれwww
支援
続き大容量だな 支援
「あらあら、楽しそうね」
さらに脱衣場に入ってきた女性がいた。エレオノールだ。
とたんにルイズは真っ青になった。
「あ!姉さまっ!ど、どうしたんですか!?こんな時間に、お風呂なんて」
「ちょっと書類に目を通していたら、遅くなったのよ・・・あなた達、何それ?」
そう言ってエレオノールは不思議そうに3人を見渡した。
3人は制服を脱ぎ、下着姿になっていた。
ショーツについては、見た目ごく普通。ルイズはピンク白、タバサは白、キュルケは黒
の、貴族の淑女が普通に履いているものだ。だが、上が違った。3人とも、ブラジャーを
着けていた。
キュルケの巨乳には黒のブラ。上側はレースで、その下から褐色の肌が透けて見えてい
る。彼女のむせ返るほどの色気を生かしたチョイス。
タバサは青のスポーツタイプブラ。小さくて形の良い胸を、動きやすくもしっかりガー
ド。北花壇騎士として動きやすいものをゲット。
そしてルイズはピンクの、地球では一般的なブラ。ささやかながらもふっくらとした胸
を優しく包む。
―――下着の解説はおいといて―――
エレオノールの目はブラに、特にルイズのブラに釘付けだ。
「あ、姉さま、えっと、これは、その・・・」
「おちび・・・もしかして、それもジュンが?」
「あうぅ、その、はい、そうです・・・」
「まあぁ、『東方』の下着ですか。それにしても、女性用下着まで作れるとは、一体あの
者は何者ですか?」
「え、えと、その・・・なんというか。趣味が洋裁とかどうとか・・・」
「洋裁が趣味とは。・・・それにしても、剣士としてだけでなく、仕立屋としても一流な
のですねぇ」
「うぅ、その、えと」
ルイズはしどろもどろ。キュルケとタバサも顔を合わせて困り顔。
エレオノールは、ルイズのどもるセリフを右から左へ聞き流していた。
彼女の目は、ルイズの胸をじっと見下ろしている。この間まで平らだったはずの彼女の
胸には、ちょっとだけ谷間が出来ていた。
姉は、自分の胸と見比べた。何度も何度も視線を往復させた。
そして、心の底から敗北感と劣等感に襲われた。
わざわざメイドにルイズの入浴を報告するよう命じたのに、結果は目の前の現実に打ち
ひしがれるだけだった。
3人ともヴェルサルテイル宮殿襲撃について話し合った際に、のりや巴から勧められた
ブラジャーがすっかり気に入ってしまった。ハルケギニアはキャミソールやコルセット、
それにシミーズはある。でもブラはない。
地球の科学・工業はハルケギニアを遙かに上回る。当然、下着に関しても日本で売って
いるモノは、素材から縫製からハルケギニアのそれとは比べものにならない。着けていな
いかのようなフィット感、肌触りの良さ、日常生活でも邪魔にならず、デザインは芸術の
域。しかも丈夫ときたもんだ。
というわけで、3人とも普段からブラをつけるようになった。でも、ばれると「どこで
手に入れたの?」と聞かれる事間違いなし。だから3人とも、誰もいない夜更けに入浴し
ていた。
だが、とうとうバレてしまったワケである。
支援
こんな方向でも地球のテクノロジーがもれてるwww
支援
支援
キュルケが誤魔化すように、二人の間に割って入った。
「ま、まぁまぁエレオノール様。そんな事はおいおい話せば良い事ですわぁ。それより、
早く入らないと風邪をひいてしまうわよ」
と言ってさっさと下着を脱ぎ捨て、浴布を片手に大浴場へ入っていった。タバサもヒョ
イと脱ぎ捨てて、杖を持ったまま後に続く。
「あ、姉さま!私達も、ほら!」
ルイズもそそくさと大浴場へ入っていった。
浴槽は、横25メイル、縦15メイルほどもある。貴族の浴場らしく、はられたお湯に
は香水が混じっている。
ルイズとエレオノールは並んで、弧を描く壁に背をつけて、浴槽につかっていた。
ルイズは細い手足を無造作に投げ出し、ゆらゆらと揺れる水面を見つめる。
キュルケはその身体を誇示するかのほうに、壁際に設けられたベンチに足を組んで腰掛
け、壁から噴き出る蒸気に身をゆだねている。
タバサは、キュルケの隣で本を読んでいる。
エレオノールは、改めて自分の胸を見た。浴布で隠してはいたが、やっぱり布一枚では
隠せないほどの、貧乳。ちょっと前までは、末っ子のルイズとそっくりだったはずのペッ
タンコ。
まさか、ちびルイズに負けるなんて!
そりゃ、おちびが魔法を使えるようになったのは嬉しいわよ。ヴァリエール家の名に恥
じないメイジになって、姉としても鼻が高いわよ。
でも『虚無』って何よ!この姉をさしおいて、どういう事よっ!
おまけに、胸まで・・・胸まで!
と、怒りが顔に出るのをこらえつつ、チラリと隣のルイズを見る。
?
さっきと何か違う?
エレオノールは、妹の細い身体をよーく見直した。シミ一つ無い、ほんのり桜色の肌を
くまなく見つめてみた。特に胸を。
え?無い?無い、無い!
さっきまでの、胸が、谷間が、無いっ!!
もう一度、自分の胸と見比べながら、よぉ〜っく見てみた。
♪ペッタンペッタンツルペッタン♪
そんな謎のBGMが頭の中に流れてくるほど、二人並んで洗濯板。悲しくなるほど真っ
平ら。
そんなせわしなく往復する姉の視線に、妹も気付いた。
「?・・・どうしたの?姉さま」
「え??い、いえ、なんでも、ないの」
今度はエレオノールがぎこちなく誤魔化した。
かつらとパッドの秘密は最重要です支援
寄せて上げる吹いた
支援
支援www
さぁ、どんなイカヅチが堕ちるのやらwwwww
そんなになにもないのか支援。
そして4人一緒にお風呂を上がり、下着に身を包む。
エレオノールは、もう一度ルイズを見直した。
その胸には、どこからか、再び可愛いふくらみと小さな谷間が現れている。
「る、る、る・・・」
「はい?」
妹は、見た。
般若のごとき姉を。
「ルイズうぅうぅーーーーーーーっっっ!!!」
「どうして僕が、僕が、この手で、エレオノールさんのブラジャーを作らなきゃいけない
んだ!!しかも、よせあげブラなんて、作り方しらねーってのっ!!」
「しょーがないでしょーがっ!!もう姉さまったら、すごい剣幕で、とても断れなかった
のよぉっ!」
というわけで、ルイズの部屋に戻って来た一行は、この困った事態をジュンに話したの
であった。トランクで寝ていた真紅と翠星石も起き出してきた。
「無理、絶対ぃっムリ!!今すぐ断ってきてくれよっ!」
「だ、ダメよ、そんな恐ろしい事・・・出来ないわ。それに、姉さまの気持ちも分かるん
だし・・・」
タバサが、ポンとジュンの右肩を叩いた。
「あなたなら、出来る」
真紅も、ポンと左肩を叩いた。
「ジュン。あなたの裁縫の腕は、もともとマエストロ(神業級の職人)よ。あなたに作れ
ない服はないわ」
翠星石が、ジュンの目の前に裁縫道具を持ってきた。
「人間はぁ、諦めが肝心ですぅ」
キュルケが、椅子に座ったままケラケラ笑う。
「だぁいじょうぶよぉ!サイズだけ測って、地球で似たサイズのヤツを買ってきて、あと
はちょっと手直しとかしたらいけるわよぉ♪」
キュルケの言葉に、ルイズがポンッと手を打った。
「それよ!というわけで、ジュン、早速姉さまのサイズを計ってね」
「あのな、おまえらな、僕に計ってこい、と言うワケか?」
全員が、コクリと頷く。
「ジュンよ、役得というヤツだ。頑張れよ」
のんきなデルフリンガーのセリフに、ジュンはどんどん青ざめていく。
「あのさ、計るだけなら、別に誰でも出来るんじゃ?」
一縷の望みを託したジュンの言葉。でもキュルケは、残念でしたぁ、とでも言いたげな
顔で首を横に振る。
「悪いんだけど、それじゃ『ジュンが作る』という点に説得力が出ないわ。何しろ、あた
しとタバサの下着もあなたが作った、ということになっちゃったんだものぉ。ねぇ?」
キュルケに話しを振られて、タバサはコクコクと頷く。
真紅も、申し訳なさそうに口を開く。
「それに、やはりあなた自身が計ってブラに手を加えないと、エレオノールの胸にフィッ
トした良い下着は作れないわ。それが出来るのは、マエストロたるジュンだけだわ」
「そおですねぇ。せぇっかく私達を守るために学院に来てくれたんですからぁ、昔の事は
水に流してですねぇ、良い物をプレゼントするべきですぅ」
翠星石の言葉が、さらにジュンを追いつめる。
「お前等、楽しんでないか?ぜってー、僕をいじめて楽しんでるだろ!?」
ははは、予想通りの展開
だ が そ れ が い い !
支援
支援
そんなジュンの言葉に室内の全員が、そんなわけないじゃなーい、考えすぎ、私だって
辛いのだわ、なんて言葉が返ってくる。なんだか楽しげに。
絶対明らかに楽しそうなキュルケが、彼に裁縫道具の入った箱をポンと手渡した。
「ま、向こうもブラ一個で納得してくれるんだし。分別ある大人なんだから、おかしなマ
ネはしないわよ。ジュンちゃんも子供じゃないんだから、計ってくるだけだし、大丈夫よ
ね?」
「ばっバカにするなよな!わーったよ、まったく、どいつもこいつも・・・」
ブツクサと文句を言いながら、ジュンはエレオノールの部屋へ向かっていった。
さて、ルイズの部屋には女性陣とインテリジェンスソードが残されたワケだが、
「とは言ったモノのよぉ、大丈夫かねぇ?」
とのデルフリンガーのセリフに、真紅が少し不安な顔になる。でもルイズは余裕な顔。
「だーいじょうぶよぉ!ジュンはオコチャマだもの、姉さまに手を出せるはずがないわ」
「いやいやいや。あいつも薔薇戦争辺りから、すっかり男になったじゃねぇか。いつまで
も子供扱いしてると、痛い目みるんじゃね?
例えばよぉ・・・
――やっぱりエレオノールさまは、ルイズと違って大人の女性の魅力がありますね
あ、何をするのですか、胸のサイズを測るだけですよ!およしなさい!
夜分に女が男を私室に呼び込む意味、分かってらっしゃるでしょう?
そ、そのようなことは!ああ、誤解なのです、やめて、お願い――
てな感じで、その場の雰囲気で思わずってことも・・・ねぇかなぁ」
ジュンとエレオノールの声色まで使ったデルフリンガーの演技。
だが、全員が『背が低くて見た目が子供で女性に関してはサッパリのジュンが、気が強
くて自尊心の高い長身のエレオノールを押し倒す』シーンを想像し、100%ありえない、
と改めて結論づけた。
ルイズも「はぁ〜」と呆れて溜め息をついてしまう。
「ジュンが、姉さまを襲うなんて、絶対にありえないわ。そして姉さまは、ヴァリエール
家の家名に見合わない男は相手にしないわよ。メイジでない人を人とすら考えていないで
しょうね。
何より二人とも、すっごく真面目だもの。サイズだけ測ってさっさと帰ってくるわよ」
ルイズの言葉に、キュルケがちょっと首を傾げた。
「ねぇ、ルイズ。たしかエレオノールって、この前バーガンディ伯爵との婚約が破棄され
てなかったっけ?」
「ん?そうよ・・・それが、どうしたの?」
キュルケは、ちょっと意地悪な小悪魔っぽく微笑んだ。
「ヤバイ、かもよ?」
「何がよ」
「つまりぃ〜、今、あなたの姉さまはぁ、ウップンとかそういうのが溜まってるワケよ」
「ど、どういう意味よ!?」
「つまりぃ〜・・・」
支援!
