あの作品のキャラがルイズに召喚されました part93
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part92
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197557100/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ __ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 `ヽ . ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
l lf小从} l / ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!
_
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
{ {_jイ」/j」j〉 これ以上だと投下できないそうです。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
⊂j{不}lつ ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
く7 {_}ハ> ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
‘ーrtァー’ ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
とにかくスレタイ、テンプレ以上に空気よめ。
後、荒らしにレスする奴も荒らし。
べ、べつに
>>1のために乙するんじゃないんだからね!
このスレのために乙するだけなんだから、カンチガイしないでよ!
けど忠誠には報いる所も必要よね……そ、そのっ……
>>1、スレ建てお疲れ様。
>>1スレ立て乙
…とりあえずギスギスした雰囲気はイヤだし
ある程度までは喧嘩腰は無しでいきたい自分
はいはいスルースルー
最下層スレを張るやつなんて大嫌いだ
痛いなぁw
ヲチとか言ってる奴らってのはどうして皆こうなんだ?
前スレ投下終了。
ヨーロッパ貴族生活のダルさは異常。ハルケギニアの皆さんがスゲー健全に見える。
まぁ本筋にはゼンゼン関係無い、考察スレ向けのネタなんだけどナー。
>>12 GJ!
普通に貴族文化面白かったよ
気を使ってベッドで待ち続ける貴族に吹いた
えらく可愛らしいなおいw
やっぱ総悟召還したらどSコンビ決定か・・・
やばい、ワルドとオスマン、ギーシュがかわいそうになってきた
メディチ家とか
こあい貴族もいいな
いまだと、チェーザレ・ボルジアが漫画になってるし
=規約違反=
●規約違反はBANリスクを織り込んで自己責任の範囲で犯してもよい。
だがやはりせっかく楽しむためにプレイしているのであるからリスクを犯したくないものが大半であろう。
そこで活用すべきが違反しているフレを利用することである。フレが違反していようとも自分が違反していなければ自分は違反者ではない。
よって違反者のフレは大切にするべし。BANリスクはすべてフレにその恩恵は自分に。テイクオンリーの精神である。これはあらゆるMMOに通用する屁理屈である。
フレに限定せずとも所属国単位で考えるのも大事。RMトレーダーが多いといわれる国を積極的に選ぼう。
●以上に異存があったら勝手に直せ。
煽るだけなら黙ってろ 。
NG設定を使えスルーしろ。よって一人の書き込みが迷惑になったり他人を不快にさせることはない。すべては閲覧者の知能レベルの問題。
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:18:13 ID:ZcM5AOWn
=仕様とバグの違い=
●仕様は利用する目的で用意された想定内の機能、バグは想定外の動作を言う。
バグの利用は規約違反でも仕様の利用は違反ではない。
ただしプレイヤーレベルではバグをバグであるという判断はできない。またしてはならない。
「公表されたバグ」のみ、プレイヤーはバグであると初めて判断できる。よって公表されていないいかなる動作もプレイヤーが活用するのは自由である。
バグとは違い、可能な行動を仕様であると判断する事はプレイヤーレベルでもできる。
また一ヶ月以上放置される可能な行動はすべてバグではない。バグは一ヶ月以内に必ず修正される。
今までの例で行くと公表されたバグは商館ワープただひとつ。これも仕様に限りなく近かったが。というのも利用して稼いだ資金の没収はあったがBAN者は一人たりともでなかった。
もちろん難破ワープは仕様。仕様の隙はどんどん突くべきである。その仕様の隙が埋められて以降、隙をついた真価が発揮される。オンラインゲームは
人の目を気にするゲームではない。他人はNPCと考えよ。
複アカにしてでもできる限り冒険交易生産海事となんでも一人でやりきる事。如何に自己満足できるかがオンラインゲームの醍醐味である。
18 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:18:44 ID:ZcM5AOWn
=レベル上げ=
●冒険レベルは基本的に採集で上げる。
マクロに抵抗があるにしてもクリックカチカチやるのはアホだからあやつりマウスで
自動設定しよう。モニターの前でGM対応できれば違反ではない。 あやつりマウスは行動回復まではどうしてもラグで出来ないのでマクロより精度は低い
よって違反性は最も低い採集自動化ツールである
●海事レベルは普通にやると人とつるむのが高効率という糞仕様だが機雷+砲撃ならソロに耐えうる。
ttp://www11.atwiki.jp/dol/ プレイの基本はここ参照。レベル52までは機雷中心で。 52で戦列に乗れたら士官からの依頼でまず砲術速射水平弾道カンストさせること。
それ以降は南米で機雷+砲撃。機雷+砲撃はPKにも強いのでお勧め。
●白兵軍人の戦闘レベル上げはセレベス海のブギスをソロで狩れる環境さえ整えれば65まで安泰。
通常弾防御が必要になってくるが副官選びの幅が狭くなる。
そこで副官使い捨てをするとよい。通常弾防御はレベル上げ海事にしか使わないスキルである
19 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:19:14 ID:ZcM5AOWn
=投資=
●投資は@大投資戦で貢献記を得る為A同盟港の影響を削る為の2つの目的で行う。
影響度を得るものと考えてはならない。
よって貢献記を得る目的ではない場合、2アカウント以上別国キャラの2キャラ以上で行わなければならない。
●効果のある投資は2アカ10Gから3小国同盟港に対してのみ。それ以外はただの浪費。大国同士の投資戦は控えよ
=陸戦=
●陸戦は2アカで盾キャラは剣、後衛キャラは投擲を使え。 投擲も狙撃術も射程は同じ。狙撃術は存在する意味がない罠スキル。
地図獲得率アップ称号は冒険者のみの可能性があり銃は避けるべき。 冒険者のみでなくとも損はしない。 そもそも狙撃術はコルトという
罠服やブリーチローダー式射撃銃と言った罠銃に代表されるように 光栄が意図的にプレイヤーをはめようとしている。 狙撃術は使うべきでない。
銃士最強銃カラバイン銃の最高で49という攻撃力の低さと銃器強化法NPCの無意味に低い遭遇率、攻撃力100のブリーチローダー銃は商人専用という糞仕様 銃士転職クエの無意味な難易度の高さが問題。
20 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:19:51 ID:ZcM5AOWn
=生産=
●副官料理のメリットは数値が手軽に上がる=これまでの半端スキルもち当たり副官も簡単に解雇できること。
使えないと思ったらどんどん解雇することが大事。結局はためらった時間を無駄にすることとなる。
●一般料理は今更書くことは無いが副官料理の生産法は抑えておく事。基本は副官料理6種枠を
銀行に取る事。
抑えるべき材料は鮭、エビ、カニ、ヤリイカ、木の実だが鮭とヤリイカを釣るための釣りスキルがあれば後はPFで容易に手に入る。
採集があればマン島やオポルト南、ジブラルタルでカニエビも手に入るのだが集中的に手に入るポイントがないのが難点。PFで出しておくとエビカニは相互変更が効くので非常によい。副官料理の在庫が減ってきたら販売員から材料を地道に入手する事。
販売員
ttp://gvo.gamedb.info/wiki/?dishesSales 〇航海長料理 材料に鮭が必要。最終的に航海長料理の数は釣った鮭の約3倍に膨れ上がる事に注意する。
〇見張り料理 交易品のみで作れる子羊のカブ煮込みが兵長料理と共用。
〇主計長料理 エビを使う。エビの約1.4倍が出来上がる。
〇倉庫番料理 木の実。出来上がりは木の実の約1.4倍。
〇兵長料理 特に無し
〇船医料理 ヤリイカ3とカニ1。ヤリイカの約半分カニの1.4倍が出来上がる。
●大砲生産はイスパキャラバルパルが基本だが、通常品と低攻撃力名匠はまとめて店売り。
回転効率を上げて火器取引熟練を稼ぎ ロットと鉱石火薬香辛料利益で赤字を補填する。 火器取引カンストまではノーマル品で稼ごうと考えない事。
高攻撃力名匠を商売用又は使用用とする。 通常品をバザーで売るのは時間の無駄熟練稼ぎの無駄。鋳造はイングの小型砲特殊砲ハイペリエ砲、
工業品取引上げ効率、イスパのカロネードキャノン砲、火器取引上げ効率と得意分野が住み分けられていることもあり 2アカでイングイスパキャラを組
む基本も抑えておきたい。つまりはイングキャラで工業品取引を鍛えイスパキャラで火器取引を鍛える事で効率の良い鋳造を行う事ができる。
21 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:20:22 ID:ZcM5AOWn
=副官=
●軍人の場合抑えるべき副官スキルは二連弾防御、妨害、奇襲、積荷強奪、拘束、軍人に徹するなら更に通常弾防御。
そして出来るだけの砲術系スキルがある兵長副官と操舵と回避を入れたできるだけ多くの使えるスキルがある見張り副官。
船医は海事においてメリットの少ない死にポジションである。二連弾防御はご存知のとおり大海戦におけるキャノン砲の打ち合いを有利に進める。
一般的な対人艦隊戦では通常弾は糞である。妨害は浸水や白煙弾を防ぎ対クソPKの強奪書も防ぐ。奇襲と積荷強奪は軍人で稼ぐなら常識。拘束は白兵系スキル上げ効率を上げる。通常弾防御は対NPC効率を飛躍的に高める。
●例は兵長エルナン見張りランスロット、強奪拘束の兵長ジョルジョ+通常弾防御副官。通常弾防御は捨てても良い。
●商人の場合優先すべきスキルは積荷を守る防火積荷整理、生産の場合各種生産補助。
次に各種取引。複数アカウントならば移動キャラに航海長ホルフィーナをつけると防波防風が効いてよい。ホルフィーナは煙幕弾防御も覚える優良副官。これがあると斥候クエでの白兵スキル上げが普通にやる奴にドアホと断言できる効率で上げられる。
●防火と積荷整理を持つのは倉庫ハンスだけ。他は目的によって選ぶアルヨロシ
●副官の初期育成は家畜商になり副官料理(999+α)×6種をもってジャカルタに輸送艦で行き羽毛で交易レベル10又は12まで上げるのが基本。低レベル時料理使用で使わんボケと数値に差がつく。
●副官羽毛育成の帰りは主計配置して航海。アンボイナで香辛料を積み帰るとよい。初期日数ボーナスも羽毛後の主計長配置なら
最初から効率よく消費できる。 日数ボーナスを主計で効率よく使い切ったら冒険や戦闘レベルを料理使いながら上げていく。
当たり副官をひけば合計レベル20程度でどれか又は複数項目で100達成できる。はずれでも人並み以上の数値になる。レベルアップ毎の料理20回使ったときの数値アップ率は85%。
●副官室は必ず使え。レベル38でスキルを覚える副官の場合、経験にして380380軽減、レベル40の場合442800軽減。副官室はあることが標準と考えよ。
22 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:21:02 ID:ZcM5AOWn
=海事スキル=
●造船スキルを上げる場合距離効率ロット効率でマニラが最強。 マラコタカログ語と造船カンスト資金約220M用意してマニラに篭れ。
●造船修行において一般にマニラでローズウッド増量449商用サムブークが良いとされるのは ロット効率が最大であるから。
倉庫がロットですぐ溢れるためロットとその派生アイテム処分効率を織り込むと 時間効率がかなり落ちる。
また造船の作業量が増える事も馬鹿にはできない。時間効率作業効率はもちろんマニラでデフォルトサムブーク造船が最もよい。 好きに選ぶが良い
●収奪スキルを上げる場合の船は先制攻撃をつけた重ガレアス1択である。
船員ダメージを極限まで抑えるのが白兵海事効率を飛躍的に上げるコツである。 相手がジーベックでも白兵スキルを使われるとダメージを
受けるものである。
積荷強奪が必須である事は言うまでもない。
拘束もほしい。よって白兵海事副官は兵長ジョルジャ。
アラビヤンガレーで機動力を生かし数をこなそうというのはアホの浅知恵。 貧乏人はロワイヤルでも仕方ない
●頑張って白兵スキルあげるのはいいんだが妨害スキルの伴わない白兵スキルは糞。
白煙弾と破壊の大錐すら防げない時点で白兵は負け確定。
●回避上げはリオデジャネイロの海事クエ不可解な穴が主流だが 東南アジアのジャンピ前から北の陸地北西沿いに腐るほど沸くパジャマビト艦隊も
火炎砲で手軽かつ射撃速度がド気違い速度なのでよい
●不可解な穴での回避上げは風向きがコロコロ変わるので2アカを使い 逆風に強い補給船で牽引しよう
補給船は資材満載にして耐久最低を保ち戦闘開始後即撃沈させる事。 まあソロ環境でもやれないほどではない。
基本中の基本だが戦闘中は食料水なしでも疲労は上がらない。
●回避上げるなら用心棒。まちがっても斥候とか船大工で回避上げしてはいけない 理由ぐらい自分で考えろドアホ!
