リリカルなのはクロスSSその33

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその32
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1198645820/

過去スレ
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1198322265/
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197873049/
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197295459/
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196174166/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196173990/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195735974/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195352813/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194875382/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194190014/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193668768/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193128576/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192340228/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191674700/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190950386/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190209861/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1189525591/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1188914457/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1188222989/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1187714790/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1187176581/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1186669558/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1186147008/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1185640072/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184997868/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184393091/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1183637309/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1182871170/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1182002145/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1180901290/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1179746193/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1177202668/

*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ10
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1198831668/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
2戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 02:03:03 ID:8r046buv
>>1
乙っす。
しかし・・・なんかペースが急激に早くなった気がするなぁ・・。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 02:06:31 ID:EidlxtO1
素晴らしき一乙
4Strikers May Cry:2007/12/29(土) 02:08:41 ID:00h9w20c
>1 乙っす!
そいじゃあさっそく、さっきのStrikers May Cryのバッドエンド話の夢オチ版投下しちゃいます?
5反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/29(土) 02:09:27 ID:KjnDM+8H
>>1乙の剣を、解き放て!

そう言えば最近めっきりシャイニングクロス書いてないな…
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 02:10:23 ID:bhpoCwJb
ホントにペース早いですよね。
正月休みで執筆の時間を多く取れてるとかなのかな?

作者の皆様GJです。
感想〜
カイムの過去話、六課はどう受け止めるのか気になりますね。

改造人間と戦闘機人、やっぱり境遇が似てると仲間意識が出やすいんでしょうね。
次回の戦闘でノーヴェ達がどんな思いを持つのか…

そしてバージル…シグナムが健気、そして救いの無いのが泣ける。
夢落ちverだとバージルはデレるんだろうか?デレそうですなw


7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 02:10:32 ID:utWTe+RJ
>>1乙テッカァァァ!!
そして支援ヾ(゚ω゚)ノ゛
8Strikers May Cry:2007/12/29(土) 02:12:05 ID:00h9w20c
それでは投下します。
最初に断っておきますが、あくまでさっきの話と直接の繋がりは無しって方向で。
そしてバージル兄さんはデレる…それも最高に。
9Strikers May Cry:2007/12/29(土) 02:12:57 ID:00h9w20c
魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 番外編 Bad End 回避シナリオ。

超蛇足的夢オチEND。


彼が目を覚まして最初に感じたのは自分の顔が濡れていた事だった。どうやら寝ている間に泣いていたらしい。

彼が隣を見ると昨日は隣で寝ていた筈の彼女の姿が無かった。
確か昨日は彼の部屋に泊まりに来た筈だったが今は影も形も無い。
枕元に散らばった彼女の桜色の長く美しい髪が確かに彼女の存在がここにあった事を教えていが、先ほどの悪夢の残留がその認識を阻害する。

その時寝室のドアが開かれる。
現われたのはエプロンを掛け、昨晩のままに解かれてストレートに下ろされた桜色の髪を揺らした最愛の烈火の将の姿だった。


「もう朝食だぞバージル」
シグナムが声を掛けるがバージルは唖然としているような顔で何も言わない。
「どうした? 今日は休みだからといって、まだ寝ボケているのか?」
「………」
だがバージルはシグナムのそんな言葉にも無反応で彼女の顔を食い入るように見つめ続ける。

「何だ? もしかして何か顔に付いているのか?」
そのシグナムの問いにも答えず、バージルはおもむろに立ち上がるとシグナムに近づいていった。

「どうしたバー…ひゃっ!」
シグナムが言葉を言い切る前にバージルは彼女の身体を抱き寄せた。
「どうした? いきなり…」
「………」

バージルは何も言わずにシグナムの身体を力の限り抱きしめる。
「ちょっ…苦しい…本当にどうしたんだ?」

服越しに伝わる彼女の身体の温もりと柔らかい感触が、鼻腔を満たす彼女の髪の甘い香りが、耳に響く彼女の澄んだ声が、やっとこの場所が悪夢でないとバージルに教えた。

バージルのその様子にシグナムは心配そうに口を開いた。
「何か悪い夢でも見たのか?」
「……ああ」
「そうか…」
シグナムはバージルの言葉を聞くとその背に手を回して優しく抱き返しながら彼の耳元で囁いた。

「大丈夫だ……私はここにいるから」

そのシグナムの優しい言葉に心を落ち着けたバージルはやっと平静を取り戻して言葉を返した。
「……すまんな…みっともない所を見せて」
10Strikers May Cry:2007/12/29(土) 02:13:36 ID:00h9w20c
「もうすぐ夫婦になるのだ、気にするな」


「シグナム〜味噌汁の鍋に火かかったままだったぞ〜。バージルの旦那起こすのにどんだけ…」
その二人の下にフワフワと宙に浮かんで融合型デバイスの少女アギトがやって来る、そしてアギトは寝室で抱き合っていたバージルとシグナムを見て言葉を失って固まった。

「アギト、これはだな…」
「お、お邪魔しました〜!! 2時間ぐらい外行ってるから、ごゆっくりどうぞ!!!」
アギトはそう言うと凄まじい速さで部屋を後にした。

「なんだか…勘違いさせてしまったな…」
「だな」
「それでは朝食にするか」
「ああ。二人きりというのも悪くは無い」
二人はそう言いながら食卓へと向かった。

こうして今日も平和に世界は回る。

Happy End
11Strikers May Cry:2007/12/29(土) 02:15:36 ID:00h9w20c
投下終了、しかしこれは本当に同一人物が書いたのか? 俺って実は多重人格なのかも…
12名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 02:17:35 ID:bhpoCwJb
バージル兄さん可愛いw
そして何故か脳内でアギトのごゆっくりがハルヒの谷口に変換されたw
13名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 02:18:28 ID:055qOb/T
>>1
乙ッス!
>>10
途中でもうチョメチョメでニャンニャンするかと思った
14名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 02:18:39 ID:EidlxtO1
蝶GJでございます。
しかしこのバージル、デレデレである
最愛のとか素で考えてる辺りデレっぷりがよく分かる。
15戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 02:19:06 ID:8r046buv
>>11
GJです。
いやもう泣きっ面がニヤケ面に変わるほどバージル兄貴デレてましたな。
今度はニヤニヤが止まらない。
16反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/29(土) 02:19:34 ID:KjnDM+8H
では、意識がはっきりとしてきたところであえて言わせてもらおう。

…俺はいつになったら寝れるんだッ!!!

けしからん、GJ贈ってやる。
そしてお疲れ様でした!
これでSMCも、本当に終わりなんですね…感慨深いものが…

…姐さん、料理できたんd(紫電一閃と広域次元斬のラブラブコンビネーション
17フルメタなのは:2007/12/29(土) 02:43:59 ID:ca5/ln9s
一日振りに来てみたら、新スレが立ってるわ、バージル兄さんは泣いてるわデレてるわ、すごい事になってますね…。

》SMC氏
GJです。
氏は気に入らない様だけど、やっぱバージル兄さんは幸せにならないと。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 03:08:25 ID:j+VALNHh
>>11
スレが変わったとたんにトゥルー・ハピーエンドッッ!!
だ、だめだ。
この展開は、俺の涙腺を刺激しまくる……。

これか!
これを職人は狙っていたのかッッッ!!!

GJです。・゚・(ノД`)・゚・。

もう俺の中では
シグナムの隣で寝るのを許される異性はバージルしか考えられなくなったwww

>>13
よう相棒!生きてるか?
実は俺も、なんだ。
二人の>チョメチョメでニャンニャンを想像してしまったおかげで寝れんw
19リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 03:16:53 ID:mmLSYewP
この名作の後に投下し様としてる私はもしかして愚か者?
別の時間にした方が良いですかね?
20名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 03:20:24 ID:IYiFOjhH
どうせいつかは投下するんだから。人知れず深夜にともいうのも乙かと
21リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 03:29:03 ID:mmLSYewP
すみませんもう眠いので投下は5時間後にします。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 04:54:26 ID:GAFP01Oz
なのはのSSを無造作に投稿できるスレはこちらですか?
試しに前書いたものを載せてみますが、URLでもおk?
とりあえず、ダイレクトに丸投げ。
ttp://atbb.jp/izumo/viewtopic.php?t=22&sid=e87eaac56cb8548add1121230bf7cc09
23名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 05:12:42 ID:hGaJEp2l
スパロボもかくやと言う他作品とのクロスオーバー二次創作であることが
最低条件
24なの魂の人:2007/12/29(土) 05:22:24 ID:8O98/wBX
>>11
GJ!
なんという新妻。
この姐さんは間違いなくフライパンで紫電一閃を繰り出してくる。

ならば俺は対抗してシャマルさんを……ゲフンゲフン
と言うわけで、なの魂十四話を15分後くらいに投下したいと思います。
今現在見てる人いるかどうか分からないけど、とりあえず予告です。
25スーパーロボット大戦X:2007/12/29(土) 05:31:04 ID:N4aeyi5Z
>>11
さっき早く起きてBAD ENDをきちんと読みましたが、悲しかった。
でもこれを見てその悲しみはふき取れました。
やはりどんな話でもハッピーエンドが一番ですね。
>>24
投下支援です。
26なの魂の人:2007/12/29(土) 05:38:40 ID:8O98/wBX
それでは予告どおり、投下を開始したいと思います
27なの魂:2007/12/29(土) 05:40:40 ID:8O98/wBX
前回までのあらすじ。
電車で酔っ払いにからまれている猫耳娘を助けた新八さんは
なんやかんやで娘とデートすることになったのでした。

「……あの、いいですか? こんな感じで」

大きめのサングラスをかけ、週刊少年マガジンを手にしたシャマルが不安げに言った。
今、彼女らは駅の近くの大きな喫茶店にいる。
新八と件の女性がこの店に立ち寄ったので、その動向を見守るためだ。
四人は屋外のテラスに並べられた、大量のテーブルの一番奥……新八達が座っている席から、最も離れたテーブルに座していた。
同じようにサングラスをかけた銀時が、手にしたジャンプを読みながら言う。

「なんやかんやってなんだよ。もっとちゃんと説明しろ。
 俺達が尾行してる状況も含めて」

あの、その……。
こういうことするのは初めてなので、よく分からないのでした。

冷や汗を垂らしながらシャマルがナレーションを行う。
銀時は頭を押さえながらため息をついた。

「分からないのでしたってそんな無責任なあらすじ、聞いたことねーよ。
 しゃーねェ、ここは俺が手本を見せてやる」

チョコレートパフェが美味かったのでした。

「それお前個人のことだろ。
 お前らさぁ、最後に『でした』ってつければ何でもいいって思ってるだろ」

呆れ顔で呟くヴィータ。
やたら尖ったサングラスをかけている彼女は、なんというか近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。
そんな彼女に構うことなく、シャマルはナレーションを続行する。

確かに、あのパフェは美味しかったのでした。

「ちょっと黙ってるネ、シャマ姉。私がやるヨ」

スキーゴーグルのように、真ん中の部分までグラスになったサングラスをかけた神楽が、自信満々にそう言い放った。

『侍の国』
私達の国がそう呼ばれたのは、今は昔の……。

「オイ、戻りすぎだ! 何話分のあらすじ!?」

順を追って説明していくのでした。

お前はもう黙ってろなのでした。

いえ、銀時さんこそ黙っていてくださいなのでした。

テメーらまとめて黙ってろなのでした。



なの魂 〜第十四幕 だから男がリードしないとダメだって〜
28なの魂:2007/12/29(土) 05:41:49 ID:8O98/wBX



などと四人が漫才を繰り広げている間、新八が何をしていたかというと……。

「新八さん? そこ目です、新八さん」

熱々のお茶を顔面に垂れ流していた。

「あつぁばァァ!!」

椅子から転げ落ちそうになる新八。
熱いと言うか、痛い。
見ているこっちも痛い。

「ああ大変! すいません、何か拭くものを!」

と猫耳の女性は側にいた店員に頼む。
拭くものより救急車を呼ぶべきだと思うのだが、そこはツッコんではいけないのだろう。

「大丈夫ですか? どうしたんです? ヤケドとかしてませんか?」

店員からおしぼりを受け取り、新八の袴にかかったお茶を丁寧にふき取る女性。

「ああ、ゴメン。大丈夫」

そう言って新八は彼女を見下ろす。
彼女が急に顔を上げ、目が合ってしまった。
新八は咄嗟に目を逸らす。

(くっそォォォ! きたないぞ、猫耳!
 なんでこんなカワイイ娘にこんなカワイイものがついてるんだ! 兵器だよ、コレはある意味)

恐るべし、猫耳。
さすが全世界共通の萌えパーツである。
萌えは世界を救うとはよく言ったものだ。
そこまで考えたところで、何故か満面の笑みでサムズアップを見せるザフィーラを思い浮かべてしまい、新八はげんなりした。

(……いや、こっちも違う意味で兵器だけど)

盾の守護獣は、彼らの中では完全にネタキャラとして確立されてしまったようだ。
まだ何もしてないのに。

(軍曹ォォ! 今なら猫耳に走ったお前に気持ちが僕にも分かるぞ)

新八は目尻に涙を溜め、自ら処刑した幹部の男を思い出す。

(猫耳はスゴイ! 猫耳万歳!
 僕はバカヤローだ。なんにもわかっちゃいなかった。
 殴られなきゃいけなかったのは僕の方だったんだ、軍曹。
 とんだ卑怯者だよ、僕は。ホントは、こんな所でこんな事する資格なんて僕にはないのに……)

消沈した面持ちで視線を落とす新八。
そんな彼に、袴を拭き終わり自分の席に戻った女性が声をかけた。

「あの、新八さん。昨日は本当にありがとうございました。
 私、まさか来てくれると思ってなかったからスゴク嬉しいです」

そう言い、目の前のコーヒーカップに手を伸ばす。
カップをゆっくりと持ち上げ、口元へ持っていき……。
29なの魂:2007/12/29(土) 05:44:12 ID:8O98/wBX

「一度ちゃんと会ってお礼をと……お礼っていうか、ホントはあの……あなたに」

「そこ、目ですよ」

新八と同じように、顔面に思いっきりコーヒーをぶっかけた。

「え? ……いや! 私ったら何やってるのかしら!」

慌ててカップを戻し、自分の顔をハンカチで拭き始める。
一通り綺麗になったところで、彼女は恥ずかしそうに新八を見た。

「おかしいなァ。なんだか私、ドキドキしてるみたい。……てへっ」

紅潮した愛嬌のある顔を新八に見せ、小さくペロッと舌を出し自分の頭を小突く。
恋愛経験値ゼロの男ならば確実に落ちるであろう、可愛らしい仕草だった。

直後、彼女らの遥か後方から何かが砕け散るような音が聞こえてきたのだが、彼女らは全く気にしなかった。



「……あの、ちょっと何してんの君達?」

銀時は呟いた。
無理もない。
いきなり目の前で、おしとやかそうなお姉さんが無表情でマガジンを真っ二つに引き裂いたり、
色気の足りない少女二人が素手でテーブルを粉砕している有様を見れば、誰だってそう言いたくなる。
……まあすぐに治まるだろう。
そう思い直し、銀時は手元のジャンプに視線を落とした。
彼は気付いていなかった。
本当の地獄が、すぐ目前まで迫っているということに。



(やめろォォ! やめてくれェェ! そんなカワイイ仕草をするのはァァ!!
 どツボ突いてきやがる! 整体師並の正確さでどツボ突いてきやがる!)

経験値ゼロの新八は、やはり撃墜されていた。
頬を染めて目の前の女性に見とれる。
女性はやはり、恥ずかしそうに新八を見ながら控えめに言った。

「あの……それで、ちょっと場所を変えてもよろしいでしょうか?
 ここだと騒がしいし、人目が多いと少し恥ずかしいですし……」

「え? ……ああ、まァ、いいですよ」

別段断る理由も無かったので、新八はあっさりと了承する。
女性は嬉しそうに、安堵の息を漏らした。

「よかったぁ……ありがとうございます」

そして頬を染めながら、ポツリと呟く。

「私、あの……憧れの人と二人きりになるのが夢だったんです。
 ……あっ、言っちゃった〜」
30なの魂:2007/12/29(土) 05:45:30 ID:8O98/wBX

俯き、新八から顔を背ける女性。
これまたどツボを突いた仕草である。
新八の心は揺れに揺れ動いていた。

この仕草のおかげで、どこかの誰かさん達のスイッチが入ってしまったのだが、彼らには知る由も無かった。



「何コレ! 何ですかこの気持ち! 物凄くイライラするんですけど、あの娘!
 どうしたらいいんですか!? 私はどうしたらいいんですか銀時さん!!」

「なんか黒いのがァァァ!! 胸ン中にダークマター的なものがァァァ!!」

「とってェェ!! この黒いやつとってェェェ!!」

キレた。
とうとう女性陣がキレた。
シャマルが叫び、ヴィータが吼え、神楽の雄たけびが轟く。
ちなみに、彼女らの怒りの矛先は全て銀時に向けられていた。

「あだだだだだ!!!!」

怒れる戦乙女達の仮借ない連打を受け、銀時は悲痛な声を上げる。
一体俺が何をした!?
理不尽な感情を抱くも、そのあまりの気迫に銀時は彼女らに抗うことが出来なかった。



「そ、そんな大げさな。じゃあ……行きましょうか」

どもりながら、新八は席から立ち上がった。
女性は嬉しそうな顔をし、うっすらと目に涙を浮かべた。

「あ……はいっ! ……よかった、勇気出して……。
 アレ? なんでだろ、前がかすんで見えないや」



「「「一生何も見えなくしてやろーかァァァ!!!」」」

銀時は泣きそうになっていた。割と本気で。
シャマルに関節技をかけられ、ヴィータにボディブローをしこたま叩き込まれ、挙句神楽には首の骨を折られそうになる。
これで泣くなという方が無理だ。

「だから何で俺!? 直接いけって!!!」

銀時は苦しそうな顔をし、うっすらと目に涙を浮かべた。
もうやめて! 銀さんのライフはとっくにゼロよ!



「あの、手を繋いでもいいですか?」

「えっ!? あ……じゃ……ハイ」

控えめに手を繋ぎ、席を離れる新八達。
その後ろでは阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されていたのだが、新八はそんなことに気付くほどの余裕は持ち合わせていなかった。
31なの魂:2007/12/29(土) 05:47:32 ID:8O98/wBX



大江戸警察署、取調室にて。

「なんだこりゃ?」

目の前の机の上に拳銃を置かれ、彼――警察庁長官、松平片栗虎は眉をひそめた。
机の向かいに立った土方が、ジト目で松平を見ながら言う。

「奥さんが、痴漢の旦那なんていらねーってよ。
 あの人は切腹なんて臆病で出来ないだろうから、潔くそれで頭をブチ抜けとのことだ」

それを聞き、松平は不敵な笑みを浮かべた。
用意されたパイプ椅子に座ったまま、ふてぶてしく両足を組み机の上に乗せる。

「あの女もわかってねーな。俺は微かな物音にさえ飛び上がってしまうくらい臆病な男だ。
 痴漢をする度胸なんて、あるはずもねーよ」

無駄に渋い声でそう言い放つ松平。
土方の隣に立っていた沖田は、無言で机の上の拳銃を手に取り、その銃口を松平の眉間に向けた。

「見苦しいぜとっつァん。汚名を着たままおめおめ生きてく位なら、武士らしく潔く死にな」

「オメーみてーな奴が、なんかあったらスグ練炭自殺とかしちゃうんだよ。
 生きるって事はそんなカッコイイもんじゃねーんだ。ホントにカッコイイってのは恥かいても泥すすっても生きてく奴のことだ」

直後、取調室から銃声が響いた。
銃口から硝煙が立ち昇り、ゆらゆらと不気味に蠢いていた。
松平は身体を大きく反らした状態のまま、ピクリとも動かなかった。
辺りを重苦しい空気が包み込む。

「……普通撃つか?」

沈黙を破ったのは土方だった。
眉一つ動かさずそう言い、土方は煙草を灰皿に押し付ける。
沖田は顔を手で覆い、身体を小刻みに震わせた。

「これ以上……とっつァんのあんな姿、見てられなかったんでィ」

消え入りそうな声で言い、土方の両肩に手を乗せる。
沖田は顔を伏せ嗚咽を漏らし、後悔の念に駆られるかのように呟いた。

「土方さん……ぐすっ。
 人間って奴ァ、どうしてこう……」

「…………」

その時になって、土方は違和感を感じた。
右手が重い。
不審に思い、眼前まで手を上げてみる。
何故かその手には、先程沖田がぶっ放した拳銃が握られていた。

「……普通撃つか?」

土方の隣で、沖田が冷や汗を垂らしながらそう呟いた。
32名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 05:48:35 ID:Eje+pnn8
シャマ姉!中の人か出ちゃってるよ!その物騒な物をしまって!
支援
33なの魂:2007/12/29(土) 05:49:10 ID:8O98/wBX

「何勝手に俺が撃ったカンジに編集してんだァ!? 何その汗!? スゲームカつくんだけど!!」

「みんなァァァ来てくれェェェ!!! 土方さんが! 土方さんが乱心して……。
 俺もうどうしていいかわからねーよう!」

「ちがうちがう! ちがうからねェェェ!! 俺じゃないからねコレは! てめっ、いい加減にしろよ!」

沖田の胸倉を掴み、首筋に刀を突きつける土方。
この状況、部外者からすれば、松平を抹殺した土方が口封じに沖田を殺そうとしているようにしか見えない。
いや、沖田を殺そうとしているのは割と本気なので、誤解とも言い切れないのだが。

「手帳がよう……どこにも見当たらねーんだ」

机の向かいから、無駄に渋い声が聞こえてきた。
二人は声のする方に視線を向ける。

「痴漢騒ぎがあった日から、警察手帳が財布ごとドロンよ。……どう思う?」

弾丸で髪の毛を削り取られ、逆モヒカンになった松平が二人に問いかけた。



(……これはもうどこからどう見てもデートだ。
 手ェ繋いでるし……心臓ドキドキいってるし……)

その言葉通り、新八の心臓は未だかつて無いほどに拍動していた。
コレもう放っといたら、北斗の拳のザコみたいに爆発すんじゃないの?
そんな事を考え……ふと視線を上げる。

(……アレ? いつの間にかちょっとなんか変な通りに入り込んでない?)

気が付けば彼らは、両脇をビルの挟まれた、細長い路地に入り込んでいた。
視線を上げると、いかがわしそうな文字の羅列が刻まれた看板、看板、また看板。
俗に言うラブホ街と言う奴である。

(嫌だな、そーいう事企んでると思われるじゃないか)

実はちょっとだけ考えていたのだが、まあそんなモン口に出せるはずが無い。
新八は眉をひくつかせる。

「あ……あの、エロメスちゃん。この通りあんまり面白いものないから……もうちょっとあっちの通り行かない?
 大通りの方……」

通りの向こうを指差し、新八は言った。
というか、そんな名前だったのかこの女性。

「新八さん、私ちょっとはしゃぎすぎで疲れちゃったみたい。
 ……どこかで休憩しませんか?」

しかしこのエロメスさん、新八の話など全く聞いていない様子である。
上気した頬に手を当て、恥ずかしそうに一つの看板を指差した。

「……あのホテルなんか、安くていいんじゃないかな?」

時が止まった……ような気がした。
もう一度言うが、ここはラブホ街である。
ビジネス街などではない。
そんな場所で、ホテルと言えば……まあ、お察しの通りだ。
クリスマスやバレンタイン辺りに繁盛しそうな、あのホテルである。
34なの魂:2007/12/29(土) 05:52:21 ID:8O98/wBX

(マジでェェェェェェェェェェ!!!!
 ウソッ!? え? 何? イキナリそーいうカンジ!?
 だってまだ会って全然……え? そーいうカンジなの!?
 玄関開けたら二分で「あはん♪」!?)

新八は焦った。
そりゃもう焦った。
鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔をし、そして目を血走らせる。
誰だってこんな状況に置かれれば混乱するだろう。
筆者もテンパる自信がある。

(最近の若者は乱れているとは聞いていたけど、戦国乱世並みの乱れ方じゃないか!
 無理だ!! 僕には出来ない! そりゃあ、こんなカワイイ娘とそうなれたらアレだけども!
 僕はまだ少年だし、ここは全年齢板だ! そんなマネしてみろ、確実にスレで村八分になる! 今までやってきた苦労もパーだ!)

いや、苦労した。
十三話も書くのは本当に苦労した。
それが一瞬で水の泡となるのである。たまったものではない。
新八は真剣な面持ちで……ラブホの入り口に立った。



「……とか何とか言って、結局入ってるじゃねーか」

ビル群の間から銀時がひょっこり顔を出す。
絆創膏だらけになったその顔は、見ていて痛々しい。
そんな彼に連なるように、シャマル、神楽、ヴィータも順々にビルの影から顔を出す。
その姿は、さながらトーテムポールのようだった。

「不潔ヨ! 男はみんな狼アル!」

虫ケラでも見るかのような目で言う神楽。
そんな彼女の上で、シャマルは不思議そうに問う。

「ところで銀時さん。ここって、一体何をするところなんでしょうか?」

「ナニをするところだよ。まァあれだ、ベッドの上で男と女がチョメチョメ……」

さすがに年頃の娘がいるので、危ないところは伏せて答える。
シャマルは顔を真っ赤にし、両の手を頬に当てながら上擦った声で呟いた。

「まぁ……! と……ということは新八さんもこの中で、出したり入れたりな淫らな行為を……!」

「オィィィィィ! 俺ですら伏せてんのに何でお前がモロ出しなんだよ!」

思わずツッコむ銀時。
いくらなんでも、出したり入れたりは無いだろう。
一方のシャマルはというと、銀時達から少し離れ、頬に手を当てながらクネクネと身悶えしていた。
今の彼女の脳内を色で表すとしたら、間違いなくショッキングピンクであろう。

「ウゼーよこの女! マジでウザいんですけど! なんでコイツだけ修学旅行のノリなんだよ!」

どうやら銀時は妄想逞しい女性は好みではないようである。
心底疎ましそうな表情でシャマルを見る。
しばらくすると彼女はハッと我に帰り、恥ずかしそうに口元に手を置いた。

「……すみません。殿方と手を繋いだことすら無いもので……」

「言うか? 大の男にコブラツイストかけた奴が言うセリフか? ソレ」
35なの魂:2007/12/29(土) 05:54:53 ID:8O98/wBX

この女、意外と耳年増である。
しかしだからといって、別世界にトリップするほどの妄想をしていい理由にはならない。
銀時は面倒くさそうに頭を掻いた。

「まァいい。とにかく行くぞ」

そう言ってシャマルの襟首を掴み、ズルズルと引き摺ってビルの間から出て行く銀時。
その姿はなんとなく、悪戯した子猫を摘み上げる飼い主を連想させた。

「え? あ、あの銀時さん?」

突然の事に困惑するシャマル。
なんとなく嫌な予感が彼女の脳裏を過ぎる。
そしてその予想は、見事に的中することとなった。

「俺一人で行ったら怪しまれるだろーが。お前も来い」

そう言う銀時が向かう先は……先程新八達が入っていったラブホ。
いや、まあ分かる。
さすがに神楽やヴィータを連れて行くのは、倫理的に問題があるのは分かる。
外見年齢が銀時とほぼ同じな、シャマルが連れて行かれるのは至極当然だろう。
が、しかし……。
シャマルが理解していたのは「ラブホに、強制連行」という二つの事実だけであった。
当初の目的をすっ飛ばし、何故かこの二つだけを脳にインプットしてしまったらしい。

「え、えェェェェェ!!? ち、ちょっと待ってください! あの、私達まだそういう関係でもないですし!」

再び脳内をピンクに染め、通常の三倍の速度でジタバタするシャマル。
が、まあ歴戦の侍を振り払うことが出来るはずも無く。
少しずつ確実に彼女はヘヴンズゲートへと近づいていった。
そしてそのことにより、シャマルの妄想はさらに加速する。

「安心しろ。未来永劫そういう関係にはならねーから」

彼女の脳内がピンクからモザイクに切り替わってきた辺りで、銀時が冷ややかに声をかけた。
だがしかし、彼の言葉はシャマルの耳に届く前に、どこかに次元跳躍してしまったらしい。

「ヴィ、ヴィータちゃん助けてー!」

涙ぐみながら鉄槌の騎士に訴えかける湖の騎士。
鉄槌は至極真面目に、こう応えた。

「初めての時は女が上になったほうが痛くないって聞いたぞー」

「お前ら国へ帰れェェェェェ!!! お願い! 三百円あげるから!」

かなり本気で銀時はそう叫んだ。



(……って言ってる間にどこォォォここォォォ!!)

ラブホです。
気が付けば新八は、ベッドの上で正座をしていた。
辺りを見回すまでも無く、彼は今の状況を把握する。
36スーパーロボット大戦X:2007/12/29(土) 05:55:56 ID:N4aeyi5Z
シャマル暴走しすぎですね。
支援
37なの魂:2007/12/29(土) 05:57:48 ID:8O98/wBX

(ヤバイ! マズイ! イカンぞ! なんとかしないと、コレは……)

そんな彼の前に。

バスタオル一枚を纏った天使が現れた。

「あの、次どうぞ。私……布団で待ってますから。……永遠に」



(アク禁なんて知るかァァァァァ!!!)

鬼のような形相でシャワーを浴びながら彼は思った。
いや、実際にされたら困るのだが、彼にとってはそんなことはもうどうでも良かったのだ。

(ここまできたら引き下がれるかァ! 据え膳食わぬは男の恥というではないか!
 全年齢板がなんだ! 多分なんか「こっから先はR指定だ」的なノリでごまかしてくれるはずだ!
 大丈夫だ! 絶対大丈夫だ!!)

あまりにも無責任な思考を巡らせ、覚悟を決める新八。
その表情はまるで、戦場に赴く戦士のようであった。

(男、志村新八!! 本物の男になります!!)



「銀時さんっ! 私あのベッドが回る部屋がいいですっ!」

多数のモニターの一角に映し出された部屋を指差し、シャマルはそう言った。

「ノリノリじゃねーかァァァァァ!! もうウゼーよダリーよメンドクセーよコイツ!
 だいたい何でそんな高い部屋!? お前が回りゃ済むことだろーが!」

ほとほと呆れた様子で捲くし立てる銀時。
しかし別にシャマルはノリノリというわけではなく、むしろヤケクソ気味だったりする。
生まれたてのバンビのようにガクガク震えている足と、ガチガチに固まったその表情を見ていただければ理解できるだろう。

「あの、道具とかもサービスしてますよ。ろうそくとかムチとか」

受付のお兄さんが、空気を読まずにそんなことを言ってきた。

「あー、いや、それより……」

新八のことを聞き出そうと、銀時が口を開く。
しかし銀時が言葉を言い切る前に、シャマルが横から会話に割って入ってきた。

「あ、大丈夫です。自前の縄がありますので」

と、待機状態のデバイスをかざす。
……縄?

「お前もう黙ってろ! 話がややこしくなる!」

シャマルを一喝し、銀時は受付に向き直る。

「それより、このホテルに眼鏡と猫耳の若いカップル来ませんでした?」

「悪いけど、そういうのは喋っちゃいけないことになってるからねェ。
 それよりさァ、アレ……なんとかしてくんない?」
38なの魂:2007/12/29(土) 05:59:51 ID:8O98/wBX

そう言ってお兄さんは、二人の後ろを指差す。
入り口の方でチャイナドレスの少女と、赤白のパーカーにデニム生地のミニスカートを見に纏った女の子が
隠れるようにこちらを覗き込んでいた。

「おたくらでしょ? アレ連れてきたの。ウチ子供は入れられないからね、困るんだけど」

「だから大人って嫌い! 不潔よ! 淫よ! インモラルよ!」

「そうだそうだ! いんもらるだぞ!」

二人の少女は口々に喚く。
ミニスカの方は、明らかに言葉の意味を理解していない様子だったが。

「パパなんて大嫌い!」

「パパスなんて大嫌いだ!」

「「どういう設定?」」

訳の分からないことを口走る夜兎の少女と鉄槌の騎士を見、銀時とシャマルは辟易する。
その時だ。
銀時は突然、背後に人の気配を感じた。
振り向き、そちらのほうを見やる。

「ん? ……アレ?」

どこかで見たような女性が、入り口の方へ向かっていくのが見えた。



「……あれ? エロメスちゃん? アレ? どこいったんだろう?」

待っているはずの女性の姿が見当たらず、新八は辺りを見回した。
ふと視線を落とす。

「ん? なんだァ? このカード」

ベッドの上に、黒猫の柄がプリントされたカードが一枚置かれていた。



「なんだァこのカードォォ!!」

黒猫の柄がプリントされたカードを見て、土方と沖田は爆笑した。

「笑い事じゃねーんだよォ! こっちはそいつのせいで痴漢に仕立て上げられちまったんだぞ!」

そんな彼らを、松平は一喝する。
土方と沖田は顔を見合わせ、揃って肩を竦めた。
39なの魂:2007/12/29(土) 06:01:45 ID:8O98/wBX

「居酒屋で一人で飲んでたら女に声かけられてよう。コイツがまた聞き上手で、俺のグチも進んでな。
 すっかり意気投合して。いい店知ってるっつーからついていったらよう。電車で急に騒ぎ出して。
 気が付いたら痴漢になってて、警察手帳と財布がなくなっててかわりにそのカードが」

そう言って松平は、沖田が手にしたカードを指差した。
カードの裏面……黒猫がプリントされていない方の面には、こう書き記されていた。

――あなたのハートと財布はいただいたわ。 怪盗キャッツイアー

「いや、ホントやられたよいい年こいて。でも言っとくけどアレだよ。ハートは盗まれて無いから俺は。
 ハートは三十年前にもう母ちゃんに盗まれてるからオジさんは」



『あああああああああ!!』

二人の侍の怒鳴り声が、江戸の空に響き渡った。



「待ちやがれコノヤロォォォ!!」

そう叫びラブホ街を全力疾走する銀時の先には、件の猫耳の女性。
ふん捕まえて事情を聞きだそうと思ったのだが、これがまたすばしっこいのなんの。
シャマルのバインドを軽々と避け、逃げおおせるその姿はまさに猫そのものだった。

「待てって……言ってんだろーがァァァ!!」

業を煮やした銀時が、木刀をブーメランのように投げつけた。
しかし猫耳の女性は大きく跳躍し、それすらもあっさりと避けた。
看板の上に降り立ち、女性は高笑いをする。

「キャハハハハハ! 何あなた達、あの子の家族ですかァ!?
 バカヅラさげて何? あの子が心配でついてきたのォ?」

眼下で呆然と立ち尽くす男女を見下ろし、女性は声高々にそう言った。
その歯に衣着せぬ言い方に、シャマルは思わずムッとする。

「心配いらないわ。私はなんにもしちゃいない。弟さんの貞操も無事だしィ。
 私が欲しいのは愛だけ。そう、私は愛を盗む怪盗キャッツイアー」

懐から財布を取り出し、女性は言葉を続ける。

「この世で最も美しいもの、それは愛。お金にも宝石にも私は興味がないの。
 でも愛は目に見えない。ゆえに愛を奪った証に私は男の財布を拝借させてもらうの」

「訳の分からないことを……。要するにただの物盗りじゃないですか!」

シャマルが怒鳴るが、女性はまるで小馬鹿にしたように鼻で笑って彼女を見下ろす。

「あなた達の弟、傑作だったわ。今時あんな純情な子いたのね。
 コロリと騙されちゃって、可笑しいったらないわ。
 なんだかこっちまで初恋の頃みたいにドキドキしちゃって……これがあるからやめられないのよね」

思わず身を乗り出すシャマル。
銀時はそれを手で制止し、女性を見据える。
呆れたように肩を竦め、ため息を付きながら銀時は言った。
40なの魂:2007/12/29(土) 06:03:48 ID:8O98/wBX

「オイオイ、ブリッコキャラはもうやめたのかい? 俺、アレ結構好きだったんだけどね」

女性はくすりと笑った。

「男ってホントバカよね。表層でしか物事を判断できない奴ばかりでさァ。
 あっ、ホンネ言っちゃった。私ったらドジ。てへっ」

ペロッと舌を出し、自分の頭を小突く。
最初は可愛く見えたそれも、今では相手を馬鹿にした小憎たらしい仕草にしか見えなかった。

「ブリブリブリブリうるっせーんだヨォォォ!!」

「うるせーんだよォォォ!!」

突然怒鳴り声が聞こえてきた。
女性は驚き、声のした方を見やる。
すぐ側のビルの屋上。
そこに彼女達はいた。

「ウンコでもたれてんのかァァァてめェはァァァ!!!」

番傘を担ぎ、神楽は猛々しく叫んだ。

「たれて……あ、いや、それはちょっと……」

鉄槌を担ぎ、ヴィータは神楽に倣おうとし……途中で言葉を止めた。
まあ当然といえば当然なのだが、さすがにウンコはNGらしい。
二人は跳躍し、女性目掛けてビルから飛び降りた。

「てへっ、なんて真顔で言える女にロクな女はいねーんだヨ」

「てへっ♪」

ペロッと舌を出し、自分の頭を小突くヴィータ。
案外可愛らしかったが、その印象は直後の彼女らの行動により、一気に掻き消される。

「「うおらァァァァァ!!!」」

危険を察知した女性は、咄嗟に看板から飛び降りた。
直後、二人の少女の得物が看板に振り下ろされる。
轟音と共に看板が奇妙な形に変形し、その場から崩れ落ちた。
飛び降りた女性は、予想外の出来事に目を見開く。
眼前に迫る巨大な鉄塊。
逃げようにも、この距離ではもう間に合わない。
女性は硬く目を瞑った。
直後、金属がひしゃげる様な凄まじい音と共に、辺りが砂煙に包まれた。

いつまで経っても、痛みは襲ってこなかった。
もしかして、苦痛を感じる間もなく自分は死んでしまったのではないだろうか。
女性はうっすらと目を開けた。
砂煙で見え隠れする向こう側。
そこには、どこかで見たような法被を着た男性が立っていた。
41なの魂:2007/12/29(土) 06:06:10 ID:8O98/wBX

「新八ィ!」

銀時が叫んだ。
そう、新八だ。
いつの間にやってきたのかは知らないが、あろうことか彼は自分を騙した女性を、身を挺して助けたのだ。
新八は頭上で支えていた看板を、重たげに横に退かす。

「みんな、もうやめてよ!」

彼は叫び、自分の後ろで怯える女性を横目で見やった。

「……恋愛はホレた方が負けって言うだろ。もういいよ、僕別にエロメスさんのこと恨んでないし。
 ……むしろ感謝してる位なんだ」

そう言って彼は女性の方へ身体を向けた。
その顔に怒りなどは一切無く、ただ優しく、全てを包み込むかのような微笑みがあった。

「短かったけど、ホントに彼女が出来たみたいな楽しい時間が過ごせて……。
 だから、一つ言わせてください」

優しい口調で、彼は女性に歩み寄る。
目を閉じ、深呼吸を一度。
そして……。

「ウソじゃあああボケェェェェェ!!!」

……叫び、斬り抜けた。
あまりの剣圧に、木刀の周りの砂煙が渦を巻く。
一撃必倒。
そんな言葉が相応しい、鋭い一撃だった。
新八の渾身の打撃を受け、女性は昏倒した。
彼の勇姿を見、シャマルは笑顔で賞賛の拍手を送る。
神楽とヴィータは目を輝かせ「カッコいい……!」と呟く。
銀時だけは、顔を引きつらせながら乾いた笑いをあげていた。

新八の恋愛経験値が5上がった!
シャマルの新八に対する好感度が2上がった!
ヴィータの新八に対する好感度が2上がった!
神楽の新八に対する好感度が0に戻った!
銀時の新八に対する恐怖心が3上がった!
42なの魂:2007/12/29(土) 06:07:50 ID:8O98/wBX



「あ、みんなおかえり〜!」

家に戻ってきた一行を玄関で出迎えてくれたのは、満面の笑みを浮かべたはやてだった。
何の前触れも無く上機嫌になっている主の姿を見て、ヴィータとシャマルは首を傾げる。
一方、万事屋一同はなんとなく嫌な予感を感じ、若干逃げ腰になる。

「ほらシグナム! みんなにも見せてあげへんと〜」

居間の方へ向かってそんなことを言うはやて。
しばらく待っていると、シグナムがおずおずと居間の入り口から顔を覗かせた。
それを見て絶句する一同。
シグナムは、かあっと顔を赤くし、無言で銀時達から目を逸らした。

……シグナムの頭には、ザフィーラのような獣耳がちょこんと乗っかっていた。

「ホンマは騎士甲冑に付けてあげたかったんやけどな〜。シグナムが本気で嫌がっとったから……」

と、残念そうにはやては呟く。
そんな彼女の手には、シグナムがつけているのと同型のヘアバンドが五つ。

「あ。心配せぇへんでも、みんなの分もあるよ〜♪」

そう言って嬉しそうに、手にしたヘアバンドを掲げる。
銀時達は顔を見合わせ……一斉にはやてに背中を向けた。

「……あ、ヤベェ。急に用事を思い出したような気がする」

「ヤバ、姉上にハーゲンダッツ買って来るように言われてたんだっけ」

「そういえば定春のご飯買ってなかったネ」

「シ、シャマル! アタシ達も神楽と一緒に!」

「そ、そうね! お買い物に行きましょうか!」

蜘蛛の子を散らすように外へ飛び出す五人。
そんな彼らを不思議そうな顔で見送った後、はやては微笑みながら呟いた。

「……みんな恥ずかしがり屋さんやなぁ」

「あの……主。そろそろ外してもよろしいでしょうか……?」

はやての後ろから、シグナムが控えめに言ってきた。
彼女の心境を反映してか、頭に付けた獣耳はしょんぼりと垂れ下がっていた。

「えー。結構似合ってるのに……」

やんわりとシグナムの願いを却下しつつ、はやてはヘアバンドを装着した。
大きな獣耳を揺らし、にぱーっと笑顔を向けるはやての姿は、とても愛くるしかった。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 06:10:14 ID:bzrkryZ+
新八某ハチマキさんの決め台詞とっちゃだめーーーー!支援
44なの魂の人:2007/12/29(土) 06:10:32 ID:8O98/wBX
以上で投下終了です

ウブだけど耳年増で妄想が激しい。
俺の中でのシャマルさんの印象はそんな感じです、ええ

……いや、チョメチョメとか、狙って書いたわけじゃないヨ?
SMC氏がタイムリー過ぎただけヨ?
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 06:11:43 ID:bzrkryZ+
>>44
GJでした。やー、半ばお約束なパロディっていいわwwww


・・・・で、とっつぁんは結局どーなるんでしょ?w
46リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 07:49:10 ID:mmLSYewP
あのー、投下しても良いですか?
47リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 08:08:05 ID:mmLSYewP
反応が無いけど一応投下します。本当にすいません
48リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 08:12:46 ID:mmLSYewP
リリカルなのはFeather 第二話 「天使VS戦乙女」

「……ねぇ、ティア……何なんだろう?……あれ?」
スバルがイーグルを指し、ティアナに答えを求める。
「知らないわよ、こっちが聞きたいぐらいなんだから?!」
ティアナは混乱していて、冷静な判断力が失われていた。
( わからない。 いま、起こっているすべてが、あたしの理解を超えてる。)
「大丈夫だよね? エリオくん」
キャロはエリオの片腕をつかみエリオに問いかける、そのエリオは。
「……すごい……」
イーグルの気高さと強さに憧れと羨望の眼差しを向けてる。
そしてヴィータはこの状況を今ひとつ掴みきれてなかった。
「なんだ、あれ? どっかの特撮の撮影か?」
ヴィータは辺りを見て、ある筈の無いカメラがあるかどうか探し、コンサートホールの上を視た時、一瞬でイーグルがスバル達の上空に現れた。
「 ど、ど、ど、どうしよう?」
スバルは急にイーグルが現れた事に驚いていた。
「嘘でしょ? 何でいきなり……現れるのよ」
ティアナは悲愴の表情でイグールを見つめて言った。
「……カッコイイ……」
「ねぇ、エリオくん、エリオくん。 お願いだか聞いてよ!」
もうイーグルの事しか考えていないエリオにとってキャロの必死の叫びは届いてはいない。
ヴィータは正常な状態ではない、スバル達を落ち着かせようとしていた。
「いいか、もしあいつが敵だとしても、あたしらが敵わないって決まってねぇから落ち着け。
それともあたしがアイツに負けるとでも想っているのか?」
そう言って、ヴィータはスバル達を見つめる。スバル達も日頃から感じてるヴィータの強さがイーグルに対する不安や恐れを消してゆく。
そしてイーグルがスバル達に所に近づいて来た。
「来やがったな、よしお前らッ! デバイスを起動させるぞ!!」
「はい!」      
「グラーフアイゼン」 
 「マッハキャリバー」 
  「クロスミラージュ」
    「ケリュケイオン」
      「ストラーダ」       
「set, up」
半壊したコンサートホールにスバル達の声が響き、それぞれのバリアジャケットとデバイスを展開した。
49リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 08:16:16 ID:mmLSYewP
デバイスを構え、イーグルを迎え撃とうした時、イーグルは、一瞬でスバル達の視界から消え、スバル達の後ろに回った。
「え、そんなのあり? 」
スバルが驚きながら、後ろのイーグルに向かって言った。イーグルは気絶してる、つばさを抱きかかえ、
淡い光を発しながら飛翔の姿に戻った。決して裸ではなく服を着た状態で戻った。飛翔は辺りを見回し、一際に目立つ格好をしてるスバル達の方を見つめ、
数秒の沈黙の後、つばさを地面に置き、飛翔は恐る恐るスバル達に問いかける。
「あのー、貴方達は、何なんですか?」
飛翔の問いにスバルが必死に説明をする
「えっと、 あたし達は時空管理局本局 古代遺物管理部 機動六課のスターズ分隊とライトニング分隊で、
あっちのから、ティアナ、エリオ、キャロ、ヴィータ副隊長で、あたしがスバルだよ」
スバルは満足そうに説明を終え、飛翔を見つめる、対する飛翔は恐怖が頭を渦巻いている、
普通の一般人の飛翔がこの説明を聞いても、とても理解出来るものではない、そこにヴィータが面倒くさそうに飛翔に言い。
「はぁ〜。 とりあえず、一緒に来い」
言い終えた時、シグナムがバーサーカとの戦いで出来た天井の穴から現れ、その事により飛翔の恐怖は更に増した。
シグナムも飛翔の様子を見て、状況の確認と飛翔の事をヴィータに聞く。
「なぁ、ヴィータ。そいつは誰だ、先程から今にも死にそうな顔をしてるのだが。
あと、ここで暴れて居た怪物はどうした?」
「あぁ、コイツ?変身ヒーロで怪物もコイツが倒した」
ヴィータの答えにシグナムは困惑した。
シグナムの眼から見ると、怪物を倒せると到底理解出来る物では無く、更にヴィータの変身ヒーロとゆう言葉が寄り困惑を招いた。
「ちょと待て、ヴィータ。その変身ヒーロとは具体的に何だ?」
「えっと、めちゃくちゃ速いスピードと炎使いで剣も使ってたぞ」
「なに、それは本当か」
シグナムから困惑は消え、変わりに歓喜と好奇心がシグナムを支配した。
自分と同じ炎使いで剣も使う物、その言葉にシグナムはとっては行けない行動を起こした。
レヴァンティンを飛翔に向けた、その事により飛翔は錯乱状態に陥り、勝手に左手のゴッドフェザー が覚醒し、
飛翔をライディーンイーグルに成った。
「おお、これがお前の力か?なかなか強そうだな!」
そお言い、嬉しそうにレヴァンティンを構えるシグナムの視界からイーグルが消え、次の瞬間シグナムの騎士甲冑ごとを斬られいた。
「何しやがんだ、テメェ!」
ヴィータはイーグルを激しく睨んだ。対するイーグルは冷たい視線でスバル達を見つめ。
「貴様らは、敵だ」
虚ろな声で言い、イーグルは又スバル達の視界から消え、エリオ、キャロ、ティアナを炎を纏った拳で殴り、バリアジャケット
でも吸収できない、衝撃が3人を襲い、気を失った。その光景を見たヴィータは怒りの儘にイーグルに向い、イーグルも天井の穴から屋外に出て
ヴィータを迎え撃つ。
50リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 08:17:15 ID:mmLSYewP
デバイスを構え、イーグルを迎え撃とうした時、イーグルは、一瞬でスバル達の視界から消え、スバル達の後ろに回った。
「え、そんなのあり? 」
スバルが驚きながら、後ろのイーグルに向かって言った。イーグルは気絶してる、つばさを抱きかかえ、
淡い光を発しながら飛翔の姿に戻った。決して裸ではなく服を着た状態で戻った。飛翔は辺りを見回し、一際に目立つ格好をしてるスバル達の方を見つめ、
数秒の沈黙の後、つばさを地面に置き、飛翔は恐る恐るスバル達に問いかける。
「あのー、貴方達は、何なんですか?」
飛翔の問いにスバルが必死に説明をする
「えっと、 あたし達は時空管理局本局 古代遺物管理部 機動六課のスターズ分隊とライトニング分隊で、
あっちのから、ティアナ、エリオ、キャロ、ヴィータ副隊長で、あたしがスバルだよ」
スバルは満足そうに説明を終え、飛翔を見つめる、対する飛翔は恐怖が頭を渦巻いている、
普通の一般人の飛翔がこの説明を聞いても、とても理解出来るものではない、そこにヴィータが面倒くさそうに飛翔に言い。
「はぁ〜。 とりあえず、一緒に来い」
言い終えた時、シグナムがバーサーカとの戦いで出来た天井の穴から現れ、その事により飛翔の恐怖は更に増した。
シグナムも飛翔の様子を見て、状況の確認と飛翔の事をヴィータに聞く。
「なぁ、ヴィータ。そいつは誰だ、先程から今にも死にそうな顔をしてるのだが。
あと、ここで暴れて居た怪物はどうした?」
「あぁ、コイツ?変身ヒーロで怪物もコイツが倒した」
ヴィータの答えにシグナムは困惑した。
シグナムの眼から見ると、怪物を倒せると到底理解出来る物では無く、更にヴィータの変身ヒーロとゆう言葉が寄り困惑を招いた。
「ちょと待て、ヴィータ。その変身ヒーロとは具体的に何だ?」
「えっと、めちゃくちゃ速いスピードと炎使いで剣も使ってたぞ」
「なに、それは本当か」
シグナムから困惑は消え、変わりに歓喜と好奇心がシグナムを支配した。
自分と同じ炎使いで剣も使う物、その言葉にシグナムはとっては行けない行動を起こした。
レヴァンティンを飛翔に向けた、その事により飛翔は錯乱状態に陥り、勝手に左手のゴッドフェザー が覚醒し、
飛翔をライディーンイーグルに成った。
「おお、これがお前の力か?なかなか強そうだな!」
そお言い、嬉しそうにレヴァンティンを構えるシグナムの視界からイーグルが消え、次の瞬間シグナムの騎士甲冑ごとを斬られいた。
「何しやがんだ、テメェ!」
ヴィータはイーグルを激しく睨んだ。対するイーグルは冷たい視線でスバル達を見つめ。
「貴様らは、敵だ」
虚ろな声で言い、イーグルは又スバル達の視界から消え、エリオ、キャロ、ティアナを炎を纏った拳で殴り、バリアジャケット
でも吸収できない、衝撃が3人を襲い、気を失った。その光景を見たヴィータは怒りの儘にイーグルに向い、イーグルも天井の穴から屋外に出て
ヴィータを迎え撃つ。
51リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 08:17:59 ID:mmLSYewP
「テメェだけはゆるさねぇ!!」
ヴィータの怒声とコッキング音が響き、ハンマーフォルムからラケーテンフォルムへ変形し、イーグルに攻撃を仕掛ける。
「はぁぁぁ!」
「ハァッ!」」
ヴィータの怒りに任せた攻撃は全てイーグルにかわされ、隙を突いてヴィータの騎士甲冑を切り刻んでゆく、
その事にヴィータの怒りが増し更に隙が多くなるとゆう悪循環が続く。
スバルは斬られたシグナムに駆け寄り、シグナムを気遣った
「大丈夫ですか?シグナム副隊長」
「あぁ、大丈夫だ、斬られた傷もそれ程、深くはない。私達もアイツを倒す」
「は、はい」
シグナムとスバルはイーグルとヴィータが戦っている、コンサートホールの上空に向う。
イーグルはヴィータに止めを刺そうとしてた。
「イーグルフレアー」
そう叫んだ瞬間、背後からシグナムとスバルの攻撃を受け、イーグルフレアーは軌道を反れ、ヴィータに当たらなかった。
シグナムが叫んだ。
「ヴィータ、スバル一気に方をつけるぞ!」
「おう」 
「はい」
そして3人、それぞれの必殺技に撃つ。
「飛竜……一閃」 
「ラケーテンハンマー」
一撃、必倒! ディバイン……バスタァァー!!」
三つの必殺技がイーグルに迫る、イーグルは虚ろの声で囁く
「ゴッドバードチェンジ」 
イーグルは一瞬で炎の鳥に変わり、その姿にスバル達も驚いていた。
三人の必殺技とイーグルのゴッドバードアタックがぶつかり合い、相殺して4人は気を失なう。

52リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 08:20:03 ID:mmLSYewP
少し時間経ち、コンサートホールにロングアーチの隊員が証拠隠滅と気を失っている、スバル達の回収を行っている。
「急げ、時間がない」
上司の男が部下を命令してる時、ある隊員が飛翔を発見し上司の男に報告する。
「隊長、この者に魔力で攻撃された箇所が多数見受けられます」
上司の男も困惑気味で話す。
「と、とりあえず、この男をクラウディアに連れて行く」
部下は飛翔を運び出そうとしたがつばさを抱きしめてた腕が解けずに上司の男に相談する
「隊長、この男が抱きしめている女の子は如何すれば良いのでしょうか?」 
上司の男は焦りながら
「もう時間が無い、一緒に連れてけ!」



そして飛翔はクラウディアの客室で眼を覚ました。
「おはよう、鷲崎飛翔くん」
はやては微笑みながら、飛翔の名を呼んだ。
「何で俺の名前を知ってるんですか?」
飛翔は平常心を装っているが内心は気が気ではない。
「別に、ただ、君のことを調べただけや。名前以外の事も知ってるよ」
はやては笑顔で飛翔の質問に答えた、その答えに飛翔は驚き、ある言葉が頭に浮かんだ、時空管理局。
「貴女もあの人達の仲間なんですか?」
飛翔はあの時の恐怖が甦り始めた。はやてはそれに気付き、飛翔に謝りだした
「あー、あれはこっちが悪いはかんにんな。あないな事が遭った、後にいきなり管理局やら剣を向けって、本当にごめんな」
不思議そうにはやてを見る飛翔。
「で、物は相談なんせやけど、時空管理局に入ってみない?」
飛翔は突然の勧誘に驚き、思考が数秒間停止した。
「あー、ごめんな、いきなりこんな事、言うて。でも良い話と想うけどな」
はやては飛翔に何か言いたそうにしている、それに気づき飛翔は、はやてに尋ねる。
「何ですか、良い話って」
「プライベートな事に口を鋏むのはあまりしたく無いけど……飛翔くんの両親、交通事故にあって
意識不明の重体でしょ。」
はやての言葉に飛翔は驚愕する、はやても話を続ける。
「そして、今は親戚の叔母さんの所に住んでるけど、あまり迷惑は掛けたくない?
でも、つばさちゃんを面倒見るには衣食住とお金が要る、だから叔母さん家に居なきゃいけない、でも管理局に来れば
お金と衣食住すべて手に入るんや、良い話と想わないかな?」
はやては問い掛ける、飛翔も叔母さんに迷惑をかけずに居られるならそれで良いと想い。
「分かりました、管理局に入ります」
「ありがとう、飛翔くん」
はやては飛翔と握手をして、満面の笑みであった、ただ一瞬、邪な笑顔がちらついていた。

53名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 08:24:00 ID:EidlxtO1
おおう、シャマルさんとヴィータが可愛すぎるw
これが萌と言うやつなのか
54リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 08:33:51 ID:mmLSYewP
以上で投下終了です
稚拙な文章でスレを穢して、すいません。
あと、鍋パーティに参加したいです。
55リリカル遊戯王GX:2007/12/29(土) 09:29:16 ID:f7tB29XC
そういや飛翔って貧乏キャラだったかw

昨日ウロスで聞いたけど意見がなかったので、
とりあえず40分からStS×A'sの一話を投下したいと思います。
56リリカルなのはFeather:2007/12/29(土) 09:35:50 ID:mmLSYewP
二重に同じ文章を投下して、大変申し訳ございません。

57エーストライカーズ:2007/12/29(土) 09:42:28 ID:f7tB29XC
そいでは投下します

彼女、高町なのはは全力で現実逃避をしていた。
目の前の9〜10歳あたりの少女がぽかんとした顔で見上げているが無視、気にしたら負けというやつだ。
自分はこんな少女など見たこともない、『多少』昔の自分に顔つきが似て、『わずかばかり』昔の自分に髪型が似ているが、断じて知らない。
それはきっと、隣に立って何故だか唖然と少女を見ている親友が証明してくれるはずだ、
そう、彼女の次の言葉は私とこの少女の関係を否定してくれるもののはずなのだ!

「子供の頃の……なのは?」
「フェイトちゃん信じてたのにぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「な、なのはさん落ち着いてー!」
「鎮静剤を! 早く!」

頭を抱えながら絶叫する。
フェイトは「え? あれ?」と何故なのはが錯乱したのかわからず、
少女――高町なのはは未来の自分を見上げながら呆然としたままだった。



「となると、なのはちゃんは本局に行こうと転移装置を使ったら、次の瞬間にはここにいたと」
「は、はい……あの、本当にここって10年後の世界なんですか?」
「そやなぁ、六課のメンバーはみんないるし、チンクを始めとした戦闘機人たちもちゃんとおる。ここは間違いなくウチらの世界、なのはちゃんにとって10年後の世界や」
「ふぇ……」

少女なのはは青ざめた顔で俯いてしまう、
無理もない、彼女はまだ9歳なのだ。何だか各所で忘れ去られているが、のび太より年下なのだ、ちびまる子と同い年なのだ。
そんな少女が突然「10年後の世界にようこそ!」などと言われてはたまったものではない。
……ちなみに19歳の彼女は現在鎮静剤で眠らされている。

「私、どうしたらいいんでしょう……」
「んー……次元を超えた漂流者は数いるし、なんでかそういう人たちを片っ端からスカウトしたような記憶もあるんやけど、時間跳躍ってケースはないんやよなぁ」
「そんな……」
「まあ、対象者がなのはちゃんやからな、ウチで預かることにするのは難しくないはずや。とりあえず先の事は後で考えよか」

はやての言葉に少女なのはは小さく頷く。
その様子を見て、はやてはある人物たちに任せることを決めたのだった。
58エーストライカーズ:2007/12/29(土) 09:43:13 ID:f7tB29XC


「……本当に昔の高町だな」
「うそ……」
「シグナムさんにヴィータちゃん!? よ、よかったぁ、二人も一緒だったんだ……!」
「い、いや、少し待て高町」
「私達はプログラムだからな、年はとらねーんだよ」
「あ……そ、そっか……」

ようやく見知った相手を見つけたと思った少女なのはは再び落ち込んでしまう。
はやてに頼まれて来たシグナムとヴィータは困ったように顔を合わせる、
とにかく視覚的にだけでも安心できる相手、とはやては考え二人に託したが、この二人に子守りなどができるはずもない。
それでもなんとかシグナムはコミュニケーションを取ろうと試みる、全ては主への思いがなせる技だ。

「そ、そう気を落とすな高町、たとえ帰れなかったとしても、主はやてはお前を見捨てるような方ではない」
「帰れない……フェイトちゃん、お母さん……!」
「あ」
「この馬鹿……」

烈火の将シグナム、戦闘一筋の女である。子守りの経験などありはしない。

「あーもう、しっかりしやがれなのは!」
「ひっく……ヴィータ、ちゃん?」
「お前がそんなんだとこっちも調子狂っちまうんだよ! だ、だからその……元気、だせって」
「ひく……うん……」

顔を赤くしながらのヴィータの言葉に、少女なのははようやく泣きやんだ。
ほっとすると同時に、どうしようもない怒りの感情がヴィータを包む。

「たっくよぉ! 私たちの世界のなのははなにやってんだ!? まだ眠ってんのかよ!?」
「そのようだな……ん? いや、今目が覚めたそうだ、テスタロッサが連れて来るらしい」
「未来の私……」
59エーストライカーズ:2007/12/29(土) 09:44:15 ID:f7tB29XC


その大人なのはというと……

「ほら、なのは……! いい加減に現実を見ようってば……!」
「違うの〜! 私はあんな子知らないの〜!」

現実逃避の真っ最中である。
その姿にスバルとティアナは何かが崩れ去ったようで頭を抱えている。
必然的にライトニングの三人が連れていくことになるのだが――
まるで子供のように抵抗する、暴れる、駄々をこねる、と手がつけられない。
困り果てるエリオとキャロの横で、フェイトは感じた違和感を元に思考を巡らせる。

「フェイトさん?」
「二人とも、おかしいと思わない? いくら何でも、なのはにしては子供っぽすぎる」
「言われてみれば……」
「そんな気が……」

原因はどうあれ、少女なのはは一人異界の地に置かれた孤独な存在なのだ、
どこかヴィヴィオに似ているこの状況の少女に対し、いくら過去の自分へとはいえ少し酷い対応をしているなのははらしくないと思える。

「……なのは」
「う〜、何……?」
「ここに何故だか魔法少女カレイドルビー(アニロワ仕様RH付き)のぬいぐるみがあるのだけど」
「っ!」

フェイトがどこからともなく取り出したとある魔法少女のぬいぐるみに、大人なのはは過敏に反応する。
以前二人でショッピングをしていた時、なのはがこのぬいぐるみに興味を示していたのを見て買っておいたのだ。
そしてフェイトの予想を裏付けるかのように、なのはは子供のように輝いた目でそのぬいぐるみを見つめている。

「このぬいぐるみをあげるから、一緒に行こう、ね?」
「そ、そんなフェイトさん」
「子供じゃないんですから――」
「うん!」

子供以上に子供のような無邪気な声で返事をするなのはにエリオとキャロは驚き、
スバルとティアナに至っては「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」と現実に立ち向かおうとしている、必死だ。

「やっぱり……なのはの思考が幼児化してるんだ……」
「ふぇ!? 酷いよフェイトちゃん、なのは子供じゃないよー!」
「……本当だ」
60エーストライカーズ:2007/12/29(土) 09:46:30 ID:f7tB29XC


「な、何!?」
「シグナム?」

フェイトから報告を受けたシグナムは思わず声をあげてしまい、二人に怪訝な顔をされてしまう。

「いや……その、この世界のなのはにも異常が起きたようだ」
「なっ!? お、おい、なのはは大丈夫なのか!?」
「落ち着け、どうやら思考能力が逆行しているらしいが、それ以外は問題なさそうだ」
「精神が幼児化しているってことですか? そうなると、私と何か関係があるのかも……」

ふと聞こえた声に、二人は顔を見合わせる。
声のした方を見れば、少女なのはが何やら色々と呟きながら思考を巡らせていた、
確かになのはは子供の頃から「いやお前小学生じゃないだろ」と言いたくなるような考え方をする、精神年齢は高めの少女だった。
だが、先ほどまで泣きじゃくっていたのに、突然落ち付くどころか現状を打破する方法を考え始めるとは、異常だろう。

「た、高町……お前」
「……はい、どうやら私はこの時代の私と逆の事が起きてるみたいです」
「マジかよ、これからどうなっちまうんだ……!?」

続く

以上です。
短め&パロネタ多数のコメディ風味でいこうかなと考えてます。
スレ違いだろう、などの意見がありましたら言ってくださるとありがたいです。

鍋パーティ夜なら参加できる可能性出てきたw
61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 10:57:08 ID:P1sOfSF5
>なの魂GJ
ネコミミ女に騙された後に、ネコミミつけろって、ていうか新八と銀時に
ネコミミ・・・・想像したらキモイっすね。2人がにゃ〜んといってるの
想像してしまった。そして真撰組にロストロギアの捜索を任せたら世界が
滅ぶと思う。そしてはやて&シグナムの猫耳GJ
62名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 12:25:39 ID:Oa7QuPO+
今更だが、本当にロワスレ立てて良かったのか。
なのはクロススレが二つもあるのはどうにも
63名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 12:37:02 ID:tb2nSIoj
いらんかったと思うけどまあこれからの需要次第じゃない。盛り上がるかも知れないし。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 12:39:21 ID:HMuPC6gR
立っちゃたから仕方ない。有効活用するしかないな。
避難所みたいな役割になるのだろうか?
65反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/29(土) 13:11:47 ID:6GNJeHOp
ウロス前スレであったあらすじのまとめみたいなものを作ってみました。
…ええ、こんなことしてる暇があったら片翼書けというのはもっともなご意見ですとも…

これ、投下してもいいのかな…?
66戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 13:42:40 ID:yDYEm4rN
やっと書きあがった第十話…。
投下は…うむむ、反目のスバル氏が投下するならば俺はその後かな?
67反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/29(土) 13:45:22 ID:6GNJeHOp
それでは一行あらすじシリーズ、投下します。


ユーノ・スクライア司書長のSS目録 〜一行で分かるクロスSSあらすじ〜

なのはA's×ギアスクロスSS
・珍しくジェレミアが活躍する話

なのはStrikerS-NEXT
・実はキャラクターの等身がかなりバラけている

リリカルスクライド//G.U.
・敵なども冷静に見てみるとクロス元の数がが凄まじいことになってる話

魔法少女リリカルグレンラガンA's
・(注)老人虐待シーンを含みます

NANOSING
・スバルが腹を殴る話

魔法少女リリカルマジンガーK's
・甲児「この緑茶を作ったのは誰d(ry」

宇宙の騎士リリカルBLADE
・質量兵器ペガス開発に着手してしまう管理局

なの☆すた nanoha☆stars
・芋虫と貝とドリルの話

仮面ライダーカブト
・さぁ、クロスSSで美味しい麻婆豆腐を作りましょう(機械音声)

スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL
・幼女に亀甲縛りを施す話

フェレットゾンダー出現!
・税金にうるさいヴィータ

白き異界の魔王
・トランスフォーマー・スバル

リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー
・挿入歌の用意が追いつかないぜ!

リリカルなのは ストライカーズ パンツァー・レーア
・スカリエッティ大ハッスル

リリカル・コア
・別名:エリオ・モンディアルの受難
68反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/29(土) 13:46:34 ID:6GNJeHOp
小話メドレー
・(版権的に色々とヤバイので、一部削除させていただきました)

×DOD
・副題:自殺王子リリカルカイム

コードギアス 反目のスバル
・ちょくちょく出てくる勇者王

魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
・幼女の心無い言葉は何者にも勝るジェノサイド・ウェポン

なの魂
・シャマル「出したり入れたりな淫らな行為を……!」(原文からのセリフ改変一切なし)

リリカル遊戯王GX
・速攻魔法発動! バーサーカーエリオ!

魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry
・終盤はしっと団ホイホイな展開を多く含みます

魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers
・真の主役はチンク姉

スーパーロボット大戦X
・時々なのは達が人間サイズであることを忘れそうになる話

リリカルなのはOSGS外伝
・きれいなレジアス

Devil never Strikers
・借りすぎには注意しましょう

魔法少女リリカルなのはStylish
・そんなにクルクル回しやがって、お前ら拳銃を何だと思ってるんだ

魔法少女フルメタなのは
・はやてが脱衣する話

魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜
・戦国時代は過疎スレ状態

エースストライカーズ
・タミフルなのはさん


なのは「…ユーノ君、これは何?」
ユーノ「おかしいな…全部間違ってはいないはずなんだけど…」
69反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/29(土) 13:48:04 ID:6GNJeHOp
ひとまず謝っておきます。
職人の皆様…なんかもう、スイマセンでした!orz

…避難所作ってきます。
では、戦国氏ドゾー
70戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 13:50:18 ID:yDYEm4rN
>>69
いやいや、盛大に笑わせていただきました。
ギャグなのにわかってしまうことがすごい。

じゃあ、投下しましょうかな。
71戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 13:52:02 ID:yDYEm4rN
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜

第十話「龍と雷光」

忠勝は優しき雷神、フェイトの武器、バルディッシュによく似た大剣を振る。
振る度に量産型は爆発。残るは数体。
だが、その数体を大剣で一掃しようとはしなかった。大剣を黒い宝石に戻すと。地面へと降りる。
(ヴィヴィオを救うにはやはり突入か・・・!!)
今度は金色の宝石を取り出すとその腕を天に掲げる。目の色から金色から雪の如き白へ。
宝石が光り、杖へと姿を変えた。
「あの杖って・・・!」
「シュベルト・・・クロイツやて・・・・!?」
その杖は最後の夜天の王、八神はやてが手に握る杖「シュベルトクロイツ」に似ていた。
忠勝は両手で杖を構えると十字の先の部分から白い稲妻が発生。稲妻は異様といえるほど大きくなる。
刹那、その大きすぎる稲妻は量産型とガジェットドローンを巻き込みながら聖王のゆりかごへ迫る。
案の定展開してあった結界にぶつかる。それでも忠勝は諦めない。叫び声にもよく似た鋼の唸るをとが響く。
大きな爆発の後結界が一箇所だけ見事に割れ、潜入できるほどの穴ができていた。
「・・・・忠勝さん!なのはちゃんとヴィータちゃんと一緒にゆりかご内部へと潜入!フェイトちゃんは先ほどの指示通りにスカリエッティの研究所へと潜入!」
指示された皆は頷くと、それぞれの場所へと飛ぶ。戦いはまだ、続く。
72戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 13:52:57 ID:yDYEm4rN
「ぐはぁぁぁっ!」
その戦場から少し離れ、吹き飛ばされたのはエリオだ。壁をぶち抜いてビルの中で倒れこむ。
吐血するエリオだがガリューは容赦なくエリオの腹に蹴りを入れていく。
「ぐふっ・・・!!」
「エリオ君っ!きゃあぁ!」
エリオの方に注意が逸れたところをルーテシアにつかれ、攻撃されるキャロ。
しかしルーテシアやガリューの方も優勢とはいえ次第に体力を奪われていく。そう、エリオとキャロのガッツで。
だが召喚のほうに問題がある。フリードリヒは今巨大な龍となってルーテシアの召喚虫を蹴散らしているがキリがないのだ。
おまけに地雷王という巨大なのもいるし、ルーテシア達の後ろでヴォルテールと戦っている白天王というのもいる。
「く・・・!」
エリオは槍を杖代わりにして立ち上がるがすでに満身創痍。
キャロも同じような状態である。
「ルーちゃん!私のお話を聞いて!」
「・・・消えて・・・!!」
ルーテシアは再び魔力を放つ。魔力に襲われ吹き飛ぶ二人。その足元には蒼い渦だった魔方陣が。
「え・・?キャロ・・・・これ!!」
「魔方陣・・・!?」
その瞬間晴天のはずの空から稲妻が落ちる。
稲妻の落ち方は尋常ではなく、何本もの稲妻が一本に集結、大きな一本となって落ちてきたのだ。
「Ha!楽しそうなpartyじゃねぇか・・・・!俺も混ぜろや・・・・・!」
そこには、一人の蒼い侍が立っていた。
蒼い侍は腰に挿していた六本の刀を片手に三本ずつ構える。
「さぁ行くぜぇ!イカレたパーティの始まりだ!Let's  rock!!」
73戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 13:54:36 ID:yDYEm4rN
━━━━"The dragon without the right eye" runs(「右目の無い龍」は走る。)

━━━━The sword that it is called "the nail of the dragon" to grasp in the hand.(その手に握るのは「龍の爪」と呼ばれる刀。)

━━━━"The dragon" infringes upon an enemy as far as there is a fight there and cuts it down.(「龍」はそこに戦いがある限り、敵を蹂躙し、切り倒す。)

━━━━Orbit of the lightning that it is blue that a nail weaves. But the blue does not have the cloudiness.(爪が織り成すのは蒼い稲妻の軌道。だが、その青に曇りはなく。)

━━━━And the dragon gives its name.(そして龍は名乗る。)

「この奥州筆頭、伊達政宗を楽しませてくれるヤツぁ、ここにいねぇのかい?」
奥州の龍、伊達政宗推参、その背後には斬り捨てられた召喚虫の群れ。
だがその中の一匹が立ち上がり、腕を振るう。腕は当たることなく、「龍の右目」に防がれた。
「政宗様、背中が隙だらけとあれほど・・・・!!」

━━━━To a dragon without the right eye, there are the right eye and a man to be able to invite.(右目の無い竜には、右目と呼べる男がいる。)

━━━━The man did not have the nail of the dragon, but there was scathing brightness of the eye named the sword.(その男に龍の爪はないが、刀という名の鋭い眼光があった。)

「あぁ?俺の背中はお前が守るんじゃなかったのか?」
「無論、この片倉小十郎。命を賭けて政宗様の背中をお守りいたします!」
「Coolじゃねぇか。それでこそだ。」
槍使いの少年と龍使いの少女の前に現れたのは、一匹の「龍」だった。
「小十郎、俺は黒いあいつと戦う。他のは任せたぜ。」
政宗はガリューへと目標を変え、走り出す。すぐにぶつかり合う刃と刃。ガリューは背中から生えた触手で政宗の腹を打ち、吹き飛ばす。
ビルに突っ込む政宗だが体勢を立て直してまた突撃。顔は、笑っていた。
「やれやれ、困ったお方だ・・。さて・・・嬢ちゃん、俺はできればアンタと戦いたくないんだが・・・?」
小十郎は刀を肩で背負い、ルーテシアを見据える。
ルーテシアは小十郎の問いかけにも答えず、魔力の球を撃ち出す。
素早く刀を前に突き出して球を斬る。真っ二つに割れた球はかなり後方で爆発。
「こっちも困ったやつだ・・・。流石に斬るわけにはいかねぇけどな。」
そう言って刀を反す。にらみ合いが続く中で何かを思いついたように後ろにいるエリオに声をかけた。
「おい、そこの坊主。」
「は、はいっ!?」
「ちょいと手を貸してくれねぇか?作戦があってな・・。」
小十郎はエリオに背を向けたままできるだけ小声で話す。
74戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 13:55:17 ID:yDYEm4rN
「Hey!よーく耳を澄ませな、俺の心臓はここだぜぇ?」
自分の左胸を親指で指し、ガリューを挑発する。ガリューはそんな挑発に乗るほど短気ではない。
じっとしてたら政宗が接近、三本の刀で斬り上げる。
「!」
攻撃を防御するガリューだが政宗の攻撃は終わりじゃない。そのまま空中に上がり、もう片方の三本の刀を振り下ろしてくる。
「DETH FANG!!」
その攻撃も防御したが明らかに先ほどの斬り上げより重い。すこし手が痺れ、震えている。
自分も負けてはいられない。触手をまた政宗の腹に打ち込むと今度はそのまま接近。手首についた刃を突き出す。
ギリギリのところで避けたから兜の緒が切れ、兜が地面に落ちる。
「ヒュウ、やるねぇアンタ。」
「・・・・。」
また刀と刃のぶつかり合いへと変わるが、直ぐに両者は離れた。
政宗は片手に六本の刀を持ち、ガリューへと接近。六本の刀を横に凪ぐ。
「PHANTOM……」
「!!」
横凪ぎは今までの政宗の攻撃を遥かに凌ぐ重さ。ガリューの体が浮いた。政宗はジャンプし、ガリューへと迫る。
手には六本の刀。六つの斬撃が、ガリューの体に向けて振り下ろされた。
「DRIVE!!」
その四肢は宙を舞い、地に落ちる。刀を仕舞い、倒れているガリューへと言葉を送る。
それは一言だけだったが今の気持ちを伝えるには十分な言葉。
「楽しかったぜ。」

「……というわけだ。いけるか?坊主。」
「はい、やってみます。」
エリオは立ち上がり、ストラーダを再び構える。
小十郎はその隣に立ち、腰を落とす。ルーテシアは何もしないままだ。
静寂が場を支配する。何も動かず、聞こえるは風の音と自らの心臓の音。静寂は十秒、五十秒、一分。長く続く。
先に動き出したのは小十郎だった。一歩踏み込み、二歩目で地面を思い切り蹴る。
刀を前に突き出して蒼いオーラを纏いながらルーテシアに突進していく。
「穿月!」
穿月はルーテシアを捕らえることはなく、横を通り過ぎる。
「うおぉぉぉぉ!」
小十郎のあとに続きエリオがストラーダを構え、突進してきていた。ルーテシアは思わず飛び退くがエリオは止まる。
ルーテシアが飛び退いた先に小十郎がいた。刀を上に掲げ、肩と首を叩くと気絶。その場に倒れこんだ。
「今は静かに眠れ・・。」
刀を鞘へと納めると同時に政宗が近づく。どうやら終わったようだ。
エリオとキャロが近づき、少し戸惑いながらも二人の武将の前に立つ。フリードリヒもキャロの近くに降りてきて元の小さい竜へと戻り、
ヴォルテールの方も決着がつき、消える。白天王を含めた召喚虫はルーテシアが気を失ったと同時に消えてしまったみたいだ。
「あの、ありがとうござい・・・」
「おっと、礼はまだだ。オメェらにはまだ行かなきゃならねぇ所がある。だろ?」
言い切る前に政宗が喋る。言葉に対してエリオとキャロが頷くと政宗と小十郎は顔を見合わせて微笑。
フリードリヒの上にルーテシアを乗せ、四人はゆりかごへと走り出した。
75戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 13:59:17 ID:yDYEm4rN
投下終了。
伊達政宗はいろいろと登場させるのに困ったキャラ。
やっぱり英語を使うからなぁ、登場させるのにも英語使うべきかなと。
そして最強武器がアラストルだ。デビクラとかぶる。結局使わなかった。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 14:10:10 ID:41IcfXec
真祖の人です、前作のあれは調子に乗りすぎましたorzツヅキハトウブンカカナイトオモイマス
黄色い悪魔投下してもよろしいでしょうか?(グロ有り)

戦国氏GJ!次は幸村登場フラグですね・・・しかしオレンジが今どうなっているか
非常に気になるのですが

77反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/29(土) 14:19:03 ID:6GNJeHOp
GJ! やー、政宗Coolですなぁ。

避難所できました。
背景色がおかしいのは…まぁ気にするな。そのうち改善する。
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 14:33:47 ID:9sn4mDSc
GJ!!
ザビーが教徒を引き連れて来るのを待ってますw
79名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 14:42:39 ID:GchHXL2T
悪魔でもいいよ支援
80Strikers May Cry:2007/12/29(土) 15:01:00 ID:00h9w20c
またもや凄え投下されてる……みんなGJ。
っていうかなの魂氏、猫耳シグナムってなんてモン書いてるんですか!? 萌えたじゃないっすか!
そして戦国氏、やっぱ独眼竜は良いっすね。

>13 >18 チョメチョメ、ニャンニャン……実を言うとバージルとシグナムのちょいエロな話を入れる予定だったりしました。

そして真祖氏! 支援ですよ!!!
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:07:17 ID:41IcfXec
真祖の人です、投下します。

――――クラウディア CIC 本編のちょっと前
「指揮官はお前じゃない!分かっているのか!」
クロノの叫びがクラウディアに響き渡る、怒鳴られているのは副官を務めるカール・ライカー一佐だった、事の顛末は、
ある反管理局組織の本拠地を発見制圧に向かったのだが、ライカーは罠があると想定して様子を見て(もしくは徹底した
攻撃を加えてから)という意見に対しクロノはあくまで証拠確保のためにも早期突入を示唆、結局クロノ案に従いクロノ
自ら陣頭指揮による早期突入となったが、それに案じたライカーは独断でクラウディアを動かし、搭載されている魔道火器使用に
より本拠地を潰したのだ、それは結局功となった。もうすでに本拠地は蛻の空で内部には自爆用の爆弾が多数設置されていたからだ、
クロノは自分の迂闊さを呪い、ライカーには感謝した「流石は管理局で5本指に入る優秀な士官」と言われることはあると…
ライカー自身も無能な上官に対しては徹底した侮蔑をするがそれを認め、意見を請うなど改善して行けば上官として認める。
そういったタイプだったが次の行動がクロノを激怒させた、反管理局組織を追いかけたがクロノが負傷した為ライカーが命令を
勝手に変更し組織のボス、ならびに幹部を皆殺しにしたのだ、それも徹底的に無慈悲に…
「無駄な抵抗して局員を負傷もしくは死亡させるより何倍もマシだろう、凶悪犯罪者は捕らえるよりも根絶やしにした方がいい」
(軍時代に対ゲリラ戦など見てきた)彼の合理的な持論が結果的にクロノを怒らせる事になった。
「管理局は法治組織だ、殺すと言う事はお前がかつて所属していた人殺しの組織…軍隊だ!」
クロノ叫んだ後のライカーの表情も不味かった、そう丸で「はぁ?何言っているんだこいつ?」といった
侮蔑した表情をした為だ、それが火に油を注ぐ羽目になった、何せ戦闘能力は低いが成績はきわめて優秀で
バックサポートにおける役割はライカーの方が圧倒的高く局内の評価も高い(彼の手腕で解決した事件もクロノより多かった)、
それに比べ自分は局内で「親の七光」で蔑まれている事も知っていた、それらに対する鬱積、嫉妬などが一気に爆発した、
あらん限りの罵声をライカーに浴びせかけた。
「何が優秀な士官だ!血に飢えた殺人者じゃないか!」
「これだから元軍人は!」
だが周りの視線に気づいたのか罵声を止めると吐き捨てた。
「お前は副官解任だ!もう二度と船に乗れると思うな!」

――だが断っておこう、クロノはその暴言を後で猛反省したし、彼自身の能力も高く、
  ライカー自身も「嫉妬する奴にいちいち構うな」とクロノに言い聞かせていた。
  だがクロノは提督になるには…あまりにも頑固すぎた。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:09:29 ID:41IcfXec
――――管理局内のある将官達の会話
「新設部隊の予算が決まったよ」
「どれどれ…ゲッ!うちらの部署の予算より倍以上じゃねぇか!」
「何てこった!とばっちりがこっちに来ているよ」
「頭痛ぇ〜〜〜」
「んんんんん…ケッ!相変わらず予算が豊富なのは全部3提督の息のかかった連中じゃないか!」
「そりゃカナリスも逆らうわけだ」
「そういや一時期ゲーレンやシェルドンの更迭も考慮しているらしいぞ、カナリスの教え子たちで
 あり通じていたという事で…まぁ実際は提督派の人間がカナリスによって叩き出されて、主要幹
 部が数少ない全員非3提督派で占められているのがよっぽど気に食わないらしくて」
「おいおいおい、どこまで強欲なんだよ」
「この前聞いたけど、情報局に圧力かけたらしいぞ、予算欲しければこちらの指名する人物を副局
 長のポストに入れろと…しかも推薦した奴よりによって情報局に向かないボンクラだぞ」
「まぁゲーレンはその脅しに屈服することなく『俺のケツをなめろ』と言って叩き返したそうだ」
「…捕まらないのか?」
「いや、総務統括官の宗方中将や局の主要幹部がゲーレンのバックについているし、ゲーレンやシェルドンを
 逮捕してみろそれこそ情報局の主要要員が怒り狂って辞表叩き付けるぞ」
「そうなると不味いな…しかし新設部隊の予算における内容見ろよ」
「何々…資材、機材は最新鋭、配備される戦闘部隊はあのエースオブエースと名高い高町なのは一等空尉を始めとする超絶優秀組」
「うがぁ!こっちは少ない人数と中古の機材でなんとかやりくりしているぞ、贅沢言いやがって」
「しかも地上本部で優秀な人材の引き抜きまで行っているぞ、ヴァイス・グランセニック陸曹と市川守二佐もだとさ、
 後者は創設となえた八神はやて二等陸佐の推薦だとさ」
「前者は兎に角、後者はレジアス・ゲイズ中将の戦友で陸戦課の最重要人材の一人だぞ」
「不味いなぁ…しかし三提督の恩恵受けているとすぐこれだ」
「クーデター起こしてぇ」
「まぁ気持ちは分からんでもないがな」

―――はやて本人達も時空を守る為に必死になっていた事は確かだ…だがそれに伴う犠牲(予算削減)
   や今までの鬱憤が後にある勢力にとって悲劇の幕開けとなる。

――――情報局
「で、予算はこれか」
シェルドンは情報局に回された予算を見て呟く、数値には去年の予算より削減されているのだ。
「何が、『新設部隊の予算確保のために少し削らさせてもらいます』だ!ふざけやがって!あいつら
(魔法至上主義者)の息のかかった部署の予算全然削られていないじゃないか!」
シェルドンは怒り狂っていた、重要な情報局の予算を減らすとはどういうことか、ジェイル・スカ
リエッティの行動は兎に角、最近管理局の最大敵対組織と言える『セプテントリオン』の動きもこ
こ最近活発化し始めているのだ、その情報を得る為にもなんとしても予算の増加は必須と言えるの
に、予算を削るとは一体何を考えているのだ。
「だが…これでもまだマシなほうだ」
ゲーレンはもう一つの表を見せる、その表を見てシェルドンは息を呑む。
「こ、これ本当ですか?」
「ああ、本当だ。宗方中将の口添えや、その部署からの支援がなければこうなっていた」
その表には情報局に回されるはずだった予算は去年と比べて凄まじいほど減額されていた。
「そんなに気に食わなかったのか?提督派の人材を副局長のポストに付けなかった事が」
「シェルドン、本気で言っているのか?」
「…分かってますよ、ボンクラにポストついてもどうせ妨害する気は満々ですし、こちらの保持し
ている重要情報があいつらに流れてしまいますよ」
そして呆れたようにゲーレンは言う。
「もうどうにもならないなあいつら、自分達が管理局のすべてだと思っている」
「だからこそ…宗方の企てに加担しているのでは」
「ああ、そうだな」
83名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:11:59 ID:41IcfXec
―――――本局 宗方の部屋
「訓練場所の確保が出来たか、うん上出来だ、管理外の無人世界うん流石だ、揉み消しはまかせ
 てくれ」
宗方中将と斎藤中将との通信を切った、そして居並ぶ将校に不気味な微笑みを浮かべ告げた。
「対ジェイル・スカリエッティ用特殊部隊の訓練場所の確保が出来た」
それにニヤリと笑う夏目二佐とライカー一佐、ただベイツ二佐は渋い顔をしていた。
「どうした、ベイツ?」
ライカーはベイツに問うた。
「これで正しいのでしょうか?味方すら犠牲にしてまでここまで行う行為に…
 確かに今の三提督もその取り巻きの横暴は目を被うばかりです…かといって」
「かといって、そこまでやる必要があるのかと…」
「はい」
宗方は真剣な表情を見せて、一切れの紙を取り出し見せた、その紙を見たベイツは仰天した、その紙に書かれているのは
あの聖王教会の教会騎士団カリム・グラシアの保持するレアスキル『プロフェーティン・シュリフテン』、預言者の著書という
意味の成すとおり完全とは言わないが未来を予言出来るというスキルだ、その内容はこうだった。
「古い結晶と、無限の欲望が集い交わる地。死せる王の元、聖地よりかの翼が蘇る。死者たちが踊り、なかつ大地の方の塔は
 空しく焼け落ち、それを先駆けに、数多の海を守る法の船も砕け散る」
と…それは明らかに時空管理局そのもの崩壊を予言したものであった
「ですがこれはよく当たる占いと…」
「確かにそうは言われているが…情報局が掴んだジェイル・スカリエッティに関する情報だ」
宗方はモニターを操作し、情報局が掴んでいるジェイル・スカリエッティの状況を纏めた物だ、それベイツは驚いた、
予言と類似する点が多数存在したのだ。
「八神はやてが述べている機動6課構想もこれに発端している」
「では彼女達に任せておけばよいのですか?人材は見たところ優秀です」
「確かに、致命的な面がある」
宗方は厳しい顔でベイツを見つめる、そしてベイツは分かった。
「…ベ、ベテランが市川二佐ただ一人!」
「そうだ、彼女達はあまりに後方を軽視している、そして慢心しているよ自分達の実力に、そしてやり通す意思はあるが致命的な面それは…」
「『殺』というわけですか?」
「ああ、そうだ彼女達は殺す事にすごく臆病だ、市川二佐を除いてね。ああ、ヴォルケンリッター?ああ、今は八神はやて二佐の忠実なる僕、もう牙の抜かれた犬だ」
宗方は素っ気無く言う。
「つまり、中将、貴方が考えているのは」
「最後の保険であり同時に局に対して意識改革、ならびに未だに強大な発言権を手放さない三提督とその取り巻きの排除だな」
「そうですか、分かりました…しかしミッドチルダは地獄になりますね」
「地獄か…あの時よりはマシだと思う」
「あの時とは?」
「クリムゾンバーニング…あの地獄はもうコリゴリだ」
宗方は虚空を見据える、あの戦争、とある独裁者の下らない理由で起きた世界を巻き込んだ戦争、
凄まじい死者と破壊を撒き散らした後に出来たのはただ広がるは破壊された都市や自然・・・宗方
は歯を噛み締めた。
「しかし、何故多大な成果を上げた三提督がこうも歪んだのでしょう?」
ベイツの疑問は最もだ。
「ベイツ二佐、人は大きな権力を握ってしまうと自然と腐り始める、それが過去に大きな成果を上げ、英雄と呼ばれたものたちでも
 …甘い蜜の味を覚えた人が苦い蜜を再び舐めるか?」

      リリカルなのはストライカーズ・エピソード4
            「黄色い悪魔」
84名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:14:08 ID:8JIWXwAq
支援します
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:15:20 ID:41IcfXec
――――リッチェンス邸
 市川はMP5の初弾を装填し、構えると敷地内に侵入した。すぐに低い姿勢をとる。視線と銃口
を周囲に向けた。人影は居ない。リッチェンスの手下どもは表門での戦いに駆り出されているらし
い。だが市川は気を抜かなかった。庭に植え付けられた樹木や庭石に身を隠しつつ、屋敷の北側へ
進む。動作は素早いが、足取りは慎重さに満ちていた、市川は熱い闇に融けつつ前進した。    
僅かに発汗しているのは、内心抑えがたいほどの興奮で満たされているからだった。このような環境こそ、
市川の生きる場所なのだった。彼はそれを実感した。
 
 どやどやと表現するしか他ない騒音を立てながら4人の男が視界内に現れた。どうやって反応すべきか、
市川はコンマ一秒以下の時間で勘案し、決断した。MP5を彼らに向け点射を行った。無音に近い
銃弾を受けた男達は3秒で全員が絶命した。市川は足取りを早めた。屋敷の北側に到達し、周囲を確認し安全を確認する、
バッグからC4を取り出し壁に貼り付け信管を作動させる。右側から叫び声が上がった。
「野郎、こっちだ!殺せ!」
市川は足の筋肉を聞かせて低く飛んだ。空中で身をよじり、声のした方向に射撃する。着地前に弾倉は空になっていた。
匍匐前身で庭岩の影にもぐりこみ弾倉を交換した。銃声が響いた、周囲に着弾はない。市川は口を歪めた。あの莫迦どもは、
屋外で短銃身の散弾銃を使用している。爆発が発生し、壁が吹き飛ぶ、それを見た市川は閃光手榴弾を取り出し、
射撃をしている男達へと投げつけた、地面にしっかりと伏せ、瞼を閉じ右目を手で被った。小さな爆発音が起こり闇が白くなった。
悲鳴がいくつも聞こえる、そうした声を上げる元に市川はMP5を向けた。弾倉を二個消費し、全員を射殺した、
そして壁穴に破片手榴弾を放り込む…爆発、内部を銃弾で軽く撫でると邸内に突入した。

―――邸近く
「何が起きているの?」
ギンガ・ナカジマはうめいた、ギンガによって正門の一部を砕く事に成功した、そして警察や局員がそこに向かって突入しようとしていた、
そんな中裏門の所から再び爆発音がした。
「裏門に警察か何かいますか?」
ギンガは警察部隊の隊長に通信を送る。
「いや、そちらにはいないはずだ」
「では一体誰が?」
「分からない、少なくともリッチェンスに対して何かしら恨みを抱いている連中かもしれん、こちらから何名か派遣する、
 君はこのまま正門突入を行ってくれ」
ギンガは隊長からの要請に応じた、今そんな事を考えている余裕はない、今出来る事を成すだけだ、
リボルバーナックルからカートリッジを再び打ち出した、ギンガは決心したように空いた壁の中に突入しようとした。

―――邸裏門
「全く派手にやりすぎだ」
副長はぼやく、地面には警察官と思われる数名の男女が地面に倒れていた。
そうレジアスの命令を受けた二人は市川を支援する為あえてこちらにやってくるであろう
警察や局員の阻止を行っていたのだ、副長は呆れ顔で煙を上げている裏門を見た。
「彼らしいと言えば彼らしいか」
スナブノーズもぼやいた、全く平和なクラナガンで戦争を起こせる御仁なんてあんたぐらいだよ市川二佐。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:18:57 ID:8JIWXwAq
支援!
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:19:15 ID:41IcfXec
――――邸内
 部屋の中は破壊し尽くされていた。部屋には大きな布団が敷かれている。そこには血濡れになった筋肉の塊が二つ、
横たわっていた。二人とも裸だった。恐らく「ウホッ!」な趣味の持ち主同士が周囲の状況に気づかずに居たらしい。
上に居る男は死んでいたが、組しかれた姿勢の男にはまだ息がある。男は左手に包帯を巻いていた、市川は男に銃を向けた、尋ねる。
「すまないが、教えて欲しい。私の娘は何処に居る?」
男は恐怖に大きく目を見開き、市川を見つめた、市川は微笑を浮かべもう一度問うた。男は答えなかった。市川は僅かに眉をしかめ、
長靴で男の左手を踏みつけた。男は悲鳴を上げた。市川は言った。
「頼むから教えてくれ」
「ひ、左側の…い、一番奥だ」
「ありがとう」
市川は男の頭に銃弾を送り込んだ、頭蓋の中身がスイカのように飛び散った。

 市川は半壊した扉を蹴破った。銃声が響き、弾が空気を切り裂く音がした。
着弾音が左右のどちらかで生じたかを確認した市川は狭い通路の左側へ閃光手榴弾を投げた。
そして絶叫があがり、何かの拍子でこちらに滑ってきた銃を見て市川は顔を顰める、
AK−47、作りやすさやメンテナンスが簡単な事で97管理外世界だけではなく、
他世界でも製造されている自動小銃だ…だが室内で自動小銃を使用する事は自殺行為だ
(跳弾の可能性が高い)、恐らく閃光にやられてAKを落としてそのまま暴発したのだろう。
「ド素人だな」
市川は呟くと念のために左右を掃射した。そして散弾銃の持った男が飛び出してきた。
市川は通路の端に身を押し付けるようにした。男が発砲した、頬を小さな鉛球が撫でた。
妙な金属音がする。散弾をまともに浴びたMP5のサイレンサーと銃身が破壊されたのだった市川は反射的にMP5の残骸を捨て、
ククリナイフを抜いた、通路が狭いため、下から救い上げるようにしてそれを相手の喉にめり込ませた。
オリハルコンで強化されたククリの刃は呆気なく男にめり込む、すぐに引っ込める。喉から大量の血を噴出しつつ男は倒れた。

 市川はククリナイフをさやに治め、不要となったMP5の弾帯を捨て、男の散弾銃を拾い上げる。安物だった、弾はまだ一発残っている。
男が飛び出してきた通路の過度の先から足音と罵声が聞こえる、市川は破片と閃光手榴弾を一個ずつ取り出し、同時にピンを抜く。
足音が接近するまで待ってから一気にニ個の手榴弾を投げた、目を閉じ、耳をふさぐ。爆発、悲鳴、閃光、怒声、爆風。
 市川は僅かに顔を出し、通路の先を確認した。狭い通路には十名ほどの人間が倒れ、うめき、もがいていた。破片は数名にしか影響を与えていないが、
閃光は全員の視力を奪っている。市川は散弾銃を構え銃口をいくらか下向きにして発砲した。空中に飛び散ったいくつもの鉛玉は、
通路の固い床に跳ね返されながら、傷を受けていなかった男達の足元を襲い食い破った。散弾銃を捨てた市川はホルスターからベレッタを抜き、
一人一人の頭に9ミリ弾を送り込み、一番奥に居た男を除く全員を殺害した。
 
 最後の男は腹と足に散弾を受け、床でうめいていた。銃は失っている。
墓石のような瞳にはようやく視力が戻りつつあった。彼は市川を見上げ、うめいた。
「あんたか」
「理由は説明するまでもあるまい。リンデマン君」
「まぁな」
リンデマンは通路に視線を向けた。そこには血とコルダイトの匂いに満ちた空間だった。
「ひどいものだ」
「私はもっと酷い場面を見た事がある。いや、作り出した事がある、というべきか」
「悪魔だよ、あんたは」
「自分でもそう信じ始めていたところだ」
リンデマンは楽しそうに笑った。顎で通路の先を示す。
「二つ先の部屋だよ」
「ありがとう」
「何、あそこであんたが見るものに比べれば、対した事じゃない」
「かもしれない。さようなら」
市川はリンデマンの額にベレッタの銃口を近づけると、トリガーを引いた。飛散した血液と脳漿が彼のバリアジャケットを汚した。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:22:57 ID:41IcfXec
扉は硬く占められていた、市川は破片手榴弾を取り出し、ピンを抜いた。扉からいくらか距離をあけた床に置く。
後方へと駆け戻り、リンデマンの死体を起き上がらせて盾にした。爆発、爆風。
ボロボロになった扉の手前で立ち止まる。右手にベレッタ、左手にククリを握る、室内から音は聞こえない、
長靴で扉をけった。扉は室内に倒れる。市川は中へと飛び込んだ。銃声がおこった。右脇腹に焼け付くような痛みが走った。
市川は床を転がり、銃声のした方向へ、ベレッタで反撃を加えた。人影が崩れるのが分かる。市川は立ち上がった。華やかな飾り付けの施された部屋だった。
部屋の置くには大きなベッドがあった。腹を打たれたリッチェンスはベッドの端に上体を預けていた。ベッドの上には全裸に近い若い女が居た。
「やはりね」
口元から血を流したリッチェンスが言った。
「最初はただの警察との押し問答かと思ったが」
「丁寧な出迎え、痛み入る」
「あなたも盛装だな」
リッチェンスは微笑した。彼はダークスーツを着込んでいた。
「何、貴方だと検討が付いた時に着たのですよ、二佐。慌ててね。それまでは裸でした。
 押し問答ならば、私が顔を出すまでもないですから」
「うん、貴方が評価すべき一面を持っている事は確かだ。少なくとも、娘をただの玩具にしていたわけではない事は理解している」
「良かった、貴方のような男に軽蔑されるだけは御免ですからね」
「それよりは憎悪の方がマシだ、と?」
「そんな所です。少なくとも、憎悪は積極的な感情ですから。貴方の娘さんも、
 ただ自棄と悲しみだけから私に抱かれたわけではないのだと信じています。ええ、そう私は信じています」
市川はわずかにうなずいた。
「まさにそうかもしれない。貴方とは別の場所で会うべきだったな」
「私もそう思います。残念です」
「同感だ」
「それから、二佐」
「何だろうか?」
「この部屋の奥には誰にも見られずに敷地の外へ出られる扉が有ります。御帰りの際は、
 宜しければそちらを使って下さい。これ以上、死体を作り出す事もないでしょう」
「感謝する」
「ああ、それにもうひとつ」
「窺おう」
「今度こそ彼女を幸せに」
市川は微笑した。
「娘を大事にしてくれて有難う。貴方の期待は裏切らないようにしたい」
「それでは」
「ああ。いずれ我々が会うべき場所で、また」
市川はククリをリッチェンスの頭頂部に振り下ろした。女に視線を向ける、右脇腹がしきりに痛ん
だ。女の顔は恐怖と涙に引きつっている、生々しい情交の残滓や失禁などで汚れてはいた…が彼女
は美しかった。愛らしかった。父親たるとはこういうことなのかと市川は思った。残酷な真実は常
に絶望と憎悪を生み出すわけではないのだった。恐怖に震えていた女が幼児のような声を出した。
「お父さん?」
微笑を浮かべた市川は小さく頷いた。
「お父さん」
市川の娘は新たな涙を流しながら立ち上がった。震える声で彼女は言った。
「おかえりなさい」
「ただいま」
黄色い悪魔は優しげに答え、これほどの現実を目撃した後であれば父親以外には不可能な反応を示
した。愛すべき愚かな娘を強く抱きしめたのだった。
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:23:45 ID:8JIWXwAq
デモリッションマンも真っ青だぜ・・支援!
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:23:49 ID:41IcfXec
――――裏門
市川が娘を連れ出して、敷地の外に出たタイミングを見計らってフレイザーの車がやってきた。
「急いで下さい、正門でドンパチ行っていた警察と108部隊が屋敷に突入しました」
市川は娘と共に車に乗り込んだ
そして落ち着いてからフレイザーは問うた。
「二佐、戦争は無事終結しましたか?」
「ああ、戦争は無事終結した、こちらの圧倒的勝利で…」

――――裏門への道
警察官や局員が一斉にリッチェンスの屋敷に突入した、それと前後して裏門で起きていた銃声や
爆発音はパタリと止んだ、そして裏門に回った警察官との連絡が取れないことに疑問に思ったギ
ンガは自ら志願して裏門に回ろうとした、そしてギンガは発見した、裏門から逃げようとする車を、
それがリッチェンスなのか襲撃者なのか分からない、だが少なくとも重要参考人として認識したギ
ンガはその車を追おうとした、そしてウイングロードを展開し、追撃しようとしたその時、目の前
にフェイスガードで顔の見えない巨漢が現れ、ギンガに向かって拳を打ち込んだ、咄嗟の判断が出
来ないギンガの鳩尾に拳がめり込む…ギンガの意識は吹っ飛んだ、だが吹っ飛んだ方が幸いだった
かもしれなかった、そう屋敷の中は悪魔によって生み出された地獄そのものだったからだ。

――――同
「戦争は終わったようだな」
「ええ、そうですね」
スナブノーズは気絶させたギンガの体を地面に寝かしつけた。
「我々も引き上げますか」
「ああ、そうだな」
スナブノーズはレジアスに連絡を入れると副隊長と車に乗り込みその場から去った。

――――屋敷
「全く酷い有様だな」
ゲンヤ・ナカジマはリッチェンス邸内における惨状を見て呟いた、銃弾で負傷した者はいたものの、
幸い死者は出なかった。屋敷に突入した警察官や局員達が見た光景は凄惨な光景だった、血とコル
ダイトの匂いに吐くもの、手足が千切れ飛んでいたり、臓物がぶちまけらた光景は地獄と言って
いいだろう、それに耐性のない者達は皆吐いている…ミッドチルダではほぼ見れない光景、明ら
かに質量兵器を使用したものであった。これを行ったのは一体誰なのであろうか、ゲンヤは悩んだ、
娘のギンガもその真相を知ろうとしたが気が付いたら地面に寝かされていた。そしてゲンヤは警察
や地上本部にとって宿敵であったリッチェンスの死体と対面する、リッチェンスの頭部は刃物を振
り落とされたのか脳漿が出ていたものの、顔は安らかでどこか嬉しそうだった。

何故、そんな顔が出来る?リッチェンス?…ゲンヤは物言わぬ死体に問うた。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:25:54 ID:41IcfXec
――――騒動翌日 地上本部 レジアス室
「…リッチェンス氏が行っていた密輸業が(以下略)…そして昨日警察と管理局の108部隊が
 リッチェンスの屋敷の強制捜査に踏み切り、突入しましたが何者かによってリッチェンス氏は殺害されており、
 管理局ならびに警察はその襲撃犯の割り出しに全力を…」
モニターに映るニュース映像を消すとレジアスは襲撃犯に語りかける。
「全く君はとんでもない事をしてくれたよ、このクラナガンで戦争を起こすなんて」
呆れ顔のレジアスだったが襲撃犯は全く淡々としていた。
「だが…少なくとも金の魅力に虜になっていた馬鹿ドモの逮捕に繋がる事が出来たのは評価出来るな、市川二佐」
市川は礼を言った、そしてレジアスは本題を言う。
「君と言う男は…まぁいい、今回君の起こした行為は私の権威を持ってもしても揉み消せないのだが…どうやら本局にお前の事を評価する人間が居るらしい、
 そいつのお陰でお前は其の日、クラナガン近郊の自宅でノンビリしていたというアリバイを作っておいた」
「ありがとうございます」
「市川二佐、その右脇腹完治の為の療養とほとぼりがさめるまでしばらく娘と共にクラナガンから離れて欲しい」
それに市川の顔が曇る、そう約束していた…
「機動6課の事は諦めてくれ、人事部も貴官の配属に猛反発した、すまないな」
それに渋々了承する市川、そして市川は言った。
「中将、貴方の事ですから八神はやて二佐などによい感情は持っていないと思いますが、出来るだけの協力をお願いしたい、
 彼女達もまたミッドチルダを愛していますから、これは戦友として貴方に願っているのです」
「わかった、君の希望にそうようにする」
「ありがとうございます、では…」
市川は綺麗な敬礼を送ると退室した。それを見てレジアスはほっとした、少なくとも市川が最高評
議会によって殺される可能性が低いからだ(評議会もリッチェンス襲撃事件の犯人を知らない)、そ
して写真を眺め、思い出に浸った…戦友達と共に戦場をくぐりぬけ笑いあったあの日を・・・

―――通路
「まさか、クラナガンで銃撃戦が起きるとはね」
「今でも信じられないよ」
「しかし、あのリッチェンスさんがまさか密輸やってるなんて、世の中わからへんなぁ」
なのはとフェイトとはやても昨日の出来事の話題で盛り上がっていた、彼女達もリッチェンスが行
っていた慈善事業の事を知っているからこそ驚いたのだ。そしてこちらに向かってくる男を確認し、
敬礼する、男も敬礼する。
「「「御疲れ様です、市川二佐」」」
三人に対して微笑みながら市川ははやてにすこし要件があるから来てくれないかと言った。
「ええ?それってデート?それとも婚約について?いやぁ〜市川二佐うちまだ心の準備出来てないし〜〜それに年離れすぎやないか」
と冗談をとばすはやて、それに微笑を浮かべる市川、そんなこんなで二人は誰も居ない一室に向かう事になった。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:27:28 ID:8JIWXwAq
支援!
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:28:15 ID:41IcfXec
―――― 一室
「はやて、実は…」
市川の切り出した事、それにはやてはショックを受けた、そう市川は機動6課に配属する話がおじ
ゃんになったのだ、理由を問うはやて、そして市川は真実を言った。昨日のリッチェンス襲撃犯の
犯人が自分である事、レジアスがその事をもみ潰した事。
「な、何でそんな事をするんですか!」
はやては非難めいた口調で市川を問いつめる、目の前の男がとても襲撃犯に思えないからだ。そし
て市川は何故それを行った理由を言った、娘の事を…そしてはやてはショックを受けた自分が何故
このことを知らなかったのか、そして何故教えてくれなかったのか、それに対して市川は君にまで
心配を駆けたくなかったから、君も家族と変わらないから(一時期はやては市川の家で世話になっ
た)…と、そうしていくうちにはやてはこの男を批判する事が出来なくなる、大事な存在を守る為
に、親として自分が成せる事、はやてにとっては羨ましかった、市川の娘が…
「市川さん」
はやては真剣な表情で市川を見る
「私を抱きしめてくれませんか、6課入隊出来なかった代償に」
突然の言葉に動揺を隠せない市川。
「一度でいいんです、うちを抱きしめてください…その…私は…あの無理でしたら…」
珍しくはやては言葉に詰まった。市川は理解した、そうかこいつは…そして市川は行動に移った、
はやての細い身体を、小さいながらも大きい体で優しくそして力強く抱きしめた。父親が娘や息子
を抱きしめるように…そしてはやては一筋の涙を流すと呟いた…
「お父さん…」
はやてはもう忘れた父の温もりを感じたような気がした。
「もういいか?」
「はい!」
はやては吹っ切れたように言う。
「市川二佐有難うございます」
「ああ、八神二佐も隊長として頑張れよ」
「はい!」
二人は敬礼を行った後、それぞれの道の為に別れた。

――――機動6課成立少し前の話である。
 まぁ、レジアスが若干6課に対して協力的だったり、オーリスがはやてに刺のある態度
 で接しないというのはまた別の話


そして―――
「間違いないな、あれは『聖王のゆりかご』だな」
「手はずは整った、後は彼ら次第だな、防衛ライン並びに研究所突入班、藤井のドレッドノートは?」
「既に配置についています」
「では作戦開始、奴らに血の代償がどれだけ高いか教えてやれ」

「目標はスカエリッティ研究所に居るジェイル・スカリエッティの確保そして…」
「ナンバーズと呼ばれる戦闘機人は?」
「言うまでもないだろ」
「そうだな…」
「では行くか、市川一佐」
「総員搭乗急げ!」

「目標、聖王のゆりかご」
「全VLSにミサイル装填完了、発射…5…4…3…2…1…スパーク!」
「フォイヤ!」

「まさか、ミッドチルダで質量兵器が使用される戦争が行われるとはな…」
94名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:29:59 ID:41IcfXec
真祖の人です、一部はここまでです。orzオモエバナノハキャラゼンゼンデテヌェーダブンヨンデクレテアリガトウゴザイマス

二部はゆりかご戦です、綺麗なレジアスとドス黒い管理局が書きたかったもので
95名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 15:31:16 ID:8JIWXwAq
ドンパチとしゃれ込もうじゃないか!支援!
96名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 16:59:46 ID:lglBBf6O
■知らない人のためのネタ元資料

※佐藤大輔
侵攻作戦パシフィック・ストーム
http://www.kikuyashoten.co.jp/search.jsp?ARGS=%90N%8DU%8D%EC%90%ED%83p%83V%83t%83B%83b%83N&VIEW=word
外伝1より第三話「黄色い悪魔」

※三木原慧一
クリムゾン・バーニング
http://www.kikuyashoten.co.jp/search.jsp?ARGS=%83N%83%8A%83%80%83%5D%83%93%81E%83o%81%5B%83j%83%93%83O&VIEW=word
超弩級空母大和
http://www.kikuyashoten.co.jp/search.jsp?ARGS=%92%B4%9CW%8B%89%8B%F3%95%EA%91%E5%98a&VIEW=word&m_search.x=14&m_search.y=12
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 17:06:35 ID:MGpBqDz/
>94
乙。これで市川が死ねば、まさにケルベロス・サガですね。あとセプテントリオン。
>96
黄色い悪魔って、黄色の13でも14でもなかったのか……
98名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 18:18:17 ID:puQiDNGN
GJです。クロノ嫌な奴ですね。でもミッド育ちならこれが普通なのかも。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 19:35:55 ID:/bacUAn1
クロ助も父親が居なかったから妙に頑固になったんだと思うぜ
ところでオーリス的にははやてのことを義娘っぽく見てるんだろうかww
100リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:36:32 ID:GJdSR9DF
どうもー! 影薄空気でーす。
投下してもよろしいですか?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 19:37:43 ID:IYiFOjhH
>>98
片翼でも同じ様な描写があるしな。でも、治安のレベルがトップレベルと言われる日本の警察だって、いざとなったらSATとかトドメさす場合だってあるからな・・・・・全確保は無理があるだろ

>>97
おま、ISAF対エルジアの大戦争をミッドで始めるつもりかwww

そこで我らがリボン付きの死神ことメビウス1が登場するわけですな
102名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 19:39:46 ID:Y7+qeau2
是非とも!!
103リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:39:59 ID:GJdSR9DF

 夕暮れ時。蜘蛛男の脅威も去り、やっと普通の生活を取り戻した海鳴市。
 人々はようやく安心してそれぞれ元の生活を送り始めることができた。
 そんな中、ラテン系の扮装をした胡散臭い露天商の店で、一人のサッカー少年が
 女の子にプレゼントでもするのか、アクセサリを色々と物色していた。

「ハァ……蜘蛛男がいなくなったからって、コーチも張り切りすぎだよ……
 けど、今度の試合、頑張ってアイツにいいとこ見せてやらないと!
 そしたら、そしたら、こ、ここここ、告、白を……」

 ませた事この上ない考えを抱く少年。思春期と言うものは傍から見ると照れくさいものである。

「いよっ、坊ちゃん! 彼女に告白だなんて、進んでるねぇ!」
「いや、そんな……」
「そういう時は、こんなのどうだい? 願いを叶える宝石さ」

 そう言うと、店主は奥から蒼く、暗い輝きを持つ菱形の宝石を取り出し、少年に見せる。

「うわっ、大きい……けど何か、高そうだな……」
「大丈夫大丈夫! 俺様ってば悩める少年の味方ジャン?
 だから……これくらいでどう?」
「え、ホ、ホントにこんな安くでいいの!?」
「だいじょぶだいじょぶ、密度荒いから大した価値は無いのよ、これが」
「へぇ……いいかも。じゃあこれください!」
「毎度ぉっ!」
「ありがとう! ところでこれ、何て言う宝石なんですか?」
「……ジュエルシード、さ……」

 赤い夕陽が二人の影を長く道路に映し出す。
 だが、その店主の影が人間の姿をしていなかった事に気付く者は誰一人としていなかった。



巻之六「大結成! その名は新生夢者遊撃隊やでっ!」



「そう! その調子! あぁ、もっと力を絞って……オッケー! その感じを忘れないで!
 よーし、完璧! 完璧だよ、なのはーっ!」

 ユーノは声を張り上げ、早朝の朝日も眩しい雲一つ無い青空を見上げる。
 そしてその視線の先には……足元から桜色に輝く光の羽根を広げ、大空を舞うなのはの姿があった。

「や……やったーっ! 私、空を飛べてるー!!」
「すごいよ、なのは! まさかちょっと教えただけでもうこれだけ飛べるなんて!」
<<Congratulation>>
「ありがとう! ユーノ君、レイジングハート!」

 満面の笑みを浮かべ、ユーノの目の前に降り立つなのは。着地も完璧にこなしてしまっている。
 その姿を見たユーノは改めてなのはの才能は異常だと思うより先に、
一つの想いに心をとらわれていた。

「ようし、頑張ってトッキー君に私が足手まといにならない事を証明しないと!
 次はどんな魔法を練習しよう?」
「…………」
「ユーノ君?」
「えっ? あぁ、何でもないよ。何でもね」
「ふぅん……?」
104リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:40:46 ID:GJdSR9DF

 ――なんて空が似合う子なんだろう――

 ユーノは青い空を魔力の粒子を撒き散らし、力強く羽ばたいていく
白いバリアジャケットを纏ったなのはを見て心からそう思っていた。
 照れや羞恥心もあってそれを彼女に伝えるには至らなかったが。

「でも、空を飛ぶって、すーっごく気持ちいいね!
 ユーノ君、よかったら私につかまって飛んで見る?」
「いや、今はいいよ。それに僕だって魔力が戻れば自力で飛べるもの。
 それよりまだ時間もあるし、攻撃魔法の概念だけでも教えておきたいんだけど、いい?」
「はぁい……それじゃあ二人とも、お手柔らかにお願いします!」
「まかせといて!」
<<All right>>


 同時刻、河原にあるこぢんまりとしたサッカー場。
 何人かのサッカー少年達が朝練に精を出す中、
あの露天商にいた少年もキーパーとしてチームの中核として日々励んでいた。

「お疲れ様ー! いつも朝練、大変ね」
「うん。けど試合も近いし、これくらい全然だよ」

 そう言うと少年はバッグからタオルを取り出し、流れる汗を拭う。
 するとマネージャーの少女は目ざとくバッグの中で輝くあの宝石に気が付いた。

「あら、これなぁに?」
「あっ、そ、それは……」

 慌てる少年の答えは聞かないとばかりに少女はその宝石を取り出し、日光にかざす。

「見せてもらってもいい? うわぁ……不思議な色の石ね」
「待って、それはまだ……」
「えっ? きゃっ!」

 少年は宝石をまだ彼女に見せたくないがため、思わず両手で彼女の手を握り締めてしまう。
 数拍置いて顔を真っ赤にして二人は飛び跳ねるように距離を置いた。

「ご、ごごごご、ごめん!」
「えっ!? い、いいよ、あなたなら……その……」

 幸い周りの仲間達には見られていなかったようだ。
 だが、もうすぐ通勤、通学ラッシュが始まる。周囲の人も多くなってしまうだろう。

 あぁ……ずっと二人きりで、こんな時を過ごせたらいいのに……

 少年はそう思った。思ってしまった。
 そう、願いを叶える魔法の宝石、ジュエルシードをその手に握り締めたまま。
105リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:41:31 ID:GJdSR9DF

 それは、あまりにも突然だった。
 市内を南北に貫く川の河川敷を中心とした半径約3km四方の地域において
突如として種別未確認の巨大な樹木が恐ろしい速度で繁殖し、
ビル街を飲み込んで海鳴市の中心部を巻き込み、巨大な樹海へと変貌させてしまったのであった。

「武者丸、爆流頑駄無やユーノ君達と連絡は付いたか!?」
「アカン! 電話回線がパンク起こしとってもうめちゃくちゃや!
 誰にかけても全然繋がらへん!」

 トッキーと武ちゃ丸はトッキーの鎧を組み替えたサポートメカ、
ウェイブライダーに乗って道なき道をひた走る。
 街のそこかしこから救助を求める人々の悲痛な叫びがこだまし、
トッキーたちの耳を苦しめていた。

「これは一体何だって言うんだ……例え堕悪武者が原因だとしたって、
 今までの記録にこんな無茶苦茶な術を使う術者はいなかったはずだぞ!?」

 焦燥を露わにした表情のトッキー。
 そんな彼と対称的に今、戦闘能力を持たない武ちゃ丸は冷静でいるよう務めていた。
 今の自分に出来るのは、クールを気取っていても何かと熱くなりやすい
トッキーのブレーキ役になる事だけだと修行時代からの付き合いで理解していたからだ。

「こんな派手で不自然な事やらかす奴や。それなりに複雑な術を組んどるハズ。
 多分どっかでこの状態を維持しとるに違いあらへん。さっさと叩かんと……!」

 瓦礫を飛び越え、メインストリートを駆け抜ける二人の前に
怪しい風貌の4人のラテン系の男が立ち塞がったのは、その次の瞬間であった。

「ふっふっふっ、できるかな、武者頑駄無……?」
「! 誰だ!?」

 男達はニヤリと口元を歪めると、被っていた帽子を投げ捨て、
皮膚の下で恐ろしい本体を蠢かせ、衣服を突き破りその正体を一斉に明かした。

「堕悪圧愚(だーくあっぐ)!」
「堕悪雑獄苦(だーくぞごっぐ)!」
「堕悪呪圧愚(だーくじゅあっぐ)!」
「堕悪圧愚害(だーくあっぐがい)なんだな」

 それぞれに名乗りを終えると4人は整列し、怪しげな構えをとって武ちゃ丸たちを威嚇し、
背後で起こる意味不明な爆発にあわせ、ポーズを決めて一連の流れの締めに入る。

「我等、堕悪霧者愚連隊(だーくむしゃぐれんたい)!!」

 声を合わせ、決まった……と、自己陶酔に浸る4人の堕悪武者達。
 しかしぽかんと大口を開けて見つめる武ちゃ丸と、
思わず頭を抱えるトッキーとの温度差はかなり激しかった。

「何かと思たらワイらのパクりかーいっ!?」
「パクりだと? ボキャブラリに欠ける言い回しだな、インスパイアと言えインスパイアと!」
「公式名称は堕悪特殊任務班なんだけど、ウチのリーダー脳内中二レベルだからな……」
「カッコつけたい年頃なんだよ、頭の中は。いいトシのくせにさ……」
「んな事はどうでもいい! これはキサマらの仕業なのか!?」

 気を取り直し、とりあえず聞くだけ聞いてみた二人。
106リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:42:01 ID:GJdSR9DF
「ふっ、残念だがこれをやったのは我々ではない」
「これはお前たちが守ろうとする人間が引き起こした事態よ」
「我々はちょっとそれを後押ししたまで……」
「『ペガチン』恐るべしなんだな」

 堕悪圧愚害が最後になにやらうっかり口を滑らせたらしく、
残りの三人が一斉に彼を取り囲んでぼこぼこにする。

「こんボケナスがぁ! ペガチンの事は秘密だと言われてただろうが!」
「人間だけが生み出す謎の力、天馬の国沈没エネルギー……略してペガチン!」
「我々には無いその力でジュエルシードの力を引き出そうとしている事が
 あいつらに知られたらどうなるかわかってて言ってんのかこの糞ミミズ!」
「い、いたい〜! 痛いんだな〜!」

 怒って勝手にべらべら機密情報を垂れ流す辺り、こいつらやはり同じ穴のムジナである。
 この間の幻妖とはえらい違いだ。
 武ちゃ丸とトッキーは呆れ果ててその光景を見つめていた。

「……おい、何なんだこいつらは」
「何やえらい勢いでメッキが剥がれてってるなぁ……いろいろと」

 一通りぼこった後、すっきりしたのか残りの三人は改めて二人の方を向く。

「……失礼した。さぁ、止められるものなら止めて見るがいい!」
「大体把握した。ジュエルシードの力を引きだしているであろう人間を、
 ジュエルシードから引き離せば樹海の拡大は止まるんだな?」
「な、何でバレバレなんでつかーっ!?」
「むむっ、これが噂に高き頑駄無軍団の情報収集能力……」
「恐るべし、恐るべしっ!」
「オマエらが自分からバラしたんやろーがっ!?」

 シュールを通り越してもはや理不尽な敵に対し、思わずキレてしまう武ちゃ丸。

「むぅ……だが、分かったところでお前たちはここから先には進めん!」
「なぜならお前たちはここで我らに倒されるからだ!」
「さぁ、どこからでもかかってくるが良い!」

 出所が不明な自信に満ち溢れ、武ちゃ丸とトッキーを見下ろす自称堕悪霧者愚連隊(-1)。

「正直、あまり負ける気はしないんだが……」
「分からへんで、見た目アホでも腕っぷしに自信のある奴はぎょうさんおるさかいな」
「それもそうだな……ならこちらも本気で行くか! 武者武装!!」

 ウェイブライダーを分解し、その身にまとうトッキー。斗機丸の覚醒だ。

「ぬぅ、武装したかっ!」
「だがまだ3対2! 数の上ではこちらが有利だ!」
「一気に畳み掛けるぞ!」

 確かに連中の言う通り数の上では不利だ。だが、今回の目的は連中を倒す事より
誤ってジュエルシードを発動させてしまった人間の保護が先である。
 広大な市内からその人間を見つけるためにもこの馬鹿どもに関わるつもりは無い。
 そう判断した斗機丸は牽制の意味でナギナタライフルをライフルモードにセットし、
ビームライフルを数発、敵の回避行動も考慮に入れて発射する。
 しかし、彼らの行動は斗機丸の予想を上回っていた。……斜め上の方向に。
107スーパーロボット大戦X:2007/12/29(土) 19:42:51 ID:N4aeyi5Z
>>69
自分のも紹介されてうれしいですね。
なかなかいいあらすじだと思いますよ。
そういえば、正月ネタを書いてたらクリスマスの時よりも長くなりました。
でも投下は来年にして今はSMC氏の影響を受けてのIFストーリーを書いてます。
108リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:42:55 ID:GJdSR9DF
「ウボァーッ!?」
「だ、堕悪雑獄苦ーッ!?」
「おのれ、よくも堕悪雑獄苦をっ! まだ刀のローンが半年も残ってる堕悪雑獄苦をっ!」

 牽制で撃ったビームにわざわざ頭から突っ込んで黒焦げになる堕悪雑獄苦。
 残された堕悪霧者愚連隊(-2)はお門違いな怨嗟の目を斗機丸に向けた。自業自得のくせに。

「……なぁ、やっぱり負ける気がしないんだが」
「……そやな」

 愚連隊に翻弄され、すっかり毒気を抜かれてしまった二人。
 その隙を狙うように斗機丸の両足の自由を奪う触手が、
武ちゃ丸を壁に釘付けにするブーメランが彼らの後方から突如として襲い掛かった。

「な、何の……!」
「まだまだ、ここから先に行かせる訳にはいかないんだな!」

 ゾンビのような生命力で起き上がり、斗機丸の行く手を阻む堕悪霧者愚連隊(±0)。

「あーもー! しつこいやっちゃなぁ!」
「この非常識なバイタリティ、腐っても堕悪武者という事か!」
「腐る言うな腐るって! 失礼だろ!? おもに我々に!」
「知るか! ……ん?」

 ふと、そこに時ならぬ電子音が鳴り響く。まぁこいつらの前で時ならぬもなにも無い気はするが。

「ちょっとぉ! 携帯の着信音はマナーモードにしときなさいよ、常識でしょ!?」
「お前の電話か、武者頑駄無!? あぁ、もう、早く取りなさい!」
「貴様らに常識を云々言われる道理は無い……もしもし、斗機丸です」
「もしもし!? あぁ、やっと繋がった……」

 その電話の主は、幸いにして今この瞬間に頼れる人物の一人からのものであった。

「その声、ユーノ君か! 無事だったんだな!? 今どこにいる!?」
「街の上空です! トッキーさん達は!?」
「……堕悪闇軍団と交戦中だ! この異常現象の原因は、
 奴らが一般人にジュエルシードを発動させたためだ! どこかに発動させた人がいる。
 早くその人を救助しなければならないんだが、納得いかないが今こちらは動けそうに無い……
 すまないが、捜索を頼めるか?」
「分かりました、こっちは任せてください。今の僕たちは無敵ですから!」
「僕『たち』……? どういうことなんだユーノ君、ユーノ君!?」

 それだけ伝えると、電話はうんともすんとも言わなくなってしまった。

「話は済んだか?」
「まぁ、どうあがこうとこの中からたった一人の人間を見つけるなど土台無理な話だ」
「潔くあきらめろ、武者頑駄無ども!」

 勝ち誇る堕悪霧者愚連隊に、不敵な笑みで斗機丸はこう答えた。

「果たしてそうかな? ひょっとしたらお前たちは、一番怖い子を敵にしてしまったのかもな」
109リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:43:46 ID:GJdSR9DF

「なのは、電話貸してくれてありがとう……なのは?」

 なのはは眼下に広がる見慣れた街の異様な光景を目の当たりにし、思わず表情を歪める。

「……ひどい……!」
「人間がジュエルシードを発動させちゃったって聞いたけど、間違いないと思う。
 強い想いを持った人が願いをこめて発動させた時、あれは一番強い力を発揮するから……」
「ユーノ君、私は、私達は……こういう時、どうしたらいいの?」
「封印するには接近しないと駄目だ。まずは元となっている部分を見つけないと……
 でも、これだけ広い範囲に広がっちゃうとどうやって探していいか……」
「元を見つければいいんだね?」

 それを確認すると、なのはは杖状に変化しているレイジングハートを一回転させ、
自分を中心とした魔法陣を足元に展開し、ある呪文を紡ぎだす。

<<Area search>>
「リリカル、マジカル……探して、災厄の根源を!」

 その呪文に呼応し、複数の魔力の塊が四方八方に飛び散り、
街の様子をつぶさにとらえ、そのイメージをなのはへと送る。
 ビルの谷間を埋め尽くす木々、住宅街のど真ん中を割って生える巨木……
それらの映像に混じり、一本の木のてっぺん付近に光の繭に包まれた少年と少女の姿が映る。
 どこかで見覚えのある顔……なのはの父、士郎がコーチを務めている
少年サッカーチームのゴールキーパーとマネージャーだ!
 以前から両想いの噂が囁かれていたが、その恋心を堕悪に利用されたと言う事なのか?
……いや、今はそういう場合ではない。なのははさっと思考を切り替える。

「見つけた! あの木のてっぺん!」
「本当!? けど、ここからじゃ無理だよ、近くに行かなきゃ!」

 ユーノのアドバイスをやんわりと拒絶し、自信ありげになのはは反論する。

「ここからでも出来るよ、大丈夫! ……そうだよね、レイジングハート」
<<Of course, Shooting mode set up, Let's shooting "Divine Buster">>

 その呪文の名を聞いたユーノは驚愕する。その呪文は確かに射程は十分だが、
威力が高すぎる上に制御も難しく、とても初心者が撃つような呪文ではない。
 そして何より攻撃に使うための呪文だ。
 加減を失敗すればひどい苦痛が対象を襲うだろう。そしてその呪文の名は……

「ディバインバスター……ちょっと、それ凄い大出力砲撃じゃないか!?
 僕でも使えないって言うのに、そんなとんでもないのでコアを狙うなんて……」

 レイジングハートは輪状の先端部を攻撃的なシルエットの音叉状に変形させつつ、
ごく短い言葉でこう返答した。

<<No probrem>>
「……だって。それに、このくらい出来なくちゃ、みんなと一緒に
 ジュエルシード探しなんて、できっこないもの。
 それより何より、もうこんなひどい事……見ていられないから!」

 なのはは、ジュエルシードを揺り動かした強い想いに負けないよう、
自分自身の精一杯の思いを込め、その呪文を発動させた。

「ディバイィーン……バスタ―――――ッ!!」

 レイジングハートをまるで大砲の砲身のように取り巻く環状の魔法陣が集束し、
膨大な魔力を一点に集中させる。臨界を迎えた魔力は凄まじい衝撃波の奔流と共に
桜色の閃光となって青空に輝く軌跡を残し、少年の持つジュエルシードだけを撃ち抜いた。
110リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:44:12 ID:GJdSR9DF

「な、何があったんだな!?」
「わ、わからん! 樹海が……樹海が消える!!」

 突然の事態の急変に慌て戸惑う堕悪霧者愚連隊。
 そんな彼らの様子と音も無く消え去っていく木々の姿を見て、二人は勝利を確信した。

「どうやら……何とかしてくれたようだな!」
「これでお前らの企みはパァや! どうや、まだやるか!?」
「お、おのれ……かくなる上は……」

 四人で固まり、力を集中させる堕悪霧者愚連隊と、その姿に緊張を増す斗機丸と武ちゃ丸。

「今日はこのくらいにしておいてやる! さらばだ!!」

 派手に土煙を上げ、脱兎の如くその場から逃げ出していくお笑い四人組。
 その場には盛大にずっこけたまま起き上がれない斗機丸と武ちゃ丸だけが残された。

「……一体なんだったんだ、あいつら……」
「また強烈にベッタベタな逃げっぷりやったな……」

 二人がどうにかこうにか起き上がる頃、ようやく騒ぎを聞きつけた爆流頑駄無が駆けつけた。

「遅いで、爆流はん! もうみんな終わってしもたがな!」
「スマン! 救助活動の手伝いしとったら間に合わんかった……
 しかしあのごっついビームは一体何や? まさに地の果て照らし奇跡を呼ぶ魔法やで」
「あぁ、それは恐らく……」

 斗機丸が空を見上げると、そこから白い衣装を身に纏ったなのはとユーノが舞い降りてくる。

「彼女達の活躍ですよ」

 着地したなのはは真っ先にトッキーのほうに向かって頭を下げ、自分の答えを告げる。

「言う事聞かないでごめんなさい、トッキー君。けど私、どうしても……!」
「僕からもお願いします! 自分達の住む世界を自分の手で守りたいというのは、
 当然の思いです! 彼女は僕が絶対に危険な目には遭わせません、だから!」
「……! ありがとう、ユーノ君!」
「いや、しかし……」

 それでも思い悩む斗機丸に対し、爆流が二人に助け舟を出す。

「なぁ斗機丸よ、俺の弟子の號斗丸も最初に戦ったときはこのくらいの子供やった。
 アイツは大将軍様の次男坊として戦火の届かない場所で暮らす事も出来たのに、
 天宮の危機に誰に言われたわけでもなく自分から立ち上がったんや。
 そやからこそ俺はアイツに俺の身につけた戦いの技術を全て叩き込んだ。
 お前はそんな覚悟を反故にするんか?
 女の子一人守れへんでこの天馬の国を守り抜く事が出来るんか?」

 しばらく沈黙が続き、ぽつりと斗機丸はなのはに問いかける。

「……後悔はしないな?」
「うん……じゃなくって、ハイ!」

 真剣な目でじっと斗機丸を見つめるなのはとユーノ。
 その二人の視線に答えるように、斗機丸はゴーグルを外し、
二人の肩に手を置き、じっとその目を見据えてこう告げた。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 19:44:31 ID:Y7+qeau2
支援
112リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:46:20 ID:GJdSR9DF
「わかった。今から君達は俺達の仲間だ、なのは、ユーノ!」

 二人の決意を受け入れた斗機丸は二人の呼び名から「君」を外していた。
 それは、頑固で真面目な彼なりの仲間としての意思表示であったのかもしれない。

「よっしゃよっしゃ、これで丸う収まったな。ところで皆に大事な話が」
「爆流はん、場所変えへんか? いくらなんでもビル街のど真ん中ではちょっとなぁ……」


 一同は話をややこしくさせないため救助活動を続ける警察、消防から
身を隠すように、昨日の丘の上に向かう。
 その道中、ぼろぼろになった建物や道路を見るたび、
この破壊を防げなかった事に皆一様にショックを受けていた。

「ところでなのは、ジュエルシードは確保できたのか?」
「それは、もちろん。今もちゃんとレイジングハートが保管してくれてるし、
 発動させちゃった人も深刻な怪我は負ってなかったと思います」
「それはよかった……ところで爆流頑駄無、話とは?」

 爆流は苦渋の顔をして、前夜に電話で話をした武者頑駄無たちの状況を伝える。
 それは、一同にとってかなり絶望的な宣告に等しかった。

「そんな……歴代屈強の武者たちが、そんな事になっているなんて……」
「ゆうに半数を超える武者が参戦を拒否、もしくは保留と来たもんや。
 堕悪の連中がジュエルシードを利用、もしくは暴走させる事の恐ろしさは
 今日の一件で十分伝わるはずや。それでもアカンかったら……」

 暗く、重い空気に包まれる一同。しかし、それでも前向きさを失わない一声が、
その空気を一瞬で吹き飛ばしてしまった。

「なんも心配する事あらへん! ワイらがその分頑張って、
 あいつらの中で燻ってる武者魂に火をつけたるんや! 武者魂は絶対に消えたりせえへん!
 今も皆心を燃やす瞬間を待っとるはずや、こないだの斗機丸みたいにな!」

 その武ちゃ丸の一言は、トッキーと爆流の折れかけた心を奮い立たせた。

「武者丸……お前……」
「……そやな。俺らまで弱気になったらアカン。よっしゃ、燃えてきたで!
 俺は一旦秋田に戻って他のやる気ある連中と一緒に皆の説得を続ける!
 その間、お前ら夢者遊撃隊の面々は戦えへん連中の分まで一暴れしてくれるか?」
「あ、あの……私達は具体的にどうすれば?」

 なのははおずおずと盛り上がる頑駄無達に質問する。

「ジュエルシードを安全に保管するにはレイジングハートの助けが必要や。
 つまり、二人の力もアテにさせてもらう。……かまへんな?」
「ハイ!」
「ありがとうございます!」

 その言葉を聞き、目を輝かせるなのはとユーノ。
 そして一同はこれから始まるであろう全国を舞台にした旅路に思いを馳せていた。

「日本全国を巡ってジュエルシード探しか……あ、でも学校とかどうしよう……
 家族や友達にも心配かけちゃうな……」
「勢いで言っちゃったけど、なのははその辺の問題も大きいよね……」
「週末や休みの日ぃだけでもかまへん! 要は気持ちや!」
「けど……」
113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 19:48:29 ID:8JIWXwAq
支援!
114リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 19:49:30 ID:GJdSR9DF
 申し訳なさそうにするなのはに、心配することはないとトッキーは言葉を続ける。
 
「なに、立ちあがったのはここにいる連中だけじゃない。
 皆がその気になってくれるまでは全国に散らばった有志が支援してくれる」
「それに、最悪僕とレイジングハートだけでも暴走、発動状態じゃない
 ジュエルシードだったら封印くらいはどうにかできる。
 だからなのはが思っているより負担はかからないはずだよ?」
「そっか……そうなの、かな?」

 なかなか「?」マークがとれないようだがなのははとりあえず納得する。
 その様子を見て、武ちゃ丸は飛びあがって喜びを表し、大声を張り上げた。

「ともかく、これでワイら夢者遊撃隊の復活や!」
「いや、復活じゃないな。俺達は新しい仲間を加えて、より大きな困難に立ち向かっていくんだ。
 そうだな、俺達の新しいチーム名は……新生夢者遊撃隊だ!」

 トッキーは自信満々に自分、武ちゃ丸、なのは、ユーノで構成される
新たなチームの名を提案する。
 しかし武ちゃ丸だけは妙に渋い顔で難色を示していた。

「ん〜、どーもヒネリがあらへんなぁ……」
「なんだと? お前に任せて変な名前にされるより何倍もマシだろうが!」
「いえ、シンプルで力強くて、いい名前だと僕は思います」
「それで私達、最初は何をすればいいの?」

 トッキーは手元の手帳のページを開き、記録を見つめて考えをまとめる。

「名古屋だ。名古屋に向かい、ある男の情報を掴んでいるという人物に会わなければならない」
「ある男……? いったい、誰のことですか?」

 ユーノの問いかけに対し、武ちゃ丸とトッキーは誇らしげにその男の名を告げた。

「俺達の戦友(とも)で最強の武者……」
「鎧丸に会いに行くんや!!」



次回予告(ねくすとぷれびゅう)

 名古屋に向かう事になった私達新生夢者遊撃隊。
 新幹線に乗るためとはいえ、お父さんまで騙すのは心が痛い……
 ところが、その新幹線が堕悪霧者愚連隊にレールジャックされちゃった!?
 私達乗客全員を人質にして武ちゃ丸君達の身柄を要求する堕悪さん達、
立ち向かえるのは私達だけ、けど一体どうすればいいの!?
 次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之七!
 「超特急は危険がいっぱいなの!?」
 リリカルマジカル、頑張ります!


