>>1 乙でございます!!!
しかし年内にスレが立つとは……恐るべき年末パワー。
>>1 今年最後に全力全開の乙
このまま朝までノンストップで投下されたりしてw
>>1乙
それでは僭越ながら、スレ最初の投下をさせていただきます。
…ひょっとして今年の大トリ? ワオ、プレッシャー
OK! ならば誰かが年内に本スレに投下してくれることを願おう。
魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
第9話「スリー・ハウンドドッグズ」
燃え盛る地上本部に降り立つ4つの人影。
「大丈夫か、2人共?」
その中の1人――アンジールが、2人の戦闘機人へと声をかけた。
「問題ありません」
「少し痛みますが…戦闘には支障ないです」
トーレとセッテが、それぞれに戦闘続行の意志を述べる。
その様子に、アンジールはホッとしたような表情を浮かべた。
「そうか…では、ここを頼むぞ」
「兄貴!?」
突然の一言に、セッテが思わず大声を上げる。
「どちらへ行かれるのですか?」
一方のトーレはつとめて冷静に振る舞ってはいるが、内心の動揺は隠しきれない様子だ。
「俺は室内のチンク達の元へ向かう。お前達は、外でアイツを押さえていてくれ」
視線を遠くでガジェット相手に奮戦するフェイトに向け、アンジールが言った。
「そんな…それでは私達がお守りすることがっ!」
「よせ、セッテ」
必死に言い募るセッテを、ようやく完全に落ち着いたトーレが制しようと、右腕で遮る。
「俺のことなら心配無用だ。それに、向こうは敵も多いし、若い連中も多い…」
だから、自分がフォローに回らなくてはならない、と。
現在地である外部は、今はゼストがヴィータを押さえてくれている。
しかし室内には、なのは、スバル、ティアナと、大勢の戦力がいた。むしろこちらの方が危険だろう。
「ですが…!」
「現状でアイツと高速戦闘に持ち込めるのは、お前達だけだそうだ。…大丈夫だ、お前達は強い」
アンジールがそう言って、セッテをなだめる。
「だから俺も安心してこの場を任せることができるんだ。…ルーテシア、頼む」
転移魔法を促す声に、ルーテシアが無言で頷いた。
「兄貴…ご武運を」
「ああ」
最後にトーレに短く応じると、アンジールの身体は転移魔法の魔法陣へと消えた。
「はあぁぁっ!」
丸太のように太い剛腕が、ガジェットの1機を一撃で粉砕する。
同じく混乱の中にある機動六課隊舎では、ザフィーラがガジェット相手に奮闘していた。
迫り来る鉄の塊を蹴り砕き、殴り倒し、真っ二つに引き裂く。
時折こちら目掛けて攻撃が飛んでくるが、強固な防御魔法に阻まれ、傷一つつけることはできない。
「ぬぅあぁぁぁっ!」
ザフィーラはガジェットを両手で掴み上げると、裂帛の気合いと共に豪快に投げ飛ばした。
それがもう1機のガジェットに命中し、大爆発を起こす。
「貴様ら雑兵ごときに、この私は倒せん!」
管理局の1匹目の猟犬が、新たなガジェットに拳を叩き込むと同時に、力強く言い放つ。
ヴォルケンリッターの一翼を担うザフィーラは、数百年の時を戦い続けた歴戦の戦士だ。
ナンバーズとの戦いで、既に身体にはかなりの疲労が蓄積されていたが、そんなものはガジェット相手にはハンデにすらならない。
おまけにセフィロスと共に破壊し続けたことで、徐々にAMFも薄れつつあった。
「てぉああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーッ!!!」
猟犬の咆哮と共に両腕が突き出され、放たれた鋼の軛が、実に10機ものガジェットを地面に縫い付けた。
もう1匹の猟犬の戦いぶりも凄まじかった。
「はっ!」
ナンバーズが壁役のために放ったガジェットが、ものの見事に断ち斬られる。
セフィロスの振るう長大な正宗は、一振りで4機もの敵を薙ぎ払う。
加えて、彼自身も凄まじい力量の剣士だ。
必殺の斬撃が絶えることなく放たれ、迫り来るガジェットを次から次へと斬り刻んでいく。
一騎当千、天下無双。
雲霞のごときガジェットの中心で、さながら伝承の剣聖のように、セフィロスは鋭くかつしなやかに剣舞を舞った。
「く…このっ!」
相手の実力を目の当たりにし焦るオットーが、セフィロス目掛けて広域攻撃を繰り出した。
しかし、数機のガジェットが巻き添えを食らうのもお構い無しに放たれた攻撃を、セフィロスは事も無げに飛びすさって回避する。
「ディード!」
「分かった!」
すぐさま、それを待っていたとでも言わんばかりにディードが躍り出る。
空中に浮いたセフィロスが攻撃を回避するのは困難なはずだ。
ならば、このタイミングで懐に潜り込めば、双剣の手数で圧倒できる。
「だぁぁーっ!」
セフィロスへと迫りながら、ディードが叫び、ツインブレイズを振り上げた。
「確かに、剣が二振りあれば手数も増えるだろう」
しかし、不意に刃がディードに襲いかかる。
「くっ…!?」
「ただでさえ振りに時間のかかるこの剣では、普通なら対応できない」
それは正宗の切っ先だった。
長身であるセフィロスの背丈すら凌駕する刀の刃先が、ディードの突撃よりも速く突き出されたのだ。
「だが、生憎と俺は普通じゃない」
セフィロスの淡々とした口調と共に、正宗の長い刀身が、絶え間なくディードを狙う。
一方のディードは、ただただそれを受け止めることしかできない。
「お前以上の手数をこのリーチでこなせるのなら…」
正宗の長さは、ツインブレイズに倍するほどだ。
その切っ先ギリギリのこの間合いでは、ディードの攻撃など、セフィロスの身を掠めることすらかなわなかった。
「俺の勝ちだ」
遂にセフィロスの一撃が、ディードの双剣の片割れを吹き飛ばした。
「くそっ!」
ディードが吐き捨てる。
しかし、その程度に留まるほど、この男の剣は優しくも遅くもない。
一瞬で間合いを詰めると、次なる一振りでもう片方の剣を弾き飛ばし――
「ぐっ…あああああああああああああああッ!」
ディードの両腕は、肩口から叩き落とされていた。
「ディ――!」
「動くな」
オットーが彼女の名を叫ぶのを、セフィロスは一言で黙らせる。
そして正宗を収め、左手でディードの首を掴むと、その身を持ち上げた。
「お前達戦闘機人は、腕を斬られようが脚を斬られようが何の痛手にもならないことは知っている」
次に戦うまでには修理されるからな、とセフィロスが言った。
「あぐっ…ぅ…」
ディードは恐怖していた。
コイツは普通じゃない。自分を見る目が人を見る目じゃない。
死のうが生きようが知ったことではない、といった、命に何の感慨も持たない、冷たい目だ。
こんな奴に何をされるか分かったもんじゃない。
今まさにディードは、姉ディエチが味わったのと同じ恐怖を実感していた。
「ならば、修理させないまでだ」
空いたセフィロスの右手から、ファイガの火球が姿を現す。
「ひ…!」
殺される。
直感的に理解したディードの口から、微かな悲鳴が漏れた。
炎の塊は、しかし2つの火の玉に分かれると、ふわふわと浮いていき、
「…ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」
耳をつんざくかのような悲痛な絶叫をもたらした。
「ディードォォォッ!」
オットーが悲鳴のようにその名を叫ぶ。
「切断面を熔解させた」
セフィロスが事も無げに言い放つ。
ディードの両肩は、灼熱の炎によってその肉と神経、そして機械部品を侵されていた。
「ひぎっ…あ…あああああああああああああああ…!」
耐えがたき激痛に、ディードは狂ったように叫び続けた。
目の焦点は合わず、両脚をひたすらにばたつかせる。
「火が消えた頃には、その傷口を鉄の蓋が塞いでいるだろう」
次に戦う時までに、修理など間に合うはずもない、と。
地に落ちたディードの右腕を、セフィロスは容赦なく踏みつけた。
潰れたトマトのように、地面に赤いしぶきがぶちまけられる。
「…お優しい八神部隊長に感謝するんだな。俺はお前達を殺しはしない」
言いながら、セフィロスはオットーに向けて、ディードをゴミのように放り捨てる。
「それ以外は勝手にやらせてもらうがな」
と、彼は付け足した。
「…ッ!」
息も絶え絶えなディードを受け止めると、オットーは厳しい視線でセフィロスを睨む。
ディードの味わった苦痛が常軌を逸したものであることは目に見えている。
こういうことを思っては不謹慎だろうが、これでは一思いに殺した方がまだマシではないか。
それだけの地獄の責め苦を与えておきながら、「お優しい」などとほざくセフィロスが許せなかった。
とはいえ、オットー1人にこの男を倒す技量はない。
(あらあらぁ、大ピンチみたいねぇオットーちゃん?)
と、不意にオットーの元へと通信が入った。
(クアットロ姉様…?)
本来クアットロは、この作戦には参加していないはずだ。ということは、わざわざ来てくれたということか。
予期せぬ救援に、オットーは内心でほっと一息をつく。
(ドクターに言われて来たけれど、どうにか2人共やられちゃう前に間に合ったみたいねぇ)
(うん、何とか…それより、ディードが危険な状態なんだ)
(オッケーオッケー。シルバーカーテンで退路を作ってあげるから、上手く逃げてねぇ♪)
言い終わると同時に、オットーの周囲に無数のガジェットが姿を現した。前回の戦闘でも見られた幻影である。
加えて、クアットロの引き連れてきたガジェットも参戦し、セフィロスの周りが再び敵で埋め尽くされる。
「覚えてろ…今は勝てないけど、次は必ずお前を倒す…!」
最後に烈火の怒りを込めて言うと、オットー達も姿を消した。
「フン…」
オットーの言葉には耳も貸さず、セフィロスは無表情のまま正宗を抜刀する。
突然現れたということは、これはなのは達が戦った幻影のはずだ。その推測は正しい。
しかし、セフィロスにはそれらの見分けがまるでつかなかった。
「面倒だ。全て斬り伏せる」
と言うより、見分けをつける気もなかった。
きっと何とかなる。
ヴィヴィオはそう信じ、しかし恐怖を抑えきれず、1人震えていた。
みんなが頑張っている。悪い奴らと戦っている。何より、なのはママがきっと助けに来てくれる。
(なのはママもいってたもん…かえったら、キャラメルミルクつくってくれるって…)
だから、きっと大丈夫。
「!」
しかし、その望みも虚しく、漆黒の召喚蟲がヴィヴィオの眼前に姿を現した。
ヴァイスのヘリが六課に到着したのはこの時だった。
「ストームレイダー! 操縦頼む!」
『All right.』
ナビゲートを任せているデバイスに操縦を委ねると、自らは座席の後ろへと手を
伸ばした。
引き抜かれたのは、一般的に局員に出回っているライフル型ストレージデバイス。
「またコイツを使うことになっちまうとはな…」
一瞬苦々しい表情を浮かべたものの、すぐに気持ちを切り替え、開いたドアから身を乗り出す。
そして地上のガジェットに狙いを定めると、次々と魔力の弾丸を放った。
1発、2発、3発…それら全てがあやまたず命中し、ガジェットを破壊する。
「よっし! 腕はまだなまってない!」
思わずそう言ってしまう自分を見つめ、ヴァイスは内心で苦笑していた。
あの事件があってもなおそんな感想が持てるということは、やはり自分も根っからの狙撃手か、と。
微かに揺れ、風が照準を妨げるヘリの上で、遥か下方の地上の敵を狙い撃つ技術は、紛れもなくエースのそれだった。
やがて、ヴァイスの耳に、自分のヘリとは異なるプロペラ音が飛び込んできた。そちらを見ると、そこにはもう1機のヘリ。
(アルト達も間に合ったみたいだな)
増援の姿を認め、ヴァイスは安堵の表情を浮かべる。
しかし、下方から聞こえた爆音が、彼を現実へと引き戻した。
見ると、隊舎の屋上に新たな人影がある。周囲の状況からして、恐らく下から天井を破ってきたのだろう。
「ゲッ! マジかよ…」
そして、その黒い人影――召喚蟲ガリューの手には、泣き叫ぶヴィヴィオの姿があった。
「ストラーダッ!」
『Explosion.』
アルトのヘリから、デューゼンフォルムの炎を噴かせてエリオが飛び出す。
ストラーダの穂先は一直線に隊舎へと向かい、ガリュー目掛けて降り下ろされた。
少年騎士の槍と蟲戦士の拳が激突する。
ガリューの身に届きこそしないものの、エリオは次々とストラーダを突き出した。
疾風怒濤のごとき攻撃は、ともすれば狂っているようにも見える。それほどまで
に、エリオは必死だった。
しかし、その猛攻の隙を突き、ガリューの回し蹴りがエリオの身体を吹っ飛ばす。
たまらずヴァイスはデバイスを構え直すと、倒れたエリオへと迫ろうとするガリューを狙った。
銃弾はガリューの足元に命中し、敵の歩を止める。
「ったく、危なっかしいな…」
完全に目が据わっていたエリオを思い出し、ヴァイスは冷や汗を流しながら呟く。
そして次弾を放つべく引き金へと指をかけるが、そのスコープに新たな人影が入ってきた。
「なっ…!?」
ヴァイスが息を呑む。
現れたのは、先ほどまでガリューの影に隠れて見えなかったルーテシアの姿だ。
無論、その幼さが彼の手を止めたわけではない。スカリエッティ陣営の召喚士が幼女であることは、既に分かっている。
この構図そのものに、ヴァイスは手を止めたのだ。
自分はデバイスを携え、ターゲットを狙っている。スコープに映るのは、幼い少女。
数年前に彼が経験した「ある事件」と、まるきり瓜二つの状況だった。
エース級スナイパー・ヴァイスが武装隊から身を引いたきっかけとなった事件と。
(俺は…!)
ヴァイスはあの時――
「ッ!」
ルーテシアがその手をかざした次の瞬間、ヴァイスの意識は暗転した。
弾幕が足りねえっ! 早く支援砲火の要請を急げ!!!!
地上のセフィロスの耳に轟音が届いた時には、ヴァイスのヘリはルーテシアにプロペラを破壊され、地上へと落ち始めていた。
追い討ちをかけるかのように、屋上からエリオの身体が放り出される。
(ザフィーラ!)
反射的に転移魔法を準備すると同時に、離れたところで奮戦するザフィーラへ呼びかけた。
(俺はエリオの方を対処する。ヘリを頼む)
(全く、無茶を言ってくれる!)
反論を挟む間も与えず、セフィロスの身体が魔法陣に消えた。
そして、元より盾の守護獣に反論する気などない。
飛行魔法でガジェットの群れから飛び上がると、全速力でヘリの下へと回り込んだ。
ザフィーラが到達すると同時に、エリオを回収したセフィロスがヘリの上に飛び乗る。
「行けるな?」
「無論だ」
短いやりとりを終えると、セフィロスがその驚異的な脚力をもって、今度はアルトのヘリの上へと跳躍する。
それを見届けると、ザフィーラはその両手に防御魔法を展開し、ヴァイスのヘリを真っ向から受け止めた。
「ぬおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
それで止まるはずがない。
ザフィーラの身体を押し退けるように、ヘリは着実にその高度を落としていく。
(安請け合いなどするものではないな…!)
褐色の頬を冷や汗が伝う。
まさかヘリを受け止めるということが、これほどの重労働だとは思いもよらなかった。
この数百年の間、こんな異常事態は過去に経験したことがないのだから、無理もない。
ザフィーラの表情が苦悶の色に彩られた。
「鋼の軛ぃっ!」
それを吹き飛ばすかのように、ザフィーラは雄叫びを上げる。
間髪入れず、10本の光条が地上からヘリへ――「通常とは反対向きに」伸びた。
鋼の軛は鉄の塊を次々に貫き、猛烈な勢いでその落下速度を殺していく。
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!!!」
全身の全ての体力と魔力を搾り出し、ザフィーラは咆哮する。
いつの間にか地に着いていた両脚で大地を掴み、腕の筋肉が悲鳴を上げるのにも構わず、持てる力の全てでヘリを押した。
やがてヘリは完全に沈黙し、そこでようやく、ザフィーラの口から大きな吐息が漏れた。
「ふぅぅ…っ」
慎重にヘリを降ろすと、開け放たれた操縦席を確認する。
中ではヴァイスがぐったりと倒れていた。今の騒動の拍子に頭を打っていたが、命に別状はないだろう。
「ストームレイダー、何があった?」
ザフィーラは助手席に置かれたストームレイダーへと問いかける。
『敵の非殺傷設定弾を受け、気絶されました』
「そうか…ともかく、この場を離れるぞ」
言いながら、ヴァイスの身体を担ぎ、ストームレイダーを拾い上げる。
ザフィーラは今のでかなり魔力を消費していた。さしもの守護獣も、これではシャマルらを守りきれないだろう。
故に、この場をセフィロスに任せ、ザフィーラは負傷者の回収に専念することにした。
(後は頼むぞ…)
セフィロスのいるはずの空を見上げ、ザフィーラは内心でそう呟いていた。
ザフィーラが鋼の軛を放ったのとほぼ同時に、エリオがセフィロスの腕の中で目を覚ました。
「セ…フィロス…さん…」
「無事だな?」
相変わらずの冷たい声で、セフィロスはそれだけを問う。
しばらくエリオは虚ろな表情を浮かべていたが、やがてその顔に覇気が戻る。
「そうだ…ヴィヴィオ!」
「お前では無理だ」
立ち上がるべくエリオは身体をばたつかせるが、セフィロスがそれを制する。
「離してください! あの子は僕が…僕がっ!」
普段のエリオからは考えられない、鬼気迫るような光が、彼の瞳に宿っていた。
「…何があったかは知らんが…」
セフィロスは静かにエリオの身体をヘリの床に降ろし、左手を腰の正宗へとかける。
「アイツは俺が引き受ける」
次の瞬間、セフィロスの身体はルーテシア目掛けて一直線に放たれていた。
エリオがデューゼンフォルムを行使して到達する距離を、身一つで詰めていく。
そして屋上に着地すると同時に、ガリューの爪が襲いかかってきた。
セフィロスとガリュー、2つの黒の衝突。
(硬いな…)
召喚蟲の甲殻を相手に、セフィロスは内心で歯噛みした。
魔力リミッターがかけられていたとはいえ、ヴィータのギガントフォルムですら撃破には至らなかった鎧である。
正面から相手にしては、通常の攻撃では破れるはずもない。
(ならば…)
セフィロスの正宗がガリューの腕を弾いた。
続けざまに、凄まじい速度の剣風が吹き荒れる。まず一撃。続けて一撃。更にもう一撃。
絶え間ない斬撃が、すれ違いざまに8発、目にも止まらぬ速さでガリューに叩き込まれる。
セフィロスの必殺剣・八刀一閃だ。それも、シグナムとの模擬戦によって完全な形を取り戻したそれである。
ガリューの身体中の関節から鮮血が飛び散る。
「それでも倒せんか」
しかしセフィロスは、脆い関節を狙ったこの攻撃で仕留められなかったことに対し、不満げに呟くのだった。
「ガリュー…!」
絶対の信頼を寄せるガリューが傷つけられたことで、ルーテシアの顔が僅かに歪む。
そして、その手の中のヴィヴィオは、じっとセフィロスの姿を見ていた。
あれほどに恐ろしかった男が、目の前にいる。
冷たい目をしている彼が怖かった。訓練で新人4人を叩きのめす彼が怖かった。
「こわいおにいちゃん…」
だが、今は何故か、この男が頼もしかった。
もちろん、恐怖は消えない。相変わらずセフィロスは怖い。
しかし、それでもヴィヴィオは期待していた。
あんなに強いこの男なら――なのはママにも負けない強さを持ったこの男なら、助けてくれるのではないかと。
「じっとしていろ」
セフィロスがルーテシアに――そしてヴィヴィオに呼びかけた。
故に、ヴィヴィオは叫ぶ。
「…たすけてぇぇぇっ! こわいおにいちゃぁぁぁぁぁぁぁーんっ!」
それに呼応するかのように、セフィロスの脚が力強く屋上を蹴る。
弾丸のごとき速さで、黒い人影が一気に距離を詰める。
「ッ!」
しかし、あと一歩のところで立ちはだかる者があった。
あのガリューが、傷付きながらも翼を羽ばたかせて割って入り、セフィロスを阻む。
その一瞬の間に、あの紫の魔法陣が、ルーテシアとガリューの足元に現れた。
「チッ…!」
間に合わなかった。
セフィロスが舌打ちを打つ。
「いや…いやぁっ! おにいちゃん! たすけて…こわいおにいちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜んっ!!!」
絶叫と涙の粒のみを残して、ヴィヴィオの姿は消えた。
地上本部の一角。
六課隊舎で2匹の猟犬が奮闘する裏で、アンジールはチンク達の元に転移されていた。
「アンジール様」
真っ先にチンクがその存在に気付き、彼の方へと振り返る。
「ご苦労様ッス」
「ちぇっ…またお前かよ」
残る2人の妹――ウェンディとノーヴェもまた、それぞれに反応を返した。
ノーヴェの手には、意識を失ったギンガの顔がある。
「コイツがゼロ号の片割れか…」
アンジールが眉をひそめた。
その有り様は凄惨なものだった。全身は流血によって真っ赤に染まり、ところどころがおかしな方向に曲がっている。
酷いのは、スバルとは色違いのリボルバーナックルをはめた左腕だった。
完全に身体から落ちており、その手のひらはノーヴェに踏まれている。
「殺すのが目的ではないだろう」
これはあまりにむごたらしかった。
チンクに与えられ、彼女ら3人で遂行した任務は、戦闘機人タイプゼロ・ギンガの捕獲である。
ここまでやってしまっては、死んでしまう可能性の方が大きいぐらいではないか。
「申し訳ありません…相手もさすがに手強く、こうでもしなければ止められませんでした」
「チンク姉が謝るこたねーよ。ちゃんと捕まえられたんだから」
心底申し訳なさそうに謝るチンクに対し、相変わらずノーヴェは反抗的な態度を崩さない。
アンジールは特にそれ以上咎めることはしなかったが、内心はやりきれない気持ちでいっぱいだった。
(この子らは、人殺しを当然のように行っている…)
それ自体を責めるつもりはアンジールにはない。元ソルジャーの自分もそうなのだから。
問題は、彼女らの若さだった。
ナンバーズは総じて若い。特にウーノやトーレ以外の面々は、自分の後輩のザックスよりも更に若いのだ。
そんな子供達が、こうして他者を平気で死亡寸前に追い込んでいる。アンジールには、それが堪えられなかった。
「ギン姉…っ!?」
と、彼の背後から、驚愕も露わな声が響く。
まだ若い少女の声だ。それこそ、ノーヴェと同じくらいの年頃のような。
振り返ると、そこにはバリアジャケットを身に付けた魔導師の姿があった。
「…!」
「コイツはッ!?」
ナンバーズの面々に緊張が走る。
ギンガを姉と呼ぶこの少女こそ、もう1人のゼロ号機――タイプゼロ・セカンド・スバル。
「あ…あぁ…ぁ…ッ…」
驚愕と絶望に歪んだスバルの口から、ほとんど呻きのような声が漏れる。
見るも無惨なまでに痛め付けられた肉親の姿。緑の瞳が、涙で滲む。
否、次の瞬間には、最早その瞳は緑ではなかった。
金。
アンジールの後ろに立つナンバーズと同じ、金色に輝く冷たい目。
刹那、スバルの表情は反転した。
「…うああああああああああああああああああああああっ!」
突如湧き出した底無しの魔力。
それに勝るとも劣らぬ気迫をもって、スバルは凶暴な絶叫を上げる。
突然の出来事に、ナンバーズはおろか、あのアンジールすら面食らう。
「…返せ…!」
普段のスバルを知る者ならば、到底想像もつかない、剥き出しの殺意。
「ギン姉を…!」
リボルバーナックルのカートリッジが一挙にロードされた。
「…返せえええええええええええええええええええええええええええええーッ!!!」
頭が沸騰する。何も考えられない。思考が働かない。
それでも、考えずとも分かることがあった。
目の前で、ギン姉が苦しんでいる。ボロボロになって、倒れている。
そして、ギン姉をそんな風にした奴らがいる。
そんな奴らをどうすればいいのかは、知っていた。
マッハキャリバーの耐久限界を遥かに超えたスピードでスバルが迫る。迎え撃つべく、ノーヴェが真っ先に前線に躍り出た。
リボルバーナックルとガンナックル、ほとんど同じ機能を持った得物がぶつかり合う。
しかし、そこに宿るものには、圧倒的なまでの隔たりがあった。
憤怒、憎悪、殺意…ありとあらゆる激情の込められたスバルの拳は、徐々にノーヴェを押していく。
「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉーっ!」
「はああああぁぁぁぁぁぁぁーっ!」
それぞれのローラーブレードを走らせ、スバルとノーヴェの脚が空中で激突する。
疾風と疾風。
互角のキック力同士の衝突は、両者が弾き飛ばされるという形になった。
「くっ…コイツのIS、接触兵器か…!?」
しかし、ノーヴェの受けたダメージはスバルの比ではない。
ほぼ同レベルの腕力と脚力で争っているにもかかわらず、既に全身から悲鳴が上がっていた。
「ノーヴェ、下がれ」
「チンク姉!?」
不意に前に出たチンクの名を、ノーヴェが驚きを隠そうともせずに叫ぶ。
「姉なら触れずに戦える」
「頼むッス!」
対してウェンディの対応は素早かった。
自らのIS・エリアルレイヴを起動し、浮遊するボードの形を成すそれにギンガを乗せ、ノーヴェに手を伸ばす。
「ノーヴェ、急ぐッスよ!」
「でも…!」
だが当のノーヴェは、チンクの身を案じて動こうとしない。
「安心しろ、必ず戻る」
「それに、何もチンクだけで戦うわけじゃない。俺も一緒だ」
だから安心しろ、と、チンクの隣に立ったアンジールが言う。
「…後で、セインが助けに来るはずだから…だから、それまでチンク姉を死なすんじゃねーぞっ!」
そう言い残すと、ようやくノーヴェもボードに乗る。
「ファイトッスよ、チンク姉、アンジール兄!」
ウェンディの言葉と共に、エリアルレイヴは戦線を離脱した。
「…ああ、約束しよう」
そう呟いてノーヴェらを見送ると、アンジールは背中のバスターソードを手に取った。
「申し訳ありませんアンジール様、わざわざ…」
「やれやれ…お前達は本当に謝るのが好きだな」
事あるごとに謝罪をするトーレの姿を思い出し、アンジールがチンクの頭へと手を伸ばす。
「俺達は仲間だ。そんなに俺のことを気にすることはない」
「…はい…」
ぽんと頭に手を置くアンジールに、少し顔を赤くしながらチンクは返事をした。
「ギン姉を…返せぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
そこへ、ようやく態勢を立て直したスバルが猛スピードで突っ込んでくる。
「お前の相手は俺達だ!」
アンジールの反応も素早かった。
即座にバスターソードの腹でスバルを吹き飛ばすと、その両脚目掛けてブリザガを放つ。
「くっ!?」
スバルの脚が凍りつき、その身が地面に固定された。
「今だ、チンク!」
「はぁっ!」
合図と共に、チンクが懐から無数のナイフを放った。
IS・ランブルデトネイターによって爆破能力を持ったそれは、接触と同時に轟音を立てて爆発する。
情けも容赦もない、「殺す気」の一撃だ。
獰猛な野獣同然のこの少女に――3匹目の猟犬と化したスバル相手に、そんなものをかける余裕はなかった。
「邪魔を…!」
一面に立ち込める爆煙の中、しかしスバルの声が響く。
「…するなああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
咆哮と共に、煙を割ってスバルが突撃する。
既に身体は爆発と凍傷によってボロボロだ。半ばちぎれかけた腕からは機械部分が露出している。
にもかかわらず、彼女は攻撃の手を止めようとしない。
痛みを知覚できないのだから。怒りがあらゆる感覚を麻痺させていた。
「くっ…!」
チンク目掛けて一直線に振り下ろされた拳を、ハードシェルの防壁が受け止める。
しかし、それすらも無意味に終わった。
「ギン姉を…返せよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
大粒の涙を振りまき、拳から魔力の濁流を放つ。
ゼロ距離からのディバインバスターが、チンクの小柄な身体を吹っ飛ばした。
「くうぅぅぅっ!」
地面に倒れたところへ、散々に苛め抜かれてひび割れたリボルバーナックルが向けられた。
「そうはさせんっ!」
そこにアンジールが割って入り、バスターソードで拳を受け止める。
「だああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
強烈な重量をもって押し返してくる大剣相手に、スバルは一歩も引かない。
その圧倒的な腕力に驚嘆しつつも、アンジールは相手の拳に別の感覚を覚えていた。
(振動している…?)
バスターソードを通して、彼の手に微かな振動が伝わってきているのだ。
思えば、この戦いは妙なことばかりだった。
全く互角の能力だったはずのノーヴェが一方的に大ダメージを負い、
チンクの攻撃の巻き添えを食らわなかったはずのブリザガの氷が破壊されている。
(全て、これの仕業か…!?)
そんな思考が頭を横切った瞬間、遂にアンジールのバスターソードにも亀裂が入る。
(剣がもたん!)
即座に判断した。このままでは得物を失うことになる、と。
「セインちゃん到着〜!」
場違いに陽気なセインの声が響いたのは、この瞬間だった。
「助かった…」
「アンジール兄はどうする?」
チンクの身体を抱えたセインが問いかける。彼女の体格では、大柄なアンジールを運ぶことはできない。
「自力で離脱する!」
アンジールは力強く言い放つと、渾身の力を込めてスバルを振り払った。
限界を超えた剣が粉々に砕け、同時に背中から白の片翼が生え、一種幻想的でさえある光景を生み出す。
「あいよ〜」
セインはそう言って地面に潜り、アンジールはウェンディ達の行った方へと飛び去っていった。
1人残されたスバルは、しばし茫然として立ち尽くす。
「…あ…」
やがて、その膝が力なく地面についた。
取り逃した。
ギン姉を救い出せなかった。
破壊の限りを尽くす魔物の怒りはなりをひそめ、それに比例するだけの悲しみが胸に満ちていく。
「う…あぁぁぁ…! …うわああああああああああああああああああああああーっ!」
拳が虚しく地を叩く。
システムダウンを告げるマッハキャリバーの声も耳に入らない。
スバルはひたすらに泣き崩れた。
「壊さないで…」
機動六課隊舎の戦闘もまた、終わりを告げようとしていた。
「私達の居場所を…」
他ならぬ、あの気弱なキャロの手によって。
「…壊さないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーっ!!!」
悲痛な叫びが炎の海に響き渡る。
キャロの声は、背後に立つ巨大な竜の業火となり、ガジェット達を焼き尽くす。
真竜ヴォルテール。
キャロの切り札にも等しき古の竜が、遂に姿を現したのだ。
フリードさえも遥かに凌ぐ巨体を有したヴォルテールは、
ブラストレイなど比較にすらならないほどの火力をもって、六課を脅かすあらゆる敵を殲滅する。
そしてセフィロスは、それを隊舎の屋上から、じっと見つめていた。
(居場所を壊すな、か…)
キャロの絶叫を、セフィロスは反芻する。
自分の居場所に過剰なまでの反応を示す少女がいた。
居場所から切り離される者に過剰なまでの反応を示す少年がいた。
機械の身体を与えられた人造の女達がいた。
異なる世界から流れ着き新たな身体を得た旧友がいた。
この世界には、異常な奴が多すぎる。
「…ミッドチルダとは、何なんだ…?」
破壊の黒竜を見上げ、セフィロスはそう呟いた。
///////////////////////////////////////////////////////
>>5の最初の1文は忘れてください。俺は避難所からのコピペもロクにできないアホですともorz
なのはStylish氏ゴメンナサイ、惨劇は起こってしまいました。
そりゃまぁアンジールとはバラバラになっちまったわけですし…でもね、流石にボカァ思ったよ。
「セフィロスをゲッターチームと間違えてるんじゃないか?」と。
…ホント申し訳ない。
そいでは皆さん、何はともあれよいお年を。
GJです。
こんな事を言ったら間違いなく変態扱いだがディードをいたぶるセフィロスにゾクゾクじました。
やっぱ美少女はヒドイ目に会うべきだな。
17 :
戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 23:18:25 ID:C345MK13
GJ!GJ!
ザフィーラ…ヘリを止めるとは…。
セフィロスとザフィーラ。漢二人が輝いてるっ!?
俺から見るとそんな話でした。
ひでえ…ひでえよ、セフィロス! あんたがそんなことをする人だなんて……ああ、普通にやるか(遠い目
まあ、R指定は起こってしまいましたが、同時に熱いスーパーマッチョタイムごちそうさまでした(ぉ
アニメでのこの回は、容赦ないって点ではナンバーズも一緒だったから仕方ないかな。
ディードを確保出来なくて、残念だけどもしはやてが見たらまたこじれそうなのでよかったのか悪かったのか…ただ、アンジールの怒りは買いそうですね。
波乱万丈奇奇怪怪、こわいおにーちゃんセフィロスの冥府魔道の次回に期待ですw
そ、そこまでするかセフィロス!
いつもクールなディードにあそこまで恐怖と苦痛を与えるとは…。
……という事は、「ファイナルリミット」でのクアットロは……。
きっとセフィロスに…前回とは比べ物にならないくらいに切り刻まれて、
死ぬより凄まじい恐怖と苦痛を叩き込まれるでしょうね。
スーパーわんこタイム乙!
ザフィーラの活躍が嬉しい
あー、セフィロスってこんな事する人だったのかー。自分は王国心でしか知らないからものすげーギャップぞな。
さてはて、斯様なGJの後とあっちゃぁ気が退ける話ですが、12時過ぎ位に終わクロクロスの第8章を投下したい心持ち。
お許し頂ければ幸いなのですが、どですかね。
>>21 殺さないだけマシな気がする。
それにしてもザフィーラがこんなに輝いてるのを初めて見たな。
あけましておめでとうございます。
年明け早々に説明オンリーな今回を投下すんのもどうかと思うんで、今はちょっと見送る事にしました。お昼ぐらいにまた来るかなー?
>>21 新年初SSどぞー!
なのは「明けましておめでとう!」
十代「今年も楽しいデュエル……じゃなかった、SSを読んだり書いたりしようぜ!」
少女なのは「私達の作者も至らないところは多々ありますが、今年もよろしくお願いしますね♪」
キャラに自分の事を語らせる痛さは重々承知してるけど、こういうのは書いとかないと気が済まない立ちなので
・・・ウロスの方がよかったかな?
拓哉「あけましておめでとう!来年も「リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー」を宜しく!」
セフィロスうぅぅぅぅぅう!俺のディードを…俺のディードを…!(もちつけ)
ゆるっざん!(byてつを)
まぁなにはともあれ明後日の鍋パーティ楽しみだ。
26 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:09:56 ID:eaP5XxRf
幸村「うぉおおぉぉぉぉ!めでたいっ!」
はやて「うーん、そんな実感あらへんんけどなー。なぁ?忠勝さん?」
忠勝「とはいっても次最終回ですけどね」
はやて&政宗「お前喋れたの!?」
鍋パーティー。限りなく楽しいカオスになりそう。
で、ちぃと気が退けますが、差し支えなければ投下いいですかね?
それじゃあ景気づけに新年初投下いいですか?
新連載SS妄想戦士ヤマモトクロスなんですが。
>>26 どぞどぞ。
ろくな物が作れなかった自分に代わり、今年度初SSを投下してプリーズ!!
し・え・ん! し・え・ん!! し・え・ん!!!
29 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:13:03 ID:eaP5XxRf
ぬぬ…この場合順番は如何いたそうか…。
>> 26 ぬお!! では戦国氏がお先に投下をどうぞ。
バージル「では、今年もよろしく頼むぞ」
グレイヴ「…」
音速丸「てめえらモテ組みは出番控えろ!! 今年は俺が大暴れだぜ!!」
31 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:16:44 ID:eaP5XxRf
信長「…(音速丸に何故か親近感が沸いているようだ。)」
では、失礼して最終回投下いたします。
無茶苦茶な点もあるけど…うん、大丈夫。
32 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:17:25 ID:eaP5XxRf
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜
最終話「それから」
桜が舞う機動六課宿舎。
ここにJS事件を戦い抜いた英雄達は集う。
これで役目を終えた機動六課は解散…のはずが、武将達が元の次元へ帰るための手がかりは一向に見つかってないために運営期間は延びた。
何せ戦国時代から来たのだ。過去にさかのぼる…というのはかなり難しい話である。
どこか複雑な心境が胸に渦巻く。
「綺麗ですね〜、桜っていうんでしたっけ?」
「どうやら部隊長やなのはさんの世界の花らしいよ。」
「それはそうと、なんか嬉しいよね。まだ続くんでしょ?」
「まぁ…ね。でも、なんか複雑…。」
「それはそうだけどさ…っあ、ごめんなさい。」
歩いているスバルに男性局員の肩がぶつかる。スバルは謝るが男は近づく。
慌てふためくスバルだが頭の中に響いた念話で慌てる理由が別のに変わった。
(待て…ナカジマ殿、ランスター殿、モンディアル殿、ルシエ殿。自分は風魔小太郎だ。)
「え…えぇっ!?風魔さん!?なんで管理局の制服を!?」
「な…!?」
四人が驚くと風魔は肩を落とし、情けない顔でため息をつく。
(八神殿に魔力検査に協力をして、自分が魔力の素質があると言ったのだ。そうしたらこの服を着せられ、勧誘された。
まぁ、魔力があったおかげで念話とやらも使えるのだが…。)
「「「「あ…あははは…」」」」
そりゃまぁあんな自分の体を手裏剣にしたりとかすればあるはずだ。もしかしたら他の武将達もなのかもしれない。
しかし勧誘とは、八神部隊長がしそうなことだ。苦笑いすることしかできなかった。
ふと、何かを疑問に思い、エリオが質問する。
「そういえば…戦国時代って天下統一みたいなことをやってたんでしょ?大丈夫なんですか?」
(伊達殿をはじめ、かなりの権力を持った武将がいるからな。多分天下取りはかなり長引くだろう。)
「うわ…なんか他人事。」
(自分はもともと傭兵だったから、そればかりは。)
話を続けていくともう一人の忍が現れた。迷彩の忍者服を着ている姿からして猿飛佐助。
いつもののんきな笑みをそのままに、三人に語りかけた。
「いよぅ。おそろいで。」
佐助にティアナは気付いたこと質問する。
「佐助?アンタはどうするの?」
「今までどおり機動六課にお世話になるかなぁ。第一他の皆もそうじゃない?ほら、あれ。」
指差した先には管理局員のスーツを着て宿舎内を歩く大男、豊臣秀吉の姿が。後ろにはスーツに戸惑う幸村をからかう政宗、あきれ果てている小十郎と元親の姿もある。
幸村や政宗、小十郎と元親はともかく秀吉はデカイ。よくあんなサイズの制服が見つかったなと思う少女二人。
「あんな天下がどーたらこーたら騒いでた人がねー。ま、帰れないから仕方ないけどさ。」
(しかし、自分はできればこの世界にずっと暮らしていたい…。)
「あれ?なんでですか風魔さん。」
スバルの問いに風魔はさらに情けない顔をして
(「ご先祖様ぁ、お助け〜!」とむやみやたらに叫ぶ者の元で働くのはもう、御免こうむりたい…。)
こうなると、伝説の忍とやらも形無しだ。やっぱり四人は苦笑するしかなかった。
ルルーシュ「ルルーシュ・ランペルージだ。まずは新年おめでとうと言っておこう。
さて、既にご存知の通り、今年はギアス二期も始まるわけだ。そこでこの俺もクロスSSで…」
3年後スバル「ルルーシュ、あたし達はもう出番ないよ?」
ルルーシュ「何っ!? そんな馬鹿な! クリスマスだってばっちr」
はやて「はいはーいどいたどいたー! 今年は私らが主役やよ♪」
ルルーシュ「なっ!? おい、何だおm…ムグッ」
セフィロス「何故俺がこんなことを…」
はやて「まあまあ、たまにはツーショットとしゃれこもうやないの♪」
セフィロス「それは7話でやった」
はやて「(無視)てなわけで、みんな今年も私とセフィロスさんをよろしゅーな♪」
セフィロス「…ハァ…」
キリヤ「…えー…何か、騒がしくてすみません。では、戦国氏の作品をどうぞ」
34 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:18:39 ID:eaP5XxRf
宿舎の屋上。
第六天魔王との激しい戦いを終えて忠勝は空を眺める。
「隣、ええかな?」
後ろからはやてに声をかけられる。特に断る理由もない。手で「どうぞ」という風にジェスチャーをする。
隣に座るとはやても空を眺め始めた。眺めながら忠勝に話しかける。
「忠勝さん、戦国時代に帰れるとしたら…どうする?」
いきなり答えにくい質問をされて忠勝は盛大に悩む。頭からは「キュイィィィィン」と何かが唸る音がするが、これは忠勝が悩んでいる証拠。
そんな様子を見てクス、とはやては笑う。
「冗談や。こんな質問してごめんな。そういえば…こう二人でじっくりと話すのは初めてとちゃう?」
そういえばそうだ。はやてと話をしたことは幾度となくあったが短かったり、または他の者がいたり…という感じの会話ばかりだ。
とはいっても自分は喋れないからこれは会話なのかという疑問が頭に浮かぶが、気にしないことにした。
「機動六課の運営続行、上の人が一人変わるだけでこんなにも世の中って変わるもんなんやなぁ…。」
あれからスカリエッティは牢獄の中だ。多分ナンバーズの何人かも中にいる。
社会に出るための養成プログラムを受けているナンバーズにはちょくちょく会いにいってるし、ルーテシアは母親とともに幸せに暮らしているそうだ。
ゼストとレジアス、ドゥーエなるものは死亡してしまったらしい。あとは戦火に巻き込まれて命を落とした者も数え切れないほどいるだろう。
輝かしい栄光の裏には尊い犠牲もある。忠勝はそのことを考えるとどうにもやりきれない気持ちになる。
「忠勝さん、一人で何抱え込んでるの?」
「悩んでばっかりじゃ、かえって体に毒だよ?」
はやての隣になのはとフェイトの姿が見えた。手には待機状態のレイジングハートとバルディッシュが握られている。
こういうときは何か問題が起こった時だ。
「何かあったん?」
はやてが立ち上がって二人に向き合うと二人は顔を見合わせて苦笑した。
「とりあえず、これを見てほしいの…。」
モニターを覗き込んだはやての顔がひきつり、苦笑に変わって二人と顔を合わせる。
忠勝も立ち上がり、モニターを覗き込むとインパクトがありすぎて忘れたくても忘れられない二人の男の姿があった。
『愛ユエニ〜!命知ラズガ今日モ行ク〜!!』
『濡れてに粟と〜あぶく〜銭〜!!』
街の中でポスターをばらまきながら大砲を乱射する男と小判をばら撒く男の姿が。
忠勝は頭を抱えてしゃがみこんだ。あぁ、なんであいつらもここにいるんだよ。と思いながらまた頭に何かが唸る音がする。
「これの鎮圧…だってさ。」
「まぁ、最近起きた事件の中では結構派手なほうだね。」
「ま…まぁええわ。さ、行くで!忠勝さん!」
走り出す三人の後を追う忠勝。ふと立ち止まり空をもう一度眺め、迷いを捨て去るかのように力強く頷く。
自分の名を呼ぶ声を聞き、また急いで三人の元へと走る。
戦国最強、本多忠勝。
運営続行した機動六課のためにその力を振るう。
戦国時代に帰る道が出来てもミッドチルダに残り、力を振るい続けたという。
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜 完
音速丸「信長ああああ!!! 俺は俺だけはてめえの味方だぜえええ!!! 鍋パーティーじゃあ一緒にモテイケメン野浪どもに死の鉄槌をくれてやろうぜ!!!」
というわけで信長支援です。
36 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:21:15 ID:eaP5XxRf
えー、これにてリリカルBASARAは終幕です。
今までのGJや乙、支援や感想、あいがとうございました。
短かったけどちゃんと完結できて嬉しいです。
次はまたゲームとのクロス小説を考えることでもしようか。
やっぱりCAPCOMさんとこのゲーム…うーん。
>>36 GJでした!
全く、新年初のSSで完結させるたぁ大した野郎だぜっ! お疲れ様!
…ザビー、結局来たんだw
ブリタニア皇帝「…SS内で出番がない…」
38 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:27:40 ID:eaP5XxRf
>>37 結構ザビー出してくれとリクエストが多かったから…(汗
信長「…ぬぅ、何でこうブリタニアといい他人とは思えんのだ…」
ちなみに信長さんは既に妻がいま…ギャー
GJです、忠勝はミッドの子供たちに大人気になるな。
それじゃあもう少ししたら投下します、妄想戦士ヤマモトとのクロスです。
音速丸「ブリタニア皇帝。おめえの分もルルーシュには俺がパーティーでお灸をすえてやるから安心しろい!!」
GJ!
カプコンゲームとのクロスだとすると…
ロックマン、DMC、バイオハザード、モンハン
大穴で逆転裁判もしくはクローバースタジオ作品とか?
41 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:38:59 ID:eaP5XxRf
>>39 了解しましたー。
>>40 うーん、ゲームを持ってる作品で結構やりやすいとなると自然に
モンハンになるんですよねぇ…。
それでは投下します。
妄想戦士ヤマモトとのクロスです。
妄想戦士リリカル・ヤマモト 第一話「嗚呼! 魔法少女は今何処!?」
どこにでもある普通の高校にその“最高に普通じゃない男”はいた。
人は彼をこう呼ぶ萌えの申し子、妄想戦士と。
「魔法少女に会いてええええええええ!!!!!!」
ある少年が学校の屋上で空に向かって喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。
その様子をメガネを掛けた同級生の少年が呆れた様子で眺めていた、彼にとってはの光景は日常的なものだったので特に狼狽することなど無かったのだ。
「またいつもの発作か? 山本」
「松下ああああ!! てめえは魔法少女に会いたくねえのか!?」
先ほど叫んでいた少年の名は山本一番星。萌えの探求者にして妄想戦士ヤマモトと呼ばれる男。
そして彼に呆れているこのメガネを掛けた少年は山本の下僕…いや違った同級生にしてなんというか微妙な男、山下悟郎である。
「おい! 誰が下僕だ! っていうか微妙って言うな!!」
「おい松下、何言ってんだ? おめえは微妙だろうが! そんな事より魔法少女に会う方が大事だ!!」
「…やっぱ微妙なのか……それより魔法少女なんて現実にはいないだろうが」
「ぎゃ〜はっはっはっは〜!! 甘いぞ松下、俺がなんの準備も無しに話を切り出すと思っていたのか!?」
その松下の言葉に山本は不敵な笑みを見せながら高らかに笑う、そして眼下の校庭を指差す。
「アレを見ろ!」
「なっ! あれは一体?」
山本の指差した校庭には奇怪な模様、いわゆる魔法陣と呼ばれるものが描かれていた。
「これからあれを使って魔法少女に会う!!」
「はあ!? そんな事できる訳ねえだろ!?」
山本の唐突な電波的発言に松下は思わず突っ込む、だが松下の突っ込みに山本は鉄拳で答えた。
「こんの馬鹿野郎おおおおおお!!!!」
「あべしいいい!!」
山本の鉄拳に松下は吹き飛び屋上のフェンスにぶつかって鼻血を激しく撒き散らす。
その松下に山本が凄まじい怒気を込めた眼光と叱責を飛ばす。
「出来る、出来ないの問題じゃねえ!! やるか、やらねえかの問題なんだよこのメガネ坊やがああああ!!!」
山本はそう叫ぶと松下の頭を掴んで無理矢理に校庭に引きずって行った。
「ではこれより魔法少女と会う為の儀式を行う」
そう言う山本と共に校庭の魔法陣の中心に立つのは先の山本と松下。
そしてメガネを掛け妙な法衣らしき服(背中に“田村ひより”と書かれている byらき☆すた)を着た男と長髪に学ランのポケットにフィギュアを入れた男がいた。
メガネと法衣の男は南雲鏡二。めがねっ娘教団の教祖にしてこの世の全てのめがねっ娘を愛する戦士(変態)である。
学ランのポケットにフィギュアを入れている(服の下にも大量に仕込んでいる)のは男は渡辺流星。フィギュアをこよなく愛し人間に興味の無い(つまり完全に狂っている)孤高のロマンチストである。
「ええ山本殿、私も早くめがね魔法少女に会いたくてしかたがありませんよ」
「俺は早くフィギュア魔法少女に会いてえぜ」
「…もう、どうにでもしてくれ」
さっそく南雲と渡辺の狂った発言が飛び交い松下はこの狂人の宴からはもう逃げられないと諦めていた。
「よ〜しお前ら、では儀式を始めるぞ、俺の言う呪文に続けろ。リリカルマジカルメカリルウィッシュ!」
「「「リリカルマジカルメカリルウィッシュ」」」
4人が言葉を放つと共に凄まじい閃光が周囲に満ち、次の瞬間には4人の姿が消えていた。
砂だらけの世界で二つの影が交錯する。一方は鎌のような得物を持った金髪の少女、もう一方は剣を振るう桜色の髪の女性。
少女の名はフェイト・テスタロッサ、女性の名はシグナム。後に闇の書事件と呼ばれる事件の渦中においてぶつかり合う二人の戦士の姿であった、だがそこに場違いな声が響く。
「おい見ろよ、あれが魔法少女か!?」
「マジかよ……本当にいるのか…」
「しかし、めがねっ娘ではありませんぞ山本殿」
「っていうか人間には興味無ええええ!!!」
それは先の魔法陣でこの世界にやってきた山本達であった。
「あれは一体?」
「民間人の人?」
戦闘中そはいえフェイトとシグナムの動きが止まる、突然民間人らしき人間が現われたのだから無理も無い事だった。
そして驚愕する二人の下に学ランの男、山本が悠々と近づいてきた。
「あ、あの…ここは危ないですから民間人の方は早く別の空間に転移を…」
「そこのお嬢ちゃん……君が魔法少女かい?」
「へっ?」
フェイトの言葉を切って山本が口を開く、戦いを邪魔されたシグナムは怒りを感じて山本の肩を掴み割って入った。
「おい貴様! 今私はこの者と戦って…」
だがシグナムがセリフを言い終わる事は無かった。
「じゃかああしゃああボケ!!! 今は女戦士には用は無いんじゃああああ!!!! ヤマモトドリルパアアアアンチ!!!!!!」
「ぐわあああっ!」
山本が高回転するコークスクリューパンチをシグナムに見舞い吹き飛ばす。相手が女でも萌えの追及の邪魔になるなら平気で攻撃する、山本とはそういう男である。
「まったく邪魔しやがって……さあ嬢ちゃん、君が魔法少女なのか? そうなのか!?」
山本はシグナムを殴り飛ばすと目の前のフェイトの型を掴みガクンガクン揺らして問いただす。
もちろんだがフェイトは怯えまくってる、強敵であるシグナムを一撃で倒した見知らぬ男性が目を血走らせて詰め寄ったらそりゃあ9歳の少女には恐いだろう。
「あ、あ、あの。魔法を使う少女というなら…たぶんそうだと思います」
フェイトは怯えながらも涙目でなんとか答える、というか言わなかったら何か危険だと生物的な直感から言わざるをえなかった。
その答えを聞き山本は突然ブルブル震えだす。
「よっしゃああああああああ!!!!! 成功だああああああ!!!」
山本は手を高く突き上げて喜ぶ、そしてフェイトを指差して訳のわからない事を言ってまくし立て始めた。
「だがしかし!! その服装では魔法少女的じゃあねえ!! まずはフリフリの可愛らしいファンシーな服に替えろ!! そしてステッキをもっと魔法少女的なデザインに変更!! さらにそれっぽい呪文を言え!!! そうすれば君は完璧な魔法少女だ!!!!」
山本の叫びに南雲と渡辺も加わる。
「君、是非このめがねを掛けないか!? いや、掛けてくれ頼む!! この通りだ!!!」
懐からめがねを出しながら土下座してフェイトにめがねをかけてくれと頼む南雲。
「おいてめえ! フィギュア魔法少女はいねえのか!? おいどうなんだ!!!!」
完全に正気を逸した、狂った事を言っている渡辺。
その3人の鬼気迫る様子にフェイトは今にも泣き出しそうな顔で怯える。さすがにそれを見かねた松下がそこに割って入った。
「おいお前ら落ち着けよ……恐がってるだろうが」
松下は鼻息を荒くしている3人の前に立ってフェイトを庇う、フェイトは山本達の迫力に怯えて思わず目の前の松下の服の袖を掴んだ。
「あ、あの。ありがとうございます」
涙目、上目づかいで礼を言うフェイトに思わず松下はキュンとなって“裏松下”を発動しそうになった。
その様子に山本がキレて松下に掴みかかった。
「てめえ!! 勝手に魔法少女とフラグ立ててんじゃねえ!! このハタ坊がああ!!」
「何言ってんだお前は……普通に恐がってんだろうが」
その4人に先ほど吹き飛ばされたシグナムが踊りかかってきた。
「隙だらけだぞテスタロッサ!!!」
飛び掛るシグナムにフェイトはすぐさま戦闘態勢に移る。自身のデバイス、バルディッシュを振りかぶってシグナムの剣閃を受け止めた。
しかしその刃の交錯はごり押しの力で押し切ったシグナムに軍配が上がりフェイトは後方に大きく吹き飛ばされる。
「きゃああっ!」
「大丈夫か!?」
松下が吹き飛ばされたフェイトに駆け寄る。
「だ、大丈夫です…」
「………」
フェイトは心配して駆け寄った松下に声を返す、だが松下は固まって何も言わない顔も何故か真っ赤だった。
「どうしたんですか? って、きゃっ!?」
吹き飛ばされたフェイトは腰のスカートと前垂れ部分がめくれて食い込んだ股ぐらが丸見えだったのだ。
フェイトは思わず悲鳴を上げてスカートで慌てて隠し、松下を恨めしそうに涙目で睨んだ。
「み、見ないでください」
その時、松下の後方からシグナムが追撃の斬撃を見舞った。だがその攻撃は巨大な黒い腕に掴まれた。
「何っ!?」
松下の背後に鎖で封印された巨大な門が現われ、その門を破って褐色の肌を持つ筋肉質な松下が現われた。
それこそが萌を感じたときに現われる松下の隠された本性“裏松下”である(別名スタンド)。
「“恥らう美少女”萌えパアアアアアアアンチ!!!!!!」
「ぐわああああ!!!」
裏松下の攻撃を受けてシグナムは地平線の彼方に吹き飛ばされた。
その様子を見ていた山本は再び松下に食って掛かる。
「松下!! てめえ美少女の萌えシーンを独り占めた〜良い度胸じゃねえか!!!」
「何だよ…魔法少女を助けたんだから少しは感謝しろよ…」
「うるせえええ!! 羨ましいんだよこんちきしょおおお!!」
その様子をフェイトは見て一人呟く。
「え〜っと…あなた達は一体…」
「俺達か? 俺達は妄想戦士だ!!!!!」
この日妄想戦士が魔法少女の世界に下り立った。
続く。
駄目だこいつら、早く何とかしないとw
要約すれば「GJ!」と言うことだ。
47 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 00:56:51 ID:eaP5XxRf
GJ!
何ですかこのハイテンションバトルw笑いが…笑いが止まらない!
そしてシグナム姐さん可哀想…。
投下終了です。
以前、妄想戦士ヤマモトのクロス作品が短編で投下された時にでたアイディアを基に書いてみました。
とりあえずシリーズとして続けていこうと思います(でも作品の性格上はギャグで早く終わると思います)。
支援!
完結おめ
モンハンは魔法という概念を完全に廃した世界観だったような?
まあ、描き方しだいでどうにでもなるけど
クローバースタジオは大神とゴッドハンドか
ゴッドハンドの女性陣は全員筋金入りのドS
なのは達も影響されて悪女になるぞw
GJ!
シグナム・・不憫だ・・
武ちゃ丸「あけましておめでとーさんやで!」
ススム「今年もそれぞれ完結目指して、皆さんで素晴らしいスレにしましょうね!」
シンヤ「しかし俺達正月って言えば最終決戦直前なんだけどな?」
トッキー「深く考えるな。それを追求しだすとなのはA's勢は最終決戦直後だ」
登場人物たちのご挨拶が済んだ所で乙&GJしつつ感想を
>戦国の鉄の城
忠勝、ただかーつ!!(心の汗)
力作をありがとうございました!
>妄想戦士リリカル・ヤマモト
よくもこんな危ねぇ連中(褒め言葉)を……
シグナム吹き飛ばすってどんだけw
53 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 01:07:10 ID:eaP5XxRf
>>50 とある事故により魔法を使えなくなったなのはのキャラクター達がモンハンの世界で
どんどん強くなっていくのも面白そうだなぁ、と候補に入れてるのですが…。
それか以前一発ネタであったようにスカリエッティをぶち込んでみるのもいいなぁと。
とにかく、盛大に悩むとしますよ。
>>53 モンハンのキャラ(+モンスター付き)が戦闘中になのは世界に跳ばされるというのは?
妄想戦士リリカル・ヤマモト
ツッコミどころがありすぎて、これはひどいw(ほめ言葉
>>50 大穴候補に挙げたけど
クローバースタジオ関連は知らない人が多すぎてクロスしにくいだろ
ゴッドハンドなんて知ってるやつこのスレにいるのか?
大神は世界観が合うような合わないような
なのはがアマ公に舐められて涎まみれになりそうだな
56 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 01:12:20 ID:eaP5XxRf
>>54 うーん、だとしたらリオレウスとかディバインバスターで粉砕→「え?俺出番なし?」
みたいな恐れがあったりなかったり。…そう感じるのは俺だけか。
アリカ「昨年は結局皆に顔向けできなかったねマシロちゃん」
マシロ「しょうがない、当の本人が最近疲れが溜まっていたせいか、
この大事な時期に高熱出して1週間以上寝込んだ上に
後で書こうと思った年賀状製作に追われ、いつの間にか新年を迎えてしまったからの・・・・・・」
ニナ「まさに後の祭りですね」
アリカ「でも「当の本人は『今月こそ舞-乙クロスUPするぞ〜!』」って張り切ってるってばっちゃが言ってた」
マシロ「オイ、おぬしの祖母はたしか・・・・・・いや、まあ、今回の二の舞にならなければそれで良いがな」
ニナ「でも、作者が怠け者の上に飽きっぽいですからね・・・・・・
ぐだぐだしないように頑張ってほしいものです。コホン、では気を取り直して本年の挨拶を」
「「「せ〜の!!今年もよろしく(ね)(たのむぞ)(お願いします)!!!」」」
アリカ「あ、ついでに↑のあたし達に違和感があっても軽くスルーしてくれって作者さんが言ってたよ」
マシロ「いや、別にそういうことは言わんでもwwwww」
モウホントニオシマイ(笑)
「終」
モンスター達もミッドに来た時点でリンカーコア活性化して魔法で強化された
個体個体の攻撃をするとかはどうでしょう?
リオならブレスと身体能力が強化とか。
59 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 01:31:41 ID:eaP5XxRf
>>58 ふむむ…もう一度最初っから見直して盛大に悩みますよ。
スカ博士INモンハンも捨てがたいですねw
良太郎「あけましておめでとうございます。あ、僕は野上良太郎といいます。作者さんが出来れば今年中に作品を書き上げて投下するそうです。よろしくお願いします。」
飛竜の甲殻には魔法なんて通用しません!
質量兵器か純粋な物理攻撃でお願いします!
こうですか!? わかりません!
さーてーと、誰もいなさそーだし、今の内に終わクロクロス第8章投下しましょうかね。
今回と次回はストーリーの進行上、出来事の変化があまりつけられないんですよ。だから自信が無いんすよねぇ……。
第8章『これからの質問』
貴方はどうですか、と聞かれた
答えてあげるのは知り得る事
もしくは話したくない事以外
●
「……弟?」
寮室に生じた予想外の答えに佐山はそれを反復した。うん、と頷く新庄・切の右手には指輪は無い。
「姉さんから聞いてない? 佐山君の腕が治るまでこっちにいろって、そう言われたんだけど…」
「――お姉さんからは、私の事をどの程度聞いているのかね?」
その答え次第で、この切なる人物にどう接するかが決まる。
「交通事故に遭いそうになった所を助けてもらって、でも代わりに利き腕を怪我したとか。自分は仕事が忙しくて何も出来ないって…」
そうか、と了承する佐山は推測を巡らせた。
……時空管理局の事を知らないのか?
