あの作品のキャラがルイズに召喚されました part94
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ) あの作品のキャラがルイズに召喚されました part93
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197817263/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ __ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 `ヽ . ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
l lf小从} l / ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!
_
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
{ {_jイ」/j」j〉 これ以上だと投下できないそうです。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
⊂j{不}lつ ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
く7 {_}ハ> ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
‘ーrtァー’ ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
逸物
>>1はあまりに乙され過ぎたのだ
彼はヒットされねばならない
そろそろ画太郎キャラが召喚されてもいいように思います
そのほうがいいな。
北斗の拳のケンシロウ召喚
そんなことを考えてたら
アニエスの村を焼き払った部隊が
モヒカンで火炎放射器持った例の人達の絵で脳内変換されてしまった
10ならテファがリヴァイアス召喚。
12ならおとなしくトゥートゥー召喚書く。
500ならコルベール青少年保護育成条例違反で逮捕。
>>16 最初は大人しく木の芽をついばんでいるだけのネイティちゃんで、
母から受け継いだ本性を全開にするのはまだまだ先だがな!!
ネイティが進化するまではタバサ&ピカチュウ、イザベラ&ピッピがメインになるかも。
前スレ埋まった。
501ならポケモンネタで書く、とカキコしようとしたら512kbです!
なんて言われた。でも頑張るよ俺
>>10 ワルドに不意打ちされて瀕死のウェールズに刹活孔を突く
そして復活したウェールズがワルドを倒す
こうですか?判りません!
>>10 タルブ村での戦勝に沸くトリスタニアで絡んできた酔漢は間違いなく「ひでぶ!」w
>>11 「 宇 宙 船 じ ゃ ね ー か っ ! ! 」
「カッコイイだろう?} ド ー ン !
すいませんスレ間違えました
ずいぶんとアレな誤爆だなw
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:31:42 ID:HSZ9W983
>>10 ちょうどケンシロウ書いてたとこなんだが俺はどうすればいいんだろうか
もちろん書いて投下すればいいんだ
>>27 1 そのまま書く 美味しそうなアイデアは棒空手家のごとく「パクリまくる」
2 「自称ケンシロウ」に変更してみる
3 霞拳四郎に変更してみる
>>30 >3 霞拳四郎に変更してみる
読みきり版のケンシロウかw
まあ、あっちの彼は軽い性格してるから使い魔やってくれる可能性は高いな
蒼天の方かもしれんw
>>31 そして秘孔新一を突かれて浮気についてとことん白状させられるギーシュ
4霞拳志郎にしてみる 普段は冴えない平民だがルイズが馬鹿にされるとタバコを吹かして
「ゼロの文句は俺に言え」
>タバコを吹かして
南蛮煙管(キセル)を吹かして に脳内変換されたではないか。
>「ゼロの文句は俺に言え」
渋いな。
このセリフ好きなんだよね。
>>34 ギーシュが「ヘブッ」っと殴られて「良い顔」になるんですね?
そして7万相手に単騎駆け
ガンダールブ補正を受けた旦那が朱槍とデルフを持って大暴れ
補正無しでも「そうりゃぁぁぁ!」で雑兵の首が13個飛ぶのに…
タバサ「戦う相手が気の毒」
キュルケ「そうね…」
1番
北斗神拳奥義水影心。
一度見た小説のネタを、水鏡に映した影のごとく
自分の物として使うことが出来る。
たしかケンシロウって
一度見た技は完全にマスターするよな
>>36 混ざってる混ざってるw
>>38 というか技コピーは北斗神拳の奥義だからな
>>39 いいぞベイビー
煙管を吸うのは傾き者の旦那だ
葉巻を吸うのは中坊だ
煙草を吸うのは霞拳志郎だ
ホント原漫画の雑魚は地獄だぜフーハハー!
41 :
虚無の王:2007/12/20(木) 22:45:14 ID:shi84khS
今、空いてます?
空いている様でしたら、投下したいと思います。
ちと長いです。
日差しの暖かな時間になると、トリステイン魔法学院学院長オスマンは、少しばかり早く、ほんの少しだけ長い午睡に身を委ねる。
そんな時、秘書のロングビルは主人を起こしてしまわない様、そっとサイレントの呪文を唱えて、席を外す。
毎日の様に繰り返される光景。ロングビルは毎日の様に、一つ下の階に降りる。重厚堅牢な鉄扉の前で足を止める。
宝物庫だ。ここには、学院設立以来の秘宝が収められている。
小さな杖を取り出し、ロングビルは魔法を唱える。
アンロック。効果無し。練金で扉の破壊を試みるも同様――――。
思わず、溜息が漏れた。
魔法学院はメイジの巣だ。守りの堅固にかけては、並の城塞など及びもつかない。
だが、それ故に管理側の注意にも綻びが見える。
齡100とも300とも囁かれる老オスマンにしても、どれ程、油断ならない男かと思いきや、単なるセクハラ爺。時折、こうして抜け出しても、全く気付いた様子が無い。
宝物庫の秘宝――――特に名高い、学院長秘蔵の“圓月杯”を奪って見せれば、富と名とが一度に手に入る。
そう踏んで、この学院に秘書の身分で潜り込んだのは、一体、いつの事だっだろう。ロングビルはもう一度、溜息をつく。
宝物庫には容易く近寄れるものの、その先は手も足も出ない。
ロングビルは焦っていた。
もうすぐ、夏季休暇だ。人が減れば仕事はし易い。しかし、それでは“数多の貴族を出し抜いた”事にはならなくなる。
何とか、この一週間で片を付けなければならないのだが……。
「ったく……」
ロングビルは歯噛みする。まさか、オスマンに直接探りは入れられない。
かと言って、この手の話に詳しそうなコルベールは、偶に姿を見かけても、大抵、あの空とか言う平民に付きっきりと来ている。
「おぞましいホモじゃないのかね。あいつは」
空――――思い出すと、本気で腹が立った。誰が年増だ。誰が。
秘宝を頂いた暁には、あの男も潰して行こう。ロングビルは心に誓う。さもないと、腹の虫が治まらない。
と、足音が響いた。ロングビルは何事も無かったかの様に杖を隠す。
「いや。今日も暑いですなっ」
現れたのは、ミスタ・ギトーだ。杖を翳して、自身の周りに微風を起こしている。
「風はこの通り、暑さ寒さからも術者を守ってくれる。やはり風の系統最強っ!……気の毒な土メイジの貴女にも、風の恵みをお裾分け」
「こ、これはどうも……」
頬を撫でる風に、ロングビルは内心で歯軋りする。
いけ好かない貴族の中でも、一際気に喰わない男だった。
「所でミセス」
「わ、私は 独 身 です」
「そうですか。いやいやいや、実に意外だ。意外。その年まで独身ですか。やはり土系統はよろしくない」
「私はまだ、20代ですっ」
「おや、そう言う事にしておいででしたか。しかし、一年は13ヶ月、384日間ですぞ、ミセス。時に、宝物庫で何をしておられるのかな?」
「ほほ、宝物庫の目録を作っていまして……」
さて、どうしてくれよう――――もとい、どうする。声を震わせ、米神に拍動を覚えながらも、ロングビルは迷う。
宝物庫の防備について、ギトーは何かを知っているだろうか。だが、聞き出そうにも、趣味と言うか、性癖がアレだ。
極限まで言葉を選んで“年下好み”。率直に言えば変態性欲者。その上、性格はこの通り。
下手に話を振っても、心のデスノートに記された死因が、むごたらしさを増すだけではなかろうか。
「ほほう。所で、宝物庫と言えば、御存知ですかな?ミセス」
と、頼んでもいないのに、ギトーは唐突に語り出した。
トリステイン人と言う奴は揃っておかしな使命感に燃えている。
ことごとに忠告し、知識を伝授して、人の誤りを糺し、迷いの道から救い出してやらなければ気が済まない。
おまけに、事実に惑わされるを潔しとしない人種と来ているからタチが悪い。
宝物庫の防備の堅牢無比なる事、その一方で弱点も有る事について、ギトーは延々長広舌を振るう。
ロングビルは内心でほくそ笑みつつも、同時にうんざりとした。
全く、風メイジと言う奴はろくな物じゃない。取り分けトリステイン人は。
ルイズは不機嫌だった。
それ自体は別段、珍しくも何とも無い。何しろ、箸が転んでも腹の立つ年頃だ。
そんな乙女にとって問題なのは、自分が何故、腹を立てているのかが、判らない事だった。
同じ年頃のボーイフレンドを作った方がいい――――
何故だろう。空にそう勧められた時、無性に腹が立った。
その晩、帰って来なかった事にも気分を害した。
「なによ。お付き合いなんて、所詮、お遊びじゃない……」
ルイズは唇を尖らせる。
今は大事な時期。それ所では無いのだ。
三年間の学院生活で、きちんと魔法を、諸々の教養を身につけ、一人前の貴族にならなければならないのだ。
来る夏季休暇には、今季の成果を両親に披露し、ヴァリエール公爵家の一員として、恥ずかしくない人間に育ちつつある事を示さなければならないのだ。
「なのに、あいつったら……あ、あんな事勧めて……あ、あんな――――不真面目な事……」
そうだ。だから、自分は腹を立てたのだ。
ルイズはそう言う事に決めた。
決めたのだが、どうにも釈然としない。
机上の手鏡に、ふと目が止まる。そこでは、桃色の髪をした少女が頬を膨らませている。
可愛くない女の子だ――――我ながら、そう思った。作りは悪く無いとは思う。内面が可愛くない。
自覚はしているのだ。現実にそれを突きつけられる度に、ルイズはへこむ。
身内を除いて、こんな自分を可愛い、と言ってくれる人が居るのだろうか。
脳裏に二人の姿が浮かんだ。
僕の可愛いルイズ――――
いつもそう呼びかけてくれたワルドは、半ば遠い記憶の中に霞んでいる。
空は聞いてて気恥ずかしくなるほど、可愛いを連発してくれる。
一体、自分は何が不満なのだろう。何を怒っているのだろう。思考が狭いループにはまる。
と――――
ドアが控え目に叩かれた。
ルイズは椅子を蹴って小走りに駆け寄り――――誰に対するでも無く、小さく咳を払った。
机に引き返して、
「誰?」
「ワイ」
「――――開いてるわよ」
空は小さくドアを開くと、顔を覗かせた。
「未だ、怒っとる?」
「別にっ。最初から怒ってなんかいないわよ」
「そら良かった。実は助けて欲しい事が有るんやけど」
「……何?」
一瞬、振り向きかけて、ルイズは前に向き直った。
「実はな、今からラグドリアン湖ちゅう所、行かなアカンのやけど……知っとる?」
「我が国最大の湖よ。それが、どうかしたの?」
「ちょいとした手違いでな。ボーズがマルガリの作りよった薬飲んでもうて、おかしくなってもうたんや」
肝心の部分を、空は暈かす。
ルイズは決して口が軽くは無い。だが、隠し事は決定的に苦手だ。
迂闊な事は教えない方がいい。
「そんで、解毒剤作るんに、水精霊の涙言うたかな?そんな名前の原料が必要なんや」
「お店で買えばいいじゃない」
「それが品切れで、次の入荷も絶望的なんやと。なんや、よう判らへんけど、その水の精霊ちゅうのと連絡が取れへんとかでなあ」
それで、ラグドリアン湖に直接飛んで、水精霊の涙を手に入れて来よう、と。そう言う事か。
いいのか? ノンケだろうとかまわずに支援しちまう男なんだぜ? しえん
なげー!そしてはえー!支援。
「あの娘の風竜で飛んで行けば、すぐなんじゃないの?」
「それがな。雪ん子の奴、朝から見当たらへんねん。コッパゲに聞いたら、なんや、帰省しよった言う話でな」
「帰省?」
奇妙な話だった。
来週からはもう夏季休暇。この時期に帰省?
何事だろう。おまけに、キュルケが付き添った、と言う。
全く、訳が判らない。
「そんな訳でな。馬車で行かなアカンのやけど……」
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ」
ラグドリアン湖まで馬車。片道三日はかかる行程だ。
目的の物が滞り無く手に入ったとしても、四泊五日。一週間の授業を殆ど休む羽目になってしまう。
無理に決まっている。本来なら、一言の下に断る所だ。
しかし、ギーシュがおかしくなっていると言う。どんな風に?
「女に興味が無うなった」
あのギーシュが?一体、何を飲ませた?
「それだけ?」
「……男に興味を持つ様になりよった」
ちなみに、目下のターゲットはワイ――――そこまで聞いて、ルイズは頭が痛くなった。
「惚れ薬なんて作ったの!?」
「あ、ばれてもうた?」
「それだけ言われたら、判るわよ。もう、何考えているのよ、あの娘!」
惚れ薬に限らない。人間の精神を操作、変容させる薬は制作も使用も厳禁だ。
禁制品に、没落貴族ならともかく、モラモランシ家の令嬢が手を出した。全く、冗談では無い。
効果が切れるまで、放っておく訳にはいかないのか――――そこまで考えて、ルイズはカレンダーを思い出す。
なるほど、おかしくなったままのギーシュを実家へ帰す訳にはいかない。モンモランシーの犯罪は間違いなく露見する。
「それで、今すぐにでも出発しないといけないわけね」
「使い魔の菊座を守るんは、御主人様の義務違うんか?」
「黙れ。菊座言うな」
第一、立場が逆だろう。
「それで、助けて欲しい、て……私は何をすればいいのよ?」
「水精霊の涙を手に入れる事自体は、マルガリがやる言うてる。と、言うかあいつにしか出来へん事らしい。とにかく、火力が欲しいんや」
「火力?」
「ほら。なんや、最近よう判らへんけど、あちこちで暴動起きとる言う話やんか」
その噂なら、ルイズも聞いた事が有る。
平民が暴力的な手段で貴族に圧力をかける事は、それ程珍しくない。
例えば、ギーシュの実家グラモン家が領民の家屋に屋根を葺いてやる事にしたのも、さもなくば暴動を起こす、と脅迫された為だ。
だが、基本的に平民が本当に暴動を起こす事は少ない。貴族と本気でぶつかり合えば、勝ち目が無い。
貴族が平民を暴動止む無しの状態に追い込む事も、また極めて稀な事だ。統治能力に疑問符が付けば、地位が危うくなる。
平民は貴族に背いてはならない。
貴族は実行不可能な命令を下してはならない。
貴族と平民は、時として嫌悪や憎悪を交えながらも、結局の所、予定調和の中、互恵関係を保って来た。
何故だろう。最近、その約束事が崩れ始めている。
平民から箍が外れ始めている。
貴族からは、不安を囁く声も聞こえて来る。
暴動が散発。周辺地域では治安が悪化し、盗賊が横行している。
「原料はマルガリやないと手に入れられへんし、あいつやられたらアウトやろ。ワイ一人やと、もし大勢さんで来られたら、どうにもならへん」
その点、ルイズの爆発は広域を火制出来るし、大抵の相手は肝を潰して逃げ出すだろう。
「要は道中の安全確保の為、人数が欲しい、と……」
なるほど、事情はよく判った。
ルイズは内心で溜息をつく。これは、手を貸さない訳にはいかない様だ。
モンモランシーは裁きを受けるべきとしても、ギーシュを見捨てておけない。
「そう言う話なら、仕方が無いわね。行っていいけど……」
事情を理解しつつも、素直に承諾するのは、何だか癪だった。
「でも、ギーシュを連れて行けばいいんじゃない?ワルキューレなら、一体一体、平民の兵士よりずっと強いし、数も頼めるわ。それに、あんたが行けば、絶対に着いて来るでしょ?」
「おいおい、勘弁して欲しいわ。ワイ、あいつに後狙われとんのやで。そないなんと一緒に、旅出来る訳あらへんやろ」
「だったら、モンモランシーと、ギーシュと二人で行かせたら?」
「自分がおかしゅうなっとる自覚のあらへん奴が、治る努力する訳無いやろ」
いや。寧ろ、自分をおかしくしようとしている、と捉えて妨害しかねない。
「な、頼むわ、ルイズ」
「でも、五日間は長いし、やっぱり授業はサボれないし……」
ルイズは初めて、空に振り向いた。見ると、両手を併せて、こちらを拝んでいた。
思わず、口元に笑みが漏れる。なんだか、不機嫌で居るのが馬鹿馬鹿しくなった。
「他の材料は揃ってるの?」
「水精霊の涙でコケて、帰って来た言うとったからな。多分、足りとらん物、帰りがけに街で買う事になるやろ」
「ねえ、空。私、お芝居が見たいわ」
「おう。帰りな」
「クックベリーパイ食べたい」
「評判の店知っとる」
好物と知って、調べておいた。その一言に、ルイズは頬を弛める。
「折角や。服も買うてこ。工房覗くついでに、着替えてけばええ」
それが決定打となった。元より、断る理由も無かったのだ。
ルイズは勢い良く立ち上がった。杖を腰に提げると、勢い良くドアを開く。
「さ、急ぐんでしょう。行きましょっ」
「準備とかええんか?」
「馬鹿ね」
ルイズは笑った。
「本物の貴族はね。いついかなる時でも王命に応じられる様、常に旅立ちの準備が出来ているものなのよ」
* * *
そぉら、次は拳銃だ……。 支援。
支援
トリステインとガリアの国境に、広大な湖が横たわっている。
ラグドリアン湖。緑深い山林と、青空とを鏡の様に映し出す高地の湖は、ハルケギニア随一の名勝として知られている。
この湖には、一つの伝説が有る。
凡そ600万平方メイルにも及ぶ巨大な湖は、水の精霊の楽園であると言う。
水底に巨大な城と街を、独自の文明を築き、その歴史は人類のそれよりも尚深い物である、と言う。
水の精霊は喩えようも無い程、美しい。
その姿には、どんな悪人と雖も改心する。
その御許において交わされた誓いは、決して破られる事が無い――――伝説に長々と尾ひれが付くのは世の常だ。
益して、水の精霊は人前に全く姿を現さない。
数十年に一度、トリステイン王家と盟約の更新を行う時が、唯一の例外だ。
「で、その際の交渉役を、“水”のモンモランシ家は何代も務めて来た訳だけど……」
モンモランシー、そして空とルイズがラグドリアン湖畔に辿り着いたのは、出発から二日後の昼過ぎだった。
少なくとも、往路の道中は平穏その物で、同時に退屈でもあった。
「相変わらず、綺麗ねー」
湖面に浮かぶ山にも、森にも、歪みは見られない。ラグドリアンの湖面は、時を止めたかの様に静かだ。
丘から見下ろす眺望に、ルイズはうっとりと息を漏らす。
「ルイズ、来た事有るんか?」
「ええ。三年前、太后陛下御誕生祝賀の園遊会でね。思い出すわ。あの時は、姫殿下の身代わりになって――――て、キャメラなんて持って来たの?」
「コッパゲに頼まれとるんや。とにかく使うて、気付いた事が有れば教えろ、て」
「どうせ撮るんなら、出来るだけ綺麗な所にしなさいよ」
「ええ所、知っとる?せやったら、そこで一旦馬車停めて――――」
「ちょっと、あんた達!」
御者台からの鋭い声が、二人の歓談を遮った。
「人の話聞いてるの?遊びに来たんじゃないのよ!」
手綱を握るのは、モラモランシーだ。
予算は節約したいし、余計な人間を増やしたくも無い。そして、彼女は一番立場が弱い。
「とにかく、早く済ませて帰りましょっ」
道中、とにかくモンモランシーは急いでいた。
恋人を早く元に戻してやりたいの一心だけでは無い。
放っておくと、何をしでかすか判らないので、ギーシュは部屋に縛り付けて来た。
世話はシエスタに任せてある。さすがに、あの油断ならないメイドとて、この状況で無理矢理既成事実を作ろうとまではしないだろう。
それよりも、空から借りた材料費、十一の利子が何よりの問題だ。
「で、あれがさっきのジイさんが言うとった村か」
空は湖面に顔を覗かせる藁葺き屋根を、目線で嘗めた。
湖畔に差し掛かった時だ。一人の老農夫が声を掛けて来た。
なんでも二年前から水位が上がり、村は完全に飲み込まれてしまったと言う。
「水精霊が悪さしよったんですわ」
貴族が水精霊と交渉に来た。てっきり、そう思いこんでいた農夫は、それが誤解と知ると、すっかり落胆した。
領主は宮廷での社交ばかり考えて、領地の経営を省みない―――― 一頻り愚痴を零して立ち去る。
その話に、空は革命前のフランスを思い出した。
貴族制度は兵権を分散させると共に、地方自治を担保する。もともと、地方の殿様と領民と言うのは、それなりに巧くやっている物だ。
所が、極度に王権が強大化すると、それが崩れる。地道な領地経営で地盤を築くよりも、中央でおべっかを使う方が富と地位への近道となれば、地方は忽ち荒廃する。
フランス革命は異常思想に取り憑かれた一部の主義者と、王政の絶頂期であるルイ14世以来の歪な中央集権体制による社会不安とが化学反応を起こして生まれた社会の破裂だ。
まあ、マルティニーやタルブは平穏その物だった。
ルイズやギーシュを見る限り、この国はまだまだ当分、大丈夫だろう。
「何事も無ければ、やけどな……」
一同は馬車を降りた。
モンモランーは湖畔に寄ると、水面に手を翳した。
「やっぱり。水の精霊は怒ってるみたいね」
困惑した様に首を振る。
「わあ、冷たーい」
「ホンマ、ええ所やわ。一日くらい、ゆっくり……」
「あんた達っ!」
静謐な水面に両手を沈めてはしゃぐルイズと、両腕を伸ばして深呼吸する空を、モンモランシーは再び叱り付けた。
「水の精霊はプライドが高いんだからっ。機嫌を損ねたら大変なのよっ。大人しくしててっ」
モンモランシーは馬車からリュックを降ろす。蓋を開け、顔を出したのは一匹の蛙だ。
のそりと地面に降り立つや、主人に向けて敬礼する。
「カエル!」
その姿に、ルイズは砂煙を上げてバックステップ。5メイルばかりも後に退いた。
「なんや、ルイズは蛙怖いんか。可愛ええとこ有るやん」
「失礼ね。私の大事な使い魔よ」
モンモランシーは取り出した針で指を突くと、蛙に一滴、血を垂らす。
「いいこと、ロビン。あなたたちの旧い友達と連絡がとりたいの。水の精霊を見付けて、旧い盟約の持ち主が話をしたい、と伝えてちょうだい」
ロビンと呼ばれた蛙は、了解でありますっ、と言わんはがりの敬礼を一つ残し、湖に消えた。
「これで、ロビンが水の精霊を連れて来てくれる筈よ」
「その辺は任せといて、大丈夫なんやろ」
「いーけど。絶対、水の精霊の機嫌を損ねる様な事しないで。と、言うか、あんたは傍に居るだけで不安だわ。あっちに行ってて。あっち」
「そない、邪険にするなや」
「水の精霊、てそんなに怒りっぽいの?」
まるであんたじゃない――――ルイズは余計な一言を付け加えた。
「あんたに言われたくないわよっ。もう静かにしててっ。前は大変だったのっ。父上ったら、『床が濡れる。歩くな』なんて言うもんだから……」
モンモランシーは領地の干拓が失敗した事について、ぶつぶつ漏らし始めた。
余程、恨みが深いのだろう。十年も前の出来事が祟って、モンモランシ家は未だに貧乏なのだ。
そんな様子を見ていると、ルイズは少し不安になった。空はハルケギニアの常識にいまいち欠ける。
「おいおい……」
「モンモランシーに任せるんでしょ。離れて見てればいいわ」
ルイズは有無を言わさず、車椅子を押して森陰に身を潜めた。
ヤマジュン分を抜きつつ 支援。
支援
湖面が輝いた。岸辺から、凡そ30メイルの場所だ。水が意志を持つ者の様に蠢き、渦を巻く。
その光景を、モンモランシーは微動だにもせず眺めている。
水が盛り上がった。
何かが現れたのでは無い。水、それ自体が盛り上がった。
無色透明の水塊が蠢く様は、水飴を思わせた。
「綺麗……」
モンモランシーは水飴と何やら話している。
と、水飴は様々にうねり、歪み、そして目の前の水メイジそっくりの姿を形取る。
「……でもない」
途端、ルイズは前言を翻す。
「お前ら仲悪いなあ」
尤も、空も同意見だった。出来の悪いCGを見せられている気分だ。
正直、あまり綺麗だとは思えない。
「ま、写真撮っとくか」
「止めなさいよ。気付かれたら、きっと怒るわ」
そんな事よりも――――少し距離を置き過ぎた。一人と一体の声が、さっぱりと聞こえない。
一体、何を話しているのだろう?
「あんたはどう?何話してるか聞こえる?」
「んー……」
空は耳を澄ませる。何を話しているのかは聞こえるが、それが何を意味するかは判然としない所も多い。
メイジでもなければ、ハルケギニア人ですら無い身としては、致し方無い所だ。
「あ……」
「どうしたの?」
「いや、ちょい待ち」
モンモランシーが両手を大きく振り回して、必死に交渉……と言うよりも懇願している。
ロマリア人は両手が無しには喋れないが、トリステインにも時折、この手合いが居る。
程なくして、モンモランシーの等身大アクリルフィギュアは湖面に溶けて消えた。
「不首尾だったの?」
「いや。条件付けられよったわ」
「条件?」
湖畔に戻る。
モンモランシーは、青ざめた顔で立ち尽くしていた。
支援
ラグドリアン湖は美しい湖だ。
ルイズは靴を、ニーソックスを脱いで波と戯れている。
細く白い脚が湖水を蹴立て、無邪気な笑顔に併せて飛沫が踊る。
その様を、湖畔の空は目を細めて眺めている。
手にはカメラが在る。さすがに、動く人間を撮れる代物では無い。ルイズが遊び飽きたら、どこを撮影するか相談しよう。
そんな二人の様子を、モンモランシーは苦虫を噛み潰す様に睨め付ける。
「どしたんや、マルガリ。滅多に来れへん所やで。お前も楽しんだらどや?」
「あんた達、どうしてそんなに暢気なのよ。もう……」
「相手が来るのは夜やろ」
「それはそうなんだけど……」
モンモランシーは溜息をつく。
水の精霊は襲撃者に悩まされている、と言う。
相手は夜になると、ガリア側の岸辺へ現れる。そして、自分の体を削って行くのだ、と――――
自分は水位を上げる事に手一杯で、襲撃者への対処には手が回らない。
代わって退治する事が、水の精霊の涙――――その実態は水精霊の一部――――を譲る条件だった。
「密猟者、て所かい」
「相手は二人だそうよ。多分、風と火のメイジ」
湖に侵入する為、風のメイジが空気の球を作る。
火のメイジが水精霊の体の一部を蒸発させる。
水精霊は巨大な一個の生命であり、分断されても意識の連絡は続くが、一度気体となった部分とは、繋がる事が出来なくなる。
「ちゅうと、湖の底に有るっちゅう城とか、街とかは?」
「迷信よ。御伽噺」
夢の無い話だった。
「全く、私は平和主義者なのよ……」
モンモランシーは肩を震わせた。
一対一では最強の系統とされる風。乱戦では無類の強さを発揮する火。
どちらも、戦闘に特化した系統だ。水メイジが相手取るには荷が重い。
「ワイとルイズが居るやろ。元王さまと、“王”候補やで。そう、心配すな」
「呆れた……“破烈の王”とか、まだ言ってたの?」
「まあ、見とき。ルイズは誰もが認めるメイジになる」
「“ゼロ”のルイズが?」
そう言いかけて、モンモランシーは口を閉ざした。戻って来るルイズに気を使った事もあるが、何より、空の前でこの一言は禁句だった。
湖畔の空気は割合、涼しかった。
ルイズは馬車の荷台に濡れた脚を伸ばす。
夏の厳しい日差しも、今ばかりは心地よい。
「とりあえず、あっちに移動しない?馬車を停めておく場所も、探さないといけないし」
「せやな。行こか、マルガリ」
「はいはい」
促されて、モンモランシーは御者台に登る。
全く、どうして貴族である自分が、平民に言われて手綱を取らねばならないのか。金が無いのは、首が無いのと同じとは良く言った物だ。
おまけに今回は弱みまで握られている、と来ている。
湖に沿って、馬車はゆっくりと進む。
ルイズは脚を揺らしながら、湖をじっと眺めている。
空は指で作った枠を覗き込み、撮影箇所を探している。
「ここなんか、ええかもな」
「綺麗ねえ」
「おーい、マルガリ。停めやあ」
「いい加減にしてよっ!」
モンモランシーは軽くキレた。
水精霊が指定した地点に到着。停車する場所を探す。
どの道、今夜はここで一泊するしかない。あまり目立たず、キャンプも張れて、湖にも近い方がいい。
場所は案外簡単に見つかった。時間は未だたっぷり有る。
三人は偵察がてらに、散歩と洒落込む事にした。とは言っても、モンモランシーは終始硬い面持ちだ。
日が傾き始めた。
食事は保存食で早目に済ませる。味気ないが、こればかりは仕方が無い。
食事を終えると、ルイズの表情にも緊張が浮かび始めた。
決闘禁止令にも関わらず、学院では時折決闘騒ぎが起こる。魔法の撃ち合いなら、パーツ・ウォウで経験している。とは言え、所詮は子供の喧嘩、ゲームの延長だ。
しかし、今夜経験するのは実戦。その上、密猟に手を染めるメイジが相手とあっては、名誉ある戦いは期待出来ない。
「作戦やけど……」
「私は平和主義者ですからね。平和的に解決するわ」
モンモランシーが高らかに宣言した。
「平和的、ちゅうとなんや。話し合いでもするつもりかい」
「ええ。平和的な話し合いで解決するわ」
ルイズは目を丸くした。おかしな物を見る目だ。
密猟者と平和的な話し合いとやらが通じるなどと、この頭が平和な水メイジは、本気で考えているのだろうか。
「通じますとも!まず、私の平和的な水の魔法が有るわ。それに、ルイズのとても平和的な爆発があって、あんたの剣なんて、会話出来るんだから、もう平和的もいい所ね。これだけ平和的な手段が揃っているのに、平和的に解決出来ない理由なんてあるのかしらっ?」
「……マルガリ。お前、なんでも平和的、て付ければ通ると思ってへんか?」
「平和は何より尊い物なんですよ、ええっ。平和的に解決する為にはまず、相手に平和の尊さを身をもって知って貰う必要が有るわっ。これは当然の理屈ではなくってっ?」
「ボーズも苦労しそうやなあ……」
さて、作戦。
相手が二人揃っている所を、爆発で吹き飛ばしてしまえれば楽でいい。
「問題は夜、と言う事かしら」
爆発の利点は空間に直接作用する事。従って、回避手段が存在しない事。
対し、欠点は爆心点の設定が難しい事だ。距離感の掴み辛い夜間、確実に相手の行動力を奪えるかどうか。
魔法は詠唱に時間がかかる。メイジ同士の戦いは、初手の成否が決着まで影響する。
「近付けば、大丈夫だと思うけど……」
「あちらさん、人間様が傭兵になっとるなんて、考えてへんやろ。待ち伏せ出来るさかい、距離詰めるんは、難しくないんと違うか?」
飛翔の行程が無い爆発は、仮に外したとしても、術者の位置が特定される危険は少ない。
相手がまるで無傷は考え難いから、残る二人が仕留めればいい。
「相手が場所変えよったら、話も変わるけどな」
「じゃあ、その場合、まず私が比較的平和な手段で接触をするから――――」
反撃はルイズが“爆発の盾”で阻止。二人を囮として、空が樹々を足場に頭上から襲いかかれば片が付くだろう。
作戦が決まると、配置につく。
地形は昼間の偵察で頭に叩き込んである。
「それにしても、マルガリ、思うとったより過激やなあ」
「私は平和主義者よっ。平和的でない人達が我慢ならないのっ」
空は肩を竦めた。全く、平和を声高に叫ぶ連中ほど、攻撃的かつ排他的なのは何故だろう。
支援
支援
三人は息を潜める。
待ち伏せは根気が大事だが、ルイズと言い、モンモランシーと言い、至って短気だ。
空は少し心配になったが、まあ失敗したら失敗したで、やり様も有る。
一時間ばかり時を置いて、湖畔に人影が現れた。
嫌に体格差の有る二人組は、漆黒のローブを頭からすっぽりと被っている。
水辺に進むと、杖を掲げて何やら呪文を詠唱する。
モンモランシーは杖を構える。
相手は火と風のメイジだ。恐ろしい戦闘メイジだ。何故、平和主義者の自分が、こんな物騒な連中と戦わねばならない。
原因を作った少年への、理不尽な怒りが胸を焦がす。
「青銅をも砕く乙女の激流!受けてみなさい!」
詠唱が完成する。比較的平和な呪文アクア・ストリーム。
湖面が爆ぜる。数百sの水塊が一尾の竜に化ける。岩をも打ち砕く圧力をもって、目標に襲いかかる。
長身のメイジは、一瞬、身を強張らせながらも、杖を突き出す。先端に生まれる小さな小さな火の球が、激流に飲み込まれる。
刹那だ。
水の竜が内から弾けた。小さな火の球が、忽ち巨大な火柱に成長。数トンの打撃を蒸気に変える。
同時に、小さな影が身を捻る。杖を向ける先は、モンモランシーでは無く――――
「アカン!」
空は飛び出す。
杖の先にはルイズが居る。モンモランシーが先走った御陰で、伏兵の位置が特定された。
二つの空気が膨張した。一箇所は襲撃者が突き出す杖の先で。もう一箇所はローブとローブの間で。
閑静な夜の森に、爆音が響いた。
* * *
夜が深まると、夏はどこかに姿を消してしまった。
夜風が冷たい手で肌を撫でて行く。火が恋しい。
後、一週間もすれば、気が狂う程暑く、寝苦しい夜が来るなど、全く嘘の様だ。
テントを張り終えて、空は火の傍に戻る。
動けるのは、他にモンモランシーだけだ。今は負傷して意識を失った三人の治療に当たっている。
ルイズはエア・ハンマーの一撃を受けて昏倒した。どこかに頭をぶつけたのかも知れない。少し、心配だ。
もっと心配なのは、襲撃者の二人。
爆発に巻き込まれた一人は湖に転落し、小柄な方は森まで飛んで行った。
「それにしても……」
モンモランシーは洩らす。
「どうして、この二人がこんな所に居るのかしら?」
「さあなあ……目醒ましたら、聞けばええやろ」
ルイズとの壮絶な相打ちを果たした襲撃者は、キュルケとタバサだった。
「帰省や、聞いとったけどなあ」
幸いな事に、程無くしてルイズは目を覚ました。毎朝そうする様に、ぐすぐすと言いながら辺りを見回し――――隣に仲良く眠る二人の姿に視線を止める。
漸く、驚いて見せたのは五秒後だ。
「え?……ちょ、ちょっと!……」
どこか鈍い反応を示すルイズに、空は事情を説明する。
とは言っても、黒ローブの正体と、三人が気絶する過程くらいしか、話す事は無い。
「どうして、この二人が密猟なんてしてるのよっ」
「その辺りは、本人に聞けば判るやろ」
やがて、二人も目を覚ます。見るからに、不満そうな顔だ。
学院でも飛び抜けた能力を持つ二人だけに、不意打ちとは言え気絶させられた事はプライドに触ると見える。
「お前等、阿呆やろ」
空が傷口に塩を擦り込んだ。
「こんだけ広い湖に、毎晩同じ所から入りよって。場所変えとったら、こんな目に遭わんと済んだんやで?」
「だって、聞いてないわよ」
キュルケは唇を尖らせる。
そうと知っていれば、もっと遣り方が有るし、そもそも戦おうなどと考えない。
「で、なして密猟なんぞに、手染め寄ったんや?親御さんが破産でもしよったか?」
「密猟?――――ああっ」
キュルケはぽん、と手を打った。
「どうせ、退治するんですものねえ。ついでに、水精霊の涙も、貰っておけば良かったわねえ」
「退治?」
それこそ、何故?
「タバサの御実家に頼まれたのよ。最近、水位が上がっているでしょう。それで、領地が被害を受けているんですって」
「ああ。精霊はんも、そないな事言うとったわ。お前らの相手しとるより、水嵩上げる方が大事らしい」
「なんで襲って来たかと思ったら、水の精霊に頼まれてるの?」
「せや。代わりに涙貰う約束でな」
「なんで、そんな物が必要なの?」
「そんな事より!」
モンモランシーが割って入った。
「退治、てどう言う事よ!」
ルイズもだ。禁制品に手を出した事を誤魔化したい水メイジと違い、純然たる怒りに燃えている。
今にも、杖を振るい出しかねない勢いだ。
「水精霊はねえ、神聖な存在なのよ!我が朝開闢以来、王家と盟約を結んで来た存在だわ!それを退治ですって!」
「……これだから、伝統に拘る国は嫌だわ」
「いやいや。普通、怒るやろ」
二人のしている事が知れたら、最悪戦争にもなりかねない。
「ともあれ、水位が戻ればええんやろ。マルガリ得意の“平和的な話し合い”の出番やんか。それに水精霊の涙は、雪ん子かて、関係無い話や有らへんで」
「何故?」
無言で火に当たっていたタバサは、初めて顔を上げる。
空は器用に片腕で身を浮かせると、座面下の収納から、一束の書類を取り出した。
「頼まれてた奴や。いけそうな物、幾つか見付けたさかい、写しといた」
手渡された書類を、タバサはじっと見つめる。
キュルケも隣から覗き込む。
魔法の薬品に関する物、と言う事以外はよく判らないが、何カ所か、水精霊の涙と言う単語が紛れている。
「ありがとう」
短く礼を言うと、タバサは書類を収めた。
「じゃあ、夜が明けたら、水精霊と交渉、と言う事で……失敗したらどうするの?」
「ともあれ、涙手に入れんとな。マルガリはそれ持って帰る。ワイらはもっぺん闘るしかあらへんやろ」
「名誉挽回、と言いたいけど。ぞっとしないわね……」
空もルイズも、偏りの有る戦力だ。一人が相手なら、付け入る隙も有る。
だが、二人の機動力と攻撃力とが組み合わさると、手が付けられない。
「まあ、平和的な解決を祈りましょうか」
「そうよ」
キュルケの呟きに、モンモランシーは同意する。
「何事も平和的なのが一番だわ」
翌朝に備えて、一同は眠りについた。
空は一人、見張りを兼ねて、火の番に当たっている。
森に居ると、“塔”を思い出す。
あそこの濃い空気は森に似ている。“空の玉璽〈レガリア〉”解放の為に集めたチームを、空が“眠りの森〈スリーピング・フォレスト〉”と名付けた所以だ。
尤も、あの塔に、森林が持つ清涼さなど一欠片も有りはしなかったが。
風が出た。高地の山林を吹き抜け、岩山の間から響いて来る唸りには、どこか聞き覚えがあった。
額に脂汗が浮いた。喘鳴にも似た息が、口腔から漏れ出した。
脚に――――失った筈の脚に、千切れ飛ぶ様な激痛が走る。
何故だろう。
風の唸りが、重い鐘の様に聞こえる。“九ツ首の鐘〈ナインフォール〉”の様に響く。
“トロパイオンの塔”へと通じる扉、“鱗の門〈グラムスケイル〉”の開門を告げる鐘の音――――あの音を聞くたび、古傷が暴れ出す。
「空」
不意に、声がした。ルイズだ。
小さな手が、そっと空の手に添えられた。
「なんや、起きとったんか……」
「ちょっと、目が覚めて……それより大丈夫?凄い汗よ」
「……大した事あらへん」
「風が古傷に沁みるの?」
ルイズは答えを待たずに、マントを脱いだ。貴族の証が、柔らかく空の膝を覆った。
「ええて!――――大事な物やろ」
「いいからっ。大人しくしてなさいよっ」
慌てる空を、ルイズは両手で押し止めた。
「……ホンマ、心配要らへんのやで。単なる幻肢痛や。別に、どこも悪い訳や有らへん」
「幻肢痛?」
「ああ、幻肢痛言うんはな。切断した部分が……」
「それは知ってるけど――――」
空が脚を切断したのは、もう六年も前と聞いている。
切断直後ならともかく、それだけの時間が経って、幻肢痛を覚える、と言うのは寡聞にして知らない。
「鐘が鳴りよるとな、出るんや。あん時の事を、思い出させようとするみたいになあ」
「鐘?」
「なんや、風の音が、あの“鐘”みたいに聞こえよって……」
ルイズは耳を澄ませる。轟々と唸る風の音なら聞こえる。
だが、空が言う様な、鐘には聞こえないが……。
「もう、何度も話しとるけど。こないな脚になってもうてもな、ちっとも後悔はしてへん。せやけどな……」
どうしても、忘れられない事が有る。
「あの時の事だけは……あの“風の玉璽”を失くしてもうたことだけは、幾ら後悔してもし過ぎる事なんて有らへん」
タルブの寺院に安置されていた“飛翔の靴”のオリジナル、数多の“玉璽”。
その中に、“風の玉璽”が無かった事を、ルイズは思い出す。
あの鐘の音が、空が東雲市を離れる事が出来なかった理由だ。
鐘の鳴る日に限って、風向きが変わる。九ツ首の鐘の音を運んで来る。
一打ち毎に、激痛が襲う。
「まるで風の神サンがワイに与えた罰みたいになァ。ま…こんな痛みに耐えたかて、なんの罪滅ぼしにもならへんことぐらいわかっとるけどな」
ルイズは繊手を空の左手に重ねている。自分の使い魔である証、ルーンの上に乗せている。
ふ、と固く握り込まれた手から、力が抜ける。
「ようやっと、風が変わりよったわ……」
安堵の声が漏れた。鐘の音が、単なる風の唸りに戻った、と。
ルイズには判らなかったが、空が楽になったのは確かの様だ。
「そう言えば、こっちの世界にも“塔”に似た伝承が有るんやてな。“四つの四”たら言う」
「ええ。聞いた事有るけど……」
「ワイが八人の“王”、八つの“玉璽”の話したらな、総数は同じやて、コッパゲが妙な感心の仕方しとったわ」
「そっちと違って、“四つの四”は、その内容も判らないけどね」
「そうなのか?」
「昔、見つかった予言の一節なの。でもね、最初の四が“四人の担い手”よ?その時点で眉唾でしょ。だから、残る三つの四を、誰も探求しないのよ」
「なるほどな」
空は空いた右手で帽子を脱ぎ、汗まみれの顔を扇ぐ。
風が止まった。
森は時を止めたかの様に静かだった。
湖面を挟んで茫洋と輝く二対の月が、柔らかい光を投げかける。
「……あんたの世界では、月は一つなんでしょ?」
「せや。この国で夜空見取ると、なんや得した気分やわ」
「帰りたい、て思う事、無い?」
「前はしょっちゅう、思うとった。せやけど、今は焦らんでええ、ちゅうか寧ろ、焦らん方がええ事判ったし……ワイ、あっちでは目茶忙しかったさかい、暫くのんびりさせて貰おうかと思っとる」
せやけどなあ――――空は一言付け加える。
「この国のメシも悪う無いけどな。久しぶり、日本のメシが食いたい気いするわ」
「あんたの国の料理?どんな物を食べていたの?」
「どんなん、て……――――」
と、空は収納にしまい込んである物を思い出した。
コルベールに高値で売りつけるか。それとも昔の油で揚げるタイプになるが、保存食として量産、軍隊にでも卸そうかと考えていた品だ。
タビットハ
「ルイズ、湯沸かし。湯。面白い物、食わせたる」
「面白い物?」
「ワイがあっちでしょっちゅう食うとった奴や」
夜食には丁度いい。空はそう言った。
何か、簡単な料理でもするのだろうか。ともあれ、言われた通りに、ルイズは汲み置きの水を火にかける。
空は車椅子の収納からカップ麺を取り出した。
いい加減、邪魔になっていた品だ。ここで始末してしまおう。
「なにそれ?」
「カップ麺や。ジャパニーズ・チャイナヌードル」
ケトルが鳴いた。蓋が踊って、もくもくと蒸気を噴く。
空はカップの紙蓋を半ばまで剥がして、お湯を注ぐ。
「三分で食べ頃や」
「お湯入れただけじゃない」
「それだけの物やからな」
「そんなの、料理、て言えるの?」
「阿呆。失礼なこと言うんやないで」
空は熱弁する。
カップメンは奥が深い。マヨネーズと醤油で無限のバリエーションが生まれる。
伸ばせば倍になる上、別の意味で奥の深いミミズ千匹に……云々。
その殆どは、ルイズにとって理解不可能だったが、それは互いにとって、幸運な事だった。
空は携帯の時計で時間を確認する。
三分。
「ま、論より証拠や。食うてみい」
手渡された器は、少し熱かった。プラスチックのフォークを手に、ルイズは中身を覗く。
お湯を注いだだけの筈なのに、しっかりスープに浸かったヌードルが出来上がっている。海老や卵と思しき具まで見える。
謎めいた食品を前に、ルイズは躊躇した。
それでも、カップメンとやらはなかなかに良い匂いで、マントを脱ぐと、夜は涼し過ぎた。
思い切って、一口啜る。
細い麺がスープと共に滑り込んだ。胡椒と豚脂の匂いの中で、プチプチとした食感が口の中を踊る。
ルイズは手を止める。
脂と香辛料が勝った粗野な味だが、決して悪く無かった。何より、寒空の下、熱いスープは有り難い。
「……悪くないんじゃない?」
「そら良かったわ」
二口目。麺を啜り、スープを飲み込む。食道が灼け、熱い息が漏れる。冷えた手に、体に熱が沁みて行く。
ルイズはそれなりに取り澄ましながらも、カップ麺を掻き込んで行く。気付くと、すっきりとした鼻梁に、汗が玉と浮いていた。
「あんたは食べないの?」
「ワイはええ。あっちじゃ一人暮らしだったさかい、食い飽きたわ」
「一人暮らし?」
「手間、かからへんやろ。毎日、そんなんばっか食うとった」
「弟が居たんじゃないの?」
「あいつは、ずーっと外国行っとったからなあ」
「他に家族は居なかったの?」
「せやから、一人暮らし言うとるやん」
ルイズは半ば空になったカップに目を落とした。
現代日本では珍しくない一人暮らしも、トリステインでは不幸の代名詞に近い。
国王が気紛れの慈悲を起こした時、孤独者は傷病者共々、救済の対象だ。
「淋しい、て思った事無い?」
「犬三匹飼っとたし、仲間も居ったさかい。そないな風に感じた事はあらへんなあ」
その辺りの感覚が判らない空は、あっけらかんと答えた。
「ま、こっちも賑やかでええけどな。ワイ、学校行った事有らへんけど、なんやあの学院居ると若返った気がしよる。色々と、変わった体験もさせて貰うとるし」
「ふーん。例えば?」
「せやなあ……毎朝起きたら、おはよう、言うてくれる奴居るんは、悪くない気分やな」
不意打ちだった。ルイズは思わず、声を失った。
また、この男は――――今、何も口に含んでいないのは、全く幸運だ。悪くすれば、噎せていたかも知れない。
空の横顔から目を逸らす様にして、カップを覗き込む。
もう、殆ど空っぽだ。底には香辛料と思しき粉末が溜まっていた。
空は毎日、これを食べていた、と言う。不味くは無いが、毎日は御免だ。第一、栄養的にも問題無しとは言えないだろう。
その口振りからして、家族と暮らしている人間は、あまり手を出さない物らしいが……。
「料理憶えよっかな……」
気付くと、そんな一言が漏れていた。
「ん?」
「な、なんでも無いわ」
「そか」
空はルイズの後に回ると、小さな肩にマントを掛けた。
「楽しみにしとるわ」
「なな、何よ。別に、あんたの為じゃないんだからっ」
「そうなん?」
「そ、そーよっ。きき、決まってるでしょ。勘違いしないでよねっ」
「まま。ちょいとくらい、お裾分けが有ってもええんと違う?」
「そ、そうね。どうしても、て言うなら、す、少しくらい味見させてあげてもいいわ」
舌が半ば縺れた。どうして、こう言う事になったのか、自分でもよく判らなかった。
料理?そんな物は料理人にやらせればいいではないか。包丁など持った事も無い。
「……言っとくけど、気が向いたらだからね。気長に待ってなさいよ」
「わーとる」
後からマントを止めてやる。指先が細い首筋に当たると、燃える様に熱い。項が真っ赤だ。
思わず、笑いそうになってしまったが、努めて堪える。
そんな二人の姿を見つめる瞳が四つ有る。キュルケとタバサだ。
テントの裾を開いて、そっと覗いている。
「あらあら。仲がいいわねえ」
「……」
「判ってるわよ。ダーリンを狙ってたんじゃないのか、て。そう言いたいんでしょ?」
「……」
「でも、あなただって知っているでしょう。私は、相手の一番大事な物には手を出さない、て。だって、命のやり取りを覚悟しないといけないじゃない」
「……」
「そりゃあ、あの娘の様子は、恋をしているのとは少し……いいえ。大分違うみたいだけど……」
「……」
タバサは内心で唸った。
キュルケは無二の親友だ。目配せ一つ、息使い一つ、極、些細な一挙一投足から自分の言いたい事を読みとって見せる。
例外が今の様な状況だ。数多い内の、一つの恋を諦めた時、彼女は自分の言い分を読みとっているフリをして、延々会話を装った独り言を呟き続けるのだ。
今まで、タバサは黙ってその奇行を容認して来た。
だが、今は違う。今は返すべき言葉を知っている。
紫煙
「なんでやねん」
「ああっ……でも、大丈夫かしら。ええ。勿論、あなたの言う事も判るわ。ヴァリエールは私の敵。私はあの娘が嫌いなの。だけど、あんな不安そうな眼をされたらねえ。なんだか――――」
キュルケの舌は、益々滑らかに滑り出す。タバサは内心で吐息を漏らした。
言葉は無力だ――――。
* * *
翌朝――――
モンモランシーは昨日と同じ様にして、水の精霊と接触した。
空とルイズは同じ様にして身を隠す。キュルケとタバサも同様だ。
水の精霊が飛ばした水滴を、モンモランシーは瓶で受け止める。あれが、水精霊の涙とやらだろう。
「案外、簡単に信じよったなあ」
「まだ、これから」
湖畔で交わされる会話が聞こえているのは、空とタバサだけだ。
取り敢えず、目的の物は手に入れた。後は交渉だ。
何故、水位を上げるのか。そう尋ねると、水の精霊は一頻り悩んだ末に、語り始めた。
約束を守ったモンモランシーを、信用する事に決めた、と言う。
「……あのスライム、目茶頭悪いんと違うか?」
「ねえ、何を話しているの?」
「黙っていて」
水の精霊が水位を上げるのは、盗まれた秘宝を取り戻す為だ、と言う。
ハルケギニア中を水没させてしまえば、それは容易い、と。
なんとも、気の長い話だ。アルビオンに持ち去られていたら、どうするつもりなのだろう。
盗まれたのは、アンドバリの指輪。死者に偽りの命を与える伝説の秘宝だ。
犯人は複数。うち、一人は“クロムウェル”と呼ばれていた――――
「聞いた事、無い名前ね」
「交渉成立」
「え?」
「マルガリが生きとる間に、取り返してくればOK。水位上げるんは、止めるらしい」
空は呆れ顔だ。
自分は寿命が無いからそれで構わない――――恐らく、水の精霊はこうして、永遠の時を“単なる物”に騙されながら生きて来たのだろう。
と、タバサが水の精霊に向かって、両手を組んでいる。
相手のあまりのお目出度さに、御利益が有るとでも思ったか。
「違う」
「水の精霊は、誓約の精霊とも呼ばれているのよ。その前で行われた誓約は、決して破られる事が無い、て」
「なるほど。せやったら、ワイも祈っとくかな」
空は二揖。気付かれない様に、小さな拍子を二つ打つ。そして一拝。
ルイズはそっと、その横顔を窺う。何を誓う気だろう。
まず、自分との約束を守って欲しい。冬までは、ここに居る、と――――
「ルイズを、誰もが認めるメイジにします――――ま、こんな所か」
その言葉に、ルイズは身を強張らせる。二ヶ月前なら、素直に喜べた筈の誓いだ。
それが、今は何か嘘寒い物を感じる。何故?