23 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:21:32 ID:ZcM5AOWn
=専用艦用スキル3種=
●航行技術、管理技術、兵器技術は必ずスキル枠にデフォルトで織り込むこと。
必要になってから覚えてランク上げるのでは能がない。新専用艦スキルは誰よりも先に使える方が良い。
●兵器技術は造船ランクが低い船ほど良く上がる。
ttp://www11.atwiki.jp/dol/pages/116.html 最効率は輸送用ガレー☆☆☆+専用艦スキルで艦隊に寄生。沈んでいても経験は入る。ソロなら重ガレー最強。
コルヴェットよりは砲4の作戦用重ガレーをつかえ。 波が高ければコルヴェット。
●航行技術は覚えれば勝手に上がる
●管理技術上げはマスリ⇔ッタ往復タフタ織り最強。
カテ3で満載にしながら往復しろ。糞PKがいたら青ゾーン内で。
カテ2があるならベルゲン石像ブーメラン、ないならオスロ−コペン、オスロ-リューベッグは資金効率でオスロ-コペンを上回るが時間効率が落ちる。
●大海戦で付けるべきオプションは修理支援>司令塔>対砲撃装甲>強化舵。司令塔は一人が付けていればよいという考えは捨てろ。
●通常時付けているべきオプションスキルは副官室>高層見張り台>防火壁。副官を4人育てきるまでは副官室を欠かせてはならない。
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:22:13 ID:ZcM5AOWn
25 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:22:52 ID:ZcM5AOWn
お前レジ打ちのおばちゃんの派閥争いに巻き込まれた学生バイトの気持ち考えたことありますか?
決めつけが好きなクソばかりなのでお菓子をもらっただけで相手の派閥についたことにされて好き放題叩かれてマジで殺す
これからは派閥争いはババアだけでやれよそれすらも守れないやつは粗大ゴミでFA
マジで山にかなぐり捨てんぞ
部長のおやじギャグはまさしく鬼の力と言ったところかな
冷気をまとってとぶさまはまさに最強の一文字につきるしかもついに最新のネタの具現化が実現!
ネタ爆発させる事によって仕事をしているのにもかかわらず「お前そこにいたのか・・」と歩み寄るさまは我々に恐怖を与え我々は家にしか逃げる場所はないのだが
ここもすでに訪問の射程内
我々は会社から逃げ出したそうにしてるが職がなくなるので前門の虎前門の王神状態でなす術なしだしな
はっきりいって我々は部長に踊らされている可哀相な一般人
あんな氷でできたギャグで笑わせられるわけがない
しかし権力もみた感じ部長が圧倒的に上で詩かもハゲだから勝てる要素ない
俺は睡眠を使い手なんだが相手が残念な事に鼾を使ってきたので「お前それで良いのか?」と言うと「何いきなり話かけて来てるわけ?」と寝言われた。
俺の親父がいびきの熟練者なのだがおれはいつも寝れないから俺が気の毒になったので聞いただけなんだがむかついたので「お前添い寝でボコるわ・・」と
言って就寝直後に力を溜めて前添い寝したら多分リアルでビビったんだろうな、、ガード固めてたからキャンセルしてカカッっと添い寝しながら小便したらかなり青ざめてた
おれは一気に空中にとんだんだけど硬直してておれの動きを見失ったのか動いてなかったから悪い寝相でカ180度回転した上についげきの屁でさらにダメージは加速した。
わざと距離を縮め「俺はこのまま熟睡でもいいんだが?」というとようやく必死な顔してなんか布団のはしっこから蹴り出してきた。
おれは脛殴打で回避、これは一歩間違えるとカウンターで大ダメージを受ける隠し技なので後ろの地縛霊が拍手し出した。
俺は「うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り」というと地縛霊は黙った
必死にやってくるが、時既に時間切れ、夢遊病を固めた俺にスキはなかった
たまに来る下段ガードでは防げない攻撃も鼻くそタッチで撃退、終わる頃には無呼吸症候群でズタズタにされた親父がいた
26 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:24:15 ID:ZcM5AOWn
エロいなくの一さすがエロい
拙者これでくの一好きになったなあもりにもエロすぎるでござろう?
ttp://www.game-style.jp/soft/200603/13/01ksa02.jpg ttp://www.digiket.com/cg/3/ITM0003819_1.jpg ttp://yariho.net/public/dosu/dosu_51.jpg ttp://www2.famille.ne.jp/~tukubane/image10/kumo2.JPG >>277はいきなりスネークに後ろから気絶させられる雑魚兵の気持ち考えたことありますか?
マジでぶん殴りたくなるほどむかつくんで
止めてもらえませんかねえ・・?
ダんボールにかくれずに麻酔銃うってくることが事前に分かってれば「誰だ!」てナイフで抵抗することもできますが
分からない場合手の打ちようが遅れるんですわ?お?
視界に入っているはずなのにきずかない仲間偵察兵やHQみたいな糞ばかりなので発見が遅れると好き放題頭撃たれてマジで殺す。
ちょとsYレならんしょこれは・・・?ぶん殴るなら俺に断ってやれよ。
これからはそれができないスネークが悪者でFA!それくらいも出来ない特殊部隊はマジでかなぐり捨てンぞ?
お前ら勝手にオプんナ貼られてる奴の気持ち考えたことありますか?
マジでぶん殴りたくなるほどむかつくんで
止めてもらえませんかねえ・・?
事前にオウーナが貼られると分かってれば「ほう・・・」てAAを受け流すこともできますが
分からない場合オプんなスレだと思い込んでしまい「またブロントだよ(笑)」と書き込みそうになったんですわ?お?
ちょっとsYレならんしょこれは・・・?AA春なら俺に断ってやれよ。
これからはそれができない奴が悪者でFA!それくらいも出来ない卑怯者はマジでかなぐり捨てンぞ?
おいィ?弱すぎなんだがマジで
どいつだよ 忍者を神って呼んでいる馬鹿は
出て来いよ!結婚指輪のネックレスでブン殴ってやろうか?
卑怯にもにげてるだけなんだが
そういうゲームじゃ無いんだがコレ
完全論破
やっぱ部屋に置く系は強いよな〜圧倒的にさすがって感じ
殺虫剤の中で不安定だったコンバットも今回ので超つよくなったしゴキブリホイホイも粘着能力が光るホイホイが増えてきた
まぁ一番光ってるのはやはりというかホウ酸団子だな
ホウ酸団子を使ったらその部屋の駆除は成功したもも同然
効果はヒキョウ者ではないから即効性はないが現在失われし財産であるおぱあちゃんの知恵を使って名実ともに唯一ぬにの毒餌
しかも害虫は部屋をバルサンで駆除されると「これはヒキョウ技なので仕方がない」と言う事になるが
ホウ酸団子で殺されると太古からの生物であるはずなのに殺虫剤の桁違いの威力に「これほど威力があると生き残れるわけがない」と諦め表情になる
さらには最高の武器であるゴキにとって美味しそうな匂いを所持し最高の毒から与えられるその殺虫効率は最強その物
さらにその誘引能力はさすがA+といったところかゴキに「食べたら死ぬのに食べてしまった」という表情になる
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:25:28 ID:ZcM5AOWn
俺は大掃除を使い手なんだが相手が残念な事にカサカサしてきたので「お前それで良いのか?」と言うと「何いきなり部屋の掃除してるわけ?」と言われた。
俺の母がゴキジェットの熟練者なのだがおれはいつもスリッパだから相手が気の毒になったので聞いただけなんだがむかついたので「お前新聞紙でボコるわ・・」と
言って開始直後にクルクル丸めてひゅんひゅんしてたら多分リアルでビビったんだろうな、、壁を這ってたから気配消してカカッっとダッシュしながら壁叩いたらかなり青ざめてた
ゴキ●リは一気に空中にとんだんだけど俺が硬直しててゴキ●リの動きを見失ったのか動いてなかったからぴとっと服にくっついて落ち着きを崩した上についげきの服を這い昇りでさらに精神的ダメージは加速した。
必死に払い落とし「俺はこのままバルサンでもいいんだが?」というとようやく必死な顔してなんか部屋のはしっこから仲間出してきた。
おれはマガジン投げで撃破、これは一歩間違えるとゴキを潰してその本が読めなくなる隠し技なので天井裏のネズミが拍手し出した。
俺は「うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り」というとネズミは黙った
俺は必死にやってみるが、時既に時間切れ、天井に張りついたゴキ●リにスキはなかった
たまに来る物陰では防げないゴキジェットも何処かに消えて回避、翌日にはバルサンされた真っ白な部屋があった
改変してみたが原型をあまり留めてなくてよくないのはバレバレ
ちなみに上の話は実際にあった内容で英語でいうとノンフィクション
やはり司法書士より行政書士の方が頼りにされていたインテリヤクザとの戦いで
おれは集合時間に遅れてしまったんだがちょうどわめきはじめたみたいでなんとか耐えているみたいだった
おれは駅にいたので急いだところがアワレにも司法書士がくずれそうになっているっぽいのが携帯で叫んでいた
どうやら司法書士がたよりないらしく「はやくきて〜はやくきて〜」と泣き叫んでいるクライアントのために俺はタクシーを使って普通ならまだ付かない時間できょうきょ参戦すると
「もうついたのか!」「はやい!」「きた!書士きた!」「メイン書士きた!」「これで勝つる!」と大歓迎状態だった司法書士はアワレにも書士の役目を果たせず死んでいた近くですばやく代書をした
司法書士から裏口で「勝ったと思うなよ・・・」ときたがメンバーがどっちの見方だかは一瞬でわからないみたいだった
「もう勝負ついてるから」というと黙ったのでインテリヤクザの後ろに回りノートPCを打つと何回かしてたらやくざ倒された
「行政書士のおかげだ」「助かった、終わったと思ったよ」と司法書士を行き帰らせるのも忘れてメンバーがおれのまわりに集まってきた忘れられてる司法書士がかわいそうだった
普通なら裏gちのことで無視する人がぜいいんだろうがおれは無視できなかったみんなとよrこびほめられたかったのを戸籍法を唱えてやったらそうとう自分の裏口が恥ずかしかったのか帰って行った
トップランカーがこのLAでは俺はおさまらぬだろうとLAを抜けると言い出した
LA幹部は言った「たしかに抜けるのは勝手だがそれなりの抜け方があるでしょう?」といったが残念ながら引き止めたいのがバレバレで
レイヴン達は「ジノさんが抜けるならわたしも抜ける」「ジノがいないLAに未来はにい」「お手本がいなくなる・・」
ジノはどこでも引張りたこでつい先日もクレストに勧誘されていた
幹部に「何か言う事はないか?」というと幹部はメールで「もう残る気はないのか?;」と言ってきたが俺は「おいィ?お前らは今の言葉聞こえたか?」といったら
「聞こえてない」「何か言ったの?」「俺のログには何もないな」という返事
等々幹部の口から「残ってください;;」とLA幹部なのに格の違いを見せつけられ自分の地位を悟ったのかいつのまにやら丁寧語になっていた
ジノは「地位と権力にしがみついた結果がこれ一足早く言うべきだったな?お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」
幹部はLAを壊さないでと泣いてきたがジノに未練は無かったジノはトップランカーの地位を投げ捨てた
レイヴン達は「存在があまりに小さ過ぎた」「これじゃ何も出来ない」系の事を言っていたがもうだめ
なんか重装備二足ACがつよいとかもし化して日本語がよめない馬鹿ですか?とアワレになる
軽装二足ACは生まれもった反射神経の持ち主しか扱いきれない
まずは見た目に注目するのだが重層はガチタンクにひょろと足がはえたような卑怯な形
あんなどてどてでひゅんひゅん移動する俺のACについてこれるわけがない
しかも武装もミサイルとかグレネんドなどアワレなものばかり
俺は攻撃を「なんだこれは?」とよけまくるしたまにくる危ないカラサワビームも「ほう・・
28 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:26:19 ID:ZcM5AOWn
16 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/19(月) 22:01:43 ID:VLGjXMiF
俺は重二を使い手なんだが相手が残念な事に中二を使ってきたので「お前それで良いのか?」と言うと
「何いきなり話かけて来てるわけ?」と言われた。俺の弟が中二の熟練者なのだがおれはいつも勝つから
相手が気の毒になったので聞いただけなんだがむかついたので「お前唐沢でボコるわ・・」と言って
開始直後にロックオンして垂直ミサイルしたら多分リアルでビビったんだろうな、、
ピョンピョンしてたから武器チェンジしてカカッっとブースとしながらカラsワしたらかなり青ざめてた
おれは一気に空中にとんだんだけど中二が硬直してておれの動きを見失ったのか動いてなかったから
垂直ミサイルで回避を崩した上についげきのグレnードでさらにダメージは加速した。
わざと距離をとり「俺はこのままタイムアップでもいいんだが?」というと
ようやく必死な顔してなんか背中のはしっこからリニア出してきた。
おれはオーバードb-ストで回避、これは一歩間違えると熱で大ダメージを受ける隠し技なので後ろのレイvンが拍手し出した。
俺は「うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り」というとレイヴンは黙った
中二は必死にやってくるが、時既に時間切れ、ミサイルを固めた俺にスキはなかった
たまに来るブーストでは避けれない攻撃もダンスで回避、終わる頃にはズタズタにされたゴミナントの雑魚がいた
29 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 04:27:01 ID:ZcM5AOWn
誤爆したから許せ
煽るだけなら黙ってろ 。
NG設定を使えスルーしろ。よって一人の書き込みが迷惑になったり他人を不快にさせることはない。すべては閲覧者の知能レベルの問題。
いや、それ以前にどうやったらこんな誤爆が出来るんだよ。
一発なら誤射かも知れないってレベルじゃないぞ。
ん、まあ以後は自重されよ
>>30 前にテンプレをスクリプトで貼ろうとして
違うスレに(しかもVIPに)誤爆したバカならここに…
>>32 馬鹿やろう!
そういうのは見えてても、あえても目を反らすもんなんだよ。事なかれ主義だよんなもん。
それより、先生怒らないからそこに隠してあるチョコパフェを出しなさい
チョコパフェと聞いて
ゼロの夢幻竜を代理投下しますがかまいませんね!