新庄は記憶を失った所を管理局に拾われたと言っていた。ならばある程度は知っているかと思っていたが、どうやら知らされていない様子だ。
「すまない、一つ確認したい事があるのだが良いだろうか?」
新庄は小首を傾げる。
「別に良いけど……何?」
「大した事ではない」
と告げて佐山は新庄の右胸に手を添えた。
「――っ!?」
肋骨と薄い胸板の感触を得た直後、新庄の拳がこちらの腹を撃ち抜いた。
「い、いきなり何するんだよ!」
「……ま、前もって言ったではないかね…」
腹を抱えて踞った佐山は、胸元を隠す新庄を見上げる。
「大体、別に良いと言ったのは君ではないかね」
「そ、それはそうだけど…、こんな事されるとは思わなかったし……」
肩をすくめる新庄を目前に佐山は立ち上がり、
「――良いかね?」
目を見据えて再び問えば、僅かにどもった肯定が返された。
「ど、どうぞ…」
頬を赤らめた新庄は胸元を晒す。その行動に佐山は頷き、確認を再開した。
「…ん」
浅く胸を掴めば新庄は小さく息を漏らす。揉む様に指を押すが、返される感触は先ほどと変わらず固い。
……男だ……
そう思った所で、今度はしゃがみ込んで耳を当ててみる。腰を抱き込んで動きを封じ、耳を澄ませば新庄の心音が聞こえてきた。僅かに速い心音は昨夜聞いたものとは違う、浅くて固い男性のものだ。
「……君の胸はずっとこうなのかね?」
「そ、そりゃそうだよ」
見上げる新庄の顔は上気したもの。眉尻を下げた悩ましげな表情でこちらを見返し、
「も、もういいよね? あんまり長いの、やだよ……」
ふむ、と佐山は認識の再編成を行う。
……双子、と言っていたな……
ならば酷似した外見とまるで違う心音は両立しうるだろう。男女の双子は相似性が薄れるものだが、とも思うが現状を信じるならば例外という事になる。なので、
「安心したまえ、君に異常は見られなかった」
と、声をかけて安心させてやる事にした。
「い、いや、今佐山がすっごい異常だったと思うんだけど……?」
身を離した新庄は胡乱気な目でこちらを見ている。
「それはまた、初対面だというのに随分いきなりだね」
「その台詞は鏡を見て言うべきだよ……っ!」
不満そうな新庄を、まあまあ、と宥めつつ佐山は身を回した。以前より使っていた二段ベットの上段に持ち物を投げて軽装になる。
「このまま手取り足取り君の荷下ろしを手伝いたい所だが……、生憎と私は生徒会の会議に行かねばならない」
聞かされた新庄は驚いた様な表情を作る。
「今から? 時間ももう随分遅いよ?」
「ああ全くだ、生徒会の常識知らずには私も困っているよ。良識人の私にはついていけない事ばかりでね」
ではその次の俺のスパロボXの正月ネタを投下しましょう。
●
「と言う訳で、知ってる事を洗いざらい話してもらおうか?」
深夜の入り際とも言える午後9時、衣笠書庫に佐山の声が響いた。包帯の巻かれた左腕が机上に乗る先、向かって左から高町、ハラオウン、八神が席についており、遠くのカウンターにはグレアムがいる。
「あー、何か尋問が始まった様な気がするんやけど、私の気のせいかー?」
「奇遇だな八神、私も始まった様な気がするよ。――さあ吐け」
「やる気満々かアンタ!?」
机を叩いて八神が抗議、それを横目にした高町は口を開き、
「ねえ、はやてちゃん……図書室で騒ぐと天罰が下るって知ってる?」
注意を紡いだ直後、八神は顔を真っ青にして縮こまった。
「うんうん、天罰は怖いもんね、図書室では静かにしなきゃね?」
「…高町、君は一体何をしたのかね?」
「え、天罰は見えない所に来るものだよ? ほらよく言うじゃない、“神は見えない所で報いたもう”って」
「暗殺推奨か。神の裁きは随分近代化したものだね……」
「そうだね。で、どうしようか? 私の神様は整体師資格を持っててね、話の腰が折れると叩き直してくれるんだよ?」
満面の笑顔を浮かべる高町に佐山は恭しく頷き、
「さて、では真面目な話をしようか」
ハラオウンと八神に半目で見られつつ話を仕切り直した。
「単刀直入に言って、君達と全竜交渉の関わりはどの程度なのだ?」
問いに答えたのはハラオウンだ。
「うんとね? はやてはグレアムさんの養子で小さい頃から1stーGの事を知ってて、私は一応10thーGの出身なの。なのはは……二年前からだね」
「その時にあった騒動で10thーGと6thーGの全竜交渉は終わっててね。ちなみに私の家族は一般人で管理局とは無関係、……って感じかな」
説明を引き継いだ高町の言葉にカウンターのグレアムが声を飛ばしてきた。
「テスタロッサの姓は、やはり10thーGと6thーGを束ねる事になったようだね」
「…どういう事だ?」
改めてハラオウンの顔を見れば苦笑が返される。
「10thーGと6thーGはね、私の姉さんが滅ぼしたんだよ」
姉がいた、というのは初耳だ。そう思う佐山にハラオウンは続けて、
「話は長くなるけど、新しく来たっていう同室の人は良いの?」
「ああ、後で学校内を案内する事になっている。……新庄君の弟だが、知っているかね?」
「んー、話ぐらいは聞いた事あるかなー」
「彼は管理局の事を知らない。今は荷物の整理中だ、まだ時間はあるだろう」
それにハラオウンが頷き、丸められた大きな布を机の下から取り出した。
「じゃあ駆け足で説明しようか。――LowーGと十のGの関係について」
机上に広げられた布は教材用の大型世界地図だ。高町と八神が左右に広げれば、机上に概略化された世界が示される。
「でも実際、私も護国課の話を聞くんは久しぶりやね。…管理局はその辺の事を資料室に保管しとるけど、許可とらんと入れてくれんしなぁ……」
唇を尖らせる八神の目前にソーサーとカップが置かれた。誰か、と佐山が見れば、そこにはトレイに三つのカップを乗せたグレアムが立っている。
「カフェといきたい所だが、すぐにという訳にはいかなくてね」
苦笑する老人は佐山達の前にもソーサーとカップを置き、手近な椅子を寄せて席を囲んだ。
「1stーGを滅ぼしたと言っていたが、どの程度まで協力的なのかね?」
「思い出した事を必要最低限、後は……君達の知識の補正程度といった所かな」
「いい具合に協力的だね」
笑んで佐山はカップを口に付ける。赤みを帯びた液体が紅茶の香りと味を口内に生じさせる。そうしてソーサーに下ろした所でハラオウンが口を開いた。
「グレアムさん達から神州世界対応論を聞いたんだったよね? かつて日本は世界各国と地脈で繋がっている事を利用し、世界中の異変を引き受ける事で二次大戦後の占領を免れたって」
ハラオウンの言葉にグレアムは頷きを一つ、その事で佐山は情報の正確さを再確認する。
「――続けたまえ。知りたいのはまず十のGの内訳だ。確か君達は、各Gがこの世界の神話や伝説に影響を及ぼしたと言っていたな」
「うん。中には神話の登場人物と同名の存在も多いんだよ? 佐山君が知ってるので言えば……」
「1stーGのファブニールやね。北欧神話に登場するヴォルスンガ・サガ、“ニーベルングの災い”とも言うけど」
八神が言葉を半ばから引継ぎ、地図における日本の近畿地方に指を置いた。1stーGを滅ぼした人物の養子、かつ元概念核保存器だったデバイスの主として、1stーGには精通した所があるのだろう。
「ともあれ、それが1stーGや。概念核の行方は知っとるよな?」
「半分は氷結の杖デュランダルに収められて西支部の地下、残りは過激派の機竜、ファブニール改にあるとか」
そこで佐山は視線をハラオウン達に向け直す。
「君達は機竜とやらを見た事があるのかね?」
ファブニール型じゃないけどね、と答えたのは高町だ。
「簡単に言えば竜を模したデバイスの事だよ。体長は三十メートル以上、飛行型の物もあるらしいよ」
「概念戦争では、単体戦力としては最強の兵器だった」
続いてグレアムが補足する。
「私が殺したファブニールは出力炉を一つしか持たない旧式で、それを破壊すれば死亡した。だが改型は二つの出力炉を持っている。故に概念核がある本命の武装用出力炉を破壊しても……」
「まだ稼働するファブニール改によって潰されるやも、か?」
「機竜は武装が無くても、その巨体だけで充分戦える代物だ」
その言葉に佐山は思い起こされる記憶がある。夕べ新庄に言われた、死ぬかもしれない、という言葉だ。
……もし全竜交渉を受ければ、そういった連中も相手にする事になる……
だが、そうだとしても今はまだ情報を求める次期だ。故に佐山は断念ではなく続行を望む。
「次を聞こう、2ndーGは?」
「2ndーGは簡単、日本だよ」
ハラオウンは日本の伊豆七島辺りを指す。
「古事記とか日本書紀とか、それらの原型になったGだよ。概念核は八又っていう炎竜で、向こうの人達は殆どがLowーGに順化してる。全竜交渉の相手としては楽だと思うよ」
「3rdーGはギリシャ神話の原型らしいよ。何でも機械を生物化する概念核らしくて……昼間のSfさん、彼女は3rdーG概念で造られてるんだって」
そう告げた高町は瀬戸内海を示している。
「概念核は二つに分かれてて、片方はテュポーンっていう武神が持ってるらしいよ」
「……武神?」
初耳の単語に佐山は問い返し、言ってなかったけ? と高町は目を丸くした。
「武神っていうのは、大きな人型機械の事だよ。3rdーGはそれと戦闘機人の世界なの。で、概念核のもう半分は行方不明。……佐山君が全竜交渉を受けたら、その捜索も課せられると思うよ」
機竜といい派手な物ばかりだな、と佐山は思う。死ぬかもしれない、という事の意味を更に理解して、
「4thーGは?」
更に質問を重ねた。今度は八神が九州辺りに腕を伸ばす。
「アフリカやね。密林の奥に潜む木蛇ムキチ……のモデルになった概念核がいて、管理局に保管されとるよ。実際は別の名前を名乗ってるそうやけどな」
八神は続けて、次は5thーGやね、と北海道を指差す。
「5thーGは米国。何でも機竜が沢山おるGで、概念核の半分はトンでもない武器になって地上本部地下にあるんやと。もう半分は行方不明やけど」
「6thーGはもうケリがついているのだったな?」
ハラオウンが、うん、と応じる。
「インドの神話の元になったGだよ。概念核はヴリトラっていう竜で、向こうはそれを使って統治されていたんだって。……管理局でインド系の人とあったら、まず6thーGの人って思って間違いないね」
そうか、と佐山はハラオウンの言葉に頷きを返し、
「では7thーGは?」
と、説明の続行を促した。だがそれに対し、高町は困惑の表情を浮かべていた。
「7thーGは中国らしいんだけど……概念核がどういうもので、どういう人達がいたのか、私達は知らないの」
「……3rdーGや5thーGもそうだが、調べる事は多そうだな」
多分それも役目の一つだよ、とハラオウンは苦笑した。続けて四国を指差し、
「8thーGはオーストラリア。概念核を持つ石蛇ワムナビっていうのが西支部に保管されてるらしいよ」
「意外と西側に保管されているものが多い様だね」
佐山は中国地方に瀬戸内海、四国に九州と順々になぞっていく。ハラオウンは、そうだね、と意見を肯定しつつグレアムを見た。
「これだけ西側に集中してるなら近くにあった方が良いだろう、っていう判断らしいけど……本当なんですか?」
「実際その通りなのだが、……後に動かし辛くなったのは事実だね。各Gの残党が他Gの概念核すらも手に入れようと画策するようになってね」
「戦争が終わっても闘争は続く、当然と言えば当然だな。……9th―Gは?」
「中東、ゾロアスター神話の原型だって言われてるよ。ザッハークっていう巨大な機竜を持っていたらしいけど戦いに敗れ、概念核は地上本部の地下に保管されている」
「最後は10thーGだな。こちらももう交渉は終わってるそうだが?」
「――そうだよ」
肯定するハラオウンに覇気はない。先ほど10thーGの出身だと自称していたし、何らかの因縁があるのやもしれない、と佐山は思う。だがハラオウンは口を閉ざさず、
「10thーGはね、1stーGと異なる北欧神話の原型になってるの。1stーGが民話や伝説の基盤なら、10thーGは神族や世界樹が登場する真性の神話だね」
成る程、と佐山は返し、十のGの情報を全て聞き終えた。そうして理解出来る事は、
「7thーGは不明だが、どのGも概念核には竜が関わっているのだね」
「そうやね。…そして武器に収められている場合も多い。二つに分かれとった場合、大体は竜と武器に分かれとるんやないかな」
八神の肯定に佐山は思う。
……竜と、それを倒す武器の関係という事か……
力と抑止、富と権力、敵と英雄、竜とそれを倒す武器の関係はその象徴だ。それらを総合して考えれば、全竜交渉という名前の由来も自ずと解る。
「十のGの竜を束ねる意味で、全竜か」
「全竜っちゅうと……聖書の黙示録に言う悪魔の竜とも重なるな? 全竜は普く獣の相を持つってな」
椅子を座り直して八神は溜め息、私らに求められとるのはそう言う事なんやろうな、と続ける。
「私は……全竜交渉っちゅうんは、十の竜に対し、それを倒す武器を持って相対する交渉やと思っとるよ」
そう言う事か、と頷きそうになって佐山は止まった。
……未だ不明な点も多い、ここで認めるのは総計か……
加えて佐山は今の説明に不審点も持っていた。高町達の説明に誤りはないが、本人達が知らない事は全く語られていない。
……何かが決定的に足りていない……
何だろうか、と佐山は疑問に思う。先人である彼女達が知る以上の何を自分は知っているのだろうか。
「――ふむ」
佐山は腕を組み直して世界地図を見る。と、胸元に小さな動きを感じた。
「おや」
胸ポケットに収まっていた貘が這い出してきたのだ。うわぁ、触りたそうな表情をする高町達を無視し、佐山は指先で貘の頭を撫でる。それから、大人しくしていろ、と命じ、
「…そうか」
胸の内にあった気がかりが何かを悟った。それは今朝、貘に見せられた夢の遺跡だ。
「――ハラオウン、バベルという塔を知っているか?」
問いに三人の少女は目を丸くして顔を見合わせた。
「驚いた、私達でも名前しか知らないのに。……どうしてそれを知ってるの?」
「貘の力でね、巨大な塔を夢で見せられたのだよ。あれはこの地図においてどこにある?」
だが高町達は再び顔を見合わせた。眉根を詰めたその表情から答えは推測出来る。
「君達も知らないのか?」
「うん。バベルって言うからには大阪辺りにあるんだろうけどね。……そして、バベルはこのLowーGが持つ聖書神話に関係してるって事も」
「知らぬ割に随分と言いきるのだな」
という事はつまり、
「聖書神話は他Gの影響を受けていない、LowーG原生のものという事か?」
ハラオウンは首肯する。
「お昼にあった時に見てた本、衣笠教授が書いた十一冊の神話大全を覚えてる? あれは一冊目から十冊目までがこのGの並びと対応してるんだよ。そして十一冊目が何について記しているのか、解る?」
「……聖書か」
肯定の頷きを高町は行う。
「日本は世界各地の地相を持ってる。日本に立ってたバベルが中東に影響したのか、それとも逆なのかは解らないけど……でもそれがあるのは事実だよ」
「本当にバベルの詳細は解らないのか?」
「調べようとすんと完全に情報が断たれてまうんよ。あれじゃ逆に、存在してます、って言うとるようなもんや」
私達のGの事を何で隠すんやろな、と首を傾げる八神に佐山は苦笑、そして思う事は、
……彼女達も自分達の状況を謎に思い、二年間の幾らかを調査に使ってきたのだな……
理解出来た彼女達の行動に納得を得る。
「だから管理局の用語には聖書関係の言葉が含まれているのか。了解の際に使っているTes.――契約の意、聖書の事だ」
「そう言う事やな。聖書のLowーGに神話の原型となった十のG、合計十一のGがあった訳や。んで、グレアムおじさんを初めとする護国課ががそれ等を滅ぼしていった」
「……だがLowーGとは言ったものだな。どうしてそこまで卑下に入ったのか」
問われたグレアムは笑みつつ頷く。
「各Gの呼び名は、それぞれの世界の自弦振動から番号を振ったものだったよ。対して我々も名前を考え、本局上層部は正義の為にLawーGと名付けようとした。が」
「が?」
「件のテンキョー教授がその綴りを間違えて発表した。以来、LowーGだよ」
「それは笑うネタかね」
佐山は溜め息をつき、改めて空気を吸ってからごちる。
「――ともあれ、私の祖父はこれらのGの何れかを滅ぼしたのだな」
と言った所で胸に軋みが生じた。我知らずと表情を歪め、身が丸くなる。
「佐山君? まさかまた……っ」
異変に気付いたのか八神が腰を上げる。続いて高町やハラオウンも身を乗り出してきた。その時、
「あの、佐山君…いる?」
衣笠書庫の入り口からやや高めの声が届いた。
「――新庄、君」
やや俯いた顔を上げて佐山は書庫の出入り口を、そこに立つ新庄・切を見た。こちらに気付いた彼の両目は弓なりとなり、
「お仕事、終わった?」
問いを伴う微笑みとなった。それに答えようとし、佐山は一つの事実に気付く。
……狭心症が収まっている?
何故かは解らない。新庄の存在が契機となった事以外は。
「――どうした事だろうね」
周囲に聞き取れない声量で佐山は呟いて席を立った。机を挟んで立つ三人を見れば八神が笑んで、
「行っといで。初めての同居人、大事にせなあかんよ」
佐山は頷き、新庄が待つ方へと歩んでいった。
●
開かれた窓より差し込んだ月光が灯りのない美術室を照らしている。そしてブレンヒルトは月明かりに伸びた自身の影を見るともなしに見ていた。
「……随分と時間が経ったみたいね」
彼女が肘をつく机上には段ボール箱があり、その中では一羽の小鳥が眠っていた。健やかな様子にブレンヒルトは笑み、それを崩さぬまま足を振って黒猫を蹴りつけた。
「あ痛っ!? 何……折角寝てたのに」
抗議と共に黒猫は跳躍、最小限の足音で机に飛び上がってきた。だがブレンヒルトが見るのは段ボールの内側、小皿に乗った餌と水を確認してから立ち上がり、
「――行きましょうか、市街派の本拠地へ」
「え、小鳥は良いの?」
「眠ってる。だから今の内にね」
そう告げるブレンヒルトは襟首を開き、首に巻かれたチョーカーを撫でた。
「レークイヴェムゼンゼ、装束と箒をお願い」
『畏まりました』
チョーカーの三日月型の飾りが応え、生じた菫色の光がブレンヒルトを包んだ。光の殻に包れる中で制服が霧散、新たな衣服が構築されて幼い四肢を包んだ。やがて光の砕け、
「久しぶりに見るね、魔女の黒装束」
衣服を換装したブレンヒルトに黒猫の声がかかった。レークイヴェムゼンゼによって構築された衣服、黒い三角帽とワンピースが小柄な身を覆っている。
「デバイスによる衣服の強化再構築、管理局ではバリアジャケットとか言うらしいね」
「どうでも良い事よ、これの呼び方なんてね」
レークイヴェムゼンゼが独りでに解け、広げたブレンヒルトの右手に乗った。直後にリボンが一メートル半はある棒に変化、先端の三日月型の飾りからはブラシが伸び、さながら箒型となる。
「レークイヴェムゼンゼ・ベッセンフォルム。――これで一気に行くわよ」
ブレンヒルトはレークヴェムゼンゼを掴み、空いた左腕を横に振った。と、床に菫色の光による円陣が発生、その内側には膨大な数の1stーG文字が記されている。
『飛行兼加速魔法陣、展開を完了しました』
「上出来よ」
頷いたブレンヒルトは円陣へと歩を進める。すると右手にあったレークヴェムゼンゼの重量が消失、むしろ浮遊する様な感覚が得られた。それからブレンヒルトは振り返って、
「……何してんのアンタ、とっとと行くわよ」
机上で渋る様に身じろぎする黒猫を見た。
「ねぇ、行かなきゃ駄目? あっちってファーフナーいるからあんまり行きたくない」
「昔なじみなんでしょ? 何でそんな嫌うのよ」
「だってアイツ馬鹿なんだもん。声デカイしさぁ……」
黒猫の愚痴にブレンヒルトの眉尻が上がる。左腕を伸ばして黒猫を鷲掴み、
「じゃあ行くのが楽しみになるように特等席にいさせてあげる」
レークイヴェムゼンゼの先端部に抱きつかせた。
「あ、あのーブレンヒルトさん? ここって一番風圧のかかる場所じゃないかなーとか思うんだけど?」
「うふふ、だから特等席だって言ったでしょう?」
「特等席の意味違うよ!? 楽しみとは真逆にある特等席だよ!!?」
悶える黒猫を先端ごと握り込み、ブレンヒルトはレークイヴェムゼンゼのブラシ部に足をかけた。
「行きなさい」
『Pferde』
ブレンヒルトの命にレークイヴェムゼンゼは力を発揮する。ブラシ部に螺旋形の光が生じた直後、
「――!」
床の魔法陣が一瞬光を強め、レークイヴェムゼンゼは搭乗者達と共に夜空へと飛び出した。瞬く間に夜空に浮上、ブレンヒルトは満月に魔女としてのシルエットを作った。
―CHARACTER―
NEME:八神はやて
CLASS:生徒会会長
FEITH:1stーGに通ずる少女
で、投下しゅうりょー。目覚ましい原作との相違点が少ない今回ですが、
・フェイトのねーさん八大竜王
・次回は市街派の皆様と一緒にお送りします
・ベッセンっていうのはドイツ語で「箒」(っぽい)
という感じですかね。次は竜になった爺さんと家出したドラ(ゴン)息子。更にちょっと置き換えされた“軍”の人達が出てきます。
投下どうもです。
では10時ごろにこちらは投下しようと思います。
では投下行くぜ
注意 この話は本編とは(微妙に)無関係なパラレルワールドな話です。
超番外編2 正月からクライマックス!!!
宇宙新暦200年1月1日、「シャイニングガーディアンズ」はすべての戦いを終え疲れきっておりいったんGアイランドのベイタワー基地方まで戻り全員寝るなどして休息を取っていた。
しかし新年は待ってはくれない。朝の7時になり、ベイタワー基地に全体放送が流れた。
「皆、新年明けましておめでとや!」
はやてが元気一杯に皆に新年の挨拶をする。
「皆、早く起きてえな。私はロビーのほうで待ってるからなーーー」
はやての放送から1分も経たないうちに忍がやってきたが、明らかに機嫌が悪かった。
「はやて! あんな大声で挨拶するな! てか寝かせろ!」
忍は今までの戦いの疲れなどがあり、今日は1日中寝るつもりだったのにはやてのせいでそれが台無しになった。
しかし、そんな忍の怒りをはやてはさらりと受け流す。
「まあまあ、忍さん。今日は新年最初の一日や。それに忍さんも日本人なら寝てばかりはあかんと思いますよ」
「うるせえ! 俺はお前と違ってずっと戦ってたんだぞ! 指揮官だからって・・・。出番が無さすぎるんだよ!」
忍はさらりとはやてが少々気にしていた事を口にした。そしてはやては落ち込むように床に手を着き倒れこみ泣いた。
「私だって出番が欲しかったよ。でも立場上できへんのや・・・」
ようやくやってきたリインフォースUとヴィータははやての泣いてる様を見て忍に怒ってきた。
「忍さん! はやてちゃんを泣かせたですね!」
「はやてに謝れ!」
「何で俺が謝るんだよ!?」
忍は自分が謝る理由はないといいはやてに謝る気が無かった。その時後ろから獣戦機隊のメンバーがやってきた。
「忍、ここは謝った方がいいぞ」
「亮!? 何でだよ!? 俺は唯本当のこと言っただけだろ!?」
「それが悪いって言ってるんだよ」
「沙羅まで・・・。雅人! お前はどうなんだ!?」
「俺も謝った方がいいと思うよ。それに時間が経てば他の人も来て忍の謝れの嵐が来ると思うよ」
忍は皆の意見を聞いて考えた挙句はやてに謝ることにした。
「はやて、さっきは言い過ぎた。悪かったな」
「忍さん、いいんですよ」
そうこうしている内に皆がロビーにやってきた。
「はやて中佐。俺達を呼んで何がしたいんだ?」
鉄也が代表してはやてに聞いてきた。
「せやな。皆で初詣に行こうと思ってます」
「初詣?」
日本人でないメンバーは何の事かさっぱりな状態である。
「まあ、簡単言いますと、神社にお参りして今年1年いい事がありますようにとお祈りをしたり屋台などで楽しんだりすることや」
はやての説明を受け、「シャイニングガーディアンズ」のメンバーの一部が行く事を決めた。
ちなみに行かないメンバーは大体が指揮官などの大人であった。
「ところでどこに行くつもりですか?」
ゲイナーがはやてに聞く。
「それはな、私やなのはちゃんの生まれ育った場所でフェイトちゃんが昔暮らしてた海鳴市や!」
「シャインニングガーディンズ」のメンバーは一部のメンバーは着物などを着て海鳴市にある神社にやってきた。
「ねえねえ、アキトどう似合う?」
今まで病院で休養を取っていたユリカが着物姿でアキトに聞く。
「ああ、とても似合うよ」
「やった。ねえ、ルリちゃんのも似合うと思うでしょ?」
「ルリちゃんもよく似合ってるよ」
アキトとユリカの久々のやり取りを見ていたリョーコ達は思わず「ふう」とため息をするようにする。
「ユリカの奴、本当に変わってないな」
「目覚めての第一声が「皆老けたね」だもん。そりゃ変わらないでしょ」
「皆老けて、ふけってきたーー」
「お前のギャグのセンスも変わらないな」
旧ナデシコ組が昔を懐かしんでいる中、なのは達も久々の帰郷に懐かしんでいた。
「久しぶりに帰ってきたね」
「そうだね」
なのはとフェイトは育った場所の懐かしい風景と今の神社の人の多さを見てしみじみしているが、はやては回りをキョロキョロしていた。
「一応連絡しといたけど・・。あ、いたいた。アリサちゃぁあああん、すずかちゃぁあああん」
はやてが大きく手を振りながら叫ぶと少し先にいてなのは達と同じく着物を着ていたアリサとすずかがやってきた。
「はやてちゃん! なのはちゃんにフェイトちゃんも久しぶり!」
「もうあんた達連絡はくれても帰ってこないんだから・・・」
アリサとすずかの事を知らないメンバーがなのは達に聞いてきた。
「あのなのはさん、この人達は?」
「ああ、スバル達も知らなかったね。じゃあ紹介しないとね」
アリサとすずかは機動六課メンバーと他のメンバーに紹介した。
「あたしはアリサ・バニングス」
「私は月村すずかです」
「二人とも私達の小学校と中学校から友達で今でもメールとかで連絡してるんだよ」
「そうなんですかーーー」
全員が納得するような答えが返ってくる中、アリサとすずかはなのは達にあることを聞いてきた。
「そういえば、なのは達って時空管理局に入ってるのよね?」
「そうだけど・・・」
「最近あった、戦争にもひょっとして首突っ込んでたわけ?」
「まあ、本局からの指示でそうなってもうたけど・・・」
「じゃあ、あのネオ・ジオンがアクシズって隕石を落とそうとした時も宇宙にいたって事!?」
「うん・・・」
「まさか、なのはちゃん達、あの隕石を押してたんじゃ・・・」
「そのまさかですわ・・・」
実は先日ネオ・ジオンが行ったアクシズ落しには当然「シャイニングガーディアンズ」のメンバーがその落下阻止をしていたが、
アクシズを二つに割る力が強すぎたために後部が地球の引力に引かれて落ちるのをアムロが乗るνガンダムが押し返そうとして、
それを見ていた他のメンバーもアムロの手伝いをする為に次々に押し返そうとして、テッカマンやオーガンもそれに参加していた。
なのは達はさすがに生身だったので無理だと思ったが、スバルが勝手にアクシズを押し返しに行き、そのスバルの行動を見たなのは達もアクシズの押し返しに参加していたのだ。
まあ、さすがにティアナとエリオとキャロはまずいと思ったので3人は行かずに変わりにヴォルテールがアクシズを押していた。
「あんた達ほんと、無茶するわね・・・」
「にゃはは、ごめんね、心配かけて・・・」
「まあ、過ぎた事だしいいとするわ。でもあいつのあの格好は何?」
アリサがなのは達にヒイロの服装を聞く。
ヒイロは場違いにもタンクトップ1枚と半ズボンと言う冬には似合わなさ過ぎる服装であった。
「絶対あいつの感覚は間違ってるわ!」
「俺がどうかしたのか?」
アリサが一瞬目を離した隙にヒイロが自分に近づいてきた事に驚いた。
「うわあ! ビックリしたーーー。(うん、こいつの声・・・)」
(何か恭也さんの声に似てる・・・)
アリサとすずかは心の中でヒイロの声がなのはの兄、高町恭也と同じような声だと思った。
ちなみになのは達も最初ヒイロと話した時は戦闘中だったのであまり気にしてなかったが、戦闘後に改めて話したら似ている事に驚いた。
アリサが近づいてきたヒイロに自分の格好はいいのかと聞いた。
「あんた、そんな格好で寒くないの?」
「問題ない」
(やっぱりこいつの感覚はおかしいわ!)
アリサは心の中で思いっきりそう思った。
そうこうしていると後ろから突然声がしてきた。
「お、いたスね。やっほーーーーッス!」
皆が後ろを振り返るとそこには着物姿のナンバーズのメンバーの一部とルーテシアがリンディとアルフが一緒にやってきたのだ。「シャイニングガーディアンズ」のメンバーは驚きを隠せなかった。フェイトがリンディに聞いてきた。
「母さん、これどういうこと?」
「クロノや騎士カリム達と相談してね、彼女達も「シャイニングガーディアンズ」と一緒になら初詣させてくれるそうだから連れて来たのよ。
もちろん本局から許可は出てるわよ」
まさか自分達が戦っていた者達と初詣をするとは思いもよらなかった。
「お前達が来るなんて思わなかったぜ」
宙の声を聞いてウェンディが近づいてきた。
「うん、その声・・・。ひょっとしてあのビルで戦ってた時、あのロボットに乗ってた人っスか!?」
「ああ、それとあれは乗ってるんじゃなくて俺自身だぞ」
「そうだったんスか。どうスかあたしのこの着物姿は? あ、でもあの時みたいに抱きしめるセクハラはなしっスよ」
「馬鹿野郎! あれはセクハラじゃなくてジーグブリカーって技だよ!」
宙があの時のはセクハラではなく必殺技だとウェンディに強く言い聞かせていた。
「なあ、私のこの格好どう思う? やっぱり変か?」
ディエチが顔を赤くしながらデュオに聞いてきた。
「いや、別に変だとは思わねえぜ」
「そ、そうか・・・」
ディエチはますます顔を赤くしていた。
「それに変だと言うとヒイロの方だと思うぜ」
ディエチはヒイロの方を見る。確かにこの時期の半袖、半ズボンは変である。
「そうだな・・・」
ディエチはさっきと違ってちょっとしょんぼりした顔になった。
しかし、デュオはさっき言い忘れたような事を言う。
「でもよ、どっちかつうと俺はお前のその格好似合ってると思うけど・・・」
その言葉を聞いてディエチは再び顔を赤くした。
ルーテシアと久々に会ったエリオとキャロがルーテシアの姿を見て微笑みを見せた。
「ルーちゃん、よく似合ってるよ」
「ありがとう」
「誰に着付けしてらったの?」
「リンディさんにしてもらったの・・・」
「「とても似合ってる」」
「二人ともありがとう・・・」
ルーテシアは何度もエリオとキャロにお礼を言った。
「まあ、とにかく皆でお参りしようや。まずはお賽銭をやっておみくじをしてから屋台を回ろうや」
はやてが皆をまとめて境内に行き、皆でお賽銭を投げ、おみくじを引いた。
それぞれが何を願い、おみくじで何を引いたかはご想像に任せよう。
そして、初詣終え、はやてはアリサやすずか、ナンバーズの皆とルーテシアを連れてベイタワー基地に戻ろうと言い、
「シャイニングガーディアンズ」+αはベイタワー基地へと帰った。
ベイタワー基地では残ってたメンバーなどがおせち料理などの準備をして待っていた。
「お、うまそうな料理だな」
「いや、待てよ。前みたいにシャマルの作ったのが混ざってるかもしれねえ・・・」
デュオの言葉にガロードがドキッとした。
クリスマスパーティの時はシャマルの作った料理のせいで、ヒイロ、アキト、ドモン以外は全員倒れてしまったのだ。
「もう、そんなに私の腕が信じられないの!?」
「信じられるか!!」
皆が強くシャマルに言った。
さすがのシャマルも堪えきれずに泣いたがさすがのはやても弁解の余地がなかった。
前の料理は今まで以上ではやてやなのは、フェイトも倒れてしまったのだ。
「大丈夫よ、今度の料理はミスマル指令があらかじめ用意しておいたものだから、問題ないわよ」
「ベガさんまで・・・。ひどい・・・」
シャマルはますます落ち込んでしまった。
皆でおせち料理を食べているとクリスマスの時のようにステージでシャーリーとサブロウタが何かの司会をやっていた。
「皆さん! 新年明けましておめでとうございまああああす!! さあてサブロウタさん、新年最初のステージは何ですか!?」
「最初はこれだ! 「新年絶叫大会」!」
「これはどういうものですか!?」
「これはマイクの前で何でもいいから大声で叫んで点数の高い人が優勝と言うものだぜ。さっさこちらで指名した人はステージに出て出て・・・」
サブロウタとシャーリーが参加者を指名した。
その参加者はなのは、フェイト、ドモン、凱、甲児、一矢、Dボゥイであった。
そして皆の絶叫が始まった。
「スターーーーーライト、ブレイカーーーーーーーーーー!!」
「ああとなのはさんの全力全開技だ! 得点は!? 80点、結構高い」
「プラズマザンバーーーーーー、ブレイカーーーーー!!」
「今度はフェイトさんの全力全開技です! 得点は!? ああ、残念75点です」
「ばあああああくねつ、ゴッドフィンガーーーーーーーー!!」
「さすがキング・オブ・ハート、得点は!? 85点です!」
「光になあああああああああなああああああれれれれれれれれれれえ!!!」
「これはゴルディオンクラッシャーのトドメの叫びか!? こいつは得点が高そうだが得点は・・・!? 何と95点! 現在トップです!」
「烈風正拳づきいいいいいいいいいいい!!」
「一矢さん、お得意の技、得点はああと80点です」
「ファイヤーーーーーブラスターーーーーー!!」
「マジンカイザーの必殺技の得点は!? 75点、残念です」
「さあて、最後はDボゥイさんです。Dボゥイさん、どうぞ」
「うおおおおおお、ボルテッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「これはすごい叫びです。うん? え、マイクが壊れたって!? こいつはすごい採点不可能の叫びです!」
「よって優勝者はDボゥイに決定だああああ!」
会場はすごい熱気に盛り上がっていた。
「何かすげえ盛り上がりだな」
「ノーヴェ、何してるんスか。あたし達も盛り上がるんスよ!」
ウェンディやセインはノーヴェ達にも盛り上がるように要求する。
そんな中ディエチは一番盛り上がっているデュオの姿を見る。
「よっしぁあああ! 俺はやっぱり新年の最初っから年の最後までクライマックスだぜ!!!」
(何か、神社で会った時とは随分違うな・・・)
ディエチはデュオの変わりようを見て驚きが少し隠せなかった。
というかデュオの後ろに赤い鬼が憑いてるように見えた。
「さあて、お次は何だい!?」
「次は結構シンプルな○×ゲームです。ただし○×ゲームでも唯の○×ゲームではありませんよ。
○か×かの方まで突撃してもらうものです。それとここにいる人達に関する問題を出します。ただし間違えた方に突っ込んだら大変な事になりますのでご注意ください!」
「これは全員参加でいいね! まあ、やるのは一人ずつだけどな」
そして一人ずつやることになったが書くと長いので、代表してチンク、ノーヴェ、セイン、ウェンディ、ディエチ、オットー、ディード、ルーテシアのものだけにします。
「ではチンクちゃんに問題だ」
「問題 今年サブロウタさんが引いたおみくじは中吉? ○か×か?」
さっきからこんなような問題であったが結構盛り上がっていた。
そしてチンクは考えた末○に走ったが、正解は×だったのでクリームまるけになってしまった。
「チンク姉、大丈夫・・・?」
「気にするな、それよりノーヴェ、お前は正解しろよ」
「わかった!」
チンクはノーヴェに無用な気遣いはいらないようにいったがその後大泣きしていたそうだ。
「ノーヴェにはこれだ」
「問題 ゲインの年齢は今年で35歳? ○か×か?」
「あのおっさんか・・・。当然○だろ!」
そういいながら思いっきり突撃したが、ゲインは今年で30歳なので当然×であり、ノーヴェは水に濡れてビショ濡れになった。
「ううくそーーー、あのおっさんもっと上なのか・・・?」
「ひどいぜお壌ちゃん。俺は今年で30なんだぜ」
はっきり言ってノーヴェよりもゲインの方が泣きそうであった。
「次はセインちゃんだな。次も人の年齢だ」
「問題 ゲッターチームの隼人さんは41歳、弁慶さんは40歳、では竜馬さんは27歳? ○か×か?」
「ま、同い年あたりだから当然×だね」
セインも思いっきり×に走ったが、今度は粉まるけになった。
「な、何で!?」
「俺は時空の裂け目のせいで一気に13年後に飛んでるからだよ」
竜馬のその話は真ゲッターロボ世界最後の日の第9話を見てください。
「次はウェンディちゃんだぜ」
「問題 銀河君が扱う拳法は少林寺拳法? ○か×か?」
「わかんねえスけどこれでいくっス!」
ウェンディは○目掛けて思いっきり走ったらそこにあったのはふかふかのマットであった。
「正解です!」
「やったス! ノーヴェ、セイン見てたスっか!? あたし、当たったっス!」
「「くそーーーー」」
ウェンディが自慢げに言うのでノーヴェとセインはすごく悔しがった。
「ディエチちゃんにはこれだ」
「問題 デュオさんの通り名は死神? ○か×か?」
ディエチは黙ったまま○に走ったが、突撃した後は小麦粉まるけになった。
「デュオ、お前なんて呼ばれてるんだ?」
「別に死神は俺が勝手に言ってるだけだぜ」
ディエチは黙ったままデュオのところから去った。
「次はオットーだな」
「ガンダムX及びダブルエックスに備わってるシステムはマイクロシステムか? ○か×か」
オットーは黙ったまますぐに○に向かって走ったが、その先でチンク同様クリームまるけになった。
「答えはサテライトシステムでした」
「オットー、残念だね」
「次は君の番だよ、ディード」
「うん」
それだけの会話だけで次はディードがステージに出てきた。
「お次はディードだ」
「問題 宙さんは前まではカーレーサーだった? ○か×か?」
ディードは×に向かって走ったが、白い粉まるけになって帰ってきた。
「ディードも悲惨スね」
ウェンディがオットーとディードの有様を見て笑うが二人とも反応がなかった。
(やっぱりこいつらとはあまり気が合わないスね)
ウェンディは気づいてないがオットーとディードはうっすらだが楽しそうに笑っていたのだ。
「最後はルーテシアちゃんだ!」
「ルーちゃん頑張ってね」
「問題 ロムさんとレイナちゃんのお父さんの名前はガルディ・ストール? ○か×か?」
ルーテシアも考えた末黙ったまま×に走り、その先にはふかふかのマットがあった。
「正解です。ガルディはお二人のお兄さんの名前でお父さんはキライって言うそうです」
「ルー、よかったね」
「ルーちゃん、おめでとう」
エリオとキャロは自分達が正解したよりもルーテシアの正解を喜んでいた。
間違えた人達の服の手入れなどが終わった頃ナデシコCが起動し始めていた。
「皆さん、すぐに戦艦に乗ってください。これからボソンジャンプで火星に行きます」
ルリの突然の発言に皆が驚いたが、皆従うままに戦艦に乗り火星に行った。
そこにあったのは巨大なカルタの絵であった。
「これって・・・」
「さあて本日のメインイベントは「火星で大暴れ、カルタ取り大会」です!」
シャーリーが勢いよく説明を始める。
「このゲームは皆が自分の機体、なのはさん達の場合はバリアジャケットを着てですが、皆でカルタ取りをしてもらいます。
ただし、誰かがカルタが取れるまではその取ろうとした人を妨害しても構いません。どんな事をしてでもカルタを取っちゃってください。
でも、カルタを取った後、次のカルタが読み終わるまでの間に攻撃をした人は失格になりますよ」
「シャーリー、優勝商品は何だい?」
「優勝した人はなのはさんのご両親がやっているの「喫茶翠屋」から特別なものが用意されてますのでそちらをゲーム終了後プレゼントです」
そして各自戦闘体勢に入るように自分達の機体に乗った。
「準備はいいですか!? それではまず一つ目、いきます!」
シャーリーが一つ目を読み上げると全機発進し、急いでそのカルタを探した。
そして最初にエリオが見つけ、ソニックムーブでそれを取りに向かったが、キングゲイナーのオーバースキルの加速により妨害され、 エリオはゲイナーにより、地面に落とされた。
ゲイナーは「自分がもらった!」っと思っていたらシンシアの乗るドミーネーターがキングゲイナーの足を掴んで後ろに投げ飛ばした。
そしてシンシアはドミネーターの手を伸ばし取ろうとしたら上からレントンとエウレカの乗るニルヴァーシュが間一髪カルタを取ったのだ。
「へへん、いただき!」
「まず最初はレントン、エウレカが取りました。さあて、次いきますよ!」
そしてカルタ取りは接戦を極めた。
ダイモスがフリーザーストームで凍らせたり、真ゲッター2やセインが地面から現れカルタを取ったりなど他にも色々あったが、
優勝したのはスバルであった。
「優勝したスバルには後で特別なものをあげちゃいます。さてとそれでは地球に帰りましょう」
シャーリーがそう言い、全員戦艦に戻り、ボソンジャンプをして地球のベイタワー基地へと帰っていた。
そしてベイタワー基地では「喫茶翠屋」で働いているなのはの両親の士郎と桃香と兄の恭也と姉の美由紀とすずかの姉で恭也の奥さんの忍が皆の帰りを待っていた。
「お父さん、お母さん、お兄ちゃんにお姉ちゃん! それに忍さんも・・・」
「あん? 俺がどうしてたって?」
なのははすずかの姉の忍に言ったのだが、思わずファイナルダンクーガに乗っている忍が反応してしまった。
まあ、二人とも名前が忍(しのぶ)だから無理はないが・・・。
「皆でなのは達の帰りを待ってたんだよ」
「でもなのは、軍のお偉いさん達から聞いたけどまた無茶な事をしたって・・・?」
「なのはお願いだから、あれ以上の無茶はもう勘弁してよね。これは冗談じゃなくて本気だからね・・・」
「はあーーい、出来れば気をつけます」
「よろしい、じゃあ皆さんも会場へ・・・」
会場に並んでいたのは大量のお菓子ケーキであった。
「うわああ、うまそうスね」
「どれから食べようかな・・・」
「どれも見た目から素敵だーーー」
ウェンディとセインとスバルは思わずよだれが出ていた。
「スバルにはこれだよ」
スバルのために用意された特別なものはスバルの好物のアイスの乗った特大ケーキであった。
「うわああ、大きくておいしそう・・・。でも、あたし皆で一緒にこれを食べたいな」
スバルの提案により、皆で優勝商品を食べる事になった。
皆が楽しく過ごしたお正月、「シャイニングガーディアンズ」のメンバーはこの日を忘れる事はないだろう。
「新年、明けましておめでとうございます!!!」
終わり
投下完了です。
予告しますが現在外伝3.5話を製作中ですが外伝予告しておきます。
ティアナの悲しい過去、スバルとティアナの秘密の練習とその結果は、
そしてなのはとティアナにそれぞれの鉄槌が・・・。なのはとある男2人のつらい過去とは?
以上です。題名は伏せておきます
かえれ
ああ、言い忘れましたがこの超番外編2は超番外編の次のところに書いてください。
お願いします。
85 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 13:53:24 ID:eWEsNAtz
昨日ポツリと呟いていたMHクロス、プロローグ兼第一話が完成がしましたので二時に投下いたします。
とりあえず悩んでるだけじゃどうにもならないから文章にしてみましたが…。
87 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 14:01:16 ID:eWEsNAtz
では、2時になったので投下いたします。
そういえばMHって全作通じて謎な部分が多いよな…。
88 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 14:02:45 ID:eWEsNAtz
魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
第一話「狩人」
これはA’Sの闇の書事件が終わり、不屈のエースオブエース「高町なのは」が15歳の時のお話。
「ちきしょう…ちきしょう…」
雪山でアタシと向き合うのは昔、はやてが見せてくれた本に載っていた「恐竜」とかいうやつとそっくりだった。
黄土色と青のストライプの「ソイツ」は任務中にいきなり襲撃してきてなのはを攻撃しやがった。
鋭い爪でなのはの腹を抉り、尻尾で雪に叩きつけてグラーフアイゼンで叩いたら身体を回転させて攻撃。
アタシの身体はその攻撃だけでズタボロになってしまった。魔法があまり効かない上にバリアジャケットを簡単に引き裂く爪と牙。
なんなんだよこいつは…!!
「ゴォアァァァァァァァァァ!!」
突然の咆哮、あまりにもでかい声のためついアタシは耳をふさいで目をギュッとつぶってしまった。
迫り来る足音。今の位置だと気を失っているなのはも巻き込まれてしまうだろう。
そして爆発音。目をつぶっていてもかなり眩しかった。恐る恐る目をあけるとなのはは鎧の男に抱えられていた。
「どうしたの!早くこっちへ!逃げるよ!!」
アタシは鎧の男に手を引っ張られながらその場から逃げた。ちょっと実感はないが、助かったんだ。
89 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 14:03:09 ID:eWEsNAtz
無我夢中で走るアタシ達。漆黒で禍々しい鎧を着て、一見どっかのヒーローもんの悪役に見える男はなのはを抱えてアタシの手を繋ぎながら走る。
しばらく走るとテントがたっているところに着くと中のベットになのはを寝かせ、兜を外してぷはぁ、とため息。
驚いた、という表現はおかしいだろうか。助けてくれた男はエイミィやクロノと歳はあまり変わらなさそうなやつだ。
光を受けて少し光る金髪を揺らしながらなのはに緑色の液体を飲ませる。
「ふぅ、備えあれば憂いなし…とはいうけどね。回復薬グレート持ってきてよかったよ。」
誰に言ってるのかわからない言葉を呟くとその回復薬グレートとかいうビンに入った緑色の液体をアタシにも渡した。
一口だけ飲んでみる。意外と甘い。ストロベリーアイスよりは甘くはないが薬…というと苦くて飲みにくいイメージがあったから少し安心した。
「ん…!!?」
甘いジュース風味のを飲んでいると傷がどんどんふさがっていく。何かゾッとして薬を落としてしまった。
「…もしかして飲むの初めて?」
「わ…わらうな!」
「あはは、ごめんごめん。その回復薬グレートは人が本来備わっている自己再生能力をただ速くするだけのものさ。
まぁ…確かに回復はしてるだろ?」
「え、うん。」
ということは?後ろを向くとなのはが不安そうに立っていた。回復していた。不安でいっぱいだったアタシは思わずなのはの所へ駆け出していた。
なのははアタシの頭を撫でる。今回ばかりはそれが許せる。いつの間にか泣いていた。血塗られた純白のバリアジャケットを掴んで、声を殺して泣いた。
少し落ち着き、男のほうを向くと笑っていた。さっきの笑いとは違って心の底から祝ってくれている穏やかな笑み。
「あの…あなたが助けてくれたんですか?」
「助けたっていうのには程遠いけどね。逃走に無理やりつき合わせちゃっただけさ。」
「いえ、でもこうして私とヴィータちゃんの命を助けてくれましたし。」
「あー…じゃあ俺っち自前の「お節介」っていうことにしてくれない?どうもそういう扱いは好きじゃない。」
「ふふ、そういうことにしておきます。」
なんとも照れくさそうに笑うお節介な男。なのはとのやりとりでアタシも自然に笑っていた。
それから男はいろんなことを話してくれた。自分のこと。その男の故郷は三つあって、ココット村、ジャンボ村、ポッケ村。今はポッケ村に住んでいるらしい。
あの恐竜に似た竜「ティガレックス」のこと。ティガレックスのほかにもいろんな竜がいて、そいつらのことを全部まとめて「飛竜」っていうこと。
驚いたけどアタシ達を襲ってきたティガレックスを見たから信じるしかない。
お返しにアタシ達は自分のことはもちろん、ミッドチルダっていうところから来て、管理局の仕事でここに来たこと。魔導士だってこと。
男はかなり驚いていたがウソだとは思っていないらしくちゃんと耳を傾けて頷きながら、質問しながらちゃんと話を聞いてくれていた。
ふと、空に一つの箱舟。次元艦、アースラだ。
男は目を見開き、かなり驚愕していた。まぁ、無理もないが。
「ありがとうございました。ほら、ヴィータちゃんも。」
「ありがとう…です。」
お礼を言うというのはどうも照れる。
お節介な男は苦笑しながら手を振って「じゃあな。運がよければまた会おう。」と飛んでいくアタシ達に向かって叫んだ。
たった少しだけしか過ごせなかった命の恩人と、別れた。
それから四年の歳月が過ぎて機動六課が設立された。
そしてJS事件も終わって機動六課がもう少しで解散の冬。今でも「アイツ」の姿は頭に残っている。
90 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 14:04:32 ID:eWEsNAtz
番外「ヴィータが見た『アイツ』の姿」
防具:ヴィータが「漆黒で禍々しい」という限り可能性としてはアカムトシリーズ、あるいはドラゴンSかブラックシリーズと思われる。
武器:描写はなかったがヴィータの証言だと「バルディッシュのザンバーフォームより少し細くて小さい刀」らしい。つまり太刀類ではないのか。
顔:結構ととのっていたそうだ。髪は金髪で後ろがツンツク。おそらくレウスレイヤーだろう。
性格:「お節介」としか言いようがないという。
声:「どっかで勇者王でもやってんじゃねーの?」とヴィータが言うくらいだからとりあえずあの人だろう。
91 :
戦国の鉄の城:2008/01/01(火) 14:06:40 ID:eWEsNAtz
投下終了です。
一話はほんのさわりだけだったので短めに。そのかわりといっては何ですが「アイツ」のデータも投下してみました。
えっと…、なんか、ごめんなさい。
>>91 GJ
どの防具にしても、かなりのベテランハンターか…
GJ! 遂に本格的なモンハンクロスが始まったのですね!
以前ウロスで(多分)OSGS氏が、バラエティー番組とのクロスについて書き込みをされていたのですが、
自分もちょいと作ってみました。
…一発ネタならいいよね?
支援します
どうぞ
ミッドチルダの一角に位置する、機動六課隊舎。
この日、スバル達4人の新人魔導師が突然ここに送られた。
(何故か)乗っていたロケバスから降りて門の前に立つと、そこへ1人の女性がやって来た。
自転車に乗って。
「お前らよう来たな。私がお前らの面倒を見ることになる、部隊長の八神はやてや」
現れた女性は、少しおかしな言葉でそう名乗る。
「今日は、お前ら4人に、この機動六課で研修を受けてもらう」
要するに新人教育ということらしい。
期間は24時間で、夜も寮で寝泊まりをすることになるのだそうだ。
「ところでスバル、三提督をどう思う?」
はやては唐突にそんなことを尋ねた。
「え? えっと…三提督って言うからには、偉い、んじゃないかと…」
「ほ〜…、真面目すぎやね」
はやてはスバルの答えを、そんなわけの分からない理由で突っぱねた。
当然のごとく、スバルを含め、その場の4人は一様に怪訝そうな顔を浮かべる。
「そういうとこを直すっちゅう意味でも、今回の研修を受けてもらうことになったんや。
…ほら、ここに制服用意したから、お前らそこで着替えて」
そう言って、はやては4人に管理局の制服を渡す。
彼女の指差した先には、いつの間にかバラエティー番組で使われるような形の試着ボックスが4つ並んでいた。
スバル達は言われるままに制服を受け取り、ボックスの中で身に付ける。
実は今まで着ていた制服も渡された六課の制服も何も変わらないのだが、ツッコんでいい空気ではなかった気がした。
着替えが終わり、1人1人順番にボックスから出てくる。
「お〜可愛えなぁ〜」
外見は何も変わらないはずなのだが、いちいちはやてがその格好を褒めちぎっていく。
そして、最後に唯一の男であるエリオの番が来たのだが。
「おお…エリオ、セクシーすぎやなぁ」
彼は何故かスカートを穿いていた。
「あの…何で僕、スカート(しかも下にはガーターベルト付)なんですか?」
若干顔を赤くしながらエリオが問いかける。
嫌そうにしているが、それでも恥じらいながらちゃんと穿いているのが何とも可愛らしい。
「それじゃ、説明してくよ」
エリオの問いを華麗にスルーし、はやてが口を開く。
「まず、ここは絶対に笑(わろ)たらあかん隊舎や」
笑ってはいけない隊舎、というまったくもって意味不明な言葉に、4人は一様にハテナマークを頭上に浮かべる。
「もし笑てもうたら、ウチのフェイトちゃんからきつーい罰ゲームを受けることになる」
だから気をつけろ、とはやては言った。
そして4人を連れ、門のすぐ手前に立つ。
「ええか? この線を越えたらスタートやで」
この門を通り、六課隊舎に入った瞬間から、24時間笑うことを禁止されるらしい。
未だにどういうことかよく分からない4人だが、ともかくも今は入るしかない。
「ほんじゃ行くで、せーの」
はやてに促されるままに、4人は門のラインを跨いだ。
ひとまず敷地内へ入ったものの、別段変わった様子はない。
まだ建物に入ったわけではないからかもしれなかったが、その建物も外観も至って普通だ。
「あれ? 立て札、逆さまになっとるやん」
不意にはやてがそう言う。
見ると、そこには前後逆で、文字の見えない立て札があった。
「ティアナ、ちょっとひとっ走りして直してきて」
「え? あ、はい」
はやてに言われるままに、ティアナが立て札目掛けて走る。
そして、目標のすぐ手前に差し掛かるや否やとなった瞬間――
「きゃっ!?」
ティアナの姿は落とし穴に消えた。
ジャジャーン♪
「スバル、エリオ、キャロ、アウトー」
有名アニメ・ゲームキャラが大集合する、スバル達4人の地獄の研修!
リリカルなのはの「絶対に笑ってはいけない機動六課24時」
多分、続かない
投下終了。
…はい、ほぼ確実に続きません。まず無理です。
はやての関西弁が変なのは、元ネタ準拠で。
ちなみにフェイトの罰ゲームというのは…やっぱりライオットザンバーでお尻をホームラン。
まさか、このネタでクロスとは、とんでもねえ発想ですね……
しかしエリオの女装姿って以外に似合いそうだな。
>>99 エリオとキャロにはごめんねごめんね言いながらやら…ねーよwwww
激しく続きが読みたいが無理だろうなぁw
タイキックの変わりがギンガのドリルやミキタカくん役がヴィヴィオになって
スカ博士、フェイト、レジアスになのはとフェイトは本当のママじゃないとか歌われるんですねw
正月用10行小ネタよろしいでしょうか
支援
どこかの神社にて。どこかは聞かないで
はやて:(今年はみんな怪我をしませんように)
フェイト:(みんなが新しい仕事に早く慣れますように)
なのは:(ヴィヴィオが元気でありますように)
ベル:「早く管理局の魔王と呼ばれるような立派な局員になれますように」
なのは:「ねえ、ベルちゃん」
ベル:「なに?」
なのは:「すごいお願いするのね」
ベル:「そう?なのはみたいになれればいいなって事なんだけど」
なのは:「私は魔王じゃないよ!」
************************
ここまでです。
10行小ネタですから。
107 :
魔装機神:2008/01/01(火) 23:03:34 ID:H0OVxErY
皆さん開けおめー。
早速だけど投下します。
>>99 手前、続き書きそうになったじゃねえか!!
支援。
109 :
魔装機神:2008/01/01(火) 23:10:50 ID:H0OVxErY
「あー、あー、ただいまマイクをテスト中だ、ただいまマイクのテスト中だ」
「いちいちそんな事言なくていいとおもうぞ」
「そうか、……それではみんなハッピーニューイヤーだ!私は世界中を旅しているグラン・ガマと申す」
「私は魔法少女リリカルなのはシリーズの主人公、高町なのはです」
「スーパーロボット大戦第2次、第3次、EXのオリジナルキャラクター、そして魔装機神の主人公、マサキ・アンドーだ、よろしくな」
「そのファミリアのクロと」
「シロにゃ!」
「俺はフルメタルパニックの主人公、相良宗介だ」
ここはどこだかわからない特設会場。
「今回は、魔装機神氏が手がけているスーパーリリカル大戦、フルメタルマジカル、シャドウなのはSTS。
合計3作品のクロスキャラクターを一堂に集めて、新年会を開こうと思っています」
「と言うわけで諸君、様々な食事やイベントがあるので、存分に楽しんでくれたまえ」
「コッペパンはあるのか?」
「ああ、あるらしいぜ、そんじゃ、開始の挨拶はクロス元の主人公のなのはに頼むぜ」
「うん、それじゃ、これより第1回、新年祭、血と汗と涙の結晶を始め…」
「ちょっとまてーーーーーー!!」
ぜえ、はあと少し息を切らしながらある人物は前の人物を見る。
「お前、何でこんなところにいるんだよ!普通、主人公である俺だろうが」
わーわー叫ぶシャドウハーツ主人公ウルムナフ・ボルテ・ヒューガ。
「しかし、今回はこのメンバーでしろといわれてるんだが?」
「まじで?」
「まじで」
衝撃的な事実に、ウルはショックを受ける。
「そうだそうだ、この千葉ちゃんならぬグラン・ガマにまさせなさい!」
「おれはただここにいた方が落ち着くから来ただけなのだが……」
「というわけで!これより特別企画、
スーパーリリカルフルメタルシャドウなのは 新年祭、始まります」
特別企画、魔法少女スーパーリリカルフルメタルシャドウなのは 新年祭
「けど、なんかこのタイトル、私が変人みたい……」
タイトルに不満を感じる高町なのは。
「ママ、おかえりなさ〜い」
まず彼女を最初に出迎えたのはヴィヴィオだった。
どうやらケーキをたべていたようで、ほっぺたにクリームがついている。
「ヴィヴィオ、だめだよ、」ちゃんと吹かなきゃ」
そういってなのはは自分が持っているハンカチでヴィヴィオの顔を拭く。
「ママ、一つ聞いてもいい?」
ヴィヴィオは周囲を見てなのはに尋ねる。
「どうしたの、ヴィヴィオ?」
「まだ全員集合していないのに始めてもいいの?」
「え?」
なのははキョロキョロ見渡す。
年齢は違うが、どの作品にも出ているなのは。
同見ても全員が出ている。
「ヴィヴィオ、誰が来てないのかなあ?」
「えっとねー、まじかるし」
何か危ない事を言おうとしているヴィヴィオの口を押さえるなのは。
「ヴィヴィオ、他スレの作品は呼んじゃいけないんだよ、わかった?」
「……(コクコク)」
無言で頷いたヴィヴィオを見て、なのはは手を離す。
「それじゃ、なのはママも何か食べようかな」
110 :
魔装機神:2008/01/01(火) 23:11:32 ID:H0OVxErY
「むぐむぐ……で、司会進行をするのはいいが、一体何をするんだ?」
宗介は好物の干し肉とコッペパンをほおばりながらシュウに尋ねる。
「ああ、主な事はこの私がするから前はおもにサポートと言うことになるからな、しっかり頼むぞ」
「了解した」
そういってもう一つコッペパンを口に入れようとしたときだった。
「ソースケーーーー!!」
突然ハリセンが飛んできて、宗介に直撃する。
「あんた、こんなところでなにやってんのよ!!」
「ち、千鳥、何で君がこんなところに?」
そのハリセンを投げた張本人、千鳥かなめはずん!ずん!と宗介のほうへと迫る。
「それはこっちのセリフよ!ただでさえフルメタルパニックの登場キャラクターは私とあんたとカリーニンさんの3人だけなのに、どこをほっつきあるいてんのよ!」
「お、小野寺や風間、椿や大佐はどうした?」
「名前だけ出てきたキャラが出て来るわけないでしょ!!」
「しかし、俺にはこのパーティーの進行と言う重要な役目があるのだ。任務を放棄するわけにも行かない」
「彼の言うとおりだ!!」
そこに、二人の間にガマが割り込んでくる。
「彼は大事な司会進行の一人だ。それなのにそれを邪魔されては困る」
「そ、それはそうですけど……」
理屈はわかるが、まだどこか納得しないかなめ。
「ち、千鳥……」
「ん?」
宗介はおそるおそるかなめを見る。
やはりどこか不機嫌そうだ。
「今日はすまない。その代わりに……」
「そのかわり?」
「そのかわり、五日で二人でどこかに出かけよう」
宗佑は気恥ずかしそうにかなめを見る。
それを見たかなめは少し俯いて……
「うん、わかった。それじゃね」
そういって機嫌をよくしながら戻っていく。
「さて、様々なキャラの交流もよいが、それではいい加減話に進まんからな。まさき!さっさと高町を呼び戻せい!」
ガマはマサキに指示すると、マイクを取り出す
『あー、あー、みなさん、少しこちらにお集まりください』
「なんだなんだ?」
マイクの声にみんなに集合を呼びかける。
みんなが一通りあつまったあと、今度はグランが前に出る。
「本日の最初のイベント、新春モノマネ大会を開始する!」
ガマの激しい言葉と共に、バックから火花が撒き散らす。
「まあ、新春企画としては妥当だな。優勝者には豪華な景品がつくぜ!」
マサキの言う景品に、少しずつ盛り上がりを見せる一同。
「まずはルールだ!順番は自由!自身がある者、もしくは勇気ある者はジャンジャン手をあげてくれ!
判定はコンピュータ、審査用ぼん太君で行う。あまりも似ていなかったら、おしおきだあ!!宗介君、ぼん太くん起動!」
「了解した、行くぞ、アル!」
『了解しました、軍曹殿』
宗介はこのときのために準備された審査用ボン太訓を起動させる。
これもミスリル製で、自動で様々な審査をしてくれる。
技術部は、これをミスリル主催のパーティー用にこれを使うようにと上のように申請している。
尚、今回はAIの調整が中々上手くいかなかったので急遽彼の愛機、アーバレストのAI,通称アルのAIを移植させた。
「あ、かわいいぬいぐるみ!」
ヴィヴィオはそれを見てボン太のほうへと向かおうとする。
『ミスヴィヴィオ、後で握手でも何でもしますので今はおとなしくゲームに参加してください』
「はーい」
そういってヴィヴィオはとことことなのはのほうへと向かう。
「準備も整ったようだな。では、はじめぃ!」
こうして、新春モノマネ大会が開始された。
そして、一番最初に名をあげたのは、シャマルだった。
「一番ブラック……ごめんなさい、シャマル、○カ○ュウやります!○ッカー、○カ○ュウ!」
「相良、どうだ!」
ガマが振り向くと、ポン太訓が得点をはじき出す。
111 :
魔装機神:2008/01/01(火) 23:15:16 ID:H0OVxErY
「アル、得点は!?」
『85点、最初にしては中々高得点です』
得点を聞いて、ほっとするシャマル。
「さあ、これに続いてジャンジャンいってくれい!」
「はい!2番、スバル・ナカジマ、一人芝居、ノーヴェとクアットロやります!」
「「何!?(なんですって!?)」」
「ノーヴェちゃーん?」
「なんだよ、メガ姉」
一人二役スバルをこなすスバルだが……
「ハチマキ!なに人のマネやってんだ!?」
「イタイイタイ、だって出来ると思ったんだもーん」
「ですけど、少しおいたがすきるんじゃありません?」
スバルはノーヴェとクアットロに踏まれている。
『お忙しいところ残念ですが、残念ながら失格なので罰を受けてもらいます』
「「ん?」」
だが、スバルの物まねが意外と似ていたのだが何故か失格となってしまった。
アルの言葉の瞬間、頭上から鐘のたらいが落ちてきた。
「「あだ!」」
しかし、それはノーヴェとクアットロに直撃した。
スバルは未だに踏まれていたので助かったのだ
「お前達が先に手を出したからだ」
それを見たトーレはためをつく。
『ちなみに、罰はこのほかにも定番のものを様々ランダムで用意してあります。勿論命に別状がないものばかりですのでご安心を』
「じゃあつぎは私がやるーー!」
その次に手を上げたのはヴィヴィオだった。
「はい、どうぞ」
「は〜い。3番、ヴィヴィオ。フェイトママの寝言のモノマネいきまーす!」
「え!?」
ヴィヴィオの物まねの対称になったフェイトは驚いてヴィヴィオを見る。
「えりお〜〜、きゃろ〜〜〜、たまにはお母さんってよんで〜〜〜」
「ぶっ!」
そのヴィヴィオのないようにエリオは食べていたスパゲッティを思いっきり吹く。
「ヴィ、ヴィヴィオ、寝言だけどそんな事私が本当に言ってたの?」
「うん!」
顔を真っ赤にするフェイトに、無邪気に頷くヴィヴィオ。
子供って残酷だな、とマサキはフェイトを少し哀れんだ目で見る。
「あ、あの…フェイトさん……」
キャロとエリオは顔を真っ赤にしながらフェイトを見る。
「えっと……まあ、確かにそう呼んでほしいって思ってるけど、まだ早いよね?」
そう話をしていると、突然銃声が鳴り響いた。
「ふぎゃ!!」
それと同時にヴィヴィオが吹き飛んでいった。
「ヴィヴィオ!?」
なのはは急いでヴィヴィオのほうへ駆けつける。
「う〜〜〜〜」
ヴィヴィオが涙目でおでこをおさえているのでそれを見ると、おでこが真っ赤に晴れていた
『ネタがあまりにも限定的過ぎてモノマネの評価が出来ません、お仕置きです』
「いやアル、少し待て!」
久しぶりに慌てて宗介はアルを見る。
「そう見てもあれは俺が使っているショットガンなんだが……」
そう、あれは以前学生達やなのはとヴィータを吹き飛ばしたゴム・スタン弾が装填されているショットガンだった。
『問題ありません軍曹、ここは地球なので質量兵器の持込は許可されています』
「いや、そういうことじゃないんだが……」
『さらに言わせてもらいますと、中身はゴム・スタン弾ではなく、さらに安全なスポンジ弾にしていますので、子供相手でもノープロブレムです』
112 :
魔装機神:2008/01/01(火) 23:17:10 ID:H0OVxErY
「なるほど、それなら大丈夫だな」
アルの説明を聞いて生むと頷いた相良。
(何か違うような……)
ティアナはそれを聞いて何か突っ込みたくて仕方なかったが、とりあえずやめる事にした。
「ママ、ヴィヴィオ泣かなかったからえらいよね」
「うん、えらいよ。おりこうさんだねヴィヴィオは」
よしよし、とヴィヴィオの頭をなでるなのは。
そんな彼女達を見て、フェイトたちも不意に微笑む。
「さー、ばりばりいこー!!」
この後もモノマネ大会は盛大に続いた。
「6番、シュウ・シラカワ、バビル二世。いくぞ、ロデム」
『お仕置きです』(天井から水)
「ぶ!」
「8番、ヨアヒム!刑事コロンボをやるだら!おの〜奥さん、すこしお話を聞かせてほしいのですが」
『よい子の皆さんに解るわけありません。おしおきです』(天井から粉)
「このSS子供がみてるだらかーーーーー!?」
「9番!エリオ・モンディアル、武藤カズキいきます!武装錬金!(ストラーダ起動)
『70点、まあまあといったところです』
「10番、クアットロ。ミッ○……」
『問答無用でお仕置きです』(ミサイル)
「なんでわたしだけーーー!!?」(この3行はまとめ編集差の個人の判断で削除してください)
11番、シャリオ、ケント・デリカットやりまーす。どーも、ケントでーす」(勿論眼鏡を前後に動かす)
『微妙です、お仕置き』(天井からたらい)
「いったーい」
「なんかいろいろ突っ込みたいところが多すぎるんだけどそこはおいおいて……ソースケ、ちょっといい?」
「なんだ、千鳥?」
「あれ、どうやって天井から落ちてきてるの?」
そういって天井を指差すかなめ。
「ああ、それならアンドーに任せているはずだが、どうなんだ?」
「あれか?あれはラングランの兵士を数人雇ってやってもらってるぜ」
「い、いいの、それで?」
かなめはある程度話を聞いている。
彼は地下世界と言うところで生活していると。
「で、聞きたいんだけど、あのいかにも豪華そうな装飾をしている人は?」
そいって、かなめは恐ろしくゴージャス拝承を見に名とっている中年の男性と青年を指差す。
「あれが国王とその息子。まあ、王様と王子だな」
「ああ、そう……」
かなめは頭が痛くなりそうだった。
別次元が存在するということでも頭が痛くなるほどなのに、さらには御伽噺に出てくるような王様と王子様もいるなんて……
しかし、この状況にもモノマネ大会は続く。
113 :
魔装機神:2008/01/01(火) 23:18:01 ID:H0OVxErY
「もう一度、シュウ・シラカワ。ギム・ギンガナム。絶好調であー『おしおき』(たらい)ぐは!」
「な……何でシュウの野郎のりのりなんだ?」
シュウは何故か意思が大量に入っているたらいを落とされのびているシュウを見つめながら不気味そうに尋ねた。
「使用だろう、気にする事ではない」
そういってコッペパンにジャムをつけて食べる宗介。
「そろそろ俺もいくとするか、15番、相良宗介、ドモン・カッシュ。師ぃ匠おおぉぉぉーーー『失格』おおおお!!?」
宗介は本物のゴム・スタン弾で吹き飛ばされる。
『申し訳ありません軍曹殿、軍曹殿なら大丈夫だとおもってこの装備にしました』
「まあ、別にいい」
宗介はこそっと着ていた防弾ジョッキで無傷ですんだが、やはり衝撃は殺せなかった。
「それじゃあ16番、スバル・ナカジマ。豊臣秀吉いきます。コンニチワ、豊臣秀吉です」
『もうその手にはのりません、お仕置き』(天井からこれでもかと言うほどの毛虫)
「っきゃーーー!!気持わるーい!」
「馬鹿スバル、暴れないでよ!こっちに飛ぶじゃない!」
「だってーーー!」
結局、そういうのに全く動じない宗介によってすべて駆除されるのに15分かかった(スバルが無駄に暴れた+かなめの異様な視線)
結局、最初に85点をとったシャマルが優勝して、優勝商品としてミンチスペシャル10年分を景品としてもらい、ザフィーラと犬を大量に飼っているアリサに贈呈した。
「で、つぎはなにをするんだ?」
マサキは食事をしながらガマに尋ねる。
「つぎか?次も宴会に定番の」
「いや、宴会じゃねえし」
マサキは突っ込むが、ガマは全く機構ともしない。
「次はこれだ!王様ゲーム!!」
「……他のやつもしてるけど……大丈夫なのか?」
「問題ない、どうせこういうのに刷る事は決まっている」
というわけで、続く。
投下完了。
えーと、なんかいろいろカオスになってしまってもうしわけありません。
それでもまだ続きます
114 :
エラッタ:2008/01/01(火) 23:44:10 ID:/UUHb8/3
GJ!
カオスですなw
新年ネタか
小ネタが出来たから投下してもおk?
>>101-102 べ、別に完全オリジナルネタ無し・過去のネタのキャラ置き換えオンリーでいいなら挑んであげないこともないんだからねっ!
色々ネタは頭の中に巡ってるんだから、試してもらえるだけでもありがたく思いなさい!
