リリカルなのはクロスSSその42

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその41
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1201481211/


*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ15
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1201529976/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:02:38 ID:eBrwUvRr
>>1
バルディ乙
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:03:37 ID:WAjUky27
>>1
シルバーチャリ乙
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:08:11 ID:WbO09aLs
>>1

乙っす。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:19:39 ID:wy+7vPIA
1>>乙カレー
6反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/01/31(木) 18:25:42 ID:gRgDvgMv
心の>>1乙を解き放て!

…感想レスを見た限り、みんなシャイニングクロスのことは忘却の彼方みたいで俺涙目orz
そりゃー秋からずっと放置してきたけどさっ
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:31:43 ID:mdGI3Wgn
ウーノ姉さん乙

>>反目氏
いえ忘れてませんよ?
だけど「続きマダー?」って言うのは催促するようで気が引ける。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:35:31 ID:UYT0mAzr
オットーいただきッ!!
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:36:39 ID:wtm3az6Q
ノーヴェ
は俺の嫁
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:41:22 ID:N7k1cYO8
ディエチさんに膝枕してもらうか
11リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/01/31(木) 18:44:08 ID:v63P9zFP
シャマルはオレノモノダー

>>1
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:46:22 ID:wtm3az6Q
ディードはわたしのメイドさん
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:47:40 ID:O1mmHnYR
じゃあ誰にももらわれなかったウェンディは粗大ゴミ行きということで
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:50:41 ID:WAjUky27
>>13
なら、もらわれてない娘たちは全部引き取ろう
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:51:41 ID:UYT0mAzr
これが経済力の差かorz
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 18:54:00 ID:Dy51H3Zq
>>13
それを捨てるなんてとんでもない! ハードオフで売っぱらうんだ
2000円くらいにはなると思うし
17リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 18:59:51 ID:g3CYbuhp
久しぶりに投下する俺参上!
クーガー&機動六課新人ズ&クーンと螺旋王ロージェノムの戦いの終わりと新たな悲劇が始まります。
投下しても宜しいかな?
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:00:15 ID:WAjUky27
ナンバーズ全員で興信所でもやったらどうよ
もしくは何でも屋
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:01:46 ID:WAjUky27
連レス失礼
>>17
問題ないと思いますよ。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:03:11 ID:wtm3az6Q
カオス支援
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:08:11 ID:UYT0mAzr
支援
22リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:08:13 ID:g3CYbuhp
では、投下させていただきます。


リリカルスクライド//G.U.
スクライドの世界に派遣される魔法少女達の冒険

最終話「優しく君は微笑んでいた」


『さぁ、人間。この、ラゼンガンと戦い、このロージェノムを楽しませてくれ』

 その声と共にロージェノムが駆るラゼンガンは腕組を解き、両腕の吐出口から伸縮自在のドリルを生み出す。

「散れッ!」

 クーガーの掛け声と同時に散開するスバル達とクーン。
 先程まで居た場所には2本のドリルが突き刺されていく。

「ひぇ〜当たったら唯じゃ済まねぇな」
「クーンさん、軽口言う暇はありませんよ!」

 クーンに突っ込みを入れるティアナだったが、その余裕もそこまでであった。
 ラゼンガンは最初に標的と決めたのは、クーンとティアナの銃撃戦主体の2人だ。
 柔軟かつ強靭な機体のバネを使い、ラゼンガンは床を蹴り一直線に2人がジャンプにより滞空している場所へと突っ込む。
 2人は持ち前の射撃魔法を撃ち込むも、ラゼンガンの装甲に弾かれラゼンガンの巨体が2人の視界を塞ぐ。

『その程度か』

 ラゼンガンの巨体が2人に叩きつけられる。
 その衝撃を受けたクーンとティアナは、吐血をしながら壁へと叩きつけられる。
 2人が襲われた事に着地と同時に気づいたスバルとエリオとキャロは驚愕した表情となる。
 仲間が一瞬で戦闘不能へと追い込まれたのだから仕方が無い事だ。
 しかし、次に襲われるのは自分たちであり落ち込む時間など無い。
 ラゼンガンの動きを目でハッキリと追ったクーガーであったが、相手のスピードがかなりの物でお守りをしながら戦えるほど簡単な相手ではないと目を鋭くする。
 その巨体の着地により床にひびが入る。
 ラゼンガンから溢れ出る闘気と言えばいいのだろうか、そのようなオーラが機体から満ち溢れている。
 その光景に臆しながらも、仲間の敵を討とうと己が持つ力を相手へと向けるスバル達。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:09:46 ID:UYT0mAzr
兄貴の真の力が発動するのかッ!!
支援
24リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:10:09 ID:g3CYbuhp
「ティアナの仇ぃぃぃ!!」

 自分に活を入れるかのように声を上げながらウイングロードの上をマッハキャリバーのローラーで駆け巡るスバル。
 右腕に装着されている母の形見であるリボルバーナックルのカートリッジを3発消費し、右拳に魔力を集中させる。
 環状魔法陣を右腕に出現させながら、ラゼンガンの頭上でウイングロードから飛び降りる。

「くらえぇぇぇ!!」

 右拳に集めた青い魔力をラゼンガンのコクピットである頭部へ叩きつける。
 スバルの持つ最大の攻撃力を持つ"ディバインバスター"が、敵の頭部で炸裂する。
 凄まじい光が飛び散る中、

「でやぁぁぁ!!」

 高速で接近したエリオがラゼンガンの腹部へ魔力を上乗せしたストラーダの刃をぶつける。
 キャロによる魔力ブーストとエリオによる魔力をロケットのように噴射による加速が相まって一気に目標を貫く技"メッサー・アングリフ"。
 三位一体の技がラゼンガンを襲う……しかし、

『話にならんな……覇ッ!』

 ラゼンガンを通して螺旋王ロージェノムの螺旋力が放出され緑色に輝くオーラが放出される。
 その放出を至近距離で受けたスバルとエリオは大きく吹き飛ばされる。
 クーガーは床を蹴り持ち前の速度で吹き飛ぶエリオを即座に受け止め衝撃を瞬時に緩和させ彼の体を床に置き、
直ぐにラディカルグッドスピード脚部限定のかかとからピストンが打ち出し床を蹴り側面の射出口からエネルギーを放出、一直線にスバルを抱きとめる。
 その場で空中一回転をして勢いを殺し、彼女を抱えたまま着地する。

「おいおい、女子供をボコボコにするのは男として恥じゃねぇのかよ?おっさん」
『ふん、既に一度死んだ身だ。恥など遠の昔に捨てている』
「ちっ、そうかい!」

 スバルをそっと床に寝かせると、一気にラゼンガンへと向かうクーガー。
(こいつはマジでヤバイ。でもなっ!)
 ロージェノムは急加速してくるクーガーを見くびらず、旋闘術という構えを取り身構える。
 死んだ時の記憶が少しだけ残っている螺旋王は、あの時相手を見くびるほど傲慢な自分を払拭するかのように動く。
 先に仕掛けたのはクーガーだった。
 音速に近いスピードでラゼンガンの股の間を抜き、即座に床を蹴り空中へと飛ぶ。
 狙いは一つ、後ろからの不意打ちだ。

「衝撃のぉぉぉファァァストブリット!」

 空中からクーガーの必殺の蹴りがラゼンガンの背中へと打ち放つ。
 しかし、背中に目があるかのように即座に背中の吐出口から伸縮自在のドリルが飛び出しクーガーの蹴りとぶつかる。
 最速の蹴りと最強のドリルがぶつかる事で衝突地点からプラズマが飛び散る。
 先に根を上げたのはクーガーであった。

「ちぃぃぃっ!」

 ラゼンガンのドリルによりラディカルグッドスピード脚部限定に多数の亀裂が走った為だ。
 いくら最高のアルター能力者であっても、人類の進化系である螺旋族の長である螺旋王の駆るラゼンガン。
 そのドリルの前では強靭な精神力でも砕かれる。
 かかとのピストンと側面の射出口からエネルギーを放出し均衡を解除する。
 クーガーは着地と同時に円を描きながら衝撃を打ち消し止る。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:10:10 ID:kEz4LZWo
私信しつつ>>17支援♪

>>6
ちょwwww拍手まで送った俺忘れられてて涙目wwwwwwww


・・・・うん。正直片翼ラストと反目外伝で満足しちゃってたorz
26リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:11:56 ID:g3CYbuhp
 対峙するロージェノムの駆るラゼンガンとストレイト・クーガー。
 一見すると互角にも見えるが、圧倒的にクーガーの方が不利である。
 一時的に回復した肉体で、これ程の強敵相手に全ての力を解放しても倒せるのか分からない。

「さて、どうしたもんか」
『絶望し、AIDAと1つになる事を進めよう』
「それは出来ない相談だな!俺には惚れた女性が居る。全てを投げ出しても良い程な!」
『ふん、貴様の思考はいまいち分からぬな……女など吐いて捨てるほど居るではないか』
「けっ、心底最悪なオッサンだなぁ!」
『ならば、全力で来るがいい……我を楽しませてみよ。そして闇へ取り込まれるが良い』
「そんな所へ良く分けゃねぇだろう!手前ェを最速で蹴り倒して、世界を救って彼女の元へ帰る!」

 クーガーは、髪に掛けていたサングラスを目の位置へ掛けなおすと同時に彼の身体全体が輝きだし、周囲の物質を分解し身を覆う鎧へと再構成していく。
 再構成が終わった後には、全身をアルター化させたストレイト・クーガー"ラディカルグッドスピード"完全体の姿。
 ラゼンガンとクーガーが対峙している中、互いに治療魔法でダメージを回復しながら壁を背もたれにしているクーンとティアナ。
 クーガーたちを挟んで反対側には、キャロによるスバルとエリオの治療が行われている。

「クーガーさん……すごい」
「ああ、アレがアルター使いでも一二を争う使い手って奴だ」
「私たち何も出来ないんですか?確かに今の私じゃ、あのロボットの装甲を貫く魔法は習得していませんけど」
「焦るなよ、ティアナ。そろそろ、身体の調子は良くなったか?」

 クーンの言葉にダメージが大分良くなって来ているのに気づくティアナ。
 立ち上がろうとした時、手を掴まれ止められる。

「クーンさん?」
「(ここからは念話だ……良いな?)」
「(あ、はい)」
「(スバル達も聞こえるか?)」
「(は、はい。何とか)」

 キャロの治療で何とか動けるまでには回復するスバル達。
 それを確認したクーンは、ある作戦を彼女たちへ伝える。

「(良いか、みんな。これから話す作戦で動けば、あのラゼンガンを打ち倒せる。良いか、まず――)」
27リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:13:55 ID:g3CYbuhp
 クーガーは装甲で覆われた右足の爪先をコンコンと叩き、その音が広い空間の壁に反響する。
 テンポ良く成り響く床を叩く音が戦いへのカウントダウンを鳴らし、音が止んだ瞬間――
 戦いは動いた。
 先に動いたのはクーガーであった。
 背中から凄まじいエネルギーを放出させ知覚出来ないほどの速度で床を滑るかのように前へ突進み、相手が反応する前に蹴りつける。
 あまりの速度に反応が遅れたラゼンガンは、左足の間接に鋭い蹴りを受ける。
 その威力に膝を床に着いてしまう。
 すかさず巨大な相手の左腕の上へ乗り移ったクーガーは、その腕を駆け上がりラゼンガンの頭部に瞬時に近づく。
 互いに装甲越しに目線が合う2人。

「壊滅の、セカンドブリットォォォ!」

 左足を軸にして放たれ、大気を揺るがす右足による蹴りがラゼンガンの頭部側面を直撃。
 その威力は、ラゼンガンの巨体を横へ吹き飛ばし床に何度か跳ねる様にぶつかり壁へ衝突し止まる。
 崩れた壁より這い出してきたラゼンガンの頭部左側の装甲に亀裂が入っている。
 本物のラゼンガンよりも能力が落ちているAIDAにより生み出された模造品。
 そんなラゼンガンでは、オリジナルのような絶対的な力を発揮出来ない。
 己の不甲斐なさに若干のイラつきを覚えながらもラゼンガンを立ち上がらせるロージェノム。

『なるほど、この世界でも貴様のような"力"を持つものが居るという事か……油断などしていないはずなのだがな』
「そのまま眠っちまいな、オッサン!」

 すかさず追い討ちを仕掛けるクーガーだったが、ラゼンガン全身の吐出口から多数のドリルが飛び出していく。
 雨霰の様に突き刺しに来るドリルをギリギリで交わしながら突進むクーガー。
 だが、突如ドリルが幅1mから幅4mという巨大な物へと変貌する。
 突然の質量変換に対応しきれず右腰のアーマーを削り取られ、その衝撃で横へと床を滑る様に吹き飛ぶ。
 崩れた体勢を立て直し、何とか立ち止まるクーガーであったが今の一撃でかなりのダメージを受けてしまう。
 欅(けやき)による身体回復もボロボロの身体を動かせる程度にしか効果が無い。
 現在の戦いでのダメージまでは回復してはくれない。
 ダメージを負った部分を左腕で隠しながら、相手を見据えるクーガー。
 その目線の先には、威厳が溢れ出す漆黒の装甲で全身を覆う巨人がそびえ立つ。

「やるじゃねぇかよ、オッサン」
『貴様もガンメン無しでそこまでの力を発揮出来るとは……そのボロボロの肉体を捨て我配下に下らぬか?』
「最速でお断りだな。従うなら、真っ当な性格をした奴の下に居たいね」
『……ならば、ここで散るがいい』
28反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/01/31(木) 19:15:04 ID:gRgDvgMv
>>25
ちゃうねん…みんながあとがきで触れたシャイニングクロスを「新作」だと思ってたのがショックやねん…
…貴方には感謝しています。

支援
29リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:15:30 ID:g3CYbuhp
 再び螺旋力を使う旋闘術の構えを取るラゼンガン。
 ヨロヨロとふらつきながらも立ち上がるクーガーは、両手の指を地面につき、前足側の膝を立て、後ろ足側の膝を地面につける。

「受けてみろ!俺の速さを!!」

 再び衝突するストレイト・クーガーと、螺旋王ロージェノムが駆るラゼンガン。
 最速の蹴りが舞い、強靭なドリルと腕が宙を舞う。

 クーガーとロージェノムの激しい衝突が始まったのを確認したクーン達は、先程伝えた作戦通りに動く。
 全身にアバター化の紋様を出現させるクーン。
 敵と戦うクーガーに助太刀するには、アバターを持ち出す以外には方法が無い。
 それに、このアバターの能力はみんなの助けとなる。

「行っけえぇぇ!!!!!!俺の――メイガス!」

 黄緑の光に包まれ、クーンを中心に憑神が呼び出される。
 全長はラゼンガンを上回る程の長さを持った尾を持つ人の身体の形をしたモンスターが召喚される。
 その名は"メイガス"、増殖の力を持つモルガナの第三相である。
 激戦を繰り広げるクーガーとラゼンガンも、その出現に足を止める。

『クーガー!どいてろ!!』

 出現したメイガスは、手より黄緑色に輝く拡散するショットをラゼンガンへとばら撒く。
 攻撃が来るのを瞬時に察したクーガーは、持ち前の俊足で即座にその場から離れメイガスのショットを避ける。
 両腕をクロスし防御体制に入るラゼンガンは、ばら撒かれたショットを受ける。
 連射を続けるメイガスだったが、ショットの着弾で煙が発生してラゼンガンの姿が見え難くなった瞬間、煙の中からドリルが飛び出してくる。
 咄嗟に回避運動を取ったメイガスだったが、尾の部分の葉っぱを思わせる部分を3枚千切れ取られる。
 更に続々にドリルが発射され、メイガスのボディを削っていく。

『ぐっ、ならこれならどうだ!』

 メイガスは、コア部分から上下するビームを撃ち放つ。
 上下運動するビームに対し大地を蹴り横へと移動し攻撃を避ける。
 しかも、回避運動の合間にドリルを鞭のようにしならしメイガスのボディを横一線に叩く。
 アバターとは精神でリンクしているクーンは、そのダメージに悶絶寸前まで追い込まれる。
(痛ぅ、即急に片をつけなくちゃやられる)
30リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:17:50 ID:g3CYbuhp
 これ以上攻撃を受ける訳には行かず、周囲にリーフバリアと呼ばれる絶対防御壁を生み出す。
 そのバリアにドリルは阻まれ、弾かれてしまう。
 しかし、この絶対障壁であるバリアも魔力消費が半端ではない。
 この隙に彼女らが定位置へ着いてくれるのを願うクーン。
 ラゼンガンは全身の吐出口から伸縮自在のドリルを次々に発射させ、メイガスへと攻撃を繰り返す。
 クーガーとの決着も良かったが、余計な邪魔が居ては楽しめないと先にメイガスを狩る事にしたのだ。
 巨体同士が闘っている隙に破損したアルターを再構成するクーガーは、スバル達が徐々にラゼンガンの周りを取り囲んでいる事に気づく。
(……なるほど、やっちまえ、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ)
 鋭いドリルによる突きに耐え切れずバリアを解除されてしまうメイガス。

『人ならず者よ……これで引導を渡してやろう』

 ラゼンガンは、飛び上がると下半身を巨大なドリルと化して敵を貫く巨大な武器となる。
 螺旋力がドリルを覆い凄まじい威力へと成りつつある中、突如ラゼンガンの頭部に張り付く5つの影。

『何?お前達は』

 取り付いていたのはスバル達4人とフリードリヒであった。
 作戦はクーンが囮をする間にラゼンガンに気づかれず回り込み頭部へ取り付き、目の部分へ全ての魔力をぶつけるものだ。
 各自持てる魔力とギリギリ制御可能なカートリッジのロードを済ませてある。
 スバルのリボルバーナックルの手首部分にある歯車状のナックルスピナーは高熱を帯びながら高速で回転し、彼女の右拳に膨大な魔力の玉を形成する。
 ティアナのクロスミラージュも、ターゲットリングを出現させ今持てる最大の砲撃を構える。
 エリオのストラーダも、キャロによるスラッシュ&ストライクによるブーストとカートリッジによる魔力強化で巨大な魔力の刃を形成している。
 キャロのフリードも口周辺に膨大な熱量を持つ火炎を収束している。
 そして、それらの最初で最後の一撃がラゼンガンへと叩きつけられる。

「ディバイーン!!」
「ファントム!!」
「メッサー!!」
「ブラスト!!」
「バスタァァァ!!!」「ブレイザァァァ!!!」「アングリフ!!!」「レイ!!!」

 攻撃が着弾した瞬間、爆発が起こり4人と1匹は吹き飛んでいく。
 バリアジャケットでも吸収しきれないほどの爆発による痛みを食いしばり耐え着地する4人と1匹。
 4つの攻撃はロージェノムが乗るラゼンガンのデュアルアイを破壊に成功した。
 モニターが死ぬ事は予想にもしてなかった螺旋王ロージェノムは、メイガスの位置を見失う事になってしまう。
 それが、彼の駆るラゼンガンの最後となる一撃を受けてしまうのだ。

『こいつを受けやがれ!!』

 メイガスの左腕が砲身となり、アバター全てが扱える最強の技"データドレイン"をラゼンガンのボディへと撃ち込む。
 モニターが死んでしまった事と、下半身をドリル化した事で回避運動が取れなくなった螺旋王の失態とクーンの作戦の成功が結びついた結果だ。
 データドレインを受けてしまったラゼンガンは、ボディの装甲の構成データを奪われるばかりか装甲はただの鉄屑までに弱体化されてしまう。
 止めとばかりに、メイガスは多数の胞子に似た物体を出現させラゼンガンの周囲へと散らばらせる。
 メイガスの技の1つである"苛烈なる萌芽"は、一定時間で爆発する胞子をばら撒く技だ。
 間接なども錆付き身動きが取れないラゼンガンは、胞子爆弾の爆発を受け砕け散った。
31リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:20:21 ID:g3CYbuhp
 その光景を見てガッツポーズをとるクーン。

『よっしゃ!お前達のお陰だぜ、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ……なっ』

 喜びもつかの間、爆発炎上したラゼンガンの中から螺旋力を開放し髪の毛は渦を巻いて燃え上がり胸毛も螺旋の形へと変貌している。
 喜びとも怒りとも取れる顔立ちで螺旋王は、メイガスの肩へと降り立つと豪腕と言っても過言ではない右腕を振り上げ相手の顔に向け拳を叩き込む。
 その一撃を受け、嫌な音を立てながら首が曲がるメイガス。
 アバターのダメージを若干ながら受けるクーンも、その一撃を受けて失神する。
 クーンは意識を失った事でアバター状態が解除され、床へと叩きつけられる。
 その横に降り立つ暴君と化した螺旋王。

「やはりガンメンなどに頼る戦いは駄目だな。やはり、生身で闘う方が性に合う」

 螺旋のような渦を巻く目で、膝を着いて息を荒げるスバル達を見つける螺旋王。
 緩やかだが威圧を放ちながら歩いてくる姿に恐怖するスバル達。
 怒りながら笑うというまさに鬼と言っても良いほど、恐ろしい表情のロージェノム。

「久しく女を抱いていなかったな――ふん、そこの女子を仕立て上げればいいか」

 生前に部下である四天王の一人グアームから美女達を献上されてきた時のことを思い出し、性欲を満たそうとスバル達の下へ更に近づく。
 相手が自分達に暴力を振るう以上の事をしようとしている事に気づき後ずさるスバル、ティアナ、エリオ。
 その怯える少女達を守るため立ち塞がるエリオとフリードリヒ。
(勝ち目は無いかもしれない……でも)

「行くよ、フリード」

 エリオの呼びかけに首を縦に振り、敵に立ち向かうフリード。
 更に近づいたロージェノムの圧倒的迫力には、10歳の子供では耐え切れるものではない。
 既に両足が震え上がっていて思うように動かない。
 螺旋王が直ぐ側まで来たとき、フリードが先に仕掛ける。
 その巨体を活かして体当たりを行うも、螺旋王は片手でフリードの首を掴み上げ締め上げる。

「グァグググアァァ……」

 凄まじい締め上げに口から泡を吹き出し始めるフリードを見て恐怖を押さえ込み突っ込むエリオ。

「う……うおぉぉぉ!!」

 声を上げながらストラーダの刃をロージェノム左足に叩き込むエリオ。

「あ……」

 ストラーダの刃を受けて螺旋王の左足から血が滲み出す。
 人を自らの刃で傷つけた事が初めてであったエリオは、それに動揺してしまう。
 怯える子供を見て煩わしく思った螺旋王は、持ち上げていた白き翼竜をエリオに向けて放り投げる。
 フリードの巨体がぶつかり、1人と1匹はスバル達が腰を抜かして座り込む場所へ倒れこむ。
32リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:22:48 ID:g3CYbuhp
 まさに絶体絶命、こんな場所で人生が終わるなんて思いたくないと涙ながら思う4人だったが恐怖が直ぐそこへとやってくる。
 スバル達の前へと立ったロージェノムは、その豪腕で彼女達を掴み取ろうとするもエリオの槍を受けて右手から血を流す。

「みんなには、指一本触れさせない……絶対に!」
「ほぉ、良い意気込みだ――だが、ここまでだ」

 豪腕を振り上げ拳をエリオへ叩き込もうとした瞬間、弾丸と化した物体がロージェノムを弾き飛ばす。
 エリオの前にはロージェノムの変わりに全身をアルターで覆った最速の男が立っていた。

「女性を守るたぁ〜お前は最高の男だぜ。エリオ・モンディアル」
「ク、クーガーさん……う、うう」
「おいおい、あそこまでカッコよく決めたんだ。泣くものじゃねえ……男が泣く時は、親しい奴が死んだ時に取っときな」
「グス……はい!」

 袖で涙を拭き元気よく返事をしたエリオを見て装甲越しに微笑んでみるクーガー。
 怯えていたスバル達も立ち上がり、クーガーの近くへ歩み寄ってくる。
 その時、吹き飛ばされていたロージェノムが立ち上がり彼らの下へ歩み寄ってくる。

「やるな、人間よ。女は後だ……まずは、貴様との戦いを楽しもう……ストレイト・クーガー」
「へっ、オッサンと楽しくするなんてなぁ御免被る(ごめんこうむる)ぜ。俺の速さを受けな!オッサン!!」

 背中から加速用のエネルギーを放出し猛スピードで螺旋王へ近づき、右ローキックを叩き込む。
 即座に左腕で防御するロージェノム。
 螺旋力を腕に集中させ鋼の如き硬さを持たせる。
 力任せにクーガーの蹴りを弾き、右ブローを放つ。
 クーガーは身体を後ろに反らしギリギリで攻撃を避ける。
 そのままムーンサルトの要領で蹴りをロージェノムの顎へ叩き込む。
 その一撃を受け口から血を吐くロージェノム。
 更に追撃の飛び膝蹴りをボディへ叩き込み、螺旋王の身体を宙へと浮かす。
 通常の人間なら既にここで絶命している。しかし、

「……くくく、良いぞ。この痛みを我は忘れていた」
「なに!?」

 ダメージを感じさせない動きで、豪腕による右ストレートがクーガーの頭部を捉えた。
 凄まじい拳圧に頭部を守るアルターが砕け散る。
 衝撃で吹き飛ばされたクーガーだったが、バク転の要領で衝撃を和らげ縦回転しながら着地する。
 クーガーの頭部のアルターは砕け散り、ご自慢のサングラスに亀裂が入っている。

「ちっ、やってくれるぜ……オッサンよぉ」
「さぁ、更に楽しませて見せろ!」
「けっ、いい気に成るなよ!!」
33リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:25:03 ID:g3CYbuhp
 クーガーと螺旋王ロージェノムの戦いは、互いに譲らずボロボロになるまで行われた。
 音速の蹴りが脇腹を捉えても、カウンターに拳が胸を捉える。
 互いにカウンターの押収で、既に限界寸前まで追い込まれるクーガー。
 その身体を守っていたアルターの装甲は、脚部分を残すのみとなっている。
 対する螺旋王は、息を若干荒げながらも余裕の表情を醸し出す。

「タフ過ぎるぜ……オッサン」
「人間の身として我に立ち向かった事に敬意を表しよう……これで止めを刺す」
「けっ、それはこっちのセリフだ!受けろよ、俺の最後の蹴りを!!」

 クーガーの必殺技を放つ動作に連動し、ラディカルグッドスピードの装甲が前後に展開する。
 螺旋王も、右腕に螺旋力を集中させ巨大な螺旋力が実体化したドリルを形成させる。
 2人の男の命を掛けた一撃。
 固唾を呑むスバルの額の汗が床に落ちたのを合図に……動く。

 クーガーはかなりの高さまでジャンプし、全身を超高速回転させた強烈な回し蹴りを繰り出す。

「瞬殺のぉぉぉ、ファイナルブリットォォォ!!!」

 対する螺旋王ロージェノムは全身の力を右腕に出現させた螺旋力の塊であるドリルへと送る。

「螺旋力、オーバーロード!!」

 クーガーの回し蹴りがロージェノムの頭部を捉え、ロージェノムのドリルがクーガーのボディを捉える…・・・しかし、
音速を超えるクーガーの速さを捉えきれず、ドリルは彼の脇を掠める。
 そして、クーガーの蹴りはロージェノムを完全に捉え、凄まじい衝撃を与えた後、地表へとめり込ませる。
 戦いは終わった。
 満身創痍で立っているだけでも目眩がするクーガー。
 その足元で黒い粒子と化していく螺旋王ロージェノムの姿がある。

「……1000年以上の怠慢が身を滅ぼすか――中々楽しめたぞ、ストレイト・クーガー。あははは……」
34リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 19:27:34 ID:g3CYbuhp
 そう言い残し、消滅するロージェノム。
 それを見届けたクーガーは座り込んでしまう。
 その動きを合図とするかのように、周辺の空間が歪み元居た劇場へと舞い戻る。
 ヘタヘタと座り込んでいくスバル達。
 クーガーも懐に入れていたタバコを取り出すと一服する。

「ロージェノム……あんたとは、もっとマシな世界で会いたかったぜ」

 タバコの煙を少し吸い、天井に向けて煙を吐いた時、天井で浮かぶ人物を見つける。
 他のメンバーも戻ってきたのかと聞こうとした瞬間、クーガーの時間は止まった。


 ロージェノムの一撃で気を失っていたクーンは異常な寒気を感じて、目を覚ます。

「ん〜寒い……って、ここは……おお!元に戻れたのか。おい、みんな〜無事か――な、何だよ、これは!?」

 クーンの見つめる先には氷漬けとなったスバル、ティアナ、エリオ、キャロ、フリードリヒ、そして……ストレイト・クーガー。
 氷漬けとなった彼らの真ん中で、宙に浮く黒いバリアジャケットを着た氷結の杖を持つ男性。

「おい、あんたが……あんたがやったのかよ!クロノォォォ!!」

 クーンの叫びを聞き、振り向くクロノ・ハラオウンだったが、その瞳に生気は感じられない。
 そんな彼が口にした言葉に絶望するクーン。

「ああ、その通りだ。プロジェクトG.U.のクーン」


To be continued



投下完了〜久しぶりのリリカルスクライド//G.U.だったぜ(汗)
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:27:36 ID:UYT0mAzr
支援
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:29:40 ID:UYT0mAzr
GJ!!です。
クーガーの兄貴はやっぱりいいですねw
そしてクロノはどうしたんだッ!!次回を楽しみにしてます。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 19:44:45 ID:xO+iPtWL
>31
エリオがアッー!になりそうな誤字を発見!
にしても兄貴はかっこいいよなぁ。
GJでした!
絵板の方も蝶すばらしかったですー!
38リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/01/31(木) 20:04:54 ID:g3CYbuhp
>>36
今後のお楽しみに
>>37
「アッー」になる文章発見(汗)報告ありがとうです。それと感想ありがと〜
>>31の文章から
「久しく女を抱いていなかったな――ふん、そこの女子を仕立て上げればいいか」

 生前に部下である四天王の一人グアームから美女達を献上されてきた時のことを思い出し、性欲を満たそうとスバル達の下へ更に近づく。
 相手が自分達に暴力を振るう以上の事をしようとしている事に気づき後ずさるスバル、ティアナ、エリオ。

この文章で最後のほうで、スバル、ティアナの次に男のエリオ君が居た事に(ry
すいませぬが、キャロに変更お願いします(;・ω・)
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 20:14:11 ID:eBrwUvRr
逆に考えるんだ、あんな可愛い子が女の子なわけがn(ry
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 20:25:34 ID:33yul9jG
>>38
乙です。
むしろアッー!なエリオを楽しみにしてしまった俺重症。
41フルメタなのは:2008/01/31(木) 20:50:41 ID:A1uKzdqV
≫リリカルスクライドG.U.氏
GJです!
自分もエリオのアッー!が見たいかもw

さて、夕方頃予告しといた番外編の二話、もう少しで投下しますんで、皆さん支援をお願いします。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 20:56:02 ID:lBt9v/Bd
支援
43フルメタなのは:2008/01/31(木) 21:00:32 ID:A1uKzdqV
投下開始です。

番外編その二「回避不能なホームメイドディッシュ」

ある日のこと。

カタカタカタ…
六課のオフィスで、宗介が一人デスクワークを行っていた。
時間は夜の十時前、所謂残業というやつだ。

「ふう、これで終わりか。」
作業を全て終了させ、操作画面を閉じて立ち上がる宗介。

「随分時間がかかってしまったな……」
普通に仕事をしていてこんなに遅れる程、宗介は仕事の出来ない男ではない。
実は今までやっていたのは、本来クルツの担当の仕事だったのだが、

『経理課の女の子とデートの約束取り付けちまってよ。今度メシ奢るから、今日だけ俺の分の仕事をやっといてくれ。』
と、半ば強引に頼み込み、自分はさっさと街へと繰り出して行ったという訳だ。

しかし、クルツの机のデータファイルを開けたところ、半端でない量の未処理の仕事が残っていた。
中には明日までに上に提出しなければならない物もあり、それの整理に追われていたらこんな時間になっていたのである。

「クルツめ、仕事を貯め過ぎだ……」
愚痴をこぼしつつオフィスを後にする宗介。

「あれ、相良君やないの?」
宿舎へ向かって廊下を歩いていた時、後ろから声をかけられた。

「八神部隊長。」
バッグを肩から下げ、帰り支度をしたはやてがそこに立っていた。

「はやてでええよ。今は勤務時間外やし、友達として話そや。
それよりこんな時間までおるなんて、ひょっとして残業してたん?」
「肯定だ。とある事情でクルツに仕事を押しつけられてな。それが原因で遅れてしまった。」
「あらら、そりゃ大変だったわな。」
苦笑混じりで言うはやて。

「相良君、晩ご飯はどうするん?」
「これから部屋に戻って、それから取るつもりだ。」
「あら、自炊するん?」
「いや、干し肉とトマトが残っているから、それで済ます。」
それを聞いたはやては怪訝そうな顔つきをした。

「残ってる?まさか相良君、いつもそれ食べてるなんて言わへんよね?」
「肯定だ。食事というのは詰まる所栄養補給だから、いかに素早く……」
宗介のそんなセリフを最後まで聞く事なく、はやては怒鳴った。

「何を考えてるんや相良君!!そんな食生活で良いと思ってるんか!!身体をおかしくするで!?」
「ぶ、部隊長?」
はやての迫力に気圧される宗介。

「少しは栄養とか健康の事を考えや!あー、気付かんかったわー。こんな身近にこんな食生活してる人がいたなんて……」
こめかみに指を当てるはやて。

「こんな時間じゃ食堂も閉まっとるし…よし、私が相良君に、ちゃんとしたご飯を食べさせたる!これは部隊長としての責務や!」
どうやらはやての料理人魂(母性本能?)に火が付いたらしい。端から見ても燃えているのが分かる。

44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:03:39 ID:lBt9v/Bd
支援
45フルメタなのは:2008/01/31(木) 21:16:07 ID:A1uKzdqV
「そうと決まれば善は急げやな!相良君、私の家まで来や!」
そして未だ戸惑っている宗介の首根っこを掴み、はやてはそのまま宗介を引き摺って行った。

クラナガン郊外 八神家

「皆〜、今帰ったで〜。」
玄関を開け、大きな声で言うはやて。

「おかえりなさい、はやてちゃん。ってあら、相良君?」
予想外の珍客に不思議そうな顔をするシャマル。

「珍しいわね、どうしたの?」
「実はなシャマル、かくかくしかじかなんや。」古典的な方法で説明するはやて。

「あらそうだったの。わかったわ、上がってちょうだい。」
「失礼する。」
靴を脱ぎリビングまで通される宗介。
家を褒めたりしない所が、彼らしいと言えば彼らしい。

「おかえりはやて〜。あれ、何で相良がいるんだ?」
「おかえりなさいませ、主。おや、珍しい客がいるな。」
「ただいま、二人共。実はまるまるうしうしでな…」
斬新な手段で説明するはやて。

その後リインとザフィーラにも説明し、全員で晩ご飯の時間となった。

「「「「「「「「いただきます。」」」」」」」
和洋中、様々な料理がテーブルに所狭しと置かれている。

「さー相良君、じゃんじゃん食べてや。」
「はやてちゃんの料理は絶品ですよ〜。」
「うむ、それでは…」
宗介は手近にあった料理に箸をのばし、口に運ぶ。
「…確かに、これは美味いな。」
むっつり顔のままで言う宗介。
その感想を聞き、嬉しそうにはやては笑う。

「良かったわ〜。口に合ったみたいやな。」
「不味いなんて言ったら、あたしがアイゼンで家から叩き出してるよ。」
ヴィータの言葉に皆が笑う中、宗介は一人考え込んでいた。

(この料理、初めて食べた気がしないのは何故だ?)
食べた事がないのに懐かしい感じがする。はやての料理からはそんな感じがしていた。
(確かにどこかで……そうか、千鳥が作った料理と同じ感じがするんだ。)
宗介は思い出した。かつてかなめが自分に作った弁当や料理から、同じ味をしていた事を。

それは、誰かの為を思って作る時に出せる味。
家族、恋人、とにかくそういう大切だと言える人の為に作った料理には、他にはない“旨さ”が宿る。
その旨さを宗介は感じ取ったのだ。
(千鳥………)

「どうした相良、箸が止まっているぞ?」
「何か嫌いなおかずでもあったん?」
突如黙りこくった宗介を不審に思い、気遣うはやて達。

「ん、いや、なんでもない。別に俺は嫌いな物はない。」
(感傷に浸るのは後にするか。)
再度食事を続ける宗介。

46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:18:19 ID:XKD9c5+z
支援砲撃
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:18:34 ID:lBt9v/Bd
支援1
48フルメタなのは:2008/01/31(木) 21:19:24 ID:A1uKzdqV
「あ、いっけない。すっかり忘れてたわ。」
思い出したかのように言い、立ち上がるシャマル。

「どうしたん、シャマル?」
「実はね、皆に食べて貰おうと思って、昨日から作っておいた料理があるのよ。」

シャマルの発言に「ウゲッ!」という顔をする一同。
宗介だけがその様子を見て、頭に疑問符を浮かべている。

「よかったら相良君も食べていって。今回のは自信作なの。」
「そうだな、頂こ」
「「「「「辞めておいた方がいい!!!」」」」」
残りの全員から止められ、宗介は目を丸くする。

「どうしたというのだ?」
「なんで皆止めるの?」
「いや、それは〜その〜……」
流石に面と向かって言う事も出来ず、言い淀むはやて。

「ほ、ほら。もうこんなに料理があるし、相良ももう食えないんじゃないか?」
なんとか理由をこじつけ、止めようとするヴィータ。

「俺なら問題ない。まだ充分に食える。」
周りの空気を全く読み取らず、淡々と言う宗介。

「ほら、相良君も大丈夫って言ってるじゃない。温め直すわね。」
冷蔵庫から取り出したそれを鍋に入れて火に掛けるシャマル。もはや止める事は不可能だった。

(あたしらは止めたからな、相良……)
一人心中で呟くヴィータ。

「お待たせ〜。シャマル特製のボルシチよ。」
皿によそわれた、見た目“だけ”は普通の赤茶色っぽいスープが出てきた。
「さ、早く食べてみて。」
シャマルに急かされ、スプーンを取って一杯目を掬う宗介。
だがそれを口に運んだ瞬間、宗介の全身を衝撃が駆け巡った。

(な……これは……カリーニン少佐のと同じ…いやそれ以上か!?)
49フルメタなのは:2008/01/31(木) 21:20:39 ID:A1uKzdqV
かつて宗介は部隊の上官にして育ての親でもあるアンドレイ・カリーニンに、ココアパウダーと味噌ペースト入りのボルシチを食わされた経験があるが、これはそのレベルを遥かに超越している。もはや不味いの一言で済まされる代物ではない。
よく見ると、入っている具もおかしい。セロリに椎茸、何故か銀杏やワカメまで入っている。どう見てもボルシチの具ではない。

手の震えが止まらず、脂汗は滝のように流れ続けている。

「相良君、お味の方はどうかしら?」
「……」
衝撃の余波で返答が出来ない宗介。

助けを求めてはやて達の方を見るものの、ひとりのこらず目を逸らしている。
救援は出せない、という事だ。

「相良君?」
シャマルの視線が痛い。

退路は断たれた。となれば、もう前に進むしかない。

覚悟を決めた宗介は皿を持ち上げ、中身を一気に掻き込んだ。
そして最後の一滴を飲み干した後……

ガタンッ

宗介は椅子から転げ落ちた。

「相良君!?」
「相良さん!」
「大変だ!顔色が蒼白いのを通り越して真っ青だ!」
「シャマル、お前料理に何を入れた!?」
「何って、普通の味じゃつまらないから、シナモンとナツメグと、後は隠し味にバフット・ジョロキアを少し……」

バフット・ジョロキア:ハバネロの二倍以上の辛さの唐辛子。ギネスで世界一と認定された。

「それが原因だ、たわけーーーーっ!!!」
「ええっ!?」


その後、はやて達の必死の手当てや回復魔法の甲斐もあって、なんとか宗介は息を吹き返した。

しかしこの一件以来、宗介はシャマルの姿を見ると、怯えて隠れるようになったという。

終わり
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:26:26 ID:kEz4LZWo
>>49
・・・・まるまるうしうし?w

ともあれGJでした〜。宗介、ムチャシヤガッテ・・・・w
続き期待してますw
51フルメタなのは:2008/01/31(木) 21:27:13 ID:A1uKzdqV
投下終了です。
ギャグ小説って難しい……
もっとアニメとか本職の人の作品見て研究しないと……

ところで、以前予告編で書いたストレイトジャケットとのクロスなんですが、連載させるかどうか迷っています。
皆さんとしてはどうでしょう、読みたいとおもいますか?
要望があるなら考えますが。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:27:53 ID:XKD9c5+z
GJ
最後まで食べた宗介に敬礼!
怯えて隠れる宗介がかわいいっす。
53一尉:2008/01/31(木) 21:27:56 ID:QnurJFnW
んなアホやんな。八神隊長おおお
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:33:10 ID:WAjUky27
>>53
なりきりやるのは結構だが、sageろよ。
55リリカラー劇場:2008/01/31(木) 21:49:50 ID:aJYoT6vy
>>スクライド氏
GJです、アッーになりそうなエリオが心配でしたがww
面白かったです。
>>フルメタ氏
最後までやり食べた宗介と面白い話を読ませてくださったフルメタ氏に敬礼です、GJ

自分も投下したいのですがよろしいですか?
56フルメタなのは:2008/01/31(木) 21:53:35 ID:A1uKzdqV
レスありがとうございます。
ちなみに、作中の表現は

かくかくしかじか ⇒ 角々鹿々
まるまるうしうし ⇒ 丸々牛々

というわけですw
受信した電波をそのまま書きました。分かり辛くてスイマセン。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:53:48 ID:TLZlIwZM
来い来い
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:55:16 ID:njB1VCXJ
牛には角がry
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 21:56:09 ID:kEz4LZWo
>>56
成る程理解。しかしわからんわいwwww
でも面白かったからおkですw

>>55
GOGOGO!

今から外出だから支援できませんけどorz
60リリカラー劇場 では投下します。:2008/01/31(木) 22:01:43 ID:aJYoT6vy
GP01「こんにちはー」
ステイメン「こんにちはー♪」
GP02A「邪魔するぞ……」

はやて「よー来たなぁ、上がってや♪」

シャマル「いらっしゃい、ステイメンくん♪えーとお兄さんですか?」

GP01「はい、昨日は弟がお世話になりました♪兄のGP01ゼフィランサスと言います。」

はやて「いえいえ、ステイメンくんに家まで送ってもろたし。かえって助かりましたよ、私は八神はやて言います♪」

シャマル「私はシャマルと言います、ゼフィランサスさん」

GP01「……近づいてわかったけど、ニナに似てる」

ステイメン「あー(納得)」


魔法少女リリカルなのはFullcolor'S 闇の書編 第2編


はじめてのお使いが終わった翌日、ステイメンははやてとの約束を果たす為に兄GP01、GP02Aの二人と彼女の家へと遊びにきていた。
GP01達とシグナム達は自己紹介を手早く済まし、ステイメンはヴィータに誘われてゲームの相手をしている。

GP01「へー、はやてちゃんとシグナムさん達で住んでんだ」

はやて「うん、そうや♪」

GP01「仲良さそうでほほえましいなー♪」

はやて「大事な家族やもん♪」

シグナム「しかし、また聞きな事を尋ねるが二人は仲が悪いのか?ステイメンが主に話し、主から聞いた限りでは相当なようだが……」

GP02A「ああ」
GP01「んー全然、そんなことないよ♪」

シグナム「どっちだι」

−−−−

GP02A「こいつには今まで散々バカにされてきたんだ、仲良くなりたいなんて思わん」

GP01「えー、バカになんかしないじゃん♪」

シャマル「でも、そう言いあえるなんて仲が良くないと出来ないことですよ?」

GP02A「人がアルビオンにいないの忘れて一晩中外にしめ出しやがった奴をか?
人が小さい頃置き去りにされて泣いてる姿をニヤニヤと見てた奴をか」

GP01「忘れてなんかないぞ、失敬な。見て見ぬふりたんだ!それにニヤニヤなんて見てないぞ、面白過ぎて腹痛かっただけだ」

シャマル「……う」
はやて「……うわぁι」
シグナム「それは反抗されるぞι」

61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 22:03:33 ID:lBt9v/Bd
支援
62フルメタなのは:2008/01/31(木) 22:07:28 ID:A1uKzdqV
ほのぼの支援
63リリカラー劇場 では投下します。:2008/01/31(木) 22:11:49 ID:aJYoT6vy
−−−−
同じ頃、ここは海鳴市の山奥に姿を置く”じおん”の居住艦ムサイ。

そのブリッジでは、今。シャアと久しぶりに会うフェイトと彼女の使い魔がテーブルを挟んでお茶を飲んでいた。

シャアゲル「ふむ、久しぶりだなフェイトにアルフ。そういえば……入院していたらしいが大丈夫なのか?」

フェイト「……うん、もうリンカー・コアもだいぶ回復したし。それにここずっと、仕事とか学校があったから。ホントにシャアに会うのは久しぶり」

アルフ「にしてもシャアは去年と変わんないねー♪赤い以外」

フェイト「こら、アルフ。失礼だよ」
アルフ「あ、ごめんι」

フェイト「シャアから赤を取ったら、後は金しか残らないよ♪」
アルフ「……そっちのが失礼じゃんι」

シャアゲル「こいつも言うようになったし(怒)」


−−−−

ララァ「ところで、プレシア達は元気かしら?」

フェイト「あ、はい。私みたいに……ジュエルシードを探してた事で裁判を受けた。でも、今では科学者としてギャンさんを研究所に呼んで薬の研究をしています」

アルフ「それにターンAも手伝ってくれてるらしいし」

シャアゲル「薬にターンAが?」

フェイト「なんでもロストロギア級なんだけど、研究対象の……ある花を使って薬を作るらしくて。なんでもどんな病気でも治るの。
薬の製法はムーンレイスという月の民族しかわからなくて……それでターンAの力を借りてるってこの間手紙で」

ララァ「それは管理局には何も言われないの?」

アルフ「それがその花はただ薬だけに使われるだけだから何にも」

フェイト「確か名前は……ナンデモナオール」


シャアゲル「……何でだ……何で安直な名前なのに説得力があるんだι」


64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 22:13:00 ID:rJLKFA4+
ビームライフルで支援
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 22:16:32 ID:Nnuqqnmu
>>フルメタなのは氏

GJです! 宗介がはやての手料理を食べることで、かつてかなめの作ってくれた料理を思い出すのが、切なくも良いシーンになっていますね。
そして料理ネタのオチ要員としてはお約束のシャマル、カリーニン以上に凄まじい味のボルシチを作ってしまうとは流石w そりゃさすがの宗介でもトラウマになるわw

それから、フルメタ絡みでギャグ小説をやるのでしたら、原作の短編シリーズをを読まれるのが一番よろしいかと思います。

関係ないけれど再放送のフルメタを見ていたら、なのはさんの中の人やキャロの中の人が端役をやっていて驚きましたw
66リリカラー劇場:2008/01/31(木) 22:22:16 ID:aJYoT6vy
−−−−

ララァ「ところで、今フェイトはリンディの養子なのよね?」

ララァのその質問にフェイトはこくんと頷いて答える。

フェイト「うん、名前もこの間からフェイト・テスタロッサ・ハラオウンになったの」

シャアゲル「……増えると手数は裸王?変な名前だな」
フェイト:Σあれーι

−−−−
ララァ「でも、なんで養子に?」
フェイト「それが実は−−」

裁判が始まる前のばんごはんが原因だったの……

※回想
プレシア「晩御飯が出来たわよー」

アリシア「わーい♪」

フェイト「今日はラーメンだったよね?」

リニス「何を言ってるんですかフェイト、家にラーメンはありませんよ?」
プレシア「当たり前じゃない」


フェイト「そんな、わたし言ったよ。ラーメンが良い、ラーメンが良いって!なのに……また……。も、もうラーメン無しじゃ生きてゆけない!!」

生き甲斐のラーメンが無い事についに熱くなった私。だけど、そんな私をアリシアのグーが襲ったの。

アリシア「いい加減にしなさい、そんなに……そんなにかつおとコンブの合わせだしが嫌なら!鳥ガラとんこつで、らー油でくちびるがテッカテカの家の子になっちゃえ!!」
プレシア「そうよ、お蕎麦派……いえ、もうお蕎麦である私達とラーメンであるあなたは相入れないわ……」
リニス「行きなさい……アナタはラーメンの家へ。でも、食べすぎでアーメンにらならないでくださいフェイト」

フェイト「分かった……」
ラーメンが食べれない事に私は管理局をさ迷った……そしてリンディさんと再会した。

リンディ「話は聞いたわ……フェイトさん、あなたはラーメンになるべきよ」

フェイト「お、養母さん……」
※回想終了

フェイト「こうして私は……ラーメン派であるリンディさんに着いて行こうと考えたの。ヤケになって私は執務官にも合格した」
ララァ「大変だったのね……」

アルフ「…………」
シャアゲル「なあ」

アルフ「今シャアが言いたいこと分かるよ……」

シャアゲル「もーどっちでも良いだろ。どこまで引っ張ってんだι←(そーめん派」

67リリカラー劇場:2008/01/31(木) 22:32:52 ID:aJYoT6vy
−−−−

一方、ムサイから4kmはなれた湾岸の居住艦・ホワイトベース。

こちらでは今、リンディが友人である管理局提督レティ・ロウランとでガンダム達にある話をしていた。

リンディ「今、とんでもない事件が起きているの」

ガンダム「やってきて一発目からソレ?ι」

リンディ「ごめんなさい。でも、最近この世界で探索指定遺失物が稼動している情報があったの−−」
レティ「それも魔導師に必要不可欠なリンカー・コアを抜き取られる犠牲者も出ているわ」

ガンダム「サンタ私的紛失物?」

ガンキャノン(109)「隣家はコアラ?」

アレックス「サンタさんの私的なおとし物なんですか?」
ガンキャノン(109)「被害者の家の隣にコアラが居たんですか?」

リンディ「そうそう、サンタさんがプレゼントの入った袋を落としたの♪」
レティ「そうそう、犠牲者の家のお隣りさんがコアラを飼っていていつもユーカリの葉をあげてたの♪」


リンディ&レティ「Σって、なんでやねん!(ニコニコの笑顔」

ガンダム「Σノリツッコミ揃ったι、てか二人上手いこと突っ込めて嬉しそう!?」

−−−−


ガンダム「−−で、なのはもリンカー・コアとられたんだよね?」

リンディ「ええ、今はもう彼女の中で新しいコアが作られているわ」

アレックス「魔導師さんの魔力の源がなくなると大変ですよね……」

レティ「そうね……例えるなら寿司職人の手が怪我をしてしまうようなものよ」


ガンキャノン(109)「……大変だ!!穴子が食えなくなるよ兄さん!」
アレックス「エビやイクラもです!」

リンディ「そうよ……リンカー・コアが無いと……お寿司だって握れないの」

ガンダム(た、例えとまざっちゃってるι)

レティ「そこで、れんぽーのアナタ達や他の所属からMSを精鋭をえりすぐって協力してほしいの」
ガンダム「いや協力するのは良いけど……マジで強い奴揃えるよ?相手に悪いくらいのやつ揃えちゃうよ?」

レティ「え、ええι」


管理局の承諾を得、ガンダムは直ぐさま各所属に連絡を飛ばす。

ガンダム「がんたんくとかサイコ姉妹とか、自爆魔とか、ゴッドとかマスターさんとか♪」
ガンキャノン(108)「大人げねーι」

68リリカラー劇場:2008/01/31(木) 22:43:23 ID:aJYoT6vy
−−−−

再び、此処は八神家。
ゼフィランサス、サイサリスらとはやてが話をしている間ずっとヴィータとステイメンは格闘、レースとジャンルを分けてゲームで遊んでいた。

ヴィータ「お前、ガンシューも上手いなー♪」

ステイメン「ありがとー♪でも、初心者のボクにヴィータちゃんがてかげんしてくれてるからだよ」

ヴィータ「そ、そりゃ。お前、私は慣れてるからな〃〃  って、えっ!?」

そこでヴィータは初めて気付く。
ステイメンの背後にいつの間にか闇の書がふわふわと浮いているのだ。

ステイメン「どーしたの?」

ヴィータ「あ、ああ。いや、何にもねーよι(ばか、何出てきてんだ。ばれちゃうぞ!」

ステイメン「あ、そうだ。ところでこの子ってたしか『やみのしょ』って言うんだよね?」

ヴィータ「Σって、知ってるのかよ!気付いてんのかよ!!」

続く
69リリカラー劇場:2008/01/31(木) 22:46:14 ID:aJYoT6vy
以上です。ガンダム達が合流したのは結構本編が進んだ頃なのです。
ステイメンが闇の書を知っている理由は次の話で明かしていきます。

ではでは
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 22:47:16 ID:VrlemRvR
なんでアホみたいに全文に行間スペース入れるかな
71フルメタなのは:2008/01/31(木) 22:52:18 ID:A1uKzdqV
≫リリカラー劇場氏
GJ!
見てる間ずっと腹を抱えてましたw
ホントに最高ですよコレw

≫65
これ程の長文で感想を書いて頂き、感きわまります。
アドバイスの方ですが、経済的な余裕ができたら買っていく事にします。

51のレスの最後のやつですが、資料が集まり次第連載しようと思います。
時間はかかるけど、どうか待ってて下さい。
長文スマソ
72リリカラー劇場:2008/01/31(木) 23:00:58 ID:aJYoT6vy
>>70
あ、ホントだ……ι すいません。次からは気をつけます。ホントにすいません。
>>フルメタ氏
ありがとうございます、ハゲ見になりますw
フルメタ氏も頑張って下さい♪
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 23:02:09 ID:rJLKFA4+
GJ、オレもリンディさんとこの子供になりてーw
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 23:03:34 ID:eBrwUvRr
>ヤケになって私は執務官にも合格した

なんだろう、じわじわとクルものがあるぞここw
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 23:05:02 ID:N8/vBFaT
ハゲ見にいきます?
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 23:06:53 ID:kNbmNFD+
リリカラー劇場
フェイトそんな理由で養子にでもGJ
そしてマジでガンダム大人げねー。
今回もー最高でした。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 23:23:17 ID:Ih3e4BXw
>>リリカラー劇場氏
GJ!!
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 23:26:13 ID:Ih3e4BXw
>>リリカラー劇場氏
GJ!!
ガンダムマジ大人げねー。まあ、死神ことデスサイズを呼ばないあたりマシでしょうが。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/31(木) 23:41:16 ID:KZzoTT7D
>>リリカラー劇場氏
GJ!!
ガンダム…流石白い悪魔
80キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/01(金) 00:29:28 ID:PWuvB3tm
なんと!? ライバルはダメですか?
じゃあタイプワイルドでお願いしますw
頭の歌詞を「アルザスの村からさよならしてから〜」に直すと色々と溢れてくるぞ(ぁ
81キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/01(金) 00:30:05 ID:PWuvB3tm
ゴメン、誤爆したw
本当はウロスに書いてたつもりw
82リリカラー劇場:2008/02/01(金) 08:18:44 ID:1QNNrLOx
皆さん感想ありがとうございます。

さて、ガンダムの思惑通り精鋭はそろうのか……w
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 19:18:19 ID:csCfdz5P
もしキバがなのは+ライダーとクロス出来たら・・・こんな設定希望したかったかも・・・↓。

 すずかが今まで隠し続けてきた自分の正体。
それは彼女が、人間のライフエナジーを己の糧とする異形の存在・ファンガイアである事。
彼女だけではない。
姉の忍や叔母の桜・・・月村家はファンガイアの一族なのである。

・・・とかね。
ほら、原作とらハじゃ、月村家は 夜の一族らしいですし、ちょいとアレンジ加えて
・・・てな感じで妄想してみたんですよ。
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 19:21:17 ID:1+eiSpyC
というか今日、ひとすくねぇな・・
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 19:26:55 ID:L5/gSyP9
他スレじゃこんなもんじゃないのか?
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 19:28:29 ID:+INFYAVS
みんなスマブラやDMCで忙しいんだよ、きっと
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 19:56:58 ID:L5/gSyP9
ありえる……
88反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/01(金) 20:07:55 ID:FUBs2xdF
>>86
はーいスマブラで忙しい俺が来ましたよ〜♪

ルルーシュ5話の完成度がまだ3分の1につき、もうちょいだけ待っててくださいませorz
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:23:41 ID:dGSmGvUO
ミンサガ2周目で忙しい俺はきっと異端

リリカルマジンガー執筆中です。急げば今日明日中にでも投下できるかと
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:27:09 ID:L5/gSyP9
でっていうが使いたいのにぃ……
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:38:54 ID:/L03cryD
戦国幻想郷で忙しい自分も異端かな。
ぱちゅコン!は終わったけど。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:41:24 ID:lQWKjn9p
俺はいま聖剣伝説3やってる。
なかなかおもろいわww
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:44:38 ID:+wOh9nVJ
ブースカブー可愛いよな
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:45:00 ID:6VkEWsNZ
DMCの大ファンなのに、金がないからハードもソフトも買えない……

貧乏なんか大嫌いだ(泣)
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:49:24 ID:dGSmGvUO
で…DMCってことは、最新刊出たんですか?
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:50:26 ID:qbfWhEy1
DMCはゲームだと思う
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:50:37 ID:L5/gSyP9
あえて突っ込ませていただこうか!

そっちじゃない!
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:51:11 ID:lQWKjn9p
>>95
くまー

デビルメイクライ4だ。デトロイトメタルシティじゃないお
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:51:38 ID:Pm7e8dQs
反目のスバル氏
たのしみにまってます。
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:51:43 ID:ZISAO/R0
DMCならクラウザーさん以外ありえねーw
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 20:52:46 ID:dGSmGvUO
…ゴメンナサイ、本気でデトロイトメタルシティだと思ってましたorz
10219:2008/02/01(金) 20:59:29 ID:SypZ9s9Q
職人の皆様GJです!!

