あの作品のキャラがルイズに召喚されました part98
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part97
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1199020975/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ ___ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 `ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
ワンダラーズフロム乙
● 「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃ ● ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘ よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃ おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃ (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃ どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃ たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃ ね・え・かたをっかしてよっ
┃ す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃ き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃ ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃ だからすぅきぃよっなんていわない
┃ のんのんのんどっこかへいったら
┃ ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん ・・・だぁって
┃ ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃ あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
>>1 ○________
なぎはらえー |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ
|:l\\\||.:.|l///| .///
__ ィ ,. -――- 、 |:|:二二二二二二二 !// /
/ / \. |:l///||.:.|l\\\|/ /
/ ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ |:|//:::::||.:.||:::::\\l /
ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ
ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / !
ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l
. \\_____ivvvvvvvv| V. ( ( /Tえハフ{ V ‐一 '´ / __. -―=-` / / l l
\! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l
__ |\ l/V _{_____/x| (_|::::__ノ }ィ介ーヘ / ,.-‐ ' ´ / ____  ̄ ̄フ ∧ l
)-ヘ j ̄} /| /___/xx| _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___ { / `< / \|
{ V /`7. /___./xXハ ( |:::::::::::::::::ハ >' ____ 二二二二二二> / __ 〈
. \_ |/ /___l XX∧ __≧__::::::::/:∧/ `丶、 / { {____ハ }
| ヽ /____|]]∧ __|__L.∠ ム' <`丶 、 `丶、 / \_____/ /
| ', { |]]]>' __ ∧ l\ \ 丶、 ` 、 ∠ -――- ..____ノ /
ノ } l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/ V' \ ヽ `丶\/ /
/ ∧ { \ | .|>' / // :/ :/ : ', l \ ヽ ,.-――┬ \ /
入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V ヽ \ ,. '´
`ー′ \ `< | { / | /〃 :|/ __V/ ̄| ̄ ̄{_ \_ ` <
\ `' ┴ヘ { .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' | / ノ`y‐一' >、_/ / ̄ 7丶、_ 丶
\ ヽ /`ー「と_し^´ | | } ム-‐' / / \_/ / / ヘ \
ヽ _>-ヶ--∧_} ノ j /` 7 ̄ ̄ ̄{ (  ̄ ̄`ー‐^ーく_〉 .ト、_>
', / 人__/ .ィ {__ノ`ー' ヽ 人 \__ { } |
V 人__/ / | /  ̄{ ̄ >‐ ァ-、 \ 〉ー} j
{ / ./ ∨ __  ̄ ̄ >-</ / ̄ ̄ 廴ノ '
<ヽ__ /し / < )__ \ _r‐く___/ / < ) \ {__ノ /
Y__>一' / ___r―、_\ >' `ー' ,. ´ >.、 \__ノ {
∠二)―、 `ー‐┐ ∠ ∠_r‐--― <__ ∠ )__ \_
∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|> ∠)__r―――-― ..__{> ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
fuck damngod
>>1乙
それと前スレの
629 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/01/02(水) 11:01:56 ID:TBSWukWn
とある小説投稿サイトに、
まとめに乗ってるSSが投稿されていたんだが、
これって本人投稿なのかねぇ
これの詳細kwsk
予約なさそうなんで投下してよいですか?
あー、予約ありましたね・・・
譲ります
どうぞお先に
って、お互いに譲り合ってどうしますかw
何だこのダチョウ倶楽部的なやりとりはw
どうしましょうw
と言うわけで、今日は諦めます
薔薇乙女さん投下どうぞ
えーっと、それじゃあ、行かせて頂きますね
きーんこーんかーん・・・・
終業のベルが鳴った。
校庭では野球部が白球を追い、陸上部が高跳びを練習する。
部活が無い生徒は、ようやく暑さも和らいだ街の間をダラダラと帰っていく。
せんせー、さよならー
おー、また明日なー
よーマックいかねー?
ええでー。でも、その前にTUTOYA寄ってくでー
そんな、いつもと変わらない下校風景。ジュンも帰ろうとしていたら、後ろから声をか
けられた。
「やぁ、桜田」
「あ、梅岡先生・・・」
外に出ようとしていたジュンが振り返ると、若い男性教師がいた。担任の梅岡先生。
「どうだ、調子は?」
「…いや、別にどうも」
ジュンの返答は、あくまで素っ気ない。
「別にどうも、か・・・先生には、そうは見えないぞ?」
「そうすか?まぁ、学校戻って大して経ってないですから。まだ調子悪いかもしれません
ね」
「いや、そういう事でなくて、な・・・」
教師は、髪をボリボリかきながら、言いにくそうにしている。
「用が無いなら、帰りますけど」
「ま!待った!」
立ち去ろうとしたジュンを、慌てて呼び止める。
「あ、あのな・・・何か、大変な悩みを抱えてないか?」
「・・・悩み?」
「う、うん。あのな、先生がこんな事言うと、変に思うかもしれないんだけど・・・
桜田な、その…学校来なかった間と、今とでは、全然印象が違うんだ」
「印象が・・・」
「そうなんだ。昔は、なんていうか、確かに勉強は出来るんだが、繊細というか。家庭訪
問しても、顔も見せてくれなかったし」
「要は、神経質でプライドばかり高くて脆そう、という事でしょ?」
「う、うん・・・言いにくいけど、今だから言えるけど、そうなんだ。でも、今は違う。
・・・というか、違いすぎる。ほとんど別人じゃないか?というくらい、印象が違いすぎ
るんだ。
先週、何日も休んだ事があったろ?その時、桜田のお姉さんから『また調子が悪くなっ
たから』て電話で説明受けたんだ。けど、その前後の桜田の様子からは、全然そんな感じ
がしなかったんだ。すごく元気そうだったぞ。
なぁ、先生に教えてくれないか。桜田に、何があったのか。もしかして、大変なトラブ
ルに巻き込まれてるんじゃないか?ずっと右手に巻きっぱなしの包帯と、何か関係がある
のかな?」
「それは・・・」
ジュンは正直、どう答えるべきか困ってしまう。試しに、今日までの事を思い返してみ
た。
――中学受験失敗が原因で引きこもりをしていたら、伝説の生き人形『薔薇乙女』達の戦
いに巻き込まれた。騒がしい毎日と激戦の末、自分も生きる意思と力を取り戻した。
戦いが終わった直後、偶然ハルケギニアに使い魔として召喚された。召喚されたついで
に、死んだ雛苺と蒼星石を生き返らせるため、ハルケギニアの探索と併せて魔法学院での
勉強も始めた。
先週は、王女からの密命で浮遊大陸アルビオンに潜入、皇太子を連れ帰った。だがそれ
が原因で、アルビオンと戦争になってしまった。これから、トリステインの兵士として零
戦に乗り、アルビオン艦隊と戦う――
・・・言えるかーー!
思い返してみて、自分で思いきりツッコミ入れてしまった。
「う〜ん、まぁ、先生が心配するのも当然とは思うけど。ホント個人的な事だから、言い
たくないんです」
「そ、そうか・・・しょうがないな。でも、いつか先生にも教えてくれよ」
そういって、ぎこちない作り笑いを残して教師は職員室へ去っていった。
自分を心配してくれる担任の姿に、その担任に黙って再び学校をしばらく休まなければ
いけない事に、ジュンも胸がチクリと痛む。
正門から出て、ふとジュンは校舎を振り返る。
何の変哲もない、四角いコンクリートの校舎。生徒だってごく普通。
ジュンにとっては夏休みの終わりまで、見るだけで吐き気がした、大嫌いだったはずの
公立中学校。
対アルビオン戦争の間は地球に帰らず、しばらくハルケギニアにいるつもりだ。生きて
帰れる保証なんか無い。死ぬ気はないが、現実はそう甘くない事は分かっていた。『もし
かしたら、この校舎を見るのは最後になるかもしれない』…そう思うと、何故か後ろ髪を
ひかれる想いがしてしまう。
くるっと校舎の方を向き、軽く頭を下げる。
そして、学校をあとにした。
第五部
第一話 課外授業
桜田家の中に入ると水銀燈、のり、巴がリビングでお茶を飲んでいた。
「遅いじゃないのぉ、待ちくたびれたわよぉ」
水銀燈がジュンの前にふわりと飛んで来て、懐中時計を渡した。ジュンが先日イザベラ
に渡した物だ。それを見たとたん、ジュンが悪役風にニヤリと笑ってしまった。
「無事、回収したわ。これで、あんたの言う4thフェーズとやらも終了ねぇ」
「ありがとうな、水銀燈。これでミッションコンプリートだ」
のりが、しげしげと懐中時計をのぞきこむ。
「へぇ〜。それが、この前話していた時計なのねぇ」
「ああ、柴崎さん特製の懐中時計。超小型高性能マイク入れてもらったヤツ」
巴は手に持っていたiPadを示す。
「データは移しておいたわ。私には何を言ってるのか分からないけど、上手く盗聴出来て
るらしいわ」
「オッケー、ありがとな柏葉。んじゃ早速、部屋で聞くとしようか」
ジュンの部屋では、真紅と翠星石が茶飲み話をしていた。
「あら、ジュン。お帰りなさい。待ちくたびれたわよ」
「よーやく帰ってきたですかぁ。それじゃ、ちゃっちゃと聞くですよぉ!」
「そーだな、どれどれ・・・」
iPadをステレオに繋ぎ、盗聴した音声を再生させる。
『 ・・・でして、これは宮殿の警備上の致命的な・・・責任が・・・
遺留品はこの時・・・何も魔法の反応が無く、安全としか・・・
・・・つらは今回ただのイタズ・・・もし、本気になれ・・・
プチ・トロ・・・が消・・・次は皆殺しにされ・・・秘密をつかま・・・』
sien
「やった!あいつら、この時計を会議室に持ち込んだらしいぞ!」
「ふふふ、当然よ。そのためにわざわざ安全にしか見えない遺留品を残したのだから」
「しーですっ!今、大事な所です!」
と言ってる翠星石は、小さくガッツポーズ。
ハルケギニア語の分かる使い魔達は、じっとスピーカーから流れる会議の話を聞き入っ
てる。のりと巴は、そんな彼等を黙ってジッと眺めている。
「へへへ・・・思った通りだ。あいつら、僕たちの事、すっごく怖がってる」
「当然ですよぉ、どうやって宝物庫に侵入したかも、どこから逃げたかも分からないんで
すからぁ…イヒヒヒヒヒィ〜」
「いつ自分たちを暗殺に来るか分からないものね。これでうかつに手出ししようなんて、
考えないでしょう」
スピーカーから流れる異国の言葉に聞き入り、ほくそ笑む使い魔達。そんな彼等の姿を
見るのりと巴は、さすがにちょっとひいてしまった。
ふと視線をずらすと、二人の前には水銀燈の後ろ姿がある。黙ってジュン達を見ている
水銀燈の背中で、黒い翼がパタパタと羽ばたいている。
ツヤツヤの黒、キラキラ輝く、ふわふわの、柔らかそうな羽・・・
「・・・ちょっと、あんた達ぃ…何のつもりぃ?」
水銀燈がジロリと振り向くと、二人は黒い翼に手を伸ばそうとしていた。
「あ、あははは、その、ねぇ?巴ちゃん?」
「そ、その、すっごくステキな、翼だなーって…ねぇ?のりさんも」
「う、うーんと、そのモフモフってしたら、気持ちいいかなーって」
「バカ言ってないでないでよねぇ」
「「はぁーい・・・」」
二人とも、シュンとして小さくなってしまった。
ジュンが、再生を止めた。と同時に両手でガッツポーズ。
「よーっし!これで多分ガリアの方は大丈夫だ!」
「やったですねぇ!あとは、アルビオンですよぉ」
「そうね、でも油断したらダメよ。nのフィールドも地球の事も、ちゃんと隠し通さない
とね」
ジュン達が三人だけで大喜びしているのを見て、水銀燈ものりも巴も興味津々。
「ねぇねぇジュンくん、どうなったの?結局、ガリアの王宮はどうするって?」
「ああ、うーんとね、簡単に言うと・・・」
ジュンがかいつまんで話す内容は、こうだ。
ガリア王宮の人々は、『あの使い魔達を本気で怒らせたら、次は自分たちを暗殺に来る
んじゃないか』と恐れている。
今回の件から、使い魔達の行動を阻む手段が無いことは疑いない。
戦闘能力も、少なく見積もってすらスクウェア。プチ・トロワを消し飛ばすヤツらと、
策も無く戦うのは無謀。
今回のアルビオンとトリステインの戦争では直接介入せず、まずは使い魔達の情報を収
集するのが得策。間者を増やし、大使を送る振りをしてジュン達を監視し、その秘密を少
しでも暴くべき・・・。
説明に疲れてお茶をずずずぅ〜っと飲むジュンのあとを、翠星石が得意げに引き継いで
話し出す。
「それとですねぇ、今回のあたし達の作戦のことはですねぇ、どうにかして秘密にしよう
としてるようですよぉ」
「でも、そんなのは無理ね。あっという間に噂は広がるわ。ちょっとやりすぎたかもしれ
ないわね」
「ちょっと真紅ぅ!あたしのセリフを横からとるなですぅ!」
「あら、ごめんなさい」
謝る真紅も、言葉とは裏腹に得意満面。
水銀燈も、満足げに三人の話を聞いて頷いた。
「そう、大方は上手く行ったようねぇ。ま、あたしをあれだけこき使ったんだもの。それ
くらいは当然よねぇ?」
そう嫌味っぽく笑う水銀燈へ、真紅がニッコリと微笑む。
「本当ね。時計の回収といい、ミーディアムがいなくても自由にnのフィールドを動ける
あなたがいなかったら、上手く行かなかったわ。
ありがとうだわ、水銀燈」
そういって真紅がすぃっと頭を下げると、水銀燈が今度はオタオタしてしまう。
「な、なによう、気持ち悪いわねぇ」
「あら、本当に感謝しているのよ?」
「ふ、ふんっ!うるさいわね、まったく。もうやる事は全部やったんでしょ!?さぁっさ
とハルケギニア行ってきなさいなぁ」
「そうだな、んじゃ行くとするか・・・あの、服着替えるから、先に出てくれる?」
ジュンが小姓の服に着替えるのを待って、一行はぞろぞろと倉庫の大鏡へと降りていっ
た。
着替える間、ふと勉強机が視界に入る。
大量の軍事・戦争・武器・兵法関連書物が、パソコンの周囲に山と積まれている。この
一週間、ルイズからもらった金貨を売った金で皆が買いあさり、勉強そっちのけで読みま
くった資料だ。ネットからプリントアウトしたデータも分厚いファイルに収めてある。
「付け焼き刃だけど、無いよりましか」
少し部屋を見渡してから、部屋をあとにした。
一同が倉庫に入ると同時に、輝く鏡から大小の人影が降り立った。金糸雀と、デルフリ
ンガーを抱えた草笛が出てきた所だ。
「はぁううう・・・疲れたぁ・・・」
出てきたとたんに草笛はヘナヘナと座り込んむ。
「お帰りなさいですぅ。アルビオンの方はどうでしたぁ?」
翠星石に聞かれた金糸雀と草笛は顔を見合わせ、はぁ〜っとため息をついてしまった。
『いや〜、すまん。やっぱだめだったわ。学院の嬢ちゃん達も連れて、あちこち探し回っ
たんだけどよぉ。
アルビオン大陸なら行けるんだがよ。ロンディニウムのハヴィランド宮殿に、ロサイス
の空軍工廠、特に発令所。必死で出入り口探したんだけどよぉ、みつかんねーわ』
「「「そっかぁ〜、残念」」」
デルフリンガーの言葉に、ジュンも真紅も翠星石も肩を落としてしまう。
「ねぇ、ジュンくん。この前の宮殿の出入り口は、あんなに沢山簡単に見つかったのに、
どうしてアルビオンの方は見つからないの?」
首をひねるのりの疑問に、草笛が重たげに口を開いた。
「あの宮殿はですね、ほら、あの青い短い髪の、タバサさんがよく知っていたんですよ。
だから、鏡の向こうが宮殿なのか、グラン・トロワ内部のどこなのか、すぐ分かったんで
す」
「でも、かしら。アルビオンに詳しい人がいないのかしら?だから、鏡の向こうがアルビ
オンの一体どこなのかは、nのフィールドからでは分からないの。危ないから、鏡の外に
出て確かめたりは、うかつに出来ないかしら」
『おまけに貴族が生活するこぎれーな宮殿と違ってよぉ、軍事施設は大きな鏡とかガラス
とか、ほとんど置いていねぇらしいんだよ。お偉い軍人は貴族なんだし、身だしなみくら
い気をつけろってーの!
だからロサイスの空軍工廠なんかは、出入り口自体も少ねぇようだから、みつからねー
んだなぁ』
金糸雀とデルフリンガーも、重そうな口を開く。相当にnのフィールド内を飛び回った
のだろう、金糸雀はもうヘトヘトだ。
話を聞いていた巴も残念そうだ。
「そう…ヴェルサルティル宮殿みたいに襲撃出来ればよかったのだけど。そう上手くは行
かないわね」
その巴の言葉を横で聞いてるのりは、「なんかみんな、言う事が過激になってきちゃっ
てるなぁ…」と、少し顔を引きつらせている。
水銀燈も浮かない顔で、ふぅ、と溜め息をつく。
「それにしてもねぇ、これだけハルケギニアを飛び回ってもローザミスティカの気配を感
じないなんてねぇ・・・。一体、雛苺と蒼星石のローザミスティカ、どこ行っちゃったの
かしらぁ?」
水銀燈の言葉に、その場の全員も肩を落としてしまう。
「本当ですねぇ・・・近ければ気配を感じるはずなのに」
翠星石の悔しげなぼやき。ジュンも不安を隠せない。
「もしハルケギニアにあるなら、ガリアやゲルマニアとかの、他国の学院で召喚されたか
も知れない。聖地や東方かもしれないし・・・最悪、地球ともハルケギニアとも違う、全
然別の異世界に迷い込んだかも・・・」
「・・・本当に、先は長そうねぇ・・・」
真紅の言葉に、皆、さらに溜め息をついてしまう。
ジュンが金糸雀の肩をポンと叩き、床にへたりこんでた草笛が立ち上がるのに手を貸し
た。
「まぁ、しょうがないよ。みんな本当によく頑張ってるんだから」
「そうねぇ、気長に行かないと。それじゃ、あたしそろそろ仕事に戻るわね」
「んじゃ、また会うのかしらー!」
「それじゃ、あたしも一旦さよならするわねぇ」
草笛と金糸雀と水銀燈は、鏡面の中に消えていった。
「それじゃ、僕らはもう行くとするよ」
「ええ、そうね」「わかったですぅ」『おっしゃ、行くとしようぜ』
草笛から受け取ったデルフリンガーを背負い、鏡の前に立つ。その左右に真紅と翠星石
も立つと大鏡が再び光り出し、nのフィールドへの扉が開かれる。
「ジュンくん・・・」
のりは、涙を浮かべて弟の名を呼ぶ。だがジュンはちょっと振り返るだけで、鏡へ手を
伸ばす。
「分かってる、大丈夫だよ姉ちゃん。やる事は沢山あるんだから、絶対に死なない。ルイ
ズさんも真紅も翠星石も、誰も死なせない。必ず、みんな無事に帰ってくるよ」
「ええ、きっとよ。必ず、無事に帰ってくるのよ」
真紅と翠星石も、鏡に入る前に少しだけ振り返る。
「ほんの少しの辛抱よ。すぐに帰ってくるわ」
「のり、任せるですよ。必ずこのチビ守ってみせるですぅ」
三人の姿は、鏡の中に消えていった。
あとには、涙を流して肩を抱き合う二人の少女が残された。
〜対アルビオン戦争二日前 昼
昼食の時間。
学院の正門の外でジュンが立っている。
腰にナイフを装備し、デルフリンガーを左手に握り、右手にメリケンサックを着け、大
勢の女性達に囲まれていた。軍事教練とルイズ達の警護をしてる女性武官達だ。その中に
は、コルベールの姿もある。皆ジュンから10メイル以上離れ、手に木切れを持ち、丸太
や机の後ろに隠れている。
ジュンは皮のベストの様な物を着用している。そのベストには、沢山の大きなクギの様
な物が収められていた。その何本かが彼の右手にも握られている。
「ジュンよ、準備はいいかぁ?」
「いいぜ、デル公。それじゃ、お願いします」
ジュンの合図を受け、コルベールが杖を掲げる。女性武官達が大きく振りかぶって、木
切れをジュンへ全員同時に、全方位から思いっきり投げつけた。
鉄の棒を持つジュンの右手も翻る。
カカカカッカカカカッカカカッ!
投げつけられた木片は、全て弾き返された。
ジュンが目にも止まらぬ速さで投げつけた、毛筆の様な形をした鉄の棒――棒手裏剣に
撃ち落とされていた。弾かれた木片がいくつか、手裏剣に貫かれた勢いで、女官達の隠れ
た机や盾にまで当たっている。
「おでれーたなぁ。こんだけの鉄棒を、あの一瞬でたっぷり抜き放ってるぜ」
コルベールも感心しながら木片と棒手裏剣を確認し、抜いていく。
「おまけに、全弾命中だよ。いやはや、私の練成した鉄の棒が、こんな恐ろしい武器にな
るとは、驚きですぞ」
「いや、その、そんな、へへへ・・・これで接近戦だけじゃなく、離れた敵とも戦えます
ね」
おお〜、パチパチパチ…ピューピュー!
周囲の女官達からも、どよめきと口笛と拍手がわき起こり、ジュンは真っ赤になって照
れてしまった。
金のショートヘアーに鎖帷子の武官、アニエスが引き抜いた棒手裏剣をしげしげと観察
している。
「本当に大したモノだ。我らのマスケット銃より速く威力もある。何より連続で放てる。
こういう棒形の刃物は、当てるのが難しいというのに・・・」
しきりに驚嘆の言葉を呟きながら、ジュンに棒手裏剣を手渡した。周囲の女官達も棒手
裏剣を木片から引き抜き、手渡していく。
「いやー、本当に大したモンだねぇ。これ、東方の武器なのかい?」
「そんな小さな体で、若いのに、これほどの腕を持つとは・・・驚きだわ」
「おまけにそんな長剣まで使えるのだねぇ〜、ホント大した剣士だね」
「ホントね。あたし達と同じ平民だし、可愛い子よね・・・」
「ねえねぇ、今夜ヒマ?うふふふ…お姉さん達のテントでいろいろお話しない?」
「おでれーたなぁ、ジュンよ。モテモテじゃねぇかよ〜」
「あう…あの、その…」
どんどん赤くなって小さくなってくジュンを、女官達が艶やかな微笑みを浮かべつつ囲
んでいく。棒手裏剣を手渡すついでに、わざとらしくジュンの手を握ったり肩に手を置い
たり頬に触れたり。
キッ
アニエスの青い瞳に睨まれて、女官達は慌ててジュンから離れて整列した。
「おほん!部下達が失礼した。ともかく、サクラダ殿の訓練に付き合うのはこれくらいで
よかろう。部下達は解散させてもらう」
「うむ、ミスタ・サクラダ。私もそろそろ戻りますぞ」
「はい。皆さん、ありがとうございました」
頭を下げるジュンに小さく手を振りつつ、女官達は駆け足で学院へ戻っていった。コル
ベールは『フライ』で飛び去った。
「さて、そろそろ昼食も終わった頃だろう。ミス・ヴァリエールと合流するとしよう」
「あ、はい」
ジュンとアニエスは並んで学院の食堂へ向かって歩き出す。
「ところでサクラダ殿、その長剣なのだが」
「おう!デルフリンガーってんだ、よろしくな!」
「デル公が、なんですか?」
アニエスはデルフリンガーの刀身、特に柄をジッと見つめている。
「これは、もっと大柄な人間が振るためのモノだ。そのため、柄も大きな手に合わせて太
くなっている。君の小さな手では、しっかり握れないのではないか?」
「そう、なのかな?意識した事はないんですが」
「そうなのか、だと?貴殿ほどの剣士が、信じられんな。重心の位置といい重さといい、
君に合わないと思うのだ。腰のナイフと、そのシュリケンとかいう武器が、君には最適だ
と思うぞ」
「いえ、デル公はすっごく役に立つんですよ。メインの武器はデル公で行きますよ」
「そうだぜ姉ちゃん!ジュンと俺っちの力を見れば納得するさね!」
「ふむ…マジックアイテム使いの貴殿がそういうのなら、その剣はただのインテリジェン
スソードではないのだろうな」
そんな話をしながら歩いていると、食堂から出てきたルイズと真紅と翠星石がジュン達
を見つけて駆けてきた。
「さて、これでミス・ヴァリエールと使い魔達は全員揃ったようだ。これより王宮からの
通達を伝える。
貴殿等の暗号名は『ゼロ』。ミス・ヴァリエールは『ミス・ゼロ』、サクラダ殿は『ミ
スタ・ゼロ』、シンク殿は『ルビー・ゼロ』、スイセイセキ殿は『エメラルド・ゼロ』と
呼称される。
所属は公爵率いるヴァリエール軍。公爵直属の小隊として、公爵の直接指揮下にて動か
れよ。別命あるまで待機を継続。以上」
アニエスは居並ぶルイズ達に連絡事項だけ伝え、すぐに礼をして去っていった。
あとには、肩を震わせるルイズが居た。
「な・・・何よ、なんであたしの暗号名が、『ゼロ』なのよ!?私はもうゼロじゃないっ
てーの!」
まーまー、どうどうどう、とジュンと人形達になだめられるルイズだった。
「た、多分、王宮や軍の人たちは、単なるあだ名だと思ってたんじゃないかなぁ?」
「そう!そうね、ジュン。それに、タダの暗号名よ、気にしたらいけないわ!」
「そうですぅ、真紅の言うとおりですぅ!それに、もうゼロじゃないんだから、いいじゃ
ないですかぁ」
「あ、スイ、お前・・・」
デルフリンガーが指摘するまでもなく、ルイズが翠星石を引きつった笑顔で見下ろして
いた。
「ゼロって言うなー!」
ルイズの叫びが学院に響き渡る、まだ今は平和なトリステインだった。
ルイズ達女生徒は全員午後の教練中。武官達に広場でしごかれている。
真紅と翠星石は広場の端からルイズに、走れ走れーですぅ、とか、その程度で息が切れ
るなんて情けないわ、とか声援を…というよりチャチャを入れていた。
そしてジュンは滑走路横のテントにいた。女官達がテントを警護する中、ゼロ戦の操縦
席で機械をいじっている。
「あーあー、聞こえますか?」
――・・ああ、ようやく聞こえたよ。どうやら上手くいったようですぞ・・――
雑音は混じっているが、操縦席右の機械から聞こえてくるのはコルベールの声だ。
「ほほー、おでれーたな。ホントにあんな離れた場所から声が届いてるぜ」
座席後ろのデルフリンガーが、通信機に感心している。
――まったく凄いですな、このつーしんきというのは。風魔法を使った魔道具でも、
ほんの短い距離しか話が出来ないというのに。これだけ離れた距離から――
「あー、でもそっちのトランシーバーからは、1リーグくらいしか声を送れないですよ。
こっちのゼロ戦のヤツなら、50リーグくらいいけるはずです。これで、トリステインか
らでも、戦況を伝えるくらいは出来ると思います。
でも、離れれば離れるほど、雑音がひどくて聞き取りにくくなるんですけど」
――いやいや、それで十分ですぞ。無理を言って申し訳ない。ところで、ひこおきか
ら下ろしたモノも同じようなモノと言ってましたな。なら、あれでも会話出来るの
ですかな?――
「あ、それ無理です。あれは実は正確には通信機じゃなくて、ク式無線方位測定器といっ
て・・・えと、簡単に言うと、自分の居場所を確かめるためのアイテムだそうです。構造
とか原理とかは、大体この無線機と同じだと思うんですけど、会話は出来ません。
あれは、いらないので差し上げます。自由に調べて下さい」
――おお、ありがとう!感謝しますぞ。・・・ところで、実は君に見て欲しいモノが
あるのです。申し訳ないが、こっちに来てくれますか――
そんな風に、ジュンとコルベールが通信機のダイヤルをいじっていると、テントの外か
ら女性達の声が聞こえてくる。どうやら、ジュンに差し入れを持ってきた人が、テントの
外で警護の女官に中へ入るのを止められたらしい。
よく聞けば、それはシエスタの声だ。
「あ、すいませーん!僕が出ますからー!」
「へへへ、ジュンよ。年上の恋人から差し入れだなぁ」
「か、からかうなよデル公!そんなんじゃねーよ!」
デルフリンガーをつかんでゼロ戦を飛び降り、テントを出る。テント前には籠を持った
シエスタが立っていた。
夕焼け空の下、シエスタとジュンが並んで歩いている。差し入れのサンドイッチを頬張
りながら、学院近くの村へ向かっていた。
「ふわ〜、改めてみると凄いねぇ。こんな大きな船を落としちゃっただんて!」
「う、うん、でも学院の『破壊の杖』の力だから。ところで、例の場所って」
「あ、もうすぐよ。森の向こうなの」
「ん〜?なんかテントが沢山ならんでるなぁ」
デルフリンガーの言うとおり、遙か彼方にテントが集まっているのが見えた。
先日ジュンが撃墜した戦艦の残骸や、シルフィードが寝床にしている森の横を通り過ぎ
ると、小さな村が見えてくる。そしてその付近に出現した、粗末なテントの群れも。
テント村の近くで、コルベールが手を振っていた。
「お待たせしました、先生。ところで、見て欲しいモノというのはこれですか?」
「うん・・・実は、このトリスタニアからの避難民だよ」
「これ、みんな、城下からの・・・」
そこには、ジュンには名前しか知らないモノがあった―――難民キャンプだ。
粗末なテントの群れ、不安で疲れ果てた子供、たき火の周りに肩を寄せ合う老人達、学
院では見る事も出来ない粗末な食事を分け合う母娘、くぼんだ目でジロリと睨み付けてく
る男・・・。
城下から避難してきた人々が難民キャンプを作って、まだ数日しか経っていないはずな
のに、既に悪臭がそこかしこから漂ってくる。衛生状態が良くないのは、臭いだけでよく
分かる。
戦争を逃れて来た。ただそれだけで、タニアっ子と呼ばれていただろう人々を、あっと
いう間にただの難民へと変えていた。
「あ!シエスター!また来てくれたのかい!?」
「まー、シエちゃん!ホントありがとうねぇ〜」
「もちろんですよ!はい、サンドイッチです」
シエスタが、避難民の中の男女に籠を渡していた。その人物を見て、ジュンは目が点に
なっていた。コルベールも微妙な表情を浮かべて沈黙。
女の方はシエスタと同年代くらいの、普通の女性。ストレートの黒髪に大きな胸。服も
普通。
ただ、男の方は・・・格好は周りの避難民と同じで、旅行用の服装…ただし紫と赤の、
ド派手な服。そしてその言動は、見るからにオカマ。クネクネとした動き、お姉言葉、見
るだけでキツイ。鼻の下と顎のヒゲに、筋肉質の長身と合わさって、失礼と百も承知で目
を背けたくなる。
シエスタがその男女を固まってる二人の前に連れてきた。その後方から、なーになに?
と若い女性達も寄ってくる。
「紹介しますね。この二人、あたしの親戚なんです。母方の叔父のスカロン叔父さんと、
従姉妹のジェシカです」
「あ、初めまして。僕は桜田ジュンって言います。ミス・ヴァリエー」「んまー!あなた
があの噂の少年剣士なのねー!なんて可愛い子なのぉ〜〜!!お願いキスさせてー!!」
んぎゅーぶちゅうぅ〜〜「ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁ」
スカロンに思いっきり抱きしめられて頬にキスされ、ジュンは悲鳴と共に、意識がどこ
か異世界に飛びそうになった。さらにその妖しいというより怪しい唇がジュンの顔の真正
面へ
「きゃー止めて止めてやめてええーーー!!」
「ちょっちょっちょっと!落ち着いてえー」
「あ、あらごめんなさいなぁ、興奮しちゃってぇ〜」
「うあああおでれーたな、ジュンよ、大丈夫かー!?」
シエスタとジェシカに割って入られ、ようやくスカロンはジュンを離した。ジュンはア
ルビオン戦を前に、三途の川を渡りそうになってたり。
「はうぐ、げほ、おええぇ・・・と、ところで、どうして皆さんここに?シエスタさんの
親戚なら、タルブの村が故郷なんじゃ」
息も絶え絶えのジュンの質問に、スカロンもジェシカも、後ろの女性達も顔を曇らす。
スカロンが力なく答えた。
「タルブの村はね…アルビオンとラ・ロシェールの間にあるの。だから、上空で艦隊が戦
うかもしれないのよ。多分、無事じゃ済まないわ」
スカロンの言葉に、後ろの女性達も口々に窮状を語り始める。
「でも、もうすぐトリスタニアも火の海になるっていうし、逃げないわけにいかなくなっ
たのよ。王宮からも、アルビオンから城までの通り道になりそうな町や村に、避難命令が
出てるの」
「でもねぇ、ここにいるあたいらみんなワケありで、店以外に行く場所無くてさぁ。逃げ
るに逃げられなくて困ってたのよ」
「そしたらシエスタがさ、学院近くなら安全かもって言うんだよ!」
「そうそう!なにせ、戦う貴族はみーんなとっくに出て行ったし、残っているのは女生徒
ばっかだし、この辺は学院以外何にもないから戦場にならないかもって!」
「おまけに、トリステインの切り札!学院の秘密兵器!最強の使い魔達が守ってるんだっ
てぇ!?」
「向こうの戦艦の焼け跡みたよぉ!あんた、そんなちっこいのに凄いんだねぇ!一昨日あ
たし等の頭の上を飛んでくのもみたよぉ!」
ジュンはもう、スカロンの店の女の子達に囲まれていた。
「あ、あんたなら、坊や達ならトリステインを守れるんでしょ!?みんな、そう言ってる
よぉ!!」
「お願いします、トリステインを守って下さい!城下の、ド・ヴィヌイーユ独立銃歩兵大
隊に、あたしの恋人がいるんです。どうか、守って下さい。お願いします!」
「ロッシャ連隊には、あたしのただ一人の家族が、弟がいて・・・敵艦隊の的にされるか
と思ったら、もう、あたし・・」
「私達、ほとんどがワケありの流れ者で、もう店長の所にしか居場所が無いんです!!」
「あ、あたいに出来る事なら、何でもします!今夜一晩、いえ、いくらでもお相手します
から、だから、だから、トリステインを、いえ、あたい達だけでも・・・」
ジュンは、泣きながら懇願する女性達に囲まれ、どうしていいのか分からなかった。
ローザ・ミスティカを探すため、魔法を勉強するためにトリステインへ来たはずだ。本
来、この戦争にも何の関係もない。なのに、そんな彼の思惑とはかけ離れた事態に巻き込
まれ・・・。
今の彼には、ただ顔を伏せて立ちつくすしかなかった。
コルベールが、言葉が見つからないジュンの肩を抱いた。
「皆さん、言いたい事は沢山あるでしょう。でも、今日の所はこの辺でお願いします」
「そ、それじゃスカロン叔父さん、ジェシカ、みんなも、また来るから」
コルベールとシエスタに背を押され、ジュンはトボトボと学院へ向けて歩き出した。
もう沈みかけの夕日の中、ジュンが小さな声で呟いた。
「・・・先生は、どうして彼等と僕を会わせたんですか?」
コルベールは前を見たまま、ただ自然に答えた。
「戦争がどういうものか、君に知って欲しくてね」
「ジュンよ、戦争ってもんがどういうもんかシラねーから、おでれーたんだろ?でも戦争
が長引けば、もっと酷くなるぜ」
「ごめんなさい、ジュンさん。あなたには、ちょっときつかったね」
ジュンは俯いたまま、力なく歩き続ける。
「ジュン君、君は彼等を守るために戦おう、と思うかい?」
「…え?」
「いや、別に戦えなんて言いませんぞ。むしろ逆だ。戦いに行けば、君が兵士を殺せば殺
すほど、アルビオン側にも彼等のような人々がどんどん増えていくんです」
「おうおうコルベールさんよぉ!戦いの前にやる気なくさすようなこと言うなよぉ。戦争
なんだからしゃーねーだろ?」
「いいんだよ、デル公。敵も味方も人間で、殺し合えば誰も幸せになれない。そういう事
だよ。・・・頭で分かってても、実際に見ると、きついなぁ・・・」
「ちょ、ちょっと待って下さい!ミスタ・コルベール!」
シエスタが慌てて口を挟んだ。
「でも、ジュンさんが戦わなかったら、トリステインが負けて、あたし達が死ぬかもしれ
ないんですよ!?
メイジの人たちや兵隊さん達がいなくなったのを良い事に、周りの国も攻めこんで来た
りして、国がバラバラにされて、奴隷になんかされて、賠償金とか言うスッゴイ高い税金
とられて」
「それは、アルビオンも同じですよ」
「で、でも、私は死にたくないです。どうせなら、今まで通りみんなと生活したいです。
だからジュンさんには」
「そうだね…選ぶのはジュン君、いや、君の主のミス・ヴァリエールですかな?」
ハッとしてジュンはコルベールを見上げる。ただ真剣な顔の、彼の教師の顔を。
しばし見上げて、ゆっくりと口を開いた。
「先生は・・・戦争に行った経験はありますか?」
教師は、夕日を見つめた。血のように赤い夕日を。
「ありますぞ。・・・いや、戦争よりもっと酷い作戦を、何度も指揮しました」
「そう…ですか」
「今は、この学院で教師をしています。ですが、本来私は、こんな所で研究にふける資格
など無いのです。今すぐにでも、贖罪の炎に身を投げねばならないほど、罪深い人間なの
です」
ジュンとコルベールは、沈んでゆく夕日を前に、ただ立っている。
シエスタも、ジュンの背のデルフリンガーも、何も口を挟めない。
「ジュン君、君は優秀な生徒です。魔法は使えないが、魔法以外の全てを身につける事が
出来ますぞ。おそらく、その力は魔法を超えるでしょう。あのひこおきや、つーしんきの
ように」
コルベールは、まっすぐにジュンを見つめた。
「だからこそ、戦争に行かないで欲しい。その力を破壊に使わないで欲しいのです。君の
人形達と共に平和を生み、人々を幸せにするために、力を使って欲しいのです。みっとも
なくてもいいから、血を流さず生きて欲しいのです」
ジュンには、どう答えたらいいのか分からなかった。
雛苺と蒼星石を生き返らせる、ルイズやシエスタや学院のみんなを守る、そのために敵
を殺さねばならないという事実。自分が幸せになるために、相手を不幸にしなければなら
ないという現実。
だが、それでも・・・
「先生・・・先生の言いたい事、分かります。でも僕は、大事な人たちを守ります。それ
が、今の僕には出来るから。
逃げたくは、ないから。後悔したくないから。大事な人の死を、もう二度と見たくはな
いから。ルイズさんも、シエスタさんも、マルトーさんも、先生だって、みんな守りたい
から
たとえ、そのために誰かを殺さなければいけないとしても」
「そうですか・・・」
コルベールは、視線を落とす。寂しげに、哀しげに。
「すまねえな、オッサンよ。あんたの言う事はもっともだけどよ、現実ってやつぁそんな
に甘くねーんだわ。
それに、ジュンはなりはちっせえけどよ、もう子供じゃねえんだ。惚れた女ぐれえ、自
分で守らせてやれって!」
後ろで黙って聞いていたシエスタは、ジュンの『大事な人〜シエスタ』の言葉、おまけ
に『惚れた女』というデルフリンガーの言葉に、真っ赤になってモジモジしていた。
「・・・そうですな、軍から逃げた私に、何も言う資格はありますまい。
だがジュン君、これだけは言わせて欲しい。人の死に『慣れ』てはいけない。戦争に慣
れてはいけない。目の前に折り重なる死者を、ただの数字として数えてはいけませんぞ」
「・・・分かりました。僕が殺す人々の顔、決して忘れません」
教師の杖と生徒の剣とが交差し、誓いの十字を描く。
もうほとんど沈んだ夕日、赤く染まる草原。
長く伸びる十字の影が、どこまでも遠くへ続いていた。
第一話 課外授業 END
以上、今回分の投下終了です
虚無と最後の希望の人、失礼しました
待っていました、モフモフ?、支援
エレガントに戦死しそうなジュンだ
ああ、支援が間に合わなかった。
でもGJ!!
>30
待ってました! 投下乙です
薔薇乙女の方の投下のすぐ後で無粋なレス申し訳ありません。
前スレ746です。
前スレの方にも書き込みましたが、明日まで様子を見た後、
問題がなければ避難所の方へ投下させていただきます。
ダイナミックスレの
>>1のような一方的クロスではなく、
こちらのテンプレにある通りのゼロ魔も尊重したSSの予定です。
では、よろしくお願いします。
バランスブレイカーだろうが一発ギャグなら無問題
ダマばあさんのようにそのインパクトだけで持っていける代物なら
>>36 すいません、連載物の予定です。
ちゃんと完結できるかどうかはまだわかりませんが……orz
>>35 専用スレがあるんだがらそっちでやったほうがいいんでないか?
君はどう思ってるかはこっちに投下させてくれって言ってるのか知らないが、ここはダイナミックススレの避難スレじゃないからな。
前スレでも指摘されてたとおり、まとめのほうで修正すればいいんだし。
専用スレがあるとしても、こちらに投下してはいけない理由はないと思う
つか、こっちの方が賑わってて、投下しててやりがいがあるし
決めかねて意見を募る意味でのお試し投下まで制限されるもんじゃない
やるだけやってみりゃいい
その結果集まった意見に納得が行ったらそれに従え
>>37 ってかさ、本スレで聞くことじゃない
運営絡みなら避難所にどうぞ
それとここまで話を引っ張ると、書いた直後に叩かれるから気をつけた方がいいかもね
42 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/03(木) 00:26:46 ID:Xn7izQvj
ダイナミックスレの非難所として使われるのは違うと思う。
けど、ここを投下場所と定めて最初から最後まで使うって言うのなら断る理由は無いよ。
前スレ
>>784 個人的にはライオン丸Gの獅子丸ちゃんを希望したい!
シャンゼの暁に負けじ劣らずのダメキャラだったなぁw
>>43 初変身が「何これー!」のヒーローかwww
ワルド戦はウェールズがマイト持って特攻して相打ちだな
前スレの
788 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 00:36:39 ID:AW4hRKnD
500kbならばHがやってくる
Hと聞いて「アリフレロ―キス・神話・Good by」の「1234(クレイジー)」
かと思った奴は三人は居る筈
>>45 俺は何故か真っ先にアーマードコアのナインボールを想像してしまった。
つーかそんなもん召喚してどうするんだ。
>>43 基本的にはコメディ、しかし最終回で大量虐殺が…
GALZOOアイランドからレオを召喚
30人の従魔がレオを追ってくる…
H→きゅう→キュー→Q→オバQ
なんて過程でQ太郎に行き着く馬鹿は流石に俺だけでいい
>H
バカ妖精はルイズと絡むと面白そうだ。
しかし属性的にタバサ。
>>46 中の人など本当にいないからな
かといって本体は召喚するにはでかすぎる
>>45 近所のスーパーの事を思い出したのは多分俺だけだな。
Hを呼ぶとルイズが風邪っぴきになっちゃいそうだ。
>>47 それがライオン丸Gクォリティ
そしてルイズが協会で祈りを捧げているのか…
>>55 それではルイズに妊娠フラグが立ってしまうぞw
>>56 それだと相手は誰だ?
まさか一緒に召喚された錠さんか!?
や、でも錠さん早いからなーw
きゅいきゅいのお婿さんネタで思ったんだが………
登竜門のキングって男の子だよな?
ダイパから一部のポケモンは見た目の男女差があって、コイキング系はヒゲに色が付いてたら雄、白かったら雌なのだが。
ちなみに、
スリープ族は首のフサフサが長かったらロリーパー、短かったらショターパー。
女の子トゥートゥーは体の線が二本、野郎には三本。
ソーナンスの雌には真っ赤でせくすぃーな口紅。
>>10 どっからどう読んでもやっぱりそのまんまだから報告
//ncode.syosetu.com/n3202d/
もしも作者さん本人の投稿だったら、
ココかそっちか片方のみ投稿の方が余計な詮索されずに済むと思うぞ
前スレにあった前田慶次召還モノを探してて見つけたんだが、
こっちの方はもう読めないのかねぇ
60 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/03(木) 02:53:42 ID:XKSdQzeq
てことはキングが……
誰か、ガレリアンズのリオンを召還したss書いてくれんかなー
アッシュは召還した瞬間みんな即死亡だろうしほかは灰汁がつよいだろうし
62 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/03(木) 05:28:18 ID:ZWFEwI3x
前スレ500KBじゃないけど>>45-
>>50 Hネタはかなり前から考えてはいるんだが、俺の文才がなさすぎてどうにもこうにも…
改めてここで書いてる人達をすげーと思った(´・ω・`)
>>46 アリーナのトップがどうして…?うわあ!!
65 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/03(木) 07:49:21 ID:5w+1fO+f
>>58 きゅいきゅいのお婿さん・・・
イザベラがレジェンズのシロンを召還
なぜイザベラかってゆうと属性が風に特化しすぎてルイズの虚無の意味が無いのと
彼ならイザベラの理解者になってくれそうだから
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
文盲が増えてきたな
>63
やってみなくちゃ才能があるか同化分からないだぜ?
才能はともかく、文章力は
@ひたすら良い作品を読む
A読んだ作品を参考にひたすら書く
B書いた作品を他の人の意見を参考に徹底的に推敲する
で確実に上達する、筋トレとかと一緒ですぐに成果は出ないけどな。
けど頑張って研鑽を積めば、三ヶ月も経つ頃にはプロ並はともかく人並み程度の文章は誰だって書けるようになる。
どうやって書き始めたら……と悩む場合は「やる夫が小説家になるようです」が参考になるだろう。
つまり――書・か・な・い・か?
サガフロンティア2のギュスターヴ13世が召喚されるのはどう?
貴族で魔法(術)が使えないという共通点があるし。
>>48 虚無魔法とか全然気にならない火力の魔法とか素手でドラゴン(レベルのモンスター)殺せるとか
水から弁当つくるとか・・・
そんな事はさておいて、どんなEDから始まるのか非常に気になる&ルイズの必要性がわからない
確かにレオは色々とダメダメ人間だったので割と似合うかも。仲間の女の子モンスターさえいなければ
レオのみでは意味が無くて、全員揃うとやりすぎになる。
もう1つ
人数多過ぎて口調だけでは判別できないというかむしろ人数そのものが問題
これで作品書ける人がいたらいいのに…と思う裏ダンジョン制覇した事の無い俺
成田山の大本堂でルイズかきゅいきゅいが11時のお参りを待っているところを幻視している俺はタイムリーに病んでる。
天空の城アルビオン
ルイズの力を狙ったワルドがアルビオンの秘められた機能を使って
艦隊をバカスカ落として人がゴミのようだと笑っている隙を見て
風のルビーの力を解放したルイズとサイト
「バルス」
「目が、目があああああああああああああ」
虚無の魔法が発動したのか、崩壊していくアルビオン大陸
地上に甚大な被害が出て行く ぶっちゃけ貴族派よりも酷い
「見て、アルビオンが上昇していく・・・」
「ああ」
アルビオン大陸の内部にあった風石の巨大結晶が光り輝きながら上昇していく
「皇子です、祖国が抱懐したとです」
ウェールズが何かぼやいているが皆でスルー
「(スルー)見ろよ!でっかい風石だ!」
「風石が全部持ってちまう・・・」
サイト達を宿屋で襲った傭兵その壱とその弐が逃げていくお宝を
惜しんでいる
「お前たち情けないったらありゃしないよ あんだけ頑張ってこれっぽっちしか取ってこれなかった」
同じく宿屋で襲ってきたフーケも何故か盗賊団の首領になっていた
「じゃーん」
王家と貴族の財宝を持てるだけ持ってきた盗賊団はホクホクである
「よーし、お前らずらかるよー」
「へーい」
「じゃあルイズちゃん達者でなー」
「ばいばいー」
盗賊団はかっぱらった竜でどこぞに消えていく
そしてアルビオンが大気圏脱出をしてしまった為
祖国を失ったウェールズ皇子はアンリエッタの紐として
末永く幸せに暮らしました めでたしめでたし
>>71 つまりあれだ。フーケはあの長い髪をどでかい三つ編みにして斜め後ろにビーンとさせてるのか。
>74
かっこいいじゃないか。
>76
あれって屁だったのか?
マチルダさんが肝っ玉母さんになってしまう。
ちなみにフーケのまわりにいるのはオンディーヌな。
マッチョ要員としてスカロンやメンヌヴィルもなぜか参入。
>>69 まじしゃんENDならルイズ涙目
メイドさんENDならシエスタ微妙
バトルノートENDならアンリエッタ大喜び
クスシENDならタバサ大喜び
コンテENDならタバサ卒倒
アニメの絵だとあの二人がマチルダさんの配下になってても激しく違和感ないな
メンヌヴィルあたり力一杯人生を楽しんでそうだ
ルイズがテロテアリーナを召喚しました。
ペットのPちゃんがルイズに召喚されました。
ついでに小ネタで東京フレンドルイズを思い付いた。
乙
乙
Pちゃんwwww
乙
乙P
P
P
乙
( ゚∋゚)「……!?」
乙
何こいつ?
乙
ソードマスターヤマトの一回刺されただけで死ぬ四天王を召還
結論:すぐに終了
テスト
乙
乙
乙
乙
乙
内藤ホライゾン
乙
ちなみに俺は、イミフな出来事があると、幼女の妖精が現れた事にしている
乙
ゼロの英雄に出てたリィンダールヴって創作だよな?
乙
えー、自分のせいでこんな流れになったので話題を変えてみる。
ゼロのマジックユーザーで、ジーニアスはまだ自分がエルフ(実はハーフエルフ)とは明かしてない?
明かしたら明かしたで周囲の反応が気になるな。
そいいえばガイバーって装着すると洗脳支配とかから解放されるんだよね?
深町晶とか召喚して契約してもガイバー着けた途端に逃げ出したりするのか?
乙
ハルゲキニアは降臨者の実験場
>>112 マジックユーザーはあまりに酷い戦闘描写のせいで
誰からも乙ともGJとも言われず静かに消えていったよ…
ブリミル=降臨者で、虚無の担い手はゾアロードすら思念波で支配。
ユニットを召喚したタバサは、ガイバーとしてゾアノイド率いるジョゼフと
戦い続ける。
そして誘拐された母親を助け出すため、ヴェッサルテイルの宮殿まで侵入するタバサ。
だが、救助された母親は既に……。
ミョズニトニルン=ハミルカル・バルカス『覚醒せよ!エンザイム!』
うん。鬱展開だね。
>>112 作者乙
てか、
>>112は「設定・考察スレその4」の
>>985で10時間前に同じネタ振ったがスルーされ、
「雑談スレ Part2」ではトゥートゥーネタを振りこちらでもシカト食らって涙目になってる訳だが、
だからってこのスレで改めてマジックユーザーネタ振るなんて、どんだけ寂しがり屋なんだよw
m9(^Д^)プギャーと言わざるを得ない。
>>119 やめとけ
寂しい妖精が2匹になったらうざいだけだぞ
そーゆーのは毒吐きでやれ
魔法を使うやつらが相手なら
覇王翔ロ孔拳を使わざるを得ない
ガンダムSEEDからアズラエルw召還
投下予約してよろしいでしょうか。
Sts後のなのはさん(20)が召喚されます。
ある意味ガチクロス、聖地のあり方とか大改変しちゃうネタですが(13巻発売前に思いついたネタですので)
原作の3〜4巻程度で完結予定です。
白い魔王かw
支援
支援ンンン!
管理局の白い悪魔かよwwww
支援
支援せざるをえない
プロローグ・被召喚者の事情
0077.9.18 第64管理外世界。
ここ第64管理外世界は、放棄世界……星としての生命力が尽きかけた、見捨てられた荒野の広がる世界である。
荒野と廃墟だけは無数にあるが、かつてはいたと思われる住民も遙か昔より行方は知れず、動植物もきわめてまれである。
入植しようにも地力すら尽きたこの地においては再生費用がとうてい採算ラインに及ばず、ということで現在もただの空き地として事実上野放しになっている世界である。
ただ、残された遺跡の調査や、犯罪者達に対する警戒は怠りなく行われており、また、管理局武装隊関連の演習場としても活用されている。遺跡も文明の進化度合いから一部の学者がある意味興味本位で行っている程度のものであり、特に危険視はされていない。
だが、ある意味それが油断だったのかも知れない。
住民が根こそぎ移住するような場所には、やはりそれなりの訳というものがあったりするのだ。
幸い、今回の事件で判明した『訳』は、たいした危険性のあるものではなかった。
一時期は管理局全体を揺るがす事件になるかとも思われたが、最後は思ったより平和理に片が付いた。
事実、この事件の発端において、巻き込まれたのが彼女でなかったら、事件はこうも大きくはならなかったであろう。
現地にて教導を行っていたが故に、そしてかつて機動六課でロストロギアがらみの事件に絡んでいたが故に、この事件において不在にして主役という役割を賜った彼女。
高町なのは(20)、あのエースオブエースが、謎の次元震とともに行方不明にならなければ。
その時彼女は、現地で発掘された、ロストロギアの可能性もある大型機械の元にいた。
地下の奥深くに設置されていたそのシステムは、魔力の供給によって、かなり強力な次元振動波を発生するシステムであると思われた。
本来なら、このシステムはあと十年は発見されることも、こうして封印処置が執られることもなかったであろう。それは皮肉にも、今応急の封印処置をしている、高町なのは教導官のせいであった。
このシステムの起動には莫大な魔力が要求される。システムの構築者であるかつての住人達にとってもその魔力量は負担だったようで、魔力の蓄積は自然の魔力素の集積や、余剰魔力の回収などによって行うシステムになっていた。
なのは達は、今回よりによってその集積装置の近傍で演習を行っていたのである。参加した隊員達、およびエースオブエースであるなのはがさんざんにまき散らした魔力が片っ端からこのシステムに吸収されたためシステムが覚醒状態に移行し、こうして発見されたのだった。
システムは現地の遺跡調査隊や演習中の魔導士達が調べたところ、理由は不明ながら、強力な次元振動波を発し、やり方によっては人工的な時空震を引き起こすことも可能らしいことが判った。
また、起動したシステムから断片的に読み取れた情報として、このシステムはこの星の複数箇所に設置され、リンクして次元振動波を発生させることも判明した。
こうなるとよくて管理局の直接取扱物件、最悪の場合は一級のロストロギアとしてこのシステムは扱われることになる。
直ちにこの一件は通報され、担当の部署が動き出すことになったが、問題は今覚醒状態にあるシステムである。
現時点においてこのシステムに対して何かできる経験を持ち合わせていたのは、かつて機動六課でロストロギア事件に対処し、過去においてもいくつもの類似事件を解決したことのある高町なのはその人しかいなかったのである。
結果、彼女は単身でこの場にいた。万一があった場合、現在この地にいる要員では、かえって足手まといになる可能性が高かったためである。
彼女は精密魔力探知スキャナーや高性能ハンディーコンピューターといった機材をいくつか抱えて、問題の次元振動波発生システムに対して封印処置を行った。
幸いその処置は(なのはというよりサポートのレイジングハートの能力で)うまくいき、システム暴発の恐れはまず無くなった。後は残った部分を順次閉鎖処理、要は電源を切っていくだけである。
だが、その時、突然システムの一部がよみがえった。
なのはさんTUEEEEで終わらなきゃいいけどw
支援
「え、何? なにか?」
思わずあわてたなのはであったが、そこに素早くツッコミが入る。
“ご安心を、マスター。起動したのは次元波の記録システムのようです”
レイジングハートが、マスターたるなのはより遙かに的確に状況を把握し、報告する。
実際、なのはは魔導士として、戦闘能力やそれに付随する教育能力に関しては文句の付けようがないくらい優秀であったが、こういった細かい分析や記録、各種装置の操作に関しては相棒まかせな一面もあった。
決して機械いじりが苦手なわけではないのだが、性格的に大雑把な面のあるなのはは、こういう事はたいてい相棒に任せていた。実際、十年来のつきあいのある相棒も、その点はよく理解している。
インテリジェンスデバイスとしてマスターを選んでより十年あまり、その年月による蓄積は馬鹿に出来ないものになっていた。
「でもなんで……ん?」
疑問に思ったなのはの前に、不可思議な「何か」が存在していた。
銀色に光る、魔力で構成されたと思われる鏡のようなもの。景色が映っているわけではないが、その形状が何故か鏡を思わせる。横から見ると、ある一点でまったく見えなくなってしまった。
「うそ、魔力による純粋二次元境界面? 何かしら。何となく転移ゲートっぽいけど、魔法陣も展開されていないよね」
“未知のゲートだとしたならばきわめて危険です”
レイジングハートも忠告する。
ここで少しメタな話をするが、ここでこれを危険と見なし、謎のゲートが消えるまでおとなしくしていれば、ゲートの向こう側では桃色髪の魔法使いの履歴に、また一つ失敗のサインが加えられ、別の世界でヘタレの少年がそれに突っ込んでいたことであろう。
だが、この話の場合、不幸にもなのはの念話に、とぎれとぎれながらも何か『意志』のようなものが伝わってきてしまっていた。
「え……何、何が言いたいの?」
なのはに届いた思い。いや、想い。
彼女はそれに心当たりがあった。
かつて、今の親友が、まだ親友でなかった頃抱いていた思い。
見果てぬ夢、叶わぬ夢を、それと知りつつあきらめられずにあがく。
その想いは、違っていながら親友のそれに大変よく似ていた。
そしてその想いは。
自分に向かって、不可視の手を差し出していた。
「あたしを、呼んでるの……?」
“危険です、マスター”
そしてなのはは、レイジングハートの制止を無視して、そのゲートに触れてしまった。
0077.9.18
第64管理外世界より発掘された、次元振動に関わると思われる遺跡内部にて、謎の時空震とともに、高町なのは一等空尉消失。
かの遺跡は直ちにロストロギアとして封鎖。これが事件の初動に対して致命的なミスとなる。
後の調査によってこの遺跡が、我々が地震波によって地中を調べるのと似たような原理を利用した次元間探査システムであって、彼女の消失とは無関係であることが判明するまでにかなりの時間が経ってしまったのである。
もっとも、事件が解決に至ったのも、このとき起動していた次元振動波の記録システムのおかげであると思えば、まさに『禍福はあざなえる縄のごとし』といったところであった。
なお、この事件の解決にあたって、管理局側でも異例と思われるほどの大物が複数動いていたことは、建前としては記録に残っていない。
冥王支援
あ、設定における注意書きが一つ抜けていました。
この作品ではレイジングハートがしゃべりまくる予定なので、英語に翻訳するとかなり無理が出そうなため、あえて日本語のままになっています。
ご了承ください。
第一話 召喚
そこに現れた人物を見て、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは激しく混乱していた。
春の使い魔召喚の儀式――これに失敗すれば後はない――において、彼女はある意味初めて魔法に成功したといえる。彼女の呼びかけに答え、それは召喚されたのだから。
だが、今彼女の目の前にいるのは。
年の頃は自分より上、明らかに大人の女性。
肌の色は自分たちよりやや黄色っぽいが、キュルケのように濃い色ではない。
髪は長い栗色、頭の横でくくられている。
着ているものは見たことのない意匠の服。かなりきっちりとしたイメージの服で、色は白と紺、スカートも短めではあるが裾が縮まっていて猥雑な感じは受けない。全体的に見れば自分たちの制服をもう少しお堅くしたような感じがした。
そして彼女のまわりには、金属とも木とも付かない何かで出来た、薄い箱のようなものがいくつか落ちていた。これはおそらく彼女の私物であろう。
身なりはよいが、杖やマントは所持していない。ということはたぶん裕福な平民であろう。
と、そんな風に説明できる女性が、気を失ったまま、ルイズの目の前に倒れていたのであった。
混乱が収まるにつれて、ルイズは自分が何を召喚してしまったのかを理解した。
「ミスタ・コルベール!」
あわてつつも、今回の儀式を取り仕切る教師である、コルベール師に声をかける。
「も、もう一度召喚させてください!」
しかし、彼女の意に反して、コルベールは首を横に振った。
「ミス・ヴァリエール……遺憾ながら、例外は認められない。春の使い魔召喚の儀式はすべてにおいて優先する神聖なもの。続きを」
まわりでは級友達が平民を召喚したのなんだのと盛んにはやし立てているが、そんなものは今のルイズの耳には入っていなかった。
内心不満ではあったが、これを拒絶すれば自分は落第確定である。そうなればいくら何でもこの場にはいられない。故郷へ強制送還の上そのまま事実上の幽閉、ろくに魔法も使えない公爵令嬢として、いずれ待つのは政略結婚であろう。
一応婚約者くらいは居る身であるが、魔法学校を落第中退となったら、そんなもの解消される可能性の方が遙かに高い。何しろ彼はきわめて優秀なメイジとして王家に使えている身なのだから。
(でも、いいのかしら……どう見ても自分より年上の女性を使い魔にするなんて。身の回りの世話はしてもらえそうだけど、それ以外のことには期待できそうもないわよね、はあ……)
邪険に扱うわけにも行かないだろうし、まあ、メイド扱いくらいかな、と、多少不埒なことも思いつつ、ルイズはコントラクトサーバントの呪文を唱え、いまだ眠ったままの彼女と唇を合わせた。
と、その時、彼女の胸元で、何かが光った気がした。
突然マスターに注ぎ込まれた強力な魔法に反応して、レイジングハートは覚醒した。次元間移動と思われる現象にマスター共々巻き込まれ、その衝撃で機能不全に陥っていたようだ。
そこにゼロ距離で、マスターのものとは異質の魔力が注がれたことを彼女は感知した。
しかもどうやらその魔力には、マスターに対して肉体的・魔法的危害を加える要素が感知された。すでにマスターの肉体および魔力線に対する侵略行為が行われている。
直ちに対抗魔法を執行しようとしたが、その侵食はあまりにも強力であり、また、発動場所がマスターの体内であることが災いした。外部からの干渉であれば、干渉元との連結を断ち切ることによって対抗できたであろう。
だが問題の術式は接触によって直接マスターの体内に打ち込まれた。こうなると対抗術式の起動はマスターに想像以上の負担をかけることになる。
ただでさえ現在、マスターの内部にはかつての事件による後遺症が残っている。外面的にはほぼ完治したように見えるものの、内部には細かい傷が無数に残っている状態だ。
そんなマスターの内部で魔法をぶつけ合ったりしたら間違いなくマスターの肉体に今以上の負担をかけることになる。
打つ手なしであった。
“申し訳ありません、マスター。防御に失敗しました”
小さく、はかなげにつぶやくレイジングハート。だが、意外なことに彼女は気がついた。
体内に侵食した謎の術式は、その過程において、急速にマスターの魔導的内部障害を修復していく。
リンカーコアとの間に独自の連結線構成。
神経回路・筋肉組織内に魔力制御可能な副次ユニットを構成。
左手に収束端末を兼ねたセンサー回路を形成。
脳の一部と接触する形で各種情報を魔導的にやり取りするためのカプラー端末を作成。
レイジングハートにはこのシステムに見覚えがあった。
(リーンフォースUのユニゾンシステムに酷似)
そして、このマスターに対する魔導的改造は、レイジングハートには接触できない領域にストレージデバイスによく似たメモリのようなものを形成して終了した。それと同時に、今の術式によって肉体的な痛みを覚えたマスターが覚醒する。
レイジングハートは、いずれ行われるであろうマスターの質疑に答えるためのデータの作成を開始した。
使い魔のルーンが刻まれる衝撃で、使い魔となった女性が目を覚ましたようだった。
「あなた、誰?」
寝ぼけ眼の女性に、ルイズはそう問いかける。瞳は黒い。食堂のメイドに似たような色のがいた気がする、と、彼女は思った。
「ここ……どこ?」
彼女は私の問いには答えず、辺りを見回しながらそう聞いてきた。
ルイズは少しむっとしたものの、無理もないと思い直し、彼女の問いに答えた。
「ここはトリステイン魔法学校。あなたは私の使い魔としてここに召喚されたのよ」
「トリステイン魔法学校?」
「そう。で、あなたは?」
名を聞かれていることに気がついた彼女は、見た目より幾分若く感じられる口調でそれに答えた。
「あ、私は高町なのはです」
「タカマチナノハ? 珍しい名前ね。私はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。私のことはご主人様と呼びなさい」
いきなりそんなことを言われ、さすがになのはもとまどった。
「い、いったい何事なの? なんでご主人様?」
“落ち着いてください、マスター”
そこに挟まるレイジングハートの声。なのははすっと落ち着いたが、逆にルイズの方がびっくりして彼女から距離を取った。
「だ、誰?」
その様子を見たなのはは、レイジングハートに念話で話しかける。
(ね、レイジングハート、いったい何があったの?)