======
投下終了。
一人称:武ちゃ丸→ワイ、爆流→俺、じーちゃん→じーちゃん、はやて→わたし
関西弁キャラ多いと書きわけも大変だ―
115名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 19:56:28 ID:NMUidNpN
ぎゃああああ
支援しそこねたああああ
116名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 20:24:16 ID:njMHXU3E
やべえ超機動大将軍編の内容ほとんど忘れちまってる
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 20:30:44 ID:MGpBqDz/
>114
乙。
ここで豆知識、
ハイジャックは“Hi Jack!(よぉ、若いの)”と犯人が運転手等に呼びかけるのが語源であり、鉄道だろうが航空機だろうが宇宙戦艦だろうがアンゼロット様宮殿だろうが同じようにハイジャックです。
『ARIEL読本』ではスペースシャトルを乗っ取るのをシャトルハイジャックと仮定しています。
118名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 20:33:30 ID:+9e8rpxN
>>117
アンゼロット様宮殿をハイジャックできるようなツワモノが存在するのか?
利益と損失のバランスがすこぶる悪いぞww
119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 20:37:45 ID:Y5YGYWqG
アンゼロット様のところに襲撃かけているのは結構いるだろう。
少なくとも一回は宮殿追い出されているし。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 20:40:21 ID:MGpBqDz/
>118
いや、花形満の自家用車でもゴッドガンダムでも両さんの自転車でも構わないんだ。
それに、アンゼロット様宮殿を乗っ取れば、その中に張り巡らせた鉄道網を好き勝手に出来るとリオン様と坪内地丹が乗り気です。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 20:53:22 ID:+9e8rpxN
>>119
損得で考えたら、そこまで多くない気がする……んだが、実際は如何なんだろう。

>>120
両さんの自転車www
アレのサドルには3万円の入った財布が隠されているんだよな、たしか

122リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 20:58:08 ID:GJdSR9DF
>>117
ご指摘サンクス。次回のネタに使わせていただきます

花形の車は持っていかれた方が本人のためになる気がする。道交法涙目w
123リリカル龍騎 ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 20:58:32 ID:P+0Oxt1v
職人の皆様GJです

さて、NANOSING7-1話が完成しました
風呂上がってから投下してもよろしいでしょうか?
124Strikers May Cry:2007/12/29(土) 21:02:02 ID:00h9w20c
龍騎氏、支援するに決まってるではないですか!
125NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:09:55 ID:P+0Oxt1v
「先日夜半に起きたホテルでの銃撃戦の続報が入ってきました。
 混乱の続くホテル・リオ前より、BNBブラジルのフェルド・パーシェルがお送りします」

 事件から一夜明けた朝、某所の一室にて。
 前日のホテル・リオでの激闘はやはり大きな事件になっていたらしく、どこのチャンネルでもそのニュースばかりである。
 太った眼鏡の男性は、チャンネルをBNBブラジルにし、そのニュースを見ていた。

「こちらホテル・リオ前及び周辺病院。関係機関などでは一夜明けた今も、さながら戦場の様子を見せています」

 画面が切り替わり、多数の警官と救急隊が救護活動をしている。
 ……もっとも、救護活動というよりは死体処理の方が正しいかもしれないが。

「死者107名、負傷者64名を出したこの大事件の主犯たちは、現在もようとして行方が掴めておりません」

 一般人を巻き込んでのあれだけの激戦、しかもその前にも警官隊を大量に殺していたのだから、この多数の犠牲者にも納得がいく。
 犠牲者達にとってはたまったものではないだろうが。
 そして再び画面が切り替わる。写っているのは警官数名と、脱出に使われたヘリ。そして頭がパーにでもなったような顔の警官が二人。
 この警官は、ヘリ奪取の際にスバルが叩き伏せたのだが、それだけで頭がパーになるものだろうか?

「強奪され、脱出手段に使われた警察用ヘリは市外郊外に乗り捨てられておりましたが、発見時はもぬけの空。
 そのヘリを守っていた警察官2名は、ホテルの裏手で意識を失っているのを発見されました。
 不可思議な事に警察官は事件のことを全く記憶しておらず、何故こんな所に自分がいるのかすら理解できていない有様でした。
 当局では犯人らが何らかの薬物を使用して、警察官の記憶を操作したのではないかと調査を進めております」

 ……カラクリ判明。どうやら記憶操作によるものだったようだ。
 魔法に記憶操作ができるものがあるかも分からないし、あるとしてももう少しピンポイントに……誰が殴ったかを消す程度でいいはずだ。
 ならば思い浮かぶのは薬物での記憶操作。それならこの広すぎる範囲も狂人のような顔も納得がいく。そんな薬物があるかも同じように疑問だが。

「警察当局の必死の調査にもかかわらず、犯人らの行方は全く不明のままです。
 BNBブラジルのフェルド・パーシェルがライブでお送りしました」

 その一言が流れると同時に、太った男……少佐はモニターの電源を切った。


第七話『AGE OF EMPIRE』(1)
126NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:10:26 ID:P+0Oxt1v
「あッはっはッはっはっは。あの伊達男(アルハンブラ)がまるでボロ雑巾じゃないか。
 やっぱり強いなぁ! あいつは! べらぼうに強いな! 存外に強いな!」

 ニュースを見終えた少佐が、大笑いしながらリモコンを操作する。
 その後ろではドクが指を噛んでいる。しくじったのが悔しいのか、それとも少佐の期待に応えられなかったのが辛いのか。

「も、も、申し訳、申し訳ありません。やはり、やはり私共はまだ、私共は……」
「否! 馬鹿を言うな。むしろ大成功に近い」

 トバルカインは大敗。先ほどのニュースで知った結末は、それを如実に表していた。
 それなのに大成功とはどういう事か。そう思っていると、少佐がその理由を話した。

「あのアーカードに対してあれは、我々は一定の戦果を上げたのだ。それは驚くべき存在への媒介だ。
 怪物! 人外! 夜族! 物の怪! 異形!(ミディアン! ミディアン! ミディアン! ミディアン! ミディアン!)
 それはもはや人ではない……化け物(ミディアン)! すなわち、我々は半世紀の時をかけ、その本懐へと指をかけたのだ」

 つまり、あの最強にして最凶の吸血鬼アーカードとの戦闘で、あれだけのダメージを与えることに成功した。
 それが表していた事実……すなわち、アーカードとも真っ向から戦える化け物へと着実に近づいているということが分かっただけでもいいという事だろう。
 そして少佐は歌うかのように、彼らの組織のことを話した。もちろんドクへの謝辞も忘れずに。

「化け物を構築し、化け物を兵装し、化け物を教導し、化け物を編成し、
 化け物を兵站し、化け物を運用し、化け物を指揮する。
 我らこそ、ついに化け物すら指揮する我らこそ『最後の大隊(Letzt Batallion)』
 世はまさに世紀末、まさしく世も末だよドク。
 Welcome to this crazy time♪ このイカレた時代へようこそ♪
 君は実に恐るべき天才だよ大博士(グランドプロフェッショナル)」
「感謝の極み!」

 ドクがナチス式の敬礼をすると同時に、少佐がリモコンをさらに操作。
 すると前方のモニターが引っ込み、代わりにあるのは真っ青な大空。そして目下には操舵手やオペレーターといった戦艦のブリッジ要員。
 そう、ここは――――

「では諸君、楽しい楽しいショーもひとまずお開きだ。そろそろ帰ろうじゃないか、愛しき我が家へ」

 ここは――――彼らの飛行船である。いや、サイズを考えると飛行『艦』と呼ぶべきか。

「艦長、回頭用意だ。急げよ。オペラハウスのご老人達がお待ちかねだ。
 くれぐれも急げよ。きっと怒り心頭で顔を真ッ赤にしているだろうからな」

 少佐が冗談を飛ばし、ブリッジ要員全員が「HAHAHAHAHA」と大爆笑。

「成程!それはまさしく一大事ですな。急行致します、大隊指揮官殿!」

 そして艦長が冗談で返し、ブリッジ要員へと指示を飛ばす。
 彼らは指示の通り動き、そして飛行艦『グラーフ・ツェペリンV』が始動する。
 グラーフ・ツェペリンVはそのまま高く浮上し、ジャブローの方向へと回頭した。
127NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:10:59 ID:P+0Oxt1v
「目標ジャブロー、豹の巣(パンテルシャンツェ)。
 行くぞ、ご老人方。私の邪魔をする奴が何百、何千、何万、何億死のうが知ったことじゃない……否!」

 ジャブローへと向かう艦の中で少佐は狂笑とも凶笑ともつかぬ笑顔になり、そして宣告した。

「私の往く道に立ちはだかる者は皆、死ぬのだ」


「ところで、セイン嬢は置いてきてよかったのですか?」
「……しまった、忘れていた」

 その後すぐに反転し、着陸。セインの搭乗を待って再び離陸した。
 当のセインはというと、忘れられていたことに気付いていないらしい。何とも幸せな脳味噌である。


 トゥルルルル……トゥルルルル……
 HELLSING機関の電話が鳴り響く。その音を聞いたインテグラは、すぐに受話器を手に取り、開口一番に言った。

「アーカードか!?」

 それは一刻も早い状況の報告を望む焦りからだろうか。今「違います」と言ったらすぐに電話を切られそうなほどの勢いだ。
 残念ながら受話器の向こうから聞こえた声は望んだものではない。だが、望んだ声の主とは近しい者からの声だった。

『いえ、違います。マスターは……その、今寝ていて……』

 声の主はティアナ・ランスター。HELLSING機関の一員にして、アーカードの従僕である半吸血鬼である。
 望んだ相手ではないが、状況確認ならばティアナが相手でもこと足りる。そう思い、インテグラがティアナへと質問をぶつけた。

「ティアナか。この際お前でもいい。今どこにいる?」
『リオ郊外の小さな町です。確か……セントローズでしたっけ』

 そう、現在地はセントローズにあるホテル。あの後ヘリを乗り捨て、ここまで徒歩で来たのだ。
 ちなみにその時眠っていたスバルとヴィータは、両方ともティアナがここまで運び込んだ。吸血鬼になったのでその分の腕力はある。
 現在地の次は任務状況だ。昨日の一件で既にある程度進んではいるだろう。そう考えたのだろうか。


 視点は一度、インテグラからティアナへと移り変わる。
 部屋にいるのは彼女の他にアーカードとヴィータ。スバルとベルナドット、ヴァイスは外出中。

『それで、任務はどうなった?』
「情報源になりそうな相手はいましたが……マスターが血を吸って殺してしまいました。
 マスターが情報を聞き出したとは思えませんし、多分また調査のやり直しになると思います」

 それを聞き、しばらく黙るインテグラ。
 無理もない。普通ならば情報源を殺したというのは重大な失策。得られる情報も得られはしないだろう……普通ならば。
128NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:12:13 ID:P+0Oxt1v
『ならいい。ご苦労。すぐに帰還し、報告を正式にしろ』

 インテグラの反応は意外なものであった。
 何の叱責もなく、情報すら得られていない。それなのに「帰還して報告しろ」だ。普通ならありえない。
 その事に戸惑い、聞き返すティアナ。それに対するインテグラの反応はさらに理解しがたいものだった。

「え? で、でもまだ情報も集まっていないんですよ?」
『血を吸って殺したのだろう? ならば問題は無い』

 血を吸って殺す。それで何故問題が無いなどと言えるのだろうか。ティアナにはそれが理解できなかった。
 ……詳しくは今後のネタバレになるので言えないが、吸血鬼にとっては相手から聞き出すよりも血を吸って殺す方が、早さも情報の正確性も上である。
 そんな事など全く知らぬティアナの背後に赤い影が。その影はすぐにティアナから受話器を奪い取り、電話を代わる。

「それで、その調子では円卓にずいぶんしぼられたか」

 声の主はアーカード。吸血鬼であり、ティアナの主である。
 会話の内容が分かっているような口ぶりだが、おそらく吸血鬼の発達した聴覚が、受話器から洩れ聞こえた音を聞き取ったのだろう。
 相手がアーカードである事をすぐに理解したインテグラが、その問いへと答えた。

『それならばまだどれほど気が楽か。その上から直々の命令だ』
「その上? すると?」

 円卓会議メンバーにこってりしぼられる。それがまだ気楽とまで言い切るような命令。それは一体何なのだろうか。

『陛下御自ら、円卓を召集なされた』

 陛下……すなわち、イギリスの女王が自ら円卓会議を招集するという事。それが何を意味するか……
 アーカードはそれをすぐに理解し、そして笑顔で答えた。

「ほう、女王が!」
『笑い事か!? 笑い事ではないぞ。すぐに脱出し、帰還しろ! 彼女を待たせるな。
 13課も動き出している。連中に出し抜かれたくはない』
「Ja.」

 そしてアーカードは受話器を右手に持ち替え……前日の命令の結果、それに対しての感想を聞く。
 傍から見れば「こいつは何を言っている」と言いたくなる様な、そんな言葉を発して。

「……ときにインテグラ、戦争の愉悦の具合はどうだったかな? 局長殿?
 たぎったかね? 赤黒く燃える炎を見ることはできたかな?」
『うるさいバカ! 知ったことか! さっさと帰って来いバカ!!』

 ああ、やっぱり。インテグラの怒声が受話器の外にもはっきり聞こえるほどの音量で響く。
 そしてインテグラが乱暴に受話器を叩きつける音がし、それと同時に電話が切れる。
 後に残されたアーカードは……ただ、笑っていた。

「ふふふ、ふふん、ふははははは。まさしく人間とは複雑怪奇。ふははッ」

 アーカードが笑う。トチ狂ったかのような笑い声を上げる。その様子にティアナもヴィータも引いているようだ。
 ……と、部屋のドアが開き、そこから見知った二人分の顔が。
129NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:12:51 ID:P+0Oxt1v
「ただいま、ティア」
「ウイーッス」

 その主はスバルとベルナドット。この二人は外に出て、この国を出る手段を探しに出ていた。
 ちなみにヴァイスはもうしばらく別の方法を探すつもりらしく、まだ戻っていない。
 この三人が出た理由だが……あとの三人は指名手配。しかもうち一人は日光に弱いという理由である。
 こんな所で逮捕される気も屍を増やす気も無いので、まあ妥当なところだろう。

「お帰り。それで、どうだった?」

 ティアナがその手段の成果を問う。答えたのはベルナドット。昼食のハンバーガー片手に報告。

「やっぱダメッスね。ムリッスね。どうしたってダメダメッスね。
 船だとあと一週間は無理ですな。航海日程も入れるともう大変でございマス」

 このメンバーが考えた方法、それは船だ。
 何せ転移魔法は許可が下りないため没。飛行機も指名手配の件で没。徒歩や車・電車などの陸路に至っては海を挟んでいるので論外。
 そして消去法で残った手段である船を使う事にしたのだが……ベルナドットが言った通り時間がかかりすぎる。
 
「論外だ……全員準備しろ」
「え?」

 そしてその事実に業を煮やしたアーカードが、とんでもない手段を挙げた。

「航空機を奪う」

 ……What?

「他に手段がない。準備しろ」

 何を言っているのか理解できず、その場にいた全員の意識が上空へと飛んだ。それはまさにフライ・イン・ザ・SKY.
 さすがに止めるべきだと思ったのか、いち早く意識が戻ってきたヴィータとベルナドットのツッコミが入る。

「ちょっと待てーーー!! 昨日あれだけやっといて、まだ暴れ足りねえのかてめえは!」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ今度こそ死ぬ! オレが死ぬオレが死ぬオレやだオレがやだ! もーいーかげんにしてー!!」

 二人分の大反論をものともせずに、航空機強奪の準備を進めるアーカード。正直言って、ワクワクしていると言えそうな表情だ。
 ……ふと、アーカードがその手を止め、ドアの方を向く。何かの接近を感じたような、そんな表情だ。
 そして、意識が戻ったティアナもそれに気付く。もっとも、何が来るのかまでは分かっていないようだが

「?」

 なので、迫り来るものを確認すべく、ドアの覗き穴から外を見た。
 ……刹那、素早く後方へと下がり、ヤクトミラージュを取り出す。何かヤバイ存在が近付いていると言うのだろうか。

「……スバル、いつでも戦えるようにしておいて」
「ティア? 一体どうしたの?」

 スバルへと警告を発するが、当のスバルは何があったのか理解できていないようだ。
 そしてティアナは次の瞬間、言葉を発した。意味を理解する者にとって、恐るべき一言を。

「あの神父が来るわ」
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 21:13:24 ID:SvuqeWCa
トゥルルルル……トゥルルルル……「もしもしドッピオです」支援
131リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 21:13:29 ID:GJdSR9DF
支援
132NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:13:49 ID:P+0Oxt1v
 言った瞬間、その神父が……アンデルセン神父がドアに前蹴りを叩き込み、ぶち破る。いや、蹴り壊すと言った方が正しいだろう。
 つい先ほどまでドアがあった場所には、もう何も無い。代わりに外に繋がる空間と、そこから踏み込んできたアンデルセンがあるだけだ。
 アンデルセンはそのまま拳を構えてアーカードへと接近。アーカードも拳を構えてアンデルセンへと接近。

「BURUAAAAAAAAAAAAAAAA......」
「RAAAAAAAAAAAあ゛あ゛......」

 互いが声を出し、その間も距離は縮まる。他のメンバーはこのあまりの状況に動けない。
 そうこうしている間に、気付けば互いの腕が届く距離まで接近。その直後――――

 ドギャアッ!!

 互いの拳が、その相手の体へと叩き込まれた。
 両方ともかなりの威力だったがために、体がビリビリと痺れているのだろうか。動けない。
 鳩尾に鉄拳を叩き込まれたアンデルセンが、ヘドを吐きながら言う。

「ぶあッ、ばッ、がは、化け物(アーカード)ォ!」

 顔面に剛拳をぶち込まれたアーカードが返す。

「がッ、はア、はッ、もうガマンできないってか人間(アンデルセン)!」

 互いの方向はさらなる拳を呼び、ここに殴り合いの喧嘩が始まった。ただし、一発一発が常人の致命傷に相当するレベルの。
 バキィッ! ゴオッ! ドギャッ!
 轟音とともに拳の応酬。その状況に割って入れる者は、この場には存在していなかった。
 ただ、ヴィータだけは別の理由で動いていなかったのだが。

(こいつがあのアンデルセンだってのか? 何をどうすりゃ吸血鬼と生身で殴り合えるような超人になれるんだよ……!)

 かつてヴィータがイスカリオテにいた頃、当然ながらアンデルセンとの面識もあった。
 但し、アンデルセンは当時イスカリオテ所属ではなかった。故にこんな超人である理由も事実もある訳が無い。
 ならば何故、こんな超人になっているのだろうか。ヴィータにはそれが全く分からなかった。
 ……それを考えている間に、殴り合いも佳境に入っていた。

「がッ、ばはッ、げは、がぼはッ、がはぁははは! 人間め、ははは!」

 アーカードは、哂っていた。
 顔から鼻血を出し、ヘドを吐き、さらに口から血を流すという、言わば血化粧とでも言えるような状態になりながら。
 もうこうなってしまえば、彼らを止める事はできないだろう。互いのどちらかが死ぬまでは。
 それを体現するかのごとく、両者が互いの得物を取り出す。アーカードはご自慢の二挺拳銃を。アンデルセンは愛用のバヨネットを。
 ……お忘れかもしれないが、今この場には指名手配犯が三人もいるのだ。こんなところで戦闘なんかされても困る。
 それを理解しているが故に、スバルはとんでもない手段をもってこの戦闘を止めた。
133NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:14:25 ID:P+0Oxt1v
「ウゥゥイング……ロォォォォド!」

 何を思ったか、狭い室内であるにもかかわらずウイングロードを展開するスバル。
 全員が「!?」といった感じの表情でそちらを振り向くと、展開されて物凄い速度でアンデルセンの方へと伸びるウイングロードが。
 そしてウイングロードはアンデルセンの周りを螺旋状に駆け、その動きを封殺した。
 先ほどのを見る限り、バインド程度なら簡単に破られそうだ。ならば奇をてらって隙を作ることもできるであろうウイングロードを使うが上策か。
 そこまで考えたのかどうかは分からないが、とにかくその上策を採ったスバルの判断は正解であろう。
 そしてそれが、アンデルセンに本来の目的を思い出させるきっかけにもなった。

 手に持っていたバヨネットを、突如スバルの方へと投げつける。
 ウイングロードによる封殺も、その螺旋の間に隙間があるためにそこからの飛び道具の使用は可能である。
 投げつけられたバヨネットは一枚の紙を縫い止め、スバルのすぐ近く……具体的には、顔の右数mmといった位置に突き刺さった。
 アンデルセンの顔からは、先ほどまでの狂気と殺意はなりを潜めている。
 そして先ほどの殴り合いの際に落ちた眼鏡を拾って掛け直し、バヨネットとともに投げた紙を指差して言った。

「北に13kmほど行った所に、農用飛行場を偽装したヴァチカンの飛行場がある。そこで小型ジェットがエンジンを温めてある。
 行け、さっさと行け。それの譲渡書だ。持って失せろ。俺が貴様らへの殺意を抑えられているうちにだ」


「なあ、アンデルセン」
「何だ」

 ヴィータが去り際に、アンデルセンへと問いかける。それは先ほど疑問に感じたあの事に関しての質問である。

「お前は聖遺物を管理してたとこ……確か第3課『マタイ』だったか? そこにいたはずだろ。
 それなのにどうやって、アーカードと殴り合えるくらいに強くなったんだ?」

 アンデルセンはかつて、聖遺物管理局第3課『マタイ』へと所属していた。
 その内容は、文字通りイエス・キリストの残した聖遺物を回収し、管理すること。つまり戦闘など無いはずだ。
 それが何故、これほどの……それこそ吸血鬼と殴り合えるほどの力を得たのだろうか。
 その答えは、アンデルセンの口から語られた。

「闇の書の性質とやらでお前達が去った後、俺はイスカリオテへと入った。
 そしてそこで吸血鬼と戦うための体……再生者(リジェネーター)になった。そういう事だ」

TO BE CONTINUED
134NANOSING ◆YHOZlJfLqE :2007/12/29(土) 21:15:14 ID:P+0Oxt1v
投下終了
…セインファンの皆様ゴメンナサイorz

…ウイングロードは多少無理やりでしたかね…?
135名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 21:19:11 ID:MGpBqDz/
なの寝具支援。セインはやはりボンクラーズですか。
>122
どうぞ。むしろ、その為の豆知識ですから。
136リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/29(土) 21:29:25 ID:GJdSR9DF
乙彼っしたー
タッボイ吹いたw
137魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/29(土) 22:23:09 ID:V4SCVVz2
相変わらず時差並に感想ずれててすみません。
でも、やらなきゃ。だって僕は、ファンなのだから!

>なの魂
本筋ストーリーとは違う番外編的な、銀魂らしいギャグ回でしたが、その中でも新八の男前ぶりが発揮されてましたね。
ホント、原作でもそうだけどかっこいいよ新八w
あと、ノリ的には完全に銀魂サイドの流れなのに、ヴィータの「てへ」とかに萌えたっす。
関わるキャラが増えただけで、こんなにも変わるものなのか…シグナム猫耳かわいいよシグナムw
他にも銀魂サイドに一番馴染んでるの、実はシャマルなんじゃねーの? とか、何気に新八の「ここから先は(ry」の台詞がスレの空気読んでて吹いたりとか。
更新速度上がって、内容は増えて、クオリティ上がって、クロスSSの中で一番好きですよ私はw
138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 22:36:04 ID:U0028JBM
あー、今晩わー……。

ウロスの方で『棺担ぎのクロ。』とのクロスを投下しちゃおっかなー、
とか行ってた、わたす、さんじょー……。

えー、十時も半ばを過ぎちゃいました、が……。
投下してみても、よかですか?


あー、きんちょーでシンゾーばくばくしてんよ…… orz
139Strikers May Cry:2007/12/29(土) 22:41:24 ID:00h9w20c
支援です。
140旅ゆく人:2007/12/29(土) 22:46:02 ID:U0028JBM
……なるほど。

だよなー、言っちゃったモンなー……。
了解、覚悟決めます。


でも、最初に言っておく。
つまんなかったら、ゴメン、あやまる(土下座。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 22:49:24 ID:8JIWXwAq
そんな事!投下してみないと分かんないじゃないですか!?
142棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 22:50:04 ID:U0028JBM
それは、こことは違う世界の片隅のお話。


 鬱蒼とした森の中を、少しでも早く抜けようと足早に歩を進める三つの人影。
 おや、よく見るとコウモリらしき小さな宙を舞う影もあるようで。
「……おい、ニジュク、サンジュ」
 何と、そのコウモリは喋れる様子。
 そして、呼ばれた二つの小さな影が、
「なぁに、セン?」
「どうしたの、セン?」
くるりと喋るコウモリ――センに振り向きます。
 エプロンドレスを身につけた、浅黒い肌に雪の様な白い髪を持つ、くりくりと大きなエメラルド色の瞳が印象的な、可愛らしい幼い双子の女の子たちでした。
 ――そうそう、猫の様な耳と尻尾も印象的でしたね、忘れてました(苦笑)。
「お前等、何時にも増して、今日は何て言うか、……足取り軽やかじゃねーか?」
 訝しむ様に問いかける、セン。
「そうかな?」
 黒い耳と尻尾を持つ、ショートカットのニジュクは言いました。
「そうなのかな?」
 白い耳と尻尾を持つ、三つ編みを二つの輪っかにしているサンジュは言いました。
「「クロちゃ(ちゃん)は、どうおもってるの?」」
 二人は、すぐ前を歩く人影に振り返って尋ねました。
 それは、何とも奇妙な人影です。
 まず、葬式にでも行くかの様に全身を黒ずくめにしています。
 次に帽子。これまた黒くて、一見するとシルクハットのようですが、天が高くて鍔も大きく広がっていて、そのおかげで顔の殆どが隠れてしまってます。
 そして、何よりも印象的なのが、その些か小さい背中に背負っている古ぼけた棺桶。只でさえ不吉な雰囲気に決定的な何かを与えてしまっているのは、間違いありません。
 しかし、その人影――クロは、無表情に、そして無口に歩いています。
「「ねぇ、クロちゃ(ちゃん)ッッ!!」」
「……そうだな」
 その歩みを些か遅くして、クロは振り返りました。
 愁いを含んだ黒い瞳、大きな黒縁の丸眼鏡、長い黒髪とまだ大人に成りきれない顔が、帽子の影から現れました。女の子のようですね。
「確かに、昨日よりは、元気に歩いているかな。疲れ知らずって言うか」
「だろ。何つーか、こう、嬉しいことがあって、それで心ここにあらずッつーくらい、浮かれまくってるような気がするんだが……?」
 少し表情を崩したクロの前で、難しげな顔で腕を組むセン。あっ、組んでるのは翼でしたか。
「そうかな?」
「そうなのかな?」
 そう言ったニジュクとサンジュの顔は、しかし、まるで満開のひまわりを思わせる笑顔だったのでした。
「何か、昨日のあの町であったのかい、嬉しいことでも?」
「「ううん、ぜんぜん」」
 クロは、あっさりと否定されました。
「でもね」「でもね」
 ニジュクとサンジュは言います。
「なにかが、あるの」
「なにかが、おこるの」
「「なにかはわからないけど、なにかうれしいことがあるの(おこるの)」」
 二人とも、とてもとても嬉しそう。
「……そうか」
 そう言って、クロは歩みを少し速めます。 小さな影も、つられます。
「やれやれ。……まっ、何時もみたく「つかれたー」「おかしたべたーい」って駄々こねられるよか、ましだわな」
 一言多いコウモリです。
 しかし、二人は気にしません。
 いつもなら文句を言う二人が、気にせず歩いています。
 その様子に不気味さすら覚え始めたセンを、全く相手にしません。
(なにかが、あるの)
(なにかが、おこるの)
((それはきっと、とてもうれしいことなの))
 鬱蒼とした森の中を、その不気味な雰囲気をものともしない二人の小さな胸の中で、
これから起こるであろう何か「とてもうれしいこと」への期待が、大きく大きく、ふくらんでいったのでした。


143棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 22:54:03 ID:U0028JBM
 今は、六月の初頭。
 日本ならばそろそろ空気が湿り気を帯びてきそうな時期だが、ここはミッドチルダの首都・クラナガン近郊のとある自然公園。
 日本のものより湿り気の少ない風が、肌に心地良い。
 天気は晴れ。快晴とまではいかずとも、綿飴のような白い雲がぷかぷかと空に浮かぶ様子は、却って空の瑞々しい蒼さを際だたせているように、ヴィヴィオには見える。
 その傍らには、大好きなママ――高町なのはがいる。
「……ママ」
「なぁに、ヴィヴィオ?」
「そら、とっても青いね」
 まだまだ小さなヴィヴィオは、なのはのすらりとしつつ大きくて温かな手を、その小さな手でぎゅっと握ってつぶやいた。
「そうだね……」
 そう答えて、なのはも空を見上げる。
 その蒼さは、なのはの目にはとても眩しく写った。何故かは解らなかった。
 ただ。
(……こんなに穏やかな日が、迎えられるなんて、思いもしなかったな)
 ふと、そんなことを思う。
 
 あのJS事件が終決し、事後処理も一通り片付き、機動六課が解散してすでに二ヶ月が経つ。
 六課の仲間達も、元の職場に復帰したり、新しい道に進んだりして、それぞれ忙しい日々を過ごしていると聞く。
 なのは自身も正式にヴィヴィオを養女として後、教導隊に戻って後進の育成に当たる忙しい日々。
 ヴィヴィオも、本人の希望で聖王教会系の魔法学院に入学、勉強に遊びにと忙しい(……かな)日々を送っている。
 だから、最近は少しヴィヴィオは寂しかった。
 解っているけど、もう少しママと一緒に過ごしたい。
 なのはも、そんなヴィヴィオの気持ちは解っていた。
 そして、まだ幼かった頃の自分と同じ気持ちにさせたくないと思っていた。
 だから、今日はピクニック。
 この日のために、なのはは仕事を頑張った。
 そして、二日間の確実な休みを取得した。
 本当は、ユーノも来るはずだったが、急な仕事でキャンセルとなったのは、少し残念か。
 でも、
(この子には、そんなの関係ないよね……)
 残念なのは、なのはだけ。
 いや、ヴィヴィオも少し残念であった。
 が、それ以上に、
(なのはママと、一緒にいられる♪)
 そっちの気持ちの方が、強かった。独り占めできることが、嬉しかった。
 それにしても、陽の光がこんなに眩しいのは。
(ああそうか……)
 太陽が空の一番高いところに差しかかろうとしているのもあったから。つまり、なのはがもう片方の手で持っているバスケットの出番と言うこと。
 なのはは、ヴィヴィオに尋ねる。
「ねぇ、おなかの虫は何て言ってる?」
「えっ、……んーと、ね」
 ぐぅ……。
「……あはは」
「うん、結構歩いちゃったし、もうそろそろお昼になるし、お弁当、食べようか♪」
 そう言って、バスケットを高々となのはは持ち上げた。
「ハァ〜イッ。やったぁッッ!!」
 バンザイして、喜びを現すヴィヴィオ。
 なのはにはその笑顔が、頭上の太陽よりも眩しく輝いて見えていた。

 それから、適当な木陰にシートを広げ、二人はお弁当を広げてランチタイム。
「ママ、とってもおいしいッ!」
「そう? ありがと♪ 今日はヴィヴィオのために頑張っちゃったから、ママ、とっても嬉しいな」
 朝早くに起きて、なのはが愛娘のために心を込めて作ったサンドイッチは、ヴィヴィオには愛しいママの温もりが感じられる、優しい味がした。

144名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 22:55:41 ID:8JIWXwAq
支援!
145棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 22:57:45 ID:U0028JBM
 楽しいランチタイムを終え、ヴィヴィオは木陰の側を歩き回り始める。
 様々な小鳥のさえずり、頬を優しくなでる風、徐々に深みを増しつつある林の緑、少し離れた小川のせせらぎの音、
道ばたに咲いている小さな花、等々、まだ幼いヴィヴィオにとって新鮮な発見の連続。
「ねえママ、このお花始めてみたけど、とってもきれいだね」
「そうだね、ママも初めてみるけど、薄いピンクの色が可愛いね……」
 道ばたで摘んだ花をなのはに持ってくるヴィヴィオ。
 それをなのはに渡すと、ニコニコと笑顔を振りまきつつ、また別の場所に向かう。
 そのぽてぽてと走り回る姿に、なのはは顔を綻ばせっぱなしだった。
 そんななのはは、木陰のシートにランチタイム後もずっと座っている。   
 
 歩き疲れと、仕事疲れのためか、些か体が重い感じがする。どうやら、そのことをヴィヴィオも見て取ったらしく、
「ママはここで座ってて。ヴィヴィオ、ちょっとそこのお花見てくるから」
 そう言われてから、ずっとぽてぽてと走り回るヴィヴィオを、樹にもたれつつ見守っている。
 そして、ちょっと危なっかしい様子にハラハラしながら、でも自然とその頬笑ましさに癒されている自分に気付く。
 幼い娘に気を遣わせてしまったという、ちょっとした罪悪感。
「少し、悪いことしちゃったな……」
 でも、少し、嬉しい。
「ありがとう、ヴィヴィオ」
 まだ元気よく走り回るヴィヴィオを眺めながら呟く。
 それにしても、今日は本当に風が優しい。
 初夏を過ぎて更に強くなりつつある日差しも、木々の梢を通すとかなり和らぐ様子。
 そして、それはある種の誘惑への誘い。
「本当、ここの所、忙し、かっ、た、し……」
 流石の『管理局のエース・オブ・エース(または(自主規制))』も、睡魔の誘惑を振り切ることは出来なかったようだ――。

146名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 22:58:59 ID:MGpBqDz/
自主規制って……支援。
147魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/29(土) 22:59:45 ID:/HWqSJwc
自主規制爆笑支援。
148棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 23:01:37 ID:U0028JBM
 森の鬱蒼とした様子は、まだまだ続くようです。
 
 おや。

「あっ」
「あかるくなってきた」
 先頭を行くニジュクとサンジュは言いました。
「ふむ、ようやく新しい村かな」
「ふえー、ヴァルキアの街から歩いて三日、……やっと着くかぁ。えーと、次、何て村だっけ?」
 クロはガサガサと地図を広げました。
「……テルヌーゼン、さ。割と大きな村らしいね」
「へえ。てことは、……おい、そこの二匹、今日は特に俺等から離れ、って」
 
 ニジュクとサンジュは走り出しました。

「言ってる側からこれかよッ! おいッ! 離れるなッつってんだろッ! てか、走るなッ、そこの二匹ッッ!!」
 センの喚きも耳に入りません。
「ふふッ、やれやれ」
 クロは地図をしまいつつ、肩をすくめました。
 
 ニジュクとサンジュは、走ります。
 ひたすらに、一心不乱に、ニコニコと。
 森の木立から溢れ出てくる、眩しくも柔らかな光に向かって。
 二人は、走ります。

149名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 23:03:29 ID:8JIWXwAq
支援します!
150棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 23:04:37 ID:U0028JBM
「……ママ?」
 また別の花を手にしてなのはの下に戻ったヴィヴィオは、樹にもたれて静かな寝息を立てている彼女を見つけた。
「ママ……」
 なのはの頬を、軽くつついてみる。
「う、ン……」
 反応はあったが、目を覚ます様子はない。
「……」
 どうしようかとヴィヴィオは逡巡する。
 
 その時。

「……ヴィヴィオ、あんまり、……遠く、行っちゃ、ダメ……」
 なのはの寝言。それに一瞬驚いて、しかし、
「起こしちゃ、……悪いかな」
 そう呟いてヴィヴィオは、なのはの傍にちょこんと座った。
(かまってくれないのは少し寂しいけど、傍にいるだけでも……)
 そんなヴィヴィオの目の前を、不意に横切った柔らかな光の塊。
「えっ、……何?」
 
 手の届かない距離まで離れたそれは、金色の光を出している、一匹の蝶だった。

「きれい……」
 思わず見惚れるヴィヴィオ。
 その蝶も、ヴィヴィオのことをどうやら見つめている様子。
 しかし、不意に踵を返してまた離れ出す。
「あっ、……待ってッ!」
 思わずヴィヴィオも、つられるように後を追いだした。
 公園内の林の中を、光り輝く蝶が飛ぶ。
 それを追って、ヴィヴィオは走る。
 
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 23:07:16 ID:8JIWXwAq
こ・・これは!不思議の国のアリスフラグではないか!支援!
152魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/29(土) 23:08:22 ID:/HWqSJwc
>>151
私もそう思いました支援。
153棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 23:09:19 ID:U0028JBM
ひらひらと蝶は飛ぶ。
 しかし、ヴィヴィオは追いつけない。
 手を伸ばす。
 しかし、もう少しの所で届かない。
 何かがおかしい。
 その蝶はただ、ひらひらと飛んでいるだけなのに。
 でも、届かない。

(何で……)
 ヴィヴィオは、思う。
(あのちょうちょを追いかけてるのかな……)
 追いかけながら、思う。
(どうして、追いかけてるのかな……)
 息を切らせつつ、思う。
(何で……)
 一心不乱に、走りながら。
(どうして……)
 ただただ、蝶を追いかける。
「……あっ」
 そして。
「もしかして……」
 ふと、気付いた。

「あのちょうちょに、呼ばれたの、かな……」
 そう呟いた刹那。

「――んっ」

 視界が開け、それまで林の木々で遮られていた陽の光が、一気に、大量に円らな目になだれ込み、ヴィヴィオは思わず目を細めた。
 そして、すぐに慣れ始め、徐々に目を開けてみた。
 そこは、一面、色とりどりの野草の花が咲き誇っていた。
 草原だった。
 辺りを見渡す。
 かなり開けている。視界を遮るものは乏しい。
 距離にして三百メートルくらいか、左手前方に小高い丘があって、その上で人が二人、立っているのが見える。
 一人は、何かを投げているようだった。そしてそれは、その人に戻ってきた。ブーメラン……か。

「――あっ、ちょうちょ、は……」

 不意にあの蝶のことを思い出し、きょろきょろと辺りを見回した。

「いたッ!」

 すぐに見つかった。最も、光っているのだから見つからぬはずもないだろうが。
 件の蝶は、少し離れた、ちょっと他のより少し茎を伸ばした花の上で、そのストローのような口をのばして蜜を吸っていた。
 そっと近づいてみる。
 蜜を吸うことに夢中なのか、逃げる素振りを見せない。
 更に近づく。
 逃げようとしない。
 いよいよすぐ傍まで来て、顔を近づけてみた。
 全く、逃げなかった。
「……よし」
 意を決し、ヴィヴィオは手を伸ばした。
(ママに見せたら、喜んでくれるかな)
 そんなことを思いながら。
 
 そして、そっと蝶を摘んだ、その時。

154棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 23:11:37 ID:U0028JBM
 ニジュクとサンジュは走ります。
 光を目指して、走ります。
 そして。

「「とおちゃ〜〜〜〜〜くぅっっ!!」」
 
 そう叫んで、森を抜けようとした、その時でした。

155棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 23:13:34 ID:U0028JBM

「えっ……ッ!」
 
 蝶はヴィヴィオの指先で光を急に増し、
そして、光のボールとなり、爆弾が爆発するように、弾けた。

156名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 23:13:59 ID:8JIWXwAq
まさか・・このパターンは・・。支援!
157棺担ぎのクロ。 リリカル旅話:2007/12/29(土) 23:15:58 ID:U0028JBM
 光が、二人を包み込みました。

「えっ?」

「あれっ?」
 
 そして、勢いよく、弾けたのです。







 そして。


 そして。


 物語は動き出す。


 二つの世界が、交わります。


 さて、物語の行方は、如何なる物か。


 しかし、それも旅人たちには、思い出の一つに過ぎなくなるのでしょう。




                         『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』
                                 OVERTURE・了。

158魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/29(土) 23:22:18 ID:/HWqSJwc
お疲れ様でした。
元ネタ作品を読んだ事はございませんが、スレ的には珍しいタイプの作品に
なるかな? と、期待しております。
今後も頑張ってください。
1時間後に、今度は私の作品をUPしようかと思います。
159旅ゆく人:2007/12/29(土) 23:22:27 ID:U0028JBM
えー、以上を持ちましてぇ、投下ぁ、終了、……デス。

皆様、ご精読、及び、適宜の絶妙な支援、
本当に感謝の極みにございます。

さて、読んでいただいたとおり、今回はまだ、
互いのキャラクターの絡みはございません。

それは次回以降のお楽しみにしていただきたく……。


しかし、やれるのか、わしホントにやれるのか?


などと言いつつ、妄想はイチオーふくらんではいるのですがw
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 23:27:13 ID:GCi3KlSw
ぬうこれは先が読めんw
しかし期待して待っていますぞ。
161旅ゆく人:2007/12/29(土) 23:30:51 ID:U0028JBM
あと、私の妄想は複数の作品を抱き込んだり、
巻き込んだりしながらやっちまうことが多いので、

もしかしたら、次回辺りで、
どっかの誰かさんをスポット参戦させちまうかもかも。

もしそれで気を悪くされるようなことがあるやも知れないので、
最初にごめんなさいをしておきます。

それでは、私これにてROMにもどります。

最期に、先輩諸氏、いつもGJ!!!!!!、でありますッ!(敬礼

では ノシ
162名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 23:35:06 ID:9sn4mDSc
ようこそ・・・SS職人の世界へ・・・。GJ!!
163戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 00:27:10 ID:HHf8Uj4d
職人の皆様GJ!
>>159
初めてっていうのは結構緊張するもんなんですよ。
原作は知らないとはいえほのぼの系になるのかなぁと思ってたり。

とりあえずネタは思いついたら投下しておかないと、後々詰まったら困る…。
というわけで投下よろしいでしょうか?

164魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/30(日) 00:27:25 ID:o/fus84I
お待たせいたしました。
時間になりましたので、自作品をUPいたします。

一応、フェイトに同行しているオリジナルの陸士部隊の元ネタを再度UPいたします。
メルゲル・イプマンダ:メタルーナミュータント(宇宙水爆戦)
ロアラルダル・アムーシュ:プレデター(プレデター)
グーダ・イマナムズア:半魚人(大アマゾンの半魚人)
デ・カタ:火星人(宇宙戦争)
フューダー“ポッドマン”エップス:莢人間(SF/ボディ・スナッチャー)
エグゼンダ・アルグ・マルダ:ワニ人間(恐怖のワニ人間)
ローレンス・タルボット:狼男(狼男)
165戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 00:28:35 ID:HHf8Uj4d
>>164
ん、了解しました。
じゃあ自分はその後かな。
166魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/30(日) 00:32:44 ID:o/fus84I
4
第1158管理外世界。
そこは、巨大な砂丘が果てしなく続く死の世界。
強烈な陽射しが砂を焼き、目を灼き尽くさんばかりに照り返してくる。
時々吹く風が砂を巻き上げ、その跡が風紋となって砂上に刻み込まれていく。
突然、砂丘の一角が盛り上がり、砂の中から潜望鏡のように、髑髏を思わせる
金属製の頭部が現れた。
光学映像、赤外線、紫外線。人間よりも遥かに広い視野と高感度の眼が、周囲
を隈なくスキャンする。
数秒後、目指す目標――黒布に包まれた担架を、交代しながら運ぶ十人弱の人間
たち――を発見。より接近しようと、頭部は再び砂の中へ潜り込んだ。

陸・空の魔導師たちは、体内総ての水分を蒸発させるかのような、凄まじい炎熱
と闘いながら、彼らは砂丘の山脈を踏破する。
やがて、砂に埋もれかけた、いつごろ死んだか分からぬ、東洋の竜に似た巨大な
生物の骨が横たわる場所に差し掛かると、魔導師部隊はそこで休憩する事に決めた。
幸い、背骨を頂点に、両側へトンネル状に肋骨が伸びているので、そこへ衣服や
ポンチョを掛けると、即席の日除けシェルターを作る事が出来た。
最も日の当たらない場所に担架を運び込み、他の者たちはその周囲で座ったり
寝たりして、昨夜以来ずっと動きっぱなしで疲れた体を休ませた。

「…見た事ない、バカでかい化物(バケモノ)だったな」
仰向けに寝転がりながら、グーダが呟いた。
「ガジェットドローンにしちゃ火力凄過ぎだし…、戦闘機人にしちゃでか過ぎる…」
「分離主義の連中か?」
体育座りをしているロアラルダルが、横向きに寝ているデ・カタに問いかけると、
彼は首を横に振って否定した。
「いや、奴らにあんなの作れないッスよ。それこそ、ジェイル・スカリエッティ
みたいな、頭のいいクレイジーな奴でなけりゃ…」
それっきり会話は途切れ、辺りを沈黙が覆う。
167魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/30(日) 00:36:05 ID:o/fus84I
エップス陸曹は、意識不明で担架に横たわっているフェイトに付いている、
蛇の顔をした女性衛生兵とデュラハの方を振り向く。
「執務官の様子は?」
ブラックアウトが放ったプラズマ弾の直撃を受けた胸部には、バリアジャケット
の上からガーゼが当てられて幾重にも包帯が巻かれ、吹き飛ばされた車両に激突
した時に骨折した両足には、応急の副え木が当てられている。
「出血は、何とか止めることが出来ました。ただ、脚の方はひどい骨折をして
まして、早いうちに本格的な治療をしないと…」
「そうか…」
エップスは、次に胡坐を掻いて座っているエグゼンダに尋ねる。
「次元航行部隊がこちらに来ているはずだ。空戦魔導師(そっち)の方で連絡を
取れるか?」
エップスの問いかけに、エグゼンダが自分のサブマシンガン型デバイスに声を
かけた。
「シューティングスター、次元航行艦とコンタクトを取れるか」
機関部にある、丸くて青い宝石が二・三度瞬いた後、申し訳なさそうな口調で
答えた。
「申し訳ありませんマスター、現在のところ返答はありません」
エグゼンダは、隣で同じように座っているローレンスの方を振り向くが、
彼もまた首を横に振った。
「おいおい、どう言う事だ!? 日頃から、次元航行艦(ふね)と直接コンタクト
を取れるって自慢してたろ!」
メルゲルが、血相を変えてエグゼンダに詰め寄る。
「ああ、そうだ。直接連絡は取れる。ただし、送・受信範囲ってのがあってな、
次元転送可能距離以上では無理なんだよ」
相手の目を見ながら冷静に答えるエグゼンダの姿に、メルゲルは絶句して力無く
うな垂れる。
168リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 00:36:41 ID:QKQxjezT
じゃあ僕は戦国さんの次で

支援
169魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/30(日) 00:39:47 ID:o/fus84I
「僕の村はどうかな?」
突然、黙って大人達のやり取りを聞いていたデュラハが、口を開いた。
彼の言葉に、その場に居る者全員がデュラハに注目する。
「大したものはないけど、水の出る井戸はあるし、執務官を休ませる場所ぐらい
だったら何とかなるよ」
エップスが、デュラハに尋ねる。
「村までは、どれぐらいかかる?」
「この先の砂丘を越えてすぐ、二時間ぐらいだね」
エップスは、生き残りの魔導師たち一人ひとりを見ると、全員が力強く頷いた。
「よし、行き先は決まったな」
エップスがそう言った時、フェイトが微かなうめき声を上げて、目を開いた。

「陸曹! 執務官が意識を!!」
衛生兵の言葉に、全員がフェイトの回りに集まった。
「執務官」
エップスが声をかけると、フェイトは周囲を弱々しく見回して、小さな声で
言った。
「こ…こは…?」
「砂漠のど真ん中です。基地が壊滅した後、ずっと逃げてきました」
エップスは、ゆっくりはっきりした口調で説明する。
「ああ…あれからずっと…逃げて…きたんですね」
フェイトが弱々しく呟いた後、デュラハが水の入った革袋を出し、ストローを
挿してフェイトに差し出す。
「執務官、水飲んだ方がいいよ」
フェイトは、デュラハが差し出したストローに口をつけ、水を二・三口飲む。
「ありがとう…君…は…?」
「デュラハ」
「ありがとう…デュラハ……」
フェイトは、デュラハに微かに微笑む。
「執務官、我々はこれからデュラハの村へ向かいます。
そこで、可能な限りの治療をしますので、二時間ほど我慢して頂けますか?」
エップスがそう言うと、フェイトは微笑みながら弱々しく頷いて、再び目を
閉じた。
「よし、全員出発の準備をしろ。
今度から、執務官を運ぶ連中を中心に横に広がれ。
何か金属を見つけたら大声を出せ。砂に埋もれかけた缶詰でも何でも構わん、
すぐに知らせろ」
エップスがそう号令をかけると、全員が装備をまとめ始めた。

シェルターから少し離れた砂の小山の陰で、先程のと同じ金属製の頭が魔導師
たちのやり取りを見ていた。
彼らが出発の準備を始めるのと同時に、再び砂漠の中へ潜行する。
蠍型の怪物メガザラックは、彼らの会話から次の目的地を定め、先回りすべく
全速力で砂の中を進み始めた。
170魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS:2007/12/30(日) 00:42:03 ID:o/fus84I
えー、本日はここまでです。
次は信号分析にかかっているシャーリーたちと、タイコンデロガ(旧本局)
に進入するフレンジーの話です。
本当はここまで書きたかったんですが、間に合いませんでした。
171戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 00:48:01 ID:HHf8Uj4d
GJ!
そして乙っす。
メガザラックってあのデストロンの・・・うーん・・。
今度DVD借りよう(オイ

じゃあ次に自分投下いたします。
172戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 00:53:46 ID:HHf8Uj4d
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜

第十一話「天覇絶槍」

「周りのすべての人間は、自分のための道具に過ぎん。そのくせ君達は、自分に向けられる愛情が薄れるのには臆病だ。
実の母親がそうだったんだ・・・。君もいずれ、ああなるよ・・・。間違いを犯すことに怯え、薄い絆にすがって震え、
そんな人生など、無意味だと思わんかね・・?」
「あ・・・あ・・・・。」
スカリエッティの言葉に顔を歪めるフェイト。
その体はスカリエッティの生み出した赤い線で縛られている。最初はトーレ、セッテ相手にもなんとか太刀打ちできたのだが。
「さて・・・・私はどうしたものかな。」
彼の横にいる男が現れたせいで一気に形勢が逆転してしまったのである。男の名は松永久秀。この世界に飛ばされてスカリエッティに協力している男だ。
彼等の拘束と爆破のコンボで次第に押されはじめ、今に至る。
バリアジャケットは煤にまみれ、いたるところに切られた跡が。一方の二人は無傷。
まさに圧倒的、という所だろうか。そんな中に少年と少女の声が響く。
「違う!!」
叫んだのはモニターの向こう側にいるエリオとキャロ。横には伊達政宗と片倉小十郎の姿も見える。
二人は少し笑っている。そして次に口を開いたのは政宗だ。
「HEY!そこのフェイトとか言う嬢ちゃん!今のアンタに必要なモン・・・それは勇気だ。」
そう言うとエリオとキャロの頭にポン、と手を乗せる。
「それにこいつら、利用されてるなんて微塵も思っちゃいねぇ。ほら、言ってやんな。」
手を離し、政宗は鼻で笑うと腕を組んで背を向ける。二人は互いの顔を見て頷く。
再びモニターへ目を向け、口を開いて自分達が今、言わなければならないことを言葉にする。
「無意味なんかじゃない!」
「僕達は、自分で自分の道を選んだ!」
「フェイトさんが、行き場のなかった私にあったかい居場所を見つけてくれた!」
「たくさんの優しさをくれた!」
「大切なものを守れる幸せを教えてくれた!」
「助けてもらって、守ってもらって、機動六課でなのはさんに鍛えてもらって。」
「やっと少しだけ、立って歩けるようになりました。」
政宗は二人の言葉を聞き、普段の彼にはない、穏やかな微笑をする。
フェイトの心には少しずつ、少しずつ。希望の光が。
「フェイトさんは、何も間違ってない!」
「不安なら、私達がついてます!困ったときは助けに行きます!」
「もしも道を間違えたら僕達がフェイトさんを叱って、ちゃんと連れ戻します!僕達が・・・皆がついてる!」
「だから負けないで!迷わないで!」
そして二人の声が、重なる。それはフェイトの心に、光を灯す言葉。
「「戦って!!」」
言葉を聞いた瞬間、フェイトの体の中で何かが爆発したかのように魔力が溢れる。魔力はフェイトの体を包み込むように展開している。
「オーバードライブ…真・ソニックフォーム。」
『SONIC DRIVE』
フェイトの声を聞き、バルディッシュが金色の光を放つ。魔力はさらに上昇。そして魔力の柱へと形を変えた。
思わず身構えるトーレとセッテ。フェイトはゆっくりと目を開いて今の思いを言葉に。
「ごめんね・・・ありがとうね。エリオ、キャロ。」
バリアジャケットは今までのとは違い、マントを無くし、レオタードに近いものとなっていた。
魔力で少し浮いていた足をしっかりと地につけ、バルディッシュを優しく抱える。
「疑うことなんて・・・ないんだよね。」
金属音とともにカートリッジがリロードされるとバルディッシュが二本に分かれ、二本を両手に握る。
「私は弱いから・・・迷ったり、悩んだりをきっと、ずっと、繰り返す。だけど、いいんだ・・・・!」
体を回転させて双剣を構える。目は絶望という汚れは消え、光が宿る。その光は決して消えることのない、強い信念の表れ。
目の前にいるスカリエッティ達を睨む。
「これも全部・・私なんだ!」
173戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 00:54:14 ID:HHf8Uj4d
スカリエッティが手を動かすと地面が爆発。しかし爆風の中からフェイトが現れバルディッシュを横に凪ぐ。
突然のことにセッテは回避しきれずに手に持っていたブーメランブレードを破壊され、倒れる。
手を握る動作をすると地面から赤い線がフェイトを捕らえようと迫る。赤い線を避け、斬り、敵へと進む。
次に立ちふさがったのはトーレだ。インパルスブレードとバルディッシュの刃がぶつかり合い、火花を散らす。
フェイトは宙で一回転、トーレはその隙を突こうとIS、ライドインパルスを発動。紫の光となってフェイトを追う。
空中で激しく激突する金色の光と紫の光。トーレの頬が切れ、フェイトの肩にも軽い切り傷が。
一回止まると二本に分かれたバルディッシュを一本に装着。大剣の姿、ザンバーフォームとなる。それでも迫ってくるトーレに向かいバルディッシュを振り下ろす。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
防御したトーレだがしばらくするとインパルスブレードが砕け散った。スカリエッティと松永の横を過ぎ、壁に激突して倒れる。
次にスカリエッティへと向かうが顔に何かがかかる。
「うっ・・・!!」
目に入ってしまい、そのまま落下するフェイト。かろうじて目を開けると松永が立っていた。手には砂のようなもの。
「それは火薬かね?」
「そういうことだ。ものは使いよう・・・とも言うだろう?」
目を擦りながら立ち上がり、再び構えようとする前に顔面の真横に小さな爆発が起きる。
「ああぁっ!」
小さいとはいえ吹き飛ばすには十分威力がある。壁にぶつかり、うなだれるフェイト。
額からは血が流れ、ゆっくりと目を開けるとフェイトを守るように赤い魔方陣がそこにあった。まさに溶岩の如く。
赤い魔法陣から何か出てきた。揺らめく火の粉。火の粉は火に。火は炎に。炎は火炎に。どんどん大きさを増す。
そして爆発。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
中から出てきたのは人。赤いコート、赤いハチマキに槍二本。首にかけているのは六文銭。
若き虎が、フェイトの前に降り立つ。槍の切っ先をスカリエッティと松永に向ける。
「忠勝殿との色々な義により、助太刀いたす!!うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
槍を交差させ、天に掲げる。
「天!!」
交差させた槍を一回離し、足元でまた交差させる。
「覇!!」
切っ先をまた二人に向ける。
「絶槍!!」
さすがの二人も突然のことで少し驚いているようだ。とはいっても少し目を見開いただけでたいしたリアクションではないのだが。
若き虎はあたりに炎を揺らめかせ、鋭き眼光を向ける。
「真田幸村、見ッ参ッ!!」
174戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 00:54:46 ID:HHf8Uj4d
突然現れた赤き武将、真田幸村。そんな乱入者にも冷静に対処し、手を動かし赤い線を出現させるスカリエッティ。
襲い来る赤い線を槍で切り裂く。槍の先端には炎が宿り、描いた軌道には火の粉が降り注ぐ。
最後に火薬を投げて腰に挿してあった刀で地面を擦り、生じた火花で火薬を爆発させる。
だが、それぐらいで幸村は止まらない。煙を掻き分け尚も雄たけびをあげながら二人に向かってくる。
交わるスカリエッティがはめているグローブの刃と槍の刃。
「燃えよ・・・我が槍、我が魂!!命の限り道を開けぇ!!」
主の雄叫びに答えるように槍に宿った炎が大きくなる。スカリエッティの刃が焼け、溶けていく。
幸村は槍を引き、相手の体勢を崩すと二本の槍を一本に連結させて回転。スカリエッティを宙へと飛ばす。
「大ぃ車輪!!」
飛んできた方向にはフェイトがいる。バルディッシュを構えてまた打ち上げる。
幸村はスカリエッティの落下している真下に走る。大地を蹴り、跳んだ後に回転、槍二本の横凪ぎでスカリエッティを叩き落す。
「朱雀翔!」
叩き落してバウンドした後も幸村は逃さない。降りて目の前に立つとまた槍を一本に連結。拳に炎が集まっていく。
「虎炎!!」
炎の拳はスカリエッティの顔面に直撃、宙で人形のように吹き飛び、やっと倒れることを許された。
直撃した顔は火傷だけではなく、大きく歪んでいた。
「ほう・・・・真田幸村か。これはこれは、予想外の客だな。」
「永松久秀ぇ!今までの悪行、この真田が許さん!!」
「はっはっは、相変わらず熱いな。卿は。」
「問答無用!!虎炎!!」
炎の拳を突き出すが刀で防御され、押し返される。直後に刀を振り下ろすと胸に切り傷が入る。
素早く切り傷に火薬をかけて刀を擦り火花を当てる。至近距離の爆発を避けれるはずもなく吹き飛んだ。
「うぐ・・・ごふっ・・・・!!」
胸から溢れる大量の血。それでも幸村は立ち上がり、槍を構える。
フェイトもそんな彼を見てバルディッシュを構える。
「!?」
「貴方だけに戦わせるわけにはいきません・・・・!!」
幸村とフェイトは顔を見合わせると少しだけ笑い、また真剣な表情で松永を見る。
まず先手を切ったのは幸村だ。槍から炎を吹き出し、自身は回転。回る速さはどんどん増していき、松永に近づく。
爆発で押し返そうとするが炎に守られ、止まらない。
「ぐあぁぁぁあ!?」
炎は松永を身を包み、焼く。幸村は横を通り過ぎて槍を連結。腰を低く構えてじっと待つ。
続いて接近したフェイトはバルディッシュを振り上げて松永を宙へ。落ちてきたところを炎を纏った槍を斜めに斬り上げて吹き飛ばす。
「千両花火ぃ!!」
「はぁぁぁぁあぁぁっ!!」
千両花火でまた吹き飛んだところをバルディッシュの一撃が襲う。気を失った松永は壁をぶち抜いて倒れた。
勝負はついた。フェイトが笑顔で駆け寄ると幸村の表情も笑顔に変わる・・・・が、次第に赤くなっていく。フェイトが首を傾げて近寄る。
「ななななななななんと破廉恥な格好をしとるのだお主はぁ!?」
戦いの最中で気がつかなかったがフェイトの格好はレオタードのように露出が高いバリアジャケット。
まぁ、これで反応しない人がいるとしても女性に慣れていない幸村には多少刺激が強かったようだ。
「え・・・・えぇぇぇぇっ!?」
思わずフェイトも顔を赤くして腕を組んで胸元を隠す。
赤くなり硬直する幸村と同じように顔を赤くして体を縮みこませるフェイトという、戦いの後とは思えない光景が後に駆けつけた伊達政宗のツッコミがあるまで続いたという。
175戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 00:56:53 ID:HHf8Uj4d
投下終了。
真田幸村は結構登場させやすい。
前回ので武器の心配はなくなったし・・。ザビー・・・出したら雰囲気がぶち壊(ry
176魔装機神:2007/12/30(日) 00:59:23 ID:Jelv5V92
乙。
しかし幸村……何つう登場の仕方を……まあBASARA出し仕方ないか
177リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 01:00:24 ID:QKQxjezT
GJ
五分後に投下します。
今回はちょっと消化不良だ…
178名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 01:02:16 ID:S0owy6pe
純真ボーイ真田幸村登場!支援!
179戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 01:03:59 ID:HHf8Uj4d
>>176
ちなみにゲーム中の武田信玄は「心頭滅却、火もまた涼し!!」と雄叫びを上げながら
溶岩の中から出てきますぜ。………ほら、BASARAだし(何
180リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 01:06:54 ID:QKQxjezT
【?】サイド一話「ヴェイト」Bパート
【海上拘置所 外】
「覚悟はできてんだろうな?」
「…」

ガンを飛ばすノーヴェに対し、龍はとても冷ややかな目で彼女を見つめた。

「うわぁ…ガン無視…」
「良い度胸してるっスねぇ…」

ノーヴェのやんちゃさを知るセインとノーヴェは龍の態度に感心を抱く。

「テメェ…馬鹿にしてんの…」
「能書きはいい、さっさとかかって来い。あまりゆっくりしている時間は無い。」
「!…おもしれぇ、だったらさっさと決めてやるよ!」

ノーヴェはファイティングポーズを取り、いっそう激しい見幕で龍を睨む。

「ISとやらは…使わないのか?」
「いらねぇよ…そんなもん!!」

ノーヴェはそう叫ぶと、一直線に龍に向かって突進していった。

【十分後】
「はぁ…はぁ…」
「…」
「このおぉぉぉぉぉぉお!!」

土に塗れ、地に倒れ付していたノーヴェは、再び立ち上がって龍に殴りかかる。
だが龍はノーヴェの拳を簡単に受け止め、背負い投げでノーヴェを投げた。

「あう!」

ノーヴェは地面を転がり、いっそう土塗れになる。

「嘘…」
「マジすか…?」

ノーヴェはISはなくとも格闘技ではかなり優秀な部類に入る戦闘機人だ。
だが、そんなノーヴェが子供のようにあしらわれている。
セインとウェンディは自らの目を疑い、何度も自分の手で目を擦った。

「十分以上経っているな…まだやるのか?」
「当…然だ…テメェなんかに…!」

ノーヴェは「絶対に屈しない」そんな目で龍を睨みつけた。
181リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 01:07:56 ID:QKQxjezT

「…」

【龍の回想(五歳時)】
少年1「へへへ、どうだ弱虫!」
龍(五歳)「…!」

顔中傷だらけになりながらも立ち上がる五歳の龍。

少年2「おいおい、こいつまだやる気だぞ!ぶちのめしちまえ!」
少年3「変な目しやがって!雑魚のクセに生意気何だよ!」

龍、三人の少年に袋叩きにされる。

【龍の回想(中学生時)】
剣道部「おいおい、強いのは練習と試合の時だけかよ?免許皆伝ってのも大した事無ぇな、え?」
空手部「これで空手四段も持ってるだ?世の中間違ってるぜ。ったく、なんで家の顧問はこんな根性無し助っ人に呼ぶんだか…」
龍(十四歳時)「…」

龍は冷ややかな瞳で二人を見つめる。

剣道部「…あんだその目は?」
空手部「先輩ナメんなよ…クソガキ!」

二人の部員は龍へのリンチを続行する。

………
「…」
「こっ…の…」
「もういい、お前は来なくても。」
「!?、なん…だと?」

立ち上がったノーヴェは目を丸くする。

「お前を見ていると…イライラする。目障りだ。」
「っざけんじゃねぇぞ…好き勝手に意見変えやがって…勝ち逃げなんか…させるかよおぉぉぉお!!」

ノーヴェは再び龍に向けてダッシュし、拳を振り上げる。
だが…

「…!」
「がっ…はっ…」

龍が放った正拳突きを腹部に喰らい、ゆっくりと地面に沈んだ。

「「「ノーヴェ!?」」」

チンク、セイン、ウェンディはノーヴェに駆け寄り、彼女を抱き起こす。

「ノーヴェ、しっかりするっス!」
「ウェ…ウェン…ディ…」
「傷は浅いぞ!」
「しっかり!」
「チンク姉…セイン…」
「クッ!お前!!」

チンクは龍の上着を掴む。
182リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 01:09:06 ID:QKQxjezT

「別に…ここまでやる必要は無かった…それをよくも…!」
「…止めてよ…チンク姉…」
「!?」

物凄い見幕で龍に喰いかかるチンクを制したのは、セインとウェンディに解放されているノーヴェ自身であった。

「ノーヴェ…」
「あたしがこんなになったのは…あたしが…弱くて意地っ張りだったからだよ…別に…コイツは悪くない…」
「ッ…」
「だから決めた…あたし…皆に付いていく…」
「!?」
「ホントっスか!?」
「これから、その組織の奴らと戦うんだろ?だったら…その戦いの中で…もっともっと…強くなって…そして…お前から一本取ってやる…!」
「そうか…」

龍はあくまでクールに対応する。

「ったく…やっぱテメェ、イケすか…」
「ザメザメザメザメ!!」
「「「!?」」」

奇妙な鳴き声を聞き、ナンバーズ達は鳴き声が聞こえた方向を振り返る。
そこには、右手が斧になり、シュモクザメの姿をした怪人がいた。

「怪人!?もうドクターの所に怪人は居ないはず…何故!?」
「俺は「AAMON」の怪人、トマホークシュモクザメだ!」
「ア…アモンだと!?」

チンクは聞きなれない名前に困惑しながら、傷ついたノーヴェを守るように抱きしめる。
そして龍は、そんなチンクの前に出る。

「お…お前…」
「チンク…ノーヴェ達を連れて、下がれ。」
「何?」
「お前のやんちゃな妹に…戦い方を教えてやる!」

龍は上着のファスナーを開け、はだける。
そして、龍の腰に翠色の石が埋まったベルトが出現した。

「変…身…!、トオ!!」

龍は変身ポーズを取り、空にジャンプする。
そしてベルトから発せられた緑色の光が龍を包み込み、彼を暗赤色の仮面と手袋、ブーツ、そして緑色の目とマフラーを持った戦士・仮面ライダーヴェイトに変身させた。
183リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 01:11:08 ID:QKQxjezT

「!?」
「うぬぅ!?」

チンクを含むナンバーズ達とトマホークシュモクザメは、龍の変身に驚き、一瞬動きを止める。

「俺は…仮面ライダーヴェイトだ。さて…貴様の腕を見せてみろ。」
「おのれ…ザメザメザメザメ!!」

トマホークシュモクザメは右手の斧を振るい、ヴェイトを攻撃する。
しかしヴェイトはトマホークシュモクザメの攻撃を全て紙一重で回避していき、次々にカウンター攻撃をトマホークシュモクザメに決めていく。

「くっ…この野郎…!」
「次は…こちらの番だ…トォ!トォ!トォオ!!」

ヴェイトは空手技の連続攻撃でトマホークシュモクザメに攻撃を加えていく。
その一撃一撃は一切の無駄が無く、力強い。

「ザメエェェェェェエ…」
「ハアァァァァァァァァア!!」

そして、連撃の最後に回し蹴りを繰り出し、トマホークシュモクザメを蹴り飛ばした。
トマホークシュモクザメに十分なダメージを与えたと判断したヴェイトは、上空にジャンプしてキックポーズを取る。

「ライダーキック!」
「ザメエェェェェェェェェェェエ!!」

ライダーキックを受けたトマホークシュモクザメは、蹴り飛ばされて海面に激突し、爆発した。

「…」

勝利したヴェイトは変身を解き、龍に戻る。
184リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 01:11:38 ID:QKQxjezT

【二時間後】
「では…準備はできたか?」

龍は戦闘服に着がえたナンバーズに確認を取る。

「オーケーだよ!」
「忘れ物も無いっス!」
「特に…無い。」
「私も…」
「イノーメスカノンも持ったし、こっちも問題は無いかな?」
「別にねーよ。」
「同じく。」

ナンバーズ達は既に準備万端という表情で龍を見ている。

「よし…なら、この部隊の名前を決めなければな。何かあるか?」
「名前…ウェンディズなんてどうスか!?」
「そりゃあんたの名前でしょ…」

セインに軽く突っ込みを入れられるウェンディ。

「あはは…すいましぇ〜ん♪」
「しょうがない…やはり俺が決めよう。」

龍は筆と紙を取り出し、二十秒ほど考えた後紙に部隊名を書き、セイン達に見せた。

「「おお〜」」
「「「…」」」

感心するセイン、ウェンディと、無言で名前を見つめるチンク、ノーヴェ、ディエチ。
そして全然興味の無さそうなオットーとディード。

「部隊名「レッドドラゴン」だ。」
「レッドドラゴン…赤龍か…」
「かっこいい〜♪」
「イカスっス〜♪」
「異論は…無い。」
「同じく…」
「勝手にしやがれ!」
「あたしも…別に良いかな。」
「…決まりだ。」

龍は七人を引き連れ、停泊させていた船に乗り、海上拘置所を後にした。
龍が作り上げた部隊、「レッドドラゴン」の戦いが、これから始まるのである。

龍「(これで…なんとか全員「危険」は免れたか…)」

………
【軌道拘置所】
「いやあ〜、遅かったじゃないですか、ドクトルG…」
「…」
「さあ、私達も連れて行ってくれ…「神」の元へ…」

「レッドドラゴン」結成から二時間後、軌道拘置所から、管理局への恭順を断ったスカリエッティ、ウーノ、トーレ、セッテ、そして、重要資料として管理局に保管されていたドゥーエの死体が姿を消した…
185リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 01:15:35 ID:QKQxjezT
投下終了
なんか機動六課サイドより自身が無い今回…

ヴェイトの姿形は単にアウレフの色違いです。(ただ2号に似せたい為両腕両足に白いラインが一本ずつ入ってます)

次回から【?】だった部分が【レッドドラゴン】になりますので、お楽しみに。(予告が無いのは機動六課サイドとの差別化を図るため)

次回は機動六課サイド二話行く予定です。
平成ライダーサイドは電王終了までお待ちを…
186名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 01:56:02 ID:s6qtrWnD
ライダー氏も鉄の城氏もGJ!

