乙です!
スレ立て乙!
戦国の鉄の城氏、GJ
秀吉と佐助と松永も登場か・・・スカエリッティ殺されそうだ
はやてとなのはとフェイトが秀吉見てどう反応するかすごい楽しみ
>>1乙!
さて、では新スレ1発目に片翼7話、投下してもよろしいでしょうか?
今回はクロノ君が少しだけ目立つお話。
支援
魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
第7話「天使と星」
市内の戦闘から一夜明け、機動六課。
この日はなのはとシグナムの両名が、北部の聖王医療院へと向かっていた。
聖王医療院は、「聖王教会」と呼ばれる宗教組織の付属施設である。
古代ベルカの文明に端を発する聖王教の教会で、管理局同様、危険なロストロギアの調査・保守を行っていた。
そして部隊長室には、なのはを除くトップ3…フェイト、はやて、そしてセフィロスの姿があった。
「臨時査察って…機動六課に?」
フェイトがはやてへと問いかける。
「ん〜…地上本部にそういう動きがあるみたいなんよぉ」
「地上本部の査察は、かなり厳しいって…」
「ウチはただでさえ、ツッコミ所満載の部隊やしなぁ…」
珍しく、はやての言葉には心底困ったような響きがあった。
六課の母体となっている本局と地上本部には、予算や軍備の問題によって、兼ねてから大きな確執がある。
この場にセフィロスを招いたのは、そんな管理局の現状を知ってもらうためでもあった。
今回の査察は、六課を快く思わぬ地上本部の策略であることは、目に見えていた。
「今の配置や、シフトの変更命令が出たりしたら、正直致命的だよ?」
「ん〜、何とか乗り切らなぁ」
「そうだな…さしずめ俺はその中でも頭一つ抜きん出た問題児、か」
壁に背中を預けて目を伏せていたセフィロスが、皮肉を込めて口を開いた。
「あ、いえ、その…」
「…あ、あはは…はは…」
はっきりと言われ、思わずしどろもどろになるフェイト。一方のはやては、返す言葉も見つからずに苦笑いを浮かべた。
セフィロスは先日の戦闘で、敵兵と思われる少女の腕を容赦なくぶった斬っている。
誰がどう見ても、それが対象の殺害目的であることは明らかであり、管理局の一員としては問題の行動だった。
「…あ…そうだ…」
この空気から逃れるために他の話題を探していたフェイトは、あることを思い出す。
「ねぇ、これ、査察対策にも関係してくるんだけど…六課設立の本当の理由、そろそろ聞いてもいい?」
六課設立の本当の理由――その言葉を聞いたセフィロスの眉が微かに動く。
機動六課の本旨は、ロストロギア事件に素早く対処するためのエキスパート部隊だったはずだ。
「…そやね。まぁ、ええタイミングかな」
それまでの暗い表情から、ふっと静かな笑みを浮かべ、はやてが言う。
「今日、これから聖王教会本部…カリムの所へ報告に行くんよ」
そこでなのは、そしてクロノを交えて、そのことを話すのだそうだ。
クロノ・ハラオウン提督。本局のXV級艦船「クラウディア」の若き艦長である。
なのはとフェイト、そしてはやてが魔導師となるきっかけとなった事件にも執務官として関与したこと、
何より養子としてハラオウン家に引き取られたフェイトの義兄となったことで、この六課の後見人を名乗り出ていた。
「なのは、戻ってるかな…」
そう言って、フェイトが映像を呼び出す。そこに映ったのは…
『うわあああああああああああああ〜ん! ああ〜ん!』
先日の一件で保護されていた、人造魔導師の少女の泣き顔だった。
その時、六課隊舎へと戻ってきたエース・オブ・エースは、ちょっとした問題を抱えていた。
今日様子を見に行った少女――本人はヴィヴィオと名乗っていた――が、検査中に病室から抜け出してしまったのだ。
そしてなのはが彼女を見つけ出し、何とかなだめたのはいいのだが、その後がよくなかった。
心細さから母親を捜していたヴィヴィオは、優しくしてくれたなのはにすっかり懐いてしまい、離れようとしないのだった。
要するに、駄々をこねていたのである。
「エース・オブ・エースにも、勝てへん相手はおるもんやねぇ」
見かねてフェイトやセフィロスを伴って現場へやって来たはやては、その様子をそう評したという。
結局その場は、幼少のエリオとキャロ、使い魔のアルフ、義兄クロノの子供達と、
数々の幼児の面倒を見てきたフェイトによって難を逃れた。
「ごめんね、お騒がせしちゃって」
聖王教会へと向かうヘリの中で、なのはが申し訳無さそうに言った。
「いやぁ、ええもん見せてもらったよ」
しかし、心底愉快そうに放ったはやての一言で、周囲に微笑ましい空気が流れる。
「しかし、あの子はどうしよっか? 何なら、教会に預けとくんもええけど…」
「平気。帰ったら、私がもう少し話して、何とかするよ」
はやての申し出に、なのははそう答える。
今は周りに頼れる者もおらず、不安なだけだと思うのだ、と。
直接ヴィヴィオと話したなのはだからこそ、分かることもあるのだろう。
「しかし、機動六課はいつから託児所になったんだ」
1人離れた席についていたセフィロスが、ため息混じりに言う。
「にゃはは…まぁ、状況が状況ですし」
「まぁそうカリカリせんと。これもええ経験やないの、セフィロスさん」
「俺は怒ってなどいない」
そう言って、セフィロスはそっぽを向く。
実は彼は、ヴィヴィオと会った時に、それは大層恐れられたものだった。
なのはは懐き、フェイトの言うことを聞き、エリオとキャロの世話を受け入れた彼女が、セフィロスには「怖い」の一言である。
新人フォワード陣との交流(もっとも、そう呼べるものかは微妙なところだが)を通して、
人から恐がられることには慣れていたセフィロスだったが、それには流石に堪えるものがあったらしい。
(…何故子供に言われると、ああも感じが違うんだ…)
しかし、そんな気分になる理由も分かるはずがなく、セフィロスは1人またため息をつくのだった。
「高町なのは、一等空尉であります!」
「フェイト・T・ハラオウン執務官です」
「嘱託魔導師のセフィロス・ジェノバだ」
なのはとフェイトが敬礼の形を取る。一方のセフィロスは、いつも通り無愛想に名乗った。
「いらっしゃい。初めまして」
若い金髪の女性が、なのは、フェイト、セフィロス、そしてはやてを迎え入れる。
カリム・グラシア。聖王教会の武装組織「教会騎士団」に籍を置く、もう1人の六課後見人である。
セフィロスら4名を乗せたヘリは聖王教会へと到着し、こうしてカリムと面会を行っていた。
クロノのいる席へと案内され、挨拶の時とはうって変わり、和やかな雰囲気となる。
カリムとクロノが個人的に親しい仲だということで、なのはとフェイトも普段通りでいいと、気を配ってくれたのだ。
「セフィロスさんとお会いするのは、これが初めてですね」
「そのようだな」
セフィロスの反応は素っ気無い。
カリムとクロノは、機動六課と同時に、彼のミッドチルダでの身分も保障していた。
はやても交渉事などの舌戦においては、年齢の割にはなかなかやり手の部類に入るが、
それでも単独でSS魔導師の存在を完全に秘匿するには、やや無理がある。
そこで彼女らと、クロノの母リンディ・ハラオウンの協力を仰ぎ、今の形を保っていた。
「困ったことがあったら、何でも言ってくださいね」
「今のところ不自由はない」
もっとも、セフィロスの様子にはあまりそのことに対する感謝の念は見られない。
真面目なクロノが心なしかむっとした表情を浮かべているのも、それが原因だろう。
「…さて、昨日の動きについてのまとめと、改めて、機動六課設立の裏表について…それから、今後の話や」
そんなはやての言葉を皮切りに、場に真剣な空気が流れる。
プロジェクター投影用に部屋の明かりが落とされ、カーテンが閉じられると、まずはクロノが口を開いた。
「六課設立の表向きの目的は、ロストロギア・レリックの対策と、独立性の高い小数部隊の実験例…」
そして、空間に人物のプロフィール画像が表示される。
クロノ、カリム、リンディ、そして時空管理局黎明期の功労者・三提督。
全て、機動六課の後見人のプロフィールだ。もっとも、三提督は一応非公式という形になっている。
「ただの実験部隊にしては、過ぎた権力だな…」
セフィロスが率直な感想を述べた。確かに、たかが少人数の部隊をここまで丁重に扱うのは、異例の話である。
なのは達が驚いているのを見る限りでは、三提督の助力は、はやてのみが知っていたということか。
「ええ。その理由は、私の能力と関係があります」
新たに口を開いたのはカリムだった。
プロフェーティン・シュリフテン。預言者の著書という意味の名の能力。
彼女は未来に起こる出来事を詩文形式で知り、預言書の作成を行うことができるという。預言できる範囲は早くて半年、長くて数年。
2つの月の魔力が揃わなければ正確性に欠け、ページの作成は年一度が限度とされている。おまけに文章は古代ベルカ語で解釈も難解。
それらの欠点から、割とよく当たる占い程度の信憑性と本人は語ったが、稀有な能力であることに変わりは無い。
聖王教会や次元航行部隊のトップも、予想情報の1つとして目を通しているのだそうだ。
そんな騎士カリムの預言には、数年前から、ある事件の情報が書き出されていた。
「『古い結晶と、無限の欲望が集い交わる地。死せる王のもと、聖地よりかの翼が蘇る。
死者達が踊り、なかつ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに、数多の海を守る法の船も砕け落ちる』…」
カリムの語った預言。その中には、いくつもの聞き覚えのある単語が含まれていた。
古い結晶は、ロストロギア・レリック。大地の法の塔は、強引な解釈をすれば地上本部。
ならば、数多の海を守る法の船は、まさしく時空管理局。
六課の真の設立目的は、この預言の時に備えるための遊撃戦力だった。
ロストロギアを追っていれば、レリックの案件にも積極的に関わることができる。
少数精鋭で固めることができれば、あらゆる事態にも即座に対応できる機動力がついてくる。
管理局システムの崩壊を防ぐ盾――それこそが、機動六課の存在理由。
「セフィロス」
話が終わり、他の六課メンバーと共に退室しようとしていたセフィロスに、クロノの声がかけられる。
セフィロスは無言で、肩越しに視線のみを向けて応じた。
「君に話がある。もう少しだけ残っていてくれ」
「…長くなるならお断りだぞ」
そう言いながらも、セフィロスは一応席に戻る。
「なら、私も残るよ」
と言って、はやてもまたそこに残り、なのはとフェイトのみが退出することになった。
クロノは一瞬だけ困ったような顔をしたが、思いなおし、それを許可する。
「…聞きたいことがある。昨日の戦闘の件だ」
セフィロスの青い瞳を、クロノは真っすぐ、厳しい視線で見据えていた。
「君はその戦闘で、敵を躊躇なく斬り捨てようとしたようだな」
「管理局員の殺人未遂はまずかったか?」
クロノの糾弾に、しかしセフィロスは動じた様子もなく、いけしゃあしゃあと言ってのける。
その態度に、クロノは眉をひそめ、なおも言いつのった。
「分かっているだろう。我々の目的は、あくまで犯罪者の確保だ」
「やむを得ない場合というものもあるだろう」
「あ、あのな、2人とも…もう少し落ち着いて…」
「あの場は本当にやむを得ない状況だったか?」
雲行きの怪しくなったのを悟ったはやてがなだめようとするが、クロノの糾弾は止まらない。
「フン…飛んだ甘ったれだな」
「殺すのが甘くないとでもいうのか?」
「殺さねばならない相手に対し、そんな下らないことに囚われて判断を鈍らせるのが、甘いと言うのだ」
「いい加減にしろッ!」
遂にクロノは激昂し、ガタンと音を立てて立ち上がると、セフィロスの襟首を強引に引っつかむ。
濃い色の瞳が、一片の恐れもなく、敵意すら浮かべて、あのセフィロスの目を睨みつけた。
「管理局はあくまで法治組織だ…お前のいた、人殺しのための軍隊とは違う…!」
セフィロスを視殺せんとするほどの剣幕をもって、クロノはそう言った。
そして、一拍の間を置くとその手を離し、自ら退室しようと歩を進める。
「次に問題を起こしたら、こちらも然るべき対応を取らせてもらう。六課は今、何かと難しい時期だ…」
六課のためにも、お前のような問題児を野放しにしておくわけにはいかない、と言い残し、クロノは部屋を後にした。
その場でただただオロオロとしていたはやてとは対照的に、セフィロスの目は冷めたものだった。
クロノの怒りの一言も、彼には何の影響ももたらなさなかったようだった。
「大した度胸だったな、あの男も」
夜、機動六課の部隊長室。はやてと2人でそこにいたセフィロスは、クロノをそう評した。
「無敵のセフィロスさんをあんな剣幕で怒鳴る人はおらんかった?」
「ここ数年はな」
「あはは…まぁ、クロノ君はちょいと頭の固いところあるから」
微笑みながら、はやてはそうフォローする。
「せやけどな、セフィロスさん…私も、人殺しはあかん思うよ」
そう言って、はやては机の引き出しを開け、その中から1冊のアルバムを手に取る。
そこにあるのは、なのはやフェイト、小学校時代の学友達、当時のヴォルケンリッター、
そしてかつての管理局提督にして、はやてを養ってくれた「おじさん」ギル・グレアム。
「私の命はな…グレアムおじさんに育ててもらって、ウチの子達に守ってもらって、なのはちゃん達に救ってもらって…」
脳裏に浮かぶのは、自らが歩んできた人生と、それを支えてくれた人々の姿。
今も共に歩いてくれる友人達、そして、散っていった大切な命。
「…色んな人の想いが詰まった命や」
はやては立ち上がり、窓の外を見つめる。眼下に輝く街の夜景に、頭上に輝く星々の光。
「あんな悲しみとか後悔なんて、この世界の誰にも、あったらあかん」
彼女の言葉には、普段の彼女にはない、確かな意志がこもっていた。
「私の命は…」
そのために使うのだ、と。
「…俺にもそれにならえ、ということか。むしのいい話だな」
セフィロスの言葉は、表面上は皮肉に聞こえるものだった。だが、そこにはいつもの皮肉とは違うものが確かにあった。
それはあの時ヴィータと話した時と同じ――そしてはやての言葉と同じ、真剣みがあった。
「だが、せいぜい努力はすることにしよう。俺が退屈しないためにもな」
その言葉を受け止めてみたかった。
悲しみや後悔に満ちた、人としてのセフィロスの記憶。
休息の時を迎えた今は、一応その人として生きている。ならば、せめて人並みに、その想いに触れたかった。
人としての体験ができる時間は限られているはずだから。
その方が、きっとこの休息を、有意義に過ごせるはずだから。
はやての気持ちは気休め程度にしかならないだろうが、それを受けるのがどういう気分なのか、セフィロスは知ってみたかった。
らしくないことではあったかもしれないが、セフィロスはとっくに慣れていた。
恐らく、人であった頃の自分ならばそうしただろうことは、もう予想ができたから。
「そやね。でないと、クロノ君に軟禁されかねへんし」
セフィロスの方を振り向いたはやては、笑顔でそう言う。
「…ありがとうな、セフィロスさん」
そして、そう感謝の言葉を述べるのだった。
セフィロスは答えることなく、ただ静かに、部隊長室のソファに座っていた。
「あ、せや」
はやては何かを思い出したような声を上げると、再び窓の外へ――夜空へと目を向ける。
「セフィロスさんの世界では、宇宙開発とか、しとったん?」
そして唐突に、そんなことを尋ねた。
「…何故そんなことを問う」
「セフィロスさんの世界は文明もある程度発達しとるみたいやし、それに…やっぱ宇宙とか星とかって、ロマンあるやろ?」
はやては再びセフィロスの方へと振り返り、笑顔を向ける。
「数年前までは、ロケット打ち上げ計画が進められていた。頓挫してしまったがな」
セフィロスはそれだけを語った。
宇宙については、彼もジェノバの申し子である以上、無関係ではなかった。
しかしそれを言っては自分の立場が更に危うくなるだろうし、何より今の話には関係なかったので、伏せておいた。
「そっか」
はやてはそう相槌ちを打つと、ややあって口を開く。
「ミッドチルダでは、最近はあまりそういう話はないんやけど、私のおった世界では、ここんとこ活発でな」
曰く、はやてやなのはの出身世界に当たる地球では、ロケットはおろか宇宙ステーションが既にいくつか建造されており、
火星などにも無人探査用ロボットが送られていたりするのだそうだ。
「いつか行けたらええなぁ、宇宙…」
そう言うはやての顔は、心底宇宙旅行を楽しみにしているように見えた。
「そうだな」
「お? セフィロスさんも誰かの言うことに素直に賛成することあるんやね」
「今回限りだろうがな」
セフィロスは目を閉じ、そのまま押し黙る。
脳裏に浮かぶのは、永らく考えずにいたジェノバのことだ。
セフィロスは、自分のいた星の全ての人間を駆逐して星と1つとなり、神として君臨しようとしていた。
しかし、よくよく考えてみれば、星を手に入れたその後で何をするかが、全く頭になかったのだ。
(母さん達は、宇宙を旅していた)
侵略者たるジェノバは、星々を巡って獲物を探す。宇宙を駆け回ることで、自らの糧を得ていた。
(ならば…それも悪くはない、か)
微かにセフィロスの目が開き、窓の外の夜空を見つめる。
自らも星を宇宙船として、新しい星に行く。母なるジェノバがそうしたように。
セフィロスの胸に、新たな目標が生まれた瞬間だった。
スカリエッティのラボには、戦闘データを取るための模擬戦場も存在する。
無機質で真っ平らな天井や床、壁に囲まれたこの部屋には、今、アンジールとトーレの姿があった。
「――IS・ライドインパルスッ!」
雄叫びと共に、トーレの身体が加速する。
瞬間的に最高速に達した彼女は、室内を縦横無尽に駆け回った。目にも止まらぬスピードとはよく言ったものである。
一方のアンジールは、巨大なバスターソードを構えたまま、視線で動きを追うだけで、身動き1つしない。
「はあぁぁっ!」
アンジールの周囲を飛び回っていたトーレだったが、ある時、遂に死角目掛けて飛び込んでいった。
両の手に備わったインパルスブレードが、猛スピードでアンジールへと殺到する。
「ふんっ!」
金属音が鳴り響いた。
神速にも等しき刃は、しかしバスターソードによって器用に阻まれる。
トーレの反応も素早かった。
防がれたと分かるや否や、即座に間合いを取って再び牽制に入る。
幾度となく繰り返されたやり取り故に、トーレの反応は慣れたものだった。
手数が多いことを考えれば、当に百を超えているかもしれないほどだった。
「ホントよく飽きないな、トーレ姉も」
そして、それをガラス越しに別室から見ていたディエチが呟いた。左腕の傷は完治している。
「これでもう何回目だろ…2桁いった?」
そう問いかけるのは、茶髪のオットーという戦闘機人だ。
外見は至って中性的。一人称まで「僕」なので、一見すると少年のようにも見える。
「トーレ姉はノッポがお気に入りみたいだからな」
やれやれといった様子で、ノーヴェがため息をついた。
アンジールにはナンバーズへの戦技指導という役割があったが、特にそれに積極的に取り組んでいたのがトーレだった。
彼自身のデータ取りのための模擬戦でも、進んで相手役を買って出ている。
「アンジールさんのこと、尊敬してるみたいだからね」
「まぁ、トーレ姉の感性からすればそれも当然か」
トーレはアンジールを慕っていたのだった。
一流の戦士としての強さ、大人の男としての器の大きさ、ベテランとしての思慮深さ。
どれを取っても一級品のこの男に、トーレは並々ならぬ尊敬の念を抱いていた。
日頃のアンジールに対する振る舞いは、まさに舎弟のそれである。
「全く、あんないけ好かねぇ奴のどこがいいんだか…」
さっぱり分からない、といった様子でノーヴェが呆れ気味に呟く。
室内では、その間も激戦が繰り広げられていた。
怒涛の攻めを展開するトーレに、それら全てを受け止めるアンジール。
「ファイガッ!」
アンジールの掌から炎弾が次々と放たれ、トーレを襲う。
当然ライドインパルスに追い付けるはずもなく、その全てが回避される。
しかし、無論アンジールの狙いは命中ではない。
炎によって狙い撃たれたトーレは、移動コースを制限され、その機動力を削がれてしまう。
「もらった!」
そして一瞬の隙を突き、遂にアンジールが動いた時には、バスターソードはトーレの首に突きつけられていた。
「…お見事です、兄貴」
敗北を悟ったトーレは姿勢を正すと、礼儀正しく一礼する。
「いつもすまんな」
アンジールもまた、大剣を背中へと収めた。
「いえ、私はまだまだ未熟です。現にまだ兄貴には一度も勝てておりません」
「そう謙遜するな。お前は強い」
おまけにまともだ、と、まともでない同僚達に振り回されてきたアンジールは付け足した。
「ISの調子もいいようだね」
と、模擬戦場へとスカリエッティが入ってくる。
「ああ、よくできている」
スカリエッティに応じたのは、トーレではなくアンジールだった。
アンジールにも、インヒューレンス・スキル――ISがあったのだ。
ISとは、戦闘機人に備わっている、固有の特殊能力のことだ。
例えば、トーレが模擬戦で用いた高速移動・ライドインパルスや、クアットロが昨日の戦闘で用いた幻覚・シルバーカーテンがそれである。
彼のISの名は「マテリアルパワー」。その名の通り、マテリアに関する能力だった。
この能力を行使することで、先ほどのファイガなど、マテリアを介して発動する魔法を自力で使うことができる。
他にも、セフィロスが対シグナム戦で使ったサンダガや、ブリザガなど、攻撃魔法はほぼ全てが使用可能だ。
個々の攻撃の印象は他のISに比べると弱いが、汎用性はかなりいい線をいっていた。
「ときにアンジール君、週末のセレモニーの件だが」
と、スカリエッティが切り出した。
「ああ、地上本部の陳述会か」
アンジールもそれに応じる。
スカリエッティの言うセレモニーとは、地上本部の襲撃作戦のことだ。
陳述会の開かれるそこを陥落させることで、自らの作りし戦闘機人の性能を大々的にアピールするのである。
奇しくもそれは、あのカリムの預言――「大地の法の搭は焼け落ち」という一文を再現するかのようなことだった。
否、再現というのは語弊があるだろう。
むしろこの行動こそが、カリムによって預言されたことと見て間違いないはずだ。
正直な話、アンジールもこれはやりすぎだと思っていた。
いくら何でもコマーシャル活動のために基地を落とすのはどうなのか、と。
しかし、彼には協力を断ることなどできるはずもなかった。ナンバーズのことを放ってはおけない。
「あのサムライのことなんだがね…」
「サムライ…?」
「おや、違ったかな? カタナを使う剣士のことをそう呼ぶと聞いたのだが」
スカリエッティのその言葉を聞いて、ようやくアンジールは、それがセフィロスのことをを指しているのを理解する。
確かにセフィロスは、自分の剣・正宗を、刀という種類の剣だと言っていた。
「正直を言うと、あれだけの腕前に好き勝手動き回られると危ないな…ゼストは他にも気を回さねばならないし」
知り合いの騎士(と言っても、教会騎士団の者という意味ではない)の名を出し、スカリエッティがわざとらしく頭をひねる。
それでアンジールは、この男が自分に何をさせたいのかを理解する。
「…分かった。俺がアイツをよそに誘き出そう」
渋々と、アンジールはそう言った。
「ディエチが言っていたが、彼は君の知り合いだそうだね。何か策はあるのかい?」
要するに、セフィロスを上手くはめるコツを知っているのか、と。
「問題ない。俺だからこそできて、アイツだからこそ引っ掛かる罠がある」
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べ、別にセフィロスはちびだぬきに牙を抜かれているわけじゃないんだからね!?
ちゃんとやる時には殺るんだからね!?
…そんなわけで、今回はあまりセフィロスらしくなかったかもなぁ…
今回のエピソードは、Z本編と「アドベント・チルドレン(以下AC)」を繋ぐ内容になっています。
本編では「星と一体化する」と言っていただけだったセフィロスですが、ACではその後の宇宙進出まで言及しているのです。
よって、今回のSSでその心境の変化を勝手に補完させていただきました。
多分、次回辺りが「やる時」だと思われます。そう、「その日、機動六課」のエピソードです。
すなわち、スーパーザッフィータイム!
GJです!!
そしてスーパーザッフィータイムに期待!!!
疲れた…Bパート完成…投下…おk?
GJ!! 実はヴィヴィオに恐がられてショックなセフィロス萌え。
ところで3時15分くらいからガングレイヴODクロスの第二話投下しても良いですかね?
それまでには完成するんで。
いけない4時15分の間違いだった……では+仮面ライダー氏が先に投下どうぞ。
二十四話 ファイナル・リミットBパート
【アースラ通信室】
『小型航空機接近!誰か、動ける空戦魔導師はいないのか!?』
「現在動けるのは…あ、居ました!」
【上空】
『シグナム二尉!』
「ああ…ルキノか…」
『あれ?シグナム副隊長、そのお姿は?』
シグナムの背には炎の翼が生え、騎士甲冑の色が紺色に変わり、髪も金髪になっている。
「心強い増援がついてくれた。現在位置で迎撃する。」
『はい!』
「「機影48。まだ増える。」」
「やれるか?アギト。」
「「やれるさ。剣閃烈火!!」」
シグナムの手に炎の刃が付加され、長く伸びる。
そしてシグナムは、ガジェットの大群に向けてその刃を振るった。
「「火竜一閃!」」
シグナムの放った火竜一閃は、一撃で五十のガジェットを破壊した。
「何故だろうな、アギト。おまえとの融合は、不思議と心が温かい。…?アギト?」
「「ひっく……なんでもねぇ。なんでもねぇよ!」」
『距離450!第二編隊、来ます!』
「ああ…行くぞ、アギト!」
「「おう!シグナム!」」
「おい、忘れるな。」
シグナムの隣に、フライトユニットを装備したドレイクが現れ、ドレイクゼクターを構える。
「大介…」
「やっと追いついた…「女は花」、お姫様をこんな所で戦わせたくは無いんだけどな。」
「聞く耳など持っていない。」
「言うと思った…まぁ良いや、後ろの奴は俺が倒す。」
「ギェェェェェェェエ!!」
二人の背後にガニコウモル強化体(PS版仮面ライダー参照)が出現し、鋏状の腕を構える。
「…死ぬなよ。」
「お前如きに、心配される筋合いは無い。」
二人は会話を終えると、お互いの敵に向け、立ち向かっていった。
【ゆりかご最深部】
「防御機構フル稼働。予備エンジン駆動。自動修復開始。ふふ、まだまだ…!!!これは…」
クアットロは絵城を振り返り、自分の背後に迫るブラスタービットに気付いた。
【王座の間】
『W.A.S. area 2 complete. Beginning area 3. This will take some time.(WAS エリア2終了、エリア3に入ります。あと、もう少し)』
「見つけた…」
【最深部】
「エリアサーチ!!まさか、ずっと私を探してた…?だ、だけどここは最深部。ここまでこられる人間なんて…」
【王座の間】
「行くよ…」
なのははレイジングハートを構え、照準をクアットロに合わせる。
【最深部】
「壁ぬき!?まさか、そんな馬鹿げたことが!?」
【王座の間】
『通路の安全確認、ファイアリングロック解除します』
「ブラスター3!!ディバイーーーーーン、バスターーーーー!!!!」
なのはは最深部のクアットロに向け、必殺のディバインバスターを放った。
【最深部】
「いや…いやああああ!!!!!!」
桃色の巨大な光は容赦なくクアットロに襲い掛かる。
だが、光が直撃する直前、クアットロの前にアルビノジョーカーが現れた。
「ア、アルビノ様!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
アルビノは手に持った、巨大鎌を一閃し、ディバインバスターを両断した。
【王座の間】
「!?、誰かに…邪魔された…?」
【最深部】
「フッ…所詮人間、まだまだか…」
アルビノは志村の姿に戻り、邪悪な笑みを浮かべる。
「アルビノ様ぁ!」
クアットロは志村に抱きつき、胸に顔を埋める。
「恐かったか?」
「ええ…ええ!」
「心配するな、お前は「愛されし民」…神の…そして俺の愛を受ける権利がある。」
「アルビノ様…」
「行こう…俺達を祝福し、愛してくれる者たちの元へ…」
「はい…」
二人はテレポーテーション能力で姿を消す。
この後、彼らは最大の敵となり、なのはやライダー達を苦しめることになる。
【王座の間】
「あ…あああああああああ!!」
クアットロが姿を消したため、ヴィヴィオの洗脳が解けた。
だが、依然ヴィヴィオは戦闘体制を崩さない。
「ヴィヴィオ?ヴィヴィオ!」
「なのは、ママ…ダメ!逃げてぇ!!」
ヴィヴィオは近づいてきたなのはにパンチを入れる。
「くっ…ヴィヴィオ…」
「駄目なの。ヴィヴィオ、もう、帰れないの」
「っ!!」
『駆動路破損、管制者不在。聖王陛下、戦意喪失。これより、自動防衛モードに入ります。艦載機、全機出動。艦内の異物を、すべて排除してください』
【ゆりかご通路】
「おりゃあああああああああああああああああああああ!!」
クウガアルティメットフォームはタイタンソードを振るい、放たれる凄まじい剣圧で襲い来るガジェットの大群を一網打尽にする。
「まだ来る…」
「五代さん!」
クウガの元にはやてが飛来し、隣に立つ。
「はやてちゃん!」
「なのはちゃんが心配や!」
「王座の間に行こう!ヴィータは防衛プログラム起動前に、カブキ達と一緒に脱出した!」
「うん!」
【王座の間】
「もう、来ないで」
「うっ…」
「分かったの、私。もうずっと昔の人のコピーで、なのはマ…なのはさんも、フェイトさんも、本当のママじゃ、ないんだよね?この船を飛ばすための、ただのカギで、玉座を守る、生きてる兵器。」
「違うよ。」
「本当のママなんて、元からいないの。守ってくれて、魔法のデータ収集をさせてくれる人を、探してただけ」
「違うよ!」
「違わないよ!…悲しいのも、痛いのも、全部偽物の、作りもの。私は…この世界にいちゃいけない子なんだよ!」
「……違うよ。生まれ方は違っても、今のヴィヴィオは、そのやって泣いてるヴィヴィオは、偽物でも作りものでもない。
甘えん坊ですぐ泣くのも、転んでも一人じゃ起きられないのも、ピーマン…嫌いなのも。私が寂しい時に、いい子ってしてくれるのも、私の大事なヴィヴィオだよ。」
なのはは、涙混じりの笑顔でヴィヴィオに笑いかける。
「私が、ヴィヴィオの本当のママじゃないけど、これから、本当のママになっていけるように努力する。だから!いちゃいけない子だなんて、言わないで!本当の気持ち、ママに教えて。」
「私は……私は!なのはママのことは、大好き。ママとずっと…一緒にいたい。……ママ?助けて…!」
なのは「助けるよ。いつだって、どんなときだって!!」
なのははレイジングハートの照準をヴィヴィオに合わせ、最終兵器を起動させる。
「ヴィヴィオ、ちょっとだけ、痛いの我慢できる?」
「……うん。」
「防御を抜いて、魔力ダメージでノックダウン。いけるね、レイジングハート!」
『いけます』
「全力、全開!!スターライトーーーー!!!ブレイカーーーーー!!!!!!」
レイジングハートから、最大級の威力を持った美しく、鮮やか巨光が発射される。
巨光はヴィヴィオを飲み込み、体に挿入されたレリックを徐々に砕いていく。
「あ…あああああああああああ!!」
「ブレイク…シューーーーーーーーーーート!!」
ヴィヴィオの体の中にあったレリックは粉々に砕け散り、光が晴れていく。
そして、残った巨大なクレーターの中に、幼いヴィヴィオの姿があった。
「ヴィヴィオ…」
「……来ないで。」
「!!」
ヴィヴィオは両手を使い、ゆっくりと立ち上がる。
「一人で…立てるよ…。うっ、ぐ…強くなるって…約束したから。」
「ああ…」
なのははクレーターの中に下り、ヴィヴィオを抱きしめた。
「「なのはちゃん!」」
そして、王座の間にクウガとはやてが駆けつける。
「なのはちゃん…」
「…やったね。」
クウガはなのはにサムズアップを送った。
「…うん。」
なのはもクウガにサムズアップを送る。
その時、王座の間の天井が、爆音を立てて砕けた。
「「「!?」」」
『そこから脱出しろ、高町。』
「!?、天道さん!」
【衛星軌道上】
「その船が宇宙に出る前にだ。」
『天道さん、今何処に?』
「衛星軌道上だ。」
『ええ!?』
「しかも、俺一人じゃないぞ。」
『え?』
「…久しぶり。」
『!?、剣崎…さん?』
「積もる話は後だ。脱出しろ。」
『は…はい!』
なのはたちは、急いでゆりかごの外に脱出した。
そして数十分後、ゆりかごが衛星軌道上に姿を現す。
「来たな…行くぞ、剣崎。」
「ああ!」
ハイパーカブトはザビー、ドレイク、サソードゼクターを呼び出し、パーフェクトゼクターに合体させ、ブレイドキングフォームはスペード10、J、Q、K、Aのカードをキングラウザーにラウズした。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁあ…」
『Maximum Hyper Typhoon』
「おおおおおおおおおおお!!」
『ROYAL STRAIGHT FLASH』
二人の最強ライダーは、如何なる敵も切り裂いてきた自分達の最強の必殺剣を構え、ゆりかごに突撃する。
「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「ウェェェェェェェェェェェェェェェェェェイ!!」
そしてカブトは右斜め一閃に、ブレイドは左斜め一閃に必殺技を振るい、×字状にゆりかごを切り裂く。
切られたゆりかごは四つに分断され、粉々に爆発した。
「終わったな…」
「…」
ブレイドは背中のグラヴィテイジェネレーターを起動し、ミッドチルダに向かって降りていく。。
「剣崎?」
「ごめん…」
ブレイドは大気圏に突入し、そのまま姿を消した。
「やれやれ…パーティに出席しないとは、勿体無い奴だ。」
カブトも背中の羽根を羽ばたかせ、ミッドに降りていった。
………
こうして、「JS事件」は終焉を迎える。
戦闘機人たちも捕まり、ガジェットも全て機能を停止、怪人たちも全滅した。
だが…闇の胎動は…既に始まっていた…
皆さん支援の時間ですよ。
【???】
「スカリエッティめ!無様な醜態をさらしおって…わしはこうなると思っておったわ!」
「地獄大使…お前この前までスカリエッティを絶賛して…」
「黙れブラック将軍!これはこれ!それはそれだ!」
「(こいつ…本当に調子の奴め…)」
「まぁ待て、スカリエッティが敗れた今…とうとう、我々の出番が来た。」
「そう…ゾォル大佐の、言うとおぉりだ…」
「ふっふっふ…我々も忘れてもらっては困るな。」
室内に、デストロンの幹部達が入室してくる。
「おお、ドクトルG!貴公らも来おったか!」
「はっはっはっは、わしも忘れてもらっては困るなぁ…」
「む!その声は…」
地獄大使の前に、彼と似た男が姿を現す。
「久しぶりよのぉ、地獄大使。」
「暗闇大使!お主も来たか…」
この後、GODのアポロガイスト、ブラックサタンの百目タイタンとデッドライオン、デルザー軍団のジェネラルシャドウ、マシーン大元帥率いる改造魔人軍団、ネオショッカーのゼネラルモンスターと魔神提督、
ドグマのテラーマクロと地獄谷五人集、ジンドグマの悪魔元帥と四幹部、そしてゴルゴムの三神官とクライシス帝国の戦闘隊長達が室内に現れる。
そして、壁に付けられたヘビの尾と狼の頭を持つ奇怪な生物のレリーフの目が、妖しく光り始めた。
『集ったか…大幹部の諸君。』
「「「「「「「「ハハ!」」」」」」」」
冷たく、威厳のある声(CV・納屋五郎)が室内に響き、大幹部達はレリーフの前に跪く。
『ダロムよ、シャドームーンの姿が見えんな…』
「シャドームーン様は、「別に俺が出向く必要もあるまい」とおっしゃり、こちらには顔をださないつもりでございます。」
「あのナルシストめ!生き返らせてもらった恩も忘れて…」
『まぁ良い地獄大使、さて、お集まりの諸君!スカリエッティが破れ、ミッド征服作戦は失敗に終わった…
だが恐れることは無い!奴がなしえなかったことを我々が完遂し、そして全次元を、我々の手で征服するのだ!』
「「「「「「「「承りました!首領!」」」」」」」」
『立ち上がれ諸君!この次元世界全て、我々「AAMON(アモン)」が手に入れるのだ!!』
「「「「「「「「オオオオオオオオオオオオオオ!!」」」」」」」」
【おまけ】
ヴァイス「ちょっと待て!俺活躍してねえぞおぉぉぉぉぉぉお!!」
えっと、JS事件これにて終了。
すこし改変しすぎたかな?
次回はついに第一部最終回、カラオケ回の予定です。
皆さんお楽しみに!
>>28 GJ! さて、何だか急に敵組織が昭和テイストになりましたが、どうなることやら。
カラオケ編を書く場合は、台本形式がオススメです。
…うん…地の文つきで表現しようとすると、死ぬ…orz
ヴァイス………GJ。俺は君の事好きだぜヴァイス!!
ガングレイヴODクロスがもうちょいで出来るので45分くらいから投下して良いですか?
出番なかったから忘れてた。
まだ歴代の大幹部達が残ってましたね。
JS事件は、これから始まる恐怖の計画の序章に過ぎませんでしたか…。
大幹部相手に、機動六課はどう闘う!?
クアットロもアモンの幹部になるんですかね?
あの女なら、かなり適任だと思いますね。
悪知恵も働くし…。
んでもって、最期は、超々惨めで不様な最期を迎えるとか…。
それじゃあ、そろそろ投下しますが良いですか?
ガングレイヴODクロスの第二話で今回はクアットロに挑戦という実験的な話です。
投下支援
では投下します、ガングレイヴODクロスの第二話で今回は遂にアイツが登場です(ちょっとだけど)。
魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers第二話「黄昏の破壊者」
どこまでも暗き闇の続く地下施設、そこに男は座っていた。
彼は死人兵士専用の“血液交換台座”と呼ばれる無骨な剥き出しの金属で作られた椅子に腰掛けて全身の血液を交換されている。
男の名はビヨンド・ザ・グレイヴ。故あって狂気の科学者ジェイル・スカリエッティに手を貸す運命を背負った最強の死人兵士である。
彼は先の機動六課との交戦で鉄槌の騎士ヴィータから受けた攻撃で腹部を大きく抉られていたが、死人兵士の修復能力と血液交換により既に傷は跡形も無くなっていた。
血液交換の代償として深い眠りに落ちているグレイヴをモニターで見つめる白衣の狂人ジェイル・スカリエッティ。
スカリエッティはひどく愉快そうな顔でモニター上の眠るグレイヴと機動六課との交戦映像を眺めていた。
「やはり彼の“特性”は予想通りの結果だったね〜、実に素晴らしい。ウーノ彼の修復状況はどうだい?」
スカリエッティは隣にいた彼のサポート用戦闘機人1番、ウーノに声をかける。彼女はグレイヴの血液交換と修復状況を計測するモニターを操作していた。
「血液交換は後30分程度で終わります。身体の損傷は血液交換無しでも帰還時には塞がっていましたから治療処置は必要無いでしょう………しかしドクター…」
「何だいウーノ? まあ想像はつくがね」
「…では言わせて頂きます。彼は…グレイヴは危険です」
「だろうねえ〜」
ウーノの瞳はスカリエッティの頬に付いた傷、グレイヴがケルベロスの銃弾で付けた赤い跡に注がれていた。
「死人兵士は血液の交換を行わなければ体組織が崩壊します。今からでも血液の供給を止めれば彼を労無く殺せます!」
例えナンバーズの姉妹を助けようともスカリエッティに牙を剥くような狂犬をこの場所に置くことを許せない。
その考えはナンバーズの中でも最も長くスカリエッティに仕え、唯の主従や家族を超えた情を彼に抱くウーノらしい言葉だった。
そのウーノの必死の言葉と瞳をスカリエッティは含みのある笑顔で見つめながら彼女の頬に手を伸ばした。
「ああ、ウーノ。私の可愛いウーノ…」
「あ、あの…ドクター?」
スカリエッティはそう言うとウーノの頬を撫でながら、もう片方の手で彼女の長い髪を弄ぶ。
ウーノは自分の頬や髪に触れるスカリエッティの手の感触に顔を赤く染め始める。
「君はとても優秀だよ、君無しでは今の私の研究の成功は無いだろう。間違いなく君は私の作った最高傑作だ…」
「そ、その…ありがとうございます」
スカリエッティの突然の賞賛にウーノは顔を真っ赤にして恥らった。そのウーノにスカリエッティは続けて口を開く。
「だが君は少し真面目すぎる………こういう刺激的な自由意志を楽しもうじゃないか?」
「楽しむ…ですか?」
「そうさ。人生は楽しみが無ければ無駄な時間の消費でしかないのだからね」
そう言って、スカリエッティはウーノの髪を撫でながらモニターに映るグレイヴを眺め。
「そう…ひどく刺激的な楽しみさ…くくくっ」
ウーノに聞こえない程度の小さな呟きがスカリエッティの口から漏れ研究所の闇の中に消えていった。
グレイヴが専用の部屋で血液交換を行い眠る中。彼の私室の周りをうろつく赤い髪の少女の姿があった。
それはナンバーズ9番ノーヴェであった。彼女は落ち着きの無さそうな様子で先ほどからグレイヴの部屋の前を右往左往していたのだ。
そのノーヴェに二人の少女が近づく、しょっちゅうノーヴェをからかうナンバーズのムードメーカー、セインとウェンディである。
二人はやたらとニヤついた顔でノーヴェを見ながら会話を始めた。
「おや〜? あれはノーヴェだね、ウェンディ」
「そうっすね〜セイン」
「あんな所で何してるのかな〜」
「たぶんあれっすよ〜。自分らのせいでグレイヴが怪我したから心配で来たんっすよ〜」
「さすがだね〜ウェンディ。じゃあなんであそこでウロチョロしてるのかな〜?」
「今グレイヴが血液交換でいないからその間に部屋の掃除でもしてあげようと思ってるんじゃないっすかね〜」
「でも実際やるとなると恥ずかしくて、なかなか出来ないと…」
「分かりやすいツンデレっすね〜♪」
「ね〜♪」
二人は最高にわざとらしい会話でノーヴェを挑発した、もちろん分かりやすいツンデレノーヴェがこの二人に反応しない訳がない。
「う、う、う、うるせええええ!! べ、別にそんな事ねえよ!!」
真っ赤になって否定するノーヴェだがこれでは自白しているようなものだった。
セインとウェンディはニヤ〜っと笑ってそのノーヴェの反応を楽しむ。
「いや〜本当にノーヴェって可愛いっすね〜」
「本当。っていうか私が男だったら絶対に喰うよ」
「それじゃあたしらも手伝うっす」
「そだね〜」
二人はそう言いながらノーヴェの頭を“良い子良い子”と撫でてグレイヴの部屋のドアを開けた。
「お、おい! もう入んのかよ!?」
「っていうかノーヴェ悩み過ぎだから…」
3人はそうやってグレイヴの部屋に入る、その部屋は実に殺風景だった。
テーブルの上にはケルベロスやデス・ホーラーの調整用の機械部品やグリスが散乱し他にはパイプ椅子と安物のベッドがあるだけだった。
そして碌に掃除もしないのか、あちこちにホコリが積もっている。
「うわ〜色気のない部屋っすね〜」
「とにかく掃除だ! 気合入れてやれよ!」
やる気マンマンのノーヴェがさっそく割烹着を着て雑巾を持ち、お掃除モード全快で意気込む。
「うわ〜。割烹着なんてこの施設にあったんっすね…」
「っていうか、元気な新妻みたいで萌えるんだけど…」
そんな事を小さく漏らしながらセインとウェンディの二人もノーヴェにならい掃除を始めた。
そんなこんなで掃除をする中、ウェンディがとある物を見つける。
それは小さな写真立てで、そこには黒髪の少女とグレイヴが並んで映っていた。
「これは…」
「アレっすね…」
「ア、 アレってなんだよ?…」
「そんなん彼女に決まってるっすよ〜」
「か、か、彼女〜!?」
「っていうかグレイヴって彼女いたんだ〜。まあカッコイイし、いてもおかしくないよね〜」
「………」
その3人の後ろに血液交換を終えたグレイヴが無言で立っていた。
「うわっ!」
「うわ〜! もうお帰りっすか〜」
驚く3人をよそにグレイヴはウェンディの手に持った写真を見つめる、それは今は亡き彼の最愛のファミリー(家族)浅葱ミカの写真であった。
「ね〜グレイヴ〜。この子ってグレイヴの彼女?」
「それとも妹っすか? 意表をついて子供っすか?」
「こ、こ、子供〜!?」
グレイヴは騒ぐ3人の頭を順番に撫でていつものように優しく微笑みながら小さな声で答えた。
「…俺のファミリー(家族)だよ」
時空管理局機動六課の隊舎の一角、ブリーフィングルームでその会議は行われていた。
宙の展開されたモニターに一人の男の映像が出る。
その男は背に十字架の刻まれた黒いスーツを着用し、手には二丁の巨大な拳銃を持ち棺桶のような武器を背負っていた。
その顔にはメガネが掛けられているが、失明しているのか左側のレンズは黒く塗り潰され十字架のマークを刻まれている。
この男こそ、先の戦闘でスバルとティアナを数分と掛からずに倒しヴィータのラケーテンハンマーの一撃にも耐えた謎の戦闘機人であった。
「で、こいつが何者なのか分かったのかよ」
「ええ…まずはあの武器の説明を…」
不満そうな声をあげるスターズ分隊副隊長ヴィータに通信主任シャーリーが応える。その場には六課メンバーの全員が集まりシャーリーの説明に耳を傾けていた。
「この人の武器は魔力ダメージ弾頭を使用していましたが、現場の薬莢の特徴などから基本的には通常の物理的な弾頭を使用する質量兵器だという事が分かりました…」
モニターには黒服の男の武器の拡大画像が映し出される。それは各所に十字架の刻まれた奇妙なものだった。
さらに次々と説明が行われる中シャーリーはモニターの画像をありものに切り替える。そこには魔力波動を現すグラフと生物の各種生命兆候をしめすバイタルが表示された。
「これは通常の人間、魔力のほとんど無い魔法を使えない人の数値です。どんなに魔力資質の少ない人でも生きている以上はリンカーコアがありますから微量な魔力を持っています…でも」
そして画面が黒服の男の各種数値に切り替わる、その数値にその場の全員は息を飲んだ。
「何だよ…こりゃ…」
「嘘やろ…」
「信じ…られない…」
隊長陣が小さく呻くように漏らし驚愕に顔を染める。そこには魔力量ゼロそしてリンカーコアの存在が確認されない事を表すグラフと数値が表示された。
「この人…には魔力が全く無い…リンカーコアの痕跡が無いんです。その他バイタルの数値も普通の人間のものではありません……つまりこの人は……」
シャーリーの言葉と共に画面に一つの言葉が表示された、DEAD(死人)と。
「生きていないんです……あえて言うなら…その…動く屍です……ヴィータ副長の攻撃にビクともしなかったのも魔力ダメージが通らずに物理保護の衝撃だけを受けたからだと思われます…」
その日、十字架を背負った死人兵士に管理局が付けた便宜上の呼び名が決まった。
“ウォーキング・デッド(歩く屍)”それが法の番人が彼を呼ぶ名前となった。
その日、グレイヴはいつものように騒ぐ3馬鹿姉妹を呆れるチンクと共に眺めていた。そんな彼の目の前に通信モニターが開き白衣の男が姿を現す。
「やあグレイヴ〜。今は暇かな? すこし頼みたい事があるから来てくれないかい?」
グレイヴはスカリエッティの声に表情こそ変えないが身体から鋭い殺気を放ち怒りを露にした。
ナンバーズを大切なファミリー(家族)を戦場へと送るスカリエッティへの怒気が身体から溢れる。
だがそのグレイヴの手に小さな指が絡まり、弱弱しく握る。
「…グレイヴ」
「………」
彼の手を握るのはチンクであった、彼女は悲しそうな瞳でグレイヴを見つめる。
チンクにはグレイヴの怒る理由がよく分かる、彼女とて妹達に危険な目にはあってほしくはない。
だが父であり創造主であるスカリエッティを助けたいというのもまた事実であった。
自分の手を弱弱しく握るチンクの意図を汲んだグレイヴはその場に膝を付いて彼女の頭を撫でる。
「…ドクターを憎まないでくれ……私には…妹達もあの人も大切な家族なんだ」
「………」
グレイヴは静かにそう呟くチンクに殺気を解いて優しく微笑んだ。
「いや〜。来てくれたかね」
研究室に足を踏み入れたグレイヴに今日もまたスカリエッティが耳障りな声と邪悪な笑みでもって出迎える。
だがグレイヴはスカリエッティの近くにナンバーズを確認したため、溢れる怒気を放つのをなんとか抑えた。
スカリエッティの脇に立っていたのはナンバーズ3番トーレ、4番クアットロだった。
「実はこれからトーレとクアットロにおつかいを頼もうと思ってね〜。君にその護衛を頼みたいんだが。どうだい? やってはくれないか?」
グレイヴはスカリエッティの言葉を受け、トーレとクアットロに視線を移しながら疑問を感じる。
戦闘要員が必要な状況ならもっと多くのナンバーズを投入すればいいのだ、何故トーレ以外に戦闘力を持つナンバーズの影が無いのかという疑念を抱かずにはいられなかった。
「疑問に感じているねグレイヴ? まあ無理もない、戦闘要員がトーレ一人なんておかしいものねえ…」
グレイヴの疑念を感じ取ったスカリエッティがモニターを宙に出して解説を始めた。
「今回は戦闘が主体の仕事では無いんだよ。“ある人”から荷物を受け取ってもらうのが今回の目的でね〜」
スカリエッティはモニターに映し出されたミッドチルダの首都クラナガンの街の一角を指差す。
「外の世界を知らない若いナンバーズにはちょっと荷が重いんでね〜。突発的な戦闘に対処可能なトーレと指揮と情報操作能力の高いクアットロに行ってもらうのさ」
数多の次元世界の中心的世界ミッドチルダの首都クラナガン。
そこを3人の男女が歩く。一人は黒縁のメガネをかけオレンジ色のワンピースを着て髪を二つに結んだ少女、青いスーツに身を包んだショートカットの髪の長身の女性、そしてサングラスを掛け黒いジャンパーを着た大男。
それはスカリエッティの指示でクラナガンに来たグレイヴにトーレとクアットロだった。
「それにしても今日はこ〜んなに暖かいのに二人とも暑くないんですか〜?」
クアットロが顔に降り注ぐ陽射しを手で遮りながらグレイヴとトーレにそんな事を聞く。
その日は雲一つない晴天で、何枚も服を重ねれば汗をかくような陽気だった。
グレイヴは無言で頷き問題ないと伝え、トーレは首のネクタイを正しながら応えた。
「私の私服はスーツしかない」
外に出ても堅苦しい雰囲気を抜かないトーレにクアットロはやれやれといった感じでメガネを掛けなおす。
目的の人物と会う予定の公園に向かうなかグレイヴはやたらと辺りに視線を泳がせていた、特に高いビルや建物に目をやる。
その様子を見たクアットロは溜息を吐きながらグレイヴに話しかけた。
「グレイヴさ〜ん。あなたの出身世界ってビルも無いド田舎なんですか〜?」
「おいっ!」
明らかに嘲笑の含まれたその質問にトーレが険しい顔をするがグレイヴはいつもの微笑を浮かべる。
(何よ…少しは怒った顔が見れると思ったのに……ツマンナイ男ね〜)
クアットロは心中で呟きながら目的の公園の中心部に足を進めた。
広大な敷地を持つ公園の中心部、小さな東屋のベンチに一人の女性は座っていた。
それは時空管理局の制服を着た長髪の女性であった、彼女は近づいて来る懐かしい二人の妹と黒服の男に手を振った。
「久しぶりね。クアットロ、トーレ」
「はい、ドゥーエお姉さま」
「ああ、久しぶりだな」
その女性は戦闘機人ナンバーズ2番、ドゥーエであった。
ドゥーエは管理局内部情報の調達や最高評議会への潜入などの諜報活動の為に何年もスカリエッティやナンバーズの下を離れていたのだ。
今回は一般の郵送や遠距離転送といった方法での情報の受け渡しでは不安要素の多い物のため、こうして盗聴や盗撮の目をかい潜れる場所を用意して直接接触したのだった。
周囲にはクアットロのIS(固有技能)シルバーカーテンの映像通信ジャミングと探査の目を張り巡らせていた。
クアットロはドゥーエとの久しぶりの再開にいつもの飾りの笑顔でない本当の笑顔を見せる。
ドゥーエはクアットロの教育係りを務めた経験がありナンバーズの中でも彼女と最も仲の良い姉妹だったのだから当たり前だろう。
だがドゥーエはその妹の笑顔よりも初対面の黒服の男に興味を抱いた。
「あなたがドクターの言っていたグレイヴね? はじめまして、ナンバーズ2番ドゥーエよ」
「………」
グレイヴは無言で微笑を投げてドゥーエの挨拶に応えた、そこに面白くなさそうなクアットロが口を挟む。
「挨拶なんて無駄ですよ〜ドゥーエ姉さま〜。グレイヴさんはぜ〜んぜん喋らないんですから」
「あら、そうなの? まあ私は静かな男の方が好きだから良いけどね♪」
そう言うとドゥーエはグレイヴの前に歩み寄り彼の顔を見上げる。
「妹を助けてくれたんですってね? まだ会ったことのない妹達だけど礼を言うわ、ありがとう。」
ドゥーエは長年の諜報活動の為セイン以下の姉妹に面識がなかったが、まだ見ぬ姉妹を救ってくれたグレイヴに魔性とも言える最高の笑顔で礼を述べた。
グレイヴもこれに微笑んで返し、いつものようにドゥーエの頭を撫でた。
「またグレイヴの悪い癖だな」
「…さすがに…これは恥ずかしいわね…」
「ドゥ、ドゥーエ姉さまの…頭を撫でてる」
トーレが呆れ、ドゥーエは恥じらい、クアットロは驚いた。ドゥーエのような匂い立つ色気を持つ女にこんな子供にするような事をするのは十分に驚愕に値するだろう。
「おいグレイヴ。周辺の警戒をするぞ、来い」
トーレはそう言ってグレイヴを連れて周囲の警戒に出た、その場にはドゥーエとクアットロが残された。
「すいませんドゥーエ姉さま。あの男ったら田舎モノみたいで」
クアットロはドゥーエと二人きりになってそんな悪態をつくがドゥーエはそのクアットロに呆れるように溜息を漏らす。
「クアットロ……あなたって男を見る目が無いのね〜」
「えっ?」
ドゥーエはそう呟くと東屋の中のテーブルの上に今回引き渡す様々な情報の詰まったディスクやチップを並べ始める。
「今回渡す物はこれと、後は……」
説明の言葉を続けるドゥーエにクアットロが俯いて不満そうに口を開いた。
「ドゥーエ姉さまは……ああいうのが好みなんですか?」
自分の慕う姉が田舎くさそうな男に好意を持っている、その事が気に入らずクアットロはそんな事を言った。
そのクアットロの言葉にドゥーエは思わず笑いを堪えきれず吹き出して笑う。
「ぷはっ ははは。クアットロあなた妬いてるの!?」
「そ、そんな事ないですよ…」
ドゥーエは顔を赤くするクアットロの頭を撫でて言葉を続けた。
「私は任務で色々と男をたくさん見てきたから分かるのよ。ああいう男の事がね…」
「…田舎モノで世間知らずの男がですか?」
「田舎モノ? 違うわね、彼は殺し屋よ。それも最高クラスのね」
「殺し屋? ただの死ににくいだけの死体ですよ……あの男は」
クアットロにとって死人兵士の認識などは頑丈さだけが取り柄の非効率的な動く死体だった。
故にグレイヴの戦闘能力を過小評価していたための言葉だったがドゥーエは即座にこれを否定した。
「気づかなかったのクアットロ? 私は見てすぐに分かったけど、彼は歩いてる最中ずっと自分達を狙撃可能な場所を警戒してたのよ? ただの死体にはあんな芸当できないわ」
「えっ?」
クアットロの脳裏に道中のグレイヴの挙動が思い出される、彼がやたらと高いビルや建物に目をやっていた理由にやっと合点がいったのだ。
「それも自分の身体をあなたやトーレの盾に出来る位置でね。あんな事出来るのは専門のボディガードかそれともその道の殺し屋くらいよ」
「そんな……あの男が…」
「それになんて言うか……匂いがね」
「匂い?」
「そう血の匂い。私も任務で暗殺をそれなりにこなして来たけど…あれはそんなものと比べ物にならないわね……私の見立てなら少なくとも数百人は殺してるわよ」
「ほ、本当ですか!?」
「下手をしたらもっと多いかもね……それであんな優しい目ができるなんて考えただけでもゾクゾクするわ。普通は男に抱かれるなんてただの仕事って割り切ってるけど、彼ならこっちから頼みたいわね〜」
「だ、抱かれるって!?」
ドゥーエの色を孕んだ瞳にクアットロが顔を赤くして狼狽する、ドゥーエはそんなクアットロの頭を優しく撫でて笑う。
「ふふっ♪ 冗談よ〜冗談。クアットロもソッチ方面はさすがに免疫ないわね〜」
「もう! ドゥーエ姉さま!」
クアットロはドゥーエに必要な物と情報を渡され必要な仕事を終える、その二人の下にグレイヴとトーレが戻って来た。
そして何故かグレイヴは大きな包みを持っている。
「終わったか?」
「ええ。でもそれはどうしたのグレイヴ? それにトーレ…そのタイピンどうしたのよ?」
トーレの質問に答えながらドゥーエがグレイヴの持つ荷物に目をやる、グレイヴは笑顔でトーレは呆れたような顔でこの質問に返した。
「………」
「実はグレイヴが勝手に買い物をしてな。姉妹達にプレゼントだそうだ……」
トーレは恥ずかしそうにそう言う、彼女のしたネクタイには赤い花を形どった綺麗なタイピンが付いていた。
グレイヴは手の袋の中から一つの帽子を取り出してクアットロの頭に被せる、それはクアットロの着たオレンジ色のワンピースに良く似合う涼しげな白い帽子だった。
「ちょっ! 勝手に被せないでください…」
クアットロにはグレイヴが何故こんな帽子をプレゼントしたかのかすぐに察しがついた。
グレイヴは今日の陽射しの強さと陽気に暑そうにしていたクアットロを案じて涼しげな帽子を渡したのだ。
その理由が分かるからこそクアットロは顔を赤くして恥ずかしがる。
「男のプレゼントに文句を言うもんじゃないわよクアットロ。それに良く似合ってるじゃない♪」
「そ、それはそうかもしれませんけど…」
ドゥーエは恥ずかしがるクアットロをなだめる、そのドゥーエにグレイヴが小さな包みを手渡す。
「あら。私にもあるの?」
「………」
グレイヴは静かに頷く、ドゥーエはその包みの包装を丁寧に解くと中から出てきたのは管理局制服に良く似合う落ち着いたデザインの腕時計だった。
「まあ…良いじゃないこれ♪ でもプレゼントし慣れてるわね〜グレイヴ。昔の女にもこうやって送ったの?」
「……」
そんなドゥーエの質問にグレイヴはバツが悪そうに苦笑した。
夕日が昇り、辺りを黄昏時の陽光が包む。
グレイヴ達が去りドゥーエは一人公園のベンチに腰掛けて缶コーヒーを飲んでいた。
(あんな男が付いていてくれるなら他の姉妹も安心ね…でも)
顔に射す夕日の光を手で防ぎながらドゥーエは思う、それはウーノが漏らしていた言葉。
(“ドクターに敵意を持ってる”か…確かにああいうタイプには理解できないわねドクターは…)
ドゥーエは溜息を漏らしながら小さく呟いた。
「でもまあ…ドクターならそんな危険も楽しむわよね〜」
そのドゥーエに管理局からの呼び出しのコールが入る、それは最高評議会に仕える局員からのものだった。
「さ〜て……瓶詰めのお爺ちゃん達の面倒を見る時間ね…」
ドゥーエは立ち上り缶を近くのゴミ箱に入れながらまた小さく呟いた。
「でも本当に良い男だったわね〜。今度会ったら誘惑してみようかしら?」
帰り道もまたグレイヴは辺りを見回しながら歩いていた、そんなグレイヴをクアットロは帽子のツバの下から覗く。
(殺し屋ね〜ただの田舎のおのぼりさんみたいだけど……でもまあこれには少しだけ感謝して上げても良いですよ死人さん)
クアットロは黄昏時の夕日の陽射しを帽子で防ぎながらほんの少しこの死人に感謝する。
そのクアットロの視線とグレイヴの目が合い、グレイヴはクアットロの頭をそっと撫でた。
「ちょっ…やめてくださいよ。もう…」
グレイヴの大きな手で優しく頭を撫でられ、クアットロは恥ずかしそうに呟く。
差し込む夕日の赤い光で彼女の顔がほのかに朱に染まっている事は誰にも知られなかった。
そうして黄昏に破壊者は少女に優しく微笑んだ。
時空管理局地上本部、その一室に腰掛ける一人の男が秘書の女性とモニターの映し出された隻眼の死人兵士を眺めていた。
「オーリス、何故スカリエッティの戦闘機人と死人兵士が一緒におるのだ!? この技術は我々の限られた技術官しか知らん筈だろうが!!」
声を張り上げる男の名はレジアス・ゲイズ、中将の地位に就く管理局の高官である。
「はい。この死人は明らかに可動年数が長いと推測されていますので、我々の情報から作られた死人兵士では無いと考えられます」
レジアスの言葉に答えるのは彼の秘書官オーリス・ゲイズ、レジアス中将の娘であり彼の側近である。
そのオーリスの言葉に激昂を鎮めたレジアス中将はモニターに移った二人の死人の映像を見比べた。
「ではこいつはアレと同じか?」
「はい、恐らくは…」
そのモニターにはグレイヴの映像の隣にカプセルに眠った死人兵士、顔の口部分に拘束具のようなものを付けた不気味な異形の死人兵士が映し出されていた。
「…オリジナルの死人かと」
オーリスはそう言うとその異形の死人の画像を拡大した。
その死人兵士の名は“ファンゴラム”数十年前グレイヴを破壊寸前まで追い詰めた最強最悪の究極の死人兵士だった。
レジアス中将の手元には一つの特秘事項の書かれた書類が置かれていた、その書類にはこう書かれている。
“死人魔道師計画”と
続く。
人物紹介。
「ビヨンド・ザ・グレイヴ」
隻眼の死人兵士(しびとへいし)で生前はある組織の殺し屋をしていた男。生前の名前はブランドン・ヒート。
左目を撃ち抜かれて死んだために左目が潰れて顔の半分にも火傷のような傷があり、その左目を隠すように変わったメガネを掛けている(知りたい人は公式ページに飛んでね)。
死人兵士として改造された為に定期的(推定24時間)に全身の血液を交換しなければならない、血液交換をしないと死ぬ……もう死んでるけど。
このSSではガングレイヴODの終結から数十年後という設定なので着ている服はOD基準の地味なスーツ姿(知りたい人は公式ページに飛んでね)。
今回の黒ジャンパーはアニメ版のコートを意識したもの。
グレイヴのプレゼント攻撃はアニメ版にて昔の恋人マリアに毎年誕生日プレゼントを贈っていた事から由来しています(昔の女にプレゼント……これって下手したらストーカーだよな)。
彼が年下の少女の頭を鬼のように撫でまくる癖はアニメ版での妹分ミカとのやりとりから来ています。だからべつにロリコンとかではない…筈。
「浅葱 ミカ」
グレイヴの生前の恋人マリアと彼の仕えていた組織のボス、ビッグ・ダディとの間に生まれた娘。
裏切り者の親友に乗っ取られた組織に命を狙われていたが、ピンチの所をグレイヴに助けられる
グレイヴのファミリーで彼にとっては恋人っていうか妹みたいな存在でこのSSでは既に死んでいる設定。
グレイヴがナンバーズに優しいのも彼女達にミカの面影を見ているので、という話です。
「ファンゴラム」
ガングレイヴODの敵役、ツバの長い帽子とコートを身に付け、最強最悪の超巨銃ケルベロス・センターヘッドを使うトンデモ死人兵士。
まあ詳しい外観は公式ページで見ていただきたい。
俺の大好きなキャラなので今後活躍予定。
投下終了です、トーレとクアットロは全然書いたことなかったので挑戦。
ドゥーエ姉さんの性格はこんなので良いのか?