(“どうやら我々は、彼女の召喚を受けたようです。キャロ達が使うものとは形式が違う、未知の魔導によって”)
(召喚? それで全然知らないところにいるんだ)
(“はい。それで、申し訳ないのですが、マスターが意識を失っている間に、何らかの魔導改造による拘束を受けた形跡があります。詳細は不明ですが、未知の形式と既知の技術が組み合わさったような、不可解なものです。
幸いですが、現在のところマスターの身体に不都合な影響はありません。むしろ、生体強化のような、マスターに有益な改造の気もします”)
(有益な改造? でも、とにかく手遅れなわけね……)
(“はい。彼女が『使い魔』といっていたところからすると、従属の術式である可能性が高いと思われますが、現時点でその形跡は見られません。なお、マスターを悩ませていた後遺症が、一連の改造の際に取り除かれました。僥倖ですが”)
(人間の強制召喚、後に無断改造、おまけに従属強制……ものすごい重大犯罪だけど、まわりの様子からすると、そんな感じは受けないわね。ごく当たり前の事みたいだし)
周りを見れば、自分に語りかけてきたルイズという女の子と同年代の少年少女が多数、その大半は様々な動物と一緒にこちらを注視している。
そこでなのはにも判ったことがあった。
(その改造……本来動物用なのかな)
(“使い魔という呼び方からして、可能性は高いと思います”)
なのはは一度頭の中の情報を整理した。
トリステイン魔法学校。
召喚と従属による使い魔獲得。
だとすると、一連の行為はこの社会においてごく当たり前のもの。
……自分にはそんな社会形態に心当たりはない。
結論。
未知の形式の魔法が存在する管理外世界からの強制召喚。
>現時点において彼女の行為を犯罪として罰することは出来ない。
>同時に自分のミッドチルダおよび日本国民としての権利行使も無意味。
>>元の世界との接触が確保できるまでは、自己の生命に危険がない限り彼女たちに敵対するのは不可。それは他世界の文明・文化を不当に弾圧・糾弾することとなり、他世界文明の保護に関する法律違反になる。
一応、隷属の強制という、自己の尊厳に関わる行為は行われているものの、もう少し情報が集まってからでないと勇み足となる可能性も高い。管理外世界に対する干渉には、かなりの慎重さが要求されるのだ。
自分から見てどんなに非道、無体な行為でも、現地社会において容認されているのならば否定は出来ない。なのはだって、自分のふるさとである地球――第97管理外世界に対して、管理局が侵攻して地元の文化を野蛮だの、質量兵器行使だのと糾弾・否定されるのはいやである。
“郷に入りては郷に従え、ですね”
とどめを刺すレイジングハートの言葉に、なのはは大きくため息をついた。覚悟を決めて、あまり言いたくない言葉を口にする。
「で、私はどうすればいいんでしょうか、ご主人様」
それが、後にこの世界、ハルケギニア6000年の歴史を終焉させたあの大事件の始まり、ルイズとなのはの邂逅であった。
とりあえず投下終了です。
続きは2話はほぼ完成。ある程度たまったら逐次投下していきます。
後、さすがにかなりなのはさんTUEEEEEになりますのでその辺はご勘弁を。
ていうか弱い魔王様は魔王様じゃないw
それだけにはならないようにしますので。
支援
乙
あえてツッコミ
なのはさんは機械にかなり強いデスヨ
乙
乙
乙
投下乙です。
>弱い魔王様は魔王様じゃない
大人verの場合はもうお約束かと
強くてもキャラの絡め方次第で良い話にできるはずだと思うので、ガンガンSLBぶっ放してください
乙
乙
乙
乙
魔砲使い>>タイトルを見て、先ず黒姫が思い浮かんだ自分は・・・・orz
初めまして、そして、乙です(_ _)
“なお、この事件の解決にあたって、管理局側でも異例と思われるほどの大物が複数動いていた”>>
一応、ガチで動きそうなSクラスがパッと思い浮かぶだけで3(4)人
唯一の古痕(ペナルティ)も完治の感が有るので、死角は無さそう
魔王→冥王へのクラスチェンジも近いかと
個人的に、主人公=最強が自分の中ではガチなので、なのは最強は超歓迎です
ガンガンブッ放して下さい!!
後、揚げ足を取る様で申し訳無いのですが、142さんの意見に同意です(原作者公式設定)
最後に
続き、楽しみにしています
頑張って下さい!!
おつかれー
契約って便利だな
乙
>弱い魔王様は魔王様じゃない
むしろこの際最弱になってもいいんじゃない?
超魔王(?)みたいに
乙
同じネタを先に...しかも導入部が俺より上。
これは支援するしかない!
乙
ミス・ロングボウ・アパッチ
乙
>>122 親父のは街が吹き飛ぶ衛星レーザーすら相殺するからオーバーキルかと…
ええい、カスペンビームライフルを使うんだ
そりゃあれと比べりゃましかもしれないけどさ
>>886 俺は相手の承諾を得てたリンディのほうがましに思えた
宇宙大帝も真っ青な化物を召喚しといて
説明もなしに即契約ってありえんだろw893とかわらんよ
出だしの契約のとこで駄作かどうかは決まる法則
おっかしいな。146でレスした後、“急に”自分も今書いてる反則的存在のキャラとのクロスを投下したくなったんだ。
赤面してぇ〜。この駄文を投下して皆様の鋭い突っ込みで恥ずかしさの余り赤面してぇよぉ〜
と言うわけで5分後投下予約します。
とうとう来たか…ハルケギニアの終焉の時が!GJ。
最強は最強で素敵だが、クロサギみたいな詐欺師・知能犯がミョズとして召喚されたらどうなるのだらう。
トリステインの法律はそんなにしっかりしてなさそうだけど。
では、支援。
>>151 だから3期はダメなんだと思ってる俺
そもそも百合書く都築が好きじゃない時点で一回通りしか見てないけど、それでも…
正直主人公が強すぎは嫌な自分。強くてニューゲームなんてヘタレのやる事だと思ってます
ゼロ魔はドラクエどころか富樫のレベルEのエセ戦隊並みよ?合わせるべきじゃないと思う
主人公が始めから強いゲームで楽しいのがあった覚えが無い。
主人公TUEEEEEEEEEEEはあんまり。なのはさんの言葉には説得力皆無だし
あと作者さん
『リーンフォース』じゃなく『リインフォース』です。イは大文字。アニメしか見てなくて知らなかったらゴメン
さて、それはさておき明日あたりにはロックマンEXEの某ナビ主役の作品の1話目が作れそうです
やっぱり初期化すべきだと思うんだ。前に出てたゼロが主役の物にしてもサイバーエルフ効果無さそうだ
…ん?よく考えるとライト博士製の主人公は1人も使われてないって事か?
やはりサイトの位置には接近戦メインが来るべきという事なんだろうか
アドルフ某がミョズニトニルンで。
ドSな使い魔
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
例によって例のごとく、すべての物語はここから始まる。
物語の舞台となる時空で紡がれた魔法の言葉は、別の時空、現代世界のごく一部に干渉し、一つの個体をその時空から消し去った。
そして、この時空に現れて新たなる歴史を創造してゆく……
SIENT
ここ日本の何処にでもいるような平凡な高校生、平賀才人は、その日少しだけ非凡な出来事に遭遇した。
往来の真ん中に現れた謎の物体。一見すると鏡のように見える。
ただ一点異なるのは、それが何の支えもなく空中に浮いている所だ。
パソコンのやりすぎでついに目に異常が出たかと目をこするも、そのナニカは一向に消えない。
元来好奇心の強い才人は、その光景に畏怖するどころか目を輝かせはじめた。
そして、今一現実感を持てないまま、この現象はどういう仕掛けなのか、さてはプラズマ、はたまたホログラムかと色々調べ始めた。
まずは手に持った傘で突付いてみたが、あっさりとすり抜ける。
どうやら害は無さそうだと判断した才人は、直接触れて確かめようとしてふと思いとどまった。
この現象を誰かに見せびらかしたくて、携帯を取り出し撮影しようと試みたのだ。
だが、傘と先ほど修理したばかりのパソコンが邪魔でうまく取り出せない。
仕方なく一旦荷物を置こうと視線をそらした瞬間に、それは起こった。
突然の発光現象に驚いて、振り向いた才人が見たものは、謎の物体の真下から空間を捻じ曲げて現れた何者か、そしてそれが接触した瞬間に先ほどとは異なる光を放ったあの鏡であった。
そして極めつけに、突如現れた何者かが鏡の中に吸い込まれていき――
消えた。
跡形も残さず、綺麗さっぱり無くなっていた。
こうして、僅かな気の迷いのせいで歴史はその流れを変えた。だが、歴史は些細なことで常に流れを変えて動いている。こうなったこともまた必然かもしれない……
後に残された才人はしばし茫然自失の態で、再起動までに10数秒を要した。
そして恐る恐るそれがあった場所を傘で突付きまわす。
もちろん召喚のせいで一時的にゲートが開いていただけであり、そのゲートが閉じたら後には何も影響を残すことはない。
では、地中から現れた者はどうだろうか…
傘で突っついても何も起こらなかったので、才人は一歩足を踏み出した。…反応がない。ただの地面のようだ。
内心先程のように吸い込まれたり、ぽっかりと穴が開いて奈落の底へと落ちていくのではないかと覚悟していただけに、幾分拍子抜けである。
とにかく、こちらも元通りになったようだ。
何もない空間に向かって傘を振り回すだの、さもそこに何かがあるかのように地面を踏むだのと、他人が見たら可哀想な人扱いされること間違い無しな行動を終え、才人はポツリと一言漏らした。
「俺、ネトゲ卒業するわ」
――所変わってここはハルケギニア大陸の一角にあるトリステイン王国の魔法学院。その中庭では折しも二年生への進級試験、使い魔召喚儀式が行われていた。
儀式は滞りなく進み、残すところあと一人となったところで周囲のざわめきは最高潮に達した。悪い意味で。
「成功するわけないだろ……常識的に考えて……」
「降臨祭までには終わるさ」
「魔法もできずに召喚とな!?」
「俺、召還が成功してたらあの子と結婚するんだ……」
「この賭……分が悪すぎる…」
「さてダッチ、あたしゃ黒だ。あんたは?」
「言ったろ? 俺だって黒だ。賭にならん」
<いいぞ ベイべー!
召喚に成功するのは訓練されたメイジだ!
伝説の使い魔を呼ぶのは更に訓練を積んだ虚無の使い手だ!!
ホント 召喚は地獄だぜ! フゥハハハーハァー
各々の発言からも分かるとおり、大トリを務める生徒の評判はすこぶる悪い。成功しないことが半ば前提になってしまっている。
見ると、陰口をたたいている者以外にも、青髪の小柄な少女が本を山積みにしている。持久戦の構えだ。
……正直ナメられてるとしか言いようがない。
だが、批判対象の少女はそれらを一切無視する形でひたすら召喚に専念する。
今までの努力が実を結ぶことを祈って。
そして、幾多の失敗を越えて、ついに天は期待に応える――
――随分と意地悪な応じ方だったが。
呪文を唱え終わった瞬間、彼女にはこれはという確信めいたものがあった。
その確信を抱いたまま、杖を振る。結果発生した爆発は、いつもとは異なる手応えを感じられるものになった。
たちこめる噴煙の奥を、期待を込めて見守る桃色の髪の少女。周囲の者も、どこか様子が異なることを察したのか、不安げに遠巻きに見守る。
そんな中、一陣の風が漂う煙を飛ばす。その向こう、うっすらと見える“それ”は――
ここトリステイン魔法学院の生徒、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、自分の目が信じられないでいた。
自分が召喚に成功したことが――ゼロと呼ばれたこの自分が魔法を成功させたことが。それ以上に、自分が召喚した使い魔の姿が信じられなくて。
私が召喚したのは、あれは……翼? それにあの頭……角が生えてるように見え――
え、ちょっと待って。私がやったのは黒魔術なんかじゃなくて使い魔召喚の……まさか、私悪魔を召喚したの?
煙越しなのでシルエットしか判別できなかったが、あれは人間のように見えて、そうではない。翼人とも違う、もっと禍々しいナニカだ。
角度の関係上、それはルイズを始めとしてわずか数人だけにしか見えなかったが、それでも大多数の者が、この場の空気が変わったことを察知していた。
この場の全員が注視する中、煙が徐々に薄れてゆき、ついに現れたその姿は……
「あれ?」
おかしい。さっきは頭から角が生えているように見えたのに。目の錯覚? だけど確かに――
「召喚、成功だね。…おめでとう」
「…え?」
その言葉で我に帰るルイズ。
そうだ。とにかく召喚に成功したことは間違いない。たとえそれが――目の前の平民(?)の男だったとしても。
だったら私は喜ぶべきなんだろう。
でも、何故コルベール先生は憂かない顔をしているのだろう。どうして私の使い魔に対しての警戒を解かないのだろう。
やはり、先生も見たのだろうか。あの青いスーツを着た体の上に、鳥みたいな頭が乗っていたのを。
――――――Sな使い魔 第1話 呼【しょうかん】 /おわり
ペースおせえよカス
迷惑だ
おまけ
NGシーン Take 1
【アキバ】秋葉原で謎の発光現象が【目撃者多数】
309 : 迎撃ミサイル(樺太) 投稿日: 2004/6/30(水) 02:58:22 ID:5rVKK9zmO
これ結局どこで起こったの?
310 : 高校生(東京都) :2004/6/30(水) 03:01:10 ID:hS17pcXp0
俺これ間近で見た
なんか光る板が現れたと思ったらいきなり変な格好のやつが現れてフイタ
311 : F1パイロット(三重県) :2004/6/30(水) 03:02:47 ID:AfWe95vj0
お前らアキバネタだと反応早いよなwwwwwwww
312 : 専守防衛さん(千葉県) :2004/6/30(水) 03:05:25 ID:2dckjb470
どっかのブログで見たときはネタかと思ったけどマジだったの?
313 : 解放軍(神奈川県) :2004/6/30(水) 03:08:14 ID:1I0zeXXD0
>>298 MIB乙
>>310 デュエリスト乙
314 : 高校生(東京都) :2004/6/30(水) 03:10:21 ID:hS17pcXp0
いや本当に見たんだって
315 : 殲10(アラバマ州) :2004/6/30(水) 03:15:30 ID:1s7eOKb40
それなんて(ry
>>172 ごめんね。母さん投下初めてだから。ごめんね。
>173
とりあえず、アレな人には触らない方向で。
付け上がるからな。
…………。
?
投下完了したかどうかと
原作が何であるかを書いてもらえると嬉しいのですが
ブッ壊れてないクロスSSなんぞ、あるキャラを別のキャラが演じているだけの物にすぎない
良い意味でブッ壊れるからこそ良いんじゃあないか
それが作品内のキャラにとってプラスになるかマイナスになるかは置いといて
それが色々とクロスSSを読んで思った事。
キングダムハーツからロクサス召喚
ジョゼフと]V機関が組む。
]V機関にウェールズやタバサの母親のノーバディがいるとか
眼つきの悪いゼロの使い魔読んでてふとテファがルパン3世呼び出す話を妄想した
フジコポジションのオマチさんと日夜盗みに励みルイズに呼び出された銭形のとっつぁんに
追い掛け回されて終いに元の世界に帰る時にテファにとっつぁんがあの名台詞を言って〆る話が思い浮かんだ
>>180 テファがクラリスポジションになって「きれいなルパン」ですね?判ります!
もしくはシエスタがとっつぁんに懐いて銭形(俺にも春が…)
シエスタ「故郷の父を思い出して…」
銭形(やっぱりなぁ…)
それは唐突に起こった。
ルイズがトリステインからの大使だと聞いたイザベラが何の気なしに口に出したのだ。
「じゃあ、魔法の腕もいいんだろうね。トライアングルかい?」
トリステインはガリアと並ぶ魔法大国である。
違うことと言えば、昨今のガリアでは建前上は魔法の優劣で人間の優劣は決まらないとされていることくらいだ。
これは多分に現ガリア王ジョゼフに魔法の才能がないという事実に端を発している。
魔法が使えないものを下に見るということは、すなわち国王を、
即位早々に大粛清を行った暴君を愚弄し、侮辱することになるのだから。
もっともそれは正しく建前上の問題だけであり、表に出せない分だけ根深い差別を生み出す温床となってもいるのだが。
一方トリステインはどうかと言えば、その先王は風の属性を持つアルビオン王弟でもあり、
その王女アンリエッタもまた水のメイジである。魔法の才能ある者に対する優遇はガリアの比ではない。
ましてやルイズの実家はヴァリエール公爵家。現当主とその夫人の双方がスクエアメイジであることは有名であり、
非合法とはいえ騎士団団長をしていたイザベラの耳にもその家名は届いていた。
ただし、その子供たちに関しては三人ともが女性であることもあって詳しい話は伝わってはこなかった。
公爵家を告ぐのはその入り婿であるだろうから、娘たちに婚約者が出来ればそれを調べれば良いという判断があったからである。
ちなみに一番可能性の高い長女の婚約者については、あまりに頻繁に変わる所為でそれ専門の部署が作られたと言う事実もあるが、
流石の北花壇騎士団団長もそこまでは知らなかった。
とまれ、イザベラの問いにルイズは何の気なしに答えたのだ。
「いいえ、わたしは魔法は使えないわ。
使えたのは二回だけ。ブータを呼び出した時と、契約した時だけよ」
はにかみながらそう言って微笑みながらブータを撫ぜるルイズ。
驚き、呆然としてそれは本当かと目線で問いかけるイザベラとカステルモールに、
ギーシュとキュルケ、タバサはあるいは言葉で、そして態度でそれが本当であると保障した。
彼らはルイズが嘘つきであることは知ってはいたが、彼女が魔法が使えぬことは事実であったからだ。
それを見たカステルモールは隣の少女が聞いてはならぬことを聞いてしまったのではないかと微かに顔を歪め、
ワルドはそれを知ったガリアの主従の言葉や態度でルイズが傷つくのではないかと懸念を抱いた。
タバサは我関せずと懐から本を取り出し、ギーシュとキュルケは何かを期待するかのようにルイズを眺めた。
彼らはルイズがそのような事で傷つかぬと誰よりも知っていたし、何よりも彼女がつく嘘を好ましいと思っていたからだ。
「嘘だね! 信じないよ! トリステイン貴族のあんたが、しかも大使様が魔法を使えないなんてさ!」
――――そしてイザベラは身体を震わせ、真っ赤な顔で激怒した。
驚いたようにキュルケとギーシュが顔を見交わす。
彼らには解らなかったのだ。なぜ、イザベラが怒り出したのか。
それはカステルモールやタバサ、ガリアの王女を知る者たちも同様だった。
魔法が使えぬルイズを蔑むのならまだ解る。哀れむのも理解できるだろう。
だが、なぜイザベラが怒ったのかは解らなかった。
ワルドはイザベラの瞳と表情に微かな既視感を憶えて首を傾げ、
ブータは異世界での車椅子に乗った友人を思い出して沈痛な息をついた。
「信じない、絶対に信じない! やっぱりあんたも人形娘と同じで、あたしを馬鹿にしているんだろう!?」
叫ぶイザベラの脳裏に、ガリア宮殿での記憶が蘇る。
魔法の才能の無い自分に向けられる侮蔑の視線。呪詛の様に耳に届く嘲りの言葉。
自分と従妹を比べる視線と言葉に、一体どれだけ眠れぬ夜を過ごしたことか。
どれだけの憎悪と屈辱を両手に抱えて日々を過ごしたことか。
なのにこの娘は、トリステインの大使として選ばれたこの娘は。
友人たちに囲まれて笑うこの娘は言うのだ。自分には魔法が使えぬと。
自分が欲しかったもの。かつて夢見たもの。
叔父の死と共に失われた筈の従妹の友情。
自分を蔑みも嫌いもしない友人たち。
その全てを手に入れているこの娘が魔法を使えぬなど、そんなことがある筈が無い。
「始祖ブリミルにかけて、そんなことがあっていい筈が無いんだ!」
193 名前:ゼロのガンパレード[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 13:53:54 ID:wSzmHblQ
血を吐くようなイザベラの叫び。
キュルケにも、タバサにも、ギーシュやカステルモールにもその心情は理解できなった。
なぜなら彼らにとっては魔法を使えることは当たり前のことであり、自分の才能について憎悪したことなどなかったのだから。
ワルドは一度だけ目を瞑り、そして桃色の髪の自分の婚約者に視線を向けた。
遠い昔を、もう夢のように思える微かな記憶を思い出したのだ。
庭の湖に浮かぶ小さな小船で泣いていた幼い少女。
魔法が使えぬから父も母も姉も自分を嫌うのだと、その瞳に涙をためて。
魔法が使えぬから召使いや平民にすら馬鹿にされるのだと、唇をかみ締めて。
魔法が使えぬ自分が全て悪いのだと、ただ自分だけを責め続けていた、小さい姫君。
自分はあの時なんと言ったのか。そんなことは憶えていない。
けれど、なんとかしてその涙を止めたいと思ったことだけは憶えている。
それは彼がまだ若く、その手を血に濡らすことも、謀略の泉の水を飲むことすらなかったことの遠い夢。
彼は彼女の手を取って小船から連れ出して、けれど何も言えなかった。
彼に出来たのは彼女をその姉に渡して、同じ髪の女性の胸で泣きつかれて眠るまでその傍らにいることだけだった。
「あなたには、居なかったのか、イザベラ王女。
魔法が使えずともあなたを好いてくれる人は、ミス・フォンティーヌのような方は」
ルイズが驚いたように目を見開いた。
彼女はワルドの口に出したその人を知っていた。誰よりもよく知っていた。
カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ。
ヴァリエール家の次女。ルイズの優しいちい姉さま。
魔法が使えず泣く自分をいつも抱きしめて慰めてくれたその人。
魔法が使えなくても、あなたは私の妹よと言ってくれるその言葉に、自分はどれだけ救われたのか。
わたしだけでなく、父さまも母さまも姉さまもあなたが大好きよと語るその声に、自分がどれだけ慰められたのか。
ただ微笑んで、優しく抱きしめてくれるそのぬくもりが、どれだけ自分を守ってくれたのか。
「誰だいそいつは!?」
腹立たしげにイザベラが叫ぶ。
魔法が使えなくても自分を好いてくれる人物?
そんな者が居る筈が無い。
父は確かに娘の自分を愛してくれてはいるが、それは彼よりも自分の方が魔法の才能があるからだ。
カステルモールの忠誠はシャルロットの下にあるし、北花壇騎士団の部下達も自分に好意など持っている筈が無い。
宮殿の下働きたちや貴族たちも同様で、
――――イザベラ、シャルロットと仲良くしてくれてありがとう――――
息が詰まる。
そんなことはある筈はない。
だってあの人は、魔法が使えぬ兄に不満を抱いて、
――――君がシャルロットと仲良くしてくるから、本当に助かるよ――――
だから、謀反を、計画して。
父上を殺そうとして、でも、仲間割れで、殺されて、
――――これは内緒だよ? 僕はね、兄さんが大好きなんだ。兄さんこそがガリアの王になるべきだ――――
あたしを、父上を、騙して、馬鹿にして、裏切って、
――――兄さんは僕を嫌いかもしれない。だけど、イザベラ。シャルロットが君を好きなように、僕も、兄さんが――――
「いない、いなかった! 誰も、誰もだ! 誰も、あたしのことなんか……!」
――――あのね、イザベラ姉さま。わたしね、大きくなったら、イザベラ姉さまのお手伝いをするの――――
194 名前:ゼロのガンパレード[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 13:55:50 ID:wSzmHblQ
脳裏に浮かぶ声を、まだ幸せだった頃の思い出を黙殺する。
忘れようとした訳ではないのにもう思い出すことすら少なくなったそれを、
まだ自分が従妹と共に笑い会えていた頃の幻影を、醜い嘘で塗りつぶす。
アレは無かったのだ。自分はずっと一人で、優しかった叔父も、懐いてくれていた従妹も、全ては欺瞞でしかなかったのだと。
「魔法さえ、使えれば、いや、魔法さえ、なかったら――――!」
力なく俯くイザベラを見やり、ルイズはそっと目を伏せた。
ああ、もう一人の自分がここに居る。
もしもあの日、あの時、あの場所で、あの人に出会わなかったのならば。
頑張れと、絶対に負けるなと言われなかったならば。
自分は今のイザベラのように、魔法が使えぬことを免罪符に、自分に嘘をつき続けていたことだろう。
遠い記憶が蘇る。
『世界は嘘に満ちている。けれど嘘は嘘によって切り裂かれる。その時、最後に残るものこそが真実だ』
そう教えてくれたあの人。
名前も知らず、もはや顔さえもおぼろげで、声すらも定かには思い出せない恩人。
けれどあの人がくれた魔法は、この胸の中に今もなお輝いている。
ルイズはワルドに視線を送り、微笑んだ。
かつての自分を知る、優しい婚約者。
ただ一人かつてのルイズを知るが故に、イザベラがもう一人のルイズだと気づかせてくれた優しい人。
わたしは魔法を使えない。わたしは大嘘つきで、だから嘘をつく事しか出来ない。
だから、わたしは、もう一人のわたしの涙を終わらせるための嘘をつこう。
「――――“それがどうした”よ。イザベラ王女」
胸の首飾りに光が宿る。
そして大嘘つきの少女は、たった一人の少女のために世界すら相手取る嘘を唇に浮かべた。
ネウロ召喚乙!
誰も書かなければ自分で書こうと思ってたぜ。
>>180 確かそんな感じの小ネタがあったような…
テファは絡んでなかったが
以上です。
うーむ、中々先に進まない。
あじゅじゅしたー
支援するが代理でも投下宣言してくれ
代理乙
インディ・ジョーンズがルイズに召還されました うそ予告
「ブリミルの秘宝?」
「そうだ、図書館で本に挟まっていた地図にそう書かれているらしい」
「六千年も前から現存しているなんて凄いな、考古学的価値は想像もつかないな」
「固定化の魔法が掛けてあったんだろう」
そしてブリミルの秘宝の手がかりを求めて、浮遊大陸へ
何故か城の抜け道からトロッコに乗って最奥部へ
其処には平民を生贄にしている邪教の輩が
始祖の秘宝を手に入れた一行だが
線を越えたらダンジョンが崩れ始め
寸でのところで助かるも待ち構えている貴族派の軍
「さあその秘宝を渡して貰おうか」
「くっ」
「グルなんだよ」
悔しそうな顔をしながら秘宝を渡すルイズ
そして体を縛られながらもルイズを止めようとするインディ
「ほら、これでワルドを助けてくれるんでしょ?」
「ふふふ、ルイズ 君は小さな頃からチャーミングだったね、でもこれで見るのは最後になるんだと思うと寂しいよ」
「!ワルド裏切ったのね!」
「だからグルだって言っただろ・・・」
そして舞台は聖地へ
そういえば銭形警部は最近の作品だと戦闘機を操縦して、ルパンのおんぼろセスナ機を攻撃してましたね・・・
確か銭形のとっつぁんは次元と射撃で互角、
体術でも五右衛門に引けを取らず、
頭もルパン並とかって聞いたんだけど。
>>130 >一時期は管理局全体を揺るがす事件になるかとも思われたが、最後は思ったより平和理に片が付いた。
平和理× 平和裏○
この場合の「裏」はバックグラウンド転じて内包要素を意味し、「非平和的要素無しに(=平和の内に)」と言う意味になる
同様に「秘密裏=全部(公的には)秘密で」とか
「成功裏=(過程に)失敗を含まず」とか言われる
ガンパレードGJ!
相変わらずクオリティ高すぎるぜ!
>>192 ルパン…諸葛亮
銭形…司馬懿とか周瑜
ルパン以外には殆ど負けてなかった気がする。
>>195 それどころか本気になると三人全てを捕縛術で捕らえらたこともある
追いつめられた時の銭形はチートだぜ
欠点は、普段は昭和一桁で頭が固いことだけ
>>196 チートモードの凄さは五右衛門並みだね…
五右衛門は空腹で腹が立っているときだと夜空を流れる流れ星でも斬れる
>>196 モンキー・パンチの漫画だとアニメよりチートレベルが高いぞ。
読んだのは昔なんで自信ないが、確か大学時代に柔道五段か七段いってたはず。
あと交響曲の指揮だってお手の物だったり
F1レースに出てA級ライセンスのルパンにぴったりついていける腕前だったり
一対一なら誰もルパンの仲間の誰も銭形に勝てない実力だそうな
オマケを投下した後パソが力尽きたので携帯からカキコ
遅くなってごめんなさい
実際投下ペースが遅かったのは事実なわけで。反論の余地はありません
書き忘れましたが、召喚されたのは魔人探偵脳噛ネウロから主人公のネウロです。
本当は契約からその日の夜までも含めるつもりでしたが、予想以上に筆が進んでこのままでは文量が困ったことになるのでここで切ります。
タイトルにドを付けるかどうかで悩んだ末に失敗してしまった。終わりの方のタイトルは変え忘れただけです。
諸注意 キャラが時々壊れます。苦手なかたはスルーで。納得がいかないかたはもう少し本作にお付き合いいただいた上で判断をお願い致します。
ガンパレの人&代理の人乙!
「身分以外何も持っていないふうに見えるが実はたくさん持ってるルイズ」と「身分以外何も持ってないイザベラ」の対比が泣ける…
イザベラ様の今後が気になって夜しか眠れません
どうも、連日失礼してます
第五部の第2話、投下しても大丈夫でしょうか?
道は空いてる……はず。
投下して下さい!
>>ブータは異世界での車椅子に乗った友人を思い出して沈痛な息をついた。
なっちゃん・・・
ならば支援だ!
それじゃ、投下します。
ただ、ちょっと訳あって、途中で投下に間が空くかもしれません
そのときは、速やかにその旨伝えるつもりですが、ご容赦を
〜対アルビオン戦争 一日前、早朝
―――アルビオン軍事施設、ロサイス
朝日に照らされた空軍工廠。
送電線のような鉄塔型桟橋には、ずらりと軍艦が並んでいる。どれも今すぐにでも出航
可能な状態にされている。どの戦艦も、せわしなく出入りする人々、運び込まれる荷物、
整列する貴族と傭兵達で一杯だ。特に旗艦『レキシントン』号の威容は、それを見る人々
全てを圧倒している。
そしてそれ以上に、警備する人間・使い魔の数も桁違いだ。文字通りにアリが入り込む
隙間もない。軍港の内も、外も周囲数リーグに渡って、『どうしてここまで』と頭を捻り
たくなるほどの警備をひいている。港に出入りする人も荷物も、これでもかと言うほどし
つこく調べられていた。
警備の邪魔になる木々は全て切られ、民家は潰され、野原は灰にされ、港は荒れ地の中
にポツンと取り残されたかのようだ。その中に、様々な使い魔を引き連れたメイジ達と平
民の兵士達が立っていた。
荒れ地の中を巡回する上官に、付近のメイジと兵士が次々と敬礼していく。
「異常は?」
「はいっ!何もありません!」
「そりゃ、そうだろ・・・正直、なんでここまでしなきゃならんのだか」
「やはり、例の噂ではありませんか?」
「ああ、あれか?『ガリア王宮がトリステインの平民使い魔を怒らせて城ごと消された』
てやつか。・・・まさか偉いさん達は、こんなよた話を信じてるのかねぇ?」
「やはり、ただのデマでありますか?」
「当たり前だ。非常識にもほどがある。大方、トリステインのスパイが流した流言の類だ
ろ」
「ですが、やはりこの警備は異常としか・・・」
「それは…確かにな。遠征に参加しない陸軍連中の暇つぶし、にしても変だしなぁ」
上官も部下達も、あまりに異例な警備態勢に首を傾げていた。
第五部
第2話 その炎は罪深く
アルビオン首都ロンディニウム、王城ハヴィランド宮殿。この宮殿も、非常識なまでの
警備で囲まれ、守れている。
白一色に塗られた荘厳なホワイトホール。16本の円柱が取り囲み天井を支え、白い壁
は傷一つ無く輝いている。ホール中心の円卓には、明日公式に樹立が宣言される神聖アル
ビオン共和国の閣僚・将軍達が着席していた。
上座に座り、後ろにシェフィールドを従えたクロムウェルは、シェフィールドから手渡
された報告書に目を通しながら、肉を刺したフォーク片手に閣議を黙って聞いていた。そ
の閣議は朝食と共に、ゆったりと和やかな空気の中で進んでいく。
「・・・以上が式典の進行予定表であります」
「うむ、その通りで頼むよ。特に正午の式典最後、出陣式を兼ねた艦隊パレード。これが
一番重要だよ」
「その点は滞りなく手はずは整っております。艦隊は正午のパレードを終え次第、トリス
テインへ向かいます」
「トリステイン到着は次の日の昼頃か。地上へ滑空するだけだし、もっと速くいけるかも
な」
「ダータルネスからの輸送船等との合流と艦隊編成、それに船足の遅い民間船も多いです
ので、昼が限界ですね」
「そうか、まぁ急ぐ事もないか。さて、あちらさんは、どう出るかな?」
「普通に考えればラ・ロシェール前の、タルブ辺りで迎撃というところだな。あそこを押
さえられたら、我らの艦隊に地上補給拠点を与える事になるからだ」
「その時はラ・ロシェールで艦隊戦、別働隊でトリスタニアだ…といっても、この程度は
向こうも考えてるだろうが」
「うむ、そして勝敗は戦う前から決まっている事も、百も承知だろうよ」
「トリステインとしては、どの程度負けた所で白旗をあげて戦力を温存させるか、少しで
も有利な講和条約を結ぶか、だな」
「そうだな。正直、ここまで念入りに準備するのは、もはや外道かとすら思える。・・・
閣下、失礼ながら、本当にこの作戦でよろしいのか?」
閣下、と呼ばれたクロムウェルはフォークも机に置いて、一心不乱に報告書を読み続け
ていた。
「あ〜、閣下。よろしいでしょうか?」
「…ん?・・・あ、ああ、失礼。なんだったかな?」
「え〜、もともと軍事力で天地の差があるトリステインを相手に、ここまでする必要があ
るのか、ということです」
「ふむふむ、続けてくれたまえ」
「はい。あまりヤツらに被害を与えると、その後の講和条約締結や占領政策に支障をきた
すと思えます。我らレコン・キスタの地上拠点となるのですから、出来る限り無傷で手に
入れるべきでは?
それに、この桁外れな警備の件です。この異常な警備態勢に、軍内部のみならず国民か
らも不審の声が出ています。例の、トリステインの魔法人形の噂が真実では、と面白おか
しく吹聴する者も」
「ふむ、そうだね、そういう噂、だね・・・」
クロムウェルは、再び報告書に視線を落とした。
「まぁ、君の言う事ももっともだ。だが、我らとしても、一刻も早くハルケギニアを統一
し、聖地を奪還しなければならない!そのために一日でも早くトリステインを降伏させ、
我らの力を広く世に知らしめる必要がある!これは、そのための作戦だよ」
「ふむ・・・確かに」
「それと、噂の件。皆、これを見て欲しい」
そう言って、クロムウェルは手に持っていた報告書を隣の席に手渡した。その報告書が
回されると、手に取った将軍と閣僚の顔色が次々と変わっていった。食事を机に置き、食
い入るように読み続ける。
「読んでの通りだ。ガリアの同志からの報告書だよ。・・・全て、真実だ。
かの少年使い魔と魔法人形達は、確かに3日前にヴェルサルテイル宮殿を襲撃。王宮で
散々ふざけた悪戯をして、最後にプチ・トロワを消し飛ばして帰ったらしいよ!誰にも姿
を見られることなく、ね。彼等は、なんと臭いすら残さなかったそうだ!鼻の効く使い魔
が追えなかったと。
唯一手がかりになりそうだった遺留品の懐中時計も、いつの間にか消えてしまったそう
だよ。残ったのは落書きやら、ゴミばかり」
「まさか、そんな・・・」「魔法も使えない、平民の、それも子供が?」「これは、すぐ
箝口令を」「ガリアだって箝口令くらいひいていたろう、それでもこの有様・・・」「ガ
リアからアルビオンまで、僅か2日で噂が広まるとは」「トリステインのスパイによる情
報操作では?」
先ほどまでの和やかな空気は消えた。円卓は不安と緊張感に塗り替えられている。
支援
ソイヤソイヤ
バンッと円卓を叩いてクロムウェルが立ち上がった。
「諸君!恐れる事はない!この作戦はもともと、トリステインの秘密兵器をも計算に入れ
て立案してある!そのために『レキシントン』号のみならず、多数の民間船を接収して改
造したのだから!」
おお…と円卓に感嘆のどよめきがあがる。
「確かにヤツらは謎だ!恐るべき戦力だ!しかし、所詮は大海に浮かぶ小舟!聖地回復運
動という大きな歴史の流れに、使い魔一匹ごときが逆らえるものか!なんのことはない、
あの使い魔がどこか一つの戦場で暴れ回るというのなら、それ以外の戦場を全てレコン・
キスタの旗で埋め尽くしてしまえばいい!やつらは、しょせん主と使い魔の二人だけでし
かないのだから!
無論、艦隊にそれなりの被害は出るだろう。だが、それも聖地回復という大義の前には
些細な事でしかない!!
それに、その報告書が正しければ…ヤツらには、致命的弱点があるのだよ!」
円卓を覆おうとしていた暗雲はどこかへ消え去り、閣議は終了した。朝食を追えた一同
はクロムウェルへ一礼し、皆ホールを後にした。
―――トリステイン魔法学院、昼前。
分厚いカーテンのひかれたルイズの部屋には、キュルケとタバサがいた。二人が見つめ
る鏡台の鏡が輝き、真紅・ルイズ・デルフリンガーを背に担いだジュン・翠星石が這い出
してきた。
「おっでれーたなぁ。あんな警備、見た事ないぜぇ」
「ううう、悔しいですぅ〜。おんのれぇえ〜〜おくびょーもの共めぇええ」
「どうなってんの!?どうみても僕らがガリアの宮殿で暴れたのを知ってるとしか思えな
いよ!ガリアからアルビオンまで、情報が渡ったぁ!?あっという間にぃ!?」
「そうね。この様子じゃ港や宮殿内部へのルートを見つけてもダメね」
「あー!ムカツクわねえー!あたしのエクスプロージョンで、艦隊丸ごと吹っ飛ばしてや
ろうと思ったのにぃー!」
悔しさを露わにするルイズ達に、キュルケとタバサも様子を聞くまでもなく状況は理解
出来た。
話を聞いていたキュルケも腕組みして溜め息を吐く。
「はぁ〜…ホントにレコン・キスタの情報網は凄いわねぇ。それかホントに裏でつながっ
てるのかしら?とにかく、昼食にしましょ」
「あ、ゴメン。僕、トイレ行ってるから、先に行ってて」
と言って部屋を出ようとしたジュンの襟を、ルイズががしっと捕まえた。顔は笑顔、で
も目が笑っていない。
「あの・・・ルイズさん、何?」
「ねぇ〜ジュう〜ん〜、どーこいっくの?」
「だ、だから、トイレ・・・」
「ふぅ〜〜〜〜〜ん」
真紅と翠星石も、笑顔なのに目が笑ってない。三人に取り囲まれ、ジュンも冷や汗。
キュルケはそんなルイズ達をニヤニヤと笑っている。タバサはやっぱり無表情だが、首
を傾げている。
「スぅイぃ〜、ジュンを見張っててくれるかしらぁ〜?」
「まっかせるですよー」
「な、なんで!?トイレくらい一人で」
「いーから来るですぅ!お前を一人で行かせるわけにはいかねーですぅ!!」
ジュンは、翠星石を頭に乗っけたままトイレに行かされた。
支援
そんな様子を見て、首を傾げたタバサがキュルケをチラと見上げた。
「ああ、ジュンちゃんったらねぇ〜。昨日、警護のオネーサン達やぁ、メイドさんやぁ、
近くの村に避難してきたイケナイお店のお嬢様達とねぇ…とぉ〜っても仲良くしてたんで
すってぇ!」
「うっさいわよキュルケぇ!」「お黙りなさいっ!」
ルイズと真紅がハモりながら、キュルケを睨み付けるのであった。
「・・・第一、どうしてお前等が昨日の僕の事、そんなに詳しく知ってるんだよぉ!?」
ジュンは頭の上の翠星石にブツブツ文句を言いながら石畳を歩いていた。
「あ、まさかデル公!?」
「ちっちげーよ!俺ッちはンな事いわねーよぉ!」
「ふっふーん!教えてあげるですよぉ〜」
翠星石がジュンの頭の上で、腰に手を当ててふんぞり返る。
「かーんたんですぅ!お前の背中にスィドリームつけといたですぅ〜」
「なーっ!なんでそんな事をー!」
「あーんなフツーの人間達に、お前の護衛を任せてらんねーからですぅ!そしたら、お前
と来たら、おおまえと来たラあァー!ち、ちちち!チビ人間のクセにぃ!!!」
ポコポコと翠星石が頭を踏みつける。
「ぶぅえっ、べぇっ!別に僕は悪くないだろお!?」
「うっせーコンチキショーですぅっ!お前に悪い虫が付かないようにするのも、あたし達
の役目ですぅーだ!」
「人権侵害だあー!」
ジュンがフトウなタイグウに抗議していると、警備の女性武官数人とすれ違った。皆、
ジュンを見るとニッコリ笑って手を振り、ジュンも少し赤くなってペコリと礼をする。
ぎゅうぅにいいいい〜〜〜
ジュンの頭の上から、翠星石がほっぺたを思いっきりつねりあげる。
「お・ま・え・と…いうやつわぁああああ」
「ひぃっひたひ!ひゃめれえーっ!」
「お・・・おでれーた、女は怖いねぇ」
遠くから眺める女官達も、朝食に向かう女学生達も、二人の姿をクスクス笑っていた。
昼食中、ジュンと真紅と翠星石は、いつものように入り口横のテーブルで食事をしてい
た。ただ最近は、ルイズも一緒。
そして少女達三人は、ジトォ〜とジュンを睨んでいた。
「あの、さぁ・・・お前ら、いい加減にしろよなぁ」
「そーれはこっちのセリフですぅ!ねー、ルイズ?」
「そーよねー、ジュンったらこう見えて、イロオトコですもん。ねー、シンク?」
「そうね、さすが私のミーディアムね。本当に、誇らしいったらないわ」
アルヴィーズの食堂では、他の生徒も教員も食事している。メイドなどの平民や、警護
もいる。ただし、そのほとんどが女性。男性はほとんどみんな軍へ志願し、残っているの
はコルベールやジュンなど、ごく少数。
ジュンはトリステインの戦力としても、数少ない男性としても、目立っていた。なので
周囲の視線も集まってくる。ジュンがちょっと視線をずらせば、自然に周囲の女性と目が
合う。
その度にジュンは、真紅と翠星石にバターやパンを投げつけられ、ルイズに足を踏んづ
けられた。
「・・・なんで、こんな目に・・・」
そんなジュンのつぶやきも、冷たく睨み付けてくる三組の目に潰されてしまった…。
―――夕刻、トリステイン王宮会議室。
「・・・城下の避難、完了致しました」
「艦隊は既に臨戦態勢にあります」
「全軍、予定通りに展開しております。明日には陣の形成を完了致します」
「よろしい。それでは、あとはアルビオン艦隊が来るのを待つばかりですね」
会議室では、上座のマリアンヌと、隣に座るマザリーニが全軍の配置と市民の避難状況
などについて報告を受けていた。
豪華な夕食と貴重な年代物ワインも並べられていく。同時に、扉からはヴァリエール公
爵やラ・ラメー伯爵、その他将軍達も次々と入室し、席に着いていく。その表情は暗くは
ない、だが陽気でも無かった。皆、悲壮な決意を秘めてこの晩餐に臨んでいた。
全ての将軍や大臣達が机を囲んだ後、最後に入ってきたのはアンリエッタとウェールズ
だ。二人は手を取り合い、末席に肩を寄せ合って着席した。
居並ぶ重臣達を見渡したマリアンヌが、ワインを手に立ち上がった。
「皆、よくぞこれまでトリステインを支えて下さいました。まずその事に感謝します。
そして、このトリステイン存亡の危機に臆することなく、この晩餐にも席を並べて下さっ
た事、誇りに思います」
「女王陛下!何を弱気な事を言われますか!?」
そう言って立ち上がったのは、デムリ財務卿だ。
「このデムリ、武官でありませんので前線には立てません。ですが必ずや陛下を、王家を
お守り致します!金勘定しか出来ない非力な身ではありますが、なればこそ!軍資金につ
いてはお任せ下さい!」
「よくぞ言われた!デムリ殿!」
今度は魔法衛士隊マンティコア隊隊長ド・ゼッサールが立ち上がる。
「不肖、私も衛士隊隊長として、陛下の盾となる所存にございます。王家に降りかかるあ
らゆる魔法から、陛下も姫もお守りして見せましょう」
そんな二人の後に続くように、居並ぶ重臣達も次々とワイン片手に立ち上がり、気勢を
上げる。
「全くですぞ陛下!確かに空軍力では劣りますが、なあに!ヤツらもいずれは地上に降り
なければ占領が出来ンのです!そこからが本番ですぞ」
「そうそう!第一、あやつらは聖地回復などと掲げてはおりますが、しょせん烏合の衆!