前田トリオがいつ登場するか楽しみにしています
187戦国の鉄の城@携帯:2007/12/30(日) 02:39:32 ID:KRwHSdVh
遅れましたが+仮面ライダー氏GJ!
頑張るノーヴェにドキッとさせられましたよ。しかし龍は強いのなー…。


>>186
いやー…戦闘に参加させる武将は全員出してしまったのですよー…(汗
出したら出したでどうしても今の秀吉みたいな雑魚掃討要員になってしまうので…。
188なのウタ:2007/12/30(日) 06:43:21 ID:khSqWX+U
2、3日見ないうちにいろいろなことがあったみたいで驚いたオレ、参上
遅ればせながら職人の皆様GJなのです

早速ですが、一発ネタができたので朝っぱらからですけど投下開始
189なのウタ:2007/12/30(日) 06:44:10 ID:khSqWX+U
時の列車、ヴィヴィライナー。次に目指すのは過去か、未来か (ユーノくんボイス)



時間の波をつかまえて
今すぐに行こう 約束の場所
全力全開 いざ飛び出せ Lyrical Jump!

(いーじゃん! いーじゃん! スゲーぜ!?)



仮面ライダーヴィヴィ王



目指してる夢があるなら 信じろよ 己の力
Catch the wave 迷いそうな時必ず 想いの強さで決めろ
キミがの願う答えすでに In your hearts



「テメーの願いを言え、どんな願いでも叶えてやる。テメーが払うだ、ってぎゃあぁぁぁ!!」
「あれ? 私、今なにか踏んだ……?」

「フェイトママ、ただいまー」
「あ、おかえりなさい。ヴィヴィオ」

「やはり、レリックが反応している。だとしたら、この近くにこの時間の特異点が……」

「え、なに!? なにがどうなってるの!?」

「お前ならなれるんだ! 時の運行を守る戦士――ヴィヴィ王に!!」


190なのウタ:2007/12/30(日) 06:45:22 ID:khSqWX+U
始まりはいつも突然 運命を連れて行く Time tripin'ride
不可能超えて 掴み取るよ Climax



「いくよ、みんな。変身」

『Hammer form』
「あたし、参上!」

『Gun form』
「あなた、私に撃たれてみる?」

『Sword form』
「私の剣に貴様が泣いた」

『Magi form』
「答えは聞いてないですっ!」



変わることを恐れないで 明日の自分見失うだけ
誰より高い空へ飛ぼうぜ(よ) Lyrical Jump!



「私のことはオーナーと呼んでくれたまえ」

「えー、ヴィヴィライナーはもうすぐ停車するッス。お降りの方はお忘れ物のないようにお願いするッス」

「ハッ、やっぱり体の小せえちんちくりん女は心もせめーな」
「ちんちく!? 貴様、人が気にしていることを……!」
「小せえ奴に小せえって言って何が悪いんだよ」
「この言わせておけば……! だいたい体のサイズで言えば貴様もたいして差はないだろうが! この、赤チビ!!」
「んだとテメェ! あたしにケンカ売ってんのか!!」
「ふ、二人とも落ち着いて……」
「やれー、やっちゃうッスー」



(いーじゃん! いーじゃん! スゴイです!?)



『Full charge』

「必殺、あたしの必殺技……パート1ッ!!」

「クロスファイアー、シュートッ!!」

「……紫電一閃」
「後から言うんだ……」

「最後いくですよ。いいですか?」


191なのウタ:2007/12/30(日) 06:46:36 ID:khSqWX+U
胸の中みんな密かに 向き合えない記憶もある
Means nothing! 新しい朝を待つなら現在(いま)を乗り越えろ そこから
ほんの少しの勇気を持て In your maind



「私はなのは。高町なのはだよ」

「今のはこっちが悪かったです。ごめんなさい」

「あれって、ヴィヴィライナー?」
「いや、あれはナノライナーだね」
「ナノライナー?」
「ヴィヴィライナーと同じように時を行き来する列車の一つさ。だが、あれはある時間の消滅と共に消えたはずだったんだがね……?」



旅立ちはいつも必然 どうせなら飛び回れ Time tripin'ride
探し出すのさ 自分だけの Climax



「スバルさん、カートッリジはあと何発残ってますか?」
「8発……」
「多いのか少ないのかは分からないけど……変身」

『Aggressor form』
「最初に言っておくよ。少し、頭冷やそうか」

『Knukle form』
「最初に言っておく! え、と、うーんと……とくに言うことはない!!」

『Full charge』

「いくよ、レイジングハート」

「一撃必倒! ディバイン、バスターッ!!」



昨日までの記憶すべて 必要と分かる日が来るハズ
誇れるように 更なる Lyrical Jump!


192なのウタ:2007/12/30(日) 06:47:54 ID:khSqWX+U
「コーヒー、いかがッスか?」
「え、これ、コーヒー……?」

「ドクター、そういうのスポーツマンシップに欠けててカッコ悪いッス」
「……これはスポーツだったのかね?」

「ワシの名前はレジアス・ゲイズだ」
「レジアス? まさか、あのレジアスか!?」
「貴様たちは永遠に時の狭間を彷徨っていろ」



心を強くする 大事な言葉とか
かけがえない想い出を集めて
もう少しあと少し……届かない星空
諦めたらそこが終点さ



「本当にテメーら消えちまったのかよ……」
「ヴィータ……」
「ティアナ! シグナム! リイン! テメーら、勝手に消えてんじゃねえよ!!」

「ヴィータ、やはりお前は私たちがいないとダメなようだな」

「まあ、今はそんなことよりそれのボタンを押してみてください」

「いっくですよー!」

『ヴィー ティア シグ リイン. Climax form』

「貴様が泣いた」
「撃たれてみる?」
「答えは聞いてないですけどっ♪」
「ああ、もう! こうなったらこのまま最後まで決めちまうぜ!!」

『Charge and up』



「完成、クライマックスフォーム」
「違うよね」
「いや、これは違う」
「違うですよ」
「違うよな……」

「やっぱり、あたしが行く!」
「ちょっと先輩、たまには私が」
「待て。ここは私の番だろう」
「リインが行くですっ!」
「ああもう! テメーら」
「「「「邪魔っ!!」」」」
「あ、息ぴったりッス」

「スバルさん、言ったよね? 時間を守るためにはやるしかないって」
「それは! それはそうだけど……」
「あの時、私は決めたんだよ? 自分で、自分の意志で最後まで戦い抜くって。だから、絶対に途中で投げ出したりなんかしない」


193なのウタ:2007/12/30(日) 06:49:50 ID:khSqWX+U
始まりはいつも突然 運命を連れてゆく Time tripin'ride
不可能超えて 掴み取るよ Climax



「どうしますか? 主はやて」
「どうもこうも、ここまで失敗続きやと少しやり方変えんとあかんやろ」

「それにしても最近はあいつらのせいでイライラしっぱなしや。私、そういう顔しとるやろ?」
「……」

「あいにく、こっちはアンタの相手なんかしてらんないのっ!」

「そういった内容は願いに含まれていなかったので」

「クソ、なんで声が聞こえねーんだよ! 何でもいいからアタシのやる事をとっとと教えやがれー!!」

「もしかして、ヴィヴィ王の仲間?」

「ふふ、貴方の都合なんて私には関係ないの。私はただ願いを叶えるだけ。理解できたかしら?」

「やるよ」
「やろうか」

「この程度の力であの女に勝とうと思っていたのか? 笑わせてくれる!」

「あーら、思ってたより簡単に消えちゃうのね。簡単すぎて拍子抜けしちゃったわぁ」



変わることを恐れないで 明日の自分見失うだけ
誰より高く 昨日より 高く Lyrical Jump!



194なのウタ:2007/12/30(日) 06:50:24 ID:khSqWX+U
「このまま戦い続けたら、なのはちゃん一人ぼっちになっちゃうんだよ……!」

「そのカートリッジ……」
「うん。未来の私の記憶だけじゃ足りなくなってきたみたいなの」

『Exceed form』

「最初に言っておくよ。今日の私は全力全開だから」
「ついでに言っておく! これにはあたしもびっくりだよ!」

『Full charge』

「いくよ、スバルさん!」
「おっけー! 任せといて!」



(いーじゃん! いーじゃん! スゲーじゃん!?)



「ッ! もう憑いてらんねーぞ! 準備できたか!」

「これって……」
「私たちが憑かなくても、ヴィヴィオが私たちの力を使えるようにしたのよ」

「やはり強いな、ヴィヴィオは」

「全員ちゃんとリインが描いたようにするですよ!」

『SEI-O form』

「ヴィヴィオ、ここはばしっと必殺わ」
「私の番? ヴィヴィオ、急に変えるとヴィータ先輩怒っちゃうわよ?」
「ヴィヴィオ、しっかりな」
「えへへ、ヴィヴィオ、やっちゃうですー!」

『Full charge』

「え、と必殺……必殺技! せ、聖王斬りっ!!」
「「「「ええぇ! センスねえ(ないわよ)(ないぞ)(ないです)!?」」」」
195なのウタ:2007/12/30(日) 06:56:59 ID:khSqWX+U
投下終了

ヴィヴィ王という名前が予想以上にツボにはまったので勢いでつくってしまいました
出てない人とかは電車とか余ったイマジンの配置で


そして、相も変わらず地の文がうまく書けず諦めるオレ
196なのは×終わクロ:2007/12/30(日) 07:37:16 ID:JA0RpE3O
GJ!!
……でもまさか、「ヴィヴィ王」がここまで流行するとは思ってなかったですよ……
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 11:54:18 ID:3+CwO2IR
ヴィヴィ王と聞くと、
ヴィヴィオウ・グノービオ!
とか言って巨大な蛇を呼び出した攻撃するのが浮かびます。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 11:55:34 ID:3xMT88Zk
スバルがハマり役過ぎるw
199名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 12:58:19 ID:dEQL+Iqt
ナノライナーがナノライマーに見えた
200名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 13:02:15 ID:ahJkBhdC
>>197
そんでバオウ・クロウ・ディスグルクに粉砕されると。
201戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 16:13:54 ID:p62vMPd+
GJ!
聖王斬り…さて、威力はどれほど?

自分も投下したいと思います。
出す武将は全部出した……つもり(オイ
202戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 16:23:45 ID:p62vMPd+
では、10分経ちましたので投下いたします。
203戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 16:24:14 ID:p62vMPd+
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜

第十二話「starlight and steel」

ゆりかご内部、ヴィータと別れて玉座の間に向かうなのはと忠勝。
心配は心配なのだが今は自分に与えられた任務を全うすべき。自分もそう思っていた。
途中で感じる違和感。それは誰かがこちらに向けてくる殺気。自分が立ち止まるとなのはも止まり
「どうしたの?」
今ここでなのはを攻撃されてはまずい。手を奥のほうへ突き出し「先に行け」と目で訴える。
最後まで疑問を浮かべていたが先に言ってくれた。あとはその違和感の元を立つのみ。槍を出すといきなり少女が現れ肩に触れる。
触れた肩に違和感が。中に何かを流されたみたいな感じがする。少女は自分の正面に立つ。
「IS発動、ランブルデトネイター。」
刹那、触れた肩が爆発した。幸いなことにあまり重症ではないが先端が欠けている。
目の前に立つ隻眼の少女は殺気を放った目でこちらを見ていた。敵だ。今のでそう確信できた。
槍を振るう直前に小さな刀が目の前を飛ぶ。振り払おうとした瞬間、また爆発。
こいつは敵であると同時に、自分とは相性の悪い能力を持っているようだ。
204Strikers May Cry:2007/12/30(日) 16:24:31 ID:YWEZsARp
支援だみんな!
205戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 16:25:08 ID:p62vMPd+
交差するウィングロード。ぶつかり合う拳。その下で舞う邪気、飛ぶ手裏剣。
スバル、ギンガ、小太郎、光秀の戦いはまだ続いている。
「くぅううぅ……!」
「………。」
ギンガの攻撃をバリアで防ぐスバルだったがギンガの手首がいきなり回転し始めた。手がドリルのようになり、
スバルの結界を砕く。ドリルは止まらずスバルの肩を襲い、少しだが肉を抉る。
「くぅ…あぁぁぁっ!」
落下してさらにギンガの追撃を食らってしまい、道路にその体を叩きつけられた。
下では光秀の鎌が小太郎の腹を切り裂いた。傷は浅いのだがやはり激痛が走る。
光秀は自分より傷が多いはずなのに笑いながら立っている。恐ろしい男だ。
俯いて何か呟いているが無防備。チャンスは今しかない。忍者刀を構えて走り出すが刹那、顔を上げた光秀の妖しく緑に光る目を見ると体が動かなくなった。
「!!」
無防備になった小太郎を襲う鎌。痛い。確かに痛いのだが傷は出来ていない。それどころか自分の傷が緑色の球体となって光秀のあたりに浮いている。
吹き飛ばされて攻撃が止まったと思い前を見ると球体が光秀の中に吸収されて自分が与えた傷が治っていく。
「ごちそうさまです…。」
妖しく笑う光秀、全身に寒気と恐怖が走る。だがここで倒れてはいられない。
再び忍者刀で傷を与えていく。与えてはいるのだがいつまでも光秀の顔からは笑みが消えない。
「はははは…はははははは!すごい!すごいですよ!この世界に迷い込んで信長公には会えなかったけど、ここで伝説の忍と斬りあうことができるなんてぇぇぇぇぇ!!」
「!?」
今なんと言った?「信長公には会えなかったけど」だと?つまり光秀は戦場に迷い込んで、スバルの姉とは戦場がたまたま同じだった…ということか。
なんとご都合主義なんだ光秀。
上空ではまたもや爆発音が響く。
眼が虚ろになって落ちていくスバル。それを追うギンガ。だがギンガの一撃をマッハキャリバーが動き、防ぐ。
「Wing lord!」
マッハキャリバーが展開したウィングロードに着地するスバル。
見つめた先に助けてくれた自分の相棒。相棒はスバルを励ますように、語りかける。
「We can still take actions... you and I.(まだ動けます・・・私も、あなたも。)
We can still fight. So why abandon now?(まだ戦えます。なのに、こんな所で終わる気ですか?)
You taught me the reason of my being here, my strength and power which you adore so much.(あなたが教えてくれた、わたしの生まれた理由。あなたの憧れる強さ。) 」
その言葉はひどく重く、スバルの心に圧し掛かる。しかし何故だか、悪い気分はしない。
むしろ、逆に戦意が沸いてくる。
「Don't make everything a lie.(嘘にしないでください。)
In addition, that person should expect it, too.(それに、あの方もそれを望んでいるはずです。)」
「!」
完全に戦意を取り戻したスバル。同時に下で起きる「気」の爆発。視線を向けた先には倒れる光秀。
そして漆黒の着物に身を包み、漆黒の翼を背中から生やした風魔小太郎の姿があった。辺りに舞う羽、小太郎は首を横に向けると微笑して頷いた。
無言だったが向けられた背中は「戦え。」と確かに自分に伝えていた。
「ごめんね…マッハキャリバー、風魔さん。いくよ!」
「All right buddy.(はい、相棒)」
「………。」
新たに宿った戦意を心にスバル、風魔、マッハキャリバーは再び目の前の相手の前に立つ。
「はあぁぁぁぁぁぁあ!!」
スバルに魔力が集中。呼応するようにマッハキャリバーもその体を光らせた。
「Ignition.」
「A.C.S.エクセリオン!」
「A.C.S. Standby」
左右の足に二枚ずつ、蒼白い大きな翼が生み出される。

マッハキャリバーモード3・ギアエクセリオン

同時に風魔小太郎も己の中に秘めていた気を一気に開放する。

戦極ドライブLv3、発動

スバルは全速力でローラーを走らせてギンガの攻撃を回避して目の前へ。
風魔は印を結び「風」と虚空に描いて究極バサラ技を発動。同時に立ち上がった光秀に連続攻撃を当てていく。
ギンガの腹に拳を当てるスバル。腕に巨大な手裏剣を二枚生み出して構える風魔。
「一撃……必倒ぉぉぉぉっ!!ディバィィィィィィン!!バスタァァァァァァァァッ!!」
スバルの拳から放たれた蒼い光がギンガの身を包む。
そして光秀は手裏剣に直撃、道路のガードレールを越え、遥か下方へとその姿を消した。
206戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 16:25:39 ID:p62vMPd+
一方、ティアナと猿飛佐助は三人相手に互角の戦いを見せている。
「やれやれ、捕らえるのがこうも難しいとはねぇ。」
のんきに笑いながら頭を掻く佐助だがティアナは結構必死だ。
「アンタみたいにのんきに戦いをやってないからよ。」
「あ、ちょっとその言葉撤回してほしいな。これでも本気だぜ?」
「そんなヘラヘラ笑いながら言われても説得力ないわよ。」
二人の間に黄色い魔力の道が走る。その上から走ってくるノーヴェの攻撃を回避して佐助はバックステップ。
後ろでツインブレードを振りかざしてきたディードの攻撃を手裏剣で防ぐ。そこにクロスミラージュで援護射撃。もう一発でウェンディが放った魔力弾を打ち落とす。
離れたディードの隙を突いて佐助は腹を蹴り、元いた場所に着地。
「うん、中々じゃないか?」
「そりゃどうも。次、行くわよ。」
「へいへい、人使いの荒いことで。」
そう言うとジャンプして下方に落下、ノーヴェ達は追うが降りると自分達の周りに数十人に増えたティアナがいた。
すかさずセンサーを発動し、あたりを見回す。その中で反応が大きいのを見つけ、攻撃する。
「同じ手は通用しねぇんだよ!」
「どうかな?」
攻撃を食らったティアナは黒い粒となって分裂。上から現れた手裏剣を構えたティアナの一撃を受け、吹き飛ぶ。
分身が消え、ティアナの姿に化けた佐助は元の姿に戻る。
「さすがに忍術は通用するでしょ〜?」
「クッソォ!」
佐助はヘラヘラと笑う。後ろから突然現れたウェンディ。すでに砲撃準備完了している。
「危ない!」
「へ?」
砲撃が佐助の頭に直撃する。白目で床に倒れる佐助。驚愕するティアナ。
気を抜いた所を突かれ、佐助は倒れた。勝利を悟ったかのように接近するノーヴェ達。
「形勢逆転っすねぇ…。」
「覚悟しやがれ…。」
「………。」
次第に追い詰められていくティアナだが三人の武器、ポジションを見て思考する。
完璧だが、単純なポジション。クロスミラージュに魔力を溜めていく。ティアナが冷静なのはもう一つ理由がある。
佐助はこのぐらいでは死なない。それを裏付けるかのように、倒れていた佐助は黒い粒となり、溶ける。
飛びかかるノーヴェにまず一発。ノーヴェの攻撃は止めた。
「なっ!?」
次にウェンディが溜めていた魔力に一発。
「うっそぉ!?」
爆発して砂塵が巻き起こりクロスミラージュをモード2に移行。ダガーでディードの攻撃を防ぐ。
次に先ほど倒れたはずの佐助が地面から出現。隣にはディード、ウェンディ、ノーヴェの姿をした影が。
驚いてる三人に魔力弾を打ち込むとティアナは離脱。佐助は影とともに体を高速回転。バサラ技を発動。
回転は三人を巻き込んだ。数秒すると回転は止まりノーヴェ達は気を失い、倒れる。
「や〜、スッキリしたぁ〜。」
「ちょっとやりすぎじゃないの?気を失ってるとはいえ…。」
「そうか?ま、ティアナの援護がなきゃ不利だったのは確かかもな。ありがとよ。」
「…うっさい。」
「うわ、ひっど!」
佐助、ティアナの照れ隠しに気付かず。
207戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 16:26:24 ID:p62vMPd+

ゆりかご内部。隻眼の少女、チンクと本多忠勝は戦う。
忠勝はチンクの触れた金属にエネルギーを流し込み、爆発させるというIS、ランブルデトネイターに苦戦している。何せ攻撃形態の砲身まで壊されたのだからうかつに手出しができない。
そしてチンクもまた、忠勝のパワーに苦戦している。一発当たっただけで体がバラバラになりそうな衝撃が走る。スピードで翻弄してここまで追い詰めているのだが。
「お前…やるな…。」
「………。」
忠勝も無言で相手に敬意を表する。無難に盾を展開させて防御形態をとる。
チンクは盾にエネルギーを流し込んだナイフを当ててISを発動させようとする。
「IS発動、ランブルデトネイッ…!?」
発動させる直前、忠勝は全速力でチンクに接近、爆発に巻き込んだ。二人とも吹き飛んで膝をつく。
盾は砕けてしまったがこれでダメージを与えることはできた。だがこれで盾も失った。次に突進形態。
チンクは跳び、忠勝の両肩に手をつけてエネルギーを送り込む。着地した瞬間ISを発動。突進形態中は急は方向転換は不可能だ。
当然肩は爆発。おまけに爆風でさらに加速がついてしまい、壁に激突。接近してきたチンクに向かい槍を振るう。
「う…くっ!」
今度はチンクが壁に激突。同時に忠勝は槍を縦に構えると紋章が開き、三個の砲身が宙に浮かぶ。
一説ではこの砲身を「ファンネル」や「ビット」とも言う。

忠勝、援護形態。

一回槍を振るう。単純な横凪ぎなため簡単に回避することができたが後ろに現れた砲身から出たプラズマ弾を受け、落ちる。
「…!?」
さらに後の二門が容赦なくチンクにプラズマ弾を当てていく。斜めに振り下ろした槍の攻撃を受けて吹き飛ぶ。
砲身が忠勝の前に留まり、電流で三角形を描く。忠勝はというと低く構えて槍を前に突き出している。突進形態の体勢だ。
「まず…!!」
回避しようと動いた時には、小さな体が突進に巻き込まれていた。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
忠勝は一歩離れて槍をチンクの顔に構えるが、それ以上は何もしない。
「…殺さないのか?」
傷ついたチンクの言葉に頷き、槍を下ろして背を向ける。忠勝の行為にチンクは鼻で笑う。
「まったく、甘いな。」
それは自分でも十分承知している。だが誰かに「殺すな」と言われた…といってしまえば嘘に聞こえてしまうのだろうか。
「殺すな」と言ったのは自分自身かもしれないし、または自分以外の誰かかもしれない。とにかく、言われたのは確かだ。
忠勝は先を急ぐ。
チンクはその無防備な背中に攻撃を加えようとしたが、できなかった。
なんで出来なかったのは、謎のまま。
208戦国の鉄の城:2007/12/30(日) 16:27:13 ID:p62vMPd+
投下終了。
次回は信長VS忠勝&なのはになる…んだと思う。
209Strikers May Cry:2007/12/30(日) 16:35:57 ID:YWEZsARp
チンク姉……やっぱ萌えるなぁGJ。
210リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 17:44:50 ID:lJM13sYL
投下行きたいですが、今人いますかー?
211スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 17:51:13 ID:8gmAp3Nt
>>210
こちらもSMC氏の影響で作ったIFストーリーが出来ましたが、
確認などをしたいのでリリカル武者○伝さんの後にします。
212リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 17:58:03 ID:lJM13sYL
うぃ。じゃあ行きます
======


「前回はジュエルシードをうまく発動させたものの、なぜか失敗してしまった」
「ど、どうするんだな〜? 黙って持ち出したのがばれたらきっと怒られるんだな〜」
「それなんだよ……ここまでやって成果ナシでしたなんて報告しようものなら、
 比喩でなく確実に我らの首は飛ぶぞ」
「けども俺達、リーダーと雑獄苦は首が無いんだな」
「うるっさい!」

 ここは「海鳴市某所堕悪霧者愚連隊超ドッキリ♪科学忍法秘密基地(仮)」。
 彼ら堕悪霧者愚連隊は貴重なジュエルシードを無断で持ち出してまで勝手に実行した作戦が
途中まではうまく行っていたものの結局失敗に終わったため、割と生命の危機に直面していた。

「フン、ならばあの忌々しい武者頑駄無二人の首を手土産にすればよいだけの事!」
「あ、お帰りなんだなリーダー」
「ヤキソバパン買ってきてくれましたかリーダー?」
「我のジャンプはどこですかリーダー?」
「んな物買っとらん! 大体お前ら、何だその反応は? 俺はパシリか!?
 せっかくあいつらをギャフンと言わせる秘策を用意したのに!」
「すまぬ、ちょっと悪乗りしたいお年頃なのだ。
 ところでやけに自信たっぷりだが……その策とは?」
「あぁ、あの青い鉄機武者にとってのスペシャルゲストをな。ンヌッフフ」

 帰ってきたのは堕悪霧者愚連隊のリーダー、堕悪圧愚。
 両手のドリルがチャームポイント。このへっぽこ共を纏め上げているだけでも大したものである。

「笑い方が気色悪いんだなリーダー」
「そんな事よりご飯はまだですかリーダー」
「リーダー、今日はお風呂入れてもいいか?」
「……先にお前らの首から叩っ斬ってやろうか?」



 巻之七「超特急は危険がいっぱいなの!?」



「ごめんなさーい! 遅くなっちゃったー!」

 東京駅の新幹線ホームをユーノの入ったバスケット片手に駆けて来るなのは。
 お出かけ仕様の動きやすくも子どもらしい白いブラウスとブラウンのサロペットスカート姿である。

「いや、そうでもないさ。こっちもまだ面子が揃ってないしね」
「えっ、でも、後は誰が……?」
「そやけど、よう海鳴から東京まで実質一人で来れたなぁ。偉いで!」
「あ、私一人で来たんじゃないの。ここまでおとーさんに送ってもらって……」

 そう言ってなのはが来た方向を見ると、両手に駅弁を抱えた男性がこちらに向かってきている。

「おとーさん! もう、お弁当ならおかーさんが作ってくれてるのに……」
「そう言うな。駅弁は旅のロマンだぞ? 他の皆さんにも食べてもらいなさい。
 どうも、なのはの父の士郎です。今日は娘がお世話になるそうで申し訳ありません。
 鎧王グループの喫茶店チェーン見学の抽選に当たって、それの付き添いだとか……
 なのは、向こうの喫茶店は色々面白いそうだからゆっくり楽しんできなさい」
「う、うん!」
213リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 17:58:36 ID:lJM13sYL
 状況がよく飲み込めない武ちゃ丸はユーノのバスケットにこっそり話しかける。

「喫茶店?……なぁユーノ、どういう事なんや?」
「なのはのお家って喫茶店やってるから……そう言えば連れ出せるかなってトッキーさんが」
「うぅんむ……今日はごまかせたみたいやけどちぃっと苦しないか?
 いろいろとうまい理由こしらえとかんと今後がしんどいなぁ」
「ですね……」

 武ちゃ丸とユーノが今後どういう理由を付けてなのはを連れまわそうか考えていると、
残りのメンバーと思われる人物がそこに現れた。

「よう、待たせたなトッキー」
「遅いですよオヤジさん、それにシンヤも」

 そこに現れたのは相変わらずロッカーのようないでたちのシンヤと、
その父でありトッキーの上司でもある警視庁捜査一課の本部長の姿であった。

「シンヤ君? シンヤ君もトッキー君たちと一緒なの?」
「ん? あぁ……まぁ」

 シンヤが背後に立つ父の姿を追うと、彼の父はなのはの父、士郎と驚いた顔で目を見合わせ、
互いに呆然とした様子で突っ立っていた。

「……おい、ひょっとして、お前、ふ……いや、高町か?」
「そういうアンタこそ! まさかこんな所で会うなんてな……
 元気そうなのは良かったが、ずいぶん老けたな」
「馬鹿野郎、そっちが老けなさすぎなんだよ!
 しかし本当に久しぶりだ。お前の結婚式以来か? よく生きてたな、あの爆弾テロで」
「あぁ、あれは本当に九死に一生モノだった。正直今でもこうしていられるのが信じられない。
 友人の子供を守れたんだから後悔はしてないがね。
 まぁ、家族に迷惑かけたのだけはすまなかったと思っているが……」

 二人はどうやら旧知の仲だったらしく、再会を内輪向けの話で盛り上がる。
 置いてきぼりのなのは達はぽかんとそれを見守るしか無かった。

「あの……おじさん、家のおとーさんとお知り合いさんなんですか?」
「あぁ、昔コイツが伝説のボディガードと呼ばれてた頃からの仕事の知り合いでね。
 仕事柄色々世話にもなったしその逆もあった。
 ……ん? そうか、じゃあ君は高町の実の娘さんか。なるほど、確かに奥さんによく似てる」
「おいおい、娘の前で昔の話はよしてくれよ、照れくさい。
 今は引退して喫茶店のオーナーの身さ。この体もあの頃ほど自由には動かんしな。
 で、アンタは今じゃ本庁の捜査一課本部長殿か。お互い年とっちまったなぁ……」
「馬鹿野郎、お前と違って俺は今でも現役バリバリだ!」

 周囲をそっちのけで昔話に花を咲かせる父親二名を、なのはは困惑しつつ見つめていた。

「ねぇ、親同士の会話って、ちょっと恥ずかしいと言うか、何と言うか……シンヤ君?」

 シンヤに話題を振るなのはであったが、その彼はぷいとなのはから目をそらし、
一人で歩いて行ってしまう。
 なのはは追いかけて声をかけようとするが、空気を読めない父にその行く手を阻まれる。

「何だなのは、照れてるのか? だったらもっといろんな話をしてあげようか」
「もーっ! やめてよ、おとーさん!」
214リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 17:59:38 ID:lJM13sYL
 何だかんだでうやむやにされてしまい、その場はそれっきりになってしまった。
 一方、士郎がなのは達の方をかまっていて本部長が一人になったのを確認すると
トッキーはそっと彼の前に立ち、警察手帳と拳銃、手錠の入った包みを手渡しながら言った。

「オヤジさん、コレを……」
「……やっぱり考えは変わらんか、トッキー」
「……ハイ。やはり俺は刑事である前に武者頑駄無です」
「そうか。優秀な部下に辞められるのは残念だが、堕悪闇軍団は俺たちの手に負える相手じゃない。
 お前の使命を考えればやむを得ないな……」
「オヤジさん……申し訳ありません」
「なぁに、こっちこそ役に立てなくてすまん。代わりにと言っちゃなんだが、
 シンヤをつけるから雑用でも何でもせいぜいこき使ってやってくれ。
 後、これは極秘扱いの話だがな……」
「極秘? 一体何です?」

 本部長は辺りを見回し、トッキーに耳打ちしてそっと囁く。

「ゲバゲバ団のボスが何者かの手引きで脱獄した」
「ゲバゲバ団のボスが!?」
「シッ、声が高い! 恐らく奴は恨み重なるお前を狙う可能性もある。道中、十分気を付けてな」

 ゲバゲバ団……その名を聞いたトッキーは少し前の事件を思い出す。
 海鳴市に向かう直前、自分が中心となって集団検挙した武装テロ集団、ゲバゲバ団。
 しかし、背後関係を色々推察してもそのボスを脱獄させてメリットのある集団は無い。
 では一体何者が、何の狙いでそんなリスクの高い事を……

「トッキー、刑事の顔になってるぞ? 俺としては大歓迎だが、
 今のお前の敵は犯罪者じゃないだろうが。こっちは俺たちに任せてお前はお前の道を行け」
「……オヤジさん……」

 いたずらっぽく微笑む本部長の背後に、流線型の白い車両が滑り込んでくる。
 そろそろ出発の時間だ。

「斗機丸ー? 電車来たでー!?」
「ホラ、呼ばれてるぞ? それじゃあシンヤの事……まかせたぜ」
「ハイ!」

 そう言い残し、トッキーは仲間たちが待つ乗り込み口に一直線に駆けて行く。
 席に着いた遊撃隊一行がホームを見返すと、
二人の父親達が笑顔でその旅立ちの第一歩をしっかりと見送っていた。


『Ladies and Gentlemen, Welcome to Shin-Kan-Sen……』

(ねぇなのは、今レイジングハート、何か言った?)
(へ? 何も言ってないけど……ユーノ君、ペットは荷物扱いなんだからおとなしくしててね)
(地味にアレな扱いだね……ルールだから仕方無いけど)

 なのはとユーノは客でいっぱいの車内で会話するわけにもいかず、念話で会話する。
 他の面子も武ちゃ丸やトッキーが子供たちから好奇の視線に晒されていて、
さらにトッキーは大荷物であるウェイブライダーも預けているので手持ち無沙汰な様子だ。
 皆それぞれにどうにも落ち着かない様子で、普通にしているのはシンヤだけであった。
 ……先ほどと同じく、不機嫌な様子ではあったが。

「シンヤ、いつまでそんな不機嫌そうな顔をしてるんだ?」
「うっせーよ。こっちはせっかくの休日を潰されたんだぜ? 不機嫌にぐらいなるってーの」
「せやけど、それはなのはもおんなじやで?」
215リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 18:00:13 ID:lJM13sYL
 武ちゃ丸の一言で、三人の視線は一斉になのはに注がれ、
当のなのはは「ふぇ?」とでも言いそうな顔でそれぞれの顔を見回す。

「そりゃその子は好きでやってるんだからいいじゃねーか。
 オレなんかと違って色々とまほ……いや、特別な事もできるしな。
 その気になったらよーし、私世界を救っちゃうぞー位の事は簡単にやっちゃうだろーしよ」
「オイ、シ……」

 さすがに軽口が過ぎるとトッキーはシンヤを諌めようとする。
 しかし、真剣な目をしたなのはの手がそれを遮った。

「私、自分の手でそんな大きな話をどうこうしようなんて思ってないよ。
 でも、それをやろうとしてるユーノ君やトッキー君、
 それに武ちゃ丸君たちの力になれたらいいな……そう思ったから、私はここにいるの。
 シンヤ君はそうじゃないの? だって、本当に嫌なら来ない方法なんていくらでもあると思う。
 そうでしょ?」
「うっせぇ」

 それきりシンヤは答えなかった。思い切りふて腐れた表情で。
 一言で言うなら、彼は目の前の年下の女の子に劣等感を抱いていたのだ。
 事情は知っている。彼女はトッキーが立ち向かわなくてはならない使命には欠かせない存在だ。
 ジュエルシードを安全に管理することができるのは実質彼女だけだし、
何より様々な魔法を使いこなして彼らの手助けができる……らしい。

 しかし、自分には何があると言うのか。
 父に言われて半ば無理やり付き合わされている事に実はさほどの不満はない。
 トッキーは放っておくとすぐに無茶をする。遠くで心配するくらいなら
近くで無茶しないよう諌めたり、見ている方がはるかに気が楽だ。

 ただ、それだけだ。
 自分には辛い戦いに挑む友を何も手助けする事はできない。
 一介の小学生にできる事などたかが知れている。
 正直な話、一旦戦闘になれば自分は足手まといにしかならないだろう。
 それだけに、目の前の少女は正直扱いに困る存在だった。
 自分の通う学校は普通の公立小学校なのに対し、
名門私立の優等生と言うだけでも差があると感じるのに、
そこでさらに人知を超えた力、魔法の使い手だと言う。
 これでもし彼女が嫌な奴だったらただただ嫉妬していればよかったのかもしれない。
 しかし彼女は「いい子」で、しっかりとした信念に基づく意見を持っていた。
 そもそも年下なわけで、上級生としては大人げない姿をさらすわけにはいかない。
 だから、本人に当たるわけにもいかずこうしてモヤモヤをため込むという行動を選んだのだ。
 ただ、その姿は十分子供っぽく、大人げないと言う事にシンヤはまだ気づいていない。



 しばらくして、この重苦しい空気と相反するような妙に明るい口調の車内放送の声が響く。

『えー、新幹線をご利用の皆さん、本日はご利用まことにありがとうございます。
 ところで……』

 若干の間を置き、その車内放送はあくまで陽気な口調を崩さず、事実だけを冷徹に告げた。

『突然ですが、この列車は我々堕悪闇軍団がレールジャックさせていただきました!』
216リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 18:00:35 ID:lJM13sYL
 一瞬水を打ったかのように静まり返った直後、騒然となる車内。
 そしてそれは遊撃隊の面々にとっても例外ではなかった。

「だ、堕悪闇軍団だって!?おい、どうなってんだよトッキー!
 オレたちは今日の最初から奴らの手の上で踊らされていた事になんのか!?」
「落ち着け、シンヤ。話はまだ終わってない。
 ……それに正しい用語ではこういう乗っ取り行為はすべてハイジャックと呼称される。
 そんな事も知らない連中がまともな策を立ててると思うか?」
「ふぇ!? そ、そうなんだ……私、知らずに使ってたよ。恥ずかしい……」
「斗機丸、なのは、話が脱線しとるで?」

 オロオロするシンヤに対しマイペースなトッキー、なのは。落ち着いている武ちゃ丸。
 普段はおちゃらけていてもこういった緊急時に腹の据わった対応を見せる彼らの芯の強さは
大物なのか何なのか……と、ユーノは思わざるをえなかった。
 そして要求はなおも続く。

『我々の要求はただ一つ……お客様の中にいらっしゃる武者頑駄無様、武装を解除して
 一号車の運転室までおいでください。さもなくば他の乗員やお客様の安全の保障はいたしかねます。
 それでは、お待ちしておりまーす!』

 そして放送は終わった。
 その途端、車内の乗客の目は一斉に二人に向けられる。
 それは先程のような珍しいものを見る目ではなく、
怒りや恐れ、そういった負の感情に満ちた冷たい視線であった。
 武ちゃ丸はこの視線にどこか見覚えがあると記憶を探る。
 そう、あれは大阪で最初に戦ったジュエルシードの暴走体……
人々の自分に対する負の想念が形を成した自らの影の目と似通っていた。

「……行くぞ、武者丸」
「了解や」

 しかし二人はそんな視線をものともせず、いや、むしろ追い風のように背に受けて
席を立ち、先頭車の方へと向かおうとする。
 そんな決意を抱え、歩みだそうとする二人を遮ったのは、シンヤだった。

「待てよ、どう考えたって罠だろこんなもん! あんな連中が約束なんて守ると思ってんのかよ!?」

 周囲の視線も気にせず、危険の中に飛び込もうとするトッキー達を
必死になって止めようとするシンヤ。
 それでもすでに二人の決意は固まっていた。

「だが、皆が助かる可能性があるなら俺たちは行かなければならない。
 もし無関係の人達にかすり傷一つでも付いたら、例え敵を倒してもそれは勝利にはならないんだ」
「けどよ!」
「戦いの目的が守る事やったら、ワイらはその目的から一歩も引く事は許されへん。
 何でかっちゅーたらワイらは……武者頑駄無やからな」

 にこりと微笑みを送り、先頭車両に向かって駆け出す武ちゃ丸とトッキー。
 残されたシンヤは仕方なく席に戻ろうとするとなのはとユーノまで忽然と姿を消していた。
 ただ「ごめんなさい、二人を助けに行きます」という書置きを残して。

「ったく! どいつもこいつも……これじゃあオレがバカみたいじゃねーか……」

 シンヤは誰もいない座席を殴りつけ、一方で自分を痛めつけるかのようにそう呟いた。
217リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 18:02:05 ID:lJM13sYL

 その頃、なのはとユーノは人気の無い車両乗降口の付近で対策を練っていた。
 これだけの作戦を立ててくるからには、当然先頭車だけが敵の手に落ちているとは考えにくい。
 どこかで二人の頑駄無が妙な行動をしないか見張る者がいるはず。
 また、トッキーのウェイブライダーも確保しておきたい。
 しかしなのはの使える魔法は列車の中という閉鎖空間内では大して使い途の無い
ディバインバスターとフライヤーフィンを除けば、防御魔法とレストリクトロック……
複数の標的を同時に拘束できる収束系の上位捕獲魔法くらいなものだ。

 ここから導き出される答えは一つ。
 先頭車の次に敵の仲間が潜んでいる可能性が高そうな場所……後部車両の運転室。
 そこに侵入して後部車両の賊を拘束し、運転室を掌握する。
 なお、人目もあるためそこへの侵入はかなりの危険を伴うが外部から侵入しなければならない。
 しかも当てがはずれたら……そこでおしまい。

「……これが僕の考えた作戦。けど、いくらバリアジャケットがあるって言ったって
 壁とかに当たれば結構な衝撃が来るし、一度列車に振り切られれば追いつくのは多分無理。
 つまり、チャンスは一度でミスは許されない危険な賭け……それでも、やる?」

 ユーノは一応聞くだけは聞いて見た。
 しかし、彼女がこんな場合に後ろ向きな選択をするとは考えられなかったし、
事実、なのははこの問いに対してそのような選択肢を選ばなかった。


「なのは、このトンネルを抜けてからが勝負だよ!
 しばらく平野が続くみたいだし、ここを逃せばチャンスは無い!」
「わかった、ユーノ君! 無茶するけどお願いね、レイジングハート」
<<Stand by ready, Set up>>

 レイジングハートの言葉と共に、光に包まれたなのはは次の瞬間、
杖のようなデバイスモードに姿を変えたレイジングハートを手にし、
青いラインの走る純白のバリアジャケットにその身を包んでいた。

「と、言うわけで……鉄道会社の人、ごめんなさーいっ!」

 威力を最小限に絞ったディバインバスターの一撃でドアのロックを撃ち貫き、扉を開く。
 そこから大気が牙を剥いて襲い掛かり、怯んでしまうなのは。
 しかし、去り際の武ちゃ丸とトッキーの笑顔を思い返し、彼女は勇気を持って一歩を踏み出した。


「ねぇねぇ、おかあさんおかあさん!」
「大丈夫よみっちゃん、きっとお巡りさんが何とかしてくれるからね……」
「ううん、あたしみちゃった! 天使さんがね、おそとをぴゅーってね、とんでったの!
 だから、天使さんがきっとあたしたちをたすけてくれるよ!」


 他に戦力らしい戦力がいるとは露知らない後部車両の堕悪呪圧愚と堕悪圧愚害。
 何もしないで眠らせた乗員を見張っているだけでいいと言われたので気楽なものである。
 しかし、そんな彼らにも徐々に破壊の足音が迫りつつあった。

「うん? なぁ、今天井で音しなかったか?」
「うちのボロ秘密基地じゃないんだし、そんな事無いと思うんだな」
「そっか、気のせい……おぶわっ!?」

 一瞬、天井が光り輝いたかと思うと突然爆発し、パネルに頭をぶつけ昏倒する堕悪呪圧愚。
 堕悪圧愚害が混乱しつつ辺りを見回すと、爆発があった真下の辺りにうっすらと人影が見える。
 彼は恐怖を抑え、思い切ってその人影にコンタクトを試みた。
218リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 18:02:55 ID:lJM13sYL
「い、一体君は誰なんだな?」
「えーっと……こんにちは、通りすがりの魔法少女です」
「嘘だ、絶対に嘘なんだなー!!」

 なかなか信じようとしない堕悪圧愚害。しかし、分からないでもない。
 天井をぶっといビームでぶち抜いて堂々と侵入してくる自称魔法少女なんて前代未聞である。

「なのは! そんな事より急いでこいつを拘束して!」
「う、うん! リリカル、マジカル……捕まえて、レストリクトロック!」
「だ、だな〜!?」

 抵抗する間もなくあっさりと拘束される堕悪圧愚害。
 部屋の隅の乗員達は縛られているものの皆術か何かで気絶させられているだけで、
トッキーのウェイブライダーもそこに厳重に鍵までかけて保管されていた。
 何とかうまく言った事に胸をなでおろすなのはとユーノ。

「と、とりあえず何とかなったみたい……けど、この後どうすればいいの?」
「レイジングハートを運転席のどこかのジャックに接続して、ここから操縦系統を奪い返す。
 とりあえず、まずはこの部屋のロックだけでも解除しないと!」
「わかった! レイジングハート、出来そう?」
<<No probrem>>

 急ぎ作業に取り掛かるなのは達。しかし、なのはがレイジングハートを運転席に置いた瞬間、
その横でのびていたと思われた堕悪呪圧愚が飛び掛り、突然なのはを羽交い絞めにした。

「な、なのは!?」
「くそぅ……ここで武者頑駄無を倒さないと、俺たちゃ皆殺しにされちまうんだ!
 こんな事で失敗してられるか! いいか、そこのチビ助、動くなよ……?」
「ユーノ君! 私はいいから、早く……」
「ひ、人質は黙ってろ!」

 なのはを捕まえたまま、じりじりとロックの解かれた運転席の入り口に近づく堕悪呪圧愚。
 しかし、堕悪呪圧愚がそのドアを開けた瞬間、現れた人影が思い切りカバンでその頭を殴りつけ、
意識の外からの攻撃はタフな堕悪呪圧愚をも再び昏倒させた。
 その人影を見上げるなのはとユーノ。それは少々意外といえば意外で、
また当然といえば当然の人物だった。

「ったく、小三のチビと手荷物が勝手なマネやってんじゃねーよ!
 ここは小五の男子として、このオレがきっちりお手本を見せてやんねーとな!」
「シンヤ君!」

 それは、力としてはとても小さなものだったかもしれない。
 けれども今の彼女達にとってこれほど心強い味方はそうはいなかっただろう。
 シンヤにしてもそうだ。無茶をするのはトッキー一人じゃない事がようやくわかった。
 なら、自分はせめて自分にできるくらいの後押しくらいはしてやろう、ただそう思っただけ。
 何の事はない、シンヤも十分無茶をする子であったのだ。

 ともかく、奪還の狼煙は今ここに上げられた。
 武器を奪われ、 死地へと赴く武ちゃ丸とトッキーの運命は、
 はたしてなのは、ユーノ、そしてシンヤはこの状況を打破することができるのか!?

 ――次回を待て!!
219リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/30(日) 18:03:44 ID:lJM13sYL

次回予告(ねくすとぷれびゅう)

 堕悪の策略にはまり、まんまと運転室まで連れてこられてしもたワイと斗機丸。
 そこに待ってたのはこないだのへっぽこ堕悪四人組の半分と、
斗機丸にとってちょっと因縁深いある人物。
 武器を奪われ、大量の人質を盾にとられたワイらは絶体絶命の大ピンチ!
 なのは、ユーノ、それにシンヤ……みんな、頼りにしてるで!
 次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之八!
 「脅威の堕悪融合!? 大逆転のはじまりやでっ!」
 リリカルマジカル、魔法ってワイも使えへんのかなぁ……?


======
以上です。さぁ大掃除大掃除
220スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:25:21 ID:8gmAp3Nt
それじゃ、6時半にこちらも投下します。
随分長いから投下しすぎがくるかも・・・。
221スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:32:18 ID:8gmAp3Nt
それじゃあ、投下します。こうなったらAパートとかに分けます。

 注意 この話は本編から外れたパラレルワールドな話です。


 IFストーリー  欲望が壊れる刻


 「シャイニングガーディアンズ」はミケーネ帝国、邪魔大王国、火星の後継者、ソール11遊星主、ガルファ、ギャンドラー、ムゲ・ゾルバドス帝国を倒し、
もう一つの地球の危機を無事回避し、地球に迫っていたイバリューダーも退け、残ったネオ・ジオンはここ最近目立った行動をしないため、実質の問題はスカリエッティのみになっていた。
 そして「シャイニングガーディアンズ」はミッドチルダの地上本部で行われる陳述会の護衛に当たるため、全員ミッドチルダへと来ていた。

「しかし、俺達がいるのに本当にテロなんてしようとするのか?」

 甲児がぼやきながら警護をしていたら鉄也がそれを論するように言う。

「甲児君、俺達がいるからこそするんだと思うぜ。俺達に勝てばロボット以上の戦力だって見せ付けれるからな・・・」
「そうか・・・」

 鉄也の言葉に甲児は納得したとたんにガジェット達が転送魔法でやってきた。

「噂をすれば何とやらだな・・・。一気にいくぜ、ファイヤーーーーーブラスターーーーーーー!!」

 そう、甲児は最初っからマジンカイザーに乗っていたのだ。しかもその位置はファイヤーブラスターを使えば、いかなる敵も広範囲で倒せる絶好の位置であった。
 ファイヤーブラスターによりいとも簡単にその場に現れたガジェット達は現れた直後に消えてしまった。

「あらーーー、ガジェット達を簡単に倒せる位置にいたなんて偶然かしら・・・?
まあいいわ、まだ作戦は始まったばかりだし狙いは他にもあるしね・・・」

 クアットロはそう言い、また転送魔法で現れたガジェット達を地上本部ビルに突撃させた。
 彼女の狙いは本部ビルにぶつけて内部での魔力結合を封じようとするものだった。
 しかし、その狙いも空しく真ゲッター1のゲッタービームにより突撃をしようとしたガジェット達が全滅させられたのだ。

「ま、まただわ!」
「「「オープン、ゲット!!!」」」
「「チェンジ! 真ゲッター3!」

 クアットロが驚いてる間に真ゲッター1は真ゲッター3へと変形し新たにやってくるガジェット達に向かってミサイルバーストンを食らわせ、煙が立ちこみクアットロは視界がふさがれた。

「あ、あのロボットはどこ!?」

 クアットロが真ゲッターを探すが見つからない。そしてクアットロを下から手が掴んできたのだ。そう、真ゲッター3はクアットロの真下に移動していたのだ。

「大雪山、落ろしーーーーーーーー!!」

 弁慶がそう叫びながら真ゲッター3の腕を思いっきり回し、クアットロは投げまわし上空へとやる。
222スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:33:07 ID:8gmAp3Nt
「「「オープンゲット!!!」」」
「チェンジ! 真ゲッターー2!」

 今度は真ゲッター3から真ゲッター2へと変形した。

「ドリルハリケーーーーーーーン!!」

 隼人が叫ぶと真ゲッター2の手からハリケーンが出てきてクアットロを襲い、さらに現れたガジェットの方へとクアットロを飛ばす。

「「「オープンゲット!!!」」」
「チェエエエエエエンジ! 真ゲッターーーーーーーー1!」

 今度は真ゲッター2から真ゲッター1へと変形した。

「竜馬、一気に決めろ!」
「ああ、こいつでトドメだ!」

 竜馬は真ゲッター1のゲッター線を手に集めて小さな太陽みたいなものを作り出した。

「ストナーーーーーーーーサーーーーンシャイン!!!」

 竜馬の叫びと共にストナーサンシャインは真ゲッター1から放たれ上空にいたクアットロとガジェット達を巻き込み爆発した。
 クアットロはその攻撃で消えていく中こう考えていた。

(わ、私がここで死ぬなんて・・・。でも何であいつらはこちらの配置がわかったの・・・?)

 ストナーサンシャインの爆発が終わると空には何も残っていなかった。
223スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:34:09 ID:8gmAp3Nt
 地上本部ビルに侵入していたチンクは拠点で重要なものを破壊しようとしていたが、その後ろにはジョウがいた。

「待ちなそこの小さい譲ちゃん。お前みたいな奴が何でこんな事すんだよ?」

 ジョウの質問にチンクは答える。

「それはドクターの・・・、私や姉達・・・、そして妹達のためだ!」

 チンクはそう言いながら後ろにいたジョウに向かってスティンガーナイフを投げて爆発させたがその煙が消えるときには何も残っておらず、
 チンクが前を向き直すとそこには飛影の姿があった。

「お前は・・・?」
「へ、あれくらいの攻撃で死ぬかよ! 今度はこっちからいくぜ!」

 飛影は手裏剣を投げ、チンクはバリアを張りそれを防ぐ。飛影は次にマキビシランチャーを放つがなかなかバリアを破れない。
 チンクは飛影を囲むようにスティンガーナイフを展開して爆発させた。チンクはバリアを解き、
 確認するがそこには何も残っておらず飛影はチンクの後ろに立ち刀を突きつけた。

「お前の負けだな」
「どうかな・・・」

 チンクは再び飛影を囲むようにスティンガーナイフを展開させて爆発させた。
 しかしチンクにとっても近距離だったのでチンクはバリアを張ったが吹き飛ばされ、少しダメージを負ってしまう。
 チンクは「今度こそ・・・」と思ったが、またしてもそこには何も残っていなかった。
 そして飛影は上からチンクを斬りつけた。チンクは血を流し倒れた。

「安心しな、俺は殺す気なんてないし、その程度じゃ死なねえだろ?」
「何でお前は無事なんだ?」
「あ? 当たり前だろ。飛影が速くて分身してるからだよ」

 そうチンクが攻撃していたのは飛影の速さで出す分身だったのだ。

「そうか・・・」

 チンクは理解できたように気を失った。
224スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:35:19 ID:8gmAp3Nt
 ノーヴェとウェンディはチンクと連絡が取れなくなったので急遽自分達の目的を変更し、チンクの元へと向かっていた。

「まさか、チンク姉が負けたんじゃないスか・・・?」
「そんな馬鹿なことあるわけないだろ! あのチンク姉が負けるはずはねえ! きっと念を入れて連絡を取らねえだけだ! 絶対そうだ!」

 ノーヴェはチンクが敗北したと思っていなかった。いや、思いたくなかったのだ。自分が最も敬愛しているチンクが負けるはずはないと・・・。
 ノーヴェとウェンディがチンクの元に向かっていると突然バルカンが自分達目掛けて飛んできたのだ。

「な、なんスか!?」

 それはガンダムヘビーアームズ改とガンダムレオパルドデストロイがノーヴェとウェンディの前に立ちふさがり、撃っていたものだったのだ。
 しかもここは一本道で防ぐものがなければ隠れる場所もなく、2人は必然的にその攻撃を受けてしまう。

「くそ! 早くこいつらを突破してチンク姉を・・・」
「ノーヴェ、一気に突破・・・」

 ウェンディが最後まで言い終わらないうちに後ろから二つの手がウェンディを掴み捕らえた。
 それはアルトロンガンダムのドラゴンハングであった。

「ウェンディ!」
「あたしのことはいいスっから、早くチンク姉を・・・」

 ノーヴェはウェンディの事を後にしてヘビーアームズ改とレオパルドデストロイに向かって突撃する。

「どけーーーーー!!」

 しかし、ヘビーアームズ改とレオパルドデストロイは攻撃をしようとしない。それどころか2機とも横にどいてたのだ。
 だが2機の後ろからトールギスVが現れノーヴェに向かってビームサーベルでノーヴェのガンナックルに当て、攻撃を跳ね除け後ろへと押し返し、
 ヒートロッドでノーヴェを縛り、捕まえた。

「もう諦めろ! 君達が助けに行こうとしていた者はすでに我々の仲間が捕らえている」

 ゼクスの報告にノーヴェは信じられないという顔をする。

「嘘だ! チンク姉がお前達に負けるなんて・・・」
「チンクとは片目に眼帯をつけた小さい女の子のことか?」
「「え!?」」

 ノーヴェとウェンディは驚いた。ゼクスがチンクの特徴を的確に言ってるからだ。

「じゃあ、本当にチンク姉は・・・」
「それと君達には悪い事がもう一つ、先ほど外でメガネをかけて髪を結っていた女性が死んだそうだ・・・」
((クアットロが死んだ!?))

 二人は驚きを隠せなかった。嫌味たらしい事を平気で言うが仮にも自分達の姉で逃げることは得意クアットロが死んだのだ。
 二人はその場で泣き崩れた。

「女の子に涙は似合わないと思うけどね・・・」

 ロアビィは小さい声でそう呟いた
225スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:36:08 ID:8gmAp3Nt
 地上本部ビルの地下ではセインがISディープダイバーを使って奔放していた。

(ノーヴェとウェンディとチンク姉が捕まって外はどうなってるかわからない。あたしはどうすれば・・・)
「よう姉ちゃん、こんなところで何してるんだい?」

 セインは突然声をかけられたので横を向いたら何と自分の横にはドリル機がある事に驚く。しかもそのドリル機がしゃべってきたのだ。
 それもそのはずこれはロッド・ドリルが変形した姿であったのだから・・・。

「よかったら俺と一緒にこのまま散歩しない?」
「それはお断りね」

 セインはドリルの誘いを断るように地上へと出て行った。出てきたのはビルの外であり、セインを待っていたかのようにグレートマジンガーが雷を呼んで自分に溜めていた。

「サンダーーーーブレーーーイク!!」

 鉄也はセインが地上に出てくるのと同時にグレートマジンガーのサンダーブレイクを使いセインに直撃させた。
 セインは全身が痺れ、気絶した。

「なあ、この子死んでないよな・・・」

 ドリルが心配そうにセインを見て鉄也に聞く。

「俺は戦闘のプロだぜ。手加減する事だってできるさ」

 ドリルがセインの生死を確認したところ気絶しているだけだとわかった。



 外ではクアットロがいなくなってしまったのでディエチが混乱して砲撃を乱射していた。

「クアットロがいなくなった・・・。どうすればいい? 私はこれでいいのか?」

 クアットロと言う指揮者がいなくなってしまいディエチは何をすればいいのかわからず、人に向かって非殺傷の砲撃をしたりしていた。
 その非殺傷の砲撃が管理局員に当たろうとした時、Zガンダムがオーラをまとってその砲撃を受け止めた。
 オーラによりZガンダムにはダメージがなかった。
 しかし、カミーユは自分の怒りをディエチに向ける。

「お前は人の命を何だと思ってるんだ!?」

 カミーユは以前なのは達がミッドチルダに戻りヴィヴィオを保護した時の戦闘のデータを見ており、
 その時ヘリに向かって非殺傷のヘビィバレルを撃ったディエチを見て怒りが込みあがったのだ。
 そしてその怒りを今ディエチに向けているのだ。

(こいつはまずい・・・)

 ディエチはすぐにZガンダムに向けて砲撃のチャージをしようとするが突然目が見えなくなってしまった。
 正確に言うとZガンダムに狙いがつけられなくなったのだ。
226スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:37:31 ID:8gmAp3Nt
(どういうことだ!? !?チャージが出来ない!?)

 ディエチはヘビィバレルどころかイノーメスカノンを使う事ができない事に気づく。
 それはZガンダムに搭載されているバイオセンサーがカミーユのニュータイプ能力の高さに反応しているために起こっているのだ。
 さきほどのオーラはそれによるものだ。それによりディエチはイノーメスカノンどころか自分自身の機械の部分が使えなくさせられていたのだ。

「いっけーーーーーーーーーー!!」

 カミーユはZガンダムのハイパーメガランチャーをディエチに向けて放ちディエチはそれに飲み込まれた。
 カミーユは怒りが治まるとディエチの事を心配した。

「まさか、やってしまった・・・?」

 そしてカミーユはZガンダムから降りてディエチの生死を確認したところ死んでおらず気を失っただけだとわかった。

「よかった・・・」

 カミーユは人を殺さなくてよかったと思った。


とりあえず投下しすぎをくらいたくないのでここまでをAパートにします。
次は7時半か8時ごろにBパートを投下したいと思います。
227魔装機神:2007/12/30(日) 18:41:39 ID:Jelv5V92
乙。
しかし……ナンバーズかわいそす。
ユンットのサイズを気にしたら負け?
228スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 18:50:02 ID:8gmAp3Nt
>>227
まあ、言うなればこれはスカリエッティ達のBADENDですから・・・。
ユニットのサイズはテッカマンがいるから大丈夫だと思いますよ・・・。
飛影は3.6mと結構小さいですし・・・。 
229名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 19:11:04 ID:cD0nWKoV
乙です。
他の方の作品では、ストーリー上難しいでしょうし
このように計画が防がれ、何事もなく終わるというのも面白いですね。
230スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 19:34:30 ID:8gmAp3Nt
ではBパートいきます

 地上本部から少し離れた場所ではゼストとダイモスが戦っていた。

「なかなかやるな青年。名前は何と言う」
「俺は竜崎一矢だ!」
「俺の名はゼストだ」
「旦那、呑気に自己紹介してる場合じゃないだろ!」

 一矢とゼストが互いの自己紹介をしているとアギトがそれにツッコミを入れる。
 その二人の戦いをリインフォースUと融合したヴィータが見守っていた。

「ヴィータちゃん・・・」
「リイン、これは一矢とあいつの1対1の戦いだ。騎士はそれを見守るんだ。それにこれは一矢が望んでることだからな・・・」

 ダイモスとゼストの戦いは熾烈を極め、次第にゼストが押され始めていた。

(この青年は強い。ただこのロボットがでかいだけではなく、こいつ自身の動きがいい。いい空手家だ)
「アギト、融合を解除するぞ。俺が一気にフルドライブで決着をつける!」
「だ、旦那。そんな事をしたら旦那の体が・・・」
「このままやったら俺が負ける。ならば一気にやるしかない」

 そしてゼストはアギトとの融合を解除した。だがアギトはゼストにフルドライブを使わせたくない一心で巨大な炎の玉を作り出す。

「こいつらはあたしが倒す!」
「ヴィータちゃん!」
「ああ!」

 ヴィータはアギトの攻撃を止めようとアギトに向かって攻撃しようとしたその時、ゼストはフルドライブを使いヴィータの攻撃を止めた。

(このままではヴィータが危ない!)
「フリーザーーーーストーーーーーーーム!!」

 一矢はヴィータのピンチを察しダイモスの頭部に搭載されているフリーザーストームをゼストに向けて放った。
 その攻撃はギリギリヴィータに当たらずゼストに命中して、ゼストとゼストの槍を凍らせた。

「だ、旦那!」
「ファイヤーーーーーーーブリザーーーーーーード!!」

 アギトがゼストの心配をする余裕もなく、一矢はダイモスの胸部にあるファンから高熱の竜巻が現れ、ゼストを上空へと飛ばした。
 ゼストはファイヤーブリザードの攻撃で氷が解けて動けるようになりフルドライブ」した状態でダイモスに向かって突撃した。

「必殺! 烈風! 正拳突きーーーーーーーーーーー!!!」

 対するダイモスは一矢の叫びと同時に右手をゼストに向けて拳を出した。
 ダイモスの右手とゼストの槍がぶつかり合った。
 しかし、フリーザーストームとファイヤーブリザードのコンボでゼストの槍はもろくなっていたため、
 槍は砕かれダイモスの拳はゼストの体に直撃した。
 ゼストはその殴られた衝撃により上から下へと落ちていった。
231スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 19:35:26 ID:8gmAp3Nt
「だ、旦那ーーーー!」

 アギトが叫びながら落ちるゼストに向かおうとするとダイモスが左手でゼストを助けた。

「お、お前・・・。どういうつもりだ!?」
「戦いは終わったんだ。まだ生きてるんなら助けなきゃな・・・」

 一矢はそう言ってゼストを地上に降ろした。

「この勝負お前の勝ちだな・・・」
「ああ、そうだな」

 ゼストはそう言うと一矢とヴィータに自分の知っている限りの戦闘機人達のデータが入ったデバイスとアギトを託した。

「それとレジアスをあまり責めないでくれ」
「レジアス? どういうことだ?」
「この事件にはあいつも関わってるからな・・・」
「な!? はやてが考えてた事は間違ってなかったのか!?」

 ヴィータははやてからこの戦いにはレジアスが関わってると考えていると聞いていたのだ。

「俺はここで死ぬがもう悔いはない。アギト・・・」
「旦那・・・」
「お前の理想のロードを絶対見つけるんだぞ。一矢だったな。お前も協力してくれ」
「ああ、出来れば協力するよ」
「じゃあな」

 そういい終わるとゼストは息絶えた。それを見たアギトは泣いた。

「ゼスト、あんたは立派な武人だったよ・・・」

 一矢はゼストの死に様に敬意を評した。
232スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 19:36:41 ID:8gmAp3Nt
 ダイモスとゼストが戦っているのとは違う場所ではトーレとセッテがゴッドガンダムとオーガンと戦っていた。

「なかなかやるな」
「お前こそ、いいモビルファイターになれる腕じゃないか」

 トーレとドモンはお互いの強さを褒めていた。

「だがお前達はここで消えてもらう」
「俺はまだやるべき事がある! ここで死ぬわけにはいかん!」

 セッテとオーガンも熱戦を繰り広げていた。

「だがもうお前達と戦っている暇はない! 一気にやらせてもらう!」
「出来るのか?」

 トーレが聞くとドモンは明鏡止水の境地に達し、ゴッドガンダムのハイパーモードを発動させた。
 オーガンはカッターを出し、セッテではなくブーメランブレードに向けて攻撃をしてきた。

(こいつ、私のブーメランブレードを・・・)

 攻撃をしていくうちにブーメランブレードは砕けちった。
 そしてオーガンはランサーを出し、セッテを斬りつけるように地面に叩き落とした。

「セッテ! だが私は簡単には倒せないぞ!」
「見せてやるぞ! 流派東方不敗の名の元に!!」
「ISライドインパルス!」
「ゴッド! フィールドダッシュ!!」

 トーレとゴッドガンダムとの激しい速さと激突が繰り広げる。

「くらえ! 爆熱ゴッドスラッシュ!!」

 ゴッドスラッシュをさらに強力にさせた技にトーレはインパルスブレードで受け止めるが、
 それは簡単に砕け散り、トーレは後ろに吹き飛ばされた。
 吹き飛ばされたトーレをゴッドガンダムはそれを追う。

「まだだ! 石破天驚! ゴッド! フィンガーーーーーーーーーーー!!!」

 ゴッドガンダムの右手から放たれた手にトーレは捕まった。

「ぐわあああああああああ!」
「ヒーーーーーーーーーーーート、エーーーーーーーーンド!!!」

 そしてその腕は放たれた腕は爆発し、トーレも地面へと落ちていった。

「俺達の勝ちだ」
233名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/30(日) 19:36:49 ID:K/JTxNew
支援
234スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 19:38:11 ID:8gmAp3Nt
 機動六課本部は焼かれ火の海になっていたはずだったが、その予想とは裏腹に機動六課本部は無事だった。

「何でこんなに戦力が残ってるんだ?」

 オットーは驚きを隠せなかった。何故なら本来は戦闘要員はシャマルとザフィーラのみのはずだったのが、
 ジェネシックガオガイガーやJアークなどの勇者ロボ軍団、スペースナイツのテッカマン達も残っていたのだ。

「お前達の目論見もここまでだ!」
「さっさと諦めて帰れよな」

 撃龍神とゾマーがそれぞれ言うが、オットーやディード、ルーテシアとガリューは引き下がる気はなかった。

「ここには私と同じ、かわいそうな子がいる。助けるまで引けない!」

 ルーテシアは究極召喚で白天王を召喚した。

「あれは俺が戦う。皆は他のを頼む」

 凱は白天王と戦い、ガリューはJが戦う事になった。
 オットーとディードとルーテシアは他のメンバーに任せることになったが、
 オットーとディードのコンビネーション、ルーテシアの召喚した地雷王に少々苦戦していたが、その時

「待ていっ!!」
「!?」

 皆がその声に驚き、その声のする方を向いた。

「怒りと悲しみは争いと破壊を生み、喜びと楽しさは平和と創造をもたらす。争いよりも平和が勝り破壊よりも創造が勝る。
人、それを愛の勝利と言う。」
「誰だ!?」
「貴様らに名乗る名はないッ!」

 その声の主はいつの間にかガジェットU型の上に乗ったロム・ストールであった。

「天よ地よ、火よ水よ。我に力を与えたまえ! パーーーーイル、フォーーーーメーーーション!」

 ロムは乗っていたガジェットU型を破壊し、飛び降りながらバイカンフーを呼び出した。

「バーーーイカンフーーーー!」
「ロム、どうしてここに?」
「少し心配になってもな・・・。そんな事よりも俺があの剣を持った女と戦う。
皆はあの少女二人と蟲達を頼む」
(え、あのもう一人も女の子だったの?)