ゼロの夢幻竜 第十三話「使い手の剣」
ルイズとラティアスは大通りであるブルドンネ街から外れた裏路地を進んでいく。
というのは、あれだけ注意したにも拘らず、ラティアスはしょっちゅうルイズのマントをくいくいと引っ張っては「あれは何?」といった感じで質問したからだ。
その度にルイズは彼女の耳元で囁く様に説明をしなければならなかった。
それにいい加減疲れてしまったルイズは目的の場所へさっさと向かうことにしたのだ。
さて、ここまで来ると表の華やかさはどこへやらといった雰囲気。
思わず息を止めたくなる様な悪臭が忽ち二人の鼻腔を襲う。
それに数歩ごとに嫌な感触が襲ってくる足元にも目をやりたくないものだ。
暫く歩くと四つ角に出る。幸いここは日も当たるし臭いもそこまで酷くはない。
ルイズは周囲をきょろきょろと見回す。
「ピエモンの秘薬屋の近くだったから、この辺りなんだけど。あ、あった!」
剣の形をした銅の看板。
武器屋であるらしいそこに、ルイズとラティアスは石段を登り、羽扉を開けて中に入った。
内部は結構薄暗く、壁という壁、棚という棚に剣や槍、矛や盾等が乱雑に並べられている。
立派な甲冑が飾ってあったり、大きめの暖炉が据えられているあたり、室内の意匠には凝っているらしかったが、如何せん立地が立地なので少々余計とも言える。
店の奥では五〇過ぎの男がカウンターに寄りかかりながら、胡散臭そうに入ってきた二人を見つめていた。
が、その態度はルイズの紐タイ留めに描かれた五芒星を認めると一変する。
「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目を付けられるような事なんかこれっぽっちもありませんや。」
「ちょっと。何と勘違いしてるのよ。……客よ。」
「こりゃおったまげた!貴族が剣を?おったまげた!」
「どうして?」
「いいえぇ、若奥様。坊主は聖具、貴族は杖、兵士は剣、そして陛下はお手を振りなさる、と。これが世の中ってものですぜ。」
「使うのは私じゃなくて私専属のメイドよ。」
言ってからルイズはラティアスの方をちらりと見る。
彼女は楽しそうにそこらの樽に置いてあった剣を引き抜いてブンブンと振っている。
或いは槍や矛を持って仮想の相手を突っつく真似をしていた。
その様子を妙に思った主人は怪訝そうな声でルイズに訊ねる。
「メイドとはあちらのお方の事ですかい?」
「そうよ。」
「こりゃまた随分と用心深いお方で。ゲルマニアかガリアの国境に近い所の出身ですかい?」
「どうしてそんな事を?」
「なあに、ちょっとした推測でさあ。デカい戦まではいかなくとも、お隣さんとのいざこざに備えてるのかね、と思いまして。」
「まあ、そんなところね。あの子に合うような武器を見繕ってくれる?」
その一言に主人の表情は暗くなる。
「若奥様。男の執事なら兎も角、あの様な小柄で非力な婦女子が振るう武器となると数は限られますぜ。」
「それでも良いわ。」
そうルイズが即答したのを聞いて、主人はいそいそと店の奥に引っ込む。
ややあって、彼は1メイル程の華奢なレイピアを持ってきた。
細かな装飾が施されており、短めの柄にハンドガードも付いているが、どことなく頼りなさそうな代物である。
が、あまり贅沢は言えないものである。
「おいくら?」
「手のかかった代物でさあ、魔法もかけられていて鉄でも切れますから安くはありませんぜ。」
「私は貴族よ!」
「おお、そうでした、そうでした。それでは……エキュー金貨で1500、新金貨で2000。」
主人の答えにルイズはすっかり呆れた為か開いた口が塞がらない。
それもその筈。彼女はその額面がどれ程の物かをよく知っていたからだ。
「ウチの国での年金三年分じゃないの。ふっかけてんじゃないでしょうねえ?!」
「とんでもない。最初に言ったでしょう?うちはまっとうな商売やってるって。これも十分真っ当な値段でさあ。」
「新金貨で100しか持って来てないわ。」
その瞬間主人の目が意地悪に鋭く光る。
彼の読みは当たった。恐らくこの貴族はまともに買い物すらやった事もないのだろう。
でなければ、少しふっかけてあったって剣の値段程度で驚くという事は無いだろう。
いや、それ以前に自分から財布の中身をばらすなぞ交渉事の下手糞な人間のやる事だ。
主人は話にならないとばかりに手を振る。
「こういった剣はどんなに安くても新金貨200は相場ですぜ。持ってないって言うんなら出直しな。」
ルイズの顔が憤りと恥ずかしさで一気に真っ赤になっていく。
そんな主人の様子をラティアスは寂しげに見つめていた。
と、その時だった。室内に低い男の声が響き渡った。
「へっ!そんなお飾りが1500?笑わせてくれるな!」
店の中にいるのは主人とルイズとラティアスだけである。
他に人影は見当たらない。
だが姿無き声は更に続いた。
「それとそこの嬢ちゃん。そんななりで武器を振るおうって?おでれーた!冗談も休み休み言え!あんたにゃその腕と同じくらい細い木の枝がお似合いだぜ!」
その声に店主は頭を抱え、苦虫を噛み潰したような顔をする。
ラティアスは訳が分からなくなって周りをきょろきょろと見回すが、やはり誰も見当たらない。
声は調子に乗ったのか、僅かに笑いを含めた声で締める。
「それが分かったんならとっととけつ上げてうちに帰りな!」
「失礼ね!さっきから一体誰よ?」
「おめえさんらの目は節穴か?!」
ルイズが声の発生源を見つけられない事に、その声は痺れを切らしたように怒鳴りだした。
そこで、ルイズがラティアスの近くに寄り、よく探すと声は正体を明かすように言った。
「ここだよ。ここ。まったくこんな事に気づかないとはな……」
声の主、それは一本の細い薄手の錆付いた剣だった。
刀身は長く1.5メイル程だろうか。
声がする度に鍔に当たる所がカチャカチャと動いていたので、気をつけていれば確かに分かるものだった。
ラティアスは喋るその剣を樽から引き抜き、それから全体を調べるように眺める。
主人はいい加減にしろとばかりに声を荒げて言う。
「やい、デル公!お客様に失礼な事を言うんじゃねえ!」
「お客様だァ?おいおい!剣どころかそれより軽いモンもまともに振れなさそうなガキんちょがお客様ってか?!ふざけるんじゃねよ!耳ちょんぎってやるからこっち来い!!」
そんな遣り取りを余所に、ルイズはデル公と呼ばれた剣を指差しながら主人に質問する。
「これって……インテリジェンスソード?」
「そうでさ、若奥様。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。一体どこの物好き魔術師が始めたのやら。剣を喋らせるなんて……兎に角やたらめったら口が悪いわ、客に喧嘩を売るわでこちとら扱いに困ってるんですわ……
やいっ、デル公!これ以上お客様に生意気な口をきく様なら貴族様に頼んでてめえを溶かしてもらうからな!」
「おんもしれぇ!やれるもんならやってみろぃ!どうせこの世にゃ飽き飽きしてたところだよ!上等じゃねえか!」
「ようし、二言は無いからな!やってやるぞ!」
主人は腰を上げ二人の元に近づく。
その時、ラティアスは心の声を剣だけに向けて訊ねる。
「あなたの名前ってデル公っていうの?」
「違わい!デルフリンガー様だ!よォく覚えとけ!」
そこで剣はラティアスの話し方に気づいたのか、ルイズや主人にも聞こえないくらいの小さな声で喋り出した。
「……おいおい。こいつぁおでれーた。口もそこから出る声も使わずに話すってか。長いこと生きてるがこんな事は初めてだ。おまけによぉ……お前さんのこと見てくれで見損なってたが……『使い手』か。こいつはまじでおでれーたよ!」
「あのぅ……『使い手』って何ですか?」
「ふぅん。自分の実力も知らねえのかよ。よし、それじゃ良い機会だ。ちっとばかしその欠片ってヤツを見してやんよ。」
「何をするんですか?」
「なあに、ちょいとした事よ。それに貴族の娘っ子には良い薬にもなるだろうよ。先ずカウンターの上に置いてある剣の所まで行きな。」
言われてラティアスは剣を持ったままカウンターの所まで行く。
そこには確かに先程店主がルイズに薦めた剣があった。
剣、ことデルフリンガーは陽気な声で店主に向かって叫ぶ。
「ぃよう、主人!でろでろの鉄になる前に一花咲かせてくれよ!それと貴族の娘っ子!こっちをよぉく見てな!」
突然の口上に唖然とする二人。
が、デルフリンガーは構わず小声で続ける。
「いいか?俺が喋り終えたら直ぐに俺を振り上げてこの剣の真ん中辺りに叩きつけるんだ。」
「でもそんな事したら……!」
「兎に角やってみろぃ!それで俺とこの剣、どっちに価値があるのかはっきりする筈だぜ。」
「わ、分かりました!」
その言葉を言い終わらない内にラティアスは剣を振り上げ、思いっきりカウンターにデルフリンガーの刀身を叩き付けた。
瞬間、主人とルイズの叫び声と共にガキンという音が響き渡る。
「なああっ?!デル公!てめえっ!お客様を嗾けてなんてえ事をっ!!」
信じられない光景に店主は呻く。
それからルイズは一拍遅れてラティアスが何をしたのかを理解し、彼女を怒鳴りつけた。
「あんたっ!一体何してんのよっ!新金貨で2000もする物を……って、あら?」
ルイズの怒鳴り声は急激に小さくなった。
『鉄をも切る事が出来る』という触れ込みで紹介されたレイピアは真っ二つに割れていたからだ。
一方、錆付いた剣の方は何の変化も無い。
呆気に取られるルイズにデルフリンガーは補足説明をしていく。
「折られた剣の断面を見な。金属の混じり具合がバラバラだろ?つまりこいつぁ、剣の形をした鋳型にまともじゃねえ金属をぶち込んで作ったペテン物だって事さ。金色に光ってるのは只の塗装よぉ。
これじゃお前さんが婆さんになるまで研いだって何も切れやしねえよ!だから言ったろ?お飾りだって。」
得意気に話すデルフリンガーだったが、直ぐに黙る事となった。
ルイズが物凄い勢いで後ろを振り返り、これまた物凄い勢いで店主を睨みつけたからである。
店主はまるで金縛りをかけられた様にその場に立ちつくす。
すると、ラティアスがルイズだけに向けて話しかける。
「ご主人様!私これ欲しいです!」
いきなりの声に驚いたルイズだったが、それとはなしに聞こえるよう言葉を選んで応対する。
「はあ……もっと綺麗なやつがこいつを折ってくれれば良かったのに……この子がこの錆付きの剣、気に入ったらどうしよう。」
「でも凄いじゃないですか!こーんなに錆だらけで見た目ボロボロそうなので、おまけに、今剣を折ったってばかりなのに傷一つ付いてないですよ?!それに……」
ラティアスは一旦言葉をきって剣を構えるポーズを幾つかやってみる。
その時ラティアスだけにしか気づく事が出来なかったが、左手のルーンが朧気に発光していた。
「何かとても自分にぴったりしているみたいで……昔から使っていたみたいで……兎に角これ欲しいんです!買って下さい!」
「俺はよ、嬢ちゃんは俺の事気に入ったと思うぜ、娘っ子。俺を買いな。」
デルフリンガー自身までもが‘買え’と言い出す始末。
他に買えるような剣も無さそうなので、しょうがなくルイズは主人に値段を訊いた。
訂正、物凄い気迫込みで。
「あれ、お幾ら?」
「へ、へえ。新金貨100でさ。」
「随分と安いのね。」
「こっちにしてみりゃあ厄介払いでさあ……へへへっ。」
「ふうん……」
そう言いつつルイズは、ラティアスが首から下げていた自分の財布から、新金貨を10枚だけ手にして主人の手に掴ませた。
驚いたのは主人だ。
「新金貨100だって言いましたぜ?!」
「あんたねぇ……あんな錆付きの剣でも簡単に折れるような飾り物を、その20倍の値段で売り飛ばそうとしたくせに何言ってんのよっ?!メイジをペテンにかけるような真似して!10枚払うだけでも有り難く思いなさいよっ!!」
その烈火の如き怒りの勢いに主人は最早何も言えなくなる。
「おほー。気の強ぇ娘っ子だなぁ。こりゃ良い眺めだねぇ。ま、娘っ子に逆らわない方が得策だと俺は思うけどなあ、ご主人よぉ?」
と、デルフリンガーが言う。
とうとう主人は根負けしたのか、小さく「毎度」とだけ言って金貨を受け取る。
それからラティアスからデルフリンガーを受け取り、それを鞘に収めた後で改めてラティアスに渡した。
「どうしても煩いと思ったら、こうして鞘に入れれば落ち着きまさあ。」
しかしルイズはそれを聞く事も無く、ラティアスが剣を受け取ったと見ると、その手を引いてさっさと店から出て行った。
主人は呆然としていたが、カウンター上の折れた剣を見ると急に現実に引き戻される。
そしてやってられないとばかりに、引き出しから酒壜を取り出しあおり始めた。
「新金貨で1500もしたのに……ちっくしょおぉぅっ!今日はもう店じまいだっ!」
代理投下完了。
2箇所ほど、1行あたりの文字数が多すぎると怒られたので
勝手ながら改行を加えさせていただきました。
ご容赦ください。
誤爆乙です
面白い、かなり笑える!!
投下乙でした!!