利権目当てに集まったダニ共に過ぎません!」
「その通り、我らが地上で粘り続ければ、やつらは内部分裂を起こし、瓦解して自滅しま
す。我らはその時を待てばよいのです」
「何よりここは我らの国!やつらが土足で踏み込んだ所で、この国の民がヤツらの支配を
良しとはしません。民衆と共に、各地で解放の旗を上げるとしましょう!」
「これこれ諸君、まずは艦隊戦ですぞ。まだ我が艦隊が、負けると決まったわけではあり
ません」
そういって苦笑いと共に皆を制したのは、艦隊司令長官ラ・ラメー伯爵だ。
マザリーニが手を挙げて、皆を一旦着席させる。
「・・・諸君、ともかく決戦の時は刻一刻と近づいておる。我らはその時まで牙を研ぎ、
力を蓄えよう。そしてなによりこの一戦において、トリステインは弱国ではないこと、他
国の侵略には一丸となって立ち向かうという意思と誇りと力、何より王家への忠誠を示し
ましょうぞ」
おおっ!という喊声と共に、一同はワイングラスを高く掲げた。
そんな晩餐の中、アンリエッタとウェールズは静かに微笑みあっている。
「ウェールズ様…明日、行かれるのですね」
「うむ、アルビオンから来てくれた貴族達も、既に大勢が『イーグル』号に乗り込んでい
る。
ニューカッスルで死に損ねたこの身だが、生きて姫と共に過ごして、目が覚めた。アル
ビオン王家の誇りを示す、なんて言わない。ただ姫を守るため、明日は全てを賭けて戦う
とするよ」
「どうか、どうか生きてお戻り下さい。このアンリエッタを、再び一人にしないで下さい
まし」
「分かっている。必ず、必ず生きて帰る。二度とそなたを一人にするものか」
二人は机の下で、固く手を握り合っていた。
―――シャン・ド・マルス練兵場、深夜。
トリスタニアの中ほどにある、この練兵場には、数多くの連隊が駐屯していた。
戦いを前にたき火を囲んで気勢を上げたり、武器を磨いたり、詠唱の練習をしたり、馬
や使い魔を撫でながら語りかけたり、皆思い思いに夜を迎えている。
そんな練兵場の隅に、若い貴族の姿があった。薔薇の造花をキザッたらしく口にくわえ
たギーシュが、じっと地面を見つめて意識を集中している。
ぽこっぼこぼこ
彼の足下の地面が盛り上がり、大きなモグラが顔を出した。
「お疲れ様、僕のヴェルダンデ。本当によく頑張ったねぇ。これで君のお仕事は終わりだ
よ。さぁ、遠くへお行き。トリスタニアは危ないからね」
ギーシュは優しく自分の使い魔の頬を撫で、労をねぎらった。だが、遠くへ行けと命じ
られたジャイアントモールは、動こうとしない。ただ円らで愛らしい瞳が、主をジッと見
上げている。
「ダメだよ。君はとてもとても素晴らしい使い魔だけど、戦場では役に立たないんだ。君
は、もっと素晴らしい働きを、既にしてくれたんだよ。
さぁ行くんだ!短い間だったけど、君を召喚出来て本当に僕は幸せだったよ!僕は世界
一の幸せ者だったよ!」
それでもモグラは去ろうとしない。潤んだ瞳が、若い主を見上げ続けた。
「ヴェルダンデ・・・ああ、ありがとう!僕の一番の友達よ!」
ギーシュは膝をつき、モグラの頭を抱きしめて涙を流した。
そんな主と使い魔の姿も、城下に駐屯する数万の軍勢の中では、よくあるワンシーンの
一つでしかなかった。
平民も貴族も人間も動物も、等しく夜の闇に包まれる。
アルビオン〜トリステイン戦争 開戦初日
アルビオン首都ロンディニウム、ハヴィランド宮殿前大通りは、朝から群衆で埋め尽く
されていた。
石造りの整然とした町並みの中に色とりどりの旗が翻っている。楽隊の勇壮な演奏の中
を、人々の歓声を受けて華やかな騎士隊の隊列が進んでいく。宮殿内でオリヴァー・クロ
ムウェルの初代神聖皇帝戴冠式も滞りなく、神妙に執り行われていた。
正午、宮殿テラスからクロムウェルが姿を現し、民衆へ手を振る。同時に大歓声がわき
起こり、皇帝自身の口から神聖アルビオン共和国樹立とトリステインへの遠征が宣言され
た。
支援
支援
支援
そして宮殿奥、ホワイトホールでは、遠見の鏡から式典の進行を眺める人物の姿があっ
た。それは本物のクロムウェルだ。
「ふむ…さすがに影武者で戴冠式をするのはやり過ぎかとも思ったけど、まぁいいか。念
には念を、とも言うしな」
ほどなくして鏡には、上空を悠然と進むアルビオン艦隊が映された。数多くの竜騎兵に
周囲を警護された艦隊は、ゆっくりとトリステインへ船首を向ける。
港町ロサイスとロンディニウムを繋ぐ交通の要衝、サウスゴータ。
そのサウスゴータの森の中、ロサイスから北東に50リーグほど離れたウエストウッド
村には、丸太と漆喰で作られた民家があった。村といっても、ある篤志家の援助で作られ
た孤児院みたいなものだったが。
そしてその篤志家と、その友人と、村を運営する女性が、孤児達と共に昼食を囲んでい
た。
「あー!見てみてぇー!」
一人の子供が上空を見上げると、アルビオン艦隊が竜騎士を引き連れて通過する所だっ
た。
「うわぁー!すっごおーい!」
「今度はどこいくのかなぁ?」
「しらねーのかよ、トリステインだってさ」
子供達は、無邪気に艦隊を珍しがり、その後を追って駆け出した。
「こらあー!みんなー、まだ食事中よー!」
「はーい!」
「ごめんよテファ姉ちゃん!」
テファと呼ばれた耳の長い少女に止められ、子供達はみんな食卓へ戻ってきた。
「まったく、あのティファニアといい、子供達といい、平和なものだな」
そう言って麦酒を口にしたのは、篤志家の友人であるワルドだった。マントを外して衛
士隊の制服も脱ぎ、今はただの村人にしかみえない――その鋭い眼光と鍛え抜かれた肉体
を除いて、だが。
「本当だねぇ・・・内戦直後のトリステイン遠征で、高い税金やら焼け出された民衆やら
で貴族への恨みがつのっているって言うのに。
杖で民衆を脅しての戴冠式典に艦隊パレードを兼ねた出陣式、ほ〜んとにご苦労なこっ
たよ」
ぼやき混じりにパンを頬張っているのは、土くれこと篤志家のフーケ。
「で・・・あんたはどうすんだい?」
「どう、とは?」
「しらばっくれてんじゃないよ。今朝はずっと、あれの横でじぃ〜っと考え込んでたじゃ
ないか」
そう言ってフーケが指さした先には、体を丸めてうたた寝するグリフォンがいた。その
大きくてフカフカの体の上では、小さな女の子も一緒に昼寝している。
「今の俺は、ただの子守だよ。子供達と遊ぶのに精一杯さ」
「ぬけぬけとまぁ、よく言うねぇ!子育てにグリフォンなんか連れてくるもんか!まった
く、あんなでっかくて目立つのをここまで連れてくるのに、どんだけ苦労したと思ってる
んだい!?」
「意外だな、お前からそんな事を言ってくるとは。こういう平和で穏やかな生活は嫌い
か?」
「そっ!そんなことはないけど、ねぇ・・・って、からかうんじゃないよ!」
「んもぉ〜、マチルダ姉さんもワルドさんも、子供達の前でケンカしちゃだめです!」
「いや、別にケンカしてるワケじゃ」「ふふ、すまんなティファニア」
ティファニアに怒られ、二人とも黙って昼食を済ませる事にした。
支援
支援
昼食をモゴモゴと食べながらも、ワルドの目は遠くを見つめていた。
―――夜、ルイズの部屋
薔薇乙女達がトランクで眠りについた頃、ベッドの上ではルイズが寝返りをうち続けて
いた。
・・・寝れないなぁ・・・
もう何度も何度もコロコロ寝返りをうってるが、目が冴えて全然寝付けない。
ぼんやりと天井を見つめても、いつもの天井があるばかり。
「弱ったなぁ、グッスリ寝なきゃいけないのに」
ふと床を見れば、わら束の上にひいた毛布にくるまるジュンの背が見える。
「おーい」
返事なし。
「こらー、ジューン」
やっぱり返事はない。
「・・・女ったらし」
「…誰がだよ」
「やっぱり起きてるじゃない」
ジュンは背を向けたまま、小声で抗議した。
「ジュンも寝れないの?」
「う…ん、まあね」
「床で寝てるのがまずいんじゃない?」
「もう慣れたよ。他に寝る所なんて無いし」
「あるわよ」
「どこに?」
「ここに」
ヒョイとジュンが頭を上げると、ルイズがベッドの、自分の隣を指さしている。
「・・・冗談はよせよ」
慌てて毛布にくるまりなおすジュンの顔は、一瞬で真っ赤になっていた。
「あら、冗談じゃないわよ」
ルイズは悪戯っぽく微笑みながら、ジュンの背を見つめている。
「明日は大事な日だもの。ぐっすり寝てくれないと、こっちだって困るわ」
「そりゃお互い様。バカ言ってないで、早く寝ようぜ」
「ふーん、来てくれないんだぁ」
「あ、あったり前だろ」
「じゃあ〜、オネーサンがジュンのトコに行ったげようかなぁ〜?」
「かーっからかうなよ!」
「うふふ、ゴメンね。それじゃ、お休みなさい」
「ああ、お休み」
ルイズはジュンに背を向けて布団にくるまる。
ほどなくして、二人は夢の世界に旅立っていった。
「やれやれまったく…ジュンはやっぱ、まだまだお子様だねぇ・・・」
壁に立てかけられたデルフリンガーの言葉も、聞く者はもういなかった。
支援
支援
支援
アルビオン〜トリステイン戦争 二日目
―――ラ・ロシェール 朝
アルビオンへ行くフネのための港町であり、世界樹の枯れ木をくり抜いた立体型の桟橋
や、メイジが岩から切り出して作った建物群が峡谷にある。
そんな賑やかだったはずの街も、今は人影もない。桟橋に係留される船もない。かつて
は貴族達が泊まった高級宿屋『女神の杵』亭は、フーケに破壊されたままの状態で放置さ
れていた。
その上空を、数騎の風竜騎士が飛び回っている。
竜騎士が一騎降下し、『女神の杵』亭を窓から覗く。かつては高級貴族だけが使用した
一番高級な部屋も、テーブルや鏡台にホコリが積もりはじめている。他の竜騎士も降下し
て、いくつかの建物を見て回る。ほとんどの荷物は持ち去られ、あるいは盗まれ、あとに
は脱ぎ捨てられた服、小さな鞄、ガラクタ、子供の人形、ボロボロに錆びた剣やらが床に
散乱するばかり。
しばらく旋回した後、全くの無人である事を確認して、上空へ急上昇。竜騎士が向かう
雲の間には、アルビオン艦隊が滞空していた。
「本当に無人なのか。やつら、まさかラ・ロシェールまで放棄するとはな」
偵察隊からの報告を聞いて呆れているのは、艦隊司令長官兼トリステイン侵攻軍総指揮
官、といっても本職は貴族議会議員という政治家のサー・ジョンストンだ。
「兵力集中は基本ではあります・・・が、ここまで徹底するとは、驚きです」
そういって隣の上官に同意したのは侵攻艦隊旗艦の艦長、サー・ヘンリ・ボーウッド。
二人が前を見ると、遮るもののない青空と雲海が広がっている。
サー・ジョンストンの声は神経質そうで、心配げだ。
「大丈夫かね、艦長。やつら、何かとんでもない秘策をもって待ち受けているのではない
かな?」
「もちろん。やつらも少ない戦力を少しでも集中させ我らに奇襲をかけるべく、あれこれ
と努力している事でしょう」
「い、いや、私が言ってるのはそういう事ではなくて、だな」
「ガリアからの情報、謎の使い魔…ですか?」
「そ、そ、そうだ。信じたくはないが・・・」
「そうですな。無論、それも含めての艦隊編成をしております。今は、作戦を実行すると
しましょう」
ボーウッドは内心、この臆病な長官を『クロムウェルの腰巾着』と軽蔑していた。もと
もとレコン・キスタに共感もしていない。軍人は政治に関与すべきでない、との信念の下
で、レコン・キスタに就いた上官の命令のままに戦っていたら、ずるずると昇進して旗艦
の艦長にまでなってしまったのだから。
そんな、任務に私情を挟まぬ優秀な軍人ボーウッドでも、隣で恐怖に震える上司の気持
ちには共感していた。
「あの異常な警備態勢、そしてこの奇妙な艦隊を見れば、私とて不安にはなります。です
が、兵達の前で指揮官が動揺を見せてはなりませんぞ」
「う、うむ、わかっている、わかっている」
ボーウッドが『奇妙な艦隊』と評したアルビオン艦隊はラ・ロシェール上空を通り、雲
の中を一路トリステインへと向かった。
支援
支援
竜騎士が艦隊に戻ると、床に散乱していたガラクタの中で、うつぶせの人形の指ががピ
クリと動く。
白銀の髪に黒いドレスを着た人形はゆっくりと顔を上げ、竜騎士が飛び去った事を確認
すると、窓からアルビオン艦隊を見上げた。
『ふぅん・・・あれがアルビオン艦隊ね』
ボロボロに錆びた剣が答えた。
「ああ。まちがいねぇな。それにしてもおでれーた、すっげぇ大艦隊だ」
水銀燈は床に放り出していた鞄の中から、巨大な望遠レンズ付きデジカメを取り出し、
最大望遠でカメラを覗く。
『本当に変な艦隊ねぇ、ほとんどが普通の船…というか、ボロくて小さいわねぇ』
デルフリンガーはサビを取り、自身を輝く刀身に戻した。
「ああ、ボロいのは焼き討ち船だ。敵艦隊に突っ込ませて自爆させるんだぜ。でも、そん
なに多いのかよ?」
『ええ、半分以上がそうよぉ。他に、大砲はないけどやたら大きな船とかもいるわねぇ。
それが三列に並んでるわ。全部で・・・53,かしらぁ?左に17,真ん中が18,右が
18…やたらと間を空けて並んでるのねぇ?』
「大きいのは補給船だろうけど、半分以上が焼き討ち船ってのはヘンだなぁ。もともと戦
艦の数で勝ってるのに」
『なんだかわかんないけどぉ、とにかくあたしの役目はこれで終わりよぉ。帰るわねぇ』
カシャカシャとシャッター音を響かせた後、水銀燈はデルフリンガーを抱えて鏡台の中
に入っていった。
「へぇ〜。あいつら、ラ・ロシェールを素通りしたのねぇ」
キュルケがデジカメのモニターを食い入るように覗き込んでいる。
「桟橋破壊は、後の艦隊運用、交易に支障がでる。トリステイン艦隊を、倒さないで占領
しても、維持が手間」
タバサもメガネをクイクイと直しながら、艦隊の映像を見つめている。
「それにしても、この三列の艦隊…やっぱりだ。ルイズさんの『エクスプロージョン』を
警戒してるんだ。これだけ各列が離れると、真ん中の一番でっかい戦艦、旗艦からの指揮
に問題が出る。なのに、あえてそれをするってことは・・・」
ジュンは手にするカメラの映像を次々と映し、奇妙なほど各列の間が空いた艦隊を見続
けた。
「各列のどれに『エクスプロージョン』が来ても、残った二列は無事・・・というわけだ
わね」
真紅がベッドに座って顎に手をあて、推理している。
「気になるのは、その戦艦達の後ろにいる、焼き討ち船の多さですねぇ。トリステイン艦
隊と戦うだけなら、そんなにいらないかもですぅ」
翠星石も真紅の横に座り、頭をひねっている。
厚くカーテンが引かれたルイズの部屋では、水銀燈が撮影してきた映像からアルビオン
艦隊の情報が分析されていた。
『その辺の事はあんた達で考えなさぁい。それじゃ、頑張りなさいよぉ』
「おう!お疲れさーん」
デルフリンガーに送られて、水銀燈はnのフィールドへ帰っていった。
左翼、弾幕薄いぞ!!、支援
支援
コココン…ココン…コン
扉が奇妙なリズムでノックされた。
「あ、ルイズさん。おかえりなさーい」
ルイズは扉を開けて入ると同時に、はあぁ〜っと大きな溜め息をついた。
「その様子ですとぉ、どうやら待機命令のままのようですねぇ」
「そのとーりよ、スイ。
まったく父さまったら『我が娘は大砲や火矢ではありませぬ』て軍議でタンカきったん
ですって!
・・・んな事言ったって、『虚無』無しじゃ勝てないわ!あたし、歩いてでもトリスタ
ニア行くわよ!」
「まぁまぁルイズさん、ちゃんとゼロ戦で運ぶからさ」
「ええ!運んでくれるだけで良いわ。お願いするわね」
「ああ、でも今はギリギリまで待とうか。でさ、ルイズさん。これ見てよ、この艦隊。全
部で53隻だけど、これはどうみても・・・」
カーテンの引かれた薄暗い部屋では、デジカメを囲んで小さな軍議が続いていた。
トリスタニアに近づくアルビオン艦隊の姿は、カラスやフクロウなどの使い魔を有する
メイジ達にも捕らえられていた。
トリステイン艦隊旗艦『メルカトール』号に乗り込んだマリコヌルその他のメイジが、
艦隊司令長官ラ・ラメー伯爵へ報告する。
「本当に、そんな編成で向かってきているのか?」
「は!はひぃ!間違い、あっありません!」
「そうか、ご苦労だった。各員持ち場に戻ってくれ」
マリコヌルは太った体を揺らしながら甲板へ戻っていった。
ラ・ラメー伯爵はトリステイン艦隊をぐるりと見渡す。
トリステイン艦隊は旗艦『メルカトール』号を中心とした輪陣形をとっていた。といっ
ても戦列艦は10隻しかいないので、円というよりはいびつな八角形。その周囲に、やは
り焼き討ち船としての古めかしい船が10隻浮いている。
輪陣形とは、旗艦を中心に円を描くような陣形だ。旗艦周囲を守る多数の補助艦と、小
型高機動な大量の空戦力によって成り立つ。現在トリステイン艦隊は、トリスタニア上空
に滞空している。このため首都警護竜騎士連隊はじめ、トリステイン全土から集結した竜
騎士・グリフォン等の空兵力が艦隊周辺を飛び回っている。
「どう読む?艦長」
ラ・ラメー伯爵は隣に立つ『メルカトール』号艦長フェビスに尋ねる。フェヴィスは口
ひげをいじりながら、しばし思案した。
「・・・ガリアの、ヴェルサルテイル宮殿の噂を信じたということでしょう」
「やはりそうだろうなぁ。まさか、ここまで信じてくれると、驚いてしまうな」
「意外と真実だったのかもしれません」
「ふふ、さあな。いずれにせよ、これは我らにとってチャンスだということだよ!」
「各個撃破の絶好の機会、千載一遇の好機ですな」
ラ・ラメー伯爵が飛ばした指示は、手旗信号や信号旗によって艦隊各艦と周囲を飛ぶの
騎士達へ伝えられた。艦隊はゆっくりと形を変え、まだ見えないアルビオン艦隊へ艦首を
向けて横一列に並んでいく。
艦隊一番右に並ぶ先導鑑に対し、最後尾となる鑑として『イーグル』号が一番左にあっ
た。
「ふむ、単横陣か…敵艦隊の射程直前で面舵にて一斉回頭、敵横陣列の右鑑列へ向かい、
すれ違いざまに撃ちのめす…というわけだ。敵戦列艦は18隻だが、3つに分かれれば6
隻前後。数で勝る事が出来る」
『イーグル』号ではウェールズが、艦隊の陣形から作戦の意図を読み取っていた。
支援
支援
支援
「さようでございますな、おう」「おっと!私はもう皇太子でもなんでもないと、何度も
言ったろう?パリーよ」
「そ、そうでござったな、こほんっ。改めて、う、ウェールズ艦長」
パリーと呼ばれた労メイジは、言いにくそうにウェールズの名を呼んだ。
もう一度こほんっと咳払いをして、誤魔化すように話を続けた。
「それに、『ロイヤル・ソヴリン』号に積める竜騎士の数は20。例え他の艦にも無理矢
理積んだとしても、トリステインが数で上回る事が出来ますぞ!」
そういうと、パリーは拳を握りしめて涙を流し始めた。
「くぅ〜!ニューカッスル城では、平民達を無事に投降させるため、共に城を出ざるをえ
んかった!もはやこの老骨も、路傍の石の如く屍を晒すか…と世をはかなんでおったが、
よもや再戦の機会を得るとは!
自害せなんで、ほんによかったぁ!これで、これで陛下に胸を張って会いに行く事が出
来ますぞ!!」
「よさないか、パリー、縁起でもない。これは死ぬための戦いじゃない、生きるための戦
いだ」
「お、おっと、失礼致しました」
ウェールズは伝令管を全て開け放ち、艦内全体に声を響かせる。
「諸君!よく聞いて欲しい、これより本艦はレコン・キスタ艦隊と砲火を交える。
だが、これは決してアルビオン王家の復讐でも捲土重来のためでもない。我らは皆、ト
リステインに亡命したのだ。だから、私も諸君等も、等しくトリステインの一国民に過ぎ
ない。
蛮勇は許さん、特攻も自害も認めん!生きろ。戦って戦って、戦いの最後の瞬間まで生
きるんだ!我らの新しい故郷、トリステインのために、這い蹲ってでも生き、杖が折れて
も戦うんだっ!!」
艦内各所から雄叫びや歓声が帰ってくる。ブリッジも皆が拳を振り上げ、口々に始祖へ
の祈りと必勝の誓いを叫ぶ。
「さぁパリーよ、この戦は速力が勝負だ。焼き討ち船をかわして、他の2艦列が駆けつけ
る前に、どれだけ敵の数を減らせるかが鍵となる。遅れを取るなよ!」
「ははっ!」
―――アンリエッタ、必ず私は帰る。待っててくれ―――
横一列に並ぶ全艦艇が船首を向けるその先に、アルビオン艦隊がポツンと見えたのは、
それからすぐの事だった。
支援
バリー、生きていたのか!、支援
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
*注 艦隊簡易展開図
戦 戦艦
・ 小型船
○ 中型船
◎ 大型船
←トリステイン艦隊進行方向 メ:『メルカトール』号 イ:『イーグル』号
戦戦戦戦メ戦戦戦戦イ・・・・・・・・・・
戦 戦
戦 戦 戦
戦 戦 戦
戦 レ 戦
戦 戦 戦
戦 戦 戦
戦
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
○ ○ ○
○ ○ ○
◎ ◎
アルビオン艦隊 レ:『レキシントン』号
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
支援
支援
「見えました。・・・敵艦隊、単横陣です」
報告を聞いたボーウッドは、満足げに頷いた。
「うむ、予想通りだ。やつらは左右いずれかの艦隊に速攻をかける気ですな」
「だだ、大丈夫かね?特に左翼は戦艦が5隻しかいないんだよ!?やつらは10隻で、こ
れでは」
サー・ジョンストンの震える声に、ヤレヤレという感じでボーウッドは答えた。
「狙わせるために5隻にしたのですよ、作戦通りです。これでヤツらの動きは読めるし、
問題ありません」
「しっ!しかしだねっ!」
「大丈夫です。様々な事態に対応した作戦が練られてあるそうですから、今はこれで大丈
夫ですよ」
「そ、そう信じているが・・・そもそも、あの者の言うままに動いていていいのか?」
「閣下の作戦案は全て、あの女性が記憶しているそうですから。少なくとも、現在の所は
問題は生じていません。
ともかく、予定通りに始めましょう」
そういってボーウッドは、様々な指示を飛ばしながら、中央艦列最前列の艦首を見た。
そこには黒いコートをまとった痩身の女性が立っていた。
アルビオン艦隊中央艦列の先頭艦船首で、足下に大きな鞄を置いたシェフィールドが、
猛禽類のような笑みを浮かべている。
「・・・まったく、あたしがいない間に、ジョゼフさまの所で勝手してくれたようじゃな
い!」
そう吐き捨てると、シェフィールドは右腕を高々と掲げた。
「おかげでジョゼフさまと来たら、寝ても覚めてもあいつらの事ばっかり・・・ホント、
嫉妬しちゃうわねぇ」
高く掲げた右手を、一気に振り下ろす。と同時に、凄まじい熱気が中央戦列艦の後方で
わき起こる。
「さぁ、次はこちらのターンよ・・・楽しく遊びましょう!!」
戦列艦の後方から、シェフィールドの左右を通り抜け、燃えさかる船が次々と疾走して
いった。紅蓮の炎に彼女の黒いローブまでが赤く照らされ、激しくひるがえる。
「や!焼き討ち船、来ます!」
アルビオン艦隊の列の間を、真っ赤に燃える船が向かってくるのは『メルカトール』号
からでも見えていた。
だが・・・
「や、焼き討ちせ・・・ん・・・来ません!」
「な…んじゃっそりゃあー!!」
目の前で見えてる事実に、フェヴィス艦長は思わずおかしな叫びをあげてしまった。焼
き討ち船はトリステイン艦隊に向かうかと思いきや、途中で失速し、落ちていってしまっ
たのだ。
トリステイン艦隊にいるほとんどの人間が、あっけにとられて呆然と、落ちていく船の
列を見ていた。
間の抜けた沈黙が広がる中、甲板からマリコヌルの悲鳴が艦内にまで響いてきた。
「うわああーーー!!ま、街があーーーー!!!」
真っ赤に燃え上がった船が、次々とトリスタニアに落下していく。
ブルドンネ街大通りに、貴族達が住まう屋敷に、橋に、街のあらゆる場所に…いや、街
の風上全体に、中央艦列後方にいた11隻中9隻が、燃えさかりながら落ちていった。
「ばっバカな!?城下を全て焼き払う気か!?」「占領が目的じゃ・・・」「第一、この
艦隊を無視してまで街を焼いてどうすんだよぉ!?」「ち、地上が、陸軍が!」「俺の、
家があ、店があああ」
「落ち着け!とにかく我らは艦隊に集中するんだ!」
艦長の叫びに、熟練した乗員達が我を取り戻し、次の指示を待つ。それを見て急遽乗り
込んだ学生の士官候補生なども、ようやく落ち着いた。
ラ・ラメー伯爵が咳払いと共に、声を張り上げる。
「心配するな!城下の避難は既に済んでいる。街は再建出来る!今は、この一戦に集中す
るのだ!!」
そして伯爵は右手を振る。と同時に、艦隊は一斉に右へ回頭し、最大戦速で疾走し始め
た。周囲の竜騎士始め全ての幻獣も、その動きに併せて右へ駆ける。
フェヴィスが力の限りに声を張り上げ、艦内に檄を飛ばし続ける。
「大丈夫だ!右の艦列は僅か5隻、そして騎士の数はこちらが上だ!あの艦列を速攻で潰
し・・・他の、艦を・・・」
だが、彼の指示は途中で止まってしまった。
彼は、いやトリステイン艦隊の全ての人々が、目を奪われた。
アルビオン艦隊後方の、補給艦と思われていた大きな2隻の艦から飛び立つ竜騎士の群
れに。
「て・・・敵艦隊より、竜騎士が続々と離艦、来ます!その数、42…57!?か!数え
切れませんっ!!!」
士官からの報告は、悲鳴となった。
「戦列艦は5隻でも、動きの速い竜騎兵が圧倒していますからなぁ」
アルビオン艦隊旗艦では、ボーウッドは相変わらず冷静に戦況を分析している。
「大型商船を急遽改造しての竜騎士専用艦、『竜の巣』号と『母竜』号か…閣下の発想に
は驚かされるよ」
サー・ジョンストンも、相変わらずビクビクしながら戦況を眺めている。
天下無双と名高いアルビオン竜騎兵100騎が、竜騎兵以外も入れて半数にも満たない
トリステインの騎兵と、艦隊へ襲いかからんとしていた。
その下では、トリスタニアが炎に包まれていた。
第2話 その炎は罪深く END
ジュンたちに嫉妬する、シェフィールドがステキです、支援
以上で、今回分は投下できた・・・と思うんですが
えー艦隊展開の簡易図、携帯や他のソフトでは、一体どういう風に表示しているのやらわかりません
みなさんのモニターに、ちゃんとずれずに表示されているでしょうか?
GJです。うーん、ハードな展開だ、
こりゃ、戦後の後始末が大変だ。続きを楽しみにしています。
乙
普通に、デスクトップのモニターでは、問題なく見れました。艦隊の図
最近のゼロ魔は方向性を間違えていると思うのは俺だけだろうか?
ヌルいラブコメか! この展開はイチゴ100%か!? でも、サイトはアホの子
>>247 ゼロ魔ってラブコメじゃなかったの?と普通に思う原作読んでない俺
>>248 さ、本屋に行って13巻全部買ってくるんだ。
>>248 いやここは外伝2冊を先に買ってタバサ萌えに走るんだ
それから本編を読むと不思議な気分になれるぞ
>>246 遅くなりましたが、大丈夫だったようで安心しました
では、今回分はこれで終了。失礼します
>>243 上手くいえないけど凄いわ
特に艦隊戦の陣形や竜騎士専用艦とかの発想が
253 :
ナイトメイジ:2008/01/03(木) 21:04:42 ID:3F/jWn28
のんびりペースの投下、よろしいでしょうか。
254 :
ナイトメイジ:2008/01/03(木) 21:10:46 ID:3F/jWn28
何もないみたいなので、投下させていただきます。
支援させていただきますぜ
256 :
ナイトメイジ:2008/01/03(木) 21:12:18 ID:3F/jWn28
少々、いやかなり不機嫌なルイズは大股でのしのしと食堂に向けて歩いていた。
歩きながらルイズは考える。
どうしてこんなにいらついているのだろう、と。
まず最初は朝食に部屋を出た時だった。
キュルケとばったり出くわして使い魔自慢につきあわされてしまった。
それだけならまだいい。ほんとは良くないけど。
キュルケはこう言ったのだ。
「あなた、使い魔の召喚に失敗したの?」
召喚した使い魔がかなりアレなのは認めざるを得ないが、失敗したわけではない。
今いないだけなのだ。
朝に使用人を雇ってくると言って部屋を飛び出して以来戻ってきていないだけなのだ。
だからルイズは腹にイライラを溜めてここはぐっと我慢した。
次は、朝食の時だ。
使い魔といってもご飯を食べなければならない。
朝ご飯くらい食べに来るだろうと考えたルイズは、躾のために薄いスープと固いパンを用意して床に置いてやった。
ところが使い魔はいつになっても帰ってこない。
ルイズの思惑は見事に空振りに終わった。
でも、ここでわめき立てるのもみっともない。
だから、ルイズは腹にイライラを溜めてここはぐっと我慢した。
そして、ついさっき授業中。
その授業で担当のミス・シェヴルーズはこう言ったのだ。
「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね」
ところがルイズは使い魔をつれていない。
さんざん馬鹿にされてしまった。とくに、風邪っぴきのマリコルヌに。
おまけに、あまりに頭に来ていて、その後の練金の実技では教室丸ごと大爆破をしてしまった。
おかげで教室の片付けまですることになってしまった。
使い魔がいれば少しは楽になったと思うのだが、肝心の使い魔はいない。
ここで暴れても片付けに時間がかかるだけ。
だから、ルイズは腹にイライラを溜めてここはぐっと我慢した。
考えてみれば、どれもこれも使い魔のベルが原因だ。第三者から見ればかなり理不尽かも知れないが。
それでも、ご飯を食べればこのイライラも少しは収まるだろう。
ルイズは食堂の扉を力一杯開けた。
「あら、ルイズ。遅かったわね」
「……」
いた。
ここにいた。
何がいたって、ルイズの使い魔ベルことベール・ゼファーがいたのだ。
ルイズがいつも座る席に座って、優雅にお茶なんか飲んでいる。
実に優雅だ。そこら辺にいる貴族の子弟よりはずっと貴族に見えるのがまた腹立たしい。
ルイズは目をつり上げ、ベルの正面に座り机を叩いた。
「あなたここで何してるのよ!」
「何って、食後のお茶よ」
見たまんまである。
「私のご飯はどうしたの?」
「あ、それ?」
ベルは舌をぺろりと出す。
「食べちゃったわよ。全然来ないから、スープも冷めちゃったし」
「全部?」
「ええ、おいしかったわ。ごちそうさま」
「あ・な・た・ねーーーっ」
頭に来たルイズは顔を真っ赤にして机をばんばん叩く。
もっとも、丈夫な机はそれくらいでは揺るぎもしないが。
「遅くなったのはあなたのせいなのよ!それなのに、主のご飯を食べちゃうなんて!どういう使い魔よ!!」
「そうなの?」
「そうよ。あなたが私と来ていればあんな事やこんな事にはならなかったのよ!」
「何があったかは、よく分からないけど私は雑用係を探しに行ってたのよ。ルイズもわかってるでしょ」
257 :
ナイトメイジ:2008/01/03(木) 21:13:44 ID:3F/jWn28
ルイズはさらに顔を真っ赤にする。
今度は頭から湯気くらい噴きそうな勢いだ。
「じゃあ、その雑用係はどこにいるのよ。仕事も終わらないうちにのうのうと主のご飯を食べていたって言うんじゃないでしょうね」
「そんなはず無いじゃない。終わったわよ」
「だったら、その雑用係はどこにいるのよ。早く見せないさいよ」
「ちょっと待って」
ベルは顔を後ろに向けるて背後を見回す。
右を見回して、探している物がなかったのか今度は左後ろを見る。
「そろそろ来るはずよ……あ、来た来た」
何が来たのか。
ベルの視線をたどると、その先にいたのはケーキを乗せた銀のトレイを持ったこの学院のメイドだ。
名前は知らないが何度か見たことがある。
「私たちの身の回りの世話をしてくれるシエスタよ。シエスタ、ルイズに挨拶をして」
「はい。この度、ベール・ゼファー様の配下に加えていただきましたシエスタです。よろしくお願いします」
シエスタと言うメイドは挨拶をした後、ケーキをベルの前とルイズの前に置く。
ベルが
「ルイズは何も食べてないみたいだから、もう一つあげて」
と命令すると、当然のようにルイズの前のケーキを二つにする。
ルイズがベルとシエスタの2人を交互に見ているうちに、シエスタはケーキを配りに行ってしまった。
「ちょっと、どういう事よ」
ルイズはフォークを握りながら訪ねる。お腹が空いているので食べながら追求することにしたのだ。
「どういう事って、ああいう事よ。聞いてなかったの?」
「そうじゃなくて!」
ずだんとケーキを一等両断。
「あのメイド、この学院のメイドでしょ?学院のメイドにはね。生徒の身の回りの世話をするって仕事もあるの」
「……メイドがやってくれるのに私にやらせようとしたの?」
「使い魔なら当然なの!それより、これじゃあなたがやったことにならないじゃない!単にメイドに頼んだだけじゃない」
「ちがうわ。私はシエスタと契約したの。彼女が私たちの世話をするのは、学院の仕事だからじゃないわ。契約に基づいたことなのよ」
「契約?」
その言葉もベルが言うとかなり怪しげだ。
「どんな契約したのよ。あなたお金持ってないはずよね」
ベルを召喚したときには何も荷物は持ってなかった。もしお金を持っていたとしても大した金額ではないはずだ。
「あら、お金が無くても契約はできるわよ」
「どういう事よ」
「たとえば、私とルイズとか」
「ぐ……い、いいのよ。使い魔とメイジは別なの!」
ルイズは言葉に詰まり、うろたえてしまう。
そんなルイズをベルは何か面白い物のように笑って見ている。
「じゃあ、そういうことにしましょう。で、私がシエスタとした契約はね、シエスタが私に仕える代わりに力を与えるって契約なの」
「力……?どういう事よ」
「どういう事もこういう事も、魔王の力ををちょっと分けてあげただけ」
「もっと具体的に言って」
「そうね。たとえば……冬でも凍えないわね」
「は?」
「空気のないところに行っても平気だし」
「え?」
「大気圏から落ちても痛いくらいで済むわ」
「大気圏て何よ」
「知らないの?」
「知らないわよ!」
ベルは小さいあごをちょっとだけ持ち上げて塔が見える窓の外を見る。
「あの塔、なんて言うの?」
「火の塔だけど」
「あのてっぺんから落ちても全然平気ね」
「え……?」
「これだけ恩恵を与えばれ十分でしょ?むしろ、雑用の代償としては大盤振る舞いの大安売りよ」
258 :
ナイトメイジ:2008/01/03(木) 21:15:11 ID:3F/jWn28
本当なら確かに大盤振る舞いだ。
だが、そんな不思議な恩恵などあるかどうか、とても疑わしい。
それに、この恩恵はまるで……
「異端や悪魔との契約じゃない?それって」
「あら」
ベルの笑顔が変わる。
今までの面白がっているような目ではない。
もっと、別の物だ。
「ようやくわかったの?最初から言ってたわよね。私は、魔王だって」
ルイズはベルのこの目があまり好きではない。
ルイズがまばたきをした瞬間にはベルの目あった底が知れないような色はもう消えている。
いつもの微笑みを口元にたたえ、ケーキを頬張っていた。
「自分を魔王と言ってるけど、そうやってると全然魔王らしくないわよね」
ベルが半分食べる間にルイズは1つ食べ終わって、2つめにフォークを突き刺している。
「そんなこと無いわよ。そうね、じゃあ証明してあげましょうか?」
「ここにいる生徒を皆殺しなんて言うのは冗談でも言わないでよ」
「わかってるわよ。もっと、別なこと。見てなさい」
そういうとベルは残りのケーキを一口で食べてしまう。
ふくれた頬をもごもご動かして飲み込むと、立ち上がって歩いていった。
ベルの行く先にいる生徒、あれはギーシュ・ド・グラモン。ルイズの同級生だ。
彼は今、これもルイズの同級生の男友達と話しているようだ。
少し耳を澄ませれば、何を話しているかとぎれとぎれだが何となくわかる。
女生徒の関係について、修飾詞をこれでもかとつけて話しているのだ。
そんなギーシュの側でベルは唐突に立ち止まり、これまた唐突にこんなことを言い出す。大声で。
「あの、ギーシュ様。昨日は、その……とても楽しかったです。今晩もよろしいですか?」
「は……?」
ギーシュは口をあんぐり開ける。
彼と話していた同級生達はざわめきだす。
それを無視してベルは続けた。大声で。
「私、あんなこと初めてで……それに、ギーシュ様は私だけだって……嬉しかったです」
口をぱくぱくさせるギーシュにさらにベルは熱っぽく大声で続けた。
「ギーシュ様」
それと同時にギーシュとベルを見ていた同級生達の輪が3つに分かれる。
1つの隙間から現れた女が底冷えするような声でギーシュを呼ぶ。
「ギーーシュ!!」
声の主はモンモランシーだ。
その声を聞いたギーシュはゴーレムのようにぎこちない動きでモンモランシーを見た。
そして、もう一つの隙間からも女性が現れる。
彼女は冷たい北風のような声でギーシュを呼んだ。
「ギーシュ様!」
こちらが誰か、ルイズは知らないが辺りのざわめきが彼女のプロフィールをしっかり周りに伝えている。
ケティという一年生らしい。
そこからはもう大変だ。
ギーシュは三人の女性に詰め寄られもはやあたふたするばかり。
「ま、待ってくれ。三人とも。僕は三股もかけた覚えはないんだ」
だが、そんな弁解など通す女性がいるだろうか。いや、いない。
「ギーシュ様、ミス・モンモランシーだけでなく……」
「そんな、私だけ、私だけって言ってくれたのに」
「一年生ばかりでなく、こんな子にまで!」
そして、ギーシュは徐々に壁際まで追い詰められ。
「ま、待ってくれ。待ってくれーーーー」
しれっと落とし子になってるー!?支援
260 :
ナイトメイジ:2008/01/03(木) 21:16:28 ID:3F/jWn28
「どうだった?」
ギーシュの悲鳴が響き渡る中、ベルはどうやってあの輪の中から抜け出したのかわからないがルイズの前に戻ってきていた。
何か満足した顔でゆっくり新しい紅茶をティーカップにつぎ直し、その香りと味を堪能している。
「どうって……」
「あのギーシュって男を破滅させたでしょ?」
ルイズも紅茶をつぎ直す。その間もベルは話し続けていた。
「恋愛は専門外だったけど、あのくらいなら私でも簡単ね。そっちの専門家のフォルネーがやってたらあのギーシュって男の首は胴体と離れていることになってたでしょうけど」
ルイズは飲み終わってから口を開いた。
「ねえ、アレって魔王の所業と言うより、小悪魔的なことって言うんじゃない?」
「あら、わかった?」
2人は同時に深呼吸をする。
そして、これまた同時に立ち上がり、見つめ合い。
ルイズは杖をふった。
素早く動かしたベルの頭の横で爆発が起こる。
「避けるな!」
「避けるわよ!」
走り出すベル。
机を乗り越して追いかけるルイズ。
2人は食堂中を爆発をまき散らして走り回る。
「あなた、私をからかって楽しんでいるでしょ?」
「わかってたの?気づいてないと思ったのに」
「待ちなさい!このエセ魔王!ぽんこつ魔王!今すぐここで爆破してあげるわ」
「ぽんこつって言わないでよ!」
その後、2人は食堂どころか学校中をルイズの体力が尽きるまで走り回り、中庭に二桁に届くクレーターを作りまくったという。
「やっぱり。ルイズ、貴方の力はとても面白いわ。でもまだ弱い。貴方の本当の力はいつ見せてもらえるのかしら。そうしたら、世界でも貴方の物にしてあげるわ」
投下終了です。
ベル様はしばらく遊ぶ方針で書いてます。
薔薇乙女の人GJ
シェフィールドが持ってる鞄はやっぱどっかで見たことがあるデザインですかね
いつの間にか高町大尉が召喚されてた
元平民のウィザードとかあの世界だとどういう扱いになるんだろ
ゼロと魔砲使い
面白そうです
細かいところまで考えているみたいだし、Stsなのはも好きなので期待してます
がんばれ
>>37 遅レスだが、一言。
完成できるか分からないなんていっちゃダメ。
完成させる気で書くんだ。
最初から言い訳を用意しておくと、
簡単に自分に負けちゃうんだぜ?
ギーシュ哀れw
いつベル様のぽんこつっぷりが出てくるか楽しみだぜ
ギーシュオワタ\(^o^)/
同情はしないけど
>161
戦い! 戦い! 戦いこそが、ジオンそのものなのである!!
ギーシュ哀れすぎwww
ベル様GJwww
ギーシュwww
ベル様乙!
そして高町大尉乙!
序盤の導入部は丁寧に描写されているので今後も細かい描写を期待
高町大尉と張り合えそうなキャラだとワルド位だがどう進めていくのかwktkしながら待ってる
…そういえば、ルイズと高町大尉には某所でただならぬ因縁が。
いや、よそうこの話は。
シエスタ、ベルの落とし子に転職かー。
アンゼロットの下僕並みにハードワークだと評判だが大丈夫かいな?
そして、さようならモット伯。瘴気に飲まれて消えるが良い。
そして、良かったな、ギーシュ!ベル様とどつきあうのは高町大尉クラスで無いと無理だから!
ギャグで済ませてもらえて大ラッキー。
世界結界の外だとガチで神クラスでもないときついだろ。
ベルはガチで古代神だしなw
あけましておめでとうございます。
早速ですが、新年早々10レス程毎度馬鹿馬鹿しい小ネタを投下予約します。
10スレも!?
なんとすばらしき支援
ディセプティコン(とは関係ないほうだけど)支援
トリステイン魔法学院始まって以来の、異例の事態が発生した。
それは、2年生への進級テストを兼ねた、サモン・サーヴァントの儀式での事。
ハルケギニアの動物や幻獣を召喚し、自身の魔法の系統を定めるのがこの学院の掟である。
今年度の儀式では、誰1人召喚に失敗する者は現れず、教員であるコルベールもほっと胸を撫で下ろしていた。
だが、召喚自体は全員成功したのだが、前年度までは予想だにしなかった結果も建立した。
5人の生徒が、同じ『スタースクリーム』と名乗るガーゴイルを、それぞれ1体ずつ召喚したのである。
ここで簡単に、召喚された彼等を紹介していこう。
『俺様がこのスタースクリーム軍団のニューリーダーだ!』
ルイズが召喚したのは、実はツンデレキャラの称号を持つ航空ヘタレ参謀初代スタースクリーム。
映画などでも引っ張りだこの有名な戦闘機、F-15イーグルから変形する。
赤と青のコントラストが見る者の眼を誘い、頭は黒く、眼は悪を象徴しているのか、真っ赤に染まっている。
ツンデレと呼ばれる由縁は、破壊大帝メガトロンに幾度も刃向うも、最終的には謝り部下として従う点や、
ある時メガトロンと離れ離れになった際、再開時に非常に嬉しそうにしていた事があったからだと考えられる。
『あらやだ。あなたみたいなドジッ子に、軍団の頭領が勤められると思って?』
キュルケが召喚したのは、なんとなくスカロン店長と気の合いそうなBWUスタースクリーム。
実は実写版のスタースクリームに先駆けて、黒色を象徴とするF-22ラプターへと変形する。
人間で言えば性別は男だが、聴いて解るように、何故かオネェ言葉で話す。所謂どんだけぇ、である。
余談だが、BWU本編では、サイバトロンとの戦いで敗れた後、何故か鮫の姿に転生した。
ビーストウォーズ、という意味では正しいが、スタースクリームとしてそれはどうかと思う、という意見もある。
『なぁ、おい、それよりもこの蜂型ボディ、どうにかなんねぇかな、ブ〜ン』
ギーシュが召喚したのは、今にもやぁぁってやるぜとか叫びそうなビーストスタースクリーム。
スタースクリーム達の中で唯一、戦闘機では無く、緑色の蜂へと変形。
元居た世界でワスピーターというTFに憑依し、そのまま召喚された為にこのような姿なのである。
但し、航空参謀としての能力は健在で、見た目以上の高速移動を得意とする。
因みに、彼と初代スタースクリームは恐らく同一人物なのだが、ややこしいので今回その設定は無視。
『待ちたまえ、その前に皆でブラックアウトをボコボコにしようじゃないか』
タバサが召喚したのは、どことなく胡散臭い車のセールスマンみたいな雰囲気の実写スタースクリーム。
ラプターから変形する彼は、スタスクと呼ばれるトランスフォーマーの中で、最もクリーチャー的な外見である。
彼の世界では、メガトロンは既に行方不明の身で、故に彼はメガトロン探索期間の何万年もの間、
念願の悪の軍団の先導者として成り立つ事に成功した。部下からの評判はすこぶる悪かったが。
だが結局、地球にて復活したメガトロンに『またしくじったか』と怒られていた。
『ここは何処なんだ! アレクサは何処だぁぁぁ!!!』
モンモランシーが召喚したのは、連中の中で最もマトモな反応及び性格のアルマダスタースクリーム。
架空の戦闘機から変形する。人型形態だと、頭部に隣接した肩のブースターが邪魔そうなのが印象的である。
他のスタースクリームが、主にビーム等による射撃で戦闘に赴くのに対し、彼は剣術を得意とする。
また、先述のようにいたって真面目な性格で、人間の子供からも好かれ、彼自身も満更では無い様子。
そのためか、初代スタースクリーム程で無いにせよ、彼にもツンデレの属性が備わっていると言われている。
以上、計5名のスタースクリームが、各々別の世界から、何故か同時に召喚された
(他にナイトスクリームとか、レオザックとか、アニメイテッド顎長スタースクリームだとかがいるが省略)。
原因は、聖地やらユニクロンやらなんやらかが、ややこしく絡んでいるからだと思われる。たぶん。
あと、ギーシュやタバサやモンモランシーもスタースクリームを召喚しているため、
アルビオン脱出時とかきゅいきゅいフラグとかラグドリアン湖での惚れ薬イベントとかどーすんだ、
そもそも各自系統魔法はどうなるのか、と天の声が聞こえてきそうだが、そこは気にしない。
さて、吃驚の展開でルイズ達の2年生としての学園生活がスタートしたわけだが、
そんな彼女達の魔法学院での日常のほんの一場面を、それぞれ1組ずつ順に覗いていくことにしよう。
「まったくこのスタースクリームめ、またオールド・オスマンを脅して学院を占領しようとしたわね!」
『お、お許し下さい、ルイズ様ぁぁぁ!!!』
ある日の夜、学院宿塔のルイズの部屋にて。
ここで突然だが、トランスフォーマーに大きさの概念は無いに等しい事を事前に釈明する。なにせあの世界では、
人型からジャンボ旅客機、そして大型トラックへと変形する、物理学もクソも無い輩もいるくらいである。
なので、全長約19メートルのF-15から変形する初代スタースクリームが、
普通に部屋に佇み、ルイズにお仕置きされているこの状況は、決して矛盾ではない。
但し、かなりシュールレアリスムな光景ではあるが。
さて、初代スタースクリームにとって、ルイズがメガトロンポジションなのは明確であり、
というか、ゼロのトランスフォーマー本編とあまり変わり映えしないので、ここは敢て省いて次に移ろう。
「ミス・モンモランシのスタースクリームって、中々良い性格じゃない」
『そうねぇ、同じスタースクリームの私でも彼は魅力的だと思うわ』
ルイズと初代スタースクリームが漫才を催してる頃、キュルケの部屋にて。
ネグリジェ姿でベッドに横たわり、ネイルを弄るキュルケと、月夜を背景に部屋の窓から巨大な顔を覗かせる、
BWUスタースクリームが、何やら色沙汰について語り合っている。
彼女らは、使い主と使い魔である以前に、お互い気の合う性格らしく、普段から何かと男関係の多いキュルケに、
そういう類の話に割りと興味があるBWUスタースクリームが加担している、といった関係だ。
さて、そんなキュルケも、スティックスを始めとした、彼女を慕う男達に完全に興味が失せたらしく、
今度はモンモランシーのアルマダスタースクリームを、試しに誘惑してみようと言う魂胆を抱いていた。
意外と紳士的で、その辺の男よりも余程魅了的なのではないかと判断したのだ。
「って事で、やってみる価値はあると思うのよね」
『面白そうじゃない、協力しましょう。私に出来る事があったら何でも言いなさい』
「んー……」
――翌朝、まだ朝日が眩いアウストリの広場で、紅の巨人が棍棒を素振りしている姿がある。
アルマダスタースクリームだ。剣術を戦いの術とする彼は、
こうして定期的な鍛錬を絶やさない、根っからの武士道精神を持つ。
棍棒を素振り、といっても闇雲に棒を振り回しているのではなく、
回数を決め、縦斬り、横斬り、防御の構え等、いく種もの動きを繰り返すのだ。
この日の朝の鍛錬を終え、眠りから覚めた鳥達の囀りを聞きながら
朝日を眺めていたアルマダスタースクリームの背後に、黒い何者かが近寄った。
『誰だ』
『あら怖い。振り向きざまに棒をこっちに向けないでくれない? にしても、朝から熱心だこと』
それは、BWUスタースクリームであった。
アルマダスタースクリームは、掲げた棍棒を下ろし、会話を交わしつつも目線を太陽の方角に戻す。
『あんたこそ、広場をうろつくにはまだ早い時間帯だと思うが、何か用か』
『そっ。折り入って頼みたい事があるんだけど、うちのご主人様がね、今夜あなたと話がしたいって言うのよ』
『ツェルプストー、だったか? 話とは、なんの用件でだ』
『さぁ、それは私にも解らないわ。だけど5分だけで良いのよ。
どうか、お年頃のシャイなご主人様の話し相手になってくださらないかしら?』
アルマダスタースクリームは、朝日を瞼(の役目を果たす視力装置)の裏に焼き付けながら、暫し考え込んだ。
BWUスタースクリームが指定した時刻、夜も更けた午後11時頃。
『ほう、年頃のシャイな少女というのは、肌着のみの容姿で客人を出迎えるのか?』
窓から部屋に巨体を無理やりねじ入れ、薄いランプの灯りの元、
ベッドに腰掛けたこの部屋の主の姿を見て、第一印象を洩らすアルマダスタースクリーム。
彼の言う通り、ネグリジェも身に着けず、隠すべき場所をどうにか隠せてる程度の幅の黒生地下着姿のキュルケが、
ランプの灯りでより光沢を放つ褐色肌を露わにし、妖艶な笑みを浮べ、腕組みをしながら巨大な客を見上げていた。
「ふふ、中々凝った物言いね。貴方、やっぱり他のスタースクリーム達とは全然質が違うわ。
まぁ、1番は勿論私のスタースクリームだけど」
『話とはなんだ? 簡潔にすましてくれないか』
「ちょっと顔を近付けてくれる? 誰かがディテクト・マジックか何かで聞かれてても困るのよ」
アルマダスタースクリームは、ふむ、と小さく唸り、
両手と片足を床につき、ぐっと上半身を屈折させ、頭部の側面にある音声機構をキュルケの口元に近付けた。
「人間の体に、興味はあるかしら」
『……えらく素っ頓狂な』
「貴方が人外種族なのは一目瞭然だけど、貴方のいた所でも人間はいたんでしょ。
だったら、人間の体の構造も、研究対象になったりはするでしょう?」
『つまり、君の体を私に調べて欲しい、と言う事か?』
「うーん、さすが物分りが良いわね、そゆこと。私の体なら、色んな興味深い情報が採取できると思うんだけど」
『む。むむむむ』
このハルキゲニアに、ブラジャーの概念は無い。
故に、キュルケが腕組みを解けば、彼女の豊満な胸部はアルマダスタースクリームの眼下に広がる事になる。
キュルケはにやにやと口元の線を下に曲げ、わざとらしく腕を組んだまま肩を上下に動かした。
『よ、よさないか。自分で馬鹿らしいとは思わないのか?』
「あら、女が男を惑わしたいなら、これ位の過剰演出で丁度良いのよ。
それに貴方のような性質の持ち主なら、思われ人も少なくないんじゃない?」
『お、思われ人だと? 言っておくがアレクサはそんなのでは無いぞ! 断じてだ!』
「あれくさぁ?」
『いやいやいや、そのだな』
アルマダスタースクリームが、途端に挙動不審に陥ったその時である。
「やっぱりここね、ミス・ツェルプストー! 私のアルに何ちょっかい出してるの!?」
ドアを勢いよく開き、怒鳴りながら部屋に闖入するのは、アルマダスタースクリームの使い主、モンモランシー。
縦巻きのブロンドの髪を揺らし、少々雀斑が目立ちながらも端整な顔をこの時は歪ませ、
キュルケとアルマダスタースクリームの合間に仁王立ちし、腰に手を当てキュルケを睨む。
「やっぱりここねって、ここは私の部屋なんだから、居ても可笑しくは無いでしょ」
「屁理屈言ってる場合じゃないわよ。貴方ねぇ、いくら人間の男に飽きたからって、
トランスナントカにまで手を出すなんて、飢えてるにも程があるわ。何考えてるのよ!?」
「あら、私はただ彼と楽しく歓談したかっただけよ? 何を勘違いしてるのかしら」
「か、歓談の格好じゃないでしょそれは!! アル、私の命令よ、早く部屋に戻りなさい!」
アルマダスタースクリームは、助かった、といった表情で、そそくさと窓から外に脱出した。
いくら物理的矛盾皆無のTFと言えど、ドアを潜って廊下を平然と歩く訳にもいかないので、
部屋から部屋への移動は、宿塔回りをぐるりと飛び、目的部屋の窓から入り込むのだ。
モンモランシーは、散々文句をキュルケに言い散らした後、ドアをばたんと閉めて部屋を後にした。
キュルケの部屋がしんと静まり返り、今度は入れ替わりにBWUスタースクリームが窓から室内に入り込んだ。
『失敗しちゃったようねぇ。どうする?』
「今回は身を引くわ。洪水で水責めにされるのもなんだし。それに彼、あれは絶対折れない精神の持ち主ね」
『あらま、諦めの早いこと。でもそのさっぱりとした性格、貴方らしくて好きよ』
「ありがとっ」
キュルケとBWUスタースクリームは、からからと笑い合った。
仲の良い姉妹に見えなくも無い。
「ったく、ミス・ヴァリエールが嫌う理由も解る気がするわ。ほんと、見境無いんだから」
一騒ぎあった後、モンモランシーの自室にて。
赤や緑のカラフルな液体の入った数本のフラスコを片手に、香水の調合例が書かれた本を確認し、
ぶつぶつとキュルケへの不満を洩らしながら、新作の香水作りに没頭するモンモランシーと、
その様子を胡座をかいて見下ろす、アルマダスタースクリーム。
彼は、自身の黒い顔面を指でぽりぽりと掻き、不機嫌な使い主にどう接すれば良いか判断に迷っていた。
しかし、そんな心配は無用だったらしい。モンモランシーの方から語りかけてきた。
「いいわね、アル。2度とあんな色ボケに引っ掛かっちゃ駄目よ?」
『いや、引っ掛かったつもりは無いんだが……。心配をさせたのなら、謝っておこう。すまない』
アルマダスタースクリームの素直に頭を下げる仕草に、モンモランシーは思わずクスリと微笑み、
香水作りの作業を休め、彼女も頭を軽く頷かせ、
上目遣いでアルマダスタースクリームの表情を窺い、以前より気になっていた事を問うた。
「ところで、さっきもドア越しに聞こえてたけど、貴方って、よくアレクサって言うわよね。誰なの?」
『え、いや、その、アレクサは、あー』
「隠さなくてもいいわよ。私が勝手にここに呼び出しちゃったんだし、
向こうの世界に残してきた子だっているんでしょ?」
向こうの世界。
アルマダスタースクリームは、遠い過去を思い出すような、寂しげな表情で、手の平を見つめる。
デストロンとサイバトロンの、思い返してみれば無駄な戦い。真の敵がサイバトロン以外にある事実を、
そしてサイバトロンや、人間達と手を組み、トランスフォーマー達が1つとなって、
その真の敵と戦うべきである事を、アルマダスタースクリームは、メガトロンになんとしても伝えねばならない。
だが、そんな義務を持つ彼が、何故土壇場で異世界になど召喚されたのだろうか。
その答えは、今は見つかりそうに無い。
そして、人間であるアレクサの事も、まぁ、その、なんだ。
『残してきた、か。その表現は語弊がある。向こうは私の事をデカブツとしか考えて無いんだからな』
「そう思ってるのは、アル、案外貴方だけかもしれないわよ」
『む? 私だけだと? 何故なんだ、意味が解らん』
あくまで誠実に、且つ何処か抜けた返答をするアルマダスタースクリームに、
モンモランシーは、僅かに溜息をついた後、鈍いわね、そのアレクサって子が可哀相。
と呟き、また使い魔の顔に微笑みを送った。
さて、召喚の日から何日かが経過し、スタースクリーム達による騒々しさも一定の安定感を保ってきた頃。
この日、大地を照らす太陽の下、実写スタースクリームラプター形態が、
時速で言えば約280リーグの速度で、上空3千メイルを飛行している。
そのコックピット内で、使い主であるタバサが、比較的優雅に読書に耽ていた。
風竜に跨るのと違い、ラプターのコックピットには座席もあるし、屋根もあるので風に煽られる事も無い。
この使い主と使い魔が向かうのは、ガリアの首都、リュティスに位置する、プチ・トロワ。
ラプターもとい実写スタースクリームを使い魔にして以来、タバサの移動手段は飛躍的に進化した。
トリステインとガリアの国境も、音速に近いスピードで難なく上空を通過出来る。
出頭命令を受け、そしてプチ・トロワの主イザベラの下に辿り着くまでの時間が1層も2層も短縮された。
だからと言って、イザベラのタバサへの態度が急変するワケでも無いが。
この日も、小宮殿の前庭に着陸し、実写スタースクリームに待機命令を下し、王女の部屋に足を運び、
定番となった‘歓迎’を、無言で受け入れ、蒼い髪に粘着した腐った卵の黄身を嫌がることも無く、
冷たい表情のままイザベラの目の前に立ち止まるタバサ。
イザベラが、そんなタバサの姿に、毒気を咬ましてやろうと何か言いかけたその時だった。
『いい加減、私の主人をいいように扱使うのは控えてくれないかな?』
兵や護衛ガーゴイル達の制止を振り切り、宮殿内に侵入した実写スタースクリーム(繰返すが物理的矛盾は無視)が、
カーテンからその醜い頭部を覗かせ、王女の部屋に堂々と足を踏み入れながら、
派手な行動とは反対的に、落ち着いた口調でイザベラに話しかけたのだ。
さすがのタバサも表情は変えずとも、若干驚き、実写スタースクリームをイザベラに近付かせないように、
杖を構えて実写スタースクリームの前に立ちはだかった。
「何故、来たの」
『それは当然、私の慈愛なる貴方が、これ以上任務に苦しむ姿を見たくないからではありませんか』
一見、それは使い主の身を案じた心優しい言葉に聞こえる。
だが、例えば針をオブラートに包み隠す場合、隠そうとするあまりオブラートを必要以上に枚数を重ねてしまうと、
逆に針の存在感を浮彫りにさせてしまう。
実写スタースクリームの態度も、まさにそんな擬装の精神を絵にしたような姿であった。
人間は、消耗品である。イザベラの与える任務が原因で、タバサが万が一使い物にならなくなったら、
今後彼女を利用してのハルケギニア侵略が困難となる。ならば、無用な労力は避けさせた方が良い。
それが、彼の目論みであった。
「お前が、スタースクリームとか言う人形娘の使い魔かい? ふざけてんじゃないわよ!」
『ふふふ、そうやって威張れるのも今のうちだよ、お嬢さん。
私の後ろには有能な部下達が控えてるんだからね』
「はぁぁぁ!?」
「他のスタースクリーム達の事?」
タバサの問い掛けに、実写スタースクリームは人差指を左右に振り、嫌味ったらしくその疑問を否定した。
『大方、我々以外にも誰かしらがこの異世界に居たりするんだろうね。バリケードとかブロウルとか。
例え離れていようと、同じ世界にいるならば、私が集結命令を電波で発し、すぐにでもここに呼び出せるのさ』
得意げに語った後、実写スタースクリームは、イザベラを蛇の如くな目付きで睨み付け、
彼女がその眼光に僅かに怯んだのを見て、不敵ににやけると、右手を掲げ、耳を劈くような大声を上げた。
『こちらスタースクリーム、ディコセティプン集結せよ!』
一刻の沈黙の時が、宮殿を静寂へと誘った。
実写スタースクリームは、回りを見渡し、白けるタバサや、口をあんぐりと開口するイザベラの姿を確認し、
僅かに頭を傾げ、腕を組み、再び口を開いた。
『訂正する。こちらスタースクリーム、ディセコプティン集結せよ。
いや待て、こちらスタースクリーム、ディプコティセン集結せよ?
違うなぁ、こちらスタースクリーム、ディティプセコン集結せよ…
うぅんむ、こちらスタースクリーム、ディコディコプン集結せよっ』
またも、一刻の間。
そして、今まで紳士を装っていた実写スタースクリームが、ついに素の姿を表し始めた。
『ちぃっ、ディコプコティン……じゃない、ディプコセティン……あ゛ぁぁぁ、これも違う!