欲求不満行き遅れ支援w
ジュンの貞操は誰の手に支援
―――薄暗い室内に、ろうそくの炎が揺れる。
暗がりの中、シュルシュルと衣擦れの音。
一枚、また一枚と、女は自らの意思で肌をさらしていく。
女は、ショーツ一枚だけになり、ささやかな胸を恥ずかしげに腕で隠した。
そして震える足で、ゆっくりと少年の前に進み出る。
少年も女も、上気した顔を相手に向ける事が出来ず、視線を床に落としている。
どうしてだろう?脱ぐのは上半身だけで良いのはずなのに。でも、少年にはそんな事を
考える余裕も無かった。
少年の震える腕が、女の胸へと伸びる。
女は、ゆっくりと腕を下ろし、少年に身体を預ける。
ふと女は、少年を見下ろした。
そこには自分の身体を見つめて頬を染める少年がいる。
女は20代後半。行き遅れてはしまったが、まだ女を捨てるには早すぎる。いや、女盛
りといえる若さ。そして少年は、もうすぐ男と呼べる年だ。日々自分に磨きをかけ、男と
しての魅力を高め続けている。
伴侶を得られず、このままでは女としての幸せをつかみ損ねそうな自分。そんな彼女の
目の前に、まだ少年のあどけなさを残す、だが男としての魅力と高い将来性を兼ね備えた
剣士が。
しかも自分の女性としての魅力に耐えかねて、頬を染め俯いている。
少年は、必死の思いでどうにか仕事を終えた。
そして後ろを向き、もう終わりましたから服を着て下さい、と声をかける。
シュル…
衣擦れの音がした。
だが、少年は不思議に思った。何故なら、衣擦れの音が一度しかしなかったから。
背後から、ゆっくりと足音が近付いてくる。
そして、少年の首に背後から、女の腕が回された。
彼の目の前には、いましがた脱がれたばかりの、女のショーツが・・・―――
「ぎゃあーーーーーーーありえないありえないありえないいいーーーーーーーっっ!!」
ルイズは耳を塞いでブンブンと首を振り回す。
真紅と翠星石は、途中で気絶してポテッと倒れてしまった。
タバサですら、本を読まずに聞き入ってしまった。
「キャハハハハハッ!!や〜ねぇ、例えばよぉ」
その様に、臨場感たっぷりに語り終えたキュルケは大爆笑だ。
だがデルフリンガーは、真面目にキュルケの話しに同意しだした。
「いや〜、十分ありうるんじゃねぇか?だって今や、ジュンがただの平民じゃねえって事
は、あの姐さんだって分かってるだろ。
そしてジュンは、もう立派な男だ。顔は、まあ色男ってワケじゃねぇ。でもよ、背はハ
ルケギニアに来た頃より伸びてるし、身体もガッチリしてきてる。
あの姐さんが、婚約破棄されてムシャクシャしてるって時に、若い男が目の前に出され
たら・・・」
ルイズはすっくと立ち上がり、杖をデルフリンガーに向ける。
そしてルーンを唱え始めた。
「や、やめて、消し飛ばさないで」
剣がカタカタ震え出す。
さらにケタケタ大笑いするキュルケ。
「あーおっかしぃーっ!ねぇねぇタバサ、あなたはどう思う?」
聞かれたタバサは首を傾げてじっくり考え始めた。そして、杖を掲げた。
「後ろから『眠りの雲』。『レビテーション』でベッドへ」
支援… まさかさるさんに引っかかったのか?
wktk 支援
気絶していた真紅と翠星石が、突如スックと起きあがった。
そして黙って扉に進んでいく。
ドカッ!
乱暴に扉を開け放ち、外へ出て行った。
ルイズは、慌てて二人の後を追う。
そしてキュルケとタバサも飛び出した。
部屋に残されたデルフリンガーは「青春だねぇ」とつぶやいた。
先を行くルイズとローゼンメイデンを追いかけながら、タバサが隣を走るキュルケに尋
ねた。
「最初から、誰かジュンと一緒に行けば良かった」
問われたキュルケはニマ〜っと笑い、
「あら、そういえばそうよねぇ〜。気がつかなかったわ。タバサ、言ってあげれば良かっ
たんじゃなぁい?」
と、棒読みな答え。そしてタバサも、
「気がつかなかった」
と、普段よりさらに感情のこもらないセリフを返した。
そんな後方の小悪魔達に気付く様子もなく、ルイズ達はエレオノールの部屋へ急ぐ。
真紅と翠星石は、エレオノールの部屋の前に来るやいなや、ステッキと如雨露を取り出
した。
後ろからゼーゼー肩で息して走ってきたルイズが止める間もなく、二人は「せーの!」
と声を合わせ、ドカッ!と扉を鍵ごと叩き破る。
そして汗をダラダラたらすルイズが中をのぞくと、ジュンとエレオノールがいた。
二人は、薄暗い室内にいた。
ジュンは、ベッドに寝かされている。すやすやと眠っている。
ベッドの横に立つエレオノールは下着姿。身につけるのは、ショーツ一枚。
手に持った杖をジュンへ向け、身体をかがめて彼の顔を見つめていた。
エレオノールが、突然の乱入者に目を見開いて振り向く。
ルイズは、真紅と翠星石も、硬直していた。
後からやって来たキュルケとタバサも中を覗く。
しばし、全員が固まって動かない。
ようやくキュルケが、タバサの手をとって上に掲げた。
「正解者、タバサ」
「・・・ぶい」
タバサは棒読みで、掲げられた手でVサイン。
ルイズが早口言葉並みの速度でルーンを唱える。
次の瞬間、全員まとめて『エクスプロージョン』の光に包まれた。
タバサ直接的過ぎるwww
支援
これは支援せざるを得ない。
な…んだと…
支援!
トリステイン魔法学院の医務室は、水の塔3〜6階まである。
その最上階一番奥のベッドで、ジュンが眠り続けていた。ただし、服はボロボロ頭はチ
リチリの黒い毛玉。寝ていると言うよりは、気絶させられたと言う方が正しい。
慌てて飛んできたシエスタなどメイド達が、寝間着のまま彼を介抱している。
その横で、やっぱりボロボロになった上にガウンを羽織ったエレオノールが、自分の魔
法に自分が巻き込まれてズタボロになったルイズを、そして巻き添えになったキュルケと
タバサと真紅と翠星石も並んで正座させていた。
「だから!どうしてあなたはっ!あなた達は、そうも粗忽者なんですかっ!?私がどうし
てジュンを襲うなんて思うんですか!!
ちょっと考えれば分かるでしょう!?その子は緊張のあまり勝手に気絶したんだって!
それを『レビテーション』でベッドに移して介抱していたとっ!!
それを何ですかあなた達はっ!!よってたかって!!貴族としての自覚の欠片も無いよ
うですね!!恥を知りなさいぃっ!!!」
全員、返す言葉もなくシュンとして小さくなっていた。
果てしなく続くかと思われたお説教も、日の出の頃になってようやく収まった。
ゼイゼイと肩で息するエレオノールが、横でジュンを介抱していたシエスタをじろっと
見る。
「ちょっと、そこのメイド。・・・確かあなた、その子と一番仲が良いメイドという話し
ですね?」
「え!?あ、あの、一番仲がよい、かどうか分からないのですが、その、仲は良いと思い
ます」
「よろしい。名前は?」
「シエスタです」
「ではシエスタとやら。今後はこの子の、ジュン・シュヴァリエ・ド・サクラダの使用人
となり、その子とルイズの身の回りの世話をしてあげなさい」
全員、あっけにとられた。
「はっ!はいっ!!喜んで拝命致します!あたし、頑張りますっ!!」
と、シエスタはキャアキャアと大はしゃぎ。
だが、ルイズは青ざめた。
「なー!どういう事ですか姉さま!?どうしてジュンにシエスタが」
「だまらっしゃいっ!!
あなたみたいな慌て者で乱暴者の相手を一人でさせていたら、この子の身体が保ちませ
んっ!!自分の使い魔を殺すメイジなんて、ヴァリエール家、トリステインはおろか、ハ
ルケギニアの恥ですっ!」
「そんなーっ!横暴です姉さまっ!」
そんな姉妹喧嘩とはしゃぐメイドの横で、目を覚ましていたジュンが呟いた。
「僕の意見は無視かよ・・・」
ジュンは、この矛盾と理不尽に満ちた世界への怒りに震えるのであった。
支援!
お約束どおりww
だけど そ れ が い い ! !
支援
さてさて、さらに時が過ぎまして。
地球でのりに泣きついたジュンが、姉に連れられて訪れたのは、Wacoelの女性下着専
門店。胃が痛くなるほどの恥ずかしさと肩身の狭さに耐えて彼が姉と選んだのは、エレオ
ノールのための『大天使のブラ』。客や店員の奇異の目から逃げるように店を飛び出し、
それでもマエストロの才能をフルに使って手直しを加えた。
受け取ったエレオノールは狂喜乱舞。さっそく鏡の前に立ち身につけた。
生まれて初めて見る自分の胸の谷間、対照的にスッキリした脇の下。彼女は、至福の時
を過ごすのであった。
だが、ここでジュンの災難は終わるわけもなく、
「やっぱり、ね、ギーシュもね、大きな胸の方が喜ぶと思うのよ」
「ちょっと待ったぁ!このイザベラ様を差し置いて、何勝手言ってんだい!?」
「う、うむ、恥をしのんで、このアニエスも、貴公にお願いしたい。特に、タバサ殿が着
用しているような、動きやすい物を」
「あ、あたしもお願いします!」
「その、私も、是非・・・」
後日ルイズの部屋には、モンモランシーが、イザベラが、アニエスが、学院の女生徒達
やメイド達が、女性教員達までもが押しかけてきていた。
ジュンは、真っ白に燃え尽きた。
―――コルベールとジュンの名は、地球とハルケギニアの双方において、歴史上の偉人と
して語り継がれる事になる。
二人が確立した理論、魔法と科学を融合した新しい学問は『伝説上の錬金術の復活』と
いうレベルのものではなかった。それは全くの新分野の学問と認められ、『魔工学』と呼
ばれた。
彼等は量子論における超ひも理論においてすら為し得なかった、電磁気力・弱い核力・
強い核力の3つを結ぶ大統一理論と、重力とを結びつける、『超統一理論』を完成させた。
これを応用し、虚無の力により地球への道を開く人工ワームホール『世界扉』を、安定し
て存在させ続けることにも成功。いわば『次元回廊』を生み出したのだ。
当初は両世界の破滅的衝突が予想された。だが、ジュン・コルベール・ルイズ・キュル
ケ・のり・タバサ・巴などの有力な橋渡し役が多数存在した事から、どうにか全面衝突と
いう事態だけは避け続ける事が出来た。
ジュンは次元回廊開設後は、「初代魔工師」「賢者」「次元回廊共同管理運営機構理事」
「世界扉警護隊司令」「量産型ローザミスティカ開発者」と、政治的学者的な意味合いで
呼ばれた。ちなみにコルベールも、「魔工学創始者」「聖者」等、『炎蛇』の二つ名が霞む
ほどに異名の方が世に知れ渡った。
だが、ジュンにはもう一種類の異名が、とても沢山授けられた。
本人は、その異名の山を非常に嫌がり、生涯「なんで僕がこんな目に・・・」とぼやき
続けてた。
それは
「女神の谷間ジュンダールヴ」「ハルケギニアにブラジャーを広めた人」「よせあげブラ
を手縫いした漢(をとこ)」「ある意味、勇者」「究極の幸せ者」「ハルケギニア女性に希
望を与えた天使」「ハルケギニアの半分の男性に幻を、もう半分に絶望をもたらす悪魔」
「貧乳の味方」「巨乳の敵」「才能の無駄遣い」「何しに召喚されたんだお前は」etc...
『エレオノールの場合』 END
第六部 おまけ 終
シエスタ専属イベントがこんなあっさりw
支援
支援
ジュンがどんどん変な方向のマエストロに…wwwwww
あらら…終わっちゃった。
色々と感想もあるけどまずはこの一言で
GOOD JOB!!!!
これにて「おまけ」も終了。
むしゃくしゃしてないけど、やった
受ければ何でも良かったワケじゃない。ネタは選んだ
今は、全く後悔していない
がんばれ、王族の仕立て屋
GJ!
試練だジュン
>>790 乙です。
>>745 似てるっちゃ似てるねー
字が決まってるわけじゃなくて、自分で入力するから応用範囲がめっちゃ広い感じ。
イメージ次第で力の及ぶ限り何でも有り。特殊な一例を除いて使い捨てだけど。
後半の異名がニコニコのタグみたくなっててワラタww
GJでした
なんというマエストロwwwww
楽しませてもらいましたwww
GOD JOB!!
なんというマエストロwwwww
楽しませてもらいましたwww
GOD JOB!!
薔薇乙女が一気に一気に来てた!
おまけはおいといて、本編がアニメ版ドラゴンクエストを彷彿とさせる終わりかたですな
何が言いたいかというとそのうち第二期を(ry
ちょっとまて、「巨乳の敵」ってなんだ、ブラは胸の発育促すだろ。「貧乳好きの敵」なら判るがww
垂れるのを防ぐのでむしろ「巨乳の救世主」
サイズの合っていないブラは形を悪くしたり
大きくなるのを阻害するとか。
東方の下着いうたら襦袢やろがっ!
ちなみに語源はアラビア語だ
これにて、「薔薇乙女も使い魔」全て終了です
皆様、お付き合い有難うございました。
将来読み返した時に「黒歴史」扱いしたりしない、という自信はありませんが
今の時点でのベストを尽くした作品ができた、と思ってます。
まぁ、「ご立派様」などの他作品に比べれば、稚拙な限りではありますが。
あとはWikiで、あちこち誤字を直しておきますね
それでは皆様、さようならです(^^)ノシ
すごく……乙華麗です………
ありがとうございました。
成程、研究にはお金が必要だもんな。
世の女性に売った夢の代金を研究資金にまわしていたのか。
完結おめでとうございます。
ブラジャーは人間工学の結晶といっても過言ではないものなんだそうですよ、ジュン君。
さ、私もワードナの続き書こう(ごそごそ)。
「何しに召喚されたんだお前は」フイタwwwwwww
ハルケギニア(の女性)に希望(悪夢)を齎す為だと思ふwwwwwwwwwww
ィ";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙t,
彡;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r''ソ~ヾ:;;;;;;゙i,
t;;;;;;;リ~`゙ヾ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ i,;;;;;;!