とりあえずファンゴラムが登場、レジアスの父っつあんの凶悪な手駒になりそうです。
次回は他のナンバーズも書きたいです、特にディエチとかディードみたいな無口そうなタイプとグレイヴに会話とか(喋んのかこいつら?)。
キャラの紹介はガングレ知らない人が多いみたいなのでとりあえず書いてみました。
>>45 ファンゴラムきたーーーーーーーー
レジアスもなんかたくらんでるwww
GJですた!!
GJ
ノーヴェテラモエス
ブラック将軍の台詞
「(こいつ…本当に調子の良い奴め…)」
に変更を…
GJ
グレイヴは良いお父さん!家族を文字通り、体を張って守るはず。
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/26(水) 18:35:24 ID:N0IXaa5F
これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。
これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。驚く結果をご覧いただけます。このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事がかなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を貴方にもたらすでしょう。
約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。たった3分ですから、ためす価値ありです。
まず、ペンと、紙をご用意下さい。先を読むと、願い事が叶わなくなります。
@まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。
A1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。B3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味のある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名前をかく)
必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。
C4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さい。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。まだ、先を見てはいけませんよ!!
D8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。
E最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。
1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。
2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。
3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。
4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。
5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。
6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。
7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。
8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。
9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。 10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。
この書き込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピーして貼って下さい。そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当たってませんか?
>>45 GJ!クアットロが可愛く書かれるのって珍しいから嬉しいです
リリカルなのはStrikers+仮面ライダー氏のSSを読んだ記念に
またまた替え歌を載せます。 悪の組織{アモン)の恐ろしさを仮面ライダー
ブラックの歌「ブラックアクション」の替え歌で表現してみました。
ドドロドドドロドロ 迫る 悪の軍団
カギ爪・毒牙・トゲトゲトゲの脚
奴らは アモン 地獄のコマンド
ミッドチルダを支配にやって来る
ギギラギギギラギラ 光る 闇に悪の目
大角・毒針・ノビノビのびる舌
奴らは アモン 地獄の悪魔
平和を奪いに現れる
ゾゾクゾゾゾクゾク 生まれる 異形の怪物
死のガス・毒薬・噛みつく顎
奴らは アモン 暗闇の戦士
家庭を奪いに忍びよる
失礼、ちなみにタイトルは「アモン 悪の企み」です。
後、歌でライダーをあらわす部分はアモンの恐ろしさを表現するために
省略しました。
職人の皆様GJです
しかし、たった4日で前スレ埋まるとは…冬休みだからでしょうか?
さて、リリカルマジンガーの3話出来たので投下していいですか?
ミンサガの「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー」のやつの無限ループで脳を削られながら書いてたので、
クオリティに関しては期待しないほうがいいと思われますorz
>>53 投下、OKです。
でも自分は最近は忙しくて夜くらいしかこれなくなってます。
12月2日、時空管理局本局にて。
「いや、君のケガも軽くてよかった」
本局の医務室から黒髪の少年『クロノ・ハラオウン』が出てくる。
遅れて出てきたのはフェイト。シグナムやマジンカイザーとの戦闘のせいか、左腕に包帯を巻いている。
心配をかけてしまった。そう言いたげな表情をするフェイト。そして申し訳なさそうに謝罪した。
「クロノ……ごめんね、心配かけて」
その言葉にクロノは一瞬きょとんとし、そして笑って答えた。
「君となのはでもう慣れた。気にするな」
それから少し経った頃の別の医務室では、なのはが医者から検診を受けていた。
管理局の医療用装置がなのはに光を当て、その光の動きに合わせて表示されたグラフが変動する。
なのはの現状がどんなものかの結論を出したのか、しばらくそれを見ていた医者が装置を止め、笑顔で状態を教えた。
「さすが若いね、もうリンカーコアの再生が始まっている。
ただ、少しの間魔法がほとんど使えないから、気をつけるんだよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
とりあえず、特に深刻な問題と言えるようなものは無いようだ。あるとしても、魔力を奪われたことでリンカーコアが縮小し、それが原因で少しの間魔法が使えないことくらいか。
そしてその縮小自体もマジンカイザーの妨害があり、大した量は奪われていない。これならば回復もすぐだろう。
……と、ドアの方から開閉音。その方向を見ると、フェイトとクロノが来ていた。目的はなのはの見舞いである。
「ああ、ハラオウン執務官。ちょっとよろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」
医者がクロノに用があるを言い、クロノはそれに答える。
すると医者はクロノを外へと連れ出した。せっかくの友達同士の再会を邪魔しては悪いと思ったのだろう。空気が読めていて何よりである。
そして医者が告げた内容……それは大いにクロノの興味を引くこととなった。
「実は、例の時空遭難者が先ほど目を覚ましました。今はハラオウン提督が話を聞いているようです」
第三話『魔神と魔法』
時間は少しだけ遡る。
なのはやフェイトがいた所とはさらに別の医務室。甲児はそこで目を覚ました。
困惑の表情をし、あたりを見回す。どうやら状況が理解できていないようだ。
「ここはどこだ?俺は確かカイザーであしゅらを倒して、それからDr.ヘルの所に乗り込んだはずだってのに……」
頭に疑問符を浮かべ、記憶を掘り返す甲児。だが、どんなに思い出そうとしてもDr.ヘルが脱出し、自身も地獄島の爆発の中マジンカイザーに乗った所までしか思い出せない。
もっとも、そこから先は気絶していたのだから覚えていないのも無理は無いが。
そして今の訳が分からない状況は、甲児にある突拍子も無い結論を叩き出させた。
「まさかあの爆発で異世界にでも飛んじまったとか……そんなわけねえか」
「いいえ、残念ながらそのまさかよ」
最も可能性の低いであろう結論を肯定され、驚いてその声の方向へと振り向く甲児。
その方向にいたのは、クロノの母であり時空管理局提督でもある女性『リンディ・ハラオウン』である。
ちなみに外見年齢は甲児と大して変わらないため、甲児は同年代かそれより少し上くらいだと勘違いしているようだがそれはまた別の話。
「……あんたは誰だ? それにここは一体……」
眼前に現れた人物へと質問する甲児。それに対してリンディも答える。
「私は時空管理局提督のリンディ・ハラオウンです。そしてここは、時空管理局本局の医務室。
あなたは次元震に巻き込まれて、なのはさん達のいた世界に飛ばされたのよ」
そう言うと、緑茶の乗った盆を近くの台に置き、甲児へと湯のみを差し出す。
甲児はそれを受け取ると、リンディ好みの味付け(砂糖とミルクがたっぷり)になっているとも気付かず一口飲み――――
(´゜ω゜):;*.':;ブッ
「それで、兜甲児さん……でいいのかしら? あなたがこの世界に来るきっかけに、何か心当たりは無いかしら?」
気を取り直してリンディが甲児へと事情を聞く。当の甲児は先ほどのお茶を吹き出したせいで申し訳なさそうな顔で聞いている。
……ん?待てよ?確か甲児はまだ名乗ってはいないはず。それなのに何故リンディがその名を知っているのだろうか?
そう言いたそうな表情の甲児を見て、リンディが察してその答えを言った。
「あなたの事は鉄也さんから聞きました。名前と、あなた達が次元遭難者であるという事くらいですが」
「鉄也さんだって!? まさか、鉄也さんまでこっちに来てるのか!?」
食いついた。甲児と鉄也はやはり元の世界での知り合いだったらしい。
これを聞いた甲児はリンディへと詰め寄り、そしてリンディも答える。
「え、ええ。でも鉄也さんはあなたの暴走を止めた後、どこかに行ってしまったわ」
事実だ。フェイトがアースラへと連絡を入れた頃には、鉄也はもう近くにはいなかった。
どこに行ったのかも分からなかったので、捜索はしている……が、まだ見つかっていない。
とにかく、これでリンディが甲児を知っている理由はこれで判明した。甲児にとっても納得のいく理由である。
甲児はその心当たりである出来事……地獄島での死闘の事を話した。
もちろん次元震や時空管理局など、訳の分からない事もあるのだが……
ちなみに「暴走」のくだりには心当たりがあるためあえて言及しなかったらしい。「カイザーもこっちに来ている可能性」には気付いていないにもかかわらず。
「――――それで、Dr.ヘルを追うのを諦めてカイザーに乗ったんだ。そこから先は俺も覚えてねえ」
甲児が全てを話し終え、その内容をリンディが理解する。
島が一つ吹き飛ぶほどの爆発だ。それならば次元震に気付かなくても無理は無い。
いや、多少苦しいが、その爆発で次元震が起こったのだろうか?真相は闇の中である。
いずれにせよ、甲児はその爆発の時に次元震に巻き込まれ、そして異世界へと飛ばされた。これが事実である。
そして甲児はとある可能性に気付き、リンディへと聞いた。
「……そうだ! 俺がこの世界に来てるってことは、もしかしたらカイザーも……!
リンディさん、俺がこっちに飛ばされたときに、近くにでかいロボットは無かったか?」
「ロボット? あなたが話していたマジンカイザーの事かしら?
残念だけど、ロボットは無かったわ。でも……」
リンディが制服のポケットに手を入れ、そしてあるものを取り出して甲児へと手渡した。
それに対して甲児の表情に変化があった。驚愕という形の変化が。
「代わりにこれがあったわ。何か心当たりは無いかしら?」
「こいつは……カイザーパイルダーじゃないか!?」
そう、リンディが取り出したのはマジンカイザーのコクピットにもなる戦闘機『カイザーパイルダー』だ。
但し、現在はアクセサリー程度に小さく、さらにはキーチェーンまで付いている。
これはカイザーパイルダーを模したキーチェーンだ。そう言われても納得できそうなものだが……
「そう……やっぱり見覚えがあったのね」
どうやらその線は消えたようだ。だとしたら何故ここまで小さくなったのだろうか?
それを考えていると、リンディの口から甲児にとってあまりにも非現実的すぎる言葉が飛び出した。
「落ち着いて聞いて。この世界には魔法が存在していて、もしかしたらマジンカイザーは魔法を使うための道具に、デバイスになったのかもしれないわ」
……はい?
何を言っているのか分からない。いきなり異世界に飛んだだけで頭がこんがらがっているというのに、その上に魔法がどうとか言う非現実的な事が。挙句の果てにはカイザーが魔法の道具へと変化、である。
さすがに理解できなかったのか、甲児が慌てて言い返す。
「ちょっ、ちょっと待ってくれよリンディさん!
違う世界だってんなら魔法があるのも分かるけど、カイザーがそのための道具になるなんて……冗談だろ?」
「私もできればそう思いたいわ。これまで前例も無い事だし……でも、あなたがデバイスを使ってフェイトさんと戦ったのは事実よ。
鉄也さんからは「マジンカイザーには暴走機能が付いている」って聞かされているし、この世界に来たときにマジンカイザーがデバイスになって、その後に暴走したと考えれば不思議じゃないわ」
もっともこれは、マジンカイザーがロボットだった時の事情であり、デバイスとなった今それが残っていない可能性もある。
……いや、恐らく暴走は残っている。そうでなければ甲児が知らない人物に攻撃を仕掛けるなどという行動に出る理由が無い。
「それで、甲児さん。あなたにお願いしたいことがあるんだけど……」
「お願い? もしかして、この世界で何かあったのか?」
「ええ……魔導師や魔法生物が襲撃されて、魔力を奪われる事件が多発しているの。その解決に協力してくれないかしら?
あなたならマジンカイザーで犯人に対抗できるでしょうし……もちろん、嫌なら断ってくれてもかまわないわ。
もし断ったとしても、元の世界が見つかるまでの間の生活は保障するわ」
この話に、甲児は乗ろうと考えた。何の関係も無い人を襲うのを見過ごせるほど、甲児は卑怯な男ではない。
だが、その一方でとある考えが浮かぶ。暴走の話が本当なら、もしまた暴走してしまったら仲間を傷つけることになる。それだけは避けたい。
ならばどうするか……少し考え、そして決まった。
「分かった、協力する。だけど、もしまた暴走しちまったら……」
「ええ、その時は私達が絶対に止めるわ。だから安心して」
同時刻、八神家にて。
「シグナムは、お風呂どうします?」
「私は今夜はいい。明日の朝にする」
「お風呂好きが珍しいじゃん」
「たまには、そういう日もあるさ」
シャマルがヴィータを連れ、自身の主である少女『八神はやて』を連れて浴室へと向かう。
シグナムとの問答で多少珍しいと感じたようだが、それも一瞬。そのまま浴室へと入って行った。
残されたザフィーラはというと……同じく残ったシグナムへと、その真意を問うた。
「今日の戦闘か」
「聡いな、その通りだ」
今日の戦闘……すなわち、甲児がこの世界に来る前のフェイトとの戦闘である。
シグナムはその戦闘を思い返しながら、自らの服をたくし上げた。
そこから見えたシグナムの腹部には、生々しい痣が。これが意味することはただ一つ。
「お前の鎧を打ち抜くとは……」
そう、バリアジャケットの防御の上からダメージを与えた。そういう事である。
その時のことを思い返すシグナムの顔は、どこか嬉しそうだった。
久しく見なかった強敵と会えて嬉しい、といった感じの笑顔。まるで戦闘狂(バトルマニア)である。
「澄んだ太刀筋だった。良い師に学んだのだろうな。武器の差が無ければ、少々苦戦したかもしれん」
「それでもシグナムさんなら負けない。そうだろう?」
シグナムとザフィーラの会話に、突然割り込んできた三人目の声。
その方向を見ると、彼女達より少し前にこの家の一員となった青年の姿が。
そしてシグナムは彼……『デューク・フリード』の方を向き、答えた。
「……そうだな」
魔神皇帝支援!
投下終了
マジンガーっぽいタイトル浮かばなかったがために今回のタイトルが適当に…orz
とりあえず、これでマジンガー側の主要人物が出揃いました
…新年会に間に合ってよかった…
61 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 22:17:32 ID:0jTLd96F
職人の皆様GJ!
で、いきなりでなんですが一時間後に投下・・いいですかね?
リンディさんのスペシャルブレンドGJ。
もう投下ですか……戦国氏あなたツワモノですね。
支援? もちろんしますよ!
じゃあ自分はその次で。
64 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 22:23:50 ID:0jTLd96F
>>60 何と言う事だ。宇門大介(デューク・フリード)とグレンダイザーもいるなんて・・・。
これはマジンカイザーだけじゃないということですな・・・。
>>61 随分早いですね。俺の時よりも早い。
もちろんOKですが、もう寝てるかも・・・。
なんと言うトリプルマジンガー……!
GJ!!!
67 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 23:18:32 ID:0jTLd96F
一時間たった・・・んだよなぁ(オイ
というわけで投下させていただきますー。
68 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 23:19:28 ID:0jTLd96F
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜
第七話「その日、機動六課。そして崩れ落ちる城(後編)」
「くぅっ・・・!!」
吹き飛ばされるノーヴェ。対峙するは武帝、豊臣秀吉。
すかさず立ち上がり拳を突き出すが秀吉の大きな手で防がれる。
「ふぅむ・・・中々の攻撃だ。しかし!」
反対側の腕で腹を殴る。また大きく吹き飛ばされるノーヴェ。
「ぐ・・・がはっ・・」
壁に叩きつけられ倒れこむ。そしてその横ではウェンディと戦っている忍、猿飛佐助の姿があった。
「よっ!とっ!はっ!」
「この・・・!ちょこまかと・・・!」
華麗な身のこなしでウェンディが放つ砲撃を回避していく佐助。
しかしその回避した先に魔力が込められた球が待ち構えていた。
「なぁにぃ〜!?」
「とった!」
爆発する魔力。ウェンディは勝利を確信してガッツポーズをとった。
しかし、ウェンディの頭上から
「何をとったって?」
声がして佐助の手裏剣を肩にうける。すばやく距離を取るウェンディだが表情を見る限り何が起こったかわからないようだ。
忍術、空蝉の術
攻撃が当たる直前に姿を消して素早く相手の頭上に現れ、攻撃するという佐助が得意とする術の一つ。
次に手裏剣を腰に装着、低く構えて印を結ぶと影が立体化して回転しながらこちらへ向かってくる。
忍術、影当ての術。
自分の影を立体化させて相手へと突進させる高度な忍術の一つだ。
ウェンディはその一撃を受けてノーヴェの隣に吹き飛ぶ。
「これは・・・あたし達のほうが圧倒的に不利っすね・・・ぐ・・・」
「そうだな・・・ちっ・・退くしかねぇか・・。」
そういうとウェンディが砲撃。秀吉が防ぐとあたりにすさまじい爆風が起こる。
爆風が止んだときには少女二人の姿はなかった。
「逃げられたか・・・。しかし佐助よ。どうしてあの者達の味方をした?」
「いやだってあんな触手に絡めとられてた美少女を人質だーって言われてたら助けるしかないでしょー!」
そう言って秀吉の背中をバシバシ叩く佐助。佐助の冗談を聞き流す秀吉。
「さて、この世界はどうやら戦国の世ではないようだな。」
「しかも多分臭いからして地下だぜこれ?とっとと上行こうぜ。」
「うむ。」
二人の武将は地上に出るべく走り出した。
69 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 23:20:26 ID:0jTLd96F
そして、その頃、スターズ部隊は・・
「あ・・・あ・・・あ・・・」
蒼髪の少女、スバルは絶望に飲まれた。
異様な邪気を出して佇む銀色の鎧に身を包む男。
その手には血まみれになり、意識を失って頭を掴まれた姉・ギンガの姿があった。
「ふん・・・また虫が来たか・・・。」
ギンガを放り投げる。その先には隻眼の少女、チンク。
「の・・・信長・・・これは少しやりすぎではないのか・・・?」
「黙れ。さっさとそいつを連れて戻るがよい。カラクリ人形めが。」
「くっ・・・」
ギンガを大きめのアタッシュケースに入れ、奥へと撤退するチンク。
だが、その顔には怒りがあらわになっていた。それは自分をカラクリと呼ばれたことではなく、「信長」という男に対してだった。
「あいつは・・・本当に人なのか・・・!?味方とはいえ・・・あいつのやり方には腹が立つ・・・!」
「うぁ・・かえせぇぇぇぇぇぇ!!」
目を金色に輝かせ、蒼い魔力を発しながら信長へと向かうスバル。
だが剣に防がれ、押され始める。
「く・・・ぅ・・・う・・・」
その目には涙を浮かべていた。
「ふん・・・虫けらめが。この第六天魔王に刃向かうか・・・。」
軽くあしらい、右肩へと剣を振り下ろす。
切り裂かれた箇所からは大量に血が出て、スバルは激痛で倒れこむ。
「うあぁぁあぁぁぁあ・・・・!!」
さらに信長は左手に持っていたショットガンでスバルの左足、そしてマッハキャリバーを打ち抜く。
「あぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
顔は激痛で歪み、目からは涙がとめどなく溢れる。
信長はスバルの腹を踏み、頭に銃口を向ける。
「・・・この織田信長に刃向かった罪、死して償え。」
「い・・・いや・・・・いやぁ・・・!」
刹那、銃口が響くことはなかった。
突然飛んできた手裏剣でショットガンが弾き飛ばされたからだ。
手裏剣は一つ、また一つと増えていく。信長はそれを回避。
そして影がひとつ、走りぬけながら手裏剣を投げる。信長はそれを剣で弾き落としながらバックステップ。
影はスバルの前に止まるとその姿を現した。
白と黒を強調させた着物、背中に背負う忍者刀二本。それは病室にいたはずの伝説の忍、風魔小太郎。
「本当の・・・風魔・・・さん・・?」
風魔がふと振り返ると、口の端をほんのわずかだが、つり上げた。右肩にはまだ包帯が。
自分の怪我そっちのけでスバルを助けに来た。借りを返しに。
そして魔王、織田信長の方へと向くと忍者刀を構えた。しかし相手はあの魔王。自分は負傷。圧倒的不利だ。
信長がマントをはためかせて邪気を塊にして放つ。
当たる直前、忍と少女の姿は消えていた。
「うつけが・・・。」
「・・・・」
「・・・・」
ここは先ほどスバルが通ってきた通路。そこにスバルと、風魔はいた。
「守れなかった・・・ギン姉が・・・つれてかれちゃったよ・・・」
目から零れる雫。それはスバルが流した涙。拳を握り締める。
風魔はただ見ているだけしかできない。
「あたし・・守れなかったよ・・風魔さん・・・風魔さん・・・!!」
今にも正気を失いそうなスバルを風魔は抱きかかえ、歩き出す。スバルは泣くのをやめて、自分を抱きかかえた者の顔を見る。
「え・・?」
「・・・・・」
風魔はただ歩く。自分がもし、喋れたとして、このことを喋ったら腕の中の儚い少女は崩れ去るだろう。
だから言葉があっても言おうとは思わない。六課本部が襲われていること、自分は忠勝に任せ、ここまで来たこと。そして小さな妖精を抱え、泣き叫ぶ真紅の少女を見たことを。
決して、言えなかった。二人は後になのは、ティアナと合流し、ともに外に出ることになる。
支援っす。
71 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 23:22:30 ID:0jTLd96F
一方、ロングアーチの連絡を受け、六課に戻るべく急いでいたエリオ、キャロ、フリード、フェイトのライトニング部隊。
その途中で二体の戦闘機人の襲撃を受け、エリオ達を先に行かせて一人で応戦しているフェイト。
「さすがに・・強い・・・」
フェイトはザンバーフォームにしたバルディッシュを構えて呟く。目の前には戦闘機人、トーレとセッテ。
そこに、新たなる乱入者が。
「イェア!!」
突然飛んできたのは巨大な錨の先端。
トーレはそれをインパルスブレードで弾く。戻っていく先端。
その先には海に浮かぶガジェットドローンの残骸の上に立つ鬼ヶ島の鬼の姿があった。
「おうおうおう、人ん家を荒らしておいて挨拶もなしかぃ?」
鬼、元親は唾を吐き捨てると錨をトーレとセッテに向ける。
「よーし、オメェら二人、どっちが強い?強いほうは俺と戦いやがれ!!」
「上等だ!!」
元親の挑戦を受けてトーレは向かう。接近しても無防備な元親の腹に拳の一撃を喰らわせる。
が、吹き飛びもせずその場で立っていた。
「ゴホッ・・・中々いいパンチじゃねぇか。気に入ったぜ。」
元親もトーレにボディーブローを放つ。
「グハッ・・・お前も・・・やるじゃないか!」
互いに離れ距離を取る。そしてまた錨とインパルスブレードのぶつかり合い。その上空ではセッテとフェイトが戦闘を繰り広げていた。
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
「くっ!!」
バルディッシュを振るいセッテに切りかかる。セッテも負けじとブーメランブレードで切りかかる。
ぶつかり合った二つの刃からは火花が散る。
しかし、トーレとセッテは後ろへと飛び退き、並んだ。
「今回は時間なのでこれで引き上げます・・が。次に会ったときは・・・貴方達は勝てませんよ?」
そういうと二人は消えた。元親は別に追う動作はせず、錨の上に乗る。
「チッ、そんなに始めてから時間経ってねぇのによ・・・。気に食わねぇ・・・戻るぞ。」
「あ、待って!貴方は!?」
錨の上に乗ってサーフィンの如く海上を走る元親と空を飛ぶフェイトは、六課本部へと戻った。
72 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 23:23:56 ID:0jTLd96F
一方、六課本部。
「・・・すごいね。一人でここまでやるなんて。」
戦闘機人、オットーとディードが見下げて眺めるは装甲が砕け、煤だらけで間接のあちこちから電流が流れる本多忠勝の姿があった。
忠勝の周りには粉砕された幾千のガジェットドローン。
忠勝は機械音を唸らせて立ち上がり、槍を構える。
「正直・・・驚いたけど・・・ここまでだね。IS発動。レイストーム。」
オットーの周りから緑色の砲撃が放たれる。それは数本から一本になり、大きさを増した。
一方の忠勝は背中の紋章から盾を二枚出して腕に装着、両腕を交差させる。
忠勝、防御形態。
次第に溶けていく盾。その直後に爆発。
「さて・・あとは・・・何?」
爆風の中から出てきたのは上半身の左半分を消滅させながらもなお機動し続けている黒の巨人。
オットーもさすがに目を見開く。
次にディードが飛び出す。
「IS発動、ツインブレイズ。」
その一撃は、右手だけで掴んだ槍で防御された。次第に押していく忠勝。最後には完全に押し返してディードを吹き飛ばした。
吹き飛ぶディードをすかさず受け止めるオットー。
またレイストームを発動させる。今度はロケットを点火して上空へ逃げる忠勝。しかし後ろから接近してきたディードのツインブレイズで紋章を斬られ、落下。
これで本多忠勝の大半の形態は使えなくなる。ということだ。
「さて、注意を向けてくれてありがとう。」
二人は横を見る。忠勝もその方向を向くと倒れているシャマルとザフィーラ。そして紫の少女が連れた謎の黒い人影に抱えられているヴィヴィオ。
忠勝は手を伸ばすが足が動かない。
そのまま消え去ってしまったオットー、ディード、そして謎の黒い人影と紫の髪の少女。
残されたのは大量のガジェットドローン。
それでも忠勝は諦めなかった。勢いよくジャンプして槍を前方に構える。例え紋章を失ってもなれる形態が一つある。
槍に内蔵されたロケットを点火。そのままガジェットドローンの群れへと突進する。
忠勝、突進形態。
戦国最強と呼ばれた巨人の姿は巨大な爆風の中へと、消えた。
キャロとエリオが着いた時には、遅かった。
燃え盛る六課本部。
そして、本多忠勝が背中に装着していた紋章。その紋章は、ところどころへこみ、二つの切り裂かれた跡があった。
「・・・ただ・・かつ・・さ・・ん・・忠勝・・・さん・・・。」
目に涙を浮かべるキャロ。そしてまた接近してくるガジェットドローン。
キャロは何かを呟きながら立ち上がる。そして天空に向かって、叫んだ。
「ヴォルテーーーーーーーーールッ!!」
そして、夜空の下、ガジェットドローンを一掃した巨大な竜の姿があった。
その咆哮は、どこか悲しそうに聞こえた。
73 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 23:25:42 ID:0jTLd96F
投下終了ー。
はい、崩れてしまいました鉄の城。
次に誰をどう動かすか、結構悩む。
GJでした!
ついに魔王信長様が登場、恐ろしい。
若本規夫っぽい声を出してしまった。
>>73 GJ!!!
信長公が出てきたということは、そろそろ我らが明智様の出番か!?
GJ!
もはや、はやて達が絶叫するだけではすまない方々の登場ですな。
それにしてもホンダム・・・・・熱いぜ・・・復活の時を待とうぜ・・・
ぶるうあああGJ!! しかしこの投下速度すごいっすね。
78 :
戦国の鉄の城:2007/12/26(水) 23:44:52 ID:0jTLd96F
み・・・皆様信長殿が好きなのか・・・。
79 :
魔装機神:2007/12/27(木) 00:07:20 ID:ESB1FdxL
戦国氏GJ
多分それもあるだろうけど多分若本だからだと思う(少なくとも自分はそう)
それはありそうですね<若本声
最近の若本過剰反応は好きじゃない
しかしBASARAの信長ははまり過ぎてて怖い
そのくせ、第七武器装備すると『なんでやねんっ!』って
てめぇ、このやろう、腹筋がwwwwwww
そういや、いつきの第七武器旧型レイハにみえなくも・・・
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
『今日はどんなSSが投下されてるのかな?とワクワクしてスレ開いたと思ったらいつの間にか次スレが出来ていた』
な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
キングクリムゾンだとかメイドインヘヴンだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
感想が追いつきやしねぇ。俺が見ているのは残像なのか?(ぉ
>片翼
丸くなったというより、一つの可能性を得た感じのセフィロス様ですね。
リリなの世界では殺伐とした空気が少ないので『甘い考え』的な指摘をよくされますが、クロノの主張も頷けるものです。
殺さないからといって、それが甘いことに繋がるわけじゃないですしね。その辺、戦いの裏も表も知ってるセフィロスは分かってる感じ。
まあ、だからこそ必要な場面では躊躇わないんでしょうがw
ナンバーズサイドにも強力な味方がいるから大丈夫そうですが、次回惨劇にならないといいなぁ…
>リリカル・グレイヴ
DMCなんてやってる自分ですから、ガングレもプレイ余裕ッス。アニメは途中までですから、グレイヴが少しとはいえ喋るのにビックリですがw
しかしグレイヴ、ナンバーズ年長組にまで家族愛フラグとはやりますな。大男だからビジュアル的にも合ってて、無口な殺し屋と少女の絆は自分好物ですw
正統派ツンデレのノーヴェも素敵ですが、非常に珍しいクアットロ相手のほのぼのもいいですね。
ぼちぼち一時間か。そろそろ投下行きまーす
「我が名は幻妖……否、堕悪幻妖。堕悪闇軍団の忍びの者なり。
待っていたぞ、頑駄無よ」
夕闇に沈む町、人気のない公園の林の中。
ある事件を追ってこの街へとやってきた武者刑事……トッキーは大いに焦っていた。
いつもは助けられる直属の上司の勘。しかし今日ばかりはそれを呪わざるを得なかった。
目の前に対峙する影は「敵」。
自分達武者頑駄無がこの世界にやってきた最大の理由、それが今、目の前に存在している。
それだけなら焦るにまでは至らない。そもそも探し求めていた相手だ、好都合と言う物。
しかし、彼にはここで敵に遭遇してはまずい事情が「二つ」あった。
その内一つは、彼の背後には何の力も持たない小さな女の子が一人いると言う事。
彼女を戦闘に巻き込み、危険に晒す訳にはいかない。
さらにもう一つ、彼にとって決定的に深く、そして厄介な事情があった――
巻之参 「胸に宿るは不屈の魂(こころ)なの」
「だーくやみぐんだんって、確か武者頑駄無さんたちが追ってるっていう噂の?」
「そうだ! 全宇宙の、そして全ての世界の支配を企む闇の軍勢だ!」
憎々しげに自らの事をそう評するトッキーを見て、堕悪闇軍団の忍び、幻妖は
クククと喉の奥でくぐもった不気味な笑い声を上げる。
「左様。私は他の者に先んじて情報収集と偵察を命じられている……
無論、御主ら頑駄無どもの事もすべて調査済みよ。
御主と同じだな、斗機丸。いや、トッキーと呼べばよいのかな? クククッ」
「……貴様!」
挑発めいた口調の幻妖をキッと睨みつけるトッキー。
トッキーの影に身を隠すなのははおっかなびっくりその視線を追うと、
その幻妖なる怪人の一部に不気味な物を見つけてしまった。
「ひゃぁっ!?」
「どうした、なのは君!?」
「あ、あの人の背中におっきな蜘蛛が!?」
そう言われて見ると、確かに幻妖の背中に大きな単眼の蜘蛛が二匹も取り付いている。
「被害者の証言と一致するな……と言う事は貴様が一連の蜘蛛男事件の犯人か!」
「やっぱりトッキー君の追ってる事件って蜘蛛男事件だったの?」
「今、そんな事はどうでもいい! どうなんだ、堕悪幻妖!?」
睨み付けるトッキーの視線を正面から受け止め、幻妖は自分の手際を誇るかのごとく呟く。
「その通り。ジュエルシードの力を引き出すため、人間達の精気を吸わせて頂いた。
残念だが我々では何故かどうしてもジュエルシードの力を引き出す事はできない。
しかしこの世界の人間が持つ未知のチカラは極上の燃料となる」
トッキーは自慢げに語る幻妖の「未知のチカラ」という言葉に反応する。
自分の知る限り、この世界で出会った人々に変わった力が宿っているという記憶もない。
問いただすという選択肢もあったが、相手は忍びの者。けして馬鹿ではない。
必要以上に手の内を曝け出すと言う事は期待できないだろう。
それに、彼の発言の機会は後ろの少女が持って行ってしまっていた。
「ひ、ひどい……蜘蛛男にやられた人たちって、まだ起き上がる事もできないんだよ!?」
「それがどうした? 天馬の国の生物などどうでも良い。
だが、思ったより早く気付かれたな。その鼬もどきの少年を少々侮っていたようだ」
幻妖はなのはの腕の中のフェレットを憎々しげに見つめ、そう吐き捨てた。
「いたちもどき……ひょっとして、この子の事?」
「確かにな。彼が俺達をここに連れてこなければ、この事件は迷宮入りだったかも知れん。
だが、それもここまでだ! 俺の目の黒いうちは決して堕悪闇軍団の好きにはさせん!」
トッキーは幻妖を指差し、そう宣言すると空高く跳躍し、己に眠る力を解き放った。
「武者武装!」
高らかな叫びが周囲に轟くと、幾筋もの光の帯と共に戦闘機のような乗り物……
トッキーの支援メカ、ウェイブライダーが森の木々を飛び越えて現れ、
それはトッキーの合図と共にバラバラに分かれて彼の体に装着されていく。
最後に前立てが額に収まった瞬間、辺りを照らす激しい光はやみ、
その中から全身を近未来的な意匠を持つ青い鎧に包んだトッキーが姿を現した。
「斗機丸、見参!!」
幻妖はトッキー……いや、斗機丸の力を値踏みするようにじろじろと見つめたかと思えば
満足気に不敵な笑みをこぼし、錫杖を振りかざして戦闘態勢に移る。
「ホホウ、なかなか良い武者魂だ。これは久々に楽しめそうだな」
「抜かせ! 悪いが一気にケリを付けさせてもらう!
なのは君、君はその子を連れて下がっているんだ」
「う、うん……あ! あの……無理、しないでね?」
斗機丸は戸惑いながらも自分の身を案じてくれるなのはを一瞥し、
ゴーグル越しにうっすらと見える目を細めて一言だけ返事を送った。
「努力するよ」
彼が再び幻妖の方に向き返った時、その瞳はやがて始まる戦いへの闘志に満ちていた。
「今生の別れは済んだかね?」
「生憎だがそのつもりはない。まだ彼女を家に送り届ける途中だからな」
互いに言葉を交わしながら間合いを計りあう両者。
一触即発の空気が辺りに満ち、それは草木を揺らす急な横風と共に幕を開けた。
「でやぁぁぁっ!」
「ククク……確かに速い。だが果たして御主に私を斬れるかな?」
「!!」
自慢のスピードで幻妖をかく乱する斗機丸だが、幻妖はそれでもなお余裕の態度を崩さない。
その隙だらけの様を見て勝利を確信した斗機丸は一瞬で勝負を決めるべく距離を詰め、
死角からナギナタライフルを振り上げるが、幻妖は薄ら笑いを浮かべたまま微動だにしない。
なぜなら、その振り上げられた切っ先は幻妖に届く事は無かったのだ。
「すでに調べはついていると言ったはずだぞ、斗機丸よ。
御主は愚かな情にほだされ、その薙刀を振るうことができないと言う事もな。ククク……」
「薙刀を振るえない……? ど、どういう事なの?」
少し離れた木陰から両者の戦いを見守るなのはは斗機丸の異常な様子に疑問を抱く。
「ククク、そう、それは三ヶ月前……」
「だ、黙れぇーっ!!」
幻妖がその理由に触れようとすると斗機丸はとたんに激昂し、
ナギナタライフルを持ち替えビーム攻撃を乱射するがまるでかすりもしない。
その様子を見た幻妖は勝ち誇ったかのような笑い声を上げて斗機丸を法力で投げ飛ばした。
「どうした? 御主の武者魂が先程とは比べ物にならんほど下がっているぞ?
これでは話にならん。終わりにさせてもらうぞ……いざ、堕悪土蜘蛛地獄の術!」
「ぐ、ぐわぁぁぁぁっ!?」
「トッキー君!!」
幻妖の放った土蜘蛛の糸が斗機丸をあたかも蜘蛛の巣にかかったかのように捕らえ、
そしてそこに幻妖が念じる事で強力な電磁波が生じ、じわじわと斗機丸の力を削り取っていく。
「ククク、これで仕上げ……出力を上げるとするか」
捕えた獲物……斗機丸をいたぶる事に専念する幻妖は、意識と全ての力をそちらに向けた。
しかし、持てる力を全て攻撃に回すと言う事は、それすなわち他の術に対して割いていた力も
使われるという事であり……
「!?」
「? どうしたの、フェレット君?」
なのはの腕の中でフェレットはぴくりと体を伸ばし、首を大きく振る。
次の瞬間、なのはにとって今日遭遇した信じられないような出来事の中でも
ある意味極めつけと言える事件が発生した。
「えー……あー……うん、よし!」
「へ!?」
「あぁ、やっと喋れるようになった!
あいつが僕の呪いに向けていた魔力を全部攻撃に回したから……
でも、いったいこれからどうすれば……ん?」
なのははあまりの衝撃に目をまん丸に見開き、震える手でフェレットを指差し、
口をぱくぱくさせながらもようやく一つの言葉を紡ぎ出した。
「フェ、フェレットが……フェレットが喋ったーっ!?」
驚くなのはと対照的に、自然な態度でフェレットはそれに答える。
「あ、驚かせてしまってすみません。
あいつに今まで僕の魔力や言葉を封じられてしまっていたので、
自由に動く事も助けを求める事もできなかったんです」
「い、いや! 私が言いたいのはそんな事じゃなくて!
その……しゃ、しゃべ、しゃべっ……えぇーっ!?」
「え? でも、管理外世界とはいえあんな魔物一歩手前な奴がいるんだから
こんな姿の生き物……例えば使い魔とかがしゃべる事なんて珍しくないでしょう?
それにあなたも……」
ごくごく当たり前の事のように、その奇妙なフェレットは
さらっとなのはの既成概念を覆す発言を次々と連発していった。
「ないないないない、しゃべらなーい!!
私の知ってる動物は九官鳥みたいなのの他はしゃべったりしないし、
そもそもあの怪人蜘蛛男はこことは違う世界……
えーっと、たしか『あーく』って言う所の人らしいの」
「アーク? そっちの方も聞いた事のない世界ですね……」
「もう、そんな事後でいいよ! このままじゃトッキー君が!!」
なのははこちらの騒ぎとは別の世界のように残虐な光景が繰り広げられている方を見やる。
どうやら向こうはこちらの騒ぎには気付いていないらしい。
「トッキー君? 確かにあっちの傀儡兵はもう持ちそうにありませんが、
今はあいつの意識も全てそちらに向いているようです。今なら隙を見て……」
「傀儡? 違う、違うよ! トッキー君は……できたばかりの、私の友達だもん!」
なのははその一言に対し、今までの混乱に満ちていた目とは違った
はっきりとした意志に満ちた瞳でフェレットを見返し、そう反論した。
フェレットはその強いまなざしに何か感じるところがあったのか、
目を閉じて一言一言を搾り出すようにしてなのはに向け語りだした。
「……僕は、ある探し物のためにここではない世界から来ました」
「いや、それは何となく分かるけど……」
さっきから自分で勝手にペラペラ明かしてるような気もすると言う一言は心の中でもみ消した。
「けれども、あいつのような奴のせいで、
僕一人ではその願いをかなえる事は難しいかもしれません。
それにあなたは、彼を助けたいんですよね?」
「うん!」
「でしたら、僕の持っている力を使ってください。
君には資質がある。だからきっと……いえ、必ず使えるはずです!」
「使えるって、何を?」
「僕の力を……魔法の力を!」
このフェレット、本日もはや何度目かの衝撃的な事を言い出した。
「……魔法……?」
その言葉を聞き、訝しげな目でフェレットを見つめるなのはであったが、
今日だけでも散々それらしい事象に遭遇しているためもう否定はできない。
それに斗機丸を救えるのなら今は何にだってすがってやる。
そう考えたなのはは一つの決意を固めた。
「わ、わかった! けど、どうすればいいの?」
「これを!」
そう言うとフェレットは自分の首に結び付けていた首飾りを差し出した。
「紅い……宝石? なんだか温かい……」
「これを手に、目を閉じて、心を澄ませて。そして僕の言うとおりに繰り返して!」
なのはは苦しむ斗機丸と嗜虐の恍惚に身を委ねる幻妖を一瞥し、一呼吸置いて頷く。
「いい? 行くよ!」
「う、うん!」
「我、使命を受けし者なり」
「わ、我、使命を受けし者なり……」
たどたどしいながらもなのはがしっかり復唱している事を確認すると
フェレットは契約呪文の詠唱を続ける。
「契約の元、その力を解き放て。
風は空に、星は天に。そして、不屈の魂(こころ)は……」
次第になのはも詠唱にしっかり付いて来れる様になり、
そしてある一節にたどり着いた瞬間、二人の声が重なって一つの言葉を紡ぎ上げた。
「この胸に!!」
その言葉に反応するかのようになのはの手の中の宝石が力強く輝き、鼓動する。
「この手に魔法を! レイジングハート、セットアップ!!」
<<Stand by ready. Set up>>
紅い宝石……レイジングハートは英語らしき言語を電子音声のような声で話し、
自らの準備が整った事を知らせた。
英語はほとんど分からないなのはだが、その意味が心に直接伝わってくるのを感じる。
そしてそれと同時になのはのいる辺りから強烈な桜色の光を放つ巨大な魔力の光柱が立ち上った。
「むぅ?」
さすがに異変に気がついたのか幻妖が振り向き、なのは達ににじり寄ってくる。
「ど、どうしよう、気付かれちゃった! それにコレ、どうすればいいの!?」
「大丈夫、落ち着いてイメージして。君の魔法を制御する魔法の杖の姿を、
そして君の身を守る強い衣服の姿を!」
「そんな、急に言われても! えっと、ええっと……とりあえずコレで!!」
なのはがフェレットに言われ、とっさにイメージを思い浮かべると
彼女は先程の光柱と同じ光に包まれていった。そしてその光が晴れたとき……
「成功だ!」
「えっ? ふぇぇぇぇっ!? う、嘘!? 何なの、これ!?」
白い、どこか彼女の学校の制服を思わせるデザインに青いラインの走る衣服を身に纏い、
巨大化した紅い宝石を先端に掲げる杖を手にしたなのはがそこに降り立った。
「ぬぅ……遊びが過ぎたか。それにしてもあきらめの悪い事だな、魔導の少年よ。
そのような素人の小娘を巻き込んだところで事態は変わらぬぞ」
「やってみなくちゃわからないさ! 僕は彼女の力を信じる!」
なのはには、そう言い切ったフェレットの心中はよく分からなかった。
自分の中にそんな荒唐無稽な力があるとは到底思えない。服と杖が出てきたのは一旦置いておく。
しかし、自分に今できるかもしれない事、守らなければいけない物があると言う現実だけは
しっかりと理解していた。
「そうだ……私がやらなきゃ、トッキー君がやられちゃう。
もうこうなったら、何でもどーんとこいよ!」
「ホホゥ、諦めた方が長生きできたというのに。では望み通りにしてあげよう!」
幻妖は印を切り、背中から土蜘蛛を飛ばすという得意の戦法で攻撃を仕掛ける。
「来ます! 防御して!」
「えっ? きゃぁっ!?」
<<Protection>>
とっさに身構えるなのはに同調するかのように
魔法の杖と化した宝石……レイジングハートは魔法の障壁を展開させ、土蜘蛛を迎え撃つ。
なんとその障壁は土蜘蛛の攻撃を防ぐだけにとどまらず、
それらを跡形もなく消滅させてしまったのだった。
「す、すごい……今の、どうなったの?」
「僕らの魔法は、発動体に組み込んだ『プログラム』と呼ばれる方式です。
そしてその方式を発動させるために必要なのは術者の精神エネルギーなんです」
「じゃあ、今のは私が身を守りたいと思ったから?」
「そうです。攻撃や防御などの基本魔法は心で願うだけで発動します。
最も、より大きな力を必要とする魔法には呪文が必要になりますが……うわっ!?」
「きゃぁっ!?」
もちろん戦闘中に悠長に魔法の使い方をレクチャーする余裕などあるはずもない。
彼らをあざ笑うが如く幻妖からの攻撃はエスカレートしていく。
「私の土蜘蛛が触れただけで消滅とは……この娘の潜在能力、侮れんな。
我等が堕悪闇軍団の脅威となる前にここで排除させてもらう!」
幻妖は手で組んだ印に強い念をこめ、視認できそうなほどの禍々しい気を纏い始める。
「いけない! またあの術を使うつもりだ!」
「あの術って?」
「僕が前にやられた、強力な呪いの糸を使った術……
呪いが魔法の術式さえ蝕んで術者にダメージを与える恐ろしい術です!」
「じゃあ、もしそんなのに当たったら……」
「大丈夫。前にあの術を受けた時の僕は体力の限界で、魔力もほぼ失っていました。
だけど今のあなたの魔力にレイジングハートの助けがあれば耐え切れるはずです!」
「……わかった。私、フェレット君を信じてるから!」
そう言うとなのははレイジングハートを前方に突き出し、一心に身を守る事だけを念じる。
レイジングハートもまたそれに応じてより強い防御魔法を張った。
しかし、それを目にした幻妖の反応は意外なものであった。
「かかったな?」
「そんな!? 前よりも術が強力になっているなんて!」
「だ、駄目! 防御が追いつかないよ!?」
プロテクションごとなのは達を包み込んだ呪いの蜘蛛糸は
恐ろしいスピードで防御術式を侵食し、一気に二人を追い込んでいく。
「ククク、あの時は私も疲れていると言ったはずだが? 少年。
それに今の私は特別なチカラを得たジュエルシードの力を持っているのだ。
本気を出せばこの程度……さぁ、間抜けなお友達が見ている前で死ぬが良い」
しかしその光景を黙って見過ごせない者が、まだこの場に残っていた。
たった今、幻妖に間抜けなお友達と称された者が。
「ぬ……うぅぅおぉぉぉぉぉぉッ!!」
「何ッ!?」
「その声……ひょっとして、トッキー君!?」
視界を奪われたなのはは、激情に駆られる声を聞き、その主に呼びかけた。
土蜘蛛地獄に捕らわれていた斗機丸は二人の窮地に際し、残された力を振り絞り、
その戒めを引きちぎる事に成功したのであった。
「その娘には、手を出させん! それに例え刃を振るえなくとも戦う方法はいくらでもある……
見せてやるぞ、オレの覚悟を!!」
そう言うと斗機丸は鎧を分離させて最初に見た乗り物の形にし、
自分はその上に乗り術の最中で身動きの取れない幻妖に突撃して羽交い絞めにする。
「は、離せ!」
「そうは行くか! 鉄機力増幅装置(ジェネレーター)、全力全開(フルドライブ)!
オレの体内を巡るエネルギー……全部残さず持っていけぇっ!!」
「ぐおぉぉぉぉっ!?」
全身から強力なエネルギーの光を迸らせ、
自らを傷つけながらも幻妖に大きな痛手を負わせるトッキー。
その光が収まる頃にはなのは達を苦しめる呪いの蜘蛛糸も消滅していた。
「グゥ……馬鹿な、錬金術とジュエルシードでさらなる力を得たはずの私の体が……?」
いたる所から黒い煙を上げ、満身創痍の幻妖がふらつきながらそこに立っていた。
「この隙を逃さないで! 相手の持つジュエルシードを取り返してください!」
「ジュエルシードって、さっき蜘蛛男が言ってた?」
「そうです。あいつに奪われた僕の探し物……
少なくともあいつ等の手に渡したままではいけない代物です!」
「と、とりあえずそれは分かったけど……取り返すなんて事、できるの?」
「さっき話した高度な術を使います。
心を澄ませて……心の中に、あなたの呪文が浮かぶはずです」
支援。
それを聞いたなのはは瞑目し、意識を集中させる。
するとフェレットの言うとおりに彼女の脳裏に一つの呪文がもたらされた。
もう不条理な出来事に一々突っ込むのもやめだ。目の前で自分の命も顧みず、
斗機丸がチャンスを作ってくれたのだ。何もしないでは女がすたる。
なのははレイジングハートをぎゅっと強く握りしめ、その呪文を紡ぎ出した。
「リリカル……マジカル……」
「封印すべきは、忌まわしき器……ジュエルシード!」
「ジュエルシード、封印!」
<<Sealing mode. Set up>>
呪文のキーワードを得たなのはをフェレットが補助し、レイジングハートはそれに答え
自らの形態を変化させて数枚の光の翼を展開させた。
そしてそこから伸びた光の帯が幻妖を絡めとり、次のシークエンスを要求する。
<<Stand by ready>>
「リリカル、マジカル! ジュエルシード、封印!」
<<Seeling>>
その懐から輝く結晶体が飛び出し、そのままなのはの手の中に導かれていく。
それこそがフェレットが捜し求め、堕悪闇軍団の欲するジュエルシードであった。
「わ、私のジュエルシードが!?」
「お前の物じゃない! これは悪意を持つ者に渡ってはいけない物なんだ!」
「おのれ……一旦勝負は預けるぞ、少年よ」
捨て台詞を吐き去って行く幻妖。
そしてなのはは手の中のジュエルシードを見てひっそりと呟いた。
「……これが、ジュエルシード……?」
「そうです。さぁ、レイジングハートで触れて」
その言に従い、レイジングハートをジュエルシードに近づけると
本体の紅い宝石部分にジュエルシードが吸い込まれる。
それが済むとなのはの纏っていた白い衣服は消え、レイジングハートも元の首飾りに戻った。
「これで全部終わったの?」
「とりあえずはそうですが……」
フェレットは何か言いたげな表情で後ろのほうを見やる。
そこにはバラバラに散らばった青い鎧と、その中心に倒れている……
「……! トッキー君、返事をして? トッキー君!!」
「な、なのは……君……か……」
堕悪闇軍団と武者頑駄無、そして人類のジュエルシードを巡る戦いの第一幕は勝利で幕を閉じた。
しかし、その代償は決して軽いものではなかった。
夜の街に消えた手負いの幻妖の行方は、
そして過剰な出力に耐え切れず、倒れた斗機丸の命運やいかに!?
――次回を待て!
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
「ムッチャーッ!!」
「い、いきなりどうしたんだよ武ちゃ丸?」
「聞いてぇな〜、シュシュム〜!
最近の話、ワイの出番が全然あらへんねんで!」
「だってここんとこ舞台は海鳴市で大阪とか全然関係なかったじゃないか。
知らない人に何で武者丸がこんなんなっちゃったのかっていう説明もしなきゃだし……」
「そうや、ワイはともかく何で斗機丸はあんな風になってもうたんや?
結構気合十分やったはずやのに、あんなボドボド>(0M0 )にやられてもうて……」
「ともかくって何だよ? んー、でも確かに気になるね。
果たしてトッキーの過去のトラウマとは、そして幻妖の恐ろしい報復計画とは!?」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之四!
『燃やせ、炎の友情武者魂やでっ!』」
「えーっとリリカルマジカル……って、これ僕も言わなくちゃいけないの?」
======
本日はこれまで。支援ありがとうございました
>93
乙。
むちゃ○はよう知らんので、説明希望。
確か、三人目は社長だっけ?いや声がでなく。
乙!
鉄機武者は管理局的にはアリなんだろうか?
96 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 00:57:52 ID:W19a7S/e
乙!
確かプラモで出てたような・・。
ぐぬぅ、思いだせん・・・。
GJ
しかし今日は筆が進むな。
十分後に最終話Aパート投下おけ?
最終回「戦いの後に…」Aパート
【アースラブリッジ】
「計り知れない…邪悪な意思…」
「ええ、騎士ゼストはそう言っていました。」
「スカリエッティも「貴様らは神に見放された」って言ってた。多分、その邪悪な意思と関係があると思う…」
「まだ事件は終わってへんってことか…機動六課の運営機関を延ばさなあかんな。」
深刻な話を続けるシグナム、フェイト、はやて…
そんな時、表情を歪ませているはやての耳に、なのはからの連絡が届いた。
『はやてちゃん。』
「お、なのはちゃん!」
『皆、準備できたよ。』
「おお!そっか!ちょっと待っといて!すぐ行くから!」
『うん!』
なのはは念話を切る。
「準備できたんだ。」
「うん!」
「テスタロッサ、準備とは何だ?」
「祝勝パーティですよ。」
「は?」
【アースラ食堂】
アースラ食堂、ここには沢山のバイキング料理(料理人は天道、矢車の二名)が並び。
戦いを勝ち抜いたライダーや六課のスタッフ達が団らんしていた。
そしてその中には、安達明日夢や持田ひとみ等なのはの先輩達の姿もあった。
「なのはちゃ〜ん!フェイトちゃ〜ん!はやてちゃ〜ん!」
「「「持田先輩!」」」
ひとみはなのは達三人に駆け寄り、一人ずつ抱きしめる。
「久しぶり〜元気だった〜?」
「先輩も元気そうやね!」
「うん!大学で楽しくやってるよ!」
「高町!皆!」
「あ、安達先輩!」
次は、料理皿を手に持った安達明日夢が三人の近くにやってくる。
「三人とも久しぶり!」
「安達先輩も、元気そうですね。」
「先輩は、今でも医者志望ですか?」
「ちょっと〜そのために医学部入ったんじゃないか〜」
「あはは、そうでしたね。」
「明日夢!」
次は例の如くキョウキが料理皿を持って明日夢の隣にやってくる。
「あ、京介。」
「キョウキだ!久しぶりだな明日夢。久しぶりに早食いで勝負を…」
「センパーイ!」
「おう!?」
「すずかちゃん?」
なのは、フェイト、はやての友人である月村すずかが人ごみを掻き分けながらこちらに向かってくる。(アリサもすずかの後ろから着いてくる。)
そして、キョウキの首に手を回し、抱きついた。
「ちょ!?月村!?」
「センパーイ、なんで連絡くれなかったんですかぁ、心配したんですよぉ…」
「わ、悪い…てか離れろ!みんなの前で…」
「良いじゃないですか、隠すことじゃないし。」
「うぅ…」
「へ…?」
「キョウキ先輩?すずか?」
「まさか…」
「えへへ…イェイ!」
すずかはキョウキの頬にキスをし、なのは達三人にVサインを送る。
「「「えええええええええええええええええ!?」」」
………
「じゃあ、キョウキ先輩とすずか、付き合ってたんだ…」
「そ、もう半年も前からね。」
アリサは仏頂面で答える。
「何だよキョウキ、言ってなかったの?」
「い、言えるわけ無いだろ!後輩にだぞ後輩に!」
「いや、それ関係ないし。でも、バニングスは未だに彼氏出来な…」
「先輩…」
「おお!?」
アリサは暗い表情で明日夢を睨み付ける。
「先輩は良いわよねぇ…持田先輩と天美先輩の間揺れ動くほど余裕があって…どうっせあたしなんか彼氏もマトモに作れない駄目女よ…」
「(やばい…怒らせた…)」
「「「(あはは…)」」」
アリサの逆鱗に触れた明日夢を哀れみを込めた目で見つめる三人娘であった…
………
「美味い!美味いよ兄貴!」
「美味さの頂点だぁ〜」
影山と剣は矢車が作った麻婆豆腐を食べながら笑みをこぼす。
「フッ…俺の作る地獄の豆腐料理…最高だろう?」
「もう、瞬も剣君も口についてるわよ。」
「え?」
「何!?」
二人は手で口を拭く。
「ほんとだ…」
「おいおい、俺にも食わせてくれよ。」
「ん?」
麻婆豆腐の皿の前に霞のジョーが現れ、自分の料理皿に取り、レンゲを使って食べる。
「美味い!これくらい辛い方が丁度良いぜ!」
「あんた、誰だ?」
矢車はジョーに話しかける。
「俺は霞のジョー、仮面ライダーRX、南光太郎さんの弟分だ!兄貴とは暫く離れてたけど、三ヶ月くらい前にまた会えたんだぜ!」
「RX…あの黒い奴か…」
「そうだ!…ん?」
ジョーは矢車の隣にいたシャマルを見つめる。
そしてシャマルもジョーを見つめ返した。
「…」
「…」
「シャマ姉、どうしたの?」
「ねぇ、ジョーさん、何処かで会ったことありませんか?」
「奇遇だな…なんか、俺も他人な気がしないな…」
「ええ、なんか、あたし熱烈に貴方にラブコールした記憶が…」
「ああ…なんか俺もそんな…」
「何!?テメエェェェェェェェェェェェェェェエ!!」
影山はジョーの襟元を掴み、激しく揺する。
「シャマ姉を…シャマ姉をおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
「や…やめ…苦し…」
「しゅ、瞬落ち着いて!そんな気がするだけだってばぁ〜!!」
【数刻後】
「皆さーん!」
いつの間にか設置されていたステージの上に、白いバニーガールの服装を着た
アルトと、和服を着た猛士武器開発部所長・小暮耕之助が現れる。
「なぁ、イブキ、あれ小暮さんじゃないか?」
「ほんとだ…なんでこんな所に…」
「アルトー!乳が無いせいでバニーガールが似合ってねぇぞ!!」
「…」
アルトは奇妙なスイッチを取り出し、それを押す。
すると天井から無数のたらいがヴァイスの上に落ち、彼を埋め尽くした。
「おおぉぉぉぉぉお…」
「お前は…」
ザフィーラは呆れながらたらいに埋もれたヴァイスを見つめた。
「諸君!!」
小暮の熱い叫びが食堂内に響く。
「活躍は聞いているぞ!この世界を命がけで守ったそうじゃないか!私は、諸君らの行動に、非常に感動している!
今日は疲れた体を休め、存分に楽しんで欲しい!
その娯楽の一環として、カラオケ大会を開催する!」
「「「おおおおおおおおおお!?」」」
「優勝者には商品もありますので、皆さん頑張ってください!
それでは一番手、どうぞ!」
スバル「一番!スバル・ナカジマと!」
ギンガ「ギンガ・ナカジマ!」
ス&ギ「「HURRY UP DREAM〜旅立ち〜」行きます!」
ミュージックがスタートし、スバルとギンガが歌い始める。
【HURRY UP DREAM〜旅立ち〜 歌・岩永雅子 (真ゲッターロボ〜世界最後の日〜ED)】
ス〔叫びたくてもなくても イライラするよね〕
ギ〔輝き続けるために ビンカンでいたい〕
ス〔感じれないわけじゃない クラクラするほど〕
ギ〔まぶしい未来を想い 空を見上げてる〕
涼「これか…」
木野「確か三話で予算が尽きた作品だったか…」
ヒビキ「予算尽きか…分かるなぁ…」
五代「はい…」
硬い握手を交わすヒビキと五代であった。
ス〔足りなくても…〕
ギ〔多すぎても…〕
ス&ギ〔ジャストが欲しい〕
はやて「おお!」
なのは「上手いよ二人とも〜!」
ス&ギ〔あきらめずに立ち上がれ〕
ス〔望みはひとつ分かってるって〕
ス&ギ〔あせらないで走り出せ〕
ギ〔ロードはup&down〕
ス&ギ〔忘れないであの夢は〕
ス〔いつでも空で光ってるって〕
ス&ギ〔止まらないで探し出せ〕
ギ〔私のハートはもう…もう…〕
ス&ギ〔Hurry up hurry up Hurry up〕
「「「おおおおおおおおおおおおおお!!」」」
会場から拍手が沸きあがる。
「「ありがとうございました〜」」
スバルとギンガは一礼し、ステージから下りる。
アルト「良かったですねぇ。」
小暮「姉妹で歌うということが、ポイントだな。」
アルト「では、次の方、どうぞ!」
「二番、持田ひとみ!Platinum Smile行きます!」
ひとみがマイクを持つと共に、ミュージックが始まる
【Platinum Smile 歌・小坂りゆ 仮面ライダーTHENEXT挿入歌】
〔繋いだ手が離れた時キモチも途切れちゃいそうで…
失うコトの明日にまだ慣れないみたい
知らないふりした〕
トドロキ「ひとみ!上手いぞぉ〜!」
〔握りしめた音のない世界は
音を立てて崩れおちていく〕
明日夢「おお…」
〔笑わない空へ、プラチナなスマイルで
ごまかしては傷つけたり、大人になれないまま遠ざかる
微笑みと白黒に光るまなざしと
今、ふたりだけの日々に、ありがとう…告げて〕
フェイト「先輩、やっぱり上手だなぁ…」
〔笑わない空へ、プラチナなスマイルで
ごまかしては傷つけたり
大人になれないまま遠ざかる…〕
ヒビキ「モッチー最高!!」
〔飾らないキミが、遠回りな優しさが
たまに見せる照れ笑いも
全部全部許せた
思い出たち…〕
メロディは静かに消えて行き、残響が終わった後、ひとみに拍手が降り注いだ。
「ありがとうございまーす!」
「…」
「何見とれてんだよ明日夢。」
「なっ、別に見とれてなんて…」
『コロ…シテ…コロ………シテ…』
明日夢とキョウキの耳に不気味な声が聞こえ始める。
「ん?」
「何だ?」
『コロシテヤル!』
辺りが薄暗くなり、明日夢とキョウキの前に顔に包帯を巻いた恐ろしい女が現れた。
「「うわあああああああああああああああああ!!」」
二人は抱き合い、共に尻餅をつく。
一分後…
「明日夢、キョウキ、お前ら何やってんだ?」
「ひ…響鬼さん!」
「な…なんでもありません!」
「先輩、次あたし達の番ですよ。」
「お、おう!」
キョウキはすずかに連れられ、ステージの上に上がる。
す「月村すずかと桐矢京介!」
キョ「キョウキだ…」
す「Action-ZERO行きまーす!」
キョ「聞いてないのか!?」
こんな会話をしながら二人も自分達の歌声を披露する。
その頃…
【ミッドチルダ東部 ミランダ ミランダ中央公園】
「良いのかい?パーティーに出なくても。」
「南さんに付き合うほうが大事だと思ったので。」
「そうか…」
翔一と光太郎は二人は立って噴水を見ながらで会話を続ける。
「でも…信じられない!1号とV3が…あの二人が死んでしまったなんて…」
「津上!あの二人も、他の先輩達も死んでいない!きっと、何処かで生きているはずだ!」
「す…すみません…でも、二人がそんな恐ろしい敵と戦っていたなんて、知りませんでした。」
「ああ、俺もまさかこんなことになるとは思わなかった…俺も、やはりあの時行けばよかったと後悔しているよ…」
「南さん…」
光太郎は握り拳を作り、ギリギリと握り締める。
そんな時だった…
「光太郎…か…」
「!?」
光太郎は懐かしい声を聞き、後ろを振り返る。
そこには、光太郎のよく知る男の姿があった。
「ああ…!?」
「…久しぶりだな。」
「…誰?」
「本郷…さん…!」
投下終了
包帯女の正体はNEXT観た方は分かる筈です。
私、どんな方法を使ってもNEXTは出す所存でありますよはい(電王は分かりませんが)
次回もお楽しみに。
GJ!キョウキ毎度おいしすぎるw
107 :
マスカレード:2007/12/27(木) 02:46:12 ID:YsU7qZiX
GJ!
まとめて読ませて頂きました。
熱いです!とにかく熱い!
クアットロとアルビノが気になるところ。
さらにシャドームーンにも活躍が!
でもまた悪役に戻っちゃったんですね……
2部にも期待です!
さて、カブトクロス第3話「矢車」が、最終更新から二週間かけてようやく完成……!
毎日バイトで時間がなくて、コツコツ書いてきたのがようやく……!
でもライダーさんの最終回Aパートとネタが被ってる訳で……(爆)
まぁともかく明日投下します
仕事行く前に見てみたらまた投下ラッシュですね。
これじゃあ、多すぎで全部は見れなくなるかも・・・。
109 :
なの魂の人:2007/12/27(木) 10:06:07 ID:f1ZIc5ko
投下GJであります!
さて、自分もなの魂13話が出来たので投下を開始したいと思うのですが
よろしいでしょうか?
110 :
なの魂の人:2007/12/27(木) 10:17:53 ID:f1ZIc5ko
えー、10分間返答が無かったので、とりあえず投下したいと思います
……誰とも被ってないよね?
カマーン!
112 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:20:38 ID:f1ZIc5ko
次元空間に、一つの構造物が存在した。
時の庭園。
歪な十字をした岩のようなその構造体は、ある魔導師が所有する移動庭園だ。
「……たったの五つ。これは、あまりにも酷いわね……」
庭園の中心。玉座のような椅子が置かれた、だだっ広い間に彼女――プレシア・テスタロッサはいた。
彼女は冷ややかに呟き、目の前の少女を見た。
「……はい。ごめんなさい……母さん……」
弱々しくそう呟いたのはフェイトだった。
今の彼女の姿は、あまりにも凄惨だった。
両の腕を鎖でつながれ、宙に浮かべられた彼女の魔導衣はズタズタに裂かれ、身体中には無数の真新しい傷が作られていた。
「……いい、フェイト?
貴女は私の娘……大魔導師プレシア・テスタロッサの一人娘……。
不可能な事などあっては駄目……。
どんな事でも……そう、どんな事でも成し遂げなければならない……」
冷徹な目でフェイトを見据え、彼女の前まで歩み寄る。
フェイトは虚ろな目で、どうにか顔を上げた。
目の前に映し出された母親の姿からは、優しさの欠片も感じ取れなかった。
「こんなに待たせておいて、上がってきた成果がこれだけでは、母さんは貴女を笑顔で迎えるわけにはいかないわ……。
わかるわよね、フェイト……」
「…………はい、わかります」
どうにか声を絞り出し、小さく返事をする。
プレシアは表情一つ変えなかった。
「だからよ、だから……覚えて欲しいの。
もう二度と、母さんを失望させないように……」
プレシアの手にした杖が形を変えた。
毒蛇を思わせる、獰猛な鞭だった。
フェイトは怯えた目でそれを見、目を固く瞑った。
鞭の叩きつけられる音、そして少女の悲痛な悲鳴が庭園内に響いた。
何度も、何度も。
玉座の間に入らず、外でフェイトの帰りを待っていたアルフは耳を塞いだ。
「……何だよ、一体何なんだよ……あんまりじゃないか、あの女……!」
プレシアのフェイトに対する仕打ちは、今に始まったことではない。
だが、しかし……。
「今回のはあんまりだッ! 一体何なんだ!?