記憶装置がイカレやがったか!? クソッタレめが!! ファッ(以下米国的放送禁止用語連発故規制)』
「人形娘」
イザベラが、タバサを手招きする。
「あんたの使い魔がイカしてイカれてるのは、よぉく解ったから、さっさと摘み出せ」
その命令に、タバサは素直に従い、喧しい実写スタースクリームにウィンディ・アイシクルを放った。
所変わって、ここはトリステイン学院のヴェストリの広場。
ここでギーシュとビーストスタースクリームが、並んで地面に腰を降ろし、特にやる事も無くて暇を弄ばせていた。
ギーシュが薔薇の造花を、魔法で消したり出したりしてる横で、ビーストスタースクリームが口を挟む。
『なぁ、暇だしよぉ。とりあえず、ここで誰かと決闘するか?』
「はぁぁ? 何を唐突に言い出すんだい」
『先ずは食堂行って、下級生にナンパして、メイドに香水拾われて、モンモランシーに嫌われて、んで逆上』
「僕はそんな器の小さな男じゃない!」
『そいで決闘の時はだな、ワルキューレを8体も9体も出して相手を翻弄するんだ』
「僕が出せるのは7体までだってば! 何度言ったら解るんだい?」
『怒るなや、冗談に決まってんだろ。……しかし暇だな、ブ〜ン』
「それには同意しよう」
結局その日は、日が暮れて夕食の時間になるまで、2人仲良く日向ぼっこに精を入れたのだった。
さて、これまたそんなある日。
ルイズの婚約者と名乗る男を目にした、初代スタースクリーム曰く
『いけすかねぇ野郎だな、俺達でシメちまうか』
BWUスタースクリームから言わせれば
『髭の生やし方のセンスが劣悪ねぇ、あー趣味悪いったらありゃしない』
ビーストスタースクリームの意見は
『悪い意味で俺達に似てるよな。頃合を見て反逆しますってツラだぜありゃ』
実写スタースクリームによると
『ふむふむ、データを見るに、彼はマザコンらしいね。加えて、ロリコンときた。オオゥマイスタァァ』
アルマダスタースクリームに到っては
『このワルドとやら、邪険に満ちている! 今すぐに葬らないと、何れ巨悪へと変貌してしまうに違いない!』
と、スタースクリーム同士にしては珍しく意志合致し、そのノリで、
まだ何もやってない初対面のワルドを袋叩きにしたため、当然ながらルイズは憤慨し、
危く虚無の魔法で消滅させられそうな騒ぎになったが、
キュルケやモンモランシーの説得、そしてオールド・オスマンの計らいで、
スタースクリーム全員に、トリステイン全校生徒分の制服及び、下着の洗濯の罰を下す事でなんとか納まった。
人を1人殺しかけたのにその程度で済んだかのか、と思われがちだが、実はそれが存外大変な作業であった。
巨体のスタースクリーム達が、人間用の、それも高級素材のデリケートな制服や下着を、
普段はメイドが使用する洗濯場でちまちまと洗う故、異様に骨が折れるのだ。
嫌そうな顔をしてぶつぶつ文句を言う初代スタースクリームと、
それと対照的に、これといって不満を漏らさないアルマダスタースクリームが、水場での衣類洗いを担当。
ビーストスタースクリームは、蜂特有の4本の腕を巧に使い、洗い終えた衣類を生徒ごとに分担し、
実写スタースクリームとBWUスタースクリームが、それを干していった。
だが、朝早くから開始しても、量が量なので、何時間も休まず作業するものの一向に洗濯物の山は減らず、
午後3時頃、ついに彼等のチームワークに乱れが生じた(というか、ここまで持ったのが奇跡的だとも言える)。
『やろう、ぶっころしてやる!』
『きゃあ、じぶんごろし』
案の定、不満の頂点に達した、血眼(元々赤目だが)の初代スタースクリームが、左手で洗濯板を振り回し、
さらに右手でナルビームを乱射、修羅の形相でBWUスタースクリームを追っ掛けまわしている。
『やめるんだ。じぶんどうしのあらそいは、かくもむなしきかな』
常識と良心を併せ持つアルマダスタースクリームが、それに割って入り、2人を宥める。
『なるほど、エネルギーがきれかけると、気があらくなるのだね』
『はやく洗濯やってワインのもうや』
と、実写スタースクリームとビーストスタースクリームが、然も他人事のように騒ぎを傍観。
尚、彼等の音声機構に若干の劣化が確認される理由は、エネルギーの残量と相互しているからだと思われる。
とまぁ、こう言った具合で毎日が進んでいく為、トリステイン学院に退屈な時間が訪れる事は無い。
「騒ぎたいなら、おいでませ魔法学院」という一種の諺のような言葉まで、巷で使われ始めた有様である。
最後に、使い魔品評会での一興として行われた「スタースクリーム人気投票」の結果をここに載せよう。
第1位、アルマダスタースクリーム。
当然の結果と言えよう。2位との差は大きい。
第2位、BWUスタースクリーム。
喋り癖は如何ともしがたくとも、性格自体は気さくな部分もあるので、この順位に落ち着いた。
第3位、ビーストスタースクリーム。
稀に、「ぼくちん、間違えちゃったんだブ〜ン」とおどける姿(二重人格と言う噂も)が女生徒の心を掴んだ模様。
第4位、実写スタースクリーム。
内面のギトギトさはスタスク中随一だが、それを覆い隠す外面部分に見惚れた者が何名かいたらしい。
第5位、初代スタースクリーム。
見事、ぶっちぎりで最下位であった。
「1票て! あんた、1票てなんなのよ! 情け無いったらありゃしないわ!」
『へぇ、1票はあったのか。待てよ、その1票って、誰が入れたんだ?』
「う、うるさいうるさいうるさい!」
以上です。
乙!
スタスクかわいいよスタスク
スタスクにこんなにキュンキュンしたのは初めてだw
乙!
空戦能力は流石にタバサのが一番か
ぶっちぎり最下位の初代とルイズのオチに爆笑w
GJ!
すごいカオスだ。
次回は、我らが歴代司令をオーダー(あんまり変わらんか)。
「「「「「私にいい考えがある」」」」」
スタースクリーム共が可愛すぎる!!
あまりの可愛さに床を転げまわったぞGJッ!!
ふと思ったんだが、つまりコレはアレか
歴代スタスクの主は全員キスぷれいやーか
皆さんあけましておめでとうございます。
投下予約させてもらいます。問題なければ10分後に投下します。
GJ!
>人型からジャンボ旅客機、そして大型トラックへ
オクトーン吹いたw
しかし結果的には間違っていなかったとはいえ、
初対面でいきなりスタスク5人にボコられたワルドが哀れすぎるw
ルイズから退室を指示されたアンジェリカは素直に部屋を出た。そこには意外な人物がいた。
「うわっと!? や、やぁ、アンジェリカ君」
何故か知らないがルイズの部屋の扉に張り付いていたギーシュが慌てて取り繕ったように挨拶をする。
「こんばんは。ギーシュさん」
ギーシュがそこにいることにはさして疑問など持たずに笑顔で挨拶を返した。ギーシュの名前を呼んで……。
「ええと…これは違うんだよって。 あれ、こんばんは?」
ここにいることの言い訳をしようとしていたギーシュであったが、アンジェリカは特に気にするでなく挨拶をした。
初対面で自業自得であるが、悪印象を持たれてしまい、二度目の対面では、モンモランシーの取り成しもあったが、名前を覚えていないはずのギーシュの名前を呼んで……。
別にロリコンというわけではない。だが可愛い女の子に名前を覚えてもらったら男としてうれしいではないか。ギーシュは内心小躍りする。
だがアンジェリカはそんなギーシュに一切関心を示していない。彼女の興味は別のものに注がれていた。
「あ、わんこだぁ」
アンジェリカの少し驚いた、そして嬉しそうな声に意識が現実に引き戻され、ギーシュは辺りを見回す。
「え、犬だって? どこにいるんだい?」
初めて会ったときと打って変わり、好青年っぽく振舞ってみたギーシュの声は無視される。
仕方なくアンジェリカの様子を凹みながら見守っていると、何も無い空間に恐る恐る手を伸ばしていた。
「何をしてるのかな?」
ギーシュの声を聞いたからか、それとも別の要因か、アンジェリカの手はピタッと止まった。そして辺りをキョロキョロと見回し始めた。
「わんこ」
アンジェリカが上目遣いでギーシュを見つめる。
「ん? どうしたんだい?」
優しく問いかけるギーシュにアンジェリカは端的に答える。
「わんこどこに行ったの?」
そう聞かれても困ってしまう。最初から犬はここにはいないのだから……。
「犬なんて見てないよ」
「でもさっきここにいたよ?」
ここにいたと言われても困ってしまう。ギーシュは犬など見てい無いのだ。アンジェリカがいくら尋ねても知らないとしか答えられない。
寝る前の支援。
支援
わんこ……。一緒に探して」
「え?」
突然そんなことを言われても困ってしまう。アンジェリカは幻覚でも見ているのだろうか。それともからかっているだけなのか。
ギーシュに彼女の真意は分からない。しかしここで断ったりしたことがモンモランシーに知られたら……。ギーシュには選択肢が一つしか残されていない。
「あ、ああ。手伝うよ…」
アンジェリカの言葉を信じてはいない、だがそう言わざるを得なかった。
ギーシュの言葉を聞くや否や犬を探しにあちこち動き回るアンジェリカ。ギーシュは犬などいないことが分かっているのでアンジェリカの後ろを付いて回るだけだった。傍から見ればかなり怪しい。
アンジェリカの後を付いて回る間、ギーシュはアンジェリカが何故犬がいると言い出したのか考えていたが……結論が出ないのでその内考えるのを止めた。
ふと気が付けば医務室のあたりまで来ていた。時間も大分経っている。そろそろ探すのを辞めないかとギーシュが声をかけようとしたがその時、怪しげな声が聞こえてきた。
「何だいこの音は?」
何かの泣き声のように聞こえる。ギーシュは声のする場所を探し出した。どうやら声は医務室の中らしい。
「わんこ!」
ギーシュが考え込んでいる間にアンジェリカは一人で医務室に入って行った。もしかしたら幽霊だったりして……そんなことを思いながらギーシュも慌ててその後を追う。
「おろーん。ここにいるのに…誰も気付いてくれないよー」
部屋の中ではそんな声が響き渡る。犬ではないのは確かだが……。
「お? 小娘ここだ、ここ! へへ、やっと見つけてくれたか」
アンジェリカが不満そうな顔で、鞘に入った剣を持っていた。持たれた剣はやけに嬉しそうな声を上げている。
「わんこいない…」
「そろそろ部屋に戻ったらどうだい?」
丁度いい頃合いと、犬を探すのを諦める様アンジェリカに言った。アンジェリカは渋々頷き、手に持った剣をギーシュに差し出した。
「おいおい小娘、そりゃねーよ」
鍔を鳴らしてアンジェリカに抗議する。
「インテリジェンスソード? 君が持ってた奴じゃないかな?」
ギーシュの言葉に首を横に振り否定するアンジェリカ。
「じ、冗談だろ? オレだよ、デルフリンガーだよ」
支援
アンジェリカは首をかしげる。まるでこの剣を初めて見たとでも言いたそうな表情を見せた。
どうしたものかとギーシュは思案する。これまでアンジェリカと接点が無かったが故に、事情がよく分からないのだ。それでも状況から判断すれば、一応この剣は依然見かけたとおりアンジェリカの物で間違いはなさそうだ。
「ギーシュ…」
唐突に聞き覚えのある声がしたので振り向いてみればそこにはモンモランシーの姿があった。ギーシュは丁度良い所にきたと話しかけようとしたが何やら様子がおかしい。
「モンモランシー? どうしたんだい?」
モンモランシーはゆっくりと口を開いた。
「あ、あんたはケティに懲りずに……まさかそんな小さな子まで……」
「え?」
理解不能、理解不能とでも言いたそうなモンモランシーはアンジェリカの手を取って自身の背に隠した。そう、不埒な輩からその貞操を守るために。
「もう大丈夫だからね。ルイズのところに帰りなさい」
モンモランシーの言葉に少し躊躇しながらも部屋から出て行ったアンジェリカ。その手にデルフリンガーを持って。
後にはギーシュとモンモランシーの二人が取り残された。
「あの…モンモランシー? 何か勘違いしていないかい?」
「勘違い? 何言っているのかしら? わたしというものがありながら……こんなところにでナニするつもりだったのかしら?」
恐る恐る口を開いたギーシュだったが、モンモランシーは取り合うはずも無い。けれどもギーシュは不幸にも、それに気付かないのだ。
「何って…あの子が犬がいるとか言うから…」
ありのままを正直に告げる。いつもならばここで話は終わるはずだった。だが今は違う。微妙に勘違いしているモンモランシーの思考はあらぬ方向へと進んでいくのだ。
「犬? そう…そうやってあの子を連れ出したのね…そして【自主規制】や【禁則事項】なことをしようなんて…」
「いや、だから…」
必死に弁明するギーシュ。だがそれは無駄な抵抗だった。
「まさか犬プレイ!? ギーシュ…あなたが犬になってあの子に踏みつけてもらうつもりなんて……何てうらやま…ゲフンゲフンッ! んんっ、何て破廉恥な!」
既にモンモランシーは決意していた。歪んでしまったギーシュの性癖を修正しなければならないと…。変な方向に思いついた彼女は即行動に移すのであった。今だ弁明を続けるギーシュを一睨みして声高に叫ぶ。
「ギーシュぅ! そこになおれ!」
「は、はい!?」
ギーシュはモンモランシーの一喝に恐怖した。これから何が起こるのか……それは筆舌しがたい。
顔を青くし、ガタガタ震えるギーシュ。あんなことやこんなことを想像しながらモンモランシーは彼に一歩一歩ゆっくりと近づく。
その後彼がどうなったのか……ただルイズの部屋へ帰るアンジェリカが、誰かの悲鳴を聞いたということを記しておく。
犬て…うわあぁぁああ
支援
Zero ed una bambola ゼロと人形
アンジェリカのいない部屋でルイズとアンリエッタは昔話に花を咲かせていた。
とても楽しい時間。だがそれも終わりに近づいてきた。
「いけない、随分話し込んでしまったわ」
「もう帰られるのですか? 泊まっていけばいいのに…」
ルイズは口にしてから気付いた。相手は一国の王女なのだ。そんなに簡単に外泊など出来るはずがない。ただでさえお忍びでここに来ているのだから。浅はかな自分が恥ずかしくなってくる。
「ルイズ、その気持ちだけ受け取りますわ」
笑顔を見せるアンリエッタ。だがその笑顔には先ほどと違ってどこか陰りがある。言いたいことがあるが言い出せない……。アンリエッタはそれを隠そうとはしているが滲み出てきている。
ルイズはそれを嗅ぎ取ってしまった。見逃せるはずも無い。当然のようにアンリエッタに尋ねるのだった。
「エッタ…何か言いたいことがあるのでは?」
ルイズの言葉にアンリエッタはハッとする。彼女は自分の感情を隠し通していたつもりだったのだ。長い宮廷生活で身に付いた処世術。笑顔という仮面をかぶり続けてきたのだ。
しかし、それも懐かしい友人と出会ったことにより仮面に綻びが出ていたに気付けないでいた。それだけこの時間が楽しかったということである。
本音をルイズに見破られた今、迷うことなど無いはずだ。だがアンリエッタは口を開くのを躊躇してしまう。
アンリエッタの変化したその様子をルイズは優しく見守り、口を開くのを静かに待った。
そしてゆっくり、ゆっくりと口を開き始めた。
「わたくし…結婚することになったのです。ゲルマニアの皇帝の元に嫁ぐことに……」
「それは……」
ようやくアンリエッタの口から零れ出た言葉に戸惑ってしまう。結婚……それは本来ならばとても喜ばしいことに違いない。だが素直に喜ぶことなぞできない。
ましてや形式的に喜びの言葉をかけることも憚れる。
その声を聞き、表情も見れば誰もが理解できるだろう。アンリエッタがその婚姻を望んでいないことなど一目瞭然である。
ルイズはアンリエッタにかける言葉が見当たらず、ただ黙ってアンリエッタを抱きしめた。
「あっ…ルイズぅ」
「エッタ…ごめんね。わたしなんかじゃこれくらいしか出来ない」
ルイズの小さな胸にアンリエッタの頭を抱き寄せた。抱き寄せられたアンリエッタは目尻に涙を携え、その心情を吐露しはじめた。
「本当は…本当は結婚なんかしたくないの。でも仕方がないわ。この国の為なんですから……」
本音と建前を織り交ぜて自らを納得させようとしたアンリエッタ。だが己が胸の内をほんの少しルイズに見せてしまったことにより、彼女の仮面が崩れ始める。
ルイズが言葉をかけるよりも先に目尻にためていた涙の静kが頬を伝わり床へと落ちる。もはや溢れ出す感情を抑えきることなど出来なかった。アンリエッタはルイズの胸の中で嗚咽を繰り返し始めた。
嗚咽を繰り返す中でアンリエッタは己の感情を隠すこなくルイズにぶつけた。
アンリエッタは恋をしていた。片思いではない。相手と通じ合っていた、相思相愛。そして遠くない未来に二人が結婚できるようにと誓い合ったのだ。誰の意思でもない、自らの意思で……。
だがその誓いも儚く崩れ去る。思い人の治める国での政変。初めは楽観視していた。宰相のマザリーニも特に何も言わなかったからというのもある。
しかしそれも時が経つにつれ状況は悪化して行くばかりだった。
マザリーニからもたらされる情報はアルビオン現王家が劣勢だという。直情的に軍を派兵するように言うも全く取り合わない。
今のトリステインの国力ではどうだとかこうだとか言って丸め込まれてしまった。最後には現状で最もよい手を打つ、つまりゲルマニアと同盟することを了承させられた。己が身と引き換えに……。
この身は所詮トリステインという国を守るための道具でしかなかったのだ。恋の一つですら満足にかなえられない。
でも仕方がないのだ。思い人を見捨てることも、見知らぬ男の下に嫁ぐことも……国を守るためには仕方がないのだ。
「仕方がないのよ…。だって、わたくしは王女なんですから…」
アンリエッタは自分自身に必死に言い聞かせる。全て仕方がないのだと……自分は悪くないのだと……。
一方のアンリエッタの告白を聞いたルイズは戸惑ってしまう。ゲルマニアに嫁ぐこと、アンリエッタの思い人がアルビオンのあの方であることも当然驚くべきことだ。
しかし戸惑いの原因は他にある。どうしてこうも簡単に諦められるのだろうか。彼女にとっての思い人の価値は「仕方がない」の一言で切り捨てられる程度の存在だったのだろうか。
親友の心が分からない。お互いが離れ離れになった時間が、余りにも長すぎたのだろうか。彼女の言葉は何処までが真実で何処までが偽りなのか分からない。いや疑っては駄目だと首を振るう。
親友を疑うなど有るまじき行為だ。
もし自分だったらどうだろうか。アンリエッタのように簡単に切り捨てられるだろうか。もしアンジェリカと別れる事になったのならば……自分なら決して諦めない。
一度掴んだわたしの者をはなしてたまるものか。アンリエッタを抱きしめる手に力を篭めた。
「ああ、ルイズ」
悲しそうな、どこか嬉しそうなアンリエッタの声。それを聞いたルイズは体が硬直した。アンリエッタの嬉しそうな声、そう逃げていただけなのだ。
彼女は悲劇のヒロインを演じる事によって、全ての責任を他所に押し付けていただけなのだ。仕方がない、全ては国を守る為なんだと……。
そう思ってしまうとルイズの中にあった友情が急速に冷めていく。結局アンリエッタは自分が一番大事だったのだ。彼女の姿がいつか見た夢の男たちも言っていた。
仕方がないと……そうやって自分を正当化させていく、その姿がアンリエッタと重なるのは何故だろうか。
「ねえルイズ。お願いがあるの?」
息を大きく数回吸ったアンリエッタは落ち着きを取り戻し、ルイズにそう切り出した。
「何でしょうか?」
無理難題が押し付けられそうな予感がする。それもきっと引き受けざるを得ないのだろうとルイズは冷静に考えた。
ルイズの考えを他所に、アンリエッタは悲痛な面持ちでルイズに縋り付く。
「手紙を…手紙を取ってきてもらいたいのです」
「手紙ですか?」
手紙を取って来るだけなら自分に頼まなくていいものを、ルイズは怪訝な表情を浮かべる。それもアンリエッタが次の言葉を継げた瞬間、驚き、呆れてしまう。
「アルビオンの…ウェールズ皇太子の元へ行き、手紙を受け取って欲しいのです」
信じられない。よりによって渦中のアルビオンへ行けなどと言われるとは露にも思っていなかった。呆気に取られたルイズに気付くことなくアンリエッタは言葉を続ける。
「あの手紙がアルビオンの敵方に渡ればゲルマニアとの同盟は反故に…ルイズ、引き受けてくれますよね?」
アンリエッタの言葉をゆっくりとかみ締める。今までの会話もこのための布石だったのか。この親友だと思っていたこの人は友情さえも自分の、国のために利用するのか。
ルイズに裏切られたという悲しみや怒りは湧いてこない。ただ胸の内から嫌悪感が生じるだけだった。
「わかりました」
端的に小さく答えたルイズに喜ぶアンリエッタだがその言葉に感情がこめられていないことに気付かない。
大げさな手振りでルイズとブリミルに感謝の言葉を述べると『水のルビー』と『手紙』を手渡した。それは思いつきでもなく、事前に準備していたことに他ならない。
今から思えば最初から全て演技じみていた。ルイズも今更この場を壊すのも忍びないとそれに乗り、頭を下げた。
「この任務にはトリステインの未来がかかっています」
演技も終盤に差し掛かり満足げなアンリエッタ。もうそれに付き合う必要はないと、退室をそれとなく促した。
「そうですわね。そろそろ帰ることにします。ルイズ、くれぐれもお願いしますね」
ルイズは部屋を出るアンリエッタを送り出し、恭しく頭を下げた。
「ええ、わかっっています。安心してください、姫さま」
「え? 今名前を……」
恭しく送り出し、扉を閉めた。外でアンリエッタが何かを言っていたがよく聞こえない。大きくため息を一つ吐いた。
アンリエッタにルイズを駒として扱う意図はなかった。ただ他に信じられる者などおらず、藁にも縋る思いで彼女にこの依頼を頼んだのだ。親友ならばきっと引き受けてくれると信じていたのだ。
確かにルイズは彼女の信頼に応えて依頼を引き受けてはくれた。だがその心は離れていった。
結果としてアンリエッタとルイズの間に深い溝が出来てしまったのだ。それはルイズが一方的に離れて行っただけ、彼女はこの距離を埋め、再びルイズとの距離を縮めることができるのだろうか……。
この日アンリエッタは一人の友を失った……。それでも静かに彼女の無事を祈るだけだった。
Episodio 32
Insieme con la richiesta dell'amico vicino
親友の頼みごと
Intermissione
ロングビルは驚きを隠せないでいた。突如彼女を攻撃してきたのはルイズの姉、エレオノールだった。
エレオノールが攻撃を加える理由は彼女の口ぶりから推測できる。どうやら己の正体がばれてしまったようだし、こちらの行動も先読みされていることから彼女の能力が高いことが窺える。
最初に攻撃を受けた時のアレはエアカッターと思われる。優秀な風のメイジ……それに比べてこちらは手負い。
それにしても一つ疑問が残る。最初の奇襲の時に仕掛けられた魔法…アレは間違いなく己の命を狙って放たれたものだ。
彼女の任務は捕縛ではないのか、あるいは生死は問わないと通達されているのか……。
いずれにせよここで捕まるわけにはいかない。テファニアを守るためにも……。杖を握る手に力が入る。その時エレオノールが高らかに声を上げた。
「悪いけど貴女にはここで死んでもらうわ。妹の…ルイズのために!」
エレオノールはそう呟くと杖を振るった。風の刃がロングビルに襲い掛かる。
ロングビルは悪態をつきながら目の前に土の壁を作り出し身を伏せ、風の刃から身を守りながらエレオノールに言い返す。
「あんたに殺される筋合いはないよ!」
とは言ったものの状況は悪い。恐らく相手は一人の筈がない。何処かに伏兵がいるかも知れない。そう考えると迂闊に動くことが出来ない。
得意のゴーレムを作ろうかと考えたがすぐに却下する。今の自分は怪我で本調子でない。作るにしてもリスクが大きすぎる。ゴーレムの制御でがら空きになった自分が狙い撃ちされるだろう。
エレオノールは壁に向かって何度も魔法をぶつけてくる。恐らく誘き出すための作戦だろう……。何か打つ手はないか必死に考える。
そして……辺りの風が消えた。何事かと慌ててエレオノールがいるであろう場所を覗き込む。そこにはエレオノールの姿がなかった。
「何処に!」
特に意識していた訳ではない。ロングビルは土の壁を消してしまった。まさかエレオノールが壁の反対側に潜んでいたことなど知る由もなかったのだ。
エレオノールは土の壁を作り出し、そこに隠れるロングビルに対し、魔法を幾度もぶつけていたのはこのためだったのだ。
魔法をぶつける事によって相手に接近するのを誤魔化し、チャンスを窺っていたのだ。
伏兵などいなかった。確実に相手を仕留めるための策だったのだ。だが今頃気付いてももう遅かった。驚きのあまり対処が遅れる。杖を振るおうと素早く構えた。
訪れるであろう風の魔法から身を守るため……。
エレオノールの動きに思わず目を瞑って構える。だが待てども風の吹く音が聞こえない。それどころか何の衝撃も襲ってこない。ただロングビルは腹部に激しい熱さを感じた。
何事かと恐る恐る視線を下に動かす。エレオノールの手にはナイフが握られ、その刃が自らの腹部に突き刺さり服を赤く染めていたのだ。それを知覚したとき、熱さは激痛に変化した。
エレオノールがナイフを引き抜き血が辺りに滴り落ちる。体中から力が抜け、ロングビルは思わずその場に倒れこんでしまう。
「な、なぜ……?」
何故魔法でなくナイフで刺すのか。捕縛が任務でないのか。何が目的なのか、エレオノールに問う。
エレオノールは息を荒げ、肩を上下させながらロングビルを見下ろし口を開いた。
支援
投下完了です。
支援ありがとうございました。
>>297 駄目だ、全員揃って「ぬおおおっ!?」って転げ落ちていくシーンしか想像できねぇw
>>313 俺は高いところから落ちたり、イボンコと呼ばれたり、ドスコンボイだったり、
噴水を踏み潰したり、勇者シリーズぽい奴らが集まるのが想像できたw
アンジェリカまだ死なないの?
犬が出たってことは、そろそろだな……
317 :
つかいま:2008/01/04(金) 02:06:45 ID:LYeBt52B
あいやー皆様、恭喜発財(明けましておめでとう)! アンジェリカさんも乙あるね!
では第六話ができたあるよ、投下よろしいか?
すみません、昨日Hの構想を練っていると書いた
>>63です。
あっちは全くまとまっていませんが、別のものを投下したいと思いますが、
つかいまさん以外に投下予約などございませんでしょうか?
なければ、その後に投下したいと思います。
そしてつかいまさんに支援!
ごごご誤字がorz
× 投下したいと思いますが
○ 投下したいと思います
よろし、投下するある。今回は導入ね。
「乱馬が消えて、10日を過ぎた……手がかりは、コロンおばあちゃんの話だけ……。
秋葉原にも現れた 『異世界の鏡』が乱馬をさらったかも、なんて。だけどそんな、雲を掴むような……」
地球は日本国東京都練馬区、天道家茶の間。
早乙女乱馬の許婚・天道あかねは、うなだれていた。もう一人の許婚・久遠寺右京も来ている。
「まぁ乱ちゃんのことや、きっとひょっこり帰ってくるわい。
人事を尽くして天命を待つ、や。乱ちゃんの分の宿題は、うちらでやっとこ」
「あーあ、せっかくの休日なのに。……お父さんたち、大丈夫かしら」
その頃、東京都千代田区から台東区にかけて広がる商店街では。
「さっ、早乙女くん。ここが噂のアキバだよ!」(ザンッ)
「うむ、天道くん。世界に冠たる電気街にして、オタクの聖地!
あのでっかいのがヨドバシカメラだな。『鏡』とやらが現れたのは、どこなのだ?」
天道早雲と早乙女玄馬は、乱馬失踪事件の手がかりを求めて秋葉原に来ていた。
二人とも和服のアナログ親父なので、似つかわしくないことおびただしい。
「なびきがたまに来るそうだが……神田神保町の古書店街では、よく武術書を立ち読みしたものよ」
「まぁ天道くん、ひとまずお茶にしようではないか」
二人はメイド喫茶に入り、コスプレ衣装を見て回り、フィギュア製作に挑戦し、
同人誌やポスターを買い込み、電化製品の進歩に驚く。
「ほー。」
「ふーむ。」
「おお、天道くん! これを見たまえ」
「いやいや早乙女くん、むしろこっちの方がっ」
そして夕方になった。二人の背中と両手には、沢山の荷物がある。
「……早乙女くん、私ら何しに来たんだっけ?」(どっさり)
「ぱふぉ」《忘れた》
なぜか玄馬がパンダになっている。こいつらに任せてもしょうがない。
一方、ハルケギニアのトリステイン魔法学院では。
「はっ……(ぱち)」
「ああ、起きたのねランマ。お疲れ様」
ここは……ルイズの部屋、か。
……ああそっか、ギーシュの馬鹿と決闘して、最後にしびれ薬くらったんだっけ。
それでも勝ったけど、あの野郎は九能の化身か? タチ悪ぃなー。
「あんた、2日ほども寝ていたのよ。もう決闘の次の日の夜」
「そっかぁ。まあ充分休養はとったし、明日からいつもどおりだぜ。心配かけてすまねぇな。
皆に俺の体質がばれたから、もう隠す必要もねぇし」
『らんま』が笑う。一応こっちでは「お湯を被ると男になる女」として通している。
本当は「水を被ると女になる男」なのだが。
「あんた、やっぱり強いのね。ワルキューレが手も足も出なかったじゃない!
ああ見えて、平民の傭兵数人と互角に戦えるぐらい強いのよ、あれって」
「へへへ、鍛えてるからな。それに、この左手の甲にある文字みてーなのが、
武器を持つとぼうっと光って、いつも以上に体がよく動くんだ」
「ふーん、使い魔としての特典かしらね。普通は動物が召喚されるんだけど、
契約すると人間の言葉が話せるようになったりするもの。人間が召喚された例は知らないし」
なるほど、便利だな。武器がねぇと効果ないんだが、俺は元々強いしな。
鬼に金棒ってやつか、へへへん。
……けど、いつまでもここにいるってわけにもいかねぇ。日本に、天道家に帰んなきゃな。
もう10日以上こっちにいるし、皆心配しているはずだ。連絡が取れるだけでもいい。
「なあルイズ。前も言ったが、俺はいずれ帰らなくちゃならねぇ。
待ってる奴らが沢山いるんだ。必ず方法を見つけて、遅くとも数ヶ月以内に絶対帰るからな」
「そう。まぁ使い魔はメイジの能力証明みたいなもんだけど、
使い魔を持たない主義のメイジや、使い魔を失ったメイジもいるわよ。
貴族の位を失う方が、よっぽど辛いわ。……ま、送還方法も調べましょう。おやすみランマ」
同時刻、学院の宝物庫前。黒いローブの女がいた。
「ここの鍵を、オールド・オスマンが自分の懐中に持っていたとはねぇ。
ぶっ飛ばしたときに落としたようだけど、目ざとく拾っておいてよかったわ。
下調べも充分だし、今日こそ魔剣『デルフリンガー』、いただきよっ!」
大きな扉はダミー。その下の小さな、人一人通れるほどの扉を鍵で開ける。
魔法によるトラップを、慎重に『錬金』などで潰し、宝物庫の奥に侵入するのはミス・ロングビル。
いや、彼女は土のトライアングルメイジ、怪盗『土くれ』のフーケである。
「……よおし、これだね。台座にデルフリンガーと名前が彫り付けてある。
錆びついているけど『ディティクト・マジック(魔力探知)』に反応するし。
ははっ、案外簡単だったね! ざまぁみやがれ、ボンクラ貴族ども!!」
と、剣がいきなり喋った。
『おいこら、盗賊! おでれーたな、ここに入って来れるなんてよ!』
「……おでれーたのはこっちよ、あんた喋れるの? インテリジェンス・ソードだったのね」
『まーな。おいらを盗もうってのか?』
「その通りよ。私は怪盗『土くれ』のフーケ、貴族のお宝を盗み出すのが生きがいだもの。
こんなところで錆び付いているあんたを、外の世界に連れ出してあげようっていうのよ。
何か文句でもあるの? あればこの『魔封じの札』で強制的に黙らせるけど」
フーケは堂々と脅す。デルフリンガーはしばし黙り、再び口を開く。
『……そうだな、そろそろ退屈していたところでえ。時が来たんだろ、勝手に持っていきな』
「あら、ありがと。そんじゃあ行きましょうか、デルフリンガー!」
フーケは自らが参上した証として犯行声明を残し、ひらりと闇の中へ消えた。
その頃、当直のミセス・シュヴルーズは……。
コルベールの使い魔『コタツネコ』のコタツから離れられなくなっていた。
げに恐るべし、コタツの魔力。
支援の閉鎖空間の中で投下されるがいい!
翌朝。ルイズとらんまが学院を歩いていると、なにやら内部が騒がしい。
「何かしら? 先生たちもあたふたしてるし」
「さあな……ああシエスタさん、何の騒ぎですか?」
「あら、お早うございます、ミス・ヴァリエールにランマさん。お元気そうでよかったわ。
ええ、昨夜盗賊が学院に侵入して、宝物庫に納められていた秘宝を盗んだんですって!
それで今、緊急対策会議が開かれていますの。きっと授業はお休みですわ」
シエスタはお盆を持っている。お茶汲みか。
「ふーん……盗賊って、ひょっとして噂の『土くれ』のフーケかしら?」
「ええ、犯行声明も残されていたそうで。何を盗んだのか、私は知りませんが……」
ぱたぱたとシエスタは、厨房へ駆けていった。
ルイズは、拳を握る。
「……これは、トリステイン魔法学院の信頼に関わるわね。
メイジだらけで防御も堅いのが、この学院の安全神話を支えていたのに。まぁ、学院長はアレだけど」
「学院長って、どんな奴だっけ? 俺のいた学校でも、校長は変態だったぞ」
ルイズは『学校』と聞いて、変な顔をする。
「平民のくせに学校へ行っているなんて、『東方』はすごいのね。あんたが特別なの?
うちの学院長はオールド・オスマンって言って、数百年生きている妖怪みたいなじじいよ。
セクハラや下着泥棒でちょくちょく捕まってるけど、なぜか数日で戻ってくるわ。
弟子も多いし、王宮の高官たちの弱みでも握っているのかしら……」
それって、八宝斎のじじいじゃねーか。何なんだこの学院、大丈夫か?
「でも、フーケはきっと『トライアングル』クラスの土メイジよ。
先生たちも確かに実力はあるけれど、実戦ではどうなのかしら? 果たして敵うかどうか……」
「……なぁ、フーケって奴を捜してみるか? 俺たちでさ」
「ん、いいわね。私の不名誉な二つ名も、返上できるかも。ランマがいれば、きっと勝てるわ!」
ルイズとらんまは本塔の学院長室に入り、フーケ捜索隊に志願する。
だがオールド・オスマンは、その申し出をやんわりと拒んだ。
「いやいや、女子生徒を参加させて危険な目に遭わせては、それこそ学院の信頼に関わるでの」
「俺は生徒じゃねえよ。それに、そこの先生方も、捜索にゃ尻込みしてんだろ?
ギーシュを倒した俺の強さは知ってのとおりだし、3日もありゃあフーケを見つけてやるって」
オールド・オスマンやミス・ロングビルは、胡乱げな表情をする。
知っての通りといわれても、直接ギーシュとの決闘を見たわけではないし、
同じ土メイジでもドットのギーシュとトライアングルのフーケでは大違いだ。
コルベールは黙っているし、教師連中もざわつくばかり。
(……それに、聞けばこのランマって小娘は『ガンダールヴ』らしいからね。
敵に回すのも何だけど、あまり目障りなようなら、誘き出して始末しちまおうかしら)
ロングビル(フーケ)が物騒なことを考えていると、もう二人の女子生徒が入室する。
「あら、彼女たちが行くなら、このキュルケも参加しますわ」
「私も」
赤い髪の豊満な美女と、青い髪の小柄な少女。あまりに対称的だが、彼女たちは親友だ。
「キュルケ! タバサ! あんたたちも!?」
「タバサの使い魔『シルフィード』がいれば、捜索範囲も広がりますわ。
たとえフーケが亡命を目論んでいても、追いつけますでしょ? ねぇ、学院長?」
オールド・オスマンはキュルケに色目を使われ、鼻の下を伸ばす。
「うーむ、かわいこちゃんの頼みは断りきれんのぅ。分かった分かった、ただし危険な真似はせんでくれい。
わしが行くわけにもいかんし、秘書のミス・ロングビルについていってもらおう」
「……承知しましたわ、オールド・オスマン学院長」
「「我らが杖にかけて、盗賊を捕らえます!!」」
(けっ、なめやがって生意気な小娘どもが。この『土くれ』が、まとめて始末してやろうじゃないのさ!)
(続く)
326 :
つかいま:2008/01/04(金) 02:22:19 ID:LYeBt52B
投下終了ね。では、次の方どうぞある。
初めての投下って緊張するなぁ…では、行かせていただきます。
愛車に仰向けになったまま携帯の電源を切り、目を閉じる。
頬を撫でる風と、潮の香りが心地よい。
ここで自分の旅は終わる。思えば短い人生だったが、一つだけいいことがあった。
ぎりぎりでしかも補習扱いとはいえ、鯱人の育成が完了したことだけは僥倖だった。
正直まだ心配なところはあるが、鯱人ならば浸父とも戦っていけるだろう。
心配といえばもう一つ…。
最強にして最悪と恐れられる虫憑き。自分にはない強さを持ち、今も一人で戦う虫憑き。
嘗ては彼の背中を守れるのは自分だけだったが、
これからは自分の教え子達が、彼と共に戦ってくれるだろう。
もう一度前線に戻りたいという願いは、ついに叶うことがなかったが。
死ぬ寸前まで悔いにまみれた自分は、彼の目にはどう映るのだろうか?
「…やはり、呆れられるのだろうなー……」
自分が死んだと知った彼は、どんな反応をするだろうか。
泣く?いや、そんなことはありえない。
せいぜい『このバカワンコが』などと墓石に向かって文句をつけるくらいだろう。
そういえば、死んだ虫憑きには墓などあるのだろうかと、どうでもいい事を考える。
そんなことをしているうちに、意識が薄れてゆく。
――――ああ、でも願わくばもう一度…
ゼロという不名誉な二つ名を持つ少女、ルイズが召喚したのは、
材質のわからないフードつきの黄色い服を羽織り、
鉄の馬と思しきものに仰向けになっている一人の少女だった。
年のころは自分より少し下くらいだろうか。
しかし服装といい、鉄でできた馬のようなものといい、
いかにハルケギニア広しといえども一目でそれとわかるほど、少女の印象は奇抜なもので。
そして、そのような印象などどうでもいいくらいに腹部から流れ出す大量の血液。
その顔色は蝋のように白くなっていたが、まだ、本当にかすかであるが―息があるようだった。
…自分が召喚した少女は傷つき、死にかけている。
あまりのことに、「人間を召喚」という異例の事態であることなど頭から消え去っていた。
普段の高慢さをかなぐり捨て、ルイズはただ己の使い魔を助けるために叫んだ。
「誰か水メイジを!!私の使い魔が死んじゃう!!」
複数の人間が慌てているような声。特環の人間だろうか……?
朦朧とする頭で声のした方に目を向けようとしても、何も見えない。
ああ、もう目も見えないのか…
かろうじて拾えた言葉は英語のような綴りで、どれも要領を得ない。
意識が闇に落ちる寸前、彼女の頭によぎったのはただひとつの疑問であった。
…ここは、どこなのだ…?
ひとまず第一話投下終了しました。
ムシウタ本編6巻より、ワンコさんこと獅子堂戌子さんを召喚です。
ルイズ達にワンコワンコ言われて頭を抱える彼女を見たいがためにやりました。
ワンコさんごめんなさい。
今更ながら
>>67さん、その節はありがとうございました。
「やる夫が小説家になるようです」はとても参考になりました。
そしてよく見たら1/2のタイトル間違ってるorz
2/2の方のタイトルが正解です。ごめんなさい。
乙カレー。元ネタは分かりませんが、よく書きなさった。
そういえば、さっきのアンジェリカもワンコワンコ言ってたような。
どうぞ、さらに良き書き手になられますよう。
ひはっ、ムシウタktkr
乙です
乙でした
>スタスク
何と言う航空参謀への愛
>>287 では、新たなる新メンバースタースクリーム軍団の戦闘力をごらんいただこう!
>スタスク
うはw前々から見たいなーと呟いてたかいがあったw
そしてレオザックとか言うもんだから
「……故郷に妹が居るんだ」って
テファを撫でるレオザックとか妄想した
ジョゼフとイザベラがレーザーウェーブ×2で
「うるさくない方」「うるさい方」とかさ……
召喚されたキャラがアカデミーにさらわれるネタをやってみたいが
アカデミーってどんな所なのか原作にはほとんど出てないよな…………。
ついにムシウタktkr
>336
それを頭捻って考えてあれこれ捏造するのが二次の醍醐味じゃね?
アカデミーって本気でマッドやってるとこならまずルイズ拉致して解剖してそうな気が
マッドに権力の威圧なんて効かんからな、裏口はいくらでもあるし
八宝菜戦ではあのでかい風林館高校の校庭をほぼ巻き込んだ飛竜昇天破は風のスクエアに匹敵しそうだが
格闘家に比べて闘気薄そうなメイジには相性悪いかな
夜叉深海包使えれば問題ないだろうけどあれは海千山千拳の話でしか使ってないし
・・・実写版のスタスクよ、映画ではお前しか生き残ってないんだから、いくら仲間を呼んでも・・・(〒_〒)
鉄人28号がルイズに召還されたら
28号って設定上は3m位やで
人を手の平に乗せたり出来る伸縮自在のサイズをよく披露するけど
>>342 元祖鉄人28号は身長10メートルくらいしかないから巨大とはいえんな。
全高10mのわりに超高性能、って気もするが。空飛べるし。
ひたすらコントローラーの奪い合いになる気も…。
むしろジャイアント・ロボのほうがよくね?
せっかくだし太田さんとイングラム2号機を
>>346 意外と面白そうだと思ってしまった
しかし修復がどうしようもないな
>>345 悪人顔のロボを中心とした濃ゆい方々の超人バトルなハルケギニアが見えた
>>345 SS的にはもれなく十傑集が敵として召還されるね
パワーバランス崩壊するぜwww
ロボを出そうとしたが、未だにプロット纏まらないせいで書き直しまくりなのに凄い量の設定改変な俺涙目
ロボのキャラの濃さはすごいからな
ssでも制御できるかどうか・・・
ものすごい勢いで横山光輝色に染まってゆくハルケギニアを幻想した…
>>346 いっそ特車二課まるまる召還
おやっさん指導の下、土メイジが予備パーツを精製
まあパトレイバーだと、レイバー無しキャラだけ召還でもなんとかなりそうだけどな
原作でも新OVAなんかだと、グリフォン編以外レイバー殆ど出てないぐらいだったし
>>352 保管庫に行ってみろ。
ものすごい横山臭のする作品があるぞ。
>>295 ?????「私に策が…」
???「私にも良い考えがあります。」
????「私に良い考えがある」
〜略〜
そして裏目に出る
????「ぬおおおおっ?」
???「ああっ何で私はこんな簡単な事を見落としていたんだ」
?????「皆の力量を見抜けなんだとは一生の不覚」
「三人寄れば文殊の知恵」
>>349 REDで連載している人相の悪いロボなら奴らのパワーでも無力化できるかも…
やはり新参だらけなのか
いやここはルイズがスタントロン部隊を召還すればもっと最強じゃん
初代メガトロンが召還されたらルイズはスタスクみたいになってたぞww
それなりの兵器積んでないと
10メートルくらいのロボットじゃあフーケのゴーレムに圧倒されちゃうよな…
>>356 >スタントロン部隊
スタントロン&エアーボット初登場話後編の、
メガトロン「おのれ、コンボイ。だが、スタントロンには秘密があるのだ!」
→スタントロン合体
→「見たかコンボイ、これぞ合体兵士メナゾールだ!」
コンボイ「やるな、メガトロン。エアーボット部隊、君達の力を見せてやれ!」
→エアーボット合体
→「驚いたかね、メガトロン。これが合体戦士スペリオンだ!」
の、「子供のおもちゃ自慢合戦かよ、おめーら!」なやり取りにはワラタ。
それはともかく、ルイズがスタントロン部隊を召還となると、エアーボット、
コンバットロン、プロテクトボット、ホラートロン、テックボットも……収拾
つかないなw
おれグリムロック 戦い大好き
ダイノボットたちを忘れないで・・・
>>357 それなりに動けるだけでフーケゴーレムより強くないか?
>>357 フーケのゴーレムはでかい上に再生するしな
質量があるから、殴り合いしかできないロボットじゃ厳しい
ゴーダンナーとかの路線ならなんとかなると思うが
この流れはあれか。
『ジャグヘッド・タイプQ』召喚とか。
>>361 よし、ならばジェネシックガオガイガーだ
>>363 逆にフーケゴーレムが100体あっても勝負にならんがなw
>>363 ガイガーどころか生身の凱でも勝てそう…
サイボーグ宙でも勝てそう…
ベガママンでも勝てそう…
ジェフティならどうだ。15mぐらいだが。
>>363 クラッシャー抜きでもハルケギニア吹っ飛ぶがな
ノーパソが動くようになったので、ここは一つレザリオンをお願いします。
GGGGがだめならGGGorGFGかKジェイダーでどうだろう
>>368 ビデオ戦士かよ
>>369 無能王が原種を呼んだりしないとバランスが取れない悪寒
ギーシュもフーケもワルドも皆ゾンダー化。
ギーシュ(浮気がばれたストレス)
フーケ(セクハラによるストレス)
ワルド(婚約者の母にしごかれたストレス)
サイトのノーパソに悪魔召喚プログラムをインスコ。
>>366 空飛べるからフーケがなにもできんな
ベクターキャノン抜きは当然として、地上戦で基本装備だけなら面白いか?
>>368 ゴッドシグマを召喚。
…………終盤、トチ狂ったコッパゲが、ジョゼフに寝返る図しか思い浮かびませんでしたorz
ゲッター召喚から連想して、アルベガス召喚。
新年にジョゼフからの招待でグラン・トロワに赴くルイズたち一行。
グラン・トロワに爆弾を仕掛け、ジョゼフ暗殺に成功するも、ジョゼフ
側もアルベガスに爆弾を仕掛けていて、帰路にて爆発、一巻の終わり。
もちろん夢オチ。
こうしてやり取りを見てると改めて思うわ、ロボ物召喚は無茶だって。
パワーバランス取るの至難の技だし、ゼロ魔キャラ空気になりがちだし。
かと言って安易に敵側まで呼び出すと最早ゼロ魔クロスではなく蹂躙に
なってしまう危険性も生じる。
>>373 同じ路線でマイトガイン召喚
最終回に最大の敵、三次元世界の作家神ノボルが前に立ちふさがる
ヤツは思うがままにエンドレスなラブコメハーレムを続けようとするが
ルイズに力を封じられ、マイトによって打ち砕かれる
ハルケギニアという文章世界は独自の道を歩き始める、とか。
>>374 全くだ…見てみたいが、ネタにしかならん気がするから自重するわ…
ふと
イデオンを召喚して、即イデ発動
が浮かんだ
>>374 そこで「軍師」とか「司令官」に徹する人ですよ。
タバサの「乗り物」に徹するコンボイ司令官
司令官「私に良い考えが…」
で崖から転がり落ちる司令官とサイト
これなら空気にならないよ!
影の薄いフレイムの代わりに「海のリハク」とか「呉学人」などの「迷軍師」
も付ければ事態を悪化させることで
ゼロ魔キャラの仕事も増えるよ!
るろうに剣心より剣心召還・・・じゃなくて相楽佐乃助
斬馬刀と二重の極みは強すぎだろ・・・
>>377 まあ、一番鬼門になりやすいのは戦闘時のパワーバランスだからそう言うのは
ありっちゃありかもな。
……例に挙げられたキャラだともう別の意味でゼロ魔キャラが気のどkウボァー
でもな、一つ突っ込ませてくれ。
リハクはロボ物のキャラじゃねぇ。
つまりはあれか、フレイムの代わりに「汚物は消毒だー!」の人召喚、か。
>>378 スマン、これだけ言わせてくれ。
フタエノキワミ、アッー!!
381 :
373:2008/01/04(金) 16:43:29 ID:RVi6Fcyo
ちなみに、アルベガスネタのくだりは、元ネタでもあった話。
夢オチとはいえ、典型的東映悪役デザインの敵幹部が、主人公と一緒に
要塞内にしつらえた和室でカルタしたり、炬燵にあたって蜜柑や雑煮食っ
たりしている図は、非常にシュールだったw
もっとも、要塞爆発の折に、何話か前に娘をアルベガスとの戦いで失った
幹部の末期の言葉が、
「父さんも、もう直ぐお前のところに行くからな」
なのは笑ったらいいんだかどうなんだかな気分にさせられたが。
しかし、人の事言えた義理じゃないが、このスレに書き込んでいる面々の
年齢層ってどうなってるんだかww
>>378 フタエノキワミ、アッーでフーケのゴーレムもヨルムンガンドも一撃で破壊しそうだなw
>>378 るろ剣なら斉藤とか・・・だめか
壬生の狼を飼いならせるとは思えん
ガリア王がジャイアント・ロボの「策士」諸葛亮孔明を召喚したから・・・
(((゜д゜;)))ガクガクブル
>>378 天剣の宗次郎あたりなら使い魔やってくれそうだけど
トラウマスイッチ入ったら首が飛ぶな
>>386 宗次郎だと精神的高揚がないからガンダールヴの力発動しなさそう
無謀編時代のオーフェンなら桃缶で飼い慣らせるな
ロボはロボでもメダロットとか、等身大ならどうよ?
>>388 桃缶渡したらまず夢かどうかを疑いそうだw
>>388 例の固いパンと薄いスープも大丈夫だな
なんせ砂糖と塩だけ舐めて飢えを凌いでるくらいだ
コロ助を召還とかか
>>388 桃缶じゃないが、安定した収入と三食寝床付で飼いならされたSSが既に投下されてる。
しかし豪勢な食卓を見てルイズの頭に蹴りかまして
ルイズの飯を奪い取るのもオーフェンだ。なにせフェミニストだし
確かに、それでこそ極悪三角眼魔術師だな
ロボの話題でロボになれる仮面ライダー、BlackRX召喚を思い付いた。
問題はパワーバランスと帰る手段があることだな。
そういえばダイナミックスレから来た人はあのあとどうしたんだろう
>>358 いやコンバットロンは合体してブルーティカスになっても弱い
メナゾールの一撃パンチやガーディアンの攻撃であっという間にやられるからダメ
>>377 いや、ゼロの使い魔最終回だとコンボイ司令官ザ・ムービーのように戦ってダメージを受けて息を引き取るのだったらルイズ物凄く泣くと思う
俺もあのシーンは泣けたよ・・・
ダイナミックキャラね
不動明→ルイズ首ちょんぱ、人類全滅
久留間真一→ルイズを食う(非性的な意味で)「貴様の求める虚無はここだー」、人類全滅
虎→虚無がバレて全身バラバラ、家族皆殺し拷問コース、人類全滅
宇津木涼→全キャラの魂が合体して始祖復活、人類全滅
火鳥ジュン→アンドロイドは人間のおもちゃじゃねー
早乙女門土→殺してえから殺すのよ
朱紗真悟→ルイズ輪姦、人類全滅
さあ好きなのを選ぶんだ
>>396 こないだ書いた人がいたけど続きどうなったかね
>>399 「敵を倒すには攻撃じゃあ!!攻撃し続ければいつかはくたばる!」
「わしゃあとんでもねえ魔法が見たかったんじゃあ!なのにこんなチンケな小細工でごまかしおって!!」
「わしは無敵の極道兵器じゃあ!!」
な岩鬼将造で
>>399 世界が違うんだから原作の鬱展開にしなくていいじゃないかorz
世界が違うくらいでまったりするような連中じゃないから
むしろ戦争できて大喜び
>>401 鬱展開ではないけどな
キャラが濃すぎてクロスしにくい上に、世界ちがってもやること変わらないやつも多い
早乙女門土(学園退屈男)とか早乙女門土(凄ノ王)とか早乙女門土(ジャック)とか
早乙女博士はゲッターによってかなり違うぞ
具体的に言うとアニメ版とそれ以外
>>399 >>400 >>402 いくら過疎で寂しいからって、他人の家(スレ)に上がりこまなくてもいいじゃあないか。
わかったら自分のお家(スレ)にお帰り。
ゼノギアスからグラーフ召喚
我の拳は神の伊吹〜(略)
でコルベールを筆頭に禿に力を与える
ヒビキの魔法のちび魔女を…
>>406 っエーテルダブル×2
っ大エーテル石
っパワーマジック×2
っブースト
ロボと言えばどんなVP乗せるか悩むぜ
>>408 信じられるか?それだけやってもまだ運任せなんだぜ?
そう言えばゼボイム文明が滅んだのも確か6000年前だったよな
粗末な食事で思い出したがネウロの刑事も貧乏な頃塩と焼酎と日光で飢えをしのいでたな
病院で絶対安静言われたら座敷童子と宇宙人がトランプやってても動かない人だから異世界程度では多分動じない
ロボ物でボトムズとかガサラキとかパトレイバーあたりは戦い方で何とかなりそうだね
ただ中の人のほうがある意味脅威だったりするものも有るけどな
>>378 るろ剣なら弥彦ならそんなに強すぎることないからいいんじゃない?
もっとも原作中か終了後で全然別物の話になりそうだけど
>406
それで一度考えたことがある。
始祖ブリミルがはばかりでゼウス召喚
そのせいで使い魔召喚でギアが召喚されるようになる。
ジョゼフがガンダでグラーフ
テファがミョズでエリィ
ルイズがガンダでエメラダ
を召喚。
おら、聖地まで機械の体にしてもらいに行くだ
>>409 大丈夫。
5回くらいやればなんとか!
とりあえずバランスを崩さないでやるには設定を崩さないと難しいところがあるし、
かといってクロスしているのに流れをそのまま辿るというのは変だし、
本当にロボものに限らずクロスは難しいぜ
>具体的に言うとアニメ版とそれ以外
いやその区切りはおかしい
真も新も完全にコミック系だったじゃないか
昭和TV版とそれ以外の方がまだ適切だ、それとて完全じゃないが
AYAKASHIより悠を召還
あやかしびとより九鬼を召喚
埋めにはまだ早い
>>389 >ロボはロボでもメダロットとか、等身大ならどうよ?
マシンロボクロノスの大逆襲からロム兄さんが召喚されています。
あれは一見人間だし、武道家だから基本は肉弾戦で、それで強いし…。
ああ、続きが読みたい。
ゼロのガンパレード、代理投下予告
代理、支援しますぞ
424 :
358:2008/01/04(金) 21:18:43 ID:RVi6Fcyo
>>416 スクランブル合体シリーズ縛りと言うことで。
>>418 ルイズが召喚したのがアヤカシだったら、
「(原則的に)アヤカシ使い以外がアヤカシを見ることは出来ない」
と言う設定上、“不可視の使い魔”扱いになるか、“ルイズはショックの
あまり幻覚を見ている”扱いになるか。
ルイズは胸を張り、絶対の自信を漲らせて言葉を紡いだ。
「もう一度言うわ、イザベラ王女。
魔法が使えない、“それがどうした”と」
イザベラの視界が怒りで赤く染まり、噛み締めた奥歯が軋んだ。
それを言うのか、お前が。
あたしと同じく、いやそれ以上に魔法の才能がないお前が。
「本気で言ってるのかい!?
あんただって、知ってるんだろう!?」
あの侮蔑の瞳を、哀れみの声を。
ただ魔法が使えぬと、才能がないと言うだけで全てを否定される苦しみを。
何度眠れぬ夜を過ごし、何度涙を呑み込んだのか。
努力すらも否定され、そもそもそんなものに意味が無いと言われ、
誰からも馬鹿にされ、真剣に相手にされなかったその時間を。
「勿論よ、イザベラ王女」
ルイズは短く答えた。
魔法の才能がない“ゼロ”と言われ、それでも歩いてきた日々。
誰もが彼女に期待し、そして失望した。
父も母も、姉さえも。
魔法学院に入学してもそれは変わらなかった。
ヴァリエールの娘に取り入ろうとした者は、彼女が魔法が使えぬと知るや離れていった。
学院で働く平民も、魔法が使えぬ貴族だと自分を馬鹿にした。
だが、それでもルイズは思うのだ。
“それがどうした”と。
本当に大切なものは、貴族の誇りとは魔法などではないと、彼女は誰よりも知っていたのだから。
「ずっとずっと昔、わたしもそう思っていたわ。
わたしが嫌われるのは、馬鹿にされるのは、魔法が使えないからだって」
だから意固地になって、自分が貴族であることに固執した。
殊更に我が侭に振る舞い、周囲がそれに振り回されるのを見て満足した。
自分の言葉を聞いてもらえて、やっと小さなルイズは安心するのだ。
自分は、まだ、貴族でいられるのだと。
今でも思い出す、赤面するしかない子供だった自分。
あの時の自分は、周囲から一体どんな目で見られていたのだろう。
「それでもね、イザベラ王女。
わたしを励ましてくれた人が居たのよ」
言いながら、胸に提げた首飾りを取り出す。
ブータ以外の誰にもその光は見えぬはずだったが、イザベラは何か眩しいモノを見るかのように目を細めた。
「わたしの涙を拭いてくれて、この首飾りをくれた。
がんばれと、絶対に負けるなと言ってくれた。
小さなわたしは馬鹿で、あの人の言葉の意味も解らなかったけれど、あの人はわたしに全てをくれた」
居心地悪げにワルドが身体を揺すった。
彼はそんな人物の存在は知らず、ルイズの家族からも聞いたことがなかった。
だがルイズがその人物に心から感謝し、尊敬していることはその言葉の節々から見て取れた。
何か黒く重いものが胸に宿る。
キュルケが聞けばそれは嫉妬だろうと看破しただろうそれを、ワルドは錯覚だと切って捨てた。
「だから、わたしは決めたの。
わたしを励ましてくれたあの人に、お礼を言うことも出来なかったあの人に。
もしももう一度会えたのならば、胸を張って自分が貴族だといえる自分になろうって」
魔法が使えることが貴族なんだろうが、と唇を歪めるイザベラに、ルイズは違うわと首を振った。
「では、魔法を使う盗賊は貴族かしら?
魔法が使えても不祥事で貴族の位を剥奪されたものはどうなるのかしら?」
脳裏に緑色の髪の女性の顔が浮かぶ。
嬉しそうに、しかし涙を浮かべたその顔。
王命に逆らってエルフとの混血児を命を賭けて守った人の知り合い。
今はアルビオンに居るかもしれない、ミス・ロングビル。
「わたしの知り合いにね、元アルビオンの貴族令嬢が居るの」
「あん? 元? つまりは身分を剥奪されたってのかい?」
キュルケが不思議そうに首を傾げた。
彼女の故郷はルイズの実家の隣ではあるが、そんな人物が近くに居たとは聞いた事もない。
学院の中でも彼女が知る限りではそのような人物は居ない筈である。
その令嬢から聞いた話だけど、と前置きしてルイズは言った。
「その人の知り合いは、元はアルビオンの貴族だった。
けれど、罪のない女性とその子供を守るために王命に逆らい、貴族の位を剥奪された」
「馬鹿な話じゃないか。王家に逆らうなんて」
吐き捨てるようにイザベラが言うが、けれどルイズはそうではないと首を振った。
「それでも、その人には誇りがあった。
例え貴族の位を失くしても、それでも守りたい誇りがあった」
そして彼が背いたのは王命だけではなかった筈だ。
彼が守ろうとした人物は、王だけではなく始祖ブリミルを崇める者たち全てから石持て追われる存在だったのだから。
「彼は命を賭けてでも、罪のない親子を守ろうとした。
彼の誇りにかけて守ろうとした。
そして彼はそれを守り抜いた。母親の方は亡くなったと聞いたけれど、子供の方はまだ健在の筈よ。
確かに彼は貴族ではなくなったかもしれない。
けれど、わたしは彼を貴族だと思う。
世界の全てからでも罪のない親子を守ろうとした彼は、間違いなく貴族だと思う。
例え魔法の腕がどうあろうとも、けして逃げずに戦った彼は貴族だわ」
/*/
遠見の鏡から洩れ聞こえる声に、ウェールズはなんてことだと頭を振った。
自分の父の命に逆らってまで、罪のない親子を守ろうとした貴族。
確かにミス・ヴァリエールの言うとおりだ。
もしそんな方がいるのなら、それは正しくアルビオン貴族の鑑と言うべきだろう。
『貴族として生まれる人なんて誰もいないわ。人は自分の意思で貴族になる。
もう亡くなったのだと聞いたけれど、その人はただの人として生まれ、貴族として生き、貴族として死んだ。
わたしはその人を知ることが出来たことを嬉しく思うし、その人のように生きたいと願うわ。
イザベラ王女。あなたはそうは思わないの?』
嘆息する。
もしも早く知っていれば、自分はその方に謝罪し、父を説得してでもその方を復権させただろう。
だがもはや、それは適わぬ夢となってしまったのか。
「あとで、話を聞かねばならないな」
「殿下?」
「その方が亡くなったとしても、その方の知り合いと、守ろうとした子供は生きているのだろう?