水の精霊は湖面に姿を消そうとしていた。ルイズは慌てて、手を合わせた。
「冬が来たら――――空が自分の国に帰れる様、協力する事を誓います」
“冬”に力が篭もった。
* * *
ここで、一同は二組に分かれた。
タバサは実家に復命しなければならない。キュルケもそれに付き添う。
三人は風竜の快速を羨みながらも、馬車でのんびり、元来た道を引き返す。
往路と同様、復路も平穏無事だった。
あちこちで暴動が起きている、と聞いていたが、昨日まで平和だった国が、何の予兆も無くひっくり返る訳が無い。
飛び抜けて不運でもなければ、巻き込まれる事は無いのだろう。
トリスタニアに立ち寄り、解除薬の原料を買い足す。
支払いを済ませるモンモランシーの手は震えている。不幸中の幸いで、水精霊の涙の代金が浮いたとは言え、高い物は高い。
空も秘薬の原料が揃って高価な事に目を瞠る。タバサに渡したレシピを全部調合したら、城が閑静な領地付きで買えるだろう。
モンモランシーは一人で学院に急行する。さすがに、ここからの道中に、危険が有るとも思えない。
とにかく、ギーシュが心配の様だった。勿論、下手をして、誰かに事の真相を気付かれてはいないかも。
「ルイズ、疲れてへんか?」
「少し。でも、昨日宿でゆっくり寝たから大丈夫よ」
「そか。ほな、行こか」
二人はまず、洋品店に足を運んだ。
ルイズも学生の身分だし、普段は学院出入りの業者から出来合の品を買っている。
仕立屋に一から縫わせる必要は無いし、そもそも来週には学院を離れるのだから、そんな余裕も無い。
近頃、街で流行りだと言う物を、一通り試して見る。
「これ、いいわね」
ルイズは白いキャミソールワンピースが気に入った様だった。ゆったりと涼し気なスリップ型だ。
これはどうなんだ。空は首を捻る。よく似合っているし、可愛いとは思うのだが……。
「そいつは、止しといた方がいいんと違うかなあ?」
「何でよ?似合わない?」
「いやいや。ごっつ似合うとるし、可愛ええと思うけどな……」
「な、なら、いいじゃない」
「せやけど……」
「けど?」
「あっ」
と、空は団扇代わりにしていた帽子を、態とらしく取り落とす。
車椅子の上から手を伸ばすが、なかなか届かない。
「なにしてるのよ」
ルイズは身を屈めて帽子を拾い上げる。
その時、空は自分の危惧が杞憂で無い事を知った。
「やっぱなあ」
「何が?」
「あ、下着も適当に見繕ってや」
答える代わりに、空は店主に声を掛ける。
「ちょっと……下着はいいわよ。別に」
「せやかて、そないな子供っぽい物着けとるんもなあ……年頃なんやし、見えへん所も気ぃ使った方がええで」
空は聞き捨てならない言葉を口にした。
「見た様な事、言わないでよ!」
「見たから言うとるやん。後、その服にするんやったら、背高い奴の近くには寄らんようにし」
その親切な忠告に、ルイズはまず真っ青になり、続いて真っ赤になった。
見た?何を見た?何時?――――空は、背が高い奴には近付くな、と言った。そして、ハルケギニアにブラジャーは存在しない。
肩が震える。羞恥と怒りのあまりに、眩暈が襲う。
腰に手を伸ばすが、生憎試着中で杖は無い。ルイズは迷わず脚を伸ばす。
30分後、二人は工房に向かっていた。
結局、ルイズは胸の空いた黒いワンピースに、黒いベレー帽を選んだ。靴とネックレスも買わせた。
車椅子を押しているのは、その代償では無い。16歳の少女が息子に虐待を加えるのは、二人で街を訪れた時の、ジンクスと化しつつある。
空とコルベールが協同経営する工房は、職人街の片隅に位置している。
極有り触れたガーブル造りの建物が五件。造りはどれも共通している。
一階には仕事場、間仕切りを隔てた奥には、食堂と台所。二階は親方一家の生活空間。三階の屋根裏では徒弟の衆が暮らしている。人員はその殆どがゲルマニア人だ。
空は一つ、一つを案内する。
職工の仕事ぶりを目にした事が無いルイズは、説明されてもよく判らない様子だが、その規模には驚きを隠さなかった。
「じゃ、ちょいとここの親方と話が有るさかい。待っとってや。その後、劇場行こや」
ルイズは素直に従った。食堂にはクックベリー・パイが用意されていて、空が手ずから、東方から伝来したと言うお茶を淹れて行ったからだ。
空は台所奥の階段を、車椅子で器用に登る。
二階で待っていたのは、職人では無かった。
体格堂々たる男は、一目で貴族と知れた。そして、顔を覆う白い仮面――――。
空は左手を差し出す。二人は常々そうする様に、左手と右手の甲を合わせて挨拶する。
「どうも、彼女は僕を伝書鳩か何かと勘違いしている様だ」
白仮面は懐から、手紙を一通取り出す。空は早速、開封しつつ、
「せや。クロムウェル言うたか?あの坊主の、“虚無”の正体、割れたで」
「正体?」
「おう。ちょいと用事有って、ラグトリアン湖行ってな。水の精霊が、あんどばりの指輪たら言う御宝盗まれた、言うとったわ」
「アンドバリの指輪?伝説の秘宝だな。死者に偽りの命を与える、と言う……」
「犯人の一人が、クロムウェルやて。偶然で片付けるには、出来すぎやろ」
白仮面は顎に指を当てて考え込む。
クロムウェルは“虚無の担い手”を自称していた。そして、虚無とは生命を操る系統なのだ、と。
何しろ、六千年もの間、失伝していた幻の系統だ。四系統を超えた力さえ示せれば、幾らでも誤魔化せる。
そして、“あの女”はクロムウェルの秘書と称していた――――
「魔法の道具言うたら、“でこ”の領分や。まんまと担がれよったな」
白仮面は沈黙した。元より、その表情を窺う術は無いが、心中は穏やかな物ではなさそうだ。
空は意に介する事無く、短い手紙を通読する。
「――――何が書いてある?」
「読むか?」
白仮面は黙って手紙を受け取った。それは、一つの意志表明でもあった。
「……これは?」
「“通信教育”の受講料代わりや。あのおっさん、思うとったより義理固いわ」
「しかし、この“予言”は彼にとって、切り札の一つの筈……」
「正味、あのおっさん、“始祖の虚無”には大して興味有らへんのと違うか?単に、この世界をレイプしたい、ちゅうのが本音やろ。始末に終えんわ、ホンマ」
「……なるほど。なら、君の“講義”にこれだけの代価を支払うのも頷ける」
白仮面は杖を抜くと、手紙に火を灯した。
「“虚構の理論”か。広まれば、ハルケギニアの住人は自ら望んで文明を破壊し、神を捨て、獣に還るだろう。より高尚なる真理を手に入れた、と信じ込みながら……」
世界を穢す事、それ自体が目的だ、と言うのなら、これ程、打ってつけの物は無い。
白仮面は、心無しか手を震わせる。
「……最初に聞いた時は、君はサハラの悪魔の化身なのかと思った物さ」
「そら、買い被りっちゅう物や。ワイの独創違うで?」
それよりも――――空は話を変える。次は何時頃、“上”へ行けそうか、と。
「あの連中優勢なんはええけど、思うとったより展開早いわ。大方、“でこ”の奴が何かしとんのやろうけどな。お目当て確保する前に、国が亡んでました、じゃ話にならへんで」
「ああ。それなら大丈夫。近々、また行く事になりそうだ。“アバズレ”の御陰でね」
「そか。ワイ、もう暫く動けそうもあらへんし、もう一つ、頼まれてくれんか?」
「なんだね?」
「ここの職人を何人かと、幾つかの設計を余所に移して欲しいんやわ。それと資金もな」
「それは構わない……が、何が有った?」
「何もあらへん。あらへんけど……」
空は珍しく、はっきりとしない様子で頭を掻いた。
「……なんや、やーな予感がしよる。何だかんだ言うて、ワイも急ぎでやって来て、色々無理もしたさかい。目付ける奴居っても不思議やあらへんしな」
「なるほど。予感と言う物は大切にした方がいい」
「ホンマ言うと、何も起きて欲しゅう無い。“主演女優”は箱入りやさかい。あんま強引な事はせんと、ゆっくり時間をかけて、その気にさせたい所や」
その一言に、白仮面の様子が変わった。
「主演女優か……所で、“僕の”ルイズはどうしている?」
「今、下に居る」
気付いた時、白仮面の姿は目の前に無かった。振り向くと、階段の躍り場で壁に張り付く、30手前の貴族が見えた。
一階の食堂――――至福の笑みでクックベリーパイを突くルイズは、秘められた視線に、とうとう気付かない。
「君、例のキャメラとやらは?」
「邪魔やったから、人に預けた」
白仮面は落ち着かない様子で歩き回った。
最終的な組み立てを担うこの建物に、親方衆は住んでいない。二階は荷物置き場となっている。
と、白仮面は部屋の片隅に目当ての品を発見した。試作品だろう。
迷わず踵を返して、空に手渡す。
「なんや?」
「例の件は任せてくれ給え。では失敬!」
大抵の建物は、二階から直接、街路に降りる階段が備えられている。五件の工房も、その例に漏れない。
白仮面はもう一度一階を覗き込むと、そちらから立ち去った。
「面倒やなあ」
カメラを弄びながら嘯く。
白仮面の真意が分からない程、空も鈍くは無い。
さりげなくモンモランシーつえぇ 支援
* * *
タニアリージュ・ロワイヤル座は石造りの巨大な建物だ。その豪奢さは、古代ギリシア・ローマの建築物を思わせた。
勿論、既に亡んだ文明の遺跡と違い、現役の劇場はよく整理されている。
「この格好やと、レィディこちらです、て訳にもいかへんなあ」
「いいわよ。別に」
ルイズは空のシャツをそっと摘み、一歩後を着いて歩く。
工房で松葉杖に切り替えた空と、ワンピース姿のルイズ。二人は優雅な、或いは態とらしい会話を交わす紳士淑女に紛れて、薄暗い客席へと吸い込まれた。
残念ながら、“トリスタニアの休日”は退屈な劇だった。脚本が陳腐な上、役者が拙過ぎた。
空は衛星放送で目にした、昭和30年代の映画を思い出した。子役の演技が酷く、泣く場面では「えーんえんえん」と文字通りに声を上げる始末だ。
それでも良しとされた、おおらかな時代――――どうして中世レベルのトリステインで、役者の質を咎める事が出来るだろう。
空は退屈だった。正直に眠かったが、寝たらルイズが怒るだろう。
純真無垢な少女は大根役者どもの演技に、素直な感動を見せている。或いは驚き、或いは笑い、そしてぼろぼろと涙を流す。
講演時間は二時間。長い二時間になりそうだった。
その半ばを、空は睡魔と闘って過ごして。後の半分は?
気付くと、ルイズの頭が肩に乗った。どうやら、疲れてしまったらしい。相手が寝てしまえば、遠慮する必要も無い。
閉幕――――途中、寝てしまった割に、ルイズは満足した様だった。
学院までは、馬車を雇った。
帰り着いた時には、すっかり夜だった。二つの月に、五本の尖塔が影と浮かんでいた。
そう言えば、ギーシュは?元に戻ったのだろうか?
入り口で馬車を送り返し、正門を潜った時、悲鳴が聞こえた。
頭上――――本塔だ。
「きゃー!ギ、ギーシュ様!お止めになって!」
「ちょっと!何考えてんのよ、馬鹿!」
二人は本塔を見上げる。そこには、尖塔の屋根から、一歩踏み出そうとしている、少年の姿が有った。
「放してくれ!僕を死なせてくれぇっ!!」
ギーシュだ。どうやら、治ったらしい。だからと言って、当時の記憶が無くなりはしない。
女子寮塔に目を転じると、そこにはエアトレックを履いたキュルケとタバサが、見物と洒落込んでいる。
「あいつら、もう帰っとったんか」
「明日の夜はフリッグの舞踏会だもの」
ルイズも自殺志願の貴族には興味が無い様だった。
どうせ、飛び降りた所で、誰かがレビテーションで拾って終わりだろう。
「それにしても、あのエアトレック、て、あんたの車椅子から電気貰わないと、動かないんじゃなかったの?」
「コッパゲの奴、変圧器作る言うとったからな。電気自体は魔法で、て……出掛けとる間に完成し――――」
爆音がその言葉を断ち切った。
転倒しかけるルイズに、空は慌てて手を伸ばす。縦揺れの地震――――それも、学塔が崩壊しかねない震度の――――を疑い、すぐ様、その間違いに気付く。
月の前に、何かが割り込んだ。
ぶ厚い壁?――――いや柱?――――人型をしている事に気付くまで、数秒かかった。
全長30メイルにも及ぶ、巨大なゴーレム。
巨大な脚が、ゆっくりと上がった。
一歩――――車椅子が50サントばかり浮いた。声にならない悲鳴と共に、屋根の上の散歩者達は転落する。それは、エアトレックを履いている二人とて例外では無い。
一歩――――学院のあちこちから、悲鳴が聞こえる。物音が響く。
一歩――――大地が弾ける。土煙が怒濤と化して迫り来る。
間違いない。あのゴーレムは、自分達を狙っている。
「ルイズ!」
普通なら、肝を潰して動けない。いや、潰していなくても同様だ。
超重巨大なゴーレムの歩行は、それだけで局地的な地震を生み、足下を掬い上げる。
これでは魔法を唱える事もままならない。
空は飛んだ。ルイズの柳腰を抱き抱えて飛んだ。この男だけが、例外だった。
“風を掴む力”、そしてガンダールヴのルーンは玉璽の欠落を補うに足る。二つの力が重なる時、何も無い宙空に“道”が生まれる。
駆動輪が風に乗る。僅かな気圧差、気流の境目を捉える。“無限の風〈インフィニティ・エアード〉”。それは“風の王”にのみ見る事が出来る、王の為だけに用意された専用の道だ。
ゴーレムが巨大な拳を握り込む。まるで、迫り来る岩壁だ。
数千tの衝撃は、二人の影をすり抜けた。空は空中でラインを変えた。
空は風を足場にする。風の王は大地を必要としない。
ルイズは歓声上げた。初めて、“空”を飛んだ。
視界が重力と切り離されて、ぐるぐる回る。
空気が壁となって顔にぶち当たる。
その興奮が、夕食のワインと混じり合って、激しく胸を叩く。
大量に分泌される脳内麻薬が恐怖心を麻痺させる。
「今や!ぶちかませ、ルイズ!」
ルイズは十字の杖を握り締める。巨人に差し向けるのは、長経の先端。
「行くわよ!“爆風の道〈ブラスト・ロード〉”の“無限の空〈インフィニティ・アトモスフィア〉”――――」
ルイズは少しばかり酔っていて、少しばかり躁だった。
それでも、呪文を過たず詠唱し、得意の凝集爆発は過たず威力を発揮した。
閃光がゴーレムの巨大な腕を斬り飛ばし――――本塔を貫いた。
――――To be continued
77 :
虚無の王:2007/12/20(木) 23:20:19 ID:shi84khS
今回はここまでです。
御支援、どうもありがとうございましたー。
し、しえん!
威力が上がっとる!大惨事だ…
イベント展開さすがに速いなぁ……。
そしてフーケは流石にヤバイ状態になるなぁ……。
テロなら空の方が遥かに上だし。 とまれ、GJっしたー。
えーと、お久しぶりですw
もう忘れ去られてるかも知れませんが、一応生きています。
ということで10分後位にトーカします
待ってたぞおおおおおおおお支援
ハジお帰り支援
虚無の王はルイズがちょっとデレ気味でいいなと思いGJを送りつつBPZを支援
夜に船に乗る。
それ自体は特に問題はない。
ハジは風にその髪をなびかせながら、甲板の端から景色を見ていた。
”動物園”から離れた後、幾多の船に乗った。満天の星の下、海風に煽られながら蹲る様に寝ている小夜の風除けとなり、
毛布を直したこともある。
しかし、今乗っている船は、普通の船ではない。大きな帆を掲げて翼を持った船は大海の代わりに大空を、満天の星の
代わりに赤と青の月の下を滑る様に飛んでいる。
ふと、小夜がここにいたら、どんな反応をするだろうか? 埒もないことが脳裏をめぐる。
昔のサヤであれば、まず間違いなく、眼の奥に寂しさを滲ませながら静かに見つめていただろう。
今の小夜であれば……どうだろう? 驚いてくれるだろうか。それとも……。
あの後、カイがいてくれたから、彼女を支える人たちがいてくれたから、多分大丈夫だったのだろう。
短いながらも幸せに眠ったはず。そう信じたい。
……会いたい。小夜に会いたい。
ほとんど人気のない船の上で、寂寥感に苛まされてしまう自分がいた。
長い戦いを終え、責任を果たしたのに、なぜ今さら会えなくなってしまうのか?
己が身の不遇を感じてしまう。
確かに、召喚者の少女に罪はない、罪はないと分かっていても、なぜ私なのか? 問い詰めたくなる衝動に駆られるのも
事実だった。
しばらく身じろぎもせずに景色を見ていたハジは、心に溜まった澱を出す様に深くため息をついた。
肩に担いだチェロケースからチェロを取り出して、無心に弓を繰り出しはじめた。
静かで深い音色が物悲しい旋律を歌いあげ、それを耳にした船員達はふと故郷を思い出す。
ハジは目を瞑り、何もかも忘れたかのように弓を繰る。”動物園”でサヤから教わった始まりの旋律を。
―― BLOOD+ゼロ 13章――
あてがわれた船室のベッドの上で、両足を抱えて蹲るルイズはふと顔をあげた。
「あ……」
音楽が聞こえる。
独特の響きを持った静かで深い音色と物悲しい旋律。ハジが夜に中庭で時々弾いている曲だった。
その曲を聞くと、いつも胸が締め付けられるような気持ちになる。
ワルドに体を休めた方がいい。と言われ、わざわざ確保してもらった船室だったが、眠ることなどできなかった。
友人達を囮に使って、自分達だけで逃げ出し、半ば接収した形で強引に出港した船。
せっかくできた友人達の安否が気にかかり、焦燥と申し訳なさと後悔で心がいっぱいになってしまう。
そんな状況で気兼ねせずに寝れるような、ずぶとい神経はルイズにはなかった。
音を頼りに部屋を出てみると、甲板の方でチェロを奏でるハジの姿が見える。
ルイズはまるで炎に誘われる虫の如く、ふらふらとハジの方へ歩いて行った。
「心配ですか?」
近寄ったルイズが、なんと声をかけていいか分からずに立ちつくしていると、森の囁きのような静かな声がした。
気がつくと、弓を止めたハジが周りの闇よりさらに黒い瞳で見上げていた。
しばらく視線が交錯していたが、耐えきれなくなったルイズは視線を外して船縁に手をかける。
「……正直言うと、ちょっとね」
「彼等は大丈夫ですよ」
沈黙が続き、ハジが再び弦に弓を当てた時に、ただ茫然と雲海を見ていたルイズから憔悴しきった、か細い声が漏れ出た。
動きを止めたハジは、目を伏せていつもと変わらぬ口調で答える。
魔法と言う常識外の力のせいで、メイジという存在の戦力の基準が分からないハジは、ただの気休めを口に乗せることしか
出来なかった。
――いまだに感覚がつかめない。
幾度か魔法をその眼で見たが、信じられないほどの力を持っている場合がある。
ある意味、翼手並、いや、翼手を超えるの戦力を持っていると言っていい。その反面、力の実行に時間がかかるため、
一般人とさほど変わらないところもある。一対一の限定条件ではあるが、銃を手にしたカイであればメイジを制圧することも、
さほど難しくないだろう。
ロケット砲を持った一般人。そんな感覚が正しいのかもしれない。ロケットを発射する前に近寄って薙ぎ倒せば、
それほど脅威ではないが、いざそのロケットが発射された場合、どうなるか分からない。
そして、残してきたルイズの友人達はそれなりに強力と感じるのだが、戦闘のプロ達と比較するとどうなるのか?
襲撃者に彼等と同等の力を持った人間がいないことを祈るしかない。
「ありがと」
気休めかもしれないが、ハジが大丈夫と言ってくれたことで、ルイズは少し気が楽になった。
アンリエッタ王女に依頼された任務の重要性と、ぬくぬくと手厚い庇護のしたで育った自分にとっては、ナイフで
突き刺されているような厳しい現実を突き付けられ、思わず何かにすがってしまいそうになる。
そして、縋る相手は、フーケのゴーレムに襲われた時も、宿で襲撃された時もいつも冷静な態度を崩さない、己が使い魔
になってしまう。そんなことではいけないと思ってはいても……。
契約してから、ずっと静かに見守る様に接してくれるハジ。
でも、それはある意味ルイズとの関係に一線を引いているような気がしてならなかった。
いつでも居なくなってしまえるように。いつでも切り離せるように。
もともと、ハジは謎の多い”使い魔”。自分の過去を語ることは殆どないが、偶に見せる悲しげな眼差しをルイズは知っている。
とても悲しい眼差しを。
だからルイズはハジの過去の話を聞いたら、この関係が壊れてしまいそうで、ふっと居なくなってしまうような気がして、
怖くてとても聞けなかった。
でも、この日は心寂しかった。
近くに婚約者という立場の青年がいることも、つい先日プロポーズされたことも、その寂しさを紛らわすことは
できなかった。
ハジを召喚する前にワルドと再会していれば、また違った感覚だったかもしれないが、ルイズの心の拠り所としては、
未だに自分の使い魔の方が優先されていた。
また無意識で同類を探していたのかもしれない。共感することのできる同類を。
だから聞いてしまった。聞かなければよかったと後で後悔することを。
「ねえ、……ハジも、こんな経験したことあるの?」
「ええ」
「……そうなの」
「はい」
「……ハジのことを聞かせて。……だめ?」
船縁に手をついたまま、恐る恐る切り出したルイズは、今にも重圧に押しつぶされそうな、頼りない表情をしていた。
月明かりが甲板の二人を冷たく照らす中、その表情を横目に見たハジは、静かに溜息をついて手にしていたチェロを
ケースにしまう。
船の船体が軋む音、風石の効果で守られてはいるが、風が吹きつける音、そして、船員達の喚くような会話が遠くに聞こえる。
その中で沈黙に耐えきれなくなり、床にペタンと座ったルイズは、ふっと自分の体に大きな布を被せられたのに気がついた。
慌てて見上げると、無表情ながら心配そうな目のハジがいた。
ハジが自分の上着を掛けてくれていた。その行為にルイズは何故だか心の奥が温かくなったような気がした。
「……あまり、楽しい話ではありませんが」
少し離れた所にある錨用の太いロープの束に腰をおろした白いシャツ姿のハジが、チェロを肩にもたれ掛けさせながら、
記憶をたどる様に目を細める。
首の後ろで纏めたハジの長い髪が風になびき、やがて重い口を開いた。
「私は幼い頃、流れ者の子供として生活していました。決まった家もなく当てもなく。その日をどうやって過ごそうか、
いえ、その日をどうやって生き抜こうか、とだけ考えていました。
それこそ、道端で寝て地面に転がっている残飯を拾って食べていました」
「そんな……」
ハジから紡がれる言葉は、公爵家の令嬢として過ごしているルイズにとっては想像もできないような物語だった。
話に聞く最下層の民とさほど変わらない生活、そんな生活を目の前の優雅な使い魔がしていたなんて。
ルイズは一瞬聞き間違えたのかとさえ思った。
「そんな折に、たまたま主に、正確には主の養育者に買われ、友人兼従者として仕えることになったのです。
一切れのパンと引き換えに」
口を押さえたルイズの愕然とした表情に気がついたハジは、もう過去のことです。心配ありません。とルイズを安心させる
ように軽く微笑を浮かべる。
「それからしばらくは、ある意味平和でした。
食事の心配もありませんでしたし、主の友人として、従者としてふさわしい教育も受けれました。
ただ、その平和は長く続きませんでした。
自分達の不注意によって災厄を引き起こしてしまい、幾人もの人間が惨たらしく殺され、住んでいた屋敷は炎に崩れ落ちました」
「……」
「そして、生き残った主と私は自分達の過ちを正すことを誓い、長い旅に出たのです。それこそ、気が遠くなる程の」
家族も何もなく、奴隷のように買われ、そしてようやく得た一時の安らぎすら無くしてしまう。
自分がそんな境遇に陥ったらどうなるか? ルイズには何と言っていいか分からなかった。
ラ・ヴァリエールに戻れば、公爵家令嬢という名目と立場が自分を手厚く保護してくれる。
魔法が使えない落ちこぼれというレッテルが貼られるが、ただ、それだけ。反目する相手も多いが家族もいる。
自分さえ我慢すればルイズには逃げ帰れる場所がある。そして、ハジにはない。
ふっと目の前のハジが消えていなくなるのではないか? そんな恐怖感に駆られたルイズは、存在を確認するかのように
ハジの上着をギュッと握った。
「そ、その過ちは、正せたの……?」
「……ええ、それこそ何千人もの犠牲を払って、ようやく。
ですが、その重みに耐えきれなかった主は全てが終わった時に死を望んでいました。
災厄を引き起こし、幾多の犠牲を作り出した自分を殺せ。と。
……私に殺して欲しい……と」
目の前の透き通るような表情に、むき出しの心を鑢で削り取るような痛みを感じたルイズは、ハジにかける言葉を無くした。
自分の使い魔がどれほどの経験を積んでいるのか、どれほどの悲しみを、痛みを背負っているのか。
なぜ、ハジがいつも悲しい気配を漂わせているのか、ようやく分かった気がした。
抱きしめたかった。
そんな表情をしなくてもいい。帰る所がなかったら、ラ・ヴァリエールに居場所くらい作ってあげる。
ルイズの心はそう、叫んでいた。しかし、言葉には出せなかった。
狭量な、小さな世界の問題で悩んでいる自分にはそんな資格は無い。そんなことはとても言えないと、心のどこかが感じていた。
静かな時が流れる。
「しかし、主の兄に諭されて、思い留まりました」
微かに明るさを感じる口調のハジに、ルイズは微かに滲んだ涙を、誤魔化す様に顔を反らした。
「そ、そ、そう、よかったわね。……で、その主って人は今どうしてるの?」
「今は眠りについています。長い眠りに」
「え?」
「眠っているだけです。そのうち目覚めるでしょう」
「あ、なんだ、魔法かなんかで眠ってるの?」
「そんな所です。なので私は主が目覚める前に帰らなければなりません」
「……そう、じゃあ、早く帰らないとね」
「ええ」
一瞬、誤解して慌てたルイズだが、微かな苦笑を浮かべたハジの顔を見て、そして、帰ると明言したことで、唐突に悟った。
今、話してくれていることは、わたしの為なんだ。と。
わたしが悩んでいるから、わたしが頼りないから、自分の経験を語ってくれている。似たような境遇はどこにでも転がっている。
悩む必要はない、早く立ち直れ。と言外に言っている。
まじまじと見つめるルイズの視線をハジは漆黒の瞳で受け止めていた。
「ハジ」
「はい」
「ごめんなさい。私が召喚したばっかりに」
「いえ、不可抗力と聞いています。あなたのせいではありません」
「ありがと、絶対帰る方法を見つけるからね」
視線を外して、えいっと立ち上がったルイズは、ごしごしと乱暴に顔を拭うと、気合いを入れる様に両手で顔を叩いた。
ぱしんと乾いた音が響いた後、ルイズの瞳にはキュルケと口喧嘩している時のような光が戻り、芯のある口調に戻っていた。
よーしやるぞー! とハジの上着を弾き飛ばしながら、片手を天に突き上げるルイズを見て、ハジは微苦笑を浮かべていた。
「ハジはその人と会って幸せ?」
「ええ。小夜は私の全てです」
「……女の人なんだ……」
ふっと振り返って何気なく聞いたルイズの顔が、微妙に歪んで硬直した。
ルイズはなんとなく、主と言う言葉で自分の父のような貴族を連想していた。だが、ハジが口にした名前は明らかに女性名。
その事実に何故かショックを受けていた。
なぜ、ハジの口から女性の名を聞いて、自分がこんなにイライラするのか?
「ルイズ、こんな所に居たのか? ゆっくり眠らないと駄目だよ」
「ジャン」
「ほら、夜風は体に触るぞ」
「ありがとう、そうする」
自分の感情を整理することができず、まだら模様の心を抱えて立ちつくしていたルイズの背に、凛とした声が掛けられた。
振り返ると、帽子とマントを外し、警戒するように鋭い視線を辺りに巡らせるワルドがいた。
ルイズはその言葉に軽く頷くと、その場から逃げる様に立ち去った。
一瞬あっけにとられ、その姿を見送ったワルドが、床に落ちている上着を拾って袖を通しているハジに向き直った。
「ハジ、と言ったかね?」
「……ええ」
「ルイズは由緒正しいヴァリエール家の子女だ、君が使い魔と言うことは認めるが、不用意に立ち入ることはやめてもらいたい。
僕の婚約者でもあるしね。わかったかい?」
「……」
「じゃあ、よろしく頼むよ」
腕を組んで、苛立ったように踵を鳴らすワルドがハジを睨みつける。語尾や口調こそある程度の礼節を保っているが、
敵愾心をあらわにしていた。
さすがに王国屈指の魔法衛士隊の隊長に実力で昇りつめただけはあった。気の弱いゴロツキであれば、それだけで
逃げ出すような気配がワルドから放出される。
隊員達を震え上がらせる視線でハジをじろじろと見ていたが、ふんと踵を返して立ち去る。
残されたハジはゆっくりと思考を巡らせる。
港町への途中で、ワルドの雰囲気や自分を見る目に剣呑なものを感じた。同時にルイズを見る目に、何がしかの作為を感じていた。
しかし、予想通り現れた”ワルドに似た敵”を倒しても、港町で出会ったワルドは何の変化もなかった。
注意深く観察したが、ダメージを受けている訳でもなく、態度も変わらなかった。魔法の仕組みはいまだに分からないが、
分身を倒せば普通は本体もダメージを受けるのではないだろうか?
ただ、港町で再会したとき、ルイズとワルドの間の空気は確かに変わっていた。
先ほどもそうだが、自分に向けられている敵意が、個人的感情に基づくものであるならば、なんとなく理解もできる。
幼馴染の婚約者の傍に異性がいれば、それも、極めて近い場所にいれば自然とそうなるだろう。
ワルドに感じた懸念は取り越し苦労ではないか?
誰もいなくなった甲板で、ハジは軽くため息をついた。
§ § § § § § § § § § § § § § § § §
「あれがアルビオンよ」
「空を飛ぶ島ですか……」
「そう、浮遊大陸アルビオン。大きいでしょ」
ほぼ真横からの朝日が、舳先に立つルイズ達の影を長き引きのばす。驚いたような表情を浮かべたハジの横顔をみていた
ルイズだが、春の終わりとはいえ冷たい風に煽られ軽く身震いをした。
気がついたハジが動く前に、間に立っているワルドが自分のマントをルイズの肩にかけた。
ルイズの視線が一瞬だけハジを見た後、幾分強張った微笑みをワルドに向けた。
「ルイズ、アルビオンへの侵入なんだが」
「侵入? 港へ行くんじゃないの?」
「いや、港は反乱軍に押さえられてるだろうから、船をアルビオンの縁に近づけて、グリフォンで降りることにする。
強行突破になるかも知れない。気をつけてくれ」
ぎこちない主従関係に気が付いているのかいないのか、ワルドは真剣な表情でルイズの両肩をつかんだ。
戸惑ったルイズだったが、旅の途中でワルドから聞かされたアルビオンの情勢を考えれば、閉鎖されているはずの航路に従って
のこのこと港に行ったらどうなるか、ようやく想像がついた。
正直、アンリエッタ王女がワルドをつけてくれて助かった。つけてくれなかったら、ここまですんなりと踏破できないはず。
世界情勢も知識と伝聞でしか知らない自分だけでは、そこまで気が回らないし、ハジも護ってはくれるだろうけど、
地理に不案内なので、案内役はできない。
「わかったわ、でもハジはどうするの? いくらグリフォンが精強でもハジがいたら厳しいんじゃないの?」
「そうだな、その大荷物を持ってる以上厳しいな。彼には一旦船に残ってもらって、友人たちと合流してもらうのはどうだろう?」
「駄目! ハジは一緒に行くの!」
「ふむ」
ルイズの目から見てもワルドのグリフォンはさすがに立派。
でも、風竜ほど飛行が得意ではないし、ハジのチェロケースを担いで三人を乗せることはさすがに厳しい。
一度ケースを持ち上げようとしたが、ルイズの力ではビクともしなかった。試しにギーシュもやってみたが同じ結果だった。
無理だから残して行けというワルドの言葉に、服をボロボロにしてラ・ロシェールで再会したハジのイメージが重なり、
咄嗟に反対した。
とはいえ、打開策が見つからないルイズとワルドは、腕を組んで沈黙した。
「救命ボートで降りりゃいいんじゃねーかなぁ? 救命用の小舟に小型の風石乗っけた、まあ、それこそ一時凌ぎだが、
アルビオンに降りるくらいはできるぞ?」
「それよ、それだったら、私はハジと小舟に乗るわ」
救いの手は意外な所から差しのべられた。たまたま近くで作業をしていた船員が、悩んでる二人の会話を聞いていたのか、
ロープを担ぎながら口を挟んだ。
船員の、ぱぁっと顔をほころばせたルイズが、意気込んだ。
その言葉に苦い顔をしたワルドが、船員に聞かれないように顔をよせて、小さな声で叱咤した。
「ルイズ、君の任務はなんだ? 一刻も早く皇太子と会わないといけないんだろう?」
「でも」
「小舟で地理と情勢に不案内な彼と二人でどうするんだ。確かに使い魔と離れたくないのは分かる。だが王女殿下から賜った
任務をないがしろにしてはいけないよ。ルイズ。
それに使い魔と主人には一種の感応力がある。ラ・ロシェールにあんな短時間で彼がやってこれたのもその力だ、
彼一人だと、直ぐにルイズの元までたどり着くよ。
それに、僕は彼の力を評価している。魔法さえ使えれば魔法衛士隊にスカウトしたいところだよ」
「ほんと?」
「僕が嘘を言ったことがあるかい?」
「……分かったわ」
ワルドの意外な言葉に、ルイズは自分が認められた様な気がした。今までハジのことを評価してくれる人は殆どいなかった。
魔法衛士隊隊長という肩書の人間が、スカウトしたいとまで言うのだから、そうなのだろう。
再びハジと別れるのは、気が進まなかったが、ワルドの言うことは正しいと感じる。
そして、王女の任務。と言う言葉を聞き、ルイズは決断した。
ハジに、その方針を簡単に説明したが、異論もなかったのでワルドを案を取ることにした。
「まあ、確かにありますがね、わかってると思いますが救命用なんですよ。ま、只では貸せませんなぁ」
「何?」
「いや、いいんですぜ、俺っちは商人なんでさぁ、無償で提供することはできませんなぁ」
「くっ」
船長室と言う名目の小さな個室で、航路図を見ていた船長が、ワルドの言葉にゆっくりと顔をあげた。
にやにやと品のない強欲な笑い顔を見たルイズは、心の中でその顔を踏みにじっていた。
露骨に利益を求めようとするその態度に、開けた扉を力いっぱい閉めてしまおうかとも思った。
顔を真っ赤にしたルイズが爆発しそうになるのを、手で制止しながら、ワルドはそんな態度に苛立った表情すら見せなかった。
「分かった。いくらだ」
「二千エキューですな」
「それって、家が買えるわよっ? ふざけんじゃないわよ」
「いやなら、いいんですぜ?」
「なんですってぇ」
「ルイズ、落ち付いてくれ。わかった、その値で買おう」
「凛々しい名も知らぬ貴族様方。残念ながら証文を頂けませんと安心できませんなぁ」
接収に近いとは言え、船員達がいなければ船は動かせない。そして、その船員を束ねる船長を納得させることが重要だった。
まあ、魔法で黒焦げにして強引に言うことを聞かせることも出来なくはないが、トリステイン貴族としてそれはできなかった。
交渉を横で聞いていたルイズは法外な吹っ掛けに、切れた。
喚き立て始めるルイズを振り返って押さえたワルドが、あっさりと了承した。
「へぃ、まいどありぃ、じゃあ、用意させまっさぁ」
「ジャンッ!」
「いいんだ、ルイズ」
証書にサインをしたあと、勝ち誇ったような船長の声を聞きながら部屋を出た。納得できないルイズが食ってかかるが、
ワルドは笑うだけだった。
暖簾に腕押し状態でぷうっと頬を膨らませ、甲板で待機している己が使い魔に愚痴を言う気満々のルイズを、ワルドは
微笑ましそうに見下ろしていた。
§ § § § § § § § § § § § § § § § §
「そろそろだな。ぬぁ、しまった、ルイズ。僕の部屋に乗馬用の手袋を置いてきてしまったらしい。
すまないがとってきてくれないか?」
「ふふ、分かったわ」
「使い魔君は小舟に乗ってくれ、準備に時間がかかるらしい。手筈は分かってるかい?」
「ええ」
「下に降りたら、まっすぐにニューカッスルまで来てくれ」
「わかりました」
もう少しで大陸の端に差しかかる頃、甲板で様子を見ていたワルドが、あわてて体中を探り始めた。
なにしてるんだろう? と訝しげに見ていたルイズに、動きの止まったワルドが、申し訳なさそうな顔を向けた。
始めてみるワルドの表情と間の抜けた言葉にルイズは思わず噴き出した。
精悍なところしか見たことなかったルイズは、ある意味、間の抜けたワルドの言動に、このひとは意外とおっちょこちょい
なのかも? と人間味を感じる。随分遠い所に居る人だと思っていたが、なんだかぐっと近い存在になった感覚があった。
踵を返して船室の方に向かったルイズの後ろでは、ワルドがハジに船側に用意してある救命艇を指し示していた。
「一時方向、上方の雲中より、船が接近してきます! 」
「旗から見て、……貴族派の軍艦です! あ、また一隻増えました」
「ちぃっ、やっぱ、まっ正面からいきゃあ、こうなるわな」
「ハジッ! ジャンッ!」
ワルドの部屋に入った瞬間、簡易ベッドの上に置いてあった手袋を見つけたルイズは、ここまで目につく所に自分で置いていて
持ってくるのを忘れるワルドに隠れおっちょこちょいの称号を与えていた。
手袋を持って部屋を出た時、船に走る電撃のような緊張を感じ、あわてて甲板に駆け戻った。
手の空いた人間が全員進行方向、即ちアルビオン上空に浮かぶ黒い点に目をとられていた。
船員達の間に混じった船長が望遠鏡でのぞいていたかと思うと、見る間に表情が強張る。詮索はしない、聞いた事は忘れる。
そんな名目で請け負ったアルビオン行きだが、さすがに軍艦が出てくると恐怖心が先に立つ。
「ぬ、いかん。予想以上に早い! さすがにアルビオンの軍艦か。僕のグリフォンならいざ知らず、漂うだけの小舟では
すぐに追いつかれて撃ち落とされるだけだ、一刻も早く降りてくれ」
「僕達もすぐ降りる、ルイズ、グリフォンに!」
「わかったわ。 ハジ、すぐに追いついてきてよ?」
「はい」
「撃ってきやしたぁ」
ルイズが息を切らして甲板に辿り着いたとき、黒い点は見る間に大きくなっていた。
ワルドは緊迫した口調で矢継ぎ早に指示を飛ばし、ハジも頷いて船縁を飛び越えて、用意された救命艇に乗り込んだ。
「じゃあ、いくぞ。船長、後は頼んだ。頑張って逃げろよ」
ワルドの掛け声で、救命艇の綱が外され、ルイズとワルドを乗せたグリフォンが飛び立った。
アルビオンの縁に向けて、落ちていくと言っていい程の速度で救命艇が見る間に小さくなっていく。
そのうえに乗っていたハジの黒い姿も、点となり、そして雲にまぎれて見えなくなった。
グリフォンの背の上から、ルイズはずっとハジが消えていった雲を見つめていた。
昨日の夜の微妙な会話の後、ほとんどハジと会話をしておらず、そして、なんとなくよそよそしい態度を崩せなかった。
もう、わたしのことが嫌いになっちゃったのかな?
取り留めもないことを考えて、嫌な思いで一人悲しくなっていると、片手で手綱を持ち、杖を引きぬいたワルドが短く
呪文を唱える。
「じゃあ、せいぜい時間を稼いでくれたまえ」
「なっ!」
ルイズの訝しむ表情を余所に、冷たい視線を商船に向け冷淡に呟く。その直後、眼の端に映る船のマストが音をたてて弾け飛んだ。
遠目に見える船の上の船員達の動きが、一瞬硬直したかと思うと目まぐるしく動き始めた。
まるで錯乱したネズミのように。その様子を見ていると船の上の怒号がここまで聞こえてくるようだった。
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「ジャン! 何するのよっ!」
「何って、時間稼ぎしてもらったんだよ」
「それって的になれってことじゃない!! 酷いわ!!」
「……ルイズ、君は気がついていないかもしれないけど、僕達は戦争をしてるんだよ? そんな甘いことを言ってたら
殺されるよ?」
「でも、だからといって、何も知らない船を囮にすることないじゃない」
羽ばたくグリフォンから振り落とされないようにワルドを掴みながら、ルイズは肩越しに叫んだ。
必死に引っ張って真っ赤な顔で抗議するルイズを面白そうな目でワルドは見つめた。
ワルドの老成した目の奥で、ルイズの姿が昔の自分と重なる。何も知らない無垢な時代の自分と。
多分ルイズの感覚が正常で、自分の感覚が既におかしいのだろう。しかし、過去を振り返ってもなんの意味もないことを
ワルドは知っていた。もう、すでに自分は変質している。
「ルイズ、戦争って言うのはね、いかに敵の損害を増やして味方の損害を減らすか。これに尽きるんだ。
端的に言うとね、いかに効率よく味方を殺すか。なんだよ」
「ジ、ジャンッ!!」
「僕を非難するかい? でもそれが戦争の本質なんだよ。そして、僕は軍人だ、できる限り最善の方法とる」
「……」
腰をずらしながら振り返ったワルドが真剣な表情でルイズを見つめる。その視線に気押されたルイズが、な、なによ、と
口の中で小さくつぶやいた。目の前の少女のふくれた顔を見て、ゆっくりと目を伏せたワルドは、疲れ切ったような老人の
ような声で揶揄するように語る。その言葉がルイズの耳に入った時、ルイズは目を向いた。
ワルドの考え方はルイズには想像できない感覚だった。そして、目の前のワルドが突然、何か別のものに化けた様な錯覚に
陥ってしまう。
それほど今のルイズにワルドの考え方は異質に感じられた。
「そもそも、今回のルイズと僕に与えられた任務ってなんだい?」
「えっ、それはトリステインとゲルマニアの同盟の……」
「そう、同盟の障害を取り除くためだね。だけど、こう考えたらどうなる?