ちなみにヴィヴィオ=アキタカ君は正解ですが、スカ博士は九割方ヘイポーポジションになります。
…か、勘違いしないでよ! あくまでやる気が湧いた場合の話n(ry
117 :
エラッタ:2008/01/02(水) 00:05:34 ID:n5nYtBKT
十代「新年まであと少し、そろそろカウントダウンが始まるな」
なのは「今年はいろんな事があったね、十代達やネオスペーシアンと出会えたりして」
エド「……それはいいとしても、何でここでやるんだ」inフィールド魔法「幽獄の時計塔」
レイ「いい会場が取れなかったから、カウントダウンに最適な場所はないか十代様に相談してみたんです」
十代「エドが運良くこっちに来てたから、ふと思い出したんだ、いいだろ?」
エド「十代、まったく君というやつは…」
はやて「まあまあ、それにしてもフィールド魔法って便利やなあ、これなら周囲への被害を抑えながら戦えそうやし」
スバル「ところで、彼らって…」
十代「年明けなんだから、相棒や仲間達とも一緒にと思ったのさ」
ティアナ「そうじゃなくてサイズがおかしいような?」
時計塔と並び立つネオス、肩にはネオスペーシアンたちが乗っている
十代「ああ、デュエル中は縮小されてるけど、これがネオスの本来の姿なんだ」
はやて「こんなにでかかったんやな、まるで光の巨人や」
なのは「……闇の力の使者でもあるから、言動がちょっとね」
レイ「十代様、そろそろカウントダウンが始まりますよ」
時計塔の針がゆっくり時を刻み、12時となった
全員「新年あけましておめでとう」
フェイト「今、時計塔が歪んで見えたような…」
エド「幽獄の時計塔のエフェクトが発動したのさ」
なのは「エフェクト?」
エド「幽獄の時計塔に時が満ちた時、それをコントロールしている者をあらゆる戦闘ダメージから守るのさ」
十代「こういうことさ、相棒」
ハネクリボーがエドに向かって飛んでいくが、見えない障壁に阻まれて接近できない
エド「……十代、いいかげんに……」
はやて「便利やなあ、うちでも採用したいぐらいや、でも時計塔はわかるけど何で「幽獄」なんや?」
エド「こういうことさ、フィールド魔法「ダーク・シティ」発動」
時計塔が崩れ、新たなフィールドが形成され始める
エド「この時、幽獄の時計塔に幽閉されていた男が解き放たれる、カモン!D−HERO ドレッドガイ!」
十代「わ、悪かったって、エド」
エド「ドレッド・ウォールで墓地のD−HEROを蘇生し、いけ!プレデター・オブ・ドレッドノート!」
十代「何で新年早々こういうオチになるんだ、うわあああ」
以上です
本編でも感動のデュエルからオチで涙目になった十代はやっぱりこういうギャグの方が合うと思う
名無しに戻って頭冷やしてきます
GJ−!
時計塔があったか・・・さっぱり思いつかなかったぜwww
3期の十代は笑った回数が二ケタいかないから困る
全職人GJ!
遊戯王・・・orzマジギャザノホウハマッテイルンダヨネオレ
真祖の人です、新年明けましておめでとうございます、短編完成したので投下桶?
新年そうそうそらねーよという感じですが・・・
進路クリアー、発進どうぞ!
支援っす。
真祖の人です、投下します(若干、キャラ改変とグロあります)
―――何故…自分はここにいるのだろうか…一体ここは何処だ?
―――何故自分は生きているのだ、馬鹿なありえん!…俺はすでに…
――――そう、俺はあの時確かに…操られたあいつに撃たれ、あいつに踏み潰され
死んだはずでは?
クラナガンのとあるジャズバー、其の店には多くの客がいた、その客の多くはあるバンドが目的とされていた。具体的にはそのバンドのある男が目当てだろう、
その男から奏でられるメロディーは聴く客の心を掴むだろう、そしてバンドの人たちも男の影響だろう、より男の演奏を引き立たせる。
「そうそう、ここのバンドがよくてね」
ベルカ聖王教会の騎士カリム・グラシアはグラスをかたむけ5名の女性の前でにこやかに話す。
「へぇ〜騎士カリムにもこんな趣味があったとはなぁ」
時空管理局機動6課の隊長である八神はやては意外そうに言う。
「あらら、私だってこれぐらいの趣味があってもいいのじゃなくて?」
悪戯みたいな笑みを浮かべるカリム
「それにしてもよくジャズバーに言って、シャッハさんから何も言われないんですね」
八神はやて率いる機動6課「スターズ分隊」もはやミッドチルダ上に名を知られているエースオブエース高町なのはも意外そうに言う。
「いえ、シャッハには内緒で」
「にゃははははは、シャッハさん頭固い固いからねぇ」
納得したように苦笑いを浮かべる高町なのは、それに『以下同文だ』と言わんばかりの顔をするシグナムとシャマル
(ヴィータは子供と勘違いされそうなので行けず…ザフィーラ?誰それ?)そしてその相方でなのはの親友である
フェイト・テスタロッサ・ハラオウンもある席で以外な人物を見つけ意外そうな顔をした。
「あれ?あの人は?」
フェイトが指した先には時空管理局地上課のレジアス・ゲイズ中将とその副官を務めるオーリス・ゲイズの姿もあった。
「おそらく中将も、あの噂を聞きつけたと思いますわ」
カリムは言う、恐らく彼の目的としたバンドもまた同じだろう。そしてジャズの演奏が終わり別のジャズのグループがやってくる、そうここの客の大半が目的としたバンドであった、
そしてそのボーカルと思えるサックスを持った男が会釈する、そして演奏を行う、皆しゃべるのを止め、飲むのを止め、静かにその曲に聞き入った。そしてその男が奏でるサックスの
バリトンを聞くものを魅了した店に居る客も、店員もそして、あのレジアス・ゲイズも…高町なのは、フェイト・ハラオウン、八神はやて、シャマル、シグナム、カリムでさえもバンドが奏でるメロディーに聞き入っていた、
そして演奏が終わると客や店員から拍手が沸き起こる、無論先に述べた人物も皆同じだ。
「ね、私の言ったとおりでしょ?」
「本当にすごいねあのバンド」
「サックスの人が本当に上手いですね」
「そういえばあのサックスの奏者結構イケメンやな」
「あら、はやて?あの人の事あんな目で見てたの?ふふ、はやてもそんな御年頃ですしね」
「ち、ちゃうがな!カリム!」
4人はそうやってやりとりしているがシグナムとシャマルはあの男が奏でていたメロディーに惹かれながらもその奏者に
対して何かしらの違和感を持っていた。
(シャマル、あの男)
(ええ、シグナム、ただの奏者って言うわけではないですね)
最近血を見る事はほぼありえないし、自ら作り出すことはほとんどないと言えるが、はやてに出会う前は多くの惨劇を作り出し、
生み出し、主の命令に従うまま殺戮に興じていた期間の長い彼女達にとってそのサックスの奏者から匂うのは音楽家だけではなく
何処かしら血と硝煙の匂い…そして暗殺者の独特の匂いが感じられた。
「カリムさん、あの奏者の名前何て言うのですか?」
なのははカリムに問う、そしてカリムは奏者の名前を瞬時に挙げる。
「ミッドパレイ・ザ・ホーンフリーク」
支援
支援
それと次は僕が投下します。
〜誰かの為にサックスが奏でるレクイレム〜
「貴方達の御蔭で客が増えて、しかもあの管理局の正義の守り手やエースオブエース達まで貴方方の噂を聞きつけてやってきてくれて…こっちは嬉しい限りですよ」
そういって笑顔を浮かべる店主から受け取ったギャラは他のバンドに比べると遥かに多かった。
「まさか、あの管理局のエースオブエースや正義の守り手まで俺達のライブを聞きに行くなんてさ、流石はホーンフリーク、あんたのお陰だぜ」
組んでいるバンドのメンバーが俺の肩を叩く。
「ああ…そうだな」
俺は答え、疑問をぶつける。
「エースオブエースって誰だ?」
その問いに皆は一斉に驚いた顔をする。
「おいおい、あの高町なのはの名前が知らないとはな」
意外そうな顔をするバンド仲間。
「知らん」
素っ気無く答える、どんな奴だよそんな大層な仇名がついた女は?それに気づいたようにもう一人のバンド仲間が言う。
「ほら、中央の丁度ド真ん中にいただろあのあの女5人組、あそこにいたのさ」
「しかもあの八神はやてやフェイト・ハラオウンまで来てくれたよな。」
納得したようにバンド仲間は頷く、記憶から引き出す、ああ、いたなそんなやつらが…まさか!どうみても彼女らはそう見えんぞ。
「旦那、彼女達の事知らないのか?」
自分の事を慕うバンド仲間は雑誌を自分に渡す、そこには先ほどの少女達がにこやかに手を振っている写真が飾られている。
表紙にはこう書かれていた『ミッドチルダの華やかなる守護天使達』と…そして彼女達の特集などを見る、確かに自由に空を飛び、
魔法とか言うファンタジーの中でしかない物を現実で使用(正直この世界にやってきた当初こそは驚いたが)するのは驚くが…
―――ナイヴズやヴァッシュに比べると対したことはないな
と心の中でそう思う、そうあの人ではないあの存在に比べれば実に矮小な存在だ
「これからどうする?皆でパァーとやるか?」
そんなこんなでバンドメンバーが言う。
「そうだな、旦那は行くか?」
また別のバンドメンバーは言う、だが…
「すまんな、今日も早く帰りたい、どうもドンチャン騒ぎは苦手なのでな」
普通に言い返す自分に向かってメンバーはつまらなそうな顔をする。
「え〜〜またかよ〜〜〜旦那」
「つまんね〜」
「まぁまぁ、ホーンフリークはそういった人だし、ほら家には」
「「ああ、そうだな」」
一人のバンドメンバーの取り成しに二人のバンドメンバーは頷く。
「じゃあ、今日はここまで、んじゃ俺たちは行って来ます」
「音合わせは明日の夕方って事でじゃ!」
そうして自分を置いてバンドメンバー達は町に繰り出す、それを見送り、自宅へ帰ることにした、
そしてミッドパレイは町を見る、広がる高層ビルに煌びやかに光るネオン、町行く人は皆笑顔だ…
そして道路の至る所で見る、緑…自分の居た世界では全く見られない光景だったな…そう思う、
プラントと言う遺産にすがり、緑はほとんど見られなく、高層建築物もなくネオンのなく、
暗黒に包まれた町、生きていく為に食糧や水を求め争い、町の中で銃声が響かない事は一度もなかった。
それに比べると丸で…
「天国だな」
GJですが…ミッドバレイでは?
そう呟く、うん正しく天国だ、衣食住は働いている限り保障され、気候は温暖、緑は豊富そして…あの化け物達もいない、
治安も天国みたいだ…近頃ガジェットとか言うのが現れているとかよく聞くが、時空管理局とかと言う憲兵軍組織みたいなのが
それの対処にあたっているそうだ…あの世界はどうなっているんだろう?結局滅んだのだろうか?危機を乗り越えたのだろうか?
そう思うが分からない、それを見届けないまま自分は死んだのだ、ガントレットはどうなったのだろうか?最初は憎しみに凝り固まっていたが、
最後に会った時は何かを知ったように「殺してくれ」と言ったあいつ、恐らく生きては居ないだろう、あそこに居るのは狂信者(レガート)と化け物(ヴァッシュ)
…生きている道理はない…すまないな相棒…俺だけこんな所にいて…そう思案していると家が近い事に気付く、そして目に24時間営業しているディスカウントストアが入る
…そういえば食糧買っていなかったな、そう思い店に足を運ぶ。そして品揃えを見て内心感嘆する。
「こんな品揃え…あの世界では見れなった光景だな」
そう思いつつ、食糧を籠の中に入れていく。ある程度買い物を済ましてある棚が目に入る、子供向けと思われる玩具やヌイグルミが置かれていた。
そして鎮座しているウサギのヌイグルミを手に取り籠の中に入れる、それぐらい買うだけの金は今回貰ったギャラから差し引いても充分範囲内だ。
そして店から出て、残り少ない家までの道を歩く、明かりは付いていた、まだ起きているか…ドア
を開けると待っていたように赤と緑のオッドアイの目を持つ小さな女の子が自分に抱きつく。
「お帰り、パパ」
「ヴィヴィオ、まだ起きていたのか?」
「え?うう」
怒られるのかと思ったのか少女は泣きそうな顔をする。
「ふぅ、出来るだけ早く寝とけ」
「はい…」
怒られはしなかったがシュンとする少女、そして袋の中から例のヌイグルミを取り出し渡す。
「土産だ、今日は結構な収入が入ったからな」
そのヌイグルミを手にとり目を輝かせる少女。
「パパ、ありがとう」
「ああ、分かったから早く寝ろ」
「うん、おやすみパパ!」
少女はヌイグルミを抱え、寝室へ向かう。
こうも子供の感謝がこうも温かいとはな…ミッドパレイは思う、今までは殺戮に明け暮れた…一人の目標を殺す為にその場に居た全員を殺した、
そしてあの化け物の実働部隊として…老若男女すべてを…それが今やたった一人、少女の笑顔の前に形無しとはな、皮肉めいた笑顔を浮かべる…
相棒(ガントレット)やニコラスが見たらどう思うのやら?小さなテーブルに酒と小さなグラスを置き、小さなグラスに酒注ぎ一気に煽る、
酒の魔力に一瞬魅了されるが一息つくと回想する、自分がここに来てからの事だ…
あの時自分は路地裏に倒れていた、そして病院に運ばれていた、そして窓に映る光景に驚いた、自分の居た世界では決して見られなかった光景、
死んだはずの自分が飛ばされた場所が…そして病院から出た、自分が持っているのはこの世界では禁じられていると言う質量兵器であるハンドガンと
愛用のサックス『シルヴィア』とこの世界では役に立たない$$と…染み付いた暗殺者、殺戮者として自分…確かに自分の能力をあの管理局という組織が観れば確実に食いつくだろう…
だが今更正義感気取りなんて自分の性にあわないし。正直言ってもうあの道に入るのはコリゴリだった(確かにやっていける自身はあったが)、あの化け物達(ナイヴズ、ヴァッシュ)
を見てもうコリゴリだった、それにあの化け物に対して怯える日々もない、平穏に生きたい、あの道はもうこりごりだ。…なら自分に何が出来る…客を魅了するだけの技術はある
…そして始めたストリートライブ、そして道行く人を魅了する噂を聞きつけたあるバンドが接触してきた。
「うちのバンドのサックス奏者がやめちゃったんだ、いいサックスの奏者を探しているのだが?お前はどうだ?」
ヴィヴィオのパパ支援!!
しまった・・・ずっと勘違いしていたミッドバレイだったorzナンテコッタイ
そんな感じだった、そして始めたバンド活動、自分の音感をただ音楽の為に使った…人を殺める為ではなく、魅了する為に…
そして自分の音感の下指導したバンドは急成長を遂げ、今ではジャズバーに入ればそれこそ店は満員と言う超人気バンドになった…
そして最初は橋の下(金なかった)で暮らしていたものの、その収入で小さいながらも一軒の家を借りる事が出来た。
それで満足だった、自分が求めたのは実際こんな道だったかもな…苦笑する。
そしてついこの前だっただろうか、ある日町を歩いていると(赤い髪した少年とピンクの髪をした少女がデートしていたのが印象的だった)、
路地裏で少女が倒れていた、名前はヴィヴィオと言った、服は粗末で手に鎖が巻かれていた(鎖は何かを運んでいたと思わしき結び目が二つあった)
病院に運んだが…これからどうしようかと思った、警察にでも預けようかと思った…だが目を覚ました「ヴィヴィオ」と名乗る少女はちょっとだけ
看病した自分にすごく懐いた…そして色々ありバンド仲間の支援もあり結局自宅に置いている。そして彼女は自分の吹くサックスの音を凄く好んでいた、
知らない曲なのに、嬉しそうに聴く…子を持つ父親とはこんな者なのかな…そう思ってしまう、いつかは別れてしまう関係だと割り切っているが
…まぁこういったのも悪くはないだろう、ミッドバレイはそう思った。
―――――それが覆る日がやってきた…
ふと出かけていた二人、そして目にしたクラナガンが…管理局が燃えていた…
「何のつもりだ?」
ミッドバレイは少女に言う、彼の前には黒服に身を包み、紫の長髪をした少女だ。自分の背後ではヴィヴィオが怯えていた。
「聖王の器…返して…」
無表情のまま少女は言う、『聖王の器』なんの事だ?
「知らんな、関係ないことだそうそうに帰ってもらおう」
「…ガリュー」
少女は何かを呼び出す、ミッドバレイは自分の真横に何かがやってくる音が聞こえた、明確な殺意を持った音
…そこに『シルヴィア』のケースを向ける、鈍い衝撃が身体に伝わる、ガリューと呼ばれる全身黒尽くめの虫みたいな者の拳が
ケースに当たる、強力な一撃だがあの世界で作られた特殊な鋼鉄製のケースはその一撃を受け止める、
そして少女は自分に向けて指を指すそして…
「邪魔…」
指から何かが放たれた、それをミッドパレイはギリギリでかわした…ミッドパレイは歯を噛み締める、
あいつらは確実に自分を潰そうとしている、何故だ?それは…怯えているヴィヴィオに目をやる。
―――そうかこいつが、呼び寄せたのか…こいつを渡せば…
―――もう落ちる所まで落ちたんだ、こいつには何の義理もない、
…そう思うが…
―――違う!
それを否定する。
―――そこまで落ちても、足掻き続けてやる。
―――折角やり直せるチャンスが着たんだ!
――――ならやってやろうじゃないか!
ケースを投げ捨て『シルヴィア』を取り出す、そして自分は実感した、誰かの為に…守る為にこれを吹くのは初めてだと…そういえば、
ニコラスも孤児院の子供達を守る為に戦っていたんだっけ?ミッドバレイは笑う…そして息を吸い込むとシルヴィアに吹き込む
…相手を死に追いやる音響攻撃を…だが加減した、相手は子供、そしてこいつ(ヴィヴィオ)の前で殺す所を見せる事は出来なかった。
その指向性の持った殺意を持った衝撃波が少女…ルーテシアを襲おうとした、それに対し殺気を感じたガリューはミッドバレイが放つ前に
ルーテシアの前面に踊り出ると盾になった。そしてその衝撃破と殺意を持った音がガリューの全身を舐める…そしてガリューは体中の穴から血を噴出し、吹き飛ぶ…。
「ガリュー!」
ルーテシアは叫び、ガリューの元へ寄る、その隙をミッドパレイは見過ごさなかった、気付かれないように足音を様々なノイズの中から聞き分け、
自身のシルヴィアから放つ音をぶつけ合わせ無音状態にしてルーテシアの背後に回り、首筋に手刀を打ち込む。ガリューに倒れるルーテシア。
「殺しちゃいないさ…お前も…そのガリューとか言うの奴もな」
ミッドパレイは呟くと怯えているヴィヴィオを抱きかかえる。
「怪我はないか?」
「う、うん」
ミッドパレイはヴィヴィオを抱えて離れる事にしたミッドチルダから…
「聖王の器の回収に向かったルーテシアお嬢様との通信が途絶しました」
この騒動を起こしているスカリエッティの秘書でもあるウーノは現状を伝える。
「…役立たずが…」
スカリエッティは吐き捨てる、それにウーノは一瞬非難じみた目で見るが言葉を続ける。
「どうしますか?」
「ガジェットを向かわせたまえ…」
素っ気無く指示を出すが内心うめく…あの器の親とかになっている奴…ミッドパレイとか言ったなどんな奴なのだ?
調べたデータはアウノウン、そうミッドチルダに籍はないのだ。
ミッドパレイはクラナガンにある廃墟へとやって来た、そしてミッドパレイはヴィヴィオを廃墟の大人一人が入れるぐらいの
地下物入れにヴィヴィオを入れる。
「ヴィヴィオ、いいと言うまで出てくるなよ」
「うん…パパ…」
ヴィヴィオは何か言いたげだった。
「どうした?」
「帰ったら…キャラメルミルク…」
「ああ、分かった、好きなだけ飲ませてやるよ」
――――やれやれ…変わったな自分も
そうしてミッドパレイは至る所崩れ落ちた道路で立っていた…そして人間より少し大きめの球体と思われる物や
人間より若干小さめの細長い球体の物が自分に向かって飛んでいた…恐らくニュース映像で観たガジェットとかと言う奴だろう
…まぁ所詮いくら数を揃えた所でもな…ミッドパレイは息を吸い込みシルヴィアに息を吹き込む…
「む、むかわせたガジェットが全滅しました!」
「な、何故だぁぁぁぁぁぁ!!!」
流石のスカリエッティも叫ぶ、馬鹿な!確かに相手の男はアウノウン、しかし観測された魔力は全然見受けられない、
少なくともBランク武装局員相手でも有利な展開にもっていけるガジェットが何の魔力を持たない人間によって瞬殺された、
不味い、このままでは私の計画が!私の理想が!私の夢が!歯噛みするスカリエッティ、強くかんで歯茎から血が出ても気にしていなかった。
「ナンバーゼロとF計画の残滓の確保は後日だ!まずは器だ!」
スカリエッティは叫んだ、それを尻目にウーノは冷静にナンバーズに指示を出す、そして指令を追加する器の確保と器の守護者(ミッドバレイ)の確保を優先させる事。
ミッドバレイを取り囲むように8人の女性が現れた、ナンバーズと呼ばれる戦闘機人…
「見つけた、演奏はそこまでだな」
リーダー格と思われる長身短髪の女性が口を開く…。
「この中断、死より高くつくと思え」
ミッドパレイも憮然としたまま返す。
「別に殺してまってもいいッスよね」
片腕にシールド状の物を装備した赤髪の女性が言う。
「ケッ!こんなスカした野郎…嫌いなんだよ」
同じ赤髪だが、金色の目をした女性が言う。
「待て、ルーテシアお嬢様やガジェットを退けた実力者だ、舐めてかかるな」
銀色の長髪をしているがその中で最も小さい身長を持つ少女が諌める、そして黒い長髪、同じくピンク色の長髪も
女性も両手に持った剣らしき武器を構える、そしてその後ろで短髪の一見男と見える女性と大きな狙撃銃みたいな物を構えた
女性が取り囲んでいた、そして…
「うふふふのふ〜〜、流石は守護者でもこうなってしまってはもう御仕舞いですわね」
それを見下ろすように眼鏡をかけた女性がクスクス笑う。
「…状況は不利だな…」
ミッドバレイは思うが、ほくそ笑む。
「ガンホーガンズの超異常殺人集団にくらべれば!」
音を聞くと彼女達は身体の一部が機械で出来ていると実感した、そんな手合いはあの世界には沢山入る、手合わせもした。
そしてミッドバレイはナンバーズと呼ばれる女性達から攻撃をかわし始めた、それは丸で見切ったように、
彼には音を聞き分ける力があった、それは常人では出来ないほど、多くのノイズから一つの音を探り出すこと何て簡単だった、
そしてミッドパレイが居た世界…生まれた時から日夜銃弾が飛びかうあの世界、其の中で殺人者として生きてきた自分…、
銃弾を掻い潜り続けてきたミッドパレイにとってナンバーズの攻撃は児戯に等しい行為だった、遠距離からの狙撃も中距離から
の支援攻撃も、近距離での打撃攻撃も…ミッドバレイは攻撃に移ろうとしない…理由は待っていた、ある者を…
「ク!こいつ!」
リーダー格と思われる女性、トーレはうめく、こいつは何だ!こちらの攻撃がすべて読まれている、何者なんだ、たしかに手に持っている
サックスはデバイスやISと言った物ではなく、そして本人からも全く魔力というものが感じられない、だが相手の動きが止まる、
万が一に供えて地下に潜り込んでいたセインが相手の足を掴んだのだ、そしてチンクからスティンガー、セッテからスローターアームズが放たれた、
殺傷設定に変更された二つの武器は何の対魔法装備をしていない相手をいとも容易く…だがそれがミッドバレイが待ち望んだ事だ。
支援
音界の覇者を全力で支援!!!!!
「かかったか…」
ミッドバレイは足を誰かが掴んでいる事を確認する、そして自身に向かってくる10の投擲物の音を感じるとサックスを咥え
息を吹き込んだ、サックスから放たれる衝撃波が10の投擲物に目掛けて突き進み相殺する、ナンバーズと言う女性たちが
驚愕の目で見たのは魔法でも掛けられた様に静止するスローターアームズとスティンガー…
「ば、馬鹿な」
チンクはうめく
「簡単な理屈だ、どんな物でも飛んでくるのは空気の振動―――『波』だ、
全く位相の『波』をぶつけてやれば相殺されて0となる…」
ミッドバレイは原理を言った。
「あ、ありえない」
トーレはうめいた、単純な事ではない、この廃墟の中を一体どれだけの音が交っていると思っている
…反響、共鳴まで混じってノイズだらけだ…それらの干渉を聞き分けただと…魔技だ…。
「茶番で塗り固めたギグもここまでだ」
ミッドバレイは息を吸い込む。
――――もう使わないと思った…
――――もうこの道は通らないと思った…
――――だが守る為ならば…
――――使おう…ほんの一回だけ…
「皆、一斉に攻撃をかけろ!」
トーレの叫びにナンバーズが一斉に攻撃をかける…だが…
「遅いな」
いつもの仕事のようにシルヴィアに息を吹き込む
…そして放たれた物理的な衝撃波に加えて痛覚を波長とシンクロさせ体の内部に
直接的に叩きつける技を出す。秒速340mの技をかわし、防ぐ術は
…一部(通用するとは思えないナイヴズ、似たようなヴァッシュ、そしてニコラス)だけだろうそして…
衝撃波の跡は9人の女性が倒れていた、皆顔面の穴と言う穴から血を噴出して…戦闘機人と言っても所詮は人間、
体の内部を破壊されてはもはや行動も…いや生すら行えない。
「ま、まさかセインが潜っている事を知っていて…あ、ありえない…」
クアットロは怯えたように呟く…戦闘に特化したナンバーズを…姉や妹達を一撃で潰した相手を、
信じられない光景だった、そして次はどうすればいいのか分からなかった、そして男がこちらを睨む、
そう最初から自分がいた事を知っているかのように…男は姉たちを屠ったサックスを咥える。
「あ、あ・・・あ」
明らかにクアットロを狙ったものだ、だがクアットロに避け、防ぐ術はない…クアットロの顔が歪む。
「ウ、ウーノ姉…ドクタァァァァァァァ、た、助K…」
言葉は続かなかった、トーレ達を殺した衝撃超音波がクアットロを包み混む。
「…終わったか」
ミッドバレイは呟く、周りには9人の女性…そして奥に一人の女性、人としての機能は停止しているだろう
…それを無言のまま見つめミッドバレイはレクイレムを彼女達に吹いた。
演奏が終わるとミッドバレイはヴィヴィオの隠れている場所まで戻った…娘の下へ…
「お、終わりだ…何もかも…」
スカリエッティは縮こまり、ブツブツと呟く…最初の自身に満ち溢れた姿は想像できないほどに
…自慢の作品が呆気なく魔力の持たない人間の手によって屠られた…しかも全員が、自信をもって送り出した全員が
…そして自分の夢が、望みがすべて絶たれた事が…もう自分が管理局に捕まるのは時間の問題だろう…
「結局、戦闘機人達を倒したのは誰やろうね…」
八神はやての表情が曇る、あの襲撃を行っていた戦闘機人は突然方向を変え廃墟へと向かった、
そしてガジェットを駆逐して、機人たちが向かった廃墟へ向かうと、10人の機人が死んでいた、
顔の穴という穴から血を流して。死亡解剖の結果、死因は「衝撃波を当てられた事による内臓ならびに脳の破裂」
…だがそれを行ったのは誰かとなるとはやては首を傾げる、いやこの場にいるなのはもフェイトもカリムも
…衝撃波を直接与える魔法なんて聞いたことがない…だがどうやって?
「どれにしても…酷いよ…あれは…」
なのはは言う、初めて目の辺りにする人の死、彼女に与えたショックは大きかった。
「そうだよね…」
フェイトも言う、あの光景にフェイトはぞっとした。しかしミッドチルダにそんな事が出来る
管理局の人間がいるのか?それに管理局の魔道士は全員本部で戦闘を行っていたはず…。
「ま、まぁ、犯人であるジェイル・スカリエッティと本部にいたナンバーズは逮捕されたんやし
…それに、久々にあのバンドの曲聴ききたんや、ああいったことはうちらの本分やない
…クロノ君達に任せよう」
そう言ってはやては、バンドのボーカルであるサックスを持つ男が曲を奏でる音に聞き入った
…その奏者がナンバーズを殲滅した男だとは誰も知らない…
orzイジョウデス、アイカワラズノダブンヨンデクレアリガトウゴザイマス,ミッドパレイジャナクテミッドバレイデスナニヤッテンダオレ
4期にはガントレット(なのはに対する復讐者)やレガート(初めてなのはに人を殺させる)みたいな敵キャラ出して欲しい
と思っていたり
gj
五分後僕が投下します。
超GJ! 鬼GJ! テラGJ!!!!!!!!
もう最高すぎです、俺もトライガンクロスが書きたくなったな……意表をついてマスター・チャペルをメインにした話とか…
いえ何でもないです。
とにかくミッドバレイはやっぱカッコイイですね!! さすがは音界の覇者、ナンバーズでは相手にならない。
投下します。
真祖さんには明らかに劣りますけど…
【レッドドラゴンサイド】二話「潰せ、敵アジト!全次元の平和のために!!」Aパート
【第32管理世界 管理局陸士部隊支部】
仮面ライダーヴェイト・皇龍が設立したAAMON迎撃部隊「レッドドラゴン」
彼らの使命は、全次元に存在する、AAMON基地の破壊そして、征服作戦の妨害である。
今回は。第32管理世界に存在するといわれている、AAMON基地の破壊のため、この世界の陸士部隊支部に身を寄せていた。
【トレーニングジム更衣室】
早朝、チンク、セイン、ディエチ、ウェンディの四人は、柔術の訓練をするために更衣室で柔道用の道着に着替えていた。
「ふぁ〜あ…朝っぱらから柔術の練習って…やんなっちゃうよ…」
「ふぁ〜あ…全くっス…」
「眠い…」
「情けないぞ三人とも、私達は本来投獄中の身だ。こうやって新鮮な朝の空気を吸えるだけでも、ありがたいと思え。」
「チンク姉は立派だねぇ…」
「感心するっス…」
「でも、チンクも眠そう…」
「…言うな。」
「やあーーーーーー!」
「「「「!?」」」」
四人は勢いの良い叫び声を聞き、目を覚ます。
「今のって…」
「ディードの声っス!」
四人は急いで着替え、ジムに向かった。
【トレーニングジム】
「やあーーーーーーーー!」
そこには、剣術用の道着に着替え、髪をポニーテールに結び、竹刀を持って龍に立ち向かうディードの姿があった。
対する龍も剣術用の道着に着替え、竹刀を握ってディードの剣戟を受けている。
「もっと気合を入れろ!お前が倒してきた奴らと違って、今度の奴らは手強い!手を抜けば死ぬぞ!!」
「はい!やあーーーーーーーー!」
ディードはさらに勢いを上げ、竹刀を振り上げて龍に切りかかっていく。
龍はそんなディードの攻撃を、片手持ちの竹刀で全て受けきるのだった。
「うわぁ…あのディードが汗だくになって…」
「ん?」
龍はセイン達の気配に気付き、彼女たちの方を向く。(ディードの剣戟は竹刀で受け続ける)
「来たか…あと十分ほどしたら行くから、オットーとノーヴェと共に先にやってろ。」
「え?」
「おりゃああああああああああああああああ!!」
四人はノーヴェの雄叫びを聞き、叫びが聞こえた方向を振り返る。
そこには、激しい投げ技をオットーに浴びせるノーヴェの姿があった…
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ちょっと!少し加減…うわあああああああああ!!」
ノーヴェに巴投げで投げられたオットーはジムの壁に激突し、目を回す。
「きゅう〜」
「うわぁ…オットーかわいそ…」
「お前ら!呆けてないでかかってこい!」
「ヒィ〜!ノーヴェ!お手柔らかにっス〜!」
【陸士部隊支部食堂】
訓練終了後、訓練着に着がえたナンバーズたちは食堂で朝食を取っていた。
「じゃあ、三時頃から起きたんスか!?」
「うん。」
「姉様方より、早起きは得意なので…」
「………」
未だに投げられた衝撃が残っているため、テーブルに顔を埋めて悶えているオットー。
「ノーヴェも早いよねぇ〜」
「沢山訓練しないと、あいつより強くなれない!」
「張り切ってるな、ノーヴェ。」
「これからチンク姉達より早く起きて、特訓するよ!」
「そうか…控えめにな…」
チンクは悶えているオットーを見ながらそう言った。
「そういえば、何でディードは剣術用の道着なんか着てたんスか?あたし達は柔術用の道着しか貰ってないっスよ?」
「それは…龍に貰ったから…」
ディードは控えめに喋る。
「貰った?」
「「お前は剣の方が才能がある。柔術を鍛えるより才能の有る剣術を鍛えたほうが戦闘能力は格段に上がる」って言われて…それで剣術の訓練をすることになったのですが…その時に貰ったんです。
「武術は対応の道着を着てやるもの」らしいので。」
「ほえ〜」
「じゃあ」
「…座るぞ。」
姉妹の会話が続いている最中、トレイを持った龍が現れ、ノーヴェの左隣に座る。
酷いなぁ。
スカ博士テラカワイソスw
そして支援
「な!テメ!あたしの隣に座るな!!」
「俺の勝手だ。空いていたから座っただけだ。」
「とにかく座るな!座るな座るな座るな!!」
「お前の隣に俺が座ってはいけないという法律は無い。」
「あたしの中にはある!」
「無茶苦茶だな。」
「うるさい!何でもいいから座るな!」
「喧嘩するなぁ〜」
怒り狂うノーヴェを諭そうとするディエチ。
だが、ノーヴェの怒りは一向に収まる気配が無かった。
そんな時…
「おっと!」
「うわ!」
ウェンディが座っている席の近くを歩いていた二人の局員が、ウェンディの頭に熱いコーンスープが入った食器を落とした。
ウェンディの頭には熱いスープが容赦なく降り注ぐ。
「ウェンディ!」
チンクは首に掛けていたタオルでウェンディの頭を拭く。
「大丈夫か!?」
「あっつ…」
「テメェ!」
ノーヴェは局員に掴みかかろうとするも、隣に座っていた龍に手首を掴まれ、静止させられる。
「離せ!離せバカヤロ…」
「おーおー、悪かったねぇ…」
「手が滑っちまったよ。」
局員二人は歪んだ表情で熱がっているウェンディを見下ろす。
「でも驚いたな…戦闘機人言うから痛覚なんて無いと思ったけど。」
「こりゃ新しい発見したぜ。ラッキーラッキー♪」
「テメェら…何でこんなこと…!」
局員達は歪んだ笑顔から嫌味な表情に変わる。
「…テメーらが気に入らねえ。」
「犯罪者共の分際で、特殊部隊だ?羨ましいねぇ…能力のある奴らは脛に傷があっても堂々としてられて…」
局員の一人はノーヴェの髪の毛を掴み、強く引っ張る。
「いって…」
「俺達のダチはな、アインヘリアル防衛線でテメーらに殺されたんだよ!」
「!?」
驚愕し、目を丸くするナンバーズ達。
「今すぐにここで処刑してやりてぇが、上層部の命令じゃしょうがねぇ…
だがな…俺達は気は長くねえんだ…堪忍袋の緒が切れる前に、さっさとこの基地から出て行きやがれ!!」
「クッ…!」
さっきまで怒っていたノーヴェも反論ができなくなり、口を閉じた。
そして二人の局員達は舌打ちをし、ノーヴェの髪を離して自分達の席に戻っていった。
【医務室】
「大丈夫か?」
龍は冷やしたタオルをウェンディのやけどした皮膚に当てる。
「いっ!…あはは、ありがとっス。」
「悪いな。ああいう奴らが居るということも分かってはいたが、部隊設立早々こんな思いをさせてしまうとは…」
「…」
「ん?何だ、そんな鳩が豆鉄砲食らったような顔して。」
「いや…そんな事…言うような人じゃないと思ってたから…」
「…そうか。まぁいい、チンク達に準備をさせている。終わり次第奴らのアジトに向かい、叩き潰す。」
「場所はもう?」
「ヘルマウンテンの頂上だ。ここは巨大な山だ、登っていたら日が暮れてしまう。
お前の力を借りるぞ。」
「了解っス!」
【ヘルマウンテンふもと】
ヘルマウンテンのふもと。
レッドドラゴンのメンバー達は、登山服に着替え、それぞれの武器を手入れしていた。
「ウェンディ、準備は?」
「オッケーっス!IS「エリアルレイヴ」!」
一人だけ戦闘服に着がえていたウェンディはエリアルレイヴを作動し、ライディングボードを浮遊させる。
そしてボードの後ろに龍を乗せ、上昇を始めた。
「俺とウェンディは先行してアジトに潜入する!お前達は山を登ってこちらまで来い!」
「オイコラ龍!あたしも連れてけ!!」
「ノーヴェ、お前は駄目だ!チンク達と一緒に山を登れ!もしお前達が着く頃までにアジトが残っていたら、好きなだけ活躍させてやる!」
龍は下にいるノーヴェにそう叫ぶと、ウェンディと共に頂上に向かっていった。
「あの野郎…」
ノーヴェは頂上に向かうライディングボードを見上げながら握り拳を作る。
「ちょっとノーヴェ、あんた何カリカリしてんの?」
「あったりめえだろセイン!あたしは今日イライラしてんだ!敵の一人や二人ぶっとばさねえと気が済まねぇ!」
「あ…そう。」
「しかし、ノーヴェは大人になったな。」
「うん、前のノーヴェだったら、「お前らは仇だ」なんて言われようが、問答無用であの二人の局員ぶっ飛ばしてたよ。」
感心するチンクとディエチ。
「これも、ある意味龍のおかげだな。」
「ち…違うよチンク姉!あんな奴全然関係ないよ!ギンガのおかげだよ!」
………
一方、ウェンディと共にライディングボードで出発した龍は、山の二分の一の高さまで上昇していた。
「早いな。」
「えっへん!ウェンディ様の底力っス!」
「武術のほうはまだ鍛えたほうが良さそうだがな。」
「そ…それは言わないでほしいっス…」
「ケケーン!!」
「「!?」」
二人は奇妙な鳴き声を聞き、後ろを振り返る。
そこには、ドクロの装飾品を大量に身につけた鷲型の怪人の姿があった。
「か…怪人!?」
「何者だ!?」
「AAMONキバ軍団の一人、ノロイワシだ!侵入者は生かして返さん!死ね!!」
ノロイワシは口から炎を吐き、ライディングボードの噴射口を破壊する。
「うわああああああ〜!!」
「くっ…!」
噴射口を破壊されたライディングボードは爆発し、乗っていた龍とウェンディは真っ逆さまに地上へと落下していった…
(アイキャッチ・レッドドラゴンサイド)
投下終了
今回も破綻が沢山…
おまけにスクリームさんと違って「負」の部分が全然描けてない…
次回頑張ろう。
支援
>>145 久しぶりにここを覘いたんですが、
これはオリキャラとのクロスですか?
ヴェイトなんてライダー聞いたこともないんですが
皆様GJっす。
続けまして、こちらも5分後辺りに投下いきたいと思います。
ツバサクロス、第1話でございますす。
それじゃあ俺も投下といきますか。
妄想戦士ヤマモトのクロス第二話ですが投下してもよろしいですか?
ではメビウス氏からどうぞ。
GJ!!龍には部隊長として、相手の行動を戦力を無駄に消耗させる行為として
上官や査察機関に報告をするとして脅したり
部隊長として抗議してほしかったです。
「ん〜……さくらちゃんとモコナちゃんは問題ないにして。
後の三人……特にファイさんは、どない誤魔化そうかな……?
幾ら魔法は使わんって言っても、魔道士に変わりはないんやし……」
機動六課隊舎、部隊長室。
六課の若き部隊長―――八神はやては、六課の部隊表を見直していた。
話は、遡る事数十分前。
このミッドチルダに突如として、五人(正確には、四人と一匹)の来訪者が現れた。
それが全ての発端であった……
ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- 〜ミッドチルダ編〜
第1話「必然の出会い」
「八神部隊長、失礼します」
「ん、なのはちゃん?
はいはい、どうぞ〜」
はやてはドアをノックする音を聞き、なのは達に中へと入るよう促す。
すると部屋へと入ってきたのは、彼女にとって見慣れぬ者達であった。
見た所、スバルやティアナと同世代程度の少年一人と少女一人。
いかにも達人と言う風格をした目つきの悪い男に、笑顔を浮かべた好青年。
それに加えて、うさぎが丸っこくなったかのような謎の生物ときた。
当然ながら、はやては目を点にせざるをえない。
そして、一方小狼達はというと……こちらも驚いている。
彼等が驚いている理由は、部隊長であるはやてが、想像に反して若かったから……というのもあるが。
それ以上に大きな要因として、はやてのすぐ隣にある小さなデスクに座っていた、リィンフォースの姿にあった。
一応、小人が海底に住む世界というのは以前に一度見た事があるのだが、それを直接目にしたのは小狼のみ。
他のメンバー、特に黒鋼は免疫が全くない為、これには大いに驚いている。
「えっと……なのはちゃん、フェイトちゃん、そちらの人達は?」
「うん、この事で相談に来たんだ。
実は……」
早速なのはとフェイトは、はやてへと事情を説明する。
フォワード四人の訓練の最中、突如として小狼達が自分達の目の前に現れたこと。
彼等には一切敵意はなく、こちらと事を構えるつもり等は全くないということ。
そして、彼等が異世界から現れたということである。
詳しい事情に関しては、部隊長であるはやてと共に聞くべきであると感じ、まだ聞いていないのだが。
まずはと、小狼達は自己紹介に移る。
「小狼です、よろしくお願いします」
「さくらです、よろしくお願いします」
「黒鋼だ」
「ファイ=D=フローライトだよ、よろしくね〜」
「モコナだよ♪」
「私は、リィンフォースです♪」
「私は八神はやて、この機動六課の部隊長です。
えぇと、皆さん異世界から来たって事らしいですけど……詳しい事、聞かせてもらえます?」
「はい、勿論そのつもりです」
一同を代表し、はやての問いに小狼が答える。
まず小狼達は、自分達が異世界を旅することとなった理由について話し始める。
各々が旅する目的は、驚く事に全くのバラバラだった。
まず黒鋼は、自分がいた世界―――日本国へと帰る為である。
ちなみにこの日本国というのは、なのは達がミッドチルダに来る以前に住んでいた場所とは同名だが、しかし違う場所。
日本国と言う名の、とある次元世界の事である。
黒鋼は、一行の中でも文句なしに最強の実力者。
彼がいた国においては、誰も彼に敵う者はいなかったのだが……
「俺が仕えている主……知世姫は、俺にこう言いやがった。
俺は本当の強さって奴を知らない。
だから異界を旅して、本当の強さを学んで来いってな」
黒鋼の主にして、日本国に聳える白鷺城が姫巫女である知世。
彼女こそが、黒鋼を秘術によって異界に飛ばした張本人である。
黒鋼は確かに強い。
しかし知世は、それが真の強さではないと感じていた。
何故ならば彼は、無益な殺生をしすぎるからだ。
今でこそ、そういう事態は無くなったものの……かつての黒鋼は、言うなれば修羅。
強くなる為に、ただ強敵との戦いを求めていたのだった。
それを見かねた知世は、黒鋼に真の強さが何たるかを学ばせるべく、彼に異界を旅させる事を決意したのだ。
そしてそれを可能とする次元の魔女の元へと、彼を己が秘術で送り届けたのである。
勿論、旅先で無益な殺生をしないように予防をしておいて。
「呪なぁ……うちらの使ってる、非殺傷設定に近い代物やね。
まあそっちのは、デバイスやなくて直接戦闘する人にかけるって違いもあるけど……」
「非殺傷なんて便利な代物じゃねぇよ。
……やろうと思えば、やれるんだからな」
「でも、やらないんだよね?」
「今の所、やるような場面に立ち会ってねぇだけだ」
黒鋼は次元の魔女の元へと送られる寸前に、知世に『呪』と呼ばれる術をかけられた。
その呪の効力は、人を一人殺すごとに強さが減っていくという物である。
流石に、肝心な強さが無くなるのではどうしようもない。
その為黒鋼は、これまで誰一人の命も奪わずに戦い抜いてきたのだった。
尤も、相手を殺す気で挑まなければならない程に危険な状況に追い込まれたことは、何度かあったのだが。
「で……その後は、こいつ等と一緒に旅するハメになった。
色んな異世界を巡っていけば、いつかは日本国に帰れるだろうってあの魔女に言われてよ」
「そうなんですか……それで、その本当の強さというのは……?」
「……さあな」
「さあなって、黒鋼さん……」
「まあまあ。
黒ぽん、そういうの説明するの苦手だしね〜」
「……黒ぽん?」
「ああ、他にも色んなあだ名があるよ。
黒様とか、黒りんとか……」
「テメェ、あだ名付けるのやめろっつってるだろ!!」
ファイの言葉に対し、黒鋼は思い切り怒鳴り散らす。
今現在、ファイとモコナは、黒鋼に対して40個以上のあだ名を付けている。
そして当然の反応ながら、その全てを黒鋼は嫌がっていた。
一番悲惨な時には、そのあだ名を偽名として使わされた事もあった。
その為、毎回二人に対して黒鋼は怒っているわけなのだが、マイペースなファイはそれを全く意に介さず。
見事にスルーして、自分の事に関して説明を始めた。
「俺は、セレス国って場所にいたんだ。
そこで君達と同じように、魔術士やってたんだけど……色々あってね。
セレス国にだけは帰りたくないし、あまり一つの世界に留まりすぎると、ばれちゃうからさ」
「え……ファイさんって、魔道士なんですか?」
「うん、君達とは全く術式とかは違うけどね。
……まあ、もう魔法は使わないって決めてるし、あまり関係ないかな?」
「使わない……?」
「本当、色々あってさ〜……期待させちゃって、ごめんね」
ファイは、セレス国という異世界からやって来た魔道士。
実はここになってやっと話したのだが、ファイだけは唯一、なのは達が魔道士である事に最初から気付いていたらしい。
彼が旅立った理由は、セレス国にだけは絶対に帰りたくないから。
そして、あまり一つの世界に長居しすぎていると、いつセレス国の追っ手がくるかも分からない。
だから様々な次元世界を渡って、逃げに徹したいというのが、彼の願いである。
何やら物騒な話なのだが、ファイはそれに関しては「とても怖い人がいる」とだけ言い、後は話そうとはしなかった。
真偽を確かめようにも、セレス国についてなのは達は何も知らない。
その為、これ以上の質問は無意味であると感じ、ここで話題を打ち切った。
ちなみに彼は、自分で転移魔法を使い次元の魔女を訪れているのだが、それが今現在、彼が最後に使った魔法である。
何故、彼は魔法を使わなくなったのか。
その理由に関しても……先程と同様、彼は話そうとしない。
『なのはちゃん、フェイトちゃん……どう思う?』
『何か、私達……というよりも、小狼君達に言えない秘密があるのは間違いないと思うけど……』
『でも、悪い人には全然見えないよね。
……話をしてる時、凄く悲しそうな顔してたし……』
『……まあ、どんな人にも触れて欲しくない過去ってのはあるもんやしね』
なのは達は念話を使い、ファイに関する不信感について話し合っていた。
彼が悪人には見えないというのは、三人の共通意見である。
尤も、自分達に対して、隠し事をしているのは間違いないが……どうやらそれは、仲間である小狼達に対しても同様らしい。
いや、寧ろ……小狼達にばれてはならない事を抱えているようにも見える。
彼は何か、重大な闇―――例えば、かつてのPT事件や闇の書事件の様な辛い過去―――を持っている様に感じられたのだ。
しかし小狼達は、そんな彼を信用している。
ならば……少なくとも今は、自分達がどうこう言う問題ではないのかもしれない。
何か大きな事件に繋がるようであれば、勿論手出しをせねばならないが、今は要注意ということだけでいいだろう。
そういう形で、三人の中で決着がついたとき……小狼とさくらが、自分達の境遇について話し始めた。
そして彼等の話こそが、一行の旅の根幹ともいえる物である。
「俺達は、姫の記憶の羽根を捜して旅をしているんです。」
「記憶の羽根?」
「はい……私の記憶は、羽根の形になって色んな世界に飛び散っているんです。
今は、結構昔の事も思い出せているんだけど……」
小狼とさくらが旅をしている理由。
それは、さくらの失われた記憶を求める為であった。
彼女の記憶は、無数の羽根となって異世界に飛び散っている。
その羽根を手にする事により、さくらは失われた記憶を取り戻す事が出来るのである。
これまでの旅で、それなりの数の羽根を手にする事が出来た。
御蔭で、さくらは記憶の多くを取り戻しているのだが……それまでの道のりは、決して楽なものではなかった。
さくらの羽根の入手は、とてつもない困難が伴うものばかりだったからだ。
何故ならば、彼女の羽根には強力な力があるからだ。
ある世界では、強力な秘術の増幅装置として扱われていた。
ある世界では、極めて強力な電力を秘めた永久機関として存在していた。
ある世界では、仮想空間を実体化させるという離れ業を見せた。
在り方こそ、世界ごとに異なっているが……どの世界においても、羽根が危険な代物であるという事は共通している。
「……それって、ロストロギアにならないのかな……?」
「うん、私もそう思う。
話を聞いてた限りじゃ、ジュエルシード並かそれ以上の危険度が有りそうだし……」
「ロストロギア?」
「ああ、ロストロギアって言うのは、過去に何らかの要因で消失した世界で造られた遺産や、未知の技術で作られた道具の総称や。
使い方次第じゃ、世界を一つ簡単に壊せるほどの危険物も中にはあってね。
そういうのを回収して管理するのも、時空管理局の仕事の一つなんよ」
羽根の話を聞き、もしかしたら羽根はロストロギアに分類されるのではないかという考えが、なのは達の脳裏によぎった。
様々な用途に使える危険物で、しかも様々な次元世界に散らばっているときた。
ならば、ロストロギアと認定されるには十分すぎる。
もしかしたら、管理局が知らず知らずに内に回収している可能性すらもある。
(……でもそれだったら、あの魔女の屋敷にゃどんだけロストロギアって奴があるんだ……?)
(だったら、モコナもロストロギア認定されちゃってるかもしれないなぁ)
「……小狼君、よかったらその羽根ってどんなんか、教えてくれへんかな?
ちょっと、時間がかかるかもしれへんけど……」
「はい、勿論です。
ただその間、姫や皆さん達が……」
「ああ、そやね。
じゃあ、一応皆さんはお客様って事になるし……フェイトちゃん、リィン。
隣の部屋に皆案内して、お茶菓子とか出してあげてくれんかな?」
「うん、わかった」
「はいです♪」
「そんな、私達の事は別に……」
「いいですよ、気にしないで下さい。
それじゃあ、こちらにどうぞ」
「わ〜い♪」
リィンが、さくら達を隣の部屋へと案内する。
ちなみに小さい者同士と言う事があってか、いつの間にやらリィンとモコナが打ち解けあった雰囲気の様になっている。
この二人は、性格的にも結構相性がいいらしい。
その様子を見て、さくらやなのは達は、自然と笑みを浮かべた。
……しかし、その一方。
黒鋼だけが真剣な顔をして、一瞬だけ小狼とはやて達の方へと視線を向けた。
その理由は、どうやら二人とも分かっているようである。
そして、さくら達が外へとで、部屋にはなのはとはやて、小狼の三人だけとなる。
ここでようやく、はやてがその口を開いた。
「さて、と……さくらちゃんが席を外してくれたから、話してもらえるかな?」
「はい……最初から、俺もそのつもりでいました」
小狼が一人だけ部屋に残った、その本当の理由。
それは、さくらがいる状態では聞くことが出来ない事に関して、彼から聞くためであった。
黒鋼は確実に、恐らくはファイも気付いているであろうが……実は、小狼とさくらに関して一番重要なことが話されていない。
何故、彼女の記憶が羽根となって異世界に飛び散ったのかである。
小狼は、それについてを目の前の二人へと話し始めた。
「……俺と姫は、元々玖楼国という世界に住んでいました。
そこで俺は、考古学者として生活をしてたんです。
姫とは、幼馴染だったんです」
「……幼馴染の男女で、その片方が考古学者かぁ。
なんか、なのはちゃんとユーノ君みたいやなぁ……」
「にゃはは……って、あれ?
幼馴染『だった』って……どういう事?」
「……姫は今、俺と以前にどういう関係があったのか、何も覚えていません」
「でも、それって記憶が消えたからじゃ……」
「いえ……記憶が戻っても、俺に関係している記憶だけは絶対に戻らないんです」
「え……?」
数ヶ月前……さくらの記憶が羽根となり、異世界に飛び散った日。
小狼は、新たに発掘された謎の遺跡の調査を行っていた。
その遺跡の最深部には、玖楼国では見る事の出来ない謎の文様が見られた。
小狼は、それに関して色々と調べようとしていたのだが……そんな時、遺跡の最深部へとさくらが降りてきたのだ。
さくらは丁度、玖楼国の王である兄桃矢の遺跡視察に同行し、小狼の元へと差し入れを届けにきていたのだった。
そして、その時に……悲劇は起きた。
突如として、遺跡に刻まれていた文様から光があふれ出し、それがさくらを包み込んだのだ。
その瞬間、彼女の背に光り輝く翼が出現し……そして、翼は無数の羽根を散らせながら消えていった。
この羽根こそが、彼女の記憶……この瞬間に異世界へと飛び散っていった、さくらの羽根である。
「その後、遺跡が急に崩れだしたんです。
俺は急いで、姫を連れて外に出たんですが……」
「……ってことは、遺跡の正体は分からずじまいってわけか……」
「はい……けど、問題はそれだけじゃなかったんです」
小狼はさくらを連れて遺跡の外へ出、そして外の光景に言葉を失った。
さくらが記憶の羽根を散らせたのとほぼ同じタイミングで、遺跡の外では信じられない事態が起こっていたのだ。
それは、武装した謎の集団による遺跡の強襲であった。
幸い、敵は桃矢と神官の雪兎、そして玖楼国の兵達が健闘した御蔭ですぐに追い返せたのだが……
さくらの問題は、正反対に深刻なものとなっていた。
「……あの時、姫の体はとても冷たくなっていました。
雪兎さんは、姫は記憶を全て失った所為で、体から心が消えてしまったからだと……
姫を助けるには、飛び散った羽根を手に入れるしかありませんでした」
術で小狼の記憶を読み取った雪兎は、飛び散った羽根はさくらの記憶、さくらの心であると彼に告げた。
そして……心が完全に消えてしまったさくらの体は、このままでは確実に死を迎えてしまうということも。
それを防ぐ方法は、ただ一つ。
異世界へと飛び散っていった羽根を、さくらの体へと戻す事だけだった。
雪兎は一国の猶予もないと判断し、自らの持てる全ての魔力を使い、転移魔法を発動させた。
小狼とさくらを助ける事が出来る、唯一の存在……次元の魔女の元へと、二人を送り届ける為に。
「そこで俺は、同じタイミングで次元の魔女さんの所に来ていた、黒鋼さんとファイさんと出会ったんです」
「ってことは……異世界に渡るっていう目的が一致しとったから、一緒にってこと?」
「はい……次元の魔女さんは、俺達にこう言いました。
『異世界に渡る手段を授ける事は出来るけど、貴方達の一番大切なものを対価としてもらう』と」
「……ちょ、ちょっと待って。
対価って……まさか……?」
なのはとはやてが、ここで全ての事情を把握した。
次元の魔女は、自分の下を訪れる者の願いを叶える代わりに、それに見合った対価を貰う事で力を発揮する。
そして、異世界を渡る術を手にするという三人の願いを叶えるのには、とてつもない対価が必要であった。
次元の魔女は、個人個人の願いを叶えるのには、彼等のいかなるものを対価としても不可能と断言した。
しかし……三人で一つの願いというのであれば、辛うじて可能であると告げたのだった。
その対価は、三人にとって一番大切なもの。
黒鋼は、今は亡き父が持つ物と同じ銘の退魔刀「銀竜」を。
ファイは、自らの魔力を押さえ込む役割をしており、それ無しでは絶対に魔法を使わないと決めた、背中の刺青を。
そして小狼は……さくらとの関係性を、対価として差し出すように告げられたのである。
「じゃあ、小狼君はさくらちゃんを助ける為に……!!」
さくらの記憶が全て戻っても、その中に小狼の姿はない。
彼女のこれまでの記憶の中から、小狼に関する記憶は全て失われてしまう。
それを思い出させようとしたり、また、さくらの方から聞き出そうとしても、その瞬間にその記憶は失われてしまう。
これまでに過ごした全ての日々を、永遠に消し去ってしまうというのが、小狼の代価だったのだ。
最も大切な、愛する者を守る為に……愛する者の心から、自分自身は消えてしまう。
余りに重く残酷な対価だが……小狼は決心を揺るがさず、それを受け入れたのだ。
例え自分がどうなっても、必ずさくらを助けたいと……そう願ったから。
そして、同じく対価を差し出した黒鋼とファイと共に、彼は時空を越える力を手に入れた。
その術を持った生物……モコナを。
『……凄い子だね、小狼君って』
『うん……さくらちゃんも、本当に幸せやろね。
こんな風に、想ってくれる人がいてくれて……』
『……あの時のヴィータやシグナム達も、こんな風に考えてくれとったんかな……』
なのはとはやては、かつてのヴォルケンリッターの姿を、ついつい小狼に重ねてしまった。
彼女等も、はやてを助ける為にと決死の覚悟で動いてくれた。
そんな彼女等を、近くで見ていたからだろうか。
なのは達には、小狼が……いや、小狼達が他人の様にはとても思えなくなっていたのだ。
『フェイトちゃん、リィン、聞こえとるよね?』
『うん……全部、聞かせてもらったよ。
私も、はやての意見に賛成』
『リィンもです♪』
『勿論、私もだよ。
きっとスバル達やヴィータちゃん達だって、分かってくれると思うしね』
『じゃあ、決まりやね♪』
「あの……はやてさん、なのはさん?」
「あ、ごめんごめん。
えっとね、小狼君……君達って、まだ宿泊先とか決めてないんよね?」
「はい、来たばっかりで何も予定なんてないですけど……」
「……もしよかったらさ。
このミッドチルダで、羽根が見つかるまでの間……私達と一緒に六課で仕事してみないかな?」
「え……!!」
なのはの口から出た意外な言葉に、小狼は驚き声を上げた。
まさか、こんな風に誘いがかかるなんて思ってもみなかった。
確かに自分達には、予定と言える予定は何もない。
渡りに船とは、この事であるが……
「でも、どうして……?」
「さくらちゃんの羽根は、ロストロギア認定されてもおかしくない代物だからね。
もしも羽根がミッドチルダにもあるんだったら、私達にも無関係じゃなくなってきちゃうんだ」
「まあ、それにな……困った人を見捨てるなんて、出来るわけがないやんか」
目の前で困っている人がいて、その人を自分達の力で助けられるのであれば、進んで助けたい。
それは、自分達が魔法と出会った頃から今まで、ずっと変わらずに思い続けてきた願いである。
羽根という共通の目的があるという事も手伝って、なのは達は、是非とも小狼達を助けたいと感じていたのだった。
「ただ、六課も六課で仕事があるから、それを手伝ってもらう形にはなっちゃうかな……?
勿論、私達も羽根探しは精一杯協力するよ」
「なのはさん……」
「まあ、いきなり言われていきなり答えを出すってのも無理な話やな。
小狼君一人だけで結論を出す問題やないし……部屋用意しとくから、今日は六課の隊舎に泊まっていくとええよ。
一日ゆっくり相談して、それから答え聞かせてもらえへんかな?
ああ、勿論断ったからって、無下に扱ったりするつもりはあらへんよ。
その時はその時で、ちゃんと宿泊先とかの問題はこっちが何とかするし、羽根っぽい情報も教えてあげるから」
尤もこの場合、与えられる情報は限られる事になってしまう。
やはり、ただの民間人と局員とでは、色々と情報のやり取りには問題があるからだ。
民間協力者・嘱託扱いとあらば、一応は何の問題もない。
最悪の場合、ヴォルケンリッター同様に私兵扱いという事で、上手く誤魔化しとおすことも可能である。
「……なのはさん、はやてさん、ありがとうございます」
「私は、お礼言われる程の事はしてないよ。
部隊長ははやてちゃんなんだしね」
「あはは……じゃあ、とりあえず今日はここまでってことで。
また明日、返事聞かせてな?」
「はい……!!」
小狼は、二人へと深く一礼をする。
そして、部屋を出てさくら達が待つ隣の部屋へと向かっていった。
その姿を見届けた後、なのはもフォワード達へと事情を説明するべく、部屋を出て行った。
こうして、一人残った部隊長はやてはというと……
「さて……それじゃあ、一応準備はしとかへんと」
早速、小狼達の事について検討をし始めていた。
彼等が申し出を承諾したとしても、断ったとしても、どちらにしても色々とやる事はある。
羽根に関する情報について、本局のロストロギア保管庫並びに無限書庫への調査要請。
彼等が今後動きやすいようにする為の、聖王教会への根回し。
その他諸々、やるべき事は多い。
「さあて、結構忙しくなってきそうやなぁ……」
支援
以上、投下終了です。
まずは内容云々以前に、謝罪します。
投下しますと言う宣言、最初にするの忘れてました……いきなりの投下、申し訳ありませんorz
とりあえずお決まりといえばお決まりですが、はやての六課勧誘炸裂です。
まあ、さくらの羽根っていう危険物の確保と言う大義名分がありますから、ここはすんなり通るだろうってことで(ぉ
後、個人的に小狼&さくら、なのは&ユーノの組み合わせ、はっきりいって一番好きです。
幼馴染で考古学者でって、何か二組とも似てるよなぁ……
しかし、黒鋼にも言わせましたが……次元の魔女の店って、ロストロギアになりそうな代物をどれだけ持ってるんだろう(−−;
下手したら、管理局全体を敵に回すハメになりかねないなこの人は……
六課勧誘はもはや“お約束”の行事ですね。
それじゃあ、もう少ししたら投下します、妄想戦士ヤマモトとのクロス第二話です。
GJ
>>147 はい、禁断のオリキャラです。
今はもう叩き覚悟で書いてます。
>>151 説明不足…でしたよね?
あれは龍なりの流儀のつもりでした。
いじめられっ子だった龍は大人を信用していない節があるんですよ。
例えば、キッズウォーみたいなドラマとかでいじめを先生に報告しても何もならなかったってこと多いじゃないですか?