あのロストロギアは、ジュエルシードはそんなに大切なもんなのか!?」
やり場のない怒りを覚え、身体を震わせる。
あの女には、何を言っても無駄だ。
力ずくで止めるにしても、あの女と自分の間には、圧倒的な力量差がある。
今はただ、耐えるしかないのだ。
「ロストロギアは、母さんの夢を叶える為にどうしても必要なの……!」
幾度目かになる乾いた音が響いた後、プレシアは怒気を込めてそう言った。
>>109 どんと来い!でございますよー。
しかし新スレに移っても投下ペース早い早い…。
114 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:21:52 ID:f1ZIc5ko
「…………はい、母さん」
「特にアレは……ジュエルシードの純度は、他の物より遥かに優れている。
貴女は優しい子だから、ためらってしまう事もあるかもしれないけど……。
邪魔するモノがあるなら、潰しなさい……!」
プレシアがそう告げたと同時に、フェイトを吊るし上げていた鎖が音もなく消えた。
フェイトはそのまま抗うこともなく床に落ち、力無くその場に倒れ伏す。
「どんな事をしても……! 貴女にはその力があるのだから……。
……行って来てくれるわね? 私の娘……かわいいフェイト……」
「…………はい。行って来ます、母さん」
あれだけの事をされたにもかかわらず、フェイトの心が曇ることはなかった。
自分を必要としてくれている。
自分のことを、頼りにしてくれている。
ただそのことだけが嬉しくあった。
「しばらく眠るわ。次は必ず、母さんを喜ばせて頂戴……」
そう言い残し、プレシアは部屋の奥へと消えていった。
振り向き、フェイトの姿を見るような素振りは微塵も見せなかった。
覚束ない足取りで部屋から出てきたフェイトを見つけ、アルフは彼女に駆け寄った。
今にも倒れそうなフェイトの身体を、そっと支える。
「フェイト、ごめんよ……大丈夫?」
「なんでアルフが謝るの……? 平気だよ、全然……」
そう言って笑顔を作るフェイト。
彼女の健気さに、アルフは胸を痛める。
「……! だってさぁ!まさか、こんな事になるなんて……。
ちゃんと言われた物を手に入れてきたのに……あんな酷い事をされるなんて思わなかったし……!
知ってたら絶対に止めたのに……!」
「……酷い事じゃないよ。母さんは、私の為を想ってって……」
「想ってるもんか、そんな事! あんなのただの八つ当たりだ!!」
フェイトの言葉を遮り、声を大にするアルフ。
だがフェイトは首を横に振り、言葉を続けた。
「……違うよ。だって、親子だもの。
ジュエルシードは、きっと母さんにとってすごく大事なものなんだ……。
ずっと不幸で……悲しんできた母さんだから……私、何とかして喜ばせてあげたいの」
「だって……でもさぁ!」
アルフは、なおも言いすがる。
フェイトはそっと彼女の頬に手を添え、説き伏せた。
115 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:23:26 ID:f1ZIc5ko
「アルフ、お願い……大丈夫だよ、きっと。
ジュエルシードを手に入れて帰って来たら、きっと母さんも笑ってくれる。
昔みたいに優しい母さんに戻ってくれて、アルフにもきっと、優しくしてくれるよ……。
だから行こう……今度はきっと、失敗しないように」
どこまでも優しい目。
疑うことを知らない目。
健気で儚い彼女の姿を見て、アルフは何も言えなかった。
なの魂 〜第十三幕 最後にモノを言うのは顔〜
早朝、八神家宅のテラスの方から空気を斬り裂くような鋭い音が聞こえてきた。
簡素なシャツにジーンズという服装の女性――シグナムが、黙々と竹刀の素振りをしていたのだ。
騎士たるもの、日頃の鍛錬は欠かせない。
己の主がどこの馬の骨とも知れぬ輩に狙われているとあれば、なおのことだ。
何百回目かになる素振りを終えた時、玄関先の方から彼女に声がかけられた。
「オゥオゥ。朝っぱらから勤勉だねぇ、シグナム"姐さん"」
「おはよーございますヨー、姐御」
銀時と神楽、そして定春だ。
はやてとの契約通り、律儀に毎日ここへ通うつもりらしい。
シグナムは深々と頭を下げ挨拶し……万事屋メンバーが一人足りないことに気付く。
「おはようございます。銀時殿、神楽殿。
……新八殿の姿が見当たらないようですが……」
そう。眼鏡をかけた、あの地味な青年だ。
辺りを見回してみるが、彼の姿は影も形も見当たらなかった。
剣術道場の跡取りと聞いていたので、一度手合わせをしてみたいと考えていたのだが今日は来ていないらしい。
シグナムの問いかけに、神楽が呆れたような顔をしながら答えた。
「新八なら寺門通のライブに行ってるネ。オタクはこーいう時だけ行動力が大幅に上昇するアル」
「……?」
聞き慣れない言葉の羅列に、頭上にクエスチョンマークを浮かべるシグナム。
銀時は困ったように頭を掻きながら説明した。
「その……なんだ、演奏会みてーなもんだよ。
あいつがファンの歌手が、今日演奏会開くんだよ。
なんか予約席取り損ねたらしくてな。早く行かねーといい席が取れねーんだと」
「なるほど……。新八殿がご贔屓にしている方の歌でしたら、ぜひ一度拝聴してみたいですね」
まさかその歌手の歌が、一時期放送禁止歌に指定されていたとは知らないシグナムは、なんの悪気も無くそう言ってのけた。
銀時と神楽は互いに顔を見合わせ、そして目の前でブンブンと手を振る。
「……ヤメた方がいいと思うネ」
「……江戸の文化を思いっきり誤解されそうだしな」
二人の不可解な行動に、頭上のクエスチョンマークを増やすシグナム。
しかし彼女の興味は、すぐに別の物へと移っていった。
116 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:24:45 ID:f1ZIc5ko
「ところで銀時殿。一つ、折り入って頼みたいことがあるのですが……」
「あ?」
目を輝かせながらそう言うシグナム。
銀時はそんな彼女を見て、何故か知り合いのいけ好かないマヨラー侍を思い出し、疎ましそうな顔をした。
常に高みを目指す、武士(もののふ)の目。
こういう目をする輩は、大抵自分と同類の人間を見つけると、喧嘩だ勝負だとうるさく迫ってくる。
そしてシグナムの口から出た言葉は、やはり銀時の予想通りの言葉だった。
「是非とも、私と手合わせを……」
「ヤダ、コワイ、イタイ、メンドクサイ」
「……何故片言?」
即答して玄関をくぐろうとする銀時。
そんな彼をジト目で睨み、しつこく勝負の申し出を試みるシグナムなのであった。
この後、勝負を断りきるまで三十分近くの時間を有したこと。
それまでの間、銀時は玄関をくぐることが出来なかったこと。
さらには「玄関先で痴話喧嘩をするな!」と二人揃って見当違いな説教をはやてから貰ったということをここに記しておく。
『期待の新鋭アイドルTAMA。猫耳がキュート』
彼、高屋八兵衛――通称タカチンが手にした芸能雑誌には、その文字と共に
猫耳の生えた黒髪ショートカットの少女の写真が掲載されていた。
ガタコン、ガタコンと揺れる電車の中で、彼は心底忌々しそうな表情をした。
「コイツアレだよ。こないだデビュー曲がお通ちゃんの曲おさえてエドコン八位に入ってたな。胸クソワリー。
何がいいんだよ。こんな娘、耳とったらその辺にいそうじゃねーか」
「全くさ。猫耳なんて邪道だよね。でももしお通ちゃんにも猫耳があったら、
もっと尋常ではない人気を博していたにあい違いないよ〜」
そんな彼の隣で、極太フレームの黒縁眼鏡……俗に言うオタク眼鏡をかけた、そばかすだらけの男が言った。
素肌に「寺門通親衛隊」と刺繍された法被を羽織り、袴を穿いたその男は
――というか、タカチン含む彼の周辺にいる人物はみんなそんな服装なのだが――仲間内で軍曹と呼ばれていた。
「何言ってんだ軍曹。お通ちゃんは猫耳なんかなくても今のままがベストでカワイイだろーが」
イライラしながらタカチンは言った。
しかし軍曹はチッチッチと顔の前で指を振り、語り始める。
「タカチン〜。猫耳が萌えの対象であることは揺るがざる事実だよ。すなわちそれを認めるところから話は始まるわけであって。
お通ちゃんはカワイイし歌唱力もバツグンだ。しかし今の時代それだけではやっていけないのもまた、揺るがざる事実な訳だよ」
はっきり言って鬱陶しい。
しかも喋り方が憎たらしい。
遂にタカチンはブチ切れ、軍曹の襟を掴んだ。
「っていうか、事実揺るがされてんのはオメーなんじゃねーの?
この前、コイツの写真集買ってんの見たぞオイ」
「そっ、それはたまたま……」
犬耳支援
118 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:27:27 ID:f1ZIc5ko
そこまで言った時だ。
突然軍曹の鼻の穴に二本の指が突っ込まれ、彼の身体が宙に浮いた。
あまりの激痛に彼は叫び声を上げる。
「隊長ォォォ!!」
どよめく親衛隊員達。
彼らの目の前には、「寺門通親衛隊隊長」との刺繍が施された法被を着た、眼鏡の青年……鬼神と化した志村新八の姿があった。
「軍曹ォォ! 寺門通親衛隊隊規十四条を言ってみろォ!」
凄まじい気迫で軍曹を持ち上げる新八。
今にも「ヒートエンドォォォ!!」とか叫びそうなポーズで、大の大人一人を片手で軽々しく持ち上げる彼の姿は……
なんというか、鬼そのものだった。
今の彼ならシグナムにも勝てそうな気がする。貫禄で。
「いだだだだだ! たっ……隊員はお通ちゃん以外のアイドルを決して崇拝することなかれ!
であります!」
苦しそうに叫ぶ軍曹。
というか、実際苦しい。
鼻がもげそうだ。
しかし一度キレた新八はそう簡単には止まらない。
「その通ーりだ!! 軍曹ォ、貴様は親衛隊幹部でありながらこれを破ったァァ!!
よって鼻フックデストロイヤーの刑に処す!」
軍曹の断末魔の叫びが電車内に響き渡った。
ムゴい。
これはあまりにもムゴ過ぎる。
「いやねー。最近の若者は一体何考えてんのかしら」
彼らの斜め前の席に座っていたオバさんはそう呟いた。
まあ、車内でこんなバカ騒ぎを起こしては当然の結果である
「ちょっ、止めてください!」
オバさんの向かいの席から女性の声が聞こえた。
見てみると、バンダナをつけた青い髪の女性が、スーツにサングラスといった、どう見てもマフィアっぽいオジさんに
絡まれている真っ最中だった。
「なんだよ〜オイ。一杯つきあってくれよネーちゃん。
オジさんを一人にしないでくれよう。オジさんはただ、グチを聞いて欲しいだけなの」
「いやねー、今度は酔っ払いよ。これだから最近の大人は……」
「世も末だわ」
心底うんざりした様子でオバさん達は口々にぼやきだす。
しかし、部外者がぼやいたところで酔っ払いの猛攻が止まる訳も無く。
オジさんは女性の肩に手を回し、泣きそうな声で勝手にグチり始めてしまった。
「オジさん、またメンドーな仕事押し付けられちゃってよう。もう胃に穴が開きそうなんだよ、ヤベーんだよ。
それというのもさァ、次元震だか次元大介だか知らねーけどよう……」
「止めて寄らないで臭い!」
119 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:28:51 ID:f1ZIc5ko
そう叫んで逃げ腰になる女性。
いや、まあ飲酒しているので臭いのは当然なわけなのだが、この一言はオジさんのハートを深く深く傷付けてしまった。
「あっ、お前臭いはないんじゃないのォォ!?」
女性の両肩を掴むオジさん。
完全にタダの変質者である。
女性も遂には泣きそうになりながら助けを求めはじめてしまった。
「誰か……誰か助け……!」
その時だ。
何か丸っこい、生々しい香りのする物体がオジさん目掛けてすっ飛んできた。
プロのピッチャーが投げた剛速球並のスピードで。
その物体はオジさんに直撃し、床に転がり落ちた。
オジさんは不意に飛んできた肉塊の強襲を受け昏倒する。
驚き、目を見開く女性。
彼女の横から、怒気のこもった青年の声が聞こえてきた。
「猫耳だァ? 獣耳だァ?
んなモンうちにも一匹いるけどなァ、あんなん全然可愛くねーよ。
完全に獣人だぞ」
誰のことかは言うまい。
だが、あえて一つだけ言おう。
可愛い以前に、アイツはオスだ。
肉塊、もとい軍曹をオジさんに投げ飛ばした新八は、車内の中心で荒々しく叫んだ。
「猫耳なんてクソくらえじゃああ! 何が萌えだァ!?
猫耳なんて燃えちまえばいいんだ!!」
迷惑極まりない主張である。
今後出てくるであろう使い魔二匹など、完全にアウトだ。
下手をすればアルフも危ない。
「あの……」
そんな荒ぶる新八に、先の女性が声をかけてきた。
完全に吹っ切れてる新八は、当然の如く女性に怒声を浴びせる。
「なんだァ!? 今取り込み中だァ!!」
「あの、助けていただいてありがとうございます。
勇気のある方なんですね。……男らしくて、素敵でした」
そう言って女性はバンダナを取り、新八に素顔を晒した。
くりっとした愛らしい目。
綺麗な青い髪。
そして……。
カモン!! いや〜第六天魔王でましたね〜。 所で皆さんは信長で小杉さんと若本さんどちらが好きですか?
私は小杉さん
121 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:30:35 ID:f1ZIc5ko
……生えていた。
真っ白い、二つの、小さな猫耳が。
(……猫耳なんて)
新八は言葉を失った。
(猫耳なんて……)
周りの親衛隊員達も同じく、言葉を失った。
(猫耳なんて萌えちまぇぇぇ!!)
そして彼らの心は一つとなった。
(……なァ。新八、一体どうしたんだ?)
夕食の時間。
七人で小さなテーブルを無理やり囲みつつ、ヴィータがシグナム達に念話を送った。
ちなみに何故七人かというと、ザフィーラは狼の姿で定春と食事を摂っているためである。
何故彼が狼の姿になっているのか。
理由は簡単である。はやてが犬好きだから。
(分からん。帰ってきてから、ずっとあの調子だ)
(何かあったのかしら……?)
心配そうに新八を見るヴィータ、シグナム、シャマル。
視線の先では、新八が虚ろな目で眼鏡に御飯を押し付けていた。
「新八。そこ目アル。目は口ほどにものを言うって言うけど、そこ口じゃないヨ」
神楽が忠告するが、新八は箸を止めようとしない。
そんな彼に気分を悪くしたのか、はやてが眉をひくつかせながら静かに言った。
「え〜っと……何? それは私の料理なんか食えるかっちゅー、無言の抵抗?」
この威圧感は、なかなか筆舌に尽くしがたい物がある。
思わず身を竦める守護騎士達。
ああ、幼くてもやっぱり主なんだな。と改めて確認。
新八はようやく、ハッとしたような様子で箸を止めた。
「あ、いや、違うよ。ゴメン、ボーッとしてて」
「オイ勘弁しろよ新八。唯一のツッコミ役のオメーがしっかりしてねーと、ボケが飽和してこの世界崩壊すんぞ」
銀時が手にした箸で新八を指し言う。
はやてが「そんな行儀の悪いことしたらあかんよー!」と怒っているが、そんなものは馬耳東風だ。
「すいません」
「すいませんじゃねーよ。今のもツッコむ所だろ。
『お前の発言が世界を崩壊させるわ!』とかさァ」
いつもと調子の違う助手に戸惑う銀時。
新八は箸を置き、申し訳なさそうに頭を掻いた。
122 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:32:00 ID:f1ZIc5ko
「すいません。じゃ、今からやります」
大きく息を吸い、出来る限り大声でツッコむ。
「お前の発言が……!」
「誰がお前じゃァァァ!!」
銀時の手から生卵が投げられた。
卵かけ御飯に使われる予定だったそれは新八の顔面にぶち当たり、盛大に割れる。
「……すいません」
顔面卵まみれになりながら、新八は声のトーンを落としそう言った。
「……オイオイ、マジでどうしちまったんだ?」
さすがにコレはおかしいぞ、と思った銀時が問いかける。
新八は黙ったままだった。
「……は?」
食事後に新八を問い詰め、そしてようやく彼の口から事の成り行きを聞いて、最初に出た言葉がそれだった。
素っ頓狂な顔をして新八を見つめる銀時と神楽。
新八は恥ずかしそうに俯きながら途切れ途切れに言った。
「いや、ですからその……助けたお礼にって、食事に誘われて……」
今朝の痴漢騒ぎのことである。
あの後女性に、ちゃんとしたお礼がしたいので是非とも明日もう一度会いたいと言われ、
そしてその場の空気に流されて承諾してしまったのだ。
悩める子羊、志村新八。
そんな彼の姿を見、はやては自分の頬に人差し指を当てながらポツリと呟いた。
「……それって、デートなんとちゃうん?」
場の空気が凍りついた。
硬直する新八。
その姿を見て、嘲笑うかのような表情を見せる銀時と神楽。
頭上に疑問符を浮かべる守護騎士達とはやて。
そしてきっかり三秒後。
新八はこの上ないくらいの驚愕の表情で叫んだ。
「……デ、デートォ!? え、ウソ、ちょ……えェェェェ!!?」
見ていて痛々しいくらいの狼狽っぷり。
銀時と神楽は、それを見て必死に笑いを堪えている。
一方の守護騎士達はというと、互いに顔を寄せ合ってヒソヒソ話をしていた。
「……なるほど。剣術の方はともかく、色恋沙汰に関してはズブの素人という事か」
「あー、確かにモテなさーな顔してるもんなァ」
「もしかして魔導師目指してるんじゃないかしら?
ほら、三十路まで貞操守ると魔法使いになれるっていう……」
123 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:34:39 ID:f1ZIc5ko
言いたい放題である。
会って一日しか経っていないというのに、これはヒドい。
もう彼女らの中では、新八はそういうキャラとして確立されてしまったらしい。
「容赦ねーなお前ら!
つーかその迷信そっちの世界にもあんの!?」
ようやくいつもの調子でツッコむ新八。
だが彼はすぐに彼女らに背を向け、必死な形相で脳をフル稼働させた。
(どうしよう! デートなんてしたことないから何をしていいか……。
いや待て! その前に本当にコレ、デートなのか!?
いや待て! デートと仮定したとして、僕はそれに行っていいのか? 寺門通親衛隊隊長の僕が……。
いや待て! アイドルなんて追っかけたところで所詮、高嶺の花。今目の前に転がるチャンスをみすみす逃すつもりか!
いや待て! その前に本当にコレ、デートなのか!?
いや待て! コレは断じて浮気ではない! コレは調査だ!
軍曹がやられたという猫耳という奴の恐ろしさを身をもって体感し、今後二度とあのような悲劇が起きぬよう調査する必要がある!
そう! コレは調査!
だが残念ながら僕の恋愛経験値はゼロ! 猫耳を体感する前に撃ち落される恐れがある。
テキストが必要だ! いや、別に好かれたいとかそーゆんじゃなくて調査だからコレは!
誰か経験豊富な人にテキストを伝授してもらわねば……)
その思考時間、僅か三秒。
テキストに起こすと結構な量だが、新八にとっては一瞬であった。
新八は不安げに万事屋メンバーを見る。
彼らはニヤニヤと小憎たらしい笑みを新八に向けていた。
(しかし……銀さんはただれた恋愛しかしたことなさそうだし……。
神楽ちゃんにいたっては、ただの大食い娘!
うちの姉上もキャバクラで働いてるくせに、こと恋愛に関してはズブの素人……。
結婚するまで貞操を守るとか言ってるが、結婚自体無理だろう)
そう考え、今度は守護騎士達に視線を向ける。
が、期待はしていない。
何しろ出自が出自だし。
(あの四人は論外だし……。一番まともそうなのがはやてちゃんって、どーいうことだよ!)
思わず苦悩の表情を浮かべる新八。
やはりここは、恥を忍んで目の前の幼女に助けを請うしかないのか?
しかし、ここで新八はあることに気付いた。
(いや、駄目だ。そもそもはやてちゃんは外との繋がりがあまり無い。
彼氏どころか、下手したら男友達すらいなさそーだ)
その考えはズバリ的中していた。
そもそもそういう人物がいたとしたら、自分達はどこかで会っているはずだ。
何しろ一ヶ月以上一緒にいたのだから。
ここで新八は考えを改めた。
そうだ、目の前のことばかりに囚われてはいけない。
新八は銀時が世話になっている喫茶店の経営者達を思い浮かべた。
だが……。
(士郎さん達は……駄目だ!
テキストどうこう以前に、完全にスペック負けしてる! 参考にならん!)
悲しいかな、向こうはかなりのハイスペック集団である。
地味でツッコミ以外取り得の無い自分が相談に行っても、己の惨めさを思い知るだけだ。
124 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:36:13 ID:f1ZIc5ko
(他は……アレ?
僕の周り、相談できそーな奴一人もいねェェェェェ!!)
とうとう新八は頭を抱えて悶絶してしまった。
このまま対策を取ることも無く、当日を迎えてしまうことになるのか?
……いや。
一つだけ、この場を打開するアイディアが思い浮かんだ。
(こうなったら……近くのバカより遠くの一般人だ!)
思い立ったが吉日。
新八は脇目も振らず部屋を出て行った。
「あ、ちょっと新八さん!」
シャマルが声をかけるが時既に遅し。
新八は既に玄関をくぐり、薄暗くなった道を走り出していた。
「やれやれ、思春期のオトコのコってのは難しいねェ」
そう言って銀時は肩をすくめる。
しかしその隣では、はやてが真剣な面持ちで何かを考えていた。
「う〜ん……なんや心配になってきたなぁ……」
彼女なりに、新八のことを気に掛けているようだ。
幼女に色恋沙汰で心配されるとは、なんとも情けない話である。
「あ、そや!」
はやての脳裏で、豆電球に灯が点った映像が流れた……気がした。
ポン、と胸の前で手を打ち、笑顔で銀時達の方を向く。
銀時は思わず狼狽する。
この顔は間違いない。面倒な事を押し付けてくる時の、はやて特有の笑顔だ。
「みんなに一つお願いしたいことがあるんやけど、ええかな?」
銀時の考えは、寸分違わず当たっていた。
『1.電車侍:
電車で痴漢から女の子を助けたらお礼がしたいから会いたいと言われました。
これはデートなんですか? そしてデートとはいかようなものですか?』
新八は緊張した面持ちで、某巨大掲示板にそう書き込んだ。
ここは駅前のネット喫茶。
機械は少し苦手だが、近くの知人に相談できない以上致し方あるまい。
それにネット上でなら色々な人の意見が聞けるだろうし、なにより恋愛の話なんて、
冷静に考えれば顔見知りには照れくさくてできそうにない。
しばらく待ってブラウザの更新ボタンを押すと、意外にもすぐに返答が返ってきていた。
(あ、さっそく書き込みが。
スゴイな。ホントに見てくれてる人がいるんだ)
インターネットなどの使用経験がほぼゼロに等しかった新八は、感心しながら書き込まれた内容を読む。
125 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:37:27 ID:f1ZIc5ko
『2.フルーツポンチ侍:
電車侍、ここは恋愛を語る女々しき場ではない。
侍達が己の信念を叫ぶ場なり。板違いだ。即刻立ち去れ。』
(うわっ、スゴイ怒ってるよ! フルーツポンチ侍なのに!)
予想外の事態に新八はうろたえる。
だが、こんなことでめげる彼ではない。
助けを請うため、さらに書き込みを返す。
『3.電車侍:
スイマセン、フルーツポンチ侍さん。僕、こういうのホントに得意じゃなくて。
でも本当に悩んでるんです。力になってくれませんか、フルーツポンチ侍さん。』
送信。
しばらくしてまた更新ボタンを押す。
返ってきた書き込みは、こうだった。
『4.フルーツポンチ侍:
「フルーツポンチ侍」じゃない。
桂だ。』
(ハンドルネームの意味ねェェェェェ!!
つーか思いっきり知ってる人だし! 何やってんだよあの人、こんな掲示板で!
遊んでる暇あるならはやてちゃん護りに来いやァァ! つーかフルーツポンチ侍ってなんだよ!!)
『5.フルーツポンチ侍:
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ』
画面一杯に映し出される「切腹しろ」の嵐。
さすがにこれには新八も怒りをあらわにする。
(うおおおお!! スゲー敵意むき出しだよフルーツポンチ侍!
なんて嫌な野郎だ、モニター突き抜けて殴りに行きたい!)
冗談抜きにモニターの拳を叩きつけそうになる新八。
だが彼もいい年の男だ。
イカンイカン、冷静になれと自分を落ち着かせる。
改めて画面を見てみると、また新しい書き込みが一つ増えていた。
『6.まるで堕天使なお侍:
ちょっといい加減にしなさいよ。ここは侍であれば何でも語っていい自由な掲示板よ。
ちなみに私は剣術小町と呼ばれている美人な女剣士です。』
(あっ、新しい人だ。
女の人……この人なら聞いてくれるかも)
多少の安堵感を覚えつつ、新八は書き込みを行う。
『7.電車侍:
まるで堕天使なお侍さん。僕は彼女いない歴十六年のまるでダメな男です。
女の子とのつき合い方が分かりません。どうすればいいですか。
女性の意見を伺いたいです。』
CV.若本さんな美少女侍と言う電波が。支援。
マダオ支援
128 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:39:06 ID:f1ZIc5ko
『8.まるで堕天使なお侍:
うふん、カワイイ坊やね。いいわ、お姉さんが手取り足取り教えてあげる。
どう? オフで会わない?』
「……何をしているのだ、クアットロ」
「いっ、いや、何も……!」
突然背後からトーレに声をかけられ身を竦めるクアットロ。
彼女らの後ろから「いいか。あれが仕事の出来ない女の例だ。ああいう風にはなるなよ」「了解」などと言った会話も聞こえてきたが、
この際それは聞かなかったことにしておこう。
(うわっ……なんだよ、この人なんか気持ち悪いな)
ジト目でモニターを見る新八。
さすがに彼でも、あからさまな釣りには引っかからないらしい。
『9.フルーツチンポ侍:
待ち合わせ場所はどこにしますか?』
「食いついたよフルーツポンチ侍ィィィ!」
思わず声を大にしてツッコむ。
周りの客達が何事かとこちらを見てくるが、そんなもん知ったことか。
これはもはや性分なのだ。
今さらどうすることもできん。
『10.まるで堕天使なお侍:
ウソじゃボケェェェ!!
お前は一生エロサイトでも見てろ!』
『11.フルーツチンポ侍:
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ』
(ここは侍が信念を語る場じゃないのかよ! 何してんのこの人達……アレ?)
呆れながらモニターを見ていた新八が、あることに気付きハッと目を見開いた。
(よく見たらフルーツポンチ侍じゃないぞ……フルーツチンポ侍ィィィ!?)
「局長、大変です。松平のとっつァんが痴漢の疑いで捕まりました」
「今仕事中だ! 後にしろォォォ!!」
山崎の報告を華麗に受け流し、近藤はノートパソコンのキーボードをひたむきに叩き続けた。
129 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:40:26 ID:f1ZIc5ko
『12.フルーツポンチ侍:
貴様ァァァ! 何者だ!?
俺とほぼ違わぬ名を語るとは不届き者めェ!』
『13.フルーツチンポ侍:
まぎらわしいんだよ、すぐに改名しろ!
フルーツチンポは俺のもんだ!!』
『14.フルーツポンチ侍:
切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ』
『15.フルーツチンポ侍:
>>14が切腹』
『16.フルーツポンチ侍:
>>15こそ切腹』
(オイぃぃぃぃぃ! スゲー不毛な争いしてるよ!!)
ネット上で繰り広げられる苛烈なポンチ争いに新八は辟易した。
(……ああ、やっぱりダメだ。こんな他人に無関心な冷たい時代に、
僕の小さい悩みなんて聞いてくれる人、いるわけないよな)
半ば諦めた様子で、ばたっと机の上に突っ伏す。
(……つくづく自分が嫌になるよ。なんでも人に聞かないと動くことが出来ないマニュアル人間なんだ、僕は。
僕みたいな奴に、恋愛なんてする資格はないん……)
そこまで考え、ふと視線を上げた。
モニターには、新たな書き込みが表示されていた。
『17.銀色の侍:』
(……!!)
ハッとし、画面を食い入るように見つめる。
『電車侍、お前は何にそんなに臆する?
何がそんなに恐い?』
(まさか……)
『デートで失敗するのが恐いか?
フラれるのが恐いか?
傷つくのがそんなに恐いかコノヤロー。』
心当たりのあるハンドルネーム。
見知った口調。
新八は辺りを見回した。
(銀さっ……なんで……こんな、なんで……知ってるんだよ。
まさか……ここにいるのか?)
何というダメガネクアットロ支援
131 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:42:36 ID:f1ZIc5ko
だが、銀時の姿は見当たらない。
新八は、改めて画面を目にする。
『人間が恐れるものは二つある。
それは死と恥だ。』
画面には、そう表示されていた。
『死を乗り越えようなんてのはバカがやることだ。
だが恥を乗り越えようとする奴を俺は笑わねー。俺はそういうバカが好きだ。
思いっきりぶつかってこい、電車侍。
恥をかいてこい、電車侍。
恥をかいた分だけ、お前はきっと強くなるぞ。
……行け! 電車侍!』
新八の中で、何かが吹っ切れた。
そうだ、恥を恐れていちゃ何も出来ない。
恥を恐れ逃げ回り、そのせいで大切な"今"を取り逃したらどうする!
新八は立ち上がった。
席を立ち会計へと向かう彼の背は、まさしく漢の背中だった。
『18.銀色の侍:
ちなみにこの書き込みを見た人は、三日以内に
『喫茶翠屋、現在全品三割引セール中』
という書き込みを一万件書き込まないと、四日後の夜十二時に死にます。
これは本当です。
実際、僕の友達はこれを見た四日後に十七分割されて江戸城の堀に沈められました。』
「「「……どんな宣伝んんんんんん!!!?」」」
「あ、やっぱり駄目だったかな?」
どうみても荒らしにしか見えない書き込みをする店主の後ろで、高町三兄妹は声を大にしてツッコんだ。
意外とシュールコメディにも対応できる人物達である。
危うし新八。
「「マジでかァァァァァ!!」」
一方、モニターの向こうでは桂と近藤が悲痛な叫びを上げていた。
意気消沈した様子で、二人はキーボードを叩く。
『19.フルーツチンポ侍:
……あの……フルーツポンチ侍さん見てますか……。
もし見てたら……あの、協力して五千件ずつ分け合いませんか?』
『20.フルーツポンチ侍:
御意。色々打ち合わせも必要だろうから、一度実際会いましょう。
明日の午前十一時に家康像の前で待っています。』
『21.フルーツチンポ侍:
分かりました。じゃあ僕は左手にフルーツポンチを持っていくんで、
フルーツポンチ侍さんは右手にフルーツポンチを持って立っていて下さい』
132 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:44:24 ID:f1ZIc5ko
翌日。
「コォー……」
駅前広場の家康像前に新八はいた。
寺門通親衛隊隊服を身に纏い、木刀を身体の真正面の地面に突き立てるその姿は、明らかに回りから浮いていた。
そんな彼から少しばかり離れた植え込みの影。
そこに四つの人影があった。
「オイオイ、戦争にでも行くつもりですかアイツは?」
呆れ顔で銀時は呟いた。
まったく、何でこんなことになってしまったのか。
昨日の事を思い返す。
あの後、新八を心配したはやてに尾行を頼まれ、神楽、ヴィータ、シャマルを連れて彼の動向を見守ることになってしまったのだ。
我ながらお人好しである。
「……一人だけ出てるオーラが違いますね……」
頬に手を当て、シャマルは乾いた笑いを漏らす。
その隣ではヴィータがつまらなさそうな顔で口を尖らせていた。
どうやらじっとしているのが苦手らしい。
「なぁ、そのデートの相手っていつになったら来るんだよ?」
いい加減飽きてきた様子でヴィータがぼやく。
その時、神楽が新八のいる方を指差して呟いた。
「もしかして、あれじゃないアルか?」
他の三人も新八の方を見る。
新八の目の前には、嬉しそうに彼に話しかける、丈の短い着物を着た猫耳の女性がいた。
「うおっ、マジで猫耳だよ。スゲーなオイ」
「あーあ、ザフィーラもあれくらい愛嬌があったらなぁ……」
口数も少なく無愛想な盾の守護獣を思い浮かべ、ヴィータは言う。
彼女の呟きに対し、シャマルは何気なしにこんなことを言った。
「あら。じゃあ、今度メイド服でも着せてみる?」
「「「絶対にやめろ」」」
シャマルの末恐ろしい発言に、三人は口を揃えて全力否定する。
なんて事を言うんだこの女は。
八神家から大量殺戮兵器を生み出すつもりか?
そうこうしているうちに、新八は件の女性と歩き出してしまった。
それに気付き、銀時達は大慌てで彼の後を追った。
スニーキングミッションの開始である。
「……あのォ……フルーツポンチ侍さん?」
「え? ……フルーツチンポ侍さん?」
何やってんすか桃子さんw
ある意味某M属性くノ一より性質悪いわ支援
134 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:46:07 ID:f1ZIc5ko
新八達が広場から姿を消した頃。
家康像の裏に二人の男がいた。
鬱陶しいくらいのロン毛の男と、なんかゴリラっぽい男。
右手にフルーツポンチの入ったガラスのボウルを持った二人の男は、両人とも大き目の笠を被り、その顔はよく見えない。
「なんだァ、隣にいたんじゃないですかァ」
「いや、左手って言ってたのに右手にフルーツポンチ持ってたから」
ロン毛の方の男が手にしたフルーツポンチを掲げ言う。
ゴリラっぽい男はバツが悪そうにフルーツポンチを左手に持ち替えながら言った。
「ああ、スイマセン。見た側の気持ちで考えてました」
「いや、電脳空間では失礼致した。私がフルーツポンチ侍です」
そう言い、ロン毛の男は笠を取った。
「しかしエラい事になりましたな。三日で一万件もどうさばきましょう。
あっ、私がフルーツチン……」
ゴリラっぽい男もそれに倣って笠を取り……二人の男は絶句した。
手にしたフルーツポンチが地面に落ち、ガラスの割れる音が空しく響く。
『あああああああああ!!!!』
男達の叫びが青空に木霊した。
奇跡的なバカ二人の邂逅である。
135 :
なの魂:2007/12/27(木) 10:47:28 ID:f1ZIc5ko
その頃の八神家。
「……猫耳かぁ……」
リビングにて、真剣な面持ちで定春と何かを話している……ように見えるザフィーラを見、はやては呟いた。
何気なしに自分の周りの人物が猫耳を装着した姿を思い浮かべてみる。
……あ、結構面白いかも。
などと考えていると、突然リビングの扉が開け放たれた。
「主、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか」
そう言って中に入ってきたのはシグナムだった。
はやては彼女の方に向き直り、小首を傾げる。
「ん? どないしたん? シグナム」
「実は、我々の騎士甲冑のことでお話しが……」
「騎士甲冑?」
きょとんとした表情でシグナムを見る。
甲冑というと、テレビや漫画でよく見るあのゴツい鎧のことだろうか。
シグナムは肯定の意を込め、そのまま話を続けた。
「ええ。我々は武器は持っていますが、甲冑は主に賜らなければなりません。
自分の魔力で作成いたしますので、その形状のイメージをお願いしたいのです」
はやては難しそうな顔をする。
「そっかぁ……そやけど、私はみんなを戦わせたりするつもりはないから……」
額に握り拳を作り、しばし黙考。
そして何かを思いついたらしく、顔を上げてシグナムに問いかける。
「そや、服でええかな? 騎士らしい、カッコええ服!」
「ええ、構いません」
承諾を得たはやては、途端に上機嫌になる。
「ほんなら、みんなが帰ってきたら資料探しに行こーな。
頑張って、カッコええの作らななぁ」
純粋で、心底嬉しそうな笑顔。
無垢な主の姿に、シグナムはしばらくの間見とれていた。
136 :
なの魂の人:2007/12/27(木) 10:50:19 ID:f1ZIc5ko
以上で十三話投下終了です。
ようやく銀さん達が本領発揮ですよ、ええ。
以下、今週のジャンプ見てたら振ってきた電波↓
「私は、額の裏になんか入りたくない! 銀ちゃんと一緒のお墓に入りたいんや!」
「あ、悪ィ。俺宇宙葬の予定だから無理だわ」
「……こンのドアホー!」
……見方変えると切ないよなァ、今週の……
支援
>136
乙。
……騎士甲冑が、猫耳に!?
GJ!
キーボードを打つクアットロ達の姿を想像して思いっきり吹いた俺。
やっぱり尾行中に銀さん殴られまくるのかなぁ…?
なの魂氏GJというか・・・バカだろアンタ(賞賛の意味で)
よりによって銀魂最強のエピソードの一つをここで使いますかwww
で桃子さんとクアットロ何やってんのォォォアンタらはァァァ!!!
もう何か冒頭のプレシアの声がバカ王子で脳内再生されはじめたじゃねーかどうしてくれるんだコノヤローwww
そういえばこの場合甲冑は騎士というより武士の鎧兜っぽくなるんでしょうか、20巻の金太郎風銀さんみたいな
GJ!
毎回楽しみにしてます
142 :
217:2007/12/27(木) 11:04:03 ID:9c7jfzVl
日曜日ということもあり、デパート内は人の波でごった返している。
家族連れ、カップル、友人同士・・・
その中を、上のどの種類にも微妙に属さない集団が歩いていた。
第六話 「OH! お買い物」
「毎度のことだけど、やっぱり人が多いねー」
「せやな〜。まぁお休みの日といえば、お買い物って定番やし」
周囲を見回すなのはにはやてが返す。
シグナム達に見送られ八神家を出た一行は、バスを利用し目的地へ向かったのだった。
彼女らがここへ来た目的は二つ。
一つはイッキの服飾品の購入、そしてもう一つは――
「アリサちゃんはこの辺で待ってるって言ってたんだけど」
待ち合わせ場所として相談しておいたデパート入り口で周囲を見回していると・・・
「なのは〜!!/なのはちゃーん!」
「あ、アリサちゃん。すずかちゃんも」
やや遠くから自分を呼ぶ友を確認し、なのはは手を振った。
小走りで走ってきたアリサとすずかは息を整える。と、
「あれ? はやてちゃんにシャマルさんも来てたの?」
昨日のメールで話していた以外の面子に、すずかは少し驚く。
なのは、フェイト、それから例の「アノ子」で来ると言っていたのだが。
「まぁ成り行きでなぁ。ちょうどうちも買出ししたかったさかい、ついて来たんや」
「それで、はやてちゃん達だけで行かせるのは心配だから私も」
「なるほど」
そうだったんですか、と頷くすずか。「ところで」とアリサが続き、
「昨日あんたが言ってた『飛んできた子』ってのは、その子なわけ?」
なのはに訊きながらイッキを指差した。
一人だけ見慣れない顔を見つけたのだ。
143 :
217:2007/12/27(木) 11:05:03 ID:9c7jfzVl
「そうだよ、ほらイッキくん自己紹介!」
ポンと背中を押され、アリサ、すずかと相対するイッキ。
なんだか話が進むたびにこんな状況に出くわしているような気がする。
「えーと、俺はイッキ。天領イッキだ。よろしくな」
「ふ〜ん、変わった髪形ね・・・アリサ・バニングスよ。よろしく」
少し気の強い性格だな、とイッキは推測した。アリカみたいだなと記憶が述べる。
初対面でそういうとこに着目するんだ、とすずかは苦笑しながら
「確かにチョンマゲは珍しいね。月村すずかです、よろしくねイッキくん」
「おぅ・・・そんなに目立つのかな〜、俺のチョンマゲ」
自分の頭に手を乗せ、チョンマゲをポンポンと触る。
「まぁ少なくとも、こっちの世界の男子にそんな髪型のやつはそういないわね」
腰に手を当ててアリサは言った。
さらに言うとイワノイのような極端なやつはもっといないだろう。
144 :
217:2007/12/27(木) 11:05:41 ID:9c7jfzVl
『○ーモン閣下ヘアーなんて小学4年生のすることじゃないっす!!』
「ん?」
「どうしたの?イッキくん」
「え、あー、いや・・・空耳かな」
ふいに明後日の方向を見上げたところを不思議に思ったのか、すずかが訊いた。
その問いになんでもないと応え、視線を戻しながらも、
「それにしても何故にカガミヤマの声が?」とイッキは頭を捻る。
「さてと、挨拶も済んだことやし買い物スタートや! まずはイッキくんの服やね」
ほな行くで〜、と先頭をきって歩き出すはやてを見てアリサは「?」を浮かべる。
「あ、昨日は言ってなかったけど今日はイッキくんの服を買うのも目的なんだ」
そんなアリサの表情を見て、なのはは歩きながら説明した。
「服?」
と言ってからしばらくしてポンッと手を打ち、ジッとイッキの赤いシャツを見るアリサ。
砂汚れは相変わらず残っている状態だ。
洗濯してもよかったのだがクロノの服を借りるのはイッキ自身が受け付けなかった。
「確か砂漠で見つかったって言ってたっけ?・・・あらホント、汚いわね〜」
「悪かったな! 好きで砂漠に落ちたわけじゃないからな」
遠慮のない言われ様に、イッキは露骨にイヤな顔をした。
145 :
217:2007/12/27(木) 11:06:44 ID:9c7jfzVl
ほどなくして服飾関係の店が並ぶフロアに到着した一行。
はやてがメンズショップを見つけ、みんなでアレコレと物色を開始した。
「イッキく〜ん、これはどう?」
「んー、ちょっとカワイ過ぎないか?」
「じゃあイッキ、これは?」
「センスはいいと思うけど・・・ごめん、俺のイメージとは少し違うんだよな」
「イッキくん、これ着てみてくれへん?」
「はやて・・・絶対おもしろがってるだろ」
「それじゃコレなんかどうですか?」
「うっ、これは・・・! シャマルさん一体どこからこんなものを!?」
総出で物色しているにも関わらず服の好みはなかなか合致しない。と、
「さっきからあーだこーだ言ってるけど、あんたはどうなのよ」
半袖シャツを見ていたアリサが口を挟む。
「俺?」
「そうよ、ほら。あんたシャツ好きみたいだし、自分でも選んでみたら?」
「いや、特に好きってわけじゃ・・・」
「あーもうグダグダ言わない! さっさと選ぶ!」
苛立った口調の彼女に気押され、イッキは「分かったよ」と渋々シャツを見始め・・・
しばらくしてハンガーにかかった一枚の服を引っ張り出した。
襟元が少し特徴的な赤いシャツ。ポロシャツに分類されるだろうか。
「・・・これ、かな」
「普通ね、っていうか今着てるのとあんまり変わんないじゃない」
「ぐっ、うるせぇな。俺の好みなんだから仕方ないだろ」
「まぁまぁアリサちゃん、元々はイッキくんの服を買いに来たんだし」
すずかが仲裁に入り、「それに似たのを探せばいいんじゃない?」と提案した。
その提案を取り、イッキが自分の好みで選んだものを参考に、服選びは再開。
Tシャツ、パーカー、半ズボンなどを数種類の他に最小限の下着や靴下も購入した。
(シャマルの選んだものには彼女の個人的意図が感じられたため却下された)
146 :
217:2007/12/27(木) 11:07:46 ID:9c7jfzVl
ふとメダロッチに目をやると時刻は午後1時過ぎ。同時にお腹の虫が鳴いた。
思わずイッキは顔が赤くなってしまった。それを見たはやてはカラカラと笑う。
「あはは、そういえばお昼ご飯まだやったな〜」
「朝ご飯トーストだったしね。私もお腹すいた、かな」
フェイトもお腹をさする。彼女の今日の朝食はトースト2枚と目玉焼きだったが、
食パンはハラ持ちが悪いのだ。(というのは作者の勝手な意見である)
ちょうどお食事処フロアが近くにあるということで、昼食はそこで取ることにした。
―――ー
「美味しかったね〜」
「そうね、デパートもなかなか捨てたもんじゃないわね」
散々迷った挙句にチェーン店の定食屋に入り、食事を済ませて出てきた一同。
それぞれ食べたメニューの話題で盛り上がりながら意気揚々と暖簾をくぐった。
ある一人を除いては。
「・・・”こっち”にはカツカレーうどん定食がないなんて・・・」
イッキは大いに落ち込んでいた。
うどんの出汁でカツが絶妙に湿ったあの食感を味わえないことを酷く嘆いた。
「いつまで落ち込んでんのよ、たかが昼食でしょ?」
情けないわねー、と頭を垂れてトボトボ歩くイッキに呆れ顔をするアリサ。
(第一そんな語呂合わせみたいな大盛りメニューがあるわけないじゃない)
心のうちで突っ込んだがこれ以上言うのもバカみたいだと思い、口に出すのはやめた。
147 :
217:2007/12/27(木) 11:08:50 ID:9c7jfzVl
その後、はやての希望で買出しのために生鮮食品コーナーへ向かったイッキたち。
「そういえば、なのは。昨日あんた言ってたわよね?メダ・・・何とかがどうとか」
はやてとシャマルが献立のことで話し合いながら野菜をカゴに入れている隣で、
アリサは口を開いた。
イッキと一緒に時空を越えたメタビーのことはアリサたちにも伝えてあった。
最初のうちは二人とも「本当だろうか」と疑っていたが、徐々に興味が湧いたようだ。
なのはが嘘をつくような人間でないことはよく知っているし、何より彼女の仕事の話を
聞くうちに大抵のことでは驚かなくなっていた。
「メダロット、だよ。メタビーくんっていうんだけど、会ったら驚くよ〜」
「へぇー、そんなによく出来てるもんなの?フェイトも会ってるんでしょ?」
「うん、まるで人間みたいみたいなんだ」
フェイトは頷いた。一日過ごしただけでもメタビーは色々と印象に残っていた。
「あいつの場合は『人間臭い』って言う方が合ってると思うけどな」
白のパーカーのポケットに手を突っ込んで歩いていたイッキが口を挟む。
ちなみに、服を買った後そのままの格好でいるのは汚いとアリサ他多数に
指摘されたためイッキは試着室に強制連行され、
現在の白いパーカーと青いズボンに着替えさせられたのだった。
と、
「それで、いつ会うのよ?そのメタビーってのには。ここにはいないみたいだし」
ごく当然の疑問が出た。目の前にいない者と『会う』ことは不可能だ。
「イッキくん、転送ってどこでもできるの?」
今朝聞いた『メダロット転送機能』が気になっていたなのはは、その所持者に尋ねた。
その問いにイッキは「どうかな・・・」と少し考え、
「俺のいた世界では、よっぽど電波が弱いとこじゃなければどこでもできたけどな」
ま、たぶん大丈夫、と曖昧に答えた。
と、集団の後ろのほうを歩いていたすずかが急に何かを思いついたかのように
ポンッと両手を合わせ、
「それじゃあ、はやてちゃんのお買い物が終わったあとに私の家に行こうよ。
うちのお姉ちゃんメカとか好きだし、そんなにすごいロボット見たら喜ぶと思うの」
「忍さんに?」
「うん、ダメかな、なのはちゃん?」
両手を合わせお願いのポーズを取る彼女を見て、ひとまず思考するなのは。
はやての買出しはもう間もなく終わりそうだ。自分もこのあと特に用事はない。
とりあえず周囲に意見を求めることにし、
「フェイトちゃんはどう思う?」
訊いてみるとフェイトからは「いいと思うよ」との返答が来た。
次にアリサに視線を向けると、
「ま、珍しくすずかがこう言ってることだし、いいんじゃない」
と首を縦に振った。そっか、と頷き今度はイッキに意見を求める。
訊かれたイッキは腕を組んで黙考し、応えた。
「ん〜・・・しばらくはこっちにいるんだし、俺もすずかの家は見てみたいな」
ここじゃメタビーを転送するのもアレだしな、と付け加える。
148 :
217:2007/12/27(木) 11:09:45 ID:9c7jfzVl
3人の意見を聞いたところで、はやての方向に目を向ける。と、
「話は聞いてたで。うちは夕ご飯の用意があるさかい、先に帰らせてもらうわ」
今日の献立はちょっと時間がかかるねん、と言いはやては時計を見る。
女性の買い物は長い・・・というわけではないが、すでに午後4時を回っていることは
事実だった。
「そっかぁ、毎日大変だよね」
「あはは、まぁ長いことやってるし今は楽しんどるんよ。
特にヴィータはよく食べてくれるからなぁ」
「そうそう、はやてのメシはギガウマなんだーー!! ってよく言ってるよ?」
管理局の仕事で同行することの多いヴィータが事あるごとに言っていたのを
なのはは思い出した。
はやては嬉しそうに「ホンマに?じゃあ今日は腕によりをかけなアカンな〜」と言って
自分の右腕をポンポンと叩いてみせた。
ほなまたな〜、と手を振ってレジへと向かったはやて、シャマルと別れ
仲良し4人組+イッキはすずかの家へ向かうべく路線バスに揺られていた。
「さっきも言ってたけど、すずかの姉さんってそんなにメカ好きなのか?」
背もたれの後ろから聞こえたイッキの質問に、すずかは
「うん。私はよく分からないんだけど、機械相手に色々やってるとこをよく見るんだ」
席から少し身を乗り出して応えた。
ふーんと相槌をつくイッキ。
よくよく考えればメダロットはもの凄い技術の結晶なので、メカ好きの忍が見れば
大いに驚きと興味を示すだろう。
「あたしも最近忍さんには会ってないのよね、あと猫たちにも」
窓際の席で外を眺めていたアリサが独り言のように言った。
月村邸では、その広大な敷地を利用して大量の猫を飼っている。
ノラ猫がこっそり入っていてもバレないのではないかと思えるほど庭が広いので
何匹いるかは家主さえも把握できていないだろう。
「猫の数には私も最初は驚いたなぁ。イッキもたぶんビックリすると思うよ?」
「へぇ、そんなに沢山いるんだ」
フェイトの話に耳を傾けると同時に頭の隅で記憶を探るイッキ。
(俺の世界でそういう家を持ってるのはコウジとかカリンちゃんだな)
みんなどうしてんのかな、と向こうでの友人たちのことを思い出した。
149 :
217:2007/12/27(木) 11:10:51 ID:9c7jfzVl
間もなくバスは最寄の停留所に到着し、5人はステップを降り歩き始めた。
すずかの家までは2、3分といったところだ。
他愛もない話をしながら歩道を歩くイッキたち。
やがて、周囲の民家とは大きくかけ離れた立派な建物が見えてきた。
「ほら、見えてきたよ。あれが私の家」
「うっわ〜! デカいな、まるで家じゃないみたいだ」
イッキの正直な感想になのはは思わず微笑した。
自分が初めて月村邸に抱いた感想とまったく同じだったからだ。
「あれが見えてきたってことは、もう少しだね。忍さん元気かなぁ」
1分後、日本の民家にはほぼ存在しないであろう巨大な門をくぐり、
イッキは広大な庭へ足を踏み入れていった。
しかし、この「月村邸に行き、メタビーとみんながご対面」という
流れそのものが、後々に大きな誤算をはらんでいることに誰一人として気付くことは
なかった。
―――ー
メ「なーんかオレの出番がまったくなかった上に、次回は嫌な予感がすんだけど」
な「気のせいじゃない?」
フェ「確かに今回はイッキのストーリーがほとんどだったね」
メ「やれやれ。おいイッキ、次回はどうなんだ?」
イ「ああ、次回は『激走!メタビー大逃走』の巻、だってさ」
メ「なんだそりゃ? やっぱりいい予感がしねぇ・・・」
150 :
217:2007/12/27(木) 11:15:11 ID:9c7jfzVl
第6話投下終了!
長い間「ぜんたいていし」にかかっていました、申し訳ない!
ほとんどの方が存在すら忘れていると思いますが、リリカル魂の者です。
これからまたチマチマと書いていこうと思うので
お邪魔じゃなければよろしくお願いします!
なの魂の次にリリ魂が来たのか……。
両方ともGJ。
職人の皆様GJです
…やっと感想が書ける…
>>戦国の鉄の城氏
戦闘機人モードのスバルを圧倒って、信長凄…
…さて、ホンダムは一体どうなったことやら…
>>リリカル武者○伝氏
前に連載してたスレ見てなかったので展開知りませんが、楽しめました
トッキー…こんなズタボロになって、ちゃんと復活できるんでしょうか…?
>>StS+ライダー氏
アリサが矢車さんみたいな事に…
包帯の人が…包帯の人がぁ…(;0M0)<ウワアアアアアアアアアア!!
>>なの魂の人氏
こ、このダメガネクアットロが…ッw
桃子さんそれ宣伝じゃないから!荒らしとかチェーンメールとかそういう類のものだから!
>>217氏
…カツカレーうどん定食って、どんなのでしたっけ?
次回メタビーがえらいことになりそうですね…今のうちに祈っておきます。AMEN.
153 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 13:21:28 ID:ghJFuS1X
>>152 まぁ、あっちの世界はハリセンや長ネギで人が殺せてしまうかr(ry
で、30分ぐらいにホンダム投下いいですかね?
>>136 アホばっかすぎて笑えますwww
ネコミミ騎士甲冑に期待。蝶期待w
つか近藤さん、過去ログくらい嫁wwwwww
155 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 13:32:19 ID:ghJFuS1X
えっと・・30分になったので投下したいと思います。
156 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 13:33:56 ID:ghJFuS1X
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜
第八話「戦国最強がいなくなった世界/戦国最強が戻ってきた世界」
「・・・・」
すっかりただの瓦礫となった機動六課本部。
その部隊長室だった場所に佇む部隊長、八神はやて。その手にはかつて本多忠勝が背負っていた紋章。
しかしその紋章もボロボロになる。肝心の本多忠勝は、死亡者扱い。はやてはやりきれない気持ちでいっぱいだった。
誰もいないその場所で、紋章を抱いて崩れ落ちるはやて。
「・・・守るって・・守るって約束したはずやのに・・・・したはずやのに・・・守れん・・かった・・・!!」
紋章に雫が一つ、それは優しき夜天の王の目から流れ落ちた、涙。
「さすがの俺様でも、こういうときは見守るに限るね・・・。」
元親に連れられ六課に来た佐助は物陰に隠れ、ポツリと呟く。
「で・・貴方達は忠勝さんの・・知り合いなんですか・・・。」
フェイトは一人の男と話をしている。が、非常に話しにくそうにしている。
理由は、その男が大きすぎるのだ。その身長は軽く行っている。
「うむ・・・。しかし本多が・・死んだだと?」
その男、豊臣秀吉はまだ疑っていた。
戦国最強であるはずの男が死んだ。にわかには信じられないことだ。
フェイトは目を逸らし、語るのも辛そうにしている。
「えぇ・・・。ガジェットドローンの大群にたった一人で挑んで・・・。」
「すまない、古傷を抉ってしまったようだな。」
「いいんです・・事実ですから・・それより、私と一緒に来てください。」
「応。」
秀吉、フェイトは長い廊下だった場所を、歩き始める。
157 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 13:34:58 ID:ghJFuS1X
「えっと・・じゃあ元親さんは忠勝さんの知り合い・・で、鬼ヶ島の鬼・・と?」
「見かけは人間に見えますが・・。」
「オイオイ、鬼ヶ島の鬼は通り名だ。意味を鵜呑みにするんじゃねぇよ。」
エリオ、キャロと話しているのは長曾我部元親。
彼はなのはに言われ、エリオとキャロをお見舞いに行って緊張をほぐしてきてほしいと言われここに来た。
ちなみに元親、子供は苦手だ。
(ったく・・・なんで俺がガキの相手を・・第一今落ち着くべきはアンタの方だろうが・・・)
心の中でぼやくが彼は気づいていない。
元親のおかげで少し、二人の表情は何か吹っ切れたような感じをしていた。
病院の一室に、風魔小太郎とスバルはいた。
だが、どちらも話そうとはしない。むしろ、この静寂が気持ちよかった。
スバルは風魔がお見舞いに来てくれたのでなんとか元気な姿を見せようと振舞った。
風魔のほうはスバルの言葉に耳を傾け、窓を開けて風景を眺めていた。
で、自分も何があるんだろうと思い、風景を眺めている。わずかに吹くそよ風、ゆれる木々、舞う葉。
「ねぇ、風魔さ・・・あれ?」
横を見ると、誰もいなかった。
「スバルー、入るわよー。」
同時に入ってきたティアナ。ティアナはスバルの顔を見るとちょっと意外そうだった。
「どうしたの?なんか、顔色、よくなってるわよ?」
「え・・ええ?そうかなぁ・・・?」
きっとそれは、風魔独自の励まし方・・・なのかもしれない。
結構無理やりだが。
古傷になるの早くね?
支援
159 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 13:36:21 ID:ghJFuS1X
「・・・かつ・・・ただ・・・・ただ・・・!」
どこからか自分を呼ぶ声が聞こえる。その声は懐かしく、聞きなれたもの。
声はだんだんと大きくなり、自分の視界も明るくなる。
「忠勝!!おぉ、起きたか忠勝!!はっはー!!」
大喜びで叫ぶ黄色い鎧を着けた男。それは自分もよく知ってる男であった。
主、徳川家康。主がここにいるということは、自分は戦国時代に戻ってきたのか?
そんなことはありえない。自分は今敵と戦っている。早く起きて殲滅せねば!!ヴィヴィオが連れ去られる前に!!
「おわっ!?どうした忠勝!?」
現実は無情であった。見慣れた木造の壁。・・・本当に戻ってきたみたいだ。
何故だろう、いい気分が全然しない。
よく見ると体は上半身右半分、そして頭だけだ。喜ぶ主には悪いが、今自分はとても虫の居所が悪い。
だが、主は
「落ち着け!今この町一番の技師を呼んできて新しい体と武器を作ってやる!!そしたらもう一度オメェが行ってきた世界で、守りたいものを守るのだ!!」
・・・やれやれ、主、私の頭の中を探りましたね。
「ただし!!条件がある!」
条件?何のことだろうか。主は満足げに三つの宝石を取り出した。
黒、金、桃の三つの宝石。
「まだ実験段階だが・・・持っていけ。きっとあっちでオメェの役に立つはずだ!」
新しい兵器ですか。わかりました。その条件、飲みましょう。しかし、早くしてくれると・・・ありがたい。
早く・・・ヴィヴィオを助けにいかねば!!
その頃ミッドチルダでは機動してしまった聖王のゆりかごを止めるために戦艦、アースラに六課メンバーとHERO、つまり
風魔小太郎達が集められていた。途中で映し出されたニュースの映像、スカリエッティの犯行声明だった。
そこに映るは助けを呼ぶヴィヴィオ。ゆりかごの船首に仁王立ちする第六天魔王。
ガジェットドローンの大群。・・・そして、量産された戦国最強、本多忠勝。
アースラメンバーはその映像に驚愕しながらも、それぞれの戦場に赴く。
160 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 13:37:37 ID:ghJFuS1X
投下終了。
古傷の件は・・うん、他に表現が(ry
そして気付く。秀吉達は空飛べねぇ。
>>160 GJです
量産型忠勝部隊…勝てる気がしないのは気のせいでしょうか(^_^;)
表現の方は傷口に塩を塗るとかどうでしょう。
162 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 14:05:01 ID:ghJFuS1X
>>161 量産すると弱体化するのが世の流れ(オイ
傷口に塩を塗る・・。なるほど、その表現があったか。
アドバイスありがとうございます。
GJです
スカリエッティ…あんた何てものを作ってるんですか…勝ち目無さすぎて泣けてくる…
…でもこういうのって、後から出てきたオリジナルに秒殺されるのが世の常、ですよね…
よし、誰かデモンベインを招喚しろ
誰が召喚するんだ。誰が。
皆々様GJです!
私も随分と時間かかりましたが、仮面ライダーカブト第3話「矢車」。投下しようと思います。
よろしいでしょうか?
もちろん支援ですよ! しかし相変わらず支援とGJが間に合わねえ…皆さんGJです。
特に戦国氏、忠勝の強化に期待してます。 それとなの魂氏、八神家ギャグパートと一期のシリアスパートを平行って凄すぎですよ…
168 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:16:31 ID:kGaRcoAa
「これは……」
シグナムが立ち止まり、道端に落ちている青いプレートに視線を落とした。
「看板……だね。標識みたいな物だよ」
「それは解っているが……」
それにつられたフェイトも立ち止まる。
看板は、かなり砂を被っており、非常に見にくくなっているが、これは間違いなく「この先○m」系の看板だ。
矢印が指す方向は、このまま真っ直ぐ。直線ルート。
そしてその先にある場所は。
「海鳴市……か。」
「みんな、元気にしてるかな……?」
「どうだろうな……だが海鳴には、ディスカビル家の姉弟が居た筈だ。そう簡単にワームの侵入は許さんだろう」
「あの人達……凄く強いですからね。シグナムとも互角に戦えるんじゃ無いですか……?」
「それはどうだろうな……まぁ、実力は認めてやってもいいが」
シグナムの返事を聞いたフェイトは、クスクスと微笑みながらも、再び歩き出した。
最後に「この先海鳴市」と表記された看板の砂を軽く払って。
行く先は海鳴市。なのはやフェイト、はやて達が育った街だ。
さて、ここで一度視点をZECT本部へと変えよう。
両手を広げ、ムスッとした顔でベンチに座るヴィータに、なのはが近寄る。
「あ〜……暇だ……」
「にゃはは……ヴィータちゃん、最近ストレス溜まり気味みたいだね〜……」
「そりゃそうだろ。ZECTの奴ら、模擬戦も訓練もさせてくれねぇんだからさ」
「ま、まぁ……一般のゼクトルーパーさんじゃ私達の相手にならないし、何よりもその為に費用を裂いてはくれないからねぇ……」
「ああ、ZECTの新人連中を訓練してやる方がよっぽど楽しいよ。これじゃ」
ヴィータは大きなため息を落とした。
こんな言われ用だが、一応ゼクトルーパーもそれなりの戦闘力を有している。マシンガンブレードと呼ばれる主装備も、意外と高性能だ。
だが、それでもワームに対しては決定打にはなり得ない。だからこそ常に徹底したフォーメーションで集団戦闘を行っているのだ。
そういった面があるからこそ、矢車の言う「完全調和」や「完全作戦」といった思想が重要視されるのだろう。
なのは達の戦闘スタイル一デバイス一は、根本的な設計思想がZECT製ライダー、及びトルーパーとは異なる為に、相入れるのは難しい。
一応八神班にもゼクトルーパーは配属されているが、あまり活躍の場は与えられないという。
ならば普段なのは達は何をしているのか?という事になるが……
「確かに……本番と新人訓練以外だと、私たち待機してるしかないもんね」
「皮肉だね……ワームが居なくっちゃ私達の存在意義を証明できないなんて……」
そう、なのは達は普段は待機しているしか無いのだ。ZECT側から見れば、ワームが居て、それを撃退する事がなのは達の主な存在価値なのだから。
故にワームが現れなければ、ほとんどする事が無い。
「それは、ワームが居て欲しい……と取れるぞ?高町」
「あ……矢車さん!」
「よ、矢車」
169 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:23:03 ID:kGaRcoAa
ベンチの後ろから現れたのは、ZECTのエリートとして、数々の戦果を挙げてきた男……矢車だ。
左手には黄色いブレスが輝いている。彼もまた、マスクドライダーなのだ。
「お前達の気持ちは解るが、平和に越した事は無い。物騒な事を言うものじゃ無い」
「にゃはは……ごめんなさい……」
「それはそうと矢車、お前こんなとこで何してんだよ?」
ヴィータに問われた矢車は、相変わらずどこぞのウラタロスのような動作をしながら、ヴィータに向き直った。
「お前達と同じだよ。俺だって暇な時はある」
「じゃあさ、矢車! また私達に麻婆豆腐作ってくれよ!」
待ってました!とばかりに身を乗り出すヴィータ。
「あ、いいねそれ! 私も久々に矢車さんの麻婆豆腐食べたいかも!」
「ヴィータ、高町……俺よりも八神隊長に作って貰えばどうだ?彼女も料理は得意らしいじゃないか」
「はやてのはいっつも食べてんだから、たまには矢車のが食べたいんだよ! なぁ、なのは!」
「うん……矢車さんの料理はたまにしか食べられないからね」
「はぁ……全くお前達は……仕方ない。俺がとっておきを作ってやろう
調度昼飯もまだだからな」
二人の熱意に押された矢車は、しばし考えた後、ため息をつきながらもそれを了承した。
一方、話題に上がった八神隊長……もといはやて達は、ZECT本部ビルの屋上にいた。
基本的に屋上には誰もおらず、今ははやてとシャマル、リインしかいない。
屋上の床に座っているはやての横には、開けっ放しにされた横長のアタッシェケースが転がっている。
「やっぱ何回見ても綺麗やなぁ〜」
「綺麗ですねぇ〜」
はやてに続いてリインが復唱する。はやてが太陽に向かって突き出しているのは、紫の刀。お馴染みサソードヤイバーだ。
サソードヤイバーの漆黒の刃は太陽の光を反射し、美しく煌めいている。
刃を伝う血のようなラインは、オレンジに煌めき、それは誰が見ても美しいと感じるであろう輝きを放っていた。
「この光沢感、そして鋭く輝く漆黒の刃! やっぱ本物のライダーシステムは格が違うな〜」
「そうですねぇ〜、一度変身してみたいですよね〜」
今度はサソードヤイバーの裏側を天に向け、両手に乗せるように持つはやて。
「リインはサソードに変身した人にユニゾンしたら一応変身したってことになるんちゃう?」
「あっ! それもそうですね! ならやっぱりシグナムに……」
「単純過ぎですよ、リインちゃん」
今まで微笑ましく二人を眺めていたシャマルが口を開く。
「そぉやでリイン。それにこれをシグナムに届ける事自体ちょ、厳しいんやし……」
「……ですよねー……」
しょんぼりするリイン。
まるで数年前、はやてに「マシュマロありますか?」と聞いて「断固ないよ」と返された時のようにしょんぼりしている。
170 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:29:00 ID:kGaRcoAa
「まぁまぁリイン、これあげるから」
「わぁ〜マシュマロですーっ♪」
はやてにマシュマロを渡されたリインは、目を輝かせながら自分の顔よりも大きいマシュマロに顔を埋めた。
実に幸せそうである。見てる方まで幸せになってくる。
「……で、はやてちゃん。この刀、私はやっぱりシグナムに渡した方がいいと思います……」
「……なんでなん? シャマル」
「だって、ZECTはシグナムを資格者に選んだんでしょう? なら、ちゃんとシグナムに渡さなきゃ、私達も命令違反になるんじゃ……」
「……それはそうやねんけど、シグナムにこの刀を渡して、その後はどうなると思う?」
「……やっぱり、ワームの駆除と、ネオゼクトの排除……でしょうね……」
「私が知る限り、マスクドライダーは、カブトと試作型を除いたらZECTかネオゼクトにしか所属してへん。
二色に別れてもうた旗はお互いを潰す為に戦い続けてる。それも人間同士で、や。」
「……それは……」
さっきまでの浮かれたテンションとは打って変わって、急に真面目な表情になったはやてに、シャマルの表情も自然と曇る。
「私はシグナムをそのどっちかに色分けしたくは無いんよ……。分かるやろ? シャマルも……」
「……はい……。」
「だから、しばらくは私らが預かっとく。それが何の解決にもならへん、問題を先延ばししてるだけって事は分かってる。
それでも、割り切られへん事かてある……」
言いながらはやては、サソードヤイバーをアタッシェケースにしまい込みながら、作り笑顔を浮かべた。
「ちゃんとした判断も下されへん……私は部隊長としては失格かもしれへんな」
「……はやてちゃん……」
「ごめんな、シャマル。私がしっかりせぇへんばっかりに、こんなややこしい事になってもうて」
「……そんなこと無いですよ。はやてちゃんは立派な隊長です!