ゲルマニアと同盟できずにアルビオンと正面衝突した場合、味方の損害がどれほどになるか分からない。だったら僕と
ルイズを効果的に殺すことで、ゲルマニアと同盟できれば、アルビオンとて手が出せない。成功すれば損害なし、
失敗しても味方の損害はたった二人だ」
「そ、そんな……」
ワルドは矛盾に満ちた言葉を自虐的に繰り出して、ルイズの反応を楽しんでいた。
まるで自虐しているかのように、断罪してくれることを望んでいるように。
誰かに止めてもらいたいようなワルドの言葉は、残念ながら年若く経験の少ないルイズは届かなかった。
ルイズは知らない。トリステインの魔法衛士隊の隊長と言う立場につくにはどれほどの戦功が必要だったのか。
家柄も芳しくなく庇護もない下級貴族のワルドが、栄えある役職に就くことがどれほど難しいことなのか。
自分の魔法を磨き、生き残るための術を磨き、そして戦果をあげるために、どれほど無茶をしてきたか。
その過程でワルドは変質してきたのかもしれない。
飢えた狼と優雅なペルシャ猫では所詮生き方は異なる。
ワルドは改めて感じていた。そして、それでも飢えた狼はペルシャ猫が必要だった。母屋を乗っ取るために。
「ルイズ、僕のルイズ、戦争とはそんなものだよ。だけど、僕達はむざむざ殺されに行くわけじゃない。そうだね」
「そ、そうよっ、ちゃんと任務を果たして、帰るわ」
「その意気だ、そうすれば誰も死ななくていい。僕もそうしたい」
「ええ、そうよ」
「じゃあ、早く行こう、僕達が早く行けば、この船も助かる。ただの臨検で終わるさ」
ワルドが気分を変える様に、明るく言った言葉尻に、このまま会話していれば、決定的な亀裂がはいるんじゃやないか?と
危惧していたルイズも乗った。確かに、ルイズには納得できないことが大半だった。ただ、唯一ワルドと一致するのは
王女の任務を成功させること。旅の目的が一致すればいいんじゃない? と無理やり納得させる。
会話している間は羽ばたきを抑えゆっくりと飛んでいたグリフォンが、これから一気に加速するぞと、大きく羽を広げる。
「えっ!?」
「後ろは振り返るな!!
振り返っちゃ駄目なんだよ。ルイズ
僕達は振りかえれないんだよ」
その直後、ルイズの背中に轟音が響き、赤く燃え上がった炎の気配がした。嫌な予感がして振り返ろうとしたルイズだが、
激しく羽ばたくグリフォンの動きでワルドにしがみ付くことしかできなかった。とても振りかえれない。
背中に少女の温もりを感じたワルドは、ルイズにではなく自分に言い聞かせる様に呟いた。その呟きには感情と言うものが
一切込められてなかった。そして、アルビオンの大地を見つめるその眼にも。
今回はここまでですー
ううむ、ほとんど会話で終わったような気がしますー
それでは、また
ワルド……器が小さい上にド外道だぜ
GJでしたー
随分と間が開いてしまいましたが、ゼロの花嫁5分後に投下します
今回より、私もトリをつけてみようと思います
しかしワルド2千エキューは踏み倒す気まんまんだったなw
GJ
そして支援だ!
支援
モンモランシーは最近とみに不機嫌であった。
「ルイズ! 今日こそは君と決着を着けてやる!」
ここ最近の定例行事となったギーシュの雄たけび。
ルイズはギーシュの姿を見た瞬間には、既に部屋の窓から飛び出している。凄まじい反応速度だ。
2Fぐらいの高さは最早ルイズにとって障害でもなんでもないらしかった。
「逃がすものか! 今日という今日は追い詰めてみせる!」
同じく2Fの窓から飛び降りるギーシュ。
残されたキュルケ、タバサ、燦の三人は手なんか振って暢気に見送っている。
こんな感じでギーシュがひたすらルイズに構ってばかりいるからだ。
時々二人きりになっても、話題はルイズの事ばかり。
どうルイズを追い詰めるか、ゴーレムの運用方法等なのだが、何かとルイズルイズ言うギーシュはとても気に入らない。
そして、遂に彼女は一線を越える。
法で禁じられている惚れ薬の作成に手を出したのだ。
嫉妬心に支えられ完成したそれを手に、モンモランシーは何処からどう見ても悪人面にしか見えない顔で笑った。
夜半の中庭、そこにギーシュを呼び出したモンモランシーは、二人で星空を眺めながら夜のデートと洒落込んでいた。
二人分の果実ジュースをテーブルに置き、向かい合って椅子に腰掛ける。
既にブツは仕込み済みだ。
いざ実行してみると、とんでもなく緊張する。
今まで露ほども感じなかった罪悪感も首をもたげてくる。
「こうして二人っきりでゆっくりするのも久しぶりだねモンモランシー」
「そ、そうね」
つい口数も少なくなる。
ギーシュはそれを気にしてモンモランシーの顔を下から覗き込む。
「どうしたんだいモンモランシー。悩み事があるんなら僕に話してごらんよ」
(あんたの事で悩んでるなんて、そんな事言えるわけないでしょ!)
頭の中で毒づきながら、ふんとそっぽを向き、自分の分のジュースに口をつける。
ギーシュはご機嫌斜めのモンモランシーに肩をすくめながら、同じようにジュースを手に取る。
モンモランシーの喉が鳴る。後少しだ。後少しで事は成る。
「あれ? こんな夜更けに二人してどないしたん?」
思わず椅子からずり落ちそうになったモンモランシーに代わって、ギーシュが返事をする。
「やあサン。良い夜だね」
声をかけてきたのは燦だ。
何やら肩で息をしながらテーブルの側まで走りよってくる。
「こんばんわ。そうじゃね、星もよう見えるし月も綺麗じゃ」
燦はあの決闘騒ぎの後、きちんと謝罪したギーシュをもう怒っていなかった。
そして、酒盛りでルイズとキュルケが引っくり返った時に色々手助けしてくれたモンモランシーも同じだ。
現在クラスの人間で燦がこうして話を出来るのは、いつもの三人とこの二人だけなのだ。
ギーシュも、ルイズの使い魔ではあるが、燦に対して何かをしようというつもりはない。
むしろこうして話すと人柄の良さがわかり、機会がある時は喜んで燦と話す。
それはモンモランシーも同じなのだが、何せタイミングが悪い。
さっさとどっか行けと心の中で毒づきながら、適当に話をあわせる。
「ミス・サンはこんな夜更けにどうしたんだい?」
「私うっかり今日の分のランニングしてなかったんよ。じゃから、こんな時間だけどやっとこって」
ギーシュはすっとグラスに手をつける。
「そうかい。じゃあ喉が渇いたろ、これでもどうぞ」
とても気配り上手なギーシュさん。
「ええの? ありがとう! 汗掻いちゃってちょうど飲み物欲しかったんよ!」
(はいはい、それ飲んだらさっさと行ちゃってよね。全く、こっちは取り込み中なんだから空気読みなさいよ)
そこでようやく気付いた。
「え?」
ギーシュは、既にグラスを燦に渡している。そう、媚薬入りのジュースが入ったグラスを。
(嘘っ!? 何よこの展開!?)
冷静に考えなければならない、今急にグラスを取り上げるのは不自然。
そうだ、代わりに自分のものを勧めれば。ギーシュのは酸っぱい系果実、私の甘い系の方がより燦に向いてるし、それなら自然に渡せる。
だが、自分の分は既に飲み終わっていた。
(ノーーーーォォウ!! しかしまだ手はあるわ!)
そうよ、今から燦に声をかけて新しいの持ってくるから、人の物飲むなんてみっともない事しないでと言えばいい。
これなら自然っ! 誰にも怪しまれる事なくギーシュに再度グラスを戻す事が出来るっ!
値千金ッ! 大逆転の一手! 諦めなければ……こんな逆転劇があるっ……
「ぷはー、おいしかった。ありがとなギーシュさん」
無かった。
逆転劇も何も既に燦は飲んでしまった後な訳で。
「えー! ちょ、ちょっとサン!」
大慌てのモンモランシーを他所にグラスをギーシュに返す燦。そんな燦に微笑み返すギーシュ。
その時、燦の脳内に電撃が走る。
(な、なんじゃろ……なんか……ギーシュさんが……)
グラスを渡した後も見つめてくる燦に、ギーシュは怪訝そうな顔をする。
「どうしたの?」
(めっちゃ漢前になっとるーーーーーー!!)
「え、えっと……ギーシュさんは……その……」
燦の変化にギーシュは気付かない。
「ん?」
「や、ヤクザの娘とか嫌いじゃろか?」
燦は直球しか投げられないらしい。
ギーシュは少し考えた後、笑って答えた。
「親云々より、その娘がどれだけ魅力的かが問題なんじゃないかな? 美しい花を愛でるのにその出自を問うのは無粋というものだよ」
ギーシュの言葉に燦はにぱーっと花が咲いたような笑顔になる。
「そ、そっか。じゃったら……うん、良かった」
それだけ言うと燦は部屋へと戻っていく。何やらスキップしはじめそうなぐらい上機嫌だ。
「また明日なギーシュさん」
「ああ、お休みサン」
残されたのは、呆然と事態の推移を見つめるモンモランシーと、全くそれを理解していないギーシュの二人だけであった。
翌朝、ルイズが目を覚ますと既に燦はベッドには居なかった。
特に何に困るでもなし、何時もどおり朝の支度をして寝ぼけ眼のまま食堂へと向かう。
ルイズは燦に小間使いじみた事をほとんどやらせていなかった。
その代わり、毎日体を動かす事と、しっかり勉強をする事を課している。
文字も読めないでは、この先苦労するだろうとそこから学ばせているのだ。
手間のかかる事は、最近仲良くなったシエスタに頼んでいるので不便は全く無かった。
食堂の入り口で並んでつっ立っているキュルケとタバサを見つけた。
「おはよー。どうしたのよ、入らないの?」
ルイズの声に振り返ったキュルケは、とても深刻そうな顔をしていた。
「……見て」
言われるままにひょいっと脇から食堂を覗いてみるルイズ。
そこには予想もしない光景があった。
燦が、ギーシュの朝食の給仕をしている。
ギーシュの食事は何故か他の人の物とは異なっており、それを一皿一皿づつ燦がギーシュに出してやっているのだ。
「何事?」
キュルケに問うが、キュルケも当惑したままだ。
「知らないわよ。でもね、ほら、見てあの燦の表情」
ギーシュが何かを言う度に、とても幸せそうな顔になる。
時々頬を赤らめて目線を逸らしたりはするが、概ね燦はギーシュから視線を離そうとはしていない。
全く意味がわからないが、このままここに居ても仕方が無い。
三人はギーシュ達の側へと向かった。
「ギーシュ、これ一体何事?」
開口一番そんな事を訊ねるルイズ。
ギーシュはだらしなくゆるみきった顔でルイズに答えた。
「いや〜、サンが朝食を作ってくれたって言うからさ。おいしいね彼女の料理は」
燦はギーシュの言葉に、嬉しそうに手を叩く。
「ホンマ? ありがとう。私ルイズちゃんに料理作ってあげよ思ってシエスタちゃんにこっちの料理教えてもらってたんよ」
そんな燦の手料理、未だルイズは食べた事が無い。
「今度ルイズちゃん達にも作ったげるな。味はシエスタちゃん仕込じゃから安心してええで」
キュルケはあからさまに不審そうな顔になる。
「なんでサンがギーシュの料理とか作ってるのよ」
気持ち俯いて照れた顔をする燦。
「そ、それは……えっと、わ、私が作ってあげたかったんよ」
そんな言葉、キュルケは欠片も信用していない。
「サン、ギーシュに何か弱み握られてるんなら素直に言いなさい。私がギーシュの顔、二度と人前に出られないようにしてやるから」
慌てて両手を振る燦。
「そ、そんなんちゃう。ギーシュさんはいきなり私が料理作った言うても快く食べてくれたんよ。ホンマええ人じゃ」
食事はほぼ終わっていたのでギーシュは席を立ち、キュルケ、タバサも釈然としないながらも朝食を取る。
ルイズは燦の手料理をギーシュに先に食われた事がよっぽどショックだったのか、二人が食事を終えるまで、灰になって立ち尽くしていた。
そして授業の時間。
休憩が入る度に燦はギーシュの元へ行き、二人での会話を楽しんでいる。
燦は、今まで見た事が無いぐらいにはしゃいで、そして幸せそうに笑っていた。
キュルケは胸の辺りを押さえながら、隣に座るタバサに泣き言を漏らす。
「ごめん、あれ、何とかならない? もう、何ていうか……胃に来るわ。見てるだけで私、こう、切なさで死ねそう……」
「……」
タバサは燦のそんな様をじっと見ている。
そして、一つ結論づけた事がある。
「サンは自発的にああしている。ギーシュに文句を言うのは筋違い」
タバサの言葉がルイズ、キュルケの胸に突き刺さる。
ちなみにルイズは、ちらっと横目で二人を見て、すぐに見ていられなくなって顔を伏せるを延々飽きもせず繰り返している。
問題の打開策を求めて昼食時に燦を含めた四人が集まったが、燦が嬉々としてギーシュの話をしてくる為、ルイズとキュルケが更に心労を積み重ねただけであった。
夜、キュルケの部屋にルイズ、キュルケ、タバサの三人が集まる。
対策会議の委員長はキュルケだ。
ルイズはたった一日の事で憔悴し使い物にならなくなっている。
委員長キュルケは静かに話し始める。
「私の経験から言わせてもらうと、燦のアレはとある状態に酷似しているわ」
タバサは頷き、ルイズは何も聞こえていないようでほけーっとしている。
「正直、口にするのもおぞましい、考えるだけで気分の悪くなる事態だけど……ああっ、ありえないわ。ごめんなさい、やっぱり私の言った事は忘れて」
よっぽどギーシュの男性としての魅力に疑問があるのだろう。
どうにも話が進みそうにないので、タバサが既に出ている結論を述べてやる。
「サンはギーシュの事が好き」
がたんっ!
側にあったテーブルごとその場にくず折れるキュルケ。
同じく椅子から滑り落ちてその拍子に椅子をひっくり返したルイズ。
キュルケは首を何度も横に振る。
「お、落ち着きましょう。そもそも、そんな事ありえないんだから、そういう仮定の話したって仕方がな、ないじゃない」
ため息をつくタバサ。
「ギーシュは見た目は良い。女の子にも優しい。好かれる要素は充分ある」
ばんっ!
ルイズは側にひっくり返っていたテーブルを全力でひっぱたく。
「〜〜っっっ!!!!!」
激怒寸前でありながら今にも泣き出しそうな複雑な顔でタバサを睨むルイズ。
そんな視線をしれっと受け流してタバサは続ける。
「それがサンの意思なら、尊重してあげるのが良い。邪魔をしたら本気で嫌われる」
嫌われる、の所で体が平衡感覚を失ったようによろけるルイズ。
既に床に突っ伏しているキュルケは、消え入りそうな声で言った。
「……お願いタバサ、もうちょっと優しく言って……身が持たないわ……」
結局実の有る解決策は見出せず、忍の一字という事で話はまとまった。
しかし、ルイズに安息の時間はない。
自室のベッドにて二人で寝る時、ギーシュの事を飽きもせず何度も話す燦という、とても心苦しいものの相手をしなければならなかったのだから。
翌日も全く同じ一日になった。
いつもはギーシュがルイズにつっかかってくるのだが、ギーシュは燦との会話が楽しいようで、結局一回もケンカを売ってこなかった。
耐え難きを耐える二人を、タバサは何を考えてるんだかよくわからない無表情で見つめていた。
「……保って後一日」
ぼそっと呟いて席を立ち、教室を後にするとその日一日タバサは教室には戻らなかった。
コルベールはオールドオスマンに呼ばれて出頭する。
内容は決闘騒ぎの事後処理報告である。
この件は全てコルベールが引き受ける事になっており、一件一件細かくそれらの報告を済ませる。
コルベールはこれらを一人で全部処理しているため、最近は研究に割く時間がまるで取れていない。
燦の紋章も調べたいのだが、どうにもそれどころではないのだ。
険しい顔で全てを聞き終えたオールドオスマンはコルベールに問う。
「で、その後問題児共は静かにしておるか?」
これは、ルイズ、キュルケ、タバサ、燦の四人の事である。
事件を調べた結果、決闘騒ぎ前後にも問題行動を起こしている要注意人物と判明したのだ。
コルベールは冷汗を隠しながら答える。
「はい、元気は元気ですが、あくまで学園の秩序に乗っ取った形で、です。時々模擬戦闘のような事もしておりますが、彼女達の技術ならば問題は無いかと」
「そうか」
それだけ言うと、もう報告する事も無くなったのでコルベールは退室する。
ミス・ロングビルがオールドオスマンの為にお茶を入れる。
オールドオスマンは頬杖をつきながらぼやいた。
「どうも薬が効きすぎたようじゃの。生徒達だけでなく教師陣までまともにワシに意見せんようになってしもうた」
ミス・ロングビルは苦笑する。
「あの怒りようを見せられれば誰でもそうなります。それを狙ってらっしゃったのでは?」
「そうなんじゃがのう、この状態じゃと問題が起こった時、ワシまで話が来ないよう連中全力を尽くすようになるじゃろ? それはそれでマズイ事態ではあるしのう」
お茶の入ったティーカップをオールドオスマンの前に置く。
「あんなに怒ったご自身の責かと」
支援
しかめっ面になるオールドオスマン。
「半分は演技じゃ。そのぐらい見抜かんかい」
窓の外を眺めるミス・ロングビル。
「ミスタ・コルベールはどうやら見抜いているようですわよ。アレを指して模擬戦とは、良くもまあいけしゃあしゃあと言えたものです」
彼女の眼下では、ギーシュ操るゴーレムが槍やら剣やら振り回しながらルイズを追っかけている。
「ふん、奴のは追い詰められて誤魔化すしか手が無いからそうしてるだけじゃよ。内心心臓が引っくり返りそうになっとるじゃろ」
口元に手を当てて楽しそうに笑うミス・ロングビル。
「それが分っていながら、わざわざここで話題に出して虐めるオールドオスマンも大概だと思いますが」
オールドオスマンはいたずらっ子のように口の端を上げる。
「奴には今後もあの跳ねっ返り共の面倒を見てもらわねばならんからの。今の内から鍛えられるだけ鍛えておかんとな」
二人は顔を見合わせて笑う。
ミス・ロングビルにとっては、この決闘事件は非常に幸運な出来事であった。
何せオールドオスマンが『おっかない』キャラクターを作るのに苦心している為、いつものセクハラが出来なくなってしまったのだから。
燦がギーシュに付きっ切りになって三日目。
その日の授業も昨日、一昨日と同様の展開をみせたが、昼休みにルイズがぼそぼそっと燦に頼みごとをしていた。
それを聞いた燦は快くルイズの頼みごとを引き受ける。
ギーシュに手を振って教室を出る燦。
それを見て、ギーシュも今日はお話は無しと見たのか両手を振って席を立つ。
「よし! しばらくご無沙汰だったが、今日こそはルイズ、君を倒してみせる!」
杖をルイズに向けてかざすギーシュ。
ルイズは、薄ら笑いを浮かべる。
「そう……その言葉……待ってたわ」
机の下に置いてあった物を取り出しながら立ち上がる。
その手にはデルフリンガー。鯉口を切ると、きんっと響く良い音がする。
「決闘なら、事故よね」
すらーっと剣を抜きながら一歩一歩、ゆっくりとギーシュへと歩み寄っていく。
「そう事故よ、どんなに惨たらしい死に方をしたとしても。そうよねギーシュ」
「よう娘っ子。今日は相棒じゃねえのか?」
デルフリンガーの言葉は無視。というより、本気で聞こえていないのかもしれない。
いつもとは逆の展開。
ギーシュはルイズのどろっと濁っていながら、強烈に鈍い輝きを放つその目に釘付けになる。
「あー、えっと……ルイズ?」
ルイズのここ数日のストレスを、ギーシュはまるで感じ取っていなかったようだ。
しかし、そこから放たれる狂的な殺気には、後ずさりを禁じえない。
とん、と誰かにぶつかる。
振り返ったそこには巨大な胸。キュルケがそこに立っていた。
「ねえ、私考えたの。鉄の箱の上と横に穴空けてそこにギーシュを入れるのよ」
「き、キュルケ?」
「それでね、横の穴から首だけ出して、上の穴から煙出すのよ。そうすれば、きっと業火に焼かれて悶え苦しむギーシュの顔を最期まで見ていられるわ」
ふと気が付く。
教室に居た他の生徒の姿が見えない。
入り口の所では、モンモランシーが避難誘導していた。
「モンモランシー! 僕を見捨てるのかい!?」
モンモランシーは親指を自分の首に当てて真横に引いて見せ、最後に親指を下に向ける。
死ね、という事らしい。
前からは一歩、また一歩とルイズが近づいてくる。
( 僕 も し か し て 生 命 の 危 機 で す か ? )
ルイズが目の前に来たら終わりだ。ギーシュは突然真横に向かって飛び、教室の入り口に向かって駆け出した。
「逃がすとでも思ってるの!?」
そこにキュルケの魔法が炸裂する。
ギーシュの背後に爆炎が迫るも、ルイズとの勝負でやたら鍛えられた脚力で振り切って教室のドアを閉める。
ドアにかかる巨大な負荷と、ガラスを震わす程の轟音、教室の中がどんなになっているのかなんて想像したくもなかった。
すぐにドアの前を離れて廊下を疾走する。
直後、教室のドアがぶち抜かれた。
まだ教室内を暴れまわっていた炎が入り口から噴出す。
その中心から、炎を突き抜けてルイズが飛び出してきた。
「ギイィィィシュゥゥゥゥ!!」
ギーシュは確信する。ルイズはあの時と同じだ。
決闘の時と同じように、自らの負傷の事などその思考から完全に除外されている。
でなくては、キュルケの炎に飛び込んでまでギーシュを追うなんて真似が出来るものか。
そして、今回は最初からギーシュを殺る気で武器を手にしている。
もちろんギーシュもルイズと決着を付けるつもりであったから望む所ではある。
あの時のルイズを打倒すべく準備もしている。
だが、その、なんというか。
この殺気は明らかに想定外である。しかもルイズはどうも決着云々ではない部分に重きを置いている模様。
ギーシュは、全身の細胞がそう主張するように、逃げる事に全力を注ぐ事にした。
ルイズとの連日に渡る追いかけっこにより、ギーシュの足は格段に速くなっていた。
走りながら魔法を唱える、走りながらゴーレムを操る、そんな同時行動を苦も無く出来るようになっていた。
だが、ルイズは更にその上を行っていた。
そもそもギーシュのゴーレム複数体を同時に相手し、あしらい続けてきているのだ。
単純な身体能力だけならば、ギーシュがルイズに敵うはずがない。
徐々に縮まる差、魔法を使う余裕も無い。そんな事をしては一瞬で差を詰められる。
背後の床から何か重い物を落としたような音が聞こえた。
ギーシュは何かを考えるより先に大きく前に飛び込む。
背後を重量の有る何かが通り過ぎていく。
ギーシュの読み通り、さっきの音はルイズが大きく踏み込んで一気に距離を詰めた音、そしてその後すぐ、袈裟に剣を振るったのだ。
床を転がってルイズに相対する。
ここまで近接されては背後を見せるわけにはいかない。
ルイズは既に第二撃を放つべく、真後ろまで大きく剣を振りかぶっていた。
予備動作が大きすぎる、ルイズの体格で扱うにはデルフリンガーは大きすぎるのだ。
そう読んだギーシュだったが、ルイズは、ただ単に、少しでも強く剣をギーシュに叩きつけてやりたかっただけなのだ。
風を切る音と共に物凄い勢いで真横から振り抜かれるデルフリンガー。
大慌てで大きく後ろに跳ぶギーシュ。
ルイズは、振りぬいた勢いそのままに一回転しながら前進、今度は更にその速度を上げてギーシュへと斬りかかる。
ギーシュは後ろに下がるしか逃げ道が無い。それでも剣の軌道をきっちり見定め無い事には体の何処かがもっていかれてしまうだろう。
既に相当な勢いがついていたデルフリンガーであったが、次にルイズはそれを体を落として全身の体重を使って強引に押さえてギーシュの正面で剣をとめる。
まっすぐに、最もかわしにくい胴中央に向けてデルフリンガー突き出す。
身をよじって必死の形相でこれをかわすギーシュ。剣はギーシュの右脇腹をかすめて後ろへと抜ける。
そこに、ルイズは更に一歩踏み込んで、ギーシュの顎に頭突きをくれてやった。
後ろに下がりながら避けていたので、その一撃で完全にバランスを崩して真後ろへと倒れるギーシュ。
その頭が、背後の壁にぶつかる。
そう、そこは既に行き止まりであった。
痛む頭を押さえながら立ち上がろうとしたギーシュの喉元に、ルイズの突き出したデルフリンガーの刃先が輝いていた。
「ねえギーシュ、貴方タフよね。両手両足斬りおとしても平気なぐらいタフであってよね。その後で……」
クスクスクスと笑うルイズ。
「下の方からこのデルフリンガーで削り取っていってあげるわ。何処まで、人って死なないのかしらね」
冷汗が全身から噴出すのがわかる。
支援
元々そんなに冗談の通じるような相手ではなかったが、今のルイズは噂どおりの魔王配下、不死のルイズそのものだ。
冗談どころか人間の常識すら通じない相手になってしまっている。
下手な言葉は言えない、それをきっかけにルイズは激発してギーシュに斬りかかってくる。
ギーシュは慎重に言葉を選んだ。
「あ、サンだ」
「え?」
ルイズは見てて感心するほどの速度で、デルフリンガーを隠しながらギーシュの見ていた後方を振り返る。
「かかったなルイズ! とーう!」
ギーシュはその隙に廊下の窓ガラスをぶち破って外へと飛び出した。
そこは3F、笑えない高さだが、ギーシュはすぐにゴーレムを召喚する。
「ゴーレムラダー! セッターップ!!」
呼び出されたゴーレムは組体操の様にそれぞれを支えあって階段を作り出す。
その上をギーシュは一気に駆け下り、外へと逃げ出した。
ゴーレムラダーは既にギーシュの操作により崩されている。
ルイズはその視線だけで人の二、三人殺せそうな勢いでギーシュを睨みながら、窓の外へと飛び降りた。
学園の壁面は、ただまっすぐ変化無く建てられているのではない。
強度の問題から、各階の床に当たる場所が別の素材になっており、その部分は僅かに壁面から飛び出しているのだ。
ルイズは、飛び降りながらそこに片足だけを乗せ、落下速度を減速させる。
タイミングよくその足を外し、また次の階も同じ事をして落下速度を抑え、地面へと着地する。
とんでもないバランス感覚である。
そんなアクロバットじみた真似をあっさりと成功させたルイズは、即座にギーシュ追跡に向かった。
何とかルイズを振り切ったギーシュは、マリコルヌに匿われて普段使われていない教室に隠れていた。
小太りの同級生である彼は、暢気な口調でギーシュに言う。
「何かさ、いっつもギーシュばっかモテてるよな。僕も女の子に追いかけられるなんて一度ぐらい経験してみたいよ」
うんざりした顔のギーシュ。
「冗談じゃない。今のルイズはもう女の子っていうより、モンスターだよ。キュルケも魔王モードだし、なんだってこんな事に……」
頭を抱えるギーシュだったが、マリコルヌからすれば贅沢な悩みにしか見えない。
「あんな可愛いモンスターならこっちから頼んででも追いかけられたいもんだね〜」
やたらつっかかるマリコルヌにギーシュは怪訝そうな顔をする。
「可愛い? ルイズが? ……マリコルヌ、君まさか……」
驚き慌てて否定するマリコルヌ。
「そ、そういう意味じゃないよ! あくまで一般的な話さ! 大体ギーシュだって前にルイズのルックスは良いって言ってたじゃないか!」
言った記憶は無いが、まああまり追求する気も無い。
それに、多分マリコルヌもアレを見れば少しは見方も変わるだろうと思ったので、反論はしなかった。
そう、アレだ。
窓の外に見える、徐々に大きくなってきているアレ。
ガッシャーン!!
窓ガラスをぶち破ってルイズが教室へと飛び込んで来る。
屋上からロープを垂らして降りてきたらしい。
窓の上まで降りた所で思い切り壁を蹴飛ばし、反動をつけて窓ガラスをぶち破って教室へと突入。
もうルイズに魔法なんて必要無いんじゃないのかと思えてくる。
ガラスをぶち破った所でタイミング良くロープから手を離す。
反動を付けた勢いは大したもので、そのまま空中で半回転しながら、教室の中ほどに居たギーシュの眼前までルイズは飛んできていた。
「このっ! 届けええぇぇぇぇ!!」
届いたら終わりだ。そんな絶叫には従えない。
空中で振るわれたデルフリンガーをまさに間一髪どころか、前髪を数本持っていかれながらも仰け反ってかわす。
それをしなければ、間違いなく顔面を真横からヤられていた。
斬り付ける所までは完璧であったルイズだが、どうやら着地まで配慮していなかったようである。
教室の中程まであっという間に飛び込める勢いそのままに、机やら椅子やらを巻き込みながら壁面まで転がってそこに叩きつけられる。
とても人がぶつかったとは思えない音がした。
必死の一撃を何とかかわしたギーシュは安堵のあまりしゃがみ込みそうになるが、そんな暇など無い事に気付く。
引っくり返った机やら椅子やらの下に埋もれていたルイズが、それらを跳ね除けながら立ち上がったのだ。
「……目測誤ったわね。次は、もうちょっと考えないと……」
額から滴る血の筋が、ルイズの頬を伝って顎から落ちる。
マントやら衣服の数箇所が大きく裂けており、そこにも赤黒い何かが見える。
ギーシュは恐る恐る口を開く。
「る、ルイズ。医務室行った方が……」
刺し貫くようなルイズの視線に、それ以上いえなくなるギーシュ。
「私のサン、大切な私のサンにちょっかいかけといて、生きて帰れるなんて思ってないわよねギーシュ」
剣を持ったまま肩に背負い、明らかに重傷に見える体ながら確かな歩調でギーシュへと歩み寄る。
「思ってないわよねええぇぇぇぇぇ!!」
雄たけびと共にルイズが斬りかかろうとしたその時、空き教室のドアが開かれた。
「ルイズちゃん! ギーシュさん!」
教室に入るなりそう叫んだ燦は、その惨状を見て絶句する。
割れた窓ガラス、乱雑に撒き散らされた机と椅子、丸くなってがたがた震える衣服を着た肉の塊、引きつった顔のギーシュに、満身創痍のルイズ。
「ど、どないしたんルイズちゃん!」
すぐにルイズに駆け寄りその体を確認する。
酷い有様だ、裂傷に打ち身打撲、そしてそこかしこに酷い火傷の痕が残っている。
ルイズは今までの怒りが嘘のように穏やかに言う。
「大丈夫よこの程度。いいからサンは部屋に戻ってなさい」
「そんなわけにはいかん! 私はルイズちゃんの使い魔じゃき!」
燦はルイズの手からデルフリンガーを奪い取るとギーシュに対し、それを構えた。
「ギーシュさん、どんな事情なのかは私にはわからん。じゃきに……私は、私はルイズちゃんの使い魔じゃき……こんなん見過ごせん」
とても辛そうな顔をしながら、ギーシュを睨む燦。左手の紋章が光り輝く。
「渡世の義理じゃ堪忍してやギーシュさん……」
その目尻から光が零れる。
「こっからはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、瀬戸燦が相手じゃ! 覚悟しいや!!」
ギーシュは、もう夢見るような目をしていた。
(ねえ、僕一体何をしたの? ここで何が起こってるの? だーれーかーおーしーえーてー)
現実逃避入っているギーシュを救ったのは、直後教室に入ってきたタバサであった。
喚くルイズを諭し、事情のわからない燦に最低限の説明をして大人しくさせ、ギーシュにはさっさとこの場から消えるよう指示する。
尚も愚痴愚痴と言うルイズに、タバサはぴしゃっと言い放った。
「サンがどんな気持ちでギーシュに剣を向けたか考えるといい」
その言葉に、ルイズは弾かれたように後ずさる。
タバサの言わんとした事が伝わった証拠である。ならば、とタバサは続ける。
「それをさせたのは他でもないルイズ」
容赦する気は無いらしい。
震える手で燦を求めて手を伸ばすルイズ。
燦は少し寂しそうに笑っていた。
その体を、ルイズは力いっぱい抱きしめた。
「ごめんね……ごめんねサン……私、貴女の主人なのに、貴女の気持ち何も考えて無かったわ」
「私の事心配してくれたんじゃろ。じゃったら私嬉しいでルイズちゃん……」
主従感動の仲直りシーンであったが、ギーシュはもう何とリアクションしたものやら。
「……タバサ、僕何かしたのかい?」
「何もしていない。けど、確認したい事がある。夜に中庭に来て」
そんなこんなで、ルイズ、燦、ギーシュの三人は教室から出て行った。
騒ぎが一段落したので、マリコルヌは首を上げる。
この騒ぎを綺麗にまとめてみせたタバサにマリコルヌは聞いた。
「一体どういう事だったんだい?」
タバサは、マリコルヌを変わらぬ無表情で見下ろして言った。
「そんなだから、モテない」
支援
そしてこの投下が終わったらギーシュに決闘
支援
この騒ぎの解決に一切関与しようとしなかった彼に、タバサはどうやら腹を立てているらしかった。
それでも、言う事言ってすっきりしたのか、それ以上は追求せずタバサも教室を後にした。
ちなみに、その頃キュルケとモンモランシーの二人は、最初にキュルケが黒こげにした教室の掃除をしていた。
もちろん駆けつけたタバサに冷たい目でツッコまれたせいではあるが。
「何よ! 私は何もしてないじゃないの!」
そう抗議するモンモランシーも、止めなかったので同罪、とあっさりその状況を見抜かれ、不承不承だが、付き合って一緒に掃除をしていた。
翌日、教室に向かおうと部屋を出たギーシュは、ドアの所に挟まっていた手紙に気付いた。
「これは?」
時間が無いので授業中に中を読もうと思い、それを持って教室へと走って行く。
教室に着くとすぐに授業が始り、その間にギーシュは教科書で隠しながら手紙を見た。
『突然の手紙スミマセン(中略)あなたの事が好きです(中略)放課後ヴェストリ広場で待ってます。その気があれば来て下さい』
一回では手紙の内容が理解できず、もう一度読み直す。
何度読んでも、どうやらこれは、
(ラブレターじゃないですかーーーーーーーーーーーーーー!!)
どう努力しても顔がにやけてしまう。
(参った。やっぱり僕の魅力は遍く学園中に知れ渡っているらしい……いやーまいったなーあっはっはっはっは)
授業中なので声を出さずにいるのに苦労する。
(全ての花を愛でるこの僕だ。もちろん行くとも、どんな麗しい花が待っているのか)
サンとも仲良くなってるし、最近はどうもこういうの調子良いな〜などと浮かれるギーシュ。
最早授業など耳に入らない。
妙に高いテンションのまま、ギーシュはその時を待ち続けるのだった。
放課後、ヴェストリ広場、そこでギーシュは花束を手に手紙の主を待ち構えていた。
そこに現れたのは、燦であった。
「おお! あの手紙の主はサンだったのか! 全く、あんな回りくどい事しなくても……」
しかし燦はきょろきょろと辺りを見回している。
「あれ? 私ルイズちゃんに呼ばれて来たんじゃけど。ギーシュさんも?」
「ん? ルイズと待ち合わせかい? それは、何とも間が悪いなぁ」
そこで全身を包帯でぐるぐる巻きにしたルイズが茂みの中から立ち上がる。
「ギーシュ! 貴方の悪行もここまでよ!」
建物の影からはキュルケが現れる。
「もう言い逃れは出来ないわよ。神妙にしなさい」
ギーシュにも燦にも何が何やらわからない。
そこでルイズはびしっとギーシュを指差しながらしてやったりとばかりに言い放つ。
「聞きなさいサン! ギーシュはね、ラブレターをもらったからってひょこひょことこんな所に姿を現すような軽薄な男なのよ!」
ルイズの一言に、ギーシュはその場に凍りついたように固まる。
そして続くキュルケの言葉がとどめとなる。
「ふん、私達の書いた嘘のラブレターにもこんな簡単に引っかかるなんてね。鼻の下伸ばしちゃってみっともないったらありゃしないわ」
ルイズもキュルケも燦の側に歩み寄って説得にかかる。
「ねえサン、貴女ならきっともっと相応しい相手が居るわ」
「そうよ、良い男なら私が幾らでも紹介してあげるから、だからそんなに焦ったりする事無いのよ」
そして二人揃ってギーシュを睨む。
「と、いう事で……殺すとしましょうか」
「そうね、サンを弄んだ罪、綺麗さっぱり清算してもらいましょう」
またもデルフリンガーはルイズの手の中である。
「よー、なんだか最近の娘っ子、どんどん人間離れしてきてる気がすんだけどよー。つかお前本当にメイジか?」
やはりデルフリンガーの台詞は無視である。
ヴェストリ広場はとても広い、走って逃げてもキュルケの魔法からは逃れられず、近接すればルイズが襲ってくる。
まさに絶体絶命。
そこに、息を切らしながらタバサが駆け込んできた。
「……はあ、はあ……間に合った」
その後ろには同じく息を切らしているモンモランシーの姿があった。
「何よ……はあ、はあ……こんな所に引っ張りこんで……」
全員がタバサに注目しているのを確認した後、タバサはおもむろに咳払いする。
「今回の騒ぎ、真相が全部わかった」
その言葉の意味はわからない。だが、タバサが何か重大な事を掴んだらしいことはわかったので、全員が静かにそれを聴いている。
「全ての元凶、犯人は……」
ぴっと指を刺す。
「モンモランシー」
その一言に全員が口々に喚きだす。
「何よそれ! どういう事なのタバサ! ギーシュ埋めて全て解決じゃないの?」
「そういえばタバサ最近何か調べてたわね、説明してよ」
「もー、どーでもいいよ僕ぁ」
「タバサちゃんかっこえー」
「な、ななななな何を言ってるのかしら? ぜ、ぜぜぜ全然意味がわからないわ、おほほほほほほ」
喚く面々を手をあげて黙らせる。
「まず、サンの様子が変わったのが四日前、正確にはその夜」
モンモランシーがその言葉に反応して僅かに震える。
「その夜にあった事、ギーシュとサンに確認した。その時の会話、そして飲んだ飲料。サンがギーシュを気にしはじめたのはこの二つがきっかけ」
全員タバサの言葉に静かに聞き入る。
「言葉はひとまず置いておいた。これが原因だった場合、私に出来る事は何も無いから」
キュルケはうんうんと頷く。
「飲料であった場合、そこに何らかの薬物が使用されている可能性がある。そして……」
きっとモンモランシーを睨むタバサ。
「モンモランシーは秘薬の材料をその数日前に手配している。これは裏も取ってある」
むすーっと拗ねた顔になるモンモランシー。
「その材料が何なのかもわかってる。そしてそこから作り出される薬は、惚れ薬。状況から鑑みるにギーシュに飲ませようとして誤ってサンが飲んでしまった」
完全にへそを曲げ、そっぽを向くモンモランシーに、タバサは畳み掛けるように言う。
「作ったのがモンモランシーなら、解毒薬が作れるのも貴女。すぐに、作って」
「ふん、なんで私がそんな事……」
みなまで言わせず、タバサは言葉を続ける。
「断るのなら、二匹の獣を野に放つ。私はもう止めない」
間を合わせたわけでもないだろうに、ちょうどその時、モンモランシーは自分のすぐ側に立っているルイズとキュルケに気付いた。
真後ろからモンモランシーの首筋にデルフリンガーを当てているルイズ。
正面に立ち、顎の裏に杖の尖った先端を突きつけるキュルケ。
二人共、何やら全身から瘴気のようなものが漂っている。
この二人の行ってきた数々の暴虐の限りを一通り把握しているモンモランシーは、即座に全面降伏を申し出るのだった。
その日の夜には、出発の準備は整い、ルイズ、キュルケ、タバサ、モンモランシー、燦の五人がラグドリアン湖へと向かう事になった。
モンモランシーが解毒剤を用意するのに必要な材料がそこにあるというのだ。
他の材料は全て揃った。後はそこで手に入る物のみで、それが揃い次第即座に作成、解呪せよとのルイズ、キュルケの厳命により、必要な物も全て持っていく。
ギーシュは連れていかなかった。燦がこの状態なので、それを見ているルイズとキュルケの精神衛生を考慮に入れたのだ。
時間等色々と文句はあったモンモランシーであったが、とても口に出せる状況ではなかったので黙っていた。
馬車を飛ばしてあっという間にラグドリアン湖。
モンモランシーの呼びかけに応じて水の精霊が現れる。
交渉はモンモランシーに任せていたのだが、旗色が悪くなってくると、ルイズ、キュルケの機嫌があからさまに悪くなっていく。
必死の形相で説得に当たるモンモランシー。
その甲斐あってか、妥協点を提示してもらえた。
アンドバリの指輪を手に入れろというそれを聞いたルイズは、遂に堪忍袋の緒が切れた。
「モンモランシー、私は邪魔しないよう大人しく聞いてたわよね? ねえ、それなのに条件付きってどういう事かしら?」
キュルケは精霊相手に無理強いする気は無いのか、それ以上の追及はしなかったが、ルイズを止めようともしない。
何とかそれで納得してもらおうとルイズを説得にかかるモンモランシー。
「あ、あのねルイズ。相手は精霊だし、交渉の一部始終は聞いてたわよね? し、しょうがない部分もあると思うのよ……」
ちらっと水の精霊を見やるルイズ。
「そう……じゃあ交渉役交代ね」
そう言って何故か背に背負っていたデルフリンガーに手をかける。
ギーシュがサンと仲良くなってからというもの、ルイズは常にこれを側に置いていた。
真っ青になるモンモランシー。ルイズは脅しとかでなく本気でヤるとわかっているのだ。
「それ交渉じゃないし! お願い待ってええぇぇ!! もう一度だけお願いするから! だからそれだけは待ってちょうだい!!」
二人ですったもんだしている間に、燦が水の精霊に声をかける。
どうやら燦は、ここに来た理由を正確に把握していないようだ。
「大事な物だっていうのはわかる。でも、私達にもそれ必要なんよ。どうか分けてもらえんじゃろか」
水の精霊は燦の姿を見て、少し驚いた様だ。
「ほう、ガンダールブが居たのか」
「巌娜亜流武? ああ、あれな、瀬戸内にも似たようなのおったわ。族の名前じゃろ」
「ならば構わぬ、持っていくがよい。ガンダールブならば約束を違える事も無かろう」
その言葉に飛び上がって喜ぶ燦。
「ホンマに? ありがとう水の精霊さん! 私、絶対そのあー、あー、あんどー、とろわー指輪持ってくるきに!」
残った四人は目をむく。散々渋っていたのが、燦が話した途端あっさりと承諾されたのだから。
「その件はガンダールブに任せる故、私はしばし休むとしよう……」
モンモランシーに解呪薬の材料である水の精霊の涙を渡すと、そう言い残し、水の精霊は水中へと消えて行った。
キュルケが不思議そうにルイズに問う。
「ねえ、ガンダールブって何?」
「多分族の名前だと思うんじゃけど、あの人元ヤンなんちゃうん? ほら、族ってそういう繋がり大事にする言うし」
「……人、ねえ……で、それが何でサンを知ってるの?」
燦はにっこり笑う。
「さあ? ようわからんけど、信じてもらえたし、私も信頼に応えられるよう頑張ってアンダーソン君の指輪探してみるわ」
「名前ぐらい覚えときなさい、アンドバリの指輪って言ってたわよ。後クロムウェルって奴が盗んで行ったとかなんだとか」
ルイズは面倒そうな顔をする。
「で、そのクロムウェルって誰よ?」
モンモランシー、キュルケ、タバサ、燦の四人は揃って首を傾げた。
『さあ?』
クロムウェルはレコンキスタの大将として現在アルビオン戦真っ最中の渦中の人なのだが、全員時事に疎い様だった。
その日の内に燦の解毒が完了し、普段通りの毎日に戻った。
少し変わったのは、キュルケが少しルイズと距離を置くようになった事。
ラグドリアン湖への道中、タバサに「最近ルイズと沸点が変わらなくなってきた」と言われたのが余程ショックだったらしい。
物凄い勢いでルイズは抗議したものだが、全身包帯ぐるぐるな様でそれを言われても、誰一人として聞く耳持つ者など居なかった。
「……わ、私は怪我する程無茶してないわよ」
弱々しくそう言ったキュルケは、相当ヘコんで見えたそうな。
意気揚々と学園へと戻った五人を向かえたのは、半泣きになっているギーシュであった。
「君達! 男の純情を弄ぶのがそんなに楽しいのか!? ええ! 何とか言ってみたらどうだい!」
何を言っているのかわからない五人であったが、ギーシュが懐から差し出してみせたのは、そう、ラブレターであった。
『突然の手紙スミマセン(中略)あなたの事が好きです(中略)明日の放課後ヴェストリ広場で待ってます。その気があれば来て下さい』
五人揃って顔を見合す。
「……ちょっとキュルケ、貴女またやったの?」
「知らないわよ、ルイズじゃないの? もしかしてタバサ?」
「違う」
「ギーシュさん、モテるんじゃな〜」
その手紙を、横からひったくるようにモンモランシーが奪い取る。
問答無用でびりびりに引き裂いて、そこらに投げ捨てた。
「ギーシュ、誰がやったかは知らないけど、これで文句は無いわよね」
男泣きに泣くギーシュは、こくこくと頷く。
それを慰めるモンモランシー。
「モンモランシー、僕ぁ、僕ぁ……ラブレターもらってさ、一人で浮かれて……バカみたいじゃないか……そうだよ、いつまでもルイズに勝てない僕なんかがモテるなんてありえないんだ……」
「大丈夫よギーシュ、貴方は人に好かれる優しい人よ、私が保証するわ。さあ今日はもう寝ましょう」
こうして、一つ下の女生徒ケティ・ド・ラ・ロッタの一世一代のラブレター作戦は花と散っていった。
そして翌日、朝一番の便でタバサへと手紙が届いた。
タバサはその中身を確認した後、少し考えて返信を書く。
『現地には直接向かいます。解決し次第連絡差し上げます』
そしてのんびりと学園で数日過ごした後、解決した旨の連絡を本国へ送る。
本国からタバサに送られた命令は『ラグドリアン湖氾濫の原因と思われる水の精霊退治』であったのだ。
ラグドリアン湖氾濫の目的はアンドバリの指輪、その件を燦に任せて休むと言っていた水の精霊は、既に氾濫なんて真似はしていないだろう。
「たまには、役得」
日ごろ苦労の多いタバサは、中庭でお茶をいただきながらそんな事を呟いていた。
支援
以上です。支援ありがとうございました
支援
乙
GJ
乙です
>>105 > モンモランシーは親指を自分の首に当てて真横に引いて見せ、最後に親指を下に向ける。
> 死ね、という事らしい。
古代ローマでは確かにあの親指で剣闘士の生死を決めていたけど、下が生かせで上が殺せだったそうな。
ハリウッド映画は間違いなので気をつけよう。
まぁトリステインだとどうか分からないですが。
乙
スイーツ
GJ
投下GJ
アンダーソン君の指輪ってwww
ぐっじぶピンク
乙酢
おっかしいなあ、ギーシュ何も悪いことしてないのになあ
でもなんかまあ、ひどい目に会えばいいんだ、モテル男なんて!
GJ
きっとこの燦にはギーシュが流れる血を気にも留めない髭面で筋骨隆々の益荒男に
見えていたに違いない。
何にせよGJ
ちょ、おもしれぇw腹割れるwww
GJ!!