龍も先生に助けて貰えなかったタイプで、そんな報告しても何にもならないと分かっているんですよ。(それがノーヴェ達を嫌っている陸士部隊の大人なら尚更)
おまけに陸士部隊にはノーヴェ達を恨んでいる人達結構多そうですから余計に悪質な嫌がらせも不問に付されることあると思いますし(軍隊のことよく知らない僕を許してください)
それに何かしたって余計にノーヴェ達目を付けられそうですし。(「困った時の上官頼り」とか言われてからかわれそう)
まぁ、分かりにくいですがこんな感じです。
「強いからこそ何もしない」それが龍の流儀ってことで。
まぁ、次回何かできれば…できるかなぁ…
それでは投下いきます。
妄想戦士リリカル・ヤマモト 第二話 「関西弁萌え!!」
「いやあああああああああ!!!!!」
次元航空艦アースラの内部で悲鳴を上げながら逃げ惑うのはフェイト・テスタロッサの使い魔アルフ。
「犬ミミっ娘、萌ええええええええええええええ!!!!!!!!!」
そして萌えと叫びながら彼女を飢えた野獣のような気迫と血走った目で追いかけるのは萌えの申し子、山本一番星である。
山本一行はロストロギア闇の書に関する事件を追っていたアースラの魔道師フェイトに出会い時空遭難者としてアースラに連れて来られたのだ。
しかしそこでアルフを見た山本が萌えのスイッチが入り暴走状態に入ったのだ。
「なんであたしを追いかけんだよ〜!?」
山本の凄まじい迫力に涙目になったアルフが逃げながら叫ぶ、その問いへの山本の答えは彼女の理解を超えるものだった。
「犬ミミ萌ええええええ!!!! 犬シッポ萌えええええええ!!!! 一緒にボール遊びをしてくれえええええ!!!!!」
血走った目で最高に狂ったことを言いながら山本は手にボールを持ってアルフを追いかける。
アルフはその山本の眼光に本能的な恐怖を感じ、とても止まるに止まれない。
「こうなったら、チェーンバインド!!」
アルフは追いすがる山本の恐怖に遂に魔法を行使して彼の動きを止める。
本来なら魔道師でもない一般人に魔法を使うなんて事は絶対にしないのだが山本の放つ萌えに対する異常な気迫に負けて拘束魔法を使ったのだ。
「ぬおおおお!! なんじゃあこりゃああああ!!!」
山本はアルフのチェーンバインドでぐるぐる巻きに拘束され身動きを封じられる、やっと山本の脅威から逃れられたアルフは一息ついて落ち着いた。
「ふ〜、これでやっと…」
しかしアルフの安心など脆く崩れ去る、萌えの絡みの時に発揮される山本の力は常人の想像など及びもつかないのだ。
「犬〜ミミ〜萌えええええええええええええ!!!!!!!!!」
叫びと共に山本はチェーンバインドを引き千切った、その光景にアルフは目を丸くする。
魔法を使わない人間が拘束魔法を力で破壊するなど常識ではありえないのだ、まあ山本に人間の常識は通用しないのでなんとも言えないが。
「さあ犬ミミっ娘〜。俺と心行くまでボール遊びのうえ、そのシッポをフリフリしてもらおうか〜。ぐへへへへへへへへ」
山本は全身からドス黒い萌えオーラを放ちながらアルフにゆっくりと近づいていく、アルフはあまりの恐怖に腰を抜かしてハウハウと怯えて泣き出す。
「山本、いい加減にしろ!」
そこになのはフェイトを連れた山本軍団唯一の良心、松下が現われた。
「うっせええええぞ! めがね坊やは黙ってろおおおおおお!!!」
「ひいっ」
「はうぅっ」
だが山本は殺気を込めた血走った目で睨む、その迫力になのはとフェイトは怯えて思わず悲鳴を漏らす。
だが松下には山本の戦闘能力を封じる秘策を持っていた。
「なのはちゃん! フェイトちゃん! アレを言うんだ!!」
「は、はい! それじゃあフェイトちゃん言うよ」
「うん」
「「やめて、山本おにいちゃん!!」」
「ぐはあああああ!!!!」
なのはとフェイトのセリフを受けた山本は何故か苦悶の表情で血を吐いて倒れた。その光景になのはとフェイトは思わず山本に駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか山本おにいちゃん?」
「げはああ!!」
「大丈夫? おにいちゃん」
「ぐほおお!!」
なのはとフェイトの言葉を聞く度に山本は血を吐いて悶え、遂に意識を失った。
「あ、あの松下さん…これでいいんですか?」
「ああ、こいつはこれくらいしないと止まらないからね」
「でも、どうして“おにいちゃん”でダメージを?」
「こいつは実際に妹がいるから妹萌えが理解できないんだってさ…」
「へっ? あの…よく意味が分からないんですが…」
「分からない方が良いよ…」
松下の言葉になのはとフェイトは不思議そうな顔をする。
山本一番星、全ての萌えを愛するが実際に妹がいる為に妹萌えが理解できない事が唯一の弱点であった。
「…という訳であなた達の会った魔道騎士は私達の追っている闇に書と呼ばれるロストロギアのプログラムだったんです」
山本が落ち着いた所で彼らはリンディ以下、アースラのみんなに事件の説明を受ける。
松下はそして最初に見た戦闘の経緯を知り改めてここが魔法の存在する世界だと知った。
常識的思考の松下はこの事実に不安そうにリンディに尋ねる。
「えっと…リンディさん、それじゃあ俺達は一体どうすれば…」
「大丈夫ですよ、あなた達の出身世界が見つかるまでは私の家で面倒を…」
「あ〜はっはっはっはっは!!!!!」
だがリンディのセリフが言い終わることは無かった、そこに山本の高笑いが響き全員の視線を釘付ける。
そして山本はトンデモないことを言い出す。
「つまりそれまで俺達に事件解決の手伝いをしろと言いたいのだな!?」
「へっ?」
「なに気にするな!! 魔法少女の手伝いを断るほど俺達も萌道を踏み外しちゃいない!!!」
「ちょっ! 山本! その“俺達”ってなんだよ!? 俺か? 俺も入ってんのか!?」
「当たり前だ、この貧弱な坊やが!!! 魔法少女の手伝いなんて滅多に無いんだぞ!? それを見過ごしてなんの妄想戦士か!!!」
その山本のセリフにさらに南雲と渡辺も加わる。
「山本殿の言うとおり。このまま行けば敵サイドにめがねっ娘が現われるかもしれんしな!」
「人間に興味は無えが……新しいフィギュアの発想にはもってこいだしな、俺も付き合うぜ山本!」
「結局俺も一緒かよ…」
松下の嘆きは無視され、山本の暴走は突き抜ける。
もちろんだがアースラにいるまともな人間には彼は止められなかった。
「でだ! さっそく俺達も昨日の敵を探すことにした!!!」
「“した”じゃねえよ!! 俺達じゃ魔法なんて使えねえから無理だろうが!!! 第一ここじゃ見つかんねえよ!!」
何故か山本達はなのは達の住む海鳴の町に来ていたのだ、もちろんだが常識的に考えてこんな所に昨日の犯人がいる可能性はゼロに近い。
だが山本は自信満々で答える。
「分かってねえなあ松下、こういう話は“意外と近くにいました”ってオチに決まってんだよ!!」
「そんなメチャクチャな…」
松下は呆れるが、山本は含みを込めた笑みで懐から何か取り出した。
「それに昨日の女に発信機を付けたしな」
「それを先に言えよ!!!」
山本は松下のキレ突っ込みを華麗にスルーして発信機を頼りに海鳴の町を歩く、そして一軒の家にたどり着いた。
「ほう〜八神…か。萌える魔法少女がいるか必見だぜ!」
「めがねっ娘はいるんでしょうか…」
「っていうか人間に興味は無え!」
山本・南雲・渡辺の相も変らぬ発言を聞いて松下は“人から見たら俺もこいつらの同類なのかな…”なんて思えて泣けてきた。
そして玄関から車椅子の少女と昨日のポニーテールの女性、それに金髪の女性と赤毛の少女に青い大型犬が出てきた。
普通なら尾行なりするところだが、もちろん山本は普通ではないのでそんな事はしなかった。
「てめええらあああ!!! 誰が魔法少女かさっさと吐きやがれえええええ!!!!」
あろうことか山本は叫びながら彼女達の前に躍り出たのだ、さらに南雲と渡辺も飛び出す。
「めがねッ娘がいねえええええ!!! 誰かめがねを掛けてくれえええええ!!!!」
「全員人間だああああああ!!!! フィギュア魔法少女はいねえのかああああ!!!!」
もう隠れる気なんて微塵もない3人に松下はあきれ果てて声も無かった。
突然現われた昨日の管理局側らしき4人の男にシグナムが他の守護騎士に即座に念話を送る。
(こいつらは昨日の敵だ!)
(ホントなの!?)
(でもここで戦ったらはやてが…)
(もしもの時は俺が食い止める! お前らは脱出の準備を…)
すぐに応戦の準備に入ろうとする守護騎士4人だが、時既に遅くその謎の男がはやての目の前に来ていた。
「お嬢ちゃん…君が魔法少女かい?」
「へっ? 魔法って…もしかしてヴィータ達の知り合いなんですか? それとも闇の書の事を?」
山本の質問にはやては彼がヴィータ達守護騎士の知り合いか闇の書の関係者と思ったのだ。
「知り合いっつーか昨日そこの女戦士とバトルを繰り広げたな」
はやての言葉に山本はあっさりと答える、っていうか守護騎士達が蒐集のことを必死に隠してきたのを一瞬で破壊するような返事だった。
「へっ? バトル?」
「いやっ! そのはやてちゃん! えっと…この人たちはシグナムの行ってる剣道場の関係者で…つ、つまりバトルっていうのはそういう事なんです!!」
「そ、そうです主! 断じて勝手に蒐集などしていません」
「そうだぞはやて! あ、あたし達は別に何も隠してなんかないぞ!」
守護騎士女性陣は必死になって取り繕う、その様子になんとなく状況を察した“妄想戦士最後の良心”こと松下も話を合わせる。
「そ、そうなんだよ。昨日ちょっと試合をして……実は俺達も魔法の事とか知ってるから…だよな山本!?」
「何を言ってんだ松下? 俺達は…ムグゥ!!」
松下は空気を読まない山本の口を無理矢理塞いで守護騎士達と目を合わせた。
なんとなく互いに“このまま穏便にすませよう”という意思を交わす。
そして山本達、4人の、妄想戦士は八神家に招きいれられた。
松下は話をややこしくしない為になんとか山本達に口裏を合わせて昨日の戦いの話はNGにする。
「む〜しかし、なかなかの素材だな」
「めがねがあれば素晴らしいんですが…」
「今度、フィギュアのモデルにするか…」
山本・南雲・渡辺はヴィータを視線だけで呪い殺しそうな勢いで見ている、その異様な気迫に歴戦のベルカの騎士であるヴィータも背筋に冷たいものを感じた。
「な、なんだよおめえら! こっち見んなよ!」
「うはぁ! この反応は正にツンデレ強気系キャラ! それに縞々ニーソと絶対領域がまた素晴らしい!!」
「お嬢さん! 是非このめがねを掛けてくれ! 頼む、この通りだ!!」
「いいから、身体の寸法測らせろおおお!! そしてフィギュアとなって俺に愛でさせろおおおお!!!」
「ひいっ!」
山本達の反応にヴィータは思わず悲鳴を漏らす、なんと言うか本能的に感じる危機で山本達のヤバさを悟ったのだ。
そんな感じで山本たちは八神家で存分に萌えや妄想を堪能しながら、はやての出したお菓子を食べてる。
「しかしこのクッキー美味いな」
「そうですか? 今日のは結構自信作なんですよ」
「なに! 君が作ったのか?」
「そうですよ」
はやての話を聞き、山本の中で方程式が成り立つ。
(関西弁系キャラ+病弱属性+お料理上手=激萌え!!)
「うおおおお!!! 関西弁系の萌えっ娘だあああああ!!!!」
「へっ!?」
はやては突然の山本の咆哮に狼狽する。無理も無い、彼女は生まれてこの方まともな人間としか接してこなかったのだ。
山本のような萌えに全てを捧げている超次元生命体など見るのは初めてであった。
「魔法少女でなかったのは残念だが最高に萌えたぜ! ありがとうはやて!!」
「え〜っと……よう分からんけど、どういたしまして」
魔法少女はいなかったが山本は存分に萌えを堪能してすっかり当初の目的を忘れて帰る準備をする。
「それじゃあ、さようならはやて」
「はい。また遊びに来てくださいね山本さん」
はやての見送りを受けて山本達は八神家を後にする、そしてしばらく歩いていると彼らの目の前にシグナムが待ち構えていた。
「貴様らは管理局の人間か? もしこの家の事を管理局に漏らすのなら…」
「言わねえよ」
シグナムの言葉を遮って山本が口を開いた。
「あんな萌える子をどうこうしようなんて思わねえよ。俺を誰だと思ていやがる!? 萌えの申し子、山本一番星だぜ!!!!!」
言葉と共に投げかけられた山本のギラギラした瞳にシグナムはこの男の吐く信念の言葉の重さを感じた。
山本一番星。彼は全世界のあらゆる萌えを極めんとする男である、萌えを前に言った言葉に一片の曇りなどなかった。
「分かった。騎士としてその言葉を信じよう」
「ああ。それにもしもの事があったら松下を殺していいしな」
「おい!! 勝手に殺すなよ!!」
「分かった。もしもの時にはその男の命で償って貰おう」
「って!! そっちも了承するなよ!!!!」
こうして妄想戦士と守護騎士は事なきを得た。だがこの後、彼らは再びめぐり合う…闇の書の発動の時に。
続く。
「へっ!?」
はやては突然の山本の咆哮に狼狽する。無理も無い、彼女は生まれてこの方まともな人間としか接してこなかったのだ。
山本のような萌えに全てを捧げている超次元生命体など見るのは初めてであった。
「魔法少女でなかったのは残念だが最高に萌えたぜ! ありがとうはやて!!」
「え〜っと……よう分からんけど、どういたしまして」
魔法少女はいなかったが山本は存分に萌えを堪能してすっかり当初の目的を忘れて帰る準備をする。
「それじゃあ、さようならはやて」
「はい。また遊びに来てくださいね山本さん」
はやての見送りを受けて山本達は八神家を後にする、そしてしばらく歩いていると彼らの目の前にシグナムが待ち構えていた。
「貴様らは管理局の人間か? もしこの家の事を管理局に漏らすのなら…」
「言わねえよ」
シグナムの言葉を遮って山本が口を開いた。
「あんな萌える子をどうこうしようなんて思わねえよ。俺を誰だと思ていやがる!? 萌えの申し子、山本一番星だぜ!!!!!」
言葉と共に投げかけられた山本のギラギラした瞳にシグナムはこの男の吐く信念の言葉の重さを感じた。
山本一番星。彼は全世界のあらゆる萌えを極めんとする男である、萌えを前に言った言葉に一片の曇りなどなかった。
「分かった。騎士としてその言葉を信じよう」
「ああ。それにもしもの事があったら松下を殺していいしな」
「おい!! 勝手に殺すなよ!!」
「分かった。もしもの時にはその男の命で償って貰おう」
「って!! そっちも了承するなよ!!!!」
こうして妄想戦士と守護騎士は事なきを得た。だがこの後、彼らは再びめぐり合う…闇の書の発動の時に。
続く。
投下終了です。
眠くて意識が、、、では寝ますアディオス。
いつも深夜にはもう寝てるからよくわからんのだが、
あいからわず深夜の方が投下率が高いですね。
>×トライガン
なに、元殺し屋と薄幸の少女だって? 好物じゃないか!
トライガンクロスは想像しましたが、まさかミッドバレイとヴィヴィオとは。斬新かつ萌えましたw
養う娘を得たことで、ミッドバレイが人としての優しさを取り戻してるのがいいですね。まあ、見ての通り敵には容赦ないですがw
原作でも、あの異常な状況やナイヴズへの恐怖がなければ、一番まともな暮らし出来たんじゃないかって男ですからね。
ヴィヴィオを受け渡すか迷うシーンで「やり直す機会なんだ」と思い直すところが痺れました。こういうこれまでの生き方を清算しようとする展開大好き。
管理局に入局せずに終わるのも短編ならではのよさ。このままヴィヴィオと穏やかにくらしつつ、なんか日常で管理局とちょっと接点がある日々を過ごして欲しいですなw
>妄想戦士リリカル・ヤマモト
第一話から気になってたんですが、感想する勇気がなかったッす。でも小野寺先生のコミックは外道校長から持ってるから……(汗
絶対にリリなの世界に来ちゃいけない奴らが来てしまいましたね。しかも小学生時代に! 彼女達の成長期に致命的なトラウマができること請け合い!w
シノブ伝のサスケたちとは違って、コイツらは引くタイプのオタクだから。もう原作は発禁ですよ…そ れ が い い がな!(ぉ
GJ!!
対象作品が“多過ぎ”てまずは全員にGJ!!!
特に>×トライガン氏
あんたは質量兵器以上に恐ろしい技能を持ったヤツを召喚しやがった!
だが、そこに痺れるあこがれるぅぅーーッッ!!
音は、まず「音がヤヴァイ」と認識しないと、
下手なバリアや結界では透過させてしまいますからね……。
あとヴィヴィオ・パパ、「敵」には容赦なさ過ぎて感動した(汗
>>136 gj。嗚呼…ナンバーズ……。クア姉やスカさんもむかついていたが、こうなると哀れなり…。
しかしヴィヴィオは相変わらず可愛いのう。
A’Sの「悪魔でいいよ……」を見る限り、もし復讐者が来たり、任務で殺すことになっても
覚悟はしていて、真正面から受け止める気がする……。
>>164 GJ!柔術の訓練には燃えました。
いい子ぶっているようにも聞こえますが、仲間を殺されて怒りを持つのは正当ですが
だからといって「いじめ」という行動にでるのは、当のナンバーズ、それを傍観する部隊員
そしてとうのいじめをした部隊員とっても本当にマイナスにしかならないと思います。
表現するのは難しいと思いますが、できればいじめを解決して、和解するまでも書いて欲しいです…。
……誰も代理投下しないッ!?
ならばここは気付いた者がという事で、リリカル龍騎さんの代理、行きまーす
21 :リリカル龍騎 ◆YHOZlJfLqE:2008/01/02(水) 08:28:47 ID:qviU3cBk
「おかえりなさい、少佐」
ホテル・リオでの闘争から数日。少佐一行は、ミレニアムの本拠地であるジャブローへと戻ってきていた。
出迎えるは旧ナチス・ドイツの軍服を着た兵士の集団。その数は1000人に少し足りない程度。
その中から代表で出てきたのは、犬耳の少年『シュレディンガー』。ちなみに階級は准尉である。
「いかがです、空中散歩は。やっぱりこんな穴倉じゃあ息が詰まりますからねえ」
シュレディンガーは楽しそうに少佐へと話しかけ、少佐は労いの言葉をかけつつ話題を転換した。
「ご苦労。トバルカインが喰われたぞ」
「へえ、やっぱり」
「やっぱり」という事は、トバルカインの死という結末を予想していたのだろう。
そして彼は、自信に満ち溢れた様子で言葉を続ける。
「相手はあの『不死者』アーカード。トランプ遊戯じゃいくら吸血鬼になったって……
だから言ったでしょお? 僕ら『ヴェアヴォルフ』に任せてって。きれ〜〜に息の根止めてあげるから」
「シュレディンガー准尉、口が過ぎるぞ」
『ヴェアヴォルフ』……もとは1945年のドイツで生まれた少年兵の部隊で、戦果を過大に宣伝されていたというもの。
それがこの組織の中では、所属する吸血鬼の中でも特異な能力を持った幹部達の総称となっている。
シュレディンガーの自信過剰な物言いに対し、口を尖らせてたしなめるドク。だが、当の少佐もシュレディンガーも全く堪えていない。
「まあまあ、良い良い。だが、成果はあった」
彼の言う成果が何なのかは、前回の話を参照いただくとしよう。
そしてシュレディンガーが大尉へと同意を求めようとするが……
「ねえ、大尉。そうでしょう? 僕らだったら、HELLSINGなんかは……あ……いや……あの……」
……無言の威圧感が漂い、それが口ごもらせる。
しばらく無言の時間が出来上がり、次に聞こえた声は……
「も……申し訳ありません、少佐殿」
シュレディンガーによる少佐への謝罪。どうやら大尉の威圧感に負けたようだ。
それに対して少佐は片手を上げて制し、問いかける。内容は他のヴェアヴォルフがどうしているか、である。
「まあまあ、急にかしこまるな。気持ち悪いぞ准尉。他のヴェアヴォルフの連中は?」
「はい、こんなに早くお着きになると思わなかったんで……多分慌ててこっちに」
「そうかそうか……いよいよだぞ、准尉」
満足のいく問いを聞いて気を良くした少佐は、シュレディンガーへと言葉を返す。
その問いの内に含まれた意図を察し、同じようにシュレディンガーもご機嫌な笑顔に。
そして、その問いに反応したのはシュレディンガーだけではなかった。
「何がいよいよなのかね、少佐!」
少佐の上官である老人達、通称『オペラハウスの御老人方』がそこにいた。
第七話『AGE OF ENPIRE』(2)
「ジークハイル! 総統特秘第666号に基づく特務を完了し、ただ今帰投致しました」
少佐が敬礼し、老人達へと報告する。
総統特秘第666号とは……言うまでもなく、吸血鬼によるもの。それ以外は一切不明である。
その報告を聞いた老人の一人が、少佐へと肩をいからせて近寄る。もう年だからだろうか、杖を使うのを忘れない。
「貴様は……貴様らは一体、何をしているのだ!?」
「全く完全にお答えできません、大佐殿。
今は亡き我らが総統閣下の特秘命令は、いかに上官殿のご命令でもお答えできません」
その老人……いや、大佐の口から飛び出したのは、少佐への糾弾交じりの問い。
それに対する少佐も、臆することなく反論する。これが舌戦へと発展するのにそう時間はかからなかった。
「これは重大な独断専行、命令違反だ」
「総統特秘はあらゆる命令系統の上位に存在します」
「貴様ごときが総統の名を借りて勝手な……」
「小官は命令を実行しているにすぎません」
……訂正。舌戦になる前に勝負はついた。
大佐は反論することができず、シワだらけの顔に汗とさらなるシワを作って捨て台詞のようなものを吐く。
おそらくこれが、大佐なりの精一杯の反撃なのだろう。
「何もかも貴様の思い通りに行くと思うなよ、少佐」
「ならば小官の尻でもなめたらいかがです? 大佐殿」
その捨て台詞に対し、少佐がジョークで返す。それを聞いた兵士達は一斉に大爆笑。
先ほどの一言で終わりにしようとした大佐だったが、こうまで言われてはたまったものではない。感情に任せて少佐を殴り飛ばした。
……刹那、部屋中の空気が変わる。だが、それに気付かない大佐が倒れた少佐へと近付き、尚も話を進める。
「貴様は、我々が何も知らないとでも思っているのか。
一介のSS(親衛隊)少佐風情が『代行』などと呼ばれて調子付き、調子よく踊っているにすぎん!」
そう言うと、少佐のすぐ近くで立ち止まり、杖を思い切り振り上げ、吼えた。
「何故我々を吸血鬼化させない!? この化け物め、化け物め! 答えよ少佐!」
あわや少佐が杖で打ち据えられるか、と思ったその時である。
杖が手元からバキリと折れる。いや、銃で撃たれて弾け飛ぶと言った方が正しいだろう。
いきなりの出来事に驚く大佐。それと同時に、クスクスと笑い声が。
その声の方向に目を向けると……数人の人間がいた……訂正、人間ではなく吸血鬼だ。
右半身に魔導書のような模様が掘り込まれた女性『ゾーリン・ブリッツ』。
ハーケンクロイツの首飾りを下げ、マスケット銃を持つ眼鏡の女性『リップヴァーン・ウィンクル』。
他にも吸血鬼が何人か。彼女らこそが前述の『ヴェアヴォルフ』である。
「そこらへんにしておいた方がいいわよ、大佐。
そもそもミレニアムも大隊も、少佐が準備して作り上げたモノ。あなたたちは後から来て、たまたま階級章の星が多かっただけ。
居候の分際であんまりおいたが過ぎると……ブッ殺しちゃうわよ、おじいちゃん」
ゾーリンが大佐へと警告を発し、その直後に部屋の空気がさらに変わる。
例えるとすれば、先ほどまでの空気は『殺意』に満ちたモノであるのに対し、今の空気は『敵意』に満ちたモノ。
その敵意の発生源を探るべく、老人達が辺りを見回す。そして、敵意の元を見つけた。
……それは、部屋中の全ての存在だ。部屋中にいる少佐と老人達以外の存在全てが、彼らへと銃を向けている。
いや、銃を向けていない者もいたが、そういった者達も大鎌を構えるゾーリンのように他の武器を向けていた。
「お……お……お前は……何をしようというんだ。
1000人(一個大隊)の吸血鬼を率いて、お前は一体何をするつもりだ少佐!」
苦し紛れに少佐へと目的を問いただす大佐。
その当の少佐はというと、狂気に満ちた目で立ち上がっていた。
先ほどの殴打の際に切ったのか、口からは血を滴らせている。
「私の目的?ふふ、目的ですか、大佐殿……
戦争の歓喜を無限に味わうために。次の戦争のために、次の次の戦争のために」
人間には到底真似出来ないような狂気の笑顔……言わば最狂の笑顔とでも言うべきだろうか。
少佐はそんな表情を浮かべながら答え、右手の指をパチンと鳴らす。
その瞬間、先ほどからの敵意が老人達へと向かっていった。
四方八方から兵士――とうにお分かりだろうが、彼らは全員吸血鬼だ。――が老人達へと駆け寄り、捕縛する。
上官としての権限で押さえ込もうとするが、兵士達も聞く耳を持たない。完全に無視されている。
「しょっ、少佐! 貴様、こんな事をしてただで済むとでも思っているのか!」
誰によるものか、最後の頼みの綱である少佐への大声が飛ぶが、当の少佐は嬉々としてシュレディンガーへと指示を出す。
最高司令官である少佐どころか、末端の三等兵にすら背かれるとは。哀れな結末である。
「シュレディンガー准尉、頼みたいことがある。一つは円卓会議への特使、もう一つはスカリエッティ君への伝言だ。
スカリエッティ君への伝言の内容は――――」
一方その頃、ミッドチルダではとある闘争が起こっていた。
時空管理局中将『レジアス・ゲイズ』によって造られた兵器『アインヘリアル』。それを制圧すべくスカリエッティ一味が行動を開始している。
対する管理局魔導師はというと、スカリエッティの作った兵器『ガジェットドローン』の張る結界『AMF』により、魔法が一切通じないという状態だ。
現時刻は夜の8時。吸血鬼にとっては外での活動が可能な時間だ。
「対フィールド弾を撃てる奴、固まって迎撃!」
隊長格の魔導師が指示を出し、ガジェットを迎撃。その後すぐに通信機で指令隊へと連絡を入れるが……繋がらない。
「地上指令隊! 指令隊、指令隊! おい応答しrぐはぁっ!?」
懸命に連絡を入れるが、反応は皆無。そして間もなく彼も反応できなくなった。
後方からの強烈な一撃。打撃音とともに、何かが折れる音。彼はそれを最後に意識を失った。
それを実行したのは、少佐の元にいるはずの吸血鬼兵。何故ここにいるのだろうか。
そして遅れること数秒、大砲を持った少女……戦闘機人『ディエチ』が現れ、吸血鬼兵に言う。
「ねえ、分かってるとは思うけど……」
「『なるべく殺すな』だろ? 改めて言われなくても分かってる。
こっちにいる間はスカリエッティに従うように言われてるからな。命令に背きはしないさ」
……どうやらこの吸血鬼兵は、スカリエッティの元へと派遣されていたようだ。交換条件は大方、戦闘機人二人の貸し出しといった所だろうか。
先日の地上本部襲撃、そして今回のアインヘリアル制圧。吸血鬼兵はそのために派遣されていたらしい。
その地上本部襲撃の際の『なるべく殺すな』という命令。それが今回の件でも使われた。そういう事だろうか。
『アインヘリアルの制圧、ほぼ完了しました。妹達も、初回出動からのデータを全て蓄積。行動に反映できています。
また、少佐から借り受けた吸血鬼兵も問題なく活動しています』
「ああ……素晴らしい、素晴らしいよ」
スカリエッティのいる「どこか」。彼はそこで戦闘機人『ウーノ』からの報告を受けていた。
報告の内容は聞いての通り。スカリエッティにとっては万々歳といったところか。
その報告の最中に、前方に戦闘機人のデータを表すモニターが。そして後方にはシュレディンガーが。
ちなみに、二人ともシュレディンガーには気付いていない。そのまま戦闘機人の説明を始めた。
『失敗が目立つ人造魔導師と比較して、私達戦闘機人はトラブルが少ないですね』
「事は最高評議会の主導で、管理局が実用寸前まではこぎつけた技術だからね。それを私が随分と時間を掛けて改良したのだ」
「ふうん、だったら吸血鬼でもないのにあれだけ動けるのも納得だね」
その声で、スカリエッティがようやく後ろを振り向き、シュレディンガーの存在を確認する。
いつでもどこでも現れるというのは理解していたため、あまり驚きはしない。が、ウーノは少々驚いているようだ。
その証拠に、普段は感情を顔に出さないウーノが、驚愕の表情で彼へと問いかけている。
『……シュレディンガー、あなたは地球にいたはずです。それなのに何故ここに?』
「僕? 少佐のお使いで、伝言を預かって来たんだ。という訳で、少佐からの伝言をお伝えしまーす。
『こちらの準備は整った。そちらも『ゆりかご』の準備ができているなら、早く合流してくれると嬉しい』ってさ」
シュレディンガーの伝えた伝言は、これから起こる事を如実に表していた。
少佐の側は、先ほどの一件で腰抜けの上官は排除。戦力も十分。これから起こす『コト』の準備は完了している。
一方のスカリエッティの側も、地上本部の切り札たるアインヘリアルは排除完了。あとは話題に出た『ゆりかご』とやらの準備さえ終われば合流も可能である。
もっとも、問いを投げかけたウーノは自身の望んだ回答が得られなかったようだが。
「いや、ウーノが聞きたい事はそういう事ではないだろう。
君は確か地球にいたはずだ。それなのに、転移魔法も無しにどうやってミッドチルダに来たのか……
それを聞きたかったのだろう、ウーノ?」
『ええ、そうです』
そんな様子を察したのか、スカリエッティが先ほどの問いの意味を言い、ウーノもそれを肯定する。
それに対するシュレディンガーも答えを返す。もっとも、それは抽象的で、人によっては要領を得ないような答えだが。
「あれ、言ってなかったっけ? 『僕はどこにでもいるし、どこにもいない』って」
「どこにでもいるし、どこにもいない」……これこそがシュレディンガーの能力の真相であろう。
前述の通り、彼らヴェアヴォルフは全員特殊能力を持っている。それは階級の低い彼とて例外ではない。
おそらく彼の能力は『どこにでも現れ、どこからでも消える』というもの。ウーノはそう解釈した。
『なるほど、あなたが持つ特殊能力……そういう事ですか』
「さあね。ま、とりあえずはそーゆー事で納得しといてよ」
そのウーノの結論を軽く流す。どうやら能力の真相を明かすつもりは無いようだ。
と、ここでスカリエッティが再び口を開いた。
「伝言は確かに受け取った。シュレディンガー、戻ったら少佐に伝言を頼みたい。
内容は『こちらの準備もできているから、可能な限り早く合流する』だ。頼めるかな?」
同刻、次元航行艦『アースラ』。
「アコース査察官から直通連絡!」
機動六課所属のオペレーター『ルキノ・リリエ』からの報告。
それを受け取った機動六課部隊長『八神はやて』が通信回線を開き、査察官『ヴェロッサ・アコース』からの通信を受け取った。
「はやて、こちらヴェロッサ。スカリエッティのアジトを発見した。シャッハが今、迎撃に出たガジェットを叩き潰している」
そう言うと同時に、聖王教会のシスター『シャッハ・ヌエラ』がガジェットを蹴散らす映像が表示され、それが閉じられると同時にヴェロッサが二の句を告げる。
「教会騎士団から戦力を補給する。そちらからも制圧戦力を送れるか?」
「うん、もちろんや」
そう言うと、はやてはすぐに通信回線を開く。
通信の相手はライトニング分隊隊長『フェイト・T・ハラオウン』。傍らには同副隊長『シグナム』の姿が。
フェイトとしても先ほどから鳴り響くアラートの正体が気になっていたらしく、はやての通信を受けてすぐに状況を確認した。
『はやて、どうしたの? さっきから艦内にアラートが鳴ってるけど……』
「スカリエッティのアジトが見つかった。今そこでロッサとシスターシャッハが警備のガジェットと戦ってる。
フェイトちゃんはライトニングのメンバーを連れて、ロッサ達の手伝いに回ってくれへん?」
『本当? 解った、すぐに行く』
その声を最後に通信が切れた。
とりあえずこれで制圧戦力は確保できた。続いてもしもの時に備え、スターズ分隊隊長『高町なのは』に連絡を入れようとするはやて。
だが、その作業はすぐに中断されることとなった。
「戦闘機人、アインヘリアルから撤収。スカリエッティのアジトに向かって……!?」
「何や、どないしたん!」
ルキノからの報告が途絶えた事、それは何らかの異常があったことを表す。
はやてが何事かと思い聞くと……ルキノの口から驚くべき言葉が飛び出した。
「戦闘機人の反応……消失!?」
それから一時間ほど後、スカリエッティのアジト。
ライトニング分隊の四人が内部へと進撃していく。道中にいる警備用のガジェットを片端から薙ぎ払って。
「……シグナム」
「ああ……警備が手薄すぎる」
戦闘の最中、フェイトは違和感を感じ、その違和感が自分だけかと思ったのかシグナムへと話しかける。
話を振られたシグナムも、その言葉の裏に隠された意味を読み取り、肯定の意を示す。
違和感の正体……敵の戦力が少ないという事実を。
残りの二人『エリオ・モンディアル』と『キャロ・ル・ルシエ』はそれを理解していなかったらしく、頭に疑問符を浮かべているようだが。
「え? さっきからたくさんのガジェットと戦ってるじゃないですか」
理解できていなかったキャロがそう聞き、すぐにシグナムが説明する。
「そうだな。だが、ガジェットしか出てきていない。
ここが奴らのアジトならば、アインヘリアル制圧に参加しなかった戦闘機人や他の戦力がいるはずだ。だが、それは今までに出て来たか?」
それを聞き、二人分の疑問符が消し飛んだ。
ここがアジトなら、侵入者……それもガジェットを片端から叩き潰せるような強者には、それ以上の戦力を送るはず。
それにもかかわらず、現れるのはガジェットばかり。まるで「他の戦力はいません」とばかりに。
戦闘機人という強力な戦力がいる事は、地上本部やアインヘリアルの一件ですでに解っている。それにもかかわらず出して来ない……
それが意味する事を理解できないほど、この二人は愚かではなかった。
「だとしたら、ここがアジトじゃないか……まさか!」
「うん、多分ここは初めから放棄される予定だったんだと思う」
ゴゴゴゴゴゴッッ!!
「な、何だ!?」
結論を出すとほぼ同時に地震が発生。震源地は……スカリエッティの元アジト。
「さあ、いよいよ復活の時だ。私のスポンサー諸氏、そして、こんな世界を作り出した管理局の諸君。
偽善の平和を謳う聖王教会の諸君も……見えるかい? これこそが君達が忌避しながらも求めていた絶対の力!」
複数の回線を開いた状態で、スカリエッティが大演説を始める。
その回線の繋がる先は、レジアスのいる地上本部であり、アースラ艦内であり、そしてとうの昔に破壊された最高評議会。
スカリエッティはそれらを満足げに見回しながら、元アジトではないどこかからの演説を続ける。
そしてその演説と同時に、先ほどの地震の正体が地下から出現。
「旧暦の時代、一度は世界を席巻し、そして破壊した古代ベルカの悪魔の英知……『聖王のゆりかご』だ」
……そろそろスカリエッティの現在地を明かしてもいいだろう。
古代ベルカの戦艦型ロストロギア『聖王のゆりかご』。彼が今いるのは、そのコントロールルームとでも言うべき場所である。
そして、先ほどシュレディンガーが言っていた『ゆりかご』の正体でもある。
「見えるかい? 待ち望んだ主を得て、古代の技術と英知の結晶は今その力を発揮する……」
その言葉とともに、通信回線上の画面が切り替わった。
『ママ……』
切り替わった画面には、ゆりかごの中枢部と椅子が一つ、そしてそれに縛り付けられている少女『ヴィヴィオ』である。
母代わりであったなのはやフェイトへと助けを求めるが、今はそれは叶わない。
何せなのはがいるのはアースラ艦内。フェイトはスカリエッティの元アジトにいる。どちらもすぐにゆりかごの中枢に向かうには時間がかかる。
『痛いよ! 怖いよ! ママ、ママーーーー!!』
それ故、今のなのはには苦しむヴィヴィオを見ている事しかできないのであった。
「ヴィヴィオ……!」
地上本部襲撃の際にヴィヴィオを拉致され、精神的に弱ってきているなのはにとってそれは、もはや苦痛を通り越して地獄。
自身のデバイス『レイジングハート』を握り締め、この地獄に耐えている。涙を流さないだけまだ立派といったところだろうか……
「やられた……こういう事やったんか!」
一方のアースラブリッジ。はやてはスカリエッティの狙いを察し、歯噛みしていた。
おそらくアジトはただの囮。そこに注意を向けている間に、自身はゆりかごで目的を果たしに行く。それが狙いだったのだ。
途中で消えた戦闘機人も、おそらく眼鏡の戦闘機人のISを使ってのカモフラージュだと理解した。クアットロはミレニアムにいるので、実際は違うのだが。
その間にフェイトからの通信。あるはずの多量の証拠品が何一つ無いという。全てゆりかごに積んだのだろう。
……と、それを考えている間にルキノからさらなる報告。それははやてを驚かせるには十分だった。
「聖王のゆりかごに転移反応! 別の次元世界に転移するつもりです!」
「なッ!? 急いで転移先を割り出して! ライトニングの四人が戻ったら、すぐにアースラで追うよ!」
そう言うと、はやてはすぐにフェイトへと連絡を入れ、すぐに戻ってくるよう伝える。
その間にルキノはアースラの設備をフル活用しての転移先の割り出しを行う。こんなデカブツだからか、幸いにもそう時間はかからなかった。
「転移先、割り出せました! 第97管理外世界『地球』です!」
HELLSINGとミレニアム、スカリエッティ、そして機動六課。
彼らを巻き込んだ大戦争の幕開けは、近い。
TO BE CONTINUED
以上です。リリカル龍騎さん、お疲れ様でした
舞台は地球に!?
>>183 投下代行、ありがとうございました
・・・はい、ロンドン編への六課・スカ参戦フラグが成立しました
185 :
OSGS:2008/01/02(水) 12:33:23 ID:9u4HHwNN
うっす。短編投下します〜。投下終わったら二、三日森の里行ってきます。
186 :
OSGS:2008/01/02(水) 12:40:01 ID:9u4HHwNN
なのは×バトルサッカー×ウイニングイレブン6
魔法少女リリカルなのはイレブン〜フィールドの覇者〜
「きゃあああああああ!!!」
スバルはゴジラの必殺シュート『火の玉ボール一号』に体ごとはじかれ、ボールはゴールに突き刺さる。
ゴール前、スバルとゴジラの一対一のガチ勝負は、必殺シュートに軍配が上がったのだ!
しこたま地面に体をぶつけたスバルを、サイドバックのティアナがかけ寄り抱き起こした。
「スバル……!? 腕が……。腕が折れてる――!?」
「げほっ、げほっ……うん。折れちゃったみたい……。またマリーさんに迷惑かけちゃうかも……」
「そ、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
「でも……私くらいしか。私くらいしか、向こうのチームのシュートを止められないんだもん……。なのは
さんのシールドだってウルトラマンセブンさんの『アイスラッガー』はとめられなかったし、フェイトさん
はキングギドラさんと競り合いしなきゃいけない……。ここで下がるわけにはいかないよ……」
「だからって……」
「大丈夫。腕は二本あるんだし、リボルバーナックルもギンガ姉から借りてきてる……。片手でもいけ――
ごふぅっ!」
「なのはさん!?」
いつの間にか二人に近づいていたなのはが、スバルのみぞおちに拳を叩き込んだ。
「なの……はさん……そんな、どうして……」
「スバル……大丈夫だから、ゆっくり休んで」
スバルは眼に涙を貯めながら、ふるふると頭を振ったが、そのまま意識を失ってしまった。なのははばた
りと倒れるスバルの体をささえ、審判のファイター・ロアにタイムを要請した。運ばれてきたタンカにスバ
ルを横たえる。
「なのは……さん……」
うわごとのようにそう言いながら、スバルの眼から涙が落ちる。なのははスバルの頬をなぞって落ちる涙
を指でぬぐいながら、待機状態にもどったマッハキャリバーをスバルの胸に置いた。
「お願いします」
二体のラドンが運ぶタンカを見送りながら、なのはは決意を新たに、相手フィールドをにらみつけた。
「スバル……スバルの意思は私が引き継ぐからね……ロアさん! キーパー交代! スバル・ナカジマから、
高町なのは!」
観客席が一気に盛り上がる。
フェイトがなのはに駆け寄った。
「なのは……くれぐれも無茶しないで。必殺シュートの直撃で吹き飛ばないのは、ダブルゼータさんくらい
だから……」
「うん。フェイトちゃんも、キングギドラさんとの競り合いで怪我とか――もう遅いかもしれないけど――
しないでね」
「分かってる」
なのはが差し出したてに、フェイトはハイタッチをキめる。二人は正反対の方向を振り返り、それぞれの
ポジションへと帰っていった。
「今日の試合は、ラフ・プレイが多いですね〜」
「気をつけてプレイしてほしいですよ」
すでに五人の退場者がでているというのに、カビラと中西は紋切り型の台詞を実況席で吐いていた。
187 :
OSGS:2008/01/02(水) 12:40:35 ID:9u4HHwNN
時は三日ほどまえにさかのぼる。ジェイル・スカリエッティ事件とよばれる一連の事件を解決した機動六
課はあらたな任務と訓練をおこなっていた。
そして暗い暗い暗すぎる、裸電球一個で照らした薄暗い室内に、スターズ、ライトニングの隊長と八神は
やて部隊長の姿があった。
「へ……? 今度はサッカーやるの?」
高町なのはは今回のミッションについて、当然の疑問を六課部隊長はやてにぶつけた。
なんぞ、ロストロギア関連の事件でサッカーをしなきゃならんのか。
「はやて……このまえバトルゲートボールで大敗したばかりなのに……」
ヴィータはうつむきながら言った。先日ラドンとビギナ・ギナにゲートボールで負けたヴィータは、彼ら
――コンパチヒーローズにトラウマを持っている。
そのほかにも、機動六課は『異世界との交流』を目的としたさまざまな競技に借り出されている。
大相撲やらドッジボールやらゲートボールやらエアボードやら。
その相手となるのが各次元世界の代表選手で結成された『コンパチヒーローズ』だった。ほかにも『ラウ
ンドナイツ』や『マグナイト・テン』やら『ゼウス』やらが参加していたが、いずれも『機動六課』か『コ
ンパチヒーローズ』にやぶれさり、二つのチームはどんな競技でも頂上決戦をおこなっていた。
「最近負け続きだもんね……わたしたち」
だが、なのはの言葉と裏腹にこの一連の行事はかなり大成功していたりする。フィールドで生まれる名場
面が観客を魅了し続けているのだ。どっかのアイドルが作ったフットサルチーム以上の人気が、いまの機動
六課にはあったりする。
特に毎度繰り広げられるフェイト・T・ハラオウンとキングギドラの対決は、もはやファンのなかでも語
り草になるほどの迫力を持ち、ファンの間では貝獣大決戦と呼ばれていた。
ちなみに言われる本人達は「こ、光栄です……」「わ、私達がですか……光栄です……」と顔を赤らめな
がら言うもんだから、さあ大変。さらにコアなファン層がくっついてきた。
ほかにもスバル・ナカジマ対セブンのガチンコドッチボール対決やら(両者ともスバルとセブンを残して
全滅、両者のHPが同時にゼロになるという劇的な幕切れという決着だった。ファンの間では再び二人のガ
チンコ対決が行われるのを待ち望む声が聞こえる)、ティアナ・ランスターとザクUの頭脳戦(二人をチー
ム一の凡人と侮っていたファンたちをうならせた。二人を神に選ばれたライバル同士と見るファンが多い)、
エリオ・エリオモンディアルとRXの疾風対決(別名、盗塁対決ともよばれている)やらが展開されていた。
「最初は失墜した管理局のプロバガンダだったんですけど、思いのほか人気でちゃって。やめるわけにはい
かなくなったんですよ」
と、苦笑しながら語るのはコンバチバトル会長のダーク・ブレイン氏。サッカーのメッカである管理外世
界「地球」で、ガーナのサッカー協会会長ニャホニャホ・タマクロー氏と会談した折の台詞だ。
本人達のあずかり知らぬところで、かなりの興行収入をほこるこのモヨウシを、いまさらやめるわけには
いかないのだ。
「で、今回はサッカーだというだけや」
監督兼オーナーという立場のはやては、どこか他人事のように言った。
面々は同時にため息をついた。
188 :
OSGS:2008/01/02(水) 12:41:46 ID:9u4HHwNN
「そんな雑な説明されても……大体、試合なんてどうでもよくて、私達の衣装やら、動きやらを見に来てる
ファンがあまりにも多いような気がするんだけど……」
実際、そんなファンも多かった。大相撲のときの衣装――Tシャツとスパッツにまわし姿という仮装みた
いな格好がどこかのだれかに大ウケし、海賊版のブロマイドが大量に発行されたという。とくにシグナムと
フェイトのブロマイドは『飛び道具』扱いされ、品薄が続いていたと、調査に入ったクロノが語った。
シグナムがふむ、とうなずきながら、
「テスタロッサの動画もアップされていたな。ニコニコに。コメ数が一日で一万を超えていたぞ。削除要請
はしておいたが」
「あ、ありがとうございます……」
フェイトがおずおずとシグナムに頭を下げる。
「その前にダウンロードしておいた……。エースと抱き合うテスタロッサの艶姿は保存ものだったからな…
…(ボソッ」
「……シグナム? いまなにか言いました……?」
「気のせいだろう。ですが主はやて。地球にすんでいたことがあるわれわれならともかく、ミッド出身の人
間はサッカーなどしらないのではないですか?」
シグナムがはやてに聞き、はやては神妙な顔をしながらうなずいた。
「そやな。でも試合はあさってやから」
「「「「「「「な、なんだってぇぇぇぇぇ!!!???」」」」」」」
「スタジアムの都合がとれなかったんよ」
「だ、だからって! あと二日の間にスバルやティアナたちにルールとフォーメーションを教えなきゃいけ
ないの? 無理だよ、そんなの!?」
いろんな意味で戦技教導官をやらされているなのはから、当然ともいえる悲鳴が上がった。
「大丈夫や。ラグビーのときなんて一日だけやったろ」
「そのせいでフェイトちゃんがキュベレイさんにとび蹴りを見舞ったでしょ!」
「あ、あれははやてとなのはが『キック! フェイトちゃん、キック!』なんて殺気めいて言うから……」
フェイトがあわてて否定に入った。
「と・も・か・く! これは上の決定や! これから三日間、全任務をほかの部隊に請け負ってもらうんで
心配あらへん! ここは心を修羅にしていくんや! 我らは阿修羅の路を往く! 大体ウイイレ6があるん
やから、ルールならやりながら教えられるやろ、なのはちゃん!」
こうしてコンパチヒーローズとの次の勝負はサッカー対決になったのだった。
前線メンバーがテレビとゲームに二日間くぎずけにされたのは、六課の面々とジョン・カビラしか知らな
い。さてさて、どうなることやら。
次回『燃える復讐鬼。キュベレイの復讐』
189 :
OSGS:2008/01/02(水) 12:43:00 ID:9u4HHwNN
おやすみなさいました。
気分転換にかいちゃったZE! しかし誤字多いな。
GJ。
なんというか懐かしいwww
>>186 どうでもいい話だが、この世に「ウルトラマンセブン」というヒーローはいない。
そうだな、セブンを知っている人はそこを譲れないよな・・・
ウルトラセブンであってウルトラマンセブンでは無いんだ
説明↓
「ウルトラセブン」という番組は本来ウルトラマンとは別の世界という事で始まった。
よってウルトラセブンは本来ウルトラ警備隊第七の男という意味である。
なお、モロボシダンと同一人物じゃないのか、ダンを抜かせば数が合わないぞというツッコミは全力で却下する
193 :
OSGS:2008/01/02(水) 13:36:10 ID:yJGvYTn2
・・・・・・為になる。すみません。
グランゾンの力をもってすれば昔のIDつける以前のコテを間違って使う事など造作もありませんorz
ついでに言うと、カラータイマーが無いのはウルトラマンではない・・・らしい・・・
セブンは確か観測員で本来セブンのように肩周りにぎざぎざしか付いていないのは
救護関連の仕事についている証とか聞いた・・・覚えがある
196 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 14:30:21 ID:QmhYegZA
寝てる間にクールなバトルにハイテンションギャグ…。職人の皆様GJです!
そーいやセブンは胸のなんかプレートで日光を自分のパワーに…。
っと、五分後にモンハンクロス投下したいと思います。
いろいろと叩かれそうな話で怖いが…。
197 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 14:36:33 ID:QmhYegZA
五分経ったかな、では、投下したいと思います。
198 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 14:37:18 ID:QmhYegZA
魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
第二話「再会」
ポッケ村のとある家の裏。
長くなった金髪を揺らし、激しい音を立て丸太をひたすら殴っている男がいる。
男の名前はジェイ・クロード。大体察しはついてるかもしれないが、なのはを助けた男である。
とは言っても自分は「逃走に巻き込んだだけ」と言い張っている。
「50…51…52…ふぅ。」
一息つけて自分の拳をさする。丸太はそんなにボロボロではない、だが所々へこんでる所があったり血痕がある。
「親分」言われてキッカリ四年このトレーニングを続けている。
「…さぶっ!!」
ちなみにジェイは冬真っ盛りで雪山が近いこのポッケ村で上半身裸でトレーニングをしていた。寒いのは当たり前。
さっさと家の中に入ると真っ先にシャワーを浴びに向かった。
服を脱いでシャワーのお湯を全身に浴びるジェイ。身体が冷えてしまったため急にお湯をかぶると所々に痛みが走るのだが気にしない。
身体、頭を洗って出ると白猫がタオルを持ってきてくれた。コック帽を被りエプロンをかけた獣人「アイルー」なのだが。
タオルを受け取ってアイテムボックスの中からマタタビを取り出して一個、そのアイルーに与える。大喜びでキッチンへと戻っていった。
199 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 14:37:45 ID:QmhYegZA
「ジェイ!ジェイはいるか!」
ドアをど派手に開けてずかずかと入ってくる銀髪の男。
胴は竜の頭を模した形で肩には角。全身には同じような角がいくつかある。人はこの装備を「モノブロスSシリーズ」という。
背中には身の丈ほどもある毒属性を持つ大剣「クロームデスレイザー」を持った男。
「あれ?親分?どうしたんだ急に?」
親分、本名はゼクウ・ローレン。親分というのは歳もそれなりにいってるしそんな雰囲気がするから…らしい。
ちなみに名づけたのはジェイ。
「うむ、新しいクエストを受けたのだが、どうやら大人数ではないとダメらしい。」
「それで俺のところに。何人?」
「三人だ。」
クエスト。それはこの世界に住む狩人達が受ける依頼のことを言う。
「一人足りないなぁ…。心当たりは?」
「『ドク』がいる。」
「『ドク』かぁ、確かにあの人なら最近ハンターになったばっかなのに俺のHRと同じだからなぁ。うん、いいんじゃないか?」
HR、それはハンターランクの略であり、それが高ければ高いほど高難易度のクエストを受けられる。というわけだ。
ちなみに『ドク』、ゼクウ、ジェイともに6。ポッケ村の中では最高位に値するハンターランクである。
「何?どういうクエストさ。」
ジェイが手を出すとゼクウがクエスト内容が書いてある紙を手渡す。
「依頼主機動六課…っは。ギルドってわけね。アイテムボックス必須…待ち合わせ場所は雪山のベースキャンプ。変わったクエストだな。…期限は…数ヶ月!?」
「大丈夫だ、住むところや食事は提供される。」
「そういう問題じゃなくて!うぅ〜…。場所はミッドチルダ?どこ?」
「俺にもわからん。」
場所のミッドチルダという文字に首を傾げる二人。
街といったらドンドルマとミナガルデしか思いつかない。唸って考えてるところにもう一人客人が来た。
その客人は鎧の上に白衣を着ているという変な格好をしている男、『ドク』。わけあって本名は言えないらしい。前は科学者をやっていたとか。
最近雪山で倒れているところをここの元ハンターの中年男性が発見、ポッケ村に連れてきたという。
年上の後輩…のはずだが驚くべき適合力でジェイ達と同じHRを持っている。何か裏技でもしたのか、と思うぐらいだ。
「あぁ、ドク。ドクってミッドチルダってとこ…知ってる?」
ジェイの問いに妖しく笑うドク。何か質問をして答えるときはいつもそうだ。
「知ってるも何も、私はそこで科学者をやってたんだ!」
「マジで!?」
「なんと!?」
両手を広げて高らかに笑うドク、子供のように目を輝かせるジェイ、目を見開いて驚く親分。
第三者からの目から見るとちょっと変な光景である。ドクはすぐに笑うのをやめてふぅ、とため息をつく。
「しかし…私はある研究をやってたらな。ミッドチルダから追放されてしまったのだよ。」
「…えぇ〜?」
ジェイはさっきの表情から逆転、残念そうな表情をした。
ベットにボスン、と座り込んで頬杖をついて考えているとドクは手をひらひらさせてなんでもないような表情をしている。
「まぁ、兜被っていくさ。」
「…そっか。そういえばそうだった。」
当たり前のことを忘れていてジェイはちょっと自分に腹が立っていた。
ふと、依頼内容とはさほど関係ないコメントの欄に目を通してみる。
サッと目を通すつもりだったがとある一文を見て目を見開き、自分の見間違いではないかと何度も目を擦り、見通す。
しかしそれで文の内容が変わるわけがない。ジェイは静かに笑い、立ち上がる。
「面白い、やってやろうじゃないの。いつ出発だ?」
「明日…だそうだ。」
「どこまで隠し通せるかわからないが、面白そうだな。」
一人行っては行けないような人がいるが、三人は出発することを決めた。
それぞれの家に戻り、身支度をする。ジェイが行くと決意した理由となった一文。それは
『できれば四年前、空を翔る箱舟と純白の少女、真紅の少女を見た者がこの依頼を受けることを願う。』
と書かれていた。ジェイは頭の中で記憶の渦の中から「心当たり」を引っ張り出す。
「…あの子たちか。」
200 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 14:38:24 ID:QmhYegZA
翌日の早朝、雪山のベースキャンプで男三人は依頼主の到着を待っていた。
突然辺りが暗くなる。空を見上げてみると次元艦、アースラが四年前と変わらないその姿のままで降りてきた。
ゼクウは大変驚いていたがジェイは四年前に見たことがあり、ドクはミッドチルダ出身のため大して驚かない。
雪山の草原の箇所(ハンター達はエリア1という)に降りて自分達もそこに向かった。
近くで見ると大きい。そこらの飛竜と比べものにならないほど大きい。
音を立てて扉が開くと出てきたのは純白の少女と真紅の少女。
「依頼を受けてくださってありがとうございます。高町なのはです。」
「…ヴィータです。」
ジェイは「よろしく」という前に一歩前に踏み出して、兜をゆっくりと外していく。
四年前とは違って金髪は長くなってしまったけど、顔なら大丈夫だ。変わっていないはず。
二人の少女は驚愕した後、満面の笑みを浮かべて一歩前に踏み出してジェイの前へ。
「始めまして…でいいのかな。俺はジェイ・クロード。逃走に巻き込んでしまったお節介な男…と言ったほうがいいかな?」
「…ううん、いいよ。ジェイで。」
「変わってない…な。」
後ろはゼクウとドクが顔を見合わせている。ジェイがハッとしたように後ろの二人の紹介をする。
「あ、そうだったそうだった。こちらがゼクウ・ローレンで、こっちがドク…本名は明かせないんだって。ごめんな。」
「わかりました。ちょっとひっかかりますが…え?」
ふとなのはがドクの背中に目を移す。ドクが背負っているのはレイトウ本マグロ。
氷属性の大剣なのだが見かけがその名のとおり、カジキマグロである。大剣というよりかは非常食のマグロだ。
「これがどうかしたかね?」
ちょっと不機嫌そうになのはに尋ねるドク。少し気まずくなりながらもアイテムボックスを引きずり、アースラの中に入った。
…なんか知らないけどドク、なのは達に敵意むき出しだったなぁ。嫌なら来なきゃよかったのに。
201 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 14:39:00 ID:QmhYegZA
番外その2「ジェイが言う『親分』と『ドク』」
親分編
名前:ゼクウ・ローレンっていうんだ。ゼクウが出す雰囲気をそのままあだ名にして「親分」。どうかな?
歳:三十代前半じゃない?
防具:あの人は実力俺よりかなり上なんだけどなぁ。モノブロスSとかゴツイやつを選ぶんだよあの人。
武器:大剣が多いかな。てか大剣を使ったところしか見たことないよ。
声:あの声は絶対どこかで「我に断てぬものなしっ!」とか叫んでるって絶対。というか実際叫んでるよ?
その他特徴:うん、俺の師匠みたいな人だな。そもそもハンターになったきっかけがあの人との出会いだったし。
なんか知らないけどよく「我に断てぬものなし」って言うんだよあの人。心当たりある?…ないよなぁ?
ちょっと古風な人だけど面倒見がいいんだ。そのおかげで俺もベテランハンターになれたわけ。
もちろん今でも尊敬しているよ。
ドク編
名前:本名明かしてくれないんだよ。でも前いたとこでは科学者やってたらしいから「ドク」って呼ぶことにしたんだ。
歳:多分親分だと同じだと思う。
防具:あの人いろいろ変わるからなぁ…。よくつける防具といったら暁丸・覇だね。
武器:よく毒系を選んでくるよ。それかガンランス。あとなんか知らないけどレイトウ本マグロも使うな…。たまに毒って苦しんでる相手を笑うんだよ。そこが怖い。
声:結構渋いなぁ。口癖?うーん…「素晴らしい!欲しかった…私も欲しかったなァ!!」とか俺が紅玉手に入れたときよく言うねー。
その他特徴:謎だねー。最近ポッケ村に来てハンターになったんだけど…。あとちょっと変わってるかな?
だって防具の上に必ず白衣着てくるんだぜ?どう思うよ?どうやらミッドチルダってとこに住んでたらしい。
初めて来たときはそりゃあもう荒れてたんだって。人の命をなんとも思わない発言を度々したし、非協力的だった。
でも次第に丸くなっていったんだよ。…感動するよなぁ、人の温もりとか絆とかさ。
そのミッドチルダってとこに12人の娘さんがいるんだって。…すっげぇ大家族なんだなぁ。
202 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 14:41:31 ID:QmhYegZA
投下終了。
まぁ、不安な点としては遭遇の仕方はこれでよかったのか。
「ドク」というキャラは必要だったのか。
番外は誰かの証言みたいな感じでいいのか…。ですね。
キャラはどうしてもオリジナルになってしまうので友達のキャラをお借りしました。
スカ何やってんだよw
GJ!
GJ!!
スカ博士・・・立派な肉体派科学者になって感無量ですw
あと、レイトウホンマグロと毒好き設定を盛り込んでくれてありがとうございます。
GJ、博士は最高クラスの釣り師か…
GJ!
どうでもいいけど、小説版モンハンのブレス・コアは打撃面に特殊な振動を発生させて、対象を破砕する
振動破砕みたいな能力があるんだぜ……
GJ!
スカ吉なにやってんお!
それぞれの雇ってるアイルーを一匹ずつ持ってて欲しかったですw
誰か愛らしさで悶死するかもしれませんが。スカ博士のアイルーは白衣着てて
実験とか手伝ってそう。ニヤソって嗤いそう。
外伝3・5話が出来ましたけど、投下は8時半すぎにしたいと思います。
多分遅くて9時くらいになると思います。それでは・・・。
後、投下終了後にも言うつもりですが、この外伝3・5話は第3話の次に作ってください。
お願いします。
KY
211 :
OSGS:2008/01/02(水) 19:17:50 ID:yJGvYTn2
Kことしも
Yよろしく。
それじゃあStrikers May Cry の番外編を投下してもいいでしょうか?
