リリカルなのはクロスSSその30

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1反目のスバル ◆9L.gxDzakI
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその29
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197295459/

過去スレ
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195735974/
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196174166/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196173990/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195352813/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194875382/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195352813/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194875382/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194190014/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193668768/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193128576/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192340228/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191674700/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190950386/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190209861/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1189525591/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1188914457/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1188222989/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1187714790/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1187176581/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1186669558/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1186147008/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1185640072/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184997868/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184393091/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1183637309/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1182871170/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1182002145/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1180901290/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1179746193/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1177202668/

*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ8
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196858663/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 15:43:24 ID:X5069lKV
輝かしき1乙!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 15:58:22 ID:0RidMHYj
さあ、ここから乙の始まりだぁぁーーー!
4リリカル遊戯王GX:2007/12/17(月) 16:37:21 ID:el3SXSTq
俺は>>1乙をするぞぉぉぉぉ!!ジョジョーーーーー!!
5リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/17(月) 16:43:12 ID:KtlZ06zD
>>1

今思い出した!二十話Aパートの感想がまだ来ていない!(気付くの遅すぎ)
まぁいいや、Bパートで面白い話を書けばいいことだ。
ブレイドVSカブトをお楽しみに
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 16:54:16 ID:MGJZ+Yue
>>1

……され竜の一巻読んでたら唐突にこんな電波が。

「スバル、もしアンタが古代ベルカだか超戦闘機人の血を引く裏設定なら、そろそろその真の力と醜い姿で暴走しても許してあげるわよ」
「ティアこそ、追いつめられて発揮される秘められた力があるのなら、盛り上がり的にそろそろ出してもいい所じゃない? 追いつめられ度が足りないなら、あたしが殴ってあげるけど?」





……本編でやらかしたからなあ。
7魔装機神:2007/12/17(月) 18:09:16 ID:3fTEkJCl
投下してもおkですか?
8名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 18:14:11 ID:nQR0+/zZ
カム・ON
9魔装機神:2007/12/17(月) 18:20:48 ID:3fTEkJCl
スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL 15話 消える遺体

ここは日本の某場所。
一見探せばよく見かけそうな墓地、そこにマサキはいた。
「父さん、母さん、姉さん」
マサキの前には「安藤家の墓」と彫られた墓石があった。
ここに家族は眠っている。
「確か、マサキの家族って……」
クロの言葉にああと頷く。
「俺の家族はテロで全員死んだ。残ったのは俺だけだ」
そういって、マサキは花と線香、供え物をおいた。
「そうだったのか」
そばにいたリィンフォース、はやても墓を見る。
「家族が死んで、これからどうしようかなあって思ったときだったかな、ラ・ギアスに呼ばれたのは」
2年くらい前の事なのに、かなり前の事みたいにマサキは思い出す。
そういえば、家族が死んで初めて墓参りに来た事を思い出す。
ずっとラ・ギアスにいたからこれなかったのだ。
「またラ・ギアスに戻ったらしばらくはこれないからな、いけるうちにいかねえと」
そういってマサキは手を合わせる。
続いて、リィンフォースとはやても手を合わせた。
クロとシロも、手を合わせない変わりに目を閉じた。
その間、静寂した時間が流れる。
「もういいか、またくるからよ」
マサキはそういって最後に水をまいて墓地を後にした。

「おーい、戻ったぞー」
その頃、ミッドチルダのナカジマ邸では、その主であるゲンヤが帰宅した。
「あ、お帰りなさーい」
そういって出迎えたのは、その妻ではなく二人の娘、スバルとギンガだった。
そのことについで不思議に思ったゲンヤは尋ねる。
「ギンガ、スバル。母さんはどうした?」
ゲンヤの問いに、知らないと首を横に振る二人。
仕事で遅くなっていのだろうか?
「あ、そうだ。お父さん。こんなものが落ちてたんだけど」
そういって、ギンガは庭に落ちていたチップを渡す。
「なんだこりゃ?」
ゲンヤは不思議に思いながらも後で見ておこうとそれを胸ポケットにしまう。
「クイントが帰ってねえとなると……しょうがねえ、今日は俺が作るか。二人とも腹減ってるだろ?」
そういって疲れた体を台所へと向かわせようとしたとき、管理局から連絡が入った。
「なんだ?用件なら俺が帰る前にいやあいいのによ」
そういってゲンヤは通信に応じたのだが、その内容を聞いて、さっきまでの疲れが嫌な意味で吹っ飛んだ。
その内容は、自分の妻であるクイントが極秘任務中に死亡し、さらに遺体が見つからず現在捜索中と言うことであった…
それを聞いたゲンヤは二人に、夕食は宅配でも外でもいいから食べてろ、といって適当にお金を置いて地上本部の方へと向かっていった。
(どういうことだ?捜索中なのに遺体が確認されてるだと?)
だが、今は迷っているヒマはない。
急いで事の真相を確かめに行かなければ。
それを誰にも気付かれないようにシュウはみて、くすっと笑うのだった。
(これで第2段階は終了。これで、タイプゼロの戦闘データが取れればいいのですが……)
それは何年後になるか解らない。
(待つわけにもいきませんか。それに、所詮は実験作。あまり期待はしていませんし……
まあ、ヴォルクル様の復活の生贄の一部くらいには役に立つでしょう)
ふふふ、と笑い、彼は静かに消えていった。
10魔装機神:2007/12/17(月) 18:24:29 ID:3fTEkJCl
そして、地下世界、ラ・ギアスにも動きがあった。
「ウェンディ、僕に用とはなんだ?」
炎の魔装機神、グランヴェールの操物、ホワン・ヤンロンはウェンディに呼ばれた。
「ごめんなさい、ちょっとお願いがるの」
お願い?とヤンロンは尋ね、はいとウェンディも頷く。
「既に地上世界へ未練のないあなたに頼むのは、正直頼みにいのですが……」
ウェンディは申し訳なさそうに部屋にか座割れている一つの剣をとる。
「それは?」
ヤンロンは尋ねるが、その武器を見てどのようなものか気付く。
かなり変わっているが、大まかな形は風の魔装機が持っている「ディスカッター」に近い。
「これは、サイバスター専用の剣。あのディスカッターもサイバスター用といえばサイバスター用なんだけど、
どちらかといえばあれはただ剣をサイバスター用にちょっと手を加えただけ。他の魔装機神のような完全オリジナルじゃないの。
他の都比べて開発が遅れて、さっきやっと完成したの」
なるほど、それで自分に頼みたい事とは……
「それをマサキに届けてほしいと」
ええ、とウェンディが頷く。
だが、それは正しい事だった。
地上の事を知っているのは地上人だけ。
さらにその中でも地上を自由に行き来できるのは魔装機神の操作のみ。
マサキは今は地上。リカルドは死に、テュッティはまだリカルドのことで一人で地上に行かせるのは少し心もとない。
となると、今行けるのは自分のみということになる。
「そういうことなら解りました。私が行きましょう」
ごめんなさい、と言ってウェンディは謝って剣を渡す。
ヤンロンは他の魔装機操作の中でも一番地上に未練がない人物である。
そんな彼を地上に行かせるのは少し忍びなかった。
「気にしなくてもいいですよ。ですが現在の状況が状況です。一度国王か王子に許可をいただいてからと言うことになりますが」
なんとか現状を維持しているラングランだが、いつ何が起こるかわからない。
そんなときに魔装機神操作が一人しかないというのは戦力的が大幅ダウンする事になる。
その点はウェンディも頷いた
それと、とヤンロンはある意味重要な事を尋ねる。
「この剣の名前は?」
あ、そうですね、とウェンディも思いだす。
「この剣の名前は……」

「遺体がないとはどういうことですか!?」
ダン!とゲンヤは机を叩きつけ、目の前にいる人物、ゼンガー・ゾンボルトを見る。
「さっき報告したとおりだ。クインド・ナカジマの遺体は行方不明になった。証拠もある」
そういって、ゼンガーはモニターを出す。
「その前にもう一度尋ねたいが、クイント・ナカジマは彼女でいいのだな?」
そういって出されたのみターには、確かに彼女も写真だった。
ゲンヤは頷くと、どこか渋ったような表情を見せるゼンガー。
「実は、俺は一度彼女の遺体を見ている」
そういって次にモニターに出した画像を見て、ゲンヤは目を見開く。
そこには、地でまみれて、生気を失った妻の姿だった。
「俺達が来たときには、既にこうなっていた。そして後の事を調査班に任せて別のところへ調査を開始しようとしたのだが…」
その後のキョウスケの話によると、その後救護班との遺体がいたところに戻ったときには既に彼女の遺体はなかったという。
11魔装機神:2007/12/17(月) 18:28:13 ID:3fTEkJCl
「はやてちゃん、今家にいる?」
エイミィが通信でこちらに話しかけてきた。
「エイミィさん、この魔力ってなんなんですか?」
「突然誰かがこの世界に転移してきたの。今一番近いフェイトちゃんを向かわせてるんだけど、みんなも急いで!」
わかったとはやても頷いて、その場所へ行こうとする。
「あいつ、まだシュウの追って地上へきたのか?」
マサキは愚痴を言いながら部屋を出る。
「知っているのか?」
ああとマサキは頷いて、簡単にそいつの事を説明する。
「サフィーネって言う変態女だよ」

「ここが日本……」
上空を見下ろしながらサフィーネはクスッと笑みをこぼす。
ここがシュウ様の母親の故郷。
「シュウ様、今このサフィーネがあなたの元へ参ります」
そのときだった。
「あなた、こんな所へ何をしてるのですか?」
自分よりも高いところから声が聞こえ、ん?とサフィーネはそのほうを向く。
「時空管理局のものです。何でこんなところにいるのか話を聞かせてはもらえないでしょうか」
それは、自分よりもはるかに年下の黒い服を着た女の子だった。
しかし、その見た目には似合わない斧のようなものを持っている。
「あらあ、あなたがシュウ様の言っていた時空管理局って所にいる人?」
シュウと言う言葉に反応した女の子、フェイトはその斧、バルディッシュをサフィーネのほうへ向ける。
「少し、話を聞かせてもらいます」
しかし、そんなサフィーネはそんなフェイトを見て笑う。
「あなたみたいな子供がそんな事出来ると思う?」
サフィーネの言葉にもフェイトは動じない。
サフィーネもこの少女が普通の少女ではないという事は一目でわかった。
出なければ空を飛んでいるはずはない。
だが、余裕を笑みを見せながらサフィーネはフェイトを見る。
「じゃあ、ちょっと遊んじゃおっかな?」
そういって、サフィーネは自分の武器である鞭を握る。
フェイトはそれを見て、少し前の事を思い出す。
自分の母、プレシア・テスタロッサの仕置き。
最初は、ちゃんと出来なかったのだから仕方ないと思った。
だが、彼女からしてみればあれは鬱憤を晴らしていただけなのかもしれない。
(私はあなたのことが……大嫌いだったのよ!)
思い起こされる母の言葉。
(ちゃんと、気持ちの整理が出来たと思ったのに……)
どうも、彼女にとって鞭と言うのはなにかと因縁のあるものだった。
「どうしたのいきなり?……まさか、こういうの好きなの?もう、いけない子ね」
いきなり動きが止まったフェイトに、サフィーネはくすくす笑いながら尋ねる。
ち、ちがう!と顔を赤くして必死に否定するフェイト。
「かわいいわねえ。じゃあお姉さんがいいことをしてあ・げ・る」
サフィーネはウインクしてフェイトと対峙する。

投下完了。
最初のほうはシリアスだったのに……
次の話、Rどれくらいになっちゃうだろう(流石にエロとまではいかないけど)
次回はサフィーネさん大暴れ。とにかくフェイト逃げてーーーー!!
12名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 19:33:57 ID:X5069lKV
支援
13反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:07:13 ID:hNYRPtNG
>>11GJ!

…さて、今から片翼4話投下してもよろしいでしょうか?
本当は今回がデレの回だから、前回はもう少し抑えたかったんだけどなぁ…
14片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:10:57 ID:hNYRPtNG
時間も押しているので急いで投下。

魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使

第4話「若き銃士の焦燥」

「うりゃあぁぁぁぁーっ!」
気合いと共に、スバル・ナカジマが疾走する。
マッハキャリバーの車輪が猛スピードで地面を滑り、リボルバーナックルが思いっきり振りかぶられる。
ティアナ・ランスターは、クロスミラージュの先端から突き出した光の銃剣(バヨネット)を、スバルの鉄拳へと向けた。
激突。
早朝の森林に火花が飛び散り、拳と刃が拮抗する。
互いの間をじりじりと右往左往する膠着は、しかし数秒ともたなかった。
クロスミラージュのダガーが表面に亀裂を生じさせたかと思うや否や、そのままガラス細工のように砕け散り、
ティアナへのリボルバーナックルの攻撃を許してしまう。
「あぐっ!」
寸手の所で身を捻り、直撃を避けたものの、スバルの馬鹿力がそう簡単に相殺されるはずもなく、
ティアナの身体が森の地面を転がった。
「ごめんティア! 大丈夫!?」
慌ててスバルが親友の元へ向かい、心配そうに声をかける。
「ん…平気よ、これぐらい…」
訓練着に着いた土を払いながら、ティアナがゆっくりと立ち上がった。
「でも、やっぱこのやり方は危険すぎない? もう4回もナックル食らってるんだし…」
「そこらの木でも切れっていうの? それじゃ、強度なんて分かったもんじゃないじゃない」
スバルの気遣いを、ティアナは一蹴した。
「でもぉ…」
「気持ちは取っとくけど、でもこれは他にやりようが…」
「――適度に休まないと身体に毒じゃなかったのか?」
と、不意に横合いの木々の間から、低い男の声が響いてきた。驚いた2人は、同時に声のする方を向く。
彼女らにとっては、聞き覚えのある声だ。それも、できれば聞き違いであってほしいような…
「げげっ! セ…セフィロスさん!?」
現実は無情である。六課の中でも最も怖い魔導師の姿を認め、スバルが声を上げた。
「ばっ…スバル!」
「随分と怖がられたものだな、私も」
「すっ、すみませんセフィロスさん! この馬鹿が失礼を…」
自嘲気味に笑うセフィロスに対し、ティアナは必死に頭を下げた。
冗談じゃない。この人を怒らせようものなら、命がいくつあっても足りはしない。
「気にするな。お前達が私をどう思おうと、知ったことではない」
「はぁ…」
許されたものの、セフィロスの突っぱねるような物言いに、ティアナは複雑な表情を浮かべた。
「ところで、セフィロスさんはこんな時間に何をしているんですか?」
先ほど失言をしたばかりだというのに、スバルはえらく自然に問いかける。
ティアナからすればため息ものの困った癖だが、スバルの気持ちの割り切りのよさは、時には長所にもなった。
「むしろ、それは私が聞きたいな」
逆にセフィロスが聞き返す。
こんな早朝から、デバイスを装備して2人で何をしているのか。
「あっ…そうですよね。えっと…あたし達は、今度の模擬戦に向けて、自主練中なんです」
(模擬戦というと、なのはとのツーオンワンか…)
スバル達新人には、数日後になのはと2対1での模擬戦を行う機会があった。
なのははデバイスリミッターに関する試験を兼ねているという話をしていたが、これは教え子には極秘の話だ。
「何故わざわざ自主練を?」
それでも、セフィロスには理解ができなかった。
訓練なら普段のもので事足りているというのに、何故わざわざ個人練習が必要なのか、と。
「…そう、ですよね…分かりました。ちゃんとお話しします」
そう言ったのはティアナだった。
15片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:12:08 ID:hNYRPtNG
「…なるほどな…」
一連の事情を聞き終えると、セフィロスはそう短く呟いた。
曰く、先日のホテル・アグスタでの任務の際、ティアナが致命的な失敗を犯してしまったらしい。
それで今回の模擬戦で汚名を返上するために、対なのは用のフォーメーション練習をしているのだそうだ。
(…だが、ただの失敗でそこまで躍起になるか?)
それらを聞いても尚、セフィロスの脳裏から疑問が消えることはなかった。
しかしそんなことはお構い無しに、ティアナは言葉を重ねる。
「…なのはさんの教導は、ありがたいと思っています。でも…今の中距離戦メインのカリキュラムでは、模擬戦までに間に合わないんです」
真摯な眼差しを向け、ティアナが語った。
「クロス・ミドル・ロング…オールレンジに対応して、なのはさんの射程の穴を突いていかなければ、対抗できない…」
セフィロスはそれを、ただ黙って聞いていた。
「だから、こうしてここで自主練習をしているんです」
「…それで、スバルが親友のミスの尻拭いか」
ティアナの話を聞き届けたセフィロスが、スバルへと問いかけた。
久々に聞く皮肉をこめた言い回しは、セフィロスの得意とするところである。
「そんな全然。あたしとティアは2人で一緒に強くなるんだって、ずっと心に決めてましたから。
 ティアが頑張るんだったら、あたしも一緒に頑張りたい…それがあたしの意志ですよ」
邪気のない笑顔を浮かべ、スバルが答えた。
ただ、気恥ずかしいことをあっさりと言ってのける彼女に対し、ティアナは少々赤面気味だ。
(それは理解している、か…)
先日ヴィータに言って聞かせたことを、セフィロスは思い返す。
少なくとも、現状はティアナの独りよがりではないようだ。
「…あ、そうだ! ティア、セフィロスさんにコーチしてもらうのはどう?」
「え…ええっ!?」
突拍子もないスバルの提案に、ティアナは驚愕も露わな声を上げる。これには一瞬セフィロスさえも驚かされた。
普段の自分を見ているスバルなら、そういうことは死んでも引き受けないタイプだということは分かるはずだろう、と。
「そんな…セフィロスさんに悪いわよ、わざわざ付き合ってもらったら」
「でも、セフィロスさんすっごい強いんだし、色々とためになると思うよ?」
あたしもレッスン受けてみたいし、とスバルが付け足した。
直接的には言っていないが、ティアナはセフィロスが引き受けないであろうことを理解しているようだ。
にもかかわらず、スバルにはそんな様子は全く感じ取れない。
(よくこの調子で付き合っていられるものだ)
全くもって正反対な両者を見比べ、セフィロスは内心でため息をついた。
「…で、どうですかセフィロスさん?」
そんなことは露知らず、スバルは無邪気に問いかける。
「…生憎と、私も魔法とは数日の付き合いしかない」
一応、セフィロスはそう答える。
そして、今は何の訓練をしていたのか、とティアナに問いかけた。
「えっと…クロスミラージュのダガー強度を…」
「知らん」
即答だった。
魔力の収束などは、サンダガなどを習得する際に一応なぞったが、短剣型に固定するような高等技術など知るはずもない。
「…だが…私も暇な身だ」
しかし、セフィロスはそう続ける。
「指導などする気は起きんが…まあ、見るだけは見ていてやろう」
「本当ですか!? ありがとうございますっ!」
スバルの顔がぱあっと明るくなり、ハイテンションに手を握ってくる。
一方のティアナは、まさに「信じられない」と言ったような顔つきだった。
それもそうだろう。これこそ、まさに完全な「気まぐれ」である。
(毎朝素振りをするだけよりは暇潰しになるか…)
と、あくまでその程度の判断だった。
ただし、自分でも一応、あまりに自分らしくなさすぎる気まぐれだとは感じていたようだが。
(…どうかしているな、最近の私は)
16片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:13:18 ID:hNYRPtNG
それからと言うもの、セフィロスは律儀に毎朝ティアナ達の元へと様子を見に行った。
とは言ったものの、彼は滅多に物事を教えることはない。ただ木にもたれて座り込み、ティアナ達の自主練を見ているだけだ。
誉めることも叱ることもせず、ただただ、ぼうっと見ているだけ。
それでも、やはりまだまだ未熟さの残る2人を見ていてイライラすることもあるのか、問われたことには答えていた。
スバルに、相手の射撃を掻い潜りつつ距離を詰めるコツを問われたことがあった。
「相手の射撃への対処法は、防ぐか避けるかの二者択一だ。だが、細いウイングロードの上では、回避行動も取れんだろう。
 …プロテクションのタイミングを逃すな。相手の攻撃からこちらの展開までのタイムラグを、最大限に削ることを心がけろ」
ティアナに、接近戦でダガーを保ちつつ攻撃を防ぐ方法を問われたことがあった。
「正面からぶつかっては、今のお前の実力ではすぐに破られる。
 …相手の攻撃を受け流すことを考えろ。押して駄目なら引け、だ。上手く手前に引き、相手の勢いを殺せ」
魔力の扱い方こそ教わることはなかったが、それでもスバルとティアナにとっては、非常に有意義な教えだった。

ある時、セフィロスがティアナに問いかけたことがあった。
(本当のことを話せ)
(えっ…?)
スバルとの訓練中に不意に頭に響いてきたセフィロスの声に、ティアナは一瞬驚いた。
実はこの瞬間こそ、セフィロスが初めて念話を使った瞬間である。
(何故お前は、たかが1回の失敗でそうも躍起になる。…スバルには言えんようだが)
それは、常々セフィロスが疑問に思っていたことだった。
ティアナはしばらく押し黙っていたが、やがて身体を動かしながら、念を返す。
(…ウチの編成を見れば分かるんですが…はっきり言って、凄い人達の集まりなんです)
隊長達はエース揃い、エリオは10歳にしてBランクの秀才、キャロは召喚魔法というレアスキルを保有。
本人に自覚はないが、スバルも魔力量に明るく、一等陸佐の父親という大きな後ろ楯もあった。
(あたしだけが…六課の中で、凡人なんです)
念話は、その者の思念を発信するものだ。
故に、ティアナの念には、はっきりとした劣等感が付きまとう。
(…焦っているのか)
セフィロスは再び問う。
(多分。…このままじゃ、あたしだけが、取り残されてしまうから…)
それ以降、ティアナの言葉がセフィロスに届くことはなかった。
才能だけが全てではない――そんな月並みな論理を、セフィロスは口にしなかった。
それは確かに真実だろう。ジェノバDNAによって超人の力を得ながら、何の取り柄もない一青年に倒された自分がいい例だ。
だが、そんな言葉が、今のティアナに対してどれほどの意味を持つだろう。
無意味なことを言う趣味は、セフィロスにはなかった。
(せめて、その焦りが死期を早めないに越したことはないが…)
それこそ、彼にとってはどうでもいい話のはずだった。

そして、模擬戦前夜。
「ねぇ…アンタはいいの?」
隊舎の自室で、ティアナはルームメートに問いかけた。
自信はある。フォーメーションは完璧だ。セフィロスの指導もあった。
「アンタの尊敬するなのはさんに…ある意味、逆らうことになるけど」
唯一、それだけが気がかりだった。
自分のわがままのためにスバルを当てにして、悪いとは思う。
だが、今回の模擬戦は、それこそスバルがちゃんとしていなければ勝てないものだ。
だからこそ、ティアナは目の前の相棒に、そう確認した。
「大丈夫! なのはさん、優しいし…きっと、分かってくれるよ」
スバルは迷うことなくそう言う。どうやら、ティアナの懸念は杞憂に終わったようだ。
「…セフィロスさんじゃあるまいし」
かと思えば、今度はセフィロスの対ヴィータ&シグナム戦を思い出し、背筋を震わせる。
「…ぷっ…くく…」
「あは、あはは…」
その様子がおかしくて、ティアナは思わず吹き出していた。つられてスバルも笑い出す。
身体の緊張が、ほぐれたような気がした。
(大丈夫…きっと上手くいく)
ティアナの胸に自信が満ちていく。それは暖かく、心地よい自信だった。
(だから見ていて…兄さん)
17片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:14:42 ID:hNYRPtNG
「おかしいな…2人とも、どうしちゃったのかな…」
翌日の模擬戦は、凄惨なものだった。
「頑張ってるのは分かるけど、模擬戦は喧嘩じゃないんだよ」
なのはの両手が、片方でスバルのリボルバーナックルを、片方でティアナのクロスミラージュを受け止める。
「練習の時だけ言うこと聞いてるふりで、本番で無茶するなら…」
なのはの声は冷ややかだった。
「練習の意味、ないじゃない…」
そこには、いつもの優しさなど微塵もない。
ただ、静かな、それでいて確かな憤りのみが、圧倒的威圧感となって形を成していた。
「ちゃんと、練習の通りやろうよ」
であれば、それはあの恐怖の権化と、どれほどの違いがあると言うのか。
守護騎士達を圧倒的な力でねじ伏せたあの男と、一体何が違うと言うのか。
「あ…あの…っ」
舌が回らない。
スバルの言葉は言葉とならず、喉の奥に押し留められる。
「ねぇ…私の言ってること、私の訓練…そんなに間違ってる…?」
こんなはずではなかった。
こんななのはの姿は、ティアナ達の頭にはなかった。
『Blade erase.』
クロスミラージュのバヨネットが自ら姿を消す。
次の瞬間、ティアナの姿は、背後に青く輝くウイングロードの上にあった。
――どうして。
「私は…っ!」
――こんな結果を望んでいたんじゃないのに。
「もう、誰も傷つけたくないから! …なくしたくないから!」
――私は、
「だから…!」
――ただ、
「…強くなりたいんですッ!!!」
――それだけだったのに。
なのはの右手が、桃色に輝き始めた。それが6つの魔力弾の輝きだったことを、ティアナは理解していたのだろうか。
「少し…頭冷やそうか」
「…ッ!」
――私はただ…
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」
――認めてほしかっただけなのに。
目の前の現実を撃ち抜かんとするかのように、ティアナはトリガーを引く指に力を込めた。
「ファントムブレ――」
「シュート」
ファントムブレイザーが放たれるより早く、ティアナを桃色の奔流が飲み込んだ。
激痛。
肌が焼かれるような痛み。傷はないのに傷つけられる、非殺傷魔力弾の感覚。
もはや親友の悲鳴も聞こえない。教官の言葉も届かない。
――どうして。
2射目にその身を飲まれた瞬間、ティアナの意識は暗転した。

そしてセフィロスは、いつもの無表情のまま、何も言わずそれを見つめていた。
18片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:15:51 ID:hNYRPtNG
最悪の模擬戦から数時間後。
なのはは1人、ロビーの椅子に座り込んでいた。先ほどの形相が嘘のように、意気消沈とした様子だった。
(どうしてティアナは、あんなに焦っていたんだろう…)
何も答えが出せない自分が情けなかった。
その動揺を表に出し、ティアナを一方的に叩きのめしたなど、教官失格だ。なのははひたすら自分を追い込んでいた。
「――ここにいたか」
と、なのはの横に人影が現れた。
目線を上げ、声の主を探ると、そこにいたのは、あの銀髪と黒コート。
「セフィロスさん…」
恐らくフォワードの誰よりも強いであろう男の名を、なのはは呟いた。
「ティアナの考えが分からん…といった様子だな」
なのはは視線を再び落とし、そのまま押し黙った。何も答えない。当たっているのだから、答える必要もない。
「私は、奴らの自主練とやらを傍で見ていた」
「っ!」
きっとなのはがセフィロスを睨み付ける。
妖しく光る青い瞳を恐れず、ひたすらにその目を見据え続けた。
「…どうして、放っておいたんですか」
彼が止めていたら、今回のような無茶はしていなかったはずなのに。
教え子達をそそのかすような行動を取ったと言うセフィロスに、なのはは烈火のごとき怒りを向けた。
「…奴の焦りは、自分の環境に対してのものだ」
しかし、セフィロスの言葉は水だった。
なのはの憤怒を一挙に鎮火させる、とびきり冷たい冷水だ。
「…え?」
虚を突かれたなのはは、思わず間抜けな声で聞き返す。
「奴は、才に恵まれない自分を呪い、今のままでは足手まといだと焦っていた」
「そんなことは…」
「奴の周りを見回してみろ」
隊長達はエース揃い、エリオは10歳にしてBランクの秀才、キャロは召喚魔法というレアスキルを保有。
スバルも魔力量に明るく、一等陸佐の父親という大きな後ろ楯も…
「…あ…」
頭をがんと強く殴られた気分だった。
精鋭部隊すぎたのだ、機動六課は。全ての者が、あまりに優れた物を持っていた。
もちろん、ティアナの視野の広さや判断力は立派な力である。
だが果たしてこの状況下で、若い彼女が、そんな目に見えない不確かなものを誇れるだろうか。
「…私のせいだ…」
はやてと共に六課を立てようと決めたのは自分だ。
フェイトと相談して、エリオとキャロを招き入れたのも自分だ。
スバルとティアナを2人同時にスカウトしたのも自分だ。
そんな環境にあったティアナの心境にまるで気付かなかったのも自分だ。
「ティアナを追い詰めてたのは、私だったんだ…」
思わず、呟いていた。
そんなことも察せず、恐らく自分に認めてもらおうと焦っていたティアナに、自分は何てことをしてしまったのだろう。
鋭いクロスミラージュのバヨネットは、自分の未熟さ故に降りかかった刃だ。
因果応報の一撃を、あろうことか、自分は真っ向から粉々に打ち砕いてしまったのだ。
ティアナの心と、語り合おうともせずに。
「…ぅ…」
なのはの口から、微かな声が漏れる。
「…く…うぅぅ…ぁ…ああ…っ…」
声はやがて抑えた嗚咽に変わり、結局抑えきれず、そのまま一気に泣き出した。
「…うあ…ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ…ぅぅ…っ!」
隣にセフィロスが立っているのも気にせず、なのはは大粒の涙を流し続ける。
そしてセフィロスは、それを気にした様子もなく、黙って見続けた。
慰めも咎めもなく、今はただ傍観者として、彼はそこにあった。
セフィロスはいつだってそうだった。
19片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:17:00 ID:hNYRPtNG
「ごめんね、ティアナ…」
更に数時間後の医務室。
ティアナが昏睡状態から目を覚ましたと聞いたなのはは、彼女の元を訪ねた時、開口一番にそう言った。
無論、いきなり謝られたティアナは、驚いてろくに反応することもできない。
「セフィロスさんから聞いたよ。ずっと…つらい思いをさせちゃってたみたいだね」
「あ、いえ…そんな…」
「ごめん…私、何の力にもなってあげられなかった」
なのはが深々と頭を下げる。
自分には、才能とやらがあったのだそうだ。だから、フェイトやクロノ・ハラオウンと肩を並べて戦った頃から、
今に至るまで、なのはは、落ちこぼれの劣等感を知ることなく戦ってきた。
学校の体育などはてんで駄目だったが、それは特に気になるほどではなかった。
しかし、ティアナは違ったのだ。
ティアナの目指すものは、兄ティーダ・ランスターの力の証明。
必死になって周囲に食らいつき、追い越さねばならなかった。逆上がりができないという次元の話とはわけが違う。
これは自分の無知ゆえの罪だ。
「何も知らなかったから…つい、目の前で無茶をしてるのを見ただけで、過敏に反応しちゃったんだ」
なのはは語る。
かつてのPT事件と呼ばれる事件から、なのはは魔導師として空を駆け巡り続けた。
レイジングハートとの出会いの時は、わずか9歳。にもかかわらず、魔力はAAAクラス。
己の魔力が続くままに――肉体の負担にも気付かずに突っ走るのには、十分すぎる条件だった。
成長期の未成熟な身体での、制御が難しい集束魔法の連発。
当時は技術的に身体への負担も多かった、カートリッジシステムの行使。
徹底的に苛め抜かれた身体は、遂に破綻を迎える。
疲労の溜まっていたある時のある戦闘で、なのはは酷使した身体を思うように動かせず、撃墜されてしまったのだ。
致命傷も同然の傷はその身に深い後遺症を残し、空を飛ぶことは愚か、歩くことすら絶望的とされた。
今こうしていられることは、ほとんど奇跡にも近い状態だった。
「…だから、みんなが同じ目に遭わないように、丁重かつ着実に実力が付くような訓練を心がけてきた」
「………」
ティアナは何の返事を返すこともできなかった。
輝かしきエース・オブ・エースの、あまりに悲惨すぎる過去。
それは彼女にとって、全く想像もつかなかったことだった。ティアナもまた、無知だったのだ。
「…すみません…」
やっとのことでティアナが返した返事は、そんなありきたりなものだった。
「もっと、ちゃんと話し合うべきだったんだね、私達」
「はい…」
なのはとティアナは、お互いに自身の無知を認めた。
20片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:18:11 ID:hNYRPtNG
「…じゃあ、早速私から一言」
しばらくの沈黙の後、なのはが口を開く。
「ティアナは自分のこと、凡人で射撃と幻術しかできないって言うけど…それ、間違ってるからね」
「えっ…?」
「ティアナも他のみんなも、今はまだ、原石の状態」
でこぼこだらけの歪なもので、本当の価値も判然としないが、磨いていくうちに、その本質が――輝く部分が見えてくる、と。
「エリオはスピード、キャロは優しい支援魔法、スバルはクロスレンジの爆発力…
 3人を指揮するティアナは、射撃や幻術で仲間を守って、知恵と勇気でどんな状況でも切り抜ける」
それがなのはの理想だった。
各々が自分の得意とする役割を果たす、そんなチームを目指していた。そして、少しずつそれに近づいているという。
「ティアナの判断力と視野の広さだって、他のみんなと同じ、立派な才能なんだよ」
なのははティアナへ言った。
実際に10年戦い続けてみると、それがよく分かる。
ヴォルケンリッターの指揮官として生まれたシグナムや、若くして既にベテラン執務官のクロノなどは、
優れた指揮能力と状況把握能力を有し、部隊を率いて戦果を上げている。
しかし、それを自分がやろうとすると、目の前のことに手一杯で、とても指揮なんてできないのだ。
なのははティアナのことを、羨ましいとさえ思っていた。
「それに…模擬戦でさ、自分で受けてみて気付かなかった?」
ティアナは模擬戦での、なのはの最後の一撃を思い出した。
あれはなのはが得意とする砲撃魔法ではなく、むしろ自分の領分の射撃魔法・クロスファイアシュート。
「ティアナの射撃魔法って、ちゃんと使えば、あんなに避けにくくって当たると痛いんだよ?」
もっともあの時はとっさに手が出ただけで、そんな大したことは何も考えてなかったんだけど、となのはは付け足した。
「でも…ティアナの取った行動も、間違ってはいないんだよね」
そう言うと、なのはは左手を伸ばし、視線をベッドの上のクロスミラージュへと送る。
そこから察したティアナは、自身の愛銃をなのはへと手渡した。
「システムリミッター・テストモード・リリース」
『Yes.』
音声信号が認識され、クロスミラージュが返事をする。
なのははそれをティアナへと返し、モード2の起動指示を出すよう促した。
言われるがままに、ティアナが指示を出すと…
「あ…!」
クロスミラージュの様相が一変した。
グリップがスライドし、魔力刃が形成される。その色が象徴する日輪のような形状を有した、先ほどのそれよりも一回り大型のバヨネット。
クロスミラージュの、真のダガーモード。
「ティアナは執務官志望だもんね」
機動六課を出てからは、必然的に個人戦闘が多くなることを見越したなのはは、
オールレンジに対応できるよう、クロスミラージュの各種モードを設定していたのだ。
今は慣れたミドルレンジを確実なものにし、クロス・ロングはそれから追って教えていくつもりだった。
「だけど、私の教導地味だから…余り成果が出てないように感じて、辛かったんだよね…ごめんね」
「なのはさん…」
それだけで十分だった。それだけ自分のことを考えてくれていれば、十分幸せだった。
ティアナの目が、微かに潤み始めていた。
21片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:19:36 ID:hNYRPtNG
「…!?」
「これは…」
突然、医務室に非常事態を告げるアラームが鳴り響く。
『東部海上に、ガジェットドローンU型が出現しました! 現在確認されているのは、航空U型4機編隊が1隊、12機編隊が1隊。
 従来のものに比べて、機動性がかなり向上しています!』
緊迫した声が、放送に乗って届けられた。
海上となると、戦闘空域へのフォワードの移動はヘリでということになるだろう。
「…ティアナ」
なのはの柔らかな顔が、瞬時に厳しい戦士の顔へと切り替わる。
「今のティアナなら、安心して援護を任せられる。ヘリからクロスミラージュで、私達のサポートをしてほしいの」
場所が場所だけに、活動できる戦力は空戦魔導師に限定されるだろう。
そして、六課の空戦タイプは、スターズ・ライトニングの隊長格の計4人のみ。
増援を見越した場合、若干面倒なことになるだろう。1人でも戦力が欲しかった。
特に、誰よりも、ティアナが。
「…いけるよね?」
ふっと笑みを向け、なのはが確認を取った。
ティアナは涙を拭うと、クロスミラージュを手に取り、バリアジャケットを展開する。
もう迷うことはない。怖れも焦りもない。
今の自分なら、胸を張って戦える。
「…はいっ!」

戦闘はごく短時間で終了。現場にはなのは、フェイト、ヴィータ、ティアナの4人が出向き、ガジェットを全滅させた。
そしてセフィロスはと言うと、ロビーでちょうどなのはの座っていた席に腰掛けていた。
(相変わらず、我ながらおせっかいが過ぎる)
自嘲気味な思考が頭に浮かぶ。
ここに来てからの自分は、どうも調子が狂うのだ。
ヴィータを励ますような話をしたり、ティアナとスバルの自主練に顔を出したり、
なのはにティアナを弁護するようなことを言ったり…
ライフストリームへと落ちたあの日、ジェノバの使命に目覚めたセフィロスには、似つかわしくないことばかりだった。
(これではまるで…)
昔の自分ではないか。
ソルジャークラス1stだった頃…まだ人間だった頃を、セフィロスは思い出す。
「セフィロスさーん」
と、そこへはやてが歩み寄ってきた。そういえば、顔を合わせるのも割と久しぶりのことだ。
「さっきは、なのはちゃんとティアナの件、ありがとうございます」
「なのは達が勝手に自己解決しただけだ。私は何もしていない」
「またまたぁ〜♪」
はやては気持ちのいい笑顔を浮かべ、つんつんと人差し指でセフィロスの頬をつつく。
どうやら彼女は、六課で最も怖ろしいこの男を、今では全く怖れていないらしい。
(豪胆な奴だ)
自分を敷地内で見つけた時のことを思い出し、セフィロスはそう評した。
22片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:20:48 ID:hNYRPtNG
「…セフィロスさん、何か変わりましたね」
不意に、はやてが言う。
「変わった?」
「ええ。何ちゅーか…リラックスしとるような気がします」
(リラックス…)
その言葉に引っかかるものを感じたのか、セフィロスが口の中でそう反芻した。
「最初に会った時には、何かえらく疲れとるみたいでしたけど、今は大体そんな感じですよ」
屈託のない表情で、はやては笑った。
(…疲れていた? 私がか?)
一方のセフィロスは、そんな疑問を抱いていた。
しかし、それもあながち間違いでもないようだ。
人を捨て、ジェノバとして星の支配を目指す道を選んでから5年余り、セフィロスの心境は一変した。
自らの悲願のみをただひたすらに追い求め、他のことには見向きもしなかった。
セフィロスは、それを他のことへの執着がなくなったと思っていた。
(…だが…実際は、他を考える余裕がなくなっていただけということか)
ふっと、セフィロスが自嘲気味な笑みをこぼす。
考えてもみれば、今の彼には、星のことを考えることはあまりなくなっていた。
元の世界が見つかるまでは――何も出来ない現状では、その思考には特に意味がなかったから。
その代わり、他の色々なことを考えるようになったのだろう。
きっとそれが、他人のことに首を突っ込むようになった理由なのだ。
(私にここで休息を取れと…そういうことかい、母さん?)
セフィロスは自問する。そのために、自分は異世界に流れ着いたのかと。
よくよく考えてみれば、北の大空洞で過ごした5年という日々は、ひどく窮屈なものだった。
元々人間であったセフィロスには、どこかにその状況を不満に思う気持ちがあったのだろう。
(…ならば、私も…しばらく「俺」に戻ってみるのも、悪くはないか)

ミッドチルダの某所。
薄暗い室内には機械類が並び、金色の光がそれらを照らしている。
その中で、巨大なモニターを見つめる人影があった。
1人は、紫色の長髪と冷たい金の瞳を持ち、化学者然とした白衣を着込んでいる。
次元犯罪者ジェイル・スカリエッティ。
ガジェットを作り出した、ロストロギア・レリックに関する一連の事件の容疑者だった。
「手痛くやられたようだな」
そして、そこには人影がもう1人。
黒い髪をオールバックにし、飾り気のない服装に身を包んでいた。背中には巨大な剣。
瞳は青く、妖しげな光を放つ。奇しくもそれは、あのセフィロスとうり二つの瞳だった。
「ククク…あれはやられて当然、ただのデータ取りの玩具だよ。だが…」
そう言って、スカリエッティはもう1人の男の方へと振り返る。
「そろそろ、君にも出てもらう頃かもしれないね」
23片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/17(月) 20:22:02 ID:hNYRPtNG
セフィロスがいるだけで、あの模擬戦の流れがえらい違いに。
というわけで、投下終了。

今ここに、満を持して、このSSのコンセプトを発表します。その名も、「セフィロスの危険な休日」!
…スミマセン。もうちょいマシな名前にすべきでした。
ともあれここからは、ジェノバの使命から少しだけ距離を置き、CC時代の人間的な一面もやや出てくる予定です。
…ああ、次回はツンの回なのでご心配なく(ぇ

ちなみに、今回もう1人Zシリーズからのキャラが出ましたが…ザックスではありません。
正体は次回をお楽しみに。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 20:40:08 ID:wpdeNWtN
パニティリッパーktkr
ロード・オブ・エレメンタルだと識別できないMAPWも進化させればできるようになったりと改造する楽しみが多かったものですな
OGSでのあまりの射程の短さについ昔を懐かしんだものです(進化すると射程も上がった)
25リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 20:48:21 ID:1vjSw6T9
皆さんGJです。
片翼の天使の投下から一時間たってないんで
九時半ごろに自分も投下したいのですがおkですか?
26Strikers May Cry:2007/12/17(月) 20:59:37 ID:+mTDA42L
GJですな、おせっかいが過ぎるセフィロス兄さん萌えです。
27魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/17(月) 21:04:20 ID:0RidMHYj
>片翼
すごく……自然です…
セフィロスがあからさまな態度の変化ではなく、普段の冷めた感情のまま、ちょっぴり優しくなってるのがいいですね。
はやての「リラックスしてる」という発言には納得させられました。確かに原作ではある意味追い詰められてたわけだし。
何より、なのはとティアナの一連の流れが素晴らしい! 全く原作をなぞるわけでなく、セフィロスの介入で結末が変化してるのがいいなぁ。
っつか自分、師弟関係はスバルよりなのティア派なので個人的に満足w
クロスの醍醐味として、やっぱり敵サイドにも不確定要素があるっぽいですが、素直に次回に楽しみになってきました。

>スクリーム氏
投下予告確認。
28OSGS:2007/12/17(月) 21:20:47 ID:GtLYmrI/
>>魔装機神氏

GJ!
あったなぁ……改造で武装進化……そしてあまりにも懐かしい武装……
それともこっちですか?
『必殺! バニティリッパー虚空斬波!!』!
てか、サフィーーーーーネ姐さんっ!?
フェイトのトラウマをよみがえらさんでください〜〜〜!
そして次回も支援


>>反目のスバル氏

GJ!
セフィロスおせっかいGJ!
この『クロスキャラクターの介入によって変わってく』感じが大好物で目標です。
久しぶりに『超人』なのはでも、『魔王』なのはでもなく、『人間』なのはを見た気がします。
あと『慰めも咎めもなく、今はただ傍観者として、彼はそこにあった。 セフィロスはいつだってそうだった。』
この部分がいいっすね〜。セフィロスの六課での役割が現れてる文だと思います。
では次回にも支援ですw
29リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 21:30:34 ID:1vjSw6T9
時間になったんで投下いいですか?
30なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 21:30:49 ID:w4jPlYmS
ザ・復帰。終わクロクロスの第7章を書いたのす。
つー感じでリリカルストリーム氏が投下なされて更に1時間後辺り、10時半頃の投下を予約したい心づもり。
31なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 21:31:39 ID:w4jPlYmS
被って御免なさい、な支援
32なのはStrikerS-NEXT8話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 21:38:49 ID:1vjSw6T9
なのはStrikerS-NEXT8話「オルフェノクの王」

その頃スマートブレイン本社。
「さっさと酒持って来んかーーーーーー!ああ?何だその目は?お前まで私をバカにするのかウーノ!」

髪はボサボサになり、無精ひげを生やし、見る影もなくなったジェイル・スカリエッティがヒステリックに怒鳴る。
スマートブレインに捕縛されてからというもの自分を完全に見失ってしまった彼は荒れに荒れていた。

「バカにするなどと…私はただ…あまりお酒を飲みすぎてはお体に障るのでは、と…。」
「黙れ!いつから私に意見出来るほど偉くなったんだ!」

床に転がった一升瓶を足で退けると既にいまにも泣き出しそうな顔をしているウーノをさらにデカい声で怒鳴りつける。

ウーノが理不尽な言葉の暴力に晒されていたのと同じころ、演習スペース。
ウェンディ、ノーヴェ、オットー、ディード、セッテの五人が例によってサイガ=レオにボロボロにされていた。

「準備体操にもなりまセンネー。」

たどたどしい日本語でぼやくとけだるげに演習スペースを後にするサイガと御互い肩を庇いあいながら立ち上がる五人。

「………。」

その光景が映し出される二階のモニターを無言で心を痛めつつ見ている者が居た。トーレである。
もっとも心をドクターの掛け替えの無い戦力を痛めつけられるという意味で
妹が痛めつけられていると思って心を痛めているのではないのだが。
身体の調子が悪い。
ウェンディやセインと違って彼女はドクター以外(わりあい信用しているひかり達にすら)に体を弄らせようとしないのだ。
といってスカリエッティはあの状態でありまともな整備なぞ望むべくもない。ここ数日彼女のコンディションははっきり言って最悪だった。
いまも不意に眩暈が襲ってきたところだった。

「…早くドクターの元へ戻らなければ…」

手すりにしがみつきながらよろよろと歩くトーレ。
前方にスマートブレイン社の制服に身を包んみながら歩いてくる女子社員の一団が目に入った。
一見するといずれも若いそうだがいわゆる「やり手」っぽい雰囲気を漂わせた社員だ。
その一団は手すりにしがみついたままトーレの傍までくると言った。

「ほお…これはまた懐かしい顔だな…。」
「何っ?」

思いもかけぬ声に思わず顔を上げるトーレ。
絶句した。彼女に声をかけたその女子社員の顔が例えば恐ろしい化け物の顔をしていたとしても
ここまでショックは受けなかったろう。

「ノ、ノーナンバー…な…なぜ…お前が…いや、お前達が…。」

ノーナンバー…ナンバーズという完成形に行き着くまでに累々と生まれた不適格者達の総称である。
戦闘機人システムの一部としてみれば役立たずの彼女達は仮死状態にされてポッドに封印されていたはずだ。それが何故こんな所に…?

「信じられないって顔だな。まあ無理も無いか。」
33なのはStrikerS-NEXT8話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 21:47:16 ID:1vjSw6T9
言いながらノーナンバーズ達は値踏みするようにトーレをじろじろとねめつけた。

「どこもかしこもボロボロじゃんか。」
「オルフェノクの力に選ばれなかった奴の末路は悲惨なものですねえ。」

オットーに似た外見だが負けん気の強そうな顔をした一人(彼女だけ制服ではなくなぜか私服を着ている。)と
ノーヴェに似ているが幾分背が高く長髪(つまりはギンガ似)で性格悪そうな
顔をした一人がいかにも見下した口調で言った。

「オルフェノクの力…?ま、まさか…。」
「そのまさかさ。私達はオルフェノクの力に選ばれたのだよ。いや…我々が選ばれたというよりも
むしろ貴様等が選ばれなかったというべきかな…。」
「何っ…どういう事だ?」
「あの時スカリエッティの研究所に居た者のうちオルフェノクの力に選ばれなかったのは
あの時点で既に生命として形を為していなかった者を除けばお前達十一人とあのアル中ドクターだけということだ。
それ以外は我々のようにISの性能を出し切れずに破棄されたものもクローニングの時点で弾かれた者も全員が
オルフェノクに覚醒したのだよ。五十人近く居た我等“ノーナンバー”の全員がな」

「そ…そんな…バカな事が…」

尻餅を付いたままノーナンバーズを見上げるトーレ。
やつれきったその顔はもはやナンバーズのリーダー格として君臨していた彼女には見えなかった。
所変わってスマートブレイン本社のとある一角にあるオルフェノクに関する
研究で使用されたサンプルや標本などが保管されている
倉庫。スカリエッティの研究所に在った物とほぼ同じポッドが四つ並んでおり
銀髪の女性が3人と金髪の女性が一人、死んだように眠っている。この四人こそいずれも公式記録では
四年前に死んだ事になっているリスティ・槙原、より戦闘能力を高められた彼女のクローンとして
中国の某地下組織に作られたフィリス・矢沢、とセルフィ・アルパレットの2人、さらに彼女らとは別に偶然能力者として
生まれた人物…仁村知佳である。
何故彼女達がこんな姿でここに居るのだろうか?
スマートブレインはオルフェノクがもともと極端に短命な生き物である事に気がついており、その短命を
克服するために不可欠な「オルフェノクの王」とそれが宿る少年を早期に入手、
スマートブレイン本社の地下に築かれたオルフェノクの延命用システムのコアとして
組み込む事に成功したのだ。これがあればこのコアから発される特殊な波動によって
オルフェノクの細胞の崩壊を食い止める事が出来る訳である。
34なのはStrikerS-NEXT8話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 21:49:28 ID:1vjSw6T9
とは言うものの手探りの作業であちこちダメージを負った
「オルフェノクの王」の器たるとある少年の体は先がもう長くはなく、
打開策として王に代わるオルフェノク延命計画の要となる存在を模索したスマートブレインは
様々な実験に明け暮れた。この四人もその一環として未確認生命体事件が活発になっている時期に
捕獲したのである。しかし計画は悉く失敗した。やはりオルフェノクの王以外に
オルフェノクの未来を托せる存在など有り得ないのだ。かくして用済みとなった彼女達は
この殺風景な部屋に標本のような不憫な姿で永遠に閉じ込められる事になったのだ。
そしてこの光景を監視カメラごしに見ている者があった。
社長室。スマートブレインの社長、村上峡児その人である。

「四年間かけて調べたHGSの力も…あれほど苦心して再生させた“グロンギ”の力も我々にとって救世主とはならなかった。」

画面が変わり、今度はゴテゴテとした装飾が施された白と黒の二つのベルトが映し出される。HGSと同じ頃グロンギ…
即ち未確認生命体についてもスマートブレインは研究を開始していた。
彼らが変身するために使う人間の塩基配列を変化させる鉱石が
オルフェノクの延命に役立つのではないか?という考えに基づいての事であり、
未確認生命体「第46号」及び「第0号」のベルトとそれに含まれる鉱石の残骸を
もとにこの2体が装着していたベルトを複製したのだがこれも物にならず、結局失敗に終わった。

「しかし、我々には新しい王の器がある。」

村上は誰に言うでもなく、しかし自信ありげに言った。
先が長くないといってもそれは王そのものではなく王が宿っている少年の事だ。ならば器を新しい物に変えればいい。
そのための器はもう用意してある。「王」をその器に移し変える作業も既に半分近くまで進んでいる。
何も問題はないのだ。帝王のベルトをもって人間達を殲滅し、「王の後継者」を完成させれば自分の天下がやってくる。

「社長さん。ゆーじくん達がとーちゃくしましたよー。」
「解りました。通してください。」

そこまで考えたところで入ったスマートレディからの通信に余裕ありげに答えると彼はパソコンから目を離した。
その頃その「器」が安置されている格納庫がある区画では…。
「流石新型。マジ格好いいっすね先輩!」
警備のライオトルーパーが部隊長の装着している通常のライオトルーパーとは明らかに違うゴツゴツした青と銀に彩られた
強化型装甲服「カスタムトルーパー」を羨望の眼差し
35なのはStrikerS-NEXT8話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 21:53:40 ID:1vjSw6T9
で見つめていた。このカスタムトルーパーはかつて警視庁が開発していた
V-1やG3といった強化服をもとにライオトルーパーを再設計したもので
ライオトルーパーとは比較にならない数の武装を装備できる。

「しかしなんでこれがこんな警備任務のために支給されたんだろうな。」
「先輩はいろいろとイケてるから特例って奴じゃないですか?」
「ヘッヘッヘッ…それほどでもあるけどな。」

部下のお世辞に満更でもないといった態度の部隊長。
しかしその時!

「な、何だよこりゃあ!」

部下の一人が上ずった声をあげた。
なんと格納庫の分厚い特殊合金で出来た扉が四角く切り抜くように
ドロドロと赤く溶けているではないか。
あ然として見守る彼らの前であっさりと切り抜かれた扉が重い音ともに倒れ、
それと同時に扉の向こうから幾筋かの光の筋が伸び、ライオトルーパー達に襲い掛かった。

「うわあああああ!」

ライオトルーパー達は絶叫とともに青い炎を吹き上げ灰と化してその場に崩れ落ち…なかった。
あろうことか。青い炎を吹き上げた瞬間ライオトルーパー達はその炎ごとまるで鉱物を思わせる
物言わぬオブジェに姿を変えてしまったのだ。

「なっ…あああ……。」

一瞬にして変わり果てた姿となった部下達におののく一人生き残ったカスタムトルーパー。
カツ…カツ…
扉の向こうから足音とともにその光の筋を放った主が現われた。

「お…お前は!」

かつてなのはが装着していたバリアジャケットにも似た漆黒の衣装に特徴的な髪型の年のころ
十七歳ほどの少女がそこに居た。
光の筋は彼女の左手の指から伸びたものらしい。

「あなた…オルフェノクだよね…?」
「ぬうっ!」

カスタムトルーパーの背中のウェポンラッチに装備されたこれもカスタムトルーパーと
同時期に開発された光子ライフル「スマートライフル」がガチリという音とともに外れ、腕に収まる。
その銃口にはかつてG3が装備していたものとほぼ同じグレネイドランチャー
「GG02」が装着されている。
36なのはStrikerS-NEXT8話 ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 21:56:21 ID:1vjSw6T9
「くたばれえ!」

GG02が火を噴き、轟音が辺りに木霊すると同時にスプリンクラーが作動し
警報が鳴り響いて辺りは時ならぬ騒ぎとなった。

「はあ…はあ…。」

カスタムトルーパーは肩で息をしていた。社内で重火器を使ったのだ。始末書では済まなかろう。
降格か…それともクビか。しかしこうしなければ今頃は自分が部下と同じ目にあっていただろう。
やらなきゃやられていたのだ。カスタムトルーパーが大きく息を吐いてスマートライフルの銃口を下げたその時。

「あなたがオルフェノクなら…あなたは…」

煙の向こうから何一つ傷らしい傷の無い姿で先ほどの少女が現われた。

「ヴィヴィオの食べ物。」

カスタムトルーパーに逃げる暇も与えずその少女…ヴィヴィオの手から光の筋が延び、彼もまた
部下と同じもの言わぬ彫刻と化した。
満足げに辺りを見回すヴィヴィオの顔に紋章が浮かび、トゲトゲしいデザインの…
オルフェノクの王「アークオルフェノク」を想起させるデザインの怪人の姿
(鋭角的なデザインからみて恐らくショウリョウバッタの特性を持っていると思われるが)…村上が言っていた
「王の後継者」“ノアオルフェノク”の姿へと変わった。
バキリという音をたててカスタムトルーパーの右腕だった部分を千切り、貪る。
数分後。

「まだ足りない…。」

五人のトルーパーを食い尽くしたノアオルフェノクは呟くとヴィヴィオの姿に戻ると
サイレンが鳴り響く廊下をスプリンクラーから絶え間なく吐き出される水を全く意に介さず進撃を開始した。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 22:01:19 ID:5YxL22S1
支援
38リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 22:03:15 ID:1vjSw6T9
ここまでで。
微妙だな…。
リリカルスクリームもそろそろ再開せねばならんというのに
自分という奴は…。
以前から言っていた新型ライオトルーパー登場です。
名前は当たり障りの無い物にしましたけど。
今回の話でオルフェノクの短命に関する辺りの矛盾を自分的に解決してみました。
ノーナンバーズというネーミングはリリカルガオガイガーの劇中から拝借して
しまいましたけど不味かったですかねえ?
村上の説明に出てきた2本のグロンギのベルトはあとあと結構重要なアイテムになります。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 22:17:19 ID:VytO0L8Y
GJ。ヴィヴィオが怖いです。後トーレさん不憫だな。
40なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 22:17:36 ID:w4jPlYmS
GJ! でも、でも……スカリエッティがダメ男に!
更にヴィヴィオがオルフェノクの王に……略して“ヴィヴィ王”にっ!!
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 22:23:08 ID:X5069lKV
GJ
ヴィヴィ王のこれからに期待です。
こえぇ
42名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/17(月) 22:24:29 ID:CLR+WCQQ
>>リリカルスクリーム氏

GJ!!
ヴィヴィオがオルフェ王の後継者?!な展開にびっくり。

落ちこぼれのノーナンバーズがオルフェに覚醒し、逆に完成形たるナンバーズが
今は、最底辺の扱いを受けるという現実…。何という下克上。

ここでも社長さん、首だけですか?
43なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:04:33 ID:w4jPlYmS
落ち着いて考えてみれば、一時間後は11時過ぎだったと事実に気付かぬ我が愚かさよ。
終わクロクロスの第7章、投下を希望するのですがよろしいでしょうや?
44リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/17(月) 23:07:10 ID:1vjSw6T9
>>43
一時間後が十一時になってしまったのは自分の投下ペースがノロかったからですよ。
つまりは俺のせいです。
投下どうぞ。
45なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:12:58 ID:w4jPlYmS
第7章『初めての再会』

はじめまして
また逢いましたね

     ●

 夕日に照る尊秋多学院の普通校舎がその影を長くし、その中でブレンヒルトは黒猫を見下ろした。
「で、学食に行こうとした私を何で引き止めたの? 理由を言いなさい三秒以内で」
「何でいきなり尋問形式なのさ。……ちなみに言えなかったら?」
「自分の胸と経験に訊きなさい。――あと二秒」
「……もし引き止めるに値しなかったら?」
「そう聞くって事は値しないのね? ――処刑決定」
 一歩進み出たブレンヒルトに黒猫が飛び退き、
「お、王城派の事について! 全員で大城・一夫を襲撃したけど負けたの!」
 身を伏せつつの報告にブレンヒルトは歩みを止めた。
「全員出たのに? 管理局からは誰が?」
 その疑問に黒猫は、解ってるでしょ、とこちらを見上げる。
「ギル・グレアム。……闇の書と一緒に現れたよ、あの人は」
「――そう」
 ブレンヒルトは沈黙し、黒猫は俯いた彼女に報告を続けた。
「でも彼等はゲストだった。主力はまた別」
 そこで一度区切り、
「この学校の生徒会四人組、彼等が全竜交渉部隊みたい。……どうする?」
「どうする、って……有事でも敵なら戦うだけよ」
「出来る? いくらブレンヒルトでもあの子達に恨みは無いでしょ」
 答えるのにブレンヒルトは一拍を要して、
「……敵として現れるなら、仕方ないでしょう」
 黒猫は応じない。ただ目を細めた心配そうな表情でブレンヒルトを見るだけだ。
「でも全竜交渉部隊ってまだ編成中でしょう? グレアムと違ってまだ敵になるとは決まってないわ」
「――そう。なら良かった」
 その言葉に喜色を感じ、気遣われた、とブレンヒルトは思う。気恥ずかしさを誤摩化す為にも話題を戻す。
「王城派は和平派に戻されるでしょうね。私達と交渉するには仲介役の増強が必要だもの」
「…こんな戦いで満足するなら最初から戦わなきゃ良いのに」
「それが誇りだもの。敵わないとしても現状出来る限りの戦いを挑み、自分達の主義を貫く事を望んだのよ」
 ブレンヒルトは自嘲した様に笑う。
「だから彼等を嗤う事は出来ないわ。滅びによって私達が失ったものを、少なからず取り戻したのだから」
 そう言って、ブレンヒルトは一つの音を聞いた。言葉を成さない響きだけのそれは、
「鳴き声?」
「あ、あそこ」
 影の外に立つ並木へ黒猫が走った。ブレンヒルトもそれを追い、根元で踞ったそれを見る。
「――小鳥」
 羽の揃った、しかしまだ幼い野鳥。それが飛翔に至らぬ羽ばたきを繰り返していた。
「どどどどうしよう!? 可哀想だよえらい現場見てるよこのままだと大変だよ食べていい!?」
「最後のが本音?」
 錯乱する黒猫を蹴ってブレンヒルトは溜め息。
「関わっちゃ駄目よ? 自然の摂理に反するんだから。……上を見なさい」
 ブレンヒルトが指差した先を黒猫が目で追う。並木の枝にあるのは器型の固まり、鳥の巣だ。
「鳴き声がしないでしょう? 他の子も親鳥も飛び立ったのね。――きっとこの子は飛べなかったのよ。その事を忘れたのか、力が足りなかったのかは解らないけど」
46なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:14:31 ID:w4jPlYmS
「随分詳しいね」
「覚えてないみたいだけど、あの時助けたのはアンタだけじゃなかったのよ」
 ブレンヒルトは思い出す。まだ1stーGがあった頃の事を。
「昔、暴走した機竜が森に突っ込んだ事があってね。その後機竜はとある男によって倒され…そして傷ついた動物達が保護された。その内の一匹がアンタで、当時の私が世話したのが小鳥だったのよ」
「その男って……」
 黒猫は続きを言いかけ、しかしそれを飲み込む。
「じゃあ、また助けたら?」
「駄目よ」
「何で? 前は助けてくれたんでしょ?」
 その問いかけにブレンヒルトは激昂しかけた。
……そうよ! そして1stーG崩壊であの小鳥は……!!
 それを胸の内だけに止め、うるさいわね、と呟く。
「来なさい、食堂に行く途中だったんだから。アンタの餌も貰ってこないと」
 ブレンヒルトは踵を返そうとして、
「いいよ、餌ならここにある」
 届いた声に身が止めた。
「どういうつもり?」
「自然の摂理ってこういう事でしょ? お腹空かした猫が動けない小鳥を前にしたら、食べるのは当たり前じゃん」
 黒猫は小鳥へと前足を伸ばし、だが戻ってきたブレンヒルトに飛び退いた。
「……もし私がいなくなったらどうするの」
「本能に従って食べちゃうね」
「つまり私がこの子を見守らない限り、アンタはそうする機会があるって事ね」
 ブレンヒルトが見下ろす先で小鳥はこちらを見ている。
……また助けて、また喪うの……?
 どうだろう。今回はあの時の様な危機があるわけではない。しかし死とはそれ以外にも有り得るものだ。
……この子を喪わさせない事が私に出来るの……?
 無理だろうか、と思い、そこでブレンヒルトは聞いた。小鳥の鳴く声を。
「…………」
 その声にブレンヒルトは息を吐き、そして黒猫に視線を向ける。
「あのね……いい?」
「うん、いいよ」
「何も言わない内に肯定しないの!」
 肩を落として、
「……ものすごく責任がかかるのよ? 軽い事じゃないんだから」
「じゃあブレンヒルトはその責任を果たせない人なの?」
 黒猫の返しに、問いに問いで答えないの、とブレンヒルトは注意する。そしてしゃがみ込んで手を伸ばし、すくい上げる手付きで小鳥を掌に乗せた。その動作に対して呟く事は一つ。
「……やっちゃった」
「あーあ自然の摂理を破っちゃった! いっけないなぁブレンヒルトちゃん?」
 はしゃぎ回る黒猫をどうしてやろうかと思うが、あいにく両手はふさがっている。
「ひゃっほぅ人生で初めて勝利した気がするぅわぁっ!?」
 全力で踏みつけようとしたが躱された。舌打ちしつつブレンヒルトは歩き出し、黒猫がそれを追い掛ける。
「どこ行くの?」
「食堂。この子用の餌とか段ボールとか、多分貰えるでしょう」
 そう告げた所でブレンヒルトは眉を下げる。困った様な口調で小鳥を見つつ、
「でも本当にいけない事なのよ? 放っておくのが自然の摂理なのに」
「だから自然の獣がそれを遂行しようと」
「よく考えたらアンタは自然の動物じゃないでしょうがっ!」
47なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:16:31 ID:w4jPlYmS
     ●