 イーベルはオットーの事を男の子と勘違いしていたので、内心そう思っていた。
235スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 19:40:01 ID:8gmAp3Nt
 バイカンフーはディードのツインブレイズを剣狼と流星で受け止め、ディードを後ろに押し出し、
 バイカンフーは上空へと飛び上がった。

「サンダーーーーーボルトスクリューーーーーーーーー!!」

 ロムは叫びながらバイカンフーにキックの体勢を取らせ、ディードに向かってキックをいれ、ディードを地面に叩き落し、
 その反動でディードは地面からバウンドした。バイカンフーはそのバウンドを利用し、ディードにパンチのラッシュを浴びせる。

「ゴッドハーーーーーーーンド、スマーーーーーーーーーッシュ!!!」

 バイカンフーの気合を込めた右手がディードに直撃し、その強い衝撃によりディードの機械の骨格が壊れるような音が聞こえた。

「成敗!!」

 バイカンフーが手を離すとディードは地面に倒れ、動かなくなった。

「ディード!」

 オットーが心配した隙をつき、シャマルがバインドをかけ、ゾマーがオットーを気絶させた。

「俺は女の子にも親切なんでね・・・」

 その一方でガリューはJアークから分離したジェイダーとの斬りあいの末、ガリューは敗北した。
 白天王はジェネシックガオガイガーと戦っていたが、白天王の攻撃がプロテクトシェードにより防がれてしまう。
 そして凱はヘルアンドヘブンを使う。

「ガジェット、ツーーーール! ヘル、アンド、ヘブン!! ギム、ギルガンゴフォーグフォー、ふん!」

 ジェネシックガオガイガーは自分の手を守るツールを装備し、ヘルアンドヘブンの衝撃はで白天王の動きを封じ、ENトルネードを発生させた。

「ウィイイイイーーーーーーーターーーーーーーーーーー!!!」

 凱が叫ぶとジェネシックガオガイガーは突撃し、白天王の腹部へと手が命中し、白天王は倒れた。

「白天王!」

 ルーテシアが叫ぶが、白天王は立ち上がらない。そしてルーテシアにもバインドがかけられ、イーベルに気絶させられた。
 その後機動六課本部にやって来たガジェット達はテッカマンのボルテッカによりすべて蹴散らされた。
236スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 19:41:32 ID:8gmAp3Nt
 地上本部ビル内部の廊下では管理局員に化けていたドゥーエがすべての状況を見ていた。

「こんな事があるなんて・・・。クアットロは死んで他に襲撃していた妹達は捕らえられるなんて・・・」
「あんた、こんなところで何してるんだい?」

 ドゥーエが状況を整理しながら走っていると前の方から男の声が聞こえた。そこにいたのはデッド・エンドであった。
 デッドは他のメンバーとは別行動を取っていたのだ。

「あんた、管理局の人間じゃないね。あんたからは血の匂いがするよ。多分あんたも戦闘機人だね」

 デッドの予想はずばり的中しており、変装をといたドゥーエがデッドに向けてこう言う。

「あなたの言うとおりよ。だったらここで死んでもらうわ!」

 デッドにバインドをかけようとしたが、デッドはその前にテックセットし、テッカマンデッドになった。

「こうなったら、あんたは終わりだよ。皆には悪いけど一気にやらせてもうよ!」

 デッドはそういい終わると自分のランサーを出し、ボルテッカのチャージをした。

「ボルテッカーーーーーーー!!」

 そのボルテッカはドゥーエを飲み込みドゥーエは消えていった。

「やっぱり俺の手は血で染まってるな・・・」
237スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 19:42:31 ID:8gmAp3Nt
ひとまずBパートの投下は終了です。
今度は9時ごろにCパートを送ります。
238ネオシャドームーン(別PC):2007/12/30(日) 20:25:13 ID:LYm3zZl9
ではまたまた勝手に替え歌載せます。 ガメラ大怪獣空中決戦のエンディング「神話」より
「なのは 魔法少女空中決戦 伝説」 です。

「最後の希望なのは 時の揺り籠にたくす。 災いの影フェイトと共に目覚めん。」

子供の頃は信じていた 目に見えないその魔法を
みんな確かに感じていた 大きな生命の力がある
君と友達になって 今、覚えていることは
あの深い山の中で 私たちは泣いていたね
涙、ちぎれた皆の愛 空に世界に有り続ける
いつか再び会えるなら 永遠の伝説は蘇る

大人になって歩きだした 抜け殻の愛の世界を
憎しみや戦いが起こり 野原に花も咲くことなく
君の胸に抱かれて 今、思い出したことは
あの重い霧の中で 君は呼んでいたね
過去と未来のあいだにある 闇の世界に私達がいる
尊い命は風にまかれ 愛した記憶が遠去かる
涙、ちぎれた皆の愛 空に世界に有り続ける
涙あふれて止まらないよ 胸に心に君がいるよ

涙、ちぎれた皆の愛 空に世界に生き続ける
涙、再び会えるとき 愛する勇気を取り戻す
永遠の伝説のまま
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 20:53:04 ID:zy8hBN64
>>238
うはぁ、爆風スランプ、久々に聴きたくなってきちまったぜッ!



さて。
現在、某寝台特急で東征中。
明朝、東京入りの予定。



さて、続きを少しでも書いてみましょうかね、と。
240旅ゆく人@携帯:2007/12/30(日) 20:56:35 ID:zy8hBN64
をっとっと…。
>>239は私でございます。


…疲れてるかなぁ。
241ネオシャドームーン(別PC):2007/12/30(日) 20:56:46 ID:LYm3zZl9
よく爆風スランプが関わってることが分かりましたね。
242スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:00:24 ID:8gmAp3Nt
あ、あれで終わりだったのですか・・・。それではラストのCパートいきます。

 そのすべてをアジトで見ていたスカリエッティは驚きを隠せず、ただ信じられないともらしていた。

「信じられん。私の作品達がこうも簡単に倒されるなんて・・・。それに何故あちらにはこちらの配備がわかっているのだ?」

 その疑問はクアットロやオットー、いやナンバーズ全員思った事である。
 その訳は陳述会が行われる2日前にあったのだ。


 2日前の夜、ティファは夢を見ていた。その夢は地上本部と機動六課本部が焼かれ、ヴィヴィオが連れて行かれるものであった。
 ティファはD.O.M.Eとあった事で「ニュータイプ」と言う言葉を捨てたが、能力は失っておらず、
 D.O.M.Eとあった事でその予知夢は鮮明なものになっていたのだ。
 ティファは翌日つまり陳述会の1日前の朝にその夢をガロードに伝え、ガロードと共にジャミルにも伝え、ジャミルははやてと相談したのだ。
 はやてとジャミルはカリムの予言の事もあると言うので、ティファの見た夢を信じる事にし、皆に敵の出てくる位置を教えたのだ。
 そしてもう一つティファは大事なものを見ていたのだ。

「ドクター、大変です! 上空にガンダムが一機こちらを目標にしてます」
「何!?」

 ウーノとスカリエッティが見たものは二人のいるアジトの上空でツインバスターライフルの発射体勢に入っていたウイングガンダムゼロの姿であった。
 そうティファはその夢の中でスカリエッティのアジトを見つけ、その場所を絵に描き、はやてに見せ、はやては密かにヒイロに頼んでいたのだ。
 そしてヒイロはスカリエッティ達に通信を入れた。

「確認する。シールドは張っているな!?」
「き、貴様何を!?」
「そこの防御は完璧なんだな!?」
「当たり前だよ。君達ではこのアジトは破壊できない事を思い知るがいい」
「了解した」

 ヒイロはためらいもなくスカリエッティのアジトにツインバスターライフルを撃った。

「まさか、本当に攻撃してくるとはね・・・」
「ドクター、大変です。さっきの攻撃でシールドの性能が落ちてます。このまま同じ場所を3回、いえ2回攻撃されたらここは崩れます」
「馬鹿な、ここの一番もろい場所が奴にはわかっているのか!?」

 スカリエッティとウーノは驚きを隠せずにいた。そんな2人をおかまいなしにヒイロはツインバスターライフルを撃ち続け、
 そしてアジトは完全崩壊し、スカリエッティと気絶したウーノは瓦礫に埋もれた。

「くそ、まさかここの場所がこうも簡単に見つかり、崩れるとは・・・」

 スカリエッティが起き上がり瓦礫をどけると目の前にはフェイトの姿があった。
243スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:01:53 ID:8gmAp3Nt
「広域次元犯罪者ジェイル・スカリエッティ、あなたを逮捕します」
「そんな事より、私は今死にたいね」
「今、楽にしてやる」

 フェイトも気づかなかった。いつの間にかスカリエッティの頭の後ろには銃を構えたヒイロがいたのだ。

「これはお前が望んだ事だ。ここで死ぬのはお前の望みだからな。俺は容赦なく引き金を引く」
「や、やめてくれ。お願いだ。やめてくれ」

 先ほどまでの冷静さとは随分違い、スカリエッティはヒイロに命乞いをしていた。

「お願いだ。殺さないでくれ」
「駄目だ」
「ヒイロ!」

 フェイトがヒイロを止めようとするがヒイロは銃の引き金を引いた。そしてスカリエッティは倒れたが死んではいない。
 何故ならその銃には弾は入っておらず、空砲だったのだから・・・。スカリエッティは恐怖のあまり気絶しただけだ。

「ジェイル・スカリエッティ、お前はここで死んだ」
「ヒイロ・・・」
「任務完了」

 ヒイロはフェイトの事を無視するかのようにウイングゼロに乗りその場を去った。
 フェイトはスカリエッティとウーノにバインドをかけ、連行した。
 その後そのアジトの下には聖王のゆりかごがあることがわかり、「シャイニンングガーディアンズ」が破壊した。


 謎の空間ではそれを一部始終見ていたものがいた。

「スカリエッティめ、思ったよりふがいない男よ。聖王のゆりかごを使う前に捕まるとは・・・。
だがまあいいさ、まだネオ・ジオンもいるし、何かあったら俺自身が動けばいいことだからな・・・」

 その謎の空間「ブレーク・ゾーン」にいるのは「シャイングガーディンズ」が倒さねばならない敵、ヴォルツ・クルーガーであった。
244スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:03:46 ID:8gmAp3Nt
投下完了。
今年はこれで投下は終わりです。
正月ネタはもう出来たのですが来年の1月1日に投下したいと思ってます。
245スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:12:41 ID:8gmAp3Nt
すいません。よくみたら「ブレーク・ゾーン」になってますけど、「ブレイク・ゾーン」に訂正してください。
ごめんなさい。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:19:03 ID:KRh+navM
スカリエッティ馬鹿にしすぎじゃね?
自分の夢と探求欲のために世界を丸ごと敵に回すようなやつですよ?
空砲で恐怖のあまり気絶とか、さすがにないと思うんですが
247名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:22:59 ID:7ugVh3MI
う〜ん・・スカさんがスカさんらしくないと感じるに一票。
スカさんがこの程度で気絶するなんてありえないと思う。
248スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:24:03 ID:8gmAp3Nt
>>246
まあ、あくまでもこれはIFですのであまり気になさらずに・・・。
それに設定的にはスカリエッティは自分の計画があまりに簡単に崩れたので気が動転していたのがあります。
もし気に入らないのでしたら殺すべきだと言いたかったのでしょうか?
でも殺したらヒイロがフェイトに責められると思いましたし、ヒイロはEW後ですので・・・。
後、ツインバスターライフルで崩れたのはスカリエッティとウーノがいた場所のみで、
メガーヌ達の生態ポッドの部屋などは崩れてない設定です。
249名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:28:22 ID:KRh+navM
気絶させるんなら当て身なりスタンガンなりいくらでも方法あるわけで
空砲という恐怖のみで気絶させるという点におかしいといっているんです。
というか動転していたからといってびびりになりはしないでしょう。
そもそもキャラここまで違うならスカである必要ないし。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:29:15 ID:ys50xRSL
リリカルなのはStylish氏はお元気だろうか……続きをお待ちし続けております。
あのダンテ調ティアナが大好きなんだが。なのはとの関係がどうなるかが気になって仕方ない。
原作のように、おとなしく説教されるだけとは思えなくて、今からwktkしてるんだ……。
251名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:29:39 ID:nU33Lyb2
むしろ砲撃音聞いたら大喜びで
「素晴らしい!これは私に対する祝砲に違いない」
とか言い出すタイプな気がシマス
252リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 21:32:23 ID:QKQxjezT
空気読まずに。
アウレフとヴェイトのデータ完成。

十分後に投下おk?
253リリカル遊戯王GX:2007/12/30(日) 21:34:46 ID:lX1NDOo5
うーん、さすがに
「今死にたいね」
の5秒足らずの間に
「や、やめてくれ」
はちょっと別人になりすぎなのでは・・・
254スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:35:12 ID:8gmAp3Nt
皆さんの意見ではあまりに変だそうですのでそこの部分を変更しましょう。

変更前 フェイトがヒイロを止めようとするがヒイロは銃の引き金を引いた。そしてスカリエッティは倒れたが死んではいない。
 何故ならその銃には弾は入っておらず、空砲だったのだから・・・。スカリエッティは恐怖のあまり気絶しただけだ。

変更後 フェイトがヒイロを止めようとするがヒイロは銃の引き金を引いた。しかしそれは空砲だった。

「はっはっは、何のマネだねそれは? それで私を殺すつもりだったのかね?」
「そうだ」

 ヒイロは銃のグリップ部分をスカリエッティの後頭部に思いっきり打ちつけスカリエッティは気絶した。


こんなものでよろしいでしょうか?まだこっちの方が理解できると思いますが・・・。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:37:01 ID:KRh+navM
いや、だったら空砲いらないじゃん。
というか正面から相対して、かつ銃の間合い(あるていど離れて居る)のにどうやって一文もなしに後頭部打つんだよ…
256名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:39:52 ID:ys50xRSL
なんというか、今更かもしれないけど、スーパーロボット大戦X氏はもう一度リリなの原作を見直して、原作キャラへの理解を今一度深めた方がいいかも?
本連載の時も似たような事があった覚えが……。こういったことが何度も続くと作者様のほうも嫌だろうし。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:40:11 ID:fzsgQ2mT
>>254
というか、結局命乞いのところは改変しないわけね

258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:40:44 ID:KRh+navM
>>250
同意。
しかし実は最終更新から10日程度しかたっていないという事実。
改めてこのスレ速いナーと思った。
リリカルなのはStylish氏、楽しみにしてます。
もうティアナがかわいくてかわいくてもう。お持ち帰りしたい(マテ
259スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:43:59 ID:8gmAp3Nt
>>255
すいません、すでにヒイロはスカリエッティの真後ろにいるようなことを書いてますけど・・・。
>>253
ではまたその部分を変更しましょう。

変更前 「や、やめてくれ。お願いだ。やめてくれ」

 先ほどまでの冷静さとは随分違い、スカリエッティはヒイロに命乞いをしていた。

「お願いだ。殺さないでくれ」
「駄目だ」

変更後 「ふふ、それで私を殺すつもりかね。
ここで私を逃がしてくれたら君にもすばらしい世界を与えようではないか」
「そんなものに興味はない。お前を殺す」

これならどうでしょう?
260リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 21:44:07 ID:QKQxjezT
行きます!

【仮面ライダーアウレフ】
聴力・半径5km

速力・100mを1.0秒

視力・8.0

ジャンプ力・80m

次世代戦闘用改造人間プロジェクト「ガブリエル」によって開発された新型戦闘用改造人間第1号。
ドラスストーン・紅の石がエネルギー源の紺色の戦士。
仮面ライダー1号をモチーフにして作られた。
スピーディでアクロバティックな戦い方が特徴で、目にも止まらぬ早技で敵を追い詰めていく。
アウレフの名前の由来はヘブライ語の「アーレフ」からで、「アーレフ」は「1」という数字を表す。
必殺技はライダーキック、ライダースピニングドリルキック、ライダーきりもみシュート等

【神城拓哉】・イメージCV櫻井孝宏
仮面ライダーアウレフに変身する十八歳の少年。
性格は明るく、誰とでもすぐ仲良くなれるタイプだが、悪に対する闘志は熱い。
七歳の時、大型トラックに跳ねられそうになったところを姉と義兄に助けられ、二人を失っており、「二人は自分が殺した」と思い、今でも心の中で自分を責めている。
この事故が原因で彼は「もっと強くなりたい、誰かを助ける力が欲しい」と願うようになり、様々なスポーツに励むようになる。
生まれつき高い運動能力を持っていた彼は、様々なスポーツを経験することによって常人を遥かに超える身体能力を身につけ。
そして十四歳の時にガブリエルに声をかけられ、候補生になり、厳しい訓練を耐え抜いて改造人間になった。
261リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 21:44:39 ID:QKQxjezT
【仮面ライダーヴェイト】
聴力・半径3.5km

速力・100mを1.5秒

視力・6.0

ジャンプ力・60m

次世代戦闘用改造人間プロジェクト「ガブリエル」によって開発された新型戦闘用改造人間第2号。
ドラスストーン・翠の石がエネルギー源の暗赤色の戦士。
こちらは速力などはアウレフに劣っているものの、パンチ力とキック力が発達しており、攻撃力でアウレフを凌いでいる。
戦い方は空手や柔道中心で、一撃一撃に無駄が無く、力強い技を繰り出す。
ヴェイトの名前の由来はヘブライ語の「ベート」からで、「ベート」は「2」という数字を表す。
必殺技はライダーキック、ライダーハンマー落とし、ライダー二段返し等

【皇龍】・イメージCV坪井智浩
仮面ライダーヴェイトに変身する十八歳の少年。
性格は冷静でクール、そして多少強引な所もあり、妙なことも口走るが、根は優しい。
幼少時に親を失っている。
彼は五歳の頃にいじめられ始めた事が悔しく、武術を覚えて見返してやろうとしたが、次は彼の武術の才能を妬んだものたちに疎まれ、いっそう激しいいじめを受けたという過去を持つ。
しかし十四歳の時にガブリエルに声をかけられ、候補生になる。
その過去のせいか、部下になったナンバーズ達の「家族」のやり取りを羨ましいと思っている。
剣術は天然理心流免許皆伝、柔道空手共に五段の武術の達人。
そしてサバイバルの達人であり、妙なものも食べる。
拓哉とは訓練生時代からの友人で、龍曰く「俺の武術(ちから)を妬まなかったたった一人の友達」。
262リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/30(日) 21:47:40 ID:QKQxjezT

【ガルベストン】
最高時速・950k

ジャンプ力・2000m

アウレフ、ヴェイト用の専用マシン。
1号、2号のサイクロン号をモチーフに作られている。
ガルベストンの名前の由来はアメリカの記録に残るハリケーン「ガルベストン」から。
アウレフ用のカラーは青、ヴェイト用のカラーは赤。


投下終了。
詳細なキック力とパンチ力を書かないのは他の昭和ライダーもそうだったから。
しかし、旧型よりスペック「は」高いといっておきながら二体ともストロンガーの足元にも及んでないな…
まぁ、これでもV3より高いからあれか…
ワンマンショーにならないようこれから気をつけていきます。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:48:33 ID:7ugVh3MI
>>250
確かに、あのティアナは良い・・上手く言葉では言い表せないが、何かが良い。
しいて言うならあのツンデレ具合が良い・・!
264名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:48:41 ID:KRh+navM
>>259
読解不足だったのはすみません、謝罪します。
しかし、そもそも読者の意見で自分の文を訂正するのはどうなんでしょう。
正直、適当に書いてるとしか思えない。
というか、本当になのは見てます? 
265名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 21:48:54 ID:ys50xRSL
>>258
まとめサイトで確認してきた。マジで10日しか経ってなかった。普段なら月一ペースでも気にならないというのに……。
これはあれか。1年半で1巻ペースの某吸血鬼漫画で新刊が発売されて2ヶ月経ってないのに、もう次の巻が気になる現象と同じ!
266スーパーロボット大戦X:2007/12/30(日) 21:53:19 ID:8gmAp3Nt
>>264
見てなかったら書きませんし、この掲示板にも来てないと思います。
適当に書いてるつもりは毛頭にありませんし、もしそう思われるのでしたら、
深くお詫び申し上げます。
でもスパロボになると性格が変わったりするキャラがいるけど今回はやりすぎましたね。
本当に反省します。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 22:06:26 ID:WXuKXE2J
>>250
説教自体もあるのかないのか、まだ分からないからな。別の形になるのかもしれないし。
まあ、説教自体は気に入っているのだがね。
なんだかんだでティアナは、なのはさんにも師事して欲しい。

>>262
なるほど参考になりました。自分はヴェイトが好きですね。 

>>266
ドンマイ!キャラをうまく書くというのは難しいと思う。

268旅ゆく人@携帯:2007/12/30(日) 22:33:29 ID:zy8hBN64
>>241
そりゃあ、…まあ、あの映画、劇場でしっかりみっちり拝見しましたし。


あの曲のシングルCD、今もあるし。


爆風スランプって言ったら、私の青春の一ページですから…。



あー、それにしても筆が進みませぬ…。
続きは今しばし待たれませい… orz
269名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 22:57:09 ID:LotYx6a+
なるほど、これがオリキャラというものか
実に分かりやすい
270名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 23:52:47 ID:XbitciCI
とりあえずスパロボX氏がなのはを見たけど理解してないってのは理解した
理解してから出直すべきかと思うがどうか?

っていうか、何で叩かれてるのか本当に理解しているのか?
前からそうだったが、なんか反省も成長もしてる感じがまるでないんだが……
271リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/30(日) 23:54:04 ID:mG7m1YJ6
投下してもおk?
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 23:56:57 ID:XbitciCI
どうぞどうぞ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/30(日) 23:57:17 ID:VZyxg9KD
何時の間にX氏はこのスレに迎え入れられたんだろう・・・?
最初の頃はみんなで叩いていたのに。
274なのはStrikerS-NEXT10話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:01:55 ID:mG7m1YJ6
なのはStrikerS-NEXT10話「Jr誕生」


そのころ人間解放軍本拠地では。
トレーニングルームではこなたが必死になってエアロバイクを漕いでいた。
といっても体を鍛えようなどと考えている訳では無い。
エアロバイクからはどうやってこんな機構を組み込んだのか束ねられたケーブルが伸びており、それらは
タコ足状にバラバラに枝分かれしてオーディオプレーヤーや携帯ゲーム機etcの
バッテリーコネクタに接続されていた。彼女はこれらの機器を充電しようとしていたのである。
その傍らでは。

「おい犬。それカロリーむっちゃ高いらしいからあんまりがっつくと太るぞ。」
「アタシは犬じゃないって何回言ったらわかんのさ!」

先刻発見されたMREに入っていたクラッカーにピーナッツバターを塗りたくった物を
齧っていたアルフに真雪が眉を吊り上げて言った。米軍が採用している
軍用食MREには25種類ものコースがあり、
各コースにはそれぞれ違ったメニューが用意されていて実に多岐に渡っている。
なにしろ主食だけとってもメキシカンライス、クラッカー+チーズスプレッド、白米、バターヌードル、
スナックパン、鶏飯、トマトソースパスタ、ライスブリート、アルフレッドソースパスタ、
ラビオリ、ミートソーススパゲッティ、ポークチャウメンとざっと
これだけの種類があり、これに匹敵する数のおかずとパウンドケーキやキャンディバーといった
デザートが存在し、数種類かの粉末飲料と調味料(これにも幾つか種類があるがなぜか
タバスコだけはほぼ全てのコースに付属している。)が
付属しているという凄まじさ、しかもパックには科学反応を利用した火を一切使わないヒーターが付いており
いつでも何処でも暖かい状態で食べる事が出来るのである。味はこれまでの糧食と比較して飛躍的に評価が上がっており、
軍用食という性格上概してカロリーが高いのが特徴である。

「でも食べられる時に食べておきませんと…。」

グリフィス・ロウランがタバスコをかけたクラッカーを齧りながら言った。
それを見たアルフは嫌な顔をする。狼がベースになっている彼女は香辛料が嫌いだった。
その隣では人間解放軍の一員として戦っていた「忍者」の御剣いづみとその盟友で暗殺者だった
菟弓華がシャッハとシグナムを相手に
摸擬戦を行っていた。魔法が使えない分だけいづみ達が優勢にも見える。
275名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/31(月) 00:03:14 ID:K/JTxNew
支援
276Strikers May Cry:2007/12/31(月) 00:03:27 ID:e70MQAoj
良い子のみんな〜支援の時間だよ〜♪
277戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 00:05:28 ID:wBCsw3FR
続いて支援。
278なのはStrikerS-NEXT10話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:06:29 ID:wZRBNpke
彼らがつかの間の休息を楽しんでいたその頃。地下ではついにドゥーエが待ち望んだ瞬間が訪れようとしていた。

「さあ新たなドクター、お目覚め下さい…。」

ポッドの中の羊水が排出されてエリオと同じほどの年齢にまで成長したスカリエッティの
クローンがいまにも目を覚まそうとしていたのだ。
この時をどれほど待ち望んだことか。
ポッドの中から歩み出る「スカリエッティJr」に当面の服を手渡すドゥーエ。

「なんなりとご命令をドクター…。」

そして彼女はひざまづいた。次に聞こえてくるのは自分への命令なはずだった。
しかし…。

「ここは何処…?あなたは誰…?」

聞こえてきたのは拙く頼りない子供の声。一瞬の戸惑いが彼女を襲ったが
生まれてばかりでいろいろと混乱しているだけだと自分を納得させてすぐに気を取り直し、なんとか
その混乱を収めようと試みた。
ところが…どんな質問をしても何をどうしても反応はまるっきりなしのつぶて。それどころか
ドゥーエを母親だと思い込んでいる始末だ。一時間近く不毛なやりとりを続けてドゥーエは悟った。
この「スカリエッティJr」は受け継いでいるはずの自分の…スカリエッティとしての記憶を持っていない…。
認めたくは無かったがそうとしか考えられない。ドゥーエはその瞬間自分が今まで行ってきた事に酷い徒労を覚えた。
同時に…どす黒い感情が鎌首を擡げた。それはかつてプレシア・テスタロッサがフェイト・テスタロッサに対して抱いた感情と
よく似ていた。

「どうしたんですか?母さん…?」

足元に不安げな顔で佇む「スカリエッティによく似た別の存在」を冷ややかな目で
見下ろし、そして…。

「痛いっ!か、母さん…?」

なんのためらいもなく弾き飛ばした。
壁まで飛ばされたJrは涙ぐみながら訳が解らないといった顔で
無慈悲の権化と化し部屋を後にする母親を見つめる。
地下室を無言で後にしたドゥーエと彼女が立ち去ってから数分後に彼女が立ち去って行ったであろう方向へ
とぼとぼと歩いていくJr。

「ヒヒヒヒヒ…ひゃーーーっはははははははは!」

一部始終を見物していた地下室の入り口の前に陣取っている
怪しげな刀鍛冶にして実はグロンギの生き残りのヌ・ザジオ・レが
彼の背中を見ながらひとしきり高笑いした。

「うー、疲れた〜。」
「こなちゃんお疲れ〜。」

エアロバイクから降りたこなたがつかさの差し出す
アクエリアスを飲みつつ成果を確認すべく携帯やゲーム機の電源を入れていく。
しかし…

「のーーーーーーー!つかさーーーー!」

つかさの胸に飛び込むこなた。彼女が手にした携帯ゲーム機のバッテリーゲージ
はもののみごとに欠けていた。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:09:27 ID:z54u9HSp
支援
280名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:09:46 ID:gV5G3qVg
支援ですよ

>>273
迎え入れられてはいないんじゃね? もう諦めてスルーされてるだけ、とか。
俺も普段は完全スルーで、久しぶりに読んだんだが、以前と全く変わっていない。、もう難点を指摘するのも無駄なんだろ。
281名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/31(月) 00:10:27 ID:1i6Fw8Jn
しえん
282なのはStrikerS-NEXT10話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:10:42 ID:wZRBNpke
「おろ?あれってあの爪女じゃねえの?」
「ちゃんと名前で呼んだげましょうよ…。ドゥーエさんがこんな昼間から出歩くなんて珍しいですね。
いっつもどっかに篭ってるのに。」

真雪と真一郎が不思議そうに言った。ドゥーエは何処かイラ付いた様子で足早に立ち去っていく。

「あれ…?あんな子ここのキャンプに居たっけ?」

今度はこなたが怪訝そうな顔で言った。彼女の視線の先には紫色の髪に金色の瞳のあどけない少年…ドゥーエに
放逐された哀れなJrが不安げに辺りを見回しながら
歩いている姿が在った。

「ここに居る人の顔と年格好はみんな暗記してるけどあんな子はいなかったはずだぜ。」

御剣いづみがじっと少年の挙動を観察する。

「うっそ〜?一万二千人もいんだよ?」
「記憶力は忍者の基本だからなあ。」
「い、いかほど〜…。」

さらりとすげえ事を言ってのけるいづみに驚いた顔をするこなた。
いづみは少し得意げな顔で言った。

「テスタロッサ、あの子だが…似ていないか?」
「……。」

シグナムがフェイトに何事か耳打ちした。無論、ジェイル・スカリエッティに似ていないかという意味である。
無言でフェイトが立ち上がりJrの方へ歩み寄っていく。

「ねえ君。こんなところに一人でどうしたの?お母さんやお父さんはどうしたのかな…?
私はフェイト。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。」
「あ…うう…。」
「…いないんだ。解った。それじゃあ君…お名前は?」

Jrにやさしく声をかけるフェイトと
不安げな顔で彼女を見上げながら口ごもるJr。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:14:00 ID:sU+1V/30
支援・・・ろりスカ支援w
284魔装機神:2007/12/31(月) 00:14:30 ID:K8TlnbRX
支援
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:15:14 ID:z54u9HSp
支援しまっせ!!
286なのはStrikerS-NEXT10話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:17:09 ID:wZRBNpke
フェイトはそんなJrを見かねて質問を変え、なにか少しでも情報を引き出そうと試みた。

「僕の名前は…ジェイル…です。ジェイル・スカリエッティ…らしいです。
母さんが言うには僕はそのジェイルって人のクローンで…
でも僕は失敗作って言われて、それで…。」
「………。そうか、解った。じゃあジェイル。あっちでもうちょっと詳しくお話聞かせてくれないかな。」

フェイトは一瞬表情を曇らせるがすぐにまたやさしく微笑むとこの事にまず間違いなく絡んでいるであろう
ドゥーエのあの根性が二重螺旋状に捻じ曲がった策士ヅラを思い浮かべ、顔をしかめた。
程なくして

「連れてきたよ、フェイトちゃん。」
「観念して知っている事を全部吐け。」

なのはとシグナムに羽交い絞めにされてふて腐れた顔でドゥーエがやってきた。

「あの子は一体どうしたんですか?あなたが関わっている事は解ってるんです。」

少し離れたところでこなたや真一郎達に囲まれているJrを指差して問い詰めるフェイト。

「…さあ、どうでしょう。」

イスに座りながらそっぽを向くドゥーエ。まともに応対するつもりはさらさら無いようだ。
問い詰めるフェイトの目が据わった。外套の裾の中(フェイトは普段からバリアジャケットの
白い外套の部分だけを発動させて普通の服の上に羽織っている事が多い。衣服を含めて物資に餓えている
現状を少しでも快適にするための苦肉の策と言えよう。)から手品のように黒くゴツゴツした銃を取り出す。
一見すると拳銃のようだが違う銃だ。
イスラエルのIMI社が開発した傑作サブマシンガン「ウージー」の小型版「ミニウージー」をさらに小型化して
クローズドボルト構造を採用し大きめの拳銃と比べればむしろ小さいとまで言われるほどの
サイズを実現した機関拳銃「マイクロウージー」である。

「フ…フェイトちゃん。そんなものまで持ち出す事無いんじゃないかな…。」

啓太郎が気おされ気味に言ったがフェイトは聞く耳を持たない。
287なのはStrikerS-NEXT10話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:19:47 ID:wZRBNpke
「今までずっと魔法戦闘ばかりしてきた貴方がいきなりそんなもの持ち出してもケガの元ですよ?」
「私もなのは達も常に今の状況でやれる事を最大限にやれるように訓練してきました。これにしても…」

マイクロウージーのセイフティを解除するフェイト。そして…

「本職の方には敵わなくてもそれなりに使いこなせるようになったつもりです。難なら今ここで証拠をお見せしましょうか?」

銃身をドゥーエのこめかみに押し付ける。

「チッ…話せばいいのでしょう…話せば…。」

舌打ちをすると自分がドクターのクローン体を孕まされて居た事やドクターに何かあれば即座にそのクローンを「出産」して
ドクターの代わりにしろと命じられていたこと。しかしあのクローンがドクターの記憶を受け継ぎ損なって生まれて来たため
たった今「捨てた」事などをまるでその辺の不良中学生が万引きかなにかで捕まって居直るような態度で言った。

「と、こういう訳です。理解して頂けましたか?」
「そんな事…子供を玩具みたいにっ…。」

なのはが唇をかみ締める。
話を聞き終わったフェイトの体はガタガタと震えていた。彼女がここまで強硬にJrに関する記憶を引き出そうとするのも
彼女が幼い頃の悲しい記憶が脳裏をよぎったためである。
だがドゥーエの口から放たれた真相はまさに予想の斜め上を行くような凄まじいものだった。

「おやおや、ぶっそうですねえ…気を付けて下さいよ。それともさっきの勇ましい台詞はハッタリですか?」

こめかみに押し付けられたマイクロウージーを持つ手までが震えだしたのを見てドゥーエが眉を吊り上げる。

「話す事は話したんだ。もう行っても構いませんよねえ?」
「あっ…あの、ドゥーエさん?」

ショックで動けなくなったフェイトと追いかける啓太郎を尻目に早々と立ち去るドゥーエ。

「するとお前の名前はお前のオリジナルになった奴の名前でお前の名前じゃない訳だ。」
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:21:01 ID:CJXBOGf0
支援
289なのはStrikerS-NEXT10話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:22:52 ID:wZRBNpke
「はあ…。」

とうの昔に切れたタバコの代わりに楊枝を加えて頬杖を付いている
真雪の言葉に戸惑いがちに答えるJr。

「よし、ちょっと待ってろ。名前考えてやっからさ。ドクター・スカリエッティだろ?…
ドクター、ドク…ドク…。う〜ん。おっ?マーティってのはどうだ?マーティ・スカリエッティ。外人ぽくていい名前だろ?」

しばらく考えだす真雪。漫画家の面目躍如か、考える姿は結構サマになっている。
不意に閃いたように言った。

「バックトゥザフューチャー懐かしいね〜…ビデオ擦り切れるまで見たよ。うん、なかなかいい名前だと思うけどな。」

こなたがしみじみといった調子で腕を組みながら頷いた。

「………。」

そんな彼女達とは対照的にスカリエッティJr…いや、マーティは悲しそうな顔をしていた。
窓ごしにドゥーエが建物から去っていくのを見てしまったからである。
仮にも真っ当に扱われてしかるべきはずの一つの命が早くも理不尽な扱いを受けていた頃、町の外れでは。
茶髪の男がしかめっ面で機嫌が悪い彼のバイク…改造された、「ホンダXR250」を弄っている。

「ふぇ〜、凄いバイク…。」
「ん…?……お前、バイクが好きなのか?」

顔を上げた青年の目に長髪で眼鏡をかけた高校生ぐらいの少女が映った。
フェイトの副官、シャリオ・グランセフィーノだ。

「はい、その…メカなら全部好きです!」
290なのはStrikerS-NEXT10話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:27:52 ID:wZRBNpke
「ふーん、見たかったら別に見たっていいぞ。」

青年の言葉に小躍りしてあちこち観察し始めるシャリオ。

「…お前、ひょっとして噂に聞く他所の世界ってとこから来たのか?」
「えっ…?…そうですけどどうして解ったんです?…」

そんな様子を見ながら不意に青年が言った。
びっくりして顔を上げるシャリオ。

「あまりにも珍しそうにしてたからな。こいつは改造されてるけど表から見るぶんには
普通のバイクと変わりないからもしかしたらと思ってな。」
「…すいません。私みたいな他の世界から来た人によってこられるのは嫌でしたか?
隠してた訳じゃないんです。つい珍しくて…。」

シャリオが悲しそうな顔をした。人間解放軍の中にはミッドチルダはじめ異世界から来た者を嫌っている向きも多いのだ。

「別に悪かないさ。こっちこそ下らない事聞いて悪かったな…。」
「別に謝る事無いですよ…。その、もう少し見てもいいですか?」
「ああ。」

遠慮がちに再びバイクを眺め始めるシャリオ。
少し経って一通り見物し終わった頃に頃にふと気になって尋ねた。

「ありがとうございました。ところで…見かけない顔ですけど、あなたは…?」
「俺か?俺はな…涼だ。葦原涼。まあ…いろいろあって外じゃ暮らしにくくなったんでな。
しばらくここで暮らす事になると思う。よろしくな。」

青年はバイクの調子を見ながら言った。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:31:45 ID:AJaOEe4j
中屋敷のおやっさん支援。
292リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:34:26 ID:wZRBNpke
ここまでで。
今回長いなあ…。
ドクター・ショタリエッティの新しい名前の「マーティ」っていうのは
こなたが言ってるようにバック・トゥ・ザフューチャーの主人公からとった名前です。
ドクター→ドク→タイムマシン作った博士のあだ名→主人公の名前
みたいな感じで連想した結果閃いた名前です。
むっちゃ安直だな…。
葦原さんが登場しましたが
ギルスに変身するのはもそっと先です。
293戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 00:40:56 ID:k8PjqKAZ
お疲れ様、そしてGJです!
ドクター・ショタリエッティて…。
マーティは今後どのように物語に関わっていくのか…。
そしてドゥーエに怒りを覚えてしまった俺。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:43:05 ID:fttQYidT
>>273
どんだけ叩いても自重しないから放置しようとしたらそのまま居座った
295リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 00:43:06 ID:wZRBNpke
http://mgdb.himitsukichi.com/pukiwiki/?IMI%20%A5%DE%A5%A4%A5%AF%A5%ED%A5%A6%A1%BC%A5%B8%A1%BC
マイクロウージー
http://ja.wikipedia.org/wiki/MRE
MRE

本編に深く関わってくるわけでもないMREが
何故ここまで詳しく描写されているかというとズバリ。
無茶苦茶腹が減っている時に書いたからであります。
不思議な事に意図した訳でもないのにいつのまにか詳しく書けてしまっていると言う…w
296戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 00:47:37 ID:k8PjqKAZ
>>295
マイクロウージーはデットライジングと書かれた項目でピンと来て
レーションはMGSの丸いレーションしか思い出せない。
…うむむ。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:48:48 ID:pCyh9amK
しばらくネットに繋げなかったから経緯が分からんのだけど、
別のスレのまとめにある「リリカル武者○伝」が何でこっちに書き込まれてるの?
作者がこっちに持ってきた? 
それともタダのコピペ?

ttp://arte.wikiwiki.jp/?encode_hint=%A4%D7&cmd=search&word=%A5%EA%A5%EA%A5%AB%A5%EB%C9%F0%BC%D4%A1%FB%C5%C1&type=AND
298名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:49:35 ID:uqzuLS+8
>>297
作者がこっちに持ってきた
299名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:50:50 ID:/1E9wFV+
>>273
そもそも受け入れられているとは言いがたい。
投下されても住人のリアクションはほぼ総スルーするのが常態だしね。
300リリカル・コア:2007/12/31(月) 00:53:32 ID:z54u9HSp
MRE・・・一個1000ぐらいで売ってたのを何個か買ってそのまま食ったら・・・
なんというか、大味?まあ、人それぞれだから・・・

すぐの投下は規則違反なので少したったら投下してok?

こないだ投下予告したのに投下せずすいません・・・。
自転車が十五万近くした・・・、自分の自慢の一品が!!
盗まれたんです・・・orz
301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:56:08 ID:5tugITc/
その気持ちよく分かります!
何故なら自分もこの間盗まれたばっかりですから・・
投下おっkですよ。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 00:57:12 ID:Zm4Ekdr8
>>273
そもそもNG指定にしたから何て書き込んでいるかは知らんが…。
受け入れられた、という訳でもないと思うよ。
303Strikers May Cry:2007/12/31(月) 00:57:29 ID:e70MQAoj
>>300 ……なんと言うか…こんな言い方は月並みですが元気出して下さい。

代わりと言っちゃあなんですが元気の出そうなギャグ短編を投下しますから。
と言う訳で投下してもいいですか? 男塾クロスのギャグ短編なんですが。
304リリカル・コア:2007/12/31(月) 00:58:27 ID:z54u9HSp
とりあえず0120投下開始予定。
305Strikers May Cry:2007/12/31(月) 01:01:41 ID:e70MQAoj
それではリリカル・コア氏の投下が終わって時間経ったら投下します。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 01:04:55 ID:sU+1V/30
GJ!!ドクター・ショタリエッティ爆誕ッ!!の話でしたね。
葦原はシャリオとどういう関係になるのか楽しみです。
酔いどれドクターがショタリエッティ(記憶あり)の爆誕をしってスマートブレインを
混乱の渦に巻き込むというのも見てみたかった気がしますw
307リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/31(月) 01:10:18 ID:wZRBNpke
にしても投下終わっても何事も無かったように雑談が続くあたり自分は影が薄いんだなあと痛感させられますよorz
308リリカル・コア:2007/12/31(月) 01:22:04 ID:z54u9HSp
では行きます・・。

>> リリカルスクリーム氏
すいません・・・。礼を逸してました。
309リリカル・コア:2007/12/31(月) 01:25:07 ID:z54u9HSp

雪の降る寒い夜が明け朝日が昇る。
エリオは天幕内、自分専用に割り当てられたスペースの簡易ベットで目を覚ました。
他の隊員達は天幕内に並ぶ簡易ベットで毛布に包まり仮眠中。
天幕の中心に置かれたストーブは火勢を最大にして過酷な重労働に従事している。
休憩中の他の隊員を起さない様、静かに起き上がり、そのまま着替えることなく―シャワーは浴びれなかったので
防寒具を着たまま横になっていた―天幕外に出る。
雪は止んでおり、積もった雪を踏みしめ不寝番の隊員達とすれ違いに軽く挨拶をし、小さな宿営地を歩く。
早起きは機動六課在隊時に身についた習慣。その後の自然保護隊に転属した後も続く習慣。
「ルー?どうしたの?」
そんなエリオの視界に入ってきたのはただ一人膝まで積もった雪の中に佇むルーテシアだった。
雪は止んでいる。だが音の気温は寒いと感じるぐらい冷え込んでおり、防寒具を着込んでいるとはいえ流石に応える。
「・・・ガリューが、・・・ここに別の何かがいたって」
「それって・・・、フェイトさんには伝えた?」
「まだ」
ルーテシアが首を小さく振りながら答える。
「今は?」
「雪のせいで・・・、痕跡が見つからないって・・・」
「そうなんだ・・・、じゃあ後でフェイトさんに話そうよ」
会話する二人を照らすように朝日が昇る。

今日の任務は簡単、過去の遺跡を調査し、ある人物の痕跡を探す。
誰かが言う「簡単な任務さ」。
310リリカル・コア:2007/12/31(月) 01:30:01 ID:z54u9HSp
フェイトは自身に割り当てられた輸送艦内の部屋での安眠から目を覚まし、バルディッシュを起動、BJを羽織る。
部屋から出れば長い艦内廊下。それを歩き、格納庫へ。そして格納庫か下ろされたランプから地上に降りる。
「おはようございます」
「おはよう、ティアナ。みんなは?」
「小隊長二名と分隊長六名は天幕の中に」
「調整ありがとう、ティアナ。でもこれからはもっと難しい部隊間の調整をする事になるよ」
「うわぁ・・・、脅さないで下さいよ」
指揮官と部下の会話、序列上はフェイトが最先任、ティアナは次席となる。
「フェイトさん」
「エリオにキャロ、それにルーテシア?どうしたの?」
「それがルーが此処に何かがいたって・・・」
エリオの話にフェイトとティアナは顔を見合わせる。

だがルーテシアから話を聞いたフェイトの切り替えは早い。
『トーレにセッテ、周囲はどう?』
小さな宿営地には寄り付かず、恐らくは外周のどこかにいるであろう二人に念話を飛ばす。
トーレは廃墟のビルの屋上で腕を組んで待機中、セッテはトーレから少し離れた廃墟に潜み不寝番中。
『セッテ、周囲はどうだ?』
『周辺異常なし』
セッテはイクシードオービット(EO)を四基展開し周囲を警戒監視を行っていた。
これは本来なら指揮官用のシステムを持つトーレ―元ナンバーズ前線リーダー―が持つべき装備品。
だが元々は魔導甲冑のコアに積載されるものではあり、トーレは全体のシステムの高速処理に不具合をきたす
として受け取りを拒否した。
そもそもEO自体は攻撃的な性格が強い。ただ攻撃方法が射撃系ということもあり、あまり飛び道具を好まない
武人・トーレにはそれが気に食わなかったようである。
なおトーレは知らないが実はセッテは四基すべてに名前をつけている。
「意外とかわいいところがあるんだよ」
そういったのはフェイトである。だがそれを言われた他の隊員はまず信じない。
311リリカル・コア:2007/12/31(月) 01:35:03 ID:z54u9HSp

「ガリューは今は・・・居ないみたい・・・って」
ルーテシアが呟く。昔に比べればだいぶ改善されたという事ではあるが、やはり聞き逃す事の多い声量で喋る。
「・・・どうしますか?陣地変換して搬入口に船を含めて移動しますか?」
ティアナが些か不安に思うのか代案を出す。
目標の施設のすぐ近くに乗り付けるのは確かに迅速な方法。だが施設自体に何かされていた時に一網打尽となる。
「いや、予定通り任務を実施しよう。ただ、ちょっと布陣を変えようか」
フェイトはしゃがんでルーテシアの視線に併せると
「ルーテシア、ありがとう。こういう情報も、貴重なんだよ」
その言葉を聴いたルーテシアは顔を赤らめてそっぽを向く。
そんな二人を見て頬を膨らませて見ているキャロ。
負のオーラをまとう主人を怖がったのかフリードはエリオの肩に止まって知らん振りを決め込んだ。

命令下達は出来る限り簡潔で判り易いものが望ましい。
その点フェイトも今回指揮下にある二個小隊も飲み込みが早い。
任務手順は昨日のモノと殆ど変わらない。
宿営地の残置・警戒に一個小隊とエリオ・キャロ・ルーテシア。
スミカに示された施設の物資搬入口から突入するのはフェイト自身とティアナ。
入り口と施設の上層を確保するために一個小隊、それにトーレとセッテ。
だが彼我不明の部隊が居る可能性が高い、その可能性を考えると部隊を二手に分けるのは上策ではない。
本来なら二個小隊間の連絡線確保の為に絶えず斥候を出したいところではあるが、戦力の分散を少しでも避けるため
通信線の確保のみにとどめることにした。

フェイトは命令下達終了後、作戦着手前の報告を部隊指揮官たるオーリス一佐に送信、通信機付の隊員に
一声かけると天幕の外に出る。
宿営地内の動きは慌しい。
一個小隊は装輪装甲車の中、もしくは車外に出て待機中。
残置されるもう一個の小隊は今だ残る道路を瓦礫等を使いバリケードや防護壁を作る。
積雪は隊員の歩いた所は大分溶けてはいる。だが、積もった雪はまだ溶ける気配を見せていなかった。
312リリカル・コア:2007/12/31(月) 01:41:24 ID:z54u9HSp

フェイトは同行する小隊の指揮車となる装甲車に乗り込む。
車長と運転手は車両の足回りの点検に暖機運転、通信機のチェックと忙しい。
本来なら空を飛んで行く筈ではあるが自分と"民間協力者”の二人しか飛行できない。
自身のみが先行して施設内に突入するような任務ではないのであくまでもチームで動く。
『そもそも、警戒監視ならあの二人に任せておけばいいか』
車長のすぐ後ろ通信機の前の席に座る。
「ブリキ缶にようこそ。ハラオウン執務官、コーヒーです」
点検を終わらせたのか車長の隊員が備え付けの保温ポッドから注いだコーヒーを差し出す。
「うまいコーヒーですよ、ゴールドコースト・ブレンド」
ブラックコーヒーは苦手だがこうも満面の笑みで勧められれば断れる筈もない。
「頂きます・・・、砂糖やミルクは・・・」
「ないですよ」
「フェイトさん、居残りの機動小隊、配置完了だそうです」
こちらもBJを着用したティアナが車内に乗り込む。
「準備完了、小隊はいつでも出れます」
その後ろには同行する機動小隊の隊長と副官を従えていた。
「了解、では行きましょうか」
小隊長は出発命令を下達、運転手はランプを閉めゆっくりと車両を進ませ、他の車両もそれに倣う。
徒歩の隊員は周囲を警戒しつつ歩き始めた。
ふと、フェイトが上面ハッチを開け、周りを見回す。
見送る隊員達の中にエリオ達を見つける
『じゃあ、行って来るね』
『はい、フェイトさん、お気をつけて』
『気をつけて下さい』
『気をつけて・・・』
『大丈夫だよ。みんなこそ気をつけてね』
通信を送り、手を振る。エリオ達も手を振り替えした。

「フェイトさん、大丈夫かな?」
「大丈夫だよ、心配要らないって」
「キュクー」
心配性のキャロを安心させるようにエリオとフリード―なぜかルーテシアの腕の中―がが声をかける。
「さ、配置につこう」
「うん」
「わかった・・・」
とはいえ宿営地の警戒防護は機動小隊の役目。
三人の任務は遊撃戦力として待機することだった。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 01:44:42 ID:fttQYidT
支援
314リリカル・コア:2007/12/31(月) 01:48:35 ID:z54u9HSp
目標の物資搬入口まで直線で約五キロ、この距離なら普段ならそんなに時間はかからない。
だが、たどり着くまでに歩くべきは廃墟に囲まれ、大なり小なりの障害物が行く手を阻む。
そしてその廃墟から何かが今にでも飛び出してくるのではないか?
交差点で死角になっている所にも何かが潜んでいるのではないか?
行進する隊員達は絶えず不測の事態に備え歩き、または車両から目を光らせる。

「到着、指示された座標はここですね」
車長が現在地を機器を使って確認、それをフェイトに示す。
「ありがとうございました、小隊長?」
「了解、全周警戒、散開!!」
小隊長は通信機に怒鳴る。そんなに怒鳴る必要はないのに・・・。ティアナはとりとめもなくそう思った。
陣形は円状に広がる全周防御。だが、小隊規模の部隊では大して大きな円陣を作れるわけでもない。
広くなり、薄くなってしまった隊員たちを結ぶ線を支援するための遊撃戦力はトーレとセッテ。
周囲には雪が残っている。建物が崩壊し視界が拓けている側にも廃墟にも雪は積もったままだった。
「ここが物資搬入口・・・、一応地下鉄とかの入り口に偽装してあるみたいですが・・・」
「ちょっと予想外だったかも・・・」
廃墟とはいえ目立つ道路沿いに、おそらくはまだ強度を満たしているであろう地下鉄の路線を利用し、
施設を建設していたようである。
「ウェンズデイ機関が確か旧暦時代の施設を利用していたようですが・・・」
「この地下にあるみたいだけど・・・」
「座標しか貰ってないんですよね・・・。洞窟探検はちょっと・・・」
「私もあまりしたくはない・・・」
フェイトにとってはスカリエッティのラボで、ティアナは廃ビルで、閉所での交戦はあまり良い思い出はない。
「愚痴はここまでにして、ティア、行こう。トーレ、セッテ、じゃあ後はお願いするよ」
上空に腕を組んで仁王立ちするトーレとその横でブーメランブレードを二振り構えるセッテに声をかける。
『お任せください。たとえ敵がいても遅れはとりません』
トーレから帰ってきたのは自信に満ち溢れた言葉。
「さすが二人とも、頼りになるね」
フェイトのその言葉には二人に対する口には出さない暗黙の信頼が深い事を示していた。

「で、早速シャフトですか?」
ティアナがあきれる。
「そうだね。電源が生きてるかどうかだけど・・・。バルディッシュ?」
<システム自体は休止モードのようです。すぐにでも動かせます>
「バルディッシュ、操作よろしく。行くよ」
ハーケンフォームのバルディッシュのコアが数度点滅したかと思うとシャフトが動き始めた。
それと同時に館内灯が灯る。
「よかった・・・。真っ暗闇の洞窟探検なんていやよ、まったく・・・」
ティアナがぼやく。
315リリカル・コア:2007/12/31(月) 01:55:48 ID:z54u9HSp
「大きい施設ですね。通路が余裕で車ですれ違える位ですよ」
「この辺は物資の保管するところかな?ティアナ、マッピングを忘れないで。バルディッシュも」
「了解」
<イエッサー>
二人で歩く通路、それがT字路に差し掛かかっていた。この道から右に進む道があるところを見ると
今自分達が歩いてきた道が施設の外壁ということらしい。
T字路に差し掛かったときフェイトがゆっくりと立ち止まる。
「ティアナ?」
「はい」
フェイトはバルディッシュを、ティアナはクロスミラージュを構える。
「後ろは大丈夫でしょうか?」
「今来た道ならほぼ安全化していると見ていいよ問題はどのくらいいるか・・・」
フェイトはバルディッシュを構えているとはいえほとんど自然体。ティアナには余裕すらそこから感じられた。
「ティアナは横へ!!正面は私が応戦します」
「わかりました!!」
しゃべり終わるのが終わるか終わらないかの前にフェイトが動く。
ほぼ同時にティアナはすばやく反応、右側の通路へ動く。
二人の正面には、戦車の砲塔に足を四本つけたやや小ぶりな機動兵器が出現していた。
「妨害するのならをするなら実力で排除します!!」
フェイトが通信を飛ばし、叫ぶ。
「前に同じ!!」
ティアナも同じよう(?)叫ぶ。
彼らの返答は銃身から放たれる魔力弾のシャワーだった。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 01:59:15 ID:Gxp0kwUG
支援する。
317リリカル・コア:2007/12/31(月) 02:00:55 ID:z54u9HSp

「大きい施設ですね。通路が余裕で車ですれ違える位ですよ」
「この辺は物資の保管するところかな?ティアナ、マッピングを忘れないで。バルディッシュも」
「了解」
<イエッサー>
二人で歩く通路、それがT字路に差し掛かかっていた。この道から右に進む道があるところを見ると
今自分達が歩いてきた道が施設の外壁ということらしい。
T字路に差し掛かったときフェイトがゆっくりと立ち止まる。
「ティアナ?」
「はい」
フェイトはバルディッシュを、ティアナはクロスミラージュを構える。
「後ろは大丈夫でしょうか?」
「今来た道ならほぼ安全化していると見ていいよ問題はどのくらいいるか・・・」
フェイトはバルディッシュを構えているとはいえほとんど自然体。ティアナには余裕すらそこから感じられた。
「ティアナは横へ!!正面は私が応戦します」
「わかりました!!」
しゃべり終わるのが終わるか終わらないかの前にフェイトが動く。
ほぼ同時にティアナはすばやく反応、右側の通路へ動く。
二人の正面には、戦車の砲塔に足を四本つけたやや小ぶりな機動兵器が出現していた。
「妨害するのならをするなら実力で排除します!!」
フェイトが通信を飛ばし、叫ぶ。
「前に同じ!!」
ティアナも同じよう(?)叫ぶ。
彼らの返答は銃身から放たれる魔力弾のシャワーだった。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 02:03:42 ID:sU+1V/30
支援
319リリカル・コア:2007/12/31(月) 02:06:04 ID:z54u9HSp
「え?・・・何か来る?」
周囲に飛ばしたインゼクト達の話を聞いていたルーテシアが聞き返す。
「ルーちゃん?」
「周りの子達が・・・何かが来るって・・・」
「隊長さん!!」
「どうし・・・」
エリオが留守を預かる小隊長に警報を伝えようとする。
だが、一瞬の差でそれは遅れた。
『長距離誘導弾接近!!各員遮蔽物へ退避、急げ!!』
通信機と直接繋がっているスピーカーががなりたてる。
「く!!」
エリオがキャロとルーテシアを抱え、ビルの陰へと逃げ込む。
警報から数瞬遅れて輸送艦のCIWSが作動、こちらも誘導弾を発射、迎撃コースを取る。
それ専門に調整されたストレージデバイス扱いの長距離誘導弾と制御用の簡素なAIしか積んでいない迎撃誘導弾、
誘導弾同士の戦いはすぐに終わる。迎撃の網を通り抜けて巡航誘導弾が着弾。
『小隊異常ないか?すぐに来るぞ!!』
着弾し、爆音が響く中、小隊長が通信機越しにがなり立てる。
『輸送艦より各隊、センサーに反応多数、お客さんだ』
センサーを統括して管理する輸送艦からの警告。一瞬の静寂、だがそんなものはすぐに途切れる。
「来る・・・!!」
地面が少しだけ揺れている。付近で動いているものは?自分たちしかいない。
他の存在は?先ほどの長距離誘導弾を考えればそう簡単に“お話”を聞かせてはくれそうにない。
エリオがストラーダを構え、道路から出てくるであろう存在を待ち受ける。
「見えた!!キャロ!!」
廃墟側、道路の先から現れたのは四脚の機動兵器。
「うん!!」
キャロによる魔力ブースト、上限をあげるのは無論、エリオの加速とスピード。
「行くよ、ストラーダ!!」
現れた四脚機は両腕の部分に装備された連装機関砲で弾幕を張る。
エリオはその中をシールドを張ることなくジグザグの機動で突破、相手へと肉薄する。
「!?」
突然弾幕が止む。エリオは一瞬驚く。だが、動きを変えることなく相手の懐へ向かう。
・・・はずであった。エリオと四脚機の間に割り込んできたのは青い鳥のような足をした大型の二脚機。
二脚機の左腕が振り上げられ、エリオのストラーダと正面から衝突。
「くっ!!」
ストラーダの穂先と左腕がぶつかった衝撃でエリオの勢いが殺される。
だがそこで只で引き下がるようなエリオではない。ストラーダを振り上げ攻撃を当てようとするが
「まだいる?」
他の期待からの射撃。回避機動を取り若干距離をとる。だが複数の攻撃を流すのは簡単に出来ることではない。
追撃をかわし何とか態勢を立て直す。
「トーレさん、セッテさん!!エリオです。敵性勢力と接触、交戦中!!」
突然割り込んできた青い二脚機数機と交戦しながらエリオが通信を飛ばす。
320リリカル・コア:2007/12/31(月) 02:11:08 ID:z54u9HSp
「判った、だがこちらにもお客さんだ」
『そんな・・・、判りました。自力で対処します』
トーレが腕を組みながら雪煙を上げながら接近する影を見る。
「こちらは増強小隊規模・・・か。セッテ、ノーヴェのように遅れは取るまいな?」
彼らは雪の中に潜んでいた。不寝番のセッテの目と耳を掻い潜って配置につくほどの手錬。
雪をカモフラージュに使い、さらに音も消す。寒冷地仕様に改修しているとしても下手にAPUを動かせば
センサーに感知される。それを避けるために機内のヒーターも使ってはいない筈。
先ほどの通信でエリオ達も所属不明部隊と遭遇、フェイトは最奥部に突入したと聞いた。
いきなり分断されたのはまずいがエリオたちヒヨッ子でも三人束になれば難しいわけでもない。
フェイトについては心配は要らないし、していない。
あの元ツインテールも不出来な妹達とはいえ妹を三人、単独で下した相手、心配は無用だろう。
「心配は無用、遅れなど取りません」
不寝番で遅れをとったのが少し応えたのか柄にもなく力をこめて返事を返すセッテに少し驚くトーレ。
これが戦闘機人の完成型だな。そうトーレはセッテを評した。
他の騒がしい妹達を、正直に言えば能力は認めるが不出来な失敗作だと思う。
だが妹のチンクは『私はセインにノーヴェやウェンディのあれは個性だと思います・・・、多分・・・』。
最後は何故か自信なさげに答えていたが・・・。
『こちらはどうする?』
周囲に展開している機動小隊の隊長が通信を送ってくる。
『下手に手を出されてはこちらの戦闘機動の邪魔だ。全周警戒のまま防御円陣を小さくしろ』
『わかった、頼む』
通信を切る。正直トーレの考える先頭においては戦闘において足手まといにしかならない。
「私が前側を掃討する。セッテ、後ろ側を頼む」
「分りました。お前達もよろしく」
セッテがEOを展開し無機質に、だが少しだけ感情がこもった声で答える。
「IS発動、ランドインパルス!!行くぞ!!」
「スロターアームズ!!行きます!!」
321リリカル・コア:2007/12/31(月) 02:13:13 ID:z54u9HSp
今回はこれで終わらせて頂きますです、はい。
ではすべてのSS職人の皆様にGJを捧げ、スレ住人の皆様にはありがとうをお伝えして・・・

おやすみなさい・・・
322Strikers May Cry:2007/12/31(月) 02:26:40 ID:e70MQAoj
そういやガリューってどうやってルーと意思疎通してんだろうGJ。

俺ももう寝るので男塾クロスは明日にでも投下します。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 02:28:51 ID:uqzuLS+8
>>322
念話の亜種ではないかと
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 02:29:31 ID:4Cr09q8P
>315と>317被ってね?
325リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 02:40:40 ID:FUyrYgld
よし、新話できた。
五分後に投下します。
326リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 02:45:37 ID:FUyrYgld
【機動六課サイド】二話「二大怪人対アウレフ!決めろ!ライダーきりもみシュート!!」
【ミッドチルダ南部 ジェームズ博士の研究所】
ミッドチルダでも指折りの考古学者であるジェームズ博士は、ダイアモンドより固い貝殻を持つ、新種のアンモナイトの化石を発見し、金庫に保管していた。

「このアンモナイトは新種だ…金庫に保管し…近日中に発表しなければ…」
「そうは行かない…」
「!?」
「ゲゲゲゲェ!!」

ジェームズ博士の背後に、たくましい体躯をしたマンドリルの化物が出現する。

「お…お前は!」
「AAMON怪人、マンドリラー!」
「ま…マンドリラー?」
「その化石を渡してもらう!」
「や…やめ…」
「ゲゲゲェ!」

マンドリラーは強力なパンチでジェームズを殴り殺し、化石を奪って姿を消した。

………
日が沈みかけている…もうすぐ帰る時間だ…僕は学校で友達と別れ、家に向かう。
姉さんが美味しいご飯を作って待っている…その後は、義兄さんが一緒にお風呂に入ってくれる…そんなことを楽しみにしながら…僕は家の前の信号が青になるのを待っていた。
そして…横断歩道の向こうには…

縁(拓哉の姉、イメージCV小清水亜美)「拓哉!」
利春(縁の夫で拓哉の義兄、イメージCV山本耕二)「拓哉!」
拓哉(七歳時)「おねえちゃん!おにいちゃん!」

義兄さんと姉さんが…珍しく僕を待っていた。「早く、早く青になれ」僕はそう思いながら信号が青になるのを待った。そして信号が青になった瞬間、僕は二人の元へ走り出した…
居眠り運転のトラックが突っ込んできているということにも気付かずに…

縁「拓哉危ない!」
利春「逃げろ!」

二人は僕を突き飛ばし、トラックの牙から僕を救った…
けど…

拓哉(七歳時)「あ…あ…」

トラックに潰されて噴出した二人の血が…僕の体を汚した…

拓哉(幼少時)「うわあああああああああああああああああああああ!!」

【機動六課隊舎 拓哉の部屋】
「うわあああああああああああああああああああ!!」

拓哉は悲痛な叫びを上げ、ベッドから起き上がる。
時計の針はまだ午前二時を過ぎたところだった。

「はぁ…はぁ…くっ!」

拓哉は零れた涙を拭い、再びベッドに入った。
327リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 02:47:07 ID:FUyrYgld

【機動六課訓練場】
機動六課の訓練場。
ここでは、なのはとヴィータによる朝練が始まろうとしていた。
スバル、ギンガ、ティアナの三人は既に訓練服に着がえている。

「うぅ…!」
「スバル、ギンガさんどうしたのよ?なんか機嫌悪くない?」
「それが…」
「聞いてくれる!?」

ギンガは涙目になりながらティアナの肩を掴む。

「あ…はい…」
「昨日海上拘置所にすっっっっっごく嫌な奴が現れたのよ!そいつ…ノーヴェ達がいきなり仮釈放だ…とか言い出して…皆連れてっちゃって…あたしのことまるで眼中に入ってなくて…うぅ…」
「は…はぁ…」
「でも、いくらなんでも変だよね?ノーヴェ達が一気に…」
「おめぇら私語は慎め!もうすぐ朝練だ!」
「「「す…すみません!」」」
「ったく…」
「それにしても…拓哉君って子、遅いね。」
「新人のクセに気緩めやがっ…」
「おっ…はよう…ございまーす…」

噂をすれば何とやら。
拓哉が逆立ちで歩きながら訓練場に現れた。

「た…拓哉!?」
「あんた何やってんの?」
「起きたら…朝練まで時間合ったから…逆立ちでそこらへん…散歩してた…よっと!」

拓哉は逆立ちを止め、普通に立つ。

「やっぱ、腕の筋力には一番コレが効果ある!」
「でも、拓哉は改造人間じゃ…」
「僕は生体改造だから、トレーニングすればするたび、強化筋肉も強くしなやかになるんだよ!」
「ああ、なるほど…」
「ところで…誰この人?」

拓哉はギンガを指差す。

「ああ、陸士108部隊、ギンガ・ナカジマです。今は、機動六課に出向しています。」
「ナカジマ…スバルのお姉さんか…可愛い人だなぁ…」
「!?」
「え!?」

赤面するギンガと驚くスバル。
328リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 02:48:18 ID:FUyrYgld
「スバルのお姉さんとは、とても思えないや。」
「ぬあ!?それってどういう…」
「文字通りの意味さ♪」
「こっの…」
「スバル落ち着いて。神城拓哉君だよね?」
「そうですけど…貴女は?」
「スターズ分隊隊長、高町なのはです。君の事は、スバルやはやてちゃんから聞いてるよ。」
「ああ…どうも…」
「あたしは副隊長のヴィータだ。」
「え?ああ、すみません。ちっちゃかったから…気付かなかった…」
「あんだと!?テメェ…覚悟はできてんだろうなぁ…」

スバルとティアナは拓哉に「命知らずな奴」とイメージを抱くのだった。

【AAMON本拠地司令室】
「ゾル大佐…私の手腕はどうです?」
「馬鹿者!マンドリラー、この化石は偽者だ!」
「な…なんですと!?ジェームズめ…まさかあの時既に金庫に…」
「すぐに行って持って来い!」
「ゲゲゲェ!」

マンドリラーは姿を消す。
そして、司令室に地獄大使が姿を現した。

「ふっふっふ…ゾル大佐。」
「地獄大使!」
「噂の強力マンドリラーも、頭の方はからっきしのようですなぁ?」
「黙れ!」

ゾルは怒りながら地面に鞭を叩きつけた。

【機動六課隊舎食堂】
「ふぃ〜疲れた〜」

拓哉はテーブルに顔を埋める。

「副隊長の逆鱗に触れるから、自業自得よ。」
「ティアナは厳しいねぇ…」
「隣…良いかな?」

料理を載せたトレイを持ったなのはが拓哉の傍にやってくる。

「なのは…隊長…どうぞ。」
「なのはさんで良いよ。皆そう呼んでるし。」
「そうですか。」

なのはは拓哉の隣に座る。
329リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 02:49:04 ID:FUyrYgld

「訓練、どうだった?」
「あの副隊長さん、見かけによらず厳しいのなんのって…まっ、ガブリエルの養成所に比べれば、まだマシな部類に入るかな…」
「どんな訓練したの?」
「それは後で…でも、貴女も中々に厳しい…流石はエース・オブ・エース、美しい薔薇には棘があるって感じですかね?」
「にゃはは、あたしは薔薇ってイメージじゃないなぁ…」

拓哉となのはは歳が近いせいかすぐに仲良くなり、楽しく話を始めた。

「で、そのロブって元米軍の教官がさぁ…」
「にゃはははは!」

「…あいつ…なのはさんとあんなに楽しそうに…」
「スバル…あんた、目つきが恐い…」

そんな時、一つのニュースがテレビから流れてきた。

『次のニュースです。考古学の権威ジェームズ博士が何者かに殺害されました。』

「え?」
「ん?」

拓哉となのははテレビを見る。

『不思議なことに金品も取られておらず、重要な書類も、殆どが無事だと、研究所の職員は話しています。』

「ティア、ジェームズ博士って言えば…」
「有名な考古学者で、沢山の遺跡や化石を見つけたっていう、あれよね?」
「そんな人がなんで…」
「ティアナ。」
「ん?」

ティアナは拓哉に呼ばれ、拓哉のほうを向く。

「何?」
「ちょっと…付き合ってよ。」
330リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 02:49:31 ID:FUyrYgld

【ジェームズ博士の研究所】
「あったぞ…」

マンドリラーは金庫を発見し、ハッキングツールを使って金庫を開ける。
だが…金庫の中身は空だった。

「何!?」
「探し物はこれかしら?」

マンドリラーは女の声を聞き、後ろを振り返る。
そこには拓哉と、バリアジャケットを纏い、化石を持ったティアナの姿があった。

「き…貴様ら何者!?」
「機動六課、ティアナ・ランスター!」
「同じく、神城拓哉!」
「お、お前達が…」
「やっっぱりAAMONか、この化石をどうする気だ!?」
「貴様らが知る必要はない!マンドリラー様の怪力で、死ぬが良い!」
「うわ!?」

マンドリラーは強大な体躯を振るって拓哉を突き飛ばし、ティアナを捕まえる。

「きゃ!?」
「ティアナ!?こんっの…」

拓哉はマンドリラーに飛び掛るが、逆に蹴飛ばされ、窓ガラスを突き破って五回の高さから落ちていった。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
「拓哉!」
「貴様も死ね!」

マンドリラーは割れた窓ガラスからティアナを突き落とす。

「きゃああああああああああ!!」

【外】
「きゃああああああああああ!!」

ティアナは真っ逆さまに地面に向けて落ちていく。
「もはやこれまで…」ティアナがそう思った瞬間、アウレフが現れた。

「ライダー!」
「トオオオオオ!!」

アウレフはティアナをキャッチし、地面に着地する。

「大丈夫か?」
「ライダー…」

「仮面ライダー!化石は貰っていくぞ!」

マンドリラーは上からそれだけ言い残し、姿を消す。
331リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 02:51:47 ID:FUyrYgld