だから、シグナムの事も心配してるんじゃないですか」
「そうですよ! はやてちゃんは最高の隊長ですっ!」
「シャマル、リイン……」
シャマルとリインは、はやてに優しく微笑んだ。一応リインはマシュマロを食べながらも話は聞いていたらしい。
そんな二人の笑顔に、はやてもつられて笑い始める。
「……そぉやな。私がこんなしょんぼりしてたらアカンな。ありがとう、リイン、シャマル……!」
言いながら立ち上がったはやては、リインに二つ目のマシュマロを差し出した。取りあえずは元のテンションを取り戻した様子だ。
「じゃあ、お昼ご飯食べ行こか!」
「「はい(です)!」」
元気よく返事を返す二人。
そんなはやて達三人を、屋上の入口付近からずっと覗いていた一人の男が居た。
まるで一昔前の映画に出てくるスパイの様に、物影に背中を合わせながら、その男ははやて達に冷たい視線を送っていた。
やがて「ニヤリ」と、不敵に笑った男は、はやて達がこちらに歩いてくる前に移動した。
黒いスーツを身に纏い、長い前髪を揺らしながら、男−影山 瞬−は笑っていた。不気味に、唸るように。
「いい話を聞かせて貰ったよ」とでも言わんばかりに。
171 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:42:00 ID:kGaRcoAa
数分後。ZECT・隊員用食堂。
なのはとヴィータは円形のテーブルに着席し、キラキラと目を輝かせている。
テーブルの前に立った矢車は、ザビーマークの施されたマントを外し、スーツを脱ぎながら、優しい笑みを浮かべた。
「今から厨房を借りて来る。お前達は大人しく待ってろ。
俺が完全な麻婆豆腐を食わせてやる」
「はぁ〜いっ!」
「楽しみにしてるからな、矢車!」
嬉しそうな二人の顔を見た矢車は、「クスッ」と笑いながら厨房へと向かった。どうやら矢車も満更では無い様子だ。
料理人にとって1番の喜びとは、それ即ち「料理を食べた客に喜んで貰う事」。
自分に期待して待っていてくれる二人の為にも、まずい料理を作る訳には行かない。
矢車が厨房のドアを開けようとした時だった。ここで追加客の登場だ。
「あ、なのはちゃんにヴィータや〜ん」
「おう、はやてとシャマルじゃねーか! お前らも来いよ、矢車が麻婆豆腐作ってくれんだ!」
現れたのは、さっきまで屋上にいた八神ファミリーの皆さんである。
「矢車さんの麻婆豆腐? 懐かしいなぁ〜」
「ええ、最近食べてなかったですよね」
「私は一回も食べた事無いですっ!」
はやて、シャマル、リインの三人はいかにも「私達も食べたいな」的なオーラを振り撒きながら、着席した。
「仕方無い……八神、シャマル、リインフォース、お前達の分も作ろう。席に座って待っててくれ」
これはもう作るしか無いだろう。矢車は三人に「仕方ない奴らだ……」と笑いながら言った。
すると、何か思う事があったのか座りかけたはやてが立ち上がり、矢車へと駆け寄る。ちなみにリイン付属だ。
「……じゃあ私も手伝います」
「はやてちゃんが行くなら、私も行きますっ!」
「……いいだろう。君は料理も上手いと聞くからな」
「その料理を実際に披露して見せます。私なりの、パーフェクト・ハーモニーで!」
「フフ……そうか。なら一緒に奏でるか、パーフェクト・ハーモニーを……」
「はい!」
微笑む矢車に、はやては力強く頷いた。
一方……
「はやてちゃんが行くなら、私も一緒に作ろっかな♪」
シャマルが席を立とうとした瞬間、ヴィータがシャマルの白衣の袖を掴んだ。
「落ち着けシャマル!!」
「え……ど、どうしたの?ヴィータちゃん……」
「止めてくれ! お前の料理が美味いのは十分分かってる! だから止めてくれ、頼む!」
「う、うん……その通りだよシャマル先生! 私達は大人しく矢車さんの料理を待っておこうよ?
ほら、矢車さんも大人しく待ってろって言ったなの!」
青ざめた顔をしながらシャマルを宥めるなのはとヴィータ。混乱のためか、なのはに至っては語尾に変な言葉がついている。
「な……なんか二人共必死じゃない……?」
「そんな事ねーよ! なぁ、なのは!」
「うんうん! 全然必死じゃないよ!?」
「ま、まぁ二人がそう言うなら……」
激しく頷くなのはを見たシャマルは、再び着席した。
そんなシャマルに、なのは達はホッと胸を撫で下ろすのであった。
172 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:45:52 ID:kGaRcoAa
さて、いよいよZECT隊員食堂の厨房でパーフェクトハーモニーが奏でられようとしていた。
「まずは材料だ。だいたいの物は揃ってると思うが……」
「えーと……まずは絹ごしに、豚挽き肉……それからニンニクに……」
テキパキと材料を揃えて行くはやてを見た矢車は、「ほぅ……」と頷く。
どうやら料理が得意と言うのは嘘では無いらしい。
矢車も、はやてがまだ集めていない材料を厨房の中から探し出す。
トウバンジャン・テンメンジャン・長ネギ、トリガラスープと、矢車もテキパキと作業をこなして行く。
「ん……待てよ……?」
「どうしたんですか? 矢車さん」
「八神、お前……この厨房を使った事があるのか?」
「え……いや……まぁ、はい。たまに使わせてもらってます……」
「そうか……だからそんなに食材の場所に詳しいんだな」
あはは〜と苦笑いするはやての言葉に納得した矢車は、再び食材集めを再開した。
ちなみに、矢車もはやても上着を脱いで、エプロン着用という家庭的な姿をしている。
「……あ、矢車さん! それマシュマロですー!」
「ん……あぁ、そうだな。リインフォースはマシュマロ好きなの?」
「はいですっ!」
リインが指差したのは矢車の右隣り。そこにあるのはマシュマロ。
矢車は、マシュマロに手をかけようとして、そこで異変に気付いた。
「なんだ……マシュマロ、少なくないか……?」
「あー……矢車さん!そんなことより早く麻婆豆腐作りましょ! 皆待ってますやん!」
「そ、そうだな……」
マシュマロの数が極端に少ない事に気付いた矢車だったが、今はそんなことどうだっていい。
なのは達が腹を空かせて待っているのだ。早く麻婆豆腐を完成させねばならない。
一方のはやては、そっとスカートのポケットに入ったマシュマロを奥に押し込んだ。
「さて……これでだいたい揃いました?」
「八神、お前は大切な物を忘れてるぞ?」
「え……?」
「四川花椒粉だ。あれが無ければ話にならない……」
言いながら矢車が取り出したビンには、赤い粉が詰まっていた。そのビンを「ドンッ」と台に置いた矢車は、言った。
「四川花椒粉は俺の麻婆豆腐の命……言わばパーフェクトハーモニーの命。絶対に欠かす訳には行かない……!」
「さ、さすが矢車さん……!」
「んーと……しせんほわじゃんふん……?」
二人のやり取りに着いていけないリインは、口に手を当てながらはやての回りを飛び回っていた。
四川花椒粉とは、麻婆豆腐等の中華料理に用いられる粉末の事で、一降りするだけでピリッと本場に近い味に仕上げる事ができるスグレモノだ。
矢車は料理の途中に小さじ一杯ほど使うつもりだが、この粉末はインスタントの中華料理にも使える。
完成した中華料理にサッと一降りするだけで、矢車も認める程の味になる事だろう。読者の皆様も是非お試しあれ。
173 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:50:15 ID:kGaRcoAa
矢車とはやてがパーフェクトハーモニーを奏でている間にも、なのは達サイドでは新たな人物が登場していた。
「これはこれは、八神班の皆さんじゃないか。こんなところで皆揃って、何してるんですか?」
「あ……貴方は確か……えーと……」
現れたスーツの男の名を思い出そうとするシャマル。だが、微妙に影が薄いためにどうしても思い出せない。
そんなシャマルに合いの手を入れたのは、ヴィータだった。
「お前は、影山瞬……ッ!」
「矢車さん率いる精鋭部隊の副隊長を勤める、若きエース……
聞く所によれば、矢車さんにも認められる程のAボーイだとか……!」
「最後のは関係無いだろ!だいたい、なんでそんな事知ってるのさ!?」
妙に詳しい解説を入れるなのはにツッコミを入れる影山。
「今私らはお前んとこの隊長が作る料理を待ってんだ。良かったらお前も座れよ」
「矢車さんの料理!? 当たり前だ、副隊長の俺が食わない訳無いだろ!」
言いながら堂々とイスを引き出し、座る影山。その光景に、なのははクスクスと笑みを浮かべた。
それが気に入らない影山は、腕を組みながらなのはに視線を向ける。
「……何がおかしいんだよ?」
「いや、本当に矢車さんを慕ってるんだなぁって思って……♪」
「……当たり前だろう……」
少し俯き、これまた少しだけ穏やかな顔をする影山。
「……矢車さんは俺達の目標だ。矢車さんのパーフェクトミッションは、いつだって俺達チームを勝利に導いてくれた……
俺だって、何度矢車さんに助けられた事か……」
「そういうとこが矢車のいいとこなんだよなー。
あいつは絶対に味方を犠牲にしない。上層部の腐った奴らと違ってな」
「それに、矢車さんのチームはチームワークも凄いらしいしね。皆、矢車さんだからこそ着いて行くんだよね」
矢車を褒めるなのはとヴィータ。影山は、これ以上何も言わずになのは達から視線を外し、どこか遠くを見つめていた。
矢車とはやては、フタが閉められた鍋を眺めながら、麻婆豆腐の完成を心待ちにしていた。
鍋の中に入っているのは、大きめに切られた豆腐に、二人で一緒に作ったスープ。
「そろそろか……」
「うん、もういい頃合いやね」
矢車は、煮込んでいた鍋のフタを開けた。同時に二人の鼻先を、麻婆豆腐の芳しい香りが撫でる。
「うん、いい匂い……!」
「まだ完成してないぞ、八神」
「わかってますって。ここに、さっきみじん切りにしたネギを入れる……っと!」
はやてはまな板から、細かくみじん切りされたネギを鍋に落として行く。
それに続き、矢車がスプーンに乗せた赤い粉を鍋の上に持ってくる。
「そしてここで四川花椒粉を使うんだ」
「うわぁ……めっちゃ美味しそう……!」
「早く食べたいですっ!」
四川花椒粉を振り終わった矢車は、二人を宥めるように別の袋を取り出した。
「まぁ少し落ち着け。逸る気持ちは解るが、ここからが仕上げだ」
「それは……かたくりこ……ですか?」
「そうだ、リインフォース。片栗粉で、このスープ状の麻婆豆腐にとろみを付けるんだ」
「そしたら完成やで、リイン!」
リインは目を輝かせながら、「わはー」っと言っている。純粋な子供の如き笑顔で、キラキラと輝く目。とても微笑ましい。
174 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:55:02 ID:kGaRcoAa
それから数分が経過しての事だ。
「おっ、はやてー!出来たのか?」
「うん、ヴィータ! これが私らのパーフェクトハーモニーや♪」
なのは達の元に、矢車とはやてが皿を持って現れる。矢車、はやて、なのは、ヴィータ、シャマルと、5人分の皿だ。
しかし、そこにいたのは6人。当初の人数よりも一人多い。
「なんだ、影山も来てたのか」
「はい! さっきたまたま、高町達を見かけたので、俺も気になって着いて来たんです」
「そっかぁ……影山くんも麻婆豆腐食べたいやんなぁ」
はやてが、困った顔で言った。麻婆豆腐は5人分しか作っていないのだ。このままでは影山だけ麻婆豆腐無しという事になってしまう。
「影山くんには悪いけど、麻婆豆腐5人分しか作ってないんよ……どうします?矢車さん……」
「ふむ……仕方ない。影山には俺のをやろう」
「いいんですか!? 矢車さん!」
矢車の言葉に、喜々として身を乗り出す影山。
「ああ……可愛い部下の為だ。八神と一緒に作った麻婆豆腐を食べられないのは残念だがな……」
「すみません……俺のせいで……」
「いや、気にするな。影山がこれを食べて喜んでくれるなら本望だ」
矢車の暖かい言葉に、影山は嬉しそうに礼を言いながら、再び着席した。
矢車とはやては皿をテーブルに置いて行く。残念ながら矢車の分は無いが、それ以外の5人にはちゃんと行き届いた。
一同はスプーンを手に取り、揃って「いただきます!」と合掌した。
なのはも、シャマルも「美味しい!」と絶賛しながら麻婆豆腐を口へと運んで行く。
「凄い美味しいよ! ピリッと辛くて、まさに本場って感じなの♪」
「当たり前だ! 矢車さんの麻婆豆腐は世界で1番美味いんだからな!」
なのはの言葉に嬉しそうに返す影山。影山自身もガツガツと、大層美味しそうに平らげて行く。
「……どうだ、美味いか? ヴィータ」
「ああ、すっげー美味いっ! 流石矢車だよ!」
「それは良かった。だが、これは俺一人の料理じゃない。八神隊長と一緒に作れたからこそ、出来た味だ」
幸せそうな顔で言う矢車。そんな矢車に、はやては少し照れながらも反応した。
「そんな事ありません。私なんてほとんど手伝いくらいしかできへんかったし……」
「いや、八神の調理もこの料理の味に大きく関わってる」
「私の調理……?」
「ああ、そうだ。さっき少し味見したが、やはり俺一人で作った時とは味が違う。」
説明を始める矢車。矢車もはやても、厨房で一度味見をしている。
というのも、料理人は自分で作った料理を、いきなり他人に食べさせる事はまず無い。どんな味かも解らない物を客に出す訳にはいかないからだ。
それに何より、味見をしない事にはどんな味かなど解る筈も無い。自分自身で味を確かめる事もまた、料理人の責任なのだ。
……とまぁ、長ったらしい説明はここまでにしておこう。再び矢車の説明に戻る。
「俺一人では、ここまで素材の個性を引き出す事は出来なかった。この味は、八神がいたからこそだ」
「でも、矢車さんの料理はいつも美味しいですよ!」
割り込みをかける影山。
「確かに俺一人でも、パーフェクトハーモニーを奏でることは出来るが……
それは俺のパーフェクトハーモニーだ。」
「俺の……?」
「そうだ。料理は確かに美味く出来るが、それは俺の腕が完全だったからだ。
一つ一つの素材のハーモニーにまで気を配ってはいなかった。」
175 :
マスカレード:2007/12/27(木) 15:59:25 ID:kGaRcoAa
矢車の説明に、なんとなく頷く一同。「へぇ〜……」という感じだ。本当に理解しているのかは些か疑問だが。
そんな中、矢車ははやてに向き直った。
「今回の料理は俺と八神が二人で奏でた完全調和だ。また一つ、勉強になった」
「いえ……そんな……♪」
はやても少し照れている。
矢車の言う完全調和とは、矢車自身の料理の腕の事。自分の腕に頼る余り、素材一つ一つの個性を忘れていたのだ。
はやてと一緒にハーモニーを奏でる事で、矢車はその事実に気付いた。気付いた所ですぐに会得出来るとは限らないが、それでも意味があった。
だから矢車は、感謝の意を込めて、軽くはやてにお辞儀をした。
そして、「矢車の料理は素材一つ一つの個性が引き立っていない」という言葉は、皮肉にも、もう一つの世界で、『天の道を往く男』に言われた言葉でもあった。
それからしばらくして、一同が麻婆豆腐を半ば完食していた時だった。
はやてとシャマルが座っている席の間に、ZECTロゴが施されたアタッシェケースが見える。
影山は、一瞬ニヤついた後、話を切り出した。
「そういえば、八神班にもライダーシステムが回ったらしいねぇ?」
「それがどうしたんだよ。んな事前にも言っただろ?」
「……いやぁ〜、誰が変身するのかなぁ〜って思ってさぁ」
突然話し方が嫌味口調になった影山を、ヴィータが怪訝そうに睨んだ。
「それは俺も気になっていた所だ。誰が変身するんだ?」
「それが、まだ決まって……」
「あ〜、そういえばさぁ、八神班全員揃って無いんじゃないかなぁ? あの騎士の女とかさ」
なのはの言葉を遮る影山。目が嫌味モードに入っている。明らかにシグナムの事を言っている。
流石に不自然に思った矢車は、影山を見据え、言った。
「影山、言いたい事があるならハッキリと言え。回りくどい言い方ではちゃんと伝わらないぞ?」
「いえ、別に何も? ただ、ちょっと気になっただけで……」
その時であった。
矢車やなのは達一同の耳に、聞き慣れた声が聞こえて来たのは。
「矢車ぁ? お前、なぁにをしてるんだ?」
現れたのは、ZECT士官隊長クラスの制服を身に纏い、肩にはケンタウルスオオカブトを摸したZECTロゴが施されたマントをかけた男。
ヴィータもウンザリした表情で、男に視線を送る。
「ゲッ……大和……」
「大和戦闘部隊長……」
「大和さん……大和さんもお昼ご飯ですか?」
ヴィータに続き、はやてとなのはも口を開いた。
読者の皆さんにはもうお解りだろう。そう、その男は八神班とは少々仲が悪い事で有名な男……大和鉄騎である。
「俺は今から昼飯だ。それより矢車……お前、こんなところでこんな奴らと何をしてるんだ?」
「なに、少し昼食をご馳走したまでです」
「ほぅ……?」
眉間にしわを寄せながら、矢車を睨む大和。矢車は矢車で、表情一つ変える事無く大和の目を見据えている。
176 :
マスカレード:2007/12/27(木) 16:11:59 ID:kGaRcoAa
「誤解なさらないように。俺は彼女達に特別な感情を抱いている訳ではありません」
「あくまで上司として……か?」
「はい。その通りです。彼女らもまた我々と同じZECTの隊員です。
戦闘時のチームワークや、士気にも関わります故、こうしてミーティングを兼ねて食事をご馳走しただけですよ」
大和は目を閉じ、ゆっくりと頷く。「ほぉう……」という感じにゆっくりと、何度も。
「(なぁ……私らミーティングなんてしてたか?)」
「(黙ってなさい、ヴィータちゃん!)」
小さな声でシャマルの耳に囁くヴィータ。シャマルは、何の動きも見せず、思念通話でヴィータを黙らせた。
今は余計な事を言わずに、矢車に任せるのが得策だ。
「……それが何か問題でも?」
「……いや、素晴らしい考えだ。矢車」
「お褒めに預かり、光栄です」
大和は矢車を指差しながら、「フン……」と嘲笑するような素振り見せる。
対する矢車も、唇を吊り上げ、ニヤッとした表情を見せ、お辞儀をする。
「お前の考えは解った。それでこいつらが少しでも役に立つといいなぁ? 矢車ぁ?」
「はい。俺に任せて下されば、マスクドライダーシステムを配備された彼女らが奏でるハーモニー……
いや……パーフェクトミッションはより完全な物となるでしょう」
嫌味ったらしくなのは達を指差す大和に、矢車はいつも通りの仕草で答えた。
なのは達は忘れていた。矢車はZECT一の策士と呼ばれる程の男である事を。
矢車は今、大和を敵に回す事無く、なのは達及び自分の弁護をしたのだ。少し考えれば思い付くような言葉だが、大和にはこれで充分だ。
「いい上司を持ったなぁ?八神ぃ……」
大和は「フン」と嘲笑うと、なのは達の前から姿を消し……
「あ〜、そういえば、八神班に回された筈のライダーシステム、なんでまだこんなとこにあるのかなぁ?
一体誰が装着するんですか?八神隊長?」
消さなかった。影山が突如、大きな声でそう言ったのだ。
大和も立ち止まり、鋭い目で影山を睨む。そして次に大和が視線を向けたのは、はやての足元に置いてあるアタッシェケースだ。
「ネオゼクトやワームが活動してるって言うのに、いつまでもこんな所にライダーシステムがあるのはおかしいんじゃないですか?」
またしても大きな声ではやてに質問する影山。大和も矢車も、黙ったまま影山を見詰めている。
一方のはやては、「何を言い出す気だ」と、冷や汗を流しながら影山を見やった。
刹那、はやては「ゾクッ」という擬音と共に、背筋が凍り付く様な感覚に襲われた。
「(な、なんや……あの表情は……?)」
はやてがそう思うのも無理は無い。影山は、笑っていた。これ以上無いという程、口元を吊り上げ、嫌味な表情で。
それも大和には見えにくい角度で、はやて達にだけ見えるようにニヤニヤと笑っているのだ。
「(影山くん……あんた、一体何が言いたいん……!?)」
はやては影山と大和、そして矢車へと視線を泳がせた。
一方、ZECT本部から数十km離れた荒野。
砂にまみれた青い看板の前に、一人の男が立っていた。全身白い服を身に纏い、白いテンガロンハットにサングラスをかけた男だ。
「海鳴……か」
最近誰かに砂を払われたのであろうその看板には、海鳴市へと続く矢印が描かれていた。
男は知る由も無いが、これは先刻、フェイトとシグナムが通り、その砂を払った看板である。
ややあって、男はサングラスを外し、眩しい太陽に目を細めながらもフェイト達が通った道を見つめた。
「海鳴……この道が俺の往く道……」
それだけ言うと、再びサングラスをかけ、肩に掛けた荷物を持ち直した。
「……そして俺の往く道は……天の道。」
男は再び歩き出した。海鳴市へと向かって。
177 :
マスカレード:2007/12/27(木) 16:15:35 ID:kGaRcoAa
投下終了です
はい、矢車の麻婆豆腐話です。
っていうか矢車の性格が劇場版よりもTV版に近くなってしまった気が……
そろそろスバル達の出番でしょうかね。
簡単に次回予告です。
次回は「ザビー」もしくは、「パーフェクトミッション」のどちらかになる予定です。
この二択のサブタイで悩んでるのは秘密……。
GJです
やさぐれも完全も大好きだよ矢車さん!
だから死なないでぇ…
どうでも良いけど代アニのホームページに小っっっっさく俺の写ってる写真があった。
ラッキー♪
今日、一部最終回とと第二部プロローグ、運がよければ第二部機動六課サイド一話投下できるかも…
投下乙です。なんだか腹が減ってきましたよ?
てかなのは達管理局止めてるから、スバルとギンガは空港火災で助からなかったんじゃあ…w
最終話完成!
投下おk?
おk!どぞー
どうもです。
フルメタとのクロス作品第三話が完成しましたんで確認後9時頃投下します。
OKですか?
最終話完成!
投下おk?
やべ、タイミング間違った。
(やべ…連投しちまった…忘れて…)
最終回「戦いの後に…」Aパート
【ミッドチルダ東部 ミランダ ミランダ中央公園】
「そうですか…あなたが1号ライダーなんですか…」
「そうだ、津上翔一君、いや、仮面ライダーアギト。」
翔一と本郷は固い握手を交わす。
「本郷さん!」
「おう!風見!」
風見志郎が公園の入り口に現れ、本郷達の元にやってくる。
「あなたはV3ですね?」
「君はアギトか…久しぶりだな。」
「風見さん!」
光太郎は懐かしむ二人の間に割って入る。
「…光太郎。」
「皆が無事だったのは嬉しいです!でもなぜ、生きているなら早く連絡してくれなかったんですか!?」
「光太郎、こうなってしまった以上、お前には全て話さなければいけないな。」
「え!?」
「よければ、翔一も一緒に聞いてくれ。」
「あ…はい。」
「今からお前達に話すのは…十三年前の戦いの詳細…」
「そして…我々が地球に帰らなかった本当の理由だ…」
【アースラ 食堂】
影山「アイラヴユーさえ!言えないでいる!マイ・ハ〜ト!」
「「おお〜」」
影山「っしゃあ!成功!」
アルト「次!」
剣「わすれは〜せぬ!あつきお〜もい!まことの〜名につどいし〜とおい〜日を〜」
じいや「見事ですぼっちゃま!」
剣「あのはた〜に託した〜ゆ・めを〜」
小暮「合格点だ!」
剣「よし!俺は歌においても頂点に立つ男だ!」
サバキ・三原・尾室「い〜きて〜ることを確かめろ!!」
アルト「よく分からないけど、なんだか必死さが伝わってきました!次!」
はやて&ニシキ「オ〜オ〜オ〜オ〜はあぁぁぁぁんしいぃぃぃんタイガアァァァァァアス!!」
小暮「熱い!次!」
巧「うしな〜うことがまた、こわ〜くなるけど〜ここはまだ、旅の途中…」
アルト「かっこいいです!次!」
ヒビキ「そ〜れ〜が〜」
明日夢「き〜み〜の〜」
ヒビキ&明日夢「ヒビキ〜」
小暮「私の歌を歌ってくれるとは(嬉泣)…次!」
このような感じでカラオケ大会は続いていく。
そして…
「さあ!皆さんお待ちかね!次は優勝候補の一人!風間大介さんです!シグナム副隊長、ゴンちゃんと一緒に歌います!」
「「「おお〜」」」
「な…なぜ私まで歌うのだ?」
「嫌なの?」
「あ…いや、私がいても大介の足を引っ張るだけ…」
「そんなことないって!シグナムさん歌上手だもん!逆に大介の方が足引っ張っちゃうよ!」
「コイツ!」
大介はゴンの額にデコピンを見舞う。
「あいた!」
「はっはっはっは!…さて、始まるぞ。」
「うん!」
「うう…」
【そばにいて 歌・加藤和樹】
大介〔朝日が君の頬を撫でる 君はまだ夢の中
子供の寝顔のままで どんな夢を見てる〕
シグナム〔今この胸の奥の方に 湧き出る温もりを
君に伝えたいけれど 言葉にはできないや〕
天道「ふん、風間の奴、歌だけは上手いな。」
樹花「シグナムさんもすっごく上手だね!」
大介〔恋をして傷ついて 傷ついて人は大人になる〕
シグナム〔今までの流した涙は この出会いの為にあった〕
大介&シグナム〔ただそばにいて ずっとそばにいて〕
シグナム〔僕が探していた答えは〕
大介&シグナム〔世界中の誰でもなく〕
大介〔ただ一人君だけ〕
はやて「シグナムも良いけど、風間さん、やっぱり上手いなぁ。」
フェイト「うん…とても勝てないよ…」
なのは「あ、次はゴンちゃんだ!」
大介〔笑いあったまぶしさも、わけ合う悲しみも
何気ない日々のすべて 心に刻むんだ〕
ゴン〔重ねあう手のひらを 二度と離さないと誓おう〕
信じ合う そのために僕らは この世界でまた出会った〕
大介&ゴン〔ただ君だけを ずっと君だけを〕
ゴン〔一番近くで見てるよ〕
大介&ゴン〔代わりなんて どこにもいない〕
ゴン〔ただ一人君だけ〕
キョウキ「流石はパートナー同士、息もぴったりだ…」
明日夢「キョウキ、じゃあライバル同士として今度は僕と…」
キョウキ「じょ、冗談じゃねぇよ!なんでお前なんかと!!」
明日夢「うぅ…」
シグナム〔ただそばにいて〕
ゴン〔ずっとそばにいて〕
大介〔僕が探していた答えは〕
大介・シグナム・ゴン〔世界中の誰でもなく ただ一人君だけ〕
大介〔ただ一人君だけ…〕
「「おおおおおおおおおお!」」
ミュージックが終わると同時に、拍手喝采が三人を包み込んだ。
【ミランダ中央公園】
「そんな…」
光太郎は地に膝をつき、愕然とする。
「これが、十三年前の戦いの詳細だ。」
「俺達は、どうせ地球に戻れないなら、怒りの力でお前を強くすることを決め、生死不明と管理局に扱わせたんだ。」
「このことを知っているのは、リンディや一部の官僚だけだ。」
「すまないな光太郎、まさかお前がここまで思いつめるとは思わなかった…許してくれ!」
風見は光太郎に頭を下げる。
「風見さん…!」
光太郎は立ち上がる
「謝らないで下さい。皆さんが生きていることが分かっただけでも、俺は嬉しいです。」
「光太郎…」
「それに…俺も前より強くなることができました。むしろ感謝したいくらいです。」
「ありがとう…」
風見は頭を上げ、光太郎を見つめる。
「皆さん、俺には話が重すぎて、よく分からないけど。俺達四人また出会えたんですから。まず、そのこと喜びません?」
「翔一…」
「…そうだな、そうしよう。」
「まずは俺達の再会に、乾杯するか!」
「はい!」
「しかし翔一、パーティはいいのかい?」
「パーティ?」
「なんだそれは?」
「翔一はジェイル・スカリエッティ事件の祝勝パーティをすっぽかしてきてるんですよ。」
「いいですって別に!」
「それに…南さんや本郷さんの仲間たちにも、俺、会いたいです。」
「よし、風見、光太郎、隼人や敬介達に連絡を入れて、今夜は飲むか!」
「分かりました本郷先輩!」
「俺も、神さん達には会いたいです!」
「じゃあ、今夜は後輩の俺が奢りますから、楽しみましょう!」
「「「ああ!」」」
四人は公園を出発し、隼人達を呼びに向かった。
【アースラ食堂】
「さぁ、オオトリがやってきました!地獄兄弟+シャマル先生です!」
「「「おおおおおおおおおお!!」」」
「行くぜ、相棒…」
「兄貴となら…何処までも…!」
「あたしも忘れないでね!」
【eve 歌・徳山秀則 愛の言葉ED】
矢車・影山・シャマル〔もしも願い事一つ叶うならば〕
矢車〔君に出会えますように〕
矢車・影山・シャマル〔そして何度も夢見た大きな未来が〕
矢車〔続きますように…〕
ティアナ「eve?決戦兵器ですか?」
橘・睦月「違う違う。」
影山〔この角を曲がった先に、不安はいつもあるけど行こう、何も恐れず君と二人で〕
シャマル〔街路樹を潜り抜ける 足音は少し早めて行こう〕
矢車〔何も恐れず 君と二人で…〕
剣「三人とも最高だぁ〜!」
ジョー「上手いぜぇ〜!」
影山〔何をして生きようか?〕
矢車&シャマル〔生きようか?〕
シャマル〔何をしようか?〕
矢車&影山〔しようか?〕
矢車〔夢の中じゃ、もっと上手に君と…過ごしたよ…〕
始「パーフェクトだな。」
矢車・影山・シャマル〔もしも願い事一つ叶うならば〕
矢車〔君に出会えますように〕
矢車・影山・シャマル〔そして何度も夢見た大きな未来が〕
矢車〔続きますように…〕
真司「良いぞ良いぞ!」
矢車・影山・シャマル〔もしも願い事一つ叶うならば〕
矢車〔思い届きますように〕
矢車・影山・シャマル〔そして絶対損じゃない、そうさ最高だよ未来は〕
矢車〔ラララララララ…〕
アルト「皆さんご一緒に!」
会場にいる全員〔ラララララララララララララララ ララララララ ラララララララララララ…
ララララララララララ ララララララ ラララララララ…
ラララララララララララララララ ララララララ ラララララララララララ…
ララララララララララ ララララララ ラララララララ…〕
影山&シャマル「イェーイ!!」
矢車「…フン。」
「素晴らしい!皆実に素晴らしいぞ!こうなったら、全員優勝だ!」
参加者全員「おお〜」
「商品として、私の歌を贈るぞ!!」
全員「…え?」
「「始まりの君へ」を歌います。」
【始まりの君へ 歌・布施明 仮面ライダー響鬼ED】
〔はるか遠くの地平線から 光溢れてくるように
君の未来は始まったばかり
誰も急ぐ道 君だけに見える 明日へ走れ
大空に青 大地に命
君に無限の可能性
傷ついてもいい 強く立ち上がれ
背中を押す風 海原に波
繰り返す響き… 今、始まりの君へ
やがて真上に太陽昇り すべてに影を作るように
君が不安を感じたとしても
一人きりじゃない 君の周りには 想いが溢れ…
雨上がり虹 夜空には星
君に自由なつばさ
迷った時でも 常に前を見て
心届く声 こだまする木々
足音は響き… さぁ、始まりの君へ〕
アルト「イェーーーーイ!最高です!!」
小暮「あっはっはっはっはっは!!」
全員「……………」
こうしてカラオケ大会は幕を閉じた…
【二ヵ月後 機動六課隊舎】
「「地球!?」」
「はい…」
「私とエリオ君、フェイトさんにシグナム副隊長、それからシャマル先生は、津上さん達と一緒に地球行きが決定したんです。」
「何で!?隊舎も直ったのに…」
「地球ではまだ怪人達が現れて、人々を襲っているようなんです。」
「だから私達、津上さんや木野先生たちと一緒に地球を守るために、地球に行って欲しいって、部隊長に頼まれたんです。」
「そんな…寂しいよ…」
「止めなさいスバル。しょうがないわ…」
「うん…」
「でも、僕達いつかまた帰ってきます!」
「その時は、また一緒に、六課でがんばりましょうね!」
「「うん!」」
四人は手を取り合い、また共に戦うことを誓う。
それは、四人の固く結ばれた友情の証だった…
その頃…
【アメリカ 次世代戦闘用改造人間プロジェクト「ガブリエル」本部 主任オフィス】
「ドラスストーンの適合者、見つかりましたよ。」
白髪の白衣を着た少年は自分の前に立っている三十代くらいの男にカルテを渡す。
「「アウレフ」は「神城拓哉(しんじょうたくや)」…「ヴェイト」は「皇龍(すめらぎりゅう)」か…この二人は候補生の中でも特に優秀な人材だった…選ばれるのも頷ける。」
「でも良いんですか?…拓ちゃんも龍ちゃんも、まだ十八だ。改造人間にするには、若すぎると思うんですがね…」
「彼らは手術を受けることを望んでいる。私が止めても聞かないさ…
しかし、十五年前からどんな科学者にも扱うことのできなかったドラスストーンが、私に扱うことができるとは…
これも父との因縁かな?」
「苦労性ですね…望月博士…」
「ああ…」
望月と呼ばれた男性はカルテを持ったまま椅子から立ち上がる。
「手術を始めるぞ。享一、手伝ってくれ。」
「相馬享一(そうまきょういち)、いつでも準備オーケーですよ。」
望月と享一は手術着に着替え、オフィスを後にした。
投下終了です。
これで第一部は最終回となります。
昭和ライダー戦闘不能の謎はまた今度…
次回から第二部が始まりますので、皆さん応援よろしく!
GJです
>>マスカレード氏
「断固ないよ」って…まさか某同人4コマネタじゃ…
って、最後の最後に天道出たー!?
>>StS+ライダー氏
阪神タイガース熱唱しているのを見て吹いたトッポ返しt(ry
最後のレスで出てきたのが…前から話題に出していたオリキャラですね?
…ところで、AパートとBパート…間違えてませんか?
一応まとめに乗せる段階で修正はしましたが…
しまった!
ありがとうございます龍騎先輩。
しかし僕がここに来てからもう半年くらいでしょうか?
龍騎先輩には訂正やら何やらでお世話になりっぱなしですねぇ…
こんな僕も気が付いたら第一部を全て書き終えました。
これからもよろしくお願いします。
投下は今、空いてますか?
ええ、空いています。だからどうぞ
夢を見ていた。あの忘れえぬ過ちの日を。
その日、俺はこちらの世界での友人である少年、シンヤと街で休日を楽しんでいたのだが、
そこに強盗事件が発生。俺は武者武装して犯人を追い詰めたが
居眠り運転で飛び出してきたタンクローリーに対し咄嗟にナギナタを振り下ろしてしまい、
そのタンクローリーは爆発、炎上し大きな被害を出してしまう。
しかも俺を追ってきていたシンヤに破片が当たり重傷を負わせてしまったのだ。
幸い死者は出ず、シンヤの怪我もやがて癒えたが俺の心には未だ消えない傷が残った。
俺はその日以来刃を振るう事を……武者として生きる事を避けるようになってしまった。
巻之四 「燃やせ、炎の友情武者魂やでっ!」
大阪。
元旦に起こった大騒動も報道的にはうやむやのうちに収束し、
街は元の活気を完全に取り戻していた。
そんな街の片隅にある小さなアパート。
新興の大企業であるグループ会社の内の一社、「鎧王不動産」が所有するそこに、
あの日の騒ぎの中心にいた少年ススムとそのタコ焼き師匠でもある彼の祖父、
そしてあの事件の張本人である武者頑駄無、武者丸が住んでいた。
しかし……
「たっだいまー! じーちゃん、今晩の仕込みできてる?」
「おかえり。今日は武ちゃ丸が手伝ってくれたさかいもう全部終わっとるで」
元気よくドアを開けて学校から帰ってきたのはススム。
あれから修行に修行を重ね、固定のファン層がつくまでにタコ焼きの腕前を上達させていた。
今はときたま縁日を回る祖父らとともに忙しい日々を送っている。
そして彼も、武者丸もまた……
「へっへっへっ、シュシュム〜、ワイかてこの半年ただ遊んで暮らしてたわけちゃうで?
この程度、武者丸様にかかったらお茶の子さいさいや!」
それは、武者頑駄無と言うには丸っこすぎた。
小さく、柔らかく、軽く、そしてつぶらな瞳だった。
それは正にゆるキャラだった。
「どーだか? この前みたいに切ったタコの足が全部繋がってました〜みたいな事、
またやってるんじゃない?」
「ムッキー! 失礼な! なんぼワイかてそんな凡ミス何べんもせぇへんわ!」
常に死の危険が隣り合わせである戦場から突然平和な日本に転移させられた武者丸。
いかに堕悪闇軍団がいつ襲ってくるか分からないとは言え、
環境のあまりのギャップの激しさに溺れ、平和ボケが激しく進行してしまい、
一言で言うなら「フ抜け」てしまった結果、見た目も性格も元の面影が微塵も感じられない
可愛らしい姿に変貌してしまったのであった。
その結果、ススム達からの呼び名も武「者」丸から武「ちゃ」丸に変わってしまっていた。
「ハッハッハッ……今日はじーちゃんが見てたから何も心配する事あらへん。
武ちゃ丸はちゃんとやってくれおったで」
「どうや、見てみいシュシュム! じーちゃんのお墨付きや!」
「へん! けどタコ焼きの腕前はまだまだボクのほうが上だからね!」
「すぐにワイが追い抜いて見せるわ!」
「そんなの、やれるもんならやってみろ!」
仲良く口げんかするススムと武ちゃ丸。
このような光景もすでにこの家庭では日常茶飯事と言った光景になっていた。
「ん? おーい、ススム、電話鳴っとるわ。ちょっと出たってくれへんか?」
「あ、ワイが出るわ! はい、もしもーし……おぉ! 京都の鳳凰頑駄無やないか!
毎度おーきに……連絡網? な、何やて!?」
顔色を青くして、電話を切るなり慌てて飛び出していこうとする武ちゃ丸を
ススム達は何とか呼び止める。
「ちょ、ちょっと! もうすぐ仕事に出るのにどうしたんだよ、武ちゃ丸!?」
「た、大変やー! 堕悪がジャンクで斗機丸な奴が滅茶苦茶をー!!」
「な、何言ってるのかさっぱり分からないよ! とにかく落ち着いて……」
「あぁ! こんな事しとる場合とちゃう! とにかく出発やー!!」
「む、武ちゃ丸ー!?」
何とかその場を収めようとするススムの努力もむなしく、
武ちゃ丸は疾風のような勢いで何も持たずに飛び出していってしまう。
その様子を見てススムの祖父は湯飲みを傾けながらポツリとこう呟いた。
「ホンマに、せわしないやっちゃ……」
所変わって海鳴市某所。
そこでは自分自身のエネルギー炉を限界まで稼動させ、放出したエネルギーの余波によって、
深刻なダメージを負った斗機丸の修理作業が急ピッチで行なわれていた。
斗機丸はあくまで生命体である普通の武者とは違う。
「鉄機武者」……鋼鉄で造られた体に心を持たされて生まれた人造の武者。
生きとし生ける者の友となるべく創り出された存在である。
「よっしゃ、これで全処置終了。嬢ちゃんも毎日手伝ってくれてスマンな」
「いえ、私も機械は好きだし乗りかかった舟だから……
でも本当にすごい……私の父も機械系の事業を手がけていて、
私自身もそれなりに詳しいと言う自負があったけどわからない事だらけで……」
「そもそも文明が違う世界なんや、気にする事あれへん。
それでもあれだけ応急処置しといてくれたら大助かりや。
ほな今から再起動させるし、電圧に気ぃつけて慎重に起こしてもらおか」
「わかったわ、爆流頑駄無さん」
爆流頑駄無(ばくりゅうがんだむ)。
武者丸や斗機丸と同時に超時空転移装置の暴走に巻き込まれた過去の武者頑駄無の一人で、
日本では秋田でこちら側の技術を学ぶ傍らジャンク屋を営んでいるが、
その本来の姿は新生大将軍の持っていた結晶鳳凰(くりすたるふぇにっくす)の欠片、
閃光結晶(びーむくりすたる)に選ばれ、闇魔神吏偶遮光(やみまじんりぐしゃっこう)や
魔殺駆(まざく)率いる新生闇軍団の野望に立ち向かった強豪武者「七人の超将軍」の一人である。
また、同時に数え切れないほどの発明を残したからくり一門と呼ばれる家柄の出身で、
「鉄機武者」を最初に生み出した人物でもある。
「よっしゃあ、準備万端や! そっちの電源No.3から7まで一気に入れて!」
「はい!」
爆流頑駄無の指示に従い、紫がかった黒い長髪の女性は
パチンパチンと小気味良い音を立てて次々横一列に並ぶスイッチをONにしていく。
同時に暗く沈んだままのトッキーの眼に幾重もの走査線が走り、緑色の光が灯る。
そこにいくつかの瞳のパターンが現れては消え、
さながらスロットか福笑いの様相を呈していたが
しだいに変化も落ち着き、ごく普通の表情で止まるとトッキーは突然作業台から跳ね起き、
あらぬ方向を見つめて必死に叫び声を上げた。
「ニ……逃げろ! 急いでここから逃げるんだ!」
トッキーは覚醒した。
周囲を見渡すとそこはどこかの地下室のような場所で、
辺りには多くの工具や部品が散らばり、モニターは自分の身体情報を表示している。
そしてきょとんとした目でこちらを見つめる長髪の女性と半ば呆れ顔の武者頑駄無。
二人とも体中機械油や細かいゴミ、削りカスなどにまみれている。
そこまで確認してトッキーはようやく今の自分が置かれている状況に気付く。
「……あれ?」
「おはようさん。気分はどないや?」
「データ照合……あなたは、爆流……頑駄無……? ここは一体……? それに貴女は確か……」
まだぼぉっとしている様子のトッキーに向かって女性が笑顔で話しかける。
「あ、覚えてた? 私は月村すずかの姉の忍。この前は分解しようとしてごめんなさいね。
そしてここは我が家の地下ラボラトリ」
「なぜ俺はこんな所に……そうだ! あいつは、堕悪闇軍団は!?
それに、なの……一般市民の女の子が!」
「ええから落ち着きて、一から順番に説明するさかい」
トッキーが落ち着くのを待ち、二人は今、彼が置かれている状況を整理して説明する。
「そうですか、あれから三日も……」
「そう。なのはちゃんが自分をかばってあなたがひどい怪我を負ったって電話をしてきて、
慌てて駆けつけたら、そこにボロボロになったあなたが倒れていたの。
でも内部機構が私達の知っている技術とは大きく異なっていて途方に暮れていたら……」
そう忍が説明している横から爆流頑駄無がずいっと割り込み、続きを乗っ取った。
「そこでこの爆流頑駄無様の出番や!
何しろ鉄機武者に関してはこの俺は発明者にしてスペシャリストやしな!
俺の知ってる奴より未来のからくりでも即座に修理完了! いやぁ、自分の天才振りが怖いわ」
「ハ、ハハ……けど、ともかく彼女が無事でよかった。お二人とも、ありがとうございます。
そうだ! 堕悪闇軍団の幻妖という忍びの者はどうなったか分かりますか?」
トッキーは薄れ行く意識の中、なのはを救う事に精一杯で
幻妖の行方を確認する事にまでには至らなかった。
その事を彼のメモリーを洗い直した事で重々理解している二人はその問いを予想していたかのように
即座にモニターに関連する情報を示し、その行方について色々と仮説を立ててはみたものの、
これといった決定的な情報が無い事を説明した。
「なのはちゃんの話だと、ほうほうの体で東に逃げて行ったみたいだけど……」
「こっちの情報網でもまだ行方は掴めてへんらしい。
どっかで野垂れ死にしとる可能性もないとは言えんけど、しばらく警戒しとかなアカンな」
「そうですか……スミマセン」
話が一段落したと踏んだ爆流は飲み干した缶コーヒーの缶をそばに置くと、
神妙な面持ちで次の話題を切り出した。
「そやけど連絡網が回って来た時は正直怒り通り越して呆れたわ。
下手したら鉄機心得の『ぷろぐらむ』に傷いって再起不能になってまうところやったんやで!?
お前は普通の武者とは違う……鉄機武者なんや。ハードは頑丈やけどソフトは繊細なんやぞ!
女の子助けるためとは言え、なんであんな無茶苦茶な事をしたんや!」
そう問いかけられると、トッキーは苦渋に満ちた表情で一言だけ呟いた。
「敵を……斬れないんです」
「……何やて?」
トッキーはぽつりぽつりと語りだす。かつて自分が犯した過ちの事を、
そのために傷ついたかけがえのない友人の事を。
爆流達は真剣な面持ちで黙ってその話を聞いていた。
「……話は分かった。お前さんも大変な思いしたなぁ。
まぁ、人生色々や。辛い事、しんどい事も生きてる限り仰山ある」
だが次の瞬間、爆流はトッキーの首根っこを掴み上げ、正面から目を見据えてこう怒鳴りつけた。
「せやけど、戦う意志があるのならこれだけは言わせてもらうで!
堕悪闇軍団が動き出した以上、俺らは連中と戦わなあかんのや!
次、同じ事になって攻撃できんとか抜かしたらその時はもう知らん!
んな間抜けは頑駄無軍団にはいらんさかいな! よう覚えとけ、ええな!!」
言い終えると部屋を出て行った爆流の背中をトッキーは見ることができなかった。
それは自分の不甲斐なさと、結果として自分はその為に重いダメージを負ったのだと言う
厳然たる事実に押し潰されそうになったためであった。
翌朝。今にも雨が降り出しそうなどす黒い雲が空を覆っていた。
それは今だ解決の知らせが聞こえてこない蜘蛛男に対する
人々の恐怖心が形になったかのような不穏な空模様であった。
「すずかちゃん、それ本当? トッキー君が目を覚ましたって!」
そんな重い朝の通学バスの中、なのははすずかの顔を見るなりそう問いかけた。
「うん、お姉ちゃんと機械に詳しい武者頑駄無さんが二人して毎日毎日頑張ってくれて……
ノエルが家族の人に連絡してたの聞いたから間違いないと思う」
「家族の人? トッキーに家族っているんだ」
と、そこにアリサが二人の間に首を突っ込んで会話に混じる。
「うん、家族って言うかこっちでお世話になっている家の人達って聞いたけど、
なんでも警視庁の捜査一課の刑事さんだって」
「へぇ〜、それでトッキーも刑事にねぇ……」
感心するアリサを横目になのはは話を本筋に戻そうと試みる。
「それで、怪我の具合はどうだったの?」
「うん、ちゃんと治ったから今日、その家族の人が迎えにくる事になってるけど……」
「そうなんだ……あ、私、見送りに行っても大丈夫かな?」
「もちろん! きっとトッキー君喜ぶよ!
海鳴駅に4時だって聞いたから、すぐに帰ればぎりぎり間に合うと思うけど」
「分かった! ありがとう、すずかちゃん!」
それを聞いてアリサは少し残念そうな顔でこうこぼした。
「あたし達もバイオリンのレッスンがなければ見送りに行くんだけどなぁ。ねぇ、すずか?」
「だから、私達の分までご挨拶をお願いね、なのはちゃん」
「もちろん! 任せといて!」
午後4時の少し前、トッキーと彼を駅まで送ってきた月村家の使用人、
ノエル=K=エーアリヒカイトの姿は海鳴駅のメインホールにあった。
「そろそろ迎えが来る時間か……送っていただきありがとうございました、ノエルさん」
「いえ、これも仕事ですし、私としても病み上がりの方を一人歩きさせるのははばかられますので」
駅に着いた時間が少々早かった事もあり、二人は雑談しているうち
その話題はトッキーの抱える悩みの問題へと変わって行った。
「そうですか、ご兄弟にも等しく思っておられる方を……それで……」
「……はい。ですが、この先あいつらとは必ず戦う事になる。
そんな時、俺はいったいどうすれば良いのか……」
頭を抱えるトッキーの肩に手を置き、ノエルはそっとささやいた。
「ですが、そのシンヤ様はあなたのそんな姿を望んでおられるのでしょうか?
私事で申し訳ありませんが、私にも同じ館で働いているファリンと言う妹がいます」
トッキーはそう言われれば、彼女に似た顔立ちの少女の姿を館で見た気がすると思い返す。
……もっとも、いかにも優秀そうなノエルとは異なり
些細なミスをうっかり繰り返しそうなタイプであると思っていたが。
「とんでもない! これでもあの子のお手本で居続けるのも厳しいのですよ?
実際、私もこれまでに幾度と無く彼女に負けないほどの失敗を重ねてきています。
むしろ私があの子に支えてもらっている部分が大きいのかもしれません」
「それは、どういう……?」
瞳を閉じ、ノエルはトッキーの問いかけに対して長くなるかもしれないが、と断りを入れ、
ゆっくりと語りだす。自分を織り成す、自分なりの答えを。
「私が妹にとって尊敬できる存在でありたいと思う気持ち……
それはいつもあの子と一緒にいたいと思うからこその気持ちで、
結局は妹の前で頼れる姉として格好つけたいんですね。
でも、だからこそ私は今の私でいられる。そう思うんです。
トッキー様もそうではないのですか? 次に同じ過ちを犯してしまえば、
今度こそその子の中で自分は惨めな存在に堕ちてしまう。
ひょっとしたら心の奥のどこかでそういう気持ちが働いているのかもしれません。
ですが、失敗を繰り返さないために必要なのは失敗を恐れる心ではなく、
何度失敗しても最後に成功させると信じる事の方が大事なのではないかと私は考えます」
それを聞き、思わず目を見開いたまま硬直してしまったトッキーの様子を見て、
ノエルはわずかに顔を赤らめながら体裁を整えようとした。
「申し訳ありません、口はばったい事を申し上げてしまいました」
「いえ、ありがとうございます……けど、どうして赤の他人の俺にここまで?」
するとノエルは意味深な笑顔を浮かべ、ウィンクしながらこう答えた。
「ふふ……何故だか、トッキー様が他人に思えなかったからかもしれませんね」
頭にクェスチョンマークを浮かべるトッキーをよそ目に、ノエルはどこまでも楽しそうであった。
やがて東京からの列車は定刻通りに到着し、ぱらぱらと何人かの乗客が降りてくる中、
トッキーは見慣れた顔をその中に見つけ出す。
ロック歌手を意識したようなツンツンの髪型、照れ屋な本心を隠すような色眼鏡、
年齢の割に大人びた容姿と常に不機嫌そうな顔をしたトッキーの弟分、シンヤだった。
「シンヤ!? 君が迎えに来てくれたのか?」
「あぁ。ったく、オヤジも変な気を回しやがって。こっちだって学校あるってのに
わざわざ早退までさせて……警官のやる事かっつーの」
「いや、来てくれて嬉しいよ。ありがとう、シンヤ」
「……フン」
脇でその様子を微笑ましく見ていたノエルはシンヤに軽く挨拶をし、
帰りの電車も間もなく到着するという旨をトッキーに伝えるが、
その時どこからともなく不気味な声が駅舎中に響き、平和な午後の光景を粉々に粉砕する。
「……すまぬが、人間は一人たりともここから出て行っていただいては困るのだよ。
私の自慢の『巣』からはな……クククッ!」
トッキーの目は驚愕に見開かれ、
その脳裏には今の彼にとって最も忌まわしい男の名が浮かび上がった。
「その声……キサマ、まさか!?」
「待っていたぞ、斗機丸よ。私の面子にかけて御主だけはこの手で葬って見せようぞ!」
天井から垂れ下がる照明器具に並び、無数の土蜘蛛と共にぶら下がるその影は、
先日多大なる代償を払ってやっと撃退した堕悪闇軍団の忍び、堕悪幻妖の姿であった。
「みんな、奴の狙いは俺一人だ! 急いでこの駅から離れて!!
シンヤ、お前もだ! ノエルさん、彼を……」
「オイ、トッキー! いいかげんやめろよ、その保護者ヅラ!
オヤジだってそうだ、いつもいつも俺との約束平気ですっぽかすくせしやがって!」
「シ、シンヤ、今はそんな事を言っている場合では……」
「うっせぇ!」
どんな時でも人々を守る事に一生懸命なトッキー、そして自分の父親。
シンヤは彼らを尊敬こそすれ憎んでいるなど微塵も思っていない。
それはただ、大人びていると見られがちな彼の持つ年齢相応のわがままであった。
「ククク……喧嘩も結構だが、のんびりしていてもいいのかね?」
言うが早いか幻妖は無数の土蜘蛛を使って次々と通路を塞ぎ始め、
逃げ惑う人々をまるで繭のように糸で包んでいく。
幻妖の執拗な追跡によりやがてトッキー達は袋小路に追い詰められてしまった。
「しまった、逃げ道が!?」
「クククッ、どこへ行こうと言うのかね?」
「だが、シンヤ、君はこの命に代えても俺が守る! 行くぞ! 武者武装!!」
かけ声が轟き、トッキーは武装を果たすが
先日と同じように土蜘蛛一匹にさえその刃を振り下ろせない。
斗機丸の脳裏に蘇る爆流頑駄無の声。
――間抜けは頑駄無軍団にはいらん――
やはり自分は駄目なのか?
人々の危機にも、友の窮地にも、ロクに動けない腑抜けになってしまったというのか!?
そして眼前に現れる幻妖を前に、斗機丸はただただ蹂躙されるばかりであった。
斗機丸の異常な様子を見て思わず歩みを止めるシンヤ。
そして彼は気付いてしまった。あの日の事故が未だに斗機丸の中で尾を引き続けている事を。
(トッキー……お前まだあの事件の事を……?
ばっかやろう、オレはもうこうしてピンピンしてるじゃねーか!
いつまでもとらわれてるんじゃねーよ!!)
四方八方から攻めたてる幻妖の容赦ない攻撃に苦しむ斗機丸。
シンヤはその原因を察し、何か言うべきだろうかと逡巡する。
そんな彼を物陰から狙う小さな毒蟲の存在にも気付かずに。
「シンヤ様!!」
「えっ……うわっ!?」
突っ立っていたシンヤは突然ノエルに突き飛ばされてしまう。
慌てて自分が先程まで立っていた空間を振り返ると、
そこには何匹もの土蜘蛛と人一人が入りそうなほどの巨大な繭が現れていた。
ノエルがシンヤの身代わりとなって糸に捕らわれてしまったのである。
「! ノエルさん!?」
「ククク……どうした、御主の不甲斐なさ故に次々友人が倒れていくようだな?
そろそろ御主の倒れる順番ではないか?」
「クッ……!」
幻妖は近距離ではシャラシャラと音を立てながら錫杖を振り回してじわじわと斗機丸を痛めつけ、
バーニアを吹かして距離を置けばその途端に死角から土蜘蛛が体当たりを仕掛けてくる。
「くそっ、距離がつかめない……!」
「どこを見ている? まぁ、今の御主がどうあがこうと詮無き事であるがな!」
「ガハッ!?」
一瞬の隙を突かれた斗機丸は幻妖の火炎の術をもろに食らって吹き飛ばされてしまい、
積み上げてあった段ボール箱の山に突っ込み、みかんやお菓子といった箱の中身に埋もれてしまう。
だが、箱の中にあったのは何も食べ物ばかりとは限らなかった。
「むっちゃーっ! 何や何や!? 人が気持ちよー寝てたら叩き起こしよってからに!
……って、どこや、ここ? 気色悪いとこやなー。エイリアンの巣みたいや」
それは、武者頑駄無と言うには以下省略。
「斗機丸? 斗機丸やないか! ここにいたんか斗機丸〜!」
馴れ馴れしく話しかけてくる小さなゆるキャラ。斗機丸は最初は警戒していたが、
なぜかその生き物から長年の付き合いである一人の悪友の気配を感じ取った。
「ま、まさか……武者丸!? こんなにも変わり果ててしまうとは……嘘だろ……?」
「何や変わり果てるっちゅーのは? 人聞き悪いで!」
天宮の国で活躍した夢者遊撃隊の仲間である武者丸と斗機丸。
思わぬ場所で、思わぬ形での再会劇であった。
一方その頃、蜘蛛の巣に包まれてしまった駅の外では多くの人だかりと警官隊が取り囲み、
騒然とした雰囲気になっていた。
「すみません、友達が中にいるんです! 通してもらえませんか?」
「この中に? 駄目だ! この中は我々にもどうなっているのかわからないんだ。
君みたいな小さな子を入れるわけには行かないよ」
「そんなぁ……」
トッキーを見送りに来たはずが、とんでもない事件を目の当たりにしてしまったなのは。
そんな彼女の脳内にこの3日間ですっかり聞き慣れた少年の声が響く。
(なのは、やっぱり正面からじゃどうやっても入れないよ。
どうにかして他の方法を考えないと……)
なのはは自分の肩に乗っているあのフェレットを見つめ、その声に答えた。
ある意味当然だがあれ以来フェレットはなのはとその行動を共にしていたのであった。
しかし、直接自分の口で動物と話すと言う真似を衆人環視の中で行なえるわけがない。
そこで魔力を介した心と心の会話、「念話」を用いて二人は言葉を交わす。
(でもユーノ君、他の方法って言ったってこれじゃあ……)
(うん……でも僕一人ならなんとか行けると思うんだけど、どうかな?)
(絶対ダメ! だってユーノ君まだ力が戻ってないって自分で言ってたじゃない!)
(だよね……でも、このままで良い訳がない。何か、何かきっと手段があるはずだ……
ん? ねぇなのは、ちょっとあれ見て)
(あれ?)
ユーノと呼ばれた件のフェレットが駅の中に入る手段を求め、長い首をもたげて辺りを見渡すと、
広場の片隅で目立たないように怪しげな機械を持ち込んでいる見慣れない武者頑駄無の姿があった。
「あの〜……何をなさっているんですか?」
見るからに不審人物なその武者におっかなびっくり話しかけるなのは。
こういう時、ただの動物を装える相棒を少し恨めしく思いながら。
「ん、分からんか、お嬢ちゃん? こらな、ドリルを整備してるんや。
このままやと駅に入れてもらえへんさかいな。地下から強行突破や」
「ド、ドリルって……あの、地面の下には水道管とかいろいろ通ってるんじゃ?」
「そこは俺の勘で避けて通る! 男は度胸、何でもやってみるもんやで!
あ、お巡りさんとかには内緒にしといてな」
絶句する二人の方を一切振り返らずに、その武者は作業に没頭していた。
「よっしゃ、準備完了! お嬢ちゃん、危ないから下がっときや。
行け、魂嵐弾亜(こあらんだー)突撃形態! 戦闘削岩機(ばとるどりる)、出力全開!」
言うが早いかその武者は機械を地面に向け突っ込ませて穴を掘り、自分もその中へと付いていく。
後にはぽかんとした顔のなのはとユーノが残された。
「えと……どうするの、ユーノ君?」
「チャンスだ、僕達も後を追おう! ただ……」
「ただ?」
「……あの人がガス管とかに突き当たって爆発が起こらないのを確認してからね」
「……賛成」
それは無茶苦茶な事を平気でやらかす武者に対する二人の理性の精一杯の抵抗であった。
外でそんな脱力モノの出来事が起きているとは露知らず、
斗機丸は土蜘蛛の攻撃をどうにか回避しながら己の疑問を武ちゃ丸にぶつけてみた。
「しかし武者丸。お前、なんでわざわざあんなモノの中に……」
「あぁ、斗機丸が怪我したっちゅーのを聞いてな、家を飛び出したはええんやけど、
財布も何も持たんと来てしもたからなぁ。それで、その、こうやって、荷物に化けて……」
「スマン、ちょっと逮捕していいか?」
「何でそーなるねん!? けど、その様子見とったら怪我の方はよさそうやな。よかったよかった!」
「ちっともよくない! お前にはこの状況がわからんのか!?」
そう言われて、武ちゃ丸は改めて辺りを見渡す。
「んー……映画の撮影?」
「キ・サ・マァァァァッ!! 寝ぼけた事言うのも大概にしとけ!
これはそこの堕悪闇軍団の外道忍者がわざわざ俺をいたぶって楽しむためだけに
駅を占領し、あまつさえ何の罪も無い人々を次々と捕らえ、
悪事の限りを尽くしているんだ! わかったか!?」
「うぅ……んな事しながら言われたかて右から左に内容が抜けてまうっちゅーねん……」
斗機丸は武ちゃ丸の頭を両手で掴み、激しくシェイクしながら状況をかいつまんで説明した。
もっとも、話の内容はこれっぽっちも頭の中には入っていないようであったが。
「ククク、わざわざ詳細な解説ご苦労様という所かな?
しかし、どうやら思いもよらぬネズミが紛れ込んでいたようだな」
「ネズミとは何や! ワイは天下無敵の武者頑駄無、武者丸さまやで!?」
「あぁ、そうだったな、武『ちゃ』丸殿? クククッ」
「!? こいつ、なんでワイのあだ名を?」
今まで長々とギャグを演じていた武ちゃ丸もさすがに驚きを隠せない様子で幻妖を見つめた。
「気をつけろ武者丸! そいつは斥候だ、俺達の事は調査され尽くしている!」
「その通り。御主が武者魂を失い、『フ抜け』てしまっている事もな……クククッ!」
「いちいちうっとい笑い方するやっちゃな! ワイをなめてかかった事、後悔させたる!