何らかの形で謝意を表明せねばならん」
「畏れながら、殿下。
一度口に出した言葉はもはや口には戻りません。
まして王族の言葉なればそれは絶対。万難を排してでも実現させねばならぬものです。
国王陛下がそれを命じた以上、それに逆らうはすなわち逆賊にございます」
解っているさ、とウェールズは忠実な副官に頷いた。
確かにそれは真理ではある。しかし幸いと言ってはなんだが、彼の故国は滅亡の瀬戸際にある。
ならば王の権威が失われることを気にすることもあるまい。
「お気づきになりませぬか、殿下。
その子供たちに取っては、王家は仇となるのです。
仇から手を差し出される屈辱を彼らに与えるおつもりか」
副官の言葉に、若い王子はそっと手を握り締めた。
ウェールズは深く息を吸うと、そっと目を閉じた。
「そうか、そうだな。そうかもしれん。
だが、ミス・ヴァリエールに頼んで匿名で援助するくらいは許されるだろう。
どの道、貴族派どもが略奪するだろう財宝だ。せめて二人ほどが一生暮らせるほどの額を持ち出しても罰は当たるまいよ」
だが、と首を傾げる。
なぜ父王は、その親子を殺そうとしたのだろう?
/*/
「僕も同意するよ、ルイズ。確かにその人は貴族だ。貴族だとも」
感に堪えぬと言いたげにギーシュが言った。
トリステイン貴族の常として感激屋でもある彼の目には既に涙が溜まっている。
「“命を惜しむな、名を惜しめ”
グラモン家の家訓だ。まさかそれを実行した方がいただなんて」
見ればキュルケも、タバサも同意だと言わんばかりに頷いている。
だがイザベラはそれでもそれに反発して見せた。
「くだらないね、ああ、くだらないとも!
誇りがなんだって言うのさ。
そんなもの、魔法が使えることに比べれば何ほどのものでもないだろう!
誇りで誰かに認められる?
馬鹿馬鹿しいね、そんなのただの自己満足じゃないか!」
「その通りよ、イザベラ王女」
激昂するガリアの王女をいなすかのように、ルイズはその言葉を肯定した。
「確かにそれは自己満足に過ぎない。
けれどそれから生まれるモノがある。
憎しみと後悔の中で、絶望と嫉妬を受けながら、それでもこの胸に耀くものがある」
それは悲しみが深ければ深いほど、絶望が濃ければ濃いほど、心の中から沸き上がる反逆の誓い。
それは夜が深ければ深いほど、闇が濃ければ濃いほど、天を見上げよと言うときの声。
「それは誇り。それこそが誇り。
誇りはここに、この中に」
立ち上がったブータに合わせ、ルイズが自分の胸を叩く。
ギーシュが、キュルケが、タバサがそれに習った。
「魔法が使える者を貴族と言うのではないわ。
その力を万民のために、名も顔も知らぬ領民のために、
どこかの誰かの笑顔のために使える者こそが貴族と言われるのよ」
それでもイザベラは首を振った。
納得できることではなかった。
もしそうならば、なぜ自分は誰にも認められなかったのか。
「だからって、誰も認めてはくれないだろう!?
魔法が使えない貴族の言葉なんてさ!」
「それがどうしたの、イザベラ王女。
わたしは確かに魔法を使えない、形だけの貴族よ。
でも貴族の形を取ることは出来る。そして心からそう振舞うことも出来る。
例え死んでも、貴族らしく振舞うことは出来る」
そして少女は胸を張り、堂々と嘘をついた。
誰からも貴族として認められなかった少女が、涙を流し、奥歯を噛み締めながらつき続けた嘘をついた。
物理法則も曲げられず、物理力も行使できず、主観にしか影響を及ぼさない筈のそれは、
しかし万能にて不可能を可能にする魔法となってイザベラの心に小さな火を灯した。
「貴族とは誇り。 誇りこそ貴族。
どの法を護るのもわたしが決め、誰の許しも請いはしない。
わたしの主はわたしのみ。
文句があるのなら、わたしはそれと戦うだけよ」
握り締めて突き出された拳に力が篭る。
イザベラは何かに押されたように後ろに下がった。
ルイズの語るその言葉は彼女にも理解することが出来た。
遠い遠い記憶を思い出す。
たとえ魔法の才能がなくとも、自分は王族なのだと言うことが彼女の誇りだった。
こんな自分でも何かが出来るのだと信じた。
だから北花壇騎士団の団長になった。
父の為に、ガリアの為に、なにかをしたかった。
自分に価値を与えたかった。
忘れていた、思い出すことすらなかった、それがイザベラの最初。
叔父に頭を撫でられるのが嬉しくて、後ろについてくる小さな従妹の姿に喜び、
ガリアの王女として生きようと誓った、幼い頃の夢。
「人はそこに貴族を見る。死んで灰になった貴族の誇りは再び蘇る。
誇りを見て人はまた思うのよ。自分もまた貴族となろうと」
誰からも認められず、馬鹿にされ続けていたイザベラの夢。
どんな功績を挙げようと、どれだけ職務に精勤しようと、
魔法の使えぬ父の娘だと、女王気取りの我がまま娘なのだと言われ続けた。
「貴族とは手本。貴族とは先駈け。それが真実かどうかさして重要ではないわ。
わたしが喩え偽物で途中で死んでも、手本がある限り、いつか本物がやってくる」
けれど目の前の少女は言うのだ。
“それがどうした”と。
例え自己満足に過ぎなくても、誇りとはその中から生まれてくるのだと。
それは嘘に塗り固められた世界の中で唯一の真実。嘘を覆す大嘘。
全ての虚偽と欺瞞を切り裂いて、それでも残る確かなモノ。
魔法が使えぬ貴族の少女は、誰からも馬鹿にされ続けて来たであろうその少女は言うのだ。
例え自分が偽者であろうが、途中で死のうが、それでもその行いには意味があるのだと。
「だから、わたしが偽物であろうと本物であろうと、やることは同じ。
わたしはただ一つの未来を信じて、その為に動く」
「なんだい、ただ一つの未来って」
簡単よ、とルイズ唇に笑みを佩いてそれを口にした。
誰もがそう願い、そう願うことすら気づかない、単純なこと。
この瞬間にも、何処かの誰かが無自覚に願い、祈っているだろうそれ、
「明日は、きっと良い日だってことよ」
華咲くような、笑みだった。
/*/
ルイズの言葉に絶句するイザベラを見ながら、ウェールズと副官は目を見交わした。
「いやはや、これは驚いた。
こうなると知っていれば、全艦に彼女の言葉を流したのだが」
「まさに。
だがこの船だけでは足りませぬな。是非とも城に招き、全貴族の前で話してもらわねば」
王党派の誇りを胸に散ろうとする彼らにとって、ルイズの言葉は何よりもの餞だった。
王党派の誰もが思い、しかし言葉にならないそれを、あの少女は明確に言葉にしてくれたのだ。
「さて、そうすると正体をばらさねばならないが、どうするかな」
「あの貴族のことですな」
ああ、とウェールズは頷いた。
ルイズがアンリエッタの親友であったことから、何の気なしに彼らは王党派への大使だと思っていたが、
今の話に出た貴族のことを考えると貴族派である可能性も出てきたのである。
さてどうするか、と悩むウェールズの視界、鏡の向こうで動きがあった。
食事を運んできた空賊が顔を出したのである。
『お話は終わったかい?』
『あら、聞いていたの?』
赤面し、食事を受け取るルイズに、空賊の青年は申し訳なさそうに頭を掻いた。
『いや、盗み聞きするつもりはなかったんだがさ、生憎と安普請でね』
『ちなみに、どこから聞いていたの?』
『あんたが魔法を使えないって辺りからだな』
ほぼ最初からじゃないの、とはにかむルイズに、空賊はところでと問いかけた。
『今の話、本当かい? 国王陛下の命に逆らった貴族って』
その言葉にウェールズと副官は耳を澄まし、機転の利く部下にでかしたと喝采を送った。
『ええ、本当よ』
『はぁ、てことはなんだ。その娘さんと、なんだ、お子さんか。貴族派についてるってことかね』
暗にお前達もそうなのかと問いかける空賊。
ウェールズが思わず唾を飲み込む中で、しかしルイズは困ったように笑った。
『それはないわね、絶対』
『へぇ、そりゃまたなんで?』
鏡の向こうの少女は、しばらく悩んでいたが、やがて気を取り直したように周囲を見回すと、
『まぁ、そう思われると、困るから言ってしまうけれど。
その子はね、貴族派に見つかるわけには行かないの』
そして告げられた言葉にウェールズは驚きのあまり耳を疑った。
『その子は、エルフとの混血だから』
確かにそれならば、絶対に貴族派に接触するわけには行かない。
貴族派は、エルフを滅ぼして聖地を奪還することを目標にしているのだから。
しかし驚愕しているのは誰でも同じと見えて、鏡の中ではイザベラやキュルケ、空賊すらもが言葉を失くしている。
「まさか……お子が、居られたと……?」
震える声に目を移せば、副官がこの世の終わりでも来たかのような顔で鏡面を見ていた。
彼は知っていたのだ。エルフを妻としており、それ故に王に殺された貴族が誰なのか。
「どうした?」
問いかけるウェールズだったが、説明を受けたその瞳が驚愕に見開かれるのに時間は要らなかった。
なぜなら、そのエルフとの混血児は、彼の従姉妹に当たり、アルビオンの王位継承者でもあったからだ。
ややあって、王子は言った。
「これは、是が非でも城に迎えて話を聞かねばならん」
副官に否やはなかった。
代理投下終了。
校長は言われるとおりに鬼太郎たちを旧校舎に案内した。不気味に聳え立つ旧校舎は誰かまた犠牲者が増えるのを、あざ笑っているように見えた
「これがここの旧校舎の鍵です、これが無いと旧校舎には入れないはずなのですが・・・」
「ふむ、つまり鍵がかかっているのにも関わらず子供たちはこの中に入って行ったそうじゃな」
「ですが・・・何故鍵が掛かっているのに子供たちは入ったのでしょうか?」
「と言うと、相手が鍵を解いてドアを開けて子供たちを誘うようにしたのね」
鬼太郎の質問に真紅が答える、全員は「あっなるほど」と言う表現をしたが、鬼太郎は真剣な顔で校長に話しかけた
「校長先生、鍵を渡してください。この旧校舎・・・かなり強い妖気を感じます」
鬼太郎の髪がぴぴっと上を向いた、ドアの前で何か異様に強い妖怪が居る。それだけでも妖怪でも無い者の気配も感じた
校長が鍵を鬼太郎に渡した。鍵を渡してもらった鬼太郎は鍵に鍵穴に入れようとしたその時に・・・
ガチャッ
鍵も入れても無い・・・勝手に鍵穴が開き、鎖が落ちた
「これは私たちへの挑戦かもしれないのだわ」
「うむ、みんな!。油断してはならんぞ!、中に入ってみるんじゃ!」
「勝手に指示するんじゃねぇですぅ!」
目玉親父が大声で言うと翠星石が文句を言った。しかし真紅たちはアッサリスルーして鬼太郎がドアを開けた。
「では、中に入りますから。僕の後についてきてください」
鬼太郎(目玉親父)がまず入って、次に真紅、翠星石、蒼星石、ねずみ男が旧校舎の中に入っていき。ねずみ男が旧校舎に入ったとたんに。
ガチャン!
と後ろから閉める音がした。全員が振り向くとドアの向こうには雛苺とねこ娘、一反もめんが残されていた。
436 :
435:2008/01/04(金) 21:38:49 ID:V6ldOpRp
すいません!スレ間違えました!
スレの皆様ごめんなさい!
なんという誤爆
ゼロのガンパレードさんGJ!!
さぁ、面白くなってまいりましたぁ!!
ゼロのガンパレードさんグッジョブ!
代理投稿人さん、サンクス!
代理の方、作者様、GJです。
ルイズの『嘘』、これを聞いたワルドはどうするのか? 楽しみです。
連夜、失礼します
書き上げ分のラスト、予約無いようなので投下します
第五部
第3話 墜落
トリステイン艦隊は、戦う前から既に絶体絶命だった。
まだ戦端は開かれていない。双方の騎士隊は、隊列を崩さず艦隊と共に、じわじわと間
合いを狭めていく。
アルビオン艦隊53隻がひいた三列の横陣列。各列の数は右18、中央18,左17。
戦艦の数は右翼6、中央7、左翼5。それら艦列の間は通信が出来るギリギリまで広がっ
ていた。
各艦列の後ろには焼き討ち船らしき古く小さい船が、最初各艦列後方に9隻ずつ存在す
る。そのうち中央艦列分は、全てトリスタニアの風上に墜落し、炎をまき散らして爆発し
た。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
*注 艦隊簡易展開図
戦 戦艦
・ 小型船
○ 中型船
トリステイン艦隊 メ:『メルカトール』号 イ:『イーグル』号
戦戦戦戦イ・
戦メ ・・・
戦戦 ・・・
戦 ・・・
戦 戦
戦 戦 戦
戦 戦 戦
・ 戦 レ 戦
・ 戦 戦 戦
・ 戦 戦 戦
・ 戦
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・
・
・
・
○ ○ ○
○ ○ ○
母 巣
アルビオン艦隊 レ:『レキシントン』号 母:『母竜』号 巣:『竜の巣』号
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
そして中央列の真ん中には『レキシントン』号、右翼艦列の後ろに竜騎士専用艦『竜の
巣』号、左翼の後ろには同じく『母竜』号が控えている。加えて各艦列には、補給艦とお
ぼしき中型船2隻がいる。
トリステイン艦隊は、一番戦艦が少ない左翼艦列を狙って進んでいた。縦一列に並ぶ縦
陣列が大きく左に回頭し、アルビオン左翼艦隊を包み込むようにすれ違おうとしている。
戦艦だけなら、現時点で直接戦闘するのはアルビオン5に対しトリステイン10。圧倒
的数字だ。だが、アルビオン左翼艦隊周囲を、2隻の母艦から飛び立った80近い火竜騎
兵が、隊列を組んで飛び回っている。さらには20騎程が、いまだにアルビオン艦隊周囲
を警護していた。対するトリステイン側は首都警護竜騎士連隊所属竜騎兵にグリフォン・
マンティコア・ヒポグリフら衛士隊全騎を合わせても、半分程度しかない。
そして、アルビオン側は残りの2艦列が控えている。
彼等の眼下では、トリスタニアが火の海に飲み込まれつつあった。
「ひっ!怯むなぁ!!やつらは、例のガリア王宮の噂を信じ込み、あの艦列を崩す事が出
来ンのだ!」
ラ・ラメー伯爵が、既に士気を挫かれかけていたトリステイン艦隊を鼓舞すべく、必死
の形相で叫ぶ。
「例え騎士の数で倍以上だとしても、艦艇数は今はこちらが二倍だ!砲撃と魔法で圧倒す
るのだぁっ!!
全艦前進!!この一戦にトリステインの未来がかかっている事を忘れるな!」
トリステイン艦隊は速度を上げ、アルビオン艦隊左翼へ大きく回り込む。
後方の焼き討ち船も三隻が紅蓮の炎をまとい、アルビオン艦隊左翼へ放たれた。同時に
アルビオン左翼艦列からも三隻の焼き討ち船が、今度は本当にトリステイン艦隊へ向けて
打ち出された。
ズドドドドドド・・・・
双方の焼き討ち船が数隻、真ん中で衝突し轟音と共に粉々に砕け落下する。
その破片と煙が未だ落ちきらぬ空に、騎兵達が殺到した。
『エア・ハンマー』が、『ジャベリン』が、『ファイアーボール』が、煙を切り裂いて
ぶつかり合う。
火竜のファイアブレスが、グリフォンを騎乗する騎士ごと焼き尽くす。
マンティコアの爪が火竜の皮膜を切り裂く。
落下していく木片と煙に視界を塞がれた火竜騎士達が、煙の合間から突然目の前に現れ
た相手に同時に気付く。双方の竜のブレスがぶつかり合い、『ブレイド(刃)』を付与さ
れた騎士達の杖が切り結ぶ。
敵味方が入り乱れる空域のど真ん中で、突如煌めく光をまとった嵐が巻き起こる。『ア
イス・ストーム』だ。誰かが放った氷の嵐に、敵味方の区別無く付近の騎士達が巻き込ま
れ、切り刻まれ、吹き飛ばされた。
「左砲戦開始!撃てぇっ!」
両艦隊の、全艦長が砲撃指示を叫んだ。
双方の第一斉射が、敵めがけ鉄の塊を放つ。舷側に大穴が幾つも穿たれる。
大きく扇形を描いていたトリステイン艦隊は、アルビオン左翼艦列の先頭に集中砲火を
放つ形となった。
「よしっ!敵先導艦、轟沈んっ!」
フェヴィスは艦隊の集中砲火を受けた戦艦を満足げに見下ろした。その艦は一瞬で穴だ
らけになり、火を噴き砕け散り、高度を急激に下げていた。
キター & 四円
これは支援するしかない
「焼き討ち船っ!さらに来ますっ!!」
「くっ!?またかぁ!!こちらも放てぇっ!!」
アルビオン左翼艦隊後方の2隻が再び、炎をまとって向かってきていた。トリステイン
側からも燃えさかる3隻が放たれる。
「面舵一杯!緊急回避!!」
フェヴィス艦長の指示を受け、『メルカトール』号は船体を軋ませながら右へ回頭する。
他の艦もそれぞれに慌てて回避する。
「さっ!さらに焼き討ち船がぁ!?」
「くそぉ!!負けるな、撃ち返せぇ!!」
フェヴィスの叫びを聞きながら、ラ・ラメー伯爵は艦隊をじっと見つめていた。
「艦列が・・・崩れる・・・」
艦隊は、ある艦は前方を塞がれ、またある艦は右へ回頭しすぎてアルビオン艦隊へ背を
向けてしまっている。トリステイン艦隊の艦列は、歪み、曲がり、ちぎれ始めていた。
もはや、アルビオン左翼艦列への集中砲火は困難な状態にある。
対するアルビオン左翼艦列4隻は、反撃もせずに全速力で通り過ぎ、トリステイン艦隊から離れようとしていた。トリステインが放った焼き討ち船は、虚しく何もない空間を通り過ぎ、爆発する。『母竜』号と中型船2隻に至っては、とっくの昔に遙か遠くへ離れている。
「あいつら・・・砲撃戦をしない!?」
フェヴィスの言葉は、駆け寄ってきた部下からの報告にかき消された。
「大変ですっ!先ほどの焼き討ち船が・・・艦隊中央へ向かって…いえ、こちらを追跡し
てきますっ!」
「ばっ!!バカなぁ!?自爆する船を操船するやつなんて、いるはずが!!」
叫んだフェヴィスがいる旗艦『メルカトール』号に向かって、報告された焼き討ち船が
疾走してきていた。
「取り舵一杯!かわせえっ!!」
先ほどまで右に回頭していた『メルカトール』号が、今度は急激に左へ舵を切る。遠心
力で甲板上も船内も、全ての人と物が右側へ飛ばされていく。船体もきしみをあげ、四方
八方からミシミシという音が鳴り響く。
焼き討ち船は『メルカトール』号の限界を超えた急旋回についていけず、大きく距離を
開けられた。
その時、ラ・ラメーもフェヴィスも、焼き討ち船を見る事が出来る全ての人物が、燃え
る船を操船する人影達を見ていた。それらは、自らの体に火がついている事を全く意に介
さずに、平然と『メルカトール』号へ船を向けようとしている。
甲板上で、その船員達を見たマリコヌルが、ガタガタ震えながら呟いた。
「・・・ガーゴイルだぁ・・・」
次の瞬間、焼き討ち船が大爆発した。
中央艦列の最前列で、シェフィールドが遠くの空の『メルカトール』号と焼き討ち船を
見つめていた。『メルカトール』号はギリギリの所で爆発をかわし、体勢を立て直そうと
している。
「ちぃ、船の方が保たなかったわ。おしいわねぇ」
シェフィールドの額には、ルーン文字が輝いていた。
シェフィールドの視界には、焼き討ち船を逃れたトリステイン艦隊に、アルビオンの竜
騎士が群がるのが見えた。
既にトリステイン側の騎士は、ほぼ壊滅していた。そしてアルビオン側の騎士は、未だ
70騎以上が残っている。その数をほとんど減らしていない。そして残存した僅かなトリ
ステインの騎士を無視し、新たな獲物として戦列艦を狙いに定めていた。
支援
我々には支援する事しか出来ないのか?
いや、支援だけが我々のするべきことだ!
支援します!
誤爆は何処のスレのだ?
何かみてみたくなってきた支援
「ま、後は竜騎士で十分。さて・・・そろそろかしら」
そう呟くとシェフィールドは色つきメガネをかけ、太陽を見上げる。そして、ニヤリと
口の端を釣り上げた。
足下に置いていた大きな鞄からマントを取り出し、黒のローブの上からさらに被る。マ
ントは周囲の風景を見事に映し出し、シェフィールドの姿を隠した――マジックアイテム
『不可視のマント』だ。
「さぁ、この布陣を相手に、どこまでやれるかしら!」
姿を消したシェフィールドの声は、青空の中に消えていった。
「ふははっははっ!!見ろ、圧倒的ではないか我が艦隊は!?あはっはあははっ!!」
サー・ジョンストンがトリステイン艦隊へ群がる竜騎士隊を指さし、顎が外れそうなほ
どに笑っている。
「小型高機動大火力の竜騎兵部隊による急襲、魔法人形による自爆攻撃。新しい戦争の形
ですな」
いつも冷静なボーウッドも、珍しく余裕の笑みを浮かべている。
二人とも、竜騎士がトリステイン艦隊に襲いかかる姿を思い浮かべていた。事実、火竜
の群れが、散り散りになった艦隊に向けて頭を向けていた。そして、ばらけた各艦の甲板
では、もはや死を覚悟したメイジ達が杖を振り上げようともしていた。
だが、その全てが、止まった。
トリステイン艦隊甲板上の全ての人間が、アルビオンの竜騎士全てが、逃走していた左
翼艦隊始め、アルビオン艦隊甲板上の全ての人間が、一瞬動きを止めた。
彼等は皆、太陽を見上げている。
「なっ!?なんだ??いきなり、どうしたのだ!??」
驚愕し動揺するサー・ジョンストンのもとへ、甲板から士官が駆けてきた。その報告を
隣で聞いたボーウッドも、「来たか…」というつぶやきと共に、天井を見上げた。
サー・ジョンストンは窓に駆け寄り、太陽を見上げる。
正しくは、頭上の太陽の方から鳴り響く、轟音の方を。
太陽の中には、小さな黒い点があった。轟音を青空に響かせる、ゼロ戦が。
「チャンスは一度!すれ違いざまにぶっ放せぇっ!!」
「オーケーッ!!竜は任せたわよっ!!」
操縦席ではジュンと、席の後ろで杖を構えるルイズが、ゴーグルとキャノピー越しにア
ルビオン艦隊を視界に収めた。
ルイズ達が乗る零式艦上戦闘機五二甲型の降下制限速度は700km/h以上。ジュンは学
院の滑走路離陸直後から、ゼロ戦を飛行上限高度である約1万メイル近くまで上昇させ、
中央艦列の中でも一際大きい戦艦『レキシントン』号へ向けて、一直線に急降下させてい
た。
機体が耐えうる限界速度ギリギリを維持しつつ、ゼロ戦のジュラルミン製主翼が空気を
切り裂く音が、空域全てに響き渡っている。空気抵抗に全幅11mの翼が振動し続けてい
た。
しえーん
452 :
358:2008/01/04(金) 22:12:41 ID:RVi6Fcyo
「艦隊ど真ん中の、一番でっかい戦艦ですねぇ!?あれが旗艦に間違いないですぅ!!」
「そうね!でも、やはり竜騎兵が守ってるわね!?」
真紅と翠星石もルイズと共に、アルビオン艦隊の旗艦の位置を見定める。
「来るぞ!ジュン、竜騎士20…ありゃ、全部、風竜だ!どうやらこりゃ、読まれてたら
しいぜ!」
「上等ぉっ!」
デルフリンガーの言葉を聞いてもジュンは、ゼロ戦の速度を落とすことなく急降下を続
ける――『レキシントン』号へ向けて、一直線に。
トリステイン艦隊に向かわず、滞空し続けていた竜騎士達が、太陽を背にして飛来する
鉄の鳥を見定めた。騎士達は『ファイアボール』『エア・スピアー』等のルーンを唱えだ
す。騎乗する風竜を急上昇させ、ゼロ戦を迎撃すべく4騎編成で5部隊に分かれ、網を広
げるように広く展開していった。ゼロ戦を、ボールの内側ど真ん中に誘い込むように各騎
が横に広がる。
アルビオンの火竜騎士達も、甲板上でガタガタ震えながらも杖を構えていたマリコヌル
も、大急ぎで散弾を大砲に詰めようとしてた砲手達も、操船していた平民の海尉達も、乗
り手の異変に気付いた火竜達までもが、上空を見上げていた。
十字形に展開した風竜騎士隊5部隊のど真ん中へ、迷わず突っ込もうとする鉄の鳥を。
ジュンの視界にも竜騎士隊は見えている。恐るべき速さで距離が縮まっていく。
――風竜並みに早いゼロ戦相手だから、風竜を揃えてきたのか
上方を取られた不利も、数で包囲し魔法の一斉集中砲火で補う気だな
真紅の薔薇や翠星石の水に対応するため、炎や風の魔法を使ってくるか――
「でも、これは知らなかったろ…まだ使った事ないんだから!」
ジュンの左手は、スロットルレバーの発射把柄を握りこんだ。
魔法の射程の遙か遙か前で、翼内の九九式20mm機銃が火を噴く。
ゼロ戦の進路一杯に広がりつつある風竜騎士達へ、初速750m/sの巨大な機銃弾がばら
まかれた。
アルビオンもトリステインも、両艦隊の全ての人々が見た。
鉄の翼から噴きだす火を。
翼や胴体に大穴を開けて墜落する風竜を。
杖にまとわせた魔法を放つ機会すら与えられず、虚しく肉塊と血しぶきをまき散らす騎
士達の最期を。
展開する途中だった風竜騎士の編隊が描くボールの、内側に開いた穴を。その穴が、ど
んどん大きくなって行く光景を。
ほんの一瞬で、風竜騎士隊が壊滅する姿を。
落下する騎士と風竜の死体の間をすり抜けたゼロ戦が、宙に舞った血と肉片を弾きなが
ら空を貫く―――
撃ち漏らされた数騎の竜騎士が我に返り、慌てて魔法を放つが、もう遅かった。ゼロ戦
を追って急降下しようともしたが、急降下してきたゼロ戦の速度に、今から降下を始めて
も間に合わない。
「20mm機銃終了ぉ!7.7mmぃっ!!」
ジュンが覗いている98式射爆照準器、その両横には操縦席内に突き出た機首7.7mm
機銃が2挺ある。威力は小銃の弾とほとんど変わらないものの、携行弾数が各700発も
ある。
その7.7mm機銃が『レキシントン』号へ向けて火を噴いた。甲板上にいた船員が、杖
を構えていたメイジ達が、風を受けてふくらむ大きな帆が、容赦のない銃弾の雨に晒され
た。ある者は脳髄をまき散らして絶命し、またある者は撃ち抜かれた足を引きずって逃げ
まどう。
支援しつつ
>449
確かにどこの誤爆か?
鬼太郎と薔薇乙女が一緒にいるとは。
ゼロ戦はついに、『エクスプロージョン』射程範囲に『レキシントン』号を捕らえて
いた。
「開けてぇっ!」「行きなさいっ!!」「ぶぅっとばすですぅっ!!」
ルイズのかけ声に、真紅と翠星石がキャノピーを開け放つ。荒れ狂う強風が機体内に飛
び込んでくる。
それでもルイズは、『レキシントン』号へ杖を向ける!
「いけやあーっ!!」
デルフリンガーの叫びと共に、『虚無』が放たれた。
「『エクスプロージョン』ッ!!!」
光の玉が現れた。
まるで小型の太陽のような光を放つ、その球は膨れあがる。
そして、『レキシントン』号を包んだ。その前後に並んでいた計6隻の戦列艦も、膨れ
あがる光に音もなく飲み込まれていく。
光が晴れた後、艦隊は炎上していた。巨艦『レキシントン』号を筆頭に、全ての艦の帆
が、甲板が燃えていた。加えて艦内の風石が消滅してしまった。
がくりと艦首を落とし、地面に向かって墜落していく。
「『レキシントン』号、が・・・沈む・・・」
『メルカトール』号では、フェヴィスが光に魅入られていた。
「まさか・・・『ゼロ』の噂は本当だったのか!?」
ラ・ラメーの口は、顎が外れそうなほどあんぐりと開きっぱなしだ。
「はは・・・ははははっ!『ロイヤル・ソヴリン』号が、艦列ごと墜ちていく!
さすがだよ!『ゼロ』は、ミス・ヴァリエール達は!!僕をニューカッスルで助け出し
た君達だったが…これほどとは!!」
『イーグル』号でもウェールズが、炎上するトリスタニアの煙を切り裂くゼロ戦を見つ
めている。
「竜騎士が・・・離れていく・・・スティックス、助かったみたいだ、よぉ」
頭から血を流して甲板に尻餅をついていたマリコヌルが、それでも離していない杖の先
をぼんやりと眺めている。
「か、勝った?勝った・・・のか!?」
マリコヌルの隣で膝をつく、スティックスと呼ばれた額に火傷痕のある若者が『母竜』
号へ戻っていく火竜達を見て叫んだ。
トリステイン艦隊から、嵐のような雄叫びが湧き起こった。
急降下をしていたゼロ戦は機首を上げ、街の上ギリギリで機体を水平に戻す。あまりに
速度が出ていたため、舵面が受ける風の抵抗が凄まじい。昇降舵につながる操縦索が限界
近くまで伸び、きしみを上げる。
急降下によって得た速度を使って上昇に転じたゼロ戦は、ようやく艦隊と同一の高度ま
で戻った。巡航速度(約時速250km)を維持しながら旋回するゼロ戦のキャノピーか
ら、ルイズ達は『エクスプロージョン』の光と、その後炎上し墜落する7隻の戦艦を見つ
めていた。
だがルイズとジュンは、同時に言葉を発した。
「弱い・・・」「・・・小さい」
「どうしたですかぁ?ルイズさん」
「え?えとね、スイ。あのね、『プチ・トロワ』を吹き飛ばした時のヤツ…あれより、今
のは、なんだか弱いなって」
ルイズの言葉に、ジュンも頷く。
「多分、あれだよ。精神力の溜まり具合だ。この前のはかなり手加減したそうだけど、そ
れでもかなり減ってたんだよ」
ジュンの予想に真紅も頷いた。
「恐らくそうでしょうね。でも、旗艦含めて戦艦7隻を撃沈したわ。これで指揮は混乱し
て、士気も挫かれるでしょうね」
「・・・?えっと・・・あれ??」
眉をひそめながら炎上墜落する艦隊を見つめるジュンに、デルフリンガーが怪訝そうに
声をかけた。
「なんだよ、ジュンよ。何か気にくわない事でもあんのかぁ?」
「うん・・・あの『レキシントン』号以外の戦艦、妙に小さくない?それに、向こうの船
が、なんか・・・」
ジュンの疑問に、皆もキャノピーから炎上落下する艦隊を改めて見つめる。
それは、確かに小さかった。戦艦である事は間違いないが、どちらかというと小型で、
少々古ぼけてるようにも見える。
「確かに…小さい、ですぅ?」
「あら、どうもその通りみたいね。あれは、多分、戦列艦の中でも小さくて古い船を、集
め、て・・・」
真紅のとぎれる言葉を聞き、ジュンの背に冷たい汗が幾筋も走る。その視線は彼方の艦
列を見つめる。
今まで、全く動いていないアルビオン右翼艦列を。
「・・・ま、さか・・・そんな、しまった!やられたぁーっ!!!」
ジュンの絶叫がキャノピーに響いた。真紅も驚愕を隠せない。
「そんなっ!?あんな巨大戦艦を囮にしたって言うの!?」
「な!?なんなの!??ジュンもシンクも、どういう事よ!」
ルイズに問われたジュンも真紅も、唇を噛んだまま言葉を繋ぐ事が出来ない。代わりに
答えたのは、わなわなと震える翠星石だった。
「あ、あれは、狙った船は・・・エサですぅ。まさか、あたし達のためだけに、ここまで
するですかぁ・・・」
「本当の旗艦は・・・『レキシントン』号じゃ、ない!旗艦は、あの船だっ!!」
ジュンが睨み付けるその先には、アルビオン右翼戦艦列の後ろにいる、武装のない巨大
な船があった―――『竜の巣』号だ。
「うあああ、お、おでれーたぁああ!騙されたあーっ!」
デルフリンガーの言葉は、虚しくエンジン音にかき消された。
確かに空母がないのはきついな
支援
「敵魔法・・・次弾、来ません!鉄の鳥は、トリステイン艦隊と同一高度を保ったまま旋
回を続けています!」
「やったぞっ!成功だ!やつら、精神力が尽きたのだ!!」
士官からの報告を受けたサー・ジョンストンは、拳を振り上げて興奮していた。隣にい
るボーウッドも小さくガッツポーズを取っている。
「よし、もはや偽装の必要はない。信号旗をあげよ、伝令を飛ばせ。二番艦隊に至急連絡
を取り、被害状況を確認するんだ」
『竜の巣』号のマストには、数々のはためく信号旗があげられた。
甲板からも他の艦艇に向け手旗信号が送られる。
信号が届かないほど遠くにいる左翼艦列の残存艦――戦列艦4隻と『母竜』号、武装の
ない中型船2隻と小型船3隻――へは、伝令用カラス型ガーゴイルが何羽も放たれる。
今や『竜の巣』号は、アルビオン艦隊旗艦として司令塔機能を堂々と現した。
「シェフィールド、戻りました」
「うむ、伝令役ご苦労」
『竜の巣』号の艦橋で、ボーウッドが声の方を振り向くと、誰もいなかった。
「・・・いい加減、マントをとりたまえ」
「あら、失礼しました」
ボーウッドの目の前の、何もない空間から、いきなり黒ローブをまとった女性の上半身
が現れた。『不可視のマント』を外したシェフィールドだ。
サー・ジョンストンがいきなりシェフィールドに駆け寄り、その手を握りしめてブンブ
ン振りまわす。
「いやー!見事だ、全てが作戦通りだよ!!閣下の知謀には本当に感服しましたぞ!この
サー・ジョンストン、閣下の部下として、鼻が高い!!」
「賭には勝ちましたな。ですが、まだ作戦途中です。『レキシントン』号と二番艦隊の状
況を確認しませんと」
「う、うむ、そうだった。そうだったな・・・で、どうだったね?」
ボーウッドに制されたサー・ジョンストンが尋ねると同時に、ガーゴイルの伝書カラス
を手に持った士官が飛んできた。士官はカラスの首をパカッと開け、中の紙片を読み上げ
る。
「ホーキンス将軍より、被害報告です!
『レキシントン』号以下、二番艦隊に人的損害…死者無し!不時着時の軽傷者数名のみ
です!風石が消失し、帆と甲板が炎上したものの、不時着と艦からの待避に成功!全陸戦
隊、進軍命令を待つ!
以上でありますっ!!」
「・・・ぃやったあーー!!降下作戦成功だあーーー!!
サー・ジョンストンは、拳を握りしめて両腕を振り上げた。
「同じだっ!城まで吹き飛ばされながら、全く死人を出さなかったヴェルサルテイル宮殿
と同じだよっ!!
やつらの致命的弱点、『殺しを嫌う、経験不足の子供』・・・風竜騎士隊が壊滅した時
は誤情報かとヒヤヒヤしたが、まさか、本当に、大当たりだ!!しかも今回は、武具まで
無傷ときたもんだっっ!!」
「し、信じられませんな・・・ここまで上手く行くとは・・・恐るべきは、レコン・キス
タの情報網です。ガリア王宮から、たった数日で、ここまで正確で有益な情報をもたらす
とは・・・」
「いいやいやいやいやいやっ!真に素晴らしいのは閣下の頭脳だよっ!
ミス・シェフィールド!今回の作戦、このサー・ジョンストンが見事やり遂げた事、是
非閣下に伝えてくれたまえよっ!」
「承知致しました」
シェフィールドは、ただ旗艦の椅子に座って震えていただけの男に、ニッコリと微笑み
かけた。
くぁー。第一戦隊囮にして第三航空戦隊生かしたようなものか。
支援。
おでれーた、騙された?、支援
「えー、オホン」
ボーウッドが、我を忘れてはしゃぎまわる艦隊司令長官兼トリステイン侵攻軍総指揮官
の横で、わざとらしく咳払いをした。
「ともかく、まだ上陸が成功しただけです。すぐに残存艦隊と竜騎士の再編成、さらに浮
遊砲台への偽装解除と陸戦隊援護指示を」
「おお、そうだったそうだった。ありがとう・・・えー、コホン!
トリステイン侵攻作戦、これより第2段階に入る。
全戦艦に通達!これより、一番艦隊は三番艦隊と合流し再編成を行う!しかる後にトリ
ステイン艦隊を討ち滅ぼせっ!!
浮遊砲台1番から9番まで全て偽装解除!『竜の巣』号と共に陸戦隊上空へ降下し、陸
戦隊を援護せよ!
竜騎士隊は、再編成終了まで艦隊周辺にて敵艦隊を牽制するんだ!」
鼻高々で胸を反らす上司を見て、ボーウッドは呆れつつも高揚感を隠せない。つい興奮
して独り言を口にしてしまう。
「まったく・・・『あの巨艦を気前よくエサにしてしまうとは、なにを勘違いしたのか』
と思っていたが・・・。まぁ、砲艦外交や大艦巨砲主義の時代も終わるようだし、その象
徴としてはいいかもな」
そんなボーウッドの視界には、トリステイン艦隊から離れてきた左翼艦隊の『母竜』号
が映っていた。
トリステイン艦隊の人々は、愕然としていた。
右翼戦艦列後方にいた、巨大輸送艦と思われていた船が次々と信号旗をあげる。甲板で
は手旗手が旗を振り回し、他の艦に指令を送る。幾つもの鳥のようなものが、左翼艦隊へ
向けて放たれる。
撃墜したはずの艦が、無事に不時着。まだ焼けてない通りや広場の中に、次々と槍や剣
を手にした完全武装の兵士達が降りてくる。その数、3000以上。しかも更に降りてく
る。
右翼艦隊後方の、焼き討ち船だと思われていたボロ船の舷側にポコポコと穴が開く。蓋
を外して出来た穴に、にゅっと大砲がつきだした。小型の民間船を改造したらしい9隻の
船は、片側に5〜10の大砲を備えた浮遊砲台として、真の旗艦に続く。
そして右翼艦隊後方にいる中型船2隻からは、多くのメイジを乗せた頑丈そうなボート
が発進していく。囮である戦艦列から離れていた、陸戦隊所属のメイジ達が乗った強襲降
下艇だ。
左翼艦列の残った戦艦4隻含め9隻と、右翼艦列の戦艦6隻、そして中央艦列の最後尾
にいたため『エクスプロージョン』に巻き込まれなかった補給船2隻が集結していく。そ
の周囲を70騎以上の火竜騎士が旋回し、艦隊の再編成を守っている。
『メルカトール』号でも、フェヴィスがアルビオン艦隊の動きを凝視していた。
「まさか、やつら・・・まだ、やる気なのか?戦艦の1/3以上を、一瞬で失ったという
のにっ!?」
隣のラ・ラメーが指示を飛ばし、航海士官達が様々な報告をかき集める。うち一人の士
官が二人の前に進み出る。
「艦隊の被害状況、報告します!
大破ゼロ、中破2、小破5!いくつかの艦に、火竜のブレスなどによる小規模の火災が
発生していましたが、既に鎮火しています!艦隊の戦死者、いまだゼロです!
で、・・・ですが、その、竜騎士隊、グリフォン隊…あの・・・」
ラ・ラメーは、青ざめてはいるものの、落ち着いた瞳を士官に向ける。
「はっきり、全滅と言え」
「は・・・はい、申し訳ありません」
「構わん。再編成を急がせろ」
まさに大ピンチ
そしてその隣では、フェヴィスも敵艦隊に関する報告を受けていた。
「そうか・・・あの艦列は、上陸部隊が詰め込まれていたのか。旧式の小型艦6隻と最新
鋭の巨艦を使ってか・・・あの使い魔達を相手にするためだけに、よくやるよ。
陸戦隊を援護するのは、民間船を改造した浮遊砲台9隻だな。
そして我らの目の前には、未だ無傷の戦艦10隻に、竜騎士75騎、というわけだ」
そう呟くフェヴィスが火竜騎士の群れを見つめていると、その一部、10騎以上が地上
へ降下していった。
「地上の援護に割いたか。全く、我らもなめられきったものだ」
『イーグル』号でも、ウェールズが同じ報告を受けていた。
「パリー、やはり奇跡とは、そうそう起こる物ではないな」
「さようでございますな。とはいえ、ニューカッスル城で5万の敵に囲まれるのに比べる
と、少々物足りなく感じますぞ」
「はは!全くだな。これからが本番、というだけの話だっ!」
『イーグル』号は再び、艦列を整えたトリステイン艦隊の最後尾に並んだ。
ルイズ達はゼロ戦を旋回させながら、ゼロ戦から艦隊と地上を見続けていた。
ジュンはルーンの力で読み取った機体の状態を、皆に告げる。
「機体は、大丈夫。全くの無傷だよ。機銃は、20mmはゼロだけど、機首の7.7mmなら
両方合わせて1000以上残ってる。燃料も、十分ある」
ジュンはそれ以上、何も言わない。真紅と翠星石がルイズを見つめる。
「ルイズさん・・・どう、するですかぁ?」
「ど、どうするって・・・スイ・・・」
翠星石に問われて、ルイズは困惑する。デルフリンガーが言葉を続けた。
「娘ッコよぉ、お前さんにゃあ、3つの選択肢があるのさ。
一つは、艦隊と戦う。つっても、相手は竜騎士60騎以上と戦艦の砲弾だろうよ。
一つは、地上に向かった小型船と竜騎士を潰す。ああ、この場合トリステイン艦隊は全
滅だなぁ。
そして、最後の一つは・・・こいつは、剣の俺としちゃ、言いたくねえや」
「帰る、という選択ね」
デルフリンガーが言わなかった言葉を、真紅が代わりに語る。
「あたし達は、もう十分な戦果を上げたわ。戦艦7隻に竜騎士20騎。敵に読まれていた
とはいえ、それでも大損害を与えた事に間違いないの。そして私達がやるべきは、戦場に
出るあなたを守る事。
あなたの魔力が尽きたなら、もう戦えないなら、私達はあなたを安全な場所へ送るわ」
「・・・あの、でも、あれは、軍隊が沢山降りてきて・・・」
「『エクスプロージョン』って、狙えるのは物体だけ?人体には影響がでない魔法なのか
しら?」
「・・・ち、違うの!その、あたし、殺すことはないかと・・・船だけ・・・」
「それこそ、彼等の思う壺だったわけだわね。・・・ガリア王に『エクスプロージョン』
を見られたのが失敗だったわ」
「だ!だって!」
「ねぇ、ルイズ。ジュンは立ちふさがった竜騎士を、みんな殺したわ。あなたのために、
ね。あなたには、その覚悟は無かったの?」
「もう…よせよ、真紅」
真紅の容赦のない言葉に、ジュンが眉をしかめて後ろを振り返る。
だが真紅の言葉は止まらない。
支援
うわあ、真紅言ってる事キツイ、支援
支援
不殺って戦場じゃ非効率だからなあ…
「いいえ、ジュン、言わせて。
ルイズ。魔法に目覚めたあなたを、『ゼロ』とバカにする人は、もはやいなくなるわ。
ヴァリエールの名に恥じない貴族になったと、褒め称えられるでしょう。もう十分ではな
いかしら?
あたし達も、これ以上の危険を冒してまで、トリステインに義理立てする必要は無くっ
てよ」
「あ、あたし、あたしは・・・」
ゼロ戦の座席後部、狭い空間の中でルイズは迷っている。唇を噛み締め、拳を握りしめ
て。
うわごとのように、とりとめなく言葉を口にする。
「このままじゃ、トリステインは、負けて・・・でも、あたし、魔力使い切って、いくら
なんでも、あんな沢山の竜騎士なんか、相手には、だって、あたしだって、みんなも、死
んで欲しくなんか、名誉は、そりゃ、貴族だけど、みんなは、戦う理由が無いし・・・」
「あるさ。少なくとも、僕が戦う理由は、ある」
その言葉に、真紅も翠星石も操縦席のジュンを凝視した。
ルイズが、恐る恐るジュンに尋ねる。
「ジュン・・・戦って、くれるの?・・・どうして!?」
「それはね・・・えと、う〜んっと・・・ああ、あれだよ」
操縦桿が倒され、ゼロ戦は進路を変えた。
トリステイン艦隊へ向けて。
「中途半端は、イヤだから」
ゼロ戦は、再編成を終えて再びアルビオン艦隊へと向かおうとしていたトリステイン艦
隊の上を旋回し始める。
その姿は、トリステインの人々を勇気づけるに十分な物だった。
「見ろよマリコヌル!あいつら、俺たちを守ってくれるらしいぞっ!」
スティックスがバンバンとマリコヌルの肩を叩き、ゼロ戦を指さす。
「すげぇ、や。あいつら、まだやるんだ、まだ、やれるんだ…俺たち、勝てる!?生き残
れるんだぁっ!」
トリステイン全艦から、再び歓喜の叫びが湧き起こった。
ジュンは、すまなそうに後ろを振り返る。
「ごめんな。真紅、翠星石・・・こっからは僕一人でいいよ。お前等はルイズさんを連れ
て」
「バカを言わないで、ジュン」「そーですそーです!おまえ一人で、戦えるわけがねーで
すよぉっ!」
真紅も翠星石も、怒るどころか微笑んでいた。
「いいのか?二人とも、これはアリスゲームと無関係な戦いだぞ」
「その通りよ。でも、もはや、あたし達自身と無関係じゃないの。何より、ジュンが戦う
時は、私達も戦う時よ」
「何度も言わせるなですぅっ!ルイズさんだって、学院のメイドさん達だって、みんな大
事な友達ですぅ!戦いはイヤですけどぉ・・・でも、もう、ここまできたら、引き下がれ
んですぅっ!」
紅と緑の光に包まれた二人はキャノピーを再び開け放つ。真紅は右の翼に、翠星石は左
の翼に、強風をものともせず片膝をついて取り付いた。
まだだ、まだ終わらんよ、支援
支援支援
支援
マリコルヌがマリコヌルになってるな
支援
sien
荒れ狂う風の中、大声で言葉を交わし合うジュン達に、ルイズは言葉もなく涙を流して
いた。
「お前さん、いい友達を持ったなぁ」
デルフリンガーの言葉に、ルイズはただただ何度も頷く。
真紅の手から湧きだした薔薇が、竜巻の如く火竜騎士の群れへ襲いかかる。
火竜がブレスを一斉放射、紅の竜巻を焼き尽くしていく。
灰となる花びらが舞う空。たった一機のゼロ戦が、60騎以上の火竜騎士の群れに、迷
わず突っ込んでいく。
これを合図に、アルビオン・トリステイン両艦隊の砲撃戦が始まった。
―――トリステイン魔法学院、学長室
『・・・ザザ・・・右から3騎だっ!ひねりこ・・・やばっ、弾が・・・ザザザ・・
『イーグル』号が襲われ・・・あれ?・・・あの時の、海賊船じゃ・・・
・・・ブレスが・・・ザザ・・・ザ・・翠星・・・!ふぅ・・ザザザ・・・
・・上だっ!・・・ホーリ・・・薔薇でけんせ・・・ッザザザ・・・』
学院長の机の上に置かれた、トランシーバー。
雑音混じりで、ゼロ戦の通信機から届く音声が流れ続けている。
その部屋には、いや、廊下にまで人が詰めかけている。
オスマンが、コルベールが、アニエスが、タバサが、キュルケが、モンモランシーが、
ケティが、ローラが、シエスタが・・・。学院に残るほとんどの人が、トランシーバーか
ら流れるゼロ戦の様子に耳を澄ませ、ひざまずいて祈り、声援を送っていた。
じっと黙って聞いていたタバサが、すぅっと部屋から出て行く姿など、誰も気にとめな
い。皆、固唾を呑んで戦況に聞き入っている。
学院長室を出ようとするタバサの肩を、キュルケが掴んだ。
「ダメよ、タバサ。あなたが行けば、ガリア王家が」
「彼等は、あたしの希望」
タバサは振り向きもせず、ただ前へ進もうとする。
「それでもダメ、ダメよ。彼等のために、行ってはいけないわ」
「行かせて」
タバサは、キュルケに杖を向ける。その目に、なんの迷いも恐れも無い。
キュルケは、もはや何も言わない。黙って杖を抜いた。
その時、トランシーバーから、悲鳴が響いた。
『ザザ・・翼からっ!散弾が・・・ダメ、間に合わな、ザザザ・・・墜ちるぅ!・・・』
トランシーバーからは、雑音が流れた。
オスマンが震える手でトランシーバーを持ち上げ、軽く叩いてみる。
コルベールが、恐る恐るダイヤルをいじってみる。
それでも、トランシーバーからは雑音しか流れなかった。
キュルケも、タバサも、アニエスも、誰も彼もが動けなかった。
ただ沈黙だけが、部屋を覆っていた。
第3話 墜落 END
今回、年末年始に書き上げた分は、この第3話まで。
以上です。
続きを書くのは、海の向こうから帰ってきてからでしょう
乙
ううん、結果的に特攻かます形になるとは、ジュンたちの運命やいかに。
続き、期待させていただきます。乙かれさまでした。
乙であります。次回もたのしみにしてます〜
>>470 うわああああああ
まとめで直しておきますorz
「ドSな使い魔」の作者様にお願いです。弥子も出してください。
リクエストはタブーなので、お望みの展開がありましたらどうぞご自分で執筆して下さい
薔薇乙女、スゴイハラハラです
GJ。お帰りをお待ちしています
薔薇乙女さん乙です
予告なさそうなんで投下してよいですか?
おk
「決めたわ!」
握り拳を作って立ち上がるルイズ
勢いで椅子が倒れた、それを屈んで立て直すチーフ
「チーフ!」
首が折れそうな勢いで振り向くルイズ
目には異様な輝き、確固たる意思が込められている
「剣を買いに行くわよ!」
昨日の今日は虚無の曜日、時間は午前で休日である
朝起きてからずっと部屋の中をうろつき、部屋の端に行き着くとチーフをちらり
また歩き出して端に着くとチーフをちらり、最後には椅子に座り横目でチーフを見つめ続けていた
それを何時間も繰り返し、やっと決意したように言った
「武器ならある」
背中に背負ったアサルトライフル、そして腰に付いたハンドガン
どちらもチーフの世界の武器であり、彼の技量ならば十二分に扱いこなすだろうが
「前々から思ってたけど、それって何の武器?」
ルイズはそれが『銃』であると分からなかった
話に聞いたのみで実物は見たことが無い
話より大分形が違い大きさもかなりあって、それが銃であると辿り着けなかった
銃は一部の銃士隊しか扱っておらずサイズはせいぜい拳銃クラス
施条、ライフリングが刻まれていない単発滑腔銃でメイジが注意するほどの武器ではなかった
一発撃つごとに手間の掛かる装填、中距離でも命中精度が落ち、威力も極端に落ちる
弾道も不安定になるため、確実に当てる為には一定の距離まで敵を近づけさせる必要もある
その上でサブウェポン、という扱いになっている
そういった理由により、さほど進化せずこの現状を作っていた
もっとも、チーフの持つ銃とハルゲニアの銃は性能が違いすぎだが
「へぇ、これが銃……、ちょっと貸して」
チーフの側面に回りこみ、腰や背中に担がれる銃を指で突付きながら見つめる
「駄目だ」
「どうしてよ」
「危ないからだ」
「いいじゃない! これは命令よ!」
ビシッと指先をチーフの顔に向ける、命令と言われて従うチーフ
ルイズは理解していた、『お願い』では無く『命令』として出せばチーフが従ってくれることに
腰からハンドガンを外し、安全装置を掛けてルイズへ差し出す
重いぞ、と言って渡すが案の定ルイズの手から零れ落ちる
ガキン、と鈍く重い音がした
「お、重すぎるわよ!」
銃器としては最も軽いであろうハンドガンで重い、ルイズが如何に非力か理解できた
「だから言っただろう、重いと」
「こんな使いづらい物より、もっと使いやすいのにしなさいよ!」
チーフにとっては剣を振るより扱い易い物だが
「近接武「さあ、行くわよ! 付いてきなさい!」」
と、話し出す前に廊下へ飛び出していった
支援。1レス60行までだから、もう少しかためても大丈夫ですよ
アクセルを踏み絞り、街路をかなりの速度で走る
「凄い凄い!」
おもちゃを買い与えてもらった子供のようにはしゃぐルイズ
二人が乗るのは鋼鉄の箱、『ワートホグ』
地を掛ける乗り物としては最も早いんじゃないかしら?
突然『ペリカン』へ行きたいなんて言うから、待っていればこんな物に乗ってきた
「ほんと、凄い……」
響きは、先ほどまでの言葉とは違っていた
チーフはルイズの呟きと風切り音を耳に、指示された方向へアクセルを踏み込む
そして走ること1時間足らず、木々の間から見えたのは白い石作りの街
『ブルドンネ街』、王都の一角
ワートホグを街の門より離れたところに止める、さすがに堂々と乗り込むことはしなかった
こんな物で入り込めば確実に混乱が起きるだろう
しょうがないと門まで歩いていく、馬より断然速く到着できたのだから文句は言えない
門を潜ると並ぶのは数多の露天や商店、道幅5メイルほどで多数の人々が賑わい通りを闊歩する
「ちゃんと付いてきなさいよね」
ズンズンと道の真ん中を歩く、見ると道が少し開ける
道行く者たちは羽織ったマントで気が付いたのだろう、ルイズが『貴族』であると
人の波は次第に開けていく、それは割れた海のように
「えっと、こっちだったかしら」
四辻に出る、ルイズは周りを見渡しながら呟いていた
狭い路地裏にはゴミなどが散乱していて、鼻に付く臭いが漂っている
「秘薬屋の近くだったと思うけど……」
袖で鼻を塞ぎながら目的の武器屋を探しているようだ
「あれかしら」
汚い路地裏の一角に剣の形をした看板がぶら下がっている
看板がぶら下がっているところに行ってみると、階段があり、上がりきった所にそれらしき店があった
上りきって扉を開けるとカウンターの奥に店主らしき男がパイプを吹かし座っている
「ああ? ここはお嬢ちゃんが……、これは失礼を」
入るなり店主が吐いた言葉を謝る
マントか、あるいは紐タイ留めの五芒星を見たのか
「それで、何か御用で?」
「剣が欲しいんだけど」
「貴族様が剣を? こりゃあ、珍しいこって」
「いいえ、私じゃないわ。 使い魔に持たせるの」
扉を開けて入ってくるチーフ
「そ、そちらの方が持たれるので?」
チーフの異様さに押されたのか声が上ずる
「ええ、剣の事はよく分からないからそちらに任せるわ」
腕を組みつつ、胸をそらせる
「わかりやした」
鴨がネギ背負ってやってきた、店主は奥に入るなりそう呟く
勿論、それを聞き逃すチーフではなかった
チーフ支援
491 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/05(土) 00:00:08 ID:MPkj71Ge
チーフの投稿終わった後一本上げたいのですがよろしいでしょうか?