「逃げたか…」
「ごめん…あたしのせいで…」

ティアナの目から涙が零れる。

「別に良い、次に取り返せば良いだけの話だ。」
「う…うわあああああああああ!」

ティアナは号泣し、アウレフの胸に顔を埋める。

「どおお!?…」

アウレフは戸惑いながらもティアナの頭を、異常腕力で潰さないよう優しく撫でるのであった。

「それに…情報源はある。」
「ひっく…えぐ…え?」
「捕まえたんだよ。落ちた時に一人…」

アウレフは気絶している戦闘員一人を指差した。

(アイキャッチ・機動六課サイド)


投下終了です。
色々無茶苦茶なところは昭和ってことで…
アイキャッチ絵描いてくれる人、OPED考えてくれる人募集してます(ぉ
まぁ、賞品はありませんが…
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 03:02:45 ID:ZDHPsttw
支援?
333リリカルなのはFeather:2007/12/31(月) 03:14:22 ID:oLaR9tw7
>>273
あのー私もこのスレに受けいれられて無いんでしょうか?
この間も投下中に感想レスが入ったりしてますし。ご指摘をいただいてる
スーパロボット大戦Xさんが羨ましい限りです。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 03:53:09 ID:xy40GHBB
というよりスパロボX氏を無条件で叩く連中がまだ残ってた事に驚き
335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 04:17:26 ID:uqzuLS+8
>>344
というよりも、一人が言い出したから、そういえばいたなぁ的なノリだろ。
住人はスルースキルを身に付けている一流のネット民だろ。
自分に合わなければスルーは今までほぼ完璧だったから、そこまで問題にもならんだろ。
まぁ、正月前でちょっと気が緩んでしまったんだよ
336スーパーロボット大戦X:2007/12/31(月) 08:03:16 ID:QsddScbG
あの後、寝たからどうなってたかはわからなかったが久々に叩かれたな。
まあ、変更後のものはまとめの方できちんと出来てますのでそちらを見ていただきたいです。
命乞いはやめさせました。やはり自分でも反省しましたよ。
>>333
まあ、散々叩かれたとはいえ自分の中では指摘をされて成長している実感はしてるつもりです。
337リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 11:35:26 ID:G8KKuu2z
リリカルグレンラガンPart.C
昼飯食ったら投下開始します。
しかし、最後まで進めなかった(汗)
Part.D(本当の最終話)は、正月後投下します。祖母の家に行くのでパソコン無いw
338名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 12:06:45 ID:Swnbd9dS
支援だぜ!
ウォウウォウ!ファイトパウワ!!
339リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 12:57:01 ID:G8KKuu2z
投下を開始する。
多分大晦日で人が居ないだろうけど、支援よろしく
340リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 12:58:23 ID:G8KKuu2z
Part.C
天元突破グレンラガン×魔法少女リリカルなのはA's


魔法少女リリカルグレンラガンA's



 結界に包まれ封鎖された海鳴市で行われている闇の書と管理局との戦いは、今夜決着が着こうとしていた。
 クリスマスの聖夜に祝福の風として生まれ変わった夜天の書の管制人格は、この一戦後自分が消滅する運命を悟っていた。
 それが、変えられる運命であろうと今この一瞬を主と共に戦う事こそ掛け替えの無い一瞬なのだから。

 闇の書の暴走部分からはやてとリインフォースが分離された事によって、海面に落ちた抜け殻は暴走を開始した。
 墜落部分から半径50m程の黒い闇のスフィアが発生、その周囲に今まで取り込んできた生物達の生体パーツが蠢いている。
 暴走前に生成されていた巨神兵たちは、グレンラガンへと攻撃を仕掛けていたが瞬く間に撃墜されていく。
 闇の書から脱出した今のシモンの精神力は、今までの比ではない。
 巨神兵から繰り出される拳による攻撃を機体の重心を少しずらし紙一重で交わすと同時にカウンターに掌からドリルを叩き込む。
 ドリル掌と呼ばれるこの技を胸に受けた巨神兵は、装甲を簡単に貫かれ更に突き刺されているドリルが巨大化し肉体を構成するコアを砕かれ消滅する。
 その隙を突いてグレンラガンへと獲り付こうする残りの巨神兵たち。
 だが、巨神兵に顔を向けたグレンラガンの額パーツには螺旋力が集まりドリルが出現、その先端にエネルギーが集まる。

『ドリトロンビームッ!』

 緑色に発光するビーム横一線に放たれ巨神兵たちに直撃、その威力に次々に爆砕されていく。
 その圧倒的に力を見たなのは達はグレンラガンの力の高さに感心する。

「グレンラガンって、こんなにも強かったんだね。フェイトちゃん」
「そうだね、なのは。実際に戦っている場面を見たのは2度目のシグナム達との戦い以来だからね」
「流石はシモンとニアとブータだね」
「データを回覧させてもらったけど、あれって地面に埋められていたんだよね…いつか僕も掘り出せちゃ」
『みんな。感心してるとこ悪いけど、その下の黒い歪みは暴走する場所になる。クロノ君が着くまで無闇に近づいちゃ駄目だよ』
「(ん〜はい!)」

 なのはが返事をした瞬間、近くを赤い巨人が通り去る。
 シモン達が駆るグレンラガンだ。

「シ、シモンさん!?何してるんですか」
『力を蓄える前に叩き潰す!』
「エイミィさんの話を聞いて無いんですかぁ!?」

 なのはの叫びも空しく、グレンラガンは右腕をギガドリルへと変え黒い歪みを捉える。

『ギガドリルゥゥゥブレイクッ!』

 巨大なドリルと化し、黒い歪みへとドリルを叩き込むグレンラガン。だが、

「くっ、ドリルの先っぽも通らねぇ」

 闇の書が作り出した黒い歪みは、グレンラガンのギガドリルをもってしても貫けないほどの強度を持つフィールドと化していた。
 無理やり貫こうとするシモンだったが、それより先にフィールドの反発力に弾かれ海面へと叩きつけられる。
 直ぐに浮上したが、流石にリンディ提督からのお叱りを受けたシモン一旦なのは達が待機する空域へと退避する。
341戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 13:00:13 ID:DEXfKXk/
いきなり支援!とりあえず支援!
342リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:01:47 ID:G8KKuu2z
 ニアの笑顔を見て涙腺が緩んだのかはやての瞳から涙がこぼれる。
 そんな所に水を差しに来るクロノ。

「すまないな。水を差してしまうんだが、時空管理局管理官、クロノ・ハラオウンだ。時間が無いので完結に説明する」

 クロノの説明は、簡潔に説明するとこんな感じだ。
 あの黒い淀みから闇の書の防衛プログラムが数分で暴走を開始する。
 自分達は、何らかの方法でその暴走を食い止めなければならない。
 そして、停止のプランは現在2つある。

「1つ、極めて強力な凍結魔法で動きを停止させる。2つ、軌道上に待機している艦船アースラの魔道砲アルカンシェルで消滅させる。
他に良い手は無いか闇の書の主とその守護騎士達に問いたい」

 クロノの問いに真っ先に答えたのはシャマルであった。

「えーと、最初のは多分難しいと思います。主の無い防衛プログラムは魔力の塊みたいなものですから」
「当然、コアがある限り再生し機能が止まらん」

 シャマルとシグナムの回答の後にヴィータは両手をクロスしてバツの字を作り拒否を表す。

「アルカンシェルも絶対駄目。こんな所でアルカンシェル撃たら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!」

 ヴィータの回答に、なのははビックリする。

「アルカンシェルってそんなに凄いの?」
「発動地点を中心に百数十キロ範囲の空間を歪曲させながら反応消滅を起こさせる方法…って言えば大体分かる?」

 ユーノの回答にクロノへアルカンシェルの使用は絶対駄目だと進言するなのは。
 フェイトもそれに続く。

「僕も艦長も使いたくは無いよ。でも、あれの暴走が本格的に始まったら被害がそれよりもっと大きくなる」
「暴走が開始すると、触れるものを全て侵食し、無限に広がっていくから」

 クロノとユーノの説明に顔が暗く成るなのはとフェイト。
 そんな皆に提案を言うシモン。

「それがプログラムって言う奴なら、ラガンで機能を奪えないか?今まで獣人たちのガンメンとかそうやって奪ってきたけど」
「いや、それは無理だ。ラガンのデータを見せてもらったけど、機械などには効果があるが魔力の塊である暴走プログラムには無意味だ。逆に侵食される恐れさえある」

 クロノの回答に口ごもるシモン。
 そんな空気にエイミィの報告が響く。

『はーい、みんな!暴走臨界点まで15分切ったよ。決断はお早めに!』

 エイミィの報告を聞きクロノは、再び守護騎士達に問う。方法は無いかと。
 しかし、シグナム達も暴走に立ち会ったことが無いため良い方法が見つからない。
 互いに意見をぶつけ合う中、アルフが言い出す。

「ああ、ごちゃごちゃ鬱陶しいなぁ!みんなでズバッとぶった押しちゃう訳には行かないの?」
「ア、アルフ。これは、そんなに単純な話じゃ」
343リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:03:14 ID:G8KKuu2z
ぎゃーミスったw張りなおすOrz
ごめんなさい。
>>342
は無かったことにOrz 
344リリカルグレンラガン携帯:2007/12/31(月) 13:05:12 ID:AB+hJg7e
支援
345リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:05:22 ID:G8KKuu2z
 暖かな光の中ではやては、夜天の書と向き合う。

「管理者権限発動」
『防衛プログラムの進行に割り込みを掛けました。数分程度ですが暴走開始の時間を遅延出来ます』
「うん。それだけあったら十分や」

 はやての周りには4つのリンカーコアが待機している。

「リンカーコア送還。破損修復」

 消滅された病院の屋上に浮かび上がる4つのベルカ式魔法陣。
 その魔法陣より、その場で消えてしまったヴォルケンリッターたちが次々に復活していく。

「おいで、私の騎士達」

 はやての呼びかけに反応し、彼女の足元に白色のベルカ式魔法陣が現れその周囲に愛しい騎士達の転送ポイントを出現させる。

 突如現れた白色の魔法陣に目を奪われていたなのは達は、突如その魔法陣から発せられる衝撃波と輝きに目を腕で覆い隠す。
 その光から現れたのは、光の柱を中心に囲んで立つ守護騎士たち。
 彼女達が囲む光の柱はスフィアとなる。
 シグナム達の帰還に驚くなのはとフェイト。

「我ら、夜天の主の下に集いし騎士」
「主ある限り、我らの魂尽きる事なし」
「この身に命ある限り、我らは御身の下にあり」
「我らが主、夜天の王、八神はやての名の下に」

「リインフォース。私の杖と甲冑を」
『はい』

 騎士甲冑と杖を得たはやて。
 その身を守る光の球体は砕け、肌を外気へさらす。

「はやてちゃん!」
「はやて!」
「はやてちゃ〜ん!」

 なのはは、彼女が戻ってきてくれた事を嬉しく思う。
 シモンとニアもまた、彼女達の帰還を大いに喜び、コクピットから顔を出す。
 友人達の呼びかけにはやては笑顔で返す。

「夜天の光よ、我が手に集え。祝福の風リインフォース、セーットアップ!」

 融合型デバイス祝福の風リインフォースとのユニゾンをして、夜天の書の主である八神はやての騎士甲冑は更に強化され、
背中にはスレイプニールの羽が出現し髪と目はユニゾンによって変色している。

 主はやての復活に喜ぶと思った守護騎士達だったが、今まではやてに黙って行っていた蒐集行為に対してどう弁解するべきか悩んでいた。

「ええよ。みんな分かてる。リインフォースが教えてくれた。せやけど、細かい事は後や。今は…おかえり、みんな」

 その言葉に今まで我慢していたヴィータは涙を流しながら、はやてに抱きつく。
 妹分のヴィータを優しく抱くはやて。
 そんな彼女達の近くへ飛んでくるなのはとフェイトとグレンラガン。
346リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:07:31 ID:G8KKuu2z
「なのはちゃんも、フェイトちゃんも、ごめんな。家の子たちが色々迷惑かけてもうて」
「ううんん」
「平気」

 グレンラガンのコクピットから顔を出したシモン達に気づいたはやて。

「あ、シモンさんも、ニアさんも、ごめんな。この子達の手伝いをさせてしもうて」
「気にするな。大した問題じゃないさ」
「そうです。それに私達の目的も達成しましたし」
「目的?」
「はやてちゃんの元気な姿が見れた事です」

 ニアの笑顔を見て涙腺が緩んだのかはやての瞳から涙がこぼれる。
 そんな所に水を差しに来るクロノ。

「すまないな。水を差してしまうんだが、時空管理局管理官、クロノ・ハラオウンだ。時間が無いので完結に説明する」

 クロノの説明は、簡潔に説明するとこんな感じだ。
 あの黒い淀みから闇の書の防衛プログラムが数分で暴走を開始する。
 自分達は、何らかの方法でその暴走を食い止めなければならない。
 そして、停止のプランは現在2つある。

「1つ、極めて強力な凍結魔法で動きを停止させる。2つ、軌道上に待機している艦船アースラの魔道砲アルカンシェルで消滅させる。
他に良い手は無いか闇の書の主とその守護騎士達に問いたい」

 クロノの問いに真っ先に答えたのはシャマルであった。

「えーと、最初のは多分難しいと思います。主の無い防衛プログラムは魔力の塊みたいなものですから」
「当然、コアがある限り再生し機能が止まらん」

 シャマルとシグナムの回答の後にヴィータは両手をクロスしてバツの字を作り拒否を表す。

「アルカンシェルも絶対駄目。こんな所でアルカンシェル撃たら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!」

 ヴィータの回答に、なのははビックリする。

「アルカンシェルってそんなに凄いの?」
「発動地点を中心に百数十キロ範囲の空間を歪曲させながら反応消滅を起こさせる方法…って言えば大体分かる?」

 ユーノの回答にクロノへアルカンシェルの使用は絶対駄目だと進言するなのは。
 フェイトもそれに続く。

「僕も艦長も使いたくは無いよ。でも、あれの暴走が本格的に始まったら被害がそれよりもっと大きくなる」
「暴走が開始すると、触れるものを全て侵食し、無限に広がっていくから」
347リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:09:46 ID:G8KKuu2z
 クロノとユーノの説明に顔が暗く成るなのはとフェイト。
 そんな皆に提案を言うシモン。

「それがプログラムって言う奴なら、ラガンで機能を奪えないか?今まで獣人たちのガンメンとかそうやって奪ってきたけど」
「いや、それは無理だ。ラガンのデータを見せてもらったけど、機械などには効果があるが魔力の塊である暴走プログラムには無意味だ。逆に侵食される恐れさえある」

 クロノの回答に口ごもるシモン。
 そんな空気にエイミィの報告が響く。

『はーい、みんな!暴走臨界点まで15分切ったよ。決断はお早めに!』

 エイミィの報告を聞きクロノは、再び守護騎士達に問う。方法は無いかと。
 しかし、シグナム達も暴走に立ち会ったことが無いため良い方法が見つからない。
 互いに意見をぶつけ合う中、アルフが言い出す。

「ああ、ごちゃごちゃ鬱陶しいなぁ!みんなでズバッとぶった押しちゃう訳には行かないの?」
「ア、アルフ。これは、そんなに単純な話じゃ」

 その話を聞き、なのは、はやて、フェイト、シモンに良いアイディアが思いつく。

「ずばっと、ぶっ飛ばす…」
「ここで撃ったら被害が大きいから撃てへん…」
「でも、ここじゃなければ…」
「海の上や地上じゃ無ければ良いのか…」
「「「「ああぁ!」」」」

 盲点に気づいた4人の代表でなのはが、クロノに話しかける。
 
「クロノ君!アルカンシェルってどこでも撃てるの?」
「どこでもって…例えば?」

 クロノの問いにシモンは思ったことを言う。

「グレンラガンで、あれを空中に叩き出す!」
「あ、シモンそうじゃ無くて、今アースラが居る場所」
「軌道上、宇宙空間で」
「うちゅう…って、いったいなんだ?」
「まぁ、それは後で話すね」

 シモンの答えに変わって答えるフェイトとはやて。
 アースラでのその話を聞いていたエイミィは、力強く答える。

『管理局のテクノロジーを舐めて貰っちゃあ困りますなぁ。宇宙だろうが、どこだろうが!』

「おい、ちょっと待て、君ら」

 クロノの問いに顔を見合わせて力強く頷く最強魔道師3人娘。

「なんとも、まぁ…相変わらずものすごいと言うか」
「計算上では実現可能ってのがまた怖いですね。クロノ君、こっちのスタンバイはOK。暴走臨界点まであと10分」

 飽きれながらも感心するリンディ提督と、その子達の力に驚かされるエイミィ。
 アースラからの連絡を受けクロノは、みんなに今回の作戦の概要を説明する。
348リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:12:24 ID:G8KKuu2z
「実に個人の能力頼りで、ギャンブル性の高いプランだが…まぁやってみる価値はある」
「防衛プログラムのバリアは、魔力と物理の複合四層式。まずは、それを破る」
「バリアを抜けたら本体に向けて私達の一斉砲撃でコアを露出」
「そしたらユーノ君たちの強制転送魔法で、アースラの前に転送!」

 はやて、フェイト、なのはの順に説明が行われ、それを聞いていたリンディとエイミィとアースラクルーたち。

『あとは、アルカンシェルで蒸発っと』
『上手く行けば、これがベストですね』

 監禁されている一室で、グレアムは夜天の書の主として覚醒した八神はやてをモニター越しに見守る。

「提督、見えますか?」
『ああ、よく見えるよ。クロノ』
「闇の書は呪われた魔道書でした。その呪いは幾つもの人生を喰らい、それに関与した人々の人生を狂わせて来ました。
あれのお陰で僕も母さんも、他の多くの被害者遺族も、こんな筈じゃない人生を進まなくちゃ成らなかった。それはきっと貴方もリーゼ達も、
無くしてしまった過去は戻らない。シモンも言ってましたよ、死んで行った者達の思いは自分達の胸で生き続ける」
『Set up』

 デュランダルを起動させ、その氷結の杖をその手に掴むクロノ。

「だから、今を戦って未来を変えます。死んで行った者達の思いを乗せて、悔いの無い未来を掴みます」

 アースラでは、アルカンシェルのチャージに入る。
 防衛プログラムの暴走まであと2分を切っていた。
 時間も迫っていた所で、なのはとフェイトの傷を見たはやては、シャマルに頼み彼女達の魔力と擦り傷を回復させる。

「湖の騎士シャマルと、風のリング・クラールヴィント。癒しと補助が本領です」
「すごいです。シャマルさん」

 アルフとユーノ、そして守護獣ザフィーラはサポート班として防衛プログラムの周囲を覆うバリケードと化したモンスターの触手を排除する役に就く。
 そして、防衛プログラムの暴走がついに始まる。
 
 黒い歪みの周囲より凄まじい量の魔力が噴出す。

「夜天の魔道書を呪われた闇の書と呼ばせた防衛プログラム、闇の書の…闇」

 はやて達の目前で黒い歪みは崩壊し、中からは巨大な予想にもしていなかった巨人が鎮座していた。
 巨神兵のボディをメインとし、それに強固な生体装甲を覆い被せ防御力の向上を成し遂げ、背中には巨大な漆黒の翼が一対生えている。
 そして、額には抜け殻となった闇の書の防衛プログラムの面影が残る紫色の肌をした女性型の生体パーツが本体と結合している。
 その形は大型化したグレンラガンに良く似ている。

 しかし、そんな事を気にする時間など無くアルフ達サポート班は防衛プログラムを守るモンスターの触手を薙ぎ払いに移る。
349リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:14:45 ID:G8KKuu2z
「まるで、グレンラガンじゃない…でもやるしかない!チェーンバインド!」
「ストラグルバインド!」
「縛れ、鋼の軛!でぇぇぇやっ!!」

 アルフ、ユーノ、ザフィーラによるバリケード化した触手を拘束魔法の応用で切り裂いていく。
 我が身が生み出したモノが破壊され防衛行動に移る闇の書の闇。
 背中に生えた翼を羽ばたかせ、その巨体を海から引き上げ空中へと飛び上がらせる。
 怪物のような鋭い牙を剥き出しにした口をなのは達へと向ける。
 その光景に危機を感じるクロノは、瞬時にみんなに退避勧告を発する。

「みんな、急いでここから離れるんだ!あれを喰らったら死ぬ!」

 急速に退避し始めるなのは達だったが、闇の書の闇の最上級砲撃魔法の線路上に人影を見て焦る。

「アリサちゃん、すずかちゃんが射程内に居るよ!急いで転移をお願いします!」
『あぁぁ時間が足りない』

 なのはの要請に急いで転送準備を行うエイミィだったが、アルカンシェルにエネルギーを割かれた状態だったため転送準備に時間が掛かる。
 闇の書の闇の口から漆黒の魔法砲撃が解き放たれる。
 なのはとフェイトとはやて、それから守護騎士達とユーノ達も闇の書の闇による攻撃からアリサたちを助けるため己が持つ最大の防御壁を展開する。
 しかし、スターライトブレイカー以上の極太の砲撃、しかも殺傷設定の一撃を防ぎきれるか分からない。
 だが、引くわけには行かない。
 魔法を持たない普通の友人を死なせる訳には行かない。
 海面を割りながら膨大な熱量を持つ魔道砲がなのは達が張る障壁に当たる直前にグレンラガンが割り込む。

『ダアァァァッ!!』

 グレンラガンの右腕に生成したギガドリルを傘状に変化させ皆の盾となる。
 闇の書の闇が放つ魔道砲の余波は、凄まじくグレンラガンの防御の上をすり抜け魔力ダメージを周囲に与えていく。
 アリサとすずかにとって、その一撃でも生死に関わる。
 なのは達は己の限界まで防御魔法を展開する。
 敵の攻撃が止んだ後には、ギガドリルが破損し右腕から煙を上げているグレンラガンの姿がある。
 グレンラガンのダメージをフィードバックしたシモンの顔は苦痛の表情だ。
 その後ろで障壁を張って居たなのは達も魔力ダメージでかなりのダメージを受けている。
 対して、闇の書の闇である防衛プログラムにとって、この程度の魔力消費など数分で回復する。
 圧倒的戦力差が徐々にシモン達を追い詰めていく。

「このままやと、本当に不味い」

 息を上げながらも、はやては攻撃態勢を崩さないように気張る。
 はやてを守るよう位置で武器を構える守護騎士達だったが、皆かなり消耗している。
 なのはとフェイトは、ユーノとアルフの防御魔法でダメージを半減することが出来たが一方二人を守った方は大半の魔力を消費させられている。
 クロノも、防御に魔力を奪われ氷結魔法の発動に必要な魔力の確保で精一杯な状態である。
 まさに、絶体絶命と言う言葉が似合う状態だった。
 しかし、ここに居るメンバーに心挫かれた者は誰一人居ない。
 まだ逆転のチャンスを狙う強気心がある。
350リリカルなのはFeather:2007/12/31(月) 13:14:55 ID:oLaR9tw7
とりあえず支援します
351リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:17:04 ID:G8KKuu2z
「もう一度、複合バリアへ攻撃を仕掛けるぞ」
「無茶だ。この防衛プログラムは機動力が異常に上がっている。私とテスタロッサなら攻撃が当たるだろうが他の者達の大技では当たらない可能性がある」
「はっはっはっ…ん、それに敵からの攻撃を防ぐにも僕らの魔力が先に尽きてしまうよ。それにしても、防衛プログラムの力の上がりようが異常だよ」

 肩で息をしているユーノの言うとおり、闇の書の防衛プログラムの能力上昇が異常なモノとなっている。
 それに、その姿がグレンラガンに極似している。
 その時ユーノは、敵の力の上昇の理由が分かった。

「…分かったよ。敵の能力の異常な上昇理由が」
「ユーノ君、それって」
「グレンラガン…いや、ラガンを一度闇の書は取り込んでいる。その時にシモンの力も一緒に吸収したんだよ」
「ラガンの解析データにあった『螺旋力』ってモノか」

 クロノはグレンラガンの方を向く。
 破損した部分が徐々に修復されている様子が良く分かる。
 螺旋力と言うモノは、自己修復さえも容易なのかと考える。
 集音機でクロノ達の話を聞いていたシモンは、相手の能力の高さの一端が自分にあると知るとラセンモニターを叩く。

「くそぉぉぉ、俺の力がみんなを危機に追い込んでしまったのか…俺の力が足りないばかりに」
「シモン…元気を出してください。こんな所で悔やんでも何も解決しません。今持てる力で危機に打ち勝つことを考えましょう」
「ブッブゥー!」

 必死にシモンを元気付けようと奮闘するニアとブータだったが、今のシモンに届かない。
 絶望的な状況の中、ヴィータはグラーフアイゼンを構え再充填中の闇の書の闇に向かおうとする。

「ヴィータちゃん、1人じゃ無理だよ!」
「ウッセェ!ここでやらなきゃ、はやてを守れねぇ…それに、お前にも借りがあるからな、高町なのは」
「ヴィータちゃん…」

 初めて名前を呼んで貰えた事に嬉しい反面、このまま彼女を向かわせる訳には行かない自分が居ると感じるなのは。
 シグナムは、フェイトの横に来ると提案を投げかける。

「テスタロッサ。私の持つ最大の攻撃で最初の障壁を突き破る。その隙に二層目の障壁の破壊を頼む」
「シグナム…でも、それじゃあ三層目と四層目の障壁が」
「三層目は、私の残りの魔力を全て使い、その一撃で破壊する。最後の層は…シモンに任せるさ」

 命を掛けるつもりのシグナムを必死に止めようとするフェイト。
 しかし、そんなやり取りもあと数分で打ち止めだ。
 焦る皆の気持ちが分かるはやては、この状況を打破する事が可能な魔法を検索し始める。
352リリカルグレンラガン携帯:2007/12/31(月) 13:18:11 ID:AB+hJg7e
支援
353リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:20:27 ID:G8KKuu2z
「(絶対に何か方法がある筈や。こんな結末が運命だなんて絶対に認めへん。そうや、絶対に)」
『主、未検索な魔法が1つ残っています』
「(ありゃ、見落としてもうたか〜そんで、その魔法はどんな効果なん?)」
『それが…あ』
「(あって…リインフォース?)」

 その時、夜天の書が自動的に開き未使用の魔法を開放した。
 その輝きに、その場に居たみんなが光の中へと取り込まれる。
 突然の異変に動揺するアースラクルー。

「クロノ君!なのはちゃん!フェイトちゃん!ユーノ君!アルフ!はやてちゃん!守護騎士の皆さん!返事をして!!」
「こんな事って…あの光で何が起きているの?」

 夜天の書の光に包まれ、異空間へと連れて来られたはやて達。
 無重力状態なのか、皆宙へ浮いている。
 シモン達は、グレンラガンから降ろされておりコクピットが開いている

「ここはいったい!?」
「どこなのでしょうか?お分かりですか、はやてちゃん?」
「えーっと、ごめん。私も知らないうちに発動してもうたんよ。リインフォース、ここが何処か分かるかー?」
『はい。ここは、螺旋力と魔力が組み合わさって出来た異空間…そして』
「俺様たちが導いたって奴だ」
「うむ」

 そう答えたのは、シモンにとって大事な人物と敵であった人物だった。

「久しぶりだな、シモン!」
「あ、兄貴…アニキィィィ!!」

 カミナの下へ近づこうと動くシモンだったが体が思うように動けずバタつくだけでまったく進めていない。
 そんな弟分の姿を見てニコリと笑みが漏れるカミナ。
 ニアも、会いたかった人物との再会を果たしていた。

「お父様…」
「ニアか、久しぶりだな。いや、死人が久しぶりとは変だな」
「何故お父様がここに?」
「ふむ、その事でここに呼んだのであった…そこの人間」
「って、俺のことかぁ?いい加減にカミナって名前を覚えやがれ!」
「済まぬな、死人の名前など覚える義理が無い。それに、時期に意識は拡散して消える」
「仏頂面で言う事は言いやがるぜ。たっく…シモン!それと、はやてと他数人!」

 シモン達の話を聞いていた皆は、カミナに呼ばれ彼に目線を移す。

「良いかぁ、よぉく聞けよ。これから、お前達は『合体』する」

≪……はぁ?≫

 カミナの一言に首を傾げるなのは達。
 何人かは顔を赤らませて顔を隠している。

「何人かは変な妄想をしているが、合体と言えばロボットによる合体だ!それを可能にするマシーンは…そこだ!」
354リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:22:35 ID:G8KKuu2z
 カミナが指差す先にはラガンタイプのポットが人数分並べられている。
 各自ラガンの側へと移動する。
 みんながラガンの側へと来たのを見届けたカミナは、後の説明を螺旋王ロージェノムへと託す。

「後の説明は頼んだぜ、オッサン」
「ロージェノムだ…良かろう。お前達螺旋力を持たぬ者達でも乗れるようプログラムされている。まぁ魔力という物が無ければ動かぬがな」
「魔道式のラガンって事か…貴方達はいったいどこから」

 クロノの質問には、カミナが答えてやった。

「シモンが夜天の書に取り込まれた時に、ラガンとグレンに残されていた俺達の螺旋因子が蘇ったのさ」
「ただし、精神体であり時間制限もあるがな」
「オッサンの言うとおりだ。時間がねぇ…さぁさっさと乗り込みやがれ!」

 カミナの無理やりな言い分に反感を持つクロノとシグナムだったが、次の彼の言葉に先ほどの思いを悔やむ。

「お前達なら、こんな危機なんてぶっ飛ばしていける。夜天の書の中でお前達の行動や気持ちとか流れてきたから分かる。お前達はすげぇ奴らだ。
シモンや、俺にまったく負けてねぇ!信頼する仲間と共に戦う…カッコイイじゃねぇか。そんなお前達なら絶対にこれで勝てる。このカミナ様とお墨付きだ!
胸を張って良いんだぜぇ!なぁ、シモン?」
「う、うん!兄貴の言う事は絶対に実現するんだ。そう、絶対…あ」

 その時カミナが死んだ時の事を思い出し涙目になるシモン。
 あの時彼は敵の戦艦を奪って、俺達の母艦にしようと言った。
 それに、ヨーコとの約束…それらは守られていない。
 震えるシモンを見たカミナは、彼の肩を掴み気合を入れてやった。

「シモーーーン!歯ァッ食いしばれぁぁぁぁ!!」

 凄まじい勢いで殴られ吹き飛ぶシモン。
 ロージェノムの側に居たニアは、彼の側へと駆け寄る。

「何をするのですか!シモンの兄貴なら、もっと大事にするはずです」
「えーっと、お前がシモンの彼女のニアって子か」
「?彼女って何ですか」

 その一言に無い床に頭をぶつけるシモン。

(酷いよ…ニア)

 心の中でつぶやくシモン。

「ニア!お前はシモンが弱音を吐いていたらどうする!?」
「元気付けます!」
「それでも弱気のままだったら、どうする!?」
「それでも、元気付けさせます!」
「…わかった。シモン!良い女を見つけたな」
「え、兄貴」
「そんじゃ、そんな彼女に1つ助言だ。シモンは殴られた方が元気になる」
「本当ですかぁ?」
「ああ、マジだ」

 何か危険な話をしているのではと近寄ろうとするシモンの肩をロージェノムが掴む。
355リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:24:42 ID:G8KKuu2z
「我を超えし、螺旋力を持つものよ。お前が今後もニアとの暮らしを望むのなら心を決めよ」
「ロージェノム…いったい何を」
「お前達の進む道は、いずれ途切れる。これは抗えない運命だ。それでも、ニアを愛するか?」
「…当然だ」
「分かった。成らば行け、新たな螺旋の戦士よ。いずれ来る悪夢から螺旋族を救うため生き残れ」

 そう言い残し、ロージェノムはシモンから離れていく。
 カミナとニアも話が終わったのか離れる。
 ニアはシモンの下へ、カミナはロージェノムの側へと立つ。

「そんじゃ、後はお前ら次第だ。シモンの仲間ならお前達全員グレン団だ!グレン団なら無理を通して道理を蹴っ飛ばす。お前達の力を信じろ!
誰かのために使う力は、どんな力よりも強い…行って来い!この大勝負、負けんじゃねぇぞ!」

≪は、はい!≫

 皆が一斉に返事をする光景はまさにグレン団だ。と、思うシモンであった。

「お父様…行ってしまうのですね」
「既に死人である我が何を言っても無駄だろうが、我が娘よ…達者でな」
「はい。お父様もお元気で」

 別れの挨拶を済ませたロージェノムは、光の粒子と成って消えた。
 そしてカミナも足の方から光に変わっていく。

「お、俺もそろそろ時間切れか」
「兄貴…」
「行けよ、兄弟。お前の力が必要なんだぜ…あいつらはよ」

 カミナの指差す先には、みんなが待っている。
 シモンは小さく頷き、あの腹を括った熱き男へと戻っていた。

「行くよ、兄貴。未来はこの手で掴む」
「行って来い、シモン!もし死んじまったら、酒でも持って来いよ。そんじゃ、あばよ!」

 カミナが消失した後、シモンの頬を何かが流れるも袖で拭き取りゴーグルを装着し表情が凛々しくキリッとしている。
 そんな彼の姿を見たはやては、少しドキッとしたが誰も気づいていなかった。
 気合を入れたシモンは、グレンラガンへと乗り込む。
 続いてニアも乗り込みグレンラガンは再起動する。
 立ち上がったグレンラガンからは、大量の螺旋力が放出され始める。

『行くぜ、みんな!俺達人間の力、見せてやろうぜ!!』

≪おう!≫

 シモンの号令に一斉に答え、魔道式のラガン達は一斉に起動し次々にグレンラガンへと合体していく。
356リリカルグレンラガン携帯:2007/12/31(月) 13:26:41 ID:AB+hJg7e
支援
357リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:26:52 ID:G8KKuu2z
 光の柱に取り込まれてから2分経過し、魔力の再充填が終了した防衛プログラムは暴走するプログラムの命ずるままに動き始める。
 エイミィによってまた違う場所へ転送されアリサとすずかはその場に居なかったが、この町から脱出できない状況では危機は全く振り払われていない。
 武装局員を終結させ、闇の書の防衛プログラムへの攻撃を開始しようと考えた時光の柱が膨大なエネルギーと共に破裂する。
 その圧倒的な輝きにモニター全体が輝きに包まれ、アースラのクルーたちは一斉に顔を背ける。
 光が止み、モニターを見たとき予想もしないモノが立っていたのだ。

「あれは…もしかして」
「もしかしなくても、あれはシモン君の乗ってたグレンラガンですよ!でも、大きさがまるで違う」

 そう、モニターに映るグレンラガンは全高40mを超えているモノで闇の書の防衛プログラムと同等の大きさを持つ。
 更に全身から虹色の輝きを放つ炎が吹き出ている。
 突如現れた赤き巨人を発見した防衛プログラムは、危険性があるのか無いのか赤き巨人をサーチし始める。
 その時、その赤き巨人が名乗り上げを始める。

『どんな優しい夢であろうと、それは過去』:フェイト
『ならば、私達で未来を作っていくの!』:なのは
『悲しい運命の螺旋に捕らわれようと』:ニア
『愛しい者達への思いが扉を開く!』:はやて
『無限の悪意が阻もうと!』:クロノ
『『『『我らの思いが定めを決める!』』』』:シグナム・シャマル・ヴィータ・ザフィーラ
『どんな運命であろうと突破する!』:シモン

≪築いて見せるぜ、己の道を!≫

“運命突破グレンラガン”

≪俺達を、誰だと思ってやがる!≫

358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 13:28:16 ID:AJaOEe4j
無限のドリルでただ今支援。
359リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:29:14 ID:G8KKuu2z
 運命突破グレンラガンの名乗り上げを聞いた防衛プログラムは、己を滅する存在だと判断する。
 巨大な漆黒の翼を羽ばたかせ運命突破グレンラガンへと突撃する。
 グレンラガンも走り出し、巨大な物体同士が衝突する。
 その衝撃は海を割り、大津波を発生させる。
 互いに衝突した2体は互いに海面に背中から倒れこむ。
 先に動き出したのは闇の書の闇の方だった。
 暴走したプログラムは、通常以上のパワーを発揮させグレンラガンを圧倒する。
 しかし、それほどのパワーを使えば身体に反動が返り各所の生体パーツが弾けていく。
 殴られ吹き飛ばされるグレンラガンも、このまま殴られっぱなしには成らず一瞬動きが止まった隙に右手に巨大な金槌を構える。

『ここは、あたしとグラーフアイゼンにやらせて貰うぜ!』

 ヴィータの操縦したグレンラガンは、一気に敵に接近しグレーフアイゼンを振り回す。
 金槌が次々にヒットさせていく。
 しかし、四層にもなる複合バリアを破れず相手を吹き飛ばすばかりだ。

『そんならぁぁぁ!轟天爆砕、ギガントッシュラーク!!』

 金槌に全魔力を集中させ、超巨大な金槌を形成。
 その大金槌を闇の書の闇へ叩き込む。
 大質量に加え膨大な魔力による一撃は闇の書の闇が展開する一層目の複合バリアを破壊する。

『高町なのはと、レイジングハート・エクセリオン行きます!』

 グレンラガンに握られていた巨大な金槌は、赤い宝玉が埋められている鋭い槍と化す。
 機体のエネルギーをレイジングハートに集め光の羽根を出現させ、敵対する目標へ照準を合わせる。

『エクセリオンバスタァァァ!』

 攻撃を防ごうとボディの穴から触手を発射する闇の書の闇。

『Barrel shot』

 第一射目は、バインド効果のある物理ダメージ弾が発射され闇の書の闇の放った触手は吹き飛ばされ物理防御の部分が剥がされる。

『ブレイクゥゥゥシュート!』

 膨大な砲撃魔法が魔法バリアも砕き二層目のバリアを粉砕する。
 みんなの魔力コントロールを担当していたシャマルは、次に行動するメンバーを選出する。

『次、シグナム!』
『心得た!』

 グレンラガンが持つ巨大な槍は、シグナムへとパイロットがチェンジしたことで片刃の長剣へと姿を変え腰には鞘が出現する。

『剣の騎士シグナムが魂、炎の魔剣レヴァンティン。刃と連結刃に続くもう一つの姿を』

 腰につけていた鞘を抜き、レヴァンティンと連結させ大弓を形成する。

『ボーゲンフォルム』

 デバイスの発音と共に、弓を引き魔力の矢を生成し的を狙う。

『翔けよ、隼!』
『シュツルムファルケン』

 膨大な魔力を包んだ矢が発射され、闇の書の闇の三層目の複合バリアを突き爆炎と衝撃波が発生し破壊する。
360リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:31:47 ID:G8KKuu2z
『続いてテスタロッサちゃん!』
『フェイト・テスタロッサ、バルディッシュ・ザンバー行きます!』

 巨大な弓と化したグレンラガンの武器は、黒い筒から発生した金色の輝きを放つ魔力刃で形成されたバルディッシュ・ザンバーへと変化した。
 その大きさはまさに斬馬刀の如し。

『はあっ!』

 回転を付け、その勢いを載せて物理衝撃波を闇の書の闇へとぶつける。
 その衝撃波を受け展開していた多数のモンスターの尻尾や触手が切断されバリアも削る。
 そして、ザンバーの先端部分に雷を落とし出力を上げ最大の攻撃を振り下ろす。

『撃ち抜け、雷神!』
『Jet Zamber』

 凄まじく伸びた魔力刃は、最後の複合バリアを突き破り巨大な刃が闇の書の闇の肩から胸まで斬り下ろす。
 そのダメージに悲痛な叫びを上げる闇の書の闇。
 だが、即座に再生させ反撃の魔力砲を撃ち放とうとする。

『盾の守護獣ザフィーラ。砲撃なんぞ撃たせん!』

 フェイトの操縦を補佐するように、足の吐出口からベルカ式魔法陣を出現させ鋼の軛で多数の発射筒を潰す。
 
『今よ、はやてちゃん!』

 フェイトから操縦を交代したはやては、グレンラガンの武装を杖へと変化させる。
 破損した箇所を再生させるため動きが止まっている闇の書の闇へ石化魔法を発射する。

『彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン!』
 
 多数のやどりぎの枝を受け石化する闇の書の闇。
 だが、石化した部分をパージし新たな生体パーツで補う。
 しかし、瞬時の修復のため初期の時のようなバランスの取れた人型では無く失った部分はモンスターのパーツで補われる。
 その光景を見て気持ち悪いと嘆くアルフとシャマル。

『生半可なダメージじゃ、直ぐに再生されちゃう』
『だが、攻撃は通っている。プランの変更は無しだ!』

 はやてからグレンラガンの操縦を代わったクロノは、杖の形状をデュランダルに変異させる。

『行くぞ、デュランダル』
『Ok Boss』
『悠久なる凍土 凍てつく棺のうちにて 永遠の眠りを与えよ』

 多大なダメージで海面に着水していた闇の書の闇の周囲の海を凍結させるクロノin運命突破グレンラガン。

『凍てつけぇ!』
『Eternal Coffin』

 凍結魔法が闇の書の闇を凍結させる。
 しかし、即座にコア部分が再生を開始し凍結部分が徐々に解除されていく。
 ここで、螺旋の戦士シモンが操縦桿を握り締める。
361リリカルグレンラガン携帯:2007/12/31(月) 13:33:30 ID:AB+hJg7e
多分大丈夫支援
362リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:34:15 ID:G8KKuu2z
『続いてテスタロッサちゃん!』
『フェイト・テスタロッサ、バルディッシュ・ザンバー行きます!』

 巨大な弓と化したグレンラガンの武器は、黒い筒から発生した金色の輝きを放つ魔力刃で形成されたバルディッシュ・ザンバーへと変化した。
 その大きさはまさに斬馬刀の如し。

『はあっ!』

 回転を付け、その勢いを載せて物理衝撃波を闇の書の闇へとぶつける。
 その衝撃波を受け展開していた多数のモンスターの尻尾や触手が切断されバリアも削る。
 そして、ザンバーの先端部分に雷を落とし出力を上げ最大の攻撃を振り下ろす。

『撃ち抜け、雷神!』
『Jet Zamber』

 凄まじく伸びた魔力刃は、最後の複合バリアを突き破り巨大な刃が闇の書の闇の肩から胸まで斬り下ろす。
 そのダメージに悲痛な叫びを上げる闇の書の闇。
 だが、即座に再生させ反撃の魔力砲を撃ち放とうとする。

『盾の守護獣ザフィーラ。砲撃なんぞ撃たせん!』

 フェイトの操縦を補佐するように、足の吐出口からベルカ式魔法陣を出現させ鋼の軛で多数の発射筒を潰す。
 
『今よ、はやてちゃん!』

 フェイトから操縦を交代したはやては、グレンラガンの武装を杖へと変化させる。
 破損した箇所を再生させるため動きが止まっている闇の書の闇へ石化魔法を発射する。

『彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン!』
 
 多数のやどりぎの枝を受け石化する闇の書の闇。
 だが、石化した部分をパージし新たな生体パーツで補う。
 しかし、瞬時の修復のため初期の時のようなバランスの取れた人型では無く失った部分はモンスターのパーツで補われる。
 その光景を見て気持ち悪いと嘆くアルフとシャマル。

『生半可なダメージじゃ、直ぐに再生されちゃう』
『だが、攻撃は通っている。プランの変更は無しだ!』

 はやてからグレンラガンの操縦を代わったクロノは、杖の形状をデュランダルに変異させる。

『行くぞ、デュランダル』
『Ok Boss』
『悠久なる凍土 凍てつく棺のうちにて 永遠の眠りを与えよ』

 多大なダメージで海面に着水していた闇の書の闇の周囲の海を凍結させるクロノin運命突破グレンラガン。

『凍てつけぇ!』
『Eternal Coffin』

 凍結魔法が闇の書の闇を凍結させる。
 しかし、即座にコア部分が再生を開始し凍結部分が徐々に解除されていく。
 ここで、螺旋の戦士シモンが操縦桿を握り締める。
363リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:36:21 ID:G8KKuu2z

『行くぜ、これが最後の攻撃だ!』

 再生を繰り返す暴走プログラムの懐へ潜り込み、両腕で抱きかかえ上空へと飛翔を開始する運命突破グレンラガン。
 凄まじい推力で闇の書の闇を持ち上げ高度5000mまで引き上げる。
 危機感を感じたのか、運命突破グレンラガンへ口の魔道砲を向ける。
 それを察したニアは、シモンから操縦を譲ってもらう。
 瞬時に闇の書の闇から手を離し、更に上空へと蹴り上げる。

『そうはさせません!バスタービーム・スラッシュ!!』

 両腕に集束したエネルギーを組み合わせ一点に集中させたビームを縦にクロスするように振るう。
 闇の書の闇の頭部は綺麗に切断させ、発射口を失い魔力が暴発し上半身が崩れる。
 この最大のチャンスを逃さず、ニアから操縦を受諾したシモンは運命突破グレンラガンの全エネルギーを内部のグレンラガンへと回す。
 その行為で運命突破の実体化が薄れ合体が崩れるも、皆理解していたのか驚かず即座に隊列を組む。
 なのは、フェイト、はやては大技を発動させる。

「全力全開スターライト!」
「雷光一閃!プラズマザンバー!」
「ごめんな…おやすみな…響け終焉の笛、ラグナロク!」

「「「ブレイカァァァ!!」」」

 3人同時にトリプルブレイカーが放たれ、空中で破損していた闇の書の闇を砕く。
 しかし、往生際が悪くコア部分はグレンラガンと全く同じ形となり突っ込んでくる。
 シモンは、グレンラガンの右腕に溜めた螺旋力と魔力をこの瞬間に解き放つ。
 フルドリライズモードと成り全身からドリルが出現、それらを右腕に終結させギガドリルへと変化。
 そして、螺旋のオーラがグレンラガン全身を覆いつくし超巨大ドリルとなり敵を貫く。

『天元突破グレンラガン!!』

 シモン最大の大技が決まり、偽グレンラガンと化した闇の書の闇は粉々となる。
 その瞬間を待っていたシャマル。
 クラールヴィントで旅の鏡を発動して防衛プログラムのコアが露出するのを待っていたのだ。
364リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:38:57 ID:G8KKuu2z
「本体コア…露出。捕まえた!」
 
 旅の鏡によって身動きが取れなくなった闇の書の闇のコアに向かって転送魔法を掛けるユーノとアルフとシャマル。

「長距離転送!」
「目標軌道上!」

「「「転送!!」」」

 出現した魔法陣が、防衛プログラムのコアをアースラのいる宇宙空間へと転送する。
 転送を確認したアースラはアルカンシェルの発射の最終シークエンスに入っていた。
 闇の書の闇のコアは転送されながらも生体部品を修復していき、少しの遅れが失敗を意味する。

「アルカンシェル、バレル展開!」

 アースラの機首部分に展開される発射砲台。
 異様な姿となって再生を繰り返す闇の書の闇へバレルを向ける。

「ファイアリングロックシステムオープン。命中確認後、反応前に安全距離まで退避します。準備を」
『了解!』

 化け物の姿まで修復を終えた闇の書の闇だったが、説き既に遅し。
 リンディ提督は最終安全装置を解除する。

「アルカンシェル、発射!」

 アースラから発射された弾を受けた後、発生した空間歪曲と反応消滅が発生し対象である闇の書の闇を消滅させる。

『投下空間内完全消滅。再生反応ありません!』

 エイミィの報告を受け落ち着いたリンディ提督。

『準警戒態勢を継続、もうしばらくは反応空域を観測します』
『了解』

 何とか最大の事件を解決でき肩の力を抜くエイミィ。

『と、言う訳で現場のみんなお疲れ様でした!対象無事消滅できました!』

 エイミィの連絡を受け一安心する一同。
 まだ残骸回収などあるのだが、戦闘部隊であるなのは達は一旦アースラで急速をとる事と成る。
 一同喜びに満ち溢れている時、はやては再び倒れた。
 そして、事件は最後の幕を下ろす事となる。





投下完了
次回は祖母の家で考えて投下します(・ω・)
やっと完結作品が完成する(っー;)
365リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 13:41:11 ID:G8KKuu2z
(・ω・)
>>360
二重投稿してるや・・・
龍騎どの申し訳ないOrz
366名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 13:43:31 ID:AJaOEe4j
>365
乙乙乙!
それでは、よいお年を!
367戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 13:45:41 ID:DEXfKXk/
GJ!
熱いよ!熱すぎるよ!!
そっか、今日は大晦日だっけか。よいお年を!!

で、しばらく経ったら自分も投下…いいですかね?
368戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 14:00:36 ID:DEXfKXk/
10分かそこら経ったので投下いたします。
時空を超えた力の集結…燃えるよなぁ(何
369戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 14:01:26 ID:DEXfKXk/
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜

第十三話「第六天魔王VS究極戦国最強」

「ヴィヴィオ…ヴィヴィオ…!」
「こないで…!」
「!」
忠勝がチンクと戦っている間、こちらの戦いも決着がついていた。
スターライトブレイカーを撃ったことにより部屋の中には大きなクレーターができていた。真ん中に倒れているのは少女の姿へと戻ったヴィヴィオ。
「う…く…一人で…立てるよ…強くなるって……約束したから…。」
よろめきながら、それでも確かに立ち、なのはの元へと歩むヴィヴィオ。なのはの頭にはヴィヴィオとの思い出が廻る。
その光景になのはの目には涙が溜り、溢れる。なのははヴィヴィオに駆け寄り、もう離すまいと必死の想いで抱きしめた。
突然サイレンが鳴り出すと同時に駆けつけたはやて。ゆりかご内に響くアナウンス。
『聖王陛下、反応ロスト システムダウン。全ての魔力リンクをキャンセルします。』
「うっ!?」
部屋全体が桃色に染まり、なのはの足元に浮いていた羽をはじめ、魔力はすべて消された。
「どうするなのはちゃん!?徒歩で脱出するのは…!」
「くっ…どうしよう…。」
その瞬間、壁が爆発して中から白銀の巨人、本多忠勝が現れた。肩には結局ほおっておけず、連れてきた傷だらけのチンクが乗っている。
他の戦闘機人は他の管理局員が捕まえたらしい。手を伸ばしてこちらに来るように指示をする忠勝。
近づくと身をかがめ背中を指差す。乗れ、ということらしい。
「そうか!忠勝さんなら…いける!!」
そういえば忠勝は全身質量兵器。だとしたら魔力を使わないで一気に脱出できる。
なのはとはやては忠勝の肩に捕まる。全員乗せたと確認すると忠勝は機動形態を発動。
槍を前に突き出して鉄の鎧を纏っていたときとは比べ物にならない速度でゆりかごの中を駆け抜ける。
「!!」
肩に捕まっている全員に風圧がかかる。生身で受けているからそれはものすごいものであった。
しかしこの速度でやらなければ自分達もゆりかごの墜落に巻き込まれてしまう。壁が見えるが忠勝は速度を緩めない。
チンクがナイフを投げてランブルデトネイターを発動。爆発が起こる。
「伏せろ!!」
チンクがそう叫ぶと皆頭を伏せ、なるべく瓦礫に当たらないように身を掲げる。
ついに壁に激突。それでも忠勝は止まることはなく、ロケットを最大出力で点火。ランブルデトネイターの爆発でもろくなっていた壁を突き抜けていく。
刹那、視界に光が差した。目を開けると果てしない青空。雲ひとつない晴天。脱出は成功したのだ。ある程度離れてからゆっくりと地面に降りていく忠勝。
着地すると皆を降ろした。目の前にはスバル達フォワード陣や蒼い騎士甲冑に炎の翼という容姿になっているシグナム。瓦礫に腰掛けている元親と秀吉。
大怪我を途中で負いながらもなんとか意識を取り戻しているヴィータ。スバルとの戦いでベットに担架の上で寝ているギンガ。何より驚いたのは幸村や政宗の存在。
忠勝はどことなく安心したようで歩み出した。
370戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 14:02:36 ID:DEXfKXk/

直後に響く銃声。

気付くと自分の左肩の装甲が完全に壊れている。後ろを向くと辺りを己の邪気で染めながら歩み寄る魔王、織田信長。
「うつけが……貴様等の罪、万死に値する。」
皆が構えるが信長は両手を広げ、邪気を飛ばす。その邪気に纏われた瞬間次々と倒れていく。
これは確か、信長だからこそできる業。

死ニ至ル病。

この技を発動させている最中に信長の邪気を吸うと体にかなりの重力が襲い、胸がひどく締め付けられるような苦痛が襲う。
あたかも相手を病に罹っている状態にさせることから先ほどのような名がついた。
技を防ぐ方法は以外にも簡単。邪気を吸わなければいいのだ。だが皆吸ってしまっている。
つまり動けるのは機械だから呼吸を必要としない本多忠勝、ただ一人。
槍を振り下ろすが刀で軽くあしらわれ、顔面にショットガンの弾丸を受ける。左目の光が消える。見えなくなったという証拠だ。
ボコボコになった顔面の左半分。だがまだ右目がある。見えないわけじゃない。再び向くとショットガンをリロードもなしに五発連続で胴体に放つ。
胴体から流れ出るオイル。これは人間にとっての血液。
「戦国最強…片腹痛し。滅せよ。」
マントを翻し、忠勝に当てる。マントのはずなのに鋼鉄で殴られたような衝撃が襲う。
忠勝はまた立ち上がる。
(何百回…いや、何万回倒されても…負けない!!)
目は赤く光り、まだ自分に戦意はあるということを示している。
信長はその戦意をあざ笑うかの如く、マントを翻してそこから何本もの針を生み出して忠勝に容赦なく突き刺していく。
そして忠勝は槍を地面に刺す。いきなりの衝撃に浮く信長の体。紋章から飛び出す漢字の描かれた円陣。
少し浮き、大の字に。円陣に描かれた漢字が一文字ずつ光り出す。

本多忠勝、バサラ技発動。

天空から降り注ぐ何本もの蒼白い光の柱は信長を襲い、鎧を砕いていく。
数秒、その光景が続き、終わった。動きを止めた忠勝。
しかし信長はまだ、立ち上がる。目は黒みを帯びた赤に染まり邪気は増す。
「うつけがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
刀を逆手に持ってマントと刀の連続攻撃を繰出していく。攻撃がひどく重く、速い。信長もバサラ技を発動したようだ。
吹き飛んでもまだ接近してマントを何度も翻し、装甲を砕いていく。
最後に邪気をショットガンにこめて放つと忠勝の胸を貫通。忠勝は膝を突いて首をガクン、と下ろす。皆が自分の名前を呼ぶ。だが暗くなっていく視界。
まだ、相手を倒していない。もしここで倒れたら後ろにいる皆はどうなるのだ。倒れるべきではないのに、薄れていく意識。
371戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 14:03:16 ID:DEXfKXk/
「立ってぇぇぇ!!!」

頭と耳に響く幼い少女、ヴィヴィオの声。ふと見ると体には虹色のオーラが浮かんでいる。
「今戦えるのは…忠勝さん!貴方だけなんや!」
「戦って…そして…勝って!!」
「私達の魔力を貴方に…!!」
「貴方は、わたし達の居場所を!」
「大切な人たちを!!」
「命をかけて守ってくれた!!」
「だから今度は私達が貴方のために命をかける番です!!」
続いて流れてくるのは自分を想う皆の声と、力と。自分は機械のはずなのに、胸が熱くなる。ボロボロになったはずなのに、まだ立てる。
そうだ、自分はまだ立てる。戦える。皆がいるから。
ブーストを最大出力。信長はショットガンを撃ち、忠勝の装甲を撃ち抜き、傷つけているが止まらない。むしろ速度は速まっていく。
「ぐぬぉっ!?」
「!!!」
信長の首を掴んで上空へと舞い上がる。まだ飛んでいるゆりかごへと突っ込んでいく。
何個もの床や天井をぶち抜いていく忠勝。まだ残っていた動力炉だったクリスタルの残骸に信長を叩きつける。
忠勝はまだ使ってなかった赤色の宝石を取り出して具現化を始める。現れたのは予想通りなのはのレイジングハートに似た杖。
だとしたら使い方は同じなはず。先端に神経を集中。溜まったのはプラズマではなく自分の周りに浮かぶ虹色の魔力。それでもいい。忠勝は溜まった特大の魔力を放つ。
体を揺るがすほどの衝撃。反動で今までぶち抜いてきた床を通り過ぎて外に投げ出される。自分の放った魔力はゆりかごを見事貫通していた。
しかし、信長は生きている。鎧は打ち砕けて直撃したはずなのになんという生命力だ。
「ぶるぅおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
向けた銃口からはおびただしい量の赤い邪気。邪気は自分の身を包み、地面に衝突。
ぽっかりと空いたクレーター。だか忠勝は立ち上がる。間接はガタガタ、でもまだ、戦える。槍を再び構えて、祈る。
(力だ…。この魔王を打ち破る程の力だ!!)
槍に自分の纏っていた虹色の魔力を全て流し込む。槍のドリルの部分が魔力で巨大化。まだだ、これだけじゃ足りない。
その時だった。桃色、金色、白色、それだけじゃない。さまざまな色の魔力や気が忠勝の槍に集まっていく。
(ありがとう…。)
槍はいつの間にか自分の身の丈を超えるほど巨大になっていた。信長が落下してくる方向に巨大な槍を向ける。魔力で巨大になった先端が回転。魔力が螺旋状に形を変えた。
ブーストを再び点火。それだけじゃない。背中に鳳凰の如く美しく、雄雄しき翼が舞う。

名付けて、戦国最強本多忠勝、究極形態。


放ってくる邪気を切り裂いて忠勝は飛ぶ。魔王を貫き、戦いを終わらせるために。

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

皆の雄叫びが響く。その声を背に受け、目が赤く光り輝いた。
溢れんばかりの邪気で突撃が遮られる。だが、今の自分達の想いに貫けないものはない。
空かないはずの忠勝の口が開き、咆哮にもよく似た鋼を唸らせる音が響く。次第に邪気に穴が開く。
「ウゴアァァァァァァァァァァァァァ…!!」
「ぶるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ…!!」
響く究極戦国最強の咆哮、響く第六天魔王の絶叫。音を立てて邪気は割れる。眩い光が魔王を滅するべく身を包む。
皆の想いを乗せた巨大な槍は信長どころか、聖王のゆりかごまでをも巻き込み、爆発。
爆発は広がることはなく一点に集中。一本の光の柱となって天を突く。空に落下してくる魔王の姿は、ない。
静寂。勝利したのにその場の支配していたのは静寂だった。忠勝は心配そうに見つめる皆のほうへ向き、拳を天に掲げる。

直後、割れんばかりの歓声が響き渡る。体が思うように動かないが自分はちゃんと、生き残った。
372戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 14:05:21 ID:DEXfKXk/
投下終了。
熱いバトルは見るのは好きでも自分で作るとなるとかなりの難易度。
熱いバトルを書ける職人達が羨ましい…。

と、まぁ、次回最終回でございます。どうまとめるかがまた難しい。
373反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/31(月) 14:08:07 ID:TLuxW+63
ただいま〜。ようやく電波の届く場所に帰って参りました。
全部には感想を出し切れないので、テメェら全員GJだ!

>>364
運命突破グレンラガン…
支援絵を是非とも描いてみたいのですが、何か資料ってありますかね?
374リリカルグレンラガン ◆etxgK549B2 :2007/12/31(月) 14:13:10 ID:G8KKuu2z
>>372
GJでしたー

>>373
えっと、最終話で出た天元突破グレンラガンとほぼ同じです。
螺旋の炎が虹色の炎に変わってるぐらいです。
あと各武装は、なのは達のデバイスをそのまんま巨大化させた感じです
375Strikers May Cry:2007/12/31(月) 14:18:37 ID:e70MQAoj
GJだぜ! 最高にGJだぜ!!!!!
>>リリカル・グレンラガン。
まさかこの展開に持っていくとは思っていませんでした、全員合体は男のロマンですね。

>>戦国の鉄の城。
正に戦国最強の言葉に偽りなし! 本田忠勝ここに在り!!