行くで! 武者覚醒!!」
「ぬぅっ!?」
武ちゃ丸の額に輝く黄金のハロとも言うべき丸い飾りが眩しく輝く。
さっきはああ言った幻妖もとっさに身構え、次に襲い来るかもしれぬ脅威に対処しようとする。
……結論から言うとその行為は徒労に終わった。
光が晴れた後には、その直前と全く変わらぬ姿の武「ちゃ」丸が、
きょろきょろと自分の姿を見つめていただけだったのだ。
「や、やってもうたー! あせって武器とか大阪に置き忘れてきてしもた〜!!」
思わずずっこけてしまう斗機丸。しかしすぐさま態勢を立て直し武ちゃ丸に掴みかかる。
「このドジーッ!! 人に期待させといて何だそれは!?」
「人の事言える立場かいこの格好つけ! 堕悪にぼっこぼこにされたんはどこの誰や!?」
「うっさい! お前との友情は今日限り破棄だ、破棄!!
オレの情報回路(データベース)から念入りに削除しておいてやる!!」
武ちゃ丸が出てきてからというもの、ノンストップでコントを繰り返す斗機丸を見て、
物陰に隠れて状況を見ていたシンヤは複雑な感情を抱かざるを得なかった。
(あんなラフなトッキー見るの初めてだ……トッキーの奴、オレには気ばかり使うくせに……
しょせん兄弟みたいと言ったところで言葉だけじゃん……って、何考えてんだオレ、
んな事どーだっていいじゃんか!)
そこまで考えたところでシンヤはやや自嘲気味に首をすくめ、頭を切り替える。
なにせまだこの事態の元凶である堕悪闇軍団はそこに健在なのだから。
「ククク……思わぬ珍客に楽しませてもらったが、そろそろコントも飽きてきた。
斗機丸よ、私の手で今度こそ引導を渡して差し上げよう。
我が冥府の灼杖よ……業火の槍となりて、愚かな木偶人形を穿き貫け!」
「! しまった、回避を……何っ、追尾(ホーミング)してくる!?」
「無駄だ、私の念を受けた冥府の灼杖は御主を貫くまで永久に追い続ける。
そして御主の行く手は我が土蜘蛛が阻む! さぁ、現世との別れを告げるが良い……クククッ!」
「く、くっそぉぉぉーっ!!」
「斗機丸!!」
今にも斗機丸を貫かんとする炎に包まれた錫杖。
しかし、その凶刃は横から割って入った白い影の体当たりに会い、すんでのところで押し留まった。
「武者丸! なんて無茶を……」
「な、何モタモタしとるんや斗機丸……ワイがこいつの錫杖何とかしてる間に、
さっさとケリ付けて来ぃ!」
「し、しかしそれではお前がもたない!」
「大丈夫や! こんなもん、熱ないと思ったら熱ない! せやから気にせんと早う!」
「だ、だが、今の俺は……俺の武者魂……クッ、駄目だ!」
武器を持つ手が激しく痙攣し、焦点を合わせる事さえままならない斗機丸。
武ちゃ丸はじわじわと炎に蝕まれ、絶体絶命の二人の前にその姿を現したのはシンヤだった。
「……振れよ」
うつむき加減に斗機丸を見やり、一言だけそう呟くシンヤ。
「! シンヤ、危険だ! 出てくるな!!」
「うるせー! 余計な気ィ使ってんじゃねーよ!! 付き合いづらいったらありゃしねーぜ!」
斗機丸の目をじっと見据え、シンヤは必死で錫杖を抑える武ちゃ丸の方を指差す。
「お前がそのナギナタを振らない限りコイツは死ぬかもしれないんだぞ!!
仲間なんだろ? 友達なんだろ? 大事なんだろ!?」
拳を固く握り締め、その声を感情の昂りに震わせながらもシンヤは訴え続ける。
「オレの、オレの怪我なんか過去の事だろ……気ィ使われてもいい迷惑だぜ!!」
「シンヤ……」
「気にいらねーけど、強いオマエ……正しいオマエ……それだけは認めてんだからよ!」
その時、斗機丸の中で何かが堰を切ったように溢れ出し、
彼の心を縛り付けていた何かを押し流した。
「シンヤ……飛んでくる破片は避けてくれよ」
さっきまで武器を持つ手を恐怖に震えさせていた者はもういない。
そこに立っているのはまさしく青く輝く炎を身に纏った戦士の姿であった。
「な、何だ? 奴の武者魂の数値が急激に上昇していく……これは一体!?」
「えへへ……感じる、感じるで! 斗機丸がクールに燃えてるのが……!」
幻妖と武ちゃ丸がその姿にそれぞれの思惑をはせるその最中、
弾け飛ぶように鎧や武器の強制冷却装置が働き、斗機丸の燃える心を存分に見せ付けた。
「堕悪の野望叩くため、そしてシンヤ、オマエの友情にこたえるため……」
今日この瞬間から……俺は武者(オレ)にもどる!!
鉄機力増幅装置(ジェネレーター)、最大戦力(マキシマム)!!」
展開させた全身のバーニアは斗機丸に常識を超えたスピードをもたらし、
遠雷のような重い爆音を上げて幻妖に向け超高速で突撃していく。
しかし、幻妖も黙ってそれを見ているわけではなかった。
「ちょこざいな! 行け、土蜘蛛達よ! 奴の動きを封じろ!」
「そうはさせない! ストラグルバインド!」
いつの間にか床に開いていた穴からそう声が響くと、
そこから伸びてきた緑色の光の縄が無数の土蜘蛛を縛り上げ、その自由を奪う。
魔力の奔流に煽られ、巻き上がる塵やチラシの向こうから、
フェレットを肩に乗せた少女が姿を覗かせた。
「わ、私の土蜘蛛が!?」
「やっぱり僕の思ったとおりだ。
こいつらは術者の念を受けて動作する自動人形(オートマトン)……
言わば機械仕掛けの使い魔!
だったらこの魔法で縛り上げて術の効果を取り除けばただのオモチャと変わらない」
縄に締め上げられる蜘蛛達はその力に耐え切れずに次々と爆発していく。
「そして魔力の供給が断たれたしもべはバインドに耐え切れず自壊する!
もうお前の土蜘蛛地獄は僕らには通用しないぞ!」
「おのれ小僧……やはりあの時止めを刺しておくべきだったか」
「その声は……やはりセンサーのバグではなかったのか、フェレット君!」
なのはの肩の上で喋るフェレットの姿を確認すると、
あの日おぼろげな意識で見た光景はやはり現実だったのだと認識する斗機丸。
「そんな事は後で! 僕の魔力も長くは持ちません……さぁ、早く!」
「トッキー君、急いで!」
「なのは君……わかった、君達の応援、決して無駄にはしない!」
斗機丸のスピードはさらに増し、瓦礫をも乗り越え様々な位置に残像を残すまでに加速する。
「全ての敵は己の中にアリ!!
迷い断ち切る輝く文字! 記すは我が刃!!」
四方八方から迫りくる斗機丸の影。
幻妖も黙ってやられるわけにはいかないと反撃の態勢を整える。
「つけあがるなぁ!!」
仕込短刀を繰り出し、目の前の斗機丸を切り裂く幻妖だったが、それは残像であった事を悟ると
本体を探そうとする。しかし、辺りからは残像どころか斗機丸の気配すら消えてしまっている。
「ど、どこだ……どこに行った!?」
「どこを見ている? ここだ! 必殺奥義、大江戸刻閃斬!!」
消えたと思われた一瞬のうちに背面へと回りこんだ斗機丸の太刀筋は、
まるで「Ζ」の文字を刻むかのような閃光を残して幻妖の体を引き裂いた。
「馬鹿な……戦力差を読み違えたと言うのか……この私が……?」
「一つだけ感謝するぞ幻妖。お前の卑劣な罠は俺の中で眠っていた武者魂に火を点けた。
……命を粗末にするは、愚かナリ!」
それを聞いた幻妖は体中から黒い炎を吹き上げながら、
いつものような笑い声を上げるとそのまま地面に倒れ伏す。
「私の負けか……だが、ここで私に勝ったとていずれ御主達は皆滅ぶ事となる……
そう、いくらあがこうとこの天馬の国は近い内、一気呵成に沈没する!
もはやこの運命は止められぬ! せいぜい無駄な足掻きを続けるがいい……」
「天馬の国が沈没!? 一体どういう意味だ!!」
「ククク……それは自分で考えろ。私もそこまでお人よしではない……
地獄で待っているぞ武者頑駄無、小僧共! ククク……クックックックッ!!」
そう言い遺し、幻妖は黒い炎の中に燃え尽きていった。
長く苦しい幻妖との戦いは、こうして幕を下ろしたのであった。
「むっちゃ〜……」
幻妖の消滅に伴い、燃え上がる錫杖から開放された武ちゃ丸はところどころを焦がしながら、
張り詰めていた糸が切れるように地面にへたり込んでしまった。
「大丈夫か、武者丸?」
「ワイは大した事あらへん……せやけど、久々にえぇもん拝ましてもうたで」
「そうか……ありがとう。とりあえず救急隊が到着するまでお前もそこで休んでいてくれ」
「ほな、そうさせてもらおか……なぁ、斗機丸?」
「何だ?」
「やっぱ夢者遊撃隊はワイら二人やとしんどいで。早よ鎧丸の奴に会わなアカンなぁ……」
「……あぁ」
二人は今日確かに一つの壁を乗り越えた。
しかし、それと同時にここにあの男、もう一人の夢者遊撃隊員である鎧丸がいてくれたら……
そう思わずにはいられなかった。
「ようトッキー、お疲れさん」
「シンヤ、ノエルさんの様子はどうだ?」
「あぁ、気を失ってるだけ。起きたら助けてくれたお礼を言わねーとな。
ところで、いつ帰れそうだ?」
「う〜ん……すぐには難しいな。糸の中の人達も病院に送らなくてはならないし、
所轄の海鳴署に事件の経過を報告しないと」
「何だよ、病み上がりだってのにまた仕事かよ」
「悪いな、シンヤ。お前にも事情聴取があると思うし、今はあっちの方で休んでいてくれ」
「ハイハイ、わーったよ……まぁ、この光景とか喋るフェレットとか見たら仕方ねぇよな」
フェレットという言葉を聴いた瞬間、トッキーは真剣な目をしてシンヤの顔を覗き込む。
「その事なんだが、シンヤ……警察の皆や他の人達には黙っていてくれないか?
ちょっと確かめておかなければならない事があるんだ」
「確かめる事? まぁ、そう言うなら黙っててやってもいいけど……あ、そうそう」
トッキーに背を向け、ぎりぎり聞こえるか聞こえないか位の小さな声で
シンヤは万感の思いを込めてトッキーに一つの言葉を贈った。
「結構イカしてたぜ、トッキー」
「うん? 何だって? スマンがよく聞こえなかったんだが……」
「うるせー、何でもねーよ! さっさと仕事済ませて来い!」
シンヤにその場を追い出されるようにしてそこを離れるトッキー。
しかし彼は知っている。シンヤのその態度は恥ずかしさの裏返しなのであると……
「よう、今日は大活躍やったやないか! お前さんに説教かましてしもた手前もあって、
アフターサービスのつもりで来たはええんやけど、どうやらこら無駄足やったみたいやな」
「ば、爆流頑駄無? 何で床に空いた穴から顔出してるんです?」
「まぁ、いろいろあってな。それはともかく……や。お疲れさん」
「は、はぁ……どうも」
変なところからにょきっと顔を出している武者を見て、思わず警戒してしまうトッキー。
そう、先ほどの不審武者とは誰あろうあの爆流頑駄無であったのだ。
さすがにドリルを使って地下から侵入してきたとまでは神ならぬトッキーには知る由も無い。
いかに自分の命の恩人と言えど訝しげな目で見ざるを得ない。
「なーんや、ジメジメしたやっちゃなぁ! 勝った時くらい派手に喜ばんかいな!」
「いえ、ですが、その……ちょっと、その姿は……」
「男が細かい事気にすんな!
ついでに言うとあのお嬢ちゃんらが入ってきたのもこっからやで」
「なのは君!? 君達もなのか……」
「ご、ごめんなさい……勝手に付いて来ちゃって」
「何とまぁ……」
一通りあきれた後、トッキーは仕事モードに頭を整理し、
かねてから抱いていた重大な質問を彼女達にぶつける事にした。
「さて、なのは君、それに肩のフェレット君……詳しい話を聞かせてもらえると嬉しいんだが?
何故フェレット君が言葉を話せるのか、そして君たちの使った力について……」
「俺も目の前で見とったけどあれは術とかそういうのに近い。
天馬の国ではああいうのは発達していないはずや。これはどういうことなんや?」
「にゃはは……それは話すと非常に長い事になりそうなんだけど……」
一通りあきれた後、トッキーは仕事モードに頭を整理し、
かねてから抱いていた重大な質問を彼女達にぶつける事にした。
「さて、なのは君、それに肩のフェレット君……詳しい話を聞かせてもらえると嬉しいんだが?
何故フェレット君が言葉を話せるのか、そして君たちの使った力について……」
「俺も目の前で見とったけどあれは術とかそういうのに近い。
天馬の国ではああいうのは発達していないはずや。これはどういうことなんや?」
「にゃはは……それは話すと非常に長い事になりそうなんだけど……」
トッキーと爆流は次々に自らが抱いた疑問をなのはに問い詰めて見るが、
当のなのははまだ魔法を身につけてから3日目の新人魔導士なため、
何をどう話せばよいのか分からない。
(ど、どうしよう……ユーノ君?)
(こうなったら仕方ないよ、なのは。僕から全てを話す。
事態は僕達だけの問題じゃなかったんだ。それも、多分ずっと前から……)
ユーノは真剣な声でそう答えると、その重い口を開いた。
「武者頑駄無さん達……でしたね? 皆さんに聞いていただきたい事があります。
僕はユーノ。ユーノ=スクライアと言います。
あの堕悪闇軍団が探しているジュエルシードという宝石……
あれを発掘してしまった一族の代表として、
僕は散逸したそれを回収するためにこの世界に来ました。
身勝手なお願いなのは重々承知しています。けど、どうか皆さんの力を貸して下さい!
全ての次元世界を守るために……」
――次回を待て!
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
一つの事件の終わりは、より大きな災厄の始まり。
全国各地でそれぞれの生活を過ごす武者頑駄無さん達に迫る選択の時。
そしてそれは思いがけない力を手に入れた私にも訪れる、
決して避けては通れない運命の分かれ道。
その時私は、一体何を選ぶのでしょうか?
次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之伍。
「選んだ道の先なの」
リリカルマジカル、これからどうなっちゃうんだろう……
======
今回分は以上です。
予告した時間より早いですが、他の職人さんもいないようなので、問題なければ5分後に投下します。
OKですかね?
支援
どうぞ。
僕も第二部の機動六課サイドプロローグできたけど後でも投下できますんで。
それでは投下開始します。
魔法少女フルメタなのは第三話「新たな生活」
機動六課内 訓練場
ここでは現在、六課フォワードメンバーと、嘱託魔道士二名が魔法戦の訓練を行っていた。
「はい皆そこまで〜。次は模擬戦だよ。」
なのはがそう言い、六人は手を止めて集まって来る。
「今日の模擬戦は私とじゃなくて、嘱託の二人対正規メンバーでやってもらうよ。」
「相良さん達とですか?」
「うん。二人の覚えた魔法のチェックも兼ねてね。」
「よろしく頼む。」
「お手柔らかにな〜。」宗介、クルツの両名が四人と向き合う。
「相良さん、今日は負けませんよ!」
「自分の意志は言葉でなく行動で示せ、ナカジマ。」
宗介とスバル、
「クルツさん、今日こそは倒させてもらいます。「おいおい、もっと気楽に行こうぜティアナちゃ〜ん。」
クルツとティアナがそれぞれ言う。
実はこの四人宗介達が嘱託となった時に一度模擬戦をしており、スバルとティアナはその時にボロ負けしたのだ。
あたし達、あれから猛練習したんです。この前の二の舞にはなりません!」
「二度言わせるな。意志は行動で示せ。アーバレスト!」
「よし、俺もいくぜ。M9!」
『『了解、起動します。』』
宗介達が嘱託魔道士となったのは、次の様な経緯がある。
シャマルが運ばれてきた二人の男を検査した時に、体内から大型のリンカーコア反応を検知したのだ。
その報告に興味を持ったのが、六課のちび狸…もとい部隊長のはやてである。
戦力の確保に貪欲な彼女は、「管理局に協力すればより早く元の世界の座標を調べ、当面の生活も保証する」
という条件を持って来て、尚且つ管理局の規則やリミッターからも逃れられる嘱託魔道士という形での協力を求めたのだ。
異世界でのアテなどある筈のない二人は、少し悩んだ後承諾したのである。
「ほな、これは君らに返さんとな。」そう言ってはやては鞄から白と灰色の宝石の様なものを取り出し、二人に渡す。
「これは?」
「インテリジェントデバイスや。君達専用のな。」
「俺達専用?それはどういう…」
『ただ今戻りました軍曹殿。二日振りですね。』
「アルか!?」
聞き慣れた男性の機械音声が響き、宗介は驚く。」
『肯定。姿はだいぶ変わりましたが、私は私のままです。』
アルは以前と変わらぬ抑揚のない声で言う。
「何故アルがデバイスとやらになっているんだ?」
「えーとね…見つけた時はまだロボットだったんだけど…触れたらなんかそうなっちゃったの…」
なのはが言い辛そうに説明する。
「俺のM9もか…」
呟くようにクルツが言う。
「とにかく、うちのデバイスマイスターに見てもろたけど、デバイスとしての使用に問題はないそうや。
その子ら使って、魔道士としての仕事に励んでや。」
だが二人は…
(元の世界に戻った時、上に何と報告すれば…)
(M9て確か数千万ドルだよな…もし弁償になったら…)
拭い切れない不安に、表情を暗くしていた。
そういえばマオの機体のAIの声優って・・・支援
その後紆余曲折あったものの、何とか二人とも試験をパスし、現在に至る。
「アル!」
「M9!」
叫んだ二人の身体が光に包まれ、バリアジャケットが装着される。
宗介のは全体的に白く、肩回りが大きく張り出したデザインで、腰にはショットガンの様な銃型デバイスが付いている。
クルツのは上腕全体を覆う装甲板と、色が灰色な所以外は宗介のと似通っており、手には大きなライフルを持っていた。
「それでは模擬戦、スタート!」
なのはの合図を皮切りに、六人は瞬時に動き始めた。
宗介はショットガンを前方に構え、クルツは転移魔法で狙撃ポイントに移動する。
「うおおお!!」
突っ込んできたスバルに牽制の魔力散弾を撃つが、素早く回避され距離を詰められる。
「センスは良いが攻撃は一直線だな。アル、GRAW‐2!」
『了解。GRAW‐2』
宗介の左脇の兵装ラックが開き、そこから大型のナイフが表れた。
『魔力刃、展開します。』
アルがそう言うと、青みがかった白い魔力が刃の部分に集まり、発光する。
(余談だが、この魔力刃は高速で動いている為、ナイフと言うよりチェーンソーに近い武器となる。)
体を捻ってスバルの一撃を避けた宗は、体を戻す勢いを利用して斬り掛かる。スバルは咄嗟に左の手甲で防ぐが、GRAW‐2の威力に体勢を崩す。
「うわっ!」
宗介はその隙を見逃さず、スバルの腹に押し付けた。
「寝ていろ。」
ズドン!!
言うと同時にトリガーを引き、零距離で散弾を食らったスバルは吹き飛んだ。
「スバルさん!くっそー!!」
ストラーダを構え、ソニックムーヴで迫るエリオ。
だが宗介は顔色一つ変えず、ショットガンをしまいながら命じた。
「アル、ATDだ。」
『了解。ATD』
すると宗介の手の中に投げナイフ型の凝縮魔力が形成され、それをエリオに向けて放った。
エリオは障壁を張るが、ATDはその障壁に刺さり、爆発を起こす。
「うわあっ!!」
エリオが怯んだその一瞬で宗介は背後に回り、エリオを俯せに倒す。
そしてGRAW‐2を首筋に当てて気絶させ一言、
「訓練が足らんな。」
と言った。
その頃後衛組は、
ズガン!
「くっ、このままじゃ…」
クルツの狙撃により、身動きが取れないでいた。
二人は現在、物陰に隠れている状態である。
「キャロ、アイツの位置は?」
「だめです、特定出来ません。見つけてもすぐに場所を移されるんです。」
「ちぃっ…こうなったら!」
「悪ィけど、援護には行かせないぜ。子猫ちゃん達。」
クルツはビルの屋上から屋上へと転移魔法を使い、ポイントを移しながら狙撃を続けていた。
「ホントは女の子をイジメるのって嫌いなんだがな…ん?」
スコープを覗いていたクルツは眼下で起こった出来事に目を見張る。
そこには、ティアナのフェイクシルエットによる多数の幻影が、四方八方に飛び出すという光景があった。
「ワ〜オ、美女大増量だぜ。でもね〜ティアナちゃん、俺は偽物には興味ないのよ。M9。」
『はい、ウェーバー軍曹殿。』
「“妖精の目”を発動だ。」
『了解。“妖精の目”起動』
スコープの先に緑色の魔力フィルターが表れる。
そのフィルター越しにスコープを覗くと、多数の人型の魔力の中を移動するティアナとキャロの姿がはっきりと映っている。
「見つけたぜ子猫ちゃん。」
言うと同時にクルツは鈍色の魔力弾を発射する。
「キュウッ!」
「フリード!キャッ!?」
魔力弾が連続で命中し、落下するフリードとキャロ。
「嘘でしょ!?この数の幻影の中で本物を見つけるなんて…キャアッ!」
ティアナの頭部と胴体にも命中して、ティアナは倒れ伏した。」
「ハイ終わり、と。やっぱ良い気分はしねぇな…」
金髪碧眼の天才狙撃手は一人呟いた。
「クルツの方も終わったか。これで模擬戦は…」
宗介はそこまで言い、背後の殺気に気付く。
「ディバィィィン、バスタァァー!!」
いつの間にか復活していたスバルが、宗介に向けて魔力スフィアを撃ち出す。
しかし、その瞬間アーバレストの背面装甲が開き、放熱板が出て来る。
そして宗介の目前に迫った魔力スフィアは、発生した不可視の壁に遮られる。
「いっ!!?」
自身の全力の技を止められ、スバルは驚愕に目を見開く。
『ラムダ・ドライバ、正常に展開。』
「ふう…デバイスでの発動は初めてだったが、何とか上手くいったな。」
『肯定。私も作動を確認できて一安心です。』
「…お前がそれを言うか?」
『何しろこんな状態ですので。機能があるのは分かるのですが、発動するかどうかは疑問でした。』
「………」
ここでも漫才する一人と一機。
「相良さん、何なんですかそれ!?」
「アーバレストの特殊機能だ。魔法とはまた別のな。」
事も無げに言う宗介。
「特殊機能ってそんな、ズルイ!!」
「戦場でズルイもくそもあるか。今度こそ寝ていろ。」
ラムダ・ドライバの効果を魔力弾に付加し、発射する宗介。スバルは障壁で防ぐも、魔力弾は弾かれる事なく突き進み、遂には障壁を貫通、スバルはまたしても吹き飛ばされた。
「そ、そんなぁ〜…」
スバルが目を回して完全にダウンした所で、この日の模擬戦は終了した。
「今日の訓練はここまで。後は皆しっかり休んでね。」
「ありがとうございましたぁ〜…」
グロッキーとなった四人はふらついた足取りで宿舎へ戻っていく。
シャーリーにデバイスを預けその後を追う宗介だが、クルツに
「話がある。後でロビーに来い。」
と言われる。
「それで話とは何だ、クルツ?」
着替えを終え、ロビーにやって来た宗介。
「お前よ、今日一日ずーっとイラついたまま訓練してたろ?」
「…何を言って「とぼけるんじゃねぇ。」
宗介の言葉を遮るクルツ。
「ダテに長く相棒やってねぇよ。表情の変化くらい分かるさ。今のオメーは情緒不安定ですって面してるよ。」
自分の心情を言い当てられ、押黙る宗介。
「大方、元の世界になかなか戻れねぇ事に不満なんだろ?それと向こうの連中、特にカナメを気に
してるって所か。」
宗介は自分が守ると言った、大切な女性を思い出す。
「ああ、お前の言う通りだ。」
「ったく、前にも言ったろ?オメーの悪い所は、マジメすぎて一人で戦争してる気になってる事だって。俺らがいなくなったからって簡単にやられる程ヤワな連中か、西太平洋戦隊は?
それにカナメだって、お前がいなくなったからってダメになる娘じゃねぇだろ?」
その言葉に宗介ははっとする。
(そうだ、あの娘は千鳥かなめ。俺の事を信じてくれた娘だ。そんな彼女を俺が信じてやらないでどうするんだ。)
「じたばたしたって始まらねぇんだ。ここで俺達が出来る事を全てやる、それでいいじゃねぇか。今は彼女達が助けるべき“仲間”なんだしよ。」
「…そうだな。すまないクルツ、心配をかけたな。」
それを聞いたクルツはニカッと笑い、叫んだ。
「よ〜し!!では青少年の悩みが解決した所でぇ、今日は飲むぞ、皆!!!」
「おーっ!!」(×11)物陰から突然出て来たはやてとシャマルを含むフォワードメンバーに、宗介はギクリとする。
「なっ…!」
「相良君には黙っとったけどな、今日は二人の歓迎会するんや。相良君普通に言っても驚きそうに見えへんかったからなぁ〜。」
「にゃはは、悩んだままお祝いしてもつまらないから、終わった後でって事で隠れてたんだ。」
「レクリエーションルームに準備してあるんですよ。早く行きましょう。」
「カナメさんて人の事、詳しく聞かせてもらいますからね〜。」
スバルとティアナに両脇から押さえられ、呆然としたまま強制連行される宗介だった。
尚、この後の歓迎会で、はやてが酔って服を脱ぎ始めたとか、クルツがそれを手伝おうとしてヴォルケンズにボコボコにされたとか、スバル達に無理やり酒を飲まされた宗介がヤバイ事になったとか、色々とあったのだが、それはまた別のお話。
続く
投下終了です。
戦闘シーン上手く書けない…
今年は多分もう投下しませんが、次回では「あの人」を出す予定ですので、期待してて欲しいです。
それと、自分もその内番外編を書こうと思います。コメディ色の強いやつを。
それでは、また。
本当に最近は投下嵐だな。
>>220 あのひと・・・?まさか宗介をカシムと言う人か?
投下乙です、フルメタ組強すぎるwww
クリスマスに投下予定だったはずがかなり遅れたけど、
30分からストラクチャーパック魔法少女編を投下してもOKかな、かな?
いいですとも!(DS版FF4をやりながら)
遠い……今日一日のことなのに、スクロールがめちゃ遠いよ…。
恐るべし投下ラッシュ! しかし、例え遅くてもファンとして感想は欠かせませんな。
>なの魂
だんだん投下間隔短くなり、更に内容は長くなり、で毎回待ち望む身としては嬉しい悲鳴です。今回も素晴らしい!
今回はこれまでの重い空気をすっ飛ばすかのごとき銀魂節全開でしたねw
そうそう、真面目一辺倒でなくこういうバカノリの合間に真面目が入るのが銀魂クオリティ。
しかも、本当に違和感なく溶け込んでますね、リリなのキャラが。っていうか、ちょっとそこの高町家www
原作では良心的な商売してるくせに、ここでは小汚い商人かwwwまあ、それでもお茶目に映るから原作キレイなキャラは得よね(ぉ
あと、ネットでの陰湿さがモロにキャラから反映されてて違和感ないクアットロ。
相変わらず仲間のヴォルケンズに酷い扱いされてる気がしてならないザッフィー。
むしろヴォルケンズの女性陣がちょっとエゲツない。特にシャマル! しかもそれで本当に違和感ないっていうむしろ言いそうなキャラなのが絶妙w
原作を連想させつつも、適度に銀魂の毒を含んだ皆の動きにマジで吹きました。
銀魂と同じで、この作品にはホントはずれがないっすねぇ。次回も頑張ってください!
書込みテスト
時間が合えば0100頃投下したいと思います。
さて・・・、休暇で実家に帰省。
久しぶりにACLR:ラストレイヴンをプレイ。
エヴァンジェ隊長はカラサワを装備していなかった・・・!!
記憶違い甚だしいですね・・・、猛省猛省・・・。
そいでは投下
※注意 地の文が一切ありません。作者の自己満足的な要素が強いことをご了承ください。
「あれ? はやてちゃん達、何してるの?」
「ん、これやこれ」
「あ……それって十代君達の世界のカードゲーム?」
「そや、ちょうやってみたら結構はまってもうてな〜」
「リインも大好きですぅ♪」
「私も教えてもらったけど、奥が深いんだよね」
「うん、毎回違う展開になるし、飽きが来ないのがいいな」
「……ってなんや、二人もやっとるんやなぁ、なら話が早いわ」
「「?」」
「これ、私らをモデルにして作ってみたら面白いと思わへん?」
数日後
「さー、みんなにも協力してもらって、色々できたでー♪」
「なんでレイちゃんがここにいるのかは……」
「突っ込んだら負けなのよね、きっと」
「だってデュエルモンスターズに詳しい人がいないと、バランス分からないよね?」
「その辺は頼りにしてるで、早速見ていこかー」
―高町なのは(9歳)―効果モンスター
光属性 魔法使い族 星4
攻撃力1900 守備力1800
フィールド上に「フェイト」と名のつくモンスターがある場合、このカードの攻撃力は500アップする。
自分のフィールド上に「ユーノ」と名のつくモンスターがある場合、このカードの守備力は500アップする。
このカードは機械族以外のモンスターは戦闘で破壊することができない。
はやて「なるほど、非殺傷設定を盛り込んだんやな、そのおかげで強カードからいきなり使いにくくなった気がするけど」
なのは「にゃ、にゃはは……まあ、あんまり強すぎるのも微妙な気分だし……」
―高町なのは(19歳)―効果モンスター
光属性 魔法使い族 星8
攻撃力2600 守備力2300
このカードは「高町なのは」と名のつくモンスターを生贄にする場合、一体の生贄で召喚できる。
自分のフィールドに「フェイト」「スバル」「ティアナ」と名のつくモンスターがいる場合、このカードの攻撃力を500アップする。
守備モンスターを攻撃しその守備力よりこちらの攻撃力が上回っていた場合、その分のダメージを相手に与える。
自分のライフを500払うことでエンドフェイズまでこのカードの攻撃力を300アップさせる(1ターンに3回まで)
ティアナ「覚醒バージョン……」
なのは「何だか引っかかる言い方に聞こえるのは気のせいかな?」
ティアナ「ききききき気のせいです! はい!」
―ユーノ=スクライア―効果モンスター
地属性 魔法使い族 星4
攻撃力300 守備力1800
自分のフィールドに「なのは」と名前のつくモンスターがある場合、このカードの攻撃力・守備力は300アップする。
このカードが表側表示の時、自分のデッキを上から三枚見て順番を好きに入れ替えることができる。
このカードの召喚に成功した時、相手の罠・魔法カードゾーンを一か所使用不能にする。
はやて「……なのはちゃん、何で絵がフェレットモードなんや?」
なのは「しゃ、写真とかなくて……それで自分で書こうと思ったら、なんかこっちしか……」
フェイト「ユーノ、少し同情するよ……」
―レイジングハート―魔法・装備カード
このカードを装備したモンスターの攻撃力・守備力を500アップする。
このカードを装備したモンスターの名前に「なのは」がついていた場合、
装備モンスターの破壊の代わりにこのカードを破壊することで、モンスターの破壊を防ぐ。
このカードが破壊された時、自分の手札・フィールド・墓地から魔法カードを一枚除外することでデッキの一番上に戻すことができる。
リイン「あ、ちゃんとレイジングハートもあるですね」
レイ「うん、インテリジェントデバイスって意志があるんでしょ? だったら仲間外れにしちゃ悪いもん」
RH『Thanks』
―フェイト=テスタロッサ―効果モンスター
雷属性 魔法使い族 星4
攻撃力1700 守備力1200
フィールドに「なのは」とつくモンスターがいる場合、このカードの攻撃力は300アップする。
このカードが戦闘ダメージを与えた場合、相手の手札をランダムで一枚捨てる。
はやて「一つ疑問に思うねん」
フェイト「え?」
はやて「ウチとなのはちゃんとフェイトちゃんって、三人とも親友、って設定やったよな?」
なのフェイ『……あ、あははー』
―フェイト=T=ハラオウン―効果モンスター
雷属性 魔法使い族 星7
攻撃力2400 守備力1800
このカードは「フェイト=テスタロッサ」と名のつくモンスターを生贄にする場合、一体の生贄で召喚できる。
自分のフィールドに「なのは」「エリオ」「キャロ」と名のつくモンスターがいる場合、このカードの攻撃力は300アップする。
「エリオ」「キャロ」と名のつくモンスターが攻撃対象になった場合、変わりにこのカードに攻撃させることができる。
このカードが戦闘ダメージを与えた場合、相手の手札をランダムで一枚捨てる。
シグナム「まったく、カードゲームでも過保護なんだな、お前は」
フェイト「あ、あう……」
―アルフ―効果モンスター
地属性 獣戦士族 星4
攻撃力1500 守備力1700
自分のフィールドに「フェイト」と名のつくモンスターがいる場合、このカードの攻撃力・守備力は300アップする。
相手のモンスター一体の守備力を半分にする。この効果は自分のメインフェイズに一回しか使えず、この効果を使ったターンこのカードは攻撃できない。
「フェイト」と名のつくモンスターが破壊される時、代わりにこのカードを破壊することで破壊を無効にする。
エリオ「わ、アルフがおっきい」
フェイト「私と一緒に戦ってくれた時のアルフだよ、懐かしいな……」
―バルディッシュ―魔法・装備カード
このカードを装備したモンスターの攻撃力・守備力を500アップする。
このカードを装備したモンスターの名前に「フェイト」がついていた場合、そのモンスターは罠の効果を受けなくなる。
このカードが破壊された時、自分の手札・フィールド・墓地から魔法カードを一枚除外することで手札に戻すことができる。
はやて「お、ちゃんとレイジングハートより修復機能がつよなっとるんやな」
レイ「うん、この辺りは色々相談させてもらったよ」
―八神はやて(9歳)―効果モンスター
闇属性 魔法使い族 星3
攻撃力300 防御力500
このカードが表側表示でいる時、自分のスタンバイフェイズ時にライフポイントを1000回復する。
ヴィータ「あれ? これって……」
はやて「まだウチが夜天の書の力を使う前やな、なんだかんだで一番印象に残ってる時期やったからなぁ」
―八神はやて(19歳)― 効果モンスター
闇属性 魔法使い族 星8
攻撃力2500 守備力2000
このカードは「八神はやて」と名のつくモンスターを生贄にする場合、一体の生贄で召喚できる。
自分のフィールドに「シグナム」「ヴィータ」「シャマル」「ザフィーラ」と名のつくモンスターがいる場合、このカードは攻撃対象にならない。
相手の全てのモンスターに攻撃することができる。
はやて「本当は蒐集で相手の効果を〜とかつけてもらいたかったんやけどな」
なのは「それ、相手によってはとんでもないバランスブレイカーになっちゃうよ……」
―リインフォースU― ユニオンモンスター
光属性 魔法使い族 星3
攻撃力1200 守備力1000
1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして
自分のフィールドの「はやて」「シグナム」「ヴィータ」と名のつくモンスターに装備、または装備を解除して
表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている時のみ、
装備モンスターの攻撃力・守備力は300アップし、攻撃時反射ダメージを受けなくなる。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、
代わりにこのカードを破壊する。)
はやて「リインがユニオンモンスターなのは鉄壁やな」
リイン「みんなと頑張るです♪」
―闇の書の意思― 儀式モンスター
闇属性 魔法使い族 星12
攻撃力4500 守備力3500
このカードは「闇の書」の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードが表側表示でいる場合、自分のスタンバイフェイズ時に山札からカードを五枚除外する。
相手の全てのモンスターに攻撃できる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地にいった場合、そのエンドフェイズに自分の手札・フィールドのカードを二枚除外しフィールドに戻る。
なのは「こ、これは……」
はやて「んー、名前はどうするか最後まで悩んだんやけどなー」
フェイト「も、問題はそこなのかな……?」
レイ「話を元にしたんだけど、なにかまずかったかな?」
シグナム「いや、なんと言うべきか……むぅ」
ヴィヴィオ(ママの『アレ』より強いの……!?)
スバル「ヴィヴィオ、顔色悪いけど大丈夫?」
―闇の書― 儀式魔法カード
フィールドに存在する「八神はやて」「シグナム」「ヴィータ」「シャマル」「ザフィーラ」を生贄にすることで、
「闇の書の意思」を特殊召喚する。
全員「コスト重っ!」
レイ「ですよね〜」
はやて「しゃ、しゃあないやん! モデルがあるとこうなってまうんて!」
―烈火の将 シグナム― 効果モンスター
炎属性 魔法使い族 星6
攻撃力2400 守備力1700
このカードは戦士族としても扱う。
「八神はやて」と名のつくモンスターと戦う場合、このカードの攻撃力は0になる。
「フェイト」と名のつくモンスターと戦う場合、このカードの攻撃力は300アップする。
自分のフィールドに「八神はやて」と名のつくモンスターがいる場合、このカードは魔法・罠カードの効果を受けない。
シグナム「主はやてを倒すことなどできぬ!」
フェイト「人にはカードゲームの中でまで、とか言ってたくせに……」
―鉄鎚の騎士 ヴィータ― 効果モンスター
炎属性 魔法使い族 星5
攻撃力2000 守備力2000
「高町なのは」と名のつくモンスターと戦う場合、このカードの攻撃力は500アップする。
このカードが守備表示の相手を攻撃した場合、ダメージステップ後そのカードを破壊する。
なのは「ヴィータちゃん、何で私だけ……」
ヴィータ「うっせぇ、なんとなくだよ!」
―湖の騎士 シャマル― 効果モンスター
水属性 魔法使い族 星5
攻撃力500 守備力2000
このカードは相手プレイヤーへ直接攻撃できる。
このカードが表側守備表示でいる場合、自分のスタンバイフェイズに1000ライフを回復する。
スバル「旅の鏡って便利ですね〜」
なのは「……」
シャマル「な、なのはちゃん? なんだか怖いオーラが……」
―盾の守護獣 ザフィーラ― 効果モンスター
地属性 獣戦士族 星5
攻撃力1500 守備力2300
このカードは「モンスターを破壊する」効果を受けない。
このカード以外のモンスターが攻撃対象になった場合、このカードに対象を変更させることができる。
ヴィータ「ゲッ、私の効果きかねーじゃんか!」
ザフィーラ「無条件で倒されるなど、盾の守護獣の名が廃る」
―スバル=ナカジマ― 効果モンスター
地属性 魔法使い族 星4
攻撃力1600 守備力1200
このカードは機械族としても扱う。
機械族と戦う場合、このカードの攻撃力は700アップする。
守備表示のモンスターと戦闘し、こちらの攻撃力が上回っていた場合、その数値分ダメージを与える。
ティアナ「思ったより抑えてるわね、スバルのことだからもっと考え無しに攻撃力を上げてほしい、とか言ってると思ったけど」
スバル「……先になのはさんの攻撃力見させられた〜」
はやて「なかなか策士やな、レイちゃん……」
―ギンガ=ナカジマ― 効果モンスター
風属性 魔法使い族 星4
攻撃力1900 守備力1300
このカードは機械族としても扱う。
このカードのコントロールが変更された場合、このカードの攻撃力は200アップする。
守備表示のモンスターと戦闘し、こちらの攻撃力が上回っていた場合、その数値分ダメージを与える。
なのは「う、うーん、敵に回ると強くなる……間違ってはいないけど……」
レイ「ほとんどスバルさんと同じ、としかわからなくて……」
ティアナ「あんたの責任ね」
スバル「そ、そんな〜」
―マッハキャリバー―装備魔法カード
このカードを装備したモンスターはカウンターを三つ置く。
罠カードが発動した時、カウンターを一つ取り除くことでそのモンスターは罠の効果を無効にする。
このカードが破壊された時、カウンターは全て取り除かれる。
装備したモンスターの名前に「スバル」が入っていた場合、攻撃力・守備力を500アップする。
スバル「なんだか変わった装備効果だね」
レイ「みんな個性的すぎて、逆に違いをつけるのが大変……」
―ティアナ=ランスター― 効果モンスター
風属性 魔法使い族 星4
攻撃力1400 守備力1000
このカードは攻撃力を半分にすることで二回攻撃できる。
このカードが破壊された時、手札から魔法カードを墓地に捨てることで破壊を無効にする。
ティアナ「フェイクシルエット、そんなに印象的だった?」
レイ「見た時のインパクトが大きくて……」
―クロスミラージュ―装備魔法カード
このカードを装備したモンスターが攻撃する場合、相手の守備力は半減する。
装備したモンスターの名前に「ティアナ」が入っていた場合、攻撃力・守備力を500アップする。
なのは「守備力半減……んー……あ、バリアブルシュート!」
レイ「大正解!」
―エリオ=モンディヤル―効果モンスター
雷属性 魔法使い族 星4
攻撃力1500 守備力1500
このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚成功時にコイントスをする、表側だった場合このカードは罠カードの効果を受けない。
自分のフィールドのモンスターのコントロールが変更された場合、攻撃力が300アップする。
シグナム「ふむ、まだまだ安定しないということか」
エリオ「はい、もっと精進します!」
フェイト「あ、あんまり無理しちゃダメだよ? 怪我とかには絶対気を付けてね?」
なのは「フェイトちゃん、エリオももうAAランクなんだから……」
―ストラーダ―装備魔法カード
このカードを装備したモンスターが相手にダメージを与えた時、相手の手札を一枚捨てる。
装備したモンスターの名前に「エリオ」とついていた場合、そのカードの攻撃力・守備力は500アップする。
レイ「そろそろデバイス時の発言のネタが尽きてきたみたいだね」
エリオ「い、いくら外伝でも、そういうことを言っちゃったら……」
―キャロル=ルシエ―効果モンスター
光属性 魔法使い族 星3
攻撃力500 守備力1200
このカードが表側表示の時、自分のフィールドのモンスターの攻撃力は200アップする。
魔法カードを一枚捨てフィールド上のモンスター一体を選択する、そのモンスターは表示形式を変えることができず、また攻撃もできない。
はやて「さすが、サポート役として満点やな」
キャロ「はい、ありがとうございます!」
シグナム「ぁー、なんだ、シャマル、私はお前も悪くないと思うぞ」
シャマル「……泣いてなんかないもん、泣いてなんか!」
―ケリュケイオン―装備魔法カード
このカードを装備したモンスターの攻撃力を半分にすることで、その数値分別のモンスター一体の攻撃力をアップさせる。
装備したモンスターの名前に「キャロ」と入っていた場合、そのカードの攻撃力・守備力を500アップする。
はやて「おー、キャロは更に強くなるんやなー」
シャマル「レイちゃん! 次回の魔法少女ベルカ闘争編ではクラールヴィントを入れてぇ!」
レイ「ええ!? もう次の決まってるの!?」
なのは「ちょ、そのすっごいキャラが偏りそうな名前は何ー!?」
―ヴィヴィオ―効果モンスター
神属性 魔法使い族 星4
攻撃力400 守備力1500
このカードは魔法使い族との戦闘か魔法カード以外では破壊されない。
「高町なのは」と名のつくモンスターと戦闘した場合、そのモンスターをコントロールしているプレイヤーにコントロールが移る。
なのは「わ、神属性だってさヴィヴィオ」
ヴィヴィオ「ゲームの中でもママと一緒ー♪」
―戦闘機人No5 チンク―効果カード
火属性 機械族 星5
攻撃力1800 守備力1800
自分のスタンバイフェイズに機械族のモンスターを一体選択し、ディトネイターカウンターを一つ載せることができる。
このカードが表側表示でいる場合、
ディトネイターカウンターが載っているモンスターを破壊し、その攻撃力の半分を相手プレイヤーに与えることができる。
スバル「?? なんでチンクだけ?」
レイ「なんだか頭の中でこのカードの映像がずっと回ってて……」
キャロ「いったい何なんでしょう?」
はやて「気にしちゃあかん、ただの趣味や……」
全員「????」
―スターライトブレイカー―魔法カード
自分のフィールドに「なのは」「ティアナ」と名のつくモンスターがいる場合のみ発動できる。
全ての墓地にある魔法カードを除外し、その枚数×300のダメージを相手プレイヤーに与える。
レイ「私たちが普段やるルールだと、14枚墓地に魔法カードが出た時点でアウトだね……」
はやて「禁止カード候補やなぁ」
なのは「あう……」
―集え、機動六課!―
自分のフィールドに「なのは」「フェイト」「はやて」「スバル」「ティアナ」「エリオ」「キャロ」の内いずれか二体がいる場合発動可能。
以下の中から効果を二つ選ぶ。
・「なのは」と名のつくモンスターがいる場合
手札をランダムで一枚捨て、相手モンスターを一体破壊し、相手の山札の一番上のカードを除外する
・「フェイト」と名のつくモンスターがいる場合
相手の手札を見て、好きなカードを二枚捨てさせる。
・「はやて」と名のつくモンスターがいる場合
自分と相手の山札の上から三枚までを見て、自由に入れ替える。
・「スバル」と名のつくモンスターがいる場合
手札を一枚捨てる。守備表示のモンスターを一枚破壊し、
そのモンスターの攻撃力の半分の数値より低い攻撃力のモンスターがいた場合、そのモンスターも破壊できる。
・「ティアナ」と名のつくモンスターがいる場合
このターン、魔法カードを発動する時に「手札を捨てる」テキストを無視できる。
・「エリオ」と名のつくモンスターがいる場合
自分のモンスター一体を選択、そのモンスターはターン終了時まで
「守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を上回っていた場合、その数値分のダメージを与える」
という効果を加える。
・「キャロ」と名のつくモンスターがいる場合
自分のフィールドのモンスターの攻撃力をターン終了時まで300アップさせる。
はやて「て、テキスト欄が米粒のような文字でびっしりと……」
レイ「人数が多すぎなんだもん、これでもシグナムさん達を削ったりしたんだよ?」
―リンディ茶―罠カード
モンスター一体の攻撃力・守備力を半分にする。
フェイト「えーーーーーーっと……」
はやて「誰や!? こんなバレたら洒落じゃすまへんもんを考えたのは誰やー!?」
「何枚か気になるのもあったけど……とりあえずこんなもんやろ♪」
「でも、これどうするんですか?」
「まさか売り出すわけにもいかないし……」
「何言うてるん、売るに決まってるやろ?」
「え!? で、でもはやて、局じゃデュエルモンスターズを知ってる人は少ないし……」
「レイちゃんの世界で売り出せばええ、CMも考えてあるで!」
「ふぇ、そんなの許されるの!?」
「大丈夫や、レティはん達に協力してもらえば大抵の事は通る、権力なめたらあかんでー♪」
(ダメだこいつ……早くなんとかしないと……)
こんな事があったその数週間後、デュエルアカデミア
「兄貴兄貴、大変っす〜!」
「ん? どうしたんだよ翔」
「TVにレイちゃんが出てて……い、いやそれよりもっと凄い人達が……!」
「はぁ、レイが? ま、とりあえず見てみるか……って丁度CMじゃないか」
―TV―
はやて「集え、全ての魔法使い達よ!」
レイ「魔法少女達の戦いが、今始まる!」
なのは「飛び交う魔法を使いこなした時、あなたの手には勝利が約束される」
フェイト「遊戯王デュエルモンスターズ、ストラクチャーパック魔法少女編、近日発売!」
スバル「魔力、ぜんかぁぁぁぁぁぁい!!」
―TV終了―
「……見なかったことにしよう」
「え、それでいいんすか!?」
「深く触れたら後悔する、そんな気がするんだ……」
以上です、自己満足にお付き合いいただきありがとうございます。
時系列的にはリリカル遊戯王GXが終了→二十代もガッチャモードになった後ぐらいを考えてます
レイが六課のメンバーにくだけた口調で話しているのとかは、本編にて親交を深めるということです
ペガサスあたりがノリノリで作成しそうだwwwww支援
GJ!
さて、エラッタするか
長くなるんで明日の朝ぐらいになるのだろうか?
GJ
さてと、十分後に僕も投下します。
おk?
238 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 21:44:27 ID:m+ZBn7wq
GJ!
スターライトブレイカーは禁止カード免れても制限カードになっちゃうだろうなぁ。
リンディ茶・・使えるかもしれない(何
マジカルエクスプロージョンの魔法版か・・・・・・厄介すぎるぜ
十分立ったな…
再確認します。
二部プロローグ投下おk?
ところで、ここしばらく遊戯王から離れていたので自信がありませんが、
雷属性ってなかった気がするのですが……
えっと…何も無いということはおkと取らせていただきますっス。
リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー
第二部
【機動六課サイド】
プロローグ
36年…この長い月日の間、人類は常に死と隣り合わせの危機と向き合ってきた。
ショッカー、ゲルショッカー、デストロン、GOD、ゲドン、ガランダー帝国、ブラックサタン、デルザー軍団、ネオショッカー、ドグマ、ジンドグマ、バダン、ゴルゴム、クライシス帝国、ネオ生命体、フォッグ、グロンギ、アンノウン、オルフェノク、アンデッド、ワーム…
沢山の悪の力が人類を窮地に立たせてきた
だが、そのたびに人類を助け、正義のために戦ってきた戦士達がいた…
その名は…「仮面ライダー」
そして、今ここに、新たなライダーが誕生しようとしていた。
【次世代戦闘用改造人間プロジェクト「ガブリエル」アメリカ本部内手術室】
「…」
手術台の上に座っている上半身裸の黒髪の少年は自分の掌を見つめ、それを握りしめた。
すると、彼の前にカルテを持った一人の男性が現れる。
「手術は成功だ。ドラスストーンも、順調に君と適合している。」
「ありがとうございます、望月博士。」
少年は笑顔で望月と呼んだ男性に話しかける。
だが、望月は悲しい表情で少年を見つめている。
そして、望月は少年の瞳を見ながら口を開いた。
「本当に良かったのかい、拓哉?君が望んだこととはいえ、君はもう…人間には戻れない。」
すると、拓哉と呼ばれた少年は笑顔で答える。
「なぁに、親も義兄も姉さんも、全て失った身です。心配してくれる人間も居ないし、別に構いませんよ。
そんなことより、これからやる事を教えてください。」
「ミッドチルダに向かい、時空管理局最強の部隊と言われている起動六課に所属してもらう。そして君は六課の部隊長である八神はやて二佐の指揮下に入り、六課所属のメンバーたちと協力して様々な任務をこなしてもらう。
だが、君の最も優先すべき任務は…」
「ドラスストーンの予言にあった「奴ら」を見つけ次第倒す…ですよね?」
「…そうだ。拓哉、悪いが早速ミッドチルダに向かってもらうぞ。奴らはきっともうすぐ現れる。しかもミッドを全次元征服の拠点として…
1号からZXまでのライダーがいない今、頼れるのは君と龍だけなんだ。」
「分かりました。ところで、龍は?」
「君より先に目覚めて、ミッドに旅立ったよ。」
「あいつ…2号のクセに生意気な…」
「コラコラ…」
「ま、良いや。」
拓哉は手術台から下り、近くにおいてあった私服に着がえる。
「じゃあ博士、麻生教官や瀬川教官に、よろしく伝えておいてください。僕はもう行きます。」
「ああ。」
「それじゃあ。」
拓哉は望月に笑顔を送り、手術室を出て行った。
「…あの子が望んだとはいえ、僕は、あの子に重い宿命を背負わせてしまった…拓也、許してくれ…」
「僕も行って良いですか?」
「ん?」
望月は背後を振り向き、そこにいた白髪の少年に気付く。
「享一…居たのか…」
「少し前から…今六課には、医務官が居ないそうです。しかし、ミッドチルダには今、六課に以前居た医務官以上の医者がいないそうです。
こういう時こそ、ミッド人と地球人の混血であり、比較的優秀な腕を持った僕の出番じゃないですか?」
「確か君は、医療系の古代ベルカ式魔法の使い手だったね…
良いだろう、君も行ってくれ。今回の改造手術も君がいてくれて助かった。
君ならきっと、役に立つ。」
「了解しました。では、準備が出来次第向かいます。(噂によれば機動六課は可愛い女の子揃いの部隊…拓ちゃんだけに良い思いはさせないよ♪)」
かくして十八歳の天才魔法医師・相馬享一も、軌道六課に向かうことになる…
支援
プロローグ投下終了
これから機動六課サイド一話の執筆してきます。
お楽しみに。
支援ー
>>241 か、雷族とかめっちゃ紛らわしいのがあったからずっと勘違いしてた・・・orz
すまないエラッタ氏、雷属性は全部風属性に変えてくれ・・・
>>246 ザボルグ「・・・・・・・・・・・・・・・」
創世神「・・・・・・・・・・・・・・・・」
雷電娘娘「・・・・・・・・・・・・・・・・」
>>246 リリカル遊戯王GX氏。
風属性じゃなくて光属性のほうがいいんじゃないでしょうか?
実際、雷使うスパークマンは光属性ですし。
>>247 こっち見んなwwwwwww
>>248 む、言われてみれば・・・
なんとなく風と雷を近いイメージがついてるんですよね、なんでだろ・・・
エラッタ氏におまかせするぜ、丸投げとか我ながら酷いな
リインはユニオンデバイスでしたっけ?ユニゾンデバイスだったような・・・
>>250 そこはデュエルモンスターズに合わせたのです、
向こうは合体・分離するモンスターをユニオンモンスターと呼ぶので
史上最強の鬱フラグクラッシャーコブラで2時間ぐらい構想練ったけど駄目だったぜ
Strikers May Cry の番外編が出来たんで投下してもいいでしょうか?
前に言っていたナンバーズの話ではなく、IFストーリーのバッドエンドものなんですが…
雑談の方で言ってもあんま反応無かったんで書いてしまいまた。
BADENDは美味しいですww
どぞー
それでは投下します。
この話はSMC第十話の後にバージルが人界に直帰したという設定の話です。
魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 番外編 Bad End(前編)
これは魔剣士が選んだ筈のもう一つの選択肢。ありえた最悪の未来。
闇の剣士がミッドチルダを去る時間がほんの少し早ければ訪れたであろう世界の姿。
「は〜まったく退屈だぜ…」
赤いコートを着た銀髪の男は手にした最後のピザの一切れを食べながら呟いた。
男の名はダンテ、伝説の魔剣士スパーダの息子にして最強の悪魔狩人である。
先日のダンテの兄バージルが起こしたテメンニグルの事件により彼の店は半壊し、まだ名前も決まっていない彼の店は開店前からひどいありさまとなった。
「まだ店の名前も決まってねえのに、何で借金だけこんなに増えんだろうな…まったく」
ダンテはそう愚痴を漏らしながら今日も仕事の依頼を待って昼寝としゃれこもうとした。
だが徐々に店に近づく懐かしい気配と魔力、そして大気を満たす殺気を感じたダンテは即座に愛銃“エボニー&アイボリー”に手を伸ばした。
その瞬間、壁の向こう側で魔力が急速に膨れ上がり抜刀の鍔鳴りが響き突如として空間ごと斬り裂く魔力の斬撃“広域次元斬”がダンテに襲い掛かる。
「がはあっ!!」
ダンテは転がって回避するも脇腹に肩と足を計8箇所深く斬り裂かれる。
だがそれで終わるダンテではない、彼は転がりながら壁越しに敵の気配に向かって銃弾を叩き込んだ。
壁越しに銃弾を叩き込まれたその敵は飛来する弾丸の全てを手にした妖刀で弾き落とした。
ダンテの知る中でこんな芸当が出来るのは一人しかいない。
「俺が恋しくてあの世からカムバックか? 死人にしちゃ随分と元気そうだな」
「生憎と一度も死んだ覚えは無い」
「そいつぁ失礼。じゃあ俺の勘違いか」
ダンテの店のドアを悠々と開きながら入って来たのは、手に閻魔刀を持った半魔の剣士にして彼の兄バージルである。
ミッドチルダを離れたバージルは今、長年の宿願である父スパーダの力を得るためダンテからフォースエッジとアミュレットを奪いにこの場所に来たのだ。
ダンテは先のバージルの攻撃で受けた傷から溢れた血を拭いながら窮地にもかかわらず軽口を叩いた。
「それで何の用だいバージル? 俺ん所にゃ今トマトジュースも無くってな〜、大したオモテナシはできねえぜ」
「決まりきった事を聞くなダンテ。おとなしくフォースエッジとアミュレットを渡せば命は奪わんぞ」
ミッドチルダの魔法知識や魔力操作を習得したバージルの力は以前と比べられない程に強大になっていた、それを漠然と感じるダンテだがそんな事で引く彼ではない。
「欲しけりゃ力ずくで奪いな…」
「そうか…では奪うとしよう」
バージルはそう言いながらデバイスと閻魔刀の二つの刃を翻す、そしてこの言葉は兄弟の最後の会話となる。
そして数時間後、後にデビル・メイ・クライと名の付く“筈”だった店には赤いコートを着た半魔の悪魔狩人の屍だけが残っていた。
魔界にはひどく若い王がいた。彼はある日突如として現われ、伝説の魔剣士スパーダの力を持って魔界の絶対支配者であった魔帝ムンドゥスを滅ぼしたのだ。
彼は自分に楯突く上位悪魔の多くも殺し尽し、瞬く間に魔界最強の地位を手に入れ新たなる王と成った。
彼は自分の名をこう言った“魔王ギルバ”と。
そして王の前で決して言ってはならない言葉がある、彼の前でその言葉を口にすれば瞬きする間も無く殺されるだろう。
その言葉は“半魔”新たなる魔界の王は人間の血を引いているというのだ。
新たなる魔界の王、それはダンテを殺しスパーダの力の全てを得たバージルの現在の姿だった。
魔界の一角に佇むかつての支配者魔帝ムンドゥスの作った純白の居城、その魔界には似つかわしくない白亜の宮殿の奥深くに玉座に若き魔王は腰掛けていた。
それは若き魔界の新たなる支配者、ギルバの名を名乗るバージルである。
全身を黒装束に包み、その深い闇色の服に良く映える輝く銀髪をオールバックに整えた姿はまるで彼の父スパーダの在りし日を彷彿とさせる姿だった。
魔王となったバージルは手にしたグラスを傾け魔界産の果実酒をその杯の中で揺らしながら静かに呟く。
「…退屈だな」
魔界の王者となり絶対最強の頂に立ったバージルだが今の彼にあるのは延々と続く退屈な時間だけだった。
名立たる上位の悪魔はムンドゥスを倒した際に殺した為、バージルの闘争欲求を満たすような猛者はもう魔界には一人もいないのだ。
戯れに戦闘力を強化された悪魔を作り出しては戦いを行っているがどんなに強化された悪魔でもバージルの圧倒的な力の前には成す術もなく彼を満足させるには至らない。
だからといってムンドゥスのように人界を支配する気など毛頭無く、彼は無限の力と時間を持て余していた。
こんな時、何故か彼の脳裏を過ぎるのはかつてミッドチルダで機動六課の人間達と共に過ごした日々だった。
自分を師と仲間と慕った者たち、特に烈火の将の二つ名を持つベルカの騎士と自分を兄と呼んだ幼い少女の姿が思い起こされる。
ミッドを離れて何年経つのか、バージルは彼女の事ばかり考えていた。
かつて死合いにおいて自分を熱く燃え上がらせた誇り高き女の騎士を。
(あの女は……烈火は今頃どうしているのだろうな…)
虚ろ気な眼差しで手のグラスを弄ぶバージルは近づいて来た気配に声を掛ける。
「何か用か…」
「はいギルバ様」
それは輝く金髪を持つ美女にして人間体の悪魔、かつて魔帝ムンドゥスがダンテを惑わす為に作った悪魔であり今では新たなる魔界の王に仕える側近。
その名を“トリッシュ”と言った。
「この魔界に隣接する世界へ人間の戦船が近づいています…」
トリッシュはそう言うと魔力で作り出した巨大な鏡に映像を映し出す、それは宙に浮かぶ巨大な人造の戦船だった。
「ほほう〜これは“聖王のゆりかご”じゃなあ」
その映像をつまらなそうに眺めるバージルの前にまた別の悪魔が現われた、それは三つの老人の頭が繋がったような巨大な人面の悪魔“トリスマギア”数多の知識を持つ魔界の賢者である。
「トリスマギア、知っているのか?」
バージルのさして興味も無さそうな質問にもこの魔界の賢者はひどく嬉しそうに笑いながら答えた。
「ええ勿論知っていますギルバ様。これはとある人間の世界の文明、古代ベルカの王族の用いた戦船ですぞ」
ベルカ、その懐かしい名前にバージルは手にしたグラスを僅かに震えさせた。
「ベルカ…か」
「そういえばギルバ様は人界の魔道に詳しいのでしたなあ、確かに我ら悪魔の使う魔力の技よりは効率が良い術理ですからな。
しかしワシの記憶が正しければ、この船は数百年前に地の底に埋まった筈なんじゃがなあ…」
バージルは手のグラスを唐突に放り投げ、床に果実酒の鮮やかな赤を撒いた。
「まあ退屈しのぎにはなるか……」
若き魔王は玉座から立ち上がると、久しぶりに現われた退屈しのぎに向かって歩き出した、
それがどんな再開をもたらすかも知らずに。
とある世界の空に浮かぶ古代の戦船聖王のゆりかご、その船の姿を巨大な大鷲の悪魔の背に乗った魔王が眺めていた。
「あれが、ゆりかごか…」
「如何致しますかギルバ様?」
静かに呟くバージルに彼を乗せた大鷲の悪魔“グリフォン”が口を開いた。
この悪魔はかつてムンドゥスに仕えていた上位悪魔だったが魔界に来たばかりのバージルに倒され今では彼の従順な僕の一人である。
「では向かうとしよう……行け」
「畏まりました」
バージルの命を受けたグリフォンは雷撃を身体の周囲に纏い最高速度で聖王のゆりかごの上空へと羽ばたく。
ゆりかご上部へと舞い降りたグリフォンの背中からバージルはその金属製の外殻に足を下ろした。
「グリフォン、貴様はもう下がれ」
「はっ」
バージルはそう言ってグリフォンを下がらせた、これからこの場が自分の猟場になる以上は他の悪魔は邪魔だったのだ。
「さて、どんな歓迎をしてくれる人間?」
バージルはゆりかご上部で腕を組んで相手の反応を待つ。出来れば暴力的な対応をされる事を望んだ、それなら少しはこの空虚な心を潤すことが出来るだろうと考える。
そのバージルの目の前に魔法陣が展開し黒衣の司祭服を着た男が現われる、左右で色の違うオッドアイの不気味な眼光を放つ背徳の司祭アーカムである。
久方ぶりの再開を果たしたかつての協力者の間には禍々しいまでの魔力と殺気が渦巻く。
最初に口を開き沈黙を破ったのはアーカムだった。
「まさか、そちらから来て頂けるとは思ってもいなかったよ…魔界の新たなる魔王殿」
バージルは愉快そうに僅かに笑みを浮かべた、アーカムならば少しは手応えのある敵を連れて来ているだろうという憶測が刺激に飢えた魔王の心を潤す。
「随分と面白い玩具を手に入れたようだなアーカム、魔界に旅行にでも来る気か?」
「その通りだ、魔王ギルバの力を奪いにね……さあ君の得たスパーダの力を頂こうか」
そのアーカムの言葉と共にアーカムは身体を異形の悪魔へと変え、その周囲に使役悪魔と大量のガジェットドローンそして戦闘機人の軍勢が現われる。
悪魔の身体をへその身を変えたアーカムがその醜い顔を歪めて笑う。
自分の得た悪魔の力と従える軍勢なら例え魔剣スパーダを持つバージルが相手でも勝てると考えるが故の余裕だった。
「しかし残念だねえ、何年か早ければ聖王の器も参戦させれたのに…」
「聖王の器?」
「ああ…君にはヴィヴィオと言った方が分かるかな?」
「ヴィヴィオ……だと?」
その言葉に一瞬バージルの鼓動が跳ねた、かつて自分が見捨てた少女の面影が脳裏を過ぎる。
そのバージルにアーカムは言葉を続けた。
「君はあの時もう気付いていたかもしれないがあの娘は我々にとって重要な個体でねえ、このゆりかごを起動させる為の古代ベルカ王族のクローンだったのさ…」
「………」
その言葉に思わずバージルは目を見開いた、アーカムの言う事が正しければヴィヴィオはまだ生きているのだ。
敵の手に落ちたあの日、もう生きてはいないと諦めた少女の儚い命はまだ紡がれていた事に胸が僅かに熱くなる。
「だがゆりかごのシステムは改造されてあの娘も用済みになってしまってねえ…」
アーカムはひどく愉快そうに醜貌を歪め、牙の並ぶ口を大きく開けて笑いながら言った。
「…だから悪魔の餌にしてしまったよ」
そのアーカムの言葉が放たれた次の瞬間、バージルの手には別異層の次元より引き抜いた最強の魔剣スパーダが握られていた。
それは二つのアミュレットが魔剣フォースエッジと融合した究極の魔剣士の剣である。
そしてスパーダを構えたバージルは全身から大気や空間が歪むような魔力と殺気を立ち上らせながら静かに口を開いた。
「……死ね」
バージルが凄絶なる眼光と共に小さくそう呟くと同時にその場のいた全ての者は魔剣のもとに刻み尽くされ、聖王のゆりかごもまた幾重にも斬り裂かれ数多の瓦礫となって空に散った。
続く。
短いですが投下終了です。
次回はこのIFワールドのシグナム姐さんを登場させたいですね……特に良いアイディアがある訳でもないですが。
260 :
戦国の鉄の城:2007/12/27(木) 23:04:04 ID:m+ZBn7wq
ぐ・・GJ!