今回は以前、話したアグニ&ルドラとネヴァンの話とナンバーズの話、そしてバージルとシグナムの結婚式のギャグ話なんですが。
反応無いな。
それじゃあ投下します、Strikers May Cry の番外編の短編集です。
Strikers May Cry 番外編 「詰め合わせ」
魔法少女リリカルなのは
第十三,五話 [双剣の尼僧と炎風の双子悪魔 無限の猟犬と雷艶の魔女]
日の光の届かない地下の奥底で対峙するのは赤と青の筋肉質な体躯を持つ双子の悪魔と聖王教会に仕える尼僧であった。
双子の悪魔はその手に鋸のような刃をした刀を持ち、尼僧はトンファー状の双剣を構えて互いに一触即発の様を呈する。
「やはり客人はもてなさなければな」
「そうだ客人はもてなすものだ」
「ならやはり剣舞しかないな」
「そうだ剣舞しかない」
双子の悪魔はまるで最初から打ち合わせでもしたかのような会話をしながら目の前の尼僧に手の刀を向ける。
尼僧はその双子の悪魔の発する気迫に笑みを浮かべながら不敵に答える。
「良いですね。こんな所で心を震わせる決闘を仕合えるとは思っていませんでしたよ…」
決闘趣味があるとかないとか言われているだけに彼女の心はやたらと昂ぶっていた。
所変わって戦闘機人の司令塔を捕らえた時空管理局のとある査察官の前に雷撃を纏った赤毛の魔女が現われた。
「そこの坊や〜、ちょっとお姐さんと遊ばない? それともこんな風に女と遊ぶのは初めてかしら?」
緑色の長髪に数多の魔力の猟犬を従えた査察官は笑顔で返す。
「いや〜。なにせこんな綺麗なお嬢さんに会ったのは初めてなもので♪」
そして査察官に雷撃の魔女が電撃を纏った蝙蝠が飛来し空中で猟犬と交錯し火花を散らせる。
「楽しめそうね、坊や」
「それはそれは、こちらこそ」
その言葉を合図に数多の猟犬が魔女に踊りかかり、蝙蝠が査察官へと舞った。
バージルとフォワードメンバーが聖王のゆりかごで激闘を繰り広げていた頃、スカリエッティの地下施設へと向かったフェイトは戦闘機人と夥しい数の悪魔を相手に苦戦を強いられていた。
フェイトの振るうバルディッシュがまた一体の悪魔を斬り裂き塵に返す。だが何対倒そうと悪魔の数は減らず遂に彼女は疲労に膝を付いた。
「はぁ はぁ」
「どうしたフェイト・テスタロッサ? もう終わりかい?」
疲労に息を荒げるフェイトに戦闘機人と数多の悪魔に守られたスカリエッティが余裕の笑みを浮かべてフェイトを挑発する。
その美貌に怒りを宿すフェイトだが敵はあまりに多くこの苦境は覆し難い。
そして巨大な猿を思わせる悪魔“オラングエラ”が巨大な身体で跳躍しフェイトを潰さんと踊りかかる。
あまりの疲労に一瞬反応を遅らせたフェイトは死を覚悟したがその悪魔の攻撃が彼女に当たることは無かった。
凄まじい電撃を纏った無数の蝙蝠の塊がオラングエラの身体に直撃しその落下の軌道を逸らした。
そうしてフェイトの下に二人の助っ人が現われる。
「大丈夫ですか? フェイト執務官」
「遅ればせながら助っ人に馳せ参じました」
それは雷撃を纏ったギターを持つ査察官ヴェロッサと炎と風の悪魔を双剣ヴィンデルシャフトに宿した教会シスターシャッハであった。
その二人にフェイトは目を丸くしながら口を開いた。
「えっと…お二人とも…それは一体?」
「さっき魅力的な女性に声を掛けたら頂きました」
「もの凄く青くて赤い筋肉質な二人と死闘を演じたら何故かヴィンデルシャフトと合体しました」
フェイトの質問に二人はとても理解しがたい答えで返した。
つまりはフォワードメンバーと同じように二人は悪魔の力を得たのだが、もちろんそんな事はフェイトには分からなかった。
そこにヴィンデルシャフトに合体した炎と風の双子悪魔“アグニ”と“ルドラ”が声を掛ける。
「「早く我らを振るえ使い手よ」」
「……ちょっと静かにしてください」
「「………」」
ハモって喋る悪魔を黙らせながらシャッハは敵に向かって構える、ヴェロッサもまた雷撃を操る魔女“ネヴァン”の力を具現化したギターの演奏の準備に入る。
「ではステキな演奏と行きましょうかお嬢さん♪」
そのヴェロッサの言葉に答えるようにネヴァンのギターは雷撃を宿した蝙蝠を大量に舞わせて殲滅の音色を奏でる。
「炎風烈陣! 逆巻けヴィンデルシャフト!!!!」
まず真っ先に敵の只中にシャッハが手の双剣に豪炎と旋風を纏って駆け出し、そのシャッハを援護するようにヴェロッサがギターをかき鳴らして雷撃の雨を降らせる。
ヴェロッサの放った雷撃の蝙蝠の攻撃により悪魔たちは動きを止められ、そこにシャッハが鬼神の如き追撃を見舞う。
シャッハはルドラと融合した左のヴィンデルシャフトが旋風を纏って敵を八つ裂きにし、アグニと融合した右のヴィンデルシャフトが敵を焼き尽くした。
シャッハとヴェロッサは圧倒的な戦闘力で以って敵を殲滅する。数はともかく中級悪魔と戦闘機人だけの集団など、この上位悪魔の力を得た二人の敵ではなかった。
そして、ここでもフェイトの出番は無かった。
第十七,六話 [闇の剣士と戦闘機人]
スカリエッティの起こした一連の事件、通称J・S事件が終わりを告げる。
そして事件に加担した戦闘機人の少女達はその存在の特殊性(特にスカリエッティや彼女達の出生に管理局の最高評議会が関係していた事)により通常の受刑でなく特別の更正施設での社会生活への適応の為の教育を受けていた。
その施設に車椅子に乗った銀髪隻眼の少女がいた。
少女の名はチンク。戦闘機人ナンバーズの5番であり、この施設にいる戦闘機人のなかでは最年長のナンバーズである。
彼女は事件の際にバージルから受けた傷の為に車椅子での生活を強いられていたが、傷の経過も順調でこうやって他の姉妹と一緒に施設での穏やかな生活を送っていた。
そしてその日も彼女達の教育係であるギンガが現われたが彼女は予期せぬ客人を連れて来た。
「ノーヴェ〜♪」
「げえっ! スバル〜」
それは犬の耳と尻尾でも生えてそうなくらいなオーラを纏ったスバルだった、彼女は先の事件でノーヴェと和解し今ではすっかり懐いていたのだ。
当のノーヴェはやたらとくっつくスバルを少し苦手にしていた。
「えへへ〜、久しぶり〜♪」
「こらっ、スバル。やたらとくっつくんじゃねえ! っていうか今日はおめえと面会の日じゃねえだろ」
「いや〜今日はちょっとお兄ちゃんの手伝いに来たんだよ〜」
「お兄ちゃん?」
スバルの言葉と共にナンバーズには忘れようとも忘れられない男がその場に現われた。
「今日からしばらく特別講師をしてくれるバージルさんですよ、さあみんなご挨拶して♪」
ギンガは最高に朗らかな声で言うがナンバーズ一同は戦々恐々の様を呈する。
「ぎゃ〜〜! 今日こそ死ぬっす! 絶対に死ぬっす!」
「うわ〜ん、最後にもう一回チョコケーキが食べたかったよ〜」
支援
まずウェンディとセインが叫ぶ。
「チンク姉! あたしが時間を稼ぐから逃げろ! スバル、後の事は頼んだぞ!」
ノーヴェが震える足で勇ましくチンクを守ろうと立ち上がる。
「お願いです許してくださいお願いです許してくださいお願いです許してください」
「殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで」
「助けて助けて助けて助けて」
オットー・ディエチ・ディードは部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをしている。
ナンバーズのその様子も無理は無い。彼女達は先の事件でバージルと戦い、たっぷりと恐怖を味わったのだから(特にディエチは二回も幻影剣の攻撃を受け、ディードは腸をぶち撒けられた)。
だがこの場の最年長者はしっかりと冷静に対応した。
チンクは車椅子をバージルの前に進めて最高の笑顔で彼に挨拶をした。
「お久しぶりです」
「ああ、そうだな」
その様子を離れてテーブルの下に隠れて見ていた(地震じゃなんだぞ…)セインとウェンディはチンクに叫ぶ。
「チンク姉〜危ないっすよ〜喰われるっすよ〜」
「チンク姉〜。カ〜ムバ〜ック」
ノーヴェがガタガタと震えながらバージルに突っかかる。
「おい…て、てめえ…チンク姉に変な事したら…ぶ、ぶ、ぶ。ぶっ殺すぞ…」
その様子にバージルは溜息をもらし、チンクが苦笑する。
「まったく…嫌われたものだな。まあしかたのないことだが…」
「すいません騒がしい妹達で」
様々な知識や経験そして強大な戦闘力を持ちながら、未だに正式に管理局の局員でなかったバージルの局員入りでの最初の仕事はこの施設でのナンバーズへの教育の手伝いだった。
とりあえずチンクが他のナンバーズを説得してバージルの教育はすんなり進んだ。
六課の人間との付き合いや、シグナムとの仲の発展でバージルは以前とは別人のように丸くなっているのをナンバーズも漠然と理解して次第に警戒を解いていった。
バージルの受け持った授業も終わり、バージルはチンクと共にナンバーズと遊んでいるスバル(主にスバルがノーヴェをいじっている)を眺めていた。
「今日はありがとうございました、それに妹達がご迷惑を…」
チンクはすまなそうにバージルにあやまる、だがバージルはそんなチンクの言葉を遮って意外なこと言った。
「これも仕事だ。そもそも俺が頼んだ事だしな」
「えっ?」
「お前には色々と借りがあったからな」
バージルの言葉にチンクは顔を悲しみに沈ませた。
「この足の事ですか? これは戦いでの結果です……あなたが気に病む事ではありません…」
もし戦いで傷ついた自分を気遣ってバージルが管理局での進路を絞ったのなら、という考えが浮かびチンクに苦い思いをさせるがバージルはあっさりとそのチンクの言葉を否定した。
「それは少し違うな、確かにお前を過剰に傷つけたとは思うがそれは決定的ではない…」
バージルは少し憂いと優しさを込めた瞳で宙を仰ぎながら言葉を繋げた。
「お前は言ったな……“血は繋がらずとも家族はいる”と…」
「…はい」
「その言葉に救われた、ここでしばらくお前らの面倒を見るのはその礼だ」
かつて病院でチンクがバージルに言った言葉、バージルはその言葉によりヴィヴィオを失わずに済んだ事を恩義として感じていたのだ。
そんな理由でわざわざこんな施設に来たバージルにチンクは苦笑する。
「義理堅いんですね」
「そうか?」
「ええ。そういえばもうすぐ御結婚なされるとか?」
「……いったい誰がそんなことを」
「もちろんスバルが」
「そうか…まったくあの娘は…」
スバルの口の軽さに顔を歪めるバージルを見ながらチンクは思う。
(こうやって穏やかに生きていけるなら、きっとそれが幸福というものだな…)
チンクは妹達と遊ぶスバルやバージルを見て、きっとこの先も続く静かな日々を思い
柔らかに微笑んだ。
Another Epilogue [時空管理局SFクラブ]
バージルとシグナムの結婚式。その式場で異様な様を呈している席がある、それはかつてシグナムが所属していた首都防衛隊の席であった。
「ちきしょうううう!! ちきしょうううううううう!!!!」
「おい! いい加減に落ち着けよジョニー」
血の涙を流して叫ぶ男に同じ席の男が声を掛けて制したが男はさらに興奮してこれに答える。
「これが落ち着けるかああああ!! シグナム姐さんが、シグナム姐さんが…あんなどこの馬の骨とも知れねえ男と結婚するなんて信じられねええええ!!! むしろ信じたくねえええええ!!!!!!」
「そりゃ俺も信じたくねえさ……でもSFクラブの掟にあるだろ? シグナム姐さんの幸せが俺達の幸せなんだよ……」
そう彼らは時空管理局SFクラブ、シグナム・ファン・クラブのメンバーだったのだ(もちろん非公式だ)。
そんな彼らはもちろんこのシグナムの結婚を受け入れられなかった。
「幸せ? そんな訳あるか!! きっとあの男に騙されてるんだ!! そうに違えねええええええ!!!!!」
「クソオオ!! なんて野郎だ! 神聖不可侵絶対女神のシグナム姐さんを騙すなんて…」
怒りと義侠心と正義感(または嫉妬心とも言う)に熱く燃える首都防衛隊SFクラブのメンバー。
そこで一人の男の発した言葉がとんでもない爆弾として投下される。
「…きっとあいつはこれからシグナム姐さんに毎朝起こしてもらったり、手料理を作ってもらったりするんだろうな…」
以下妄想。
エプロン姿のシグナムがお玉を持って寝室に登場して最高の笑顔で旦那を起こす。
「こら、もう朝だ。早く食べないと朝食が冷めるぞ」
以下略。
「ぐはあっ!!」
「げふうっ!」
その妄想の破壊力に何人かが血反吐を吐いて倒れる、だが言葉の爆弾は絨毯爆撃の如く投下され続ける。
「…そんでもって家に帰ったらエプロン姿(もちろんだが下にはなにも着ていない)のシグナム姐さんにお出迎えされるんだろうな…」
以下妄想。
エプロン姿(もちろんだが下にはなにも着ていない)のシグナムが顔を赤らめて玄関でお出迎え。
「食事にするか? 風呂にするか? それとも…」
以下略。
「ひでぶううううう!!!」
「あべしいいいいいい!!!」
「あじゃぱああああ!!!」
珍奇な雄叫びを上げてまたSFクラブのメンバーが自分の吐いた吐血と鼻血と血涙の血の海に倒れ伏す、それでもこの男のターンは終わらない。
「…そんでもってシグナム姐さんの(具体的にどこを指しているかは諸君の想像に任せる)を好きなだけ揉み転がしたり、むしゃぶりついたり出来るんだろうな…」
以下妄想。
過激な描写につき表現自粛にて音声だけでお楽しみください。
「あ…そ、そんな吸うな…ひゃん」
以下略。
もはや呻き声すらない、SFクラブのメンバーは全員戦闘不能状態で倒れ伏している。
「そんでもって…」
まだ言葉の爆弾を投下しようとしている男に生き残っていた者が止めに入る。
「止めろ! もうみんなのライフはゼロだ!!」
「放せええ!! 何勘違いしているんだ、まだ俺のバトルフェイズは終了していないぜ。みんな聞けえええ!! 今までのはただの妄想だ! だがしかし!! このままでは確実にシグナム姐さんは今日あの男と初夜を迎えるんだぞおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
以下妄想。
新婚初夜、ベッドの上でウェディングドレス姿のシグナムが三つ指を突いて言う。
「不束者ですが、どうか末永くよろしくお願いします」
以下略。
その言葉と妄想の幻影に血の海に沈んでいた男達…いや漢達が立ち上がる、彼らの目には溢れんばかりの闘志が宿っていた。
「こうなったら俺達があいつを倒して…」
「ああ、首都防衛隊の力を見せてやるぜ」
「初夜なんて迎えさせるかよ!」
「シグナム姐さんは俺が守る!」
だが冷静な意見を言う者もいる。
「でもよお、あのバージルって奴は凄え強えらしいぜ…」
「なんでもSSランク以上とか…とても俺達には……」
「何をツマラン事ぉ抜かしとんのんじゃあ! こんボケがああああ!!!」
そこに恐ろしくドスの効いた低い声が響き全員の視線を釘付けにした。
その男は物凄くゴツイ顔に数多の刀傷を刻み、カミソリのような鋭い眼光を放っていた。
このどこから見てもマフィアかヤクザにしか見えない男こそ、時空管理局SFクラブ組長(組長?)である鬼ヶ島 土左衛門(おにがしま どざえもん)その人だった。
「ワシらSFクラブ全員が玉砕(カチコミ)掛けて命(たま)あ取れん奴なんぞこの世にゃ〜おらんのんじゃあああああ!!!!」
その土左衛門の言葉にSFクラブのメンバーが沸き立ち、次々に叫ぶ(もちろんここが結婚式の会場などという事はとっくに忘れている)。
「組長(オヤ)っさんの言うとおりだぜ!!」
「そうだ! ここが俺達の死に場所だ!!!」
「姐さんを守って死ねる……俺の最後も捨てたモンじゃあねえな…」
SFクラブのメンバーが手にデバイスを掲げて雄叫びを上げ、土左衛門が全員の指揮をとる。
「全員、道具(デバイス)は持っとるな!! これからSFクラブ最後の討ち入りじゃあああ!! 死んでもあのスケコマシ野郎の命(たま)〜取ったるんじゃあああ!!!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
その騒がしい男達に突然チェーンバインドが絡まり、クリスタルケイジが周囲を包み込む。
「なんじゃああこりゃああああ!?」
土左衛門が叫ぶがその戒めは強固でびくともしない、そしてエクシードでブラスターなレイジングハートを持った女性が凄い目(STS八話テレビ放映バージョン)で彼らを睨みながら現われる。
それは完全に本気でおしおき(殺す)気になっている高町なのはであった。
「おかしいなあ……結婚式は喧嘩じゃないいだよ……そんな風に騒いで邪魔するんなら…式に来る意味ないじゃない……」
凄絶なる殺気と気迫を放ちながらなのははカートリッジを全て装填、レイジングハートのファイアリングロックを解除する。
「……ものすごく…頭冷やそうか?」
「うおおおおおおお!!!!! SFクラブ万歳いいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
その日も無慈悲に砲撃が唸りを上げ、哀れで愚かな者の悲鳴が空に響いた。
支援
以上で投下終了です。
なんていうか溜め込んでいた小ネタを詰め込んだらかなりのカオス時空になってしまいました。
やっぱり酔った勢いで書くとヒドイ事になりますね。
これであと1回か2回くらい番外編書いたらSMCも本格的に終わりかな。
笑わせてもらったよ。
さすが番外編と言ったところですね。では8時半ごろにこちらも投下と行きましょう。
おもったより長いんだよな。
GJ!
あ…貴方本当にあの猟奇作家(暴言)のSMC氏ですか…?
この前のクリスマスネタといい、俺のSHINING WINDボウリングを平然と凌ぐカオスっぷりじゃないかっ!
…また今日も自信を失ったんだぜ
>>223 GJです。
ラブラブ時空全開
そしてSF隊長自重w
>>223 なんか変なの来たーwこの調子では六課の他の隊長陣にもSFがついていそうだ。
スバティアもJS事件の活躍で、なにか憑くかもしれんw
>>224 GO!GO!
少し過ぎたけど投下行くぜ!
外伝3.5話 ティアナ修正
ティアナのミスショットから3日、火星の後継者及びネオ・ジオンの地球連邦に対しての戦線布告から1日が経っていた。
「ティアナの調子はどう?」
なのはがゲイナーに聞く。
「何かあまりいい感じがしません。スバルにも聞いてみましたけど、あの時のヴィータさんに言われた事をまだ気にしてる感じだそうです・・・」
ゲイナーの報告になのはは少し暗い顔をしたがすぐにいつもの顔に戻った。
「そう、ありがとうゲイナー君」
「でも何でまたそんな事を聞くんです?」
ゲイナーの疑問になのはが答える。
「そろそろティアナの出撃停止も解除しないとって思ったね。
火星の後継者やネオ・ジオンも動き出した事だし、ティアナなしはさすがにきつくなるからね・・・。スバルだけじゃなくてティアナにも・・・。
あ、それとその事はティアナに内緒にしておいてね。後で私から言うから・・・」
「わかりました。それでは・・・」
なのははゲイナーと分かれた後、廊下でヴィータと会った。
「ヴィータちゃん」
「なのは、お前誰かと話してたのか?」
「うん、さっきそこでゲイナー君とね・・・。そう言えばヴィータちゃん。あの後ゲイナー君に謝った?」
「あ? 何であたしがゲイナーに謝らなくちゃいけねえんだ?」
ヴィータはなのはにゲイナーに謝る理由を聞く。
「ヴィータちゃん、ティアナがミスショットをしてスバルと一緒に叱った時、ゲイナー君にも怒ったでしょ」
「ああ、あのことか・・・。確かにあの時はあいつにも怒鳴ったな・・・」
ヴィータはようやく理由を思い出した。
先日ダイモスが火星の後継者に襲われていた際、「シャイニングガーディアンズ」の一部のメンバーが援護をした際に、
ティアナは全員を下がらせ、クロスファイヤーシュートの乱れ撃ちをし、スバルに当てかけ、その事をヴィータが叱り、
ティアナをフォローしようとしたスバルにも怒鳴り、自分を落ち着かせようとしたゲイナーにも怒鳴ったのだ。
あの時はティアナやスバルはともかくゲイナーまで叱る事はないし、ゲイナーは叱られる事をしてないのだ。
「まあ、後であいつに会って謝っとくよ・・・」
「二人ともここにいたのか」
シグナムはなのはとヴィータを探していたようだ。
「シグナムさん、どうしたんですか?」
「ゼクスが話があるそうだから、お前達を呼んで来いと言ってな・・・。テスタロッサと主はやても既に行ってる。行くぞ」
シグナムがそう言い、なのは達はゼクス達が待つブリーティングルームに行った。
そしてブリーティングルームにはゼクスやフェイトやはやての他にもプリベンダーのメンバーとアムロとジャミルとゲインがいた。
「ゼクスさん、話って何ですか?」
「今後の話とティアナ・ランスターがこの前行った事についての事だ・・・。
火星の後継者やネオ・ジオンが動き始めようとしている今戦力は必要だと思う。ティアナの出撃停止は解除するのは決まったが、今後彼女が同じ事をしなければいいのだが・・・」
ゼクスが不安になるのも無理はない。そのゼクスの言葉を賛同するかのようにジャミルとアムロが言う。
「私から見てもティアナのあの行動は軽率だと思う。ガロードや他の若い連中がいるから若さもあるだろうが彼女は何か別の意味であんな事をしたのだと思うのだが・・・」
「俺達は戦う皆の精神面も見ないといけないからな・・・。ティアナのあの行動の訳を出来れば知りたいが・・・」
「なあ、なのは。あいつ、「シャイニングガーディンズ」・・・、いや機動六課に来る前に何かあったのか?」
ヴィータは皆を代表してなのはに質問した。そしてなのはは皆の疑問に答えた。
「これなんだけど・・・」
なのはが出したモニターには一人の青年が映し出された。
「執務官志望のティアナにはたった1人のお兄さんがいたの。それがこの人、ティーダ・ランスター享年21歳階級は一等空尉」
「優秀だな」「そうなのか?」
ヴィータが優秀と言うとゲインがそれを聞く。ゲインは軍人ではないのでよくわからないのだが21で大尉はすごい事なのだ。
「早くに親を亡くし1人でティアナを育ててきたの。でも犯人を追跡中に殉職。その犯人は陸士部隊の協力でその日のうちに逮捕されたんだけど、
当時ティーダの上司だった者が心無い発言をして一時期問題となったの」
「そのコメントとは・・・?」
今度はノインが聞いた。
「『犯人を追い詰めながら取り逃がすとは、首都航空隊の魔導師として有るまじき失態だ。例え死んだとしても取り押さえるべきだった』
実際は更に酷く、『任務を失敗する役立たずは、必要ない』
ティアナは、その時まだ10歳。たった1人の肉親を失って、しかもその最後の仕事が無意味で役に立たなかったって言われて、きっとすごく傷ついて悲しんで、
お兄さんの魔法は役立たずと言わせないために今まで頑張って来たんだと思う。その思いは尊重してあげたい」
「それがあの女の正義を貫くわけと言う事か・・・」
五飛はなのはの言葉に自分の事を照らし合わせるような事を言った。
「正義かどうかはわからないが、それが彼女が力を求める理由だというのはわかった・・・」
ゼクスはなのはの言った事にふとあることを思った。
(兄と言うのはできれば妹には同じような道を歩んで欲しくないと願うものだと思うのだがな・・・)
ゼクスがそう思うのは自分にも妹がいるからだ。妹のリリーナは自分とは違い平和的な話し合いで解決をしようとしているのだ。
「その上官はまるでティターンズの兵士みたいな考えだな」
アムロがそう洩らし、デュオがふと思った事を聞く。
「で、その上官さんはどうしたんだよ?」
「その上官はその発言したコメントが原因で弾劾を受けて、失脚してる」
「ま、そんな上官がまだいたら俺だったら願い下げだね」
同じ頃ティアナがいない部屋ではスバルがエリオとキャロに同じ事を話していた。
「ティアは自分のお兄さんのやってた事は間違ってないって証明したいんだよ。
多分この前の事はなのはさん達や2年前の戦争で戦い抜いた人達や
もう一つの地球の人達の強さが自分は強くなってないって思わせての行動だと思う」
スバルは自分が考えた事をエリオとキャロに伝える。その話を聞いてゲイナーも部屋に入ってきた。
「ゲイナー・・・」
「僕はさっきなのはさんと話していたけど、あの人にとってはティアナは強くなってると思うような事を言ってたよ。
それを彼女に言えば・・・」
「それでもティアは信じないかも・・・。やっぱりこの前の事を気にしていると思うし・・・」
こうして少し暗い雰囲気のまま二つの話合いは終わった。
翌日オービットベースにて二つに分かれていた「シャイニングガーディアンズ」は合流し、新たに現れた敵や今までに出てきた敵の事などを相談した。
その相談後、「シャイニングガーディアンズ」は地球のGアイランドへと降り、ベイタワー基地で待機と言う事になった。
機動六課メンバーは地球に降りた事もあり、訓練所などを利用しての翌日から早朝練習などの練習をする事を決めた。
もっとも機動六課本部よりは設備はないが・・・。ティアナはそれを聞いてその日の夜からこっそり一人で訓練をしていた。
その翌日の朝、ティアナを起こしたスバルがティアナの秘密の練習に付き合うと言いだし、ティアナとスバルの秘密の練習は始まり、 いつもの練習も始まった。
そしてそれから1週間後、戦闘らしきものもなく久々の模擬戦をやる事になり、それを聞いた一部のメンバーが見に来ていた。
「あ、もう模擬戦始まっちゃってる?」
「フェイトさん」
皆から遅れて訓練服を着たフェイトが走ってやってきた。
「今はスターズの番」
「本当はスターズの模擬戦も私が引き受けようと思ったんだけどね」
「ああ、なのはも古今ところ練習密度濃いいからな。少し休ませねぇと」
模擬戦を行うなのはの姿を見るヴィータとフェイト。
「なのは、部屋に戻ってからもモニターに向かいっぱなしなんだよ」
なのはがそうするのも無理はない。いつミケーネ帝国や邪魔大王国やガルファ、ネオ・ジオンや火星の後継者やムゲ・ゾルバドス帝国が襲ってくるのかわからないのだから・・・。
その襲撃者達に対処するためになのはは大事な教え子達を大切に育ててるのだから・・・。
「お、クロスシフトだな」
下の方で射撃魔法を発動するティアナの姿を見るヴィータ。
カートリッジを2発消費し、多数の魔力スフィアを形成したティアナは上空で浮遊している相手へ向け攻撃を開始する。
「クロスファイヤシュート!」
周囲に浮遊した魔力スフィアが凄まじい速度で相手へ向け放たれる。
しかしなのははたくみにそれをかわす。回りにはウイングロードが張り巡らされておりスバルが攻撃してくるタイミングを読む必要があるのでなのはは少々大変である。
奇襲に備えアクセルシューターを準備し、移動するなのはへ向け奇襲を仕掛けるスバル。
「でやぁぁぁ!」
「フェイクじゃない!?」
なのははスバルのパンチをプロテクションで受け止め、瞬時に判断したレイジングハートによってプロテクションを爆発させ、スバルとの距離を取る。
「こら、スバル! ダメだよ。そんな危ない機動」
「すいません、ちゃんと防ぎますから」
(防ぐ? 何か作戦でもあるのか?)
スバルの言葉に見ていた忍がふと心の中で思った。
(特訓成果、クロスシフトC。行くわよ、スバル!)
「おぉ!」
スバルはカートリッジを消費しマッハキャリバーを急加速させ、ウイングロードを疾走し、なのはに向かって全力でパンチを繰りだす。
はっと、自分がスバルに集中してしまっている事に気付いたなのははティアナの方を見る。
(ティアァァァ)
スバルの念話と同時に砲撃体勢に入っていたティアナの姿が霧のように消えた。
「あっちのティアさんは幻影!?」
「本物は!?」
ティアナの予想に反した行動にキャロとエリオは回りを見回す。
ティアナはウイングロードを走っていてなのはの上にいた。
ティアナはクロスミラージュのトリガーを2回引きカートリッジを2発消費し砲身の先端に鋭利な魔力刃を形成する。
(バリアを切り裂いてフィールドを突き抜ける)
なのはとスバルが対峙している頭上へ到着したティアナは、目標目掛けて突進する。
「一撃必殺!」
落下スピードも相まって強力な一撃がなのはへと近づく。
その行動に心底悲しみながら、なのははレイジングハートに命令する。
「レイジングハート・・・、モードリリース」
『All right』
アクセルモードからスタンバイモードへと戻るレイジングハート。
「だあっ!」
ティアナの叫びと共に攻撃が相手に衝突し、爆風と煙が辺りを覆いつくす。
「なのは!?」
立ち尽くす煙の中なのは達を気遣うフェイト達、そしてその煙が消えた後には恐ろしいものだった。
「おかしいな・・・2人とも、どうしちゃったのかな?」
煙が晴れると、そこには右手でティアナの魔力刃を受け止め、左手でスバルの拳を受け止めている。
その姿に恐怖を感じる2人。 正直言って見ている一部のメンバーも恐怖を感じていた。
一応支援
「模擬戦は喧嘩じゃ無いんだよ。練習をしている時だけ言う事聞いてる振りで、本番でこんな危険な無茶するんなら・・・練習の意味、無いじゃない」
ティアナも、なのはが魔力刃を受け止めている手から出血しているのを見て唖然とする。
「ちゃんとさ・・・、練習どおりやろうよ。・・・ねぇ」
「あ、あの」
スバルは、なのはの圧倒的な威圧感に恐怖を感じて身が引く。
「私の言ってる事・・・私の訓練・・・そんなに間違ってる?」
「あぁぁ」
『Blade erase』
クロスミラージュの魔力刃を消去し、後方にあるウイングロードへと飛び移ったティアナ。
「あたしは、もう、誰も傷つけたくないから!無くしたくないから!」
クロスミラージュをなのはへ向け、カートリッジを2発消費しターゲットリングを出現させる。
「ティア」
友人の行動に唖然とするスバルと、冷たい目で見つめるなのは。
「だから、強くなりたいんです!」
涙ながら自分の心の内を吐き出すティアナ。
「少し、頭冷やそうか」
ティアナへ向け右人差し指を向けると、環状魔法陣を右腕に出現させ6発の魔力スフィアを形成する。
「クロスファイヤ」
「うわぁぁぁぁぁぁっ! ファントムブレイ…」
「シュート」
ティアナよりも早くクロスファイヤシュートを発射し直撃させ、相手の魔法発動をキャンセルさせる。
「ティア!」
助けに行こうと動こうとしたスバルを桃色のバインドが捕らえる。
「はっ、バインド!?」
「じっとして、よく見てなさい」
なのはは、スバルを捕らえ続けてクロスファイヤシュートの発射体勢に入る。
「は、なのはさん!」
スバルが止めようにもなのはは止まらずクロスファイヤーシュートを無防備で動けないティアナに当てた。
「ティアアアアアアアアアアア!!」
スバルは落ち行くティアナを見て叫んだ。ティアナは静かにウイングロードに落ちていった。
スバルは気絶したティアナに駆け寄る。
「今日はここまで。二人とも撃墜されて終了」
なのはの冷たい言葉にスバルは怒りの顔を見せた。はっきり言ってそれは憎しみの顔と言っても過言ではなかった。
そしてもう一人なのはの行動に怒りを覚えるものがいた。
支援
その後ライトニングの模擬戦も終了し夜になった。ティアナは医療室で目を覚ました。
「大丈夫?」
レインが目を覚ましたティアナに声をかけた。
「あたしは・・・、はっ!?」
ティアナは時計を見て驚いた。自分は半日くらい寝ていたのだとわかったからだ。
「あまり体を動かさない方がいいわ。なのはちゃんに撃墜されたって聞いたけど怪我はなかったわ。
私は魔法のことはわからないけど、なのはちゃんはいい腕をしてる事はわかるわ」
ティアナはレインのさりげない一言で少々心が傷ついた。
ベイタワー基地の外ではなのはが星を眺めているとフェイトがなのはのところに駆け寄ってきた。
「なのは」
「フェイトちゃん・・・」
「なのは、どうしたのその左頬」
フェイトはなのはの左頬に殴られた後があるのを発見する。
「うん、実はライトニングの模擬戦の後、忍さんに殴られたの」
なのははフェイトに忍に殴られた事を話す。
なのはがフェイトとライトニングの模擬戦を見終わった後すぐに廊下で忍と会ったのだ。
「なのは、ちょっといいか?」
「何です? 忍さん」
「歯を食いしばってろ」
「え? わかりました」
なのはは忍に言われたとおり歯を食いしばった。そして忍は右手の拳でなのはの左頬を殴ったのだ。
「何で俺が殴ったかわかるか?」
「何となく・・・」
「お前はティアナに何であんな事をしたんだよ!? お前、あいつの事ちゃんと考えたのか!?
まあ、俺も命令違反ばっかりしてるから人の事言えねえかもしれねえし、確かにああいった体で覚えさせるてのもわからねえわけじゃねえ。
だがなやりすぎだ! お前あれでティアナやスバルがどう思ったかわかるか!?」
「!?」
「ああ言って上司達が冷たい態度をとるから部下はそれに反発する事がある。あいつらはならねえだろうがそれで裏切った自分の上官を俺は知っている」
忍が言った上司とはシャピロ・キーツのことである。シャピロは何年も前から宇宙人に対しての備えを軍に言ってきたがそれを受け入れてもらえずいつしか逃亡してしまい、
つい最近ムゲ・ゾルバドス帝国の幹部として帰ってきたのだ。
「!? 忍、お前!」
「な、亮!?」
亮はすぐさま忍を殴りつけて忍を連れて帰った。
「そうだったの・・・」
フェイトはなのはの説明を受けて自分も暗くなりそうになった。
「フェイトちゃん、私の訓練間違ってるのかな?」
「そんな事ないよ。それに忍は訓練は間違ってる何て言ってないでしょ?」
「うん」
フェイトが必死にフォローするが、なのはは暗いままであった。
2人がベイタワー基地に戻ったとたんアラームがなった。
「海上に熱源反応・・・。これはガジェット・ドローンです!」
「何!?」
報告に大河は驚く。
「大河長官、敵が出たそうですけど・・・」
「うむ、見てのとおり君達の世界の敵のガジェット達だ・・・」
「でも何でまた地球に・・・?」
地球に初めて現れた時はミケーネ帝国と邪魔大王国との戦闘中に現れたが、今回はガジェット以外何も出てないのだ。
「スカリエッティはこの事を知っててやってるのか?」
「罠って可能性はないとは言えないが・・・」
「はやて二佐、君はどう対処した方がいいと思うかね」
大河ははやてに聞く。
「ガジェットだけなら機動六課のメンバーだけで何とかなりますからなのはちゃん達だけを行かせます。
他の人達はもしものために出動待機させといてください」
そしてはやての判断により、ガジェット迎撃はなのは、フェイト、ヴィータのみになり、他のメンバーは全員出動待機と言うことになった。
格納庫でなのはは起きて来て見送りに来たティアナに告げる。
「ああ、それからティアナ。ティアナは今回は出動待機から外れておこうか」
その言葉にティアナは目を張った。ティアナだけではなく機動六課の新人メンバーも驚いた。
「その方がいいな。そうしとけ」
ヴィータもなのはの意見を肯定する。
「今夜は体調も魔力もベストじゃないだろうし・・・」
「言う事聞かない奴は使えないってことですか?」
その言葉になのはは反応した。
「当たり前の事だよ。体調を考えての出動待機からの外れは・・・」
なのはの意見にティアナは猛反発する。
「私はなのはさん達みたいにエリートじゃないし、スバルやエリオのように才能があるわけでもないし、キャロみたいなレアスキルもない。」
「それは地球の人達も同じ事だよ」
「でも、あの人達は前の戦争を戦って勝ち抜いた人達ばかりでそうでない人でもその人達なんかに劣らないほどの力を持ってます。
それに私はちゃんとなのはさん達の教導を受けてなお自分で訓練をしてます。私なんか少しくらい無茶したって死ぬ気でやらなきゃ強くなんてなれないじゃないですか!!」
その時ティアナは誰かに殴り飛ばされた。殴ったのはカミーユであった。
「カミーユ」「カミーユさん・・・」
フェイトとキャロはカミーユの行動に驚く。カミーユ自身もその行動をいつの間にかやっていた事に気づき我に返る。
「はっ! すいません、思わず手が・・・」
「構わん、お前が手を出さなくても私が殴っていた。駄々をこねる奴になまじ付き合うから付け上がるんだ。なのは、テスタロッサ、ヴィータお前達は早く行け」
シグナムの指示で3人は出撃を開始した。
「ティアナ、自分が駄目だとか思ってるけど実際はそうじゃない・・・」「馬鹿付き合うなってのに・・・」
なのはの弁明をヴィータは無理やり止め、なのはを連れて行き飛んでいった。
フェイトは飛んでいく中、エリオとキャロに念話で「そっちのフォローをお願い」と言い飛んでいった。
「あのシグナム副隊長・・・」
「何だ?」
スバルがシグナムに意見を言ってきた。
「一生懸命に訓練以外の努力をするのっていけないことですか!? ティアはこれでも頑張って努力してます! それなのにそれは悪い事なのですか!?」
「努力するのは悪い事じゃないわ」
スバルが意見を言う後ろからシャーリーが声をかけてきた。
シグナムはシャーリーに「持ち場はどうした?」と聞いた。
「メインオペレートはトーレスさんにハーリー君に命さんがいるので外していいと言われたので・・・。
それと皆のそれを見ていて何かやるせなくて・・・。皆に教えてあげるなのはさんの教導のわけを・・・。他の人にも一応言っておきますからロビーに来てください」
シャーリーは出動待機のメンバーをロビーに集め、なのはの過去を語った。
なのはは10年前まで魔法の事を知らず平凡に育ったが、ユーノとの出会いでそれが変わり、フェイトと戦い、ヴォルケンリッターとも戦ったのだ。
ヴォルケンリッターとの戦いでレイジングハートが大破したため、当時の管理局では危険とされていたカードリッチシステムを使い戦ってきた。
しかし、フェイトとの戦い、ヴォルケンリッターとの戦い、そしてその後での無茶な訓練などで溜まっていた疲労が原因で8年前に事件が起こり、
未確認の兵器に疲労のため、なのはの体がとっさの反応が出来なくなり直撃を受けて危うく死に掛けたのだ。
そしてその怪我と溜まっていた疲労が重なり、なのはは空を飛ぶことはおろか2度歩けなくなるとさえ言われたのだ。
その時の映像を見たメンバーは新人だけでなく他のメンバーにも衝撃が走った。
「おい、これって・・・」
「「まるで俺みたいじゃないか!?」」
同時に自分の事だと言ったのはDボゥイと一矢であった。
「お前も似たような事があったのか?」
「俺は歩けなくなるって所だがお前は?」
「俺は溜まっていた疲労で体が・・・っと言う部分だ」
ここでDボゥイと一矢は皆に互いのつらい過去を語った。
Dボゥイは2年前のラダムとの戦いの際、テッカマンブレードとして戦い続けたが変身を続けていたため、
肉体崩壊を起こし、死にかけたのである。ある方法でその肉体崩壊はなくなるのだが今は語りたくないとDボゥイは言った。
一矢は2年前のバーム戦争が始まるさらに2年前つまり4年前に一矢は事故で全身麻痺に陥ってしまい、
空手はおろか歩くことすら出来ないと言われたが一矢は血が滲む様な努力の末、完全回復したのだ。
そうこの時のなのははDボゥイと一矢を合わせたものである。
なのははDボゥイのように死にかけ、一矢のように血が滲むような努力をしたのだ。
シャーリーはなのはがかつての自分と同じ過ちをおかせたくないためにあんな事をしたのだと言った。
ティアナは今までのミスを思い出し、自分を恥じた。またなのはを殴った忍も自分が軽率だと思った。
「忍、後でなのはに謝っとけ」
「わかってるよ」
支援
なのは達が何事もなくガジェット達を倒し、戻ってきてシャーリーから過去を話した事を告げられた。
「駄目だよ、シャーリー。人の過去をばらしちゃ・・・」
「すいません」
「まあ、でもいずれはわかることだ」
「で、ティアナはどこに?」
なのはは外にいるティアナの所に行き、ティアナと話した。その様子を機動六課メンバーと一部の他のメンバーが見ていた。
なのははその時ティアナやスバル、エリオとキャロはまだ原石の状態で本当の価値はわからない状態だと言った。
なのはは朝の模擬戦でのティアナの行動を間違いではなかったと告げ、クロスミラージュのモード2、ダガーモードを見せた。
これはティアナが執務官志望なので個人戦の事を考えて用意していたものだ。
ティアナはなのはがいかに自分達の事を考えていたのかと言うことがわかり、なのはに泣きながら謝った。
ティアナがなのはに泣きながら謝っていると、忍がやってきた。
「なのは、あの時は悪かったな。いきなり殴りつけてよ・・・」
「忍さん、いいんですよ。もう・・・」
「いや、それじゃあ俺の気がすまねえ。詫びと言っちゃあ何だが、俺を一発思い切り殴ってくれ」
「え、でも・・・」「いいから殴れ!」
忍の言葉になのはは思いっきり左ストレートを忍の右頬に当てた。
忍は殴られ慣れていたが、なのはのパンチは予想以上に痛かったそうだ。
翌朝の早朝練習の際、フェイトは新人4人に「ストライカー」と言う言葉を教え、4人は「ストライカー」を目指してさらに精進に励むことにしたのである。
投下完了です。シグナムの殴り役はカミーユにしてもらいました。
次の外伝は6.5話です。
男が女の子の顔グーで殴ったらアカンでしょ・・・。
GJ!面白かった。忍がなのはさんをなぐったときはどうなるかと思ったが
最後はやはり気持ちのいい男であった。
やっべぇ、ハンタードクがツボったwww
あぁ・・・ストライカーってそういう・・
モンスカーハンターいつの間に・・・腹が痛いwww
>「欲しかった、私も欲しかったなぁ!!」
紅玉wwww
皆様乙です。
>223
あの……なんと言って良いのか分かりませんが、SFクラブの鬼が島組長、報われ無さ込みでいいキャラです。
せめて新年会でお借りしたいのですが……
【妄想の海に沈みつつ】
X氏
内容はわからないでもないが、キャラの特性を把握してない。
カミーユは謝るより先に説明するはずですし、なのはを止めるキャラはいます。
誰かわからないようなら、ちゃんと勉強しよう。
他にもツッコミたいところは数多いですが、そこは自分で考えたほうがいいでしょう。
今後の成長に期待する。
>>247 もう2桁近い(以上?)批判・忠告を受けているにもかかわらず、治る気配なし。原作見直せ、との声にも応える気なし。
今後も成長する見込みはない。スレ常連の皆様方は、恐らく見捨てている。
248氏の言われる通りNGワード設定推奨。
>>247 どうせ読んじゃいないからNGした方がいいですぜ、旦那
>>249 そもそも嵐と同類に見てるんだが、どうか
連レスすまない
>>245 節制氏……別に新年会に出すことに問題は無いんですがオリキャラですぜ?
ともかく彼みたいなハチャメチャな人で良いんでしたらどうぞ使ってください。
>X氏
やはりレディをグーで殴るのは原作の忍的に似合わないかも……
せめて天上天下の俵文七みたくチョップとかで……
(棒術用の棒をへし折りますが)
>>253 うーん。そうですか、確かに忍は以外にレディーには優しい一面はありますからな。
でもこの時の忍は怒りが込みあがってる上になのはは強いという事を考えてのことですし、
書いてはないのですが実は忍は少し手加減していたんですよ。
理由はやはりレディーですから・・・。
>252
では、お借りします。
出来るだけ、生かしてお返しするよう努力しますので。
>254
(若本さん声で)全力とか手加減とかはどうでもいい、レディは丁寧に扱うんだ。
いいか、こう、優しく抱きしめ、おもむろにそのふくよかな胸n
【抹消されました】
ティアナが本気で強くなりたいなら、なのはよりドモンに鍛えてもらった方が最終的には強くなるよね。
途中で死ねだろうけど(笑)
>>255 若本声のものよ。お前の事は忘れない・・・。
>>256 ドモンはティアナよりスバルの方を鍛える方に専念してますよ。
格闘系ですし・・・。まあ、その事は本編て少し書かれてますよ。
えーと、俺はもう寝ますんで朝になるまでは来ませんので、よろしく・・・。
258 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 23:09:43 ID:QmhYegZA
えーっと、モンハンクロス投下いいでしょうかね?
妄想は思いついた時点で書いておかないといつ消えるかわからない。
支援
260 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 23:16:06 ID:QmhYegZA
じゃあ、投下いたします。
ちょっとドクの性格が壊れてしまったけど…。
支援準備!
262 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 23:17:24 ID:QmhYegZA
魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
第三話「異変」
「で、異次元世界にどうやって連絡してきたんですか?」
「あはは…潜入?」
「やれやれ…。」
親分、ドクといったハンター組の代表、ジェイが依頼主の機動六課の部隊長八神はやてと話をしている。
艦長室に連れてこられて海を渡るどころか次元を引き裂いて移動したからジェイは驚くしかなかった。
で、聞いてみるとこうだ。ポッケ村の集会所に新人受付嬢にアルフなる犬耳の女をおく。そしてジェイ達が受け取ったクエストを貼る。
手にとって受ける、と言ったハンターが出現したら八神はやてに念話で連絡、ということらしい。
本当にやれやれとしか言い様がない。そのアルフは突然目の前で子犬に変身して二度びっくり。ここではジェイの世界の常識は通用しない。
「で…、ジェイさん。」
「ん?」
「ヴィータちゃんのこと、本当にありがとうございました。」
「!!?」
三度びっくり。八神はやてが頭を下げてきた。
ヴィータのこと…あぁ、あのことか。
「よ…よしてくださいよ。あれはあくまで…」
「『逃走に無理やり付き合わせた』でしょ?いいですか?ウチの家族をどういう形であれ命を救ってくれたのは事実です。
素直に礼を言わせてください。」
「は…はぁ。」
あれ?なんで説教されてんの?なんて思いつつもはやての言葉を聞く。
笑顔から一変、真剣な表情に切り替えた。依頼の件について話をするみたいだ。ジェイもつられて真剣な話を聞く。
「で…な。依頼の件なんやけど…。」
話は過去に遡る。
JS事件が終わり、機動六課も一段落といったところに一件の事件が転がり込んできた。
『突然魔導士が行方不明になる』という不可思議な事件。スバル達が調査に行くとそこには竜の姿があったのだという。
蒼い人ほどの大きさの竜。足元には食いちぎられた局員の死体があったのだという。パニックになりながらも証拠を収め、脱出。
上に連絡したのだがトリック(手品)だと判断。機動六課がマスコミ等に叩かれるがある日、竜の目撃証言が多発。
調査を進めてみたところ蒼い竜より遥かに巨大な竜たちが一斉に出現、暴れだした。太刀打ちしたが恐るべき甲殻の硬さと戦力でほぼ全滅。
ミッドチルダの市民達は避難しているが不安な生活を送っている。そこで対策を立ててほしいと今まで叩いていた者たちが頼み込んできた。らしい。
ジェイはまず思った。
(はぁ…バカか?バッカじゃねぇのか?…またはアホか?)
自分でも誰に向けたかわからない憤怒とかが頭を廻る。ため息をついて窓から見える次元の渦を眺めながら質問する。
「…で、白い前足の生えた竜、見ませんでした?」
「え…見なかったし、証言もありません…。でも、どうして?」
「えっと…俺達ハンターが上手くやっていけるのは…モンスターが絶滅しないから。で、その絶滅しないわけは、やつ等の進化が
早すぎるんです。二匹別世界にぶち込んだだけでその別世界に適合して進化しやがる。十日で何万…ってぐらいかな。
中に祖竜ってやつがいるんだが…、そいつは繁殖できる速度と進化できる速度がずば抜けて…」
「あーっ!!!!」
「おわっ!?」
はやてが大声を上げながら立ち上がると驚いてジェイは椅子ごと後ろに倒れた。
あわててジェイに駆け寄り顔を心配そうに覗き込む。
「で…心当たりが?」
「あぁ、うん、少し前に竜を二体密輸した艦を捕らえようとして出動したんですが…残ってたのは死体と残骸だけで…」
「それだ。」
これで筋は通った。そのミッドチルダに巣食う祖竜を全滅させれば、あとは大丈夫なはず。
でも…あいつと戦ったことがあるとはいえ50戦1勝49敗。こんな成績で大丈夫なのか自分。
どちらにしろ、受けてもう戻れない場所に自分はいる。やってやろうじゃないか。その前に一つ。
「…お互いに敬語やめません?」
「え…あ〜、そういうことなら…うん。」
「OK,これで話しやすくなった。」
「じゃ、じゃあ他のメンバーはもう自己紹介済んでるみたいだから、ジェイもしてきてな?」
「あいあいよ〜。」
またもやれやれ、といった感じで案内されてついていく。
263 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 23:18:39 ID:QmhYegZA
「フェイト・T・ハラオウンです。」
「シグナムです。」
「スバル・ナカジマです。」
「ティアナ・ランスターです。」
「エリオ・モンディアルです。」
「キャロ・ル・ルシエです。」
入った瞬間敬礼をされて自己紹介。とは言っても自分の名前を名乗ってるだけじゃあないか。
まぁ、仕方ないことなのだが。それに皆も表情が硬いっていうか睨んでない?ジェイはひたすら考える。
「ジェイ・クロードです。っと…なんか味気ないな…。」
首をかしげてうーん、と考える。まぁ、このメンバーは蒼い人と同じ大きさの竜…おそらくランポスの食事をバッチリ見てしまったから
その時のショックが抜けていないのだろう。ジェイ自身もその「食事」の場面や生肉を剥ぎ取るときに吐き気に襲われたことがある。
次に他に案内するところがあるからとはやてに手招きされて出て行こうと歩き出した。
「あの…。」
スバルが恐る恐る手を上げてジェイに質問した。当然皆の視線がスバルに集まる。
話すときも結構言葉を詰まらせていた。
「ドクって人は…、アタシ達のことどう…思っているのでしょうか?」
やれやれ、またあいつか。何か問題発言でもしたのだろうか?
「どうって、何が?」
「質問とかしても『関係ないことだ』とかで返されてしまって、もしかしたら…」
やっぱり。と呟きジェイは肩を竦める。スバルに歩み寄ると頭の上にポン、と手を置いてスバルの今にも泣き出しそうな顔を覗き込み、
口の端を少し吊り上げるだけの笑みをした。
「大丈夫、アイツは人見知りで素直になれないちょっとしたツンデレ男さ。」
それだけ言うとジェイは手を振ってスバル達と別れた。スバルのキョトンとした表情は今でも覚えている。
このあとにいろんなアースラの中を見て回った。
「驚かないのか?」
「あぁ、うん。慣れちゃった。」
喋る蒼い狼、ザフィーラと会って
「ちょ、なんで胸から手ぇー!?」
「ごめんなさい。ちょっとしたいたずらのつもりだったんだけど…。」
医者だというシャマルさんとも会った。
「リィンフォースUです。よろしくなのですよー。」
「アギトだ。ってかバッテンチビ邪魔だ!」
「邪魔なのはアギトのほうですよー!」
「あははははは…」
目立ちたがり屋な制服来た妖精、リィンフォースUとアギトにも。
支援
265 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 23:20:13 ID:QmhYegZA
ともあれ、略した人もいたが一通り六課メンバーとは会って、ドクの部屋へ。
「というかさ、ドク。確かに常識はずれな連中だとは思うけどさ、もう少し愛想良くしたらどうよ?」
「関係ないと言っている。」
「あのさ、ドク。もうちょっと…。」
「関係ない!!君に私の何がわかるのかね!?」
突然のドクの怒声に驚いた。普段良く大声を出すとはいえそれはすべて歓喜の叫びか笑い声。
ドクは自分にまで敵意をむき出しにしている。なら何故受けたのか、まったくわからない。
「わからないさ。第一聞いてもいないし、ドクは喋ってないだろう?この際、聞いてやろうじゃないの。」
ジェイは驚きながらもドクの過去を、知りたいと思った。最初はもちろん黙っているだけだったが、まるで独り言のようにポツリポツリと話し始めた。
自分の本名はジェイル・スカリエッティだということ。そして自分が行ってきたこと。このクエストの最中、ドサクサにまぎれて機動六課に復讐を企んでいたこと。
みんな洗いざらい話してくれた。
「今では私のほうが愚かだがね…。」
とだけ呟くとグラスに入っている果実酒を少しだけ口に含んだ。舌の上で転がすように味わう。なぜだろう。甘いはずなのにどこかほろ苦い。
ジェイはしばらく黙っていたが口を開いて何を喋りだすかと思いきや、意外なことだった。
ナイフを取り出すとスカリエッティの首筋を叩いたのだ。もちろん叩いたので切り傷はない。
「な…何を…。」
「確かに今のアンタは愚かだ。ちょっと、前見たら?後ろを振り返るのもそりゃ重要だけどさ。後ろばっかり見て、囚われて。これはなんかのイタチゴッコ?
そのうちまたつまづいて転ぶよ?簡単に吹っ切れるもんじゃないってわかっているんだけどさ。」
ナイフをしまうと立ち上がり背を向けてドアに向かう。開けようとするが動きを止めた。
「こんなこと言った後でなんだけど、最後に決めるのは自分自身だから。んで、もしそれで道を間違ったらぶん殴って、連れ戻して、
もう一度説教するさ。嫌になるくらいな。んじゃおやすみ。『ジェイルさん』。」
ジェイが出た部屋でもう一度果実酒を飲むドク、いや、スカリエッティ。彼の表情はどこか穏やかで、目には光るものがあったという。
「…面白い。そこまで言うなら一度、前を向いて歩いてみようじゃないか。」
余談だが、翌日ゼクウとジェイがスバルに向かって謝っているスカリエッティの姿を見たという。(顔はもちろん見せてない)
ジェイはにやけて、ゼクウは何がなんだかわからない表情をしていた。
266 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 23:21:37 ID:QmhYegZA
投下終了。
いろいろと後には引けなくなってきた。
性格の問題とかキャラの陰の薄さとか…。
乙。
だが、何かこう……釈然としない物を感じる。
268 :
戦国の鉄の城:2008/01/02(水) 23:28:27 ID:QmhYegZA
>>267 あはは…。
なんか…すいません。その釈然としない物をがんばって消すのが次の俺の課題になりそうですね…(汗
GJ!!
しかし、スカ博士ならのらりくらりと質問をかわして自分の正体をいつ見破るか
ものすごくニヤニヤしながら嗤っていそうなイメージが・・・時折、ヒントをあげるなどして。
GJ!
しかしちょっともの申したい事が・・祖竜じゃなくて祖龍じゃないんすか?
あと覇竜ってでるんすか?
>>269 正体ばらしているのはジェイだけだからその点はまだ可能性が…、
ある…のかなぁ。
期待してますw
連投すみません。
>>270 ぬぉ!?漢字が!!
えと、覇龍なら出す予定です。
どうでもいいが突きつけたナイフってモンハン世界最強の切れ味を誇る武器じゃあるまいな
剥ぎ取りナイフ。
投下乙ー
スカさんってそんな後引く性格してるかなあ?
フェイトにホームランされた時も笑ってたし、自分の敗北にも納得してそうな気がしますが
てか人に言われたぐらいですぐに対応変わるってのはちょっと薄く感じるなぁ…
>>275 もしかしてそれが釈然としない原因だったのかも…。
ご指摘ありがとうございます。
さて、どうするかを考えねば…。
言いたい事はほぼ上で言われてるので、自分からは頑張ってくだされとだけ
ハンタードク冒険譚、スゲー楽しく読ませてもらっているのでw
278 :
旅ゆく人:2008/01/03(木) 12:49:29 ID:HSOMdG7A
あけおめ、なのはクロススレ……。
さっきようやく第一章書き上げたら、誤って古いデータを上書きしちゃったり…… orz
『クロ。』クロス、今しばしお待ち下され…… orz
あー、腹減ってるとろくな事無いなぁ。
279 :
なの魂の人:2008/01/03(木) 12:49:41 ID:2c0TuTcr
新年明けましておめでとうございますですよ皆さん
そんなこんなで新年一発目のなの魂投下しようかと思うのですが、よろしいでしょうか?
支援
ごーごー
282 :
なの魂:2008/01/03(木) 12:58:23 ID:2c0TuTcr
その日は、春の陽気が心地いい穏やかな日だった。
しかし、それとは対称的に彼女の心は曇っていた。
マンションに戻ったフェイトは、気を失うようにしてベッドに倒れこんだ。
あの日から一体どれくらいの時間が経ったのだろう。
一週間? 一ヶ月?
重たげに首を上げ、壁にかかったカレンダーに目を向けた。
……まだ一週間も経っていなかった。
ほぼ不眠不休でジュエルシードを探し続けていたため、時間の感覚がおかしくなってきているらしい。
だが彼女の奮闘もむなしく、ここ最近の収穫は全く無かった。
アルフが彼女のそばに寄り添い、悲痛な声を上げる。
「フェイト……! お願いだから、これ以上の無茶はやめてよ!
このまま今みたいな事続けてたら、本当に死んじまうよ!」
すがるように言うアルフだったが、フェイトは微笑を作り、アルフの頬にそっと手を添えた。
「平気……だよ。……母さんのために、頑張らないと……ね」
力無く呟くフェイトの顔からは、隠し切れない疲労の色が見えていた。
「そんな無理を続けて、フェイトが倒れちまったらどうするんだよ!
アタシは、フェイトのことが一番心配なんだよ!」
心から主の身を案じ、アルフは言いすがる。
だがしかし、フェイトは首を横に振る。
心配をかけまいと、精一杯の笑顔を作って彼女は言った。
「心配いらないよ……ちょっと、疲れただけだから……。
……少し休んだら、また探しに行くね……」
なの魂 〜第十五幕 就職先は慎重に選ぼう〜
その日の真選組屯所は、実に平和だった。
「へェ〜。寺門通、レコード大賞で新人賞受賞か〜。スゲーな」
そう言って新聞を読みふける近藤。
その隣から、土方が近藤の新聞を覗き込むように見ていた。
顔前に大きく広げられた新聞により、二人の表情は読み取れない。
「違う違う、その上の記事」
土方が無愛想に呟く。
「へェ〜。連続婦女誘拐、またも犠牲者。恐えーな。でもお妙さんは絶対大丈夫だよな〜」
「違う違う、その右の記事」
そう言って土方は、紙面のとある部分を指差す。
そこには、バズーカを担いだ見知った人物の写真と共に、大きな文字でこう印刷されていた。
283 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:00:17 ID:2c0TuTcr
――真選組、またやった!? 喫茶店半壊。
真選組一番隊隊長(ドS王子)沖田総悟氏(18)
「へェ〜。また総悟がやったか〜。責任はお前がとってくれよな〜」
「違う違う、アンタのせい」
そう言い合い、新聞を下ろす二人。
彼らの顔からは、まるで滝のように冷や汗が流れ落ちていた。
「で、どーすんだよ。近藤さん。最近の不祥事でウチの信用、どんどん急落してきてんぞ」
走り去る車、車、車。
喧騒な車道を横に、土方は心底面倒くさそうに煙草に火をつけた。
現在彼は近藤、沖田と共に市中見回り兼今後の方針の会議を行っていたのであった。
そんな彼の横で、沖田が右手を上げて事も無げにこう言った。
「大丈夫でさァ、土方さん。ウチの信用なんざ、元からあってないようなもんですぜ。これ以上落ちることはありやせんて」
「誰のせいでこんなに悩んでると思ってんのォォォォォ!?」
沖田の胸倉を締め上げる土方。
さすが真選組随一のトラブルメーカー、沖田総悟。
自分が起こした数々の騒動は、とっくの昔に戸棚の奥にしまってしまったようだ。
「落ち着けトシ。総悟に当たったところで、状況は変わらん。
まずは俺達に付いた物騒なイメージを払拭する必要がある」
そんな彼らを宥めるように近藤は言い、名案がある。と腕を組んで二人に告げた。
「マスコットだ。何かこうピーポくん的な、純粋な子供達が親しみやすいマスコット的なキャラが必要だと俺は思うんだが」
子供に良い印象を持ってもらえれば、自然とその評判は大人達にも伝わっていく。
そのためには、分かりやすい視覚的な物、愛らしいマスコットが必要なのだと近藤は考えたのだ。
しかし沖田は、彼の意見には同意しかねる様子だった。
「近藤さん。クソ生意気なガキ共より、大人の心に直接訴えかけることが出来るキャラの方がいいと思いやすぜ」
妙案がありやすぜ。と人差し指を立てて彼は言った。
「薄幸の美少女的な、萌え系路線のキャラなんてどうですかィ。上手くいきゃ、関連グッズでウチの台所事情にも潤いが」
「それただの守銭奴ォォォ! 余計イメージ悪くなるわ!」
再び沖田の胸倉を締め上げ、揺さぶりまくる土方。
というか、そんなことをしても十中八九オタクの心ぐらいしか動かせない。
どう考えてもまともな大人は引くだろう。
ひとしきり沖田の揺さぶった後、土方は額を押さえため息をついた。
彼の吐息と共に煙草の煙が吐き出される。
「……ったく。着ぐるみだかイメージガールだか知らねーが、そんなもんで簡単に人心が動かせるわけねーだろ。
だいたい薄幸の美少女ってお前、今時そんなヤツいるわけ……」
呟き、ふと視線を前へ向けた。
少し前方の、歩道の脇に建てられたコンビニから、小柄な少女が座った車椅子を押しながら銀髪の男が出てくるのが見えた。
銀髪の男はこちらの姿を認めた途端、顔をしかめ踵を返そうとする。
しかし少女は、むしろ嬉しそうな表情をこちらへ向けてきた。
284 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:03:02 ID:2c0TuTcr
「あ、お久しぶりです〜」
笑顔で手を振る少女を見、三人が思ったことは一つだった。
すなわち
(いたよオイ!)
である。
「え、何? お前ら普通に挨拶とかしちゃう仲なの?」
銀髪の男、銀時が車椅子に座った少女、はやてに問いかける。
はやては銀時の疎ましげな表情を気にも留めず、嬉しそうに答える。
「うん! ほら、前に温泉に行ったときにな〜……」
「八神の嬢ちゃんんんんん!! 俺達に力を貸してくれェェェェェ!」
土方と沖田の冷たい視線を浴びながら、近藤は凄まじい勢いではやての前で土下座した。
「マスコット?」
頭上に疑問符を大量に浮かべながらはやては問い返す。
土下座の姿勢のまま動かなかった近藤は、顔を上げて懇願する。
「頼む! 俺達に染み付いた、男だらけのムサいイメージを拭うために嬢ちゃんの力が必要なんだ!」
そのあまりの気迫に、思わずたじろぐはやて。
すると銀時が、仁王立ちで二人の間に割って入ってきた。
近藤を不愉快そうに見下ろし、悪声を浴びせる。
「オイふざけんなよゴリラ。テメーらなんぞにはやてを預けるなんざ、飢えたピラニアの群れに松坂牛放り込むようなもんじゃねーか。
近寄っただけで妊娠するわボケ」
「大丈夫でさァ、旦那。顔さえ撮らせてもらえりゃ、あとは合成でなんとかしますんで」
しかし沖田は銀時の発言に気分を害した様子も無く、数枚の写真を手にとって銀時に言った。
その写真には、なぜか水着姿のグラマーでキレイなねーちゃん達が。
「合成ってお前コレ首から下グラビアアイドルじゃねーか! もう原型留めてねーよ!」
「つーか、何でお前が仕切ってんだよ。俺達ゃ八神の嬢ちゃんと話してんだよ。すっこんでろ天パ」
怒鳴る銀時の胸倉を、土方が忌々しそうに言いながら掴みあげた。
この二人、お互いを気に食わない相手と認識しているらしく、顔を合わせるたびにいがみ合いをしているのだ。
銀時は疎ましそうな顔で土方に言い返す。
「オイオイ、何言っちゃってんですかお前は。コイツはもう万事屋のマスコットとして確立されてんだよ。
どーしてもコイツに仕事を頼みてーってんなら、まず俺を通してからにしてもらおうか」
「へ? そうなん?」
はやてが不思議そうな……だが、なぜか少し嬉しそうな顔をして銀時に尋ねる。
それを聞いて土方は、さらに凄みを増して銀時に顔を近づけた。
くわえた煙草の火が銀時の肌に触れそうになる。
285 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:04:56 ID:2c0TuTcr
「テメっ、大嘘ぶっこいてんじゃねーぞコラ。今初めて聞きましたって顔してるじゃねーか」
「ウソじゃないですぅ。もう名刺も作ってますぅ」
不快感をあらわにし、銀時は土方の手を払いのける。
そして懐から一枚の小さな紙を取り出した。
手のひらサイズのその紙には、確かに「万事屋 八神はやて」と印刷されていた。
いつの間に作ったんだ。
「ンないかがわしい場所に就職させられちゃ嬢ちゃんが可哀相だろーが。
嬢ちゃんには真選組のマスコット兼屯所の食堂の看板娘的な仕事をしてもらう」
「んだとテメっ」
「んだとコラ」
お互いの胸倉をつかみ合い、再びにらみ合いを続ける土方と銀時。
挙句には小学生のような口喧嘩までおっ初めてしまった。
そんな彼らを見て、はやては冷や汗をたらしながらポツリと呟く。
「あ、あのー……なんか、話が変な方向に進んでってるような……」
『お前は少し黙ってろ』
「は、はいぃ!」
凄まじい気迫ではやてを一括する二人。
そのあまりの圧迫感に、はやては思わず萎縮してしまった。
なんということだ。
はやてはこの歳で、もう将来の就職先が決まってしまうというのだろうか。
「……ん?」
そんな時、沖田がいぶかしげな声を上げた。
彼は銀時達の向こう、一台の車が信号待ちをしている横断歩道の方を見ていた。
右手を上げ、その横断歩道を渡る一人の人物を指差す。
「土方さん。取り込み中に悪ぃんですが……アレ」
「あ?」
不機嫌そうに土方は沖田の指差したほうを見る。
銀時や近藤達、その場にいた全員も同じようにそちらを見た。
そこでは、長い金髪をツーテールにした、はやてと同い歳くらいの少女が横断歩道を渡っている真っ最中だった。
消沈した面持ちで、おぼつかない足取りで横断歩道を渡るその少女の姿は、ひどく疲弊しているように見えた。
「……オイ、ありゃァこないだの……」
見覚えのある少女に、不信感を募らせる土方。
その時だった。
少女のさらに奥から、大型のトラックが勢いをつけて横断歩道へ突っ込んでくるのが見えた。
そのトラックは止まろうとする素振りを見せるどころか、むしろさらに勢いを増してこちらへ突っ込んでくる。
しかし、少女はそのことに気づいていない様子だ。
脇見運転か、それとも飲酒運転か。
どちらにせよ、このままではあの少女の命が危ない。
「……っ!? 総悟!」
286 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:06:52 ID:2c0TuTcr
その場から駆け出そうとする土方。
その隣では、沖田がバズーカを構えながら少女のほうを見据えていた。
「合点でさァ」
「何に対しての合点んんんんん!?」
「トラックに轢かれて内臓ブチ撒けるくらいなら、コイツで綺麗さっぱり消し飛ばしてやろうっていう俺の良心でさァ」
「血も涙もねーのかお前は!?」
非常時にもかかわらず漫才を繰り広げる迷物コンビ。
そんな彼らの隣を、二つの何かが凄まじい勢いで駆け抜けていった。
驚き、二人はその"何か"を見る。
『ん待て待て待て待て待てェェェェェ!!』
叫ぶ二人の男。
必死な形相で少女の元へ向かう、銀時と近藤の姿がそこにあった。
「近藤さん!?」
「銀ちゃん!!」
驚き叫ぶ土方とはやて。
だが無常にも、トラックは少女のすぐそばまで迫っていた。
そしてその時になってようやく少女はトラックの存在に気付く。
顔を上げ、眼前に迫る巨大な質量の塊に大きく目を見開く。
もはやこの距離では逃げることも叶わない。
「歯ァ食いしばれボケェェェェェ!!」
突如聞こえてきた怒鳴り声。
少女は驚き、声のした方へ顔を向けようとした。
直後、少女の身体を衝撃が襲う。
灰から空気が押し出され、脳が揺さぶられるような感覚。
意識が暗転する直前に彼女の耳に入ってきたのは、巨大なブレーキ音。
そして、何かが吹き飛ばされ、折れるような生々しい嫌な衝突音だった。
一体自分の身に何が起こったのだろうか?
身体を起こし、少女――フェイトは状況の整理を行う。
道を渡っていたら、突然目の前に大きな何かが現れて……そうだ、その直後に誰かに蹴り飛ばされ、自分は気を失ったのだ。
一体どれくらいの時間、気を失っていたのだろうか?
そう思い、辺りを見回す。
彼女の周りにはまばらな人だかりが出来始めていた。
その事を不審に思い、フェイトは車道の方へ目を向け……言葉を失った。
彼女の眼に映し出されたのは、道路に深々と残されたブレーキ跡。
そしてバンパーの凹んだトラックと、頭から血を流し倒れ伏す二人の男性の姿だった。
フェイトは、自分の顔から血の気が引いていく感覚を覚えた。
頭の中が真っ白になり、まともな思考ができなくなる。
ただ恐かった。
とにかくその場から逃げ出したかった。
見覚えのある、目つきの悪い男がトラックの運転手に何かを怒鳴り散らしているのが見えたが、
彼女にはそんなことを気に留める余裕など、もはや無かった。
フェイトはその場から立ち上がり、人ごみを掻き分け、その場から逃げるように走り去っていった。
287 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:08:55 ID:2c0TuTcr
「……え……?」
眼前で起こった状況に対し、はやては呆けながらそう呟くしかなかった。
目の前で、人が飛んだ。
まるで蹴り飛ばされたボールのように、いとも簡単に宙に浮かんだ。
嘘みたいに高く飛んだ後、二人の男のうち一人がはやての目の前で地面に衝突した。
鈍い、嫌な音がした。
少し遅れて、男の頭部から毒々しい赤の液体が流れ出す。
粘り気のあるその液体は、見る見るうちにその場に大きな血溜りを作り出していった。
男の白銀の髪が、赤黒く染まっていった。
男はピクリとも動かなかった。
「オイコラァ! 免許と首だせやボケェェェ!!」
トラックのドアを蹴り飛ばしながら、土方が恐ろしい剣幕で怒鳴りたてる。
沖田は珍しく焦った様子で、携帯電話で救急車を呼び出す。
はやては、その場から身動き一つ取ることができなかった。
病院へ駆けつけた新八と神楽を出迎えたのは、見舞いを終え帰路に付く途中の高町一家であった。
「ああ、新八くん……」
心配をかけまいと平静を努め、士郎は新八を見る.。
「士郎さん! 銀さんは!? 銀さんは大丈夫なんですか!?」
大声でまくし立てる新八。
彼を宥めるように士郎は言う。
「心配いらないよ。車に撥ねられたくらいで死ぬようなタマじゃないからね、彼は。ただ……」
最後の方になるにつれて、士郎の表情が暗くなっていくのが目に見えて分かった。
不安をあらわにし、新八は問う。
「ただ……何ですか?」
「その……実際に会ってみれば分かると思います……」
浮かない様子で、なのはがそう答えた。
何か釈然としないものを感じ、首をかしげる新八と神楽。
そんな彼らに軽く会釈をし、士郎達はその場から立ち去っていった。
新八達は顔を見合わせる。
……不安ではあるが、まずは会ってみないことには何も分からない。
意を決し、病室の扉を開けようとしたその時、士郎達が去っていった方とは逆の方向から、新八達に声がかけられた。
「すまない、新八殿。遅くなった」
「銀時さん、大丈夫なんでしょうか……?」
心配そうに声をかけてきたのはシグナム達であった。
浮かない顔をする彼女らであったが、特にシャマルに車椅子を押されて現れたはやては、
見ていて痛々しいほど沈痛な面持ちをしていた。
288 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:10:48 ID:2c0TuTcr
「…………」
押し黙り、膝の上で組んだ手をじっと見続けるはやて。
新八達は何とか重苦しい空気を取り除こうと、どもりながらはやてを励ます。
「あー、でも、その、怪我自体は大した事無いらしいから、ね!」
「はやてが気にすることじゃないネ。銀ちゃんが勝手に車に突っ込んで、勝手に撥ね飛ばされただけアル」
「けどさー。そのガキも恩知らずだよな。自分を助けてくれた奴が大怪我してんのに、何もせずに逃げちまうなんてよ」
ヴィータは口を尖らせながらそう言う。
車に撥ね飛ばされるはずだった少女は、気がついたときにははやて達の前から姿を消していたという話だった。
「……とにかく、一度銀さんに会おう」
そう言い、新八は病室の扉に手をかけた。
病室に入り最初に目に入ったのは、ボーっとベッドの上で俯く銀時の姿だった。
頭に巻かれた包帯が痛々しいが、それ以外には目立った外傷はなさそうだった。
「なんだ。案外元気そうじゃんか」
ホッとした様子でヴィータは言う。
はやても銀時の無事な様子を認め、ぱぁっと表情を明るくする。
「もォー! アンタはホンマに心配ばっかりかけてー!」
「……なんで関西弁?」
ベッドに駆け寄り怒り出す神楽。
新八は彼女に、冷ややかなツッコミを入れる。
そんな彼女らを見、シャマルは微笑む。
「本当に心配したんですよ、銀時さん。はやてちゃんなんてわんわん泣いちゃって、宥めるのが大変だったんですから」
「な、泣いてなんかないぃ〜!」
顔を真っ赤にして、はやては腕をぶんぶん振り回す。
まるで小動物のような彼女の行動を見て、シャマルは口元を押さえて小さく笑った。
「心配しましたよ、銀さん……エラい目に遭いましたね」
安心した様子で銀時に話しかける新八。
だが、返ってきた返事は彼らの予想の斜め上をぶっ飛んだものだった。
「……誰?」
「え?」
凍りつく空気。
素っ頓狂な顔で銀時を見る一同。
銀時はそんな居た堪れない空気をものともせず言葉を続けた。
「一体誰だい、君達は? 僕の知り合いなのかい?」
289 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:13:03 ID:2c0TuTcr
「いいいいいいいいいい!!? 記憶喪失ゥ!?」
とんでもない事実を押し付けられ、新八は絶叫した。
彼の前に立つ、ブラックジャック似の医者は顎に手を当てながら唸った。
「ケガはどーってことないんだがね。頭を強く打ったらしくて……。
その拍子に、記憶もポローンって落としてきちゃったみたいだねェ」
「落としたって……そんな自転車のカギみたいな言い方やめてください」
「事故前後の記憶がちょこと消えるってのはよくあるんだがねェ。
彼の場合、自分の存在も忘れちゃってるみたいだね……ちょっと厄介だな」
そんなやり取りを続ける彼らの後ろ。
僅かに開けられた病室の扉の隙間から、二人の女性が室内を覗き込んでいた。
「……な、なんだか大変なことになってるっぽい?」
大きなサングラスをかけたアルフが冷や汗をたらし、部屋を覗き込みながらそう呟いた。
「う、うん……」
同じように冷や汗をたらし、フェイトはサングラスを取りながら頷いた。
まさか大怪我をさせた上に記憶喪失までさせてしまうとは。
フェイトの表情が見る見るうちに曇っていく。
彼女の様子を見て、アルフは遠慮がちに口を開いた。
「……こんなこと、今さら言うのもなんだけどさぁ。こんなことする意味あるの?