流れぶった切って悪いんですが思いのほか早く続きができたんで
9時半頃に投下しようと思うんですけどいいですか?
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:01:02 ID:e9+hEKIi
>>102
予約入ってないからいいのでは?
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:01:51 ID:dGSmGvUO
HU(ry
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:04:16 ID:fRhAicHr
支援
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:06:07 ID:IO/vcXeY
DMC、ネロも良いキャラだったなぁ
レッドクイーンは機械式のレヴァンティン(ただしかなり凶悪)みたいだし

あと、敵にストラーダ持ったガ○ダム(つーかトー○ギス)が居たりリー○パワーで動く戦闘機が居たり
ダンテが一人板野サーカスを繰り広げるとは・・・シグナム姐さんとその旦那も思うめぇ
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:16:21 ID:6ClacMtK
>>88
スネークの無線でカービィがやばい存在だと再認識しました
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:20:56 ID:L5/gSyP9
ジャギ様もイイキャラだよ
10919:2008/02/01(金) 21:30:52 ID:SypZ9s9Q
では投下します


「やれやれ、少し派手にやり過ぎたかな?」
「あっさりやりすぎたね。もう少し加減すればよかったよ。」
「まったくだな………そうだ、あれやらないか?」
「車で轢き殺すやつ?まだ探せばいくらかいるだろうし…そうしよっか。」
「決まりだな。人間どもの恐怖に満ちた顔を見ながら轢き殺すのも最高だしな。」
「そこまでだ!!」

俺は町に降り立ち構えを取る
「孫悟飯か…。久しぶりだな。だいたい一年振りくらいか?」
「生きてたんだ。まったく、しぶとい奴だね。」
「貴様等も今日でお終いだ!!」
「そのセリフ、もう聞き飽きたよ。」
「少しは強くなったんだろうな?ガッカリさせないでくれよ。」
そう言って17号は俺の前から消えた
俺は後ろを振り向き掌を翳す
そこに17号の拳が当たる
「何!?」
そして俺は17号の顎に膝蹴りを入れる
「が!!」
そしてそのまま左頬に回し蹴りを当てる
「たりゃあ!!」
「うわあ!!」
そのまま廃ビルに突っ込んでいった
すぐに廃ビルから出てきて俺に向かって突っ込んで来た
そのまま俺に手刀を放って来たので顔を後ろに傾けて回避し
「うぐ!!」
17号を上空に蹴り上げる
俺も後を追うように上空に向かう
そして17号が体勢を立て直す前に溝に一撃を入れる
その後蹴りを連続で叩き込んだ後、殴り飛ばす
追い討ち掛けようと17号に向かってる途中で目前に18号が現れ
「うわあ!!」
俺を殴り飛ばした
ある程度吹き飛ばされた後ブレーキを掛けて体勢を立て直す
「何やってんだい、17号。」
「くそ、油断した。思ってた以上に力を上げている。」
「へー。」
「まぁいい。すぐ片付けるぞ、18号。」
「オッケー。」
そう言った後、17号と18号は目の前から消えた
そして目前に18号が現れ蹴りを放ってきたので右手で受け止める
「な!?」
そして左手を18号の顔面に持っていきエネルギー弾を放つ
「うああ!!」
18号が墜落した後17号が拳を放って来たのでそれを回避し俺も拳を放つが回避される
そしてすぐさま激しい攻防を繰り返す
何十回か打ち合った時17号がいきなり距離を取った
「うわあ!!」
背中にエネルギー弾が当たったみたいだ
18号の奴、もう回復したのか
この隙を見逃すほど甘くは無く、17号は俺に膝蹴りを叩き込んできた
「が!!」
11019:2008/02/01(金) 21:33:08 ID:SypZ9s9Q
そしてすぐさま俺を斜めに蹴り上げた
「うわあ!!」
進行方向には18号が居て、俺が体勢を立て直す前に真正面に蹴り飛ばしてきた
吹き飛んでるいる時に頭上に17号が現れハンマー打ちで俺を叩き落した
俺は地面に叩きつけられる前に体勢を立て直し
一気に17号のいる所まで上昇する
「何!?」
驚いている隙を突き顎に一撃を入れ、踵落としで地面に叩き落とす
「このガキ!!」
18号が突っ込みながら拳を放って来たのでそれを受け止める
そして顎を蹴り上げ、突っ込みながら胴体に連続で拳を放つ
「だだだだだだだだだだだだだ!!!!」
そのままある程度突き進んだ辺りで
「だあありゃああああ!!!!」
「うああああ!!」
思いっきり殴り飛ばす
すると背後から17号が攻撃を仕掛けてきた
「ちっ!!」
俺は17号の攻撃を距離を取りながら回避し、近くにあったハイウェイに着地する
「はああああああ!!」
17号が顎に向かって蹴りを放ってきたので一歩後ろに下がり回避する
俺は17号の胴体に向かって蹴りを放つが体を反らして回避されてしまう
17号はその勢いを利用して回し蹴りを放ってきたので体を落として回避する
そして俺は大きく後ろに跳びながら両手を合わせて17号に連続でエネルギー弾を放つ
………よし、当たってる
最後に威力の大きいのを放とうと思い着地し、右手に気を溜めていた時
「何!?」
下から手が生えて俺の足を掴んでいた
18号かと思った時にはもう遅く、ハイウェイから引きずり落とされた
「ぐ!!」
落とされた時に一瞬18号の位置を見失った俺は頬を殴られ吹き飛ばされてしまう
吹き飛ばされてる時に何かにぶつかったと思ったら17号に羽交い絞めにされていた
「よくもやってくれたね。お返しだよ!!」
そう言って18号は俺の胴体に連続で拳を叩き込んできた
「がは!!」
くそ…
だが、いつまでも殴られてる気はなく途中で18号の拳を足で防御する
「はあああああああああ!!」
そして体中に力を籠め拘束を解こうとする
「何!?ぐぐ…ぐ…ぐ!!」
そうはさせないと言わんばかりに17号も抵抗しきた
こんなことを何時までも続けていたら18号の追撃がくるだろう
「はあ!!」
そう思った俺は体中から体外に向けて気を一気に放出し拘束を逃れた
その衝撃で17号と18号は吹き飛ばされた
「やってくれたね!!」
「はあ!!」
だがすぐに体勢を立て直し17号と18号はエネルギー波を放ってきた
俺はその攻撃を上空に逃れることで回避した
そのまま上昇していると下から17号と18号が追ってきた
俺に近いのは………17号の方か
そう思った時、俺は上昇しながら17号に向けてエネルギー弾を連続で放つ
11119:2008/02/01(金) 21:35:14 ID:SypZ9s9Q
何発目かで俺の放ったエネルギー弾が当たり17号は墜落していった
それを確認した俺は18号に一気に近き連続で胴体目掛けて攻撃を加える
18号は防御しながら反撃の隙を窺っているようだが俺はそんな隙を与える気は無い
何十発かの攻撃を加えた後、俺は体勢を低くし強烈なアッパーカットを放つ
そうくるとは思ってなかったのか、あっさりと18号の顎に当たった
そして18号は浮かび上がり俺の目の前に奴の足が見えた時、俺はのその足を掴み
「うおうりゃあああああ!!!!」
近くにあった廃ビルに叩きつける
そのまま貫通していって18号は一階まで落ちていった
18号が貫通した穴にエネルギー波を放とうとしたが
「させるか!!」
「うわ!!」
横から17号の攻撃を受けてエネルギー波を撃てず吹き飛ばされてしまった
体勢を立て直す前に17号が追撃してきて斜め上空に蹴り飛ばされる
数回回転したあとブレーキを掛けて体勢を立て直す
その瞬間下から17号が攻撃を仕掛けてきたので後ろに下がり回避する
その後激しい攻防を繰り返す
それをある程度繰り返していると後ろから18号が攻撃を仕掛けてきた
俺は一旦攻撃するのをやめ、17号と18号の攻撃を防御と回避で凌ぐことにした
17号の攻撃を回避した時に隙ができたので17号に拳を放ったが回避された
しまった、フェイク
そう思った時には17号の膝蹴りを貰い、18号のハンマー打ちで叩き落された
「うわああ!!」
俺はハイウェイと廃ビルを何個か貫通して地面に叩きつけられた
「く…くそ……。」
煙が晴れてきてので上空を見たら17号と18号が追い討ちを掛けようとしていた
「く!!」
俺は後ろに跳ぶことでそれを回避する
そのまま大きくバック転を数回して距離を取る
着地した時、17号と18号がエネルギー波を放ってきた
「魔閃光!!」
俺は魔閃光で迎え撃つ
俺の魔閃光と奴等のエネルギー波がぶつかり合う
今は均衡状態を保っているが何時までもこの状態にしておく気はない
「はあああああああ!!!!」
更に力を籠める
すると俺の魔閃光が押し勝ち奴等を吹き飛ばす
その瞬間俺は奴等に向かって突っ込む
17号を殴り飛ばし廃ビルへ突っ込ませる
18号も同じように蹴り飛ばす
俺は着地して少し様子を見ていたら二人ともすぐに廃ビルから出て来た
だが攻撃を仕掛けてくることも無く、俺を睨みつけてきた
俺も奴等に睨み返す
少し睨み合っていると雨が降ってきた
すると向こうが口を開いてきた
「よくもここまでやってくれたな!!」
「このガキ!!もう許さないよ!!今日ここで殺す!!」
「許さないだと…?それはこっちのセリフだ!!!!」
俺の怒りに呼応するかのように雨は勢いを増し、雷も落ちてきた
11219:2008/02/01(金) 21:37:22 ID:SypZ9s9Q
「次から次へと罪の無い者達を殺していきやがって!!!!
貴様等のせいでいったいどれだけの命が失われたと思ってる!!!!
どれだけの人が涙を流し、笑顔を失ったと思ってる!!!!
どれだけの人が心に一生消えない傷を負ったと思ってる!!!!」
ふと、お父さんが心臓病で死んで気落ちしていた俺を支えてくれたみんなのことを
思い出した

『悟飯、勉強もいいが体も動かせ。久々に俺が稽古をつけてやる。』
いつも俺のことを心配してくれたピッコロさん
『カカロットのガキなら、誇り高き戦闘民族サイヤ人の血を引いてる者ならいつまでも
ウジウジしてるな!!』
そう言って俺に喝を入れてくれたベジータさん
『聞いてくれよ悟飯。武天老師様ったら買い物に行くたんびに女性にセクハラ行為を
はたらいてぶっ飛ばされてるんだぜ。そうなるってわかってるのに何でやるかなぁ?』
いつもおもしろい話を聞かせてくれたクリリンさん
『悟飯、お前もそろそろお年頃だ。オシャレとかしてみたらどうだと思ってな。
俺がお前に似合いそうな服を持ってきたぞ。』
俺に似合いそうな服を何度も持ってきてくれたヤムチャさん
『修行の旅の途中で珍しい物を見つけてな。俺には必要無い物だからお前にやろう。』
珍しい物を見つけては俺にくれた天津飯さん
『見ろ!!ボクの超能力はこんなこともできるぞ。』
超能力で芸を見せてくれた餃子さん
『まーったく、何でこんなとこまで苦労してこにゃならんのよ。』
暇さえあればいつも俺の様子を見に来てくれたヤジロべーさん

みんな、俺にとって掛け替えのない人達で大切な仲間だ
みんなに支えられてきたから俺は立ち直ることができた
それを奴等は…
それに俺だけじゃない
大切な人を奴等に殺されて悲しんでいるのは…
だから…もうこんな悲しみを増やさないためにも
「それと一つ訂正だ。今日ここで殺されるのは俺じゃない。貴様等人造人間だ!!!!」
今日で…全てを終わらせる

大きな雷が鳴った
すると奴等は一直線ならんだ
これは…17号の影に隠れて18号の姿が見えない
そう思った時には奴等は俺に向かって駆け出しており、俺にある程度近づいたら
左右に跳んで攻撃を仕掛けようとしてきた
俺から近い位置にいた17号を蹴り飛ばし18号に攻撃しようとしたが
逆に18号の攻撃を貰い地面を滑るように吹き飛ばされてしまう
体を起こし体勢を立て直すと目の前に18号がいて攻撃を仕掛けてきた
それを後ろに下がりながら防御と回避で耐え抜く
すると17号も攻撃を仕掛けてきた
「く!!」
奴等のコンビネーションは厄介だ
途中で攻撃のタイミングを変えたり片方が攻撃しなくなったり
それでも俺は何とか耐え抜いていった
18号が一旦下がり17号の攻撃を凌いでいたら突然17号が攻撃を止めた
その瞬間18号に足払いを掛けられた
「ぐ!!」
11319:2008/02/01(金) 21:39:25 ID:SypZ9s9Q
体勢を崩したまま攻撃を受ければ確実に押し切られると思い
踏鞴を踏みながら体を反転させ斜め上空に退避した
17号と18号も当然のように追ってくる
もう少し距離を取りたいところだが…
そう思っていたら17号と18号がエネルギー波を放ってきた
それは俺に当たることは無く、俺の進行方向に向かい、そこでぶつかり合って爆発した
「な、く!!」
爆発の時に起った閃光と煙で俺の視界が塞がれる
「うわあ!!」
その瞬間に横から17号と18号の体当たりを喰らって吹き飛ばされる
回転しながら吹っ飛ばされたが途中で体勢を立て直し倒れていた廃ビルに足を着けて
反撃に移るべく17号と18号に向かい突っ込んでいく
「はああああああああああ!!!!」
17号を思いっきり殴る
「ぐ!!」
ある程度吹き飛ばせたが腕を交差して防御されていた
次の攻撃に移る前に18号が拳を放って来たので掌で受け止める
そのまま拳を掴み此方に引き寄せるよせ胴体に膝蹴りを当てる
「18号!!」
17号が近づいてきたので18号をそちらに蹴り飛ばす
18号を受け止めた瞬間にエネルギー波を放つ
当たるかと思ったが直前で回避された
「よくもやったね!!」
斜め上空から18号はエネルギー波を放ってきた
それを回避した時ふと射線上に目がいった
その先に人影が見えた
逃げ遅れた人か
すぐに全速力でそちらに向かう
間に合うか…
いや、間に合わせるんだ
……………………………!!
「ぐ!!」
ギリギリのタイミングで間に合ったが18号のエネルギー波は俺の左腕に直撃した
「ぐ…ぐぐ…ぐ……!!」
右手で左腕を押さえる
指先は動くけど…腕が上がらない…
血も流れてるけど…骨も折れたのか……
「お…おい……。」
声を掛けられたほうを見るとお爺さんがいた
「大丈夫ですかお爺さん?怪我とかありませんか?」
見た感じは怪我とか見当たらないけど
「ああ、お前さんのお陰で無事だよ…。」
「よかった…。ここは危険ですからすぐに避難してください。」
「し…しかし……。」
「いいから早く!!」
「わ、わかった。」
そう言ってお爺さんはすぐそこから避難してくれた
「馬鹿な奴。人間庇って怪我負うなんてさ!!」
「よくもここまでコケにしてくれたな!!」
17号と18号はエネルギー波の発射準備に入っていた
11419:2008/02/01(金) 21:41:13 ID:SypZ9s9Q
恐らくかなりの威力だ
どうする…
仙豆を食べるか…
…ダメだ
そんな時間は無い
なら…
「かぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…はぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…」
右手だけでもやるしかない
奴等は間違いなく俺を殺すのと同時にこの町ごと吹き飛ばすつもりだ
そんなことをさせる訳にはいかない
「死ねえええええええ!!!!孫悟飯!!!!」
「波ああああああああああ!!!!!!」
俺のかめはめ波と奴等のエネルギー波はぶつかり合った
「ぐ…ぐぐぐ…ぐ…ぐ…!!」
「ははは、残念だった孫悟飯!!」
「アタシ達のエネルギーは永久に減ることは無いって知ってるだろ?お前と違ってね。」
奴等には永久エネルギー炉があるためエネルギーが減ることはない
だけど…諦める訳にはいかない
「ぐ!!」
踏ん張っていた時アスファルトが砕け足が少し沈み体勢が少し崩れた
「あははは!!もう終わりだね!!」
終わる訳にはいかない
奴等をここで倒さなきゃまた悲劇が繰り返される
今ここで俺が倒さなきゃ…俺がやらなきゃ…
「俺がやらなきゃ………」
リンディさん、クロノ、エイミィの笑顔が浮かぶ
「俺がやらなきゃ………」
アリサ、すずか、忍さん、恭也さん、美由紀さん、士郎さん、桃子さんの笑顔が浮かぶ
「俺がやらなきゃ………」
なのは、フェイト、アルフ、ユーノの笑顔が浮かぶ
「俺がやらなきゃ………」
シャマルさん、ヴィータ、シグナムさん、ザフィーラさん、リインフォースさんの笑顔が浮かぶ
「俺がやらなきゃ………!!!!」
はやての笑顔が浮かぶ
「誰がやるうううううううううううう!!!!!!」
俺の中の力が一気に爆発した
「うおああああああああああああああああああああ!!!!!!」
そして俺のかめはめ波は奴等のエネルギー波を完全に押し返した
「何いいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
「そんな!!!!!!」
「あああああああああああああああああ!!!!!!」
そして俺のかめはめ波は奴等を飲み込んだ
「そんな…ば……か…な…なんでこん…な……ガ………キ…………に…………。」
「ち…く………しょ…………う……………………。」
「はあああああああああああああああ!!!!!!」

「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……。」
間違いなく手ごたえがあった…
俺のかめはめ波が奴等を完全に飲み込み消し去った…
少し時間が経ったのに奴等が現れないところを見ると間違いない
「はは…やった…やったぞ!!これでやっと平和になる!!」
11519:2008/02/01(金) 21:43:29 ID:SypZ9s9Q
ふと空を見上げてみると綺麗な青空が見えた
俺のかめはめ波がここいらにあった雲を全部吹き飛ばしたみたいだ
…あの出会いが無かったら…きっと人造人間は倒せなかった…
それだけじゃなく…言葉に出来ない大切なものを沢山俺にくれた
「ありがとう…。遠い世界に居る大切な友達。そして俺のもう一つの大切な家族。」
なんだろ…この青空を見てるとまた会える
理由は無いけど…そういった確信が持てた















「はぁ…。」
って、あかんあかん
こないな顔してたらみんなにいらん心配掛けてまう…
つらいのは私だけやないのに…
「はぁ…。」
でもため息は出でしまう…
あの後…悟飯が悟飯のお父さんの偽者を倒した時…悟飯が居なくなった
むしろ忽然と消えた言った方が正しいのかもしれへん…
みんなで必死になって探した…何時間も何時間も…
それで見つかったんは悟飯が着ていた胴着のちょっとした切れ端だけやった…
生きてるのか死んでるのかもわからへん…
「悟飯…。」
泣きそうになる…
いつもやったら隣で一緒に朝ご飯作ってるのに…
…悟飯
悟飯のことばっか考えてまう…
いつも私が起きた時には庭先で修行している
そしてすぐに気付いておはようって言ってくれる
たまに修行に熱中しすぎて気付かへんこともある
その時はボーっと悟飯の修行してるとこを見てた
「って、あ、お鍋お鍋。」
お鍋に入れてた味噌汁を沸騰させそうになる
はぁ…ちょっとボーっとしすぎやな…
でもやっぱ悟飯のことばっか考えてまう
いっつも私のこと気に掛けてくれた…
買い物に行くと必ず悟飯が荷物を持ってくれた…
リハビリしてる時は悟飯がいつも支えてくれた…
学校の勉強でわからないとこは悟飯が教えてくれた…
任務の時は悟飯がいつも護ってくれた…
11619:2008/02/01(金) 21:45:20 ID:SypZ9s9Q
悟飯…
悟飯の笑顔って太陽みたいやったなぁ…
常に超サイヤ人でいるようになった最初の頃や戦ってる時の笑みは何かこう…
不敵な笑み…をよくしていた…
それがまたかっこよかった…
しばらくしたら日常生活の方はいつもと変わらない笑顔に戻ったんやけど…
…いつからやったろ…気付いた時には悟飯のことをよく目で追ってた…
なるべく悟飯の傍にいたいと思っとった…
悟飯が他の女の人と話してる時はちょっとイラってすることがあった…
…私は悟飯のこと
「好き…なんやろうなぁ…。」
悟飯の顔が頭に浮かぶ…
「悟飯…。」
悟飯………何で……何で
「急にいなくなってしまったん…?」
涙が零れた…

みんなで朝ご飯食べたんやけど…空気がめっちゃ重かった
誰一人として喋ろうとはしなかった
今はみんなでテレビ見てるんやけど…空気がめっちゃ重い
何とかせな…今日見た夢のことでも話てみよかな…
「あんな…実は今日悟飯の夢を見たんや。」
「悟飯の!?」
あれ、みんなめっちゃ注目しとる…
「うん。悟飯が悟飯の言っとた人造人間と戦ってる夢や。最後の方で悟飯がお爺さんを
庇って左腕を怪我したんやけど悟飯は右手だけでかめはめ波を撃って人造人間の
放ったエネルギー波を一気に押し返して倒したんや。で、最後に悟飯が
『ありがとう…。遠い世界に居る大切な友達。そして俺のもう一つの大切な家族。』
って言った後に目が覚めたんやけど…ってみんなどないしたん?」
みんながめっちゃ驚いた顔をしていた
「はやて…それとまったく同じ夢…アタシも見たぞ。」
「ヴィータ…お前もか。主はやて、私も同じ夢を見ました。」
「ええ!?二人もなの!?私も同じ夢を見たわ。」
「お前達もか…。我も同じ夢を見た。」
私だけやなくヴィータもシグナムもシャマルもザフィーラも同じ夢を見ていた
じゃあ…
「リインフォースも?」
「はい。私自信も驚いているのですが皆と同じ夢を見ました。悟飯が勝って
平和を取り戻す夢を。」
やっぱりリインフォースも同じ夢を見ていた
「しかし全員揃って同じ夢を見るとはな…。恐らくあの夢は…」
「本当にあった事…でしょ?」
「そやね。それ以外考えられへん。こんあ偶然は普通は起らへんし。
…よかった。悟飯は無事や。間違いなく生きてる。…ほんまによかった。」
そう言ったらみんな凄く安心した顔になった
私自身も凄く安心した
「なぁ、はやて。悟飯は…。」
「大丈夫、絶対また会えるで。家族なんやからな。」
そう言った後みんなに笑顔が戻った
「そや、後で買い物に行かへん?」
「買い物ですか?」
11719:2008/02/01(金) 21:47:08 ID:SypZ9s9Q
「そや。布とか買いに。悟飯がいつ帰ってきてもええように悟飯がよく着てた胴着
作っとかな。」
裁縫のことは悟飯から色々教わったし…大丈夫、作れる
「そうですね。」
「悟飯君も喜ぶと思いますよ、はやてちゃん。」
「悟飯の奴ほっといたらいっつも胴着だからな。私服も買っとかねーと。」
「あはは、そやね。」
ふと窓から外の天気を見てみる
「あ、いい天気。」
なんやろ…この青空を見てるとまた会える
理由は無いんやけど…そういった確信が持てた
11819:2008/02/01(金) 21:51:20 ID:SypZ9s9Q
投下完了です

A`S編てか少年期編はこが最後になります
次は壁越しの再会的なエピソードをやろうと思ってます
その後にsts編に入る予定です

今回の話は色々と冒険した気がしないでもないかな…
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:51:26 ID:1+eiSpyC
支援
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:52:56 ID:lQWKjn9p
>>118
GJ!!
いい話だった!!

壁越しの再開・・・・・・え? 刑務所?
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 21:57:37 ID:1M2Rlo3J
とうとう人造人間を倒しましたか……。
壁越しの再開も心がくすぐられますね。
そしてGJ!!続編も楽しみにしています!!
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:01:48 ID:/6RLCgZ3
GJ
なんですが、文の書き方がいまいち迫力が伝わってこないとおもいました。
とくにそう思ったのが、文中で多用されている「〜ので、〜した」といった言い回しです。
自分の知る限りでは良く絵本などで使われ、ライトノベルなどを見ているとこういう書き方はあまりされてないともいますので、そこを書き換えれば迫力が伝わってくるなぁとおもいました。

でも話し自体はグッドジョブ!
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:04:20 ID:6VkEWsNZ
GJです!
悟飯最高だ!

壁越しの再会がどんなエピソードになるか、期待してます
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:08:02 ID:VsypfAvW
GJです!
壁越しの再会がどんな内容なのかとても気になります!

関係ないけどsts編の悟飯がグレートサイヤマンの格好してるのを想像してしまった・・・w
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:33:44 ID:rbYtYUtu
GJ。
何気に親子かめはめ波の再現ですな。
sts編も楽しみです。

そういえば、トランクスはどこにいるんでしょう?
126反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/01(金) 22:41:09 ID:FUBs2xdF
GJ!

さて、ルルーシュ5話が一応出来上がりました。
僅か2レス分くらいしかない、いつになく短いやつですが…投下おk?
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:42:39 ID:+mxXVEXe
支援
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:42:45 ID:B3PkdNDN
支援です。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:43:11 ID:L5/gSyP9
はい? たしかちょっと前に三文の一とか言ってたような? 書き終わったの? マジ?


しえ〜〜〜〜ん!!!
130Strikers May Cry:2008/02/01(金) 22:44:06 ID:GwTjnfFg
今度こそ来るであろうナカジマ家の頑固親父を全力で支援だ!!
131反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/01(金) 22:44:49 ID:FUBs2xdF
>>129
最後の3分の1を次回に回しちゃったのよorz
…ほら、ルルーシュは1話3レスペースで進んでるから…

「反目のスバルのルルーシュが機動六課に来たようです」

何で2泊もしているのかはよく分かりませんが、そんなこんなであたし達は、新六課での3日目を迎えています。
今日はティア達も模擬戦をやるということで、あたし達も訓練場に行くことになりました。今、八神部隊長と一緒に廊下を歩いています。
それにしても、どうして部隊長はさっさとルルーシュを勧誘してしまわないのでしょう?
前に聞いてみたところ、「朱に交われば赤くなる、ってわけや」とだけ言われました。
未だによく意味が分からないのですが…読者のみんなは分かる?
「ここや、ここ」
と、部隊長が言って、扉の前で止まりました。
「あれ? ここデバイスルームですよね?」
あたしは当然そう聞きます。
模擬戦は海上訓練所でやるって聞いたのに…?
「むふふ〜、ちょっとスバルに見せておきたいものがあるんよ」
部隊長はニヤニヤしながら扉を開け、中に入りました。
あたし達も続くと、そこには…
「あっ! リボルバーナックルと…マッハキャリバー!?」
正直驚きました。
「確かに、スバルが使っていたやつだな」
ルルーシュの言う通り、あれは紛れもなくあたしのデバイスです。
リボルバーナックルとマッハキャリバー…ルルーシュを守るための最後の戦いで、完全に壊しちゃった相棒達が、そこにあったんです。
「どや? スバルが復隊する時のために、新しいのを作っといたんやけど」
部隊長が言いました。
「まあ、AIを成熟させる時間なかったから、マッハキャリバーは普通のストレージになってしもたけどな」
部隊長の顔は申し訳なさそうな様子でした。
そりゃそうだよね…そんなに都合よくはいかないよね…
…でも、リボルバーナックルが戻ってきたのはとても嬉しいです。
おかーさんの形見を壊しちゃったって気付いた時には、そりゃー焦ったものでした。
もうご飯も喉を通らなくて…
「嘘をつくな」
「うぇ!? ルルーシュ?」
「まったく…どうせ『あの時はご飯も喉を通らなかったな』とでも思っていたんだろう」
「うぐっ!」
読まれてました。…さすが頭脳派は一味違う…
「その晩1人で炊飯器を空にしたくせに」
「むうぅ…わざわざ言わないでよ〜!」
とりあえずポカポカとルルーシュを殴りました。
132反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/01(金) 22:46:48 ID:FUBs2xdF
「せっかくやから、試射してったらどや?」
と言って、はやてが嫁を隣の試射室に案内しました。
こちらからもガラス越しにその様子を伺うことができます。
リボルバーナックルをはめた嫁は、しばしその感触を確かめるように手を握ったり開いたりしていました。
久しぶりに装備するデバイス、久しぶりに使う魔法…
どうやら嫁にしか分からない感情がそこにはあるようです。
やがてカートリッジをロードし、的に向かって魔力弾を発射しました。
「リボルバァァァー…シュゥゥゥゥゥゥートッ!」
雄叫びと共に空色の弾丸を発射、的に命中。
かつての戦いを思い出す勇姿…何だかただの人間である自分が情けなくなってきました。俺が夫なのに…
「そう言えば、魔法には詠唱というものがあるんだよな?」
だからといっていじけているわけにもいかないので、俺はそう嫁に尋ねてみました。
「そだよー。インテリとかアームドのデバイスだと、それを省略できるの」
嫁が答えました。
曰く、それらを使用した場合、デバイスが詠唱を担当してくれるようで。
「例えば、なのはちゃんのディバインシューターなんかは…」
と、横からはやてが説明を入れます。
「『福音たる輝き、この手に宿れ。導きの下、鳴り響け』…とまあ、大体こんな感じや」
どうやらそれが呪文のようです。
でも…
「…何だか…そこはかとなく恥ずかしい呪文ですね…」
「うん…私も正直これはないと思う…」
お互いにうつむきました。
いわゆる厨二的というのでしょうか? 聞いてるこちらもかなり恥ずかしい呪文です。
…何となくインテリジェントデバイスの生まれたわけが分かる気がする…
「…そ、それで、スバルのディバインバスターの場合は?」
澱んだ空気を改善するため、俺は嫁に助け船を求めました。
ああ…情けない夫だな、俺…何だか涙出てきた…
「んーと…じゃあ、実際にやってみるね」
そう言って、嫁は再び的に向かいます。
嫁の最大必殺技・ディバインバスター。3年前の俺達に道を示した空色の光。
果たしてそれはいかなる呪文なのか…
「…ピーチクパーチクホイホイホイ!」
「「ってダサーーーーーーーーーーーー!?」」
思わず同時にツッコむ俺とはやて。
しかし、無情にも放たれる思い出の一撃。
いくら何でもこれはこれでキツイ。
…ああ…あの感動のシーンの裏では、リボルバーナックルによってこんな呪文が叫ばれてたのか…
133反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/01(金) 22:48:14 ID:FUBs2xdF
投下終了。今回はいつもよりも1レス分短いです。
…うん、まあ、たまにはこういうこともあるorz
では、前回の感想に対する返答を。
>避難所へ完全版を
自 重 し や が れ
そんなものポンポンと書けるかい!
内容は考えてあるにはあるが、SMC氏のGJSSの後にそんなもの投下できるかっ!
このすけべどもめ!!!
…勘弁してくれよ…ルルスバは見てて微笑ましい健全カップルにしたいんだよ…わんこなスバルはその方が映えるんだよ…

次回は勇者王に汚染されたエリオ登場。
おとーさんの登場は…もうちょい待って。彼の登場=最終回だから…
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:50:56 ID:6ClacMtK
>>133
ちょwwwwGJ

最終回ってことは夕日をバックに河原でルルと親父が殴りあいするのか
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 22:57:30 ID:b0uMs/RD
>>133
た〜い〜ようが落ちるまで 拳〜を握り殴り〜あって〜♪

って感じのルルと親父の殴り合いを期待するZE!
とりあえずGJ!
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:00:29 ID:Pm7e8dQs
>>133
GJ
あとエロについての意見ですが・・・・・

む し ろ わ ん こ な ス バ ル の え ろ が み た い ん だ よ!!!!!!!!





お粗末さまでした。
137Strikers May Cry:2008/02/01(金) 23:03:16 ID:GwTjnfFg
なんという呪文詠唱ネタなんだGJ! これじゃあ確かに詠唱を省略したくなるぜ。
そしてパパジマ様の降臨が待ち遠しいですよ!!

しかし俺の中でルルーシュとスバルのラブラブエチイはかなり濃密な濡れ場が妄想されてました。
お書きにならないのはちょっと残念ですね。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:05:47 ID:6ClacMtK
>>136
もうやめて!とっくにルルの残弾はゼロよ!
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:10:54 ID:+INFYAVS
すっぽんドリンク片手に「カートリッジロードォォォ!」と叫ぶスバルと申したか
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:13:47 ID:KbCcVxUK
GJ!!
ルルーシュは、赤に染まるより先に、血に染まりそうですね
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:16:57 ID:V6TjiC7X
>>133

GJでした。
マッハキャリバー復活おめ。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:17:55 ID:6ClacMtK
>>139
むしろそこはマカビンビンじゃね?
何故かシャマル印
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:21:43 ID:B3PkdNDN
GJ!!
ルルーシュにはインテリのAIで動くGD部隊をあげれば大丈夫だw
ゲンヤが結婚認めないとぐずったら必殺のギアスを……。
144リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/01(金) 23:23:33 ID:bKSFIT79
>>142
なのその新ジャンル「ワンコ素直エロ外道」?
ワンコちっくな新妻は夜になるとエロエロだと?

けしからん!けしからんでござる!
反目氏はエロけしからんでござる!!


とこで前回投下したサモンナイト3短編書いた者なのですが、投下時宣言した通りおまけ編書いてしまったので30分後に投下おkですか?
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:27:12 ID:1+eiSpyC
いいとも〜♪
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:28:18 ID:6ClacMtK
いいですとも!(FF4DSをやりながら)
147反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/01(金) 23:30:42 ID:FUBs2xdF
「反目のスバルがヤケを起こしたようです」

…ああいいよ! そんなに見たいんなら書いてやるとも!
こーなりゃもうどうにでもなれだ! 約1年ぶりにエロSS書いてやるよ!
どうなっても知らないからなチクショー!





…俺はなんという宣言を…orz
148反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/01(金) 23:31:20 ID:FUBs2xdF
忘れてました…支援
149名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/02/01(金) 23:31:40 ID:Omwz7psI
支援
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:39:57 ID:PWuvB3tm
>ルルにはAIで動くGD部隊を
つまりアレですか? 黒く塗られたGD部隊で黒の騎士団復活!?
エース機は赤かったり、ちょんまげが生えてたりするのだな。

そして支援!
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/01(金) 23:43:42 ID:Pm7e8dQs
支援
152リリカル! 夢境学園:2008/02/01(金) 23:52:24 ID:BzHSaDH1
>>147
……超えるのか、俺の許可無く俺を超えるのかスバル!(By達也)
おにいちゃんは許しませんよ?!

とはいえ、一度吐いた唾は戻せないんだぜ? 反目氏……(にやり)

>>144
当たり前に支援!
これを支援せずとして何を支援する?!
153リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/01(金) 23:55:53 ID:bKSFIT79
じゃあこれから投下します。
短編にて入れられなかった日常パートとか、彼と彼女のその後についての補足説明とかの小ネタ集的なものです。

は? 
エロ? バイド?
君は何を言ってるんだ(真顔で)

それでは行きます。
答えは聞いてない! ごめん嘘!
おっかなびっくり行きます。
154リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/01(金) 23:57:04 ID:bKSFIT79
 
「リリカルなのはSUMMON NIGHT〜Girl meets Soldier of tinplate〜番外編
 彼と彼女の優雅?な日常〜そのいち〜いかにしてポンコツは家電になったのか編」


 時空管理局本局。
 窓には次元の海が広がる。
 清潔感溢れる白色の通路を歩きながら、高町なのは一等空尉は自身の相棒を迎えに整備課に向かっていた。
 これまで数多の激戦を繰り広げて来たのだ。自身にも、相棒にも休養が必要な時期になっていた。
 目前に広がる次元の海を横目に、なのはは通路を進みL字路を曲がる。L字路の先、通路に面した少々広いスペース。小さいながらもテーブルやイスが設置された談話場。
 曲がった直後、目に飛び込んだのは2メートル近い長身。
 蒼と黒の装甲。
 見慣れない、だがここ最近物凄い速さでなのはの周囲に馴染み始めている機械兵士。

「――ヴァルゼルド?」

 風変わりな、娘の親友兼家族がいた。
 
 
 
 数ヶ月前に発生した高町ヴィヴィオ襲撃事件。
 事件時に少女を護衛し、ザンクト・ヒルデ魔法学院で保護された『彼』。
 その後の彼の処遇は少々複雑なこととなった。
 まず一つ、『彼』が自我を持った自立機械兵器、それも製造世界すら不明なロストロギアであること。
 二つに、その存在は管理局がタブーとする質量兵器の塊であり、『彼ら』の存在が戦争を激化させた要因であることを他ならぬ彼自身が証言したことである。
 ロストロギアと質量兵器への対応は管理局・聖王教会双方ともに同じだ。
 ――廃棄、もしくは封印。
 『彼』ことヴァルゼルドの命は風前の灯であった。
 だが数奇にも、ヴァルゼルドを取り巻く周囲の状況が彼自身を救うこととなる。
 高町ヴィヴィオ襲撃事件。それが他ならぬ管理局・聖王教会の両者によって行われた、という前代未聞のスキャンダルだったためである。
 互いの目的のため、ヴィヴィオの身柄確保を狙った両組織の過激右派。
 今となっては詳細は不明だが、どちらかの組織がが先走った行動に出たため、残った組織側もつられて行動を起こしてしまったのだ。
 結局、管理局と聖王教会の両者は自身が禁忌と謳う質量兵器を用いて少女の誘拐未遂を犯した、という洒落にならないスキャンダルを抱えることとなる。
 両者が取った行動はスキャンダルの隠蔽。作戦の高い隠密性により隠蔽が容易だったことが、両者にとって僅かな救いだった。
 つまり
「えっ? ロストロギア? 自立稼動質量兵器? あなた何言ってるんですか?」
 というわけである。
 もっとも、一部ではヴァルゼルドを秘密裏に処理すべし、という動きもあったが、事件後の過激派のスキャンダルから発生した派閥争い、非常に簡略な説明をさせて貰えると。
 
過激派「ちょwwwチート使って負けるとかwwwうぇっうぇwwww」
擁護派「ゆとりざまぁwwwこの隙にゆとり共をフルボッコにしてやんよwww」
穏健派「お前ら自重汁。赤っ恥にも程があるだろ常識的に考えて」
 
 過激派への攻撃の機会とした擁護派と、スキャンダル暴露を恐れ事態を収拾しようとする穏健派。このように両組織は混乱に見舞われており、機械兵士一体に労力を裂く余力など無かったのである。

 結果、管理局と聖王教会の間をウロウロする、という曖昧な境遇にヴァルゼルドは落ち着いていた。
 
155魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/01(金) 23:58:05 ID:XfVWFXs5
あの短編の人!? 期待せずにはいられない! 支援砲火準備!

>>94
あと、もう話題過ぎちゃってるけど俺もDMC4買えない派だ! 給料日まで待てないからって他人のプレイ動画で浮気を…!
俺は、負け犬だぁあああーーー!
156リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/01(金) 23:58:54 ID:bKSFIT79
 
 その後のヴァルゼルドの境遇に関しては、彼個人の資質に因っている。
 前述の状況をもってしても、彼が自由を得られることは考え難い。管理局・聖王教会の両過激派のメンツを真っ向から叩き潰した彼を、過激派が野放しにするはずがない。
 彼らが取った作戦は、あえてヴァルゼルドを自由にすること――多くの管理局局員・教会職員らの目に晒すことであった。
 ミッドチルダでの質量兵器に対する拒否感は根強い。
 百十数年前、多くの次元世界を破壊し尽くした大戦への恐怖から、ミッドチルダ及び管理世界での教育は、質量兵器の恐ろしさを過去を教訓に子供たちに教える。
 凄惨な映像や悲劇的な資料は多くの子供たちへトラウマを植え付け、管理局・聖王教会の一員として他の次元世界へ旅立った彼ら彼女らが見るのは、
 
 破壊し尽された、かつて人々が生きていた世界。
 未だ残る、人々の――既に遺体すら収容できない人々の遺品。
 ――決して、質量兵器を許してはならない。
 ――決して、この光景を繰り返してはならない。
 砂と瓦礫だけの世界を見るたび、彼らはその誓いをより強固なものにしていく。
 正義感と使命感故に質量兵器を憎む彼ら。
 そんな彼らが自立稼動兵器を見たならば、質量兵器を扱うヴァルゼルドを見たならば。
 ――自分たちが手を回さずとも、やがて機械兵士の排除を望む声がいたるところから上がる。その声は、いかな穏健派と言えども無視できない。
 機械兵士には本来の処分が下る。それが過激派たちの狙いだった。
 ――――そのはずでした。

 みなさんは「雨の日の子猫とヤンキー理論」をご存知だろうか?
 普段怖そうな人物の思いがけない優しさを見ると、その人物の印象が通常より上昇する現象のことである。類義語はツンデレ。
 
 つまり、
 正義感溢れる彼らが想像していた、残酷非道冷酷無比な質量兵器。
 そのイメージは――ヴァルゼルドの奇行により破壊され尽されたのである!
 
 本局では同行している幼女と戯れる、というより戯れられている姿を目撃され。
 魔法学院では男の子の集団から憧れの目を集め、男子たちと幼女の間で奪い合われる姿が目撃され。
 迂闊に屋外で寝れば身体中を猫に囲まれる。そして悲鳴を上げる。
 そのあまりのポンコツっぷりに、
 彼らが抱いていた自立稼動質量兵器というイメージは、根本から粉砕されたのである。
 彼らのヴァルゼルドに対する認識は「愉快なポンコツ」へと変貌していき、やがて彼の奇行に誰も驚かなくなったのである。
 
 「え? あいつが質量兵器? あんたギャグきついな」
 だいたいそんな評価。
 
 
 そんなヴァルゼルドの奇行に影響を受けたのは、高町なのはも例外でない。
 
 話は数ヶ月前にさかのぼる。
 ヴィヴィオへの襲撃を聞かされたとき、なのはは上官が静止する声も聞かず飛び出し、無許可で学院へ向け飛行を開始した。
 瞬く間に後ろへ流れていくビル群に目を貸さず、驚きの声を上げる人々に耳を貸さず、あらん限りの速度で飛び続ける。
 ――速く、もっと速く。
 先ほどまで、今日までの激務に身体が軋む、過剰な魔力放出に身体が悲鳴を上げる。自身と同じく激務を経てきた相棒のフレームが軋む。
 ――もっと速く! 何よりも速く!
 速く――あの子の元へ行かなくちゃ――守ると決めた、あの子の元へ!
 そんな暇など無いのに、涙が落ちそうになる。
 怒りと後悔で、視界が滲む。
 
 守ると決めた。今度こそ、その小さな手を手放すまいと誓ったのに。
 それなのに。
 日々の忙しさに負け、あの子を一人にしてしまった。
 その様がこれだ。
 ――謝らなくちゃ。
 ――あの子に、ヴィヴィオに謝らなくちゃ。
 怒りと後悔で、意識が沸騰する。
 傷ついたフレームで酷使されても、黙って飛んでくれている真摯な相棒の寡黙さだけが救いだった。
157魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:00:41 ID:VNleiHBx
簡略しすぎな勢力図www両組織涙目www支援
158リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:00:45 ID:bKSFIT79
 
 そして辿りついた学院。
 バリアジャケットを展開したまま、レイジングハートを待機状態にすることも忘れ、なのはは壊れそうな勢いで応接間への扉を開け――――


 無骨でボロボロな機械兵士と、
 その膝の上で上機嫌な様子の義娘がいました。


 ――――そのまま脱力感で豪快にぶっ倒れた。


 その後、
 母と出会えたことにより号泣する少女と、
 少女を孤独にしていたことを、涙ながらに謝罪する母。
 感動的な親子の場面であったが、すぐ傍らで豪快に貰い泣きしているロボのせいで微妙にコミカルな空気になってしまっていた。
 
 それが高町なのはと、機械兵士ことヴァルゼルドの出会いだった。
 
 
 ついでに、なのはやヴィヴィオら高町家とヴァルゼルドの関係を語る上で必要な、名も無き男の話をしよう。

 組織において、何事にも書類は必要である。
 立場こそ比較的自由というか曖昧な機械兵士であるが、書類には彼の待遇を正式に書かねばならない。
 彼は事務官であった。
 魔力適正こそないものの、その有能な事務処理能力を買われ部署でも比較的重要なポストに就いていた。
 それ故に降って湧いた悲劇。
 厄介ごとの塊であるヴァルゼルドの待遇に関する書類作成を頼まれたのだ。
 それからが彼の地獄だった。
 『自立兵器』と記入すれば、「そんなの通らせるわけにいかないだろ」と執行部から冷たい目で見下され。
 『ロストロギア』と記入すれば、「個人にロストロギアを持たせる気か? 悪いがウチは所有許可証発行しないぞ」と遺失物管理部から厄介払いされ、
 半ばヤケクソで『特殊デバイス』と記入すれば、「てめえは俺たちを馬鹿にした!」とデバイス開発部から3時間にわたり説教された。
 挙句の果てに、彼に仕事を放り投げた直属の上司が「書類まだー?」と茶を飲みながら聞いてきたところで――――彼はリミッター解除した。

 無気力な上司が帰宅する直前に、印鑑だけ貰った白紙の書類を(騙し)貰い5秒で書類を完成させ直接自分で執行部に提出する。


 機体名ヴァルゼルド:待遇――――『大型家電』(高町家所有)

 後に彼は語る。
「ついカッとなってやった、特に反省していない。
 そんな僕も今では自然保護官! ストレスと無縁の生活を送っています(爽やかな笑顔)」


 かくして――ヴァルゼルドは高町家の冷蔵庫と同レベルになり、彼女らと同居しながら気楽な生活を送ることとなる。


 襲撃事件後、なのはは治療のための長期療養と育児休暇を盾に、その殺人的な仕事量を減らし、ヴィヴィオと再び同居を始めることに成功した。
 ――もれなく大型家電も付いてきた。
 少女は甚く喜んだが、なのはは正直不安であった。
 無骨な外見。
 その機体に搭載された異常なまでの火器。
 かつて自身を貫いた自立兵器。
 過去の記憶も重なり、機械兵士の無骨な外見は彼女の不安を駆り立てていた。
 
 ――不安は同居三日目にして完全に粉砕されました。
 
159リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:02:10 ID:bKSFIT79
 初日。
 職務を終え、帰宅した高町なのは。
 玄関の扉を開けた彼女が目にしたのは。
 ――箒を自在に使い部屋を掃除する機械兵士。それも三角頭巾にエプロンの完全装備。
 目を疑った。
 
 二日目。
 休日の昼下がり。居間へ向かったなのはが目にしたもの。
 ――娘に膝枕し、少女と共に昼寝をしている機械兵士。いびきをかくオプション付き。
 頭が痛くなった。
 
 三日目。
 地上本部へ出向したなのは。
 長い廊下を歩く彼女が、その長い通路の先で目にしたもの。
 ――なんかネコ耳つけて歩いている機械兵士。
 彼を見送ったあと、その姿に疑問を感じていなかった自分自身に気づいて愕然とした。
 ちなみに、ネコ耳を付けさせた犯人はヴァイス陸曹長。
 頭を冷やさせてやった。
 
 
 出会いに色々問題を抱えていた彼と彼女らが、なんだかんだで家族になっていった馴れ初めである。
 
 
 
 話を冒頭に戻そう。
 談話室で彼を見つけたなのは。
「――ヴァルゼルド?」
 思わず彼の名前を呟く。
 続いてヴァルゼルドに声をかけようとして
 
「――――ハハハハハハハハハ」
 
 他に誰もいないのに豪快な笑い声を上げる彼の姿に、思考が止まった。
 挨拶代わりに上げかけた腕が所在無げに揺れ、やがてゆっくりと下ろされる。
 
 ――うわぁ……大変なの……。
 普段から言動がアレであったが、まだ一般人?の範疇だったヴァルゼルド。
 そんな彼の、充分にアウト過ぎる言動。
 ――……そっとしておいてあげよう。
 一抹の寂しさを胸に、彼に懐いている娘になんて説明しようか、と考えながら彼女は静かに場を立ち去ろうとして
 
「あっ、空尉殿!」
 機械兵士のセンサーに捕捉された。
 
 ビクーンッ! と、掃除機のホースを突きつけられた猫のように毛を逆立てるなのは。
 取り繕うように両手を胸の前で、あたふたと振りながら
「ちちち違うのヴァルゼルド!!
 私は何も見てないの! ちっとも! なんにも! 一切合財! だから許して!」
 思いっきりパニくった。
160リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:03:00 ID:bKSFIT79
 
「何を許すのかサッパリでありますが、ちょうど空尉殿を探していたのであります」
「――――……え? あれ?」
 意外と真っ当なヴァルゼルドの応対に、なのはは我に返る。
 彼が差し出した無骨な手のひら。
 ――赤い宝石。
 不屈の名を冠する、自身の相棒が鎮座していた。
「申し訳ありません。整備課から空尉殿へレイジングハート殿の護送を承ったのですが……、つい話し込んでしまったのであります」
《いいえマスター、時間経過を彼に指摘しなかった私にも非があります》
 談話場にいたのは一人でなく、正確には二人だったのだ。
 早とちりに気恥ずかしさで一杯になる。
「あ……あははは……」
 取り繕うための乾いた笑い声が、リノリウムの廊下に空しく響いた。

「――――それで、ヴァルゼルドとレイジングハートはどんなお話をしてたの?」
 相棒と機械兵士は、先ほどまでの彼女の挙動不審を追求しない。それが彼女の唯一の救いだった。
 その甲斐もあってようやく気恥ずかしさも引き、なのはは質問する。
 機械兵士とインテリジェントデバイスの世間話は単純に興味がある。
 それに、もう十年の付き合いになる相棒。
 必要なこと以外喋らない寡黙な彼女が、どんな世間話をするのか気になったのだ。
「はい、ミッドチルダにおけるデバイス開発史や魔導士適正ごとの効果的なデバイス運用などであります」
《機械兵士の戦略的運用方法に関してもですマスター》
「あ〜、やっぱりそういう話なんだ」
 世間話というには少々鉄火場臭い話題であったが、ある意味予想通りでもあった。
「本機の運用方法と根本から異なりますが、レイジングハート殿の話は大変興味深いものでありました」
《ええ、ヴァルゼルドの次元世界の話も興味深いものでした。参考になります》
 相棒が何を参考にする気なのかは聞かなかったことにする。ドリルとか出すのはベルカ式だけでお腹一杯である。
 とりあえず、相棒とヴァルゼルドの関係は思ったより良好のようだ。
 相棒と彼は不仲なのではないか、という疑念は懸念の一つでもあったので安心する。
「他にはどんな話題があったの?」
 やっぱり部隊編成とかそういう話かな、と彼女は予想したが、
「プライベートの話を少々であります」
「ほんとっ!? どんな話!?」
 予想外の展開にズイッと身を乗り出して詳細を聞こうとする。
 
 周囲の気温が下がったような気がするのはきっと気のせい。うん、きっと。
 
 ――そして迂闊なロボは、地雷を豪快に踏んだ。
 
「はい、どうやらレイジングハート殿はバルディッシュ殿のことを好いて……へぶらっしゃあぁああ!!!!!」
 翻る桃色の魔力弾。
 錐揉み倒れる機械兵士。
 
「ヴァっ、ヴァルゼルド!?」
 テーブルやイスを薙ぎ倒しながら転がる機械兵士に、なのはは駆け寄ろうとし――。
 
《黙りなさいポンコツ。スクラップにしますよ?》
「レイジングハート!!?」

 ヒュンッヒュンッと周囲を飛び回るアクセルシューター。
 無論、魔力はマスターからの強制徴収。
 マジ外道。レイハさんマジ外道。
161リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:03:43 ID:eAQKvuqN
 
 インテリジェントデバイス――レイジングハート。
 「エースオブエース」「管理局の白い悪魔」の異名を持つ高町なのは一等空尉。
 管理外世界の一般市民だった彼女に、魔導の基礎を叩き込んだ最初の教官こそ、レイジングハートその人であったことを忘れてはならない。
 ――――彼女だけは怒らせてはならない。
 
 
 その後の話。
「上官殿。どうやらレイジングハート殿は『ツンデレ』であるらしいであります。ヴァイス陸曹長殿に教えていただきました」
「つんでれ? なんなのそれ?」
「さあ……? ですが類似語にツンドラ――永久凍土があります」
「えーきゅうーとーど?」
「一年を通して降水量が低く冬季には気温零℃を下回る気候のことであります」
「さむいのとレイジングハートって、かんけいあるの?」
「さあ? ですが陸曹長殿の話をまとめると、どうやら冷たい態度に興奮する、という意味ではないでしょうか?」
「…………」
「じょ、上官殿?」
「…………へんたい」
「へぶぅっ!!」
 
 すごいぞヴァルゼルド!
 意外と間違えてないぞヴァルゼルド!
 だが幼女の好感度はだだ下がりだ!!
 
 
『彼と彼女の×優雅○ポンコツな日常 そのいち〜幼女に罵られたいなぁ編――劇終』


162リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:04:21 ID:bKSFIT79
 
「彼と彼女の優雅(と書いてポンコツと読む)な日常〜そのに〜鬼軍曹は子猫ちゃん編」

 ある日の昼下がり。
 ザンクト・ヒルデ魔法学園、その調理実習室。
 授業中は多くの生徒たちで賑わう教室は、今は静けさを保っている。
 窓から少しだけ傾き始めた陽光が差し込み、教室に日向の温もりを伝える。
 そんな穏やかな午後の風景。
 ――――だがそれは。
 
「そのウンウンをたれる口の前と後ろにサーをつけろ!」
「Sir! Yes Sir! であります!」
「こえがちいさーーい! タマおとしたか!」
「Sir! No Sir! 予備弾薬に損失無しでありますsir!」
 
 猫のアップリケが施されたエプロンを着た可愛らしい少女が、
 同じく猫のアップリケのエプロンを着ても可愛らしくない機械兵士に向かって、軍隊式スラングを並べ立てるという
 ――――びっくりカオス空間と化していた……っ!
 
「よろしい! ではヴァルゼルドじょーとへーに、にんむをつたえる!」
「Sir! Yes Sir!」
 平らな胸を張り腕を後ろに組み、威厳を振り撒くように機械兵士の周りをグルグル歩き回る幼女。
 本人は先日見た映画に出てきた鬼軍曹のつもりだが、可愛らしいエプロンも相まり、どう見ても大型犬にじゃれ付く子猫である。
 そんな子猫ちゃん軍曹殿に敬礼を送る巨漢の機械兵士(猫エプロン装備)。
 ちなみにエプロンの色はピンク。一部の機械兵士が着ると大変なことになります。
 きっと教室が無人なのは彼女らのせいである。
「きょうはなのはママのたん生日です! だからママにケーキをつくります!」
「つまり兵站任務でありますね!」
「そうです! へーたんにんむです! さっそくケーキをつくるのです!」
 両腕を振り上げ高らかに宣言するヴィヴィオ。
 ウオオオォォッ! と無駄に雄叫びを上げながら、これまた無駄に掲げた右腕のドリルをギュンギュンと回すヴァルゼルド。
 料理をする雰囲気ではない。
 十人中八人は合戦準備と答えるだろう。残り二人は幼女にハァハァする。
 すでに嫌な予感を感じさせる光景であった。
 
163リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:05:37 ID:eAQKvuqN
 
 余談であるが。
 ヴァルゼルドとヴィヴィオが着ているお揃いのエプロン。
 これは先日に高町なのはがヴィヴィオとヴァルゼルドを連れ、繁華街へ買いに行った代物である。
 ヴァルゼルドがそれまで着けていたエプロンのサイズが合っていなかったため、無骨な外見に関わらず高町家の掃除洗濯などの家事を担っている機械兵士のためにエプロンを新調することなったのである。
 その際に、ヴィヴィオもお揃いのエプロンを欲しがったのである。
 やっと訪れた家族サービスの機会に終始ほくほく顔の高町なのはであったが、彼女が気付くことは無い。
 休日の繁華街。
 多くの人々で賑わう場所で、見目麗しい女性が可愛らしい少女と――無骨なロボを連れて買い物をする姿を、多くの人々が奇異の目で見ていたことに。
 服飾店の店員が、なのはの後ろに立つ強面の機械兵士の姿に涙目になっていたことに。
 そして「きっと似合うから」と言って、ピンク色の猫ちゃんエプロンを機械兵士に選んでいる自身の感性に。
 徐々にコメディ路線に感染していることに、彼女は気付いていない。
 気付かないほうが幸せである。
 
 
 調理台に乗せられたケーキの材料と調理器具。だがその数は少ない。
 スポンジから手作りするのは幼女とロボではハードルが高すぎたのである。
 スポンジは既製品を購入。作業はクリームを作りイチゴを添えるだけだ。
 
「……んしょ……んしょ……」
「頑張って下さい! 上官殿!」
 ヴィヴィオは黙々と生クリームを混ぜ続ける。
 横ではイチゴの蔕を取り終えたヴァルゼルド上等兵が声援を送る。
 上等兵の任務は材料及び器具の調達兼応援係である。
 電動ミキサーの確保に失敗したあたり微妙に役立たずだったが。
 6才の少女に多くのことは任せられない。だがそれでも、今回のケーキ作りは少女が自身の大切な人のために望んだことである。できる限りのことは少女にやらせてあげたい。
 懸命な少女の姿に、思わず出そうになる「手伝います」の言葉を必死に抑える。
 ――自分さえ電動ミキサーの確保に成功していれば……っ!
 電動ミキサーの確保に失敗したのは彼の責任ではない。ヴァルゼルドに触発された男子生徒らの間でドリルごっこが流行った結果、想定外の使用法で酷使された電動ミキサーは殉職なされたのである。
 間接的にヴァルゼルドの責任だった。
 
「……ん……しょ…………あう〜〜〜」
 ヴィヴィオの手が止まる。
 疲労がピークにきたのだろう、うめき声と共に少女の動きが止まる。
 楽しいクッキングタイムが、もはや憂鬱マラソンタイムとなっている。

 ――こんな時にっ! こんな時に電動ミキサーさえあれば……っ!

 もはやヴァルゼルドの思考は唯一つを求めていた。
 つか、お前が手伝えばいいんじゃね? という結論に達してしまうのだが、彼にとって任務成功とは少女が自らの手でケーキを作ることであり、電動ミキサーはその過程だ。
 融通の効かなさが彼の長所であり、短所であった。
 このままでは少女は腱鞘炎になってしまうかもしれない。
 ――なんとしてでも電動ミキサーを確保しかなければ。だがどうすれば?
 学院内に無い以上、外部へ買いにいくしかない。自分が空尉殿から供与された小遣いでは電動ミキサーの購入は不可能だ。
 そこまで考えた所で、彼は自身の右腕に視線を落とした。いや、落としてしまった。
 本来なら彼はその方法を否定しただろう。
 だが、タイミングが悪かった。悪すぎた。
 
「……ヴァルゼルドぉ〜」
 
164魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:07:07 ID:VNleiHBx
そうか、私は残り二人に当て嵌まるな……幼女ハァハァ支援
165リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:07:09 ID:eAQKvuqN
 涙目の上目遣いで乞われた救援の声。
 その声に、彼の思考のリミッターが解除された。
 
「――――っ上官殿! これを!!」
 掲げられる右腕。
 その先でギュンギュンと殺る気まんまんで唸るドリル。
 
 ――アホがいた。
 
「すごい、すごいよヴァルゼルド! これならきっとたくさんクリーム作れるね!」
 
 ――そんなアホに子守らされているアホ毛の幼女がいた。人格形成を担う幼年期教育は重要です、計画的に行いましょう。子守ロボの選択は慎重に。
 
 
 少女の歓声を受け、
 ヴァルゼルドは右腕を、己が得物を誇るように振りかざす。
 正面。調理台に鎮座したボウル。
 ――敵性目標捕捉。
 その中でチャプチャプ揺れる白濁液に向け
 彼は己が得物を、勝利を謳うように咆哮を上げるドリルを振り下ろした――ッッ!!
 
 

 ガキャンッッッズガガガガゴギンメギャメギャギャギャドゴンッッッ………………
 
 
 
 『戦闘報告書』
 
 作戦完遂度――23%
 
 輸送品目――スポンジケーキのイチゴ添え。
          幼女と機械兵士の生クリーム和え。
 
 被害状況――高町ヴィヴィオ軍曹……頭頂部にタンコブ(BYシスターカリム)
          ヴァルゼルド上等兵……頭部装甲陥没(BYトンファーお姉さん)
 
 撃破内容――ステンレス製ボウル一個。多目的調理台一台。水道管一本。
 
 本部より通達辞令――『高町ヴィヴィオ及びヴァルゼルド両名の調理実習室の使用を固く禁ずる』
 
 ――本報告書を以って今回の作戦に関する調査を終了とする。
 
 
 
 まったくの余談であるが。
 十数年後、この二人は似たような動機で似たような行為をやらかす。
 だが、それを語る者はいない。
 肩書きと異名だけは大層になっても根本的な部分はあまり変わらなかった二人が、
 余計な部分だけは成長した二人が今回と同じようなことを、
 さらに大規模かつ大惨事となった事件として……通称『エセリア4月の悪夢事件』を引き起こしたことを、語りたがる者はいない。
 
 ――語りたがる馬鹿はいない。
 
 
『彼と彼女の優雅(と書いてポンコツと読む)な日常〜そのに〜機械兵士にエプロンってある意味裸エプロンじゃね? あとクリームを白濁液って言いたかっただけ。ついでに幼女を白濁液まみれにしたかっただけ編――劇終』
166リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:08:35 ID:eAQKvuqN
 
 
 
 
「彼と彼女の日々 〜少女期の終わりに〜
   For tomorrow, For every day, For――――」
 
 
 夜の帳が下りた教会の中庭。
 そこに立つ少女の髪を、柔らかなサイドポニーの金髪を冷たい風が撫ぜる。
 ミッドチルダ北部の夜は厳しい。だが、そのぶん星空がよく見える。
 冷たく透明な空気がクラナガンのそれよりも、遥かに多くの星々を輝かせる。
 
 満天の星空の下。
 少女は――ヴィヴィオは星々を見上げていた。
 いつかの日の青空。
 あの日のように少女は一人、星空を見上げていた。
 
 あの日の青空から、もう十年。
 ヴィヴィオの少女期は終わりを迎えていた。
 
 明日の戴冠式をもって、
 高町ヴィヴィオは『第28代聖王ヴィヴィオ・T・ベルカ』となる。
 
 少女は愛しい名前を捨てる。
 
 
 彼女の少女期は、明日をもって終わる。
 
 
 
 背筋を這う寒気に、ヴィヴィオは小柄な身体を震わす。
 寒さのせいでは無い。
 『明日』という日を決意して以来、ずっと少女を苛み続けるモノ。
 かつて偽者のソレとして力を振るわされ、幼かった少女を孤独へ追い込んだモノ。
 ――――『聖王』
 その名が持つ重圧が、少女の心を苛ませる。
 
 決意したはずだった。
 遠い次元世界。今この瞬間でさえ、『あの人たち』は戦っている。
 自分たちが所属する組織から見捨てられようとも、悪意と敵意で満ちた魔女の釜のような戦場で、それでもなお諦めることなく戦っている大切な人たち。
 11年前、少女を救ってくれた人たちが今、どうしようもない苦境に立たされている。
 ――あの人たちを見捨てるわけにはいかない。
 11年前、無力だった少女を救ってくれた人たち。
 家族同然の大切な人たちを、見捨てるわけにはいかない。
 
 だが、16才の少女一人にどうにかできるほど状況は甘くない。
 少女の細腕に、そんな力はない。
 大切な人たちが傷つき、散っていくのを少女は黙って見ているしかなかった。
 だが幸か不幸か、少女の『血』にはその力があった。
 碧と紅のオッドアイ。
 七色の魔力光――『カイゼル・ファルベ』
 少女が受け継いだ、伝説の英雄王『ベルカ聖王』の血統。
 魔女の釜のような地獄を、どうにかできてしまう力。
 少女の一人では叶わなかった『あの人たち』を救える力。
 ――――そして、少女がなによりも忌み嫌った力があった。
 
167リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:09:53 ID:eAQKvuqN
 
 決意したはずだった。
 忌み嫌い、今日まで拒み続けた名前。
 それを受け入れると、決意したはずだった。
 無力でしかなった自分が今度こそあの人たちを救うんだ、と誓ったはずだった。
 決意の日から今この時まで、押し潰されそうな重圧と恐怖に耐えてきた。
 その決意が、ほんのささやかなことで崩れかけている。
 
 ほんの数時間前。
 明日の戴冠式に備え、教会の一室を宛がわれたヴィヴィオ。
 ヴィヴィオの身の回りを世話を任された侍女が、部屋を後にする際に少女に向けて言った言葉。
 『お休みなさいませ聖王様』
 かつて忌み嫌った名前。それが明日からの自分の名前になる。
 この先ずっと、高町ヴィヴィオは聖王ヴィヴィオ・T・ベルカとなるのだ。
 少女は、これまでの日々を捨てなければならない。
 
 そしてなにより――――。
 
 侍女の真直ぐな瞳。
 かつて自分が浴びてきた嫌悪でも、軽蔑でも、媚びへつらうでもない瞳。
 ――純粋な憧憬。
 彼女の瞳を見てしまったとき、少女は気付いてしまった。
 今更になって、愚かにも少女は気付いてしまった。
 
 ――自分の願いは、彼らを利用することで成り立つのだ、と。
 ――自分の願いは、多くの人の犠牲の上に成り立つのだ、と。
 
 そんなことに、今更になって気付いてしまったのだ。
 
 
 震える身体を両手で抱きしめる。
 そんな少女の抵抗を嘲笑うかのように、身を切るような寒風が吹く。
 蔑まれることも、軽蔑されることにも耐えられるはずだった。
 だが明日から少女が行うことは、彼女に向けられる純粋な好意を利用することなのだ。
 自分の願いのために、関係無い騎士たちを戦地へ向かわせる。
 数百の騎士が傷つき、数千の騎士たちの家族や大切な人が悲しむ。
 そして、少なくない数の人間が帰ってこない。
 自らの家に帰ってこれない人々を、帰ってこない人を待ち続ける人々を生む。
 
 『あの人たち』の音信が途絶えたのは三日前。
 音信が途絶えても、『あの人たち』がいる次元世界では未だ戦闘が止まない。
 次元世界間紛争。政治闘争に翻弄され、無力な難民たちを抱えながら戦火に巻き込まれている『あの人たち』に、もはや一刻の猶予も無い。
 誰もが彼女らの救出を諦めたミッドチルダで、『あの人たち』を助けられるのは今現在自分しかいない。
 今度こそ『あの人たち』の力になるのだ――その少女の誓いは。
 少女に避けようのない犠牲の選択を強いていた。
 
 大切な『あの人たち』か、それとも悪意無い憧憬を向けてくる名も知らぬ人々か。
 
 その選択こそ、
 ヴィヴィオの少女期の終わりを知らせる鐘の音だった。
 
168魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:10:43 ID:VNleiHBx
シリアス支援
169リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 00:11:21 ID:eAQKvuqN
 
 少女の震えは止まらない。
 自らが傷つく覚悟をしていた少女に、誰かを傷つける覚悟は無い。
 ――命を取捨選択する覚悟は無い。
 彼女自身が選択せずとも、やがてヴィヴィオの少女期は終わっていただろう。彼女の持つ血統にはそれだけの力がある。
 いつの日にか、これまでの日常を捨てなければならなかっただろう。
 しかし、日常を捨てる選択が少女に担われたのは不幸だったのかもしれない。
 どちらにせよ明確なのは、
 少女は明日までに選択しなければならないことである。
 
 
 少女の震えは止まらない。
 今この瞬間にも『あの人たち』を失うのでないか、という焦燥感と、小さな両肩に乗せられた命の重さ。
 
 喉元へせりあがる嗚咽。
 滲む視界。
 
 満天の星空の下。
 それが、いつの日かの孤独な青空を再現しようとして、
 
 
「――――ここにおられましたか、上官殿」
 
 
 合成音声特有の甲高いようで低い声。
 そのくせどこか優しげな、十年間少女の傍らに在りつづけた優しい声。
 
「上官殿、ここにおられては身体を冷やします。部屋に戻りましょう」
 背後から聞こえてくる重い足音。
 やがて耳朶に届く機械の作動音。
 十年間、少女の傍らに在りつづけた音。
 
「うん。でも、もう少しだけ――――ーね? ヴァルゼルド」
 
 十年間、少女の傍らに在りつづけた機械兵士がいた。
 
「了解しました。上着を取ってきましょうか?」
「ううん、大丈夫だよ」
 
 潤んだ瞳を見られたくなくて、彼に背を向けたまま星空を見上げ続ける。

「綺麗な夜空でありますな」
「……うん」
「流星の軌道予測を行いましょうか」
「……ううん、今はいいや」
「明日はちょうど満月になりますな」
「…………」
「あー……えっと……そのですね……」

 滲む涙。きっと、そのことに彼は気付いているのだろう。
 自分が泣きそうになると、彼は普段に輪をかけて雄弁になるのだ。
 十年間変わらない、彼の癖だった。

「…………ねえヴァルゼルド」
「はっ、はいであります!」
「ちょっと胸貸してね」
「……は?」
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:13:47 ID:TuycUyGZ
シリアス家電粒子砲支援。
171魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:18:01 ID:VNleiHBx
支援
172サモンナイトの人:2008/02/02(土) 00:20:50 ID:XeyIzpv7
ターン

スナイパー(規制)だ!
メディーーック!メディーーック!!
軍曹「落ち着け!迂回路を探すんだ!!」


ということなので避難所行ってきます
173魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:22:56 ID:VNleiHBx
畜生! クソッタレ、地獄だ! まるで地獄だ畜生!
俺、避難所の続き読んだら感想書くんだ……。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:36:37 ID:8L8H04ZL
>>173
感想よりもあんたの作品の続きを読ませてくれぇぇぇぇぇぇ

あぁ、これで安心して死ねる……
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:39:10 ID:vnRQ59Lq
>>173
DMCが買えなかった怒りや絶望をStylish本編執筆に廻すのです……負の感情は
パワーアップの源とだぁいw
176反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/02(土) 00:42:34 ID:pzPhrpFX
GOD JOBとはこのことかッ!

レイハさん、バルさんと幸せになれよ。
ヴィヴィオ、10年後のアンタはいかなる経緯でそんな大惨事を引き起こしたんだい。
そして、ラストのヴァルセルド…
…ウワァァーン!

俺はこんな日に何を宣言してるんだ…orz
177魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:44:16 ID:VNleiHBx
避難所の方にも反応がないようなので、少し時間を置くことにします。
投下された分だけでも感想をば。
相変わらず萌えました。ヴィヴィオに。そしてヴァルゼルドに(ぉ

>彼と彼女の優雅?な日常
切り出しからして、ロボという弊害による切ないけど暖かいストーリーなのかなぁと構えてたら空気読みすぎな神の采配ぶりに吹いた。
深刻な問題が転がりまくってるのに、ヴァルゼルドの人柄に報いるかのように事態が好転し続けてるwwこれは幸先安心過ぎw
幼女とロボ、その周囲を取り巻く人々の暖かさとアホさが微笑ましいですね。
特になのはとの組み合わせが意外で、嬉しかったです。
少女二人と戦闘ロボの家族、いいですね。……いや、待て。どこかで見た構図だ。これはもしや某メイドロボの逆バー(ry
前回の短編に続いて、おまけ編とは思えない質の高さでした。
シリアスのほうは、このほのぼの気分を味わってから読もうと思います。GJでした!
178魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:45:47 ID:VNleiHBx
>>174
>>175
うむ、実はその怒りの感情で書き上げちゃったんだけど、二十分後ぐらいに投下おk?
規制の恐ろしさを改めて味わったので、是非とも支援が欲しいのですが。
179Strikers May Cry:2008/02/02(土) 00:48:23 ID:TiNgN6Zw
全力で支援するぜ。

そしてDMC4は絶賛プレイ中だぜ、Xボックス360だぜ。
そして閻魔刀はやっぱ最高だぜ。
180反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/02(土) 00:49:03 ID:pzPhrpFX
支援! しかし、自分は眠気が限界だ!
よって…寝るッ! 無念…
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:49:39 ID:8/jFUbOP
>>178
よし、支援は任せろ。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:50:32 ID:QZP6jlX0
感想どうこうより代理投下が先ナンジャネ?
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:51:36 ID:8L8H04ZL
支援準備完了!