だが何だこの胸が締め付けられるような感覚は・・・。
GJ。
……なんというか虚しいなぁ……。
なんというイデENDフラグ、これは間違いなk(ry
…GJです。
ですが、姐さんの今後によっちゃ、多分俺泣いちゃうよ?
自分も明日には片翼8話投下したいなぁ…
…残念ながら、当初の予定と異なり、スーパーザッフィータイムは9話に持ち越しになっちまいましたがorz
GJ・・・うぐぅ、救われねぇ・・・
264 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:01:09 ID:bUzmH6le
えっと。
9話目が出来たんでー・・・自分も投下いいですかな?
>>259 えーと・・バージルさんの夢オチじゃないんすか?
>>264 進路クリア、ホンダム発進せよ!
夢オチって話も考えたんですが……それじゃあ絶望が足りないのでこのまま行くと思います。
そして忠勝支援! お前の力を見せてくれ。
支援
268 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:12:02 ID:bUzmH6le
夢オチで悪夢から目覚めてシグナム姐さんに皮肉を込めた慰めを言われて…ギャー(次元斬
では、投下したいと思いますですよ(何
269 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:12:55 ID:bUzmH6le
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜
第九話「立ち上がった白銀の城」
「行くのだな?」
かつて大武闘会が行われていた石の四角い土俵。
一人の巨人は迷い込んでいた世界へ、救うべき者を救うためにもう一度赴こうとしている。
巨人はコクリと頷くと、その巨大な体を唸らせる。
手に握る巨大な槍は今までのものよりも太く、大きく。より鋭さを増している。
「機巧槍 雷神真王」。鋼より硬い炭素の結晶で作られた巨大な槍、もといドリル。
肩は今までの葵の御紋が刻まれたものではなく、先端が軽く尖っていてより機械的になっている。
「鋼具足 飛翔壁」。今までどおり鋼で作った鎧だが重いのに速く動ける。それは紋章の中の不思議な筒が強化されたのだとか。
紋章の中には以前より強化されたプラズマ発生装置。準備は万端だ。
巨人は槍を高々と掲げ、地面に刺す。大の字になって空中に浮かぶ。予想通り、地面が渦になる。
(今度はもう迷わない)
渦に飛び込む。技師のおかげで強化され、白銀の城となった本多忠勝は戦地、ミッドチルダへと駆ける。
「さて・・・お主等も行くのだろう?」
家康の後ろに、四つの人影。
270 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:13:43 ID:bUzmH6le
その忠勝が今向かっているミッドチルダ。
まさに戦場と化していた。飛び交う魔力弾。倒れる人々。止むことのない爆発。
戦場を、黒い人影が跳ぶ。また一人、二人、倒れる人。得物の鎌は血に染まる。
「ククククク・・・・ハハハハハハハハハハ!!あぁ・・・楽しい・・楽しい・・・!この鎌の刃が抉りこむ肉!肉から飛び散る血!!
響く絶叫!!痛い・・痛い・・・気持ちいい・・・!!痛い楽しい痛い楽しい痛い楽しい痛い楽しい痛い楽しいィィィィィィッ!!」
「ひ・・・ヒェェェェェェ!!」
思わず魔道士が逃げてしまうほどの狂気を放つ男。それは本能寺の変にて信長と刀を交えた男、明智光秀。
「・・・・」
その隣で敵を殴り倒していくのはかつてのスバルの姉、ギンガ。そのリボルバーナックルは数多の人を倒しているのに血に染まってはいない。
殴られた者はまだ動いている。生きているという証拠だ。
二人の前に立ちはだかる一人の少女、スバル・ナカジマ。
「ギン姉・・・!!」
ギンガへと接近していくスバル。
「誰ですか・・・?邪魔しないでくださいよ・・・。」
光秀がスバルに接近しようとすると巨大な手裏剣が地面に刺さる。光秀が飛びのいて避けるとその手裏剣は黒い影となって消える。
そしてその影は一人の忍へとなった。風魔小太郎へと。
「私の相手は貴方ですか・・・いいでしょう。」
ギンガとスバル、光秀と小太郎の戦いが、始まった。
271 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:15:08 ID:bUzmH6le
「フフ・・・袋のネズミっすねぇ・・。」
「観念しやがれ・・・」
「・・・・・。」
廃墟となったビルの中でディード、ウェンディ、ノーヴェが倒すべき相手、ティアナを睨む。
この不利な状況でもティアナは表情を変えない。
「三対一、しかも外部との念話はすべて外部に届かずあたし達に届く・・。結界も張ってあるから増援も望めない。」
ディードが冷静に解説するとティアナは突然大口開けて笑い出した。男の声で。
「ハッハッハッハ!俺様の幻術・・見破れてない・・!!ハッハッハッハ!!」
コホン、と咳払いすると印を唱え霧が生じる。その霧をティアナだったものが払うとそこには忍、猿飛佐助が立っていた。
「な・・・!」
「テメェは・・・!!」
「どう?似てたー?嬢ちゃんー。」
「あたしはそんな大口開けて笑わないわよ・・・。」
ウェンディ達の背後から現れたのは本物のティアナ。クロスミラージュの銃口を敵に向ける。
佐助は腰に装着してあった手裏剣を持ち、構える。
「さーて、いっちょやりますか!」
佐助とティアナは三人の戦闘機人へと走った。
272 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:15:45 ID:bUzmH6le
ティアナ達が戦っているビルから少し離れた所で、別の戦いが起こっていた。
「消えて・・消えて・・消えてぇぇぇぇ!!」
「ルーちゃん・・っ!」
キャロの説得も虚しく、眼鏡をかけた戦闘機人、クアットロの言葉によって感情を切り捨てられた人形になってしまった少女、ルーテシア。
「ガリュー!」
「・・・・」
ルーテシアの変化を見て戸惑う彼女の召喚虫、ガリュー。それでもガリューは対峙するエリオに攻撃を仕掛けてくる。
どうしていいのかわからず防戦一方になるエリオ。
止め処なく現れる召喚虫達。ルーテシアの魔法攻撃に必死に防御して耐えるキャロ。その間も説得を続ける。
ガリューと激戦を続けながらもボロボロになっていくエリオ。
そのビルの横では巨大な者同士の戦いが始まっていた。
一方はキャロが召喚したヴォルテール。もう一方はルーテシアが召喚した白天王。
そんな激戦の中で、蒼い稲妻を放った小さな渦が生まれたのには、誰も気付いてはいない。
渦からは、もう一つの「龍」が誕生しそうだった。
274 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:16:16 ID:bUzmH6le
聖王のゆりかご周辺・・。
ここは特に戦火が激しく、爆発と銃弾の数は増していた。
その中でも浮いていたのは量産された本多忠勝。
量産されているから力は弱体化されていて、撃墜しているがそれでもはやて達はいい気分がするはずはない。
「この野郎・・忠勝の・・・忠勝の格好をするんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
赤き鉄槌の騎士、ヴィータはグラーフアイゼンで量産型忠勝を次々と落としていく。
また、同じく撃墜しているはやてはヴィータのように大きな言葉は発していないが顔は怒りを露にしている。
「不愉快通り越して・・・むかついたわ・・。」
白い魔力の砲撃で一掃していく。しかし怒りの元凶、量産型忠勝はまだかなりの数だ。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
フェイトはというと一機一機順調に撃墜はしているが顔は悲しみに歪んでいる。
なのはもそうだ。本人ではないとしても同じ姿のものを撃墜していくのはどうにもやりきれない。
「早く・・・終わってよ・・・!」
なのはは悲しみと怒りを混ぜた表情で呟き、また撃墜していく。
「おおりゃあ!!」
「ふぅんっ!!」
錨になぎ払われて吹き飛ぶ一体と投げられ、爆発する一体。
それは元親と秀吉によるもの。二人は敵を撃破しながら会話をしていた。
「やっぱ・・・弱体化してるとはいえ数で来られるとどうもね・・・!!」
「うむ、流石に堪えるものがあるな。」
二人も何も感じない・・というわけではなかった。やはりどこか嫌な感じがする。
その嫌な気分を少しでも紛らわせようと二人は敵を撃破していく。
「うっ・・・く!」
なのはは槍の一撃で地面に落ちる。
体を地面に叩きつけられる。なんとか魔力で衝撃はある程度和らげたものの防ぎきれなかったダメージと痛みが体を走る。
立ち上がって再びRHを構えると囲まれていた。
皆背中から砲身を出していた。そう、訓練のときになのは達に見せた攻撃形態。次第に砲口へ溜まる稲妻。
思わず目を瞑るなのは。しかし、爆発音が響くだけで自分に衝撃は何もこなかった。
「・・・え?」
目を開けると白銀の鎧の巨人が立っていた。
手に持っていた槍を振るうと一瞬にして周りの量産型の忠勝は上下真っ二つになり、爆発した。
間接から出る煙、赤く光る目。背中に背負った紋章。その白銀の城を見たものは量産型忠勝を見た時よりも驚いた顔をしている。
「ただ・・かつ・・・さん?」
巨人は振り返り、ただ頷く。驚愕の表情が一気に喜びの顔へと変わる。
「忠勝さん・・・っ!!」
忠勝は仲間が戦う戦場へと、到着したのだ。ロケットを展開、背中に電撃が走ると球体が生まれる。
敵が近づくと稲妻に巻き込まれ、吹き飛び、爆発する。
忠勝、電磁形態。
電磁形態のまま空中に飛び上がり、両手を交差させると稲妻が量産型忠勝を襲う。
襲われた量産型は爆発。忠勝の周りに数多の爆風が生じた。
その爆風の中から忠勝はロケットを展開して槍を振るう。瞬く間に撃墜されていく量産型。
空中で制止し槍を背負う。
体に背負った数珠の中から黒く丸い宝石を取り出し、その腕を前に突き出す。
その宝石は光ると次第に形を変え、目の光も赤から金色に変わる。
「え・・・?あれは・・・!?」
宝石は黒き体、金色の刃の大剣だった。忠勝はそれを手に、また量産型を撃墜していく。
その大剣は優しき雷神が持つ武器に瓜二つだった。
これが忠勝が家康から渡された、「力」の一つ。
275 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 00:17:56 ID:bUzmH6le
投下終了。
復活したホンダム&やっちゃったホンダム。
>>273 その件については後々(オイ
なんと言う燃える展開
忠勝復活GJ! そして光秀萌えの俺としては実に嬉しいっす。
>268 丁度そんな夢オチも考えてたんですが、それじゃあ皆さん納得いかないでしょ?
だってバッドエンドって言ったんだから最後までバッドを貫きたいです。
四十分頃から投下するです
おk?
【機動六課サイド】一話「アウレフ」Aパート
【AAMON本拠地・作戦計画室】
作戦計画室。
ここでは死神博士、地獄大使、ゾル大佐の三人の幹部が、ミッド征服のための作戦を練っていた。
「ほう…死神博士、AAMONミッド征服作戦の第一手には貴様がなると言うのか?」
「そうだゾル大佐。ワシがこのミッドチルダを完全に征服してくれる!」
「手はあるのか?」
「勿論だとも地獄大使。」
死神博士は大型モニターに大きな山の映像を映し出した。
「この山は?」
「ミッドにある休火山の一つ、ムーランマウンテンだ。この山のマグマを、特殊コバルト爆弾で刺激し噴火させ、近隣の町を焼き払うのだ!
そして、この作戦を手始めに、ミッド中の火山と言う火山を噴火させ、愚かな人間どもを恐怖のどん底に陥れるのだ!」
「作戦に当たる怪人は?」
「ふふふ、お見せしよう…トリケラドラン!現れよ!!」
「ブオオオオオオオオオオ!!」
計画室の床下を破り、トリケラトプス型の緑色の怪人が現れた。
「このトリケラドランの角は五メートルの鉄板を砕き、小山すら吹き飛ばす破壊光線も発射できるのだ!さらに、高い防御力も備えておる…」
「ハッハッハッハ!すばらしい!トリケラドランよ、この作戦必ず成功させよ!」
「人間どもを抹殺し、この世界に混沌をもたらすために!」
「行くのだ!」
「ブオオオオオオオオオ!!」
【機動六課隊舎・部隊長オフィス】
「シグナム達から、何か連絡はありましたか?」
「シグナムは、今日風間さんと一緒に怪人を五体倒して、シャマルは北欧で地獄兄弟のサポートをして活躍したそうや。」
「皆頑張ってるですねぇ!」
「そのための派遣や。」
………
「「派遣!?」」
「そうや。シグナム、シャマルにはフェイトちゃん達と一緒に、地球に行ってもらいたいんや。」
「そんな!私達ははやてちゃんを守るための守護騎士です!なのに…」
「機動六課には、まだスターズのメンバーがおる。でも、地球の方は今だ怪人達の攻撃が続いていて大変何や。
これじゃあライダーがいくらおっても足らん。皆にはライダー達のサポートをしてもらいたいんや。」
「しかし!」
「はぁ…もう!あたしはもう子供やあらへん!自分の身ぐらい自分で守れるわ!」
「!?」
はやてのいきなりの怒号に二人は驚き、後ずさりする。
「それにシグナムも風間さんと一緒に居たいんやろ?」
「な!?何を…」
「これ以上欲求貯めまくっとるシグナム見るのは耐えられへんのや!あたしの胃袋が破裂する前に日本に行く!」
「は…はい!(欲求は別に貯めてない…)」
「シャマルも、今度こそ地獄兄弟と一緒に白夜を見にいかな、後悔するで!」
「でも医務官は…」
「探しとるから大丈夫や!」
「は…はい!」
「分かったら二人とも!後はヴィータとザフィーラに任せて、皆は地球に戻るんや!!」
「「りょ…了解…」」
………
「まぁそんなこんなで、二人は地球に戻って、怪人と激闘中って訳や。」
「誰と話してるんですか?」
「あ!なんでもあらへん!」
「でも、スカリエッティが逮捕されたって言うのに、何で怪人は未だに出現し続けるんでしょう?」
「うん…それも気になるなぁ…(シグナムが言っていた、邪悪なる意思のせいなんやろか?)」
「そういえば…」
「ん?どうしたんや?」
「最近ムーランマウンテンの付近で地震が多発してますよね?」
「あああれか。確か、今日も三回あったって聞いたよ。」
「何かの前触れでしょうか?」
「それを調べるために、スバルとティアナを調査に向かわせとる。」
【ムーランマウンテン付近 樹海】
スバルとティアナは、多発している謎の地震を調査するため、ムーランマウンテン付近の樹海に入っていた。
そこで探索中、今日四回目の地震が起きた。
「うわ!また地震だ!」
「これで今日は四回目…一体何なのかしら?」
「確かあの山休火山だよね?噴火でもするんじゃ…」
「五百年も噴火してない山が、簡単に噴火するわけないでしょ。
専門家が言うには、あと百年は大丈夫らしいし。」
「そっか…良かったぁ…でもそれならなんで地震が起こってるんだろ?」
「もしかしたら、怪人の仕業かも…とにかく、この樹海の先のムーランマウンテンに行かなきゃ何も分からないわ。
スバル、急ぐわよ!」
「でも急ぐって行っても…ここ一体何処―――――――――!!」
二人は、朝早くからこの樹海に入った。
二人は最初は意気揚々と進んでいたが、この樹海は想像以上に道が複雑であり、二十分ほど歩いただけで迷ってしまった。
しかもここでは方位磁石も効かず、二人は当てもなく樹海の中をさまよっていた。
「お腹すいたよぉ…津上さんのご飯が食べたいよぉ…」
「津上さんなら地球に帰ったでしょ…大体!なんであんたは預けた食糧全部食べつくしちゃうのよ!!」
「な!?あんなんじゃ全然足りないよ!それに、あたしは一杯持ったのにティアが置いてけって言うから…」
「十キロ近くも食べ物持ってく馬鹿がどこにいるのよ!!このバカスバル!!」
「むぅ…さっきからバカバカって…大体、ティアが道になんて迷うからこんなひもじい思いしてるんだよ!!責任とってよ!!」
「何を!ひもじいのは持ってきた食糧全部食べたあんたのせいでしょ!責任ならあんたが取りなさいバカスバル!!」
「ティアが悪い!!」
「あんたが悪い!!」
「グゥ〜」
「「…はぁ。」」
「止めようティア…」
「喧嘩すればお腹が減る…」
二人はそのまま地面に座り、溜息をついた。
「「はぁ…」」
「アッハッハッハッハッハ!!」
「!?」
「誰!?」
「お二人さん、随分お困りのようだね…あげるよ!」
木の上から、二つの大きな乾パンの缶詰と二リットルの水が入ったペットボトルが落ちてくる。
「これって…」
「うわぁ!乾パンだぁ!!しかも氷砂糖入り…」
スバルは缶詰の蓋を開け、乾パンを一枚つまむ。
「いっただっき…」
「待ちなさい!毒でも入ってたら…」
「信用ないなぁ…よっと!」
次は木の上から男が降りてくる。
男はまだ十七、十八くらいの少年だ。
「あ…貴方は?」
「僕は神城拓哉(しんじょうたくや)、名のるほどの者じゃないよ。」
「…名乗ってるじゃない。」
「アッハッハッハッハ!!いっけね、かっこ悪いや。」
「…」
「あの…」
「ああ、食べて大丈夫だよ。」
「!、いっただっきまーす!」
スバルは乾パンを勢い良く食べ始める。
「お、良い食いっぷり…太らなきゃいいけど…」
「あの…神城さん。」
ティアナは恐る恐る拓哉に話しかける。
「拓哉でいいよ。年齢そんなに変わらないし。管理局の魔術師さん♪」
「む!ゲホッゲホッ!!」
「貴方…何でそれを…」
拓哉は緩んだ笑顔から真剣な表情に変わり、話を続けた。
「この樹海は方位磁石も効かない特殊な場所だ。それに道も複雑で、ここに入るなんて死にに行くようなもの。一般の人間がこんな気味悪い所に入るはずがない。
それを考えると、君達が管理局の人間だなんて、バカでも気が付くさ。
大方、最近ここら辺で起こっている地震の謎、突き止めに行くんだろ?」
「…」
「…エッヘッヘッヘッヘ!」
拓哉は再び緩んだ笑顔に変わる。
「鋭いでしょ、僕♪」
「(コイツ…)」
「でもま、こんな障害で苦しんでるようじゃ、魔術師ってのも大した事ないよなぁ…」
「な!?だったらあんた!あんたはここから先、どう行けば山に着けるか分かるの!?」
「この先、東に向かって一時間歩けば、山に着けるよ。」
「ふぇ?」
「…なんですと?」
【一時間後】
「ほら、着いた。」
「………」
二人は呆気に取られた顔で目の前に見えている山を見つめた。
「こういうの、結構得意なんだよね。」
「あ…ありがと…」
「ほんと…何から何まで…」
「どういたしまして。でも、ここから先、君達は行かないほうが良いな。」
「ええ!?」
「何で!?」
「ここから先は危険だ。」
「それはあたし達の台詞よ!民間人であるあんたこそ帰りなさいよ!」
「そうだよ!拓哉は魔法使えないんでしょ?」
「腕っ節は自身があるんだ。帰れとは言わないから、ここで待っててよ。僕が二時間経って戻ってこなかったら、来ても良いからさ。」
「なんで首突っ込むのよ!?大体あんた何者!?」
「大自然の使者。」
「「は?」」
再び呆気にとられた表情をする二人。
「…はぁ、来ちゃったか…ちょっと君達大声出しすぎだよ。」
「え?」
「「「ギギィ!!」」」
地面の中から、五人のドクロ型の仮面を付け、棍棒を持った黒づくめの集団が出現した。内一体は腕に太い赤ラインが入っている。
「何、こいつら!?」
「なるほど…こいつらがドラスストーンの予言にあった組織の奴らか…」
「組織?スカリエッティは逮捕して拘留中のはず…」
「あいつは、尖兵に過ぎないさ。」
「そんな…」
「来るぞ!」
戦闘員達はすばやい動きで三人を翻弄し、攻撃を仕掛ける。
だが…
「おおおおおおおお!!」
「は!やあ!」
スバルとティアナも伊達にジェイル・スカリエッティ事件を戦い抜いたわけではない。
二人は素手で戦闘員三人を圧倒し、倒す。
「おお、強い強い。」
「貴様も死ね!」
「おお!?」
赤ライン戦闘員を含む二体の戦闘員は背後から拓哉に襲い掛かる。
しかし拓哉は膝を落として簡単に戦闘員の闇討ちを回避し、腹部に裏拳を叩き込んで倒した。
「おお…」
「あんた…」
「うん、流石は管理局最強の部隊のメンバー…馬鹿にしすぎてたよ、こりゃあ僕にも引けを取らない。」
「あ…ありがと…」
「あんたも、中々強いじゃない。」
「君達ほどじゃないよ。それより、さっきの言葉は撤回だ、僕と一緒にこの先に来てくれ。」
「「うん!」」
三人は協力し合うことを誓い、先に進んだ。
【二十分後】
「ここさ。」
「これは…!」
「なんで…こんな所に…」
三人が着いた場所…それは、金網で覆われ、大型トラックの搬入口が付いた怪しげな建物だった。
建物の内部は先ほどの黒ずくめの集団にガードされている。
人数はざっと見積もって十五人近くの数だ。
「ここって…」
「おそらく、あいつらのアジトだ。」
「アジト?」
「あの手の奴らは基地を作って活動するらしいんだよ。そう習った。」
「習ったって…あんたホントに一体何者なのよ?いい加減教えなさいよ。」
「だぁかぁらぁ、後からのお楽しみ…って、言ってる場合じゃなくなっちゃったな。」
「え?」
何?」
拓哉は後ろを振り返り、目つきを鋭く変え、叫んだ。
「居るのは分かっている…出て来い!!」
「ブオオオオオオオオ!!」
地面を突き破り、怪人トリケラドランが現れた。
「貴様ぁ…俺の気配に気付くとは…何者だ!!」
「僕は…」
「このおおおおおおおおお!!」
「あ?」
スバルはバリアジャケットを纏い、リボルバーナックルに魔力を込め、トリケラドランに撃ち込んだ。
だがトリケラドランはビクともしない。
「これは…」
「ふふふ…もっと魔力を込めなければ、俺には通じんな!」
トリケラドランは目の前で静止したスバルに容赦なく拳を叩き込む。
「うわああああ!?」
「危な!」
殴り飛ばされたスバルは無事拓哉にキャッチされ、事なきを得る。
「気をつけろ。敵が防御タイプだということは見れば分かるだろ。」
「ご、ごめん…」
「さて、貴様の正体を今度こそ教えてもらおうではないか。」
「ああ、そうだな…これから長い付き合いになるんだ。」
「何?」
「しっかり自己紹介、してやるよ!」
拓哉は上着のファスナーを下ろし、勢いよくはだける。
すると拓哉の腰には。紅い石が埋まったベルトが現れた。
「!?」
「あれは!?」
「き…貴様一体!?」
「行くぜ…変身…!トオオオオオオオオ!!」
拓哉は変身ポーズを取り、空に飛び上がる。
するとベルトの赤い石が不思議な光を発し、拓哉を包み込む。
そして、空から舞い降りた拓哉は、紺色の仮面と胸と両腕両足、そして真っ赤な目を持った美しいバッタの戦士に姿を変えていた。
「貴様は!?」
「仮面ライダー…アウレフ!」
アウレフはポーズを決め、高々と名乗る。
「なぁにぃ…?」
「ええ!?」
「拓哉が…仮面ライダー?」
アウレフはトリケラドランを指差し、叫ぶ。
「化物!今日から僕が…貴様らの最大の敵だ!!」
記念すべき二部第一話Aパート、投下終了です。
オリキャラは風当たり強いでしょうが、皆に好かれるキャラにできるよう、これから努力していきたいと思います。
アウレフの姿形については、旧1号ライダーに酷似している感じです。
ただし、中身はZOの技術が使われているため、機械の部分は比較的少ないです。
次回もお楽しみに。
なんという爽やか系ターザンボーイ
乙でした
田舎っ子ぽいので都会へ連れってた時の反応が(ry
(個人的にこのキャラ、キンニクマンの一般人から超人になった彼を思い出します)
>>286 GJ!
燃える展開ですなぁ。
爽やかな上に台詞も決まってる…。
モウ一人の龍・・・まさか伊達政宗とコジュの登場!
オレンジオワタ
290 :
エラッタ:2007/12/28(金) 04:47:00 ID:qoVKGoTM
作業終了(一部キャラがぶっ壊れてますけど
誰もいないみたいだから一回寝て起きた後に投下でいい?
それとも、今投下する?
物事は早い方が良い
>>259 gj
むぬう……ヴィヴィオが…キツイわぁ…。
>>275 GJ原作は知らないのですが、明智光秀ってこんなキャラなんですねw
反撃が楽しみです。
>>286 彼はなかなかのナイスガイですね。GJです。スバティアとの友情があるとしたら
楽しみですねw
>>290 かも〜ん!
294 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:19:27 ID:qoVKGoTM
起きたから30分から投下してみる
一部、効果変えてます。
夜中までやってたせいかキャラ崩壊と口調がおかしいのはスルーしてくれ。
295 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:31:50 ID:qoVKGoTM
というわけで初投下
《高町なのは(9歳)》効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1900/守1800
フィールド上に「フェイト」と名のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
自分のフィールド上に「ユーノ」と名のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードの守備力は500ポイントアップする。
このモンスターが機械族モンスターではない戦闘を行う時、相手モンスターへの戦闘ダメージは0になる。
なのは「知らない人も多いけど、相手モンスターに戦闘ダメージを与えないと破壊できないからね」
はやて「プレイヤーにはダメージを与えてるし、明文化というわけやな」
《高町なのは(19歳)》効果モンスター
星8/光属性/魔法使い族/攻2600/守2300
このカードは「高町なのは」と名のつくモンスターを生贄にする場合、一体の生贄で召喚できる。
自分のフィールドに「フェイト」「スバル」「ティアナ」と名のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードの攻撃力を500ポイントアップする。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
自分のライフを500払うことでエンドフェイズまで、このカードの攻撃力を300ポイントアップする。
この効果で払えるライフは1ターンに1500までとする。
なのは「1回目…」
ティアナ「何がですか?」
なのは「ううん、こっちの話」
《ユーノ=スクライア》効果モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻300/守1800
自分のフィールドに「なのは」と名前のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
自分のドローフェイズのドロー前に自分のデッキを上から三枚見て順番を好きに入れ替えることができる。
このカードが表側表示でフィールドに存在する時、相手の罠・魔法カードゾーンを一か所使用不能にする。
なのは「前のテキストだと6回召喚に成功した時点で完全な魔法罠ロックになりかねないから変更だって」
はやて「……なのはちゃん、6回も使い回したら過労死しちゃうで」
フェイト「ユーノ、同情するよ……」
《レイジングハート》装備魔法
このカードを装備したモンスターの攻撃力・守備力を500ポイントアップする。
このカードを装備したモンスターの名前に「なのは」がついていた場合、
装備モンスターが破壊される時、このカードを破壊することでその破壊を無効とする事ができる。
このカードがフィールドを離れた時、自分の手札・フィールド・墓地から魔法カードを一枚除外することでデッキの一番上に戻る。
レイ「除外されても戻ってくるんですね」
なのは「次元の壁ぐらいなら何とか、……これは2回目なのかな?」
レイ&ティアナ「?」
296 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:33:07 ID:qoVKGoTM
《フェイト=テスタロッサ》効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1700/守1200
自分のフィールドに「なのは」と名のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手の手札をランダムに1枚選択して捨てる。
はやて「ミラーマッチになったら、攻守計算が面倒で面倒で」
レイ「複雑な人間関係が見えてきますね」
なのフェイ『……あ、あははー』
《フェイト=T=ハラオウン》効果モンスター
星7/光属性/魔法使い族/攻2400/守1800
このカードは「フェイト=テスタロッサ」と名のつくモンスターを生贄にする場合、一体の生贄で召喚できる。
自分のフィールドに「なのは」「エリオ」「キャロ」と名のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
「エリオ」「キャロ」と名のつくモンスターが攻撃対象になった場合、このカードに攻撃対象を変更する事ができる。
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手の手札をランダムに1枚選択して捨てる。
なのは「私もそうだけど、セットはできないんだね」
フェイト「通常召喚ではなく召喚だから」
《アルフ》効果モンスター
星4/地属性/獣戦士族/攻1500/守1700
自分のフィールドに「フェイト」と名のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
自分のターンに一度だけ、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の守備力を半分にする事ができる。
この効果を発動する場合、このターンこのカードは攻撃する事ができない。
「フェイト」と名のつくモンスターが破壊される時、代わりにこのカードを破壊する事ができる。
なのは「攻守変動関連には「ポイント」を付けた方がいいのかな?」
レイ「どうだろう?一応、全部追記するみたいだけど」
《バルディッシュ》装備魔法
このカードを装備したモンスターの攻撃力・守備力を500ポイントアップする。
このカードを装備したモンスターの名前に「フェイト」がついていた場合、装備モンスターは罠の効果を受けない。
このカードがフィールドを離れた時、自分の手札・フィールド・墓地から魔法カードを一枚除外することで手札に戻る。
なのは「デッキに戻されたら帰ってこないのが悲しいね、……3回目」
フェイト「ストームネオスやレインボーネオス相手だと流石にね」
はやて「ところで、何をカウントしてるん?」
297 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:34:32 ID:qoVKGoTM
《八神はやて(9歳)》効果モンスター
星3/闇属性/魔法使い族/攻300/守500
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する時、自分のスタンバイフェイズ毎にライフポイントを1000回復する。
レイ「えーと、元ネタはプリンセス人魚?」
はやて「多分そうやろうな、闇属性だからってウイルスのコストにはせんといてや」
レイ「召喚僧みたく生贄にできないとでもしますか?」
はやて「闇の書の兼ね合いもあるからええわ」
《八神はやて(19歳)》効果モンスター
星8/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2000
このカードは特殊召喚できない。
このカードは「八神はやて」と名のつくモンスターを生贄にする場合、一体の生贄で召喚できる。
自分のフィールドに「シグナム」「ヴィータ」「シャマル」「ザフィーラ」と名のつくモンスターが表側表示で存在する場合、このカードは攻撃対象にならない。
相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
フィールドもしくは墓地に存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同じ効果をエンドフェイズまで得る事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
レイ「というわけで特殊召喚を犠牲にコピー能力を付加して見ました」
はやて「どうせなら究極のDみたく吸収能力と無効化能力もとかつけてもらいたかったんやけどな」
なのは「いくらなんでも、相手を丸呑みはちょっと」
《リインフォースU》ユニオンモンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻1300/守1000
1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして
自分フィールド上の表側表示の「はやて」「シグナム」「ヴィータ」と名のつくモンスターに装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている時のみ、
装備モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
装備モンスターが攻撃を行う場合、戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
装備モンスターが破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊する。)
レイ「効果破壊にも対応して、正に鉄壁だね」
ヴィータ「攻撃宣言に対してリイン除去を狙われたら…」
はやて「それをカウンターすればええ」
《闇の書の意思》儀式モンスター
星12/闇属性/魔法使い族/攻4500/守3500
このカードは「闇の書」の効果及びこのカードの効果でのみ特殊召喚する事ができる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、自分のスタンバイフェイズ毎に自分のデッキの上からカードを五枚除外する。
相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
このカードがフィールド上から離れた時、そのエンドフェイズに自分の手札・フィールドのカードを二枚除外することでこのカードを特殊召喚する。
なのは「復活能力が強くなってる…」
はやて「これで効果耐性まで付いたら手に負えんわ」
レイ「でも、弱点はちゃんとあるんですよね」
フェイト「デッキに戻されたら効果を発揮できない辺りはユベルや私達のデバイスと同じだから」
シグナム「まさか、風帝にあっさり退かされることになろうとは…」
298 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:35:34 ID:qoVKGoTM
《闇の書》儀式魔法
「闇の書の意思」の降臨に使用する事ができる。
自分フィールドに存在する「八神はやて」「シグナム」「ヴィータ」「シャマル」「ザフィーラ」と名の付くモンスターを1体ずつ生け贄を捧げなければならない。
レイ「コストに変更はないけど、前のテキストだと儀式召喚だとわかりにくかったから」
はやて「これ通常魔法でもよかったちゃうん?こんな感じで」
《闇の書》通常魔法
自分フィールドに存在する「八神はやて」「シグナム」「ヴィータ」「シャマル」「ザフィーラ」と名の付くモンスターを1体ずつ生け贄に捧げ発動。
手札から「闇の書の意思」を特殊召喚する。
レイ「それは絶対にダメだよ」
スバル「前のと大差ないと思うけど?」
エド「僕のダイヤモンドガイがコスト無視で闇の書の意思を呼び出せてしまう」
全員「たしかにダメだ」はやて「彼は何でここにおるんやろ?」
《烈火の将 シグナム》効果モンスター
星6/炎属性/魔法使い族/攻2400/守1700
このカードの種族は、フィールド上または墓地に存在する限り戦士族としても扱う。
「八神はやて」と名のつくモンスターと戦闘を行う場合、このカードの攻撃力はダメージステップ終了時まで0になる。
「フェイト」と名のつくモンスターと戦闘を行う場合、このカードの攻撃力はダメージステップ終了時まで300ポイントアップする。
自分のフィールドに「八神はやて」と名のつくモンスターがいる場合、このカードは魔法・罠カードの効果を受けない。
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に自分の墓地の「バースト・リターン」をゲームから除外することで、フィールド上のカード1枚を持ち主の手札に戻す。
シグナム「主を傷つけずに勝利する術をE・HEROより借り受けた」
フェイト「こんな隠し効果が…」
レイ「あくまでも隠しです、本編とは関係がありません」
《鉄鎚の騎士 ヴィータ》効果モンスター
星5/炎属性/魔法使い族/攻2000/守2000
「高町なのは」と名のつくモンスターと戦闘を行う場合、このカードの攻撃力はダメージステップ終了時まで500ポイントアップする。
このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージステップ終了時に相手モンスターを破壊する。
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に自分の墓地の「エッジ・ハンマー」をゲームから除外することで、
相手フィールド上の表側表示モンスター1体を除外し、相手プレイヤーに1000ポイントのダメージを与える。
ヴィータ「次元の彼方まで消し飛べ!」
なのは「二刀流ならぬ二鎚流?」
《湖の騎士 シャマル》効果モンスター
星5/水属性/魔法使い族/攻500/守2000
このカードは相手プレイヤーへ直接攻撃できる。
このカードが自分フィールド上に表側守備表示で存在する場合、自分のスタンバイフェイズ毎に1000ポイントライフを回復する。
自分の墓地の「バブルイリュージョン」をゲームから除外することで、このターン、自分は手札から魔法もしくは罠カード1枚を発動する事ができる。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
スバル「シモッチ対策なら罠をあらかじめ伏せておけばいいのでは?」
シャマル「お触れ影響下で堕天使ナースが来ると困るから」
なのは「……永続罠を一枚セット」
シャマル「な、なのはちゃん?」
299 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:36:42 ID:qoVKGoTM
《盾の守護獣 ザフィーラ》効果モンスター
星5/地属性/獣戦士族/攻1500/守2300
このカードは魔法・罠・モンスター効果では破壊されない。
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカード以外のモンスターが攻撃対象に選択された時、
このカードに攻撃対象を変更する事ができる。
自分の墓地の「クレイ・チャージ」をゲームから除外することで、次の効果から1つを選択して発動する。
●このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になった時、その効果を無効にし破壊する。
●このカードを対象とする相手モンスターの攻撃宣言を相手が行った時、その攻撃モンスターを破壊する。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
ヴィータ「ゲッ、今度こそぶっ潰せると思ったらカウンターされちまうのか!」
ザフィーラ「鉄壁であってこそ盾足りえるのだ、攻撃対象を移し変えた時には二番目の効果は使えぬのが残念だがな」
《スバル=ナカジマ》効果モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1600/守1200
このカードの種族は、フィールド上に存在する限り機械族としても扱う。
このカードが機械族と戦闘を行う場合、このカードの攻撃力はダメージステップ終了時まで700ポイントアップする。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に自分の墓地の「ネオス・フォース」をゲームから除外することで、攻撃力を800ポイントアップする。
この効果を使用したターンに戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
ティアナ「また、考えなし攻撃力を上げようとする」
スバル「でも、これは一人で出せた力じゃないし彼の力があってこそだから」
なのは「あの攻撃的かつ無責任な言動はちょっと頭冷やした方がいいのかな?」
《ギンガ=ナカジマ》効果モンスター
星4/風属性/魔法使い族/攻1900/守1300
このカードの種族は、フィールド上に存在する限り機械族としても扱う。
このカードが持ち主以外のコントロール下にある場合、このカードの攻撃力は200ポイントアップする。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
ティアナ「そういえば、最近機械族はあまり採用されないらしいよ?」
スバル「え?何で」
レイ「全部、フォートレスの餌になっちゃうから」
ティアナ「しかも、コストだからほぼ止められないし」
スバル「そ、そんな〜」
《マッハキャリバー》装備魔法
罠カードが発動した時、その罠の発動を無効にする。
この効果を3回使用した後、このカードを破壊する。
装備モンスターが「スバル」と名の付くモンスターの場合、攻撃力・守備力を500ポイントアップする。
スバル「味方の罠にも反応しちゃうし、スペルスピードの関係上カウンター罠には対応できないのがちょっと」
ティアナ「効果を無効にするとは書いてないけど、どう違うの?」
レイ「光と闇の竜みたいなものですよ」
スバル&ティアナ「???」
300 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:37:57 ID:qoVKGoTM
《ティアナ=ランスター》効果モンスター
星4/風属性/魔法使い族/攻1400/守1000
このカードは攻撃力を半分にすることで1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
このカードが破壊された時、手札から魔法カードを墓地に捨てることでその破壊を無効にする。
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に自分の墓地の「スパークガン」をゲームから除外することで、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの表示形式を3体まで変更することができる。
ティアナ「スパークガンにエネルギーを供給するためのコードはどこに繋げればいいんだろ?」
レイ「適当でいいと思いますよ?」
《クロスミラージュ》装備魔法
装備モンスターが戦闘を行う時、相手モンスターの守備力はダメージステップ終了時まで半分になる。
装備モンスターが「ティアナ」と名の付くモンスターの場合、攻撃力・守備力を500ポイントアップする。
ティアナ「スパークガンとのコンボで帝も怖くない」
なのは「守備力1400未満を同時に2体まで戦闘破壊可能なんだね」
《エリオ=モンディヤル》効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1500/守1500
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
コイントスを1回行い表だった場合、このカードは罠の効果を受けない。
このカードが持ち主以外のコントロール下にある場合、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
フェイト「セカンドチャンスを積むべき?」
シグナム「運命力に満ちていれば問題はないと思うが…」
なのは「論点があってるような、ずれているような」
《ストラーダ》装備魔法
装備モンスターが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手の手札を確認し1枚選択して捨てる。
装備モンスターが「エリオ」と名の付くモンスターの場合、攻撃力・守備力を500ポイントアップする。
シグナム「ふむ、ハンデスではフェイトすら上回る力を発揮するな、攻撃が通ればの話ではあるが…」
エリオ「はい、もっと精進します!」
301 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:39:17 ID:qoVKGoTM
《キャロル=ルシエ》効果モンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻500/守1200
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する時、自分のフィールド上の表側攻撃表示モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。
魔法カードを一枚捨てフィールド上のモンスター一体を選択することができる。
選択されたモンスターはこのカードがフィールド上に存在する限り、表示形式を変えることができず攻撃もできない。
はやて「何で攻撃表示限定なんや?」
キャロル「守備表示の方が採用率の多い死のデッキ破壊ウイルスでやられないようにするためです」
元々の攻撃力が1500未満の方々「なるほど」
シャマル「サポートを受けても魔のデッキ破壊ウイルスには感染しちゃうような」
素だと両方とも感染するボーダーライン上のエリオ「どうしよう」
シグナム「効果で乗り切れ、手札にいたら…」
《ケリュケイオン》装備魔法
相手エンドフェイズまで装備モンスターの攻撃力を半分にすることができる。
この効果で減少した攻撃力の数値分、装備モンスター以外のフィールド上の表側表示モンスター一体の攻撃力をアップする。
装備モンスターが「キャロ」と名の付くモンスターの場合、攻撃力・守備力を500ポイントアップする。
また、相手モンスターからの攻撃対象にされない。
レイ「攻撃対象にされないということは…」
はやて「一人しかいない場合、プレイヤーの直接攻撃になるということやな」
《ヴィヴィオ》効果モンスター
星4/神属性/魔法使い族/攻400/守1500
このカードは罠・モンスター効果によっては破壊されない。
このカードは魔法使い族ではないモンスターとの戦闘によっては破壊されない。(ダメージ計算は適用する)
「高町なのは」と名のつくモンスターと戦闘を行った時、ダメージステップ終了時に相手モンスターのコントロールを得る。
レイ「神属性はルール上存在してはならない属性なのですけど、どうします?」
なのは「それに、今の私だと戦闘破壊しちゃうし」
ヴィヴィオ「大丈夫、ママと一緒になるにはこれを使えって黒い仮面を被った男の人が言ってた「呪われた指輪」」
レイ「これ吹雪先輩のカードだ」
なのは「……あの人の頭を冷やしてくるね」
レイ「冷えてた方が性質が悪いと思いますけど」
《戦闘機人No5 チンク》効果モンスター
星5/炎属性/機械族/攻1800/守1800
自分のスタンバイフェイズ毎にフィールド上の機械族モンスターを一体選択し、ディトネイターカウンターを一つ載せることができる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在している時、 ディトネイターカウンターが載っているモンスターを破壊し、
その攻撃力の半分を相手プレイヤーに与えることができる。
キャロ「ということは効果を発動されても効果処理される前に場からどかせば不発?」
レイ「そうなりますね」
はやて「残りは次回のパックに期待やな」
全員「次回あるの?」
302 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:40:25 ID:qoVKGoTM
《スターライトブレイカー》通常魔法
自分のフィールドに「なのは」「ティアナ」と名のつくモンスターがいる場合のみ発動できる。
お互いの墓地にある魔法カードを全てゲームから除外し、除外した枚数×300ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。
レイ「LP4000制だとほぼ即死級になっちゃうから凶悪ですよね」
ティアナ「パーミッション相手だと、まったく通じないのが難点なんですよね」
なのは「王家の眠る谷−ネクロバレーや霊滅術師 カイクウの前だと発動自体できないし」
はやて「LP8000制ならそこまで凶悪というわけでもないんやけどな」
《集え、機動六課!》速攻魔法
自分のフィールドに「なのは」「フェイト」「はやて」「スバル」「ティアナ」「エリオ」「キャロ」の内いずれか二体のみフィールド上に表側表示で存在している場合発動可能。
●「なのは」と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
自分の手札をランダムで1枚捨て、相手モンスターを一体破壊し、相手のデッキの一番上のカードをゲームから除外する。
●「フェイト」と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
相手の手札をランダムに2枚捨て、相手の手札を確認する。次の自分ドローフェイズをスキップする。
●「はやて」と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
お互いのデッキのカードを上から3枚見て、そのカードを好きな順番に入れ替える事ができる。
●「スバル」と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
自分の手札を1枚捨てる。守備表示モンスターを1体破壊し、
破壊したモンスターの攻撃力の半分より低い攻撃力のモンスターがいた場合、そのモンスターも破壊できる。
●「ティアナ」と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
このターン、魔法カードを発動するために払う手札コストが必要なくなる。
●「エリオ」と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
このターン自分のモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時に
その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。
●「キャロ」と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターの攻撃力をターン終了時まで300ポイントアップする。
エリオ「強化されてる」
フェイト「弱くなってる」
レイ「フェイトさんの場合、そのままだと禁止カードになっちゃいますよ」
なのは「……これで4回目?」
全員「(何を数えてるのだろう???)」
《リンディ茶》通常罠
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力・守備力を半分にする。
レイ「そういえば、十代様のE・HEROの力を借りている人がいますけど、お知り合いなんですか?」
はやて「う〜ん、どうやろうな」
303 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:42:47 ID:qoVKGoTM
以上エラッタでした
GJ!
レイが意外に毒舌だったw
そしてJOINとイヤッホゥ何やってるんだよwww
エド何来てんだwww支援
306 :
エラッタ:2007/12/28(金) 13:49:02 ID:qoVKGoTM
本編を適当にしか見てないから口調がちょっとね
そういえば、ネタがちょっと黒くなったから乗せてないけど
なのはが何を数えてたかを書くべき?(崩壊注意
はやてさんファントムの強化バージョンか・・・・・・・ダムドで鬼になれるな・・・・・・・
きになってしかたない
310 :
エラッタ:2007/12/28(金) 14:01:58 ID:qoVKGoTM
なのは「……4回なんだよね?」
レイ「どうしたんですか?なのはさん」
はやて「結局、何を数えてたんや?」
なのは「……何度言ったらわかるのかな?任意が前の文にある場合、後半は「する」と表記するって、
それにフィールド上にどうやって存在してるのかも全部修正することになったんだよ?」
ティアナ「((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル 」
なのは「……集え、機動六課!なんてカード分類がわからないから、ダイヤモンドガイの事も考えて速攻魔法にしたし」
レイ「なのはさん?なのはさ〜ん?」
なのは「……………生かしておくかァァァ!!」
スバル「うわー!ご乱心」
なのは「アサルト・アーマー展開!!」
《高町なのは(覇王)》効果モンスター
星8/光属性/魔法使い族/攻2900/守2300
このカードは通常召喚できない。
このカードの属性は「闇」としても扱う。
自分フィールド上に存在する「高町なのは」と名の付くモンスターと
手札の「超融合」と「アサルト・アーマー」を墓地に送った場合のみ特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外の
モンスター・魔法・罠の効果の対象にする事はできず効果を受けない。
このカードが破壊される時、手札を1枚捨てることでその破壊を無効にする。
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
お互いの墓地の魔法カード1枚につき、このカードの攻撃力は200ポイントアップする。
お互いの墓地にある魔法カードを全てゲームから除外する事で、除外した枚数×300ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
はやて「なんちゅうこっちゃ、無理やりアサルト・アーマーを纏っとる」
フェイト「瞳の色も金色に変色してるし」
レイ「なのはさん、落ち着いてください!」
以上、深夜まで作業した俺の心の闇が暴走した結果となりました
名無しに戻ります
もう350か…
まだ二日目だぜ?
早いなぁ
なんという覇王wwww
「ぶっ倒しても!ぶっ倒しても!ぶっ倒しても!」な効果だwww
面白いね。
なんか他のもできそうだよね。
仮面ライダーとかも面白そうだね。
ライダーによっては特殊能力が鬼になりそうな…
やば、すっかり忘れてたwwww
桜色の光が、アッ―
攻撃力2900か!なのはさんスゴすぎ。
GJ!
E・HEROのサポートを受けて新たな力を得てるw
イラストを想像してみると面白そうなカード群だな
ヴィータがエッジ・ハンマーを担いでいたり
ティアナがスパークガンを構えてたり
スバルがネオス・フォースを拳に集中させてたり
覇王高町なのは
136話の十代みたく怒りと憎しみに満ちた表情でアサルト・アーマーを纏ってるのか?
誰か絵心のある人、是非書いてくれ
新話ができたぜぇっ!!(政宗一成)
四時五分ごろ投下おk?
>>315 アサルト・アーマーは戦士族の攻撃力300ポイントアップらしいけど無理に装備してるんだろうな
攻守を見る限り、《高町なのは(19歳)》を元にしてるみたい
効果はスターライトブレイカーを内蔵して、毒蛇神と同じ耐性持ちとは恐るべし
そして、支援
機動六課サイド一話「アウレフ」Bパート
「ア…アウレフだと!」
「そうだ…僕は次世代戦闘用改造人間プロジェクトで創り出された、新型改造人間だ!!」
「新型改造人間…あの噂はデタラメじゃなかったのか…」
「新しい…仮面ライダー…」
「あいつが…」
「…」
アウレフはスバルとティアナに向き直る。
「スバル…ティアナ…僕は君達に協力するため、ミッドチルダに派遣された、仮面ライダーだ。」
「派遣?」
「今地球には、沢山の怪人が出現し、世界中で暴れまわっていることは知っているね?」
「うん!前に地球に行った時も、沢山出てきた!」
「でも、なんで地球にばかり…」
「ライダー達を地球に留まらせておくためさ。今地球では君たちが知っているライダー達の他に、僕の先輩である仮面ライダーBLACKRX、教官であるZO、Jが戦っている。
しかし、彼らは今、怪人達の攻撃が激しすぎて、地球を離れることが困難な状況にある。
おそらくそれに乗じて、ミッドチルダと全次元世界を征服するのが奴らの計画だ。」
「ええ!?」
「どうやってその計画を?」
「…教えてくれたんだよ。」
「誰が?」
「こいつの友達がさ。」
アウレフは腹部の紅い石に触れた。
「い…石?」
「細かい話はまた後だ!今は奴を倒す!」
アウレフはトリケラドランに再び視線を戻した。
「新米が、俺に勝てるかな?」
「能書きは良いから、かかってきなよ。」
「フン…ブオオオオオオオ!」
トリケラドランは破壊光線を発射し、アウレフを攻撃する。
しかしアウレフは光線をジャンプで回避し、そのままトリケラドランの顔面にキックを見舞う。
「ブオ!?」
「トオ!ハッ!トオ!」
アウレフは怯んだトリケラドランの腹部にパンチを入れ、怯んだ隙をついて顔面を右ストレートで殴る
「オオオオオ!?」
「まだまだ!!ハッ!」
さらに腹部にボディーブローを叩き込み、遠くへ殴り飛ばした。
「ブオオオ!!」
殴り飛ばされたトリケラドランは地面に激突すると同時に角で穴を掘り、アウレフの前から逃げ出した。
「逃げたか…」
アウレフは変身を解除し、拓哉の姿に戻る。
「ふう…初陣って所かな。」
「拓哉!」
「おう!」
スバルとティアナは拓哉に駆け寄る。
「大丈夫?」
「ノーダメージだ、心配ない。」
「さっきの話の続き、聞かせてもらえるかしら?」
「そうだなぁ…じゃあ、続きを話すよ。」
拓哉は先程の続きを語り始める。
十五年前、自分を創り出した望月宏博士の恩人である仮面ライダーZO・麻生勝が倒したネオ生命体・ドラスが復活を遂げた。
ドラスは仮面ライダーJを取り込み、究極態にパワーアップするも、地空人達のZOへの協力によってJを失い、通常態に戻った。
だが、ドラスはかつてJが倒したフォッグマザーの残骸を取り込み、フォッグドラスにパワーアップする。
だが、ドラスの精神はフォッグマザーの意思にのっとられ、フォッグドラスは更に恐るべき存在となってしまった。
それをZOとJは、巨大な悪意を察して駆けつけた1号からRXまでのライダーと共に倒したのであった。
拓哉「そのフォッグドラスの残骸から出現したのが、このドラスストーンさ。」
その後、FBIの滝和也長官の指令の下に残骸の回収が行われ、そこから発見されたのが紅、翠、蒼の三つのドラスストーンだった。
「蒼の石はある情報を僕達に与えた。それが、遠くない未来、新たな悪の組織が現れ、全次元征服を計画するということだ。」
「悪の組織?」
「詳しいことは後で話す。それと蒼の石は、その他に僕の紅の石と翠の石、そして自らに、戦闘能力を飛躍的に高める力があることを教えた。
直ちにFBIとインターポールは世界中の科学者達を集め、新たな改造人間を作る計画を進めた。
だが、ここで問題が起きた。」
「問題?」
「三つの石には意思が有り、その情報を与えた以降、何の情報も与えなくなった。
ドラスストーンをどうやって人間に移植するか、どのような改造人間を作れば良いのか…
そういう改造に必要な情報を科学者達に教えることなくドラスストーンはブラックボックスになってしまったんだ。
あらゆる科学者が石から情報を集めようとしたけど、結局はどれも失敗し、計画は中止寸前に追い込まれた。
だけど十一年後、そんな存続が危ぶまれた計画に救世主が降臨した。
「救世主?」
「僕の開発者である望月宏博士さ。彼は異例の若さで生体工学の権威となり、ドラスストーンの研究を始めた。
すると今まで心を閉ざしていたドラスストーンは、嘘のように新たな情報を与えはじめた。
そして情報が揃い準備が整うと同時に、候補生の募集が始まった。
僕もその候補生の一人だった…そして厳しい訓練を耐え、めでたく改造人間になれたってわけさ。」
「そうだったんだ…」
「でも、拓哉は十八歳位でしょ?何でそんなのに立候補したの?お母さんやお父さんは?」
「生憎、二人とも俺が三歳の頃に飛行機事故で…義兄さんと姉さんは居たけど…二人も事故で死んだ。」
「あ…ごめん…」
スバルは頭を少し下げ、拓哉に謝る。
「気にしないで良いよ。話を続ける、けど蒼の石は十四年後、忽然と保管庫の中から姿を消したんだ。」
「消したって…何でよ?」
「僕に聞かないでくれ。忽然とって言ったろ?何処に言ったかもどうなったかも、分かってないんだよ。」
「そうなんだ…」
「さて、小難しい話は終わり。アジトに乗り込もうよ。」
「うん!」
「でもどうすんのよ?見張りがあんなに…」
「ホレ。」
拓哉は先程倒した戦闘員達の服を取り出し、スバルとティアナに見せる。
「「いつの間に…」」
「じゃ、がんばりますか♪」
【アジト地下】
拓哉、スバル、ティアナの三人は、戦闘員の服を身につけ、アジトに潜入成功した。
二人は今、アジトの地下を探っている。
「ティア〜この服やだ〜」
「あたしだって嫌よ!」
「二人とも…無駄口を叩かない。」
「「うぅ…」」
二人は黙って赤戦闘員の服を着た拓哉についていく。
そして歩いて行く内に三人は、奇妙な扉を発見した。
「ねぇ、何かなこの扉?」
「随分重たそうね扉ね…」
「鍵が開いてる、入ってみるか…」
拓哉は重そうな扉のノブに手をかけ、それを回してとても重そうな扉を簡単に開けて見せた。
「うわ!すごい!こんなに重たそうなのに!」
スバルは驚きながら拓哉を見る。
「改造人間の腕力は、大人の二十倍から三十倍以上、こんなのわけないさ。」
【保管庫中】
三人は保管庫の中に進入し、辺りを見回す。
そこには無数の赤い長四角の物体が置いてあった。
「ティア…何コレ?」
「さあ…」
「これは…コバルト爆弾…!」
拓哉は物体に触れながらそう呟く。
「「コバルト爆弾?」」
「核爆弾の一種で、原子爆弾又は水素爆弾のまわりをコバルトで包んだものさ。
半減期の、長いコバルト60による汚染のため、味方にも被害が及び、被災地の占領も困難であるなどの理由で実用性に乏しく、理論上の兵器に終わった。」
「「ほう…」」
「けど奴らはコレを大量に所持していた…おまけに改造もされている…
コレだけの良を投下すれば、確実にこの山は大噴火を起こすな。」
「そんな!だったら今ここで…」
「スバル、君達の世界にはこんなの無いから分からないかもしれないけど、これここで破壊したら僕達も一緒にお陀仏だよ。」
「え?そうなの?」
「もっと地下に行けば、爆弾の投下装置があるはず…それを壊すほうが安全だ。」
三人は保管庫を後にし、さらに地下へと向かう。
【アジト 爆弾投下設備】
三人は地下通路を進み、ムーランマウンテンの火口に作られた投下設備に辿り着いた。
「ドンピシャ。」
「結構大掛かりな機械ね…これであの赤い爆弾を…」
「熱い〜!もう駄目〜」
スバルは火口から襲い来る熱さに負け、覆面を取ってしまった。
「うわ!」
「このバカスバル!」
「へ?」
「貴様何者だ!?」
戦闘員達が集まり、拓哉達を取り囲む。
「バカ!あんたってのはもう…」
「ご、ごめんティア!」
「ばれたからには、しょうがない!」
拓哉は戦闘員の服装を脱ぎ捨て、自分達を囲んでいる戦闘員達に殴りかかる。
「「セットアップ!」」
スバルとティアナもバリアジャケットを装着し、お互いのデバイスを使って戦闘員達を迎撃した。
そして三人の猛攻の前に、戦闘員達は一人残らず全滅する。
「片付いたな…」
「大した事ないや!」
「なら俺が相手をしよう!」
「え…?」
スバルの足元からトリケラドランが現れ、彼女を捕獲する。
「うわあ!?」
「「スバル!?」」
「この娘の命が惜しくば、大人しく投降しろ!」
「却下。」
「何!?」
「「ガルベストン」!」
拓哉は大声でその単語を叫ぶ、するとモーター音が聞こえ始め、空中から紺色のカスタムバイクが現れた。(モデルはCBR600RR)
バイクはトリケラドランに突撃し、体当たりで吹っ飛ばす。
「おおおおお!?」
そしてその反動でトリケラドランはスバルを放してしまい、スバルは拓哉とティアナの元に駆け寄った。
「おのれ…」
トリケラドランは火口の岩壁を角で掘り進み、逃亡する。
「逃げた!?」
「追いかけよう!」
「待て、それは僕の仕事だ。君達は、この装置とアジトを破壊してくれ!」
「「うん!」」
「よし…変…身!」
拓哉は再びアウレフに変身し、ガルベストンに乗り込む。
そしてエンジンを吹かし、マシンを走らせて火口から飛び出し、山を下りながらトリケラドランを追った。
【ムーランマウンテン ふもと】
「ふふふ…ここまで来れば…」
「待て!」
トリケラドランはムーランマウンテンのふもとに現れ、「ここまでは追ってこないだろう」と安心する。
だが、そこには既にガルベストンに乗ったアウレフがトリケラドランを待ち構えていた。
「チッ、しぶとい奴め!」
「私は必ずお前を倒す!悪に生きる道はないと思い知れ!トオ!」
アウレフはガルベストンから飛び降り、トリケラドランの前に立つ。
そして二人は戦闘に突入する。
「ブオオオオオオオオ!」
「トオ!トオォォォオ!」
トリケラドランは強力な体を使った格闘技を繰り出し、アウレフに迫る。
しかし、トリケラドランの剛拳も、アウレフのスピーディな動きと攻撃に翻弄され、勝負は一方的にアウレフ優勢に傾いていた。
「グゥゥ…おのれぇ…俺の鋼の体にここまでのダメージを…」
「私はZOとJに戦闘技術のすべてを教え込まれ、技も戦い方も磨きに磨いてきた。
その程度の防御力で鋼の体など、笑わせるな!」
「ちくしょお!こうなれば俺の最終兵器で…死ねぇ!」
トリケラドランはジャンプして間合いを取り、角から破壊光線を発射する。
「なんのおぉぉぉぉぉお!!」
アウレフは乱れ飛ぶ光線の雨を受身や側転を使って回避し、トリケラドランに接近していく。
「ライダーチョップ!」
そしてライダーチョップでトリケラドランの二本の角を叩き折った。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁあ!俺の自慢の角があぁぁあ…」
「トドメだ!トオォォォォォォオ!!」
アウレフは空高くジャンプし、キックポーズを取る。
そしてトリケラドランに向け、一直線に蹴りこんだ。
「ライダーーーーー!キィィック!!」
「ブオオオオオオオオオオオオ!…」
必殺のライダーキックを受けたトリケラドランは勢いよく吹っ飛び、その後地面に激突する。
「やった…僕の勝利だ!」
「ライダー!」
「装置は破壊したわ!」
山の火口から、ウイングロードが現れ、スバルとティアナがそれを渡ってアウレフに合流する。
「スバル、ティアナ、ありがとう。君達にも礼を言わなければ…」
「良いよそんなの!あたし達、これから仲間でしょ?」
「…ああ!」
三人は硬く手を取り合う。
「はっはっは…勝ったと…思うな…!!」
「「「!?」」」
倒れていたトリケラドランが立ち上がり、掠れた声で三人に向けて叫び始めた。
「トリケラドラン、貴様…」
「仮面ライダーアウレフ…貴様のキック効いたぞ…俺はここで死ぬ…だが勝ったと思うな!我らが組織…「AAMON」は強大だ!」
「「アモン」…ソロモン72柱の魔神の1柱で、デーモンの軍団を配下に置き、貴公子の称号を有する悪魔…」
「そうだ…それが我らの組織の名だ…アウレフ…いや、神城拓哉!貴様がどれだけ我が組織に抗えるか、地獄で見ていてやる!ブオォォォォォオ…」
トリケラドランはそう言い遺し、爆発した。
「「AAMON」…それが…僕の戦うべき相手…か…」
【機動六課隊舎部隊長オフィス】
スバルとティアナに案内され、機動六課隊舎についた拓哉は、挨拶と状況報告のため、はやてのオフィスに来ていた。
「「AAMON」…それがスカリエッティの背後にいた黒幕か…」
「間違いありません。」
「そして君が…拓哉君が戦わなければならない相手…か…」
「はい。」
「機動六課は、全力で君を支援する。困ったことがあったら、何でも言ってや。」
「ありがとうございます。それにしても…」
「ん?」
「僕と年齢そんなに変わらないのに、一部隊の隊長だなんて、何かすごいや…」
「うふふ、結構大変なんよ。これでも。」
「ああ、そうだ!僕、私服で居ても良いですか?制服…嫌いなんですよ。」
「構へんよ。」
「ありがとうございます。それじゃ…僕、ちょっと外出してきます。」
「もうすぐ夕食やよ?」
「この世界の空気になれておきたいんで。それじゃ…」
拓哉はオフィスを退室する。
「神城拓哉君か…面白そうな子や…」
はやては、ガルベストンを走らせる拓哉を窓から見ながらそう呟いた。
【次回予告】
拓哉「やあ皆!ニューヒーロー・仮面ライダーアウレフの神城拓哉だ!
今回の話は、面白かったかな?
僕はオリキャラなんで、色々意見がある人も居ると思うけど、これからも応援してくれよ!
次回は…これだ!」
政宗一成「考古学者・ジェームズ博士の発掘した新種のアンモナイトの化石を改造し、怪人アンモナイトソルジャーを作り上げるゾル大佐。
その使命は、JS事件の爪痕が癒えていない、中央地上本部に居る官僚達の暗殺だ。
その情報を察知し、ティアナと共に地上本部に向かう拓哉。
だがそんな二人に、アンモナイトソルジャーと、マンドリルの改造人間マンドリラーが襲いかかる!
二人の運命は如何に!?
次回「二大怪人対アウレフ!決めろ!ライダーきりもみシュート!!」
突き抜けるぜぇっ!!」
投下終了
色々突っ込みどころ多いけど昭和風ライダーにしようと思っているので、突っ込まないでくれるとありがたいかも…(笑)
次は二話の前に【?】サイドプロローグ書きたいと思います。
お楽しみに。
おぉー!
豪華に予告つき!
>>326 GJ!!
昭和・平成ライダーのいいところを併せ持った感じのアウレフかっこいいです!
オリキャラは賛否両論有りますけど頑張ってください!
職人の皆様GJですよ〜
さて、年内にはもう無理だと思っていた片翼8話が完成しました。
スーパーザッフィータイムは次回に先延ばしとなってしまいましたが、投下おk?
よっしゃあああ!!! カモンハリイイイアアアップ!!!
