アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ11
剣を飛ばされて万歳したような体勢で仰け反ったカミナだが、まだ諦めてはいなかった。
そこからさらに背を仰け反らせ、精一杯反動をつける。
「俺が臆するかよ頭突きぃぃぃ!」
対するドモンは、槍で剣の柄を突いた反動のためか奇妙な体勢になっていた。
尻をついていない尻餅といった感じで、槍を持っていない方の手を重心にしてどうにか腰を浮かせているような格好だ。
体勢からしてカミナの方が有利かとクロスミラージュは思ったが、すぐに目の前の人間が常識外の人間だと再確認することになった。
「ふんっ!」
ゴンッ、と小気味いい音が詰所に響く。
ドモンは床に着いた手で身体を持ち上げ、頭突きを仕掛けてくるカミナの脳天に足裏を蹴り込んだのだ。
ご丁寧に、コークスクリューのように身体の捻りも加わえている。
「畜生……」
『カミナー!』
カミナは蹴りを食らった姿勢からそれだけ溢し、ゆっくりと後に倒れこんだ。
ドモンは片手倒立のような状態からすくっと立ち上がり、服についた埃をパンパンとはたく。
「安心しろ、ちゃんと生きてる」
『嘘だっ!!』
「本当だ」
ほら見ろ、とドモンがカミナを指差す。
確かに、よく見なくともカミナの剥き出しの胸が大きく上下しているのが分かる。
意識は無いようだが、それ以外には特に問題は無さそうだった。
『……Mr.ドモン、なぜこのようなことを?』
「こいつが、殴って欲しそうな顔をしていたからな」
――なんですかそれは?
声に出していない疑問を気配で察したのか、ドモンは続ける。
「なんとなくだがな。俺も昔は、さっきのカミナみたいな顔をしていたことがあったからな」
少し恥ずかしそうに、ドモンは自分の頬を指で掻く。
言葉を選ぶためか少し黙り、その間に乱闘のためひっくり返ったソファを元に戻す。
「……何か、アドバイスでも出来ればと思ったんだ。
だが俺は口下手でな。少し考えたんだが、何を言えばいいのか考え付かなかったんだ」
『……だから口ではなく、拳で伝えたと?』
「それで伝わるものもある。男同士なら、特にな」
――比較対象が少なくて知りませんでしたが、『男』とはそういうものなのでしょうか?
機動六課の男衆を思い出しつつ、クロスミラージュは疑問に悩む。
そんなクロスミラージュを尻目に、ドモンはカミナを抱きかかえてソファに移動させていた。
「……少し手合わせしたかった、というのも少しはあるがな」
クロスミラージュに聞こえないぐらいの声でボソッと漏らした本音は、幸いと言うべきか本人にしか聞こえなかった。