>>179
謝れ! 携帯アプリで我慢している俺に謝れ!
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:51:37 ID:0GhHEZvE
>>178
了解した。
全力全開の大支援を約束しよう
185魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:51:49 ID:VNleiHBx
では1時ごろに投下しましょう。
プレイ動画ではダンテのヒールぶりに濡れた。これはもう金が入ったら買うしかない。たとえその月が白米だけになってもw
トレーラーや動画を見ながら気分を高めつつお待ちください。
186リリカル! 夢境学園:2008/02/02(土) 00:52:57 ID:L94332Nz
し、支援……(色々あって死にかけている)
187魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 00:53:45 ID:VNleiHBx
確かに、今見たら避難所に投下されてましたね。
どうぞ、代理投下を優先してください。
188仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 00:54:33 ID:3h4b4C3L
支えぇん!
189リリカル! 夢境学園:2008/02/02(土) 00:55:50 ID:L94332Nz
支援ですじゃああああ(気力を振り絞って)
190サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 00:57:43 ID:TiNgN6Zw
そんじゃ代理投下いきます。

 機械兵士の答えを聞かず、
 少女は涙を見せないように振り返り、機械兵士の無骨な装甲に身を寄せた。
 コツン、と額を彼の胸部装甲に当てる。
 十年経ったが、少女と機械兵士の身長差は未だ遠かった。
 幼き頃はその身長差が気に入らず必死に牛乳を飲んでいたが、今はその身長差が有り難かった。
「じょっ、上官殿!?」
 両手を彼の腰に回す。背中までは流石に届かない。
 抱きしめた機械兵士の身体は、不思議と暖かかった。
 
 星明りと月光で照らされた教会の中庭。
 静寂に満ちた中庭で、機械兵士と少女の影は重なり続けている
 最初は取り乱していた彼だが、少女の身体が震えていることに気付いたのか、先ほどから沈黙を守っている。
 未だ身を切るような風が吹く。だが、不思議と寒くない。
 抱きしめた機械兵士の身体は暖かい。
 擦り寄せた鼻に、鉄とオイルと日向の匂いが届いた。
 
「ヴァルゼルドは暖かいね」
 機械兵士に顔を見せず、彼の装甲に顔を埋めながら呟く。
「稼動時の熱放出のせいであります。本機の外装温度は大体人肌より若干温度が高くなるのです」
 情緒もへったくれも無い彼の言葉に、ヴィヴィオは頬を膨らませながらようやく顔を上げ抗議する。
「むう、駄目だよヴァルゼルド。こういう時はもっと気を利かせた言葉にしないと。じゃないと女の子に嫌われちゃうよ?」
 怒ったような、からかうような抗議に彼はしばらく逡巡し、
 ――ポスン、と少女の頭に手をのせた。
 無骨な鋼鉄の掌で、不器用ながらも優しげに少女の柔らかな金髪を撫でる。
「…………うん」
 少女はくすぐったそうに瞳を細め、再び機械兵士の胸元へ顔を埋める。
 
 ――――満点じゃないけど及第点で合格、かな。
 
 静かな時間が過ぎる。
 少女の震えは止まっていた。
 
 
「――――ねえヴァルゼルド?」
「はい、なんでありましょうか上官どの」
 さっきと同じような受け答え。
 違うのは二人の距離と少女の涙。
「ちょっと弱音吐いてもいい?」
「――――自分でよろしければ」
 
「あのね…………決めたはずだったの。
 今度こそ、私がママたちを助けるんだって……決心したはずなの」
 幾ばくかの躊躇。
「――でもね、気づいちゃったんだ
 ここに来てから会った人たち。メイドのお姉さんや騎士のお兄さんたち、教会に来た私を助けてくれた人たち。
 私の願いは――その人たちを裏切るものなんだって、助けてくれた人たちを傷つけるものなんだって…………そんなことに、今更気づいちゃったんだ」
 機械兵士は無言で少女の髪を撫で続ける。
「我慢するはずだったの。
 あの家に帰れなくなることも、『高町』の名前を捨てることにも。
 耐えていくつもりだったの…………なのに……なのにっ」
 少女の小さな身体が震える。
191サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 00:58:15 ID:TiNgN6Zw
「怖い……怖いのっ!
 私のせいで誰かが……ううん、私の願いのせいで誰かを傷つけるのが……怖いの。
 決心したはずなのに……それなのに……どうしようもなく怖くて……」
 震える声。
「……ねえヴァルゼルド。私はいったい……どうすればよかったのかなっ……!」

 ポタリ、ポタリと水滴が彼の装甲に落ちる。
 静寂。
 少女の嗚咽が響くなか、

「それは――酷く難しい問題であります」
 不意に、彼が言葉を上げた。

「犠牲が生じない戦闘はありません。それに、空尉殿たちを取り巻く情勢は複雑です」
「――…………っ」
 機械兵士は言外に『選択をしなければならない』、そう少女に伝えていた。
 少女の身が強張る。
 だが、
 
「ですが――――貴女は守りたいのでしょう?
 今度は自分がみんなを守る――貴女はそう、誓ったのでしょう?」
 
「ならば、その誓いを貫くべきであります。貴女を支えてきた人たちのためにも。
 ――――その願いは、間違えてはいないのですから」
「ヴァルゼルド……」
 思わず顔を上げた少女の瞳に機械仕掛けの、ライトグリーンの瞳が映る。
 
「それに――――」
「……それに?」
 僅かな逡巡。
「それに、自分もいます。微力ではありますが、自分が上官殿の力になります。
 可能な限り、貴女が悲しまぬ結末にしてみせます。――いえ、絶対にしてみせます」
 篭められた機械兵士の決意。

「――――……うんっ……うんっ!」
 向けられた優しい瞳に、少女は涙で濡れた瞳で懸命に頷きかえした。
 
 
 数分か、数十分か、彼と彼女の間に幾ばくかの時間が流れる。
 少女は無言で彼の装甲に顔を寄せ。
 彼もまた無言で少女の髪を撫で続ける。
 静寂が、穏やかな静寂が流れる。
 
 ――結局のところ、自分には選択するしか道はないのだ。
 大切な人か、ここで出会った優しい人たちか、それとも見知らぬ人たちか。
 誰のために戦うのか、自身は選択しなければならない。
 選択するものは、きっとどれもが正しくて、どれもが間違っている。
 当たり前だ。
 選択するということはつまり、他のなにかを捨てることなのだから。
 それでも選択しなければならない。
 選択しなければ、きっと自分は後悔する。一番大切なものを失ってしまう。
 
「――――うん、もう大丈夫だよヴァルゼルド」
192サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 00:58:41 ID:TiNgN6Zw
自分は明日、選択する。
 大切な人たちを選び、見知らぬ人々を切り捨てる。
 ――だけど。
 
 彼の腕が下ろされる。
 彼の装甲から身体を離す。
 失われる暖かさが惜しかったけど、それ以上は未練になるので思い切って離れる。
 
 ――きっと大丈夫。
 
 大切なものを一杯抱え込んで、失わないよう精一杯抱きしめても。
 それでも毀れるものがあるだろう。それでも失ってしまうものがあるだろう。
 だけど――
 ――捨ててしまったものを、毀れてしまったものを拾い上げてくれる人がいる。
 ――小さな身体がよろめかないよう支えてくれる人がいる。
 ――ずっと、少女の傍らにいてくれた『彼』がいる。
 
 ――だから、きっと大丈夫。
 
 ――――さあ行こう。暖かな日々を、明日も続けるために。
 日々を、明後日も明々後日も続けるために。
 この先ずっと、みんなで笑い合えるために。
 
 ――――虚勢でもいいから笑顔でいこう。笑顔で、大切な人たちを助けにいくんだ。
 
 
 教会宿舎へ向かって歩く。
 機械兵士は何も言わない。
 宿舎に入り口にたどり着いたところで、少女は彼に振り返る。

「おやすみなさいヴァルゼルド――――明日からまたよろしくね」
 
「はい、おやすみなさいませ上官殿」
 
 振り返った少女の顔には笑顔。
 ――――花咲くような笑顔があった。
 
 
 静寂が戻った星空の下。
 機械兵士は一人、佇んでいた。
 一人、星空を見上げていた。
 
 少女が今宵、誓いを新たにしたように、
 ――機械兵士も今宵、一つの誓いを立てた。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 00:58:55 ID:vnRQ59Lq
GJ!!です。
機械のプライドを見せて貰いました。
やっぱりドリルはすべてを超越するのですねw
ぜひ、ヴィヴィオの護衛はギンガとヴァルゼルド率いる螺旋騎士やドリルアーツ使いの魔導師が
多く所属する聖王螺旋護衛部隊にw
194サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 00:59:04 ID:TiNgN6Zw
 ミッドチルダ北部特有の透明な青空。
 
 冷風の吹く寒空にも関わらず人々は、街並は熱狂の渦にあった。
 大通りを進むパレードを一目見ようと、通りには人で溢れ、通りからあぶれた人々は建物の窓から身を乗り出す。
 ベルカ系住民が多くを占める街は今、御伽噺の再来に湧いていた。
 
 ――――聖王戴冠。
 
 かつてベルカの民を導き、数多の奇蹟を果たした英雄。
 幼少の頃、寝耳物語として語られた御伽噺の王。
 その証である七色の魔力光、碧と紅の瞳。
 それを備えた少女の登場に、ベルカの街はこれまでに類を見ないほど熱狂していた。
 
 これまでは少女がクローンであることを口さがなく言う者もいた。
 だが、その声もやがて熱狂の声に埋もれていく。
 150年前。辛酸と共にミッドチルダへと移住したベルカの民。
 明日をも知れぬ彼らが語り継いでいった、希望をもたらす王の物語。
 幼き頃より御伽噺に希望を託してきた人々は、伝説の再来に狂喜していた。
 
 
 ――――故に、少女を認められぬ者達がいた。
 
 人々の熱狂の届かぬ下水道。
 街の地下を満遍なく張り巡らされた通路を、音も無く駆け抜ける影が五つ。
 騎士甲冑を着込み、剣・斧・槍と各々の得物を携えた男達。
 ベルカの騎士達が、唯一つの目的のために駆けていた。
 ――聖王となる少女の殺害。
 
 彼らには誇りがあった。
 名門と謳われる家系の騎士である彼ら。
 聖王が崩御しその血統が失われ、国を、世界を失ったベルカの民。
 仇敵に恭順しながら、なお民族の誇りを失わず今日まで自治が許されていたのは、ひとえに残された騎士たちの尽力の賜物であった。
 彼らには150年間国を、民を守り続けた自負があった。
 故に認めることなどできない。
 作られたクローンの、犯罪のために作られた贋作の聖王など。
 戴冠後に他次元世界への介入を主張する小娘など、せいぜい傀儡が関の山だ。
 そんな御伽噺を認めるわけにはいかない。
 
 聖王となる少女の警護は厳重だ。
 テロに備え、地上だけでなく上空も多くの空戦魔導騎士によって守られている。
 ――だが、その程度だ。
 平和な時代、気位だけが高くなった騎士などに地下まで気が回るはずがない。
 彼らにはそれが口惜しかった。
 守り続けてきた自負と、腑抜けとなった組織への憤怒。鬱積された感情が、今回を契機に少女への憎悪として爆発した。
 少女を乗せたパレードが、あるポイントに達した瞬間少女は街路もろとも粉砕される。
195旅ゆく人:2008/02/02(土) 00:59:19 ID:EC3oKSxj
……眠い奴ぁ、素直に寝とケー。
体に毒だぞー、と、究極的に眠い人が呟いてみる。


自分は、明日も仕事なので、もやすみです ノシ
ついでに、支援。
196サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 00:59:36 ID:TiNgN6Zw
 駆け抜け続ける騎士達。
 もはや少女を乗せたパレードの位置まであと僅かとなった瞬間。
 ――耳鳴りのような音波。
「――――っ!」
 ――AMF(アンチ・マギリング・フィールド)。
 騎士たちが立ち止まる。
 
「ヘイケン、対AMFフィールドを」
 先頭に立つ壮年の男。
 風格に満ちた指揮官が、部下へ取り乱すことなく指示を出す。
「了解…………フィールド設置完了。ですが隊長、こいつは厄介ですよ。魔導出力28%低下、防ぎきれません」
「バリアジャケットの魔導出力を下げろ、火力だけは維持するんだ。どちらにせよ機会は一度のみだ」
『了解』
 地下に響く男達の声。
 
「隊長、自分が探索して発生装置を解除しましょうか?」
 一人の若い騎士が前に出て、壮年の男に申し出る。
「止めておけ、下手に壊せば気取られるだけだ。それに――――もう無駄だ」
 
 壮年の男が通路の先を見る。
 薄暗い下水道。
 汚水が流れる音しかしない空間で、
 ――ガチャン、ガチャン。
 鈍い足音が響いた。
 
『――――っ!!?』
 
 下水道を照らす裸電球。
 その僅かな光源の範囲に『ソレ』は現れた。
 
 2メートル近い長身。
 電球に照らされ鈍い光を放つ重厚な装甲。
 蒼と黒の装甲。
 
 ――――『守護機兵』
 
 ――――『ガーディアン』
 
 彼らが命を狙う少女が、これまでその特殊な境遇ゆえに遭遇した事件。
 その全ての事件において少女を狙う魔手から、ことごとく少女を守り続けたソレが。
 なんら誇張することの無い異名を持つ――機械兵士がいた。
197サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 00:59:58 ID:TiNgN6Zw
 機械兵士が姿を現したその直後。
 
 輝く魔力光。
 翻る魔力弾。
 ――そして爆音。
 
 騎士達が名乗ることなく、躊躇することなく放った五つの魔力弾は、違えることなく全弾機械兵士に命中した。
 地下通路が黒煙で満ち、光源が破壊されたことにより通路の暗闇が広がる。
 パラパラと破片が落ちる音以外、物音などしない。
 
「――はっ! 魔力も持たない機械人形風情が」
 そう吐き捨てながら、先ほどAMFの破壊を申し出た若い騎士が黒煙に近寄る。
「よせスウェッソン、対象の破壊確認がまだだ」
 壮年の男が止めるのも聞かず、若い騎士は黒煙の傍に寄る。
「避けるスペースの無い通路で射撃魔法を五発同時斉射ですよ? バリアジャケットも持たないガラクタが相手じゃ、破片すら残るかどうか――――」
 言葉を続けようとして、彼は見た。
 
 眼前の黒煙。
 ユラリ、と黒煙が揺れる。
 騎士の目の前、頭上に現れる蒼い鋼腕。
 そして騎士の視界が、
 
 ――――鋼鉄の拳で塞がれた。
 
 
 打撃音と呼ぶにはあまりにも鈍過ぎる音。
 騎士の頭上から、叩きつけるように振り下ろされた鋼拳。
 その丸太のような一撃に、騎士は汚水の川に沈む。
 
 黒煙から現れたのは、装甲を煤けさせただけの機械兵士。
 
 ジャキジャキッ!
 一斉に向けられるアームドデバイス。
 条件反射でなく、明確な敵意と戦意を以って向けられる刃。
 それに機械兵士がうろたえることはない。
 
「このっ――――大義もない機械人形風情がぁぁぁ!!!!」
 汚水に沈められた男と同年代の騎士。
 男の友人だったのだろう、未だ年若い騎士が怒号と共に機械兵士へ斬りかかる。
 閃光を放つ騎士の片手剣。
「――っっっ!?」
 しかし、その剣戟は機械兵士の装甲に届かない。
 騎士の剣は、機械兵士が差し出した右腕によって止められる。
 ギュィィィンという甲高い稼動音。
 振り抜かれた刃と機械の穂先が激突している。
 機械兵士のドリルが、機械仕掛けの槍が、騎士の剣と拮抗していた。
 驚愕は拮抗されている騎士だけのものではない。
 
 百年に渡り練磨され続けてきたベルカの魔導。
 その刃に対し、
 魔導の力などカケラも持たない鉄塊が、完璧なまでに拮抗を果たしていた。
 その事実に、騎士達は息を呑む。
 
 そして、騎士達が予想もしていなかった声が地下に響く。
 
「そうだ、自分に大義などない――――だが」
 
 機械兵士の声が。
 少女の守護機兵の、低い声が響き始めた。
198サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 01:00:25 ID:TiNgN6Zw
 ――His pride, His oath, His hope.
 
「このっ――――大義もない機械人形風情がぁぁぁ!!!!」
 
 怒号と共に繰り出された刃を、右腕の固有兵装で迎撃する。
 ――激突音。
 己の視界センサーの視野全てに火花が映る。
 金属刃同士の衝突と、溢れた魔力光が地下通路を照らす。
 
「――っっっ!?」
 目の前の騎士から発せられる驚愕。
 だが、そんなことに興味は無い。
 本来は敵性対象と会話する行為に意味は無い。
 機械兵士は無意味な行為をしない。
 戦闘は常に合理的に行われる。
 しかし、今日は言うべきことがあった。
 
 宣言すべきことがある。
 昨夜、星空の下で誓ったことがある。
 
 この十年で得たものがある。
 常に己の傍らにいてくれた少女から、与えられたものがある。
 
 ――少女の苦悩の具現である騎士たちに向け、宣言すべきことがある。
 
 
「――――そうだ、本機に大義などない」
 
 
 機械に大義などない。
 機械に正義などない。
 
 あるのは鋼鉄の装甲と、敵を討つための重厚な火器だけ。
 
 機械には――大義も、正義も、悪も、理想も、堕落も、何も無い。
 あるのは機能だけ。
 破壊することだけを求められて創られた機械兵士に、そんなものは何一つない。
 
 望まれたのは、壊すことと殺すことだけ。
 
 ――だけど。
 
 
「だが――――」
 
 
 だけど――。
 
 そんな機械兵士を救ってくれた人がいた。
 そんな機械兵士に笑いかけてくれた人がいた。
 そんな機械兵士を家族と言ってくれた人がいた。
 
 壊すことしか、殺すことしか能が無い機械兵士を――抱き締めてくれた人がいた。
199サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 01:00:46 ID:TiNgN6Zw
「機械にも――――ー」
 
 
 一歩、前へ踏み込む。
 衝突音がさらに激しく、悲鳴じみた音を上げる。
 バキン!
 甲高い金属音と共に、騎士の剣が罅割れる。
 
 
 彼方の昔、彼方の地で誓ったことがある。
 十年前、廃墟の街並で誓ったことがある。
 十年間、少女の傍らで誓い続けたものがある。
 
 ――――その誓いを守ることこそが。
 
 
 さらに一歩、前へ踏み込む。
 騎士の剣が、さらに崩壊する。
 
 
「機械にも――――――誇りがあるっっ!!!」
 
 

 昨夜、機械兵士は誓ったのだ。

 守られるだけだった少女。
 無力だった少女は今。
 誰かを守るために前へ進もうとしていた。
 否、少女は既に戦っている。
 
 自身の足で前へ歩み始めた少女。
 己が、その背で少女を守る必要は無くなっていた。
 
 だから、機械兵士は誓ったのだ。
 星空の下で誓ったのだ。
 
 前を進む少女の、その小さな背中を守ろう。
 少女を傷つける銃弾から、その身を守ろう。
 少女が守りたいと願ったものを守ろう。
 
 十年前、孤独だった機械兵士を救ってくれた少女を。
 ――――彼女の笑顔を守ろう、と。
 
 そう、誓ったのだ。
 鋼鉄の装甲と重厚な火器はそのためにある。
 
 それこそが彼の誓い。
 それを貫くことこそが、彼の誇りだった。
200魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:01:04 ID:VNleiHBx
機械の騎士に栄光アレ支援!
201サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 01:01:05 ID:TiNgN6Zw
 さらに一歩、前へ――。
 
「機械にも――――――守りたい人がいるっっっ!!!」
 
 
 甲高い金属音。
 騎士の剣が砕ける。
 半ばから折れた刃が天井へ突き刺さる。
 神秘や魔導の力などカケラも持たない機械兵士が、正面から魔導の刃を粉砕した。
 
 自身の誇りとも言える剣を砕かれ、唖然とする騎士。
 騎士に迫るは機械仕掛けの槍――ーではなく鋼鉄の豪腕。
 踏み込んだ勢いをそのままに、機械兵士の鋼腕が騎士を薙ぎ倒す。
 トラックに轢かれたような衝撃を受け、騎士は下水道の壁に叩き付けられる。
 叩きつけられた壁はコンクリートが崩れ、騎士は座り込むようにして意識を失う。
 
 
 残る騎士は三人。
 
 不意に壮年の男が、前に一歩進み出る。
 油断無く向けられる機械兵士の右腕。
 だが、かけられた声は不思議と静かなものだった。
 
「侮っていたことを詫びよう、鋼鉄の騎士よ」
 
 言葉と同じように、静かに槍を構える男。
 同時に、残る二人の騎士が武器を下ろす。
 一対一。
 それがベルカ騎士が最大の力を発揮する場であり。
 彼らが敵手へ送る、最大の敬意。
 
 
「問題ない、本機には早急に果たすべき任務がある」
 
 ――機械兵士には願いがある。
 
 彼には、この十年で得たものがある。
 暖かい人たち。
 暖かい居場所。
 ――少女の花咲くような笑顔
  
 彼には、ヴァルゼルドには願いがある。
 
 ――――あの、暖かな日々に帰るんだ。
 ――――皆で笑い合える日々に帰るんだ。
 
 あの子の元へ――――必ず帰るのだ。
202サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 01:01:28 ID:TiNgN6Zw
日の光も、人々の熱狂も届かぬ地の下で。
 ベルカの騎士と機械仕掛けの騎士が、互いの武器を構える。
 
 誰にも知られることのない戦い。誰にも語られることのない戦い。
 されども気高き決闘。賭けるは互いの誇り。賭けるは互いの存在意義。
 
 彼らの誇りが、閃光となり、火花となり、
 薄暗い地下道に、透き通った剣戟の音を響かせた――――。
 
 
 新暦86年冬の月。
 後世、多くの歴史学者が様々な論文を記すこととなる激動の年。
 その決定的な日に、ある決闘があったことを知る者はいない。
 彼らの誇りを、語る者はいない。
 
 
 
 
 キャラクター説明(著しくネタバレ注意)
 
 ヴァルゼルド:SRPG「サモンナイト3」にて登場する機械兵士。サブイベントを攻略することにより仲間にすることが可能。
 本ゲーム舞台の『島』にあるスクラップ廃棄場で、スクラップの山に埋まっているところを主人公に救助される。
 発見当時、ヴァルゼルドは戦闘による損傷によって身動きが取れない状態であり、彼は主人公に修理部品の調達を依頼する。
 依頼された部品は電子頭脳。主人公は部品調達のため『島』を奔走することとなる。
 電子頭脳を手に入れたヴァルゼルドは適合作業のためスリープモードへ移行。
 数日後、ヴァルゼルドの様子を見に行った主人公を待っていたのは、自身に向けられるヴァルゼルドの銃口だった――。
 
 無感情・無機質が特徴の機械兵士でありながら、家庭教師である主人公を「教官殿」という独特のネーミングで慕ったり寝言を言ったりする彼の、あまりにも人間臭い言動に多くの機械兵士スキーが虜となった。
 
 しかし、その人間臭い人格は、電子頭脳が戦闘時に損傷した際発生したバグ――「在り得ざる人格」だった。
 『ヴァルゼルド』という重大なバグを抱えたまま行われた適合作業はエラー・暴走を引き起こし、彼は近くにいた主人公へ攻撃してしまったのである。
 主人公に取り押さえられ、意識を取り戻したヴァルゼルドは、主人公へ残りの電子頭脳の装着を求める。
 それは他ならぬ『ヴァルゼルド』という人格の消滅を意味していた。
 そんなことはできない。と拒否する主人公に対し、ヴァルゼルドは「教官殿を傷つけたくない」「恩人である貴方を守りたいのです」と、自我が消えるのを承知で主人公の守護を願い出た。
 
 ――その後『島』を警護する機械兵士の姿があったが、そこにあの人間臭い『彼』の姿は何処にもなかった。
 
 
 前作「サモンナイト2」で大活躍した機械兵士もあって、無骨なボディの機械兵士には多くの期待が寄せられたが、
 会話イベント全3回、サブイベントの結末、固有エンディング無し。という末路は多くの機械兵士スキーたちを阿鼻叫喚の渦へと叩き込んだ。
 ちなみに彼の寝言「猫は〜〜」は作中の名言の一つ。ググレば出る。
 本SSではポンコツ度50%、ロリコン度が200%増量されて登場。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:01:59 ID:0GhHEZvE
ヴァルゼルドかっこいいなもう
204サモンナイト 代理:2008/02/02(土) 01:03:58 ID:TiNgN6Zw
以上で投下終了です。
説明2割後先考えない悪ノリ8割なSSですが代理投下の方、何卒お願い致します。

代理投下終了、そしてティアナとダンテの支援体制に入る。

おっと、その前にDMC3でバージル兄さん使って〜、DMC4でネロ使って〜、閻魔刀プレイしよう♪
205リリカル! 夢境学園:2008/02/02(土) 01:05:05 ID:L94332Nz
ヴァルゼルドかっこいいよ、ヴァルゼルド!
ああもう機械兵士は最高です! こんな言葉しか出ない自分が情けないorz
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:05:33 ID:eZVWlvKW
GJ!

眠いけど支援
そういえば、金がなくてDMC4買ってないな
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:07:34 ID:0GhHEZvE
サモンナイトはこういうガチでかっこいいキャラばっかだから困る。
涙腺がもたない。
ギャグキャラのジャキーニとかもサブイベントじゃかっこよかったしなぁ。
208魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:07:44 ID:VNleiHBx
お前……ロボのくせに格好よすぎだろ……。
感動したっ!
決着が描かれてないところが、なんかまたいいですねぇ。切なさよりも熱血を感じますw
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:07:49 ID:uOYduXme
さて、次こそはティアナさん大活躍を見られるわけだな。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:09:17 ID:0GhHEZvE
ではStylish氏の支援体制に入る。
Are you ready?
211魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:09:50 ID:VNleiHBx
代理投下があったばかりだけど、支援してくれる人も眠そうだし、どうしましょ?
少し間を取って15分ごろに投下でよろしいでしょうか?
サモナイ短編は私も好きな作品なので、感想の妨げになるようなら自重したいです。別に明日でも投下できるし。
212リリカル! 夢境学園:2008/02/02(土) 01:10:10 ID:L94332Nz
うーん、俺も機械兵士出すべきかなぁ?(一応2を書いているので)
しかし、こんなにもかっこいいキャラを書ける自信がない。
というか、逆立ちしても勝てる気がしませんw

……五年ぐらい修行したらなれるかな?
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:10:10 ID:469uTxzl
GJ!
ヴァルドゼルトがカッコ良すぎて困る。

が、更に前半のギャグが面白過ぎて困るwww
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:11:42 ID:vnRQ59Lq
狭い地下通路でバルカンとか撃たないヴァルゼルドの優しさに私が泣いた。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:12:09 ID:uOYduXme
支援の用意は既に出来ている!
さぁ、来い。Stylishな展開を魅せてくれ。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:12:20 ID:469uTxzl
何故かドが入っちまったぜorz
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:14:13 ID:QZP6jlX0
さてはカルドセプトと混ざったな?
218魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:16:22 ID:VNleiHBx
時間だ。
なんか期待されてみたいだし、ええい投下しちまえ!(ぉ
支援お願いします。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:16:26 ID:8L8H04ZL
慌てるなよ?

支援だ
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:17:16 ID:0GhHEZvE
了解だ。
これより支援を開始する
221魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:17:28 ID:VNleiHBx
 ターミナルの構内は通い慣れた者にとって少々うんざりするほど人で溢れかえっていたが、エリオの眼にはその盛況さがひどく新鮮に映った。
 まだ親が同伴してもおかしくない歳で、一人の長旅を終えた興奮と緊張もあったのかもしれない。

「ルシエさーん! 管理局機動六課新隊員のルシエさーん、いらっしゃいませんかー?」

 そんな人ごみの中を器用にすり抜けながら、エリオは声を発して周囲を見回っていく。
 その姿は否応なく目立っていたが、それを気にしない程の素直さがエリオにはあった。少々世間知らずなところは、保護者のフェイトに似たのかもしれない。彼女が幼い自分そうであったように。

「ルシエさ……っ」
「はーい、わたしですー! すみません、遅くなりました!」

 反応はすぐさまエスカレーターの方から返って来た。
 エリオと比べても更に小柄な体には少々大きすぎるバッグを抱え、スーツ姿の人々が行き交う中でローブ姿という変わった格好をした少女が駆け足で降りてくる。
 そのローブが何かの部族特有の物だということは、エリオにも察することが出来た。
 ル・ルシエの民族衣装に身を包んだ少女はキャロ・ル・ルシエに間違いない。

「ルシエさんですね? ボクは……」

 この広大なターミナルで思ったより手早く目的の人間を探し出せたことに安堵して、エリオが笑みを浮かべた瞬間、彼の視線の先で事故は起こった。
 元々文明の栄えた出身地でない為か、動く階段に慣れていないキャロは駆け足であったこともあり、階段の途中で足を躓かせてしまったのだ。
 軽い体重と抱えたバッグの重さで不安定だった重心のせいでキャロは容易くバランスを崩して体を宙に投げ出される。
 このまま転倒すれば、大怪我は免れない。
 その場の誰よりも事態を把握したエリオは反射的にデバイスを起動させた。

《Sonic Move》

 腕時計の形状で待機モードになっていたストラーダが魔法を発動させる。
 次の瞬間、時間と世界を置き去りにしてエリオは跳ねた。
 彼の保護者であり、敬愛する師でもフェイトの得意とする高速移動魔法。彼女が高速飛行を行うのに対して、エリオは地面や壁面を跳ねるように移動するという特徴を持つ。
 まさしく弾丸と化したエリオは、エスカレーターの手すりを小刻みに蹴りながら移動し、一瞬で空中のキャロをキャッチした。
 そのまま上の階まで運び上げる。
 魔法自体の発動、衝撃緩和による自分とキャロへの負担の相殺。
 完璧な魔法だった。ただし、魔法だけは。
 肉体に反映する魔法は、魔法行使以外に肉体の慣れも要求される。
 上のフロアに上がりきって魔法を解除した瞬間、動から静への切りかわりに対応できずにエリオは空中でバランスを崩した。

(あ、まずい―――!)

 失敗を察した時にはもう遅い。
 辛うじて地面に着けた片足は、もちろん二人分の体重と勢いを殺すことも出来ず、たたらを踏むようにそのまま転倒へと向かう。
 キャロが足を踏み外した瞬間からエリオが魔法を使った後まで、一瞬の出来事にもちろん周囲の人間は反応できない。
 助けはなく、『せめてこの少女だけは』と無理に体を捻って自分が下敷きになるように努力したエリオは、次に襲ってくる衝撃に目を瞑り―――。

「おっと。見かけによらず、ガッツがあるな少年」

 二人の体重を横合いから伸びた腕が軽々と支えた。

「あ、ありがとうございます」
「いいや。余計なお世話だったかもな、小さいナリだがナイトの資格は十分ってワケだ」

 二人を助けた男は何故か楽しげにそう言った。
 見上げた先にある整った顔と銀髪が印象強かったが、何より際立っていたのがその美しさを獰猛な獣のそれに変えている不敵な笑みだった。しかし、不快感を感じる表情ではない。むしろ、エリオは密かに憧れる男らしさを感じた。
 そのまま片腕だけで、苦もなくエリオとキャロを抱え上げて立たせる。
 改めて向かい合えば、年上の成人した男性とはいえ随分と高い身長に驚いた。
 黒いハイネックの上に赤いレザーベストを着込み、更にその上から真紅のロングコートを羽織っている。眼に痛い程派手な格好なのに、その男は何の違和感もなく着こなしていた。
 二人を支えた腕とは反対の肩に大きなギターケースをぶら下げているのも含めて、ミュージシャンなのだろうか? エリオは初めて接するタイプの大人の男を相手に緊張と憧れを感じる。
 そんな少年の眼差しを全て分かっているとでも言うように、男はまた小さく笑った。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:17:48 ID:8/jFUbOP
支援
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:19:28 ID:469uTxzl
支援
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:20:06 ID:L3X0aoNV
支援
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:20:08 ID:eZVWlvKW
支援
226魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:20:26 ID:VNleiHBx
「Ah……少年。お姫様を守り切ったのは分かったから、そろそろ手を離した方がいいぜ。ヒーローが痴漢になったらしまらないだろ?」
「へ―――?」

 言われて、エリオはようやく自分の手のひらに感じる柔らかい感触に気付いた。
 未だにキャロを抱えたままの状態で、彼の手が置かれている位置は慎ましながらも自己主張する胸だった。
 気付いた瞬間、猛烈な気まずさがエリオを襲う。

「……あ、すみません。いつまでもくっついたままで」

 最悪張り倒されるか、と身構えていた男二人とは裏腹に、キャロはまるで気にした様子も見せずにやんわりとエリオから距離を取った。

「あ、ああ……いえ」
「あの、危ないところを助けていただいて、ありがとうございました」

 一方的に意識しているエリオが言葉を探す中、キャロは彼と、そんな二人の様子を面白そうに眺める男の二人に丁寧に頭を下げる。
 幼いながらも礼節はしっかりとしてるらしい。そして、幼さ故に性的な羞恥心というのも足りないようだ。男は一人納得したように頷いていた。
 不意にそんな三人の横で、投げ出されたバッグが蠢く。
 内側からバッグをこじ開け、顔を出したのは珍しい竜の幼生体だった。爬虫類に似た見た目とは反する、可愛らしい鳴き声が響く。

「ああ、フリードもゴメンね。大丈夫だった?」
「竜の子供……?」
「ワオ、驚いたね。このトカゲがうっかり進化しちまったような奴はなんだ?」

 エリオが純粋な珍しさから、男は初めて見る生き物に思わず生来の口の悪さを発揮して呟く。
 ―――次の瞬間、フリードは幼い牙を獰猛に剥いて男に飛び掛った。

「あっ……!」
「フリード、何をっ!?」
「……OK、悪かったよ。そんなに怒るな、トカゲって言ったことは謝るさ」

 幸いにも、間一髪男の手がフリードの首筋を掴んで動きを止めていた。
 しかし、先ほどの愛らしい顔を一変させて獣となったフリードの唸り声は止まない。キャロが腕に抱え込み、なだめてもそれは収まらなかった。

「す、すみません。こんな事をする子じゃないんですけど……」
「いや、いいさ。第一印象が悪かったな、どうやら嫌われたらしい」

 気にしていない、と笑いながら肩を竦める男だったが、キャロの方は疑念を拭えなかった。
 フリードは人の会話を理解出来るほど賢い竜ではあるが、あの程度の言葉で逆上するほど気性の激しい性格ではないことは生まれてからの付き合いであるキャロには分かっている。
 そして何より、初対面の相手に対してここまで敵意を持ち、何より警戒心を露わにしていることが不可解だった。まるで目の前の男を敵だと信じきっているようだ。
 唸り続けるフリードを優しく抱き締め、キャロは改めて自分を助けてくれた男を見上げる。
 危うく噛まれかけたことなど微塵も気にしていない笑みを向ける男が、悪い人でないことはよく分かる。
 しかし―――同時に嗅ぎ慣れた<匂い>を、目の前の男から僅かに感じた。

「あの……」
「さて、お姫様の番犬に齧られないうちに退散するとするか」

 キャロが抱いた疑念を尋ねようと口を開いたのを遮って、男はコートの裾を翻した。
 ここは他人と他人がすれ違う場所。このささやかな出会いもその一つに過ぎないと言うように、立ち去る足に躊躇いはなく。

「じゃあな、少年。お姫様をちゃんとエスコートしてやれよ?」
「は、はいっ! ありがとうございました!」

 振り返らず、手だけを軽く振る男にエリオが頭を下げていた。
 印象的な出会いと鮮烈な姿が眼に焼き付いているのに、結局名前さえも分からなかった男。
 その後姿を見送りながら、キャロは男から感じた違和感を頭の中で反芻していた。

 それは懐かしく、いつも自分の傍に在り……痛みと苦しみと恐怖を与えてくる闇の匂い。


227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:20:44 ID:L94332Nz
畳み掛ける銃弾の如き支援!
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:21:08 ID:7u2+E3MG
支援
229魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:21:21 ID:VNleiHBx
「あの人、どうして<悪魔>の匂いがするんだろう……?」

 暗く淀んだ瞳で赤い背中を見つめ続ける憐れな主の呟きを、腕の中の竜だけが聞いていた。






魔法少女リリカルなのはStylish
 第五話『Riot Force』






 試験日からまだ実質一日も経っていない。
 昼過ぎの空は相変わらず澄んだ青色が広がっていて、それを見上げるティアナの心の迷いを笑っているように思えた。なんとも憎々しい。
 管理局の施設の庭は、働く者が建物の中にいるせいか、ほとんど人気はなかった。
 芝生に寝転がったスバルと、その横に腰を降ろしたティアナ以外誰もいない。

「ティアー」
「ん?」

 緊張に満ちた試験を終えた二人は、今やどちらともなく気の抜けた状態にあった。
 ぼんやりと空を見上げるスバルと、手の中で古ぼけた玩具の銃を玩ぶティアナ。いずれも心ここにあらず、つい先ほど聞かされた会話について考えている。

「ティアは、どうする? ……新部隊の話」
「そうね……」

 どちらとも取れない曖昧な返事が返ってくる。
 しかし、付き合いの長いスバルにはティアナが悩んでいることが分かった。無意識に手の中の玩具をクルクル回して玩ぶ仕草は、ティアナが何かに迷っている時のサインだ。

「……その玩具、持ってきてたんだ?」
「うん。失くすと嫌なんだけど、今日は試験で緊張してたからね」
「そんな素振り、全然見せてくれなかったけどなぁ」

 いつだって自分には滅多に弱みを見せないパートナーを見て、スバルは苦笑する。
 ティアナが、その銃の玩具をいつも大切に仕舞っていることは知っていた。それが彼女の死んだ兄から貰った子供の頃のプレゼントだということも。
 古ぼけた玩具に、ティアナの今を支える思い出と決意が詰まっているのだ。
『これを触っていると落ち着く』―――いつかそう言っていた。
 それは今は亡き兄との絆だからなのか、あるいはそれが銃という点がもう一人の兄貴分を思い出させるからなのか、さすがにそこまでスバルには察する事は出来ない。

「執務官……お兄さんの夢を果たすには、有利な話だと思うけど?」
「そうね」
「悩んでる原因は、何?」
「……」

 今度は返事がない。
 しかし、二人が思い返していることは同じだった。
 試験が終わり、彼女達にとって雲の上の存在である三人の魔導師との会合した、つい先ほどの話だ―――。




230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:22:05 ID:uOYduXme
すかさず支援だ!
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:22:32 ID:L3X0aoNV
支援
232魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:23:33 ID:VNleiHBx
「とりあえず、二人の試験結果なんだけれど―――残念だけど、不合格となります」

 高町なのは一等空尉の告げた結果に、身を乗り出していたスバルは大きな落胆を表し、ティアナはただ小さくため息を吐いた。
 効果はバツグンだが、あまりいい眠気覚ましではない。

 ―――試験終了と同時に極度の疲労で眠ってしまったティアナが眼を覚ました時、試験官のなのはとリインフォースUを含む、フェイトとはやての四人はすでに緊張でカチコチのスバルと共に待っていた。
 管理局でも有名な看板魔導師三人に待ち構えられ、さすがに面食らったティアナだったが、着くなり泣き付いてきたスバルの情けない姿に緊張も萎えた。
 だからこそ、この悪い知らせを思った以上に冷静に受け止められたのかもしれない。


「二人とも技術は問題なし。だけど、制限時間オーバーで不合格となります。ゴール前の映像記録で審議するほど微妙な差ではあったけど、その上でこの結果が試験官の共通見解……」
「評価できる点は多々あるですが、試験の合否を決める主な規定の一つなので、一秒以下であっても遅れは見逃せないんですー」

 続くなのはの説明と申し訳なさそうなリインフォースUのフォローを、スバルはほとんど上の空で聞いていた。
 意識はほとんど別の方向を向いている。隣に座る、ついさっき目覚めたばかりの自分のパートナーを、強い罪悪感と後ろめたさと共に。
 ゴールと共に疲労で眠ってしまったティアナ。
 全身全霊を賭けた結果がこれでは、あまりにも報われない。しかも、その原因が自分のミスにあるのだ。
 これまで何度もティアナには迷惑をかけてきた。自分のミスをフォローし、気まずげに笑い、彼女がそれを呆れながらも許す―――そんな関係に、甘えた結果がこれだ。

「……ティア、ごめ」
「楽勝じゃない?」

 謝ろうとしたスバルを遮ったティアナの声は本当に何気ないものだった。怒りも後悔もなく。
 え? と顔を上げたスバルの眼に、本当にたまにしか見せないティアナの涼しげな微笑があった。

「合格までのラインが微妙な差だったんなら、今回の反省を踏まえた半年後の試験なんて楽勝じゃない?」

 その笑みに、スバルを気遣うようなぎこちなさなど微塵もない。
 突きつけられた不合格の敗北感も失望感も、全て笑い飛ばして、不敵に構える姿があった。

「後悔なんてしてないわ。自分が決めて、全力を出した結果だもの。あんたを見捨てて合格したとしても、それはきっとあの時のあたしの<全力>じゃない」
「ティア……」
「しっかりしてよね、ポジティブはあんたの数少ない長所でしょ」
「うん……! うんっ!」

 やれやれと呆れたように肩を竦めるティアナの仕草が本当にいつも通りで、スバルは感極まったように何度も頷く。三人の上司の手前でなければ、そっぽを向くパートナーに飛びついて投げ飛ばされていたかもしれない。いつものように。
 周囲の視線を忘れつつあるスバルと、状況を弁えているがゆえに恥ずかしさで死にそうになるティアナ。そんな二人を三つの視線が優しく見守っていた。

「KOOL……いや、クールやなぁ。私、こういう友情モノ大好きや。なのはちゃん、追加点あげちゃって!」
「いや、そんな仮装大賞みたいには出来ないよ……」
「はやてちゃん、軽いノリで違反しないでくださーい!」
「まあまあ」

 何故か興奮気味のはやての言葉に、なのはが苦笑いをしながら答える。そのやりとりは仕事仲間というより、完全なマブダチだ。
 管理局でも有名なこの魔導師三人の中でも一番裏表の違いがあるのは八神はやてだった。仕事とプライベートで人格が変わっているともっぱらの噂だ。
 そんな軽いノリの雰囲気を、フェイトがお茶を濁す形で諌めた。
233魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:24:49 ID:VNleiHBx
「アナタ達も、そんなに結論を急がないで。まだ試験官の話は終わってないよ」
「「え?」」

 フェイトの言葉に、二人は思わずなのはを見た。

「さっき、リイン曹長も言ってたでしょ。評価できる点はあるって。
 特に、最後まで仲間を見捨てなかった決意とそれをやり抜いた意志には、マニュアルの評価じゃなくて一人の魔導師として賞賛を送りたいかな」
「恐縮です」

 まるで自分事のように微笑むなのはに対して、それでもティアナは普段どおりの自分を貫き、一見すると素っ気無い模範的返答を返した。
 憧れの人に対してこれは失礼、と勝手に思ったスバルが慌てて奇妙なフォローを入れる。

「すみません、こう見えて照れてるんです」
「ナカジマ二等陸士、静粛にお願いします」

 ティアナは『ちょっと黙ってろアホ』という言葉をオブラートに包み、デュクシッ! とスバルのわき腹を小突いて諌めた。
 悶絶するスバルを微笑みでスルーし、なのはは言葉を続ける。

「それに加えて、十分に規定レベルを超える二人の魔力値や能力を考えると、次の試験まで半年間もCランク扱いにしておくのはかえって危ないかも―――というのが、私と試験官の結論です」
「ですぅ♪」
「え、それって……」

 小さく頷き、なのはは二人分の書類と封筒を差し出した。

「これ、特別講習に参加する為の申請用紙と推薦状ね。これを持って、本局武装隊で三日間の特別講習を受ければ、四日目に再試験を受けられるから」
「あの……」
「さすがに半年の猶予はないけど……でも、十分『楽勝』だよね?」
「―――もちろんです!」

 急な話の展開に若干呆然としていた二人は、ようやく状況を理解して喜色の表情を浮かべる。
 悪戯っぽくウィンクをするなのはを真っ直ぐに見返し、ティアナは不敵に笑って見せたのだった。

「……さて、ほんなら今度はこっちの話を聞いてもらおうかな」

 上司の前でなければ抱き合って喜ばんばかりのスバルと、静かに実感を噛み締めるティアナの対比を眺めていたはやてがやおら切り出した。
 落ち着いた口調は変わらないが、その声には自然とティアナ達を緊張させる威圧感がある。
 柔らかな物腰はそのままに、この場で最も地位の高い者としての威厳が現れていた。
 人格が切り替わったと錯覚するようなはやての変化に、ティアナとスバルの口は閉じて背筋が自然と伸びた。
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:25:40 ID:7u2+E3MG
支援
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:25:59 ID:0GhHEZvE
ならば人は、今こそ支援せねばならない
236魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:26:34 ID:VNleiHBx
「……さて、ほんなら今度はこっちの話を聞いてもらおうかな」

 上司の前でなければ抱き合って喜ばんばかりのスバルと、静かに実感を噛み締めるティアナの対比を眺めていたはやてがやおら切り出した。
 落ち着いた口調は変わらないが、その声には自然とティアナ達を緊張させる威圧感がある。
 柔らかな物腰はそのままに、この場で最も地位の高い者としての威厳が現れていた。
 人格が切り替わったと錯覚するようなはやての変化に、ティアナとスバルの口は閉じて背筋が自然と伸びた。

「話の順番が逆になってしもたけどな、これから話すことに四日後の試験の合否は関係あらへん。―――もちろん、『楽勝』やって信じとるけどな?」

 引き締まった表情の中に微笑みも混ぜて、はやては話を続けた。

「詳しい説明は後回しにして……私は今、新鋭部隊に加える魔導師を探しとる。
 少数精鋭とそれによる対次元犯罪への速効性を持った攻性の部隊や。スペシャルチームと言えば聞こえはええけど、実験的な意味合いが大きい。けど質はこれから決まる」

 口元で手を組み、視線をティアナとスバルにそれぞれ送る。それだけの仕草で、二人の首筋に冷たいものが走った。

「スバル=ナカジマ二等陸士、それにティアナ=ランスター二等陸士」
「はい!」
「はい」
「私は、二人をその部隊のフォワードとして迎えたいと思う。試験中の二人をこの眼で見て、そう思った」
「……」

 はやてが言葉を終えた後には重い沈黙が降りた。
 突然突きつけられた重大な選択に戸惑い、悩む二人と、それを見据える四人が生んだ僅かな間だった。

「―――合格までは試験に集中したいやろ? 私への返事は、試験が済んでからってことにしとこうか」
「すみません、恐れ入ります!」

 それまでの真面目な表情を消して破顔一笑し、悩む二人に助け舟を出すはやてにスバルは頭を下げた。

「……部隊の名前を、教えてもらえますか?」

 一方で、思案顔のままのティアナが尋ねる。それは自分が産声を聞くことになるかもしれない新生部隊への純粋な興味からだ。
 はやては頷き、その傍らのリインフォースUが誇らしげに答えた。



「部隊名は、時空管理局本局・遺失物管理部―――<機動六課>!」





237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:26:43 ID:8L8H04ZL
†SIEN†
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:26:48 ID:L94332Nz
COOLに決めようぜ?
支援だ
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:27:34 ID:mb8NKM8d
支援
240魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:27:41 ID:VNleiHBx
「正直……迷ってるのよね」

 珍しく気弱なティアナの呟きをスバルは黙って聞いていた。
 ティアナの思慮深さは、スバルには共感できない。それを情けないと思うし、だが同時にそれで良いとも思う。
 自分のパートナーはいつだって自力で悩みを抜け出してきた。ならば、自分は素直に聞き、素直に言うだけでいい。それがスバルなりのコンビとしての在り方だった。

「確かに、執務官になるのに参考に出来る人はいるし、経歴にハクも付くし、経験も積めるし……」

 二人だけの為か、歯に衣着せぬ言い方で独白を続けるティアナ。利点ばかりを見つめる俗な考え方だと自嘲はするが、事実でもあった。

 未だメンバー選抜も出来ていない実験部隊。
 上官も、階級はともかく経歴においてはまだまだ若輩者扱いの魔導師しかいない。管理局上層部の大部分を占める老練な士官達の間では、苦い評価は避けられないだろう。
 しかし、それを差し置いても圧倒的な知名度がこの部隊にはある。
 新世代を担う若い魔導師の代表格とも言える<高町なのは><フェイト・T・ハラオウン>そして<八神はやて>のビッグネームが一つの部隊に終結しているのだ。
 世間は、次元犯罪を含む世の不安に対して英雄を望む。そしてこの三人は、ミッドチルダにおいて間違いなくトップクラスのヒーローでありアイドルだった。
 名目はどうあれ、事実上この部隊の評価は約束されたに等しい。
 超エリートによって構成される次世代の武装魔導師部隊―――その一角を担うことが、どんな実績よりも大きく魔導師としての将来に貢献するかは考えるまでもなかった。

 そして、それを含めて尚、ティアナは悩む。

「でも、遺失物管理部の機動課って言ったら、普通はエキスパートとか特殊能力持ちが勢ぞろいの栄えぬき部隊でしょ?
 あの日から、夢を追って、がむしゃらに走って、その中でいろいろなもの見つけて、背負って―――ここまで来て、それでいきなり見上げてた先に、届かない筈の高みが見えちゃってさ。実感湧かないっていうか……急に重く感じたのよね」

 抽象的な表現ばかりの要領を得ない言葉だったが、スバルはティアナのその独白から一つだけ理解することが出来た。

「ティアはさ、きっと不安なんだね」
「……」

 反論はなかった。素直に受け入れられないはずのスバルの言葉を、意外なほど自分でもすんなりと受け入れている。
 そうだ、自分は不安だった。
 ただ自分に自信が持てなくて不安だったのだ。

「いつも冷静で、わたしよりずっとしっかりしてて、どんなピンチの時も笑って見せちゃうティアだけどさ。自分に自信を持つことだけは苦手だよね。慎重な性格が、自分には疑り深く出ちゃう」
「……かもね」

 自分でもよく分からない部分を、他人であるスバルに指摘されることに不快感はない。
 それは、二人がコンビを組んで数年の間に築いてきた、形のない何かによるものだ。

「そんなティアに、わたし一言だけ言うね」
「うん」

 単純な励ましならば簡単だった。背を押すだけなら単純だった。『そんなことないよ、ティアもちゃんと出来るって!』と、それだけで不安は消える。
 だが、スバルは知っていた。ティアナの自分自身への厳しさと、それによって彼女が手にしてきた力と意志を。
 彼女はこの手で自分を支えることを望んではいない。代わりに手を握って拳を作り、その背を守ることを望んだ。
 甘えと信頼は違う。
 今のスバルにその違いをハッキリと分けることはまだ出来ていないが―――しかし、今それを望むのならそうしよう。

「ティア……」

 いつも彼女が自分に対して与える、激励ではなく叱責を。
 彼女が進む為に、優しさではなく厳しさを―――スバルは一言に込めて告げた。



「このヘタレ」



 そして、沈黙が、降りた。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:27:48 ID:uOYduXme
支援とは無償の愛ゆえに行われるのだ
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:28:26 ID:L3X0aoNV
支援
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:28:51 ID:L94332Nz
おぉおおい!?
スバァアアアアルwwww

支援!
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:28:57 ID:7u2+E3MG
ヘタレ支援
245魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:29:52 ID:VNleiHBx
「…………ご、ごめん。ちょっと言い方キツすぎた」

 玩具の銃をクルクル回していた手がピタリと止まり、虚空を見据えたまま停止するティアナの様子に、一変して怯えるスバル。

「で、でもね、ティアも普段はこれくらい言うし、厳しい方がいいかなーって思って……」
「……」
「怒ってるよね? 何も言わないけど怒ってるよね? すごい静かな視線でわたしを見てるけど煮えくり返ってるよね?」
「……」
「ごめんなさい何か言って無言で迫らないで顔を近づけないでぇぇぇ!」

 分かりやすい激昂の仕方ではない分不気味さに満ち溢れた威圧感を溢れ出させながら、ティアナは逃げ腰のスバルに持っていた玩具の銃を突きつける。
 その仕草には殺気が滾り、これが本物の銃だったとしても躊躇しないのではないかと思えるほどだ。

「わ、わーい! 降参しまーす、撃たないでー……」

 スバルは強張った笑みを浮かべ、両手を挙げた。

「……バン」
「え」
「バン! バン! バーン!」
「ご、ごめんなさい! 撃たないで、許してっ!」
「バンバンバンバンバァァーーーンッ!!」
「やっぱり怒ってるぅ〜!」

 半泣きで逃げ出すスバルを、壊れたように叫びまくりながら玩具を振り回してティアナが追いかける。
 傍から見ればかなりおかしな光景。慌しく、騒がしく……しかし、先ほどの二人にはない一種の清々しさがそこにはあった。こんなバカをやる中に、不安はなく、悩みもない。
 一見してはしゃいでいるように駆け回る二人の上で、抜けるような青空は変わらず広がり―――それは正しく、今のティアナの心を表していた。





 そんな二人の様子を建物の上から見下ろす、窓越しの視線が二つ。

「……髪を二つに縛った眼つきとツッコミの鋭い娘は、皆ツンデレやなぁ」
「はやてちゃん、感慨深げに意味不明なこと言わないで……」

 唐突に、誰にともなく呟くはやての言葉に思わず地元の親友を思い出し、冷や汗を流しながらなのははツッコんだ。

「いや、新人を見守る定位置やけど、お決まりの台詞言うのもなんか悔しいやん?」
「そ、そうなの?」

 最近、このノリについていけない10年来の親友。
 はやてが変わったのは、最近趣味になった映画鑑賞のせいだと思いたい。

「―――ま、あの二人は入隊確定かな?」
「まだ本人の意思は分からないけどね。新設の部隊はリスクもあるし」
「それを上回るメリットは用意したつもりや。あのスバルって娘はともかく、ティアナの方はその辺の勘定をきっちりするタイプやろ」
「気に入ったみたいだね?」
「今度コレクションのピースメーカーで、あのクルクルやってもらお」

 そっちかよ。
 なのははツッコミを自重し、ニヤニヤ笑うはやての発言をスルーした。

「部隊のメンバーは、新人があと二人だっけ?」
「フェイトちゃんが担当しとる方やな」
「そっちは?」
「今、別世界。シグナムに迎えに行ってもろとるよ」
246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:31:20 ID:8L8H04ZL
支援するのは構わんが、別に読んでしまってもいいのだろう?
247魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:31:53 ID:VNleiHBx
 もうこっちに向かってる頃かもしれない、と付け加えて、はやてはもう一度眼下を眺めた。
 飽きもせず走り回るティアナとスバルの姿。視線を移せば、隣に立つ親友と、こちらに向かって駆けて来るもう一人の親友。そしてかけがえのない小さなパートナー。加えて、今この場にはいないが頼もしい騎士達。
 思い返すと胸の内に湧き上がってくるものは、しかし少女であった頃の懐かしさや過去への感傷ではない。
 私達はもう一度集った。
 それは懐かしむ為ではなく、馴れ合う為ではなく―――かつてと同じで、しかし全く違う成長した一歩を踏み出す為。
 あの時、まだ自らの足で歩けなかった自分を支えて共に進んでくれた仲間達を、今度は自らが先頭となって率いる為に。
 まずは一歩――――。
 進むとしよう。この八神はやてが望む高みを、その先に見る光景を、彼女達と共に眺めてみたいと思って積み重ねてきた年月がようやく始まるのだ。
 それを野心と言えば、それまでだが……。

「刺激があるから人生は楽しい―――そうやろ?」

 自分自身とこれから歩む未来に待つ何かに向けて、はやては不敵に微笑んだ。



「……ところで、なのはちゃん。部隊名の通称なんやけど<レツゴー三匹>と<シャッフル同盟>どっちがええ?」
「いや、通称とかどっちもいらないでしょ……」






 その廃棄都市の一角には奇妙な空間が出来上がっていた。
 普通の人間にはあ立ち入ることの出来ない結界によって封鎖された空間。深夜、その隔離された空間で戦闘が繰り広げられる。

『―――ヴィータちゃん、ザフィーラ。追い込んだわ。<ガジェットT型>……そっちに三体!』

 観測魔法を展開し、敵の動きを完全に把握したシャマルの支持に従い、二人の騎士が無人の街を駆ける。
 ネズミ捕りの籠に飛び込んだ獲物は、鋼鉄の曲線ボディとセンサーの眼を持つ無人機械だった。夜の闇に紛れ、浮遊する三つの機影は路地裏へと逃げ込む。
 しかし、そこには既に鋼をも切り裂く牙と爪を持つ獣が待ち構えていた。

「てぉああああああああああああぁぁーーーっ!!」

 まさしく魔獣の咆哮が響き渡り、それに呼応するように地面から閃光の槍が隆起して低空を滑走していたガジェットを一体串刺しにした。
 爆発四散する『仲間』を尻目に、無機質な敵は地上の脅威を逃れようと空高く上昇する。

「でぇぇーーーいっ!!」

 もちろん、それすらも追い込まれた敵にとっては許されない。
 上空で待ち構えていたヴィータが急降下し、漲る魔力を乗せたグラーフ・アイゼンを叩き込んだ。
 接触する寸前、魔法を無効化させるAMFによってわずかな抵抗を感じるが、物理的攻撃力と何より瞬発的ではない『加え続ける威力』によって、それを打ち破ったハンマーがガジェットの機体をビルの壁まで吹き飛ばした。
 これで二体。しかし、最後の一体は逃走を続ける。

「アイゼン!」
《Schwalbefliegen》

 鉄球を打ち出す中距離魔法。AMFを考慮して、大型鉄球を放つ単発式の一撃を放つ。
 大口径の弾丸は逃げるガジェットを正確に補足し、そのフィールドを貫いて見事撃破した。

「やったか」
「……シャマル、残りは?」
『残存反応なし。全部潰したわ』

 確認を終えたヴィータとザフィーラが地上で合流する。
 人の立ち入らない結界の中、戦闘の音は消え、夜の静寂が辺りを包んでいた。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:31:54 ID:0GhHEZvE
スバルwww
249名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:32:28 ID:L94332Nz
ここから先はR指定だ。
けれども、支援するぜ? HAHAHA!
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:32:47 ID:7u2+E3MG
シャッフル同盟に一票支援
251魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:34:19 ID:VNleiHBx
「―――出現の頻度も数も、増えてきているな」
「ああ、動きも段々賢くなってきてる」

 黒煙を上げるガジェットの残骸を見下ろし、二人は同じ危惧を抱く。今は小さな不安だが、これが徐々に大きさと数を増していくような嫌な予感を覚えた。戦士の予感は無視できない。

「我々はともかく、新人には厳しい相手だ。まったく、問題ばかり増える」
「この仕事で問題以外に増えるもんあるかよ? ちょっと前までバカな噂話だった、例の変な襲撃事件も増えてるらしいじゃねえか」
「被害も無視できんレベルになりつつあるらしいな。ガジェットとは違うらしいが……シャマル、何をしている?」

 言葉を交わしながらも警戒はまだ怠らず、ザフィーラは何故かこちらに合流しようとしないシャマルに念話を送った。
 築き上げた戦闘経験はどんなレーダーよりも正確に異常を察知して無意識に体を動かす。敵の全滅を知りながら、まだ力の抜けない体が何よりも雄弁に警告を発していた。
 ―――まだ、終わってはいない。

『―――待って! 反応が出たわ、ガジェットじゃない!』

 やはりか。
 驚きはなく、ヴィータとザフィーラはどこか予知していたかのように戦闘体勢を取り直した。

『……何、この反応? 次元震? そんな馬鹿な……!』
「おい、シャマル! 敵の数は?」
『分からないわ……』
「はあ!? しっかりしろよ、じゃあどっから来るんだ?」
『分からないのよ! 二人の周辺で魔力波が起きてる、見たこともない動きだわ! 気をつけて、すぐ近くでいくつも集束し始めてる!』

 久しく聞いていないシャマルの焦った声色を聞き、周囲に視線を走らせる。
 その瞬間、二人はこの世ならざる光景を目撃した。
 周囲の闇が凝固し、形となって現実に産み落とされる。それは比喩的な表現ではなく、まさしくそうとしか言い表せないような誕生の瞬間だった。

「なんだ……コイツら?」

 何も無い空間から、滲み出るように無数の黒い獣が現れる。ヴィータとザフィーラにはソレが何であるのか分からなかったが、猿の体と犬の頭を合わせたような奇怪な姿が生物として真っ当な存在でないことは理解出来た。
 いや、ともすれば幻覚と思ってしまいそうな頼りないおぼろげな輪郭を持つそいつらは酷く非現実的な印象を与えた。果たしてこいつらは『生きて』さえいるのか、それすらハッキリと分からない。
 ただ一つだけ、この悪意の塊のような姿と不気味な眼光を持つ獣達が全て例外なく的であることだけは確信できた。

『転移魔法でもない、出現前の予兆さえなかったわ。結界だってあるのに……』
「謎の襲撃? なんだよ、噂をすればか」
「ああ、おそらくこれまでの襲撃事件の原因はこいつらだ」

 管理局内で徐々に深刻化しつつある事件の噂を思い出し、ヴィータは納得したように頷いた。
 敵の正体は不明だ。しかし、とりあえず一つだけ分かった。ならば、十分だ。あとはいつも通り。

「来いよ化け物、剥製にしてやる」

 幼い少女の外見をした騎士は具現化した夜の闇に向け、歯を剥いて笑った。野獣が牙を剥く仕草と同じように。
 挑みかかるその姿に向けて、一匹の獣が飛び掛る。
 小柄な肉体に見合った身軽な動きで跳躍し、その牙と爪でヴィータを切り裂かんと迫った。
 しかし、その動きは『身軽』ではあれど、決して『速い』ものではなかった。
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:35:27 ID:L3X0aoNV
悪魔キター
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:36:07 ID:8/jFUbOP
悪魔来た支援
254名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:36:07 ID:8L8H04ZL
一心不乱の大支援を!!
255魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:36:12 ID:VNleiHBx
「―――遅いぜ」

 少なくとも、歴戦の騎士を相手取っては。

「この、単細胞の猿野郎がぁああーーーっ!!」

 迎撃態勢を整え切っていたヴィータが全身を捻ってハンマーをフルスイング。その軌道に飛び込んだ愚かしい塊を壁まで殴り飛ばした。
 肉の潰れる嫌な音が響き、獣の体が壁一面に『飛び散る』
 だが一見グロテスクなその光景も、獣の体を構成する血肉に代わる黒い何かのせいで奇妙なものに映った。潰れた黒い塊となった獣の死体は、すぐに消滅して跡形もなくなる。
 残された<レッドオーブ>と呼称される謎の石だけが浮いていた。そして、それもすぐに消えてなくなる。

「見た目だけだ、弱え!」
「いや……今度は一斉に来るぞ!!」

 いつの間にか周囲を取り囲んでいた同種族の闇の獣が、ザフィーラの言葉を肯定するかのように、次々と無秩序に襲い掛かり始めた。
 それをヴィータとザフィーラ、二人の騎士が汚れない意思と力で迎え撃つ。
 名も知らぬ闇の獣達は、不気味な存在感とは裏腹に一体一体の力は強いものではなかった。
 ヴィータのグラーフ・アイゼンが一騎当千とばかりに群がる敵を薙ぎ払い、ザフィーラの牙と爪は敵のそれを易々砕き、切り裂く。
 パワーもスピードも、その矮小な闇の塊は劣っていた。
 しかし、ただ一つ。周囲に満ちる闇を原材料としているかのように、数だけはまるで無尽蔵に湧き出てくる。路地裏の暗闇が敵を無数に生み落としていた。

「キリがない! シャマル、元は絶てんのか!?」
『そこら中がワケの分からない魔力反応だらけよ! 召喚魔法じゃない、人為的なものじゃないんだわ!』
「このまま敵が尽きるまで待てと言うのか!」
「上等だ! シャマル、結界はそのままで、絶対にこいつらを外に出すんじゃねえぞ! 夜明けまでぶっ飛ばし続けてやる!!」

 夜そのものと戦っているように、無限に沸き続ける敵。その群れの中で真紅の力は暴れ狂った。
 幼い顔立ちに炎の意志を宿した少女が、闇の獣を薙ぎ払う。
 圧倒的な力の差に、無限の数を味方につけた獣達にも怯えのようなものが見え始めた。僅かな鈍りを見せた敵の動きを突いて、鋼の軛が放たれる。
 闇を前にしても揺るがない騎士の力が闇を払い始めた。
 ―――しかし、その時。

『―――っ!? 生体反応、近くに人がいるわ!』
「んなにぃ!?」

 混乱する状況の把握に努めていたシャマルが、結界内に侵入した人間の反応を捉えて悲鳴を上げた。
 応援を呼んでいないのだから魔導師ではない。察知した反応を解析してみても、それは間違いなく紛れ込んだ一般人に他ならなかった。

「このポイントに住人がいないことは下調べしてあったんだろ!?」

 空間を操作する結界は微妙な均衡でなりたっている。魔力を持つ者が意図せず内部に入り込んでしまう危険性はあった。特に、このミッドチルダではより大きな可能性としてある。
 だからこそ、ガジェットを追い込む場所を選び、そこは入念に調べてあったはずなのに。
 歯噛みするヴィータの視界で敵の動きが変化する。何匹かが別の標的に向かって動き始めた。奴らも他の人間に気づいたのだ。

「先行した陸戦部隊は何してたんだよ!?」
『進入したのは子供よ! 居住権のない、廃棄都市に住む違法遊民だわ。だから……!』
「だから!?」

 ザフィーラの援護を受け、舌打ちして駆け出したヴィータは先を走る数匹の獣と、その更に先で立ち竦む幼い少女の姿を見た。

「『だから』なんだ!?」

 獣は、まるで自分達の目的が戦う事ではなく殺戮であると言わんばかりに、嬉々とした奇声を上げて少女に襲い掛かった。
 少女、怯え竦んだまま逃げない。否。足が不自由なのか杖をついている。転んだ。逃げられない。
 何故か脳裏にはやての姿が浮かんだ。満足に動けぬ者を蹂躙する悪意。そんなことは絶対に許せない!
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:37:43 ID:7u2+E3MG
DAKARA支援
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:37:47 ID:uOYduXme
悪魔支援
258魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:38:21 ID:VNleiHBx
「『だから』って―――命に変わりねぇだろぉがぁぁぁあああっ!!!」

 純粋な怒りが爆発した。
 咆哮と共に地面を蹴り砕き、地面を滑るように超低空で飛行する。そのまま駒のように回転し、少女に飛び掛る獣の群れの横腹へ遠心力の乗ったハンマーを叩き込んだ。
 荒れ狂う嵐に飛び込んだに等しい暴力を受け、敵はズタズタに叩き潰されて周囲に飛び散る。
 着地した足で地面を削って回転の余力を殺しながらヴィータは少女の安否を確認する。最初に飛び掛った敵の群れは一掃出来た。
 しかし、敵には無限の数がある。すぐさま後続の獣が少女に駆け寄るのが見えた。
 すぐさまその間に立ち塞がり、叩き伏せる。
 振り下ろしたアイゼンの先端と地面の間で敵の頭が潰れる音が響き―――そしてその背後の影に隠れていたもう一匹が歯を剥いて襲い掛かるのを取れた時、すでに致命的な隙が出来ていた。

「ヴィータ!!」

 ザフィーラの叫びが遠くで聞こえる。
 援護は無し。回避行動も駄目だ、後ろで動けない少女がいる。シールドが間に合うか否かの刹那の間に、ヴィータは反射的に開かれた獣の口に腕を盾にして差し出し―――。



「―――Bingo」

 顔の横からぬっと突き出た銃型デバイスから轟音と共に高密度の魔力弾が発射され、眼前まで迫っていた獣の頭を跡形も無く吹き飛ばした。



「誰だ!?」

 答える代わりに、いつの間にかヴィータの背後に現れたその男はゆっくりと月明かりの下へ歩み出た。
 怯える少女と警戒するヴィータを素通りし、目の前で待ち構える闇の獣の群れへ向けて無造作に歩を進めていく。この戦場の中で、一歩一歩が優雅とすら言える余裕のある足取りだった。
 左手には先ほどの強力な魔力弾を放った銃型のデバイスが握られている。カートリッジシステムすら搭載してない簡易的なそれの性能を見る限り、あの威力は男の純粋な魔力が生み出したものだ。
 右手に提げたギターケースと派手な真紅のロングコートが戦いの場で奇妙に浮いていた。端正な顔立ちに浮かぶ、周囲の闇を見据えて尚不敵に笑う表情も。

「……何者だ?」

 駆けつけたザフィーラが周囲の敵に向けるものと同じ、いやそれ以上の警戒を露わに尋ねる。
 この男が只者ではないことを、長年の勘が告げていた。
 三つ巴の緊迫した空気の中、男は狼の姿をしたザフィーラの言葉に大げさに驚いて肩を竦めて見せる。

「ワオ、おしゃべりワンちゃん? コンクールに出てみたら? きっと優勝間違いなしだろうぜ」
「ふざけるな」

 挑発交じりのからかう仕草を、ザフィーラは鋭く睨み付けた。

「私は、犬ではない。守護獣だ」
「そっちかよ。そんなことどうでもいいから、テメエ何者か答えろ」

 どうでもいい発言に恨めしげな視線を向けるザフィーラを無視して、代わりにヴィータが問い詰めた。

「俺はただの仕事熱心な何でも屋さ。今日は目の前にいるクソどもを狩りに来た」
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:38:45 ID:eZVWlvKW
悪魔狩人支援
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:38:56 ID:0GhHEZvE
陸線部隊真面目に働けよ。
支援
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:40:17 ID:L94332Nz
所詮陸戦部隊か 支援
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:40:21 ID:uOYduXme
ダンテキターーーーー
263魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:40:21 ID:VNleiHBx
 男は笑いながら答えた。その余裕たっぷりの態度が気に障る。
 ヴィータが敵意を持って、自分を相手にしない男の横顔を睨み付けた。その時。

 ―――ダァァァンテェェェェェ。

 空耳か、とヴィータは思った。
 だが、そうではない。

 ―――ダァァァンテェェェェェ。
 ―――ダァァァンテェェェェェ。

 再び声が聞こえる。
 その声が周囲でにわかに殺気立ち始めた獣達の発するものだと理解するのに時間が掛かった。
 怨嗟にも似た濁った声色は、しかし確かに人語で名前のようなものを口々に叫んでいた。まるでその名の主を呪うように。

「……<ダンテ>?」

 ヴィータは男の顔をもう一度見た。
 男は―――ダンテは笑っていた。自分に向けられる憎しみと呪いの声を一身に受けて。

「見ろよ、熱烈な歓迎ぶりだ。こっちがどれだけ嫌がっても、奴らは強引にパーティーへ誘おうとしやがる」
「テメエ……一体何者なんだ?」

 幾度目かの問いに、しかしダンテは冷たい微笑を返すだけだった。
 そして、ダンテの視線が逸れた一瞬で、一匹の獣が耐え切れなくなったかのように跳躍した。真っ直ぐにダンテの首目掛けて襲い掛かる。
 ヴィータとザフィーラはその光景を見守った。乱入してきた謎の男への警戒と、それ以外の曖昧な理由が助けることを拒んだのだ。
 二つの視線と無数の悪意が向けられる中、ダンテは眼前にまで敵が迫る状況で悠長とも言える動きでギターケースの鍵を外し―――。

「がっつくなよ、ベイビー……」

 開いたケースを盾にして爪の一撃を防ぎ、そこから『中身』を引きずり出して振り被った。

「すぐにキスしてやるぜ!」

 風を切る鋭い音共に、閃光が一直線に頭上から地面へと伸びた。
 その閃光の軌道にあったギターケースごと、獣の体は頭頂部から股下まで真っ二つに斬り裂かれる。二つになった塊が黒い血肉を撒き散らして、空中で消滅した。
 振り下ろされたのは剣。それも長身のダンテと比較しても巨大な大剣だった。
 悪魔の頭蓋を連想する不気味な装飾と肉厚の刀身を持つ、その剣の名は<リベリオン>
 鉛色の刃が放つ凶悪な光と、たった今見せた絶大な威力に、ヴィータとザフィーラは息を呑む。
 振り抜いた剣を改めて背負い、ダンテは相手を挑発してやまない、いつもの笑みを浮かべて周囲の闇を見渡した。
 闇に蠢く者たちが一斉に騒ぎ立て始める。それはもはや言葉ではなく咆哮であり、そこに含むものは怒号でもあり恐怖でもあった。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:40:54 ID:0GhHEZvE
ダンテ兄貴キターー!
支援
265魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:41:43 ID:VNleiHBx
「This party is getting crazy(イカれたパーティの始まりか)……」

 夜の闇を嘲笑うかのような暗い情熱がダンテの瞳に宿る。
 もう一挺のデバイスをガンホルダーから抜き出すと、自身に殺到する殺意を全て受け止めるように両手を広げた。



「―――Let's Rock!」

 そして唐突に、両手から放たれた魔力の銃火を以ってダンテは<悪魔>との戦闘を開始した。






to be continued…>






<ダンテの悪魔解説コーナー>



ムシラ(DMC2に登場)

 猿と犬をくっつけて失敗しちまったような造形をしたコイツらは、悪魔の餌食となった罪人の魂の悪意や欲望の残骸から生まれた低級な魔だ。
 残忍さと醜悪な外見だけは悪魔らしいが、能力的にはやはり雑魚に違いない。
 跳ね回るすばしっこさと壁に張り付くほどの身軽さはなかなかだが、まあ特色を挙げるとしてもそれくらいだ。
 しかし、全ての低級悪魔に言えることだが、奴らは一体の質が薄い代わりによく似た同類を無数に持っていやがる。
 二、三体ならともかく、大量に出た場合は並のハンターでも逃げることをおすすめするね。
 だが、もし並じゃない奴なら、俺から言えることは一つだけだ。
 『ビビることはない、クソどもを蹴散らしてやろうぜ?』
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:41:59 ID:L94332Nz
ダンテええええええ!
今日はパーティの始まりだ! 支援!!
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:42:09 ID:uOYduXme
燃えるぜハート! 震えるぜダンテ兄貴!!
支援
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:42:27 ID:7u2+E3MG
平均ランクC〜DでBJすら支給されてない部隊だからな、仕方あるめぇ
支援
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:46:46 ID:108BHWdC
支援
270魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:48:02 ID:VNleiHBx
投下完了。後半はR指定だ。お子様は帰って寝な!