 佐山は休憩所の席から広場を眺めていた。そこに崩落の跡やそれによる被害は一切存在していない。
……全ては概念空間の中で起きた事、か……
 代わりにあるのは無数の制服と輸送車だ。屋台や植木屋、警備会社や野外ライブのトレーラーが点在する。
「ははは、見てくれんか御言君。美味そうじゃろ」
 片手に焼き鳥を持った大城が近寄ってきた。
「ご満悦だな御老体。……管理局が夜店にも通じているとは驚きだ」
 佐山は、戦闘後の概念空間に車両群が現れた時の事を思い出す。その乗員が広場の補修や自分達への治療を行った事も。
「一般職に偽装した管理局の出張部隊か」
「後始末とか被害の縮小とか、まあそんな所だなぁ。一応わしら、秘密組織だし」
「しかし護送車両をデコトラにするのはどうか。……騎士達が死に物狂いで抵抗していたぞ」
 考え方の古そうな者達だったからな、と言って佐山は口を閉ざした。
……あの戦いは無かった事に、か……
 本気の行き交ったあの戦いが隠される。日常の維持に必要な事だと知りつつも、あの場で唯一本気になれなかった自分として思う所がある。だがそれは胸の内だけにして、
「彼等が1stーGの過激派か?」
「の一つ、王城派じゃな。彼等は明日、暫定交渉を予定しとる和平派に合流してもらう」
「その和平派だが……そこでも今回の様にフィーバータイムかね?」
「大丈夫、和平派は話し合いを望んでおるよ」
 そこまで言って大城は佐山の隣に腰を下ろした。
「わし等も、なるべく争わない、というのが方針でなぁ。目的はあくまで概念解放、拒む者も多いだろうが……かつて他Gを滅ぼした我々は、二度も戦争を起こしたくないんだなぁ」
 乾いた笑みの大城を佐山は一瞥、大人は思いを多く持つものだな、と思い、
「つまり、遺恨を収めつつ概念解放を確約して世界が滅ぶのを防げ、と? 随分と都合の良い話を押し付けるな」
「全竜交渉とはその為のものでな」
 そこで大城は腕を上げて拳を作る。
「全竜交渉には佐山・薫、君のお爺さんから五つの条件が立てられておる」
 人差し指を立て、
「一つ、佐山・御言の探索に対して各G代表は自G以外の情報を伝えぬ事。またG崩壊に関する情報は原則的に佐山・御言自らが調査・判断するものであり、他者が指導する事を禁ずる」
 中指も立て、
「二つ、管理局関係者は全竜交渉の前提と各G代表の紹介以外、全Gの情報指導・公開を禁ずる」
 薬指も立て、
「三つ、協力者の補充は不問とするが強制は不可とする」
 小指も立て、
「四つ、管理局は佐山・御言が自ら行動する際に全力を持って支援する」
 最後に親指も立て、
「五つ、6thーGと10thーGの交渉は既に終了しているので、他Gとの交渉を火急速やかに行う事」
 そこまで言って大城は腕を下ろした。
「どうだろうなぁ?」
 窺う大城に対して佐山は鷹揚に頷く。
「正直に言うと弊害があるので遠回しに言うが、――やはり奴の脳は猿並みか」
 その言葉に、きびしいなぁ、と大城は苦笑、佐山は発言を止めない。
「交渉しろと言いつつ教えるのは前提と紹介だけ、後は手探りで進めろ、と? 間違いが起きたらどうするつもりだ猿爺め」
「まぁ落ち着け。……多分佐山翁は、御言君に過去を知識ではなく経験として得て欲しいと思ったんじゃないかなぁ。貘も佐山翁のアイデアでな?」
 佐山は頭上の重みを確認、見えはしないがそこに貘が乗っている事を意識する。
「と言われても私は未だこの状況が半信半疑なのだが」
「今すぐ結論を出す事もないでな。取り合えず事前交渉までは付き合ってもらえんかなぁ?」
 大城の対応を聞いた所で、佐山は自分の中に熱意がある事を自覚した。
……文句を重ねながらもやる気になっているのか……
 まだ関わるかどうかを決める序の口だ、と自分に言い聞かせて思考を落ち着かせる。
「――確かに昨日の今日だしな。……ならばとっとと1stーGの情報を吐きたまえ」
 佐山の答えに大城は肩を落とし、
「それについてはわしよりも適任者がおるでな、そっちから聞いてくれ」
 同時に背後で足音が生じる。振り向いた佐山が見るのは銀髪の男女だ。
48なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:18:10 ID:w4jPlYmS
「リインフォース君とギル・グレアム、……君達が私に説明を?」
 そうだ、と肯定してグレアムは佐山と向き合う席に座り、リインフォースもそれに倣う。
「聞いているかな? 1stーGの概念核は二分されている、と」
「何やらデバイスと、後は機竜なるトンデモ兵器に収められているとは聞いたな」
 それにリインフォースが頷き、
「一つは管理局西支部に収められた氷結の杖デュランダル、もう一つは所在不明の過激派、市街派の持つ機竜ファブニール改の中だ」
 覚えのある単語に佐山は首を傾げた。
「ファブニールとは……確か欧州の叙情詩に登場する竜だったな?」
「そう“ニーベルンゲンの指輪”だ。正しく言えば……その原盤となる北欧伝説、ヴォルスンガ・サガだね」
 補足したグレアムが一冊の本を机上に置いた。見覚えのあるそれは、
「これは…騎士の長銃から落ちた本か」
「その通り、そして――」
 更にグレアムは懐からカードを出して本に乗せる。すると佐山の意識に、読めない字で記された題名の意味が流れ込んできた。これも概念か、と思うがそれよりも重要なのは題名の方だ。
……ヴォータン王国滅亡調査書……?
 それはファブニールと同じく北欧伝説に登場する名だ。
「何故、異世界である1stーGがこの世界の叙情詩と同じ名を持つ?」
「どうしてそれをこの世界のものだと思う?」
 リインフォースの問いは微かに笑みを含んだもの。言葉を失う佐山にグレアムは、
「護国課設立の折、各地から有能な研究者やテストパイロット達が集められた。英国からも術式使いがやって来て、皆で地脈改造に乗り出した。だが改造施設が起動して以降、日本各地で異変が生じた」
「どのような?」
「世界各地で伝説上とされていた化物や世界が、地脈で繋がった地方に現れたのだよ。地脈改造は他Gとの接点を広げ、概念空間が日本の十カ所を中心に次々と展開、時に我々とも戦った」
 そうして解った事は、と言う所でグレアムは一息。
「改造施設を置いた十カ所、そこに現れる他Gの文明は地脈で対応する国の伝説や神話、文明に相似するという事だった」
「では……」
「そうだ。LowーGは発生して以来、各Gと交差して接点を得ていた。交差の折に他Gの負荷が捨てられる吹き溜まりとしての接点を」
 返されたリインフォースの言葉に佐山は思考する。
……各Gの負荷が廃棄され、故にその文化の特性も得たという事か……
 ならばLowーGから見た他Gはそれこそ神話の世界と言える。今まで以上に荒唐無稽になったな、と佐山は思い、そこで新たな足音を聞いた。
「あ、いた! リインフォースさーん!」
 駆け寄ってくるのは白服の高町だ。何事か、と皆が彼女に視線を向け、
「はやてちゃんが倒れちゃったの! “史上初の12色ドレッシングやー”とか言ってホットドックに沢山ソースをかけて!」
「……何をやっているのだ? うちの生徒会長は」
 顔色が信号機みたいにー、という叫びに佐山は溜め息をつく。
「高町、今は全竜交渉についての説明を受けている最中で――」
「な、何だと!?」
 佐山が言い終えようとした瞬間、リインフォースが突然立ち上がった。
「主はやて、今貴女を救いにーッ!!」
 突然の奇行に佐山が呆然、そうする間にリインフォースは走り去った。その方向を見つつ佐山は首を傾げ、
「……主はやて?」
 佐山の呟きに、説明していなかったな、とグレアムが応じる。
「彼女はデバイスだよ」
「デバイスとは器具の類ではないのか?」
「殆どはそうだがね、彼女はユニゾンデバイスという特別な機種で――元々は1stーG概念核の制御器として造られた者だよ」
「それが八神を主としているとすれば……」
 最早1stーGではなくLowーGを主としているという事だ。
……“大罪人と裏切り者”とはそう言う意味か……
 先の戦いでそう叫んだ騎士を佐山は思い返して、
「――何を見ている? 高町」
49なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:20:03 ID:w4jPlYmS
 こちらを凝視する高町に声をかけた。だが高町は佐山を見ず、周囲の老人達へと視線を向ける。
「…グレアムさん、大城全部長、ちょっと席をあけてもらえますか?」
「あっれぇ? 高町君、御言君と二人っきりになりたのがぶっ」
 囃し立てる大城を手刀で沈め、グレアムが高町を見据えた。
「伝える事が?」
「――はい」
 短い応答にグレアムは頷いて起立、大城を引きずって休憩所を去る。そうして残ったのは佐山と高町だけだ。
「それで、崇高なる私とタイマンで話したい事とは何かな? 下らない事なら即刑罰だね?」
「……うん、あのね」
「下らん。刑罰執行」
「まだ何も言ってないよ!?」
 と叫んだ所で高町は嘆息、僅かな静止を経て佐山を見つめる。
「佐山君、全竜交渉に関わっていくの?」
「君もそれを訊くのかね? ……まだ未定で、それを考えている最中なのだが」
「もし関わるなら、それに足る理由を得ていた方が良いよ?」
 佐山が見る先で高町は数分違わずこちらを見返す。
「昨日ね、佐山君達がいた森に私もいたんだよ。そして最後の狙撃を決めたのは、私」
「…何?」
 高町の告白に佐山は疑問を呟く。
……高町が、他者を自害に追いやった?
 彼女が敵を定め、加えて自害に追い詰めた、その事に佐山は驚く。自分が知る限りの高町ができる事ではない、と。
「高町…」
「私は成り行きと付き合いで管理局の一員をやってるけど、そこまで深入りしてる。――考え直すなら今の内だって事を覚えておいてね?」
 高町は佐山の追求を遮る。張り詰めた表情が佐山を見据え、
「この世界では、死んでなければどうにかなる。……だから、死んじゃったらどうにもならないんだよ」

     ●

 夕日が赤く彩る皇居東側、濠を渡る橋の欄干に佐山は新庄と腰掛けていた。高町やグレアム達は既に帰り、管理局の偽装車両群も撤収を始めている。
……御老体はまだか……
 佐山が帰らなかったのは撤収前の大城を待ち、明日の事前交渉に関する話を聞く為だ。だが、
……新庄君が帰らなかったのは何故だろう?
 隣に腰掛ける新庄は何をする風も無く、ただ全身を夕日に浴びている。
「…もし新庄君も待たせているのだとしたら、あの老人には極刑が必要だね」
「な、何? 突然の危険発言は駄目だよっ」
 こちらを見る新庄の表情は驚き、だが僅かな間でそれは消沈へと変化した。
「――あの、御免ね? 今日も昨日と同じ事をしちゃったよね」
 自分の指示通り騎士を撃てなかった事を言っているのか、と佐山は思う。だとすれば、
「後にフォローもしてくれている、謝る事はない。君は高町とは違う、前に出る事だけが能ではないさ」
「そこで高町さんを引き合いに出す意味は何……? ていうか、僕フォローなんかした?」
「昨日は膝を貸してくれたし、今日はこうして私と話してくれている」
 それを聞く新庄は深く溜め息。
「何だか、向いてないのかな? ボク」
「そんな事はない」
 と、それが昨日と同じ台詞だと佐山は気付く。
……どうやら私は、時折この人の言う事を否定したくなるらしい……
 その理由を佐山は悟りつつ、しかし追求はしない。
「……あのさ、どうして佐山君は今日ここに来たの?」
「どういう意味かね? あれだけの情報を与えて、来て欲しかったのでは?」
「だって、佐山君はまだ全竜交渉の権利を得てないでしょ? 昨日の事もあるし…ここで退けば危険な目には遭わないんだよ?」
 小さく首が傾げられ、
「――どうして?」
50なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:22:03 ID:w4jPlYmS
 問いに対して、高町も似た様な事を言っていたな、と佐山は思う。
……自分がここにいる理由、か……
 どうしてなのか、というその理由は解っている。だがそれが伝わるか、それが解らない。
「――――」
 何故か、と佐山は思う。生徒会選挙では大勢を前に演説し、勝利した自分がどうしてこの人の前ではそれが出来ないのか、と。そんな中、こちらの答えを待つ新庄に変化が生じた。
「……あ」
 欄干に乗る新庄の手に佐山の手が重なっていた。自覚せぬ動き、だがそれを拒まれていない事に佐山は頷く。
「私の掌はどうなっている?」
「…熱いよ。鼓動もある」
 重ねられた佐山の手をもう一つの新庄の手が包む。表裏にその柔らかさを感じつつ佐山は告げる。
「先の戦いで得た残滓だよ。……そして」
……昨日の君に感じた熱と鼓動は、こんなものではなかった……
 高鳴りと強い熱を持ち、しかしもっと落ち着いていて深いものだった。その違いを思い、
「私はこれ以上のものを得たいと思っている」
「さっきあれだけ暴れてまだ足りないの?」
「足りないね。そして思うのだよ……私は本気になっていいのか、と」
「……どうしてそれを迷うの?」
 向けられた表情から我知らずと視線をそらして佐山は答える。
「佐山の姓は悪役を任ずる。私はそれを行う様に育てられ、そして自らが定めた悪や敵に対してそれ以上の悪で叩き潰す事を望んでいる。…だが」
 思うのだよ、と佐山は呟いた。
「私の悪は本当に必要なのか、と。――本気になる事は出来る、だが今の私は自分の選択に恐れを感じている」
「自信が無いの?」
 答えない佐山に新庄は続けてる。
「確かに佐山君は結構いけると思う。でも大城さん達は誘ってるよ、死ぬかもしれないがやってみろ、って。そして佐山君は自分の本気が恐ろしいんだよね?」
 だったら、と繋いで、
「全竜交渉に関わるのは……止めた方が良いんじゃないかな」
 こちらの手を包む新庄の両手が強ばる。
「正直な話さ、見ててちょっと怖いんだよ佐山君って。初めて会った時も前に出て戦って、今日だって……」
「戦い、負ければ死んで、勝てば自分を恐れてしかも敵に恨まれる、か。だが案外それは望まれているのかもしれない」
 え? と目を丸くする新庄に佐山は答えた。
「私一人が恨みを背負い、そして死ねばその分世界は軽くなる。時空管理局は無傷でね」
「だ、駄目だよそんなの! ……佐山君が風になったら、ボクは嫌だよっ!」
 その叫びに身を響かせて佐山は思う。君は有り難い人だ、と。いつの間にか消えた胸の痛みに心地よさを感じ、
「まあ、死ぬぞというなら私も君に言いたいよ新庄君。必要な時に攻撃が出来ず、隙も作ってしまうような君にね」
 切り返されて新庄は小さく唸り、やがて嘆息をついた。
「…そうかもしれないね。少し思ってるよ。両親を探す為に戦闘に関わって、でも全然役に立ってないって」
 自責に表情を曇らせる新庄は佐山を見つめる。
「佐山君は勝つ事を狙って戦っているの?」
「ああ、そういう風に叩き込まれている。…戦うのなら損失分の代償を勝ち取れ、悪役として己が敵や悪だと定めたものを排除しろ、と」
「ボクもそれ位言えたらな。…ボクには佐山君みたいな、どういう風に戦おうかっていう姿勢が無いから」
「それを言ったら、私には君の両親探しの様な……自分の判断を支える自信の元がない」
51なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:23:21 ID:w4jPlYmS
「――逆だね、ボク達」
 佐山の言葉に聞いた新庄が苦笑を零した。
「本当にボクとは逆だね。ボクなんかはどうすれば必死にならずに済むのか、っていつも考えるのに。もっと力が、余裕が欲しいって」
「確かに私達は正逆だね、新庄君。――その事を覚えておこう」
 え? と窺う様に新庄がこちらを見て、応じるように佐山は彼女に包まれた手に力を込めた。
「君の私に対する意見は、私では望んでも手に入らないもう一つの答えだろう」
「……どういう事?」
「深く考える事は無い。絶対的な逆があっても意に介さねば無いも同然だ。だが、私達が自然体のままでお互いの逆を望んでいると、その事実を覚えておきたい。どうかね?」
「どう、って……どう扱ったものかなぁ……」
 新庄は困った様に笑み、そこで佐山から視線を外す。追った先にこちらへと手を振る人影があった。
「大城さんが呼んでるよ」
 新庄は欄干から降り、佐山も同様に降り立つ。そうして再度向き直った新庄は俯いて何かを思案する様な様子。
「……新庄君?」
「あのさ、これから寮に戻っても……驚かないでね」
「何か贈り物でも?」
 佐山の問いを新庄は肯定する。
「今決めたんだ。……色々と悩むだろうけど、そうしなきゃ駄目だって」
「何が贈られるのかは解らないが、有り難く受け取る事にするよ」
 その答えに新庄は面を上げて笑みを見せた。それを彩るのは夕日と暗がりの空、時は夜に近付いている。

     ●

 尊秋多学院の一角に建つ食堂棟、その地下階にブレンヒルトはいた。春休みでは利用者も少なく、故に彼女が段ボールに入れた小鳥を持ち込んでも、
「ぶぇっ不味っ! ねーブレンヒルト、鳥は何が良くてこんなの食べてんの?」
 黒猫が人語を話していても、
「食えもしないつまみ食いしてんじゃないわよ」
 それが悲鳴をあげても誰一人として気がつかない。痙攣する黒猫をブレンヒルトは無視、眼前の段ボールを見た。布巾が敷かれた内部には水とトウモロコシの粉末を乗せた小皿があり、中央に小鳥が踞っている。
「ほら見なさい、アンタが手を出すから怯えて動かなくなったじゃない」
 当の黒猫はそれを無視して大の字、その無反応を見たブレンヒルトは卓上の割り箸を取って、
「最近バーベキューってやってないのよね。ほら、獣の肉を刺し貫く奴」
「わー元気元気、とっても元気ーっ! 何言われてもすぐに答えられるよーっ!!」
「一般人のいる所で喋ってんじゃないわよ」
 急速で立ち直った黒猫に割り箸を叩きつけた。仰向けに倒れる黒猫は一声。
「どうかこの魔女に天罰が下ります様に……っ!!」
「そう言う事は当人のいない所で祈りなさい」
 ブレンヒルトは告げるが黒猫は再度それを無視した。同じ目に遭いたいのかしら、と思った所で黒猫が何かを見ている事に気付いた。何を、と視線を上げれば、
「………!?」
 英国風の老人が段ボールの小鳥を覗き込んでいた。その人物をブレンヒルトは知っている。
「――ギル・グレアム」
「君は……ブレンヒルト・シルト君だったか」
 こちらを見た老人に名を呼ばれて小さく息を飲む。僅かに身が震えるのを自覚しつつ、
「何故、私の名を?」
「司書をしていれば図書カードを見る事も多い。それに君は図書委員に礼を言っても、私には言わないからね」
「責めるんですか?」
「これは君の名を覚えた理由だ、謝りを強要するつもりはないよ」
 そう言って向けられた笑み、それに対してブレンヒルトは胸を軋ませる。
「……失礼します」
52なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:24:24 ID:w4jPlYmS
 ブレンヒルトは段ボールを抱えて起立、黒猫と共にグレアムの横を抜けて階段を目指し、
「図書室は開けてある。生物関係の書架に飼い方の本があるから行くといい」
 グレアムの声が届いた。それを背に受けたブレンヒルトは立ち止まるが振り向かない。
「命令ですか?」
「その小鳥の為だよ。……猫のいる環境で鳥を飼うのは感心しないがね」
「ご心配なく、この猫は私に忠実ですので」
 言うと黒猫が足首を叩いてきたので蹴り返し、再起するのも待たずにブレンヒルトは歩き出した。急ぎ足で食堂を離れて階段を上り、やがて地上階に至る。そのまま玄関に差し掛かった所で、
「ちょ、ちょっと待ってよブレンヒルト!」
 黒猫が追い付いた。小柄な体を酷使したのか呼吸は荒い。
「……意識し過ぎ」
「解ってるわよ」
 黒猫が見上げるのを感じつつブレンヒルトは空を見上げた。夜更けの天を月光が仄かに照らしている。
「……明るい夜ね」
 その情景にブレンヒルトが呟いた。
「私達の世界に月なんてものは無かったわ。余計なものの多いGよね」
「ブレンヒルトが何か喋り出した。センチメンタル入ってる?」
 うっさい、と黒猫に言を飛ばしてブレンヒルトは思う。地下階で出会った男の事を。
「…ギル・グレアム。60年前、LowーGからやって来た術式使い。デュランダルを奪い、1stーGの天地を滅ぼした男。そして私にとって家族の様だった人達を殺して逃げた敵」
 ブレンヒルトの独白が夜空に散る。
「――私達にとっての、最大の仇」
 見るとも無しに視線を泳がせた先、ブレンヒルトは未だ灯りの灯る学生寮を見た。

     ●

 佐山は自分の寮室を前にして立ち尽くしていた。自分しかいない一人部屋、そこにもう一人の姿を見た為だ。
……いや、新たな寮生についてはここに来る途中で聞いた……
 寮母からその人物が同居人になる、という事は先ほど知らされた。だが目前に立つ黒い長髪の人物は、
「――新庄君?」
 佐山の声に相手は、あ、と声をあげて振り向く。服装は男物だが、その声や顔は新庄のものだ。
……まさか、それだけで誤摩化せたのか……?
 ここは男子寮、女性の新庄が入れる筈は無い。だが現に彼女はここにいるし、手続きも済んでいるらしい。自分に全竜交渉を受けさせようとする管理局の差し金か、とも推測する。
……どうするべきだ……!?
 凄まじい速度で思考が展開し、やがて佐山は新庄が別れ際に言っていた事を思い出す。寮に戻っても驚かないでね、という言葉を。
……無理だ、これは驚愕に値する……っ!!
 これが新庄の贈り物なのだろうか。だがそうだとしたら、佐山が取るべき行動は自ずと定まる。
……有り難く受け取ると、確かに私は言った!!
 そうとも、と佐山は頷く。既に答えが出ていたのだ、と。ならば自分は彼女が望み、そして約束した事を遂行すべきだ。故に佐山は腕を広げ、満面の笑顔を新庄に向けた。
「――さあ、私の胸に飛び込んで来たまえ!!」
 対する新庄は安心した様な顔で一息、そして広げられた腕を無視して一礼した。
「聞いた通りの不穏当な言動を有り難う。――新庄・運の弟で、新庄・切って言います」






―CHARACTER―

NEME:高町なのは
CLASS:生徒会会計
FEITH:無自覚型恐怖の大魔王
53なのは×終わクロ:2007/12/17(月) 23:28:22 ID:w4jPlYmS
という感じで投下終了。久々の更新と相成りましたが如何様にご覧なされましたでしょうか。
・おもひでブレンヒルト
・高町さんのお説教
・佐山と新庄のアバンチュール(死語)
・せっちゃん現る
という感じのお話に相成りまして候、とか言ってみる。割と復調した感じだし……伸び伸びになってた分を取り戻したいなぁ……。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 23:42:27 ID:GTtsKd4u
 まさかヴィヴィオがオルフェノクの王に…!
ひょっとして、ヴィヴィオも照夫みたいな末路を送ってしまうのでしょうか・・・?
それにしてもスカリエッティ・・・アル中になってしまったと言うのは、聞いてましたが、
あそこまで落ちぶれていたとは・・・。
原作リリなのの姿はもう見る影も無いムサいオッサンになってるんでしょうねぇ。
55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 23:56:46 ID:S9L1nxRM
>>23 >>38
GJです。
セフィロスのおかげでティアナがいつぞやのなのはだけジョジョ風味と同じように
出動しましたか。本編でもなのは本人が説明したらよかったのにと思ってしまうほど
いいシーンでした。
ナンバーズが悲劇だ。今や消耗品扱いで、方や失敗作であるノーナンバーのほうがオルフェノクとして
人権?のようなものを手に入れてるとは・・・それにしてもスカ博士は情けないなぁ。従順に研究しているふりして
影でオルフェノクのみに効く細菌兵器とか作っててほしかったぜ。
56Strikers May Cry:2007/12/18(火) 00:01:56 ID:EeJPholI
スクリーム氏、終わクロ氏GJだぜ! 俺も早く投下したいが全然書き終わらねえ。
ボルヴェルクがここまで書きにくいとは…
57なのウタ:2007/12/18(火) 00:57:07 ID:qzOIfmIE
>>23 >>38
GJ!

仮面ライダーヴィヴィ王 私、誕生!

……言ってみたかっただけですよ?
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 08:47:32 ID:sG7Ndyw/
そしてあたし! ヴィータロス参上!!

ごめんなさい便乗で
59名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 09:18:47 ID:xjiLP69h
さらに、仮面と電車のデザインは、
あのウサギのぬいぐるみをイメージして、とな?



……愚民でごみんなさい。

;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
60名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 09:20:44 ID:Km4nweeF
これもユニゾンって言うのだろうか
61マスカレード:2007/12/18(火) 11:53:55 ID:ptTHo5f1
随分と遅れましたがニニンがシノブ伝クロス、12時頃から投下しようと思います。
62マスカレード:2007/12/18(火) 12:04:04 ID:ptTHo5f1
時空管理局本局・クラナガン。
その廊下を、なのはとエリオは歩いていた。
エリオの話によると、何やらフェイトが風邪をひいて寝込んでしまったらしい。
親友が寝込んでいるというのに、無視して仕事を続ける訳には行かない。
という訳でなのはは現在、フェイトのお見舞いに行くべくエリオと共に歩を進めているのだ。
「エリオ……フェイトちゃんの様子はどうなの……?」
「……それがまだ万全では無いみたいで……なんだか声もおかしいんですよ。今はキャロが看病してますけど……」
「そうなの……早くよくなればいいけど……」
表情を曇らせながら、なのは達はフェイトが眠っているという部屋の前に到着した。

そしてなのははフェイトが眠る病室の扉を開けるべく、ドアのOpenボタンを押した。
「フェイトちゃん、お見舞いに……」
「あの……だ、ダメですよフェイトさん……まだ風邪ひいてるのに……」
「ふははは……恥ずかしがることは無い。君はよく頑張った。あぁ、その頑張りはエリオ達も解ってくれるさ。
だから、さぁ! 恥ずかしがらずにキャロも一緒にインザベッド!そして朝までぐひゃひゃひゃひゃ……!」
「ちょっとフェイトさん……あ、ほら! なのはさんが来てくれましたよ……!」
「……何ィ!?」
フェイトと呼ばれたソイツは、キャロの言葉に反応し、部屋の入り口に目を向けた。
「………………」
「……違うんだなのは。これは大いなる誤解に外ならない。私はもはや美しい……ただそれだけなんだ」
「………………。」
なのはは黙って、ドアのcloseボタンを押した。
「ピッ」と音がなり、ドアが閉まる。

なのはが見たのは、キャロを自分のベッドに引き込もうとしている金髪ロングヘアーの親友、フェイト……のはずだ。
だが何かがおかしい。なんていうか、黄色い。いや、髪が黄色いのは解っている。肌が黄色いのだ。
「(落ち着け私……! この中にいるのはフェイトちゃんのはず……今のは目の錯覚だよ、うん、間違い無い……多分間違い無い……)」
「えーとエリオ……一応確認するけど、フェイトちゃん、寝込んでるんだよね……?」
「え……はい。今寝てたじゃないですか」
「いやなんか……うん……そうだよね。うん、うん……ごめんね、エリオ? 私も疲れてるみたいで……ちょっと目が……」
「え……大丈夫ですか、なのはさん……? あまり無理なさらない方が……」
「ううん、大丈夫だよ……次この扉を開けた時、私の目は元に戻ってるはずだから。」
「はぁ……それならいいんですが……」
なのはは軽く目をマッサージした後、深く深呼吸をした。自分の中で何度も「落ち着け私!」と繰り返す。
「……よし!もう大丈夫。開けるよ……!」
そうしてなのはは、再びOpenボタンをプッシュした。
63マスカレード:2007/12/18(火) 12:07:22 ID:ptTHo5f1

「フェイトちゃん、お見舞いに来たよ……!」
そして笑顔で部屋に入る。
「ゴホッ……ゴホッ……来てくれたんだね……なのは……」
そこにいるのは、ベッドの布団で眠るフェイト。そして看病を続けるキャロ。
ただ、なんか黄色い。フェイトの体がなんか黄色い。それに、ちょっと筋肉質だ。
かろうじて髪の毛だけはフェイトの特徴をとらえてはいるが。
「ゴホゴホッ……でもなのは……少し遅かったみたいだ……
私はもう駄目かもしれない……」
「そ、そんな……ただの風邪なんだから、大丈夫だよ……!」
「ゴホッ……いや……私には解るんだ。もう時間が無い……
回復する為には、なのはの胸に抱かれてぎゅってしてもらうしか……」
咳込みながらも唯一の解決策をなのはに伝える。
「うぅ……フェイトさん……なんて健気なんだ……」
「抱いて治る病気って……」
そんなやり取りを見て涙するエリオ。その一方で、キャロはしれっとした目で見つめている。
「あの……その前にフェイトちゃん……一つ言わせて貰っていいかな……?」
「ゲホッ……ゴホッ……な、なんだいなのは……?」
「うーん……なんていうか、一言で言うとさ……
貴方フェイトちゃんじゃなくない……?」
「ぎ、ギクゥッ!? 何を馬鹿な事を言ってるんだい!? このセクシャルがぁ!」
「……だってフェイトちゃんってそんなテッカマンオメガみたいな声じゃないし……」
「ぶるぅああああああっ!! ち、違うんだからね……!? わ、私フェイトなんだからね……!」
大量の冷や汗をかきながらも弁明を続ける黄色フェイト。「3」の字をした口が焦りのあまりいくつにも枝別れしている。
「何言ってるんですか……なのはさん。どう見たってフェイトさんじゃないですか……」
「そ、そーだそーだ! そこのチェリーボーイの言う通りだ!」
涙ぐむエリオを利用し、尚もフェイトと名乗り続ける黄色い人。
「いや、だっておかしいじゃん! 明らかに! 騙されちゃ駄目だよエリオ!」
「そうだよ、エリオくん……本物のフェイトさんなら私をベッドに引き込んで朝まで……なんてするはずないよ……」
「キャロまで……!? うぅ……僕は一体何を信じればいいんだ……!?」
「……迷う必要は無い。ただ自分の信じる道を貫けばいいじゃないか。そして気持ち良くなればいいじゃないか」
なのはとキャロに説得され、心が揺らぐエリオ。黄色い人もなんか言っている。
「なんでそこで迷っちゃうの!? っていうかどう見たらこれがフェイトちゃんに見えるのかが謎だよ……!」
「あとそこの黄色い人、余計な事言わないで下さい! 私のエリオくんを惑わせないで下さい!」
もはやキャラを忘れてツッコミに徹するなのはとキャロ。
キャロがなんとなく意味深な発言をした気がするが今はそれどころでは無い。
64マスカレード:2007/12/18(火) 12:11:13 ID:ptTHo5f1

「えーい、もうめんどくせぇ! そっちから来ないならこっちから行ってやるってぇーの!
こっからは戦いだ、そう! 死ぬか生きるか! 先に情けない喘ぎ声を上げた方が負けだ!ヒィ〜ヒィ言わせてやるぜオホッホォーウッ!!」
突如ベッドから飛び出した黄色い人は、なのはの胸目掛けて飛び込んだ!
『マスター、ファイアリングロック、解除しました』
「えっと……うん、ナイスだよ、レイジングハート!」
飛び掛かる黄色い人……!なのはのピンチに、レイジングハートが反応した……!

「ヒィィィヒイイイイイィィィーーーーーーーーッ!!!!」

次の瞬間、黄色い人の情けない喘ぎ声(?)が病室に響き渡ったという……。

数分後。
「ちくしょぉ〜……頑張れ俺のメルヘンボックスゥ……!」
黒く焦げた股間を押さえながら、床を転がる黄色い人の姿がそこにあった。
なのはが放つ桜色の閃光は、高濃度に収束され、黄色い人の股間を直撃したのだ。
「うぅ……その痛み、解りますよ……!」
「もうスルーしていい……? エリオ」
「この髪の毛、カツラだったんだ……やっぱりフェイトさんじゃ無かったんだ……!」
黄色い男から外れた金髪ロングヘアのカツラ。それを拾ったキャロは、黄色い男を見下ろした。

「……で、貴方は一体誰なの?」
「どうしてフェイトさんになりすましてたんですか……?」
「僕もなんだかおかしいと思ってたんですよね。風邪にしては声が低すぎるし……フェイトさんにしてはセクハラ多いし」
「まぁ待てよお前ら! そんな一度に質問すんじゃねぇよ!
あとチェリーボーイ、お前嘘つくんじゃねぇ〜よ! 散々迷ってたじゃねぇか!? 」
エリオを指差しながら怒鳴る黄色い男。
次の瞬間、黄色い男は「ボワン!」という効果音と共に、何やら丸っこい姿へと変わっていた。
「な、なに……コレ!?」
「俺はマッハボーイ・音速丸……! 無限の刹那へ誘う音速の貴公子だ」
「か……かっこいい……!」
「どこがっ!?」
両手をにぎりしめ、身を乗り出すエリオ。キャロも「どんなセンスしてんだよ」みたいな目でエリオを見る。
「……で、本物のフェイトちゃんはどうしたのかな?」
「ははは、まぁ待てお嬢さん方。俺のあまりのクールさに欲望を押さえ切れないのはわかるが、まずは話を聞くに相応しい態度をだな……」
「へぇ……話を聞くに相応しい態度……?」
「あぁそうだ。まずは俺をぎゅっと抱きしめ、そして俺をそのたわわに実った胸へと誘い、それでねそれでね、ぐへへへへ……!」
『マスター、ファイアリングロック……』
「ノォーーーゥッ! わかった! わかったから! 少し落ち着きたまえなのはさん!」
「うん、わかったから。撃たないから早く話そう……?」
にっこりとスマイルするなのは。ある意味キラースマイルだ。音速丸も「3」の字をした口を(ry

やがて、音速丸はその重い口を開き、語り出した。いや……別に重くは無いが。
「そう……あれは数日前の事だった……」
65マスカレード:2007/12/18(火) 12:14:31 ID:ptTHo5f1

こうして時は数日前へと遡るのである。
「という訳でここからは私、フェイト・T・ハラオウン視点で物語を進めます。
さぁ、はりきっていきましょう……!!」

ここはとある管理外世界のとある場所。フェイト(インパルスフォーム)は、忍者屋敷と思しき建物付近に潜んでいた。
「あ、どうも。私はフェイト・Tハラオウン……機動六課の(ry」
誰に話しているのかは知らないが、なんかこの作品的には長いので自己紹介は省略させて貰う。
「……と、いう訳で他の次元にまで被害を及ぼしかねない音速丸という男を懲らしめにきたんです!」
「あのー……説明終わりました?」
「はッ!? あなたは……!?」
フェイトは説明に夢中になっている余り、背後に他人の接近を許してしまったのだ!
「フフフ……どうやら貴女はもう私の虜のようだ。私の名はサスケ……またの名を仮面の貴公子!」
「ま、まさかあの忍者屋敷の……!?」
フェイトはとりあえずサスケの言葉の最初の一文を無視した!
「え……? あぁ、何? お客さん? シノブちゃんの親戚か何かかい?」
「え、えぇ……? いえ、あの、私は……」
「まぁまぁ、とりあえず着いて来なよ、案内するからさぁ」
「あ……いえ、その……だから私は……」
「いやーなんかシノブちゃんみたいな声が聞こえると思って来てみれば、まさかこんな美女に巡り逢えるとは……
ふふふ、どうやら神はまだこの俺を見放してはいないようだな」
サスケは忍者屋敷へと続く階段をどんどん登って行く。何やら変な妄想を抱いきながら。
「(でも、これはチャンスかも……! こうして忍者屋敷に潜入できれば……!)」
「あ、そうだフェイトちゃん」
「な……!? どうして私の名を!?
はっ!! さっき自分で全部説明しちゃったんだ……! 何やってんだ私ッ!!」
フェイト、執務官として最大の不覚!
「そのカッコいい魔法のステッキはアレじゃないかい? いわゆる魔法少女と呼ばれるコスでは……!?」
「いやあの……コレはその……あはは……」
フェイトは、「あれ……?打倒音速丸ってバレてない……!?」とか思いながらもなんとか作り笑顔で誤魔化した。

その時であった……!

「うわ、お前何女の子と歩いてんだよ!?」
「サスケ、まさかテメー一人だけ抜け駆けか!?」
「バカな……! サスケ、俺達との友情はどうしたんだ……! 共にアニメについて語り合った仲じゃないか!」
「いや落ち着けお前ら! サスケの様な男に、こんなまるでアニメの世界から飛び出したかのような美女がなびく訳があるまい!」
なんと、ゾロゾロと他の忍者達まで現れたのだ!
この由々しき事態に、フェイトも「たはー」と頭を押さえている。潜入どころかいきなり目立ち過ぎだ。
66マスカレード:2007/12/18(火) 12:18:01 ID:ptTHo5f1
「えぇい、落ち着けお前達! 俺はただ、親切にフェイトさんを屋敷へ案内しようとしただけだ!
決してやましい事等考えてはいない!」
「そ、そうですよ……! 私はただ、サスケさんに道案内を頼んでただけです」
その言葉を聞いた忍者達は、悔しそうにサスケを睨んだ。
「あっ、サスケてめ……ずりぃ!」
「そうやっていい人ぶってフェイトさんにセクハラする気か……!?」
「危ないフェイトさん! その男から離れて!」
「あ、あの……えーと……私はどうすれば……」
苦笑いしながら忍者達を見るフェイト。
さて、ここで一度視点を変えてみよう。

忍者屋敷付近の上空。
凄まじい速度で空を駆ける者がいた!
「今日もこの大空をパトロール!! デリカシーの無い奴を許しはしない!!
音速を越えるこの俺のスピードに! ついて来られる物ならついて来てみなってみなってぇーッ!!!」
マッハ10……マッハ20……マッハ30……いや!これはもはやファイズアクセルと呼ばれる領域!
「加速がもたらす無限の刹那!!この俺、音速丸がもたらす戦いの新次元へと!魂は、加速するぅッ!!!」
……とは彼こと、音速丸の自称である。(実質時速4、5km程度)
そんな音速丸がふと、下を見下ろすと、そこには……
「おや……!? あれは凶悪な忍者達に絡まれるか弱き金髪ツインテールの美女ッ!!
この恐怖体験に、か弱い彼女のピュアハートは耐えられやしないさァーーーッ!!!」
お前どこのクーガーだと突っ込みたくなる程の勢いで、音速丸はフェイト達の元へと突撃した!

ここで再び、視点を戻そう。
フェイトはこの、まるで長らく女子との交流が無かった男子校にでも来てしまったかのような雰囲気に、少しばかり戸惑っていた。
その時……!
「いや……あの、だから私は……」
「おい、なんか急降下してきてないか……?」
「え……?」
「あれはまさか……!ガンダ(ry」
遥か上空から舞い降りる剣。
その正体は……!
「みんなの応援……! それが僕に勇気と力をくれるんだ!
これ以上その彼女に手を出させはしないッ!!!」
「と、頭領……!? いけないフェイトさん! キミは早く下がるんだ!!」
「ああ、早く逃げるんだ! あの黄色い人は我々に任せて!」
「え、えぇっと……もう何がなんだか……」
そして次の瞬間、フェイトの前に立つ忍者達は一瞬にして吹き飛んだ!
「うわー!俺達はもうダメだ! 逃げて、フェイトちゃん!」
「負けるの早ッ!?」
そしてフェイトの目の前に立った黄色い人……いや、音速丸は、倒れたサスケ達に平手を突き出しながら言った。
「大丈夫かいお嬢さん。この僕がいる限りセクハラなんて絶対禁止さ……!!」
「いや……セクハラっていうか……あの……」
67マスカレード:2007/12/18(火) 12:26:05 ID:ptTHo5f1

ここで、再び視点を現在のクラナガンへと戻す。
なのは達は音速丸の話をおとなしく聞いていた。
「そしてか弱い彼女……いや、フェイトは俺に抱き着き、そして言ったのさ」
「な、何を……?」
「助けて頂いてありがとうございます!音速丸さん、かっこいい!
好き! 好き! だぁ〜い好き!!」
「はぁ……」
「フフフ、さっきまでの涙が笑顔に早変わりさ! この愛の手品にはタネもシカケも……」
『マスター、ファイアリング……』
「待てぇい!! 今のはあれだ、番外編みたいなもんだ! こっからが本編なんだよ! 少し落ち着けよなのは!!」
「うん、最初から素直に話せばいいんだよ……♪」
なのはと、そしてレイジングハートの尋問には、流石の音速丸もたじたじだ!
「……まぁそんなこんなで、フェイトを屋敷に案内した訳よ」
「あっ……なんか重要なとこ省略された……!」
さて、もう一度視点をフェイトへと戻そう。

フェイトは音速丸達に忍者屋敷へと案内され、今は居間でお茶を待っている最中だ。
「(あぁ……何故か敵であるはずの音速丸と仲良くなってしまった……
何やってんだろう私……)」
フェイトが落胆していた、その時だった。なんと、廊下から自分の声が聞こえて来たのだ。
「フェイトさ〜ん、お茶をお持ちしましたよ〜」
「あれ……この声……」
そして現れたのは、長い黒髪をリボンでくくった忍者……シノブだ。
シノブも、フェイトを見て動きが止まる。
「え、えーと……私、シノブっていいます!」
「私はフェイト・T・ハラオウン……」
二人はお互いを見て思った。
「なんだか他人とは思えない!」と……。

二人はお茶を飲みながら、しばらく雑談と洒落込んでいた。
その時だった。
なんと、今度は黄色いシノブ……っていうかシノブのカツラをつけた音速丸が現れたのだ。

「ウワーオッ!!」
「キャーーーーーッ!?」
「やめてーーーーッ!?」
そして音速丸のとんでもない姿に絶叫するフェイトとシノブ!
だが音速丸の横暴は止まる事は無い!

「イーヒッヒッヒィ、俺からかっこいい部分を抽出してまたくっつけたら元の俺になったでお馴染みの音速丸だ!
二人の美女が俺の登場を待っている! なら行くしか無いじゃないか! 待ってろ今行ってやるさこの音速さんがぁッ!!」
「フェ、フェイトさん、音速丸が暴走してます! このままじゃ次のレスくらいでフェイトさんはとんでもない事になってしまいます!」
「え、ええと……ええい、バルディッシュ!」
『Yes,Sir Jet Zamber』
フェイトの胸目掛けてダイブする音速丸。フェイトの絶体絶命のピンチに、バルディッシュが呼応した!

「オッギャァァアアアアアアァァアーーーーーッ!!!」
次の瞬間。例の如く、屋敷に音速丸の悲鳴が響き渡った。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 12:26:16 ID:mx5bWXuS
まさか連投規制に引っかかったんじゃあ支援
69マスカレード:2007/12/18(火) 12:43:29 ID:ptTHo5f1

「ひいいいい……おめぇ〜そりゃいくらなんでもハッスルし過ぎだ、少し落ち着けぇ〜い……」
「あ、あの……ごめんなさい、つい……」
股間を押さえながらのたうちまわる音速丸に、謝罪するフェイト。
「音速丸、なんでいつもそんな所にばかりダメージ喰らうんだろう……」
「シノブちゃん、それは音速丸さんのあの部分の日頃の行いが悪いからだよ」
「サ、サスケさん……」
顔を赤くするシノブ。
「と、とりあえずコレ……倒したってことでいいのかな……?」
「お見事です! フェイトさん!フェイトさんのザンバー攻撃には、流石の音速丸も一撃KOです! ちょっと可哀相だけど」
「あ、ありがとうシノブ……なんか勝っても微妙に嬉しくない相手だったけどね」
シノブとフェイトは、軽く微笑み合いながら頷いた。
「うわ〜すっげ、なんか一人二役してるみたいに聞こえる〜」


さて、ここで回想シーンは終わり。再びなのは視点へ切り替えよう。
「……という訳だ!」
腕を組みながら頷く音速丸。
「どういう訳か解んない上に音速丸ボロ負け!?」
「フフフ……フェイト・テスタロッサ……手強い相手だった。だが俺も戦士だ。かような女に負ける訳には行くまいて。
俺の凄まじい反撃に奴は為す術なく体力を消耗してゆき、そこで俺の慈悲の心が炸裂するわけよ!
俺の男気に感動したフェイトは自ら服を脱ぎ始め、そして……」
「さて、コイツどうします?」
「オブゥッ!?」
エリオの渾身の右ストレートが音速丸に直撃した!
「うーん……取りあえずフェイトちゃん探さなきゃなぁ……」
「あ、私なら大丈夫だよなのは。もう帰ってきたから」
「フェイトちゃん!?」
「はやっ!?」
フェイトはいつの間にかなのはの後ろに立っていた。しかも真ソニックフォームで。
「っていうかフェイトちゃん、今まで何してたの? それにその格好……」
「いや……なんだかシノブと意気投合しちゃって、中々帰して貰えなくって……
あっ、でも勘違いしないでね! 私の相手はなのはだけなんだから!
もうなのはが音速丸にセクハラされてるかと思うとついついリミットブレイクしちゃって……」
「あ、あはは……そうだったんだ……ま、まぁ私なら大丈夫だよ。軽く焼いといたから♪」
「そっか……良かった♪
エリオやキャロならまだしももしなのはに手を出してたら、私そいつを細胞一つ残さずこの世から抹消しちゃうとこだったよ」
「あはは〜、フェイトちゃんそれはやり過ぎだよ〜」
顔こそ笑顔だが、フェイトの目は終始音速丸を睨み付けていた。
フェイトの殺気に充てられたエリオとキャロは、もはや口を開くことすら出来なかったという。今の彼らにはただ、震えながらフェイトを見詰めるしか出来ない……。
そして次の瞬間、愚かにも音速丸はタブーを犯してしまった。

「フハハハハァ! やるなと言われてやらない男がどこにいる! さぁなのは! この俺を受け入れろ!
ぐひゃひゃひゃひゃ、おっぱおっぱぁ〜いッ!!」
一瞬の隙を付いた音速丸が、その名の如く音速でなのはの胸に飛び込んだのだ!

………………。
その日、クラナガンの医務室ブロックは、音速丸という哀れな男と共に壊滅した。
現場を見た者は、「黄色い稲妻を纏った巨大な剣が全てを破壊した。」と、口を揃えて言った……。

「やり過ぎですよフェイトさ〜ん!」
「てへっ♪ なのはがピンチだと思うとついつい」
70名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 12:45:51 ID:mx5bWXuS
支援
71マスカレード:2007/12/18(火) 12:48:40 ID:ptTHo5f1
最後の最後で改行やら修正やらで手間取ってしまいました……
投下終了です。
なんかもう駄文としか言いようが……
やはりStrikers May Cryさんみたく上手くは出来ないなぁ……

とりあえず今年中に
カブト 3・4話
マスカレード 16〜18話
リリカルBLADE 9話
を投下できればいいなぁと思ってます
72リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 12:54:53 ID:FGYTCPkX
GJ
駄文だなんてそんな…これで駄文なら僕のなんか…

二十話Bパート投下していいですか?
73名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 12:56:28 ID:HgOqhYxB
投下直後は控えた方がいいと思いますよ
74リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 13:01:16 ID:FGYTCPkX
そうでしたな…では二時ごろに…
75リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:10:51 ID:FGYTCPkX
そろそろおk?
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 14:11:44 ID:KNiGmm7d
77リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:14:12 ID:FGYTCPkX
二十話「決戦」Bパート

【地球渋谷】
「久しぶりだな…」
「天道…」

天道は腕を組みながら飯を炊いている剣崎の前に立つ。

「何の用だ?」
「お前に二つ話があってな、今日本に来ていると聞いたから、探していた。」
「話?」
「ああ、一つ目は白いジョーカー関係の話だ。」

【四年前 初代ボード研究所地下研究室】
「終わったな…我々の仕事も…」
「はい…」

橘と烏丸は、ジョーカーとハート2のベスタを除いた五十一枚のプライムベスタをデスク上に並べる。
いくつもの戦いと悲しみを乗り越え、集めてきた五十一枚のカード。
二人は達成感と疲労感を込めた瞳で五十一枚のカードを見つめていた。
そんな時…

「所長!?」
「む!?」

四枚のカテゴリーキングが宙に浮き出し、上下左右に並ぶ。
するとカードから不思議な光が放たれ、四枚の中心に新たなカードが出現した。

………

「これが、バニティカードだ。」
「バニティカード…」
「カードには何も書かれて居なかったが、最重要機密としてZECTに預けられ、保管された。
だが…」

【三ヶ月前】
「榎本!榎本!応答しろ!!」
「た…田所さん!!きゅ…救援を…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「くっ…!」

田所は顔を歪め、デスクを殴りつける。

「榎本さんのチーム…ロストしました…ジョーカー…依然として地下保管庫に接近中です…」

この時は緊急にオペレーターとして参加していた岬も、眉間に皺を寄せ、唇を噛む。

「クソ!剣崎の奴…」
「「剣崎さんじゃない!!」」

外でアルビローチと戦っていたガタックは、戦闘中にも関わらず通信を入れ、ZECTを襲ったのは剣崎じゃないと否定する。

「でも加賀美君!相川君が外で戦っている以上、残ったジョーカーは…」
「「剣崎さんは…絶対にそんな事するはずがない!!」」
「だがな…奴が本能に負けたと…」
「「負けない!剣崎さんは…そんなモンに負けるような人じゃない!!」」

ガタックはそこで通信を切る。
78リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:15:48 ID:FGYTCPkX

「…!?、田所さん!地下にライダーの反応!これは…カブト!天道君です!」
「何!?」

【ZECT本部 地下】
「…」
「白か…あいつのジョーカーは相川と同じ色をしていたし、何より貴様からはあいつの気配がしない…」

カブトはカブトクナイガン・ガンモードの照準をアルビノジョーカーにあわせる。

「貴様が何者かは知らんが、ここを通すわけには行かない!」

カブトはクナイガンを連射しアルビノを攻撃する。
だがアルビノは銃弾を紙一重で避け、ゆっくりとカブトに接近してきた。

「…」
「やるな…なら…!」

カブトは次カブトクナイガンをクナイモードに変形させ、アルビノに接近し、斬りかかる。
しかしその攻撃もアルビノにはかすりもせず、カブトは逆にカウンターパンチをボディに受け、殴り飛ばされて保管庫の扉に激突した。

「…終わりか?」
「クッ…なら…」

カブトはハイパーゼクターを呼び、ハイパーフォームになることによって形勢逆転を量る。
が、アルビノは手から光弾を発射し、ハイパーゼクターを破壊する。

「な…」
「終わりだ…!」

アルビノは先ほどよりも巨大な光弾を作りだし、カブトに向けてそれを撃つ。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

ハイパーゼクターを破壊され、驚愕していたカブトは、無防備のまま光弾の直撃を受ける。
そしてそのままカブトは背後の扉を突き抜け、保管庫の最奥の壁に激突して天道の姿に戻る。

「ば…か…な…」

ボロボロになった天道はそのまま意識を失い、倒れる。

「…」

アルビノジョーカーはカブトが突き抜けた穴から保管庫の中に入り込み、保管されていたバニティカードを奪うと、そのままテレポーテーションで姿を消した。

………

「これが、白いジョーカーとバニティカードについての情報だ。」
「俺が居なくなった後に、そんなことが…それで、ハイパーゼクターは?」
「幸いハイパーゼクターの損傷は軽かったため、すぐに修理できた。」
「そうか…でも、天道が全く歯が立たなかったなんて…あの時俺が一撃当てれたのはマグレだ…」
「当然だ。それに、奴の手の内はもう分かった。次に戦うときは負けん。」
「相変わらず…凄い自信だな…」

剣崎は呆れた目で天道を見る。
79リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:16:38 ID:FGYTCPkX

「で、もう一つは?」
「二つ目は、ミッドチルダの危機についてだ。」

天道は現在ミッドチルダで起こっている惨状を剣崎に話す。

「なのはちゃん達が…」
「次元が繋がり、ヒビキや相川、葦原達を主力をに、多くのライダーがミッドに向かっている。」
「それで…お前は俺も主力に加えるためにここに来た…か?」
「話が早いな。分かったらついて来い。グズグズしている時間は無い。」
「…」

剣崎は表情を曇らせ、俯きながら唇をかみ締める。

「どうした?」
「…駄目だ。」
「駄々をこねるな。さっき言ったように時間が無いんだ。アンデッドが一体でもお前と相川以外に残っているんだ。別に問題は何もないだろう?」
「それでも俺は…もう皆に会う気はない…俺と関わったら…」

剣崎は、アフガニスタンでモスキラスに殺された子供達の姿を思い出す。

「皆も…きっと…」
「…剣崎。」
「…何だ?」
「場所を変えるぞ。」
「え?」

………

天道と剣崎は、ホームレス達の居住区からかなり離れた広大な廃墟に移動し、互いに向き合う。

「ここなら良い。」
「天道?」
「…!」

天道はカブトゼクターを呼び、左手で掴む。

「お前…」
「忘れていたよ、お前は痛い目に会わなければ、人の話を聞かない奴だったな。」
「…本気か?」
「ああ。」
「…」

剣崎もブレイバックルを取り出し、エースのカードをセットした。

「「変身!!」」
80リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:17:58 ID:FGYTCPkX
………

【スカリエッティアジト 素体保管室】
スカリエッテイの元に向かっていたフェイトとシャッハは、素体が入った沢山のカプセルの保管室に辿り着いていた。

「これは…人体実験の素体?」
「だと思います。人の命をもてあそび、ただの実験材料として扱う。あの男がしてきたのは、こういう研究なんです。」
「一秒でも早く、止めなくてはなりませんね。」
「はい。」
「は…!」

シャッハは足首に違和感を感じ、足元を見る。
そして足元には、シャッハの足をがっしりと掴んでいるセインの腕があった。

「シスター!」
「フェイトお嬢様。」
「は!?」

次はフェイトの前にトーレとセッテが現れる。
二人は瞬く間に三人の戦闘機人に行く手を阻まれた。

「クッ!ハァ!!」

状況の不利を感じたシャッハは、ヴィンデルシャフトで地面を打ち砕き、セインごと下の階に落ちていく。

「シスター!」
「「フェイト執務官。こちらは無事です、大丈夫。戦闘機人を一機、捕捉しました。この子を確保しだい、すぐにそちらへ合流します。」」
「了解しました」
「フェイトお嬢様」
「っ……」
「こちらにいらしたのは帰還ですか?それとも、反逆ですか?」

トーレはそうフェイトに問いかける。
だが、フェイトは迷わず、真っ直ぐな瞳で答えた。

「どっちも違う。犯罪者の逮捕…それだけだ。」

【ゆりかご内部】
「うおおおおおおおおおおお!!」

ヴィータはグラーフアイゼンを振るい、襲い掛かるガジェットの群れを次々に粉砕する。
「どんな敵からもなのはを守り切る。」
その執念が彼女を突き動かしていた。

「ヴィータちゃん。あんまり飛ばしすぎると…」
「はぁ、はぁ…うるせぇよ。センターや後衛の魔力温存も、前衛の仕事のうちなんだよ。」
「……うん。」
「…!」

立ち止まっていた二人の前方から更に増援が現れ、なのはとヴィータにビーム攻撃を開始する。
ビームの雨が二人に襲い来る中、後方支援をしていたクウガはゴウラムと共に二人の前に立ち、ライジングドラゴンロッドを回転させてビームを防ぐ。

81リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:20:17 ID:FGYTCPkX

「大丈夫!?」
「五代さん!」
「超変身!」

クウガはライジングペガサスにチェンジし、戻った鉄パイプを捨て、ゴウラムに搭載されていた拳銃を取り出し、ライジングペガサスボウガンに変化させる。
そしてライジングブラストペガサスを大群の中心にいたガジェットV型に撃ち込み、すかさずライジングタイタンに変身する。
三発の雷の矢を喰らったV型は大爆発を起こし、周りにいたガジェット全てを巻き込んだ。

「ふう…危ない危ない…」
「五代さん、ありがとう。」
「へへ、大丈夫!」

クウガはなのはにサムズアップを送る。

「「突入隊、機動六課スターズ分隊へ。」」
「はい!」
「「駆動炉と玉座の間、詳細ルートが判明しました。」」

局員はなのはにデータを送る。

「っ…」
「真逆方向?」
「突入隊のメンバーはまだそろわねぇか?」
「「各地から緊急徴兵していますが、後…40分は。」」
「仕方ねぇ。スターズ01とスターズ02…別行動でいく。」
「了解しました。急いで応援をそろえます。」
「ヴィータちゃん!?」
「駆動炉と玉座のヴィヴィオ。かたっぽとめただけで止まるかもしれねぇし、かたっぽとめただけじゃ止まらねぇかもしれねぇんだ。こうしてる間にも、外は危なくなってる」
「でも、ヴィータちゃん。ここまでの消耗が……っ」
「だからあたしが駆動炉に回る。おまえと雄介はさっさとヴィヴィオを助けて来い。」
「でも!」
「あたしとアイゼンの一番の得意分野、知ってんだろ?破壊と粉砕。鉄槌の騎士ヴィータと鉄の伯爵グラーフアイゼン。
砕けねぇものなぞ、この世にねぇ。一瞬でぶっ壊しておまえの援護に行ってやる。さっさと上昇を止めて、表のはやてに合流だ」
「……うん。気をつけて!絶対、すぐに合流だよ!?」
「あったりめーだ!それと雄介!お前も絶対なのはに怪我させるんじゃねぇぞ!」
「分かった!」
「よし!」

なのは、クウガはヴィータと別れ、王座に向かった。

【廃ビル1内部】
その頃、孤立したティアナは廃ビルの中でノーヴェ、ディードと激闘を繰り広げていた。
ティアナは得意の幻術を使ったかく乱戦法を用い、二人と互角に渡り合う。
だが、一対二という不利な状況は少しずつ彼女を追い詰めていく…

「弾丸の精度が…前よりも上がってるっスね…」
「あんな豆鉄砲…何発喰
らっても痛くねぇ!」
「ま、そースけど。」

二人が余裕の態度を見せる中、ティアナはワイヤーを使って上に逃げ、次の手を考えていた。

「(こんな狭いところで二人相手じゃ…持ちこたえるのが精一杯。結界破壊スタッフが来るまで、なんとしてでも生き延びなきゃ!)」
82リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:22:39 ID:FGYTCPkX
ティアナがそう結論を出した瞬間…ディードがティアナの真上に現れた。

「は!?」
「…!」

ディードはティアナの足を切り裂き、そのままノーヴェたちの元に降下する。

「ディード!あんたも?」
「オットーの指示。あの幻術使いは確実に仕留めておかないと、面倒だって。」

「クッ…」

ティアナは間一髪、破壊された壁の影に隠れていた。
「橘さんと動体視力の訓練をやっていなければ足を切り落とされていた」
ティアナは切られた足を押さえ、橘に感謝する。

「けど…よりによって…足…残った魔力は半分以下…相手は戦闘機人三体とガジェット…これは…無理かな…」

ティアナは全てを諦めかけ、一筋の涙を流す。
その時、出張任務での記憶がティアナの脳裏に蘇った。
それは、魔力が尽きた際の最終防衛手段の特訓として、睦月の家の近所の竹やぶで橘とやった、棒術の訓練であった

………
「はあぁぁぁぁぁあ!」
「フン!ハァ!」
「くっ…きゃ!」

ティアナは橘に簡単に木製スティックを奪われると、その時点で目を閉じ黙って橘の攻撃を受ける。

「くぅ…」
「目を閉じるな!実戦だったら死ぬぞ!」
「す…すみません!」
「もう一度!」
「はい!」

橘は再び木製スティックをティアナに渡す。

「来い!」
「おおぉぉぉぉぉお!!」

【数時間後】
「はぁ…」
「お疲れ様。」
「あ、睦月さん。」

睦月はドリンクをティアナに渡し、隣に座る。

「どうだった?橘さんの特訓は?」
「厳しいです…魔法の特訓だけが、戦闘の全てじゃないということが身に染みました。」
「まぁ、俺達ライダーは肉弾戦主体だから、お前らとは根本的に違うからしょうがないって。」
「…」
「それにさ、ティアナはティアナの戦い方があるんだし、こういうのが上手くできなくても、悪くないと思うよ。」
「そう…なんですか?」
「そうだよ。ああそれと、」
「何ですか?」
「「睦月さん」は…止めてくれない?」
「…へ?」

首を傾げ、呆けるティアナ。
83リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:23:52 ID:FGYTCPkX

「仮にも兄弟子なんだから…まぁそれっぽく…」
「それっぽく…」

【ティアナの脳内】
影山「シャマ姉!」

………

「…睦月兄。」
「ブウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ!!」

飲んでいたジュースを勢いよく噴出す睦月。

「ゴホ!ゴホ!」
「す…すみません…だいじょ…」
「…ワンモア…」
「へ?」
「ワンモア!!」
「は…はい…じゃなかった、う…うん、睦月兄。」
「おおおおおおおおおおおおおおお…」

感動の余りガッツポーズを取って喜ぶ睦月。

「ありがとうティアナ!今後とも宜しく!」
「う…うん…睦月兄…」
「はあぁぁぁ…睦月兄…睦月兄…睦月兄…」
「浮かれるな。」

いつの間にか睦月の隣に座っている我らが橘さん。

「わあ!!橘さん!!」
「そんなことで、調子に乗ってどうする。」
「す…すみません…」
「まったくお前は…ティアナ、これをお前に渡しておく。」

橘はミニデータディスクをティアナに渡す。

「これは?」
「ギャレンの戦闘データをインプットしたディスクだ。このデータを使うことによって、クロスミラージュはさらに高性能な幻を作り出すことができ、同時にギャレンのカテゴリー6「ファイア」の力が使えるようになる。」
「おお…」
「感心するのはまだ早いぞ。デメリットもちゃんとある。強力な攻撃ができるかわりに、魔力消費は通常時の1.5倍近く上がる。そして体にかかる負担も相当なものになるだろう。
安易な連発は絶対するな!」
「はい!!」
「よし…じゃあ、飯でも食いに行くか。」
「あ…はい!」
「橘さんの奢りですか?」
「睦月、お前だけは自腹だ。」
「そ…そんなぁ…」

………
「(…死ねない!)」

膝を抱えて座り込んでいたティアナは再び立ち上がり、クロスミラージュを握り締める。

「(優しくしてくれた橘さんに強くなった私を見せるためにも…睦月兄にとの約束のためにも、…私自身の夢のためにも、私は死ねない!
…こうなったら使うしかない、クロスミラージュ…モード4を!)」
84リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:25:08 ID:FGYTCPkX
【廃ビル2屋上】

一方こちらではエリオとキャロがルーテシア、ガリューと戦闘を繰り広げていた。

「あなたはどうして?何でこんなことするの!?」
「……」
「こんなところで!こんな戦いをする理由はなんなんだ!?」
「目的があるなら教えて!悪いことじゃないなら、私たち…手伝えるかもしれないんだよ!?」
「…」

ルーテシアは感情のない瞳でキャロに向けて紫色のダガーを発射する。
ガリューと戦っていたエリオはデューゼンフォルムで一気にフリードの元に駆け上がり、ダガーを全弾はじいた。

「…っ」

そしてルーテシアは、共に協力し合う二人の姿を見て、今まで抱いたことのなかった感情を感じ始めていた。

【中央上空】
ゼスト、そしてアギトは地上本部に向かうべく、全速力で大空を駆ける。
ゼストは命の炎が尽きる前に「親友」の真意を確かめるため、アギトはそんなゼストを最後まで守るために、レジアスの元に向かう。
だがその途中、シグナム、ドレイク(フライトユニット装備)、リィンの三人が二人の前に立ちはだかった。

「局の騎士か?」
「本局機動六課、シグナム二尉です。前所属は首都防衛隊。あなたの後輩ということになります。」
「そうか…」
「中央本部を、壊しにでも行かれるのですか?」
「古い友人に、レジアスに会いに行くだけだ。」
「それは、復讐のために?」
「言葉で語れるものではない。道を、空けてもらおう。」
「言葉にしてもらわねば、譲れる道も譲れません!」

シグナムはレヴァンティンを抜き、刀身に炎を纏わせる。

「!?」
「アギト、どうした?」
「な…なんでもねえよ!グダグダ語るなんてな!騎士のやるこっちゃねぇんだよ!」
「騎士とか!そうでないとか!お話をしないで意地をはるから戦うことになっちゃうですよ!」
「うるせぇバッテンチビ!剣精アギト、大儀と友人ゼストがために!この手の炎で!押して参る!」
「祝福の風、リィンフォースツヴァイ。管理局の一員として、あなた方を止めさせて貰います!!」

アギトはゼストに、リィンはシグナムにユニゾンし、戦闘体制に入る。

「大介…分かっているとは思うが…」
「暑苦しいのはガラじゃない。」
「…すまんな。」

ドレイクはフライトユニットのブースターを切り、地上に降りていった。

「…来い。」
「行きます…!」

シグナムとゼストは互いの刃を振るい、激突する。
二人の鍔迫りは激しく火花を放ち、青空を赤く染め上げる。
85リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:25:38 ID:FGYTCPkX
【第三廃棄都市街 鉄橋上】
鉄橋の上に一人取り残されたスバルは、自分の姉であるギンガと合間見えていた。
明るかったギンガの姿はそこにはなく、ただただ無機質な表情でギンガはスバルを見つめている。
スバルはそんなギンガの姿に悲しみを抱くと同時に、ギンガを助ける方法を頭の中で模索していた。

「(ギン姉に怪我させちゃうから、振動破砕は使えない。狙うのは、打撃や破壊じゃなくて、魔力ダメージでのノックアウト。ギン姉と、本気の勝負なんて生まれて初めてだけど)
私が絶対!助けるから!」

【ゆりかご内部 動力室付近】
なのはと分かれて行動していたヴィータは、待ち受けていたガジェットを倒しながら動力部を目指していた。

「はぁ…はぁ…ここまでくりゃ、もうちょっとだ。カートリッジもまだある。大丈夫。楽勝だ。」

ヴィータが足を進めようとしたその瞬間、巨大な刃がヴィータの胸部を背後から貫いた。

「なっ…!」

ヴィータは痛みに耐えながら後ろを振り返る。
そこには新型ガジェットW型の姿があった。

「お前は…」

ヴィータはW型の姿に見覚えがあった。
それは八年前、なのはに致命傷を負わせた機械兵器と同じ姿形をしていたからであった…

「おおおおお!!」

ヴィータはアイゼンを振るい、背後のW型を撃墜する。
しかし、一機目が撃墜されると動力室の方向にW型の大群が現れ、ヴィータの進行方向を塞いだ。

「あんとき…なのはを落としたのは、てめーらの同類か!ざけんなよ。一機残らず…ぶっ壊してやるううぅぅぅ!!」
86リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 14:26:39 ID:FGYTCPkX
【地球 渋谷】
「はあぁぁぁぁぁあ!」
「ウェーーーーーイ!」

カブト、ブレイド…
かつて世界の危機を救ったライダー達の中でも一、二の実力を争う最強のライダーである二人は、荒廃した渋谷の廃墟で激しく刃を交える。
以前、ジョーカーへの対応意見が割れ、ライダー達が二つに分かれた時にも二人は刃を交えたことがあったが、その時よりも激しく、二人は戦いを繰り広げていた。

「強いな…天道…」
「お前も…以前よりさらに腕を上げたな。」

二人は鍔迫り合いを解き、間合いを取る。

「(奴にはタイムのカードがある…クロックアップは不利だ…だが、俺にとってそれは問題ではない!)」
「(攻撃力と防御力は俺が上…けど技術は奴の方が上…)」
「(だが時間が時間だ…これ以上奴の我侭に付き合うつもりはない!)」
「(はやく決着を付けるには…)」
「(この方法しか…無いな!)」

カブトはハイパーゼクターを呼び、ブレイドはアブゾーバーのラウズトレイからキングのカードを引き抜く。

「決着を付けるぞ…!」
「Change Hyper beetle」

「ああ…」
「Evolution King」

カブトはハイパーフォームに、ブレイドはキングフォームに変身する。
そしてカブトはパーフェクトゼクターを呼び、ブレイドはキングラウザーを構えた。

「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」

二人はお互いの最強の刃を振るい、再び剣撃戦に入る。
その衝撃は凄まじく、周囲の瓦礫を一気に吹き飛ばした。


投下終了
エリキャロとルーのシーンは手抜き過ぎたかも…
次回頑張ります。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 14:28:56 ID:KNiGmm7d
GJです
エリキャロは手抜きだったんですか?
気づかなかったです。
88マスカレード:2007/12/18(火) 14:40:10 ID:X3TW9L0j
GJ!
カブトとブレイドのやりとりに燃えました
ダブルカブトライダーの最強フォームのぶつかり合いが熱い!
乃木に勝利したカブトなら、タイムにも対抗できるような気もしますけどね

GSLクロスにアギトとゼストは出したいんですが、スカ達がいない為にいい出し方が思いつかない……
89なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 19:29:17 ID:0mxqoxJb
昨晩振りです。
前スレでワンピースの短編をやった時、「ナンバーズは誰が誰役?」という感想を頂いたのですが、実は投下したアレ、あの後にそれ系のオマケがあったのです。
それも含めると長くなるので切ったのですが、そういう感想をもらうと投下したくなるのが人情、他に思いついた小ネタも合わせた『小話メドレー』を投下したいのですが、お許し頂けませんか?
ちなみに『小話メドレー』は今後の一発ネタ連発を阻止する為、よっぽどの長文以外はこれにまとめて一つの連載にしたい心づもり。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 19:55:36 ID:YgrdDall
>>71
やべぇ・・音速丸スゲェうけるしw
91スーパーロボット大戦X:2007/12/18(火) 20:09:16 ID:75fKDXXf
>>86
>エリキャロとルーのシーンは手抜き過ぎたかも…
そんなことありませんよ。俺のと比べたらなかなかいいものですよ。
まあ、俺の場合は他のロボットアニメのキャラを出来るだけ絡ませるようにしてるだけだけど・・・。
ちなみに今回から一人称を私から俺に変えます。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 20:34:12 ID:jT/LcCeu
>>89
ぜひ見てみたいです
93なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:34:43 ID:0mxqoxJb
無反応なので……もうちょっとしたら投下したいのですが?
というか何の反応もないのはちょっと寂しい……
94なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:40:20 ID:0mxqoxJb
あ、反応してもらえてた。>>92の方、貴方は我が心の救世主や………ッ!!
という感じで次から投下してみるのす。
95なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:41:47 ID:0mxqoxJb
小話メドレーその1『機動六課VSナンバーズをワンピース風にしてみた〜シグナムとディード編〜』

 時空管理局は地上本部、その最深層ビルの一室でシグナムはディードと対峙していた。一人掛けのソファに深く腰掛ける相手にシグナムはレヴァンティンを鞘から引き抜く。
「もう剣を抜いてるんですか?」
「血を吸いたいと唸るのでな」
 不敵に笑むシグナムにディードは嘆息。
「……恐ろしい人ですね」
 そしてソファから起立、左右の腰に下げられた棒状の機械を手に取る。そして、
「IS、ツインブレイズ」
 宣言と共に一対の機械が光の刀身を形成した。それを見るシグナムは関心した様な表情を作る。
「二刀流か」
 直後、ディードの両足が振り抜かれた。高速の振り抜きが大気を叩いて切断力を作る。
「……ッ!」
 切断力の標的となったシグナムはレヴァンティンをもって迎撃、逸らされた力は左右の壁を切断する。舞い上がった粉塵の向こうにシグナムは微笑するディードを見た。
「――すみませんが、四刀」
「問題ない。そう言えば全身が機械兵器だったな、お前達は」



小話メドレーその2『機動六課VSナンバーズをワンピース風にしてみた〜ヴィータとウェンディ編〜』

 最深部ビルを走るヴィータとフェイトは廊下に横たわる人影を見た。
「な……エリオ!?」
 それは満身創痍の身で五体倒置する槍騎士の少年だ。駆け寄ったフェイトが手当てを始める。
「……ふぇ、いとさん……ヴィー、た、ふくたいちょぅ……っ! すみません、ま、ゲっ、ました……っ」
「良いから! 喋らないで!!」
 涙目で治癒魔法を起こすフェイト。だがヴィータが見るものは違う。鉄槌の騎士が見るのは、上の階からこちらを見下ろすウェンディの姿だ。嘲笑する戦闘機人を睨みながらヴィータは、
「おいエリオ、本当に勝てなかったのか?」
「……!!」
「まともに戦ったのか?」
「エリオ、まさか……」
 ヴィータが確認する意味合いにフェイトが戦慄する。ヴィータはかぶりを振って、
「お前は女に甘いからな」
「……負げで……っ! ずみませんでした……」
「違ぇよ!! そんな甘っちょろい事言って死にかけたんだぞお前は!! こんな目にあってもまだ貫くのか!?」
 ヴィータの叱咤、だがエリオは己の志を折らない。
「…別に……! 死にだい訳じゃありません…っ! ただ女性を傷付げなっ、いのがっ、僕の目指す“騎士”だから!!」
 顔を血で彩ったエリオの表情は壮絶。
「――だから僕は!! 死んでも女性を傷付けない!!!」
 少年の気迫にフェイトは口を閉ざし、ヴィータは頭を振る。
「……馬鹿が。傷付けらんねぇっつうなら退けよ。無駄に死ぬ事は話が別だぜ」
 だが上げられた顔には一種の納得がある。そして再度ウェンディを見据え、ヴィータは己の意思を届けた。
「アタシはコイツほど優しくしねぇぜ!!」
「私もっスよ。気が合いそうっスね」


96なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:43:30 ID:0mxqoxJb
小話メドレーその3『機動六課VSナンバーズをワンピース風にしてみた〜スバルとノーヴェ編〜』

「――スバル!」
 最深部ビルの大食堂、そこでノーヴェと対峙していたスバルに声がかけられた。振り向く先に立っているのは、腕一杯にアイスを抱えたティアナだ。
「受けとんなさい!!」
「! ティア、ありがとっ!!」
 ティアナが無数のアイスを投げつけ、スバルは跳躍してそれをつかみ取る。だが、
「下らねぇ事してんじゃねぇ!!」
 相対するノーヴェがガンナックルを起動、光の散弾を放ってスバルを墜落させる。
「スバルっ!?」
 瓦礫に沈む青の少女を呼ぶティアナの叫び、だが次の瞬間に響いたのは、
「ん――――――――! スゥ―パァ―――――――ッ!!!」
「!?」
 瓦礫を跳ね飛ばして立ち上がるスバルの咆哮だ。
「ハン、アイス食ったらどうなるっつんだ!」
 ノーヴェが嘲りを叫び、だがスバルはそれを聞いた風も無くリボルバーナックルを構える。
「……ガードした方がいいよ」
「馬鹿か? またヘナチョコパンチをうつ気……」
 ノーヴェが言い終えようとした瞬間、その懐にスバルの姿があった。
「リボルバーシュート!!!」
「!!!?」
 砲撃と拳撃の多重攻撃がノーヴェを遥か後方に吹き飛ばした。
「悪かったね。さっきまでの私の拳は――確かにヘナチョコだった」



小話メドレーその4『機動六課VSナンバーズをBLACH風にしてみた〜ヴィータとクアットロ編〜』

「………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああっ!!?」
 次第に接近する悲鳴と摩擦音の後、“聖王のゆりかご”の一室に忽然と空いた穴からヴィータが滑り出た。
「……ちくしょー、何だあのデケー落とし穴…。どこだここ……?」
 激突した尻をさすりながらヴィータは部屋を見回す。そこへ、
『あははははははははははっ! やっだもぅ最高!!』
 拡声器越しの嘲笑が響いた。
『色々と罠は仕掛けてたけど……まさか一番安い罠に引っかかる馬鹿がいたなんてぇっ!』
 どこにいるとも知れない相手の声にヴィータは目つきを絞り、相棒たるグラーフアイゼンを構える。
『あぁんごめんなさーい、怒っちゃやぁよ? ちゃぁんと自己紹介してあげるから』
 誠意のない謝罪と共に部屋の奥から人影が歩いて来た。硬質な足音でやってくるのはケープを羽織った眼鏡の女性。
『一度しか言わないから、貴方の頭で覚えられるといいんだけど。……私は四番目の戦闘機人…』
 歩み寄る戦闘機人がマイク付きのイヤホンを外して告げる。
「ナンバーズ4、クアットロよん」
 不快な笑みを見せる相手にヴィータは凶暴な笑みで、
「てめぇがスカリエッティの戦闘機人を仕切ってる奴の一人か……」
「やぁん、怖い顔しないでぇ? 仕切ってるっていっても私の戦闘力は高くないのぉ。指揮とか研究とか、どっちかっていうとそっちの方が専門で……」
「待てよ、何の勘違いをしてんだ?」
 怒気をまとうヴィータはグラーフアイゼンの先端をクアットロに向け、
「アタシはてめえと喋りに来たんじゃねぇ、ぶっ潰しに来たんだぜ? てめぇの素性なんざ知ったこっちゃねぇ、喋りたきゃアタシに潰されながら勝手に喋れ。――ただし、加減してやる気は無えがな!!」
 叫んでヴィータは鉄槌に命令を下す。
「グラーフアイゼン、カートリッジロード!!」
 ベルカ式最大の特徴、威力強化の弾丸が―――使用されなかった。
「……何、だと?」
「ほぉらぁ、話を最後まで聞かないからよん?」
 沈黙するグラーフアイゼンにヴィータは困惑し、その様子を見続けるクアットロは告げる。
「――この部屋で、魔力を使う事は出来ないわよぉ」
 驚愕するヴィータへとクアットロは見下しの視線を向ける。
「私達は魔力とは違う力で戦えるから問題は無い、ってコ・ト。もう貴方には勝つ術も逃げる術も無いわ」
 それでもグラーフアイゼンを構え直したヴィータに、暴れないでね、とクアットロは呼びかける。
「戦闘機人や人造魔導師以外の擬人を直接見るのは初めてなの、こう見えても興奮してのよぉ? だから暴れないで? ――出来るだけ、完品に近い状態で死んで頂戴」
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 20:45:30 ID:eoeYxaoe
マユリ様は萌えすぎる支援
98なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:45:55 ID:0mxqoxJb



小話メドレーその5『機動六課VSナンバーズをBLACH風にしてみた〜はやてとドゥーエ編〜』

 暴走するスカリエッティを捕らえる為“聖王のゆりかご”へと乗り込んだはやて、暗がりの通路を飛行するその先に人影があった。
「――敵!?」
 空中で静止したはやてはシュベルトクロイツを構える。この位置から間に合うか、という思案と共に攻撃魔法を立ち上げ、
「やめてください、主はやて」
 聞こえた声に全ての動きが止まった。瞠目するはやての両眼が見るのは立ちはだかった相手、忘れたくても忘れられない女性の姿だ。
「――リインフォース」
 銀の長髪に赤の瞳、黒い衣装と六翼を持つその女性は、はやてが先代リインフォースと呼ぶ姿だ。
「な、なんで……」
「何で? それが解らない訳じゃ無いでしょう?」
 微笑むリインフォースははやてを指差し、
「私はリインフォース、かつて闇の書の意思と呼ばれていたユニゾンデバイス。そして貴方は八神はやて、――私を救えず、見殺しにした女」
 告げた言葉が八神はやての表情を漂白する。あらゆる感情が麻痺し、緩やかに飛行魔法が解かれて着地する。
「解りましたか? 私が貴方の前に現れた理由に」
 リインフォースが右腕を大きく振り、その周囲に無数の紅い短剣を出現させる。
「私に殺される覚悟はありますか、主はやて。――自分が殺した従者への償いに、命を差し出す覚悟がありますか?」
「ある」
 張り詰める空気の中ではやては即答した。豪気の瞳がリインフォースに向けられる。
「……けどまだ、それは出来へん。――私はリインフォースを救えなかった。それは……何十年経っても償えないと思ってる。私を殺してリインフォースの気が晴れるなら、喜んでこの命を差し出す……でも」
 はやては視線を、意思を揺るがせない。
「私は今この“聖王のゆりかご”にヴィヴィオを、仲間を助けに来てる。――ヴィヴィオを助け出す迄はリインフォースが何て言っても、この命を差し出す訳にはいかへん……!!」
 デバイスを構え直したはやては臨戦態勢、戦闘必至の空気に通路が震える。そしてリインフォースは唇を開き、
「すみません、冗談です」
 満面の笑顔で両手を上げた。周囲の短剣も消失する。
「……え……?」
「冗談ですよ。確かに貴方に償って欲しいと思ってますが、その為に貴方を殺そうなんて馬鹿な事する訳ないじゃないですか」
 虚脱するはやてにリインフォースは歩み寄る。
「貴方にしか出来ない事があるんです」
 目前に迫ったリインフォースがはやてを抱き締めて耳元で囁く。
「貴方が本当に償いたいと思っているなら、やってもらいたい事があるんです」
「……やって、もらいたい事?」
「はい」
 焦燥するはやてにリインフォースは微笑みかけ、
「――貴方の部下、全員の首を持って来て下さい」
「―――――――――」
 はやては両眼を見開いて息を飲む。
「大丈夫です。貴方なら全員の能力も弱点も知ってるでしょう? 隙をつけば難しい話ではありません。――そうすれば、貴方が私にした事は全てなかった事にしてあげますよ」
 この上もなく明るい笑みと声がはやてへと向けられる。だが、
「……主はやて?」
 はやては一切の反応を起こさない。俯いたまま身動き一つせず、
「……今度は、“冗談”って言ってくれないんやね」
「…主はや……」
「当然やね。“自分を見逃す代わりに仲間を差し出せ”なんて、そんな事冗談で言う分けない……」
 密接するリインフォースを突き飛ばし、はやてが向けるのは激昂の視線。
「リインフォースを、馬鹿にするな……!!」
99名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 20:45:56 ID:AfUjMu4A
くこに クリスマス中止 と書き込んでくれ
健闘を祈る!(`・ω・´)
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/netgame/1197560611/
100なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:46:45 ID:0mxqoxJb
「―――……何を?」
「アンタがリインフォースな訳ない! リインフォースが……自分と仲間を秤にかける様な事を言う訳ない!! ……私が、ヴォルケンリッターの皆が、心から愛したリインフォースは、そんな子やない!!!」
「待って下さい主はやて、何をおっしゃるんですか」
 リインフォースは傷付いた様な表情と切実な身振りで、
「私はリインフォース――――」
「その名前は二度と口にするな!!!!」
 一瞬の魔法構築、シュベルトクロイツより放たれた閃光が通路を走り、床や天井を砕き、曲がり角の壁を貫いた。
 やがて光が止み、後には粉塵と瓦礫の道が残された。穴の空いた壁から外気と日光が差し込む。そして、
「あーあ、全力で攻撃してくれたわね」
 軽薄なリインフォースの声が響いた。粉塵と日光の中から現れたその姿は、輪郭の歪んだ人ならざる容貌だ。
「――な…何や、アンタ……!?」
「ふふ、はがれちゃったわね」
 じゃあ仕方ないな、という“リインフォースだった者”は、僅かに残っていたその面影を振り払った。そうして現れるのは、金の長髪をした妖艶な戦闘機人。
「改めて自己紹介するわね。――私がナンバーズ2、ドゥーエよ」



小話メドレーその6『なのはとヴィヴィオの戦いを仮面ライダーブレイド風にしてみた、の図』

 轟音と閃光が響き、“聖王のゆりかご”を高町なのはの砲撃が貫いた。幾層の壁を抜いた先で砲撃はナンバーズ4、クアットロを撃ち抜いただろう。
「……ヴィヴィオ」
 最後に残された黒幕を倒し、なのはは眼前に立ち誇る少女を見た。黒の騎士甲冑にサイドポニーの姿は、レリックによって戦闘形態となった愛し子、ヴィヴィオだ。
「もう、戦う必要は無いんだよ? 悪い人はみんな捕まえたの、ヴィヴィオを戦わせてた人はいなくなったよ? だから、だからもう……」
 哀惜の声と表情、だがそれを遮ってヴィヴィオの攻撃がなのはに迫った。展開した障壁で受け止めるも、なのはの身が後方へと吹き飛ぶ。
「……ヴィヴィオ、何で……」
「駄目なの。ヴィヴィオの体は、もうどうにもならない。攻撃を受ける度にヴィヴィオは一匹の獣に戻り、戦う事しか考えられなくなる」
 答えるヴィヴィオの顔には悲哀がある。哀惜がある。涙がある。そして、なのはを食い殺そうとする狂気がある。
「そんなヴィヴィオを倒せるのは、……もうママだけなの!!」
 叫びが一室に木霊した。最早戻れないと、最早救えないと、闘うしかないという叫びが。
「――ナンバーズは全て倒した。…貴方で最後なの、聖王ヴィヴィオ!!!」
「――ヴィヴィオとママは、闘う事でしか解り合えない!!!」


101なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:48:07 ID:0mxqoxJb
小話メドレーその7『第一期の終盤でフェイトがなのはを助ける場面を仮面ライダーSPIRITS風にしてみた、の図』

「――なのは!!」
 ユーノの叫びになのはは迫る危機を知った。彼の拘束を破った傀儡兵の一体が迫って来たのだ。
「……!」
 鋭い爪がなのはに向けられ、生命の危機に思わず目を瞑った。その瞬間、
「――サンダー、レイジ!!」
 覚えのある声と共に雷光が降り注いだ。光の柱にも似たそれが傀儡兵を消炭にする。
 そして雷光を撃ち下ろした少女が、なのはが友でいたいと語り続けた相手が、なのはの側まで下りてくる。
「……フェイト、ちゃん」
「――ごめん、なのは。遅くなった」
 律儀に謝る黒装束の少女をなのはは一笑する。
「…ばぁか」
 親しげに語らう二人、だがその周囲を百に及ぶ傀儡兵が取り囲んだ。
「敵は多いね、なのは。……いや、大した事は無いか。今夜は私となのはで、ダブル魔法少女だからね」



小話メドレーその8『スカリエッティとナンバーズを仮面ライダーカブト風に登場させてみた、の図』

 公開意見陳述会が行われる地上本部、難攻不落の城へと膨大なガジェット達が迫った。
「……こ、のぉッ!!」
 スバルのリボルバーナックルがガジェットを破砕する。その周囲で仲間達も同様の成果を上げるが敵機の数は依然として膨大。
「なんなの、この数……? 一体どうしてこんなにガジェットが……」
 動揺に呟くスバル、その耳に硬質な足音が届いた。幾重の重なりは数人がこちらへと向かう音だ。
「……あれは!!」
 振り向いたスバルは5つの人影を見た。節々に装甲を備えたスーツを着た女性、それを左右に二人づつ引き連れて白衣の男が歩み寄って来た。
「じ、くぅ〜管理局の諸君っ! 今回はアインヘリヤルなどという詰まらない物を開発してくれたようだねぇ!?」
 狂気の笑みを見せるその男をスバルは知っている。
「――ジェイル、スカリエッティっ!!」
 スバルはマッハキャリバーを駆使、高速の接近を持って男を殴りつけようとした。だが、
「……ハっ」
 鼻で笑うスカリエッティ、その緩やかな動作がスバルの拳を避けた。
「はぁ―――ッ!!」
「―――!!?」
 そしてがら空きになったスバルの胴、そこへスカリエッティの拳が連打される―――ッ!
102なのは×終わクロ:2007/12/18(火) 20:52:25 ID:0mxqoxJb
で、投下終了。これらをひっくるめて『小話メドレー1st』っていう風にして連載ものにして頂きたい所存。
ちなみにBLACH風にしたその5とその6、クアットロとドゥーエの名前を当て嵌めたキャラと混ぜて、『ザエルクアットロ・グランツ』とか『ドゥーエドゥーエ・アルルエリ』とかしてみようかな、とか思った事があるのはここだけの話。

>>97
どーでもいい話だが、破面の居城にマユリ様が乗り込んで来た時、イメチェンなされた髪型を見て思わず「アミダラ女王!?」って叫んでしまったのは自分だけ?
103マスカレード:2007/12/18(火) 21:07:41 ID:X3TW9L0j
GJすぎます!
>俺とお前は、戦うことでしか分かり合えない!!
劇場版&最終話w
ダブルライダーに乃木までw
これは熱い!やたらめったら熱い!!
今ちょうど敵裸体を聴いてたからブレイド風でやたらとテンション上がりました!w
104Strikers May Cry:2007/12/18(火) 21:08:52 ID:EeJPholI
マスケレード氏、Strikers+仮面ライダー氏、終わクロ氏GJです。
しかしマスカレード氏、遂にシノブ伝クロスを投下してくれましたね、やっぱりSTSの方がおっぱい要員が多いから音速丸が良い味出しますね。

でも俺はA’sで行くぜ、シノブ伝クロスは続きをまた書きたいと思うのでまたそのうち投下したいと思います
105マスカレード:2007/12/18(火) 21:13:16 ID:X3TW9L0j
>>104
相手を気にせず飛び込めばいい訳ですからねw
私は一発で終わりですが、ニニンがなのは伝には期待してます!
106リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/18(火) 21:14:17 ID:5M49+++a
皆さん投下乙です!
http://upload.jpn.ph/img/u05113.jpg
このどこもやましいところなんかなさそうな聖王教会のシスターさんは俺のオゴリだっ!
107 ◆sP9nVRi1sI :2007/12/18(火) 21:16:02 ID:GiCliMt2
GJwww
BLACHネタがかなりツボった。そしてマユリ様はむしろ燃えだ。
……来週、華麗に逆襲される気がしないでもないが。

てかそれだとクアットロがガジェットをムシャムシャ喰って(ry
108名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:18:06 ID:maHtPNmP
すげえ勢いだ! このペースだと土曜日までに次スレ行きそうだな
109Strikers May Cry:2007/12/18(火) 21:19:29 ID:EeJPholI
ドゥーエ姉さま…刺されてえぜこんちくしょう!! 嗚呼レジアスの父っつあんと篭絡された司祭が羨ましいぜ!!
110名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:27:47 ID:5TP8xWYM
>>106
あ〜、こんなシスター相手ならコロッといきそうな自分がいる…。
にしても上手いですな。
111リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/18(火) 21:33:08 ID:5M49+++a
>>110
まあナンバーズスレから拾ってきた奴なんですけどね。
俺の絵の腕は(幸運星的な意味で)伝説の少女A並みですよ。
SS書きになろうと思ったのも去ること十三年前幼稚園のお絵かきの時間に自分が
絵という媒体に決定的に向いてない事を悟ったのが原因だったり。
112名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:50:14 ID:mPYB3boU
いきなりだが鬼武者とリリカルをクロスさせたら面白そうだな・・・。
113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:51:52 ID:kcOSIgjT
すでにリリカルスクリーム氏が実行している件
114Strikers May Cry:2007/12/18(火) 21:52:31 ID:EeJPholI
鬼武者クロスって書いた方がいますよ、ところで温めていたガングレイヴのクロスを投下してもいいでしょうか?
いい加減に投下しないとネタが俺の脳内で腐りそうなんで。
115リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 21:59:56 ID:FGYTCPkX
>マスカレード先輩
ああ、乃木の時のアレか…
アレは乃木の慢心が生み出した結果なので機転が利く剣崎に通用するかどうか…(手の内は知り尽くしてると思うし)
それに天道もハイパークロックアップで剣崎に勝っても嬉しくないと思います。
116リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 22:00:30 ID:FGYTCPkX
支援
117Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:03:05 ID:EeJPholI
それでは投下させていただきます、以前に投下した嘘予告に手を加えたもので今回は続かせることを前提に書いていきたいと思います。
ちなみにメインヒロインはノーヴェというツンデレ好きに優しい仕様となっております。
118Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:04:57 ID:EeJPholI
魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 第一話「ビヨンド・ザ・グレイヴ」

覚えているのは青い空…覚えているのは白い雲…覚えているのは……

それは彼の一番古い記憶、親友と見た蒼穹の空と純白の白い雲、悠久の眠りにつく死人にまた闘争の運命が近づいていた。

男の名はブランドン・ヒートと言った、彼は孤児として生まれ同じ境遇の親友と共に紆余曲折を経てマフィアとなった、親友・仲間・ボスそして全ての愛する者を守るためブランドンは銃を取り殺し屋へとその身を堕とした。
ブランドンと親友は組織の中で不動の地位を確立したが親友はそれでは満足しなかった、親友はボスを殺し自分が組織を支配しようとしたのだ、ボスを裏切れなかったブランドンは親友に殺されその短い生涯を閉じる。
しかし死者を兵器として蘇らせる技術ネクロライズ計画により死人兵士(しびとへいし)ビヨンド・ザ・グレイヴと成った彼は最愛の女性がボスとの間に生んだ少女を守り親友を倒し数多の戦いを駆け抜けた。
そして戦いを終えた彼は深き眠りの中に落ちた、二度と醒めない筈の深き眠りに。


太陽の光の届かない地下施設、違法なる科学者ジェイル・スカリエッティの研究所の一室で意識を闇に落としていた男は目を覚ました。
「おや、目を覚ましたのかね?」
声をかけたのは白衣を着込んだこの施設の主、ジェイル・スカリエッティ、対するは隻眼の死人兵士ビヨンド・ザ・グレイヴ。
「古びたコンテナに眠る君を発見してね、勝手かもしれないが修復と蘇生をさせてもらったよ…グレイヴでいいのかな?」
スカリエッティの言葉にグレイヴは険しい目つきで答える。
「ああ名前か、私はジェイル・スカリエッティだ一応は科学者のはしくれだよ、それと君の名前はコンテナの資料から知ったよ」

スカリエッティがそう言うと彼の作った戦闘機人たち、セイン・ノーヴェ・ウェンディといった元気のある面々がコンテナから発見された荷物を部屋へと運び込んだ。
「ドクタ〜これは何に使うんっすか〜?」
「ああ、それは彼の身体の血液を交換するために使う専用の椅子だよ」
「そんなモンが必要なのかよ、とんだ欠陥品だなそいつ」
「本人の前で失礼な事を言っちゃダメだよノーヴェ、セインお姉ちゃんおこるよ〜」
「うっせー、姉貴面すんな」
「う〜妹が反抗期だ〜今度チンク姉に言いつけてやる〜」
「それはヤメロ!」
そうやってグレイヴの前でナンバーズがやかましく微笑ましい会話を繰り広げる、表情こそ変わらないが彼の出していた殺気が引いたのをスカリエッティは感じた。
「彼女たちはナンバーズ、私の作った戦闘機人…つまり君と同じような人工的な処置を受けた人間だよ、もっとも君は既に死んだ人間のようだが」
「えっ…その人って死んでるんっすか…ちょっと恐いっす」
「厳密に言えばね、でもこうやって生きて動いているのだから、君たちとそう変わらないさ」
怯えるウェンディにそう言うとスカリエッティはグレイヴに向き直り彼に声をかけた。
「さて、それじゃあ必要な事はこの3人から聞いてくれたまえ、私は研究に戻るよ」
「マジかよ」
「別にいいじゃんノーヴェ、最近は暇だったんだからさ」
「そうっすよ、死人も幽霊も戦闘機人には恐くないっすよ」
「恐がってんのはお前だけだろうが」
スカリエッティはそう残してその場を去り、ノーヴェたちがグレイヴの下に集まる。
「あたしはナンバーズ6番のセインだよ♪よろしくねグレイヴ」
「…ノーヴェだ」
「あたしは11番ウェンディっすよ、とりあえず服を着るっすよ」

3人は自己紹介をしてグレイヴの十字架の刻まれたスーツを差し出した、彼は目覚めの血液交換の為に上半身裸の状態だった。
服を着たグレイヴは3人に施設内を案内され様々な場所を歩いた、そして自分が眠っていたというコンテナの下にたどり着いた。
「これがグレイヴのいたコンテナっすよ」
「すごいボロボロだね〜」
「ってかグレイヴっつたか、なんか喋れよ!最初っから一言も喋らねえじゃねえか」
「そう言わないっすよノーヴェ、きっと美少女だらけで緊張してるんっすよ」
そんな3人を置いてグレイヴはコンテナ内部を見た、最後の自分の記憶では仲間である十二やビリーと共に戦いを終え、“ミカ”に見守られて眠りについた筈だった。
「あっそうだ、グレイヴ、あたしこれをコンテナの中で見つけたっすよ、たぶんグレイヴ宛っすよ」
ウェンディはそう言うと古びた手紙をグレイヴに差し出した。
彼はその手紙を丁寧に開き、読み始める……そして最初の目覚めから一切の感情を見せなかった表情を悲しみに曇らせ、頬に一筋の雫を零す。
119 ◆sP9nVRi1sI :2007/12/18(火) 22:05:40 ID:GiCliMt2
支援

>>115
『フリーズを連続使用できない』という欠点を見抜いた天道の慧眼と見るのはどうでしょ?
AP切れ→上級で補給の隙を突くのが良いですかね?
120Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:07:30 ID:EeJPholI
「どうしたっすか!?どこか痛いっすか?」
「どっか痛いならドクター呼ぶか?」
「グレイヴ〜大丈夫?」
たった一滴の涙だったが、表情を表に出さない彼が発露するその感情の重さを語っていた。
グレイヴは自分を心配する3人の少女を見て優しく微笑み、かつて自分のファミリー“ミカ”にしたように、そっとその頭を撫でた。
「うわっ、いきなり何するの?まあ悪くないけど…」
「勝手に撫でんなよ…」
「セインとノーヴェずるいっすよ〜その後はあたしっすよ!グレイヴ〜」
地下の薄暗い施設に温かい空気が流れ、微笑ましい笑い声が響いた。

それはグレイヴへ宛てられた古びた手紙、送り主は最愛のファミリー(家族)、かつて愛した女性と忠誠を誓ったボスとの間に生まれた彼の相棒の一人の少女が残した最後のメッセージであった。


グレイヴへ。
あなたがこの手紙を読んでいる時、私はきっともう、この世には居ません。
専門医の先生からは後半年の命だと言われました、最後まであなたの傍に居られなくてごめんなさい。
最近は昔の記憶ばかり思い出します、スパイクや屍さんビリーさん、そしてグレイヴと一緒に駆け回ったあの時のことを…
きっと私が死んだらあなたは悲しんで泣いてくれるねグレイヴ、でも私はあなたや皆に会えて本当に嬉しかったから、これだけは忘れないで。
この先あなたが安らかに眠り続けてくれるのを祈ります。

でも目を覚ましたらあなたは、また誰かを守ろうと助けようとするよね、私はそんなあなたが大好きだから、そんな時はその人を守ってあげて。
それじゃあ、ありがとう、さようなら…愛しています。

浅葱ミカ。


スカリエッティの地下施設で今日も3バカ(セイン、ノーヴェ、ウェンディ)が騒ぐ。
「うわ〜ん。グレイヴ〜またノーヴェがいじめるよ〜助けて〜」
「いじめるっす〜」
「ウソ言ってんじゃねえコラ! てめえらがあたしのプリン食ったんだろうが!!」
「だっておいしそうだったんだもん」
「“だもん”じゃねえ!!」
「ノーヴェは心が狭いっすよ〜」
「あんだとお!!」
作業用のツナギを着てスカリエッティが実験に使う器具を一人で運んでいたグレイヴの周りにやって来た3人はいつものドタバタ騒ぎを起こす、グレイヴは運んでいた荷物を床に置いて暴れるノーヴェの頭を撫でた。
「なんだよ…子供扱いすんなよ。」
顔を赤らめて不満そうな声を出すノーヴェにグレイヴはポケットから飴を出して渡した、最近彼はナンバーズのこういったケンカの仲裁用に何かお菓子を持ち歩くようにしていたのだ。
「ずるいっす〜あたしも欲しいっすよ〜」
「あたしも〜」
「うっせえ! あたしのプリン食ったんだからこれはあたしんだ!」
そう言って3人はまたグレイヴの下から駆けて行った、やれやれと小さくため息をつくグレイヴに小柄な影が近づく。

「すまないなグレイヴ、妹達が迷惑をかけて。姉からあやまっておこう、それといつも面倒を見てくれてありがとう」
銀髪隻眼の小さな戦闘機人ナンバーズ5番チンクである、手のかかる妹達の面倒を見てくれるグレイヴに今日も彼女は礼を言った。
グレイヴは膝を突きチンクの頭を撫でた、かなり身長差のある彼がチンクを撫でる時は自然と膝を突かねばならないからだ。
「……グレイヴ。さすがに姉にこれは恥ずかしいのだが」
チンクは恥ずかしそうにするがグレイヴはこれに静かに微笑んで返した、ネクロライズ技術により生ける屍として兵器と成った彼はあまり口を開かない、故にこうやって彼女達の頭を撫でるのは彼なりの返事だった。

こうしてグレイヴはスカリエッティの下で色々と雑用を行いながらナンバーズの面倒を見て静かに暮らす、かつての血と硝煙に塗れた日々を忘れるかのように……しかしそんな日々は長くは続かない。


その日ノーヴェ以下いつものメンツ3人がレリックの回収として実戦経験習得のために出動したのだが予想以上の敵戦力、時空管理局の魔道師との戦いに苦戦を強いられているようだった。
救援を求める通信が入るも戦闘可能なナンバーズは他の任務に出動か調整中、ルーテシア一行も救援には来れないという状況。
121Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:11:10 ID:EeJPholI
その話をウーノから聞いたグレイヴは彼のコンテナ内にあった二度と使いはしないと思っていた“得物”を取りにスカリエッティのラボに向かった。

スカリエッティのラボのドアが乱暴に蹴破られグレイヴが姿を現す、彼の目はノーヴェ達を戦場に送ったスカリエッティに怒りの視線を投げかけると同時に自分の“得物”を探す。
「君か…来ると思ったよ」
スカリエッティは視線をその場に置かれていたグレイヴの得物である武器の詰まった棺桶“デス・ホーラー”へと移して説明を始めた。
「この棺を取りにきたんだろう? 弾は全弾非殺傷設定のものを込めておいたよ、転送の準備も整っているから救援に行きたければ行ってくれたまえ」
スカリエッティは転移魔法陣を指差し武器の説明を入れた、そんな彼をグレイヴは怒気を込めた目で睨みながら上腕に鎖でデス・ホーラーを固定して戦闘準備をする。
「おいおい…そんな目で見ないでくれ、彼女達は危険を承知で行っているんだから」
背に棺桶を背負うとグレイヴは転移魔法陣に向かって歩き出す、そんな彼にスカリエッティはふと質問を投げかけた。
「しかし君は良いのかね? 時空管理局とはこの管理世界の秩序そのもの、世界を全て敵に回すようなものなんだよ?」
グレイヴはその質問に銃弾で答えた、デス・ホーラーから抜かれた巨大な二丁銃“ケルベロス”が火を噴き純魔力ダメージ弾頭がスカリエッティの頬をかすめた。
「キツイ返事だねえ、随分と嫌われたものだ…」
かつて国家を動かす程に巨大な組織と二度も渡り合いそして壊滅させた最強の死人兵士が再び戦場に舞い戻る。

「ちっきしょう! なんでこんな時にセインがやられてんだよ!!」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないすっよ!!」
ノーヴェとウェンディはコンクリートの壁を遮蔽物に管理局の魔道士の放つ射撃魔法を凌ぎながら応戦していた。
本来ならセインの能力ディープダイバーでレリックコアを回収した時点で離脱しているのだが、運悪くセインが敵の撃った射撃魔法を受けて昏倒してしまったのだ。
救援も期待できない状態で二人は気を失ったセインを連れて局の魔道師から逃げねばならなくなった。
「もうすぐガジェットの応援が来るみたいっすよ!」
固有武装ライディングボードからの砲撃で弾幕を張るウェンディが同じく自身の装備ガンナックルから射撃攻撃を撃ち続けるノーヴェに叫ぶ。
「あんな鉄屑どもが来てどうなんだよ! とにかくチャンスはそん時しかねえぞ、ガジェットがあいつらと交戦始めたらすぐにトンズラだ!!」
ガジェットの応援程度では心もとない程に敵の数は多かったが今のノーヴェ達が離脱するには最後のチャンスだった、そして駆けつけたガジェットの中の一機、飛行特化のU型の上に見慣れた男が立っているのを二人は見た。

その男は背中に十字架を刻まれた黒いスーツを着て両手に巨大な拳銃を持ち上腕に巻いた鎖で棺桶のような物を背負っていた。
両の手の銃はケルベロス常人には扱えぬ死人兵士用の巨大銃、背負った棺桶は彼の為に作られた武器を満載した棺桶デス・ホーラー内部に過剰なほどに火器の内臓された棺だった。
その男グレイヴはかつて使った武器の数々を引っさげて、上空を通り過ぎたU型ガジェットから飛び降り管理局の魔道師の只中に着地した。
「うわあ! なんだこいつ…」
「動くな! 我々は管理局の…」
口々に叫ぶ局の魔道師だったが彼らがその言葉を言い切ることは無かった、次の瞬間には彼ら全員はグレイヴが超高速で乱射した二丁銃ケルベロスの銃弾を受けて倒れたからだ。
100人は下らない数の管理局の魔道師が一切の反撃を許されずに倒れた、空中に棺を放って完全に自由になった両腕でケルベロスの銃弾を嵐のように撃ち出す技“Executioner’s Blood”この魔技を逃れられる者などいないのだ。
かつて死神とまで言われた最強の死人兵士が再びその手に銃を持ち、新たなファミリー(家族)の為に再び戦場に舞い降りた。

「グレイヴ…なんでここに来てんだよ? べ、別にお前の助けなんてなくたってあたしらだけで何とかしったっつーの…」
いつもの優しい様が嘘のような凄まじい戦いを見せるグレイヴにいささか狼狽しながらノーヴェが口を開く。
「なんでノーヴェは素直になれないっすかね〜。ありがとっすよグレイヴ♪ あたしから素直じゃないノーヴェの分もお礼を言っとくっす」
「つまんねえこと言ってんじゃねえ!」
二人はいつものように軽くじゃれあう、その様子に少し微笑むグレイヴだが気を失ってライディングボードに乗せられたセインに心配そうな目を向けた。
122Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:12:15 ID:EeJPholI
「あ…セインなら大丈夫っすよ。射撃魔法の魔力ダメージで気を失ってるだけっす」
セインを心配そうな目で見るグレイヴにウェンディはそう答えて彼を安心させた、その時彼らにスカリエッティから通信が入る。
『あ〜やっと通信が入ったよ。全員大丈夫かね?』
「ドクター遅いっすよ〜」
「そうだよ。何やってんだよまったく…」
『そう言わないでくれ、これでも局の通信妨害が酷いんだよ。ウーノが調整中なんだからしかたないだろ? それに心強い味方が来たじゃないか』
スカリエッティの通信に文句を言う二人をやれやれと見るグレイヴだったが首筋に感じた寒気、第六感を刺激する感覚に目を遠方に向ける。
『おや、管理局の増援のようだね。これはこれは…機動六課の皆様方みたいだよ』
「マジっすか!? 早く逃げるっすよ〜」
「そうだな。おいグレイヴ早くしようぜ!」
ノーヴェがグレイヴに声をかけた瞬間、グレイヴは手のケルベロスを構え銃火と共に弾頭をはるか遠方に撃ち出した。

「きゃああ!!」
眉間に魔力ダメージ設定の弾丸を受けて少女ティアナ・ランスターは倒れた、遠距離からの狙撃弾で敵を無力化しようとした彼女だったが、敵は幻術でカモフラージュする彼女に先に撃ち倒したのだ。
「ティア!」
相棒であるスバルが思わず声をかけたが既にティアナの意識は深い闇の底に落ちていた、少なくとも1時間は意識を取り戻さないだろう。
「スバル! ティアナは他のみんなにまかせて先に敵を叩くよ!」
「わ、分かりました」
スターズ分隊隊長、高町なのはの声にスバルはティアナを他の隊員に預けなのはと共に犯人を制圧せんと駆けた。

「敵さんが来ちゃったみたいっすね…」
「ちっきしょう…もう来やがったのかよ。こうなったら全員で応戦して逃げ道作るぞ!」
早すぎる敵の来襲に決死の覚悟で交戦の意気を高めるノーヴェとウェンディの頭を大きな手が優しく撫でた。
「ちょグレイヴ何するっすか〜」
「な、なんだよ」
グレイヴは優しい微笑みを見せてから、戦意を宿した鋭い眼光を二人に投げかけたそれは二人が見る初めての彼の本気の顔、決して揺るがない意思を持つ戦士の顔だった。

「…ノーヴェ、ウェンディ」
そしてグレイヴはこの世界で初めて口を開く、静かに澄んだそして熱い心を宿した言葉と瞳で彼は二人に語りかけた。
「…二人は逃げろ。俺が食い止める」
「なっ! グレイヴを置いて行けないっすよ!」
「そうだよ誰が置いてくかってんだ!…それに喋れるなら早く言えよ」
反論する二人にグレイヴは鋭い眼光を浴びせて黙らせたその目は一切の妥協を許さない意思を持っていた、二人はそれ以上口出しできず結局グレイヴを残して脱出することとなる。
『大丈夫だよ二人とも。今ガジェットの大部隊とルーテシア達の準備を整えているからね、彼だけならルーテシアの遠隔転送で後から回収可能だ』
「…わかったよ。いいかグレイヴ! 絶対帰れよ約束だかんな!!」
「…ああ」
静かに答えるグレイヴにノーヴェが寂しそうな瞳を向ける、二人を乗せてウェンディのライディングボードが飛び去った。
『さてグレイヴ君、君の棺のエネルギーチャージはもう済んでいるだろう? 思う存分に使ってくれたまえ!』
インカム越しに響く耳障りなスカリエッティの管制を受けながらグレイヴは近づいた気配に二丁の巨銃を向けて銃火の花を咲かせた。

「くっ! なんて弾幕なの!」
高町なのはが思わず呻く、彼女を含めた機動六課の隊員達を迎えたのは背に棺を担ぎ雨のように銃弾を吐き出す二丁の銃を操る黒衣の男だった。
誘導弾を牽制として大量に撃ち出すもその全てが銃弾に叩き落されるのだった、そして接近戦に持ち込もうとしたスバルがウイングロードを駆けて腕の鉄拳を振るった。
「喰らえええ!!」
大きく振りかぶって出されたスバルの鉄拳を黒衣の男グレイヴは背の棺で難なく防ぐ、相応の威力を誇るスバルの拳を微動だにせず受け止めさらに力任せにスバルを棺桶で吹き飛ばす。
「きゃああ!!」
「スバル!」
グレイヴはスバルに駆け寄るなのはに容赦なくケルベロスの銃弾を撃ち出す、なのはは防御障壁を展開しながらスバルを助けに向かう、そしてなのはに追撃を続けるグレイヴに紅い騎士が踊りかかった。
「こっちだデカブツ! ラケーテンハンマー!!」
123Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:12:47 ID:EeJPholI
スターズ分隊副隊長ヴィータが手にしたデバイス、グラーファイゼンの強烈な一撃をグレイヴに振るう、さしものグレイヴも吹き飛ばされ瓦礫と土煙の中に埋もれる。

「大丈夫かなのは!」
「大丈夫だよ、スバルは一旦下がらせたし。それよりあの人大丈夫かな。ヴィータちゃんちょっとやりすぎじゃあ」
「なに言ってんだよ! これくらいまだ手加減したくらい…」
そんな会話を続ける二人の前で瓦礫を蹴り飛ばし立ち込める煙を割って手に二丁の巨銃を背に棺を持った死神が這い上がる。
「嘘だろ…」
「まさかあの一撃を防御障壁なしで…」
グレイヴは驚くなのは達に再び手の二丁銃を向ける、デバイスを構えて応戦の準備をする二人がそれぞれに口を開いた。
「待って下さい! なんであなたはこんな事をするんですか? 戦闘機人…彼女達が何をしているか分かっているんですか!?」
「お前も戦闘機人なのか!? なんか訳があんのか!? もし何か理由があるんなら管理局はちゃんと話しを聞く!」
なのは達の言葉にグレイヴは手の巨銃を棺にしまった、その行動に二人は顔を緩めるが彼の行為は別に降伏の合図などではなかった。
「…守る」
「えっ?」
「…俺はファミリー(家族)を守る」
グレイヴは静かな声と共に背の棺桶を肩に担いだそれはエネルギーをチャージの終わったデス・ホーラーの大技、大型のロケットランチャーを正面に撃ち出す“Death Blow”だった。
ランチャーが迫りなのはとヴィータは慌てて防御障壁を張りその攻撃を防いだ、軋む障壁でなんとか防ぎきり爆炎の晴れた二人の視界からはもう既に男は消えていた。

続く。
124Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:19:58 ID:EeJPholI
用語解説。

「死人兵士」
文字道理に死んだ人間を兵器として改造する技術、蘇らせるというより不死身の化け物に死者を変える技術なので他の死人兵士は大抵は感情など持たない、グレイヴの場合は彼を改造したDrトキオカのおかげなのか感情や人間性がある。

「ケルベロス」
全長600mm 口径15mm の化け物二丁拳銃(拳銃?)これと比べるとアーカードのジャッカルが子供に見えるくらいデカイ、グレイヴの基本装備であり彼は普通にこれで10万発くらい撃つ。

「デスホーラー」
グレイヴの背負ってる棺桶、内部に機関銃・バルカン・ロケットランチャー・マイクロミサイル・ツインキャノンと火器満載の男のロマン、常人なら持つこともできないと思われる。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:21:16 ID:eoeYxaoe
GJ!
やっぱこういうダーティヒーローはいいわあ。
126Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:23:33 ID:EeJPholI
投下終了です、次回以降に原作ゲームのキャラを出そうか迷ってます。
ガングレイヴってあんまり知ってる人がいないみたいなんで(少なくとも俺の友人は皆知らない)どうしましょうかねえ…このままグレイヴ一本で行くかな。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:28:56 ID:32SAjBMX
>>126
通りすがりながら一言。
Strikers May Cryの続きも見たいです。並立は厳しいですか?
128名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:30:26 ID:F+xFO1+4
>>117
いつも思うのですが改行時以外殆ど。を使わないのはこだわりか何かですか?
正直、と。の使い分けが出来ていないと言わざるを得ない。
〜した。とか、〜する。
とかの時にも、ですし。
一度見直す癖をつける事をおすすめします。
まずは、と。のどちらを使うかを考えて見たらいかがでしょう
129Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:31:44 ID:EeJPholI
今現在執筆中でございます、っていうかもうすぐ出来そう(?)なんで明日あたりには投下したいと思ってます。
しかしバージル兄さんもデレ化して、グレイヴは基本的にデレの人だし…ツン成分が足りねえ。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:32:13 ID:UIvYHfyd
投下乙!
ガングレイヴのアニメは知っているがゲームの方は知りませんorz
グレイヴにはこのままファミリーを守ってほしいな。
131Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:34:05 ID:EeJPholI
ぬお!! まったく意識せずに書いてたかも……ちゃんと確認してから投下するべきだな俺。
このような指摘をありがとうございます、言われなかったら気づかなかった…
132名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:39:03 ID:F+xFO1+4
>>131
いえいえ。偉そうにどうもすいません。
ただ、『。』が入るべきところに『、』が入ってしまい、その分本来『、』が必要なところに入ってないせいでやたらに読みにくいんですね。
あなたの書くストーリー展開は非常に好み(ていうかこのスレで一番好きかも)なので、まことに勝手ながら勿体ないなぁと思った次第でございます。
133Strikers May Cry:2007/12/18(火) 22:45:39 ID:EeJPholI
俺の場合はストーリー書くに当たって何の知識も無く(最初は文書コピーの方法も知らなかったな…)ただ衝動をキーボードに叩く付けてるだけなのでこのような指摘は大変ありがたいです。
もしこの先なんか変な所があったらまた指摘していただきたいですよ。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:50:25 ID:eoeYxaoe
>>133
じゃあ、言っちゃうけど一行一行が長いと思う。
適度なところで改行したらいいのでは?
135名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:50:44 ID:SZyrmJ9h
最高!!!GJです!!!
グレイブはこうでないと!!!
アニメしか知りませんけどすっごいらしくかかれててよかったです!
136名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:56:37 ID:SyxUne49
>>134
ディスプレイ何インチで専プラ何使ってる?
横幅小さいと変な所で改行されるから人によると思うよ。
俺は丁度良いんだけど。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:59:12 ID:hkxzfjq6
GJ!!ノーヴェのツンデレ、なんて素晴らしい・・・そして武装をすでに改造済みのスカ博士の手の早さに
にんまり。トーレやクアットロの頭もなでるのか気になるところ。そして、瞬殺されたタティアナさんに
合唱w グレイヴの早撃ちと命中率は異常だぜ。ディエチは狙撃を習うべきですね。
原作キャラ・・・ストームレイダーの代わりにボブコプターが納品されるのですね。
グレイヴはなのはとは種類の違う射撃を極めた達人なので隊長陣たちとの戦闘が楽しみです。
地上本部でバルカンを使用した必殺技に期待。
長々と失礼しました。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:00:28 ID:F+xFO1+4
>>136
同意
私にも丁度いいくらいだ
139リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/18(火) 23:00:33 ID:FGYTCPkX
メイクライさんGJ

>>119
ブレイドが通常字の時はその手が通用するけどキングになるとAPが実質的無限なんで隙ができるかどうかも怪しくなっちゃうんです。
そもそもカブトはブレイドと相性が悪いと僕は思うのですよ。
ブレイドの防御力は通常持でも120tの攻撃に耐えるので最高攻撃力30tのカブトにこの差が埋められるかどうか考えてみるとどう見てもカブトが不利にならざるをえないんです。

カブトのライダーキックの設定にある「原子崩壊」なら防御力は関係なくなるかもしれませんがそもそも本編で「原子崩壊」してるような描写が一つもなかったんで結局は当てにならず…(ファイズのクリムゾンスマッシュも同様)

まぁ分かりにくいなんて初代からの伝統であり長s(ry
140 ◆sP9nVRi1sI :2007/12/18(火) 23:01:43 ID:GiCliMt2
>>133
未だに脳内プロットとメモ帳以外使ってませんが自分。
……ガングレイヴ全く知らないんだが、武装類は画・内藤泰宏で脳内再生されたw
141名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:09:43 ID:eoeYxaoe
>>136
専プラwww
OpenJaneDueαだよwwwディスプレイは23インチ。
142 ◆sP9nVRi1sI :2007/12/18(火) 23:17:27 ID:GiCliMt2
>>139
平成ライダー最強スレで言われていた、三強の均衡ですな。
・超攻撃力とかなりの防御力があるが、時間操作を戦闘に使えないオーディン。
・ハイパークロックアップの高速性は圧倒的だが、攻撃力、防御力があまりに低いハイパーカブト。マキシマム〜も設定値の低さがあだに。
・時間操作や瞬間強化、加速など小技を揃え、凄まじい防御力に加えて『カタログスペックが当てにならない』という特性を持つが、命中させられる大威力攻撃のないブレイドキングフォーム。
個人的には(変身前提なら)キングフォームが最強だと思うのですがどうか。そもそも攻撃が効かない可能性まであるという……

そこで、『フォトンブラッドは本質的に生物である剣(アギト、クウガ)ライダーに効果大』と考えて、
・SB社製のライダーシステムは基本スペックのと物理逸脱性の低さ故に最弱だが、同時に最強を倒し得る可能性を持っている。
みたいな均衡を―――かなり話が逸れました長文orz
143名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:19:21 ID:Bbd1BZWT
Jane Style Doeを
2chを良く使うようになってから、IE(というよりスレイプニル)だと満足に2chの速度にお気に入りが追いつけなくなってから仕方なく。
たまたま拾ったのが大当たりだったらしくて、最終的に2chにどっぷりと・・・
144Strikers May Cry:2007/12/18(火) 23:19:43 ID:EeJPholI
ラジャー了解がってんだ、今度から改行をこまめに入れてみます。
145名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:27:24 ID:SyxUne49
>>141
23であの文章長く感じるか?
俺、24.1でかちゅだけど設定で板名表示されるサイドバーなくすと、あの文章丁度な感じだが。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:27:26 ID:zGdazLiA
>>142
マキシマム系って設定値あったの?
児童誌のタイフーンが山を切り崩し、サイクロンが直径200kmの隕石を破壊するしか見たことないけど。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:30:18 ID:cBzh5G+I
センターヘッドも、出して欲しいだが
無理だよな
148名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:34:25 ID:Bbd1BZWT
忘れてたorz解像度は(1024X768)X2(片方がノートの、片方が昔から使っている性能の低いデスクトップが使っていた液晶のをの二画面設定
ブラウザと専ブラが別々で表示されるから便利で仕方が無い

・・・メモリ食うけどな・・・
149Strikers May Cry:2007/12/18(火) 23:39:04 ID:EeJPholI
センターヘッドとファンゴラム萌えの俺としては是非とも登場させたいんだけど、ゲームの内容を知らない人に悪いかなと思って登場は思案中です。
もうこうなったら全部出しちゃおうか!…とも思ったりするんですが。
150名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:05:55 ID:1XhR6EKc
>>140
>画・内藤泰宏

ドンピシャ
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:11:01 ID:aEVfcqo/
>>140
かんたんなキャラ紹介してからならガングレイブ
知らない人でも大丈夫かもしれない
152名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:20:22 ID:AceTzSp2
>>102
亀レスですがGJ!
153名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:35:04 ID:s7TC8aPY
GJ!ガングレイブは知りませんが出してもいいかと。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:42:13 ID:o74af/KE
>>137
ボブコプターに六課の皆が乗ってるの想像してウォーケンさんの抹茶フイタw
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:44:18 ID:XSTwhma/
>>149
なぜだろう、ガン・グレイヴキャラが増えるのはうれしいことなのに
このままグレイヴだけというのも捨てきれないです。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:44:21 ID:lAjrm8VF
ガングレはアニメ版の終盤で泣けた・・・

よし、レガートとミッドパレイもだしてくれ
157名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 00:45:16 ID:DdC0aHu7
ガングレイヴか…最後のエイリアンの意味が未だに解らない。
158874:2007/12/19(水) 00:50:28 ID:ndX+fTdh
>>リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー氏
>本編で「原子崩壊」してるような描写が一つもなかった
あれは、劇中でライダーキック炸裂→爆発=原子崩壊して消滅って描写なんだと思います。
ライダー同士に必殺技使って変身解除程度で済んでるのは、互いにタキオン粒子を自在に使える関係(相殺)とか、
ライダーの装甲「ヒヒイロノカネ」の特性かなんかだと俺は勝手に解釈してますが。

>>146
多分、マキシマムライダーパワー発動時のライダーキックの事を説明してるんだと思う。
ハイパーキック…30t

ハイパーサイクロンは劇中で、ワームの大軍勢を一撃で消滅させてたね。

そういえば、カブトって『ライダー史上最強の仮面ライダー』って宣伝してたけど、
基本スペック自体は、一応「最弱ライダー」の電王より劣ってるんだよね。
159名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 01:04:54 ID:s7TC8aPY
アレは、基本スペックだけでなく、本人の実力とタキオン粒子などのことをあわせて言ってると思う。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 02:15:47 ID:NZxai84o
>>159
タキオン粒子とハイパークロックアップが鬼畜過ぎだからなぁ
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 03:20:02 ID:ArLdQxgx
>>149
>ファンゴラム
ぜひ出していただきたいのですが、O.D.とアニメ版だと原作版との繋がりはないんだよな…
原作リーやウォーケンのキチガイオーバーキルフォーム大好きだったのに。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 05:40:46 ID:Om9oPX/t
アレが最強になれるのは一部の製作スタッフの脳内と番組内だけ。
実際に戦わせりゃライナーフォームの電車斬りで虫取り棒ごと斬られて即退場w
163リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 09:26:04 ID:0fU7IKJu
亀ながら職人さんたちGJです!
とりあえずガングレイブ見てくるよ!

>>162
つ「クロックアップ」
というか雑談向きの話題、というかライダースレでもしょっちゅう荒れる話題だから注意だぜw
164リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/19(水) 09:48:35 ID:6JEUhWN0
>>158
カブトがライダー史上最強ならRXはライダー史上最凶でおk?

>>162
良太郎は戦闘技術が低すぎるんですよね。いつもイマジンに苦戦してますし。
モモ達のアシストがあるにしてもアシストだけで勝てるほどカブトは甘くないと思うです…
まぁこの話題はこれ以降は雑談で…
165リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/19(水) 09:53:51 ID:L9Ax+WRU
その人が一番強いと思うライダーが一番強いでいいんじゃないですか?
どれが一番強いかなんて議論すること自体無駄だと思うんですが。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 11:25:36 ID:xirav95x
てか設定的に考えたらブレイドだとライダーの必殺技は同じライダーに全く通用しないことになるぜ。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 12:35:06 ID:U/cbiDpz
まあ、その…なんだ……もう止めようぜ。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 13:12:41 ID:ql2egjzM
やるならウロススレ行こうぜ
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 15:52:29 ID:00BVYQDk
もうなのはvsライダー建てるから
サロンに有ったの3週間1000になってるし
170名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 16:17:48 ID:Om9oPX/t
その方がいいかもね
カブトマンセーSSなんて読みたくないし
171リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/12/19(水) 16:32:16 ID:L9Ax+WRU
>>170
なのはvsライダーのスレってのSS投下スレじゃないし
カブトに限らずなのは側だけが一方的に貶められてたり踏み台にされてるSSなんて
このスレにはいまのところ存在しませんね。
172名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 16:46:07 ID:03wRoDEZ
投下時以外に意味なくコテ付けるやつばっかのスレ=厨房揃い
173名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 16:58:44 ID:NZxai84o
>>172
そう思うならお前がこなければいい。
このスレは前からこれで回ってるんだ
174名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 17:08:59 ID:a7CyCals
これだからライダー厨は・・・
175名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 17:16:00 ID:03wRoDEZ
お前がこなければいい。 (笑)
176名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 17:22:36 ID:L9Ax+WRU
>(笑)
いまどきこんなカビが生えた二十年前の煽り文句使ってる奴が居たんだ。
さむっ。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 17:24:25 ID:NZxai84o
>>176
落ち着いてください。
煽り、荒らしはスルーで行きましょう。
178名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 17:28:33 ID:Q6vBEhqR
そうだな。
今まで通りスルーでいこうや。
だが、俺はコテハンOKと言っておく。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 17:33:17 ID:03wRoDEZ
スルー出来てないやつが言ってもねぇ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 17:52:55 ID:IJsDqkQU
今日は誰が投降してくるか楽しみだ♪
181名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 18:00:22 ID:ZMxhAdxZ
正伝氏の消息がまた・・・生きてるのかなあの人って
182名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 18:18:19 ID:Lfmt8ahu
ここで、なのはさんから一言↓
183名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 18:20:55 ID:JDmv7SSz
痛くなければ覚えませぬ
184リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 18:33:03 ID:0fU7IKJu
空気を読まない男の出番と聞いてやってきました

・・・23時ぐらいまで待ってくれ
185反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 18:45:41 ID:h4nMq+83
sts10話以降を全く見てなかったことを思い出し、
急遽DVDをレンタルしてきて視聴しながら片翼5話執筆中。
待ってろみんな! ぶっつけ本番だが、8時までには書き上げてみせるぜ!
186名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 18:52:25 ID:JDmv7SSz
>>184-185
お美事にござりまする
187Strikers May Cry:2007/12/19(水) 18:54:48 ID:YDV0It+O
それでは俺は9時までにデビルメイクライ3クロスを書こう。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 19:03:07 ID:qIktgjg8
カブト不評ですね
やはり主人公の性格が問題なんだろうか・・・?
189名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 19:05:09 ID:rAV3SdJK
パーフェクトだ>>185 >>187
190リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 19:05:28 ID:0fU7IKJu
>>188
間違いなく荒らしだから華麗にスルーする時だぜ!
反応するたびに快感を感じる奴らだからなっ!
191名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 19:57:43 ID:2qZuwS4s
>>181
クリスマスには姿を見せてくれると予想
「嫌だね」
「あ、逃げるんだ」
「誰が逃げるか」
こんな感じでw
192名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 20:37:23 ID:5CsZSAwH
カブトの必殺技がマキシマムハイパーサイクロンマキシマムバスタータイフォーンだったら最強を名乗る事を疑問に思う人はかなり減ったろうにね
193反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:38:06 ID:h4nMq+83
いやはや、ちょっとだけ遅くなりました。申し訳ない。
では片翼5話、投下してもおk?
194片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:39:47 ID:h4nMq+83
魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使

第5話「初陣、そして再会」

ツーオンワンの模擬戦終了から2週間。
その間に、セフィロスの様子に、少しだけ変化が見られた。
一人称が変わったのだ。
元々セフィロスは、自分のことを「私」と呼んでいたが、それがある時突然、「俺」に変わったのだった。
かといって、他の要素が変わったわけではない。相変わらず愛想も悪いままだ。
これには一体どういう意味があるのかと疑問に思い、六課隊長格+はやて・リイン・シャマルは、
朝食時に食堂にて緊急(井戸端)会議を開くことになった。
「そもそも、そうなったのは正確にはいつからなの?」
まだ「俺」セフィロスと話したことのないシャマルが、皆に問いかける。
「私とフェイトちゃんが気付いたのは模擬戦の次の日の早朝訓練からかな」
「ちょっと驚いたよね…いきなり変わったんだもの」
フェイトの言葉に、なのはがうんうんと頷く。
「私は寝る直前に少し話す機会があったのだが、その時には既に『俺』だった」
とはシグナムの証言。
「となると、私と話した直後からってことやね…私が話した10時頃は、まだ『私』やったもん」
はやての証言により、大体の時期は確定した。
そしてそれを確認したなのはが切り出す。
「じゃあ、本題に入るけど…」
何故、呼び方が変わったのか。
「今までがいわゆる厨二病だったんじゃねーの?」
「でもなぁヴィータ、他の口調に全く変化あらへんから、残念やけどそれはないやろ?」
「そっか…」
真っ先に口を開いたヴィータだったが、速攻で否定されて少々残念そうな顔をする。
「かしこまった名乗り方をやめたってことは…心を開いてくれたってことじゃないかな?」
次に意見を述べたのはフェイトだ。
「それならもう少し愛想もよくなると思うが」
が、それもシグナムに否定される。
結局なかなかそれらしい答えも出ず、7人でああでもないこうでもないと唸るのだった。
「むむ〜…分からないですー」
「というか私達、何で真剣に話し込んでるんだろう…」
195片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:41:03 ID:h4nMq+83
「…どうも俺は干されているような気がする」
朝食タイムが終わった後、渦中の人・セフィロスは、ロビーでパチンと音を立てながらそう呟いた。
「顔がいいのだから、そう年寄り臭い言葉を使うな」
似合わないぞ、と向かいの席にお座りしているザフィーラが言った。
「実年齢は、お前の設定年齢とそう変わらん」
言って、セフィロスが駒を進める。
ザフィーラもそれに応じ、鼻を使って器用に駒を押した。
はやてに言われたように少々リラックスしてみたセフィロスだったが、星やジェノバの件を置いておいた途端、
他のことにも気が回るようになり、結果現状にある不満を持つようになった。
この六課に入ってからそこそこ経つが、彼は未だに出撃したことがない。
ホテル・アグスタの作戦の際は「守りが手薄になる六課防衛のため」に留守番を命じられ、
先日の海上戦では「偵察目当ての可能性がある以上、敵に情報を渡すことになりかねないため」出撃待機。
おまけに今日は休暇とされてしまった。既に新人達は街へ繰り出している。
自分に似た声の奴に週休6日を至上主義とする半悪魔がいると聞いたが、これではそれどころか週休7日だ。
「…洒落にならんぞ」
駒を進めながら、セフィロスが悪態をついた。
「頼りにされているのだからまだいいだろう。私などは真のニートだぞ」
苦笑混じりにザフィーラが言った。
彼は常に個人の判断ではやてを守れるようにと、管理局入りの話を蹴っている。
組織の一部となると色々と制約も多いため、そういう形を希望したのだ。故に、魔導師ランクも設定されていない。
「そう言えば…お前の実力は大体どの程度なんだ」
ザフィーラの話を聞いて、ふと思い出したようにセフィロスが問う。
「推定AAだそうだ」
「ヴィータよりも下なのか」
若干意外そうにセフィロスが言う。
設定年齢8歳の幼女よりも弱い狼など、想像もつかない。
「もっと悪い言い方をするなら、限定付のシグナムと同じだ」
特に気にした様子もなく、あっさりとザフィーラは言ってのけた。
会話の間にも、両者はパチンパチンと駒を動かし続ける。
「あのシャマルという医者は?」
戦況に若干顔をしかめると、再びセフィロスが問いかけた。
「AA+だな」
「…お前、それでいいのか?」
セフィロスが半ば呆れたような声を上げた。
それが真実なら、ヴォルケンリッターの実力序列は、上からシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラとなる。
指揮官たるシグナムならともかく、参謀にして後方支援役のシャマルをも差し置いてぶっちぎりの最下位とはどういうことだ。
「不便はしてないからな、問題ない。…詰みだ」
淡々とザフィーラが言い放つ。
勝利宣言をされてしまったセフィロスは、しばらく頭の中で思考を巡らせるが、やがて無駄と悟ったのか、
「…分かった、俺の負けだ」
と吐き捨てた。
「結構な暇潰しになったではないか」
「高々十数分だぞ」
負けて気を悪くしたのか、セフィロスの声は若干不機嫌そうだ。
「それにしても…」
「?」
そして、そんな彼の微妙な感情に気付き、ザフィーラが声をかける。
「最近割と表情が豊かになったな」
「そうか?」
「ああ。…どういう心境の変化だ?」
それこそ、じっと注意を向けなければ分からないくらいの変化なのだが、ザフィーラはそれを見逃さなかった。
「…フッ…さてな」
口元を微かに緩め、セフィロスはそうはぐらかすのだった。
「そうか」
そしてザフィーラもまた、それきり追及を止めた。
「…しかし…お前、どこでこんな物を手に入れた」
先ほどまで自分達が遊んでいた将棋盤を、セフィロスは指差した。
196片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:42:25 ID:h4nMq+83
スカリエッティのラボに動きがあったのは、それから数時間後だった。
「ほぅ…破壊したのは局の魔導師か、それとも『アタリ』を引いたか?」
巨大なモニターに映る大人の女性の報告を受け、スカリエッティはさぞ面白そうに呟く。
その少し前に、市内の地下道路でトラックが事故を起こしたのだ。
管理局の調べによると、何者かの攻撃を受けた、荷物がひとりでに爆発した…など、ただの事故にしては異質な証言が得られている。
無論、根回しをしたのはスカリエッティだ。現場にて大破していた、ガジェットT型の残骸がそれを物語っている。
『確定は出来ませんが、どうやら後者のようです』
「素晴らしい! 早速追跡をかけるとしよう」
嬉々としてスカリエッティが言った。
「彼らが追跡を決定した存在」は、現場にて6機のガジェットを破壊している。
管理局の魔導師以外でそんな芸当が可能なのは、彼の言う「アタリ」以外にはまずありえない。
「ねぇ、ドクター」
と、そこへ1人の少女が歩み寄ってきた。
赤い髪をした少女は、黒を基調とし、身体にフィットしたスーツを着込んでいる。あたかも「戦闘服」のような。
年端もいかぬ少女の服装には、あまりに不釣り合いである。
「それならあたしも出たいんだけど」
「ノーヴェ…君か」
『駄目よ、ノーヴェ。あなたの武装はまだ調整中なんだし』
ノーヴェと呼ばれた少女を、モニターの向こうの女性がたしなめる。あたかも母か姉かのように。
「今回出てきたのが『アタリ』なら、自分の目で見てみたい」
しかし、ノーヴェは引き下がらなかった。
「…別に焦らずとも、あれは何れ必ずここにやって来る訳だが…」
困ったように呟くスカリエッティは、まるで幼子をなだめる父のようだ。
と、そこへ、もう1人の男が近寄った。
黒髪をオールバックにした、背の高い男だ。無骨な肩鎧があるのみで、後は完全に露出されている両腕は筋骨隆々。
背中にはその身長とほぼ同等の長さを有した、巨大な片刃の剣を背負っている。
「自分の得物が万全でない状態で戦いに行くのは、感心しないな」
今まではスカリエッティから離れて腕を組んでいたのだが、この男もまたノーヴェの前に立ち、彼女の勇み足をたしなめる。
「ンだよノッポ…別に問題ないって言ってんだろ」
ノーヴェは不機嫌さを隠そうともせずに反論する。
「やれやれ…いいか、ノーヴェ」
ため息まじりにそう言うと、ノッポとあだ名された男は膝を折ってかがみこみ、目線をノーヴェの高さに合わせた。
「武器とは、自分の身を守るためのものだ。無論、過剰に頼るのはよくないが、当てにできないものでも困るだろう。
 そして何より、その身を守るものをスカリエッティが…ドクターがわざわざ調整してくれているということがどういうことか…」
それをよく考えろ、と。
「…分かったよ」
若干膨れっ面になりながらも、ノーヴェは渋々了承し、引き返していった。
「相変わらず君には敵わんね」
聞かん坊のノーヴェをたしなめてみせた男に、スカリエッティは笑いかける。
「大したことじゃない」
「では、もう少しだけ大したことを頼んでもいいかな?」
スカリエッティの金の瞳は、そのまま表情を崩さず、飄々と問いかける。
「…分かった。俺も準備をしよう」
男の青い瞳が了承した。
197片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:43:45 ID:h4nMq+83
やがて機動六課の事態も急変することになる。
市内の3rdアベニューF23にて、意識不明の1人の少女が、休暇中のエリオとキャロによって保護されたのだ。
通常なら迷子の女の子で済むところだろうが、驚くべきことに、少女はロストロギア・レリックのケースを持っていたのである。
エリオ達よりも更に幼い子供が持っていたなどというのは、明らかな非常事態だった。
すぐさま各フォワード隊長、リイン、医師シャマル――そしてセフィロスが現場へ向かうこととなった。
ちなみにセフィロスの動向は、「いい加減仕事らしい仕事をやらせろ」と本人のたっての希望である。
そしてはやてもまた、「奥の手も出さなあかんかもしれん」と許可したのだった。
程なくして、ヴァイスのヘリは現場へと到着。
保護された少女は、そのままケースと共に六課へと送られることとなった。
なのはやスバル、セフィロスらは現場調査の任務に就くことになる。
そして案の定、スカリエッティの陣営が姿を現した。
楕円型のガジェットT型が地下水路を使用し、数機編成で行動している。数は20。
ステルス戦闘機型のガジェットU型が海上から、12機単位の5グループで迫り来る。
今までの戦闘と比較しても、かなりの数だ。
「多いな…」
指令室ではやてが苦々しげに呟く。
そして、副官グリフィスが指示を仰いだ直後、ヴィータからの通信が入った。
『スターズ2からロングアーチへ。こちらスターズ2』
曰く、出張した先で行っていた海上での演習中だったが、
スバルの父にしてそこの現場責任者・ナカジマ三佐の許可を得て、現場に向かっているとのこと。
『――108部隊、ギンガ・ナカジマです』
更にもう1人の通信が入った。スバルの実姉に当たる、ギンガの声だ。
トラック追突事故の捜査に当たっていたのだが、今回の件との関連性を認め、戦線への参加を名乗り出たのである。
もちろんはやては笑顔で許可。そしてこれらの人員を元に、対ガジェット戦陣形の概要が決定された。
ヴィータはリインと合流し、海上の南西方面を制圧。なのはとフェイトは北西部へ向かう。
地下のガジェットは、セフィロスの率いる陸上部隊が対処。ギンガもこちらへと合流する形となった。
「ようやく俺も戦闘か…」
感慨深げに、セフィロスが正宗を抜き放つ。
『そういえば、これが初陣やったね。ふふ…頑張ってーな、セフィロスさん』
「努力しよう。…ん?」
セフィロスははやての言葉に微妙な違和感を感じ取り、問いかけた。
「…敬語が消えたか?」
『ああこれ? セフィロスさんが何かくだけた喋り方になったんで、私も倣ってみたんよ』
「その割には、『さん』付けは当分続くようだな」
苦笑するセフィロス。
『あはは…まあ、そこはあれや。何となく、その方が似合うんやないか思うし』
「それでいい。呼び捨てにまでされると流石に腹が立つ」
『おお怖。…それじゃ、頼むよセフィロスさん、みんな!』
198片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:44:57 ID:h4nMq+83
空中の戦局は、そのまま行けば難なく任務完了となるはずだった。
ヴィータは持ち場のグループを片付け、なのは達も粗方の敵を倒し終えている。
だが、ガジェット達の増援が現れ、状況が一変した。それらはレーダーに引っかかることなく、突然出現したのである。
「フフフ…クアットロのIS・シルバーカーテン…」
そして上空には1人、新たな人影が姿を現していた。
丸眼鏡をかけた茶髪の少女。奇しくもその服装は、あのノーヴェと同じ戦闘服。
「ウソとマボロシのイリュージョンで、回ってもらいましょ♪」

「幻影と実機の混成編隊…?」
フェイトが戸惑いの色を含んで呟く。
突如急速にその数を増やしたガジェット達は、一部が外見とレーダー反応を持った幻影だった。
「防衛ラインを割られない自信はあるけど、ちょっとキリがないね…」
なのはがフェイトに向かって言った。
現在彼女らは、なのはの張った防御フィールドに入り、そこから攻撃を仕掛けている。
これだけの数がこの場に揃っているのはおかしい。やられ役は数を増やしても、時間稼ぎにしかならない。
であれば、この部隊の本質は時間稼ぎ…つまり、本命はヘリか地上か。
この事態に、六課は広域戦闘能力を持つはやてを投入――すなわち、部隊長が直々に参戦することで対処。
なのはとフェイトは、そのままヘリとの合流を急ぐこととなった。
そして、更に援軍が1人。
『こちらソルジャー1。ガジェットは粗方片付き、ギンガ・ナカジマとの合流も完了した。ヘリと合流する』
セフィロスもまた、転移魔法によってヘリへと向かうことになったのだ。
そちらにはヴィータ達が急行しているので、ちょうど入れ替わる形となる。戦力バランスに問題はない。
「うん、フォロー頼むよセフィロスさん。…よっし…久しぶりの遠距離広域魔法、行ってみよか!」