アイツら、アタシ達の敵なんだよ?」
そう言って、フェイトが後ろ手に持った小さな紙箱に目をやる。
敵の怪我を見舞いに来るなど、それこそ銀時が言っていたように、ピラニアの群れに投げ込まれる松坂牛のようなものだ。
しかしフェイトは目を伏せ、首を横に振った。
「……でも、あのお兄さんは、身体を張って私を助けてくれたから……」
辛そうな目で彼女は呟く。
以前自分と相対した男が何故自分を助けてくれたのか。
理由は分からなかった。
だが、己の命も顧みずに自分の命を助けてくれたのは事実だ。
何とかして、その恩は返さないといけない。
覚悟を決めて中に入るべきだろうか。
フェイトがそう思ったその矢先だった。
「……そこで何をしている」
彼女の首筋に、突然刃が突きつけられた。
驚き顔を上げると、髪をポニーテールに結わえた女性が西洋風の刀剣を手に自分を睨み付けていた。
「ひっ……!」
その威圧感に、思わず上ずった声を上げるフェイト。
そして運の悪いことに、病室にいた一同がその声に気付きフェイトの方へ視線を向けてしまった。
無論、フェイトの天敵である神楽もである。
290 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:14:41 ID:2c0TuTcr
「……あ」
思わず固まるフェイト。
佇む彼女を見つけた神楽は、鬼のような形相で番傘を振りかざしフェイトに飛び掛ろうとする。
「てンめェェェ! よくも抜け抜けと面出しやがったなァァァ! もしかしてお前か!
お前のせいで銀ちゃんこんななったアルか!?」
そんな神楽を、新八とヴィータが必死になって羽交い絞めにする。
「お、落ち着けェェェ神楽ちゃん! 近くに怪我人いるから!」
「事情はよくわかんねーけど、こんなトコでそんなもん振り回すなって!」
物騒な刀剣を片手に、年端もいかない少女を威嚇する女性。
凄まじい気迫でその女の子に襲い掛からんとする少女。
どう見ても危ない集団である。
そんな彼女らの姿を見て医者は言う。
「おやおや、血気盛んなお嬢さん達だ。頼むから流血沙汰だけは勘弁してくれよ」
「なんでそんなに冷静なんですか!? もしかしてアレか!? ヤーさん御用達だったりするのかこの病院!?」
ツッコむ新八。
入り口では、フェイトがオドオドしながらこちらをずっと見ていた。
アルフはその後ろからシグナムをキッと睨みつける。
「あ……その……えっと……」
フェイトは怯える様な目でベッドの上の銀時と、自分に剣を向ける女性を交互に見る。
そんな彼女に興を削がれたのか、シグナムはため息をつきながら剣を下ろした。
無論、警戒は解かないままだが。
そのことに若干安堵しつつ、フェイトは銀時に向かって頭を下げた。
「……ごめんなさい」
返事は聞こえてこなかった。
しかし、部屋を覆いつくしていた険悪な空気は、確実に薄れていっていた。
先ほどまで暴れていた神楽は急に鳴りを潜め、シグナムと共に奇異なものを見るかのような目でフェイトを見る。
いまいち状況を把握しきれず沈黙するシグナム達。
そんな中、はやてが車椅子を動かしてフェイトの目の前まで行き、そっと手を伸ばした。
反射的にフェイトは目を瞑る。
「……恐かってんな」
はやてはそう呟き、微笑みながらフェイトの頭をそっと撫でた。
フェイトは驚いたような表情ではやてを見る。
「いきなり目の前にトラックきたと思ったら、急に突き飛ばされて……気がついたら、目の前に血だらけになった人が倒れてて……」
優しく頭を撫でつつ、はやては言う。
フェイトは申し訳なさそうに、今にも泣きそうな表情で力なく頷いた。
そんな彼女に微笑を向け、頭に乗せていた手を頬に添えた。
「……あかんよ」
不意にそんな声が聞こえた。
フェイトは顔を上げる。
291 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:16:18 ID:2c0TuTcr
「せっかく助けてもらってんから、もっと嬉しそうな顔せなあかん。それが、銀ちゃんにできる一番のお礼や」
そう言って優しく微笑む少女の顔が、目の前に広がっていた。
ドキリと、フェイトは自分の心臓が高鳴った感覚を覚えた。
今まで感じたことの無かった不思議な感覚。
胸の中が暖かくなってくるような感覚だった。
「……あの……」
未知の感情に戸惑いつつ、フェイトは後ろ手に持った紙箱を前に突き出す。
「これ……っ!」
そして半ば強引に紙箱をはやてに渡し、一歩下がって病室から出る。
「それと……伝えてください……"ありがとう"って……」
そう言って一礼し、パタパタと足音を立てながらフェイトはその場から逃げるように去っていってしまった。
アルフも不機嫌そうな顔で軽く会釈だけしてその場から立ち去る。
「あっ……」
はやてが止める間もなく、彼女らは廊下の曲がり角に消えてしまった。
「何なんだ、あれ?」
「さ、さあ……?」
ヴィータと新八があっけに取られた様子で呟く。
が、答えるものは誰もいない。
しばらくの沈黙の後、新八は深刻そうな面持ちで医者に向き直った。
「先生、一体どうしたらいいんですかね?」
医者は少しの間黙考し、答える。
「人間の記憶は、木の枝のように複雑に絡み合ってできている。その枝の一本でもざわめかせれば、他の枝も徐々に動き始めていきますよ。
まァ、あせらず気長に見ていきましょう」
「万事屋銀ちゃん……ここが僕の住まいなんですか?」
自分の住処を目の前に、銀時はそう呟いた。
はやて達を家に帰した後、もしかしたら自宅に戻れば記憶が戻るかもしれないと思い
新八と神楽が彼をここへ連れてきたのだ。
「はい。銀さんは、ここでなんでも屋を営んでいたんですよ」
「なんでも屋……ダメだ、何も思い出せない」
頭を抱え、苦しげな表情を見せる銀時。
そんな彼に、神楽が追い討ちをかける。
「まぁ、なんでも屋っつーかほとんどなにもやってないや。プー太郎だったアル」
292 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:19:47 ID:2c0TuTcr
「プぅぅぅ!? この歳でプぅぅぅ!?」
思わず叫ぶ銀時。
記憶を失ったことで常識人となってしまった銀時にとっては、受け入れがたい事実だろう。
だが事実は事実。
受け入れるしかない。
「おまけに年中死んだ魚のような目をして、ぐーたら生きる屍のような男だったアル」
「家賃も払わないしねぇ」
「あと、ネットの掲示板に変な書き込みもしてたわねぇ」
「……いや、それお母さんでしょ……」
銀時達の後ろで、高町夫妻となのはが口々に言う。
意外と容赦が無い夫婦である。
銀時は冷や汗をかきながら頭を項垂れた。
「どーです? 何か思い出しました?」
「思い出せない……っつーか、思い出したくないんですけど……」
「しっかりしろォォォ! もっとダメになれ! 良心なんか捨てちまえ、それが銀時だ!」
神楽が叱責するが、どうやら本当に思い出せない様子だ。
新八は困り果てた様子で士郎を見る。
「どうしましょう、士郎さん」
士郎は腕を組んで考え込む。
「そうだね……江戸の町、ぶらりと回ってきたらどうだい?
彼は江戸中に枝を張ってるからね。記憶を呼び覚ますきっかけなら、きっとたくさん転がっていると思うよ」
「何? 記憶喪失? それは本当か? 何があった。詳しく教えろ、銀時」
歓楽街で偶然出会った桂は、銀時の肩に手を乗せ真剣な眼差しで銀時の目を見た。
新八は呆れたような表情で言う。
「だから記憶ないって言ってるでしょーが。てか、桂さん何やってるんですか」
訝しげな顔で桂を見る新八。
それもそのはず。
今の桂は白い鉢巻に派手な法被。手には大きなのぼりという出で立ちだったのだ。
「国を救うにも何をするにも、まず金がいるということさ。そこのお兄さーん、ちょっとよってって! カワイイ娘いっぱいいるよー!」
そう叫んでキャバクラの呼び込みをかける桂の姿は、国を憂う革命家とは程遠かった。
同業者が見たら泣くぞ。
そんな彼はふと、何かを思いついたように銀時を見る。
「そうだ銀時。お前もよっていけ。キレイなネーちゃん一杯だぞ。嫌なことなんか忘れられるぞ」
「これ以上何を忘れさせるつもりですかァ! アンタらホントに友達!?」
293 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:21:35 ID:2c0TuTcr
怒鳴る新八。
すると突然、彼の隣にいた銀時がフラフラと桂の方へ歩み寄っていった。
「何か思い出せそうな気がする……行ってみよう」
「ウソつけェェェ!!」
新八が銀時の頭を蹴り飛ばす。
思わぬ強襲を受け、銀時は地面と壮絶な接吻をした。
後頭部を押さえ、その場で打ち震える。
と、急にハッとした表情で銀時は顔を上げた。
「あっ、今ので何かきそう! 何かここまできてる!」
「本当か! 思い出せ銀時! お前は俺の舎弟として日々こきつかわれていたんだ!」
「オイぃぃぃ!! 記憶を勝手に改竄するなァ!」
危うくテロリストの一員にされそうになる銀時を、新八がなんとか食い止める。
そんな彼の脇を通り、神楽が銀時の眼前に座り込んだ。
「どのへんアルか。どのへん叩かれたら記憶が刺激された? ここアルか? ここか?」
そう言って神楽は銀時の頭を殴り始めた。
容赦なく。
徹底的に。
「いや、このへんだろ。アレ? このへんか?」
同じように桂も銀時を殴り始める。
彼らの下からは、銀時の悲痛な叫びが聞こえてきた。
「しっかし、大丈夫なんですかねィ」
パトカーの運転をし、市中見回りを継続していた沖田は不意にそんなことを言った。
助手席に座っていた土方は、煙草をくゆらせる。
「意識はまだ戻ってねェが、怪我の方は大したことねーらしい。まァ、近藤さんがあの程度でくたばるたァ思ってねーが」
事故に遭った近藤のことを言っているのだろうと思い、そう答える土方。
しかし沖田は、それは違うと片手を振った。
「ンなこたァ言われなくても分かってまさァ。そっちじゃねーですよ。
万事屋の旦那ですよ。明らかに近藤さんより血ィ流してたじゃねーですかィ」
いけ好かない銀髪の侍。
あの男が、そう簡単にくたばるとは思えないが……。
そこまで考え、土方は頭を振る。
何が悲しくてアイツの心配なんかしなきゃならないんだ。
「……アイツがどーなろうと、俺の知ったこっちゃねーよ」
そう言って土方は煙を吐き出す。
その時、彼らの耳に突然騒ぎ声が聞こえてきた。
時折悲鳴のようなものも聞こえてくる。
不審に思い、声の元へ視線を向けた。
視界の隅、道端に小さな人垣ができていた。
294 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:23:38 ID:2c0TuTcr
「……何の騒ぎだ、喧嘩か? 久しぶりにやるか……ん?」
そう呟き、パトカーから降りようとする土方。
だがしかし、彼は人垣から見え隠れする、とある人物を見てハッとした顔をする。
見慣れたバカ面と鬱陶しい長髪。
間違いない、あの男は……。
『かーーーつらァァァ!!!』
「ぶぅおわっ!!」
凄まじい勢いで、沖田と土方はパトカーごと人垣に突っ込んだ。
途中で一般人を轢きそうになったが、なんら問題ない。
殺気満々で突っ込んでくるパトカーを見た途端、人垣は蜘蛛の子を散らすように逃げていったからだ。
パトカーはそのまま傍の店に突っ込み、轟音を上げる。
「な、ななな何ィィィ!?」
すぐ隣で腰を抜かした新八が喚くが、土方達はそれを華麗に受け流した。
「殺ったか?」
殺気立った目で問う土方。
しかし沖田は彼の質問に答えず、足元に落ちていた異物を不思議そうな目で見ていた。
「アリ? 土方さん。こんな荷物ありましたっけ?」
沖田が拾い上げたそれは、デジタル時計のようなものが付いた、真ん丸な鉄製のボールだった。
ピッピッと音を立てる不審なボールを見、土方は冷や汗をたらした。
「……総悟、逃げるぞ」
「え?」
直後、パトカーが大爆発を起こした。
凄まじい轟音と衝撃波を巻き起こし、辺りは黒煙に包まれる。
「フン、芋侍が。家でチャンバラごっこでもしているがいい」
いつの間にかパトカーの背後に回りこんでいた桂が、爆炎を背景に長髪をたなびかせながらクールにそう呟いた。
同時に聞こえてくる、荒々しい足音と鍔鳴りの音。
桂は驚き、パトカーの方へ振り向く。
「いや! 今日はつきあってもらうぜェ桂ァァァ!」
全身煤まみれ、焦げ跡だらけの土方と沖田が、敵意剥き出しで爆炎の中から躍り出てきた。
桂は鼻を鳴らしながらその場を走り去る。
「フン、やるな」
「待ちやがれェェェ!!」
それを追い、土方達もその場から走り去る。
後に残されたのは、炎上するパトカーと店舗。
そして爆風で吹き飛ばされた、哀れな姿の銀時であった。
「銀ちゃん!」
「銀さん、しっかりしてください!」
295 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:25:31 ID:2c0TuTcr
銀時の傍へ駆け寄る新八と神楽。
天地逆さで壁に身体を打ち付けられた銀時は、虚ろな目でこう応えた。
「君達は……誰だ?」
「まぁ……それじゃあ、結局何も……」
一縷の望みを賭け、はやての家にやってきた銀時達。
リビングのテーブルに着いた銀時を見て、シャマルは口元を押さえながらそう呟いた。
「スミマセン」
申し訳なさそうに頭を下げる銀時。
そんな彼の眼前に、ひょっこり顔を出すヴィータ。
「なぁ、アタシらのことは覚えてるよな?」
「いや、今スミマセンって言ったばっかじゃないか」
ツッコむ新八だが、ヴィータはそんなことを意に介さず言葉を続ける。
「いや絶対覚えてるって。ふざけんなよ」
そう言って銀時の胸倉をつかみ、顔を近づける。
それこそ鼻と鼻が触れ合いそうなほどの至近距離で、ヴィータは一気にまくし立てた。
「交通事故の次は記憶喪失だぁ? お前どれだけはやてに心配かければ気が済むんだよ。
もうこの際アタシらのことはいいからさぁ、はやての事だけでも思い出してやれよ!」
息を荒げながら言うヴィータ。
銀時は胸倉をつかむヴィータの腕をそっとつかみ、至極真面目に言い返した。
「すみません。今はまだ思い出せませんが、必ずあなた達のことも思い出します。それまでしばしご辛抱を」
死んだ魚のような濁った目。それさえ除けば、銀時はそこそこ二枚目である。
しかし記憶を失い真人間へと変貌した今の彼は、キリッとした顔立ち、程よく近づいた眉と目、そして澄んだ瞳を持ち合わせた
かなり高レベルなイケメンへとランクアップしていた。
「……フ、フン」
ヴィータは何故か頬を薄い赤に染め、銀時の手を払いのけた。
そして俯き、何かぶつぶつと言い始める。
「……ま、まあ過ぎたことをグダグダ言っても仕方ねーしな。大事なのは、これからをどう生きていくかってことだ」
「なにィィィ! 急に変わったよ! 何があった!?」
「そうね。昔の銀時さんは永劫に封印して、これからはニュー銀時さんとして生きていけばいいんですよ」
銀時の向かいに座っていたシャマルも、何故か顔を赤らめながらそんなことを言い出す始末。
これには新八も理不尽なものを感じ、大声で言い返す。
「ちょっとシャマルさんんんん!? それ臭い物にフタの原理じゃないですか! ……あっ、臭い物って言っちゃった」
大慌てで口を塞ぐ新八。
そんな彼の後ろから、シグナムが何食わぬ顔で言い放つ。
296 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:27:15 ID:2c0TuTcr
「何を言うか新八殿。あのようなちゃらんぽらんな銀時殿より、今の銀時殿のほうが余程男らしいではないか」
「ちょいちょいちょい! アンタまで何言ってんですか!?」
なんやかんやで、彼女もあの性格と言動には不満を持っていたらしい。
「……あ、そや」
そんな彼女の隣で、はやてが何かを思い出したようにポンと手を打った。
いそいそと冷蔵庫へ向かい、その中からひとつの小さな紙箱を取り出す。
「これ、さっきの子から預かっててんけど……」
そう言ってはやては紙箱をテーブルの上へ置き、開いた。
中には何の変哲も無いショートケーキが二個入っているだけだった。
「こ……これは……」
しかし銀時はそれを食い入るように見つめる。
そして何かに誘われるように、箱に顔を近づけていった。
「なんだろう、不思議だ……身体が勝手に引き寄せられる……」
彼の不可解な言動を見、新八は最初は首をかしげていたが、すぐにあることに気付いた。
そうだ、たしか彼の好物は……!
「あっ……甘い物!」
「そうネ! 甘い物食べさせたら記憶が蘇るかもしれないヨ!」
叫び、ショートケーキを無理やり銀時の口にねじ込む神楽。
もう本当に情け容赦ない。
「うらァァァァァ! 食えコノヤロー!」
「ぐぼォ!」
と苦しげに腕を振る銀時なのだが、そんなことはお構い無しである。
ようやく一つ目のケーキを無事に胃袋に収める事ができたかと思えば、すぐに二個目のケーキが飛んでくる。
ほとんど地獄だ。
「みんな、甘い物だ! とにかく家中の甘い物をかき集めてくるんだ!」
「承知した。行くぞシャマル!」
「ええ!」
新八の指示に従い、シグナムとシャマルは台所へ向かう。
リビングでは、神楽が必死に銀時の身体を揺さぶっていた。
「銀ちゃん! 戻ってきてヨ銀ちゃん!」
「う、う……ぼ……僕は……僕は……」
口の中に甘ったるい味が広がる。
なんだろう、この懐かしい感覚は?
俯き、うわ言の様に銀時は呟きだした。
そして……。
297 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:29:22 ID:2c0TuTcr
「……俺は」
銀時の目が大きく見開かれた。
一人称も"僕"から、いつも通りの"俺"に。
まさか本当に記憶が戻ったのか?
「銀ちゃん!」
「銀さっ……」
「フンっ!」
喜び、歓喜の表情を見せる二人。
彼らの前で、突然何者かが銀時の口に何かを突っ込んだ。
凄まじい勢いで銀時はその場に倒れ込む。
新八は冷めた目で、その人物に視線を送った。
「……あの、シグナムさん……。なんですか? それ」
「いや、シャマルが持っていけというので、とりあえず持ってきたのだが……」
そう言って表情一つ変えないシグナムの後ろから、シャマルがやってきた。
柔和な笑顔で彼女は語る。
「卵焼きですよ。初めて作ったので、お口に合うか分かりませんが……」
何故か固まる新八と神楽。
あれ? 何だろう、すっごいデジャブ。
二人は卵で大量殺戮兵器を生み出す、とある人物の顔を思い浮かべた。
「あ、あのでも! お砂糖一杯入れたから、多分大丈夫だと……!」
そんな二人の不安げな表情を見て、シャマルはその場を取り繕おうと懸命に努める。
が、彼女の努力も徒労に終わってしまうことになる。
「君達は……誰だ?」
顔を上げた銀時が、そんなことを呟いたのだ。
辺りを包む気まずい空気と沈黙。
ついに耐え切れなくなったシグナムが、シャマルの肩をつかんで怒鳴る。
「……おい! 治るどころか悪化しているではないか!」
「え、えぇぇ!?」
困惑するシャマル。
頭を抱え込む新八と神楽。
銀時はそんな彼女らを不思議そうに見つめていた。
「……すみません。色々手を尽くしてくれたのに。結局、僕は何にも……」
夕日に染まった商店街を歩き、銀時は申し訳なさそうにそう言った。
彼の両脇を歩いていた新八と神楽は、彼を気遣うように話しかける。
298 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:31:16 ID:2c0TuTcr
「やめてくださいよ、銀さんらしくない。銀さんは90%自分が悪くても、残り10%に全身全霊をかけて謝らない人ですよ」
「そうネ。ゆっくり思い出せばいいネ。私達、待ってるアルから」
「とにかく、今日は家に帰ってゆっくり休みましょ」
「そーネ。もしかしたら、何か思い出すかも……」
そう言ってすぐ目の前までやってきた万事屋を見上げ……彼らは言葉を失った。
万事屋があった場所には黒焦げになった瓦礫の山が出来上がっており、そこからもくもくと白い煙が立ち昇っていたのだ。
ついでに言えば、どういう因果か一階部分はまったくの無傷である。
「……何コレ?」
口の端を引きつらせながら新八が呟く。
翠屋店舗前でボーッと万事屋を見上げていたなのはがこちらに気付き、困惑した様子で答えた。
「あー……その、えっと……。
……い、隕石が降ってきたみたいで……」
「ちょっと、信じがたい話だけどね……」
傍にいた士郎も、ため息をつきながらそんなことを言う。
『ウソォォォォォ!?』
きっかり三秒、その場で固まった後に新八と神楽は絶叫した。
隕石が直撃?
しかも万事屋だけピンポイントで粉砕?
どんな天文学的数字だ。
こんなモンに当たるんなら、宝くじの一つでも当たってくれ!
そもそもこれって本当に現実なのか?
悪い夢じゃないのか?
そう思い、新八は自分の頬をつねってみた。
かなり痛かった。
立ち昇る煙は、彼らをあざ笑うかのようにユラユラと蠢いていた。
「……どうしましょ。家までなくなっちゃった」
呟く新八。
彼の隣では、銀時が何かを決意したような目で万事屋を見つめていた。
「……もういいですよ。僕のことはほうっておいて」
不意に聞こえてきた言葉。
その場にいた人物は、みんな一様に銀時の方を見た。
「みんな帰る所があるんでしょう? 僕のことは気にせずに、どうぞもう自由になってください」
「……銀さん?」
呆けた顔で銀時を見るなのは。
だが銀時は彼女にかまわず言葉を続ける。
「きけば、君達は給料もロクに貰わずに働かされていたんでしょう? こんなことになった今、ここに残る理由もないでしょうに。
記憶も住まいも失って、僕がこの世に生きてきた証はなくなってしまった。でも、これもいい機会かもしれない」
299 :
なの魂:2008/01/03(木) 13:33:05 ID:2c0TuTcr
銀時は自嘲した。
新八達の脳裏に不安が過ぎる。
まさか……いや、そんなはずはない。
いくらなんでも、彼がそんなことを言うはずがない。
「みんなの話じゃ、僕もムチャクチャな男だったらしいし。生まれ変わったつもりで、生き直してみようかなって」
だが新八達の微かな望みを、銀時は非情にも掻き消してしまった。
万事屋に背を向け、銀時はその言葉を言う。
「だから、万事屋はここで解散しましょう」
嘘だ。
きっと何かの冗談に決まってる。
そう思いたかった。
「ウ……ウソでしょ、銀さん」
「やーヨ! 私、給料なんていらない、酢昆布で我慢するから! ねェ、銀ちゃん!」
必死になって銀時を止めようとする。
だが、銀時は振り向こうとしなかった。
そのまま歩を進める銀時と新八達との距離は、徐々に遠ざかってゆく。
不意に銀時が歩みを止めた。
何かを考え込むような素振り。
だが、彼はすぐにまた商店街の出口へ向かい歩き出す。
「すまない。君達の知っている銀さんは、もう僕の中にはいないよ」
そう言い残した彼の背中は、とても悲しく……まるで、この世で最も遠い存在のように感じた。
「銀さん、ちょっと待って!」
「無理ヨ! オメー社会適応力ゼロだから! バカだから!」
新八と神楽は叫ぶ。
だが、彼らの距離はあまりにも遠すぎて……。
「銀ちゃん!」
「銀さァァァん!」
夕日に染まった商店街に、二人の悲痛な叫びが響き渡った。
300 :
なの魂の人:2008/01/03(木) 13:34:40 ID:2c0TuTcr
以上で第十五話投下終了です
会っちゃいけない人たちが会っちゃいましたね、ええ
だが問題は無い…多分
新年早々こんな話ですが、今年もどうかよろしくお願いします、みなさん
GJです!このタイミングでジャスタウェイがくるとは!!!
もう次回が楽しみでなりませんよ!
302 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/03(木) 13:51:24 ID:IQIANh6p
GJ! ジャスタウェイが中を舞うのが楽しみです!!
そういえば、ssを投下する場合、投下予告は時間指定をしたほうがよろしいのでしょうか?
sage を入れ忘れてた… 申し訳ございません・・・
GJ!!!
なんかサングラスが変装の代名詞になってますね、グラサン仕様のフェイトが目に浮かびました。
>>302 今までだとだいたいみんな入れてるけど、「何分後くらい〜」でも構わないと思うっす。
305さん、ありがとうございます。
307 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/03(木) 15:05:47 ID:jTAVcXo/
なの魂GJ
薄幸の美少女をマスコットならフェイトでしょ、母親に虐待され、真撰組に
は殺されかけ、神楽にも、殺されかけ・・・・・・・・・・・・・・・・・
なの魂のフェイトの薄幸っぷりは異常だが、GJ
そして銀さんが記憶喪失にこのままジャスタウェイがくるのか、それとも、
次回がたのしみです。
GJ!
誠ちゃんだと思ったら記憶喪失だったとは予想できなかったです
さて、四時二十分から投下いいですか?
反応無いけど投下します
Devil never Strikers
Mission : 05
girls in underground
地下水路。
それは薄暗く、ジメジメした空間で人が歩く事はまず無い。
だが今日に限って何人もの人間が歩く事になる。
一人目はとても幼い女の子だった。
腕には鎖が巻きついており、その先はケースに繋がれている。
ケースの中身はレリック。
そのレリック反応を捉えたガジェットドローンが少女を追いかけている。
今はまだ振り返っても見えないが、この少女の足では数分もすれば追いつかれるだろう。
捕まったらガジェットからは邪魔物とみなされ、排除されるだろう。
小さな体には重過ぎるケースを引きずりながら逃げる。
出来るだけ遠くへ、出来るだけ速く、だがガジェットのボディが風を切る音が刻一刻と迫ってくる。
最初は時計の針の音の様な大きさだったが、次第に大きくなっていく。
そしてそれが自分の背中から鳴っているのではないかと思った瞬間、ガギィンという鈍い音が響いた。
何が起こったのか分からない。
だが今の音の正体を確かめないと次の瞬間に何が起こるかも分からない。
勇気を振り絞り振り返った少女が見た物は、
壊れたガジェットが一体と、それでもまだ何体もいて自分を取り囲んでいるガジェット、そして血のように赤いコートを纏った男だった。
「よう、嬢ちゃん。迷子か?」
ダンテ支援!
自分の体ほどもある大剣、リベリオンで少女を救った男、ダンテはまるで街中で泣いてる子に話しかけるように言った。
お前らなんて、迷子の相手をしながらでも相手に出来る。とでも言っているような態度だ。
もしガジェットに意思があれば間違いなく怒りを買っていただろう。
それでもこの少女にとってダンテは自分の味方だと思える人間だった。
「ママがいないの」
気がついたら自分の不安を打ち明けていた。
母親がいない、だから探している。
この場所と状況に似つかわしくない不安ではあるがこれが今の少女の不安だった。
その不安を聞いたダンテは考えこむ。
(捨て子か?それにしてもこんな所に?まだ橋の下のほうが良心的だな)
かなり見当外れな結論に至ったがそれを訂正できる者はここにはいない。
代わりにいたのは突如現れた闖入者を敵とみなしたガジェットの攻撃だった。
「おっと」
少女をケースごと抱え、その攻撃を避ける。
全て避け生じた隙を狙い、大剣リベリオンを投げつけるスタイルアーツ、ソードピアスを繰り出す。
放たれたリベリオンは一直線にガジェットに飛んでいき、ガジェットを貫き、そのまま壁に貼り付ける。
一方でダンテはリベリオンを投げた方向とは逆に向かって駆け出した。
そしてガジェットの隙間を走り抜けたダンテが目指したのはこの地下水路から出るためのマンホールだった。
十数秒の疾走の後、マンホールの下にたどり着いたダンテ。
その後ろからはガジェットが列を成して追いかけてくるが、一番後ろを飛んでいるのはガジェットではない。
ダンテが放ったリベリオンだった。
持ち主の下へと戻ろうとするリベリオンが全てのガジェットを切り裂く。
ダンテがリベリオンを掴んだ時、ガジェットは全て只の鉄クズへと姿を変えていた。
リベリオンを収め、アイボリーを真上に構え、マンホールの蓋の端目掛けて連射する。
放たれた弾が蓋を持ち上げ、薄暗い空間に光が差す。
「一端、外に出るぞ…って寝てやがる」
疲労からかいつの間にか少女は腕の中で眠っていた。
左手に抱えた重さを何の苦にせず、ダンテは光目掛けて跳躍した。
紅いコートのした裸の男に支援!!
ダンテが地下水路でガジェットと戦う少し前、地上にはエリオとキャロがいた。
この二人は入隊以来始めて貰った休暇で街で遊んでおり、要するにデートだった。
そのデートの最中、エリオが急に立ち止まった。
「どうしたの?」
「今何か聞こえなかった?何て言うかこう…大剣で鉄を切るような音なんだけど…」
その言葉にキャロも耳を澄ましてみる。
するとグサッという音の次にドスッという音が聞こえてきた。
そして最後ににドスッという音のした所から何かが飛んで行くような音が聞こえてきた。
「聞こえた!まるで投げた大剣が何か鉄みたいな物を貫いてそのまま壁に刺さったような音!」
「その後はその大剣が投げた持ち主の元に戻っていく音かな?」
まるで見ているんじゃあ無いか?とすら思えるほどの聞き取り力だった。
「あっちのほうに行ったのかな?」
二人は音をたどり路地裏に入る。
そこではマンホールが踊っていた。
正確には踊っていたのではなく下から持ち上げられていたのだが、小刻みに揺れているため踊っているように見えたのだった。
そしてマンホールが倒れ、中から出てきたのはそれなりに見覚えのある赤いコートの男だった。
「ダンテさん!」
「お前ら、こんな所で何してる?」
「ダンテさんこそこんな所で何してるんですか?というかその女の子は…」
「仕事だ」
「え?ここに住んでるんですか?」
「…どういう意味だ?」
「だって…ダンテさんの仕事って…」
会話の最中、ダンテの仕事という言葉にキャロが妙な反応をする。
どうやらキャロはダンテの仕事が警備的な物だと思っているらしい。
ダンテは誤解を解く気にもならず、左手に抱えていたケースを二人に見せる。
「これはお前らの担当だろ?ついでにこっちの方も任せた」
「え?ちょっと待ってくださいよ!」
説明を求めるエリオを無視し、少女を地面に降ろしてからマンホールに飛び込む。
残されたエリオとキャロは相変わらず勝手気ままな悪魔狩人の残した物を見るしかできなかった。
「レリックケースらしき物と…」
「女の子?」
「「何で地下から女の子を?」」
二人して同じ疑問を抱くが、考えるより先に仲間に連絡を取る事にした。
このままダンテパパ来る? とにかく支援。
>>312 いやこのダンテは2のダンテだから半裸タイムはありませんぜ!
支援
連絡をした後はまずスバルとティアナが来て、その後しばらくして隊長達がヘリで駆けつけてきた。
一緒にきたシャマルが少女を診るが、命に別状は無いらしい。
診断結果に安堵する一同だったが、まだ終わりではない、むしろここからが本番である。
「ケースと女の子はこのままヘリで搬送するから、みんなはこっちで現場調査ね」
「「「「はい!」」」」
二週間前とは違う全員揃った掛け声。
ヘリに戻る隊長達を見送り、それぞれデバイスを機動し、地下水路に降り立った。
辺りの様子を窺ったティアナが違和感を感じ、口を開く。
「ねえエリオ、キャロ」
「なんですか?」
「ダンテさんは『仕事』って言ってたのよね?」
「え?…はい、言ってました」
その言葉に納得したのかティアナは近くの排水溝に魔力弾を撃ち込む。
魔力弾を受けた排水溝から虫が出てきた。
それも人の体ほどの大きさのやつが何体も。
ハエ型の悪魔、ベルゼバブだった。
「少し数が多いけど、行くわよ!」
「おう!」
「「はい!」」
地下水路で、星と雷のチームと青と緑の群れが戦い始めた。
さて、新人達がベルゼバブと戦っている頃、ダンテはというと、戦いながら色々な人たちに出会っていた。
まず一人目はキャロくらいの紫色の髪をした小さな女の子だ。
「よう、嬢ちゃん。迷子か?」
とりあえずさっきと同じ言葉をかけるが、少女は首を横に振り、ダンテの横を素通りする。
一人目はこれだけ。
二人目は向こうから話しかけてきた。
「おい!そこの赤いの!」
その声は後ろからだったので振り返るが誰もいない。
いないなら気のせいだったのだろう、そう思い歩き始めた瞬間また声が響いた。
「無視すんじゃねえ!燃やすぞ!」
再び振り返り今度はよく目を凝らしてみる。
すると手すりのところに何やら人の形をした小さな物体が燃えているのを見つけた。
「お前か?悪いな、小さすぎて気づかなかった」
「テメエ!絶対燃やしてやる!」
「燃えてるのはお前のほうだろ。で、何の用だ」
燃えている人形サイズの物体――妖精にも見えるそれ――は自分の目的を思い出し、怒りを何とかおさめる。
「女の子を探してるんだ。紫の髪をした子なんだけど、見たか?」
「あっちで見たぜ」
「おお!よくやった!今ので無礼は帳消しにしてやる!じゃあな!」
そう言ってダンテが来た方向に飛んでいった。
二人目終了。
三人目はもっと簡単だった。
マッハキャリバーとリボルバーナックルに似た武装をした女が通路の奥を横切るのが見えただけだった。
そして四人目、これが一番面倒だった。
灰色のコートを着た銀髪の少女で、右目には眼帯をつけているのだが、
出会うなりナイフを投げて攻撃してきたのだ。
いきなりの攻撃だったがそれを食らうダンテではない、剣を高速回転させる技、プロップシュレッダーで全て足元に叩き落とした。
だが敵はそんなの予測済みさ、とでも言うかのように唇の端を吊り上げ――
「IS発動、ランブルデトネイダー」
――投げたナイフを爆発させた。
足元で生じた爆発がダンテを襲う。
普通の人間ならこの時点で死亡、運が良くても大怪我で戦闘不能は間違いない。
だがこの男は普通などではない。
爆煙が晴れたそこには、リベリオンを盾のように構えたダンテがいた。
「よう、嬢ちゃん。迷子か?」
三回目となるこの言葉をかける。だが返ってきた言葉は答えではなかった。
「お前がデビルハンターのダンテか?」
「人の名前を聞くときはまず自分からなのるもんだぜ?」
「その態度、間違いないようだな。私はチンク。妹達では手におえそうにない相手と判断したので私が倒す事となった」
そういって眼帯の少女、チンクは左腕に翼ような飾りのついた髑髏型の肩当てを付ける。
それはダンテの良く知る魔具、無尽剣ルシフェルだった。
いつの間にかチンクの眼帯にはバラがついていた。
チンクのIS、ランブルデトネイダーは触れた金属を爆弾に変える能力だ。
そしてルシフェルは剣を無尽蔵に生み出す装置で、その剣にも爆発能力がある。
この二つの能力はとても似ており、合わせて別の効果を生み出すことはできないが、単純な戦闘能力は上昇している。
「ルシフェルだ。昔はあなたの物だったらしいが今は私が使わせてもらっている」
「許可を取る気か?心配するな、怒っちゃいない。さあ来いよ!」
チンクが爆弾化させたスローイングナイフを数本放った。
それをダンテは弾き落とさず避けながら接近する。下手に距離をとればルシフェルとISの二重攻撃を受けるからだ
チンクが飛び、壁、天井と蹴り、空間を移動しながら固有武装のナイフを撃ちだす。
飛んでくるナイフを避けながらダンテはリベリオンを振るう。
だがチンクはバックステップでそれを避けながらナイフとルシフェルをありったけ配置する。
あの数を食らっては一溜まりもない、そう思ったダンテはさらに距離を詰め、いわゆるクロスレンジに持ち込んだ。
途端に距離をつめたダンテの後ろで爆発が起こる。
その間もチンクはナイフとルシフェルの連射を一向に止めない。
つまりこのまま立ち止まれば爆発に巻き込まれる。そうならないためには走り続けるしかなかった。
足を止めたらやられる、生死を賭けた追いかけっこが始まった。
時には壁を蹴り、天井を駆ける追いかけっこは続く、
チンクが飛びながら配置するナイフを紙一重で避けながら、高速斬撃、ダンスマカブルを繰り出す。
ナイフやルシフェルの剣を避けながらの高速斬撃をチンクは避けることが出来ない。
「ビンゴ!」
「まだだ!ハードシェル!」
だがチンクはそれをもう一つの固有武装、シェルコートで防ぐ、そして斬撃の一瞬の隙を持って再び弾幕を張り直す。
さっきからこのような事は何度かあった。身体能力ではダンテに分があるため、何度かチャンスは訪れるのだがそれをモノにできない。
(コイツを仕留めるにはこのままじゃダメだ。俺にも、向こうにも決定打が無い)
エボニー&アイボリーではナイフとルシフェルの剣を弾き落とすのが精一杯だし、リベリオンでもこのザマだった。
最悪、あの防御中は移動できないらしいのでスティンガーからミリオンスタッブのコンボを連発し、無理やりぶち壊す方法もあったが
(そんなチキン戦法はゴメンだね)
という美学から彼はそれをしない。
考えながらチンクを追い、曲がり角を曲がったダンテはこの状況を変えられる物を見つけた。
チンクがジャンプした隙に目的の物目掛けて走り出す。
当然チンクに背中を向ける形になり、好機と見たチンクがその背中目掛けてナイフを投げる。
振り返ることなく避けるが、ナイフは次々と投げられる。
最初のうちは余裕でかわすが、次第に余裕が無くなり、ダンテが目的の物にたどり着いた一瞬後に、とうとうナイフが突き刺さった。
一本刺されば流れから残りも自然と刺さって行き、ダンテの背中はほとんどナイフとルシフェルの剣に覆われていた。
「よし!IS発動!」
ランブルデトネイダーでナイフを爆発させ、同じタイミングでルシフェルの剣も爆発し、ダンテの姿が爆煙で見えなくなる。
「やったか!?」
あれは当たった。
チンクはそう確信し、それは正しい。
ダンテは避けていないし、直撃だった。
だが爆煙が晴れたそこには、未だ倒れていない、それどころか『俺の勝ちだぜ』とでも言いたげに、唇の端を吊り上げていたダンテだった。
(やっぱりいい男には、チャンスのほうから来るもんだな)
ダンテは振り返り、大きな砂時計を持ち上げている金色の像を見る。
時空神像。
ダンテが新たな力を得ると時に使っていた像だ。
その力の一つであるスタイルの変更機能を使い、ソードマスターからロイヤルガードにスタイルを変えただけだ。
そして、ロイヤルガードのスタイルアーツで防いだ。
「今、何をした!?」
「準備は良いか?今度はこっちの番だ」
だがチンクは知らない。
そんなダンテの能力など。
「ルシフェル!もう一度だ!」
ロイヤルガードのもう一つの能力など。
「はぁ!」
チンクがナイフとルシフェルの剣を投げ、それがダンテに当たる瞬間。
「ショウタイムだ」
ダンテは最初の爆発で溜めたエネルギーを打ち込んだ。
ジャストリリース。
ロイヤルガードのもう一つの能力、リリースを最高のタイミングで打ち込むことによって発動する技だ。
食らったチンクが吹き飛び、地面に叩きつけられる。
掌底にも似たこの技は、条件さえ整えればダンテの持つ技の中で最高の威力を持っている。
いくらチンクが頑丈であってもしばらくは指一本動かせないだろう。
ダンテは近寄り、話しかけた。
「何故俺を狙った?」
「…話すことは何も無い」
「何者だ?」
「……」
「妹達とは?」
「やれやれ、だんまりか」
チンクから情報を引き出せそうに無いと見たダンテは踵を返し、歩き出す。
「殺さないのか?」
「お前に何ができる?」
すでに戦闘不能の相手を殺すなんて事はしない。
何も出来ない相手に何かする必要は無いし、また襲ってきたら倒せば良いだけだ。
必要の無い殺しはダサいからしない。
本気でそう考える彼は甘いだろうか、確かにそうかもしれない。
だがそれが彼の美学なのだ。
それを曲げることは誰にも出来ない。
例えこれから先、今逃した少女によって何が起ころうとも。
Mission Clear and continues to the next mission
今回は以上です。
戦闘中にスタイルを変えるってのはあればあるで面白いと思います。
まあ無いからこそあの難易度だってのは分かるんですが、
スーパーダンテみたいな隠し要素扱いであってもいいんじゃないかと…反応が怖いな
幼女には優しいGJ! しかしチンクが薔薇水晶化してる…
遂に時空神像が登場ですか……この先色々と強化プランができそうですな。
とりあえずティアナはクロスミラージュを強化しなさい、オーブ溜めて。
324 :
戦国の鉄の城:2008/01/03(木) 16:53:41 ID:9Y9PyF/L
>>322 GJです!
ルシフェルって…あぁ、装備するとダンテがバラ咥えるあれか!
しかしそれを装備したチンクを冷静に…かつ大胆に撃破したダンテはやっぱりクール。
>>そんなチキン戦法はゴメンだね
俺の愛用コンボが否定された!?
とりあえずティアナはエアハイクで機動性アップとガンスティンガーが如く、
相手に銃剣ぶっ刺して相手の体内への零距離射撃の習得だ。
そしてオーブを貯める為にスタイリッシュッ!な戦い方を習得しよう。
>>322 GJです。
ダンテは強いな。ほれぼれするぜ。
やっとできたんでガングレイヴODクロス投下いいですか?
支援絵やWEB拍手いただいているのに遅れて申し訳ありませんが。
>>322 GJ!
なんと!ルシフェルを出してしまいましたか!?
以前、まだ投下されてなかったDMCクロスってどうよ?って言った時があったんですが、パンドラとかも面白そうだからDMCクロス書くのは4発売してから・・・って思ってたんですがね。
フライングらめぇぇぇwww
Shall Never Surrender 聞きながら読んでみたら結構燃えた。
死人兵を支援する!
それじゃあ投下します。
ガングレイヴODクロス、今回は機動六課の休日な時間軸の話です。
魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 第三話「死人と姉妹」
ある次元の管理外世界においてレリックを回収した時空管理局のとある一部隊、その前に一人の男が両手に二丁銃を持ち棺を背負って現われた。
その男は一言の言葉も一切の警告も無く、手にした巨大な二丁銃を乱射して部隊の者を次々と撃ち倒していく。
まるで無慈悲な死神の如く。
「糞っ! 糞っ! 糞おおおおっ! 死体野郎が墓場に帰りやがれ!!!!!」
武装局員の一人が唾を撒き散らしながら殺傷設定の射撃魔法を二丁銃の死人に乱射するが、その貧弱な弾幕では強靭な死人兵士の身体を破壊するには至らない。
隻眼の死人兵士はその射撃魔法をまるで意に介さずに悠然と武装局員に近づき至近距離から手の巨銃を突き付けた
「や、や、やめ…」
武装局員の懇願が言い終わる前にその巨大な拳銃、ケルベロスが火を吹き武装局員の意識を闇に落とした。
「ちっ! 本部、こちら第15分隊。ウォーキング・デッドと交戦中! 早急に増援部隊の派遣をお願いします!!」
その様を遮蔽物越しに見ていた他の武装局員の一人が舌打ちしながら増援部隊の支援要請を送るがその通信は無駄に終わる。
武装局員の通信が終わるや否やグレイヴは肩に火器を満載した棺桶デス・ホーラーを担ぎ、この戦いを終局に導く準備を終えていた。
デス・ホーラーがその強固な装甲を開き大量の小型マイクロ・ミサイルの顔を覗かせる。
そして空中に発射されたそのマイクロ・ミサイルはデス・ホーラーの誘導制御を受けて遮蔽物に隠れていた武装局員達に正確に向かって行った。
これがデス・ホーラーの全方位型攻撃の一つ“Dooms Rain”である、無慈悲な裁きの雨は爆炎を巻き起こして武装局員の部隊の全てを戦闘不能に落とす。
そしてその場には背中に十字架を背負った最強の死人兵士だけが一人立っていた。
ここは地下深くの違法な地下施設、そこで今日もまた姦しい姉妹が無口な兄にワガママ攻撃を炸裂させていた。
「腹減った〜メシ食〜わせ〜」
「減ったっす〜死ぬっす〜」
「グレイヴ〜早くメシ〜」
ナンバーズ3馬鹿姉妹であるセイン・ノーヴェ・ウェンディが手にナイフとフォークを持ってテーブルを叩いて騒ぐ。
「お前ら少しは落ち着け」
「ま〜たっく。お食事の時くらい静かにできないんですか〜?」
「ノーヴェ、静かに」
騒ぐ3馬鹿姉妹にナンバーズ年上組み、トーレ・クアットロ・チンクが口を開く。
ちなみにあまり口数の多くない姉妹(セッテ・オットー・ディエチ・ディード)はその様子を静かに眺めていた。
そこに大量の皿を乗せたお盆を持ったグレイヴがやって来る、お盆の上の皿にはサラダとグレイヴ特製マカロニグラタンが湯気を昇らせていた。
ちなみにグレイヴはエプロン(チンク姉のお手製、ウサギさんのアップリケ付き)を掛けているので随分と所帯染みている。
「うわ〜いメシメシ〜」
「メシっす〜」
セインとウェンディが真っ先に食いつき、他のナンバーズもその二人に呆れながらも料理に手を付け始める。
その穏やかな食卓の中でふとセインが口を開いた。
「そういえば、ドクターとウーノ姉は?」
「ドクターとウーノは何やら研究室に篭っているぞ」
「ほほ〜う…」
「なるほどっす…」
チンクの答えにセインとウェンディは何やら含みを込めた笑みを見せる、その様子にノーヴェが不思議そうな顔をする。
「何だよお前ら、何か心当たりでもあんのかよ」
「もちのろんろんっすよ〜」
「ふふふ。ドクターとウーノ姉は今きっと…」
そのノーヴェの言葉にセインとウェンディは最高の爆弾的回答を投下した。
「「エッチしてるんだよ(っすよ)!!」」
凍った。その場の空気が完全に凍りつき、ナンバーズ全員の思考と動きを止めた。
「ふ、ふ、ふ、二人ともな、な、な、な、何を言ってるんだ!? そんな言葉をどこで覚えた!?」
セインとウェンディの言葉の威力にやっと正常な思考を取り戻したチンクが顔を真っ赤にして二人に問い詰めた。
「えっと〜。この前クア姉が教えてくれた♪」
「そうっす〜」
次の瞬間にはチンクは目にも止まらぬ速さでクアットロにナイフを突き付けていた。
「クアットロ…妹達に何を吹き込んだ? 正直に言えば楽に殺してやる…」
「ちょっ、チンクちゃん…殺すのは確定なの? 私はただ“ちょっとした性教育”をしただけで…」
一触即発のチンクに引きつった顔で怯えるクアットロ、そしてセインとウェンディの言葉の意味を知らないナンバーズは不思議そうな顔でグレイヴに質問を投げていた。
「グレイヴ、さっきの言葉の意味は何ですか?」
「なあグレイヴ、エッチって何だ?」
「何なの?」
「教えてください」
「教えて」
上からセッテ・ノーヴェ・ディエチにオットーとディエチの双子コンビである。
この質問攻めにグレイヴは苦笑しながらその場で事の成り行きを見ていたトーレに助けを請うような視線を向ける、だがトーレは諦めろと言って苦笑いで返した。
今日もこのファミリー(家族)は騒がしく楽しい日々を送る。
レリック絡みの事件に出現する黒衣の生ける屍ウォーキング・デッドの噂は様々な管理世界に広まった。
ガジェットを従えAMF下において圧倒的な銃火器の制圧力を以って管理局の魔道師を蹂躙する様は多くの世界の人間に衝撃を与える。
レリック関係の事件という事もあり機動六課も独自に戦う死人に関する調査を各方面から進めるが、死者を兵器にする技術などはどこの世界にも残されていなかった。
そしてスカリエッティの下に彼の探していた聖王の器が発見されたという報告が届く。
「さて。では現場にはクアットロとディエチ、それにセインに行ってもらおうかな……」
スカリエッティはモニターの映像でガジェットの動きと現場にレリック確保に向かったルーテシアの動きを追いながらウーノと共に敵情報の収集を続ける。
そこに案の定、装備を整えたグレイヴが現われた。スカリエッティは少し不満に顔を歪める。
グレイヴの性格を考えれば聖王の器がどういうものか知れば確実に任務の障害になりかねないと判断したが故の苦渋の感情だった。
「やあグレイヴ。今日は彼女達だけで大丈夫だよ、君のデス・ホーラーも調整が必要だろう? 今は休みたまえ」
「………」
そのスカリエッティの言葉にグレイヴは即座に虚実の匂いを感じる。
かつて組織の殺し屋として様々な人間を見てきたグレイヴにとってはいかに巧妙に隠そうともスカリエッティの言葉の裏の意図を読むなど容易な事だった。
グレイヴはいつもどうり無言で転送装置の準備をして現場に飛んだ。
その様子をスカリエッティは呆れて、ウーノは少しばかり怒りを抱いて眺めていた。
「あ〜。やっぱり行ってしまったね〜」
「ドクターよろしいのですか!? このままでは作戦に支障が出かねません!」
「まあ、良いじゃないか? こういうハプニングも楽しいものだよウーノ」
スカリエッティは楽しそうにモニターを眺めて戦況を確認する、最強の死人兵士が再び機動六課の魔道師達との戦いを繰り広げようとしていた。
その日、休暇を楽しんでいた機動六課のフォワードメンバーは偶然にもレリックコアと身元不明の少女を発見する。
支援
事態は六課隊長陣も出動しての大規模な戦闘に発展した。
そして発見されたレリックコアと身元不明の少女を乗せたヘリが謎の戦闘機人の砲撃を受ける。
だがその攻撃はなのはの防御に防がれ、なのははフェイトと共に襲撃犯である二人の戦闘機人を追い詰める。
クアットロは飛行能力の無いディエチを抱えて追いすがるなのはとフェイトの追撃から逃げようとしたのだが、執拗な追撃に挟み撃ちを受け地上に落ちたのだった。
「ちょっ…ちょっとこれはヤバイ感じね〜」
「そんな事、言ってる場合じゃないよクアットロ…このままじゃ…」
その二人を前後から挟み込むようになのはとフェイトが下り立ち射撃魔法の掃射の準備をする。
「もう逃げられないよ! 大人しく投降しなさい!」
なのはが声を張り上げた次の瞬間、地獄の番犬の名を持つ二丁銃ケルベロスの吐き出す15mm口径魔力ダメージ弾頭が雨の如く降り注ぎ、なのはとフェイトを襲った。
「くっ!!」
「きゃあっ!!」
なのはとフェイトはその突然の攻撃に防御障壁を削られ思わず悲鳴を上げる、そしてクアットロとディエチの下に最強の死人兵士ビヨンド・ザ・グレイヴが下り立った。
グレイヴは下り立つと同時になのはとフェイトにケルベロスの銃弾で弾幕を張りながらクアットロとディエチに語りかけた。
「クアットロ、ディエチ…早く逃げろ」
グレイヴはなのはの放ったアクセルシューターを撃ち落しフェイトの撃ったプラズマランサーをデス・ホーラーで防ぎながら二人に視線をやって早く逃げるように促す。
その強い意志と優しさを秘めた瞳を見たディエチはグレイヴの服の裾を掴んで小さく呟いた。
「分かった…絶対に帰って来てね、グレイヴ」
そのディエチの言葉にグレイヴは優しく微笑んで返し、クアットロに視線を移して口を開いた。
「クアットロ……ディエチを頼む」
「え…ええ分かりました。それじゃあ、あなたも気を付けてくださいね? 勝手に死んだらダメですよ?」
「…ああ」
グレイヴの小さな返事を受けてクアットロとディエチはその場を離脱する。
フェイトが逃げる二人に向かってバルディッシュを構えて飛び掛ろうとするがそこにグレイヴが放った“Dooms Rain”のマイクロ・ミサイルの雨が降り注ぎ爆炎を上げた。
炎が晴れた時にはクアットロとディエチの姿はなかった、そして場にはグレイヴとなのはとフェイトのみが残される。
その時グレイヴのインカムにスカリエッティからの通信が入る。
『あ〜グレイヴ。聞こえてるかい?』
「……」
『デス・ホーラーに付いた新機能を使ってみてくれないか? 実戦での性能をチェックしたくてね、それに彼女達のような強力な魔道師には有効な機能だよ?』
グレイヴはその通信を受けて眼前のなのはとフェイトを見る、確かに今までの有象無象の武装局員から比べられない強さである。
故にグレイヴはデス・ホーラーの新機能を使うのにためらいはなかった。
インカムから送られた信号に反応しデス・ホーラーは髑髏を模られたその顔を怪しく光らせてその力を発揮する。
「くっ!」
「これは! AMF!?」
グレイヴの背負っていた棺桶がその髑髏の目を光らせた次の瞬間、場に今までの比でない強力なAMFが発生してなのはとフェイトを苦しめる。
それは後にスカリエッティが聖王のゆりかご内部に設置するものと同じ規格の次世代型AMFである。
従来のガジェットでは出力不足と過剰な重量の問題で実用化できなかった代物であったが、この最強の死人兵士にはこの程度の重量ではなんの問題も無かった。
リミッターによる抑制と高濃度のAMF下で力を著しく削がれたなのはとフェイトにグレイヴは容赦なくケルベロスの銃弾を叩き込む。
二人のバリアジャケットは引き裂かれ魔力ダメージに赤く焼けた柔肌を空気に晒した。
「はああああ!!!」
フェイトがザンバーフォームになったバルディッシュの金色の刃を振り下ろしグレイヴに斬り掛かるがグレイヴはその斬撃を交差させたケルベロスで防ぐ。
軋みを上げる両者の得物だが高濃度のAMF下でのバルディッシュの刃は無慈悲にも単純な膂力で押し返される。
フェイトがいかに優秀な魔道師とて死人兵士を相手に常人が正面から打って出て、勝てる要素など無いのだ。
「くっ…」
バルディッシュの刃を押し返すケルベロスの圧力にフェイトは苦悶の顔を見せる。
「フェイトちゃん! こうなったら…」
そこになのはがカートリッジをロードして、形成できる最大限の誘導弾を作り出してグレイヴに発射した。
「アクセル・シュート!!!」
無数の誘導弾が精密な軌道を描きながらグレイヴに発射され、その全てがなのはの弾道コントロールを受けたそれは正確にグレイヴの頭部や腹部に命中した。
その誘導弾の攻撃にグレイヴの頭部から煙が立ち上り、彼の身体は地面に倒れ伏した。
なのはとフェイトはこの死人兵士からやっと戦闘能力を奪うことができて重い溜息をついた。
「ふぅ〜…やっと止められたね…」
「うん…」
そしてなのはは通信をロングアーチに繋いで報告を入れる。
『こちらスターズ01。ウォーキング・デッドを無力化しました、至急ヘリの準備を…』
しかしなのはが通信で言葉を全て言い切ることは無かった、何故なら倒れた筈の死人兵士が背の棺に手を掛けていたのだから。
次の瞬間になのはとフェイトの意識は刹那に断たれ、その場に倒れ伏した。
グレイヴは即座に立ち上がると同時にデス・ホーラーの機関銃銃身から大量の銃弾を発射しながら360度回転して周囲に弾丸を余す所なく吐き出す大技“Bullet Dance”を行ったのだ。
弾丸を刻む舞踏の前に成す術なく敗れたなのはとフェイトをグレイヴは幾分かの憐憫をもって眺める。
死んだフリなんて古典的な手に引っかかった事も含めてだが、やはり何の罪も無い少女を傷つけるのはあまり良い気分ではなかった。
そのグレイヴの下にナンバーズの6番セインが彼女の能力ディープ・ダイバーで地中から現われた。
「セインちゃん到着〜! さあグレイヴ〜あたしの身体にしがみ付いて〜。一緒に脱出〜、ってなんかもう終わってるし…」
グレイヴを自身の能力で救出しに来たセインだが既に戦闘はグレイヴの勝利で戦いは終わりを告げていたのだ。
「それじゃあ帰ろうかグレイヴ。あっ! そうだ。それと無力化できたらフェイトお嬢さまを連れて来いってドクターが言ってたから…」
そう言って倒れたフェイトの腕を掴もうとするセインだがそれはグレイヴの手で遮られた。
「えっと…どうしたのグレイヴ?」
「……セイン…駄目だ」
「えっ!? でも…」
「駄目だ」
「う〜…分かったよ…グレイヴがそう言うなら」
やっと納得したセインの頭をグレイヴは優しく撫でる、セインはまるで子犬のように喜んで笑顔を見せた。
「でも、ドクターには何て言えばいいかな〜?」
「…通信は切ってあるから問題無い」
「そっか、なら別に良いや。それじゃあグレイヴ〜これ内緒にしておくから今度またプリン頂戴♪」
「…ああ」
こうして死人は妹を連れてその場を去る、後には彼の残した大量の薬莢と気を失った魔道師が二人残されていた。
続く。
支援
投下終了、です。
まあグレイヴとナンバーズの日常みたいな感じで。
次回は地上本部襲撃の話かな? なるべく早く書きます!
GJ。
ブランドンは相変わらず撫でまくってますね。
GJ!
やべえ…間一髪だった…。
皆様方、GJでした!
えっちな事は、別次元のシャマルさんに聞けば教えてくれるよ。詳しくね。
GJ
いつからグレイブは家政婦になったんだ……。
Devil never Strikers氏
>眼帯にはバラがついていた。
薔薇水晶自重wwwwww
だが、戦闘シーンが面白かったぜ!
とりあえずGJといわせてもらおう。
>>340 シャマル「それはね(キン!キン!キン! こどものこーろの以下略
投下してもよろしいですかー?
どぞー と勝手に言ってみる
来い来い来い。
うぃ。じゃあ、行きますね
======
「武ちゃ丸の馬鹿野郎……もうあれから一週間も経つってのに、電話一本よこさないなんて……」
大阪のアパート「ロンデニオン荘」に祖父と住むタコ焼き職人の卵、ススムは
さっぱりはかどらない算数の宿題を前に西日に照らされる街を眺めながら、
誰に語りかけるでもなくそう呟いた。
それというのも親友の武ちゃ丸が旧友の危機に家を飛び出し、
以来一切の連絡が途絶えてしまい、気になって何も手に付かない状態が続いているためだ。
だからこうしてちゃぶ台の上のざら版紙……宿題のプリントを前にしてもさっぱり手は動かない。
……まぁ、多分にススムの言い訳じみた面もあるのだが、
こうして時間だけが意味も無く過ぎていく日々が続き、自分の毎日にとって
いかにあのトラブルメーカーな友達が重要な存在であったかをススムは実感していたのだった。
「ススム! テレビや! 今すぐテレビ見ぃ! 2ぃやで!」
ふと窓の下を見ると、散髪に行っていた祖父が息を切らせながら走ってきて
部屋の中にいるススムにそう告げる。
一体何事だと思いつつもテレビをつけ、チャンネルを合わせると、
そこにはぼろぼろの新幹線が映し出された。記者が聞き取りやすくゆっくりと語る内容は
彼には専門的でわからない事が多く、一体なぜじーちゃんはこんなのを見せたんだろう……
と、思ったその時、画面の刑事とともに映っている
二人の武者頑駄無の内の一人に眼が吸い寄せられる。
忘れるわけも無い。この一週間自分の頭から片時も離れた事の無い親友、武ちゃ丸の姿だ。
いつの間にか部屋の中に戻っていた祖父はススムに語りかけ始める。
「……ススム、これな、堕悪闇軍団と武者頑駄無が戦って起こった事件なんやて」
「堕悪って……武ちゃ丸が言ってた、武ちゃ丸達の、敵……」
「多分、これが原因で武ちゃ丸は家に連絡せえへんかったんや。
自分に関わっとったら、ススムまで危険な戦いに巻き込んでまうさかいな」
ススムは青ざめた顔で、その先の答えを理解しつつもそんな事は無い、
あってほしくないと希望を込めて祖父に武ちゃ丸が連絡さえよこさないその理由を訊ねる。
「じゃあ、武ちゃ丸は……」
「……もうここには帰って来ぇへんかもわからへん」
巻之九「再会の街、博多なの!」
その夜、就寝時間になってもススムは悲しみと不安に苛まれ、
いつしか布団に潜り込んだまま嗚咽を漏らしていた。
祖父はその様を見かね、障子の向こうから優しく話しかける。
「なぁススム、ちょっとじーちゃんの話聞いてくれへんか?」
ススムは返事を発しなかったが、祖父はそれを無言の肯定と受け取り話を続ける。
ススムは返事を発しなかったが、祖父はそれを無言の肯定と受け取り話を続ける。
「早いもんやな、武ちゃ丸が家に来てからもう半年もたっとるんやなぁ。
いつかはあいつも自分の使命を果たさなあかん時が来ると思うてはおったけどなぁ……
けどな、ススム。じーちゃんは武ちゃ丸を家族や思て暮らしてきたんや。
ススムはどないや? 誰にもわからへんススムだけの気持ちがあるはずや」
そこで、布団の中からとはいえようやくススムは祖父と言葉を交わし始める。
「ボクだけの……気持ち……?」
そして武ちゃ丸に対する自分の気持ちを改めて見つめなおす。
いつもいつも勝手な事ばかりして、自分達をひっかき回す武ちゃ丸。
けれどもタコ焼きの腕前だけはプロ並のレベルに上達した武ちゃ丸。
いつもだら〜っとしていて、見ているだけで力が抜けていくようなやる気の無い武ちゃ丸。
そのくせ肝心な時は黙って自分や祖父のことを支えてくれる武ちゃ丸。
気が付くと、ススムの心の中は武ちゃ丸の笑顔の想い出で満ちていた。
「ボクは、ボクは……武ちゃ丸にもう一度会いたい! じーちゃん!」
布団から飛び起き、涙でぐちゃぐちゃの顔のまま祖父に飛びつくススム。
ス スムの祖父はそっとその肩を抱き、笑顔でススムにこう話しかけた。
「答えが出たようやな。じーちゃんはわかっとるで、ススムはええ子や。
そやからこっちの事はなーんも気にせんと、好きなようにしてかまへん。
学校にはじーちゃんから言うとくさかい、すぐに行き!
それに、大事な忘れ物も届けなアカンしな」
「じーちゃん……うん!」
直後、淀川べりの土手にあの日武ちゃ丸が忘れていった武装を積んだ
タコ焼きの屋台を引くススムの姿があった。
今の自分には武ちゃ丸が必要だ。武ちゃ丸に会うまでは帰らない。
そう思いながら、祖父の知人の長距離トラック運転手が待つ駐車場に向かっていた
……はず、だった……。
「なかなか着かないなぁ……けど、武ちゃ丸にはコレが必要なはずだ。
こんな事でへこたれてなんか……ん?」
ススムが屋台の重さに挫けそうになり立ち止まった瞬間、爆音を上げて
武者丸の鎧の肩ブースターが点火した。
「武ちゃ丸のアーマーが!? まさか……武ちゃ丸の元に導いてくれるのか?」
ブースターの後押しもあり、まるで電動アシスト自転車のようだとばかりに
ススムは鼻歌交じりで楽チン楽チンと勢いをつけて屋台を引くが、
それは孔明の巧妙な罠だった。
「……って、ドンドン速くなってるのは気のせい? いや、速くなってますよコレは!?
あ、あば、あばばばばばばばばーっ!?」
その日、新たな都市伝説が誕生した。
音速の壁を超えて川べりの土手を疾駆する少年の噂はしばらくの間ワイドショーと
小学生の怪談話を大層盛り上げ、ついでに両軍団の忍者達を大いに混乱させたと言う。
翌日、AM11:27 福岡――
「かーっ、うまっ! これが本場の豚骨ラーメンかー!」
当の武ちゃ丸はススムの心配も知らず、ラーメンに舌鼓を打っていた。
「おい、がっつくな武者丸! 俺達はただラーメンを食べに来たわけじゃないんだぞ!?」
「うう……わかっとるって。そやけどもういっぺんだけ替え玉を……」
「キサマはーッ!!」
「お前らなぁ……」
周りの迷惑顧みず、小さな屋台で今日も仲良く喧嘩する武ちゃ丸とトッキー。
そしてそれをまた始まったかというもう慣れっこの領域に突入した態度で接するシンヤ。
軽く冷や汗を流しながら、なのははその店主である男に向かって話しかけた。
「あ、あの、すみません……お騒がせしてしまって……」
「なーに、子供がそんなつまらない事気にするもんじゃないさ!
そんな事よりそのラーメン、どうだい?」
そのラーメン屋台の店主……福岡は博多の街に流れ着いた武者頑駄無、號斗丸(ごっどまる)は
朗らかな笑顔でそうなのはに問いかける。
「はい! すごく美味しかったです!」
「そうかい! そりゃあ良かった! さぁ、どんどん食べてってくれよな!