今回は後半部分の読み直しが足りないかなーと思ってたので護持が怖い。
まあでもDMC4プレイ動画見て、書いてるときのテンションだけは最高でしたw
いろいろ補足したい部分はあるけど、書き終わったあとで無粋ですね。また以降のストーリーで描いていきたいです。
ちなみに、次回はキャロを深く掘り下げようと思います。薄幸の少女は好物だっつーの!
はやてのキャラに関しては、原作の真面目で物静かなキャラとおっぱい魔人のキャラを融合させたらこうなりました。
やっぱね、いい人キャラだけじゃダメですよw
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:49:11 ID:eZVWlvKW
GJ!
一般人にとっては低級悪魔でもやばいからな
蟻ならどこの世界にでもいそうだけど
力の差ゆえに恐怖の対象となってしまう
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:49:16 ID:uR0/OYES
GJ!!でした。ダンテ登場でこれからの展開が楽しみです。

>>241
なんか格好良い。
273魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 01:51:18 ID:VNleiHBx
護持=誤字ね。もうすでに前途多難(汗
274リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 01:51:49 ID:7y5OOXrq
GJ
三十分後に僕も投下します。
今回は戦闘シーンが一瞬だけというとても特殊な仕上がりにしているので苦手な人はとことん苦手かも…
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:53:10 ID:mb8NKM8d
GJ!
ダンテのかっこよさもすごいがヴィータもかっこいい!
というかスバル言葉間違いすぎwww
276リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 01:56:42 ID:eAQKvuqN
|ω・) <規制解除できたかな?
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:56:49 ID:uOYduXme
GJと言わざる得ない。
そしてエリオがラッキースケベであることは疑いようがない。
ダンテとキャロの絡みも見てみたい。
Stylish氏の次なる活躍(次話)を待って寝ることとする。

278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 01:59:33 ID:8L8H04ZL
なんというスタイリッシュ!
さすがだ!

次回も心待ちにしてます
279Strikers May Cry:2008/02/02(土) 02:01:05 ID:TiNgN6Zw
蝶GJとしか良い様が無い!!! マジ最高ですがな!!

ところで店主よっ! このダンテはアニメ版が下地か!? ならば声は森川さんでルックスはかなりの美形と見た!!

しっかし事件の本筋がどうなるのか全然予想がつかねえぜ。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:01:16 ID:469uTxzl
とりあえずシャッフル同盟に一票。

ティアナ格好いいし、ダンテの兄貴も出て来たし、ますます次が楽しみになってきましたよ。
GJ!!
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:02:44 ID:7u2+E3MG
>>270
乙&GJ!
スバルとティアナのやり取りにニヨニヨさせてもらったぜ
ノリでギターケース壊したダンテ涙目w

読んでて思ったんだが文章が横に長くて読みづらい
文章の意味を考えると改行のタイミングは丁度いいとは思うんだけど
長くなりすぎないように句読点で改行していったほうが良くないか?
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:03:01 ID:vnRQ59Lq
GJ!!です。
キャロが悪魔の存在を知っているとは、
それは旅のお供、バクラが使役してい……違いますか、スイマセンw
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:05:35 ID:eZVWlvKW
>>281
彼が貧乏な原因がそれだろ?
母親にもかなり怒られてたらしいし

>>282
おいおいおいおいw
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:09:33 ID:SQnDK7ze
GJ。キャロに悪魔を絡めるのは上手いなぁ。
境遇にもそれだけで説明できてしまう。
285魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 02:17:41 ID:VNleiHBx
>>281
スレ投下の小説では、その辺が難しいっすね。
一応、意識して横に続かないようにはしてるんですが、区切るまでの描写がどうしても長引いてしまうんですわ。
あまり改行しても、投下分が増えて規制が怖いですしねえ。
しかし、貴重な意見ではあります。なんとか文章とかで工夫してみます。
286リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:18:37 ID:7y5OOXrq
行きます

【レッドドラゴンサイド】四話「武の在り方」Aパート
【市街地】
「グルオオオオオオオ!!」
「ハアッ!」
「すごい…あれが達人同士の…」

ヴェイトとブレードライオンの剣戟戦は熾烈を極め、お互いの剣が激突と鍔迫りを繰り返し火花を散らす。
ディードはそんな二人の戦いに完全に魅入っていた。
そして幾度か激突した後、二人は間合いを取って睨みあう。

「やるなヴェイト…その剣技…天然理心流か…」
「この流派を知っているとは…貴様…元地球人か?」
「違う…俺は強敵を求め、世界中を流離う剣豪だ。だから地球の流派も全て頭にある。」
「何?」

【ブレードライオンの回想】
俺が住んでいた世界は治安が悪く…戦争が絶えなかった…
物心付いたころから殺戮の世界で生きていた俺は、剣の才能に恵まれ、手に入れた日本刀と、自分の卓越した剣腕を振るい…多くの敵を切り殺してきた…
(日本刀を振るい、沢山の軍人を斬る少年(ブレードライオン))

そして一ヶ月前…俺の前にAAMONのドクトルGと出合った。
奴は…
「お前を最強の剣士にしてやる。その代わり、我々の指定した人間を斬るのが条件だ。」
とな…

そして俺は改造手術を受け、愛刀とライオンの合成怪人となった…
………

「俺は最強の剣士になった!何もかも切り捨てることができる最強の剣士に!俺はこれからも俺自身の強さと剣の為に人を斬る!俺が最強であるために…」
「違う!」
「ん?」
「剣術は、剣士同士が切磋琢磨するためにあるもの…己の愉悦や憎しみというくだらない個人的な感情のために剣を振るい人を斬るなど言語道断!この私が…「仮面ライダー」の名の下に貴様を切り捨てる!!」
「(龍が…あんなに熱く…)」

ディードは、凶剣を振るうブレードライオンに対し、怒りを剥き出しにするヴェイト=龍の姿に驚く。

「面白い…貴様の言葉と俺の言葉…どちらが正しいか証明してやる…ライダーヴェイト!貴様に決闘を申し込む!」
「何!?」
「二週間後の午後0時!煉獄山の頂上に来い!そこが決闘の場所だ!待っているぞ!」

ブレードライオンはそう言い残し、姿を消した。

「…」

ヴェイトは変身を解除し、龍に戻る。

「龍…」
「…」

龍は持っていたツインブレイズをディードに返す。

「龍、どうしたんですか?」
「今の俺では…奴には勝てない…」
「え?しかし…」
「奴は本気を出していなかった…もし本気で戦っていたら…俺は負けていたかもしれない…」
287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:19:23 ID:0GhHEZvE
gjだぜ。
ついにダンテ兄貴登場と言うことで、次回以降がもう今から楽しみで仕方ないです
しかし毎回のことながらティアナが可愛いな。
冷静に振る舞ってるけど実は自信が無いとか大好物ですよ?


チラ裏ですが、なんか個人的に、ダンテにはヴィータがやたら似合うイメージが…
なんかいい感じになりそうな気がするんですよねぇ、この二人
やはり赤いからか。ツンデレキャラとダンテ相性良さそうだし
しかしそうなるとダンテがロリコンに…
288リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:19:42 ID:7y5OOXrq
龍の額から一筋の冷や汗が流れる。
ディードはこんな龍の姿を見るのは初めてだった。

「(龍が…怯えている?)」
「こうなったら…あれを会得するしかない…」
「あれ…とは?」
「天然理心流・無明剣だ!」

天然理心流・無明剣…
篭手、胴、面と三回に渡って素早い突きを繰り返し、引く度に横に払う、別名「三段突き」と呼ばれている剣技。
見ている者には、あわせて一つの突きにしか見えないほど素早い。
これを会得した人物は、新撰組一番隊組長・沖田総司のみと言われている。

「だが、俺は無明剣を会得した人間をもう一人知っている。」
「え?」
「俺の剣術の先輩である、霧山流という人だ。」
「龍の、先輩?」
「百年に一度の天才といわれた剣術家で、無明剣を会得した二人目の人間だ。
だが、今は…」
「今は?」
「…なんでもない。とにかく戻るぞ。」
「はい!」

【陸士部隊支部訓練所】
「ああ!?決闘を申し込まれただ!?」

口を大きく開けて驚くノーヴェ。

「ああ。」
「決闘なんて、変わった怪人もいるもんだね。」
「そうっスねぇ〜」

セインとウェンディは感心する。

「俺は無明剣を会得するため、暫く山に篭る。」
「シャッハ、悪いが俺が不在の間、皆の面倒を頼むぞ。」
「はい!この身にかけて!」
「龍!」

胸に握り拳をあて、体育座りから立ち上がるディード。

「何だ?」
「私も…付き合います。」
「駄目だ。」

即答だった。

「!?」
「お前はお前の腕を磨け。」
「…分かり…ました…」

数時間後、龍はテント、毛布、食糧、そして流から貰った名刀「長曾根虎徹」を持ち、煉獄山の隣にある山である地獄山に向かった。
289リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:21:42 ID:7y5OOXrq
【三日後 陸士部隊支部食堂】
「…」
「ノ〜ヴェ〜、最近あんまり食べないっスけど、どうしたんスか?」
「なんでもねぇよ…」
「分かった!龍が三日も帰ってこないから寂しいんスね!」
「だーかーら!違う!あたしはあいつが大嫌いなんだよ!」
「そのツンデレがいつまで続くか…」
「…ねぇ。」

楽しそうにノーヴェをからかうウェンディにオットーが話しかける。

「何スか?」
「ディードは?」
「ああ、ディードなら…」

【地獄山ふもと】
「…」

ディードは重箱を両手で持ち、黒い長袖を着、ジーパンを履いていた。
ディードは昼食を自分で作り、龍に届けようとしていたのだ。

「(ちゃんと、龍の口に合うかな?)」

そんなことを考えながらディードは山に登り始める。

【地獄山河原】
ディードは二十分ほど歩き、テントが張られ、焚き火が燃えている河原に着いた。
辺りを見回すと、胴着を纏い、虎徹を正眼に構えた龍の姿を見つけた。

「居た…りゅ…!」

ディードが声をかけようとした瞬間、彼女は龍の姿に驚いた
龍の道着はボロボロになり、体は泥に塗れ、刀の柄には血が滲んでいたのだ。

「龍!」

ディードは急いで龍の傍に駆け寄り、重箱を地面において龍の刀を彼の手から強引に奪い取り、刀身を傷つけないようにそっと重箱の隣におく。
そして彼女は刀を放した彼の掌を見る。

「ディード…」
「…!」

龍の掌は無数の血豆が潰れ、見るからに痛々しい。
ディードは思わずハンカチを取り出して二つに裂き、龍の両手に巻きつけた。

「こんなになって…」
「気にするな…俺は改造人間だ。」
「でも…」
「俺は無明剣を会得しなければならない。休んでいる暇はないんだ。」
「…」
「…だが。」
「え?」
「飯を食う暇はある。」
290リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:22:19 ID:7y5OOXrq
龍はディードが持ってきた重箱を見つめる。

「流石に、三日連続で蛇やムカデは飽きてきた。」
「蛇?ムカデ?」
「今度演習する時、食わせてやる。」
「あ…はい…」

………
四十分後、二人はテントの前で重箱の中身を全て食べ終えた。

「ふう…中々美味いな。初めて作ったとは思えん。」
「本当…ですか?」
「ああ。」
「龍は声がとても低いから…分かりにくいです。」
「そうか…」

少しの間黙る二人。
三分ほど経った後、流石に何か気まずいと思ったのかディードが口を開く。

「そういえば…」
「ん?」
「流と言う人は…どういう人だったんですか?」
「そうだな…三十一歳の若き天然理心流指南免許、奥義「浮き鳥の位」の域に達し、沖田総司しか会得し得なかった無明剣を会得…絵に描いたような剣術の天才さ。」
「今は、どうして?」
「…」

龍はうつむき、目を細める。

「…龍?」
「死んだよ。」
「え?」

【龍の回想 病院 流の病室】
流さんは、心臓に病を持っていた…そして…病が悪化した二週間後、流さんは…

「流さん!流さん!」
「龍…武のあり方を…忘れるな…」

(目を閉じ、安らかな顔で眠りに付く流)

「流さん!流…さん…うわあああああああああああああ!!」

………

「流さんは…師範や俺を含む同門の仲間たちに見守られながら…亡くなった…」
「…ごめんなさい。」
「フン…珍しいこともあるもんだな。冷徹なお前が謝るとは。」

龍は立ち上がり、地面に置かれている虎徹を手に取る。
291リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:23:36 ID:7y5OOXrq
「無明剣…未完成だが見てみるか?」
「!、はい、喜んで。」
「よし…」

龍はテントに後ろのテントに入り、焚き火用の薪を一本もって中から出てくる。
そしてディードから離れると、手に持った薪を空高く投げ、即座に剣を正眼に構える。
そして薪が目先の高さまで落ちてきた瞬間、「でやぁーーー!!」という掛け声と共に三段突きを放った。
三段突きを受けた薪は三つに切断され、地面に落ちる。

「ふう…」
「すごい…三撃の突きをあそこまで速く…」
「それじゃあ駄目だ…」
「え?」
「無明剣の剣閃は、見ているものには見えないほど素早いんだ。どんなに速かろうが、三段の突きが他人の目に見えるようでは不完全だ。ブレードライオンには勝てない。
俺はもう暫くこの山に篭る。」
「そう…ですか…」
「ただ…」
「え?」
「我侭を言えば、これから食事は届けて欲しい。蛇とムカデだけでは、持たない。」
「…!、分かりました。」

【一週間後 夜】
【陸士部隊支部 食堂】
「ねぇ…ディードは?」
「ああ、龍にご飯届けに言ったっスよ。」
「…」
「…」

眉をひそめるオットー、そして面白く無さそうな顔をするノーヴェ。

「ノーヴェ〜、ノーヴェもご飯作って持ってったらどうスか?」
「だっかっら!そんなんじゃねぇ!?」

【地獄山 河原】
「…うん、このマリネは美味かった。また作ってきてくれ。」
「はい。」
「…ふっ。」
「?」
「お前は…笑うようになったな。」
「はい…自分でも驚いています…」
「これも剣術のおかげか?」
「それと…」
「ん?」
「龍の…おかげです…」
「…」

龍はマグカップに入ったコーヒーを飲む。

「おだてても、給料は上がらないぞ。」
「私は…」
「まぁいい、今日は遅い。泊まっていけ。毛布はもう一枚ある。」
「…え?ええ!?」
「とって食いはしない。安心しろ。」
「は…はい…それは信じてます。」
292リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:24:19 ID:7y5OOXrq
【テント内】
テントの中。
二人は毛布に包まり、眠っている。
いや…ディードはそうでもなかったが…

「(なんだろう…ドキドキする…)」

ディードは頬を桜色に染めながら隣で眠っている龍の顔を覗き込む。

「(そういえば…龍はまだ十八歳…寝顔がまだ…幼い…)」

結局、龍を意識してディードは一睡も出来ず、徹夜してしまう。
夜が明け、少し眠そうに支部に戻った後、ウェンディ達に誤解されたのは言うまでもない。

【決闘一日前】
決闘一日前の夕方…

「…」
(薪を空中に投げ、剣を正眼に構える龍。)

「でやあああああーーーーーー!!」
(そして目前に薪が落ちてきた後、三段突きを繰り出す。今度は近くで見ているディードの目にも突きは一段にしか見えない。その完璧な無明剣を受けた薪は、粉々に砕け散った。)

天然理心流・無明剣が完成した。

「龍!」
「ああ、手応えはあった!俺が三人目の無明剣の会得者だ!後は…明日の決闘を待つのみ…!」
「明日は、私も付いていきます。貴方の特訓の成果…この目で見て見たい。」
「分かった。頼むぞ。」
293リリカルなのはSUMMON NIGHT:2008/02/02(土) 02:24:34 ID:eAQKvuqN
ふう、このZIPPOライターがなければ即死だったぜ。
メディック「いいえ、どう見ても即死でした」
(´・ω・`)………

代理の方(衛生兵の方)、本当に有難うございました。
連投規制はもうこりごりだよ!(世界まる見えっぽく)

こんなに沢山の感想を頂けるわStylish氏の新作はくるわ、もう今晩はお祭り騒ぎですよ!!
やっぱロボは正義だって、男の子の夢なんだってば。
だれかゼルフィルドでやってくれないかな、主に夢境氏(ターン)

>>Stylish氏
毎度毎度キャラクターへの味付けがすげぇ……。ヴィータの漢台詞と獰猛な表情に濡れたのは秘密、排尿的な意味で。
ヘタレ発言のスバルとか大人気無い怒り方のティアナとかガチだろ。
ちなみに昔からStylish氏のSSには楽しませて頂きました。
(`・ω・´)ゝ やあレイブン、生き残ってくれてて嬉しく思う。


とりあえず今回の話で彼と彼女の物語は終了です。流石に本編以降のオリジナルストーリーはこれ以上無理というか無謀。
元々は前回投下したカルドセプト嘘予告が想定したものより幼女との絡みが少なかったので、今回はそのリベンジで「もっと幼女とイチャイチャしたいお!」が主な動機でした。
そんな欲望まみれのSSでしたが皆さんの熱い支援と感想で、おまけ編まで悪ノリさせて頂きました。本当に有難うございました。
実は短編とはいえ完結した作品は初めてなので(これまでは嘘予告のみ)ちょっと感慨深いものがあります。
改めて支援感想各位の皆様、本当に有難う御座いました。

294リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:25:06 ID:7y5OOXrq
【決闘当日 煉獄山頂上】
煉獄山頂上。
既にブレードライオンが右手の大きな刀を研ぎながら、龍を今か今かと待ち構えていた。

「…来たか。」

ブレードライオンは龍の剣気を察し、立ち上がる。
そしてブレードライオンが見つめている地平線の向こうから、剣道着を身につけ、愛刀・虎徹を腰に差した龍とナンバーズスーツを着たディードが現れた。

「久しぶりだな、ブレードライオン。」
「ん?」

ブレードライオンは傷だらけの龍の姿に驚き、龍の体から発せられる未知の力を感じ取った。

「ヴェイト…貴様、なにか技を身に付けてきたな?」
「…変身。」

龍はブレードライオンの台詞を無視し、ディードを後ろに下がらせてヴェイトに変身した。
ヴェイトは虎徹を鞘から抜き、正眼に構える。

「…」
「戦えば分かる…か…面白い。」

ブレードライオンも右手の刀を構え、刃が冷たく光る。

「ブレードライオン、一騎打ちだ。剣術家同士の戦いに、余計な小競り合いは入らない…!」
「面白い…我が奥義・獅子ノ麗牙(ししのれいが)で貴様を殺してやる…!」

それだけ会話をした後、二人は膠着状態に入る。
そして五分後、木々に止まっていた小鳥の群れが一斉に飛びだった瞬間、二人は一斉に駆け出した。

「獅子ノ麗牙!グルオォォォォォォオ!!」
「天然理心流…無明剣…でやああああああーーーーー!!」

二人はすれ違いざま、お互いの必殺技を振るいあった。
結果…

「ぐっ…あ…!」

ヴェイトが胸部に強烈な斬撃を受けて膝を着き…

「…クックックック…「己の愉悦や憎しみというくだらない個人的な感情のために剣を振るい人を斬るなど言語道断!」…か…」
「ああ。武術は人と人とが切磋琢磨するもの…武のあり方を間違えた貴様に剣を持つ資格はない!」
「見事だ…皇…龍…!」

ブレードライオンの体が三つに分断され、爆発する。
ヴェイトの勝利だ。

「…」
戦いを終えたヴェイトは龍に戻り、そんな龍の傍に離れていたディードがやってくる。。

「帰るぞ、ディード。」
「はい。」

二人はそれだけ言葉を交わすと、ノーヴェ達が待っている陸士部隊支部へと帰っていった。
295リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 02:25:45 ID:7y5OOXrq
投下終了。
「なんで日本刀で怪人が倒せるんだよ?」とか「これなんのマンガだよ?」とか「戦闘シーン少なすぎ」とか「流が言ってた武のあり方と龍の言ってる武のあり方ってちょっとちがくない?」
という突っ込みはなしで…(ブルースワットだって最終回で銃喰らっても死ななかった怪人が日本刀で斬られて死んだですし)
たまには一騎打ちが書きたかっただけなんです。
お許しを…
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:28:54 ID:Wqsojwr0
>>なのは+ライダー氏

私はこのストーリーの中で、レッドドラゴンsideが一番好きです。
今後も楽しみですね。

所で・・・・タイトルの部分なんですが・・・AパートではなくてBパートでは・・・?
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:31:31 ID:0GhHEZvE
>>295
無しにしていい訳がないだろ。
仮面ライダー馬鹿にしてんのか?
日本刀は確かに素晴らしい武器ではあるが、それで怪人倒せたら世話無いわ。
いい加減オリキャラの俺TUEEEは自重しろ。
もはやクロスじゃねぇし。仮面ライダーである意味が無くなりつつあるし。
オリキャラ主人公とかありえねえだろ。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:38:36 ID:7u2+E3MG
>>285
読みづらいことは読みづらいんだけれど
それで魅力が損なわれないくらいstylish氏の作品は面白い
下手に改行云々で悩んだりして
文章のテンポが悪くなったり執筆速度が下がるくらいなら
気にしないで自由に書いて欲しいとか好き勝手言ってみる
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:39:15 ID:5WixbVML
気に入らないならスルーすればいいだろ
絶対見なくちゃいけない訳じゃないんだし
300StS+ライダー:2008/02/02(土) 02:42:31 ID:7y5OOXrq
あ…またAとB間違えた…訂正を…

>>297
やはり駄目か…
常識はずれなことができるのが昭和ライダー作品だからといって甘すぎた…
ごめんなさい。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:42:51 ID:5WixbVML
>>299>>297に対してです
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:47:17 ID:kwV5riAQ
「作品に対する感想」に噛みつくほうが荒れる原因になると思うんだが
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:48:12 ID:vnRQ59Lq
>>299
まぁ・・・仮面ライダーを愛しているからこその意見でしょう。
私も怪人とか好きですから……日本刀にライダーの能力で強化される
とかされていいればよかったのになぁとは思ってしまいます。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:51:11 ID:7u2+E3MG
この場合突っ込みどころをわざわざ後書きで提示して
予防線を張ろうとするライダー氏にも問題があったと思う
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 02:55:40 ID:PknHTxA0
というか、日本人ってなんでそんなに日本刀を神聖視するんだ?
あれ、別に強くないだろ。接近戦しか出来ないわけだし。

後よ、>>300
貴方、オリキャラ使用と言った時いろいろ言われて、
ご自分でもマナー守るとか言ってましたが、結局TUEEEEEEになってますね。


やっぱりオリキャラを使用するのは問題があった、ってことかね
306StS+ライダー:2008/02/02(土) 02:59:31 ID:7y5OOXrq
ゼロノスの時と言い今回の時と言いどうしたんだよ俺…
そういや今年はなにをやっても八方塞がりって言われたっけ…
おはらいでも受けてこようかな…
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 03:00:37 ID:sGUr3q5y
なんかもう実力のパワーバランスが完全に狂ってるって思うのは俺だけか?
まっとうなライダーを出していたStrikerSの話が懐かしい。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 03:03:24 ID:vnRQ59Lq
武士=西洋で言う貴族で、さらにその武士の誇りであるのが刀だから
日本人のほとんどの祖先である農民達から見てあれは凄い物だみたいな感じでは?
あとは、見た目の美しさやかっこよさではないでしょうか?
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 03:10:44 ID:jNISQskJ
>306
注意してくれたということはまだここから気の持ちようでいくらでも改善していけるということ!!
ポジティブにいこうぜ!
自分でこれどうかな?とか思うようなら、他のss読んで時間を置いて考えてみるとか。
とか素人の俺が言ってみるw
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 03:15:39 ID:PknHTxA0
>>308
戦場で刀ほど使いにくい武器なくね?
血がついたら切れなくなるし、わざわざ拭かないといけないし、集団戦闘に向かないし。
大抵は槍、弓でね?
首切りに使ったから=強いように見えたのかもしれんが。

見た目の美しさ、という点はあるかもしれない。
大きな合戦の無くなった江戸時代から脈々と息づいてきた工芸品としての美というやつか。
まぁ、明らかに戦闘目的の武器よりも自身を飾れるからな、刀は。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 03:20:15 ID:8NSmlqjc
剣術が最強扱いされたのは明治になってから。
理由は、幕末の動乱を生き残った連中が維新後様々な場所で中心的な立場になったから。

という話を聞いたことがある。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 03:21:10 ID:vnRQ59Lq
確か、戦場でもっとも人を殺したのが矢とかの遠距離武器でしたね。
クレヨンしんちゃんの映画で戦国時代のがあるのですがそれの方が
NHKよりリアルな感じだったのはびっくりしました。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 04:24:18 ID:TUm/MSuZ
色々と説はあるが、実際の戦場で使われていたのは
弓矢や銃などの遠距離武器と槍などのリーチのある近接武器、らしい
刀は基本的に首斬り用だったとか

>>295
そもそも日本刀というデリケートな武器をわざわざ改造人間が使ってる時点で不自然
現実では数人斬っただけで血脂や刃こぼれで使い物にならなくなったそうですよ?
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 04:34:52 ID:pzcBj3H5
前に藤岡さんが日本刀を実際に試した番組あったよね
使われた日本刀はたしか一回で壊れたけど
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 05:31:39 ID:VOUoi3ZK
ウロス向けな話題だなこりゃ、
黒縁眼鏡のオッサンが胴太貫持てば改造人間くらいなら両断できるよ!!
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 05:42:12 ID:469uTxzl
NIHONTOUなら良く斬れるよ!
317StS+ライダー:2008/02/02(土) 07:02:47 ID:7y5OOXrq
なんか起きてみたらまたなんか批判意見をいくらか見かける俺。
でも起きて深呼吸したらなんか批判が気持ち良くなって参りました。
かなり反感買ったと思うけどこれからも頑張ります。

しかし失礼ですがこれだけは言わせてください。
俺tueee!になってるとか言われてしまいましたがあれです。
ある程度強くなければ世界規模の悪の組織の相手なんか勤まりません。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 07:15:25 ID:PknHTxA0
>>317
問題なのはそれがオリキャラだってことだろ。
つか、ある程度じゃねぇだろ。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 07:19:36 ID:POSlUWn7
>>317
貴方の作品ってもう「クロス」じゃないじゃん。
世界観借りてるから大丈夫とか言わんでくれよ。それならどこぞの投稿サイトに投稿してほうがいいと思うぞ。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 07:25:26 ID:eu8WzNAd
それならダイアモンドコーティングしたKATANAの方がよくね?
魔道士に立ち向かうならサイバーウェア必須になるが
321名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 07:26:28 ID:PknHTxA0
>>317
というかさ、
“またなんか批判意見をいくらか見かける”
って何ですか?
さらに批判が気持ちよく?
改める気0ってことですか? 氏は最近うかつな発言が多すぎますよ。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 07:40:29 ID:+MZRZza4
>>315でも言われてるけど刀の話題はウロスに移ったほうが良いのでは?
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 08:18:43 ID:ZkDW/5Ja
オリキャラはともかく、「現実には日本刀は」云々を今更言ってもなあw
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 09:06:48 ID:4r+fTRdz
日本刀ダメとか言われたらなのはと桃子さん以外の高町家涙目になっちゃうし
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 09:26:08 ID:TXOMqmAT
>>320
つまり、コールドゲヘナクロスマダー?
と、いうことか

あの世界の龍もFSSほどではないにせよ強かったな
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 09:50:26 ID:sGUr3q5y
刀は居合い向け。
両刃の西洋剣でやったら抵抗が倍になるから遅くなる。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 09:53:19 ID:PeOB2hKr
日本刀は首狩り用、切れ味が良い。
つまり日本刀はモンハンにおける剥ぎ取りナイフ的なアレだったんだよ!
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 09:56:34 ID:0GhHEZvE
>>326
西洋剣が居合いできないのは反りが無いからだよ。
抜く動作が直線になってベクトルを変えにくいんだ。
反りがあると最初からある程度起動が丸いから高速で起動修正できる
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 10:24:54 ID:T/YbUUtK
オリキャラって書きやすいからね。
自分で好き勝手つくれるし、原作キャラのように台詞やなにかに気を使う必要もない。

どうしても必要でオリキャラを使ってる感じがしないんすよね。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 10:31:27 ID:+MZRZza4
スパロボのオリジナルパイロットのノリかもしれない
ユニットの改造優先度トップ、当然強い

オリキャラを出すとしたら、あくまでもクロス作品に登場する1キャラクターって扱いが望ましい、かな
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 10:37:04 ID:T/YbUUtK
そういえば居合いってなに?
るろ剣の抜刀術は居合いなの?
ウロスレ
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1201850471/
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 10:41:28 ID:7u2+E3MG
クロス設定や物語の都合上出さざるを得ないオリキャラなら問題はないんだろうけどな
オリキャラを動かすためのクロス設定、物語になるとやばくなる
333StS+ライダー:2008/02/02(土) 10:47:28 ID:7y5OOXrq
>>349
平成ライダーには昭和ライダーの代わりができる人間が一人もいないんですよ。
かといって光太郎や勝を主人公にするわけにもいきませんし。(彼らは強すぎる上に歳のため)
だからオリキャラ作ったんです。

最後にひとつだけ。
私は俺tueee!してる気は微塵もありません。
ただでてきた怪人を倒すという話を書いているだけです。
私の話が嫌いなら叩いても罵ってもガン無視しても構いません。
ただ私は投下をやめるつもりはありません。
以上。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 11:07:15 ID:YIH6QI9g
んー、だれかFFXのアーロンがやってくるの書いてくんないかなぁ。となんとなく思った
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 11:08:47 ID:+WM9cv+1
最高だぜ あれは日本刀を通じてストーンの力を流したのでは」
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 11:16:46 ID:VP/H+KuG
>>333
話はともかく態度が気に入った
やり切ってみれば良い
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 11:17:29 ID:TuycUyGZ
乙です。

日本刀問題なら、大丈夫ですよ。
そもそも特撮番組としての仮面ライダーは時代劇の延長ですから。
『暴れん坊将軍』で山田浅右衛門が、刃引きした刀で石灯籠を叩き切ったくらいです。
ちゃんとした日本刀でそれよりある意味柔らかい怪人を切るくらいは、ねぇ?

因みに、藤岡さんが日本刀で切ったというのは、『リアル斬鉄剣』の話でしょう。あれは厳密には日本刀では無いのですが。
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 11:18:58 ID:sey3ENj/
何か久々に覘きに来たら微妙に剣呑な空気だなぁ……。
良いじゃないか、件のオリキャラ君が後々見事な負けロールプレイを咬まして
更に敵に捕えられて姫ポジションになってなのは達やライダー達の
活躍動機のひとつに積極的に興されてくれるとかしてくれれば
「 計 画 通 り ! w 」で後々丸く納まるだろうから、さw
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 11:38:17 ID:/fuSe3N2
俺としては氏が刀と太刀の違い、居合い術と抜刀術の違いについて理解しているかが気になる。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 11:44:12 ID:sey3ENj/
>>339
>居合い術と抜刀術の違い
打刀と太刀の違いはそこそこ知れ渡ってるけど、
此方の違いは余り知られてないからねぇ。
元を辿ればるろうに剣心が世間への誤認を推進した大要因だけれど。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 12:01:18 ID:2zqw2AU1
普通にStS+ライダーさんの作品が大好きな俺が異端であることはよくわかった。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 12:04:42 ID:SXcdkFHU
>>333
取りあえず>>1に違反してるんじゃない?

>ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
>ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
>オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
世界観借りてるだけのオリネタでしょ?
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 12:24:45 ID:5Lcd0wsf
オリキャラが使いやすいって人もいるけど、整合性や相性を気にすると非常に使い辛い。
自分の中のイメージが、見てる人に伝わらないのも一因だと思う。絵があれば違ってくるんだろうけど。
とりあえず、やりたいことを詰め込もうとしてるのは嫌いじゃないし、終わってみないと解らないかな。応援してます。

>>342
ここ数話オリネタがメインだったけど、作品自体がオリだけじゃないからいいんじゃない?
スレ住民自ら、色んな遊び方の可能性を狭めることもないと思う。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 12:40:21 ID:khPxm1sL
334
なら自分は月刊ガンガンのツインシグナルのクロス読みたいです。 これは面白いハズ(`・ω・´)
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 13:01:35 ID:Qp3qGI6T
避難所の方に、毒吐きでもつくる?
「本音で語るスレ」というのがあるけど、なんか弱いし。
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 13:09:36 ID:M262+dIk
>>333
なんで…そう言う事を言ってしまうんでしょうか…
いろいろと考えがあっての事なのでしょうが、そのような発言は控えるべきだったのではないでしょうか?
少なくとも、そのレスで反感を持つ人、それはアンチでも何でもなく、不特定多数の読者が出てくる事は考えなかったのですか?
氏の作品はまだ途中までしか読んでおりませんが、氏の発言により、私は抵抗感と言うフィルター越しにしかこれからは作品を読めなくなると思います
いかなる流れがあったとしても、作者の発言は読者に多大な影響を与えると言うことを留意して頂きたく存じます

長文大変失礼しました
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 13:11:40 ID:hplfLxQn
そろそろ雑談スレへGO!!
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 13:31:04 ID:8mLlqSQ1
>>344
ツインシグナムに見えた

つまり、はやてのくしゃみで小さくなったりするシグナム。ということか
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 13:40:43 ID:WHW3Tm1W
オリジナルがちょくちょくならいざ知らず、オリジナルを軸にしてるのは立派に>>1に違反してるだろ。
なにせ普通のライダーが空気扱いだし。
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 13:44:35 ID:sGUr3q5y
ガンガン系か〜。
パプワくんなんかだったら、なのは達が壊れたりするかもね。
生物との生活に
351名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 13:52:45 ID:btMAblRv
なんか荒れてんな。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:00:30 ID:++0LKCd1
>>351
で、文句言ってるの全部単発IDという不思議。
353仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 14:05:44 ID:3h4b4C3L
空気は読むが流れをぶった斬って俺、参上!2:40からカービィ投下したいけどいいかな。ワドルディとデデデが大活躍するんだ。
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:09:21 ID:phXZXM4v
>>353
スマブラの亜空の覇者のラスボスが倒せない俺が支援!
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:10:16 ID:+MZRZza4
新参者の俺に支援の意味を教えてください
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:14:18 ID:5Lcd0wsf
>>355
以前初心者板で質問したところ、間に2,3レス挟んでも連投規制を避ける効果は無いらしい。
だから単に、リアルタイムで読んでいる、応援しているということを作者氏に伝える為だと思われる。
ということでカービィ支援。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:16:23 ID:+MZRZza4
>>356
ご丁寧にありがとうございます
というわけで支援
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:18:32 ID:2zqw2AU1
スマブラもDMC4も手に入らなかった俺が支援
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:31:44 ID:PeOB2hKr
>>352
いやそもそも何度も書き込むもんでも無いよ。レス数喰うの勿体無いし。
つまりあれだ、自分の好きなキャラ達がギャルゲ主人公みたいな奴にとっかえひっかえされるのと、
ぽんぽん怪人甦らせて「ぼくがかんがえたらいだぁ」を格好良く活躍させるためにプチプチ潰してくのが我慢ならんのだろ。
で、オリキャラのオリ話やるならスレ違い。背景にライダーやなのはキャラ居ればクロスって訳じゃねぇぞ、と。
でもまぁ、「嫌いなら読むなよ」で済んでしまう話題ではあるよな。

そしてカービィ支援のために全裸に靴下に正座で待機。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:37:07 ID:IwKdTRRt
>>359がすべてだな。
冗談抜きにスレ違いだと思う
これはクロスというかただのオリキャラTUEEEEEEEEEの踏み台だろ。
せめて誰か一人に操を立てていくとかならまだ分かるがこれじゃなぁ……
そして星の戦士支援
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:41:41 ID:ZLGlZDcU
>>254
しむらー 使者、使者

ブラックホール胃袋支援。
362仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 14:42:39 ID:3h4b4C3L
時間なんだ投下いくぜ!支援頼むぜ!
俺に前ふりはねぇ、最初っから最後までクライマックスだぜ!
363仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 14:46:39 ID:3h4b4C3L
それじゃあ投下いくぜ!



助けたい

ただ、ひたすらにそう願っていた

ただ見ることしかできなかった

でも今は違う

姉として姉妹を止めてみせる、助けてみせる!

この命が例え尽きたとしてもこの手で救ってみせる!

だから、今は一人でいく

帰ったら謝ろう

星のカービィリリカル次元を超えた出会い

始まります。

ここは、デデデ城正門前。そこにチンクは一人佇んでいた。

「ここか…。ここにノーヴェ達が…。」

「待ってたッスよ!」
「今度こそ消してやるぜ。」

チンクは声のした方を向くとそこにはウェンディとノーヴェが立っていた。

「挑むところだ。せめてこの手で目を覚まさしてみせる。」

「ゴタゴタウッセェーんだよ!くらいやがれ!」

ノーヴェはそう言うとチンクに殴りかかったが、チンクは全て避けるとスティンガーを連続で投げつけた。しかし、そこにウェンディが割り込み全てを弾かれたのでチンクはISで爆発させ、吹き飛ばした。壁に叩きつけられたウェンディは叫んだ。

「やるッスね!こうで無くちゃつまんないッス。」

「仕方ねぇ。連携でいくぞ!」

「分かったッス!」

「来い!決着をつけよう!」

三つの影は、一斉に仕掛けその場を閃光が覆った。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:46:53 ID:+MZRZza4
支援テ
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:47:18 ID:/6OeAjS3
オリキャラTUEEEEEかどうかを判断するのは
作者じゃなくて読者だってことは留意してもらいたいところ
作者の意図を伝えるのは作品で行うべきであって
あとがきやレスでここはこうだったと説明するのは作品の魅力を減じる行為
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:48:18 ID:/6OeAjS3
SSに被った
申し訳ないorz支援
367仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 14:52:07 ID:3h4b4C3L
スティンガーが飛び交い、ガンナックルが火を噴き、エリアルキャノンが唸る。ISを限界までに駆使しながら、戦うチンクだったが、やはりそこは二対一数の利で段々と押し込まれていった。

「クッ、やはり何らかの強化を受けているか。動きが違う。」

「何ブツブツ言ってんだよ!オラァ!」

「グアッ!クッ、未だだ!」

「隙ありッス!」

「ガハァッ!」

ノーヴェの蹴りをくらった直後にウェンディがエリアルキャノンを至近距離で放ち吹き飛ばされるチンク。

「観念しやがれ!」

「終わりッスよ!」

「ここまで、か…。」

エリアルキャノンとガンナックルの二つのエネルギー弾が当たる直前、一台の一輪バイクが目の前を通り、チンクを抱えて過ぎ去った。

「何やってんだデ!」
「お前は!何故来たんだ!これは姉妹の問題だ!私が救ってやるしかないんだ!」

チンクがそう言うとデデデはチンクを叩くと言った。

「いい加減にせぇやぁ!自分を捨てて何が救うや。自分を大切に出来ん奴に人を救う資格はないんやぁ!」

「アナタはバカです。自分だけで抱え込まないでください。出会ったばかりですけど私はあなたを仲間だと思ってるんですよ!」

ワドルディもそう言うと微笑んだ。

「だって私達はもう友達ですから。」

「そうや。友達や!」

「デデデ…、ワドルディ…。」

「それにワイらだけやないデ。」

「え、お前ら!」

「気になるから来ただけだからな。別にお前の為じゃねぇぞ。」

「大丈夫!助けに来たわ。」

「チンクお姉ちゃんは、もう友達だもん。」

チンクが見た先にはヴィヴィオ達が立っていた。

「よそ見はいけないッス!」

放たれるエリアルキャノン。しかしその光がヴィヴィオ達に届くことはなかった。直前にデデデがハンマーで弾いたのだ。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:53:39 ID:WHW3Tm1W
支援
369仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 14:54:53 ID:3h4b4C3L
「今度は負けんデ!」
「挑むところッス!」

「かかって来やがれ。帰り討ちにしてやるよ。」

ノーヴェが挑発している内にエリアルキャノンを放とうとチャージしたウェンディはデデデに向けて放っただがしかし、

「させません!」

「な、魔法障壁!?」

ワドルディがとっさにプロテクションを張り防いだのだ。

「覚えておいてよかった。(ありがとうございます、先生方。)」

ワドルディは自身に魔法を教えてくれた、とあるフェレットになれる男と次元航行艦の艦長そして共に明日を語った蒼き守護獣を思い出して呟いた。

「本気でいきます!セットアップ。」

そう言うとワドルディはマントをはおり、グローブをはめるというバリアジャケット姿になった。その手にはストレージデバイスが握られていた。

「魔導師だろうが関係ないッス!ノーヴェこいつらは私がやるッスよ。」

「分かったよ。こっちもやる気らしいからな。」

ノーヴェの目の前にはナンバーカービィが立ち塞がっていた。

「カービィ、頑張れぇ!」

健気に応援するヴィヴィオ。激戦が始まろうとしていた。
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 14:57:14 ID:WHW3Tm1W
読者の中心で支援を叫ぶ
371仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 14:57:29 ID:3h4b4C3L
〜ウェンディVSデデデ&ワドルディ〜

ウェンディと激戦を繰り広げるデデデ達だが今一つ攻め安久ねていた。それは何故か。簡単だ。向こうは飛べるのだ。こちらも一応飛行は出来るがデデデのは戦闘に向かず、ワドルディはウェンディほどの機動性はない。決め手がなかった。

「このままやとジリ貧や。ワドルディ、アレ、行くデ。」

「分かりました。アクセルシューター、ファイヤ!」

「誘導弾?この程度!」

そう言って弾幕の中を交い潜っていくウェンディ。それがワドルディの狙いだったのだが。

「今だ!そこッ、スティンガーレイ。」

「やばいッス、避けなきゃ…ウワッ!」

ウェンディが避けたと同時に無数の魔力の矢が降り注いだ。避けた直後の隙をつかれ、直撃を受けて、ウェンディの動きが止まった。
「今です!陛下!」

「おっしゃあぁ行くでぇ!」

ハンマーをかざし迫るデデデにウェンディは逃げようとするがその両足は鎖によって縛られていた。

「ディレイドバインドですよ。」

ワドルディは笑いながら言った。

「や、ヤバいッス。危機ッス!」

「これでしまいやぁ!」

デデデはそう言うと、ジャンプした。するとデデデのハンマーの後部からブースターが現れたのだ。そして、ブースターを全開にし高速回転しながらウェンディに突撃していった。

「ラケェーテンハンマァーッ!」

「ぐ、ガアァッ!」

それはかつて、この地にいた鉄槌の騎士ヴィータの魔法であった。そして、その技をくらったウェンディは城の城壁に叩きつけられ意識を失った。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 15:02:59 ID:+MZRZza4
支援
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 15:04:46 ID:5Lcd0wsf
四円
374仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 15:08:57 ID:3h4b4C3L
〜ノーヴェVSカービィ〜

カービィとノーヴェの激戦は続いていた。お互いに隙を付かせまいと蹴りと蹴り、拳と拳の打ち合いを繰り広げていた。
カービィがノーヴェを蹴れば、ノーヴェがそれに対しカウンターの拳を放ち、ガンナックルを放てば、避けられるという風に一進一退の状況であった。
しかし、天はカービィに味方した。カービィが何発目かの拳を避けた時、目の前にウェンディの盾が飛んで来たのだ。

「カービィ吸い込んで。」

ヴィヴィオがそう言うとカービィは盾を吸い込んだのだ。
すると、カービィは巨大な盾を持ち、額に]Tと刻まれた姿《ナンバーカービィ]T》となったのである。

「コピーしたくらいで。」

そう言って突っ込んでくるノーヴェ。カービィは盾を構えると砲身をノーヴェへと向けるとエリアルキャノンを放った。

「こんなのどうってこと、グアァッ。」

ノーヴェがそう叫ぶと同時にその身体にカービィの持つ盾がめり込んだ。
そして、ゼロ距離で最低出力のエリアルキャノンが放たれた。

「こんなのでやられるもんか。」

そう言って倒れるノーヴェ。すると、その周りが闇に包まれていったのだ。

「ノーヴェ!ウェンディ!」

ウェンディも同様に闇に包まれ、そのまま宙に浮かび上がる。
するとその場には、存在しないハズの存在が現れた。

「ギャアァオォォ!」
魔獣ヘビーロブスターである。ノーヴェとウェンディはその後ろでクリスタルの球体に閉じ込められてしまったのだった。


待ち受ける魔獣。そして、この先に待つスバル達。ヴィヴィオ達は救うことが出来るのだろうか。

星のカービィリリカル次元を超えた出会い
第三話
「姉と妹」Aパート
〜fin〜

next
第三話
「姉と妹」Bパート
375仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 15:12:20 ID:3h4b4C3L
これで、投下終了だぜ。感想待ってるぜ。



ハッ、俺は何をしてたんだ。寝ぼけ?赤い影が見えたんだが。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 15:45:11 ID:8BU0f35g
あんまり無意味に行間スペース空けるな。
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 16:21:32 ID:Sj3SURuk
仮面の人乙かれさまです。

>>376
確かに少し行間のせいでちょっと読みにくかったが…
せめて「乙」の一言くらい言った方が良いぜ?
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 16:27:32 ID:/6OeAjS3
乙カレー

確かに会話の合間にまで行間はいらんかったかもしれん
地の文が短いから
会話→地の文→会話の移り変わりが早くて改行が多く感じるのかな?
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 17:10:53 ID:TUm/MSuZ
一つ突っ込んでおくが
>デデデのハンマーの後部からブースターが現れたのだ。そして、ブースターを全開にし高速回転しながら
これ、魔法とか関係なくデデデは普通に使えますが

あの木槌、中身は機械仕掛けでジェットエンジンが内臓されています
380名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 17:13:23 ID:TUm/MSuZ
内臓じゃなくて内蔵だったorz
381仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/02(土) 18:20:17 ID:3h4b4C3L
>>376>>378すみません。これから気をつけます。
>>379言われて弟に確認したら確かにその通りでした。このデデデはハンマーの動力に魔力を使っています。いわゆるデバイスです。
382StS+ライダー:2008/02/02(土) 18:44:42 ID:7y5OOXrq
gj
そしてあんだけこっぴどく叩かれた癖に23:30に投下予定。
感想も叩きも遠慮なく全て待ってます。
383なの魂の人:2008/02/02(土) 18:48:58 ID:YENd3mHS
では、自分は19時30分辺りに投下しようかと思います

64のカービィはいっつもスパーク+カッターとストーン+ボムばっかり愛用してたぜっ!
384名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 18:59:49 ID:X5MbtMre
>>382-383
両者を支援する!!
一番最後にやったカービィは夢の泉アドバンス版か
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:08:28 ID:7BRrw0IZ
カービィはSDXが最高だったと思う支援
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:11:06 ID:1NDvLwDi
>>383
ストーン+ボムとはまたアブナイものをwww
でも確かにあれは漢の浪漫
支援
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:11:49 ID:VP/H+KuG
初代からやれよ
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:13:25 ID:JOwBRqJl
乙!
むしろ、くっ付いてると読みにくい。目がー目がー!
389なの魂の人:2008/02/02(土) 19:30:37 ID:YENd3mHS
では時間となりましたので、投下していきたいと思います
390なの魂:2008/02/02(土) 19:31:37 ID:YENd3mHS
日本時間の午前六時。

「……というわけで」

ブリーフィングルームの中央に設置された、細長い楕円形の机。
そこの席に腰かけ、リンディは言った。
机の周りには彼女と同じようにアースラのスタッフ達が腰かけている。
そしてその中には、なのはや銀時達の姿もあった。

「現時刻をもって、本艦全クルーの任務はロストロギア・ジュエルシードの捜索と回収に変更されます。
 また本件においては特例として、問題のロストロギアの発見者であり結界魔導師でもある、こちら……」

「はい、ユーノ・スクライアです」

立ち上がり、ほんの少しだけ緊張した面持ちでユーノは名乗る。

「それから、彼の協力者である現地の魔導師さん」

「あ……た、高町なのはです」

そしてなのはもユーノに倣い立ち上がるが、やはりそこは場慣れしていない九歳の少女。
ガチガチに緊張してしまっている。

「それと……」

意味深な表情をして視線を移動させる。
視線の先では、銀時が面倒くさそうに頭を掻きながらため息をついていた。

「どーもォ、坂田銀時でェす。キャプテン志望してます。趣味は糖分摂取。特技は目ェ開けたまま眠れることです」

「いや、自己紹介ぐらい真面目にやってくださいよ!」

「新八。何事も最初が肝心なんだから、ちょっとやり過ぎるくらいが丁度いいアルよ」

「ちょっとどころじゃねーよ! 皆さんドン引きじゃねーかァァァ!
 スンマッセン! ほんとスンマッセン!」

ヘコヘコと頭を下げる新八。
いつでもどこでも空気の読めない連中である。
さすがにアースラのスタッフ達も、乾いた笑いを禁じえなかった。

「え、えーと……色々と訳ありで私達に協力してくださることになった、し……じゃなかった。
 坂田銀時さんに、志村新八さん。そして神楽さん」

コホン、と咳払いをし、なんとかその場を取り繕う。
管理職は大変である。

「わんっ」

その折、神楽の席の後ろから、定春が「忘れるな」と言わんばかりに一吼えした。
パタパタと尻尾を振って愛嬌を振り撒く定春を見て、リンディは微笑む。

「あら、ごめんなさいね。それと定春くん。以上五名……と一匹が、臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」
391なの魂:2008/02/02(土) 19:32:50 ID:YENd3mHS
再びペコリと頭を下げるなのはとユーノ。
新八もそれに倣うが、両脇のバカ二人が頭を下げようとしないので、後頭部を掴んでテーブルに顔面を叩きつけてやった。
ガツンという音と同時に悶絶する銀時と神楽。
そんな彼らに対し、リンディ達(なのはとユーノも含む)は、ただただ苦笑を漏らすしかなかった。



なの魂 〜第十八幕 好きな人の昔話だけは絶対に聞くな〜



そんなこんなで何事もなく時間も経って、今はお昼時。
万事屋の三人となのは、ユーノは艦内の食堂で昼食を取っているところだった。

「スンマッセーン、カツ丼おかわりー」

「あ、俺もいちごパフェお願いしまーす」

揃って手を挙げる銀時と神楽の目の前には、空になった大量のパフェグラスと、山のように積み重ねられたドンブリが置かれていた。
どうやらこの二人の辞書には「遠慮」という文字は無いらしい。
テーブルを陣取る食器の山に、新八とユーノは辟易する。
しかし、彼らとは逆に銀時を興味深げに見る人物が一人。

「…………」

「……どした? なのは」

なのはからの熱い視線に気付いた銀時は、何気なしに空のグラスに入ったスプーンを弄る。
呆けた顔で銀時を見ていたなのはは、ガラスと金属の触れ合う音に、はっとした。

「あ、いえ……銀さんって、本当は凄かったんだなぁって……」

「あ?」

唐突な言葉に銀時は首を傾げる。
そんな彼の様子など気にも留めず、なのはは何の悪気も無く言葉を続けた。

「ほら、リンディさんが言ってたじゃないですか。銀さん、昔はすっごい有名なヒーローだったって」

直後、辺りの空気が変わった。
何故か銀時はなのはから目を逸らし、新八はそんな彼となのはを交互に見て冷や汗を垂らす。
神楽にいたっては「ヤバいネ。地雷踏んだネ。もうちょっと空気読めヨなのは」と呟きだす始末。
彼らの不可解な行動に、なのははユーノと顔を見合わせて首を傾げた。

「……そんな良いモンじゃねェよ」

「え……?」

不意に聞こえてきた言葉に、思わずなのはは問い返す。

「お前が思ってるほど、俺ァ綺麗な人間じゃねーってこった」

何か気に障ることでもしてしまったのだろうか。
目を逸らしたままそう答える銀時の姿に、なのはは思わずうろたえる。
国のために戦って、仲間のために戦って。
一体何が綺麗じゃないというのか。
……ああ、でも普段の彼は、確かに立派とは言い難い人間かもしれない。

「……た、確かに家賃も払わないし、いつもやる気なさそうな顔してグータラしてたりしてますけど、でも……」
392なの魂:2008/02/02(土) 19:33:58 ID:YENd3mHS
しどろもどろになりながらそこまで言ったところで、ようやく銀時がこちらを向いてくれた。
どさくさに紛れて酷い暴言を吐いてしまったにもかかわらず、彼の顔には僅かな笑みが浮かんでいた。
……気のせいだろうか。
彼の笑みに、ほんの僅かに憂いようなものが含まれているように……なのはには、そう見えた。

「分からねーならそれでいい。……分からねー方がいいんだよ……あんなことは」

「銀さん……?」

今まで見たことも無かった彼の表情に、なのはは戸惑いを隠せなかった。
何故彼がこんなことを言ったのか。
「あんなこと」とは、一体どういうことなのか。
彼の詳しい過去など知らないなのはには、理解のしようが……。
……いや。
ここまできて、なのはは自分の失言に気付いた。
知っていたはずだ。彼の過去を。
初めて彼に会った時、彼がどんな格好だったのかを。
ボロボロになった着物。埃まみれになった体。
そして……血に染まった白髪。
今の今まで、あれは彼自身の傷によって付いた血だと思い込んでいた。
いや、そう思いたかっただけだった。
彼がそんなことをするはずが無いと。彼はそんな人間ではないと、自分に言い聞かせたかったのだ。
だが、それは彼自身の言葉によって否定された。

(お前が思ってるほど、俺ァ綺麗な人間じゃねーってこった)

さきほどの言葉が、痛いくらいに胸に響いてくる。
漫画やアニメとは訳が違う、本物の戦場。
年端もいかない少女には想像も付かない壮絶な世界に、彼はいたのだ。
居た堪れない気持ちになりながら、なのはは銀時を見た。
彼の顔からは笑みも憂いも消え、普段通りのやる気のなさそうな表情に戻っていた。



「すごいや。どっちもAAAクラスの魔導師だよ〜!」

発令所の中央モニターを使用して、なのは達の映像資料を見ていたエイミィ・リミエッタは感心の声を漏らした。
いつの間に撮っていたのか、画面には先日の臨海公園での一部始終が映し出されていた。
エイミィの隣で同じ映像を見ていたクロノは、「ああ……」と、どこか上の空な様子で返事を返す。

「魔力の平均値を見ても、なのはちゃんで百二十七万。黒い服の子で、百四十三万。最大発揮時は、その三倍以上!
 クロノくんより、魔力の量だけなら上回っちゃってるかもね〜」

含み笑いをしながら、そんなことを言ってクロノをからかう。
いい大人なら鼻で笑って受け流す所なのだが、真面目すぎるクロノは少々気分を害してしまったようだ。

「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に応じた応用力と、的確に使用出来る判断力だろう」

「それはもちろん! 信頼してるよ。アースラの切り札だもん、クロノくんは」

むすっとした表情で、いかにもな模範解答を出すクロノに対し、エイミィは笑いながらそんな事を言う。
……まったく。どこまでが本気で、どこからが冗談なんだか。
そんなことを思いつつ、ジト目でエイミィを見るクロノの後ろで、発令所の入り口が開く音が聞こえた。

「ああ……二人のデータね」

そう言いながら、エイミィが操作するコンソールへ近寄ってきたのはリンディだった。
彼女は食い入るように中央モニターを見つめ、そして顔を険しくする。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:34:41 ID:X5MbtMre
人に歴史あり支援
394なの魂:2008/02/02(土) 19:35:01 ID:YENd3mHS
「確かに……凄い子達ね」

「これだけの魔力がロストロギアに注ぎ込まれれば、次元震が起きるのも頷ける」

真剣な面持ちで、表示されてゆくデータに目を通していく三人。

「あの子達……なのはさん達がジュエルシードを集めている理由は分かったけど……こっちの黒い服の子は、何でなのかしらね?」

再生されている映像の残り時間が、全体の四分の一くらいになったところでリンディが呟いた。
しかし他の二人にもそのことは分からないらしく、揃って首を横に振る。

「随分と、必死な様子だった。……何か余程強い目的があるのか……」

目的。
一体何が、この幼い少女をここまで駆り立てるのか。

「……まだ小さな子よね。普通に育ってれば、まだ母親に甘えていたい年頃でしょうに……」

物憂げな表情で、リンディはそう呟いた。



青い空。
不毛の大地。
巨大な丸テーブルのようなパラボラアンテナが立ち並ぶその光景を見ていると、まるで
喫茶店のテラスに迷い込んだ野良猫になった気分になる。
キィィ……ン、という甲高い音と共に、一機のロボットがパラボラの林を飛び抜けていった。
地を這うように飛ぶその機体は、お世辞にもカッコいいとは言えないものだった。
まるで昆虫のような気味の悪い四つの足と、人を模した上半身。
その両腕には巨大な筒が据え付けられており、そして両肩にはこれまた巨大な樽のような物が装着されていた。

「考えられへんわ、ホンマに!」

その薄気味悪い外見とは裏腹に、聞こえてきたのは可愛らしい少女の声。
何故か少々ご立腹の様子である。
少女が操る四脚の機体はパラボラの林を縫うように這い、そして目標を捕捉する。
――深紅のペイントが施された、ずんぐりむっくりな人型の機体。

「心配かけるわ約束やぶるわ! どうしたろーかあの天パ!」

怒りに任せながら、少女は機体に据え付けられた二本の筒――グレネードランチャーから二発の砲弾を発射した。
同時に、機体の後方から膨大な光が発せられる。
オーバードブーストと呼ばれるそれは、自機を包むバリアを犠牲に、己を音速の世界へいざなう超高速移動装置だ。
グレネード弾が着弾し、巨大な砂煙が上がると同時にブーストが起動し、少女は機体を敵機へ突っ込ませた。
泡を食った敵機はでたらめにバズーカとミサイルを乱射してくるが、まともにロックオンもせずに
音速で移動する機体に当たるはずも無い。
弾は全て四脚機のすぐそばをかすめ、空しい爆発を起こす。

「あーもうドメスティックバイオレンスゥゥゥ!!」

少女の叫びと共に、機体の両肩に乗せられた樽――通称"核"と呼ばれる超大型ミサイルが二発敵機に向かって放たれた。
遅れて聞こえてくる爆発音。
画面には、この世の物とは思えない巨大な爆炎だけが映し出されていた。


395なの魂:2008/02/02(土) 19:36:01 ID:YENd3mHS
「……また負けた……」

大きなウサギのぬいぐるみを抱いたヴィータは、心底悔しそうにそう呟いて手にしたゲームのコントローラーを床に落とした。
隣では男らし過ぎる特攻を決めたはやてが、勝ったにも関わらず何故か不機嫌そうな顔をしていた。
これというのもせっかく記憶が戻ったのに、仕事ほったらかして何処かへ出稼ぎに行ってしまった銀時のせいである。
「毎日来てくれるって言ってたのにー!」と叫びながら戦闘不能になったヴィータの機体にグレネードをブチ込みまくるその姿は、
まさしくじゃじゃ馬姫と呼ぶに相応しかった。
その隣ではヴィータが半泣きでテレビの画面を見つめている。

「諦めろヴィータ。戦いの年季が違いすぎる」

半ば呆れつつもシグナムは言った。
かれこれ五戦以上は戦ってるのだが、今のところヴィータが勝ち星を上げる気配は微塵も無かった。
ゲームに不慣れということもあるのだろうが、さすがにここまで来るともう才能の問題かもしれない。
だがヴィータは決して諦めることなく、

「も、もう一回っ!」

床に落としたコントローラーを拾い上げ、○ボタンを押した。

――ドォンッ!