゙i,;;;;t ヾ-‐''"~´_,,.ィ"゙ ヾ;;f^! / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ト.;;;;;》 =ニー-彡ニ''"~´,,...,,. レ')l. < 何しに召喚されたんだお前は
t゙ヾ;l __,, .. ,,_ ,.テ:ro=r''"゙ !.f'l. \____________
ヽ.ヽ ー=rtσフ= ; ('"^'=''′ リノ
,,.. -‐ゝ.>、 `゙゙゙゙´ ,' ヽ . : :! /
~´ : : : : : `ヽ:. ,rf :. . :.: j 、 . : : ト、.、
: : : : : : : : : : ヽ、 /. .゙ー:、_,.r'゙: :ヽ. : :/ ヽ\、
:f: r: : : : : : : : !丶 r-、=一=''チ^ ,/ !:: : :`丶、_
: /: : : : : : : : :! ヽ、 ゙ ''' ''¨´ / ,i: : : l!: : : : :`ヽ、
〃: :j: : : : : : : ゙i `ヽ、..,,__,, :ィ":: ,ノ:: : : : : : : : : : : :\
ノ: : : : : : : : : : :丶 : : ::::::::: : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :\
面白い最終回の後で腰が引けるけど、私は投下したい!
時間もたったし問題あるまい
支援
支援〜
level-9 「出発」
早朝、朝もやの中3人は正門前に立ち
それぞれが準備を整えて、チーフの到着を待っていた
そんな中、ギーシュが恐る恐ると言った感じで口を開く
「お願いがあるんだが……」
「なによ」
「ぼくの使い魔を連れて行きたいんだ」
「使い魔? どこに居るのよ?」
「今呼ぶさ」
ギーシュは足を上げ、地面を踏みつける
すると地面が盛り上がり、かなり大きな動物の顔が現れる
「ああ! ぼくの可愛いのヴェルダンデ!」
膝を付いて大きなモグラっぽい生物を抱きしめたギーシュ
それを見ていたモンモランシーが額に手を当てていた
ルイズは、ギーシュが抱きしめていたモグラを見て一言
「却下」
「な、決断が早すぎるんじゃないか!?」
ギーシュの使い魔、ジャイアントモールの『ヴェルダンデ』
かなり大きく、立ち上がればルイズよりでかい
「馬鹿言うんじゃないわよ! こんな大きいモグラどうやって連れて行くのよ!」
「ふ、ヴェルダンデは地面を掘り進む速度は、そこらの馬より速いんだぜ?」
「だから駄目だって言ってるのよ、馬程度の速さじゃ追いつけないわよ!」
「馬より速い? 空でも飛んで行くって言うのかい?」
「違うわよ、地面を走るのよ」
「地面を走る生き物で、馬より速いのってあんまり無いんじゃないかな?」
「生き物じゃないわよ」
「生き物じゃない? それは──」
「ああもう、うるさいわね!」
ギャアギャアと喚く二人を見て、モンモランシーは
「こんなことで大丈夫なのかしら……」
と不安がっていた
しえん
支援
支援
─────────────────────────────────────────
一方そのころ、チーフは倉庫からワートホグを出し、持っていく銃と弾薬を揃えていた
簡単なチェックを終え、ワートホグに乗り込もうとすると
「待ちな」
背後から声が掛かった
「ほら、これ持っていきなよ」
振り返ると同時に放り投げられた袋、それを掴む
「これから厄介なとこ行くんだろ? そん中には役立つ物入れてあるから、必要になったら使いな」
袋の中には薬品ビンなど、小物が幾つか入っていた
「使い方がわからないならご主人様にでも聞いときな」
腕を組んで、少し笑ったロングビル
「助かる」
「ハッ、大事に使いなよ」
そう言ってロングビルは朝もやの中に消える
それを見送った後、デルフが鞘から少し抜け出る
「素直じゃねーなぁ、一言「ありがとう」って言やぁいいのに」
それができないから、こういう形を取ったのだろう
「何にせよ、助かることには違いない」
「ちげぇねぇ」
笑うデルフ、チーフはワートホグに乗り込み、アクセルを踏んだ
─────────────────────────────────────────
場所は戻り、一通りの言い合いの後、連れて行くかはチーフに決めてもらう事となったが
「ところでルイズ、チーフはどこに行ったんだい?」
「もうすぐ来るわよ」
そう言ったときには、何か音が聞こえ始めていた
「何なんだ、この音は?」
それはエンジン音、ハルケギニアには無い『自動車』を動かす主機の音
次第に音が近づき、現れたのは鋼鉄の車、その運転席にはチーフが乗っていて3人のすぐ近くに寄せる
「な、何なんだこれは!?」
ギーシュとモンモランシーが驚愕の声と表情を浮かべる
「『わーとほぐ』って言う『じどうしゃ』なんだって」
「わーとほぐ? じどうしゃ?」
二人して聞いたことの無い言葉に首を捻っていた
「簡単に言えば、『馬が引かなくても動く馬車』よ」
とルイズが説明しているとチーフがアクセルペダルを踏む
ブォン! と鳴る音に二人がビクリと動いた
「だ、大丈夫なんでしょうね?」
見知らぬ、よく分からない乗り物に軽い恐怖を覚えたモンモランシー
「勿論よ……、 多分」
「ちょっと! 今多分って言ったでしょ!?」
「しょうがないじゃない! 前と形が少し違うんだから!」
ルイズがこの前乗った時より、少しだけ形が変わっていた
主に助手席の部分に手が加えられていた
本来、ワートホグは軍用車ですぐ乗り降りできるようにドアが付いていない
海兵隊員ならばどうということは無いが、ルイズなどが乗ると悪路を走った時の振動で転げ落ちかねない
チーフはそれを考慮して、材料となる使えなくなったペリカンなどから簡易ドアを取り付けていた
しえん
フーケいい人だな
「安全対策だ」
勿論座るシートも手を加えている、この前のように2人座る場合もありえるのでシートマットを付け加えている
大人が二人乗っても余裕、とは言えないが十分座れるようになっている
無論、まだ子供であるルイズとモンモランシーならば余裕で座れる
3人はチーフの説明を一通り聞いた後、どこに座るかを相談し始めたと思ったらギーシュの座る場所は後部銃座と一瞬で決まった
「ひ、ひどくないかい、それは」
「別に、いいんじゃない?」
「そうよね、ギーシュなんだし後ろでも良いでしょ」
「ひ、ひどい! ならば此方の要求を通らさせて貰う!」
それならばとギーシュが先ほどのお願いを口にした
「チーフ! ぼくの使い魔を連れていきたいんだが、だめかな?」
強気だと思ったら弱気な言い方のギーシュ
それを聞いてチーフは運転席から降りる
「使い魔とはあれか?」
指差す先にはルイズとヴェルダンデ、いつの間にかルイズへと擦り寄っていた
「な、何よこのモグラ」
鼻をひくつかせ、主に右手に鼻を寄せる
仕舞いには立ち上がってルイズに飛び掛る
「キャ! なにこのモグラ!?」
押し倒されるルイズ、ヴェルダンデはルイズの右手の指輪に鼻を押し付けている
退かそうと暴れるルイズを見ていたギーシュはモンモランシーに殴り飛ばされていた
理由は倒れたルイズのスカートがめくれていて、それを頷きながら見ていた為
その殴り飛ばす光景はもう酷いもので、誰もが目をそむけるほどの光景だった
チーフはそれを余所目に、ルイズに圧し掛かっているヴェルダンデを退けようと、歩み出すと同時に一陣の風が吹いた
あまりの烈風にヴェルダンデだけが飛ばされ、空中でくるくる回る
それをジャンプしてキャッチ、そのまま銃座に乗せた
「ふ、ふれふぁっ!?」
殴られたダメージで上手く呂律が回らないギーシュは叫んだ
朝もやの中から現れたのは長身の男、羽帽子を被り、マントを羽織った貴族は素性を名乗った
「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」
しえん
しえん
学院長室、その窓からアルビオン行き一行を見るのはアンリエッタ
指を組んで始祖ブリミルへの信仰を言葉にしていた
「彼女たちにどうか加護をお与えください、始祖ブリミルよ……」
その隣では、ロングビルが注いだ紅茶を飲むオスマン
「ほう、これは美味いの」
さらに一口含み飲む
「オールド・オスマン、見送らないのですか?」
「ほほ、必要ありますまい」
「何故です?」
「彼らは学生とは言え立派なメイジですぞ、彼らもこれが子供のお使いではない事を理解しておりましょう」
アンリエッタは頷き、もう一度視線を窓にやる
「それに、既に杖は振られたのです、我々にできることは待つだけですぞ」
「確かに、仰るとおりですね」
「なぁに、彼なら何があろうとも必ずや成し遂げ帰還してきましょう」
「彼とは?」
「ミス・ヴァリエールの使い魔、彼なら成し遂げると信じております」
「……そうですね、ルイズがあそこまで言ったんですもの、信じましょう」
頷き遠くを見る瞳は、友を心配する光が宿っていた
ルイズはエロい
アンリエッタが言い終わると同時に、ドアが強くノックされた
「オールド・オスマン! 大事なお話が!」
「入りなさい」
勢いよく開けられた扉からはコルベール
手には分厚い本が握られていた
「失礼しますぞ! あいや、これは姫殿下、お見苦しいところを」
「いいえ、そのようなことはありません」
アンリエッタに一礼して、コルベールは本を開いてオスマンに見せる
「オールド・オスマン、これを……」
「む、これは」
「はい、おそらく間違いないかと、フェニアのライブラリーを片付けていたら見つけました」
さらに紙を取り出し、本と紙を交互に見合わせる
「いや、彼の実力は元からの様じゃしのぉ」
「しかし、彼女が書いた通り同じものだとしたら世紀の──」
オスマンはアンリエッタを一瞬だけ見て、コルベールに告げる
「ミスタ・コルベール、この話は後で聞こう」
「しかし」
「ミスタ・コルベール」
「……、分かりました」
オスマンの一言に気圧されたコルベールは一礼して退室した
「どうかしたのですか?」
「いやはや、彼が面白いものを見つけただけですじゃ、学者気質な教師で時折今のようなことをしておりましての」
「どのようなことを?」
「少し珍しいルーンを見つけただけですじゃ」
「珍しいルーン?」
「ええ、今年の生徒は粒ぞろいばかりで学院長としては嬉しい限りですぞ」
ニカッと笑うオスマンに釣られてアンリエッタも笑う
「その生徒たちを戦に駆り出さないよう、強くならなければなりませんね」
視線は窓の外のままその思いを、強く心に刻み付けていた
以上で投下終了です
次がやっと書きたかったシーンに突入
使い魔にバターを舐めさせるキュルケ
おねえさまと呼ばせて奉仕させるタバサ
そしてルイズはワルドを想って毎晩オナイー
しかしサイトが居るからいつももんもんとして
ストレスが溜まっているに違いない
>>827 貴様っ!勃起しちまったじゃねーか!!!
>>820 > 「そうよね、ギーシュなんだし後ろでも良いでしょ」
「のび太のくせに生意気だ」レベルの理不尽ひどすぎ(w
今は耐えるしかないギーシュ・ド・グラモンの明日はどっちだ?
ちょっと2・3日間が開いてしまうので、投下準備が出来たものを
投下いたしますね
屋敷の母屋は、思ったほど広くはない。照明に所々蝋燭は立っているものの、継ぎ接ぎだらけで有っても無くても変わらない有様だった。
だから、軽い変装でも十分潜入が容易なのだ。それでも極力人には見つからずに目的の部屋を……どうせあの変態貴族は今頃物色した女と
イタしている真っ最中だろう。まぁ、そんな写真が流出しても制裁ものだろうから十分なんだろうけどな。
(……分かりやすいな、多分あれだ……)
難しく考える必要はなかった。母屋の屋敷の最上階は一面変態貴族の寝室になっているのだろうが、扉は全く閉められておらずに開けっぴろげ
られており、隠す気はサラサラ無いようだ。まぁ、隠したところでおかしな物言いをする家臣など居ないだろうから、好き勝手なものだ。
俺は見える距離まで近寄り、この乱痴気騒ぎを少々観察した。
(流石にイカレた光景だな)
真っ先にそう言う感想が思い浮ぶほど、滅多にお目にかかれない光景が広がっている。と言うのも、変態貴族は優雅に豪華なダブルベッドの
真ん中に寝そべり、ワインに舌鼓を打っている。その左右には際どいランジェリーに身を纏った美女が添え寄っていた。それに加えてベッドの
左右に同じように際どいランジェリーを纏っている美女が均一の間隔で並んでいる。流石にシエスタは居なかったが、やれやれ、こんな狂気に
満ちた状況は俺たちの世界でもそうお目に掛れるものではない。
「……」
ここには警護の者も関係者もあまり立ち寄らないようで、隠れてその様を窺い知るには十分だった。その中でも変態貴族は反吐が出るような
手つきで寄添っている女の尻やら胸を撫でまわしている様は、最早貴族と言うよりは単なるエロオヤジ以外の何者でもない。
「!!」
そんな見ている此方が不快になってくる様な情景が広がっている中で、変化が起こったのを俺は見逃さなかった。
「さて、そろそろストレス発散しようか」
変態貴族はワイングラスを立っている女に手渡すと、クローゼットを自ら開けて何かを取り出そうとしていた。
「………!?」
だが次の瞬間、俺は我が目を疑うよりも先に己の正気を疑うような光景が広がった。
「今日は、これで楽しもう」
左右に控えている女達は動揺を隠さない。変態貴族は腰に白い布を巻き、首元にはフリルの付いた白い前掛け、おしゃぶり、白い帽子を
被っている姿が現れた。
「あ…あの、伯爵様……それは何の御冗談で……?」
どうして良いのか分からない様子で左に控えていた女が口に出す……それもそうだろう、多少の差異はあれ、誰がどう贔屓目に見ても
『赤ちゃんプレイ』以外の何者でもないのだからな!人間の変態性癖なんて、どの世界でも変わらん。
「冗談じゃないぞ、今日は、誰がこの私のママになってくれるのかな?」
この言葉で場の空気は一気に緊迫し、女達はどう対処して良いのか分からずでいた。俺自身、吹くのを堪えてこの光景を見ている。
「は…伯爵様、私には子供が居りませんので……」
「私もです……お相手出来ず申し訳ありません……」
女達は当り障りの無い言葉で何とか逃げようとするが、それを見て逆に俄然やる気が出てしまった変態貴族は、こう言い放つ。
「では、私が捕まえた者がママになって貰おう」
この言葉が合図となり、女達は必死で、見ている此方がそう思えてしまうほど必死に部屋中逃げ惑っていた。そりゃそうだろう、こんな
変態の相手など、本能的に拒絶するなんて当たり前だ。
(よし、この光景を写真に収めてやる……)
俺はカメラを構え、連続写真で収めてやった。シャッターの音?そんなの、女達の必死な悲鳴に全て掻き消されて、変態貴族には気取られ
なかったようだ。
絶好のトラウマ、いや文字通り立ち直れなさそうな写真を収めた俺は、何事も無かったかのようにその場を離れて母屋に出ようとしたとき、
予想外の出来事に出くわしてしまった。
「きっ…貴様、そこで何している!?」
手薄だと思っていた邸内は、何故か先程とは思えぬほど警備が重くなっていた。
「おっお前はっ!!トニー・シプリアーニ!!貴様だな、俺たちの仲間を殺りやがったのは!!」
どうやら俺を監視していた、始末した兵士の死体が見つかったらしい。この為警備が厳重になってしまったのか。
「俺は知らん、便所を借りていただけだぜ」
「つまらぬ御託は要らん!!ぶっ殺してやる!!」
★★☆☆☆☆
どうやら言いくるめも出来ない有様なくらいに頭に血が上っているらしい。仕様が無い、適当にあしらって逃げ遂せるか。
「死にやがれ、トニー・シプリアーニ!!」
俺は咄嗟に取り出した手榴弾のピンを抜くと、集まっている中心目掛けて投げつける。この場を切り抜けるには、今の所は最も最適かつ
セオリーな方法かもしれない。容赦はないが。
「……これでも喰らえ!」
ドゴオオォォォォォォォォォォオオン……!!