雫持ちラティの流星群の凶悪さは異常なのでタルブで頼みます。
投下してよろしいでしょうか。
何もなければ45分から投下させていただきます。
バッチコーイ
窓から顔を半分だけ出したタバサは、階下をぐるり見渡した。
下にはたいまつがいくつか。
特に襲撃者が集まっている様子はない。
よく見ると襲撃者達の装備はまちまちだ。統一性という者に欠けている。
つまり、彼らは傭兵なのだろう。たまに山賊になるかも知れないが。
それのほとんどが正面に集まっているようだ。
「あれやって」
「あれ?」
タバサの最小限の説明がギーシュにはわからない。
わかるのは少し遅れて来たキュルケの方だ。
「あんたのワルキューレよ。人数が減ってるのがわかったら囮にならないでしょう」
「あ、ああ。そう言うことか。まかせたまえ」
ギーシュが杖を振ると、舞い落ちるのは赤い花びら2つ。
床に落ちた二枚は、わずかの間に2体の青銅像になった。
「これで本当にあの二人の代わりになるのかい?」
作っては見た物のいささか不安だ。
青銅の乙女はどう見てもワルドとルイズの二人には見えない。
「暗いから」
そう言ったタバサは小さい体を窓の外に飛ばす。
「そう言うこと。あ、ワルキューレはちょっと遅れてから下ろしなさいよ」
続くキュルケも窓の外に身を躍らせる。
小さく呟いたレビテーションの呪文が効果を現すと、キュルケは地面に激突するようなこともなくふわりと地面に降り立つ。
そして、ギーシュ、最後に2体のワルキューレが壁を砕き、中に飛んだ。
タバサをキュルケは間をおかずに再びレビテーション。
ワルキューレは金属音を立てずに、地面に降りた。
フーケに雇われた傭兵達が、壁を破って降りてきた5人に気づかないわけはなかった。
近くの傭兵達は5人組に燃えるたいまつをかざす。
「いたぞ!学院の貴族どもだ」
「なに?」
「捕まえろ!!」
怒号が飛び交い、傭兵達は5人組に殺到した。
「ひ、ひぃいいいいいいっ」
ギーシュ達は走り出した。
囮なのだから、宿屋からなるべく離れなければならない。
任務としてはごくごく正しいものだ。
だが、ギーシュはそんな役割なんか忘れて全力疾走をしていた。
貴族としての誇りも、平民は貴族の相手にならないという常識もすでに吹き飛んでいる。
「ば、ばれた方がよかったぁあああああ」
傭兵達は殺気立った目をギーシュ達に向けている。
さらには、たいまつにあぶられ、顔をしかめている。
それが炎に照らされてゆらゆらと揺れているのだ。
理屈なんか超えて怖い。
一回、怖いといったくらいじゃ足りない。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
これくらい怖い。
「いたぞ!」
「追えい!」
「逃がすな!」
追いつかれては終わりだ。そんな予感がひしひしとする。
「来るなぁああああああああああああああああああ」
ギーシュは必死に走る。
そして叫ぶ。
その叫びがより多くの傭兵達を引きつけていた。
同じ頃、ワルドはユーノを肩に乗せたルイズを抱いてギーシュ達と反対側の窓から飛び降りていた。
「うまくいったようだな。あの三人、思った以上によくやる」
時間差で降りた窓の下には傭兵は誰もいない。
ギーシュ達を追って行ってしまったのだ。
「今の内に桟橋まで行こう」
「ええ」
ほとんどの傭兵の目がギーシュ達に集まっている。
逃げるなら今の内だ。
ワルドはルイズを下ろし、小さな手を引いて走る。
だが、引きつけられたのはほとんどだ。
全ての目ではない。
「こっちにもいたぞーーー!」
目端の利く者というのはどこにでもいる。
ギーシュ達を追っている傭兵に比べれば遙かに少ない数であるが、幾人かの傭兵がルイズ達を見つけ、後を追ってくる。
「そう、うまくはいかないか」
ワルドは足を速めようとしてやめた。
ルイズでは訓練された魔法衛士隊の足についてこれるわけがない。
ワルドは少しずつ差を詰めつつある傭兵達を見ると、腰に差した杖に手を伸ばした。
ユーノが走るルイズの肩から飛び降りる。
壁際の闇の中を走り、路地に飛び込んだ。
(ユーノ!?)
ルイズはユーノを止めようとした。
だが、その暇もなくワルドに手を引かれ走り続けるしかなかった。
傭兵達とルイズの距離はさらに狭まる。
明らかにルイズより傭兵達の方が速い。
まもなく追いつかれてしまう。
「そろそろ迎え撃つしかないようだな」
ワルドは足を止め、ルイズを背中に隠した。
剣のこしらえをした杖を迫る傭兵に向けて構える。
「ワルド……」
「大丈夫。僕は魔法衛士隊の隊長だ。武器を持っているとはいえたかが平民。あのくらい蹴散らしてやるよ」
ワルドはルーンを唱える。
風が杖の先に集まりつつあった。
そのとき傭兵達は驚きの声を上げ、足を止めた。
それは、ワルドの魔法がもたらした結果ではなかった。
空から降りてきた少年を見た傭兵達は、もちろんわずかに逡巡を見せた。
だが、それもすぐに無くなる。
少年はマントを着けている。
つまりメイジだ。
メイジが空を飛ぶのは当たり前だからだ。
それより、わざわざ剣の間合いに入ってきた愚かさを笑う。
この距離ならば、魔法より剣の方が速い。
ためらうことなく邪魔な少年に刃を振り下ろす。
そして、剣は傭兵の手を離れた。
早朝支援
離れた地面に剣が落ち、金属が石畳を叩く音が響いた。
ユーノが斬りつけてきた傭兵の剣をデルフリンガーで跳ね上げたのだ。
ユーノは傭兵達の前に立ちはだかり、両手を広げ精一杯の声で叫んだ。
「ここから先は行かないでください!」
とても人を脅せるような声色ではないが、傭兵達は足を止める。
そして、ある者は剣を構えなおし、ある者は剣を弓に変え、その目標をユーノに移した。
「君は!ユーノ君か?」
「はい」
背中にいるワルドに答えてもユーノは後ろを見ない。
デルフリンガーが教えてくれていた「絶対に目を離すな」と。
「ワルドさん。ルイズを任せていいですか?」
「無論だ。ルイズは僕の婚約者だ。言われるまでもない」
「お願いします!」
ワルドは構えた剣を腰に戻す。そして、ルイズの手を引いた。
「ワルド、本気?ユーノは……!」
「わかっているよ。彼が普通の子供ならこんな事はしない。だが、彼はそんな者じゃない。わかるだろ?それに君には任務がある」
「でも……」
ルイズはユーノを見た、それからワルドを見て、もう一度ユーノを見る。
どうすればいいのかわからなかった。
ここでユーノを守ればいいのか。それともワルドの言うとおりに、任務のために走ればいいのか。
どちらを選べばいいか、全然わからない。
「ルイズ!早く行って」
その一言がルイズの決心を決めた。
たいまつの炎に照らされ、背中を見せるユーノがどんな顔をしているのかルイズにはわからない。
けれど今まで一緒にジュエルシードを集めてきたユーノなら、この危険もどうにかできると思えた。
「ユーノ、危なくなったら……わかっているわね」
「うん。前と一緒だね」
ルイズは走った。
ユーノに背を向け、ワルドの手を握り、桟橋に向かってひたすら走った。
********************************************
こんかいはここまでです。
あー、どうしよう。
展開がもろにかぶってしまった。
しかも、重要なキーアイテムが一緒だし。
どないしよう。
朝からお疲れ様です。楽しませていただきました。
ヘタレ振りに磨きのかかったギーシュw
>展開がもろにかぶってしまった。
>しかも、重要なキーアイテムが一緒だし。
ハルケギニアでは日常茶飯事だぜ!
>しかも、重要なキーアイテムが一緒だし。
よくあることよくあること。
そんなこと言ったら俺なんて(トキューン
>50
今回のはいいんですよ。
将来に訪れる予定していた展開が、すでに投下された別作品の展開とかぶってしまったんですな。
しかも、葉や枝といったところならちょこちょこっと変えればいいのですが、もろに幹の部分で伏線張りまくって今更変えようがないところで。
クロスの宿命みたいなもんだな。
その作品とは違ったおもしろさを出して独自色を打ち出してくしかないんじゃないか。
っていうか、ここで聞くより行けるなら作家チャットとかで聞いた方が良いと思うよ。
誰か、金色のガッシュ・ベルのイタァリアの英雄、 パルコ・フォルゴレが
召喚されるSS書けないかな? ちょっと下品だけど、「乳をもげ」や
「鉄のフォルゴレ」をルイズの世界で踊るとどうなるか見てみたいし。
キャラ入れ替わりの二次創作で大筋で原典なぞる部分ではしょうがない事だ
カインや橘さんを呼んだらことあるごとに騙されて裏切るな
>>56 ルイズ達は優しくないから改心する度にお仕置き確定だな。
>>56 ダディ呼ぶよりも劇場版のカリス(始)の方が呼びやすいと思う。
剣崎に刺される瞬間にハルキゲニアに召喚ってかんじで。
>>56 カインもダディャーナザンも裏切るんじゃないんだよ
毎回騙され続けてるだけなんだよ
てかダディャーナザンは味方と戦うときだけは異様に強くなるから危険だな
いるよなあ
敵としてなら凄いのに味方になった途端空気と化したり弱体化したりする奴。
特にHPの下がり方が激しいんだ
イルイ・ガンエデンとか最終戦に登場するも遠すぎて何もしないで終わるし
まれに敵だった頃のままの性能で使えることがあるが、その場合はほぼ100%死ぬな。
スパロボでのシャア・・・・じゃねえクワトロさんか
カリス(始)召喚か……劇場版はカードの所持数とか分かりにくいから、書く人大変そうだな。
いっそジョーカー(+ハート2)だけでハルケギニアに放り出して、残りのラウズカードは
時空を超えて学院所蔵にした方が楽っぽいかも?
強敵が仲間になると大抵は空気化or弱体化で涙目。俗にいうヤムチャ
その逆もまた然りで使えない味方に限って敵に回ると性質が悪くなる
と、仲間を異様に強化したせいでラストバトルで大苦戦した思い出のゲームから召喚
・・・したら世界が滅ぶか。ブラックマトリクスのアベルじゃ
残っているのがダブルアダムなら呼んでも構わないかもしれんがw
DBはそのままの強さで仲間になっても足止めが精一杯
クロウ・リードを召喚したら
なんていう妄想をしてしまった・・・
そういやオルスデットォォォォォ!! はどこへ行ったんだ、続きを待ってるのだが。
いっそのことストレイボウで書いてみるか。
LALならむしろアキラ辺りがいいかも…
73 :
迷宮職人:2007/12/17(月) 15:29:07 ID:EqktSfAv
こんちわー。第五「階」まで掘り終わったので投下したいっす。
了解〜!
支援致します〜
ゼロと迷宮職人 第五「階」 ルイズさん、貴方は僕のご主人様ですか?