突然外から壮大なクラッシュ音が聞こえ、家が小刻みに震えた。
シグナム達守護騎士は、とっさにはやてを護る様に囲み、そして身構える。
しかし音も振動もそれっきりであった。

「……なんや? 今の音……」

小首を傾げながら、はやてはシグナム達と共に玄関先へ向かった。



玄関を出て真っ先に目に入ったのは、大破したバイクと辺りに散らばる大量の紙切れだった。
次いで目に入った向かいの塀。
その近くにそびえ立つ電柱には巨大な亀裂が入っており、そのすぐ下で一人の男が倒れていた。
おそらく、うっかりハンドルをきり損なって電柱に激突したのだろう。

「まあ、大変……!」

慌ててシャマルが倒れている男に駆け寄る。
脈はある。呼吸もある。外傷も大したことは無い。
しかしあれだけ派手なクラッシュ音を鳴らしておいて、全く無事なわけがない。
その証拠に、男の目は今にも気を失ってしまいそうなほどに虚ろになっていた。

「ヴィータ、早く救急車呼んで!」

さすがに二回目ともなると慣れたものである。
男を助けるべく、はやてはヴィータに指示を飛ばす。
すると何を思ったかヴィータ、その場で大きく深呼吸をし、

「救急車ァァァァァ!!」

「……ごめん。やっぱ私が呼んでくるわ」

そういえば百十番や百十九番のことを教えてなかった。
自分の手際の悪さに呆れつつ、はやては玄関へ車椅子を戻そうとする。

「こ……これ……」
396なの魂:2008/02/02(土) 19:37:23 ID:YENd3mHS
消え入りそうな男の声が聞こえた。
振り向くと、男が紙に包まれた長方形の何かを差し出していた。

「これを……俺の代わりに、届けてください……お願いします……」

届けるという言葉に疑問を抱き、はやては辺りを見回す。
よく見ると辺りに散らばっている紙片は、全て葉書だった。
さらには大破しているバイクの後部に、大きな赤い箱が付いていた。
どうやらこの男、郵便配達を生業としているらしい。

「なんか大事な届け物らしくて……届け損なったら、俺……クビになっちゃうかも……」

苦しげに呻く男の手から、シャマルが荷物を受け取る。

「お願いしまっ……」

そのことに安堵したのか、男は遂に気を失ってしまった。
シャマルが慌てて男の身体を揺するが、男は身動ぎ一つしなかった。
なんとなく気まずい空気が漂ってくる。
シャマル達はお互いの顔を見合わせ……ひとまず救急車を呼ぶことにした。



「……なーんでアタシ達がこんなことしなきゃならねーんだ?」

むっつりとした顔でヴィータがぼやく。
というのも、先程の男の荷物を運ぶ羽目になってしまったからだ。

「主からの頼みでもある。無下に断るわけにはいかんだろう」

そう言ってヴィータを宥めるシグナムの隣で、シャマルが石壁の奥にそびえ立つ巨大な建造物を見上げた。

「ここ……大使館ってやつよね……こんなところに届け物なんて、一体どんな荷物なのかしら?」

抱えた荷物に目をやりながら、彼女は呟く。
そんな彼女らの元の近づく男が一人。

「オイ、お前らこんなトコで何やってる」

その男は黒いスーツに黒いサングラスという出で立ちで、肩には自動小銃を担いでいた。
おそらく警備の人間だろう。

「いえ、その……私達、届け物を頼まれただけで……」

敵意剥き出しの警備員にたじろぐシャマル。
ヴィータは面倒くさそうに彼女から荷物をひったくり、警備員の前に差し出した。

「ほら。届けにきてやったんだから、ありがたく思えよ」

しかし警備員は怪訝そうな顔をしてヴィータを見下ろす。

「届け物がくるなんて話聞いてねーな。最近はただでさえ爆弾テロとか不審船とか、物騒な話のせいで厳戒態勢なんだ。帰れ」

「なんか美味いモン入ってるかもしれないじゃんか。貰っとけって」

「いるか」
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:37:34 ID:vfPN0hYq
ネクスト!
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:37:44 ID:X5MbtMre
ヅラじゃない支援だ
399なの魂:2008/02/02(土) 19:39:01 ID:YENd3mHS
差し出された荷物を手で払いのける警備員。
しかし、いささか払う力を入れすぎたようだ。
荷物がヴィータの手を離れ、空高く舞った。
荷物は空中で弧を描き、石壁を飛び越え、大使館の敷地内に落ちた。

落ちた、その瞬間。
彼女らの目の前で、轟音と共に巨大な紅蓮が生まれた。
吹き飛ぶ石壁。ひん曲がる鉄門。
強烈な爆風は、彼女らの髪を盛大に乱す。
ヴィータはなんとなくその光景にデジャブを感じた。
どこだろう。
凄く最近、似たようなことがあった気が……。

(あ、さっきやってたゲームじゃん)

爆炎に飲み込まれる自機を思い出し、ヴィータはそんなことを考えた。



さて、先程の爆発からどれだけの時間が経っただろうか。
デッサンの狂った顔でもうもうと立ち昇る黒煙を見つめていた一同だったが、ここにきてようやくシグナムが正気を取り戻した。

「……何が起こったのかはよく分からんが……するべき事はよく理解した」

つられて、ヴィータとシャマルも正気に戻る。
三人揃って一歩、二歩と後ずさり、

「「「逃げろォォォォォ!!」」」

踵を返して脱兎の如く駆け出す。

「待てェェェテロリストォォォ!!」

しかしそうは問屋が卸さない。
警備員が最後列を走るヴィータの腕を掴んだのだ。
そしてヴィータは目の前を走るシグナムを腕を掴み、シグナムは最前列を全力疾走するシャマルの腕を掴む。
俗に言う数珠繋ぎというやつである。

「待てヴィータァァァ! 『ここは私に構わず先に……』とか、そういうことは言えないのかお前は!?」

振り返ろうともせず必死にシグナムは叫ぶ。
後ろからは彼女以上に必死な声が返ってきた。

「一人だけ捕まるなんて絶対ゴメンだ! アタシら、三人揃って守護騎士だろ!? 死ぬも生きるも一緒だ!」

「おい、ザフィーラが数に入ってないぞ!」

主の護衛兼留守番を務める盾の守護獣は、仲間内でもこんな扱いらしい。
理不尽にも程がある。
……と言いたい所だったが、少々事情が変わった。
ヴィータ以上に理不尽な女が現れたからだ。

「私に構わず逝って、二人とも!」

「あっさり仲間切り捨てたよコイツ! 今のアタシの台詞全部パーだよ!」

普段の温厚な姿からは想像も出来ないような形相でシャマルが叫んだのだ。
さすがにこれは、新八でなくともツッコまざるをえない。
そんな彼女らに更なる不運が襲い掛かる。
400なの魂:2008/02/02(土) 19:40:28 ID:YENd3mHS
「うぉぉ!? なんか一杯来たァァァ!!」

彼女らの後ろから、銃を手にした警備員が大量にやってきたのだ。
これは非常にマズイ。
何しろ戦闘要員二人の両手が塞がれているのだ。
これでは満足に魔法を扱えない。迎撃もへったくれもないのである。
転送などはもってのほかだ。
おそらくシャマルの準備が整う前に、自分達に銃弾の嵐が降り注ぐことになる。

「……まったく、手間のかかる連中だ」

なんとか脱出の手立てを考えようとするシグナムの耳に不意に聞こえてきた言葉。
ひどく聞き覚えがあるその声に、シグナムは思わず振り向く。
同時に聞こえてくる打撃音。

「あ……」

目の前には、後頭部を殴られて気を失いその場にくずおれる警備員と、笠を目深にかぶった長髪の侍の姿があった。

「逃げるぞ、諸君」

「か……桂殿!?」



「フン……金髪の嬢ちゃんを追ってたつもりが、大物を釣り上げちまったな」

大使館から少し離れたビルの一室。
物騒な警備員達から逃げる四人の男女の姿を、双眼鏡越しに見ながら呟く土方。
彼の後ろから、呑気ないびきが聞こえてきた。
振り向くと、沖田が部屋の真ん中で、大きな目玉が描かれたアイマスクを付けて眠りこけている。

「オイ、起きろ総悟。お前よくあの爆音の中寝てられるな」

脇腹を蹴って、沖田を叩き起こす。
安眠を妨害された沖田は、鬱陶しそうにアイマスクを取り、寝ぼけ眼で土方を睨みつけた。

「爆音って……またテロ防げなかったんですかィ? 何やってんでィ土方さん。真面目に仕事しろよ」

「もう一回眠るかコラ」

腰の刀に手を掛ける土方。
その顔には心底楽しそうな、不敵な笑みが浮かべられていた。

「天人の館がいくら吹っ飛ぼうが知ったこっちゃねーよ……久しぶりの大捕り物だ。楽しくなりそうだぜ」



『――幸い死傷者は出ていませんが……え……あっ、新しい情報が入りました!
 監視カメラにテロリストと思われる一味が映っているとの……あ〜、バッチリ映ってますね』

どうにか追っ手を振り切り、町の外れの無人ビルに身を隠したシグナム達は、
先日入手したワンセグ機能つきの携帯電話でニュースを見ていた。
画面に鮮明に映し出された、激しくデッサンの狂った自分達の顔を見てシャマルはうろたえる。

「バッチリ映っちゃってるわよ……どうしよう、はやてちゃんに叱られる……!」

「桂殿……まさかとは思いますが、これはあなたの仕業なのでしょうか……?」
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:41:52 ID:X5MbtMre
全く出番ねーな、だからお前はザフィーラなんだよ支援
402なの魂:2008/02/02(土) 19:42:19 ID:YENd3mHS
「馬鹿な事を言うな。侍は二度も同じ手は使わん。
 ……最近、俺達の名を騙ったテロが頻発しているという話を同志から聞いてな。その調査を行っていたのだ。
 まさか君達が巻き込まれるとは、予想もしていなかったが」

部屋の片隅に陣取り、周囲への警戒に余念の無い桂に対しシグナムは問いかけたが、返ってきたのは否定の答えだった。
二度、ということは、過去に同じ方法で誰かを巻き込んだことがあるのか? とシグナムは疑問に思うが、
それを言葉にする前に桂が口を開いた。

「……ともかく、ここまで来れば邪魔も入らないだろう。シャマル殿、転送は行えるか?」

「そ、それが……さっきから何度か試してるんですけど、上手く発動しなくて……」

そう言ってシャマルは薄い緑色の魔法陣を展開する。
正三角形の頂点に円がついたそれは、ノイズ混じりのおぼろげな形を保っていた。
まさか、と桂の脳裏に予感が過ぎる。
このノイズは、外部から転送妨害を受けた時に発生する特有の物だ。
そんなものが発生するということは……。

直後、桂達のいる部屋のドアが勢いよく吹き飛ばされた。
同時に、黒い服を身に纏い、大小拵えの刀とバズーカを持った男達が部屋に踏み込んできた。
その数、ざっと二十。

「御用改めである! 神妙にしろテロリストどもォ!」

黒服集団の先頭に立つ、瞳孔開き気味の男は刀を抜き、そう言い放つ。
よく見るとその男だけはバズーカを持たず、また腰に差した刀も打刀と脇差の組ではなく、二本の打刀であった。

「既に包囲されていたというのか……! 来い、三人とも!」

桂は男達が突入してきた方とは逆の方の扉を蹴破り、そして三人をいざない部屋から飛び出していった。



殺気立つ男達を背後に、長い廊下を全力疾走する桂達。
先程の警備員とは服飾も武装も違う男達に疑問を抱き、シグナムは桂に問いかけた。

「桂殿、あの者達は……?」

「武装警察真選組。反乱分子を即時処分する対テロ特殊部隊だ」

「ああ、よーするに管理局の物騒な部分だけ抽出したような連中ってことか」

ボソっと呟くヴィータに対し「そういうことだ」とだけ答え、桂はシグナムに向き直る。

「厄介な連中に捕まったな。どうしますボス?」

「ボスって誰ですか!? まさか私ですか!?」

「しんがりは任せるぜ、ボス」

「骨は拾ってあげるわ、ボス」

「叩き斬られたいのか貴様らは!」

何故か便乗して親指を立てるヴィータとシャマルに憤慨するシグナム。
家に帰ったら尻叩き百回だな。
そんな事を考えるシグナムの後方から突如声がかけられる。
403なの魂:2008/02/02(土) 19:45:15 ID:AnW0pU/0
「オイ」

「っ……!?」

明確な殺意。
咄嗟にデバイスを起動させ、背後へ向かってレヴァンテインを薙ぎ払う。
ギィ……ン、という鋭い金属音と共に、レヴァンテインの剣身に、鈍く輝く銀色の切っ先が突き刺さった。
遅れて、シグナムの身体を淡い光が包む。
突きつけられた刃を打ち払い、後ろに飛び退いたシグナムの身体は騎士甲冑に包まれていた。
白を基調とした、甲冑というよりはむしろ服に近いその装甲は、少し前にはやてにデザインしてもらったものだ。
どうやら猫耳は免れたらしい。

「逃げるこたァねーだろ。せっかくの喧嘩だ。楽しもうや」

そう言い、目の前の男――土方は刀を腰溜めに構え、再びシグナムに斬りかかる。
凄まじい力で振り抜かれる、横への一閃。
シグナムはそれを直上へ飛んでかわし、土方の脳天目掛けてレヴァンテインを振り下ろす。
しかし、その刃が土方の頭骨を裂く事はなかった。
大技を繰り出したことで、一見隙だらけになったかのように見えた土方から、痛烈な突きが繰り出されたのだ。
二つの刃がぶつかり、甲高い音が廊下に響く。
土方は不敵な笑みを浮かべながら刀を薙ぎ、シグナムの身体ごとレヴァンテインを打ち払う。

「シグナムッ!?」

T字になった通路の分岐点まで来て、ヴィータ達はシグナムの不利を悟った。
彼女が最も得意とするのは、近距離での機動戦。
しかしこの狭い屋内では、彼女の持ち前の速さを生かすことが出来ない。
加えて、相手の男の剣速と反応速度。
剣速に関して言えば、シグナムより若干上といったところだ。
これだけなら問題にはならない。技量差でどうにでもなる。
問題は反応速度だ。
大技の後で隙をさらけ出した状態で、さらに死角から放たれた必殺の一撃を、あの男は苦もなく受け止めたのだ。
近接戦でシグナムが遅れを取るとは思えない。
だがしかし、今の彼女では相手に決定打を与えることが出来るかどうかは分からなかった。
援護に向かおうと、ヴィータとシャマルは足を止めデバイスを手にする。
その足を止めてしまった一瞬が命取りだった。

「おーい、余所見してると危ないですぜ」

「ッ!?」

右の通路から声がしたかと思うと、火薬が炸裂したかのような音が廊下に響いた。
そして襲い掛かる衝撃。
二人の身体は爆炎と黒煙の中に飲まれていった。
404なの魂:2008/02/02(土) 19:47:05 ID:AnW0pU/0
「コイツらは俺達で片付ける。オメーらは桂を追え!」

シグナムと斬り結ぶ土方は隊士に向かって指示を飛ばす。
隊士達は身動きの取れないシグナムの横を抜け、黒煙を避け、向かって右の通路へと殺到した。
彼らの目的は桂の確保、もしくは抹殺。
他の連中は足止めさえ出来ればそれで充分ということだ。

「これで終いじゃねーだろ? 来いよ、もっとすげェモンぶち込んでやらァ」

バズーカを肩に担ぎ、蔑んだ目で黒煙を見やりながら沖田は挑発する。
その瞬間、彼の足元が僅かに振動した。
咄嗟に身をかわした直後、先程まで彼がいた床から二本の光糸が飛び出してきた。
シャマルの愛用デバイス、クラールヴィントだ。
二対の振り子を模したそのデバイスは、まるで生きているかのように方向転換し沖田に向かう。
だが、沖田もそう簡単に捉えられるほど、のろまではない。
クラールヴィントの猛攻を避け、黒煙にバズーカの砲口を向ける。
デバイスの操作に気をやっている今、防御のほうは疎かになっているだろうと判断しての行動だ。
だがしかし、沖田は一つだけ失念していた。
爆炎に飲まれたのは、一人ではないということだ。

「だァらァァァァァ!!」

黒煙の中から、赤い騎士服を纏ったヴィータが飛び出してきた。
沖田の頭上を取り、力一杯グラーフアイゼンを振り下ろす。
この近距離では回避など間に合うはずもない。

「……チッ!」

反射的にバズーカを構え、盾代わりにする。
同時に、沖田は重力が何十倍にもなったかのような感覚を覚えた。
なんとか踏ん張ろうとするも、目の前の少女とその得物からは想像も付かないほどの重量が絶え間なく襲い掛かる。
遂には彼の足元に無数の亀裂が入り、轟音と共に沖田は床ごと階下へ叩き落されてしまった。
さらなる追撃を加えるべく、ヴィータは自らが開けた大穴へ飛び込んでいき、シャマルも後を追って階下へと降りていった。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:48:49 ID:X5MbtMre
支援
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:49:16 ID:btMAblRv
支援
支援
408なの魂の人:2008/02/02(土) 19:51:56 ID:AnW0pU/0
以上で投下終了です。サブタイトルに深い意味はありません。いや、ホントに
ACはなんとなく出してみたかった。今では反省している

さて、ここでどうでもいい、はやて達の機体解説をば

はやて機:重装四脚にグレネードと核ミサを各二個づつ積んだネタ機体。
実戦じゃ使い物になりません、ホントに

ヴィータ機:重量二脚にバズーカとハイレーザー、あと分裂ミサイル積んだ中距離戦機
なんとFCSが近距離専用。硬いけど攻撃が全然当たりません。まさに的
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 19:52:18 ID:0GhHEZvE
ザッフィーカワイソス
支援
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:01:32 ID:4r+fTRdz
一方ザフィーラは昼寝を満喫していた乙。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:02:44 ID:108BHWdC
gj
次回も楽しみに待ってます。
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:03:51 ID:B8U3gmEq
GJ!
これでヴォルケンズ−1もテロリストの仲間入りか…
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:09:01 ID:X5MbtMre
なの魂氏GJ!!
冒頭の銀さんとなのはの会話も切ねえし銀さんにすねてるはやても可愛いし
・・・つーかベルカの騎士相手に一歩も引かないチンピラ警察24時すげーなオイ
そしてさりげなく触れられている猫耳吹いたw
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:13:34 ID:0GhHEZvE
ああもうナンなんですかこの素晴らしさは!
God Jobと言うことですか。
ヴォルケンズが見事に銀魂化してて吹いた。
しかしはやて可愛いなぁ
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:14:10 ID:jNISQskJ
GJ!
ザッフィーがひどい扱いにwww
確かに、なのははまだ小3だし、ショック受けるよなぁ…
それにしても忙しいとか言っていたのに関わらず、このスピードで投下をなさるとはお見事!
次回も楽しみです!
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:14:36 ID:mTT6JZ1k
GJ!
ヴィータ才能云々以前の問題ジャンwwww
GJっす。
そこで爆弾宅配エピソードがくるとは、思ってもみませんでした。
いやもう、銀魂となのはと見事にマッチしてて見事としか言いようがありません。
こっちは色んな意味で、全然あってないだけに……(−−;

兎も角、今回も笑わせていただきました。
次回楽しみにしております
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:33:21 ID:2zqw2AU1
盛大にGJッス!
チンピラ警察24時って実はこんなに強かったのな、っていうかザッフィー空気w
419魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 20:54:55 ID:VNleiHBx
>なの魂
これまで八神家が騒動に巻き込まれるのは銀さんたちに関わってるからだと思っていたが……全然ちげーよ、この人たちもう単体でトラブルメーカーになちゃってるよ!
無印なのはにおけるクライマックスへと徐々に進展する銀さんたちとは別に、こっちはこっちで事件に巻き込まれちゃってるヴィータたちに吹きました。
ヴィータとシグナムはともかく、一番壊れてんのシャマルwwwあと犬が空気www
というか、しばらく銀さんとなのはに視点が固定されるものと予想してましたが、ここでヴォルケンリッターVS真撰組とは意表を疲れました。
土方VSシグナムなんて、夢の対戦カードじゃないか。これは、期待せざる得ない。
ギャグをメインに、さりげなく銀さんとなのはのシリアスな会話がピリリと辛い。
まさに銀魂とのクロスですねぇ。もうすでに次回が楽しみですw
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 20:59:51 ID:+uyEYnvx
ところでこのスレを見てくれ、こいつをどう思う?
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1197971164/l50#tag326
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 21:13:08 ID:J2eFdwoX
なの魂GJ
ヴォルケンリッターVS真撰組、土方と沖田つえーな、オイ。そしてザフィーラ
に幸あれ。そういえば真撰組前にはやてをマスコットにしようとしてたけど、
もし、ヴォルケンリッターが真撰組に捕まったら、釈放するからマスコット
やってとか、いいかねんな。以前適当な奴に罪なすりつけようぜ的なこと
を言っていたからなあ。がんばれ、ヴォルケンリッター。
422魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/02(土) 21:15:44 ID:VNleiHBx
>>420
違うスレなのにやっぱり銀さんが、すごく……大活躍です……。

彼らはここに神作品があることを知らないだろう。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 21:16:15 ID:X1xlMqeD
GJ!!でした。なんかはやて達はアセンブル間違えているような。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 21:59:29 ID:2zKPAT0q
GJ.アンタ等いったいなんなんだー!!
物凄く駄目人間化しているシグナム達……なにからつっこめばいいのやらwww
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 22:57:23 ID:btMAblRv
GJっす!!
やべーよ、マッチしすぎて例えが浮かばねーぐらいやベーよ。
あとはやてさんが暴走しているよ、欲求不満だよ・・・・
ちょっと質問が、大人はやてと銀さんが会う予定ってあるんですか?
426旅ゆく人:2008/02/02(土) 23:07:28 ID:3BSRZzVH
> なの魂の人
くっそう、やっぱいつ読んでも、
この独特の小気味良いテンポの文章に引き込まれる……。
こういう文章、書ければなぁと、いつも思ってます。

貴方の才能を羨望しつつ、謹んで超・GJを、献上いたします。
しかし、どうして、……やっぱり才能とセンスなんだよなぁ。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 23:10:47 ID:9EmecIPu
GJ!
この因縁はA’s編の伏線となるのか?
やはりこの人の作品はいつも心躍る。
428リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 23:16:46 ID:7y5OOXrq
なの魂さんGJ
やはり笑が止まらんです。

僕十一時半に投下するといいましたけど、なんか思ったように筆が進まないので、予定キャンセルします。
それでは…
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 23:30:55 ID:igY9V2D4
>>428
えっ、ちょ
……予約って、書き上がったからから入れたんじゃないの?
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 23:31:49 ID:Dr4kXONv
投下GJ!
だめだこのヴォルケンズ……早く何とかしないと……
431リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/02(土) 23:36:06 ID:7y5OOXrq
>>429
途中で少し客演させたい人ができたんで半分近く書き直すことにしたんです。
それでも十一時半までに仕上げて投下する予定だったんですが、あんまり進まなくて…面目ない。
432なの魂の人:2008/02/02(土) 23:36:39 ID:YENd3mHS
予想以上の感想の付きかたに、嬉しくて涙目です
もうちょっと文の書き方とか勉強したいけど、そちらに時間を割くと
SS執筆してる時間がなくなる可能性があるという……orz

えー、何やら色々と先の展開を予測されている方がいらっしゃいますが…
とりあえずこれだけは言っておきます
※短編はIFストーリーとして捉えてください

いや、ホントに詳しいプロット考える前に書いた作品なんで、
ストーリーに色々矛盾が発生可能性があるんですよ、アレ
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 23:40:42 ID:2zqw2AU1
>>425
もし大人はやて達と銀さんが会ってしまったら・・・・・・酒飲んで二日酔いじゃね?

ところでこのMADを見てくれ、こいつをどう思う?
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1179844
434名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 23:43:01 ID:PknHTxA0
>>433
タイレンはやて?

つか、ニコニコ貼るなよ
435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/02(土) 23:58:18 ID:2zqw2AU1
>>434
貼ってはいけなかったか・・・・・・。
すまん、次からは気をつけるよ。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:04:56 ID:NajJLmwO
つーか、「ヴォルケンー1」が完全に定着しかねない勢いだなw
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:09:29 ID:B9rCabCn
ザッフィーは基本出番ないなぁ…
STSになるとこおにユーノやらアルフが加わるが。
438キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:32:36 ID:XYsT7HlM
フッハッハ〜何時にも増してオレだけ楽しい話が書き終わりました。
闇のゲームを始めても良いですかな?(なに
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:32:47 ID:cj3ObhI6
ぶっちゃけ、定春とポジションがかぶってるからなー。
神楽とセットで出れる分、定春のほうが出番多いみたいだし。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:33:17 ID:sGVHw1po
そいつらまとめて好きだったのに……本編での冷遇振りに何度涙を流したか
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:34:56 ID:Ut6EiUJW
いつでもおk

バイド感染率のチェックも含まれてますがよろしいでしょうか?
442名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:35:20 ID:jHyOcrpU
闇のゲーム・・・万歳ッ!!
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:36:08 ID:EC+ecF4E
始めちゃって下さい支援
444反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 00:37:56 ID:8NeMuEro
バイド感染済の俺が支援

ところで俺のIDを見てくれ、こいつをどう思う?
445キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:38:22 ID:XYsT7HlM
人が集まる場所には決して欠かせない要素として『娯楽』がある。
その質は対象者の金銭力で広く変化するが、根本的なモノは共通しているといって良い。
例えば「酒」もしくは「賭博」、「ショー」に「女」など様々だ。

第六管理世界内では発達していると言われるその街も娯楽には事欠かない。
数多ある娯楽の提供場所の中でも、そこはもっとも華やかで……負けない位にキナ臭い。
複合的な娯楽の施設としてカジノ兼ショーバー、ついでに表に出せないものを少々。
上記のステキなミックスで生まれたその場所を束ねるのは、やはり黒い人達。

それでも華やかになるには充分な理由が存在する。
金持ちの良識派はいわゆるスリルと箔を求めてやって来たし、金持ちの悪い人たちは悪巧みの隠れ蓑として足繁く通う。
二種類の金が渦巻くその場所 ヘブンと言う安易な名を与えられたカジノ兼ショーバーは内情など外に漏らすまいと今日もネオンを輝かせていた。


「ん? なんだ、あのお嬢さんは」

「あら、本当。見慣れない服を着てるわね」

街でも名うての若手実業家とその妻が知り合いとの談笑中、その少女を見つけたのは全くの偶然だった。
タキシードやドレスや貴金属で身を包んだ上流階級でも、黒いスーツにサングラスの怪しい連中でもない。
見慣れない柄のローブから覗く桃色の髪に、首から提げた金色の悪趣味なペンダントが印象的な小柄な少女。
どう見てもこの場に居るには相応しくない。

「おいおい、ここの警備は大丈夫か?」

「本当ね、迷子ならお家に送っていってあげなきゃ」

そんなネタで盛り上がるギャラリーなど気にするはずも無い少女は、一枚のコインを取り出した。
ヘブンのカジノ部門で使われているコインだが、落ちていたのか黒く汚れていた。
投入する先はスロットマシーン。コインが入り、レバーが引かれたことで回転を始める。
だが一枚からコインを増やせる可能性など限りなく低い。

「一枚でどうしようと……バカな」
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:39:16 ID:nB3FwTfX
>>444
とても……Ero、


……つまりエロに期待していいと!?
447キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:39:33 ID:XYsT7HlM
嘲りの言葉はすぐさま驚愕の絶句に変わる。
少女が適当に押したように見えたボタン。だがその結果は三つ並ぶ7。
派手なファンファーレと点滅する電飾に彩られて、スロットは大量のコインを吐き出した。
しかもそれだけでは終わらない。

「ありえない……」

次々と777を連発され、コインの泉が湧き出したよう。
そんな様子に気がついて、辺りもザワメキを増すがソレでも少女は止まらない。

「はん……チョロいな」

『バクラさん〜もうこれで充分ですから〜』

「オイオイ! 小さな事言うなよ、相棒。
どうせならここの金をゴッソリいただくつもりでやるぜ。その方が良い宣伝になる」

外見的には止まる予定が無さそうだが、内面的には色々とあるらしい。
もう店を潰す気満々のバクラと、見たことも無いコインの量にパニックになっているキャロの凸凹コンビだから。

「ちっ! この台は打ち止めか」

『じゃあやめましょう!!』

「慌てるな、スロットは他にも沢山ある」

動きを止めてしまったスロットからその隣へ。そこでも連続して叩き出すのは777。
しかしどう見てもオカシイと流石に世間知らずのキャロも気がついた。
バクラの動体視力云々がいかに優れていようとも、これだけ連続で大当たりを出すのは難しいのではないだろうか?

「安心してくれ、相棒。唯のイカサマだ」

『な〜んだ、イカサマですか〜……えぇ!?』

怖い事をサラッと宣言してバクラは驚くキャロを心のうちで放置。
いい加減に集まり出したギャラリーにようやく気がついて、笑む。
『売り込み』は大人数を相手に『派手』にやった方が良いことくらい、誰でも解る。
今回の目的は決してカジノでその場限りの泡銭を得ることではないのだ。
正に売り込み。その内容が大掛かりで、大博打な件を覗けば……だが。


『キャロとバクラが大掛かりな売込みをするそうです』
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:40:35 ID:Ut6EiUJW
>>>444 反目氏
眠いと見せかけてエロイです・・・
そしてデスナンバー南無

そうだ!未完だけど例のギャグフリ
--文章はここで途絶えている--

自動支援
449キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:40:57 ID:XYsT7HlM
「あ? 今なんていった?」

一般の客とは異なるバルコニー状の特等席から、バンドの演奏を見下ろしていたその男は不機嫌そうに尋ねた。

「へい、カジノの方でガキが一人暴れてまして……」

平伏する部下の男も筋骨隆々で大柄なのだが、彼にはソレを圧倒する存在感があった。
オールバックに撫で着けられた黒髪、シックなスーツを纏い手には葉巻。
左目にはサングラスでは隠しきれない大きな斬り傷。中年だが鍛えられ、引き締められた肉体は兵士のソレ。
彼こそヘブンの元締めにして、この街の裏社会の一角を支配する組織のボス。

「なんだぁ……つまりウチの警備の魔道師共はガキ一人取り押さえられねえのか?」

「イエ、それが実際に暴れている訳ではなく……当て過ぎなんです」

伝えられる現状に男は呆れと興味を同時に覚えた。
全てのスロット台を空っぽにし、ルーレットでは百発百中。
そんな胡散臭い話を聴かされながら、ボスは立ち上がる。

「面白い。会って話がしたいなぁ……暴力も含めて」


ボスとその取り巻きがカジノ部分の扉を開ければ、もっとも先に目に飛び込んできたのはコインの山だった。
その中央で悠然と座し、ディーラーをボコボコ(ゲーム的な意味で)にしているのは間違いなく少女。
確かに少女だがボスはその目を見て確信した。『ただのガキじゃねえ』と

「羽振りが良いじゃねえか、お嬢ちゃん」

「アァ、儲けさせてもらってる」

ドスの聴いた声に答えるのは小柄な少女の体から出たとは思えない声が答える。
総支配人にして裏の世界でも知られる人物の登場に揺らぎもしない当人に代わり、他の客がさらにざわめきの色合いを増す。
つまり一瞬即発の闘争の匂いを感じ取ったのだ。確かに濃度を上げる争いの空気の中でも当事者二人だけは悠然と構えている。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:41:44 ID:Ut6EiUJW
支援
451キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:42:53 ID:XYsT7HlM
「そういや〜アンタがここのボスか? 実は会いたかったんだ」

「ほぉ、なにか用件でも?」

「今や裏の顔の一つだが魔道師の育成や貸し出し、仕事の斡旋で富の基礎を築いたらしいな。
 しかも負傷して退役するまで管理局所属の腕利き魔道師だったとか?」

今でも素人からの魔道師の育成やソイツ等を荒事用に貸し出し、他所から流れてきた魔道師に仕事の斡旋やデバイスなどの補助部品を売るのは組織の大事な収入源だ。
だが空気が割れる音が確かにその話題がタブーである事を教えている。何でも管理局時代の話が気に喰わないようだ。
そんなボスの態度から部下達、魔道師達はやるべき事を理解する。目の前のガキの排除。

「おっと待った! 別にアンタにケンカを売りにきたわけじゃない。
 魔道師関係のビジネスをしているアンタだからこそ頼める……買ってみねぇか?」

不意に空気が変わった。少女 バクラの提案によって。
つまり……ビジネスの空気。

「なにを……だ」

「コイツさ」

バクラが指差しているのは間違いなく自分自身、少なくとも他所から見れば。
だが事実は違う。バクラとは寄生している人格に過ぎない。つまり本来の体の持ち主といえば?
首から提げた千年リングが光を放ち、次に開いた口から聴こえてきたのは、緊張した年相応の少女の声。
452キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:43:31 ID:XYsT7HlM
「はっはじめまして! 私、キャロ・ル・ルシエです!」

「人格が……変わった?」

「えっと……さっきまで喋っていたガラの悪い人は、この千年リングに宿った人格でバクラさんと言います。
 それから……よいしょっ! この子がフリードリヒ!」

バクラ、いやキャロが引っ張り出したバッグから飛び出すのは竜の幼体。
その見慣れない生物に対する純粋な驚きの声に混じって、その色に対する驚きの声が聴こえた。
すぐさま表に出たバクラが予定通りのシナリオに笑いを堪えながら、補足する。

「そう! 滅多にお目にかかれない白銀の飛竜だ!
 もう解っただろ? このキャロ・ル・ルシエはアルザスの末裔。将来有望な竜召喚士だ!
 しかも今ならレアなユニゾン・デバイス 千年リングに、荒事にも成れた管制人格 バクラもつけるぜ!」

もちろんユニゾン・デバイスとか管制人格と言うのは嘘だ。だが他の部分は間違いない。
家なき子だろうがキャロは間違いなくアルザスの民にして、一族から恐怖されるほどの才能を持つ竜使い。

「買わないか?
『キャロ・ル・ルシエに人並みの生活をさせ、魔道師としても教育する権利』を。
オレと違って相棒は律儀だからな〜恩を仇で返すようなことはしないと思うぜ?」

つまりコレはショーなのだ。
集めたコインも目的の人物である魔道師の育成を生業にする組織のボスを引っ張り出す為。
そして周りの客達を観客とすることで生まれる興奮状態で、契約の即決を誘導する罠。
実際に周りの客たちも物好きな金持ち共であり、『今すぐ決めないのならウチに来てもらおうか?』なんて言う言葉もチラチラ聴こえる。

「ハッハッハ! 良いだろう……」

完全に自分が嵌められている事を理解しても、ボスは豪快に笑った。
元教導隊としてこんなにも面白い逸材を教えたことは無い。
今までならば拾い上げるようにして得て来た人材に、こうも派手に出し抜かれるとは思って居なかった。

「買ったよ、その権利」

「よっ、よろしくお願いします! えっと……養父さん?」

『ソレは不味いぜ、相棒! 色々と犯罪が起こりそうだ』

「じゃあ、親分さん!」

「何でも好きにしてくれ」
453反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 00:43:43 ID:8NeMuEro
これは神の啓示だと割り切って、大人しくルルスバを書き進めることにするよ…支援
454リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 00:43:44 ID:m6OSDh0C
支援

そして話が完成したのでバクラさんの投下終了から三十分後に投下します。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:43:44 ID:s7jEQajR
>>444
>8NeMuEro
8 NeMu Ero
つまり眠っている相手にエロいことをする話を8レス分ということですな

シャマルにエロスはほどほどにと言われつつ支援
456キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:45:08 ID:XYsT7HlM
以上でした〜オリキャラと地味な話バンザイ!
でもとりあえずマック難民脱出をお祝いして上げてください(ぁ
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:45:32 ID:YsHeie+e
>>444
眠れる奴隷ならぬ眠れるエロということか……覚悟している人ですよね

支援
458リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 00:48:03 ID:m6OSDh0C
え…えっと…おめでとうキャロ!(単純
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:53:48 ID:Ut6EiUJW
お疲れさまでした〜

バイド感染率は思ったより低くて37%ぐらいだったようです
そしてキャロ、おめでとう!
460キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:53:53 ID:XYsT7HlM
アレ……反応が無い。やはりオリキャラは不味かったか?
イヤ、スピーディーさと意外性を出すのに説明文をカットしすぎたか?
それともキャロが養父(と書いておとうさんと読む)は妄想的にマニアックすぎたか?
461反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 00:56:12 ID:8NeMuEro
GJ!
しかし今回のバクラはいやにカッコいいですなw
ですが、1つだけ不安になった。





もはやフェイトそんっていらない子?
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 00:56:29 ID:Ut6EiUJW
>>460
あれだ、多分、自然すぎてコメントに困るかと。
・・・使い捨てのキャラで無いことに祈ろう
463キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 00:59:59 ID:XYsT7HlM
自然すぎたか……アレ? 
オレの無い知恵を絞りつくした奇策が自然すぎる印象を与える程に、ウチのコンビは突拍子が無いのか?
ん? 誇って良いのか悪いのか……
まあ、すぐに居なくなりそうな雰囲気はしますが、重要な役回りなのは確か。

フェイトそん……そのうち出てくるよw
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:01:16 ID:srEAHNTg
GJ
しかしこれはまさかのエリオとの悲恋フラグ?
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:03:28 ID:YsHeie+e
>>464
というか、バクラがいる時点で普通の恋愛は無理だと思うんだが
466反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 01:05:04 ID:8NeMuEro
>>463
OK、では期待しています。

さて、ではバイド汚染がIDにまで及んだエッチなおじさんはルルスバエロ番外編執筆に戻りますか。
昼までには投下できるようにしたいです。
今夜は眠れないぜフゥアハハハー!(やけっぱち)
467Strikers May Cry:2008/02/03(日) 01:05:51 ID:6nkvwudM
>>408
なの魂氏、相変わらず最高にGJですね。
投下されたばかりなのに次回が待ち遠しいですよ!

>>456
マジでキャロはこのまま裏街道一直線なのか! 二重人格ぶりが眼に浮かんですごく楽しいです。
GJ!!

>>444
反目氏、これ神がエロを早く書けと掲示を出しているのですよ! だから早く避難所にエロを!!
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:12:31 ID:jHyOcrpU
GJ!!です。
キャロが本編より強化されるのか・・・親分はどんな教育をするのか楽しみですw
召喚でいろんな魔法生物を呼び出して物量で戦うキャロが見てみたいw戦いは数だよ兄貴!!
そしてフェイトそん涙目w
親分がなぜ管理局時代の話をされると嫌がるのか気になります。
469旅ゆく人:2008/02/03(日) 01:13:57 ID:MLpTYV5o
>>463
GJ、デス。これも相変わらず、読んでて楽しいなぁ……。


あと、お前さんら、エロも程々になw
ええ具合に、芋焼酎がまわりまくりんぐなので、
寝ますデス。
嗚呼、背中が、腰が、……寄る年波にゃ、勝てぬか、呵々 ノシ
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:14:18 ID:IPU5LARO
>>463
GJ!!でした。面白かったです。
なんかキャロが凄い世渡りしてる・・・
しかし本編の展開次第では本当に有りえたかもしれない。
反応が少ないのは、意表をついてないというか、自然なのが原因かと。

ギャンブルが絡んできた時、キャロが借金をした人のために
代打ちするのかと思いました。

ここのキャロはたくましい。
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:15:46 ID:oStcX8+T
キャロってば・・・ギャンブルなんかに手を出して、裏社会のドンにまで勝負を
仕掛けようだなんて・・・。

キャロ・・・恐ろしい子!
472リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:16:39 ID:m6OSDh0C
では投下いきます。
473リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:17:20 ID:m6OSDh0C
【機動六課サイド】六話「爆走!クリムゾンウインガー!!」Aパート
【AAMON本拠地 兵器開発室】
「ようし…完成だ…!」

死神博士は、仮面ライダーアウレフを倒すべく、新型スーパーマシン・ダークセーバーを完成させた。
ダークセーバーは「CBR400F」に異常改造を施し、外装にバズーカ砲をも防ぐ特殊金属の鎧を装備した、恐るべきマシンである。(なお、この鎧はジャッカルを象っている)

「このダークセイバーに乗るのは貴様だ…現れよ!ジャッカル男!」
「グリィィィィィイ!!」

開発室の扉が開き、怪人ジャッカル男が姿を現した。

「ジャッカル男…貴様は一流レーサー級の腕前を持つ改造人間だ…このダークセーバーを乗りこなし、見事、アウレフを倒してみせよ!」
「グリイィィィィィイ!お任せください…死神博士!」

【モトクロスレース場】
その頃拓哉は、ティアナの頼みを受け、彼女のバイクテクニックの訓練のコーチをしていた。
今はティアナがゴールし、結果を報告している最中である。

「タイムは三秒縮まってる。中々良い調子だよ。」
「ホント!?」
「でも、まだまだちょっと、甘いかな。」
「あ…やっぱり…じゃあ、もう一周!」
「おいおい、これで三週目だろ?持たないぜ?」
「もうすぐあたし専用のマシンが届くの。だから完璧に乗りこなすためにも、腕を磨いておかないと…」
「ふう…わぁかったよ。もう一周ね。」
「!、うん!」

ティアナはヘルメットを被り、マシンのアクセルを踏んで走り出す。
拓哉はティアナのスタートと同時にアナログストップウォッチのスイッチを入れるが…

「…ん?」

ストップウォッチの針は進まなかった。
拓哉はなんどもなんどもスイッチを押すが、やはり針は動かない。

「…嫌な予感がする。」

拓哉は遠くなっていくティアナを見つめ、不安を募らせた。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:17:46 ID:jHyOcrpU
裏社会とのコネクションが出来ているおかげで管理局の裏金の動きを
誰よりも早く知りそうw
475リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:18:14 ID:m6OSDh0C
やべ、誤爆した。ごめん。
476リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:20:46 ID:m6OSDh0C
あれ?誤爆と思ったら誤爆じゃなかった…まぁいい、続きだ。

【レース場 コース中盤】
拓哉の不安をよそに、ティアナはコース中盤まで差し掛かる。
先程より調子が良く、「この調子でゴールを…」タイムを焦るばかり、ティアナは良い結果を出すことのみに執着していた。
そしてそんな彼女のマシンに向け、一発の槍が飛んできた。

「!?、きゃ!?」

槍はマシンのタイヤを貫き、ティアナはバランスを崩して倒れたマシンの上から投げ出され、硬い地面の上を転がった。

「クッ…しまった…」
「ギィ!ギィ!」

すると槍が飛んできた方角から十人ほどの戦闘員が現れ、倒れているティアナを取り囲む。

「こいつが神城拓哉の仲間か?」
「ああ、捕らえて人質に…」
「待てぃ!」
「「!?」」

空中からシャウトが響き、拓哉が空中で一回転しながら地上に降りてきた。

「た…拓哉…」
「予感的中!ティアナ!大丈夫!?」
「神城!貴様何故ここへ!?」

戦闘員の一人が驚きながらそう言う。

「虫の知らせって奴さ!来い!!」
「ギィ!」

戦闘員達は槍を構え、拓哉に襲い掛かる。
拓哉はトリッキーなアクションで戦闘員達の槍をかわし、素早い動きを駆使して様々な技を繰り出し、戦闘員軍団を蹴散らした。
しかし槍部隊を倒したのもつかの間、次は戦闘員オートバイ部隊が現れ、拓哉に向かってきた。

「休む時間ぐらいくれってんだよ…変身!トオッ!」

拓哉は変身ポーズを取り、宙に飛ぶ。
そしてアウレフに変身した拓哉は待機していたガルベストンに空中から着席し、アクセルを踏んでマシンを爆走させる。
アウレフの駆る青いガルベストンは戦闘員オートバイ部隊と激突し、激しいバイク戦を繰り広げる。
しかし、いくら戦闘員の腕がよくとも戦闘員達が乗っているのは通常のバイク。
スーパーマシン・ガルベストンに乗ったアウレフに適う筈もなく、バイクを扱ったアウレフの攻撃の前に次から次へと撃墜されていった。
しかしアウレフは気付いていなかった。
自分のバイクテクニックとガルベストンの性能が、隠しカメラでサーチされていることに…
477リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:21:37 ID:m6OSDh0C
【AAMON本拠地司令室】
「見よ、ジャッカル男。あれがアウレフのバイクテクニックだ。」
「ハッ!」

ジャッカル男はガルベストンを駆るアウレフが写ったモニターを見つめる。

「どうだ?」
「俺とほぼ互角の腕をしていますが、マシンの性能は俺のダークセーバーの方が上です。
マシン性能の差で私の勝ちですよ。」
「クックックック…たぁのもしいぞ…ジャッカル男…」

………
「終わったか…」

敵オートバイ部隊を全滅させたアウレフは拓哉に戻り、ガルベストンから降りて戦闘員達のバイクの残骸を見つめる。

「おかしい…手応えがなさ過ぎる…それに何だ…この妙な不安は…」
「拓哉…」
「ん?ああ、ごめんティアナ!放置しちゃって!」

拓哉は右足を抑えながら立っているティアナに駆け寄り、懐から包帯を取り出す。

「うお!包帯!」
「用意は周到にってね。でも、戻ったら「ラファエル」に診せ…」
「ティィィィィィィィアァァァァァァナアァァァァァア!!」
「「ん?」」

拓哉とティアナは凄まじい雄叫び(?)を耳にし、雄叫びが聞こえた方向を振り向く。
そこにはグリンクローバーを爆走させ、こちらに猛スピードで突っ込んでくる睦月の姿が…

「誰?」
「睦月兄…」

当然ノリ的にグリンクローバーの車体は拓哉を跳ね飛ばす。
そして睦月は拓哉を跳ね飛ばした後ブレーキを掛けてマシンを止め、足を怪我しているティアナの傍に大急ぎで駆け寄る。

「大丈夫かティアナ!?俺、救急箱持ってきたから…」
「睦月兄…心配してくれるのは嬉しいんだけど…」
「え?」
「あれ…」

ティアナは跳ね飛ばされて頭を地面に強く打ちつけ、頭部からおびただしい量の血を流して倒れている拓哉を指差す。

「あれ?なにあれ?」
「跳ね飛ばした自覚がないのかい!?」
478リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:24:43 ID:m6OSDh0C
【機動六課隊舎医務室】
「…!」

享一に治療魔法をかけてもらいながらティアナの隣に立っている睦月を睨む拓哉。
当然その眼光からは憎しみの念が満遍なく放たれている。

「いやぁ…ごめんごめん!ティアナが危ない目にあってるような気がしてバイクをとばしてたら、周りの「どうでもいいもの」が見えなくて…」
「…それ謝ってるつもりですか?」
「…ごめん。」

拓哉に深く頭を下げる睦月。

「まぁ良いじゃないか拓ちゃん!助かったんだし。」
「黙れエロ医者!改造されてなかったら間違いなく死んでたんだぞ!」
「それだけ元気があれば心配はないよ。はい、治療終わり。」

享一は治療魔法を止め、拓哉の頭部に包帯を巻く。

「こっちも終わりです。」
「ありがと、ラファエル。」

ラファエルも治療魔法を止め、ティアナの足に湿布を張りつけ、テープで止める。

「まったく久々の出番かと思ったらこの程度の怪我治しか…目立たないなぁ…」

享一はそう呟くとデスクの引き出しからアダルト雑誌を取り出し、読み始める。

「お前…」
「医者がアダルト雑誌を読んじゃ駄目って法律は無いよ。」
「いや、だからといってお前…」
「失礼。」
「「ん?」」

医務室のドアが開き、橘が入室してくる。

「橘さん!」
「久しぶりだな、ティアナ。そして…」

橘は拓哉の方に向き直り、挨拶する。

「君が神城拓哉君か。俺は橘、ギャレンだ。よろしく頼む。」
「拓哉です、橘さんのお話は、ティアナから聞いています。よろしくお願いします、先輩。」

拓哉と橘は握手を交わす。

「すまないな。俺の弟子が、迷惑をかけてしまったようだ。」
「いやはや全く…」
「…」

小さくなる睦月。

「橘さん、聞きましたよ。」
「何だティアナ?」
「志村さんが…裏切り者だったって…」
「ああ…俺の不手際だ…しかし、今は志村のことを話している場合じゃない。俺たちが何故来たか…分かるな?」
「はい…」
479リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:25:39 ID:m6OSDh0C
ティアナは座っていた椅子から立ち上がる。

「完成したんですね…「クリムゾンウインガー」が…」
「ああ。ブルースペイダー、レッドランバス、シャドーチェイサー、グリンクローバー、そしてブラックファングの五台を遥かに凌ぐマシンが完成した。
まぁ、話すより見てもらったほうが良いだろう。
拓哉、ティアナ、来てくれ。」
「「はい!」」

拓哉とティアナは、橘と睦月に連れられ、格納庫に向かった。

【機動六課隊舎格納庫】
「これだ。」

橘はマシンにかけられた灰色のシートを取り去る。
するとシートの下から、不死鳥を象った紅蓮色の美しいマシンが現れた。

「「おお〜!」」
「最高速度970キロを誇り、スペード9「マッハ」、ダイヤ9「ジェミニ」、ハート9「リフレクト」、クラブ9「スモッグ」の能力を備えた、スーパーマシンだ。」
「これが…私の…」
「ただし、乗りこなすには厳しい訓練が必要だ。早速だが、訓練に入るぞ。」
「はい!」

………
数十分後、橘はバイク型のシュミレーションマシンを用意し、ティアナをそれに乗せる。

「ティアナ、これも付けろ。」

橘はティアナに奇妙なヘルメットを渡す。

「これをかぶることによって、脳内に映像が送られ、クリムゾンウインガーのスピードが体感できるようになる。」
「分かりました。」

ティアナはヘルメットをかぶり、シュミレーターのハンドルを握る。

「橘さん!準備OKです!」
「行くぞ!」

橘はシュミレーターのスイッチを入れた。

【ティアナの脳内】
スイッチを入れると同時にティアナの脳内にモトクロスレース場の映像が映し出される。
当然、ティアナはバリアジャケットを装着し、クリムゾンウインガーに乗っていた。

『ティアナ、映像が見えるか?』
「はい!」
『映像のウインガーのアクセルを踏め。それでシュミレーションスタートだ。』
「分かりました!行くわよ…ウインガー!」

ティアナはクリムゾンウインガーのアクセルを踏み、シュミレーションを開始した。
480リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:26:49 ID:m6OSDh0C
………
【機動六課隊舎格納庫】
100キロ、150キロ、200キロ…シュミレーターに表示されたスピードは50キロずつ上がっていく。
しかし、ティアナは呻き声一つ上げず、シュミレーターマシンのハンドルを操作していた。

「500キロを超えた…それでも呻き声一つ上げないなんて…」
「流石はティアナ!俺の妹分…」

拓哉と睦月は感心し、微笑む。
しかし橘は、真剣な表情を崩さない。

「橘さん?何難しい顔してるんですか?」
「睦月…まだ全力のスピードで走っているわけじゃない。本番はこれからだ。」
「え?」
「ティアナ!ティアナ!」
「!?」

睦月はティアナに必死に呼びかける拓哉の声に気づき、ティアナの方を振り向く。

「う…ああああああああ!!ああああああああああああ!!」

ティアナは急に強烈なうめき声を上げて苦しんでおり、体中に汗をかいていた。
スピードは700キロに達している。

「ティアナ!!!」
「くっ…やはり駄目だったか…!」

橘はシュミレーターのスイッチを切り、機能を停止させる。
ティアナの近くに居た拓哉はヘルメットを外し、気を失っているティアナを抱きかかえ、大声で呼びかけた。

「ティアナ!ティアナ!」

しかし、何度呼びかけてもティアナは反応しない。

「橘さん!上城さん!ティアナを医務室へ!」
「ああ!」
「…」
「睦月!しっかりしろ!」
「は!…は…はい!」
481リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:27:52 ID:m6OSDh0C
【医務室】
一時間後、ティアナは医務室のベッドの上で目を覚ました。

「ん…ん?ここは?」
「目が覚めた?」
「!?」

ティアナは突然聞こえた拓哉の声に驚き、隣を振り向く。
そこには、拓哉、橘、睦月が立っていた。

「拓哉…橘さん…睦月兄…」
「おはよ♪」
「…」
「ティアナ…」
「…そっか、あたし、700キロでリタイアしちゃったんだ…」
「ティアナ。700キロじゃないだろう?もっと前からダウンしかけていたと思うが?」
「う…」

ティアナは橘の一言に黙り、少ししてから口を開く。

「…橘さんの目はごまかせませんね。本当は500キロ辺りから辛かったです…でも…マシンを乗りこなしたかったから…」
「そうか…」
「…うっ…くっ…ティアナぁ…」

睦月は膝を落とし、布団に顔を埋めて泣き崩れた。

「ちょ!なんで睦月兄が泣くのよ!?」
「俺…気付いてやれなかった…ティアナが辛いのに…気付いてやれなかった…俺…俺…」
「睦月…」
「上城さん…」
「睦月兄…睦月兄のせいじゃないよ。」
「そうだ。俺も…ティアナの異変に気付きつつあったんだ…早く止めてやるべきだった…」
「僕だって…気付けなかった…」
「うっ…うう…皆…」
「おい!大変だ!!」

医務室の扉がいきなり開き、ヴィータが現れる。

「副隊長…」
「拓哉!怪人が出た!悪いけど先行してくれ!」
「どうして?皆で行った方が…」
「その怪人、おかしなバイクに乗ってるんだ!」
「え!?」
「そのバイク、お前のガルベストンと互角かそれ以上のスピードを持ってて、ヘリじゃとても追い付けねぇ!だからお前が先行して、そのバイクを叩き潰して欲しいんだ!」
「分かりました!」
「拓哉、俺も行く。味方は多いほうが良い。」
「…!(涙を拭き取る)俺だって行く!」」
「上城さん、橘さん、失礼ですが貴方方のマシンでは、ガルベストンのスピードには到底届かない。スバル達と一緒に来てください。」
「くっ…しょうがないか…」
「チクショー!」
「拓哉…」
482リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2008/02/03(日) 01:28:51 ID:m6OSDh0C
ティアナは心配そうな表情で拓哉を見つめる。

「大丈夫!帰ってきたらまたバイテクを教えるから、それまで休んでろよ!」

拓哉はティアナにウインクを送り、ヴィータと共に医務室を出て行った。

「…睦月、拓哉はああいったが、なにか罠がないとも限らん。念のため、お前だけでもこっそり付いていってやれ。」
「あ…はい!」

睦月は橘の命を受け、医務室を出る。

「(拓哉、睦月兄…無事に帰ってきてね…!)」

ティアナはベッドの上で、戦場に向かった二人の無事を祈った。


投下終了
バイク戦はまた次回。
感想も叩きも待ってます。
すべて自分の糧にしますので。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:29:48 ID:oStcX8+T
スバルはマッハキャリバーがあるから、生身でオートバイ部隊を叩き落せそう・・・。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:38:10 ID:YsHeie+e
>>474
むしろ、3脳と仲良く慣れそうな気配もあるな。
もちろん腹に黒いものを抱えた仲のよさ、だがw
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:52:39 ID:bN3Dt2kr
>>484
3脳のことをネタに管理局を強請れるんじゃないかな。
奴らのことはばらしたら不味いだろうし。
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 01:55:54 ID:YsHeie+e
>>485
ありえるwww
つか、そこまでなってしまうと六課よりもスカ側に所属してしまいそうだなww
ルーお嬢様ご一行とか
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 02:00:08 ID:GSGm34FN
キャロ 竜以外の者も使役できるんだし 一人でもない
戦い方も世間の厳しさ 現実もバクラが教えてくれている
盥回しにはされそうにもないのでフェイトの親としての役割は無さそうな気が。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 02:08:11 ID:/FcmTu3P
闇のゲームの始まりらしいから、バクラがカジノヘブンの仕置き人になりそうだな。
キャロはさせないと思うが
皆様GJでございます。
何か、自分のを投下して大丈夫なのかって気が微妙にしてたり。


とりあえず、何事もなければ15分頃にこちら投下始めますわ
んでは、14話を投下いたします。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 02:19:42 ID:/FcmTu3P
寝る前に支援
第14話「負けられぬ戦い」


「デュアッ!!」
「ハッ!!」

荒れ狂う大海原。
一歩間違えれば、即座に海の藻屑となりかねないその中で、ウルトラセブンは一人戦っていた。
額のビームランプから放たれたエメラルド光線が、マグマ星人の放った光線を相殺する。
しかしその直後、セブンの隙を狙いマグマ星人の傍らにいた、レッドギラスとブラックギラスが飛び出した。
二匹は大きく腕を振りかぶり、セブンに殴りかかってくる。
セブンは両腕を交差させて防御を固め、その攻撃を乗り切ろうとする。
海上・海中での戦闘を専門とする双子怪獣を相手では、立ち回りにおいて圧倒的に不利。
下手に回避に回ろうとするよりかは、防御の方が確実である。
やがて、連続して攻撃を叩き込んでくる二匹の動きに、若干の乱れが見え始めた。
セブンはそれを見逃さず、即座に頭部のアイスラッガーを手に取り、そして一閃。
二匹の胴体に真一文字の傷がつき、二匹は悲鳴を上げた。

(こいつら二匹だけなら、まだどうにかならなくもないんだが……!!)
「そこだぁっ!!」

追撃を仕掛けるべく、セブンが光線を放とうとしたその瞬間だった。
ブラックギラスの背後から、マグマ星人が飛び出してきた。
マグマ星人は真っ直ぐにセブンの胸元目掛けてサーベルを突き出してくるが、セブンはギリギリの所でアイスラッガーでそれを受け止める。
せめて2対1ならば十分勝ち目はあったのだが、3対1となるとやはり分が悪い。
中々、決定打を打ち込む隙が見当たらないのだ。
こうなると、消耗戦に追いやられて敗北するのはもはや目に見えている。
この状況を打開するには……彼女の到着を待つしかない。

(ヴィータ……!!)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「アイゼン!!」

セブンより、ギラススピン打倒の願いを託されたヴィータ。
その期待に応えるべく、彼女は只管に特訓に励んでいた。
特訓当初に比べれば、ラケーテンハンマーの威力は確かに上昇している。
十分強くなっているレベルではあるのだが……それでも、ギラススピンを打ち破れるだけの威力には届いていない。
気がつけば、カートリッジも数が危なくなり始めている。
このまま尽きて終わる様な事になったとしたら、それは最悪である。

「くそっ……どうすりゃいいんだよっ!!
早く行かなきゃ……早く何とかしなきゃ、ダンさんが……!!」

現状を打開できないことに、ヴィータは酷く焦る。
しかし……彼女とて歴戦の騎士、自分が挑戦していることの難易度ぐらい承知している。
技の威力というのは、そんなに急激に上昇させられるものではない。
何度も何度も反復的に練習を繰り返し、その末に向上するものだ。
尤も、それでもラケーテンハンマーを今日一日だけでここまで強化させられたというのは、驚異的なのだが……

「……これじゃ、駄目なのか?」

ヴィータは、ついに今の己のやり方に限界を感じ始めていた。
このままラケーテンハンマーを反復的に使い続けていても、ギラススピンを打ち破るだけの威力は得られない。
そんな気がしてならなかった。
しかし、ならばと駄目元で挑もうものなら、それこそどつぼだ。
ダンの期待を裏切る結果に終わってしまうし、何より自分自身がそんな結末を許せない。
だが、それならどうしろというのか。
ギラススピンを打ち破るには、回転技であるラケーテンハンマーしかない。
ギガントシュラークすらも弾かれたのだから、他の技で挑んだところで結果は見えている。
手も足も出ないとは、まさにこのことか。

「どうしたらいいんだよ……アイゼン……!!」
『……』

ヴィータは、相棒についに弱音を吐いてしまった。
そんな彼女へと、グラーフアイゼンは何も答えてやれない。
もしもここに他の守護騎士達がいたならば、この光景をとてもじゃないが信じられなかっただろう。
ヴィータが弱音を吐くというのは、それ程に中々ないことなのだ。
彼女は今、己が置かれている絶望的な状況を悲観していた。
自分を必要としてくれる人間の期待に応えられないで、何が守護騎士だ。
はやての為にリンカーコアを持ち帰るためにも、セブンを助けるためにも。
彼等の助けとなるために、絶対にあの双子怪獣を倒さなければならないというのに……
ヴィータは強く拳を握り締め、地面に叩きつける。
その瞳には、いつしか涙が浮かんでいた。
「こんなんじゃ、このままじゃ……!!」
「誰も助けられず、負け犬で終わるだろうな」
「!?」

その時だった。
落ち込んでいたヴィータへと、背後から何者かが声を掛けてきた。
とっさにヴィータはふりかえり、身構える。
彼女の目の前にいたのは、一人の中年の男性だった。
見たところ、彼は修行僧らしき服装に身を包んでいる。
ヴィータはその男に対し、警戒心をむき出しにしたまま、声を荒げた。

「誰だ、テメェ……!!
マグマ星人ってやつの仲間か!?」
「俺の事など、どうでもいいことだろう?
問題なのは、今のお前がこのままで終わるか否かじゃないのか?」
「テメェ……何なんだよ、一体!?
いきなり出てきて、人の事を馬鹿にして……!!」

ヴィータは、怒りの形相で男にグラーフアイゼンを向けた。
確かに彼が言うとおり、今の自分に問題があるというのは否定しない。
だが、だからといって、いきなり負け犬呼ばわりされて黙っていられるわけがない。
男はそんなヴィータを見ても、表情ひとつ変えず……それどころか、信じられない言葉を口にしたのだ。

「ならば、馬鹿にされないだけの実力があるかどうかを試させてもらおうか」
「何……!?」
「かかってこい、お前の特訓とやらがどんなものかを見せてみろ」

男はあろうことか、ヴィータに戦いを挑んできたのである。
彼女にどれだけの力があるというのか、それを試すために挑戦してきたのだ。
ここで、ヴィータも流石に我慢の限界が来た。
堪えていられるわけがない。
強く地を蹴り、男へと接近する。
一撃を叩き込むべく、ヴィータは大きく腕を振るった。

「うおおおぉぉぉぉっ!!」
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 02:27:36 ID:WaqDRoHJ
>額のビームランプから放たれたエメラルド光線が
エメリウム光線だっちゅーの
支援
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 02:27:57 ID:+eutVvu/
支援
それに合わせて、男が動いた。
しかしそれは、回避行動でも防御でもなく。
ただ、静かに左の拳を握り……真直ぐに突き出したのだ。
その瞬間……男が身につけている指輪が、光った。
その指輪の名は、レオリング。
獅子の瞳を宿す、男―――おゝとりゲンが真の姿に変身する為の道具。

「レオオオォォォォォォォォォッ!!」
「っ!?」

獅子の瞳が輝いて、眩い光が辺りを照らす。
ヴィータはとっさに動きを止め、後方へと下がる。
彼女は目の前の光景に、既視感を覚えた。
それもその筈……先ほど、ダンがウルトラセブンに変身したときと、全く同じなのだから。
ここでヴィータは、まさかと感じた。
そして、その予感は的中する……光が晴れた時、そこに立っていたのは、一人の赤い戦士であった。
彼こそが、ゲンの真の姿―――ウルトラマンレオである。

「ウルトラマン!?」
「そうだ……俺はウルトラマンレオ。
隊長……ウルトラセブンと同じ、ウルトラマンだ。
ヴィータだったな……本気でかかってこい。
そうでなければ、死ぬ事になるぞ?」
「っ……アイゼン!!」

相手の正体が判明しても、ヴィータは臆す事無く向かっていった。
ウルトラマンレオが、本気で自分を倒しにかかろうとしていることを、本能的に悟ったからだ。
気圧されれば、その時点で負けてしまう。
ならば、先手を打つ以外に道はなかった。
ヴィータは全力で、レオの脳天めがけてグラーフアイゼンを振り下ろす。
しかし、レオはそれを紙一重で回避。
そのままヴィータ目掛けて、右脚で回し蹴りを叩き込む。

「うっ!?」
「ハッ!!」

とっさに障壁を展開し、ヴィータはその一撃を受け止める。
そして、すぐさま反撃に転じようとする……が。
それよりも早く、レオが追い討ちをかけてきた。
レオは右足を引かず、そのまま片足だけでサマーソルトを繰り出す。
ヴィータの腹部に、強烈な一撃が叩き込まれた。
>>495
ウルトラマンレオ聞きながら書いてたから、やっちまったっすorz
宇宙に煌くエメラルドの部分でorz

―――以下、本文―――

「ウグッ!?」

胃の内容物を全て吐き出したくなるような、強烈な嘔吐感がヴィータを見舞った。
そのままレオは、ヴィータを上空へと蹴り上げる。
そして、自身も着地と同時に地を蹴り上昇。
右手で手刀を作り、赤熱させる。
ヴィータはその光景を目にして、とっさに障壁を展開する。
この一撃はやばいと、そう直感したからである。
そして、その直後……レオは勢いよく、手刀を振り下ろした。
流れ落ちる滝をも両断する、必殺の手刀ハンドスライサー。
その一撃は、見事にヴィータの障壁を切り裂いた。

「叩き斬られた!?」
「イヤァァッ!!」

防御を失ったヴィータへと、正拳の一撃が炸裂する。
一切の加減がない、レオの本気の拳。
その威力はやはり高く、ヴィータは地上へと相当な勢いで叩きつけられるハメとなった。
猛烈な土煙が巻き起こり、ヴィータの姿が覆い隠される。
レオはそこへと深追いはしないで、冷淡に彼女へと語りかける。

「修行の成果を見せろと、そう言った筈だ。
ヴィータ、技を出せ……そうでなければ、俺は倒せんぞ!!」
「くっ……分かってらぁ!!
やるぞ、アイゼン!!」
『yahoo!!』

レオの言葉どおり、ここは必殺の攻撃でいかなければ勝ち目はない。
威力を試すためにもと思い、ヴィータはラケーテンハンマーの構えを取った。
それを見て、レオもしっかりと地面に両足をつけ、構えを取る。
そのまま、両者は動きを止めて睨み合い……数秒後。

「ラケーテン……ハンマアァァァァァァァッ!!」

雄たけびを上げ、ヴィータが飛び出した。
ラケーテンハンマーを繰り出し、猛烈な勢いで回転しながらレオへと接近。
レオは腕を十字に組み、深く腰を落として防御の構えを取る。
そして……鉄槌が、レオへとついに叩き込まれた。
「ぶち抜けえええぇぇぇぇぇぇっ!!」
「ヌウウゥゥゥゥッ!!」

ラケーテンハンマーの直撃が、レオを猛烈な勢いで押す。
その両足が、地面を激しく削り取っていく。
ヴィータは全力で、グラーフアイゼンを振りぬこうとする。
しかし、レオは全力でそれに耐えぬこうとする。
どちらのパワーが勝るかの、純粋な力比べ。
打ち勝ったのは……

「……成る程な。
これがお前の、ギラススピン対策か……」
「そんなっ……!?」

レオは吹き飛ばなかった。
ヴィータの全力の一撃を、正面から受け止めて耐え切ったのだ。
信じられない。
そう言わんがばかりの表情で、ヴィータはただ呆然としていた。
そんな無防備な状態の彼女を、レオが見逃す筈が無い。

「だが!!」

レオは両腕を勢いよく開き、グラーフアイゼンを弾く。
そして、力強く前へと踏み込み……まっすぐに、蹴りを叩き込んだ。
ヴィータの体が、宙を舞う。
やがて、彼女は十数メートル先に落下。
その瞳には、絶望の色が浮かんでいた。

「そんな……あたし……負けた……また……?」
「……ギラススピンを破るのには、まだまだ力が足りない。
どうやら、隊長の見込み違いだったようだな」
「お前……一体、何で……」

ヴィータは虚ろなまま、レオに尋ねかけた。
何故、仲間であるセブンを助けに行かないのか。
これだけの力があるならば、きっと彼の力になる筈。
それなのに……何故、自分に戦いを挑むという、正反対の行動を取ったのか。
その至極当然な問いを聞き、レオは少し黙り込んだ後……静かに、答えた。
「……俺はこの世界で異変が起きているのを察知して、兄さん達の力を借りてここにやってきた。
その後は、お前の言うとおりに隊長に加勢しようとしたさ。
だが……隊長自身が、それを拒んだんだ。」
「え……どういうことだよ?
だって、ダンさんじゃギラススピンは……!!」
「『お前が加勢して勝ったならば、ヴィータに申し訳が立たない。
ギラススピンを破るのは、他ならぬ彼女でなければならない。
だから、その手助けをしてやってくれ』と……隊長は、俺にそう言ったんだ」
「!!」

レオの言葉を聞き、ヴィータは瞳を大きく見開いた。
セブンは自分が不利な状況にもかかわらず、レオの加勢を拒んだ。
全ては、ヴィータにギラススピンを打ち倒させるためにである。
それがどれだけ危険な事かは、説明するまでも無い。

「ダンさん……」
「だが俺は、お前がそれに値するかどうかが不安だった。
だからこうして、試させてもらった……お前が本気で牙を向けるよう、態々あんな挑発までしてな」
「あ……!!」
「そして、その結果がこれだ。
お前は俺に負けた……これではギラススピンに挑んでも、結果は見えている。
……奴等に滅ぼされた、故郷の仲間達と同じ様にな」
「っ……!!」

彼は過去の経験から、セブンに対して尊敬の念を抱いていた。
そのセブンが託したヴィータが、どれ程のものなのかを知りたかったのだ。
かつて、メビウスが地球を守るに値する戦士かどうかを試したときと同じように。
ましてや相手は、レオにとっては因縁の相手。
彼の故郷を滅ぼした、マグマ星人と双子怪獣なのだ。
この手で何としても打ち倒したいと、そう思っていたが……それでも彼は、セブンの考えを尊重し、自重したのである。
だからこそ、ヴィータがそれに見合うだけの人物か否かを確かめたかったのだ。
そしてその結果は……はっきり言えば、期待外れであった。
ヴィータはその現実を前に、堪らず瞳から涙を流してしまう。
しかし……そんな彼女に対して、レオは怒声を浴びせる。

「その顔はなんだ!!
その目はなんだ、その涙はなんだ!!
お前の涙で、何かを守れるのか!!」
それはかつて、セブンからレオに告げられた言葉。
そして、レオからメビウスへと告げられた言葉。
強敵との戦いの末、不本意な結果に終わり涙を流した二人へと告げられた、叱咤の言葉であった。
今のヴィータにとって、この言葉がどれだけ酷なものであるかは言うまでも無い。
だが、レオの言う事にも一理ある……泣くだけならば、誰にだって出来るのだから。
その後……レオは、さらに冷淡な言葉をヴィータへと次げた。

「ヴィータ……お前はもう分かっているとは思うが、俺達はメビウスの仲間だ。
本来ならばお互い敵同士の立場なのは、分かっている筈だ。
だが、セブン隊長はそれでもお前に賭けた……そしてお前は、その期待に応えられぬまま俺に負けた。
これが何を意味するか……分かっているな?」
「……まさか……!!」
「ヴィータ……お前の身柄を確保して、時空管理局に引き渡させてもらうぞ」

彼女にギラススピンを打ち破る力がないと分かった今、もはや道は一つ。
この場で確保し、時空管理局に身柄を引き渡すのみ。
一歩一歩、ゆっくりとレオがヴィータとの間合いを詰めていく。
今のヴィータにとってそれは、まさしく地獄へのカウントダウンだった。

(冗談じゃねぇよ……こんなのって……!!)