それじゃあ45分くらいから俺も大晦日の投下としゃれこむぜ!!
OK?
376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 14:22:54 ID:sU+1V/30
支援ッ!!
377Strikers May Cry:2007/12/31(月) 14:42:42 ID:e70MQAoj
それじゃあ投下します。
昨日言った男塾クロスぼギャグ短編で、時間軸は無印です。
378Strikers May Cry:2007/12/31(月) 14:44:22 ID:e70MQAoj
魁!!非魔法解説者リリカル雷電 「雷電さんは物知りなの」

海鳴市にある有名な喫茶店“翠屋”その店主一家である高町家の家の隣にそれはある、ある者は魔窟と呼びある者は野獣の住処と呼ぶ。
それは“男根寮”名前だけでも狂っているがそこに住む者はその名前の比でないくらい狂っている、何故ならそこに住むのは男塾(学校とは名ばかりの狂気の戦闘集団)の塾生達だからだ。

そしてそこに住む男塾一号生にこんな男がいた、その男は丸刈りの坊主頭で額に“大往生”と入れ墨を入れ、口髭を垂れるほどに伸ばしている(つまりラーメンマンみたいな)そのうえブルース・リーよろしく功夫着を着ているのだ。
はっきり言って異様な姿であるがこの男こそ男塾において歩く民明書房館とまで言われた男、元関東豪学連にして三面拳の一人雷電その人である。
そしてその雷電は何故か高町家の末っ子であるなのはと仲良かったりした。

肩にフェレットを乗せたなのはが歩いていると前方から異様な風体の男、雷電が近づいて来た、普通の小学生なら泣いて逃げ出すが既に面識のあるうえに仲の良いなのはは明るく挨拶をした。
「こんにちは雷電さん」
「これはなのは殿、一人でお出かけでござるか?」
挨拶してきたなのはに雷電は古風な喋り方で返した、別にイカレテいるわけではないこれが彼の普通の話し方なのだ。

「はい、ちょっと」
「むう! そのフェレットはもしや…それは世に聞くスクライア式変身魔法ではござらんか!?」
「まさか! 知っているんですか雷電さん!?」
「うむ、 
古くは古代中国秦の時代より着ぐるみ等により動物に化けて敵を欺く拳法は数在れどその技法を実際に身体を変える程に高めた一族が崇・喰頼亜(す・くらいあ)と呼ばれた武術家の一族であった。
時の皇帝から変身の見事さにより敵陣の情報収集などを任されたがあまりの精巧な変化に恐れをなした皇帝に根絶やしにされたと伝えられているがその末裔は今でも魔道の栄える世界に生きていると言う説を唱える専門かも少なくない。
民明書房館 『変身の全て』より。
でござる」
「すご〜いやっぱり雷電さんって物知りなんですね!」


なのはがユーノというスクライア一族の少年を助けるためジュエルシードというものを探していると聞いた雷電はまたもお約束のセリフを吐いた。
「もしやそれが世に聞くジュエルシード!」
「知っているの雷電さん」

“なんかなのはのはの返しも手馴れてるな”とユーノは感じた。
「うむ、
かつて古くは唐の時代、儒・得得瑠(じゅ・えーる)という法術師がおりその神通力により様々な魔道具を作ったといわれるがそれの一つに空間を破壊するほどの力を持つ宝石があったという。
時の権力者はこれを戦に用いようとしたが儒はこれを拒みその神通力により別の世界にその宝石を送ったと伝えられている。
ジュエルシードの名前は時の法術師が宝石を士井土(しいど 意味は不明)と呼んだことに由来するとはあまり知られていない。
民明書房館 『古代法術の全貌』 より
でござる」
またも炸裂する雷電の珍解説、この男が言うと真実見があるから恐い。

ユーノはただ、この雷電の異常な知識(量でなく質が…それも悪い方向で)に圧倒されていた。


続かないことを心の底から祈る。
379スーパーロボット大戦X:2007/12/31(月) 16:37:10 ID:QsddScbG
いつの間にか色々投下されてるな。
でも今年最後の投下は誰になるんでしょうね?
こちらは1月1日に投下予定ですが・・・多分一番最初じゃないと思います。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 17:36:09 ID:fttQYidT
>>377
吹いたwww
中国自重しれwww
381なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 17:53:22 ID:PSQEee30
ひーさしぶーりー。年末に向けてスレが立ちまくってアセってしまいましたよ。
んでもって100%解説パートな終わクロクロスの第8章が完成〜。
さ・ら・に! 以前話題に上がったなのはFINAL WARSの第1話も出来たのす。
投下したいのですが……どっちからが良いですか〜? ていうかしても良いですか〜?
382名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 17:55:11 ID:fttQYidT
待ってたんだZE☆
383なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:24:07 ID:PSQEee30
あー、何か待たせてしまったの様ですだね?
じゃぁ折角なのでなのはFINAL WARSの方から投下してみますよぅ。
100%高純度なダークストーリーですが、それではまあ取り合えずレッツゴー。
384なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:24:54 ID:PSQEee30
魔法少女リリカルなのはFINAL WARS ミッドチルダ1〜愚挙開始〜

 その都市の名をクラナガンという。
 幾万の次元世界を統べるミッドチルダの首都である。広大な面積を持つそれであるが、キロ単位の幅を持つ大河はそう多くない。ましてやその中央に広がる訓練場も、そして巨大な怪獣達が格闘する状況も。
「ギャゴオオオオオオオオオオッ!!」
「ンゴオウウウウゥゥゥッ!!」
 廃棄都市を模した訓練場に咆哮が轟く。大音量が周囲の窓ガラスを割り、二つの巨躯がビル群を倒壊させて出現した。
 現れたのは二足歩行の赤い恐竜と、その巨躯を縛りつける深緑の蛇竜だ。前者の特徴は長い尾先に広がる団扇型のヒレ、対する後者の特徴は……額に一人の少女を乗せた事だろうか。
「―――ッ!!」
 魔力で形成される半透明のドームに包まれ、ティアナ・ランスターは舌打ちした。
「……流石は生体のまま使ってるだけの事はあるわね」
 自律行動の分だけ厄介だわ、と続けた所で蛇竜の拘束が破られた。恐竜の両碗が束縛する長胴を押し広げ、上半身にかかっていた蛇竜の半身を解いた。
 そのまま恐竜は蛇竜の身を掴んで旋回、その長胴は遠心力によって伸びきり、さながら砲丸投げの様相となる。ビル群の中でそんな事をすれば、
「ンゴオオオオオオガァッ!!」
 蛇竜の身が周囲のビル群を薙ぎ払った。衝撃と破片、急旋回で生じたGによって蛇竜は苦悶をあげる。
 ティアナが立つのはその最先端である頭部、しかし彼女の身に重圧はかからない。ティアナを包むドームが防波堤となっているのだ。
 ドームの名は“同伴結界”、使い魔の怪獣と共に戦うべく開発された防御魔法だ。強固な結界は飛来物や圧力から術者を保護し、酸素や気温、落下方向などの環境も最適を維持する。
 それによって保護されたティアナは恐怖心を抑え、命令を叫ぶ。
「――マンダ、締めて!!」
「ンゴオオオオオッ!!」
 名前と共に叫ばれた命令を蛇竜、マンダは遂行した。未だ巻き付く長胴で恐竜の下腹部を圧縮する。
「オ………ォ…ッ!!?」
 圧迫によって空気を絞り出された恐竜が呻く。口角から漏れる泡と剥かれた白目、生じた隙にティアナは新たな指示を飛ばす。
(今よ、ルー!!)
(…了解)
 念話によって合図が飛び、遠くにいるティアナの仲間へと届いた。直後、
「………ギュ、ゴォォアッ!!?」
 突如飛来した巨大な影が恐竜に衝突する。吹き飛ばされた恐竜はマンダの拘束を逃れ、引き換えに全身を瓦礫の大地に擦り付けた。そんな恐竜を飛来物は八つの目で見定める。
「ケキュ」
 ガス漏れにも似た鳴き声をあげる飛来物、その正体は巨大な蜘蛛だ。長大な八脚の先はビル群に乗り、どういう体重制御を行っているか倒壊を起こさせない。
 そしてその頭上には、ティアナと同様に同伴結界を発動する少女が立っている。彼女こそがティアナに“ルー”と呼ばれていた少女、本名をルーテシア・アルピーノと言う。ルーテシアは伏した恐竜を指差し、
「クモンガ、糸を」
 足場にして従者、巨大蜘蛛のクモンガに命令した。
「キュギュッ!!」
 了承の叫びと同時、クモンガの口が膨大な糸を噴き出した。放射線を描くそれは恐竜に迫る。
「ギャゴオオオオオオッ!? ギャオオオオオオオンッ!!」
 降り注ぐ糸の雨に恐竜は身をよじり、しかし粘着性の糸を全身に巻き付かせる逆効果を生んだ。
「オオオオオオッ! オオォォォォオォォ………」
 次第に恐竜の全身が糸に包まれ、形成された繭によって上半身が覆われた。
 どんなに動いても柔軟にして強靭な糸がそれを無効化する。陸上の魚程度にしか抵抗は実現せず、両足と尾が無意味にばたつく。そして不毛を体現する恐竜へとクモンガが飛びついた。
「ケキュ、ケケキュゥ…」
 ビル群から飛び降りたクモンガは恐竜を押し倒し、首に当たる部分へと口部を押し付ける。やがて口内から透明の液体を垂らす針が露出し……繭とその奥にある恐竜の喉を貫通した。
「―――――ッ!!!」
 繭越しに恐竜の身が仰け反り、やがて小刻みに痙攣する。針から恐竜へと渡ったのはクモンガ特有の猛毒だ。麻痺性のそれが気管へと流れ込んで肺に到達、呼吸器を中心に全身の臓腑を弛緩させている。
 やがてマンダは恐竜へと身を伸ばし、顎を引いて額のティアナを近寄せた。ティアナは注意深く恐竜を見るが、それが行動不能になっているのは誰の目にも明らかだ。
「……捕縛完了ね」
 ティアナは一語した直後、訓練場に拡声器の声が響いた。
『チタノザウルスの捕縛を確認! ――以上を持って、訓練を終了します!!』


385なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:26:18 ID:PSQEee30
 新暦77年、第97管理外世界、惑星名・地球に一つの災害が発生した。――怪獣、ゴジラの出現である。
 史上初“生体ロストロギア”という分類を受けたその戦闘力と凶暴性は、時空管理局にとって全くの想定外だった。
 誰が予想出来ただろう。数十のアルカンシェル一斉砲撃に耐え、ヴォルテールと白天王を同時に虐殺する生物など。
 結果は時空管理局の惨敗、実に地球の約1割がゴジラによって焦土と化した。
 地球が滅びるかに思われた戦況、だがそこに転機がもたらされた。無限書庫の史書長、ユーノ・スクライアが新型の結界魔法を発明したのだ。
 次元世界型の巨大結界、“妖星ゴラス”と名付けられたそれはゴジラを封印する事に成功した。――ゴジラの同種族であるミニラを核とし、疑似人間ヴォルケンリッターを媒介として。
 しかし彼等の出力や耐久力の問題からその維持は1年が限界と予測されてた。故に時空管理局は、来るゴジラ再臨に備えて一つの計画を打ち立てる。
 その名を――オペレーションFINAL WAS。
 簡単に言えば一種の軍備増強計画である。
 各次元世界に生息する怪獣達を捕縛、屠殺、使い魔の素体とする。そうして造った強大な使い魔達にジェイル・スカリエッティ開発の決戦兵器を加え、復活したゴジラを今度こそ抹殺する計画が、オペレーションFINAL WASである。
 ゴジラが見せた脅威の前にあらゆる倫理は無視され、非常識ともいえるこの計画はまかり通った。
 そして怪獣達の捕縛はゴジラ襲来の一年前に起こった大事件、JS事件を解決に導いた実力者集団、機動六課が中心となって行われていた……。



 機動六課隊舎から伸びる展望台、訓練場を見下ろすそこに三人の女性がいた。機動六課を指揮する隊長陣、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやてだ。
 なのはが窓際から伸びたマイクを手放して振り向く先、簡素なソファにはやてが腰掛け、その側にフェイトが立っている。その表情は一様に暗鬱、細かく言えば悔恨と罪悪感だ。
「……チタノザウルスは、大丈夫なのかな」
 僅かに声を振るわせたフェイトは窓辺により、クモンガの毒に倒れた恐竜を見下ろした。
「問題ないよ。クモンガの毒に血清はあるし、……それに死んだら使い魔にしちゃうよ、きっと」
 フェイトの不安になのはは答え、そこで表情が強まった。キツく目を閉じて眉を顰めるその表情は、自責。命を道具扱いする思考、かつて自分が絶やそうとしたそれを自ら口にした、それに対する思いは強い。
……チタノザウルス、か……
 なのは達の故郷に生息していた怪獣、そしてオペレーションFINAL WARSの切っ掛けとなった怪獣だ。
 数十年前、とある地球の学者が怪獣への洗脳技術を開発した。チタノザウルスはその被験体とされ、学者の死後に沈黙していたのを管理局が回収した。
 本来ならばロストロギアに指定され、様々な問題から封印が施されていた筈だった。だがゴジラ対策に悩む管理局にとって、その存在は思考を転換させる最高の切っ掛けとなった。
 “怪獣を操る”という発想が生じ、専用の人造魂魄が造られ、それを怪獣達に詰めてゴジラにぶつける作戦が立った。
 尤も、経年で肉体が劣化したチタノザウルスは計画に組み込まれず、使い魔化された怪獣の訓練相手となったが。
 その事を思い返したのか、フェイトもまた表情を歪ませて呟く。
「どうして、こうなったんだろうね」
 その独白はなのはが抱くものと同意だ。どこで間違ったのか、と。
「……んなもん、あたし等が生き残る為に決まってるやんか」
 それ答えたのははやてだった。俯いていた顔は上げられ、
「妖星ゴラスの限界は約1年、長い程に媒介は摩耗してく。そうなりゃ何時内側から壊されるか解らん。――早いに越した事は無いんよ」
 晒された顔にかつての柔和な表情はなかった。厳格で冷酷な表情が、否、それを装おうとする脆いまでに張り詰めた表情がそこにある。
「大体使い魔なんて誰でもやってる事やんか、フェイトちゃんだってそうなのに何言うてるん?」
 はやての指摘に二人の表情が変化する。フェイトは自責、なのはは怒気を孕む無表情だ。
「はやてちゃん、本気で言ってるの?」
 展望室の空気は硬直、なのはのはやてを見る目が変化したのだ。
「私の言ってる事が解らない? そういうことを言ってる訳じゃないって、解ってるでしょ?」
「――やったらなのはちゃんは、家の子らがどうなっても良いっちゅうんか」
386なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:28:01 ID:PSQEee30
 怒気は返された。
「妖星ゴラスの維持にはシグナムやヴィータ、シャマルにザフィーラが組み込まれとる。悠長に待っとったら……あの子らが危ないやんか」
 なのはの視線と気迫、それを超えるものをはやては出力する。
「私はあの子らの為なら何でもできる。――第一、これ以外にどんな手段があるいうんよ」
「……それは」
「他に手があるっちゅうなら教えて。家の子らが傷付かんで、沢山の命を殺す必要が無くて、そしてあの化物から皆を護れる方法を」
 はやての言葉は切実な問いかけだ。“そんなものがあるなら自分もそれを選びたい”と。“そんなものがあるならお願いだから教えて欲しい”と。
 なのはは答えられない。答えられる筈がない。管理局全体が考え抜き、苦悩と試行錯誤を経て、最も確実で実行し易い計画がこのオペレーションFINAL WARSなのだから。
 一介の人間が、二十歳になるかならないかの小娘が、1分かそこら考えただけで良案など出る筈が無い。
「ふ、ふたりとも、やめてよ……」
 対峙を止めないなのはとはやて、そんな二人をフェイトが右往左往と喘ぐ。
「おねがい、もう、こんなの……やだよぉ……っ」
 目尻に涙を溜めたフェイトの訴え、だが二人の対峙はそれで止まらず、
『喧噪中断』
 感情の無い電子的な声によって止められた。突然響いた第四の声になのは達は一様に振り振り向く。
 そこには人型の機械が立っていた。銀の体に赤、青、黄の三色が塗装された巨躯がそこ立っている。
「――ジェーツー」
 なのはが直立する鉄人の名を呟いた。
 特殊傀儡兵ジェットジャガー、通称JJ(ジェーツー)がこのロボットの正式名称だ。
 機動六課が設立されて日の浅い頃、ジェイル・スカリエッティがとあるホテルのオークションを狙い、当時配下であったルーテシアが代行した、という事件があった。
 奪われたのは旧時代の人型機械兵器。といっても機能は完全に停止、原型を留めているので稀少品として出品されたものだ。だがスカリエッティの技術力はそれを戦闘機人と同等なまでに復活させた。
 JS事件には間に合わなかったが、オペレーションFINAL WARSに際して仮釈放された彼により、決戦兵器の一つとして完成した。以来、怪獣捕縛部隊と化した機動六課の一員だ。
『円滑的友好・集団行動必須・喧噪不要』
 未熟な会話機能が紡ぐのは単純な意図の伝達、それを解読する時差の後になのはやフェイトは押し黙り、そしてはやてはジェーツーに視線をやる。
「……ジェーツー、一覧を出したって」
『了解』
 部隊長の指示に鉄人は両眼を発光、映写機となって空中に無数の映像を発現させる。それらは全て異形を写した画像だ。
「――現在オペレーションFINAL WARSが狙っとる怪獣は10体。内3体、クモンガとマンダは捕獲済み。あと一体はスカリエッティが改造中」
 画像の中から蜘蛛と蛇竜、緑鱗の獣を示す画像が消滅し、残りが7枚となる。それらは横の円陣に並んで奥行きを作った。
「捕まえなあかんのは、――まずラドン」
 最も手前の画像、翼竜が載った画像をはやては差す。
「アンギラス」
 翼竜の画像が左へ流れ、右隣にあった有角の恐竜が手前に出る。
「キングギドラ」
 同じ動きで画像が流れ、三首の金竜の画像が出る。
「ジラ」
 太い両足と顎を持つトカゲが、
「モスラ」
 白を基調とした巨大な蛾が、
「バトラ」
 今度は黒い外殻をした凶貌の蛾が、
「そしてメガロ」
 最後に人型の甲虫を写した画像が最前に出る。
「これら10体にジェーツー、そして昔地球で造られていた戦艦の改良型……新轟天号。これらを合わせてた12体でゴジラに挑む」
 はやてが突き付けた再確認になのは達は沈黙、ジェーツーは両眼の光を収めて画像を消した。
「その中でミッドチルダに生息しているのはラドン、アンギラス、キングギドラ、ジラの4体。まずはこれらを迅速に捕らえる事が最優先」
387なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:31:18 ID:PSQEee30
 そこまで言ってはやては踵を返す。向き直った先には下の階に続く階段がある。
「どのみち……もう動き出した私らが、もう戻れる訳ないやんか」
「――はやてちゃん」
 向けられた背と止まらぬ歩み、こちらの呼び声にも答えずはやては展望室を辞した。残されたのは二人の少女と一体の機械、そこになのはの溜め息が入る。
「……ジェーツー、ロングアーチにチタノザウルスの修繕をお願いして」
『了解』
 最低限の返答でジェーツーは指示を実行、通信機能を起動させたそれの前をなのはは通って階段を目指す。単身で行くなのは、だがその隣にフェイトが並んだ。
「…フェイトちゃん」
「ううん、私も行く。……あの子達もきっと、なのはと同じ事を言うから」
 並んで歩く二人は展望室を後にする。向かうのは――自分達の部下達がいる訓練場だ。



 展望室を下りた二人は機動六課隊舎を横切り、訓練場へと向かった。
 海岸線から伸びる平たい多角形の連なり、魔力と科学によって具現化されたそれらが訓練場を構成している。その中央には三体の怪獣と六つの人影があった。
 怪獣は先ほどまで戦っていたマンダとクモンガ、それに倒れるチタノザウルス。人影はチタノザウルスの側に二人、それを遠巻きに二人、そして見向きもせず離れて二人、といった配置だ。
 やがて離れて立つ二人、ティアナとルーテシアがこちらに気付いた。
「……ナノハさん、フェイトさん」
 口にしたのはルーテシア、抜けたシグナムに代わってライトニングへ入った召喚魔導師だ。彼女の声に他の4人もこちらに気付く。
「――訓練、お疲れ様」
 如何様に声をかけようか、僅かに逡巡した後になのはは声をかける。
「ティアナも、大分マンダと馴染んだみたいだね」
「…はい。でもマンダは私用に設定されてますから、そんなに時間はかかりません」
 答えてティアナは俯く。そうさせる感情を理解しつつもなのはは触れられない。一方のフェイトはしゃがみ込んでルーテシアと目線を合わせていた。
「ルーテシアの方は問題なさそうだね」
 苦笑に近い微笑みをかけたフェイトにルーテシアは頷く。
「一番の、古株だから」
 威張る風でもないルーテシアにフェイトは、そうだね、と苦笑を深めた。一番最初に使い魔化されたクモンガを操るルーテシアは、その年月分だけ使役に長けている。
「知っての通り私達はゴジラに対抗する為、後七体の怪獣を捕まえなきゃならない。この間の戦いでマンダを捕獲して戦力は上がった。……今後も、頑張っていこうね」
 告げられた訓示、しかしそれを肯定的にとらえる者はいない。ある者は表情を曇らせ、ある者は俯き、発言したなのはでさえも表情は暗い。そして、
「――何で、そんな事言うんですか」
 反抗は囁かれた。
「なのはさんもっ! フェイトさんもっ! 何でそんな事言うんですかぁっ!!」
「……キャロ」
 叫んだのはチタノザウルスに寄り添っていた少女だ。両の手をキツく握り締め、それ以上の強さを持った視線をなのはとフェイトに向ける。
「なのはさん達も解ってるでしょう!? ……怪獣達が活発化したのは、先日の隕石のせいだって!!」
 キャロは叫び続けた。
「未知の次元世界から降ってきた隕石、きっと何かあるんですよ! 私達がやらなきゃいけないのは怪獣達を殺す事じゃない、隕石に何があるのかを調べる事です!!」
「――それはキャロの憶測でしょう?」
「……フェイトちゃん…?」
 応じたフェイトの声、その声色になのはは不審さを得る。
「飛来と活性化の時期が合致したのはただの偶然っていう可能性も……ううん、そっちの方が強い。空振りになるかもしれない調査より、今は時間制限のある怪獣捕獲を優先しなくちゃいけない」
「どうして……! どうしてそんなに、率先して殺したがるんですかフェイトさん!!」
388なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:32:19 ID:PSQEee30
 キャロの側にいた赤毛の少年が制止しようとし、だが無視して少女は吠えた。
「いつからフェイトさんはそんな――ッ!!」
 慟哭と糾弾を混ぜ込んだ言葉、しかしその紡ぎは中断された。硬質な音をたてて、ティアナの右手がキャロの頬を打った為だ。頬を押さえた少女をティアナは睥睨し、
「アンタ今何言おうとしたの!! アンタがフェイトさんにそれを言う事が、どういう事か解ってんの!?」
「――――っ」
 叫ばれ、響いて、キャロの瞳が潤んだ。やがて喉を引き攣らせて涙が溢れ出す。
「――ぁ――あ―ああぁ――あ―ぁ――……っ!」
 頬の痛みか、それ以外の痛みか、泣き出したキャロにルーテシアが寄り添う。そしてキャロの側に立っていた少年、エリオは二人となのは達の間に立ち、
「……なのはさん、キャロを自室に戻しても良いですか?」
「…うん、お願い」
 なのはの答えにエリオは頷き、ルーテシアと共にキャロの肩を抱いて隊舎へと向かっていった。
「……フェイトちゃん」
 その後ろ姿を見送り、なのははフェイトを見る。だがフェイトはなのはに対して一切の反応を返さない。
「――あぁ…」
 自身を浅く抱き、震える様な溜め息をつくだけだ。その顔色は蒼白、視線は泳いで何処も見ていない。
「……っ!」
 その姿をなのはは無言で抱き締めた。僅かに力を強めれば潰れそうな感触、まるでえずく幼児を抱えた様な感覚になのはの胸は痛みを得る。
……なんで、なんで……こんな……っ!
 その思いをなのはは禁じえない。どうして皆がこんなに傷付け合うのか、と。
「――今日の訓練は終了します。……各自、解散しなさい」



 機動六課隊舎の大河に面した道、なのはがフェイトと共に帰るその後ろ姿を、ギンガはスバルやティアナと共に見ていた。
「………」
 ティアナは元より、普段は快活明朗なスバルさえも黙して動かない。それはギンガも同様だ。何を喋れば、否、何を喋って良いのかが解らない。
……皆、嫌い合ってなんかいないのに……っ
 何故、という思いが絶えない。恐らく誰もが抱いているだろう、その思いが。
「ティア……大丈夫?」
 沈黙に耐えかねたのか、スバルがティアナへと声を向ける。
「叩いた位でどうにかなる訳無いでしょ」
「手じゃない方だよ」
 その訂正にティアナは身を震わせた。それから大きく息を吐いて肩を落とし、
「あの子、泣いてたわよね」
 小さく呟いた。
「……私の手が、泣かせたのよね」
「違うよ!」
「違わないわよ!!」
 スバルが即座に叫び、その叫びをティアナが塗り潰した。
「思ってる事言えば良いじゃない! 出しゃばって話こじらせた、って!! 要らない事した、って責めれば良いじゃない!!」
「――違う、ちがうよぉ、ティアぁ……!」
 咆哮をぶつけられたスバルが目尻から涙を零し、ティアナの声は更に引き攣った。
「何泣いてんのよ!! 泣きたいのは……っ!!」
 まるで引っ込みのつかなくなった子供の喧嘩のようで、見かねたギンガはティアナの頭を抱え込んだ。
「あ……」
 ティアナは胸の内で声を漏らす。呆然とした風の彼女にギンガは、
「――あの状況では、ああする以外に収める方法は無かったわ。安心しなさい、貴方は間違ってない」
 抱く力を強めれば、ティアナもまたこちらの服を強く握り返してきた。
「……く、ぅ、うぅぅぅ……っ!」
 だが服を濡らす事はない。惨めな程に嗚咽し、苦悶し、だが強い自律を課すティアナは自らに泣き出す事を許さない。
「……ティア…」
 そんな親友を案じてスバルはティアナへと手を伸ばす。そして何か言葉を続けようとして、
「――!?」
 耳をつんざく警報が隊舎から響いてきた。緊急時の象徴であるその音色にギンガは一つの予測を立てる。
「まさか……!」
 外れて欲しい、という思いを裏切り、警報は予測を正確になぞった。
『怪獣出現! 数は2……出現地点は地方都市、ステーツとシンハイです!!』
389なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:33:51 ID:PSQEee30



 ミッドチルダ西部に位置する都市、ステーツ。夜空に伸びるビル街の裏で険悪な声が上がった。
「おいオマエ何してくれとんねん、人の車に!?」
 ピンクのオープンカーを牽引するパトカー、そこへ黒人風の男が怒鳴り散らして駆け寄ってきた。その姿は半裸にヒョウ柄のコートというギャング風、対するのは深い青の制服を来た警官だ。
「てめぇ標識が見えねぇのか!?」
 応じる警官の口調も攻勢、短く指差した先には“駐車禁止”を示す看板が立ってる。
「おいおい勘弁してぇや、たったの五分やないけぇ!」
「五分だろうが五秒だろうが知った事か! ぶっとばされてぇのか!?」
 言い合う二人の様子を路地に座り込んでいた酔っぱらいが嗤っている。不快そうに顔を顰めて黒人風の男は、
「あーそかぁっ、死にたいかぁ!? 死にたいんやったら……こんなんもあるぞボケェっ!!」
 男がコートの内側から出したのは黒光りする拳銃だ。銃口を向けられた警官は即座に態度を軟化させる。
「おいおい、そんな物騒なモンはしまえよ……」
 警官は両手を上げて引き攣った笑いを浮かべ、だが男は依然として怒りの表情を維持している。
「もお遅いっちゅうねん、このハンドガンでテメェのケツをクラナガンまで吹っ飛ばしたるっちゅうねん!!」
 男は警官の胸へと銃口を押し付ける。一触即発の空気、だがそれさえも酔っぱらいにとっては笑いの種だ。
「ひはははははっ、いいぞぉ! やれやれへぇっ!!」
「黙っとけぇよコノ野郎!!」
 一際大きな笑い声、それが癇に障ったのか男は酔っぱらいへと顔を逸らした。その隙をついて警官は腰のホルスターから拳銃を抜き出す。
「――!」
 男がその挙動に気付いた時には、既にお互いが拳銃を突き付け合う状態になっていた。拮抗と必死、その緊張に警官が笑みを作り、対する男は青筋を立てた。だが、
「……おおっ!? なんじゃありゃぁっ!」
 その空気を破ったのはまたしても酔っぱらいだった。
「うるせぇ! コイツをやったら次はお前だからな!!」
 警官は酔っぱらいを見ずに怒声する。だが酔っぱらいの注意は警官に向けられない。
「でっけぇ鳥の化物がこっちに来る! おい、早く逃げるんだ!!」
 喚き散らす酔っぱらいは駆け出そうとし、だが覚束ない足取りで歩く事もままならない。その転倒する様が警官の視界に入るが、警官が見るのは酔っぱらいではなく対峙している男の様子だ。
「…………っ」
 目を見開いた男は呆然と視線を上げ、力が抜けたのか銃口も僅かに下がる。本来ならば突くべき隙、だがこの状況でそれを作ってしまう程の何かを男は見ているのだ。
 一体何なのか、警官は拳銃を男に向けたままゆっくりと背後に首を回し、
「キユゴオオオオオオオオオオォォォォォオオオオンッ!!!」
 甲高い咆哮と共に飛来した爆炎により、男や酔っぱらい共々吹き飛ばされた。



 酔っぱらいは“それ”を鳥と称したが、“それ”の外見は鳥類に該当するものではなかった。
 満月の摩天楼、闇夜を高速で旋回する“それ”は、確かにシルエットだけならば鳥と言えない事も無い。だが“それ”の身に羽毛は無く、両翼の関節部には三本の指を持ち、嘴には牙を持っていた。
 “それ”の外見は鳥ではない。翼竜だ。
「キユゴオオオオオオオオオオオオオ――――――ン!!!」
 やがて“それ”は高空から落下、その両脚を高層ビルの一つに降り立たせた。轟音と共に上層階が砕け、両翼を広げたその巨体が月光と陰影に彩られる。
「……な、なんだよアレ!!」
「イヤアアアアアっ、化物ぉっ!!」
「は、はや、はややや、はやく、にげ……」
 深夜のステーツを楽しむ住人達が“それ”を指差して悲鳴を上げる。誰もが逃げ出そうとするが足取りは混乱と恐怖に乱れ、生じた渋滞によって車は動けない。そんな人間達の様子を気にした風も無く、
「キュオオオオオオオオオンッッ!!」
 “それ”は小さな跳躍を経て飛行を再開した。
 足場の高層ビルと平行する様に急降下、その後に急上昇する。それによって生じるのは異常な空気圧、そして物質の破砕だ。
「「「――――――――――ッ!!」」」
 硝子と瓦礫の雨が地を打つ音は住民達の悲鳴は重なり、判別不明の和音となる。そんな大災害を起こした事も気にせず、“それ”は摩天楼で飛行する。
 ビル群の隙間を抜ける“それ”の翼は白い雲を引き、大気を裂く速度は超音波という鳴き声をたてる。
「キュゴオオオオオオオオオオ―――――!!!」
 通り過ぎる高層ビルを破砕し、大都会の夜空を縦横無尽に翔る“それ”。
 その身はラドンと称されていた。
390なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:34:42 ID:PSQEee30



 転じて場所はシンハイに移る。巨大な繁華街を持つミッドチルダ南部の都市は、昼夜を問わず商人と客人が溢れている事で知られていた。
 だが今、夕暮れに赤く染まった大繁華街の喧噪は普段と種が異なるものだった。
「うああああああああああああっ!!」
「ひ、ひいいいいっ、いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「キャアアアアアアアアアアアァァァァっ!」
 命乞いと絶望、死に瀕した者だけが響かせる声の重奏だ。一様の方向へと逃げる人間達、悲鳴の原因は彼等を追い立てるものに他ならない。
 悲鳴の原因、それは球体だった。それもあらゆる方向に鋭利なトゲを生やし、大きさにして150メートルはあろうという大質量である。
 そんな巨大球体が地表を高速で転がり、道路を、商店を、人間を、地上にある全てを粉砕しながら進んでいく。
「ギャアアアアアアアアアアアアア……ッ」
 人間を遥かに圧倒する速度の球体に次々と逃亡者達は巻き込まれ、その重量とトゲの前に刹那の間も無く肉塊へと変じた。また建造物の群は瓦礫に分断され、無骨な砲弾となって周囲に飛び散る。
 それは虐殺でもなく征圧でもなく、形ある全てを崩壊させる、見事なまでの“破壊”であった。
 やがて巨球が空中へと大きく跳ね上がり、その形状を変化させた。ほぼ真円であった球形は扇が広がる様に展開する。
「ギイイイイィィィィィィギエエエエェェェェェッ!!」
 着地したそれは球形はなかった。大地に降り立つのは四足の獣、巨大な背一杯にトゲを配備した恐竜型の怪獣だ。
「ギイイイイイイィィィィィィィィギエエエエエエィィィィィィィィッッ!!!」
 一対の前足を大地に打ち立てて四足の怪獣、アンギラスは甲高い咆哮を繁華街に轟かせた。 



 翼竜と四足竜、二匹の怪獣が各々の都市に起こした大破壊を、機動六課の大モニターは如実に映し出した。
 家屋が、木々が、人間が構成物にまで分解されて飛散する。巨大生物だからこそ起こせる大惨事がそこにある。
「……あ、ああ、あぁ……っ」
 呻いたのはなのはだったのか、フェイトだったのか、或はスバル達か、キャロ達か、或は全員だったのか。少なくともはやてでは無い事は明らかだった。
「――でも、考えようによっては好機や」
 大画面を睨むはやては爪を噛み、内心で焦燥と好機を天秤にかける。
「目下の目的になってた怪獣が二匹も現れてくれた。……これを捕らえられれば、計画は一気に進む……っ!」
「――はやてちゃん……」
 なのはは思わず呼びかけ、しかしそれは届かなかった。
「スターズはマンダとジェーツーを連れてシンハイ、ライトニングはクモンガと一緒にステーツへ! 作戦目的は……ラドンとアンギラスの捕獲や!!」
 はやての指示が8人の前線メンバーへと飛ぶ。
「機動六課フォワード部隊、出動!!」
「――了解!」
 行動開始を告げるはやての言葉、それに8人は一斉に応えた。
 それが正しいのか間違っているのかではなく、この大破壊を止めるにはそれしかないのだから。
391なのは×終わクロ:2007/12/31(月) 18:40:49 ID:PSQEee30
以上でなのはFINAL WARSの第1話は投下を終了〜。
タイトルん所でお分かりやもと思いますが、これは舞台がミッドチルダに限定された第1部っつう感じにしてます。全部で4部構成、一つ一つは7話前後を予定してます。
ちなみにラドンとアンギラスが現れた都市の名前は、クロス元のFINAL WARSで登場した地名の名前のもじり。

終わクロクロスの方は……折角だから今年最後の投下作品にしてみたいですねぇ。午後11時30分位から投下を希望したいです。

……ここだけの話、“FINAL WARS”と言いつつもゴジラシリーズ以外の怪獣も登場を予定してます。具体的には“亀”な連中を。
392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 18:52:33 ID:SXdVLEIk
GJです。個人的には怪獣を応援したい。
393リリカル遊戯王GX:2007/12/31(月) 18:54:04 ID:UgproLka
GJ!
く、暗い!とことんまでに暗い!
なんかなのは達の精神が崩れる方が先のような気がしてならないぜ・・・
亀というと、ミケランジェロやシュワちゃんが登場するんですねっ!
394ネオシャドームーン(別PC):2007/12/31(月) 19:02:59 ID:aDzMxZ19
ではここで、少し好評になった「なのは 魔法少女空中決戦」を劇場予告
バージョンで投稿します。

なのは 魔法少女空中決戦 (劇場予告バージョン)

なのはPROJECT (会社名)

乗組員A:「緊急連絡! アースラが何かで座礁しました!」

乗組員達「うわああ!」

リンディ・「何かが動いたの?」

クロノ「・・・・・アースラの真下です」

リンディ「こんな次元に環礁があるはずないわ!」

アースラの真下に巨大なロストロギアのようなある。

タイトル:なのは 魔法少女空中決戦 予告編(もちろん嘘予告)
(海をバックに)

クロノ「北の方角から次元の波に乗って漂流している
と考えてもまず間違いないでしょう」

荒れる次元の波で何かが目覚める。

グレアム「巨大な魔力を持つ者?」

クロノ「それが一直線にここに向かってるんです。」

ユーノ「管理局員の最後の通信で黒いマントを着けた少女と・・・・」

すずか「少女・・・?」

死神のような少女が飛ぶ。

エイミィ「これが謎の少女なの? はやてちゃん」

モニターに映る反応を見る。

はやては逃げる少女を追う。
395ネオシャドームーン(別PC):2007/12/31(月) 19:03:48 ID:aDzMxZ19
はやて「ただの少女やない。 魔力数値約500万 しかもこの子人ば襲いよる」

?「プラズマァァァ! ブレイカアアアアアアア!」

はやてを見たこと無い魔法で攻撃して逃げる。

はやて「なっ! おい! おい おーい! だめやっ! 逃げられてもうた。」

はやては逃げる少女を見つめる。 その頃、ロストロギアにあった碑文の解読に成功したユーノ

はこうつぶやく。

ユーノ「災いの影、フェイト・・・・」

エイミィ「えっ?」

ユーノ「碑文の一節です。」

ナレーター「はるかなる時を超え、現代の時間に蘇った超危険人食い魔法少女、フェイト。」

すずか「1万2千年前、時の揺り籠、なのは」

遺跡を破壊し目覚めるなのは。そしてフェイトの元に迎い、お互いを睨みあう。

ナレーター「そして、フェイトを追うかのよう長い眠りから目覚めたなのはも
この世界にやってきた。」

なのは「フェイトちゃん、もう逃がさないよ。」

フェイトとなのはは空高く飛行する。

時空管理局員は二人を見つめる。
396ネオシャドームーン(別PC):2007/12/31(月) 19:04:39 ID:aDzMxZ19
なのは「ディバイン・バスタアアアアアアアアアアアッ!」

なのはとフェイトはお互いの必殺技をぶつけ合う。

管理局員「危険です。下がってください!」

タクシーに乗ってきたすずかとアリサは戦う二人を見つめる。

アリサ「あれがあんたの言っていた・・・・・」

ナレーター「今、次元全土を破滅の恐怖に叩き込む二人の戦いは都市から海へ・・・・」

シャマル「巨大な波がっ!」

リンディ「アルカンシェル、発射!」

なのはは、ディバインバスターを撃ちながら、フェイトを追い詰める。

ナレーター「遂に全次元の存亡を賭けた最終バトルへのカウントダウンが始まった!」

フェイト「また食事の邪魔するなんてもう許さない! なのはぁぁぁぁぁぁ!」

フェイトはバルディッシュでなのはを斬りつけるがなのははリボンが斬れただけ
でたいした傷は無かった。そして激しい魔力のぶつかりあいであちこちで爆発が起こる。

そしてフェイトはなのはから逃げる為に宇宙まで急上昇した。

クロノ「なのはとフェイト、急上昇! これ以上、僕には追尾できません!」

すずか「来るよ! なのははきっと来るよ!」

ナレーター「超音速の大決闘! なのは 魔法少女空中決戦」

なのは「スターライト・ブレイカー!」

フェイト「ザンバー・スマッシャー!」

お互いの必殺技がぶつかり合い、スターライト・ブレイカーが勝ち、

その光がフェイトを飲み込む。

フェイト「きゃああああああ!」

ナレーター「最後の希望・・・・それはなのは」

「平成7年、3月11日ロードショー」
397リリカルなのはFeather:2007/12/31(月) 19:12:02 ID:oLaR9tw7
>>391
GJです
亀”な連中をってことはイリスやレギオンが出るとゆう事ですか?
鎧モスラを出ることを期待してます
398名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 19:18:41 ID:fttQYidT
>>396
訳わかんねえwww
こうやって改めて見ると痛いなコレ
399魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:07:33 ID:dAUN7sZG
>>396
いろいろツッコミどころ満載ですが
>しかもこの子人ば襲いよる
ちょwwwwはやてさんwww関西弁がwwww
違和感があるようでないのが吹いたwwww
400魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:12:42 ID:dAUN7sZG
しかし、最近の投下ラッシュは凄まじいですね。やはり、一年の終わりを彩る為か。
クロスの元ネタわからないから、迂闊に感想出せないのが悔やまれる。噂のグレンラガンくらいは見ようかな?

自分も年明け前に、一丁景気良く投下したいので予約したいのですが、支援はいただけますでしょうか?
投下が豊富だからのんびり書いてたら、クソ長くなったので、誰も居ないようなら来年に回しますけど。
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:14:30 ID:dvNFR+L+
待ってましたよ。
支援
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:15:07 ID:dlrYSwwP
支援!見させてもらいましょう!
403リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 20:15:11 ID:92GhOXX6
よろしくお願いしますですー!
僭越ながらその次は自分が

>>297
ご心配をおかけして申し訳ありませんでした
404リリカルなのはFeather:2007/12/31(月) 20:15:23 ID:oLaR9tw7
期待しながら支援します
405Strikers May Cry:2007/12/31(月) 20:15:57 ID:e70MQAoj
いつでも支援する準備はできていますよ。
406魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:17:13 ID:dAUN7sZG
反応はええwwwサンクスっす、頑張りますwww
Slow down babe? 慌てんなよ。最後のチェック後、投下します。五分後予定。
規制が怖いので、なにとぞ支援よろしく。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:21:03 ID:fttQYidT
待ってました!
では、支援致します
408魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:23:10 ID:dAUN7sZG
「ダンテェ〜〜〜ッ、起きてるか!?」

 数少ない馴染みの来客に、ダンテは口を歪めながら振り向いた。
 といっても、親しい相手に対する笑顔ではない。顔を顰める代わりに浮かべる皮肉の笑みだ。
 付き合いの長い相手ではあるがビジネスに関してのみだし、黒いものを溜め込んだビヤ樽腹の情報屋なんてプライベートでは歓迎したくない。しかも男だ。

「お前のダミ声は妙に頭に響きやがる。腹違いの弟にエンツォっていねえか、レナード?」
「酔ってんのか? だったら、朝っぱらからそんな妙な格好してるのも頷けるな」

 慣れた軽口の応酬をしながら、レナードは事務所の姿見の前で普段の服装とは違うダークグレーのスーツに着替えるダンテを見て顔を顰めた。
 あのド派手な真紅のコートを好む目立ちたがり屋の色男が、こんな普通の格好をするなど、今日は何か特別な事が起こるのだろうか?
 その予想は、ある意味当たっていた。

「どうだ、似合ってるか?」
「お前さんは何着ても様になるよ」
「男に褒められても嬉しくないぜ」
「なら聞くな。
 その格好は何の真似だよ? まあ、お前さんの服装と性格が少しでも落ち着いてくれるんなら、大歓迎なんだが……」
「今日は大切なデートの日なんでね」
「なにィ!?」

 予想外の返答に、レナードは思わず素っ頓狂な声を上げていた。
 ダンテの容姿なら女の引く手は数多だが、事務所に母親らしい美女の写真を置くようなマザコンがここ数年、女と真面目な交際をしたことなどなかった。
 そんな男が週末の休日にここまで準備を整えて女と会う予定があることに驚愕したのもそうだが、今日の予定を覆されたレナードはまた別の意味で狼狽していた。

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 今日は仕事を持ってきたんだ!!」
「そうかい、なら他所を当たってくれ。今日はもう先客があるんでね」
「お前をご指名なんだよ! しかもタダの相手じゃねえ、あの<時空管理局>からなんだ!!」

 まるで気のない返事をしながら手櫛で寝癖を整えるダンテを見て、慌てたレナードは咄嗟に依頼先の名前を出した。
 予想外な大物が目の前の小悪党から飛び出したことに、ダンテは『ヒュゥ♪』と口笛を吹き―――そして、最後にスーツの襟を正すとレナードの横をすり抜けて事務所の扉へ向かった。

「お、おいっ! 断るのかよ!?」
「言ったろ? 先約があるのさ」

 目の前の男がミッドチルダの法である組織を相手にしてたった一人の女との約束を選ぶ神経を、レナードは疑った。

「待てよ、相手もそうだが依頼の内容もノーマルなヤツじゃねえ! ほら、例のお前さん専門のヤツさ!!」

 レナードは<デビルハンター>という謎の裏家業を自称する男が好みそうなキーワードを持ち出してきたが、それすら尚ダンテは笑い飛ばして見せた。
409名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/31(月) 20:23:16 ID:/e0kPOLx
全身全霊をこめて支援します!
410魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:25:15 ID:dAUN7sZG

「そうかい、なら<合言葉>は?」
「バカヤロウ! 本当に相手が誰だかわかってんのか!?」
「俺が気分屋なのは知ってるだろ?
 それによく知ってるさ。お強い魔導師様の軍隊なんだ、化け物の一匹や二匹、こんなスラム街の何でも屋に頼まなくても一網打尽に出来る。相手が気の毒なくらいだね」

 取り付くしまもないダンテの態度にレナードは絶望した。この男は受けないと決めた依頼は、相手が誰であろうとどれだけ金を積もうと絶対に引き受けないのだ。
 だからといって、無理矢理押し付けることも出来ない。本気になれば、天下の管理局より目の前の男一人の方がよほど恐ろしいのだから。
 いつか、ダンテを怒らせた時の事を思い出して、レナードは寒気を感じた。
 その時の記憶を蘇らせるように、ドアノブに手を掛けたダンテが振り返る。

「おい、最近様子を見てねえが、アイツの金に手は出してないだろうな?」
「わ、分かってるよ。しっかり管理してる、この前で懲りたさ……」

 数年前、唐突に押し付けられた一人の少女の財産や戸籍などの管理を、レナードはその少女が成人するまで行っているのだった。
 ダンテの事務所に時々顔を出すようになったその少女は、彼の妹分と言ってよかった。
 何を思ってその少女の世話をするようになったのか? もちろんレナードにはこの変わり者考えなど分かるわけがない。ただ凄腕の彼からの恩と報酬を得る為に頼まれた事をこなしていた。
 魔が差したのは、少女の亡き兄が残した遺産を管理していた時である。
 ―――レナードは遺産の一部を着服した。
 その事が偶然か故意か、ダンテの知る所となった時、レナードが見たものはまさしく地獄だった。
 ゴロツキどもや犯罪者相手の情報屋家業を始めて長くなるが、その日ほど強烈な<死の恐怖>を体感したことはない。
 馴染みの飲み屋で少し贅沢な酒を飲んで女と遊んでいる所へ、馬鹿でかい剣を担いだダンテが突っ込んで来て、開口一番に言った。

『お前を二つに割って盗んだ金の分だけ酒を搾り出してやるぜ。それとも、食い物じゃなく女を二度と食えない体にした方がいいか?』

 暖かく濡れた股座に突きつけられた剣先には殺意が纏わり付いていた。
 脅し文句としてはありふれたものだったが、それを言うダンテの放つ気迫にはかつて経験したことのない威圧感があった。同じ人間をあれほど恐れられるものなのか。
 あの姿は今でも脳裏に焼き付いている。まるで<悪魔>だった。
 以来、レナードはダンテに対して恐怖に裏付けられた真摯さで対応するようにしている。彼を騙す事は、自分の寿命を縮める事に繋がると痛感したのだから。

「なら、いいさ。
 お偉いさんにはせいぜい上手く断れよ、明日からなら喜んでやるぜ。なんせ、まだこの事務所の借金だって残ってるんだからな」

 利かせていた睨みをいつもの笑みに変えて、ダンテは事務所を颯爽と出て行った。
 一人取り残されたレナードは肩を落としたまま呆然と閉まる扉を見つめる。

「……だったら今引き受けてくれよ。チクショウ、どんな女があの気分屋の気をここまで引いたってんだ?」

 悪態も弱弱しく、所在無さに気に寒々しい事務所内を見回す。相変わらず仕事場とは思えない乱雑な装飾だ。
 そこでふと、レナードは机の上に封の切られた手紙を見つけた。
 紙の便箋はアナログな通信手段だが、都市機能の半分が沈黙しているこの廃棄都市で確かな連絡方法と言えばこれくらいしかない。
 この場末に手紙など届くものか、と純粋に驚きながら広げられた文面を眺めているうちに、レナードは頭を抱えそうになった。
 ダンテが今回の仕事をキャンセルした理由が、まさにそこに書かれていたからだ。

「なんだよ、そりゃあ……。アイツの何処を押しゃあ、こんな家族サービス精神が出てくるんだ?」

 手紙の差出人欄―――そこには、つい先ほど回想していたばかりの、あの少女の名前が書いてあった。

「マザコンの次はシスコンかよっ!? やっぱり、あの野郎の考えることは俺にはわからねえ!」

 オーマイガァッ、と絶叫するレナードの声が事務所の中で寒々しく響いた。





魔法少女リリカルなのはStylish
 第三話『Strawberry Sunday』
411Strikers May Cry:2007/12/31(月) 20:26:21 ID:e70MQAoj
さあ、支援の時間ですぜ!!!
412魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:26:45 ID:dAUN7sZG



「BLAME」

 炸薬を使わない銃型デバイスの銃声の代わりに小さく呟く。無意識の事だった。
 空気を裂いて、構えた両手のデバイスから魔力弾が発射された。二発の光弾は前方の木々に向かって高速で飛来する。
 魔力で形勢された光弾は、軌道上の木を回避するような動きで突き進み、その奥にある的の中心へ吸い込まれていった。
 鉛の弾丸では不可能な弾道の操作こそが、魔法の利点である。

「ふーむ……よし、いいぞ。32番」
「ありがとうございます」

 背後に控えた教官の言葉と同じ訓練生達の感嘆の声を受け、ティアナは二つの銃口を下ろした。

「見事な腕だ」
「結構、ギリギリでしたけど」
「弾道操作に限ってはな」

 その言葉に、さすがに教官はよく見ている、とティアナは素直に感心した。この訓練の中で自分が行ったことを理解しているらしい。
 見ての通り、この訓練は標的までの障害物を利用して魔力弾の操作性を高める為のものである。
 ティアナが放った魔力弾は二発。うち一発はセオリー通り、射線上にある木々を避けるように動かして命中させた。
 しかし、もう一発の魔力弾は、本来不可能に見える標的まで直線で繋いだわずな隙間を縫うように放ったのである。
 もちろん、結果は二発とも命中だった。

「デバイスの種類のせいか……しかし、そのタイプの銃でよくそこまで精密な射撃が出来るものだ。慣れているな。その能力を武器にするといいだろう」
「ありがとうございます」

 一つの目的を達するのに、セオリーと同じ手段をとる必要はない―――現場での臨機応変さを、この教官は理解しているようだった。それは尊敬に値する。
 ティアナは評価された喜びを普段どおりの鉄面皮に隠して、手の中で踊るデバイスをガンホルダーに突っ込んだ。

「……だが、その妙なパフォーマンスは減点だな。何の戦術的利点(タクティカルアドバンテージ)もない」

 自分の無意識の行動にツッコまれ、ティアナは羞恥で顔を真っ赤にした。
 未だに、このクセは抜けていないのだ。相棒や一部の同僚にはウケがいいが、元来真面目なティアナはその指摘にとてつもなく恥ずかしくなる。

「それと、撃つ時のポーズもどうにかならんか? もちろん、撃って当たるんなら、そんな細かい点まで指摘する必要はないし……まあ、人それぞれ好みもあるだろうしな」
「す……すみません……」

 ティアナはもう消え入りそうな声で、かろうじて答えた。
 二挺の銃で『左右を交互にカバーする』のではなく、『同時に二つの射線を確保出来る』ことが今のティアナの強みである。その為、ティアナは主に眼で狙わずに感覚で狙いを定めていた。
 それはそれで希少なスキルなのだが、目線と射線を合わせる必要がない為か、体が自然と無茶な姿勢で撃ってしまうのだ。
 肩越しや脇の下から銃身だけを向けて背後を撃ったり、左右の的を撃つのにわざわざ両手をクロスさせたり―――不利な点はないだろうが、特に必要性もない。
 しかし、感覚で撃っているせいか、下手に姿勢を正そうとすると途端に当たらなくなる。
 これは自分が銃を扱う参考にした男の影響だと、ティアナは理解していた。
 同時に恨みも募っていく。あんな曲芸染みた撃ち方を好む派手好きの兄貴分のせいで、こんな人前で恥をかくのだ。

「気にすんなよ! 映画みたいでカッコいいぞ!」
「なあ、むしろ撃った後のポーズとか考えてみたくね?」
「ランスターさん、素敵っ!」

 何故か同じミッド式の訓練仲間にはすこぶる好評だった。ミーハーな連中が多い。
 最初に感じていた変則デバイス持ちへの奇異の視線は今や薄れ、純粋な憧れの視線や同性からの黄色い声を受け流しながら、ティアナは疲れたようなため息を一つ吐いた。


 ティアナ=ランスターが陸士訓練校に入校して、はや三ヶ月。
 訓練は順調である―――。

413魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:29:18 ID:dAUN7sZG

 ティアナが訓練後のシャワーから戻ると、珍しくスバルが自室のデスクに向かっていた。

「なんだ、もうアンケート書いてるの?」
「あ、ランスターさん。おかえりー」

 机の上には、卒業後の配属希望先を記入する為のアンケートが置かれている。

「……まあ、どーせ提出するわけだしね。あたしも書いちゃおう」

 自分もペンと紙を持ち出したティアナの行動に、人知れずスバルの瞳が光った。
 机に向かうティアナとは反対に席を立ち、書き終えたアンケートを仕舞う動きを見せながら、素早く背後に回り込む。
 足音と息を殺し、不自然なほど静かに接近しつつ、ティアナの書くアンケートを肩越しに覗き込もうと画策した。
 しかし、それはあっさり失敗に終わった。

「BLAME! ―――はい、死んだ」

 唐突に硬い感触が顎を持ち上げ、冷や汗を流しながら視線だけ下に向けると、いつの間にか下から突き上げるように向けられたアンカーガンの銃身が見える。
 肩越しに向けられるティアナの冷めた視線を受け、スバルは苦笑いを浮かべた。

「いや、あのー……その、興味があるっていうか…………コンビとして?」

 初の訓練時から好んで強調するようになった<コンビ>という言葉に、ティアナは『何故ここまで懐かれたものか?』とため息を吐いた。
 お返しとばかりに、驚異的なハンドスピードでスバルのアンケート用紙を奪う。

「あんたには関係ないでしょ。まったく……そーゆーあんたはナニ希望よ?」
「あっ、早!? かえしてー!」
「備考欄『在学中はティアナ=ランスター訓練生とのコンビ継続を希望します』? やめてよね、ぞっとしない」
「みーなーいーでー!」

 必死に妨害しようとするスバルの攻撃を、ティアナはアンケートを読みながらヒラヒラかわしていく。
 理詰めの動きを好む割りに、こういった攻撃への勘は驚くほど働く相棒の能力にスバルは改めて戦慄し、そして涙目になった。

「だいたいね、在学中のコンビなんて一時的なものなのよ。必要以上に馴れ合ってどうするの?
 卒業してそれぞれの配属が決まった時、後腐れなく別れることが出来る。同僚として不安なく互いを見送って往ける―――それが訓練生として理想的な付き合い方よ。あんたもちょっと独立する意思を持ちなさい」

 もはや恒例となったティアナの説教がスバルを厳しく叱責する。
 しかし、こっそりとティアナのアンケートを覗き込んだスバルは瞳を輝かせた。

「あ、でもランスターさんも災害担当志望になってるよ。わたしと一緒だね!」
「えっ、あんたもなの? どこまで続くわけ、この腐れ縁……」
「そんなつれないこと言わないでよー。ああ、でもランスターさんと一緒なら心強いなぁ。頑張って名コンビを目指そうね!」

 何故にそこまではしゃぎまくるのか。スバルにここまで好意を抱かれる理由にとんと思い当たらないティアナは、僅かに嬉しく思いながらもそれ以上の苦労を見越して再びため息を吐いたのだった。
 定番となった二人の温度差のあるやりとりを続け、やがて話題は週末の休みの予定になった。訓練場整備の為、普段は週末も練習に費やす二人も久しぶりの休みを取る事になる。

「ランスターさん、週末のお休みどうする?」
「あたしは……いつも通りよ。あんたと違って、帰る家も待ってる家族もいないしね」

 何食わぬ顔で返そうとして、一瞬脳裏に浮かんだ赤い影に少しだけ言葉が詰まった。
 肉親は一人もおらず、住んでいた安アパートは入校と同時に引き払った。嘘は言っていない。しかし、黙っていることはあった。
 休みの日に、実は一つだけ予定があるのだ。
 しかし、その予定をこの騒がしいルームメイトに話すつもりは毛頭なかったし、何よりその予定をキャンセルすべきか今も悩んでいる最中だった。
 人と会う約束がある。
 ―――しかし、手紙まで出しておいてなんだが、当日が近づくにつれて気が進まなくなってきていた。
 別に大した理由ではない。
 恥ずかしいからだ、特に意味もなく。
414リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 20:30:14 ID:92GhOXX6
支援!
415名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:30:15 ID:fttQYidT
支援
416Strikers May Cry:2007/12/31(月) 20:31:04 ID:e70MQAoj
教官は某スネー○か!? 支援。
417魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:31:26 ID:dAUN7sZG

「―――じゃあさ、じゃあさっ」

 そんな葛藤による沈黙をどう受け取ったのか、唐突にスバルは切り出した。

「じつはあたし、おねーちゃんと遊びに行く約束をしてるのね。それで、ごはんとおやつおごってくれるって話だから、ランスターさんもよかったら……」
「冗談やめてよね。馴れ合う気はないって、何度も言わせないで」

 ある意味予想できた内容を、ティアナは普段どおりの冷めた声で遮った。他人の事情に干渉する気はないし、ましてそれが家族ならば尚更だ。
 しかし、スバルもそんなティアナのツンとした対応には慣れたもので、聞いてないかのように話を続ける。

「おねーちゃんもランスターさんにぜひぜひ会ってみたいって」
「む……」

 なかなか小賢しい切り出し方だと思った。自分ではなく家族を引き合いに出す辺り、ティアナの性格を分かっている。これでは無下に出来ない。

「午前中から夕方まで、半日だけだから。ね?」
「―――あんたのお姉さんには申し訳ないけど」
「ね?」

 見上げる視線をやめろ。まるで子犬だ。
 ティアナは不屈の精神でその懇願を切り捨てる。

「お断りするわ。ほっといて」





「……あたし、思うんだ」

 翌日。ティアナはスバルと共に待ち合わせ場所であるミッドチルダ東区の<パークロード>にいた。

「あんたのその異様なワガママさと強引さだけは見習うべきところがあるって!」
「ほめられたー♪」

 私服まで着飾って、完全にスバルのペースに巻き込まれたティアナは慣れ親しんだ諦めの感覚に歯軋りする。
 あの男もそうだった。強引で、ワガママで、理由や理屈なく自分の行動に自信満々で―――しかし、何故か憎めない。
 巻き込まれ型の自分としては、これ以上厄介な相手はいないだろう。どうやらこういうタイプには縁があるらしい苦労体質の自分を呪った。
 もちろん、この強引さには休日に予定のない自分を気遣うスバルの思いやりがあったのも確かだろう。
 これで、本当は予定があったのだと気付いたらどうなるだろうか?
 無駄な仮定だと思った。あのお人好しをわざわざ気まずくさせるつもりなどない。
 何より、今日の予定をキャンセルはしていないのだから―――。
418魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:32:25 ID:dAUN7sZG

「それで、お姉さんどこ?」
「えーとねー……あ!」
『スバル!』

 休日で人々が行き交う中、スバルは手を振る姉の姿を見つけた。
 訓練生のスバル達にとって一足先に進んだ、現役陸戦魔導師である<ギンガ=ナカジマ>だ。

「ギン姉〜!」
「スバル〜♪」

 子犬のように駆け寄るスバルの手を取るギンガ。互いの顔に浮かんだ満面の笑みを見れば、この姉妹の仲がどれ程良いか傍で見るティアナにも理解出来た。

「1ヶ月ぶり〜、元気だった?」
「もちろん! スバルも元気そうね」

 お次は熱い抱擁シーンか、と傍観してたティアナだったが、二人が笑顔で交わしたものはハグなどではなく、パンチの応酬だった。
 もちろん敵意を持ったそれではなく、スキンシップのレベルで軽く拳を合わせている程度のものだが、それでも鍛えているだけあって一般人には洒落にならないくらい鋭く速い。
 これが体育会系のノリか……と、ティアナは妙な納得をしていた。

「そうだギン姉、こちらランスターさん」
「はじめまして、スバルがいつもお世話になってます」
「ど、どうも……」

 ちょっと変わった姉妹のやりとりに半ば呆気に取られていたティアナは我に返って会釈する。
 ギンガの落ち着いた物腰はスバルとは似ても似つかない。ただなんとなく『この人も天然入ってるんだろな』という印象だけは感じた。やはり姉妹なのだ。
 軽い自己紹介を交わしながら、ティアナは仲のいい二人の絆に少しだけ羨ましくなる。
 ああやって笑い合うはずの兄は、もうこの世にいない。
 目の前の光景を妬むほど卑屈に生きているつもりはないが、それでも天涯孤独の身に染みるのは仕方のないことだった。
 内心の思いを笑い飛ばすようにティアナは苦笑した。

「―――自慢するだけあって、いいお姉さんね。大事にしなさいよ?」
「え……う、うん!」

 唐突に掛けられた言葉と微笑みに、スバルは戸惑いながらも嬉しそうに頷いた。

「あら、スバルったらランスターさんに何言ったの? 恥ずかしいわ……」
「手紙が届くたびに、喜んで話してくれましたよ。お会いできて光栄です」
「そんなに固くならないで。ごめんなさいね、いつもうちのスバルが迷惑かけちゃってるみたいで」
「いえ……妹さんは優秀ですよ。訓練校でも年少組ですけど、よくやってますし、何より努力しています」
「ほんとに? よかった」
「……ラ、ランスターさんが褒めてくれた!? やったよぉー!」
「まあ、こういう風に調子に乗るのがタマにキズですが」

 珍しいティアナの褒め言葉にフィーバーするスバルを冷静にツッコむティアナ。
 そんな二人の慣れたやりとりを、ギンガは優しい笑顔で見つめていた。
419魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:33:37 ID:dAUN7sZG

「―――ランスターさん。ご家族は?」

 そして、それは何気ない話題の広げ方だったのだろう。
 ごく自然に切り出したギンガの言葉に、ティアナは気まずげに笑った。
 素直に言えば気を使わせてしまう。しかし、だからといって嘘をついてこの場を取り繕っても意味はないだろう。
 少しだけ考えて、ティアナは結局言うことにした。

「私、ひとりです。両親は私が生まれてすぐの頃、育ててくれた兄も三年前……天涯孤独ってやつですね」

 出来るだけ自然に言ったつもりだったが、果たしてそれが表情にも伝わっていたか、自信はなかった。兄の死は、今でも心の痛みを伴う。
 ギンガとスバル、この優しい姉妹の顔に悲しみが映るのを、ティアナは見てしまった。

「ごめんなさい……」
「お気になさらず。―――肉親はもういませんが、代わりに騒がしい知り合いがいますんで」

 ギンガの謝罪に、ティアナは努めて軽い口調で返した。
 それは沈んだ空気を緩和させる為の気遣いもあったし、丁度そのタイミングを見測ったかのように近づく知った顔を視界に捉えたせいもあった。
 ソイツはいつもの派手なコートではなく、何のつもりかスーツで着飾って、普段歩き慣れたスラム街を歩くように賑やかな道を違和感なく進んでくる。
 正規の市民権も持たない人間なのに、この街中で『彼』はモデルが決められた道を歩くように自然だった。
 人通りの中から頭一つ分飛び出す長身に長い足と美しい銀髪。たとえ服装が普通でも、いい意味で目立つ男だ。
 そして『彼』は、人ごみの中で僅かな迷いもなくティアナを見つけ出すと、不敵に笑っていつもの軽口を言った。

「―――人を探してるんだが、あんた知らないかい? 今日のデートの相手でね、勝気な眼つきにそっくりな性格をしてるんだが、本当はただ素直になれないだけの可愛い奴なんだ」
「私も探してるの。ソイツは普段自己主張の激しい派手な格好が大好きな子供っぽい奴で、ちょうど顔はあんたソックリだったわ」

 三年間続けてきた憎まれ口のやりとりに、ティアナも笑いながら応じた。
 突然声を掛けてきた長身の美形と、スバルも初めて見るような『悪そうな笑み』を浮かべたティアナの反応に姉妹が呆気に取られる中、二人は声を合わせて笑い合う。

「……感動の再会って言うらしいぜ、こういうの」
「まだ半年も経ってないでしょ?」
「手紙一つも寄越さないからな、恋しかったのさ。さあ、まずはキスの一つでもしてくれ。それとも熱烈なハグがいいか?」
「バカ」

 冷めた言葉にも、知らず苦笑が混じってしまう。交わし慣れた会話のリズムが懐かしい。
 手紙を出し終えて今日までの緊張は嘘のように無く、ティアナはダンテとの数ヶ月ぶりの再会を素直に楽しんだ。





 そこはごく普通の喫茶店だったが、その一角だけは一際異彩を放っていた。
 四人掛けのテーブルに座る少女三人、男一人のグループ。
 ギンガ、スバル、ティアナはそれぞれタイプは違えど例外なく美少女の容姿レベルを持っている。
 それだけでいい意味で注目される集団だが、加えて頭一つ分飛び出たダンテの存在が奇妙なインパクトを与えていた。
 十代半ばがせいぜいの少女達の輪の中に、開いた襟元からシルバーアクセサリを光らせるホストみたいな美形が妙な色気を振り撒きつつ混じっていたら、それはもう違和感丸出しである。
 そんな奇異の視線を集めながら何食わぬ顔でテーブルを囲む四人に、注文の品が届いた。
420魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:36:24 ID:dAUN7sZG

「お待たせしました。トリプルアイスパフェとストロベリーサンデー、コーヒー二つになります」

 見た目麗しい四人の客―――特に愛想良くウィンクまでしてくるダンテに対して緊張気味のウェイトレスは、頬を赤らめながらそれぞれの目の前に品物を置いた。
 ダンテとギンガの年長者にコーヒー、スバルとティアナにはそれぞれアイスパフェとストロベリーサンデーが配られる。
 積み上げられた三色のアイスに目を輝かせるスバルとは対照的に、ダンテは鼻腔を付く香ばしい匂いに顔を顰めていた。
 ティアナはため息を吐きながら、自分の目の前にあるストロベリーサンデーとコーヒーを交換した。

「ありがとよ。やれやれ、注文した品物はちゃんと渡してほしいぜ」
「いい年こいた大の男が、こんな甘ったるい物好き好んで食べるとは思わないでしょ」
「そりゃ悪かった。だがな、そう馬鹿にしたもんでもないんだぜ、こいつはな。一口いってみるか?」
「遠慮しとくわ」
「結構イケるのにな……」

 そう言って、クリームと苺を口に運びこむ作業に没頭し始めるダンテの隣では、まったく同じことをスバルがしていた。
 それぞれの好物を美味そうに頬張る姿は、全く似ていないのに親子か兄妹のように錯覚してしまう。
 向かいに座るティアナとギンガは思わず顔を見合わせて苦笑した。

「でも、ランスターさんも言ってくれればよかったのに、今日トニーさんと会う予定だったんでしょ?」

 口の周りをクリームで彩ったスバルが困ったように呟く。
 一般人の手前、ダンテは<トニー=レッドグレイヴ>を名乗っていた。

「あ、ひょっとしてわたしが強引に誘ったせいかな……?」
「違うわよ。待ち合わせ場所は同じだったし、結構大雑把な男だから来ないかもって思ってたし……正直、正装してる点だけでもビックリだけどね」

 素っ気無い態度で憎まれ口を叩くティアナに対して、しかしダンテは心得ているとばかりに笑いながらスバルとギンガ見る。

「まあ、本当のところは手紙を出した後で急に怖気づいたんだろうぜ。一人で会うのが恥ずかしくなったとかな?」
「う、うっさい!」
「こんな風に図星を突くと分かりやすい奴なんだ。普段は素直じゃないが、一つ余裕を持って付き合ってやってくれ」
「はい、分かりました!」
「あたしを無視して話を進めるな! あと、あんたも何即答してんのよ!?」
「いいじゃねえか、これを機にもっと友好を深めろよティア。お前、友達いないんだから」
「あんたに言われなくないわよッ!」
「スバル、もっと押していないかないとダメよ。三ヶ月も一緒なのに、未だに『ランスターさん』なんて他人行儀な呼び方なんでしょ?」
「うん……ランスターさん、ここは一つわたしも『ティア』って呼んでいい!? わたしのことは『スバル』でいいよ!」
「一気に馴れ馴れしすぎ! あーもう、だから気が進まなかったのよ……!」

 女が三人よれば姦しく、そこに色男が加われば賑やかさに輪をかける。
 それまでギンガに対して一歩引いていたティアナもいつの間にか歩み寄っていた。
 当初、スバルとギンガに対して別段距離を取っていたわけではないが、仲の良い姉妹の再会の横で一人佇むティアナが異端であることは否定できないことだった。
 しかし、そこにダンテが加わることで自然と遠慮していた分の距離が縮まっている。
 傍から見れば、二組の兄弟が談笑する姿がそこにあった。
421リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 20:36:53 ID:92GhOXX6
漫画版のスバルはかわいい支援
422魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:38:50 ID:dAUN7sZG



「―――でね、ランスターさんってスゴイんだよ!」
「私達の<シューティング・アーツ>も魔導師では異端だけど、銃を使った格闘というのもまた珍しいわね」
「別に普通ですよ。魔法もミッド式で射撃しかできない凡人ですし、その格闘も見よう見まねの付け焼刃みたいなものですから」
「そのワリにゃ、体に染み付いちまってるみたいだな。お前、俺に『無駄な動きが多すぎる、素直に狙って撃てばいい』とか言ってなかったか?」
「まあ、トニーさんが師匠なの?」
「いや、もう全然こんな奴に師事した覚えはないですから。根っからのダメ人間なんで」
「えー? でも、ランスターさんって、よくわたしの知らない言葉で喋ったりするじゃない。あれって、トニーさんの国の言葉でしょ?」
「よ、余計なこと言うな!」
「Slow down babe? 慌てんなよ。詳しく聞かせてくれ」
「そう、それ! そういうのですよ!」
「わーわーわーわぁーっ!
「あらあら」

 性格的にどこか似通ったところのある三人に、ティアナが孤軍奮闘し―――。

「トニーさんって魔導師なんですか?」
「いや、ちょいと危険な事も扱う何でも屋さ。あまり学はなくてね」
「ランスターさんとはどういう関係なんですか?」
「……そこのお二人さん、矛先変えないで。ソイツ、ある事ない事喋るから」
「ティアの兄貴とは友人でね、あとは色々あって今見ての通りの関係さ」
「血の繋がっていない家族、って感じですね」
「うんうん、本当の兄妹みたいだよっ」
「冗談、こんな奴と……」
「こいつの兄貴は一人だけさ、それは変わらない。だが、こいつといる時間は結構嫌いじゃないぜ」
「……」
「ランスターさん、顔あかーい」
「うるさい!」

 笑い声と共に充実した時間は過ぎていく―――。

「あ、お会計は私が……」
「オイオイ、俺に女に奢らせる気か? いい女は男に貢がせるもんさ」
「そんな、いい女だなんて……」
「大丈夫? 万年金欠でしょ」
「いや、最近結構儲かってるんでね。週休六日からはおさらばだ」
「……ねえ、それって」
「そらそら、俺に格好をつけさせてくれよ、お嬢さん」
「あ、はい。ではお願いします」
「……」

 そして、日が沈み、再び別れの時が来た。

423魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:42:30 ID:dAUN7sZG



 公的交通機関であるレールウェイの駅は、休日ということで多くの人が行き交っていた。
 一日の終わりに人を見送る者、休日出勤から帰り着く者をゲートが忙しくなく吐き出し、受け入れる。
 その一角に、ダンテと見送る側であるティアナの姿もあった。

「安心したぜ、なかなか上手くやってるみたいじゃねえか」
「まるっきり保護者の台詞ね」
「違いねえ、俺のキャラじゃあないな」

 エントランス中央にはボルトで固定された長椅子が配置されていたが、その全ては満席状態であり、家族連れで空いたスペースまで占領した者達が子供の溢したジュースで隣の客に頭を下げるなどの光景が見られる。
 そんな愚劇に参加する気を端から放棄した二人は、素直に案内板の貼られた壁に背を預けて暇を潰していた。
 ギンガとスバルは切符を買いに行っている。
 これはティアナが頼んだことだった。ダンテと二人で話すことを暗に願った為に。

「―――ねえ、仕事が儲かってるって言ったわよね?」

 ダンテの『本当の仕事』を他人に教えるつもりはない。ティアナは手短に話を切り出した。

「ああ、事務所の借金もそろそろ終わりそうだぜ。冷たいシャワーはもうウンザリだし、払い終わったら次はリフォームでも……」
「<合言葉>の仕事なんでしょ?」

 台詞を遮って、ほとんど断言するティアナの勘の良さにダンテは閉口した。
 彼女だけが知っている、ダンテの専門とする裏家業<デビルハンター>―――その名の如く、『悪魔を狩る仕事』だ。
 かつて、ティーダ=ランスターの命を奪い、その名誉を地に落とした憎むべき存在達と戦う事だ。

「最近、首都でも奴らの存在を匂わせる事件が増え始めてるわ。だったら、あの街ではもっと増えてる筈。だって、アイツラはそういう存在だから……」

 <悪魔>―――そう呼ばれる者達を、ティアナは知っている。
 憎んでも憎みきれぬ相手だが、同時にその恐怖も知っている。
 まるで魔法のように現れる存在達。場所も自由、時間も自由、形すら不定だ。
 人間であるティアナにとって、奴らの存在は計り知れない。もし、真に奴らが自由なら人は抗いようがないのではないか?
 無限を見ているような不安を、決意と憎悪で押さえ込んできた。
 しかし、だからこそ―――。

「……なんだ、らしくもなく心配か?」

 一笑に伏すダンテに虚勢など見えないし、事実彼が悪魔を狩る戦士として最高の力を持っていることは理解している。

「…………心配よ」

 それでも、身を案じることは理屈ではないのだ。

「ヘイ、お嬢さん(レディ) 今更、変な考え直しなんかするなよ? 戻って来て、こんなヤクザな商売に本格的に足を突っ込もうなんて考えてるなら、顔を洗って目を覚ましてきな」
「……あの悪魔と戦えるなら、管理局でもあんたの傍でも変わらないでしょ?」
「なら、ティーダの夢はどうする? あの日の誓いは嘘か?」
「それは……」

 ダンテは壁から離れると、ティアナに向き直った。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:43:46 ID:fttQYidT
ティアナ可愛すぎだろjk…
支援
425名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:43:53 ID:dvNFR+L+
支援
426魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:45:12 ID:dAUN7sZG

「―――ティア、お前が選んだお前の戦い方だ。そいつは間違っちゃいないさ」

 見上げれば、時折魅せる優しい笑みが浮かんでいる。

「復讐って点じゃ、俺も変わらないけどな……お前のおかげで何が大切なのか分かった。失った人間から受け継ぐべきものは、力なんかじゃない。誇り高い、魂だ」

 あの日、少女が一人の男と出会い、その行く末を替えた日―――幼い少女の誓いに、男もまた変化を得たのだ。
 冷めた表情の下に涙脆い一面を持つ少女が必死に堪える肩に触れ、少しだけ躊躇うように鼻の頭を掻くと、ダンテはティアナを抱き締めた。
 腕の中でティアナの体が驚きで小さく震える。

「やれやれ、こういうホームドラマは苦手なんだがな」
「……あたしだって、好きじゃないわよ」
「もう少し色気が出てきたら、こういうハグも喜んでやってやるんだがね」
「こっちから願い下げだわ。もしやったら、体に穴増やしてやるんだから」
「三年で口だけは悪くなりやがって……ティーダに殺されるな」

 憎まれ口を叩き合いながら、少なくとも駅の一角にあるその光景は、仲の良い兄妹が抱き合うシーンとして違和感なくそこに在った。

 ―――すでに切符を買い終わっていたギンガとスバルが、その抱擁シーンをこっそり見守っていることにティアナ『だけ』は気付いていない。




 それからギンガとスバルが合流した後、それぞれを改札口で見送り、スバルと主に訓練校の寮へ戻る。
 ティアナ=ランスターの休日はこうして終わった。
 それが充実したものであったかどうかは、もちろんいつものように馴れ馴れしいルームメイトに明かす事はないのだが……。

「おやすみ、スバル」
「おやすみー、ランスターさん」
「……」
「……」
「……」
「…………ランスターさんッ、今!? 今ーーーッ!!」
「うっさい、早く寝なさいよ!」
「もう一度! もう一度、さっきのおやすみの挨拶をっ! 名前付きで!!」
「寝ろっ!」

 後日、二人の訓練生の仲が少しだけ進展した事だけは確かである。



427魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:47:37 ID:dAUN7sZG

 ラボのバリアケージに固定された『それ』を二人は神妙に見下ろしていた。

「―――これが例の?」
「ああ、この状態を保ったまま確保できた初めてのサンプルさ。でも、これまでのデータからして、後数時間もすれば跡形もなく消滅してしまう」

 厳密にはそれは物質とは呼べないものだった。
 血のように赤く、歪な球状に固まったそれの表面には苦悶に満ちた人の顔にも見える歪みが浮かんでいる。全体が淡く輝く石のようにも見えるが、しかし肉眼でも捉えられるこれは実際には実体を持たない物なのだ。

「検分の結果は?」
「何せ、どれだけ厳重に保存しても半日で消滅してしまう代物だからね。解析は難攻さ。
 分かっている範囲では、物質でなければ何らかのエネルギー体というワケでもない。数値として観測は出来ても、それが何なのか過去に例を見ない奇妙な<石>さ。未だにカテゴリーすら出来ないんだからね」
「……整理しよう」

 薄暗いラボの中、その<石>を照らし出すライトの光がクロノの顔の輪郭を浮かび上がらせた。
 そして彼が促すと、向かい合って佇むヴェロッサが小さく頷いて応えた。

「―――<奴ら>の存在が初めて確認されたのは、記録を遡る限り四年前。
 古代遺物(ロストロギア)の探索任務を行っていた陸士の一団が謎の襲撃を受け、謎の死を遂げた。それからもたびたび謎の襲撃は起こっているが、頻度が低い上に何の痕跡も無い為に公にはならなかった」
「だが、最近になって頻度は上がり続け、過去の事件は見直され始めている。わずかな生還者の証言から、襲撃者に共通点はない。動き出した動力源不明の人形、実体を持たない巨大な頭蓋骨、人の形を持った砂の化け物……」
「どれもこの世のものとは思えないね」

 祈るように呟くヴェロッサをクロノが視線で諌めた。
 これらは現実だ。現実は正しく認識しなければならない。それがどれ程、非現実的であったとしても。

「これらが未知の魔法生物である可能性は?」
「何とも言えないね。何せ、そいつらの肉片一つ手に入らないんだから」

 見た目や種類にあらゆる違いを持つ襲撃者達の、奇怪な共通点の一つだ。
 襲われた者達の中には、逆に敵を返り討ちにした場合もあったが、いずれも例外なく相手は跡形も無く消え去ってしまうのだ。

「僅かな共通点と言えば、やはりこの<石>か……」

 多種多様な襲撃者達は、消滅する時に皆例外なくこの赤い石を残していく。しかし、それさえも時間と共に完全に消えてしまうのだ。
 これが人為的な事件なのか、それとも事故なのか、カテゴリーすら出来ない。あらゆる事が不鮮明だった。

「まるで、本当に血みたいだね」
「これが<奴ら>の血痕だと?」
「違うかい? コレは<奴ら>を撃退出来たケースでのみ現れる。襲撃者の種類に関わらず、全てに。
 この石が便宜上とはいえ何て呼ばれてるか知ってるかい? <レッドオーブ>もしくは<デモンブラッド>さ」
「<デモンブラッド>?」
「共通点がもう一つあったね。<奴ら>と遭遇した魔導師が例外なく同じ表現を用いている事さ―――『悪魔だ』ってね」

 バカバカしい、そう思いながらもクロノは閉口した。
 場所も、時間も、姿形さえ定かではない存在。そんな者を人はなんと呼ぶだろうか?
 いや、バカバカしい。改めて感情的になりつつある思考を切り替える。理性的な行動を重んじるクロノは、抽象的な表現に踊らされる自分を諌めた。

「身の丈を超える爬虫類を、知らない者は<悪魔>と呼ぶ。それがドラゴンだと知る僕達にとって、どれだけ滑稽に見えるか知らずに」
「存在する以上、定義することも出来るって? 相変わらず現実主義者だねえ」
「呼び方なんてどうでもいい。問題なのは、<奴ら>もこの<石>も手掛り一つ無い、未知の物でありすぎるという点さ」

 神妙に呟くクロノを見て、ヴェロッサが思いついたように口を開いた。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:50:55 ID:fttQYidT
支援
429名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:51:13 ID:dlrYSwwP
支援
430魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:51:55 ID:dAUN7sZG

「そういえば……大分前から<奴ら>と交戦してたらしい、廃棄都市の何でも屋? 当たってみるって言ってたけど、どうだったんだい?」
「交渉決裂したよ。独自の自治が出来上がってしまっているあそこでは、無理も通せないからな」
「残念だねぇ、貴重な証言者だと思ったのに」
「デマの可能性もある。過度な期待はしてないさ」
「結局、状況は一進一退もせずか……」

 ヴェロッサの呟きには、僅かな失望の色が滲んでいた。
 今はまだ、この状況を深刻に受け止める者はいなければ、疑問に思う者すらいない。
 しかし、何かがこのミッドチルダを浸食しつつある―――そんな漠然とした不安が二人の中には燻りつつあった。
 目の前のおぞましい<石>こそ、その不安が形となった物であるような気がしてならないのだ。

「しかし、情報が本当だとしたら、いずれその何でも屋は確保する必要があるね。多少強引な方法でも……」

 <石>を眺めながら、ヴェロッサが呟く。

「この<石>が単純な魔力の塊ではない以上、人体にどういう影響を与える物なのかは分からない。ただ『生物が摂取可能』な物である事は確かだ」
「現場で何人かの魔導師が、この<石>を『吸収した』という報告があったな。何か分かったのか?」
「いや、最初の魔導師は摂取して数ヶ月経ってるが、未だに検査で異常は見られないそうだ。他も同じ―――でも、いずれも戦闘中に<石>に触れて、少量が体に吸い込まれるようにして消えただけなんだ」
「大量に吸収すれば、どんな影響が出るか分からない?」
「多分ね。でも、もしそうならイコール<奴ら>を大量に倒す必要がある……」

 それだけ多くの敵を遭遇する例はこれまでになく、また魔導師に被害を出す程の敵の大群を相手にして戦い抜けるだけの戦闘力を持った者がいるものか―――?
 今の段階では、全てが推定であり仮定でしか成り立たないものばかりだった。

 結局、その日の二人の会合は実りある結論を出す事無く終わる。
 それから約三年もの間、謎の襲撃の遭遇率と被害者数をゆるやかに増加させる以外の進展は起こらなかった―――。



 時はまだ満ちず、わずかな者達がその一端に触れただけ。

 陽光が生み出した影の中、人ならぬものたちの息吹。
 夜の闇が天を覆うたび、ひそやかに舞い狂う黒い影。
 光の差さぬ黒い影にうごめく、怪しい気配。


 ……その全貌を知り得る者はまだ誰もいない。ただ一人、あの男を除いては……。







 to be continued…>

431魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 20:52:40 ID:dAUN7sZG




<ダンテの悪魔解説コーナー>



フュリアタウルス(DMC2に登場)


 牛肉の炭火焼ローストは俺も大好物だ。しかし、コイツほど不味そうな牛はいないだろうな。
 神話で有名なミノタウロスの親戚みたいな姿をした、なかなか強力な火の悪魔だ。
 本来は炎で熱した牛型の炉で罪人を焼き殺す刑具だったらしいが、そういういわく付きの代物に悪魔が宿るのは珍しいことじゃない。
 今もその四肢には炎が通い、刑死者の断末魔の絶叫と極限の激怒が渦巻いている。
 人の負の感情を積み重ねた呪いを力にする悪魔は例外なく強い。油断は禁物だぜ。
 見た目通り、ハンマーを利用したパワーは半端なもんじゃないが、動きがスローなのも見た目通りだ。
 熱いものは冷やすに限る。長年燃え続けた炉の火を、そろそろ落としてやろうぜ。
432Strikers May Cry:2007/12/31(月) 20:54:48 ID:e70MQAoj
超GJ!!! もうGJ過ぎです!!!!!