手榴弾が炸裂すると、その場に集まっていた警備兵達を無慈悲に薙ぎ倒して行った。だが安心は出来ない。さっさとこの地を離れないと
これの繰り返しになりそうだからな。
これにて終了です
やっぱり、もう少し読みやすくした方がいいのかな?
では失礼しますね。
>>638 カトレアがギャグキャラタイプかシリアスタイプかによるんじゃね?
ギャグキャラタイプだとベッド上でゴホゴホと咳をしながらも襲い掛かられると鉄拳制裁が飛ぶ感じになると思う
シリアスタイプなら横島は手を出さないってのは同意
>>646 距離って不死性や獣魔召喚に関係したっけ?
不死性はパイとの契約の有無だし
(パイの中に八雲の魂を移すことで八雲の肉体が死んでも際限なく再生できるようにしてる、しかも魂が何処にあるかって話しだから距離関係ない)
獣魔術は契約によって精神に寄生してるって感じだった気がしたが……
(だから普通の人間が契約するとそれだけで生命力をごっそりもってかれるのでウーでなければまともに使えない)
随分前の記憶なんで俺もちょっとうろ覚えだがこんな感じだった気がするんだが?
>>834 乙乙!
>>829
そこで、ドラえもんがルイズに召(ry…いやなんでもないw
>>835 距離は関係ないと思う。実際異空間に入っても无の再生能力は問題なく発動してたし。
ただ、原作だと无の肉体を補修したりするエネルギーがどこから来ているのかは不明。
ベナレスは鬼眼王の衰弱によって肉体再生能力を失っていたから、
多分主人である三只眼が何らかの方法で供給してるんじゃないかと思うが。
獣魔は寄生とかじゃなくて契約を結んでるから常にラインが繋がってるって事だったかと。
だから常時生気を吸収されて、无でもなければすぐ衰弱するってのはその通り。
実際作中では肉体に獣魔を寄生させてるお姉さん(そういう血筋の人)とかいて、
獣魔使ったせいで体が酷いありさまになっていた。
グリーンウッドで思い付いた。
梯子から落ちたルイズは男女が逆になった魔法学院にいた。
うほっいい男キュルケ、平民の少年を狙うモット婦人、巨○のティファ。
グリーンウッドから召喚の話があればだが。
流れぶった切ってすいません
神が降臨しまくっててビビってますが
非難覚悟で小ネタ投下してもいいでしょうか?
よろしければ10分後位に行きます。
>>838 モット婦人にサイトがなるのか・・・サイト逃げて!
でもまあ、仮に八雲がルイズと契約しても一度わざと死んで契約を解除されて
ルイズ涙目になる予感がする
>>839 取りあえず投下する前に作品名とキャラを明記しといた方がいい
作品名を言った方がいいよ
タイトルネタなんでタイトル名は後のほうがいいか
と思ってたんですがまずいですか。
「瞬撃の虚空」っていう漫画の「ケンジロウ・サキサカ」ってキャラです。
たまたま検索でまとめサイトに行き着いてR.U.R.U.R編読んだんだが、
読みやすい文章とシロ姉のキャラ性が違和感なく発揮されていてつい読み込んでしまったよ。
こんなところでルルルルゼロ使コラボと出会うとは思わなかったwwうp主本当に乙です。
遅くなってしまってすいません。
それではいきます。
「私の使い魔?彼ならあそこにいるわ。」
「…信じられない?でも本当よ。まあ、無理もないわね。
こうして見ると普通のお爺さんですもの」
「そうね。正直言うと最初は私も嫌だったわ。
どうみても平凡な平民、しかも弱弱しい老人ですものね。
すぐに先生に召喚のやり直しを求めたわ。でも却下された。
みじめだったわ。使い魔の召喚さえうまくいけばもうゼロだなんて言わせない、
そう思っていたのに。」
「それからの数日は本当に憂鬱だったわ。
せめてもっと若い平民ならうっ憤晴らしにこき使ったりしたかもしれないけど
あんなお年寄りにそんなことできないじゃない?
それで余計にイライラしてたわ。
その上授業で錬金を失敗して、私が魔法を使えないってこと
使い魔にも知られてしまった。
彼は特に何も言わなかったけど、私は劣等感で泣きそうだった。
…あの事件が起きたのはそんな時だった。」
「食堂でギーシュとメイドの女の子がもめてるのをサキサカが仲裁しようとしたみたいね。
そしたらギーシュが八つ当たりで彼に決闘を持ちかけてきたの。
最初は断ってたみたいだけど、ギーシュが
『君が決闘に応じないのなら君の主人に責任を取ってもらう』
みたいな事言ったみたいなの。それで受けちゃった。」
「もちろん止めたわよ?
事情は後で聞くまで知らなかったけど、どんな理由があるにせよ
平民がメイジに勝てるわけないもの。
だから必死に止めた。一緒に謝るからって。でも彼聞かないの。
で、言ったのよ。ギーシュはすごい魔法が使えるって。そしたら彼は
『どんなに腕っぷしが強くったってな 腰抜けは腰抜けさ』
って言った。
そういえばあの時、雰囲気がいつもと違ったわ。
止めるのに必死で気付かなかったけど。」
「どんな戦いだったかって?
…すごかったわ。
ギーシュがワルキューレを一体出して彼に向かわせたの。
ワルキューレが彼に殴りかかって、ああ終わったなって思った瞬間、
逆にワルキューレが殴り倒されていたの。
何が起きたのかわからなかった。
ギーシュも唖然としてたんだけど、すぐに次のワルキューレを出そうとしたのは流石だったわ。
でも詠唱を始めようとしたときにはすでに眼前に拳が突き付けられていたの。
決闘を始めた時、彼とギーシュは10メイル以上はなれてたのに。
流石のギーシュも降参するしかなかったみたいね。」
「そうよね。私もそう思ったわ。
『あんなに強いからギーシュのことを腰抜けって言ったんだ』って。」
「そのあともいろいろあったけど
彼は強かったわ。
どんな強い魔法も当たらなければ意味がないし、
どんな優秀なメイジでも呪文を詠唱する前に倒されてはどうしようも無いものね。
ワルドなんて、偏在も一緒に全員一瞬で殴り倒されてしまったし。」
「そういえば彼、竜の羽衣の事知ってたみたいね。
あまりいい思い出ではなかったみたいで多くは話してくれなかったけど、
あれに乗って何人も死んだんだって。
…考えてみれば、あんなのがたくさんいたなんて
どんな世界から来たのかしら。」
「以前ね、自棄になって聞いたことがあるの。
魔法も使えないメイジについてどう思うか。
ギーシュの時みたいに いや、それ以上に腰抜けって思うかって。
そしたらサキサカは言ったわ
『腰抜けっていったのは あの少年にじゃないさ』
『腕をあげるためと称して 人としての「暮らし」から逃げた
わしのことを言うんだ。』って
そして
『本当に戦うというのは
日々を生きてゆくことだ。 退屈と戦うことだ。 働き学ぶことだ。』
だから
『何ができなくても一生懸命に日々を生きてる奴は腰抜けじゃないさ』って言った。
そんなこと言われたの初めてだったし、ちょっと嬉しかったわ。」
「彼を召喚してから何か変わったかって?
変わったかもしれないし、変わってないかもしれない。
でも、前よりちょっとは、自分に自信が持てるようになったかもしれないわね。
……まあ、やっぱりお爺ちゃんが使い魔ってのはやっぱりどうかと思うけど。ね?」
>845
るるるの人は避難所住人だから、ここだと感想が届かない危険性がある。
避難所の感想スレか投下スレに書いてくると良かろう。
以上です。お目汚しすいません。
藤田和日郎短編集「暁の歌」収録「瞬撃の虚空」より、
モーメントアタッカー、ケンジロウ・サキサカを召喚。
この人の描くジジイやババア好きなんですよ
かっこよくて。
タイトル先に思いついてやってしまいました。
2chに長文書き込むの初めてでドッキドキですが。
いい仕事だったと思う。
素直にGJといおう
小ネタをうまくまとめるって難度高いですよね。
一人称で綺麗にまとまってて良かったです。
グッジョブです。
>>849 そうだったか、教えてくれてありがとう。
テンプレ一応読んだんだが、雑談おkなら感想もありかな?と思って避難所見ずに書いちゃった…。
うおお、フルボッコだと思ったのに
まさかGJをくれる方がいるなんて・・・
つーかタイトルネタって言ったのに
タイトルを忘れるなんて… orz
「瞬撃の虚無」ってタイトルをつけようと思ってたのに
緊張と寒さで忘れてました。すいません。
…まあダサいからいいんですが。
GJをくれた方ありがとうございます。
では再びROMる作業に戻るっす。
今タイトルとか書かずに「投下してもいい?」とか言い出す
下の下通り越して殺意すら抱きかねない
本物のゴミクズが蛆虫のごとく湧いてるから
みんな警戒してるんだよ
「五体不満足」の著書で有名な乙武さんを検索回避に「Z武」として
「カタワールブw」とか何の臆面もなく言い放って
総スカン食らったゴミが最直近の例(現状前スレと前々スレに出没)
今投下前に内容に関して何も言わないのはそいつらかと疑われると言う事だ
まあまあ(´・ω・`)
>>855 ∧_∧
( ´・ω・) 茶でも飲んで落ち着け・・・・この中の一つは毒入りだけどねw
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
>>855 確かそいつ、その前はここや型月の方に出現しては「ごめんなさい」とかわけわからん事を繰り返し言ってた奴だよな。
精神病かなんかじゃね?
ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
まさか、まさかこんなマイナーな作品(つーか読みきり)から元ねたをもってくるとは!
GJGJ!藤田作品は紫暮とかルシールとかケンジロウとか渋い年のとりかたしてるきゃら多いね。
遅ればせながらジジイGJ!
藤田キャラ召喚とは、あんたシブイよ・・・・。
かまいたち三兄弟より十郎がみたいが…
つかガンダールブ的には自身の鎌でもう反応しちまうのかね?
デルフ出番なしか…
862 :
u^:2008/02/05(火) 06:27:10 ID:U+dCJQ0Z
ジジイGJ! そして寝る!!
grandmaと夜天続きみたいなあと思っていたら…うかつ…
毒吐きスレで暴れてるアホはどうにかならんのか
こっちで暴れないならまだいいじゃない。
>>860 「ジジイ」と「藤田」で中村主水召喚を妄想…ってwiki見たら召喚済みだった
独白だから色々想像をかき立てくれていいなぁ。
GJ!
868 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/05(火) 08:43:34 ID:VjMQbvUW
「瞬撃の虚無」の人GJ!
他にも、藤田先生作品のキャラが増えるとうれしいな。
>>863 双方のブログが閉鎖でもしたかと驚いたじゃないか
取り合えずどっちもちゃんと見れるのを確認したしgrandmaは短編だが更新だってされてる
ブログでやってる事をここで言う必要あんのか?