ここで捕まれば、全てが無に帰してしまう。
闇の書を完成させる事は出来ない……はやてを助けられなくなってしまう。
ダンのことだって、助け出す事が出来なくなってしまう。
他の守護騎士達にも、申し訳が立たない。
ここまでの全てが……失われてしまうのだ。

(ふざけんな……ふざけんなよ……!!)



―――こんなところで終われるかよ

(はやてが、ダンさんが、皆が……!!)

―――終わらせてたまるかよ

(あたしの事を……皆が、待ってくれているんだ……!!)

―――勝ちたい

(だから!!)

―――勝って、先に進みたい


「進まなきゃ……ならねぇんだよぉぉぉぉ!!」
「っ!?」
見事に規制食らいました……orz
今回、長くしちまったから……

とりあえず、規制リセットされる3時まで待ちます。
ただ、もしもこの間に投下するって方がいられましたら、そちらを優先させていただきますね。
そのときは、こちら避難所に投下しますんで
復活……再度いきます


突如として、ヴィータが雄叫びを上げた。
レオはとっさに動きを止め、そして構えを取った。
ヴィータが力強く地面に手を突け、ゆっくりと立ち上がる。
その瞳に宿るのは、涙にあらず。
必ず勝って、先へと進むという……強い意志の光であった。

「これは……!!」

レオは立ち上がったヴィータの姿を見て、驚きを隠せなかった。
立ち上がってきたこと、それ自体は予想の範囲内である。
だが、問題は……今の彼女から感じられる魔力にあった。
魔道士でないとはいえ、相手から放たれる力が如何程かを察する事ぐらいは、ウルトラマンにも出来る。
そして……その魔力が今、明らかに上昇しているのだ。
最初に彼女と対峙したときよりも……遥かに高く。

「あああああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ッ!!」

ヴィータは凄まじい勢いでレオへと急接近、その胴体へとグラーフアイゼンの一撃を見舞った。
防御が間に合わず、レオは直撃をまともに受ける。
レオは堪らず、打たれた部位を押さえて怯んでしまう。
攻撃力もスピードも、確実に上がっている。

(ぐっ……まさか、これ程に力が……!!)
「あたしは、負けられねぇんだ……!!
こんな所で立ち止まってる暇なんて、ねぇんだよぉっ!!」

ヴィータはグラーフアイゼンを、ギガントフォームへと変形。
勢いよく、その巨大な鉄槌をレオ目掛けて振り下ろした。
この一撃を受けては、レオと言えども致命傷になりかねない。
生半可な防御も、通用しないだろう……ならば打つ手は一つしかない。
レオは、全身の力を全て右脚部に集中させる。
そして、勢いよく地を蹴り……真っ直ぐにグラーフアイゼン目掛けて、飛び蹴りを繰り出した。
レオ最大の必殺技にして、ウルトラ兄弟最強の肉弾技―――レオキック。
両者が、真正面から激突し合う。
「ぶち抜けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「エイリャアアアァァァァァァァァァァッ!!!」

鉄槌と右脚が、火花を散らせ合う。
どちらも引かない、完全な拮抗状態。
一瞬でも相手の力を上回ったならば、その瞬間に勝負は決まる。
レオは渾身の力を込め、突き抜きにかかる。
それと全く同じタイミングで、ヴィータも力を込めた。
すると……その時だった。
両者の間に異変が起こった……突然、グラーフアイゼンが光ったのだ。

「これは……!?」
「アイゼン!?」

二人とも、この事態に驚きを隠せないでいる。
この時、ヴィータは知らなかっただろうが……今よりおよそ半年ほど前。
なのはが、レイジングハートを手にして間もない頃であった。
彼女は戦いの最中で、レイジングハートを通常形態から砲撃形態へと初めて変化させた。
砲撃形態の存在は、以前の持ち主であったユーノからも、レイジングハート本人からも聞いたわけではない。
戦いの中で、彼女が自然と変化させたものであった。
無論それは、その時にもユーノが言ったように、誰にでも出来る真似じゃない。
彼女が新たな力を願い、それに見合うだけの魔力があったからこそ、出来たのだ。
そして今……それと同じ現象が、起ころうとしている。
あの時なのはが願ったのは、離れた位置にいる相手へと攻撃を届かせられる力。
そして、ヴィータが願ったのは……先へと進むための、目の前の相手へと勝つ力。

『Zerstörungsform』

グラーフアイゼンが、ヴィータへとその名を告げる。
鉄の伯爵の第四形態にして、最強の形態……ツェアシュテーレンフォルム。
ヴィータは、しばし呆然とした後……己の相棒へと素直に感謝する。
この土壇場において、彼は応えてくれたのだ。

「ありがとう、アイゼン……ツェアシュテーレンフォルム!!」
『Yahoo!!』

感謝の意を込め、ヴィータは新たな形態の名を呼んだ。
グラーフアイゼンが、変形を遂げていく。
その姿は、単純明快、しかし極めて強烈なインパクトを放っていた。
ギガントフォームに並ぶほどの巨大さ、そしてそれにラケーテンフォームのロケットブースター。
二つの形態が持つ長所を、一つにあわせた形態だったのだ。
一目見ただけで、それがギガントフォームを上回っているという事がはっきりと分かる。
「これは……いかん!!」
「いっけえぇっ!!!」

ヴィータが雄叫びを上げ、渾身の力でグラーフアイゼンを振りぬきにかかる。
その瞬間、ロケットブースターが轟炎を噴出した。
ギガントフォームの圧力に、更なる勢いが加わる。
レオキックが、一気に押し返され始める。
終に、均衡状態が崩れたのだ。

「ぶち抜けえええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「ウオオオオオオォォォォォォッ!!??」

レオはこの勢いに、耐え切る事が出来なかった。
グラーフアイゼンが、完全に振りぬかれたのだ。
直後、鉄槌は勢いよく地面に叩きつけられて、大量の土砂を巻き上げる。
やがて、土砂が完全に地に落ち、ヴィータの視界が良好となった時。
そこには……レオの姿は無かった。

「……勝った?」

すぐさまグラーフアイゼンを持ち上げ、レオの姿を確認する。
当然ではあるが、潰れてなどはいない。
ならば、攻撃の勢いで何処かに吹っ飛ばされたか。
それとも、どこかに隠れて攻撃の隙を伺っているのか。
すぐさま周囲を見渡し、レオの姿を探す……いない。
レオの姿は見当たらない……これが意味する事は一つ。

「勝った……勝ったんだ……!!」

ウルトラマンレオに勝った。
自分よりも遥かに強大な力を持つウルトラマンを相手に、打ち勝ったのだ。
ヴィータはガッツポーズを作り、歓声を上げる。
だが、ここでいつまでも喜んではいられない。
ついに、自分には成すべき事を成せるだけの力が備わったのだ。
ならば……やらねばならない。
今こうしている間にも、ウルトラセブンは窮地に立たされているのだ。

「よし……ダンさん!!」

ツェアシュテーレンフォルムならば、ギラススピンを打ち破れる。
ヴィータはセブンを助けるべく、彼の元へと一直線に向かっていった。



「……行ったか」
そして、それから少しばかりした後。
林の中から、息を荒げさせたゲンが現れた。
変身は既に解かれており、その腕や足には青痣がついている。
彼はヴィータの予想通り、グラーフアイゼンの強烈なパワーにより、遠くまで吹っ飛ばされてしまっていたのだ。

「やれやれ……ここまでやってくれるなんて、思ってもみなかったぞ?」

ゲンは、思わぬ成長を遂げたヴィータに心底驚いていた。
彼がヴィータに戦いを挑んだ理由。
それは、彼女の実力を試すためだけではなかった。
ゲンはヴィータを強化する為、荒療治に挑んだのだ。
かつて自分が、ダンから特訓を受けたときの様に。
メビウスと激突したときの様に……ヴィータを成長させる為に、あえて心を鬼にして接したのである。
そうする事で、ヴィータの成長を促そうとした。
背水の陣に立たせる事で、彼女の力を引き出そうとしたのだったが……正直、ここまで成果を上げられたのは予想外であった。
よもや、レオキックまでも打ち破られようとは……もしも後一秒早く均衡を破られていたなら、反射的に巨大化していたかもしれない。
恐ろしい相手に、力を授けてしまったものである。
だが、これで彼女はセブンにとってはこの上ない味方になる。
憎きマグマ星人と双子怪獣の打倒を、託す事が出来る。

「ヴィータ……隊長の事を、頼むぞ」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「デュアッ!?」
「どうした、スピードが落ち始めてるぜ!!」

丁度、その頃であった。
セブンはマグマ星人達を相手に、相当の苦戦を強いられていた。
持久戦に突入されては、やはりセブンの不利は必死であった。
だがそれでも、セブンは引こうとはしない。
ヴィータが現れるその時まで、持たせてみせると約束したからだ。
レオからテレパシーがあった時にも、彼はそれを蹴った。
それが、圧倒的な不利を齎すにも関わらずである。
それ程までに、セブンの意志は強かったのだ。
「終わらせるぜ、ウルトラセブン……!!」
「来るか……!!」

マグマ星人が、ここで勝負に出た。
レッドギラスとギラススピンに指示を出し、肩を組まさせる。
双子怪獣必殺の、ギラススピンの構え。
それを見て、セブンはすぐに動いた。
両腕をLの字に組み、必殺の光線技―――ワイドショットを放つ。
しかし……ギラススピンの前には、ワイドショットでさえも通用しなかった。
光線は弾かれ、威力を殺され消滅する。

「ハハハ、ざまぁねぇなぁウルトラセブン!!」
「くっ……!!」

その様を見て、マグマ星人が高笑いする。
ワイドショットすらも通用しない今、セブンの攻撃はギラススピンには何も通用しない。
マグマ星人は、完全に勝ちを確信していた。
セブン目掛けて、双子怪獣が迫っていく。
これを喰らえば、相当の大ダメージを受けてしまうに違いない。
セブンは、何とかして回避しようとするが……ここまでの疲労がたたってしまい、思うように動く事が出来ない。
目の前まで、双子怪獣が迫る。
もはやこれまでか。
そう思い、セブンが覚悟を決めた……その瞬間だった。

「ダンさあぁぁぁぁん!!」
「何っ!?」
「ヴィータ!!」

上空から、ヴィータが駆けつけた。
彼女はセブンの前へと飛び出し、そしてグラーフアイゼンにカートリッジをロードする。
今の自分と相棒ならば、きっとやれる。
ギラススピンを打ち破る事は出来る。
ヴィータはグラーフアイゼンを強く握り締め……そして、一撃を繰り出した。

「見ててくれ、ダンさん……これがあたしとアイゼンの、新しい力だ!!」

グラーフアイゼンが巨大化し、双子怪獣に対抗できるだけのサイズとなる。
直後、ブースターから轟炎が噴出し、ヴィータはその勢いに呼吸を合わせた。
ギラススピンを打ち破る為の、最強の回転が生み出される。
ギラススピンに決して引けを取らない、強烈な旋風が巻き起こったのだ。

「こいつは……やべぇ、ブラックギラス、レッドギラス!!」
「ぶち抜けぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
マグマ星人はギラススピンを止めて引き下がるよう、双子怪獣に命令を下す。
ヴィータの攻撃が危険であると、直感したのだ。
しかし、双子怪獣がその命令を実行するよりも早く……両者が激突した。
二つの旋風が、激しくぶつかり合う。
やがて……しばらくして、片方の旋風が消える。
打ち勝ったのは……

「よっしゃあああぁぁぁぁぁぁ!!」
「馬鹿な……馬鹿なぁっ!!」

双子怪獣が揃って倒れこみ、海中へと沈んでいく。
ギラススピンは、ヴィータとグラーフアイゼンの前に敗れ去ったのだ。
マグマ星人にとって、双子怪獣の敗北は自身の敗北に等しかった。
もはや、どう足掻いてもヴィータとセブンの二人がかりには勝てないからだ。
ならば、もうここは引くしかない。
マグマ星人は、撤退しようとするが……それをセブンは見逃さなかった。

「逃がさんぞ、マグマ星人!!」
「くそっ!!」

セブンはマグマ星人目掛けて、アイスラッガーを投げつける。
ここで倒されるわけにはいかない。
マグマ星人は、セブンへと振り返りその一撃を受け止めにかかった。
真正面から、サーベルとアイスラッガーが激突する。
ここで堪えきれなければ、全てが終わる。
マグマ星人は、全身の力を振り絞った。

「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

全力を込め、マグマ星人が腕を振るう。
アイスラッガーが、上空へと弾き飛ばされた。
何とか堪えきれた……これならばいける。
そう思い、マグマ星人が笑みを浮かべた……その直後だった。

「まだだ、マグマ星人!!」
「何……!?」
「いけ、ヴィータ!!」
「ああ、ダンさん!!」

セブンの合図と共に、ヴィータが飛翔する。
グラーフアイゼンをギガントフォームへと変化させ、そして巨大化させる。
狙いは一つ……上空へと打ち上げられた、アイスラッガー。
ヴィータは全力で、アイスラッガー目掛けて鉄槌を振り下ろす。

「ギガントシュラーク・スラッガアアァァァァァァッ!!」

力強く振り下ろされた鉄槌が、アイスラッガーを打ち飛ばした。
その威力とスピードは、セブンが通常に放つそれを遥かに越えている。
マグマ星人は、とっさにサーベルでそれを受け止めようとする。
だが……先程の一撃と違い、これを防ぎ切るのは不可能であった。
「うっ……グアアアアァァァァァァァァァァッ!!??」

一閃。
アイスラッガーは、サーベルごとマグマ星人の右腕を切り飛ばしたのだ。
マグマ星人は、失った右腕を押さえながら、その場に膝を着いた。
武器であるサーベルを失った今……彼にはもう、抗う術すらない。

「終わったな、マグマ星人……」
「くそっ……ふざけんなよ……!!」
「何故ヴィータを襲ったのかと、お前の背後にいる奴に関する詳しい情報。
色々と、聞かせてもらおうか」

セブンはマグマ星人から、知っている全ての事を聞き出そうとする。
ヴィータは彼が暴れださないよう、バインドを発動させて動きを封じようとする。
これで何とか情報を引き出せれば、一気に事態は進展を迎える。
上手くいけば、全てが分かるかもしれない。
そう、セブンは思っていた……しかし。
今まさに情報を引き出そうとした、その瞬間であった。



ガッシャアアアァァァァン!!



「何っ!?」
「空が割れた……あの時と同じだ!!」

音を立てて、空が割れた。
裂け目から、赤黒い異次元が姿を見せる。
セブンとヴィータは、何かが現れるのではないかと思いとっさに身構える。
しかし……その予想は、裏切られた。
空の裂け目からは、何も現れなかったのだ。
二人はこの事態に、思わず呆然とするが……すぐに、その真の目的に気付いた。

「まさか……しまった!!」
「はっ……まだ、俺にもツキがあったみたいだな!!」

一瞬の隙を突いて、マグマ星人が飛び上がる。
この空の裂け目は、彼の為に用意された逃走経路だったのだ。
セブンはとっさにエメリウム光線を放とうとするが、時既に遅し。
マグマ星人は、空の裂け目へと入り込み、完全にその姿を消してしまっていたのだ。
直後、空の裂け目は消滅する。
まんまと、マグマ星人には逃げられてしまったのだ。

「そんなっ……!!」
(だが、これではっきりした……マグマ星人は、やはりヤプールの仲間だった。
ヤプールは、怪獣や超獣だけでなく、異星人までこの世界に……!!)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ハァ、ハァ……」
「ふふ……災難だったな、マグマ星人」
「くそっ……あんな隠し玉さえなけりゃ、確実にやれてたってのに……!!」

異次元空間。
逃げ延びたマグマ星人は、ヤプールに出迎えられていた。
生き延びこそできたものの、片腕を失うという重傷を負った彼に、ヤプールは哀れみの視線を向ける。
しかしそれは……災難だったとか、そういう意味は一切含んでいない視線だった。

「……ククク
クククク……」
「ヤプール……テメェ、何がおかしいってんだよ!!」
「いや、何……まさかこうも上手くいってくれるなんて、思ってなかったのでな」
「何!?
……まさかテメェ、最初から俺を……!!
この世界の地球の支配権なんてのは、真赤な嘘だってのか!?」

マグマ星人がヤプールから受けた話の内容。
それは、鉄槌の騎士ヴィータに戦いを挑み、彼女を打ち倒せという事であった。
そしてその見返りは、なのは達が住む地球を支配する権利。
マグマ星人は、ヴィータがそれ程の邪魔者であると解釈していた。
しかし……実際は違っていた。
ヤプールは、マグマ星人が敗れるのを予想していながら、尚もヴィータにぶつけたのだ。
その目的は一つ……ヴィータの、最後の力を引き出させる為。

「まさか、ウルトラマンレオまで現れるとは思わなかったが……まあ、結果的には上手くいった。
鉄槌の騎士は、ヴォルケンリッターの中で唯一一人、デバイスの力を完全に引き出せていなかった。
それを、お前の御蔭で無事に引き出す事が出来た……礼を言うぞ。
これで奴のリンカーコアは、少なからず成長を遂げた……闇の書の完成に、近づけたわけだ」
「ヤプール、テメェェェェェッ!!」

ヤプールの本当の目的を知り、マグマ星人が激怒する。
まんまと、自分はこの悪魔に利用されていたのだ。
残された左腕で、ヤプールへと殴りかかろうとする。
しかし、惜しくもその拳は届かない……ヤプールの念力により、マグマ星人は完全に身動きを封じられてしまったのだ。

「無駄だ……貴様如きに、今の私は倒せん」
「こ、これは……!?
体が全く……馬鹿な、テメェにどうして!!」
「これだけの力があるか、か?
確かにお前の言うとおり、今までの私ではここまでの力は発揮できなかっただろう。
だが……今の私には、力があるのでな!!」
その直後だった。
マグマ星人の足元に、アメーバ状の何かが出現した。
それは相当の数があり……その全てが、マグマ星人の足を伝い、徐々に全身を覆いつくそうとしていた。

「なっ……なんだよ、こいつ等は!?」
「これが私の得た、新たな力だ。
この知的生命体がなければ、私はこうも早く復活する事は出来なかっただろう……食らい尽くせ」
「やめろ、やめてくれ!!
やめ……!!」

マグマ星人は、完全にその生物へと覆いつくされ……そして自我を失った。
謎の生物達に寄生され、意識を完全に失い……ヤプールの傀儡と成り果てたのである。
この生物達は、ヤプールがなのは達の世界に来て最初に出会った存在。
彼がメビウス達の予想を越えて、余りにも早く蘇った原因。
異世界において、時を同じくして消滅した筈だった知的生命体。
ウルトラマンダイナによって、滅ぼされた筈であった……宇宙球体スフィアであった。
アスカがなのは達の世界へと転移されたのと同様に、スフィアも彼女達の世界へと降り立っていたのだ。
そこに、瀕死の重傷を負ったヤプールが現れ……ヤプールは、スフィアの力を吸収する事により完全復活を遂げたのだった。
そして同時に、スフィアを統率する長ともなったのである。

「さて……他の者達は、どうしているかな?」

ヤプールが上空を見上げると、異世界の風景が映し出される。
そこにいたのは、残る三人のヴォルケンリッター……そして、ウルトラマンダイナ。
彼等もまた、ヴィータ同様に戦っていたのだ。
強敵―――ウルトラマン達と。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ダンさん……本当、ありがとう」
「こちらこそ、御蔭で助かったよ。
ありがとう、ヴィータ……まあ、ゲンには少し悪い事をしてしまったが……」

丁度その頃であった。
戦いを終えたヴィータとダンの二人は、互いに感謝の意を述べていた。
御蔭でゲンには少々そんな役回りをさせてしまったから、それに関しては後で謝っておかなければならない。
ちなみに彼は、予想以上に受けたダメージが大きかった為、ダンの勧めもあって先に光の国へと帰還している。

「……でもさ。
あたし達……本当は、敵同士なんだろ?」
「ああ……本来なら、俺は今すぐにでも君を捕まえなければならない立場だ。
だが……君がいなければ、俺は奴等に負けていたかもしれないのも事実だ」
「それを言うならあたしだって、ダンさんの御蔭で強くなれたんだし……」
「そう、お互い様だ。
だから……今回は、互いにここで引くとしよう。
次に出会った時には、完全な敵同士……それでいいだろう?」
「ああ……そうだな」
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 03:20:38 ID:nq+pM4WS
限界だッ! 寝るねッ! 支援
本来ならば、敵同士戦わねばならぬ立場にある。
しかし、今はその気も起こらなかった。
ならばここは、お互いに引き下がるのみ……敵同士として戦うのは、次に出会った時から。
二人は互いにそう約束し合い、この場から去ることにした。

「最後に一つだけ、聞かせてくれ。
君は、闇の書を完成させて何を望んでいるんだ?」
「……闇の書さえ完成すれば、持ち主は強大な力を得る。
例え、重い病気とかを持っていたとしても……そいつを、克服できるかもしれない可能性はあるんだ」
「……そうか。
やはり君達は、守る為に戦っていたのか……」
「ああ……ダンさん、そろそろあたしは行くよ。
このままじゃ、何か色々と話してしまいそうだし……じゃあな!!」

これ以上、何かを喋ってしまう訳にはいかない。
ヴィータは踏ん切りをつけ、ここから去ることにした。
即座に転移魔法を発動……その場から、姿を消す。
ダンはただ、それをじっと見つめているだけだった。

「ふっ……次からは、か。
こんな事、本当なら駄目だというのは分かっているが……俺も甘いな」

ダンは、自分が甘いという事を自覚していた。
メビウスや仲間達の事を考えれば、ここで彼女を確保する事が最善だというのに。
どうやら自分は、女性には弱いらしい。
地球を守るためにウルトラ警備隊の一員として戦った時も、それは常々実感できていた。
最近の話で言えば……大切な者を守りたいと願う一人の女性の為、救世主としての力を一人の若者に託した事もそうだろう。

「……彼女達にも、そしてヴィータにも、守るべきものがある、か。
……辛い戦いになりそうだな……メビウス」
以上、投下終了しました……
今回はヴィータが完全に主役です。
レオとのタイマンは、正直痛々しくなってしまって申し訳ないっすが(-_-;

んで、ダイナの大ボススフィアも登場。
ヤプールに吸収された形ではありますが、まあこれがヤプール早期復活の理由っす。
次回からは、他の騎士達とダイナメインの話となります。

最後に、分かる人には分かったと思いますが。
セブンの救世主云々は、セブンXネタっす
515スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 07:01:55 ID:OTOAg1Dm
えーと、まだリアル事情中ですが何とかその合い間にこれを見てますが、職人の皆さまGJです。
返事は無いかもしれませんが、7時15分ごろにDETONATORStrikeSの第1章の最初の部分を投下しようと思います。
516スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 07:14:51 ID:OTOAg1Dm
さてと時間ですから投下します。

 復活編


「ううう……、ここは……?」

 真道トモルは目を覚ますとそこはどこかの部屋のようである。

「あら、目が覚めたのね」

 その部屋にいたのは髪の短い金髪の女性で白衣を着ている。

「あなたは? それにここは……?」

 トモルが女性に声をかける。

「私はシャマル。ここは機動六課の隊舎よ」

 聞きなれない言葉にトモルは戸惑う。

(機動六課……、聞いたこと無いな)
「詳しい話ははやてちゃん達が来たら話すから君はもう少し寝ててね……」
「あ、はい……」

 トモルはシャマルの言うとおりまた横になるがようやくあることに気がつく。

(そういうば、俺はいつの間にオーガンから離れてるんだ……?)

 そしてトモルが目覚めて数分後、機動六課部隊長八神はやて二等陸佐となのは、フェイト、シグナム、ヴィータが部屋に入ってくる。
 トモルもベットから起きて話を聞くことにする。

「私はこの機動六課の部隊長八神はやてといいます。君の名前は?」
「俺は真道、真道トモルです」
「じゃあ、トモル君って呼んでええのかな?」
「構いませんよ。けど質問してもいいですか?」
「何やろか?」
「ここは一体どこですか?」

 トモルは今まで疑問に思っていた事をはやてに尋ねる。
 はやてはその疑問に答える。ここはミッドチルダと言う場所で地球でない事を……。
 そしてここでは魔法による文明があると言うことを……。

「何て信じられない話なんだ!?」

 トモルは突然伝えられた事に頭を抱える。

「別にすぐに信じてなんて言わへんよ。最初は誰だって戸惑うし私も戸惑ったし……」
「え? じゃああなたは……」
「私となのはちゃんは地球人やよ」
「何だって!? 俺と同じじゃないか!」
「てことはトモルさんも地球人?」
「教えてくれ! イバリューダーはどうしたんだ!? 地球は!?」

 トモルは起き上がりはやての襟を掴み、はやてにイバリューダーと地球の事を聞く。
517スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 07:15:26 ID:OTOAg1Dm
「な、手前! はやてから離れろ!」

 突然、はやてに近づいたトモルを警戒するヴィータ。

「ヴィータ、ちょっと待ってな。トモル君も落ち着いて……、イバリューダーって何のことや?」
「知らないんですか? 今地球はイバリューダーが攻めてきてそれで俺が戦って……」
「とりあえず、トモル君落ち着いて……。トモル君の方の話も聞かせてくれへんか?」
「はい……」

 トモルははやて達に自分のいた地球がイバリューダーの侵略を受けそうになり、トモルがオーガンとリンクしてイバリューダーと戦い、
 総司令のゾアをボロボロになりながらも倒し戦闘惑星ゾーマの反物質砲をグランドクルスアタックで打ち消した事を話す。

「その後、どうなったかはわからない……」

 その話を聞いてなのはが先に口に出す。

「トモル君のいた世界って西暦2292年だよね?」
「そうですが……」
「はやてちゃん、ミッドチルダは新暦75年だけど地球って今は西暦2007年だよね」
「そうやよ……」
「何だって!?」

 トモルは驚きを隠せない。地球ではないとは言え自分は過去に来てしまったのだと……。

「まあ、トモル君のいた地球と私やなのはちゃんのいた地球は違う地球かもしれへんけど、トモル君にとっては過去なのは確かやね……」
(本当に信じられないよ)

 トモルはオーガンの事は何とか信じられたが、さすがに異世界で過去に来た事はにわかに信じられなかった。

「悪いけど、トモルいいかな?」
「今度は何ですか?」

 次はフェイトがトモルに質問をする。

「トモルがさっき言ってたそのオーガンって……トモルの近くにあったロボットの事?」
「オーガンはロボットじゃなくてソリッドアーマーって言うのですよ。俺はそれとリンクしていただけです」
「リンク?」

 トモルはオーガンのことについて説明をする。オーガンはデトネイタークラスのイバリューダーで勇者とさえ呼ばれていたが、イバリューダーを裏切り地球に帰還しようとしたが、
 追手により力尽き、自分のソリッドアーマーのデータを地球に送り、地球で新しく自分の肉体を得、オーガンと同じライフデータを持つトモルとリンクするものであると……。

「では何故そのイバリューダーの勇者とさえ言われたオーガンは地球に行こうとしたのだ? そして何故お前はオーガンとライフデータが一致したんだ?」

 今度はシグナムが尋ねる。

「それはオーガン、いやイバリューダーそのものが全員元々地球人だからです」
「「「「「え?」」」」」

 トモルは次にイバリューダーの正体についても語る。イバリューダーが元々は地球人であることを……。
 トモルがオーガンの子孫であることを……。

「世界って本当に色々あるね……」
「ところでオーガンは今どこですか?」

 トモルはオーガンがどこにあるのかをはやてに聞く。

「オーガンやったらボロボロだったから今シャーリーが見てるけど……」
「あの連れてってください……」
518スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 07:16:15 ID:OTOAg1Dm
 はやて達はトモルの意見を聞き、トモルと共にシャーリーのところに訪れる。

「シャーリー、オーガンはどうや?」
「オーガン?」

 シャーリーは「オーガン」と言う言葉を聞き何の事か困った顔をする。

「そのソリッドアーマーのことだよ」

 トモルがシャーリーにオーガンの事を説明する。

「これってそう言うのですか……。随分ボロボロですよ。直せないわけじゃないけどここの世界の技術じゃ直すのに時間がかかります」
「そうか……」

 トモルは少し落胆したような顔をする。

「でも、このソリッドアーマーをもとにデバイスを作れますよ」
「デバイス?」

 今度はトモルが「デバイス」の事について説明を受ける。

「トモルには少しだけどリンカーコアがあるの……」
「リンカーコア?」
「簡単に言うと魔力の源でデバイスや魔法を使うに必要なものだよ」

 ちなみにトモルのリンカーコアの魔力ランクはAランクくらいだそうだ。

「デバイスならそのソリッドアーマーとまではいかへんけど、オーガンをデバイスにする事は出来るで……」」
「そうですか」
「でも……」
「?」
「トモル君が私達に協力してくれたら何やけど……」
「!? 何でそうなるんですか!?」

 トモルは突然のはやての誘いに怒る。
519スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 07:16:45 ID:OTOAg1Dm
「デバイスを持つのは基本的に魔導師だけやって決められてるし、それに正式な魔導師になるには時空管理局に協力するのが前提やから……」
「だからって……。それじゃあ俺に「また戦え!」って言ってるようなもんじゃないですか!」
「機動六課に協力して欲しいって気持ちはある……。六課はそんなに人がいるわけじゃない……。ロストロギアの探索もあるし……」
「ロストロギア……、確か世界が滅ぶかもしれないもの……」
「そうやよ」
「お前は戦う気は無いのか……」

 シグナムがトモルに聞く。

「俺は確かに地球や守りたい人がいたからイバリューダーと戦った……。でももう俺が戦う理由なんて……」

 正直な話、トモルは戦いに少し疲れているのだ。ましてやここは異世界。トモルは本来はいないはずなのでトモルに戦う理由は無い。

「……。そうか、まあ無理に協力してくれなんて言わへんよ。けど……」
「今度は何です?」
「トモル君は次元漂流者だから私達が保護する形になるけどそれは許してくれへんか」

 トモルは悩む。考えた末、機動六課に協力はしないが保護は受けると言う事になった。

「わがまま言ってすみません」
「ええんやよ、私達は気にせえへんから」

 はやての言葉にトモルの顔は明るさを取り戻す。

「あの話は変わりますけど……」
「何や?」
「この世界に懐古館とか博物館とかありません?」
520スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 07:19:41 ID:OTOAg1Dm
投下完了。タイトルをつける時は「復活編1」でお願いします。
次は「復活編2」にしますので…。
今まではやての誘いはOKばかりでしたが、今回は断らせてみました。
おまけにトモルのランクはそんなに高くありませんが、オーガンになれば当然上がります。
後、まだリアル事情(スマブラX事情)から抜け出せそうにありません。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 08:53:51 ID:+5jveyRM
>>520
乙。主人公が戦いに疲れ、魔力ランクも今までの者と比べてそう高くない……。
続きが結構楽しみだ。

九時頃より代理投下開始せん。

522リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 08:58:31 ID:1TGqrND7
にょろ〜ん
雑談スレで投下予告は無意味か(汗)
そんじゃ、代理投下終わった後に投下開始します。
523リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:02:18 ID:+5jveyRM
なのはが襲撃され、魔力を奪われ、そして甲児が管理局へと協力することを決めたその日の夜、八神家にて。

「澄んだ太刀筋だった。よい師に学んだのだろうな。武器の差がなければ、少々苦戦したかもしれん」

 その日の戦闘について、シグナムとザフィーラが話している。
 服を捲り上げ、そこに見えた肌には生々しい痣が。フェイトとの戦闘でついた物である。
 それでもシグナムは笑顔。前話でも言ったが、まるで戦闘狂である。

「それでもシグナムさんなら負けない。そうだろう?」

 予想していなかった所からの声。振り向くと、彼女らの家族の最後の一人である青年、デュークの姿があった。
 彼は蒐集の事を知らないはず。それでもこう言ってきたということは……おそらくバレている。
 そう思ったシグナムは捲り上げた服を戻し、そして答えた。

「……そうだな」

 さて、蒐集のことがバレているとなれば、やはり話して口止めするべきだろうか?
 それとも、ばれているのを承知の上で黙っているか、そこが問題である。
 そう考えていると、デュークの口から予想もしない言葉が飛び出した。

「でも、剣道も程々にしてくれよ。怪我をするまでやって、それではやてちゃんを心配させないでほしい」
「……は?」

 シグナムらしからぬマヌケな声。それを聞いたザフィーラも首をかしげる。
 剣道? 何故今ここでその話が出てくる? 蒐集の事がバレているのではないのか?

「え? シグナムさんが働いている剣道場での事を話していたんじゃないのかい?」

 デュークは心底不思議そうな顔で問い返した。彼はどうやらシグナムがアルバイトで先生をやっている剣道場での出来事を話していたと思っていたらしい。
 その問いでようやくその事に気付いたシグナムが、あたふたとした様子で取り繕った。

「い、いや、剣道場での事だ」

 余談だが、ザフィーラはシグナムのこのリアクションでバレそうだと肝を冷やしていたらしい。


 第四話『お引っ越し、そしてグレンダイザー復活』

524スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 09:03:19 ID:OTOAg1Dm
大介さん!支援
525リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:04:44 ID:+5jveyRM
それから数日後、時空管理局本局の一室では、リンディをはじめとしたアースラスタッフが集まっていた。
 先日の襲撃の際にシャマルが持っていた本……あれは『闇の書』と呼ばれるロストロギアであり、クロノの父の死の原因となった因縁の品。
 今回集まっているのは、その闇の書及びその捜査に関する説明である。

「さて、私達アースラスタッフは今回、ロストロギア『闇の書』の捜索及び、魔導師襲撃事件の捜査を担当することになりました。
 ただ、肝心のアースラがしばらく使えない都合上、事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになります」

 そう前置きし、ぐるりとスタッフ一同を見回す。全員が緊張の面持ちをし、次の言葉を待っているようだ。
 ……もっとも、闇の書というものがいったい何なのかを理解していない甲児だけは例外だが。
 リンディはそれに気付かずに次の言葉を発した。

「分轄は、観測スタッフのアレックスとランディ」
「はい!」
「ギャレットをリーダーとした、捜査スタッフ一同」
「はい!」
「司令部は、私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん、甲児さん、以上4組に分かれて駐屯します」

 ここまで言い終えたところで、数瞬の沈黙が流れる。
 その沈黙を振り払ったのはまたしてもリンディ。ここまでとは違い、一気に口調を柔らかくして。

「……ちなみに司令部は、なのはさんの保護を兼ねて、なのはさんのお家のすぐ近くになりまーす♪」

 それを聞いたなのはは、一瞬驚いたような顔をし、続いて同じような顔をしていたフェイトと顔を見合わせる。
 その後で言葉の意味を頭の中で反芻し……「捜査の司令部」という形だとはいえ、フェイトが近所に引っ越してくるということを理解し、満面の笑みを浮かべた。


 その翌日。
 この日、海鳴市のとあるマンションの一室に一組の家族が引っ越してきた。表札には「ハラオウン」と書かれている。
 お気付きだろうが、ここがリンディの話していた捜査司令部である。業者は気付いてはいないようだが、捜査のための機器もしっかりと引越し荷物として運び込まれているようだ。

「凄ぉい! 凄い近所だ!」
「本当?」
「うん! ほら、あそこが私ん家」

 ベランダに目を向けると、なのはとフェイトが大はしゃぎしている。そこからなのはが指差した先には、なのはの実家である喫茶店『翠屋』が。
 それを近くで見ているリンディはというと、何をするでもなく笑顔でそれを見ていた。

 続いてリビングへと目を向けてみよう。
 こちらでは現在、業者に混じって甲児とクロノが荷物を運び込んでいる。
 ……もっとも、クロノは背の都合上あまり大きなものは運べないようだが。

「……ん?」
「どうかしたのか、クロノ?」
「いや、今誰かにバカにされたような気がして……」

 おっと危ない、地の文に書かれた内容を無意識レベルで感じ取ったようだ。

「まあいいや。それより、これはどのへんに置いとけばいいんだ?」
「ああ、それはそこに頼むよ」

 
526リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:05:29 ID:+5jveyRM
 そう言われ、持っていた段ボール箱を運ぶ甲児。荷物を置いてふと目を移すと、見慣れない二匹の動物の姿があった。
 片一方はオレンジ色の毛並の子犬。もう一方はフェレット(というには少々変わっているが)。
 実はそれは動物形態のユーノとアルフなのだが、面識はあってもこの形態を見たことがない甲児はそれを知る由もない。
 ちなみに犬の方がアルフ、フェレットの方がユーノである。

「ペットなんか飼ってたのか……」
「「ペットじゃない(よ)!!」」
「うわ、喋った!? ……って、その声……もしかしてユーノとアルフか?」
「うん。なのはやフェイトの友達の前では、こっちの姿でないと……」

 何故この姿でなければならないのかという疑問が甲児の中に生まれるが、きっといろいろ事情があるのだろうと思い深くは突っ込まない。
 だから甲児は一言返すだけで済ませた。


527リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:06:20 ID:+5jveyRM
「よく分からねえけど、お前らもいろいろ大変なんだな」
「まあね……人間だって知られてなかったとはいえ、女湯に引っ張り込まれたりもしたし」
「わりぃ、前言撤回」
「えぇ!? 何でさ!」
「うっせぇ! 公然と女湯に入るなんて、なんて羨m……いやいや、ハレンチな奴だ!」

 あっという間に意見がひっくり返った。
 まあ、男の身でありながら、咎められずに女湯に入れるというのは甲児でなくとも羨ましいと思うだr……ゲフンゲフン。
 一瞬本音が出て、それで近くにいたアルフとエイミィが白い目で見ていたのは別の話。


 それから十数分後、司令部……もとい、ハラオウン家のリビングにはクロノ、甲児、エイミィの三人が集まっていた。
 ちなみに他のメンバーは現在、なのはの友人が訪ねてきたのをきっかけに外出中である。

「それで、闇の書ってのは結局何なんだ?」

 今の今までその詳細を聞いていなかった甲児が問う。さすがに知っておかなければまずいと思ったのだろう。
 もちろんこの日まで数日という時間があったのだからその間に聞けばよかったのだろうが、時空管理局提督『ギル・グレアム』との面談や、マジンカイザーのテストなどでゴタゴタしていて結局聞けなかったらしい。

「……そうだな、知らなかったのなら、この機会に知っておいた方がいいだろう」

 クロノは頷いてそう言うと、近くにあった端末を起動させる。
 端末に映る映像を次々切り替え、そして目当ての映像……シャマルが小脇に抱えていた闇の書の映像を映したところで説明を始めた。

「ロストロギア『闇の書』の最大の特徴は、そのエネルギー源にある。闇の書は魔導師の魔力と、魔法資質を奪うためにリンカーコアを喰うんだ」
「なのはちゃんのリンカーコアも、その被害に……?」
「ああ、間違いない」

 エイミィの問いに答えると、再び端末の映像を切り替える。
 今度は闇の書の特質をイメージ映像にしたような動画が映り、それを使って説明を再開した。

「闇の書はリンカーコアを喰うと、蒐集した魔力や資質に応じてページが増えていく。そして、最終ページまで全て埋めることで闇の書は完成する」
「もし完成しちまったらどうなるんだ?」
「少なくとも、ロクな事にはならない……!」

 クロノは苦虫を噛み潰したような表情で、そう締めくくった。
528スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 09:06:37 ID:OTOAg1Dm
甲児ボイスが頭に響く。支援
529リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:07:30 ID:+5jveyRM
「はいはーい、エイミィですけどー?」
『あ、エイミィ先輩。本局メンテナンススタッフのマリーです』

 その夜、ハラオウン家のリビングではエイミィとマリーが通信をしていた。
 画面に映るマリーの表情からすると、何か難しい問題でも起こったのだろうか?
 そう考えていると、マリーがその内容を話し始めた。

『先輩から預かってるインテリジェントデバイス二機なんですけど……なんだか変なんです。
 部品交換と修理は終わったんですけど、エラーコードが消えなくって……』
「エラー? 何系の?」
『ええ、必要な部品が足りないって。今データの一覧を』

 そう言うと、マリーは手元の端末からエイミィの下へとデータを送る。
 しかし、修理は終わったのに部品が足りないとは一体どういうことだろうか? エイミィがそう思っている間にデータが届いた。

「あ、来た来た……えっ? 足りない部品って……これ?」
『ええ。これ、何かの間違いですよね?』

 エイミィやマリーがそう思うのも無理はないだろう。
 何せ必要な部品は『CVK-792』……シグナムやヴィータが使い、なのは達を窮地に追いやった『ベルカ式カートリッジシステム』だったのだから。
 レイジングハートもバルディッシュも何を考えているのか。そう思っているうちに、画面には「お願いします」の文字が表示されていた。


 それからさらに一週間後の夜。この日、デュークはアルバイト帰りの途中だった。
 何故アルバイトをしているのかだが、「世話になりっぱなしでは悪いと思うから」だそうだ。
 一仕事終え、八神家へと向かうデューク。だが、その足は一度止まった。

「ん? ヴィータちゃん、こんなところで何をしているんだ?」

 彼の目が捉えたのは、今は家にいるはずの家族の姿だった。
 はやてもそろそろ眠っている頃のはず。それなのに一人でどこに行くつもりなのだろうか。
 気になるが、一度帰ったほうがいいか? それとも見失わないうちに追うべきだろうか?

 数分後、気付かれない距離からヴィータを追うデュークの姿が確認された。

 場所は変わり、市内のビル屋上。
 ヴィータの目的地はここだったらしく、そこにはシグナム達三人の姿もあった。
 全員揃って騎士甲冑を装備。さらにシャマルにいたっては闇の書まで持っている。まるで今から蒐集に行くかのような出で立ちだ。
 そしてデュークがそこに現れたのは、シグナム達が今まさに出発しようとしていた時だった。

「デューク……何故お前がここにいる?」
「ああ、帰りにヴィータちゃんを見かけたから、こんな時間にどうしたのかと思って……」

 それを聞いたシャマルはジト目でヴィータを見る。その対象のヴィータもばつが悪そうだ。まさかつけられているとは思っていなかったようだ。
 だがデュークはそんな様子にも構わずに、すぐさま問いを投げかけた。

「それより、四人ともこんな時間にこんな所で一体何をしていたんだ?
 それに、シャマルさんが持っているその本は……確か闇の書だろう?」
530リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:08:25 ID:+5jveyRM
 シグナム達にとってこの状況は非常にまずい。何せ闇の書を持ち出している上に騎士甲冑まで装備しているのだ。蒐集の事になどすぐに気付くだろう。

「まさか、はやてちゃんに黙って蒐集をしているんじゃないのか?」

 どうやらたった今バレたようだ。
 今からどうするかをすぐに頭の中で考える。取り繕うことも今となっては不可能。かといって正直に話したところで理解されるとも思えない。
 ならばどうするか……すぐに算出し、そして何も言わずに飛び去ることが決定した。
 そうと決まれば善は急げ。デュークが二の句を告げる前にすぐさま飛行魔法でその場を離れる。
 ヴォルケンリッターの四人が飛び去った後、そこに残されたデュークは一人呟いた。

「どうしてなんだ? 何で蒐集なんか……」

 答えが返ってくることなどはなから期待していなかった呟き。だがそれに対し、答える人物がいた。

「知りたいか?」

 いきなりの声に驚き、凄い勢いで振り向くデューク。そこには見慣れぬ仮面の男がいた。
 どこからどう見ても不審者だが、シグナム達が蒐集を始めた理由を知っているようなのであえて格好にはつっこまない。

「八神はやてという少女の事は知っているな? 病で足が動かないということも」

 そう前置きする仮面の男。そう言われてデュークも頷く。
 その答えに満足したのか、仮面の男が先を続けた。

「その足の病の原因は、闇の書による侵食だ。
 彼女らヴォルケンリッターは、闇の書から生まれた魔導生命体。その存在を維持するための魔力は闇の書から供給されている……
 だが、闇の書は八神はやてが主となってからは一切蒐集をしていない。ならばその魔力はどこから来ている?」

 そう言われてデュークはしばらく考える。
 蒐集をしていないとなると、当然魔力はカラだろう。ならば一体どこから……
 ふと、先程の『侵食』という言葉を思い出し、そこからすぐに彼の脳内で答えが組みあがった。

「……まさか」
「そうだ。八神はやてのリンカーコア、そこから直接魔力を奪っている。
 そのせいで八神はやての足は麻痺し、それが広がってついには命すら奪うだろう。
 そうなる前に闇の書を完成させ、八神はやての命を救う……それが守護騎士達の目的だ」

 明かされた事実に愕然とするデューク。だが、それならこれまでの事も辻褄が合う。
 アルバイトから帰ってきた時にはやてしかいない事が多かったのも、蒐集に行っていたから。
 先日のシグナムの怪我も、その時に蒐集対象とでも戦って受けたダメージだろう。
 そして……はやての病の原因が分からなかったのも、闇の書の侵食によるものだからだ。本来魔法が無い世界では、魔法がらみの病が分かるはずが無い。

「くそっ! 俺は……無力だ……!」

 事実を受け止めたデュークは、あまりの無力感に俯き、手を強く……爪が食い込み、血が流れる程に握り締める。
 こうしてはやての病の原因が分かっても、自分にはどうすることも出来ない。
 ヴォルケンリッター達のように力があれば別だっただろうが、今の自分には無い。
 せめて、故郷であるフリード星から乗ってきたロボット『グレンダイザー』さえあれば……

「無力? 本当にそうかな?」
「何だって?」

 デュークが顔を上げると、仮面の男が何かを投げつけてきた。
 それをキャッチし、手を開くと……デュークにとって今最も必要なものと同じ形のキーチェーンがあった。


531リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:08:40 ID:1TGqrND7
投下後30分後に投下しますね〜支援
532リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:09:09 ID:+5jveyRM
「デューク・フリード、お前のことはすでに調べ上げている。
 お前が次元漂流者だという事も、グレンダイザーというロボットに乗っていた事も、それがこの世界に来た時には無くなっていた事も……
 今渡したそれは、グレンダイザーがこの世界に来てデバイスへと変質したものだ」

 そう、そのキーチェーンの形はグレンダイザー用の飛行ユニット『スペイザー』と同じ形をしていたのだ。
 そのことを聞いたデュークは、はやてを救うための力が手に入ったことを喜ぶと同時に、仮面の男への不信感が芽生えていた。
 何故ここまで詳しく状況を知っているのか。何故無くなったはずのグレンダイザーを持っていたのか。そして何故自分にそれを返したのか。

「一体君は何者なんだ?」
「そんな事は今はどうでもいいだろう? しいて言うならば……そうだな、闇の書の完成を望む者だ。
 それと、行くのならば急いだ方がいい。あの方向には管理局の魔導師がいる。鉢合わせすれば間違いなく戦いになるだろうからな」

 そう言うと、仮面の男は姿を消した。
 再び後に残されたデュークは意を決し、グレンダイザーを掲げて叫んだ。

「グレンダイザー、ゴー!」

 その叫びとともに、デュークの体を光が包む。そして光が晴れた所にいたデュークは、グレンダイザーの姿になっていた。
 但し、デュークが知っているグレンダイザーとは違う点が一つだけ存在する。それは、背中についている翼だ。
 これは本来彼がいた世界での戦いで作られる翼『ダブルスペイザー』と同じものなのだが、今の彼にはそれを知る由も無い。
 そしてデュークは先程仮面の男が言った方向へと飛び去っていった。

533リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:10:00 ID:+5jveyRM
投下終了
今回は甲児の影が結構薄かったような気がします
……え?第一話のあたりから結構薄い? orz

ちなみにデュークの一人称ですが…
スパロボではよく「僕」とされていますが、グレンダイザー本編では「俺」と言っていたこともあり結構あいまいです
というわけで、このSSでは誰かとの会話中は「僕」、それ以外(独り言など)では「俺」とさせていただきました



534リリカルマジンガー代理:2008/02/03(日) 09:12:26 ID:+5jveyRM
ふう代理投下完了……。
スーパーロボット大戦X氏、リリカルスクライド//G.U.氏
支援どうもありがとうございました。
535スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 09:13:14 ID:OTOAg1Dm
>>533
代理投下お疲れ様です。
しかしデュークのバイトって何だろう?普通に気になる。
それとベガ星連合は出るのか?またはDrヘルが出るのか…。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 09:16:46 ID:yl6aae3v
い、一気に作品が投下されてる・・・・・・・・・。

まとめてGJ!
537名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 09:28:49 ID:+5jveyRM
>>533
デューク天然ボケGJ。
しかし仮面の男にからまれて、この先どうなるのか……。
538リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:42:57 ID:1TGqrND7
全ての筆者方にGJを送ります。
リリカルスクライド//G.U.改めリリカルデジモンに変更します(・ω・)
それでは、30分経過したので投下を開始する。
539リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:44:42 ID:1TGqrND7
PROLOGUE

 人間が住む世界とは違う世界、デジタルワールドと呼ばれる電脳生命体が住む異世界。
 そのデジタルワールドのホストコンピューターである"イグドラシル"は、ある決断をする。

『――これが我々デジタルワールドで生きる者達の総意』
「それが、我らが神の判断ならば、我ら"ロイヤルナイツ"は、その命に従います」
『この者が真なる進化を向かえる時、我らの危機を救う最後の聖騎士と成ろう』

 円卓に集まる多数の騎士の姿をしたモンスター達が円になって並ぶ。
 その真ん中の台に置かれるデジタマと人間とのコミュニケーションを図る腕に装着する小型コンピュータ"デジヴァイス"。
 そして天井から降り注ぐ光を受けたデジタマとデジヴァイスは0と1の羅列となって別の世界へと転送されていった。

「この行いが、吉と出るか凶と出るか……」
「後は、人間の可能性に賭けてみよう。その前にデジタルワールドが消滅しない事を願おうではないか」

 白きボディに左右非対称の腕を持つ聖騎士型デジモンと、赤と白銀の鎧を纏う聖騎士型デジモンは電脳世界の行く末を案じる事しか出来ずにいた。
540リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:46:30 ID:1TGqrND7
PHASE 00

 ジェイル・スカリエッティによる事件後、機動六課も解散と成った後の春が過ぎた頃。
 高町なのはの娘としての生活を送っている高町ヴィヴィオは、聖王教会系列の魔法学院に通学している。
 今は、パソコンを扱う授業で教室を移動中だ。
 学院で出来た友人達と会話をしながら廊下を歩くヴィヴィオ。
 不意に窓の外を見上げた時、空が若干歪んでいる風に見える。

「あれは―」
「ヴィヴィオちゃん〜早くおいでよ〜先に行くよ」
「あ、まって〜」

 友人の呼びかけに返事をして再び窓の外を見るが、いつも通りの小さな雲がかかった青空が映るだけであった。
 再び友人から呼ばれ走って向かうヴィヴィオが窓付近から去った後、空は再び異様な風景を見せていた。
 パソコンを扱うための教室へと着いたヴィヴィオ達は、友人同士でグループを作り隣り合わせに座る。

「ねぇねぇ、今朝のニュースでね――」
「あ〜知ってる。あの○○○と○○○が付き合ってるって話だよね」
「そんな事よりも、あの虫召喚獣の特撮ヒーローの……えーと、題名なんだっけ?」
「仮面ライダーガリューですね。ちゃんと、録画していますよ」

 などの会話が交わされる中、先程の空の変化が気懸かりなヴィヴィオ。
 そのような事を考えていると、チャイムが鳴り先生が教室へと入ってきたので考えるのを一旦やめる。

「起立、礼!」
《よろしくお願いします》
「着席」

 号令の挨拶の後、先生からパソコンの操作の説明を聞きながらパソコンの電源を入れる生徒達。
 パソコンが立ち上がり立体モニターが表示される。
 先生の説明通りに操作していくが、突如キーボードが扱えなくなる。

「先生!パソコンが使えなくなりました!」
「俺のも!」
「私のもです」
「僕も僕も!」

 教室に居る生徒全員がパソコンが扱えなくなったと言い出したため、近くの生徒のパソコンを扱ってみるが言われたとおり動かせなくなっている。
 先生自身も、こんな自体は初めてで他の先生に連絡を取ろうと携帯を使うが変なノイズが走るだけで全く通じない。
 モニターの画像は徐々に0と1の羅列へと変化していく。
 この異常事態に騒ぎ始める子供達。
 ガヤガヤと騒ぐ子供達の中で1人落ち着きを保つヴィヴィオ。

「こんなの、なのはママと闘った時より怖くない……あれ?」

 突如自分のパソコンのモニターから光が発した。
 目を手で覆い眩しさが去るのを待って再びモニターの方を見ると、机の上に先程までなかった端末が置かれていた。
 恐る恐る、その端末を取ってみるヴィヴィオ。

「何だろう……腕時計?デバイス?」

 その瞬間、その端末のモニターから光が溢れ出し驚くヴィヴィオ。
 端末から溢れ出る光に反応し、パソコンに表示されていた0と1の数字の羅列はモニターから飛び出しヴィヴィオの目の前で収束する。
 それらは螺旋となり1個のタマゴへと変化する。
 そのタマゴはゆっくりとヴィヴィオの膝の上に降り立った。

「……タマゴ?」
541スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 09:46:37 ID:OTOAg1Dm
あら、デジモンをやるんだ。支援
542リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:48:51 ID:1TGqrND7
(←このカッコは上の文章との間を取ってほしいので書きました。まとめの際は3行あけて下さい
(
(
デジモンマジシャンガール

第一話『君は誰?デジモン登場!』 
 
PHASE 01

 突然出現したタマゴと謎のデバイス、その出現の際に生じたパソコンの異常などから時空管理局の局員が捜査の為、魔法学院へやって来た。
 パソコン教室の調査と生徒達と先生の事情聴取を行い、最後にヴィヴィオが両手で持っているタマゴを引き取ろうとするが、

「駄目、このタマゴ……ヴィヴィオが大事に育てる」

 涙目でタマゴを渡す事を頑として拒むヴィヴィオに困り果てる捜査官達。
 そんな所へ女性捜査官が現れる。
 ロングヘアーで陸士の制服を着た"ギンガ・ナカジマ"陸曹。
 そう、スバル・ナカジマのお姉さんだ。

「ヴィヴィオちゃん、久しぶりだね」
「ギンガお姉ちゃん」
「大変な事になってるね」
「うん……でも、この子を渡したくない」
「ん〜大事にしたい理由を教えてくれないかな?」

 優しく聞いてくるギンガに、ヴィヴィオは思った事を話し始める。

「このタマゴは……ね。昔のヴィヴィオと同じなの。お父さんやお母さんと離ればなれになっちゃったんだと思うの……だからね、
お母さん達が迎えに来るまで育てるの」

 強い意志を持ったヴィヴィオの瞳に、困ったわねぇと左手で頬を触るギンガ。
 他の局員も高町一等空位の娘で、聖王教会の創設者の生まれ変わり?と呼ばれる子供に手出しなど出来るはずもなかった。

「それだったら、ヴィヴィオちゃん。一緒に管理局へ来てくれるかな?そのタマゴとデバイスを調べないといけないからね」
「タマゴ……取らない?」
「取らないからね。お願い、ヴィヴィオちゃん」

 両手を合わせてお願いのポーズをするギンガを見て、小さく頷き了承するヴィヴィオであった。
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 09:50:29 ID:BQPPhPtv
最近の仮面ライダーは昆虫をモチーフにしているほうが少ないがな!
支援
544リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:51:30 ID:1TGqrND7
PHASE 02

 デジタルワールドのメインサーバーで、無事デジタマが人間界へと送られた事を見届けるイグドラシル。
 作戦のファーストフェイズ終了を確認し、セカンドフェイズへの布石の準備を始める。
 この行動で人間界に被害が出ようとも、この作戦が全ての生命体を救うただ1つの方法。
 そんなイグドラシルの行動を見守り護る黄金の鎧を着たアーマー体の聖騎士型デジモン。

「人の手を借りなければならないとは……情けないな、俺は」

PHASE 03
 
 陸士108部隊の車両に乗り時空管理局地上本部の研究機関へと向かうギンガとヴィヴィオ。
 少女の膝の上にはサッカーボールより一回り大きいタマゴが大事に両手で抱えられている。
 その左手には腕時計型のデバイスと思われるものが握られていた。
 研究所へと到着し車から降りたヴィヴィオは、ギンガに連れられある場所へ向かう。

「どこへ行くの?」
「そのタマゴとデバイスの解析をね、マリーにお願いしに行くの」
「それが終わったら、このタマゴを育てても良いの?」
「ん〜お母さんと話して了解を貰わないとね」
「うん。わかった」

 子供らしい笑顔で答えるヴィヴィオの顔を見て、昔のスバルの笑顔を思い出し微笑むギンガであった。
 ロストロギアや未確認の機械や生物を調査する施設に到着した2人は、見覚えがある人物と出会う。

「あ〜久しぶりだね、ギンガ。それと……な、なんでヴィヴィオちゃんが居る訳?」
「1週間振りだね。マリー」
「こんにちは」

 以前機動六課へ出向していたマリエル・アテンザ、その人である。
 現在はスカリエッティの残した技術の研究・保管を行っている。
 更生組みのナンバーズとギンガとスバルの健康診断をする時以外は、中々時間が合わず会えて居ないのだ。
 そんなマリーに経緯を話し、パソコンから出てきたタマゴとデバイスの解析をお願いする。
 ギンガにタマゴとデバイスを渡すように言われヴィヴィオは、少し悲しい顔をしながらマリーにお願いする。

「タマゴ……壊さないでね」
「はい。任せてください」

 笑顔で答えてくれたマリーに安心したのかすんなりタマゴとデバイスを預けるヴィヴィオ。
 2時間ぐらい掛かるから、研究所でも見て回っていてと言われギンガはヴィヴィオを連れて周辺を探索する事にした。
 保管されているロストロギアに興味心身に見るヴィヴィオの姿を見るのが楽しくてたまらないギンガであった。
 アナウンスで呼ばれたギンガとヴィヴィオは、マリーの下へと向かった。
 研究所へ戻ると、マリーが目を輝かせながら解析結果を報告してくれた。

「このタマゴは、デジタルデータに擬似たんぱく質で構成されたモノね。このタマゴの中で何かが誕生しようとしている」
「それは、危険なものだと思う?」
「今のところは皆目見当がつかないよ。今のところは静観するしかないわ」
「なら、そのデバイスは?」
「解析してみたら、このタマゴとリンクしているみたいなのよ。それから、このデバイスの正式名称が分かったわ。
デジタルデバイスを略して"デジヴァイス"って言うらしいわね。はい。返すね、ヴィヴィオちゃん」
545リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:53:37 ID:1TGqrND7
 マリーからデジヴァイスを受け取ったヴィヴィオは、どうしたら良いか迷ってしまう。
 それを察したマリーは、左腕につけてデジヴァイスのアンテナ部分をタマゴに向けるように言う。

「こう?」
「そうそう。そして、スキャニングって言ってみて」
「えっと、スキャニング!」

 その音声入力が行われたのを認識したデジヴァイスは、アンテナ部分から光が放たれタマゴをスキャンする。

≪デジタマ:多数の可能性を秘めたデジタル生命体のタマゴを略した名称。生まれたてのデジモンはとても弱いのでしっかり育てよう≫

「わ〜デジヴァイスから立体モニターが出た」
「ふむ、このデジヴァイスって言うデバイスはヴィヴィオちゃんじゃないと各種機能が使えないみたいね」

 マリーも何度も使ってみたのだが、データ通りの機能が働かず袋小路に陥っていたのだ。
 だが、ヴィヴィオが扱える事で、ある想定が証明された。
 
「ヴィヴィオちゃん専用になっているみたいね。どういう原理なのかは分からないけど、システムには危険なモノは無かったわ」
「それを聞いて安心しました。早速なのはさんとフェイトさんへ連絡が出来ます」
「あれ?ギンガ、まだ連絡してなかったの?」
「いえ、ちゃんと連絡しましたよ。今から連絡するのは、ヴィヴィオちゃんです」
「うん。なのはママとフェイトママにデジタマを育てて良いか聞いてみるの」

 マリーと別れたギンガとヴィヴィオは、花壇のある研究所の憩いの場で2人のママへと連絡を取る。
 最初に出たのは、フェイトママであった。

『どうしたの、ヴィヴィオ』
「フェイトママ、デジタマを育てても良い?」
『えっ?話が見えないんだけど……ギンガ、説明してもらえる?』
「はい。実はですね―」

 ギンガの説明を聞き、訳を知ったフェイトはヴィヴィオに話しかける。

『ヴィヴィオは、そのタマゴを育てたいんだね』
「うん」
『でもね、生き物を育てる事はとても大変な事なんだよ。食事もするし、トイレもするんだよ。ちゃんとお世話が出来るかな?』
「がんばる。なのはママとフェイトママから教えてもらった"アイジョウ"を、この子にあげたいの」

 いい子に育った娘に涙ぐむフェイトは、流石は甘いお母さん。
 育てる事に賛成してくれたのだ。

「ありがとう。フェイトママ」
『ちゃんと、お世話をする事。これだけは守るんだよ、ヴィヴィオ』
「はい」
『それじゃあ、なのはママにもちゃんと連絡するんだよ。それじゃあ、またね』
「バイバ〜イ」

 フェイトから了解を貰い次に、なのはママへ連絡を入れるが留守番電話になっていた。
 何かあったのかなと、父親のゲンヤ・ナカジマへ連絡を入れ聞くギンガ。
 頷き答え通信を切るギンガ。

「ヴィヴィオちゃん。今なのはさんはミッドチルダ北部の海岸付近に出現したモンスターの対処のために出動中みたい」
「それじゃあ、なのはママの帰り遅いね」
「そうだね。あ、もうこんな時間。アイナさんも心配しているだろうし家まで送るね」
「うん。お願いします。ギンガお姉ちゃん」
「はい。お願いされます」
546リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:55:14 ID:1TGqrND7
PHASE 04

 ミッドチルダ北部の海岸付近に出現したモンスターを何とか撃退する航空武装隊。
 その助っ人として借り出されたなのはの姿もある。
 データへと崩壊していく巨大な人型のイカによく似たモンスター。
 Aクラスの魔導師で構成されている航空隊でも苦戦するほど強敵であった。
 なのはの協力の下に、何とか打ち倒す事に成功する。
 本来は捕獲を考えていたが、あまりの力と殺傷力に相手を気遣う余裕が無かった。
 そして、そのモンスターは跡形も無く消えてしまうのだ。

「高町一等空尉、ご協力感謝します」
「いいえ、それよりも」
「はい。現在調査班が消滅地点を調査中です。後の事は我々が行いますので、高町一等空尉はお帰りになって下さい」
「分かりました。それでは、先に上がらせてもらいます」
「お疲れ様でした」

 航空隊のメンバー達と挨拶を交わしたなのはは、地上本部にある戦技教導隊へより報告書を提出しヴィヴィオが待つ家へと向かう。
 帰りのタクシーの中で、今回の事件について考える。
(あのモンスターは一体何なの?今までに見た事の無いのだった……これがきっかけに悪い事が起こらなければ良いんだけど)

PHASE 05

 ギンガと別れデジタマと共に帰宅するヴィヴィオ。
デジタマを家へと持ち帰ったヴィヴィオは、高町家のホームヘルパーとして家事全般を任されているアイナ・トライトンに事の経緯を話す。

「……そうなんだ。なのはママにはちゃんと了解を取ったのかな?」

「連絡しようとしたけど、お仕事中だったの。フェイトママは育てても良いって言ってくれたよ。ちゃんとお世話もする。なのはママには帰ってきたらお話しするの」

それを聞いたアイナさんから、デジタマを育てる事を賛成してもらい喜ぶヴィヴィオ。
 ヴィヴィオはデジタマを抱きかかえたまま、なのはママの帰りをアイナさんと待ちながらテレビを見ている。
 午後7時を回った時、突如見ていたテレビの画像が歪み電子レンジなどの機器が勝手に動き出す。
 その現象にアイナさんは、ヴィヴィオを守るように抱き寄せる。
 怖くない怖くないと呟くヴィヴィオの持っていたデジタマが光を放ちながら動き出す。

「生まれるの?」
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 09:55:24 ID:BQPPhPtv
>サッカーボールより一回り大きいタマゴ
ちょっと大きくない?支援
548リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:57:31 ID:1TGqrND7
PHASE 06
 
 タクシーから降り、帰宅して来たなのはママ。
 自宅で奇妙な輝きが出ている事に気づき急いで家へ入る。

「ヴィヴィオ!無事!?……えーと、それは何かな?」

 そこにはヴィヴィオとアイナさんの間で大欠伸をする小動物の姿があった。

「あ、なのはママ。お帰りなさい」
「あ、ただいま。ヴィヴィオ」
「えっとね、この子を育ててもいい?フェイトママも良いよって言ってくれたよ」
「……それよりも、その小動物は」
「そうだった。君の名前は何かな?私の名前はヴィヴィオだよ」

 満面の笑顔で自己紹介をするヴィヴィオに、丸々で小さい耳と青い毛で包まれた小動物は小さな声で自己紹介なのか小さな泣き声を出す。

「キュキュ〜」
「ん〜しゃべれないの?あ、そうだ。スキャニング」

≪ドドモン:幼年期(1)・スライム型・まだキバが生えていないのに噛み付く素振りで敵を威嚇する。必殺技:口からはいて攻撃する「小さな鉄粒」≫

「ドドモンって言うんだね。よろしくね」
「キュキュ〜」
「何がなにやら……アイナさん、説明してもらえませんか?」

 なのはの困り顔を他所に、ヴィヴィオとデジモンとの冒険の幕が開けるのであった。

To Be continued


アルフ「アルフと!」
ザフィーラ「ザフィーーーラ!の」
アルフ(U^ェ^U)⊃「「デジモン通信」」⊂(▼‐ェ‐▼)ザフィーラ
アルフ「とうとう、筆者の無謀な連載を始めたね」
ザフィーラ「いつまで持つ事やら」
アルフ「では、早速今回登場したデジモンのまとめをするよ〜」
ザフィーラ「この者たちが今回出たデジモンたちだ……でやぁぁぁ!!」

《オメガモン・デュークモン・マグナモン・マリンデビモン・ドドモン》

アルフ「へぇ〜第一話でも結構出てるんだね」
ザフィーラ「ロイヤルナイツが3体も出ているとは……筆者め、姿の説明だけではどれがどれだか読者が判らぬだろう」
アルフ「まぁまぁ、それよりも子供達が話してた話題で――」

 アルフの口を押さえるザフィーラ

ザフィーラ「そこまでだ……そこまでだぞ、アルフ」
アルフ「ぶは、わかったよぉ〜そんじゃ、次回で会いましょう〜」
アルフ(U^ェ^U)⊃「バイバーイ」「さらば!」⊂(▼‐ェ‐▼)ザフィーラ


次回予告
運命の出会いを果たしたヴィヴィオとドドモン。
共に生活をしていきデジモンの進化を垣間見る。
そんな子供たちに襲い掛かる怪しい注射器。

デジモンマジシャンガール
第二話『恐怖の学院!進化ドルモン』
リリカルマジカルがんばります!
549リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 09:59:55 ID:1TGqrND7
投下完了〜
>>547
まぁデータ量が多かったって事で!
次は魔法学院での騒動で成長期への進化です。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 09:59:58 ID:BQPPhPtv
投下乙ー
デジモンは全然知らんのだが、普通に異世界みたいな認識でいいのかな
551スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 10:01:39 ID:OTOAg1Dm
>>549
GJです。しかしデジモンはアニメは全てを見ていたのにヴィヴィオの育てるデジモンがわからない。orz
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 10:06:26 ID:ouG8Wa00
投下乙ですGJ!
しかしドルモンだとどう足掻いても最終的にバランスブレイカーになりそうなw

>>551
ドドモン→ドリモン→ドルモンはデジモンクロニクル、ゼヴォリューションの主役デジモン
詳しくは公式ページを見てね♪
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 10:09:30 ID:aeiSSE9c
>>549
GJ!!
これは映画クロニクルの世界観を使ってるんですかね?
だとしたらロイヤルナイツにも見せ場がほしいです。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 10:11:36 ID:aeiSSE9c
>>549
GJ!!
これは映画クロニクルの世界観を使ってるんですかね?
だとしたらロイヤルナイツにも見せ場がほしいです。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 10:22:13 ID:aeiSSE9c
連投になってるorz
無駄レス使ってすいません。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 10:26:28 ID:Ieiik+bP
>>549
GJです。デジモンは好きなだけに今回のクロスはドキ土器ですぜ。
しかし完全体を倒すとは・・・なのは、怖い子!(まぁマリンデビモンはそこまで強い完全体じゃないけど)
557名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 11:10:40 ID:NAQmnNBE
GJ!
デジタマたんぱく質はテイマーズからかな?