会話書くのが難しいって愚痴。
実は最初の召喚説明って結構厚い壁だったというぼやき
空の軌跡からティータを召喚
未知の技術に狂喜乱舞するコッパゲに、喜々として解説するティータ。
あげく、仲良くし過ぎてロリコン疑惑浮上とか……みてぇwww
静かな夜って久しぶりだね。
水の属性ってあんまり強そうじゃないけど
「人体の8割は水分」
「水と蒸気と氷は状態が違うだけで同じもの」
これだけでなんか致命的な恐ろしい攻撃できそうだよね
>>135 人間を中から破裂させるとか…?
怖いな
視界に入るすべての水分を気化させたりとか範囲系の魔法とかなら結構強力だと思う
水のスクウェアともなれば寺田あやせみたいなこともできるに違いない。
原作中でシボンしてまったキャラを召喚されたほうが
ネタを思いつきやすいのって漏れだけかなあ
レイ(北斗)やらアブドゥル(jojo3部)やら呂布(蒼天航路)やら
DVDとかでゼロ魔の内容把握したら
レイ召喚のを書こうか書かないかと思っているけどw
東京アンダーグラウンドだったか?で敵の水使いが人体内水分操作なんて離れ業やってたな
つーか、レビテーションを脳や心臓の血管一本に使うだけで、軽く殺せる
そういうのはできないように設計されてるだろ。
虚無ならできるだろうけど。
幻想水湖伝3の漫画では風で人間内部の気圧を操り臓器を潰すという技をやってたが
シンプルだけど火とかもなんかできそうだな
脂肪燃焼とか
ていうか中世ヨーロッパに内臓って概念があったのかな
出来るか出来ないかじゃなくて普通にわからないだけなのかもしれない
>脂肪燃焼
ダイエットみたいに聞こえるけど、実際に脂肪が燃えていくのを想像すると恐ろしいな
人体内の金属イオンをてきとーな重金属に錬金するだけで一撃コロリ☆だと思うんだぜ?
もしくは、尿道にシュウ酸カルシウムを錬金とか。
>>144 魔女裁判の死体を解体しまくりで外科のレベルは高かったぞ。
ハルケギニアにも魔女裁判あるから。
教材はあるだろう。
腸詰め(ウィンナー)やらキドニーパイがあるなら内臓って概念もある……かな?
と思ったが今確認できねーや
少なくとも脳の概念はある。
生物の小さい粒は本人以外が魔法をかけても従いにくいとかの設定はありそうだね
というか、KかNa、Caのイオンの平衡を崩しただけで即死だよな。
とくに、カリウムを大量に送り込んだりした日には…
系統魔法って全部ブリミルが設計したんでしょ?
ブリミルの目的が効率的に人を殺すってことじゃないなら
そういう魔法は無いんじゃないかな。
設計者にそのつもりがなくても悪用するのが人間だからな・・・
まぁそんな色々できたらあの世界のパワーバランスが崩壊するしな
虚無が一番しょぼくなりかねないし
そもそも生物に錬金効かない時点で全部無理だろ
スリープクラウド?の要領で毒ばら撒きはしそうだけど
ポイズン・クラウドって感じか
毒を簡単に調合できるメイジなら出来そうかな
アシッド・クラウド思い出した。
抵抗判定でクリットして耐えて、次ターンの自キャラの攻撃で2連続でクリットして
フレッシュ・ゴーレムを沈めたのは良い思いで。
アシッドレインといえばSO2のレオン。
ミリーとかエリスとかレナとかレオンとか、
術士系キャラには召喚しただけで大騒ぎなのが多いな………。
リメイク版のエリス可愛いよエリス。
アシッドレインといえばTOFのミントさんが小ねたで召喚されてましたな。
あれが致死毒なら人間なんて一発だよなあ
>>160 SO2に限定するなら、レナとチサトと動物博士(名前忘れたw)だとかなり大騒ぎになる悪寒。
だって、エルフ耳だし。
ノエルはいらない子
>>162 ノエルな。リメイクでは助手の女の子も仲間になるとかならないとか。
他の使い魔と仲良くなれそうだな
>>163にパンダァ!!
アシッドレイン繋がりでブルーベリーを……
ありゃアシッドスコールか
SO2といえば、まとめサイトのクロード召喚話はもう続きは書かれないのかな?ルイズとクロードを合わせ鏡的存在と見たのは驚かされたんだけど。
>>166 最後に投下されてからまだ1ヶ月経ってないんだが……
>>166 このスレはペースが速いから、それが普通だと思ってる人が多いなぁ・・・
ネットのSSなんて、2〜3ヶ月更新がないなんてあたりまえ、
年単位で待たされて結局HPそのものが閉鎖なんてのも当然なんだから(w
書きたくなったら書いてくれるさね。のんびり待つのがいいと思うよ。
行動の時とかしょーすいの逃げるとかアミーゴさんとかはるなっちとか
未完結の好きな作品なんか大量にあるからな
>>146 X−MENのマグやんは体内の鉄分操って人殺したり洗脳したりできんだっけ
>>163 まあぶっちゃけ能力的にもスキル的にも微妙すぎ(ry
あとボーマンだったかも微妙だった覚えが
ノエルならヴィンあたりにすれば……
あいつデフォで動物好きだし。
投下したいので支援求む
土つながりでギーシュがシモンを召喚とか……
OK支援だ
トリステイン魔法学院、中庭。現在授業中。
最近はルイズから常に付いてなくてもいいとのお許しが出ているので、ゲンはリハビリがてらに体を動かしていた。
と言っても、常人から見れば演舞にしか見えない激しい動きであったがとにかく彼の身体の調子は戻りつつあった。
「なあ、ゲンよ」
右手に握られたデルフリンガーが声をかける。
「剣が言うのも変な話だが、もう少し扱いはどうにかならんかね?」
彼は目下ゲンに片手のみで縦横無尽に振り回されていた。ゲンが得意とする宇宙拳法は特に武器を必要としない、しかし
かつての師であるドリューからはあらゆる武器の扱いの訓練も受けており大剣も例外ではなかった。
もっとも、ハルケギニアでは考えられないほど動きが派手な上に、古いとは言え大振りであるデルフリンガーをいとも簡単に片手で
扱って見せれば驚かれるのも無理はなかった。
基本的に拳法の動きの中に剣術を無理やり放り込んでいるのでその動きは本来の大剣の使い方とはかけ離れていた。
「お前でも、目が回るのか?」
手を休めることなくゲンがたずね返す。どう見ても病み上がりには見えない。
盗賊騒ぎから三日が経過していた。
結局、『暗黒の欠片』は謎の男によって奪われフーケも逃走。しかもあれ程の大騒ぎであったので、近隣の住民がさすがに
王都に伝達したらしく翌日には騎士団で構成された調査隊が派遣されてきた。
盗まれたのが『暗黒の欠片』と分かると調査隊の責任者は学院長と何事か喋って、それでその話しは終わりになった。
またルイズやキュルケ、タバサも現場近くにいたとのことで聴取を受けたそうだが、結局一目撃者の域は出なかったとゲンは後で聞かされた。
調査隊もまさかルイズが紅い巨人の正体を知ってるとは思わなかったらしい。
――正体、知られたらまずいのでしょ?
感謝しろとばかりに『ご主人様』から報告を受けたゲンは苦笑するほかなかった。
結局、事件の翌日から姿の見えないミス・ロングビルを最重要人物として国中に御触れを出す事に落ち着き
調査隊は引き上げていった。少なくともルイズにはそう見えたらしい。
盗まれた『暗黒の欠片』は勿論、マグマ星人に乗っ取られた人物の捜索も後回しとなった事がゲンにはすこぶる不満であったが、
これの正体を無暗に明かすわけにも行かなかった。
ならば自分で捜索するしかない。あれを放置すればまた奴らが……。
「考え事をするなら落ち着いてやりな」
物事を考えながらでは如何なゲンでも動きが鈍る。それを鋭くデルフリンガーに指摘されゲンは動きを止めた。
「分かるか、流石に」
「伊達にナリは古くはねえぜ」
表情が分かればニヤリと笑ったかもしれない。
ゲンは呼吸を整えリハビリを切り上げた。
同時に焦りを覚える自分を戒める。
ゲンが落ち着いたのを見計らってデルフリンガーがゲンに質問する。
「ところで質問があるんだが。お前さん、俺を握っていて何も変化は無いかい?」
デルフリンガーの問いにゲンは少し黙考したが、
「今、お前を手に持っていてもこれと言って何か感じることは無い。それがどうかしたか?」
質問を返されデルフリンガーが黙る。
だがそれも一瞬、昔話でもするように語りだした。
「お前さんは『ガンダールヴ』の筈なんだ。左手のルーンがその証拠よ」
デルフリンガーに言われてゲンは自分の左手の甲に目をやる。ルイズと契約したときに焼け付くように掘り込まれた
彼には読めない謎の文字だ。
ゲンは別にこれについてそれほど深くは考えてなかった。
「で、俺がその『ガンダールヴ』ならどうだと言うんだ?」
ゲンが先を促す。
「『ガンダールヴ』は主の剣、伝説に従うならあらゆる武器を使いこなしその力は一騎当千ってとこだ。おめえは確かに
強い。トリステインはおろかハルケギニア全域でも、こと格闘能力に限れば適う奴は早々いやしねえ」
そこで一呼吸置く。ゲンが理解してるのを確認したか再び大剣は語りだす。
「だが、そこに『ガンダールヴ』の影響はねえ。まあ確かに俺の扱いも中々だ、しかしそれなら尚のこと、そう人外の力を
発揮できるはずなんだが……」
「それは、俺が人間ではないからか?」
ゲンがデルフリンガーの後を受け持つ。
「わからねえ、だがおめえはその姿じゃ完全に力を発揮してるわけじゃねえだろう?」
僅かに揶揄を含んだ問いにゲンは鼻を鳴らした。
確かにウルトラマンレオとしての戦闘力は時に星すらも破壊する。だがそれも今の、おおとりゲンの時のたゆまぬ
鍛錬が生み出すものと彼は信じている。それに今のレオは少なくとも全力では戦えない。
「この姿も、あの姿も、本質は変わらない。それとこの文様なら一度だけ僅かに光ったぞ」
ゲンはそう言って、ギーシュとの一戦――と言うほどでもなかったが――をデルフリンガーに説明した。
「ふん、つまり手加減する必要があったからこそゴーレムを破壊できるナイフが必要になり、必要に駆られた結果
『ガンダールヴ』の文様が反応したってとこか。此間のコソ泥の時は、イザとなりゃあ巨人になる覚悟があったって寸法だな」
納得したようにデルフリンガーが纏めた。
「当事者の癖にいまいち理解がなくて悪いが、そんな都合のいいものなのか?」
「都合のいいように解釈するしかねーだろう?」
そんな物か。そう呟いてデルフリンガーを鞘に戻そうとするゲン。
完全に収まる寸前デルフリンガーは、
「わからねえのは、元に戻ったおめえがあんだけボロボロにされてんのにまったく発動しなかったことだな」
と付け加えた。
――それは俺が知りたい。
ゲンは心中で呟いた。
あの謎の現象、大自然を敵に回したようなあの感覚。
このハルケギニアには何か自分の考えの及ばない意思が存在するとでも言うのだろうか?
自惚れるつもりはなかったが、仮にも光の国の戦士である彼はあらゆる生命の息吹を感じ取る事が出来る。無論
完璧ではないが、それはレオの姿になったときにより顕著になる。
しかしここハルケギニアそれを感じたものの、それ以上の意思が彼を苦しめた。
「意思か……目に見えない生命がいるのか」
ありえない話ではなかった。実体を持たない者や何十回でも復活する宇宙人がいたりするのだ、自然に溶け込んでしまっている、
或いは自然そのものに意思があってもおかしくない。
『もしそれらがいたとして俺が気配を感じる事が出来ないのは、耳を傾けないからか』
ゲンは静かに目を閉じ風や木々の音に耳を澄ます。
大地は、大気は、水面は、地球でも光の国でもL77星でも明確な意思を持たずとも確かにその息吹を漂わせていた。
ハルキゲニアの自然が意思を持つか、或いは自然の代弁者がいれば。
その声を感じ取るように意識を高めれば。
飛来する小石を察知する事ぐらいは簡単だった。
飛んできた小石を鞘ではたいてゲンは目を開けた。
「何よ、もう完全復活?」
後ろを振り向くとルイズが小石を手で弄びながら近づいてきた。
「瞑想してたんだがな」
苦笑しながらゲンが応じる。どうやら授業が終わったらしい。
「怪我が治ったなら、前までのようにちゃんとやる事はやってもらうわよ」
「ああ、分かっているとも。で、今日の特訓はするのか?」
特訓と言われてルイズは一瞬目を丸くした後思い出したように、
「……そう言えばそんな事やってたわね。ドタバタですっかり忘れてたわ」
「どうする? 無理強いはしないし、それにあの日君は成功したからな。まあ追い詰めて初めて一回だけ成功と言うのは成功と言えるかどうか……」
「いいわよ、やって見せようじゃないの」
ゲンの言葉を挑発と捕らえたかルイズが意気込んでみせる。
「ご主人様の力を見せてあげるわ、ついて来なさい」
そう言って校舎のほうに歩いて行く。ゲンも後に続いた。
「……スマン俺が見くびっていたようだ」
「……と、当然でしょ! 一度使えれば覚えるわよ」
結論から言うとルイズはいつもの鍵をした部屋から一発で脱出に成功した。
ゲンが素直に謝るが、ルイズも内心ではあっけない成功に少々戸惑っていた。
もっとも、生まれてこの方まったく魔法が使えなかった――正確に言うならまともに使えなかった――彼女が突然、特訓があったにせよ
魔法を使いこなせていると言うのは、彼女自身を以ってしても呆けるには十分な出来事であった。
『父様と母様は喜んでくれるかしら? ねえさまは……鼻で笑われて終わりかしらね。ちいねえさまは……』
実家でもっとも分かりやすく可愛がってくれた下の姉の事を思い出したルイズは、ゲンには見えないように小さくガッツポーズを取る
のであった。
「喜びに浸ってるところを悪いが」
急にゲンに声をかけられて思わずビクッっと反応してしまう。
「べ、別に喜んでないわよ! で、何?」
「『アン・ロック』が成功したなら次の段階も早いだろう。例えば、明かりをつける、だったか?」
そう言いながらゲンは倉庫の奥にあったランプを手にとった。
「これに明かりを灯せるかやってみるんだ」
言われるがままルイズは詠唱する。
短い詠唱の後軽く杖を振るうと、弱々しくはあったがランプに明りが灯った。
「たいしたもんだ、天才だな」
ランプを掲げながらゲンは短く絶賛した。
「天才って、言いすぎよ」
「きっかけを掴んだだけで使いこなせるようになったり、別のスキルを足がかりに他の能力を目覚めさせる事が出来るのは、才能によるのが大きい。
もちろん、努力無しでは才能は開花しないけどな」
言い終わると同時にランプの明りはフッと消えた。
「もっとも、まだ訓練がいりそうだが」
「そんなに簡単にマスター出来るとも思ってないわ」
苦笑しながらルイズが応じる。
「でもまったく使えない事はないのが分かっただけでも収穫だわ。系統魔法が使いこなせるようになれば完璧ね」
そして、思い出したように呪文を唱えだすルイズ。ゲンは彼女が何の呪文を唱えてるか分からない。
「次は何の呪文だ?」
「錬金!」
そう叫んで、ランプに向かってルイズは杖を振るった。
校舎の片隅で爆発が起こったのは言うまでもない。
「ま、まあ焦ってもしょうがないわよね」
少々煤けた姿で遠回しに失敗を認めるルイズ。
「ゴホッゴホッ……もう少し回りのことを配慮してくれると助かる」
吹き上がった埃に咳き込みながらゲンが注文を出した。
夜半、ゲンは学院長に会うため本塔に来ていた。ちなみにルイズもついて来ている。
「でも、あの石ころの事聞くんでしょ。あれは気紛れで置いておいたものって言ってたけど?」
「その言葉でますます正体を知ってる気がするよ」
そう言いながらゲンは学院長室のドアをノックする。
「開いとるよ」
いつもの気のない返事が返ってくるとゲンは即座にノブを捻って部屋に入った。
「ちょっ、ちょっと失礼でしょ!」
慌ててルイズが後に続く。
「夜分に申し訳ありません学院長。あの、使い魔……ゲンが学院長に聞きたい事があるって」
ルイズの台詞が終わると同時にゲンがズイッと一歩前に出る。
「宝物庫から盗まれた黒い石の事を知っている限り話してもらえますか?」
「ゲン、失礼でしょう! アンタ礼儀って物を知らないの!?」
思わず怒鳴るルイズの声も、今はゲンには聞こえていないかの様に彼の目はオールド・オスマンを捉えて微動だにしない。
オールド・オスマンは泰然と構えたまま暫らく二人の方を見て沈黙していた。
ゲンとルイズも彼の言葉を持って押し黙る。
やがてゆっくりと口を開いて、オールド・オスマンは耳が痛くなりそうなほどの静寂を破った。
「かれこれ三十年は前じゃったかの。突然森に飛来したのよ、ほれそこから見えるじゃろ?」
そう言って窓の外を指しながら彼は続ける。
「真夜中にワシはここでいつもの様に執務中じゃったのだが、空から突然に降ってきおった。たいした大きさでもなかったのに木々が何本も
倒れておったわ。様子を見に行くと大地を深く抉っておるのに、落ちてきたと思しきあの石には欠けた点が見当たらん」
そこで言葉を切ってゲンの反応をうかがうオールド・オスマン。ゲンはまだ黙りこくっている、その目が先を促していた。
椅子に身を預けたまま再び黙ったオールド・オスマンだったが今度は短かった。
「だが、ワシはそこから逃げねばならんかった。石の直ぐ近くにはワシより一回りほど大きい亀かカニの化け物がおった」
「一回り? と言うと全長は数メート、いや数メイルという所ですか」
意外そうな声を出してゲンが話をさえぎった。学院長がそれを首肯する。
「化け物としては十分なでかさじゃろう。おまけに飛んできおった。ワシは必死で逃げて、あらん限りの魔法を駆使して何とか逃げ延びた。
じゃが、放っておくわけにもいかん。王都に連絡を入れて直ぐに騎士団に来てもらった。幸運にも化け物は一匹だけじゃったから
何とか倒したよ。問題はその後じゃった」
オールド・オスマンはそこで言葉を切ると立ち上がり、大きな本棚に向かった。下部の引き戸を開けると金庫があり、
彼は鍵を取り出しそれを開いた。
「落ちてきた石からまた化け物が生まれつつあったのじゃ。それはずっと小さい虫けらのような大きさだったが、形は異形そのものじゃった。
慌ててその石も破壊しようとしたが、叩こうが、斬り付けようが、火で燃やそうがあれは壊れんかった。そこでせめて化け物が
これ以上出てこんように封印する事にした。と言っても大したことは出来んかったがの。鉄の箱を被せてそれを錬金でつなぎ目を無くし、
更に固定化を何重にもかけて後は宝物庫行きよ」
「何故この学園の宝物庫に保管したのです? 王都ならもっと厳重な警備の下に置く事が出来たはずだ」
合点が行かないとばかりにゲンが突っ込む。
オールド・オスマンが一抱えほどの布に包まれたものを持ち上げながら振り向いた。
「化け物の騒ぎは緘口令が敷くのが遅れたせいで、高級貴族どもの間では割と噂になっとったんじゃ。我こそは使いこなして見せようぞと
言った阿呆が呼ばれもせんのに群れを成してきおったわ。王城の宝物庫ならば、色々と理由をつければ持ち出す事もそう難しくはない」
彼は金庫から取り出したものを机の上に置くと、布を外した。中から現れたのは所々朽ちてはいるものの明らかに巨大な生物の物と
思われる鋏だった。
「ブラックドーム……」
ゲンが大鋏を見ながら呟く。それは正に仇敵を睨みつける者の眼であった。
『暗黒の欠片』がこれで何なのかほぼ確定した。
かつての仲間を、家族同然の人を、彼から奪い去った憎むべき魔星。
それが何の因果かこのハルケギニアに破片となって降り注いでいたのだ。
「お前さん、あれの正体をしっとるのじゃろう?」
正体を明かすべきかゲンは躊躇した。
目の前の老人はもちろん知っている。ルイズにはいずれ話すつもりだったから大丈夫だ。
だがその先はどうなる? 正体との関係を聞かれれば自分のことも応えざるを得ない、協力を要請するならなお更だ。
だが、迷ってる暇は無かった。マグマ星人はあれの使い方を知っているかも知れない。それも悪用の方法を。
ゲンは意を決した。
「あの『暗黒の欠片』の正体はブラックスター。怪獣の一種である円盤生物を生み出す悪魔の星、その破片です」
怪獣、と言う言葉にルイズがびくりと反応する。ブラックギラス、レッドギラスが暴れてからまだ一月もたっていない。
「か、怪獣って。じゃあこの前のブサイクドラゴンみたいなのがあれから生まれるわけ!?」
「いや……学院長の話やこの前見た生物を見る限り、完全な状態じゃ生まれそうもない」
ゲンはそこで一度言葉を切った。
「ブラックスターの欠片があれだけならな」
そう、たった一つだけ次元を超えたと言うのは考えにくい。
あの日、ブラックエンドが絶命し地球にブラックスターが飛来したとき、渾身の力で放ったシューティングビームは
ブラックスターを木っ端微塵に破壊したはずだった。
だがその後不思議な事に、ブラックスターの破片は殆ど地球に降り注ぐ事はなかった。
その時は大気圏で燃え尽きたか重力に引かれなかったと考えた。
或いは心のどこかで無理やりそう理由付けていたのかもしれない。
「学院長先生、ブラックスターをトリステイン全域で捜索するよう国に要請してください」
ゲンの言葉にルイズが眼を丸くする。
「何バカな事言ってるのよ! そんな事出来るわけ無いでしょうが」
「そうでもして見つけなければならない物なんだあれは」
「それでもし見つかったら、君はどうするのかね?」
「完全に、跡形も無く、破壊します」
ゲンの回答にオールド・オスマンは眼を細める。
「国軍を国中で動かせば貴族連中も黙ってはおらん、と言うより彼らの協力も必要だ。さて、君はワシらが何故隠したか覚えておるかの?」
「あれは人間が扱えるものではありません! 第一あんなものを何に使うのです」
STORY0ネタもOKとはやるな支援
「身に火の粉が降りかからん限り人間は危険を本質では理解せん。いや、多少の火傷ならば何としてでも火を扱おうとする。
他の者に火傷を負わすことができるからのう」
「そんなことをしては必ず災難が起こります!」
「まあ、聞きたまえ。国軍全てを動かす事は出来なくても。少しくらいなら協力してもらえる、かもしれん」
ゲンが訝しげな顔をする。
その時学院長室のドアがノックされた。「あいとるよ」といういつもの返事を受けて入ってきたのは、
「失礼する」
「ワルド子爵、どうして!?」
ルイズが驚きの声を上げる。
入ってきたのは、グリフォン隊の隊長であるワルドであった。
ゲンも意外そうな顔で彼を見つめる。
学院長に一礼するとワルドは切り出す。
「悪いが話は聞かせてもらった。全軍を動かすのは無理だが、君の言う事が真実なら確かに捨て置けん」
そう言いながらゲンをに目をやるワルド。能面の彼から真意を伺うことは難しい。
「君がどこから来た何者なのかはこの際どうでもいい。重要なのは『暗黒の欠片』の行き先と、もって逃げた男のことだ」
「何か分かったんですか?」
「昨日、フーケ捜索のため哨戒を行っていたラ・ロシェールの衛兵が、不審な男を目撃している。
あそこで出港できるフネを探していたそうだ」
その言葉にルイズが表情を変える。
「ラ・ロシェールですって? じゃあそいつが仮面男だとしたら行き先は……」
ワルドが頷いて続けた。
「そう、アルビオンだ」
以上、第六話でした。
今回は閑話休題です、当分戦闘の予定はありません。
年内にはもう一回うpしたい、無理だろうけど。
どうでもいいがSTORY0のレオ人間体の強さにビックリ
支援してくれた方の感謝しつつ、それではサイナラ。
GJ
このワルドはきれいなのかどうなのか……
>>139 ストーリー的に元の世界に戻る必要が薄くなるから
死人召喚は書きやすいんだと思う
死んだままでも元の世界のストーリーは続いてくわけだし
それと個人的なことだが
彼の名前はモハメド・アヴドゥルだ!
モハメド・アブドゥルでもウルムト・アブドゥルでもない!
二度と間違えるな!
>>180 アルビオンで新たな円盤生物と闘う展開か?
ついにこのスレの多数の作品でも誰も成しえなかったアルビオン墜落イベントが起こりそうなw
アルビオン壊滅!円盤は生物だった!!
アルビオン自体が円盤生物だったんだよ!!
>>182 なるほど。
つまり、ジャン・ブサイク・モハメ・ド・アヴドゥル子爵にすればなお問題がないということか。
187 :
166:2007/12/21(金) 17:29:38 ID:tcfhCtiR
>>167-168 確かにそうでした。
しかしここの進行の速さは異常ですね。
死人召喚なら帰らずに定住できますし、ルイズも負い目が軽くなりますから必然的に多くなるのでは?
生きたまま召喚されたキャラが最初から帰還拒否ってあったかね
円盤生物・・・
>>186 r‐、r つ(⌒)(⌒)(⌒)r‐、 /⌒\
r_つ,(⌒),(⌒)(⌒),(⌒)(⌒)(´`) { チ }
l:::::::ll:::::::l:::::::ll::::::l.l::::::l':::::/::::::/ __ { ッ }
l;;;;;;;ll;;;;;;ハ;;;;;ハ;;;;ム;;;;ィ;;;;ノ;;;/´:::::) { ♪ }
_ _ {ニ==-ミ丶<.._‐ - 二二ニぅ"´ \ /
r ⌒ヽ ̄ ̄  ̄ r'⌒ヽ {ニ =,、‐''">- .._`丶、= = ニ} ソ
-+‐=キ― - = ==| l 'r<¨'( (r―――`''ッ、``ー--} /⌒\
‐=キ‐ ノ, ___ ‐= =l、 | K弋・〉 ¨7¨で・ラ> l ``>‐〈 { チ }
-=',== 〒‐ ‐=≡≡l ` ー ´| │フ/ ヾ、 ̄ ``'イリ } { ッ }
-= キ‐=-ハ __ ― l、. ___ , | | j〈{__ ノ `i r_ノ-、 { ♪ }
-‐=l=‐ l ̄ - = ==| | _ |ノ `" `i l(ヾoソ) \ /
_l ノ`r‐、‐-、ノl` ‐'´l`r‐ァ ′ `ヽ ,r‐- l r=‐==- `i l ノ>ー < ソ
___ ̄ ノ ¨ '' - .._ / ` ‐- .._ / __ /(ヾoソ | `ー---‐'′ ゙/ /(ヾoソ)、
- == r'゙= ‐ l´⌒ ){ ( `)/ >ー < l / / >‐-<〃\
_ ノ  ̄ ¨ ''' ‐-ノ `¨ '' ‐ 、′ヽ、二ノ‐ /=o =} '、ー― - / / /=o =}//`7'' ‐-
三〈 二 =- l⌒ / / ̄ ヽムノ /| ` ̄´ // ヽ.ムノ //
-= f´= -  ̄ ¨ '' l ¨ '' ‐-、′ /-‐=‐ /ヾ7ヽ | _ ‐'´///ヾ7ヽ//
〈 == ‐- {⌒ / ノ --‐ { =O= } ̄ ̄ _ ‐'´/ {= O =}
突然失礼します。hitmanとのSSを書いている者です。
履歴にも残っていますが、まとめwikiのhitman ZERO the assassinで誤字があったので、勝手ながら訂正を加えさせていただきました。
まとめにあげていただいた方には手間をかけさせて申し訳ないです。
念のため、ここで連絡させていただきました。
>191
訂正乙です。
ただ、まとめの更新の報告は、避難所の方に専用スレがありますから、
そっちにした方がいいと思いますよ。
>>192 >>193 ありがとうございます。
これからも似たような事で迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします。
小ネタの投下いいですか。
予告通知
バッチコーイ
なんなのよ、あの使い魔。11歳くらいの平民の少年みたいなんだけど、すんごく乱暴なのよ。
おおぐらいで飯が少ないって怒鳴るし、授業が終わったらすぐ勝手に遊びに行っちゃうし。ヤキューとか言って学院の窓割っちゃうし。
あっ、街に行こうとしてる。あの子はすぐ暴力を降りたがるのよね。
あっ!メガネの平民をいじめてる!
「おい、お前生意気だぞ!」
「そんなこと言ったってー」
「うるせえ!そのお菓子を俺によこせ!」
「やだよー何であげなきゃいけないのー」
「俺は貴族のルイズさんの使い魔だぞ!平民のくせに生意気だぞ!それになぁ、もし俺がルイズさんの使い魔じゃなくても、俺のものは俺もの、お前のものも俺のものなんだよ!」
何言ってんのよあいつはー!
「タケシ!一体こんなところで何やってんのよ!」
私はあいつの耳を引っ張ってやったわ。
「いてて・・・ごめんよルイズさんー。でも俺がいじめてるのは平民だよ?ルイズさんは貴族なんだから偉いんでしょ?」
あきれた。こいつはどんな教育を受けてんのよ。
「いくらあんたが私の使い魔でも、やっていことと悪いことがあるのよ!」
相手が平民でも、理不尽な暴力は悪い。お店の売り物を壊したら弁償させられちゃう。
もし暴力なんて振るったら、姫様から命を受けた別の貴族から重ーい罰を受けちゃう。
もしこいつが貴族だったら、フーケみたいに貴族賞を剥奪されるに決まってるわ。
でも、シエスタを助けようとギーシュと戦ったときはちょっぴり見直した、かな。
その後
「ねえルイズさん、俺の歌を聞いてみない?」
「えっ歌?あんた歌なんて歌えるの?」
「俺は歌手を目指してるからな。せーの!おーれはじゃいあーんがーきだいしょー」
な、なんて大きな声の歌なの。ひどすぎる、これは人間の声じゃないわ。
先住魔法よ・・・私の使い魔は魔法が使える凄い子だったのね・・
ばたっ・・・
7万はジャイアンリサイタルで倒されるのか…
マイクが武器ですか?
おわりです。
ゼロのワタマン
ルイズが召還に成功したのはなんかくねくねした変態だったのでした。
「フフフ、何やら見知らぬところに召還されたようですが凄くイイ!」
「ちょ、なにあのくねくねした新生物」
「あれは関わらないほうが賢明だろう」
ぶっちゃけルイズも契約するのはとても嫌だったが
隙を見てブチューとしたのでした、ブチューと
「うがあああああああああああ」
どう見ても正気を失った基地外のようにくねくねしたのが、地面でびくんびくんしたかと思うと立ち上がりルイズに近寄る。
(なに、こいつ)
ばばつ
「フフフ、ハハハハハハ。イーヒッヒッヒッヒッ!ククク…。
その通り、私がこのゲームのラスボスです。さあ、カモン!カモン!」
取りあえずルイズは殴ってみた
壮絶に血を吐いて倒れた。動かなくなったのを見て貴族の子供達は怖くなって逃げ出した。
当のルイズも怖くなって「きゃあ」と可愛らしい叫び声を出すやいなや逃げ出す
「ちょっと、まともに反応してどうするんですか!そこはフフフ、やりますねとか言いなさい!」
ボーイミーツガールの冒険活劇がもはや原型をとどめていない、まさにむちゃくちゃである
シリアスもギャグで吹っ飛ばす岩田ワールド
岩田は上半身ひねり+ジャンプで後ろ向きに跳ねながらルイズを追いかけてくる、見るに見かねたコルベールが炎で軽く炙るとやっと止まった。
「これは珍しいルーンですね」
「この私を火達磨にするとはやりますね、ガクッ」
何はともあれ、ルイズの使い魔は召還の時点で伝説級だったのである。
つづく?
ルイズはかーちゃんかワロタ
イワタマン?
最近そーいうの期待してしまう
最近、かなり本格的パンチ! 乙
イワッチwwwwww
>>199 ということはタルブ村にあるのはカラオケセットだな
後戦闘があるときは劇場版仕様になるんだな
一番目に出てきた岩田ってことは岩田裕ではなく大家令のほうだなとか
わけのわからんことを言ってみる
劇場版ジャイアンのかっこよさは異常
のび太の魔改造には負ける
つか、別人?
劇場版だと下手すりゃのび太よりかっこよかったりする気がw
右手→のび太
左手→ジャイアン
頭脳→スネ夫
213 :
つかいま:2007/12/21(金) 20:47:11 ID:7lEqYE1d
あいやー、乙あるね。
ところでお客さん、第五話できてしまたあるよ。投下よろしいか?
左手→ドラえもん
右手→ドラえもん
頭脳→ドラえもん
で完璧じゃね?
右手…ピンポイントなのび太か広域破壊兵器のジャイアンか…
左…桃太郎印の
頭脳と言うか道具係…道具を持っているドラか使い道を良く閃くのび太
>>213 OK!
あいやー、らんまもドラも小学館的つながりね。投下開始!
「決闘だ!! おさげの男、貴様に決闘を申し込む!!」
突然現れたギーシュに、ルイズと乱馬は大混乱する。
「なっ……だから誤解っていうか、俺は男、じゃねぇ女で……!
ええいややっこしいっ、水さえあればっ」
「わ、私のせい? えと、あの、ごめんランマ、いやだからギーシュ、これはね」
「ルイズ! そのよーなふしだらな男女交際、この僕が許さんっ!」
「黙れ変態! あんたが何股かけてモンモランシーを呆れさせてると思ってるのっ!
しかも男女交際って、ギーシュがやってるのはストーキングと、おごりのデートと交換日記ぐらいじゃない」
「なになに? 決闘?」「げっ、ルイズの部屋に裸の男とギーシュがっ?!」「なにいっ!? 許しがたいぞっ」
「きゃっ、男の人の裸だわっ」「押すな押すな」「わいわい、がやがや」「おせんにキャラメルいかぁっすかー」
っっておい、いきなりこの部屋にギャラリーが入って来るんじゃねぇっ! なんなんだこの学校は。
「だ、誰か水を持ってきて! 今説明するわっ!」
「はい、どーぞルイズ。このバカは私が引き取っておくから、貸し借りなしよ」
金髪ロールの女子生徒・モンモランシーが、ルイズにコップ一杯の水を渡し、騒ぐギーシュを木槌で殴って気絶させる。
「へへっ、サンキュー! しょーがねぇ、見てろよっ」
男の乱馬が水を被ると、たちまち女の子・らんまに変身する。
おおーーーーーーーっ、と大歓声が男子生徒からあがった。
「分かった? 彼女はね、お湯を被ると男になり、水を被ると女に戻るってゆー、悲劇的体質なのよ!!
……っってこらランマ!! ふ、服を着なさい!! 上半身丸出しじゃないの!」
「わぁしまったっ、トランクスだけだったの忘れてた! こ、こら、見るなっ」
マリコルヌとかいうデブが、らんまの生乳を見て鼻血を噴いて倒れた。
ばっしゃん、とらんまがぬるま湯の張られたタライの中に飛び込み、男になる。
今度はきゃーーーーーっという、女子生徒達の黄色い歓声がした。
「どーでい、分かったろ? これで俺が、おと……じゃねぇや、女だってこと……あれ?」
「……ちょっとモンモランシー、ギーシュを気絶させてどーすんのよ。
ランマへの誤解が解けないでしょーが、実際に変身するとこ見せないとっ」
「あ、そっか。ごめーん、もう一杯水を作るわ」
しえん
モンモランシーに頬を叩かれて、ぱちっとギーシュが覚醒した。
乱馬はタンクトップを着ると、ぱしゃっとコップの水を被ってらんまに戻る。
「な? こーゆーわけなんだよ。俺はお・ん・な」
「そうよ。彼の身も心も、このランマちゃんのものなの」
………ん? 身も心も?
ギーシュはゆらりと立ち上がり、叫ぶ。
「……そうか……おさげの男め、ルイズのみならず、このおさげの女にまで毒牙を……!
くされ外道っ、誠に許せん! どこへ行きおった! 必ず見つけ出して、成敗してくれるわ!!」
ダメだ、目の前で変身してやったのに、こいつだけ分かってねえ。目に入らなかったのか?
「……おい、モンモランシーとかいうの。お前はどんどん状況を悪化させてねーか」
「ちょっと言い回しがまずかったかしら? まぁいいじゃない、決闘してあげたら?
遠慮せずにぶちのめせば、少しは目も覚めるでしょ」
女って怖えな。まぁしばらく格闘してねぇし、腕ならしにゃー丁度いいか。
メイジっつってもヒョロヒョロのお坊っちゃんだし、今の俺が負けるわきゃねーや。
またお湯を浴びて男に戻り、ギーシュと対峙する。
「おーしギーシュ、その決闘受けてやらぁ! で、どこでやるんだ?」
「よかろう、おさげの男! 場所は『ヴェストリの広場』、日時は明日の早朝!!
首を洗って待っているがいい!!」
言い捨てると、ギーシュはギャラリーを率いて、よーやく部屋を出て行った。
「へへっ、久し振りに男の姿で闘えるぜっ」
「はぁ……疲れたわ、寝る。片付けはしときなさいよ、ランマ」
右手、神の盾、スネ夫。普段は神の威を借りて威張り、いざというときには神を盾にする(w
左手、神の笛、ジャイアン。その歌声ですべての幻獣と神を活動不能に追いやる(w
頭脳、神の本、のび太。機転は効くが詰めが甘く、最後は神を窮地に追いやる(w
うん、色々とダメすぎる。
投下中に雑談やめれ&支援
そして、翌朝早く。男に戻っている乱馬は、厨房で事情を話し、朝食をとる。
「で、でもランマさん、平民が貴族と決闘だなんて無茶です!
無礼討ちは一応法律では禁じられていますけど、お相手のギーシュさまはグラモン元帥のご子息!
悪くすれば再起不能にされてしまいますわ!!」
「シエスタさん、だーいじょうぶっ。俺が負けるわきゃあねーですよっ。
うん、美味い。マルトーのおっさん、おかわりっ」
「へへへへ、気に入ったぜランマ! お前が男でも女でもかまわねぇ!
あの図に乗った貴族さまの鼻を明かしてやんな!」
そして、ルイズと合流してから『ヴェストリの広場』へ。
ギーシュとモンモランシーは、すでに来ていた。早起きのギャラリーまで。
「待ちかねたぞ、おさげの男! 朝食をとってから来るとは、憎憎しい余裕!!」
「腹が減っちゃー戦はできねぇんでな、おはよーさん。お前は食べてねーのか?」
「ぶわかめ、平民を貴族が倒すなど『朝飯前』! よって、食べん!!」
ぐ〜〜〜ぎゅるるる、とギーシュの腹の虫が鳴った。周囲がくすくす笑う。
「……ふっ、まぁよい。この『トリステイン魔法学院の青銅の薔薇』ギーシュ・ド・グラモン、
平民とは言え容赦はせん。ゆくぞ名も知れぬおさげの男、天誅だ!!」
「だーから俺は早乙女乱馬だって……どわっ!?」
ギーシュが薔薇の造花を振り、花弁を地面に落とすと、青銅の女戦士が現れる。
「これぞ我がゴーレム『ワルキューレ』!! 行けい!!」
「へっ、なんでえこんなデクノボウ、止まってるも同然だぜ!!」
乱馬が鉄の棍棒を振るい、ワルキューレを破壊する。
「まだまだっ!!」
次々にワルキューレが繰り出されるが、乱馬には通用しない。
体がいつもよりずっと軽い。男の姿で思う存分暴れ、今までのストレスを発散する。
支援
「どーしたギーシュ、もう終わりか? 悪キュウリってのは7体までみてーだな」
ぜいぜいと息を上げるギーシュに対し、乱馬は汗ひとつ掻いていない。
「その造花の『杖』を叩き落しゃあ、俺の勝ちだろ? もーちょい粘ってかかってこいよ。つまんねーぞっ」
ドットレベルの土メイジであるギーシュには、ワルキューレを7体作るだけで相当な疲労だ。
あといくつか魔法を放つ余裕はあるが、通用するとは思えない。ならば……。
ボコッと乱馬の足元が崩れ、穴が空く。
「ちっ、巨大モグラかっ!」
ばばっと回転して距離を取り、棍棒を構える。モグラと乱馬が対峙した。
場面は変わって、学院の本塔。
「オールド・オスマン! お早うございます、コルベールです!」
「お早うございます、ミスタ・コルベール。学院長はお留守ですよ」
禿頭の中年教師が、学院長室を訪ねていた。しかし、返事をしたのは学院長の秘書だ。
「お早うございます、ミス・ロングビル。ちょっと珍しい発見をしたので、お伝えしたかったのですが」
と、コルベールの背後から巨大な直立二足歩行する猫が現れた。煙管まで口に銜えている。
猫は学院長室の床に、でんっと『コタツ』をすえて入り込んだ。
「なっっ」
「ああ、ご心配なく。彼は私の使い魔の『コタツネコ』くんです。
まだ朝は寒いですから、貴女もこの『コタツ』なる暖房用テーブルに入りませんか?」
「はぁ……では、お邪魔します。……おお、これは画期的な暖房ですね」
コルベールが表情を変えずに話す。なぜか貴重なお茶もある。
「まったく、『火』の力の新しい、革命的な利用法と言ってよいでしょう!
いや、これを伝えに来たわけではないのですが、広まるといいなー、なんて」
「では、私がとりあえず承っておきましょうか?」
コタツネコwwwwwwwwwwwww支援
肯いたコルベールは、コタツの上に一冊の古い本と、何かのスケッチを置いた。
「これをご覧下さい」
「『始祖ブリミルの使い魔たち』……? 随分古い本ですね、学院の図書館にあったのですか?」
「ええ、そうです。そしてこの図をこちらのスケッチと見比べてみると、そっくりでしょう?
これは『ガンダールヴ』のルーンですよ」
「『ガンダールヴ』……それって、あの伝説の?」
「然様、あの『神の盾』です。あらゆる武器を使いこなす、始祖とその後裔の使い魔。
これまでの歴史上にも、何人か存在したと言われています」
「これが、何か……?」
「実はですな、ミス・ロングビル。あのミス・ヴァリエールが召喚した使い魔の少女の左手に、
これと同じルーンがあるんですよ。サオトメ・ランマという少女です」
……『ガンダールヴ』か。伝説では、魔剣『デルフリンガー』はその武器のひとつだったとか。
そんな小娘に渡すのは惜しい。さっさと宝物庫から頂戴せねば。
「ふ」
いきなり、ばしんとコタツネコが斜め後方の床を叩いた。見れば、小さなハツカネズミが捕まって、もがいている。
「おお、学院長の使い魔、モートソグニルではないですか」
すると、学院長室のドアがばーんと開けられた。白髪白髯のじじいが激昂している。
「くっ、くぉら貴様らっ、わしの使い魔をいじめるなっっ!!
感覚を共有しまくっとるんじゃから、わしも苦しいんじゃあっ!!」
「お早うございます、オールド・オスマン。覗きやおさわりに使っているんですから、自業自得ですね。
さあコタツネコ、押し潰しておしまい」
べしゃっとオールド・オスマンが押し潰され、もがき苦しむ。
「では、学院長が背負っておられる大袋をお取りしましょう。私や女教師や女子生徒の下着なんかが入っていますから」
「わっ、わしの宝物を返せ、ドロボーッ!!」
「じゃっかましいっ、この変態じじいっっ!!」(どかっ)
「ふ」(どーん)
オールド・オスマンは、ロングビルの蹴りとコタツネコの突き押しを同時に喰らって吹っ飛び、
窓から空高く飛んでいってお星様になった。
「老いてなお盛んですなぁ、学院長は……」
42歳独身のコルベールは、コタツに入ったまま、ずずっとお茶を啜った。
しえんー
一方、場面は再び『ヴェストリの広場』。
早乙女乱馬は、巨大モグラのヴェルダンデと対峙している。
「くっ……こいつ、ギーシュ本人より強そうだぜ」
「フゴフゴッ」(ずーん)
「おい、使い魔同士の戦いになっとるぞ」「賭けのオッズはどーなるんだ?」
「なるほど、あれは馬と同じ速さで地中を進み、宝石や鉱脈を見つける優秀な使い魔……。
意外と強いのかも知れないわね……さあ、張った張った」
「ランマは負けないわっ! って、何を賭けの胴元やってんのよモンモランシー!!」
しかし、ギーシュはすっと杖を下ろした。
「もういい、やめるんだヴェルダンデくん。負けを認めよう。
あの鉄の棍棒を喰らえば、巨大モグラでもタダではすまんだろう」
それを聞いて、乱馬も構えを解く。
「……そっか。案外いいやつだな、ギーシュ。使い魔も彼女も大事にしろよ」
「ああ、おさげの男。色男同士、友情を誓おうではないか。
ではこの黒薔薇の花束を、おさげの女に渡してやってくれんか」
ギーシュが、どこからか花束を取り出して乱馬に渡す。
ギャラリーは歓声をあげたが、花束からはボフッと煙が噴き出した。
「わーーーははははっ、かかったなおさげの男! 強力しびれ煙幕の味はどうだ……うぐっ、しびれるっ」
「てっ、てめえもしびれてんじゃねぇか、この卑怯もーーーん!!」(どかっ)
乱馬の正拳突きが、ギーシュの鼻柱に命中して、広場の端まで吹っ飛ばす。
「やったわ、ランマの勝ちよっ!!」
ワァァアアアアと再び歓声があがる。しかし、両手を挙げていた乱馬も、しびれてばたっと倒れた。
「……気力で立っていただけなのね。負けず嫌いなんだから」
「やったぜ、賭けは俺の勝ちだっ」「さー、朝飯だ朝飯っ」「今日の授業、何だっけ?」
一同も日常に帰り、乱馬とギーシュは仲良く医務室送りとなった。
(続く)
すげー
自然にルイズたちが高橋留美子キャラで脳内保管されてしまうw
229 :
つかいま:2007/12/21(金) 21:06:13 ID:7lEqYE1d
投下終了、支援謝謝あるよ。
ノリでコタツネコまで召喚させてしまい、すっかりコルベールがあの人になりました。
オールド・オスマンはまあ、言わずもがな。感覚共有感度を上げすぎたんでしょうか。
じゃっ、また来年。よいお年を。
ギーシュがまんま久能www
GJ!
ゼロの使い魔の作者って高橋留美子だったっけ?
と思わせる違和感の無さ。
マジすげぇー!
GJ
いかん、コルベールの顔がうるせいやつらの校長になってしまう
きちんと『こたつ』ねこで火属性の使い魔になってるんですよね。
しかしこのコルベールと対峙したメンヌヴィル、こたつねこにフルボッコにされそうだ。
乙
乙
あれ?ギーシュってきっかりワルキューレ七体分の精神力しかなかったような。
乙
絵柄がるーみっくで脳内再生されました。乙。
しかしコタツネコかぁ……チェリーがドコからともなく現れそうだ。
そして生徒のメシを食い荒らす。
乙
字面では「錯乱坊」だと言う事を一体どれだけの者が知ってるんだろうな
さだめじゃ
+剣一本分あるんじゃなかったっけ?
乙!