荒らし湧いたらどうする。
でも本編はここだったし、評価も高かったから、どっかに誘導はほしい気ガス。
ここで話題にならなきゃ気付かなかったよ...。
避難所の雑談スレにでも行ってろ
本スレでわざわざ外部の事を言ってどうするよ
荒れないように離れた書き手の思いを全く無視しているぞお前
873 :
ナイトメイジ:2008/02/05(火) 10:48:55 ID:UrDr/7Yk
だいたい5分後に投下させてください
鉄道唱歌が本当に発売されてるとは知らなかったな支援
875 :
ナイトメイジ:2008/02/05(火) 10:53:36 ID:UrDr/7Yk
ルイズの乗る馬車ががたりと揺れた。
この辺りの道は舗装なんかされていないので、時折車輪が壊れるんじゃないかと心配になるくらい大きく揺れる。
と言っても、はまり込んでしまうほど深い凸凹がないところを見ると一応の整備はされているらしい。
馬車にはルイズの他に2人乗っていた。
1人はルイズの使い魔のベール・ゼファー。
肩や膝にとまる小鳥と戯れるルイズの向かいに座った少女は今なら汚れ無き乙女のようにも見えるが、ベルの本性が汚れ無きと言う言葉とは全く無縁であることを知るルイズにはその誰もが微笑ましく思える様子に嘘くささしか感じなかった。
「ねえ、ベル」
「なに?」
「さっきのフジンキシャの格好はもう止めたの?」
「ええ。もうあの格好はいいのよ。役にたちそうにないし」
やたら大きいため息をついて、ベルは肩をすくめる。
──ああ、なんて残念なの
とでも言いたげなのだが、それもどこまで本気なのかはわかったものじゃない。
すぐに指先に小鳥を止まらせて一緒にお気楽な歌を歌い出したからだ。
「ねえ、ベル。私達これから大変な仕事をするのよ。もうちょっと、こう、緊張感ってモノを持ったらどうなの?」
思えばなんでこんな大変な事になってしまったのか。
ルイズはせめて、それだけでも突き止めようとミス・ロングビルが宝物庫に入ってきてからのことを思い出していた。
遅れて宝物庫にやってきたミス・ロングビルが報告したのは、土くれのフーケのアジトと思われる場所についてだった。
ミス・ロングビルが近在の農民に聞き込んだ結果、学院から徒歩で半日、馬でだいたい四時間の位置にある廃屋でフーケを見たという証言を得たのだ。
早速その場所に誰かを送ろうと言うことになった時、真っ先に名乗りを上げたのがベール・ゼファーである。
「このままにしておくものですか!」
だそうだ。
たぶん引っ込みが着かなくなったのだろう。たぶんでなく、確実にのような気がするが。
本来このような仕事は衛士にやらせるか、さもなくば学院の教師達がすることになる。
生徒の使い魔がやるなどと言うことはあり得ない。
しかし、オールドオスマンはそれを許可した。
理由の1つには、ベルの持っているオールドオスマンすら知らない犯罪捜査の知識に期待したというのもあるかも知れない。
また学院の教師達がことごとく尻込みをしていたというのもあったかもしれない。
が、それ以上の理由があったのも確かだ。
オールドオスマンは理解していたのだ。
もう一回ベール・ゼファーに宙づりにされて振り回されたら確実に寿命が今日になる、と。
とは言っても、ルイズとしてはこんな危険な任務を使い魔だけにやらせるわけにはいかない。
止めようと怒鳴り込んではみたのだが、いつの間にかルイズもフーケ捜索隊に編入されていた。
不思議不思議。
876 :
ナイトメイジ:2008/02/05(火) 10:56:05 ID:UrDr/7Yk
「あら、ルイズは怖いの?」
「こ、怖いってわけじゃないわよ!」
「ま、それもそうね。フーケはあんなに大きなゴーレムを使うんだし、怖くても仕方ないわよね」
「だから怖いってわけじゃ……もぐぁっ」
全部言う前に何かを口の中につっこまれた。
結構大きな物のようで口の動きだけではどうにも吐き出せない。
「もぐぅあ、もご。もごごごご」
貴族にあるまじき下品さだが、ルイズは口の中に手を入れて取り出そうとするがなかなかうまくいかない。
ルイズが悪戦苦闘している最中に、ベルはフーケ捜索隊の最後のメンバーであるミス・ロングビルにも同じ物を渡していた。
「ミス・ロングビルにもどうぞ」
「は、はぁ……」
それでやっと、ルイズは自分の口の中に何が入っているかよく分かる。
「もぐぅうおおおお?」
ルイズが目を剥いて驚くのも無理はない。
ベルが渡したのは手のひらサイズのハエなのだ。
こんな物口の中に入れられてはたまった物じゃない。
いや、はっきり言って気持ち悪い。
「ぶはぁっ」
手首まで口の中に入れてようやく蝿を取り出すことができた。
「あ、あんた。蝿なんかを私の口の中に入れたの?」
「本物じゃないわよ」
「え?」
よく見れば蝿にしてはやたらぽよぽよしていたり、羽に髑髏の模様があったりする。
悪趣味なんだか、可愛いんだかよく分からない蝿の人形だ。
「そうみたいだけど、蝿なんてあんまり気持ちよくないわよ」
「大事に持ってなさいよ。お守りなんだから」
「お守り?」
と言われてもお守りには絶対に見えない。
蝿という時点で子供向けなはずはないが、子供が遊ぶのに使う人形と言われた方がまだ納得がいく。
「それがルイズの命を守ってくれるわ」
「お守り……ねえ」
かなり疑わしい。と言うか、すでに信じがたいの域に入っている。
「本当に効くんでしょうね?」
「もちろんよ。そこらの教会で売っているインチキお守りとは比べものにならないわね」
と言われても、教会で売っているお守りと比べたらありがたみが全くない。
「ミス・ロングビルもしっかり持ってなさい」
「は、はあ……ところで、ここから本当にいいんですか?」
蝿のお守りをポケットの中に入れながら、ミス・ロングビルがいかにも不安げな言葉を口にする。
「そうよ、これでいいの?」
ルイズも同じ不安を抱えていた。
この道は、フーケのアジトと思われる廃屋に続く道ではない。
ミス・ロングビルが話を聞いてきた農民の住む村に続く道なのだ。
「ええ。このまま行きましょう。それとも、さっき話したことを忘れた?」
「忘れちゃいないわよ」
877 :
ナイトメイジ:2008/02/05(火) 10:57:48 ID:UrDr/7Yk
出発直前のことだ。
そのときになってベルはいきなりこう言い出したのだ。
「フーケを見たという農民の話を聞きに行きましょう」
──なんで?
ルイズにはベルの考えていることがまるっきりわからなかった。
そんなことをしていては逃げられてしまうかも知れない。
一刻も早くフーケのアジトに行くべきなのだ。
「あのね、ルイズ。フーケを見たという農民が村に帰ってくるまでには最低でも4時間はかかっているわ。
で、私達がフーケのアジトに行くまでに4時間。実際はミス・ロングビルが話を聞いてから学院に戻って、報告をして、さらに準備を整えるのに時間がかかっているわね。
最低でも合計9時間ってところかしら。私達はすでにそれだけ出遅れているのよ」
「だったら、なおさら急がないと!」
「9時間もあれば、怪盗と言われるほどの盗賊ならすでにアジトを引き払っている可能性だって大ね。それなら、私達はフーケを見たという農民の話をもう一度聞いて、フーケの実態をより把握しておくべきなのよ。それでこそフーケを捕まえられるわ」
「そ、そうなの」
「ルイズにはわからないかも知れないわね」
「わかるわよっ!」
と言うわけで、フーケを見た農民に会いに行くことになってしまった。
「今なら、まだそんなに時間が無駄にならずにフーケのアジトに行けますよ」
やはり不安なのだろう。ロングビルが念を押す。
「いいの。問題ないわ。村に行きましょう」
「それなら……わかりました」
ルイズはこういう時のやり方を全然知らない。
それは、ロングビルだって同じだろう。
2人とも自信ありげなベルに反論の余地はなかった。
学院を出てから数十分で村の入り口が見えてきた。
このあたりの村は周囲を獣よけの柵でぐるりと囲んでいる。
竜やオーク鬼には全く役にたたないが、それでも村に欠かせない物であることには変わりない。
その柵に扉を取り付けたところが村の入り口であり、馬車がようやくすれ違えるような道が村の中に続いている。
ルイズは馬車がそのまま村の中に入ると思っていたが、少し遠すぎるくらいのところでロングビルは手綱を降り、馬車を止めた。
「あの、よろしいでしょうか?」
御者台に座ったロングビルが後ろに座るルイズを見た。
「なに?」
「この先の村に私が話を聞いた農民がいるんですけど、まず私が行った方がいいと思うんです」
「どうして?3人で行けばいいじゃない」
「それが……村によそ者が行くのはやっぱり嫌がられるんです。それに、メイジが行くと村の人たちも怯えて話を聞くのが難しくなるなるかも知れないんです」
「でも、ミス・ロングビルは1回その人に話を聞いたんでしょ?」
「はい。ですから、私が先に行って話をつけてからがいいと思うんです」
「そうね……」
ルイズはこういう事は初めてなのでよくわからない。
何かいい方法はないか考えているうちにベルが先に答えてしまった。
「いいわ。じゃあ、そうしてちょうだい」
「ちょっと、ベル!勝手に話を進めないでよ」
「だったら他にいい考えでもあるの?そのまま考え続けている方が時間の無駄よ」
「うっ……」
「では、行ってきます。ここで待っていてください」
馬車から降りたロングビルは小走りで村の入り口に走っていく。
彼女の姿が村の小さな小屋に隠れて見えなくなるまで、そんなに時間はかからなかった。
878 :
ナイトメイジ:2008/02/05(火) 10:59:11 ID:UrDr/7Yk
さらに時間は経ち1時間後。
ルイズは馬車の荷台に寝そべって空を流れる雲を数えていた。
「5、6、7」
ロングビルはいっこうに戻ってこない。
話がうまく着かないのか、それとも話を聞く農民と行き違いになったのか。
「8、9。10」
どっちにしても今のルイズにはさしてすることも無ければできることもなく、空の雲を数えるくらいしかできることはなかった。
「11、12、13……」
がたり。
いきなり空の雲がぶれる。
おかげでどれが数えた雲かさっぱりわからなくなってしまった。
「ベル!」
上半身だけを起こして御者台を見ると、思った通りベルが手綱を握って馬車を村に進めていた。
「何してるのよ!せっかく数えてたのに……」
「数えてたって何を?」
「な、何でもいいでしょ!」
なんかすごい暇人だと言われそうで雲を数えていたとは隠した。
「それよりどこに行くのよ。ミス・ロングビルをここで待つんじゃないの?」
「それなら、もう意味がないわよ」
「どういう事よ」
「これからそれをルイズでもわかるように確かめに行くところ」
「何よそれ」
こうなってしまってはベルはもう何も教えてくれない。
ルイズは馬ののんびりした足音を聞きながら、少しずつ大きくなっていく柵に何本の木が使われているのかを数え始めた。
「どういう事よこれ!!」
大声に驚いた村人はルイズの持つ杖とマントを見ると、あっという間に顔色を変えて走って逃げてしまった。
それはそれでいい。
ほんとはあんまりよくないけど、それよりもっと重大なことがあった。
村に入ってから、ベルは通りがかる村人に片っ端からロングビルの居場所、それから朝ここにロングビルが着たかを聞き始めたのだ。
最初は無駄なことをしていると思ったルイズだったが、ベルが5人目の村人に聞いたあたりからさすがにおかしさに気づいた。
村人の誰もロングビルの居場所を知らないのだ。
それだけではない。朝にロングビルを見たという村人が1人もいないのである。
なら、ロングビルが朝、聞き込みをした村人はどこにいったのか。
フーケの居場所を知る村人はどこにいるのか。
さらに聞き込みを続け、あらかた村人に聞いて回っても、それは全くわからなかった。
「どういう事よこれ!!!」
ルイズはもう一度叫ぶ。
どういう事かさっぱりわからない。
おまけにロングビルまで行方不明になっている。
「ま、こういう事。予想通りってとこかしら」
「予想って、どういう予想よ」
「じっくり考えなさい。ご主人様。」
ベルがいきなりご主人様などと言う殊勝な言葉を使ってくる。
こう言うときにはベルがからかいに来ていることはルイズもだいたいわかってきた。
「これはゲームよ。次の場所に行くから着くまでじっくり考えてなさい」
「次の場所って?」
「もちろん、フーケのアジトよ」
ベルが隠しきれない微笑みを見せる。
──この顔って……
昔、そうルイズが小さかった頃だ。
屋敷の使用人に悪戯をしようとしているときのこみ上げてくる笑い。
今のベルの笑いはそれと同じもののような気がした。
879 :
ナイトメイジ:2008/02/05(火) 11:00:37 ID:UrDr/7Yk
投下終了です
ベル様捜査開始です
乙
悪魔の蝿はまさにこの状況に特化したアイテムだなw
何気に初めて見たパターンだなgj
蝿の大公乙。
ベルぐるみは確かに能力上がるお守りだが、
常にベルにピーピングされる呪いのアイテムなんだよな。
>842
ルイズ「使い魔が死ねば、契約は解除されるけど。あんた、死んで…」
八雲「光牙!」
吹き飛ぶ脳みそ。消えるルーン。
ルイズ、モンモン、キュルケ気絶
頭のパーツを集める体。再生。
八雲「おっしっ!契約解除っと♪」
タバサ涙目
こうですか?