というかヴィヴィオに萌えまくり
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 11:17:38 ID:QcxsaQu6
GJ!
ヴィヴィオが主人公とは良い感じです。
ヴィヴィオやデジモン、そしてなのは達の活躍を楽しみにしています。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 11:18:37 ID:sM4QLWGz
>>549
GJ!
人気の無いシャッコウモンが好きなんですが誰も賛同してくれない・・・・・・
560スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 11:26:32 ID:OTOAg1Dm
えーと、結構急ぎ足だったのですが、DETONATORStrikerSの「復活編2」が出来ましたので
11時40分ごろに投下したいと思います。すこし急ぎ足で書きましたので変なところがあるかも…。
561スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 11:40:10 ID:OTOAg1Dm
時間ですので投下します。DETONATORStrikerS「復活編2」です。

 トモルが機動六課に保護されてから3日が経ち機動六課ではフォワード新人4人に休日を与えることになり、
 トモルもそれにのって街に出る事にした。

(ここの懐古館ってどういうのがあるんだろうな……)

 トモルが懐古館や博物館の事を想像している様子を新人4人のスバル、ティアナ、エリオ、キャロが見ていた。

「トモル、何か嬉しそうだね……」
「そうね、暗い顔が多かったけど、何か今日は明るい顔してるわね……」
「でもあれって……」
「子供みたいな楽しそうな顔ですね……」

 4人は知らないがトモルは懐古趣味を持っている。
 トモルがいつも着ているジャケットも20世紀のもので由緒あるものらしい。
 トモルはバイクには乗らないので最初はエリオとキャロと一緒に電車で街に出る事にした。
 駅のターミナルでエリオとキャロは二人のプランを確認する。

「えーと、シャーリーさんの作ってくれた今日のプランは……」
(シャーリーってあのメガネをかけた女の人だよな……)

 エリオとキャロはシャーリーの作ってくれたプランを確認して、少し考えたところがあるがそれをスルーするがトモルは心の中で思う。

(シャーリー、それはデートプランだろ……。この二人に何を期待してるんだ……)

 トモルはシャーリーに少しあきれたような感情を抱いたそうだ。
 そしてトモルは街に出て、エリオとキャロと別れた後一人でミッドチルダの懐古館に訪れ、色々な歴史を見ている。

「昔は俺の時代にあったような武器があったんだな……」

 トモルはミッドチルダも昔は質量兵器に頼っていた事を知り、色々な事を考える。

(いつの時代や世界でも人は争うんだな……。イバリューダーも元は人だ……)

 トモルはそんな事を考えてた時、ふとある事を考える。

(どんな争いでも大切な人を守りたいって人がいたんだろうな……)

 トモルはイバリューダーと戦った時は地球を守りたいと言う思いがあったが、それ以上に大切な人を守りたいと言う思いが強かった。
 しかし、それでもトモルは地球に住む人達を守りたいとも思った。

(そう言えば、スバルは言ってたな……)
562スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 11:40:59 ID:OTOAg1Dm
 それはトモルが機動六課に来て翌日の事である。
 早朝練習を終えたスバルがようやく起きたトモルに会いに来てトモルと話をしていた時の事である。

「君がなのはさん達に保護されてここにいる真道トモル?」
「そうだけど、君誰?」
「あたしはスバル・ナカジマ。よろしくね」
「ああ」

 トモルは「随分明るい奴だな」と思ったが、とりあえず食堂に行こうとしたらスバルはまだ話があるようでトモルと話したがろうとする。

「ねえ、トモルでいいかな?」
「別にいいよ」
「トモルは何で協力しようとしないの?」

 トモルはスバルがはやて達と同じ話をすることに頭にくる。

「お前もかよ!? そんなに俺を戦わせたいのか!?」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
「だったらほっといてくれ!」
「ほっとけないよ!」

 スバルのその言葉にトモルはビクっとする。

「トモルが戦いたくないって事はなのはさん達から聞いてるよ。トモルが前は自分の地球を守るために戦った事とも……」
「だったら何で俺を止めるんだよ」
「確かにここはトモルの世界じゃないけど、ここにいるのも人なんだよ。あたしは4年前になのはさんに助けられたの……。
その時決めたんだ。強くなりたいって……」
「だからなんだよ?」
「あたしは強くなりたいと思ったのと同時に他の人も守りたいって思ったんだ。多分トモルが戦っていた時と同じだよ……」

 トモルはその言葉に迷う。確かにトモルは守りたい人を守れないことを嘆き、力が欲しいと思った。
 その力を拒んだ事もあったが、結局は皆を守りたいと思って戦いに出たのだ。

「とりあえず、考えとくぜ……」

 その時はトモルはその返事でスバルとの会話を終えた。
 そしてトモルは今再び悩んでいる。

(俺はどうすればいいんだ……)
563スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 11:41:45 ID:OTOAg1Dm
 トモルは懐古館を出た後、少し町をフラフラとすることにする。
 するとトモルはロングヘアーで紫色の髪をした少女と出会う。

「君、こんなところで何をしてるの? ひょっとして迷子?」

 トモルの言葉に少女は首を横に振りながら答える。

「ううん、違うよ」
「そうか……」
「あなたは?」
「え?」

 トモルは少女の問いかけに何の事だがわからない顔をする。

「どういうことかな?」
「あなたは迷子なの?」

 少女の言葉にトモルは答える。

「……、そうかもな」
「だったら早く自分の道を見つけないとね……。それじゃあ、私は用があるから……」
「ああ、呼び止めてごめんね」

 そしてトモルとその少女は別れた。

「自分の道を見つけるか……」


 トモルがその少女と別れて再び街を探索しはじめてから数十分後、突然地が揺れる。

「な、何だ!? 地震か?」

 トモルが周りを見てみると離れた場所で何やら巨大な蟲が見える。

「何だよあれ?」

 トモルが近づこうかどうか迷うと突然その蟲の下から何やら魔力で出来た光の道が現れる。

「あれは確か、スバルの……」

 トモルはスバル達の訓練をたまに見に来たりしていたので、あれがウイングロードだと気付く。
 そしてスバル達が地面から現れ、近くにいるその蟲を操ってる敵を捕まえたようである。

「あいつら……、大変だな」

 トモルがほっとしている何やら近くに人の気配がするような気がしてビルの屋上を見ていると何やら女性が二人いて、
 一人は大きいバズーカみたいなものを持ってチャージをしている。

「あれは何をしようとしてるんだ?」

 そのバズーカを持っている女性が見ている先を見るとそこにはヘリが飛んでいる。

「……まさか!? おいやめろ!」

 トモルがビルの上にいる二人に静止を呼びかける。
564スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 11:42:38 ID:OTOAg1Dm
 二人はトモルの存在に気付く。

「あら、まだ人がいたのね」
「だがあの格好からすると一般人のようだな」
「だったら問題ないわね。ディエチちゃんは気にせずヘリに狙いを定めてね」
「わかった。で、クアットロあの下にいる男はどうする?」
「ほっておいても問題はないでしょ。一般人ならデバイスも持ってないだろうし……。それにあそこからじゃもう間に合わないし……」
「おい! お前達やめろ!」

 トモルが静止を呼びかけるが、クアットロとディエチはやめる様子を見せない。ディエチはイノーメスカノンをチャージを続ける。
 今からスバル達のところに行っても間に合わないし、二人を止めようとしても間に合わない。
 ヘリが狙われているいるのに自分は何も出来ない。そんなトモルは自分の無力感を感じる。

「くそーーーーーー! 俺はどうすればいいだ!?」
「トモル……」
「!?」

 トモルの耳に突然声が聞こえる。その声はトモルがよく知っている声である。

「そうか……。俺の道が決まった! オーーーーーーーーガーーーーーーーーン!!」


 機動六課隊舎の指令室ではグリフィスやシャーリー達がいて皆突然の魔力砲撃のチャージを確認して、皆困惑している。

「このままじゃ、ヘリが……」
「この位置じゃ間に合いません!」
「くそ!」
「あれ?」
「どうしたシャーリー?」
「デバイスが光ってる……」

 シャーリーははやてに頼まれてもしものためと言うことでトモル専用としてオーガンのソリッドアーマーを元にしたデバイスを作っていたのだ。
 そのデバイスはようやく完成してとりあえず司令室に持ち込んでいて後は充電だけだったのだが、そのデバイスが勝手に起動しているのだ。

「きゃ! ……消えた?」

 消えたのではない。光になって飛んで行ったのだ。トモルの元に……。


 そしてトモルはその自分の叫びと共にやって来た光に身を包まれる。

「トモル、待っていたぞ。お前が再び私と共に戦う決意をする事を……」
「オーガン……」
「わかっている。私とお前は一つだ」

 そしてディエチのISヘビィバレルのチャージが完了し、その砲撃がヘリにと一直線に向かう。
 機動六課のメンバーは全員絶望的になる。がしかし、その攻撃はヘリには当たらなかった。
 何故ならヘリの前にはオーガンの姿があるのだから……。

「何あれ!?」
「わからない……」

 そうディエチのヘビィバレルはオーガンが防いだのだ。
 そのオーガンの姿は地球製のソリッドアーマーそのものの姿である。

「悪魔共め……、許さん!!」
565スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 11:44:04 ID:OTOAg1Dm
投下完了。とりあえず本日はここまでですね。
次回は「復活編3」になります。
オーガンならこれで納得できると思います。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 12:11:11 ID:AmsfnbB5
GJッ!!!

続き楽しみにしてます!
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 12:40:10 ID:bWI+DmRJ
>>549
GJ!
ついにデジモンがきましたか!続きに期待してます!
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 12:41:45 ID:srEAHNTg
gj

569リリカル龍騎@携帯 ◆YHOZlJfLqE :2008/02/03(日) 13:00:30 ID:1ydCdUUg
遅れましたが、代理投下ありがとうございました
・・・しかし、何でdionはこうも規制されやすいんでしょうか・・・
そして全ての職人様にGJを!

>>535
ベガ星連合軍は今のところは出す予定はありません。一応グレンダイザー本編始まるより前という設定なので・・・
Drヘルはまだ未定ですが・・・
 
 
 
 
 
ネタバレになるかもしれませんが、A'sシナリオ終わったら死闘! 暗黒大将軍に持っていく予定です
570リリカルデジモン ◆etxgK549B2 :2008/02/03(日) 13:25:24 ID:1TGqrND7
感想ありがとうございます〜
何とか1週間に一回は投下を心がけてみます。
>>554
えっと、一応クロニクルとゼヴォとテイマーズとVテイマー01の設定を良いとこ取りした感じです。
デジモンの進化には、テイマーの感情とデジモンへの愛情です。
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 13:47:20 ID:Ieiik+bP
ブ、Vテイマーの設定のよい(使いやすい)ところ・・・・何があったっけ?
オーバーライト(アルフォース)とデジモン界屈指のコンビネーション戦法
超究極体、ダークウイルス・・・・うーん、意外とあった
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 13:52:19 ID:/FcmTu3P
デジモンGJです

ヴィヴィオはいいパートナーになれそう。
ただ、ヴィヴィオのデジタマ対面時を、もうちょっと描写してほしかったです
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 13:55:34 ID:+eutVvu/
デジモン来た〜〜〜〜〜〜〜!!
ヴィヴィオがパートナーなら、普通の進化を辿るんでしょうね。
やっぱりデクスなやつとか、七大魔王とか出てくるんですか?
超魔王オグドモンとアルファモン究極戦神王竜剣なんか見たいかも。
あるいはルーチェモン・サタンモード。

574仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 14:13:32 ID:FgZ8btrS
これまで投下された作品にGJを送ります。やべ、俺もデジモン書きたくなった。
さて、カービィの最新話出来たんで30分後に投下します。いいかな。今回、ワドルディがカッコイイしなのはさん越えます。(魔力量的に。)
575仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 14:46:30 ID:FgZ8btrS
そろそろ時間なんで投下します。支援お願いします。
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 14:47:37 ID:sM4QLWGz
刹那の見切り支援!
577仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 14:49:43 ID:FgZ8btrS
それでは投下します。支援お願いします。


諦めんじゃねぇ

そんな事は言われたことなかったな。

苦しんでいるのに私は何も出来ない。

そんな風に思っていた時の言葉。

元気付けられた、励まされた。

だから、

だから

だから今はお前に託すぞカービィ。

星のカービィリリカル次元を超えた出会い

始まります。

クリスタルの球体へと捕まってしまった、ノーヴェとウェンディ。二人を救う為にカービィはヘビーロブスターと対峙していた。

「これから、本当の戦いって訳か。」

ワドルディはそう言うと、デバイスを握り直した。

「皆、いくでぇ!」
「おう!」

そう言うとデデデ達は突撃した。しかし、ヘビーロブスターの甲殻は堅い。並の魔法や攻撃で貫くことは、不可能である。

(ラケーテンでも貫くことが出来るかどうかやな。こうなりゃ、リミッターを外すしかないようやな。)

「ワドルディ、リミッター解除、いくで。」
「了解!」

そう言うとデデデの周りに魔力が集まり魔法陣を描いた。それは、以前高すぎるる魔力を抑制するためにクロノが取り付けたものであった。

「リミッター解除、プププランド国王デデデ大王、衛兵隊副隊長ワドルディ!リミッター、リリース!」

すると、デデデの周りからはSランクオーバーの魔力、ワドルディの周りからはSSランクオーバーの魔力が溢れだすていた。
(あるフェレットの話では「すごい、なのは並の魔力があるなんて」らしい。)

「いくでぇ、ギガントフォルム。」
「いきます、スピアフォルム。」

二人がそう言うとデデデのハンマーは巨大化しワドルディのデバイスは槍になった。
578仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 14:52:44 ID:FgZ8btrS
「カービィ、ワドルディ、連携いくデ。」
「ハイッ!」
「ポヨッ!」

「援護頼みますよ。」
「分かったよ。このアギト様に任せとけ。」「リボンちゃんとヴィヴィオちゃんはチンクさんのこと頼みます。」
「任しといて。」
「うん、分かった。」
「さてと、いきましょう。」
「おうよ、任しとき!」

「ギャアァ!」

ヘビーロブスターは唸りをあげると右手を振り下ろした。

「クッ。」
「クソッ。」

そう言うと、デデデ達は避けた。この威力である防ぐなど持っての他である。

「ウオォォッ!ギガントシュラァーク!」
「ハアァッ!メッサーアングリフ。」

二人が叫ぶとデデデはギガントフォルムのハンマーに魔力を込め叩きつけ、ワドルディは魔力を込めたスピアで切り裂いた。
しかし、爆風が晴れたその場には、無傷のヘビーロブスターがいた。
カービィもエリアルキャノンを撃つが全く効かなかった。

「ギャアァ!」

すると、ヘビーロブスターがハサミにエネルギーを溜め始めた。そして、最大までチャージするとデデデ達へと放ったのだ。
その威力はあの高町なのはの砲撃に劣らない威力であった。

「チイッ。アクセルフィン。」
「クッあかん。覚えたてやが、頼むで。」
《allright。airsail。》

ワドルディの背中からは青い羽が生え、デデデは金色の魔力に包まれながら、飛行した。
「陛下、その魔法…。」
「最近覚えたんや。魔法を使い始めて百年近くのベテランやで。」
「そうでしたね。」
「さて、どうしたもんか。」
「生半可な魔法は効きませんからね。」

二人が悩んでいると、カービィもその場に集まった。その時、声が響く。

「私がやる!」
「無理よ。傷も癒えてないのに!」
579仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 14:55:59 ID:FgZ8btrS
そこには満身創痍の体を引きずり立っているチンクと止めようとしているリボンの姿があった。

「私のISを使えば、あるいは。」
「無茶や!その身体でISを使えば、どうなるか分かっとるんか。」「お見通しという訳か。その通り只じゃすまないだろうな。だがなそれでもやらなきゃならないんだ。」
「チンク…。」

皆が言う中、声が響いた。

「逃げろ、チンク姉。」
「そうッス。もう無理ッスよ。」

それは捕らえられているノーヴェとウェンディの声であった。

「ノーヴェ、ウェンディ!」

「私達は大丈夫ッス!何とかなるッス!」

誰が見てもそれは嘘である。今の状況を見る限り、二人だけで脱出は不可能なのだ。
誰もが黙るなか、デデデは口を開いた。

「お断りや。わいは、何もせんと、諦めるのが大嫌いや。だから、諦めるんじゃねぇ!そんなふうに考えるバカは、こん中には居らんのや!だから、ワイらが必ず助けたる!」

「もう少し、もう少しだけ待ってください。必ず助けてみせます!」

「ワイらを信じろ。」
その笑みを見た、ノーヴェ達はもう少し信じることにした。
580仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 14:59:36 ID:FgZ8btrS
「さて、問題はあの魔獣やな。」

「一点集中の攻撃しかないですが、動きを止めないと。」

その時、カービィの目の前に一本のナイフが突き刺さる。

「皆がお前を信じているように、私もお前を信じよう。頼む!」

それに答えるようにカービィは、ナイフを吸い込んだ。
すると、カービィは左目に眼帯を着け、ヘルムにはXの文字が刻まれた、《ナンバーカービィX》となったのだ。

「おい、待て。お前の能力は重装甲の奴には効かないんじゃ。」
「まあみていろ。」

カービィは飛び上がり、ヘビーロブスターへとナイフを投げた。勿論その程度の攻撃は、このヘビーロブスターには効きはしない。
しかし、それは装甲の話、ナイフは次々と装甲の間接部へと命中していった。そして、カービィが指を鳴らすとその全てが大爆発を起こしたのだ。
もう一度言おう、当たったのは間接部、直接ダメージは相手に伝わるのである。つまり、動きが取れなくなったのである。

「今や、行くで、ワドルディ!」
「あぁ!」

デデデ達はそう言うと、ヘビーロブスターへと向かっていった。

「集中放火やぁ。ギガントシュラーク!」
「ディバィーンバスタァー!」
「ポヨォッ!」

ナイフにデデデとワドルディの魔法が重なり、ヘビーロブスターへと突き刺さる。

「もういっちょ。鋼の軛!」

すると地面から魔力の槍が飛び出しヘビーロブスターを貫いた。そこに次々とナイフが刺さり爆発していく。そして守るべき装甲は崩壊寸前となった。

「今や、ワドルディ!」

するとワドルディの周りに魔力が集まっていき、ワドルディのデバイスは砲撃用のカノンフォルムとなっていた。
581仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 15:02:27 ID:FgZ8btrS
「カートリッジ、オールロード。」

6発のカートリッジを全てロードし、ワドルディの目の前にはミッド式の魔法陣が展開され魔力が集まっていった。
そして、詠唱されるは管理局最強と呼ばれた白き魔王の最大の魔法。

「咎人達に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け!閃光!スターライト・ブレイカァー!」

詠唱と共に集められた膨大な魔力が集束され、放たれた。

「ギャアァァ!」

ヘビーロブスターを飲み込むとその存在を消し去ったのだった。

「ノーヴェ、ウェンディ!」

ヘビーロブスターが倒れたことでノーヴェ達が解放され、地面へとゆっくり降りていく、ノーヴェ達。
その姿を見て、チンクは二人へと駆けよった。

「ノーヴェ、ウェンディ。」
「チンク姉、ごめんなさい。戦ってたんだろ。」
「ノーヴェ覚えているのか。」
「何にもできなかった。自分を止めることも。ごめん、な、さい…。」
「ノーヴェ?ノーヴェ!」
「大丈夫、眠ってるだけです。」
「良かった。ウェンディは?」
「両方、眠ってるだけです。」

ワドルディにそう言われチンクはホッとしていた。

「しかし、まだこれで終わりじゃありません。」
「分かってる。本当の戦いはこれからだな。」


この先に待ち受ける、スバル達との戦い。決戦の時は刻一刻と迫っていた。カービィ達は勝つことは出来るのか誰も未来は解らない。

星のカービィリリカル次元を超えた出会い
第三話
「姉と妹」Bパート
〜fin〜


next
第四話
「スターズブレイク」Aパート
582仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 15:05:50 ID:FgZ8btrS
以上で投下終了です。以前、改行が多いと言われたので気をつけてみました。感想などを待ってます。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 15:07:59 ID:YmjRN74p
地の文もっと増やした方がいい。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 15:20:21 ID:yl6aae3v
乙、だいぶ読みやすくなったよ。
面白いZE!
585仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/03(日) 15:24:09 ID:FgZ8btrS
>>583地の文をなるべく増やしていくよう意識して頑張って書きます。
>>584 上達してますか!!ありがとうございます!これからも精進します。
586反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 15:37:35 ID:8NeMuEro
GJ!


「バイドのせいだ」…リリなのクロススレの住人にとっては、当然の言い訳さ。
つまり君はここにいる私だけでなく、バイドという素敵な免罪符を人々の記憶から抹消しない限り…
止められないのだよ!(CVスカ山)

というわけでルルスバエロス完成!
これより避難所へと突貫する! 文句はこの馬鹿騒ぎのきっかけになった、SMCのクソ野郎(最大級の誉め言葉)に言いやがれ!
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 15:38:36 ID:sM4QLWGz
>>586
乙!
全裸でwktkしながら見ますとも!
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 15:39:35 ID:NAQmnNBE
>>587
いや服は着ろよ。

俺はフンドシで待つけどね!
589Strikers May Cry:2008/02/03(日) 15:49:23 ID:6nkvwudM
>>586
げひゃひゃひゃっ!! とうとうエロの時間だぜっ!! げひゃひゃっ。

クソ野浪? エロ魔人? 変態? スケベ? 俺にとっちゃ褒め言葉だぜベイビー?
さあ、皆で避難所に行こう。
590スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 15:56:32 ID:OTOAg1Dm
>>587>>588>>589
悪いが先に見させてもらったぜ。
とりあえずGJだったな。内容は避難所へ!
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:21:23 ID:kZBUXyYI
なあ、いまさら言うのもあれなんだが、
もうエロ専用のクロススレ作っちゃわない??
ピンクのほうに。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:23:11 ID:NAQmnNBE
向こうの住人に文句いわれそうな気がするんすよね……なぜか。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:26:04 ID:WMuSEi1S
と言うか、クロスエロってのはピンクの方にもあるのか?
無いのならスレ作るのやめたほうがいいだろうし。
だとすると受け皿がどこにもないことになるけど、どうしたらいいかな。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:26:57 ID:Ziw6VRPv
>>586
やベーよ、やベーよ、やへーよ、やベーよ、やベーよ、やベーよ、やベーよ、
やベーよ、やベーよ、やへーよ、やベーよ、やベーよ、やベーよ、やベーよ、
やベーよ、やベーよ、やへーよ、やベーよ、やベーよ、やベーよ、やベーよ、
いろいろな意味でやベーよ。だがGJだったぜ!!
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:30:59 ID:YsHeie+e
>>593
避難所でいいじゃない。今までどおり。
なんか問題あるの? 今の運営で。
こっちで告知して、向こうで投下と感想。
言うことがあるとしたら、エロの感想をこちらに持ってくるのがちらほらいることくらいか。
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:32:13 ID:NAQmnNBE
えっと、
ナムコクロスカプコンのエロパロと、クロノクロスのエロパロが、

クロスでエロパロっぽいですけど……。レス検索かけただけなのでアレですけど
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:33:28 ID:YsHeie+e
>>596
どっちも作品のタイトルやんけwwwww
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:34:44 ID:NAQmnNBE
クロノクロスはともかく、ナムカプは一律に言い切れないような……w
599StS+ライダー:2008/02/03(日) 16:35:15 ID:m6OSDh0C
やれやれ…皆さんエッチなものがお好きなようで…

反目のスバル18禁同人化希望(ぇ
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:37:03 ID:WMuSEi1S
>595
規約に抵触する恐れ有りって誰か言ってたような気がする。
規約見てみたらグレーゾーンになりそうなのはあったし。
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:37:51 ID:uI9SIA12
>>589
どこの変態だだあんたわっ!Σwwwww

ともあれ反目氏GJでした〜。機動六課編&シャイニングクロスの続きも待ってますよ?w
602名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:40:38 ID:BQPPhPtv
>>596
ナムカプはスパロボみたいに、最初からクロス物なゲーム
クロノクロスはそういうタイトルなだけ

たいした需要もないのにスレ作る必要無いだろ
ここの作家で18禁書いた人自体少ないし、他のところの人が来てくれる保証も無い
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 16:41:54 ID:YsHeie+e
>>600
2) 弊社が別途定めたカテゴリー以外でのアダルト情報の登録
この項目か……
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 17:23:22 ID:srEAHNTg
最高だったぜ反目氏

605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 17:27:26 ID:tPk23dW/
>>反目氏
GJ
でも、バイドに侵食されすぎと言わざるを得ないw


まあ、皆バイドのせいで一時的に錯乱してるだけだし
エロが主流というわけでもないから避難所だけで十分だろ
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 17:31:21 ID:YsHeie+e
というか、マジ感想をこっちに持ってこないでくれよw
避難所のスレのほうにしてくれ
607×DOD:2008/02/03(日) 17:57:38 ID:nq+pM4WS
18:30程から投下したいのですが構いませんねッ!
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 17:59:19 ID:iWRhrZHP
>>607
待ってました!
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:09:55 ID:GSGm34FN
私の赤ちゃん支援
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:15:28 ID:/FcmTu3P
ハードモード期待
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:17:18 ID:2YJZ9A78
>>607
全力で支援する!!
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:28:22 ID:+eutVvu/
待ってるよん
613×DOD 五章五節 1/9:2008/02/03(日) 18:30:41 ID:nq+pM4WS
 古びた外套に身を包んだ長身の男ゼスト。その傍らに寄り添う、幼い召喚士ルーテシア。林立す
るみどりの向こうに堂々とそびえるホテル・アグスタを臨む、森の中に彼らはいた。
 少女の小さな手が男の服の擦り切れた袖をつまんでいるのを見ると、その様はまるで親子のよう
でもあるのだが、現実には全く違うし血も繋がってなどいない。確かにルーテシアがゼストに懐い
ているのは、ゼスト自身承知しているし曲げようのない事実だのだが。
 彼らは旅人であった。
 各世界から集められた、骨董品のオークション。危険な品は無いとはいえロストロギアをも交え
て行われる、その催しの情報を偶然耳にして、少女の『探し物』の可能性を探るべく彼らはやって
きた。ルーテシアの求めるものは一般に出回るものでは決してなかったが、それでも万が一、万々
が一にも、入り込んだ密輸品の中に紛れていることは考えられたのだ。
 ただその可能性も、既に潰えているようだ。
 そう悟って去ろうとする男と幼子の前に、緑を背景にしてウインドウがひとつ、引き留めるよう
に開いたのはほんの少し前のことであった。
 中から彼らを覗いていたのはまたしても白衣の男、以前興奮気味で通信を入れてきたジェイル・
スカリエッティであった。薄っぺらな笑みを浮かべたその顔を、ゼストは威圧を込めた厳しい視線
で、ルーテシアは特に感情を込めない真っ直ぐな目で見つめている。

『ヘリを直接襲っても良かったけど、実験体に死なれたら困る。焦っても仕方がないしね』

 物騒なことを言うスカリエッティだが、モニター内のこの男の言葉を聞いてもゼストは眉ひとつ
動かさなかった。このマッドサイエンティストの言動も思考も趣向も、全てぶっ飛んでいるのはい
つものことなのだ。頭脳の明晰さを認めるにしても。
 かの科学者が言っているのは、先刻ホテル・アグスタへと至った、機動六課を乗せたヘリの事。
ゼストとルーテシアも森の陰から目撃していた機体であった。
 空の彼方から飛んできたヘリは視界に入るかどうかというところで、並んでいた紅いドラゴンか
ら離れ、竜はあさっての方角へ、機体そのものはホテルへと向かった。自分たちのような招かれざ
る客からオークションを守るためだというのはゼストにも想像がついていた。恐らくかの部隊が、
今ウインドウ内に居る男スカリエッティと、その私兵ガジェット・ドローンの襲撃を視野に入れて
いるだろうという事も。

『地下に隠してある密輸品も気になるけど、そちらの方を優先したくてね』
「……前回の襲撃で十分データを採ったと言わなかったか?」
『当初の目当てについては。ただ、イレギュラーのはまだなんだよ。剣士はまるでつまらなそうだ
ったし、赤い竜に至ってはブレスすら吐かなかったしね』

 その当人が、前回得られなかった竜と竜騎士の戦闘データが欲しい、協力してくれと言い出した
のだ。
 対するゼストの口調は鬱陶しげだが、当然である。そもそもスカリエッティと彼との関係は、レ
リックが絡まない限り不干渉が原則であったはずなのだから。そして今回はその限りではない。
 それに他人を利用することを屁とも思わぬこの男の身勝手さ、さらに言うなら人間を人間と思わ
ないイカれ具合は、大抵の者が思うようにゼストの好むところでもなかった。条件付きとはいえ手
を組んでいる自分に苛立ちを覚えるほど。
614×DOD 五章五節 2/9:2008/02/03(日) 18:33:06 ID:nq+pM4WS
『僕の新しい実験に、関わりが有る気がするんだ。現れた時期的に考えて』
「証拠は」
『ただの勘、非科学的な第六感だけど』
「その第六感で人を顎で使うのか。断る」
『つれないなぁ……ルーテシア、君はどうだい? データの採取、手伝ってくれないかい?』

 ゼストににべもなく断られたスカリエッティは、しかしその口元に笑みを絶やすことなく、今度
はルーテシアに向かって問いかける。自分をあまり毛嫌いしていない、少女の方に。

「わかった」
『本当かい? うれしいよ。今度、御礼に美味しいお茶をご馳走しなくてはね』

 予想していたこととはいえ、ゼストは内心溜息を吐いた。
 精神も感情さえもが希薄なこの少女は、どうやら人間の善し悪しを見分ける力まで不足している
らしい。仕方のないことではあるのだけれども。
 ルーテシアがゼストに懐いているようにゼストもまた、この未熟な幼い少女に愛着というものを
感じている自覚はあった。それ故に、この狂った科学者にはもう少し警戒心を抱いた方がいいと彼
は思う。自分の立場からは彼女の事を言えた義理ではないが、自分の手の組んでいる男が危険人物
であると自覚したほうがいいのではないか。

『今回は少し、ガジェットの他にも送ったモノがあってね。そちらの実験も兼ねているんだが……』
「?」
『あ、ルーテシアが気にすることは無いんだよ。君にはガジェットの補助と、ターゲットの指定を
お願いしたい。できるかい?』
「うん」

 そうゼストが考える最中にも話は進んでいく。彼女と共に旅をする身ではあるが保護者でも何で
もない以上、ルーテシアがイエスと言うのなら引き留めることはできはしまい。
 そのうち「じゃあガジェットを宜しく、ありがとう」と上機嫌のまま言い残して、スカリエッテ
ィが通信を切った。
 それを見たルーテシアは身体を包んでいた外套を脱ぎ始めている。やる気のようだ。また一つ、
息がこぼれる。

「いいのか。『探し物』は、ここには無いようだが」
「……」

 最後の確認とばかりにゼストが問いかけるが、しかし彼の手はもう既に、ルーテシアの幼い手か
ら外套を受け取っていた。召喚士へと、魔導師へと思考を切り替えつつある少女の態度を見れば、
意志を曲げる気がないのは明らかであったし、実際彼女が発言を撤回することはそう多くない。
 ルーテシアもゼストのそんな確信を察してか、その問いに対して特に答えを返さなかった。召喚
を媒介するグローブ型の己の相方、補助を主とするブーストデバイス・アスクレピオスの宝玉に手
を乗せて、瞑想に耽るかのように目を閉じている。体内の魔力の巡りを確認しているのだろう。
 が、そのルーテシアが、何かを思い出したかのように振り返りゼストを見上げる。まさか止める
気になったかと内心驚く彼に、少女はこう問うた。

615名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:33:08 ID:2YJZ9A78
赤ちゃん支援
616×DOD 五章五節 3/9:2008/02/03(日) 18:34:45 ID:nq+pM4WS
「……あの子たちも」
「?」
「お茶、飲むのかな?」

 何のことかという一瞬の逡巡の後、どこからかルーテシアが連れてきた、小さな青と赤の妖精が
頭をよぎる。

「……分からん。そう言えば、また居ないが」
「アギトが探してる。また遠くに行っちゃったって、追いかけてた」

 ゼストが首だけで振り返り、それに向かってルーテシアが答える。語気からはいくらか柔らかさ
が感じられた。付かず離れずで旅についてきているふたりを、どうやら彼女は気に入っているらし
かった。
 水と炎、蒼と紅。どこからともなくやって来たちいさな妖精たち。彼らはいつかルーテシアが見
つけてきた、彼らの旅に新たに加わった『同伴者』であった。しかし言葉にすると随分な言い草だ
が、ゼストからすれば何やら訳の分からない存在でもある。
 今そのふたりを追いかけているらしい、ゼストたちと長く行動を共にしている烈火の剣精アギト
とは、その在り方も振る舞いもかなり違っているようにゼストは思う。あの快活な小人のように人
語を使って語りかけてくる訳でもないし、古代ベルカ式の魔導の遺産と言う訳でもないようであっ
た。ついて来ているとはいっても追従しているのではなく、ただ単に行く宛がないからであるよう
に彼は感じていた。
 付け加えるなら彼らは今まで、ゼストやルーテシアとも、触れ合いを持とうとは決してしなかっ
た。特に意識を向けていない時は近くに居るのに、存在が頭にちらつき始めると途端に姿を消して
しまう――そのくせ何処をどう探しても見つけることはできず、その有様はいつか聞いたおとぎ話
を彷彿とさせるような存在だった。
 出会った当初はまるで兄弟が出来たように喜んでいたアギトも、彼らの放蕩癖はさすがにイラつ
くようで、そのうちまたひょっこり顔を出すと半ば悟りきった二人に代わって、今のようにぶつく
さ文句を言いながらしょっちゅう探しに出ていた。そうして疲れ果てて帰ってくるアギトの目の前
を、青と赤の光の玉がふわふわと通過して、怒って説教でもと近づくとまたどこかへ消え……その
繰り返しが、最近の彼らにとって日常茶飯事になりつつあった。
 彼らの生い立ちを知っているわけでもないため、ゼストにとってはまだ信を置ける者たちではな
い。
 ただ、その存在をルーテシアが随分と気にかけていることが僥倖であった。ゼストやアギト、そ
して己の召喚する者以外には愛着すら見せない少女であったが、その外にも意識や興味を向ける存
在が出来たことが、彼女自身の精神に何か良い影響をもたらすのではないかとゼストは期待してい
た。それにアギトも、何だかんだ言って気にはかけている様子とも見えたのだし。
 だからこそ、このふたりの同行者の存在をゼストはまだ、スカリエッティに告げてはいない。
 そもそも不干渉ではあるし、アギトの例から考えて可能性は低いのだが、制約を破ってでも新た
な研究対象を掠め取るくらいのことはやりかねない。少なくともゼストはそう思っていた。彼はか
の男を、全くと言っていいほど信用してはいなかった。
 とはいえあの天才科学者であっても、あの妖精たちを捕捉するのは不可能ではないかと思わなく
もないのだけれども。
617×DOD 五章五節 4/9:2008/02/03(日) 18:36:24 ID:nq+pM4WS
「……相手の実力は未知数だ。ここを勘付かれたら直ぐに脱出する。データ採取で命を危険に晒し
ては洒落にもならない」
「わかった」

 ゼストが釘を刺すと、ルーテシアは一つだけ返事を返し、再び意識を魔導の式の中へと戻し始め
た。己の中を巡る魔力が、掌の宝玉を介して『門』の形成をはじめていくのが分かる。
 召喚のはじまりであった。
 あの科学者の頼みごとを聞い入れたのは、ルーテシア自身がゼストほどスカリエッティを嫌って
いないというのもあったが、己の召喚士としての練習になると考えたから、ということもあった。
 魔導師としての技術が高まれば、探知の能力も必然的に上昇しよう。召喚の腕を磨けば必然的に
自分の「探し物」を、機動六課の邪魔を掻いい潜って奪取できるようにもなれるはずだ。
 それが彼女の目的であり、全てであった。それが己に希薄な「心」をも生むはずだと、彼女はそ
う信じてもいたから。
 幼い唇に慣れ親しんだ呪文を紡ぎ、ルーテシアの周囲の地面に彼女の髪と同じ、紫色に輝く魔法
陣がゆっくりと広がる――こうして彼女の戦いはまた、いつもと同じように始まった。
 母の声を聞く。ただそれだけのための、宛てのない戦いが。



『さて。完全でないとはいえ、"卵"の混沌より造りし駒。どれほどのものか……嗚呼、楽しみだ』

 通信を切った男のほくそ笑んだ顔と内心、そして彼の為した事が何なのか、知らないままに。



 心に虚を生じたカイムが眼に光を呼び戻すや否や、茂みから勇躍した影がなにかを閃かせる。
 咄嗟に背後へ跳び、愛剣で受けて直撃を免れるも、握りの甘い掌に痺れが走った。それが瞬き程
の間に「敵」の数だけ、すなわち三閃。距離を置いて横一文字に構えた長剣の、白銀の刃の向こう
側に、黒い立ち姿がやはり三つ、霞んでいる。像が輪郭を欠いている。
 ズレた焦点を重ねた。意識に集中を取り戻す。
 受けたのが斬撃であると、カイムが悟ったのは一寸後のことであった。視線の先に剣を見つけた
のだ。己が受けたのと同じ数だけの。
 現れたのは、黒い鎧武者であった。
 熟達した人間が一枚ずつ丁寧に打ち出したであろう、精巧に鍛えた鋼板を継ぎ合わせた、重厚な
漆黒の鎧。簡素ではあるが視界を遮らぬ造りの兜は、身の軽い剣士の為にあつらえられたものだろ
うか。それらを纏ったナニカが、カイムの視界の先に佇んでいた。ガジェットとは明らかに異なる、
なにかが。

「……」

 カイムは前髪で半ば隠れた目に殺気を込め、猛禽類を思わせる眼光でそれらをぎろりと睨み付け
た――しかしそれは目の前に居る"鎧武者"が、己の命を脅かそうとしたからではない。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:37:14 ID:2YJZ9A78
アギトかわいいw
炎と水の双子支援
619×DOD 五章五節 5/9:2008/02/03(日) 18:38:41 ID:nq+pM4WS
 そもそも現れたのがただの人間であったなら、カイムがこうまでも不意を突かれることは無かっ
た。姿を森の隅に確認した時点で躊躇うことなく火炎を放ち、殺してはならぬとはいえ行動不能に
するくらいのことはしていた。実際カイムはそうしようとしたのだが、見えた影が何かを悟ったが
ゆえに精神が動揺し、正常な魔法に必要な冷静さを欠いてしまったのだ。
 鎧の中に肉は無かった。
 甲冑の関節部をつないでいるのは本来身にまとうべき人間の肉体ではなく、漆黒に揺らめく魔力
の炎であった。黒光りのする鎧の継ぎ目、兜の隙間から覗いているものは人の肌ではなく、紛う事
なきただの虚空であった。
 ゆっくりと切っ先を降ろしたカイムの呼吸が、感情の激流に中てられてか細く荒い物へと変わっ
ている。血を身体に浴び炎で肉を焦がした戦場の記憶が、奔流となって身体の中を駆け巡りはじめ
ていた。
 その姿が、カイムがかつて戦場で剣を交えた異形に、余りにも似すぎていたから。

『ガジェットの撃破を開始してください! スターズの三人がすぐに…………え……』
『何だ、それはッ』

 通信機から開いたウインドウ、カイムの左右に出現したシャマルとシグナムの顔が、敵影を視界
に収めるとともに驚愕のそれへと変わる。任務時の凛とした雰囲気こそ崩さないものの、想定して
いたガジェットとは異なる敵の姿を前にして、流石の歴戦の騎士たちも動揺は禁じえない。
 聞くや否や通信をぶつりと切り、カイムは跳んだ。
 移動をドラゴンに頼ると思われがちな竜騎士だが、竜に飛び乗る為には強靭な跳躍力を要するの
だ。助走もなく、文字通りの一足飛びで、先ほどの後退によって開いた距離、十歩の間合いを瞬く
間に詰める。刹那の内に敵の頭上、森に茂る木々の高さまで躍り出た。
 制空権を奪った。
 唐突に消えた姿を追って、空洞の兜を宙へと向ける肉無き甲冑たち。その姿を射抜くように見据
えながら銀と紅の剣を大きく振りかざし、剣の刃全体に紅色の魔力を圧縮して通したカイムは、落
下の加速度を乗せた渾身の斬撃を中央の一体にたたきつける。己の中の濁流を、全て込めるかの如
き強烈な一撃であった。

「スターズ04、ティアナ・ランスター、援護に……ッ」

 ホテル外周を守っていたティアナがバリアジャケットを身にまとい、疾風の如く駆けつけた直後、
その眼の前で地面が爆ぜた。
 文字通りの兜割り。ただしそこにカイムは己の剣の魔法、火炎の力をも込めていた。甲冑の構え
た剣を己の長剣がとらえると同時に解放された、凄まじい爆発が暴風を引き起こす。脆い地盤はい
とも簡単に砕け、土砂の塊そのものがおびただしい粉塵と共に舞い上がった。
 その直前に見えたカイムの影にこの爆発を起こした者の正体を悟り、その威力に一瞬驚くティア
ナ。だが直ぐに正気に返って両手で眼前を覆い、そこに居るはずの「敵」の姿を捉えようと必死に
目を凝らした。まずは敵影をとらえなければ、あの剣士が居るかも知れない以上この状況ではろく
に援護射撃を入れることも、ましてや肩を並べることもままならない。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:38:44 ID:2YJZ9A78
アンデッド支援
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:40:10 ID:2YJZ9A78
言われてみればあのジャンプ力は異常すぐるwww
支援
622×DOD 五章五節 6/9:2008/02/03(日) 18:41:28 ID:nq+pM4WS
『敵は二手です! ガジェットの一団がホテル正面に、もう一団がドラゴンさんの方向に集結中!
さらにホテル正面、ガジェット以外のアンノウンを確認! カイムさんが交戦中、スターズ04が
援護に到着しました』

 視界が戻るのは今か今かと焦れるティアナ。総員に向けたシャマルの通信がクロスミラージュを
介して、彼女の精神にも直接響いた。
 敵がガジェット以外にもいると聞き、ティアナは一瞬驚愕の表情をその顔に浮かべて絶句する。
遠方から少しだけ見えた黒い影は確かにガジェット・ドローンの形状とは思えなかったが、よもや
今まで出現していないアンノウンとは。
 だがそれも束の間、一瞬の硬直の後に平静を取り戻した。唐突に未知の魔導弾が飛んでくるよう
な事態は、なのはの訓練で何度も経験していることだ。驚いている暇など無い。

「……シャマル先生!」
『八神部隊長から通達――スターズ分隊はホテル直前で迎撃、ライトニング分隊とザフィーラはド
ラゴンさんと合流して敵を殲滅、その後可能であれば敵召喚士の捜索! ホテル正面から、必要と
あれば対空迎撃にフェイト分隊長が出ます! 繰り返します――』
「了解! ……来たわね、スバル!」
「お待たせティア!」

 一度の通信で行動を完全に暗記し、二度目で念のための確認をしながら、到着した相棒に声をか
ける。策敵目的で部隊のほとんどが散っていたため、副隊長のヴィータは完全にホテルの反対側に
いたことを思い返し、まだここに至るまで少々時間がかかるやも知れぬとティアナは踏んだ。
 そして目の前で噴き上がる砂埃、劣悪な視界を前にして、リボルバーナックルを構えながらも逡
巡するような表情を見せるスバルに、あらかたをティアナは語った。恐らく中に居るのはカイム、
そして敵はガジェットではない何かが三機。援護も共闘もこの視界では不能、回復し次第攻勢をか
ける、と。

「アンノウン、見た!?」
「遠目に見て色は黒! マントの色と区別がつくわ!」
「わかっ――」

 粉塵の中、金属音。
 スバルは思わず口を閉じた。巻き上がった砂埃に遮られた視界の向こう、何かが、誰かが戦って
いる。それは男の剣が金属を弾く音であると、スバルもティアナも瞬時に飲み込んだ。
 だが、同時に彼女たちの脳裏に一つの疑問が浮かんだ。後から映像で見たのだが、前回の任務で
あの男は人間の腕力の限界を超えた巨剣・鉄塊を豪快に振り回し、ガジェットの装甲など有って無
いものと言わんばかりに次々とぶち割って行ったはず。
 なのに、今砂煙の中から響く音は一向に止む気配は無い。一撃必殺のあの剣を、次々と繰り出さ
ねばならないのか。それ程の相手なのか。
623×DOD 五章五節 7/9:2008/02/03(日) 18:42:40 ID:nq+pM4WS
「ティアナ、スバルッ!」
「ヴィータ副隊長!」

 ようやく少しずつ晴れてきてはいるが、それでもまだカイムも敵影も捉えられぬまま焦れている
と、紅のバリアジャケットを纏ったヴィータが二人の背後の空から猛烈な勢いで飛来した。
 鉄鎚グラーフアイゼンを片手にぐんぐんと二人に迫り、激突するかどうかというところで強力に
制動をかけて制止。スバルとティアナの眼前に、背を向け立ちはだかるかのように着地する。
 そして後ろを振り返り、二人に怪我がないと知ると人知れず内心で安堵する。しかしそんなこと
は億尾にも出さず、辺りを見回し目の前の劣悪な視界を確認し、副隊長としての厳然たる口調でこ
う問うた。

「アイツは!」

 ティアナが答える間もなく、答えは直ぐに出た。他ならぬカイム自身の手によって。
 大きな爆発音が響き、振り返っていたヴィータが再び前に目を向けると、視界を遮っていた土埃
が暴風に吹き飛ばされ急速に晴れていった。轟音がまたふたつ、みっつと大気を震わせ鼓膜が振動
し、次の瞬間外套を纏った男が、煙の中から跳躍して彼女たちの眼前に舞い降りる。
 長剣を片手に携えたカイムは魔導師たちに背を向けたまま、着地と同時に間髪をいれず、空いた
掌を晴れつつある視界に向ける。その先に三つの影を認め、ティアナは反射的にクロスミラージュ
の銃口を突き出した。

「ヴァリアブル、シュートッ!!」

 八発一組の火炎が男の剣から放たれるのと時を同じくして、トリガーを引いたティアナの射撃魔
法が、その中心に向かって同じ弾速で発射された。AMF対策として外殻を膜状に魔力でコーティ
ングしつつ練り上げた、ティアナ特製の強力な魔導弾だ。
 唸りを上げる火球と橙色に輝く魔力の球体が、ようやく視認が可能となりつつある三つの機影に
着弾する。しかし鉄をも熔かす灼熱の業火も、抗魔力フィールドを貫通する弾丸も、その影を燃や
し貫くことは無かった。
 甲冑と知れた敵の手前に、淡く輝く壁の様なものが、うっすらと展開した。
 AMFとは異なる、今までに見たこともない障壁が炎と弾丸の行く手を阻み受け止めた。驚愕に
歪むティアナの表情、驚きを隠せないヴィータとスバルの視線。
 その障壁にひびが入り、破れるかと思った次の瞬間、甲冑が異形を思わせる無機質な動きで射線
から脱出する。直後「敵」の左右から撃ち放たれた黒紫色の妖しい光弾が、これを迎撃した。火炎
の爆発とともにティアナの魔力の玉も弾けて消え、混じりあった爆発が熱風を伴い、魔導師たちと
甲冑どもとの間に吹き荒れる。

「あたしが行く! ティアナは援護、スバルはその護衛! 隙があったら一発入れてやれ!」
「はい!」
「……了解!」

 魔導に対する異様なまでの防御力は、歴戦の騎士ヴィータにも全く経験がないという訳ではない。
いち早く現実を認識して冷静に立ち戻り、首だけで振り向き手早く指示を出すのは流石副隊長とい
ったところか。
624×DOD 五章五節 8/9:2008/02/03(日) 18:44:23 ID:nq+pM4WS
「アイゼン!」
『Jawohl.』

 ぎ、と悔しそうに歯を食いしめるティアナの顔を見つつも、今はそれどころではないとばかりに
ヴィータは「敵」を、甲冑の一団を正面に見据え直す。初見の敵だが躊躇してはならぬ。己の相棒、
以前模擬戦でカイムをも苦しめた鉄鎚・グラーフアイゼンの柄を両手持ちに握り、ヴィータは小柄
な体をさらに低くかがめ、地を踏み蹴り、敵の中央へと間合いをあっという間に詰めきった。
 目の前の甲冑たちが何物かは知らないが、剣を持っていると判断した上で、あえてヴィータは制
空権を確保しようとしなかった。鉄鎚の名の如く重力を加えた裁きの一撃を見舞う事も考えたが、
剣術とは上からの強襲よりも、足もとからの奇襲に弱い。以前そうシグナムが語り、直刃の魔剣レ
ヴァンティンを手に下段の構えを色々と試していたのを思い出したのだ。

「はあぁぁあッ!」

 案の定ヴィータが「敵」の一体に肉薄するとこの、漆黒に塗られた鎧兜を着たナニカは、一瞬姿
を見失い宙に目をやっていた。それが先ほどの、激昂したカイムの兜割りを再び想定しての事だと
ヴィータが知るはずもなかったが、いずれにせよ好機。逃す手はない。
 横手に回して背に振りかぶった鉄鎚を、裂帛の気合と共に解放する。華奢なこの腕の何所に、と
思わせる程の強靭な膂力から放たれた一撃が、唸りを上げて甲冑の継ぎ目を襲う。
 脇腹に突き刺さった破壊の鎚が鋼板をひしゃげさせ砕き割り、それで「敵」は、ふたつに減る。
 はずだった。

「――っ!」

 先制して叩き伏せるはずの見事な一撃は、またしても甲冑を打ち滅ぼすには至らなかった。
 鉄鎚の進行を止めていたのは、先ほどと同じ形状の四角い壁。
 驚愕と混乱に歪むヴィータの表情。しかし今度のそれは色に黒みを帯びており、魔法を止めた時
のものとは少々違うものだと、乱れつつある頭脳で分析するのは「守護騎士」の名を冠するが故か。
 そのまま満身の力を込めてヴィータが鉄鎚を押し込むと、一度は完璧な防御を見せた障壁に、み
し、みしりと亀裂が走る。だがそこに目掛けて、まるで邪魔だとでも言わんばかりに、肉無き鎧武
者が手にした長剣を大上段に振りかぶって叩きつけた。
 シグナムの一閃に比べればインパクトを欠いた攻撃ではあるが、精神の集中を乱したヴィータの
回避は間に合わなかった。仕方なしにグラーフアイゼンの長い柄で受け止め、そのまま拮抗した鍔
迫り合いの形に持って行かれる。迂闊に押し引きが出来ない。

「……」

 その様を鋭利な視線に憤激の情を乗せて睨めつけながら、カイムは確信を深めた。
 物理攻撃と魔法攻撃、その双方を完璧に遮断する2枚のシールド。カイムの初撃を、砂煙の中で
の乱舞を止めたのは前者であり、彼の火炎とティアナの魔導弾を弾いたのは、突如として切り替わ
った後者の方であった。そしてその強靭な魔力の盾を持つ異形を、カイムはよく知っている。
 死霊の騎士。名をシャドウ。障壁にヒビが入ることから完全に同じというわけではないが、行動
も外見も酷似していることは変わりない。攻防ともに優れかつてカイムを苦しめた、難敵だった。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:45:22 ID:2YJZ9A78
もしかして敵シャドウか?
あれ硬くて嫌いだったなぁ
支援
626×DOD 五章五節 9/9:2008/02/03(日) 18:45:37 ID:nq+pM4WS
「っ」

 横目に見たティアナが初めて男の顔を見て、思わずぎくりと息をのみこむ。その隣で構えていた
スバルも、何かと視線の先を見やって絶句した。
 カイムの表情が彼女たちの目の前でひしゃげ、底知れぬ憎悪の塊となって醜悪に歪んでいた。唇
を引き、歯を剥き出しにして。
 伸びた前髪で目元は隠れているものの、明らかにそれと分かる鬼の形相であった。見た者の脳裏
に焼き付いて暫く忘れることが叶わぬ、なまじ歯並びが整っているだけに恐ろしい、凄まじい赫怒
の表情。
 その憤激の剣士に向かって、ヴィータの攻撃を受け止めた一体以外の二機の甲冑が、ゆっくりと
歩を進めていく。目の前に居るヴィータではなくどういう訳か、カイムの方に狙いを定めているら
しい。
 この中で最も危険な人間が誰かを理解しているのか、それとも――

『何処からともなく這い出たか……まとめて灰塵と帰してくれる』

 身軽になるため鉄塊を地に突き立て、外套の中に隠していた草原の竜騎槍を無造作に放ったカイ
ムの、漆黒に塗りつぶされていく精神に、ドラゴンの静かな声が響く。
 聞いているのかいないのか。カイムが向ける視線はすでに、二機の甲冑から固定されて動くこと
はなかった。
 その向こうに、茂みの中から再び異音が響く。甲冑どもが剣を引きずるのとは違う音。今度こそ、
ガジェット・ドローンの駆動音に間違いは無かった。増援がやってきたのだ。
 再び地を蹴るカイム。同時にその西方の空に、二頭のドラゴンの鮮紅と純白の翼がはためいた。
向かう先からはばらりと撒いたかのように、黒い影が接近しつつある。空戦用の、大量のガジェッ
トU型の群れが。

『死ぬがいい』

 その中に見知った、箱形のナニカの姿を認めたドラゴンの『声』であった。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:46:08 ID:CVb6bQJE
スマブラの亜空の使者やってたら世界観がなのはでも違和感ないと思ってしまった・・・
628×DOD:2008/02/03(日) 18:47:50 ID:nq+pM4WS
久方ぶりに書いたアクションでしたが、いかがでしょうか。楽しめていただければ幸いです。
DODで初めて出逢った難敵は、自分は赤ちゃんやフリアエじゃなくてこのシャドウでした。そういう意
味では思い出深い敵です。ゲームをやってた人でも名前を知らない方は多いかと思いますが、やたらHP
が高くて、倒すと全武器キルカウントが上がるあの敵です。経験値がとても美味しく、レオナール兄さん
とアリオーシュ姐さんのお世話になりました。>>625ご明察(*´ω`)
ちなみに兜割りはDOD2のネタより。カイム戦をやっていればその恐ろしさはわかる。はず。

とまれ、ようやく始まったハードモード。次回もご期待ください。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:48:23 ID:5KUhCeb7
しえn
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 18:56:45 ID:B9rCabCn
gj!

団長の劣化版が大量にとはキツイ
箱型はガーゴイルか
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 19:19:14 ID:GSGm34FN
gj スカさんあの卵もう触らない方が。
ジスモアのシェイドとシャドウって別物だっけ?
632魔法少女リリカルなのはStylish:2008/02/03(日) 19:20:11 ID:kHxxnxC6
>DOD
シャドウ。確かあれって倒すのに時間制限ありましたよねー。
経験値欲しさに挑んだはいいけど、カウントが少なくなるほどに冷静さを失って「うわぁあああ!」と狂ったように叫びながらボタンを連打しまくるしかなかった俺は、無力、だった……。
しかし、緊迫感が素晴らしい。ついに介入し始めたDOD世界を相手にするティアナたちの安否も気になりますし、とうとう見ちゃったカイムの本性にどう反応するのかも気になります。
何より、この話通して描写されるティアナの様子がもう不安しか煽らないw
原作通りなら、やっぱり誤射か? しかし、ここにカイムとか新手の敵が加わると途端に不安が倍増しますね。
殺戮王子降臨で味方も怖い展開。続きが気になります。次回も頑張ってください。
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 19:24:14 ID:B9rCabCn
>>631
>ジスモアのシェイドとシャドウ
同じものだったはず。ジスモアもシャドウと同じ障壁持ってるし。
634キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/02/03(日) 19:30:37 ID:XYsT7HlM
GJです! 良いね〜DODは知らんのだが緊張感が伝わってくる。
ティアナが色々と思うところある描写が絶妙。
そしてルー子サイドの心理描写も嬉しい、今後の為にw
635魔装機神:2008/02/03(日) 19:44:58 ID:HNqTfGYH
少し先になりますが、11時くらいに投下よいでしょうか?
636OSGS:2008/02/03(日) 19:46:31 ID:NAQmnNBE
自分も九時ぐらいになりますが投下いいでしょうか


避難所に。
637反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 19:50:34 ID:8NeMuEro
DOD氏GJ!
なんというハードモードw

>>636
何を書いたんだ貴様ぁーっ!
過ちを犯すのは自分とSMCだけで十分ですよ?w
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 19:55:08 ID:nq+pM4WS
>>635,636
YOUやっちゃいなYO!
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 19:57:06 ID:Ut6EiUJW
>>636
なんというバイド感染
どーぞどーぞ
640OSGS:2008/02/03(日) 20:04:44 ID:NAQmnNBE
う〜ん……でも描写をエロくしているだけで本番はない……どうなんだろ。

とりあえず向こうに投下して、大丈夫そうならこっちに。ちょっと自分じゃ判断がつかないので……。
641旅ゆく人:2008/02/03(日) 20:07:23 ID:MLpTYV5o
あー、季節ものの小話が一本書けそうなので、
自分、十時頃でおkでせうか?
642反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 20:09:05 ID:8NeMuEro
>>640
空港でエリオに揉まれたキャロが
「あン…っ」
これぐらいなら本スレに投下してくれて構わないッ!

…冗談はともかく、R指定レベルならこちらでいいと思いますよ
643リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/02/03(日) 20:10:27 ID:02PXt6VN
む〜投下したいんですが時間が空いていない……。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 20:11:05 ID:iWRhrZHP
DOD氏GJ!?
自分は今DODをやっているとこなんで兜割りの恐怖は分からないです;;
早くクリアして×DODの世界に浸りたい
645OSGS:2008/02/03(日) 20:13:41 ID:NAQmnNBE
じゃあ平気です。こっちに落とします。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 20:36:13 ID:y2NonTjQ
支援?
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 20:37:28 ID:LkF5pDSk
>>641
OK!いつでも来い!
648リリカル! 夢境学園:2008/02/03(日) 20:46:03 ID:z7j4u2xC
支援だね。
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 20:47:10 ID:LZ+KHd6b
進路クリアー、投下どうぞ!
650魔装機神:2008/02/03(日) 20:52:12 ID:HNqTfGYH
支援します。
しかし……自分の作品。時スレからのほうがいいような気が……容量的に危ないよね?
651OSGS:2008/02/03(日) 20:53:14 ID:NAQmnNBE
では落としていきます。ギンガ姉メインっす。鮮度命でやってみました。
スパロボOG外伝とのクロスオーバー。ウロススレ16の566氏にささげます。
652???:2008/02/03(日) 20:58:33 ID:NAQmnNBE
 い、いやぁ……やめてぇ……ゆるしてぇ……

 故意に光量をおとされた室内に、少女の悲痛な声がひびきわたった。

 気がついたとき、少女はこの見覚えのない部屋にいた。
 天井のアームからのびる特殊な照明。さまざまな機器がのせられた台座。みまわしても心当たりの
あるものは一つもない。
 ベッドにはシーツなどという上等なものはなくむき出しだった、少女はそこに、ある意味裸身より
も羞恥をかんじさせる、衣服というにはあまりにも頼りない極薄のワンピースを纏わされ、ねかされ
ていた。
 膝の上、ふとももの中ほどまでしかない丈の簡易な服。
 照明にてらされ、よく鍛えられた脚があらわになっている。脚の付け根と胸にあってしかるべき下
着の感覚はない。あまりにも心細かった。

 清潔とは言い難いベッドの上で、少女は首をふるい涙をながして傍に立つ奇妙な人影のシルエット
に懇願する。特徴は男性のもの。そして乙女に恐怖を与えるには十分なシンボルだった。

 いやぁ……だめぇ……だ、めぇ……

 奇妙な髪型の男は――わずかに眼球が血走っているのをのぞけば――無表情。少女が涙をながそう
が、悲鳴を上げようか、決して変わらぬのではないかとおもわせる鉄火面で、少女の指先から足先、
さらには整った相貌を凝視する。
 目からこぼれた涙は、白磁のようになめらかな頬を伝い首元へ消える。涙でぬれる顔は恐怖でひき
つり、歯の根はがちがちとかみあわない。
 男は口をひらいた。

「……だァ。わ……み……ァ」

 注意しなければ聞き取れないほどの小さな声だった。熱病におかされ、死のふちに遺言をのこさん
とする末期の声色。
 意味不明の台詞をつぶやきながらは少女に手をのばす。
 少女は頭をふるい、ベッドから抜け出そうとした。しかし、手足には三十キロほどの枷が嵌められ、
下腹部のあたりにはベッドの隅から伸びる極太のベルトが回っている。身動きが完全にふさがれてい
るとわかっていても、少女は身体をゆすり、男の魔手からすこしでも逃れようと身を反らした。腰ま
で届くとおもわれる長い髪がベッドと身体の上を流れ、極薄の衣服の下で形の良い双丘が踊る。

 枷にはめられた手が、少女自身の動きで内出血する。白い肌でそこだけが赤かった。
 ある種の趣向をもった人間なら狂喜しそうな光景のなかで、男は機械仕掛けのようになめらかに行
動を開始した。少女の左手の指先をなでまわす。

 ひっ!?