何だか久しぶりに原作を読みたくなってきた
家のどこかに全巻あるはずだから探してみようかな
>ギーシュが、どこからか花束を取り出して
錬金で作っていたらかっこよかったかな
予告
>240
「錯乱坊」で「チェリー」そう言うことだったのか。
そのギャグの意味が今、初めてわかった。
乙
ゼロのワタマン part2
「フフフ、そういう事であれば私もがんばりましょう!」
ルイズの着替えをエレガントに済ませると洗いものを籠に入れ、くねくねしながら洗い場に向かう。
もちろん、靴下は既にポケットの中である。
「ふふふ、洗い場はどこですか」
「あっちです」
爆乳メイドに場所を聞くとさっそうと走り去る岩田
ちょうど食事の時間になり、ルイズを伴いくねくねしながら食堂に向かった岩田であったが、またもやハプニングである。彼が行くところ何かしら事件が起こる。
カツゥ ころころころ
(あれこれは何かしら)
シエスタが拾う前に岩田が何を思ったのか香水を広い、蓋を開けると
匂いを嗅いで勝手にぶっ倒れた
ルイズは取りあえず本格的パンチ
そしてギーシュが空気も読まずに決闘を申し込みました
「モンモラシーを掛けて、決闘だ!」
「フフフ、電波がNOと告げています」
拒否されました
ギーシュが岩田に殴りかかりました
「この平民が!」
が、
「フフフ、テンションあげていきましょう」
軽快なフットワークで避けました
ギーシュの発言力が100下がりました
ギーシュは悲しい状態になりました
コルベール「さーて、授業の時間です」
ルイズが極楽とんぼを貰いました
ギーシュが極楽とんぼを貰いました
キュルケが極楽とんぼを貰いました
つづく?
>>247 その設定だとタバサは極楽トンボクイーンだ。
支援
>最新刊にて、コルベール先生が、バッテリーを作ってパソコン動かしちゃいました
コルベール先生ならなんでもあり?
主人公が持ち込んだ物は現代レベルの製品までならコルベール先生に再現させてもいいのかな?
>>250 この世界でのコルベール先生=時代劇における長崎出島
あの人だったらガソリンでもポリマーリンゲル液でもジャパニウム鉱石でも何でも作ってくれるに違いない。
ガソリン→ザブングルのウォーカーマシンの燃料
ポリマーリンゲル液→ボトムズのアーマードトルーパーの燃料みたいなもの
ジャパニウム鉱石→マジンガーZの光子力エネルギーの源であり、また装甲材である超合金Zの原料でもある
反物質を錬金できたらすごいな
>252
なんかボトムズでクロス書いてみたくなったぜ!
でもキリコはああ見えてフィアナにゾッコンLOVEだしなぁ。というかキリコだったら
七万を相手にしてもガチで死なないw
バッテリーは化学かじってれば技術的には誰でも(効率無視でいいなら)作れるしな
何故そこまで驚くのかがわからん話だ
ボルタ電池でぐぐれ、多分それで解る
電池の理論は意外と簡単なんだよ
バッテリーも電池の延長線上にあるもんだからそんなに難しくないハズ
本格的に難しいのは物理現象とか。そもそもサイトに説明できるとも思えん
光が粒だとか波だとか言う話になったら俺もチンプンカンプンだよw
>>254 書こうと思ったんですがキリコ(カクヤク後)が死んだふりでルイズを人質に取っちゃって話が進みませんでした。
カクヤク後かペールゼンファイルズとTV本編の間ならフィアナの件は何とかなるのでは?
問題は、PCを維持できるレベルにどうやて変圧したかだと思うんだ・・・
単純に電気起こすだけならコイルで誘導電流って手段もあるけど
ペガサス星座の聖衣を呼んだら…
コルベール先生が気化爆弾の存在を知ったら喜ぶだろうか悲しむだろうか・・・
>>252 ガソリン→サンプルがあれば錬金で可能って所か。
ポリマーリンゲル液→ガソリンと多分同じ? ガソリンよりかは難しそうだが不可能ではないかな、多分。
ジャパニウム鉱石→流石に無理じゃね? 錬金するの金よりも難しそうだし。
イワタ無敵に素敵だ
黄金聖闘士だとテレポートできるから簡単にもとの世界に帰れそうだからなあ
シャカとかムウは確実だ
偏在でひとりアテナエクスクラメーションってのはやっぱダメだろうなあ
一輝も普通に帰れそうだな
一輝なら瞬が居れば、呼ばれて無くても来るんだぜ
>バッテリーも電池の延長線上にある
おいおい、「バッテリー」が充電できるものを特に指してるのは日本だけだぞ
延長線も何も電池そのものだ、充電の可否は関係ない
より細かく言えばバッテリーは化学反応から直流電流を取り出す機構全般を指す
まあ、黄金に限らず聖闘士は色々と面倒な問題が山積だな。
目に付くだけでも、パワーバランス云々以前にアテナに忠誠誓ってる以上、素直にルイズに
従う事がまず有り得ないとか、武器使用御法度だからデルフやガンダールヴのルーン涙目
とかあるからなぁ。
シャカとムウは次元の狭間に飛んでも普通に戻ってくるし
一輝はアナザーディメンションで飛ばされても戻ってきたり
冥界に呼ばれてないのに現れたりするからな
>>267-268 何の問題もない
何かハルケギニアに居るべき理由があればいいのだ。無ければ作ればいい
薔薇乙女が良い例だ
帰還することを目的として使い魔になればいいんじゃないかな
身体はともかく心までは主に受け渡すとは思えないし
聖地に封印されたアテナを以下略
>>271 毎度毎度掴まったり人質になったりしてんじゃねーぞバカ
なんて突っ込みが聞こえてくるなw
ブリミル=アテナ
こうして
ブリミル=虚無
こうだから
虚無=アテナ
こうなって
ルイズ=アテナ
こう
こう改変すればセイントはこれで安心
え? 無茶がある? 気のせい気のせい。
蟹ゴールドもといマニゴルドが見たいだけたがな!
>>266 マジで? それは初耳
まぁどっちにしろこれでコルベール先生が電気の用途を知って火力発電とか
始めたら、ハルケギニアに電気街が誕生するのも間近だなw
ルイズ=アテナ
微妙に違和感がないのは気のせいか?
>>269 星矢が放った射手座の矢がどこかに行ってしまったのでしばらくハルケギニアに逗留して捜索します
とか?
これなら見習いと青銅の仕事だね…
いっそアテナを召喚するんだ
ところで聖衣を武器と認識するなら問題ないと思うんだ
青い髪で青い目の水瓶座のカミュ(フランス人=ガリア風の名前)が召喚されると面白い、かもしれない
実はハルケギニアは遥か未来の地球であり、ルイズが未来のアテナの生まれ変わりなら……。
……まあ、上でも言われてるけどあんまり違和感ないね。
それよりルイズはうんこした後どうしているんだろう
ウォシュレットなんてないし
まあ、様々な問題をクリアできたとしても、流石に最大級の致命的な問題点、パワーバランスだけは
どうしようもないな。
何せあいつら青銅ですら音速突破の速さで原子の結合を破壊とかそれくらいの攻撃を軽く繰り出してくる
化け物軍団ですから。
あるとき、アテナの魂は4つに砕かれた
虚無の担い手はこの魂の欠片が転生した存在であり、4つの4は魂を再び一つにするために必要な儀式を意味する
一つになった魂は、儀式の中心となった肉体に宿り、魂が宿らなかった肉体は砕け散る
そのため、聖闘士達は自らがふさわしいと思った担い手をアテナとするために戦うのである
……いきなりジョゼフが不利な気もするけど気にすんな!
その分虚無の魔法と非常に親和性があるんだよなあ>原始を破壊
よし、シャカで聖闘士TUEEEEな話にならないSSが書けるかどうかがんばってみよう
>>281 ジョゼフ…サガ
ティファニア…シャカ
ルイズ…デス様
これでOK
>>282 シャカ自体黄金TUEEEを体現している人なのに、それは難しいのでは?
初登場の時「こいつ勝てるのか?」と本気で思ったし、一輝戦でも迷いから勝ちを譲ったような形だし。
ジョゼフだと不利ならイザベラ様が居るじゃないか
そう、素で思った俺は末期のイザベラ様スキー
え?歴史が狂う?……ソレこそ気にすんな(ぉ
>>285 ……天才だな、お前!
いや、自分の才能の無さに絶望し、お前の発想力に嫉妬するわ
一つ気が付いた
長編SS投下が少ないのは、作者みんな最新刊を読みまくっているからに違いない!
>>284 まあねw
ぶっちゃけワルドなんて逃亡失敗して天舞宝輪食らって廃人になる姿しか思い浮かばんし
しかしそこにあえて挑戦してみる
上手くいきそうだったら投下するので連休中頭をひねってみるわ
デスマスク・マニゴルド・セージで三人……
あと一人蟹が足りない
>>279 オレの予想では、荒縄でこすっている
当然、パンツにウンスジつきまくり
>>288 俺TUEEEE全開で進めて、なんかかっこよく死なせればそれっぽいんじゃね、
とチャンピオンの聖矢LOSTでの前世(前前世?)の勝ち逃げっぷりを見て思う
アテナこと沙織お嬢様って昔は
邪武に鞭打って馬にして遊んでなかったっけ?
>>292 (乗馬スタイルで鞭を片手に)誰か馬になりなさいとか
(家が引き取った孤児達に向かい)おまえたちは奴隷なのよとか
中々凄いよな
>>293 しかし彼女の一番のお気に入りは最後まで自分に逆らいまくった星矢
なんだルイズ様そっくりじゃないか
ルイズ=アテナ
間違いない
でも沙織お嬢様の成長後のプロポーションはルイズとは似ても似つきません。
……ってアレで確か13かそこらだったっけ?
絶対嘘だろ。
一つ、いい事を教えよう。
ルイズの身長とスリーサイズを換算すると実はCカップだ。
嘘だろ承太郎!
>>297 ひとつまみだと思ってたらひとつかみだったのか
>>298 ああ、嘘だ……貧乳ルイズは嘘だったんだ……
ウェストが細すぎるんだったか
タバサでもBだっけ?
……まあ、女のプロポーションに詳しい奴がこんな小説書けないよな(問題発言)
>>297 いやいやいや、スリーサイズ自体本人申告の嘘データかもしれませんぜ。
それにアンダーバストがおおきいかもしれませんs
(直後、謎の爆発)
でもCカップくらいじゃ仰向けになればぺったんこですよ。
ルイズは貧乳だよ。間違いないよ。
トリステインではやはり胸がデカい方が好まれるのかな?
昔の日本だと大き過ぎると和服が似合わないから牛みたいと馬鹿にされる事が多かったらしいけど。
巨乳がもてはやされるようになったのはつい最近。
美感覚なんて時と場所で大きく変わります。
楊貴妃なんて我々の感覚で見たらハート様以上のデブだし。
>>304 豆知識
中世ヨーロッパでは少女を連想させるとして、やや小ぶりな乳が持て囃されていた。
その証拠に当事の裸婦画では体型の割りに乳の小さめの絵が多い。
つまり俺の兄弟たちの天下だったとな?
>>306 なるほど、実はワルドは変態じゃなくて正常だったんだな。
俺の手に収まれば小さく、はみ出せば大きい。
気楽に考えようぜ。
なぜ星矢の話からおっぱいのはなしへ
気にするな、いつものことだ
ここは何の前触れもなく突然おっぱい談義になるからな……。
そういえばルイズのおっぱいよろしく、設定では結構なサイズのはずなのに
なぜか立ち絵ではかなり小さめに書かれてるキャラとか結構いるよな。
わんことくらそうの虎太郎とか
>>312 じゃあ逆パターンのジハード(山根絵)から姫さんを…
小説準拠か挿絵準拠かそれが問題だ…
逆パターンならそれなりに……
特に顕著なのはゼフィリス(対人インターフェース外見設定14歳位時)とか。
まあコレは絵師が絵師だからしょうがないんだけど。
シャカか・・・
「わたしの前にひざまずくことだ!そして大地に頭をすりつけこのわたしをおがめ!
それによって万にひとつきみの使い魔になるかもしれん」
こんなのしか思いつかないな。エピGシャカならいけそうだけど
なんで棄てプリのゼフィリスクロスSSがないのか不思議でしょうがない
あとラク姉も
>>272 イタリア人の下水配管工のおっさんから
何か懐かしいものをみるような目で見られると思うw
>>275 城戸沙織13歳バストCカップという時点で
もはや圧倒的な格の差が生じているな
>>316 対人攻撃不可&俺Tueeeee!の極致な人外ロリと
妹の所に戻るためなら笑顔でルイズぶっ殺しそうな姉
こんな危険物ホイホイ呼べませぬ。
>316
ラクウェル姉の場合、あの世界の中でしか魔法が使えない事が問題かと。
ゼロ魔世界だと、美人で巨乳でおっとりさんで酔っぱらうと世界征服したがるだけのお姉さんになってしまう。
ロボ運用の難易度が先生のおかげで下がったところでもう一回考えてみるとするか。
ヤマトでも召喚してみようか<マイナーすぎ
宇宙戦艦?
あの巨大戦艦を一人で整備させられるコッパゲ
鬼かw
あのアルカディア号を造った大山トチローなら道具さえあれば一人でも整備しかねないけどな・・・
宇宙戦艦の方はマイナーじゃねえ
いや、別の作品にあるんだよ。
ヤマトってロボが
最終話 希望を胸に…
すべてを終わらせるとき!
宇宙戦艦ヤマトがダメなら
宇宙戦艦ムサシを召喚すればいいじゃない
主人公達は
「地球を征服した宇宙人との混血」
で
「超能力が使える」
けど
「被征服者の地球人より下に見られてる」
だから先住魔法使う亜人あつかいなのかのう
そして多分誰もモトネタ知らないのが難点かのう
予告
>>324 轟拳ヤマトか。
メイドロボもいるし、実は親和性高いんじゃね?
格ゲーキャラですが投稿していいでしょうか?
せめて小ネタゼロダマインパクトは投稿するつもりです
十時半ごろ投稿します。
ゼロのワタマン part3
ルイズが精神を建て直し、午後の授業になんとか間に合うと
シェビルーズ講師が錬金の解説をしていた。
「・・・というわけで、意思の力をマナに乗せて錬金したい金属を思い浮かべるわけです、ね、簡単でしょ?」
某アフロ画家がやるようにいとも簡単に錬金してみせる
「それは黄金ですか?」
「いいえ、ケフィアです」
講師がボケて教室がガヤガヤと煩くなるが、ルイズは隣で熱心にノートを書いている岩田を横目で見ると
なにやらダンス教本のようにあやしげな動きがびっしり描かれている
ルイズにも判るように丁寧に
「ああ!見てはいけません!」
取りあえずパンチ
岩田は、壮絶に血を吐いて倒れた。動かなくなった…。
「…フッ。あなたは私の才能にシットしましたね。…これが、天才の…才能…ガクッ。」
本格的にボコッてみました。
「ルイズ、授業中に漫才をやるとはいい度胸だ!前へ出て錬金してみろ」
「先生、ルイズに錬金させてはなりませぬ」
「ふん、やってやるわよ」
ルイズが案の定爆発させた教室で、片づけを命じられる岩田とルイズ。
「・・・何か言いなさいよ」
落ち込んだルイズをよそに岩田はハッスルしている
「ルイズ・・・あなたにこれはあげましょう」
岩田からルイズに自爆装置が渡されました
「これでいつでもどこでも自爆可能です、フフフ」
ポチ
何故か岩田が自爆しました
ルイズの発言力が100減りました 元がゼロなので数値に変化はありません
何故か岩田がガンパレード状態になりました
そんな岩田をオスマン校長が熱い視線で見ています
オスマン校長が何か話したそうだ
つづく
小ネタ
「三つの目的の内、ひとつ・・・それはウェールズの命だ!」
ガキン
「な、なんだと」
ウェールズが懐から取り出したのは靴下
「ふう、もしアンリエッタから靴下を貰っていなければ死んでいた所だよ」
冷や汗を拭いて、次にしまったという顔をする
襲い掛かる七人のワルド
「ソックスラプター(ウェールズ殿下)!」
岩田が凄まじい速度でウェールズに一年靴下を投げる
しかしそれを防ごうと運悪くワルドが靴下を切り裂く
「クッ!なんだこの臭いは!」
切り裂いた為臭いを思いっきり吸い込み昏倒するワルドx7
>328 >329
一転してわかるお前らに驚愕した
魔法と転送を併用すれば、人間も転送可能としておいて
それで、元の世界に帰りたいが機械を作るためにはとりあえずハルケギニアの技術力をアップしなければいけない。
と言うのはどうかな、とか考えてみたんだな。
戦闘はゴーレム戦主体でやれば問題ないだろうし。
333 :
330:2007/12/22(土) 10:31:07 ID:EG3U9LRu
十時半ですが投稿していいのでしょうか?
ゼロのジャパネット
こいや〜!全力で道あけたる!
336 :
330:2007/12/22(土) 10:34:53 ID:EG3U9LRu
ゼロと疾風 出会い
黒い壁があった。それは、例外なく目の前に現れる。ストリートのガキにも、大統領でさえ。
ほとんどのモノは、それを砕くことは出来ず、乗り越えようとするモノは爪が剥がれ、赤い筋を残すことになる。
ほとんどのモノはその壁から目をそらす。しかし、その壁に真っ向から向かい合っているモノもいる。
その黒き壁にあがこうとする人間がいる。この物語はそんな人間の物語。
現在、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは医務室にて頭を抱えて一人の男を見ていた。男はベッドの上で気を失っている。
ルイズは二年生へ進学する際のサモン・サーヴァントによってこの男を召喚・契約したのだ。
「なんで、こんな奴召喚しちゃったのよ・・・・・・」
先日、「サモン・サーヴァントには自信がある」と言ってしまったばかりである。
その結果がこれ。
本来、動物や幻獣を召喚するサモン・サーヴァント。その、儀式で人間(そのうえ、気を失っており、かなり傷ついている)を召喚してしまったのでルイズは周りのギャラリーから笑いものにされた。
その場にいたコルベール先生が彼の身なりから判断し。
「彼は凄腕の傭兵であるにちがいない」と言っていたが、メイジに平民に敵うはずが無い。
いくら、凄腕といっても平民の傭兵を召喚しては意味が無い。
「どうしようかしら・・・とりあえず、雑用でもさせようかな?」
ルイズがそんなことを考えていると男の眼がゆっくりと開き、起き上がった。
白髪の男性はチップという。彼は自称ジャパニーズ、しかし、大統領を目指している忍者である。
チップが長い眠りから眼を覚ました。頭がまだぼやけている。
チップはよく頭をめぐらせた。
(そうだ、I=NOのやつと戦っていたら急に何かに巻き込まれたんだった・・・)
チップはI=NOの時間移動に巻きこまれたのだ。そんでもって、気がついたここにいる。
「やっと気がつたのね」
声のした方向を向いてみると一人の少女がいる。ルイズである。
「まずは自己紹介でもする?私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。一応よろしく」
隠れた表情を読むのは忍びの基本だ。チップが彼女から読み取った表情。
見下し、怒りをとおり越した諦めetc
少なくともチップの嫌いな人間に当てはまっている。
しかし、相手が名乗ったのだ。自分も名乗るのが筋だろう。
それに、ここが何処だか分からない。
「チップ、チップ=ザナフだ。ここは何処だ?薬品の臭いがするってことは病院かなんかか?」
「ここは、トリステイン王国・トリステイン魔法学院の医務室よ」
チップの聞いたことが無い地名だ。それに、魔法学校というのは法術に関する機関だろうか。
「とりあえず、ここを出ましょう。私の部屋で貴方が今置かれている立場を教えてあげるわ」
337 :
ゼロと疾風:2007/12/22(土) 10:36:18 ID:EG3U9LRu
チップがルイズとの状況確認によって分かったこと。
この世界(月が二つあるのでチップのいた世界ではない)では魔法使いがいて、彼女は魔法使いの貴族である。
そしてこの場所は貴族が通う魔法学校である。
学生は二年生になるとき使い魔を召喚する。
チップはその使い魔を召喚するサモン・サーヴァントによって召喚された。
召喚される使い魔は自分での選択は出来ない。
使い魔は本来幻獣や動物が召喚される。
一度召喚されたからには変更は出来ない。(召喚のやり直しを求めたが却下されたらしい)
チップとはもうすでに契約を行っており、証拠は左手に刻まれているルーン。
元に戻る方法は少なくも彼女は知らない。
大体こんな感じだ。他にもなんか言っていたが正直チップは興味なかった。
ルイズがチップとの状況確認によって分かったこと。
チップは異世界から来た。
(幾つかその世界について質問したがすぐに答えが返ってきた。特に矛盾点は無く嘘をついている様子も無いので一応信じる)
チップは異世界ではニンジャという種類の傭兵である。
現在、ローニン(雇い主無しのフリー状態という意味らしい)
チップの世界には法術があり、それは魔法と少し似ているらしい。
I=NOという女と戦っている最中、その女の何かに巻き込まれ気がついたらここにいる。
他は特に興味なし。
338 :
ゼロと疾風:2007/12/22(土) 10:37:18 ID:EG3U9LRu
部屋着いてからこれらの状況確認に1時間かかった。この時間が短いと感じるか長いと感じるかは皆さんの自由だ。
「とりあえず、私は貴方の生活の保障、それと元の場所に戻れる方法を探すわ。
その代わり、あんたはその間私の使い魔、つまりわたしに雇われる。それでいいわね?」
「しょうがねえな・・・わかったよ」
ちなみに、状況確認からこのやり取りまで、更に30分間。正直メンドイので省略。
こうして、チップとルイズの生活が始まった。
「とりあえず、もう疲れたわ。朝になったら起こしてね。それと、洗濯頼んだわよ」
「はあ?なんで俺がそんなことしなきゃならないんだ?エリカだってそんなこと言わなかったぞ」
「エリカって誰よ?」
「俺が前仕えていた奴だ。大統領をやっていたな」
「ダイトーリョーってなに?山賊や大工の凄いバージョンの親玉?」
「国の代表だ、王様みたいなもんだ。いや、王様は『成ることが出来る』もんだが大統領は『選ばれなきゃ成れない』つまり、王様より偉い奴だ」
「へー」
「でもって、俺はその大統領に雇われていたが、
そんなこと頼まれなかったぞ。王様より偉い奴がしなかったことをテメエはするの?」
「う・・・」一時間半以上の怒鳴りあいによって疲れているルイズには論破する気力はなかった。
「洗濯ぐらい自分でやれ、あと自分で起きろ」
ルイズとチップの生活は前途多難だ。
「じゃあ、あんたが寝るところだけど・・・」
「別に必要ねえよ」
「へ?」
「忍びは闇に潜み主を守る。用があるなら手を叩け」
そういうとチップは闇に消えていった
339 :
ゼロと疾風:2007/12/22(土) 10:38:36 ID:EG3U9LRu
部屋に取り残されたルイズは考えていた。
雑用などは断っていたが、あの身のこなしは凄い。
「意外と使えるのかな?」
最初決めていた彼の扱いを少し変えなくては、と考えた。
しかし、今は眠い。
「明日考えよ」
ルイズはそういい終えると服を脱ぎ、ベッドにもぐり寝息を立て始めた
チップはやるからにはやる男だ。
物には必ず『芯』がある。守るも攻めるも、まずはこの芯を押さえる。チップはまず魔法学校の芯を探した。
歴史の古い建物というだけあって、様々な隠し部屋・隠し通路などがあった。
チップはその中のある隠し部屋に陣取った。ここなら、どんなことが起きようとすぐに分かる。
チップも疲れていたのか、全神経を研ぎ澄ませて眠りについた。
ゼロダマインパクト
前に書いたスキスキおじいさんとはまったく関係ありません
あらすじ・タバサ関連イベント発動。
エルフは強かった。才人の攻撃をまったく受け付けず、ギーシュやマリコルヌの防御魔法も難なく打ち破る。
それでもなんとか戦ってきたが、とうとうギーシュ達の魔力も尽きてしまった。
ルイズも虚無のスペルを唱えているが、ぎりぎり間に合わない。
「もう魔力も尽きたころだろう・・・先ほども言ったが、我は戦いを好まぬ。今逃げ出すのであれば止めはしない。後ろの扉は開けてある。そこから逃げるがいい」
エルフはまだまだ余裕があるようだ。しかし、ここで逃げるわけにはいけない。
「逃げぬか・・・・・・・ならば、散ってもらおう」
今までの攻撃が可愛く思えるような巨大な石の拳が先住の魔法によって作られていく。ルイズたちを押しつぶすには十分な大きさだ。
「潰されて死ぬか。あっけない最後だな」
ルイズ達に巨大な岩の塊が飛んでくる。かなりの大きさだ、逃げることは出来ない。呪文はあと少しのところで完成する。しかし、間に合わない。
(誰か・・・助けて)
ルイズは祈った。神に、姫殿下に、己の信じるもの全てに祈った。最後の最後まで諦めない強い心をルイズは持っている。
奇跡は起こった。岩の拳がルイズたちを押しつぶす直前。辺りを眩い光が包む。
その光は大きく、温かく、全てを飲み込んだ。その光をルイズはしっかりと見た。
(祈りが・・・天に届いた・・・)
エルフの先住魔法はルイズ達に届く前に砕け散った。
エルフは何が起こったのか分からない様子で唖然としている。
何が起こったのかわからないのはルイズも同じである。
双方ともに何が起こったのか考えていると、ルイズ達とエルフの間に天井を突き破り、一筋の神々しい光が降り注いだ。
エルフもルイズもその光を凝視した。
すると、天から何かが降ってくるのを見た。その姿ははっきりと見ることが出来た。
長身の、アフロな、おばあさん。
その場にいた全員がそのおばあさんに見つめた。
ルイズは、この、おばあさんを、知ってい・・・知って・・・・・・あれ?
(知らねーよ!!!あんなババア!!!!!!)
ルイズは心の中で叫んだ。
(なに?何なの?この展開?なんで変なババアに助けられているの?)
ルイズの頭の中に様々な疑問が頭に浮かぶ。
変なババアが地面に着地したとき、ルイズの疑問は更に増えた。
(なんで?なんでサイトがあのババアにお姫様抱っこされているの?)
「まったく、間一髪だったねえ。冷や冷やしちまったよ」
突如現れたババアは辺りを見渡した。
「まあ、なんとか間に合ったみたいだねえ」
ルイズはなにがなんだか分からない。
ババアはサイトを降ろした。
「下がってなさい、これからの戦いは、結構派手なものなるわよ」
「はい、ダマさん!!」
(え?なに?サイトはこのババアのこと知っているの?)
ルイズの疑問は更に増えていく。
ルイズはとりあえずギーシュたちを見た。わけが分からないのは自分だけでないはずである。
「ダマだ!!ダマが来てくれたんだ!!」
「待ってたぜー!!ダマーー!!!」
「あぁ、ダマ・・・きっと来てくれると信じていたわ」
「きゅいきゅい、ダマが来てくれたのね!きゅいきゅい」
ギーシュはワルキューレを生み出し、応援団を作っている(魔力切れたんじゃねーのかよ!!)
マリコルヌはすごい勢いで踊っている。
モンモランシーにいたっては感動のあまり涙を流している。
シルフィードは飛び回っている。
(駄目だ、なんか駄目だ)ルイズは味方に期待することを諦めた。
ルイズはとりあえず敵を見た。味方が駄目なら敵だ。
「伝説の闘神・堕魔・・・まさか、こんなところで出会うとはな」
敵は敵でなんか言っている。
「よくも私の仲間を傷つけてくれたわね。覚悟はいいかしら坊や」
ダマがなんか構えを取った。
「お姉さんが調教して躾けて、あ・げ・る」
エルフはいまだに余裕の表情を見せている。
「どうするのだ?こちらには君たちの大切な仲間がいるのだぞ。貴様の力を解放したら彼女たちも只ではすまないだろう」
エルフがそういい終えるとダマの体一瞬霞んだ。するとダマの手の中には二人の女性がいた。タバサとタバサ母である。
「なに!!?」
「さあ、これで思う存分闘えるというわけだ。サイト、しっかりとそのお姫様を守ってやりなさい」
「あ、はい、ダマさん」
思わぬところでの人質救出。ルイズは歓喜した。タバサなら突っ込んでくれるはず。
「・・・ダマ・・・助けに来てくれたの?」
(おまえもかよ!!)
ルイズは目の前に現れた希望がすぐに打ち壊され頭を抱えた。
逃げようと思ったが、何故か逃げ道がなくなっていた。
扉は瓦礫で埋もれていた。天井はなんか知らんが塞がっている。
なにより、エルフを倒さないと終わらない空気になっている。
「あらあら、それでお終い?」
「負けてたまるか!!精霊よ我に力を与えたまえ」
現在、ダマとエルフの間で凄まじい戦いが繰り広げられている。
まるで神オロチVSゴジータ。とりあえず凄い。
「なにが、どうなってんのよ!説明しなさい、犬」
ルイズはやっとのことで正気を取り戻し、サイトに説明を求めた。
「そうだな、なにから話そうか・・・とりあえず、あの時は雨の降りしきる夜だった」
何故か、回想が入る。
ガンダールヴの力を失い、絶望していた。そのときに、彼女に現れた。
「どうしたんだい?いい男がめそめそしちゃって」
ダマの声は何よりも優しかった。
「一人にさせてくださいよ」
しかし、ダマは何処にも行かず、黙って瞳を見続けた。
「なにか、悩みがあるのかい・・・私に話してくれないかい」
「物好きですね」
何もかも話した、原作1巻から八巻中盤までのことを。
「わかりましたか、俺にはもう彼女の隣にいる価値はない」
ダマはいきなり頬を叩いた。
「なっ」
「だらしないねえ、あんたそれでも男の子かい?あんたは、力を失った事を理由にして逃げているだけじゃないの」
「・・・・・・」
「力が欲しいのかい?」
「力が手に入るのか?」
「力は自分で手に入れないといけないのよ、でないと本当の強さは手に入らないわ」
「・・・・・・・」
「ついてくるかいかい?」
ダマはそっと立ち上がり、歩きだした。
「一緒に来れば何か分かるかも知れないわよ、本当の強さってやつが」
足は自然とダマの後を追っていた。
数年の月日が流れた。数々の修羅場を潜り抜けた。道中様々な出会いがあった。
星を救うため一人別の星からきた魔王。鼻がコンプレックスな剣士。
世紀末覇者を目指す拳法家。歌で何でも解決しようとする男。
あるものとは戦い、あるものは一緒に旅をした。
「これが、俺とダマの経緯だ」
「五百字以上の文字及び作者の睡眠時間29分12秒まで使って、なに変な嘘ついているのよ!!
それと、変にゲストが豪華なのよ!!百歩譲ってそれを良しとして、せめてジャンルや媒体は統一しなさい!!!」
「強がるなよ、見たいんだろ」
「なにがよ」
「それらの強さを凌ぐ、ダマさんの強さってやつをよ」
(何故か、サイトが無駄にかっこいい。チクショー、生き生きした顔してんじゃねーよ)
とりあえず、ダマのほうを見る。
そこには、全世界の男性が悶絶するような光景が広がっていた。
ダマの拳が、エルフの股間に、ものすごい勢いで、ぶち込まれていた。
あまりの結末の悪さにルイズはとりあえず泣いた。
東京より平賀才人召喚
ハレグウよりダマ降臨
344 :
330:2007/12/22(土) 10:45:20 ID:EG3U9LRu
投稿終了です
どうですか?
初の長編ですが頑張ります
小ネタの方はけっこう長くなったのでずいぶん省略したらこんな結果になりました。
すいません
並べて見せられると、その、なんだ。困る。
346 :
330:2007/12/22(土) 11:03:00 ID:EG3U9LRu
すいませんでした
ダマなら全てがありうる
ダマなら全てが許せる
さぁ、君も困った時はダマを呼ぼう
蝶・お疲れ様でした!!
相変わらずのハイパーババアwww
>>326 今うちが書いてるスター・レッドに似てるな。
ゲストがすげえw
ゼロと疾風って元ネタなんだあ?
ギルティギア?
ギルティギアですな。
それもファミ通文庫のノベライズ版。
「ゼロのワタマン」って、元ネタガンパレで岩田裕召喚、でいいんでしょーか・・・?
とりあえずそれでまとめにあげたんですが・・・
違ってたらどなたか修正をお願いします。
誰かゼロとランプの魔人と九尾の狐を書いてくれ
シャドームーン召喚の話が見てみたい。
確か人間体に戻れないんだっけ?
ももえサイズや東博士やキース、そしてダマ婆さん…
これらはある意味蹂躙系と言えるのではなかろうか?
おおチップキテター
しかも小説版!
これはハシバミ粥を期待するしか
そしてそのまま読んでたらいきなりダマで盛大に吹いた
ゲストヤバいけどなによりサラッと世界渡ってんじゃねぇよ!
でもGJしちゃう!
元ネタ知らないけど忍者キャラキターと思いながら読んでたら
小ネタのダマにお茶吹いたw
>>355 一度創世王に戻されてることもあるし、単に戻ろうとしないだけっぽい。
戻れるとしたら変身は自由で月が出てなくてもOK。
世紀王クラスの出力をキングストーンの一つでまかなってるRXは日光が必要だが
乙
乙
乙
乙
紙忍者ktkr
ギルティ好きなんで期待してるw
紙忍者ktkr!!
これはワルド涙目に期待せざるを得ないwwww
ただチップが「魔法」の存在を否定して「法術」と言ったというのはどうかなと思った
あの世界の法術は魔法の使用技術だったはず
お湯
シッショーktkr
ヘタすりゃポチョの攻撃2発で沈むチップがどう活躍するのか期待
369 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 14:21:59 ID:gAkXeM/c
アナル最高!
そろそろ静かなるドンが来てもいいころだろ?
あの人、なにげに吸血鬼とか
核爆弾もったアメリカンマフィアとかと戦ってきたんだぜ?
っていうか日本は人外が多すぎる
ハートマン軍曹を召喚…
と思ったがマリコヌルが軍曹を○した後○○するという結末にしかならない
乙
そういえばチップは昔、女大統領の補佐官を・・・
クソ真面目で術師系で家名もっててルイズを優しく諭しそうな人で、且つ恋愛ナシ・・・・
ギブソン先輩かもおおおおおおおおん!
乙
あんたら、自分で書けよ
こっちは大風呂敷広げすぎた自分のSSでひーこらしてるってのによぉ・・・
乙
別に誰もお前に書けとも言ってないんだが
乙
他人に言われて書いたSSなんて長続きしないって
書くのは自分でも楽しんで妄想できるやつがいいのだ。
むぅ、ここは嫌な空気だな
ああ、なにか嫌な空気だな
384 :
迷宮職人:2007/12/22(土) 15:20:34 ID:a2aFhpck
こんちゃーす。毎度、大掃除放り出して書いてた迷宮職人です。
第六「階」の工事が終わったので投下させてもらいまっす。
3分後から開始っす。
コスモクリーナーさえあれば・・・
いやな流れを断ち切る支援
やまとと言えば海江田
388 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:22:55 ID:X+nREVgg
ここの作品は大抵はクソでいいの一握りだけだから基本クソ。今連載されてるのはひどいやつばっかりだおwww
理想郷や登校図書とかと変わんないクソばっかりだおwwww
前試しにちょこっと荒らしたけど今度は盛大にやるからね^^
せいぜいまた規制してみろwwww痛くも痒くもないおwwwwww
ネカフェ最高!www
わらいオバケにきをつけな支援
なら逆にみんなで同じ口調で行けば違和感ないおwwwwwwwww
支援開始するおwwwwww
しえーん
392 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:25:41 ID:X+nREVgg
、 ヽ
|ヽ ト、 ト、 ト、 、.`、
/|l. l. | |l l | | l |l.| |l. l
/' j/ ノ|ル'/レ〃j/l |
-‐7" ヾー---┐|_.j
 ̄ ./゙ニ,ニF、'' l _ヽAA付で支援してあげるお^^
:: ,.,. |ヽ 」9L.` K }.|早く投下しろよ
l' """ l ) /
h、,.ヘ. レ'/
レ′
r.二二.) /
≡≡ ,イ
. / !
\ / ├、
::::::` ̄´ / !ハ.
しえーん開始するおwwwww
だけど、
>>388の黄金郷はどこにもないと思うお^^
多分、脳内にしかないおかーんwwwwwwww
うははwwwwwww
394 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:28:36 ID:X+nREVgg
>>393 荒らせればなんでもいいお^^
支援支援。はやく投下しろおwww
投下中止。
投wwww下wwwww中www止wwwwwwおっおっwwww
その判断wwを支援wwwwww
ガンバスターが仁王立ちで出現!と思ったら顔だけ出してそのまま格納庫に戻っていく場面が頭に浮かんだ。
398 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:33:21 ID:X+nREVgg
、 ヽ
|ヽ ト、 ト、 ト、 、.`、
/|l. l. | |l l | | l |l.| |l. l
/' j/ ノ|ル'/レ〃j/l |
-‐7" ヾー---┐|_.j
 ̄ ./゙ニ,ニF、'' l _ヽ中止かよwwwwクソ駄作書き手が士ねおwwwww根性ねえなwwww
:: ,.,. |ヽ 」9L.` K }.|まあどうせ駄作なんだから書かなくてもいいおwwwww
l' """ l ) /まあ暇あったらまた荒らしにくるおー^^
h、,.ヘ. レ'/今度は一斉爆撃するおwwwwみんな楽しみにまっててね^^
レ′
r.二二.) /
≡≡ ,イ
. / !
\ / ├、
::::::` ̄´ / !ハ.
冬だねぇ
ヒント:NG機能
安心して投下するといいよ
401 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:35:14 ID:X+nREVgg
>>399 夏もここを荒らしたおwwww
エドスレの作品書きまくったおwwwww
あれ以上に荒らすおwwwww
投下するならクソ駄作支援してやるおwありがたく思えおw
今度はネカフェに規制
↓
他のネカフェで荒らし
↓
エリア規制
とかなるのか
403 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:36:34 ID:X+nREVgg
>>402 仕事でいろいろな場所行ってるから全国で規制されるようにめざすおwwww
江戸スレの作品使った嵐って記憶にないな。
一時期gdgdだったのは事実だが。
そんな一部の馬鹿のために規制なんて馬鹿らしいおwwwwwww
やっぱり荒らしでも空気に取り込むのが一番だおwwwwwww
406 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:38:49 ID:X+nREVgg
>>404 漫画サロン時代最後のスレまとめにあるから見ろおwwww
俺の英雄的活躍がみれるおwwww
支援
ひょっとしたらこれはこれで面白いんじゃなかろうかと思い始めた
エドスレってまだあんの?
おwwwwまwwwwがっつき過ぎ乙wwもちつけw
しばらくして6,7階一気読みできると思えwww
410 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:40:30 ID:X+nREVgg
>>405 荒らしをクソ書き手以上に崇めろおwww^^
フヒヒwwwwwwwww
411 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:41:30 ID:X+nREVgg
>>408 漫画サロンにまだあるかもおwwwww
そのスレの書き手は神様だおwwww
>ゼロと迷宮職人 第六「階」
乙です
今回もギーシュがカッコよかった!!
413 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:43:59 ID:X+nREVgg
、 ヽ
|ヽ ト、 ト、 ト、 、.`、
/|l. l. | |l l | | l |l.| |l. l
/' j/ ノ|ル'/レ〃j/l |
-‐7" ヾー---┐|_.jルイズちゃんのアナルに指突っ込んだらうんこもらしたおwwwww^^
 ̄ ./゙ニ,ニF、'' l _ヽ
:: ,.,. |ヽ 」9L.` K }.|
l' """ l ) /
h、,.ヘ. レ'/
レ′
r.二二.) /
≡≡ ,イ
. / !
\ / ├、
::::::` ̄´ / !ハ.
415 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:45:00 ID:X+nREVgg
>>414 どうもありがとうだお^^
またがんばるおwwwww
迷宮職人さん、荒らしに負けないで投下する姿が立派だったぜ!
SS職人の鏡や!
これからも応援します、頑張ってください。
418 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:48:33 ID:X+nREVgg
>>416 こうみえても独立してるんだおwwww
荒らしてるのは遊びだおwwww遊びに意味なんてないおwwwwww
寂しいけど仕事入ったからお別れおwwwww
またくるね^^がんばれクソ駄作書き手共
>迷宮職人
今回もルイズが説教されて笑えるw
なんか頭の可哀相な人が沸いてるな…
他に何かやることないのかね…
421 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:50:13 ID:X+nREVgg
あ、最後にひとつだけ。
迷宮職人のルイズパンツにうんこついていたお^^
迷宮職人さん乙でした
荒らしに負けないで次も頑張って!
迷宮職人さんはちゃんと投稿したから荒らしに負けてないよ!!
とても面白かった!!
迷宮の方乙です!
荒らしの中で輝いて〜♪
>>424 08の面子は面白いかも知れんな。
いろいろと工夫して戦場を勝ち抜いてくれそうだ。
ゼロ魔世界設定を『よくわかりません。そーいうものなんです』 でぶっ壊し
ゼロ魔キャラを「そーいうもの」で魔改造
主人公もゼロ魔世界最強
これが迷宮職人クオリティ
こんな作品ばかりならいいのに
荒らしがわいた時は避難所投下がいい鴨名
避難所を荒らしても削除簡単だし、IPぶっこぬきで即アク禁に出来るし
迷宮職人グッジョブ!
埋蔵金ネタが良かったぜ
ってか笑ったw
投下で伸びてるかと思ったらまぁ……
迷宮職人はどちらかと言えば逆召喚に近いんだよな。
冬休み始まったみたいだし、職人さん方
避難所スレに投下した方がいいみたいだな
厨が来ると最悪だな、全く…
>>432 つまりあと二週間以上はこの状態が続くということか…
年末年始はのんびり待って、年明けの投下ラッシュを楽しみにすれば良いじゃん
荒らしって字面だけでも見たくないし、対策を喧々諤々やるより収束を待とうよ
ギーシュ「貴族の誇りをかけて決闘を申し込む!」
「素人めいた言葉を吐くな」
フーケ「この破壊の杖は私が頂く!」
「貴様にそんな玩具は必要ない」
ワルド「貴様一人で我等レコンキスタをどうにか出来ると思っているのか!?」
「だから貴様は飼い犬なのさ」
アン「わたしにはウェールズが必要なの!!」
「貴様の辞世の句ならその程度だろうよ」
そんなストライダーを召喚
迷宮職人GJ!
魔法生命体同士の口喧嘩とは珍しいもんが見れたぜw
ストライダーって、馳夫さんか・・・?
>>438 馳夫さんが誰かは知らないが、
>>435の元ネタはカプコンの名作ストライダー飛龍だと思うが
>>439 ストライダー飛「竜」だった、スマンorz
三本足で立つデカい奴だと思った
なんか久々に来たら冬真っ盛りだなオイ
デルフリンガーって、どこで区切るの?
デルフ・リンガー?
デルフの、ちんこ?
馬鹿は消滅しろ
区切らないでいいんでは。
てことはリンガーハットってちんこ帽子ってことなのか
ところで寄生獣のミギーが召喚されたりしたら
ルイズの右腕に寄生したミギーにルーンが焼き付くの?
予告
馳夫って、指輪物語かよ
ゼロのワタマン part4
自爆した岩田は次の朝6:00には学院の校門でルイズを待っている。
「一緒に教室まで行きましょうフフフ」
「しょ、しょうがないわねえ」
ルイズのツンデレ度が10上がりました
そして何の役職についていない岩田はフラフラと学院をうろうろしていると、宝物庫の前でどこから取り出したのかサンドバックで筋力の練習をし始めた。時間は四時間とたっぷりである。
そして二時間が経過するとロングビルが岩田の方に視線を向けているので、岩田は変な顔をする。
ロングビルは物凄く嫌そうな顔をするとどこかに行ってしまった。
入れ違いになるようにルイズが歩いてくる
それに気がついた岩田は訓練の手を休めるとルイズに向き直った
「フフフ一緒に訓練しましょう」
「まったくしょうがないわねえ」
暇だったのかあっさりと承諾するルイズ
ルイズの友情度が5あがりました
犬から下僕にランクアップしました
つづく
日常風景(1)
岩田に剣をプレゼントしにくるタバサ
「あげる」
「フフフ私もがんばりましょう」
岩田にはしばみ草をプレゼントしにくるタバサ
「あげる」
「全力でNOです」
そして会話が終わるやいなや
「あげる」
「」略
都合三十回ほどやり取りを繰り返しているうちにキュルケが走ってやってくる
「フレイムを見なかった?」
「フフフ、残念ながらご存知ありませーん」気持ちの悪い間延びした声で思いっきりブリッジする岩田 素でケンカを売っているとしか思えないふざけた野郎である
そしてまたどこかに行ってしまうキュルケ
岩田はテレポートで部屋に逃げ
その場にはタバサだけが残される
そして偶然そこを通りかかったギーシュがはしばみ草を持てるだけ押し付けられたのでした
アーメン
実に意味不明な流れと人間関係の構築がGPMっぽいなw
これは実にひどいw GJ
そういやGPMの人間は超常能力者だったな……。
乙です
亀レス。
>>313 >山根絵
から連想して、白鷺杜夢(ギャンブルフィッシュ)召喚を想像してみた……
…………………
……………
…………
……悪魔みたいな御面相のコッパゲが、「コビィッ!!」って叫びながらマント翻して
飛び降りてくるわ、
ギーシュが、
「ミスタ・コルベールは、僕がハルケギニア上で唯一尊敬する教師だ!!
僕がトリスティン魔法学院に入学したのも、先生から悪の帝王学を学ぶため!!」
って言い出すわ……orz
終盤には同姓でも普通に「Hな雰囲気」になるんだよな…。
この調子で行けば魔法とかコマンドとか教えてくれるんだろうか?
ガンパレの世界はたった数ヶ月で素手で幻獣殺せるくらいに強くなるやつらばかりのせかいだから素敵だよね
あの頃は俺の中二魂にびんびん来てたよ
作者の芝村があまりにもDQNなのがなあ・・・・
その方向じゃクロスの意味が無いんじゃね?
>>458 まあ、色々言いたい事があるのだろうが、済まないがここではスレどころか板違いだ。
これ以上は止めておいた方がいい。
り岩田と一緒に訓練すれば、ギーシュもモンモラシーとケティの二股が可能なんだよ!!!
ΩΩΩ Ω<ナ、ナンダッテー!!
>>455 山根でジョーカー思い出す俺は少数派
それなりに面白かったんだが
>>461 ああ密会持ちだったっけ?w
>>457 お前設定すら覚えてないだろ
あの世界の学生はほぼ戦闘用(第6世代)なんだよ。
>>458 天はニ物を与えなかったんだよ
ゼロのワタマン、岩田の活躍は続きそうだなぁ
ちゅか異世界ものだしGPMとは親和性よさそうだな
400体の偏在ワルドを倒して絢爛舞踏になりそうだ
「失礼」
>>460はそういうとおもむろに着ているウエディングドレスを脱ぎだした。
ぽややん強いんだな
ブータは要らん
13巻買ったのだが、ネタバレになるので深くは書かないけれど47か74か気になるのは俺だけだろうか
AKMだろう
ルイズの胸のサイズがか?
AKBなら48だ。
47・・・・・・74・・・七支刀?
こんなに叩かれるのならスレ違いのなら……
最新刊などいらぬ!!
ということでBookOff行ってくる
アルファシステムのゲームは裏設定がどんどん肥大化していって、
完璧製作者達の自己満足になってきて、
HPでストーリー連載してたキャラがゲームに出てきた辺りで嫌になって
買うの止めたっけな
ハイハイ新刊のネタバレ自重。
>>478 うるせえ
ノボルは近代兵器を大量に投入したらしい
召喚される条件は当代最強の武器であること
軍オタが大喜びでウンチク語りしそうだ
コッパゲがキュルケとヤリまっくってるらしい
キュルケファン涙目覚悟しとけ
パソコン再起動、電波でネット繋がった、サイトが母親のメール見た、ショックの精神状態
見る限りアサルトライフルの話をしてるように見えるが……
それなら有名な47の方を出すだろ。
わざわざ74を出すくらいなら89でも出したほうが分かりやすいし。
キェルケファンなんて居ないから問題ないんじゃね?