「ディエチちゃぁん、ちゃんと見えてる〜?」
「ああ」
市内のとあるビルの上に、先ほどクアットロと名乗った少女と、同じく茶髪の少女の姿があった。
「遮蔽物もないし、空気も澄んでる。…よく見える」
ディエチと呼ばれた少女が見据えていたのは、遥か彼方の六課のヘリ。普通の人間なら、目視などできない距離だ。
であれば、彼女らは普通でないということ。
「でもいいのかクアットロ? 撃っちゃって…」
ケースは残せるだろうが、「マテリアル」は破壊することになる、と。
「ウフフ♪ ドクターとウーノ姉様曰く、あの『マテリアル』がアタリなら…」
本当に「聖王の器」なら。
「砲撃ぐらいなら死んだりしないから大丈夫…だそうよ?」
確認を取ると、ディエチは手にしていたもの…巨大なライフルを構える。
「…ん?」
だが、そのトリガーを引く寸前、彼女の千里の目は、本来そこにはいるはずのない者の姿を捉えていた。
「何だアイツ…」
ヘリの上に、突然人間が姿を現したのである。
199片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:46:09 ID:h4nMq+83
「人前では飛べんからな…」
転移魔法を行使したセフィロスは、ヘリの上に立っていた。
一応彼も飛行能力を有しているのだが、それの発動にはジェノバの力が必要となる。
人ならざる姿をさらしては、後々自分が不利になることは目に見えていた。
『セフィロスさん!』
「どうした」
指令室から、オペレーター・シャーリーの緊迫した声が届けられた。
『市街地より、砲撃のチャージを確認! 物理破壊型、推定Sランク!』
告げられたのは絶望的な数字。反応が発せられているのは、ディエチのいるビルからだ。
『恐らく狙いはそちらのヘリです!』
なのは達が向かってはいるが、このままでは間に合わない。
ロングアーチはこの状況の打開を、このランクSSの秘蔵っ子へ託すこととなった。
「…恐らく問題はない」
返事をし、セフィロスが通信を切ったのと、発射はほぼ同時だった。
真紅の砲撃が、轟音を上げてヘリへと――セフィロスへと迫る。
どうやらディエチは、セフィロスがいようと構うことなく、任務を遂行することにしたらしい。
セフィロスは正宗を構えると、その長大な刃へと魔力を込める。
「たまには本気を出すか」
そう呟いた。
次の瞬間、ディエチの閃光は目の前に広がっていた。
「…はっ!」
一閃。
正宗が横薙ぎに振り抜かれる。次の瞬間、爆音が鳴り響いた。
セフィロスの刀から放たれた極大の魔力が、正面から砲撃を受け止め――爆散させたのだ。
「う、うっそぉ!?」
余裕に満ちたクアットロの表情が焦燥に歪む。
「そんな…」
ディエチもまた、渾身の一撃をものの見事に防がれ、愕然としていた。
「…ほ、ほらディエチ! 早く次を撃ちなさいよっ! チャージはこの際適当でいいからぁっ!」
一拍の間の後に、クアットロが焦りも露わな声を上げる。先ほどまでの「ちゃん」付けすらなくなっていた。
「わ…分かった!」
ディエチもまた、第2射の準備に入った。エネルギー充填のプロセスを省く分威力は落ちるが、連射できるならそれでいい。
「…発射!」
再びヘリ目掛けて、真紅の波動が迫る。
しかし、セフィロスは全く動じた様子もなく、再び剣を振り、正面から受け止める。
3射、4射…5射目に至るまでの全てが、ものの見事に撃ち落とされた。
「…どうやら、フルパワーでの連射はできないようだな」
途中から不必要に魔力を使っていたことを知り、セフィロスは独りごちる。そして、今度はなのは達へと念を飛ばした。
(なのは、フェイト…この場を引き受ける自信はあるな?)
(えっ…どうするつもりですか、セフィロスさん?)
(頭を叩いてくる)
次の瞬間には、転移魔法の準備に取り掛かっていた。
200片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:47:37 ID:h4nMq+83
「うわうわうわっ! あ、アイツ…こっち来るわよっ!?」
魔法陣の展開を確認したクアットロは、遂に我を忘れてわめき散らした。
「そんな…あたしの砲撃が…」
冷静な表情だったディエチも、完全に自信を打ち砕かれてうろたえた。
「わ…私、セインの方行ってるからっ! な、何とかしなさいよっ!?」
おまけにクアットロに至っては、そう言って1人飛び去ってしまう始末だ。
ディエチは逃げ出した彼女を呼び止めようと、そちらを振り返る。
「ク、クアッ――」
「――お前も小娘か」
しかし、その視線の先にいたのはクアットロではなかった。彼女の姿は、既に男の影に隠れていた。
黒いコートを身にまとい、でたらめに長い日本刀を持った、銀髪と青い目の男――セフィロス。
「…っ! な、何だお前!?」
気圧されまいと、ディエチはセフィロスに食って掛かる。
「管理局の嘱託魔導師だが」
セフィロスは事も無げにそう言い放つと、ディエチの得物――ヘヴィバレルの元へと歩み寄る。
足を止め、彼はしげしげとその巨大なライフルを眺めた。
「これがお前の玩具か…」
が、セフィロスがあたかも興味を失ったかのように呟いた瞬間、正宗が振り上げられ…
「大きすぎるのも考え物だな」
その砲身を一刀の元に斬り倒された。
「うっ…!」
自分の唯一の攻撃手段をいともたやすく破壊され、身構えるディエチ。
セフィロスはそのディエチの元へと、ゆっくりと歩いていく。
静かに、そして冷たく、圧倒的な存在感を持って。優雅に、そして妖艶に、獣の気高ささえも漂わせて。
そしてそれは…
「…!」
殺気だった。
「…っああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
警告も何もなく、無言で刃を振り下ろされ、ディエチは左腕を押さえてもがき苦しむ。
傷口の先はなかった。屋上の床へと落ちていた。
「あああああああああああ…っくぅぅぅぅ…!」
ひとしきり叫び終え、ようやく喋る余裕を取り戻したディエチは、涙すら浮かんだ目でセフィロスを睨む。
「お前…管理局の魔導師が、人殺しをするのか…!?」
「どうでもいい」
ディエチの問いは、しかしあっけなく無視される。
「こちらはこれが初仕事でな。色々と鬱憤が溜まっているんだ。おまけに、ガジェット共ではまるで相手にもならなかった」
果たして、セフィロスは目の前のディエチを人間と認識しているのだろうか。
それすら疑わしくなるほど、彼の声は淡々と響き、彼の瞳は冷たかった。
「しばらく相手をしてもらおうか」
そして再び、セフィロスはその殺意の刃を振り下ろした。
201片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 20:49:19 ID:h4nMq+83

鳴り響いたのは、金属の音だった。

乾いた鉄の音は、おおよそ人間から聞こえる音とは思えない。
それを裏付けるかのように、ディエチの身体は新たな傷が刻まれることなく、健在だった。
ではセフィロスの正宗は何に当たったのか。

新たな人影があった。
黒髪をオールバックにした、背の高い男だ。角ばった顔の顎には、無精鬚を生やしている。
無骨な肩鎧があるのみで、後は完全に露出されている両腕は筋骨隆々。その他の服装も至って簡素。
右手に握られているのは、その身長とほぼ同等の長さを有した、巨大な片刃の剣――正宗を受け止めた剣。
一瞬、セフィロスの表情が驚愕に彩られる。
だが、それもそれこそ一瞬のことだった。
セフィロスはその青く妖しく輝く瞳で、目の前の男の――同じ青く妖しい瞳を睨みつける。
そして、名前を呼んだ。

セフィロスが人間だった頃の、友人の名を。

同じソルジャー・クラス1stの男の名を。

この場にいるはずのない者の名を。

「…アンジールか…!」

////////////////////////////////////////////////////////////

最後だけいやに文章量が中途半端orz
…というわけで、遂にアンジール登場。
彼が何故ここにいて、何故スカ側に味方しているのか? それは次回をお楽しみに。
…急いだのでセフィロス対ディエチがほとんど書けず…六課襲撃編でリベンジしないと…

にしても、まさかDVDをパソコンで見ることになるとは思わなかったなぁ…ギン姉強いよギン姉。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 21:00:29 ID:nExJjVIO
GJ!
やっぱクラス1stの相手はクラス1stだぜ!
それにしてもセフィロスに戦闘の相手だけでなくここまでしてもらえるなんてディエチは幸せ者だな。
203Strikers May Cry:2007/12/19(水) 21:08:00 ID:YDV0It+O
GJです、ディエチが刻まれてる……セフィロスさんったらオチャメですね。
この先ナンバーズが何人、五体満足で生きて帰れるのだろうか…
204名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 21:32:57 ID:BFOrfZLD
GJ!
最近ナンバーズが刻まれまくってる気がするw
205Strikers May Cry:2007/12/19(水) 21:44:12 ID:YDV0It+O
もう少しでデビルメイクライ3クロスの十五話が完成しそうなんで、55分くらいから投下してもいいでしょうか?
206名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 21:55:27 ID:P8G5IZhg
支援
そしてアーカム的には私怨
207Strikers May Cry:2007/12/19(水) 21:58:58 ID:YDV0It+O
それでは投下します。
今回もフォワードが活躍しても、なのはとフェイトに出番はありません…
208名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 21:59:57 ID:BVCu1viV
支援開始!
209Strikers May Cry:2007/12/19(水) 22:01:06 ID:YDV0It+O
魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 第十五話「Devil Strikers(後編)」

溶岩の如き灼熱の体液が身体に流れる大蜘蛛の悪魔ファントムを相手に双銃を構えた少女ティアナ・ランスターと若き槍騎士エリオ・モンディアルがゆりかご上部にて凄絶なる戦いを繰り広げる。

間断なく吐きかけられる特大の火炎弾を側転で回避しながらティアナは灼熱の大蜘蛛に魔力弾を撃ち込む。
影の分身アフターイメージで倍となった火力を持ってしても強固な外殻の間を縫って決定打を撃ち込むのは至難を極める。
ティアナの疲労は限界に近づき、エリオもまた時間加速の連続使用の無理がたたり魔力・体力共に限界に達しつつあった。

「先ほどの威勢はどうした人間!?」
ファントムはその堅牢な要塞の如き巨体でティアナとエリオを圧倒し炎の息吹を吐きかける。
もはや二人に能力を自由に使う余裕は無くなりつつあり、この悪魔の業火で消し炭に変わるのも時間の問題だった。
「クロスファイアシュート!!」
ティアナはアフターイメージを発現し倍となった総数26発の誘導弾をファントムの頭部に叩き込むが貫通力に欠く彼女の攻撃では強大な上位悪魔を打倒するには至らない。
「クイックシルバー発動!!」
時間加速で一気に距離を詰めたエリオがファントムの頭上に移動しストラーダの刃を振りかぶるが彼の小さな身体はファントムの身震い一つで軽く払い落とされる。
さらに放たれた追撃の尾針の一撃を胴に受けエリオは鮮血を散らす。

「エリオ!!」
鋭い刺突に身体とバリアジャケットを裂かれて転がったエリオにティアナが駆け寄る。
「くっ…大丈夫ですよティアさん。でも一体どうしたら…」
「確かに…あいつの身体は固すぎてこっちの攻撃なんか全然効いてないしね」
その時ティアナの脳裏に先ほどのファントムの動きが蘇り、そして思いつく一つの賭け。下手をすればエリオを死なせるかもしれない危険な打開策。
(エリオこの悪魔を倒せるかもしれない作戦を思いついたわ。でも下手したらエリオが死ぬかも…)
苦渋に曇った顔でティアナがエリオに念話を繋ぐ、しかしエリオは燃えるような戦意を込めた眼光でティアナの瞳を見つめて念話を返す。
(ティアさん…僕はこの戦いが始まってから死ぬ覚悟は出来てます! それにあなたの考えた作戦で失敗する訳が無いって信じてます。言って下さい“行け”って!)
(言うじゃない。それじゃあ説明するわよ……)

念話で策を伝えた二人は自身に残された最後の魔力を振り絞りデバイスを構える。
エリオは残る全てのカートリッジを使用し限界ギリギリまでのブーストでストラーダの推進器(スラスター)を暖める。
ティアナは幻術とアフターイメージを混ぜて8人まで増やした自分の身体でファントムに向かって駆け出す。
彼女の魔力では出せる影の分身はこれで最後、失敗すれば確実に死ぬだろうと易く予感させた。
「いい加減に死ねええ! 人間!!」
ファントムはその大きな顎から火炎弾を幾つも吐き出し近づくティアナに浴びせるしかし攻撃を受けたものは全て幻術で作られた幻であり爆炎の衝撃に霧散した。
そして横合いから転がり込んだティアナがファントムの眼前にクロスミラージュを突きつけ銃火を間近で浴びせかけた。

「小癪なマネをおおお!!」
ファントムは今度こそ殺せるという絶対の自信を持って尾針の攻撃を目の前のティアナに振り下ろす、しかしその時ファントムの頭上に再び彼女の声が響いた。
「また失敗ね蜘蛛さん」
ファントムの尾針の一撃は正面のティアナをすり抜ける。
ファントムの正面に飛び出たティアナはアフターイメージの影であり敵の攻撃を受けても意味は無い、そして本物のティアナはファントムの頭上を捉えた。
ファントムの眼前のアフターイメージと頭上の本物、その二つの身体でティアナは至近距離から射撃魔法の連射を叩き込む。
ファントムはティアナの身体を振り払うべくまた脚部に力を込めて大きな跳躍をみせる、これこそティアナの狙いだった。
出せる最後のアフターイメージの分身でもって尾針の攻撃を空振らせ、ファントムの頭上に乗ったのは倒すためではない、頭上の自分を振り落とすためのこの跳躍こそ彼女の狙い。

「クロスファイアシュート!!!」
210Strikers May Cry:2007/12/19(水) 22:03:09 ID:YDV0It+O
ティアナは高く舞い上がったファントムに射撃魔法の集中砲火を浴びせた、これもまた敵を倒す為のものではない。
クロスファイアシュートの攻撃は落下するファントムの身体の向きを変えるためのものであり、その攻撃を受けて体勢の崩れたファントムは弱点である背を下に向けて落下する。
そしてエリオが今まで最大のブーストで高め続けたストラーダの推進力に時間加速の超高速移動を加え最強の威力を込めた刺突を解放した。
「クイックシルバー発動! スピアーアアングリフ!!!」
ティアナの攻撃で反転し無防備に晒されるファントムの背中、これにエリオの最強の攻撃が命中した。
落下するファントムの自重も加わり無慈悲にストラーダの刃は大蜘蛛の身体の中に食い込んでいく。
「ぐおおおおおお!!!」
「これで終わりだああああ!!!」
断末魔の雄叫びと共に灼熱の溶岩のようなファントムの体液が飛び散りエリオの身体に降り注ぐ。
焼ける頬やバリアジャケットを気にもとめずエリオは最後の力を振り絞り、遂にファントの身体を貫き通した。
身体に大穴を開けられたファントムの巨体が爆音と共に落下し貫かれた傷の亀裂にその巨体が砕け散り四散した。
ファントムの崩壊と同時に全身のバリアジャケットを焼け焦がしたエリオもゆりかご上部に舞い降りる。
「エリオ!」
「大丈夫です…ティアさん…それよりも早くバージルさん達を助けに…」
もはや二人の身体に戦う力など微塵もありはしない、しかし自分達の師の安否を確かめるまでまだ止まる事はできなかった。


ゆりかご上空を飛ぶ大鷲の悪魔グリフォンと空戦を交えるのは機動六課部隊長の八神はやてと氷竜フリードリッヒに乗る竜巫女キャロ・ル・ルシエ。その戦いは青き空に赤き稲妻を走らる。

空を飛び交う巨大な大鷲グリフォンが三つ首の氷竜フリードリッヒとその軌道を交錯させ熾烈な空中戦を繰り広げ、両者の放つ赤き雷撃と火球や氷塊弾がぶつかり相殺し合う。
フリードの攻撃にはやての支援砲火も加わるが上位悪魔の圧倒的なスタミナに既にはやて達は息を切らせている。
グリフォンは容赦なく二人に止めを刺そうと強力な赤い電撃の魔力弾を放出しはやてとキャロ達を攻撃した。
はやてが防御障壁で雷撃をなんとか凌ぎフリードが三つの顎から火球と凍気の魔力弾を吐き応戦、しかしその反撃を受けてもグリフォンの巨体に致命的な傷を与える事はできない。
「どないしたら…こないな速度で飛行戦を続けとったら溜めの大きな技が出せれへん…」
高速で飛行しながら雷撃と共に自分達を追いまわすグリフォンの猛攻にはやては臍を噛む思いで呟く。
「部隊長、来ます!!」
その時キャロの叫びと共にグリフォンの攻撃が再び襲い掛かり、赤い雷撃で作られた雷球が幾つも放出された。

「くっ!」
「きゃあっ!!」
電撃球を受けたはやてとキャロは容易く防御を破壊され被弾。
雷撃のダメージにバリアジャケットは焦げ付き身体の負担は限界に達しつつあった。
強烈な雷撃の損傷に顔を歪めながらはやてはキャロに念話を飛ばす。
(キャロ! 私とリィンの融合も限界や、私がなんとかあの鳥の動きを止めるから……トドメ頼んでええか?)
(部隊長……分かりました!!)
(ほな詳しい作戦話すよ…)
急場でこしらえた作戦を念話で伝え、はやては背中の黒き翼に魔力を高めて速度を上昇させグリフォンの前に躍り出た。

「どないしたんや! 悪魔いうても女の子一人殺せんのかい! この七面鳥モドキ!!」
はやての挑発にグリフォンの怒りは即座に沸点に達してその低い声を荒げて怒声を放つ。
「人間風情が我を愚弄するか!!!」
「うっさいわ! 熱々のローストチキンにしたるで!! はよう掛かってこんかいボケ!!」
さらに続いたはやての挑発で激情に火を注がれたグリフォンは全身に最大の雷撃を纏って空高く上昇し急降下の体当たりではやてを引き裂かんと爪を立てた。
(予想どうりや。やっぱり怒ったら最大の攻撃力で一直線に殺しに掛かる…単細胞も良いとこやで)
はやては心中で呟くと同時に魔法術式を二つ構築、まずその一つ目を放つ為に球状の魔力弾を生成した。

「アイゼンゲホイル!!」
はやてがその球体を拳で叩くと同時に敵の視覚と聴覚を奪うための魔法“アイゼンゲホイル”が発動し凄まじい閃光と爆音が周囲を満たした。
視界を奪われたグリフォンは視覚を奪われてなお正確にはやて目掛けて急降下体当たりを行う。
「私の大威力魔法、これで今日はカンバンや……鋼の軛!!」
211Strikers May Cry:2007/12/19(水) 22:04:29 ID:YDV0It+O
はやての言葉と共に白い魔力光で形作られた光の柱が三角形のベルカ式魔法陣から突き出す。
はやては守護獣ザフィーラの持つ最強の拘束魔法を幾重にもグリフォンに突きたてその巨体を宙に釘付けたのだ。
視覚を失った大鷲に回避する事など出来はしない。
「ぐおおおおお!!」
身体に刺さった光柱の戒めを破壊しようとグリフォンは雷撃を最高出力で発生させる。
しかしはやては身体に残された全ての魔力を駆使して鋼の軛を維持してこれに対抗した。

「今や! キャロ!!」
はやてが挑発によりグリフォンの注意を引き、鋼の軛でその動きを封じている間にキャロは自分の行使できるブースト魔法と地獄の番犬より得た凍気の全てを三つ首の氷竜と化したフリードの三つの顎に集中していた。
「我が求めるは絶対の凍結、地獄の番犬よ、その凍て付く牙、究極の凍気を今こそ見せよ…」
キャロが地獄の番犬の力により未知の新たなる呪文を紡ぎながらフリードの三つの首に極大の魔力と凍気を収束していく。
「獄・犬・咬・虐!! インフェルノ・ケルベロス・バイティング・マサカー!!!!!!」
それはケルベロスと融合したフリードの最強の技、絶対零度の凍結魔力を持つ魔力波動が巨大な氷柱を形成しながら魔界の大鷲に放たれた。

「がああああ!! 馬鹿な…この我が…人間ごときに…」
鋼の軛で動きを封じられたグリフォンが最強の凍結魔法を受けてその巨体を凍らせる、そして遂には全身を凍て付かせてひび割れたグリフォンの身体は粉々に砕け散った。
「ローストチキンやのうて冷凍保存やったな…」
はやては言葉と共にリィンとの融合を解除、フリードもケルベロスの力を顕現し続けられなくなり元の飛竜へと戻る。
「部隊長…大丈夫ですか?」
過度のブースト魔法の行使にキャロも限界を超える疲労だった、しかし二人はまだ膝を付く訳にはいかない。
「大丈夫や…それよりも…バージルさんとシグナムを助けに行かな…」
二人は、まだゆりかご上部で戦い続けているだろう魔剣士の下に疲弊した身体で飛ぶ。


禍々しい模様の施された大剣が踊り、繰り出される無数の刺突を白い手甲が美しいまでの円動作で受け流す。
大剣を繰るのは隻眼の魔界戦士ボルヴェルク、その凶刃を魔獣を宿した白き手甲で防ぐのは機動六課スターズ03スバル・ナカジマ。
魔界の武侠を相手にスバルは一歩も引かぬ絶戦を繰り広げる。

スバルは右下方から斬り上げて首を落とさんと迫るボルヴェルクの斬撃を直前の予備動作で見切り最低限身体を沈ませて回避した。
「はあああ!!!」
スバルはボルヴェルクのその怯みを逃さずベオウルフの力で強化された右のリボルバーナックルで渾身のカウンターを叩き込んだ。
ボルヴェルクはこの攻撃に僅かによろめいたが即座に大剣で斬り返しの斬撃をスバルの脳天目掛けて振り下ろす、スバルはこれを反射的に右側方に跳ねて回避。
しかしそのスバルの回避動作を読んでいたのかボルヴェルクは黒い炎を纏わせた足で蹴りを見舞いスバルの身体を吹き飛ばす。

「きゃああ!!」
ボルヴェルクは転がるスバルに追い討ちとして黒炎の魔力を3発放ち、スバルは体勢を立て直す暇も無くその追撃に晒された。
黒炎の追撃に防御を崩されたスバルにさらに魔力刃により爆発的に射程の伸びたボルヴェルクの大剣が首を刎ねようと真一文字に振るわれた。
「くっ!!」
スバルはその横合いからの斬撃をリボルバーナックルで跳ね上げてなんとか凌ぎ体勢を立て直し拳を構えて戦闘態勢を整えた。
「このままじゃラチが明かない。こうなったらバーストオシレーション…ギアエクセリオンで行くよマッハキャリバー」
<OK、MASTER>
マッハキャリバーが電子音で答え、スバルは瞳を金色に変えながらIS振動破砕の発動を準備する。

その時、光と純白の羽根を散らしながらスバルの両手のリボルバーナックルの拳部分を獣の顔のような防具が覆い、白い翼が脚部・腕部・腰部から翻る。
「これは一体……ベッキーなの?」
そしてデバイスと融合した魔獣ベオウルフの声がスバルの脳裏に響く。
(貴様の絶技、負担も並ではない。微力だがこれで反動から身を守れよう)
212Strikers May Cry:2007/12/19(水) 22:06:01 ID:YDV0It+O
「ベッキー………ありがとね」
その防具に頬を寄せ、スバルは静かに微笑んで自分を守るために力を貸してくれた魔獣に礼を述べた。
静かに呟いた言葉だったが、その言葉にスバルは万感の想いを込める。
(礼は奴を打ち倒してからぞスバル!!)
「うん!!」
純白の羽根が舞い散りマッハキャリバーが最高加速に備えてギアエクセリオンの翼を震わせ、スバルは強化された両手のリボルバーナックルに振動破砕の超振動を纏う。
そのスバルにもはや一片の死角も微塵の隙も無い。
両の拳に師の技と心を乗せ胸に必勝の思いを抱き、少女は白き魔獣の翼を広げ眼前の悪魔に対峙する。

スバルの纏う気迫と魔力が一瞬で別人のように跳ね上がるのをボルヴェルクは感じる。並みの悪魔ならばその圧倒的な迫力を感じれば逃げ出すだろう。
しかしこの魔界の戦士は言葉こそ発しないが胸の内に歓喜を覚える。
スパーダの息子と戦えない不満を払拭してくれる鉄拳の少女に全力で応えようと黒炎の魔力を最大出力に高める。
さながら西部開拓時代のガンマンの決闘のように両者は正面から対峙した。
二人は持てる力の全てを己が得物に振り絞る。
両者の放つ気迫と魔力に空気が歪み、ゆりかご上部の装甲が震えて軋み上げ決闘の終焉を彩る最後の曲を奏でる。

スバルとボルヴェルクの闘気はほぼ同時に頂点に達し、両者は共に正面から駆け出した。
黒い業火に包まれた悪魔の大剣が唸りを上げてスバルに最強の刺突を放つ、その剣閃にスバルは右の拳を正面から叩き付けて応える。
「ディバインバスター!!!…」
軋み悲鳴を上げる両者の得物、スバルはその負荷を気にもとめず腕に増設された翼とスラスターを最大出力で解放しディバインバスターの魔力波動に振動破砕の超振動を乗せて放つ。
「バーストオシレーション!!!!」
ベオウルフの加護を受けたそれは片手で放ったものでさえ以前の両腕のバーストオシレーションに匹敵する威力だった。
その右拳のディバインバスター・バーストオシレーションの魔力波動によりボルヴェルクの大剣は弾かれ、スバルもその衝撃と反動に体勢を大きく崩す。

だがスバルはその揺らぎをギアエクセリオンの純白の翼で無理矢理に急制動を掛けて立て直した。
スバルはその急制動の回転動作で得た遠心力を左の拳に込めて振りかぶり“本命”の一撃を先の交錯に体勢の崩れているボルヴェルクの身体の真芯に叩き込んだ。
「一撃いいいい必倒おおおおおお!!!!」
舞い散る羽根の中で左のリボルバーナックルの回転刃が唸りを上げ、融合したベオウルフの装甲が白く輝き脚部に備えられたスパイクが地面に突き刺さり身体のブレと後退を殺す。
「ディバインバスタアアアアア!!!!!!」
身体に残る魔力の全てを込めたディバインバスターの青き魔力波動が拳に収束し閃光を放つ。
「バーストオオオオオ オシレーションンンンン(爆震)!!!!!!!!」
そしてその魔力波動に振動破砕の超振動が完璧に同じタイミングで合わせて発動し、極大の青き魔力光がボルヴェルクの体を飲み込んだ。

その圧倒的な破壊力を受けてボルヴェルクの身体は微塵と散り大剣のみを残して青き空の下に消え去った。
「お母さんギン姉……また助けられちゃった…ありがとね」
スバルは左の拳を強く握り締め亡き母にそしてこの鉄拳を自分に託してくれた姉を思い一筋の涙の雫を流す。
その左の拳に宿った力はベオウルフのものだけではない、そこには母クイントの姉ギンガの想いが詰まっているのだから。

(まったく、また泣く奴があるか…)
「うん……泣き虫でごめんねベッキー」
(まあそれが貴様の性分ではしかたあるまい。しかしスバルお主力を使いすぎたのう、しばらく我の力を顕現することはできんぞ)
「大丈夫だよ。言ったでしょ? 私は一人じゃないって」
(では我のおらん間に死ぬでないぞスバル)
「分かった。約束だね」
ベオウルフの白き装甲が羽根を散らして消え去りリボルバーナックルとマッハキャリバーは元の姿に戻る。
「それじゃ早くバージルさん達を助けに行かないと!」
スバルは強大な敵と対峙し、幼い少女を救うため戦う師の下に駆け出した。


「紫電一閃!!」
烈火の剣精アギトとの融合により爆発的に威力を増した炎の刃が悪魔と成り果てた背徳の司祭を倒すため振るわれる。
悪魔の身体に括られた少女を傷つけぬ為狙うべきはその首、しかし悪魔は手にした黄金の聖剣でこの一撃を難なく受け止めた。
「素晴らしい威力だ。しかし少々物足りないな」
聖剣エクスカリバーに黄金の閃光が宿り高熱の魔力波動が放たれシグナムはその衝撃に吹き飛ばされる。
213Strikers May Cry:2007/12/19(水) 22:07:02 ID:YDV0It+O
しかしアーカムが前方のシグナムを斬り返す隙を逃さずバージルが空間転移で背後に回りフォースエッジ・フェイクの刃を翻す。
バージルは魔力を込めたフォースエッジ・フェイクで最強の刺突技スティンガーを繰り出しアーカムの後頭部を狙う。
だがその刃は展開した防御障壁に防がれフォースエッジ・フェイクは刀身の先端を大きく刃こぼれを起こして弾かれる。
「無駄だ」

「がはあっ!」
アーカムが振り返り様に薙ぎ払ったエクスカリバーの一閃でバージルは防御障壁ごと身体に斬撃を刻まれ鮮血を宙に舞い散らせる。
「まったく、こうも一方的ではつまらないな」
邪悪なる悪魔より少女を救う為の戦いは闇の剣士と烈火の将の圧倒的な劣勢で展開していた。

悪魔の持つ聖剣の攻撃にバージルは血の朱を空に撒き、シグナムは背の炎翼をはためかせてよろめくバージルに駆け寄った。
「バージル! 大丈夫か!?」
「ごふっ…俺は問題ない…お前こそ力が鈍っているぞ」
「ああ…急場の融合もそろそろ限界のようだ」
満身創痍のバージルとシグナムは共に剣を構えながら息を整える。
対するアーカムはヴィヴィオを盾にした事で二人の大技を封じて傷一つさえ付いていない。
スカリエッティの最高傑作と自負したアーカムの言葉は嘘ではなかった。
身体能力・魔力共に今までの戦闘機人や悪魔とは比べられぬ程の高性能であり、高度のAMF下でその最悪の悪魔を前に二人は有効な打開策を見出せずただ疲労を蓄積する。

「さて相談は済んだかな? そろそろ終わらせてゆりかごを軌道上に上げたいのだがねえ」
アーカムはそう言うと再びエクスカリバーに魔力を込めて黄金の閃光をバージルとシグナムに向けて放った。
二人は同時に駆けてこれを回避、アーカムの側方に回りバージルは幻影剣を射出して敵の防御障壁を削り時間を稼ぐ。
(烈火、奴の動きを止められるか?)
バージルが幻影剣の掃射を続けながらシグナムに念話を入れた。
(奴の防御はかなり強固だ。しかし残るカートリッジと魔力を全て使えばあるいは……だがそれでは私の融合も維持できなくなる、それでも良いのか?)
(悩んでいる暇は無い……次で決めるぞ)

(分かった)
シグナムはバージルと視線を交錯させ互いの決意を汲み取ると彼に小さく頷き、残る全てのカートリッジを使用し己がデバイス炎の魔剣レヴァンティンに魔力を込め始める。
「邪魔だあ!!」
アーカムは数多に降り注ぐ幻影剣の刃をエクスカリバーの魔力波動で纏めて薙ぎ払った。
その瞬間バージルがフォースエッジ・フェイクを構え駆け出し、そのバージルの側方から彼を援護する為に連結刃シュランゲフォルムのレヴァンティンが炎を纏って舞う。
「何!」
前方からバージルが渾身の力を込めて斬り掛かりさらに全方位からレヴァンティンの連結刃がヴィヴィオを傷つけない為に細心の制動を掛けてその蛇の如き刃を躍らせる。
「ぬうっ!! 小癪な!!」
アーカムはバージルの斬撃をエクスカリバーで斬り返しながら周囲から襲い掛かるレヴァンティンの刃を防御障壁で防いだ。
だがその連結刃の攻撃は徐々にだが確実にアーカムの強固な防御を削っていく。

「アギト!! 全力で行くぞ、魔力を全て搾り出せえええ!!!」
(応! 烈火の剣精の底力を見せてやるぜ!!)
シグナムの戦意に融合機アギトが応え魔剣の力を最高最強の状態まで高める。
そして遂にはアーカムの防御障壁を斬り裂きその身体をヴィヴィオのみを精巧に避けて斬り裂く。
その連結刃の猛攻に身体の各所を刻まれ、さしものアーカムも怯みをみせる。
バージルはその怯みを逃さず崩壊戦前のフォースエッジ・フェイクの刃にその刀身が壊れる事を覚悟して最大の魔力を込めて振るう。
「ぐぎゃああああ!!!」
アーカムの身体は強固な外殻を誇った為に切断にこそ至らなかったが、バージルは敵の四肢と頭部装甲に斬撃を見舞いその戦闘能力を奪った。
そしてヴィヴィオを拘束していた触手をすべて斬り裂き最後に放った刺突でアーカムのみを吹き飛ばし、遂にバージルは悪魔に囚われた少女を救い出した。

「ぐすっ おにいちゃあん」
アーカムへの攻撃で遂に限界を向かえ刀身が崩壊し粉々になったフォースエッジ・フェイクを手放し、バージルは悪魔の魔手から解放されたヴィヴィオを両手で抱きかかえる。
「泣くな。すぐ高町の下に連れて行ってやる」

バージルはしがみ付いて泣きじゃくるヴィヴィオを慰める。
214Strikers May Cry:2007/12/19(水) 22:09:20 ID:YDV0It+O
しかしそこに禍々しい程に低い悪魔の声が轟く。
「糞共がああっ! その餓鬼を寄こせええええ!!!!!!」
傷を即座に修復したアーカムが立ち上がり魔力を込めたエクスカリバーを振りかぶりながらバージル達に迫ってきた。

ヴィヴィオを抱えて両手の塞がったバージルに、精根尽き果てアギトとの融合が解除され絶望的に戦闘力を削がれたシグナム。
その二人にゆりかご起動の鍵であるヴィヴィオを奪われ半狂乱となったアーカムが襲い掛かる。
バージルはヴィヴィオを手放し閻魔刀を抜けば戦えるだろう。
そして“魔人化”により戦闘能力を強化すればアーカムの打倒も可能だったろう。
しかしこの場で自分が全力で戦えば不安定なゆりかご上部の足場で幼いヴィヴィオがどうなるか、傍で疲弊し尽したシグナムがどうなるか分からなかった。
故にバージルのとった行動は閻魔刀を用いた応戦でも切り札“魔人化”による身体強化でもなかった。

「バージル…お前だけでもヴィヴィオを連れて逃げろ。ここは私が…」
「シグナム…」
「えっ?」
バージルは傍に立つシグナムに突然ヴィヴィオを託し、同時に彼女の耳元に今まで聞いたことの無いような優しい口調の言葉を囁いた。
「…ヴィヴィオを連れて逃げろ」
バージルはそう小さく言い残しヴィヴィオをシグナムの胸に抱かせて彼女の身体を突き飛ばした。
バージルは敵を倒す為に力を振るうのではなく、迫る敵に背を向け自分の命を捨ててでも幼き少女と掛け替えの無い仲間の身を守る道を選んだのだった。


もう後ろに聖剣での攻撃を仕掛けてきたアーカムが迫って来ている…刹那の後に俺は殺されていよう。
閻魔刀での応戦も魔人化も間に合わないだろう、だが後悔はしていない。
閻魔刀を抜き魔人化を果たして全力で戦う選択を選んでいればシグナムとヴィヴィオがどうなっていたか分からなかったのだから…。
俺の身体で刃を受ければ少しは二人を逃がす時間稼ぎになる。
後は八神たちにでも任せるとしよう、奴らならこのような異形の悪魔にも勝てるだろう。
「バージルウウウ!!!」
ヴィヴィオを抱え俺に突き飛ばされたシグナムがこちらの意図を察したのか、瞳に涙を流して俺の名を叫ぶ。
アーカムの剣が振り下ろされる寸前、俺はひどく緩やかに感じる一瞬の時間の中でこの女の顔に悲しみは似合わないと思いながら数瞬の後に来る自分の死に最後の言葉を吐いた。
「こんな死に方も悪くはないか……」
だがその死の覚悟を決めた呟きは聞き覚えのある銃声によって遮られる。


シグナムとヴィヴィオを身を挺して守り、無防備になったバージルの背中にアーカムの振るう凶刃が迫る。
その刹那、上空を一機のヘリが通過しそのハッチから赤き影が躍り出る、それはリンディがバージルの世界から連れて来た荷物、一人の男だった。
バージルがアーカムに絶命の一撃を受ける寸前。その赤き影の男は眼下のアーカム目掛けて急降下しながら白銀と漆黒の二丁の拳銃をホルスターから抜き去り銃火の華を散らせる。
「イィィィィィッヤッホウウウウウウウ!!!」
赤き影の男は楽しそうな声を上げながら魔力を込めた銃弾の雨をアーカムに降り注ぎ弾痕をその悪魔の身体に穿つ。
「ぐはあっ! 何だとおおお!!」
銃弾をたっぷりとアーカムの身体に叩き込んだ赤き影は弾痕を刻んだアーカムの前に着地すると同時に背の“反逆”の名を持つ魔剣でさらに追撃の斬撃を見舞う。
その悪魔も泣き出すような猛攻に莫大なダメージを受け、アーカムは低い呻きを漏らしながら後方に引き下がった。
「まさか!! 何故! 何故“貴様”がここにいるのだあああ!?」

「死んだ筈の兄貴から素敵なパーティーのお誘いを受けたんでね。確かに面白そうなパーティーだぜ、悪魔はともかく女がいるってのは良いもんだ」
赤き影の男は自分の後ろを振り向き、バージルとその後方にいるヴィヴィオを抱えたシグナムを見て軽い言葉を吐く。
「遅いぞ“ダンテ”」
「おいおい〜別世界なんて来るの初めてなんだぜ。あんまりイジワル言うもんじゃねえよバージル」
二丁銃と魔剣リベリオンを手に最強の悪魔狩人であり、そしてバージルの双子の兄弟でもあるダンテが今ミッドチルダに下り立った。

続く。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:10:15 ID:P8G5IZhg
兄弟キタァァァァァァァァァ
216名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:11:52 ID:BVCu1viV
ダンテコッタァァァイ!
週休六日の自宅警備員が来たぜ!
217節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2007/12/19(水) 22:12:42 ID:7dGSWsal
リボルテック乙!
218Strikers May Cry:2007/12/19(水) 22:13:45 ID:YDV0It+O
投下終了です。
キャロの新技がとんでもなかったり、ダンテが来たりでなんか凄い事になってる…
荷物の正体がダンテっていうのは皆さん既に予想していたかもしれませんが。

とりあえずあと2回くらいでこのSSも終わりです。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:15:32 ID:nExJjVIO
GJ!
ダンテ最高!
220反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/19(水) 22:16:26 ID:Rt/4rDn7
イィィィィィッヤッホウウウウウウウ!!!
遂にダンテが降臨し、おまけに俺の妄想ナックルも凄まじい燃え展開で現実化したぜ!
まさしくGOD JOB!
221魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/19(水) 22:22:44 ID:gkHskNO9
>SMC
合言葉、覚えてるか?
これはなんというジャックポッド。いつぞやの巻き戻しっつーか、アーカム特有の死亡フラグが立ちましたねw
どこの戦闘も熱い熱い。個人的には関西弁で悪魔に啖呵を切るはやてに惚れました。むしろ濡れました(ぉ
そして、なのは&フェイト。僕はまだ待っているよ。まだ慌てるような時間じゃない。
変わった兄貴と弟の会話に、次回期待です。

>片翼
ナンバーズのアンラッキーアイテムは日本刀ですね。
愛想はないけど、随分と丸くなったセフィロスに和んだ。
っていうか、ヴィータw「厨二病」とか言っちゃダメよw
リアルの男はダメだけど、セフィロスなら一人称「私」でも馴染むんだからw
PSのFF7とアドベントチルドレンまでの私には乱入キャラの正体が分かりませんが、やはり新作の方に出てるのだろうか?
より楽しむ為に、ちょいと調べてきます。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:24:29 ID:3uoL/Wy2
ダンテ登場
 ↓
「つまり『こっから先はR指定』ということ。スミカ・ユーティry」

そうですね!
そうなんですね!?
とてもじゃないけどヴィヴィオには見せられないわけですね!
223名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:26:10 ID:RmO7uvan
GJ!
ダンテにとっては兄貴の就職お祝いパーティだな
224名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:51:08 ID:NZxai84o
GJ
しかし丸くなったなバージル…
だがそれがいい
しかしこの最強兄弟(どっちも設定上リインTより強い)を前にしてアーカム涙目wwwさて、なのは恒例のスーパーフルボッコタイム突入かな?
225名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:51:10 ID:JlVFNhuC
gjと言わざるを得ない……!!
226リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:07:33 ID:qiSpdWNP
皆さんGJ!続けて20分ぐらいから投下OK!?
227Strikers May Cry:2007/12/19(水) 23:08:08 ID:YDV0It+O
是非お願いしたい!
228名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 23:12:32 ID:S71BN9YW
GJ!!とうとうダンテがキタ――!!!

ある程度予想してたとはいっても、やはり読む側としてはこういうシチュは嬉しいものですな
もうすぐ終わりなのが残念だけど、最後まで期待してます、SMC氏。
229Devil never Strikers:2007/12/19(水) 23:17:19 ID:CGL8AqL3
>>195
ダンテのことか…ダンテのことかーーーー!
GJ!やっぱりセフィロスはかっこいい。

SMCさんもGJ!
ダンテまで来てアーカムが可哀想になってきたw

それとリリカル遊戯王さんの次を予約していいですか?
230リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:21:23 ID:qiSpdWNP
>>229
カムヒアだぜ!
と言う訳で投下開始!

リリカル遊戯王GX 第九話 学園分裂!? 腹ぺこデュエル!

「レイちゃんは大丈夫?」

なのはの問いに十代は頷いて応え、なのははほっと胸をなでおろす。
昔入院していた時の記憶が頼りの、かなり危ない手つきでの治療だったがうまくいったようだ。

「そっちも、スバル達は平気なのか?」
「うん、言うなれば極端に疲労してるってだけだからね。このまま安静にしてれば問題ないよ……ただ」

なのはの表情が暗くなる。

「フェイトちゃんとエリオは、今のままじゃ戻せそうにない。定期的にバインドを掛け直して暴れないようにするしかないね」
「……そっか」

そんななのはになんと言葉をかけるべきかわからず、十代は小さく頷いた。
状況はあまりいいとは言えなかった。
突然一部の生徒がゾンビ化し、爆発的な勢いで増殖していった、万丈目や翔といった十代と縁深く、頼りになるメンバーまでもがだ。
更にその調査に出たフェイト・エリオの二人までもゾンビ化してしまった、今は拘束しているが、直す手段はない。
レイの救出には成功したものの保健室は倒壊、医療の知識がある鮎川もゾンビ化、アモンやジムもデスベルトによって疲労している、更にスターズの二人も疲労困憊・魔力切れで行動不能……
……訂正しよう、状況は限りなく悪い。
最も――フェイトとエリオに関しては手段が無いわけではない。
罠カード「洗脳解除」、全てのモンスターのコントロールを元の持ち主に戻すカードである。
他のゾンビ生徒にならともかく、精霊として存在している二人ならばこの効果で元に戻る可能性が高い、
ただ、元々使いどころの難しいカードでもあることから、現在無事な人達の持っているカードにはなかったのだ。

「……そういえば」
「何だ?」
「万丈目君って、食糧庫の見張りをしてんだよね?」
「そうだけど……あ!?」

何を言いたいのかに気づき、十代は愕然とする。
万丈目がゾンビになった……それはつまり、食糧庫もゾンビの集団のど真ん中になってしまったということだ。
更に悪いことに、なのは達の食糧も食糧庫に入れてしまっている。

「まずいぜ……これじゃ一週間どころか、三日も持たない」
「でも、どうしよう……対策の立てようが……」

ただでさえ最低限の食事によってストレスはかなり溜まってしまっている、
それさえ得られないなどということがわかったら――想像したくもない。

「とにかく、みんなには隠しておかないと……って、どっちにしろ飯の時間になったらバレちまう!」
「トメさんが少し食材を運んでたはずだから、すぐにどうなるってことはないだろうけど……」
「少しって、どれくらいだ?」

十代の問いに記憶を掘り起こし――

「多く見積もっても、一日分……」

重い口調で呟いた……
231リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:22:34 ID:qiSpdWNP

マルタンは図書室に作られた玉座で上機嫌で微笑んでいた。
手ゴマであるゾンビ生徒はかなりの数となり、残った生徒たちも心の闇を増幅させている。

「もうすぐ……もう少しだよ、十代……」



「……十代……?」
「レイ! 気がついたか!」

目を覚ましたレイに十代とヨハンは喜ぶが、レイは逆に顔を俯かせてしまう。

「私のせいで……マルっちと鮎川先生が……」
「何言ってんだよ! レイのせいじゃない!」
「そうだ、この訳の分からない世界のせいだ。あまり自分を責めるな」
「うん……っ? あは、あはははは! ちょっ、やめ――あはは!」
「れ、レイ?」

突然笑い出したレイに二人は困惑し――不自然に盛り上がっているシーツをめくり上げる。
いつの間に入り込んでいたのか、レイの腹部でじゃれ合っていたヨハンの精霊、ルビーとはねクリボーは気まずそうに十代達を見上げていた。

「ルビー……」
「はねクリボー、何やってんだよ」
「もう……!」

ああくそ、俺と代わりやがれ淫獣共がっ


「近藤君……鈴木さん……この子も、あの子もゾンビになっちゃったノーネ……」

残っている生徒たちの点呼を取りながら、クロノスとナポレオンは肩を落とす。
頼りないが、彼らとてこのアカデミアの教師なのだ、生徒たちを想う気持ちに嘘はない。

「それに、加納マルタン君は相変わらず行方不明……」
「っ!」

ぽつりと呟いたクロノスの言葉にナポレオンはわずかに反応する。
拳を強く握りしめ、マルタンの無事を強く祈り続けていた……
232Devil never Strikers:2007/12/19(水) 23:23:22 ID:CGL8AqL3
支援
233リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:25:35 ID:qiSpdWNP
スバルとティアナは眠り続けている。
剣山や明日香、なのはがたまに見に来る以外は、キャロが付きっきりで看病にあたっている。

「……ごめんなさい」

思わず謝罪の言葉がこぼれてしまう。
二人が危険な状況に陥っていることはわかっていたはずだ、それでも自分は明日香達を優先した、
なのはもここに辿りついた時の二人もその判断は正しいと言ってくれたが、フリードだけでなく自分も向かっていればここまで傷つけることはなかったかもしれないのだ。
現に剣山が助けに行かなければゾンビ達に囲まれ、彼らの仲間入りをしていた可能性が高い。
自分を責めるキャロの頭をティアナが撫でる。

「ティアナさん……? いつの間に……」
「ついさっきよ。まったく、そんな顔しないの、キャロがフリードを送ってくれたおかげで助かったんだから」
「でも……」
「あのね、明日香さん達より私たちを優先してたら、それこそキャロの事を軽蔑してたわよ?
 キャロの判断は正しかった、あの状況では間違いなくベストな選択だったわ、それはなのはさんにも言われたでしょ?」

ティアナの言葉にも、キャロは俯いたまま顔をあげようとしない。
――まったく、私の周りにいる人は、どうしてこうも優しすぎる人ばっかりなのかしらね。

「キャロ、いい?」
「え?」
「あんたが今考えなきゃいけないのは、私たちのことでも、アカデミアのことでもないわ」
「え……と、それって……」
「そんなのは他の人に任せなさい、あんたは今、一番心配していることを無理矢理隠してる」

その言葉にキャロはハッと顔を上げる。

「私は二人を……エリオ君とフェイトさんを、救いたい……!」
「そう……なら、今やらないことは何? 私たちの看病?」
「いえ……ごめんなさいティアナさん、スバルさん、私、みんなのところに行ってきます!」

キャロが去っていき、ティアナは一つ息を吐いて――すぐ側から視線を感じて体を竦ませる。

「ふふふ……ティア、やっさしー」
「す、スバル……! あんた、目を覚ましてたならそう言いなさいよ!?」
「いやー、だって丁度ティアがキャロの事を諭してたからさー、何だか入りづらくって。うーん、流石ティア、いいこと言うよね〜」
「――っ! 動けるようになったら覚えておきなさいよ……!」


「みんな、食事の時間だよー!」

トメさんの声に、体育館にいた全員が反応する。
例え最小限だろうが、食事というものはそれだけで人の心を安らげてくれるものだ。
……まあ、いくつもある次元世界の中には、一口食べただけで卒倒するような料理を作る義妹から逃れるため、日夜神経をすり減らしている家庭なんかもあるだろうが。
そんな不幸な特例はともかくとして、用意された料理を見て生徒たちは動きを止める。

「何だ、これ?」
「……羊羹?」
「ごめんね……材料がなくて、スープを薄めるしかないんだよ……少しでも食感をと思って、ゼリーにしてみたんだけどさ」
234リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:26:19 ID:qiSpdWNP
十代やなのはが止める間もなく、
トメさんは食糧の絶対的な不足を話してしまう。
二人はパニックになることを覚悟するが――何の騒ぎも起こらないことに気づく。
別に騒いでも仕方がないことに気づいた訳ではない、
ただ、絶望感がパニックになる気力さえをも上回ってしまったのだ。

「みんな……」
「これうまいぜ! トメさん!」
「ヨハン?」

暗い雰囲気に包まれた中、場違いなほどに明るい声で言いながらヨハンはスープゼリーを食べていた。
それを見て、一人二人とスープゼリーへと手を伸ばし、量はともかくとして、その味には満足そうな表情になる。

「流石トメさんだぜ、うまい!」
「ありがとうねぇ、そう言ってもらえると嬉しいよ」
「ごめんなさい、私たちまで……」

申し訳なさそうに言うなのはへ、トメは首を振る。

「とんでもない! あんたたちは十代君達を守ってくれたんだろう? その上仲間が倒れてるんだ、遠慮なんてするんじゃないよ」
「はい……ありがとうございます」

そう言いながらスープゼリーが三つ乗った皿を持ってなのはは立ち去る、スバル達のところへ持っていくのだろう。
その後姿を見ながら、エリオとフェイトの分を用意してやれなかったことに悔しさを感じる。
ゾンビ化している人間が食事を必要とするかどうかはわからない、だからといって、それを理由に食糧を節約するのは彼女のプライドが許せなかった。

体育館の片隅で、三人の男が話していた。
その三人が最後まで名残惜しそうになのはの持っていった食糧を見ていたことには、誰も気がつかなかった。


――戦いたい。
フェイトとエリオの考えていることはこれだけだった。
二人は体育用具室でバインドを何重にもかけられ閉じ込められている。
バインドを掛け直す手間を考えたら別に閉じ込めなくてもいいのだが――
まあその、なんだ、ソニックフォームで縛られているフェイトを想像してみたら理由が分かってもらえるかもしれない。
半ば力づくでバインドを破ってはいくが、動けるようになる前にバインドを掛け直されてしまう、
――このままでは戦えない、なのは達を仲間にしてあげられない。
埒があかないと判断し、どうやってここから抜け出せるか、二人は思考を巡らせていく――


夜、三人の男が体育館から抜け出していった。
オブライエンが組んだ監視チームの目を?い潜り、ジムや三沢が作ったバリケードの一部を崩して外に出る。
彼らが目指しているのは食糧庫、道中には当然ゾンビが大量にいるのだが――空腹の限界を超えた彼らには、そんなことまで考えていられなかった。
ただひたすらに食糧庫への道を走り続け――
235リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:27:08 ID:qiSpdWNP
「うわぁ!?」

当然のごとく、ゾンビ達が立ちふさがる。
三人は必死に逃げるが、まるで誘導するかのように現れるゾンビの群れに堪らず側にあった部屋へと飛び込んだ。

「こ、ここは……?」
「図書室、か?」

この三人はほとんど来たことなかったが、大量の本棚を見れば大抵の人間は図書室を思い浮かべるだろう。
更に耳を澄ませてみると、奥の方から何か音が聞こえてくる。

「おい、この音」
「ああ、誰かが何か食ってる!」

音の正体に気づくと、我先にとその音源へ走り出す、
その下へと辿り着き、優雅にステーキを食べているマルタンと目が合った。

「お、お前、加納……?」
「てめぇ、姿を見せないと思ったら、こんなところで一人で呑気にお食事かよ!」

一人が怒りに任せて肉へと手を伸ばすが、その手をマルタンの異形と化した手が掴む。
怯える生徒へ、マルタンは不適に笑い別のステーキが乗った皿を前に出す。

「欲しいかい?」
「あ、ああ……食いてぇ」
「ふふ、いいよ、食べても……だけど、どれだけ食べても君たちが満たされる事はないけどね」
「ど、どういう意味だ!?」

意味ありげに笑うマルタンへと怒鳴りつける……ステーキを食べながらでなければもう少し迫力があったかもしれない。

「君たちの心の闇は、もう僕の手にある……満たされたいなら、このカードの向こうへ行くといい」
「な、何だ……?」
「融合……?」

マルタンの側に一枚のカードが現れ、三人を導くように光だす。
わずかに戸惑いながら、三人はその光へと吸いこまれるように歩を進める。
そして、そのまま――



『やあ、十代』
「この声、マルっち!?」

突然放送で名指しされ戸惑う十代の横で、レイが驚きの声を上げる。

「マルっち、どこにいるの!?」
『マルっち……? その呼び方はやめてもらいたいな、それに、今僕は十代と話しているんだ』
「……俺に何の用だ?」

何か危険な空気を感じ、警戒しながら十代は問いかける。
236リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:29:32 ID:qiSpdWNP
『別に大したことじゃない、少し取引きをしようと思ってね』
「取引き……?」
『君たちは今、僕が支配している生徒たちによって動きが取れない、特に食糧は残りわずかなんじゃないかな?』
「っ! お前が翔達をあんな風にしたのか!?」
『こちらには有り余る食糧がある、それを提供してもいいよ』

マルタンの言葉に生徒たちが活気づく。
だが、十代達は厳しい顔つきでここにはいないマルタンを睨みつける。

「それで、代わりに何を要求する気なの?」
『変電施設、あそこをこちらに譲ってほしい』
「……? あそこは砂で埋もれて使い物にならないぞ?」
「兄貴、いい条件ザウルス」

意図の読めない取引きに十代やなのは達は警戒を更に強めるが、
他の生徒はとにかく食糧を手に入れるチャンスだと深く考えずに乗り気になってしまっている。

「兄貴、交換しちゃうザウルス」
「……いや、捨てるには惜しい場所だ、まだ復旧させられる可能性もある」
「それに、相手が欲しがってるってことは、そこを使って何かを企んでいるってことでもあるからね」

みんなの意見を聞きながら十代は悩み――口を開く。

「取引きには――応じない!」
「なっ!? ふざけるな十代!」
「食糧が手に入るんだぞ!」

周囲の生徒たちが次々と罵声を浴びせるが、十代は不適な笑みを浮かべて叫ぶ。

「だが、その二つを賭けてデュエルで勝負だ!」
『ふふ、そう言うと思ったよ、十代……表に出るんだ、相手はすでに用意してある』

マルタンに言われ、動けないメンバー以外は全員が外に出る。
……最も、生徒の大半は早く食糧が欲しいからという理由のようだったが。

正門のところにやってくると、見慣れぬ仮面をつけた三体のモンスターがやってくる。

「何だ? あんなモンスター見たことないぜ」
「お、おい、あれ……人間の顔じゃないか!?」
237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 23:29:39 ID:Y2Jjqqmz
支援、支援
238リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:30:32 ID:qiSpdWNP
誰かの言葉に全員がモンスターを注目し直し――絶句する。
怒り・笑い・無表情とそれぞれ違う仮面を付けたモンスターだったが、その仮面とは別の位置に、見覚えのある顔が浮かび上がっていた。

「あ、あれは原田君と斎藤君と前田君なノーネ!」
「あの三人、いつの間に……!?」
『ふふふ、彼ら三人とデュエルして、勝ったら食糧をあげるよ』

マルタンの声に十代が前に出ようとするが、ヨハンに止められる。

「お前はまだ鮎川先生とのダメージが抜けてないだろう、俺が行く!」
「あの三人が抜けだしたのは俺の監視体制が甘かったせいだ、俺もやろう」
「バリケードが不十分だったのは俺の責任でもあるからな……OK! 勝負だぜ!」

ヨハン、オブライエン、ジムの三人がそれぞれモンスターの前に立つのを見て、なのはは思考を巡らせる。
はっきり言って、今のなのはに三人を援護する力は無い、
スバルやティアナほどではないにしろエクシードモード、更には非常識な量の魔力球の同時生成など無茶をしすぎた。
更に、デュエル場所をわざわざ指定してきたことも何かが引っ掛かってならなかった、
そんななのはに、キャロが話しかける。

「なのはさん、体育館へ行ってください」
「キャロ?」
「この隙にフェイトさん達の拘束を解かれたら、スバルさん達が危険です」
「っ! だけど、ヨハン君達が……」
「三人なら、大丈夫です……ケリュケイオン、セットアップ!」

強い眼差しで、キャロはフリードと共に三人に近づく。

「三人は、私が援護します!」
「キュルルー!」

続く

十代「こいつら、強い!? ヨハン、耐えてくれ!」
なのは「何なの? とても強い力が動いている気がする……ってナポレオン教頭!? いったいどこへ!?」

次回 リリカル遊戯王GX
 第十話 キャロの決意! 突き抜けろスターズ!

キャロ「これ以上、犠牲者は出させない!」
なのは「どうしても止まってくれないのなら、力づくででも止めてみせる!」

十代「今回の最強カードはこいつだ!」

―ライトニング4 キャロル=ルシエ―
光属性 魔法使い族 星3
攻撃力600 守備力1200
このカードは自分の場に「エリオ」「フェイト」「フリード」と名のついたモンスターがいる場合、その枚数×200ポイント攻撃力がアップする。
このカードの攻撃力を半分にすることで、ターン終了時まで別のモンスター一体の攻撃力を300ポイントアップできる。この効果は1ターンに一度のみ発動可能。

十代「ヨハン達のことを頼むぜ、キャロ!」
なのは「次回もよろしくね♪」
239リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:32:09 ID:qiSpdWNP
以上でっす。
途中で作者の叫びが出たけど気にしないっ
・・・うん正直
>ソニックフォームで縛られているフェイト
この一文を書いた瞬間自分で想像してしまって発狂しかかった
240Strikers May Cry:2007/12/19(水) 23:34:37 ID:YDV0It+O
GJ。
“ソニックフォームで縛られているフェイト”……素晴らしいじゃないか!
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 23:35:22 ID:kz7ThLHY
>>239
GJです!!

その構図はやばいwww俺も発狂しそうだwwwwww
242Devil never Strikers:2007/12/19(水) 23:38:56 ID:CGL8AqL3
GJです
うん…何か幸せになってきた気がします

終了が30分なのでこっちの投下は50分からって事で良いですか?
243リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:43:11 ID:qiSpdWNP
>>242
了解でっす、支援支援
244Strikers May Cry:2007/12/19(水) 23:43:47 ID:YDV0It+O
良いんじゃないでしょうか? 期待してまっせ〜、なんせ2のダンテは顔は渋いし服も良い感じだし。
その上、真・魔人なんてヤバイ隠し技を持ってるんで期待大ですよ!
245Devil never Strikers 1/8:2007/12/19(水) 23:52:11 ID:CGL8AqL3
Devil never Strikers
Mission : 03
devil , inspector and sword


 仲介という仕事がある。
 仲介とは、金次第でどんな危険な依頼でも引き受ける便利屋とその便利屋を必要とする人間を繋ぐ、裏社会の窓口のような物だ。

 ある一人の仲介屋がいた。
 その仲介屋はまだ若く、つい最近初心者を卒業したばかりだ。
 彼は便利屋たちの溜まり場である薄汚れた酒場に入ると一人の男の隣に座り、話しかけた。

「なあダンテ、そろそろ働けよ」

 だがダンテの態度はこうだ。

「仕事がねえ」

 正確には仕事が無いのではなく、ダンテの気に入った仕事が無いのだ。
 だがダンテの言葉を額面通りに受け取った男はダンテに仕事のメモを見せながら声を荒げる。

「そんなこと無いだろ!ホラこれを見ろ!」

 現在ダンテはDevil May Cryを開く前のように便利屋をやっていた。
 便利屋というのは本来なら自分から仕事をもらいにいかなければならないのだが、実力のある者には仕事のほうから 来る場合もある。
 実力だけ見ればダンテの右に出る者はいない、故に彼を指名する依頼は多い。
 だがダンテがその依頼に応じる事は少ない。
 さっきも言ったように気に入った仕事しかしないからだ。
 そしてダンテが気に入る仕事というのは誰にも分からない、まったく法則が無いのだ。
 どんなに破格の待遇でも断ることがあり、逆にタダ働き同然の仕事に自分から関わった事もある。

 だが仲介屋の男はこう考えた。
 その法則さえ見つければ自分はダンテのマネージャーも同然だ、と。
 要するにダンテの報酬のおこぼれにあずかろうというわけだ。
 しかしダンテに仕事をさせるのはDMDノーコンティニュークリア並に難しい。

「これなんかどうだ?一人倒せばそれで終わりだぞ?」
「興味ねぇ」
「こっちは?危ないが報酬はこの中で一番だ」
「気にいらねぇ」

 こんな風にどんな依頼でもたいていの場合は断ってしまうからだ。
 本格的に金が無い時はどんな依頼でも受けるのだが今はそれなりに、本当にそれなりに持っているため興味の無い依頼は引き受けない。
 それでも彼は諦めずダンテに仕事の一覧を見せる。
 いくつもの仕事が書かれているそれを見たダンテは一つの仕事を指差す。

「これだ」
「へ?」
「だからこれだ」

 最初は意味が分からず間抜けな声を出すが、すぐに理解する。
 その瞬間彼の頭の中に声が聞こえてきた。

『If Devil May Cry's a rocking, don't come a knocking, baby yeah! 』
246Strikers May Cry:2007/12/19(水) 23:53:50 ID:YDV0It+O
支援だ!!
247Devil never Strikers 2/8:2007/12/19(水) 23:54:30 ID:CGL8AqL3
 ダンテが選んだ仕事はホテルアグスタの警備だった。
 このホテルでロストロギアを扱うオークションを開催されるのでその警備をする事が仕事だ。
 ダンテの警備は前日の夜からオークション終了まで。
 いつもの赤いコートでうろつかれてはホテルの品位が疑われる、という理由からダンテは用意された部屋で待機し何かあったらそこに行くといった用心棒のような扱いだった。
 
 ダンテが事務室のような部屋で夕食を食べていると来客があった。

「失礼、管理局の者ですが…」

 入ってきたのはシグナムだった。
 機動六課にも警備の依頼があったらしく、一緒になる便利屋達に挨拶にきたらしい。今もヴィータを含め何人か警備にあたっているらしい。

「まさかお前が働いているとはな」
「そりゃ働くさ、働かなきゃピザが食えない」
「お前は何も無ければここにいるだけなんだろう?」
「うらやましいか?」
「うらやましいな」

 最後の言葉が皮肉からか本心からなのかは誰にも分からない。
 そしてシグナムは部屋を出て行き、その後は何事も無く朝になりオークション当日となった。
248リリカル遊戯王GX:2007/12/19(水) 23:55:26 ID:qiSpdWNP
ニートが!働くまで!支援を!止めないっ!
249Devil never Strikers 2/8:2007/12/19(水) 23:56:35 ID:CGL8AqL3
 機動六課の他のフォワードがホテルに到着したのはオークション開始の数時間前だった。
 仮眠を取り終えたヴィータが出迎え、それぞれの警備箇所に着く。
 ホテル内には何のトラブルも無い。
 だがホテルから少しはなれた場所にトラブルの種が来ていた。

 画鋲に足と羽が生えたような姿の虫が偵察飛行を終え、主であるルーテシアの指に止まり、自分の意思を伝えた。
 それを聞いたルーテシアは隣にいる同行者にそれをそのまま伝える。

「ドクターのおもちゃが近づいてきてるって」

 だがそれはこの二人には関係ない。
 このまま無関係を決め込もうとしていると通信が入った。

「ごきげんよう、騎士ゼスト、ルーテシア」
「ごきげんよう」
「何のようだ」

 突然入ったスカリエッティからの通信に挨拶を返したのはルーテシアだけで、ゼストはお前には関わりたくないといった態度を隠しもしない。
 だがスカリエッティはそれを気にせず続ける。ちょっと欲しい物があるから盗ってきてくれないか?と。

「断る。レリックが絡まぬ限り互いに不可侵を守ると決めたはずだ」
「ルーテシアはどうだい?頼まれてくれないか?」
「いいよ」
「優しいなあ、今度ぜひお茶とお菓子でも奢らせてくれ」

 ゼストはスカリエッティへの不信感から断ったがルーテシアは簡単に承諾する。
 スカリエッティはそのままルーテシアのデバイス、アスクレピオスに情報を送り、通信を切った。
 そして今さっき偵察に使った画鋲型の召喚虫をガジェットに向かわせた。
 それと同時にアスクレピオスを通して悪魔が話しかけてきた。自分も出してくれ、と。

「うん。いってらっしゃい」

 ルーテシアはその言葉に答え、燃盛る炎の力を持った悪魔を転送した。
250Strikers May Cry:2007/12/19(水) 23:57:59 ID:YDV0It+O
燃盛る…ってもしかして支援!
251Devil never Strikers 4/8:2007/12/19(水) 23:58:35 ID:CGL8AqL3
 同時刻、便利屋達の待機所にある男がやって来た。

「ダンテさんですよね?」
「だったら?」
「差し入れです」

 サボリの口実のために来た男、アコースが持ってきた差し入れはストロベリーサンデーだった。

「ありがとよ」

 もらったストロベリーサンデーを食べ始めるダンテ。
 だがのんびり至福の時間を楽しむことは出来なかった。

「聞きたいことがあるのですが」
「食ってからにしろ」

 もらった相手にこの態度である。だがアコースに気にした様子は無い。
 アコースはダンテにちょっとした興味を持っていたのだ。妹分であるはやてが勧誘した男となればアコースが興味を持つのはなんらおかしい話ではない。
 だがアコースの最大の興味はダンテの主義にあった。それを詳しく聞く事が今回の目的だった。

「食べてからで良いので、あなたの唱える週休六日主義について詳しくお聞かせ願いたい」

 結局週休六日主義について語り合うことは出来なかった。
 シャマルからの念話通信が入ってきたからだ。

(ガジェットの反応があったわ!すぐに向かって!)
252名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:00:38 ID:qtVu0UqW
支援
253Devil never Strikers 5/8:2007/12/20(木) 00:00:40 ID:CGL8AqL3
 ガジェットの反応があったと聞いたダンテはストロベリーサンデーをすばやく片付け、外に出た。
 二種類ある反応のうち近い方に狙いを定め走り出す。
 だがその足がガジェットの元へ向かうことは無かった。
 ダンテのすぐ目の前に召喚魔方陣が出現したからだ。
 そこから凄まじい熱気を伴い炎のように赤い体毛、雄雄しい二本角と褐色の肌を持った悪魔が出てくる。

「懐かしい気を感じたと思って来て見れば…やはりお前か、ダンテ」
「誰だ?」
「こいつはご挨拶だ。マレット島では一緒に戦ったじゃないか」
「イフリートか?」
「これにはワケがある、まあ聞きな」

 そう言うとイフリートは魔法陣の中から一冊の本を取り出した。
 人間の腕ほどもある指で器用にそれを開き読み始める。

「イフリートの冒険日記 ○月×日 水曜日
今日僕はダンテとアラストルと悪魔狩りに行きました。
でもダンテはアラストルしか使ってくれません。
こいつは絶対素人だと思いました」

まだまだあるぞ、と言いながらイフリートはページをめくる。

「○月△日
今日はデュ何とか島を探検する日です。
なのにダンテは僕達を忘れて僕達は留守番でした。
リベリオンが羨ましいです。

△月□日
今日はとても嬉しい事がありました。
ダンテの代わりに僕達を使ってくれる人が来てくれたのです
アラストルはとっくにどこかに行ってしまいましたが、僕達はその人のところに行くことになりました。
でももう意思を持たないベオウルフだけはダンテの事務所に残っています。
僕は少しかわいそうだと思いました。

といった具合で我々はスカリエッティに拾われた。
まあ私だけは気の合う友人を見つけたのでそっちにいるがな」

 イフリートの音読が終わった。
 ダンテが今まで従えてきた魔具達がいつの間にか自分の下を離れていたことにちょっとくらいショックを受ける事を期待していたイフリートだったが、その期待はダンテの次の言葉で砕かれた。

「長い台詞は終わりか?さっさと戦ろうぜ。こっちに来てから骨のあるやつがいないんで退屈してたところだ」

 闘争心満々といった感じで剣を構えるダンテ。
 その姿は力強く、動揺など微塵も感じられない、むしろお前らなんか居なくなったっていいよと言っているかのようだった。
 そんな態度をとられたイフリートには怒りが沸き、普段より強い業火を纏った拳を構える。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:01:03 ID:2V3bTKMi
週休六日主義万歳支援!
255Devil never Strikers 6/8:2007/12/20(木) 00:02:43 ID:CGL8AqL3
「さて、ようやくライブの始まりだ」

 先手を取ったのはイフリート。獣のような体から繰り出される拳の力は凄まじく、受け止めたダンテの足がコンクリートにめり込む。
 好機とみたイフリートは頭上で拳を組み、二つ合わせてダンテ目掛けて勢いよく叩きつける。
 だがその程度でダンテをしとめられる筈も無く、拳はむなしくも空振る。
 イフリートは顔を左右に振りダンテの姿を見つけようとするが左にも右にもあの赤いコートは見つからない。
 残された可能性を考え上を向くが時すでに遅し、そこには空中で双銃を構えたダンテがいた。

「あせるなよ、熱血野郎」

 ダンテの指が引き金を引き、イフリートの体に魔力弾の雨が降り注ぐ。
 数秒打ち続けた後に銃をホルスターに収め、落下速度を利用してリベリオンを叩きつける。
 そのままダンテはリベリオンを操りイフリートに連続攻撃を仕掛ける。
 接近状態では不利と見たイフリートは魔力をこめた右腕を地面に叩きつけ、周囲に火炎の結界を張る。
 インフェルノ。火炎の結界を張り、その中のもの全てを燃やし尽くすイフリートの奥義だ。
 ダンテはバックステップで距離をとり難なくこれを避ける。

 現在ダンテにダメージは無い。イフリートの攻撃を全て見切っているからだ。
 どんなに強い攻撃も当たらなくては意味が無く、このままではイフリートに勝機は無い。
 だが単純な力の差だけで決まらない。だからこそ戦闘は楽しいのだ。
 まだいくらでも戦況は転がりようがある。
 今回この状況を変えたのは、増援だった。
 いつの間にかイフリートの側に立つ黒い人型の虫を見てダンテの闘志はイフリートの炎にも負けないぐらいに燃え上がる。

 しばらくイフリートと黒い虫、ガリューは顔を見合わせる。
 それを作戦会議と判断したダンテはあえて攻撃をしない。
 そしてガリューの姿が消え、ダンテは相手の手を考える。

(イフリートを餌にしてあの黒いのが攻撃ってとこか)

 だが次にイフリートが取った行動はダンテが全く予想していないものだった。

「悪いが、今日は終わりだ」

 突然の終了宣言。
 ダンテの高揚感は炎の魔人のその言葉によってあっさりと冷やされる。
 ダンテには知る由も無いがイフリートの今回の役目は陽動だった。
 ガリューが目的を果たしたためにイフリートがここで戦う必要はもう無い。
 まだ戦いたいダンテの気持ちなどよそにイフリートは召喚された時のようにあっさりと魔方陣から帰っていく。

「マジかよ…」

 残されたダンテには呟くしか出来なかった。
 呟くと同時に近くの森での戦闘音に気づく。
 どうやら向こうはまだ戦闘中らしい、行き場の無いモヤモヤを捨てるためダンテはその方向に向かった。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:02:51 ID:KV2nMMG2
なんというヴィーティフルの再来ww
支援
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:02:57 ID:25jWC1eM
週休六日主義って・・おいw支援!
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:03:00 ID:1xD5XOIN
イフリート…………wwwww
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:03:20 ID:wDWc2cj8
イフリート使ってやれよwww支援
260Devil never Strikers 7/8:2007/12/20(木) 00:04:44 ID:i95/nwZY
「おい、ちび組。もう終わってるのか?」
「何だその括り方は!」

 ダンテが着いたときに居たのはヴィータ、エリオ、キャロの三人しかいなかった。
 ちび組と言う呼び方にヴィータが反発するがダンテは意に介さない。
 自分が子供じゃないと言い続けるヴィータを無視し、エリオに説明を求めるダンテ。
 エリオが説明を始める。内容はガジェットがイキナリ強くなっただのティアナがミスっただのダンテが興味を示す物はなかった。
 全部聞き終えたころには前のほうに出ていたザフィーラもやってきた。
 だがダンテにはこの状況に違和感を感じていた。
 何かが欠けてる。なんとなくそんな気がしたのだ。
 その何かについて考えていると不意に思い出した顔があった。

「おい、シグナムはどうした?」

 その言葉に場の空気が固まる。
 この場にいない剣の騎士の所在について全員で思考をめぐらせる。
 口を開いたのはヴィータだった。

「あたしが仮眠を取り終えて、シグナムが仮眠室に入ったのを見たのが最後だ」

 今回ヴィータとシグナムは交代で仮眠を取ることになっている。
 そして非常事態とはいえ、今はシグナムの仮眠時間ピッタリだった。
 ヴィータは念話でロングアーチとこの場の通信をつなぐシャマルに話しかける。

(おいシャマル!シグナムにちゃんと伝えたんだろうな!)
(ちゃんと伝えたわよ、ガジェットの反応があったからすぐに出てって)

 シャマルが念話で話しかけている中にはダンテも含まれるため、ダンテもこのやり取りを聞いていた。
 だからダンテはこの会話で思うことがあった。

「あれか?」

 そう、確かにダンテは本来受けるはずの無いになっていないシャマルからの念話を受けていた。
 『ガジェットの反応があったわ!すぐに向かって!』と。
 受けたときはいつもの働けコールだと思っていたので気にもせず返事もしなかった。
 だが!これはいつもの!そう、シャマルのいつものうっかりミスだった!
 シャマルはシグナムに念話をしたつもりがダンテに送ってしまった!
 それならシグナムはどこにいるのか!?