チャーシュー一枚オマケだ!」
それを聞いた號斗丸はとても上機嫌でなのはに対しサービスを良くする。
こうしたやり取りを横目で見ながら、シ念のため普通の動物のフリをしているユーノは
シンヤに目で合図を送り、前日に目の前の號斗丸の親友、鋼丸から聞いた話を思い返していた。
「……號斗丸が連絡に応じない? それで鋼丸先輩は福岡まで……」
「あぁ。俺もそうだが爆流師匠も心配なされていた。
アイツの事だからめったな事はないと思うんだが、どうにも不安が拭えなくてな。
俺が直接店に行ってもあの頑固者はきっと答えてくれんだろうし、
代わりに何とか理由を聞き出してくれればと思ったんだが……」
神妙な面持ちでトッキーに相談を持ちかける鋼丸。
それを見ながらなのはは右のこめかみの辺りを人差し指でトントンと叩きながら、
何かを思い出しそうで思い出せないでいた。
「あれ、爆流さんって何だか聞いたことある名前のような……」
「ホラなのは、覚えてない? ドリルの人だよ。ドリルの」
「あぁ、そっか! ドリルの人だ、ドリルの!」
「爆流頑駄無もロクな覚え方してもらってないなぁ……」
妙な事で盛り上がるなのはとユーノとそれを醒めた目で眺めるトッキー。
そんな彼らをじとっとした目で見つめながら、
鋼丸は本当に夢者遊撃隊に任せても良いものだろうかとそこはかとなく不安を抱いていた。
(なのは、食事も良いけどちゃんと理由を聞かないと……
鋼丸さんが言うには號斗丸さんは相当な実力を持った武者だそうだし、
不確定要素が多い現状じゃ是非とも味方につけたい人だ。ここはしっかりしておかないと)
(うん、分かってるけど……號斗丸さん、何だかラーメン屋を本当に楽しそうにやってる。
もし本当に戦うのが嫌になっちゃったのなら、それを無理矢理連れ出すのは
悪い事なんじゃないのかな……って、ちょっと考えちゃったの)
痺れを切らし、念話でなのはにハッパをかけるユーノだったが、
なのはは楽しげに働く號斗丸を見て話しを切り出すタイミングを失ってしまっていた。
「はーっ、ごっそさん! ラーメンうまかったで、號斗丸!」
「そうか! ありがとうよ!……とはいえ、ナツミさんのOKはまだ出てないがな」
聞きなれない名前を耳にした武ちゃ丸はとぼけた顔で問いかける。
「ナツミはん? OKって何や?」
「ワケあってな。今世話になってるこの店の本当の店主だ。
お? ウワサをすれば……ホラ、彼女がそうだ」
號斗丸が示した方向に一斉に目を奪われる新生夢者遊撃隊男性陣。
なぜなら、彼女はそうするに値するだけの存在だったからだ。
「ただいまっ! 出前のドンブリ、回収して来ました!
あら? 武者頑駄無さん……という事は、皆さん號斗丸さんのお友達ですか?」
地味な服装にぼろぼろの運動靴、つぎはぎだらけのエプロン。一見するとみすぼらしくもあるが、
それら全ては彼女の魅力を光り輝かせるための引き立て役として存分に作用している。
端を二つに分け、それぞれリボンでまとめた腰まである茶色がかった黒髪のロングヘアー、
深く、吸い寄せられるようなどこか憂いを秘めた濃い漆黒の瞳。
そして何より地上の物とは思えない柔らかな暖かい春の陽射しのようなその笑顔。
シンヤも、ユーノも、果ては武ちゃ丸やトッキーさえも彼女から目を離すことが出来なかった。
何のことはない。その少女、ナツミは頭に「超」の付く美少女だったのである。
いかにも悪巧みをしていそうな笑顔を浮かべ、武ちゃ丸は早速號斗丸をいじり始める。
「なんや、どーのこーの言うてホンマはナツミはんカワイイからここにおるんやろ?」
「ち、ちちち……ちっがーう!!」
「ム゙ッヂャ!!」
顔を真赤に染めた號斗丸は不埒な武ちゃ丸に思わず鉄拳制裁を下してしまう。
体術にも長けている事で知られる號斗丸。そのパンチの威力は半端ではない。
香港のカンフー映画さながらに豪快な吹っ飛びを見せ倒れこむ武ちゃ丸。因果応報である。
「……で、本当の所はどうなんです?」
「今、彼女の元を離れるわけに行かないと言うのは本当だ。
約半年前、超時空転移装置の暴走で俺がこの街に飛ばされた時……」
やっと話のきっかけが掴めた為、ぶっ飛ばされた武ちゃ丸はいつもの事と華麗にスルーして
トッキーは號斗丸と話を続ける。
「……時空から放り出された俺は自分の身を守るのに精一杯で、
何が何だかわからないままこの街に跳ばされた。その場所がこの屋台……ナツミさんの所だった!
しかしその時、そこのずん胴鍋に頭から突っ込んでしまって、
中で作られていた彼女の父親秘伝のスープとそのレシピを台無しにしてしまったんだ」
「あ、頭から? 煮えたぎるスープに!? ……あの、よく生きてられましたね」
「その程度、炎水の境地を極めた俺にとっては造作も無い事だ」
しごく真っ当な感想を述べるなのはと微妙にかみ合わない問答を交わす號斗丸。
「だが彼女は、そんな俺を責めるどころか逆に火傷を負った俺を手厚く看病してくれたのだ!
そして俺は誓った! 行方不明の彼女の父親が帰ってくるまでに必ず失われたスープを完成させ、
この屋台を守る事で彼女の恩に報いると!!」
いつの間にか瞳の中に炎を燃やさんばかりの勢いで身を乗り出して號斗丸は熱く語り、
その傍らではナツミが申し訳無さそうな暗い表情を崩せずにいた。
どうやらこの様子では鋼丸に色よい返事を伝える事は難しそうだ……と軽く頭を抱えていると、
隣に座っている武ちゃ丸がその話に何かを刺激されたのか、尋常でない態度をとり始めた。
「屋台……うぅっ……シュシュムゥ〜……」
思わずトッキーも引いてしまうくらい表情を歪ませ、ぼろぼろと泣きじゃくり始める武ちゃ丸。
周囲は皆、そんな武ちゃ丸をなだめたり慰めたりするのに気をとられる。
近くで待機している鋼丸から緊急連絡が入ったのはまさにそんな時だった。
『みんな、今すぐそこから離れろ! 未確認の反応が高速で……』
だが、時はすでに遅かった。再びハリウッドのCG技術もビックリなアクションで
強烈に吹っ飛ばされる武ちゃ丸。もはや一芸の領域である。
そして例によってトッキーは武ちゃ丸の安全をこれっぽっちも振り返らずに、
土煙や噴煙の中から徐々に姿を現す突っ込んできた物体を冷静に観察し、
その意外な正体に驚かされていた。
「こ、これは……武者丸のアーマーじゃないか!?」
「武ちゃ丸の!? 確か忘れて来たって……って言うか心配くらいしてやれよトッキー」
「あいつならこの程度でどうにかなるタマじゃないさ」
それを聞きつけ、瓦礫を押しのけ怒る武ちゃ丸。
「くぉら、斗機丸! オマエの冷たさにワイが泣いたで!」
「だ、大丈夫、武ちゃ丸君!?」
「イテテテ……なのはは優しいええ子やなぁ。どっかの冷血漢とは大違いやで……ん?」
ふと胸が騒ぎ、東の方を武ちゃ丸が仰ぎ見ると、
アーマーの進路の後を追うようにゆらゆらとやってくる幽霊のような人影と、
その人影が引くぼろぼろのガラクタに武ちゃ丸は目を奪われた。
「ひょ、ひょっとして……シュシュムか!?」
「ムチャ……ムチャ……」と、うわごとのように繰り返し、なぜかピチピチと跳ねる魚を抱え、
真っ白に燃え尽きてしまった某ボクサーさながらの容貌をしたその人影の瞳は、
武ちゃ丸の一言に反応し、生気を取り戻した。
「む……武ちゃ丸……会いたかったよぉ〜!!」
変わり果てた姿をしていたが、その人影は紛れもなく武ちゃ丸の親友、ススムだった。
「シュ、シュシュ……ハッ! な、何しに来たんやシュシュム!」
武ちゃ丸はその顔を見てふらふらと飛びつこうとしてしまう。
しかし、すんでのところで踏ん張ってススムに背中を向け、そのまま震える声で彼を怒鳴りつけた。
「え? 何をって、ボクは武ちゃ丸が忘れた鎧を届けに……
っていうか鎧に引っ張られて……しかも正しい意味でのマッハで……
それに、ボクはキミにどうしても会いたくて……」
「知……知らん! ワイはもうシュシュムの間抜けな顔見て過ごすのは飽き飽きしたんや!
鎧だけ置いたらちゃっちゃと帰り、目ざわりや!」
「……!」
ススムの脳裏に、祖父の一言がフラッシュバックする。
――自分に関わっとったら、ススムまで危険な戦いに巻き込んでまう――
――もうここには帰って来ぇへんかもわからへん――
ススムには武ちゃ丸の覚悟も何もかも分かっているつもりだった。
だが、まだ普通の小学五年生であるススムは、それを素直に受け止められるほど大人ではなかった。
「何だよ、それ……ボクらがどれだけ心配したと思ってるんだよ!?
自分ばっかり何でも勝手に決めるなよ……!」
「よ、余計なお世話や!」
「武ちゃ丸がどう思ってようと……ボクらは家族じゃないか、友達じゃないか……
今更一人だけ何も言わずに危険な世界に戻ろうだなんて、
こんな事でさよならだなんて、ボクは絶対に許さないからな!」
感情の爆発に流され、周りの視線も省みず次々とまくし立てるススム。
もともと口が上手ではない武ちゃ丸は次第に押され、ついに逆切れを起こしてしまう。
「う……や、やかましわーいっ! シュシュムのどアホ! もう絶交や、絶交!」
「絶交……? あ、おい、待てよ武ちゃ丸、武ちゃ丸ーっ!」
そういい残し、その場を走り去っていく武ちゃ丸。慌ててトッキーはその後を追うが、
その瞳に光るものがあった事をトッキーの光学センサーは見逃さなかった。
「何が絶交だよ……武ちゃ丸の、武ちゃ丸の大馬鹿野郎……!」
「あの……大丈夫ですか?」
ショックでその場にへたり込むススムに迷わず声をかけるなのはを見て、
しょうがないなと言った顔をしながら、シンヤはぶっきらぼうに
ポケットの中からティッシュペーパーの袋を取り出し、ススムに手渡した。
「涙はそれで拭いとけ。どーでもいいけどお前、ここは道のど真ん中だぜ?」
「ご、ごめん……ところで君達は……?」
「うん……あの、実は……私達も武ちゃ丸君の友達なんです」
「武ちゃ丸の、友達……君達も?」
そこに號斗丸が三人の後ろからやってきてススムに肩を貸しながらこう言った。
「まぁ、何だ。ここじゃ人通りも多いし、とりあえずうちの屋台で話をしようか。
……それと鋼丸、お前もどこかその辺で聞いてるんだろ? 顔くらい見せたらどうだ?」
それを聞いて、建物の影から依頼した手前遊撃隊を放っておけなかった鋼丸が姿を現す。
「やはりさっきので気付かれていたか、號斗丸」
「当たり前だ。どれだけの付き合いだと思ってる? 」
「……そうだな、互いに長い付き合いだ。本当にな」
どこかハッキリしない鋼丸の態度を見て、號斗丸は何かを察し、少し語尾を強めた。
「……お前こそどういうつもりだったんだ? 言いたい事があるなら直接聞けばいいじゃないか。
他人に任せるなんてらしくないぞ。それとも何か含むところでもあるのか?」
「な、俺はただお前に余計な心配をかけまいとだな……」
「ま、まぁまぁまぁ! えと、お話しするんじゃなかったんですか、號斗丸さん?」
「あぁ……スマナイ。話は二人でつけよう、鋼丸。
ナツミさん、申し訳ありませんが店とこの子達をお願いします」
「あ……ハイ……」
武ちゃ丸とススムにつられてか、こちらまで些細な事から険悪な雰囲気を漂わせる號斗丸と鋼丸。
その場はなのはの取り成しで事なきを得たが、
二人の間の不穏な空気とナツミの不安そうな顔色だけが不穏な空気を物語っていた。
「そりゃ武ちゃ丸が悪い! 仮にも家族に何にも言わずに家出だと? あのアホふざけやがって!」
「まぁまぁ、シンヤ君落ち着いて……」
ススムから今回の一件に至る経緯を聞いたシンヤは憤慨していた。
自分の話を聞いてくれたことで少し安心したのか、
ススムは逆に彼らと武ちゃ丸の関係について質問を返してみた。
「でも、君達はどうして武ちゃ丸の仲間だって……」
「俺は刑事やってるオヤジが代わりに付いてけっておっかなくてさー。
ま、俺としちゃトッキーがまた無茶しないか見張る事も出来るし、
悪くは無いかなとは思ってんだけどさ」
「私は……そ、そう! 私も大体そんな感じ! ホント、世の中のおとーさんって横暴だよね!」
なのはは一般人の前でいきなり「自分は魔法少女です」と電波な事を言い出すわけにも行かず、
心の中で父、士郎に全力で謝罪しながらシンヤに話を合わせた。
「けど、武ちゃ丸も結構無茶苦茶だぜ。俺たちには何にも言わないくせに、
なんでススムにだけはそんな風に言い出したんだ?」
「!……それは……」
その理由を問われ、ススムが顔を曇らせるのをカウンターで聞いていたナツミは見逃さなかった。
「きっと、武ちゃ丸さんはススム君に危ない目にあって欲しくなかったから……
ホントはススム君も分かってるんでしょう、武ちゃ丸さんの本当の気持ちを?」
「分かってる……分かってるけど……」
「ススム君の気持ちは分かる……でも、私には武ちゃ丸さんの気持ちの方が良くわかるわ。
親しい人が危険な目に会うなんて、想像するだけでどうにかなってしまいそう……」
「え、それって……」
ススムがその真意を問おうとした瞬間、隣に座っていたなのはがすごい勢いで立ち上がり、
ユーノもまた籠から飛び出して武ちゃ丸が去っていった方に向けて駆け出していく。
それを見たシンヤもすぐに事態を把握し、
ぽかんとしているススムとナツミをその場に残して二人の後を追っていった。
(なのは、気付いた!?)
(うん! ジュエルシードが、この近くに!)
状況を確認しあうユーノとなのは、そしてそれを追うシンヤ。
しかし、先を急ぐ三人は後ろからススムが後をつけて来ている事に気が付いていなかった。
「いたいた……オイ、武者丸、隣いいか?」
「…………」
「……座るぞ? 全く、あれじゃどっちが冷血漢だかわからんな、武者丸」
「…………」
「事情は知らんが、少しは話くらいしたらどうだ。友達なんだろ?
思わず泣いてしまうぐらい会いたかった相手なんじゃないのか?」
「…………」
「参ったな、こうもだんまりを決め込まれては何も分からないじゃないか。
できれば黙秘権の行使は別の機会に願いたいんだがな?」
「…………」
「全く、相変わらずつまらんとこで意地っ張りだな……いい加減に話してくれてもいいだろう?」
武ちゃ丸を追って、近くのデパートの屋上でたそがれているのをようやく発見したトッキー。
しかし武ちゃ丸の態度はすっかり頑なになってしまっていて黙して語ろうとせず、
無二の戦友であるトッキーの呼びかけにも答えようとはしなかった。
二人が不毛なやり取りを続けていたまさにその時、彼らがいるデパートに視線をやりながら、
一人の少女が何者かと連絡を取り合っていた。
「……うん。私は一人でも大丈夫だよ。すぐに戻るから、そっちはお願いね。
心配要らないよ。今日もいつもみたいにすぐに終わらせるから……
うん、うん。……うん、わかってる。じゃあまた後でね、アルフ」
ビルの屋上、給水塔の上に立つ少女は連絡を終えると呼吸を整え、
その手に三角形の稲光のような金色の輝きを持つアクセサリーを握り締め、天高く掲げる。
次の瞬間、眩い光に包まれた少女は黒い衣に身を包むと、瞬時に空高く舞い上がって
空中から再びデパートの位置を確認し、キッとその奥を見透かすかのように鋭い視線で見据え、
誰に語りかけるでもなくポツリと呟いた。
「ジュエルシード……今度のも、必ず……!」
戦いの風は、もう間もなくこの街に吹き荒れようとしていた。
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
「博多の街に集まった武者頑駄無達、そして発動するジュエルシードをめぐり、
それぞれの戦いを繰り広げる私達新生夢者遊撃隊!」
「果たして、ここで出会った彼らは本当に武者魂を失ってしまったのか?」
「私の前に現れた黒い服の女の子。彼女は一体!?」
「そしてひび割れた武ちゃ丸とススムの友情、揺らぐ號斗丸さんと鋼丸さんの絆の行方は、
さらに號斗丸さんの爆弾発言とは!?」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之壱拾!」
「『されどその拳は烈火の如く! 対決、もうひとりの魔法少女やでっ!』」
「リリカルマジカル、頑張ります!
……ところでユーノ君、さっきナツミさん見てぼーっとしてたけど、どうかしたの?」
「えぇ!? そ、それは、その……そう、何でも無い、何でも無いよ!」
登場武者符亜意留(ふぁいる)
鉄機武者鋼丸 [テッキムシャハガネマル]
出典:新SD戦国伝 超機動大将軍編
モデル:ΖII(ゼッツー)
地中に埋まっていた巨大な機械仕掛けの巨人、機動武者大鋼にインスピレーションを受けた
超将軍・爆流頑駄無によって作られ、完成した史上初の可変・分離型鉄機武者。
創造者の爆流を父とも師とも崇めていて、剣法の流派も同じ機陣鉄剣流。同門の號斗丸とは親友。
飛行形態の目牙守羽多(メガシューター)に変形する他、
自らの体を分離して號斗丸達他の武者の強化武具やサポートメカとして分け与える事も出来る。
喜怒哀楽の人格を初めとした「心」もほぼ完璧に与える事に成功しているが、
怒りが頂点に達すると人間に近い八頭身の体型と桁外れの怪力を持つ「金剛鋼丸形態」に変形し、
我を忘れて破壊の限りを尽くしてしまうのが欠点。
後に鋼丸の稼動データを元に、パワー重視の試作零号機「爆進丸」も遅れて完成した。
日本では広島のお好み焼き屋台村で働いていた。
ちなみに説明書漫画でお茶を飲んでいたかと思えば、漫画版では食事をしなかったりする描写もあり、
彼が広島焼きを食する事が出来たかどうかは神のみぞ知るところである。
======
以上でした。
次回、フェイト(ようやく)本格参戦、武ちゃ丸(ようやくその2)お荷物脱出
>>354 投下どうもです。
こちらも外伝6.5話を投下したいと思います。今度は第6話の後でお願いします。
投下は9時半ごろにします。(変更ありかも)
反応がないな。まあ、投下します。
外伝6.5話 崩壊の予言
「シャイニングガーディアンズ」がミッドチルダで謎の少女を保護し、一方の地球でミケーネ帝国と邪魔大王国を倒してから3日が経った。
「シャイニングガーディアンズ」は勇と比瑪と宙をミッドチルダに追加要因として行かせた。
そしてなのはは聖王病院で保護した謎の少女ヴィヴィオを機動六課本部に連れて帰り、はやての部屋ではフェイトとはやては重大な話をしていた。
「ねえ、はやて。そろそろ教えてくれない。六課を設立した本当の訳と六課が地球連邦に協力する訳を・・・」
はやては観念したように息を吐きながら言う。
「わかった。でもそれは聖王教会でカリムとクロノ君、それに地球にいる「シャイニングガーディアンズ」の指揮官の皆さんも同席の上でや・・・」
「その話、俺達も聞きてえな」
はやてとフェイトが声のするほうを向くとドアの所には仲間になったばかりのゲッターチームの竜馬、隼人、弁慶がいた。
「皆さん、何でここに?」
「俺達も話があってきたのだがどうやら重大な話のようだな」
「出来れば、俺達にもその話を聞かせてくれないか?」
「頼むぜ、八神はやて二等陸佐さんよ」
隼人、弁慶、竜馬がはやてに頼む。
「わかりました。3人とも大人だから言っても問題ないやろうから。それとゼクスさんとなのはちゃんも連れて行かんと・・・」
そう言いながら、はやてはなのはに通信を入れると突然ヴィヴィオの泣き声が通信に入ってきた。
「うわああああああああああああん!!」
なのはとフェイトの部屋ではなのはと新人4人がヴィヴィオに苦戦中であった。
ヴィヴィオはなのはにがっしりとなのはを掴んでいるのでなのはは離れられずにいた。
そこにはやてとフェイトと勇と比瑪が入ってきた。
「エーズ・オブ・エースも敵わないものがあるようやね」
(フェイトちゃん、はやてちゃん。助けて・・・)
なのはが念話でフェイトとはやてに助けを求める。フェイトはなのはが買ったうさぎのぬいぐるみを持ちながらヴィヴィオに挨拶をした。
「こんにちは」
するとヴィヴィオは泣き止んだ。フェイトの巧みな子守に新人4人と勇と比瑪は驚いた。
フェイトの説得により、ヴィヴィオはなのはを離し、なのははようやく開放された。なのはがいない間はエリオとキャロと勇と比瑪に子守を任せた。
勇と比瑪はクマゾー達の子守をしたことがあるのでこの手のものは慣れていた。
なのはとフェイトとはやてはヴァイスの操縦するヘリでゼクスはトールギスV、ゲッターチームは修理したそれぞれのゲットマシンで聖王教会へと向かった。
スバルとティアナは報告書を書いていたがスバルはこの前の戦闘で戦った相手が戦闘機人でサイボーグである事に戸惑いを感じていた。
「ねえ、ティア」
「何?」
「この子達ってさ自分の体の中に機械が入ってる事知っててやってるんだよね。それってつらいことじゃ・・・」
スバルはティアナに向かって言おうとするとティアナはスバルのおでこにデコピンをかまして、スバルは椅子ごと倒れた。
「いったーーーーーー。もう何するのティア・・・」
「あんたねえ、あんたが考えても何も始まらないでしょ。私達はこの子達と戦わなきゃいけなくなる。それでこの子達にあんたの気持ちをぶつけてみなさいよ」
「ティア・・・」
「しかし、こいつらサイボーグなのに悪い事をしようとするなんて悪い奴らだぜ」
二人の間に宙が割り込み、ロムとヒイロもやってきた。
「俺は機械生命体のようなものだがこれは悲しいものだ。ギャンドラーと変わらない・・・」
「恐らくこいつらも戦うためだけの兵士として育てられたのだろう・・・」
「そんな・・・」
「だからこそ、俺達がやるんだ。俺達がこいつらの心を清く洗い流せばこいつらも自分達の愚かな行為に気づくだろう」
「こいつらはかつての俺達に似ている。だが俺達のような兵士は必要ないことを教えてやる」
「俺もそれには協力するぜ。凱もいたらきっと俺と同じ事を言うだろうしな・・・」
「ロムさん、ヒイロさん、宙さん。ありがとうございます」
スバルは3人に礼を言った。
一方ミッドチルダから聖王教会に着いた面々は地球から着いた、ブライト、アムロ、ジャミル、ゲイン、ホランド、ルリ、大河と正門でおちあっていた。
「君達が我々の宇宙とはさらに別の宇宙から来たと言う者たちか・・・」
「俺は神隼人、真ゲッター2のパイロットで真ジャガー号の操縦者だ」
「俺は車弁慶、真ゲッター3のパイロットで真ベアー号の操縦者をやっている」
「俺は竜馬、流竜馬だ」
「こいつは真ゲッター1のパイロットで真イーグル号のパイロットをやってる奴だ」
竜馬がきちんした紹介をしないので隼人が変わりに紹介した。そして地球からの方もそれぞれ自己紹介をし、皆教会へと入っていった。
教会に入ってすぐにカリムが待っていた。
「皆さん初めましてお待ちしてました。私はこの教会に務めるカリム・グラシアです」
「なかなか素敵なお方だ」
「はあ?」
ゲインがカリムを口説くように言うがカリムは何の事かとさらりと受け流す。
「ゲイン、まずは俺達の自己紹介が先だ」
「そうだったなすまない」
ゲインはホランドに説教をくらった。
ブライトと大河は以前会った時に自己紹介をしていたので残ったメンバーの自己紹介が始まった。
「高町なのは一等空尉です」「フェイト・T・ハラオウン執務官です」
「地球連邦軍所属、アムロ・レイ大尉です」「同じくホシノ・ルリ少佐です」
「プリベンダー所属のコードネームは「火消しの風、ウインド」です」「ジャミル・ニートです」「ゲイン・ビジョウです」「ホランド・ノヴァクだ」
「GERA副指令のベガです」「神隼人だ」「車弁慶です」「・・・」「こいつは流竜馬です」
全員の自己紹介が終え、クロノが待つ部屋へと一同は向かった。そして全員用意された椅子に座った。
「クロノ提督、少しお久しぶりですね」
「ああ、フェイト執務官」
フェイトとクロノの硬いやり取りにカリムは笑い、はやてがいつもどおりでいいと言う。
「じゃあクロノ君、久しぶり」
「お兄ちゃん、元気だった?」
クロノはフェイトの「お兄ちゃん」発言に戸惑い照れた。
「それはよせ。お互いもういい年なのに・・・」
「兄弟に年なんて関係ないよ、クロノ」
「そうだぜ、お兄ちゃん。こんなにきれいでかわいい妹がお兄ちゃんって呼んでくれるんだ。どんどん呼ばしてやりなよ」
「しかしですね・・・」
「兄さんって呼びてねえのに呼べねえ兄弟だっているんだぜ・・・」
ホランドはクロノをおちょくるように言ったのが今度は暗くなるように言った。
ホランドには兄のデューイ・ノヴァクがいるがその兄は今は新連邦の幹部の一人で自分と対立関係にあるのだ。
「とにかく、そういう話は置いといて本題に入ろうか」
はやてが話を本題に戻した。まずは機動六課の設立の本当の訳からである。
機動六課の後見人はクロノ、カリム、リンディの3人であるが、非公式に伝説の3提督も承認しているのだ。
「そんなお偉いさんまで関わってるのか」
「どうやら我々が思っている以上に深刻な問題が起こるんですね?」
ゲインと大河が質問をし、カリムがそれに答えるように自分のレアスキル預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)で今から10年前から4年前までに出てきた予言が書かれた紙を見せた。
それを無理やり解釈すると、地上本部と管理局システムの崩壊が起こるという事であった。
「そいつはたいそうなこった」
竜馬があきれたように感想を言う。
「では次に君達が我々に協力するわけを聞きたいのだが・・・」
ゼクスが新しい質問をする。
「それもこの予言であった事なんです。さっきまでのが6年間で出てきたもので次からはここから4年間の間に出てきたものです」
カリムはまた新しく予言の書かれた紙を皆に見せ、説明した。
「これらに書かれてあるのはこうです。「魔法の世界の物が青と緑を持つ星に現れ、
その青と緑を持つ星とそれが破壊された星との次元が裂かれ一つになりかける頃、魔法の世界に赤き巨大兵器が現れ、巨大な隕石が青と緑を持つ星を襲い、そして全ての宇宙は一つになり崩壊するだろう」です。」
カリムの告げた予言にブライトは考えた。
「つまりその予言ではミッドチルダの兵器が地球に現れ、それが長く地球に影響を及ぼす上にミッドチルダや地球を滅ぼす事になるという事ですか?」
「今のところその兵器はガジェットだけですが、まだ何かあるかもしれません。それにもう一つの地球とのつながりにはスカリエッティは関わってないはず・・・」
「と言うことは別の人間が関わってる可能性があると言う事か・・・」
ジャミルも考える。次に隼人がカリムに質問する。
「つまり俺達がこの宇宙に来たのは偶然じゃなく予言どおりだってことか?」
「そういうことになりますね」
「これもゲッターに関わったものが背負う宿命なのか・・・」
「そんなの関係ねえな。俺達がここに来たのが偶然だろうが運命だろうがどうだっていい。だが宇宙が一つになって壊れるってのは気にいらねえな」
竜馬の意見に他の人達も賛同する。
「確かにそうだな」
「我々は前の戦争も何とか勝ち残ってきた。今度もそれを阻止するつもりだ」
「未来を必死に生きていかなきゃ何も始まらないしね・・・」
「それに俺達も自分達の地球の世界最後の日を止めたんだ。今度も止めればいいさ」
カリムが皆の必死な態度に感動を覚える。
「皆さん、ありがとうございます。こちらも出来る限りの支援はさせてもらうつもりです」
「礼には及びませんよ」
ゲインがカリムに言い、ホランド、アムロ、ジャミルも同じような事を言う。
「俺達は自分達の地球を守る唯それだけだ。それにスカプコーラルとの調停をしないとどっちみち地球は滅んじまうしな・・・」
「巨大な隕石と言うところが引っかかるがなんとか阻止してみせるよ」
「君達が我々に協力を惜しまずに協力してくれるのなら我々はその協力を快く受けよう」
なのはとフェイトもそれに答える。
「私達も非才な身ですが、協力します」
「これからもよろしくお願いします」
「それはこちらのセリフだな」
こうしてなのは達指揮官達の対談は終わり、ミッドチルダに残ったメンバーは一時機動六課本部へと戻った。
ヴィヴィオは帰ってきたなのはにいきなりしがみついた。
「ヴィヴィオ、どうだった?」
「とてもおとなしくしてましたよ」
「まあ、一緒に寝ちゃったけどね・・・」
エリオ達から聞くにはヴィヴィオはエリオ、キャロ、勇、比瑪とお絵かきをしたり、トランプなどしたりしていたら、
眠くなったので寝たが、勇と比瑪も一緒に眠ったのだ。
「ごめんね、勇君、比瑪ちゃん」
「いいんですよ、なのはさん。俺達慣れてますし・・・」
「やっぱり子供って可愛い気がしましたよ」
数日後なのは達は話し合った結果、ヴィヴィオは機動六課で預かる事になり、ヴィヴィオはなのはと離れたくないと言うことで
「シャイニングガーディンズ」と行動を共にすることになったのである。
投下完了です。前回と比べると随分短いものです。後訂正ですが
>>357で
ブライト、アムロ、ジャミル、ゲイン、ホランド、ルリ、大河と正門でおちあっていた。
ですが、ベガさんの名前を書き忘れましたのでルリと大河の間にベガと付け加えといていただけませんでしょうか?
どうもすみません。
次は9.25話ですが、9.5話と9.75話よりも15話と16話の方がはやくできそうなので
9.25話の次の投下は15話になりそうです。
スターゲイトとのクロスを書けとの神からの啓示が来た。
けどなかなか最初の一歩を踏み出せないぜ。
取りあえず書く、書いたら一日放置した後に、再び書いたものを見る、出来に絶望しなければそれが1歩を踏み出す時さ。
363 :
旅ゆく人:2008/01/03(木) 22:37:41 ID:HSOMdG7A
>>361 やってみればいいじゃないですか。
踏み出してしまえば、意外と気は楽になりますよ。
ところで、『棺担ぎのクロ。』のクロス第二弾、
何とか投下の目処がつきそうなので、
十一時過ぎくらいにやっちゃって良いですか?
ゴアウルドの石棺があればアリシア復活は容易いわッ!!
使いすぎると凶暴になるけどねッ!!期待してます。
>>363 いらっしゃいませ。
支援の用意はできております。
どうぞ気兼ねなく投下くださいませ
どうもお久し振り、アンド今更あけおめです。
クロス作品の第四話が完成したんで、この後十二時に投下します。
OKですかね?
368 :
旅ゆく人:2008/01/03(木) 23:16:26 ID:HSOMdG7A
よっ、ようやっと完成……。
昼の頭に書いたものの半分を吹っ飛ばしたときは、
頭真っ白になったけど……。
何とかなりました。
それでは、どこかおかしな所があるかもだけど、
そこは大目に見ていただければ幸いです……。
ほな、開始します。
支援
――それは、ほんの一瞬、いや、刹那といった方が良いかもしれません。
それ程に、短い、本当に短い間の出来事でしたでした。
「……あれ?」
「あれあれ?」
ふと気がつくと、ニジュクとサンジュは、いつの間にか広い広い、
一面をいろいろなお花に覆われた、草原の上に立っていました。
「「……」」
そうです、クロやセンは、森を抜けたら次の村に着くといってました。
しかし、
「おはないっぱいだね……」
「ひとやおうち、いないね……」
そのように、村があるといった風には、全く見えません。
「どなってるのかな?」
ちょっと舌っ足らずなニジュクです。
「わかんないの……」
ぶんぶんと首を振るサンジュ。
ただただ、何が起こったのか理解できず、二人はきょとんとするばかり。
そんな時でした。
「……えっとぉ、あのぅ」
後ろから女の子の声が聞こえます。
「「……っ?」」
きょとんとした顔のまま、二人はゆっくり振り向きました。
そこには、見慣れない奇妙な服に身を包んだ、
年の頃なら二人より少しお姉さんな女の子がいました。
「だれ?」
「だれなの?」
ライトブラウンの長い髪、その両側を短く結んでいる二つのリボン、
二人のものよりちょっと薄め青いの半袖の上着に短めのスカート、
そして何より、右はエメラルド、左はルビーのような、きれいなきれいな目をしたその女の子は、
「えっ?」
と言ってきょとんとした顔をしました。
そんな女の子を見て、
「「あっ!」」
やっちゃったといった顔になった二人。
「サンジュ、サンジュ」
「そうだよ、ニジュク」
「いけないことだよ」
「クロちゃんにおこられちゃう」
顔を見合わせ、両腕をぶんぶん降る二人。
そんな二人の様子に「えっ? えっ?」と目を点にして戸惑う女の子を横目に、
「「ひとになまえをたずねるときは、まずじぶんからなのらなきゃだよ」」
普段からよくクロに言われていたことを、思い出していたのでした。
支援
「……さて、クロよ」
「何だい、セン?」
「俺たちは、テルヌーゼン村に向かってたんだよな」
「ああ、そうだね」
「それで、あと少しで森を抜けるところだった」
「確かに、そうだった」
「なのに、何でまだ森の中なんだ……?」
「さあてね……」
黒衣に身を包み、棺桶を背負った旅人と、その連れであるコウモリは、いつの間にか、森の奥深くに連れ戻されていた。
クロの様子は至って平静であった。――棺桶を背負うための革製のバンドを握る手が、いつもよりも力がこもっているようだが。
そんな、素っ気なく答えているようで、実は急な状況の変化に戸惑っているクロの様子を、センは見て取っていた。付き合いの深さと、
クロよりも重ねている歳と知識の深さは、伊達ではないということか。
ただ、セン自身も戸惑いは覚えていた。クロへの問いかけが、自身の動揺を抑えるためのものでもあることを、センは自覚していた。
それだけ、今の状況は突然、身に降りかかったものだった。
確かに、あと少しで、森を抜けられるはずだった。
そして、あの双子は駆け出し、出口に到達した。
その、刹那だった。
出口の光がいきなり大きく玉状に膨張して、爆発したのだ、音もなく。
真っ先に巻き込まれたのは、あの双子。
そして、二人を助けるどころか、否応もなくクロとセンも膨張する光に飲み込まれた。
叫び声さえ、上げる暇もなく。
そして、また森の中。
ただ、雰囲気が違う、というか、おかしい。
空気の様子、鳥の鳴き声、生えている樹木の姿形等々、……状況は森の中なのに。
何より。
「もう少し、木々が鬱蒼と生い茂っていても良いはず、……だ」
「確かに。三日間、私たちはあまり太陽を拝められなかったからね」
「でも、今はこんなにも、太陽が燦々と照ってやがる」
「……つまり、ここは」
「違う森、それも、人が介入しまくっている、人工の森かな。見ろよ」
センがある一点を指さす。
「あの道。かなり整備が行き届いている。定期的に補修も行われてるな、ありゃ」
「私たちが歩いてたのは、あまり人が立ち入らないような森だったからね。道はあったけど、お世辞にも立派とは言えないものだった」
「ああ。全く、何でこうなっちまったのか……」
センは頭を抱えた。
「……」
クロは押し黙った。
あの、白い双子の行方が気になった。
自分たちの傍らに、二人はいない。
真っ先に光に飲み込まれて、以来行方知れず。
ついさっきまで、傍らで元気にはしゃいでいたのに。
今までも急に行方知れずになったことは、確かに数知れない。
だが、今の状況は明らかに前例にない、異常なことだ。
今、何処にいるのか。
何をしているのか。
いや、寧ろされているのか。
(まさか、いや、そんな、でも……)
徐々に、不安が募る。不安で押しつぶされそうだ。
「ねぇ、セ……」
連れのコウモリに話しかけようと顔を向け……、
「んっ?」
視線の先にいないことに気づく。
そして。
「ねえ君何て名前? おっと、見目麗しいレディに名乗るより先に名前を聞くなんて紳士的じゃなかったね。
ボクの名前はセン。見ての通りのコウモリさ。でも、そんじょそこらの男何かより、君のことを楽しませる自信はあるよ。
どう? 陽はまだ高いけど、今からでもどこかで遊ばない? 君みたいな可愛い娘となら、
きっと楽しくて熱い一時を過ごせると確信してるから――」
「えっと、あの、その……」
一心不乱に口説きにかかっている一匹のコウモリと、その状況にあたふたとしている、
栗色の長いサイドポニーの女性を見つけ、
――かすかに青筋を立てた。
支援
「あたしは、ニジュクなの」
黒い猫耳と尻尾を持つ女の子が言った。
「あたしは、サンジュってゆうの」
白い猫耳と尻尾を持つ女の子が言った。
「ニジュクに、サンジュ……」
ヴィヴィオはつぶやいた。
その二人は、あの光る蝶を摘んだ瞬間、突然現れた。光と共に現れた。
ほんの、刹那のことだった。
そして今、興味深げに、四つのエメラルドグリーンのくりくりまなこが、今だ戸惑うヴィヴィオを見つめる。
「「ねぇ、あなたはだぁれ?」」
くりくりまなこが、見つめます。
「えと、……ヴィヴィオ、高町ヴィヴィオ、っていうの……」
若干の戸惑いを残しつつ、ヴィヴィオはニジュクとサンジュに名乗った。
「へえー、ヴィヴィちゃ、なのね」
そういったのは、ニジュク。
「ヴィヴィちゃん、ってゆうんだぁ」
そういったのは、サンジュ。
ヴィヴィ、ちゃ……。
「……えー、……うん、そうなの」
二人の勢いに、押されるヴィヴィオ。
「かわってるね」
「かわったおなまえだね」
幼子は歯に衣を着せることを知らない。
そのことで、ヴィヴィオは少しムッとした。
「……うん、よく言われる。そんなの分かってる。でも可愛い名前だねっていわれることもあるし、それに」
初対面でそんなことは言われたくない。
だいたい、
「二人だって、変わった名前だと思うけど。ていうか、何か変な発音だし」
そんな二人に、言われたくないというのは、正直な気持ち。
ヴィヴィオの言い分に、今度は二人がムッとなる番です。
「そんなことないもん」
「へんじゃないもん」
ニジュクとサンジュは口を尖らせます。
「あたしたち、はかせのじっけんたい」
「そのなかで、とくべつななまえ、はかせがくれた」
「えっ、実験た――」
「「そんななまえが、へんなわけないもんっ!」」
ムキになって反論する二人に、というより、思わず知ってしまったその二人の誕生の秘密に、
今度は愕然としたヴィヴィオだった。
支援2
支援
「――ッ、そんなことが……」
「まあ、俄には信じてもらえないとは思いますけど……」
驚くサイドポニーの女性に、クロはため息混じりで答えた。
それもそうだ。いきなり光の爆発に巻き込まれて、気づいたら別の森(?)の中にいただなんて、
早々信じてもらえる話ではない。良いとこ、変人扱いされておしまいだ。
だが、
「いえ、この世界ではごく希にですけど、そのような事件や事故がないわけでもなくて、
私はそういったことを取り扱う仕事をしてますから」
きりっと表情を引き締めて、彼女は言った。
「信じます。大丈夫ですよ」
その彼女――高町なのはの言葉に、ようやく安堵の気持ちになれたクロは、
「……ありがとう、ございます」
心から、感謝の気持ちを込めて、言った。
「……それにしても、なのはさん」
「クロさん?」
「あなたが魔法使いだなんてね……」
「んー、魔法が使えるって言っても、せいぜい空を飛ぶことぐらいですけどね」
「しかし、私のことを一目見て、あなたはこう言った」
「……」
「『あなたの体は、もしかして本当は……』ってね」
「すいません、思わず初対面の人に失礼なことを――」
クロは頭を振る。
「いえ、別に気にしてませんよ。……でも、そう言われたのは二度目、かな」
「クロさん……」
「なかなか言われることではありませんから、……成る程、うん、きっとあなたは、その時空管理局ってところでは、
いろいろと活躍なさっていらしゃるのではないのかな、ふふッ」
「いえ、そんなことは、……もうッ、クロさんったら」
「ふふッ……」
微笑みあう二人。どうやらそれぞれの身の上も、ある程度お互いに話しているようで。
それにしても。
「あの、……クロさん、あのコウモリさん、は」
「ああ、いつものことですから、気にしたら負けですよ」
なのはの言葉に素っ気なく応えるクロ。
実はこの二人が見知った、そもそもの原因にして、結果として仲を取り持った功労者たるコウモリ――センは、
「〜〜〜〜ッ! 〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
戸惑うなのはを無理矢理ナンパしたことを罪状に、猿ぐつわの上に簀巻きの刑に処されて道端に放置されていた。
「それにしても、その、……ニジュクちゃんとサンジュちゃん、今、何処にいるんでしょうね……」
「そうですね……」
うつむき、押し黙るクロ。
なのはは、そんなクロを見て、つい今し方のことを思い出す。
支援3
「――ッ! 何、今の感じ……」
樹に寄りかかってうたた寝していたなのはは、突然の衝撃に目を覚ました。
地震か? 否、それ以外の何か巨大なエネルギーの衝撃に、体が反応したというのが正しい。
とは言え、未だ起きてすぐの頭は、ボンヤリとしてなかなか状況が把握できない。休暇中で緊張感が乏しい分、尚更だ。
しかし、それでも周囲を見渡してみる。
特に目立って変わった様子、は……、あれ、ヴィヴィオ、何処に行ったのかな。……てッ。
「えッ、あの人、何でこの季節にあんな厚着をしてるんだろう……?」
その、黒衣に身を包んだ人物をなのはが見つけた、その瞬間。
「おっぜうすぅわーーーーーーーーーぁぁぁああああああんっっっっっ♪♪♪♪♪♪」
コウモリが光の速さで飛んできた。
センと名乗ったそのコウモリは、戸惑うなのはを口説き落とそうと必死になり、結果、
「……何をしている、セン?」
クロに、ジャイアントカプリコーンにされた。
「申し訳ありません、うちの連れが、大変な粗相を……」
黒衣に身を包み、背中に棺桶を担ぎ、眼鏡をかけたその人物は、慇懃に謝罪した。
「あっ、いえ、そんな、ご丁寧に……」
「そうだ、申し遅れました。私はしがない旅人をしております、クロと申します」
やはり、慇懃にお辞儀する。初対面の人間に対する礼儀をよくわきまえているようだ。
「えっと、ご丁寧にどうも……。私は、時空管理局で航空隊の戦技教導官を勤めています、高町なのはといいます……」
あれッと、なのは思った。相手の慇懃な態度に、どうやらつられてしまったようだ。
だが。
「時空、……管理局? 失礼ですがそれは、どのような組織なのですか?」
「えッ、ご存じ、無いんです、か」
「はあ、全く」
なので、ごく掻い摘んでクロになのははレクチャー。
「――お解りになりました?」
「……あー、まあ、なんとなく」
しかし、信じ難い顔をクロはしていた。
「でも、魔法使いって、そんなにこの世界にたくさん居ましたでしょうか……?」
「あの、クロさん、それはどういうーー」
「……そうだ、そんなことより」
「えッ、何ですか」
「幼い双子の姉妹を見ませんでしたか? 猫の耳と尻尾を持っているから、すぐに解ると思うのですが」
さっきまでの落ち着いた態度から一変して、クロは些か狼狽した表情をしていた。
そして、お互いの身の上を話し合って、――今に至る。
「……何となく、把握しちゃいました」
クロが、ぽつりと呟いた。
「ここは、どうやら、私たちの旅していた世界とは、別次元にある世界らしい」
「クロさん……」
「ありがとう、大丈夫です。それより、ニジュクとサンジュと、ヴィヴィオちゃんの安否が先でしょ? 早く見つけないと、ね」
「ッ! ――はい」
強い人だと、なのはは思った。
(あの二人も、ヴィヴィオと同じなの……)
花の絨毯の真ん中で、ヴィヴィオは愕然としていた。
自分と同じく、ニジュクとサンジュもまた、作られた生命。ということはあの二人も、
創造した人のエゴに振り回されて、もしかして今まで悲しい思いを……。
「? ヴィヴィちゃ?」
「ヴィヴィちゃん、……ないてるの?」
「えっ……」
そう言われて、ようやく自分の頬を伝う涙に気付く。
「ヴィヴィちゃ、かなしいの?」
「ヴィヴィちゃん、どうしてなくの?」
ヴィヴィオを気遣って、ニジュクとサンジュは顔を曇らせます。
「えと、これは……」
「あっ、サンジュっ!」
「なに、ニジュク?」
「もしかして、あたしたちがおおきなこえ、だしたからかな」
「……えっ?」
「……っ! そうだよニジュク、なまえがへんっていわれて、ムキになっちゃったから」
やっぱり、ぶんぶんと腕を、顔を見合わせて二人は振ります。
「えっ、えっ?」
「そうだね」
「そうだよ」
まあ、ちょっと勘違い、ですかね……。
とは言え、そう言うことで納得した二人は、
「ごめんね、ヴィヴィちゃ」
「あたしたちがわるかったの、ヴィヴィちゃん」
ぺこりと頭を下げたのでした。
そんな二人にあっけにとられたけれど、でも……、
「……ううん、ヴィヴィオだって、二人の名前が変って言っちゃたんだし、……ごめんなさい」
ヴィヴィオも、ぺこりと頭を下げた。
「……おあいこだね」
そう言ったのは、ヴィヴィオ。
「おあいこだね」
そう言ったのは、サンジュ。
「おあいこ、おあいこ♪」
そう言ったのは、ニジュク。
そして三人は、顔を見合わせて、
「「「きゃははははっっっ」」」
と、笑い転げたのでした。
支援4
「さて、と。しかし、ここって結構広いですよね?」
「ええ。歩き回って捜すのは、ちょっと骨かも」
「成る程……」
クロは、うつむき加減に呟いた。
《マスター》
「レイジングハート?」
「えっ、今の声、その首の宝石から……」
目を見開き驚くクロに、
「ええ、私のインテリジェントデバイス『レイジングハート』の声です」
そう言って、宝玉状態のRHを手に持って見せるなのは。
《驚かせて申し訳ありません、クロさん》
「あっ、いえ、……しかし、成る程」
まじまじとRHを見つめるクロを可愛いなと思いつつ、なのははRHに尋ねた。
「それで、どうしたの」
《ここから半径二百メートル以内で、クロさんとセンさんの出現時に発生したエネルギーに酷似したエネルギー発生の残照らしきものを確認しました。
ですが、完全に同時に発生したことと、その放出量があまりにも微量、及び発生後、何らかの要因で急速に拡散したらしく、場所の特定までは……》
「……そう」
《申し訳ありません》
「いや、ぜんぜん大丈夫。それだけで上出来だよ、ありがとう、レイジングハート」
《了解、マスター》
「と言うことなんですけど」
「つまり、あの二人も、取り敢えずここにいる……」
クロは、胸をなで下ろしたようだ。
「とは言え、それでも徒に歩き回るのは、効率良くないから……」
そう言って、なのはは何か唱え始め、やがて胸の辺りに桃色の光球を出現させた。
「これが、あなたの……」
「探索魔法、そのサーチャーですよ」
ちょっと得意げに言って、
「お願い、ヴィヴィオとニジュクちゃん、サンジュちゃんを捜して」
なのははサーチャーを解き放った。
「さて、これで捜しやすくなったかな」
「でも、……もう少し、捜しやすくした方が良いかもな」
「えっ、それって……」
「何、より多角的に捜す方が、更に効率が良いって事です」
そう言って、クロはセンの拘束をようやく解いた。
「と言うことだ、セン」
「何が、『と言うこと』なんだよッッ!!」
「今の自分の状況、……解ってるよね」
「……しょーがねぇ、まあ、何時ものことだしな」
「宜しい。では、頼む」
クロは、背負っていた棺桶を近くの樹にゴトリと立てかけた。
「はいはい、了解しました。――あっ、なのはちゃん」
「えっ、何ですか?」
「まあ大丈夫だと思うけど、……驚かないでね」
「? どういうことですか?」
センの言ったことを理解できないなのはに、クロは、
「こういう事」
と言って、棺桶の蓋を開けた。
「……えええええええええっっっっっっ!!!!!!」
流石のエース・オブ・エース(または自主規制)も、流石に素っ頓狂な声を上げてしまった。
無理もない。
棺桶から夥しい数のコウモリが飛び出してくれば、どんな人間でも身じろぐくらいはしてしまうだろう。
その数、九百九十九匹。
バサバサバサバサバサバザハサバサ……。
喧しい羽音を響かせて、飛び立っていく……。
そしてセンも、
「そんじゃ、行ってくる」
「頼んだよ」
「ああ」
飛び立っていった。
「……あの、クロさん」
「はい」
「その棺桶、どんな仕掛けがあるんですか」
「いえ、これと言って、特に」
「武器とか、仕込んでませんよね?」
「いや、流石にそれは……」
四方に散らばって行くコウモリ達を、呆然と眺めつつ質問したなのはに、頭をかいて答えるクロ。
「これで、あの子達があの時みたいに花火を打ち上げてくれれば……」
ぽつりとクロが呟いた言葉に、
「ゑッ! 何ですか、それッ!」
あからさまに狼狽する、なのは。
「えっ、いや、自分たちの居場所を教えるための信号弾代わりに花火を渡してて……何か、不味いことでも?」
「ここ、……自然公園内なんです」
「はぁ」
「火遊び、厳禁なんです」
「はぁ」
「やっちゃうと、管理人の人に怒られて、お財布が少し寒くなるくらいの、罰金取られちゃうんですッ!」
「……成る程」
そして、なのはとクロは、
((使わないでちょうだいね(おくれよ)……))
と、願ったのだった。
さて、その頃のヴィヴィオとニジュクとサンジュは。
「これ、……花火、なの?」
「だったかな?」
「まえにつかったとき、そういわれたかも」
「いわれたかも」
エプロンドレスをたくし上げ、その下につるしていた円筒を、猫耳の双子はヴィヴィオに見せました。導火線らしきものが着いてます。
「これ、……何に使うの?」
「うんとね、クロちゃが『みちにまよったときにつかいなさい』って、ゆってたの」
「まえにクロちゃんとセンとはぐれたとき、つかったの」
「おいちゃに、クロちゃのおてがみよんでもらったの」
「それで、おはなをきいろくしたの」
「きいろにしなさいっていわれたから、きいろにしたの」
「それで、そらに、おっきいきいろいおはながさいたの」
「おっきいおとして、びっくりしたの」
「びっくりしたの」
「でも、ちょっとしたらセン、むかえにきてくれた」
「だから、つかいたいの」
「ふぅん……」
ヴィヴィオは、いまいち双子のいうことが解りません。
「えと、つまり、この花火を使えば、センって人が迎えに来てくれるんだよね」
「セン、ひとちがうよ」
「セン、コウモリだよ」
「……そっ、そっか」
やっぱり、ヴィヴィオにはいろいろと理解できないようです。
「とっ、とにかく、これを使えば、……ママも解ってくれるかな」
「だいじょぶ」
「きっときてくれるの」
「……うん、わかった。その『クロちゃんのおてがみ』、見せて」
「よめるの?」
「わかるの?」
「学校通ってるもん。大丈夫だよ」
そして、ニジュクから、その手紙をヴィヴィオは受け取りました。
「……読めない」
「なんで?」
「おじちゃん、よめたよ?」
「だって、学校で習ってないっていうか、見たこと無い文字だし……」
「みたことないの?」
「つかえないの?」
「うーん……」
手紙とにらめっこをしているヴィヴィオ。 その様子に、流石に不安になる、ニジュクとサンジュです。
「クロちゃにあえないの?」
「クロちゃん、きてくれないの?」
「ママ……」
そんな時でした。
「君たち、こんな所で何しているのかな」
おじさんの声がします。優しそうな声です。
でも、突然話しかけられて、三人はびっくりしました。
「「「うわあっっっ!!!」」」
「おっとと、……いや、ゴメンゴメン、びっくりさせてしまったようだね」
三人の視線の先には、おさまりの悪い髪を、申し訳なさそうに掻いている、
しかし優しく微笑んでいるおじさんが立っています。
「おや、それは打ち上げ花火かい? 駄目だよ、君たちだけでやろうとしては。そう言うのは大人の人にやってもらわないとね。
まあ、そもそもここは自然公園だから、花火で遊ぶのは駄目なんだけど……」
ニジュクとサンジュは、ポカンとしてます。
ヴィヴィオも最初はそうでした。でも。
「おじさん……」
ヴィヴィオは知っています。
「えっ?」
「ヴィヴィちゃ?」
ママの知り合いです、知ってますとも。
「『魔術師』のおじさんッ! こんにちはッ!」
「いや、だから私はリンカーコアなんて無いから、……おや、よく見ればヴィヴィオじゃないか。
なのはママは、一緒じゃないのかい。……そう言えばこの子達は、君の友達かい?」
「えっと、ついさっき合って……」
「ニジュク」
「サンジュ」
飛び跳ねるように名乗ります。
「へぇ、名前が言えるのか、おりこうだね」
そう言って『魔術師のおじさん』は、二人の頭を優しくなでてくれました。
「えへへ、あたしたちなのった」
「こんどは、おじちゃんのばん」
「うん? ……ああ、そうだね、私は――」
その時です。
「――二匹に手ぇ出すなや、この変態ロリコン野郎ぉーーーーーおおおおおおッッッッッ!!!!!」
真っ黒い大群が、叫び声と共におじさんに突撃してきます。
「えっ、うわっ、……ぷッ!」
そして、瞬く間に『魔術師のおじさん』は、コウモリ達に押しつぶされたのでした。
支援5
「こっちで良いんだろうな、セン」
「ああ、間違いないぜ」
「ヴィヴィオ……」
センの報告を受けて、クロとなのはは、現場に走った。
そして、件の草原に到着。
「ヴィヴィオッ!」
「ママぁっ!」
見つけるやいなや、娘は母に飛びつき、母は娘の頭を優しくなでた。
「もう、勝手に離れたら駄目じゃない」
「ごめんなさい……」
「でも、無事で良かった……」
母は、娘を優しく抱きしめた。
「……」
ヴィヴィオは、ただ、なのはママの暖かさにニコニコとしていました。
「ニジュク、サンジュ」
「クロちゃ……」
「クロちゃん……」
クロは何も言わず、猫耳の双子を抱きしめた。強く抱きしめた。
「クロちゃ、いたいの」
「クロちゃん、いたいよ」
でも、不思議と、二人には不快な痛みではありませんでした。
「心配、したんだぞ」
「「……」」
「でも、無事で良かった、本当に……」
かすかに、クロは鼻をすすったようでした。
「ごめんね、クロちゃ」
「ごめんね、クロちゃん」
クロはただ、何も言わずに二人を抱きしめたのでした。
やべぇ、コマ単位で想像できてしまうwww
さて、各々が再会の喜びに浸った後。
「で、この下に?」
「ああ。あの一人と二匹襲おうとした変態野郎がいるぜ」
クロとセンの視線の先に、コウモリ達で築かれた黒山があった。
「全く、俺があいつ等見つけるのが少しでも遅れたら、どうなってたことか……」
センは、腕(?)を組み、得意げに言った。
「ねぇ、ママ」
「何、ヴィヴィオ」
「あのコウモリさん達の下にいるの、『魔術師のおじさん』だよ」
何気ない娘の一言に、
「……ゑッ!」
なのはの顔は、凍り付いた。。
確かに、魔術師・魔導師の類はいくらでもいるが、
敢えて『魔術師』と直接に比喩または揶揄される人物は、ミッドチルダといえど『あの人』しかいないッ!
「センさんッ! 早くそのコウモリさん達、どけてッッ!!」
「どッ、どうしたのなのはちゃん、急に取り乱したりなんか……」
「良いからッッ!! 早くッッッ!!!」
「うッ、わ、解ったよ……」
なのはの勢いに押され、渋々コウモリ達をどけるセン。
「はい、これで……」
なのはにタックルをかまされて、
「あーれー……」
センは遠いお空の星となった。
「大丈夫ですかッ、提督ッッ!!」
突っ伏していた『魔術師』を抱き上げ、彼の体についた草の葉を払いながら、尋ねた。
「……いやぁ、突然だったからびっくりしたけど、何とか大丈夫だよ。すまない、なのは」
何故か申し訳なさそうに頭を掻きながら、『魔術師』――ヤン・ウェンリーは苦笑していた。
\(^o^)/
な、なんだってええええええ
393 :
旅ゆく人:2008/01/04(金) 00:02:05 ID:HSOMdG7A
さて、ここで第一章を区切るといたしましょう。
実はもうちょっとだけ続くんじゃよ by,亀仙人
続きは一時くらいに再投下と言うことでよいでしょうか。
でないと、次の人が投下できなくなってしまいますので。
では次の方、どうぞ。
ちょwなんでお前がいるんだw支援
なっ、なんだってー}ΩΩΩΩ
まじで、なんでヤン提督・・・
397 :
旅ゆく人:2008/01/04(金) 00:04:23 ID:A2luNhv7
うん、ぶっちゃけ、出してみたかったんだ、すまない(AAry
そして、支援。
それでは失礼して、投下させて頂きます。
今回、ついに「あの人」が出ます。
魔法少女フルメタなのは
第四話「wake from death」
宗介達の歓迎会からしばらく経ったある日。
フォワードメンバーの訓練が一区切りついたという事で、その日は丸一日の休日となった。
スバル・ティアナ・クルツはバイクで、エリオとキャロはモノレールで町へ向かうらしい。
ちなみに宗介は隊舎の近くで釣りをする為、一人出かけずに残った。
釣糸を垂らし、間に読書していると、スバル達からの通信が入る。
「相良さ〜ん、そっちはどうですか〜?」
「問題ない。ここはなかなか良い場所だ。すでに何匹か釣り上げた。」
「オメーも一人じしむさい事してねーで、一緒に来りゃ良かったのによ。」
「特に用事も無かったし、読みたい本もあったのでな。休みの日はやはり釣りか読書に限る。」
「ほんっとにオメーはじじむさいな…他に何かねーのかよ?」
「まぁいいじゃないですか。相良さん、帰る時にお土産買っていきますけど、何か欲しい物とかあります?」
「いや、特に希望はない。」
「じゃあ何か見繕って買っていきますね。それじゃ、また後で。」
「ああ。」
そして通信は切れた。
「平和だな…」
宗介は何気なく呟く。
元の世界で紛争や革命の火消し役として世界中を飛び回っていた宗介にとって、今こうして静かに過ごす時間は極めて貴重なものだった。
穏やかで何もない日が無い訳ではなかった、多忙で命懸けの日々と比べれば、それは束の間の休みにしか過ぎず、それ故宗介は一人静かに過ごせる時はこうして釣りと読書を行い、短い時間をより充実させているのだ。
しばらく釣りを楽しんでいた宗介はふと元の世界の事を思い出す。
(大佐殿…息災でいるだろうか。帰ったら怒らせた事を謝らなくては…
カリーニン少佐…あのボルシチの味も今では懐かしいな。…二度と食う気はないが。
マオ…帰ったらまたどやし付けられるな。それで帰還祝いでまた朝まで酒盛りだろうな…)
そして、やはり思い出すのは…
(千鳥、今君はどうしているだろう…)
宗介の大切な女性、千鳥かなめの事だった。
だが、かなめの事を思い返す宗介の表情は暗かった。
はやては元の世界を探してくれると言ったが、管理局も把握しきれていない無数の世界の中から、特定の世界を探すというのは容易な事ではなく、長い時間を要するのは確実だったからだ。
(千鳥、俺は…)
宗介はそんな落ち込んでいる自分に気付き、浮かんできた不安を払拭する。
(何を考えているんだ、俺は。結果も出ていないのに諦めるのは早過ぎる。)
宗介は空を見上げ、心に新たに誓う。
(待っててくれ千鳥。俺は必ず、君の元に…)
そこまで考えた宗介に、はやてからの緊急通信が入った。
曰く、エリオ達が町中でレリックとそのケースを運んでいた女の子を発見、ガジェットの襲撃の恐れがある為、宗介も応援に向かって欲しいとの事。
「なのはちゃん達ヘリで現場に向かわせるから、相良君もそれに同行してや。」
「了解しました。」
十分後、宗介達を乗せたヘリが六課から飛び立った。
ミッドチルダから遠く離れた山岳地帯。
その地下深くに、狂気の天才科学者ジェイル・スカリエッティのアジトはあった。
「ガジェット、及び“新型”は間もなく準備が完了します。」
戦闘機人ナンバー1、ウーノが報告する。
「そうかね。クアットロ達はどうしたかな?」
「そちらも問題ありません。ルーテシアお嬢様も予定の位置で待機されています。」
それを聞き、スカリエッティは不敵な笑みを浮かべる。
「フッフッフッ、よし、後は聖王の器をこの手に…」
その時、二人のいる部屋の扉が開き、一人の男が入って来た。
「ようドクター、随分とご機嫌だな。」
スカリエッティは自分に呼び掛けてきたその男を振り返る。
「やあ君かい。まぁ少しね。それで、私に何か用かね?」
「ああ、デバイスも新しい身体も問題はねぇんだが、訓練室で鉄屑と遊ぶのも飽きてな。暇潰しになる事はねぇかと思ってな。」
スカリエッティの作品を遠慮なく鉄屑と呼ぶその男をウーノは睨み付けるが、男は何処吹く風だ。
「そうだね…丁度今ナンバーズが作戦で町に出ているんだが、それの応援に行ってくれないかい?管理局も気付いてるだろうしね。」
「OKだ。ところで、管理局とやらの人間は殺していいんだな?」
「構わないよ。我々の計画が成就する為の尊い犠牲さ。
転送魔法陣の準備はしておくから、早速向かってくれたまえ。」
「クックックッ、あいよドクター。」
男はそのまま扉から出て行く。
男が出て行った後、ウーノはスカリエッティに話しかける。
「ドクター、何故あんな男をここに置いているんですか?」
「彼の戦闘力には目を見張るものがある。下手すればナンバーズも敵わない位にね。
何より、私と彼は様々な所で共通している“友人”だ。追い出す理由はないよ。」
「あの男は危険です!放っておけば我々に危害を…」
「狂人の考えは狂人が一番分かるのだよ。今すぐ彼が裏切る事はないし、危険な時は相応の処置をするさ。
それより今は作戦が第一だ。集中したまえよ、ウーノ。」
「…分かりました。」
作業に戻るウーノ。
「ククッ、さあ、全ての始まりだ!」
ミッドチルダ都市部。
「来ました!地下と海上にガジェット、それと地上に…アンノウン多数!」
シャーリーが報告する。
「アンノウン?ガジェットの新型って事?」
「いえ、それとはまた別系統のような…とにかく画面に出します。」
そして目の前に表れた映像には、宗介達にとって見慣れた物が映っていた。
「〈サベージ〉!?」
カエルの様な頭部、ずんぐりした胴体は、正しく見慣れた旧型ASそのものだった。
「相良さん、知ってるんですか?」
「俺達の世界の二足歩行兵器だ。元の物よりは小さいが…何故あれがここに?」
「考えるのは後だよ。私達は海上の敵を殲滅するから、スバル達は地下、相良君達は地上をお願い!」
「了解!」(×7)
それぞれの持ち場へ移動する隊員達。
ふっ。 血がみられるぜ。
やっぱりカシム君大好きなあの男なのか?支援
デバイスを起動し、やって来る敵を待構えている宗介達は、その合間にスバルの言う人造魔道士についての話を聞いていた。
「聞けば聞く程胸クソ悪くなる話だな。えげつねえ事しやがるぜ。」
「同感だな。」
「しかし何でその人造魔道士とやらがレリックを…っと宗介、お客さんだぜ。」
宗介が前方を注視すると、二十機程の〈サベージ〉が接近していた。
「ロングアーチ、こちらウルズ7。敵機とエンゲージ、攻撃を開始する。」
『ロングアーチ了解。ウルズ6、ウルズ7は敵機を迎撃して下さい。』
「ウルズ7了解。」
「ウルズ6了解だ。さ〜て、おっ始めるぜ!」
掛け声を上げ、魔力弾を発射するクルツ。
しかし弾丸は当たる直前で、サベージの発したAMFによってかき消される。
「チッ、AMFを積んでやがったか。そんなら…M9、弾種変更、多重弾殻弾だ。」
『了解。多重弾殻弾』
カートリッジが排出され、ライフルの銃口に多重弾殻弾が精製される。
「食らいなカエル野郎。」
放たれた銃弾はAMFの壁を貫き、見事サベージの胸に命中する。
だが今度は分厚い装甲が貫通を阻み、サベージはすぐに動き始めた。
「クソッタレ、ガジェットより手強いな。
おいソースケ、こいつら以外と…」
宗介に念話で話しかけたクルツは、ラムダ・ドライバを発動した宗介がいとも容易くサベージを破壊する場面を見た。
「こちらは問題ない。そっちはどうだクルツ?」「…あーそーだな、コイツ反則技持ってたんだったな…」
「クルツ?」
「何でもねーよ、早いトコこいつらを潰すぞ!」
「了解だ。」
通信が切れた後、クルツはぼやく。
「ったく、全部テメーらのせいだ…吹きとべこの鉄ガエル!」
イライラをサベージにぶつけるクルツだった。
ミッドチルダ海上。
ここでは現在なのはとフェイトが、幻術と混合した敵の増援に苦戦を強いられていた。
「防衛ラインを割られない自信はあるけど、このままじゃ…」
「埒が明かないね…こうなったら限定解除で…」
そんな二人に、はやてからの通信が入る。
「それは却下や、なのはちゃん。」
「はやてちゃん?」
「二人ともそこから離れてや、今から広域魔法攻撃をするで!」
支援。
「M9の特殊魔法“妖精の目”の効果と、なのはちゃん達のデバイスをリンクさせりゃ幻影が分かる筈だぜ。」
「そんな事可能なん?」
「今やる所さ。M9。」
『了解。データリンク開始、“妖精の目”を各デバイスに伝達します。』
約十秒後、レイジングハートとバルディッシュに妖精の目の効果が表れた。
「…見える、実体が見えるよ!」
「これならいける、なのは!」
「うん!いっくよー!」
ガジェットの群れに突っ込み、次々に破壊する二人。
「クルツ君、大きに!後で何かお礼するで!」
「マジで!?それじゃあはやてちゃんのキッスを…ダメ?」
「うーん、口はNGやけど、頬にならしてあげてもええよ。」
「うおおおっしゃあああああーーーー!!!」
狂喜するクルツ。欲望に忠実な男であった。
廃棄都市のビルの屋上。
そこで二人の戦闘機人が海上の戦闘を見ていた。
「幻術がばれたみたいだね。」
「そんな、嘘でしょ!?私のシルバーカーテンがもう見破られたっていうの!?」
「多分、あっちに幻影を判別する技術か術者がいるんだよ。」
クアットロとディエチがそれぞれ言う。
「仕方ないわね。ディエチちゃん、ガジェットしが全滅する前にヘリを砲撃よん。」
「それはいいけど、マテリアルまで撃っちゃって大丈夫なの?」
「あれが本当に聖王の器なら、砲撃くらいじゃ壊れないわ。いいから早くして。」
「分かった。IS発動、ヘヴィバレル。」
イメーノスカノンを構え、エネルギーチャージを行うディエチ。
ズドン!