「ルイズ」
「なに?」
「自分で確かめる」
「そ、そう」
壁に掛けられた武器を見始める
手に取り、軽く叩く、その後一度振る、そしてまた元に戻す
そこまで試された武器は十振りも無かった、一通り目を通して最後に視線をやったのは樽の中に突っ込まれた武器
錆びていたり、刃が欠けている、要は粗悪品の物、その中の一つに手を伸ばそうとすると
「おい、にーちゃん。 俺を手にとってみねぇか?」
樽の中から声が響いた、その声にチーフの手が、店主の話を聞いていたルイズが、そしてその店主が止まった
「にーちゃん、かなり出来そうじゃねぇーか!」
カタカタと震える、刀身ほぼ全てが錆びに覆われた大剣
「デル公! てめぇは黙ってろ!」
「もしかして、インテリジェンスソード?」
「ええ、口うるさい奴でして」
「おうおう、どうせそんなガラクタ高値で売りつけようとしてるんじゃねぇか!?」
「なんだと!? これはてめぇなんかより上等な代物だってんだ!」
カウンターに置かれた剣、眩い宝石が幾つも散りばめられ、鏡のような両刃の刀身が煌く
高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿が作り上げた名剣、幾重にも魔法が掛かっていて鉄をも一刀両断
そういう話だったが、ルイズの興味はインテリジェンスソードに向いていた
「あんた、名前は?」
「おう、デルフリンガー様ってんだ!」
「へぇ、インテリジェンスソードなんて初めて見たわ……」
「そんなことより、にーちゃん早く握ってみれや! にーちゃんの目に叶うと思うぜ!」
デルフリンガーと名乗った剣は自分を販促、言われるがままにチーフはデルフリンガーを握る
「おでれーた……、やるとは思ってたがにーちゃん『使い手』か」
「使い手?」
「にーちゃん、俺を買え!」
「これにする」
「え?」
即決、ルイズと店主の声が重なった
「そ、そんな駄剣なんかよりこちらのほうが断然──」
「そ、そうよ! そんな錆びだらけの──」
「錆は落とせばいい、それに」
言葉が止まる、チーフはデルフリンガーを見つめ
「これはいい武器だ」
それを店の外から覗いていたのはキュルケとタバサ
昼前に起き、『ダーリン』ことマスターチーフに愛に来たのは良いがルイズの部屋はもぬけの殻
「どこに行ったのかしら」
ルイズの部屋を見渡した後、窓に手を掛ける
外に広がる風景を見下ろすと、何か見知らぬの物体に乗って道を行くチーフとルイズが見えるではないか
その時すでに、ルイズの部屋に誰も居なくなっていた
場所を移し、勢いよく扉を開けた部屋はタバサの部屋
壁に背をしてベッドに座り、黙々と本に目を通す、自身より長大な杖を抱えた青髪の小柄な少女
部屋に入るなり大声で叫ぶが、一切タバサの耳には入らない
本を読む際に入る邪魔な雑音を消すための無音魔法『サイレント』を掛けていた
隣で、手振り身振りでタバサに話しかけようとするキュルケにしょうがなくと言った面持ちで魔法を解く
話によるとルイズとその使い魔が何処かへ出かけたらしい
馬より速い、何かに乗っていたため、馬では追いつけない
そこでタバサの使い魔、風竜『シルフィード』で追いかけてほしいと言っていた
タバサは少し悩んだ、今日は貴重な『虚無の曜日』、たまっていた書物を読破するにうってつけだったが
「わかった」
無二の親友の頼みでは断れない
だが後に分かる、その選択は正解であったと
「うぎゃあああ!」
汚い悲鳴を上げ、投げ飛ばされたのは折れた剣を持った一人の男
事はキュルケとタバサが覗き、ルイズとチーフが居る武器屋、入ってきたのは4人の無頼漢
「親父、約束の物は用意出来てるかぁ?」
店主はそいつらの顔を見た途端、顔を大きく歪めた
「ふざけるんじゃねぇ! 誰がてめぇらなんぞに金を出すかってんだ!」
店主は何かしらの理由で金を要求されているが、それを突っ撥ねている
まあ、見るからに柄の悪い男たち
「ああ、そうかい」
手に持つ鞘に入った剣を飾り置かれた剣に振り下ろす
大きな音を立てて、それらは崩れ落ち、床に転がる
「これでもまだ出さねぇってか?」
それを見て切れたのはルイズ
「店主、出す必要ないわよ」
「あ?」とにごった声を上げたのは男たち
「分かっておりやすよ、若奥さま。 こんな屑どもに渡す金など一硬貨すらありやせん」
分かてるじゃないとルイズは店主に向きなおす
そして何事も無かったかのようにカウンターに置かれた剣とデルフリンガーの値段を聞き始める
やはりと言うか、無視される男たちは憤慨した
一人の男がルイズへと歩み寄る
「小娘が、大人を舐めると酷い目にあうってのを教えてやるよ」
伸ばした手が、ルイズに掴みかからんとした時
男の手が緑色の手に掴まれていた
「彼女に触るな」
男たちは気が付いていなかった
薄暗く、ランプで照らされた室内はそれでもなお暗かった
その部屋の片隅、右手にデルフリンガーを握るチーフが居たことに
動かなかった故に奇妙な鎧、その程度にしか思っていなかった
「な!?」
それを見て驚いたのは男たちのみ
「若奥さま、そちらの方はおやりになるので?」
「そうよ、あんな人たちが束になって掛かってきても負けることは無いわよ」
自慢げに言うその姿は自信に満ち溢れ、店主に信じ込ませるような風格を放っていた
「そんなにお強いんで? それならこちらの剣を──」
背後で起こっている出来事を尻目に淡々と商談を進めていく
「た、高いわね、立派な家と森つきの庭が買えるじゃない!」
「てめぇ!」
チーフに腕を掴まれた男は不自然な体勢で剣を振るうが、逆に振るわれたデルフリンガーの一撃で剣が折れて男は床を転がる
「おうおう、思った通り相棒はやりやがる!」
カタカタと喋るデルフリンガーはうれしそうだった
一歩、カウンターに体を向けたルイズの背後に立つ
ただそれだけ、ただそれだけで男たちは尻込みした
狭い店内では己の不利と思ったのか、男たちは外に出る
「出てきやがれ!」
男たちが叫ぶが、店内から誰も出てこない
チーフは店内入り口の前、十分に剣が振るえる位置でただ立つ
「正解」
「なに? どうしたの?」
遠くから覗く二人、突如言ったタバサの言葉にキュルケは頭をひねらせる
「あれで正解」
あれ、店の外から出ない事が最善の方法とタバサは言った
一対多数で戦う場合、如何に一対一に持ち込めるかだ
同時に襲われるのは非常に危険、同時に対処できない場合は死を意味する
その点で言えばチーフの判断は正しい、あの狭い入り口では一人、よくて二人しか同時に入れない
さらに、その狭い入り口のおかげで満足に剣を振るえまい
逆にチーフは存分に振るえる、満足に扱える者と扱えない者、その差は歴然となる、店内に入ると同時に殴り飛ばされるのが関の山だろう
勿論、相手が遠距離武器、魔法や銃などを持っていない場合に限るが見たところ男たちは杖を持っていないし、銃もなさそうだ
故にこの結論に至った
「噛んでいる」
「そうねぇ、軍隊経験でもあるのかしら」
キュルケから決闘の話を聞いていたが、実際目にするとでは大分違った
タバサの目には動きに無駄が無い、効率を重視した動きに見えていた
「これは……、知らない」
小さく、キュルケにも聞こえない声で呟いた
支援
武器屋の入り口付近には剣を折られ気絶した男が4人、予想通り殴り飛ばされた
そんなことはすぐに忘れ、店主とルイズはこっちにしようと武器を進めてくるがチーフはデルフリンガーを選んだ
「これから宜しくな、相棒!」
「本当にそれでよかったの?」
「ああ」
背中にアサルトライフル、右腰にハンドガン、左腰にはデルフリンガーが付けてあった
「本当に、本当にそれでよかったわけ?」
「ああ」
何度も「それでよかったのか」と繰り返すルイズ
そのたびに「ああ」と呟く
問答しながら軽い金属音を立て、元来た道を戻る
「いやー、ほんとすげぇな、相棒は」
デルフリンガーはデルフリンガーでチーフを褒めっぱなし
「ちょっと! 五月蝿いわよ!」と怒鳴ると「おっとすまねぇ、うれしくてついな」とカタカタ揺れる
所持金ほぼ全てをデルフリンガーにつぎ込んだ、と言うか持ってきた所持金で買える物がデルフリンガーだけだった
幾つか欲しかった物があったがここは諦め、帰路に着いていた
まさか剣がここまで高いとは思っても見なかった
「しかしなぁ、相棒はすげぇ所を渡ってきたんだなぁ」
「行き成り何言ってんのよ」
いや、なんでもねぇとデルフリンガーは黙る
はぁ? とルイズは頭をひねる
「いやいや、ほんとどうでもいいって」
「言いなさいよ、気になるじゃない」
「だってよ、相棒自身のこと教えてもらってねぇんだろ? なら俺から言えるわけねぇ」
その言葉に、あ、と気が付く
チーフ自身のこと、確かにその強さばかりに目が言ってチーフのことは殆ど知らなかった
チーフが左手でコツンとデルフを叩く
「おっといけねぇ、おらぁ黙るぜ」
と、雰囲気をかき回した犯人はカチンと黙りこくった
「………」
「………」
デルフの一言により微妙な空気になってしまった
(確かに気になるけど……、チーフは私の使い魔じゃないし……)
うーん、と悩むルイズ
やはり何も言わず後ろを付いて歩くチーフ
そこへ、ルイズの仇敵
「はぁーい、ヴァリエール」
と聞きなれた嫌な声
ルイズが頭を上げるとワートホグに寄りかかるキュルケとシルフィードに座って本を読むタバサ
「なななんでツェルプストーがここに居るのよ!」
食って掛かるように質問を繰り出すルイズ
「いえね、折角の虚無の曜日なのに学院に居るのもどうかと思って街に来てみたらこんな物見つけて調べてたら、貴女達が現れたってわけ」
「うそつき」とタバサは心の中でつぶやき、本を読みながらもチーフへ視線をやっている
「嘘言わないで! まさかつけて来たわけじゃないでしょうねっ!?」
「それこそまさかよ、折角の虚無の曜日に『ゼロのルイズ』を付回してなんになるのよ」
キィー!とハンカチを噛み千切りそうな勢いで口喧嘩が始まる
「ゼロじゃないわよ!」
「はいはい、サモン・サーヴァント成功させましたよね〜」
如何にも馬鹿にしたような言い方、ルイズはさらに激怒する
タバサはそれを横目に、シルフィードから下りてチーフと向き合う
「聞きたいことがある」
「何が聞きたい」
「貴方の素性」
「……、特殊部隊『Spartan-II Project』、コード『スパルタン-117』」
特殊部隊と聞いてタバサの眉が少しだけ動いた
「目的」
「情報収集」
「何の?」
「元居た場所に返るための」
「元居た場所……?」
「俺はハルゲニアで生まれた存在ではない」
その言葉でキュルケとタバサが驚く
「ちょっとルイズ、本当なの?」
ルイズはただ一度だけ頷く
「……、あの戦い方はどこで?」
「それは答えられない」
その言葉を聞いて杖を向ける
「答えて」
「ちょ、ちょっとタバサッ!?」
その光景に気が付いたルイズとキュルケが驚く
「答えられない」
「何してるのよ!?」
ルイズの問いかけに答えないタバサ
その瞳には何かが渦巻いていた
支援
「答えて」
さらに一歩、杖を突きつける
殺気を含んだ声、答えないならば強行手段に出るという警告
「………」
それでも答えないチーフ
「………」
途端、爆発したような烈風が吹き荒れ、落ち葉や砂埃を巻き上げる
「タバサッ!?」
「なななななに!?」
影を残すかのような飛翔、それは『フライ』と『レビテーション』の合わせ技
さらに体を押し出すような凄まじい追い風、風系統のタバサが編み出した高速飛翔魔法
その速度はフライの比ではなく一気に上空へ舞い上がり、杖を構える
「危ないぞ、離れていろ」
この言葉の意味に気づいたキュルケは頷き、呆然とする見上げるルイズを抱えて走り出す
「ちょっと一体何なのよーーーー……」
小さくなっていくルイズの叫び声
タバサもそれを見届けたのであろう、杖を振るう
「───」
言葉をつむぐと同時に現れたのは螺旋に渦巻く氷の矢
収束していく殺気、狙いは一点、殺す気で掛かった
長々となりましたが、以上で投下終了です
「改行が多すぎます!」はかなりの難敵
関係ないですが
『途端、爆発したような烈風が吹き荒れ、落ち葉や砂埃を巻き上げる 』
の時、ルイズとキュルケとタバサのスカートはめくれあがってます
初めてシールドの効果が試される時が来たか
>ルイズとキュルケとタバサのスカートはめくれあがってます
>ルイズとキュルケとタバサのスカートはめくれあがってます
>ルイズとキュルケとタバサのスカートはめくれあがってます
Ω ΩΩ<な・・・なんだってー!
ルイズ:白
キュルケ:赤or黒
タバサ:ハイテナイ
チーフ:ブーメラン
507 :
ワラジムシ:2008/01/05(土) 00:37:15 ID:TloSG/Td
乙です。
何色だ!? 何色だったんだ? GJ
>>479 弥子ポジは原作キャラに肩代りさせる予定なので、登場するとしても小ネタか性格変わってると思います。
というか、今考えているネタの中でちょこっと出そうな気がします。あくまで予定ですが。
それ以外でも話の展開上やろうと思えば出せますが、立ち位置がモブキャラからになるのでネウロと絡めるのは難しいです。
ユーシィから笑顔の変態パパ、ガンバードはまだ召喚されてないのな
とあるの人マダー?
vsタバサとは珍しい
花咲天使テンテン君を召喚
10分間だけ魔法が使えます
思い付きで書いてみたくなったネタ
ルイズがじゃーじゃー姫を召喚し、テファがちゃあを召喚して
リアル女子学生騎士団ルミナスナイツ。オンディーヌは男子組
AKDとアルビオンのそよ風王女が二人揃ったらどうなるかは俺にも分からないぜ!!
さあここぞと言う時どうぞと言う時そのまま一気に全身硬直〜(以下略、ヤバスギ
菊之助を召喚
間違いなく避難所行きだが
某所のストーム1(3仕様)とか
姉か祖父かの2択で。原作通りに残弾とか関係ありません。
虐殺銃のエネルギー源が何なのか非常に気になるけど
アリだーーー!!
最良は孫だな、味方の生存率がすごすぎる
「あんた、私の使い魔になりなさい!」
「いいですとも!」
…すまん、既出なのは承知の上だ。
FF4DSをやっていたら、書かずにはいられなかったんだ。
FF4とルイズの月が二つなのが悪いんだ。
FF4って全身黒ずくめの暗黒騎士が幼女を連れ回す話だろ?
FF4って月2つなのか
他に月2つなのってテイルズ初代以外にある?
FF4買ってくる。
青い果実をむしゃぶり尽くした後、部下の忍者に払い下げ
でかくなったし未練は皆無
大人といっても15くらいらしいよ
20と聞いたが
司令塔、投下許可、よろし?
一芝居うった日から3日後の事。
村の広場では今、アイーシャとヨシアの結婚式が行われ、明るい雰囲気に包まれていた。
恵達の目論見通り、手を組んで武士の扮したガーゴイルもどきを追い払ったあの日から、お互いに和解するに至ったのである。
村人が翼人達の『巣』のあるライカ欅を切らず、村の作物を提供する代わりに翼人は村人の手伝いをする。
そういう条件付ながら、ついに2組は友好関係を結ぶ事になったのである。
そしてその立役者でもあり恋人同士でもあるアイーシャとヨシアの結婚式にぜひ出て欲しいと2人に言われた武士達は、まだ村に残っていたのだった。
もちろん、追い払う必要が無くなったのだから討伐の必要は無い。
それに命令を下す立場のイザベラ自身が実際に仲良くなった村人と翼人の様子を目の当たりにした以上、納得せざる負えない。
最初の命令どおりいかなかった事に歯噛みしつつ。
結婚用の衣装に身を包んでいるヨシアとアイーシャからかけられた感謝の言葉に何だかむずがゆいものも感じつつ。
新婚ほやほやの2人が村人から祝福されているのを横目で眺めながら、イザベラは最初にもてなされた時と同じようにワインをカパカパ飲んでいるのだった。
恵の注意もお構い無しに。
「アンタねえ、また気分悪くなって倒れたらどうすんのよ?今日にはここを離れるんだからね」
「別にどれだけ飲んだって私の勝手じゃないかい・・・」
そう返しつつ目もくれずに適当に選んだつまみを1口。
そして・・・倒れた。
またハシバミ草を口に入れてしまったらしい。
「ぐ、ま、またこれかい・・・苦い〜、えぐい〜・・・」
口に残る感覚にうなされるイザベラ。
どうやら従妹とは違いハシバミ草は大の苦手らしかった。ご愁傷様。
しかし、前回と違ったのは武士もすぐ傍に居た事だった。
「だ、大丈夫かい!?」
「うう〜〜・・・」
苦しそうな唸り声を聞いた武士は、躊躇い無くイザベラの背中と両膝裏に両手を回して抱え上げた。
人、それをお姫様抱っこと呼ぶ。
うなされていたイザベラ、いきなり消えた地面の感触と代わりに感じる両腕と胸板の逞しさと体温に再起動。
そして武士にお姫様抱っこされている事に気付いて即座にオーバーヒート。
「大丈夫?ベッドのある所まで運ぶから少し我慢してね」
「わ、わかったよ・・・」
――ぱ、パッと見冴えないけど近くで見ると結構イイじゃないの・・・胸板とか、かなり鍛えてるみたいだし・・・――
それに、こうして抱かれてるとなんだか落ち着く。
顔を紅くして俯くイザベラはそっと、頭を武士の胸に押し当てた。
どんな毛布に包まれるよりも、何よりも心地良かった。
支援。
月が二つなのは全部イースのパクリ。
「・・・もしかして、この野菜が原因なのかしら」
「美味しい。あなたも食べる?」
「・・・いい、遠慮しとくわ」
今度はしっかりハシバミ草を食べてからぶっ倒れるのを見たらしい。
好き嫌いは無いつもりだけど、この野菜には気をつけよう―――と恵は固く誓うのだった。
サーヴァント・ARMS:第7話 『買物』ショッピング
さて、その頃の魔法学院。
武士とその主人のタバサの姿がこの数日無いのが気になりつつ。
タバサの親友であるキュルケに『時々こうだけどいつもしばらくしたらちゃんと帰ってくるだろうから大丈夫じゃない?』との言葉をとりあえず受け入れながら、
涼はチャキチャキとルイズに言われるがまま使い魔としての仕事をこなしていた。
今はまず、彼女の信頼を得た方が得策だと判断しての事。
それに武士の事は信頼している。何といっても今まで共に戦ってきた仲間だ、幾らここがファンタジーな世界でもARMS並に驚異的でもない限りやられたりはしないと確信している。
しかし召喚から1週間程経った虚無の曜日の早朝、涼はある切実な問題からルイズに頼み事をする事にした。
それは。
「服を買ってくれ?」
「ああ。学生服はともかく、流石に下着を1週間も同じまんまなのはルイズも嫌だろ?だからせめて替えの下着ぐらいは欲しいんだよ」
返って来たのは心底嫌そうな顔での頷き。
そんな訳で、1組の主従は城下町へと向かう事になった。
「で・・・なんでアンタ達まで一緒に来るのよ!?」
「あーら、私は別にダーリンに城下町がどんな所か案内してあげようと思ったついでにダーリンの服買いにきただけよ?」
「だから、誰がダーリンだってんだよ・・・・・・」
「あのその、私はミス・ツェルプストーに平民向けの服屋の案内を頼まれたのでその・・・」
「あー、とりあえずルイズ、騒ぐのは他の人の迷惑だからもうちょっと声抑えて、な?」
馬小屋で鉢合わせした上目的地も一緒だった為に、何時の間にやら天敵コンビ(+シエスタ)と行動する羽目になった今のルイズは不機嫌一直線である。
今4人が歩いているのはトリステインの城下町の中でも1番広いとされる通りだ。
しかしそれはルイズ達の基準での広いであり、涼と隼人からしてみればほんの5mぐらいしか幅の無いにも関わらず人で賑わうそこは狭かった。
通りに品物の載せられた箱や台がせり出しているから尚更だ。常に行きかう人とぶつからない様に気を配らなければならない。
もっともその状況にかこつけて、
「うおっ、おいキュルケ、頼むからもうちょっと離れてくれぇ!」
「しょうがないじゃなーい。こうやってくっついてないとぶつかっちゃうんだものー」
「け、けどなぁ!・・・胸、胸が腕に思いっきり当たってんだよ!」
「何言ってるの、当ててるのよ?」
「確信犯かよ!あーチクショウ!アルなんかよりよっぽど性質悪ぃ!」
なんてやり取りが涼の後ろで聞こえる。結構必死そうだった。
――隼人、結構純情だからなあ・・・――
ちなみに隼人、キュルケがアプローチをかけてくる様になって以来寝不足だったりする。
何せ夜は同じ部屋で寝ているのだ。部屋の主のキュルケに隼人が強く出れるわけも無く、何とk最後の一線を越えないようにするのでイッパイイッパイな訳で。
ARMSの超再生力も、過剰なお色気攻撃による精神的消耗には無力らしい。
2時間ほどかけて一通り涼と隼人の服を買い込み終えた一行は、買い物からトリスタニア探索へとスイッチして大通りを彼方此方ぶらつく。
服屋で涼と隼人の服であれこれ意見を交わしているうちにいつの間にか仲良くなったらしいルイズ・キュルケ・シエスタがお喋りしながら店を覗く。
正確にはからかうキュルケにルイズが噛み付くたび、シエスタが仲介に入るという図なのだが
それでも傍目から見てみれば、中々仲が良さそうに見えた。
そしてその間の涼と隼人はといえば、買い込んだ服と店覗く度に3人が買ってくる物を抱えて荷物持ちをやらされている。
2人には何だか目の前の3人がカツミと恵と涼の母親にダブって見えた。彼女達の荷物持ちにもしょっちゅうつき合わされてたらしい。
ご苦労さん。
「ねえダーリン。ギーシュと決闘した時は素手であっさり倒しちゃったけど、ダーリンは武器とかも使えるの?」
「まー一応な。マジでやる時は主に剣使って戦ってたけど」
なにせ俺のARMSって『騎士』<ナイト>だし、と荷物を抱えてボンヤリ思考をめぐらせる。
「でも隼人のアレはどちらかって言うと見た目は長槍に近くないか?左手のは確かに剣っぽかったけど」
「へ〜、それじゃあダーリン剣を買ってあげましょうか?きっとダーリンならどんな剣でも使いこなせるわ!」
「お、サンキュー。俺もここの武器屋がどんなのか気になってたからよ、早く行こうぜ!」
「おーい、ちょっと慌てんなって。ってか隼人道分かんないだろーが」
なんやかんやで一向は薄汚い路地を抜けて武器屋へ。
店内はファンタジー系のRPGに出てくるのとそっくりに、剣や槍や防具が狭い店内に所狭しと並んであった。
期待通りそれっぽい雰囲気の店に、隼人は少し興奮気味である。
キュルケが奥から現れた店主となにやら交渉を始め、涼とルイズとシエスタもこういう場所は初めてなので珍しそうに見回し、
並べてあった剣を物色していた隼人はふと、他の剣とは違うタイプの長剣が目に入って注目した。
所々錆の浮いた、日本刀に似た片刃の長剣。
――そういや死ぬ時に親父が握ってたのもこんな感じの刀だったっけな――
痛みの混じった懐かしい記憶を思い出しながらそれを握ってみる。
「・・・おでれーた!何もんだテメーは!」
途端、握ったその長剣が鍔をカチャカチャ鳴らして声を発した。
いきなり聞こえてきた高めの声に、隼人が思わずそれを手放して落としてしまっても仕方の無い事だろう。
「な、何だぁ!?剣が喋ったぁ!?」
「へー、それってインテリジェンスソードじゃない。珍しいわね」
「インテリジェンスソード?何だそれ」
「意思を持つ魔法剣の事よ。なんでも先住魔法で意思を与えられてるらしいんだけど・・・」
「その通りでさ、若奥さま。いったいどこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、剣を喋らせるなんて」
「あの、お喋りする剣なんて私も初めて見ます」
「へえ〜、おもしれぇな」
「おもしれえのはテメーの方だ!何だぁ、こんなとんでもねぇの中に飼ってる奴なんか初めて会ったぜ!」
喋る剣の言葉に首を捻るルイズ・キュルケ・シエスタ・そして店主。
一方「ゲッ」と驚いた顔をしたのは涼と隼人である。剣を拾い上げた隼人は小声で聞いた。
「おい、お前ナイトの事が分かるのかよ!?」
「ナイトってのか、お前の中の奴は?おうよ、大まかにだが大体分かるぜ。
しっかしホントおでれーた!こりゃ本気になりゃメイジの100人や200人楽勝じゃねーのか?
気に入った。おめー俺を買え」
あれこれ勝手に言ってきた挙句いきなりの言葉に面食らうが、隼人自身喋る剣というのも面白そうなので気に入った。
話は乱暴で少々お喋りだが、アルとかよりも相手にして楽しめそうだし。
「なーキュルケ。悪いけどこれも買ってくんねーか?」
「んー、ダーリンにはもっと豪華なのが似合いそうなんだけど・・・いいわよ。ダーリンが気に入ったのなら文句は無いわ」
買った品物に喋る剣(値段:店主曰く厄介払いという事で50エキューに割り引いてくれた)が加わった。
なおルイズも隼人に剣を買い与えたキュルケに対抗しようと涼にも剣を買わせようとして、「別に俺要らないって」と本人に止められていたのは割愛。
「そういや名前は何ていうんだ?」
「おうよ、デルフリンガー様だ、よろしくな」
「俺は神宮隼人だ。あと言っとくが、ナイトは別に飼ってる訳じゃねーぞ」
その後も結局ルイズとキュルケとシエスタは3人揃うと姦しいを地で行く騒がしさで
もはや荷物持ちとなった野郎ども2人(+デルフ)を振り回しながら城下町で散策を繰り広げた。
結果、城下町を出た頃には既に日が半分以上沈んでいた。この分だと学院に着くのは遅くなる事確実である。
学院が見えてきた頃にはもう夜闇を双月と星明りしか明かりが無いくらいの時間帯だった。
馬に不慣れな隼人はひーこら言っている。1人で乗っているのはキュルケと相乗りするのを断固として拒否したからだ。
・・・ちょっと惜しかったのは秘密だ。
各馬1人ずつ跨った馬群が草原をかける。
学院へと更に近づき、詳細な建物のシルエットが分かるようになった頃・・・
ふと先導をしていたルイズはそのシルエットに違和感を覚え、ついでその原因と正体に気付いて大声を上げた。
「なによ、あれ!?」
建物の姿を遮るほどの巨大なシルエット。
それは、30mはありそうな巨大なゴーレムだった。
巨大ゴーレムはそのまま学院へ近づき、建物の壁に一発拳をぶち込む。
しかしそれでは満足しなかったのか2発、3発。果てには壁にラッシュを加え始めた。
轟音が響く。建物から悲鳴や怒号が上がるのが離れたルイズ達にも分かる。壁を殴るたびにその衝撃が地面を伝ってビリビリと5人の元へ伝わってくるくらいだ。
爆撃のようなラッシュは続く。
平民でメイドのシエスタは、そのゴーレムの大きさに驚愕していた。
メイジで学院の生徒のルイズとキュルケも最初はゴーレムに圧倒されていたが、すぐに我に返って止めさせようと馬にスパートをかけた。
そして使い魔2人と1振りのインテリジェンスソードは。
「・・・まあニューヨークん時のジャバウォックよりゃ小さいよな」
「相棒ん所にはもっとデカいゴーレムがいんのかい?」
「とりあえず2人を追いかけた方が良くないか?」
・・・結構冷静である。
涼の言う通り、先行するルイズとキュルケを追いかけようと馬に鞭を入れかけた、その時だ。
右腕と左腕、突如奔るよく知った共振。
「っ・・・と!」
「これは――武士?」
もう1度、ゴーレムの方を2人は見やった。
次の瞬間。
一条の光が夜空を切り裂き、そして。
――――――建物を蛸殴りしていたゴーレムの上から半分が、光翼の弾丸によって消し飛ぶのを遠目から、しかしはっきりと見た。
=======================
<未公開シーン:武士とタバサの帰りが遅くなった訳と乙女な王女様>
「それじゃあそろそろ帰るわよー。あ、武士とタバサも一応宮殿の方に顔出しといてくれない?形だけでも口頭での任務結果の報告を取っとかなきゃいけないから」
「うん、わかった(でもタバサ結構授業休んじゃってるから、帰りは急いだ方がいいかな?)」
「・・・ちょっと待ちな」
「何よ、またくだらない事言ったらもう一発お見舞いするわよ」
「・・・北花壇騎士団長としての命令だよ。帰りはアンタが私を運びな(武士を指差して)」
「え、僕が?」
「な、何だよ!文句があるってのかい!?(顔真っ赤)」
「えーっと、イザベラ、寒くないかな?」
「ちょっと冷えるね・・・もっとくっつけな」
「こう?」←至って普通
「・・・あったかい(えへへへへへへ・・・)」←ちょっと顔がにやけている
「・・・・・・・・・・(そこは私の場所)」←少し不機嫌そう
「何気にもててるのね・・・武士って」
ToHeartからセリオじゃなくてXenosagaからkos-mosがルイズに召還されました
ギーシュをフルボッコ後
「雑魚と認識しました」
ARMSの人乙〜
イザベラのデレ感がいいwww
今回分はこれで投下完了。
・・・最近乙女なイザベラ様が書きたくて仕方ないんですよ、ハイ。
ナイトが完全発動したらデルフいらない子になりそうです。どうしよう。
逆に考えるんだ。
ナイトが完全発動したらデルフがいらない子になるんじゃなく、
デルフが使えない危機的状況にナイトを使うと考えるんだ。
>デルフが使えない危機的状況にナイトを使うと考えるんだ。
まさに天啓
>>519 惑星Zi(ZOIDSの舞台)も月が二つだな
スタートレックのデータ少佐が召喚されるというのを考え付いたがどう考えても一話で帰れそうなんだよな…
右手にミストルティン
左手にデルフリンガーなら
完璧にガンダールヴじゃないか!
>>539 ARMS全開でデルフ振ったらポッキリ折れますが、何か?
>>541 そこはデルフにかけられた固定化の強度に期待するしかないな。
スタートレックの召喚希望って皆ネクストジェネレーションばかりだな。世代の問題か。
ゼロ魔ならTOSの方が面白いと思うぜ外見エルフのスポックとか女性キャラ食って
自分の世界にお持ち帰りするカークとか。
ミストルテインのARMS殺しがなぜかデルフにも有効。
「ミストルテインの槍――!」
「ちょwww相棒俺のからだがくぁwせdrftgyふじこlp;@」
>521
次に目をつけたのは五歳の魔導師
ルイズ逃げて
準備完了! 当方に投下の用意あり!
きゃもぉぉぉぉん!
虚数カタパルト内でつまずきつつ支援。
さて、夜である。空には双月と星が瞬き、それを窓から臨む魔法学院の自室では
我等がルイズ・ド・ラ・ヴァリエールがショゴスを抱き枕代わりにベッドの上で
ふてくされていた。
理由は言うまでもない、素っ裸同然の少女と抱き合っていたクザクのことである。
別にあれは使い魔な訳であるし、正直ここまで怒る必要なんてまったくないのだが
なんつーか気に食わない。
それはつまり、あれだ。胸のでかいだけの女になびくような盛りのついた犬は
お仕置きしないといけないという使命感から来る感情によるものであって。
だからその使命感から気絶してるクザクを馬の後ろに繋いで引っ張りまわして、
ついでにヴェストリの広場に吊るしたのもそのせいで。
ああ、そうだ。この前だってクザクが悪かったし今回もアイツが悪い!
だから今回だって全然構う事なんてないのだ!
合点し、うんと強く頷くルイズ。
別に他意はありゃしない。胸がでかいからって言うひがみなんかじゃない。
悔しくなんかない、ないのだ。ああ、ないとも。ないともさ!
「てけり・り?」
「うぅ…………」
前言撤回、やっぱりちょっと悔しい。
やはり乙女心としてはこの鎖骨からお腹まで続くなだらかな曲線はやっぱり
気になるところ。
特に自分の大好きなちい姉さまなんか見てたらもう、あれなのだ。
たっぷりと詰まった果実で曲線がなだらかどころか険しい山脈なのだ。
ああ、御年16歳になろうかという今現在においてここまで成長芳しくないのは
一人の女として胸を痛めるしか他がない。
「はぁ…………」
重い溜息しか出ない。男というのはやっぱり胸のでかい女の子でないと駄目だと
いうのだろうか?
こう、やっぱり、ほら、こうやって、寄せてあげて、谷間のあるほうが……。
谷間の……こう、谷間が……谷間……谷間……作って…………。
「てけり・り?」
「うぅ……」
欝だ。何でこんな事で悔しい思いをしないといけないんだろうか。
そう考えたらやっぱりクザクが悪い。こんな悔しい思いをする羽目になったのは
アイツのせいなのだ。ルイズは強く、強く、頷く。
忠実な下僕というのは、特に使い魔は、だ。ご主人様以外に目を向けたらいけないと
いうのに、あのダイジュージクザクはご主人様を放っぽり出してあんな破廉恥な
真似をしていたのだ。
しかもギーシュをやっつけたというのにあの様は何だと言うのだ。
つまりはあれか? あれなのか? 女の魅力は全て胸にあろうとでも言うのか?
胸はこの世のありとあらゆる魔法と武器に勝るとでも言うつもりなのか、あれは?!
強いはずなのにあんな胸にたぶらかされてあの様としか思いようがない。
ツェプルストーの友達とかいう女子が何か言っていた気がするが知ったこと
じゃない。
クザクが少女に圧し掛かられている姿を思い出し、不退転の決意を撃ち破らんばかり
の怒りがルイズの中で吹き荒れた。
それは世界を破滅に導くような兄弟喧嘩だって指先一つでダウンできるくらいに
途方もなく激しい怒りだ。
おかげで抱き枕にされているランドルフはその身体を極限まで絞り上げられて
苦しそうである、というかかなり苦しい。
「ええ……ええ、そうよね。なぁにが胸よ。あああ、あのツェプルストーだって
胸がおっきいけど頭はすっからかんじゃない。ででで、でもちい姉さまも
胸は大きいけどちい姉さまはいっぱい色々知ってるんだから。
だだだっだ、だから、むむむ胸がちい……ちいさ………うぅ」
言えない、これ以上言えない。これ以上言ったら自分で墓穴掘った上に二度と
引き返せない後悔に苛まれることになりそうで怖くて言えない。
つぶらな瞳の奥に優しさを見てルイズはそんな言葉を口にする。
「てけり・り」
涙はこれでふいとき、と言わんばかりにランドルフはどこからかとりだした
ちり紙をルイズの掌に落とす。
見た目はアレだが実に紳士的な振る舞いであった。流石は卿(けい)と呼ばれる
彼と同じショゴスなだけある。
「ずびぃ……」
鼻をかむルイズ、そしてちょっと鼻の天辺を赤くしてランドルフにはにかんだ。
「ありがと」
「てけり・り」
人と人以外のちょっとした友情の芽生えであった。
******
目をさましまず最初に気づいたのは先ほどまでいた森ではないという事。
辺りは暗く、それで時は既に夜、ルイズの爆発に巻き込まれてからかなりの時間が
経ったことを認識する。
あと、全身の節々が痛い。爆発に巻き込まれただけの痛みではない気がする。
開いた瞳に映るのは明かりがなく薄暗りではあるが、ルイズの部屋と似た
石造りの天井。
まさかルイズが自分を此処まで連れ帰ったのか? そう思い立ち上がろうと
する九朔だったが、そこで自分の身に起きた異常にこれまた気づく。
「う……動けんだと!?」
異常を確かめようと己の身体を見れば両手両足をロープで完全に拘束されている
哀れな己の姿。
状況を把握しようとどうにか動く首だけを使ってあたりを見回せばルイズの部屋とは
やはり違うことに気づく。薄暗がりに見えるドレッサーはルイズのそれとはまったく
趣が違うというかやたらゴツくてでかい。
「うふふ………目が覚めたかしら?」
かけられた艶かしい声、どうにも嫌な予感しかしないのだが確認しないわけにも
いかないので視線をゆっくりとあげていくと世界はちょうど180度反転した。
真逆になった視界に映るベッドの上の人影を見てまたも九朔は狼狽することになる。
そこにあるのは昼のシルフィードに続いてまたも裸同然の女性の姿であった。
そこに在るは褐色の女。
先ほど意識を失う前に見たシルフィードとはまた違い、褐色の肌をしたその肢体は
女として完成しきっており、豊満な胸とくびれた腰を包む下着は扇情的な作りで
見るものを誘惑しないではいられない。また、そこから放たれるむせ返るような
色香はもはや妖艶と称して良いほど、というかその形容しか思いつかない。
そしてその女性を九朔は知っていた。
「汝……ルイズの学友か?」
やや上ずった声で九朔は尋ねる。名前はキュルケだったか、反転した視界の中で
微笑むその顔が怖い。
「あら、私の事を知ってくださっていたのね……嬉しいわ」
ゆっくりとベッドの上を四つん這いになってこちらに近寄ってくるキュルケ。
それに合わせる様に九朔の視界もまた元へと戻っていく。
どうにも嫌な予感しかしないこの現状、どうにから逃げ出そうと色々策を講じて
みるがロードアイランド病院あたりで使われてそうな拘束服だってびっくりの
強靭さを誇るこの縄の前では無意味であった。
「逃げようとしても無駄ですわ騎士様、それには固定化の魔法をかけてますから」
死刑宣告のように聞こえたのは気のせいか、というか自分を拘束して何をしたいと
いうのかこの娘は。
己を覗き込むキュルケの顔を見て思う九朔だが次の瞬間にその意を身をもって
理解することとなった。
「でも、そんな事は今はどうでも良いことですわ……」
その瞳の色が獲物を狩る猛獣の色を帯びているのは自分の気のせいであって欲しい
と思う九朔であるが現実は早々に生易しくないもので。
「えぇい♪」
語尾に音符なんかつけちゃわれながら――――剥かれた。
「ぬぉぉぉぉぉぉッ!?」
某大盗賊もびっくりな早業、かろうじてパンツは死守したものの髪飾りが
解けた現在の九朔の姿は裸シャツの美少女そのものであった。
傍から見れば苺で修羅場な乙女の園とかマリア様がガン見しちゃってる乙女の園
あたりで主役級をはれる完璧美少女が褐色の肌のお姉さまに押し倒されているの図。
これは酷い。
「い、いきなり何をするか汝えぇぇぇぇぇぇ!」
「襲ってるの♪」
「音符を語尾につけるな! というか何故襲う!?」
「貴方に……心を奪われてしまったの」
頬をそめてイヤンとか言いながら顔を横に向けていうが、いじらしさとかそういう
のとは無縁な感じで皆無である。
「ああ、貴方は私の事をはしたない女だと思うでしょうね」
「この状況をそれ以外にどう解釈するか!」
「思われてもしかたがないの。私の二つ名は【微熱】」
「話を聞け」
「私は松明のように燃え上がりやすいの、だからこんな風に押し倒したりとか
しちゃうの。わかってる、いけないことよ」
「だったらこの縄を解け、ついでに服を返せ!!」
そう叫んでみるが本人には聞く様子は全くない。
「でもね、あなたはきっとお許ししてくださると思うわ……」
人の話を聞く気が無いというかむしろそんなの関係ねえと強引に押し進めるつもり
なのか潤んだ瞳で裸シャツ状態の九朔を見下ろすキュルケ。
昼間とまったく同じ状態のマウントポジション、キュルケの指が九朔の胸元へと
するりと伸びた。
「くすっ」
その笑みと同時、猛獣の瞳でキュルケが九朔の胸元をがっしりとはだけた。
ブチンと音を立ててボタンが弾ける。
ちょっと待って欲しい、これは表現規制法とかこのスレの対象年齢的に実に問題
ありというかそもそも原作がそういうのだからとしてもいきなり過ぎる。
「ま、待て! 我に惚れるのは良いがいきなりどうしてこうなるか!?」
今更何を言うかといった顔でキュルケが九朔を見る。
「だって貴方ってば昼間にもタバサの召使いに手を出してたじゃない。
あの子がメイドを雇ってたなんて初耳だったけど……まあ、それはいいとして
あの現場を見ちゃったらツェプルストー家の女としてもこう、燃えちゃうと
いうか私がやらないでどうするか! ってな訳になるの。
ああ安心して。私も伊達にいろんな男子達と付き合ってきてるわけじゃないわ。
だからあんなメイドなんかすぐに忘れさせてあげる………」
「手なぞ出しておらん! そもそもどうしてそんな事になっておるかぁぁ!!」
「ああ、恋は突然だわ……私の身体をすぐに焔のように燃やしてしまう……」
どこで何がナニを間違えたのだろうか。
このようなバッドエンドっぽいフローチャートはまず何処にも存在しなかったはずだ。
が、そんな事を考えてる間にもキュルケの指が肌の上を滑り上へ下へと向かってくる。
「話を聞けと……あ、こら! そこは……あ、ちょ、ま……あ……そこは……
あぁ……や……駄目ぇぇぇ……!」
言葉では形容できないような真似を受け、言う事も憚られるような状態に突入。
脳裏にルイズと同じ髪色のしかしそれとは真逆のボディバランスを誇るグラマラスな
美女に筆舌に尽くしがたい官能的な行為を受けている様が浮かんだのは誰の記憶
だったろうか。
だがそんなギリギリのところで窓の外から闖入者は現れる。救いの主である。
「キュ、キュルケ……ま、まさか君にそのような趣味があったとは……」
そこにあるのは今にも顎間接を外しかねない勢いで大口を開ける青年の姿。
彼にはどうやら九朔が女子に見えたようである。
「ベリッソン!」
それはつまりキュルケがいたいけな珍しい女子を押し倒し、あられもない行為を
しようとしていると見えたわけでハンサムな青年の鼻からは夥しい鼻血が。
片手で抑えてはいるが致命的っぽい量に見えなくもない。
あと、状況が状況なだけに既に無窮の空の彼方へ意識を離しかけていた九朔には
ここが三階であるとか彼が魔法で浮いてるとかは想像できるわけがなく、
「二時間後に!」
「へぶらっ!」
キュルケの魔法で火の玉が名も無きと共に窓枠と一緒に飛んでいったのを見ている
しかなかった。
「ふぅ。では今の続きをしましょ騎士様……」
「や……やめろ汝……あ、いやぁぁぁぁぁぁ……」
もう色々と限界近い九朔へキュルケの腕が再び襲い掛かるがしかし、
「キュルケ! その……えっと、その女子は……だ、誰だ!?」
「スティックス!」
またも闖入者現る。
「今夜は僕と一緒に過ごすはずなんだが……ああしかし……ああ……ああ!」
困惑気味に、しかしながらその光景に魅せられたのか篝火に近寄る蛾の如く部屋へ
入ってこようとする彼であったが
「四時間後に!」
「あみば!」
篝火に寄り過ぎた蛾は焔に炙られ窓の下へと落ちていく運命であった。
「ふぅ……時間をあまり無駄にしてはいけないわね。夜が長いなんて誰が……あら?」
恋する乙女の顔で頬を染めつつ言うキュルケだったが、その相手である九朔は
友よ今こそ逃走の時! と、この期を逃すまいと必死の様で拘束されたまま前進する
ところ。
「えいっ」
無論逃がすつもりなど毛頭これっぽちも一ミクロンもあるわけがない。
追い込まれた狐はジャッカルよりも兇暴なのだ、別に追い込まれてないが。
フライで浮かばされては拘束された手前、言葉どおり手も足も出るわけもなく
浮いた身体はそのまま弧を描いてベッドの上へと逆戻り。
そして待ち構えるのは猛獣の瞳で九朔を射抜くキュルケ。
ベビードールは言うも憚られる行為の所為で脱げかけており全裸に近い。
「そんなわけで、さあ!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
そしてキュルケは腕を広げ、滝の如く泣き叫ぶ九朔へとダイヴする。
が、二度あることは三度ある。
「キュルケ!」
「そこな男(おのこ)は!」
「何処ぞの男子か!」
「マニカン! ギムリ! エイb……じゃなくてエイジャックス!」
コミック力場ここに極まれり。
世界がどこかで歪んだなどともはや知ったことではない。
最後の一人の名前が版権的な意味合で際どかったりするが知ったことではない。
そんな三人は口調がおかしいまま彼等は二の句も三句も無く、
「…………フレイム」
サラマンダーに焼かれ、
「「「うわらばっ!」」」
世紀末救世主的モヒカンな断末魔を残して窓の外から消え去った。
さあ、これでもう邪魔者はないとばかりに情熱的な捕食者の瞳が九朔を捉える。
覚悟はいいか、否、できるわけが無い。
沈黙が部屋の中を包む。絶望が九朔を覆う。
世紀末救世主だってこんな展開から救ってくれる訳ではないようである。
「愛してるわ騎士様! さあ、今こそ私と共にヘヴンッへ!!」
「何処の誰だ汝は!? あ、いややめて……そこは……あぁぁぁぁぁ………」
そこからめくるめくる官能的展開を誰もが期待するであろう。
誰もこんな絶望から救ってくれる正義の味方などいないと思うだろう。
誰もこんな天国から突き落とす悪魔の手先などいないと思うだろう。
むしろこんな展開を望んでる破廉恥な人間もいるかもしれない。
そんなことを望まない清く正しく真っ当な人間もいるかもしれない。
しかし真実は何時も一つだ。
もはや二度と戻る事の出来ない身体になろうとした九朔の前でドアが開かれた。
暗い部屋にロウソクの灯より明るい光が差し込む。
それは救いの朝日といえた、だが同時に惨酷な処刑場の鐘の音だった。
現れるルイズ、脇に抱えられたショゴス、同時浮かぶルイズの修羅相。
もはや言うまでもなかった。
振上げられる杖、同時見計らったように飛び退くキュルケ。
振り下ろされる杖、九朔の眼前が清らかで真っ白な閃光に包まれていく。
「このっ…………変ッッッ態ッッッッがぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
爆発音、どこかでウィップアーウィルのけたたましい鳴き声がした
投下完了!
女難は大十字家における必須技能、これがなければ始まらない。
それでは、窓に! 窓に!
てけり・り支援。
がんばれクザク。考えようによってはうらやましい技能だ。
乙
乙です。
予約ないなら投下したいんだけど?
あいてますか?
>>519 ネトゲだけど、マビノギも月が二つあったはず。
>>556 全くだ、実にうらやま・・・しくネェェェェェェェッ!!!
こんな過激すぎるのは勘弁だぜ!
乙
固定化まで使うなよw
>>557 進路オールクリアー Good luck.
ゼロの悪魔召喚師 第八話
<流星>
「台風が吹き荒れてるな…」
コルベール先生と共に、学院長室にやって来た訳なのだが…
ノックしても返事が無いのでドアを開けると20過ぎくらいの美人といえる女性が、白髪の老人をしこたま蹴っていた。
「や、やめるんじゃ。ミス・ロングビル」
「今日という今日は許しませんっ!」
老人を無理やり起こした美女は、半歩ほど間合いを取ると拳を打ち込んだ。
「足・腰・腕への力の伝え方・重心移動どれをとっても完璧ですね。その上肝臓へ……急所だなぁ」
「いや、そんなことを言ってる場合ではないのですが…」
冷静に評価してると信じられないものを見たといった感じのコルベール先生が汗を拭きながら答える。
だってここの人たち非常識なんだもん。いきなり呼び出して使い魔にされたり、ご飯前に拉致られたり…
もちろん表情に出すことも無く、手を老人と美女の方に向けながらこう言った。
「あれをとめることは私にはできません」
そう話している最中にもくの字に曲がった老人の顎にショートアッパーが打ち抜かれ、崩れ落ちる老人の顔にフィニッシュブローのストレートが決まる。
ロングビルの攻撃
3HitsCombo
369のダメージ
「ストレートかと思ったらコークスクリューか…」
「止めに行きましょう。」
「一人で行ってください。」
いや、あれは命に関わる可能性があるぞ。言ってきた本人も覚悟が決まらないのか止めにいけない。
見てると美女はふらふらになった老人の腕を取り自分の首にかけ、自分の腕を老人の首に回し空いたほうの手で老人の腰をしっかりと持つ。
「何をするんでしょうか?」
「プロレス技だ…」
「は?それは?」
コルベール先生が不思議そうな声を上げる。
「いや、みてればわかりますから。」
美女の短い気合の声が聞こえると老人の体は逆さまに持ち上げられ、そのまま倒れこんだ。
ただ、老人は床にたたきつけられるのではなく、立派な机の角に叩きつけられた……
ロングビルの攻撃
1hitCombo
687のダメージ
「高速ブレーンバスターか…」
「ああ、学院長!?」
駆け寄ろうとするコルベール先生を止める。
「な、なにを!?」
「まだ、終わってない…」
美女は懐から杖を取り出すと床に引いてある絨毯を鉄へと錬金して、老人と共に机の上に上がる。
そしてジャンプし両足で、いや太ももで老人の顔をはさみ自分の体を反らせ太ももに挟んだ老人の頭を叩きつけた。
鉄の絨毯の上に……
ロングビルの攻撃
1hitCombo
999のダメージ
「ふむ、4桁目は行かなかったか…あ、ちなみに雪崩式フランケンシュタイナーですね」
「が、学院長!?学院長!!」
コルベール先生が老人に駆け寄り、美女の目がコルベール先生に向かってるうちに俺は外に出てドアを閉める。
外からドアを押さえつつ、耳をドアに当てて中の会話を聞き取る。
「見たのですね…」
「えっ、い、いや…あははは…」
「うふふふふ…」
「り、流星君?」
「誰のことですか?ミスタ・コルベール。ふふふふ…」
「え、あ、い、いない…」
ゆっくりと後ずさりする足音と乾いた笑い声が聞こえる。
さすがにドア越しだと聞き取りにくいな、しかしコルベール先生は危険を感じなかったのか?
とはいえ、そろそろかな。ドアをノックして部屋に入る。
「失礼します。学院長とコルベール先生が私を呼んでいられたとか?」
「へっ、ええ、ああ、うん」
戸惑いながらもコルベール先生が慌てて頷く。
「私はミス・ヴァリエールの使い魔をしております。流星と申します。こんごともよろしく。」
「あら、私はこの学院で秘書をしております。ロングビルと申します。よろしく。」
二人でにこやかに挨拶を交わす。
「ところでコルベール先生と学院長に呼ばれたのですが」
「あ、はいこちらにどうぞ」
にこやかな笑顔と共に案内される。ぼろぼろになった雑巾と鉄の絨毯が部屋に転がっている。
先ほどと変わりすぎてるロングビルに呆然としてるコルベール先生もついてくる。
「いま、おこしますね。学院長、きれいな人がお見えですよ。」
ぼろぼろの雑巾の耳元で話しかける。
雑巾はあっという間に威厳のある老人に変化した。そしてキョロキョロあたりを見回し…
「きれいな女性はどこじゃね?」
「こちらです」
俺のことを指し示す。
「男じゃないか…」
「ヒトとしかいってません。」
素敵過ぎる笑顔で答える。
「ミス・ロングビル…少し酷過ぎやしないかね。」
学院長は思いっきり肩を落している。
「ところで何の用じゃ?ミスタ・コルベット」
「コルベールです!!オールド・オスマン!!一大事なんです!!」
「まったく騒がしいのう…すべては小事じゃ」
「こ、これをみてください!」
俺の手と書物をどこからか取り出し、ページをめくってオールド・オスマンにみせる。
それを見た瞬間、オールド・オスマンの表情が変わった・・・目が光り、厳しい色を宿す。
ふ〜〜ん、普段は昼行灯の振りということか…。ますます目立つ真似はできないか…
厄介なことだと俺は心の中で盛大にため息をついた。
「ミス・ロングビル、席を外してくれたまえ」
ミス・ロングビルが席を外すのを見送ってからコルベール先生は話し始めた。
使い魔召喚の際に俺を呼び出したこと。契約のルーンが珍しかったので調べたら『これ』に行き着いたこと。
「始祖ブリミルの使い魔ガンダールヴにいきついたというわけじゃね?」
…始祖ブリミルね…いやな予感がする…
「そうです!流星君の左手に刻まれたルーンはまさしくガンダールヴ。これが大事でなくてなんなんですか!!」
興奮してまくし立てるコルベール先生、それに対して落ち着き払っているオールド・オスマン。
「確かに彼の手のルーンはガンダールヴじゃ…しかしルーンが同じというだけではのう…」
「あの〜〜ガンダールヴって何でしょうか?」
一瞬の会話の途切れに口を挟む。ここで挟まなければ状況は悪化するばかりだと思ったから。
「ガンダールヴとはあらゆる武器や兵器を自在に扱える使い魔で、その証のルーンは左手に刻まれる。
そして主人の詠唱時間を守るために特化した存在と言われているんだよ。」
「ええと…もしかして伝説クラス?」
思いっきり首が飛ぶんじゃないかと思うほどの勢いでコルベール先生は頷いた。
「ええ、もちろん!千人もの軍隊を一人で壊滅させるほどの力を持ち、あまつさえ並のメイジではまったく歯が立たなかったとか!」
顔真っ赤にして唾と汗を飛ばしながら力説する。
「早速王室に報告して、指示を仰がないことには…」
「それには及ばん」
オールド・オスマンは重々しく頷いた。白いひげが厳しく揺れた。
「如何してですか?これは世紀の大発見ですよ!現代に蘇ったガンダールヴ!」
「だからじゃよ……王室のボンクラどもに、ガンダールヴとその主人を渡すわけにはいくまい。
そんなオモチャを与えてしまっては、またぞろ戦でも引き起こすじゃろうて。」
「その上大義名分までありますしね。始祖ブリミルの生まれ変わりによる世界統一。
それを擁するトリスティンこそが選ばれた国、選ばれた民である。
こんな感じかな。
ついでに言えば信仰の対象みたいですから熱心な信者にとっては聖戦となります。
それによって戦争で大切な人的金銭的問題は心配なし。」
「…そうじゃのう、やっかいなことじゃて」
オールド・オスマンと一緒にため息を吐く。今日はため息ついてばかりだな。
「それよりも本物なのですか?随分昔のことですからその本が間違っている可能性もあるのでは?」
認めたくない一心で残された可能性を考える。
「それもそうじゃのう…とはいえどうやって確認するかのう」
腕組みして考えるオールド・オスマン
「とりあえず武器を使ってみれば?」
コルベール先生が発言するが
「あらゆる武器や兵器を扱えるって言うからには自分の知らない武器じゃないと意味無いんじゃ?」
「それもそうですな……」
「ふ〜〜む……」
3人揃えば文殊の知恵というが、問題が進展することが無いまま時が過ぎる…
「あっ!!」
オールド・オスマンが大きな声を上げる。
「ど、どうしました?オールド・オスマン?」
「そこでまっておれ!」
オールド・オスマンは言い残して部屋から走り去ってしまった。
「何か?あるんでしょうか?」
「さあ?」
二人で呆然としながら部屋に取り残された…
「ふぉふぉふぉ、これが有ったことをすっかり忘れておったわい」
得意そうな顔で筒に籠状のものが着いたものを持ってきた。
「そ、それはっ!」
「これならガンダールヴのルーンが本物かどうかわかるじゃろ…流星君これが何かわかるかね?」
「スティンガーですね
個人携帯用のSAMでロックオンした目標を自動追尾するミサイルを発射する兵器でミサイルは赤外線追尾。
ソ連のアフガン侵攻のときにアフガンゲリラに大量にアメリカから供与されてソ連のヘリパイロットに恐れられました。
この兵器の採用によりソ連は戦法を考え直さなければいけなくなったほどに。
今じゃフレア対策や目標探知機能の向上を図ったFIM92Dが主流です。こっちの籠状のものはIFFのアンテナで…」
うん、二人が驚いて固まっている。
「こ、これがなんじゃかわかるのか!?」
二人して詰め寄るな!顔が近い!
「え、ええ。さして珍しくも無い武器…いや、兵器ですよ」
たじろぎながらもスティンガーを受け取る。
オスマン老のタフネスは人外クラス支援
その途端に使い方が判る、なんだ!?
「「お、おおっ!!」」
2人も感嘆の声を上げている。ってこっちの内心まで判るわけが無いんだが?
「ルーンが光っている!」
左手を見ると確かにルーンが輝いている。でもコルベール先生顔どころか頭まで真っ赤で血管切れて倒れそうだよ?
「どうやら本物じゃのう…」
オールド・オスマンは椅子に座り、水タバコを取り出しゆっくりと紫煙を吐き出す。
「禄でもない事になりましたね。とりあえずルーンを隠すために手袋でもつけますか?」
「そうじゃな、そうした方が良いじゃろう…ミスタ・コルベール、ガンダールヴのルーンを研究することも厳禁じゃ。
秘密は知る者が少なければ少ないほどいいからのう。」
「わかりました。オールド・オスマン」
肩を落して答えるコルベール先生。アンタ俺を戦争に行かせたいのか?
「もちろんこの事は3人だけの秘密じゃ。決して外に漏らすでないぞ!」
老人には似合わない迫力の声をだして念を押す。
「杖にかけて!」「わかりました。」
ひと段落着いたと思ったら部屋の外からロングビルが話しかけてくる。
「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。
止めに入った教師もいましたが、生徒たちに邪魔されて、止められないようです。」
「まったく、暇をもてあました貴族ほど性質の悪い生き物はおらんわい。」
で、誰が暴れておるんだね?」
「一人はギーシュ・ド・グラモン」
「あのグラモンとこの馬鹿息子か。オヤジも色の道では剛の者じゃったが、息子も輪をかけて女好きじゃ。
大方女の子の取り合いじゃろう。」
オールド・オスマンとコルベール先生は顔を見合わせ、俺は肩をすくめる。
「伝説に爆発に決闘、随分と刺激的な学院なことで」
思わず愚痴が出るが、2人には聞き取られてないようだ。
「相手は誰じゃ?」
「…それがミス・ヴァリエールなのです…」
俺は来客用の椅子に倒れこみ天を仰ぐ、といっても見えるのは天井なのだが…
何やってるんだ?こっちの思惑からどんどん外れていくぞ
「教師たちは、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めております。」
うん、認めようよ。その方が面倒にならなくて良い。
「ふむう…ミスタ・コルベール。ガンダールヴの決闘見てみたくは無いかね?」
「「えっ!?」」
「今内密にと言ったばかりではないですか!?」
がんばれ!コルベール先生!
「いや、だって伝説と爆発は体験したのじゃろう?決闘はまだだと思ってな。それにハルケギニアの外のマジックアイテムも見たいしのう。」
うわお
聞こえていましたか…
「どういうことでしょうか?」
「おぬしはわからないままでいいんじゃよ」
ついていけないコルベール先生に、オールド・オスマンはカッカッカッと笑い声を立てている。
「では、ミスタ・コルベール。流星君をヴェストリの広場まで連れて行くんじゃ。」
むしろなんで生きてるんだじーさん支援
以上で終わりです。
読んでくれる人に感謝
ルイズがうまくDQNになってくれないのから流星編
次は、次こそはルイズ編で
でも中の人としてはルイズは本編に忠実なつもりなんだけど・・・なぜw?
ジジイがすごいのやらロングビルがすごいのやら
ハルキゲニアに格闘技はあるんだろうか。合気道や柔術みたいな技術系はあんまり無さそうだが
オスマン老はミス・ロングビルの技を全て受け切ったことから、
学生時代はプロレス同好会に所属していたとみたね、俺は。
ならばマザリーニ枢機卿はその身軽な体躯を生かしての空中殺法の使い手として云々
トリステインの、つーかルイズの部屋のドアって内開きで合ってる?
確か日本だと玄関の都合から外開きが多いけど、
世界的な標準は内開きなんだっけ?
ロマリア航空相撲と申したか
そういや、ガチガチの精霊使いが召喚された例ってあったかね……?
ガチムチの精○使い!?
>>576 トラウマがいろいろ蘇るからそれは簡便www
本当に先住魔法を使うヤツが来たら面白そうだなー、と思っただけ
>>574 「それは名状し難き空飛ぶ肉の塊であった・・・」 トリステイン王国記 「コルベール日記」 より
>>577 テイルズオブファンタジアのクラース・F・レスターとかは良さそうだけどな
ヤツなら頭も切れるので、ゼロ魔世界の精霊と交信する方法を見つけだしそうだ
契約の指輪もいらないかもしれんな
クラっさんは考えたのだが、俺にはミラルドさんと離す真似は無理だった。
SW系シャーマンおにゃのこは軒並みエルフだし、人間のブランシュはPTにべったりさん…
ノリスはヴァカだし、エキューは長い耳じゃないと……
あれ、エキューをテファに召喚させれば完璧なのか?