「主はやて……お止めください…」

 仮眠室で悪夢にうなされていた。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:06:07 ID:5f7N+X4g
ちょっとかわいそうな支援!
262Devil never Strikers 8/8:2007/12/20(木) 00:06:55 ID:i95/nwZY
 さて、この事件の後日談としてダンテと機動六課の関係の変化について書き記そう。
 イフリートとの戦いにより、ダンテが(隠してたわけではないが)デビルハンターであることが明らかになった。
 それにより機動六課から協力の申し入れが来たのだ。
 機動六課は悪魔の存在を確認したらそれをダンテに伝える。
 ダンテはその悪魔を狩りに行く、といった内容だ。
 はやての目論見は、本来機密の情報をダンテに流し、悪魔を含めガジェットと戦わせることでこちらの戦闘を楽にする事にある。
 ダンテも自分が利用されている事に気づいているが―――否、はやて自身がダンテを利用すると言ったのだ。
 下手に取り繕うよりそっちの方がダンテには効果的と見たはやての考えは間違っていなかった。
 ダンテの返事はこうだ。

「分かった、ただし行くかどうかはその時次第だ」

 口ではこう言うがダンテが気分を害した様子は無く、心なしか楽しんでいるようにも見えた。
 これを機にダンテと機動六課の距離を縮めようとしたはやてはダンテに模擬戦の見額を勧めた。

「実際見たほうがうちらの実力が分かるやろ?」

 ダンテはこの言葉に反対する理由を持たず、かつ暇だったので暇つぶしに見ていく事を決めた。
 案内は執務官の仕事を終え、自身も訓練所に向かうフェイトが務めた。
 もっともダンテは自分に敵う奴はこの中にはいないだろうと思っていた。
 これは自惚れではない。実際魔王を倒した彼に一対一で敵う相手はそうはおらず、それがイフリートとガリューの作戦会議を待った理由でもあった。
 彼を一対一で倒せる者がいるとすればそれは魔王以上か同等の存在ぐらいだった。

 だが、今の訓練所には奴がいた。

「ちょっと…頭冷やそうか…」

 ―――冥王が、そこにいた。


Mission Clear and continues to the next mission
263Devil never Strikers:2007/12/20(木) 00:08:59 ID:i95/nwZY
今回は以上です
ゼスト+アギト+イフリートを書きたいがための2の後でした。
他にもナンバーズの誰がどの魔具を使うのか
そして機動六課のだれがどれを奪い取るのか等、自分でもこれからが楽しみです
264Strikers May Cry:2007/12/20(木) 00:10:22 ID:hMklsldW
ニート侍GJ 
次回は8話ですか!? しかしイフリートか…てっきりルーテシアの召喚虫のファントムが出るのかと思いましたよ。
265Devil never Strikers:2007/12/20(木) 00:11:00 ID:i95/nwZY
あ、ちなみにサブタイトルの直訳は「悪魔、査察官、剣」ですが
意訳はご想像くださいwww
266名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:14:17 ID:wDWc2cj8
イフリート・・・・・・・ああ、フロストにインフェルノぶちこみまくるのが楽しかったなー
267名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:18:04 ID:iJn1rHhF
>>リリカル遊戯王GX氏
GJ!
発狂?231で既に心の闇駄々漏れしてるようなw

というわけで恒例のエラッタ
《ライトニング4 キャロル=ルシエ》効果モンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻600/守1200
自分フィールド上に表側表示で存在する
「エリオ」「フェイト」「フリード」と名のついたモンスター一体につき、
このカードの攻撃力は200ポイントアップする。
このカードの攻撃力を半分にすることでフィールド上に表側表示で存在する、
このカード以外のモンスター一体の攻撃力をエンドフェイズまで300ポイントアップする。
この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに使用する事ができる。

OCGでは「場」という言葉は基本的に「フィールド」と表記するらしい
あと2番目の効果のテキスト最後尾は「する」となる(攻撃力半減が任意であるため
もちろん相手モンスターの攻撃力を上昇することも可能
無意味なことかもしれないけど攻撃力に依存したカード効果適用範囲を変動させる際には重宝するかも?
ウイルスの媒体もしくは感染させることができるようにしたりとか
ディメンションウォールでより強く自爆してもらうとか
それと同名の関係上、某勇者でも攻撃力が上がるのはご愛嬌
これからの展開しだいでは矛盾がなくなりますが期待してよろしいのでしょうか?

>>Devil never Strikers氏
これなんてVJ?イフリートはノリがいいな
確かにダンテは頭冷やされる候補筆頭だな
とりあえず、彼の週休六日主義を何とかしないとw
実力はあるんだけど、ぶっちゃけダメニートだし
となると、女運が下降するのか
最初は脳天に鉛弾、次は串刺し+雷撃、今度は魔力弾が追加されるのか(まあ、天運だと思って諦めれw
268名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:25:11 ID:CM+d6te/
>リリカル遊戯王GX氏
GJ!でございます。

>ああくそ、俺と代わりやがれ淫獣共がっ
これは氏の心の叫びと見たっ!!wwwwwwww

ついでに
>ソニックフォームで縛られているフェイトを想像してみたら
>理由が分かってもらえるかもしれない。

想像してみたら…(*´д`*)ハァハァハ(ry
269リリカル遊戯王GX:2007/12/20(木) 00:27:41 ID:BsS7qnYP
>>263
なんか色々重要イベントすっ飛ばした気がするけどGJwww
シャマルうっかりってレベルじゃねーぞw

>>267
おおう、勉強になります。
フリードとか・・・
どう考えても絡みません、本当に(ry
フリードリヒのミスです・・・ちくしょう、なんでこんなに名前が被る奴が多いんだ!
270りりかる剣心:2007/12/20(木) 00:27:47 ID:wSOCr3i8
職人の皆さんGJです♪


続けて第四話後編投下よろしいですか?
271リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 00:38:12 ID:XVcZ/If+
二十一話完成……少し遅かったか…
支援
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:38:23 ID:5f7N+X4g
OKです。
273反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/20(木) 00:38:58 ID:Lu9WHHLH
>>229
セフィロス「イィィィィィッヤッホウウウウウウウ!!!」
まさにその通りでございます。そしてGJ!
…しかし…ダンテのみならず、シグナムもシャマルもイフリートも、見事にみんな仲良く駄目人間ですなw

>>270-271
今夜は久々の投下祭りだッ!支援
274名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:40:46 ID:5f7N+X4g
支援します!
275りりかる剣心:2007/12/20(木) 00:41:14 ID:wSOCr3i8
あ、ならライダーさんお先にどうぞ。

自分はもうすこし後でも良いんで
276リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 00:42:33 ID:XVcZ/If+
…良いんですか?
じゃあ…投下おk?
277Strikers May Cry:2007/12/20(木) 00:43:51 ID:hMklsldW
支援だぜ! だからお二人とも…早くつ、続きを!!!
278リリカル遊戯王GX:2007/12/20(木) 00:48:07 ID:BsS7qnYP
ちくしょう、明日早いから支援できねぇぇぇぇ!
279リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 00:48:08 ID:XVcZ/If+
二十一話Pain to Pain Aパート

【ゆりかご内部 王座の間】
「この作戦…あまり気が進まない…」

ディエチは王座に固定されているヴィヴィオを悲しげに見つめる。

「あ〜ら?どうして〜?」

クアットロは冷酷な瞳でディエチに問いかける。

「…っ。こんな小さな子供を使って、こんな大きな船を動かして、そこまでしないといけないことなのかな?技術者の復讐とかそんなのって…」
「あ〜あれ。あんなのドクターの口先三寸。ただのデタラメよ?」
「…!…そうなの?」
「ドクターの目標は初めから一つだけ。生命操作技術の完全なる完成。そして、それができる空間作り。
このゆりかごはそのための船であり、実現のための力。ま、今回の件で軽く何千人かが死ぬでしょうけど、百年経たずに帳尻が合うわよ。
ドクターの研究はぁ、人々を救える力だもの〜」
「……」
「どうしたの?ディエチちゃん。お姉さまやドクターの言うこと、信じられなくなっちゃったぁ?」
「そうじゃないよ。そうじゃないけど…。ただ…。こんなに弱くてちっちゃい命が、それでも生きて動いてるのを見ちゃうと、この子達は別に関係ないんじゃないかって」
「姿を見る前なら平然とトリガーをひけたのに…ねぇ?」
「はぁ…ごめん。気の迷いだ。忘れて。」
「そぉ?」
「命令された任務はちゃんとやる。そうしないと、地上のお姉や妹たちも面倒なことになるしね。」

ディエチはイノーメスカノンを背負い、王座の間から出て行った。

「(お馬鹿なディエチちゃん。あなたもチンクやセインみたいなつまんない子なのね。うふふふふ。なんにもできない無力な命なんて、その辺の虫とおんなじじゃない。
いくら殺しても勝手に生まれてくる。それを弄んだり蹂躙したり、籠に閉じ込めてもがいてるのを眺めるのって、こーんなに楽しいのに!ねぇ?)」
280リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 00:49:02 ID:XVcZ/If+

【聖王医療病院 ヴァイスとザフィーラの病室】
現在、ミッド中でスカリエッティの総攻撃が報道されていた。
一時間ほど前目覚めていたヴァイスはその映像をTVで見ていた。

「目覚めたか…」
「たった今っスよ…今日は、何日の何時スか?俺はどれくらい寝てたんスか?」
「六課襲撃から、丁度一週間だ。新たな事件が起こっているそうだ。動ける六課メンバーは全員出動している。」
「ヘリ無しでスか?」
「ヘリはアルトさんが操縦するって。」
「!?」

病室の扉が開き、眼帯をつけた少女が現れる。
ヴァイスの妹、ラグナ・グランセニックだ。

「シグナムさんとアルトさんが、教えてくれたの。」
「ラグナ…」
「それから、怪我して大変だからお見舞いしてあげてって…お兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ…」
「怪我はたいしたことないから、安静にしてればすぐ直るって。」
「そうかい…」
「あのね…あの時の…」
「…」

ヴァイスはラグナの目を撃ってしまった日のことを思い出し、表情を曇らせる。

「あの事故の後から、お兄ちゃんと私、何だか上手く話せなくなっちゃったけど。昔みたいに戻れたらって。左目もね、傷、もう消えたでしょ?眼帯ももうしなくてよくなるって…」

ラグナは眼帯を外し、失明した左目をヴァイスに見せる。

「…」
「じゃあ、避難勧告でてるから、そろそろ帰るね。」
「ああ…」
「あの、お兄ちゃんが元気になったら、私たちまた昔みたいに話せるかな?」

ラグナはそれだけ言い、病室を後にする。

「なんともまぁ、情けない話でね。てめぇの失敗から逃げて、責任から逃げて、未だに向き合えてねぇから、またしくじって、この様だ。
何にもふっきれてねぇから、おれぁまだラグナの目をまとも見れねぇ。あいつを、ストームレイダーを手に取れねぇっ!」
「…どう生きるかどう戦うか、選ぶのはおまえだ。おまえが目を覚ますまで、見守ってやってくれとアルトたちに頼まれていたが、その役目ももう済んだ。」

ザフィーラは起き上がり、ベッドから降りる。

「旦那!あんた…そんな身体でどこへ?」
「やらねばならぬことがある。」
「…待て。」

ザフィーラが足を進め始めた瞬間、再び病室の扉が開く。
すると今度は腹部に包帯を巻き、その上にお馴染みの片袖なしの黒いコートを羽織った矢車が姿を現した。

「矢車の旦那!起きたんですかい!?」
「ああ…耳元であのバカ女の耳障りな声を何回も聞いた気がする…」
「矢車…シャマルがどれほど貴様を心配していたと…」
「うるせぇ犬っコロ。だから乱暴に起こしてくれた借りを返しに行く…あの女はドジだ。相棒だけで守りきれるようなタマじゃねぇよ…ぐっ!」

矢車は片膝を着き、腹部を押さえる。
281リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 00:50:01 ID:XVcZ/If+
「旦那!」
「大丈夫だ…それから、腹縫ってくれた木野にも、挨拶に行ってやらなきゃ…またしっぺ返しを喰らうような気がしてなんねぇ。」
「貴様の場合、どちらにせよろくな目には会わんな。」
「…違いねぇな。」

矢車は腹部を押さえながら立ち上がり、ヴァイスに問いかける。

「ヴァイス…地獄に付き合うか?」
「…ああ!」

【廃ビル街上空】
「あなたはなぜこんなことをするの!?訳があるなら教えて!」

【廃ビル2屋上】
「…」
「くっ…出ないと僕たちは…本当に君達を…」

【廃ビル街上空】
「ドクターのお願い事だから…」

ルーテシアは無数の小虫をキャロに向けて放つ。

「ウイングシューター!」

キャロもケリュケイオンから羽根型の弾丸を撃ち、それを相殺。
そしてフリードの背から降り、ルーテシアもガジェットの背から降りる。
二人はそれぞれのパートナーの下に降り、再び対立する。

【廃ビル2屋上】
「ドクターは私の探し物、レリックの11番…それを探す手伝いをしてくれる。だから、ドクターのお願いを聞いてあげる。」
「そんな…そんなことのために…」
「そんなこと…あなたにとってはそんなことでも、私にとっては大事なこと…」
「違う違う!探し物のことじゃなくて」
「ゼストももうすぐいなくなっちゃう。アギトもきっと、どこかへ行っちゃう。
でも、このお祭が終わればドクターやウーノたち皆で11番を探してくれる。そしたら母さんが帰ってくる。
そしたら私は、不幸じゃなくなるかもしれない」
「違う!それ違うよ!」
「あなたと話すの…嫌い。」

キャロの背後にガリューが現れ、鋭い刃をキャロに向けて振り下ろす。

「!?」
「キャロオォォォォォォオ!!」

刃がキャロを貫く寸前、エリオが割って入り、ストラーダでガリューの刃を受け止め、刃ごとガリューを弾き返す。

「違うんだよ。幸せになりたいなら、自分がどんなに不幸で悲しくても、人を傷つけたり不幸にしたりしちゃ駄目だよ!そんなことしたら、欲しいものも幸せも、何も見つからなくなっちゃうよ。あたし!アルザスの竜召喚師!管理局の機動六課の魔道師!キャロ・ル・ルシエ!」
「同じく、エリオ・モンディアルと飛竜フリード・リヒ!」
「話を聞かせて!レリック探しも!あなたのお母さん探しも!あたしたちが…機動六課の皆が手伝うから!あなたの名前は…」
「「あ〜らら〜ルーテシアお嬢様、駄目ですよ〜ガリューさんもぉ。」」
282リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 00:50:40 ID:XVcZ/If+
「!?」
「誰だ!?」
「クアットロ…」
「戦いの最中、敵の言うことに耳を貸しちゃいけません。邪魔なものが出てきたらぶっち殺してまかり通る。それがあたしたちの力の使い道。ルーお嬢様にはこの後、市街地ライフライン停止ですとか、防衛拠点のぶっ潰しですとか、色々お願いしたいお仕事もありますし〜」
「クアットロ…でも…」
「「あ〜、迷っちゃってますね〜。無理もないです。純粋無垢なルーテシアお嬢様にそこのおチビの言葉は毒なんですね。
なら…ポチッと!」」

クアットロは電子キーボードのスイッチを押す。
すると無数の術式が展開され、沢山の地雷王が中から現れた。。

「ルーちゃん…」
「ガリュー…!」
「「ルーお嬢様が迷ったりしないようにしてあげま〜す。ドクターが仕込んでくれたコンシュテレーション・コンソールで誰の言うことも聞く耳を持たない無敵のハートをプレゼント!」」

ルーテシアの体が震えだし、瞳の色が変わる。

「「ルーテシアお嬢様ぁ〜、目の前にいるのがお嬢様の敵で〜す♪早くぶっち殺さないと、お母さんに会えませんよぉ〜♪」」
「インゼクト…地雷王…ガリュー…こいつら…殺して…」
「ルーちゃん!?」
「殺してえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
283リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 00:54:49 ID:XVcZ/If+
【地球 渋谷】
「はぁ!やあ!!」
「ウェイ!ハッ!ウリャ!!」

渋谷では最強カブトムシライダー二人の激戦が今だ続く。
どちらも刃を引く気配はなく、激しい鍔迫り合いの音が渋谷の廃墟に木霊していた。

「剣崎…お前は弱くなったな。」
「何だと!?」
「…俺は…お前が羨ましかった。」
「!?」
「お前は、俺達ライダー全員敵にしてまで友達を…相川を信じ、俺達からあいつを守り抜いた。
俺は、そんなお前の行動を非難してはいたが、何があっても守りたいものをいつでも守るというお前の行動が羨ましかった!!
俺はあの時…ひよりが…守りたいものが傍に居なかったからな…」
「天道…」
「だがお前は…今は自分すら信じられなくなって…俺を失望させるな!!」

カブトはパーフェクトゼクターを振り切り、ブレイドを吹っ飛ばす。

「ウェアアアアアア!?」

ブレイドは瓦礫に激突し、中に埋もれる。

「どうした?…これ以上俺を失望させるのか…!」
「まだまだ…」

ブレイドは瓦礫の中から這い上がり、再びキングラウザーを構える。

「第二ラウンドか…!」
「ああ…!」

二人は再びお互いの刃を振るい、先程よりも激しい剣撃戦に突入した。

投下終了です。
今回もまた短い…
まぁ短い文に仮面ライダースピリッツを込めて頑張ります。

どうでもいいけど壬生義士伝見ました(テレビ、映画両方)
涙が止まんないよぉ…吉村あぁぁぁぁぁぁぁあ!!(泣)
るろ剣SIF3の斉藤が手に入らないのも悲しいよぉ…斉藤おぉぉぉお!!(泣)
次剣心さんどうぞ。
284りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:01:26 ID:wSOCr3i8
では支援願います!


俺が貫くのは惡・即・斬の信念。それはどんな世界でも

半端な信念、甘ったれた正義、汚らしい権力への欲、過ぎた過信、視野の狭き理想など惡。それは即ち斬るべき存在。

壬生の狼の心残りは幕末よりの宿敵との決着だ。

魔法少女リリカルなのはStrikerS−時空剣客浪漫譚−始まるぜ。


第四話「語られた悲しみの過去。外法を斬る責務。」


285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:04:08 ID:h6lW70Tt
牙突ッ!!支援
286りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:05:03 ID:wSOCr3i8

剣心は納得していた。
『れくりえいしょんるうむ』にてシグナムに忠告された言葉に

(まぁ、お前達は覚悟しておいた方が良い。と言っておく)


「確かに長くなりそうでござるなι」

苦笑いを浮かべながら剣心は小さなため息をつく。

「ごめんなさい、緋村さん……退屈ですか?」


ため息が聞こえたのか、剣心の前で辺りに陳列されているズボンを見ていたなのはに「ごめんなさい」というような表情をさせていた事に気付き、剣心は慌てて手を振って微笑む。


「ああ、いや。本当に拙者達がいた世界よりも洋服が並んでいるでござるな。と思ってのため息でござる」

剣心の言葉に「ほっ」と胸を撫で下ろし、彼女特有の明るい表情に戻る。

「あ、そうだったんですか……合う服が無くて。もう少し時間をくださいね♪」

「かたじけない」


今、彼はなのはと共に管理局の近くに在る大きなデパートに来ていた(もちろん逆刃刀は艦に置いてきた)。半ズボンのコーナーに足を踏み入れていた。

次元航行艦・アースラにて自分達の事をなのは達に教えてから。
彼女達の提案で剣心となのはだけでなく、フェイトやはやて達も同じデパートで左之助と蒼紫を連れて別の売場を見回っている。艦に残ったエイミィと剣心達の書類を纏めているリンディを除いて。


「しかし、なのは殿の家に剣術道場があるとは驚いたでござるよ」

287リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 01:05:52 ID:XVcZ/If+
池田鬼神丸国重支援
288りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:08:33 ID:wSOCr3i8

デパートに入るまでに、彼女達の話を聞き終えてから剣心達となのは達の間はより親密な間柄になった。

なのはの家族の話や友達の話。
ある少年との出会いから、時空管理局に入るきっかけになり。ロストロギア『ジュエルシード』の回収にてフェイトと。
闇の書を巡り、はやて達と出会った話。

そして、剣心達は彼女達が数々の苦難を共に切り抜け、今では互いに最強の親友となっている事を実感している。


「あはは、でも。私はやってないんです。お父さんにお兄ちゃんにお姉ちゃんは流派を受け継いでいるんですけど」

「そうでござったか、しかし……流れを絶やさぬ事は良い事でござるよ。それに話を聞く限りでもなのは殿の優しさと強さは素晴らしい御家族からの遺伝なのでござるな♪」

本当に優しい、なのは殿の強さはご両親からの遺伝。そして、ご兄姉との育みで得たのだろう。

剣心の真っすぐな言葉になのはは恥ずかしそうに頬を赤らめてしまう。

「…はい〃 あ、剣心さん。」

「おろ?」

「この半ズボンと、このパーカー。を着てみてください。着替えはあそこの試着室で出来ますから」

先程、回った時の衣服に彼女が吟味したズボンを差し出された。

「かたじけない、あっちでござるな。」

そう感謝を述べ。剣心はそれらを受け取り、彼女が示した試着室へと入っていった。



289りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:11:52 ID:wSOCr3i8
一方、左之助は売場の壁側に設置されているベンチにけだるそうに座っていた。

あーーーーーー。長ぇ

なんて言葉を言える訳もなく。目の前では自分と蒼紫に似合う上着を見ているフェイトとはやて達がいる。

蒼紫の方は壁に背を預ける形で自分の隣で立っている。

「ふぁ」

ついあくびをかいちまう。まあ、えっとかれこれ一時間は過ぎたっけ。

「もお、左之助。寝たらダメだよ?」

自分のあくびが聞こえたのか。フェイトは少し怒ったような表情で注意してくる。

「嬢ちゃん達が長ぇだけだって」

「それはごめんなさい。でも、もう少し待っててね」

「ま、たのむぜ。」

左之の言葉にフェイトはすまなそうに苦笑いを浮かべ、再び目の前に並ぶ上着から一つ手に取って見る。

その表情はどこか真剣さを帯びている。かもしれない。

歪んじまった道で齢十九まできちまったからな俺からすれば少し呆れちまう。

たく、女って奴ぁこうゆうの好きだな。

「感謝はしているのだろう?」

「Σ!?」

足元からかけられた言葉に左之は飛び上がりそうな程に驚く。


「何を驚いている?」


な、あ、あああ蒼紫じゃねぇよな?

そう思い、蒼紫の方を見遣るも彼はいつの間にかはやて達に呼ばれて服を見立てて貰っている。

「ってぇと、ザフィーラかコラ!?」

「そうだが、何故怒っている」

足元にいる大きな犬を見つけ、左之助は目を吊り上げて小声で怒鳴る。

「なんてとこにいやがんだてめぇ。驚くじゃねぇか!」

「それはすまん。」

290リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 01:13:05 ID:XVcZ/If+
らーらいらいーららららーい支援
291りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:16:53 ID:wSOCr3i8
「……感謝はしてるぜ。こんなにしてもらってて感謝してなきゃ男じゃねえよ」

どこか照れ臭そうな表情を浮かべ、左之助は鼻の頭をぽりぽりとかく。

「そうか……。」

「四乃森といい、緋村といい。なかなかに篤い漢だなお前達は」


蒼紫の服選びに話し合っているはやて達から離れてきたシグナムが彼の隣に腰掛ける。
はやてが衣服を持って、これならどうか。とか尋ねているのだろうか。
蒼紫は相変わらず表情を崩していない。

「蒼紫は……大変だな、ありゃ」

「先程、緋村にも言ったはずだ。覚悟はしておけ、とな。私やヴィータもお前達のように衣服は主とシャマルが吟味してくれたものを私服としている」

「へぇ。優しい主様やってんだな……ってか家族って言った方がお前らはうれしいか」

その言葉にシグナムは微笑んで、いや。と言うように顔を横に振って答える。


「どちらでも良い。主はやては我らヴォルケンリッターが仕えるに相応しい主であり、我らにとって初めて「家族」と呼んでくれた主なのだ」

「そう言ってくれたのははやてだけだったからな……」


家族……ねぇ。
そう考えていると俺は自然と拳を目の前で握り締めている事に気付く。

東谷家(うち)出てから何年だったけな。

親父に、右喜……。

赤報隊が瓦解してから何年だ……。

隊長……。


どこか涼しげな表情でどこかに視線を奪われている左之。

「……思い出したくない事を思い出させたか?」

彼の表情から何かを感じ取ったシグナムはすまなそうに尋ねる。
だが。左之は、いいや。と顔を横に振る。

292リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 01:18:09 ID:XVcZ/If+
愛しきー友はいずこにー支援
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:18:30 ID:7gsxNjKx
そーいや、左之の家族はどーしてるのかねー支援
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:18:33 ID:PjRE5vAX
支援
295りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:19:27 ID:wSOCr3i8
「懐かしい事思い出しちまっただけだ。」

まったく、俺らしくもねぇな。
いつの間にかシケた事考えてるなんてよ。

耽っていた思考を振り掃うように笑う。

「……そうか」

そんな彼にシグナムは一瞬驚いたような表情を浮かべるが、何かを理解し呟く。

「にしてもよ」

何気なくはやて達に左之は再び視線を向ける。

「まだ選んでのかよ。あの嬢ちゃん達はι」

「ああなると、もうしばらく掛かる」

足元からのザフィーラの答えに左之は、納得した。と言わんばかりにやれやれと双肩を浮かす。





「うーん。蒼紫さんにはどんな服がええやろか」

彼女は未だに悩んでいた。
それは目の前に立つ2体のマネキンが来ている紺色のスーツや様々な合わせ方の例を見比べてだ。

一緒になって考えてくれているシャマルとリイン。それにヴィータ。


うーん。蒼紫さんってかなり男前やし。そんじょそこらの合わせ方やとな……悩むなぁ。
でも、やっぱりスーツかなぁ。


「なあ、どっちがええかなぁ。ラフなやつか、スーツか」

はやては少女サイズになっているシャマル達に服を見比べながら尋ねる。

「リインは、蒼紫にはスーツが似合うと思いますですよ」


「蒼紫さんのコートにはやっぱり黒か紺を基調にした方が良いでしょうから……」

「そやなぁ」

「てゆーか、さぁ。蒼紫。静か過ぎだって」

デパートに入った時から彼の横にいたヴィータはあまりにも長い沈黙に堪らず声をあげる。
一緒にいる私も暗くなっちまうよι。

296りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:22:10 ID:wSOCr3i8

そんな彼女の声に蒼紫は気付き、答える。


「ずいぶん服の種類が多様なのだな。正直、驚いていたから何を言えば解らなかった」

思ってもみなかった彼の言葉にヴィータは呆れたように蒼紫の脚を小突く。

「……だったらそう言えって。こっちは退屈で仕方ないんだからさー」

「悪いな」



はやて達もそんな彼の言葉を聞いて呆気に取られるが、すぐに微笑んでいた。

「蒼紫さんがいた世界よりだいぶ進んでいますからね」

「ああ」

「そや、蒼紫さんに聞くわ。 こっちのスーツとこっちのTシャツとジーンズどっちが良い?」

はやての質問に蒼紫はじっくりと彼女が提示する二つの服装を見比べ、すっと指し示す。


「スーツ。と言うのか……これで良い」

「…………」
「…………」

自分達が悩んでいた事にきっぱりと決断されるのは普通ならはやてやシャマルにとっては複雑な心境ではあるが彼女らは彼の要望からスーツを着こなす蒼紫の姿を思い浮かべる。

スーツの上からコートを羽織り、街を歩く姿。

((イイ、イケテる))

二人はうんうんと頷いてから、互いを見合わせる。
「じゃあこっちにしましょうか、はやてちゃん♪」

「そやな、あ。店員さーん。このスーツ下さーい♪」




「ヴィータ、リイン」

呼び掛けに来た店員とはやて達が話をしている時。蒼紫は二人の少女に声をかける。

「なんだよ?」

「はい?」

「お前達の主は……素晴らしい器だな。いや、素晴らしい家族だな」

その言葉に。ヴィータとリインは深い意味を感じる。
アースラで聞いた蒼紫と、無くなった彼の部下の話。それは悲しく、壮絶な修羅に身を落としかけた一人の男。

297リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 01:22:35 ID:XVcZ/If+
この身はー露と消えてもー支援
298りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:25:20 ID:wSOCr3i8

だが今の彼は真の誇りを取り戻し、失った時間を呼び戻す事が出来た。

王城・江戸城御庭番衆御頭。四乃森蒼紫である。

それがどんなに気高く強い存在なのかは二人は知らない。だが、彼の賛辞の言葉には気高い誇りと強い優しさが滲んでいる事はリインにも理解出来た。

自分達を真の友と、仲間と認めたのだ。

「ありがとな、蒼紫。でも」

「なんだ?」

「そういう事は私達にだけじゃなくって。他の三人にも言ってやってくれ」

その言葉に蒼紫は瞼を閉じ、二人から離れる。

「あ、蒼紫さん!?」



「もとよりそのつもりだ。それに……はやてに買って貰ったスーツとやらは俺が持つべきだ」

彼の目の前からは精算を終えてスーツの入った袋を持ったはやてがシャマルと一緒に楽しそうに微笑んで戻ってきていた。

そこに、やっと終わった。とでも言うように伸びをしてから歩み寄る左之助とシグナム、ザフィーラ。左之助の服を購入したフェイトに。
ズボンの売り場から戻ってきた剣心となのはが集い。しばらくしてデパートを後にする。


途中、ヴォルケンリッターは自身が所属する部隊からの出動要請が来た為にそれぞれの部隊へと帰隊し、なのは達は剣心達を連れて再び艦へと帰っていったのであった。


299名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:26:54 ID:5f7N+X4g
支援!
300りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:27:02 ID:wSOCr3i8
同刻、ミッドチルダ 陸士108部隊隊舎。


ミッドチルダのデパートから剣心達となのは達が出た頃。

隊舎の隊長室には二人の壮年の男性が机を挟みソファーに腰掛けていた。

一人は昨夜の救助活動で本局魔導師が到着するまでの間、八神はやて捜査官と共に指揮をしたゲンヤ・ナカジマ三等陸佐であった。

そして、相対している男性は手元に昨夜の空港火災のニュースを表示し。厳しい眼差しで見遣りながら、ゲンヤに話し掛ける。


「昨夜の空港火災……なんとか死者は出さずにすんだ」

「ああ、本当に参る……それに、俺はこの事件を良しとは思えない」

けだるそうな口調のゲンヤに男性はこくりと頷き、モニターを閉じる。


「偶然だな、俺も……なにか厄介な事の前触れじゃねぇかって思ってる。昔からの勘だがな」

「何事も起きないでほしいと願いたいさ」

「ああ……ところで、ゲンヤ。」



男性の呼び掛けにゲンヤは視線を彼に合わせ、何だ?と答える。

「娘さん達は無事だったか?」

「ああ、おかげさんで擦り傷だけで済んだ」

「そうか……よかったな。」

「そのかわりにスバルが『自分も管理局に務めたい』って言い出してな」

やれやれ。と言うようにゲンヤは背もたれに身体を預け、天井を見上げる。

「高町戦技教導官に助け出されたんだろう、確か。」

「ああ、ギンガの方もフェイト執務官にな−−と、そうだ」

何かを思い出したのかゲンヤはソファーに座り直し、男性に再び顔を向ける。
その時、男性は彼が表情を引き締めていた事を感じとる。

301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:29:46 ID:GFKxHGch
四円
302りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:33:58 ID:wSOCr3i8

「昨夜、あの空港から救助された人の中で変わった格好の少年達が居たんだ。」

「変わった少年達?」

「一人は散切り頭で背中に悪って書かれた上着着て、一人はたいそうなコートを羽織った無口な青年」

「確かに変わっているな……」

「あと、教導官が助けた少年は赤い髪で頬に十字傷があったな」


−何?

男性は一瞬、耳を疑ったように驚いた表情を浮かべる。

いや、まさか……。偶然だろう、奴もこの世界に居たのか……?

そんな彼の様子にゲンヤも不思議に感じてしまう。

「おいおい、スギムラ。どうした?」

「……あ、いや。何でもない」


まさかな……。抜刀斎だという確証はない。しかし、懐かしいな……幕末の頃を思い出す。

「で、その少年達は今どこに居るんだ?」

「今は八神捜査官が保護している」

♪〜

突然鳴りだすメロディ。
スギムラと呼ばれた男性は自分のものだと認識する。

目の前のゲンヤを見遣ると、彼は。構わん。という仕種を手で行う。



「スギムラだ。」

『会談中、失礼します。三佐、先程クロノ執務官が隊舎に来られまして−−−−』

「−−ああ、わかった。すまねぇな」
10分程で通話を終え、彼は電話を制服のポケットにしまう。

303名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:34:57 ID:7gsxNjKx
ちょ、ここで誰が来るのwww支援
304りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:35:53 ID:wSOCr3i8

「どうやら、やはりというかなんというか……昨夜の事件(アレ)はロストロギアらしい。」

クロノからの話はこうだった。
昨夜の調査から、あの火災はロストロギアの暴発が原因だったと言う事で彼にも協力を求めたという話であった。

「やっぱりな、ロストロギアか……」

ゲンヤの言葉にスギムラは、ああ。と苦笑いを浮かべながらそう答えて、ソファーから立ち上がりドアまで歩いていく。

「老人だが、力を貸せるなら貸すさ。んじゃ、業務に戻るぜ」

「ああ」

局長と袂を割った俺が言えた義理じゃねぇが。力が衰えようと……壬生の狼は衰えねぇ。かね。


彼が退室した後。部屋で茶を煎れ、再びソファーに座る。

「剣一本で魔導師に打ち勝ってきた奴のどこが老人なんだかな……」

ゲンヤはそう独り言を零す。だが、彼の内では別の事を心配していた。
スバルの事だ。

強くなりたい……って言ってたな。
一応、手続きは済ませたが……本当はやらせたくはない。

「助けてくれたあの人達みたいに強くなりたい…………か」


305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:36:37 ID:w/1c7MX/
犬かっこいいよ犬
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:37:27 ID:7gsxNjKx
土方さん?支援
307りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:38:22 ID:wSOCr3i8


同じ頃、なのは達が戻っていたアースラ。

そのレクリエーションルームで剣心達となのは達は食事を済ませ、今は左之助とフェイトを除いた剣心と蒼紫。なのはとはやてがテーブルの席に着いていた。


「明日からですね」

なのはから告げられた言葉に剣心はこくんと頷き、手元の袋に入った衣服へと視線を落としす。


「この衣服と制服……何もかも手を尽くしてもらってかたじけない。なのは殿、にはやて殿」

デパートを後にして艦へと戻ると先に戻っていたリンディがいた。彼女からは手続きは済んだから明日には向かってほしい。と言われ、制服も三人分用意された。

無論、彼らは第四陸士訓練校の場所が解らない為。朝にはフェイトの車で案内してもらうのだが。


「いえ、私達に出来る事をしただけですから。それに」


「それに?」
剣心は手元からなのはへと視線を移す。

「剣心さん達は大切な友達ですから♪」

「そうや、それに剣心さん達も手伝ってくれるって聞いたら。私達に出来る事はやろって思えたんや♪」

微笑んで「友達」と呼んでくれる二人に剣心は嬉しく感じ、自身も優しげな笑みを浮かべて頭をさげる。

「ありがとう。二人とも」

「悪いな……今、俺もたたありがとうとしか言えん」

蒼紫の言葉に二人は微笑んだまま首を横に振る。

彼女らにとって友達からのその言葉は充分嬉しいのだ。


「気にせんでもええよ。なあ、なのはちゃん」

「うん。今日、初めて知り合ったけど……私達もう友達ですから気にしないで下さい♪」

「かたじけない。ありがとう、なのは殿」


308りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:42:01 ID:wSOCr3i8
「……優しいな嬢ちゃん達は」

別の部屋で左之助は円筒状の椅子に腰掛けながらそう呟く。

「そうかな、皆もこんな感じだけど」

左之助と対するようにベッドに腰掛けていたフェイトは針を持ち、何かを縫いながら答える。

「まあ、たしかにな……他の嬢ちゃんもそんな感じだな」

今、フェイトが縫っているのは白いスカジャンの背中であった。
それはデパートで彼女の見立てで買って貰ったもので背中に悪の一文字を刺繍してもらうために彼女とこの部屋に来ていたのだ。


「左之助。いい加減名前で呼んでほしいな」

少し怒ったような表情でフェイトが睨むと左之は悪びれた様子もなく「悪い悪い」と答える。

「フェイト嬢ちゃん。こう呼べばいいのか?」

「うん。もう私は友達だと思ってるし……左之助はどうかな?」

「悪かった、フェイト嬢ちゃん達とはもう友達だ」

「うん♪ それになのはもはやても。友達に名前を呼んで貰った方が嬉しいから」

「そりゃそうか……」

本当に優しい嬢ちゃん達だな、薫嬢ちゃんみてぇな……。
こんな嬢ちゃんが執務官ってのも驚いたし。なのは嬢ちゃんは教導官ではやて嬢ちゃんは捜査官だったっけ。

本っ当に俺らの所じゃ考えも……そういや、俺も剣心も蒼紫も嬢ちゃん達ぐらいの歳からか。いまさら驚く事じゃねぇや。

彼女を見据えながら、そう物思いに耽っていると。
刺繍を終えたのか、「よしっ」と縫い針を裁縫セットにしまう。

「左之助、出来たよ♪」

嬉しそうに左之助のスカジャンの背中を広げるそこには黒い糸で刺繍された立派な「悪」一文字があった。

「お、サンキュー」

途端に嬉しそうな笑みを浮かべ、フェイトからスカジャンを受け取ると左之助は直ぐに上着を脱ぎ始める。
するといきなり、肌を露出した彼の行動にフェイトは顔を真っ赤に染め、慌ててそっぽ向く。

309りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:47:52 ID:wSOCr3i8
「さ、左之助。着替えるならそう言ってよ〃〃」

「ん、直ぐ済むからよ。うし、もう良いぜ」


「う、うん。」

そう言われ、振り向くと地肌の上からスカジャンを羽織った左之助が背中の惡一文字を気に入ったらしく微笑んでそこに居た。

「悪くねぇぜフェイト嬢ちゃん」

「なら良かったかな♪」

「ああ、ありがとよ。っと、今何時だ?」

そう尋ねられフェイトは部屋に設置されている電子時計に刻まれている時刻を確認する。

「夜の9時」

「そうか……んじゃ、レクリエーションに行って、寝るわ」

「空いてる部屋ならあるよ?」

「わざわざ用意してくれなくても良いって。んじゃな、いろいろとこれから頼むわ……フェイト嬢ちゃん」

「……うん」

そう告げ、後ろ手に手をふりながら退室していった左之助にフェイトは「おやすみなさい。」とどこか残念そうな表情で背中の惡一文字を見送る……。
本当は聞きたかったのだ。彼の惡一文字にこだわる理由を……。何故、その文字を背負うのか。

真っすぐな彼の性格には余り似合わないと思ってしまうのだ。

たまに見せる子供のような表情、模擬戦で見せた篤い心。

ポケットに入っている車のキーを確認しフェイトはベッドに倒れ込む。
なかなか、ゆっくり眠れないな。と思いつい苦笑いを零してしまう。


「明日、剣心達を送らなきゃ」



暫くして剣心達も就寝に入り、なのは達もアースラでの自室へと戻る。

そして翌日、彼らは第四陸士訓練校に向かっていく。

それは始まりだったのだろう。

誰かの為に力を振るう緋村剣心達。 悲しさを撃ち払う為に力を振るう高町なのは達。

彼らと彼女達は、新たな出会いと再会がある事をまだ知らない。
それが試練の嵐に遭遇する前触れである事の。

そして……剣心と左之助の本当の過去を知る事になるのもまだ先になる。

0075年に彼らは新たな道を行く事になる…………。

310名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:48:23 ID:Q3P7BXvz
支援
311名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:50:26 ID:ZNhlG6du
最初は無茶な!と思ったけど、どうなるんだろう?
ワクワク支援
312りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:52:32 ID:wSOCr3i8

男は資料室に出向いていた。

デスクに着き、キーを打ってモニターに表示された文字を鋭い視線で見遣っている。本当なら彼はパソコンの扱い方等は知らないはずであった。
だが、半日で扱い方や今いる世界をほぼ学んでいた。

剣心達がアースラで就寝についた頃。
ミッドチルダ・首都クラナガンにある時空管理局首都防衛庁の資料室に男は居た。
男が調べている事項は時空管理局がうやむやにしていた事項ばかりであった。

先の「闇の書事件」や過去のロストロギアで発生した事件。その原因や事後処理。

男がこの世界で信念を貫くには先ず全てを知る必要がある。


「力で泰平を目指すのは一向に構わん。だが、そこからでた錆を拭わずに力を振るい続けるのなら……」

俺の惡・即・斬(せいぎ)のもとに斬るだけだ。


暫くして男はパソコンの電源を切り、資料室を出る。

「おや、これはオーリス秘書官」

廊下で人を見かけた瞬間に男は狐のように眼を細め、表情を帰る。

「これは……藤田捜査官。どうかしましたか?」

防衛長官レジアス・ゲイズの秘書であるオーリスは藤田の声が聞こえた方に振り向く。

「長官は今、部屋におられますか?」

「ええ、います。それが何か?」

「いえ、ただ聞いたまでです。呼び止めて失礼いたしました。」

「そうですか……では」


頭を軽く下げてツカツカとその場から歩き出すオーリスの後ろ姿を一瞥して藤田も反対方向へと歩きだす。

鋭い眼で微笑みながら防衛庁の外へ煙草を買いに行こうと廊下の突き当たりの階段から降りていく。

今はまだ目立った錆は見つからん……。だが、奴を放っておくのはこの世界には少々、危険な気もする。
いずれ錆を出すだろう。斬るのはその時だ。

それに抜刀斎も来ているようだしな……少しはこの魔力とやらが使えるか。牙突で鍛えてみるか。

「ふ、今度こそ決着を着けたいものだぜ」

どんな世界であろうと新撰組は新撰組。人斬りは人斬り。
さあ、お前はどう動く……抜刀斎。

壬生の狼は漆黒へと歩んでいく。その眼に映る彼に取って惡は……何なのかはまだ解らない。


続く
313りりかる剣心:2007/12/20(木) 01:54:14 ID:wSOCr3i8
以上です。次はいよいよ、新人達と剣心が会う……かも。

では、アデュー。
314なの魂の人:2007/12/20(木) 01:59:28 ID:gvHtqT2l
なんという投下祭り
GJです!

自分も乗り遅れないように、20分くらいから投下を開始してもよろしいでしょうか?
315名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 01:59:50 ID:rDP/sBXd
どぞー
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:01:41 ID:KV2nMMG2
Common for you!
317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:05:54 ID:7gsxNjKx
うおおお、職人達は俺を寝かせないつもりかあああ!支援!


風呂には入るけどねノシ
318なの魂の人:2007/12/20(木) 02:19:40 ID:gvHtqT2l
では、予定通り投下を開始しようかと思います
319なの魂:2007/12/20(木) 02:21:00 ID:gvHtqT2l
どれほどの時間、そうしていただろうか。
降りしきる雨の中、二人の魔導師は身動ぎもせずに対峙していた。
雲がかかった月を背景に、フェイトはなのはを見下ろす。
無機質なビル群を背景に、なのははフェイトを見上げる。
雨音の寂しげな合唱が、辺りを包み込む。
まるで、『永遠』という名の静寂に辺りが支配されたかのような感覚。

突如、異変は起こった。
眼下から眩い光が漏れ出した。
二人の魔導師は光の方を見、そして目を見開く。
淡い光の球。
そしてその中心にある、蒼い宝石。
先程封印したはずのジュエルシードが、再び発動しようとしていたのだ。

先に行動を起こしたのは、フェイトだった。
身を翻し、ジュエルシードへ向かう。
なのはも少し遅れて、同じようにジュエルシードの元へ飛び立った。
先を争うように、二人は蒼石へ殺到する。
そして……。

「……くっ…!」

「…………ッ!」

甲高い金属音。
二人のデバイスが、ジュエルシードを挟みぶつかり合った。
そして僅かな間の後、何かが砕けるような音と共にジュエルシードから膨大な光、そして衝撃が放たれた。
そのあまりの眩さに、なのはとフェイトは目を瞑った。
結界を張っていなければ周囲の建造物もただではすまなかったであろうその衝撃に、二人は抗うことが出来ず吹き飛ばされる。
彼女らを包み込む光は、まるで月の様に美しく、そして太陽のように力強かった。

衝撃の余波も収まり、光の奔流も鳴りを潜めたところでようやくフェイトは目を開けた。
目の前には、淡い光を放つジュエルシードが浮かんでいた。
封印・回収を行うべくバルディッシュをかざそうとする。
異変に気付いたのはその時だ。
右手に握られていた愛機は、見るも無残な姿になっていた。
本体の至るところにひびが入り、ヘッド部に埋め込まれた宝玉は力無く明滅していた。

「大丈夫……? 戻って、バルディッシュ」

「Yes, Sir.」

ノイズ混じりの電子音とともに、バルディッシュが待機モード――三角の宝石になる。
フェイトはそれを右手のグローブへ埋め込み、慈しむように撫でた。
そして、ジュエルシードをキッと睨みつけ……飛んだ。

「フェイト! 駄目だ、危ない!!」

アルフが叫ぶ。
あろう事か、デバイス無しで封印を行う気なのだ。
フェイトとは真逆方向に吹き飛ばされていたなのはも、そのことに気付き彼女を止めようとするが既に遅かった。
フェイトは両の手でジュエルシードを包み込み、胸の前で抱きしめるようにする。
だがそれは、あまりにも無謀な行為だった。
封印のために魔力を注ぎ込むが、それの数十倍以上の魔力が反発して返ってきた。
指の隙間からおびただしい量の魔力光が漏れ出し、そのエネルギーでグローブが引き千切れる。
320なの魂:2007/12/20(木) 02:22:38 ID:gvHtqT2l

(止まれ……止まれ、止まれ……!)

だがそれでも、フェイトは封印を止めようとはしなかった。
一心に願い、握った手を固くし、目を瞑る。
やがて、漏れ出した光はフェイトの全身を包み込み――消えた。
封印に成功したのだ。
安堵感と疲労からフェイトはその場に跪き倒れそうになるが、アルフが彼女の身体を支えた。
死んだように動かなくなるフェイトに焦るアルフだが、どうやら気を失っているだけらしいと分かり、ホッとため息をつく。
アルフは彼女を抱き上げ、なのはを睨みつける。
しばらくの間、重たい沈黙が続いたが、結局アルフは何も言わずにその場を後にした。
ビル群の隙間を縫う様に、器用に飛び去る使い魔とその主。
なのはは、彼女らの後姿をじっと見続けていた。



なの魂 〜第十一幕 思い込みで行動するな〜



ひとまず、現在の状況を整理しよう。
はやてはそう思ったが、光の速さでその考えを反転させる。
うん、これは無理。
……なんて思考が出来る辺り、自分はまだまだ冷静だな。
などと自問自答を続ける。
ベッドの上で、怯えるように後退りをするはやて。
彼女の目の前には、本が浮かんでいた。
本である。
物心付いた時からこの家にあった、金の十字があしらわれた、革表紙の古めかしい本。
無骨な鎖で厳重に封印され、淡い光を放つその本は、確かにそこに存在していた。

突如、本を縛っていた鎖が弾け飛んだ。
そして風も吹いていないのに、勝手にページがパラパラとめくれ始める。
その本のページは、全て白紙だった。
ページはめくれ続け、やがて本の最後に到達した。
本は小口を見せるように閉じ、そして再び表紙を向ける。

『Anfang.』

そんな声が聞こえた気がした。
独語で『始まり』を意味する言葉。
――もっとも、来月ようやく9歳になるばかりのはやてが、そんなことを知るはずも無いのだが。
その声と同時に、はやての胸の辺りから、小さな光の球のようなものが浮かび上がった。
驚き、光球をじっと見つめるはやて。
その光はフワフワと、本の前まで漂うように飛んでいき、やがて動きを止める。
同時にその光を中心として、幾何学模様の描かれた巨大な円が現れた。
その数瞬後、その円と光球から眩い光が放たれた。
はやては思わず、目を腕で覆った。

しばらくの間は、怖くて目を開けることが出来なかった。
時間にすればほんの数秒の間だったのだが、彼女は10分も20分も目を閉じていたような感覚を覚えていた。
意を決して、目を開けてみる。
……目の前には本は無く、先程の奇怪な紋様が描かれた円だけがあった。
――いや。
様子を見ようと身体を起こしたはやては、自分の目を疑った。

目の前には、4人の人間が顔を伏せ、跪いていた。
321名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:22:46 ID:KV2nMMG2
支援
322なの魂:2007/12/20(木) 02:24:09 ID:gvHtqT2l

「……闇の書の起動を確認しました」

ポニーテールの女性――"烈火の将"シグナムが言う。

「我ら、闇の書の蒐集を行い、主を護る守護騎士にてございます」

革表紙の本を抱えたショートボブの女性――"風の癒し手"シャマルも、シグナムに倣いそう言う。

「夜天の主の下に集いし雲……」

大柄の獣人――"蒼き狼"ザフィーラが呟く。

「ヴォルケンリッター。……なんなりと、命令を」

はやてとそう変わらない……むしろ年下にも見える少女――"紅の鉄騎"ヴィータが、少しだけ無愛想そうに言った。

……長い沈黙。
4人は身動きせずに"主"からの命を待ったが、"主"から返事は返ってこなかった。
いい加減痺れを切らしたヴィータが顔を上げようとした、まさにその時だった。

凄まじい衝突音。
荒々しく、何かを蹴り飛ばしたような音が聞こえた。
続けて、ドタバタと何かが走るような音。
どうやら、こちらへ向かっているらしい。
頭に生やした犬のような耳をピクリと動かし、ザフィーラはシグナムに念話を送る。

(……シグナム)

(ああ……起動して早々、敵とはな……)

立ち上がり、胸の剣状のペンダントを手にする

「失礼致します、主。どうやら邪魔者が入ったようです」

そう言いはやてに背を向けた彼女の右手には、先程のペンダント。
そのペンダントは光に包まれ、大型の西洋剣へと変移した。
――炎の魔剣『レヴァンテイン』。
数多の戦場を共に駆け抜けてきた、シグナムの愛剣だ。
レヴァンテインを水平に構え、シグナムは部屋の扉の前に立つ。

(……なぁ、ちょっとちょっと)

ヴィータから念話が送られてくる。
何故か少々戸惑った様子だ。

(案ずるな、ヴィータ。私一人で充分だ)

決して、驕りなどではない。
幾百年の時をかけて培われてきた経験、そして確かな実力が彼女にそう言わせたのだ。
だがヴィータは、端からシグナムのことなど心配していないようだ。
いや、むしろ信頼していると言った方が正しいだろう。
彼女が声をかけたのは、そういうことではないのだ。

(いや、そうじゃなくて……)
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:25:44 ID:KV2nMMG2
支援・・・八神家の状況がワロスw
324なの魂:2007/12/20(木) 02:26:19 ID:gvHtqT2l

ヴィータがそこまで言いかけた時。
部屋の扉が乱暴に開かれた。
同時にシグナムは、扉を開けた主に対して問答無用で瞬速の突きを繰り出す。
目の前では、白髪の男が泡を食ったような目でこちらを見ていた。
この距離、この速度。並の人間では、攻撃を認識する間もなく絶命するだろう。
……そう、"並の人間"なら。

シグナムは一つだけ、誤りを犯した。
――目の前の男……八部衆が一人、"夜叉"の名を冠する男に不用意な攻撃を放ったことだ。

男――銀時の目が変わった。
死んだ魚のような濁った目から、獲物を狩る獰猛な獣の目へ。

(な……っ!?)

シグナムが危険を察知した時には、既に銀時の姿は目の前から消えていた。
己が敵を見失ったという事実にシグナムは驚き、そして気を高ぶらせる。
初見で、しかもこの距離で自分の剣を、受け止められることなく避けられるということは今まで無かった。
未知数の力を持つ相手と対峙したことで、彼女の闘争本能に火がついたらしい。
僅かな空気の乱れから、彼の位置を察知する。

(……右かっ!)

レヴァンテインを横薙ぎに払う。
今度は確実に捉えた。そう確信した。
だがしかし、炎の魔剣は虚しく空を斬っていた。
予想をはるかに超えた速さ。
そして勘の良さ。
シグナムは直感的に、相手が自分達と同質の存在であることを感じ取った。
この男、ただの人間ではない。
恐らくは自分達と同じ、幾多の戦場を駆け抜けてきた戦士……。
空を斬ったレヴァンテインの切っ先から、僅かな衣擦れの音がした。
咄嗟の判断で、レヴァンテインを盾代わりにする。
コンマ数秒遅れて、シグナムの右肩を狙った痛烈な袈裟懸けが振り下ろされた。
ぶつかり合う二つの剣。
リビングで回収した愛用の木刀――妖刀"星砕"を握る手に力をいれ、銀時はシグナムと鍔迫り合う。

「オゥオゥ、こんな遅くに何の用ですか? ドッキリテレビかなんかの類ですか?
 悪ぃけどそーいうの間に合ってるから。毎日がハプニングみてーなもんだから」

薄笑いを浮かべながら、挑発的な態度を取る銀時。
――この男、まだ余力があるというのか?
冷や汗を垂らしながら、シグナムは問いかける。

「……神聖な儀式の場に割って入るとは、不届き千万。貴様……何者だ!」

「顔が近い声が大きい、息を吹きかけるな気持ち悪い」

「近づけているのはそちらだ!」

極限状態で相手を自分のペースに巻き込むのは、銀時の十八番だ。
嫌味ったらしい顔を向けながら言い放たれた一言は、彼女のペースを乱すのに充分な役割を果たした。
迫り合った刃から、僅かに……ほんの僅かにだが、力が抜けた。
銀時はその隙を見逃さない。
一気に相手を押し斬ろうと、左足を一歩踏み込んだ。
さしものシグナムも、全体重をかけた体当たりには耐え切れなかった。
シグナムの眼前に、自身の刃と斬り結ばれた木刀が迫る。
325なの魂:2007/12/20(木) 02:28:28 ID:gvHtqT2l

「こンの野郎……!」

ここにきて、ようやくヴィータが動いた。
何故かはやてのいるベッドの上に乗っていた彼女は、愛用のデバイス『グラーフアイゼン』を起動させた。
戦闘用の鉄槌を模したそのデバイスを振りかざし、銀時の背後から後頭部を狙い澄ます。

『ほぁちゃァァァァァ!!!』

同時に聞こえてくる声。
それと共に、窓ガラスが盛大な音をたてて砕けた。

「!?」

ヴィータは驚いた。
それはそうだ。割れた窓から何か赤いものが侵入してきたかと思うと、あろう事か
渾身の力を込めた一撃を、その赤いものに傘一本で受け止められたのだ。
……傘型のアームドデバイス? どんな擬装だ!
などと心の中で叫ぶ。

「もォー! アンタはホントに私がいないとダメなんだからァー!」

振り下ろされた鉄槌に傘の先端を突きつけた、赤いもの――神楽は、銀時に目配せをしながらそう叫んだ。

「なんでお母さん口調!?」

神楽に背を任せ、銀時は怒鳴った。
いきなり訳の分からないことを言われた(と思った)シグナムは、頭上にクエスチョンマークを浮かべる。

(……いや、今はそんなことを気にしている場合ではないな)

無意味な思考を捨て、ザフィーラとシャマルに念話を送る。
自分達が動きを止めている間に、相手を倒せ。という旨のものだ。
二人は小さく頷き、シャマルは支援を、ザフィーラは銀時達に飛びかかる。

「オィィィィィ! お前は後先考えろォォォ!!
 つーか何この状況!? 今日は10月31日!?」

一方新八は割れたガラスの心配をしていた。
窓の外で激昂する家庭派侍、新八。
ひとまず現状では、セロハンでも張ってごまかすしかない。
だが修理費はどうしようか。
やっぱり割ったのは神楽だから、万事屋持ちか?
いやいや、今は非常事態。
何とか便宜を図って、石田先生に修理費を……ああそうか、金が無いから自分達雇ったんだったな。
などなど。
およそ銀時達の心配などとは程遠い思考をして頭を抱える新八。

「まったく……喧嘩っ早い連中だ」

彼の横から、声が聞こえた。

「え……?」

声のした方へ顔を向ける。
うざったらしいくらいの長髪をなびかせた男が、颯爽とはやての部屋へ飛び込んでいった。
その男は凄まじい速さで銀時と神楽の間に割って入り、今まさに殴りかかろうとしていたザフィーラの拳を
鞘に収めた刀で受け止めた。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:28:55 ID:KV2nMMG2
支援
キョンネタまでw
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:29:47 ID:KV2nMMG2
支援
328なの魂:2007/12/20(木) 02:30:48 ID:gvHtqT2l

「そう逸るな、守護騎士の諸君。我々は君達と敵対するつもりはない」

男は厳かに、そう告げた。
同時に、背を預けあった3人は各々の得物を振り、相手を弾き飛ばす。

「ヅラ!? テメェ、なんでこんなところに……」

いるはずがない人物の突然の介入に、銀時は驚く。
その男――桂は、酷く不機嫌な様子で銀時を横目で睨んだ。

「ヅラじゃない桂だ。というか貴様、昼間はどこをふらついていた。
 お前が家にいさえすれば、このような誤解は……」

「敵じゃねーって……じゃあ一体なんだってんだよ?」

「……管理局の手の者ではなさそうだな。何者だ」

もし彼らが管理局の人間なら、お決まりの前口上があるはず。
しかし彼らは、自分達が攻撃されるや何の躊躇も無くこちらへ刃を向けてきた。
管理局にしては、やりかたが荒い。あの組織との関係は薄いと見ていいだろう。
だがこの男は自分達という存在を知っており、なおかつ敵対心は無いと言ってきた。
その事は、彼女ら守護騎士の興味を引くには充分な言動であった。
ぶつぶつと不平を漏らす桂にレヴァンテインを向け、シグナムは問う。

「何者じゃない桂だ。……俺達のことについては、後で話そう。それよりも……」

手にした刀を腰にさし、これ以上の交戦の意思が無いことを示しながら桂は言った。
そして腕を組み、ベッドの方をチラリと見る。

「まずは君達の主を何とかせねばなるまい」

理解不能の出来事の連続に思考が追いつかなくなったはやてが、目を回しながらベッドの上で気を失っていた。



「……ッ」

「あ……ご、ごめんよフェイト。ちょっと我慢して……」

フェイトがピクッと顔を歪めた事に気付き、アルフは慌てて消毒液を含んだ脱脂綿を彼女の手から離した。
アルフに抱きかかえられ住処に戻ってきたフェイトが目を覚ましたのは、先の一件から30分程経った後だった。
目を覚ました直後の彼女の姿は、酷い有様だった。
魔導衣は至る所が裂け、身体中――特に手のひらには、痛々しいまでの傷跡が残されていた。

「平気だよ……ありがとう、アルフ。
 明日は母さんに報告に戻らないといけないから、早く治さないとね」

器用に手のひらに包帯を巻いていくアルフの姿を見て、フェイトは呟く。

「傷だらけで帰ったら、きっと心配させちゃうから……」

「心配……するかぁ? あの人が……」

手首の辺りに小さくリボン状の結び目を作りながら、アルフは疑念の声を上げる。
例え目の前にフェイトがいても、そこには初めから何もいないかのように……いつも何処かを、
見えない何かを探し続けているかのような目をした、彼女の母親の顔を思い浮かべる。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:31:26 ID:KV2nMMG2
支援
330なの魂:2007/12/20(木) 02:32:40 ID:gvHtqT2l

「母さんは……少し不器用なだけだよ。……私には、ちゃんとわかってる」

フェイトは微笑みながらアルフの頬を撫でた。
ツン、と消毒液の匂いがした。

「報告だけなら、アタシが行って来れればいいんだけど……」

「母さん、アルフの言う事はあんまり聞いてくれないもんね。
 アルフはこんなに優しくていい子なのに」

申し訳なさそうに俯くアルフ。
フェイトは、そんな彼女の頭を優しく撫でた。
顔をほんのり赤くし、頭に生やした犬耳をぴょこぴょこ動かすアルフ。
照れ隠しにあはは、と笑い、いつもの陽気さを彼女は取り戻す。

「……まー、明日は大丈夫さ。
 こんなに短期間でロストロギア、ジュエルシードをこんなにゲットしたんだし!
 褒められこそすれ、怒られるような事はまず無いもんね!」

「うん……そうだね」

きっと母さんも喜んでくれる。
だって、こんなに頑張ったんだから。
フェイトも同じように、彼女に笑みを返した。

この後、何事も起こることなく夜は更けていった。
雨が止む事は無かった。



「嘘って言うてやバーニィィィィィィ!!」

などと奇声を発してはやてが飛び起きたのは、翌日の昼過ぎだった。
まるで永い悪夢から逃げ出すかのように、凄まじい勢いで上体を起こす。
直後、何かがぶつかったような鈍い音が病室に響き渡った。

「あだだだだだ! 割れたァァァ! これ絶対割れたァァァ!!
 新八ィ! 見てくれコレ! ミンチよりヒドイ事になってないコレ!?」

顔を押さえた銀時が、ごろんごろんと床をのた打ち回る。
はやての顔を覗き込んでいた銀時と、顔面同士で正面衝突を起こしてしまったらしい。
しかし、意外と面の皮が厚かったはやては――いや変な意味ではなく、文字通りの意味で――真っ赤になった鼻を押さえながら、
自分の周りを見回した。
いつもと違う、真っ白な味気ないベッド。
今まで何度か世話になったことのある、簡素だが清潔な部屋。
そういえば、と納得したかのように胸の前で手を打つ。
昨晩、自分が妙な幻覚を見て気絶したらしいということを思い出したのだ。
ということは、ここは病院らしい。
視線を横に向けると、そこには心配そうに自分を見る石田医師がいた。
はやてが目を覚ましたことに気付いた彼女は、安堵の表情を見せながらはやての元へ来る。
銀時は華麗にスルーされた。

「はやてちゃん……! 良かったわ、なんともなくて」

「もォー! アンタはホントに心配ばっかりかけてェー!」

「だからなんでお母さん口調なんだよ」
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:35:10 ID:KV2nMMG2
バールを持ってよバーニィィィイ
失礼、支援
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:35:36 ID:w/1c7MX/
ばぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃ
333なの魂:2007/12/20(木) 02:35:57 ID:gvHtqT2l

ベッドの反対側からも声が聞こえてきた。
神楽がベッドに飛び乗り、新八がそれを白い目で見ていた。
やっぱり銀時はスルーされていた。

「えっと……すんません……えへへ…」

はやては頭を掻きながら、愛嬌のある愛想笑いを浮かべる。
――みんなに心配かけてもうたなぁ。なんかお詫びせぇへんと……。
と、子供なりに気を使った考えを巡らせるはやて。
そんな彼女に、石田医師が病室の入り口のほうを指差しながら耳打ちした。

「……で。誰なの? あの人達は」

「へ? ……あ!」

そう言われて、ようやくはやては気がついた。
病室の入り口に、昨晩見た4人の男女が立っていたのだ。
どうやら、幻覚などではなかったらしい。
スリーブレスの服一枚を身に纏った彼女らは、居心地悪そうにこちらを見ていた。
銀時は一瞥すらしてもらえなかった。

「……どういう人達なの? 春先とはいえまだ寒いのに、あんな格好だし、言ってることは訳分かんないし、
 どうも怪しいわ……」

「あー……えっと、その……なんと言いましょうか……」

いきなりそんなことを聞かれても、自分にも分からない。
何しろ突然現れたのだ。
ただ、なんとなく悪い人達ではなさそうだ。と、はやては漠然と感じていた。
説明に困り、おろおろするはやてを見かねた騎士の一人が念話を飛ばしてきた。

(……ご命令を頂ければ、お力になれますが。如何致しましょう)

突然頭の中に声が響いてきたことに驚き、はやては4人の方を見た。
長い髪を後ろで括った、凛々しい顔立ちの女性――シグナムがこちらを見つめ返してきた。

(思念通話です。心で、ご命令を念じていただければ)

その言葉の意味を、頭の中で咀嚼する。
察するに、テレパシーみたいなものか?
疑うことを知らない無垢な少女は、先の声の通りに頭の中で念じる。

(……ほんなら、命令というか、お願いや。ちょい私に話合わせてな)

どうやらその言葉はきちんと伝わったらしく、シグナムは小さく頷いた。

「えーっと……石田先生。実はあの人達、私の親戚で……」

「親戚?」

突拍子も無い話に驚く石田医師。
もちろん、これははやてが即席で考えたカバーストーリーである。
胸の前で手の先を合わせて、心底嬉しそうにはやては言う。

「遠くの祖国から、私のこと看に来てくれたんですよー」

「遠くってどんだけ遠くなんだよ。明らかに次元レベルの遠さだぞ。一番奥のアレ」
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:36:56 ID:KV2nMMG2
支援
ばー(SLB
335なの魂:2007/12/20(木) 02:38:55 ID:gvHtqT2l

散々無視され続けてきた銀時が、鼻の先を押さえながら入り口の近くに立っていた獣人――ザフィーラを指差した。
つーか、あのガタイでケモノ系は凶器だろ。と付け足す。

(……ザフィーラ、何故隠さなかった!)