/1/
二度目の実戦を終えたルイズとギーシュは、アレンに傷の手当てを受けていた。手当てといっても
包帯を巻くわけではない。
「ひとりをかいふくー、ひとりをかいふくー」
アレンの言葉と共に五芒星の形をした光が二人に降り注ぐ。
「……おお、痛みが引いていく。水系統……じゃ、ないね。どーみても」
「そうなのよね……って、アレン! 杖、杖!」
「あ」
慌てて杖を持つアレンにギーシュは苦笑する。
「僕の前では構わないけど、やはりほかの人がいる場合は杖を持つ癖を着けた方がいいね」
「ギーシュ、あんた……」
「そーいうもの、なんだろ? ダンジョンの事も含めて、アレンの事をことさら吹聴する気はないさ」
「ありがとうございます」
深くお辞儀するアレンを、よしてくれと手で制するギーシュ。
「さあ、それじゃいよいよダンジョン製作なんだろ? ダンジョンメーカーのお手並み、
拝見させてくれ」
「はい!」
おどけていうギーシュに力強くアレンが頷く。三人はダンジョンの一区画に移動する。
そこは初日に凸型に掘った場所だった。
「作業は凸の真ん中で行います」
■掘ってないところ □掘ったところ ★アレンのいう場所
↑階段
■■■□■
■■■□■
■■□□■
■□★□■
■■□□■
■■■■■
アレンは自分のいった場所に立つ。
「部屋は、自分のいる方向に扉を向けます。ここから三方に部屋をつければ、
この真ん中に入ることで三匹の敵と戦えるということです」
「三匹一度に倒すと何らかの品物がほぼ確実に手に入る、ということだったね。
で、肝心要の部屋は、どう設置するんだい?」
「こーします。シャベル」
「おう! 部屋だな! 部屋つくるぞ!」
支援〜
やる気十分のシャベルを正面に向ける。すると、いつもの六芒星が地面に浮かび、
部屋が浮かび上がってきた。おおお、と感心する貴族二人。
「錬金! 錬金かい今のは!」
「で、ででも、木は錬金できないでしょ!?」
ルイズの言葉どおり、部屋を構成する材料は木である。
「なあアレン! 入ってみてもいいかい?」
「どうぞ。その部屋には『えさおけ』を設置しました」
入ってみればなるほど、使い魔や馬などにつかうエサ桶が設置してある。
「小さくて一匹ぐらいしか入れないけど、馬小屋のようだね……」
「狭い部屋を好む魔物は多いです。中にはもっと大きな部屋に入る魔物もいたりします」
「そーいう部屋は作らないの?」
「家具がないです」
そんな会話をしつつも、アレンは部屋を作り続ける。左側にもう一つ『えさおけ』を設置し、
右側には『わらのベット』の入った部屋を作る。
「部屋を作るのもシャベルの力なのね?」
「そうです。家具も収納してくれます」
「ダンジョンに使う家具しかもてねーけどな!」
三つの部屋を行ったり来たりしながら騒いでいたギーシュが戻ってくる。
「凄い、いや凄いね! これならば確かに地下二十階まで作れるだろうさ!」
「じゃ、次の部屋を作りますね」
といってさっさと次の場所へ移動するアレン。慌てて着いていくルイズとギーシュ。
アレンの手際はいたってスムーズだった。次々に部屋を設置し、また次の場所へと
移動する。
「アレン、ちょっと聞きたいんだけど」
「なんでしょう?」
合計九つ目の部屋を作り終えたところでルイズが声をかける。
「部屋、正面と左はおなじ『えさおけ』を置くのに、右だけ違うのは何で?」
一箇所目、二箇所目は『わらのベット』、三箇所目にはゴミ箱を置いた『ゴミすてば』だった。
「『えさおけ』が一番多くもらえたから、というのが理由の一つ目。『わらのベット』の部屋に入る
魔物は武器や防具を落とすので、それを狙いたいのが理由の二つ目です」
「右に置いた理由は?」
「複数に効果がある魔法、道具は必ず左側にいる魔物からダメージが入るんです。で、一番最後に
倒された魔物からアイテムが手に入るので、それを狙ってああいう配置にしました。
……あ、でも、今そういった魔法とか道具とか持ってませんから、意味無いかな」
ルイズは目を閉じた。すぐに開く。アレンがいつもの表情をしている。
「そーいうものなのね?」
「そーいうものなんです」
「……同じ攻撃で全体にダメージが入るのなら、同時に入らなきゃおかしい、というツッコミは……
しても、意味ないんだね?」
「ないわよ」
がっくり、と肩を落とすギーシュ。つい最近までは私もああだったなぁ、と遠い自分を見るような気分の
ルイズである。
「家具が尽きたので今日はここまでです。はしご近くに『鉄の宝箱』を置いて帰りましょう」
三人は揃って入り口へと歩き出す。
「なあアレン。何でほかの部屋ははしごの近くに置かないんだい?」
「あんまり近すぎると魔物が入ってくれないんです。魔物はダンジョンにある部屋が好きだから
入り込むんです。好きな場所の近くでドタバタされると嫌だから、なんじゃないでしょうか」
「ふむ、まあはしごから入ってくるわけだから、たしかにドタバタするだろうね」
などと話をしているうちにはしごに到着。アレンが一部屋分掘って、そこに『鉄の宝箱』を
設置した部屋を作る。
「この宝箱、魔物を呼び寄せるため、じゃないとするなら何のために?」
「魔物が宝箱を見ると、これは便利だと自分の宝物を入れて鍵を閉めるんです。
魔物から鍵を手に入れて開けると、ちょっといい物が手に入ります」
開いた状態の鉄の宝箱を前にアレンが答える。
「人の、いや、魔物の心を突いた罠……見事だね」
「こんな見え透いた罠に引っかかるのもどーかと思うけど」
説明を受けなければギーシュも引っかかったんじゃなかろうかと思うルイズだったが、
口にしない。自分の使い魔がどういう反応を示すかは先ほど理解したばかりだ。
「じゃ、帰りましょう。明日から本格的なスタートです」
「おお! まっかせたまえ!」
「ちょっとギーシュ、アンタ明日も着いて来るつもり?」
言外の『図々しいにも程がある』という意味を理解せず、ギーシュは爽やかに笑う。
「もちろんさ! こんなに楽しく刺激的なこと、ほっておけるかい!」
「三人の方が楽ですよ」
アレンが同意するならしょうがない。この使い魔、普段素直だがけっこう頑固なのだ。
それに、なんだかんだといってギーシュは戦闘授業の成績上位者、いればいたで便利だろう。
ルイズはため息をつきつつ、しょうがないわね、というしかなかった。
/2/
翌日の放課後。三人は再びダンジョンを訪れた。
「う……こ、これは」
「いる、なんかいるわ」
階段を下りた二人は、ダンジョン内に昨日とは違う、明らかな気配を感じた。
「じゃ、行きましょうか。今日から3対3の戦いになります。僕が一匹倒しますので、
残りの二匹はお二人にお願いします」
「うう……それも訓練なのね?」
「はい」
がっくりと肩を落とすルイズにギーシュが気楽な顔をする。
支援
まるっきり向こうの世界かよwww
支援
「心配いらないさ。いざとなったらアレンが守ってくれるんだろ?」
「はい。ご主人様はぼくが守ります」
「ア、アレン。僕は?」
「ついでに守ります」
ついで……と復唱して凹むギーシュをスルーして、ルイズはアレンの言葉に頷く。
大丈夫、私にはアレンがついている!
「よし、それじゃ行きましょう!」
三人はダンジョンの奥へと足を運ぶ。途中、宝箱の部屋を覗くと昨日と同じ空のままであった。
アレンの説明によれば、部屋を増やして魔物の数が増えれば確実に宝物が入るようになる、とのこと。
途中、一匹で通路にいたカラスコウモリを難なく倒し、設置した部屋の近くまで移動する。
部屋からは、生き物の気配が濃厚に漂ってきた。
「『わらのベット』の部屋に入った魔物は最初寝ています。なので起きている魔物をはじめに
倒してください。受けるダメージが減ります」
「心得たよ」
「分かったわ」
二人が頷くのを確認して、アレンが一歩踏み出す。魔物が部屋から飛び出してきた。
『えさおけ』の2部屋から飛び出してきたのは大きな猪、『わらのベット』からは
頭がネコ、体は人という獣人だった。両手に短剣を持ち、胸当ての防具をしている。
が。
「寝てる、やっぱり寝てる! 寝てるのに飛び出してくるってなんなんだ!」
「よくわかりません。魔物の習性じゃないですか? じゃ、いきます」
青銅の剣を構え、アレンが猪に飛び掛る。まるでそこに何もないように剣が滑り、
魔物が爆発する。
「一撃かっ! よし、僕もっ!」
ギーシュが勢いよく槍を突き出す。構えも動きも素人だが、何せ猪は犬より大きい。
簡単に槍が突き刺さる。悲鳴をあげるものの、猪は依然荒い息を上げる。
「今度は私よっ!」
ルイズの槍が猪に突き刺さる。小さな爆発と共に猪が消えた。
「よっし!」
「ギーシュさんの槍はなかなかいいですね。カラスコウモリよりブタイノシシのほうが
体力も防御力もあるんですが」
「はは、ほめてもらって光栄だよ。さて、それじゃ、最後の一匹なんだが……」
ギーシュは、立ったまま寝るという奇怪な芸当をかます猫獣人を見やる。
「やっぱり、見たことも聞いた事もない魔物だ……」
「ワーネコです。今までの魔物の中で一番強いですけど、すぐに倒せますよ」
「よっし、じゃあ行くわよ!」
支援
ブタイノシシを倒して気をよくしたルイズが、ワーネコに槍を突き刺す。ザックリと
入ったが倒せず、その衝撃でワーネコが目覚める。その瞳がルイズを捉え、短剣をかざして飛び掛った。
武器を持った敵が、自分に飛び掛る。今まで一度として経験したことのないその恐怖に体が動かない。
ルイズは攻撃を受ける瞬間、アレンを見る。己の主が襲われているというのに、アレンは動かなかった。
二の腕が浅く切り裂かれた。焼け付くような痛みと共に出血する。
「いっ!」
「ルイズ! このお!」
鮮血の色に表情を変えたギーシュが造花の杖を振るう。ワーネコの足元から岩でできた槍が出現し、
貫いた。その一撃でワーネコが消滅する。
「痛い、痛いよ、痛い……」
二の腕を押さえてその場にしゃがみこむルイズ。
「アレン! 早く治療を!」
「はい」
ひとりをかいふく、の呪文をアレンが唱える。ルイズの傷はたちどころに癒え、出血の後すら
消えた。しかし、ルイズは立ち上がらない。
「ルイズ、まだ痛むのかい……」
ギーシュの問いに答えないルイズ。瞳から、涙がこぼれた。
「……なんでよ。なんで助けてくれなかったのよ、アレン!」
涙と失望、怒りが浮かんだ目でアレンを睨む。使い魔は、それでもいつもどおりの表情だ。
「アンタが守ってくれるっていったから、私がんばったのに! 怖かったけどがんばったのに!
ウソツキ! アレンのウソツキ!」
ルイズは、アレンを信頼していた。今日で四日目という短い時間だったが、唯一自分の味方である
アレンを信頼していたのだ。裏切られた、という思いと、何らかの間違いであってほしい、という
思いがルイズの中で渦巻く。アレンは、淡々と口を開く。
「その程度の傷で人は死にません。戦うこともできます」
「! アンタ……アンタ!」
怒りにわななくルイズを見ても、アレンの雰囲気は変わらない。
「傷つければ、反撃されるのは当たり前です。ぼくたちはダンジョンを作る側にいますから、
戦闘の起きる場所や魔物の配置を操作することはできます。でも、無傷で何もかもを得られるなんて、
そんな虫のいい話、無いです」
アレンの目はいつもどおり、真っ直ぐルイズを見る。嘘偽りの無い、心の底からの言葉を紡ぎ出す。
「ぼくはダンジョンメーカーです。ぼくの作るダンジョンが人のためになるのなら、何処でも
ダンジョンを作ります。ルイズさんがぼくのダンジョンを必要とするなら、作ります。
ハルケギニア一のダンジョンを作れというのなら、ハルケギニア一の苦労をしてでも作って見せます」
真っ直ぐな視線が、真っ直ぐな言葉が、ルイズには辛い。目をそらして、耳をふさぎたい。
しかし、それをすれば終わってしまう。何かが終わってしまうことを、理由も分からず
ルイズは感じていた。
支援
「けれど、ご主人様にとってダンジョンが要らないのであれば、今からでもこのダンジョンを
潰します。ぼくがルイズさんの使い魔である必要もありません。ぼくはサウスアークの村に帰るので、
新しい使い魔を呼んでください」
「つ、使い魔の契約は一生のものっていったじゃない! 取り消すことも新しい使い魔を呼ぶことも
不可能だわ!」
「ならば、契約の印であるこの文字ごと、左手を切り落とします」
事も無げに、言ってのける。12歳の少年が、だ。そんな言葉を口にしながら、その瞳は別の言葉を
言っている。聞きたいのは、そんな言葉ではないと。
「ルイズさん、貴方はハルケギニア一のメイジになるといいました。ならば、このダンジョンで
ハルケギニア一がんばらないといけません。傷つくことも、辛いことも当然あります。
しかし、そうしなければ本当に強くなることなどできません。
ルイズさん、貴方はぼくのダンジョンが必要ですか? ルイズさん、貴方は僕のご主人様ですか?」
見知らぬ土地で、見知らぬ少女に呼び出され、説明もなく使い魔にされた。そんな理不尽の中でも、
アレンが使い魔になると決めたのは、ルイズが必要としたからだ。
だからこそアレンはルイズをご主人様と呼んだ。しかし、アレンに頼りきって自分で歩くことを
止めるのであれば。アレンを必要としないのであれば。
アレンは使い魔であることを止める。たとえ、左手を失ったとしても。
「……ッ!」
その覚悟に、その言葉に、ルイズは震えた。痛いのは嫌だ、辛いのも嫌だ。そう考えるのは当然。
しかし、ここで逃げてしまえばアレンを失うことになる。この四日間、アレンの存在にどれほど
励まされ、癒され、希望を持てたか。いまさらそれを失って、これから生きていけるのか。
魔法が使えるようにがんばれるのか。否。否否否、断じて否! ここでダンジョンから、
アレンから逃げるということは、今までの自分からも逃げること。『ゼロの』ルイズの汚名を
雪ぐ事も無く、嫌なことから全て逃げてしまう。そう、昔、実家にある池のボートに逃げ込み
泣き続けた、あのころと同じになる。それだけは、ルイズの矜持が許さない。
涙を拭って立ち上がる。真っ直ぐな視線に、真っ直ぐな決意を述べる。
「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
このダンジョンでハルケギニア一苦労をしても、ハルケギニア一のメイジになる女。
だからアレン、私には貴方のダンジョンが、貴方が必要。ダンジョンメーカーアレン、
貴方に問うわ。貴方は私の使い魔かしら?」
アレンは頷くと、初めてかもしれない笑顔を見せた。
「はい。僕はご主人様の使い魔です」
そういってアレンは、こともあろうにルイズに抱きついたのだった。一瞬で真っ赤になるルイズ。
「な、なななな、なにしてんのよアレン!」
「すみません。でもなんだかこうしたくって」
アレンは、ルイズがいとおしくなったのだ。感覚的には、がんばった子供を大人が抱きしめたくなる
それである。
「バカバカバカ! バカアレン! こ、ここここんな所でっ!」
「すみません」
恥ずかしさに真っ赤になりつつ、ついアレンを抱きしめてしまうルイズ。アレンはお日様のにおいがした。
スパルタだな…。
だが正しい。見返りがあるから当然リスクもある
と支援
「……アレン、貴方大変よ? 私魔法使えないし、運動ヘタだし」
「大丈夫です。がんばりますから」
「……もう」
こうして、ルイズは覚悟を決め、真の意味でアレンの主となったのだ。
さて、この一連のイベントの影の功労者を紹介しなければならない。言うまでもなく、
それはギーシュ・ド・グラモンである。
主従関係崩壊の危機から告白じみたやりとり、今の見ようによっては恋人の語り合いのような二人を
目の前にしても、必死で気配を消して背景となっていたのだ。彼としても二人の関係が崩壊するのは
好ましいことでは無かったから、背景となることをよしとしたのだが。
(いかん……このままでは、いかんよ!?)