581 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/05(土) 14:12:48 ID:7rAMS8OM
予約無いみたいなんで投下するよー(^o^)/
元ネタ:みどりのマキバオーからマキバオーとチュウ兵衛
「何これ…?」
ネズミと白い………犬?
ドラゴンやグリフォンのような幻獣を期待していたルイズは少しがっかりした。
寸胴のような体型に太くて短い足大きい鼻の穴、どう見てもかっこよくない。
チュウ兵衛は眩しい日射しと回りの騒ぎ声で目を覚ました。
「ん…、あ?何だこりゃ!?おい起きろたれ蔵!」
ネズミが喋った。
「んあ〜何なのね親分、こんな夜中に…」
犬が喋った。
人間以外で一部の生き物が喋ることはハルケギニアの世界では常識だがネズミと犬が喋るなんて聞いた事が無い。
生徒達は驚きどよめく。
チュウ兵衛はうつ伏せで目を閉じたままのマキバオーに言葉を浴びせる。
「だから夜中じゃなくなったから起こしてんだよ!いいから起きろ!」
マキバオーは上半身を起こし目をこすった。
「んあ〜?んあ!ホントに夜じゃないのね!おかしいのね!僕さっき寝たばかりなのよ!全然寝たりないのね!詐欺なのね!訴えるのね!」
マキバオーは勢い余ってうんこを漏らした。
「誰を訴えるってんだ!それにただ昼になったって訳じゃねー、どこだここは?それに何だこいつら?」
辺りを見回してみると大勢の人間が自分達を見ていた。
「し、知らない人達が僕達を見てるのね。きっと僕達誘拐されたのね。身代金目的の組織的な犯行なのね。
用が済んだら東京湾に捨てられるのね」
マキバオーはパニックを起こし更にうんこを漏らした。
コルベールは立ち尽くしているルイズの側まで来てチュウ兵衛とマキバオーを見つめる。
「ふむ、言葉を話すネズミと犬か。これは珍しい。どっちが使い魔として召喚されたのか…あるいは両方なのか…
とにかく両方とコントラクト・サーヴァントをすれば分かるだろう」
コルベールはルイズに顔を向けて言った。
「え、これとですか…」
ルイズはチュウ兵衛とマキバオーを指差す。
ネズミの方はまだいい、問題は犬の方だ。この犬鼻水とよだれを垂らしてついでに糞まで垂らしてる。
正直キスなんてしたくない。
「どうした。早く契約したまえ。次の授業に間に合わなくなってしまうぞ」
そうだそうだと、野次が飛ぶ。コルベールとまわりがせかす。
ルイズは覚悟は決めてまずはネズミの方に顔を近づけキスをした。
「な、何しやがるテメエ!」
チュウ兵衛は頬を染めて言った。
「うるさいわね私だって好きでやってるんじゃないわよ」
「え?え?何されたのね親分?どうしたのよ?」
マキバオーには頭の上で起こった出来事が見えなかった。
「ああもう、うるさいわね!喋らないで!」
「は、はいなのね」
マキバオーはルイズの叱咤で口を閉じる。ルイズはマキバオーの大きい口にもキスをした。
「い、いきなりキスするなんて凄い積極的なのよ。親分この人達たぶん誘拐犯じゃなくてちょっと行動的なファンなのね」
「ちょっと行動的なファンが誘拐何てするか馬鹿!」
ルイズはコルベールにコントラクト・サーヴァントが終了したことを告げる。
「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」
コルベールが、嬉しそうに
(略)
「よくも言ってくれたわね!ゼロのルイズ!ゼロのくせになによ!」
ルイズとモンモランシーの言い合いにマキバオーが仲裁に入る。
「け、ケンカはいけないのよ。僕のファンならファン同士仲良くしなくちゃ駄目なのね」
マキバオーが勘違いしながら二人をなだめようとした時、マキバオーの体が妙に熱くなった。
「んあああ!な、何なのねこれ!」
マキバオーは仰向けになり苦しそうに転がる。
「お、おいどうしたたれ蔵!?」
「どうやら使い魔として召喚されたのは犬の方だったようですね」コルベールが冷静に喋る。
「体中が熱いのね!死んじゃうのね!親分助けてなのね!んあ〜〜〜!」
マキバオーはそうわめきながらうんこを撒き散らかす。
「大丈夫かたれ蔵!しっかりしろ!テメエたれ蔵に何しやがった!!」
「すぐ終わるわよ。待ってなさいよ。『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ」
使い魔のルーン?何を言ってんだこの女?危ねえな…チュウ兵衛はそう思った。
「んあっ…ハァハァ…し、死ぬかと思ったのね…」
マキバオーが暴れなくなると同時にうんこもストップした。その左前足のヒヅメには変な文字が刻まれていた。
「平気かたれ蔵!?」
コルベールがマキバオーのルーンを見つめる。
「珍しいルーンだな」
「ちくしょう!なんなんだテメーらは!!」
チュウ兵衛は怒鳴ったが誰も相手にしてくれない。
「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」
コルベールはきびすを返すと宙に浮いた。口をあんぐりとあけて、チュウ兵衛とマキバオーはその様子を見つめた。
と、飛んだ?嘘だろ?ありえない。
他の生徒達もコルベールの後を追って飛んで行く。生徒達はルイズに何やら言葉を残しながら消え去っていった。
588 :
ゼロノマキバオー:第一話:2008/01/05(土) 14:21:20 ID:aYeExxfN
残されたのはルイズとネズミ一匹と馬一頭だった。
「お、親分何なのねあれ!人が飛んでたのよ!凄いのよ!舞空術なのね!」
マキバオーは興奮しながらうんこを漏らした。ルイズはマキバオー達の方を向いて大声で怒鳴る。
「うるさい、静かにして!何なのよあんた達!」
チュウ兵衛はルイズの言葉にキレた。
「何なのはオメーらだ!どこだここは!説明しやがれ!」
「そうよそうよ!僕のファンだからってやって良い事と悪い事があるのね!」
「お前はちょっと黙ってろたれ蔵!」
ルイズはやる気の無いように答える。
「何で私がネズミと犬に説明しなくちゃいけないのよ」
「僕は犬じゃないのね、馬なのね!立派な競走馬、サラブレッドなのよ!」
マキバオーはルイズの発言に抗議した。
「あんたが馬?競走馬?嘘言わないでよ、馬ってのは体がもっとスラっとしてて脚が長くてカッコイイ生き物なのよ。あんたみたいなのとは全然違うわ」
「ぼ、僕の気にしてること言わないで欲しいのね…」
痛いところをつかれたマキバオーは悔しいが一言も言い返せなかった。
「たれ蔵が馬か犬かロバか豚かだなんて今はどうでもいいんだよ!ここはどこなんだ、説明しやがれってんだ!」
「お、親分…」
ルイズはため息をついてチュウ兵衛に答える。
「ここはトリステイン魔法学院、そして私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール。今日からあんた達のご主人様よ。覚えておきなさい」
「魔法学院だ?嘘つくんじゃねー!」
「で、でも親分さっきの人達空飛んでたのね。あれきっと魔法なのよ。僕ジャンプで見たことあるのね」
「ケッ、俺は信じねーぜ。あんなもんワイヤーを使ったマジックか何かだ。」
「んあ?あれ魔法じゃなかったのね?危ない危ない危うく騙される所だったのよ。さすが親分なのね」
「何よ。あなた達メイジを馬鹿にする気?」
「うるせー!ルイズだか三杯酢だか知らねーがお前も魔法使いなら何か今この場で魔法をやってみろってんだ」
ルイズは弱々しく答える。
「それは…」
「親分あまりイジメちゃ可哀想なのね。君も今なら許してあげるのよ」
ルイズにも貴族としての誇りがある。自分の使い魔にそこまで言われたらやるしかない。
「わかったわ!!今魔法を唱えてあげるから目ひんむいて見てなさいよ。」
ルイズは力強くそう言うといつになく集中してルーンを唱える。
瞬間、大爆発が起こりチュウ兵衛とマキバオーは気絶した。
「おいたれ蔵!おい起きろたれ蔵!」
「んあ〜あと10分は寝かして欲しいのね…」
大きい鼻ちょうちんをふくらませて眠り続けるマキバオーに頭に来たチュウ兵衛はマキバオーの耳に噛みついた。マキバオーは跳ね起きる。鼻ちょうちんが割れた。
「な、何するのよ親分!痛いじゃないのよ」
「うるせー!こんな時に気持ち良さそうに寝やがって!」
マキバオーが目覚めたのは魔法学院の厩舎の中だった。その内容は日本とそう変わらない
「あ、あれ?馬房の中なのね。何だ、さっきのは夢だったのね」
「良く見ろ!俺達がいた美浦の厩舎とは違うだろ!」
マキバオーは辺りを見回す。自分の他にもたくさんの馬がいた。
「んーそう言えばそんな気もするのね。でも細かいことは気にしないのね」
「この野郎!どこまで楽観的な奴なんだ!窓の外を見てみろ!」
マキバオーはそう言われめんどくさそうに窓の外を覗き込んだ。
「んあ〜今日も夜空がとっても綺麗なのね」
「その綺麗な夜空におかしなもんがあるだろ!丸くて大きいのが!」
チュウ兵衛はマキバオーの頭の上に乗り耳を引っ張ってある方向に目線を向かせた。
「つ、月が2つに増えてるのね!んあ〜何だか凄い得した気分なのね!」
「月が2つに増える訳ねーだろ!」
「じゃあ親分これは一体…」
チュウ兵衛はマキバオーの頭から降りて腕組みをした。
「これは異世界って奴だな」
「いせかい?」
「ああ、ここはどこか地球とは違った星。俺たちがいた世界とは別の世界ってことだ。
どうやらあのルイズって女が言ってたことは本当だったみてーだな。」
「え?僕達そんな世界にどうやって来たっていうのね?」
「あのハゲと女が使い魔が召喚うんぬん言ってたとこ見ると俺たちはルイズって方に魔法で連れて来られたみてーだ」
「ふ〜ん」
マキバオーはチュウ兵衛の難しそうな話にとりあえず相づちをうつ。
「しかし困ったな、これはかなり重大な問題だぞ。…そうは思わんか?」
「確かに困るのね。こんなプレステもジャンプも無さそうな世界生きていく自信無いのね」
「そういう問題じゃねえ!!もうすぐ皐月賞だろ!このまま元の世界に帰れなかったらあのカスケードとも決着がつけられねーんだぞ!」
「そ、それは絶対に嫌なのね…何の為にモンゴルまで行って狼に襲われたのかわからないのね」
マキバオー出走取り消し支援
「早く元の世界に帰る方法見つけねーとな。とにかくあのルイズって女だ、俺達はあの女に連れてこられたんだ。あいつなら帰る方法知ってるだろう」
マキバオーは眠たそうに答える。
「んあーでももう夜なのね。今日のところは寝るとするのね」
「寝るってお前さっきまでずっと寝てたじゃねーかこのやろう!」
その時向かいの馬房から声が飛んだ。
「さっきからうるせーぞお前ら!今何時だと思ってるんだ!」
「ほら、騒ぐと他の馬達に迷惑なのね」
「チッ、わかったよ。今日のところは寝るとするか」
チュウ兵衛とマキバオーは見知らぬ世界で長い一日を終えることにした。
終わり。次はルイズがマキバオーに乗ってギーシュと競馬で勝負します
ゼロと魔砲使い 第2話、投下予約しま〜す。
第2章 使い魔
なのはが自分のことを『ご主人様』と呼んでくれたのを聞いて、ルイズは少し安心して再び彼女の元へ近づいていった。
内心はびくびくものであったが、それでもめいっぱい強がってなのはを見つめる。
彼女が膝立ちだったせいで、ちょうど目の高さが合う。ちゃんと立ったらかなり差が出そうなのを気にしつつも、ルイズは力強く言った。
「ん、ちゃんと判ったのね。タカマチナノハ」
「あ、なのはでいいよ」
なのははルイズが自分を『タカマチナノハ』と呼んだ時のイントネーションが、平板で姓と名を区別していないものであることに気がつき、あわてて修正する。
その時なのはふと違和感を覚えた。そしてそれがなんであったかすぐに気がつく。
(言葉が、通じている?)
(“改造の効果もあるみたいですが、それ以前に彼女の言葉は、かなり変形していますがミッドチルダ標準語から外れていません”)
これが、なのはがこの世界、ハルケギニアに対して疑念と興味を同時に抱く第一歩となった。
一方ルイズも、そのフレンドリーな言い方にちょっととまどったものの、すぐにそれを受け入れた。
「なのは、でいいのね」
「はい、ご主人様」
ルイズはなのはの返事に、友愛はあっても尊敬の念がいまいち薄いのを感じてちょっと不快な気分になった。だが、まだ出会ったばかりの上、年上の女性であるということがその不快感を押さえつけた。その語感が、敬愛するちい姉様のものに似ていたのも一因かも知れない。
「さて皆さん、これで儀式は終わりです。教室に戻りなさい」
なのは達の様子が落ち着いたのを見て取ったコルベールが、生徒達に声をかける。
生徒達はそれぞれが空を飛んで教室へ戻っていった。
これが黒髪の少年なら驚くことだが、なのはにとっては見慣れた光景である。何事もないようにスルーした。
残っているのはルイズとコルベール、そしてなのはである。
コルベールはなのはに向かって、礼儀正しく頭を下げると言った。
「いや、タカマチナノハさん、突然のことで混乱したでしょうが、理性的な応対をしていただいたことに感謝いたします。あ、申し遅れました。私はコルベール。こちら、トリステイン魔法学院の教職を拝命しております」
「これはご丁寧に、コルベール先生」
丁寧な物言いに、なのはもやはり礼儀正しく叩頭する。
「で、私はこの後どうすればよいのでしょうか」
ある意味当然の質問をしたなのはに対して、コルベールは、
「うーん、本来ならまだ授業があるのですが、人間が使い魔として召喚されたというのは初めてのこと。ミス・ヴァリエール、本日は特別にこの後の授業を免除いたしますから、彼女にこの学院のことや使い魔としてのことを教えなさい。よろしいですね」
「はい、判りました」
ルイズも素直に頷く。普通の使い魔は、コントラクト・サーヴァントの呪文が成功すると、ある程度の知性の高まりとともに、ほぼ本能的に主の意に従うようになる。
例外は召喚されたものが少なくとも人間に匹敵する高度な知性を持っていた場合であるが、それでもたいていの場合、召喚に応じている時点で主に対する好感を持っている場合が多く、使い魔が反抗したという例は記録に残っていない。
そういう点でも、理性ある人間を召喚してしまったルイズは、例外中の例外なのであろう。
「おお、そうそう。後申し訳ないが、そのルーンを写させてもらえないかな? 私も長年教職にあるが、こんなルーンは見たことがないものでね。少し調べてみたい」
なのはは当然了承するつもりだったが、今の自分の立場を考慮して、ルイズの方を見、問いかける。
「ご主人様、よろしいでしょうか」
「ん、いいわよ」
ルイズはかっと顔が赤くなるのを感じていた。別に変な趣味があるわけではない。
この使い魔になってくれた女性は、自分を立ててくれている。
今の一言で、ルイズは覚っていた。
使い魔のルーンを教職であるミスタ・コルベールが見たがるのは当然のことだ。ルイズにしても彼が勝手にそれを写したとしても別にとがめるようなことはない。ある意味それは彼の職務の一環でもあるのだから。
だがこの女性は、私の使い魔となったこの人は。
問いに対して、即座に自分に対して許可を求めた。それは彼女の敬意の証であり、彼女が自分を主として立ててくれるという意思の表れでもあった。
実のところ、身分はあっても貴族の貴族たるゆえんである魔法がまるで駄目だったルイズは、こういう無条件の敬意を受けたことがほとんど無い。実家のメイド達ですら、かすかにではあるが、ルイズに対して向けられる、そこはかとない失望感のようなものが感じ取れてしまう。
彼らに悪意があるわけではない。むしろ世間一般やここの学院生などに比べれば、天と地ほどの差がある好意を抱いてくれている。だが、むしろ好意あるが故に、それと表裏一体の期待感が、そしてさらにそれと表裏一体の失望が見えてしまう。
彼らとて、主は自慢できる主であってほしいのだ。ろくに魔法を使えない主に対して、愛するが故に失望してしまうほどに。
自分が好意を受けるのにふさわしい人物ではない。それはルイズの心の奥底深くにまで巣くっている、暗黒の想いであった。
そんな彼女が向けられた、掛け値なしの敬意。それは大変に興奮する、心地よい高揚であった。
が、それもすぐに暗い想いに反転する。そう、彼女はまだ知らない。自分が『ゼロ』のルイズ、いつも魔法を爆発させてしまう、欠陥品の貴族であることを。
それは暗い想い。希望と絶望が交錯し、そしていつもルイズを傷つけるに終わる、悲しい想い。
その悲しみが、彼女の心に刃をもたらす。
程なくコルベールはルーンを写し終える。それを見計らって、彼女は己が使い魔に声を掛ける。
「行くわ、いらっしゃい」
なのはは少し不審に思う。ついさっき、いいわよと声を掛けられた時に比べ、今の声はあまりにも冷たく、また、悲しかった。
人気のない通路をしばらく歩き、二人はとある部屋――ルイズの部屋へと到着した。
個人向けの寮の一室にしては、広さも調度も上質のものがそろえられている。文明の発展度合いの差を考慮すれば、おそらくは一流のホテル並みなのでは、と、なのはは推測した。
ルイズはなのはに椅子に座るよう示唆した後、自分もその向かいにある椅子に座った。
お茶の一つもほしいところであったが、使い魔にはこれから教えなければならないし、自分で入れるなど考えの範疇外だったので、そこは我慢する。
「さて、なのは」
ルイズはあえてなのはを呼び捨てにする。何となくなのはさんと親しみを込めて呼びたくなるのを意志の力で押さえつけながら。ルイズは実家の環境故か、明らかに年長に見える女性に対して威圧的に出るのは苦手であった。キュルケのようなタイプならともかくとして。
「あなたには使い魔としていろいろやってもらうことがあるんだけど……」
ここでルイズは少し考える。主な使い魔の仕事を頭に思い浮かべ、目の前の女性に当てはめてみる。
「まず、使い魔は主人の目や耳になる……感覚の同調が出来るはずなんだけど、それは無理みたいね。ま、これは仕方ないわ」
「あ、よく言われてますね、そういう能力」
なのはは過去小説とかで読んだ『使い魔』の記述を思い出しつつ答える。
「感覚、繋がってませんよね」
「そうみたいね」
もっともルイズにしても、猫や鳥ならともかく、妙齢の女性とそういう感覚が繋がってしまったらかえって不便そうな気がしていた。
「あ、でも、ひょっとしたら」
と、目の前のなのはがなにやら思いついたような様子を見せた。
何事かしら、と思った瞬間、聞いたことのない声がいきなり響いた。
(念話は通じるかな)
「な、なに! 今いきなり頭のに中に声が!」
(あ、通じたんだ。試しに声には出さないで、頭の中で答えてみて?)
(頭の中で?)
(あ、そんな感じ。念話は出来る、と)
「念話?」
そんなやり取りが頭の中を通り過ぎた後、ルイズは改めてなのはに聞いた。
「うん。こっちではあんまり一般的じゃないのかな?」
「一般的も何も初めて聞いたわ」
「そっか〜。じゃあ、ここではたまたまなのかな。こっちの地元だと、割と当たり前のことだったから」
「そ、そうなんだ」
ルイズはびっくりしたものの、あまり驚くと何となく田舎ものっぽく思われるような気がしたので、その辺は突っ込まないことにした。
「でも、これって便利よね、うん。どのくらいまで届くのかな」
「さあ、ここでどのくらいかは判らないけど、お互い知ったもの同士なら、かなり遠くまで届くと思うわ」
これについては機会があったら実験してみようと言うことにした。
「で、ほかには秘薬の材料集め……は、ちょっと無理って言うか意味ないわね。元々そういうのは、『人の手の届かないところにあるもの』を取ってこさせるためなんだもん」
「確かに。そもそも私、秘薬の材料の見分けなんて付かないし」
「ええ、だからそれはパスね」
二人がそろって頷く。
「後は雑用と護衛なんだけど、護衛はともかく、雑用は出来る? 出来なくてもやってもらうけど、腕前は確認しておきたいから」
なのはは苦笑しつつも強引なご主人様に対して返事をする。
「一応は出来るけど、なんて言うのかな、生活様式が私のところとここじゃ全然違うから、すぐにこなせって言うのはきついかも。でも一応は何とかするわ」
「ん、お願いね」
さすがにルイズも頭ごなしに命令する気はしなかった。ここでも姉に似た人物に対しての苦手意識が見え隠れしている。
「それにね、どっちかって言うと護衛の方が得意かも」
「へ?」
さすがにこの一言はルイズにとっても意外だった。
「そうなの? そんな風には見えないけど」
「あ、私、元のところじゃ軍人に近い仕事してたから」
近いと言うよりほぼ軍人だが、管理局は軍事行動はしても厳密には軍隊ではない。というより軍のシステムをも取り込んだ巨大な組織である。
さすがに中世レベルと思われるこの世界で、管理局の概念を説明するのは、なのはにとってもまだ難しかった。
「それはちょっと意外ね……ま、いずれ見せてもらうわね。そう、そっちから聞きたいことはある?」
ルイズはその一言を言ったことを心底後悔することになった。
なのはからの質問はそれこそありとあらゆる事に及んだのだ。地理、歴史、文化、魔法、学生生活etc、etc……
結果、夕食の時間になったという知らせが来るまで、ルイズは質問攻めにされた。しかも夕食後も聞く気満々なのが見て取れる。うっとうしかったが、
「使い魔としてルイズ様に正しく仕えるためには、こちらでの一般常識や基礎知識を覚えておくことは必須です。ルイズ様も常識を知らない使い魔が粗相をするのは恥ずかしいのではありませんか? 使い魔の恥は主人の恥になると思いますけど」
と、いかにもな正論をぶちあげられて返答に詰まってしまった。
それが正解なのが何とも癪である。
結局、この日は寝るまでなのはに対するハルケギニアのレクチャーに費やされてしまった。
(でも、それって彼女があたしに仕えてくれるっていう証なのよね)
そう思うと、何ともいえないむずがゆい気分になってしまうルイズであった。
寝床は床に藁束を敷いたものであった。さすがに床に寝ろとはルイズもいえなかったが、一緒に寝ようとも言い出せず、この辺が妥協点になった。ちなみに藁の量はたっぷりで、サイトが寝ていたものより多い。
「後で予備のベッドは何とかするから、しばらくはこれで我慢してね」
まあ干し草のベッドというのも、草の量が充分ならそれほど寝心地の悪いものではない。たっぷり空気を含むので、意外と暖かいのだ。
しかし、なのははルイズが寝込んでもまだ起きていた。一緒にこちらへと持ち込まれたパソコンを起動し、ルイズから聞いた話を片っ端から打ち込んでデータ化する。
(驚いたな……なんかかなり風変わりな世界みたい。中世レベルの文明なのに、妙に進んでいるところも多いし)
細かいところでは下水の処理だ。なのはは以前、こことよく似た中世ヨーロッパでは、いわゆる屎尿の処理が不完全で、その悪影響に大変困っていたという記述を見たことがあった。
だがこちらではその辺が完璧に処理されていた。さすがに水洗でこそ無いものの、汚物はきちんとまとめられ、悪臭等もきちんと魔法を利用した秘薬等で処理されていた。
さすがにそういうことは貴族レベルの生活水準でないと出来ないようであったが、庶民レベルでもそれなりの処置は取られており、しかもそれがごく当たり前のことのようであった。
そのほか、食事の前に手を洗うとか、細かい衛生の概念がごく当たり前の常識として広まっている。細菌のさの字も知らない社会においてである。
その辺を何気なく突っ込んでみると、始祖の時代からの伝統らしい。
(始祖の時代って……6000年前よね。考えてみると、すごいのか遅れてるのか、どっちなんだろう)
地球では中国でもせいぜい4〜5000年程度。まともに記録が残っているのはせいぜい2〜3000年前までである。さらにいえばここ4〜500年間で文明が一気に進歩している。対してこちらは6000年前からそれほど変わりばえのない歴史が続いているらしい。
それもこれもこちら独自の魔法のせいか、となのはは思う。
何故かものすごく嫌そうにしていたが、一応簡単な説明は受けた。地水火風の系統魔法、そして伝説の『虚無』。あとエルフといわれる先住民族が使うといわれる『先住魔法』。明らかにミッドチルダ式ともベルカ式とも違う、この地独自の魔法だ。
自分をここに召喚したのもこの魔法である以上、調査してみる必要性があることをなのはは感じていた。
「これが一緒に来たのはついていたわね」
なのはは傍らに置かれたスキャナーを眺める。これがあれば、きわめて緻密に、どのような魔力が魔法の発動の際働いているかを詳しく調べられる。
機械操作そのものにはある程度の自信があるなのはでも、専門的な知識もいるこれらの機器は自分では有効にに操作できない。が、レイジングハートが意外とこの手のものの操作には長けている。自分の外部システムとして利用できるからだ。
伊達に自分で自分の改良プランを提出できるインテリジェンスデバイスではない。
だがそれは細かいことだ。それよりも重要なのはこちらの魔法原理である。
ざっと聞いただけでも、こちらでは魔法が万能のツールのようであった。魔法さえ使えれば、大規模な科学技術の進歩がいらなくなってしまう程度の汎用性を持ち合わせた魔法体系。
ミッド式やベルカ式は、その大半が戦闘目的の魔法である。それ以外のものも、災害救助など、軍事目的のものからの転用が多い。日常生活に有益な魔法はあまりないのが実情である。
さらになのはは考える。一番気になっているのは、こちらの度量衡……単位系統であった。
名称はともかく、1メイルという長さがものすごく引っかかっていた。
1メイルはほぼ地球やミッドチルダでの1メートルに相当する。ミッドチルダと第97管理外世界・地球は基本的に同位世界であり、こういった単位とかにおいての共通点は多い。
どの管理世界・管理外世界でも、ある程度発展した世界の場合、長さの単位は1メートルの整数倍に落ち着いていることが多いのだ。その理由はもちろん、地球の円周を基準にした文明が多いからである。
だが、このハルケギニアの地においてはきわめて不自然なことであった。ここの文明においては始祖ブリミルの影響がきわめて大きい。こういう文明形態の場合、度量衡の基本単位には始祖の体の長さが基準となる場合が多い。
メートル法ではなく、尺貫法やヤード・ポンド系の考え方である。だが、この地の単位系は明らかにMKS系の流れを汲んでいた。偶然の一致というには不自然なまでに。
たとえここが同位世界だとしても、1メートルの定義には地球の大きさの測定という概念が必要である。だがここには明らかにそんなものはない。
その辺の事情は、なのはにとって興味深いものであった。
「なんかいろいろ裏がありそうだけど、データの分析と蓄積はお願いね、レイジングハート」
“はい、マスター”
まだまだ考えたいことはあったが、さしものなのはも限界になり、未知の世界において初めての眠りに落ちていった。
投下終了いたしました。
お疲れー
とりあえず、なのはさんの場合
でも一応は何とかするわ
↓
でも一応は何とかするよ
あの人、語尾に「わ」はかなりレアケース
あと、データベース化とかレイハさんで十分と思うのは俺だけか
こち亀から両津勘吉
魔砲の人乙。grandmaの時も思ったけど、ゼロ魔世界を思索する話ってなんか楽しい。
乙でございました。次回の投下を心待ちにしております。
>>554 九朔が羨ましいようなそうでないような………まあキュルケときゅいきゅいの素っ裸見てるから可哀想じゃねえかww
なんだかなのはさんらしくない…
でも何故だかわからない
まあ、
なのはさん二十歳だから。
もう、オトナになってしまったのだよ。イロイロと。
大人ななのはさんの方が魅力的だよ。
きっと生き別れの姉妹なんだよ
んでもってなのはは源氏名
何と言うか、内容は悪くないんだけど、説明が多過ぎ。あと行間の間が無くて読みにくいです。
もう1つ。なのはは『使い魔』の概念を知らないわけが無いと思うんですが。
アルフやらヴォルケンリッターの存在を知っておいて小説で読んだとか…変ですよ?
もうちょっと文章は簡潔でもいいのでは?
3期なのは(作品)を好きになれなかった自分なので、客観的に見ての気になったポイントだけ言ってみました
あ、そうやね。
アルフ、リーゼ姉妹、ざっふぃー、フリードとメインキャラで使い魔イパーイ
というか、StSって、背景Mobですら使い魔歩いてる世界観…
地の文が覆いか少ないかは、好みによると思いますけど。
自分はこのくらいが良いかな?
612 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/05(土) 16:10:49 ID:PXi8fjER
面白ければいいと思います
残念なのは上でも結構指摘されてますが、なのはの知識が少ないところかな・・・
Long Arch《Stars1 Engage》
ともかく乙です
ギーシュは消し炭になりそうだ・・・
>>612 同意。
つっこみどころが多すぎる気がするな
文章力うんぬんはともかく、なのはwikiでも熟読してきた方がよくないか?
>>609 >>説明が多すぎ
そんなのsts本編じゃ日常茶飯事だぜ!
>>615 なのはは魔法少女の皮を被った何かだからそこまでいけるんじゃ
それになのは世界は世界が1つで完結してるけど、ゼロ魔の場合2つの世界を考慮にいれないといけない
しかも地球側の技術を持ち出すとオーバーキルになってしまう
だから難しいんじゃない?
>>616 それもstsのダメな部分だと思うのよ
いちいち説明しなくちゃならないのは小説じゃない。コラムや教科書じゃあるまいし
そういう無駄ばっかりやってたなのは3期は正直失敗作だと思う
脚本とか作画とか色々問題はさて置いたとしても
ゼロ魔の世界観を使うとはいえ、読むほうにもある程度知識はあるんだし
クロスSSにもなれば、多分原作を読んで尚且つクロス作品も良く知ってるはず
ちゃんと理解せずに書くっていうのは一時期の鍵の2次小説作家達みたいに変な事になりかねない
とはいえ、それだけ長文が書けるという事は力があるという事。続きに期待します
都築には期待しませんが。
>>617 それ以前に、原作が13巻ショックを起こすほどの設定変更の嵐じゃなあ
深く踏み込んでひっくり返されたら、職人さんたちは泣いちゃうぞ
たまにクロス先が神様レベルというかアウターゴッドなものを聖地に召喚しかねんものもあるしな
デモンベインだとやはりクトゥルーかヨグ=ソトース、クロックワークファントムが来るのかな
一話で
>ハルケギニア6000年の歴史を終焉させたあの大事件の始まり、
と書いている使い魔ヘイト100%のなのはですの
>>619 それもあるな
しかし、設定資料にミドルレンジ、クロスレンジとかの射程の説明やらが入ってる魔法少女って一体何だろう
>>610 ざっふぃーが使い魔ではなく守護獣だって叫んでるぞ
>>623 俺の嫁ことアルフ「おんなじような……もんじゃんかよ!」
>>620 つまり虚無の使い手とはCかYの巫女ということかい。
ちょうどロリとボイン(ルイズ=エンネア、ティファニア=ライカ)ポジだし。
ルパン三世より石川五ェ門やりますがいかがでしょうか?
>>622 だから革新的だったんじゃないか、良くも悪くもさ
それまでの常識をぶち壊したってのはいいことだが、書く方も大変だろうな
ついでにいうとリンディさんが帰っちまったのがちと残念だぜ
>>626 投下かな?
>>626 COME OOOOOOOOOOOOOOOOON
アルビオンをぶった切られるぞ
>>626 投下します
ゼロの斬鉄剣 -プロローグ-
-日本-
日本海側に面した静かな山林、地元の人間すらうかつに立ち寄らない
山小屋の主は、今静かに瞑想をしている。
主の名は石川五ェ門、かの大盗・石川五右衛門から数えて13代目に
あたる男である。
明鏡止水
今この男を言葉で表現することが適うならこの境地であるといえる
普段聞こえて来るのも鳥のせせらぎなどであったが・・・
---・・・-
五ェ門は刀を構えすぐさま身を翻す
「・・・・・」
(おかしい、確かに人の声・・・)
しかしあたりは静寂が支配している、気のせいか、と己の修行の足りなさ
を恥じる五ェ門、しかし
・・・!・・--!
五ェ門は再び誰かが喋っている声を捉えた
「(妙だ、人の気配が無いのにも関わらず声が・・・・)」
五ェ門はあたりに注意を払いつつ気はぬかない
パチ!
五右ェ門が驚いて背後を振り向く、するとそこには今まで見たことの無い
光の壁が聳えていた。
「面妖な・・・・」
五ェ門は思わず光の壁に手をかざす・・・・
>>627 ・アニメである
・ストーリーは魔法少女テンプレ
確かに、この二点が珍しかったな。
割り込みorz支援
>>627 StSで迷走したのもその辺が原因だろうな
戦いの部分が飛びぬけ過ぎた
本当はDB的なインフレバトルでよかったのに
--------
----
--
ハルゲキニア -トリスティン魔法学院-
「これで全員使い魔を召還できましたかな?」
見事に禿げ上がった頭の男は教え子たちを一瞥する。
「いいえ、まだひとり!」
「ゼロのルイズがまだ召還できていません!」
その場にいた生徒たちはクスクスとある種侮蔑の念をこめた笑いで
一人の少女を見つめている。
教師たる男は失念していた
進級試験をかねたこの召還儀式、その興奮もあいまってか一人問題を
抱えていた生徒がいたことを。
同級生の誰よりも熱心に学び努力する生徒、しかしその努力はいまだ報われた事は
ないのだ。
「そうでした、ミス・ヴァリエール。」
名前を呼ばれキッと男を見つめる桃色の髪を持つ少女
(ゼロのルイズは何を呼び出す・・・・)
(呼び出せるわけが無い・・・)
(どうせ失敗・・)
ボソボソと少女の周りの生徒は好奇にみちた視線を「ゼロのルイズ」におくる。
「宇宙の果てのどこかにいる私の下僕よ!」
(なんだ、あの呪文は?)
「強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!」
(ある種独創的だね)
「私は心より求め、訴えるわ!我が導きに答えなさい!」
ルイズは構えた杖を一気に振りかざす、瞬間 -
バーン!
通常の召還(サモン・サーヴァント)ではありえない大爆発
ルイズを中心におびただしい土煙をあげる
こんにゃく支援
大丈夫だ!ハルケギニアにはこんにゃくはない!支援
まあ、デルフ涙目だが。
逆に考えるんだ
こんにゃくを斬る為にデルフがあるのだと
支援
「ゴホッ!大丈夫かい?モンモランシー?」
ギーシュという少年は傍らにいた少女に呼びかける
「・・・・・あれ」
モンモランシーはルイズの杖の先に影をみた。
(ルイズが・・・成功したのか?)
(あのゼロのルイズが・・・)
軽い混乱状態にあった広場は徐々に沈静化していく。
そして土煙の中から現れたのは−
「(む・・・・、ここは・・・?)」
光の壁に触れたところまでは覚えている、しかし目の前の状況は把握できない
なにせ自分は今まで鬱蒼とした森林の山小屋にいたのだから・・・。
ルイズは硬直した
土煙の影を確認して成功した、と内心興奮していたが煙の中から現れたのは
みすぼらしい変わった服装をした平民が立っていたのだ。
「さすがゼロのルイズだ!『サモン・サーヴァント』で平民を呼んだぜ!」
どっと沸く生徒たち
その瞬間ルイズは教師たる男に
「ミスタ・コルベール!」
コルベールと呼ばれた教師はルイズの方を向く
「なんだね?」
「もう一度召還させてください!」
ルイズは間髪いれず声を上げる、しかし
「それは許されません、サモン・サーヴァントは進級にも関わる重要な儀式、呼び出したのは・・・
人間というのは前例はありませんが、取り消すことは出来ません、契約を結ぶのです。」
うっとルイズは涙目になった。
「?*+‘?*+}+!」
「*+*++?」
「?>?<>?#<?>$()!」
五ェ門は当惑していた、目の前に広がる風景と、人間・・・この不思議な服装の者たちの
言葉の異質さに。
>>625 ただしそれだとジョセフが地球皇帝になるという………
「(顔立ちからして西洋人・・・しかし聞いたことも無い言葉とは・・・・)」
五ェ門は刀の鞘に手をおき、不測の事態に備える。
そしておもむろにピンクの頭の少女が近寄ってくる、顔を赤らめて。
「か、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから!」
少女は現れた男の襟を引っ張り
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る
ペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
五ェ門はあっけに取られていた、迂闊にも襟を寄せられて少女とはいえ整った顔立ち
-美人-の部類に入るであろう女性の顔が至近距離据えられたとおもったら
接吻をされた-
「なっ!」
瞬間、五ェ門の左手の甲に激痛が走る。
「ぐ、うぅぅぅぅ・・・・」
思いもよらない痛みに膝をつく五ェ門、
痛み出した左手になにやら文字が浮かび上がっていく。
「すぐ終わるわよ。使い魔のルーンが刻まれているだけよ。」
先ほどまでわけの分からない言葉であったのに急に理解できるようになった
明らかに異常だ、と五ェ門の本能はそう訴えていた。
そしてルーンが刻まれたのち、五ェ門は痛みから解放された。
傍に寄ってきたコルベールは、刻まれたルーンを見て
「や、珍しいルーンだな。」
一言言うなりせっせとルーンの形状をメモしていた
そして書き終える。
「とにかく、これで全員終えたので教室に戻るぞ。」
コルベールは踵を返し空を飛ぶ。
それにあわせ周りの生徒たちがコルベールに続く。
「ルイズ、お前は歩いてこいよー!」
「平民を呼び出すなんて、まあルイズにはお似合いだな!」
心無い言葉が少女に突き刺さる。
それよりも今、目の前で起こっていることについて五ェ門は唖然としていた
人が空をとんだ、と思わず見とれていると下から
「あ、あんたなんなのよ!」
少女が涙を浮かべ怒鳴る。
>>631 魔法少女は魔法少女でも、魔砲少女で、更に上には“熱血”がつくけどな。
対こんにゃく用武器デルフ支援
デルフいらね〜支援
「それはこちらが聞きたいものだ、いったいここは・・・・?」
「っ!・・・ どこの田舎から来たかはしらないけど、ここはトリスティンよ。」
五ェ門はますます困惑する、自分は今まで世界中を旅して修行をしていた、しかし
トリスティンという地名は聞いたこともなかった。
そもそも景色がおかしい、城のような建物が見える、空気も綺麗だ。
「とりす・・・てぃん・・?」
「そ、そしてこの場所はトリスティン魔法学院、わたしはそこの2年生、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。」
五ェ門は先ほどの光景を思い出す
魔法学院-
魔法などと冗談だろうと考えたが五ェ門は周りの景色を見渡しここが異質な世界だということを理解した
「夢、ではなさそうだな・・・・」
「はぁ?なにいってんのよ、それよりあんたは使い魔として呼び出されたの、わかる?」
五ェ門はルイズの一言に反応する、使い魔と。
「ま、まてお主、使い魔といったのか?」
華奢なルイズの肩をつかみ五ェ門が声をあげる
「そ、そうよ。あんたは使い魔、あたしの忠実なる僕よ。」
五ェ門はへたり込む、突然接吻され言い渡されたのは
使い魔という奴隷宣告。いったい何の冗談かと。
「・・・・・」
五ェ門は少々怒気をはらんだ目でルイズをにらむ
「な、なによぅ」
「・・・・拙者は戻れるのか?」
「残念だけど、あんたを元の場所に戻すことはできないわ、そういう魔法なの」
五ェ門は心臓を貫かれた思いをした、今まで生きていたなかでも指折りの衝撃であろう
「(しかし・・・これも天の与えた試練・・・か。)」
呼び出した少女から戻れないと通告をうけ五ェ門は真っ白になったが状況を整理しはじめる
・ ここは得体の知れない土地
・ 目の前の少女は自分のことを使い魔として呼んだ
・ 言葉は通じる
今まで散々な体験をしてきた五ェ門は深く考えることはとりあえず辞めた
「それより、あんた名前は?主人から先に名乗らせておいて自分は名乗らないなんて。」
少々の沈黙、ルイズは少々怯んだ。
目の前の男・・・みすぼらしい身なりにもかかわらずその眼はあくまで澄んでいる。
原作版ならルイズの首と胴は泣き別れ支援
トリステインのイは小文字じゃないので。一応
実は恋愛事には純情派な五右衛門支援
「拙者、石川五ェ門と申す」
「イシカワ・ゴエモン?変わった名前ね。呼びにくいからゴエモンと呼ぶわ。」
五ェ門は少々むっとした、年下の人間から呼び捨てにされるなどとは思っても見なかったからだ
しかしここは異界の土地、下手に逆らうのは下策と判断した五ェ門は
「すきに呼ぶがいい。」
「じゃあ部屋にもどるわよ、ついてらっしゃい。」
飛んでいかないのか?と聞こうとしたが自分は飛べないので歩きでもかまわないと思う五ェ門
こうしてなんの因果かルパン一味である筈の石川五ェ門はここトリスティンでの生活を送ることになってしまったのであった
支援っと
ゴエモンと呼ばれてもルイズは家名で呼んでいるつもりだろうけどな
その紹介だとw
>>644 漫画の初期の五右衛門は結構好戦的だからな
650 :
626:2008/01/05(土) 17:17:26 ID:Ir+QkOSf
プロローグ投下終了しました〜
さっそくのご指摘申し訳ございませんでした
それと投下後に気がついたのですが一部五ェ門の表記が五右エ門
だったり、ハルケギニアがハルゲキニアになってたりもしてました、すんません。
デルフの扱いについて
デルフは魔法を吸収する能力があるので別の使い方をするかもしれませんねww
あと五ェ門は居合いの達人なので基本的には斬鉄剣との二刀流は難しいかも
しれませんが、なんとかやってみます。
>>646 じつは次元にしようか五ェ門にしようか迷いましたが女性との絡みで面白く
かけそうなので五ェ門にしましたwwww
五右衛門は劇場版だとかなり女に振り回されてるからな
GJ
次元だと銃弾の入手ができなさそうだし好判断と思うな
なんか斬鉄剣に真っ二つにされるデルフが浮かぶんだけどww
それ以前に雷も切れるから魔法も切れるだろう
というか銃弾を見切って切り落としまくる五ェ門には魔法なんて余ほどの広範囲魔法じゃない限りそもそも当たらないだろう
>>652 綺麗に縦に2枚に卸されて2本になったデルフが浮かんだ
五ェ門なのか五衛門なのか分からなかったんだ。五ェ門だったんだ・・・
しかし居合いか…打ち刀(現在で言う日本刀)じゃないと出来ない技能だから結構いいかもしれない。
ただ、問題は真っ二つに斬っても倒せない敵がかなりいるだろうという事かな
乙っした
この人って目で見るんじゃなくて心眼で気配を読むもんな
おマチさん=フーケや、ワルド=白仮面もあっさりばれそうだ
>>650 ナイスキャラ選w
次回も期待してます!
水・火・土は斬れそうな気がするが、エアハンマーとかはどうなんだろ?
うーむ第一話にしてさよならデルフ。こいつは乙だ。
怒った五右衛門は夜空の流れ星すら切断するとどこかで見たような見なかったような。
アニメ版だとコントラクトサーバントで翻訳機能が付くの?
原作だとサモンサーバントで来た時点で言葉は通じてたよね?
>>658 斬鉄剣振ったら雷が紙吹雪のように舞い散る辺りで推して知るべし
魔砲使い>>乙です
何か色々と物議醸し出してますが、巧く糧にして下さい(何様)
605さんも仰ってましたが、何かなのはらしくない
感じた限りで、何処と無く“冷たい”感じ
まぁ、そこも良いんですが
19歳と20歳の差?
あ、ちなみに
自分は批評はするけどガチのなのは好きです
それでは、続き楽しみにしています
頑張って下さい!!
電気そのものの雷切れるなら空気ぐらい切れるんじゃないか。
斬って斬って空気を分散させるとか。
つうか斬鉄剣って以外に何回も折れてるよな、確か四回ぐらい?
>>663 ルパン対複製人間とトワイライトジェミニのときに折れてたのは覚えてる
>>663 テレビ版のパート1の再放送見てたらどっかで折れてたような
斬鉄剣の無敵設定って結構後なのかな
『斬刀・鈍』もビックリだな>斬鉄剣
刀語とのクロスってどうなんだろう?
七花とガンダールヴほど能力の噛み合わせが悪いキャラもそういないがw
667 :
双月の女神:2008/01/05(土) 17:49:36 ID:A19IQnxU
あけましておめでとうございます。
遅ればせながら新年の御挨拶です。
投稿の方は推敲や13巻等の資料整理してるですのでもう少しお時間を。
近日中に投稿できるかと思うです。
では、今年もよろしくです。失礼をば。
UFOに入ってた金属でも刃こぼれしてた様な
ダイヤモンドはダイヤモンド以外ではほぼ切れない物質だけどハンマーでも壊せるんだよね
斬鉄剣の金属ってどんな硬度と強度なんだろう
>>633 まあ、魔法とかじゃ折れなさそうだけどな
折れたら修理は無理そうだが
ゴエモンって峰不二子と恋仲だったらしいから
似たような属性のキュルケが弱点だな多分。
なんか懐かしくなってきた、燃えよ斬鉄剣見直すかな。
正直ラジコンのプロペラに斬鉄剣つけてぶん回して
木やら戦車やらスパスパ切りまくってたのは引いた
まあ斬鉄剣だからな。
最強の武器と言われれば、真っ先に思いつくのが斬鉄剣
674 :
626:2008/01/05(土) 18:11:34 ID:Ir+QkOSf
続きで1話も乗せますね、6ページです。
斬鉄支援!!
支援
ゼロ魔の星に銀河鉄道999が脱線事故を起こして不時着。
ゼロの斬鉄剣 1話 ―使い魔の初仕事―
ルイズの部屋に案内された五ェ門
「サムライ・・・ニッポン・・・きいたことないわね。」
五ェ門はひとまず自分がどういう場所から来たのか説明していた
「にわかには信じられないけど、あんたみたいな風体の人間はハルケギニアじゃ見ないものね」
「無理に信じろとは言わない、なにせ今の状態でそれを証明できるのは拙者の刀のみなのだ。」
と、五ェ門は自らの命でもある斬鉄剣をルイズに見せる
「・・・・見たことも無い、美しい剣ね、カタナ・・というのかしら?」
「左様、拙者は剣に生きる身、これが拙者の命ともいえるのだ。」
ルイズに斬鉄剣を褒められ多少気をよくする五ェ門。
「ふーん・・とにかくゴエモンはその”サムライ”で剣をあつかえるのね。」
ルイズはひとまず目の前の使い魔はある程度使えるようだと、僅かばかりの希望を見出した
「ところで、拙者が使い魔とやらになったのは分かった、だが具体的に何をすればよいのだ?」
ふう、と一息つくルイズ
「じゃあ、使い魔について説明するわね。」
ルイズは五ェ門の眼を見据える
「使い魔とは主人と感覚を共有できる・・・んだけど、ゴエモンからは何も感じないわ。」
「感覚の共有?」
「つまり使い魔が見ているものや触れているものを感じることができるはずなんだけど、無理のようね。」
うむ、とうなずく五ェ門
「次に秘薬など主人が望む物探す能力、これはどう?」
「地理さえ覚えればある程度は出来ると思うが、期待はしないほうがいいな。」
そう、しかたがないわねという態度でゴエモンを見るルイズ、
「最後にご主人様であるあたしを一生守り続ける、あんた剣士なんだからこれくらいはできそうよね?」
一瞬五ェ門の背筋が凍った
「一生・・・と言ったか?」
「そうよ、そもそも使い間と主人との契約はどちらかが死ぬまで有効で、召還もその間はつかえないの」
「(これも・・・試練か・・・。)」
五ェ門は沈痛な面持ちとなった
「じゃあとにかく今日はもう終わり!」
そういうとルイズは五ェ門の前で服を脱ぎだし
「まっまて!ルイズ!」
なによ、という顔で五ェ門の制止に反応する
ちゃんと五ェ門の声が脳内再生される
支援
「る、ルイズ!女性がみだりに肌をみせるものでは・・・・」
狼狽する五ェ門を見て意外だという顔をするルイズ
「いいじゃない、使い魔如きに見られたところでどうということはないわ。」
顔を真っ赤にする五ェ門、剣の天才といわれた男も女性の免疫はそれほど無いのだ。
「じゃあ、これ明日洗っておいてね!」
脱いだ服を五ェ門に投げ渡す
「(なななな・・なまあたたか・・いや!違う違う!)」
必死で煩悩を鎮める五ェ門、しばらく理性との格闘が続くのだ。
夜中
あたりを静寂が包む
「(なんと静かなのだろうか)」
五ェ門がこの世界に召還されて初めての夜はご満悦のようだ。
「それにしても月明かりが明るい」」
ふと、部屋の窓から月を覗く
そしてここに至りはっきりとした異世界の証拠を眼のあたりにした
「月が・・・二つ・・・」
もはや驚きの声もでない五ェ門。
「(いったい何故拙者箱のような所にいるのだろうか・・・。)」
五ェ門は今朝からの出来事を回想していた
光の壁があらわれ、迂闊にも触れたこと、突然視界が開けたと思ったら目の前には桃色の少女
そして・・・・・
うっ と五ェ門は鼻を押さえ懐のちりかみを当てる。
「(いかんいかん!仮にもこれから仮とはいえ主人になる人間にふしだらな・・・)」
今日は休もう、ここが異世界というのならば少なくとも刺客の類は現れないだろうと
普段よりは警戒を解いて睡眠をとることにした、立ったままで。
チュン・・チュン
朝
といってもこの時間であれば生徒は殆ど誰も起きていない時間だ。
「(さて、洗濯・・・・見ないように・・みないように・・)」
と思っていたがよく考えれば洗濯場の場所を教えてもらっていない
「(物はついでだ、探索も兼ねて屋内を歩き回ろうか。)」
ひとまず洗濯物をまとめ、ルイズの部屋を出る五ェ門。
がんばれゴエモン支援
五ェ門って幼女体型でもイケるんだw支援
「(それにしても、ずいぶん立派な建物だ)」
五ェ門は壁の厚さや構造をみてここが本当に学び舎なのかと訝しげに見て回る。
歩き回るうち五ェ門は今までの生徒とは違う顔立ちの人間を見つけ、声をかける。
なんとなく日本人に近いような・・・という理由だったが。
「またれよ、そこの給仕。」
呼ばれた給仕、もといメイドの少女は振り返る
「は、はい!なんでしょうか。」
「すまないが洗濯場を探している。」
ああ、とメイドは頷く
「それでしたら私もこれから向かうところなのでご案内いたします。」
「かたじけない。」
そう言ってメイドの後ろを歩く五ェ門。
「ところで、貴方様はミス・ヴァリエールの使い魔さんですか・・?」
ふと、声をかけられる五ェ門。
「いかにも、何故そなたが知っているのだ?」
「はい、平民を使い魔として呼び出したともっぱら・・・あ!すみません・・失礼な事を。」
「構わぬよ、元々身分など無いのだからな。」
そうこうしているうちに洗濯場へ到着する
「こちらが、洗濯場として利用している場所です。石鹸はこちらにあるのでご自由にお使いください。」
なるほど、この世界にも洗濯板があったとはと関心する五ェ門
ふと、五ェ門は洗物を分別する際気がついた、下着にシルクのような物があったのだ。
「すまぬ、ええと・・・」
クスッとはにかむ少女
「シエスタです、貴方様のお名前は?」
「これは無礼を・・。拙者の名は石川五ェ門。」
「ゴエモン様でよろしいでしょうか?」
「いや、様などと仰々しい呼び方は結構だ。」
「じゃあゴエモン”さん”」
それでいいというように頷く五ェ門
「では早速だがシエスタ・・」
言いかけたところでシエスタは
「呼び捨てで構いませんよ、皆からそう呼ばれてます。」
にっこり笑って五ェ門に顔をむける
可憐だ…支援
「(・・・可憐な・・・)」
と思考を巡らせたとき己に渇を入れる。
「・・・?どうかなされましたか?」
「い、いやなんでもない、それより・・・」
五ェ門は持っているシルクと思われる下着を差し出す
「拙者はシルクの類を手洗いしたことが無いのだ、繊細な生地を洗うのを手伝ってほしい。」
ああ、とシエスタは頷き了承する。
「かたじけない、他の生地の物は自分で洗える。」
そういうとせっせと洗濯を始める五ェ門
なるほど、男の一人暮らしで身についた技はここ異世界でも通用するようだ。
てきぱきと洗濯をこなす五ェ門をみて
「(負けられない・・!)」
シエスタが妙に対抗意識をもったのは秘密だ。
しばらくして、洗濯が終わる
「シエスタのお陰で洗濯が早く終わった、感謝いたす。」
ふかぶかとお辞儀をする五ェ門
「い、いいんですよ。これもお仕事ですから。」
かえって恐縮してしまうシエスタ。
「あの・・・よろしければ洗濯物があれば私にお申し付けください」
おもいがけない申し出だったが
「いや、これも使い魔の仕事らしいのだ」
「いえいえ、洗濯物は基本的にメイドのお仕事ですから。」
なんだか申し訳ない気持ちになった五ェ門だがそれが仕事というのならばいたし方が無い
「・・・何から何まですまない、シエスタ。」
「それより後ほど食堂の厨房でいらしてくださいな、一人分ぐらいの賄い食なら出せますよ。」
そう言われ、おもわず昨日から何も食べていないことを思い出す。
「かたじけない。」
そう礼をのべ、そろそろ時間だろうかと思い
「拙者はこれでもどるが・・・」
「洗濯物は乾いたら届けます、ご安心ください!」
「ならばついでだ、そなたの洗濯物運びを手伝おう。」
「い、いいえとんでもございません、使い魔さんにそんな・・」
といいつつも五ェ門がさっさと洗濯物を持ち上げてしまったため一緒に運ぶこととなった
「(それにしてもスラリとしてて格好いい人だなあ・・・)」
五ェ門の身長は元の世界で180センチ程、ここトリスティンでも比較的大柄なほうである。
「ここでよろしいかな?」
「はい!ありがとうございました!」
シエスタは感謝の言葉をつげる
「それでは拙者はこれにて。」
そうシエスタに告げて主の部屋へ。
「(ルイズもあれほどお淑やかならば、周りの評価も違ってくるだろうに・・・)」
と考えていた。
部屋へ戻るとまだ主人たるルイズは眠りこけていた
「(さて、そろそろ起こすか)」
そう言うなりルイズを揺さぶる五ェ門。
「ん〜〜。もうたべられにゃい・・・」
何の夢を見ているのだと半ばあきれる五ェ門
「ルイズ、ルイズ、朝だぞ。」
う〜んと起き上がるルイズ
「ん〜・・・あ!あんた誰よ!」
なるほど、そうきたかと
「お主が使い魔として呼び出したのであろう。」
はっとするルイズ
「そ、そうね・・・そうだったわ。」
平民をみてテンションを下げるルイズ
「じゃあ、着替えさせてよ!」
五ェ門は驚く、だが落ち着いて
「自分で着替えるのだな。」
と言い放つ
「な、なによあんた!使い魔は下僕なの!さっさときがえさせ・・・」
言い切る前に視界が突然変わった
いくら主とはいえ子供(年齢はそうでもないが)、ここは教育が必要と五ェ門も怒った。
「御免!」
ルイズをひざに乗せて手をふりかざし、ルイズの尻をたたき始める
「きゃあ!」
「痛い!」
「お主には!」
「やめて!」
「仮にも主としての」
「痛い!痛い!」
「自覚が!」
「許して!」
「足りない!」
パンパンと叩かれルイズはベソをかいている。
「ぐすっ・・ひっく!」
「少しは主人としての気概をもて、自分で出来ることは自分でするのだな。」
「お父様やお母様にもここまでされたこと・・ぐすっ!」
ギロリとルイズにらむ。
「ひっ!わ・・わかったわよぅ・・」
思いもよらない仕打ちにすっかり萎縮する
そうすると笑顔になる五ェ門
「そうだ、聞き分けのよい子だな、お主は。」
「ふ・・ふん!なによ・・・使い魔のくせに・・」
廊下がざわざわとしてくる
「そろそろ朝食の時間ね・・・。いくわよ、ついていらっしゃい」
そう告げると五ェ門をつれ、廊下にでるルイズであった。
つづく
GJ!
早々に躾けられるルイズ
でも洗濯はちゃんとする五ェ門ww
なんという大人
ていうかルイズの横暴な態度を真っ向から叱り付けたのって何気に初めてじゃね
流石は五ェ門
やっぱ横暴には横暴と言えるキャラはいいな
>>691 師匠とドモンがやってる
693 :
626:2008/01/05(土) 18:45:58 ID:Ir+QkOSf
五ェ門は女性には弱いけれども曲がったことが大嫌いなので躾はしますww
>>692 気がついたかもしれませんが尻たたきはドモンをインスパイヤさせてもらいました
子供の躾は拳骨か尻たたきなので(笑
見える!見えるぞ!
ゼロ戦が通過した後、まっ二つになる『レキシントン』号が!
postalから郵便配達員を・・・
投下乙!
なんでしょうか、この頼れるお兄さんオーラはw
今アイテマスカー?
>なんだかなのはさんらしくない…
>でも何故だかわからない
TPOに合わせて猫かぶるスキルぐらい20になれば身に付いてるだろ
実際StS本編でもどこぞの軍曹ばりの「〜であります」系のセリフもあったんだし(シチュ的にシャレではあったが)
未知の相手に対し猫かぶりつつ一歩引く状況なら「らしくない」事もそうおかしくない
今後かぶった猫を脱ぐ事になった時どうなるか次第だろ、「らしくない」かどうかは
斬鉄剣の恐ろしいところは、刀身以上の幅の物も平気で切り裂くところだと思う
GJw
最強の教育係あらわれるwww
んじゃいくでー
「使い魔の仕事を自分の使い魔にたらい回しにするのは、正直どうかと思うのよ、クラレット」
二度寝の悪魔というのは実在すると思う。
たとえばどこぞのメイジもどきの偽使い魔とか。
魔法使いと召喚師(仮)その3
参考までに……、ルイズの着替えは本人によるものである。
クラレットの「妹ができたみたい」という発言に、少しばかり傷ついたからだ。
* * *
「無駄に楽しそうよね、あんた」
対して、言の主は酷く機嫌が悪かった。
二度寝している間に、『貴族令嬢を暗殺から救った』ということになっていたからである。
本来なら喜ぶべきなのかもしれない。何しろ彼女の評価は『ゼロ』である。
が、しかし、これを広めたのはキュルケ・フォン・ツェルプストーなのだと言われれば
素直に受け取れない。
絶対、何かロクでもないことをたくらんでいる。使い魔略奪とか……。
――使い魔にまで『ゼロ』の烙印を押させるつもり?