(……すまん)

念話でザフィーラに怒鳴りつけるシグナム。
ザフィーラは耳と尻尾を垂らし、バツが悪そうにする。
だが、バツが悪いのははやても同じだ。
まさかこんなところでキラーパスをされるとは思ってもいなかった。
どもりながら、無い知恵を絞って必死にごまかそうとする。

「いや、それは、そのー……み、みんなちょっとお茶目さんやから、仮装して私のこと驚かそうとしててんけど、
 私がそれにビックリしすぎてもーたと言うか、なんというか……その、そんな感じで……な、なぁ?」

同意を求めるように、守護騎士達へ話を振るはやて。
すると、シグナムの隣にいた金髪の女性――シャマルが、その場を取り繕うように愛想笑いを浮かべながら
話を合わせてきた。

「そ、そうなんですよ! その、私達も登場シーンだったんでちょっとはしゃいでたっていうか……
 調子に乗ってました、すみませんでした」

「こいつパクりやがったよ。俺のセリフ丸パクリしやがったよ。ウザいんですけど、マジでウザいんですけど!」

「あ、あはは……」

心底嫌そうな顔で疑いの眼差しを向ける銀時。
そんな彼を見て、はやては乾いた笑いを漏らすしかなかった。



そんなこんなで紆余曲折もあったが、件の4人は不審者ではない、ということは何とか信じてもらえた。
もっとも、銀時はまだ半信半疑だが。
はやてを乗せた車椅子を押し、病室を去る新八と神楽。
守護騎士達も、それに付き従うように歩を進める。
銀時だけは、病室の前から動こうとしなかった。

「……不安?」

「そりゃまァ……な」

石田医師に問いかけられ、銀時は答える。
あれはどこからどう見ても、この世界の人間ではない。
平々凡々な少女の親戚というには、かなり無理がある。
一体何の目的で、はやてに接触してきたのか。
桂の話では、はやてが危害を加えられる可能性は万に一つも無い。とのことだが、やはり心配である。

「私は、信じるわよ」

石田医師は言った。
銀時は意外そうな表情で彼女を見る。

「医者が患者の言うこと信じてあげないでどうするのよ」

そう言って笑いかけてくる。
銀時はしばらく、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして……そして笑った。

「ヘッ。なんで俺の周りはこう、お人好しばっかなのかねェ」
336なの魂:2007/12/20(木) 02:41:01 ID:gvHtqT2l

確かに、連中のことは完全には信用できない。
だが彼女らを信用しないということは、彼女らを信用したはやてを信用しないということでもある。
そのことに気付き、銀時は自分の考えを改めた。
俺ははやてのことは信用している。
なら、奴らのことも信用できるはずだ。
着物をなびかせ、銀時ははやて達の後を追おうと歩き出す。
その後ろから、石田医師が少し残念そうに言った。

「でも、親戚の方が看に来てくださったのなら……はやてちゃんにしてあげられることは、何も無いわね」

銀時は足を止めた。
彼女の言った言葉を何度か頭の中で繰り返し、理解する。
世話をしてくれる人がいるのに、わざわざ手伝いを雇う人はいない。
要するに、御役御免ということだ。

「……寂しい?」

「いや……」

呟き、ゆっくりと後ろを振り向く。

「出会いがありゃァ別れもあるさ。こーやってガキは少しずつ大人になっていくんだよ、うん」

「あら、それって自分に向けた言葉じゃなくって?」

笑いながら言う石田医師。
銀時はうっせーな、と吐き捨て、その場を後にした。
その背中は、やはり何処か寂しげだった。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:42:27 ID:25jWC1eM
支援!
338なの魂:2007/12/20(木) 02:43:09 ID:gvHtqT2l
以上、11話投下終了です
フェイトはどうなるの?とか
銀さんマジで仕事終わりなの?とか
つーか前回言ってた"拾い物"って何?とか
色々ご意見はありそうですが……待て次回!

いや、フェイトは明らかにならないかも
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:46:32 ID:KV2nMMG2
gjでしta
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 02:51:39 ID:7gsxNjKx
職人達皆GJ!感想はちょっと多すぎてかけん!
いやホント明日早いからorz
341魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 08:59:48 ID:ZyQgVW8t
>なの魂
おいおいオイィィィーッ! 出勤前にチラ見したら読み入っちゃって遅刻させる気ですかこのヤロォォー!?
時間がないけど、ここで感想しなきゃファンの名が廃るので、目覚めろ俺の中のタイピング的な何か!

原作では厳かなはずのシーンが、銀さん登場でやっぱりドタバタに。みんなテンション高いねw
中の人ネタとか、声がリアルで再現出来て吹きました。っていうか、どいつもこいつも原作通りで全然違和感がねえ。クロスの理想ですな。
そして、神楽は何故お母さんキャラで一貫するのかwwヅラがいなきゃ収集つかないねw
なんだかなのはVSフェイトやフェイトの鬱な家庭事情が吹っ飛ぶような八神家パートですが、最後のやりとりからして次回はシリアスな予感。
確かに、これでホームヘルパーの銀さんたちはお役ゴメンなわけですが、まあもちろんはやてが逃す筈ありませんね。
今後のはやてたちとの絆に期待大です。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 09:33:35 ID:w3HZ8fTu
>なの魂の人氏

GJです!うわぁ最高だよ何この落差w
フェイトとなのはのシリアスで静かに重く
八神家の遭遇でド派手なバトルを(人ん家の中で)巻き起こし
病院でネタ含めギャグ進行をして、最後にちょっとしんみりで締める。
うん、銀魂だ。これ以上なく銀魂です。違和感ねぇー。

さて、いろいろと気になる話が出てきましたが(あんなんクラスが8人もいんのかよとか)
次回を心して待たせていただこうと思います。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 10:08:39 ID:7DzuoDrL
>>なの魂氏
GJですかコノヤロー!!
ってキョンとかアルとか混じってるwww
原作と同じくギャグとシリアスの配分が理想的で素晴らしいです
個人的にはフェイトと万事屋銀ちゃんの面々との交流も期待したいです
・・・そういえば今日と来週はミツバ編ですね
344名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 12:19:24 ID:lpCEu5lU
なの魂GJ!!
すばらしい。銀魂の要素がなのはの世界を
この上なくおいしいものにしている。

無印版最終決戦もやっぱ銀さん大活躍?
345名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 13:15:58 ID:lpCEu5lU
ところでニコ厨のオレとしては
どうしてもマダオを思い出すんだが…。
346名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 14:11:53 ID:+PVek1Sy
なんという投下ラッシュ。皆様GJ!!

方翼の、はやてちゃんとセフィロスやりとりが
スラダンの、桜木と安西先生とのやりとりに感じた。
347反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/20(木) 16:22:19 ID:ET+i3umn
皆さんGJですよ〜

>>346
あ…本当だ。全く気付かなかった。いつからこうなったんでしょう…

ときに、セフィロスと言えばこんなことを思いつきました。

セフィロス「我々は皆、このスレのSSで主役格に位置づけられているのだそうだ」
ダンテ「オイオイ、えらく偏ってるじゃねーか」
Dボゥイ「確かに、何となくだが…近いものを感じるような気がする」
キョウスケ「SS作家はそんなに好きなのか、森川●之が?」
348名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 16:45:57 ID:iJn1rHhF
そういや、中の人同じw
349名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:01:35 ID:7DzuoDrL
そういえばなの魂氏のSS呼んでいて思ったんだが、銀魂の世界にはもろ亜人な天人がいっぱいいるから
ザフィーラも天人って言えば違和感無いなw
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:05:36 ID:gvHtqT2l
>>342
旦那、八部衆ってのは仏法を守護する八神(やがみ、じゃなくて、はちしん。夜叉とか阿修羅とか)のことで
別にそういう名前の組織があるわけじゃないですぜ
351名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:18:22 ID:1eQ20rI4
真祖の人ですが、一発ネタ投下してもよろしいでつか?
352リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 19:27:52 ID:XVcZ/If+
支援

その次に私投下しておk?
353名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:30:46 ID:1eQ20rI4
真祖の人です、ではライダー氏から先でお願いします
354リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 19:33:27 ID:XVcZ/If+
あれあれ?良いのですか…じゃあお先に…

二十一話Pain to Pain Bパート

【第四廃棄都市街】
「あーあ、まだ来るよ…」

ギガランチャーを構えながらゾルダはそう呟く。
一時間ほど前から撃ち続けているが、一向にガジェットの量が減る気配はない。
面倒が比較的好きではない性格である北岡はキリのないガジェット達の撃墜に半ば飽きかけていた。

「エンド・オブ・ワールド撃っても、全滅は無理っぽいなぁ…おまけにさっき一緒に戦ってくれてる兵隊さん達も、弱すぎて邪魔にしかなってないし…
ったく、恩返しなんてガラにもないことするんじゃ無かったよ。」

しかしゾルダは愚痴を言いながらも、砲撃を再開する。

「ま、いっか。どうせこんなこと体験する前に死んでた身し、たまにはこんなのも良いか。」

【第五廃棄都市街】
「「加賀美さん!これ以上は持ちません!」」
「怯むな!ここを突破されたら終わりだ!死ぬ気で守れ!!」
「「り…了解!」」

ガタックは自ら局員達の指揮を執り、ガジェットの大群に応戦していた。
そして局員達の指揮を挙げながら自らもガタックダブルカリバーを振るい、群がる敵を切り裂いていく。

「(天道…皆…皆が来るまで絶対持ちこたえる!だから…早く着てくれ!全てが手遅れになる前に!)」

【スカリエッティアジト 素体保管室】
一方その頃、スカリエッティのアジトでは、フェイトとトーレ、セッテの激戦が続く。
今の所勝負は互角だが、アジト内のAMF濃度の高さに本来の力を封じられ、徐々に追い詰められてきていた。

「(AMFが重い…早くこの二人を倒して先に進まなきゃいけないのに。だけど、ソニックもライオットも使えない。あれを使ったら、もう後がなくなる。スカリエッティまでたどり着けなくなったら最悪だし、逮捕できても他のみんなの救援や援護に回れなくなる…)」
「「フフフフフ…」」
「!?」

フェイトの前に電子モニターが現れ、スカリエッティの姿が映る。

「いやぁ〜、ごきげんよう。フェイト・テスタロッサ執務官」
「スカリエッティ!」
「「我々の楽しい祭の序章はいまやクライマックスだ。」」
「なにが…何が楽しい祭だ!今も地上を混乱させてる重犯罪者が!」
「「重犯罪?人造魔道師や戦闘機人計画のことかい?それとも、私がその根幹を設計し、君の母君プレシア・テスタロッサが完成させたプロジャクトFのことかい?」」
「全部だ!」
「「いつの世も革新的な人間は虐げられるものだよね。」」
「そんな傲慢で、人の命や運命を弄んで!」
「「貴重な材料を無差別に破壊したり、必要もなく殺したりはしていないさ。尊い実験材料に変えてあげたのだよ。価値のない、無駄な命をね。」」
「この!!!」
355リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 19:34:26 ID:XVcZ/If+

フェイトはザンバーを振り上げ、電子モニターを切り裂こうとする。

「「なんだいそのむき出しの感情は?この…できそこない(ミスクリエーション)が…!」」

スカリエッティは指を弾き、床から大量の黒い触手を出現させる。
触手はフェイトの体を捕獲し、ザンバーの刀身に巻きついた。

「しまっ…」
「普段は冷静かつ温厚でも、怒りと悲しみにはすぐに我を見失う。」

通路の向こう側から黒いグローブをつけたスカリエッティが現れ、囚われているフェイトを見つめる。

「君のその性格は、まさに母親ゆずりだよ。フェイト・テスタロッサ…」
「貴様…!」
「罪人よ…神は嘆き悲しんでいる…愛さなければ良かった…と…」
「!?(神?コイツ…何を…)」
「そうして流した黒い涙の中から…私達は来た…」
「く…」
「悔い改めよ…そして死に絶えるが良い…愛されなかった人々よ…フフフフフフ…あーはっはっはっはっはっはっは!!」

【中央上空】
中央の上空では、RシグナムとAゼストの戦いが続いていた。
両者一歩も譲らず、激しい攻防戦を繰り広げる。

「「飛竜…一閃!」」

Rシグナムは決着を付けるため、自らの必殺技の一つである「飛龍一閃」を繰り出し、勝負に出る。
だが…

「おぉぉぉぉぉぉぉお!!」
「!?」

死期が迫り、背水の陣で戦いに望んでいるゼストは、そんなシグナムの必殺の一撃すら自らの刃で弾き、シグナムに斬りかかる。

「くっ…!」

シグナムはレヴァンティンの鞘でゼストの攻撃を防御するが、ゼストは刃を振り切って鞘を破壊し、シグナムを地上に叩き落した。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

【中央市街地】
「おっと!」

だが地上で待機していたドレイクに間一髪(お姫様抱っこで)キャッチされ、事なきを得る。

「くっ…すまんな。」
「女は花…傷付けるわけには行かないだろ?」
「…」
「「ロストはまだしてないです!追跡可能です!」」
「ああ…大介、降ろせ。」
「冗談。」
「は?」

ドレイクはRシグナムを抱きかかえたままフライトユニットのブースターを点火し、大空に飛び立つ。

「なななななな…き、貴様!?」
「こんな機会滅多に無いんだ。少しは楽しませろ。」
「ふざけるな!!降ろせ!!降ろせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」
356名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:34:56 ID:+PVek1Sy
>>347
23話くらいから、ああいう感じでした。
おばあちゃんになった、なのはが
新米魔導師桜木を、指導するっていう話を思いついたが、文才\(^O^)/ナサス

そして、真祖の人支援
357リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 19:35:11 ID:XVcZ/If+
………
「ぐっ…すまんなアギト、もうお前とユニゾンしても、もうほとんどお前の炎を使ってやれん…」
「かまわねぇよ、旦那を守る方法は、まだいくらでもあるんだ。」
「…シグナムと言ったか、あれは良い騎士だな。」
「え?」
「あの剣性に炎熱能力。おまえが言っていた理想のロードにちょうど適合するな」
「な、なんだよそれ!」
「あの太刀筋は紛れもなく真正の古きベルカの騎士。おまえと同じように、どこかで保存されて眠ってでもいたか…」
「違うよ!なんでそんなやつが管理局にいんだよ!」
「魔力光の色までおまえと適合する。だとするなら、あるいは…」
「やめてくれよ!敵だぞあいつは!頼むよ、あたしのことなんて考えないでさ、自分のために全力で頑張ってよ。」
「…ああ。」

【第三廃棄都市街 鉄橋上】
「…」
「ぐっ…あ…」

第三廃棄都市の鉄橋の上ではスバルとギンガの戦いが続く。
勝負はギンガの優勢だった。
いくら本気で勝負をしようとしても、やはり相手はギンガであることが災いしたのか、スバルはギンガに一撃も当てられずにいた。

「Blitz Calibur, no response.(ブリッツキャリバー、応答ありません)」
「AIユニットをいじられてるんだ…急がなきゃ…皆も…ギン姉も…あたしが…」
「リボルバー…ギムレット…!」

ギンガは左手のリボルバーナックルをドリルに変形させ、スバルに突撃する。

「!?」

スバルはとっさにプロテクションを使い、攻撃を防ぐが、リボルバーギムレットの絶大な威力に競り負け、後方に勢いよく吹っ飛ばされてしまう。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

スバルは瓦礫に激突し、その場に倒れる。
そして、本当の戦闘マシーンになってしまったギンガの姿に涙するのであった。

「ギン姉…ギン姉えぇぇぇぇぇぇぇえ!!」

【ゆりかご内部 王座の間付近】
「おりゃあああああああああああああ!!」

クウガはアメイジングマイティに変身し、アメイジングマイテイキックの強力な破壊力で通路をふさいでいたガジェットを一掃する。
そしていつの間にかその場にあったビートゴウラムに乗り、なのはと並んで爆走する。

「もうすぐだ…ここを抜ければ王座に着く!」
「うん!(ヴイヴィオ…)」

なのははヴィヴィオの笑顔を思い出し、瞳を閉じる。

「(もうすぐ行くから…待っててね、ヴィヴィオ!!)」
358リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 19:36:32 ID:XVcZ/If+

【地球 新ボード研究所前】
新ボード研究所の入り口前、各地に散っていたライダー達がここに終結しつつあった。

南光太郎、乾巧、三原修二、葦原涼、氷川誠、ヒビキ、カブキ、トウキ、キラメキ、ニシキ、ハバタキ、霧島美穂、橘朔也、相川始、そして志村純一…

いづれも腕の立つ兵達である。

「氷川、大丈夫なのか?」

橘は両腕に包帯を巻いている氷川に問いかける。

「大丈夫です、G3-Xなら使えます。」
「そうか…無理はするなよ。」
「「皆!準備完了よ!」」

小沢の声が響くと共にライダー達の前にGトレーラーが停まり、トレーラーのコンテナが開く。

「よし…行くぞ!」
「「「「「オオ!!」」」」」

橘の掛け声と共に戦士達はGトレーラーに乗り込み、戦士達を乗せたGトレーラーは、戦地に向けて出発した。

「ゆりかご」機動ポイント到達まで、あと1時間44分。


投下終了
スカの台詞は分かる人には分かると思いますっス(ぉ
次回もお楽しみに!
359名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:42:04 ID:1eQ20rI4
ライダー氏GJ!というわけで真祖の人ですが投下させていただきます(本当に一発ネタ)
死にたい連中にお勧めの「ソビエト人民最大の敵(スターリン曰く)」
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル
(機動6課編)
・高町なのはや八神はやてやフェイト・ハラオウンがいないから大丈夫だろうと虎の子のゼストとアギトを出したらいつもと変わらないルーデルに撃破された。
・ルーデルの機影を発見後一分でトーレとセッテが血を流して撃破されていた。
・足元がグニャリとしないので沼をさらってみたらガジェットの残骸が敷き詰めらていた。
・聖王のゆりかごが起動して襲撃され、気が付いたら大破着底させられていた。
・高度100フィートで爆弾型魔法を投下、というか距離100メートル以内で機銃型魔法をぶっ放す。
・ギンガを確保していたウェンディが襲撃され、ウェンディも護衛についていたノーヴェもチンクもセインも撃破された。
・ガジェットの群に合流すれば安全だろうと思ったら、いたはずの全ガジェットがルーデルによって撃破済みだった。
・シルバーカーテンで誤魔かせるとタカをくくったクアットロが幻影もろとも潰された。
・全ナンバーズがルーデル被撃破経験者、しかも急降下爆撃ならどんな奴も破壊できると言う信念から「強力で戦闘能力が高いナンバーズほど危ない」
・「そんな奴がいるわけがない」といって出撃して行ったヴィヴィオ(聖王モード)が五年立っても骨の一つも戻ってこない。
・「ナンバーズやガジェットでなければ襲われるわけがない」と再開発地域に出て行ったルーテシアとガリューが穴だらけの原形を留めない状態で発見された。
・最近はやっているルーデルは「何が何でも出撃」八神はやてに止められても、片足が吹っ飛んでもナンバーズ、ガジェット狩りに行くから
・レリック発見場所とスカエリッティ研究所の間にルーデルの襲撃にあう確率は150%、一度撃破されて撤退中に又襲撃される確率が50%という意味。
・機動6課全体におけるガジェット襲撃によるガジェット撃破数は一度に平均80、うち40がルーデル一人の戦果。

(ナンバーズ編)
・新ソニックフォームになったから大丈夫だろうと虎の子のフェイト・ハラオウンを出してシャッハとヴェロッサを出したらいつもと変わらないルーデルに撃破された。
・ルーデルの機影を発見後一分でヴォルテールが血を流して撃破されていた。
・足元がグニャリとしないので沼をさらってみたら管理局局員のデバイスが敷き詰めらていた。
・新鋭バリバリのクラウディアと新生6課本部として起動したアースラ襲撃され、気が付いたら撃沈させられていた。
・高度100フィートで爆弾型魔法を投下、というか距離100メートル以内で機銃型魔法をぶっ放す。
・レリックを確保していたキャロが襲撃され、キャロも護衛についていたエリオもスバルもティアナも撃破された。
・歴戦の騎士団ヴォルケンリッターに合流すれば安全だろうと思ったら、いたはずのヴォルケンリッターの3人と1匹がルーデルによって撃破済みだった。
・ミッドチルダ時空管理局実戦部隊の半数以上がルーデル被撃破経験者、しかも急降下爆撃ならどんな奴も破壊できると言う信念から「ランクが高い魔道士ほど危ない」
・「そんな奴がいるわけがないなの」といって出撃して行った高町なのはが五年立っても骨の一つも戻ってこない。
・「機動6課や時空管理局に所属していなければ襲われるわけがない」と再開発地域に出て行った聖王協会の人が穴だらけの原形を留めない状態で発見された。
・最近はやっているルーデルは「何が何でも出撃」ジェイル・スカエリッティやウーノに止められても、片足が吹っ飛んでも管理局魔道士狩りに行くから。
・古代ベルカの術も彼には通用しない、何故なら唱える前に潰すから。
・レリック発見場所と時空管理局本部の間にルーデルの襲撃にあう確率は150%、一度撃破されて撤退中に又襲撃される確率が50%という意味。
・ナンバーズ全体におけるレリック攻防戦による管理局魔道士の撃破数は一度に平均34人、うち17人がルーデル一人の戦果。

以上ですorzシルヒトシカシラナイネタデスガ
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:46:18 ID:cryUaGVC
むしろルーデルをなのはさんに置き換えるべきだったと思うぞ、これは
361名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:50:46 ID:0BRN08yj
ルーデルは他の誰にも変えることなどできない。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 20:01:51 ID:TBnQMvIA
ルーデルだけはガチ 


ということでなんら問題は無い。
つか、片足無くなっても「しばらく出撃できなくて悔しい」で涙を流すルーデルは
絶対に何かが違う……。

(ルーデルのお墓にある墓石の不自然な大きさも、まるで“なにか”を封じている気がしなくも無い)
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 20:04:13 ID:0BRN08yj
ルーデルは戦後もバリバリ元気な凄い奴。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 20:45:30 ID:ih+3hJrv
逆に考えて、なのはさんがルーデルばりの活躍をするネタはどうだろうか。
実在の人物だし、悟空やゴジラを倒すとかの奇想天外なものとは違うだろう。
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 20:46:52 ID:qJ5RbFgE
事実は小説より奇なり。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:12:35 ID:0FP1O8ua
てか二次大戦のパイロット達はガチでニュータイプかと思うような奴ばっか。
あとシモヘイヘとか。
367魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:16:28 ID:ZyQgVW8t
改めて「なの魂」を読み直した感想ですが、バーニィネタが出たのはクリスマスが近いからだと思いながら一日過ごしました。
はやては空気の読める子。
自分のクリスマスの予定は友達と一緒にバーニィに黙祷しながら厳かに過ごします。
不謹慎なアベックどもよ、呪われろ(ぉ

昨日のDMC祭りには乗り遅れてしまいましたが、魔法少女リリカルなのはStylish第二話の投下してもよろしいですか?
一言、「許す」をッ!
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:18:03 ID:1xD5XOIN
許さないとでも思ったか! 思ったか!
369Strikers May Cry:2007/12/20(木) 21:18:27 ID:hMklsldW
許す! 存分に投下をして頂きたい!!
俺もなんとか今日か明日にでもデビルメイクライ3クロスを投下したいぜ!
370名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:18:56 ID:Ffy765Mr
>>367
承認っ!!
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:22:03 ID:W+Fe2P0Y
いきなりで何だが自分はここの小説のクオリティの高さに打ちのめされて
自分も何か書きたいなぁという禁じられた衝動に駆られてみたいと思う。

そして自分も森川●之が好k(ry
372魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:22:18 ID:ZyQgVW8t
よろしい、ならばスタイリッシュだ。

前回くらいの長さなので、是非ともオラに支援を分けてくれ!
規制が一番こわいぜ(汗

あと、どうでもいい前置きですが、本作のティアナは原作とちょっぴり違います。
初期装備のアンカーガンが二挺銃になってますし、今後出てくるクロスミラージュも含めてトリガーガード付きの指差し込んでくるくる回して遊べる仕様です。
まあ、誰も気にしないか。
最終確認も含めて、五分後に投下します。
373Strikers May Cry:2007/12/20(木) 21:23:32 ID:hMklsldW
ナイトメアβでもって支援砲火!!!!
374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:25:02 ID:W+Fe2P0Y
>>372
精一杯の期待をしようかと。
どこでどうスタイリッシュになるのか・・・
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:26:28 ID:uNb0MQJI
よし。では支援だ。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:26:45 ID:Ae1/Du91
なんだかんだでダンテの影響受けてるよティアナ支援
377反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/20(木) 21:27:38 ID:Lu9WHHLH
>>371
自分でアレを書いといて難だが、俺はむしろ●山修之が大好きだッ!

>>372
拳銃クルクル支援
378魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:28:22 ID:ZyQgVW8t
 燃えている。
 それまでそこにあった光景が、全て紅蓮に染まる世界。
 はるか太古より火は偉大な力の一つであり、人はその力に支えられて生きてきた。しかし、力は時として恐れを抱かせる―――。


 ミッド臨海空港を襲った大規模な火災。多くの人々の行き交う場所を襲った最悪の出来事。
 燃え盛る獄炎の中、次々と救助を成功させていくレスキュー隊の獅子奮迅の活躍を嘲笑うかの如く、それまでの奇跡のツケを払うように一人の少女の命が呑まれようとしていた。

「おとうさん……おねえちゃん……」

 真紅に染まった空港内のエントランスを、スバルはひとりぼっちで彷徨っていた。
 弱弱しい少女の助けを呼ぶ声は、燃え盛る炎の唸りにかき消されていく。
 無力な少女を弄ぶように、崩壊した建物の爆風が巻き起こり、スバルを地面に叩き付けた。
 痛い。熱い。恐怖と孤独感が襲い掛かり、弱い心を容易くへし折る。立ち上がることも出来ず、無力なスバルにはただ泣くことしか許されてはいなかった。

「こんなの……いやだよぉ……。帰りたいよぉ……」

 か細く漏れる願いは、しかし非情な現実によって潰えようとしていた。
 中央に建てられた女神像が長く晒された高熱によって基盤を崩壊させ、倒れようとしている。その先にはもはや動けないスバルがいた。

「だれか……助けて……っ!」

 平和を象徴する女神像は、しかしやはりただの無機物でしかなく、無慈悲なままに少女を押しつぶそうと倒潰を始めた。
 迫り来る影に、スバルは目を瞑る。
 しかし―――。

「―――っ、よかった。間に合った……!」

 願いの果てに助けは来た。
 この広大な空港の中、火炎地獄を物ともせずに駆けつけ、巨大な女神像をバインドによって固定した魔導師の少女によって。

「もう、大丈夫だからね」

 スバルを間一髪のところで救出した高町なのはとその相棒レイジングハートは、安心するよりも呆然としたスバルをシールドで包み、砲撃の準備を開始した。
 そして次の瞬間、寸断された通路の代わりに、脱出路を確保する為の一撃が炎と夜空を切り裂く。
 スバルは轟音と共に開かれる天井を見上げた。
 赤一色しかなかった世界に、夜空の黒が覗いている。自分を閉じ込め、二度と解放しないだろうと感じた地獄の中に一筋の道が生まれていた。

「さあ、早くここから出よう」
「あ……」

 衰弱したスバルの体を、優しい腕が持ち上げる。
 見上げる先には力強い笑顔があり、スバルはまた泣きそうになった。今度は恐怖などではなく、ただ心からの安堵で。
 そして、なのはが飛行魔法を使おうとした―――その時、二人の視界で炎が『動いた』
379魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:29:30 ID:ZyQgVW8t

「え……っ」
「何!?」

 スバルを庇うように抱き締め、なのはがレイジングハートを目の前の異様な光景に向ける。
 それは、錯覚なのだろうか―――二人は自問する事となった。
 視界を埋め尽くすように揺らめく炎の中で、赤い背景に溶け込むようにして蠢く奇怪なものの姿があった。
 それもやはり炎には間違いない。だが、周囲で燃える炎の中で、その一点の炎だけが違う不規則な動きを見せ、同じ真紅の世界の中で浮き彫りに見える。
 それは『燃え盛る体を持つ牛の化け物』に見えた―――。
 肥大化した筋肉に覆われた上半身。捻じ曲がった巨大な二本角。目や鼻に位置する穴から炎を噴き出す牛の頭。そして、その手に持つ奇怪な形の大鎚。
 この世の者ならざる異様な姿を持ちながら、全身が比喩ではなく『燃え盛っている』せいで、炎の中にその全貌が溶け込んでしまう。

「まさか、この火災を起こしたのは……?」

 思わぬ真相に遭遇してしまったなのはは、腕の中で震えるスバルを抱く力を強め、敵意を持って炎の中を睨み付けた。
 アレが炎の見せる幻影でないのなら、戦わなければならない。
 火の肉体を持つ怪物が、眼球とおぼしき熱の塊をなのは達に向けたような気がした。
 果たしてその<眼>は自分達を見ているのか?
 しかし、怪物がその疑問に答えることはなかった。
 二人の目の前で、怪物は唐突に消滅し始める。周囲の炎に怪物の体が溶け込むようにして見えなくなっていった。
 つい先ほどまでハッキリとその異形を認識出来たのに、見る間にただの炎と怪物の体の境が曖昧になり、気が付いた時には目の前でただ炎が燃えていた。
 あの怪物を見た強烈な衝撃は現実感と共に薄れていき、あれが本当は炎の動きが生み出した錯覚に過ぎないのではないかとすら思えてくる。

「……今の、見えた?」

 なのはが自分と同じように呆然とするスバルに尋ねた。
 自分の見たものが何だったのか? ありのままに受け入れることも出来ず、スバルはなのはの胸にしがみ付いて、かろじて頷くだけだった。

「そう……。忘れた方がいいよ。さ、行こう」

 全てが幻であったと言い聞かせるように囁き、なのははスバルを抱えて飛び上がった。この小さな少女がこれ以上悪夢を見ないよう、覆い隠すように抱き締める。
 かくて、二人は燃え盛る火災現場からの脱出を果たした。


 この日、炎の中で起こった一瞬の幻のような邂逅を、覚えている者は一人、忘れた者は一人。
 少女は、この時助けられた記憶から自らの弱さを嘆き、憧れを追い始める。
 魔導師は、この時見たモノの記憶が薄れぬよう心に刻み、闇に潜む存在を疑い始める。


 <力>は時として人に恐れを抱かせる。しかし、また同時に人を魅せて止まない。
 故に、魔に魅入られし人は絶えず……。

 自らの背後から伸びる影に埋没する者達の存在を、多くの人々はまだ知らない―――。





魔法少女リリカルなのはStylish

 第二話『Gun & Fist』




380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:30:37 ID:h6lW70Tt
タティアナさんがダンテ流になっていることに支援ッ!!
ショットガンの弾のような魔力弾とかも撃つのだろうか?
381魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:31:21 ID:ZyQgVW8t

0072年6月。時空管理局武装隊ミッドチルダ北部第四陸士訓練校にて。

『―――試験をクリアし、志を持って本校に入校した諸君らであるからして』

 亡き兄の夢と仇を追って、大空への第一歩を踏み出そうとする少女<ティアナ=ランスター>と。

『管理局員、武装隊員としての心構えを胸に』

 あの日憧れた姿を胸に、その人の待つ高みへと最初の一歩を歩みだした少女<スバル=ナカジマ>と。

『平和と市民の安全の為の力となる決意を』

 そして、多くの夢と栄光を目指して同志達が今、ここに集結していた。

『しかと持って訓練に励んで欲しい!』
「「「はいっ!!」」」
『以上! 解散! ―――1時間後より訓練に入る!』

 目指すべき先は長く険しく……しかし、彼らの瞳は一様にして輝いていた。
 若きストライカー達の挑戦が、此処から始まる。




 スバルは感じた。この人、何か猫みたい。
 ティアナは思った。こいつ、何か犬っぽい。
 32号室で相部屋となったルームメイト兼コンビパートナーへの、お互いの第一印象である。

「スバルだっけ。デバイスは?」
「あ、わたしベルカ式で、ちょっと変則だから……」

 初の訓練前で騒然とする倉庫内で、各々が規格の訓練用デバイスを選ぶ中、スバルとティアナのコンビだけが自前のデバイスを調整していた。

「<ローラーブーツ>と<ナックルリボルバー>! インテリシステムとかはないタイプだけど、去年からずっとこれで練習してるの」

 手馴れた様子でいち早くデバイスを装備したスバルが誇らしげに2タイプのデバイスをティアナに紹介した。
 素人とはいえ、独特のデバイスを自作出来る程の知識を持つティアナはそれらを冷静に解析する。
 ローラーブーツは自分で組んだというだけあって、特色のない魔力駆動の規格品である。陸戦魔導師ならば、妥当な機動力の確保方法だと言えるだろう。
 しかし、右腕に装着したナックルの方はかなりの高級品だと見抜いた。近代ベルカ式は次世代魔法だし、搭載されたカートリッジシステムもコンパクトで新しい。

「格闘型……前衛なんだ」
「うん!」

 さて、この逸品を使いこなす猛者なのか、玩具にするバカのボンボンなのか。そんな意味合いを含んだティアナの呟きを、能天気なスバルはもちろん気付かなかった。

「ランスターさんは?」
「あたしも自前。ミッド式だけどカートリッジシステム使うから」

 ツインバレルのショットガンに酷似した形状のアンカーガンにカートリッジを詰めながら、素っ気無く応える。
 特色といえば、銃身の下部に備えられたショットアンカー程度の汎用デバイスを二つ。ティアナの本来のスタイルは二挺拳銃(トゥーハンド)である。
 一般魔導師からすれば変則ではあるが、特に目立ちもしなければ誇れもしない装備だった。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:32:09 ID:9gbHMK2C
 ライダー氏GJ!
それと、今回のスカリエッティの台詞ですが・・・。
あれはライダーSPIRITSに登場したペトレスク神父とグィン将軍から
取りましたね?
おかげで例の首領の正体について確信が持てました。
首領の正体は・・・スサノオ…またの名をJUDOですね!?

それと一つ質問があるんですが・・・。
もしや、スカリエッティは怪人化するのでしょうか?
383Strikers May Cry:2007/12/20(木) 21:32:16 ID:hMklsldW
むしろ色んなタイプの重火器型デバイスを状況に応じて使い分けるダンテ風ティアナ支援!
384魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:32:44 ID:ZyQgVW8t

「わ、銃型! 珍しいね。かっこいー!」

 しかし、スバルは銃型という点に眼を輝かせた。
 質量兵器が廃止されて久しいミッドチルダでは、銃は映画などのフィクションで活躍する代物なのだ。
 実用性と機能美を重んじるティアナはそんな子供っぽい反応に冷めた視線を返す。無言の釘を刺されたスバルがビクッと震えた。
 必要以上馴れ合うつもりもなければ、相手にわざわざ合わせる気もない。
 元来冷めた性格であるティアナは、やはり素っ気無く視線を外すと、デバイスのチェックを終了した。
 そして、ティアナの手の中で二挺のガン・デバイスが華麗に踊る。
 トリガーガードに指を掛けてコマのように数回転させると、銃身が小気味よく風を切った。その動作のまま流れるように、腰の後ろのガンホルダーへ突っ込む。
 ―――と、そこまでの流れを無意識に行って、ハッと我に返った。
 ティアナは自分の失態に気付くと、ギシギシと軋む首で視線を移動させる。
 先ほどよりも激しくキラキラと瞳を輝かせたスバルの顔があった。どうやら、このパフォーマンスがウケにウケたらしい。

「すっごーい! 今のメチャクチャかっこいーよ、ランスターさん!」
「だああっ、もううっさい! 今のはついやっちゃったの。あんな頭の悪い芸、普段はしないんだからねっ」
「悪くないよ、すごくいいよ! ね、ね、もう一回やってみせて!」
「やらない! 訓練始まるわよ、さっさと並ぶ!」

 はしゃぐスバルを置いて、ティアナは足早にその場を立ち去った。この3年間、銃の扱いを参考にしていた男から知らずに受けた悪影響に頭を悩ませながら。
 ティアナは感じた。この娘、バカだがやりづらい。
 スバルは思った。この人、こわいと思ったけど実はかっこいい。
 初のコンビプレイを目前に控えた二人の、ちょっと変化した互いの印象である。




「ふえー、広い訓練場ですね」
「うん、陸戦訓練場だからね」

 木々と岩場で構成される自然の訓練場を一望出来る場所で、エリオを連れ立ったシャリオが陸士の訓練を見学していた。
 エリオ=モンディアル。今はまだ芽さえ出ない才能を眠らせたこの幼い少年が、この場を訪れたのは、あるいは運命だったのかもしれない。

「あ、朝の訓練始まるねー」

 談笑する二人の眼下で、ティアナとスバルを含む訓練生達が記念すべき最初の訓練を開始しようとしていた。




385魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:34:25 ID:ZyQgVW8t

 最初の訓練はコンビによる機動と陣形の即時展開。訓練場の設備を利用した基本的なプログラムだった。

「障害突破して、フラッグの位置で陣形展開。わかってるわよね?」
「うんっ!」

 二人組(コンビ)での行動の仕方はすでに把握している。しかし、それはあくまで知識としてでしかない。
 冷静なティアナとは反対に、スバルは若干緊張していた。

『次、32のコンビ!』
「前衛なんでしょ? フォローするから先行して」
「うん!」

 力強いが単調なスバルの返事からその心境を伺えるほど付き合いの深くないことが、ティアナにとって不運だった。
 スバルとティアナに番が回って位置についた時。スバルの魔力が過剰なまでにローラーブーツに注ぎ込まれるのをティアナが気付いた時には、全てが手遅れだった。

『セット……ゴーッ!』

 号令と同時にスバルが飛び出した。トップスピードで。

「えっ!? ちょ……ぷあっ!」

 爆音と共にローラーブーツの瞬発力が炸裂し、地面と背後のティアナを吹き飛ばす。相棒を置き去りにして、スバルは誰よりも速くフラッグポイントを確保してみせた。
 そして、当然ながら不合格だった。
 ティアナはスタート地点で尻餅を着いたまま咳き込み、完全にスバルの独断専行になってしまっている。

「馬鹿者、なにをやっている!? 安全確認違反! コンビネーション不良! 視野狭窄! 腕立て20回だ!」

 教官の叱責を受けて、二人はいきなり意気消沈した。

「足があるのは分かったから、緊張しないで落ち着いてやんなさい」
「ご……ごめん……」
「いいわよ。とりあえず、いずれ舐めることになる訓練場の砂の味を予習することは出来たわ」

 兄貴分譲りのジョークも、スバルには完全な皮肉としか聞こえなかったらしい。
 余計落ち込んだパートナーと自分自身のバカさ加減に内心頭を抱えながら、ティアナは前途多難なため息を吐いた。




 次の訓練は垂直飛越。壁などの遮蔽物を一人が足場となって飛び越える、やはり基礎的な訓練だ。
 足場役が両手を組んで相手の足がかりとなり、跳ぶ力と押し上げる力で高い壁を飛び越える。多少息を合わせる必要はあるが、それほど困難な事ではない。
 何より、これならば緊張で力んでもプラスにはなれど、マイナスにはならないだろう、と。ティアナは名誉挽回しようと意気込むパートナーを一瞥した。

「しっかり上まで飛ばせてよ」
「うんっ!」

 気合い十分、スバルは頷いた。
 そしてやはり、気負い気味なのは見越していたが、それに伴うスバルのパワーを予想出来るほど付き合いの深くないことが、ティアナにとっての不運だった。

「いち、にーの……」
「あれ? ちょっと待って、なんであんた魔力で身体強化して―――」
「さんっ!!」

 次の瞬間、ティアナは星になった。
 『跳ぶ』という『吹っ飛ぶ』という表現が相応しい勢いで、ティアナの体が空高く舞い上がる。木の葉のように舞う相棒を見上げ、スバルは昇っていた血の気が一気に引いた。
386魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:35:52 ID:ZyQgVW8t

「あああ、しまったぁ!」

 格闘型ゆえ、魔力による肉体強化は基礎中の基礎。この滑らかな発動を褒めるべきか諌めるべきか……。
 いや、とりあえず一発殴ろう。空中で錐揉みしつつ、口から漏れる悲鳴を噛み殺しながらティアナは黒い決意を固めた。
 墜落死が確実な高度で勢いが衰え、落下が始まる。対処を考えるティアナの視界が地上を捉え、自分をキャッチしようと走り出すスバルの姿が見えた。

「動くな! 訓練のうちよ!!」

 咄嗟に一喝したティアナの迫力にスバルが硬直する。
 ここでスバルが持ち場を離れれば、コンビとしてのミスが決定する。それは許容出来なかった。片方のミスはもう片方が補う。だからこそ<コンビ>なのだ。

「……Slow down babe?」

 『慌てんなよ?』
 いつだって余裕をなくさず格好を付けたがるあの男の口癖が無意識に洩れた。
 自分を見上げる不安そうな表情を不敵に笑い飛ばす。
 ―――この程度で失敗などと判断されては困るのだ。パワー馬鹿に振り回されるのは慣れている。

「<エア・ハイク>!」

 手に魔力を集中させ、その先に瞬間的な足場を作る。
 赤い魔法陣が空中に出現し、それを蹴る反動で頭から落下する形の状態を変える。一蹴りでティアナは瞬時に姿勢を立て直した。
 空中での機動確保の為に習得した魔法だが、まだまだ無駄が多い。こんなもの、あのいつも余裕綽々な兄貴分なら鼻歌交じりでやってのける。
 それでも、彼から学び取った技術が今この瞬間を救ってくれたことにティアナは密かに感謝した。
 一連の流れを見守っていたスバルを含む訓練生達が感嘆の声を漏らす中、やや派手な音を立てながらもティアナは無事自力で地面に着地した。

「ご、ごめんなさい! ランスターさん、大丈夫!?」

 ティアナに対する尊敬の念を更に深めたスバルが、それでも心配そうに駆け寄ってきた。
 それをジロリと一瞥しながらも、同じく歩み寄ってきた教官に向き合う。

「32番―――」
「特に問題はありません。『多少』パートナーに力みがあったようです」

 睨み付けるような教官の視線を平然と受け流して、いけしゃあしゃあとティアナは言ってのけた。
 自分が原因であると理解出来ているスバルはハラハラと二人の様子を見守っている。
 しばしの沈黙の後、教官は『訓練を続行しろ』とだけ短く告げて、去って行った。

「……あのぉ、ランスターさん」
「……」
「ホント、ごめんなさい……失敗を取り返そうと思って……」
「……色々言いたいし、かましてやりたいんだけど、とりあえず一つだけ言うわ」
「な、何?」
「足が痺れて動けないから運んで」

 着地の反動で動かない両足で棒立ちしたまま、ティアナは青筋を浮かべてこの先に待ち受ける多大なる苦労の元凶となるであろうパートナーに告げた。


「あれ、楽しそうです!」
「エリオは真似しちゃだめだよー」

 そんな平和な一角からは、律儀にスバルに拳骨を落としながらも素直に運ばれるティアナの姿が見えるのだった。



387魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:39:39 ID:ZyQgVW8t

 結局、その日は一貫してそんな調子だった。
 一通りの訓練が終了したその日の終わり。訓練の果てに得られたものは、スバルに課せられた反省清掃だ。

「あ、あの……ホントごめん……」
「謝んないで、うっとうしい」

 一方的に迷惑をかける形になったスバルはすっかり落ち込んでいた。
 数々の場面でスバルの暴走が目立ち、その度にティアナがフォローに回って訓練そのものは継続出来たが、それまでの減点で罰則が下されたのだ。
 失敗の度、被害を被るティアナに申し訳なく思い、それを取り返そうとして気負う悪循環。理解出来ないほどスバルはバカではなく、それゆえに尚の事落ち込む。
 反省清掃がスバルにのみ課せられたのが、せめてもの幸いだった。
 これ以上パートナーに迷惑をかけるのは申し訳ないし、何よりどうしようもなく格好悪いと思えた。

「わたし、もっとちゃんとやるから……ランスターさんに迷惑かけないように!」
「―――あのさぁ、気持ちひとつでちゃんとやれるんなら、なんではじめからやんないわけ?」

 意気込んで告げるも、限りなく冷めた視線が返される。
 まったくその通りだ。自分を鼓舞するつもりが、スバルは逆に撃沈した。

「……ねえ、あんた真剣? 遊びで訓練やってない?」
「あ、遊びじゃないよ!」

 しかし、どれだけ相手に申し訳なくても、その言葉にだけはスバルはハッキリと反論した。

「真剣だし……本気で……っ!」

 真っ直ぐに自分の瞳を覗き込むティアナの視線を、精一杯見つめ返して、スバルは必死で言葉を紡ぐ。
 それでも無言のティアナの様子に、自分のこれまでを省みて徐々に小さくなっていく声。そこでやっとティアナは口を開いた。

「ならいいわ」
「……へっ? い、いいって……」
「でも、だからって同じ失敗するようなら一発ぶち込んで鼻の穴一つにしてやるからね」
「え゛っ!? は、はい……!」
「よろしい」

 あっさりと許しを貰って拍子抜けするやら、実はスゴイ怒ってるのかと背筋が凍るやら。混乱するスバルを尻目に、ティアナは掃除用具を片手に清掃を始めた。

「あ、あの、ランスターさんは掃除しなくても……!」
「二人でやった方が早く終わるでしょ? これ終わったら自主訓練するわよ。あんたには基礎訓練だけじゃ足りないわ」
「でも、これはわたしの罰なんだし……」
「仮とはいえ、あたしとあんたはコンビでしょ」

 指で銃の形を作り、ティアナはスバルの眼前に突きつける。

「―――だったら、互いの罰は二人で被る。
 あたしの銃は、あんたの背後の敵を撃つ。代わりにあんたの拳は、あたしの背中を守るのよ。いい? 肝に銘じておきなさい」

 指をずらしてスバルの背後を撃つ真似をしながら、ティアナは不敵に笑ってみせた。
 その危険な魅力と迫力を秘めた笑みにスバルは見入る。
 それはスバルに、ティアナに対する第一印象の静かな雰囲気を一変させる烈火の如き印象を与えた。そして次に力強さと、頼もしさと―――何より憧れを感じる。
 もしこの場に、ティアナとダンテの二人を知る者が居たのなら、こう言っただろう。

 ―――本当に血が繋がってないのか? 笑った顔なんてソックリだぜ。

 甲斐性なしで、常に余裕で、どんな時もくだらないジョーク交じりのおしゃべりが大好きなあの男の背中を見続けた時間の中で、少女は確かに変わっていたのだった。
388魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:41:17 ID:ZyQgVW8t

「う、うん!」

 怒られると思っていただけに、ティアナのパートナーとしての言葉と信頼に感動の涙すら見せるスバル。
 ティアナは普段の冷めた仕草でため息を吐いた。

「返事だけはいいわね。言葉じゃなくて行動で応えなさいよ」
「わかった! わたし、頑張るよ!!」
「それじゃあ、まずはこの掃除をさっさと終わらす」
「了解! ……ねっ、『ティアナさん』って呼んでもいい?」
「分かりやすい馴れ合い方ね。こっちは『スバル』なんて呼ばないわよ、ナカジマ訓練生」
「ええ〜っ、コンビでしょー?」
「あたしが頼れるくらいになれば、考えるわ。今日のミスの回数聞く? 数えてるわよ。いちいち言わないけど、恨みは募ってるから」
「う……っ、がんばります……」

 少しだけ距離を縮めた二人の喧騒は、これからの生活を暗示するように訓練場の片隅で流れ続けた。


 前途多難ではあるが―――とりあえず一歩。
 いつかの未来で伝説になるかもしれないデコボコ魔導師コンビが、此処から始まったのだ―――。




 to be continued…>






<ダンテの悪魔解説コーナー>

・ヘル=プライド(DMC3に登場)

 七つの大罪って知ってるかい? 人間が地獄に落ちるに値する罪だそうだ。
 そのうちの<傲慢>を犯した人間を地獄で責め立てる魔界の住人が、コイツだ。
 黒いボロ布を纏って大鎌を持ったミイラみたいな姿はまさににじり寄る死神だが、ちょいと腕の立つハンターからすれば雑魚同然だ。
 もちろん、この俺にとっては言うまでもないよな。
 死人を痛ぶることしか出来ないだけあって動きは緩慢で、砂を媒介に実体化してるせいかひどく脆い。
 ビビらずに一発かましてやるのが、この雑魚どもに対する一番の攻略法さ。
 どちらかというと、後に残る砂の始末の方が厄介で面倒極まりないくらいだね。
389リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/20(木) 21:42:53 ID:XVcZ/If+
>>382
ふふふふふふふふ…
それは…まだ言えませんねぇ…
390Strikers May Cry:2007/12/20(木) 21:45:43 ID:hMklsldW
エアハイクGJ!! まさかこの技をティアナが修得していようとは…
空港火災に悪魔が出現したという事はスカリエッティは何らかの形で悪魔の力を得ているのか? 続きが気になります。

にしても燃える牛の名前を完全に忘れた……
391魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 21:49:52 ID:ZyQgVW8t
投下完了。
魔法だって? ハッハァ、銃(こいつ)を食らいな!

なんと、第二話からすでにダンテが登場しないという怒涛の展開!
このクロスSSはどうなってしまうのか!?(ぉ
……まあ、冒頭で悪魔が出たのでDMCクロスだと納得してください(汗
DMCシリーズを粘っこく楽しみつくしたプレイヤーなら、あの悪魔の正体も分かると思います。
っていうか、設定厨の自分としては、シリーズ通して納得のいく時間軸なんですよね。無口ダンテに歳を感じる。渋いw
ちなみに今回の話はStSコミック版の内容。
ティアナとスバルの訓練時代―――絶対、この部分をアニメで放送すべきだったと思うね。
次回はちゃんとダンテトークが炸裂しますので、ご安心ください。

しかし、ティアナを強化してやりたいが、凡人でなければティアナではない……さじ加減が難しいですw
392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 21:57:00 ID:OOY/ENBA
>>377
な・・なんだって!?
確かにあの人のボイスも俺は好きだ・・。だが・・だが・・!(何

>>391
ダンテはきっとおいしいところを持っていってこういうはずだ!
「こっから先はR指定だ」
・・・むぅ?
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:00:48 ID:YiIaMjcT
ダンテは必死でオーブ集めてエアハイク入手したというのにティアナはもう使えるのかww
なにやら素敵で愉快なキャラになりますよね、ティアナって
394名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:03:08 ID:uNb0MQJI
>>391
GJです。
ティアナはあれだ。
回りが桁違うだけで十分天才の域なんだが…
性格がなあ。
しかしこのダンテの影響受けたティアナはそんな事気にし無そうだが。
ダンテなんて言う規格外のそばにいたわけだし、劣等感なんて笑い飛ばしそうな気がする。

しかしこのティアナの可愛さは異常すぎる。
あなたが神か。
395名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:04:09 ID:MBz/+m/V
ああ、この絶妙なティアスバルの今はへっぽこなコンビネーションがたまんねぇっす!
俺の貧困な語彙では、この素晴らしさを伝えることが出来ねぇっ。

とにかく、GJであります!!
396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:09:08 ID:h6lW70Tt
GJ!!です。このティアナはカッコいいですなぁ。七話の失敗と八話がどう変わるのか
気になります。
確かに凡人(自分での評価)じゃないとティアナじゃないですねw
八話で接近戦じゃなくヘリに積んでるような重火器をウイングロードの上で三脚で固定して撃ってたら
やだなぁw
397名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:25:53 ID:iJn1rHhF
GJ!
ダンテは2の頃にもなると魔法陣すら形成せずに2段ジャンプしてましたね(標準装備だっけ?
エアハイクが使えるとなると、次はエアトリックで短距離ワープに挑戦とか?
あのニ銃を掲げる底無き力の剣士の悪影響を受けたとなると…
やっぱり、動きが無駄にスタイリッシュになるのだろうか?
398名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:26:20 ID:uNb0MQJI
>>396
でもダンテの影響がどこまであるか分からないから、作者さんの書くかもしれなかった道を一つ潰すのはよくないと思うぜ
ティアナじゃないとか断言はよくない。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:28:19 ID:L7w7WJTY
この早い時期に関わっていればむしろ変わっていくのが当然かと。
400名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:29:17 ID:h6lW70Tt
>>398
これは失礼しました。なんとなく作者さんのノリに乗ってみたのですが
ご迷惑をかけてしまったようなのですいません。
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:32:59 ID:gMf1mCM6
>>393
三年も一緒にいたんだから少しぐらいオーブを分けて貰ってたんじゃね?
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:33:05 ID:uNb0MQJI
>>400
ごめん最後の行は作者さんが言ってるからってことで消したつもりだったんだ。
ミスってしまった。すまない
403名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:37:37 ID:OOY/ENBA
>>401
仮にそうだとして、他人に分けるほどオーブを溜めているとは・・・。
恐ろしい、だが、スゲェ。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:39:47 ID:h6lW70Tt
>>402
いえ、こちらこそ。
私も、つい妄想したことや思ったことをよく考えずに書いてしまう
悪い癖が出たようなので。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:44:17 ID:uNb0MQJI
>>403
仕事についてって自分で取った、とか
悪魔見慣れてる風でしたし
406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:48:00 ID:OOY/ENBA
このまま他のスキルも使うのか・・。
期待が止まりそうにないですよ先生。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:48:15 ID:hp6Bcw4P
ティアナだけDMCナイズされて脳内再生されました。
スタイリッシュの人GJ!
408名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:51:11 ID:gMf1mCM6
>>403
しかし、あんなキモイ顔したオーブがティアナに分けれるほど大量にあると思うと嫌だなwww
409名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:53:23 ID:OOY/ENBA
>>408
だからって萌え顔のオーブもそれはそれでいやだなぁ(関係ない
410名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:56:20 ID:YiIaMjcT
もうナンバーズにゴールドオーブもたせればいいんじゃね?
コンティニューコンティニュー!
411名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 22:56:54 ID:iJn1rHhF
そもそも時空神像あるのか?
あったとすると悪魔の血の結晶を捧げて力を得たことになる
システム的なものとはいえ、傍目から見てると禍々しいなw
412名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:01:55 ID:uNb0MQJI
>>409
アルフ顔のオーブ想像して盛大に吹いた。
その後アギトとかリィンとかも出て来て悶えた
つうかそんなものになったら絵的に嫌だな。それを必死こいて集めるダンテ。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:03:45 ID:OOY/ENBA
>>412
3のSPEではバージルもオーブを集めるから・・・いや、やめておこう。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:10:20 ID:4vmkOD94
こりゃ土曜日までに次スレいきそうだな
415名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:10:35 ID:9XigCdZU
GJ!
ティアナがエアハイク使うとは…かっこよすぎるぜ!
416名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:12:55 ID:OOY/ENBA
>>414
これだけ経ってもなのは熱が冷めませんからね。
まだまだ盛り上がるんじゃないでしょうか?
417魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 23:13:25 ID:ZyQgVW8t
なんか少し経って様子見に来たらオーブ談義してて吹いたwww
本作では原作のゲームシステムを設定に起こしてみたらどうなるか? というテーマを密かに持ってるんで、実はレッドオーブも出す予定だったりするのですよ。
それをまさか見抜かれるとは、このスレの住人は化け物か!w

あと、本当にどうでもいい設定厨のひとり言ですが、作中のティアナ版エアハイクは魔法に近いシロモノです。
リリなの世界じゃ魔力の足場とか、あんまり珍しくないですよね。
ダンテみたいに無詠唱無動作で発動するなら役に立ちそうだけど、ティアナの場合、まだ手のひらに魔力集中して呪文言わなきゃ発動しないですね。
418名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:16:51 ID:OOY/ENBA
>>417
メリットもあればデメリットもあり・・でございますな。
そー考えるとダンテの魔力無限大?(←ゲームでエアハイク使いまくってた人
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:19:17 ID:YiIaMjcT
ダンテがアルテミスかナイトメアβ渡せば・・・・・・・・あ、魔力吸われて死に掛けるか
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:20:51 ID:MBz/+m/V
何をやっている>>418!! もっと頭をsageるんだ! 早く!
メール欄にsageと入れるんだ!
421名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:21:14 ID:uNb0MQJI
>>418
つうか設定上でマジに無限に近いから困る。
軽々リインTより強いらしいよ
422名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:22:21 ID:OOY/ENBA
>>418
はっ!?
こ・・・こうでございますかっ!?
423名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:22:33 ID:GhUXgwp0
突然ですが、フルメタとのクロス作品を一つ書き上げました。

問題ないなら30分頃から投下したいと思うのですが、OKですか?
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:23:11 ID:rhXa1hgN
たしかにそうかも。トリックスターレベル3ともなれば、エアハイク・エアトリック・瞬間移動の三段コンボがかませるからなぁ。
←同じく使いまくった人
425名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:23:33 ID:OOY/ENBA
ぐは・・、間違えた・・・。
改めて、これでいいんでしょうか>>420殿。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:25:35 ID:MBz/+m/V
>>422
問題ないと思うぜ!

>>425
そうだ、それだよ! よくやった!
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:27:45 ID:OOY/ENBA
>>423
どんと来いでございますよー。

>>421
マジですか?
全力全開どころじゃないなぁ・・・。

>>424
扱いやすいですもんねー。

428名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:28:57 ID:OOY/ENBA
>>426
やりましたぞお館さm(ry
429魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 23:29:54 ID:ZyQgVW8t
>>396
>>398
反応遅れましたが、どうにも私の不用意な一言で混乱させてしまったようですみません(汗
凡人でなければティアナじゃない、とは言いましたが、まあようするに原作のキャラクターの範囲内でいたいという意味ですね。
あくまで元のティアナがあってこそ、クロスによる変化が楽しめるわけですから。
その範疇でいろいろ弄りたいと思っています。ダンテの口癖言わせたりとか、分かる人がニヤッってなる感じの。
430魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 23:33:21 ID:ZyQgVW8t
>>423
来いよ、ベネット!(投下的な意味で
431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:33:22 ID:GhUXgwp0
それでは投下します。
携帯からなので多少時間差が出るかもしれませんが、そこは勘弁てことで

あと、プロローグも兼ねているのでなのは達はまだ出ません。そこは理解して見て頂きたいです
432名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:37:45 ID:OOY/ENBA
>>431
あいあいよー。
待ってますぜー。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:38:31 ID:iJn1rHhF
>>427
女神転生では底なき力の剣士と言われてたぐらいだぜ?
悪魔でさえ他者から吸魔もしくはアイテム等によってしか回復できないのに(吸魔は発動コストが必要
ダンテだけはノーコスト専用スキル「挑発」で魔力を無尽蔵に回復できるという一人永久機関

そして、投下支援
434名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:38:45 ID:MBz/+m/V
OK支援しとくぜ。

Stylish氏
玄田さん? 玄田さんじゃぁないか!
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:41:37 ID:OOY/ENBA
>>433
だからダンテ達はリリカルな世界へ行くとウハウハなわけですね。
・・・ん?ウハウハなのか?
436フルメタなのは:2007/12/20(木) 23:45:56 ID:GhUXgwp0
ここは数多ある次元世界の一つ。
その世界の中の、分割ホンコンと呼ばれる場所。そこでは現在、AS(アーム・スレイブ)という人型ロボットが戦闘を行っていた。

赤色で一つ眼のAS、「コダール」が、手足を破壊された黒いAS、「ファルケ」に拳銃を突き付けている。
が、一見優勢に見えるコダールのパイロットから余裕は感じられない。
「近付くな!パイロットを殺すぞ!?」
コダールのパイロットは前方20メートルの所にいる白いASに向けて怒鳴る。
437魔法少女リリカルなのはStylish:2007/12/20(木) 23:48:52 ID:ZyQgVW8t
女神転生の方はやったことないんですけど、2のダンテが出るらしいですね。
どちらにせよ、あまりダンテを絶対無敵で描写はしないつもりです。
だって、彼は串刺しにされてこそ輝くんだもの!(ぉ

そして、ボイラーのパイプが腹に刺さる勢いで支援。
438名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:51:48 ID:OOY/ENBA
>>437
ま・・・まさか心臓にリベリオン・・・!?

とりあえず支援〜
439フルメタなのは:2007/12/21(金) 00:01:29 ID:G+bV6KK+
彼が狼狽するのも無理はない。配下として共にやって来たコダールタイプのAS四機が、突如現れた一機だけの白いASによって瞬く間に叩き潰されたのだから。
「どういう事だ…“ミスリル”のラムダ・ドライバ搭載機は未完成ではなかったのか!?…貴様、一体何者なんだぁ!!」

コダールのパイロットの叫び声に、白いAS、「アーバレスト」は通信機越しに返答する。

「俺が誰なのか教えてやろうか」

そういった後、アーバレストは右拳を前に突き出し、そこに機体に搭載された特殊な力場発生装置「ラムダ・ドライバ」から発生したエネルギーを充填する。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 00:04:37 ID:AxIIwcpF
>>437
2ではなく真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス
WIKIによると真・女神転生IIIに追加要素を加えた最終バージョン。
期間限定生産の為、希少価値が高く再販が行われてもプレミアがついているソフト。
441フルメタなのは:2007/12/21(金) 00:16:10 ID:G+bV6KK+
「俺は陣代高校2年4組、出席番号41番、二学期もゴミ係の…」
言いながら、アーバレストは足を一歩踏み出し、徐徐にスピードを上げてコダールに近付く。そして遂には走り出し、右拳をコダールの盾になっていたファルケに叩き付けると同時に叫んだ。
「相良 宗介だ!!!」

アーバレストは溜めていたエネルギーを前方に向けて解放するが、その圧倒的な力の奔流はファルケを透過し、背後のコダールのみを飲み込んだ。
『全ターゲットを撃破しました。』
アーバレストのAI』アルがそう報告し、宗介は安堵の溜め息をついた。


だが、異常はこの後起こった。
442フルメタなのは:2007/12/21(金) 00:32:42 ID:G+bV6KK+
「ウルズ7より各位へ、本機はこれより…」
『警告。前方の空間に異常を感知。』
「!?」
周りの仲間に報告しようとした宗介は、アルの発した警告に耳を疑う。
(敵は全て撃破した筈…!?)
そして確認の為にモニターに目を向け、そこで固まった。

「何なのよ、あれ…」
「どうしたんだよ、こりゃあよ…。」
後方にいたメリッサ・マオ、ビルの上にいたクルツ・ウェーバーはそう呟き、モニターから飛込んで来る映像を凝視する。
その映像とは、空間が歪み光を発しているという、常識的な人間ならば信じられないものであった。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 00:33:13 ID:byjHKlDN
「真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス 」あれは最悪だ。

やりたくてもソフトがプレミアの性で1万5千オーバー!

ドこんちくしょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!やりてぇよーーーーーーーーーー!!!!
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 00:51:05 ID:LPlsajwE
書きながらは良くないっすよ…?
445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 00:52:34 ID:8yI2cZnu
>>362
なのはさんが歩けなくなるかもしれない負傷をしたとき
も同じような思いを抱いていたかもしれない。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 00:59:41 ID:gjsj9/fM
何かクロスさせる作品はないかと妄想し続けていたが・・・
ちょっと睡魔に負けて夢の中へ行っちゃうことにした。
447フルメタなのは:2007/12/21(金) 01:06:32 ID:G+bV6KK+
「ウルズ1、ウルズ7、早くそこから離れて!!何だか知らないけど計器類がとんでもない数値を出してるわ、そこにいるのは危険よ!!」
いち早く冷静に戻ったマオが宗介とファルケのパイロット、クルーゾーのコールサインを呼ぶ。

その声に我に返った宗介が機体を反転させようとするが、そこである事実に気付く。ファルケの足の損傷は、とても素早く動く事は出来ないほど酷かったのだ。
このままではこの奇妙な空間につかまってしまう。

「軍曹、俺の事はいい、早く離脱しろ!」クルーゾーが叫ぶが、宗介は『自分の力で仲間を守る』と誓ってここに戻って来たのだ。見捨てる事など出来はしない。

「くっ!」宗介はクルーゾーの所まで急いで駆け寄り、機体の腕と胴体を掴んだ。
「マオ、頼む!」叫ぶと同時に宗介はアーバレストの腰を捻り、その勢いでファルケを後方へと投げ飛ばし、それをマオ機がキャッチした。

これによってファルケは危険域から脱したが。残ったアーバレストが空間に囚われてしまった。
「ソースケ!」ビルの屋上から降りてきたクルツが近寄る。
「よせ、来るな!」宗介は拒絶するが、クルツは構わずにアーバレストを引き寄せようとする。

その時、空間の光が一層強くなり、二機を飲み込んだ。
「くぅっ…!」
「うおっ…!」
そして光は急速に弱まっていき、後には何も残らなかった。
そう、そこにいたはずの宗介、クルツの両機さえも…

「ちょっと、二人ともどこに隠れたのよ…ソースケ!クルツ!」
マオの悲痛な叫びが響くが、それもすぐにビル風の中に消えていった。


続く
448フルメタなのは:2007/12/21(金) 01:09:46 ID:G+bV6KK+
以上です。駄文ですみません。
あと、次回からはもっと早く投下できるようにします。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 04:30:41 ID:XHL1KX6L
>>448
メモ帳辺りに書き上げてコピペするようにしとけ。
書きながらは時間かかりすぎて邪魔
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 05:02:20 ID:XHL1KX6L
>>440
いや、デビルメイクライ2のダンテって意味でしょ
451フルメタなのは:2007/12/21(金) 07:56:24 ID:G+bV6KK+
朝っぱらからすいません。駄文作家のフルメタなのはです
昨日投下した後、タイトル及びサブタイを書き忘れた事に気付いたので、今さらですがかきます。

魔法少女フルメタなのは
第一話「世界からのシグナルロスト」

です。第二話はストーリーや構成をもっとより良くして書いてきますんで、どうか待ってて欲しいです
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 09:42:56 ID:JUwtAS/J
>>451
あいあいよー。
お疲れ様でございます。
453なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:13:02 ID:sxPXlLLd
うーす、こんにちはー。小話メドレーの2ndを作ってみたので投下したい心持ちなのですが、でもちょっとお聞きしたい事が。
ちょっと前に某王国心のクロスがちょびっと話題に上がって、そん時「やったらやっぱ駄目かなぁ」って言ったら「バレなきゃ大丈夫!!」とか言ってもらった事があるんですよ。
んなので、嘘予告でそれのクロス作ってみました。でもやって良いのかが不安で。……どうするかは反応次第で決めようと思ってるんですが、出しても良いもんですかね?