 少女があわてて手を引こうとし、枷にはばまれる。男は細かく震える少女の指先を、手触りをたし
かめるような怪しげな手つきでなでまわす。
 少女の指は細すぎず、太すぎず、みずみずしかった。名匠といわれた人物が渾身の力をこめて彫刻
を仕上げたとしても――彼女の指や身体をみれば道具を折りかねない。なにかに作られたかのような、
完全な美神の造詣を少女はもっていた。
 爪の先をすべり、間接をさすり、手の甲をなでまわす。男の指は冷たい。少女はぞわぞわと這い回
る男の指先にふるえた。
 生理的な嫌悪感が胃の中のものを逆上させる。めまいがした。
 男はそんな少女にむかって、笑みをむけた。いままで石のように固かった表情にヒビがはいり、口
角がつりあがる。あまりに急激な感情の露出に、少女は我をわすれ、

 い、いやぁぁぁぁぁ……!  たすけて! たすけてよぉ! スバル! なのはさん! フェイトさん! おとうさん!

 恐怖にたえきれず、泣き叫んだ。無意識に親しい人間のなまえを叫ぶ。
 少女の懇願すら――男は興奮の材料にしてしまうのか。
 男は今度は明瞭な声量で、さきほどと同じ言葉を吐いた。
653???:2008/02/03(日) 20:59:16 ID:NAQmnNBE








「これだァ! わたしはドリルに漢をみたァ!」










 空気が冷たいほどに凍りついた。時の動きがすべて凍結したと言っても過言ではあるまい。あまりの
意味不明っぷりに、ギンガ・ナカジマは涙をとめてしまった。

 えっと、ドリルがどうしたって?

 がしょ〜ん。部屋のドアが開き、骸骨にそのまま皮をはりつけたんじゃないかと思わせる、人相の
悪い男が入ってきた。

「ミ、ミザルさま! となりでレリックの移植をおこなっているスカリエッティ博士が『うるさい。
少しだまってろ。幼女の悲鳴が聞こえないじゃないか』とお怒りに……」
「ふん。あんな変態などほうっておけ。自分のこのみで戦闘機人をすべて女にする男だぞ。それより
もこちらの方が大切だ。アルコ」

 ミザルと呼ばれた男――いままでギンガを散々もてあそんだ男は、室内に入ってきた男に向かって
凄絶な笑みを浮かべた。妄執にとりつかれた者にしか不可能なトチ狂った笑み。
 ギンガはやっとそこで自分の真横にある機材の正体にきがついた。

 ドリルだ。ドリルがある。スクラップのようにも見えるが、たしかにドリルだ。

「え?」

 ギンガは思わず惚けつつ、ミザルの顔をうかがう。

「いいかアルコ。おまえはまだドリルのすばらしさを理解していないのだ」
「は、はぁ……」

 まるで、興味の無いはなしを無理やり聞かされ、有無もなくうなずかされている部下の図を展開し
ながら、ミザルはアルコに向かって説教を垂れる。

「そもそもドリルは、動力やとりまわし辛ささえクリアーしていまえば、これほど理想的な刺突を実
現できる武装なのだ。ゲッ○ー2を見てみろ。あれこそ地面を掘削できるほどの動力と、増殖チップ
による携行性を理想的に具現化している見本だ。さらにドリルはグレートマイトガイ○やガオ○イガ
ーの合体プロセスにも組み込まれ、認知度は言わずもがなだ。そしてドリルにはロマンがある。その
ロマンは天○○○ グレン○○○に象徴されている。ギガ○リ○ブレイカー! に漢を見た人間はお
おい」
「ギガドリルブレイクじゃあ……」
「わたしにはカ○ナがそう叫んでいるように聞こえた」
「え、でも公式ではギガドリルブレイクが」
「アルコ。貴様はまだましいでドリルとカ○ナの魂を感じてはいないようだな。フェルナンドともど
も拾ってやった恩、忘れたか。ヤツはドリルのおかげで神化に成功したぞ」
「はっははぁ! もうしわけございません。わたしはまだまだ未熟者でしたぁ!?」

 アルコが顔色をうしないながら床に頭をこすりつけ、渾身の土下座をした。

「うむ。ドリルの魂をマスターした折には『変震のアルコ』を名乗るがよい。そして君は」

 ミザルはギンガをねめつけた。

「『激拳のギンガ』を名乗るといい。少々語呂は悪いがな」

 ギンガはさきほどとは別の感情で首をふるった。イヤすぎる。
 どれくらいイヤかって? 機動六課の隊舎前で衆人環視にさらされながらストリップするよりもイ
ヤだった。そんなこっぱずかしい二ツ名などつけられたら生きていけない。みずから舌を噛んで死ぬ。

「まあいい……スカリ博士のマインドコントロール化にはいったときにでも、そう名乗るように頼ん
でおこう。とりあえず今は――改造だ!」

 ひっ! いやああああああああ――!!

ギンガの声が室内をひびきわたった。
「ギ、ギン姉……」

 スバルの目の前にいたのは、スバルが知るギンガ・ナカジマではなかった。
 ガ○ナ立ちするギンガの肩からは極太のドリルが生え、左腕からは比較的細めのドリルが生え、右
腕からは機械的なアームが伸びている。身体を支える膝部からも太いドリルがせり出していた。背に
はスタビライザーのようなドリルが伸び、目元を隠すV字型サングラスの上、少女の額には赤い回転
衝角がとりつけられていた。

 あまりにも悪質なパロディ。
 というか版権無視の具現化。
 人を人と思わないような改造。
 ドリル増やせば良いもんじゃないだろう。

 頭部につけられた赤いサングラスがどこか哀愁を感じさせる。サングラスは涼やかなはずの目元を
完全に隠していた。

「ギン姉……」

 スバルはあまりにも変わってしまった姉の姿に眩暈を起こした。

「スバル――ごめん。わたし汚されちゃった。全部――いじられちゃった――『激拳のギンガ』にされちゃったよぉ……イグニション」

 各部のドリルがぎゅぃぃぃぃんと回転をはじめた。

「ギン……姉ぇ!」
「だけどね……ドリルってすばらしいんだよ。なんていったってロマンがあるし、フロイト的な解釈
によるとドリルと道端の道祖神って同じものなんだ。あとユーノ・スクライア司書長も、概念として
はおなじなんだよ……」

 もう聞いていたくなかった。スバルはリボルバーナックルを振りかぶり、ギンガに向かって走る。
叩いて直すしか方法がない。だが――

「ドリルブーストナックル!」
「うわっと!」
「ドリルニィー!」
「ちょ、ちょっと!」
「マッハスペシャル!!」
「う、うわぁ!」

 手数が違いすぎた。疾風三連撃を彷彿とさせるながれるようなドリルコンビネーション。
 ギンガの体中から生えたドリルにはそれぞれ名称があるのか、ギンガは叫びながら攻撃してくる。
ドリルの嵐に足を止めてしまったスバルは、ギンガの間合いにつかまってしまった。アームとドリル
をたくみに使い、器用にスバルの動きを封じ込めるとおもいきり身体をのけぞらせ、頭部のドリルを
ぎゅいんぎゅいん鳴らした。スバルはそのドリルの危険に目をむいた。

「ギ、ギン姉――! それは死ぬ――死んじゃうよぉ――!」
「大丈夫。わたしたちはじょうぶだかららららららら」

 額のドリルの振動がつたわり、ギンガの口調が不明瞭になった。

「さぁ……いっしょにいこう、ミザル様のところへ……」
「い、いやあああああぁぁぁぁ! もうドリルはいやだぁぁぁ!?」
「ドリルゥ……インフェルノォ!」

 紅い衝角が、自分の額に迫るのを見て――スバルは気を失った。
――次は〜終点。暗室、拘束室、手術室、ドリル室。


 ひぃ……やぁ……そんなとこいじらないでぇ……
 ふふ……だめだよ、スバル。ココはちゃんとドリルにしないと……

 すこし前までギンガが寝かされていたベッドに、スバルがくくりつけられていた。ギンガはすばる
の腹のあたりに乗りながらアルコールに浸された脱脂綿をピンセットでつまみ、スバルの身体を消毒
していく。
 スバルが着せられているのはギンガが着せられていたのと同じ、極薄のワンピース。膝上までしか
ないソレからスバルの健康的なふとももがまろびでる。
 スバルは天敵に魅入られた雌鹿のようにふるふると震えながら、ギンガをひきはがせずにいた。
 ドリルをすべてはずされ、身体はすでに普通の少女のもの。ギンガもまたワンピースをまとわされ、
ドリルのはずされた膝をさらしている。顔のつくりが似ている姉妹の、ともすれば官能的な姿に興奮
しない男などいない……はずなのだが。ドリルにしか興味のない男が一人。

「ふふふ……今度はどこにドリルをつけるか。ギンガ、どこがいいと思う?」

 ミザルの問いに、ギンガは恍惚とした表情で微笑んだ。以前ミザルが浮かべた笑みと同じ、妄執を
感じさせる笑み。

「この子は発育がいいですから……むねとかどうでしょう。オッパイドリルミサイル」
「ぜ、ぜったいいやぁぁぁ!!!」

 すっかり、ドリル中毒になってしまったギンガは妖艶に微笑みながらスバルのどこにドリルをくっ
つけようか、考察して――乳房に脱脂綿をおしつけた。じわり、とスバルの天頂あたりにシミがつき、
その形をあらわにする。ギンガは微笑みながら言った。

「やっぱり、むねですね」
「ひぃぃぃぃぃ!?」

 ギンガはミザルにそう告げ、ごくりと生唾をのむと――本格的な消毒をほどこすために、スバルの
薄布を剥ぎ取った。


 その後、胸にドリルミサイルなるものを仕込んだ戦闘機人が管理局の記録にのこされたとか、のこ
されていないとか。


――FIN
あとがき

ミザル「激震のミザルだ。今回のドリルのリストを紹介しよう。まずはゲッター2のドリル。原作で
は左腕だが、ギンガにあわせて左右逆につけている。肩のドリルは超銀河グレンラガン。空中でひと
つのドリルになるが描写はされなかったようだな。さらに美しい、まるで絹糸のような髪とともに背
部に伸びるドリルはスレートゲルミルのものだ。額の衝角もスレートゲルミルからいただいた。ドリ
ってるだろう? ドリ肌ものだろう? 膝ドリルは――言うまでもないな。ドリルニーだ。ちなみに
スパイラルドリルとストレイトドリルはスバルに実装の予定だ。
 ああ、そうだ。タイトルバックをわすれていた。この話のタイトルは

【天元突破しそうな修羅の人がスカと手を組んだようです】

だ! 元ネタをくれた住人GJ! 感謝の印として『お守り代わりのグレン○ガンドリル』を親展し
よう! ちなみにゲッター線で三日ほど漬け込んだものだ!」
ギンガ「あ……そんな……わたしだってほしいのに……」
スバル「だ、だめ! それ絶対死亡フラグだからぁ!!?」
ミザル「では、またの機会に参上しよう。では次回も――わたしはドリルに漢ををみたァ!」
ギンガ「わたしはドリルに漢をみたァ!」
スバル・アルコ「「なんかもう、いやだ……もうドリルはイヤだぁ!」」



投下終了。梁にロープ掛けて身長のばしてくる。だが公開に後悔はしていない。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:10:09 ID:hWf1PcgB
ひとつだけ言う事がある
クソワロタ
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:12:15 ID:NyPRybCQ
…アホだ、アホがここにおる(ほめ言葉)
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:12:39 ID:srEAHNTg
ero無しか・・・とりあえずgj
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:15:38 ID:zDXEVEPx
素肌にワンピース……そしてなによりもドリル!
GJ!
素晴らしい!
あとららららでDODの野太い声でラララララー!を思い出した
662魔装機神:2008/02/03(日) 21:18:54 ID:HNqTfGYH
クソワロタ。GJです。
修羅の人は魔装機神のほうで自分も出そうと思ったのに……ドリルの人じゃないけど
663反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 21:24:09 ID:8NeMuEro
メ カ デ ザ イ ン な ら 俺 に 任 せ ろ ! ! !

…ハッ、いかんいかん。GJ言う前に本音が出た。
というわけでドリルギン姉をイラスト化してみたいと思うのです、ハイ。
つきましては、右腕の機械アームと背中のスタビライザードリルの元ネタを…

おっと、忘れてた。GJ!
664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:27:01 ID:DhnIvzvp
ららららって聞くと逆に散様が出てきそうだわ・・・覚悟完了
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:29:16 ID:tPk23dW/
腹筋にきたw
あんた、バカだろ(ほめ言葉
666Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:31:24 ID:6nkvwudM
ドリルとは男の…否っ! 漢(おとこ)のロマンッ!!
つまりゲッ○ー2は最高の漢! グレンラガンは漢の中に漢!! そしてこのギンガは女だが漢!!!
それと最初のエロ風味がすばらしいぜ。

そんでもってこの日曜の空気の勢いで、45分くらいから投下しても良いですかい?
Strikers May Cry番外編で剣士夫婦の子供の話しなんですが。
667反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 21:32:41 ID:8NeMuEro
スンマセン! あとがき読んでませんでしたぁ!

…よし、遠慮なく書こう。
片翼番外編にシャイニングクロス? そんなもん後回しだ!
668名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:33:07 ID:nB3FwTfX
よっしゃバージル支援
669名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:33:15 ID:nq+pM4WS
>>657

こいつアホだ。絶対アホだwww
670リリカルTRIGUNA's ◆jiPkKgmerY :2008/02/03(日) 21:33:34 ID:1Gx3sgoM
とても面白かったです!
GJ!

ところで自分も作品が完成したんで投下したいんですけど、今日は投下できる時間がなく、さらに明日から用事でPCが触れない状態になってしまうので、来週の土曜日に投下させていただきたいと思います。
本当に遅筆でスイマセン……。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:36:10 ID:Ut6EiUJW
バイド感染率78%・・・・・・残念ですが・・・もう手遅れです。
エロが無くてもエロを連想させるその感染ぶりはもう末期を待つしか無いでしょう
GJでした!
いいもん。バイド手遅れですもん。
ゲッター2っていってるけど狂○○○○のオマージュですもん。

感想ありがとうございます。本当に励みになります。おかげでこれからもがんばれます。


え〜次回は……未定? とりあえず本編完成させます。では……
673Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:47:46 ID:6nkvwudM
それじゃあ、そろそろ投下いきますぜ? 皆さん。

Strikers May Cryの番外編で前のエロ編でほのめかした次世代ストーリーです。
そしてこの話はDMC4と重複する箇所が一点だけあるんですよね…
674Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:49:59 ID:6nkvwudM
魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 番外編 「永劫に語られし魔剣士の系譜」


かつて悪魔を求めた邪悪なる司祭と狂気に溺れた科学者の生み出した禁断の技により、この世には数多の悪魔が姿を現すようになった。
悪魔は強大にして残忍極まる存在であり、多くの世界で多くの人々を喰らい殺し蹂躙する。

だが人よ、恐れる事無かれ。
人の世には強く気高き魔剣士の血族と彼らと共に戦う戦士達がいるのだから。

そして今宵もまた狩人達は魔を狩らんと月下を駆ける。






「ディバインバスター!!!」

月光の下で白く輝く手甲を付けた女性がその拳を振るい青き魔力波動を放たれる、その閃光は眼前の醜悪な魔物を容易く屠り去る。

「ぐぎゃああああ!!」

赤い満月の下で人外の者の断末魔の叫びが木霊する。鎌を持った死神のような低級悪魔、ヘル・プライドの身体は砕け散り、人界の媒介たる塵へと還る。
白き破壊の魔獣ベオウルフと融合したリボルバーナックルが唸る回転刃の動きを止めた時には周囲は消滅した悪魔の残した塵が山の如く積まれていた。




「こちらスターズ01 殲滅完了」

長く美しい青い髪を揺らした女性が魔獣を宿した鉄の拳を振り払い悪魔の残した塵を落としながら通信を入れる。

『了解。スターズ03も殲滅を終えてそちらに向かってます』

通信士が言った言葉の残響が消えぬ内にその場に金色の空駆ける道、エアライナーが出現する。
そして赤い髪をなびかせた戦闘機人の女性が現われた。



「遅えぞスバル、今日のタイムはあたしの勝ちだな」
「でも倒した悪魔の数なら負けてないよ?」
「…うっせぇ」

語り合う二人の女性、それは成長したスバルとノーヴェの姿である。
かつては美少女と呼べる容姿だった二人は今ではすっかり美女と呼んでも差し支えない成熟した女に成長をしていた。

「この調子ならライトニング以下の小隊にも応援の必要は無いみたいだね」
「ああ、でも双子がまた独断先行してるみたいだぜ」
「また? まったくあの子達は……どうせお兄ちゃんの方がオイタしてるんだろうけど…」
「だな」

そうして二人は今日も部下の少年と少女に頭を悩ませるのだった。
“あの人”の血を引く半魔の兄妹に。






スカリエッティがアーカムと結託して確立した悪魔の召喚と使役の技法は最悪の形で世界に広まった。
675Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:50:53 ID:6nkvwudM
スカリエッティの残した資料が裏の犯罪世界に流出し様々な犯罪組織がこれを利用し始めたのだ。

時空管理局はこれに対し、かつてJ・S事件において悪魔との戦闘を多く経験し事件を解決に導いた機動六課のメンバーと伝説的な活躍をした魔剣士に部隊の再編成を命じた。
そうして生まれたロストロギアの管理と対悪魔戦闘のエキスパートが集まった最強最高の多目的精鋭部隊、それこそが現在の機動六課の姿である。






コンクリートとアスファルトが衝撃に砕け高熱に溶けた市街地の一角。
凄まじい激戦が繰り広げられたと思われる様を呈するその場所にひどく場違いな軽い口調の声が響いた。


「It’s cool(イカスぜ)、派手なパーティーだったな」

桜色の髪の少年はそう言いながら手にした炎の魔剣を振り回し、燃え盛る炎で宙に赤い軌跡を描く。
彼の周囲には数多の低級悪魔を倒した際の塵が溢れ、さらには斬り刻まれた巨大な悪魔の身体が燃え盛り横たわっている。
そして魔剣を回す少年に美しい銀髪の少女が手にした妖刀を鞘に収めながら呆れた口調で声をかけた。

「ネロ兄様、少し先行しすぎです。これではまたエリオさんに怒られますよ?」
「なんだよアンジェリカ、お前は少し真面目すぎだぜ。ダンテ叔父さんが言ってたろ? パーティーは楽しめってよ」

少女の言葉に少年はあくまでも軽く返す、だがそんな二人をよそに倒した筈の悪魔の巨体が蠢く。

「ぐるうああああっ!!!」

そして恐ろしく低い獣染みた雄叫びが響き、羊の様な頭を持つ悪魔“ゴートリング”が身体を起こし、翼をはためかせ宙に飛び上がると同時に魔力で練り上げた火球を二人へと吐き出した。


ネロと呼ばれた桜色の髪の少年は笑みさえ零しながら敵の火球を母から授かった炎の魔剣レヴァンティンで斬り裂いて打ち消した。
アンジェリカと呼ばれた銀髪の少女は父から授かった魔を喰らう妖刀閻魔刀を翻し、空間を斬り裂いて魔力の刃を悪魔に見舞う。
その反撃は神速とも呼べる速さであり、二人の剣技を受けた悪魔ゴートリングは絶叫を上げる暇も無く巨体を刻まれて絶命した。

「Sweet dream(オネンネしてな)! まったく大したこと無ねえなぁ、おい」

ネロは軽く笑いながら手のレヴァンティンに纏わせた炎を払う。
だがアンジェリカは近づく殺気と魔力を敏感に察知して閻魔刀に手をかけて呟いた。

「ネロ兄様……そうでも無いようですよ」


すると突如としてネロとアンジェリカの周囲に邪悪な気配と瘴気が溢れる。
そして今までの比でない程に大量の悪魔が現われ、二人を十重二十重と囲い込んだ。
無数の悪魔の中には死神の長とも呼べる上位級悪魔ヘルバンガードやデスサイズ、そして雷撃を纏う悪魔“ブリッツ”といったものも混じっており、その悪魔達の身体から立ち上る魔力が空気を歪めていく。

「こりゃまた…こいつらよっぽど俺達が好きみたいだな」
「ネロ兄様、冗談抜きで危険な状況ですよ? 軽口は控えて下さい」

二人は背中を合わせて周囲の悪魔を一瞥し、この窮地を脱するべく互いに莫大な魔力を消費する大技を行使する算段を考える。
だがそれは杞憂に終わった。
676スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 21:52:06 ID:OTOAg1Dm
支援だがちょっと待て!www
677名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:52:16 ID:nB3FwTfX
双子かよ!
支援
678Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:52:28 ID:6nkvwudM
何故ならば、二人の上司にして時空管理局の中でも最強の誉れ高き悪魔も泣き出す程に強いストライカー達が来たのだから。







「フリージングブレス!!!」

上空に突如として現われた三つ首の氷竜がその上に跨った竜巫女の呪文の言の葉に従い、凍気の魔力で作られた巨大な氷塊を無数に撃ち出して無数の悪魔達の身体を凍り付かせ、その動きを封じる。
そして氷竜の巨体の上から一人の魔道騎士が手の槍型デバイスの推進器(スラスター)で唸りを上げ、時を加速しながら飛び降りた。

「時よ加速しろ! クイックシルバー!!」

次の瞬間には槍騎士の身体は常人には視認不可能な程の速さにまで加速され、音速を超える速度で悪魔達の身体を微塵に刻んでいく。
超加速の斬撃を終えた槍騎士が着地し、加熱した自身のデバイスから大量のカートリッジを排夾し焼け付く刀身を冷やす。

その槍騎士の背後から生き残った悪魔達が彼に殺到した、だが悪魔達の攻撃は虚しく空を切る。
それは影を操る双銃の使い手が作り出した幻術であった。
彼女の作る幻は人間だろうが悪魔だろうが誰の目をも惑わす世界最高クラスの精巧さである、この程度の悪魔に見抜ける筈もない。

「ドッペルゲンガー……アフターイメージ発動」

彼女は静かにそう呟くと、この十数年でその数を最大5つまで増やした実体を持つ影の分身アフターイメージを作り出す。

「フロスファイアシュート!!!」

そして、影の分身のものと合わせて500発は軽く超える誘導弾の雨を降らせる。
その無慈悲な魔力弾の雨は残った悪魔の全ての頭を正確に撃ち抜き絶命に導く。
瞬時にして無数の悪魔は全滅し、鏖殺は一瞬で完了する。






「まったく……また今日も独断先行かネロ? それにアンジェリカもだ、ちゃんと止めろと言っただろうが」
「その……すいません」

アンジェリカは直属の上司である槍騎士に叱られてその美しい銀髪の頭を俯けてしょげる。
その槍騎士とは十数年の時を経たエリオ・モンディアルの姿であった。彼は長身と燃えるような赤毛を持つ美丈夫へと成長していた。

「エリオ君、まあそのくらいで」

そこに巨大な三つ首の氷竜に跨った竜巫女が現われる、それこそ美しく成長したキャロ・ル・ルシエである。
彼女の跨る氷竜フリードリッヒもまたかつての体躯を超える巨体へと成長していた。

「いや〜さすがキャロさん♪ 話が分かってる」
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:53:39 ID:5KUhCeb7
SSSien!!
680Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:54:12 ID:6nkvwudM
「でも勝手に先走るのは問題だから後でバージルさんに言っておくよ?」
「げえっ! 親父に言うのはちょっと…」
「いいえ、ちゃんと言っておきます」

ネロはキャロの言葉にうろたえるがキャロは笑顔できっぱりと答える、そこにオレンジ色の髪を揺らした双銃の使い手が影の分身と幻術を解除しながら近づいて来る。

「そうよネロ。あんたは毎回バカ騒ぎしてんだから、たまにはバージルさんにでも叱られなさい!」
「ティア姐さんまで…そんな事言わんで下さいよぉ」
「うっさい、自業自得でしょ」

それはかつての幼さの面影を残さない程に大人の女に成り、昔より幾分か髪を伸ばし
ティアナ・ランスターの姿である。
ティアナは今では立派に機動六課付きで務める敏腕執務官を務めるようになっていた。


「不出来な兄ですいません…」
「アンジェが気にする事ないわよ……っていうかむしろ悪魔狩人の叔父さんの方が元凶な気がするけどね…」

ティアナは頭を下げるアンジェリカをなだめて、彼らの叔父で赤いコートを着た最強の悪魔狩人の姿を思い浮かべた。



その5人の下に突如として強大な魔力が接近し、天空から悪魔の巨大な影が踊りかかった、彼らは直前に感じた敵の魔力を感じて身を翻してその攻撃を間一髪で回避する。
その悪魔の落下の衝撃でアスファルトがめくれ上がり大きなクレーターが生まれる。

「ぐはははは! 見つけたぞスパーダの血族! そして悪魔に仇名す愚かな人間どもよ!!」

地に轟くような低い声を響かせながら現われたのは、全長20メートルは在ろうかという巨体を持つ上位悪魔だった。
普通ならば常人はその強大な魔力や巨体に恐怖するところだが、ネロ達機動六課のメンバーは何故かその悪魔に哀れんだ眼差しを投げかけた。

「は〜…間が悪いヤツねぇ…」

ティアナのその言葉に悪魔は不可解そうな顔を浮かべた、普通なら逃げるなり戦闘態勢を整えるなりするだろうにティアナ達はその場で呆れた顔をして立ちすくんでいるのだ。

「何? 貴様ら何を言っておる…」

その悪魔が言葉を言い切ることは無かった。
何故なら、空駆ける魔力の道ウイングロードの上を一人の女性が白滅の魔獣を宿した鉄拳を振りかぶって最高速度で近付いて来たのだから。
純白の羽根を舞い散らせながら天にかかる道を駆けるその姿は幻想的でさえあった。

「ディバインバスタアアァァァ」

魔獣の顔を模した追加装甲に覆われた拳が振りかぶって悪魔の身体に叩きつけられ、青き魔力波動が収束していく。

「バアァァストオォォォ(爆)」

女性の瞳が金色に輝き、彼女の持つ戦闘機人としての先天的なIS(固有技能)振動破砕の超振動が両の拳に巻き起こる。

「オシレエエェェショオオオォォン(震)!!!!!」

脚部装甲から伸びたスパイクが後退を殺し、魔獣と融合した鋼の拳が放つ極大の魔力波動に振動破砕の超振動が完璧なタイミングで発動する。
そして半径数百メートル以内の空気がまるで絨毯爆撃でも受けたかの如く爆音に震えた。

攻撃の直撃を受けた悪魔は悲鳴すら上げる暇も無く粉微塵と散り消えて消滅する。
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:54:34 ID:kquoTq3X
支援いたします。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:56:27 ID:quD6fH7R
リアルインパクト支援
683Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:56:37 ID:6nkvwudM
これこそが彼女の持つ最大最強の大技“ディバインバスター・バーストオシレーション”。
この技を受けて生きていられる生物などそうはいない、それは魔界の上位悪魔とて例外ではなかった。



「スバル、バーストオシレーションはやりすぎよ…」
「しょうがないよティア〜、強そうな悪魔だったし。それにベッキーも今日は絶好調だし」
「まったく…アンタはいつもそうなんだから……」

ティアナと語るこの女性。
彼女こそ美女へと美しく成長し、最強の魔道師の一人と呼ばれる程に強く美しく成長を果たしたスバル・ナカジマである。




彼らは数百体の悪魔を殲滅し終わっても傷一つ無く疲労も皆無に近い、正に悪魔も泣き出す強さである。
その彼らの下に空中にモニターが展開されてロングアーチから通信が入った。

『こちらロングアーチ。悪魔を召喚していると思われる敵魔道師の動きを補足しました。現在そこから5キロ西方を移動中です。
さらに東南・南西方面にも大量の悪魔を召喚して事態の撹乱を狙っているようです。召喚された悪魔にはスターズ03以下のメンバーが制圧に向かっています』

その通信を受けたティアナは即座にその場の全員に指示を飛ばす。

「了解。私とスターズ01・02にライトニング01・02は敵魔道師の逮捕に西方に、ライトニング07と08は召喚された悪魔の殲滅しているスターズ03以下の隊員の所に救援に行って!」
「あいよ〜♪ ライトニング07了解」
「ライトニング08了解しました」

その指揮にネロとアンジェリカは即座に返して転移魔法を行使しようとする、だがそこにティアナが声を掛けてきた。

「ネロ、ノーヴェ達に迷惑かけるんじゃないわよ!」
「分かってますよ、ティア姐さん」

ネロはその言葉に軽く笑みで返す、ティアナはこの緊張感の欠けた部下に呆れた顔をしてアンジェリカに視線を移した。

「まったく……アンジェ、悪ノリしないようにちゃんと見ててあげてね?」
「畏まりました。なにかあったら幻影剣でも刺しておきます」
「っておい! シャレにならねえぞそれ…」
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:56:50 ID:zDXEVEPx
DMCやりたいけど見つからない支援
再燃したのか?
前はぽんぽん売ってたのに……
685Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:57:21 ID:6nkvwudM
「はい。冗談ではありませんから」

そんな冗談めいた会話をして、ネロとアンジェリカは父譲りの空間転移でもって現場に飛んだ。

「ほんじゃノーヴェさん所に行ってきま〜す」
「行ってまいります」


そしてスバル達もまた本命の敵魔道師を追うために駆け出す、そんな中でスバルがふと口を開いた。

「でもネロは本当にヤンチャだよね。かなりダンテさんに影響されてるし」
「まったくよ、あれでアンジェと双子なんて信じられないわよ。なんだかバージルさんの苦労が分かるわ…」

ティアナはそう返しながら魔剣士と烈火の将の間に生まれた双子の事をしばし語る。






一方、現場周辺の六課メンバーの下に向かって転移魔法を使ったネロとアンジェリカはどういう訳か敵に召喚された大量の悪魔の群れの只中にいた。


「はぁ……なんでネロ兄様はいつもトラブルばかり呼ぶんですか?」
「俺の責任か!? まあ転移座標を選んだのは確かに俺だけどよ、でも詳しい座標設定すんのって結構めんどくせえんだよこれが」
「普通はロングアーチに位置を確認してから座標設定するでしょうに…」

そんな会話をしながら二人は襲い掛かる悪魔を次々に斬り伏せる、しかしあまりに悪魔の数は多く、顔に多少の苦味を帯びていく。

「スパァアァダァ」
「ヤツの血の匂いだ」
「スパーダの血筋ぅぅ、殺すぅぅう」

スパーダの血族を怨む悪魔達は口々におぞましい響きで呪いの言霊を吐きながら山と群がる。
その数の多さは、いかに強大な魔道騎士であろうとも骨が折れる程に大量であり若き戦士を疲弊させていく。

「まったくよぉ。合ったことも無えジイサマの事で怨まれちゃあ、敵わねえぜ」
「兄さま……お父様が聞いたら大変ですよ?」
「あの親父が? どうせ今頃は他の現場で大忙しさ、俺たちなんざ見ちゃいねえよ」






そんな彼らの様子を本部でモニターする機動六課ロングアーチの面々、その中で手のかかる自分の子供や成長した弟子達を見守る男が一人。
後ろに撫で付けオールバックにした銀髪に壮年の渋みと美貌を持つ伝説の魔剣士バージルである。

そんなバージルに通信士の一人が声をかけた。

「バージル隊長、よろしいのですか? 今の戦況ならスターズ・ライトニング分隊からノーヴェさんとルーテシアさんを派遣できますが…」
「構わん、スターズ・ライトニングにはそのまま敵戦力の殲滅を向かわせろ」
「……分かりました」

通信士の言葉に冷たく返すバージルだが、なにもネロとアンジェリカを心配していないのではない。
686Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:58:53 ID:6nkvwudM
むしろ誰よりもネロとアンジェリカの身を案じている、しかしその想いよりもさらに強くあの二人を信じていた。それ故に二人に救援を送ることはなかった。



そして二人はその父の想いに応えるように困難を斬り抜ける力を見せる。


「こうなったら“アレ”行くかアンジェリカ?」
「そうですね。出し惜しみはできませんから…」

ネロは不敵な笑みと共に大量のカートリッジを排夾し、手のレヴァンティンに魔力を込めてその形を変形させる。
それは蛇の如き連結刃の形態、レヴァンティンの第二の形であるシュランゲフォルム。
その長き刃の鞭は業火を刀身に宿して周囲の悪魔達に踊りかかる。

「それじゃあ盛り上げて行くぜぇ、アンジェリカッ!! Shall we dance?」

ネロの言葉と共に連結刃の刃は高速で舞い踊り次々に無数の悪魔を斬り刻み、さらに刀身に宿した炎で焼き滅ぼしていく。
それはまるで轟炎を纏いし火龍の演舞、連結刃の舞いは美しいまでの斬撃と炎の残像で眩いイリュージョンを披露する。

そしてアンジェリカもまた、兄の猛攻に応えるように抜刀の型をした閻魔刀に莫大な魔力を込めていく。
それは父の振るった最強の魔の刃、閻魔刀を用いた最強の技の一つ。
広域次元斬の刃である。

「ええ、兄さま。刃の舞いで良ければご一緒しましょう」

兄の言葉に答えるアンジェリカの小さな呟きと共に閻魔刀から放たれた魔力の刃は空間を斬り裂き、異様な音を響き渡らせて球状に抉られた魔刃で以って数多の悪魔の身体を刻んでいく。
回避も防御も叶わぬ程の威力と攻撃範囲を誇る広域次元斬の刃は一片の容赦も慈悲も無く数多の悪魔を屠り尽くす。

シュランゲフォルムの連結刃と広域次元斬の刃の嵐は瞬く間に周囲の悪魔達の身体を斬り刻んでいく。
凄絶なる剣舞の後には桜色の髪に炎の魔剣を振り払う烈火の将の息子と、風になびく銀髪に魔を喰らう妖刀を優美な所作で鞘へと収める魔剣士の娘の姿だけが残った。






「ふぅ…まったく心配かけおって…」

その二人の様子を眺めていたバージルは小さく溜息を吐いた、そして彼の隣に立っていた妻は子供達を心配する夫に苦笑しながら言葉をかける。

「二人とも相変わらず土壇場の爆発力は凄いな」
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 21:59:11 ID:NAQmnNBE
支援するっきゃないw
688Strikers May Cry:2008/02/03(日) 21:59:24 ID:6nkvwudM
「シグナム、だからといってあんな風にすぐに大技に頼るようでは未熟も良い所だぞ」
「そう言うなバージル、あの年であそこまで戦えれば十分一流だろ?」
「……そうだな…」
「そうだとも」

二人はそう言ってモニターに視線を移す。
そこには自分達の子らが勇敢に剣を振るう姿がある、二人はそっと寄り添いながら子らの勇姿を見守った。






それは悪魔の悪戯か、それとも神の祝福か。
本来は子を成さぬ筈の烈火の将は、新しい命をその身に授かりそして産んだ。
烈火の将と闇の剣士の間に生まれた子らは彼らの全てを受け継いだ。
父の持つ悪魔の力、母の持つ炎の力、だが彼らが何より受け継いだのはその気高き正義の心。


伝説の魔剣士バージルとその妻烈火の将シグナムの子らもまた、祖父スパーダそして両親と同じく英雄として永く語り継がれるだろう。
かつて魔界より人界を救ったスパーダの血筋と誇り高き魂は受け継がれていく、最強の魔剣士の系譜として。


終幕。
689Strikers May Cry:2008/02/03(日) 22:00:45 ID:6nkvwudM
勝手に作ったオリキャラ紹介。

「ネロ・ギルバ」
母親であるシグナムから桜色の髪とレヴァンティンを受け継いでいる。
叔父であるダンテの影響を受けまくっており、ロストロギアの捜索も悪魔退治も純粋な楽しみでやってるヤンチャボーイ。 

バリアジャケットは親父や叔父のようなコートで色は黒、ネロ(イタリア語で黒の意味だったか?)なだけに。
戦闘スタイルは母譲りのレヴァンティンで燃やしまくり&叔父譲りの何でも屋的な総合スタイル、ダンテから貰った魔具や銃火器を使ってそうなイメージで。

名前はDMC1のバージルの名前であるネロ・アンジェロから、DMC4の主人公とは無関係です……念のため。
設定年齢14歳前後、脳内CV関智一



「アンジェリカ・ギルバ」
父親であるバージルから銀色の髪と閻魔刀を受け継いでいる。
借金まみれなのに全然働かない叔父と、その叔父に影響されてる兄に呆れながらも注意したり突っ込みを入れる常識人、そしてたぶん親父であるバージルと同じくツンデレ系。

バリアジャケットは母のものに類似(アギト融合状態の袖なしバージョンみたいな)、なので生太股を披露しまくり。
戦闘スタイルは父譲りのポン刀魔人、基本的に容赦なく敵を刻みまくりな恐い人。
あと幻影剣を鬼のように乱射して串刺し磔の刑にする。

兄と同じく名前はDMC1のバージルの名前であるネロ・アンジェロから。
愛称はアンジェ。
双子なので設定年齢も兄と同じ、脳内CV沢城みゆき



ついでの脳内設定。
新生機動六課前線、通称Devil Hunters。メンバーは以下の通り。
スターズ分隊 01スバル、02ティアナ、03ノーヴェ、04ウェンディ、05ディード、06オットー、以下20まで若手局員。

ライトニング分隊 01エリオ、02キャロ、03ルーテシア、04チンク、05セイン、06ディエチ、07ネロ、08アンジェリカ、以下20まで若手局員。

その他旧六課隊長メンバーも含めて魔道師は多数在籍。
690Strikers May Cry:2008/02/03(日) 22:05:41 ID:6nkvwudM
投下終了です。

実は話のプロットはStrikers May Cryの最終回とエピローグを書いた時に二人を結婚させた時点で書いてあったんですが、DMC4の主人公の名前がネロだったのでずっとお蔵入りだったんですよ。
最近ウロスで聞いたら投下して良いんじゃん? って言われたので投下してしまいました。
オリキャラ、オリ展開嫌いな方には申し訳ないです。

ちなみに、わざわざ説明するまでもないですが子供達が双子なのはバージルとダンテもメタで。
691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:07:23 ID:nB3FwTfX
GJでした!
しかし兄の方ダンテの影響でかすぎだろwww
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:11:01 ID:KIqZuQK3
DMC1は友人がやってるのを見ただけだったけど、あれってバージルだったんだ……
素直にびっくり。ネロとアンジェリカの名前であの悪魔を思い浮かべてたけど、まさしくそこからですか(笑)

そして職人さんGJ。自分個人としてはシグナム妊娠直後の六課メンバーの様子が知りたかったりww
693旅ゆく人:2008/02/03(日) 22:12:07 ID:MLpTYV5o
>>690
相変わらず、スタイリッシュやわ……。
GJでした。惜しみない拍手を。

そして、となると、十時半くらいになりますかの、
私の方の投下は?
いいですかの?
694名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:12:27 ID:NAQmnNBE
GJ!
オリキャラに萌えたのはひさびさ……アンジェリカかわよすw
695スーパーロボット大戦X:2008/02/03(日) 22:14:17 ID:OTOAg1Dm
>>690
すごくGJだ!!
しかしシグナムの妊娠中と出産時のが見てみたいと思う俺は欲張りか?
だってその時のがないと俺のスパロボX組みのお祝いができないんだもん。wwww
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:17:13 ID:Sp7vHXE3
>690
乙。

出産時にうっかりはやてとリンクしたら……(-人-)
697名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:17:15 ID:kquoTq3X
>>Strikers May Cry氏

実にGJでございました。両親と叔父の影響を、良くも悪くも受けまくった双子設定が良いですね。
それと自分も妊娠判明直後の、元六課メンバーの反応が呼んでみたいですw
698名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:17:43 ID:IE/9iTdN
子供達の話は、時系列的に出産直後だと予想してたのに、一気に跳んだな。しかも子供は双子かいwww

ともあれGJ。
DMC4との関係ってこーゆー事だったのねw
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:23:34 ID:tPk23dW/
GJ
叔父の影響を受けるのはある意味ダメなような
金使いが荒く、よく備品を壊し週休六日主義が基本
社会的にはダメニート一歩手前の叔父ですよ?
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:25:59 ID:yl6aae3v
>>690
あーもう面白いなコノヤロー、続きみたいよコノヤロー!
GJです!


「この時代ならエリオとキャロ結婚してんじゃね?」
とか真っ先に考えた俺はとっとと首吊ってきた方が良いな。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:29:47 ID:LkF5pDSk
>>690
超GJだこのやろー。俺も続きがよみてー!!

>>693
旅ゆく人氏、早く読みたいぞー!
702旅ゆく人:2008/02/03(日) 22:31:10 ID:MLpTYV5o
>>701
いいのー、本トーに小話だよー。
それでもいいなら、……征きまっせ?
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:31:48 ID:Sp7vHXE3
>700
だって、ルーテシアが、
「聖王教会でバーサル騎士の受勲を受けたら、妻を三人まで持てると査察官が」
と言うので。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:32:24 ID:LkF5pDSk
>>702
すまねえ。後五分で三十分になる。もう少し待ったほうがいいかも。
705反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 22:33:47 ID:8NeMuEro
なのは「私」
フェイト「達の」
ヴィータ「出番」
ヴィヴィオ「は?」
はやて(あかん…もう余った文字があれへん…orz)
ともあれGJ!

ときにOSGS氏、まだいますかー?
ドリルギンガの目、ヤンデレ目とグルグル目どっちがいいッスかー?
706リリカル旅話の小話:2008/02/03(日) 22:35:00 ID:MLpTYV5o
 今日は、第97管理外世界の日本国に於いては、節分の日である二月三日。
 ここ、ミッドチルダはクラナガンにある、時空管理局の官舎内にある高町家に於きましても、
あの光景が、子供『達』によって繰り広げられているわけであります――。

「「「おにわー、そとー」」」
「「「ふくわー、うちー」」」

 元気よく、ヴィヴィオとニジュクとサンジュが、『鬼』さん『達』に、豆を投げています。

「いて、いてて。ちょ、お前ら、力一杯に投げつけるなっての」
「やーん、もう勘弁してー」
「えーん、降参ですぅー」
「何であたしまで、……とほほ」

 高町家の中を、ヴィータにシャマル、リインにアギトと言った面々が、涙目になりながら鬼の面をかぶって逃げ回っていた。

「はい、鬼のみんな、がんばれがんばれ♪」
「なのはッ! てめぇ、人事だと思って」
「しゃーないやろ、ヴィータ。くじ引きでこうなったんやし♪」
「とは言っても、……痛い痛い、……もういい加減にしませんか、はやてちゃん」
「いやシャマル、まだ福を呼び込む必要がある。もう少し色々と頑張ってもらわないとな、ふふッ」
「シグナム、あんたの方が鬼に見えるよ……」
「アギトに、全面的に同意ですぅ。……いったぁい」

 彼ら四人の「鬼」達の弱り様に、
「おぅいっ、そこの二匹と一人、鬼どもはかなり弱っているぞ、あと一息だぁッ!」
 コウモリのセンが、腕を振り回して子供達に檄を飛ばす。

「おーっ」
「わかったのー」
「かかれー」
 子供達は、ここぞとばかりに更に激しく豆を投げつけます。

「いってぇッ! おいッ、コウモリ、てめぇ後で覚えてろよッ! アイゼンで潰して、コウモリ煎餅にしてやるからなッッ!!」
「ちくしょー、それならあたしは、絶対焼きコウモリにしてやるぅ。……いてぇ、止めろぉッ!」
「ならなら、私、フォークで串刺し、ってこんなの私のキャラじゃ、……いたたぁ」
「コウモリの氷付け、絶対にしてやるですぅ。……それより、早く止めてぇッ!」
 鬼は皆、口々に『後の楽しみ』を叫んでおります。いやいや、実に楽しそうですなぁ。

「「「「どこが楽しそうだ、この、バカ作者ッッッッ!!!!」」」」

 ――作者は、韜晦して『人として軸がぶれている』を口ずさんでいた。

707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:36:55 ID:YmjRN74p
それシャマルさんやないエルルゥやwww
708リリカル旅話の小話:2008/02/03(日) 22:39:28 ID:MLpTYV5o
「皆さぁん、豆まきはそこまでにしませんかぁ。そろそろ、次の準備が出来ますよぉ」

 パンパンと手を叩きながら、キッチンの方から、黒い旅人のクロが出てきた。
 トレードマークとも言える黒い帽子とコートを脱いで、エプロンを着けた姿で。

「おッ、そう言う姿を晒すと、、やっぱり女だってのがよく解るなぁ、クロが」

 不意に、クロの背後が微かに黒く揺らぐ……。

「セン、……コウモリの酒蒸しって、美味しいのかな……?」

「……すんません、謝ります。だから、そんなに凄まないで」
 なかなか、コウモリの土下座というのは、見られないものではなかろうか。

「ははッ、全く、珍しい光景だねぇ」
 そう言って居間に入ってきたのは、『不敗の魔術師』ヤン・ウェンリー。
「ああッ、提督、何でそんなトコにいるんだよッ」
 ヴィータが思わず叫ぶ。何故なら。

「あんたも、鬼だったろーがッ!」

 そう、鬼を決めるくじ引きの際、ヤンもまた鬼の一人に決定していたのだ。
その証拠に、あのおさまりの悪い髪に鬼の面が乗っている。

「いや、豆まきが始まってすぐに、生理現象が来てね。今までずっとトイレにね」
 後頭部を掻きつつ、にっこりと笑った。

「ま、しゃーないですなぁ」
「そういう事情じゃあ、ねぇ」
「我慢は、するものではありませんしね」
 はやて、なのは、シグナムはしみじみと、さも残念そうな顔で話す。

「そんな訳あるかぁッ!」
「理不尽にも程がありますッ!」
「ずるなんて、提督の風上にも置けない行為ですぅッ!」
「おい、ヴィヴィオ、ニジュク、サンジュッ!」
 ヴィータが子供達に叫ぶ。

「ヴォルケンリッターの誇りある鉄槌の騎士の名において許すッ! あのペテン師に、お前等の豆で天誅を下してやれッ!」
「つまり、お仕置きしてやれッ、てことですぅッッ!!」

「「いいの、リインちゃ(ちゃん)?」」 
「はいですッ」
「おじさんに、投げていいの?」
「かまわねぇから、やっちまえッッ」

「よおっし、魔術師のおじさん、かくごぉッ」
「「かくごぉっっ」」
 ヤン提督はたちまち、子供達の豆まきの洗礼を受けました。

「「「おにわー、そとー。ふくわー、うちー」」」
「あいたたた、……いや、ははッ、済まない、あはは」
 子供達に追い回され、ヤンは右へ左へと逃げ回る。

 しかし、その顔はどことなく嬉しそうに見えるのは、気のせいだろうか……。

709リリカル旅話の小話:2008/02/03(日) 22:44:50 ID:MLpTYV5o
 そして、その洗礼は、
「はいはい、もう『まるかぶり』の準備が出来ますからね。皆さん、席について下さい」
 クロのこの一言によって終わりを見たのだった。


「えー、皆さん、落ち着いたところで……」
 全員が席に着いたところを見計らって、はやてが言った。
「自分の恵方巻きを、ご確認下さい」
 全員の目が、一斉にその目の前を見つめる。 その目に映るのは、海苔巻き寿司。

 出来たてほやほや。

 スーパーにあるようなしなびた様子なんてない、おろしたてのシャツのようなパリッとして艶々と黒光りする海苔。

 これまた、一粒一粒が明らかに鍋の中で立っていたであろうと見て取れる、しゃきっとした存在感のある寿司飯。

 そして、具は――。

「……流石に、そこまでは解らないだろう、作者クン?」
 提督、ごもっともで御座います……。

 とにかく、一見して作った人間のこだわりが見て取れる巻き寿司だった。


「わー……」
「おいしそうなの……」
「ねぇねぇ、まだダメ、なのはママ?」
「だぁめ。はやてちゃんの合図があるまではね」
「はぁい……」
「「クロちゃ(ちゃん)……?」」
「我慢だよ、二人とも」
 双子は指をくわえてしょんぼりしています。

「でも、三人の気持ちも解らんでも無いわぁ」
「いや、ギガ美味そうだぜ……」
「ヴィータ、はしたないぞ」
「よだれたれてるわよ、ヴィータちゃん」
「えっ、おっとっと……(フキフキ)」
「リインにアギトも、たれてるで」
「あっ、ごめんなさいです(フキフキ)」
「(フキフキ)……それにしても、あの旦那にこんな特技があったとはなぁ」
 しみじみと、アギトが呟く。

「全くだね」
 ヤンが頷いた。
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:45:36 ID:NAQmnNBE
ぐるぐる目〜。支援!
711リリカル旅話の小話:2008/02/03(日) 22:49:30 ID:MLpTYV5o
「と言うか、今日は殊の外こだわって作っているねぇ」
「へえー。あの人、そんなに料理が出来るんですかい、ヤンさん?」
 センはヤンに尋ねた。
「趣味の範囲では結構やる方じゃないかな」
「ですね。でも、今日のは提督の仰るように、気合いが入りまくってる感じ」
「なのはちゃんに同意や」
「私も、手伝っている傍で手際とか見させてもらいましたけど、結構玄人裸足って感じでしたね」

「ああ、クロさん、本当に料理の方は任せっぱなしでごめんなさい」
「いいんですよ。その分、あの二人のことを見ていただいたんですから、おあいこですよ」
「でも、ごめんなさい」
「いやいや、そんなことは……」
「はいはい、そこまでや」
 はやてが謝り合戦になりそうな、なのはとクロを制す。


「何だか、また賑やかになってきたかな?」

 そう言って、キッチンから顔を出したのは、頬に一筋切傷痕のある男。
 頭にはバンダナを巻き、体にはエプロンを身につけ、海苔巻き寿司の載った皿を手にしていた。

「ブーメランのおじさん、遅いよぉ」
「おそいのぉ」
「おなかぺこぺこなのぉ」
「ははっ、すまない」

 笑いながら、ジェイムズ・ブッカーは子供達に謝る。

「ついつい、熱が入ってしまってね」
「ジャックさん、熱を入れるのも程々にしてくれよな……」
「ははっ、ヴィータも、他のみんなも、すまなかった」
 軽く頭を下げる。
「しかし、これで最期だ」
 そして、自分の席に最期の巻き寿司を置いた。

「お疲れさま、少佐」
「はッ。お待たせし、申し訳ありませんでした」
 ブッカー、バンダナとエプロンを外し、ヤンにラフに敬礼。
712リリカル旅話の小話:2008/02/03(日) 22:54:05 ID:MLpTYV5o
「さて、みんな揃ったところで」
 はやてが口を開く。

「今年の恵方は、南南東やから……」
 方位磁石を取り出し、方角を確認する。
「こっちやね」

 そして、南南東を指さして、
「えー、事前にレクチャーしたとおり、こっちに顔を向けて、この太巻きを食べます」
 一拍おいて、
「ただし、食べとる間は何も喋らんこと」
 コホンと咳払い。
「福が逃げたり、願いがかなわんようになってしまいますので」
 そして、全員の顔を見渡して、

「解りましたね?」
 全員、こっくりと頷いた。

「「あいっっ!!」」
 白い双子を除いてですが。


「それでは……」
 はやては、宣言した。

「まるかぶり、開始やッ!」

 瞬間、その場は沈黙に包まれ、ただ黙々と海苔巻き寿司を食べる光景が展開された。

 ヴィヴィオとニジュクとサンジュは、大人のものより一回り小さいものを、黙々と食べる。

 リインとアギトは、更に小さいスペシャルサイズを黙々と食べていた。

 ただ、ただ。
 誰もが黙々と食べていた。
 何を願っているのかは、解らない。
 大体の察しはつくが、それを探ろうというのは野暮の極みであろう。

 そっと、見守ればいいのである、彼らの幸せを祈りながら。

713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 22:54:28 ID:MeE6hjnQ
>SMC殿
DMC4は店頭デモしか見てないけど、双子にしちゃいますか!
ピンクの髪の男って、イマイチ想像出来んけど。
新生六課の構成もGJ!(ルーも入ってるのにはちょっとビックリ)

以下、妊娠判明時の反応予想。
ダンテ「こりゃあまいったな。俺、オッサンになっちまったぜ」
ヴィータ「とりあえず一発殴らせろっ!バージル・ギルバァァアッ!!」
714リリカル旅話の小話:2008/02/03(日) 22:58:50 ID:MLpTYV5o
 やがて、誰もが食べ終わった。
 流石に、子供達は少し残してしまったのだが。
「うーん、おいしかったけど……」
「残っちゃった……」
「もう、おすしたべないの……」 
「それでは、こんなのはどうだい?」

 そう言ってブッカーが子供達に差し出したのは、オードブルの載った大皿。
様々な一口サイズの料理が、所狭しと大皿を着飾っていた。

「わあー」
「おいしそうなのっ」
「おじさん、すごいっ」
「クロさんのお陰でもあるんだよ」
 クロをブッカーは見やった。
「彼女もなかなか手慣れててね。特に、彼女の郷土料理は興味深かったし、実際、なかなか美味かった。
お陰で、おれの料理のレパートリーも増えそうだ」
「へぇ。ほな、今度あたしも教えてもらおうかな、クロさんに」
「良いと思うよ、わたしも少し習ったし」
「私で良ければ、いくらでも」
「じゃあ、私も――」
「「お前は止めておけ、シャマル」」
「えー、二人して何でそう言うの、シグナムにヴィータちゃん」
「オードブルも、美味しそうですぅ……」
「うわぁ、もう我慢できねぇ」
 アギト、フライングである。
「あー、まだだめだよぉ」
「ずるっこ、いけないの」
「はやてお姉ちゃんが良いって言わなきゃ、だめなのっ」
「ははッ、やれやれだね」
 クロに向かって、ヤンは肩をすくめる。
「ふふッ、全くです」 
 苦笑して、クロは同意した。


 そして、ささやかな宴が始まった。


 その様子は、――皆さんのご想像にお任せしますね。



                                             『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』
                                                       小話其の一・了




セン「それにしても、もう少しキャラがいてもよくね?」
ヤン「いやあ、私以外に都合がつかなくてね……」
ブッカー「零の奴も連れてこようとしたら、「俺には関係ない」と言われてな……」
なのは「フェイトちゃんや他のみんなも、都合つかなくて……」

はやて「まあ、ぶっちゃけ、まだ本編やインターミッションに出てない人が多いからやけどな♪」

ヴィータ「はやて、それ言っちゃダメだって(汗)」

715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 23:02:01 ID:dNoRdLNH
>『お守り代わりのグレン○ガンドリル』を親展しよう! ちなみにゲッター線で三日ほど漬け込んだものだ!」

ほ、欲しい
716旅ゆく人@酔っぱらい:2008/02/03(日) 23:04:36 ID:MLpTYV5o
えー、如何だったでしょうか。

いやー、暫く書かないつもりだったんですが、
昼に、料金の払い込みにあるコンビニに入ったところ、
まあ、恵方巻きがあったんですね。

で、
「ああ節分か。・・・・・・あれ?」
節分の日に、鬼に向かって豆をまく、あの三人の姿が浮かびまして……。
「ヤバイ、これ萌えね?」
でさらに、
「太巻きのまるかぶりも、いいねぇ」
とかんがえまして。

でも、更に……。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 23:07:50 ID:LkF5pDSk
>>714
GJ!!
提督〜〜あんた何やっとんじゃ〜w
それにしてもこういう戦闘者が闘わずに、節分の鬼をやったり恵方巻きを食べたり
しているのがなんか良い。
こういうのも良いなあ。
718旅ゆく人@酔っぱらい:2008/02/03(日) 23:09:51 ID:MLpTYV5o
「その太巻きを作るのが、ジャックだったら……?」
えー、ご存じない方に申し上げると、
『雪風』のブッカー氏、趣味の一つに料理がありまして。
で、日本通だし、そう言うのにも興味あるだろうと思ったら……。

妄想が暴走しちゃいました……。

と言うわけで、今回の小話、エプロン姿のブッカー氏に萌えるのが、
正しい読み方だと、私は勝手に思っていますw

いやあしかし、短時間でここまで仕上げられるなんてなぁ……。
719反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/02/03(日) 23:11:42 ID:8NeMuEro
GJ!
しまった! まだ恵方巻食べてない…orz

さて、グルグル目との指示を受け、そのようにしたドリルギン姉ですが…
…この目付きは…
…どうやら、俺は魔王顔など問題にならないようなクリーチャーを生み出してしまったらしい…
今のうちに、最後のお願いです。
皆様、どんな姿になっても、ギン姉を見捨てないでください
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 23:13:03 ID:yl6aae3v
>>719
I LOVE GINGA だからノープロブレムSA!
721旅ゆく人@酔っぱらい:2008/02/03(日) 23:15:48 ID:MLpTYV5o
全く、妄想パワーといふのは、げに恐ろしきものなりw

そして、世界広しといえども、ヤン提督をコウモリの下敷きにしたり、
節分の鬼にするなんてことしちまうのは、私ぐらいでしょうなぁw
でもね、信じてください、本当にヤン提督は二次元三次元関係なく、
尊敬してるんじゃよぉ……。

それでは、私はここまで。

支援、感想、まことに感謝の極み。

他の職人の皆様、本当にいつもGJであります。私も精進せねば……。

それでは、……思いっきり芋焼酎で酔っぱらわせていただきまぁすwww
722魔装機神:2008/02/03(日) 23:15:55 ID:HNqTfGYH
半ぐらいに投下を……って、この残り要領じゃ流石に無理か……新スレってどうやって立てるんだ?
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 23:17:39 ID:kquoTq3X
>>旅ゆく人氏

GJでございました。子供たちとほのぼのしているヤン提督やブッカー氏が良いですねw
こういう平和でほんわかした多重クロスは貴重な存在なので、これからも頑張っていただきたいです。
724旅ゆく人@酔っぱらい:2008/02/03(日) 23:17:58 ID:MLpTYV5o
>>719
だぁいじゃうぶw

ウチは豆すらまいてねぇw

つか、はよ嫁さんもらわんとなぁ、……ああ、この水割り、
涙の味がしだした orz
725名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 23:18:19 ID:NAQmnNBE
>>719
全部まかせますw たのしみにしてますね〜

徹夜はアレだからオススメしませんけどw
726魔装機神:2008/02/03(日) 23:18:30 ID:HNqTfGYH
おっと、何よりも大事な事を忘れていた。
GJでした!
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/03(日) 23:19:38 ID:quD6fH7R
>>724
買っておいた豆が犬にいつの間にか食われてた・・・・・・・・
728名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:03:22 ID:B9rCabCn
>>727
頭いい犬だな
729名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:05:03 ID:lI4sINAF
>>724
youは結婚したい派なんだ。
730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:14:13 ID:0WIRrFtH
>>727 犬には豆類食べささない方が良いんだよ。消化不良起こすし、咽喉に詰まることがあるから。
731名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:20:04 ID:EDOIJXks
 
うちの犬は食ってないだろうな……?
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:20:21 ID:y5VXNQky
>>727
あと、犬にはチョコレートとネギ、タマネギは絶対食べさせちゃダメなんだぜ。
なんでも中毒症状を起こしポックリ逝ってしまうんだとか・・
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:21:45 ID:lI4sINAF
>>731
ちょwwww
youの家の犬はそんなに旨そうに見えるのか!?
人の家の犬食うってww
734旅ゆく人@酔い醒めちった……:2008/02/04(月) 00:24:38 ID:lVm2Q9iE
>>729
そうですな……。
正直、本当にいい歳なのと、家の事情と、個人的な思いと、
その他諸々、……まあ、色々あるわけですよ。

で、私、本当に甲斐性無しだから、しっかりした嫁さんに来てもらいたいんですがね……。

ま、愚痴吐きも程々にして、スレ違いだし……。
別のスレで、酒でももらって飲んでますわw

ほな、私はこれで ノシ
735名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:25:55 ID:y5VXNQky
ていうか、次スレ立てなくていいのか?
736名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:30:07 ID:EDOIJXks
>>733
スイマセン文の間に「豆」入れるの忘れてましたスンマセン


ああ……俺、やっぱりまだ文章力足りないな
737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:30:42 ID:c2jhd8uO
そういや以前うちの犬がネギたっぷりの味噌汁のみ干したうえに、餃子をペロリと……

しかもお仏壇にお供えしてた奴を
738リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2008/02/04(月) 00:35:39 ID:xDBaMntY
家の犬なんか青カビチーズとかイカの刺身なんかにまで手を出しやがります。
青カビチーズはお高い奴で楽しみにしてたのに…。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:44:05 ID:HKShXs8a
ブルーチーズ喰ったこと無いんだけど美味い?
カマンベールは平気なんだが
740仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/04(月) 00:44:14 ID:vl9IxC1/
家の犬はもういないんですが、玉ねぎとネギがたっぷり入った味噌汁と鳥の骨食ってたな。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:49:12 ID:EDOIJXks

>>740
あなたというひとは……orz

そりゃあ死にますな
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:51:14 ID:lI4sINAF
>>739
好みによって分かれると思うよ
見た目でアウトって人間もいるしな
743リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2008/02/04(月) 00:51:26 ID:xDBaMntY
>>739
ブルーチーズは臭いも味も白カビ(カマンベールとか)よりだいぶキッツイですよ。
好き嫌いが人によってかなり別れる代物かと。
カマンベール入りベビーチーズはありますけど青カビチーズ入りベビーチーズってありませんしね。
744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:56:47 ID:yrFZ04zC
新スレ立てたよー

リリカルなのはクロスSSその43
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202054166/
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 00:59:02 ID:HKShXs8a
>>742
そうですか……。
今度試してみます。
746仮面ライダーリリカル電王sts:2008/02/04(月) 01:18:59 ID:vl9IxC1/
>>741死んだというより逃げました。山に。だってそれで死ぬんだったら30回は死んでまっせ。なんたって、その食生活を14年続けてましたもん。
747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:33:36 ID:lI4sINAF
>>746
中毒になるかどうかは、一回に食べる量によって決まるそうですよ。
んで、その上限は体重に比例するらしいです。
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:36:08 ID:AtcT9xU3
>>746
うちの犬も残飯で生きてたが
普通にタマネギとかねぎとか鳥の骨とか食いながら14年生きたわ
749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:38:19 ID:KgLQJElo
なんか犬の話が盛り上がっている、これはザフィーラにもっと出番を増やせと言う皆の心理の表れなのか?
750名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:38:25 ID:EDOIJXks

>>746
ええええぇぇぇぇ(ry
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:40:51 ID:EDOIJXks
>>746>>748
ええええぇぇぇぇ(ry
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:40:57 ID:lI4sINAF
ねこにイカ食べさせると腰が抜けるということを聞いたことがある
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:42:39 ID:AtcT9xU3
>>751
きちんと天寿をまっとうした感じ。
むしろ、市販のドッグフードで腹壊す犬だった
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:43:20 ID:EDOIJXks
あ、連続カキコ。
初めてやっちゃいました、スイマセン
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:45:19 ID:KX/Ok5fS
>>749
イギーが活躍する愚者の書が読みたいという心理ですw
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:46:27 ID:lI4sINAF
おそらく
犬狼伝説の続編が、という神の意思でございます
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 01:59:21 ID:EFAtKVYp
500kbじゃなかったなら今宵はフェイトの膝枕で寝る。
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 02:01:49 ID:KX/Ok5fS
ザフィーラの人間形態を見ると彼は匿名係長的な仕事が出来そうですよね。
昼間はただの犬、夜は・・・みたいな。
戦闘も格闘重視ですし。
毎回、フンッ!フンッ!する相手はカリム、リンディ、ドゥーエの三人でw
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 02:02:48 ID:Fdof+1QV
>>757
500KBじゃなかったら……つまり>>1000まで行ったらという事だと曲解する
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 02:06:22 ID:lI4sINAF
書き込み成功ならヴィータをアナブラみたいに!!

>>758
ザフィーラ頑張るwwwww
ネットワークを駆使しつつ、裏を探るわけかww
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 02:06:28 ID:KgLQJElo
>>758
「匿名守護獣ザフィーラ 管理局内部のロストロギア横流し事件を追え!!」

みたいな感じで、どっかの部隊にベルカ式の守護獣として潜入する、という話しですね。
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 02:14:31 ID:KX/Ok5fS
事件の終わりには、ザフィーラがはやてに報告しそのままEDへ。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 02:18:39 ID:lI4sINAF
>>762
なんか、加持さんなザフィーラとゲンドウなはやてが思い浮かんだ
764名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 09:31:50 ID:wX6aAHRH
だっぼんなザッフィーが見たいと申したか
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 09:45:20 ID:qxvCeXgx
ザッフィーが神化したmadならみたことあるような……
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 10:45:52 ID:NEnpF6hW
ザッフィーがヘリ持ち上げる話ならあった気が…
うちのザッフィーは現在、ウルトラ兄弟の一人とタイマン中ですが何か
768旅ゆく人:2008/02/04(月) 13:57:12 ID:lVm2Q9iE
あー、昨夜の小話、ザッフィーのこと忘れてたー……。
ので、さっき修正依頼出してきましたー……。



シベリアで、樹の本数数えに征ってきます…… orz
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 14:51:59 ID:w2f9DNJ+
シベリアで思いついたけどキングゲイナーとクロスとか
管理局のやり方に反発してエクソダスする管理世界…
だめか
770名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 17:44:30 ID:M/xtZzKW
なんで古代の魔法少女、サリーちゃんとのクロスを誰も書かないんだろう……
お父さんは衝撃のアルベルトだから、血筋的にもなのはに負けてないのに
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 18:05:33 ID:lI4sINAF
>>770
万能すぎるからじゃね?
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 18:32:05 ID:B1VAtSLW
>>770
双方魔法なしの話なら造れるかもしれんが
なのは世界の魔法とサリーちゃんの魔法は相性悪いからなあ。
戦闘だとどっちが勝ってもスッキリしないだろうし
日常のトラブルや人命救助だとサリーちゃんの圧勝で勝負にならん
773一尉:2008/02/04(月) 18:41:37 ID:O6saWBNq
たからドリルを取れよおお。
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 20:22:06 ID:EFAtKVYp
500
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 20:39:41 ID:M/xtZzKW
サリーちゃんの魔法を無理矢理なのはの世界観で説明出来る益荒男はおらんのか!?
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 20:44:03 ID:lI4sINAF
便利なジュエルシード
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 21:23:32 ID:wHsE5GIr
>770
待て、アルベルトの娘はサニーだ。
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 21:30:53 ID:M/xtZzKW
>>777
え? サニーってサリーの源氏名じゃないの?
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 21:35:09 ID:B1VAtSLW
ストレイトジャケットの恒常魔力圏を参考にサリーちゃんの魔法を
「自分の思いどうりに物理法則を書き換えられる空間を展開する能力」と考えてみるのはどうだ?
これなら展開する速度や距離に制限を加えればバトルの駆け引きが成立する
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 21:37:41 ID:hvH1v/Qa
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/04(月) 21:39:11 ID:qVjtx/R/
誘導乙


そして埋め
782名無しさん@お腹いっぱい。
>>778
つーか、オリジナルはサニー。
某社のクレームでサリーになったんだよ。