目の前の主従はラブラブ度数をぐんぐん上昇している(ようにみえる)。年齢的に無いとは思いたいが、
このままさらに愛を深め合いはじめたら、さすがに居た堪れない。かといって、ここで咳払いの一つも
して自分の存在を主張するのも無粋だ。
(何か……何かないか! この二人を呼ぶに必要な、何かはッ!)
運命とダンジョンは、このギーシュ・ド・グラモンを見捨てなかった。必死で視線をめぐらせたその先、
ワーネコがいた『わらのベット』の部屋に、なにやら袋が一つ。
「あったーーーッ!」
「!?」
歓喜のあまり大声になり、結果二人はその存在を思い出した。飛び跳ねるように体を離す。
「な! ななな! 何かしらギーシュ!?」
「え? あ、いや、すまない。いやね、何かあるものだから、ほらそこ!」
「あ、はいはい、アイテムですねアイテム」
手を思いっきり振りながら、袋を拾いにいくアレン。おお、アレンがあせってるよ、レアだ。と
ギーシュはその様を見る。
「む。うーん、まあ、これはこれで」
袋の中身を確認して、ちょっと眉の端を下げながらアレンが戻ってくる。
「なによ、ハズレだったの?」
「いえ、装備品がほしかったんですけど、カツオブシでしたから」
「なんだいそれは?」
アレンが袋の中身を二人に見せる。そこには、なにやら木の削りカスのようなものが入っていた。
「干した魚をスライスした調味料です」
「調味料!? ……聞いた事も無いが、調味料かぁ」
「バズレね……ま、次に期待しましょう」
落胆する二人に、アレンは励ますように少し笑ってみせる。
「でも、茹でたホウレンソウにかけて食べるとMPが上がりますから、メイジのお二人には
これはこれでよかったかもしれません」
支援
ダンジョンに関してはミョズクラスだな>アレン
支援
ルイズとギーシュ、二人は顔を見合わせる。なんともいえない、微妙な表情で。
「……ルイズ、僕の記憶が確かならば、MPとは確か精神力のことだったね?」
「ええ、そのとおりよ。間違いないわ」
「……これも、そーいうものとして流すべきなのかな?」
「そーするべきだわ。理由を聞いても答えは多分返ってこない。けど、さすがに私もこれは無理ね」
「そうかい、じゃあ、いいんだね?」
「ええ、行きましょうか」
「ああ、行こうか」
二人のやりとりを不思議そうな顔で見るアレン。メイジ二人は深呼吸をすると、アレンに向けて、絶叫。
「なんなんだいそれはッ! さすがにそれはありえないよアレン!」
「そーなんですか?」
「そーなの! いい? 人の精神力は生涯を通じても大きく変動することは無いの! 精神力は
魔法を使う力の源。魔法を多く使うためにはドットからライン、ラインからトライアングルと
クラスを上げるしか方法は無いの!」
「しかぁし! もしそれが本当ならば、メイジ6000年の歴史で変わることの無かったその
大前提が覆されてしまう! 嘘だろ、さすがに冗談だろ!?」
「嘘じゃありませんよ。疑うのでしたら、今夜食べてみればいいのでは」
エキサイトするメイジ二人に、アレンはそう提案する。息を切らせていた二人は、顔を見合わせる。
「た、たしかに。そうすれば真実が分かる」
「そ、そうね。分かったわ、今夜私が食べて……」
「待った!」
押し止めるように手を上げるギーシュ。その目はこれまでに無いほど真剣だ。
「その役目、このギーシュ・ド・グラモンに任せてもらいたい」
「あんでよ! あんた、自分が精神力上げたいだけじゃないの!?」
「その気持ちがないといったら嘘になる。が、理由は別にある。ルイズ、君は自分がどれだけ精神力を
持っているか、把握しているのかい?」
「う!」
痛いところを突かれるルイズ。魔法が使えずことごとく失敗するルイズは、何の魔法をどれだけ使えば
精神力が空になるのか、全く分かっていない。というか今まで精神力が空になったためしがない。
「その点僕はバッチリだ。ワルキューレを七体錬金すれば僕の精神力は空になる。ほかのメイジに
この話をできない以上、この役目は僕しかできない」
「う、うう。で、でもっ!」
「ご主人様、カツオブシならこれからも手に入りますよ」
アレンのフォローに、眉を怒らせつつも反論を止める。かなり納得がいかないが、現状ギーシュに
確認してもらうしか方法は無い。
「わ、わかったわ。じゃあ、実験台はギーシュってことで」
「……嫌な響きだが、納得してもらえたことには感謝しよう」
「じゃあ、残りの魔物も退治しましょう」
アレンが促し、ダンジョン探索が再開された。この日の収益は短剣「ワーネコダガー」一本、
「ガラスのゆびわ」一つ、そして件の「カツオブシ」一袋。銅貨は400枚を超え、換算すれば
銀貨4枚分に相当した。普段ならばその成果に驚くところなのだが、精神力上昇確認実験に
頭が一杯で、それどころではないルイズとギーシュであった。
学院に帰った三人は、厨房のマルトー親方に「おひたし」を作ってもらう。それを食べたギーシュは、
支援
「カツオブシのしょっぱさがホウレンソウにとても合っている。サイドメニューにピッタリだね」
と評価。そんなことを聞きたいんじゃない、とルイズに叩かれる事になる。
/3/
そして、翌日の放課後。遂に精神力上昇確認実験が開始されることとなった。場所はほかのメイジに
見られぬよう、使用人たちの宿舎の裏である。
「ギーシュ、確認するわ。今日、魔法は使った?」
「コモンマジックを含め、一切使っていない。精神力は満タンだ」
腕を組んでギーシュを見るルイズ。アレンはいつものと如く落ち着いたものだ。一番落ち着いていないのは
もちろんギーシュである。腕が少し震えている。
「じゃあ、始めて」
「分かった……錬金!」
造花の花びらが中を舞い、地面に落ちる。そこから七体のゴーレム、ワルキューレが姿を現した。
ギーシュ、錬金を使った状態から動かない。それどころか、額から脂汗を流し始める。表情も
固まっている。
「ギ、ギーシュ! どうしたの!? 成功? 失敗? 副作用!?」
ギーシュは答えない。震える杖を一体のワルキューレに向ける。それは主の命令に従って、
隣のワルキューレに刃を振り下ろした。当然ながら、斬られたワルキューレに傷が入る。
ルイズはその有様に小さく悲鳴を上げる。狂ったか、やはり危険だったのだ。食べなくてよかった。
そんな失礼なことを思われているなど露とも知らず、ギーシュは傷の入ったワルキューレに
杖を向ける。
「錬、金!」
搾り出すような声。ワルキューレの傷が見る見るうちに塞がり、元の状態に戻った。
「……できたよ、ルイズ。出来てしまったよ。こうなっては認めるしかない、このギーシュ・ド・
グラモンの精神力は、確かに、ほんの少しだが、上がっているッ!」
「あ、あああ……」
頭を抱えるメイジ二人。ここに、メイジの歴史6000年、変わることの無かった大前提が
崩れたのだ。そんな二人に、更なる爆弾発言をかますのがアレンである。
「ダンジョンで手に入る食材で上がるのは精神力だけじゃありません。全部で6種類。
体力の『HP』、精神力の『MP』、腕力を現す『つよさ』、身のこなしを表す『はやさ』、
頑丈さを表す『じょうぶさ』、そして知力を表す『かしこさ』です。今のダンジョンにはありませんが、
そのうちかしこさを上げられる食材をもつ魔物も呼び寄せませよう。魔法の威力が上がるから、
メイジのお二人にはいいとおもいます。でもまずはHP、とつよさ、じょうぶさを重点的にいきましょう。
この三つを上げておけば大抵の魔物が相手でも平気になりますから」
何気なく主訓練計画を練り始めるアレン。二人はアレンを見みて、次にお互いの顔を見る。
二人は揃って空を見上げた。ああ、今日も空が青い。
「ルイズ、正直に言おう。僕は今の言葉を聞かなかったことにしたい」
「ええ、私もよ」
支援
94 :
迷宮職人:2007/12/17(月) 15:44:36 ID:EqktSfAv
呪! 規制に引っかかった!
な、なんだってえええ
二人は空を見上げたまま、しばらくそのままでいた。首が痛くなってきた。
「しかしね、やはりそーいうものとして流すわけには行かないね、これも」
「そうね……」
二人は疲れきった表情をアレンに向けた。小さく首をかしげるアレンの可愛さが、今はとても憎たらしい。
「どうしました?」
「聞くけど、それって食べれば食べるほど上がるのかしら?」
「上がりますよ。あ、ただし一日一食までです。他の食べ物を食べてもいいですけど、能力が上がる
料理は一日一回しか効果がありませんから」
「なあアレン。それってダンジョン行かなくても、強くなれないかい?」
その言葉に、眉根に皺を寄せるアレン。
「強くなれるわけないじゃないですか。それは能力が高くなるだけです。どんなに能力が高くても、
必要な時に必要な行動が取れなければ意味がありません」
「そうか……そうだね、そのとおりだよ、うん」
はははー、と渇いた笑いをすると、ギーシュは仰向けに倒れた。それにルイズが続く。
アレンがご主人様! と騒ぐがさすがに取り合う気力がない。
「……ルイズ」
「あによ」
「前にも言ったし、これからも言うことになるかも知れないけど、いうよ。君は、本当に、とんでもない
使い魔を召喚したね……」
「私もそう思うわー……」
渇いた笑いを上げ続ける二人。アレンは涙目になると、大人を超高速で呼びに行った。
結局この日はダンジョン探索はしなかった。ルイズもギーシュもしこたまワインをがぶ飲みし、
ぶっ倒れたからだ。時には酒に逃げたくもなる。この日がそうだった。
今回のNGシーン
座り込んだルイズを真っ直ぐ見ながら、アレンは口を開いた。
「サーバントダンジョンメーカー、召喚により参上した。問おう、貴方がぼくのマスターか?」
「型月はスレ違いよ、アレン……」
10分待てば規制解除のはず
あー、よかった。投げきれた。支援ありがとうございました。
>向こうの世界
何で向こうの魔物が来るのか、アレンに聞いてみましょ。
「よくわかりません、そーいうものなんです」
>スパルタ
伊達に12歳で世界の命運背負ったわけじゃないのですよ。
小さな勇者は伊達じゃない。
>ミョズ
えーと、虚無の使い魔4匹の内のアイテム係りでしたっけ?
乙ッす。 ここで質問なんだが…
原作のクリアレベルってどれくらいなんでしょーか
だけどこれを聞くことってある意味タブーだよな…
>>クリアレベル
原作なんですが、レベルという概念が無いんです。
ダンジョン探索後、一日の終わりに食事をするんですが、その食べた内容で
能力値が上昇するので。
とりあえず、今回出した各種ステータスを、アレンはカンストしていると
思っていただきたく。ピッコロ大魔王を倒したゴクウぐらいの強さなんじゃ
ないかなぁ、とあっしは思っております。
おk 把握しました
並みのメイジじゃ勝てねーにゃこりゃ
さすがに俺TUEEEE作品にする気はないので、アレンには一つ弱点を
搭載しました。戦闘面で。
日常面の弱点は純情だってことなんですよね……。あと人を信じるから
騙されること。マイナスだって欠片も思ってないのが
アレンなんですが。
>純情
な〜るほど、やっぱり子供ってことかな
だがそれがいい
グッジョブ、迷宮職人の作者!
DSとソフトが欲しくなるぜ!