俺も何とか今日中にバッドエンドの後編を投下したいっす。
魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
第8話「2人のクラス1st」
六課の訓練場。その片隅で、セフィロスはこの日も1人で素振りをしていた。
なのは達のいる方は随分と盛り上がっている。陸士108部隊から、ギンガ・ナカジマが正式に転属されてきたのだ。
早速訓練に加わり、今はテストリミッターの外れた妹スバルと、一対一の模擬戦を繰り広げている。
「セフィロス」
そして、今日もまた素振りの様子を横で見ていたシグナムが、セフィロスへと話しかける。
「何だ」
「いい加減あちら側に加わったらどうだ」
「新人教育は柄じゃない」
セフィロスはとりつく島もない様子で、延々と正宗を振るう。
「毎回毎回こうして横で見ているだけというのも退屈なんだ。私のためにも、集団訓練に参加してくれ」
「俺が何故お前のために動かねばならん」
「そう来たか」
やれやれと言った表情を浮かべ、シグナムはそれきり黙り込んだ。
彼女は名目上、セフィロスの監督役ということになっている。
まずないだろうが、彼が1人で訓練をしていた時に何かあった場合、事後処理が色々とまずいことになる。
よって、シグナムが責任者としてつく形となっていた。
彼女は安請け合いしてしまったが、これは相当退屈な仕事だ。
いつもいつも素振りばかりで、模擬戦を申し込んでもたまにしか付き合ってもらえない。
これでは仕事を投げたくなるのも無理はないだろう。
増して、訓練出席率が極端に低い通称「ニート侍」の初仕事がこれでは、テンションもがた落ちだ。
「相変わらずだな」
と言って顔を出したのはザフィーラだった。
「こんな所までわざわざどうした」
「なに、私も暇な身でな。要するに散歩だ」
問いかけるセフィロスに、ザフィーラはそう答える。
「最近姿を見なかったが…」
そこまで言いかけたところで、セフィロスはザフィーラの後方に立つ人影を認めた。
木の陰に隠れ、半分だけ顔を出して震えながらこちらを見ているのは、あのヴィヴィオの姿だ。
「…あれは何だ」
「私の今の仕事だよ」
ザフィーラ曰く、何かと忙しいなのはに代わり、普段は彼が護衛を兼ねて、話し相手などをしているのだそうだ。
つまるところ、今の彼の仕事は番犬や保育士どころか、幼女の飼い犬ということになる。
「…お前、それでいいのか?」
セフィロスがその言葉を口にするのは、これが二度目だった。
「それが私の仕事なら、私はそれでいい」
「………」
コイツはいいように利用されてるような気がする、とセフィロスは内心で同情した。
彼はザフィーラのことを、相変わらずある程度評価していた。
余計なことは詮索せず、適度に話し相手にもなってくれる。
やかましいヴィータ、決闘趣味が玉にキズのシグナム、何かと自分を引っ張ろうとするはやて、そもそも人となりをよく知らないシャマル…
そんな八神家の中で、ザフィーラの存在は異質であり、セフィロスには都合がよかった。
(いっそヴォルケンリッター全員がコイツのようだったらいいのだが…)
そう思ったこともあったが、狼ばかり4匹もがぞろぞろとはやての後について回る光景があまりに情けなかったので、やめた。
「ところでセフィロス、お前は訓練には加わらんのか?」
再び剣を振り始めたセフィロスに、ザフィーラはそう問いかける。
「その質問はシグナムにもされた」
「それもそうか」
その返答で答えを悟ったザフィーラは、それだけを返す。
考えてもみれば、彼が若い新人達の面倒を進んで見に行くはずもなかった。
『まあまあ、そう言わんと』
と、セフィロスの頭上から、もうすっかり聞き慣れた関西弁が聞こえてきた。
見上げると、いつの間に通信回線が繋がれていたのか、はやての顔が映っている。
「またお前か」
やれやれといった様子で、セフィロスが呟いた。
『つれへんねぇ〜、色々腹割った話もした仲やないの』
「お前が勝手に喋っただけだ」
声でじゃれついてくるはやてを、セフィロスは一蹴する。
「…で、何の用だ」
『シグナムやザフィーラと一緒の用事や』
はやての用件もまた、訓練への参加を促すものだった。
新人達のデバイスがセカンドモードに移行したということで、より高次な訓練を行いたいのだという。
よって、その一環として、セフィロスに新人達を揉んでやってほしいのだそうだ。
『もちろん、死なへん程度にな』
最後にはやては、笑顔でそう締めくくった。
「どいつもこいつも…」
セフィロスはそう言ってため息をつく。
『で、どないする?』
「…分かった、行けばいいんだろう」
『分かればよろしい。ほな、よろしゅうな〜♪』
うんざりした表情のセフィロスにそう言うと、はやては手を振って回線を切った。
「…主の言うことは聞くんだな」
正宗を腰に納めるセフィロスを見て、シグナムが意外そうに言う。
「アイツはしつこい。どうせ断らせてもくれんことは目に見えている」
それだけだ、と言うセフィロスの言葉は、いささか弁解調に響く。シグナムはそんなセフィロスの様子を見て、ぷっと噴き出すように笑う。
「何がおかしい」
「いや…そういう言い回しは、立派なツンデレだぞ」
「誰がツンデレだ」
幸か不幸か言葉の意味を知っていたセフィロスは、仏頂面で反論した。
そしてそのままなのは達の方へと向かおうとし、そこでようやく、震えていたヴィヴィオの存在を思い出す。
「………」
相変わらず、ヴィヴィオは進行方向の木陰に隠れてビクビクしていた。
セフィロスが近寄ると、ご丁寧に後ずさって別の木に隠れる始末である。
「やれやれ…」
そう呟いたシグナムが、ヴィヴィオの元へと歩み寄り、同じ目線の高さまでしゃがみ込んだ。
そして穏やかな笑みを浮かべ、優しい語調でヴィヴィオをなだめる。
「大丈夫だヴィヴィオ、セフィロスは怖くない」
「ほんと…?」
「ああ、少し愛想が悪いだけだ。その点では、私やザフィーラとも変わらんよ」
そう言われたヴィヴィオは、恐る恐るセフィロスの方へと視線を向ける。
そして、十秒と経たぬうちに…
「やっぱりこわい」
と断言して、木の陰へと引っ込んでしまった。
その時のセフィロスの表情は、例えるなら、不意にあらぬ方向からがんと頭を殴られてパニックになったような、呆けた顔だったという。
あのシグナムとザフィーラが、しばらくの間、笑いを堪えきれずに転げ回っていた。
あっという間に週末を迎え、地上本部の陳述会の日となった。
カリムの預言通りに「大地の法の塔」が崩れるとしたら、最近の情勢を考えれば、この時が最短期間となる。
当然六課も総力を上げて防衛に向かう必要があるが、かといって、六課隊舎を無防備のまま放っておくわけにはいかない。
よって、今回はザフィーラとシャマルが六課に残ることとなった。ホテル・アグスタでの任務における、セフィロスの役割だ。
そして当のセフィロスだが、彼は今、ヘリの席についていた。
「しっかし、まさかこのタイミングでとはねぇ…」
セフィロスの隣の運転席に着いた、ヴァイスという若いパイロットが言う。
元はシグナムの部下だったが、上官に似ず、飄々とした男だった。
事の次第はこうである。
各フォワードメンバーが出発する直前、突然六課隊舎から離れた平野部にロストロギア反応が現れたのだ。
あからさまに怪しいものだが、無視することもできず、結局セフィロスが回収を名乗り出たのだった。
「確かに不自然だが、放っておくわけにもいかんだろう」
「不自然、ねぇ…」
そう言うヴァイスの顔は冴えない。
「どうも引っ掛かるんスよ。この状況…」
「敵が俺を六課から切り離そうとしている、と?」
「ええ、まあそんなとこッス」
地上本部の警備は万全だ。普通ならそんな所に攻め入る馬鹿はいないだろう。
だがもし、仮にスカリエッティがそれを可能としたならばどうだろう。
そしてそんな手口があった場合、本当に地上本部を襲撃するだけに留まってくれるのだろうか。
「まあ、悪い方向に考えようとすれば、いくらでも考えられちまうわけですけど…どうもね、勘が騒ぐんスよ」
嫌な予感がする、と。
かつては武装隊で成果を上げていたというヴァイスの、経験があってこその勘だった。
「…ともかく、今できるのは、ロストロギアを回収して即座に帰還することだけだ」
歴戦の強者であるセフィロスもまたそれに気付かぬはずはなかったが、今は敢えて目的地を目指す他なかった。
やがてヘリは到着し、セフィロスが降りて周囲を見回す。
すると、そこに1つ、無造作にゴロリと転がっていたものがあった。
セフィロスが拾ってみると、それは大きめな鉱石のように、青色に輝く物体だった。
「ヒュージマテリア…」
自分の星で作られた巨大マテリアの名を、セフィロスは呟いた。
これはロストロギアなどではない。単に高いエネルギーを発するだけの動力機関だ。
スカリエッティの技術なら、形さえ分かれば、これのように似た物を作れるだろう。
つまり、懸念通り、セフィロスはまんまと敵の罠にはめられたことになる。
そして、マテリアの存在を知る人物と言えば…
「久しぶりだな、セフィロス」
その男が、木々の陰から姿を現した。
トーレとその妹・セッテ…2人の戦闘機人を引き連れた男は、セフィロスもよく見知った男。
「アンジール…」
改めて、セフィロスはその名を口にした。
「先日の戦いでお前の姿を見た時には、正直驚いたぞ」
アンジールが口を開く。
「それはお前に返す」
セフィロスもまた、短く応じた。
彼の言う通り、あの時驚いたのはむしろセフィロスの方だった。
アンジールからすれば、生前の友人が自分同様この世界にいた、とだけで済むのだろうが、
セフィロスの場合はそれだけでは済まない。何せ、アンジールはとっくに死亡しているはずなのだから。
「何故、お前が生き返っている?」
そして、セフィロスはその疑問を口に出した。
「生き返ってなどいない」
アンジールは語る。自らがここにいるわけを。
自分が死んだアンジールを元に作られた、コピー人間であることを。
「…つまり、お前はアンジールの姿をした人形ということか」
「だが、心はアンジールのそれと変わらない」
「どうでもいいことだ」
もう不条理には慣れた、とセフィロスは言った。
この世界に来てから、彼は自分の理解の範疇を超えた出来事を嫌と言うほど見てきた。
だからこそ、アンジールのことも、中身が同じならそれでいいと認識した。
「さて…もうこの子らが戦闘機人だということは分かっているだろう?」
トーレとセッテに視線を向けながら、アンジールがセフィロスに問いかけた。
「ああ」
セフィロスが短く答える。
先週の戦闘で、ディエチやセインらの能力が、魔法以外のエネルギーによってもたらされていることは分かっている。
更に言えば、皮肉にも、セフィロスが斬り落としたディエチの腕こそが、彼女らが戦闘機人であることを裏付けることとなった。
「この子らは俺と同じだ。俺と同じ、人でなし…そして、その俺に居場所を与えてくれた」
自分が刃を振るうのは、その居場所を守るためだ、と。
「セフィロス、お前はアイツの…ディエチの腕を斬った。いくらお前と言えども、ただでは済まさん」
「結構」
セフィロスはそうとだけ返した。
「…やはり、気付かなかったようだな…」
と、不意にアンジールが意味不明の言葉を呟く。
「どういうことだ」
「セフィロス、お前は俺がこう長々と話していることを、不審に思わなかったな」
そして、唐突にそんなことを確認する。
確かに、セフィロスは彼の口上を自然に聞いていた。
それが普段通りだからだ。口うるさいアンジールは、よくこうして長々と説教をしていた。
「お前は、俺が口うるさいことを知っている。俺の真面目な話がかなり長いことをな」
だからこそ、これぐらいの話なら聞いてしまう、とアンジールが言った。
他の者ならいざ知らず、アンジールのペースには乗ってしまう、と。
「そして、俺にはここに来るのがお前だということも分かっていた。…お前、陳述会には行きたくなかっただろう?」
「当たりだ」
相手の真意を計りかねながらも、セフィロスは正直に答えた。
恐らく、こんな怪しい出で立ちで、それに愛想もない自分は、頭の固い地上本部の連中と一悶着起こしてしまうだろう。
そんな面倒はまっぴら御免だった。だからこそ、ロストロギア回収に名乗り出た。
「だがセフィロス。それならお前は、放っておいても確実に六課防衛に回ったはずだ」
アンジールはそう続ける。
確かに、地上本部襲撃が目的なら、そこに来ないセフィロスに手を回す必要はないはずだった。
「そのお前が、ここでこうして足止めを食らっている…」
お前ならもうこの意味が分かるはずだ、と。
アンジールの言葉に、セフィロスは先ほどのヘリでの言葉を思い出す。
ヴァイスが口にし、自らも感じた、嫌な予感。
「…六課隊舎か!」
そこが狙われていたのは明らかだった。
「ヴァイス! すぐにヘリを出す準備をしろ!」
セフィロスが後方のヘリに向かって、珍しく声を荒げた。
少し考えれば分かるはずだった。
機動六課には、どういうわけかスカリエッティに――彼の作ったガジェットに追われていたヴィヴィオがいる。
仮にヴィヴィオ個人が狙いではなかったとしても、彼女が引きずっていた物を含めて、複数のレリックもある。
それらを手に入れるために、守りが極端に手薄になった六課を攻める可能性は考えるまでもない。
これは自分の甘さが招いた失態だ。
六課を失う云々は関係なしに、セフィロスは自分のプライドをズタズタに引き裂かれたのが堪えられなかった。
「そうはさせん!」
しかし、後方からトーレが猛スピードで迫り、セフィロスとヘリの間に割って入ると、その拳を突き出した。
「チッ!」
反射的に正宗を抜き、その一撃を弾く。
「IS・スローターアームズ!」
次に聞こえてきたのは、ピンクの長髪のセッテの声だった。
投擲されたブーメランブレードが縦横無尽に空中を駆け回り、セフィロスを狙う。
それを身をよじって回避すると、セフィロスはそのまま正宗でセッテ目掛けてブーメランブレードを払った。
セッテがそれをキャッチすると同時に、今度はトーレが背後から、インパルスブレードを展開して蹴りかかってきた。
寸手のところで、剣で防御。
正宗とインパルスブレードが激突し、金属音が鳴り響く。
「お前達戦闘機人では相手にならん。アンジールを出せ」
刃越しに、セフィロスが冷ややかな目で宣言する。
「なめるなっ! 貴様ごとき、兄貴が手を下すまでもない!」
トーレが烈火のごとき気合いと共に言い放った。
「なんだ、アンジールはボディーガードにヤクザでも雇ったのか?」
「――っ!」
挑発気味に呟くと、セフィロスは勢いよくトーレを弾き飛ばした。
「チィッ!」
しかし、それで動じるトーレではない。即座に態勢を立て直し、再びセフィロスへと襲いかかる。
彼女は戦闘機人の中でも最初期に生まれたメンバーの1人だ。
長い経験の下に培った戦闘スキルは、後期型のディエチや直接戦闘タイプでないクアットロらの比ではなかった。
加えて、セッテのブーメランブレードもある。IS・スローターアームズによって、彼女のブーメランは自在に飛び回ることができるのだ。
凄まじいスピードで、あらゆる角度からセフィロス目掛けて迫るトーレとブーメラン。
セフィロスはそれをひたすら回避し続けていた。
片方だけなら止めることができるが、それでは逆サイドから来たもう片方に当たってしまう。
(あの時のシグナムとヴィータも、これぐらいはやってくれれば張り合いがあったんだがな…)
内心でセフィロスが呟くと、正宗を握る手に力がこもった。
これ以上茶番劇に付き合っている暇はない。さっさと終わらせて、六課に戻る。
セフィロスはまず、ブーメランブレードを回避すると、そのくの字部分に正宗を引っかけた。
高速で飛来するブーメランにそのような芸当を仕掛けるなど、もはや神業の領域である。
「はっ!」
そしてそれを、今度は正面から攻めてきたトーレに向かって飛ばした。
「かは…ッ!」
ブーメランは面白いようにトーレに命中する。
どれだけ高速で動き回ろうと、攻撃を仕掛ける時には真っ向から突っ込まざるを得なくなる。
後はどこから来るかさえ分かれば、当てるのは容易だった。
「くっ!」
「あうっ!」
そして吹っ飛ばされたトーレは、そのまま背後のセッテに激突した。
「来るならお前自身が来い、アンジール。来ないなら俺は戻るぞ」
セフィロスは正宗の切っ先をアンジールに向ける。
戦闘の次第を見ていたアンジールは、ようやく背中のバスターソードへと手をかけた。
「兄貴…」
「面目ないです…」
倒れたトーレとセッテが、申し訳なさそうに謝罪を述べる。
「気にするな、斬られなかっただけでも幸いだ。怪我をしては、作戦に支障をきたすだろう」
しかしアンジールは気にした素振りもなく、トーレ達をいたわった。
「それに…」
アンジールがバスターソードを構える。
と同時に、2人の戦闘機人の視界に、巨大な白が姿を現した。彼の右肩から、鳥のごとき純白の翼が生えたのである。
その片翼こそが、正真正銘、ジェノバの遺伝子を受け継ぐ者の証。
「アイツは本気を出さねば、俺すらやられるような男だ!」
言い終えると同時に、白い片翼が羽ばたく。
アンジールの身体が、さながら弾丸のようにセフィロス目掛けて撃ち出された。
無論、さすがにトーレのライドインパルスには劣るスピードである。それでも、その速度は、並の人間を遥かに上回っていた。
「ぬおおおっ!」
巨大なバスターソードが勢いよく振り下ろされる。
剣と自身の全重量を乗せた一撃が、セフィロスの正宗に降りかかった。
どちらも常識はずれの規格の剣。正宗とバスターソードが、火花を散らしてぶつかり合う。
「ふんっ!」
一瞬の拮抗の後、先に動いたのはセフィロスだった。
正宗の刀身を滑らせてバスターソードの勢いを殺し、攻撃を受け流す。
かつてティアナに教えたテクニックを、セフィロスは完璧な形で実践していた。
視線と視線。
どちらも妖しい魔晄の光を放つ、青い瞳。
それが交錯する瞬間、再び両者の剣が激突する。
「随分と殺気のこもった剣だな。どういう心境の変化だ?」
つばぜり合いの最中、アンジールが問う。
彼は、セフィロスが友情に脆かったことを知っていた。
かつて自分が失踪した時にはその探索任務を拒否し、最後の最後まで自分達を説得しようとしていた。
それが今はどうだ。
目の前のセフィロスは、自分をただの敵としか見なしていない。かつてよりも数段冷たい目線で、アンジールを見据えている。
「どうだっていいことだ」
「何っ?」
瞬間、セフィロスの右手が赤い光を放つ。
「ファイガ」
「ブリザガッ!」
セフィロスが放った炎弾と、間一髪でアンジールが放った氷弾。
それらが至近距離で衝突して小規模の爆発を起こし、両者の距離を強引に開く。
「俺にとっては、もはやお前との友人関係などどうでもいい。敵対するなら倒すまでだ」
ジェノバの意志に目覚めた今、セフィロスにとっては彼の星の人間全てが敵だった。
既に過去の絆は、全てが使命の果てに消え失せている。
疑問が解消されたのなら、半人アンジールはもはや倒すべき敵でしかなかった。
「…何があったかは知らんが…ならば俺も遠慮はしないぞ」
アンジールがバスターソードを構え直す。
「そうでなくては困る」
セフィロスが再び正宗を向ける。
これで両者の感情は一致した。
目の前の相手は敵。それも全力をもって相対すべき強敵。
緊張がその場に走る。
どちらも静止したまま、微動だにしない。
これは俗に言う、嵐の前の静けさというものだ。
動き始めた瞬間、激戦となる。
両者のまとう気配が、その未来を見せるかのように、激しくぶつかり合っていた。
「アンジール…」
壮絶な戦闘は、しかし起こることなく終わる。
不意に背後から、1人の少女が姿を現したのだ。
少女と言うよりは幼女と言った方が的確かもしれない。外見年齢は、エリオやキャロと大差なかった。
紫の長髪を持ち、広い額には何やら紋章のようなものが見える。
「ルーテシアか」
アンジールが視線だけを向けて応じた。
彼女こそが、スカリエッティの協力者の蟲召喚士ルーテシア・アルピーノだった。
「お前がここに来たということは…」
「そう…もう時間」
感情の乏しい声で、ルーテシアはそう短く告げた。
「…セフィロス。残念だが、今日はここまでだ。俺達は地上本部へと向かわねばならん」
足止めの時間は終わりだ、とアンジールは言った。
アンジール、ルーテシア、そしてトーレとセッテの足元に、転位魔法の紫の魔法陣が浮かび上がる。
「せいぜい間に合ってみせるんだな」
それだけを言い残し、アンジールは忽然と姿を消した。
しばらくの間、セフィロスは何も言わず立ち尽くしていたが、やがてヴァイスのヘリへと踵を返す。
「フォワードはどう動いている?」
乗り込むが早いか、セフィロスはヴァイスにそう問いかけた。
「地上本部も六課も大乱闘状態。六課への救援は、ちびっこ2人がやっとだそうでさァ」
通信でロングアーチに問い合わせていたヴァイスが、そう状況報告する。
オペレーター・アルトのヘリでエリオとキャロが地上本部を発ったそうだが、それでも戦力は僅か3人と1匹だ。
おまけにシャマルは負傷してしまったようなので、実質的には更に1人少ないことになる。
「…で、どっちに行きます?」
今度はヴァイスがセフィロスへと問いかける。否、これはむしろ確認だった。
「聞くまでもないだろう。六課へ戻るぞ」
「そうこなくっちゃ! 全力で飛ばしますぜ!」
意気込んだヴァイスが操縦幹を握り、ヘリが上昇する。
そしてそのまま、全速力で六課隊舎への空路についた。
セフィロスの表情は晴れない。苦々しげに眉をひそめている。
「この俺を罠にかけるとはな、アンジール…!」
隣のヴァイスにも聞こえるかどうかといった小声で、セフィロスは唸った。
六課隊舎は、今や火の海と化していた。
周囲には数多のガジェット達。そして彼の――久々に人間形態となったザフィーラの目の前には、2人の戦闘機人。
1人は中性的な外見のオットーである。そしてもう1人は、彼女と同じ茶髪をストレートにしていた。
ナンバーズ姉妹の末娘・ディードである。その両手には、赤く輝く双剣があった。
「ハァ…ハァッ…」
対するザフィーラの息は荒い。
AMF濃度も高く、おまけに負傷したシャマルを庇いながらの戦闘である。ここまで目立った外傷がないのが奇跡に近かった。
(ここまでか…?)
珍しく、ザフィーラの脳裏を弱気な思考が横切る。
セフィロスはロストロギア回収に出てしまった。地上本部からの増援も、到着にはまだかかるだろう。
であれば、ここが命をかける場か。
(申し訳ありません、主…このザフィーラ、もはやお仕えすることかなわず…)
地上本部のはやてに向け、ザフィーラは思いを馳せる。
そして次の瞬間、そこには毅然とした戦士の顔があった。
(ならばこの命尽きようと、これ以上誰1人として傷付けさせん…それが、盾の守護獣最期の御奉公ッ!)
誇り高き獣の雄叫びが、声なき声となって胸中に響く。
そして、背水の陣の覚悟を決めたザフィーラ目掛け、ディードの刃が振り下ろされた。
瞬間、ザフィーラの視界が遮られた。
黒。
人の形をした黒一色が、彼の目の前に立ち塞がっている。
「く…こいつっ!?」
その先にいるであろうディードの狼狽した声を聞いて、ザフィーラはようやく、自分が何者かに庇われたことに気が付いた。
そして、黒くて背の高い奴など、彼は1人しか知らなかった。
「…フッ…来るのが遅いぞ、セフィロス」
ニヤリと笑みを浮かべ、ザフィーラがその名を呼ぶ。
「その声…ザフィーラか」
背中越しに視線を向け、セフィロスが問う。
今のザフィーラは、狼の耳と尾はそのままに、青いノースリーブを着た銀髪褐色肌の人間の男となっていた。
多少なりとも驚くのは無理もないだろう。
「人間の姿になれないとは言っていないぞ」
「フン…意外に器用な奴だ」
言いながら、セフィロスはディードを剣――ツインブレイズごと弾き飛ばす。
「ディード!」
「大丈夫だ。しかし…お前が何故ここにいる!? お前はアンジール様達が…!」
「ああ、だから全速力で追いついた」
それだけのことだ、とセフィロスが言い放つ。
「ガジェット!」
オットーの号令と共に、散開していたガジェットがセフィロス達を取り囲む。
セフィロスとザフィーラは、反射的に背中合わせの格好となって周囲を見渡した。
「まだかなりの数が残っているようだな」
「私1人では限度がある。…ヘリはどうした?」
「途中からは俺1人で転位魔法を使って来た」
もうすぐヴァイスも着くはずだ、とセフィロスが付け足す。
予定よりもセフィロスが早く到着できたのは、前回の戦闘同様、彼にたまたまあった転位魔法の素養のおかげだった。
「そうか」
ザフィーラはそれだけを短く返す。
「それより現状だ。…どこまで戦える」
「正直厳しかったが…半分をお前がやってくれるのならば何とかなるだろう」
「ガジェットは?」
「余裕だ」
事も無げにザフィーラは言い放った。
「ならお前はガジェットをやれ。戦闘機人は俺がやる」
「それはありがたいな。AMF下で奴らと戦うのは厳しかった」
「俺なら剣だけで倒せる」
日頃むしろ魔法を使わない部類に入るセフィロスが、正宗を握り直す。
「…万一の時は、背中を任せてもいいんだな?」
セフィロスが確認した。
いかに彼と言えど、これだけの数を相手に、かすり傷すら負わずに戦い抜くのは無茶な話だ。
その気になれば、元から持っていた強力な広域魔法も使えるのだが、このAMFの濃さではわざわざ発動する意味がない。
「構わんよ。そのための盾の守護獣だ」
「せいぜい足手まといにはなるなよ」
「フッ…努力しよう」
セフィロスの言葉に、ザフィーラが苦笑いを浮かべた。
両者の間には、埋めがたい実力差がある。セフィロスはSSランク、ザフィーラはAAランク。
それを理解しているザフィーラは、セフィロスのそんな言葉にいちいち突っかかるほど愚かではない。
「…では行くぞ」
「シャマルが手負いであることを忘れるなよ、セフィロス!」
セフィロスの言葉を皮切りに、それぞれがそれぞれの相手目掛けて突撃する。
彼とザフィーラは、六課という狩場で獲物を狙う、2匹の猟犬だった。
支援。
しかしヤバイ…ショックを受けるセフィロスに萌える!!
投下終了〜。
さぁ、いよいよゆりかご戦が近づいてまいりましたよ皆様方!
最終決戦での見所はこちら!
・新必殺技
・大怪獣バトル
・「なのは! 歯ァ食いしばれッ!(天元突破的な意味で)」
…これで一体何が分かるっていうんだorz
>>340 さっぱりわからんがとにかく熱いということは分かりましたw
GJです。犬格好いいなぁw
GJ
実は僕も【?】サイドプロローグ完成しました。
五分後に投下おk?
行きます
第二部【?】サイド プロローグ
ノーヴェ「「皇龍(すめらぎ・りゅう)」…あたし達があいつに会ったのはJS事件の終結後だ。
あたしとチンク姉、セイン、オットー、ディエチ、ウェンディ、ディードの七人は、管理局への恭順を示し、海上拘置所に隔離された。
しかし恭順は示したものの、あたし達が自由になれる可能性は、限りなくゼロに近かった。
あたしがあいつにあったのは、あたしが「外の世界」に興味を持ち始めた頃…
あの日、あたし達はいつものようにギンガから更正プログラムを受けていたとき…」
「だから…皆も…」
ノーヴェ「ギンガはあたし達に熱心に色々なことを教えてくれる。昨日も色々なことを沢山教えてくれた。
最初は、自分の命を奪いかけたあたし達に、なぜこんなに優しくしてくれるのかが分からなかった…
今は、「これがきっとギンガの優しさなんだ」と、多少なりとも理解できる。
「あたし達が自由になるまで…こんな日々が過ぎていく」…そんな風にいつも思ってた時
「あいつ」はやって来た。」
バン!
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
勢い良く扉が開き、黒髪で目つきの鋭い落ち着いた感じの少年が入室してくる。
「な…なんですか貴方!?」
「…」
少年は無言でギンガに一枚の紙を渡す。
「え?…!?、これって…」
ギンガは驚愕した表情で渡された紙を見つめる。
「見ての通りだ。」
少年はノーヴェ達のほうへ向き直り、話しを続けた。
「ジェイル・スカリエッティの作品群、ナンバーズ。お前達は大罪を犯しながらも、一応管理局に恭順を誓った。
よって、お前たちをここで仮釈放し、今すぐに俺の管理下に入ってもらう。」
ノーヴェ「この時のあたしは、ネタでもなんでもなく、何がなんだか分からなかった…」
投下終了
特に言うことは…ない!
ザッフィーGJでございますよ反目氏。
次回が楽しみです。
>片翼
ザッフィーとセフィロスの遣り取りが渋くていいですな。
美少女でキャッキャウフフっていい香りのするシーンもいいけど、マッチョメン達の言葉少なくも熱い交流もいいね!w
あと、キレちゃったセフィロスしか知らない私としては、アンジールが過去のセフィロスとの対比で驚いてるのが新鮮でよかったです。
昔は友情に厚かったのか、セフィロス…。悪としての一面しか知らないセフィロスですが、実は結構主人公向け?
アンジールをよく知る為にも、買おうかな。
GJ!!
GJです
どっちが悪役か解らないセフィロス燃えw
>>346 いつも感想ありがとうございます。
さて、アンジールの件ですが、まずは彼がPSPソフト「クライシス・コア」限定出演のキャラであることを確認しておきましょう。
そしてようこそ、男の世界へ(ぇ
CV井上和彦の渋いナイスガイ、それがアンジールです。
そしてセフィロスもZ本編とは大分異なり、時々いい兄貴っぷりを見せてくれます。お楽しみに。
むしろこっちのセフィロスの方が好きだったので、片翼も今のスタンスになっているわけなのですよ。
ところで、最近思うのですが…
…みんな、本当にアンジール知ってる…?
……知らないです。
反目氏の文章から思い浮かべてます。
良い兄貴キャラということのみ認識
ゲームを進めろ?
・・・いや、長門が呼んでてさ・・・
>>349 井上・・・・・・・?ああ、アヌビスのディンゴ・イーグリットの人か。
GJっす!反目氏がラストスパートに入るのと同時に、こっちもBパートを投下しようかと思いますが、
投下しても宜しいでしょうか?
>>353 ヒィー! まだラストスパート入るまでは2〜3話かかりますって! 支援
Part.B
天元突破グレンラガン×魔法少女リリカルなのはA's
淡い紫色の光に包まれた場所で眠りについていた八神はやては、1人呟く。
「私は…何を望んでいたんだっけ」
『夢を見ることです。悲しい現実は全て夢となり、安らかな眠りを』
「そう、なんか?」
優しげな声の答えに疑問を抱く小さな少女だったが、今はまだ眠りから抜け出せずに居た。
闇の書の守護騎士プログラムとして活動していたヴォルケンリッターたちだったが、仮面の戦士たちの陰謀により、リンカーコアを蒐集され消滅していた。
彼女らは消滅しても闇の書の無限転生機能によって蘇る事が可能であったが、現在暴走状態に近い闇の書の意思では、その機能を扱うことが出来ない。
暗い闇の底でシグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラはリンカーコアという形で会話をしていた。
実際にはありえない出来事だったが、今の彼女らには考える気力も無い。
“ただ1つの事を除いては”
(ちくしょう…はやてが悲しんでるのにあたしらは何にも出来ねぇのかよ)
(今の主はやては我らの消滅が悪い夢であって欲しい…そう願っている。我らが再び転生出来れば…いや、不可能だな)
(何でだよ、シグナム?)
(考えてみろ、ヴィータ。今の主には、あの子の声以外伝わらない。我らが何をしようと、この現状では手も足も出せない)
シグナムの正論に言い返したかったヴィータだったが、頭には良い方法が思いつかなく口ごもるだけであった。
シャマルとザフィーラ、そしてシグナムも気持ちはヴィータと同じである。
今すぐに主はやての下へ行き、彼女を救い出したい。
(それにしても、私達が闇の書の中で会話が出来るなんて今までに無いことよね?ザフィーラ)
(ああ、我ら守護騎士は闇の書の完成後次の主が現れるまで覚醒出来ぬからな)
(シャマルもザフィーラも、何か良い案とかねぇか?)
(ごめんね、ヴィータちゃん。私もお手上げ)
(今の我らの力では、何も起こせぬ…残念だが)
2人の答えにヴィータは肉体があるかのように真っ暗な床を叩く。
(くそぉ!はやてを助けたいよぉぉぉ!!うわぁぁぁぁっ)
泣き始めるヴィータに一同黙り込むしか無かった。
だが、その瞬間に暗闇に包まれていた部屋に明るい光が降り注いだ。
急な光に目をしかめる騎士達だったが、その時自分達の姿が元の肉体へと戻っていることに気づき驚く。
「おいおいおいおい!お前ら!!何、時化(しけ)た面してんだよ。それでも、シモンが認めた奴らなのかぁ?おい!」
突然現れた刀にマントにヤンキー風のグラサンが目立つ刺青をした青年が立っていた。
鞘に収まった刀を肩に担ぎながら、彼女達の前へと歩いてくる。
「テメェ…何モノだ?」
ヴィータの問いに待ってましたという風な顔立ちで、刀を持った右腕を天へと伸ばす。
「ジーハ村に悪名轟くグレン団。男の魂背中に背負い不当不屈の、あっ鬼リーダァー!カミナ様たぁ〜俺様のことだ!!」
カミナと名乗る男の名乗り上げに一同豆鉄砲でも食らったかのように硬直してしまっている。
そんな彼女達にカミナは話し続ける。
「こんな所でメソメソしてる暇があるなら、さっさと仲間を助けに行かねぇか!」
「そんな事は分かっている。だが、主はやてを救い出す方法が思いつかぬのだ」
「けっ、そんな事かよ」
「そんな事って…君は何も分かってない。今の状況が如何に」
「そんな御託はどうでも良い!俺が言いたいのは、はやてって奴の下へ行きてぇのかよって聞いているんだ」
反論していたシグナムとシャマルは、その言葉に何かを感じる。
その話を聞いたヴィータは、カミナの前に歩み寄る。
「その話…本当か?」
「ああ。俺は嘘はつかねぇ」
「なら、今すぐはやての所へ連れて行ってくれ」
「それは出来ない相談だ」
「テメェ、嘘をつきやがったのか!」
カミナの返答に怒りをあらわにするヴィータ。
「まぁまて。連れて行くとは言ったが、今すぐ連れて行けるとは言ってねぇぞ」
「う…なら、どうしたら良いんだ?」
「よし!なら、お前達。4人で円になるように手をつなげ」
「な、なんでそんな事」
「必要なんだよ。さぁ、さっさとしな」
神にもすがる気持ちであったヴィータ達は、カミナの言うとおり互いの手をつなぐ。
手をつなぎ終えたのを見たカミナは、彼女らに質問を投げかける。
「よし、手をつないだみたいだな。それじゃあ、俺の質問に正直に答えろよ?」
「ああ、分かったからさっさとはやての所へ」
「それじゃあ、そのはやてって奴への思いを頭にいっぱいに思い浮かべろ。良いか、本当の思いをいっぱいにするんだ」
カミナの話に何故そんな事をしなければ成らないのかと思うヴォルケンリッターたちだったが、今は彼の言葉を信じるしかなかった。
(私は…主はやてとの生活で、過去の血塗られた自分と決別できた。あの優しく、そして温かい主との生活を私は守りたい。そのためなら、私は、いかなることもやる!)
(はやてちゃんとの生活で私達は、過去に無かった安らぎを感じることが出来た。はやてちゃんは、今までの主の中で一番大切な存在。だから、はやてちゃんを救いたい!)
(はやての笑顔を見ると、すっげぇ嬉しい。はやてと遊ぶともっともっと楽しい。はやてが消えちまうのは絶対嫌だ!だから、はやての場所に行きてぇんだ!)
(主との生活で我らに安息が訪れた。優しい主を襲い掛かる闇は、盾の守護獣である我が全力で防ぐ)
≪だから…私達を、はやての下へ!≫
4人の気持ちが一つと成った時、彼女達を暖かな光が照らす。
その瞬間、ヴォルケンリッターたちは光の粒子へと変わっていく。
「おい、これは」
「その光がお前達をはやての所へ連れてってくれるのさ。そんじゃ、俺様は先に行くぜ!」
カミナが光の粒子となって消えた後、守護騎士たちも光となって消えた。
その頃、シモンと同じく夢の世界へと捕らわれたフェイトは姉のアリシアとの会話をしていた。
「…ねぇ、フェイト。夢でも良いじゃない。ここに居よう…ずっと一緒に。私ここでなら生きていられる。フェイトのお姉さんで居られる。
母さんとアルフとリニスとみんなと一緒に居られるんだよ。フェイトが欲しかった幸せ…みんな上げるよ」
フェイトがアリシアの願いに耳を傾けている頃、はやても闇の書の意志に夢を見せられていた。
「私が、欲しかった幸せ」
「健康な体、愛する者達とのずっと続いていく暮らし…眠ってください。そうすれば、夢の中でずっとそんな世界で暮らせていけます」
闇の書の意思の答えに、はやては霞が掛かっていた意識が戻り、その答えへの反対の意思をつく。
「せやけど、それはただの夢や」
一方、なのはとニアは闇の書の意思との戦いに消耗されていく一方であった。
なのはは、レイジングハートをエクセリオンモードへと切り替え己が持つ最大級の技を放つも、闇の書の強固な盾とフィールドに阻まれ攻撃が届かない。
『イナズマァァァッキィィィック!!』
中破した状態のグレンの残った右足に螺旋力を集め、雷を帯びた飛び蹴りを放つニアだったが、なのはと同じく強固な盾に弾き飛ばされる。
「ニアさん、まだ行けますか?」
『はい、まだ大丈夫です。私の心は折れません!』
「なら、お話を続けましょう。闇の書さんが戦いを止めるまで」
『はい!』
「私、こんなの望んでない。貴女も同じ筈や!違うか?」
「私の感情は騎士たちの感情と深くリンクしています。だから騎士達と同じように貴女を愛おしく思います。だからこそ、貴女を殺してしまう、自分自身が許せない」
闇の書の意思の本当の理由を聞き、はっとするはやて。
「自分では、どうにもならない力の暴走。貴女を侵食する事も、暴走して貴女を喰らい尽くしてしまう事も止められない」
「…覚醒の時に、今までの事少しは分かったんよ。望むように生きられへん悲しさ。私にも少しは分かる。シグナム達と同じや。ずっと悲しい思い、寂しい思いしてきた」
主の言葉に頷く闇の書の意思。
「せやけど、忘れたらあかん」
はやてが車椅子から手を伸ばし、それを掴んだ闇の書は、その頬を撫でられる。
「貴女のマスターは今は私や。マスターの言う事はちゃんと聞かなぁあかん」
その時、彼女達の足元にベルカ式の魔法陣が現れ、更に他に4つの魔法陣が出現するのであった。
フェイトもまた、アリシアに友の元へ戻ると言い別れを伝えていた。
アリシアも、フェイトの心情を察しバルディッシュを手渡す。
その時、彼女達が腰を下ろしていた木の上から何者かが飛び降りてきた。
「良く決心したな。それでこそ、シモンのダチだ」
「あなたは…いったい」
「シモンに聞いてねぇのかぁ?あいつの兄貴分のカミナ様たぁ、俺様の事だ!」
「カミナ。そっちは、どうだったの?」
「あぁ、シモンは一足先に出て行ったぜ。俺が死んだ時とは男前度が上がってた…まぁまだまだルックスは俺の方が上だがな」
カミナの話にクスっと笑うアリシア。
2人が知り合いなのだと察するフェイト。
「まぁそういう事だ。アリシア、俺は次のとこへ行く。ここでお別れだ!」
「うん。さようなら、カミナ」
「おう」
そうして、カミナ光の粒子となって消えた。
突然の来訪者に驚いていたフェイトに抱きつくアリシア。
その身体は光の粒子へと変わっていこうとしていた。
「じゃあ、行ってらっしゃいフェイト…こんな風に居たかったなぁ」
そう言い残し、アリシアは光となって天へと召された。
はやてと闇の書も、新たな道へと進むため動こうとしていた。
「貴女に名前を上げる。闇の書とか呪いの魔道書とか言わせん。私が呼ばせへん」
はやての思いに涙を流す闇の書の意思。
「私は管理者や。私にはそれが出来る」
「無理です。自動防御プログラムが止まりません。管理局の魔道師が戦っています。それに…」
「止まって」
彼女達の足元に浮かぶ魔法陣が輝きを増すと同時に、周辺に浮かび上がっていた魔法陣から4つの人影が現れる。
「弱音を吐くな」
「諦めたら、そこで終了よ」
「はやてが側に付いているんだ。諦めるんじゃねぇ!」
「我らが側に居る」
愛おしく思っていた騎士達が自分の側に戻ってきてくれたことに驚くはやて。
闇の書の意思も、消えたはずの騎士達がこの場に現れるとは想定して無く驚きの表情をする。
「みんな…おかえり」
「お前達…何故、ここに来られたのだ?」
「それは、シモンの力だ」
天から降り注いできた光が人の形となりカミナを作り上げる。
知らない男性が現れて少し戸惑うはやてだったが、騎士達の精神とリンクする事で経緯を知る。
ニア強くなって・・・・・・・ってやっぱりノノになっとるーっ!?支援
「まぁ理屈は分からねぇが、シモンの力が奇跡って奴を起こしたってのは分かるぜ。死人の俺がこんな形で動いてられるんだからよ」
「シモン君も、ここに閉じ込められてたんか」
「はい…主のご友人でやりたくは無かったのですが、攻撃が激しく仕方なく」
「まぁ、そのお陰で俺様はアイツと話せて良かったけどな」
そう言い終えたカミナは、はやてから背を向け言う。
「さぁ、お前のやる事は分かるよな?シモンが認めた奴らのリーダーなら、出来るはずだ」
「…うん。分かってるよ」
外で闇の書の意思と対峙していたグレンとなのはだったが、突如闇の書の動きが変わったことに気づいた矢先聞き知った声が聞こえた。
『外の方…えっと管理局の方。こちら…いや、そこに居る子の保護者、八神はやてです」
「はやてちゃん!?」
『なのはちゃん!? ホンマに?』
「うん、なのはだよ。色々あって闇の書さんと戦ってるの」
『ごめんなのはちゃん、何とかその子止めてくれる?』
「えっ!?」
『闇の書本体からコントロールは切り離したんやけど、その子がああしてると管理者権限が使えへん。今そこに出とるのは自動防御プログラムだけやから!』
その話に目をぱちくりするなのはに、追い討ちをかける一言が響く。
『高町なにょは!良いからさっさと、そいつをぶっ叩いて動きを止めろ!』
「ヴィータちゃん!?」
『我ら守護騎士は全員主の側に居る』
『なのはちゃん、お願い。その子の動きを止めて』
『ダメージさへ受ければ、一時的に動きは止まる。頼む』
ヴォルケンリッター達の願いを聞くも、どうすれば良いか戸惑うなのはにユーノからの念話が届く。
「(なのは、分かりやすく伝えるよ。今から言うことをなのはが出来れば、はやてちゃんもフェイトもシモンも外に出られる)」
そう言った瞬間、闇の書のデバイスから光が発したと思うとラガンが現れたのだ。
落ちてくるラガンをキャッチするグレン。
「シモン、無事ですか!?」
「あぁ、何とかね」
シモンとニアが再会を喜んでいる側で、なのははユーノに苦笑いをする。
「(彼が特殊なだけだよ(汗)。どんな方法でも良い、目の前の子を魔力ダメージでぶっ飛ばして。全力全開手加減無しで!)」
彼の話に納得したなのはは、レイジングハートを再び両手で握り締める。
「流石ユーノ君、分っかりやすい!」
『まったくです』
レイジングハートに魔力が集中してきたのを察した闇の書の防衛プログラムは、周囲から赤竜の触手と巨神兵が多数出現する。
それに気づいたシモンは、なのはの援護のため動き出す。
「ニア、合体だ!」
「はい、シモン!」
ラガンはグレンの手から飛び出し空へと上昇すると、下半身をドリルと化してグレンの頭上へと突き立てる。
グレンのコクピットまで突き抜けてきたドリルをニアは首を横にして避ける。
そして、ラガンが螺旋力を注入しグレンのコントロールを掌握する。
ラガンとの合体でグレンの破損した箇所は次々に修復され、グレンとラガンは合体を終える。
『なのはには、指一本触れさせねぇ!』
グレンラガンへと合体を終えたシモンは、推力を最大にし接近してくる巨神兵たちを持ち前の格闘能力とドリルで打ち倒していく。
その援護を受けなのはとレイジングハート・エクセリオンは闇の書の防衛プログラムへと攻撃を仕掛ける。
「エクセリオンバスターバレル展開、中距離砲撃モード!」
『All right Barrel shot』
レイジングハートの先端部分より光の羽が4枚出現し、槍と化した部分には膨大な魔力が集中し魔力砲撃が発射された。
魔力ダメージとバインド効果のある砲撃を受け、金縛りとなる防衛プログラム。
その瞬間を待っていたはやては、闇の書と呼ばれていた愛しい子へ新たな名を与える。
「夜天の主の名において、汝に新たな名を贈る。強く支える者、幸運のそよ風、祝福のエール…リインフォース」
時を同じくして、フェイトも闇の書の空間から脱出するため、バルディッシュをザンバーフォームへと変化させていた。
「疾風、迅雷!」
グレンラガンとユーノとアルフの援護を受け、闇の書へエクセリオンモードの最大攻撃を繰り出すなのは。
「エクセリオンバスターフォースバースト!」
レイジングハートに環状魔法陣が展開され、そこになのはの魔力を集中させる。
その魔力スフィアの大きさは彼女の2倍以上にも膨れ上がる。
ザンバーに魔力を纏わせ振るい周囲に己の魔力で充満させる。
そしてフェイトはザンバーを肩に載せ構え巨大な魔力の刃を振り下ろす。
「スプライトザンバー!」
その瞬間、フェイトの居た空間は砕けて散る。
それと同時になのはは、溜めた魔力を闇の書へ向け解き放つ。
「ブレイクシュート!」
4つに分かれた巨大な砲撃が闇の書に直撃し、海が魔力の余波によって巻き上げられる。
なのはの魔力ダメージによる砲撃を受け、はやての管理者権限が使用可能となる。
『新名者、リインフォース認識。管理者権限の使用が可能となります』
「うん」
なのはによる砲撃が済んだ後、アルフが周囲を見渡すと己の主が帰還しているのを見つけ喜ぶ。
「フェイト!」
フェイトの帰還に喜ぶなのはと巨神兵をあしらうシモンとニア。
『ですが、防御プログラムの暴走が止まりません。管理から切り離された膨大な力が時機暴れだします』
「ん〜なんとかしよ」
「そんな掛け声で良いのか?もっとカッとした受け答えもあるだろう」
「あはは、カミナさんみたいに良いセリフが思い浮かばんのよ」
「まぁ、お前らしく行けば良いさ。そんじゃ達者でな」
「もう行ってしまうん?」
「ああ、あいつらも帰還の準備をしに戻ってんだ。死人は、死人らしく生きている奴らの足かせに成らない様に見届けるだけさ」
「そうかぁ…さようなら。カミナさん」
カミナは声を出さず手を上げて別れの挨拶を済ますと、緑色の輝きとなって消えた。
はやては閉じていた目を開き、目の前に現れた夜天の書を抱きしめる。
「行こか。リインフォース」
『はい。我が主』
支援を貫く螺旋の力
なのはの砲撃を受け海へと落ちた闇の書の防衛プログラムだったが、機能を回復し周辺の海や大気を揺るがせる。
アースラよりエイミィの連絡がなのは達へと伝えられる。
『みんな気をつけて!闇の書の暴走はまだ止まってないよ!』
地球のある宇宙空間で待機しているアースラである鍵を握り締めながら指揮を執るリンディ提督。
「ここからが本番よ。クロノ準備は良い?」
『はい。もう現場へ着きます。こんな事ならグレンラガンに乗せてもらって行ったほうが早かったですね』
「そうね。さぁ、急いで」
『はい!』
クロノとの通信を終え、手に握った鍵を見つめるリンディ。
「アルカンシェル…使わずに済めば良いのだけど」
彼女が見つめるモニターの先には、多数の火柱と巨大な人型兵器が宙を舞い戦っていた。
火柱と巨神兵の攻撃を受けながらグレンラガンを駆るシモンは、決意を固める。
「これが、俺達の来た理由か…良いぜ。そんな運命なんか俺のドリルが貫く。どんな逆境だろうと俺達大グレン団に負けはねぇ!」
投下完了です。
Part.Cでは、お待ちかねの天元突破グレンラガン登場です。
乗り込むメンバーは、予想がつくかもですw
あ、ちなみに天元突破の文字の部分が変更される可能性があるのでご了承ください(ぇ
カミナの兄貴GJっ!!!!!!!
熱くなってきた、さあこれからが本番だぜ!
乙&GJ!
ニアはもうバスターマシンで確定なのかw
次、投下させていただいてもよろしいですか?
おかげで落ち着いてルパンが見れないじゃないかwwwGJ!
次回の天元突破にも期待です
368 :
戦国の鉄の城:2007/12/28(金) 22:07:30 ID:dLYzevnX
職人の皆様GJ!
特にカミナの兄貴が熱かった!
あれ?イナズマ・・・あれ?
他にどなたもいないし、一時間経ったのでいきますねー
=======
平凡な小学3年生だったはずの私、高町なのはに訪れた突然の事態。
渡されたのは紅い宝石、手にしたのは魔法の力。
出会いが導く偶然が、今、静かに動き始めて。
立ち向かっていく日々に、うつむかないように。
SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、始まります!
巻之伍 「選んだ道の先なの」
「まだ誰も来てないみたいだね。それに僕達に無関係そうな人もいないし……」
「うん。だってここは、私の取って置きのお気に入りスポットだもの」
海を一望できる高台の公園にある見晴らしのいい小さな広場。
そこが今日の待ち合わせ場所であった。
静かで訪れる者も少なく、一人きりで風や動物の声といった自然を満喫できる場所。
言い換えればどこかの施設の中のように他の誰の気兼ねも無く秘密の話をできる場所。
なのははこの自分だけのヒミツの場所を今日のために紹介したのであった。
「……? 待って、なのは。何か聞こえない?」
ユーノの言う通り、耳を澄ますと確かにどこからか口笛の音が聴こえてくる。
「え? ……本当だ。これ、口笛? でもどこから……」
「ここだ。悪い悪い、邪魔するつもりじゃなかったんだけどな」
草がこすれる音とともに、ちょうど彼女達の背中側にから一人の少年が起き上がる。
その少年は、彼女達にとって少しながら見覚えのある顔であった。
「えっと、確かトッキー君のご家族さんの……」
「シンヤでいい。昨日の妖怪おしゃべりイタチの飼い主だろ? 付き合わされて大変だな」
それを聞いたユーノは少々憤慨した様子でその少年……シンヤに詰め寄った。
「言うに事欠いて妖怪おしゃべりイタチ!?
今日の話はあなたの様な一般市民には関係ない話なんです。帰ってください!」
「その一般ピープルがお前の事とか色々気になるからわざわざ来てやったんだよ!
文句があるなら週刊誌に売り込むぞ!」
「そ、それは……う〜、何て強引な……」
「にゃはは……さすがのユーノ君もたじたじだ……」
「ちょ、助け舟くらいだしてよ、なのは〜」
テンポよく舌戦を繰り広げるユーノとシンヤ。
苦境に追い込まれてしまったユーノは御主人様もとい相棒のなのはに助けを求めるが、
なのははそう言われても少し引きつった笑みを浮かべて事態を見守るだけであった。
「ところでシンヤ君、トッキー君や他の武者頑駄無さんは?
確かトッキー君を入れて三人くらいいたと思うんだけど……」
辺りを見回すが、そこにはやはり他の人影は見当たらず、少々心配になってきたなのは。
「あぁ、トッキーは言わなくても分かるよな、刑事が仕事だし。正直仕事のしすぎだけどさ。
ドリルの奴は怒られる前に地面を直しに行ったみたいだけど」
二人は遠い眼をして昨日の衝撃的光景の中でも5本の指に入るであろう武者の姿を思い出す。
「あぁ、あの人か……」
「いきなり町のど真ん中でドリルで穴掘るとか普通は思ってもやらないよね……」
普通はあんなドリルを持っていると言う事自体無いのだがそこは華麗に放置。
だがそんな彼らに忍び寄る一つの影があった。
「ん、誰か俺のこと呼んだか?」
「ひゃぁぁぁぁっ!!」
「うわぁぁぁぁっ!?」
思わぬタイミングでの御本人様の登場に、失礼極まりない叫び声を上げるなのはとユーノ。
「な、何や、いきなり? お化けでも見たっちゅう顔して……」
「い……いえ、何でもないです! ドリル最高!」
「そ、そうそう。別に何でもないですよ、何でも! ね、ユーノ君!」
「? けったいな子やなぁ、自分ら」
昨日とは逆に、なのはたちに対して不審者を見る目つきを向ける爆流。
と、そこに仕事を片付けたトッキーと、彼の背中で眠りこける武ちゃ丸が姿を見せた。
「あらかた、揃ってるみたいだな」
「おぉ。所で、お前さんの背中のソレ、どうにかならへんか?」
「ス、スミマセン! 今叩き起こしますから!
オイ、いいかげんに起きろ武者丸! 始まるぞ!?」
「う〜ん……シュシュムゥ〜……納豆はアカンて納豆は……」
「……だめだこりゃ。もうこいつは放って置くか」
完全に眠りこけている武ちゃ丸を放置し、各々近場のベンチに腰を落ち着ける。
「さて、ユーノ君……だったね。正直聞きたい事が多すぎて迷うんだが、
いくつか質問をさせてもらってもいいかな?」
「はい。何でも答えますので、一つずつどうぞ」
トッキーと爆流は目を見合わせ、ぼそぼそと小声でなにやら相談する。
互いに頷きあった後、それぞれ姿勢を正して質問を投げかけた。
「そうだな……じゃあ、ジュエルシードがらみの事について話してもらうよ。
確かあれは君の一族が発掘したものだと言っていたが、どういう事なんだい?」
「分かりました。とりあえず実物を見ていただきましょうか。なのは、今、出せる?」
「うん。レイジングハート、お願い」
<<Put out>>
なのはの声に答えるように、彼女がしていた首飾りは音声を発したと同時に光り輝き、
その目の前の空間に鈍く輝く菱形の宝石を浮かび上がらせた。
「わっ、こいつ、しゃべった!?」
「なのはの持っているレイジングハートはインテリジェントデバイス……
分かりやすく言えば意思を持った魔法の道具なんです」
それを聞いてシンヤは何かに気が付き、ふとユーノに問いかけて見る。
「おい待てよ、その道具の持ち主がその子ってことは……
それじゃあその子は魔女って事になるんじゃないのか?」
「え? まぁ……そういうことになるのかな?」
<<Yes, my master>>
「なのはは素晴らしい素質を持った魔導師の卵さ。自信を持ってかまわないよ」
シンヤは物珍しげになのはとユーノをかわるがわる見つめ、感心したように呟いた。
「それにしても魔女っ子か……オレはまたてっきりただの妖怪の飼い主だとばかり思ってたぜ」
「あの、だからその妖怪って呼び方は勘弁してもらえませんか?」
妖怪の飼い主という時点でただの人間ではない。もっともユーノは妖怪ではないが。
「ん? そういやトッキー達はコイツが喋ってるの見ても大して驚いてなかったな」
ものすごく言い辛そうな表情をしてトッキーと爆流はその理由を説明する。
「あぁ、それは……その……」
「俺らの世界では動物が喋るのはそれほど珍しないしな……えーと、妖怪とか……」
「結局、妖怪扱いなんだ……僕って……」
「ユ、ユーノ君、ファイト!」
ユーノはもはやこの世の終わりかのような暗く沈んだ表情になり、
なのはの励ましも空しく、辺りは急に重いどんよりとした空気に包まれた。
「は、話を戻そうか! こいつがジュエルシードなのかい?」
「はい。僕の一族は各地の遺跡を発掘する事を生業とする流浪の民で、
これもその作業をしているうちに発掘した物なんです」
そしてユーノはジュエルシードについて分かっている全ての事を語りだした。
ジュエルシードとは端的に言えば願いを叶える宝石だが、
その秘めた力は大きすぎ、所有者を求めて彷徨い歩いたり、
使用者を取り込んで暴走し、破壊の限りを尽くすという恐ろしい力を秘めていると言う事を。
真剣な表情でユーノの話に聞き入るトッキー達。
その一方で、専門的かつ理解できない用語の多い話についていけないシンヤは
ユーノの一族とやらを想像し、それはまたずいぶんとファンシーな光景だと感じていた。
なるほど、たくさんのフェレット達がスコップを持って
地面を掘り返している様はなかなかに可愛らしいものかもしれない。
しかしそう妄想しているシンヤの表情はその場から浮いている事極まりなかった。
「ジュエルシードが大体どんなものかという事は分かったよ。
じゃあ、次の質問だ。何故そんな代物が天馬の国にあるんだ?
君の話から判断すればジュエルシードはこの世界のものではない。
俺は何らかの理由で散逸してしまったものだと推理しているんだが……」
「お察しの通りです。僕達はこのジュエルシードの危険性を考え、調査も兼ねて
調査団に預けようとしたのですが、移送中に船が原因不明の事故に遭ってしまい、
それがこちらの世界に飛び散ってしまって……
僕が確保できたのはこの一つだけですが、その総数は……およそ47。
僕はそれを回収するため、一族の皆に黙ってこの世界にやってきたんです」
その話を聞いたトッキーたちは思わず目を白黒させ、その身を乗り出す。
「な、何やて!?」
「47……そんなに!? 21個とかじゃねーのか!?」
やけに具体的な数だな、シンヤよ……と、トッキーは場違いに妙な事を思いつつ、話を続ける。
「しかし、いくら数を揃えても堕悪闇軍団は独力でジュエルシードの力を引き出す事は出来ない。
恐らく偶発的、及び人為的に発動や暴走を引き起こす事も同様だろう。
これは幻妖が言っていた事からも明らかだ」
「そのために奴らは触媒として人間が持つ『何か』を利用していたようですね」
「あぁ、例の『未知のチカラ』とやらだな」
幻妖の名が出ると、なのはは悲しそうな顔をして昨日までの戦いを思い出した。
「幻妖っていう蜘蛛男さんはそれを狙って街の人達を襲っていたんだもんね……」
「その理由が分かれば奴らに対抗する糸口になるかも知れないな。
奴が今際の際に言い遺した『天馬の国は沈没する』という言葉も気になる。
ハッタリかもしれんが、今後注意して当たるように全国の武者たちに通達しておこう」
話に一段落ついたと判断したユーノは自分自身が疑問に思っていたことをぶつけてみた。
「あの、僕からも一つよろしいですか?
僕はこの世界に来たばかりでその『堕悪闇軍団』についてよく知らないのですが……
一体どういう組織なんですか?」
ユーノの問いかけに対し、トッキーは簡単に解説する。
このままジュエルシードを集めていけば、連中と鉢合う事も一度や二度では済まないだろうから。
「堕悪闇軍団とは、過去から闇の力を持つ連中を集めて作られた凶悪な軍団さ。
そして今その首領をしているのが堕悪魔刃頑駄無という巨大な鎌を持った男だ」
「ガンダム……そいつも武者頑駄無なんですか?」
「いや、見た目はともかく違う。記録によれば魔界からやってきた侵略者で……」
トッキーはその記録よりさらに過去の住人の爆流の方をちらっと見て、
彼の遺産……鉄機武者軍団が件の魔刃頑駄無に悪用された事を知られないよう、
慎重に言葉を選びながら説明する。
「とにかく強大な闇の魔力を持っていて、地上だけでなく神に近い立場の世界の住人達、
天界の民をも巻き込む史上最大級の戦争を起こした首謀者だ。
超時空転移装置という未知の超古代文明のからくりを手に入れて、
全ての時代、世界を暗黒に染めようと画策している。
そしてさらに配下の武者たちも錬金術によって通常より強化されている。
そんな奴がジュエルシードの力を悪用したらと考えると……」
思わず最悪の事態を想像してしまい、表情を固くするトッキー。
一方でユーノは少々違う感想をその話に感じていた。
「魔界に、天界、未知の超古代文明……何だか御伽噺のような世界ですね」
「お前がそれを言うか、お前が? 見るからにファンタジー世界の住人のくせに」
「……あぁ、そうか。こちらの世界では魔法そのものがファンタジーの産物でしたね」
横から飛んでくるシンヤの突っ込みに目を丸くして妙な納得をするユーノ。
まこと、異文化コミュニケーションとは難しいものである。
「ふぁあぁ〜よぉ寝たなぁ……」
「ようやくお目覚めか、武者丸」
そして、あらかた話が終わる頃、ようやく武ちゃ丸は目を覚ましたが、
途端に四方八方から冷たい視線が浴びせかけられる。
「ゲゲッ、斗機丸!? ここは……ひょっとしてもう話はじまっとった?」
「とっくの昔にな」
「あいたた……やってもうた……時差ボケか?」
「国内を三日間さ迷い歩いただけで普通は時差ボケにはならんと思うのだが」
「んなこと言うたかて……ん?」
ふと、武ちゃ丸は宙に浮いているジュエルシードに視線を寄せる。
「ん? なぁ、それジュエルシードとちゃうんか?」
その瞬間、トッキーの中で時間が止まった。
「……オイ、武者丸よ、今、何て言った?」
「そやから、『ジュエルシードやろ、それ?』って言うたんやけど」
「……何故今まで寝てたお前がジュエルシードのことを知っている?」
「あぁ、こっちに来たばっかりの頃、そいつが化けたワイの偽者と戦うたからな」
「……初耳だが?」
「言うてへんもん」
武ちゃ丸の発言のたび過熱していくトッキーの制御回路。
なのは達は見た。そんなトッキーの頭から少しずつ湯気が出ていく光景を。
そしてついに、何かが千切れるような音と共にトッキーの我慢は限界に達した。
「どうして言わなかった!? あれは堕悪が狙っている最重要確保対象だろうが!」
「そやかて、こっちにも事情があるんや……」
それを説明するには自分の師匠に半殺しに会うであろう失敗も語る必要がある。
オニと呼ばれるその師のお仕置きを甘んじて受ける度胸は武ちゃ丸には無かった。
今思い返してもゾッとする。一撃で地面に首まで埋められてしまうほどの拳骨を……
「で、そのジュエルシードはどうしたんだ?」
「それが、空飛ぶ女の子二人に持っていかれてしもてん……」
「空飛ぶ女の子? 冗談も休み休み……」
「!? 待ってください、それは本当ですか!?」
ユーノは驚愕を全身で表現して武ちゃ丸とトッキーのやり取りに割り込み、そう発言した。
「ユーノ君?」
「ホンマや。いきなりその子らが雷どかーんって落とした思たらすぐに……
そう言うたらちょうどそこのお下げの子ぉとおんなじ位の年頃の子もおったな」
「私と、同じ位の……?」
「……個人の素質にもよりますが、僕の世界には空を飛ぶ魔法があります。
恐らく僕と同じ世界から魔導士がやって来ている可能性が高いです。
それも強力な攻撃の魔法を修得している魔導士が……」
武ちゃ丸の話を聞いたユーノは冷静にその少女達の正体を推理する。
そしてその結果は現在の状況にとってあまり芳しいとは言えない物であった。
「まさか、堕悪闇軍団の協力者か!?」
「ちゃうちゃう、それはワイも聞いたけど全然知らんみたいやった。
第三者で間違いないとは思うんやけど……」
「そや言うたかて、他にんな危険物を悪用しようっちゅう連中なんておるんか?」
「いえ、可能性は有ります。ジュエルシードは莫大な魔力を持っていますから、
何者かがそれを狙っていたとしてもおかしくはありません。
それこそ本当に目的のためなら手段を選ばないタイプの者が……」
爆流は顎をさすり、目を閉じつつため息をついて疲れた声で吐き捨て、
トッキーもそれに倣うかのように肩をすくめ、首を横に振った。
「つまり、新たな敵……っちゅう事やな」
「やれやれ、ここに来て方針転換とはな……とりあえず今日は解散にしよう。
一度情報を整理しなおさないと。武者丸、詳しい話を聞かせてもらうぞ」
「わかった……うぅ、しょうもないとこばっかり撃さんに似よって……」
「俺は全国の仲間にもう一ぺん連絡して見る。半年も前からその子が活動しとるんやったら、
どっかに痕跡が残っとるはずやさかいな」
「スマン、シンヤ。今日も忙しくなりそうだ。東京のオヤジさんによろしく言っておいてくれ」
「チッ、またかよ? いいかげんワーカーホリックになっちまうぞ」
「わかってる、気をつけるさ……あぁ、それと、ユーノ君?」
トッキーはユーノの目線にまで腰を下ろし、正面からその目を見据えてこう告げた。
「君には喜んで協力させてもらうよ。
ジュエルシードに詳しい仲間がいるのは助かるからね。だが……」
「だが?」
打って変わって少々厳しい口調になり、トッキーはなのはに宣告を下す。
「なのは君、君はこの件を忘れて普通の生活に戻るんだ」
その瞬間、なのはの目の前の世界は色を失った。
「えっ……?」
愕然とするなのはを突き放しながら、しかしゆっくりと、諭すように
トッキーは彼女を危険な戦いに巻き込まないよう説得を続ける。
「確かに君には特別な素質があるのかもしれない。俺もそれに助けられたからね。
けど、堕悪は俺達の、そしてジュエルシードはユーノ君の問題だ。
対して君は小学生……普通の子供だ。何も危険を冒して俺達に付き合うことは無い。
力を持っているからといって必ずしもそれを使わなければならない理由はどこにも無いんだ。
対して俺達にはこの世界の人々を守る義務がある。
そして、その中には君も含まれているんだ……わかってくれるな?」
「で……でも……私は、私は……」
戸惑いを隠せないなのは。自分はこの力で弱っているユーノを助ける事を決めていた。
しかし、ユーノもいずれは回復するだろうし、何より今、彼には頼れる仲間ができた。
ならば、確かに自分の力は必要ではないのかもしれない。
昨日までの出来事を省みるに敵は恐ろしい力を持っていて、命の危険があるかもしれないし、
運動音痴な自分がうろうろしていてはトッキー達の足手まといになってしまうだろう。
でも、自分はユーノから託された魔法の力がある。できる事ならユーノを助けたい……
使命感や正義感もなくはない。けれどもそれ以上にこの不思議な友達の力になりたかった。
様々な思いが心の中で堂々巡りを繰り返し、なのはは半ばパニック状態に陥る。
そんな彼女に救いの手を差し伸べたのは、他でもないユーノであった。
「待って、待ってください! 彼女に考える時間を与えてあげていただけませんか?