っていうかダンテとティアナのやりとりが甘え! なんか読んでてストロベリーサンデーを口にぶち込まれたみたいに甘ええええ!!!!!
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 20:57:44 ID:fttQYidT
GJGJGJですですですーーーー!!
しかし間が悪いなクロノ君
一日ずれてれば真実に一直線だったのに。
そして相変わらずティアナの可愛さが異常だが、スバルも可愛いですねっ☆
434魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 21:00:10 ID:dAUN7sZG
ふぅー、初めてこんな大量の投下をやっちまったぁー。でも、なんてことなかったな。
まるで年明け前に洗いたてのパンツ履いたような気分だぜ〜。

もう、全然戦闘がないんでラストの解説コーナーに出す悪魔に困るほどですが、とりあえずダラダラ日常シーンでした。
ティアナのツンデレぶりに萌えてくれれば幸いですw
ちなみに、これもコミック版のストーリー。
次回からはようやくアニメ本編に入れますね。ダンテの戦闘シーンも近くなったので、期待してる人は安心してください。
しかし、書いてて思ったけど、ちょっとダンテが落ち着きすぎかな? 設定年齢をDMC4あたりにした方がいいかしら?
ちなみに4のファイナルトレーラーで出た、バラ咥えたダンテに惚れ直した私ですw
ダンテ、ダサカッコいいよダンテwww
435反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/31(月) 21:00:38 ID:NCHJ5Y/K
職人の皆さんGJだッゼェ!

さて皆さん、
今年をザッフィー大活躍の片翼で締めくくりたいですか?
それとも新年を「私達の居場所を壊さないでぇ!」な片翼で迎えたいですか?
…うん、もちろん前者だよね。
そんなこんなで9時には順番が回ってくることを期待していたのですが…
…どうやら無理っぽいですし、そもそも書き込む前に次スレ立っちゃう…
避難所行ってこようかな?
436名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/31(月) 21:04:21 ID:/e0kPOLx
GJ!!
もっと別の言葉を送りたいがこれが俺に出来る精一杯の言葉です!最高でした!

437Strikers May Cry:2007/12/31(月) 21:04:41 ID:e70MQAoj
>>434 なっ!? 4のダンテじゃあ年の差カップル過ぎですぜ!!

むしろ兄弟より親子って感じですよ。
438戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 21:05:52 ID:C345MK13
>>434
GJ!GJ!
ダンテがクールでティアナが可愛く。
そんな二人が交わるとリンディ茶やストロベリーサンデーを上回る甘さ!!

バラを咥えたダンテなら見ましたよ。
確か4の新武器のオプションでしたっけ?そういえばダンテは何歳なんだろ…。
439リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 21:05:54 ID:92GhOXX6
GJ&乙です!
ダンテめちゃスタイリッシュ(としか表現できない)!
ティアかわいいよティア
440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:08:00 ID:rTuTWrMm
>>391
亀ですが、GJです!
いやいやそれにしても管理局が行っている事は愚かとしか言いようが無いですね。
なんせあのキングギドラを捕獲して使い魔にするだけじゃ飽き足らず、あまつさえ
守護神モスラさえ捕獲して使い魔にするという愚業をするのですからもう愚かとしか言いようがありませんね。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:11:23 ID:fttQYidT
>>440
何処が?
生きるため足掻いてるだけだろ?
ゴジラに対抗する為可能な限りを尽くしてるだけだろ?
世界を滅ぼさない為の足掻きだろ?
愚かとか一言で表せるものじゃないだろう。
442名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:12:37 ID:8YFhQali
>>441
モスラなら、遣ろうと思えばゴジラを倒せるのに無駄な手を出すなぁ、ってことじゃね?
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:18:53 ID:fttQYidT
>>442
管理局からすれば、自軍の最高威力の一斉掃射を事も無げに耐え切った相手だぜ?
慎重になるのは当然。一匹じゃ足りませんでした、ゴジラ出すだけで終わっちゃいましたになっちゃ洒落にならん。
そもそも見る限りゴジラはかなり強化されてる設定みたいだし。
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:21:26 ID:rTuTWrMm
>>441
ちょっと説明が足りなかったみたいですな。
自分が言いたいのはモスラは別に使い魔などにしなくても人類を守る為に
ゴジラと戦うというのに、それを無理やり使い魔にして戦わせる事が愚かだと言いたいのです。

445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:21:51 ID:jpOM2UQZ
>>441,443
必死すぎてきもい
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:29:44 ID:fttQYidT
>>444
そんな事管理局が知ってるわけないじゃん。
第一、知ってたとしても確実性に欠けるだろう。何処まで戦ってくれるかなんて分からないんだから
447名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:31:36 ID:fttQYidT
>>444
というかそれならキングギドラ関係無くない?
448名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:32:54 ID:fU+i71M8
何だか、全く別の論議になっているように見えるのは
気のせいかい?
449名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:35:34 ID:RPumFZoo
>>444
というか、管理局って利用するものはなんでも利用する主義だし
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:35:43 ID:VQw4X4zw
ウロス行ってやるか止めるかどっちかにしてくれなー
451名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:40:04 ID:fttQYidT
すみません。
考え無しに愚かとかキツい事言ってるの見て噛付いてしまいました。
間違った事だけど愚かなんて侮辱受ける筋も無いだろうと思った次第でございます
空気悪くしてすみませんでした
ちょっとトリプルブレイカーくらって頭冷やして来ます
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:49:22 ID:8ArjT6ac
最近、瞬間湯沸かし器みたいな奴が多くなったな
453名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:50:02 ID:dvNFR+L+
>>434
GJ。
ティアナがなんでこんなに可愛いすぎwww


ところで、レッドオーブがあるって事はティアナが時空神の像でパープルオーブとブルーオーブに交換して能力アップって事もあるですか?
454名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:50:42 ID:rTuTWrMm
>>451
いやいや自分ももう少し言葉を選んで発言をすれば良かったと思います。
空気を悪くしてしまい本当深く反省お詫び申し上げます。
ちょっとヴィヴィ王にめっ!されてきます。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:55:04 ID:fttQYidT
>>454
謝罪文の中ですら考え無しとか煽りっぽいワード使ってごめんなさい
どうしてもこれを言いたかった
456名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 21:56:30 ID:bOjZlOS8
無意識でパフォーマンスしてるティアナとか可愛すぎだろ……
457リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 21:56:50 ID:FUyrYgld
>>452
瞬間湯沸かし器…ああ、アキレスのことか(byアポロガイスト)
458リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:00:43 ID:92GhOXX6
じゃあそろそろ行きますねー
この流れを変える一石になれば……
======



 新生夢者遊撃隊を乗せ、堕悪霧者愚連隊の手によってレールもといハイジャックされた暴走新幹線は
今や彼等の目的地の名古屋はとうに過ぎ、新倉敷に差し掛かろうとしていた。
 乗客を人質にとられた武ちゃ丸とトッキーは彼らの要求に従い、
罠と知りつつ無抵抗のまま敵の待つ運転室に出向いていた。



巻之八「脅威の堕悪融合!? 大逆転のはじまりやでっ!」



「海鳴では世話になったな、武者頑駄無ども」
「お前達は……できたら白昼夢の見せた幻として記憶回路の片隅に葬っておきたかったんだが」
「こないだのへっぽこ侍やな? 懲りひん連中やな〜」
「んぐぐ……ま、まあいい。そのへっぽこに倒される事になるのだから、光栄に思う事だな」

 反論しない辺り自覚はあったらしい。

「ともかく、約束通り俺達は投降した。今すぐ乗客の人たちを解放するんだ!」
「フフフ、約束ぅ? 果たして何のことだったかな、なぁ堕悪雑獄苦?」
「グフフ、知らぬなぁ?」

 そ知らぬ顔でニヤニヤと下卑た笑みを浮かべ、二人を一瞥する堕悪圧愚と堕悪雑獄苦。
 それを見た武ちゃ丸とトッキーの怒りに火がついた。

「どうせんなことやろーとは思っとったけど、やっぱりこうなってもうたか!」
「キサマら、もしも俺達の目が黒いうちに乗客に手を出して見ろ……
 例えどんな手を使おうとも俺達はお前達の五体をズタズタに引き裂いてやる!」

 元警官とは思えない恐ろしい言葉で堕悪以下略を恫喝するトッキー。
 その様はもはやどっちが不利な立場なのか分からなくなってしまうほどの錯覚を覚えさせる。

「とても正義の味方の台詞じゃないーっ!? だ、だだだだ堕悪圧愚リーダーッ!?」
「うろたえるな小僧ーっ! 我々には切り札があるのを忘れたか!?」
「そ、そうであったそうであった! フフフ、これを見ろ青い鉄機武者!」

 辛うじて正気を取り戻した堕悪雑獄苦は「固体蛇」と書かれた大きな段ボール箱を
どこからとも無く取り出した。武者にとって巨大な物体を突然持ち出すのは基礎中の基礎である。

「段ボール箱……あ、ちょぉ個人的に嫌な思い出が」

 武ちゃ丸の呟きを遮り、その段ボール箱を跳ね除けた中からいかにも人相の悪い男がその姿を現した。

「へへっ、やっと出れたか! あんがとよ、堕悪なんとかさんよ」

 その顔を見たトッキーは驚き、出発前に本部長から聞かされた知らせを思い出す。
 何者かの手引きによって脱獄したあの男……自分が刑事として最後に捕らえた男の事を。

「お前は、ゲバゲバ団のボス!?」
「知っとんのか、斗機丸?」

 すでになんとなく推理が済んでいるにもかかわらず、得意気に自白を開始する堕悪圧愚。
459リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:01:09 ID:92GhOXX6
「この俺様が脱獄させてやったのよ! 地中からこの俺様自慢のドリルで穴を掘ってな!」
「さんざん邪魔された恨み、晴らしてやるぜ!」

 そう言ってピストルを持ち出し発砲するボス。
 かわして車両に被害が及ぶのを避けるためにわざとその身で受け止め、
どうにかして説得に当たろうとするトッキーの攻防が開始された。
 同じ頃後部車両ではそんな努力がフイになるような破壊活動が、
よりによって最年少の味方の手で行なわれているとは露知らず。

「やめろ! もう俺は刑事じゃないっ!」
「じゃかぁしいっ!」

 ボスのピストルだけでなく、堕悪雑獄苦も二人に向けてブーメランを乱射する。
 うかつに手を出すわけには行かず、武ちゃ丸とトッキーは防戦を強いられてしまう。

「フハハハ! いかに屈強の武者と言えど、目の前に人質がいては手が出せまいっ」

 その一瞬、本当に世界が止まったような気がしたと後にそのボスは供述している。

「……えっ? 俺って人質だったの?」

「その通り。我々と武者打倒という目的を同じくし、裏の社会に顔がきき、
 いざとなったらこうして使い捨てに出来る人材だからな……ご協力に感謝!」
「そ、そんな……この俺様が、捨て駒ぁ?」
「そういうわけなので潔く露と散っていただけると当方としてはありがたいのであるがぁ!」
「何ちゅう哀れなやっちゃ……やっぱ犯罪は割に合わんなぁ」
「そういう問題かっ!? おのれ、堕悪闇軍団め! 人の心を踏みにじる卑劣な真似を!」
「いくらでも吠えるがいい。どうせお前らはこちらに手出しできんのだからな!
 我々はもはや手段を選んではいられん。おとなしく我らの手で倒されろ!」
「くっそぉぉぉぉっ!!」

 絶体絶命の窮地に陥る武ちゃ丸とトッキー。
 しかし、そこに場違いなメッセージが突然流れ出した。

『Ladies and gentlemen. Welcome to Shin-Kan-Sen』
「な、何だ? 機械の誤作動か?」

 驚く一同を差し置いて、スピーカーは狂ったように外国人向けのメッセージを流し続ける。

『This is NOZOMI superexpress bound for...hell's third square for Dark-Yamigundan』
「何だって? ぷっ……ハハハハッ!」

 そこまで聞いたトッキーは目を見開いたかと思うと、すぐに大きな笑い声を上げた。

「ど、どないしたんや斗機丸!? まさか『ぷろぐらむ』がどっか壊れて……」
「いや、俺は正常さ武者丸。これで何とかなりそうだ!」

 先程から妙にエキセントリックな発言が目立つトッキーのさらなる豹変を見て、
必要以上に怯えまくる堕悪二名。

「我はだまされんぞ! 暴走したロボットはみんなそう言うのだ!」
「……おい、鉄機武者、これは一体何と言っている!?」
「さぁな。だが、とりあえず行き先はキサマらのために地獄の三丁目行きに変更したそうだ!」
460リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:01:44 ID:92GhOXX6
<<All operation systems were completely grasped>>
「お疲れ様、レイジングハート。後一息、頑張って!」
<<All right>>
「運転室に脅しもかけたし、一両目の人達も車内放送を入れて避難させた。これで……」
「あとはトッキーに鎧を届けてやるだけだな!」

 その頃、後部車両の運転席ではレイジングハートの活躍で新幹線の制御を奪回した年少組が
先頭車両から仲間を救出すべく活動を開始していた。

「こいつに乗っていけばあっという間に先頭車両だ、飛ばしていくぞ!」
「……本当に動かせるの、それ?」
「大丈夫大丈夫、トッキーがこいつに乗ってるの何度も見てるしどーにかなんだろ」
「ふ、不安だ。果てしなく不安だ」

 ウェイブライダーの上に乗り、自信ありげに宣言するシンヤを疑いの眼差しで見つめるユーノ。

「だったらバリアの一つか二つくらい張ってくれよ、アテにさせてもらうぜ?」
「ちょ、そこ掴まないで! 絞まる、首が絞まるから!」

 嫌がるユーノの首根っこを掴み、無理矢理シンヤはユーノをウェイブライダーの前方に乗せた。

「あ、じゃあ私はどうしたら……」
「んー、そしたらそこでのびてるそいつらを見張っててくれ。魔法で縛ってるから今度は大丈夫だろ」
「うん、僕もそうした方が良いと思う。そもそも今レイジングハートは動かせないしね」
「分かった。二人とも、気をつけてね」
「OK、OK! けどくれぐれも気を付けろよ、なのは。じゃあ行くぞユーノ、しっかりつかまっとけ!」

 初めてシンヤが自分達の事を名前で呼んでくれた……
 そのことに気付いたなのはは、こんな事態の最中にもかかわらず少し嬉しい気分になっていた。

「いざ発進……ってぇ、何じゃこりゃぁぁぁぁっ!?」
「危ない! ぶつかる! 降ろして! キュッ、キュゥーッ!?」

 シンヤとユーノの悲痛な叫び(withドップラー効果)を残し、
あっという間に恐ろしい加速で満員の座席と座席の間の通路を駆け抜けていくウェイブライダー。
 良い子は電車の中で乗り物に乗って遊ばないようにね!



「どわぁぁぁぁぁっ!?」
「ひっ!? こ、今度は何だ一体!?」

 叫び声と共に運転室に嵐のようになだれ込んでくる一陣の青い風、ウェイブライダー。
 トッキーの鎧が変形したそれは高性能な空陸両用サポートマシンでもあるが、
生半可な事で乗りこなせる代物ではない。
 しかもそれに乗っていたのは……

「いててて……ようトッキー、ずいぶんボロボロじゃねーか」
「それは僕達もだよ! もう絶対乗らないからね!」
「シンヤ、ユーノ!? ウェイブライダーに乗ってきたのか……なんて無茶を」
「当たり前だろ? オレ達だって夢者遊撃隊なんだ、少しは役に立たねーとな!」

 あちこち擦り傷だらけになりながらも、吹っ切れた笑顔でサムズアップをトッキーに向けるシンヤ。

「運転は後部車両でレイジングハートが制御して、乗客は先頭車両から避難してもらいました!
 もうあいつらの目論見は通用しません!」

 同じく整った自慢の毛並みをズタボロにしてもなお冷静に現状を整理し、二人に伝えるユーノ。
461リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:02:25 ID:92GhOXX6
「アカン、まだあそこのギャングのおっちゃんが最後の人質に!」
「そ、その通りだ! 動くなよ、こいつの命は無いぞ!?」
「た、たまには我等だって本気出すんだぞ!?」
「ひ、ひぇぇぇ〜っ!?」

 この男、仮にもテロ組織の頭目であったはずなのに情けないものである。
 それとはまるで対称的に、トッキーの目は自信に満ち溢れていた。

「……いや、俺ならできるさ。シンヤにユーノ、なのはが危険を賭してまで持ってきてくれた、
 この鎧さえあれば! 武者、武装ぉっ!!」

 鋼鉄の体に宿る熱き武者魂に青い波濤が重なる時、灯火は疾風に煽られ烈火となる。
 そう、今のトッキー、いや、斗機丸の姿はまさに蒼く輝く炎と呼ぶに相応しいものであった。

「て、抵抗したな!? やれ、堕悪雑獄苦!」
「えっ!? わ、我がやるのか、リーダー!?」
「そう」
「いや、ここは手柄をリーダーにお譲りします。頑駄無どもは我が」
「いやいや、人質やっても手柄にゃならんし、やはりリーダーたるもの後ろでふんぞり返ってないと」
「いやいやいや、最近はリーダーシップが問われるものですぞ。リーダーは先頭に立ってないと」
「いやいやいやいや……」
「いやいやいやいやいや……」

 自分達の命運もかかっているのにいざと言う時になっていきなり弱腰になる堕(ry。
 こんな事だからいつまでたってもへっぽこ扱いされるのである。

「さて、余興も飽きたしそろそろ片付けようか」
「お、おいお前ら人質がどうなっても……って、いなーい!?」
「お前たちがのんびりコントしている横でゆっくりと救出させてもらった。
 正直あれだけカッコつけて鎧装着したテンションを返して欲しい」
「そんな御無体なっ!? そこの純真な少年達! この横柄な青野郎の発言をどう思うね!?」

 何をそんなに必死になっているのか堕悪圧愚はシンヤとユーノに意見を求める。

「真性のアホだろお前ら」
「後部車両の人達の方がまだまともだったよ」

 子供ゆえに歯に衣着せぬ強烈な口撃でカウンターを食らわすシンヤとユーノ。
 その時、堕悪圧愚の中で決定的な何かが切れた。

「……おまんら、許さんぜよぉぉぉっ! 俺はこの堕悪融合で、全てをなぎ払う!」
「リ、リーダー! こんなとこで融合したら我はどうなるのだ!?」
「知らん知らん! みんな星になってしまえぇぇぇぇっ!!」

 堕悪圧愚の体が不気味な光を発し、体中から触手のようなものが伸びたかと思うと
それは車両のいたるところに突き刺さり、車両を侵食していく。

「まずい!? 皆、先頭車両から離れろっ!」

 事態を察知した斗機丸の怒号が響き、慌ててニ両目へと避難する一同。
 しかし、そこに腰が抜け、一人取り残された男がいた。

「あ、足が……足が……」
「!!」
462名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 22:02:59 ID:OWKgBCZv
レッドオーブがアレだけ描写されてるということはブルー・グリーン・ゴールドなどの各色出そうですな。
しかし、強引な手段で・・・って、ポテンシャル的には魔帝・覇王をぶちのめし、初代リィンを含めた闇の書ファミリーをぬっころす事も普通に可能なダンテにそんな隷属させるようなことしたら・・・・
管理局涙目www
463リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:02:59 ID:92GhOXX6

(なのは!)
(ユーノ君? 一体何があったの!?)
(なのは、緊急事態だ! 一両目を切り離すから、ブレーキをかけさせて! 今すぐに!)
(わ、わかった! レイジングハート、急いで!)

 後部車両で待機していたなのはに念話で用件だけ伝えるユーノ。
 直後、減速するニ両目以降を置いて、異形への変容を繰り返しながら先頭車両は遠ざかっていく。
 しかし、その場に斗機丸の姿は無かった。

「トッキー……? あいつまさか、まだあの先頭車の中に!」
「何やて!?」
「心配は要らない! 俺ならここだ!」

 不安げな声を漏らすシンヤの声に答えるかのように、
宙からゲバゲバ団のボスを抱えた斗機丸が停止した車両の前方に舞い降りて来た。

「ト、トッキー……何故、あんな危険を冒してまで俺を助けた?」
「……俺は刑事としてお前の心を救えなかった。だが、生きていればいつかは、きっと……」
「トッキー……お前……」

 斗機丸の言葉に感極まり、漢泣きに咽ぶボス。

「よかった……けど武ちゃ丸、あれは一体?」
「堕悪武者の最後の切り札、堕悪融合や! あらゆる物質と融合して、
 自分の力を驚異的に跳ね上げる荒業……ワイらの世界では何人もの仲間があれにやられとる。
 ホラ、戻ってきよったで!」

 ユーノの質問に答える武ちゃ丸の指差す先、進行方向から高速で戻ってくる先頭車両。
 しかし、その姿はまるで原型をとどめていないいびつな姿をしていた。

「堕悪特急! アグライナ〜!!」

 百足のように鎌の付いた脚が幾本も生え、ノーズはドリルと化し、
巨大な両腕には鋭い爪が存在感を示していて、 運転席付近のぎょろぎょろとした単眼が目立つ。
 そして何より……

「なっ、デ、デカイ!?」
「そらそうや、何せ融合したもんが電車丸々一両やさかいな! さぁて、何をしでかしてくるか……」

 油断無く慎重に新幹線と融合した堕悪圧愚……アグライナーの動向を見定める斗機丸と武ちゃ丸。
 そんな彼らをあざ笑うかのように眼が歪んだかと思うと、
ドリルをフル回転させ、その巨躯からは想像も出来ない速さで脚による連続突きを繰り出してくる。
 そんなアグライナーの猛攻から人々のいる車両をラウンドシールドで防ぎつつ、
ユーノはその凄まじいまでの変化に改めて驚愕を禁じえなかった。

「ほとんど何の魔力も感じなかったのにここまでパワーアップするなんて!?」
「それが堕悪闇軍団! 心を伴わない絶対的な力だけを追い求めた愚者の行く末だ!」

 断続的に襲い来る攻撃を捌きながら、斗機丸は堕悪武者のことをそう断じる。
 あえて心を持たされて生まれた戦闘機械、鉄機武者の彼ならではのとらえ方であった。

「そやけど斗機丸、防戦一方やったらラチがあかんで! ここらで一発ドカンと決められへんのか!?」
「お前が鎧を忘れてさえ来なければまだ手立てはあったんだがな!
 厚い外殻にビームは効果が薄いし、一人ではとてもじゃないが接近戦には持ち込めない!」
「そしたらユーノのロープみたいなアレで動きを止めるっちゅうのはどないや?」
「バ、バインドですか? ごめんなさい、僕も、列車を守るので、精、一杯!」
464リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:04:06 ID:92GhOXX6
 目にも止まらぬ動きで直撃を最小限に抑えつつ回避に徹する斗機丸、
いまだ本調子とは言えない体にもかかわらずシールドで次々と攻撃を防ぐユーノ。
 そんな必死な二人の様を目の前にしては武ちゃ丸も
これ以上の無茶を要求する事はできず、口ごもってしまう。
 せめて今の自分に戦う力があれば……そう思っていると、斗機丸が自分のナギナタを手渡す。

「手ほどき程度なら撃鱗将様や號號将様から受けているはずだな?
 正直猫の手も借りたい状況だ、働かざるもの食うべからず!」
「斗機丸……恩に着るで! そやけど、そしたらお前の武器は!?」
「俺の体の事を忘れたのか? 多少の無茶なら……」

 またも悪い癖で自分の身を省みず危険な手段を選ぼうとする斗機丸。すると……

「トッキー、コイツを使ってやってくれーっ!」

 その一言と共にトッキーに何かが投げつけられる。よく見るとそれは二丁のオートマチック拳銃。
 そしてそれを投げた主は何とあのゲバゲバ団のボスであった。

「……任せろ、銃の扱いは得意中の得意だ! やるぞ、武者丸!」
「よっしゃ! 行くでーっ!!」

 両手に拳銃を構え、滑空しつつ武ちゃ丸と共にアグライナーに突撃していく斗機丸。
 列車や人々を守るために遠巻きにその姿を見つめるユーノは思わず弱音を吐いてしまう。

「今度ばかりは無謀だよ、あんな貧弱な火器でこんな大物をどうにかしようだなんて……」
「いいから見とけってユーノ。刑事としてのトッキーの異名、二丁拳銃の武者刑事の大暴れをよ」

 シンヤは自慢げに斗機丸の姿を見つめつつユーノの不安を一笑に付した。

「邪魔だ、どけぇぇぇっ!」

 空から攻める斗機丸はひときわ目立つためか、脚や触手の多くは彼に向かって殺到する。
 しかし、斗機丸の精密な電子頭脳は今までの交戦からそれらの動きを分析して
最も隙の大きい箇所に潜り込み、避けられない攻撃はグリップで叩き付け、
あるいはコンマ単位に至るまでブレが無い正確な射撃で怯ませる。
 破壊するには至らないが、懐に潜り込むにはわずかな時間でも沈黙させればそれで十分。
 それは戦いというより一つの華麗な演舞を見ているかのような錯覚さえ覚えさせた。
 この戦法にはナギナタライフルのような威力はあるが大振りな武器よりも、
小さく軽く、取り回しの良い飛び道具、拳銃が最も適しているのだ。
 事実、過去にゲバゲバ団を一斉摘発した際の銃撃戦も同じようにしてほぼ一人で解決している。

「と、斗機丸、お前いつの間にそんな高等テクを覚えたんや!?」
「お前が大阪でタコ焼きの腕を磨いていたように、俺は銃の腕を磨いた。それだけのことさ。
 そして!」

 慣れないながらもナギナタでなんとか攻撃の何割かをを引き付ける武ちゃ丸の驚きの声に対し、
実にさらりとなんでもないことのように答える斗機丸はぎょろりとした単眼の直前で静止して
背後から触手や脚、腕が彼を潰そうと迫り来る中、ゆっくりと大きな眼に狙いを定め、
冷酷なまでに落ち着き払って両手の拳銃の引き金を引いた。

「チェックメイトだ」

 銃声が轟き、一瞬アグライナー全体の動きが止まったかと思うと、
次の瞬間その巨体はまるで砂のように崩れ落ちる。
 当初、絶望的かと思われた戦いはあっという間にその終結を見たのであった。
465リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:04:39 ID:92GhOXX6

「やったんか、斗機丸?」
「……いや、手ごたえは無かった。恐らく止めを刺す直前に融合を解いて離脱したんだ。
 見ろ、そこに真新しい穴が開いている。きっとこれを使って地中に逃げたんだろう。
 油断は出来ないが、とりあえず今日のところはこれで終わった……と判断してもよさそうだな」

 流砂のように新幹線だった砂を吸い込む穴を苦虫を噛んだような顔で見つめ、
斗機丸はそう推理した。

「ユーノくーん! トッキーくーん!」
「なのは?」
「大変、大変なのー! 捕まえてた堕悪武者さん達が!」
「何!?」

 焦って駆けて来るなのはの指示に従い、後部車両に行って見ると
床に先程とほぼ同じ大きさの穴が開いており、そこには誰一人残されていなかった。

「……そういや先頭車両にいたもう一人の堕悪、さっきからずっと姿が見えないな」
「多分真っ先にトンズラこきよったんやで、セコい連中やなー」
「しかし、まさか四人全員に逃げられてしまうとは……」
「ごめんなさい、私が先頭車の方に気をとられたから……」
「いいさ。本音を言うとあいつらとはあまり関わり合いになりたくなかったしね」
「そやけどペガチンやら何やら、あいつらにはわからん事が多すぎるで。
 ここらで情報は欲しかったところやったんやけど……まぁ、みんな無事やったしこれで十分や」

 半ば反省会状態の一同の耳にようやくパトカーのサイレンが聞こえてきたのはそんな時であった。


「トッキー……俺、一から出直してみるよ……お前は救ってくれた……俺の心も」

 自らの命を顧みず、危険を冒してまで犯罪者である自分を助けたトッキーに心を打たれ、
ゲバゲバ団のボスはすっかり改心してしまっていた。

「俺はきっかけでしかない……大事なモノに気付いたのは、お前の心だ!」
「トッキー……うぅっ、くぅっ……!」

 周囲で現場検証の続く中、ボスを乗せたパトカーは夕暮れの町に消えていく。
 シンヤはパトカーを見送るトッキーの背中を見て、
やはりトッキーはそこらの人間の刑事以上に刑事が似合っていると思ったが、
 彼の決心を鈍らせる事を意識してかそれを口に出す事はしなかった。
466リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:05:07 ID:92GhOXX6

「おいリーダー、しっかりしてくれ!」
「ふにゃっ!?」

一方その頃、現場からやや離れた山間の森の中、命からがら逃げ出してきたd(r。
こちらはこちらでお通夜ムードが漂っていた。

「堕悪融合までしても勝てなかった……今度こそ晒し首かな、俺ら……」
「六条の河原で麦茶の肥やしになりたくは無いんだな……」
「さよなら、皆さん、さよなら……」
「フフフ……だがお前ら、これを見
「黙れ! 俺を見捨てて真っ先に逃げ出しやがって、貴様には友情とかそういう概念は無いのか!」
「捕まった時に助けに来てくれたっていいだろこのチキンが!」
「ぶつべし! ぶつべしなんだな!」

 途中で音沙汰の無くなった堕悪雑獄苦が何やら発言しようとすると、
残りのメンバーは集団で彼を取り囲みボコボコにしてしまう。

「落ち着け、おーちーつーけー! いいからこれを見るのだ!」

 もはや見る影もなくなった堕悪雑獄苦は懐から何かを取り出す。
 それは深い蒼の輝きを持つずいぶんと見慣れた形をした宝石だった。

「おいおいおいおい、それジュエルシードじゃないか! マジで!?」
「堕悪雑獄苦、お前はやれば出来る子だと俺は信じていたぞ!」
「ふっふっふっ、どーだどーだ! 見たか、おれの真の実力を! ……まぁ、そこで拾ったんだが」

 見事に掌を返し堕悪雑獄苦を褒め称える他三名。だが彼らが盛り上がる中、
ジュエルシードを握る堕悪雑獄苦の背後に音もなく忍び寄る二つの影があった。

「堕悪雑獄苦、後ろ、後ろー!!」

 そう堕悪呪圧愚が言うが早いか、その影の一つ、
黒衣に身を包んだ金髪の少女は金色の光の刃を堕悪雑獄苦に当て、無慈悲な脅しをかけた。

「そのジュエルシード、頂いて行きます」
「いやー、やっぱりたまには遠出してみるもんだねぇ!
 こんな所で大した苦労もしないでジュエルシードを拾えるなんてさ!」
「もう何、今日!? 天国から地獄へのフリーフォールの雨あられっすかー!?」
467魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 22:05:34 ID:dAUN7sZG
ククク、皆がティアナの虜になりつつあって…これは 計 画 通 り(ニヤソ
いろいろな掲示板でネタにされちゃう娘ですが、それゆえに可愛いと思うのです。なのはさんも然りw

>>453
時空神殿は出す予定がないですね。さすがに設定に無理が出てくるのでw
オーブ関係もこじつけに近い設定付けですが、まあゲームやってる人にはニヤリとくる内容にしていこうと思ってます。
自分も初代から長いので結構知識はマニアックかも。
アニメは今見ている最中ですが、これも結構面白いですね。っつかトリッシュ発登場の回が神回なんですがwww何この夫婦www
なので、ティアナとダンテは恋愛的な関係の発展はしないので、それだけご了承ください。
あとは、本編で少しずつ書いていこうと思います。
468魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/31(月) 22:06:40 ID:dAUN7sZG
割り込みすみません(汗
支援です。
469リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:07:15 ID:92GhOXX6

「トッキー君、お疲れ様!」
「ったく、もう刑事じゃないってのに現場検証に協力するなんてお人好しもいいとこだぜ」
「悪かったな皆、おかげですっかり遅くなってしまって……あっ!」
「どうした、トッキー?」
「け、拳銃渡すの忘れてた……証拠品なのに……」
「それ……マズイだろ……」
「と、とにかく今日はもう目的地に行くのは無理そうですね」

 とっぷりと日が暮れた街を見つめ、所轄警察署の玄関で今後について語り合う一同。

「そやけど、ここどこやったっけ? 長いトンネルを何ぼか抜けたからだいぶ遠くやと思うけど……」
「あのな武者丸、お前何も聞いてなかったのか!? ここはな……」
「福岡だよ」

 一同の話の輪の外から、聞き慣れない声が武ちゃ丸の発した問いに答える。
 武ちゃ丸たちがその声のした方向を見ると、金属が擦れ合うメカニカルな足音を立て、
一人の少し大柄な武者頑駄無が彼らの前に姿を現した。

「ア、アンタは……!」
「鋼丸先輩!」

 それは、爆流頑駄無が生み出した鉄機武者の壱号機にしてその始祖的存在、
言わばトッキーにとってはご先祖様にあたる武者……
「鉄機武者鋼丸(てっきむしゃはがねまる)」であった。
 ようやく九州に辿り着いた新生夢者遊撃隊に鋼丸がもたらしたものは、果たして!?
 
 ――次回を待て!!



次回予告(ねくすとぷれびゅう)

 旅は道連れ、世は情け!
 福岡で出会った武者頑駄無、鋼丸さんの目的は
堕悪闇軍団と戦う気はないというお友達、號斗丸さんの説得。
 そんな時、武ちゃ丸君も日本で出会ったかけがえの無い友達と再会したんだけど、
どっちも些細な事で喧嘩しちゃって、私達はもうどうすればいいのか……
 次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之九!
 「再会の街、博多なの!」
 リリカルマジカル、友情は……消えないよね?


======
今年の投下もこれで最後。
空気を変えるどころか自分自身が空気で俺涙目。
……え? 支援や感想が欲しければもっと上手い話を書け? ゴモットモデスorz
470反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/31(月) 22:12:52 ID:TLuxW+63
>>469
GJ!
>「け、拳銃返すの忘れてた…
あっ、この流れはプラモの説明書で見たことある!

…どなたか心優しいお方、避難所に投下した片翼9話投下していただけねぇですかね? 11時くらいに。
容量が空いてたらの話ですが…
471戦国の鉄の城:2007/12/31(月) 22:24:55 ID:C345MK13
GJ!
堕悪雑獄苦…南無。そして笑わせてもらいました。

容量…え?もう次スレ?
472リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:34:06 ID:FUyrYgld
今投下したいけど…駄目?
473リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:37:55 ID:FUyrYgld
あそうだ、せっかくだし、僕立ててみます。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 22:40:11 ID:p0xiWpHZ
>>467
時空神殿ではなく時空神像では?

>>473
投下大丈夫だと思いますよ?
年末なのか、スレの速度が速いですね
475リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:42:22 ID:92GhOXX6
>>472
23:00反目氏という事は……
新年第一号! カモンカモンカモン&新スレよろ
476リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:42:59 ID:FUyrYgld
出来た。誘導。
ttp://c-others2.2ch.net/test/-/anichara/1199108416/i

そして投下

【機動六課サイド】二話「二大怪人対アウレフ!決めろ!ライダーきりもみシュート!!」Bパート

【AAMON本拠地手術室】

「起きろ!アンモナイトソルジャー」

ゾルは手術台の上にかかっていたシートを取り払う。
そしてシートの中から、頭部に殻を持ち、左手に巻貝型のドリルを持ったアンモナイト型改造人間、アンモナイトソルジャーが姿を現した。

「ガイィィィィィィィイ!」
「お前の目的は、今日午後四時より地上本部で開かれる会議に集まった官僚達の抹殺だ!
JS事件の爪痕が残り、警備が手薄になっている地上本部など赤子同然…マンドリラーと共に、襲撃するのだ!」
「ガイィィィィィィィィィィイ!」

【機動六課隊舎通路】
「捕まえてきた戦闘員を、はやてちゃんが?」
「ああ、はやてとあのむかつく新人ヤローが尋問してるらしい。」
「あはは…(まだ気にしてるんだ…)とにかく、どんな様子か行ってみようよ。」
「そだな。」

なのはとヴィータの二人は取調室の前に着き、扉を開けて入室する。
そこで見たものは…

【取調室】
「さっさと吐かんかい!ネタは上がってんのや!」

無意味に年季が入ったコートを着て何処かのドラマのような取調べをしているはやての姿があった。

「「…」」

開いた口が塞がらないなのはとヴィータ。

「国のお袋さんはどないしてる?心配掛けたらあかんよ…」
「あの…部隊長…」

こっそりと手を挙げる拓哉。

「何?拓哉君?」
「多分、それじゃあ無理だと思います…」
「そ、そうか?じゃあ拓哉君お願い。」
「はい…!」

急に表情を引き締めて戦闘員の胸倉を掴む拓哉。

「言え!あの化石を何に使って!何をするつもりだ!?答えろ!」
「ちょ、拓哉君!」

拓哉の肩に掴みかかるはやて。
477リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:43:34 ID:FUyrYgld

「それじゃあたしと同じやないか!どこが違うの!?」
「部隊長の遊び半分よりずっとマシですよ!」
「なんやと!あたしだって必死に…」
「あんなドラマみたいな取調べじゃ、吐くものも吐きませんよ!僕の取調べの方が正しい!」
「あたしの方が正しい!」
「僕の!」
「あたしの!」
「僕の!」
「あたしの!」
「あの〜二人とも…」

恐る恐る二人に声をかけるなのは。

「「何!?」」
「そんな口喧嘩してるより、取調べを続けた方が…」
「あ、そうだ!なんでも良いから吐…」
「ギギィ!」

窓の外からナイフが飛来し、戦闘員を貫く。

「ああ!?」
「い…一体何で!?」
「クソ…奴ら、口を封じるために…!」
「酷い…」

拓哉、はやて、なのは、ヴィータの四人はAAMONの卑劣なやり方に嫌悪感と怒りを抱く。

「あ…あ…」

ナイフで貫かれた戦闘員は残された力を振り絞って口を開く。

「なんだ?何が言いたいんだお前?」
「アンモナイト…化石…改造…地上本部…会議…襲撃………」

戦闘員はそれだけ言い残し、絶命した。

「どういうことだ…」
「…アンモナイト…化石…改造…!、アンモナイトの化石を改造!地上本部の会議を襲撃!」
「「!?」」
「そっか…アンモナイトの化石は、改造人間にするために…そして、今日の地上本部で行われる会議を襲撃する。
一見単純やけど、恐ろしい作戦や!」
「こうしちゃいられない!」

拓哉は取調室を走って出て行き、ティアナの元に向かう。
478リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:44:14 ID:FUyrYgld

【機動六課訓練場】
「…!」

ティアナは二丁のクロスミラージュ・ガンモードを撃ち、精密射撃の訓練を行う。
だが、いつものように正確な狙い撃ちができない。
先程の失態が彼女を焦らせ、腕を鈍らせているのだ。

「くっ…!」
「ティアナ!」

そんなティアナの元に、拓哉が走ってやってくる。

「ここにいたのか…」
「拓哉…」
「敵の目的が分かった。今から中央に向かうぞ。」
「…」

ティアナは顔を下げ、遠慮しがちな表情をする。

「ティアナ?」
「駄目だよ…」
「あ?」
「駄目だよあたしじゃ…拓哉の足…引っ張っちゃうよ。」
「まだ気にしてるのか…過ぎたことは忘れないと、先に進めないよ。」
「あたしは!拓哉のように前向きにはなれない…あたし…全然変わってない…橘さんに新しい力を貰っても、睦月兄と特訓しても…やっぱりあたしは…」

ティアナの目じりに涙がにじり始める。
拓哉はそんな時、自分がまだ運動能力に目覚めず、運動会などで好成績を出せずにいた幼稚園時代を思い出した。

【拓哉の回想】
「うっ…えぐ…ひっく…」

公園の片隅で、五歳の僕は泣いている。
この日は、幼稚園の運動会が終わった後で、僕は徒競走でドンケツの結果だった。
悔しくて悔しくてしょうがなかった…
そんな時…姉さんがやってきた。

「拓哉!」
「えぐ…おねえちゃん…」
「こんな所居たのね…もうすぐご飯よ。」
「…」
「運動会の事ね…大丈夫よ、またおにいちゃんと練習すれば良いじゃない。」
「僕…駄目なんだ…何回練習しても…きっと…」
「…」

縁姉さんは僕の額に人差し指で触れ、円を書くように動かす。

「駄目じゃない…駄目じゃない…拓哉は駄目じゃない…」
「や、やめてよ!」
「うふふ♪」
479リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:45:14 ID:FUyrYgld

………
「…」
「ふぇ!?」

拓哉はティアナの額に人差し指で触れる。
ティアナはその行為に軽く赤面する。

「た、たく…や…」
「駄目じゃない…駄目じゃない…ティアナは駄目じゃない…」
「ええ!?」

拓哉はそのまま人差し指を円形に動かし、縁が唱えた物と同じおまじないを唱える。

「駄目じゃない…駄目じゃない…ティアナは駄目じゃない…」
「や、止めてよ!」

ティアナは慌てて拓哉の指をどかす。

「もう…」
「…行くよ。」
「え…ちょ!拓哉!」

拓哉はティアナの手を引っ張り、中央に向かった。

【中央本部屋上】
「ゲゲェ!今頃会議室には官僚達が集まっているはずだ。」
「ガイガイ!乗り込んで殺してやる!」
「待て!」
「「!?」」

屋上に現れたアンモナイトソルジャーとマンドリラーの前に、拓哉とバリアジャケットを装着したティアナが現れる。
二人は戦闘員から聞き出した情報を頼りに、ここで待ち構えていたのだ。

「貴様らの好きにはさせない…行くぞ!変身…!トオォォォォォォォォオ!!」

拓哉は変身ポーズを取り、空中に飛んで仮面ライダーアウレフに変身する。
そしてアンモナイトソルジャーに空から飛び掛り、屋上から落ちていった。

「ガイガイィィィイ!?」
「アウレフ!?」
「そのマンドリルは任せるよ!」

アウレフはティアナにそう言い、アンモナイトソルジャーと共に下に落ちる。


「ねぇちょっと!ねぇ!ライダー!もう…」
「こんな小娘が相手だと…舐めやがって…死ね!」
「うわあ!?」

マンドリラーはティアナに襲い掛かり、筋肉質な腕を振るってティアナを攻撃する。
ティアナはマンドリラーの攻撃をバック転で回避し、二丁のクロスミラージュをダガーモードに変形させる。

「くっ…」
「すばしっこい奴め…だが、そんなことでは俺には勝てん!」

マンドリラーはジャンプし、空中からフライングダブルパンチをティアナに放つ。
480リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w :2007/12/31(月) 22:45:35 ID:92GhOXX6
支援、そしてパソコン向けの誘導
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1199108416/
481リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:45:42 ID:FUyrYgld

「うっ!」

ティアナは二丁のダガーでパンチをガードするが、マンドリラーの拳は徐々にダガーを押しながらティアナに迫る。

「こっ…の…」
「潰してやる!ゲゲゲゲエェェェェェエ!!」
「(駄目…やられる!)」

ティアナは目を閉じる。
そしてその時、拓哉のおまじないが脳裏をよぎった。

「駄目じゃない…駄目じゃない…ティアナは駄目じゃない…」

「…!」

ティアナは勢いを取り戻し、ダガーを持つ手に力を入れる。

「何!?」
「根性おぉぉぉぉぉぉぉお!!」
「うおぉぉぉぉぉお!?」

ティアナはダガーを振り切ってマンドリラーを弾き飛ばし、クロスミラージュをガンモードに戻し、構えて前方にターゲットリングを展開し、弾き飛ばされて倒れているマンドリラーに狙いを定める。
そして、多量の魔力をチャージし、引き金を引いた。

「ファントム!ブレイザーーーーーーーーー!!」

クロスミラージュから大きな光が放たれ、マンドリラーを包み込む。

「おおおおおおおおお!?」

光を受けたマンドリラーは致命傷を受け、粉々に爆発した。

「はぁ…はぁ…」

ファントムブレイザーを使い、魔力を使い果たしたティアナはその場に倒れ、荒い呼吸を繰り返す。

「はぁ…やった…はぁ…やった…!」
482リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:46:24 ID:FUyrYgld

【地上本部前】
一方こちらでは、アンモナイトソルジャーとアウレフの戦いが始まろうとしていた。

「アウレフ!俺の殻はダイアモンドの様に硬い!貴様のキックもパンチも効かないぞ!」
「面白い…行くぞ!トオ!」
「ガイガイ!」

アウレフは持ち前のスピーディな攻撃で攻撃でアンモナイトソルジャーを攻撃する。
しかしアンモナイトソルジャーは頭部の殻に篭り、アウレフの攻撃を防いだ。
殻はダイアモンドの様に硬く、アウレフのパンチもキックも通さない。

「チィ…防御力はトリケラドラン以上だ!」
「俺の威力が分かったか!?」
「冗談!守ることほど、不合理なことは無いぜ!蹴って駄目なら…」

アウレフは殻状態のアンモナイトソルジャーを担ぎ上げる。

「何!?」
「叩きつけろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」

そしてアウレフは柔らかい体を駆使し、美しいバックドロップを殻状態のアンモナイトソルジャーに放つ。

「おわああああああ!頭がクラクラ…クラクラ…」

アンモナイトソルジャーは余りの衝撃に怯み、殻から体を出す。

「どんなもんだい!」
「おのれぇ…ドリルを喰らえ!」

アンモナイトソルジャーは破れかぶれに左手のドリルで攻撃する。
だが…

「ライダーチョップ!」

ライダーチョップで簡単にドリルを切断されてしまった。

「ガイガイガイガイィィィィィィィイ!!」
「今だ…トォ!」

アウレフは激痛で苦しむアンモナイトソルジャーに組み付き、ジャンプする。
そして、アンモナイトソルジャーに必殺技を仕掛けた。

「ライダーーーー!きりもみっっっっ!シュート!!」
「ガイガイガイガイィィィィィィィイ!…」

きりもみシュートを受けたアンモナイトソルジャーは地面に激突し化石化、そして砂になって消滅した。

「今度はもっと、攻撃力の高い怪人を用意するんだな…」
「仮面ライダーアウレフ!」
「!?」
483リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:46:48 ID:FUyrYgld

アウレフの前に、四人の怪しい男達が出現した。

「貴様らは…!?」
「AAMON大幹部、地獄大使!」
「死神博士。」
「ゾル大佐!」
「ブラック将軍!」
「大幹部だと…」
「アウレフ、今回は我々の負けを認めよう!」
「だぁが、いづれ貴様の命、貰い受けるぞ!」
「首を洗って…待っているが良い!」
「さらばだ…」

そう言って四人の大幹部は姿を消す。

「大幹部…奴らの指揮管か…僕は…奴らに勝てるのか…いや、勝たなくてはならない!この全次元の平和のために!」

アウレフは、新たな戦いに向け気を引き締めるのだった…

【中央市街】
戦いを終えた拓哉は、ガルベストンの後ろにティアナを乗せ、帰路に付いていた。
今は信号待ちである。

「ねぇ…拓哉…」
「何?」
「…ありがと…あんたのおかげで、あたし…」
「あたし、何?」
「あたし…な、なんでもないわよ!あーあ、お腹空いた…何か食べて帰ろう!もちろん拓哉の奢りで!」
「は?」
「良いから!早く!」
「おいおい、一体何なんだよぉ〜」

【機動六課隊舎部隊長オフィス】
「相馬享一君…古代ベルカの使い手で、外科、内科、精神科、あらゆる医学に通じた天才医か…」
「はい、八神部隊長。ちなみにイメージCVは石田彰さんで、俳優なら…うーん、ボウケンブルーの中の人かな?」
「?、誰と話してるんや?」
「いえいえ、なんでも…(それにしても、部隊長からしてこんな可愛い娘か…ここに来てよかったよ…拓ちゃん、待ってなよ…君だけにこんな部隊の女の子、独り占めなんかにはさせないよ♪)」

享一は下心のある笑顔で微笑んだ…

【次回予告】
拓哉「やあ皆!今日は大晦日!明日からもう年明けだ!お餅の食べすぎでお腹を壊さないよう、気をつけるんだぞ!
次回は…これだ!」
政宗一成「仮面ライダーが人々を襲う!?正月で賑わうミッドチルダを、仮面ライダーアウレフが荒らし回る!
地獄大使が魔人提督から預かった軟体怪人・ドロリンゴの仕業だ!
全く同じ能力を使う相手に、アウレフはどう戦うのか!
次回、「アウレフ対アウレフ!本物はどれだ!?」
突き抜けるぜぇっ!!」
484リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/31(月) 22:49:22 ID:FUyrYgld
投下終了。
今回も昭和風味にいったつもりです。
そして次に出てくる怪人はスカイ四十八話に登場したドロリンゴです。
知っている人は思いますが奴は…いえ、知らない人のために言わないでおきましょう。
次回もお楽しみに。

そういえば僕の小説で一番輝いてる女性って誰だろ?
リンディさん?それともシャマ姉?
まぁ、どうでもいいか…
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 23:07:44 ID:dlrYSwwP
>>484
GJ!!っす。うーんなのは達も昭和ライダーの世界感によく馴染んでいるなあ。
しかし大幹部共は相変わらず外道だw

>>431
GJ!! 悪魔の不気味さがよく伝わってきて良かったです。自分はメガテンファンで
悪魔も好きですが、彼らはやられ役なので思いっきりダンテや六課にかっとばしてやって
下さいw



486名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/31(月) 23:51:52 ID:TI1E2CXc
職人の皆さんGJ!
コア氏の小説に出てきた四足歩行戦車ってディソーダかな?あるいはRLで出て来た奴かな?
487エース篁三世長官:2008/01/01(火) 00:05:48 ID:pWBWQ11U
あけおめ
488黒い影:2008/01/01(火) 00:07:04 ID:YyO3xT8x
>>431
GJ!
そしてa happy newyear!!
なんかダンテとティアナの雰囲気が甘い!
そしてスバル。なんだかアニメより犬化が進んでるような。
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 00:49:42 ID:J8WQ//Bj
>>485
メガテンで思い出したけど、あのシリーズの魔法は危険すぎる。ピクシーのジオ1〜2発で成人男性を殺せるらしいし…
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 01:02:26 ID:M4xfKQC/
>>488
コミック版スバルの子犬ぶりは異常。
そして、実は当時はまだ胸が薄かった。それがアニメまでの二年ほどであそこまで育つのだから、まったく、け、けしからんですなぁ…
491Strikers May Cry:2008/01/01(火) 01:06:32 ID:jWRVMajp
>>490 それマジっすか? 漫画版が読みたくなったな……しかし近所の本屋に無い。
今度、本格的に探すか。
492黒い影:2008/01/01(火) 01:10:37 ID:YyO3xT8x
>>490
漫画版……読みたいけど上と同じく本屋に無いし。それに先立つものが…。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 01:29:21 ID:8HF3lBg5
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 01:33:06 ID:zhDPdEog
ところで漫画版のセインは何故ああも胸が洗濯板なのか
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 01:42:17 ID:rEEK3pP+
軽いネタいいですか?
496Strikers May Cry:2008/01/01(火) 01:48:56 ID:jWRVMajp
支援です、なんとかこの眠気を飛ばしてください!!
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 01:52:15 ID:qIUYcLuX
>>487 元聖飢魔U自重w 和尚と殿下はどうした。
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 01:58:05 ID:m7D/Ojy7
ダメ押しの支援だァァァ!!
皆様、新年明けましておめでとうございます。
2時間ほどお待ちしましたが、どうも>>495さんのネタがこないようですので、
投下させてもらってよろしいでしょうか。

メビウス×なのはではない、別の新作SSです。
新年と同時に開始というわけで、参らせていただきます。
短いプロローグだけですが、しばらくしたら投下いきますね
500ツバサ 〜ミッドチルダ編〜:2008/01/01(火) 03:55:59 ID:AwOR6hOL
「レリック、時空管理局……アルハザード。
これも、必然の出会い」

雨が降りしきる昼下がり。
大きな屋敷の庭先で、その屋敷の主人と思わしき人物が、一人空を見上げていた。
その女主人―――次元の魔女こと壱原侑子は、数月程前に己が元を訪れた、ある者達の事を思っていた。
それぞれの目的を胸に、彼等は今も旅を続けている。
一枚の羽根を求めて、ここからは遠き場所で。
そう……遠き異世界で。

「飛王=リード……あなたはこの接触に、何を見出すかしらね。
時空を越える術を持ち、そして時空を統合する彼等を前に……あなたはどう動くのかしら……?」





ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- 〜ミッドチルダ編〜

プロローグ


「それじゃあ皆さん、ありがとうございました」
「君達も、頑張ってな」
「はい」

その日、とある異世界を去ろうとしている旅人達がいた。
愛する者の為、その者の記憶を求める若き考古学者―――小狼。
失われし自身の記憶を求め、大切な者と共に道を歩む王女―――さくら。
己が故郷へと帰るために、そして本当の強さを知るが為に刃を振るう剣士―――黒鋼。
忌まわしき故郷を離れ、数多くの異世界を渡り歩く事を望んだ魔道士―――ファイ=D=フローライト。
次元の魔女より彼等四人が授かった、世界を渡る為の力を持つ生物―――モコナ=ソエル=モドキ。
彼等は世話になったこの世界の住人達へと別れを告げ、新たな世界に渡ろうとしていた。
モコナの足元に魔方陣が展開され、そしてその背中から大きな光輝く翼が現れる。
501ツバサ 〜ミッドチルダ編〜:2008/01/01(火) 03:57:09 ID:AwOR6hOL
「異世界でも、元気でな!!」
「しっかりやれよ!!」

大勢の者達が、手を振りそして声援を送った。
小狼達はそれに笑顔で答え、そしてその直後。
モコナが大きく口を開き、その体内へと四人を吸い込んだのだ。
そして、モコナ自身もそこから姿を消失させる。
これが彼等の、異世界を渡る術。
五人は今、次なる世界へと繋がる空間内へといる。

「次の世界は、どんな所でしょうね」
「モコナ、美味しいものがあるところがいい♪」
「俺も同じ〜。
でも、御寿司は嫌だなぁ……あれはとても食べられなかったし」
「とりあえず、宿とかがすぐに見つかる場所ならいいですが……」
「おい、見えてきたぞ」

空間の出口へと、五人が差し掛かった。
次は一体、どんな世界が待ち受けているのだろうか。
期待や不安といった、様々な思いを胸中に秘め、五人は出口を抜ける。
そして、彼等が現れた場所は……

「……あら?」
「おい……またこれかよ!!」

地上から少しばかり離れた地点……上空だった。
これで、何度目になるのだろうかというパターン。
当然のことではあるが、五人はまっ逆様に落ちるしかない。
とっさに小狼はさくらの手を引き、抱きかかえた。
モコナはそんな彼の肩に、しっかりとしがみ付いていた。
一方、黒鋼とファイはというと、最初は動揺こそしていたものの、既に冷静さを取り戻している。
問題なく着地出来る様、二人は既に体勢を整えていた。
そして、五人は無事着地に成功。
流石と言うべきだろうか、誰一人として怪我一つしていない。
502ツバサ 〜ミッドチルダ編〜:2008/01/01(火) 04:04:40 ID:AwOR6hOL
「さくら姫、大丈夫ですか?」
「うん、ありがとう小狼君」
「で、到着して早々なんだが……」
「あれ……ちょっと、厄介な状況になっちゃってるっぽいかな?」

まずは黒鋼が、それに僅かに遅れて四人も、自分達が置かれている状況を即座に理解する。
周囲には、廃ビルらしき建物が立ち並ぶ、しかし廃墟とは思えない街並。
そして……目の前にいる、唖然とした表情の者達。
その内何人かは、明らかに武器に違いないであろう物をその手に握っている。
これも過去にあったパターンだが……いつぞやの様に、戦いの最中に落ち込んでしまったのかもしれない。
即座に、小狼・黒鋼・ファイの三人は臨戦態勢を取る……が。
直後に黒鋼と小狼が、やや遅れてファイが構えを解いた。

「……そうでもねぇみたいだな。
殺気とか、そういうのが全く感じられねぇ……訓練中ってところか?」
「みたいですね……」

戦にしては、敵意や殺意といった類の気配が感じられない。
その為、三人は構えを解いたのだった。
すると……その様子を見て、一人の人物が彼等へと歩み寄ってきた。
制服らしく服を着た、ポニーテール状に髪を束ねている女性。
エースオブエースの異名を持つ、凄腕の魔道士。

「あ、なのはさん……」
「大丈夫、この人達に敵意は無いみたいだから……すみません。
見た所、転移魔法らしきものを使っていましたけど……もしかして、異世界からやって来たんですか?」
「えっ!?」

なのはと呼ばれた女性の言葉を聞き、たまらずさくらが声を上げた。
小狼達も、声こそ出していないものの、それなりに驚いている。
これまでにも、何かしらの方法で自分達が異世界から来たという事を見破ってきた者達はいたが……
それがこんなに早いケースは、初めてである。
503ツバサ 〜ミッドチルダ編〜:2008/01/01(火) 04:06:47 ID:AwOR6hOL
「へぇ〜……僕達が異世界から来たって、分かるんだ」
「はい、仕事上何度か似たケースを見てきましたから。
私は時空管理局一等空尉、高町なのはです」
「時空……管理局?」
「よかったら、お話を聞かせてもらえませんか?」

次元の魔女の力により、記憶の羽根を求めて異世界を旅する者達。
数多く存在する次元世界の平穏を守ることを務めとする、時空管理局。
目的こそ違えど、様々な異世界を見てきた両者。


今、二つの道が交わる……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

それは、遠き異世界。
全てを知り、そして裏で暗躍する者達の根城。
黒衣の男―――飛王=リードは、モニターに映し出された光景を前に、仏頂面をしていた。
モニターに映し出されているのは、他ならぬ小狼達の姿。
そして、彼等と共にいる者達―――時空管理局の職員達の姿である。

「時空管理局……ロストロギアの収拾を目的にしている組織と、彼等は出会ってしまいました。
このままじゃ、予定が狂うのでは?」
「確かに、姫の羽根はロストロギアと断定されても何らおかしくはない。
彼等と協力する道を選び、歩みを止めるようならばそこまでになる。
だが……だからといって、彼等はここで止まりはせぬ。
次元の魔女もそれが分かっているからこそ、干渉をしないのだろう。
それに寧ろ、ここで己が魔力の資質に気付いたならば……目覚めが早くなるやもしれん」

飛王は、傍らの女性―――星火の問いに答え、席を立つ。
そして……彼は、すぐ隣の部屋に置かれているあるカプセルへと目を向けた。
その内部は水で満たされており、そして一人の少年がいる。
右目に眼帯を着けた、モニターの向こうの彼と瓜二つの存在……

「なあ……『小狼』」
投下終了です。

マガジンで現在も連載中、CLAMPさんのツバサとのクロスです。
知ってる人は知っての通り、色んな異世界を旅して、さくらの記憶の羽根を見つけ出すって作品ですが。
ぶっちゃけた話、こいつほどクロスSSが楽な作品もないんじゃなかろうか……(ぉ

時期的には、ピッフル国編の前後辺り。
さくらが完全に感情を持っていて、本来の明るい性格になっている状態です。

……余談ですが、次元の魔女の魔力レベルはSSSどころか、SSSSぐらいあるんじゃないかと思います。
規格外とかそんなレベルの人じゃないし……
505495:2008/01/01(火) 10:42:43 ID:rEEK3pP+
                 , -`ー――-- _
     _ - ― - 、_/            `` 、
    , ',  -_  _     ゝ         ----、  ヽ
   '  -  ̄  ̄/ ̄`              l   ヽ
     /  /   |              `、   l    人
   / イ     レ′、  ,ヘ   、 \ 、`i、 l    |
   l  |  /./l    | .l/  ヽ   }  i、 、ヽ l     |         あれ?
   | /!  l ./,ト   | | l u  |  .l、 .ハl, ヽ丶     l 
   |.l |  | ./|   | ||十|'    l .l !―| リ   ヽ| ヽ.   |  昨日確か軽いネタって言って書こうとした・・・けど・・・
   || |  l | | | .||.|ハ| l|、   l/ リ i| |/ ヾ  |'  l   |   その後の記憶が無い・・・
   `丶 li、.| | l  |l三三   u '  三三 l ./ |_  l  |
     ヽ|、` 'ilヽゝ           u  // | ヽ l  ゝ
        ヽ i、l,゙l、u            レ  | ノ l  |      寝落ちした・・・
        ヽ| l \  , --、- ,    u |  |   |  l    
           ノ  ン'    ヽ    , r,|  l    |  l
           | /       トー ' / .|  |   l  \_   ごめんなさい・・・
           l i         ヽノ  , ー │  !ー、l  |
              イ       ノ      /  / /: /` 、 ヽ、
          /       /ー―――/ / -: :/   `  ゝ


申し訳ない・・・メビウス氏GJ&ごめんなさい・・・
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 15:04:27 ID:+iC45vKq
>>505
ドンマイ&ワロタw
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 17:12:54 ID:JdyuGAR0
リリカルなのはvsプレデター
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:05:39 ID:5jK4zLcp
うめ
509名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:18:21 ID:PeIKFs7X
リリカルなのはvsヤマジュン作品
510名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:21:21 ID:rEEK3pP+
>>509
グラーフアイゼンでイチモツ叩く絵が見えちまったよwwwどうしてくれるwww
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:41:07 ID:+iC45vKq
>>510
むしろレヴァ剣でぶった切ろうとするんだけど切れないのが鋼鉄の阿部さんマグナム
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:44:25 ID:rEEK3pP+
スカのケツの穴が終わったことだけは確か
二度と使い物にはならんだろうな・・・トイレすら行けなくなりそう・・・
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:47:41 ID:+iC45vKq
いや…待て


むしろ原作通り行くなら阿部さん絞り取る側なんじゃね?
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:54:53 ID:rEEK3pP+
恋は綱引き、惹いたり惹かれたり・・・by褌の男
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 21:55:20 ID:4rduZ246
>>513
…なにを?…とは言わないけどww
とりあえず絞り取れる所まで絞ってから熱い何かを(だから何を?)だすんだろうな


…どっちにしろ18禁だがな…orz
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 22:23:21 ID:62yzuTQw
某淫獣が アーーーッ! になるのは確定だな。
んで、なのはの目からハイライトが消える、と。

魔王VSウホッ!いい男 ファイッ!
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 22:56:58 ID:rEEK3pP+
>某淫獣が アーーーッ! になるのは確定だな。



執務官「計画通り」
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 23:42:08 ID:JdyuGAR0
このままじゃ、収まりが聞かないんだよな。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/01(火) 23:49:26 ID:4rduZ246
orZ
梅田
500KBならエロパロクロスが(ry
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/02(水) 01:23:21 ID:+B8cNdrm


















バカ以外には見えないAAです
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/02(水) 08:18:46 ID:49Kyze8c
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/02(水) 17:48:44 ID:M2pVhjA+
500なら





なにもおきない
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/02(水) 17:49:31 ID:M2pVhjA+
かべななかにいる!
524名無しさん@お腹いっぱい。
>かべななかにいる!

やめろ!
俺のトラウマやめろ!!