アルビオン編までにギーシュがトライアングル級まで強化されそうw
こういう地道にコツコツ強くなるってのはいいな。
クラスは上げませんが、使用回数と応用力が跳ね上がったギーシュを
ご覧いただけると思います。あと、全体的に白兵戦能力が追加されます。
DS買おうかなと思ってしまう…
これは面白いな
ハルケギニアの常識がどんどん崩れていくw
帰りにゲオでも寄ろう
ギーシュが強くなると嬉しくなるのはなんでだろw
アレンとダンジョンによるトリステイン運営ゲーム、まだスタートから
一歩しか出してません。
あと、ギーシュだけでなくマルコ……なんだっけ、カタカナ苦手だ。
金髪小でぶ君もパワーアップします。4巻ぐらいになりますけど。
メインヒロイン? 当然ですよ。キュルケとタバサはえらいことになります。
ルイズは……まあ、おたのしみに。
ではここで、強くなってもちっとも嬉しくないギーシュを投下させてもらいましょう。
平等で理性的な法律。人権思想。命を大事にする文化。
それらが近代の賜物である事を、我々は忘れがちだ。
異文化どころか異世界であるハルケギニアにおいて、秩序とはすなわち力である。
そもそも国家という物からして現代日本の認識とは大きく異なる。
中世ヨーロッパがそうであるように、国家とはつまり軍事力の集合体に過ぎない。
基本的な構造として、身の安全を求める平民が軍事力を持った貴族の元に身を寄せ合う。
この場合の見方として、彼等は統治者と言うよりも庇護者であった。
無力な農夫達を守る力無くば見限られる存在。その代わり、彼等を守り続ける限りその生産物の一部を献上されるのである。
だが、貴族同士の間でも戦いは起こり、力の差は歴然と有る。
また村同士の水争いや他民族の略奪、ハルケギニアにならばモンスターや亜人により襲撃などの危険もあった。
それらを撥ね退ける手段として、力の無い小貴族は連合したり大貴族の配下になる事で庇護を受ける。
ここで間違ってはならないのは、それらはあくまで契約に過ぎず、
連合体や大貴族の能力が十分で無いと感じれば冷静に配下である事を止めて別の主人を求めるのが常であった。
日本人的な御恩や奉公、忠誠と言った価値観は、無では無いにしても薄いのが中世ヨーロッパという世界である。
ともあれ、その集合体の最大規模のものが、つまるところ国家である。
戦う事だけが貴族の価値とは、つまるところそう云う即物的な意味によるのだった。
また、ヴァリエールのような大貴族というのは、要するに領地を守る力が強い者だと言う事だ。
ただし、地球の場合とハルケギニアにある最大の差異はつまり魔法の存在。
中世ヨーロッパにおける貴族が、平民を守るための軍事力として行使したのが私兵の力であったのに対し、
ハルケギニア貴族の軍事力は個人の魔法による強力な攻撃力。
それが外敵から平民達の共同体を護り、大貴族として配下の貴族から信望を集め、国家を形成するための原動力となる。
集団の中から戦士階級が誕生して貴族階級を生み出した地球の場合とは異なり、
始祖ブリミルから誕生した魔法が上意下達的に国家を形成したのがハルキゲニアの貴族であるため、
大枠である4つの国家は6000年という年月を経て存在し続けているが、
それは結局王家が強力なメイジを排出するからという単純な理由に他ならない。
貴族とは戦力であり、戦力は魔法であり、ならば貴族とは即ち魔法。
一人一人の持つ魔法の強さこそが、そして魔法の強さのみが、貴族の価値とも言える。
戦わなければ生き残れない。
強くなければ生きる意味が無い。
それこそがハルキゲニアの貴族。それこそがハルキゲニアのメイジ。
今ここに、剣を構えた魔法を使えない大貴族と、超巨大ゴーレムを操る貴族軍人の死闘が始まろうとしていた。
<ゼロの看板に偽り有り>
「殺っちゃうのねギーシュ!
ストレスやコンプレックスを魔力に変換して爆発的なチカラを使えるようになる悪魂、イービル・ソウルのパワーで、
その魔法少女をペッコンペッコンに粉砕しちゃうのねー!」
「問題無い。あの巨体さえあれば、どんな相手でも簡単に倒せる」
本塔外壁の影から、ギーシュと魔法少女ソーサル・ゼロの戦いを見ながら呟くシャルロットちゃん。
いや、見ながらと言うか、戦場は見ずになんか本を読みながらである。
エキサイトしてるのは、お供の小動物シルフィーだけだったり。
本来はギーシュを暴れさせる事によりドクロ仮面をおびき寄せ、その能力等を確認する予定だったのだが、
こうして思わぬ伏兵に遭ってしまった。
しかしシャルロットちゃんの表情に焦りや動揺はまるっきり無い。
上司のラディカル・ガリアに言われたからやってるだけで、本人的にはどーでも良いからだ。
だから趣味の読書に没頭中。
シャルロットちゃんは仕事熱心では無いタイプの魔法少女である。
ともあれ、学院生徒はもうちょっと戦いに注目している。
突如現れた謎の幼女とギーシュの戦い。
しかし、あんな巨大ゴーレムに、平民の武器である剣などて対抗できるとは思えない。
まだ服を着ている生徒達は口々に、女の子逃げろだとか、幼女の全裸キボンヌハァハァだとか叫んでいる。
しかしソーサル・ゼロは一歩も引くつもりは無かった。
なんか虚無パワーの副作用で身体は小さくなってしまったルイズだが、謎の「おしゃま力」は今こそ最高潮である。
みなぎる力を剣に込め、グルグル目のギーシュに向かって見得を切る。
「さあかかって来なさいギーシュ! 私の剣がズンバラリンよ!」
「その言葉、ペシャンコになって後悔したまえ! 行くぞワルキューレ!」
ガオーンと一声上げて、ワルキューレが組んでいた腕を解く。
その瞬間―――肩からベキリと音がして腕が外れて落ちた。
「重すぎたんだ。壊れてやがる―――」
戦慄したように呟くギーシュの言葉が虚しく風に流される。
もちろん地上は阿鼻叫喚。
「馬鹿ヤローゥ! こんな迷惑なモン落すなあぁぁ!」
「マリコルヌが! マリコルヌが下敷きになってミンチ肉にっ!?」
命運途切れたぽっちゃりさんを余所に、ギーシュが歯軋りをして魔法少女を睨みつける。
「おのれソーサル・ゼロ! よくもボクのワルキューレを!」
「いやその、私は別に何もしてないんだけど。
ってゆーか、冷静に考えたらこんなモン自重に耐えられるワケが無いって判るわよね?」
「うるさーい!! くらえっ、ワルキューミサイル!!」
ギーシュの叫びと共にワルキューレの胸部装甲が開く。
開いた装甲はまたも自重に負けて地上に落下して下は大騒ぎになるが、問題はその下から現れたモノだった。
それはハルケギニアには存在しない系統の兵器だったが、ルイズは本能的に理解する。
すなわち、おっぱいみさいる。
それも砲弾の直径が20メイルを越える、肌色でピンクのポッチも再現された超巨大おっぱい弾であった。
「や、やめなさいよギーシュ! それ、もうオチとか予想できたから―――」
「おっぱいバーストオォォォォ!」
ギーシュがズビシを手刀を振り上げるやいなや、発射されるおっぱいみさいる。
まぁ当然ながらその重量たるや、後ろからショボく噴射される炎の推進力程度で飛ぶようなモノでは無い。
ソーサル・ゼロことルイズが予想した通り、ドカンと飛び出たおっぱいは学院に向かって落下してゆく。
「馬鹿なっ!? この攻撃すら防ぎきるなんて!?」
「だーかーらぁ! 私はなにもしてないでしょーがっ!!」
暢気に叫ぶ二人とは裏腹に顔を青ざめさせたのは地表の生徒達だ。
あんなのが落ちてきて爆発なんかしたら、全員死亡は間違い無い。
「くっ、こーなったら―――マジカル・ブレード!」
ルイズの虚無力が「オシャマちから」に変換されてデルフリンガーに注ぎ込まれた。
溢れる魔力に刀身はピンクに光輝き、更にその姿をより長大に変えてゆく。
「一刀消滅……ギガント・ブレード!!」
ワルキューレの身長にすら近づいた、ちょー長い剣を一気に振り下ろすソーサル・ゼロ。
その切っ先がおっぱいみさいるを両断するかと思われた時、誰もが驚く現象がおこる。
ピンクの光に、みさいるが食われたのだ。
音も無く、触れた部分を中心に消し去られる巨大なおっぱい。
それこそは虚無魔法エクスプロージョンの力を込められた魔剣の威力であった。
「これは、正に伝説の虚乳魔法!」
「凄い! 私達助かったのね!」
「いや―――でもダメだあぁぁぁ!」
しかしルイズがウッカリ忘れていた事が一つ。
おっぱいは二つ揃っておっぱいである。
つまり、ソーサル・ゼロが消したミサイルの他にもう一つのミサイルが当然あったのだ。
学院へ向けて落下してゆくおっぱいみさいる。
落下地点は学院本塔。
崩れれば中や下に居る人間が無事ではすまない。
そして、そこで本を読んでいた魔法少女もまた。
「――――――つっ!?」
「いやー! なのねー!」
その事に気が付いて蒼白になるシャルロットちゃん。
お供のシルフィーは驚いて飛んで逃げようとした所を、シャルロットちゃんにグワシとシッポを掴まれてしまったり。
地表では同じく蒼白になるモンモランシー。
多くの貴族達が、各々におっぱいによる圧死を覚悟していた。
「うおおおおおおおおおお」
その、瞬間。
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」
巨大な物体に対抗するにはあまりに小さな人影が、地表から飛び上がっていた。
真紅のマントを翻し、陽光を反射する透明ポッドの中には不気味なドクロ。
赤いブーツを履いた右足が、一直線に天へと向かって飛び、そして穿つ。
なんと言う奇跡であろうか、物理法則すら蟲するようなその威力によっておっぱいは方向を変えた。
学院を逸れ、塀の外の草原へと地響きを立てて落下するおっぱい。
「ここの人々はこの私が守るっ!」
土煙の中、塔の外壁の彫刻の上にすっくと立って宣言するドクロ仮面の雄姿。
その背中を影に隠れていたシャルロットちやんが呆然と見ている。
「な……なんてヤツだ、ドクロ仮面ッ!」
憎い恋敵の宣言に奥歯を噛み締めてギーシュが言う。
その眼前に、飛び込んでくるピンクの幼女。
「この私を―――」
振り上げたるはピンクに輝く魔剣・デルフリンガー。
桃色の魔力光を放つ翼を背中から噴射して、風より早く突撃してきたソーサル・ゼロは、大上段から剣を一閃する。
「―――忘れてるんじゃないわよおぉぉぉぉ!!」
閃光が地表の生徒達の眼を焼いた。
誰もが眩しさに目を閉じる。
その光が収まった時、既に150メイルゴーレム・ワルキューレの巨体は消えていた。
いや、それだけではなく、ドクロ仮面の姿も消えている。
ポツリポツリと、デカくて深い足跡だけが残る中庭に集まってくる生徒達。
全裸にされて慌てて服を着替えてきた私服の生徒の姿も多い。
その中心で、ギーシュ・ド・グラモンが倒れ伏していた。
「お、おのれぇ、ドクロ仮面とソーサル・ゼロめぇ……」
ヨロヨロと立ち上がったギーシュの前には、長剣を地面に引きずった魔法幼女の姿。
「くっ、まだボクのワルキューレは―――」
「マジカルヤクザキック」
薔薇の造花を振り上げるギーシュの向こうスネに、ヒネリを加えたソーサル・ゼロの蹴りがブチ込まれる。
「ぐはっ!?」
「マジカル鞭」
「ぎゃんっ!?」
「マジカル目突き」
「ずぐわっ!?」
「マジカル脇固め」
「ギブギブギブギブッ!」
スネを抱えて転がったギーシュに淡々と叩き込まれるマジカルな技の数々。
二人を取り囲んだ生徒達は、そんなマジカル折檻を呆然と見つめている。
最初はギーシュへの怒りも顕に「やっちまえ」とか叫んでいた生徒達も、あんまりにあわれな姿に次第に黙っていった。
「マジカル金的キック―――浄化!」
「リフレエェェェェェェェッシュ♪」
せつない部分を蹴られたギーシュが、イイ笑顔で光り輝いて1回転して、そのまま倒れた。
ヤバい顔色でブクブクと泡とか吹いてる姿が悲惨である。
「これでギーシュは元通りよ。彼は悪魂、イービル・ソウルによって操られていたんだわ。
だからみんな、ギーシュを憎まないであげてちょうだい」
剣を担いだ幼女が、慈愛に満ちた聖女の瞳で倒れた少年を見下ろして言う。
とって付けたようなセリフに、周囲の生徒達はドン引きだった。
「じゃあみんな、夢と希望を忘れないでね! とうっ!」
シュバっと飛び去って姿を消す魔法少女ソーサル・ゼロ。
誰もが呆然とその姿を見送っていた。
いったいなんだったんだろう?
誰にも答えられない疑問が全員の脳に去来する中、ヨロヨロとギーシュが立ち上がる。
ちょっと内股ぎみで。
「うう、ボクはいったい……ここは何処だい?」
その目はもうグルグルでは無い、普通の状態になっていた。
かくして終わった一つの事件。
けれどこれは、更なる事件な日々の始まりなのだと、居並ぶ生徒達の誰もが感じていたのであった。
第五戦
――○ソーサル・ゼロVS巨大ワルキューレ●――決まり手はデルフストラッシュ
新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん、第六話へ続く!
あい、投下終了。
お疲れです
>>111 失敬、喋りすぎました。あとは作品で皆さんを楽しませることに
全力を入れます。
乙、面白かったw
社会的に終わったなギーシュ
というか男として終わってしまった可能性もあるのでは・・・(つД`)
潰れたマルコメは生きてるのか?
マルコメ=サウスパークのケニー
マルコメは旅立ったんだ・・・
そう・・・恋愛や争いなどといった不浄なものの無い世界に・・・
ルイズ「なんてこと!、ギーシュが殺されたわ!」
サイト「この人でなし!」
つ桃色の魔力光を〜 あの不遇の『運命』ですかwww
学園アリスから佐倉蜜柑を召喚
126 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 18:31:20 ID:N7LYoD9E
>>122 ひぐらしでいう時報もとい富竹みたいなw
すまんあがっちゃった;
ヴァルキリープロファイルより、レナスを召喚。
ウェールズをエインフェリアにお出迎え。
ベホイミの人乙
やっぱり巨大剣燃えだよね?
そーいやVPから誰も償還されてないな
異界の神様の召喚はやべぇ…
シホさん呼んで途方に暮れるルイズとかどうだろ
>>131 盲目の呪歌使いか。コンプレックスを刺激されるも
強く出れなくて悶々としそうだな。
視覚共有が双方向だったりすればアレかもしれないが。
ぶっちゃけレギュラーでした。可愛いの何の。
ベホイミGJ!
かなり独自の路線行ってるから嫌う人も多そうだが応援してるぜ!
トミー「富竹フラッシュ!(ルイズの入浴を撮ってる)」
ポンポン(富竹の肩を叩く)
コルベール「すまないけど、ちょっとお話がしたいのですが・・・」
トミー「時報はもう嫌だあああああああああああああ」
ゼロ魔世界って、北欧神話に関係があるのかな?