ヤリマンがだれとヤリまくってようがどうでもいいすよ
484 :
馬岱:2007/12/22(土) 22:20:10 ID:WJieFaYc
世界扉からメタルスダイノボットが発掘されてジュリオの愛竜に
やだなァ
ヤリまくらないキュルケなんてキュルケじゃありませんよ
むしろヤリまくらなきゃダメ
>>486 馬鹿野郎!
ゼロの使い魔で一番ビッチなのはアンアンに決まってるだろ!!
アンリビッチ
……ううむ、投下がなんとなくためらわれるなぁ……
大丈夫かな?
ブリミルがエルフに勝てなかったとデルフは言ってた
デルフがエルフに作られたらしい
地球から定期的に最強の武器が召還されるガンダールヴ
AKとか英国製小銃(きっとエンフィールドかな)とか拳銃&SMGがいっぱい
あとティーガー戦車
世界扉の呪文
マザリーニが最初ロマリアから派遣されて来た
ワルドの母親は地球側に召喚されてしまった
ワルドのキャラが立った!!!!
ワルド!
ワルド!
ワルド!
地球側でもサイトの両親を支援してサイトの行方を捜してる組織が居る
支援
前にあったオーシア&ユークトバニア召還みたいな感じか!?
原子力艦が周辺海域を暴れ回るのか・・・
>>477 その自己満足にどっぷりはまって抜け出せない馬鹿がここに ノシ
495 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 22:41:38 ID:C6yb/BUI
>>489 冬休みが終わるまで待とう(´・ω・`)
>>486 あなたは何も分かっていない
一見ヤリまくってるように見えて実は処女だったら最高じゃないかw
ええい、では投下しよう! 最新刊での設定は、別の作品で生かすとするよ。
突然、ルイズとワルドの目の前に現れた、謎の男・伏羲(ふっき)。
その背後の『ゲート』から、わらわらと人々が出て来た。半透明の者や、どう見ても化け物な存在まで。
「ふ……フッキ!? 『始まりの人』って、まさか六千年前降臨された『始祖ブリミル』!?」
「まぁ、始祖だがのう。そちらで言うブリミルとやらより、ずっと昔からおるよ。
異世界でも、どうやらわしらの言葉は通じるようだのう。時におぬしら、趙公明の奴を知らぬか?」
「彼が1ヶ月ほど前、急に『神界』から姿を消しました。
よく調べると、他にも数十名の神が消えており、詳しく捜索した結果、ここにたどり着いたわけです。
『神界』の管理者である、元始天尊さまの監督不行き届きですね。
定例会議が月一から段々伸びて、百年に一度になっていたそうですし」
「変化に乏しい世界だし、みんな不老不死だから、時間感覚がおかしくなるのはしょうがないよ。
それで、宝貝もいくつかなくなっていたんだ。この世界にあってはならないオーパーツだし、回収しなくちゃね」
青い長髪で黒マントの美青年と、天使のような美少年が現れる。ルイズは思わず頬を染めた。
「プッ、プリンスは今ニューカッスル城よ! あっちの方角!
反乱軍『レコン・キスタ』の空中艦隊と戦っておられるわ!!」
「うーむ、異世界の歴史に介入するのはマズイのう……まぁとりあえず説得してみて、ダメなら再封神だ。
……ところでおぬし、その杖はわしの『打神鞭』か?」
ワルドの持つ杖に伏羲が反応する。ワルドは答えない。
「でも望ちゃん、宝貝は持ってるでしょ?」
「うむ、ここにのう。ちゃんと『太極図』もついたやつが。
……では、これはレプリカということか? ちと渡してもらうぞ」
伏羲が軽く杖を振ると、風の輪がワルドの手足を縛る。
なすすべもなくワルドは杖を奪われ、ルイズは空中に立つ伏羲の腕に掴まる。
「あ、ありがとう……ございます、『始祖』さま」
「ニョホホホ、礼には及ばぬ」
伏羲がいきなりぬいぐるみのように簡略化した姿になり、ルイズはぎょっとした。
>>438について。指輪物語に登場する「馳夫」と名乗る男(正体はアラゴルン)、原語ではStriderとなっているのです。
しかしどうすればうまくいくのだろうか?
才人がトリステインに定住→
彼の両親が泣く
ルイズが才人を追いかけて地球に行く
→両親と姉が発狂しそう
定期的に一方がもう一方の世界に行くようにする
→一見いいように思うが、二つの世界の存在を公にしてしまう事に。衝突が起こらないか?
むむむ。
>>489 おねがい!
支援
伏羲支援
ワルドの杖を、伏羲が調べる。確かに宝貝のようだが……。
「ムゥ……いくつかの魂魄が、この中に封印されておるっ!
いなくなった劉環に、陳桐に、張桂芳と風林……む? この金髪の男は知らんぞ」
「ウェールズ皇太子だ。さっき僕が殺した」
「プ、プリンスとワルドが、さっき天数がどうとか白い女神とか、『歴史の道標』がどうとか、
よく分かんないことを話してたわ……あんたたち、知ってるんでしょ!?」
ルイズは始祖相手にタメ口だ。見た目は若いし、あまり貴族らしくないからなのか。
それを聞いた伏羲が、渋い顔をした。
「……ああ、よーくな。まったく数千年振りに聞いたぞ」
「やはり、奴か!! しかし、なぜまたこのような異世界に?」
「燃燈よ、あやつもわしと同様、魂魄を自在に分裂させる能力があった。
その欠片が何かの拍子にこっちへ紛れ込み、この世界の影響を受け変質して、
またぞろ妙な歴史を作っておるのではないか? さしずめ六千年前の始祖降臨とやらが怪しいのう」
「……あの、あなたたち何者?」
「神だ。全知全能でも、唯一絶対でもない。もとは人間だったり妖怪だったり、いろいろだ。
人類社会や地球環境がそれなりにうまく回っていくよう、調整しておる。
歴史自体は人間のもので、あまりわしらは介入せんがのう」
「まだ肉体を残した『仙道』や『妖怪仙人』も沢山いるよ。僕は魂魄体の『神』。
望ちゃんは『始祖』だし、やるだけやったから、今はサボり放題なんだけどね」
天使が笑う。フッキとかスースとかボーチャンとか、どれが本名なのだろうか。
「趙公明がこっちに来ていた事は、わしが始祖の力で調べたが、
詳しい事は分からんでな。すまぬがちょっとおぬしらの記憶を覗かせてくれ。少しでよい」
ルイズとワルドの額に、伏羲が手袋をした掌をのせる。
「……ふむ、ふうむ、なるほどのう。あやつめ、このワルドを『封神計画』の遂行者に選んだのか。
そりゃ強力な風を使えるメイジだが……『ちんとう』を倒してもあまり自慢にはならんかのう」
どうやら、ワルドもしばらく妖怪退治をしていたようだ。
支援
封神支援
支援
支援
支援
つうか、世界中のちんとうに謝れ宇宙人(支援)
「ではスープーよ、このルイズを乗せて安全なところへ連れて行け。
わしらは趙公明をどうにかせねばならん。面倒だのう」
「ラジャーっス、ご主人!!」
ルイズは、ポフッと空飛ぶ喋る白いカバの背中に座らされる。
「……ま、待って! 私もプリンスのところへ、ニューカッスルへ連れて行って!
彼は、一応私の『使い魔』よ! 説得するって言うのなら……!」
「うーむ、まぁよいが、趙公明は連れ帰るからな。我慢せい。
あのような非常識で強大な存在、野放しには出来ぬぞ」
「プッ、プリンスは最も高貴な『真の貴族』よ!! 私から彼を取り上げないで! お願いよ!!」
スープーの背中で騒ぐルイズに、伏羲も閉口する。
「あーもー、めんどいのう。説得の役には立つかも知れんし、連れて行ってみるか……」
「お兄様―――――――っ、どこにおられるの―――――――――っ!!!」(ドカ――――ン)
ゲートから化け物どもが現れた。『飛刀』がいつか見せてくれた、プリンスの妹たちだ。
「げぇっ、ビーナス!! ええい急ぐぞスープー、ニューカッスル城へ!
ルイズ、案内せい! ワルドは誰ぞ、そこのゲートを潜って『神界』へ封印しておけ!」
「わ、分かったわ、こっちよ! プリンスがピンチなら加勢しなきゃ!!」
「ピンチってのう……記憶を見せてもらったが、この世界の旧式艦隊ごとき、あやつにはいくら集まろうと、
ピンチのうちにも入らんぞ。核兵器でも使わねばのう」
あれだけの艦隊を向こうに回して、ピンチのうちにも入らない、だって? ……マジですか?
「え゛……なによ、カクヘイキって」
「この世界を構成するごく微小な粒子から、途轍もない力を引き出す科学技術を利用した兵器だよ。
具体的にはウラニウムをね……」
「普賢よ、今はそんな話はよい。この物理オタクめが」
支援
支援
なんか弱そうな名前だからしょうがないさ支援
支援
支援
神々とルイズは、一路ニューカッスルへ飛ぶ。
すでにそこには、深い森ができていた。趙公明の生み出した妖怪密林だ。
趙公明の原形『巨大花』も、『レキシントン』号を押し潰して着陸し、さらに巨大化していた。
「……遅かったか……このままでは、ここら一帯養分を吸い尽くされて、死の砂漠になりかねんぞ」
「お兄様、お迎えに参りましたわっ!!! 心配いたしましたのよ!!」
趙公明の顔がついた巨大な花が、ぐぐっと振り向いた。ルイズは仰天する。
「「おお、ビーナス、クイーン、マドンナ! それに太公望くん、もとい伏羲くん!!
久し振りだね、元気だったかい? おや、ルイズも一緒とは、どうしたことだね?」」
一行はさっそく、説得にかかる。
「趙公明よ、妹たちも心配しておるし、早く人型をとって『神界』へ帰還せい!
わしら神々は、地上のことに深入りせんと、誓約したであろう!!」
「「ノン! 僕はそこのミス・ルイズ・フランソワーズに召喚され、正式に契約したのさ!!
高貴なる美少女のナイトとして、華麗に戦えるこの世界にいるのを邪魔するのかい?
帰還させたくば、僕と戦って倒してみたまえ!!!」」
趙公明が、取り込んだフネから砲火を放って威嚇する。『ガンダールヴ』の力だろうか。
「「ワルドくんはどこだい? 彼とも決着をつけねば!! ハハハハハハ!!!」」
「その人は捕まえたっス! 『神界』に戻るっスよ、趙公明さん!!」
「「ノンノン!! 僕は帰らない!!」」
「プリンス! お願いよ、もう終わったの!! やめて!!」
「「ノンノンノン!!! まだ暴れ足りない!!!」」
「……三度目、だね。望ちゃん」
「うむ……説得は失敗だ、ルイズにビーナス。では燃燈、楊ゼン、張奎、奴を再封神する。
皆はルイズとビーナスを連れて、向こうへ下がらせい」
伏羲が神々に命令する。二人は神々に連れられて、離れたところへ避難させられた。
支援
支援
支援
最終回か!?支援
「……しかし、どうするんです師叔、アレを……倒すだけなら可能ですが……」
「申公豹の『雷公鞭』やナタクの『金蛟剪』や燃燈の『盤古幡』では、この浮遊大陸ごと落としかねんな。
おぬしの『六魂幡』は魂魄を消してしまうし、張奎の『禁鞭』でもアレは倒し切れんし……ぬぅ」
「やっぱりここは、望ちゃんにやってもらおうよ。せっかくだし」
「そうだのう……毛玉、セミ、普賢。ちょいと協力せい、陣を布く」
「私は毛玉ではない、袁天君でありおりはべり」
「我はセミではない、董天君なり(ミーン ミーン)」
4人は軽く相談すると、趙公明を中心に四方を囲み、宝貝を発動させる。
「……宝貝『打神鞭』と『太極符印』、及び亜空間系宝貝『寒氷陣』『風吼陣』のリンク完了……。
いいよ、望ちゃん!!」
「よーし、じっとしておれ趙公明!! 太極、両儀、四象、八卦……!
空間系宝貝『誅仙陣・改』!!」(ヴヴン)
ばかでかい立体魔法陣が巨大花と森を包み、氷雪の嵐が襲い掛かる。
物理を操る電脳宝貝『太極符印』が気圧や温度を調節し、宝貝同士をリンクさせる。
亜空間系宝貝『寒氷陣』と『風吼陣』が吹雪を起こし、植物を切り刻む。
伏羲の『誅仙陣』は、本来は魂魄を溶かす雪を降らせるのだが、
今回は『打神鞭』で風を操り、限定空間内に猛烈な疾風を吹き荒れさせる。
ピシィ、ピキィと巨大植物たちが凍りついていく。
「「……う、あ、あああああああ!!! また僕が凍る、凍りつく!!」」
「プリンス!!」「お兄様!!!」
風の国アルビオンに雪風が吹き、趙公明は瞬間冷凍された。
(つづく)
支援
虎T<<<<<(使いやすさの壁)<<<<<<<シャーマン
な支援
乙乙
乙
525 :
貴族:2007/12/22(土) 22:57:57 ID:gudKlv4a
投下終了、支援感謝! 次回、感動の最終回!!
乙
乙
グッジョブ
乙
望ちゃんて最終的にほぼなんでもありな存在になったんだよな
GJGJですよ!
プリンスは一人まとってる空気が違うな…w
この世界神さまだらけだ!しかもアホっぽい神さまだらけじゃないか!
GJ!
乙&GJっス。
テンション上がるなあwww
乙
>>522 そこはガンダールヴ補正で
でも虎にしろ豹にしろ祈祷師にしろ複数人じゃないと使えない罠
乙でしたー。
やー、伏羲、さすが始まりの人。強いなぁw
やたら変なのが多いので、萌えキャラ普賢が一服の清涼剤のようです。
はてさて、キュルケ&タバサは出番はあるのか?
次回も楽しみにしております。
さすがプリンス。支援の数も桁違い。
伏羲の「空間使い」は虚無並みの裏技だな
面白い流れだ
一番「虚無」っぽいのは太極符印だけどな
540 :
ゼロの夢幻竜:2007/12/22(土) 23:53:44 ID:QraFF1O3
皆さん、こんばんわ。やっと規制解除されたので続きを書こうと思ったらこの有様でした。
避難所で投下しようかなとも思いましたが、
事態が沈静化(冬厨退避)するまで&ある程度書きためが溜まるまで、ちとご無沙汰します。
恐らく2〜3週間はここを離れる事になりますが、戻る頃にはタルブの一件まで書き上げていればなぁ……と思っています。
以前どなたかが仰られていましたが、自分も盛り上がりどころはサクサクッと出来るのにそれに伴う肉付けが追いつかない始末で……(笑)
あとスレは自分も読者の一人として今後もチェックはしていくつもりです。
では暫しのお別れとさせていただきます。
TODのジョニー召喚という電波受信
あれは晶術じゃないから設定しやすそうだな
威力も他の連中と比べると普通なほうだし
乙でした
MGSからグレイフォックス召喚
スネークも来てるからこれも有りでは?
デルフも使えるし
さて、久しぶりに投下いたしたいのですが、予約よろしいでしょうか
支援せねばなるまい
支援
支援ぐ。
>>541 ミラクルボイスはどう見ても普通じゃない支援
胸を張ってガリア王ジョゼフの娘だと名乗りをあげるイザベラを、タバサは微妙な思いで見つめた。
別にそれを否定する気はない、否定しても始まらない。
問題は自分がその従姉妹であり、タバサというのが偽名であることを皆に知られてしまったこと。
つまりは自分が王位簒奪の咎で不名誉印を受けた王弟の娘であることを知られてしまったことである。
タバサはほんの少しだけ肩を落とした。
父の死は陰謀であり無実だと信じる彼女ではあったが、
それに同意してもらえるのはガリア国内に限られているのもまた弁えていた。
自国での事ならばいざ知らず、他国での事件の詳細を知ることなどそれと望まねば不可能である。
魔法衛士隊隊長のワルドならばともかく、魔法学院の生徒でしかない者たちが五年前の一件のあらましなど知る由もない。
ならば友人たちが知るのは自分の父が謀反者であるという上辺の事実だけの筈だった。
「ふうん、ガリアのお姫様、ねぇ」
言いながら品定めでもするかのようにキュルケがイザベラを見つめた。
視線が爪先から頭までを何度も往復し、彼女の胸で止まる。
そこをしばらく眺めた後、傍らのカステルモールに視線を移す。
訝しげな騎士の視線が返るのを待ち、腕を組んで見せつけるように豊かな胸を張った。
それを思わず凝視してしまって頬を染める青年と、別の意味で頬を染めるイザベラを見ながら口を開く。
「トリステインのアンリエッタ王女といい、こちらの自称ガリアの王女様といい、
最近の王族ってのは変わり者が多いのかしらね。
ミスタ・ワルド、どう思われます?」
「申し訳ないが、返答は差し控えさせていただくよ。
僕はアンリエッタ王女の忠実な部下なのでね」
賢明にも明言は避けたワルドではあったが、横にいるギーシュの浮かべた笑いを見て顔をしかめる。
明言を避けたこと自体が雄弁な返答になったことに気が付いたからだ。
しかしイザベラはその点には思い至らなかったようで、
「自称!? あたしが騙りだっていうのかい!?」
「あら、そんな。
なにしろ生まれの卑しいこちらとしては王族なんぞ雲の上の人ですからね。
まさかこんなところで会えるなんて思わなかっただけですわよ」
もっともここは雲の上ですけど、と済まし顔で言い添える。
キュルケとても目の前の少女がガリア王女の名を騙っているなどと思っているわけではない。
国と時代とを問わず王族の詐称は重罪であり、発覚すれば極刑は免れない。
少女自身はともかくもそれに付き従う男までが何も言わないのだから、彼女がイザベラ王女本人であることは間違いあるまい。
だが、だからといってイザベラの態度、とりわけ親友である青い髪の少女への態度を許せるかと言えば話は別である。
横目でタバサを見る。
いつも通りの無表情であるが、それでもキュルケはそこに隠し切れない感情を見て取った。
かすかな恐れと不安、そして悲しみ。
タバサは今まで自分の素性について話したことはない。
話さない以上は何かあるのだろうとは思っていたが、まさかガリアの王族だとは思っても見なかった。
だがそれがどうしたのだとキュルケは思う。
自分が友と呼んだのは、親友だと思ったのは。
会ったこともないガリアの王族ではなく、いつも本を話さない無表情な少女なのだから。
友人を馬鹿した相手に敬意を払う必要をキュルケは認めない。
たとえそれが異国の王族であっても、だ。
支援
し迂遠
イザベラ支援
「まぁまぁ、そう喧嘩腰になることもないだろう。
従姉妹だと言われたタバサが否定しない以上、そちらの女性はガリアのイザベラ王女に間違いあるまいよ」
取り成すように口を開いたのはギーシュである。
確かに従姉妹であることをタバサが否定しないのなら彼女の言に嘘はないのだろう。
そうねと言おうとしてキュルケが首を傾げた。
彼の態度には驚きの色がなく、むしろ納得したような風情すらもがあったからだ。
「ギーシュ、あなた、もしかしてタバサがガリアの王族だと知ってたの?」
「勿論だとも。
と言っても、モンモランシーから聞いていただけだけどね」
その答えに訝しげに眉を顰める。
ギーシュの恋人である『香水』のモンモランシー、
モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシは確かに彼女たちの友人である。
だがタバサとそれほど仲がいいというわけではないはずだ。
なのに親友である自分が知らぬタバサの素性を、なぜ彼女は知っていたのだろう。
当の友人に目を移せばやはり訝しげである。するとこれは本人にとっても意外なことなのだろう。
「なに、簡単なことさ。
モンモランシーの家は、少し前までラグドリアン湖の精霊との盟約の交渉役を何代も務めてきた家柄でね。
タバサ、君の実家はどこにある?」
「ラグドリアン湖の近く」
これで解ったろうと言うようにギーシュは手に持った薔薇を気取った手つきで振って見せた。
「同じ湖に面しているということでモンモランシーの家はガリアとも関わりがある。
現に彼女の何代か前のご先祖はガリアの王族に見初められたとも聞いているしね。
だから彼女はタバサの事情も知っていたというわけさ」
そう言ってイザベラを見るギーシュの視線、王女の髪の生え際に向けられたそれを追い、
キュルケとルイズはなるほどと頷いた。
言われてみればどことなくモンモランシーと共通する面影があるような気が僅かながらしないでもない。
「もっとも、モンモランシーも気がついたのは最近だと言っていたがね。
昔のタバサはもっと活発でお転婆で、今とはかなり印象が違っていたそうだから」
なぜ最近になって気がついたのかと言えば、これは実はギーシュとブータの所為である。
ケティとの件に関してはギーシュの謝罪を受け入れたモンモランシーではあったが、
その当人が今度はタバサと共にルイズの部屋に入り浸るようになったのだ。
恋する少女である彼女が恋人の移り気を疑うのは当然である。
ギーシュ本人は身の潔白を訴えてブータから戦術を習っていると主張したのだが、
彼はともかくタバサが戦術を習うというのはモンモランシーには納得しかねるモノがあったらしい。
彼女の知るタバサは、いつも物静かに本を読んでいる少女でしかなかったのだから。
だがギーシュがそう主張するならば、動かぬ証拠を掴むまでとタバサを観察しだし、
その過程で彼女がかつては一緒に遊んだガリアの姫だったことに気がついたらしい。
「ああ、確かに昔のこいつはお転婆だったねぇ。
あたしの方が年上だってのに、遠慮なくどつくか噛み付くわ。
ドレスを奪い合って、殴られて気絶したこともあったっけ」
イザベラの言葉に、にやにやと笑いながらギーシュとブータがルイズの方を向いた。
「トリステインのアンリエッタ王女といい、ガリアのイザベラ王女といい、
最近の王族ってのは変わり者が多いのかな。
どう思うね、ミス・ヴァリエール?」
「ギーシュ、あなた喧嘩売ってるのかしら」
支援
しえn
靴下万歳支援
支援王女
言い合いを始めた二人を見ながらイザベラは我知らず頬を緩ませた。
自分を見るタバサの仲間たちの目に敬意はない。
だがそれを責めようとは思わない。自分が敬意を抱かれていないことなど百も承知だ。
王宮での貴族や使用人たちの視線を思い出す。
上辺だけは礼儀を守りながら、それでもその奥に隠しきれぬ嫌悪や侮蔑を宿らせたその視線。
それにくらべてこいつらはどうだ。
確かに敬意はないが、それだけだ。
侮蔑も嫌悪もそこにはない。
誰も自分を蔑まない、馬鹿にしない。
ただそれだけのことなのに、なんでそれがここまでも心地よいのか。
ただそれだけのことなのに、どうしてこんなにも暖かく感じるのか。
赤髪の女は敵意を見せたが、それはおそらくガリアの王女としての自分ではないだろう。
先ほどの視線の動きを思い出してちらりとカステルモールをみやり、僅かに頬を染める。
その敵意はきっと、自分の、自分だけの騎士を持っているあたしに対してのものだろう。
待てよ、と思う。では、自分とカステルモールは、つまり、その、そういう風に見えると言うことなのだろうか。
目の前の、羨ましいぐらいの肢体を持つ女が羨むような関係に見えるのだろうか?
うわ、頭がくらくらしてきた。
「し、しかし、モンモランシーとやらもよく気がついたねぇ!
昔と今じゃ、そいつはぜんぜん違っちまったってのに!」
「ああ、それについては、一つだけ変わってなかったものがあったらしくてね。
それに気がついたら、すぐに思い出せたそうだよ」
「へ?」
赤くなった頬を隠すつもりか張り上げた声への返答に、イザベラは呆けたような声で答えた。
変わってないものがある? 誰に?
そんなものなどあっただろうか。
かつての自分の従妹、活発でお転婆だったシャルロットと、
今のガーゴイル娘、無口で無愛想なタバサの間に、共通点などあるのだろうか。
「髪の色、てんじゃないよね?」
「まさか。確かに珍しいが、ガリアの貴族ならその色をしていておかしくはありますまい」
当のタバサもまた驚いたようにギーシュを見た。
かつての自分と今の自分で変わらぬものがある。それはタバサには新鮮な驚きだった。
変わってしまったと思っていた。
もう戻れないと思っていた。
世間知らずのシャルロット・エレーヌ・オルレアンはもう遠い昔にいなくなって、
ここにいるのは北花壇騎士のタバサだと思っていた。
何度もこの手を血に濡らし、憎悪に心を焦がした。
何度もこの手で叔父を殺すことを夢見た。
その為ならどんな犠牲も払うつもりだった。
母が喜ばないことなど承知していた。
誇り高かった父上が、誰よりも優しかったあの人が今の自分を見たら悲しむだろうことは解っていた。
だがそれでも、それでも自分は選んだのだ。
もう戻れない道を歩き出すことを選んだのだ。
たとえ叔父を殺し、母を治すことが適っても、そこにはもうシャルロットはいない。
父や母に愛されたお転婆な姫は、純真無垢な姫君はもう消えてしまったのだから。
もう、どこにもいないのだから。
なのに、ギーシュは、いやモンモランシーは言うのだ。
タバサの中にまだシャルロットはいるのだと。
知っている者が見れば解るような、変わってないものが一つあるのだと。
「教えて。それは、なに?」
すがるような声に、ギーシュは暖かい瞳で彼女を見ると、ゆっくりと口を開いた。
「君のその、見ていて胸がすくような食べっぷり。
それだけは昔から変わってないそうだよ」
「……おおきな世話」
支援
支援
線
ギーシュ支援
/*/
「イザベラ姫にシャルロット姫か。驚いたな。ガリアの王女が二人も揃うなんて」
武装船イーグル号の船長室で、壁にかかった遠見の鏡を見ていた金髪の青年がしみじみと首を振った。
空賊団の頭目としての変装を解いたアルビオン皇太子ウェールズ・テューダーである。
鏡面には捕虜として捕らえた貴族たちの姿が映っている。
いずこの間者とも知れぬ者たちを捕らえた以上、その正体を探るのは当然のことであった。
水晶で飾られた杖を弄びながら、横の副官に目を向ける。
「これは偶然だと思うか?」
「偶然とは始祖ブリミルのお導きを言うのですよ、殿下」
「では問い直そう。始祖ブリミルは我々に何を求めているのだと思う?」
「始祖ブリミルの考えは我々俗人には解りかねます」
答えながらも副官の手は止まらず、流れるように書類をしたためている。
拿捕した船やその積荷に関する書類、その補填に関わる指示書などである。
確かに空賊を装ってはいるが、彼らが誇りあるアルビオン空軍であることに変わりはない。
民人からの略奪はもっての外であり、そのような悪名を受けることは許されない。
祖国が亡国の瀬戸際にあるとなれば尚更である。
もはや自分たちの敗北が必至なのはウェールズ以下の全ての船員が自覚している。
ならばこそ、その最後において自らの手で誇りを辱めるようなことは出来なかった。
「殿下。二隻の新たな船名はいかがいたしましょうか」
副官の問いかけにふむと首を傾げる。
貴族派を名乗る反乱軍に奪われた『ロイヤル・ソヴリン』号が『レキシントン』号と名を変えたように、
新たな持ち主となった船は名を変えるのが慣わしである。
本来ならば他の貴族とも諮って変えるべきではあるがその時間もなく、この船に乗っている上級貴族は王子ただ一人だけであった。
何か参考に、と巡らせた視線が鏡に映る客人たちの様子を捕らえた。
どうやら今度はルイズたちが自己紹介をしているらしい。
鏡越しの視線に気がついたのか、使い魔だという大猫が確かに王子の方を見てにやりと笑った。
それにしても器用な猫である。
「猫、では軍船らしくないな。獅子や虎はもう使っていたか。では豹でどうだ」
「では『ジャガー』号と」
「もう一隻は、確か、船長が熊のような大男だったな、『ベアー』号とでもしておけ。
どの道、避難民を安全な場所へ送り届けるまでの僅かな名だ」
それにしても、とウェールズは鏡を眺めた。
『マリー・ガラント』号改め『ジャガー』号の船員から聞き込んだところでは、
彼らはトリステインのマザリーニ枢機卿の密命をアルビオンに向かう途中だったとのことである。
鏡面の向こうで名乗る男もまたそれが真実であると告げている。
トリステイン魔法衛士隊隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
“閃光”の二つ名を持つメイジであり、マザリーニ枢機卿の懐刀としても知られる男であった。
武官としてトリステインに駐在した事のある部下に確認しても間違いはないとのことである。
その彼が、なぜにあのような少年少女たちを率いてアルビオンに赴いたのか。
枢機卿の密命とはなんなのか。
思い悩むウェールズの耳に、今度は一同の中心となっていた少女の名乗りが耳に入る。
「ルイズ……そうか、彼女がアンリエッタの言っていた友人か」
シャルロット支援
ワルド支援
イーグル号支援
トリステイン王女の名を呟く際、隠し切れぬ痛みの色が王子の面に浮かんだが、
確かにそれを見たはずの副官は黙して何も言わなかった。
首を振って追憶を振り払うと、彼らの任務について想いを巡らす。
滅亡の瀬戸際にある国に密命を与えた部下を送り込む、その理由など多くはない。
であるならば彼女らの任務は、おそらくは自分と父に亡命か避難を促すためのものだろう。
とは言っても現王である父がそれを受け入れる筈もない。
故にその対象は自分で間違いあるまい。
「さすがだな、マザリーニ枢機卿。貴族派の次なる目標を早くも察したか」
ウェールズが知る限りアルビオン王家の直系の血を引く者はこの世界に三人のみ。
父と自分、そしてアルビオン王弟にしてトリステインの先王だった叔父の娘であるアンリエッタだけである。
アルビオン王家断絶を目論む貴族派にして見れば、アンリエッタがいる限りその目標は達成されない。
ならば彼らがアルビオンを掌握したあと、トリステインに攻め入るのは明らかである。
そして国力で劣るトリステインにそれを跳ね除ける力はないだろう。
しかしもしもウェールズが生存していたのならば。
国内の王党派、反貴族派とも言うべき勢力を統合してトリステインの味方となることも可能であろう。
そしてそれ故にこそ、マザリーニはウェールズが死ぬことを喜ばない筈である。
だが、と王子は思う。だが、それは自分には認められないことだと。
例えそれがトリステインの敗戦を後押しすることだと知ってはいても、
アルビオンの王子である自分にとっては自国の民こそが守るべき宝なのだった。
結局のところは、そういうことだ。
自国の民と異国の民を選択の秤に載せ、父と自分は自国の民を選んだ。
例えその罪で地獄に落ちるとしても、その選択に後悔はなかった。
彼は大きく息を吸い、そして吐いた。
「私は甘いか?
これ以上、同じアルビオンの民が殺しあうのを見たくないと、
我々で最後にしようと思うのは」
「確かにお甘いですな、殿下。
だがお忘れめさるな、そんな殿下と陛下だからこそ、我々は忠誠を誓ったのだと言うことを」
目をつぶれば、多くの顔が浮かぶ。
誇り高きアルビオン貴族として、共に語らった友人たち。
その一部は貴族派となり、あるいは既に始祖の元へと旅立ってしまった。
運命と言うものが少し違っていたのならば、未だに同じ酒を飲み交わすことが出来たであろう懐かしい顔ぶれ。
もう戻らない、もう戻れない、遠い日々。
「ああ、そうだな。
これで、最後にしよう。
同じ国に生まれた者同士が殺しあい、傷つけあうのはもうごめんだ。
アルビオン王家の誇りを胸に、始祖ブリミルに拝謁するとしようじゃないか」
言いながら、ウェールズはしかし胸にひそかな不安を抱いていた。
ルイズが来たと言う以上、今回の密命はアンリエッタの承認を得ているのだろう。
想い人に送る使節に唯一無二の友人を選ぶのはいかにも彼女らしい。いやトリステインらしいと言うべきか。
それはともかくも、ルイズはアンリエッタかマザリーニ枢機卿の親書を携えていることだろう。
問題はそれがどちらがしたためたものであるか、だ。
アンリエッタならばまだいい。あの優しい少女は心を通わせた自分を想って亡命を薦めてくれるだろう。
だがマザリーニならば。枢機卿である彼の筆によるものならば。
もしも彼が王家の血を絶やすことを憂い、始祖ブリミルの血脈に繋がる者の勤めを、
その血を次代に受け継がせる為に命を繋ぐことを要求してきたのならば。
アルビオン王家の一員である自分と父にそれを拒否することが出来るのか、と。
『…………!』
耳に飛び込んだ怒声がウェールズの意識を現実に引き戻す。
鏡の向こうでイザベラがルイズに食って掛かっていた。
閃光支援
アンアンだけは支援できねぇ
今回は以上です。
リアルが忙しいのでなかなか執筆できませんが、お待ちいただけると幸いです。
あじゅじゅしたー
支援
乙でしたぁ
ゲッターロボ支援
グッジョブ
お久しぶり&乙&GJでした
相変わらずキャラが全員かっこいいですな
くそう、支援しそこねた!
なんでこんなかっこいいんだ!
太乙真人
誤字発見
>>548下から三行目
×いつも本を話さない
○離さない
久しぶりGJ!
イーグル号ジャガー号ベアー号使われたかorz
GJでした!爪の垢を拙者にくだされえぇぇ!!
ところで、区切りのいい所まで書けたので投下してもよかですか?
SHIENの時間だぜ!
支援
では投下いたします。
自分の部下を倒されながらも、自分の貴族としての権力を盾にして幸村を脅すチュレンヌ。
だが、そんな彼の背中に何か硬い物が触れた。
「何だ?こんな所に馬車など置いてはいないが…」
振り向いたチュレンヌは、自身の背に当たったものを見て固まる。
何というか…大きな足が自分の真後ろにあった。
そういえば…あの変態の表情が変わった時、心なしか自分の頭上を見ていたような…
それに何だか上から視線を感じるではないか。
振り返った姿勢のまま、自分の上を見上げてみる。
赤く光った目が、自分を見下ろしていた。
「………」ゴゴゴゴゴ…
「あ、あ、あの…どどどちら様で?」
チュレンヌはビクビクしながら自分の背後にいた忠勝に尋ねる。
「!!!」ウィーン、キュイキュイキュイ!
だが忠勝はチュレンヌの問いに答えず、彼を片手で掴み上げた。
『貴様等は虫ケラだ、貴族に刃向かう者は犬以下の虫ケラよ!』
忠勝の脳裏に、この男の言葉が木霊する。
彼はこの街に滞在し、そこに住む人々の生活を見てきた。
店を破壊した自分を、誤解とはいえ嫌な顔せずに置いてくれたスカロン。
スカロンや働く娘達と共に、店を切り盛りしているジェシカ。
そして、この街で生きている民…
きっと、このチュレンヌという貴族は自分がこの世界に召喚される前からこのような横暴を働いていたのだろう。
街の民が貴族に逆らえないのをいい事に…忠勝はそれが許せなかった。
だが、さらに許せないのがこの愚か者1人のせいで他の真っ当な貴族…自分の主までもが反感を持たれてしまうかもしれない事であった。
支援
「…!…!!」プシュー!ギギギ!!
「ひいぃぃ!や、止め…苦しい!止めてくれぇ!」
それを考えると、忠勝の指に力が入っていった。
ミシ、ミシとチュレンヌの体が軋み始める。
「タダカツ!止めなさい!」
あわやチュレンヌの骨をバラバラにしかねない忠勝を止めたのは、なんとルイズであった。
「そんな男殺しても、あんたの得になる事は何一つないわよ」
「………」ウィーンピピピ…
ルイズの言葉を黙って聞いていたが、忠勝はチュレンヌを地面に置いた。
地面に置かれたチュレンヌは急いで忠勝から離れる。
そのチュレンヌにルイズは紙を一枚手渡した。
「な、何だこれは?」
「読みなさい」
ルイズに言われ、渋々と読み始める。すると、紙に書かれた内容を読んでいたチュレンヌの顔が蒼白になっていった。
「こ、これはまさか…王室の…!!」
「そうよ。ようやく自分のやった事の重大さが理解できたかしら?」
勝ち誇ったようにルイズが言い放つ。
一方のチュレンヌは汗をダラダラ流し…
「も、も、申し訳ありませぬうううぅぅぅぅっ!!」
地面に頭を擦り付けて謝り始めた。
支援
「いい事?これからは今までの行いを改める事。それから…ここで見た事聞いた事は全て忘れなさい!」
「そ、それはもう!」
チュレンヌはヘコヘコと頭を下げると、懐から袋を取り出した。
「こ、これはその…迷惑料という事で…すみませんでしたぁ〜!」
その袋を置くと、チュレンヌは脱兎の如く逃げていった。
それに続き、店で倒れていた部下達もフラフラと逃げていく…
「凄いわルイズちゃん!」
「あの下品なエロガッパを凹ませるなんて!」
チュレンヌが去っていた後、ルイズは従業員の娘達に囲まれ、褒めちぎられていた。
ルイズは顔を赤らめて満更でもない表情を浮かべている。
だが、ルイズとは打って変わって不安な顔をしている者がいた。
まだ女装ををしていた幸村である。
「…ルイズ殿、よろしいのか?拙者等の素性が知れてしまったが…」
と、ルイズやジェシカ、娘達がきょとんとした顔になる。
いきなり皆の表情が変化したので、幸村は一瞬たじろぐ。
その幸村にジェシカが呆れるように言った。
「何言ってるのよ、皆とっくに感づいていたわよ?」
「な、何と!そんな馬鹿な!何故でござるか!?」
ジェシカの言葉に幸村は驚愕する。
驚いている幸村に、ルイズはムスッとした顔で近づいてこう切り出した。
「あんた、私の事をなんて呼んでた?」
「何を…拙者はちゃんと“ルイズ殿”と…」
ここで…幸村はこの店に来た時の事を思い出した。
『ルイズちゃんはね、お父っつぁんの博打の肩に売り飛ばされそうになった所を、“お兄さん”と町まで逃げてきたのよヨヨヨ…』
で、幸村は「ルイズ殿」と呼んでいた…つまり…
「……あ……」
「あんたのせいで最初からバレてたのよ!このバカムラァーー!!!!」
機動武士ホンダム支援
「申し訳ありませぬ!申し訳ありませぬうぅぅーー!!」
「フンッ!」
幸村は地面に頭を擦り付けてルイズに謝る。
それは…ついさっき繰り広げられた光景にも見えた。
「ユキムラちゃん、ここは従業員の事情に深く追求しない店だから安心しなさい♪」
「あのスケベにはほとほと困ってたからねぇ。それに…大金も手に入ったしね」
そこへ助け舟を出したのがスカロンとジェシカだった。
ジェシカはチュレンヌが置いていった袋を弄ぶ。
「これだけあれば、ボブちゃんが壊した屋根の修理代を差し引いてもお釣りがきちゃうわよ♪」
「!!」ギュオーン!
忠勝はスカロンの言葉ではっとした。
修理代を返せるという事は、学院に…主のいる場所に帰る事が出来るのだ。
「さぁさぁ妖精さん達!まだ閉店には時間があるから戻って♪」
「「「「はい!ミ・マドモワゼル!」」」」
スカロンが手を叩くと、娘達は元気よく返事をして店内に戻って行く。
「タダカツ」
自分も店の裏で待機していようとしたその時、ルイズが忠勝を呼び止めた。
「明日学院に戻る前に、私達と一緒に来て頂戴」
「…??」キュイィ、キュオーン?
以上で終わりです。
ああ……そういえばそろそろクリスマスですね……
バサラの方GJそして乙でしたー!
忠勝に睨まれたらそら怖いなw
クリスマス?家族と過ごすのが正しい姿ですよ
投下乙
じんぐるべーる じんぐるべーる くりすますー
ことしも おれたちゃ ひとりだよ へい
乙でした
クリスマスは…
蛇みたくダンボールの中からカップル達を恨めしそうな目で観察する予定です…
ジークダンボール!
よーし、今年もクリスマスを苦しますにしてやる。
見ていろ世のカップルども。
あ、乙でしたホンダム。
乙です
ワルドの母親が地球人ってことはないかな?
いまこそ、伝説の嫉妬マスクがルイズに召喚される時!!!!
レッツ・ヘルクリスマス!!!
何か、投降者の方々の(最近の)コメントを見て思うんですけど
規制だ、荒れ具合だって、何かあったんですか?このスレ
クリスマスにしっと団が召喚される小ネタが投下されたりしないだろうな
>>597 するなよ!するなよ!絶対にするなよ!!
>>599 ぜひ書いてくれ。
我等に救世主を・・・
え・・・あの・・・ダチョウ倶楽部ごっこのつもりで・・・
>>599 やめろ!
23〜25日のしっと団の暴走を1日ずつ書くなんてマネはやめろ!
じんぐーべー
じんぐーべー
くーるしーみまーす
子供達に(悪)夢と希望(に見せかけた絶望)を振り撒くサンタしゅーまっは召喚
クリスマスという異郷の行事を広めつつマグロの目玉盛り合わせや喋れるようにしたスッポンの生殺しやちょっと珍しい魚をプレゼントして回ります。
コレはコレでおいしいと言えるのかもわからんね。
ボケ損ねた身としては少し寂しいがw
クリスマスにはアントワープに一番乗りだ!
とりあえずハルゲキニアに兵器、巨大ロボ召喚はハードルが消えたか
爆熱にGガンダム来たらいいな
あとは意思持ちの相棒を一緒に呼べなくても途中で出現させられるな
>>607 あれは元からさり気にハードル低い上に、それっぽいネタ振りは何度も有る気がする
ナウシカからオーマ召喚!
まさに当代最強の兵器
エンジェルハウリングからミズーを召喚、その後『最強の武器』ということで
『絶対殺人武器』こと殺人精霊アストラが降臨
ガンダールヴの虚無のルーンと虚無魔法を虚無の存在であるアストラにぶつけて互角バトル
そして絶対に埋まらない白紙のできる始祖の祈祷書
>>355 仮面ライダーブラックやシャドウムーンを召喚するのもイイが
バトルホッパーを召喚するのはどうだろう。
ミョズに乗り回されるバトルホッパー。
ルイズ「バトルホッパーが泣いてる……」とか
仮にも(本当に仮だが)プロの作品を素人が弄って二次創作なんてやってる時点でファンから見れば痛いシロモノ。
そんな中でもクロスなんてのは飛び切りに痛いシロモノ。
そしてそんなクロスの中でも、主人公の存在を抹消してお気に入りのキャラをねじ込むって類のクロスは最悪の劇物。
そんな糞みたいな物を専門にするスレで、住人の質が悪いとか言ってるのって馬鹿だよな。
糞に相応しい住人が自然と集まってるだけじゃねえか。
自称古参住人が有り難がってる初期の作品だって目糞鼻糞のレベルだしな。
フォーチュンクエストとか、ラノベ関係は結構あいてるのかな
>>615 クレイの不幸伝説に新たなページを増やせとな?
フォーチュンクエストか、私大好きだよ。
金と精神的余裕の無さで、なかなか読めなくなっちゃったけど。
>>616 いんや、ルイズの子育て伝説をちびっこエルフで
素直にシロちゃん召喚させてやれ
またしてもデルフ涙目だがw
シロちゃんはむしろタバサ向きだとおもうのです
コーチ、ゴーレムです!。どうすればいいですか!
>>620 きゅいきゅいを姉と慕うシロちゃんを念視した。
それはさて置き、ラノベからだとエリアルから召喚とかどうかな。
無敵超人は文字通り無敵過ぎるので置いておくとして、名前繋がりでタバサがシャルロット召喚とか、
アバルト・ハウザーの不幸伝説がまた一ページとか。
624 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 04:34:01 ID:C9XIEmB1
無敵超人で風林寺隼人しか思い浮かばんかった
下げ忘れスマン
ラノベからの召喚だとD騎士の主従とか聖霊&新曲学士とか最終巻目前に担当が新たな旅に出てしまった軍団とかしか思い浮かばないなぁ
我ながら思い浮かぶ範囲が狭い……
>>609 「必要」かな?
生身でも天驚拳は撃てるから(漫画版)戦列艦の1ダースや2ダースは普通に落とせそうだし
レンタルルイズ改めレンタルみかんです
今までの話がなんとなく納得できなくなってきていたので一から練り直していました
これから改訂版を投下します
題名は「レンタルみかん」になりますが、wikiの更新は同じページを使います
レンタルルイズ訂正版「レンタルみかん」
プロローグ「団欒、後の騒然」
sideいつき
「書きかけの業務日誌より」
青天の下、僕らはアストラルで焼肉パーティーを開いています。
というのも、先日のロンドンにおける騒動の後、あのユーダイクスさんとラピスちゃんが一時的にですが本社の方で休養を取ってくれることになったからです。
あの二人の文字がこの日誌に加えられることが今から楽しみです。
この日誌を読むであろうお二人に、…おかえりなさい。
これからも旅を続けられるということですが、いつでもここを訪ねてください。
アストラルは、いつでもお二人を歓迎いたします。
パタリと、本を閉じる音がする。
普段のスーツ姿ではなく、学校帰りの制服姿のままの彼の右目には、大きな眼帯がある。
しかし、その黒髪やなんとも言えない柔和な笑みを合わせるとその眼帯ですらどこかユーモラスな感じに見えてしまうのだ。
襟首に届く程度の後ろ髪も清潔感があり非常に受けが良い。
数奇な運命により、社長としての地位と、なにものにもかえがたい人脈を手に入れた彼、伊庭いつきはこの幸せを噛みしめていた。
何度も死にかけた、これからも死にかけるだろう。
魔法使いという異形、なによりも自身の右目にある「妖精眼(グラムサイト)」という異形が彼を歪な運命の輪に閉じ込め続けるはずだ。
にもかかわらず、彼は今のこの一時の幸せを全身全霊をもって感じることができる。
もし、一人でも欠けるようなことがあれば、彼はその要因に全力を持ってして立ち向かうだろう。
いつきが感慨深げに窓の外を眺めていると、庭から声が上がる。
声の主は葛城みかん。
魔法使い派遣会社の神道課契約社員、つまりアルバイトである。
未だ小学生であるが、その身を包む巫女服はじつにうまく着こなされており、ツインテールにまとめられた桃色の髪は陽光を反射し彼女の笑顔を一層引き立てる。
「お兄ちゃん社長!!早く焼肉のたれ持って来てよ!!お肉焦げちゃうよぉ!!」
「ごめんごめん!すぐ行くから待ってて!!」
>>623 エリアルと言われて司令官の恋人の
転生前の姿想像したのは多分自分だけだ
大きな声でそう返すとすぐに踵を返し階下へといそぐ、途中、ユーダイクスとすれ違いとっさに軽い会釈をする。
ユーダイクスもそれに手をあげて返す。
ユーダイクスは自動人形だ。
整備などを行いやすいようにあえて巨体であるその体、武骨ともいわれそうな顔、消して長くない赤い髪とその眼には、心が宿るはずがない。
しかし、その自然すぎる動作には生身の人間しか連想できない。
いつきからは見えなかったが、手を挙げた際の微笑は我が子をいつくしむようですらあった。
「遅いよお兄ちゃん社長!!焦げそうだからオルトロスにあげちゃったよ!!」
「ごめんってば、ほら、タレ持って来たよ」
みかんの横で焼肉を頬張るのはケルベロスの亜種のオルトロスだ。
体調が三メートルもある割には臆病な性格で人懐こい。
過去縁のあった存在であり、今回は仕事の一つとして預かり世話をしている。
みかんが皿にタレを注いだのを口切りに、各々焼肉を食べ始める。
いつきは、自身もその輪に混ざろうとしたその瞬間にみかんを突き飛ばした。
右目が、異端である右目がそれ以上の異端を捉えたのだ。
刹那、少し前までみかんがいた位置に鏡が出現していた。
穂波はヤドリギの矢を構え、猫屋敷は札を構え、使い魔に命じ屋敷のまわりに結界を張る。
とっさの行動が取れていない黒羽を尻目にオルトヴィーンが鏡に対し攻撃を仕掛けようとした矢先、オルトロスの叫びがこだました。
みかんに寄り添うようにしていたので逃げ遅れたのだ。
鏡に捉えられ引きずり込まれるオルトロスにとっさにみかんが飛び付き禊を行うが、その鏡は消えるどころか輝きを増し、ついにはみかんをも捉えてしまう。
鏡の中に取り込まれていくみかんが最後に目にしたのは血の涙を流す赤い瞳。
穂波やアディリシアに取り押さえられた社長が叫んでいた。
「必ず、迎えに行くから!!」
第一夜「唐突の召喚、横暴な契約」
春の使い魔召喚の儀式、それは進級のためのテストであると同時に、始祖ブリミルの名の下生涯を共にするパートナーを呼び出す大事なものだ。
抜けるような青空をバックに喜びを隠せないでいる少女の姿があった。
ゼロのルイズ。
彼女は初歩の魔法ですら原因不明の爆発しか引き起こせないというおちこぼれのメイジであり、今回のことに関しても留年確実と言われていた。
それが体長3mもあるみたこともない犬を召還したとあれば周りが驚くのも仕方がない。
その犬はおびえているのか、体をまるめている。
何かを守ろうとしているようにみえなくもない。
「ミスタ・コルベール!!やりました!!百回目の挑戦にしてついにやりました!!」
「…………」
「ミスタ?」
喜びを全身で表現するルイズであったが、コルベールの表情を見て怪訝な顔になる。
なぜ黙っているのか?もしかして自分は何か間違いを?いや、自分は確かに召喚できている!!じゃぁ…なんであんな顔を……?