「これで終わりか。」
二十機目のサベージを屠った宗介は、周囲を警戒しつつマガジンを交換する。
「アル、辺りに敵の反応は?」
『今の所はありません。ですが、遠方のビルの屋上に高エネルギー反応を確認。味方のシグナルではありません。』
「何!?」
その時ロングアーチから、現状では最悪の通信が入る。
「ロングアーチより各位、廃棄区画のビルの上に砲撃チャージを確認!目標はおそらく輸送ヘリ!」
(分隊長達はまだ海上、間に合わない…!)
そう判断した宗介は、アルに命令を下す。
支援
sienn
「アル、緊急展開ブースター!」
『了解。緊急展開ブースター作動』
宗介の背中に巨大な魔力の翼が広がり、同時に表れたブースターが火を吹き出す。
これは魔力を著しく消耗する代わりに、通常の飛行魔法より遥かに高速で飛行出来るという魔法である。
尚、AS時は戦闘機の様に飛び続けるだけだったが、アルがデバイス化した際にヘリの様にホバリングする機能が追加されている。
宗介が飛び立つと同時にディエチの砲撃も発射され、宗介とヘヴィバレルのエネルギーはほぼ同じスピードでヘリに向かう。
(間に合え!!)
タッチの差でヘリに辿り着いた宗介はラムダ・ドライバを全開にし、砲撃を真正面から受け止める。
「おおおおおお!!」
砲撃と精神力の壁がぶつかりあい、辺り一面に閃光が走る。
閃光が止んだ時、そこには肩で息をしている宗介がいた。
「ロングアーチ、こちらウルズ7、ヘリは守りきったぞ。」
「相良さん!」
大喜びで答えるシャーリー。
「これより砲撃地点に向かい、犯人を確保する。
「あらら〜って、あの能力って…」
「あの男と…同じ?」
「マズいわ、ディエチちゃん引き上げるわよ。」だが退却しようとする二人の足下に、魔力弾が弾痕を作る。
「っ!?」
「スナイパー!?」
「おいたをする悪い娘は逃さないぜ。
宗介、足止めはしとくから、早いとこ確保しろ。」
「了解だ。」
宗介はクアットロ達のいるビルに到着し、腰からショットガン“ボクサー”を引き抜いて言った。
「管理局機動六課だ。お前達を拘束する。」
だが宗介は不意に殺気を感じ取り、反射的にその場から飛び退いた。
ズガガガガガガガガ!!
銃声が響き、たった今まで自分の立っていた場所が穴だらけになる。
「よお〜久しぶりだなぁカシムゥ。」
そして宗介は声のした方向を見た瞬間、息をするのも忘れた。
「まさかこの世界でもお前と出会うとはなぁ。運命ってやつを感じねぇか、カシム?」
「何故だ…何故お前がここにいるんだ…」
「おいおい、もっと気の利いた事は言えねえのかよ、感動の再会なんだぜ?」
「何故生きているんだ、ガウルン!!!」
そこにいたのは、宗介が完全にトドメを刺した筈の仇敵、最凶のテロリストガウルンだった。
続く
以上です。
えー、そんなわけ(?)で、ガウルン登場です。
生きている理由はまた後程…
お知らせ
ガウルンファンの皆様ごめんなさい。
せっかくガウルン出したのですが、次回は以前にも言った番外編を投下するつもりです。
まだ不確定ですが、クルツが主役の話を書く予定です。期待してて下さい。
それでは、また。
410 :
旅ゆく人:2008/01/04(金) 00:51:50 ID:A2luNhv7
>>409 おつかれさまでしたー。
フルメタ、実は余りよく知らないので何とも…… orz
でも、いつもたのしませてもらってたり。
で、そろそろ、おKでせうか?
支援
「――どうも、私の連れが知らぬ事とはいえ、なのはさんのお知り合いの方に、大変な粗相を……」
クロは慇懃に頭を下げ、ヤンに謝罪した。
「いや、あの状況なら、そのような誤解を受けても仕様がないだろうし」
「でも……」
「クロさん」
「はい」
「過ぎたことさ、水に流そう。それに」
ヤンは目の前で棺桶を担いで佇むクロ、ヴィヴィオときゃいきゃいとはしゃいでいるニジュクとサンジュ、そして、
「てるてる坊主、てるぼうず……」
また簀巻きにされて枝に吊されているセンを見て、
「君たちのこれからを、考えなくてはね」
そう言った。
「ヤンさん……」
「私も、別次元からの転移組なんでね」
「ッ! そうでしたか……」
「とは言え、事情はかなり違っているのだけど」
ヤンは苦笑して、後頭部を掻き回す。
「でも、気持ちは解らなくもないんだ」
「……恐れ入ります」
そして、ヤンはなのはに顔を向けると、
「と言うことで、なのは、彼らのことをほんの二、三日、君の家であずかってもらえないかな」
唐突な、お願いだった。
「……えッ、でも」
「君の言いたいことも、もちろん解る。けどね」
ヤンが言葉を続けようとした時、
「ねぇママ、見て見て♪」
ヴィヴィオが嬉しそうに駆けてきます。
「ヴィヴィオ、今大事なおはな、し、……えええッッッ!!!」
娘の姿に素っ頓狂な声を上げたなのは。
「ちょっと、何て……」
言葉が続かない。
「おおッ、これはまた……」
苦笑しつつ、やはり驚きを隠せないヤン。
それもそうです。今のヴィヴィオは色とりどりのまだら模様。全くサイケデリックな現代アートそのもの。
クロ以外の大人が絶句するのを横目に、ヴィヴィオはニコニコ顔。
「えっとね、ニジュクとサンジュ、すごいんだよ。色んなお花や木から色を分けてもらってね、ヴィヴィオに着けてくれたんだよ♪」
「へえ、綺麗なものだね」
平然とした口調で、しかし微笑みながらクロは言いました。
「えへへ」
ヴィヴィオは得意顔です。
「あの子達は、指先から色々なものの色を吸い上げて、それを他のものに移し替えることが出来るんですよ」
事もなさげに、クロはなのはとヤンに説明した。
「大丈夫、タオルで拭いたり、服を絞ったりすれば簡単に落ちますから」
「それって、魔法、ですか?」
なのはの問いかけに、
「さあ、どうなんでしょうね……」
また、あの双子に駆け寄ろうとしているヴィヴィオを見ながら、クロは言った。
「成る程、これでは尚更、無条件で管理局の保護を受けさせられないな」
ヤンは言った。
支援。
「提督?」
「なのはも見ただろう、あの子達のあの能力」
「はい」
「クロさん、あの子達には、まだ」
「ええ、まあ、まだいくつか力が」
「だそうだよ、なのは」
些か厳しい表情になる、ヤン。
「私は、あの子達を、魔導研究の材料として、供するようなマネはしたくない」
「提督……」
「あの子達は、生きているんだ。解るね」
「……はい」
「それでなくとも、彼らはこちらに来て日が浅いなんてものじゃなく、あまりに突然来訪したんだ。心の整理が必要だ。だから」
また、三人のきゃいきゃいとはしゃぐ様子を見て、いつもの柔和な顔に戻り、
「私の我が儘、聞いてくれないかな」
ヤンは言った。
「少なくとも、彼らが最も心を開ける存在は、現時点では君たち以外にいないのだからね」
その言葉に、なのははクロを見る。
顔は平然としていたが、その眼は、一抹の不安を隠しきれない様子だった。
「――了解しました、ヤン提督」
「なのはさん?」
「そうか。すまない」
「いえ、提督の仰ることも理解できますし、それに」
三人のはしゃぐ子供達を見て、
「あの子達を一緒になって捜した仲ですし」
「なのはさん……」
なのはは、クロに無言で頷いた。
「解った。では、君には彼らのことを宜しく頼むとして、後の書類やら交渉やらは私の方でやっておくよ」
「えっ、でも」
「いや、これは飽くまでも私の我が儘なのだから、そう言った一切の面倒な事は、
私がやるのが礼儀だよ。違うかい、なのは?」
と言いつつヤンは、
「でも、実際の所、面倒くさいけどね」
肩をすくめて笑った。
その様子に、
「もうッ、提督ったら」
「全く……」
二人はくすくすと笑った。
そんな三人の間を、優しく風が吹き抜ける。
「さて、人を待たせてるのでね、そろそろ私は行くよ」
「ヤンさん」
「なんだい、クロさん」
「本当に何から何まで、ありがとうございます」
頭を下げるクロ。そこには慇懃さはなく、真摯さのみがあった。
「困った時はお互い様さ、それじゃあ」
そう言って背を向け、ヤンは歩き出した。
そして、二人に聞こえるように、独り言。
「全くね。本当だったら、本日の休暇は無限書庫で、久々に優雅に読書を嗜むはずだったんだ」
ベージュのスラックスのポケットに手を入れて、歩く。
「そうしたらね、今駐車場で待っている奴が、『最高のブーメランが出来たから見てくれ』と来たもんだ」
子供達に向かって、歩く。
「そして、無理矢理私は、ここに連れてこられた」
ニジュクとサンジュの目の前で足を止め、空を見上げる。
その場にいた者達は、つられて見上げた。
ぽつりぽつりと雲の浮かぶ蒼空を、一筋の飛行機雲が切り裂いていた。かすかにキーンと音を立てながら。
「でも」
そして、双子の前にしゃがみ込み、
「君たちと出会えたこと、それには感謝しないといけないね」
微笑んで二人の頭を優しくなでた。
「おいちゃ、いっちゃうの」
「おじちゃん、もうあえないの」
二人とも、寂しそうです。
「うん、私も色々と忙しくてね」
ヤン提督も、寂しそう。
「でも、君たちが元気に、良い子にしていれば、会えるかも知れない」
「ほんとに?」
「ああ」
「ほんとうに?」
「もちろん」
提督は二人の頭をまたなでました。
「『魔術師』のおじさん……」
いつの間にか、ヴィヴィオも傍にいました。
その頭も、提督は優しくなでます。
「おじさんの歴史のお話、とても面白いから、今日も聞きたかったのに……」
「ごめん、それはまた今度だ」
そして、
「でも、その時は名前で呼んでもらえると、嬉しいかな」
そう言って、また歩き出しました。
「おいちゃ、ばいばい」
「おじちゃん、またね」
「おじさん、絶対だよ」
三人に振り向いて、ヤン提督は手を振り、そして、森の中に消えていきました。
提督カッコヨスwwww
「いい人ですね」
「管理局でも、あの人を悪く言う人は少ないですよ」
「でも……」
何か言いかけて、クロは頭を振った。
「いえ、何でもないです」
「クロさん?」
「それより、なのはさん」
「はい」
「本当に、お世話になっても、良いのでしょうか……?」
遠慮がちに、クロは尋ねる。
「何しろ、私たちは……」
「はい、そこまで」
何かを言いかけたクロを、手でなのはは制す。
「なのはさん?」
「確かに、ヤン提督のお願いだから、ッていうのもあります」
「はぁ……」
「でもね」
なのはは、まだきゃいきゃいと転げ回っている子供達を見た。
「せっかく、出会ったんですから。運命のいたずらかも知れないけど、私達、出会えたんですから」
そして、クロをまじまじと見つめ、
「もっと、お互いのこと、知りたくないですか」
そんななのはを、ただ無言で見つめるクロ。
「だから、お世話させて下さい」
にっこりと微笑んだなのは。
「これは、提督の我が儘でもあるけど、私の我が儘でもあります、えへへ」
屈託のない、笑顔。
嗚呼、とクロは思った。
この人になら、と思った。
そして、
「こちらこそ、申し訳ありませんが、宜しく、お世話になります」
深々と、頭を下げたのだった。
かくして、二つの世界は交わった。
しかし、何時かは別れの時が来ます。
だが、それが何時来るのかは、誰も未だ知らず。
だが、それが旅を続けるということです。
であるなら、彼らの別れは如何なる物になるのか。
だから私は、この一期一会は、きっと、幸せなものになると信じたいのです。
『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』
第一章・了
「あのう、……俺、何時までてるてる坊主やらなきゃいけない訳?
て言うか、俺、ここでもこんな扱い?」
まあ、当然じゃないですか?
まぁ、センだし?w
GJでした
……HAHAHA、クオリティが高いってレベルじゃねーぞ!orz
うちもこれからの彼等の旅路(展開)が幸せな物になる事を祈っておきます
とにかく、GJでした
421 :
旅ゆく人:2008/01/04(金) 01:19:07 ID:A2luNhv7
さて、第一章シューりょー……。
正月、東京のホテルの一室でしこしこ書いてた甲斐があった……。
で、何故ヤン提督が、とお思いのあなたへ。
私がファンだから、てか、信者?だから。
実は、本当は、銀英伝のクロス話書いてみたかったんですが、
まだ、色々とこねくり回してる最中というか、なんというか。
で、そんな時に『クロ。』のクロス話書きたくなって、……てな訳です。
実は『クロ。』、ファンになってまだ日が浅いんですがね orz
で、どうしても提督出したかったし、何か、出しても違和感ないような気がして……。
出演していただいた次第でw
銀英伝のクロスもよみたいぞコノヤロー
423 :
旅ゆく人:2008/01/04(金) 01:24:59 ID:A2luNhv7
そんなわけで、実は、前回からそれとなく臭わせてた単語があったのですが、
……ちょっと、解りにくかったかなw
そういう遊びが、私、好きなものでw
後で読み返して、捜してみても良いかもねw
では、明日は臨出なので、ここまで。
第二章では他の『なのは』キャラも出す予定です……。
仕事忙しいですが、何とか、今月中には!!
でわ ノシ
追伸 実は、もう一作品、別のキャラを偲ばせてたの、……解るかなw
424 :
旅ゆく人:2008/01/04(金) 01:28:00 ID:A2luNhv7
追伸の追伸
皆さん、私のつたないクロス話に対する、暖かな支援と、
励ましのお言葉、感謝の極みであります。
それでは、今度こそ ノシ
GJ!!このほのぼの感素晴らしいです。
銀英伝はよく知りませんが、ヤンさんが物凄い策士なのは知ってます。
訓練用GDで新人とか倒せるかな?
GJ!
やべwwwロリコン扱いされたヤン提督の出現に右脇腹の浪漫回路がギュルギュル回りだしたwww
これからの展開がマジ楽しみだ!
あと、ヤンの言うブーメランの人って……んで直後の飛行機雲の描写……まさか!?
某異世界空軍の、自作のブーメランで死にそうになった少佐ですか?
部下の機体に自ら漢字のペイント(凄い達筆)をした?
わざわざヤンを引っ張り出すアグレッシブさは、基本根暗な主人公の中尉には無いだろうしw
でもOVAの最後の状況から、ヤンと同じく来ててもおかしくはないなぁw
提督かよっ!
……凄い、ブーメラン……風雲拳だっけ?
ブーメランの人ってあれか?ブッカー少佐か?
やべぇ気にいっちゃったよこれ。
俺も彼らの旅路が幸せなものになる事を祈ろう。
風雲拳。
それは実戦空手道とブーメランと魔法を(ry
うおおおおおおおおおおー!!
新話完成。
五分後投下します。
ブーメラン・・・黒いブーメラン持つミッド最強のスバルのお兄ちゃんか?
>>409 GJ!
宗介たちによる6課への戦術指導はまだですか?特にはやて。
【レッドドラゴンサイド】二話「潰せ、敵アジト!全次元の平和のために!!」Bパート
「うわああああああ〜!!」
「ウェンディ!…変…身!」
龍は空中で変身ポーズを取り、ヴェイトに変身、そしてウェンディをキャッチし、近くの森に着陸した。
【森】
「…大丈夫か?」
「いたた…何とか…」
ウェンディはヴェイトの腕から降りる。
「ありがとっス!でも…ボードが…」
「歩くしか…無いか…」
ヴェイトは龍の姿に戻り、ポケットからコンパスを取り出す。
「磁石は利くな…こういうのは拓哉の方が得意だが、文句は言っていられん。行くぞ。」
「うぃっす!」
二人はコンパスの方角を頼りに歩き出す。
「情報によれば、この山に登った登山者が何人も姿を消しているらしい。おそらくAAMONは登山者を奴隷や披見体として捕らえている。
囚われた人間の解放はお前に任せるが、良いか?」
「どんと来いっス!ボードは無くても、今日龍にみっっっちり教えてもらった柔術でがんばるっス!」
「任せるぞ。」
「それと、一つ質問良いスか?」
「ああ。」
「さっき言ってた「拓哉」って、誰なんスか?」
「俺のたった一人の友人だ。」
「たった一人?」
ウェンディは目を丸くしながら龍の顔を覗き込む。
「一人だけスか?」
「ああ。」
「他にいないんスか?」
「ああ。」
「ありまー…龍は暗いから友達が一人もいないんスよ!もっと明るく!」
「余計なお世話だ。」
「うう…じゃあ、あたしが龍の友達第2号になるっス!これで友達が二人っス!」
「そうだな。」
「あらら…もっと喜んで欲しかったっス…」
「すまんな。喜んでるようにみえなくて。」
「…喜んでるんスか?」
「多少。」
「おお!そりゃ良かったっス!じゃあ友達3号は、ノーヴェで決まりっスね!」
「あいつは…嫌がりそうだな。」
「素直じゃないだけっスよ。心の中ではノーヴェは目標ができて喜んでると思うっス。」
「どうだかな…」
二人はそんな会話を続けながら森の中を進んでいった…
【ヘルマウンテン頂上 AAMONアジト前】
「着いたぞ。」
「うん。」
二時間ほど山を登り、洞窟に似せたアジトの前に到着する。
既に二人は見張り二人を倒し、服を奪っていた。
「この服嫌っス…」
「我慢しろ。」
二人は戦闘員に変装し、アジトへ潜入した。
【AAMONアジト内部】
「確認するぞ。」
龍は小型電子デバイスを取り出し、電子マップを開く。
「牢獄は地下にある。おそらく人質はそこにいるだろう。このデバイスをお前に渡すからお前は地下の人質を救出しろ。」
「龍はどうするんスか?」
「俺は司令室に行く。どうやらこのアジトに大幹部がいるらしい。俺はそいつを討つ。」
「了解っス!」
二人は二手に分かれ、目的地に向かう。
【司令室】
龍は暗記したマップの内容を頼りに司令室にたどり着く。
そこは奇妙な装飾が施してある不気味な場所だった。
「ケケーン!!集まったな!」
そこにノロイワシが現れ、集まっていた戦闘員達は跪き、龍も動きに合わせて跪く。
「お前達の今後の行動を、キバ男爵様が直々にお教えになる!キバ男爵様!」
ノロイワシがキバ男爵の名を呼ぶと同時に、怪しい太鼓の音が指令室内に響き、不気味な雰囲気を持った大幹部、キバ男爵が姿を現した。
「(キバ男爵…あれがインターポールの佐久間さんが言っていた、デストロン大幹部の一人か…)」
「ふふふふふふ…諸君、よく集まった…これより全軍に、この世界の陸士部隊支部を総攻撃させる!ノロイワシ!貴様が指揮を執れ!」
「ハハ!」
「だが…その前にやることがある…!」
キバ男爵は牙型の杖を龍が変装した戦闘員の喉元に突きつける。
「!?」
「貴様は見張りの戦闘員の筈…なぜここにいる?姿を現せ!」
「…ふっ、戦闘員にも種類があったとは…驚いたな!」
龍はマスクと服を脱ぎ、素顔を見せる。
「き、貴様は俺が殺した筈の!」
「生憎、あの程度で死ぬような鍛え方はしていない!そして、貴様らが捕らえた人間達、耳をそろえて返してもらうぞ!」
「何!?」
【地下牢】
「…よし!」
ウェンディはピッキングツールを使い、牢の鍵を開ける。
「早く!早く逃げるっス!」
「ああ!」
「ありがとう!」
登山者達は一人一人ウェンディに丁寧に礼を言い、牢から逃げていった。
「…ありがとう…か…言われてみると、なんだか嬉しいっス…」
戦闘マシーンとして生き、沢山の人を傷つけてきたウェンディは、初めて人に礼を言われたことで心の中に何か暖かいものを感じ、胸が熱くなった。
【司令室】
「おのれ…人質を!」
「貴様何者だ小僧!?」
「貴様らにとって…最低最悪の敵だ…!」
龍は上着をはだけ、腰に変身ベルトを出現させる。
「変…身!」
そして変身ポーズを取り、暗赤色の戦士、仮面ライダーヴェイトに変身した。
「仮面ライダー!」
「仮面ライダーだと…馬鹿な…」
「キバ男爵…覚悟してもらうぞ。」
「くっ…ノロイワシ!やれ!!」
「ケケー!」
ノロイワシはキバ型の槍を持ち、ヴェイトに襲い掛かった。
【河原】
昭和ライダーのお約束によって突如戦闘フィールドは河原になる。
「かかれ!」
「ギィー!」
ノロイワシの部下である槍を持った戦闘員達は十人ほどの数でヴェイトに襲い掛かる。
「…!」
ヴェイトは一人の戦闘員の槍を奪い取り、その戦闘員を槍で突き刺す。
他の九人の戦闘員も同様に、奪った槍を巧みに扱い、瞬く間に全滅させた。
「槍を持っているのに使い方が素人だな。まともに槍術も教えていないのか?」
「おのれぇ…ケケー!」
部下を失ったノロイワシは自らの槍を振るってヴェイトに切りかかる。
ヴェイトもノロイワシに応戦して槍を振るう。
二人は互角の槍勝負を続けるが、槍が二人の激しい戦いについていけず、二本とも粉々に折れてしまった。
「クソォ…ケケケケケー!!」
ノロイワシは口から炎を吐き、ヴェイトの体を灼熱で包み込む。
「どうだライダー?手も足も出まい!」
「…」
だが、ヴェイトは灼熱の炎の中でも焼かれることは無く、逆に炎をエネルギーとして取り込み始めた。
「ケケー!?これは…」
「ドラスストーン翠の石は、炎、雷等のエネルギーを吸収し、一時的に自らの力とする能力がある。」
「ば、ばかな…こんな…」
「終わりだ…バーニング…ライダーパンチ!!」
ヴェイトはノロイワシのエネルギーを全て吸収し、灼熱の拳をノロイワシの腹部に叩き込んだ。
「ぎゃあああああああああ!…」
殴り飛ばされたノロイワシは炎に燃やされながら川に落ち、大爆発を起こした。
「終わったか…」
「ライダーヴェイト!」
「ん?」
ヴェイトは自分の名を呼ぶ声を耳にし、後ろを振り返る。
そこには先程遭遇したキバ男爵と、他の三人の幹部の姿があった。
「龍〜!」
「ん?」
再びお約束でウェンディが現れ、龍の元にやってくる。
「アジトは?」
「爆薬で木っ端微塵っス!」
「そうか…そろそろチンク達が来る。合流するぞ。」
「了解っス!」
【陸士部隊支部】
「テメー!結局敵を独り占めにしやがって!」
「来るのが遅いお前達が悪い。」
「遅れるのも当たり前だろ!あんな高い山登らせやがって!」
「俺達も登った。」
「お前ら登ったの半分だけだろ!ええーい、勝負だ勝負!勝負しないと気が済まねぇ!」
「…」
「シカトすんなコラ!」
「だから喧嘩するなぁ〜」
二人の喧嘩(というよりノーヴェのいいがかり)を必死に止めるディエチ。
そんなやり取りを笑ってみているチンクやセイン達。
そこに…
「おお!エリート様のお帰りだぜ!」
「勇ましいこってすねぇ〜」
今朝自分達につっかかってきた局員二人が現れた。
「全く、仕事終わりで…晴々とした気分なんでしょうね!!」
二人は飲んでいたドリンクのビンをウェンディに向けて投げる。
だが、ビンがウェンディの顔に当たる直前、龍が両手で日本のビンを見事キャッチした。
「「!?」」
「り…龍?」
「…」
龍はビンを持ったまま、局員に近づいていく。
「テメェ…」
「…確かにこいつらは犯罪者です。局に多大な被害を出したことも、貴方方の友人を殺したのもこいつらです。
…でもこれ以上、奪った命に報いるために…自分達の罪を償うために…そしてどんな形であれ、人を助けるために戦うことを決めたこいつらを罵るのなら…」
龍は二つのビンを局員の前で握り割り、殺気を込めた眼光を飛ばす。
「…容赦はしない…!」
「「ひ…ヒイィィィィィィィイイ!!」」
局員は叫び声を上げ、隊舎の中に逃げていった。
「…」
「あの…龍、ありがとっス。」
「これでも部隊長だ。部下を庇うのも当然だ。」
龍はそれだけ言い、隊舎に入っていった。
「皆…あたし…決めたっス。」
「何を?」
「仕事とかじゃ無くて、本心から龍に付いていってみるっス。」
「あ?何言ってんだオメー?」
「今日、捕まった人を助けた時、「ありがとう」って言われた時、すっごく嬉しかったっス…
今まで、戦うためだけに生きてきたけど、なんか…こういうのも…悪くないなって…」
「…そうか…では、姉も付き合おう。」
「そんなに気持ちいい物なんだ?」
「人助け…興味、出てきた。」
「チンク姉、セイン、ディエチ…」
「…」
「…」
オットーとディードは無表情のままだった。
おそらくまだ「気持ちいい」という感情がどういうものなのかあまり分からないからだろう。
そしてノーヴェは…
「あっ…あたしは…龍を一発殴りたいだけで、別にそんなの…」
「あ?ノーヴェ〜♪ホントは興味あるのに上手く言えないんスねぇ〜」
「う、うるせえ!グダグダぬかすとオメーも殴るぞ!」
「だから喧嘩するな〜!」
そんなやり取りをながらナンバーズ達も隊舎に入っていった…
投下終了
こんな駄文で申し訳ありませんが楽しんでもらえたら嬉しいです。
赤の石の特殊能力はまた今度…
あの・・・437と438の間っこ・・・文章抜けてる様に思えるのですが・・・?
やべホントだ!
これではヨロイ元帥に硫酸のプールでとかされてしまう!
「貴様ら…」
「改めて…キバ男爵だ。」
「俺はドクトルG」
「ツバサ大僧正…」
「ヨロイ元帥!」
「そうか…大幹部勢ぞろいと言うわけか…」
「ヴェイトよ、我らには向かう限り、その命、長くは無いと思え…さらばだ!」
キバ男爵がヴェイトにそう伝えると同時に、大幹部達は姿を消した。
「…ふん。」
ヴェイトは変身を解き、龍の姿に戻る。
これを抜けてる部分に追加してくださいっす…OrZ
>なの魂
遅レスだけど、でもそんなの関係ねえ! 実家からでも感想いたします。
俺、アパートに帰ったら溜まったごみをいい加減捨てるんだ…
今回は切り出しからして、前回と同じノリの「はやて一日隊長記」か!? とわくわくしておりましたが、原作でも希少なシリアス話に展開して、いい意味で期待を裏切られました。
温泉での伏線から始まり、フェイトの登場で、まさかここまで怒涛の展開が待っていたとは。
これでフェイトとはやてと銀さんもいい方向での関連ができて、大筋のストーリーでもどうなるか楽しみですねw
結果的にシリアスな引きになってしまいましたが、記憶喪失の銀さんをめぐってのヴォルケンズとかが相変わらずの銀魂節で笑えますw
お妙さんの代わりにいたよ、爆弾料理人wwwあと、やっぱりまじめアニメ組だけにまともになった銀さんの方がいいのねw
ストーリー的になのはサイドでも次のアクションが起こりそうで、それに相まって記憶喪失事件がどういう決着をするのか、非常に気になります。
次回も頑張って下さい。
>リリカル・グレイヴ
今回はやっぱりグレイヴ無双の回でしたね。まあ、AMF+デスホーラーが相手ではほとんど丸腰で戦うもんですからね。
なのはサイドには気の毒ですが、本作の主人公サイドが有利なのはいいことです。
デレ期に入り始めたクアットロ、かわいいようふふのふ(ぉ
ただ、やはり一番不安なのがスカ山。グレイヴが体の整備を預けてるだけに、どんな隠し玉仕込んでるのか分かったもんじゃない。
今後のためにも、鬼のような撫でテクでフラグを立てておくんだ、グレイヴ。
さて、自分も投下していいすか?
しかしここの作品でも屈指のノリのよさを誇るsts+仮面ライダー氏の後に投下すると自分の作品のノリの悪さというか
盛り上がりのなさが際立ってしまう…。
いやまあおのおの目指す物が違う訳だしンな事言っててもせんない事といえばそれまでですが。
あと五分くらいで投下しますね。
なのはStrikerS-NEXT11話「10月の雪」
「それでその人と仲良くなれたんですか?。」
「う〜ん。本人は無愛想だったけどバイクは結構イケてたかな。にしてもこっちの世界のバイクは渋くていいな〜。」
うっとりしたようにアルトと話すシャーリー。
「アルトもそうだがウチのバックヤード女衆はほんとメカしか頭にないのな…。」
ヴァイスが少し呆れ気味に言った。
その頃…人間解放軍食料庫。
「残りの食料ももう少なくなっちゃっいましたねえ…。」
「まあ…なんとかなるわよ。生きてさえすればね…。」
岡村可奈とティアナが倉庫の中の減りつつある食料を不安げに眺めつつ言った。
その時である。
「誰!?」
倉庫の中に動く物があった。
すかさず背中にしょっていたAKMを構えるティアナ。
「ガリュー…?」
可奈が倉庫の奥の方を凝視しつつ呟いた。
確かに倉庫の奥で積み上げられたインスタントラーメンや菓子類をバリバリと貪るその黒い影はルーテシアが引き連れている召喚獣・
ガリューによく似ていた。だが…
「グルルルル…」
その「ガリュー」はティアナ達に気付くなり唸り声を挙げると
腕の装甲を刃に変形させ、ティアナ達に襲い掛かった。
例え相手が誰であれ向かって来た奴に対し引き金を引くのを
一瞬でも躊躇すれば次の瞬間には自分があの世に行く事になるという事は
ここで暮らすうちに嫌というほど思い知らされている。ティアナのAKMが乾いた音とともに7.62ミリ弾を吐き出すが
ガリューは呆気なく射線を掻い潜ると可奈に襲い掛かった。
「危ない!」
叫ぶティアナ。
次の瞬間、硬い物がぶつかり合う音が辺りに響いた。
「えっ…?」
ガリューが可奈に繰り出した刃は彼女が手にした先ほどまで影も形も無かったはずの
青い薙刀で受け止められていたのだ。
さらに襲い掛かってきた「ガリュー」が動きを止めた事でティアナはある事に気が付いた。これは「ガリュー」ではない。
彼と全く同じ種類の召喚獣だが別の個体だ。体にはボロを纏っていて、隙間からは痛々しいいくつかの傷跡が覗いていた。
二対の複眼はガリューよりもさらに凶暴な印象を与える血のような色に染まっている。どうやらこの陣地に辿り着くまでによほど悲惨な
生活を送ってきたようだ。それにしてもティアナの記憶にある可奈は自分達ですら不覚を取りかねないガリューと
同等の力を持つであろう存在と渡り合えるような存在ではなかったはずだ。一体何が起きたのだろうか?
彼女の腰にはこれも先ほどまで無かったはずの金色のベルト…「オルタリング」が装着されている。「変身!」
可奈が叫んだ。
「えっ…?」
可奈の姿が一瞬掻き消え、金色の光が包み込む。
次の瞬間…蒼い胴体に金色の兜に似た頭部と赤い複眼という異形の姿。
青い薙刀=ストームハルバードを構えた仮面ライダーアギト・ストームフォームがそこに居た。
「………。」
受け止めた刃を跳ね除けると再びハルバードを構えなおすアギト。
召喚獣は不利と見たのか、逃げていった
(その際足元に転がっていたビスケットのパッケージを持って行くのを忘れないあたり
よほど食べ物に困っているのが伺える。)。
追撃に出るアギトだったがもうその必要は無かった。なぜならば…
既にその召喚獣はもう一つの黒い影…「本物」のガリューと熾烈な空中戦を展開していたからだ。
そして飛行能力を持たないアギトにその戦いに介入する余地は無かった。
ゆっくりと岡村可奈の姿に戻るアギト。召喚獣同士の戦いは熾烈を極める。いつしか足元にはルーテシアやバルバ、なのはやフェイトと
言った野次馬で溢れかえっていた。
ガリューが腕部の外殻を変化させた武器でもってくり出した斬撃が相手の召喚獣の頬を掠め
相手の召喚獣のタックルをガリューが紙一重で見切る。形勢は除々にガリュー有利に傾いていく。
そして勝負が掴み合いに移った時…戦いの結末は呆気なく訪れた。
ガリューが相手の召喚獣が纏っていたボロキレごと胸倉を掴んだ瞬間。
「……!!!」
突然驚いたように手を離すと弾かれたように飛びのいてしまったのだ。
「ガリュー…?」
「な、何だ?どうしちまったんだよガリュー!?」
眼下で主たるルーテシアとアギトの戸惑いの声が聞こえる。
迷いを振り切るように身震いすると再び召喚獣に殴りかかるガリュー。
だが、どうしたことか…。その拳は召喚獣の眉間に直撃する寸前でストップした。
「ゲフッ!!」
無論相手の召喚獣がこの隙を見逃す筈はない。
凄まじい回し蹴りがガリューにヒットした。為す統べなく地面に叩き付けられるガリュー。
それを追うように相手の召喚獣も紫色の羽をブンブンと羽ばたかせながらゆっくりと降下すると
おもむろに纏っていたボロ布を乱暴に引きちぎると取り払った。ガリューとの空中戦でもともとボロだったのが
さらに傷だらけになってしまったので用をなさないと判断したのだろう。
露になったシルエットを見てギャラリーにどよめきが走った。
「お…おっぱい?女の子だったんだ…。ていうかティアよりだいぶ大きいね。」
スバルが声をあげた。
布が捲れて現われたのは豊満な胸と傷だらけだが概してガリューよりもスリムで丸みのある体。
この召喚獣は雌だったのである。
「(スバルに一発かまして)女の子は殴れない…か。意外にいいとこあるじゃない。」
ルーテシアに介抱されつつ呻いているガリューを見ながら呟くティアナ。
「ウゥゥゥゥ!。」
召喚獣はそんなガリューを一瞥するとガリューとの空戦に臨む際おきっぱにしておいたビスケットをネコババしようとした
解放軍の兵士をスゴんでビスケットをひったくると走り去った。
支援
そして新スレ立てておく?
数十分後。
「なあ…季節感の無い暮らしをしてたんでこのところ感じてなかったが今って十月の頭くらいのはずだよな?」
真雪が窓の外を睨みながら呟いた。
「十月の二日ですね。ようやく涼しくなってきましたかねえ。食べ物も腐らないし…。」
「涼しくなりすぎだろ!」
電子時計を見ながら呟く真一郎に真雪が怒鳴った。どういう訳か窓の外には雪がしんしんと降りはじめていたのだ。
真一郎は十数年前の五月に起きたとある出来事を思い出していた。
「こんなこと前にも在ったよなあ…あの時も突然雪が降ってきて…。」
「あ…あの。こんな人がそこに倒れていたんですけど…。」
その思考を中断したのはなにやら気を失っている女性をおぶって玄関に立っている藍色の髪の少年…。
マーティ・スカリエッティである。
「あの人が、雪さんが…運ばれて来たんだよなあ…。で、これはひょっとして走馬灯とかいう奴で
俺は実は死に掛けてるとかそういう展開じゃないよな?」
頬をつねりつつ呟いた。
その頃隣の建物では。
「なんか隣が騒がしいなあ。…ん?」
「ニュータイプ」に視線を走らせていたこなたが顔を上げて呟いた。
「………。………。」
ふと気付くとそのすぐ横ではどっから引っ張り出してきたのか使い捨てカイロと毛布を抱えた
ガリューが落ち着かない態度でウロウロしている。
どうやらさっき戦ったあの傷だらけの自分と同種の召喚獣を案じているらしい。
基本的に昆虫に近い特性を持つ彼らは寒さが苦手なのだ。
「どしたのりゅーちゃん?あ、ひょっとして…。」
「………!!……。」
ガリューの考えを読み取るとニヤニヤと微笑むこなた。ガリューの顔がほのかに赤く染まる。
「まあ、りゅーちゃんも男の子だしねえ。やっぱ気になっちゃうよねえ。解った。付いてったーげるよ。おとーさんちょっと行ってくるねー。」
「ちょっと行くって何処へだい?雪も降って来てるし後に…。むぅ、仕方無いなぁ…解った。おい、父さんも付いてくから待ちなさいこなた!」
出版する術なんかもはや無く、従って誰が読む訳でもない小説をそれでも書き続けるべく
ワープロのキーを叩いていた泉そうじろうは
これに始まった事ではないとはいえしょっちゅう彼の頭を悩ませている一人娘の
気まぐれに付き合うべく渋々手を止めると、
ガリューとともに早くも建物を出て行く娘を追いかけていった。
とりあえずここまでで…。
ほんとは後4レス分くらいあるけど時間無いし長くなるんでそれは夜に投下します。
とらハに詳しい人の中には題名にピンときた人も多いのでは?
五月の雪編から雪さん登場。
しかし五月の雪編の真一郎の行動は傍目で見てるとタダの最低男にも見えるから困る。
何せ彼女が居るという選択肢を選んでも雪さんとえっちしちゃってしかもウィキを信用するなら
その際雪さんを妊娠させてしまってるそうな。普通ならこの辺りの設定は完全スルーするんでしょうけど
自分は捻くれ者なんでその辺もしっかり描写していきたいと思います。
あと前からやりたかったガリューに春が来た編のさわりを投下しました。
リリカルスクリーム氏、GJです。
ガリューの彼女か…おめでとガリュー。
後これは個人的な事なんですが、スレの皆様に謝罪しなければならない事があります。
さっき確認したら、403と405の間の文節が抜けていました。
以下の文です。
「はやて、まさか限定解除を!?」
「せや。戦力出し惜しみして被害広げたないからな。
それに見分けが付かない以上、完全に殲滅するしかないやろ?」
「ちょい待ち〜、はやてちゃん。」
今度ははやてに対してクルツが割込みをかけた。
「クルツ君!?どうしたんや?」
「限定解除とやらをする必要はないぜ。要は敵が見えりゃいいんだろ?」
「それはそうやけど、一体どうする気なん?」
「俺のM9にはASだった頃の機能が一部残ってる。その中にゃ、データを他の機とリンクさせるって物がある。」
「それで?」
お見苦しいものを見せてしまい、本当にすいませんでした。
以後、こんな事の無いよう注意します。
>440
乙。
時に、ノロイワシって、キバ軍団よりヨロイ一族の方が適切な気がしますが。
>452
ガリューに春が来た!
これで、エリオ君のお尻が狙われずに済む(マテ
>>455 ツバサ軍団の方がもっと適切だと思う自分…
いえ…ほんともう気が付いたらキバ軍団にしてたというか…
申し訳ない…
457 :
魔装機神:2008/01/04(金) 16:03:18 ID:MMUCtkkr
そろそろ投下します
458 :
魔装機神:2008/01/04(金) 16:08:17 ID:MMUCtkkr
「さて、前回の続きなのだが、何をするかは前の話を見てくれい!」
「また無責任な発言だなおい……」
「尺がないんだ、はしょるもんははしょる!」
「へいへい」
「それでは続きを始める。開始の宣言をしてください、一尉殿」
「う、うん……それでは、始まります」
特別企画、魔法少女スーパーリリカルフルメタルシャドウなのは 新年祭 中編
「というわけで!これより特別企画第2弾!王様ゲームを開催する!」
「過激なのはやめろよー」
と言うことで、王様ゲームは始まった。
「まずは1回目、いっせーのーれ!」
1回目の結果、王様のくじを引いたのは宗介。
(とにかく、番号を命令すればいいのだな)
「よし、15番!銃殺「いいかげんにしなさーーーーーい!!」
ずごん!とお前ほんとにそれハリセンなのか?というハリセンが宗介に直撃する。
「あ、あの……フェイトさん……私、殺されるんですか?」
キャロは涙を流しながら15番と書かれた紙を持つ。
「そ、そんな事ないよ。多分あの人もまだよく分かってないだけだろうから……」
「ち、千鳥…そのハリセンの材質は何だ?」
「そんな事は同でもいいの!それより、何つう命令なの!?」
「いや、王様が言ったとおりになるのだろう?王様ゲームというのは」
「だけど、そんな命令はだめ!」
「わかった、殺さなければいいんだな」
何か違うような気もするが、まあそんなものと頷いた。
「ならば、食べるものが少なかったのか、コッペパンが数なくてな……18ばん、コッペパンを買ってきてくれ」
まあそれならとかなめも頷く。
果たして誰が行くのだろうか……
そこにはあいという幼い女の子の声が聞こえる。
ヴィヴィオは18番の紙を持って宗介の前に出る。
「コッペパンをかえばいいんだよね?」
「あ、ああ……」
宗介もまさかヴィヴィオがあたるとは思っても見なかったが、ある事に気付くヴィヴィオ。
「お金がない……」
自分がお金を持っていないことにきづいて涙ぐむヴィヴィオ。
「安心しろ。これをもってパン屋の前で『コッペパンを要求する!』といえば、すぐにもらえ「スパーーーーン!」
「ソーースケーーーー!!」
「なんだ千鳥、人がせっかく「冗談」と言うものをやってみたのだが」
「あんたがすると冗談と思えないのよ……」
やれやれ、と宗介はグロッグをしまい、財布を取り出す。
「これで出来るだけを買ってきてくれ」
「は〜い」
元気よく返事をしてヴィヴィオは入り口へ向かう。
「ママ、いってきまーす」
「あ、まってヴィヴィオ。私も「ならん!」」
「え?」
一緒に以降としたフェイトは驚いた顔でガマを見る。
「王様ゲームのルールは絶対だ」
「ですけど、ヴィヴィオはまだ小さいんですよ?」
「これも試練だ……」
「試練って……なのはも何かいってよ、お母さんでしょ?」
「にゃはは、まあ、これも一つのお勉強としていいんじゃないかな?頑張れるね、ヴィヴィオ」
「うん!」
「な、なのはまで……」
はあ、と過保護モード全開のフェイト。
459 :
魔装機神:2008/01/04(金) 16:09:41 ID:MMUCtkkr
「これってあれか、初めてのお使い」
「ああ、あの特別番組のやつか」
その光景を見て、マサキと宗介は話をしている。
これより特別の中の特別、初めてのお使い、ヴィヴィオ編をはじめ……
「だからしねえって、それすでにクロスじゃねえし」
ヴィヴィオが始めてのお使いにいっている間も王様ゲームは続いた。
「次は私かあ……ならば、14番、6番に一本筋をとお「過激なのはやめろって言っただろうが!エロパロいきになるだろ!」
とんでもない事を言おうとしたガマに、ウルのアッパーカットが容赦しゃなく襲う。
「い、いきなりなにをするんだぁん?」
「やばいのはやめろっていってあるだろうが。それにそんな気持ち悪い言い方やめてくれ」
「わかった……10番と15番、何か面白い事をしろ」
え?とそのくじを引いたマサキとザフィーラ。
そんな大雑把な……とふたりはガマを見る。
「あ、それやったら」
はい、とはやてがある提案を出した。
「ちょっと二人とも来て。ザフィーラは人型になってな。シャマルとシャーリーは手伝って」
そういって二人を別の場所へ写すはやて。
そして5分後たったときだった。
「おーい、なのはー」
「え?」
突然の声になのはは驚く。
その声は自分の兄である恭ナリだったからだ。
どうして兄がこんなところへ来ているのだろうと振り向いたときだった。
「じゃーーん!」
そこには、コスプレをされたマサキとザフィーらの姿が……
「以前から声がにてるなあおもて、いつかはこのネタで遊ぼう思ってこっそり恭也さんと士郎さんの衣装をカツラを作成しましたー!」
わーーー、とシャマルとシャーリーは拍手する。
「なぁるほど……よぉし!二人とも、今日1日それでいろ」
「「なに!?」
まさかの展開に二人は絶叫する
「何を言っている?コスプレは定番ではないか」
「くっ……」
こうしてまた続く事になる。
「そういえば、ヴィヴィオ、ちゃんと買えてるかなあ?」
最初の王様ゲームからお使いとしてコッペパンを買いにいったまま、中々ヴィヴォは帰ってこない。
「だからいったんだよ、いしょにいったほうがいいって。事故とか似合わなかったらいいけど……」
「フェイトちゃん、怖いこといわないで」
と、親友を少し睨むなのはだが、それは杞憂に終わった。
「ただいまー」
ヴィヴィオは手見た数のコッペパンをもって帰ってきた。
ヴィヴィオは真っ直ぐ宗介のところへ向かう。
「はい、これ。後これがおつりです。
「すまない、たすかった」
そういって宗介はヴィヴィオの頭を優しくなでる。
「さあて、彼女も帰ってきたことでつづいていってみよーー!」
そして次に王様をひいたのは……
「あらあ、私ですか」
そのくじを引いた人物、サフィーネはう〜〜んと考える。
((何か嫌な予感が……))
マサキとフェイトはなにか嫌な予感を漂わせる。
460 :
魔装機神:2008/01/04(金) 16:13:22 ID:MMUCtkkr
「それじゃあ、1ばんと4番。あっつーーーーいラブ○ッ○ーを」
まあ、定番といえば定番かとマサキはほっとする。
(っていうか、ちょっと古くねえか?)
だが、そんなマサキの考えは同でもいいので飛ばす。
そしてその1番と4番をひいたエリオとキャロ。
この手の話が好きな人たちはヒューヒューと二人をはやし立てる。
「ってあら……肝心の○○キーがありませんわね……しかたありません、こんかいはプ○ッ○で代用ですわね」
そういってキャロにプ○ッ○を渡す。
「あのーー、ラブ○ッ○ーってなんですか?」
ラブ○ッ○ーを知らない二人はそれはどんなことか尋ねる。
「簡単です。このお菓子を二人が両端から同時に食べるだけですわ。そして食べ終わったときには……」
その後のことが予想でき、エリオは顔を一気に赤くする。
「で、出来ませんよそんなこと……」
「あらあ、ですけど、ルール上王様のいうことは絶対ですわよ」
「で、ですけど……」
「あのお嬢ちゃんのほうはヤル気のようですわよ」
「え?」
驚いてエリオはキャロを見る。
そこには、ずっとプリッツを睨み、意を決してエリオの方を見るキャロが。
その顔は少し赤い。
「や、やろう、エリオ君」
ちなみに、普通なら止めそうなフェイトは……
「はい、ちょっとこれからおもしろくなりそうやから、フェイトちゃん。ちょっとがまんなー」
はやてとシャマルによってバインドで拘束されていた。
そして、エリオもキャロのプレッシャーに押されて準備する。
「それじゃあ、ラブ○ッ○ーならぬ、ラブ○リ○ツ、スタート!」
その掛け声と共に、少しずつ○リ○ツをかじっていく二人。
周りからの声に恥ずかしくなるエリオ。
距離が近づくに連れ声の大きさも上がっていく。
(こうなったら早く終わらせて……)
そうおもったエリオは急速にスピードアップしようと思ったときだった。
その前に、やわらかい感触がエリオの唇を襲う。
それは、エリオより模索にキャロがスピードアップしたためだった。
「えdfはkhdkcぃjrぁ」
いきなりの事で導電するエリオ。
その光景をみてひゅーひゅーとはやし立てるギャラリー。
「きゃ……キャロ?」
まだ心臓の爆音が収まらない中、エリオは顔を真っ赤にしてキャロを見る。
そのあと、フェイトが無理やりバインドを引きちぎり、あたりは騒然としたとかしなかったとか……
「全く……」
一暴れした後、フェイトは心配そうにエリオとキャロのほうを見る。
「二人とも、大丈夫だった?」
しかし、フェイトの言葉を二人は着ているはずもなく、ただぼーっとしているだけだった。
結局、今までの状態に戻るのにしばらく時間を要したとか。
さらに予断だが、スバル曰くその後も二人の関係はよくなったらしい。
「さあて、これ以上してもどうにもならんので、そろそろ最後のプログラムに映ろうか。
最後のイベント、それは、これまた定番、新春一発ゲイ大かーーい!さっそくはじめよーーう!」
「ちょっと待て、ちょっとおかしいぞ、なんだよ一発ゲイって……」
「心配するな、何もアッーーーな事をするわけじゃない。ただの1発芸だ」
「じゃあ、あの名前はなんだよ?」
「単なる趣味」
「……」
司会席で議論をしているマサキとガマをほうっておいて、周りは異様に高いムードに包まれていた。
461 :
魔装機神:2008/01/04(金) 16:19:45 ID:MMUCtkkr
「1番、ヨアヒム、透明になるだら!チェーンジ、インビジブル!」
そういったとたん、ヨアヒムの姿が消えてしまう。
いきなりの大技に会場はみんな騒ぎ出す。
「すごいすごーい」
ヴィヴィオもヨアヒムの姿が消えたとたんパチパチと拍手を送る。
「みんなすごいね〜〜〜」
なのははそういってヴィヴィオを持ち上げる。
「ん?」
なのはに持ち上げられると同時に、何か変な匂いがするのだ。
なんだろう、とヴィヴィオうぁたりを見ると、よく見るとなのはの顔が赤い。
その赤みが、あまり見たことも無い赤みだったのでヴィヴィオは少しおかしいと思った。
「な……なのは……」
異変に察知したフェイトはさりげなく尋ねる。
「なのは、これ飲んだ?」
そういってフェイトが持ったのはお酒だった。
見た目はジュースなのだが、ちゃんとアルコールは言っている。
そして、なのはのそばを見ると、おそらくこれよりもアルコールの高そうなお酒があった。
「うん、ジュースだと思って飲んだときなんだか気持ちよかったから、ついほかのもたくさん飲んじゃったけど」
赤い顔をして話しているなのはをフェイトは悟った。
完全に酔っ払ってると……
おそらくあのお酒も飲んだのだろう。水だろうと思って……
「なのは、あんまりよってるとヴィヴィオにも悪いから、水飲んで一旦風にあたってこないと」
そういってフェイトはなのはに本物の水を渡す。
「あはは、らいりょーふ。よっぱらっていないよ〜〜」
「呂律が回ってないじゃない……」
だいぶお酒が回ってきてる……
そう感じたフェイトはヴィヴィオに待ってもらい、なのはを外へ連れて行く。
その時、もう一人の親友とその騎士二人も酔っ払っている事に気付かずに……
そして、その人物がなにやら問題をこすのは時間がかかるはずもなかった……
投下完了
次回で最後になるのですが、最後はカオス成分低めでお送りしたいと思います
GJです。
ただ誤字ハケーン
>なんだろう、とヴィヴィオうぁたり
は、あたり ですかね
>456
あ、そうです、ツバサの方です。
といってCLAMPの方でもなくて。
>461
乙。
えっとですね…投下してから時間が経ってからこんな事を聞くのもアレなんですが実は以前投下したStrikers May Cryのバッドエンド回避シナリオにはシグナム主観のパートがありまして、あの話がやたらと短かったのはそのせいです。
それを投下しようか迷っています、その…なんと言いますか、かなり甘いデレ話でちょいエロなんですよこれが…
ゴミ箱に捨てる前にとりあえず皆様に聞いておくのが筋かと思ってお尋ねしますが投下した方が良いですか?
“これ以上甘いもん喰いたくない”って話でしたら投下しません。
>>463 何をどうやればCLAMPの方と間違えるんだ。
>>464 何を迷う!甘いものはリンディさんなみに大好物だぜ!
Hurry! Hurry! Hurry!
お、いいねぇ
糖分が切れかけてたんだよ よろしく頼むわー
お節料理ばかりでたまには他の物欲しいから投下して下さい〜♪
D<問題ない
(投下しに)行け
472 :
旅ゆく人:2008/01/04(金) 19:58:13 ID:A2luNhv7
>>464 投下してみればいいじゃないですかw
それで、喰った奴が悶絶したら?
「フフン……それが青春ってやつさ」
全ては、自己責任って奴で。
なんか見てみたら賛同の意見がちらほら…では用量が心配なんで次スレの方に投下しますね。
言っときますがかなり甘いっすよ。
>>473 甘さ、上等!投下支援!
>>461 GJだぜ。エリオとキャロのあれはよかった。原作アニメでもしてほしかったな・・・
宇治銀時丼を食べた後にリンディ茶を飲むんだな?
やってやろうじゃないか!
476 :
旅ゆく人:2008/01/05(土) 00:51:35 ID:7nZpZE7C
エー、梅ついでに、『リリカル旅話』関連の小ネタ、
投下してみちゃっても、良いですかね?
支援
478 :
旅ゆく人:2008/01/05(土) 01:04:55 ID:7nZpZE7C
……らじゃ。
ほな、行ってみますか。
それにしても……。
「提督、いくら連れの『あの人』がいたからって、あんな無防備なことで良いのかな」
「なのはさん?」
「いえ、ヤン提督って、結構有名な人ですから、色々狙う人たちがいて……」
「へえ、何となく察してはいましたが、……成る程」
相づちをうつクロ。
「だから、本当は護衛の人がついてなきゃいけないんだけど……」
訝しむなのは。
《マスター》
「何、レイジングハート」
《上空から通信です》
「えッ、上から? 誰だろう……」
《マスターもよく知っている存在です。IFFの確認も完了しています》
「……解った、読んでみて」
RHは、その謎の通信文を読み上げた。
〈This is B‐1
Wonder is not verified within radius 200 meters
Mission CMPL
RTB〉
「……成る程、ね」
「なのはさん?」
「どうやら、頼もしい護衛が、遙か上空にもいたみたいですね」
そうして、なのはは空を見上げ、肩をすくめた。
「ちょっと気まぐれな天かける妖精の女王、『メイヴ』がね」
「へえ、妖精の女王様の加護、ですか。少々気まぐれでも、それは結構頼もしい護衛かも知れませんね……」
そう言って、帽子の鍔をめくりつつ、クロも見上げる。
あの一筋の飛行機雲は、その形を徐々に崩し始めていた――。
「お疲れ様です、深井大尉」
『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』
インターミッション1・CMPL
せんせー、管理局なら「大尉」より「一尉」じゃないでしょーか支援
481 :
旅ゆく人:2008/01/05(土) 01:16:29 ID:7nZpZE7C
……まっ、飛行機一機で護衛なんて出来るわきゃ無いん、ですが、
それを中心にした、早期に驚異を取り除く布陣が出来てればどうでしょう、と。
イチオー、そう言うことにしてつかーさい(苦笑
482 :
旅ゆく人:2008/01/05(土) 01:18:37 ID:7nZpZE7C
あとですね。
>>480 その指摘は、管理局の人間なら、そうでしょうけど、
管理局から、独立した組織の人間なら、どうでしょう、と。
私の頭の中では、そうなってます、はい。
まー彼女ならどっちの形態でも一人で戦局ひっくり返してしまうんですがw
GJです。
GJ
10分後に初めてですが投下よろしいでしょうか?
反応がないようなので投下させていただきます。作品はライトノベル「とある魔術の禁書目録」とのクロスです。
―――――――――――――――――――――――
プロローグ「なるみ」
日本特有の和室、虎がわが子を崖から落とす絵の掛け軸が壁にかけられていた。
その部屋にいるのは3人。煌びやかな和服で身を包んだ少女、その横に直立不動で立つ風車を首に下げている男性。
それと少女が座る前に頭を下げている男性。頭を下げている男の名前は“八神”。
八つの神社の祭神を祭る一族の末裔、その一族の一番下の青年であった。
「この度はこのような席を設けていただき、女教皇には感謝しきれません」
「よい、八神。なれもしない敬語を使うぐらいならいつもどおりはなしてくれないか? 私もそちらのほうが話を聞きやすい」
「しかし・・・」
少女は子供とは思えないぐらいの気配を身体から出している。その気配は決してまがまがしい物ではなく、むしろ神々しい物。
「八神、女教皇もそうやって言ってるんだよな。いつもどおりはなしてみたらどうだよな?」
「しっしかし、斎字…」
「お前も、今日でココを離れるんだよな。もう、お前がココの仕来りに縛られる必要がなくなるんだよな」
女教皇と呼ばれる少女の顔はまるで動かない。
ただ、その目は鋭い目から優しい目に変わっていた。
「八神、貴方には世話になりました」
少女は頭をゆっくりと下げた。
女教皇! 貴方が私程度の者に頭に下げられるなど…」
「八神、私は感謝を意味して下げたのです。ソレを素直に受け止めてください。最後ぐらい、教皇としてではなく神崎火織として貴方の前に立たせてください」
そういうと少女は八神に向けて微笑んだ。八神はソレを見て涙を流しながら頭をもう一度下げ、立ち上がりそこを去った。
八神、彼は後の八神はやての父である。これから4年後、彼は最愛の妻と共に最愛の娘を一人残し交通事故で他界してしまう。そして一人だけになってしまった少女は、父が八神家から完全に離れてしまったことにより、身よりも何もかもを失ってしまい一冊の本に出会う。
不幸か、幸運か
その出会いが彼女の人生を変える―――――
● イギリス
「神裂、手紙が届いている」
神裂はイギリス清教の女子寮にある洗濯機の前で腕を組んで立っていた。その目線は洗濯機。唸る彼女はボタンのどれを押せば良いのか悩み続けているのだ。
「またですか? これをポチっとすればすぐに始まるですよ」
手紙を持ってきた少女の横からひょろっと現れた三つ編みの少女がとことこと現れてボタンをぽんと押していった。
「なっ!?」
「神裂、人に頼りたくないのはわかるが今はこっちが先です。天草式のほうからの手紙ですよ」
そういわれて、頭を下げながら落ち込んでいる神裂はとぼとぼとしながら手紙を受け取って中身を見た。中身を見て、彼女は動きを止めてぼそりと小さな声でつぶやいた。その声は誰の耳に入らず彼女自身だけが聞き取っていた。
「鳴海…」
● 時空管理局・巡航L級8番艦「アースラ」
「管理局本部からの紹介?」
そういわれてクロノは疑わしい目でリンディのほうを見ていた。リンディは息子が怪訝な目で自分を見るのに軽くため息をついて弁明をした。
「しょうがないじゃない。本部からのごり押しだったのだから」
「でも、この時期におかしいじゃないか。今は闇の書の事件があったばかり出し、先日だってなのはがッ・・・」
「“なのはちゃんがやられたから”が正確にはこの本部からの移動の原因ね。アレだけの力をもち、前回の大きな事件の立役者、その立役者がやられるほどの実力者、それに対抗するには私たちだけじゃ心もとないってことよ」
「でも、この二人はそこまで力が強いわけじゃない。魔力が高いわけでもなく、後ろ盾しかない奴らを入れて役に立つとは思わない!」
「クロノ、何も魔力だけが戦いに必要なわけではないでしょ? その二人は援助、すなわち幼いフェイト、なのはちゃんの手助けをメインにしてもらうのよ。それにはあの世界出身のその二人が最適なのよ」
「最適? 写真を見て思うけど、僕はこんな人をあの世界で見たことがない! 金色の髪の毛に派手な服。色眼鏡をかけて写真を撮るような人や、赤い髪でこんな大男が最適?! ばかばかしい!」
「それでも渡し立ち寄りはふさわしいわ。それにこれには別のいとも含まれるのと私は考えてるのよ」
「別の意図? 僕たちの監視・・・ですか。ロストギアと関りすぎる僕達に力が偏ることを防ぐ処置とでも?」
「多分その通りよ。前回の事件に続き、大きな事件に関りそうな私達に対するけん制。さすが私の息子ね。だからこれを受け入れないとこちら的にもいろいろと大変なのよ」
「確かにそうですね・・・」
「そういうことで、そっちの大きな男の子は私たちと一緒に住むことになっているわ。もう一人の子は翠屋のアルバイトとしてなのはちゃんの近くにいることになっているわ」
クロノは黙る。もう既に決まっていることは彼の地位では変えようがない。ましてやこれを決めたのは上層部の誰か。その誰かを追及できもしない。彼はココで引くことしかできないのだ。
● 学園都市
土御門は手に持っていた手紙を暖炉に投げ入れた。内容は以下のとおり。
『時空管理局なる組織の一部の人間と共に任務についてもらいます。
魔導書“夜天の魔導書”、5年前に行方不明になっていた魔導書であり、禁書目録の知識の中にもあるものです。
これ自体が危険な代物によるのでこれの封印、又は破壊を目的で活動してもらいます。
この任務には神裂、ステイル、土御門です。貴方の任務はある人物の監視と護衛。
そして、夜天の魔導書の暴走時の抑止力の援助。くれぐれも無理はしないように。
また、監視対象、護衛対象には正体はばれないこと。また―――――』
土御門はちらりと料理をしている自分の妹をみた。そして、軽いため息。
「…しょうがないことか」
玄関に向けて歩いていく。兄が突然外に向かっていくのを不思議そうに見る妹、それに足して土御門は笑いながら、
「友達のところにいってくるよ。すまん! メシ食えなくいなった!」
「えーっ!」という妹の声を無視して彼は扉の外に走っていった。
投下終了です。 マニアックなラノベとのクロスですがこれからよろしくお願いします。
導入の部分でなのはが出てきてませんが、次からは視点の主なところは八神家、翠屋、管理局です。
そんなに長い話ではないがこれからもよろしくお願いします。
禁書目録がマニアックだって?
ガンガンでコミカライズされて、現在進行猛プッシュの間違いじゃないのか?w
な、なに!?俺がこの国を離れている間に…漫画化してたのか?!
今すぐかにいってきます!
禁書目録の漫画はクオリティ高いよな
少なくともラノベ原作の中では
とある科学の超電磁砲はいい!
スバル「ファイナルッ! フュージョン!!」
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':,:'.,':..; / `r-、.',--o-、,.ハー!|lA,.-,Aトレ ノ ,:.:.;'--ァ人lく~\, ':,:.;.:.:.',/ ,_ 〉|--| 〉:'
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';./ ゝ/ / | |) | .| | トケ==∨∨\_/ ヽ \___,:ィ'., ' ,:.:.:.', 丶 | / ,:':.;
':, / ,4===z==イ.ノ / .ノ /\/ /7−−!⌒ヽ= /:|  ̄ /:;'. ' , '.,:.:.:',  ̄ |'' ,':.:.;'
';.', | / | 〒ーく ̄ / /〈 ̄〈_/----ト、==| /-=| /;:.:.;' :, ',:.:.:',=、 | ,':.:.:;
. ':; | / / /! ;.:.:\ 人/ | ̄ /| |--、 ∨  ̄ |/ ,':.:.:; ;' '.,. ':,:.:.';':\ | , ;':.:.:.;'
';.∨ ./ // ;':,:.:.:. / / | / | ./, --∨ー--'|、 ;:.:.:.;' ;., ':,:.:.',:.:.:.ヽJ ,:.:;' ,' ';:.:.;'
':, ' | / ./ '; ; ':.:. |∧丶|__/\_/| |./∧ _,|\ヘ:.:.:; ,:;' ' , ',:.:';:.:,:' ,:':.:;' ; ':.;'
:..,' :, | /; ; _ ; ,....z--:、 l_ | l | ̄! ト、.  ̄ | |l\:.; ;:.:', ,:' , ',:.:', ,:.':.:.:;' , ,':' ,:.'
:.:.:, 丶イ , ヽ ノ'ー,、ァ-/' 〉-L__厶\ l_| i i !_>ー< || |:.', ,:;:.:.:.':;' ;:.:,. ',:.:';.:;:.:.;' ; ' ,:.:.:
' ' ' ' ' - ;:.:;':, , ; ヽ_ノ `トト、二二二ヽ \ l | i_!/ __ノ / /:.; ,:':.;.:.:.:.;' ,:.:;: ', ':,:., ;:.;' , ;.:.:;
:.:.:.:.:.:.:.; : :; :'.; ; , ト、__ノノ/7 | ,'丶ヘ.| , ∨ ヽ__.∨:.:;' ,:.:.:;':.:.:;' .;':' ;:':.'., ':; ;:' , ;:.:;:'
:.:.:.:' ':., ':,:.:.':, ,入ーク / | , ; ヽ|/l |_/ ∨ヽ,:':.:.:;':.:;:' ,:':.:.:.:;', ;:', ,' ,':.:.:.:'
:.:.:.:':.: ,' ;:.:.', ∧ \| / | , ' | l ヽ.ヽ | ヽ:.:;':.:;' ,:.:.:.:.:;' ; ':'; .,' ,.:'.:.:.:.:.:
' ' :. - .,ヽ \! |' ,.;' |l ヽ丶___/| ヽ_ ,':.:.:.:.;' ;:;' :;' ,:.:.:.:.:.:.;:'
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;':;:':丶.. |;:.; l | ∨__/----、 ヽ':.:.:.:.;' ,:.:;:.:;' , ';:.:.:.:.;: '
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スバル「バル! ガイ!! ガー!!!」