「暇だな……」
「せっかくの虚無の曜日なのに雨だもんね……」
「ん?」
学生寮の共有スペースでキュルケ・ギーシュと共に暇を持て余していたルイズの手に、何か当たる箱状の物があった。
「え……? これって……」
「あ……、それ……」
「懐かしいな。子供の頃よくやったな……」
そう言ってキュルケは、ルイズの手が当たった箱の表面に書かれていた文字を読み上げる。
「『ライフ・イズ・ビューティフルゲーム』」
「何でこんなのがここにあるのよ?」
「ねえ、ちょっとやってみない?」
「はあ? 子供じゃあるまいし……」
「まあまあ、どうせ暇でしょ? あたしこのゲーム大好きだったのよ!」
そう言い終わるが早いか、キュルケは嬉々として「ライフ・イズ・ビューティフルゲーム」の盤面をセットし始めた。
いや、それは死んだことになるのか?
「死んでも生き返る」んじゃなくて「死ねない」んじゃなかったっけ
「よし! セッティング完了!」
「よっと……5ね。1、2、3、4、5と。えーと、何々?」
『魔法学院に入学するもなかなか芽が出ず 追試受験料金貨50枚払う』
「あははっ! 追試だって!」
「う……、うるさいわね!! ルイズ達もさっさとやりなさいよ!」
「まったくくだらない……。ほら……」
「それじゃ私も」
「くっ……、5……。僕も追試……」
「わ……、私も5だわ……。追試……」
「馬鹿ね、あんた達だって同じじゃないの。おっと、2」
『同級生の使い魔を誘惑して魔法で吹き飛ばされる 前の番のプレイヤーより治療費金貨20枚貰う』
「やった! ほら払いなさい、ルイズ!!」
「3だ……。何々……?」
『二股がばれて破局の上決闘で大敗 治療費・関係修復の出費で所持金が10分の1となる』
「くぅ……」
「5ね。え〜と……」
『使い魔用の剣を買いに行った先でとんでもない物をつかまされる インテリジェンスソード代金貨20枚』
「くぅ……」
「何かこのゲーム不快ね……」
「あら? そうかしら?」
「妙にリアルというか……」
鋼の錬金術師のホムンクルス達も一回二回程度じゃ殺した事にはならないよな
グリードもラストも致命傷受けて普通に復活するし
……そういやまだ鋼のスレあったっけ?
あぁ良いなそれ
不死である限り余裕で契約解除できるってのはw
次は逃げ出した後、再びサモンサーヴァントを使用した
ルイズの鏡の不意打ちをどう避けるかに話が変わるわけだw
最初に確認しなかったせいで変な感じになってしまいましたが、
改めて投下していいですか?
っと
不意打ちの投下か?
悪い悪い
「暇だな……」
「せっかくの虚無の曜日なのに雨だもんね……」
「ん?」
学生寮の共有スペースでキュルケ・ギーシュと共に暇を持て余していたルイズの手に、何か当たる箱状の物があった。
「え……? これって……」
「あ……、それ……」
「懐かしいな。子供の頃よくやったな……」
そう言ってキュルケは、ルイズの手が当たった箱の表面に書かれていた文字を読み上げる。
「『ライフ・イズ・ビューティフルゲーム』」
「何でこんなのがここにあるのよ?」
「ねえ、ちょっとやってみない?」
「はあ? 子供じゃあるまいし……」
「まあまあ、どうせ暇でしょ? あたしこのゲーム大好きだったのよ!」
そう言い終わるが早いか、キュルケは嬉々として「ライフ・イズ・ビューティフルゲーム」の盤面をセットし始めた。
支援
「よし! セッティング完了!」
「よっと……5ね。1、2、3、4、5と。えーと、何々?」
『魔法学院に入学するもなかなか芽が出ず 追試受験料金貨50枚払う』
「あははっ! 追試だって!」
「う……、うるさいわね!! ルイズ達もさっさとやりなさいよ!」
「まったくくだらない……。ほら……」
「それじゃ私も」
「くっ……、5……。僕も追試……」
「わ……、私も5だわ……。追試……」
「馬鹿ね、あんた達だって同じじゃないの。おっと、2」
『同級生の使い魔を誘惑して魔法で吹き飛ばされる 前の番のプレイヤーより治療費金貨20枚貰う』
「やった! ほら払いなさい、ルイズ!!」
「3だ……。何々……?」
『二股がばれて破局の上決闘で大敗 治療費・関係修復の出費で所持金が10分の1となる』
「くぅ……」
「5ね。え〜と……」
『使い魔用の剣を買いに行った先でとんでもない物をつかまされる インテリジェンスソード代金貨20枚』
「くぅ……」
「何かこのゲーム不快ね……」
「あら? そうかしら?」
「妙にリアルというか……」
――ガチャリ
その時、シルフィードを連れたタバサが部屋に入ってきた。
「………」
「あ、タバサ」
「……まさか……そのゲーム……やってるの……」
「え……? ええ……、やってるけど……? え……? 何……?」
「………」
「………」
「あの……、タバサ……?」
タバサの真剣な表情に、思わず緊張する3人。
「……まあいいか……」
「知らぬが仏とも言うのね……」
そう言って踵を返すタバサとシルフィード。当然3人は大慌てだ。
「ちょっと!! 何なのよ!?」
「ねえ! 気になるじゃないの!!」
「イッシンかい!? イッシンがからんでるのかい!?」
「……それなら言うけれど……知らない方がいいと思う……」
「いいから早く言ってっ……!」
「そのゲームはダーリンが開発した、その名も『リアルライフ・イズ・ビューティフルゲーム』なのね」
「……大体察しはつくだろうけれど……ゲームで起きた事は今後の人生で実際に起きる……」
『なあっ!?』
「アホか!! 僕は帰らせてもらうっ!! どうせろくなコマが用意されていないんだろう!?」
「やめよやめよっ!!」
「本当にルイズの使い魔はろくな物作らないわね!!」
席を立とうとする3人。しかし……、
「……ゲームを途中でやめると……有無を言わさず『単身聖地奪還』になって……悲惨な人生を歩む……」
『う……』
その言葉にピタリと出ていく足を止める。
「え……? じゃ……、じゃあ……」
「ゲームを続けるのね、ダーリンのご主人様達!!」
「と……、とにかく……、何とかこのゲームでいい結果を出さないと……」
「人生が……」
「あ……、あたしからだったわね……。い……、いくわよ……」
「7だわ……。えーと……」
『会社を起こす 資金として金貨500枚払う』
「おお! 会社! という事は私は将来女社長! やった!」
「おっと、職業を選ぶのか。『軍人』にしよう」
「くう……、『補正下着を買う』ですって!? じゃあ私は将来……」
「きゃはは、デブだわ! デブ決定!!」
「さて……、女社長の私の番が……6と……。えーと……」
『友人に騙され破産 無職になったうえ借金金貨1万枚』
「あんたねえー!!」
すかさずキュルケの火球がルイズに炸裂した。
「なっ、何を……!?」
「こんな事するのはあんた以外いないわよ!!」
「静かにしてくれよ!! えーと、3と……」
『友人に詐欺に遭い 金貨1000枚の借金』
「貴様よくもー!!」
叫びと共にルイズの横っ面に回し蹴りを決めるギーシュ。
「ちょっと!! 何で私だと決め付けるのよ!!」
「あんた以外に誰がいるの!!」
「最低だな、本当に……!!」
「ふ……、ふざけるんじゃないわよ……。あ……、子供が生まれたわ」
「くうっ、馬車に轢かれる……。まさかあんたが運転してたんじゃ……」
「何で私なのよ!!」
(ん……? あたしのコマの隣……。
なんと!! 宝くじで金貨5万枚!!)
「………」
クルッ
キュルケは何食わぬ顔でルーレットをずらし、6に変えた。
「あっ……、おい!!」
「うるさいわね!! 6よ! 最初から6だったでしょ!! 文句あるの!!」
「……あ……」
「え?」
「……やった……ずるをしたら有無を言わさず……『単身聖地奪還』になる……」
「やると思ってたのね。お馬鹿さん!!」
「え!? そ……、そんな!!」
――キュルケゲームオーバー 負け組決定!――
支援を
支〜援〜
「さっ、負け犬は放っておいて続けるわよ」
「くうっ……」
「そうだな」
『友人から偽ダイヤを買わされ大損 金貨5000枚払う』
「貴様ー!!」
今度はギーシュの右ストレートがルイズの顔面を直撃。
「だから何で私……!!」
こうしてゲームは続けられ……。
「う……、また子供が生まれたわ……」
ギーシュの番。
『不審火により家全焼 金貨4000枚払う』
「おいっ! いいかげんにしろよ!! 何の恨みがあるんだ!」
「だ……、だから何で私だと決めつけるのよ!!」
「君以外考えられない!!」
――30分後。
「……さて……ゲームも佳境に入ってきた……。……そこで……これまでの各自の人生を振り返ってみる……。……以下の文章参照……」
「最低の人生なのね……」
ルイズ:魔法学院入学→インテリジェンスソード購入→太る→子供生まれる→子供生まれる→子供→子供→子供→子→子→子→子
ギーシュ:魔法学院入学→二股ばれ決闘に敗北→詐欺に遭う→詐欺に遭う→家全焼→大病→詐欺→詐欺→詐→詐→詐→詐
キュルケ:魔法学院入学→同級生の使い魔誘惑→会社設立→破産→馬車に轢かれる→単身聖地奪還
「……特筆すべきはルイズの子だくさん……」
「どーいうペースなの。獣なの、あなた」
「……本当に最低……」
「いや……、違……、タバサ……」
「終わった……。あたしの人生終わった……」
「君は何度僕を騙す気だ!! この疫病神があ〜!!」
支援だ
そしてさらにゲームは続き、ついに「運命の分かれ道」億万長者と単身聖地奪還の分岐点に……。
「……所持金が金貨1万枚以上あれば億万長者コースへ……」
『ぜ……、全然足りない……』
「……足りない場合は人生最後の大勝負をしてもらう……。
……ルーレットを回し……1が出れば億万長者……それ以外は単身聖地奪還決定……」
「うおー!! いっけー!!」
ギーシュの回したルーレットの針は、かろうじて1に引っかかっているものの、隣の10に行ってもおかしくないという状況だ。
「お……、おっ!! いいぞ!! そのまま止ま――」
「はっくしょん!!」
「え?」
ルイズのくしゃみの風圧に押され……結果は10。
「殺すっ!! 僕はお前を殺ーす!!」
流石にこの事態にギーシュの堪忍袋の緒が切れたようで、ワルキューレにルイズを幾度と無く足蹴にさせている。
「ちょっ……、待……、わざとじゃ……」
『お……、終わった……。人生が……、終わったあ〜』
「な……、何でもかんでも私のせいにして……」
「……今のは完全にルイズのせい……」
「死ねなの」
「私は負け犬にはならないわ!! 億万長者よー!! 1出なさいー!!」
渾身の気合を込めてルイズはルーレットを回す。その結果は……、
支援
「あ……」
――1。
「やったー!! 1よ!! 億万長者よ!! 人生の勝ち組よー!!
やった……、やったわ……。やっぱり正直者が最後には勝……え?」
狂喜するルイズの目の前で、キュルケ・ギーシュはゲーム盤を両手でつかみ……、
『おらー!!』
盛大に放り投げたのだった。
「なっ……、何を……!?」
「ゲームを途中でやめたからこれであんたも単身聖地奪還よー!!」
「はははは、ざまみろー!!」
「な……、な……、な……」
次の瞬間、ルイズは怒りに任せて2人に飛びかかった。
「ぶっ殺す!! あんた達ぶっ殺す!! よくもっ……、よくもお〜」
「怒ったってあんたの単身聖地奪還は変わらないわよ!!」
「1人だけ幸せになろうったって、そうはいかないんだよ。はっはっはっ!!」
「死になさいー!!」
「あんたが死になさい!!」
「こんにち……は……。え!? 何をやっているのですか!?」
熾烈な格闘を演じている3人の様子を偶然通りかかって目の当たりにしたコルベールは目を丸くした。
「……『ライフ・イズ・ビューティフルゲーム』で……喧嘩中……」
「はあ? 仕方のない人達ですね。
しかし私がフリッグの舞踏会の余興で当てたゲームをそんなに本気でやるとは、まだまだ子供ですね」
『え……!? 舞踏会で当てた!?』
その言葉に3人は呆然とする。
「……あんな嘘をまさか本気にするとは……」
「嘘に決まってるのね。お馬鹿さん達なの」
今日も平和なトリステイン魔法学院であった。
クスクス笑いがとまらないなw
支援
投下開始なら開始の宣言を
投下終了なら終了の宣言をしたほうが良いぞ
書き忘れていましたが、
「発明軍人イッシン」から「市奥一真」を召喚です。
……登場してませんが。
終了です。
無駄にレスを消費して申し訳ありませんでした。
>>907 投下乙
結構楽しませてもらったよ
ルイズの扱いがかなりアレだがw
まぁそれは横に置いといて
笑わせてもらったw
あの絵柄が脳内にwww
GJ!
乙。
あのマンガは最高に笑ったが、この話は特に秀逸だったな。
あの火の玉が次々と冤罪をかけられるのが……
あのマンガで、あの作者さんはギャグ向きだと確信したな。
あんなに面白かったのになぁ……
やっぱ旧帝国軍人って設定はまずいのか
>>912 鉄人とかメタルダーとかロボット三等兵とか轟天号とか強化外骨格等
創作の世界ではナチスに次ぐほどの色々な歴史がありますから問題無しかと…
予約はないようですが、投下しても大丈夫ですか?