ほんの少しでも、一晩でもいいから……お願いします!」
少しの逡巡の後にトッキーがどう答えたものかと考えていたその時、
武ちゃ丸が割り込み、笑顔でその願いに答えた。
「かまへんかまへん! 大事なこっちゃし、じっくり考えて決めや!」
「コラ武者丸! 何を勝手に……」
「んな事言うたかて、どうせ斗機丸もおんなじ事言うつもりやったんやろ?
お前も大概甘いさかいなぁ〜、付き合いも長いし、お前の考えてる事くらい簡単に分かるで」
「う……まぁ、それは……そうなんだが……」
「ほな決まりやな! また明日、ここで待ってるで!」
その後、なのはは普通に塾に行き、普通に家族と過ごし、普通に就寝し……
表向きにはいつもと同じように過ごしていた。
だがその晩、なのはは今後の自分の運命を左右する大きな分岐路に立たされていた。
「……なのは、まだ起きてる?」
「……うん」
「やっぱり、迷ってる?」
「うん」
「……僕としては、正直トッキーさんと同じ意見だよ。
出来る事なら、君を巻き込みたくなんて無い。ジュエルシードの暴走も、
堕悪闇軍団との戦いも、それに正体不明の魔導士の件だってある。
どれを相手にしたって、すごく危険な事なんだよ。
それに、怪我をしなくても……君が悲しい思いをする事があるかもしれない。だから……」
なのははベッドから起きると、説得を続けようとするユーノの口に人差し指を当てて、
それ以上何も言わなくてもいいと目で合図し、
自分なりに悩み抜き、導き出した答えを彼に告げる。
「でも、それがわかっててユーノ君はこっちに来てくれたんだよね?
見たことも聞いた事も無い私達の世界のために。
どんなに傷だらけになっても、想像もしなかった強い相手が待っていても……
だから決めたの。私はそんなユーノ君の力になりたいって。
今更私だけハイさよならって……そっちの方がよっぽど悲しいし、残酷だよ」
それからしばらく、互いに正面から視線をぶつけ合う二人の間を若干の沈黙が支配する。
だが、それもやがて根負けした格好でユーノが口を開き、破られた。
「……それが君の選んだ道なんだね、なのは?」
「……うん!」
諦めたような、だが安心したような複雑な顔をしたユーノは
やれやれといった感じで軽くため息をつくと微笑を浮かべ、目の前のなのはにこう呟いた。
「それなら、明日から魔法の特訓もちょっと厳しく行かないと……
いくら君の習得速度が異常だとは言っても、まだまだ覚えなくちゃならない事は多いしね。
……特に、戦闘に使える魔法や空を飛ぶための魔法について、ね」
「うん! うん!」
ビシバシスパルタで行くと宣言するユーノ。しかしなのはの表情は明るいものであった。
「嬉しそうだね、なのは……厳しくするって言ってるのに」
「にへへ、なんででしょう? でも嬉しくてたまらないの!
あ、明日も朝早くから練習だね! じゃあすぐに眠らないと……おやすみなさい」
「ハイハイ、おやすみ」
「あ、そうだ!」
「? 何?」
一呼吸置き、少々照れくさそうになのははユーノに囁きかけた。
「……ありがとう、ユーノ君」
「……どういたしまして」
そう言って二人でクスリと笑いあい、とても暖かな気持ちで眠りに付いた。
まだ互いに知らない事も多いが、何となく二人の絆は前より強くなったように感じていた。
一方その頃、市内のインターネットカフェで爆流は各地の武者たちに連絡を取っていた。
今日の話のおおまかな流れと、堕悪に対抗するため、
全員で一致団結する必要があるという事を知らせるために。
しかし、その際の各自の反応は爆流を驚愕させて余りあるものだった。
「何やて……? お前も堕悪と戦うのが怖いやと!?
ふざけんな! もういつ奴らの侵攻が始まってもおかしないっちゅうのに……
オイ、電話切るな! 何、仕事で忙しい!? んな事言うとる場合か! 今すぐ……
あぁっ、ホンマに切りよった! ……チッ、これでもう28人……半分以上もか!」
平和すぎる半年間は、武ちゃ丸に限らず武者頑駄無達から武者魂を奪うには十分すぎた。
他の多くの武者もまた一部を除き、戦う意志を完全に削がれてしまっていたのだった。
「何ちゅうこっちゃ……それがお前らの選んだ道やっちゅうんかいな……
このままやと天馬の国は一体どうなってまうんや……!」
ネオン華やかなりし夜の街に、爆流の嘆きが寂しく響き渡る。
今、日本はかつて無い最大の危機に直面しようとしていた。
――次回を待て!!
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
僕と一緒にジュエルシードを集める決意をしたなのは。
でもそれは否応なく戦いの中にその身を投じるという事。
そんな僕達と武者頑駄無達の前に四人の堕悪武者が迫り来る。
彼等の狙いは新たに発動したジュエルシード!
魔法の事なら僕達の出番、これ以上彼女の故郷を荒させはしない!
次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之六!
「大結成! その名は新生夢者遊撃隊やでっ!」
リリカルマジカル、君と君の世界は僕が守る!
登場武者符亜意留(ふぁいる)
爆流頑駄無 [バクリュウガンダム]
出典:新SD戦国伝 七人の超将軍編
モデル:シャイニングガンダム
新生頑駄無軍団の誇る最強の武者集団、「七人の超将軍」の一人。
二刀流を使いこなし、同時に格闘技も得意とする近距離戦のエキスパート。
苦手な遠距離戦は自ら開発したサポートメカ「魂嵐弾亜(コアランダー)」で対応。
数々の発明を行ったからくり三兄弟の末弟で、心を持った人造武者「鉄機武者」を開発した。
「罪を憎んで人を憎まず」を地で行っている男で、戦が終わった後は争う意思をなくし、
平和に暮らすことを求める落ち武者たちの世話をするなど人格面でも優れている。
福岡に現れた歴代でも五本の指に入るであろう実力の武者頑駄無、
「武者號斗丸(ムシャゴッドマル)」の師でもあり、厳しくも暖かい教えを彼に授けた。
必殺技は拳に闘気を集め、複数の蒼い狼の形にして放つ「爆狼疾風拳(バクロウシップウケン)」。
文武両面を極めた優れた歴史上の偉人なのだが、こちらでは実際にまだ戦闘をしていないので、
なのは達にはちょっと危ないドリルの人として認識されている。
日本ではジャンク屋を営んでいて、この世界の技術を学ぶ傍らで
「武者ドクター」も開業しているが、残念ながらこちらの方は儲かっていないらしい。
投下終わりました。
改稿してると自分の中でキャラ同士の距離感が変わってて大変だ…
お疲れ様でした。
私の方は、明日UPの予定で書き進めております。
出来ればフレンジーが出てくる辺りまで進めたいですね。
>>378 ご期待に添えるかどうかは分かりませんが、まぁ楽しみにして下さいませ。
>リリカルグレンラガン氏
もしかしなくてもDSでのグレンの固定武装からですよね?
序盤での漢のやせ我慢ショットには何度泣かされたことか…
>魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS氏
ついにデルフレンジーの出番か!w
382 :
魔装機神:2007/12/28(金) 23:25:49 ID:EPOlr4ZS
さて、新年会SS前編で来たのはいいけど、まだ2007年だしな……やっぱ正月まで自重すべき?
明日って今さ!という訳でお好きなようにどぞー
12月31日の午前0時まで待ってみたらどうでしょう?
385 :
魔装機神:2007/12/28(金) 23:39:42 ID:EPOlr4ZS
>>384 元日は既に田舎に帰ってるから投下できるのは夜になるからなあ。
386 :
×DOD:2007/12/28(金) 23:49:35 ID:gl+ridce
0:00がくる前くらいに投下したいが予約入ってたり?
支援
その後、【?】サイド一話「ヴェイト」Aパート投下します。
しかし今日はまとめ更新が殆どないな…
まさか龍騎先輩の身に何かあったのでは…
つーかもう440いっちゃたな・・立てられてから三日しかたってないのに・・
>『新名者、リインフォース認識。(ry
新名称だっつーの
支援
支援であります
エリオが槍の稽古をシグナムに乞い、そして意外にもカイムへも頼み、さらに意外な事にカイム
がそれを断らなかったのは、訓練場を使ったヴィータとの模擬戦の後日。魔導師ランク試験を魔力
を抑えたまま受け、標的を火球・ブレイジングウイングでひたすら燃やしまくった彼が、予定通り
のランクCを得てから三日が経った日のことである。
ドラゴンはカイムを召喚士として登録することで、クロノの口添えもあったが制限をクリア。晴
れて正式に機動六課への助力が可能となったため、その日は部外者に見せられなかったオフィス各
部の案内を、シグナムが行っていた。協力する前線メンバーと親睦を深めるのが良かろう、その中
で時間に余りのある適任は彼女であろう、と。
あわよくば剣の鍛練に付き合わせようという下心も、まあ少しはあったのだけれども。しかし買
って出たのは、それだけが理由ではないのである。
「シグナムさん、カイムさん! 今度、稽古をつけてくれませんか?」
表情一つ変えず従うカイムを連れて、玄関の外へ。
そこでちょうど昼の食事に戻ってきた新人たちとばったり出くわし、雪辱戦で返り討ちにされた
ばかりのティアナとスバルがどう反応すべきか戸惑った…その直後であった。エリオが言ったのは。
「…私でいいならいつでも協力しよう。それに、教導への協力は……」
「…………………」
「?」
自分はさして特に問題ないし、異世界の技術を是非教練の参考にという、なのはの頼みを受けて
いたカイムも承知のはず。
それゆえ至極当然といった様子のシグナムに対し、カイムは沈黙した。無言はいつものことであ
るが、流れる空気が微妙に変わる。そこに気付き、シグナムは振り返った。
小さく口を開けたカイムの視線は、焦点が少しだけズレているように感じられた。
驚きともとれるし、戸惑いを孕むようにも見える。とても僅かな、読み取り難い表情の変化。
――カイ…様……先代、より……これ……を…………
男の脳裏に焼き付いて剥がれない、戦場を共にした騎士たちの存在を魔導師たちは知らぬ。
雲を裂き地を砕いた、青き丘陵に降る破壊の雷光。業火に焼かれ死に絶えた連合軍の戦士の中に
は、帝国軍と黒竜に亡ぼされた故郷・カールレオンを生き延びた臣下も大勢いたのだ。
皆、最期はカイムの名を呼び、無事に安堵し、その身を案じて…一人残らず、死んだ。
真っ直ぐに強さを求め、鍛練に打ち込むひたむきな意志。エリオの瞳に込められたそれは、かつ
て故郷で共に生きた、気のいい、あの仲間たちの――
「…あの…」
二度と思い出さぬはずなのに、今さら脳裏に過る、人間として生きた記憶。
未練がましくて。
惨めで。
「……………………」
男から表情が失せた。再び唇を真一文字に戻し、重圧感に満ちた視線が少年に帰ってくる。
微妙な変化だったけれども、あたかも何かを圧し殺そうとするかのようなそれであった。やっぱ
り怖いと思いながら、どうしたのだろうと疑問を感じるエリオ。小さなその姿を色を無くした瞳で
見つめ、カイムははその後にひとつだけ頷く。
竜のような環境への適応能力を、人間である彼が持つ道理はない。
「人間」を思い出しつつあって、なお戦禍の残滓に囚われ続ける哀れな男が、魔導師たちの前で
踵を返す。
見送る新人たちに、その心の機微を窺い知ることはできなかった。
そして彼を追うシグナムは、少しだけ顔を顰めていた。
2
先ほどの反応もそうだし、今までのカイムの、特に戦闘に関する行動は確かに不可解だった。
ヴィータが模擬戦で受けた奇妙な印象。戦った当人の表現は「全力を出したいけど出したくない
」という何とも言えないものだったが、それでも分からないわけではない。実際彼は剣を抜いたも
のの、自分から斬りかかることをしなかった。
戦闘を嫌っているのか?
いや、戦いを完全に忌避していわけでないことは先の任務に乱入したことから明らかだ。嫌な顔
ひとつせぬまま、情け容赦なく機械兵を斬り捨て焼き尽くしたあの映像には、争いを避けている印
象など何処にもない。
機械に対してはできて、人間…或いは協力を約束した相手にはできぬことがあるのかもしれない
。今まで戦場にいたらしいが、そこに関係するのだろうか。
――全力の剣を振るう事が彼に、重大な何かをもたらすのか。
「…と思うのだが、どうだろう」
自分でもまとまらないそんな考えを、シグナムは昼食の場でなのはとフェイトに打ち明けた。
ヴィータとはある程度話をしてみたものの、彼女から新たな情報は得られなかった。そこでカイ
ム本人に少し接近を試みたのが午前だ。施設の案内を買って出たのはそのためであった。
しかしそれも満足な答えには至らず、しかも男の行動はさらなる疑問を呼ぶ破目になった。なら
他に誰かと思い、たどり着いたのがこの二人である。カイムと出会ったのはキャロやフリードリヒ
とほぼ同時で、六課メンバーの中では最も早い部類に入るのだ。
「あれ? シグナムさん、まだ模擬戦誘ってないんですか? 私てっきり」
「…暗に貶されている気がするな。私を戦闘狂と勘違いしないでほしいものだが」
「あ、じゃなくて、…えっと、あはは…」
まだ自分で確かめる機会もない、という一言に反射的に出た呟きを聞かれ、冗談交じりだがじと
りとした視線を向けられたなのはは笑って誤魔化した。
確かに、カイムとの模擬戦を心待ちにしていたのは嘘ではない。今も、いずれ…と楽しみにして
いるのも事実だ。
しかし彼がもし、戦うことに何か、重荷を背負っているのならば――自分が無理に戦いを強い
ることはできない。模擬戦を好むのは認めるにしても、それくらいの分別はあるのだ。
「…私は、気になります」
なのはとシグナムのやりとりにそれまで苦笑していたフェイトが、ぽつりと言う。だいたいなの
はこそ、そんなシグナムさんだって、とじゃれながら言う口が止まり、二人の目が向けられた。
「…そうか…テスタロッサにもとうとう春g」
「あの人が今までどんな世界にいたのか、まだほとんど分からないし」
「クロノ君にも、最近は連絡取れないからね」
すかさずからかおうとしたが華麗に見事にスルーされた。テスタロッサも成長したものだ、弄り
方を考え直す必要があるのかもしれない、と内心で思うシグナムであった。
と、戯れはこの辺りにしておいて、だ。
今度は真面目にフェイトを見る。快活ななのはに比べるとやはり表情の変化はそれほど激しくな
いけれども、それでもカイムよりは大きいし…付き合いも長い。考えていることだってはるかに分
かりやすいのである。
「…あの子達が、頼った人ですし」
喜びに混じる、小さな羨望と後悔。フェイトの表情を言葉に直すならそんなところであろう。
言わずもがな、向けられる先は二人の秘蔵っ子エリオとキャロである。戦いの世界に出ていくの
は正直まだ割りきれてはいないが、自ら成長しようという努力が見られるのだ。親としてこれ以上
嬉しいことはない。
だがその道標に選ばれたのは、あの剣士だった。
自分ではなく――という羨ましさ。そして仮に頼られたとしても、満足に相手をする事はできな
いことへの歯痒さ。一度キャロが竜に出会った時の繰り返しであるが、今回のエリオの行動で
甦ったのだ。
悔しさの溶け込んだ、もどかしい思いが。
「…確か昨日、スバルとティアナが挑んでいたな」
「え? …あの人に?」
「ああ。序盤は私も見ていたが、途中で主はやてに呼ばれてな。…どうだったんだ?」
そんなフェイトの思いを何となく察して、シグナムはなのはに訊ねる。
あの子たちの相手が出来ないのは、もう仕方のないこととしか言いようがない。ならば「彼」に
ついて少しでも情報を得ることで、安心して任せられるようになって欲しかった。
「データも採れるし、いいかなと思ったんだけど…」
「けど?」
「完敗。剣も、一回も抜きませんでした。データも前回と大差ないし…」
「…二人はどうした?」
「何となく、結果はわかってたみたいです。悔しそうにしてましたけど、極端というわけじゃ」
「任務の時、一番近くであいつの剣を見てたんだからな。嫌でもわかったんだろ」
そう言いながら、ふらりとヴィータが、三人の座るテーブルにやってきた。
トレイにコップを乗せていなかったなのはにペットボトルの水を一本投げ、自分もキャップを開
けながら、シグナムの隣の空席に腰を下ろす。
「力量の差が分かる位には成長したか。…それにしてもヴィータ、やけにあの男の肩を持つな」
「…あいつはあたしが倒すんだ。ひよっこなんかに取られてたまるか」
やや憮然とした表情であった。そんなヴィータを見てシグナムの口元に笑みが浮かび、なのはと
フェイトも思わず頬が緩む。
おそらくは彼の男との模擬戦で、その「ひよっこ」の眼前で巨大ゲートボールに興じてしまった
のを気にしているのだろう。
新人たちの微妙な視線を前に、あたふたと誤魔化した時の狼狽ぶりは目も当てられないくらいで
あったし、思いっきり楽しんでいたのはバレバレだった。
…その欝憤の矛先となったカイムからすれば、知ったことではないのだが。
「それよりなのは、大丈夫か? 確かあいつ、午後の訓練で」
「大丈夫大丈夫。悪い人じゃないって」
「でもなあ…」
「…どうしたの?」
「あ、フェイトちゃん、言ってなかった? 次の教練はね――」
他のクロスキャラにはない暗黒面を抱えたままの凶暴王子支援
近距離戦は誰がどう考えても却下。列車上で足元のガジェットのアームをものの見事に吹っ飛ば
したあの剣技を見ておいて、それでもなお「何とかなる」と高をくくれるほど、ティアナ・ランス
ターは自惚れていない。
中・遠距離戦の実力は未知数。但し剣の間合いのはるか遠くに落としたあの鉄球、そしてかつて
自分も受けた、火炎と黒き雷の魔術を考えると油断は出来ない。「魔法を剣から引き出す」あの男
のことだ、まだ見せていない武器から初見の魔法を撃ってくる事は容易に想像がついた。
隠密への対応能力は非常に高いと考えられる。魔力を完全に隠蔽するくらいだから、魔導師の居
所くらいは簡単につきとめられよう。だが自分の作る魔法の幻影は、ある程度魔力を有するのだ、
魔力のみを探知すると仮定した場合本物と見分けがつく確率はかなり低い。
……撹乱。
今まで得た情報を統合し、剣士カイムに勝つべくティアナが導いた戦術はそれであった。幻影で
攻撃をいなし、奇襲で先制した上で、手数によって抑え込むのだ。それしかない。
黒焦げにされたことへの怒りや悔しさは、もうかなり薄れてきている。しかしそれでも、傷つい
たプライドが真っ向からの対決を叫んでいた。あのような不意討ちではなく、一度きちんとした形
でケリをつけねばならないと告げていたのだ。
――という思考を経、スバルの飛び入りとなのはの許可を得て、口頭でカイムに叩き付けた果た
し状。その結果は散々であった。
外套の動き、ちらりと覗く拳、視線の方向、足の運び、気迫。フェイントを何重にもかけてスバ
ルの機動力を封じ、常に同じ所に留まらず、中距離に陣取ったティアナに的を絞らせない。
とうとう体勢を崩したスバルを引っ掴んで、ティアナめがけて砲弾のように投げ飛ばす。二人が
動きを止めればすかさず火炎を放ち、意識を反らしたとみれば次の瞬間には、もうその場に姿を残
してはいない。
…この人、「巧い」。
戦後の、煤まみれになったティアナとスバルの感想は共通していた。
魔法の威力の大小ではない。そんなものを問題とするのならティアナの弾丸もスバルの砲撃も、
カイムの火炎や鉄球と比べて決して引けは取らない。それ以前の話として、戦術の幅とバックボー
ンの差が、ティアナ達と彼ではあまりにも大きかった。
賢いというべきか狡猾というべきか。いずれにせよ基本的な経験値が違いすぎた。彼女たちが挑
戦した剣士の戦いの技巧は、幾千幾万の敵に挑んできたことで既に老獪とも言うべき境地に達して
いたのだ。
「……」
そのカイムが次の訓練場、森に到着した新人たちの目の先に、あのドラゴンとともに佇んでいた。
「…何で、ここに」
「わたしが呼んだの。説明したいことも、たくさんあるし」
「なのはさん?」
そこになのはがやってきた。毎回きっちり定時の少し前にやってくる彼女だ、ということは今は
教導開始の約五分前であろう。
しかし様子が変だ。なのはの背後にはフェイトとヴィータ、そして普段この場に姿を見せぬはず
の、シグナムさえもが顔を見せていた。
混乱気味の新人たちに、なのはは語った。
自分たちにはできぬ白竜フリードリヒの飛行訓練を、ガジェットを相手としない基本教導の時間
を使ってドラゴンに頼んだ、と。
そしてミッドチルダにおける魔導師のポジションや、その役割といった基本的な事項をカイムに
知ってもらうのが、なのはが告げた彼の来訪目的であった。その上で、今後どのような形で協力す
るのか――つまりフォワードに加えるのか、それとも指示の量を落とし、行動を任せるいわば遊撃
の、自由の剣とするかを決めるのだと。
「という訳で、今回の教導は観客付きです。みんな、気合い入れてね!」
「はいっ!!」
前から思ってはいたが、魔導師の修行にしてはやけに勢いが軽いなと、会話を聞くドラゴンは内心
呟いた。
>>390 ご指摘ありがとう。本編見たのだがリインフォースの声が聞き取り難かったもので
そんでは支援
――しかし見られている側、特にカイムと戦ったばかりのティアナとスバルは、やりにくいこと
この上なかった。
普段教練にギャラリーが付くことなどない。仮にあったとしても、参加していないシグナムや暇
つぶしのヴァイスくらいのものであった。それに遠方からモニターウインドウで眺めているのと、
視界の中でじっと見ているのではやはり意識が違う。
この男が訓練を見ているという状況は前にも一度あったが、あくまで非公式なもの。正式な形で
の参観はこれが初めてだったし、男がこちらを見る目もやはり幾分真剣さを増していた。
そしてその分鋭さがきつくなった視線は、無視して集中するには少々プレッシャーが強すぎる。
(……あの子たち、よくまともに…って、そうよね。慣れてるわよね)
なのはの魔導弾をなんとか捌ききり、五分間の休息を得たティアナは見た。
視界の隅でキャロが補助魔法の訓練に励んでいる。そしてその強化を得たエリオは、望みどおり
稽古の相手をシグナムにしてもらっているらしい。ストラーダでレヴァンティンを受け、返す光刃
のせめぎあう音がこちらにまで聞こえている。
彼らを連れてきたクロノ・ハラオウンを除けば、キャロはミッドチルダで最も早くカイムとドラ
ゴンに出会ったのだし、顔を合わせる頻度も多かった。彼らが居るという状況には、特に違和感を
覚えるまい。
フリードリヒは竜と竜騎士にものすごく懐いているので言わずもがなだ。それにエリオだってわ
ざわざ自分から稽古を頼みに行くくらいだから、彼に慣れ始めているのだろう。そういえば最近、
呼ばれてオフィスを訪れるカイムに対し、近くまで行って挨拶したりもしていた。
対してスバルは、確か「仲良くしたい」などと言っていたが、こちらはまだそこまで馴染めてい
るわけではないようだ。首を左に90度回すと姿が見えるが、ヴィータの鉄鎚を受け止める障壁の
展開速度にいつものキレがない。
男の視線に、緊張しているのが見え見えだ。元凶が何かはまだ、教導相手のヴィータには気付か
れていないようだが。
「何か気が入ってねえな…」
「す、すみません」
「…仕方ねえ。あたしが嫌でも気合い入れてやる! アイゼン、でかいの行くぞ!」
「ひゃあああっ!?」
遠くで上がるスバルの悲鳴には「バカね」と小さく呟き、ティアナは太い木の幹に身体を預けな
がら、なのはの説明を聞ききつつ訓練の様子を眺めるカイムを見やった。
一貫した無表情。初対面での印象と変わらぬ、感情を宿さない横顔がそこにある。
最初はまともに目も見れないくらいだった。でも面と向かって果たし状を突き付けられたくらい
だから、まあ、少しは慣れてきている…とは思う。それに。
興味もあった。
齢二十四といえば、あの提督クロノとほぼ同年齢。だがその年代であそこまで異様な雰囲気を持
つ人間を、圧倒的な「力」の匂いをにじませる人間をティアナは知らない。
自分を完全に負かしたということもある。どのような人生を送り、どのようにして「力」を得た
のか、それが知りたいと、ティアナは思った。
まだ深い意味はなく、単純な興味でしかなかったけれども。
(……ん?)
なのはの説明が終わり、カイムが小さく首を振る。それを見届けてこちらに歩いてくる白いバリ
アジャケットの向こうに、ちらりと見えた影があった。
影は歩き、外套を纏うカイムへと少しずつ近づいて行く。影は人間のものであった。鍛えた視力
を総動員し、目を凝らしてそれを見る。
(あれって…)
髪の色は金。
そこで確信した。今教練を行っていない魔導師で、今この場に居る者は、一人しかいない。
「あの…」
少年少女たちの奮闘を眺めるカイムに話しかけたのは、ティアナが思ったとおりフェイトだった。
初対面で大きな勘違いをしてから、実に三週間近い時が流れていた。そのことに対する恥ずかし
さは消えてはいないものの、流石にそろそろ薄れてきてはいる。
「気にしておらぬ」とドラゴンが言ったし、なのはもあの事について考えるのは止めたと話していた。
もっとも彼女の場合、ドラゴンにシロ呼ばわりされることの方が気になっているのかもしれないが。
『何だ』
「え? あ」
目を向けたカイムの口は開かず、その代わりに上空にいるはずの、ドラゴンの『声』が精神に直
接響く。見上げるとちょうど、小さなフリードリヒの放つ大きな火炎の玉を、さらに一回り容量の
あるドラゴンのブレスが、3つ同時に打ち消しているところだった。
何故、と思った直後に悟った。喋る事の出来ぬこの男を代弁しているのだろう。
それとも会話が通じぬのを見かねて、ドラゴン自身が放った言葉なのか。
だがとにかく、そのままフリードリヒの相手を続けているところを見ると、ドラゴンにとっては
片手間で出来ることのようだ。
通訳なのか口を挟んだだけなのかは分からないが、カイムが何かを言いたいなら訳してくれる
らしい。フェイトはドラゴンの好意に甘える事にした。カイムに向かって、ぺこりと一つ頭を下げる。
「あの子たちの事、よろしくお願いします」
「…………」
『『何を今さら』だそうだ。協力すると言った筈ぞ』
「あ…そ、そうですね…」
カイムの言葉ではなく、反射的に思った事を『声』にして飛ばすドラゴン。聞いたフェイトは小
さく返事をしてうつむいてしまった。
そしてそのまま、沈黙する。
「…………」
フェイトは気づいた。いざとなると、聞きたいことも切り出せなくなってしまう。
彼らに任せる子供たちが心配だった、だから、話を聞きたかった。
大事な部下、いやそれ以上に大切な二人を、二十四時間でないとはいえ任せることになった男だ。
ドラゴンについてはいくらか会話があったためそうでもないが、まだフェイトにとって、カイムと
いう男は得体の知れない存在である。
親として自分が押してやれぬ、小さな背中を預けることになる人間なのだ。だから彼の身の上を、
少しでも知りたかった。
――だが同時に、それを聞くことすら躊躇われる気がした。
自分に、そんな資格があるのだろうかと。
あの子たちが進みたいと願う道の、その助けにさえなれていない自分。なのに果たして、彼らが
選んだ道標たる人間と竜を、真正面とはいえ詮索する資格があるのか? そんな気がして。
『…遠い昔』
暫くの間を置いて、ドラゴンの声がした。
フェイトはふっとカイムに視線を戻す。しかし男は自分ではなく、頭上で滞空する竜の背を見つ
めていた。その表情、意識の向け方からすると、語りかけているのがドラゴン自身だとフェイトは
悟る。
ドラゴンはもう低空にまで降りてきていた。疲労のたまったフリードリヒがキャロの方へひょろ
ひょろ飛び去るのを見届けてから、赤い翼をばさりと大きくはためかせる。
思わず顔を腕で覆いたくなる強烈な風を地上に吹かせて、ドラゴンは紅い衣を纏う半身と、金髪
の魔導師の眼前へと降り立った。
そして言った。
「母に愛されることの無かった、一人の娘が居た」
支援
更新ッ! 押さずにはいられないッ! 支援
「っ」
身に覚えがあり過ぎる言葉。ドラゴンの低い肉声を聞き、フェイトは思わず目を見開いた。
しかしフェイト自身、まだ自分の身の上を語ってはいない。きっと別の話だろうと少ししてから
思い、竜は語るのにただ耳を傾ける。低くも小さい竜の声。それは時折みせる、聞かせる者の話し方
であった。
――竜の話によれば、主の愛を得られれば母に愛されると信じた娘は、神の人形となった。
疑うことなく人間を弄び、心の闇に付け入って操り、一国の軍を掌握するに至った少女は世界の
破滅を導く。
最終的に少女は実兄の手で死を迎えたが、その目は最期まで神への盲信に彩られ、血のように赤
く、そして邪悪に澄んでいたという。
「あの幼子たちは少なくとも、愛されぬ者の目の色をしてはおらぬぞ」
そんな伝説じみた『おとぎ話』の最後に、竜はそう付け加えた。
キャロからの話で、世話をしたくても出来ないフェイトの生活の大変さは聞かされていたのだ。
その事に負い目があるのではないかと思ったドラゴンの、ちょっとした老婆心であった。
しかし事実、それは当たっていた。
「…そこの白。立ち聞きとは感心せぬな」
励ましてくれているのだろうか? ――そんな考えを抱きながら、だが確かに元気づけられてい
るように感じたフェイト。
その背後の木陰から、白いバリアジャケットが小さく覗いていた。
「あ、…あはは…」
「弟子が真似をするぞ。…初めて会った時にこの男に何をしたか、暴露されたくはあるまい?」
「そ、それは駄目ですっ!」
笑って誤魔化しながら出てきたなのは。再びドラゴンに弄られるドラゴンの隣で、フェイトは小
さく、笑みをこぼした。
ちょっとだけではあるが、分かった気がする。キャロとエリオが彼らを認めた理由が。
絶対的な経験量。
心配など微塵もいらぬ、そういわんばかりの安定感。
たぶん、それが。
(……わたしは)
いいお母さんになりたい。
フェイトは心からそう思った。あの子供たちが何も気負うことなく、安心して頼れる大人に――
吹いた風が、少しだけ温かく感じた。
「……………」
ふと、カイムが立ち上がる。
ん? と声をもらすなのはの前で、カイムは外套を翻し背を向けた。
そのまま森の中へ足を踏み出し、新人たちの訓練場所とは逆、森の奥へと歩いて行く。
伏せがちになっていたため前髪に隠れて、その表情はよく覗えなかった。
「あの…」
「………風に当たって来るそうだ」
その向かう先を見て、若干の間をおいてドラゴンが言った。
口調に普段と異なるものを感じ、なのはとフェイトが竜の顔を見る。
私的な感情をなかなか外に出さないドラゴンだ、そこから感じられるものはそう多くない。
だが複雑な何かが竜の中で渦巻いていることだけは、二人にも何とか、察せられた。
「憐れな男よ。忘れろというに」
「?」
ひゅう、という音が通り抜ける。
「…無理もないか。『壊れた』のは、あの娘の所為なのだ」
え、とこぼすフェイト、首を傾げるなのは。竜の言葉の意味が、二人には解っていなかった。
しかし、少しして、気づいた。今まで語っていたのはあくまでドラゴンの言葉。彼の意志で紡が
れた言葉を、誰も聞いてなどいない。
全てを失い人間を捨てた、竜騎士カイムが駆けた道。
そしてその心の闇をまだ、誰も知らないのだ。
吹き付けた風が、少しだけ冷たい気がした。
404 :
×DOD:2007/12/29(土) 00:24:27 ID:sQ1Q801l
そろそろ王子のことが知られ始める、というのが五章で書きたいことなのでよろしくです。
でもって先週は合宿行ってたので書けず申し訳ない…
そして 眠い 寝る
GJ
私も十分後に投下します。
>×DOD
もう負い目はない…フェイトの心に爽やかな風が吹いた……
大抵、ダークサイドに居たキャラでも六課サイドに回ると性格が緩和されますね。それもほのぼのしてていいんですが、このカイムのように爆弾抱えたままっていうのも緊張感があっていいですな。
まったく、全面的に信頼するキャロの前でいつ大量虐殺してみせるのか、楽し……いや、不安でしょうがないよ暴力王子w
これからまたシリアス度が上がりそうですね。
本気になったときのDODサイドの悲劇ぶりは異常なので、今後に期待と不安(ダーク展開的な意味で)が絶えません。
みんな頑張り過ぎだぜ……GJだ。
+仮面ライダー氏、支援ですぜ!
【?】サイド一話「ヴェイト」Aパート
【海上隔離所】
「釈放!?」
「マジっスか!?」
セインとウェンディは目を丸くし、驚く。
「ああそうだ、セイン、ウェンディ。」
「あたし達の名前知ってる!?いつの間に…」
「お前達の上司になる男だ。部下の名前くらい覚えるのは当然だろう。」
「…ちょっと良いか?」
ノーヴェの隣に座っていたチンクが手を挙げて質問する。
「お前は、確かチンクだったな。何だ?」
「先程から話が唐突過ぎて、何がなんだか分からない。まず、お前は誰だ?」
「皇龍(すめらぎ・りゅう)、日本人だ。漢字で書くと二文字だが、ひらがなで書くと七文字になる名前が特徴だと思っている。ちなみに、無意味に天然理心流の免許皆伝でもある。」
「分かった、皇…」
「名前で呼べ。「すめらぎ」という名字は呼びにくくて嫌いなんだ。」
「(なんだこいつは…)じゃあ、龍、二つ目の質問だ。どうやって私達を仮釈放にした?
私達のやって来たことは、少しの圧力で減刑されるほど軽くは無い。
よほどの権力を持った政治家ならできるかもしれないが、お前は政治家に見えない。」
「成りは子供だが、しっかり頭を使っているな。FBIの滝和也長官の協力だ。」
「FBI?確か「地球」にある組織…」
「その人は管理局の「ある重職」と友人で、「伝説の3提督」との繋がりも深い。
滝長官は伝説の三提督の協力を得て、お前達を仮釈放まで持っていった。
まぁ、かなり大変だったと言っていたがな。」
「ほえ〜」
感心するセイン。
チンクはそのまま質問を続ける。
「しかしまだ分からない。なぜ私達を仮釈放にする必要がある?」
「お前達の戦闘能力は、ここでこのまま錆付かせるには非常に惜しい。」
「つまり…私達をまた戦いの道具に仕立て上げたいということか?」
「はやるな。確かに戦いは戦いだが、お前達がこれから俺の管理下でやることは、戦いの道具として戦うのではなく、人類の平和を守る戦いをすることだ。」
「何だと…?」
龍はチンク達に、スカリエッティの背後にいた組織、ドラスストーン、そして、自らが改造人間だということを話した。
「改造人間!?」
「じゃあ、あたし達と同じような物何スか?」
「まぁ…そんな所だ。」
「でも僕達…ドクターの背後にそんな奴らがいたなんて知らなかった。」
「チンク姉様やセイン姉様は、このことを?」
「いや…」
「あたし達は、その…大幹部とか言う奴らの名前は聞いたことあるけど、面識は…えへへ、無いんだよね。」
「…(おそらく、スカリエッティはもしもの時のことを考え、管理局に従順を示しそうなこいつらには殆ど何も情報を与えなかったか…
自分の作品すら捨て駒にするその精神、悪魔そのものだな。)」
龍は心の中でスカリエッティの冷徹な精神に感服しながら、話を続ける。
「話を戻すぞ。悪いがお前達に拒否権は無い。これは管理局上層部からの命令だ。」
「あたし良いよ。」
「あたしもOKっス!」
セインとウェンディは立ち上がる。
「管理局に従順決めちゃった身だし、働けといわれれば断れないかな〜」
「同意っス。」
「私も構わない。」
「一応…あたしもかな。」
チンクとディエチも立ち上がり、協力を決意する。
「セインとウェンディだけでは心配だ。それに私は二人の姉、妹達を放っては置けないさ。」
「あたしは…何かよく分からないけど…その組織のせいで可哀想な子が増えるなら…助けてあげたい…」
「僕も…」
「私も…」
オットーとディードも立ち上がり、協力を約束する。
「ここでの生活にも慣れてきた…けど…」
「僕達にはやっぱり、戦いが一番似合ってるのかもしれない。」
「協力を感謝する…後は…」
「あたしは納得できねえ!!」
ノーヴェは大声で協力を拒絶する。
「ノーヴェ〜、上層部からの命令だから拒否権は無いって言ったじゃないス…」
「冗談。上層部だがなんだろうが関係ねえよ!こんなズガズガ勝手に上がりこんできて、訳のわかんねえ話して、仕舞いには協力しろだ!?こんなふざけた奴の頼みなんか聞けるか!!」
「だ〜か〜ら〜、それはノーヴェの…」
「良いだろう。」
「ふぇ?」
「やる気の無い奴には用は無い。だが、これは上層部からの正式な命令。お前だけ例外にするわけにはいかない。」
「チッ…」
「だから、今から俺と勝負しろ。一本でも取れたら、お前をここに置いていってやる。」
「面白ぇ、改造人間だろうがなんだろうがぶちのめしてやる!表へ出ろ!」
「…」
支援
龍とノーヴェは、共に拘置所の外に出て行く。
「うわぁ〜、なんかやばそうっス!」
「行ってみよう!」
セインとウェンディを筆頭に、残ったナンバーズ達も外に向かう。
そして、その場にはギンガだけが取り残された。
「もしかしてあたし…目立って無い?」
投下終了。
機動六課サイドと比べると薄味だったかな?
仮面ライダーヴェイト・皇龍の登場です。
彼は爽やかな拓哉とは対照的に、落ち着いた少年です。(たまに妙なこと言いますが)
サバイバルの達人で、とにかく柔らかいものは食べます。(これはいづれ披露)
そして、あの新撰組一番対組長・沖田総司と同じ天然理心流の免許皆伝でもあります(しかし剣は持ってないので意味は全然有りませんが)
次回はそんな龍とノーヴェのガチンコ勝負!お楽しみに!
ギンガ……俺は君の事結構好きだぜGJ。
そいじゃあ俺もこの投下ラッシュに乗るとしようか、1時10分くらいから投下良いですか?
SMCのバッドエンドの後編なんですが。
GJ!!
カイムの過去と世界で起きた事を知って六課の面々は何を思うのか気になります。
八話と過去話が絡むのか気になります。
反応が無いな、Strikers Mey Cryのバッドエンド後編を投下しても良いものかどうか……
寝ようとしてた俺の睡眠時間返せwww支援
sienn
GJ
しかし久々にやったけどDODの鬱パワーは洒落にならねぇぜ。
本当に主要人物が皆心弱いんだよなぁ。
ホモは最後に漢見せたけど
カイムは本当にゲームキャラ屈指の不幸を背負ってるからなぁ。
カイムに救いがありますよう。たとえ一時だとしても。
それにしても今の魔力でブラッドオブフォビドゥンシーとかの魔方陣系の魔法やったらどうなるんだろう。やばそうな攻撃範囲になる気がする。
鉄塊は最大で40kg 相変わらず異常だな。
では投下します。
この話はバッドエンドですので死にます…色々と、具体的には今までダンテやヴィヴィオがおっ死んでます。
支援
魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 番外編 Bad End(後編)
悪魔の支配する世界に希望など欠片も無い、あるのは死と破壊そして圧倒的な絶望だけ。
最強無敵を誇った古代ベルカの戦船聖王のゆりかご。その巨大なロストロギアも魔界の王の振るう剣の前には成す術もなく紙細工のように刻まれて数多の残骸と散った。
バージルは自分の刻み尽くした聖王のゆりかごの残骸の上に一人で立っている。この程度の物を斬り裂く事など今の彼には造作も無いものだった。
アーカムを含め敵とすら呼べぬ有象無象を殺しても感慨など皆無であり、彼の脳裏にはアーカムの吐いた言葉が駆け巡っていた。
“…悪魔の餌にしてしまったよ”
あの時見捨てた筈の少女の死を実際に眼前に突き付けられ、バージルの心にかつて失った母の面影があの少女の姿に被る。
自分を兄と慕った少女が、その小さな手でこの悪魔の手を弱弱しく握ってきた少女が……母と同じように虐殺されたのだ。
バージルは虚ろ気な瞳でまるで今の彼の心のように曇った空を仰ぎながら小さな声で呟いた。
「あの娘は……きっと泣いたろうな…」
本当によく泣く子供だった、少し転んだだけでも泣いたのだから見知らぬ者に連れ去られ、そのうえ悪魔の贄になったのならばきっとひどく泣いただろう。
バージルの耳には聞こえぬ筈の幼子の鳴き声がいつまでも響いていた。
それからのバージルはまるで狂ったように戦いを求めた。
次々と強大な悪魔を作っては腕試しという名の虐殺を行い、文明の発達した人間の世界特に強力な軍事力を持つ様々な次元世界に侵攻した。
目の前の生きとし生きる者の絶命する断末魔を聞く瞬間だけは耳に響く幻聴から、あの少女の泣き声から逃れられたから。
既にバージルの滅ぼした人間の文明は手足の指の数では数えられない程であった。
この鬼神の如き所業により数多の世界は悪魔達の手に落ち、彼等はその喉を人間の血潮で潤し大地に人骨の山を築き続けた。
とある次元世界に悪魔によって作られた闘技場がある。
それはまるで中世の世に人間が作ったコロッセオに似てはいるがその目的はまるで違う、そこで行われるのは戦いとは呼べないのだから。
それは魔王が闘争の渇きを癒す為の場所、生贄が一方的に殺されるだけの祭壇だった
そこに新たなる魔王の生贄として一人の人間が悪魔に連れられて来た。
鎖に繋がれたその者の名はファーン・コラード、かつて管理局の訓練校にて多くの局員を育てた魔道師だった。
スカリエッティとアーカムの起こした聖王のゆりかごの事件により管理局は消滅さらにその後悪魔の出現により管理世界の秩序は崩壊したのだ。
そしてコラードは力無き人々や家族を元管理局の仲間と共に守っていたのだが圧倒的な物量の悪魔の軍勢に遂に敗れ去り、こうして敵の手に落ちたのだ。
(ここはいったい…)
心中で呟くコラードに彼の手に繋がれた鎖を引く悪魔が人外の低さを持つ声で語り掛けてきた。
「おい人間。そろそろお前にここの意味を教えてやる…」
悪魔はそう言うとコラードの手の鎖を解き、あろう事かコラードにデバイスしかもそれはかつてコラードが使っていた愛用のものを渡したのだ。
「お前にはこれから魔王様を相手に戦ってもらう…」
「魔王? 私如きが勝てると思っているのか? 意味の無い…殺すのなら早く殺せ! どうせ家族はもう…」
激情に声を荒げるコラードに悪魔はその異形の顔を歪めて笑い、まだ言葉を続けた。
「おいおい、早とちりするなよ人間。あの方に勝てる奴なんている訳ねえだろ? お前は全力で戦ってあの方を満足させれば良いのさ……
もちろん戦うのはお前一人じゃねえし、もしあの方を満足させれば家族もお前の命も保障する」
悪魔はやけに饒舌にコラードに言った、正に悪魔の甘言だった。僅かな希望がコラードの心に火を灯す。
「……分かった」
そう呟くと共にコラードは闘技場の門を潜る、その彼の背中に悪魔が笑いながら呟いた。
「てめえの家族はとっくに喰ったつうの。いや〜やっぱり人間が希望を持ったり絶望したりするのを見んのは面白えな〜♪」
闘技場の中央に二人の人の影が立っている。一人は先ほどのコラードであり、もう一人は彼のパートナーとして連れて来られた男だった。
それは黒髪の男性で両手には小太刀と呼ばれる短刀を持っていた。コラードは知らない、彼が教え子である高町なのはの兄である事を。
そしてコラードがそれを知ることは永遠にないのだ。
「あなたも家族を?」
「……ええ」
「私はファーン・コラードです」
「俺は高町恭也と言います」
「高町ですか…」
「どうしました?」
「いや…昔の教え子にそんな名前の子がいて…」
そんな会話をする二人の前に宙から巨大な大鷲が舞い降りる、その背には黒衣に身を包んだ銀髪の男が立っていた。
その男は優美とすら思える動作で闘技場に下り立つとコラードと恭也の二人を見る、それはまるで肉屋に吊るされた肉塊を見るような目だった。
距離をおいても感じる圧倒的な気迫に二人はこの男こそ魔界の王だと理解した。
魔王は眼前のコラードと恭也を見定めると静かに口を開く。
「今日はなかなかのモノを揃えたな……さて人間、貴様らは体調も完璧、得物も最高の物が渡されている。
それを以ってこの俺と戦いそして満足させれば望みを叶えてやろう、お前らの命も家族の命も自由もな」
その魔王の言葉にコラードは眉を歪めて吼えた。
「何が望みを叶えるだ……どうせ戦う意外に道は無いのだろうが! この悪魔め!」
激昂するコラードを鎮めるように恭也が短刀を構えながらコラードの前に立った。
「落ち着いて下さいコラードさん。とにかく俺が近づいて斬りますから援護をお願いします」
「……分かった。必ず生きて帰ろう、恭也君!」
その言葉と共に恭也が駆け出し、コラードが射撃魔法の術式を展開した。
その生贄の哀れな様子に魔王はその美貌を歪めて笑った、今日も血飛沫と絶叫が魔王の一時の癒しの為に流れる。
バージルは服に付いた返り血や肉片をトリッシュに拭かせながら今日の生贄の意外な奮戦振りに喜び、微笑さえ浮かべていた。
「今日の人間は素晴らしかったな……まだあれ程の使い手がいたとは…」
「そうですか。確かあの魔道師はミッドチルダという世界で捕らえた物です」
「ミッド……か」
ミッドチルダ、その懐かしい名前にバージルは何故か胸に鋭い痛みを感じる。
その刺すような鋭い痛みと共にバージルの脳裏にはかつてのミッドでの記憶が思い起こされる。
それは機動六課で過ごした日々の記憶、彼を慕った者達の残像が目に浮かぶ。
どういう風の吹き回しか、その日バージルは何年ぶりになるのかミッドチルダに降り立った。
あのミッドの魔道師を殺したからなのか、久方ぶりにその名を聞いたからなのかバージル本人にも分からなかったが何故か自然と足が向いた。
あの日ミッドを去ってから避け続けた事だった、この世界に関する情報は聞くこともしなかった。
故にその惨状にバージルは少しばかりの驚愕に目を奪われた。
地上に君臨する法の守り手として高くそびえていた地上本部は半ばから折れて崩壊していた。
その周囲の街並みも破壊の限りが尽くされ、とても人が住んでいるとは思えない程の有様である。
バージルは懐かしい道を歩きかつての地上本部へと向かった。
バージルの歩くその道はアスファルトが剥がされ、夥しい人骨が転がり数年前の平和な様子など欠片もなかった。
地上本部に着いたバージルの目に飛び込んできたのは磔や串刺しとなった大量の人骨と屍の列だった。
その惨状を興味など無さそうに眺めていたバージルだがその目が一つの串刺しの白骨化した屍に止まる。
その骨にはある物が鎖骨の辺りにぶら下がっていた。
バージルは魔力を使い離れた場所にあったそれを手元に引き寄せて確認する、それは記憶の通りに彼女の使ったメガネだった。
「やはりフィニーノか」
それはかつて六課のデバイスマイスターの少女の物だったメガネ。
いったい何年放置されたのか、白骨化したその屍が無常に過ぎた年月を語っていた。
そしてバージルは開けた場所にたどり着く、そこには木で作られた大量の十字架が刺さっていた。
一目で分かる。それは墓場だった、その数えきれないほどの圧倒的な数の十字架を眺めていたバージルに懐かしい声が響いた。
「久しぶりだな…バージル」
振り向いたバージルの目に映ったは烈火の将の二つ名を持つベルカの騎士、シグナムの姿だった。
何年かの間にシグナムの様は随分と変わっていた。
シグナムの顔は幾分か痩せ細って見え、かつては長く美しかった彼女の髪は肩口まで切り揃えられ髪質も酷く荒れて痛んでいる。
だがその瞳は以前と同じ燃えるような意思を持っていたことがバージルに一瞬でその女性がシグナムであると理解させた。
シグナムの言葉にバージルは幾分かの間を置いて静かに答える。
「ああ…久しいな」
そのバージルの言葉にシグナムは辺りの墓を仰ぎ見ながら口を開いた。
「凄い数だろう? どれだけ埋めても足りないのだ、遺体の数が多すぎてな…」
バージルはその時ふと気づいた、そう言うシグナムの手には花束が握られていた。
シグナムはおもむろに歩き始め一つの墓の前で立ち止り、その質素な十字架の下に花束を置いた。
「…誰の墓だ?」
「ヴィータ…それにシャマルとザフィーラだ、ここは八神家の墓でな」
バージルはその言葉に少しばかりの驚愕を覚えるがシグナムの言葉はまだ終わらなかった。
「左にあるのはテスタロッサとハラオウン家の墓、右はスバルとナカジマ家の墓だ。この辺りは六課の者の墓ばかりでな……」
辺りを見渡せば懐かしい名前が十字架に刻まれていた、なのは、エリオ、キャロ、ティアナ、その他諸々の機動六課の人間の名前がそこにはあった。
「お前が六課を去ってから、ゆりかごとの戦いで管理局は敗れてな……その戦いでみんな死んだよ。ここに眠る者達も大半がその時死んだ者だ…」
「……八神はどうした? お前の話ではまだそこには埋まっていないようだが…」
「死んではいない……ゆりかごでの戦いで傷を負って二度と歩けなくなってな、まだ人間が生きていける平和な世界で元管理局員の者達と一緒に生活している」
シグナムの口から語れたミッドチルダの惨状、機動六課の人間達の哀れな結末を聞いてしばらくの間その場を沈黙が支配した。
そしてバージルが静かに言葉を漏らしその沈黙を破った。
「……烈火よ、お前は今何をしている? 管理局は無くなったと言っていたが…」
バージルのその問いにシグナムは物言わぬ墓標に下ろしていた視線をバージルへと向ける、その眼光に込められていたものは紛れも無く殺気だった。
「最初はスカリエッティの手の者達と戦っていたよ……管理局が滅んでも私はベルカの騎士だからな……そしてスカリエッティやゆりかごがどこかへ消えた今は…」
葉を紡ぐと共にシグナムの身体をバージルにとっては懐かしい姿、バリアジャケットが覆った。
手にした炎の魔剣レヴァンティンをバージルへと構えながらシグナムは殺気と敵意そして悲しみに溢れた眼差しと言葉を投げかけた。
「…人々を脅かす悪魔を屠る者、悪魔狩人……それが今の私だ、魔王ギルバ」
支援します!
「………その名を知っていたのか?」
そのバージルの言葉にシグナムは怒りにその心を燃え上がらせる。
「いったい幾つの世界を滅ぼし、どれだけ人間を殺した!? 今どの世界の人間も魔王ギルバの名を知らぬ者などいない!!!!」
怒りを叫びながら炎を纏った魔剣を構えるそのシグナムの姿を見たバージルは頬を吊り上げて笑った。
ひどく濁った目で以って笑うバージルの顔は邪悪な悪魔そのものであった。
「くくくっ。ここへ来て正解だったぞ烈火よ……最近は特に闘争の渇きが酷くてなぁ……さあ非殺傷設定もリミッターも無いお前の全力を俺に見せてみろ、俺の渇きを癒してみせろ…」
バージルは頬を吊り上げて笑いながら指を鳴らす、すると次元の隔たりを破って大量の刀・剣・槍といった武具が現われる。
触れずとも無数の武具から溢れる魔力や禍々しいオーラが、その全てが魔剣・妖刀と呼ばれる物だとシグナムに悟らせる。
バージルは滅ぼした様々な世界や魔界に眠っていた魔性を宿した武器の数々を手に入れ、その戦術を限りなく無限に広げていたのだ。
だがバージルは数多の武器の中から迷うことなく一つの刀を手にした。
「では踊るとしよう……恋焦がれた貴様との剣舞を」
魔を喰らう妖刀、閻魔刀を抜刀の型に構えたバージルは悲しみと怒りに燃える烈火の将に踊りかかった。
十字架の並ぶ死者の園の上空を二つの刃を持った戦士が舞い踊る。
一人は正義を、悲しみを、怒りを以って炎の魔剣を振るう烈火の将シグナム。もう一人は、ただ一時の渇きと享楽を癒す為に妖刀の刃を繰る悪魔の王バージル。
火花を散らしながら繰り広げられる刃の舞踏が静寂である筈の墓所に響く。
「紫電一閃!!」
シグナムはカートリッジを再装填して愛剣に魔力を満たし、横薙ぎの斬撃をバージルに見舞う。
だがバージルはこの一撃をカートリッジ再装填の段階で先読みし、これに高速移動から繰り出す閻魔刀の抜刀術疾走居合いで受け止める。
空中で二つの刃がぶつかり火花と共に甲高い金属音が鳴り響く。
両者は軋みを上げる刀身に力を込めて鍔競るが、徐々にその拮抗はシグナムの劣勢へと変わっていく。
「くっ!」
閻魔刀に込められる圧力に負けて後退を強いられるシグナムにバージルが邪悪な笑みを近づいて言葉を吐く。
「どうした? お前の力はその程度か? もっと俺を熱くさせてみろ」
バージルはそう言うと同時に周囲に魔力で作られた無数の幻影剣を展開、その照準をシグナムに向ける。
その幻影剣の刃はかつてのバージルのものとは比べられない程に巨大で、込められた破壊力もまた比例して跳ね上がったものだった。
数多の幻影剣は照準が定まった瞬間に射出され鍔競りに動きを殺されていたシグナムに襲い掛かった。
「げほっ! はぁ…はぁ」
幻影剣の刃を受けて墓地の一角に落ちたシグナムは大量の血潮を大地に吐き散らしながら裂かれた傷に手を当てる、だが傷は深く傷口を押さえた指の間からドス黒い血が溢れる。
魔王と成り、数多の世界で飽くなき闘争を続けたバージルの力は戯れに振るうものでさえシグナムを絶対的に凌駕するものであった。
そのシグナムの前にバージルが下り立つ。
「どうした烈火、もう終わりか?」
そのバージルの挑発にシグナムは口元の血を拭いながらまだ諦めを知らぬ目で不敵に答える。
「…それはこちらのセリフだ…貴様の力はその程度か? やはり半魔の悪魔などたかが知れるな…」
そんなシグナムの言葉にバージルは余裕に満ちた表情を怒りに変えた、久しぶりに自分を愚弄する言葉を吐いた相手に戯れでない殺意を抱く。
「言ったな烈火…」
バージルは言葉と共に腰に収めた閻魔刀の柄に手を伸ばし、その妖刀に莫大な魔力を注ぎ込む。
バージルが放たんとするのは絶命必至の絶技、閻魔刀を用いた最強の技の一つ広域次元斬である。
「死ね」
次の瞬間、空間を斬り裂く異様な音と共に大量の斬撃がシグナムに襲い掛かった。
シグナムは全速力で以って空間ごと斬り裂く魔の斬撃を回避し続ける。
広域次元斬のその威力は一撃でも受ければその瞬間にシグナムの戦闘力を絶望的に奪うと予感させるものであった。
だがしかしこの攻撃こそシグナムの待っていた反撃の機会だったのだ。
広域次元斬は射程も威力も半端ではないが必ず技の終わりに大きな隙が来る筈である、シグナムはその瞬間に勝負を仕掛ける算段をしていた。
(それまで逃げ切れば勝機はゼロでは無い!)
ぬおお、涙腺のライフがヤバいことに…
支援
心中で呟きながら全てのカートリッジを使い魔力を高めたレヴァンティンに最大の大技の準備をさせる。
それは隼の如き速き矢を射る鉄弓、シュツルムファルケンであった。
そして遂に妖刀の魔の剣舞が終わりを告げ、魔王が無防備な姿を晒す。
高速の回避動作に急制動を掛けたシグナムは手の魔剣を即座に鉄弓へと変形させ、その短くなった桜色の髪を振り乱しながら叫んだ。
「駆けよ隼!! シュツルムファルケン!!!!!!!」
魔力で形成された矢が音速の壁を越える程の速度で魔王に向かって飛翔する、矢の凄まじい威力に爆炎が舞い上がり周囲を土煙が満たした。
例え最強の魔王とて烈火の将の誇るこの最強の技を受ければ無傷では済むまい。
だがそれは“当たれば”の話だった、シグナムの背後で空間転移の発動により大気が歪み妖刀の白刃が閃いた。
「ごふっ…」
シグナムの身体を閻魔刀の刃が貫き、彼女は口から夥しい血潮を吐いて宙に鮮やかな朱の華を描いた。
黒衣に身を包んだ銀髪の魔王が濁った目でその哀れなベルカの騎士を見ながら小さく呟いた。
「惜しかったな烈火…もう少し変形に掛ける時間が早ければ当たっていたぞ。まあ当たったとしても今の俺を倒すには至らぬ威力であったがな…」
バージルは言い終わるとシグナムの身体に埋まった閻魔刀の刀身を引き抜き、一瞬で血を振り払って鞘に戻した。
白刃を身体から引き抜かれたシグナムは力なくその場に倒れて、彼女の身体に纏われていたバリアジャケットが消え去る。
「だがこの死合いは久しぶりに楽しめたぞ烈火」
「……バージル…」
そのバージルの言葉にシグナムは口から止めど無く血を吐きながら、その目に涙を流し始めた。
バージルはその光景に驚愕した、シグナムのような烈女が死を前に涙をみせるとは考えもしなかったのだ。
「どうした? やはりお前でも死は恐ろしいか?」
「げほっ……違う…私は最後まで………救えなかった」
バージルの言葉にシグナムは血と涙にその美しい顔を汚しながら答える。
「……高町やテスタロッサの事か?」
シグナムのような誇り高い騎士ならば仲間を救えぬ事を恥と思っての落涙かという考えがバージルにそんな言葉を吐かせた。
「違う……私は…」
だがシグナムの答えは否であった。
「私は……お前を助けたかったんだ…バージル」
「……何だと?」
そのシグナムの言葉にバージルが目を見開き眉を歪める。
シグナムの涙と声は酷くバージルの心を揺り動かし、凍った筈の心に熱いものが込み上げられてくる。
「助け? 救う? 何を下らん事を……死を前に気でも触れたか?」
「下らん…か……ではバージル…お前は何故…」
シグナムは涙に濡れる瞳に今までのどんな眼差しよりも悲しい想いを込めてバージルを見つめながら言った。
「…泣いている?」
魔界を総べる最強の魔王が泣いていた、その目から静かにだが確かに水の雫を零して泣いていた。
それは彼自身にも理解も制御できない事だった。
「何?…これは…いったい」
バージルは自分の目から零れ続ける涙の雫を手で拭った、しかし流れる涙は彼の意思に関係なく流れ続けた。
自分でも制する事の出来ない感情の濁流に狼狽するバージル、その彼にシグナムもまた涙を流しながら語りかける。
「ごめんなバージル……あの時私が…お前をちゃんと止められていれば…お前がそこまで堕ちる事など無かったのにな…」
あろう事かシグナムの吐いた言葉は恨みでも怒りでも無く謝罪だった、それも何年も前のバージルの離脱への謝罪。
その涙交じりの謝罪の言葉はバージルの心に今まで感じたどんな痛みをも上回る激痛を与えた。
「すまない…バージル」
そのシグナムの言葉にバージルは思わず声を上げる、これ以上この痛みには耐えられない。
「……黙れ」
それでもシグナムの言葉は続き容赦なくバージルの心を抉る。
「許して…くれ」
遂に激昂したバージルは地に倒れ伏したシグナムに駆け寄るとあらん限り吼えた。
「黙れええええええ!!!!!」
だが魔王の咆哮は無駄に終わる、彼女の瞳は既に生命の光を失っていた。
「烈火………死んだ…のか…」
「うあああああああああああ!!!!!!!」
烈火の将の死に魔王は濁流の如く溢れる激情に駆られ涙を流しながら天に吼えた。
大地に魔王の涙が落ち、天に魔王の慟哭が響く。
こうして彼は本当に全てを失う。
絶対最強の力と引き換えに得たのは未来永劫に終わることなき悲しみと絶望の世界。
その世界に救いなど欠片もありはしなかった
終幕。
うおおおぉぉぉぉっっっっ!!!泣けるで!支援!
やべ…哀しすぎる
つBGM・Platinum Smile
超GJ
スレの最後を飾るのにふさわしい作品でした。
バージル…(;_;)
救い様がない…。
だからこそ胸に迫る…GJ。
432 :
戦国の鉄の城:2007/12/29(土) 01:38:41 ID:8r046buv
GJ。てかGJすぎる。
長すぎる昼寝から起きてスレを見たら泣いた。
あぁ、俺って涙もろかったんだ…(冷めたピザを食いながら言う台詞ではない。)
投下終了です。
マジひでえよ……俺。よりにもよってシグナム姐さんを殺すとは。
ちなみにこのエンドに耐えられない方の為に極甘の夢オチエンドがあるんですが、どうします?
個人的にはバッドエンドの後読感を濁すようで投下したくないんですが。
434 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 01:44:02 ID:WFsHZimr
是非、投下してください。
>>433 是非に是非に、今直ぐにでも投下を。このままでは枕がびしょ濡れで眠れません。
>>433 SMC氏
時間を開けたり最終調整をしたりするためにも次スレまで待った方がいいかも
夢落ちエンドか。
今落とすと余韻があれなんで明日にでもいただけないでしょうか。
読みたいけど今はこの余韻に浸っていたいジレンマが…
関係ないけど次スレ
438 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/29(土) 01:44:57 ID:gl8OJZ6M
おいらは痛いだけの物語よりハッピーエンドのほうが好きなんで、投下希望。
>>438 痛いだけって失礼じゃありませんか?
もう少し言葉を選んだらどうでしょう
了解です。
この夢オチエンドはあくまでも蛇足ですので、くれぐれも先ほどのバッドエンド話とは別に考えてください。
ちなみにStrikers May Cryの最終話後でエピローグ前の時間軸です。
え? 次スレまで待った方が良いですか?
あと10kbしかないですね。
それでは次スレが立ったら投下という事で行きます。
あー立てれるかな?やってきます。
>反目さん
いい曲ですね…
ただ…空気を読まないことをまず謝ります。
ピザポテト自重wwww
>>440 その夢オチエンドのことですが、
結婚したシグナムとバージルの寝室みに忍び込んだ夢魔がバージルに見せた悪夢というのはどうでしょう。
そしてその夢魔を剣で切り落とすのです。
梅支援
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>>388 ・・・いえ、例の愚妹の仕業です
更新中に「今日午後から出かけるからそれまで貸せ」などとほざいて持っていった挙げ句、結局持っていかれたままという事にorz
しかも今朝回収しに行ったら愚妹がすでに使っていたという始末・・・この分だと今日も更新出来なさそうですorz
・・・それにしても、今日は随分久しぶりに泣いた気がする・・・
埋め支援
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あばよ、クロスSS32
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次スレへ
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1198861172/ ぐほっ!?
ヽ.::: .: :./.:.:.::::.:.:.:::.:.:.:.:.:.:.:.:\: :{ ヾ、.:::::.::.:`ー―--ァ
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`ート、 〃 {i ヘ. :丶ヽ: : :ヽ: : : : : : : : : : { :\
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