他の生徒もその様子に気づいたのか、また一人、また一人と押し黙って行く。
誰一人として口を開かなくなり、少し経った後、コルベールは口を開いた。
「女の子だ…」
「は?」
その言葉に生徒一同は改めて召喚された犬を見る。
その巨体からわずかにはみ出しているのは衣服だろうか?
なるほど、近くで見ればそこには女の子が見えるのかもしれないなどと考えていると、その犬がのそりと動きだしたために杖を握りこみぐったりとしている少女が目に入る。
コルベールは落ち付きを取り戻したのか毅然とした態度を、ルイズは状況についていけず、まず口を開いたのは遠巻きに見ていた他の生徒だった。
「ルイズ!!メイジを召喚しちまってどうすんだよ!!」
「ゼロのルイズが普通の使い魔を召喚できるとは思ってなかったけど…まさか人の使い魔を召喚するなんてな!!恥を知れ!!」
的を得た嘲笑から、単なる罵詈雑言までがルイズを攻め立てる。
ルイズは、助けを求めるようにコルベールを見て、現実を突きつけられる。
「ミス・ヴァリエール。これは神聖な儀式だ。使い魔召喚の儀式にやり直しはない。犬の方がすでに使い魔であるなら、そちらのメイジの方を使い魔にしなさい」
「そんな!!人を使い魔にするなんて聞いたことがありません!!」
「これは伝統なんだよ。そちらのメイジの方には悪いが、神聖な儀式を汚すわけにはいかない」
「そんな!!」
青ざめていたかが次第にいらいらしたものへと変わってくる。
なんであんたがゲートをくぐったのよ?!
これがどれだけ神聖な儀式か分かってるんでしょ?!
…そうよ、よく考えたら自分の意志でこっちに、私の使い魔になりにきてるんだからせいぜいびしびし顎で使ってやるわ!!
大股でずかずかと近づいて行くと、驚いたのか犬は逃げ腰になる。
なによ!!ご主人様すら守れないなんて、本当に駄犬ね!!これなら私の使い魔になるこのメイジの方が立派に決まってるわ!!
メイジを見るなら使い魔を、その考えに反する発想すら出てくる、完全に開き直っていた。
呪文を唱え、寝起きのようなそのメイジの顔を自分の方に向けると、ためらいなく口づけを交わす。
その痛みは常ならば幼い人間の意識など軽く刈り取るもののはずだが、絶食をはじめとする苦行を乗り越えたみかんはその痛みで完全に覚醒する。
「いった〜〜〜い!!」
「「「え?!」」」
「おい、今の声…」
「ああ、そっくりだったな…」
「使い魔を見れば主人が分かるってやつだな」
よく見れば声だけでなく髪の色も似ている。姉妹と言われれば信じただろう。
軽い嘲笑を含んだ感想が飛び交う中、ルイズはみかんの前で仁王立ちを続け言い放つ。
「私があなたのご主人様よ!!名前を名乗りなさい!!」
「へ?」
状況を飲み込めていないみかんは、オルトロスに寄り添いながらあたりを見回す。
(穂波お姉ちゃんみたいな人たちばっかり…ここどこ?お兄ちゃん社長が迎えに行くって言ってくれてたから、遠くに呼び出されたのかな?)
そう考えながら、自身の左手にある文字を調べる。
(うう〜、呪力の解析は苦手だけど…身体能力を強化してる…のかな?あと、多分服従と…)
すこしづつ嫌な現実を理解しかけてきたみかんは、先ほどから震えっぱなしのオルトロスを気遣いその顔を見上げ、さらに嫌な現実である二つ並ぶ月を見た。
(違う……星?ううん、違う世界?!)
いくら魔法でもそんなに長距離を一瞬で飛べるはずがない、それなら、近くて遠い場所であると言われてる異世界の方がまだわかる。
もう、認めるしかない。
自分は、異世界の魔法使いに使い魔として強制的に召喚されたのだ。
(神隠しの正体…かな?)
思い返すのはかつてアストラルが関わった神隠しの事件。
あれ自体は偽りのものであったが、家柄神隠しの話はよく聞いている。
いつまでも考え込んでいるみかんに業を煮やしたルイズが大声で詰め寄った。
「ちょっと!!いつまでもご主人様のことを無視してじゃないわよ!!いい加減名乗りなさい!!」
「むっ、名乗らせるなら先に名乗りなさいよ!!」
「なっ!!!」
辺りから失笑が飛び交う。
それはそうだ、いくら使い魔とはいえ相手は絶対にゼロのルイズよりも格上のメイジだ。
「…!!わ、私はルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。あんたは?」
「私は葛城みかん。魔法使い派遣会社アストラル神道課契約社員」
「いいこと?あなたは私の召喚に応えたんだから、今日から私の命令を絶っ対に聞くこと!!いいわね!!!」
みかんは、あんなものに応えるだの応えないだのあったものかとも思ったが、元来魔法使いとはそんなものだ。
そういった人間には慣れているため、特に感情も動きはしない。
ただ、今の命令のさいの左手の文字の呪力の動きを考えて、逆らったところで特に害になるものではないと冷静に分析をしていく。
再度詰め寄ろうとするルイズを制し、コルベールがルーンを覗き込んだ。
「ふむ、珍しいルーンだね…。皆!!もう教室に帰りなさい!!ミス・ヴァリエール。よくやったね、進級おめでとう。ミス・ミカン。見たところずいぶん遠くから来たんじゃないかね?分らないことがあればいつでも聞いてくれたまえ」
「え?」
「どうしたんだい?」
「…ここの人たちは使い魔をどこから召喚するんですか?」
「どこって…このハルケギニアのどこかに決まってるじゃないか」
なら、自分はイレギュラーということだろうか?この文字、ルーンも珍しいというし…。
「ところで、そちらの使い魔のルーンも見せてくれないかな?」
「使い魔?」
指されているほうを見るとオルトロスがいくらか平常心を取り戻した様子で座り込んでいる。
「おるとろすは使い魔じゃないのでルーンはないです」
「はぁ?!」
それに驚いたはルイズだ。
それなら、自分がこのおるとろすとかいうのと契約するはずだったのに。
考えるよりも先に杖を構えを呪文を紡ぐ。目標はみかん。
それを見てあわてたコルベールはとっさにみかんの前に立とうとするが、それ以上の速さでみかんは懐の社員手帳を取り出しページを一枚破る。
ルーンが自身に付与した能力に驚きつつ、切り取ったページを構え呪力を込める。
猫屋敷の作った水の力を借りた呪符であるそれは、薄い水の膜を作りだし、あらゆる穢れを祓う神道の魔術特性を持ってして即席の壁となる。
壁の完成とともに一部が爆破される。
その破壊力にぞっとする。
小口径の銃であれば弾丸すら防ぐ結界を破壊するのであれば相当なものだ。
形を保てなくなり拡散しようとするするそれに無理やり呪力を注ぎ込み凝縮させ打ち出す。
ルイズの手前で破裂したそれは杖をはじき全身に打撃を与え数メートルも吹き飛ばした。
みかんは、主人であるルイズに対する攻撃を行ったにもかかわらずルーンからなんの制約を受けないことをみて、服従の効果はなかったのかと安息する。
気絶したルイズを無視してあたりをみまわすと、コルベールも気絶していた。
どうやらルイズの魔法にやられたらしい。
ここにいてもしょうがないので二人をオルトロスにのせて学院に向けて歩き出した。
しばらく歩いていると巨大なモグラと戯れながら進んでいる生徒がいた。
…不気味だ。
邪魔しないようにこっそり後ろをついて行く。
目的地は同じはず。
そう思っていたが途中でメイドにとめられる。
コルベールを他のメイドに預け、女子寮の部屋に案内される。
暇つぶしにこの世界のことをそれとなく確認しているとルイズが目を覚ました。
正直、もう少し確認したいこともあったが、だいたいは分かったのでメイドには帰ってもらい、ルイズと向き合う。
「目は覚めた?」
「ん…。あ、あんた誰よ!!」
「呼び出しといてそれ?!」
「あ…そっか、私サモンサーヴァントで…。って、さっきはよくもやってくれたわね!!」
「そっちが先にやったんじゃない!!」
「あんたは私の使い魔なのよ!!」
「その使い魔を攻撃するってどんな了見よ!!」
そう言われてルイズは一瞬言葉に詰まる。
というのも傍らにあった杖に手を伸ばしそうになったからだ。
ここで戦ってもまた負ける、悔しいけど。
食事や寝る場所を提供する側だというアドバンテージこそあるが、その気になればメイジにはいくらでも働き口があるだろうし、実力では押さえつけられない。
正直ここを出ていかれると非常に困る。
「ねぇ…あんた自分が使い魔ってことは分かってるのよね?」
「うん」
「(なんだ、案外素直じゃないの)じゃぁ、使い魔の仕事って分かる?」
「知らない」
即答するみかんにルイズは疑問を抱いた。
一緒にいる幻獣が使い魔じゃなかったり使い魔の仕事を分かってなかったり。
そういえばさっきの魔法も見たことがない。
「あんた本当にメイジ?」
「うん。ただルイズお姉ちゃんの知らない魔法を使ってるだけ」
「なにそれ?先住魔法?」
「違うよ?ずっと遠くの魔法」
これは結構あたりではないだろううか?
落ち着いて話せば言うことは聞いてくれるしこの地の誰も知らない魔法を使う。
自分の失敗魔法は威力だけならむちゃくちゃに高いことを実感している分、それを防いだということは実力も申し分ない。
そう考えると前向きになってきた気がする。
「いい?使い魔はまず間隔を共有できる存在で…って、なんかできないわね。あんたがメイジだからかしら?」
「さぁ?」
「…後は秘薬を見つけたりご主人様を守ったりすることね。これは問題ないでしょう?」
「うん。じゃぁ、これにサインして?」
「なにこれ?」
ルイズはみかんが取り出した紙切れを覗き込む。
ミミズがのたくったような文字のそれはルイズの知るどの文字にも当てはまらない。ずっと遠くの文字とやらだろう。
「これは、契約書です」
「な!!」
使い魔の分際で契約書?!…まてまて、落ち付け、私。ここで暴れたら二の舞だわ。
「それで、なんて書いてあるの?」
「私は使い魔に自分の考える人並みの扱いを約束しますって書いてるよ」
「ふぅん…(ふざけんじゃないわよ!!こんなの無効よ無効!!あとで主従関係をはっきりさせてやるんだから!!)」
ルイズは軽い気持ちでそこに名前を記したが、それはゲッシュ(契約)と呼ばれる魔術であり、もしその誓いを破った場合は不幸になるというものだ。
今回のこれは簡易版であるためせいぜいが激痛を伴う程度だが、みかんはこの土地の魔法を聞く限りそれで十分だろうと考えていたし、実際それで十分だった。
純粋な破壊力を除けばみかんは現在ハルケギニアでもっとも有能なメイジだ。
こと呪術にかんしては対抗しうる存在はエルフのみのはずである。
適当な呪いをまけばここは死の大陸に変わるだろう。
ルイズがどうやって主従をはっきりさせようかと考え込んでいると、いい加減眠くなってきたみかんがその思考を遮った。
「ねぇルイズお姉ちゃん。もう寝ない?どこで寝ればいいの?」
「!!(ふふ、早速来たわ!!)もちろんあんたは床で、きゃあああああ!!!!」
ルイズが悲鳴をあげ、オルトロスがそれに驚き逃げる。
「な、なんなのよ!!」
「契約を破ろうとするからだよ!!契約を破ろうとしたら効果が発動して何度でもそうなっちゃうからね!!」
契約…?!ハッ!!あの時!!
ルイズは自身のうかつさを呪いながら、とりあえず二人で寝ることを提案する。
みかんはそれを了承し、オルトロスはベッドの隣で寝そべる。
ルイズは使い魔と同じ場所で寝なければならない屈辱に涙が止まらないでいた。
「(くそぉ!!明日から!!明日からは違うわよ!!何度でも蘇ってやる!!そしてこいつをゴミのように扱ってやるのよ!!)」
目的のために何が必要かを考えながら、ルイズは明け方ようやく眠りについた。
この調子でしっかりと完結させたいです
今回は全体を考えてから書いてます
全部で二十話ぐらいになる予定ですが、本筋に関係ない話を書いたりした場合増えます
乙でしたー。
しかしなんという投下ラッシュ
流石冬!嵐も来るが作家も来る!
乙
オルトロスと契約するために迷わず殺そうとした?このルイズの黒さは
蛮人のルイズ並みかそれ以上だ!
改悪になったんじゃねえの?これ
普通にひでえぞ
644 :
u^:2007/12/23(日) 06:25:41 ID:BTKTjTYe
改訂版 乙〜です^^
改訂前の前半は、かなり駆け足でしたから。直すのは良い事ですが、、、
、、、にしても2人ともカナリ黒いなぁww
このまんま黒さ合戦をおこなって(学園中涙目で;)頂きたいなぁと^^
人もいないようなので、投下させていただきます
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの部屋には、野菜や土、それに水の匂いがいくつも入り混じり、独特の臭気となっていた。
棚には青や緑の液体が入った小瓶がいくつも並んでおり、その中でも下方の段には様々な器具がある。水メイジなどが秘薬の調合に使用する器具であった。
少し前までのキュルケの部屋と比べると、相当に変化している。
部屋の中央のテーブル。そこには緑色の薬らしき液体の入った瓶と、赤い土を固めたような球体が置かれている。瓶の中身はアルテナの水という滋養強壮に効果のある薬。赤い玉はフラムと呼ばれる簡易型の爆弾。
「やっぱり、材料が足りないなあ……」
二つのアイテムを見比べながら、エリーは頭を振った。
「なーんか不満そうねえ?」
キュルケはアルテナの水を手に取りながら、エリーの顔を見る。
「けっこう評判良かったわよ、これなんか」
学院内で用意できる器具と材料ながら、エリーの製作したアイテムは、いずれも非常に出来がよかった。
フラムはなかなかの威力を発揮したし、アルテナの水などは水魔法を補助する薬としてもかなり良いものであったそうだ。単独で使用しても効果があり、材料が安価で手に入りやすい点からコストの面でも優秀であるとか。
「それは嬉しいんですけど……」
エリーは軽くフラムをつついてから、キュルケのほうを向き直る。
「やっぱり学校の中だけじゃ限界があります。やっぱり錬金術は材料あってのものですし……」
「確かに色々あるものねえ」
キュルケは瓶を置き、本棚にしまわれていたエリーの参考書を開く。
「何だったら、私のつてで色々探してもいいわよ?」
メイジの望むもの、たとえば秘薬の材料などを採集する。それは使い魔の主な仕事の一つ。キュルケの“ボーイフレンド”の中にはそういうことに長けた使い魔を使役している者も大勢おり、それ以外にも薬草や鉱石などを入手するルートも知っている。
「そうですね……。でも、こういうのは自分で探して採取したほうがいい場合も多いんです。だから……」
「外に、材料を探しにいきたいって?」
「ええ、まあ……」
「活動的ね。そういうのはけっこう好きよ。……で、そういうこと言うってことは、採集に行く場所とか心当たりあるわけ?」
キュルケはにまっと笑ってから、たずねた。
それに対してエリーは、はいとうなずいた。
少し前に、シエスタにそれらしい場所はないかと聞いたところ、
「薬草やキノコが採れるところですか? ……ああ、学院の近くの森にはそういうものが意外に多いそうですよ。ただ、毒キノコも多いし、ゼリーおばけとか時々出るので、あまり私たちはいきませんけど」
洗濯物を干していたシエスタは、その手を止めてちょっと考えこんでいたが、ぽんと打ってそう答えた。
「ゼリーおばけ?」
「名前のままで、ゼリーみたいなぷるぷるした体のお化けなんです。そんなに危険なわけじゃないけど、それでも時々人間を攻撃したりするので……」
ぷるぷるとしたゼリーみたいなモンスター。そういうものに、エリーは心当たりがあった。
ザールブルグ周辺でもよく見かける、ぷにぷにというモンスターだ。
(このへんでも、ぷにぷにの仲間がいるのかな? それとも、別のモンスター?)
いずれにしろ、採集に行く時はザールブルグの同じように一人、ないしは非武装でいくのは危険なようだ。
フラムを多めに用意しておいたほうがいいなあ、とエリーは心の中でため息を吐いた。
「それなら、明日あたりちょっといってみましょうか?」
軽く背伸びをしながら、キュルケは言った。
「でも、キュルケさんは学校が……」
「かまやしないわよ、一日や二日くらい。学校の近くなら日帰りも十分できるでしょう? それに森の中はけっこう物騒なんでしょ? だから、こんなもの用意してる」
キュルケは机のフラムを指でつついた。
これにエリーは黙ってしまう。その通りだからだ。
「私はこれでもトライアングルメイジ。けっこう頼りになるつもりよー?」
「そうですね……」
エリーはうなずく。
成績などはそれなりに優秀らしい。それはわかるが、まだキュルケの魔法というのがどれほどのものなのか、よくはわからない。
というよりも、このハルケギニアの魔法自体をよくは知らないのだ。
治癒を得意とする水系統。物質を変質させる錬金魔法。宙に浮いたり、鍵を開け閉めしたりするコモンマジック。これらは確かにすごいものだが、風や火系統魔法というのはあまり見ていない。
もしかすると、それらが実質どういうものであるのか、この目で見られるかもしれない。そんな期待がないではなかった。
「じゃ、決定ね」
キュルケはそう言って、わしわしとエリーの頭をなでる。
そういうことになった。
「ええ、森にキノコをとりにいくんですか?」
森へ行くことが決まってから、エリーはシエスタのもとを訪れていた。
「キノコというか、まあ、色々……それで、シエスタさんに案内とかしてくれると助かるんだけど。あ、できればでいいから」
「そうですねえ……。わかりました、ご案内させていただきます」
「わ、ありがとー!」
素直に喜びを顔に出すエリーに、シエスタはちょっと微笑する。
何か年下の妹でも相手にしているような気分だったのだ。
「あれ、二人ともどっかいくの?」
そこに厨房の奥で皿洗いをしていた才人がひょいと顔を見せた。
才人はエリーと共にシエスタの手伝いをしてから、ほぼ毎日厨房の手伝いをするようになっている。そのおかげで賄いにありつけるので、“ご主人様”から賜る粗食にも耐えられるのだそうだ。
「うん、明日近くの森にね」
「森って、狼とかスライムとか出るって聞いてるけど、大丈夫かよ」
「丸腰で行くわけじゃないし。それにキュルケさんも一緒だから」
「でも、女の子だけだろう?」
心配だなあと才人は顔を曇らせた。
「そう遠くに行くわけでもないし、キュルケさんは魔法使いだし、そんなに……」
「……あのさ、俺も一緒についてっていいか?」
「え? サイトも?」
「ああ、やっぱ女の子だけってのは物騒だろ」
もう決めたかんな、という表情で才人は言った。
「うん、かまわないけど」
エリーが了承すると、才人はよっし、と小さく拳を握ってうなずいた。何か気合を入れているようだった。
(今からそんなに気を張らなくてもいいのに……)
エリーはそう思いながらも、それじゃあ明日よろしく、と才人とシエスタに言って厨房を後にする。
「名誉挽回のチャンスですね、サイトさん?」
エリーが去った後、シエスタは少し意地の悪い目で才人に言った。
「え、なにが?」
「これで、エリーさんにかっこいいところを見せられるかもしれないっていうことです」
シエスタは意味ありげにウフフと笑う。
「ミスタ・グラモンとの一件では、かっこ悪いところ見せちゃいましたからね。ここはがんばって……」
「あ、あにを言ってるのかなあ、君は! 俺はね、純粋に心配をして……」
「はいはい、野暮なことはしませんから」
「だーかーらーーー!!」
才人は顔を赤くして反論しようとするが、シエスタは口元に手をやってウフフ笑いを続けている。
そこに――
「おらあ、サイト! まだ皿が残ってんだろーがー!!」
「うわわ。す、すんませーーん!!」
マルトーの怒鳴り声に、才人は縮みあがって奥へと戻っていった。
「明日が楽しみになってきちゃった……」
才人を見送りながら、シエスタはまた少し意地悪く微笑んだ。
そして、翌日。
「それじゃあ、出発しましょうかー?」
「「「はーい」」」
キュルケの声にエリー、シエスタ、才人が応える。
三人はいつもと同じ格好だが、キュルケは制服ではなく、厚手の衣服に、動きやすさを重視した造りの革靴である。それでも貴族らしいというか、けっこうな金がかかっているようなものだったが。
服は同じだが、エリーと才人は籠を背負い、シエスタは大きめの革のリュックを背負っている。
「あまりみんなと離れない。単独行動はできうる限り避ける。いいわねー?」
キュルケは何だか幼稚園児を引率する保母みたいな口調で言った。
「「「はーい」」」
三人も素直に返事をする。
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
キュルケの声と共に、一行は学院を後にして森へと入っていった。
「今さらだけど……良かったの?」
森に入ってからしばらくたって、エリーは才人の顔を見た。
「何が?」
「ルイズさん……だったかな? あなたの、その…………」
「ああ、“ご主人様”ね。ふん、いーんだよ、あんなワガママ女。色々文句言ってきたり、鞭振り回したりしてくるけど。もういい加減で慣れたし」
才人は手をひらひらさせながら答える。
実は才人はルイズとほとんど口をきいていない。何か話せば言い争いになるばかりだし、ここ二、三日、夜は部屋に戻っていない。
馬小屋のわらの中で夜を明かしているのだ。
無論才人にとって、それは快適とはいいがたいものではあったが、“優しいご主人様”の部屋の床に比べればはるかに寝心地のいいところだった。
才人にとって、ルイズのことは優先事項にはないのだ。
本人が知れば激怒することは間違いないだろうが。
――そんなことよりもだ……。
才人は考える。
先日の、キザ貴族(ギーシュ)との一件、シエスタにも言われたとおりかっこ悪いところを見せてしまった。あれは非常にまずかったのではないか。
正直本当にアレはまずい。
あれから、シエスタたちメイドには道などで会うたびに笑われてるような気がするし、厨房のコックたちや一部の生徒には変に同情的に見られる。
コック長のマルトーなどは、
「なぁに、女のことなんざあ気にするな! 俺なんざ料理に夢中になりすぎて女房に逃げられたんだぜ!」
などと、変に自慢げに言われ、励まされた(?)。
でも正直そんな風になるのは嫌だなと思った。
ルイズには、
「よくも私に恥をかかせたわね!! 使い魔の恥は主人の恥なのよ!!」
またも鞭も食らったが、正直これはどうでもいい。
問題のは、エリーである。
彼女はメイドたちや女子生徒みたいに才人をクスクスと笑ったりもしない。以前と変わらず普通に接してくれる。
これはとてもありがたい。ありがたいのだが。
その奥に、悪意などではなくて、こう気遣いみたいなものが感じられるのだ。
才人にはそれが苦痛だった。ルイズの鞭よりもずっと堪える。
だからこそ、
――ここで、ちょっとくらいいいとこを見せておかないとな!!
才人は内心密かに決意していた。シエスタにからかわれたこと、実はまさに図星であったわけだ。
そして、ちらりとエリーの横顔を見る。
――やっぱり、可愛いよなあ……。
才人はどくんどくんと脈打つ心臓を押さえた。それが、エリーに聞こえはしないかと。無論そんなわけはないのだが。
シエン
ルイズのような極上の美少女、というのではない。
キュルケのようなあふれんばかりの色香もない。
あの、タバサとかいう少女のような神秘的な美貌というのでもない。
シエスタのような、“脱いだらすごいんです”という体型ではない。
確かに可愛いけれど、本当にどこにでも、例えば才人が住んでいた日本にもいそうな、そんな感じの女の子。
でも。
――何ていうか、“おひさま”みたいな感じなんだよ、なあ……!?。
考え事をしていていたため、才人はけつまず、思い切り転んだ。
「ぐえ!!」
臀部にずしんと思い衝撃。どうやら尻を強打してしまったらしい。
「だ、大丈夫!?」
「危ないですよ、気をつけて……」
エリーとシエスタを助け起こす。
「何をやってるんだか……」
キュルケはちょっとさめた目で才人を見る。
「サイトって、ひょっとしてあんまり森とかに慣れてない?」
「うんまあ、都会っ子つうか……」
エリーの言葉に、才人はわずかに苦笑する。
「二人は、けっこう慣れてんのな……」
「仕事で薪を集めたり、色々しますから」
「私も、こういうのは普通にしてたから……まあ、もともと田舎育ちだしね」
「田舎か……」
才人は腰をさすりながら立ち上がる。
「エリーの、育った村ってどんなとこなんだ?」
「どんなって、別に普通だよ? どこにでもある田舎の村」
「いや、その俺も遠いところからきてるだろ、だから普通っていっても、きっと俺のいたところとは全然違うと思ってさ……」
「あら、サイトさん。エリーさんのことばかりで、私のことは聞いてくれないんですか?」
シエスタが横から口をはさむ。
「ええ!? いや、別に他意はないよ! 他意は」
あわてる才人に、シエスタは、本当かしら? と何か言いたげな笑みを浮かべる。
キュルケはそれを離れた場所で見ながら、呆れたような、それでいてどこか愛しげな笑みを浮かべた。
「本当に、何をやっているんだか……。使い魔も、“ご主人様”も……」
つぶやくキュルケの視線の先には、木陰に隠れているピンク色の影があった。
支援
今回分はこれで終了です
支援してくださったかた、ありがとうございました
おつー
乙様
乙です
ビッチルイズとの軋轢は深まる一方だな。
どうなる平賀才人w
何でシエスタの脱いだらすごいを知ってるんだよサイトwww
つーか、サイトの口調がイラッとくるんだが、何でだろう?
>657
このサイトはヨコシマサイトだから、服の上から女性の3サイズが解るんだよ、きっとwww
>>658 ルーンの洗脳効果が微妙に効いていなくて、わりかし「普通の」男子高校生って感じだからでは?
「普通の」男子高校生はルイズには従わないだろ。服従回路を増設された改造人間でもない限り。
で、結局ルイズをないがしろにしてそれが鼻に付く。
一度ぶつかり合って、『雨降って地固まる』にもっていければ良いと
思うのだが。
まあ、このお話のルイズの場合、
普通の雨じゃなくて『血の雨』かもしれんが。
>>660 >ルーンの洗脳効果
原作って、徐々に効果が蓄積する設定でしたよね。
召喚されて、まだ日が浅いですし、そんなものでしょう。
だいたいこのサイト、ルイズへの好意より、反感の方が強そうだし。
>>662 >一度ぶつかり合って、『雨降って地固まる』にもっていければ良いと思うのだが。
それ、その意見同感です。
実は、今回の森探索イベントって、実は挽回のチャンスなのではないかと、
サイトではないけど期待していたりしています。読者として。
もっとも、誰とフラグたてるのか、わかりませんけどね(邪悪な笑み)
にしても、こっそり後つけているルイズ、これはこれで可愛いかも?
エリーが優しくしてくれる分、余計にルイズの非道さが際立ってるからなぁ。
ほんとにそのうち爆発魔法で「目が!目が見えねぇ!」とそういうグロい事になるんじゃ。
一歩間違えれば、(何かあったときにルイズを無視してエリーをかばうとか)決定的な決裂イベントもありえる
ルーンの洗脳効果って実は標準的な人類レベルの知性と理性を持った生き物には効き辛いとか?
ガンダールヴ級のルーンでも流石に拉致られて扱いも酷い環境に置かれた使い魔のメンタルケアは出来んだろうしw
原作のツンデレな御主人様が好みの使い魔なら話は別なんだろうけどww
そういえばエリーってアトリエ系主人公のなかで最弱だったな
それでも一番弱い狼なら初期能力でもタイマンなら勝てたはず
サイト、また駄目かなw
メガテン4部作に、ペルソナ2と3からも来てるのかここは。
次辺りに南条くんとか葛葉キョウジでも来るのかな?
>>663 >>667 最初に「苦痛耐性」「恐怖軽減」「高揚」が付くのでは?
副作用で空気が読めなくなる。
ある意味、苦痛を快楽に変える効果もあるかもしれない。
ルーンの洗脳効果って言ってるけど原作で明言されたっけ?
>>668 確か小型の狼は体重20キロ前後
紀州犬サイズ
素人男子高校生でも武器を持って覚悟を決めてかかれば微妙なラインだが…
避難所の設定スレとかでも何度か話されてるから、見てみるといいんじゃないかな。
>>669 ここで葛葉ライドウ召喚
光の弾倉があれば弾丸の心配は要らないw。
そういや喰奴は来て無かったな
タバサがシエロ=ディアウス呼ぶのもいいかと思ったがあんまり人が乗るに適してないなあ……
>>666 あったほうが面白い
精神的に断絶しても使い魔の縁は切れないから
すげえ人間関係でどろどろ続いたら最高
Mr.0みたいな完全分岐がもっとあってもいいな
マギカの人、妖都のあとにもってきたか…。
ほなみんとギトーのオチだけでも読みたかったじぇ
>>666 >決定的な決裂イベント
そういえばそういうイベントがある作品はまだ読んだ事がないな
決裂とはいかなくてもそれに近い作品なら知ってるのがあるけど
(姉妹スレの元幽霊と鏡警備員)
パソコン使えるなら中島もアリだな。
>>674 ペルソナ3の主人公呼ばれるやつで
シエスタのじっちゃんがライドウだったような。最近更新ないけど。
>>672 日常的に犬を鍛錬の相手にしてた塩田剛三曰く
「犬を相手にするには最低3段くらいの力がなければ駄目」
んで狼はその犬より強い
勇猛な闘犬が狼と戦ったらわずかな傷を与えただけで一方的にズタズタにされたという話がある
>>672 マスターキートン愛読していた俺には何の知識もない高校生じゃ狼どころか野生の犬にすら
勝てないと思う
まあサイトはガンダールヴ補正でどうとでもなりそうだけどな
逆に考えるんだ、アトリエ世界の狼が女将とは名ばかりの弱小生物だと(ry
女将>狼なのは納得いきそうだな
オォゥ…誤字orz
>>682 逆に考えるんだ、才人がマスターキートンの愛読者だと(ry
まあ知識だけあってもそれを活用できるとは思えんが
いや、逆に考えるんだ。
狼と渡り合えるエリーが化け物だと。
低レベルの狼=まだ子供説
初期レベルのエリーでも化け物説
アトリエ世界の低レベル狼は柴犬みたいなもの説
意味もなく「女将」を召喚したくなった!!
ってか夜の女将と闘いてぇ
>689を危険な目にあわせるわけにはいけないから
夜の女将とは俺が闘うよ
夜の女将は俺の隣で寝てるよ
おまいらスカロンと闘いたいのか
つまりあなたはこう言いたいわけですね。「女将を呼べ!」と。
ちがうな、ただ今の俺達には「女将」が必要なだけだ!!
ただ結果的に女将呼んでもらってほしいかもしれないかもしれない
うなじのきれいな女将がいいです
>>693 つまりツンデレ番付で烈海王と並びトップに君臨する人を召喚と?
>>693 だから私はメイジが嫌なんだ!
人を勝手に使い魔にしておいてこんなものを食わせるとは!
マルトーをリストラして女将を採用すればいいと思う
学院教師行きつけの居酒屋というのを見てみたい。
ギトーが酔っ払って風魔法について延々と語ってそうだが。
ささいなことから女将談義にもっていけるお前らの発想に嫉妬
以前SDガンダム外伝のキャラを召喚しようと思ったとき、
「ルイズ達もMS族だったらよくね」と思った。
最近は可愛らしいSDガンダムが多いので……
>>701 つまりルイズ(ノーマル形態)がサモンサーヴァントで呼び出した虚無の鎧を装着することで
武者ガンダム虚無<ゼロ>になるわけだな?
ゼロ「私は翼のナイト、ゼロ!」
ルイズ「・・・」
>>704 それだとゼロの使い魔じゃなくてゼロが使い間・・・
はっ!どっともゼロじゃないか
500なら今年中にpart100達成。
>707
ちょっと気が早いw
このスレは500kbより1000の方が早そうだな
投下させていただきます
支援!!
振り向き、道の向こうからやってきた存在を認識すると同時に利き手で杖を抜く。腰を下げ、四足の獣に近い姿勢をとって道の脇にさがった。
細部を省略した説明により、凄腕暗殺者かベテラン近衛兵を思わせるが、もちろん現実のわたしとは若干の差異がある。
実際には来訪者をしばし呆然と見つめたのち、慌てて杖を抜き、奇声を噛み殺して転げまろびつ道を譲った。
周囲の生臭さに隠れていたからかもしれないが、匂いを感じることはなかった。
葉摺れの音さえ聞こえないのに、足音があれば耳に入らないわけがない。
突き放す冷たさも抱き寄せたくなる温かみも感じさせず、空気の動きさえ感じられなくて、要するに何も無い。
かといってそこには真から何も無いのかというとそんなことはなく、起こりと過程を省略して結果のみが存在した。
ずぶり、と人の足型を形作って土が沈み込んだ。右の足型の次は左の足型、その次は右の足型、と同じ事を繰り返す。
新しい足型が生じるたびに古い足型が消え、土は元通りに盛り上がる。
杖を構え警戒態勢をとったわたしの前を足跡が横切っていった。
大きさから平均的な成人男性くらいの体格だろうが、姿かたちは存在しない。単に見えないとか感じられないとかいうことではない。存在そのものが無い。風に吹かれた木の葉が何者にも触れず足型の上を通り過ぎていく。
足跡は爪先が指す方角に進み、つまりは人間が歩くのと同じようにして前に進み、
わたしを顧みることなく歩いて――この場合歩くという動詞を使うことは適切ではないかもしれないが、わたしにはそれ以外どう言ってみようもないため歩いていたということにしておく――いった。
見送るわたしには全く頓着することなく、道の向こう、闇がぼんやり覆い隠している部分に消えていく。吐息が漏れ、今まで息を止めていた事実にようやく気がついた。
何だったのだろう。
わたしはあれを魔獣やエルフ、幽霊等の意志を持った存在だと認識していたが、何かの現象だったのかもしれない。
もっと単純に、怪現象に見舞われ疲労困憊しているわたしが見た幻覚とか。そもそもこの怪現象自体が夢だとか。
ああ、それなら大いに納得できることだと得心顔でぽんと手を打ったわたしの前を顔の無い男が通っていった。頬をつねるとすごく痛い。
足跡に引き続き、気配も匂いも音も無い。
彼らはわたしの心臓に衝撃を与えて寿命を縮めんとしているのか。だとすれば、忌々しいことだがその目論見は概ね成功しているといえよう。
鼻も、髪も、耳も、目も、口も、何もかも、あるべき場所に無く、本来あるべきではない場所にも無い。
息をのんだ。足跡に比べればまともかもしれないが、これはこれで見るものをぎょっとさせる。
単純な造りの服を一枚まとい、腰帯でまとめることによって乱れを防いでいた。
バスキンに似た靴をつっかけていたが、彼はどう見ても男性だ。
右手に小ぶりの布包みをぶら下げている。中身までは分からない。
つるんとして卵のように何も無い顔貌のインパクトは強烈だったが、異民族風の相当に異質だ。異民族とはいっても、どこの民族なのか想像もつかない。
わたしは男を見た。客観的に見て不躾な視線だったと思う。男は足を止めてわたしを見返した。
スクウェアクラスのアイスストームもかくやに肝が冷えたが、今さら視線を外すこともできず、わたしも黙って見返した。
「……俺の顔に何かついてるかい?」
その声がどこから発せられたか。それは彼以外に分かりようがないし、ひょっとしたら彼にだって分からない。
腹の底から出たような低い声だったので、本当に腹の底から出たのかも。
顔の無い人間が、自分の顔に何かついているのかと聞く……これは彼なりの冗談とかユーモアとか諧謔とかそういうものだったのかもしれない。
「いやいや、あんた顔無いから」「あ、そうだった。こいつはうっかりしてた」「もういやあねえ。あっはっはっは」「まいったなあ。ハッハッハッハ」
このような円滑なコミュニケーションをするための掴みだったのかもしれない。
だがウィットに富んだ返しで会話を盛り上げる余裕はなく、わたしは髪を振り乱して首を横に振った。
わたしの返答を見ても引っかかるものがあったらしく、妙な手つきでペタペタと頭部を触りながら歩み去っていった。
危害を加えられなかったことに安堵した。右手の杖を左手に持ち替え、手汗をマントにこすりつけた。
額に浮いていた汗の玉はハンカチを出して拭い取り、警戒を崩さないままで比較的大きめの樹木の下へと腰を下ろした。
整理してみよう。わたしは使い魔召喚の儀式の真っ最中だった。コモンを唱え、今まさに使い魔が召喚されんとしたはずだ。
爆発音が無かったことから常日頃の失敗魔法とは違う現象が起きたものと思われる。場所、時間は明らかに違っている。どこかに飛ばされたのか。
他の魔法では爆発という形で失敗していたが、サモンに関しては転移という形で失敗する……なるほど。頬をつねって痛みを感じる以上はそう考えるのが自然というものか。
ただその飛ばされた場所がどこかというと……顔の無い亜人は公用語を使っていた。つまり、海の向こうというわけではなかろう。
だが、学院の近くにこのような場所はない。足跡だけの生き物も、顔の無い亜人も聞いたことがない。
ガリア? アルビオン? ゲルマニア? 歩いて帰れる場所ではないが、人間の住んでいる場所ならまだマシだ。大砂漠? 火竜の住む山? まず違う。
わたしは二度の出会いで手に入れた情報について考えた。
足跡が何者だったのかは今もって分からない。何かを意味する片鱗さえ感じ取ることができない。
あれはもうああいうものなのだと割り切って考えることしかできないだろう。
人間の歴史は名をつける歴史だった。万物に名を与えることで恐怖を払拭して文明を築き上げてきたのだ。
人跡未踏の島を発見した開拓者、未知の生物に遭遇した探検家、新たな物質を生み出したメイジ。
彼らは偉大なる命名者として歴史に名を連ね、わたしはできたら彼らの末席にでも座らせてもらいたいな、と願う。
名前のない足跡だけの存在は未知の象徴のようなものであり、つまり恐怖そのものであり、そんなものの目的や性質を考えるべきではない。強くそう思う。
結局のところ言葉を弄して何を主張したいのかといえば、怖いものは怖い。それにつきる。うん。
そんな足跡に比べれば顔の無い男は名前が無いなりに理解しやすい。
水系統のメイジならああいう芸当もできるだろうし、そういう姿かたちの亜人がいてもおかしくはない。
言語は共通しているし、円滑ではないにしてもコミュニケーションをとることができた。
じっと見つめるわたしを不審がる仕草などは人間と何ら変わりなかった。
今思い返してみれば、あのまま別れてしまったことが大変悔やまれる。
未知の存在でありながら言葉が通じ、こちらに食欲や縄張り意識等の害意を抱いていないという、亜人の中でも稀有な存在だったのに。
もったいない。返す返すももったいない。今から追いかければ間に合うだろうか。
しかし向かう先は足跡が行った方向と同じだ。どんな所か想像したくもない。それに、ここ以外の場所が安全だと誰に保証できよう。
よし、決めた。次に通りかかった者が危険そうなら木の陰に隠れてやり過ごす。安全そうなら話しかける。
ここがどこか、今はいつか、どちらに向かえば人里におりることができるのか。それだけ聞くことができれば自力で帰ることができ……るのだろうか。
着の身着のまま、銅貨一枚さえ持たず、保存食や水袋も無い。これで未知の地から帰還しようというのは無理があるような……。
ええと、帰還した折に充分な謝礼を払うことを約束し、衣食の面で協力してもらう、ということにしよう。そうしよう。
誰かが整備しているとも思えない、だがなぜか雑草のない、その上どこかじめついている地面の上に、肩から外したマントを敷いた。
枯葉を集め、それだけでは足りずに木の枝を何本か手折り、マントの上に振りかけ、わたしはその下に潜り込む。
道から外れた木陰にまで注意しているものもそうはいないだろうが、念には念を入れて偽装する。敵はわたしの常識の外にいるのだ。
決意も新たに隠れ潜み、息を殺していつでも逃げられる体勢で待つこと三十分。
怒り狂う母さまから逃げ隠れること数十回の経験が、わたしの逃げ足を鍛え上げた。
生半な相手ならはるか後方へ置いていく自信がある。……どうか生半な相手が来ますように。
繁華なわけはないが、獣しか使わない道というわけでもないようだ。あの短時間の間に足跡と顔無しが続けて来たことでそれを証明していた。
次にやってきたのは二匹の蝙蝠だった。学院の近くでも目にするありきたりな蝙蝠だったように思えた。
……そういえば、月も星も見えない、光源はどこにもないという闇夜のただ中、暗いはずの闇が妙に薄ぼんやりとしている。
闇の黒というよりは、質の低い褐炭にも似た暗褐色というか……まぁわたしにとっては都合のいいことなので、とりあえず気づかなかったことにしておこう。
二匹の蝙蝠は成人男性の肩くらいの高さをふわふわと心もとなく飛んでいた。
713 :
使い魔を買いに:2007/12/23(日) 16:03:16 ID:vKyI41rk
「夜市がきた」
「夜市がやってきたよ」
「夜市がきた」
「夜市がやってきたよ」
この二文のみを繰り返し、足跡と顔無しが消えた方角へと飛び去った。
果たして彼らは安全か、それとも危険か。わたしが判断する前に飛んでいってしまった。蝙蝠という生き物は存外速く飛ぶ。
二匹の蝙蝠がしゃべっていた。蝙蝠という生き物が持つ印象にのっとり、耳障りな甲高い声で会話をしていた。
今さら蝙蝠が口をきいたことをどうこう言うつもりはない。
常識に固執してただただ悲観するよりは、頭を柔らかくして閉塞状況を打開する方策を考える。これこそわたしのすべきことだ。
夜市、とはなんだろう。字面で判断するなら夜に開かれるマーケットだが……ふうむ。
蚤の市ではない。花市や馬市、青果市でもないだろう。泥棒市といった反社会的なものですらないように思える。
反社会的は反社会的だろうが、もっとこう胡乱というか胡散臭いというか摩訶不思議な……夜の……こう……市場?
足跡や顔無し、喋る蝙蝠が当たり前の顔で売ったり買ったりする。当然、売り買いされる物も世間一般の品ではないだろう。
ここまで生命の危険が無かったこともあり、まだ見ぬ謎市場に好奇心が頭をもたげかけたが、次なる来訪者を目にして好奇心は再び恐怖心に代わった。
音無しでやってきた前四者とは違い、地響きに伴う振動、砂埃とともにそれはあらわれた。
鬼だ。トロル鬼ににているが少し違う。鋼のような筋肉で構成された五メイルにも及ぶ巨躯は同じだが、闇夜の中でもはっきりと分かる深紅の肌はトロル鬼に無い特徴だ。
虎の皮を腰巻にし、巨体に見合う黒光りした棍棒を肩にかつぎ、長大な一本角と鋭い牙を剥き出しに、のっしのっしと闊歩する。
暗がりで一人震えて見送った。それ以外に何をしろと言うのか。トロル鬼は人間を撲殺するのが何より好きで、そのためだけに傭兵として雇われている者もいると聞く。
そんな危険な生き物の親戚に助けを求めて何を得ようというのか。そのような愚挙に及んでどうなるか、わざわざ考察するまでもない。
ああ怖かった。本当に本当に怖かった。下着に指を這わせてみたが、特に湿ってはいないようだ。よかった、代えはどこにも無い。
鬼の次は……なんだかぬめっとした……水陸両用の……亀? 甲羅は亀だが、背格好は人間に似ている。頭に皿を乗せているのは何かのまじないか。
鰭のついた手足といい、尖ったクチバシといい、いざ戦いになればかなり強そうだ。そう考えやり過ごした。
その次は半透明の浮遊体だった。ほの光っている。どう見ても現世の生き物とは思えず、わたしは頭を抱えてやり過ごす。次。
浮遊体と入れ違いにあらわれたのは若い男女だ。年のころはわたしより少し上くらいか。
見た目ごく当たり前の男女……貴族全とした美しい風貌、パーティーにでも繰り出すのかという場違いな正装できめている。
美髯の丈夫はタキシードで装い、エスコートされる白皙の令嬢は、胸の開いた若草色のイブニングドレスを上品に着こなしていた。
これはいけるかもしれない。この何も無い一本道には不似合いだが、杖を持っていないこと以外は絵に描いたような素晴らしい貴族だ。
何やら楽しげに囁きあっているが、耳をそばだてても断片的な会話しか聞こえてこない。男の方が女の方に対して夜市について語っているようだが……。
よし、声をかけてみようと腰を上げかけたわたしの目に、男女の口元から生えた獣じみた犬歯が飛び込み、あわてて腰をおろして息を止めた。
危なかった。危なかった。危なかった。本当に危なかった。吸血鬼は人間の姿を装い人里に紛れ込むと聞いていたが、まさかあれほどとは。
ここでノコノコと顔を出したが最期、恐ろしい怪物に豹変した二人がわたしの頭をガリガリと……おお怖い。絶対に騙されるものか。
油断してはならない。相手が弱そうでも、小鳥や昆虫のように小さな姿であっても、気を許さずに観察しなければならない。
人差し指と中指とを素早く動かし、小動物のように走っていく手首は見送った。話が通じるとは思えない。
人間の頭部に翼を生やしたような鳥も見送った。あまりにも牙が鋭すぎた。
直立した人間大の猫も見送った。怠惰なはずの猫に相応しくない、どこか鋭角な印象も気に入らなかったし、
「悪い子は……しまって……」
ボソボソと呟く言葉があまりにも恐ろしすぎる。
次にきた少女はごく当たり前の平民に見えたが、頭頂部から一本の草を生やしており、しかもそれがあまりに毒々しい色合いだったため見送った。
一つ目の巨大な猿は獰猛に見えたため、ヒラヒラと飛ぶ一枚の白布は眼が怖かったから、血塗れのナイフをひっさげた子供の人形はもはや言うまでもなく……。
……まずい。選り好みしすぎているような気がする。命がかかっているとはいえ、好機を逃すようでは元も子もない。
だが、もう少しまともな、声をかける気になろうという、柔らかいというか、優しいというか、もうちょっとこの……ね?