よーそろー
さて、現在の刻限は朝である。
つまり、朝食の後には、授業を受けなければならないのだ。
気分を持ち直せたのはいいものの、この使い魔を伴ってそうすることを考えると、また気が滅入ってくる。
「着替え」
ルイズは気だるげに命じた。
だが、角女はルイズを見つめたまま――いや、
ルイズの手前の何もない中空をぼんやりと眺めやっていて、ぴくりとも動かない。
「はああぁ」
特大の溜息が漏れる……角女への怒りよりも、自身への呆れが勝ったのだ。
自分はまだ寝ぼけているのだろうか。
角女が小間使いの真似などできるはずもないことなど、ちょっと考えればわかるだろうに。
「『馬鹿なことを言ったわ』『こいつが言いつけに従ってテキパキ働けるわけないのよ』
『昨日は、椅子に座るだけでもあんなにとろとろしていたんだから』」
「いちいちうるさいわね」
軽い自己嫌悪の最中に、角女がわざわざ声に出してそれを伝えてくれたので、ルイズはムッと口を尖らした。
仕方なく――と言ってもこれまで毎日やってきたことなのだが、自分で着替えることにする。
制服は皺くちゃになってしまったので、クローゼットから予備のものを取り出した。
「ほら、あんたも一緒に来るのよ」
身繕いを終えたルイズは、角女をせっついて部屋を出る。
と、間の悪いことに、それとほぼタイミングを同じくして隣の部屋のドアが開いた。
中から、燃えるような赤毛の、背の高い女生徒が姿を現す。
ルイズの宿敵、犬猿の仲であるキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーだった。
「あら。おはよう、ルイズ」
キュルケはこちらを見て、唇の端を吊り上げた。
それからルイズの背後に幽鬼のように佇んでいる角女を指差して、言う。
「あなたの使い魔って、それ?」
まったく馬鹿にしきった口調である。
第一、あの儀式の場でルイズを遠巻きに見ていた同級生たちの中にはキュルケもいたはずなのなのだから、
皮肉もいいところだ。
「……そのとおりよ」
仏頂面で応じて、ルイズはさっさと食堂に向かうことに決めた。
何か言い返してやってもいいのだが、
角女がいつルイズの心を読み上げ始めるかわからないのだ、気が気でない。
「あはははっ、すごいじゃない、ルイズ! ゼロの汚名返上ってところかしら?」
キュルケはそんなルイズの心のうちも知らず、弾けるような笑い声を上げる。
ルイズはますます眉間に皺を寄せた。
嫌味たっぷりに言われても、少しも褒められた気がしない。話を切り上げるべく、口を開く。
「あんたの話には付き合ってられないわ、ツェルプストー」
「そう言わないでよ。ねえ、フレイム」
キュルケがちらりと後ろを振り向くと、
その背後、ドアが開け放たれたままのキュルケの部屋から、のそりと火トカゲが這い出てきた。
「これって、サラマンダー……?」
「そうよー。あたしも昨日、使い魔を召喚したの。見て? この尻尾、素敵でしょう」
ルイズの呟きに、誇らしげに微笑むキュルケ。
ルイズは苦い顔になった。要するに、己の使い魔を見せびらかしたかったわけか。
ここまで大きな炎の尾を持つものはそうそういまい、おそらく火竜山脈のサラマンダーだろう。
メイジの実力をはかるには、まず使い魔を見ろ、という。
キュルケのサラマンダーは、その点、メイジにとって申し分ないと言えるだろう。
それどころか昨日召喚された使い魔たちをランク付けしたなら、五本の指のうちに入るに違いなかった。
昨晩、ルイズが絶望に暮れていた間、キュルケはルイズへの優越感にでも浸っていたのだろうか?
そう考えると、胃の腑からむかむかとしたものが込み上げてくる。
「角女!」
ルイズは角女の腕を引っ掴んだ。
背丈はルイズよりも高いものの、その動作に抗いもしない角女は簡単に引きずられ、
よろめきながら大人しくルイズの前に出る。
「……? 何?」
突然のルイズの行動に、キュルケは目を瞬かせた。
「そそそ、それじゃあ、キュルケ」
笑おうとしたら、頬が引きつった。
「わ、私の、使い魔も、紹介してあげるわ。つっ、角女っていうのよ」
努めて穏やかな声を出しているつもりなのだが、どうしてもつっかえてしまう。
角女の痩せた背中を押して、キュルケの前に突き出す。
深い考えがあるのではなかった。
気まぐれに人の心を読むだけの角女が、己の思惑に沿ってくれるかもわからない。
ただ、無性に腹立たしかっただけだ。
キュルケも、自身の醜い心を暴かれたらいい。
そして少しはルイズが感じた苛立たしさや惨めさを思い知ればいいのだ――
そんな八つ当たりめいた、単純な思いからの行動だった。
支援
支援
「ふうん、角女ねえ」
困惑してはいるようだが、キュルケはきちんと目の前の角女と目を合わせた。
「……『少し変わってるけど、ちゃんと召喚できたんじゃない』」
「えっ?」
「『よかったわね、ルイズ』」
てっきり自分へのひどいけなし文句が飛び出してくるとばかり思っていたルイズは、
ぽかんとして、角女の後ろからキュルケを窺い見た。
キュルケは何が起こったのかわからないようで、目を丸くしている。
次いで、角女を見上げる。角女はじっとキュルケを見つめていた。
「『でも、落ち込んでるみたいね』『心配だわ』『いつもみたいに、発破をかけてあげなくちゃあ』」
「…………」
「…………」
ルイズとキュルケは、揃って黙り込んだ。
「キュ、キュルケ、あんた……」
沈黙を破ったのはルイズの方からであった。
角女が口にするのは、真実他人の心のみである。
そのことを昨日散々思い知らされたルイズにも、今の角女の言葉が意味するところをすぐには理解できなかった。
「……まさか、私を、励ましに来たの?」
普段の自分たちの関係からは、とても信じられない。
だが次の瞬間、ルイズはもっと信じられないものを目にした。
――あのキュルケが、耳まで真っ赤になったのだ。
「なっ、ばっ、ちっ、ちちちち違うわよっ! わ、私が、ヴァリエールの女を? そんなわけないじゃない!」
勢い込んでまくし立てる。まるでルイズとキャラが入れ替わったようである。
キュルケも、言ってからそれを自覚したのだろう、ハッとなった後にわざとらしい咳払いをした。
「コホン! ……と、とにかく、変な勘違いしないでちょうだい」
「そ、そう。勘違い。そうよね、おかしいと思ったわ」
無理矢理感はあるが、いつものように澄ましてみせるキュルケに、ルイズも調子を合わせて頷く。
「『誤魔化さないと』『落ち着くのよ、キュルケ』
『今日だって本当は、昨日ルイズの様子がおかしかったから部屋から出てくるのを待ってたなんて』
『そんなことまでバレたら恥ずかしくて生きていけないわ』」
「…………」
「…………」
お互いの間に、再び幾秒かの沈黙が横たわった。
ややあって、キュルケは無言のまま踵を返す。
「いやあーっ!」
そして頭を抱えるように叫んで、廊下を駆け出して行った。
遅れて、その後をフレイムがちょこちょことした足取りで追いかけていく。
その尻尾が完全に廊下の角に消えてしまっても、ルイズはしばらく呆然としていた。
これはwww
支援
にやにやw
しえん
これは恥ずかしいw 支援
<BR>
「ね、ねえ……」
やがて、ルイズが角女の服の裾を引っ張ると、角女はゆっくりとルイズに顔を向ける。
「角女。今の、本当なの?」
「『まさかね』『キュルケに限って』」
「わっ、私はね、あんたに聞いてるのよ! 答えられないの?」
無駄だとわかってはいても、つい語気を荒げてしまう。
「『でも、角女は心を読むだけしかしないわ』『こんなふうに』『嘘はつかない』」
「そう、だけど。でもキュルケが私を……し、し、しんぱいだなんて、そんなことあるかしら」
ルイズはさらに言葉を重ねようとして、しかしかぶりを振った。
角女相手だと、会話ではなく単なる自問自答になってしまう。
ルイズは腕組をして、一人考えた。
言われてみたら、キュルケの態度は他の皆とは少し違っている……ような、そうでないような。
少なくとも、魔法の失敗に対して罵倒に近いような野次を飛ばすことはしないわね。
でも、この前は、爆発に巻き込まれてキーキー怒ってたし、これだからゼロのルイズはって言われたし。
でもでも、どこかのかぜっぴきがする侮辱に比べたら、かわいいもの、とも言えなくはない、わよね?
ルイズの思考はぐるぐるしだした。
しかも角女がそれを読み上げるものだから、さらに混乱に拍車がかかった。
「でもでもでも、キュルケの言葉に傷ついたことだって、一度や二度じゃないのよね」
知らず、ルイズは考えたことをそのまま声に出して言い始めていた。
「『まったく、紛らわしいんだから』『どうせなら、もっとわかりやすく励ましなさいよ』」
「そうよ! ほんと、そのとおりよね! そしたら、私だって、私だって――」
「……ミス・ヴァリエール?」
「きゃああああっ!?」
声をかけられて、ルイズは大げさな悲鳴を上げた。
振り返ると、学院のメイドが立っている。
「あっ、も、申し訳ございません! 驚かせてしまいましたでしょうか……」
メイドはルイズの悲鳴に一瞬固まったが、すぐに慌てふためいて頭を下げた。
「お、驚いてないわよ。ええ、全っ然驚いてないし、ツェルプストーのことなんか考えてないわ」
ルイズは平静を装ったが、
「『聞かれた?』『聞かれたかしら、今の?』『いやー!』『と言うか、私だってって何よ私!?』」
角女に台無しにされた。
「ううう、うるさいわよっ、角女!」
顔を赤くして使い魔を叱り付けるルイズ。
「あ、あの……ミス・ヴァリエール」
おずおずと口を挟んでくるメイドは、よく見れば、見覚えのある顔をしている。
ああ、いつも洗濯を頼んでいるメイドだ。名前は何といったか。
そして、ルイズはここが女子寮の廊下で、自室の真ん前であることを思い出した。
支援
「洗濯物ね?」
横によけて、道をあける。
勝手に持って行っていいと言ってあるのだが、
今はルイズがドアを塞いでしまっているから、立ち往生してしまったのだろう。
「いえ、それもあるのですが……」
「何?」
「お食事はもうお済みになったのですか?」
「!!」
忘れていた。
一体どのくらいの時間、ここで呆けていたのだろうか。
今から走っていけば、まだ間に合うかもしれない。それと、鈍くさい角女を置いていけば。
少し考えて、ルイズはそうすることに決めた。どのみち、食堂には角女の分の食事はないのだ。
「あなた、角女――私の使い魔の食事を頼める? 多分、人間と同じものを食べると思うけど」
ルイズが言うと、メイドは珍しそうに角女をチラとだけ見て、それからルイズに向き直った。
「はい。賄い食でよければ、お出しできますわ」
「それでいいわ。私、急ぐから、代わりに厨房まで連れて行って」
「かしこまりました」
メイドの返事に満足して走り出そうとしたルイズは、ふと、その寸前で足を止めた。
「あなた……名前は何だったかしら?」
それは、貴族の例に漏れず平民を見下している常のルイズならば、決して口にすることのない質問だった。
一介のメイドの名など気にしたこともないし、現にこれまで尋ねたこともない。
「えっ、私ですか?」
案の定、シエスタもびっくりした顔をして、聞き返した。
「他に誰がいるのよ」
「は、はい、申し訳ございません――私は、シエスタと申します」
「シエスタね。そいつ、むちゃくちゃ扱いにくいから、よろしくね。先住魔法を使うけど、無害よ。たぶん」
「たぶん、ですか……」
やや青ざめた顔で、角女を見上げるシエスタ。
ルイズは今度こそ駆け出した。
その際に、角女がシエスタに何か告げているのがちらりと視界に映ったが、
気立てはよさそうだし、まあ、読まれても大丈夫だろう。
ギリギリで朝食にありつけたルイズが、無事食事を済ませ、アルヴィーズの食堂を後にしようとすると、
入り口のところでキュルケが待ち構えていた。
「ルイズ」
「……ど、どうしたのよ、キュルケ」
どことなく気まずい。視線が合わせられずに、ルイズは目を泳がせる。
一方で、キュルケはまるでけろりとしている。
あれの後で、よく何事もなかったかのように声をかけられるものだ。ルイズは妙なところで感心した。
支援
「さっきは、ちょっとだけ、取り乱しちゃったわね」
「ふーん。ゲルマニアでは、悲鳴を上げて遁走することをちょっとだけって表現するのね」
「…………」
キュルケは無言で眉を吊り上げた。
ルイズは何だか、面白くなる。あのキュルケを、自分が翻弄しているのだ。
キュルケがいつも突っかかってくるのは、もしかしたらこういう動機があるのかもしれない。
「やっぱり、私の口からちゃんと言っておこうと思ったのよ」
キュルケはルイズの茶々を無視して話を推し進めることにしたらしい。
「言っておくって、何をよ?」
「つまり、……さっきの、アレよ」
「アレじゃわからないでしょ。はっきり言いなさいよ」
ついいつもの癖で、口調が喧嘩腰になってしまう。
ふう、とキュルケは溜息をついた。
「じゃあはっきり言うわ。――召喚おめでとう、ルイズ。よかったわね」
「え」
平然としているように見せて、相当に恥ずかしかったのだろう、
「それだけよ。じゃあお先に失礼」
瞠目しているルイズを置いて、キュルケはさっさと食堂を出て行こうとする。
昨日までのルイズだったら、キュルケの言葉は「ゼロのルイズ」への侮辱に等しい同情なのだと、
そういうふうに受け取っていたかもしれない。
ルイズの心を読み上げる角女が口にした言葉は、刺々しい、ひどい文句ばかりだった。
己の心があんな醜いものに満ち満ちていることに、ショックを受けた。
それと比べて、どうだろう。
先ほど角女が告げたキュルケの心のうちは。
羨ましい。そして悔しい。自分が持っていないものを、すでに得ているキュルケが。
でも、だったら、正せばいいのではないか?