余談だけど今回は個々がちょっと長文だから数は少なめ。
454名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 12:14:55 ID:rRK+FHhb
>>453
どんと来い!でございますよー。
455なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:45:02 ID:sxPXlLLd
まー解っちゃ居たけど、やっぱこの時間じゃああんまり沢山の反応はないですなぁ。
でも歓迎はしてもらえたし、投下してみたいと思いマス。
456なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:46:50 ID:sxPXlLLd
小話メドレーその9『重傷を負ったなのはが入院している時期を紅の豚風にしてみた、の図』

 あらゆる騒音を拒む病院私設、だがその中にあって一つだけ騒音の絶えぬ場所がある。――世に言う、リハビリの為の小運動場だ。
「…………っ!」
 大部屋の中央に立てられた一対のバー、その間でなのはが転倒した。幼い全身を包帯と重傷で彩る姿は痛ましい。
「なのはちゃんっ!!」
 伏す少女へとエイミィが駆け寄ってくる。痛みを与えぬ様に精細な手付きで抱き起こし、
「ねぇ大丈夫っ!?」
 焦燥の顔を近づけるエイミィを、なのはは抱き起こされてようやく気付く。
「……ああ、エイミィさん…。うん、大丈夫……程よく痩せたよ」
 軽口で答えるなのは、だがカートリッジシステムを操り損ねて傷付いた体はやつれたと言った方が良い。
「――今度あのギンピカロボットを見たら言っておいてよ、また遭おうね、って」
 そう言って笑むなのはにエイミィは苛立ちを隠せない。
「……この馬鹿ッ!!」
 怒声が大部屋に響きわたる。
「こっちがどれだけ心配してると思ってるの!? どーせなのはちゃんみたいな前衛組は、あたしらなんて後ろから話しかけてくる望遠鏡程度にしか考えてないんでしょう!!」
 叫ぶエイミィの表情に、しかし憤怒の情はない。あるのは、君を喪いたくない、という心配の表情だ。
「……そんなんじゃ今にフライドチキンみたいになって死んじゃうんだから。私やだよ、そんな葬式…」
 滲み出したエイミィの声がなのはの鼓膜を震わせる。だが、それでも、魔法少女である高町なのはは動じない。
「――飛ばない魔法少女は、ただの少女なの」


457なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:47:22 ID:sxPXlLLd
小話メドレーその10『“聖王のゆりかご”をインディペンデンスディ風に破壊してみた、の図』

『八神部隊長っ! ヤツ等、主砲を撃つ気です!!』
 武装隊員達と共に高空を舞う八神はやてに、アースラからの通信が届いた。聞かされて見る先、“聖王のゆりかご”がその底部を展開し、青白い光を零す主砲を地上に向けていた。
『……やったらその前に撃ち落としたる!』
 行動を念話で伝え、はやては近場にいた武装隊員2人と共に主砲へと飛ぶ。だがそんな彼女達の狙いを悟ったのか、周囲のガジェット達が三人を集中砲火する。
「何て数だッ!」
「あかんっ、狙われとるッ!!」
「――がぁっ!?」
 はやての忠告も空しく、平行していた武装隊員の一人が撃ち落とされる。その悲鳴にはやては歯を噛み、しかし速度を緩めない。
『部隊長、もう時間がありません!!』
『――射程に入ったで! 照準取って!!』
 辛くも飛行と共に充填した魔力、そこへアースラからの支援が届いてはやての砲撃魔法が発動する。
「……フレース・ヴェルグッ!!」
 振り抜かれたのは十字の杖、放たれた無数の銀光が“聖王のゆりかご”の主砲に迫った。
 果たされた結果は直撃、しかし――、
「あかん、外壁に阻まれたッ!!」
 銀光は展開していた“聖王のゆりかご”の底部を根刮ぎ砕くが、肝心の主砲そのものを害するには至らない。
「ぐああ!!」
 焦燥するはやての背後で悲鳴が散る。平行していた武装隊員のもう一人が撃ち落とされたのだ。それは追撃の機会を失った事に他ならない。
『駄目です部隊長ッ、逃げて下さい!!』
『……誰か、誰か他におらんのッ!?』
 アースラからの通信が、はやての広域念話が届く中、“聖王のゆりかご”の主砲が光を増していき、
『――部隊長ッ!! 私がやります!!!』
 凛とした声の念話が返された。それははやてにとってなじみ深い声色だ。
『ギ、ギンガっ!?』
 はやてが声の主を呼ぶのと同時、地上から一筋の線が上空に向けられた。藍色のそれは道、ギンガが発動したウィングロードだ。その上を長髪の女性が駆ける。
『私が主砲を撃ち抜きます! その間……周りのガジェット達を抑えて下さい!!』
『……解った! 総員、ナカジマ一等陸士の援護や!! ――これが、最後の勝負やで!!』
 はやての指示に返答はない。激化した戦渦と撃ち落とされるガジェットの群がそれを代弁する。破片と炎が舞う中でギンガが主砲に接近し、攻撃が叫ばれた。
『リボルバー……キャノン!!!』
 だが、
『!!!?』
 攻撃が放たれない。突き出されたギンガの拳は僅かな光さえまとわない。
『――ッ、魔力切れです!!』
『な……ッ!!?』
 ギンガの慟哭にはやては絶望を抱く。
……駄目なんか? もう、どうしようもないんか……ッ!?
 嘆きに表情を歪ませ、涙をにじませ、そして、
『――八神部隊長、頼みがあります』
 ギンガの呼びかけを聞いた。
『……私の妹と父に、愛してると伝えて下さい』
『――ギンガ? 待ちぃ、ギンガ、何する気や!!?』
 はやての言葉を返答はない。返されるのは、聞いた事も無いギンガの罵声だ。
『……この泥船がッ!! そのデカい穴開けたまま待ってなさい!!!』
 ギンガの移動速度が、ウィングロードの構築速度が加速する。最早極光を生み出す主砲内部に向かって。
『待ってギン姉! 何する気なのッ!!?』
 速度の中でギンガははやて以外の声を聞く。それは自分が愛した家族、護りたい妹。――その為にギンガは、最早止まらない。
「さあ行くわよオンボロ共!!」
 発車寸前まで光が強まる中、ギンガの突き出した手が高速で回転する。
 そして砲撃は放たれた。それは光の柱とも言うべき巨大さ、過剰な攻撃力の具現だ。だがその中を、ギンガ・ナカジマは突き進む。
『はははははははははははははははッ!! 見えてる、スカリエッティッ!? アンタ達が改造した私の腕がアンタの野望を壊しにッ!!!』
 光がギンガの身を削り、その中でギンガが大笑し、――そして貫徹の左腕が突き込まれた。
『――帰って来たわよッ!!!!』
 主砲が轟爆、その響きは“聖王のゆりかご”全体を伝う。……ギンガをその内に飲み込んで。


458なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:49:02 ID:sxPXlLLd
小話メドレーその11『嘘予告をやってみた〜大分前に話題に上がった某王国心編〜』

 その通路は静謐に包まれていた。空気は振動を忘れたかの様に硬直し、通路はその全てが硬質な白亜で構成されている。――その中を、一人の影が歩いていた。
「…………」
 歩行者の容姿は漆黒、徹頭徹尾を黒のロングコートで包み、両手の革手袋、両足のブーツも同色だ。露出する頭部も陰影で隠されている。
 黒の人影に歩む以外の動作はない。腕を振る事も、身が揺らぐ事も無く、ただ両足が振られる以外の動作が無いのだ。人ならば有り得ない程の正確さ、それを果たして人影は通路を抜けた。
「お、よーやくお着きだねぇ」
 抜けた先は上下の限りが存在しない長大な大部屋だ。影さえ無い純白の空間、そこには13の異様に長い椅子が円陣を組み、その内の6つには黒の人影と数分違わぬ身なりの者達が座している。
「……さて、何故我々を集めたのか聞かせてもらおうか?」
 椅子に座る人影の一人が喋る。だが7人全員が動揺の姿では誰が喋っているのか、見当もつかない。
「ひょっとしてロクサスの居場所が解ったのか?」
「んで、俺達全員で抹消しましょう、ってかぁ?」
「……おい、アイツについては俺に任されてるだろぉが。記憶してねぇのか?」
「あいつぁ裏切り者、あんま肩持つとオメェも消されちまうぞ、って話さ」
「…あー、えっとさぁ、俺あんま面倒臭いのやなんだけどさぁ、いなきゃ駄目?」
「去りたければ去るが良い、我々“機関”の異に反したくばな」
「あーやっぱいいっス! 居させて下さぁいっ!!」
 黒の人影達が言葉を飛び交わさせる。誰が誰に向かって放ったのか解りもしない倒錯的な風景、それを際立たせるのは彼等の口調だ。
 平坦、もしくは異常に軽薄。それはまるで、心が無いかの様に。
「――静まれ」
 喧噪の6人、それを新たな声が叩き伏せた。暗ささえ窺わせる低い声、その主は通路を歩いて来た黒の人影だ。何時どうやって移動したのか、人影は椅子の一つに座っていた。
「貴様等を集めた理由は、三つだ」
 人影は指を三本立て、座してこちらを見る6人に向ける。
「一つは、ロクサスが見つかった事」
 指が一本畳まれ、聞かされる人影の1人が僅かに俯く。
「二つは、“鍵の時代”へと続く心の主が見つかった事」
「マジかっ!? だったらキーブレードの勇者なんて……」
 1人が囃し立て、だが直ぐに沈黙する。二本目の指を畳んだ人影、影に隠された両眼がこちらを見据えた為だ。そして最後の指が畳まれて人影は、
「最後は、……忘却の城で失われたメンバー、その補充員が見つかった事だ」
 告げると同時、座す者の居なかった6つの椅子に闇が発生した。空間を濁らせる様な漆黒は渦巻き、空白の椅子それぞれに使用者を与えた。闇が止んで残されたのは、新たな6人の黒い人影。
「忘却の城から1年、ようやく全てが動き出した」
 人影が宣言する。他の12人が見る中、両腕を大きく開いた彼は、
「――我々XIII機関が! 心を取り戻し、キーブレードを手に入れ!! 全能の力を得るのだ!!!」


――そいつらは、ある日突然現れた。
459なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:49:29 ID:sxPXlLLd

「何なの、貴方達はッ!?」
「……我々はノーバディ。闇に堕ちた心が捨てた抜け殻の肉体。失われた心を得んとする亡者」


――黒の人影達は暗躍する。

「呪え、憎め、焦燥しろ! 心を闇に浸せ!! 貴様のハートレスとノーバディを生み出すがいい!!」


――明らかになったその素顔。

「ゼストの旦那!? 何で……アンタはあの時、死んだじゃないか!!」

「どうして貴方がいるんですか!! プレシア母さん!!」

「……クイント、か? 本当にお前なのか?」

「兄さんなんでしょ? お願い、そうだって言って!!」

「――クライドさん」

「ほんまにアンタ、リインフォースなんか?」


――彼等の求める力、キーブレード

「この娘の心、……聖王に至るこの心がキーブレードに満ちたあの時代を示す」

「ヴィヴィオを返してぇッ!!」


――彼等が抱く唯一の思い、キングダムハーツ

「ここんとこがよ、スカスカすんだよ。埋めてぇんだよ、空っぽは嫌なんだよ、消えたくねぇんだよ!!」

「キングダムハーツよ……我に、心を……ッ!!」


――黒の者共による闇の到来、だがそこに差し込む、“光”

「何言ってるんだよ、ボク達もう友達じゃないか」

「ボク達、王様を探してるんだぁ」

「ディズが言っていたのは、お前達か……」

「――俺達の心が、繋がる心がっ! 俺に力をくれてるから!!」


――魔法少女リリカルなのはHEARTS、始まります


460なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:50:27 ID:sxPXlLLd
小話メドレーその12『嘘予告をやってみた〜ここんとこマイブームなONEPIECE編〜』

 その寝耳に水な大事件は、ある日突然発生した。

「――クラウディアが消息不明……? どういう事!?」
「解りません!! 突然連絡がとれなくなって」
「そんな、……クラウディアにはクロノ君が、ううん、今ははやてちゃんやティアナが乗ってるんだよ!!?」

 大型艦船が突如消息を立ち、代わりにミッドチルダに降り立ったのは、

「い、一体何が……、状況報告!!」
「雷ですっ! あの艦船が暗雲を吐いて……いきなり無数の落雷がッ!!」

 天候を操る正体不明の艦船、そして、

「……ふむ、今ならヴァースを奪い取ったかつての神の気持ちが理解出来るな」
「名前と出身世界を!! 何者ですか!!」
「不届きな娘だ。――我は神!! 神・エネルなるぞ!!!」

 月を通り過ぎて、うっかり別の世界に行き着いてしまった男だった!!



「どういう事だ! 我々に次元航行技術はない!! 古代兵器でもなければそんな事はありえん……!!」
「どうする、時空管理局は対応策として我々の世界から戦力提供を言ってきているぞ?」
「我々の最大戦力、CP9は先日潰され、まだ立ち直っていない! ……七武海の一人を向かわせよう」
「否、聞く所によれば敵は“自然系”の能力者、こちらも“自然系”の能力者を送らねば問題視されるぞ!」
「ならば奴を送れば良い。どのみち終身刑、向こうの世界へ放り出せば後の問題もない」

 時空管理局からの通信に驚愕する五老星が送り込む海賊は、

「キシシシシシシ、世界政府のクソ爺共から命令!? んなもんテメェらでやれ!!」
「いえご主人様、聞く所によれば向こう側の世界には我等の知りえぬ能力が数多あり、強豪も多いとか。新たなゾンビに丁度良いと思われます」

「別の世界で闘って来い、ねぇ……。はん、どうせ断っても聞かねぇだろうが」
「勝敗に関わらずヤツ等は俺達を捨てる気だろうが、まあ一生牢獄の中よりかはマシだな」
「ジョ〜〜ダンじゃな――――いわよぉぅっ!! いきなり別の世界とか、アンタ達信じちゃう訳ぇっ!?」
「で――――――――も―――――――――だ―――――――――――」
「おデブちゃん、長過ぎよぉうっ!!」

 異形にかしずかれた七武海と、元七武海が率いた秘密結社の上位エージェント達。

「恐らく向こうの世界の政府はまともな戦力を送ってこないわ。恐らく……王下七武海という政府公認の犯罪者達を送ってくるでしょう」
「政府が手を余す程の犯罪者!? そんなの送られてきたらどうなっちゃうんですか!?」
「解ってるわ。だから……私の方のツテで、信用出来る戦力も一緒に来てもらったの」
「……で、俺に白羽の矢が立ったってか。勝手な事しやがって……」

 リンディに頼まれてやってきのは、何本もの葉巻を加えた大柄の男。

「……ここ、は……?」

 そして異世界の海に落ちたクラウディア。そこでクロノは、ヴェロッサは、はやては、ティアナは、

「おっほ―――! 何だこのでっけぇ船!! 全部鉄で出来てんぞ!!?」

 麦わら帽子を被った、その少年と遭遇していた!!!

 NANOPIECE、始めたくもあり始めたくもないような感じでよろしく!!!
461なのは×終わクロ:2007/12/21(金) 12:53:03 ID:sxPXlLLd
で、投下終了。後半ちょっと息切れした感もありますが、まあやっちまいました。
嘘予告の奴は……、やってみたいんですがやり始めるのも怖い感じ。複数の話を連載すんのってバカなんねぇ心労なんすよな。時間も凄いかかるし。
終わクロクロスだけでもかなり手一杯な感じがあるしなぁ……。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 13:07:02 ID:s+66fmmH
GJ!!!
ギンガがカッコよすぐる
463反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/21(金) 13:11:29 ID:NSIXhFH7
GJ!
ってまた森川キャラ(=エネル)が増えたwww
464戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 13:32:26 ID:rRK+FHhb
はっちゃけたから自分も書いてみようと思う森川好きの元名無し。
プロローグだけで終わりそうだけど・・続くように努力したいです。
投稿OKでしょうか?
465戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 13:45:05 ID:rRK+FHhb
・・・とは言ったものの出かけるハメになってしまいました。
とりあえず家に帰って皆様の反応を見てから投下しようかと;
ホントすいません;
466Strikers May Cry:2007/12/21(金) 15:00:20 ID:H/1DrHnW
しちまえよ…投下。
というわけで支援です、俺も最初は電波妄想の嘘予告風味で投下したら連載化したので、気にせずガンガン投下して頂きたい!
467名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 16:29:42 ID:mN76KxtQ
投下される前にツッコミ

>>456
そんなこと言ったらティアナの立場は・・・。
468一尉:2007/12/21(金) 18:50:37 ID:Fr75sgWp
インディペンデンスディ風ふむおもしろすきるせやな。
469戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 19:16:26 ID:K3JCcNZs
ただいま帰還;
では投下したいと思います。
プロローグなのでなのは達は出てきませんが。続けなきゃ。うん。
470戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 19:18:46 ID:K3JCcNZs
魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜

プロローグ

自分は今、戦場にいる。
戦場とはいっても四角い土俵に立ち、周りには観客がいる。誰が開催したかは知らないが自分は「第二回婆沙羅大武道会」という大会の土俵の上にいる。
いつの間にか決勝戦だ。この試合に勝てば100万石が手に入るという。心なしか我が主の声援も力が入っている。
相手は三日月の鍬形をした兜に蒼き鎧。手に持つは六本の刀。もう一人は前者とは対なるように上半身裸に赤いジャケット。そして手には二本の槍。二人ともこちらに殺気を放ってくる。
一方、自分が手に持つは巨大な槍。先端が回転する槍だ。
世間では自分が持つこの槍のことを「ドリル」と呼ぶ者がいる。関係ない話なのだが。

「試合・・・開始!!」

この騒ぎの中でも審判の試合開始を告げる声がはっきりと聞こえた。
その瞬間二人は自分へと迫る。自分も負けじと槍を構え、横に振るう。彼らは当然のごとく避けた。こんな攻撃が当たらないのはわかっている。
すばやく槍をまた横に振るう。矛先は蒼い鎧の武士。その武士は槍の一撃を受け、かなり後方まで吹き飛ばされる。
次は縦一直線の振り下ろし。次の矛先は赤き武士。しかしその攻撃は防御される。さすがに驚いた。自分の一撃を防御しきれた者を見るのは初めてだ。
「Hey!!敵は一人じゃねぇぜ!?」
後方が異様に暗い。振り向くと先ほどの蒼い鎧の武士が低く構えている。腕が蒼白く光り、稲妻が走っている。
「Hell dragon!!」
腕を前に突き出すと自分の身長ほどもある稲妻の球が迫ってきた。回避行動や防御行動も間に合わず当たってしまった。
体が、浮いた。決して揺らぐことのなかった自分の体が今、宙に舞っている。
硬い土俵の感触を味わうのを許さないがごとく、赤き武士が自分が着地する地点に立っていた。
「千両花火ぃぃ!!」
一つに連結した槍の一撃が顔面に当たる。数回宙で回転してから自分の体が地に落ちた。
その瞬間、自分の中の「青い目盛りみたいな何か」が満タンになったのを感じた。
自分の体を起こし、槍を地面に思い切り刺した。その衝撃で二人の武士は宙に浮く。
自分も宙に浮き、背中から円陣を形成する。
円陣の漢字の一文字が光り、回転を始める。次第に回転が速くなる。
「終わりにしろ!!○○!!」
自分の名を叫ぶ主。無論、そうするつもりだ。主よ、もうすぐその手に巨万の富を掴ませて差し上げます。

だが、異変は起こった。

地面がない。
それは自分の周囲だけであった。しかし皆も突然のことに唖然とする。
自分はこんな地面を無くすほど強大な力を持った覚えはないし、主から聞いたこともない。
地面がなくなったことによって生じた穴は大きくなる。
そして二つ目の異変に気づく。

自分がその「穴」に引きずりこまれている。

どんなに離れようと力を振り絞ってもその穴からは離れられない。
逆にどんどん引き込まれていく。
思わず天に手を伸ばす。しかしその手を掴む者はいない。
「○○!!○○!!」
必死に助けに行こうとするがほかの家来に制止されている主。ああ、あなたに巨万の富を掴ませることができなくて自分が許せません。
こんなところで終わるのだろうか。主、申し訳ございませんでした。
「○○!!」
どんどん遠くなっていく主の声。そして目の前も暗くなり始めた。
しかし、意識が無くなる前に、自分の名前をはっきりと呼ぶ主の声が聞こえた。
「忠勝!!行くな!!忠勝っ!!」
・・・これでお別れかもしれませんね。さようなら、主。
「ただかぁぁぁぁぁぁぁぁぁつっ!!」

471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 19:19:52 ID:iKz7dJiY
ホンダム支援
472戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 19:21:06 ID:K3JCcNZs
・・・投下終了。
いろいろとホンダムにつけたしたものがあるが・・・いいのかなぁ。
とりあえずここからつなげられるようにがんばらなきゃな、俺。
473Strikers May Cry:2007/12/21(金) 19:59:27 ID:H/1DrHnW
投下してくれましたね、この先なのは時空にどんな風に繋がるか期待してますよ。

ところで十六話が出来たんで、8時15分過ぎくらいから投下して良いですか?
今回はバージル&ダンテが活躍、そしてシグナム姐さん激ラブな話なんですが…
474Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:00:14 ID:H/1DrHnW
いけない! 書き忘れた、デビルメイクライ3クロスです。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 20:05:58 ID:5sF7tEba
カモン!!
476戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 20:11:18 ID:K3JCcNZs
>>473
どんと来いでございますよ!!
477Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:20:10 ID:H/1DrHnW
それじゃあ投下します。
今回の話は是非ともデビルメイクライ3のゲーム中のBGM Devils Never Cryを思い出して読んで頂きたい!
あの曲が基になってる話なので(それに最高の曲なので)。

それと今回もなのはとフェイトはほとんど出番なしです…すいません。
478Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:21:46 ID:H/1DrHnW
魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 第十六話「悪魔は泣かない」

古代の戦船聖王のゆりかごの上で伝説の魔剣士の血を引く半魔の兄弟が再び巡り合い、以前共に戦った時をなぞるようにその肩を並べた。

「感動の再開って言うらしいぜ、こういうの」
「らしいな」
「まったく驚いたぜ〜なんせ緑髪の姉ちゃんに突然“死んだ兄貴からの悪魔退治の依頼がある”なんて言われて。そのうえ“魔法の世界”なんてメルヘンな場所だしよ」
「生憎だが一度も死んだ覚えはない」
「そいつぁ失礼。じゃあ俺の勘違いか」

再開を果たした兄弟は眼前の敵などまるで意に返さない口調で軽く語り合う、アーカムはその二人に怒りを露にし魔力を高めて襲い掛かる。
「ごちゃごちゃと喋るなああああ!!!」
高度の魔力を込めたエクスカリバーの刃を振りかぶったアーカムが高速移動で近づき、その凶刃を二人に見舞う。
だがその刃はダンテが片手で持つ魔剣リベリオンで防がれる。
ダンテはさらにもう片方の左手で漆黒の拳銃“エボニー”をアーカムの腹部に押し付けた。
「よう、久しぶりだなハゲ司祭。不っ味いオヤツの時間だぜ」
ダンテは不敵な笑みと共に凄まじい速度で銃を乱射、その弾丸には全てに莫大な魔力を込められているため着弾の衝撃に空間さえ歪み始める。
「ぐがあああ!!!」
あまりの攻撃の威力にアーカムは堪らず防御障壁を展開し大きく後退を強いられる。
「なんだよ鉛の弾は嫌いか? 悪いけど飴玉は切らしてるんでな」
強大な敵を前に不敵な態度を崩さずダンテは挑発まで入れる、その様にバージルの後ろに飛ばされていたシグナムは唖然として目を丸くする。

「バージル、この男は…」
「詳しい説明は後だ、危険だからお前は下がっていろ」
ヴィヴィオを抱き抱えたシグナムにバージルは全身から瘴気と魔力を立ち上らせながら答える、もう何の枷も無い以上は彼が本気にならない理由はどこにも無い。
「おにいちゃん…」
シグナムに抱かれたヴィヴィオが不安そうな眼差しでバージルを見つめる、バージルはそのヴィヴィオの頭を軽く撫でると優しく口を開いた。
「案ずるな、すぐ戻る」
「そうだぜお姫様。こっから先は最高にハードなR指定だ、良い子はママと一緒にカートゥーン(アニメ)でも見てな」
そのヴィヴィオにダンテも軽口をあきながら不敵な笑顔を向ける、しかしそのダンテの言葉にシグナムは顔を真っ赤にした。
「だ、だ、誰がママだ!!」
「違うのか?」
顔を赤くしたシグナムをからかうとダンテは銃をホルスターにおさめてバージルと共にアーカムに向かって歩き出す。

二人の身体から莫大な魔力と瘴気が溢れ出し空気を歪めていく、それは人外の者のみが纏う力。
決して人間の立ちいれぬ領域の気迫を放ちながら半魔の兄弟は眼前の敵との距離をゆっくりと詰めていく。
「それでは仕事の時間だぞ便利屋」
「ああ、前金でたっぷり貰っちまってるしな。派手に行くぜ」
眼前に悠然と歩み寄った二人にアーカムは激しい怒りを覚えその悪魔に成り醜悪になったその顔をさらに歪めて汚く吼えた。
「簡単に勝てると思うなよ屑共がああ!! こうなったら本気で殺してやる!!!」
そう言い放つとスパーダを模したアーカムの身体が大きく隆起し全長5メートル以上の体躯へと変わる。
その異形は、背部及び腹部から新たな腕を生やし、長く尖った尾を持ち、顔に牙を多量に生やした禍々しいものに変わった。
もはや伝説の英雄を模した形跡はどこにもない醜い悪魔がそこにいた。

アーカムは魔力も段違いに高くなりSSSランクに迫るほどであった、しかしダンテは呆れた顔で口を開く。
「おいおい〜悪役が巨大化したら負ける合図だって知らないのか?」
「関係無いだろう、どんな姿になろうとも殺す事に変わりは無いのだからな」
「そうだな。まあ俺としちゃ、あんまり親父のマネされてると俺の顔までブサイクに思われそうだからこの方が良いぜ」
「ではこちらも本当の悪魔の力を見せてやるとするか」
「良いねえ〜それじゃあ“本気の遊び”と行こうぜ」
ダンテとバージルはそう会話を交わすと共に身体に最高の魔力を込める、そして体中から瘴気と共に赤と青の魔法陣が現れる。
それは通常の人間が使う術式を用いたものではない、それは悪魔が生まれながらに使う魔力の発現であった。
莫大な魔力を身体から発しながらバージルとダンテの身体は人外の異形へと変わる。
479Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:24:29 ID:H/1DrHnW
翼持ち牙を持つ赤と青の悪魔、それは二人の本当の姿であり魔性の力の全てを発揮する身体である。
それこそが“魔人化”悪魔にして悪魔に非ず人にして人に非ず、故に“魔人”。
二人は高めた魔力と共に本来の姿と成り眼前の敵を絶殺せんと全ての力を解放した。


「あれは…一体?」
「なんやあれ!?」
バージル達の救援のため再びゆりかご上部へと飛んで来たはやてとキャロだがその目に映ったのは凄まじい魔力を解放して戦う3匹の悪魔の姿であった。
二人は離れた場所でその戦いの行く末を見守るシグナムの下に下り立つ。その二人と同時に悪魔との戦いを終えたスバル・ティアナ・エリオも駆けつけた。
「部隊長…これは一体?」
「私にも分からんわ…シグナム、これどうなっとるん? あれは一体誰なん?」
ティアナの質問にはやても答えられずシグナムへとその視線を移すがシグナムもまたどう説明すれば良いのか一瞬答えあぐねる、そして最初に口を開いたのはスバルだった。
「この魔力と気配……シグナム副長、あそこで戦ってるのってバージルさんですよね?」
「…ああ、そうだ。もう一人はダンテと言っていた、恐らくバージルが以前話していた奴の兄弟だろう」
その時、通信回線が開き懐かしい声が響く。
『通信大丈夫かしら? はやてさん、聞こえる? もうそちらにダンテさんは着いたかしら?』
「リンディさん!? もしかしてバージルさんの言ってた荷物って…」
『ええ、ダンテさんと言います。バージルさんに頼まれて彼の出身世界からお連れしたんです』
「そうなんですか…それにしても凄い力やな〜これは私らが手出しできるもんとちゃうで…」
はやて達の眼前では人間の踏み込めない領域の戦いが繰り広げられ、半魔の双生児が絶対的なる死の舞踏を舞い踊っていた。


「ぎゃぐあああああっ!!!」
耳をつんざく凄まじい雄叫びが響き、爆音と共に赤い影が躍り巨大な悪魔に白刃を突き立てる。
それは魔人化したダンテが極大の魔力を込めた最強の刺突技スティンガーをアーカムに叩き付ける様だった。
ダンテの振るう魔剣リベリオンはアーカムの展開した4重の防御障壁と強固な外殻を紙の様に裂きその身体に根本までその刃を深く突き刺す。
「どうした悪魔司祭? まだダンスは始まったばかりだぜ!!!」
ダンテの叫びと共にさらに魔剣は休むこと無く突き刺さった場所を抉り、刀身が四方に踊ってアーカムの身体を斬り裂く。
舞い踊る魔剣リベリオンの斬撃は超高出力の魔力を纏ってアーカムの身体を斬り裂き抉り、容赦なく破壊していく。
「調子に乗りおってえええ!!!!」
アーカムは背と腹部から生やした4本の副腕と両腕のエクスカリバーを振りかぶり、自分の身体に斬撃を刻むダンテに向かって鋭い爪を打ち下ろす。

だがその6本の腕がそれ以上動くことは無かった、何故ならその腕全てに魔力で作られた無数の幻影剣が突き刺さりその動きの全てを殺していたのだから。
「調子に乗っているのは貴様だろう…屑が」
魔人化を果たしたバージルは展開数も威力も普段の非でない程に強力な幻影剣の刃をアーカムに連射して吐き捨てるように呟いた。
「それじゃあ“お空”に吹っ飛びな!!!」
「ぐひゃあああ!!!」
幻影剣により腕を串刺しにされたアーカムに無数の斬撃を刻んだダンテは続けて渾身の力を込めた斬り上げの斬撃“ハイタイム”でアーカムの巨体を宙に飛ばす。
「さあ鉛弾のご馳走だ、俺のオゴリだからたっぷり喰えよ!!」
魔人化したダンテの魔力を込められ爆発的に威力を増した二丁銃の弾丸が嵐のような激しさで宙のアーカムに襲い掛かる。
魔弾の破壊力はアーカムの巨体を宙に浮かせる程の衝撃を与える。
「がはあああっ!!!」
アーカムは超高速で乱射される弾丸の嵐に宙に釘付けとなり容赦なく命と魔力を削られる。
さらにそのアーカムの目の前に空間転移で移動したバージルが現れ閻魔刀の刃を閃かせた。
「銃弾だけでは物足りないだろう? 妖刀の刃もくれてやる」

怒りと侮蔑を声に込めて強力な魔力を宿した閻魔刀の白刃が宙で無数に舞い踊り、音速にすら達する程の居合がアーカムの身体を数多に刻む。
銃弾と妖刀の奏でる二重奏の圧倒的な殲滅力に魔力と身体を削られるアーカムは堪らず全力で防御障壁を展開して後退した。
「糞っ! 糞っ! 糞共があああ! 貴様らごとき半魔の若造風情がっ! よくもこの私の身体を傷つけてくれたなああ!!」
アーカムは激情にその醜く変わった容貌をさらに歪めて怒りの雄叫びを上げ、身体の魔力を高めるそして手にしたエクスカリバーにその莫大な魔力を収束していく。
「あの攻撃は少々やっかいだぞダンテ」
「まかせな、軽く受け止めてやるからよ〜」
480名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 20:25:17 ID:yCuiuU7P
それおばあ(蒸発
ごほんごほん、さっきは私の先任が(ry支援
481Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:25:33 ID:H/1DrHnW
敵の強力な攻撃に対するバージルの注意にダンテは軽く返しながら背にリベリオンをしまって、アーカムに向かって挑発を入れる。
「ほらよハゲ司祭、こっちは無防備だぜ♪ 来たけりゃ来な」
「糞共がああっ!! まとめて死ねえええええ!!!!」
スターライトブレイカーにすら匹敵する程の破壊力を持ったエクスカリバーの魔力波動がダンテに放たれる。
ダンテはその黄金の魔力の渦を受け爆音を上げて煙の中に包まれた。
「げひゃひゃはっ! いくら貴様でもこの攻撃を受けて生きてはいられまい!」
アーカムは勝利の確信に下卑た声を荒げて笑うが晴れた煙の中から現れたのは先ほどと変わらずに立っているダンテの姿だった。

「なんだよ? もう終わりか? 大した事ねえな〜おい」
ダンテは十字に交差させた腕から煙を上げながら唖然とするアーカムに口を開く、彼はただの両腕のクロスガードでエクスカリバーの攻撃を防いだのだ。
それは“ロイヤルガード”と呼ばれるダンテの魔技の一つであり、物理・魔力を問わず敵の攻撃のエネルギーを吸収しカウンターの反撃に回す最高の防御技術であった。
例えどんなに強大な破壊力を持った魔力波動だろうが単純に一直線で向かってくる攻撃にタイミングを合わせて防ぐなど、数多の悪魔を屠ってきたダンテにはあまりにも容易な事である。
ダンテは背の翼を翻し高速移動と空間転移“エアトリック”でアーカムに接近、アーカムは先の一撃を防がれた精神的な衝撃により反応を一瞬遅らせる。
「それじゃあ返すぜ」
ダンテはそう言うと、スターライトブレイカーに匹敵する程のエクスカリバーの魔力エネルギーを吸収した腕にその吸収したエネルギーを全て込めた拳を叩き込んだ。

「げびゃあああ!!!」
大気が歪み空間が裂ける程の魔力エネルギーを持った拳の一撃を受けてアーカムがその巨体を大きく吹き飛ばされる。
そしてそのアーカムの吹き飛ばされた後方には大量の幻影剣を発射寸前の状態で待機させ、閻魔刀に最大最強の魔力を込めた居合いを放たんと構えるバージルの姿があった。
そのバージルの持つ絶対的な威圧感と殺気にアーカムは悪魔となったその身に死の恐怖を感じる。
「Die(死ね)」
バージルは静かに一言だけ言い放つと周囲に展開していた幻影剣を射出、同時に閻魔刀を抜刀し周囲を埋め尽くす程の広域次元斬の刃を躍らせる。
バージルはその嵐の如き激しい斬撃の渦でもってアーカムの身体を徹底的に斬り刻んだ。

バージルの放つ広域次元斬の空間を抉る斬撃の嵐を受けるアーカム。
そのアーカムの頭上に空間転移エアトリックで移動したダンテがリベリオンを天高く振り上げて現れる。
「オラアアア!!!」
そしてダンテは掛け声と共に魔力を込めた振り下ろしの斬撃兜割りをアーカムの脳天に叩きつけてその顔を二つに割った。
「ぎゃああああ!!!」
アーカムの叫びが響きダンテは着地すると同時にリベリオンを翻して凄まじい速度で無数の刺突を繰り出す。
「せっかくのパーティーなんだ、もっと踊ったらどうだい?」
ダンテは軽く言葉を吐きながらリベリオンの刃を血で潤していく。
そのダンテの猛攻にさらにバージルが閻魔刀で放つ抜刀術、疾走居合いの刃が加わりアーカムの身体を刻む。
「こいつには無様に踊ってもらおう…死の舞踏をな」
「そいつぁ良いね〜。じゃあ激しいダンスと行こうか」
ダンテの振るう慈悲無き魔剣の剣閃にバージルの放つ妖刀の軌跡が混じり、双魔の兄弟は最強の魔力を持つ魔の刃を舞い躍らせる。

「げはああっ…あぁぁあ…この私が…貴様ら風情に…」
魔人化した最大の攻撃力でもって繰り出されるバージルとダンテの猛攻にアーカムの身体は破壊し尽され、もはやその身は虫の息であった。
「そろそろ死ぬ時間だぞ屑」
「そうだな〜それじゃ地獄への片道キップをプレゼントしてやろうか」
ダンテが二丁銃を抜き魔力を込めた弾丸を放とうとした瞬間、アーカムが最後の力で射撃魔法を発射。
その攻撃にダンテが右手に持っていた白銀の銃“アイボリー”を宙に飛ばされる、そしてその銃はダンテの横に並んでいたバージルの手に受け止められた。
二人は片手にその二丁銃を構え弾丸に高出力の魔力を込めていく。
「またこいつに“コレ”を決めるとはよ〜」
「まったく因果なものだな」
「それじゃあ“合言葉”で送ってやるぜ司祭さま♪」
「地獄で悔いろアーカム」
二人は言葉と共に魔力を最高域に高めた弾丸を撃ち込み同時にその言葉を吐いた。
「「Jack pot!!(大当たりだ)」」
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 20:28:01 ID:yCuiuU7P
のりのり支援
483Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:28:07 ID:H/1DrHnW
爆音と業火を巻き起こしながら弾丸に込められた莫大な魔力を受けてアーカムがその身体を消滅させていく。
「馬鹿なあああああ!!! この私が! この私がああああ!!!」
そして闇に溺れ悪魔にその身を堕とした背徳の司祭は今度こそ微塵も残さずこの世から消え去る、後にはその悪魔の振るった聖剣の名の得物のみが残された。


悪魔の司祭が塵一つ残さずに消滅したのを確認したバージルとダンテは同時に魔人化を解き元の人間の姿へと戻る。
「ちょっと出血大サービスし過ぎたな〜。こんだけ魔人化使ったら腹が減ってきたぜ」
自分の腹を軽く叩きながらそう呟くダンテに手の銃と共にバージルが言葉を投げる。
「報酬を払われているのだ、その分は働け」
ダンテはバージルが投げ返したアイボリーを受け取りながら軽口を叩き両手の二丁銃をクルクルと回す。
「バージルさん! 大丈夫ですか!?」
その二人の下に戦いを見守っていたはやて達が集まる。
「ああ大事無い」
バージルははやての言葉に静かに答える、その彼の下にヴィヴィオを抱えたシグナムが駆け寄る。
「バージル…」
「おにいちゃ〜ん」
これまでの戦いや先の魔人化により魔力・体力を多大に消耗したバージルにシグナムとヴィヴィオは不安気な視線を送った。
「そう心配せんでも俺はこの程度では死なん」
バージルはそう言うとヴィヴィオの頭を軽く撫でて優しい眼差しをシグナムに向ける。

「おいおいバージル〜やっぱお前の子供とカミさんか? なんで“お兄ちゃん”なんだよ?お前の教育方針か?」
「ば、ば、ば、馬鹿者おおっ! だ、だ、誰が“カミさん”だ!!」
シグナムは真っ赤になってダンテのジョークに反応する、はやてやフォーワードがそのシグナムの反応に苦笑し場には穏やかな空気が流れる。
その時ダンテがふとバージルに声をかけた。
「ところでバージルこれからどうすんだよ?」
「何がだ」
「だからよ“あの時”の続きをやるのかって話だ」

ダンテはそう言うと手で回していた二丁銃をバージルに向けて構える、バージルもそれに応えるように即座に閻魔刀の柄に手をかけた。
「今からリターンマッチと行くかい?」
「…今ここでやる気か?」
「別に俺は構わねえぜ。それにお前なら早く殺り合いたくてしょうがねえんじゃねえか?やるなら早く済ませようぜ」
「…………」
場の空気がカミソリのような鋭さと鉛のような重さを持ち、兄弟は再びかつての邂逅のように一触即発の様を呈する。
バージルとダンテの間に流れる気迫の重圧にはやて達は圧倒され身動きができない、しかしその二人の間に幼い声が響いた。
「だめえええ!」
それはシグナムに抱えられたヴィヴィオの声だった、ヴィヴィオは涙ぐんだ瞳でダンテを睨み付ける。
「ぐすっ…バージルおにいちゃんイジメたらだめ!」
そのヴィヴィオの眼差しと言葉にバージルとダンテは一瞬で毒気を抜かれた。

「ははっ、こいつはまたおっかねえお姫様だな〜。おっかねえからケンカは無しと行こうか“お兄ちゃん”♪」
「……まったく敵わんな」
バージルとダンテは互いに得物から手を引き身体から発散していた殺気を鎮める、場の重圧が解けてはやて達は思わず息を吐く。
「ふ〜、いきなりドンパチ風味はカンベンやで〜」
「わりいな嬢ちゃん。久しぶりの兄弟感動の再会で興奮しちまったのさ」
その時ゆりかごが大きく揺れ動き、はやて達の足場を震えさせた。
「まだゆりかごが上昇しとるみたいやな…とりあえずここは危ないから転移魔法で離れるで〜みんな動かんといてな。リィン、転移魔法陣の展開手伝って!」
「はいです」
「小っちゃな妖精さんもいんのかい? ホントにメルヘンな世界だぜ」
「リィンは小っちゃくないです〜! ちょっと小柄なだけです!」
リィンとダンテが軽くじゃれあいながら、はやての形成した転移魔法陣が発動しその場の全員をゆりかご眼下の森へと転送した。
「もうあかん…しばらく魔法は使わんでいいわ…」
森へと下り立ったはやては度重なる疲労に膝をつく、それにならうようにフォワードメンバーもその場に座り込む。

「とにかく…ゆりかごの飛行速度も落ちとるみたいやから後は局の次元航空艦隊がなんとかしてくれるやろ〜。ところで…」
はやては上空のゆりかごから視線をダンテに移し話しかけた。
「ダンテさんでしたっけ? バージルさんとは双子なんですか? そっくりやけど」
「まあな」
484Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:31:13 ID:H/1DrHnW
「しかし素肌にコートとは、なんちゅうエロ素晴らしい……いやっ! ハレンチな格好を」
「匂い立つ男の色気にリィンも思わず生唾ゴクリです〜」
「何エロ発言してんだよバッテンチビ」
「うるさいです〜そっちだってエロイ服と変な髪形のくせに〜」
「誰の服がエロだ〜!」
「こらリィン! そういうセリフは女同士の時だけやで〜」
「いけないですっ! お口にチャックです〜」
「ハハっ凄え話だなおい……しかしこのファッションが分かるとは良いセンスしてるな嬢ちゃん♪」
くだけた話をするダンテとはやてにリィンとアギト、全ての戦いが終わりを告げ疲弊していた他の者も緩やかな空気の流れに思わず苦笑を漏らす。

「ところでダンテ」
「なんだよバージル。リターンマッチの予約ならまた今度にしてくれや、俺は今腹が減って死にそうなんだからよ〜」
「報酬の件だ」
「報酬? もう前金でたっぷりもらってるぜ。ついでに言うと借金返済でほとんど消えたけどな」
「後払いの報酬がある……受け取れ」
バージルはそう言うと首から下げていた“モノ”をダンテに投げ渡した、それは父と母の形見であり二人にとって亡き家族の最後の思い出だった。
「っておい!! こりゃアミュレットじゃねえか!? 良いのかよ! これは親父と母さんの……」
バージルはそのダンテの言葉にはやてやフォワードメンバー、それにシグナムとヴィヴィオをゆっくりと一瞥してから静かに口を開いた。
「構わん、俺はここで色々と抱えてしまってな……そいつは俺には少し重すぎる、これからは貴様が持て」
「そうかい…………分かったよ、“兄貴”」
ダンテはバツの悪そうな…だが嬉しそうな顔で苦笑してバージルの言葉に小さく返した。

「さて嬢ちゃん。俺は腹が減ってんだけどこの辺でピザが食える所は無えか?」
バージルからはやてに顔を移したダンテがさっそく大好物のピザの話に切り替える。
「そんなにお腹空いてるんやったら私がピザ作ったげますよ〜♪ こうなったら大勝利記念に世界一大きなピザでも作りますか!」
「お〜良いねえ。でもオリーブは抜いてくれよ?」
「世界一大きなピザ…なんだか魂の奥底からワクワクしてくる言葉です〜」
はやての世界一大きなピザ発言にダンテとリィンが大喜びし、フォワードメンバーも騒ぎ出す。
「ピザか〜そんな話聞いてたらなんだかお腹空いちゃったよティア〜」
「まったくあんたは…でも確かにこれだけハードな戦闘の後じゃあしょうがないわよね〜」
「キャロもお腹空いてる? 良かったら携帯食のスティックが一つあるけど」
「私はいいよ…エリオ君のなんだし…」
「それじゃあ半分づつ食べようよ?」
「そうだね…」
「部隊長! ここにいちゃついてる不届き者がいます〜!」
「何言ってんのよバカスバル…」
「なんやって〜!! この部隊長を抜け駆けして彼氏作るとはいい根性やー!」
「うわ部隊長もノリノリだし!」
「おいおい〜魔法の世界じゃソッチの方も進んでんのかい?」

そんな穏やかな喧騒の場にシャマルや救護班を乗せたヘリが到着する、ヘリのハッチが開くと同時に駆け出して来たのはなのはだった。
「ヴィヴィオー!」
なのははヘリを降りるとヴィヴィオを抱き抱えたシグナムの下に駆け寄る
「ヴィヴィオ…ごめんね遅くなって…」
「ぐすっ…ママ〜」
こうして非道なる悪魔に引き裂かれた親子は優しき魔剣士の手によりまた再開を果たした。

シグナムから受け取ったヴィヴィオをなのはは今度こそ離さぬようにしかと抱きしめた、ヴィヴィオもまたそんな母にしっかりと抱きすがる。
その様子をバージルは離れた場所で見守る、心なしか微笑を含んだ彼の顔は今まで彼の見せたどんな表情よりも優しかった。
ヘリで到着した医療班に治療を受けるはやてやフォワードメンバーになのはと再会したヴィヴィオ。
激闘を経て平穏を得た皆を一瞥しバージルは張り詰めていた緊張が解けたのか、それとも今までの疲労がたたったのか足がふらつき転びそうになる。
しかし彼が感じたのは土や草の感触ではなかった、それはもっと温かく柔らかいものだった。

「…すまんな」
「何、気にするな」
ふらついたバージルを受け止めたのはシグナムだった、シグナムは抱きしめるようにバージルの身体を優しく支える。
「バージル、お前も傷ついているのだから早くシャマルや医療班に治療を受けろ」
「俺は構わん、他の者の治療の方が先だろう…悪魔の身体はこの程度で…」
そのバージルの返事にシグナムは眉をひそめ、バージルが言葉を言い切る前に彼の額にデコピンを見舞った。
485Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:31:46 ID:H/1DrHnW
「…何をする」
「お前がまたそんな事を言うからだ。言っただろう…お前は人間だバージル。不器用で優しい人間だ」
シグナムは強い意志を込めたそして優しく温かい眼差しで真っ直ぐにバージルの瞳を見つめる。
「ふうっ……まったくお前には敵わんな、シグナム」
「………」
シグナムの言葉にバージルは観念したように息を漏らして返す。
しかしバージルのその返事を聞いたシグナムは何故か顔を赤く染めた。

「どうしたシグナム?」
「いやっ…その…先ほどのゆりかごの上でもなんだが…お前が私を“シグナム”と呼ぶのはなんだかむず痒くてな…」
シグナムのその言葉の通りバージルは今までシグナムの事を烈火と二つ名でしか呼んでこなかった。
だが先のゆりかご上部での戦闘中、シグナムとヴィヴィオを身を以って守ろうとした時からシグナムを名前で呼んでいたのだ。
バージル自身もこの変化をシグナムに言われて初めて知り、自身の変化にバージルは意外そうな顔をする。
「そうだったか?」
「気づいていなかったのか? まったく………とにかくこっちに来い怪我人!」
シグナムはそう言うとバージルを近くの木の木陰に引いて行く、そしてその木の根元に座り込むとバージルを引き倒す。
「一体…なんのつもりだ?」
「怪我人はおとなしく寝ていろ。これなら少しは休めるだろう?」
シグナムは座り込んだ自分の膝を枕にしてバージルを無理矢理に寝かせたのだ。
「まったく勝手な女だな…」
「私の膝枕では不満か?」
「そうだな…悪くは無い…」
木漏れ日の下で温かく柔らかい膝に身を委ね、バージルは静かに目を閉じてまどろみに意識を落とした。

そしてその二人の下にヴィヴィオが慌てて駆けて来た。
「おにいちゃ〜ん」
「ヴィヴィオ、静かに」
「あれ? おにいちゃんねちゃったの?」
「ああ」
「そうなんだ…なのはママに“たすけてもらったおれいをいいなさい”っていわれたのにな〜」
「起きてから言ってやれヴィヴィオ。今は静かに寝かせてやろう」
「うん」
そしてヴィヴィオはシグナムとバージルの横にちょこんと座り込むと、おもむろに口を開き静かに歌を口ずさみ始めた。
「…それは?」
「まえにおにいちゃんがおしえてくれたの♪ “あくまはなかない”っておうたなんだよ。おにいちゃんのママのおうたなんだって」
「そうか……では私にも教えてくれないか」
「うん♪」
そしてシグナムとヴィヴィオは静かに紡ぎだす、かつて彼の母がバージルとダンテの二人に歌ったその子守唄を。


夢を見た…それは母の夢。
いつも俺が見ている母の死んだ日の夢かと思ったが、それは違った。
遠くで母は親父と一緒に俺を見つめていて、そして何故か俺の周りには大勢の人間がいた。
それは見覚えのある連中ばかりだった、やけに気さくな部隊長に危なっかしい教え子達それに俺を仲間と呼ぶ大勢の人間がそこにはいた。
そして俺の隣には桜色の髪の女と俺の手を弱弱しく握る小さな少女がいた。
その大勢の仲間に囲まれる俺を見た母は親父と共に俺を見届けると霞のように消えていく。
母が何か口を開き語りかけて来たが夢の中で何を言ったのか聞き取れなかった。
母が目の前で消え去っても、俺はもうあの胸を裂かれるような激情も絶望と共に去来する無力感も感じない。
大切な者を守れた…それを二人に見せられた事が俺の胸を満たしていった。


暖かな木漏れ日の下で静かにヴィヴィオと歌を口ずさむ中、シグナムはふと膝の上で眠るバージルの小さな変化に気づき優しい微笑を浮かべた。
それは普段の彼女を知るものなら信じられない程に柔らかく慈愛に満ちたものだった。
「“悪魔は泣かない”か………その通りだなバージル」
シグナムはそう言うと自分の指で優しくバージルの顔を撫でる、その指先には透明な一筋の水の雫が付いていた。

静かに優しく歌は続く、Devils Never Cry(悪魔は泣かない)と。

続く。
486名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 20:33:33 ID:yCuiuU7P
乙でした〜
時系列は気にしない方針で(ry
にしても、このままハッピーエンドでおわるのか、それとも・・・
487戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 20:36:21 ID:K3JCcNZs
すごい・・すごいクールですぞお館さm(ry
いやいや、しかしシグナムとバージルのカップリングとは・・・。
不器用+不器用で逆に微笑ましくなりそうな二人だぁ。
このままゴールイ(斬
488Strikers May Cry:2007/12/21(金) 20:38:06 ID:H/1DrHnW
投下終了です。
今回はなんか実質的な最終回みたいな話でした、バージル兄さんはやっと自分の居場所を得たようです。

とにかく次回で最終回かな、 番外編を書こうか思案中ですがどうしましょう?
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 20:41:34 ID:yCuiuU7P
・・・よく考えれば相当な年の差カップル(ry
Okです。・・・番外編その2は時系列道理にいってしまったダンテとの再会で(蒸発
490反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/21(金) 20:44:40 ID:NSIXhFH7
>>488
感動したッ!GJ!
最終回がどんなすごいものになるのか、実に楽しみです
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 20:53:53 ID:jc1/4Nuv
GJ。
ダブル魔人のフルボッコひでぇw
流石にアカームが可哀想になったぞwww


後、番外編も期待してます。
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 21:10:13 ID:7Tydjk4G
>>488
お疲れ様です。
自分としては六課とダンデの掛け合いも見てみたいです。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 21:45:02 ID:n2Wzzqcr
まとめの人…キングダムハーツの小ネタはまとめるのは危ないからやめといた方がいいんだぜ
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 21:48:51 ID:tYYQOWmP
ネズミーランドの住人はマジで厳しいよな。
まあ会社からすれば当然のことなのだろうけど
495戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 21:58:34 ID:iR79ZlOo
そう考えるとキングダムハーツってすごいゲームなんだなぁと思う俺。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 22:03:44 ID:tYYQOWmP
エンディングでキャスト見てたらマジで吹く。
山ちゃんがα3の神谷並みに出てくるwwww
497戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 22:07:04 ID:iR79ZlOo
ひ・・・一人何役なんだ・・・
498名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 22:38:40 ID:ov8Po16Q
キンハは空とかのネズミキャラじゃない奴も、著作権が向こうにあるからな
つーかネズミの都市伝説は異常
499戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 22:40:59 ID:iR79ZlOo
・・・都市伝説?
500名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 22:44:35 ID:oFmUvaFR
同人誌をそもそも発行させないために、印刷所に注意をよびかけてるとか?
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:15:32 ID:sDLZXGvF
ねずみの都市伝説?もしかしてあれかな?
スペースマウンテンには、子供の墓があるっていう奴かな?
それとも、外国人が子供を誘拐する為に変装させて連れ去ろうとした奴かな?
502戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 23:18:05 ID:iR79ZlOo
ど・・・どちらにしろ怖いなぁ・・・;
503リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/21(金) 23:27:15 ID:SEM+igtz
っしゃあ!新話完成!
投下おk?
504戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 23:29:07 ID:iR79ZlOo
Asをよく知らない俺のとあるぼやき
「仮面の戦士・・・檜●さん!?」
えぇ、びっくりしましたよ。勇者王がこんなところで(ry
505戦国の鉄の城:2007/12/21(金) 23:30:13 ID:iR79ZlOo
>>503
おっとと・・、OKでございますよー。
むしろどんと来い!(マタカ
506リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/21(金) 23:33:37 ID:SEM+igtz
二十二話 Stars Strike Aパート

【ゆりかご内部 王座の間付近】
なのはとクウガアメイジングマイティは、ガジェットを蹴散らしながら王座の間へと急ぐ。
ディエチは鬼神の如き強さを発揮する二人を待ち伏せ、イノーメスカノンを構えて待機していた。

「あの小さな子の、お母さん、なんだっけ……あんたに恨みはないけど!」

ディエチはイノーメスカノンにエネルギーを充填し、カウントダウンを開始した。

「5・4・3・2・1…」

カウント一秒前になのはとクウガが現れ、射程に入る。

「なのはちゃん!」
「エクセリオン・バスタアァァァァァァァア!!」
「0…発射!」

なのははエクセリオンバスターを発射し、ディエチは「ヘヴィバレル」を放つ。
二つの巨大な閃光は標的に向けて一直線に走り、激しく激突する。

「…っ、ブラスターシステム、リミット1!リリース!!」
「Blaster set.」
「ブラスター…シュゥゥゥゥゥゥゥト!!!」

なのはのエクセリオンバスターは更に威力を増し、ディエチのヘヴィバレルを押し返す。

「なっ…!?」

ディエチはなのはの力に驚愕し、何もできずに巨大な光をその身に受けた。

「あっ…くっ…うっ…抜き打ちで、この、威力…」

ディエチは非殺傷設定のおかげでかろうじて生きていた。
しかしなのはにバインドを掛けられ、戦闘能力の全てを封じられる。

「(こいつ…本当に人間か?)」
「じっとしてなさい。突入隊があなたを確保して、安全な場所まで護送してくれる。この船は、私たちが停止させる!!」

なのははそれだけ言うと、クウガと共に王座の間へと向かった。
507名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/21(金) 23:34:17 ID:c7qhnyCa
>>503
投下承認!!
508リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/21(金) 23:34:42 ID:SEM+igtz
【第三市街地 廃ビル2】
「さってと、何処っスか〜?」
「隠れてねぇで出て来い!!」
「…」

ノーヴェ、ウェンディ、ディードの三人はティアナを探す。
しかし、三人は今だティアナを見つけられずにいた。

「あのカスが!ちょこまかしやがって…」
「どーせ、相手は虫の息ッス。倒すにさほど苦労はしな…」
「それはどうかしら?」
「「「!?」」」

三人は力強い声を聞き、後ろを振り返る。
そこには、足を負傷したティアナの姿があった。

「へ…へっ!血迷って出てきやがったか!!」
「お馬鹿さんッスねぇ〜」
「…」

三人はそれぞれの固有武装を構える。
しかし、ティアナは臆せず、クロスミラージュを構えた。

「クロスミラージュ…モード…4!」
「Spearmord」

ティアナの掛け声と同時にクロスミラージュは長槍型に変形した。
それは、レンゲルラウザーのダガーモードに酷似していた。

「!?…な、何だ、銃が槍になっただけじゃねぇか!?」
「そんなんで…あたし達にかてると…」
「…!」

ティアナはレンゲルの特殊能力の一つである高速移動を使いウェンディに接近した。

「!?(速…)」

ウェンディはティアナの高速移動に驚き、ライディングボードを盾代わりにする。
だが…

「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「え…?」

ティアナは構わずスピアモードのクロスミラージュで突きを繰り出す。
クロスミラージュの刃は盾代わりになっていたライディングボードを貫通し、後ろにいたウェンディの腹部を貫通した。

「が…はっ…」

ライディングボードは粉々に砕け散り、背後にいたウェンディは吐血し、意識を失った。

「ウェンディ!?」
「うぇぇぇぇぇえ!?」

ティアナはウェンディの腹部からクロスミラージュを引き抜き、血の付いた刃を見つめる。

「(何コレ!?まだ本気出してないのに滅茶苦茶強力じゃない!?非殺傷じゃなかったら間違いなく殺してたわよ!?もぉ〜橘さん!なんでこんな、私に不相応な強力な物送ってくるのよ!?)」

ティアナは心の中で自分の師を非難する。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:35:15 ID:p3o+QDyH
>>戦国の鉄の城氏
コテハンで連続して書き込むとウザイと感じる人もいるから、投下以外は名無しにしとけ
雑談は雑談スレで、一応ここは投下スレだからな
510名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:35:41 ID:HYcQn2so
(*0M0)<支援
511リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/21(金) 23:35:48 ID:SEM+igtz

「でもまぁ、助かったわ!さぁ!何処からでもかかってきなさい!!」
「Zapper mode」

ティアナはクロスミラージュモード4をもう一つの姿であるザッパーモードに切り替える。(形状はレンゲルラウザーザッパーモードに酷似している。)
さして、ノーヴェとディードに切っ先を向けた。

(BGM・rebirth ティアナ・ランスターバージョン)
「この!!」
「…!」

〔ただ強さ求めて 周りが見えなくて がむしゃらに走って きたけどlet me know the truth〕

ノーヴェはガンナックルを撃ち、ティアナを攻撃する。
だが、ティアナの高速移動の前には歯が立たず、弾丸は一発たりともティアナを捉えることはできなかった。

〔迷い続けていた 道さえ今はもう 光あふれてる〕

「チックショオォォォォォォオ!!」
「…!」

〔誰にも 負けない 夢が あるから…you'll be in my heart forever〕

ディードはツインブレイズを構え、ティアナに切り込む。
ティアナはディードの攻撃を受け止めると、剣撃戦に入る。
しかし、何度も刃と刃がぶつかり合う内に、武器の威力の性能がティアナに勝利をもたらした。
ザッパーモードの高い硬度と威力の前に、二本のツインブレイズが折れたのだ。

〔探した答えは 変わり続けてく〕

「何…!?」
「ブリザァァァァド!ゲェェェェェェェイル!!」

〔生まれ変わるほど 強くなれる〕

ティアナはディードが怯んだ隙を衝き、右手に冷気を纏わせる。

〔got to be strong got to be strong〕

そしてティアナは氷結の拳をディードに叩き込んだ。

「ぐっ…あ…!」

ディードはその場に崩れ落ち、意識を失った

(曲終了)
512リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/21(金) 23:36:50 ID:SEM+igtz
「さて…」

ティアナは一人残ったノーヴェを睨みつけ、ゆっくりと歩み寄る。

「ヒッ!?」
「残っているのは…あんただけね…」
「こ…この…!?」

ノーヴェは自らの足が震えていることに気付き、両手で足を押さえる。

「ふ…震えるな…震えるなバカヤロ…震えるな…」
「…」

ティアナはノーヴェの首筋にエッジを突きつけ、口を開く。

「貴方達を…保護します。」

【ゆりかご内部 王座の間前】
「ここか…」
「うん…」

クウガとなのはは、ついに王座の間の門前へと辿り着いた。

「五代さん…ここからは一人で行かせて。」
「え?でも…」
「…お願い。」
「…分かった、じゃあ俺は…」

クウガは後方から自分達に向けて迫ってくるガジェットW型の大部隊に視線を移す。

「…帰ったら、久しぶりにデートしたいな。」
「オーケー…新しい技、見せてあげるよ。」


二人はそれだけ言葉を交わした後、なのはは王座の間へと入っていった。

「………!!」

そしてクウガはアメイジングマイティから究極の戦士、アルティメットフォームに変身し、ビートゴウラムのトライアクセラーを引き抜き、黒いライジングタイタンソードに変化させ、ガジェット達の群れに向けてゆっくりと足を進めていった。

【ゆりかご内部 王座の間】
王座の間…
そこは王座と巨大なオブジェがあるとてつもなく広い部屋だった。
そこにはナンバー4・クアットロと、王座に固定されたヴィヴィオがなのはを待っていた。

「いっらしゃ〜い。お待ちしてました。」
「……っ」
「こんなところまで無駄足ご苦労様。さて、各地のあなたのお仲間は大変なことになってますよ〜」
「……大規模騒乱罪の現行犯であなたを逮捕します。すぐに騒乱の停止と武装の解除を。」
「仲間の危機と自分の子供のピンチにも、表情一つ変えないでお仕事ですかぁ?いいですね。その悪魔じみた正義感…」
「くっ!」

なのははクアットロに向けてバスターを放つ。
だが閃光が直撃した瞬間、クアットロの姿は煙のように消える。

「!?」
「「で〜も〜、これでもまだ平静でいられます〜?」」

王座に固定されていたヴィヴィオの体に電流が走り、ヴィヴィオを苦しめる。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:37:05 ID:HYcQn2so
(*0M0)<辛味噌!辛味噌!支援
514リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/21(金) 23:37:31 ID:SEM+igtz

「う、うあ、あ…」
「ヴィヴィオ!!」
「「んっふ。いいこと教えてあげる。あの日、ケースの中で眠ったまま輸送トラックとガジェットを破壊したのはこの子なの。あの時あなたがようやく防いだディエチの砲、でも、たとえその直撃を受けたとしてもものともせずに生き残れたはずの能力。
それが、古代ベルカ王族の固有スキル…『聖王の鎧』。
レリックとの融合を経て、この子はその力を完全に取り戻す。古代ベルカの王族が自らその身を作り変えたという究極の生体兵器。レリックウエポンとしての力を…」」
「ママーー!!!」

ヴィヴィオの体から美しく…そしてどことなく不気味な光が放たれ、ヴィヴィオの体を包み込んでいく。

「ヴィヴィオ!!」
「!!ママ!!やだ〜ママ!!!」
「ヴィヴィオ…ヴィヴィオ!!!」
「すぐに完成しますよ。私たちの王が…ゆりかごの力を得て、無限の力を振るう究極の戦士…」

光に包まれたヴィヴィオの体は徐々に成長し、十七歳ほどの少女の姿へと変貌する。
そして体に騎士甲冑を纏い、戦士の姿へと変身した。

「あ…ああ…」
「あなたは、ヴィヴィオのママを、どこかにさらった…」
「ヴィヴィオ、違うよ。私だよ!なのはママだよ!」
「!!…違う!」
「!!」
「うそつき。あなたなんか…ママじゃない!」
「…っ」
「ヴィヴィオのママを…返して!!」
「ヴィヴィオ!!…っ、レイジングハート!」
「W.A.S. Full Driving.(W・A・S フルドライビング)」
「「さぁ、親子で仲良く、殺し合いを…」」
ヴィヴィオ「ママを、返してえぇぇぇぇぇえ!!」
なのは「ブラスター…リミット2!!」

戦いは今…最終局面に突入する。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:38:05 ID:iR79ZlOo
反省もかねて支援。
516名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:38:22 ID:HYcQn2so
(*0M0)<ザヨゴォォォォォォ!支援
517リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/21(金) 23:43:52 ID:SEM+igtz
短いですがコレで投下終了。
次回はライダー側が反撃開始!

響鬼見参!
アギトとRXの再会キックホッパー復活
そして…カブトとブレイド…ついに決着…

イベント目白押しの次回を見逃すな!

しかし…ティアナ版辛味噌はちゃんとティアナっぽさが出せてただろうか?
518名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:44:27 ID:HYcQn2so
(*0M0)<GJ!
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 23:46:17 ID:iR79ZlOo
GJ!そしてお疲れ様ー。
520名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/21(金) 23:53:18 ID:c7qhnyCa
GJ!!
ティアナ版辛味噌良かったよ!
ノーヴェが悪ムッキーのヘタレ台詞吐いてるのに吹いたw
橘さん、クロスミラージュをなんて凶悪な武器に仕立て上げたんだw

しかし、無理を承知でユーノの活躍する話が読んでみたい…。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 00:03:36 ID:WGypQjoP
ライダー氏GJです!

>>SMC氏
まさに姐さん激ラヴですな。ダンテの言葉通りカミさんだよ。
そして今なら言える!
エヴァが歌った子守唄の曲名は「Seeds Of Love」じゃーーーーーーー!!!
失礼。しかし、件のあれは名曲ですよな。シリーズ一の称号を与えてもいいくらい。
4のトレーラーを見る限り今度の主題歌も3っぽい感じですね。流石DMC!全てがスタイリッシュだ!
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 00:05:19 ID:Srjh44xS
非殺傷設定での攻撃で
刃に血がついてていいの?
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 00:06:52 ID:nB+37XiM
GJ
クウガ・・・ここまで来て空気?
アルティメットの意味もないような・・・
それはそれ!
次回に期待!
ブレイドとカブトは・・・中穴で勝者なしに1票。
本命はカブトだが、本命に賭けるのは邪道!
524Strikers May Cry:2007/12/22(土) 00:12:44 ID:t4ezLlxg
あれ? Devils Never Cryの公式設定じゃなかったっけ? 俺の思い違いか?
まあ、あの曲は良い曲だしオリジナル設定で改変って事にすれば大丈夫! かな…たぶん…
525反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 00:14:24 ID:MODc8x/y
ライダー氏GJ! 個人的には究極クウガの今後が1番気になってたりw

そして、今>>484辺りを読んで気付いたのですが…

リイン「世界一大きなピザ〜」

…俺の目はごまかせんぞSMC氏よ! ギアスSSを処女作とし、執筆のためにギアスWikiを駆けずり回った俺の目は!
CVゆかなで巨大ピザにワクワク…すなわち…

…C.C.のことかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!
526リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/22(土) 00:17:59 ID:htYlLCrm
>>523
クウガは使いどころが難しいんですよ。
なのはと一緒に行ったら確実にヴィヴィオを圧倒しちゃうので雑魚排除要因にするしかなかったのです…(あと私は雄介をあまりドロドロの戦いに関わられたくはないので)

カブトとブレイドが渋谷でどつき合ってるのだって二人が強いからっス。
文才の無い作者をお許しを…
そのかわり第二部(二部は3サイドの視点で展開予定)平成ライダーサイドでは色々なライダーを活躍させようと思ってますので是非応援を…
527戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 00:21:12 ID:CS1R7rox
>>526
そういえば五代さんは殴りあいとかそういうのあまり好きじゃない人でしたっけ。
それに加え相手がヴィヴィオとなれば・・・。クウガが雑魚排除要員になったのもなんか納得。
528Strikers May Cry:2007/12/22(土) 00:22:05 ID:t4ezLlxg
書き忘れた! +仮面ライダー氏GJ!!

反目氏……気づいてしまったんですね、ところでこういう小ネタってありですか?
529反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 00:25:43 ID:MODc8x/y
>>528
テレビ放送なら局の問題でできないようなこういうパロネタができるのも、二次創作の利点なのですよ〜。
片翼にもDMCネタが盛り込まれていますし、何より反目にはまんまあのスーパーロボットが…
530名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 10:19:08 ID:5r5auWr1
>>528
この様な小ネタは自分も好きです。あとはやてとリイン自重w
それと兄さんと姐さんは、祝福あれ。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 10:46:02 ID:yrJbI5Vw
小ネタ良いですか?