次にきたものは二つの意味で今までのものとは違っていた。
だからといって声をかける気になったかといえばそんなはずもない。
違っていた点の一つ目は、来た方向だ。
他のものがわたしから見て左から右に歩き、あるいは飛んでいったのに対し、それは右から左に向けてやってきた。夜市の帰りだろうか。
違っていた点の二つ目は、わたしの見知った生き物だったということだ。
見知ったといっても幼少のみぎり遠目に見たことが一度だけだが、それでも他の連中に比べれば随分馴染みがある。
体長は二メイルほど、体重は同じ身長の人間の五倍近く、豚に似ているようでいて遥かに醜い顔と豚を凌駕する卑しさを持ち、凶暴性は興奮した猪をもしのぐ。
子供の頭を割って取り出したドロドロの中身が何より大好物で、その忌まわしい習性から凶暴なだけのトロル鬼より嫌われている。
それはどう見てもオーク鬼で、わたしは絶対に、絶対に、何があってもあいつにだけは声をかけるまいと決めた。
決めた。絶対に決めた。何があってもあいつにだけは頼ってはならない。
俗にいう大人と子供と中間の年齢であるわたしだが、捕食者がそこまで年齢にこだわる繊細さを持っているとは思えない。
トロル鬼の親戚の方がまだ救いがある。殺されるにしても吸血鬼に血を吸われる方が美しく死ねる。
ここまで考えたうえであいつには声をかけないと決めた。
なのに。
なぜ。
あいつは足を止めるのか。こちらへ顔を向けているのか。
ああ、そうだ。豚はキノコを探すんだった。人間では感じ取れない匂いを嗅ぎ取って、どこまでも胴欲に食べ物を探す、それが豚。
オーク鬼は鼻を鳴らしている。その仕草は滑稽に見えたかもしれないが、餌の視点から見れば一片の面白みも感じない。
一歩、大股でこちらに踏み出した。二歩、三歩……どうするどうするどうするどうするどうする。どうすればいい。
以前わたしが見たオーク鬼は汚らしい皮を衣服の代わりにまとっていたが、目の前のオーク鬼は鉄でこしらえた頑丈そうな鎧兜に身を固めている。
右手には一本の槍。人間にとっては槍だが、身の丈二メイルを超えるオーク鬼にとっては投げ槍程度の大きさでしかない。
槍も鎧もどちらも使い込んでいるようだ。戦場で傭兵として働いていたのかもしれない。
戦であれば誰に咎められることもなく人を殺せるし、人を殺せばそのまま食べることも……ううっ、どうするどうするどうするどうする。
逃げ足なら負けないだろう。相手は重武装だが、こちらは軽装だ。歩幅の差は大した問題にもならない。
だが、使い込まれた武装が気になる。オークなりに歴戦の戦士ということではないか。
木々の隙間を縫って、逃げるわたしの背中に槍を放るくらいの芸当はしてみせるかもしれない。そうなれば一巻の終わりだ。
選択肢はもう一つある。不意をついての先制攻撃だ。
失敗魔法とはいえ、人間一人を軽く吹き飛ばすほどの爆発だ。頑丈な鎧を避け、上を向いた鼻面にでも打ち込んでやれば一撃だろう。
問題は実戦経験の無さと、失敗だけに狙いすますことができないということ。
一撃でトドメをさすことができなければ、手傷を負って凶暴になったオーク鬼がわたしに向かってくる。そうなればまず殺される。
恐怖心が服を張り付かせるほどの汗を呼び、汗は匂いをともない、匂いはオーク鬼に居場所を伝える。
時折足をとめながら、一直線にこちらへ向かってくる。もう考えている時間は無い。行動あるのみ。
あの大きな、オーク鬼用に作られたとしか思えない、特別あつらえであろう兜。あれに錬金をかけてやる。
そうだ。こんな所で死にたくない。嫌だ。断る。わたしは生きて、学院に戻って、アカデミーに入って、特効薬を作るんだ。オーク鬼になんか殺されてたまるものか。
切り抜けてやる。誰の手助けもいらない。一人であいつを撃退してやる。
勇気を振り絞って立ち上がり、錬金の魔法をくわえるべく突き出されたわたしの杖は、蹴りの一撃であっさりと弾き飛ばされた。
拾いにいく間もなく巨体に押し倒され、右手をがっちりと極められ身動きを封じられた。
熟練のオーク鬼とゼロのルイズが戦えばこうなるだろうと皆が予想するだろう。わたしだって予想できる。
このように非常識な場においても現実は動かしがたいものであり……重い。本当に動かない……あああああ! クソクソクソッ!
せいn
途中のsage損ない、大いに失礼いたしました。
とりあえず以上です。
蝙蝠の次に来た赤鬼は「泣いた赤鬼」の主人公の赤鬼であるという隠し設定は特に意味がありません。
乙
しえーん
支援
あっ、乙です
ふと思ったんだが、召喚されるのが当代最強の兵器って何気に厄介かも。
例えば爆熱ならゴッドじゃなくてデビルガンダムの方が出てきそうだし、
ベイダー卿ならデススター、ガンパレなら聖銃、ダイ大で黒の核、現代でもICBMなんぞが沸きそうだ。
つーか原作だと聖地に核が転がっている可能性があるのかとか今書いてて思った。
投下行きますよろしいでしょか
お題は ゼロのプリンセスメーカーでw
娘を脱がす悪いお父さんよ来たれい
光源氏支援
>>724 そんな誤解を招くような言い方……ん?
合ってるのか
「もうっ!なんでこんなことに!」
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは苛立っていた。
昨日のサモン・サーヴァントの儀式で現れたのが中年もいい所の軍人、
しかし元は大帝国の爵位持ちの高級将校だったというその男が現れた事が発端だった
当然使い魔として扱うわけにもいかず、如何しようかと学院長達と悩んでいた所、
「御付」と言う形でならばルイズに仕えても良いと「彼」が主張した為、そのように扱うことになっていた。
そこまでは良かった。
何しろメイジではないとはいえ、「元」とはいえ騎兵少将の男爵に忠を誓われると言うのは、ルイズとて悪い気分ではない。
下手な動物を使い魔にするより余程名誉な事だろう。
伯爵家の娘と言う事で『姫』と呼ばれる事は少しむず痒い気もするが、悪い気はしないし
さらに身の回りの世話を命じるまでもなく、全ての雑事の手筈を整えるなど能力的にも満足。
これならば思い通りにならない面がある事も許容しよう。と、納得しかけていたところに事件が起きた。
ルイズになんの断りも無く、彼は決闘に応じてしまったのだ。
「ああ、余り怒られては美容によろしくありません。姫」
ヴェストリの広場に向かって歩くルイズの一歩後方を男が進言する。
「軽口を叩いている場合じゃないでしょクラウス!
何があったかは知らないけど、メイジじゃない貴方が一対一の決闘でギーシュに勝てるわけ無いでしょ!
謝罪してきなさい!今すぐに!」
「これは異な事を申される。これから行うのは単なる軍事教練に過ぎませぬ。
聞けばあのギーシュ殿はこの国の由緒ある軍人の家系。後進を教育するのも老兵の役割と言うものです」
片目を閉じて微笑みながらクラウス・フォン・メレンティンは主人の癇癪に応じた。
彼が仕えた東方辺境姫に対して行われたものと変わらぬ、諧謔をこめた軽口。
未だ諧謔の意味を解さぬルイズには単なる反抗にしか見えなかったが。
「―――ッ!なら勝手にしなさい!!」
「はい。申し訳ありませんが、しばらく私のわがままに御付き合いください」
騎兵将校としての勇気ならば十二分に持ち合わせているが、メレンティンとて決闘などを好む体質ではない。
ならばなぜギーシュの決闘に応じたのかと言えば、単に状況のおかげに過ぎない。
ギーシュが落とした小瓶を拾いそれが原因でとある事件が発生した。
その責任をギーシュがメレンティンに押し付けようとする。
気の利かなかった事に謝罪し、メレンティンがその場から引き下がる。
それだけで解決するはずの出来事はしかし、ギーシュの放った一言で発火した。
「―――ああ、あのゼロのルイズの使い魔殿か」
彼の一言をメレンティンはルイズには伝えなかった。伝える必要も感じなかった。
ただ、主人に付いている不名誉な称号だけは返上しておかねばならない。
なによりも、メレンティン自身のために。
故に、「軍事教練」を名目として決闘に応じた。ただそれだけの話である。
「クラウス」
「はい。姫」
「……やるからには勝ちなさいよ」
「はい。おまかせください」
命は下された。ならば後は進むだけである。
拗ねた様に顔を逸らしたままの主人に、<帝国>式の敬礼を行いメレンティンは前進を開始した
支援
支援
あ、名前付け忘れた。すみません
一応元ネタは皇国の守護者のクラウス・フォン・メレンティンです
題名で笑わそうとした一発ネタでしたorz
ユーリア殿下の御養育係にして筆頭御付武官の人です
乙、思いっきり騙されたぜ
支援
乙
だが元ネタを知らねぇ
あの爺さんはかっちょいいと思う。
でも、ユーリアの男を見る目に関しては教育し損ねたね。
>735
ゼロの使い魔的に説明すると
ガリア王より有能で平民の人気も高く、軍事指揮能力を持ち、菓子作りもできる(帝国機密)
が、 有能なワルドに引っ掛かった
と書けば判りやすいかなぁw
737 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 17:33:58 ID:YoSI3sO9
佐藤大輔『皇国の守護者』より、フォン=メレンティン男爵騎兵少将でつか。乙。
>でも、ユーリアの男を見る目に関しては教育し損ねたね。
……そうだよなぁ。よりにもよって姫さんが選んだのは、「魔王」新城だからなぁ。
ところでこれで思い出したのだけれども、「ゼロの剣虎兵の続きはマダー? マダカシラー?
避難所の運営議論スレでなにか企画が動いているけどこっちで何か話出てたっけ?
>>679 ゲームの中島は普通にヒーローだが原作の中島は凶悪だぞ。
学園中の人間を悪魔への生贄にしかけん・・・
クラウス参謀長召喚と聞いて
召喚された猪口特務曹長がなんのかんのと話が進んで水精霊騎士団の副隊長になり
マリコルヌやらギーシュやらが二ヶ月で実戦化される様を夢想した。
ギーシュ「それはだな曹長、助教とはとても偉いものだなあry
元の世界にも魔法があって月が二つあるから異世界に来たと中々気づかない話はあったっけ?
イースは月が二つだけど色違いじゃないからな。
双子の月と双子の女神と双子のロダの木って。
オッツ・キイムの使い魔のレヴリアースも月が二つある世界だなぁ。
(時の大地、幻想大陸も同じ世界)
両方同じ色だが。
FF4は片方が途中で赤く変色してたんだっけか。
月が増えたり減ったり変色したりが当たり前の世界なんかがあればそうそう気付かないか?
リリカルなのはのミッドチルダは月も二つで魔法文明世界ってとこまではあってるんだが、
文明レベルがミッドチルダは明らかに現代だから其処で気付くだろうなぁ……
>>746 存外、世界移動じゃなくて時間移動と間違うかもしれないぞ?
>>748 全てのギルドの長であり、
聖騎士団団長であり、グランドチャンピオンである俺が呼ばれるのか……。
パクッたコロールの剣を準備しておくか
>>701 リグシャッコーな騎士ゼロを喚んだら凄いことに……(ゼロ大系的に)
インフレの塊かよw
みんな結構無駄知識あるな
俺は大長編ドラえもんしか知らん
>>749 戦士ギルドと盗賊ギルド、闇の一党の両立乙
月が2つある世界から来たアヴァタールがあっさりムーンゲートで帰ってルイズ涙目。
古くより業界に生息する全方向オタクを侮ってはいかん!
きゃつらは三人そろえば政治問題討論とギャルゲー雑談、アメコミトークを同時に並行して行える人種だぞ
>>748-749 >>753 こんな所に同士がいるとは…
でもElder Scrollsはプレイヤーの選択が全部主人公の性格や行動を決定するからSSを書くのは無理だな。
書いても作者の自己投影が入りまくったキモイ物になる確率が非常に高そうだ。
お前らが何を話してるのか全然分からんw
>>755 作家チャットが時々、まさにそんな状態になるわ。
>>749 よし、どこかで書いてくれ。
たまにはそんな突き抜けたのも読みたい。
まあ、ドラゴンボールの地球には月は無いんだけどな。
無い訳ではないんだがな
亀仙人が壊しピッコロが壊しと壊され続けてるからな
ピッコロの後どうなったんだっけ?
そしてうさぎ団。・゚・(ノД`)
>>761 何かと修復されてるしな。>月
ないと困るのかな?
お月見ができない
ゾイド世界も三つあった月が一つ落ちて、二つになったはず。
その後もう一つ落ちて、ジェネシスの時代になったが。
基本的、無印とゼロ、フューザーズでは二つだよね?
>>763 地球の地軸が傾いたり潮の満ち引きが減るんだったかな。
アンリミテッドサガの世界は赤と青の二つの月だな。
イスカンダールを召喚したら強いどころではない。
すぐどっか行っちゃうかもしれないけどw
ゲームキャラはスタート時点での召喚にしろよ。厨強すぎるのが多過ぎる。
ゾイドはかなりメンテナンスフリーだし基本的に接近戦主体だから弾切れになっても戦えそうだな
MSよりも安定して戦えそう
>>766 スペースデブリが無茶苦茶増えて宇宙開発が〜
RPGやACTからは色々呼ばれてるけどFPSからは召喚されてないな
チェーンソー付きのアサルトライフル持った筋肉ダルマとか、フェッテル&アルマ召喚とか解る人はいるんだろうか
なら、Thief からギャレット召喚。
フーケに召喚させるべきか?
なぜそこでマスターチーフの名が出てこない?
>>753 メイジギルドを忘れたお前は俺のFinger of Mountainの餌食な
ガンパレ世界は普通の月と黒い月の2つだっけ?
>>774 召喚されたらゴーレムだと思われそうだな。
ポスタル・デュード召喚。
ルイズの命令で牛乳を取りに行くが…
クリスマスが近いので三択老師を召喚
即効でヌッコロされるギーシュと感化されるマルコメが頭に浮かんだ
狼の殺し方か……
上着か何かで手を守って挑発して、噛み付いたら
狼の舌をつかめばもう逃げられないから
そのまま水溜りにつけておけば3分くらいで狼さんあぼんだっけ?
あれ?どの巻だったっけ……。
>776
チーフは多分ベイダー卿と同じでヘルメット脱がなさそうだw
うおっ、激しく亀レスしてるぜ俺。
>>777 ポスタルって、ツェペリ家もビックリの回転を極めたぬこが大暴れするゲームだっけ?
>>774 マスターチーフと聞くとヘイロー2より指導完了の人のほうが先に浮かんでしまう
ポスタルってノイローゼ気味で仕事を首になった郵便局員が
逆恨みから気に入らない人とたまたま居合わせた人を手当たりしだい射殺した
アメリカの実際の事件をモデルにした洋ゲーだっけ?
>>783
よお、俺ノ
>779
マスター・キートンの話なら、軍用犬相手だよ。確か4巻。
軍用犬相手ならアール・リー・スワガーも外せないね。あの人は銃使ってたけど。
>>784 拾った猫のケツに銃口を挿してサイレンサーにするゲームです
明日はクリスマスという事でサンタクロース召喚
サンタが何もあげないというのも何なので、
「勤勉なルイズちゃんには特別に、水のルビーと始祖の祈祷書をあげよう」
そして、ソリに乗って帰っていく
トリステイン王室涙目wwwwwwwwww
そしてルイズ逮捕ー
むしろ赤い服着た怪人が指名手配
>>785 ヽ__/
[〓 ]
/[J]ヽ
((
>>788 しかしそれは「トナカイに引かせたそりに乗って突如として現れた紅白の服を着た白髭の爺」に
よって強奪されたものだった。
そして盗品を持っていたと言う事であっという間に追われる立場になるルイズ。
正にメリークルシミマス。
無論サンタクロースの服が赤いのは返りt(ry
サンタは毎年NORAD(米軍の本土防空網)の警戒網を突破してるからなぁ
レーダーも無い世界では補足は不可能だろうなぁw
(わかる人にしかわからないネタw)
ジムヘンソンJr.が…
>>792 いや、世界的に有名なドリンク会社の宣伝であの色のイメージが付いたんじゃなかったっけ?
真っ赤な鼻のトナカイは実は真っ赤な炎を吐く魔獣で
サンタは実は真っ赤な鬼で家を一軒一軒回って煙突から侵入して
子供をさらってはソリにある大きな袋に詰めて持ち帰って食べてしまう
という話をどっかで聞いたことがw
>>786 軍用犬は噛む力半端ないから
そんな真似したら腕が折られるぞ
今日からマ王で召喚されるなら有利とヴォルフラムどっちがいいかな
>>786 ああ、4巻か。
行きつけの美容院で読んでたのを忘れてた。
>769
その設定でSSを書くんだ!
アージェンタムなら月4つあるからいけるんじゃね?
金属世界だけど
>>802 ミラディンとか銀のゴーレムとかグリッサやボッシュやスロバッドやメムナークなんて単語がよぎった
フェイジ召喚して、契約した瞬間腐って死ぬルイズを幻視した。
>>804 小ネタにすらならないw
アクローマ呼ぼうぜ
超健気。
超強い。
あのぼくのかんがえたかーど臭は異常
なんか短編くらいのネタが浮かんだりはするけどマイナーなのばっかりで書くの躊躇う。
BIRTHとか分かる奴いる?
>>804 ああ手札から召喚しないと敗北するからな
亀レスだけど
ゲーム雑誌に掲載されていた漫画で、住んでいた国の騎士団長を武闘大会で打ち負かして優勝していた
まぁ、ある程度ゲームが進んだ頃の話だけどねw
>>807 あの世界の錬金術師は魔王すら倒すからな
まぁ、もちろん単体じゃなくてパーティー組んでだけどな>魔王退治
騎士団長倒したのは単独でだが…
準備万端整った錬金術師に闘いを挑むことほど無謀なことは無いぜw
あれ?避難所アクセスできなくなってない?
したらば全体が落ちてるんだろ。
相変わらず不安定だな。
813 :
SS書き丁稚:2007/12/23(日) 22:22:48 ID:3D9yckZo
しかし今年できたばかりなのにもうすぐ100スレ目とは凄いですね。
ベイダー卿でここの存在を知ったのですが、皆さんハイクオリティだし。
取り敢えず原作読み直して修行してきます。
>>806 >分かる奴いる?
俺がわからなくとも、誰かがわかる。
それだけは間違いない。
とりあえずハイクォリティというのが皮肉にしか聞こえないんだが
>>798 とりあえずキュルケがツェリ様と旅に出るまでは読んだ
最新刊を読んでふと思ったこと。
最強の組み合わせ
『無能王ジョゼフが炎蛇のコルベールを召喚しました』
ガリア王の財力+コルベール+ミョズニトニルンのルーン=ガリアのハルケギニア統一
SPIRITS版仮面ライダーZXを召喚してみる
…ZXキックでレキシントンが散るな
>>818 デルフが太ももに収納されて脚の辺りからくぐもった声がするようになるのか
途中で反旗を翻すコルベール
戦う虚無の使い手ジョゼフ
魔法をことごとくディスペルで破られる中、ルーンの力と技術力を駆使して作り上げたヘビくんヨルムンガントレギオンを起動、同時にジョゼフの虚無が炸裂する。
巻き込まれるもコルベールの技術力で底上げされた機動力で逃れた数体が踊りかかるも、駆けつけた北花壇騎士がジョゼフを支援、そして稼がれる時間
再び虚無が炸裂し、ヘビくんヨルムンガントの腕が吹き飛ぶ。
そんな状況ながらもギリギリでトリステインへ亡命しようと飛行ゴーレムに跨り、最後にヘビくんヨルムンガントに搭載していた空飛ぶヘビくんをばら撒いて去る
…夢が広がるな
>>820 夢広げる前になんでもへびくん付けるネーミングセンスをどうにかしてくれwww
二つ名じつはお気に入りだったのかハゲ先生
逆に考えるんだ
戦場にいたときからヘビに並々ならぬ拘りがあったからこその二つ名なんだ
なんか、ここしばらく投下のペースが落ちてるな。冬休みなのに
みんな、13巻読んで想像の羽を広げてるのか
それとも、うわこの設定じゃ俺のSS続けられねーと困ってるのか
理不尽系SSだからいくらでも修正が効く俺狂喜乱舞
まだプロット段階だけど、その根幹を13巻の設定で打ち砕かれた俺登場orz
普通に忙しい。メリー天皇誕生日ー!
股間のヘビくん
つまりコルベール先生は股間のへびも凄いと?
脱皮
スーパー使い魔ちるみさん
テファがみずだ子さんを、ジョゼフが漆田さんを召喚するとか妄想。
規制解除おめでとうございます。ありがとうございます。
これから投下してもいいですか?
ルイズがワルドの遍在を召喚して契約したら魔力的に本体から独立しちゃって
それでも同一人物なので遍在使い魔とワルドで同調してオクタゴンスペル発動
遍在が4×4×4で64人出現とかやってみたい
学院の物の修繕費でルイズ涙目www
支援っ
>>832 毎回冒頭で何かを破壊するのか。
偏在が多くなりすぎて誰が本体だかわからなくなったという
ブラックユーモア系短編なオチになったり
支援
>>793 迷彩君だっけ?
日本のTPOをしっかり弁えて、ユーモアセンスも備えた相良宗介みたいな印象の彼のやつ
サンタの格好したパラシュート部隊ってのはかなりシュールだったw
しかし、彼を召喚というネタを考えてみても、オッパイ星人疑惑あるからルイズになびかなそうな予感w
吟遊詩人は歌い伝える。
その少女の物語を―――
それはただの少女でした。
それはただの人間で、ただの子供で、ただの少女でした。
何の力も持たない、ただ兄の帰りを待つだけの、守られるだけの少女でした。
けれど、兄を亡くし、友を失くし、絶望を知ったその時、
涙を流しながら、それでも少女は決めたのです。
ただの少女であることを止めようと。
ただの無力な自分を捨て、絶望と戦おうと。
そうしてただの少女は、少女であることを止めたのです。
××××××××××××××××××××××××××××××
レムは眩さで目を覚ました。
窓から朝の白い光が射している。その中を、細かな埃が舞うのが見えた。虹色だった。
眠い目をこする。見慣れない部屋に、昨日の記憶が呼び起こされる。
2つの月。ピンクの髪。少年少女。嘲笑。召喚。使い魔。キス。貴族。女の子。ヤな子。魔法学院。魔法。赤と青の月。この部屋。ルイズ。オッツ・キイム。遠い場所。東方。いぢわる。涙。
ルイズはいぢわる貴族で、ここはルイズの部屋で、昨日おやすみなさいをして、今は朝。
一通り思い出してから、ウリックの就寝場所、マットの上を見る。
しかし、ウリックはいなかった。
慌てて起き上がって見渡す。姿はない。
すぐに理由が思い当たって、目を伏せた。
ああ、きっとまた夢を見たのだろう。レムは思った。
夢を見た朝、ウリックは不安定になる。それ以外に、レムに黙ってどこかに行くなど、考えられない子なのだった。
せめて部屋で泣いてくれれば。せめて私の前で泣いてくれれば。大丈夫なんて笑わないでくれれば。
そこに存在がある分、悲しみを分け合える分、その方がまだマシだった。
ウリックのいない朝は、自分もひどく不安になる。
もう一度、今度は落ち着いて部屋を見渡す。宿屋よりもずっと豪華な部屋だった。
まだ朝日が昇ったばかりの時刻。中央のベッドでは、ルイズが安らかな寝息を立てている。あどけない寝顔だった。
なんだか腹立たしくなった。
こんなコに使い魔とやらにされた、ウリックのコトを思ったからだった。
自分達を勝手に召喚して、勝手に使い魔にして、あげく平民とかシツレイなコトばっかり言う子。
貴族のおじょーさまで、きっと何の苦労も哀しみも絶望も知らないに違いない。
レムは自分の身長よりも大きな羽根をひらひらさせて飛ぶと、ルイズの顔の横に着地した。
『ちょっとルイズ!』
ルイズは目覚めない。
『ル・イ・ズ!』
ルイズは目覚めない。
『ルイズ!! 起きなさいよー!!!』
「ん〜……」
ルイズは全く目覚めない。
レムは毛布をはがそうとしたが、自分には重すぎたので諦めた。
代わりに、小さな両手でルイズのほっぺたを掴むと、ぎゅーっと自分の方へ引っ張った。
「いひゃいいひゃいひゃい!! な、何よ、何なのよ!」
『やぁーっと起きたわネ』
レムが手を離すと、ルイズは赤くなった頬を押さえた。
「何するのよ! あんた誰! っていうか何!?」
『なにって、昨日アンタが召喚したんじゃナイの!』
しばらく睨みあって、撫でていた頬の痛みが治まってきた頃、ようやくルイズは、ああ、と言った。
「そっか、そういえば、昨日召喚したのよね。妖精を。
……でも使い魔の契約はできなかったのよね、うん………」
昨日のことを思い出し、ちょっとブルーが入るルイズ。
しかし何かに気付いたらしく、視線をベッドの横、マットの上に移した。
「ところで、その使い魔はどこ行ったのよ?」
『たぶん外に…散歩に行ったんだと思うケド』
「ご主人様の許可なく? 全く、勝手な子ね」
怒るというより呆れたようなルイズの手を、レムが抱えて引っ張った。
『だからこれから探しに行くわヨ、ルイズ』
「はぁ!?」
ルイズはレムの手を払った。
「主人が使い魔を探す!? あんたそれ、正気で言ってるの!?」
『当たり前じゃナイ。だって私、ココの地理なんてわからないもの』
「ふざけないでよ! 平民ってだけで最悪なのに…
大体まだこんな時間じゃない! 私、もう一眠りするからね!」
ルイズはそう宣言すると、頭から布団を被って横になった。
『アンタ昨日は”主人と使い魔は一心同体”とか何とか言ってたじゃナイ!』
そういえば部屋に戻る途中に言ったかもしれないが、そんなことより大切なことが今はある。何よりも大切なことが。つまり具体的に言うと、眠かった。
「うるさいうるさいうるさい! とにかく私は寝るんだから、さっさと探しにでもなんでも行きなさいよ! おやすみ!!」
『そんな態度だと契約解除するカラね! それでもいーの!?』
レムは叫ぶが、もはやルイズからの返答はなかった。無視を決め込んだようだ。
ほんの数分で、ルイズは再び寝息を立てはじめた。
レムはふわりと飛ぶと、窓から見える景色を見て、どうしようかしら、と呟いた。
広い広い学院。見たこともない学院。初めての学院。
そして今ここにいない人物は、とんでもなく方向音痴なのだった。
『…あの子、今ごろ迷子になってるわネ』
断言できる。
ぱにっくでおろおろしながら、ココはドコかと叫ぶ姿が脳裏に浮かんだ。
支援
「ココはドコだぁー!?」
レムの予想通りの叫び声が響くのは、魔法学院の中庭だった。
中庭を挟むのは”風”と”火”の塔で、ここはヴェストリの広場と呼ばれる場所だったが、ウリックがそんなことを知るわけもない。
ふらりと部屋を抜け出し、ぼんやりと彷徨い歩き、気付いたらこんな場所にいた。もちろん、帰り道など覚えていようはずもない。
そもそも方向音痴な自分が、こんな広くて知らない場所を彷徨ったらどうなるかなど、多少考えればわかりそうなものだ。
この少年、うっかり者である。
「うーむ、どうしよう…」
周りに人影はない。早朝だし、元よりこの西側の暗い広場は、あまり人が来ない場所なのだ。
どうしようかと考えて、考えて、考えて、
「よし!」
23秒考えたところで、顔をあげた。
「とりあえず、歩こう!」
きっとそのうち人に会うはずだ。そう結論を出した。
この少年、長い時間モノを考えるのが苦手である。
歩き出そうとしたその時、ウリックは足元に違和感を感じた。
よくよく地面を見た。
土が、盛り上がっている。
「え? な、なに?」
一箇所ではなく、道のように線のように、盛り上がった地面が長く続いている。
その盛り上がった道を目で追ってみた。道は広場の奥から続き、あちこちをぐるぐる回ったり曲がったりしていている。
視線が道の最後に行き着く。行き着いたと思った途端、離された。最後がどこまでも離れていく。
その道は、現在進行形で伸びていた。
しかもウリックに向かって、一直線に伸びてきているのだった。
目の前に、道の最後がやってきて、止まった。
すぐには何も起こらない。
しばし、無音。
数秒後、茶色い大きな何かが、地面を割って現れた。
「なっ…魔物(モンスター)!?」
それは巨大なモグラだった。普通からは考えられない大きさ。ウリックの感覚からすれば、それは間違いなく魔物だった。
とっさに身構える。
しかし、巨大モグラはもぐもぐと鼻をひくつかせるだけで、襲い掛かってくるような気配はない。
静かにウリックの目を見つめている。
ウリックはしゃがみ、モグラと視線の高さを合わせた。
「おはよー、モグラさん」
この少年、相手が誰でも朝の挨拶は欠かさないのである。
「君はココに住んでるの?」
モグラは鼻を鳴らした。
「ボクはウリック。道に迷っちゃったんだケド、君、帰り道ってわかるかな?
ルイズってコのところに帰りたいんだ」
モグラは鼻を鳴らして、首を傾げてから、土に潜った。
少し進んだところで止まり、土から顔を出すと、ウリックの方を振り向く。
「そっち?」
ウリックが歩き出すと、モグラは再び地面に潜った。
地面が盛り上がり、道ができていく。ウリックを先導するように、ゆっくりと。
「ありがとう」
ウリックは導かれるまま歩き出した。
これまでに地面にできた道を避けるように、モグラは大回りで進んでいく。
しばらく歩いたところで、ウリックはふいに立ち止まった。
モグラの前進も止まる。
モグラはウリックの前までUターンし、顔を出した。
「あ、ゴメン」
ウリックは広場中を眺めていた。広場中の地面に広がった道を。
その瞳は、大好きな絵本を見る子供のように輝いている。
というかこの少年、子供である。
「コレ、君が描いたんだね。スゴイなぁ」
モグラの横にしゃがみ、笑った。
巨大モグラは、嬉しそうに身体を摺り寄せた。
支援
道案内を再開したモグラは、しかし人々が未だ眠っているであろう寮の方ではなく、広場の奥へ向かって進んでいた。
明らかに目的と逆方向だが、しかしウリックは全然気にしていなかった。
この少年、他者を疑うことをしないのである。
ある程度進んだところで、ウリックは気付いた。奥の木陰に誰か座っていることに。
もう少し進んで気付いた。その人物が、黒いマントを羽織っていることに。
もう少し進んで気付いた。その人物が、男だということに。
もう少し進んで、止まった。
身体が震えた。
その人物は、金髪だった。
金髪で、黒いマントで、男だった。
だから、仕方なかった。
だってウリックは、今朝も彼の夢を見たのだから。
いつも彼の後ろ姿を見ていたのだから。
金の髪と黒いマントを、いつもいつも見ていたのだから。
こうしてウリックが迷子になれば、いつも彼が探しに来てくれたのだから。
「シ、オン…」
思わず彼の名前を呼んでしまったのは、仕方なかった。
声に出してから、答える者がいないその名前の、空虚な響きに息を飲んだ。
足元に温もりを感じる。
巨大モグラが身を摺り寄せ、鼻を鳴らしていた。
「あ…」
ウリックはハッとした。
夢から無理矢理起こされた時のような、眩暈。額から汗が伝った。
そして、黒いマントの青年が、全くの別人であることに気付く。
いや、最初から、きっと気付いていたのだけれど、今ようやく、ウリックはそれを理解したのだった。
「…ゴメンね、大丈夫だから」
微笑んだつもりだった。
「ありがと、君、優しい子だネ…」
巨大モグラの背に腕が回される。柔らかくて暖かくて、生きている体。震える腕で、それでも強く抱きしめた。
笑おうとした表情はむしろ泣き出しそうで、それでも涙は流さなかった。
巨大モグラは暖めるように身を摺り寄せて、鳴いた。
支援
しばらくして、ウリックはモグラから身体を離した。震えは収まっている。
改めて、金髪の青年を見る。今度は大丈夫だった。
「この人、君の友達?」
モグラは鼻を鳴らした。
青年は樹に寄りかかったまま眠っている。マントはしているが、胸元が大きく開いた服は寒そうだ。
風邪をひいてしまうのではないかと、ウリックは心配になった。
この少年、生来のお節介である。
「ねぇ、君」
青年の目の前に座り、優しく声をかける。
「こんなトコで寝てたら、カゼひいちゃうよ」
「う…」
青年が身じろぎする。
ゆっくり開かれる瞳を見て、一瞬思考が止まった。彼と同じ、緑の瞳だったから。
が、次の瞬間、別の意味で思考が止まった。
青年は、いきなりウリックの腕を掴んだ。
「へ?」
「…かあいらしい、おじょお、さん」
ろれつの回らない声。その瞳は開ききっておらず、半分夢の中である。
「君の…小鳥のさえずりのような、あいらしい声で、おきられる、なんて…僕は、なんて幸運な…」
「へ? は? え?」
ウリックは混乱している。何だろうコノ人。
「君とはじまる朝を、始祖に感謝し…君と……」
呟くように語りながら、その目が徐々に光を帯びていく。
「……君、君は…」
青年は、目を開いた。
「君は、誰だ?」
そうして、ようやく青年は目覚めたのだった。
「まったく、僕としたことが、女の子と平民の少年を間違えるなんて…」
金髪の青年、ギーシュがぶつぶつと呟き、深く溜め息をつく。ウリックは思わず苦笑した。
どうやらギーシュはものすごい女好きらしい。
彼とは真逆だと思い、何故か少し安堵する。
ギーシュの膝の上では、巨大モグラ、ヴェルダンデが、撫でられて鼻をぐもぐもさせている。
「それで、ルイズの使い魔」
「ウリックだよ」
「…平民くん。起こすなら男らしく起こしてくれたまえ。
君は変声前のようだから、非常に紛らわしくて困るよ」
どう聞いても、醜態を曝したことに対するやつ当たりの言い掛かりだったが、ウリックはわかったと頷いた。
この少年、実は頷くだけの理由があるのである。
それから、首を傾げた。
「男らしくって、どーいう風に?」
「む…」
ギーシュは腕を組んで唸った。
「…怒鳴るとか」
「よく知らない人に怒鳴っちゃダメだよ」
「掛け物を剥ぐとか」
「何も掛けてナイよ」
「つねるとか」
「かわいそーだヨ」
「ああもう煩いな君は、使い魔のくせに!」
ヴェルダンデが顔を上げる。
「あ、いや、違うぞヴェルダンデ。君は使い魔でも最高にして崇高な使い魔だよ。
君の愛らしさは、貴族の女性達にも、決して勝るとも劣らないさ!」
ギーシュは柔らかな毛に顔を埋め、すりすりと頬擦りした。その表情は緩みきっている。
支援
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普通の人ならちょっと引く光景だったが、目の前の少年は違った。
「2人とも、スゴく仲良しなんだネ」
ウリックは、嬉しそうにニコニコと笑っている。
「そりゃあそうさ。昨夜、一晩中、ずっとヴェルダンデと語り合っていたからね」
「ずっと?」
なるほど、よくよく見れば、ギーシュの目の下には隈ができている。
「もしかして、ココで寝てたのって、ソレが原因?」
「そうだよ。語り合う内に、何時の間にか眠ってしまったようだ」
「ココでオシャベリしてたの?」
「ヴェルダンデは部屋より、土のある場所が好きだからね。
それにここなら、朝になってもあまり日が射さないから、モグラのヴェルダンデにはいい場所なのさ」
「…そっかぁ!」
ヴェルダンデに頬擦りを続けていたギーシュだったが、思わず顔を上げた。
ウリックのその声が、あんまりにも、嬉しそうだったからだ。
目に入ったウリックの顔は、本当に喜びに満ち溢れていて、まるで太陽のようだった。その瞳は、清らかな湖のように輝いている。
逆に困惑したのはギーシュの方だ。
「…君。どうして笑っているんだい?」
「え? えへへー」
溢れる喜びを隠そうともしない。
この少年、泣くも笑うも素直である。
「君たち、すっごく仲がいーんだなぁって思って。ボク、すっごく嬉しいんだ」
それのどこが嬉しいのか。ギーシュにはわからなかった。
「…君、僕と以前、知り合いだったりするかい?」
「え? ボク、初対面だよ?」
「ヴェルダンデと知り合いだったりしたかい?」
「んーん、今日初めて会った子だヨ」
ついさっき会ったばかりの、赤の他人同士が仲がいいのが、何がそんなに嬉しいのか。ギーシュにはわからなかった。
わからなかった。が、不快ではなかった。
むしろ、その笑顔に釣られて、こちらまでもが微笑みそうになる。
そんな奇妙な感情に、ギーシュは困惑した。
「…君は、変だな」
「変かな?」
「変だな」
「そうかなぁ」
でもまぁいいか、とウリックは思った。2人は仲良し。笑ってる。だからボクも嬉しい。それでいい。
この少年、子供である。
誰かが仲良しだと嬉しい、誰かが笑うと嬉しい。そんな単純な思考は、子供に決まっている。
けれどそれは、かつては誰もがそうであったはずの姿だった。
ギーシュは少し大人で、貴族である。だからいつしか、それをどこかに置き忘れていた。
この日、この瞬間まで、ギーシュはそれを忘れていることすら忘れていたのであった。
ヴェルダンデはギーシュの膝を降りると、今度はウリックにじゃれ付き始めた。
「あははは、くすぐったいよ、ヴェルダンデ」
ウリックは笑顔で、ヴェルダンデの頭を撫でた。
「本当に初対面なのかい?」
「うん」
そうとはとても思えないほど、ヴェルダンデはすっかりウリックに懐いている。
ヴェルダンデを撫でる少年の右手に、ルーンが見えた。
きっと、使い魔同士は仲良くなりやすいんだ。そうギーシュは結論づけた。
「ヴェルダンデ、本当にありがとう。君、本当に優しい子だね」
使い魔に礼を言い、しかも”優しい子”と表現する少年。
ギーシュは思った。変な奴だ、と。
勇者の妹支援
支援
さて。
しばしの戯れの後。ギーシュが一旦寮に帰るので、ウリックも一緒についていくことになった。
流石に部屋まで親切に送る気はないようだが、寮の入り口で待っていれば、いつかルイズを見つけられることだろう。
ギーシュが立ち上がり、続いてウリックも立ち上がろうとした。
ところで、話は変わるが、モグラの爪は非常に長くて鋭い。穴を掘るためだ。
ヴェルダンデは巨大モグラだ。
ヴェルダンデの爪は長くて鋭い。
ヴェルダンデはウリックと戯れていた。
そして、ウリックがヴェルダンデを抱き起こし、立とうとした時、一つの不幸が起こった。
ヴェルダンデの長い爪が、ウリックの服の脇、巻かれたサラシにひっかかり、それを偶然引き裂いたのだった。
「え?」
まず、胸元が緩まるのを感じた。
次に、白くて長い布がいくらかはらりと落ちたのが見えた。
それから、ヴェルダンデの爪を見て、状況を確認して―――ウリックは真っ青になった。
一度立ち上がったのに、急にしゃがみ込んだウリックを見て、ギーシュは不思議そうな顔をした。
ヴェルダンデの影になっていたので、状況がわかっていないようだ。
「僕はもう部屋に戻るんだが…君、何をしているんだい?」
「え、ええと、えーっと……」
ウリックの額から、だらだらと汗が流れている。冷や汗だった。
「お、お腹が、お腹が痛くて! だから先に行っていーよ!」
「君が押さえているそこは、胸部のようだが」
「うっ」
その通りで、ウリックは両腕で必死で胸元を押さえている。というより抱えている。
この少年、嘘が壊滅的に下手である。
「ええっと…その…コレは…」
不審に思ったギーシュが近づいてくる。
一歩。一歩。また一歩。
「君、何を…」
「…ご、ごめんギーシュッ!! ボクあっちに急用を思いついたカラ!!」
ギーシュが地面に散らばる白い布に気付いた時には、ウリックは振り向き、走り出していた。
そのあまりにも急すぎる行動に、ギーシュもヴェルダンデも、目を点にして見送るしかなかった。
しばらく呆然としてから、ギーシュは呟いた。
「…そういう時は、”思いついた”じゃなくて”思い出した”だろう?」
そうして、ああ、やっぱり変な奴だと、そう思ったのだった。
ギーシュがあと数歩ウリックに近づいていたなら、見えていたかもしれない。
ヴェルダンデの視界に同調していたなら、見えていたかもしれない。
さらしが解けたウリックの、脇から丸見えになった胸部が。
そこにある、あまり大きくはないが、確かな二つの柔らかなふくらみが。
ウリックは走る。涙目で。
まだ人のいない学院を、必死に、胸元を隠しながら。
この少年、実は少女である。
××××××××××××××××××××××××××××××
少女であることを止めた少女は、絶望と戦いはじめました。
法力国の少年と、小さな妖精と。
仲間と共に、絶望と戦いはじめました。
小さな三人の物語は、如何なる未来へ続くのでしょうか―――
ギーシュ支援
『オッツ・キイムの使い魔』第3話、投下完了。
今まで規制規制で、本スレ投下は初めてなので緊張しました。
前回代理投下してくださった方、
前回、今回、支援してくださった皆様、本当にありがとうございます。
乙
>「お、お腹が、お腹が痛くて! だから先に行っていーよ!」
生理かと思ったぜww
>>793 NORADのホームページを見てきたよ
コンテンツが盛りだくさんで日本語にも対応していて凝ってた
サンタさんは人とは違う時の流れで動いるので短時間で仕事ができ年も取らないと書いてあったから
生身でもかなりのスピードできめ細かい行動ができるんだろうなぁ
マチルダさんやティファニアに召喚され子供達に大人気な所を妄想した
夜麻先生復活支援。
ウリックの違和感とけたあ
はっはっは、ホントかわいいなあ畜生! GJ!
>>858 マジで!?
乙
やっとネトゲの呪縛から解き放たれたんだね
あたるを呼びたい
厨房の頃読んでた時はウリックの動物非殺主義がウザくて仕方がなかったが、
今読み返すと可愛く見える不思議。
久しぶりに読むと昔はつまらなかったのに面白く感じるようになってたり、その逆だったりする事あるよな。
>>864 あたる?
まさか2世になってもソルジャーマスク被りっぱなしのアタル兄さんのことか!?
乙女座のシャカ召喚、プロットだけ出来た
だが俺にはここが精一杯なのでプロット貼り付けて終わりにする
十二宮で一輝、シャカと相討ちに持ち込む
↓
次元の裂目に落ち込む2人、その時シャカは銀色の輝きを見る
↓
シャカ召喚、意識を失っているうちに契約
シャカはハルケギニアに落ちたであろう一輝を探すため「従者」としてルイズに仕える事にする
↓
決闘イベントで素手でワルキューレを粉砕、ルイズに無理やり剣を持たされることに
「武器で戦う方が相手が傷つかないでしょ」ここでデルフと出会う
↓
破壊の杖は乙女座の暗黒聖衣(仮称『黒衣の乙女像』)に置き換え
フーケ戦でルイズの危機に際し自動的にシャカの身を覆うことに
↓
『黒衣の乙女像』はオスマンを助けた暗黒聖闘士が身に着けていたもの
「アテナに詫びたい」と言い残して死んだ暗黒聖闘士の遺志をくみ、
ハルケギニアではあえて暗黒聖衣をまとい戦うことを決意するシャカ
また、分離した乙女座の暗黒聖衣が剣(=デルフ)を持った乙女の姿をとったことで
ともに戦うことをしぶしぶ認めるシャカ(乙女座のモチーフの正義の女神アストレアは剣と天秤を持つ)
そしてフーケに善の心を見たシャカは彼女を脱獄させる
↓
アルビオンへの密使イベントでは、夢を通じアンリエッタに諫言
ワルドに悪を見たシャカは終始ワルドを警戒、それに反発するルイズ
↓
結婚式の場でついに本性を見せるワルド、だがシャカによりウェールズ暗殺は免れる
シャカVSワルド、予想に反し苦戦するシャカ
使い魔としての枷が進行し、またガンダールヴの能力のため、小宇宙を高めることが難しくなったのだ
しかしルイズへの攻撃がシャカの小宇宙を爆発させ、ついに天舞宝輪が放たれる
ワルドは五感を絶たれ捕虜としてトリステインへ連れ帰られる
そして一向はウェールズとアルビオン王党派を残しアルビオンを去ることとなる
↓
ついに一輝が見つかった
タルブの村に龍の羽衣とともに祭られていた不老不死の眠れる青年こそが一輝であったのだ
かつて暗黒ドラゴンと呼ばれていた暗黒聖闘士こそ、シエスタの祖父である
13年前にタルブに落ちた一輝の体は、アテナの小宇宙により守られMITHOPETHA‐MENOSと同様の状態にあった
暗黒ドラゴンはいずれ一輝を迎えに来るものが現われること信じ、一輝を祭ったのである
一輝が見つかったことにより、シャカが帰ることが決定的となり、心が揺れるルイズ
だが、ルイズの心に結論が出る前にレコン・キスタの侵攻が始まった
非道なレコン・キスタに、シャカは使い魔ではなく「アテナの聖闘士」として戦うことを決意する
しかし使い魔として存在する限り、シャカは本来の力を発揮することは出来ない
↓
葛藤の末、ルイズはディスペルで使い魔の契約を消し去る
黄金聖闘士としてのシャカの本来の能力発揮、トリステイン勝利
↓
一輝とともに元の世界に帰るシャカ
そして彼ら2人が帰ったことにより、時空の歪みが戻り、ハルキゲニアはあるべき姿に巻き戻されていく…
↓
十二宮の戦いも終わり、束の間の平和を取り戻した聖域
シャカはルイズのサモン・サーヴァントを感じ、ゲートを彼女にもっとも相応しい者の元へ誘導する
「ルイズ、きみにアテナの導きがあることを願っている」
突っ込みどころ満載なのは百も承知だが乏しい想像力ではこれが限界だった……
>>868 ここまでプロット出来てるならyou買いちゃいなよwww
>>869 無理! キュルケやシエスタはともかく、タバサとどう話を絡ませりゃいいのかわからんもの
これなら瞬やサガの方がまだ書きやすいわw
武器を持つほうが傷付けないとか合ってるから困るwww
タバサ特急便
キュルケハゲエンタープライズ
役に立つじゃん
ギーシュとデコは氏らね
>>870 無理にタバサを絡めようとするから難しくなるんだ。
逆に考えるんだ。
「タバサが空気だって良いじゃないか」
と、考えるんだ。
タバサは話の間中ずっと本読んでましたとさ
これでOKだ
>>870 最初に天空破邪魑魅魍魎使ったらそれ以来びびって近寄らなくなりました
でいいんじゃね?
ポセイドン編終了時と、ハーデス編で再登場したときでは、フェニックスの聖衣のデザインが変わっている。
これはすなわち海底神殿脱出時に、何処か変なところに迷い込み、いろいろあって戦うことになり、エクスプロージョンなりヘキサゴンスペルなり荷電粒子砲なり
カメハメハなりカイザーフェニックスなりレイガンなりアルテマなりドラゴスレイブなリ縮退弾なりスーパーキャッチ光線&原子振動砲なりブラボーアーツなり
うまいぞーなりメイドガイなりをくらって聖衣が吹き飛んで再生した証にちがいない。
な なんだってー!(AA略)
そんなわけで一輝ならいけると思う。