鏡を見て、身だしなみを整えるのと一緒だ。
決意する。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、今日から変わろう。
きっと、己に恥じない生き方ができる者こそを、真に貴族と呼ぶのだろうから。
「あ、ありがとう……」
その背中に投げかけられたルイズの声は、そう大きいものではなかったのだが、
キュルケの耳にはしっかり届いたらしく、キュルケは心底意外そうに振り返った。
「いやに素直じゃない。嵐でも来るんじゃないかしら」
「ふ、ふん。嵐が来るんだとしたら、あんたのせいでしょう、ツェルプストー」
ルイズはむきになって言い返した。
「あんたのうろたえようったら、なかったわ。あの姿、末代まで語りついであげる」
「何ですって」
「何よ」
二人はもう、いつもどおりだった。
ただ違うのは、ルイズは必要以上につんけんしておらず、
キュルケはどことなく楽しそうにしているのを隠しもしていないというところだ。
いやー無害じゃないだろーというか散々被害受けたじゃねーかw 支援
角女自体は何を考えているのかがわからないから
余計タチが悪いような… 支援
以上です。支援ありがとうございます。
それから、前回コメントを下さった方、wikiに登録してくださった方もありがとうございました。
お察しのとおり、角女の設定は漫画の方を参考にしています。
それでは。
何というツンデレキラーwww
これはよいニヨニヨばなし、乙。
ツンデレの天敵キター!
……
不味い!ギーシュが危険だ!
やっべぇ。しょっぱなから笑い転げたwwww
アルビオン編まで続いたらワルド涙目だなw
角女の『言葉』の意味が知れ渡る前か、後かでギーシュの本音駄々漏れタイムの意味が変わる……次回に期待しながら乙。
>>937 つまり『ギーシュさん』になれるかどうかという事だなw
姉妹スレの妖刀みたく笑える展開を期待したい
人間以外でも読まれるのかな?
シルフィードの場合「まずいのね!心が読まれちゃうのね!
こうなったら竜語で考えるのね! きゅいきゅい きゅい…」
というかタバサも相当やばいだろ
あとマルコメ。授業中に角女から性癖暴露。
マ「………」
角「『あー、授業退屈だなぁ。教科書に落書きも飽きたし、いつものエロ妄想で暇つぶそうかな』
『ハァハァ、ハァハァ、ハァハァ、ハァハァ、ハァハァ……よし、ノってきた。今日は……無表情ロリ系のミス・タバサでいこう』
『タバサたんハァハァ、あの無表情で僕のティクビを抓り上げながら蔑んで……ああ、そうです、僕の醜い脂肪に君の証を鞭で刻んで……』」
タ「!?」
ル「いきなり何よ、あんた!誰の心を読んでるの、やめなさい!」
キ「つ、角女!?いやあんたじゃないわね、誰よ今の妄想は!」
角「『なんだ、あれ?まったくゲルマニアの色黒ケバ女が立ち上がったせいでタバサたんが見えないじゃないか』
『騒いでるのはケバ女とゼロと、なんだあの亜人?確かゼロの使い魔……』
『あれ?あれ?なにこれ、あの亜人が喋ってるのって……いやいやうそだろ?』」
キ「い、色黒ケバ……私で見えないってことはこっちよねぇ……」
マ「!?(寝たふり開始)」
角「『やばいやばい!なんだか解らないけどこのままじゃやばい、寝たふりをしよう!』
『ぎゃああああ!何だ!?僕の心を読んでるのか、寝たふりもやばいじゃないか!』」
マルコメ退学
誰でも心の中を読まれたらヤバいだろ。
バロック好きとして期待。
袋の者の可愛さは異常。
偏在の思考は読めるのだろうか?
学園関係者で一番まずいのは『炎蛇のコルベール』『土くれのフーケ』のどちらか……?
角女の『外見』を見たときのオールド・オスマンだけは『ああ、この人はやっぱりこうなんだ』と思われるような駄々漏れを……
ヤバイ面白いわ角女w
都市シリーズの大阪 ラストでの鉄壁女番長が
崩れ落ちるかのような怒涛の強制デレ化を思い出したwww
読心対策に佐山御言を投入だ!(待て
いやココはしんちゃんとひまわりだろ
劇場で読心術を持った敵をその頭の中見せて倒したんだぞw
>>947 集団で歌いながら締め上げる動作はいつ見ても吹く
>>946 それは危険だ。だだ漏れの本音と共に佐山ウイルスが蔓延する・
やはりここは本音に生きる男、出雲・覚を出すべきだ。
アンリエッタの思考に期待
カンタムロボでスピンオフ作品造られねえかなぁ……なんてスレチなこと考えつつネタ振り。
前田慶次(史実ではなく花の慶次ver)が召喚されたらどうなるだろう?
皆の意見を聞かせてくれ。
>>951 ギーシュがビンタされて「ぱらぽれぴれぱれ」とか奇声を上げつつノックダウンだな
そしてズボンを下ろされて「なんだッ、この一物は!!!」とやられるわけですね
ちょっくら次スレ立ててくる
ワルドが松風に蹴られてにやけ面になるのかw
>>951 ルイズは躾するつもりが逆に尻叩きで躾けられる
ギーシュは殴られて良い顔になる。
フーケは戦人の顔になる。
ウェールズといっしょに城壁からレコン・キスタ兵めがけて小便鉄砲。
「悪奴っ! ウヌは武士(もののふ)ではない!!」 → 「ふぎぃがろうばっ!」で唐竹割り
>>956 超乙
皆意見ありがとう。
慶次は説教臭くなるようで口より拳が先にくるから、説教臭くはなんないかな。
慶次と松風をタバサが召還。
騎士団の任務を手伝う際に、イザベラに曲がったマゲを見せて傾く。
ジョセフなら秀吉みたいな反応しそう
イサベラには義姫にやったみたいに「いきなりモロ見せ」とか
>>960 あー、タバサはいいねぇ。実は姫って設定もちょうどいいし。
捨丸ポジションのキャラも確保したいところだけど……ギーシュじゃあれだしフーケかな。
>>957 >ルイズは躾するつもりが逆に尻叩きで躾けられる
それどこの爆熱の使い魔?wwww
>>963 ししょーも似たようなことをやってたなw
そういや師匠にも尻叩きされてたような希ガス
966 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/05(火) 19:06:58 ID:mp+iNcIH
>>963 一夢庵風流期では子供をそうやって躾けていた描写が有った気がする…
ルイズを「子供」とみなせばそうなるんで無かろうか…
(哲夫的にはルイズの体格だと女性とみなすのは難しいし…)
慶次は女に手えあげるかなあ。
寧ろさりげない言葉や行動でやんわりとするじゃないのか? 躾うんぬんや信頼等は。
>>966 何事にも真剣に接してたみたいだけど、
躾する時には
男の子には一発で失神するくらいの、
女の子には数日顔の腫れがひかないくらいの鉄拳を飛ばしてたらしいぞ>一夢庵慶次
女には上げないが「子供」は女の子でもぶん殴るぞ。
勿論手加減はするが。
ただ、これは一夢庵風流記のほうの描写なんで、
花の慶次のほうもそうであるかと言われるとちょっと微妙。
ただ同作者の小説「鬼麿斬人剣」とかでも「女には手を上げないが子供ならぶん殴る」描写があったんで、少なくとも隆慶一郎先生的には「男は女性は殴っちゃいけないが子供は殴っていいのだ」と思われ。
前田慶次かあ、慶次なら7万の大軍相手でも、朱槍片手に一騎駆けしそうだなあ。
少なくともマンガや小説では、最上軍相手に、やっていたしなあ。
>>970 片手朱槍で片手にデルフ装備で松風に乗って突撃「そうりゃぁぁぁ!」
で首がダース単位で飛ぶ
指揮官「あやつは鬼神か?」
一夢庵版慶次は子供の躾に関してはゲンコツ解禁なのね。今度原作読んで見ます。
なんか多少の慶次ならではのエピソードはあれど、全体的な話の流れは才人とほとんど変わらないかも。
あの世界なら300人いれば7万の軍勢にだって勝てるのでは?
デルフが朱槍にくくりつけられるのを想像した
振った分だけぽんぽん首が飛ぶな
読心ネタで今までコレが出なかったのが意外だ。
「サラー! 好きだ、愛しているんだ、サラー!!(ry
>>974 そこは右手が朱槍で左手にデルフだろう。
初代ガンダールヴみたいに。
>>975 ギーシュが角女対策で叫ぶのか
だが元ネタと違って角女は全く気にしないぞw
ゲイナーくんかw
ゲイナーってロボットのパイロットとしてのスペックはなにげにNTや種割れキラ並なんだよな……
ロボやゲームがないとただのヒッキーだけど
>ロボが無いとただのひきこもり
なんというアムロ
ここは風間真を
いかん 序盤から場違いな工芸品がインフレする
そろそろ埋め時か。
何気にゼロ魔世界と同レベルのファンタジー世界からの召喚はそれ程多くないと思うので、
デルトラクエスト辺りから召喚とか。リーフ・バルダならガンダールヴ、ジャスミンなら
ヴィンダールヴか?
隆慶一郎の他の作品の主人公の世良田次郎三郎や忠輝が
召喚されても面白そう。柳生一門の誰かが召喚でもいいかも。
たまにはまったく場違いな作品から
>>1000ならのだめカンタービレの野田恵を召喚。
ハルケギニアにピアノってあったっけ?
バトルロワイヤル(漫画版)から桐山和雄を召喚…
いかん、アイツだとギーシュにも素手で勝てる(つーか殺ってしまう)し、
乗馬その他とか考えても天然ヴィンダールヴだ。
感情とかあの辺が無いからルーンの効果がモロに出て
忠実なルイズの使い魔になりそうだが
ファンタジー世界でも何でもないがにわのまこと繋がりで「The MOMOTARO」とか。
七つ道具のベンケーがガンダールヴ、熊に乗ったキンちゃんがヴィンダールヴ、
ミョズニトニルンは石の達人、坂田鋼鉄郎。いや、ジョゼフとの絡みを見てみたいだけだけど。
主人公? 「記すことすら憚られる」もんがールヴですよ。
>>980 風祭真と勘違いしてアマゾン、響鬼にならぶグロ(面もふくめて)ライダー召喚かとオモタ
ライダーネタは時期が時期なだけに自粛した方がいいな………
>>982 鬼っ子さま召喚は自分も読みたいが、どう考えても俺Tuee説教展開になりそうで怖い。
ただきゅいきゅいやティファニアとのやり取りが微笑まし過ぎて死んじまいそうだなw
ジョゼフは宗矩と悪だくみに勤しむが毎度失敗するんだなw
嘘喰いの班目貘呼べないかなぁ・・・ってちょっと考えてみてたけど頭がおいつかねぇ
賭郎ないから賭けが成り立たないぃぃぃ
>ピアノ
全然描写はなかったと思うが、あっても不思議じゃないなぁ。
黒板やらお茶やら同時代のヨーロッパには無いようなオーパーツがやたら沢山あるし。
ちなみに余談だが、ゼロ魔原作では「紅茶」という単語は出てきてないし(紅茶ではない、とも言ってないが、少なくともサイトが最初に飲んでたのは緑茶)、物語前半では学園内で普通にお茶を飲んでる描写もない。
初登場は風呂でサイトが飲んだあれで、学園内では10巻でシエスタとルイズがぶっ掛けあいをやるまで一切登場していない。
その割にテファの村では普通に茶を飲んでるっぽいのが謎ではあるが、あれは戦争中でもきっちりティータイムを取る国だからかもしれん。w
>>987 宗矩と組ませるならイザベラ様の方がしっくりこないか?w
さてそろそろ埋めるか。
1000ならナイトウィザードよりリオン・グンダ侯爵召喚
1000ならサガフロよりリュート召喚
ヴィンダールヴあたりなら合いそう
1000ならされ竜よりガユス召喚
忠輝って説教するかな?
周囲に自分の考えをわかってもらおう、自分の考えに従えよう、って思考はない人だと思うけど。
隆先生の主人公はみんな自分の生き様を貫くことしかしない人たちだから。
周囲の人はそれを憎むかそれに惚れるかのどちらか。
ルイズが落ち込んでるのを励まそうと思ったら、遠乗りに連れ出すとか、高い木の上につれてく
とかで、説教はないと思う。
1000なら特攻の拓より天羽・セロニアス・時貞召喚
ACfAの最新PV(まだ非公式)見てたら、タルブに向けてVOBでかっとぶホワイトグリントと
原作以上に興奮しっぱなしのコルベールを幻視した。
コッパゲがACの世界見たら、ネクストやアームズフォートを始めとした技術力に驚喜し、
そんな技術力がありながら企業同士がハルケギニア以上に泥沼な争いをしているのに絶望し、
コジマ汚染が世界に深刻なダメージを与えてるのを知って複雑な思いをするのだろうか…。
1000なら休載中の作者さんが帰ってくる
千ならフランクさん召喚
1000ならサマンナイト3からシャルトス召喚
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。