正直勢いだけ、本当に勢いだけで考えた。
反省はしない
532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 11:25:59 ID:5r5auWr1
>>531
とりあえず投下してみるのだ!

それにしても覚悟のススメ氏はどうしたのだろうか……。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 11:33:04 ID:20VZ7VlH
(屮゜Д゜)屮カモーーン
534魔装機神:2007/12/22(土) 11:39:22 ID:rJQq5LCr
かもーーん!
>>528
SMC氏、そんな事言ったら俺のSSはネタだらけなんだけど……
535名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 11:50:09 ID:yrJbI5Vw
おk、ぶっちゃけどうしようもないネタ


スカが無人(の筈の世界)に放逐されたとしたら

「さ・・・寒い・・・」
私はスカリエッティ、とある事情があり雪山で迷っている。
ミッドチルダの大規模騒乱罪により逮捕され、そして私の存在を抹消したい奴らによってここに放逐されたのだ・・・
極寒の大地、こんなところで防寒服も無い人間が生き残れる筈も無い。
おまけに先程から獣たちの姿をちらほら見かける・・・倒れた後は私は彼らの糧となるのだろう。
「…」
寒さが苦痛を通り越した先に、眠気が襲ってきた。

そんな中、耳を叩くような轟音が聞こえた。

猛然と巨大な竜・・・彼の咆哮だったのか・・・
その巨体が猛然と私に向かってくる・・・しかし、私の意識は彼に食いつかれるまで持たず、闇の中へと落ちた。



「・・・お、目が覚めたか」
私は目を開けた。まだ生きていたのかと少し驚いた。
「おっと、まだ起き上がらない方がいい。しばらく安静にしているんだ」
すぐ傍で誰かの声がする・・・妙だ、私は無人世界に放逐されたのではなかったのか・・・?
「崖から落ちたんだろ?下が雪で助かったな。全身打撲に失神、それに軽度の凍傷と、まぁ全治数日ってところだろうな。」
状況を手早く説明してくれたおかげで逆に落ち着いた、自分が助かったのだという事で安心もする。
「私としては背中の打ち身より、身体の前面の打撲の方が気になるが・・・。まぁともかく、しばらくゆっくり休みたまえ。」
その言葉を聞いて私の意識は再び闇へと落ちた。

翌日
私は再び目を覚ました。まだ身体は本調子ではないが動けるくらいには大丈夫な様だ。
外に出ると、見覚えのある・・・私を救ってくれた男がいた。
「お、気がついたようだな。どうだ、痛むトコロはないか?」
「まだ痛むが動けるほどには問題ない・・・」
「崖下で倒れているキミを見つけたのは私だ。感謝してくれたまえよ。あのまま放置されていたら今頃氷漬けだったトコロだ」
皮肉ではあったが嫌な気はしなかった、事実命の恩人なのだから
「感謝する・・・私はジェイル・スカリエッティだ」
「おっと、紹介が遅れたな。私はこの村付きのハンター…とはいっても、元、だがね」
ハンター・・・狩人ということは文明レベルからそこら辺の動物を狩って生計を立てているのだと思っていた。
しかし

「ある飛竜に負わされたケガが原因でね・・・、引退したんだ。で、私の後任に来てもらうことになったが・・・まさかキミだとはね」

待ってくれ・・・飛竜?
倒れる寸前に見えたあの巨大な姿・・・アレと戦ったとでも言うのか・・・生身の人間が。
そして、何故、私が、その後任という扱いになっている?

「正直後任がいきなり雪山で倒れていたときはどうしようかと思ったが・・・ま、ともかくなれない村でいろいろ判らない事もあるだろう。この私に何でも聞いてくれたまえ」
「じゃ、じゃあまず一つ・・・ここはどこなんだ!?」


「ここ?ああ、この村は『ポッケ村』だ」


MONSCAR HUNTER

始まりま

すん
536魔装機神:2007/12/22(土) 12:02:21 ID:rJQq5LCr
乙!
最後の題名で吹いた。
537名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 12:38:17 ID:hFDeTM4q
GJ!!ミッドに帰ってきたら、周りが肉体の変化に驚きそう。
むしろ、自身で戦ったほうが強くなってそうw
なのはの砲撃より黒グラビモスの砲撃の方が強かったぞとか叫びながら
冷凍マグロを振り回す博士w
538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 12:56:23 ID:QN/iFMT9
>>535
GJ!!
是非続きを見たいですなww
539戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 13:07:12 ID:oThO1M4q
GJ!
冷凍マグロよりもハイパーバキュームのほうがプライドズタズタにできるかと(マテ
ハンターやったとしたら防具の上にも白衣着てたり?
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 13:15:18 ID:hFDeTM4q
アカムトルムの鎧かカブトムシみたいな鎧とかの上に白衣着てたらガリューの親戚に間違われそう。
是非とも続編が見たいです。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 13:39:07 ID:WfuwUGt5
そこは、プライベートシリーズでしょう。
542s-ken:2007/12/22(土) 14:02:24 ID:Iop6hsjw
ふへぇw
543名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 14:37:46 ID:PjbMa9Ly
フリード見たら、素材を求めて狩りに行きそうだなw
キャロ涙目w
544名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 14:55:25 ID:TPXe5DFt
>>ライダー氏
スカリエッティ達を逮捕しても、まだ全てが終わったわけではないでしょう。
なぜなら、まだアルビノジョーカーや大幹部達…そして首領が残ってますからね。
起動六課は奴らに敵うかな・・・?
545名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:06:25 ID:JQAN3oLt
まとめあぶなーい!!某王国心は早く消しといた方がいいぞ。下手するとまとめ無くなっちゃうぜ
546名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:08:26 ID:/JOhxZw5
アッー!!!!
547名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 15:58:46 ID:y8SXw03T
やばいって
管理人さん、ネズミ系はマジヤバイって
548名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:07:32 ID:i7/NMhLH
安心しろ!ばれなきゃいいんだよ!ばれなきゃ!
549名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:08:05 ID:U1jLkEdw
・・・管理人さん生きてる〜?
550名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:08:31 ID:U1jLkEdw
・・・IDがorz
551戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 16:08:43 ID:oThO1M4q
>>548
「もし」見つかったら・・・?
って見に来るのかな?
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:22:59 ID:oFkhpEVh
>>551
夢の国の国王は、ガキが書いた落書きのねずみさんに対しても訴訟おこすんだぜ
やばげなのは取り除いた方がいい
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:25:36 ID:0FzT20hf
>>550
U1www
554名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:41:07 ID:i7/NMhLH
>>552
マジかよ・・きもったまの小さい王様だな・・
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:43:47 ID:oFkhpEVh
>>554
他にも、小学生達が一生懸命書いた壁画? を消させたりしたし。
まぁ、その後年間フリーパスが全員に送られたらしいが

とりあえず、アノ国はヤバイ
556名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 16:48:55 ID:i7/NMhLH
一生懸命描いた小学生達が可哀想だな・・・
557名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 17:07:24 ID:y8SXw03T
てことでとりあえず早く消さないと
558リリカルなのはFeather:2007/12/22(土) 17:08:28 ID:j4wlf9F2
そんな夢の国は乗っ取り等が行われている国です
559リリカル龍騎 ◆YHOZlJfLqE :2007/12/22(土) 17:10:50 ID:ITwUKpp/
>>545 >>547 >>557
イェ、イェス・サー!!
560反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 17:19:13 ID:MODc8x/y
怖い怖い…

ときに、現在片翼6話が完成し、投下するために自宅へ向かっているのですが、
ウェンディの一人称って「あたし」で合ってましたっけ?
561Strikers May Cry:2007/12/22(土) 17:21:20 ID:t4ezLlxg
“あたし”で良いと思いますよ。
562戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 17:21:40 ID:oThO1M4q
>>560
確かそれでいいような・・・うーん。
記憶が曖昧だぁ。
563反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 17:34:08 ID:MODc8x/y
了解しました。では、そのように。

P.S.今回はみんな大好きチンク姉も出るよ! 俺はむしろディエチの方が好きだけど!
564なのは×終わクロ:2007/12/22(土) 17:43:19 ID:Ok3oDBAH
>>559
自分が書いた短編がなんか騒動を起こしちまったみたいで、誠に申し訳ありませんでした。
565リリカル遊戯王GX:2007/12/22(土) 17:44:59 ID:pdSsaCdR
>>563
全宇宙にチンク姉ファンを代表して全面的に支援する!
566リリカルなのはFeather:2007/12/22(土) 17:52:12 ID:j4wlf9F2
>>563
あのーセッテは片翼に出ますか?恐る恐る支援させて頂きます
567片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 17:58:39 ID:4ATwXmLI
そんじゃま、投下させていただきます。
今回はちょっとだけハートフルなお話。

>>566
本編の出番次第…としか…
568片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:00:00 ID:4ATwXmLI
魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使

第6話「アンジール・ヒューレー」

アンジール・ヒューレーという男がいた。
ソルジャーのクラス1stで、真面目でストイックな男だった。
「夢」と「誇り」の2つを重んじ、周囲にもそれらを貫く姿勢の大切さを説いていた。
ジェネシスという幼馴染みがいて、彼もジェネシスもセフィロスのよき友人だった。
よくよく考えてみれば、彼自身の「夢」が何なのか、あまり聞いたことがなかった。

ザックスという後輩を可愛がっていた。
集中力ゼロの彼を「子犬のザックス」とあだ名して手を焼いていた。
それでも「手のかかる犬ほど可愛い」とよく言っていた。

バスターソードという愛剣を持っていた。
身の丈ほどの大きさを持つ大剣で、親からソルジャー入隊時にもらったものだった。
だから「使うと汚れる、すり減る、もったいない」と言って大切にしていた。
刃の部分を敵に向けることはほとんどなかった。

そんな彼は普通の人間ではなかった。
「プロジェクトG」という計画の下に生まれた、改造人間だった。
彼はそれを知って悲しんだ。
ソルジャーを離脱し、姿を消した。
最期にザックスへと、夢と誇りとバスターソードを託した。

アンジール・ヒューレーはその戦いで死んだ。

「…それが、アンジールだ」
セフィロスは一気に語り終えた。
先ほどの戦闘は、敵陣営全員を取り逃がすという形で終了。
スバル達陸戦部隊が捕らえたという蟲召喚士の幼女は、謎の能力を使う少女の助
けによって逃亡。
セフィロスが斬ろうとしていたディエチ――そして、それを受け止めた旧友アン
ジールらしき人物もまた、
召喚士の力によって、あの後即座に転送されてしまった。
結局六課フォワード陣も引き上げることとなり、今はこのロビーに集まっている。
「はぁ、そんな人がなぁ…」
はやてが言う。
今の流れは、セフィロスがそのはやてに、アンジールの件を報告したことに始まった。
既にご存知の通り、アンジールは故人のはずだ。
しかし、彼と同じ姿の何かは現実にスカリエッティ側の陣営に現れている。
そして、その正体を探るにしても、管理局を味方につけておくに越したことはなかった。
セフィロスがはやてに彼の存在を伝えたのには、そういう意味があった。
「…で、プロジェクトGっつうのは?」
とヴィータが問いかける。
元々この話ははやてにのみ伝わればよかったのだが、場所がロビーだったこともあり、
あっという間にフォワード陣全員の耳に届いてしまった。さながら今の状況は講演会だ。
「始めに…俺の世界には、ジェノバという、異星から来た生命体がいた」
順序立ててセフィロスは説明する。
2000年前に星を侵略したエイリアン・ジェノバは、高い戦闘能力を有していた。
これを、現存するジェノバ細胞を人間の母体に組み込むことで、産まれる子供に引き継がせようというのがプロジェクトGの概要だった。
要するに、セフィロスと同類なのだ。違うのは細胞の受け取り方。
アンジールと、彼の親友ジェネシスの場合は、親から引き継ぐという先天的な形で細胞を得たのに対し、
セフィロスは胎内にいた時に外部から細胞を与えられるという、後天的な形での受け取り方だった。
「そうなんですか…」
そう呟くエリオの表情は、何故か暗かった。
569片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:01:11 ID:4ATwXmLI
「でも、その話がホントなら、バスターソードは今ザックスって人が持ってるはずですよね?」
「あ…本当だ。何でアンジールさんがそれを持っていたんだろう…?」
スバルの質問を聞いたなのはが、はっとしたようにそんな疑問を口にする。
確かにおかしな話だ。本来、アンジールが今バスターソードを持っているはずがない。
あれは死の間際にザックスへと託され、おまけに数年後には更に別の男の手に渡っている。
その記憶に間違いはない。何せ、セフィロスはその男に斬られてここまで来たのだから。
「それもある。だから、こうして話をした」
セフィロスはそう答えた。
そういう不審な点があるからこそ、正体を探ってほしいのだ、と。
「…ともかく、アンジールっちゅう人のことは、こっちでも調べてみるよ」
「分かった」
はやての了承の言葉に、セフィロスが答えた。
答えながら、セフィロスは内心で更なる疑問を探る。それこそが、アンジールを取り巻く最大の疑問だった。
(何故、アンジールはスカリエッティに加担している?)
あの場の男がセフィロスの知るアンジールなら、それはまずないことのはずだった。
スカリエッティは紛れもなく犯罪者である。
そうでなくても、この世界の正義を司る(少なくとも、法治機関はそういうものであるのが常識である)管理局に
平然と喧嘩を吹っ掛けるような男を、誇りを重んじるアンジールが気に入るはずがなかった。
(仮にお前が本物のアンジールだとしよう。なら…)
胸の中で、セフィロスが、ここにはいないあのアンジールの姿をした男に問いかけた。
(お前がそこにいる理由は何だ…?)

時は数週間前に遡る。
ちょうど新人フォワード達の初任務があった頃、「彼」は見慣れぬ液体の中で目を覚ました。
「やぁ、おはようアンジール君」
前方から声が聞こえる。
強化ガラスの壁を隔てた先には、紫の長髪が笑っていた。
年齢は外見からは類推できない。20代とも30代ともつかぬ顔立ちだった。
雰囲気から判断しようにも、冷たい金の瞳からは、せいぜいただ1つの感情――「楽」ぐらいしか読み取れない。
「彼」は――アンジールは、相手が何故自分のことを知っているのか疑問に思ったが、それはすぐに解決した。
元ソルジャー・クラス1stである自分は、そこそこの有名人なのだ。知っている者がいても自然だった。
目下の疑問が解決したところで、アンジールは自身の記憶をたどる。
どうして自分はこのような状況下にあるのか、彼には全く覚えがなかった。
だが、その追憶の中で、彼は新たな疑問にぶち当たる。
(俺は何故生きているんだ…?)
自分は間違いなく死んだはずだ。他ならぬ、愛弟子ザックスに命を預けたはずだった。
「数年前に、あのエネルギーを見つけた時には驚いたよ」
だが、そんなアンジールに構うことなく、スカリエッティは言葉を重ねる。
「別次元から漏れ出した、緑の光…まさか情報を内包したエネルギーが存在したとはねぇ」
科学者然とした男の声は、さぞ楽しそうに響く。
どうやらスカリエッティは、アンジールの星から漂ったエネルギー――ライフス
トリームを解析し、そこからDNA情報などを読み取ったらしい。
ライフストリームは星の命の集合体と言うが、そのような芸当ができるなどというのは前代未聞だ。
「そしてそのデータを元に、クローニング、戦闘機人技術、エトセトラ…それらを駆使して作り上げた、完全なる人造人間が君さ」
次から次へとスカリエッティの口をつく単語。アンジールは、それらのどれも理解できなかった。
やがてスカリエッティは、ふと何かに気付き、強化ガラスの――生体カプセルのボタンへと指を伸ばす。
「そうだね…では、落ち着いてお茶でも飲みながら話そうか」
570片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:02:20 ID:4ATwXmLI
カプセルから出たアンジールは、スカリエッティによって、彼が普段連絡に用いている部屋に通された。
そこにテーブルが用意され、程なくして、ウーノという女性によって紅茶が運ばれてくる。
「さて…色々質問もあることだろう。お好きにどうぞ」
砂糖を紅茶に入れながら、スカリエッティが促した。
「珍しい部屋だな…」
アンジールの口から最初に出たのがそれだった。
金色の光が漏れる薄暗い部屋の中に円筒状の足場が立ち並び、何もない空間に、巨大な映像がモニターのように投影されている。
少なくとも、アンジールの星ではお目にかかれないような物ばかりだ。
正直、ここでテーブルについて紅茶を飲んでいるのが、相当シュールに感じられる。
「ククク…まぁ、それもそうだろうね。何せここは、君のいた世界とは別の世界だから」
「…何?」
今度こそ、アンジールは本格的に驚かされた。
別の世界、とは一体どういうことなのか。
「異次元、という単語は知ってるかな?」
スカリエッティが丁寧に説明した。奇しくも、その内容は、あのはやてがセフィロスに対してしたものとほとんど同じだった。
「理解できたかな?」
「ああ…ここが俺のいた星とは別の世界だということはな。…次の質問をしていいか?」
スカリエッティは、どうぞ、と彼の質問を促す。
「俺のこの身体は何だ? 俺はとっくに死んだはずなんだが…」
自らの右手を見つめながら、アンジールは尋ねた。
「さあ? 私はエネルギー内の情報を解析し、それを組み立てただけだからね。本物の君のことは分からないよ」
「…本物?」
またしても聞き慣れない物言いをするスカリエッティに、アンジールは怪訝そうな声を上げた。
「君は、君の今の人格が、死んだ身体を離れてその身体に宿ったとでも思っているのかい?」
スカリエッティは語る。
アンジールの人格は、ライフストリームの中のデータを元に作り出した脳のそれに過ぎないことを。
つまり、同じ記憶、同じ性格を持っていながら、本物のアンジール・ヒューレーとは全くの別人であるということを。
「例えるなら、人格のコピーかな?」
何でもないことのように、スカリエッティは言い放った。
「…そうか…」
うつむきながら、アンジールは力無く呟く。
(…俺は、とうとう完全な作り物になってしまったのか…)
頭を抱えたい気分だった。
自分が、人間とジェノバ、2つの細胞を持つ改造人間だと知った時は絶望したものだった。
人間の守護者たるソルジャーであることに誇りを持っていたアンジールにとって、
自分がその人間を脅かすモンスターに近い物だったなどということは、到底認められることではなかった。
だからこそ、愛弟子ザックスと戦うことで、自分を滅した。
しかし、死ぬことで得られると思われた平穏はここにはなく、あるのは更なる絶望。
自分の身体は作り物。
自分の人格も作り物。
モンスターに近い物どころか、アンジールは完全なモンスター――人外の存在となってしまったのだ。
出された紅茶の水面には、暗い顔が映っていた。
571片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:03:36 ID:4ATwXmLI
「ドクター、あの人が起きたって本当ッスか〜?」
と、そこへ場違いに明るい声が響いてきた。
アンジールがそちらを見ると、そこに立っていたのは2人の少女。
声の主である片方は赤い髪をボーイッシュにはねさせた、10代後半に差し掛かるか否かといった容貌である。
もう片方は、片目に眼帯をかけた、10歳前後の幼女。銀の長髪をストレートにしていた。
そしてそのどちらもが、スカリエッティと同じ金の瞳を持っていた。
「ああ、そうだよ。さ、2人共、アンジール君に挨拶なさい」
スカリエッティが猫なで声で2人に言う。あたかも、親が子供をあやすような。
「ども、ウェンディッス」
「チンクと申します」
ウェンディと名乗った赤毛はくだけた語調で、チンクと名乗った銀髪は丁寧に名乗った。
「よくできたね。…さ、彼はまだ私とお話があるから、戻ってなさい」
「分かりました」
「後でちゃんと連れてきてほしいッス〜」
それぞれの反応をスカリエッティに返しながら、2人の少女は奥へと引っ込んでいった。
「…今のは?」
アンジールは、おおよそこの場に似つかわしくない少女達のことを問う。
「ナンバーズと呼んでいる、戦闘機人だよ」
「セントウキジン?」
「身体を機械化した人間と言ったところかな」
またもスカリエッティはあっさりと言ってのけたのだが、アンジールの表情は、それとは対照的に、驚愕に彩られていた。
「あれが、機械なのか…!?」
「君の身体も、一部は彼女らと同じだよ」
アンジールは更に驚かされる。
少なくとも、彼はあのような機械を…そして自分のような機械を見たことがなかった。
あれほど滑らかに、これほど違和感なく、人体として稼働する機械を造る技術など、彼の星にあるはずもなかった。
「チンクとウェンディ、さっきお茶を出してくれたウーノ…彼女らを含めて、全
部で12人いる。みんな私の大事な作品だよ」
ドゥーエだけは仕事で長いこと外に出ているがね、とスカリエッティが付け足した。
「作品、か…」
その言葉に、アンジールは思わず顔をしかめる。
「言い方が悪かったようだね。なら、家族と言うべきかな?」
しかし、スカリエッティには動じた様子もない。
「言葉の捉え方の問題だね。事実、私と彼女らは仲良くやっているよ」
「…確かに、でなければああも明るくはならんか」
普通の少女と変わらぬウェンディを思い出し、アンジールが言った。
もし彼女らナンバーズが、言葉通り「作品」としてしか認識されていなければ、
ウェンディのような、前向きなタイプの少女は生まれて来ないだろう。
「彼女らは、自分が戦闘機人であることを肯定的に受け止めているんだな…」
「君は自分の身体に否定的なのかい?」
遠慮もせず、ストレートにスカリエッティが問いかけた。
「分からんね…君ほどの能力の持ち主なら、それを誇ってもいいだろうに」
「人間の社会で生きていくには、不必要な類の能力だ」
お前には分からんだろうがな、とアンジールは付け足した。
こいつは根っからの科学者なのだ。持っているのは探求心と作品への愛だけ。社会常識などありはしない。
(どうも、宝条のような奴だな…こいつは)
神羅に似たような科学者がいるのを知っているからこそ、持てる感想だった。
「ああ、確かに彼女らは自分が作り物であることを肯定しているとも。
 もとより死んでいた身の者もいるし、何より、同じ境遇の同志が11人もいるからね」
「戦闘機人の社会か…」
「他人家族、と言ったところさ」
元は赤の他人でありながら、姉妹同然のつながりで結ばれている、と。
572片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:04:56 ID:4ATwXmLI
「…羨ましいな」
ぽつりと、アンジールが漏らした。
プロジェクトGの被験体2号として生まれた自分は、孤独だった。
ジェノバの遺伝子を受け継いだ者などそうそういるはずもない。
幼馴染みのジェネシスは被験体1号だったが、彼の思想には賛同できなかった。それが一層、アンジールの心をさいなんだ。
しかし、彼女らナンバーズは違う。
同じ境遇の者同士11人、支えあって生きている。父親同然のスカリエッティもいる。
理想的な形だった。そんな仲間がいたのなら、アンジールも幾分か救われたはずだった。
「さてと…そろそろ私の話に入っていいかな?」
スカリエッティがそう切り出す。アンジールはそれを無言で許可した。
「1つ頼みがある。君に、あの子達の指導役を頼みたい」
「指導…役?」
「戦闘機人としてのあの子らは、まだまだ実戦経験に乏しくてね」
アンジールが優れた戦士であることを、スカリエッティは知っていた。
だから、彼にナンバーズへの戦技指南をしてほしいという。
「こればかりは、私が教えるわけにもいかんのだよ」
肩をすくめてスカリエッティが言った。
どれだけの知能があろうと、彼は一介の科学者である。戦い方など、知る由もなかった。
「君ならあの子達のいい『お兄さん』になれると思うのだが…どうかね?」
最後に、スカリエッティはそう締めくくった。
「…許されるのか?」
「クセはあるが、皆人当たりのいい子達だ。受け入れてもらえるさ」
スカリエッティはその問いを「ナンバーズの皆が自分を受け入れてくれるのか」と取ったのだろうか、そう答えた。
しかし、実際にアンジールが尋ねたかったことはそうではない。
――同胞との生活を手にすることが許されるのか。
忌むべきジェノバの身体を与えられた人類の敵に、そんな幸せを願うことが許されるのか。
ほんのささやかなものだとは思う。だが、絶望が深ければ深いほど、その小さな輝きも目立ってくる。
だからこそ、触れてしまうのがためらわれた。
それでも、それが許されるのなら…
「…むしろ俺は末っ子のようなんだがな」
それはとても価値のあることだと思った。
アンジールは、スカリエッティの振る舞った紅茶に、初めて口をつけた。
573片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:06:11 ID:4ATwXmLI
そして、今。
アンジールはスカリエッティのラボで、巨大なバスターソードを磨いていた。
「アンジール兄ぃ(にぃ)〜!」
スカリエッティを伴って、ぱたぱたと緑の髪の戦闘機人が駆け寄って来た。
蟲召喚士を救い出したセインだ。
「ディエチが治ったってさ〜」
「そうか…すまんな、わざわざ伝えに来てくれて」
「いいよいいよ〜。アンジール兄とセインちゃんの付き合いだし」
セインの言葉が明るく響く。
先日の戦闘で左腕を切断されたディエチの修復がようやく完了したのだ。喜びもひとしおだろう。
「全く、お前が1人で逃げ出すようなことさえなければこうはならなかったものの…」
「ごめんなさいトーレ姉様…でもぉ…」
「助けるべきではなかったかもな」
青紫のショートヘアの女が、憤慨した様子で叱りつける。叱られたクアットロは、返す言葉もなくしゅんとしていた。
トーレ。長身の彼女は、ナンバーズの中でもウーノやチンクらと共に古参のメンバーであり、クアットロを回収した者でもあった。
刀を振っただけでディエチの砲撃を相殺するという、常識はずれな能力を持った
セフィロスを目の当たりにして逃走したクアットロは、
直後になのは・フェイト・はやての3人に発見され、襲撃を受けていた。そこを助けたのが、このトーレだ。
「申し訳ありません、兄貴…貴方のお手を煩わせ、おまけに何の成果も得られず…」
トーレはうって変わって、心底申し訳なさそうにアンジールに謝罪する。
結果的に、あの作戦は失敗もいいところだった。ディエチは損傷を受け、「マテリアル」は手に入らず、掴まされたレリックも偽物。
たまたま戦闘区域にいたから途中参加したとは言え、トーレは姉として責任を感じていた。
「そう気負うな。俺は元々あの作戦に参加していたことだし、俺がもう少し早く動いていれば、ディエチも傷付くことはなかった」
「ですが――」
「おあいこ、だ。分かったな?」
「…はい…」
ならいい、といった様子の表情を浮かべ、アンジールは再び剣に向かう。
目覚めから数週間。アンジールは、ナンバーズの面々に概ね受け入れられていた。
もっとも、ノーヴェだけは「無駄にカッコいい名前がムカつく」と言って反発しているのだが。
アンジールはスカリエッティの期待通り、ナンバーズのよき兄役を果たしていた。
そんなアンジールの元へ、スカリエッティが歩み寄ってくる。
「すまなかったね、アンジール君。ディエチを助けてもらって」
「…ああは言ったが、彼女の負傷は俺の責任だ。感謝されることはできていない」
素っ気なく、アンジールは答えた。
「いやいや、君が出ていなければ、それこそ彼女は死んでいた。感謝しているよ」
スカリエッティの言葉に、アンジールは無言で応じる。
しばらくの間、2人は黙ったままだった。
「…スカリエッティ」
不意に、アンジールが口を開く。そして、真っ直ぐにアンジールの顔を見据えた。
「俺はアンタのやり方が嫌いだ」
「だろうね」
特に気にした様子もなく、スカリエッティはおどけて肩をすくめる。
セフィロスの推測通り、アンジールは彼を好きになれなかった。
自分の実験のために世間を掻き回すという心境が、アンジールには理解できなかった。
「…だが、あの子らは守ってみせる。それだけは確かだ」
「結構結構」
頑張ってくれたまえ、と付け足すと、スカリエッティは彼らの元を後にした。
574片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:07:20 ID:4ATwXmLI
アンジールは黙々と、バスターソードを磨き続ける。
(…また、この剣を手にすることになるとはな…)
彼が両親から受け取った大剣。ミッドガルの守護者たるソルジャーとしての、誇りの証。
スカリエッティの技術力には、感心を通り越して呆れるほどだった。
彼がライフストリームから得たものは、アンジールの身体情報だけではない。
本物のアンジールが生前に使っていたバスターソードの情報まで解析し、そっくりそのまま複製してしまったのだ。
スカリエッティが得た情報の中には、アンジールが身に付けていたもの、使っていたものも含まれていたのである。
彼の服が用意されていたことや、今もマテリアの複製に精を出しているのが、その証拠だった。
(この剣にかけた、ソルジャーとしての夢と誇り…)
それら全ては、あの星へと置いてきた。
それらを引き継げる弟子へと――友へと託した。
(なら、今この剣と共に背負うのは…)
命。
長く苦しい孤独の道を歩み続けた末に見つけた同胞達。
唯一、平静を保てる、「妹達」という居場所。
(俺が)
守り抜くと誓った。
それが、アンジール・ヒューレーの、新たな夢と誇り。
「アンジール兄ぃ〜」
と、奥の方から声が聞こえてきた。
そちらを見ると、あのウェンディが、自分の方へと駆け寄って来ていた。横にはチンクの姿もある。
「ウーノ姉がケーキを買ってきてくれたッス。一緒に食べるッスよ」
そう言いながら、ウェンディが剣を磨くアンジールの腕を引いてくる。
「ああ…悪いが、もう少しだけ待ってくれ。剣の手入れがまだ終わっていないんだ」
「駄目ッスよ〜、アンジール兄も食べるッス〜」
「アンジール様…妹達は皆食い意地が張っておりますから、今行かなければ、アンジール様の分がなくなってしまいます」
しかしウェンディは、彼の腕を離そうとしない。
真面目なチンクまでもが、それを止めようとせずにアンジールを促す。
「…そうだな。なら、行くか」
とうとう折れたのか、ふっと笑みをこぼすと、アンジールはさっと立ち上がった。
「では、続きは私がやっておきます」
自分はもう食べ終えましたから、とチンクが言った。
「いや、お前も来い」
しかし、アンジールはそれを制する。
「え? ですが…」
「いいから来るんだ。剣の手入れは後でいいが、人の輪はそうもいかんからな」
あのザックスに見せた厳つい笑みで、アンジールはチンクの頭を撫でながら言う。
「は…はぁ…」
突然頭を撫でられたチンクは、気恥ずかしさに顔を赤らめながらも、それに従った。
「あーっ! チンク姉だけズルいッス〜! あたしもあたしも〜!」
「分かった分かった」
口うるさく抗議するウェンディをなだめながら、アンジールの手が彼女の頭をわしゃわしゃと掻き回す。
「むぅ〜…チンク姉のはそんなんじゃなかったッスよぉ〜!」
「フッ…それは悪かったな」
そう言いながら、アンジールはウェンディとチンクを伴い、
未知なる世界でようやく出会った、心を許せる「妹達」の元へと歩いていった。
575片翼の天使 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 18:09:55 ID:4ATwXmLI
25日に、久々にギアスSSのクリスマス短編を書いてみたい。
しかし現実は無情、アイデアがなかなか浮かばない…orz

投下終了です。…何かもうシスタープリンセス。
トーレの呼び方が「兄貴」なのは、ヤクザ的な呼び方を狙ってのものです。
…まぁ…ルールーを「お嬢」なんて呼ぶぐらいですし。
今回のを書くに当たって、ちょっとだけスパイラルを下敷きにさせていただきました。
ブレチルがね…何となく、ナンバーズに見えまして
576Strikers May Cry:2007/12/22(土) 18:25:25 ID:t4ezLlxg
GJ!! なんかトーレが舎弟みたいな感じに見える…妹っつうか義兄弟? 杯交わしてる?

クリスマス短編か……俺はDMC3・ガングレイヴOD・シノブ伝のどれを書こうか迷ってます。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 18:26:45 ID:kedI7Dom
>>576
是非とも…是非ともブランドンに幸せを!!!!!
578名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 18:38:43 ID:gGyWR4hm
マジでスカさんメインでモンハンクロス書きたくなってしまった
…使ってもいいですか?このネタ
どうも、皆様お久しぶりです。
盲腸炎により、短期入院する羽目となっておりました……orz
先日無事に退院でき、ようやく復活する事が出来ました。

そういうわけなので、これより13話投下したいと思います。
よろしければ、支援お願いしまする

>>578
すっげ見たいです、肉体派スカさん
580戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 18:47:23 ID:Dt3sxcbC
ハートフルナンバーズ・・・あぁ、なんかほのぼの。
第13話「因縁の襲来」


「レッドギラス、ブラックギラス……よくやったな」

それは、ギラススピンの前にヴィータが敗北を喫してから、少しばかりした時だった。
二匹の双子怪獣を見据えながら、一人の怪しげな男が笑みを浮かべていた。
ヤプールとは違う、しかし同じく邪悪な存在。
男は、己の言葉を待っているであろう双子怪獣へと、新たな指示を出す。

「あの餓鬼の死体を、とっとと探し当てろ。
もし生きているようなら、その場でぶっ殺せ……俺は念の為、陸地を探す。
ヤプールの所まで持っていってやらねぇと、何にもならねぇからな……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「……ヴィータ。
君は今、どう思っている?」

その頃。
ダンは、ヴィータに今どう思っているのかを尋ねてみた。
ミライから聞いた話が正しいならば、彼女は闇の書の守護騎士が一人。
幸いにも自分の正体には気づいていないようだから、捕らえるのは極めて容易である。
だが……ダンは、彼女の捕獲に踏み切れないでいた。
やはり、ミライから聞いたとおりだが……彼には、どうにもヴィータが悪人には思えなかったのだ。
何か強い信念を持って、行動をしている。
大切なものの為、敢えて茨の道を歩もうとしているように見えたのであった。
そして、そんな彼女の姿が……かつての己自身と、重なって見えたのだ。
かつてダンは、地球を守るために、暴走して地球に衝突しようとしたウルトラの星の爆撃を決断した事があった。
己の故郷を捨ててまでも、守り抜きたかったものがあった。
ヴィータはまさしく、あの時の自分と同じだ。

「……勝ちてぇ。
あの二匹と、もう一度戦って……勝ちたい……!!」

ヴィータの答えは、ダンが予想していた通りだった。
やはり彼女は、完全な悪ではない。
もしもこれが卑劣な悪党だったならば、決してこうはしない。
如何なる手段を用いてでもと、考えるに違いない。
だが彼女は、正々堂々と再戦を挑み、そして打ち勝ちたいと願っている。
そしてその勝利は、己の為ではなく……他の、何か大切なものの為にと感じられる。
ならば、ダンが取る行動は決まっていた。
「……あの二匹は、レッドギラスとブラックギラス。
俺も色々あって、あの二匹とは前に何度か見かけたことがある。」
「え……それ、本当なのか?」
「ああ……奴等に勝つ方法だが、無いことはない。
俺の仲間に一人、あいつらと戦って勝った男がいる。」
「!!」

ダンの言葉を聞き、ヴィータは大きく目を見開いた。
ダンは敢えて、敵である筈のヴィータに力を貸すことを選んだのだ。
彼女もまた、何かの正義のために戦っている……自分達と同じ、立派な戦士。
そんな彼女の思いを、無駄にすることはできなかったのだ。
それに元々自分達の任務には、周辺世界の怪獣・超獣の撃破がある。
どの道、レッドギラスとブラックギラスは、倒さねばならない相手だ。

「そ、そいつは一体、どうやってあの二匹に……!!」
「あの二匹を倒すには、ギラススピンを打ち破るのが必要不可欠だ。
あの回転さえどうにか出来れば、奴等自体の戦力はそれほどじゃない……だが、ただ攻撃をぶつけてもあれは破れない。」

ダンの言うとおり、ギラススピンの威力は絶大だった。
最強の一撃であるギガントクラークさえも、全く通用しなかったのだ。
ただ強いだけの攻撃をぶつけた所で、ギラススピンを打ち破ることは出来ない。
なら、どんな攻撃ならば打ち破ることが可能なのか。
ヴィータは息をのみ、ダンの言葉を待つ。
すると、彼から返ってきたのは……単純明快な答えだった。

「ギラススピンを打ち破る方法は一つだけ……同じく、スピンで対抗するしかない。」
「スピン……?」
「ああ……これを見てくれ。」

ダンは荷物袋から、独楽を一つ取り出した。
それを勢いよく指で回転させ、地面に下ろす。
独楽はそのまま回転を維持して、地面に立っている。
その直後、足元にある一本の木の枝を取り……勢いよく、独楽とは逆の回転を加えて独楽に突き立てる。
すると……独楽は、見事真っ二つに割れた。
この光景を見て、ヴィータはハッとした。
スピンにはスピンで挑む。
それはつまり、相手の回転に同じく回転をぶつけて威力を殺し切れということである。
そう……これこそが、かつてウルトラセブンがウルトラマンレオへと教授した、ギラススピンの突破方法。
(独楽があの二匹としたら、そいつを破った枝があたしだ。
独楽の回転がギラスすピンなら、あたしのは……!!)

ギラススピン同様に、回転をかけて敵へとぶち当たる。
ヴィータには、まさしくそれに相応しい技―――ラケーテンハンマーがあった。
これを使えば、双子怪獣に勝てる。
そう思い、ついつい笑みを浮かべてしまったが……直後。
彼女はすぐに、己の持つ最大の弱点に気づいてしまい……笑みを消した。
ラケーテンハンマーによるギラススピンの突破……これには、大きな問題があったのだ。

「……駄目だ。
あたしの攻撃じゃ……あれ程の威力はねぇ……!!」

ラケーテンハンマーとギラススピン。
両者の威力には、結構な差があったのだ。
質量差、回転のスピード……殆どの要素において、ギラススピンが勝っている。
これでは、相殺しようにも不可能だ。
折角勝てると思ったのに、とんだ糠喜びである。
ヴィータは歯軋りし、俯いてしまう。
すると……そんな彼女を見たダンが、真剣な顔つきで彼女へと言葉をかけた。

「どうして、そこで諦める?」
「え?」
「今の自分じゃ敵わないからと、どうして諦めるかと言っているんだ……!!
ここで君があきらめたら、全部台無しじゃないのか!!」
「ダン、さん……?」

ヴィータはダンの言葉を聴き、呆然とした。
先程自分を助けてくれた時の彼は、温厚で優しいといった雰囲気があった。
しかし今の彼には、そこからは考えられない様な、熱い何かが感じられたのだ。
そしてすぐに、彼の言うとおりであると気づく。
敵わないからといって、そこで投げ出すなんて愚の骨頂だ。
今の自分に不可能だというのならば……可能に変えればいいだけの話である。

「……そうだよな。
勝ち目がないからって、逃げ出してちゃ……いつまでも、負け犬のままだ……!!
ありがとうダンさん、やってみるぜ!!」

ヴィータはすぐに立ち上がると、ダンに礼を告げて奥地へと駆け足で向かっていった。
ダンはその背中を見て、つい微笑みを浮かべてしまう。
先程は、つい怒鳴ったが……ああして誰かに接するのは、レオと共に過ごしてきた時以来である。
恐らくは、あの時のヴィータにかつてのレオの姿を、無意識のうちに重ねてしまっていたからだろう。
はたして今の自分を見たら、レオは何というだろうか。

(……本当に、あの時みたいだな。
生憎今は、ジープの様な道具はないが……)

ダンはしばしの間、昔を思い物思いにふけっていた。
この際だから、とことん面倒を見る。
彼女がギラススピン打倒を果たすまで、きっちりと付き合うつもりでいた。
この時、ダン自身に自覚はなかったのだが……彼の心には、かつての熱さが宿っていた。
強敵に打ち勝つため、レオを鍛え上げていたあの頃と同じ……MACの隊長としてのダンが、そこにあった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「うおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

森林地帯の奥地。
その周辺一帯に、ヴィータの雄たけびが響いた。
彼女の目の前にあるのは、とてつもなく巨大な大岩。
その大岩めがけて、強烈な勢いでグラーフアイゼンが叩きつけられた。
この強烈な一撃を受けて、岩は見事砕け散る。
すぐさまヴィータは、飛び散った岩の欠片を手に取り……そして、重い表情で舌打ちをした。

「……駄目だ。
この程度じゃ、まだ全然届かねぇ……!!」

ダンの言葉を受けたヴィータは、今、特訓に臨んでいた。
ギラススピンに打ち勝てるだけの威力を得られるようにと、ラケーテンハンマーの強化に臨んでいたのだ。
あの技の前には、ギガントクラークの破壊力でさえも通用しなかった。
つまりギラススピンに打ち勝つには、最低でもギガントクラーク級の威力は超える必要があるのだ。
先程の一撃は、ロードさせるカートリッジの量を通常よりも増やし、スピードも威力も高めた。
自身の魔力も、とことん集中して高めた。
結果、確かにこれまでのラケーテンハンマーは上回れたが……まだ、足りない。
この程度の攻撃力では、ギラススピンを超える事は不可能だ。

「アイゼン!!」
『Jawohl!!』

再びヴィータは、グラーフアイゼンへとカートリッジをロードする。
グラーフアイゼンの方も、ヴィータの心に答えようと勢いよく返答する。
鉄槌の騎士と鉄の伯爵の意地と誇りにかけて、必ず成し遂げてみせる。
両者とも、そう心に強く誓っていた。
そしてもう一度、ラケーテンハンマーを繰り出そうとする……が。
「っ!!」

その瞬間、彼女は何者かが近づいてくる気配に気づき、とっさに攻撃を中断。
背後へと振り返ると……そこには、見慣れぬ人物がいた。
銀色のマスクで顔を隠している、いかにも不気味な風体の男。
その全身からは、極めて強い殺意が感じられる。
少なくとも……友好的な様子ではないのは、明らかだ。
ヴィータは警戒しつつ、相手の様子を伺う。
すると……その男の右手が、いきなり光に包まれた。

「なっ……!?」
「死ねぇっ!!」

男の右手は一瞬にして、一振りのサーベルへと姿を変化した。
ヴィータはそれを見て、予感を確信に変える。
この男の狙いは、紛れもなく自分自身であると。
男は真っ直ぐに前へと踏み込み、ヴィータの脳天目掛けてサーベルを突き出す。
すぐさまヴィータは防壁を展開し、その一撃を防ぐ。
そして、地を蹴りサーベルの間合いの外まで距離を離した。

「テメェ……何者だっ!!
時空管理局の連中……にしちゃ、何か妙だな。
ダンさんと同じ、この世界の住人か……?」
「答える義理はねぇよ。
ただ、お前が生きてちゃ何かと都合の悪い奴がいるってだけさ……!!」

男はサーベルの切っ先をヴィータへと向け、レーザー光線を放つ。
しかしヴィータとて、ヴォルケンリッターとして多くの修羅場を潜り抜けてきた身。
飛び道具による攻撃がくる事は、予想出来ていた。
とっさに防壁を展開してそれを防ぐと、男との距離を一気に縮める。

「うりゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ちっ!!」

グラーフアイゼンの強烈な一撃が、男の脳天に迫った。
とっさに男は、サーベルを盾代わりにしてこれを防御。
しかし、堪えきるには流石に威力が強すぎた為、後方へと大きく下がらされてしまう。
なるほど、どうやらパワー面では大きく差があるようだ。
とてもじゃないが、真正面からでは楽に勝てる相手じゃないらしい。
ならばと、男はサーベルの切っ先を上空へと向ける。
始末の手段なんて、幾らでもある……まずは、最初の切り札を切らせてもらうとしよう。
「来い!!
レッドギラス、ブラックギラス!!」
「なっ!?」

サーベルの切っ先から、光が迸る。
その光は、海へと真っ直ぐに延びていき……海原の中にいる双子怪獣へと届いた。
雄たけびを上げ、海中から双子怪獣がその姿を現す。
ヴィータはその光景を見て、驚きを隠せなかった。
全てが繋がってしまった。
あの双子怪獣は、恐らくこの目の前の男の使い魔―――あんなに大きな使い魔は始めて見たが―――。
ならば先程の怪獣の襲撃は、確実に自分を狙ってのものだ。
何故自分を狙うのかという問題は残るが……

(……いや、狙われる理由なら幾らでもあんな)

これまで、闇の書の守護騎士として、幾度となくその手を血に染めてきた。
他者の恨みを買う覚えなら、幾らでもある。
目の前のサーベル男も、自分に憎しみを持つ一人なのかもしれない。
ならば、命を狙われるのも納得はいく……が。

「だからって……はいそうですかって、負けられねぇんだよぉっ!!」

ここで命を落とす訳にはいかない。
己の全ては、今の主であるはやてを救う為にあるのだ。
彼女は、戦うことしか出来なかった、破壊の為にしか動くことの出来なかった自分達に、掛け替えの無いもの―――感情をくれた。
その御蔭で、笑ったり悲しんだり……こうして、己の罪をしっかりと自覚する事が出来るようになった。


―――主の命令だから


―――己が闇の書の騎士だから


罪に対する言い訳は、いくらでも浮かぶ。
だが、それでも……罪を犯したのは、紛れも無いこの手だ。
ヴィータは、いや、守護騎士達は皆、己の宿命から逃げるつもりは無かった。
はやてが助かった後ならば、時空管理局の者達に捕まったとしても、抵抗するつもりは無い。
罪を償う必要があることは、十分に分かっているからだ。
皆と仲良く暮らしたいというはやての願いには反するが、これはどこかでする必要がある事だ。
今の自分達には、心がある……これまでに対する罪悪感を、感じることが出来る。
だが、それでも……それまでは。
はやてが元通りになる、その時までは……いかなる敵に襲われようと、負けられない。
「轟天……爆砕!!」
『Gigantform』

勢いよくカートリッジをロード。
グラーフアイゼンを、最強形態―――ギガントフォームへと変形させる。
男はそれを見て、焦りを覚えた。
先程の、彼女と双子怪獣の戦いを見ていたから分かる。
ギラススピンには打ち負けたとはいえ……あの攻撃は、相当の破壊力がある。
まともに直撃すれば、撃滅は間違いない。
回避するには、相手の攻撃範囲が大きすぎる。
防御はもっての外……このままでは、負ける。
男はその事実を即座に理解し、舌打ちする。

「ギガント……クラアアァァァァァク!!」

巨大な鉄槌の一撃が、男目掛けて振り下ろされる。
このタイミングでこの距離ならば、回避は絶対に不可能。
ラケーテンハンマーに耐え切れなかった相手に、これを耐え切る術なんてある訳が無い。
増援の双子怪獣も、この距離からならば何も出来ない。
ヴィータはこの時、己の勝利を確信していた。
だが……その予想が、思わぬ形で裏切られてしまった。

「くくっ……甘いな」
「何だって……?」
「確かに、このままじゃ俺に勝ち目は無い。
だがそれは……『このまま』じゃという話だぁっ!!」

命中寸前、信じられない事態が起こった。
突然、男の体が光に包まれたかと思うと……グラーフアイゼンが、弾かれてしまったのだ。
ヴィータは一瞬よろめくも、すぐに体勢を立て直す。
すると、そんな彼女の目の前には……

「おい……冗談だろ!?」
「ハハハハッ!!
圧倒的だなぁ、おい!!」
(こいつ……アスカと同じ!?
いや、でも……見た目とか、全然ウルトラマンじゃねぇじゃんか!!)
588名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 18:59:43 ID:i7/NMhLH
超久々の支援!
男が、自分の何十倍というサイズになっていた―――巨大化していたのだ。
これが男の、第二の切り札。
体がでかくなれば当然、その分力は増す。
ヴィータのギガントクラークは、巨大化した男のサーベルに弾かれてしまっていたのだ。
相手が等身大だったから、最大限まで巨大化させなかったのが仇になってしまった。
ならばと、巨大化させた上で一撃を打ち込もうとするが……男はそれを許さない。
足元のヴィータ目掛けて、サッカーボールを相手にするかの如く、勢いよく蹴りを繰り出してきた。
ヴィータはとっさに行動を中止、急速離脱して男の一撃を回避する。
だが……男はそんな自分を、全力で追いかけてくる。
いかに最大速度で挑もうとも、相手の歩幅は異常なレベル……振り切ることは出来ない。
これでは、巨大化させるチャンスがない。

(くそっ……!!
どうしたらいい、一体どうすれば!!)
「死ねぇっ!!」
「っ!?」

男が勢いよく、アッパーカットを放つかの様に拳を振り上げてきた。
スピード的には、回避出来ない攻撃ではない。
ダメージを考えれば、防御に回るのは危険極まりないし、これは回避するのが当然か。
そう、誰もが当たり前のように考えるのと同様、ヴィータも考えた……が。
直後に、彼女の中に電撃が走る。

(待てよ……これなら!!)

思いもよらぬ奇策が、彼女の脳裏に浮かび上がった。
目の前の男の虚を確実に突ける、悪魔的奇手。
リスクは相当高いが、成功すれば決定的な一撃を打ち込めるかもしれない。
迷うことなく、ヴィータは動いた。
動きを止め、まっすぐに男の拳へと向き合い……障壁を展開したのだ。
出来る限りの魔力を集中させた、強烈なバリア。
しかし、こんなもので防ぎきれるわけがないと、男はヴィータを嘲笑った。
そして……強烈な一撃が、ヴィータへと叩きつけられた。

「ガハッ……!?」

その一撃は障壁を打ち砕き、ヴィータを宙へと大きく舞い上げた。
ヴィータは錐揉み回転しながら、後方へと吹っ飛んでいく。
男はその様を見て、高らかと笑い声を上げる。
実力の差は圧倒的……まるで象と蟻の戦いではないか。
後2〜3発叩き込めば、ヴィータは確実に死ぬ。
男は勝負をつけるべく、彼女との間合いをつめようとする……が。
「今だ……アイゼン!!」
『Explosion』
「何っ!?」

吹っ飛ばされている最中にあるヴィータは、痛みを堪えつつもアイゼンに命令を下した。
これこそが、彼女の狙いだった。
男との距離を作り、かつ油断させてチャンスを作る方法。
それは、わざと男の攻撃を喰らって吹っ飛ばされるという、捨て身の策だった。
一歩間違えれば、致命傷を負いかねない危険な賭けだったが……辛うじて、それだけは避けられた。
こうなれば、後は反撃に転じるのみ。
ヴィータは最大限までグラーフアイゼンを巨大化させ、その反動で急停止。
男の横っ面目掛けて、全力でそれを叩きつける。

「うりゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「ぐっ……うぐううぅっ!?」

自分の顔面よりも巨大な破壊槌。
それをまともに横っ面に叩きつけられたとあっては、堪ったものじゃない。
男は地面に倒れこみ、顔を押さえて悶え苦しむ。
痛いなんてレベルの一撃ではない。
身に着けているマスクには、見事に皹が入ってしまっている。
男はその瞳に憎悪を宿し、ヴィータを睨みつけた。
何としても、必ず殺す。
そう言わんがばかりの剣幕であった……が。

「まだ終わりじゃ……ねぇっ!!」
「うおおぉっ!?」

そんな男の目の前にあったのは、グラーフアイゼンの巨大な面だった。
ヴィータは倒れこんでいる男目掛けて、追撃の一打を振り下ろしにかかっていたのだ。
男はとっさに横へと転がり、その一撃をギリギリ回避。
何て真似をしてくれる。
男は大きく舌打ちし、そしてすぐに飛び起きた。
そのまま、その勢いに乗せ……真っ直ぐにサーベルを突き出した。
サーベルは、グラーフアイゼンの丁度真芯にぶち当たり、ヴィータはバランスを崩してしまう。
そして、次の瞬間……男はそのまま、零距離で光線を放出した。

「うぁぁぁっ!!??」

中規模の爆発が起こり、ヴィータを大きく吹き飛ばした。
そのまま彼女は、強烈な勢いで地面に叩きつけられそうになる。
ならばと、ヴィータはすぐに魔力を集中させ、そのダメージを緩和させようと試みた。
だが……その瞬間だった。
そんな彼女の背後に、何者かが現れた。
その気配を察知し、とっさにヴィータは背後へと振り返ると……そこには、先程出会ったあの男がいた。
「えっ……ダンさん……!?」
「っ……大丈夫か、ヴィータ?」

男―――モロボシ・ダンは、ヴィータをしっかりと受け止めた。
ダンは上手く踏ん張りきり、受け止めた際の衝撃を殺しきっていた。。
そしてその後、ゆっくりとヴィータを地面へと降ろす。
予想外のこの救援には、流石にヴィータも驚きを隠しきれていない。
だが、助かったのは事実……彼女は素直に、ダンへと礼を言う。

「ありがとう、ダンさん……助かった。
あたし、助けられてばっかだな……」
「何、気にするな。
困ったときはお互い様なのだからな……それに、それだけじゃない。
君と奴とが戦っているのならば……尚更だ。」
「えっ……?」
「やはり、現れていたか……マグマ星人!!」

ダンはヴィータの話を聞いた時から、ある予感がしていた。
この世界にレッドギラスとブラックギラスが出現したのは、間違いなくヤプールの仕業である。
しかし……現れたのは、本当にこの二匹だけなのだろうか。
ダンには、そうは思えなかった。
何故ならば……かつて己があの双子怪獣と相対したとき、二匹の側には常にもう一つの存在がいたからだ。
双子怪獣を操る、言うなれば司令塔ともいうべきある侵略者の存在が……
それこそが、目の前にいる男―――サーベル暴君マグマ星人である。
ダンはヴィータと別れた後、愛馬の世話を終えてから彼女の様子を見に行こうとしていた。
そんな最中で、巨大化したマグマ星人の姿を確認し事態を察知。
嫌な予感が的中してしまったことに悪態づきながらも、すぐさま駆けつけ……今に至ったわけである。

「……俺を知っている?
テメェ……何者だ?」
「お前とは、初対面という事になるな。
……以前に一度、お前の仲間と戦った事があるんでな」
「何だと……?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。
話が分かんねぇんだけど……ダンさん、奴を知ってんのか?」
「ああ……サーベル暴君マグマ星人。
あの双子怪獣を操っている張本人で……極悪な侵略者だ。
俺の仲間も、奴等に故郷を滅ぼされた……!!」
マグマ星人は、セブンにとって因縁の相手の一人であった。
大切な教え子であるレオと、その弟アストラの故郷を滅ぼした張本人。
そして、自分の足を折り……セブンへと変身する力を封じ込めた、忌まわしき敵。
何としても、この男だけは倒さなくてはならない。
この手で打ち倒さなければ、気がすまない。

「ヴィータ、下がっていろ。
あいつは……俺が相手をする。」
「相手をするって……無茶だ!!
ダンさん、あんた一体どうやって奴と……!!」
「……生憎、俺も君と同じで人間じゃないんでな。」
「……え?」

ヴィータはダンの言葉を聴き、己の耳を疑った。
彼の言葉が意味することは、彼は自分の正体が魔力プログラムであるという事に気づいていたという事。
そして……彼自身が、人間ではないということである。
一体どういうことなのか、ヴィータはそれを問いただそうとする。
その瞬間、ダンは懐に手を伸ばし、ある物を取り出した。
真紅のカラーリングで縁取られている、特徴的なゴーグル。
ウルトラセブンへと変身する為の道具―――ウルトラアイ。
本来、己がウルトラマンであるという事実は、隠さねばならない事だが……状態が状態である。
この場を乗り切るには、やむを得ぬ事……何より、己の手で決着をつける為にも。
ダンは覚悟を決め、それを掛け声と共に装着した。

「デュアッ!!」
「っ!?」

装着と共に、ダンの身が光に包まれる。
その眩さに、マグマ星人はとっさに目を閉じてしまった。
しかしヴィータは、目を完全には閉じず、ダンの姿を懸命に見ようとしていた。
すると彼女は、信じられない光景を目にした。
ダンの全身が、顔を中心にして次々に変化をしていく。
その姿は、ヴィータにある人物を連想させた。
所々違う所こそあるが、それでも……どこか似ている。

「ウルトラ……マン……?」

やがて光が消えた時、そこには一人の戦士が立っていた。
それは、変身を果たしたダン―――ウルトラセブンであった。
ヴィータはその姿を見て、その独特の雰囲気を感じて、その正体を直感した。
彼が……ダイナやメビウスと同じ、ウルトラマンの一人であると。
ならば、彼が自分を知っている理由は一つしかない。
彼は……メビウスの仲間である。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:05:42 ID:i7/NMhLH
紫煙!
「ダンさん……一体、なんで……!!」
「……すまんな、ヴィータ。
騙すような真似をしてしまって……マグマ星人!!
お前の狙いは一体何だ……何故、ヴィータを狙った!!」
「ウルトラセブン……!?
どうして、テメェがこんな……くっ!!」

マグマ星人はとっさに地を蹴り、後方へと大きく下がった。
流石に、ヴィータとウルトラセブンの二人を一人で相手にするのは危険。
ならばと、彼はすぐ近くにまで来ていた双子怪獣と合流を果したのだ。
これで3対2、数の上では勝っている。
それを見て、ヴィータはすぐに空中へと飛び上がり、相手と高さを合わせた。
確かにセブンの事は気になるが、今はそれどころの状況ではない。
目の前の三体が強敵であることは、直に戦ってみたからよく分かっている。
まずは、彼等を打ち倒さなければどうにもならない。
そう思っての行動だったが……直後。
セブンが、そんな彼女の前に手を出し、その動きを制したのだ。

「ダンさん!?」
「……ヴィータ。
奴等は俺が一人で食い止める……君は特訓を続けるんだ。」
「なっ……!?
ちょっと待て、一体何言ってんだよ!!
そりゃ、あんたの実力は知らないから何も言えねぇけどさ……!!」
「そうじゃない!!
……俺では、奴等のギラススピンは……破れないかもしれないんだ。」
「え……?」

セブンの言葉を聞き、ヴィータは己が耳を疑った。
自分の力じゃ、ギラススピンには勝てない。
そんな馬鹿なと、思わずそう言いそうになってしまった。
何せ彼は、ギラススピンの突破方法を知っている。
ならば勝てる筈だと、そう思ったのだが……すぐに、ヴィータはそれを否定した。
この状況で嘘をついて、彼に得があるわけが無い。
言っている事は全て、本当のこと……彼はギラススピンを破れない。
だから……自分に打倒を託したのだ。

「……ダンさん。
あいつら、どれくらいもたせられそうだ……?」
「分からん……だが、やれる限りの事はやるさ……行け、ヴィータ!!
俺達が話している間にも、時間は過ぎていくぞ!!
行けぇっ!!」
「……!!」

セブンの言葉を聞き、ヴィータはそれ以上何も言わなかった。
目の前の強敵を打ち破れるか否かは、全て自分の手にかかっている。
ここで尚も、とやかく言っている時間などないのだ。
彼の意思を無駄にしない為にもと、すぐにその場から離れていく。
全ては……自分が成さねばならぬ事なのだ。

(でも、まだあたしには……いや、駄目だ!!
そんな事を考えちゃ……何の為に、ダンさんはあたしに全部託したんだよ!!
……やってやるさ。
絶対、やってやろうじゃんかよ……!!)
595名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:11:55 ID:20VZ7VlH
GJ過ぎるだろ…常識的に考えて…
なんかもうナンバーズ可愛いよもう。
というかなんか既視感あると思ったらそうか、シスプリか…
アンジールテラウラヤマシス
セフィロス見た動揺とか無かったですね。次回以降にでしょうか。
また次回に期待です。
596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:15:24 ID:20VZ7VlH
割込んですいませんorz
支援
以上、投下終了です。
支援してくれた方、ありがとうございました。


さて、以前のゾフィーvsバードンのリベンジマッチ(なのはとメビウス付き)に続き、セブンvs足ぶち折り組の戦いとなりました。
敗北した過去を払拭すべく、セブンにゃヴィータと共に決死の覚悟で挑んでもらいます。
次回は皆さん予想している通り、StSにて披露したグラーフアイゼン最強形態の出番となります。
それ以外にも、色々とSSの核心部分に迫るつもりですので、お楽しみにしていただければ幸いです。


そして最後に。
レオ本編並の凄まじい特訓を期待していた方々、申し訳ありませんでした。
アレをヴィータに対してやるというのは、やっぱ色んな意味で無理でした。
ダン、ゲン相手の時でもまだアレだったけどさ。
見た目幼女なヴィータにあんな特訓やっちまったら、マジにやばいことになるってば……(−−;
598名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:25:25 ID:jBp21bZ1
そろそろ次レス?
599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:26:07 ID:i7/NMhLH
GJっす!
まあ確かに、子供相手にあんなのやったら・・児童虐待として起訴されるしな。
600名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:29:22 ID:i7/NMhLH
えっ!もう次スレの季節なの?はえーなおい・・・
601名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:36:26 ID:DqkhDdot
わりこみを失礼。
>>576
私はDMC3が読んでみたいです……。
602戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 19:36:29 ID:Dt3sxcbC
>>597
お疲れ様です。
セブンがとんでもなく「漢」に見えたのは俺だけ・・・?
603名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 19:45:43 ID:20VZ7VlH
GJです
しかしダンのかっこよさが異常過ぎる
勝てないと分かっている相手に、仲間のために時間を稼ぐため戦う…
少年漫画のまさに王道ですね。熱過ぎるぜセブン
604戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 20:08:31 ID:Dt3sxcbC
とりあえず書きあがったから20:10になったらホンダム投下してみようかと思います。
ただでさえ慣れてないのに戦闘シーン入れたから皆様の目で見たらいろいろと変になってるかもなぁ・・。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 20:09:21 ID:kedI7Dom
スレ、持つかな?
次スレが立ってからの方がよくね? あと10kくらいしかないし
606戦国の鉄の城:2007/12/22(土) 20:10:20 ID:Dt3sxcbC
うぬぬ・・・じゃあしばらく待つことにします。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 20:14:51 ID:kedI7Dom
誰も立てる様子がないので、スレ立てに逝ってみる。
608名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 20:17:08 ID:i7/NMhLH
逝ってらっしゃい。
609607:2007/12/22(土) 20:18:28 ID:kedI7Dom
たった
リリカルなのはクロスSSその31
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1198322265/
610名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 21:12:02 ID:hFDeTM4q
>>576
ガン・グレイヴクロスが見たいです。宴会芸でのグレイヴの早撃ちに期待w
611反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 21:19:50 ID:MODc8x/y
>>576
いいこと思い付いた。
いっそ全キャラを一同に会させてパーティーを開くんだ。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 21:21:03 ID:OmdBEV8C
なんというカオス・・・・・・・
613Strikers May Cry:2007/12/22(土) 21:22:07 ID:t4ezLlxg
えっ!? つまりグレイヴの撃つ銃弾をバージルが斬ったり、音速丸が全女性陣にセクハラしたり?
614名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 21:24:31 ID:hFDeTM4q
すごく・・・いいです・・・。
615反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 21:25:32 ID:MODc8x/y
…俺は恐ろしい入れ知恵をしてしまったかもしれん…
クリスマスまでに間に合うならで構いませんが、期待してますよ
616節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2007/12/22(土) 21:30:08 ID:zr88Y2AS
>613
王子が転がした事で男の塊魂となった音速丸が宇宙放射線病を煩い、シャマルゥの痛い注射が針モグラ。
グラーフアイゼンがどう見ても轟天号ですさやうなら?
617名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 21:32:45 ID:hFDeTM4q
>>613
ナンバーズとシグナムとヴィヴィオに手を出したら、銃弾と剣戟の嵐が音速丸に・・・
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 21:34:09 ID:dxXSpMIZ
つまり、作家陣がリレー形式で、これまで公開された全SSの登場キャラ参加のどんちゃん騒ぎを書くんですね!


・・・・うん、普通に無理かw
619Strikers May Cry:2007/12/22(土) 21:38:22 ID:t4ezLlxg
登場キャラが多い方は大変ですよ…それは。

とにかく書くとしたらタイトルはStrikers May Cry×Brother Of Numbers 音速丸は二度死ぬ!
なんてどうでしょう?
620節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2007/12/22(土) 21:39:01 ID:zr88Y2AS
>618
どのみち下がる柊。

(女運が)下がりようのないサスケと、
(セリフの量が)更に下がったザフィーラ。

「あ、ウチの体重も下がったで♪」
621名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 21:50:04 ID:BoQQF+2F
銀さんはどう絡んでくるでしょうか?
やっぱ酔った勢いでなんかdでもないことやらかしますかね?
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 21:53:08 ID:/32ithf6
>618

灯室灯「……料理は私が作る」
623反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 21:57:26 ID:MODc8x/y
>>618
いっそ忘年会か新年会にやりましょうぜ!

ギアスで色んな人に命令するルルーシュとか、
バージル、蒼紫と刀について語り合うセフィロスとか!
更にこの状況がハルヒ(ティアナの憂鬱出演)の願望によって作り出されたとかも…
624スーパーロボット大戦X:2007/12/22(土) 21:59:04 ID:pCRjGdHd
>>618
難しいかもしれませんが、やってみたいですね。
でも俺の場合はスパロボキャラだけだけど大丈夫かな?
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 22:01:27 ID:OmdBEV8C
>>623
何故かノリノリでネヴァンを掻き鳴らす長門とか
626×DOD:2007/12/22(土) 22:01:55 ID:ePVDSMey
どうしろと言うんだwww
627Strikers May Cry:2007/12/22(土) 22:03:45 ID:t4ezLlxg
いや〜それはいくらなんでもカオス過ぎでは………っていうかまだネヴァンはまだどの作品にも出てないのだは?
628節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2007/12/22(土) 22:13:33 ID:zr88Y2AS
>622
誤字発見、さすがきくたけキャラ。
正しくは『緋室灯』ね。

……スポンサーが茶魔か。
629反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 22:21:14 ID:MODc8x/y
はぅあ!
…姐さんを取り合うバージル(SMC)と大介(StS+ライダー)という事態が…

…とにかく、スバルはルルーシュの嫁という一択みたいでよかったよかった
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 22:29:54 ID:U1jLkEdw
>>625
何故かレズのかほりがする・・・
631名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 22:32:10 ID:dxXSpMIZ
みんなノリノリですねー。期待しちゃいますよ?ww

>>630
ああ、脳内風景が一瞬にして百合の花咲き乱れる花園にwwwww
ミライ達は、平和にほのぼのやってそうだなぁ……


ウルトラの父、ソリに乗って襲来か
633リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/12/22(土) 23:12:54 ID:htYlLCrm
>>618
難しそうだけど楽しそうだな…
自分的に二部「機動六課サイド」主人公を出したいかも(風当たり強そうですが)
634反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/22(土) 23:32:01 ID:MODc8x/y
ロボゲ板なんかではそういうスパロボキャラでネタリレー小説やるスレも2〜3ありますし、
やろうと思えばできないこともないと思いますよ〜

…たっぷり4〜5日は開催期間持った方がいいですけど
635なの魂の人:2007/12/22(土) 23:38:07 ID:7gh3hSwk
とりあえず、鍋パーティだけは絶対やっちゃいけないと思うんだ
636名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 23:42:59 ID:OmdBEV8C
鍋奉行:天道、はやて、ルルーシュ
材料切断:バージル、セフィロス、シグナム
食い続ける人:スバル、ダンテ

未知の食材を投入しようとする人:シャマル、五代
637名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 23:43:26 ID:U1jLkEdw
>>635
いったいどんだけデカイ鍋が必要に(ry
とりあえず部屋が戦争になることは目に見えてそうです
638名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 23:53:28 ID:+lu9HM8Y
あとスレ存続のためのてこ入れも禁止だね。
639反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2007/12/23(日) 00:00:14 ID:MODc8x/y
もうちょい追加

鍋奉行:天道、はやて、ルルーシュ、ハルヒ、万丈目、ホウメイ
材料切断:バージル、セフィロス、シグナム、長門、キリヤ
ガツガツ食い続ける人:スバル、ダンテ、こなた、十代、剣山、銀時、神楽、ヒョウウン
未知の食材を投入しようとする人:シャマル、五代
まともな雰囲気で食べる人:つかさ、みゆき、エリオ、キャロ、クレハ
ツッコミ担当:ティアナ、かがみ、新八(便宜上)

…さて、実際に開催するか否かも含めて、続きはウロススレで話し合うか
640名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 00:05:13 ID:x/1YNCou
ちょ、ツッコミが唯一のとりえな新八が「便宜上」の担当にランクダウンされとるwww
641名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 00:15:08 ID:89/GhD10
スカ博士INモンスターハンター世界って結局続くんですかね?かなり楽しかったので
気になってます。あれを見て触発された人もいるみたいですし。
面白かったので、どんな形でもいいから続いてほしいなと思ってしまいました。
フェイトに『このフルフルがッ!!』っていってほしいです。
642名無しさん@お腹いっぱい。
>>640
そんな事より、リリカルなのはスレなのに、名前を挙げてもらえなかった魔王と雷天然娘に哀れみを感じてやれwww