食堂でのキュルケの言葉を思い出す。
一理ある。一理あることが悔しい。
『メイジの実力を見るときは使い魔を見よ』
それはメイジの常識。
裏を返せば、メイジの実力が既知ならば使い魔の実力も知れるということ。
『ゼロ』
最悪の二つ名。
ゼロのルイズの使い魔が、ゼロでない道理はない。
小さな双肩には、己と使い魔、二人分の名誉がかかっている。
だから、止められなかった。
「ミス・ヴァリエール!」
止めるわけにはいかなかった。
「考え事をする暇があるのなら、あなたにやってもらいましょう」
そして……、止まる気もなかった。
渾身の魔力、裂帛の気合、主としての矜持、その他諸々。
こめられるモノは全て杖に込める。
サモン・サーヴァントも、コントラクト・サーヴァントも成功した。
大丈夫。今の私はもう『ゼロ』じゃないのだから。
いざ、『錬金』!
* * *
「「はぁ……」」
破壊された教室に響くのは二人分のため息である。
「なるほど……、これが『ゼロ』の二つ名の真相ですか……」
成功の確率がゼロ。実にわかりやすい。
2回の成功くらいでは埋め合わせられない失敗の山に、またひとつ追加。
今回の失敗は忘れられそうにない。
毛色が違うとはいえ、自身の使い魔は術者。
そしてその使い魔の少女――クラレットは、失敗の直後、誰よりも早く主の下に駆け寄り
至近で爆風を浴びたルイズとミス・シュヴルーズを、召喚獣を使って治療したのだった。
『メイジの実力を見るときは使い魔を見よ』
それはメイジの常識。
確かに対応は腹が立つくらい完璧だった。
これでクラレットを「無能《ゼロ》」と評する者はいなくなるだろう。
だけど、それだけ。逆に肩の荷が増えたかもしれない。
というか、使い魔に愛想尽かされるかも。
「失敗というより暴発ですよね、これ」
もっとも、心配されていた当の使い魔は、まったく逆の感想を持っていた。
異世界からの侵略を防ぐ結界の内部、それも高度な儀式の場に魔法をねじ込んだ存在である。
自分も雑念を加えてしまったとはいえ、並の使い手ではないと思っていた。
が、開幕から爆発はさすがに予想外である。
キュルケが教えてくれなければ、自分も被害者の仲間入りをしていたに違いない。
まったくどこまで規格外なのだ、この小さな主は……。
わかったことはそれだけではなかった。
自分の故郷では才能の証であるソレも、この世界では失敗以外の表現がないということ。
そして、故郷の話を伝えたとしても、ルイズには何の慰めにもならないこと。
情けない。自分は護衛獣になったのに、主を癒す言葉さえ持っていないのだ。
「軽蔑した?」
「いえ……身に覚えがないわけでもないので……」
だから、嘘をついた。
せめてこれ以上傷を増やさないように。
「そっか……」
会話はそれっきり。
結局、掃除が終わったのは昼食の時間になってからだった。
* * *
学院長室では二人の教師が額を突き合わせていた。
ハゲでおなじみの『炎蛇のコルベール』と、セクハラでおなじみのオールド・オスマンである。
「始祖ブリミルの使い魔『ヴィンダールヴ』に行き着いた、とそういうわけじゃね?」
スケッチのルーン文字と『始祖ブリミルの使い魔達』に描かれたルーンは、同一のものだった。
「して、彼女、ミス・クラレット自身はメイジなのだね?」
「本人は召喚師と名乗っております。
サモン・サーヴァントを極端に発展させ、複数の使い魔を使い分ける術と……」
「実際は?」
「今日連れていた使い魔は、昨日召喚したものとは違うようでした」
「まさに『ヴィンダールヴ』じゃのお」
あらゆる獣を従える神の笛。わかりやすいことこの上ない。
老人にとって、問題は別のところにあった。
「のう、コルベール君」
「はい?」
「ミス・ヴァリエールは努力家だと聞いておる」
「えぇ、彼女は学年一の努力家ですが、それが何か……?」
「この世のどこにも、彼女に魔法を教えられる者はおらん」
使い魔の属性は、メイジの属性と一致する。
ならば、同じ使い魔を持つ始祖ブリミルとルイズは同じ属性ということになる。
――即ち、『虚無』
「……努力とは実るものですよ、オールド・オスマン」
中年の教師は、偉大なる老メイジの言いたいことを理解した。
理解したうえで搾り出した……。
ありえないことが起こった時点で、「ありえない」という言葉は意味を失う。
「よしんば実ったとしても、それがもたらすのは戦乱じゃよ。
コルベール君。君は自分の教え子を戦地へ送りたいのかね?」
コルベールはその問いに答えることが出来なかった。
答えられるわけがなかった。
とりあえず、ここまで。
今回はオマケなし
以下、いつもの
※参考
暴発
本来の設定では、「呼び出すつもりの無い召喚獣を喚んでしてしまうこと」(サモンナイト3より)
ただし、ここでは、
「たまたま拾ったきれいな石が、あたしの手の中で光を放ち、街をメチャクチャにしちゃった」
という、2の主人公の体験談が元。
リィンバウムでこれを無意識にやらかすと、貧民街の孤児が名門召喚師の後取りになるくらい人生変わります。
護衛獣
召喚師の身を守るためや身の回りの世話をするために召喚された召喚獣。
歴代のシリーズを見る限り、まともに護衛してるのは少数派。
最大のピンチシーンで見せ場をもらうヤツらでもあったり。
なんかサイトと違う方向にギクシャクしてる…
大丈夫ナノカ?
>>707 最初から上手くいくには二人とも「アタリマエ」が足りない。
かといってお互いに強攻策に出れるキャラでもなし。
原作では溶け込むのに丸々1話使ったくらいですから
サモナイト石の補充ができないのと「誓約」はリインバウムでしかできない(地球・四界では不可)なことはどう解決するんだろ。
「誓約」の場所の制限には消えてもらいました。
石の補充は、まぁ13巻ショックを逆に利用するつもりで
斬鉄剣と召喚師の人乙です。
>>658 確か映画版で巨大な竜巻を切ってたから、エアハンマーくらい余裕でしょ。
たぶんヘキサゴンスペルの竜巻も切れるはず。
>>707 かたや「素直になれないツンデレ」
かたや「親がヤバすぎて涙目な小娘」
最初からうまくいく訳ないわなぁ〜。
次の話に期待。
時間的にはギーシュがフラれるころだが、
ロックマテリアルだけでワルキュ×7は無理…
テンプレの18禁規制は、どのくらいまでなのでしょう?
ゼロ魔本編後期並で、もうダメ?
直接的な行為の描写が無ければOK?
フランス書院にも18禁規定は無いよ。
素又とフェラまでいれちゃアウト
>>714 本編程度なら問題はないかと。
実際のカラミに関しては、直接描写がなければいいと思いますよ?
「虚無の使い魔と煉獄の虚神」では描写一切無しでそこまで行ってますし。
あ、そーいえば、ルイズが葱に奪われるのもあったっけ?w
フーケ編が楽しみだなぁ。義賊で世界第2位の殺し屋だし。
フーケのやってる事を非難する謂れが何処にも無いよね。
深夜アニメくらいで。
そもそも深夜アニメなんか見んからあんま知らんけど
>>714 俺は三行目だと思っているが、心配なら避難所に投下すれば良い。
>>720 深夜アニメでもヤミと帽子と本の旅人ともなるとアウトだろうな…
何せ主人公(♀)の放送倫理ギリギリの自慰描写まであったからな……
どうもありがとうございます。
エロパロ脳が抜けきらなくて……。
明日までには書きあがれば良いなぁ。
efくらいの描写がいいんじゃない?
>>724 なぜかefで思い出したけど漫画家って喚び出された事有ったっけ?
>723
避難所の練習用スレに出して、本スレで大丈夫か意見を聞いてみたらいかがでしょ?
同レーベルの「かのこん」程度ならOKのはずだ。
728 :
松下:2008/01/05(土) 21:01:12 ID:t2SrNxq9
諸君、明けましておめでとう。幕間を投下しに来たが、いいかな?
今回かなりいろいろと踏み込んでいるのだが。
新年早々悪魔が出たぞー!
GO!GO!
投下開始。なんだか『ムー』っぽい厨設定は、水木作品の仕様です。
ガリア王国の真南、アウソーニャ半島に、ブリミル教徒の中心地・ロマリア連合皇国がある。
その首都の郊外に聳え立つ、巨大な邸宅。そこに一人の少年がいた。
つり目で金髪、アホ毛三本の小柄な少年である。年の頃はせいぜい12歳か13歳に見える。
彼の名は『ダニエル・ヒトラー』。いかなる歴史からも抹殺された、秘匿されるべき名前だ。
父はドイツ第三帝国総統、アドルフ・ヒトラー。母はエヴァ・ブラウン。
彼らの背後にいたのは、ノストラダムスの予言書『百詩篇(諸世紀)』に記された悪魔の帝王『シーレン』。
『ヨハネによる黙示録』におけるサタンの化身、七頭十角の赤き竜である。
ヒトラーは悪魔に唆され、失業者からドイツの独裁者となり、世界の王者となるべく第二次世界大戦を引き起こした。
だがヒトラーは敗れ、シーレンの手によって密かに救い出されて、アメリカへ逃れた。
そして間もなく生まれたのが、旧約聖書の預言者の名を与えられたダニエルであった。
ダニエルは、悪魔の帝王から祝福を受け、強大な魔力と天才的頭脳、そして不老不死の肉体を得た。
父の死後はその事業を受け継ぎ、世界を裏から支配する『死の商人』として、
米ソの軍拡競争をエスカレートさせた。キューバ危機もケネディ暗殺も、彼の仕業だったという。
ロックフェラーもロスチャイルドも、アイゼンハワーもフルシチョフもレーガンもエリツィンも彼にひざまずき、
その秘密組織『アクエリアス教団』に参加していた。
……彼の目的は、人類世界の破滅と、悪魔による世界征服。
多数の核兵器を作らせ、エイズを蔓延させ、株式市場を自在に操り、富の格差を広げる。
この世を地獄に、悪魔の住みやすい環境に調える。全ては、彼が悪魔とともに推し進めた計画だったのだ。
悪魔の祝福を受けて生まれた異能児。彼はまさしく『反キリスト』であった。
そこに現れたのが、『東方の神童』たる少年メシア、山田真吾。
蛙男と悪魔メフィストを従え、妖怪たちを使徒とした彼は、古代帝国ムーの末裔であった。
ポール・シフトによる天変地異によって世界が崩壊する中、彼は三種の神器たる『アロンの杖』を操り、
悪魔の帝王シーレンを倒し、預言にあるとおり封印した。
そして同じくムーの末裔であるダニエルを最後の使徒とし、ともに世界の再建を行うことにしたのだが……。
「……運命の神は、そうしなかった。これであの世界は不完全で、崩壊したまま滅びる。
僕がここ、異世界ハルケギニアのロマリアに召喚されたことでな……」
私怨
釣り馬鹿日誌より浜ちゃん
ダニエルは、外出する時は父アドルフの姿を借り、『ブラウナウ伯爵』などと名乗っている。
その財力は今やゲルマニア皇帝に匹敵し、大陸中の軍需物資の流通を一手に担い始めた。
「山田真吾に敗北し、シーレン様が封印されたため、多くの力は失った。
せいぜい不老長寿で、少々の魔法や幻術が使えるだけだ。だが……」
傍らの長剣を握ると、左手のルーンが輝いた。
「このルーン。この世界における伝説の使い魔、神の盾『ガンダールヴ』。
あらゆる武器や兵器を自在に操り、触れるだけでその武器の情報を読み取り、主人を護る……。
ふふ、ふふふふふ、ふふははっはははは!!」
武器と兵器、だって? よおく知っているよ、この僕は『死の商人』だったんだぜ?
この世界の科学技術は地球の17世紀西欧程度、風石搭載船という飛行手段や強力な魔法はあるが、銃火器は未発達だ。
じゃあ、作ろう。地球の20世紀末、『戦争の世紀』の最先端技術を輸入して!
この僕の天才的頭脳で、機械工学を飛躍的に発展させ、『産業革命』を起こして!!
槍を突撃銃に、マスケット銃を機関銃に、大砲を高射砲に、馬車を自動車に!
戦術一つとってみても、地球では三十年戦争からたっぷり350年は経って進歩している。すぐに最強の軍隊が出来るぞ。
「人民の知的レベルが低く、支配はし易いが、技術的に規格品大量生産は困難?
じゃあ、あれだ。『悪魔』を呼ぼう。地獄と地上の支配者、いずれは天国も奪おうという奴らだ。
人間が出来うる技術が、堕天使に、悪魔(デヴィル)に、神々(デーヴァ)に出来ないはずはない」
武器の製造法と魔術を人類に伝え、堕天したアザゼルよ、シェムハザよ、マステマよ!
彼らに従った、天の隠された知識を司る『見張りの天使』グリゴリたちよ!
地獄の炎をフイゴで吹く、発明の才豊かなるグザファンよ!
ゼウスによって天から投げ落とされた、イオニアの工芸神ムルキベルよ!
冥界の王にして地下世界の富の支配者、プルトンよ!!
いざ来たれ、我に従え! その技術力を十二分に発揮する場所を、戦場を与えてやるぞ!!
sien
乙
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乙
乙
召喚から数ヶ月後。ダニエルは多数の悪魔を召喚して使役し、武器商人として暗躍していた。
その過程でゲルマニアの秘密結社『薔薇十字団』を吸収し、その代表代行にもおさまっている。代表は、教皇自身なのだ。
先日は大発見があった。厳重に封印された地下墳墓(カタコンベ)から、大量の『オーパーツ』が発見されたのだ。
教皇はそれを知っていたが、見つけたのはダニエルの使役する悪魔だった。
聞けばゲルマニアの辺境やサハラ、『東方(ロバ・アル・カリイエ)』、そして『聖地』からもたらされたものだという。
固定化魔法をかけられ保存されているのは、全て『武器』だ。
年代ものの日本刀のような骨董品や、考古学博物館行きのものさえあった。
そして英国製の連発式小銃、旧ソ連産のAK小銃、壊れたミサイルランチャーにジェット戦闘機の機首。
スカッドミサイルにパトリオット、懐かしのゼロ戦に、我が祖国ドイツの誇るティーガー戦車まで!!
これぞ『ガンダールヴの右手の槍』!! 『神の盾(エイジス)』!!
「あっははははは、この国の地下に、地球から、『聖地』から流れ着いた現代兵器が秘蔵されていたとは!!
なんという皮肉! 地獄は、ロマリアと『聖地』の地下にあったわけだ!! 地球でもそうだもんなぁ!!」
「……相棒よ、ダニエルよ。始祖ブリミルの使い魔は、こんなこたぁしなかったぜ」
「そうか、じゃあ僕が記念すべき第1号だ。
魔剣『デルフリンガー』よ、きみが溜め込んだ六千年の知識は素晴らしい。
それを活用しなければ、いつまでも武器屋でほこりを被り、錆び付いたままだぞ?」
ダニエルがトリスタニアで偶然買い付けた、知性ある魔剣デルフリンガー。
その知識は、ロマリアの図書館以上であった。なにしろ掛け値なしに六千年生きているのだ。
僕が、ダニエル・ヒトラーが、偉大なる始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』!
召喚者は『虚無の担い手』! つまりロマリアの教皇、美しきヴィットーリオ!
「そして彼は、我が主人は、『千年王国』を望んでおいでだ。いかれた教皇よ、授けてやろう。
我が父アドルフの望んだ、世界を支配する『鈎十字(ハーケンクロイツ)』の、反キリストの『千年王国』を!!」
「……キリストってのは、こっちでいうブリミルみたいなもんか?」
「まあね。メシアとも言う。意味は『油を注がれた者』、世界の王たる救世主さ。
『ナザレのイエス』はただの田舎大工だったが、神に選ばれてメシアとなり、
2000年後には、その教えは20億人に信仰されるほどになった」
デルフリンガーが驚く。地球とは、なんと人間が多いのか。
「20億!?」
「解釈の違いで分派が生じ、互いに争っているがね。くだらんことだ。
そして僕は『反キリスト』。メシアの再臨に先立って現れ、地上を支配する存在だ」
「で、本物に負けるんだろ?」
「かもね。異世界での最終戦争では、結局そうなった。今回は分からないよ。
メシアらしき存在も掴んでいる。あのトリステインの異能児、松下一郎……!!」
あいつも恐らく、地球から召喚された。『東方の神童』は山田真吾だったはずだが、もう一人いたのか。
いや、並行世界か? 確かに似てはいたが、纏う雰囲気が別物だ。異質すぎる。
『薔薇十字団』の名前にも喰い付いて来た。ビラを貼ったのはこの僕だ。
リッシュモンとザガムを味方につけるとは思わなかったが、これでトリステインにも『薔薇十字団』が知れる。
また、武器が売れるな。アルビオンの方にも根回ししてあるが。
乙
乙
乙
実は頑張ってマジレッド召喚を考えてたんだ。
でも何と言うか、あまりに「俺TUEEEEE」というか……
「そもそも人間界まで代表して親善大使ってことはそれなりに身分を保証してくれる存在が必要だよな。でもマジレン本編でそんな権力者いなかったよな」
とか考え始めたら、直接関係のない地獄の番犬まで顔を出しそうになって諦めた……orz
乙
紫煙
乙
そこへ、少年秘書のハナニヤ、ミシャエル、アザリヤが、揃ってやって来た。
皆ダニエルが、孤児から引き立ててやった奴らだ。名前は勿論『ダニエル書』の登場人物からつけた。
「ブラウナウ伯爵。神聖アルビオン共和国から、使者が参ったそうですが」
「さっそく来たな。アポイントメントはある。よろしい、ここへお通ししたまえ」
ダニエルはいつも通り、幻術で中年貴族アドルフの姿をとる。
入って来たのは、白髪白髭の老貴族と、羽帽子の青年貴族。
「遥か空の上、『白の国』からようこそ。このブラウナウ伯爵に、何の御用かな?」
「知れております、軍需物資の買い付けの交渉にね。ダニエル・ヒトラーくん」
「はは、それは有難う。きみたちは人間ではないね?」
「然様、わしは悪魔ベリアル。こちらはワルド改めベアード子爵、正体は妖怪大統領じゃ。
きみを『反キリスト』と見込んで、助力に来た。
あの3人の秘書も懐かしいのう、正体はわしの馴染みのグリゴリたちではないか」
悪魔ベリアル! たいした大物がやってきたものだ。
善事には怠惰だが、悪事となると誰よりも喜んで行う。それが彼の楽しみなのだから。
最終戦争でシーレン様に肉団子にされた奴とは、また別物のようだが。
「まあ、かけて下さい。珈琲でよろしいかな?」
「ブラックで頼む。おお、どっこいしょ、と。
ふー……いよいよ、来るべきものが迫りましたのう」
「ええ。地上最後の革命の時が、ね」
「然様、一万年前から繰り返し預言されておった、『東方の神童・悪魔くん』が現れよった。
ご存知の通り、トリステインに来ておるマツシタという餓鬼じゃ。
40数年も前に、地球の日本で愚かな人間どもにかかって暗殺されたはずじゃが……、
生き返りよったか、なにしろメシアじゃしのぉ」
「このベアードも、ひどい目に遭いましたよ。悪魔を召喚する『地獄の門』を押さえておりますからな、きゃつめは」
ベリアルがずずっと珈琲を啜る。
「ひとつ、あれに対抗するため協力しよう。まずは戦争が始まるから、たっぷり武器弾薬を送ってくれ。
わしはアルビオンでクロムウェルの参謀をやっとるが、そろそろ潮時じゃ。
ガリアへでも行こうと思うちょる」
「ガリアへ、ね。ジョゼフ無能王陛下はなかなか面白い人物のようだが?」
「ああ、いかれとる。弟を手にかけたカインよろしく、悲劇の人物になりきっとるよ。
莫迦もあそこまで行くと変態じゃな。わしら悪魔は頭のいい奴は好きだが、狂人はあまり好まないんじゃ」
乙
試演
乙
支援
乙
乙
乙
ダニエルは、気楽に悪魔と雑談する。なんとなくベアードは蚊帳の外だが。
「ま、僕や松下も似たようなものさ。『精神的異能児』だからね。
それでも僕には生まれつき『世界を滅ぼす』、松下には『世界を救う』という使命がある。
ジョゼフはそうした使命、心の拠りどころを失っているのさ。可哀想だねぇ」
「じゃあ、わしがたらしこんで世界征服でもさせてみるか。いや、すでにあやつには『使い魔』がおるな。
『ミョズニトニルン』のシェフィールドという、いけすかん女じゃ」
「おお、彼も『虚無の担い手』か。ロマリアの図書館にも『虚無の使い魔』の資料があったよ。
まったく、心に虚無がある人間ほど操りやすい者はないというのに、『悪魔』くん。
ミョズニトニルンは確か、あらゆる魔道具を自在に操るんだろう? 武器商人のお得意様じゃないか」
「やれやれ、人間のくせに悪魔のようじゃな、きみは」
ベリアルが苦笑した。頼りにはなりそうだ、この『反キリスト』は。
「……で、悪魔ベリアル閣下。きみの最終的な望みは、なんなんだい?」
ダニエルの問いに、ベアードの隻眼がぎらりと光る。それはこっちも聞きたかった。
ふっふっ、とベリアルは笑う。
「神が降す『滅びの運命』から自由になること。わしは自分の生きたいように生きる。
人間や天使を騙して堕落させ、破滅させるのはわしのライフワークじゃ。
神に命令されて『告発者(サタン)』にならずとも、わしは断じてこの生き方を貫く。
それにわしとて、炎と硫黄の海で永劫の責め苦を受けた末、永久に消滅するのはごめんこうむる」
「それで、『聖地』を狙っているわけか?」
「察しが早いのぉ。あそこは『神の門(バーブ・イル)』、あるいは『悪魔の門(バーブ・シャイターン)』じゃよ。
実際には様々な時空間を繋ぐ最大の『虚無の門』、『世界の扉』なのじゃ。
この異世界は、特に地球といろんな場所でリンクしちょるからの。よく迷い込む奴がおるし」
「すると、あそこは……」
「わしらが地球に堕とされた最初の場所、《バベル》の底に通じておる。イラク中部あたりになるな。
それ以外にも、様々な地球上の地域、特に『戦場』に通じておるようじゃ。
ブリミルとやらも、六千年ほど前に初期の人類を連れてやってきた、当時の『メシア』じゃったんじゃろ」
「戦場、とね」
「戦場の時空は歪みやすいからのう。今もなおあの辺りは戦争が絶えず、おぬしら武器商人のいい市場になっとる。
わしら悪魔のせいというより、人間の馬鹿さ加減のせいなんじゃが」
「道理で現代の兵器が流れ着くわけだ。中東戦争や湾岸戦争は、僕が引き金を引いてやったんだがね」
「そうじゃったのか、ははははは。それで、ある伝説にはこうあるのじゃ。
『正しい方法で、あの門を越えてやってきた者とその子孫が、その世界の強大な支配者になれる』とな。
ブリミルにしてからそうじゃ。異界から地球に行った奴では、バベルの塔を築いた巨人ニムロドがおるし、
その子孫たるバビロンやアッシリアの諸王、ペルシア帝国の始祖アケメネスなどがおる。
一度異界に来てから向こうへ戻ったのはアブラハム、ヘラクレス、アイネイアス、それにキリストとムハンマドぐらいかのう」
乙
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ダニエルとベリアルの対話は続く。
「……支配地域は、中東や地中海地域近辺に限られるようだが? 世界といえば世界だろうけれど」
「インド以東のアジアには、別に門があるのじゃよ。須弥山、シャンバラ、崑崙、蓬莱といった仙界じゃな。
ラーマ、釈迦、周の文王、漢の劉邦、匈奴の冒頓、モンゴルのテムジン、毛沢東などが通ったようじゃ。
わしの望みはあそこを『正しく』潜って地球上に復活し、好き放題に振舞うことさ」
「正しく?」
「あそこを発見したのは、天使じゃった頃のわしなんじゃ。神がわざと時空のつなぎ目を残しておいたのかも知れぬ。
『正しい入り方』をせんかったせいで地獄に堕ちてしまい、何度か出入りしとるうちに、わしは悪魔になった。
バビロンやソドムやフェニキアを堕落させて遊んでおったら、ソロモン王に封印されてしもうてなぁ。
大分力を削がれたが、その後どうやら復活して、今はここに逃げ込んで来ておるというわけじゃ」
いかれているのはあんたもだよ、悪魔。それじゃあ、神の掌の中じゃないか。
黙示録の四騎士は、ユーフラテスのほとりに繋がれているというじゃないか。
神の門から、悪魔が湧いて出ようというのかい? まあ、いいか。
「なるほどね。だが正しいやり方でなくとも、ハルケギニアと地球と行き来する方法はあるわけだ」
「まあの。一番手っ取り早いのは、月蝕の時にその影へ飛び込むことなんじゃが。
ただし出入り口が、ちゃんと地球の陸上や空中につながっておるとは限らぬ。
バミューダ・トライアングルや、ハワイの火山口、南太平洋のルルイエなんかにつながる可能性もあるでな。
地獄からじゃと、案外楽に来れるんじゃ。コキュトスの『悪魔大王』が多次元チャンネルになっとるし」
「はっはは、悪魔が召喚しやすいわけだ」
ベアードは黙ったままだ。ベリアルの持つ知識は恐ろしい。
「しばらく『門』は封印されておったが、近年活発化し始めおってな。
それを求めて、わしら悪魔界の巨頭連もボツボツ動き出しておるよ。
アメリカからサタンが、イスラエルからベルゼブブが、エジプトからスフィンクスが、チベットからアガルタが。
また崑崙の夜叉族も、蓬莱の八仙も動き出しておる。こうした魔道の王者たちが数千年の眠りから目覚め、
次元の異なる頭脳で暴れ出せば、二つの世界は再び混沌に帰るじゃろうて……ふふ、ふふふっ」
《世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。
東方から移動してきた人々は、シンアル(シュメル)の地に平野を見つけ、そこに住み着いた。
……彼らは「天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。全地に散らされることのないようにしよう」と言った。
主は降って来て、人の子らが建てた塔のあるこの町を見て言われた。
「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。
これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。
我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱(バラル)させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう」
主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた》
(『バベルの塔』:旧約聖書『創世記』第十一章より)
《その記された文字はこれである。メネ、メネ、テケル、ウパルシン。
その事の解き明かしはこれである。メネは、神があなたの治世を数えて、これをその終わりに至らせたことをいう。
テケルは、あなたが秤で量られ、その量の足りぬことがあらわれたことをいう。
ペレスは、あなたの国が分かたれて、メデアとペルシアの人々に与えられることをいう》
(『バビロンの王ベルシャザルの酒宴』:旧約聖書『ダニエル書』第五章より)
(つづく)
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767 :
松下:2008/01/05(土) 21:22:04 ID:t2SrNxq9
投下終了、支援感謝。
いろんなネタをぶちこんだら、えらい事になりました。なんだこの厨設定は、水木的だなぁ。
誰が『悪魔の門』を潜っても、ロクなことになりそうにありませんです。
では、また。
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機械1つ動かそうと思ったら凄いインフラがいるんだよな
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>>770 機械工作を魔法でやれる分、地球で1から立ち上げるよりはましじゃない?
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>>776 それはそうなんだけども、エネルギーを作り出すのがかなりネックになると思った
発電所がいる>発電所を動かすエネルギーがいる>油田ないし炭鉱がいる>その輸送手段がいる
って感じで
もうすぐ新スレの季節ですな
あと20kbほどか
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昆布
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つーかデルフリンガー初登場なんじゃない? 千年王国では
敵側で出てくるのは珍しい
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797 :
蛇の使い魔:2008/01/05(土) 21:47:13 ID:zPnnlLeb
投下大丈夫でしょうか?
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次スレまで待てば?
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まあいいか支援
804 :
蛇の使い魔:2008/01/05(土) 21:50:35 ID:zPnnlLeb
Snake Tales Z 蛇の使い魔 第二章 ≪灰色の蛇≫
さてさて、スネークが煙草をふかしている頃、チェルノボーグの監獄で、
土くれのフーケはぼんやりとベッドに寝転がっていた。
杖を取り上げられた状態では脱獄も出来そうに無い。
もっとも、杖があったとしても、この牢獄の壁や鉄格子には魔法の障壁が張り巡らされているため、脱獄は不可能だっただろう。
土のエキスパートのフーケに対しては当然の対策だろう。
「まったく、食えない奴らね。この物々しさは何よ。」
苦しげに呟く。そもそもこうなった原因の男の事を思い出した。
「あのスネークって男、只者じゃない。歴戦の戦士か何かかね。」
只の中年オヤジには思えない。あの眼光、身のこなし、判断力、どれをとっても戦士のものだ。
さらに、あの破壊の杖を使いこなしていた。あの武器について詳しいようだ。
「他にもあんなものがあるってことかしら…?」
是非、手に入れたいものだ。だが、それもかなわぬ夢か…。
そう思っていた矢先、監獄の上の階から足音がする。
拍車の音も聞こえるあたり、どうやら看守ではなさそうだ。
足音は自分の牢の前で止まった。
「面会は明日にしとくれ。私は眠いんだ。」
「《土くれ》だな?起きろ。話がある。」
起き上がり、声の主に向き直る。
顔は白い仮面のおかげで見えないが、声からすると男のようだ。
黒いマントの中から長い魔法の杖が見える。メイジだ。
自分を殺しに来た刺客…ではなさそうだ。
「話ってなんだい?弁護でもしてくれるっていうの?」
「なんなら弁護してやってもかまわんよ、マチルダ・オブ・サウスゴータ。」
フーケの顔が蒼白になる。
805 :
蛇の使い魔:2008/01/05(土) 21:51:06 ID:zPnnlLeb
「何処でその名を?アンタ何者だい?」
平静を装ったが、声が震える。男は答えず、笑う。
「再びアルビオンの、いや新たなるアルビオンの国家に使える気は無いか?」
「クーデターでも起こそうってのかい?たいそうな話さね。
でもアンタはトリステインの貴族だろう?アルビオンとどんな関係があるのさ?」
「我々はトリステインの将来を憂い、つながった同盟だ。国境など障害ではない。
ハルケギニア、いや世界は我らの手で一つになり、始祖ブリミルの『聖地』を取り戻すのだ。」
フーケは薄ら笑いを浮かべる。
『聖地』を取り戻す?馬鹿な話だ。あのエルフと戦争を始めるつもりか?
勝てない勝負に興味は無い。
世界をひとつにするなど、さらに不可能な夢物語だ。
「貴族と頭の悪い男はキ・ラ・イ。ハルケギニアの統一なんて興味が無いわ。」
「土くれよ、お前に選択の余地は無い。我々の仲間になら無いなら…。」
腰から杖を抜き、突きつける仮面の男。
NOといえば躊躇せずフーケを殺すだろう。
「やれやれ、不躾な男もキライよ。少しはレディの都合も考えなさい。」
「私と一緒に来るだろう?」
「組織の名は?」
「来るか、来ないか。お前の答えはどっちだ?」
「これから旗を振る組織の名前くらい教えてくれてもいいじゃない?」
男はポケットから鍵を取り出し鉄格子の扉を開ける。
ギィと音を立てて扉が開く。
「レコン・キスタ。」
支援
支援
808 :
蛇の使い魔:2008/01/05(土) 21:51:36 ID:zPnnlLeb
煙草に再度火をつけ、また新たに吸いはじめる。
東の空がいよいよ明るくなってきた。
「日の出、か。」
戻るための手がかりは無い。
だが、あきらめるわけにはいかない。
手がかりはなくとも協力者…、いや仲間がいる。
希望が無いわけではない。
「さて、今日も生き抜くぞ!」
明日もまた日は昇る。
「腹が減った…。」
地面にうつぶせに倒れているスネーク。
空腹のあまり動けなくなっている。
なぜなら、今日は王女がいらっしゃるとのことで、厨房に入る事が出来なかったのだ。
おかげで食欲に苛まれている。
「情け無いわね。すこしはシャンとしなさいよ。」
「…。」
返事がない。顔すら上げないスネークにルイズは腹を立て、無視を決め込んだ。
門の周りには人が集まっている。歓迎式典の準備だそうだ。
みんなでお出迎えと言う所か。
「あらゼロのルイズ、それはなぁに?」
ギーシュに平手打ちを食らわせた少女が言った。
たしか、モンモランシーとかいったな。この子も中々の美少女だ。
「使い魔だったものよ。」
「言われて見れば確かに。何をしたの?」
「ただお腹が減ってるんだって。」
「まぁなんてはしたないの!食事くらいまともにさせてあげなさいよ、ゼロのルイズ。」
「人の教育方針に口出ししないで。」
俺の口の出せない所で変な話をしないでくれ…。
食事くらいまともにさせてもらいたいのは確かだ。
「まったく…、ゼロのルイズは思いやりとかそういう言葉すらないのね?」
燃えるような赤毛をなびかせて、キュルケがルイズを挑発した。
「言ったでしょ?教育方針に口出ししないで、《お熱》のキュルケ。」
以前のルイズと違い、冷静に返す。
どうやらこの前の戦闘の影響のようだ。
余裕と言うか、会ったときと目つきが違う。
以前の落ちこぼれの目つきではない。まだまだ新米だが、戦士の目だ。
ルイズをこんな目にさせてしまった事を後悔した。
自分といるとルイズが余計な戦いに巻き込まれるような気がする。
この少女がこれ以上戦いに巻き込まれる前にこの世界を脱出したいものだ。
支援
支援
811 :
蛇の使い魔:2008/01/05(土) 21:52:31 ID:zPnnlLeb
「あっそ。ところでスネーク、貴方はどうしてここに?」
「この国の元首になる人間の顔くらい覚えていて損は無い。」
隣でルイズがため息をつく。
悩ましげなため息だ。恋煩いか?などと思うとなにやらニヤニヤしてしまう。
この子も恋をするのだな。相手は誰か、などまるで父親のような気持ちになった。
「なぁにその顔?あ、王女様の噂でも聞いたのかしら?相当な美人だって聞いたんでしょ?
貴方も男だものね。そりゃ期待しちゃうわ。」
「歳は?」
「17よ。」
「それは期待できそうだ。」
キュルケの話を聞いて、俄然アンリエッタ王女に興味がわいた。
この世界にきてからというものの、美少女ばかり見てきたのだが、その美少女が美人と言うのだ。
これは期待せざるを得ない。
アンリエッタ王女に期待を寄せていると、正門が音を立てて開く。
整列した生徒が一斉に杖を掲げる。
しゃん!と小気味よく音が重なった。
正門を馬車がくぐり、本塔の玄関まで進む。
馬車が止まり、扉まで緋毛氈のが敷き詰められる。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下の、おなーりー!」
兵士が声高に叫ぶ。
扉が開き、枢機卿に連れられ出てきたのは、なるほど確かに美女だ。
王女はにっこりと薔薇のような微笑を浮かべ、優雅に手を振った。
「確かに美人だけど私のほうが上ね。そう思わなくって、スネーク?」
「君の魅力と彼女の魅力は別のものだ。比べる事自体が間違っている。」
「あら、お上手ね。」
スネークはルイズの方をみた。
まじめな顔で王女を見ている。こうしてみると、やはり美少女だ。
王女に負けない魅力がある。
そんなルイズの横顔が、はっとした顔になった。
その視線の先には見事な羽帽子を被った凛々しい貴族の姿があった。
ルイズはその貴族をぼんやりと見つめている。
確かにいい男だ。だが、スネークにはその髭が気に入らなかった。
俺よりも渋い髭だ…。
確かな嫉妬の念を感じ取った。
キュルケまでその貴族をぼんやりと見ている。
そんなにあの髭がいいか!
体が重い。空腹が身にしみる。
そのまま地面にへたり込む。
隣ではタバサが、王女?なにそれ?といった雰囲気で読書をしていた。
「お前は相変わらずだな。」
タバサは顔をあげ、ルイズとキュルケを見たあとスネークを指差し、
「みっともない。」
と呟いた。
さらに自信を失うスネークであった。
支援
支援
814 :
蛇の使い魔:2008/01/05(土) 21:53:32 ID:zPnnlLeb
そしてその夜。
明るいうちに森で捕獲した蛇などを食べたおかげで、満腹になったスネークは部屋へ戻ろうとする。
そこでおかしな人影を見つけた。
きょろきょろと辺りを見回し、走っていく。
顔を隠しているので誰かは分からないが、背格好からして女性のようだ。
ばれないように尾行する。
すると、その人影がルイズの部屋の前で止まった。
「動くな!」
「きゃっ!」
剣を引き抜き、喉元に突きつける。その女性は可愛らしい悲鳴を上げた。
真っ黒な頭巾をとると、その下から現れたのは、アンリエッタ王女だった。
「王女がこんな所で何をしている?」
「お願いします。見逃してください。ここの部屋の子に用があるのです。」
事情が分からぬまま、スネークは王女を中に入れた。
ルイズは驚いたが、アンリエッタがたしなめた。
アンリエッタがディティクト・マジックをかける。
そうして、ようやく王女が声を出した。
「もう声を出してもいいです。
お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ。」
投下終了です
支援ありがとうございました。
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乙
乙
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スネークボロボロ過ぎる・・・
支援の意味無いんじゃね?
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さりげなくサバイバルしてるwwGJ!
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>831
今のサーバは連投規制が弱いしね、その結果ヘンなのが湧いてるけど。
まぁ、この状態じゃまた規制がきつくなるかもしれないし、支援体制は続けておいた方がいいでしょ。
ある意味このスレの伝統だし。
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>>836 荒らし幇助乙
このまま埋まったらあんたの責任だぜ?
>>834 どう考えてもお前のほうがキチガイだろww
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代理投下いいですか?
支援n
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>>846 連投キチガイ支援乙
そしてそろそろこの連投キチガイを通報すべきか?
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投下OK
223 名前: S−02 星の使い魔 18話(規制中につき、こちらに投下) [sage] 投稿日: 2008/01/05(土) 21:46:04 wzw939KA
朝焼けの学院にて対峙する少年と少女。
金髪の少年は剣を構え、眼鏡の少女は杖を携え、
互いに円を描くようにすり足で間合いを計る。
少年が詰めれば少女は退き、少女が右へ足を運べば少年もそれに続く。
そんな睨み合いがどれほど続いただろうか。
不意に気まぐれな風が微かに眼鏡をずらし、少女の視界を歪ませた。
その隙を見逃さず、少年は無言で大地を蹴る。
相対する眼鏡の少女は、アクシデントも関係ござらぬとばかりに冷静に一歩後ろへと跳び退り、
抑揚の無い声で詠唱を完成させ、背丈よりも大きな杖から無数の氷の刃を撃ち出す。
一つ目、右に小さくステップ。
二つ目、脇腹目掛けて飛んでくる氷を剣で叩き落す。
三つ目、身を屈めてやり過ごし、その反動を利用して前方へと跳ねるように加速する。
氷塊を潜り抜けるたびに容赦無く冷気が襲い掛かり、
吹き付ける吹雪は全身から熱を急速に奪い取ってゆく。
ほんの数メイルの距離が、恐ろしく遠い。
そしてそんな焦りをあざ笑うかのように、五つ目だか六つ目だったか、
直前の一発の影に隠れて軌道を読みきれず、大きくバランスを崩してしまった。
まずい、しくじった。そう思ったときにはもう遅い。
「がっ……!」
眉間に氷塊の直撃を受け、もんどりうって吹っ飛ばされる。
辛うじて受身を取って体勢を立て直すが、その隙を見逃すほど相手は甘くはない。
一瞬にして間合いを詰めた少女の顔が、接吻できそうなほど近くにあった。
「……」
「……」
右手に携えた杖の先は寸分違わず心臓に突きつけられている。
完敗だ。そう顔に書いて少年は全身を脱力させる。
かじかんだ両手から剣が零れ落ち、からん、と乾いた音が鳴った。
「参ったよ、タバサ。これで4連敗かぁ」
「筋は悪くない。これほど早くウィンディ・アイシクルをあれだけ掻い潜れる人間はそうは居ない」
タバサの言葉にクロードは苦笑する。
クロード自身、タバサの実力も、彼女がお世辞を言うような人間ではないことも重々承知している。
だが、だからと言って自分よりも頭一つ以上も小さな女の子に負かされ続けるのはあまりいい気分ではない。
何しろ、まだ彼女から一本も取れていないのだ。
「だったら俺を使えば良いじゃねーかよぅ」
「タバサを殺す気かよ! ……う〜寒っ」
懐で文句を垂れるデルフを宥めつつ、
指をこすり合わせて息を吐きかけ、冷え切った体を温めるクロード。
支援
何度か組み手を繰り返すうち、いくつか解ったことがあった。
まず、発現する力はクロードの精神状態によって大きく変化するということ。
ギーシュを相手にデルフを使った手加減抜き・実戦形式での組み手の際には、
明らかにフーケのゴーレムを相手にした時よりも動きが悪かった。
どうやら実戦の緊迫感の中でこそ本領を発揮する能力であるようだ。
とは言え、それでも7体のワルキューレを膾切りにするのに数分とかからなかったのだが。
第二に、ガンダールヴの力は実戦用のもの、すなわち殺傷力のある武器でなければ発動しないらしいと言うこと。
逆に、ちゃんとした武器であれば種類を問わずに発動するのは、以前に武器屋で試した通り。
あらゆる武器を使いこなす、と言う触れ込みは伊達ではないようだ。
ちなみに、クロードがこの組み手で使っているのは、錬金で作ってもらった頑丈なだけの模造刀である。
そして最後に、この力はクロードの意思に関係なく、武器を手にしたら自動的に発動してしまうということ。
つまり、自分の意思でコントロール出来るのは力だけで、
発現そのものをコントロールすることは不可能だと言うことだ。
ガンダールヴとデルフリンガー。
異世界であるハルケギニアに召喚され、ひょんなことから手にした強大すぎるほどの力。
今の自分が、これだけの力を扱いうる人間足りえているだろうか。
体力、技量、覚悟─────正直言って、何もかもが足りていないとクロードは思う。
今の自分では、デルフを殺しの道具としてでしか扱い得ないだろう。
フーケの時には相手があまりに強大だったこと、そして何より相手が生物ではないゴーレムだったことから、
がむしゃらに戦い、この力を存分に振るうことが出来た。
だが、生身の人間を相手にしたときに、この力を使えばどうなるだろうか。
どう考えたところで、加減が利かずにオーバーキルになるのが関の山だ。
大切なものを守るためには手を汚さなければならないこともある。
軍人としてその程度の理屈は理解しているつもりだ。
だが、それはあくまで止むを得ない場合に限定しての話であり、好んで人斬りをしようというわけではない。
人道的にも感情的にも、避けられる被害は避けるべきだ。
そもそも、人を傷つけることに抵抗を持たない人間などそうは居ない。
むしろ、そういった人間たちから自分の身を、大切な人たちを、そして見知らぬ人をも守るためにこそ、この力は振るわれるべきだ。
それは力を持つものの義務であり、責任でもある。
誰もがやりたがらないからこそ、誰かがやらなければならない。
ルイズが自分と同じ立場に立たされたなら、きっとそうするだろうと思う。
そして、父や母も。
(……まぁ、何を言っても言い訳にしかなってないんだけどね)
クロードは自嘲する。
長々と大層な理屈を並べ立ててはいるものの、
結局のところ、自分がガンダールヴの力に頼りたくないと言う一点に帰結する。
何のことは無い、背伸びしている子どもが意地を張っているだけじゃないか。
「……」
その傍ら、無言で治療を施すタバサもまた一人思いを巡らせる。
数週間前に、初めてクロードから組み手を頼まれた時に彼女が投げかけた問い。
『──何故、力を求めるの?』
しばらく悩んだ後に、彼は答えた。
『力が必要になったときに、後悔したくないんだ。それじゃダメかな?』
力が必要な時。
胸の奥で繰り返されるその言葉に、タバサは唇を噛む。
自分にもっと力があったら、父は死ななかったかもしれない。
母が自分を守るために、毒をあおって狂うこともなかったかもしれない。
あの男を、伯父と呼べるうちに止められたかもしれない。
意地悪な従姉とも、仲良く笑っていられたかもしれない。
それら全て、今となっては言っても詮無きこと。
現実がそう流れてくれなかった以上、そんな黴の生えた幻想に縋り付く暇など無い。
今は己の為すべきことを為すのみ。
即ち、牙を磨くこと。
いずれ訪れると信じる復讐の時に、確実にあの男を煉獄の底へと沈めるために。
──そう。今度こそ、力が必要な時に、後悔しないために。
「そろそろ朝食の時間」
簡素ながら一通りの治療を終え、感情を殺した声で指摘する。
「あ、そうだね。ルイズを起こしてこなきゃ。
ありがとう、タバサ。また機会があればよろしくね」
クロードもまた、感情の篭らない声で答えた。
まずかったかな、とも少し思ったが、タバサは別に気にしていないようだった。
支援
支援
石造りの階段と通路を抜け、木の扉を潜り抜ける。
ノックは必要ない。部屋の主は未だ夢の中にあることを知っているから。
「ったく、いい気なもんだよなぁ」
「そう言ってやるなよ、デルフ」
不満げなデルフをなだめつつ、ルイズの寝室へと戻ってきたクロードは苦笑する。
寝台に横たわり、静かに寝息を立てるルイズ、
その表情は本当に幸せそうで、誰かを呼ぶように寝言を繰り返している。
きっと、優しい夢を見ているのだろう。
それでいいとクロードは思う。
魔法が使えないというコンプレックスを抱えながら、
なおも人一倍胸を張って生き続ける彼女の心には、一体どれほどの重圧がかかっていることか。
心をずっと張り詰め続けて生きていけるほど、人は強く出来ていない。
優しさに包まれ、安らげる場所が無ければ壊れてしまう。
それは時に家族であり、友人であり、彼女にとっては夢だっただけだ。何も悪いことではない。
少なくとも、自分のように優しさと安らぎにさえ押し潰され、打ちのめされるより、ずっといい。
枕元に腰掛け、長く艶やかな髪を静かに指に絡めてみる。
それはまるで絹糸のように滑らかで、そっと持ち上げてはさらさらと零れ落ちる。
窓から差し込む朝日を受けてきらきらと輝く様子は、まるで季節外れの桜吹雪のよう。
「ン……ん?」
「あ、起こしちゃったか……って、その方が良かったか。
お早う、ルイズ。朝だよ」
そう言ってクロードはにっこりとルイズに微笑みかける。
それを見たルイズの顔が、ボンッ、という音を立てて真っ赤になった。
あっけにとられるクロードを他所に、跳ね上がるように起こした上半身を思いっきり捻るルイズ。
そして─────
ばっち〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
「お〜、今のは良い角度で入ったな」
「───ッッツ! な、何すんだよッ!!」
「うるさいうるさいうるさーい!!
せっかく素敵な夢を見てたのに、勝手に出てくるんじゃないわよ! この馬鹿!」
「そんなの僕が知るわけないだろ!」
かくして、いつもと概ね変わらぬ調子で、彼女たちの一日は始まる。
この一日から自分たちの運命が大きく変わっていくことなど、知るよしもなく。
227 名前: ほしをみるひと [sage] 投稿日: 2008/01/05(土) 21:54:59 wzw939KA
以上、第2部冒頭でありました。どなたか転載をお願いします。
年末は色々と忙しかったので書く時間があまり取れませんでした、更新が遅れてすいません。
ちなみに現状SO1stのためだけにPSP買うかどうか真剣に悩み中。
ホントにどーすっかなぁ。ジエたん強化されてんのかなぁ。
---------------
以上、代理投下しました。
あと、480kb超えたんで、新スレ立てに行きます。
支援
乙
NetHack から tWoY を「イェンダールヴ」として召喚。
「我を召喚せしと思いしか! うつけ者め!」
代理乙
スレ立て乙
さあ埋めようか
乙
梅
500kbなら本編終了後のヴァルストークファミリー召喚
ただし、ヴァルストークとヴァルホークはナシでw
第一部終了時のカズマ・アーディガンってかトンビのみ召喚の方が楽だって。
サイトより応用範囲広いし、からかわない。
500kbなら、ストレイト・ジャケットから、円盤魔族を召喚
えんばんえんばんえんばんばん〜♪
えんばんえんばんばばばばば〜ん♪
ハルケギニアの魔法はストジャの魔族に通用するんだろーか?
500kbならアインハンダーよりミリアム召喚
星の人の代理、乙でした。
SOFDはロニキスがラティとウホッなイベントが2、3追加されてて
どう反応すればいいのか分からん出来です。
500kbなら
十傑集とシャッフル同盟が同時に召喚される
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500KBならボスボロット召喚、勿論ボスつき
シエスタの祖父はアニメ版の三博士の一人で
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出来ればただ埋めるだけでなく、何かネタを・・・
500kbなら刀語より錆白兵召喚
>>893 嵐にそんなこと言っても…
と、こんな中で物騒な番号を取ってるなあw
じゃあネタを
アニメ3期なんて作らずに制作スタッフ全員変えて2期を作り直せと思うの俺だけ?
500kbならバロックのアリスたん召喚(上田信舟版の)
ただし創造維持も来るので大熱波が起こる
898 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/05(土) 23:09:54 ID:c3Nk141B
500kbなら
仮面ライダーブレイドより矢沢ことカプリコーンアンデットを召喚。
ただ「フォーッ!!」って言わせたいだけだ……orz
>>895 ヤクザということで龍が如くから桐生一馬というのはどうだ?
sage忘れスマソ
500kbならトップをねらえ2!からノノを召喚。
500kbならレンズマン・ウォーゼル召喚
未開の惑星ハルケギニアに召喚されたウォーゼルは、状況に困惑しながらも
この未開の惑星の住民が銀河文明の一員になれるよう努力する
そんな時、トリステインで謎の失踪事件が… とか
どうせならブレイドの虎姐をだな・・・
500kならアルビオンからMHが出てくる
そこでもデルゴン貴族かよおい
>>899 ハルケギニアの地で仁義を通す兄貴とかかっけぇなぁ
>>905 だって上帝族じゃないと面白くないじゃん
機械の群れと戦わせて楽しいか?
何よりデルゴン上帝族相手じゃないとデラメーターや精神破壊で終わっちまうじゃないか
バロックの棺桶男を召喚……迷宮職人とかぶるか。
異形や天使どもを呼んでも動かしにくいし、角女を召喚して心を読むツンデレ殺し。
おわぁ おわぁ
来週から仕事か・・・
がんばるか
結界師より扇六郎(こないだ切り捨てられたかわいそうな子)召喚
問題は彼に何ができるのか殆ど作中で触れられていないことw
第二段階レンズマンに使い魔の契約が通用するとも思えないが
レンズの力でどうにかしちゃいそう
それ以前にメインキャラなら異界召喚でもメンターに捕捉されて助けが来る流れに確実になるわな
SO1のジエは七星双破斬連発してるだけで勝てちゃったからなあ。
リメイク版だとどんぐらいなんだろ。
メンターが来ちゃうと、そこでおしまいだよな・・・
と、思いつつ、クラリッサとレーシー外科部長をペアで召喚。
490KBならlainの岩倉玲音召喚。ワイアードが無いと何ができるだろ?
最後ならソール11遊星主召喚
埋めを兼ねて小ねた
「え? あんた平民じゃないの?」
「へ、平民ですけど、ひいお祖母ちゃんがメイジだったらしくって」
昨日までメイドだったはずのシエスタが、制服を着ているのを見て驚くルイズ。
学費は、恩人に報いるためとオスマンが出したのだ。
「使い魔を呼び出せたってホント?」
「はい。大ケガしてたので治療してもらってます」
ルイズが呼び出したサイトと同じく、使い魔に平民を呼びだしたそうだ。
春の召喚儀式を見ていた彼女が、何となく真似しただけで呼び出せたらしい。
なんで真似したのとか、なんで呪文を知ってるのかとか、ツッコミどころ満載だ!
「それで、その人が?」
「そうなんです! ミス・ヴァリエールの使い魔にそっくりなんですよ!」
学院に揃った二人のサイト!
一人は東京から来たばかりの平凡な学生。一人は七万人相手に戦った歴戦の勇士。
ガンダールヴが二つ。
ありえない状況に、時空の亀裂が影響していると判明するのはいつか。
サイトの祖父、ヒロ・ナカムラの正体とは?
アメリカドラマ・ヒーローズがねたですが没っス
大人しくない方のレインが召喚されたらそれはそれで面白そうだが
単なるキレキャラでおわるようなw
490kbなら
金色のガッシュのティオ召喚
>>914 逆に考えるんだ
「お前がそこで使い魔として行動するのは必要である」
「なんですって、メンター!」
宇宙を征服して病に倒れヴァルハラを征服しに行くついでに
召喚されてしまってハルケギニア征服に乗り出すラインハルト
虚無がなくてもなんとかしてしまいそう。
ジーザス・恐怖のバイオモンスター召喚
某寄生クロスと似たオチになるな。だめだこりゃ
1巻の時の才人、2巻の時の才人、3巻の時の才人、4巻の時の才人、5巻の時の才人……
と、13人全員召喚というのは
491kbならルルーシュ召喚。
501KBならプレデリアン召喚
そして後からザ・クリーナーがハルケギニアに来襲
セサミストリートのクッキーモンスターを召喚
・・・・いや、ただ
>>922のバイオモンスターを見て思いついただけだけどさ
500KBなら「〜を召喚してくれ」という願いは叶わない。
>>924 ギーシュと色々揉め事起こしそうだな
中の人的に言って
500KBならランドリオールのDX召喚
ガチガチに固まった身分の概念をちょっと柔らかくしてくれそうなとこと、
竜創で契約弾きそうだから、あえて使い魔補正なしの使い魔をやってみたかった。
しかしあの性格を書ききる自信がなくて断念。難しすぎる。
そしてものすごーくマイナー。
<<こちらサンダーヘッド。まだ8kB残っているぞ>>
私語は慎め
500KBなら赤貧ハーフエルフのマウナ召喚、ただしエキューがしがみついて付いて来る
どっちと契約するね?ルイズくん
メタルマックス2のテッドブロイラーを召喚して
ルイズを肩に乗せてモヒカンスラッガーで世界征服・・w
>>926 500kbならエルモ召喚。
クッキーモンスターもシエスタのお菓子(クックベリークッキー?)ネタでよさげだな。
500KBだったらスターセイバー召喚。
いや、トランスフォーマーSS2作品みてつい…。
もしこのスレが1000まで行ったら魚座のアルバフィカ召喚をマジで書く。
501kbならペットのPちゃんを召喚
500kbなら悟空道の武器王・紅孩児を召喚
501kbなら最遊記から李厘を召喚。
1000ならPON!とキマイラから乙部清丸召喚。
コッパゲと意気投合して、命の限り好き勝手に世界征服開始。
あとアルビオン大陸内部に封印された神獣のカードがあったり…
501kbならマイボスのマッキーを召喚。
遅刻者はトリステイン体操をやらされ、担任(コッパゲかシュヴルーズ先生)と交換日記、
シエスタが休んだせいでクックベリーパイ騒動が起こる。
ランドリのDXとPONキマの清丸とか大好物すぎるww
あれは原作者にしかキャラを作るのは無理だww>DX
Wikipediaで調べてきたら、プリン騒動の正式名称は【第一次プリンショック】で、命名者は体育の先生………
魔法学院に体育の先生なんていたか?
501kbなら土曜九時の日テレ枠のドラマのキャラから誰か召喚。
埋めとく
500kbならラムザ召喚する
501kbならシュシュトリアンを召喚。
500kbなら、さくら大戦から、大神一郎を召喚
501kbなら、さくら大戦から、.大神華撃団フルメンバー召喚
…実は書いてみようと思ったんだが、自分に文才が無いことがまざまざと…orz
501kbなら欧州戦国浪漫からエルフリーデ召喚。
○________
埋めるわよ |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ
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__ ィ ,. -――- 、 |:|:二二二二二二二 !// /
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ |:|//:::::||.:.||:::::\\l /
ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ
ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / !
ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l
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\! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l
__ |\ l/V _{_____/x| (_|::::__ノ }ィ介ーヘ / ,.-‐ ' ´ / ____  ̄ ̄フ ∧ l
)-ヘ j ̄} /| /___/xx| _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___ { / `< / \|
{ V /`7. /___./xXハ ( |:::::::::::::::::ハ >' ____ 二二二二二二> / __ 〈
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| ヽ /____|]]∧ __|__L.∠ ム' <`丶 、 `丶、 / \_____/ /
| ', { |]]]>' __ ∧ l\ \ 丶、 ` 、 ∠ -――- ..____ノ /
ノ } l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/ V' \ ヽ `丶\/ /
/ ∧ { \ | .|>' / // :/ :/ : ', l \ ヽ ,.-――┬ \ /
入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V ヽ \ ,. '´
`ー′ \ `< | { / | /〃 :|/ __V/ ̄| ̄ ̄{_ \_ ` <
\ `' ┴ヘ { .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' | / ノ`y‐一' >、_/ / ̄ 7丶、_ 丶
\ ヽ /`ー「と_し^´ | | } ム-‐' / / \_/ / / ヘ \
ヽ _>-ヶ--∧_} ノ j /` 7 ̄ ̄ ̄{ (  ̄ ̄`ー‐^ーく_〉 .ト、_>
', / 人__/ .ィ {__ノ`ー' ヽ 人 \__ { } |
V 人__/ / | /  ̄{ ̄ >‐ ァ-、 \ 〉ー} j
{ / ./ ∨ __  ̄ ̄ >-</ / ̄ ̄ 廴ノ '
<ヽ__ /し / < )__ \ _r‐く___/ / < ) \ {__ノ /
Y__>一' / ___r―、_\ >' `ー' ,. ´ >.、 \__ノ {
∠二)―、 `ー‐┐ ∠ ∠_r‐--― <__ ∠ )__ \_
∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|> ∠)__r―――-― ..__{> ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
500なら笑ってはいけないトリステイン魔法学院
500kbなら地球へ…のソルジャー・ブルー召喚。
501kbなら海の影月の闇からルナウイルスだけを召喚。
501kbならマイ★ボス マイ★ガンダールヴ
501kbなら泰麒を召喚。
501kbならチンクルかどせいさんか幸薄型スターミーを召喚。
500KBなら、休止中の作品が2作復活
501kbなら古王国記からライラエル召喚
501kbならネシャン・サーガとのクロスを自分で書く。
500kbで
500KBなら移動要塞国家ママトトを国民ごと召喚。
ただし、ままにょにょ仕様で。イデヨンの使用は可能で、召喚キャラたちも一緒に召喚。
501kbならダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品から誰か召喚する。