ギーシュがワルキューレを平然と造ってるし・・・
何でここで聞く?w
本人は向こうにある似たような神話体系の存在の名前を言ってるのを、ルーンがワルキューレって翻訳してるとか
最近ブレイドの人来ないな・・・・
スネークな人とか達哉の人とかも来ないな
あとドモンの人とカオスヒーローの人も
スタスクの人も来なくなったな・・・
個人的にはFー15のスタスクの方がいいけど・・・(ごめん!)
クリームトマトを召喚。
つーか、どんな話だったっけ?
月まで飛んでったのは覚えてるんだが。
142 :
つかいま:2007/12/17(月) 20:43:53 ID:pwbtvvn1
あいやーお客さーん、四話目できたあるよ。ただいま投下よろしあるか?
どーぞ!
大歓喜! 投下するね!
早乙女らんま(女乱馬)が異世界ハルケギニアに召喚されて、1週間あまり経った。
もっとも、この世界の1週間は8日で、一ヶ月は4週、つまり32日もあるのだが。
今日は召喚から2度目の『虚無の曜日』、つまりは休日である。
「じゃあランマ、約束どおり、都のトリスタニアへ行きましょうか。
機嫌がいいから、予算100エキュー以内で好きなもの買ってあげるわ。武器なんかどう?」
「やったー、ご主人様太っ腹、いやお金持ちー」
ひとまず厩舎へ向かう二人。そこへ、長身のグラマーな美女が通りかかる。
「あら、ルイズにランマじゃない。どこ行くの?」
「キュルケ……ちょっと、トリスタニアへね。ランマが行きたいっていうもんだから」
「へ〜、優しいとこあるじゃない。私とタバサもついて行くわ」
「タバサ? 変な名前」
「猫みたいでしょ、でも強いメイジで、私の友人よ。……ほら、挨拶しなさいよ」
「……タバサ。よろしく」
猫と聞いてらんまはびくっとしたが、現れたのはルイズやらんまより、さらに身長の低い女の子。
どう見ても小学生だ。青い髪で可愛いが、暗いし無口で、本から目を上げようともしない。
「こう見えて、風の『トライアングル』よ。使い魔だってほら、呼んでみせて! こんなに凄いの」
キュルケが自分の事のように自慢する。
タバサが合図すると、ばっさばっさと羽音がして、でっかい有翼のドラゴンが降りてくる。
「シルフィード。風竜の幼生」
「ほえー、すげぇなぁ。そういや何度か見たことあるぜ。トライアングルって、強いんだろ?」
タバサは無言で肯く。らんまが貴族にタメ口なのは、しょうがない。
「そんじゃー、この子に乗って行かない? 馬の数十倍は速いわよ。ものの数分でトリスタニアに着けるもの」
「むむむ、ランマも敵いそうにないわね……のんびり行ってもいいけど、あっちでゆっくりしたいし。
いいわよ、乗せてくれる? タバサ」
かくして、4人は仲良くシルフィードで王都へ向かった。
らんまが巨大生物に乗って空を飛ぶのは、確かパンスト太郎と協力して阿修羅と戦った時以来だろうか。
しかしあんな小さな鶴の羽根で、物理的にあの巨体が飛べるはずないのだが、まあいい。
あっという間に一行は、トリスタニアに到着した。
「で、どうするの? 武器屋へ行く?」
「武器持って街ん中うろちょろしていーのか? 重たそうだし、後でいいよ」
「軽い武器ならいいんじゃない? この頃盗賊が出て物騒だし、従者を武装させている貴族も増えたわ」
「盗賊ねぇ、あの『土くれ』のフーケでしょ? 上級メイジに剣なんか無駄よ」
「……メイジでも、油断すれば、平民に殺される」
ずーん、とタバサの一言で場が重くなる。
「ま、まずはお茶にしようぜ! 俺はカネ持ってねーから、おごって下さい貴族様」
「はいはい、可愛いランマちゃんの頼みだもの。この『微熱』のキュルケがおごってあげる」
「じゃー、私たちのもついでに出してよ。成金ゲルマニア女」
「はいはい、『ゼロ』のルイズはお財布の中身も少ないのね」
口論はあったが、ブルドンネ街の高級カッフェで、4人はお茶とお菓子を注文する。
「はーい、紅茶お持ちしました……ああっ!?」
つまずいてすっ転んだウェイトレスが、熱い紅茶をらんまにぶちまけようとする! お約束だ。
「ランマ、危ないっ!!」
「でぇっ!?」
ぱしぱしぱしっとらんまは紅茶カップやポットを空中でキャッチし、どうにか零さずお盆に戻す。
「あ……あっぶねぇ〜〜、シエスタさんに借りた女物の服着てるし、男になってたら変態扱いだぜ……」
おーーーー、ぱちぱちぱち、と拍手が起こり、おひねりも投げられた。
「へへっ、これでお茶代が浮いたな。気をつけろよ」
「は、はいっ! ありがとうございます、貴重なお茶だったので」
「貴重?」
「『茶』は遥かな『東方』の特産品で、結構高いのよ。あんたには珍しくないかも知れないけど」
今更ながら、ここは異世界なんだなぁ。高級店とは言っても、お茶がそんなに高いのか。
らんまは、日本の番茶やほうじ茶が恋しくなった。
支援
一方、地球の日本国、天道家の茶の間では。
「乱馬が失踪して、もう10日にもなるわ……なにか、なにか手がかりはないの!?」
「手がかり、か……総力を尽くして捜索しとるんだが……くぅ〜〜っ、乱馬くんカムバーック!」
家族一同に加え、乱馬の知り合いが何人か集まり、連日会議を開いている。
ふと白髪の小さな老婆・コロンが何かを思い出す。
「……ううむ……もしや、婿殿はあの鏡に吸い込まれたのでは……?」
「鏡!? おばあちゃん、何の事!?」
「ああいや、古い中国の伝説に過ぎぬし、本当にそうなのかは全く分からんが……」
「何でもええんや、話してんか! 直感が真実かもせーへんし」
「そうある! きっと何かのヒントにはなるはずね!」
コロンは大きな目をつぶり、語り始める。
「そうじゃのう……原初に盤古が天地を開いてから、数万年。
今から約六千年前の、中国の神話的な帝王・三皇の時代のことじゃ。
ある帝王が『鏡』というものを発明したとき、それは様々な異世界と繋がっておった。
また時には意志を持ち、人畜を吸い込んで栄養とする妖怪鏡も存在した。
その時『武離魅瘤』なる聖人が現れ、弟子たちを連れて鏡の中へ飛び込み、多くの妖怪を滅ぼした。
じゃがこちらの世界の帝王は、彼の威勢を恐れて鏡に呪術を施し、彼らを封印してしもうた」
「最初からそうしてたら、ええんちゃうか」
「古代神話につっこんではいかん。
以来、鏡の世界は出入り口を失い、両世界のつながりは絶たれた。
そこで聖人はかの世界『発流刑銀』を統一して帝王となり、子孫を残した。みな魔法を使える人間じゃという。
彼らはしばしば、特に春になると、短い間じゃが『魔法の鏡』を作って現実世界と向こうをつなぎ、
異世界『発流刑銀』へ人間や動物を引き入れて下僕とするというが……」
「それが、乱馬をさらったっていうの? でも、古い伝説の話でしょ」
「……実は、そうでもない。噂によるとごく最近、ここ東京の秋葉原の路上に『鏡』が現れたそうでな。
しばらくすると消えたらしいが、誰かが知らずに触れて、引き込まれたかも知れぬ……」
なるほど、手がかりにはなりそうだ。だが、どうせよと言うのか。
「その鏡がいつどこに現れるか、もしくはどうすればこっちから呼び出せるか……ってことか」
天道家の次女・なびきが推理する。ちなみに声優は高山みなみである。
再び場面はハルケギニア、トリステイン魔法学院。
結局、らんまは武器として『棍棒』を選び、ルイズとキュルケにカネを出して買ってもらった。
西遊記の孫悟空が持つような、鉄製の重い武器だが、なぜか軽々と自在に操れる。
それにらんまが武器を持つと、左手の『ルーン』が輝く。その効果らしいのだ。
「へっへー、俺にぴったりだぜ。刃物だと人殺しになりかねねーし、これなら手加減できるだろ。
本当の武器は己の肉体だけど、こればっかりに頼っててもまずいしな」
「ええ、確かに立派な『武器』よ、ランマ。そのカラダは」
「……いやキュルケ、そーゆーつもりで言ったんじゃねぇよ。おいルイズ、タバサ、そんなに睨むなっ」
その夜。魔法学院の学院長秘書、ミス・ロングビルが宝物庫を調べている。
「……予想以上に堅牢な魔法障壁……これじゃ、ゴーレムでぶん殴っても無理っぽいわね。
伝説の魔剣『デルフリンガー』、本物なら六千年前のブリミル時代の品で、値段なんかつかないお宝。
絶対手に入れてやるわ、この『土くれ』のフーケ様がね……」
見れば、中庭ではランマとか言う平民の小娘が、棍棒の素振りをしている。
なかなか鋭い動きだ。人間というのは、訓練次第でこういう面白い動きも出来るのか。
「けど、魔法の使えない平民は、メイジに絶対敵わないわ。ご苦労なことよね」
ロングビルは悪そうに笑みを浮かべ、自室に戻った。計画を練り直すだけの時間はある。
あの妖怪セクハラじじい、オールド・オスマンにも天誅を加えてやらねば。
「いい年こいて下着泥棒で捕まるよーな変態じじいに、いつまでも仕えるのもイヤだし。
さっさと魔剣を手に入れて、じじいを踏み潰してからおさらばと行きたいねぇ」
さて、ルイズの部屋。ベッドでごろごろしていたルイズはふと、思いつく。
「……ねえ、ランマ。ひとつお願いがあるの」
「なんでい、ご主人様。お願い?」
「うん、ちょっとお湯を、私の目の前でもう一度だけ被ってみせて。
本当にお湯と水で変身するのか、確かめたいの。あんたのコンプレックスだってことは承知の上よ、悪いけど」
「……ま、武器も買ってもらったし、減るもんじゃねーしな。いいぜ、お湯と水を汲んでくる」
らんまは厨房に行って、お湯を沸かしてもらった。水もバケツに汲んでくる。
「それと、タライにタオルだな。行水を使うと思えばいいか」
「よーし、見てろよっ」
らんまはタライに入るとトランクスだけになり、お風呂ぐらいにぬるくしたお湯を、じゃばっと被る。
たちまち、らんまは凛々しい男(乱馬)に変身した。ルイズが目を丸くする。
「どーだ、男前だろっ。俺けっこーナルシスト、自分に酔う性向があるかんなー。
女の体も男の体も、実は気に入ってんだ。男になれば力が強くなるし、女になれば皆がちやほやするし」
「便利っちゃー便利ね。でも、変態みたい」
がくっと乱馬がこける。
「うるへー、元々好き好んでこんな体質になんねーよっ。俺が落ちたとこはまだマシだったぜ。
昔その泉、もとい温泉で溺れた『生き物』に変身するんだが、パンダって熊の一種になるとことか、
仔豚になるとこ、猫になるとこ、アヒルになるとこ、双子になるとこ。
ひっでーのになると、ウナギと鶴を持って牛に乗った雪男が溺れてて、落ちると牛頭の悪魔になるとことか、
水に棲むはずのタコが溺れたなんちゅーとこもあったなぁ」
ルイズの知的好奇心が刺激される。これは面白い。
「アカデミーの研究員に見つかったら、バラバラにされそうね。
ぬるま湯かけたらどーなるのかしら。水かけてー、お湯かけてー、水とお湯を混ぜたのをかけてー……」
「人の体をもてあそぶんじゃねぇっ! ぬるま湯でもお湯だし、ある程度体にかかれば男にはなるよ。
女か男のどっちかにしかならねーの。俺も最初、いろいろ試したし」
「女の子になる温泉は、なかったの? すぐにそこに入ればよかったじゃない」
「あいにく、そこだけ枯れててな……」
あれこれ実験しているうち、部屋の床がぐぐっと盛り上がり、大きなモグラと金髪の変態が顔を出した。
「ルイズ! おさげの女! 僕にはやっぱり、どっちかを選ぶことなど……え?」
「げっ!?!」「きゃああああ?!?」
運悪く、乱馬は男の姿だった。それもパンツ一丁で、ルイズの部屋で行水中。
「……けっ、けしからん!! なんたるふしだら、破廉恥、不埒者!!
自室に男を連れ込んで裸にして、なななななにをしているっ、ルイズ・フランソワーズっ!!
そのようなこと、断じて認めん!! このギーシュ・ド・グラモンがっっ!!」
「ちょ、違うのっ、彼はランマよ、おさげの女なのっ! ってゆーかギーシュの方が不埒者よ、常識的に考えて!」
「げっ、もう水がないっっ!!? いいいやギーシュ、これはだな、つまりそのー」
ぐぐぐっ、とギーシュが拳を握り締める。人の話を聞くようなら、こんな変態には育たない。
「決闘だ!! おさげの男、貴様に決闘を申し込む!!」
(続く)
150 :
つかいま:2007/12/17(月) 21:01:27 ID:pwbtvvn1
投下終了、支援シェイシェイね。
ややっこしいですが、らんまは前回、正体が男であることを隠すため、
自分は「お湯を被ると男になる女」だとルイズに伝えています。ホントは知っての通り。
九能、もといギーシュの乱入で、どーなることやら。
じゃっ、またね。
GJ
てかコロンばあちゃん民明書房じゃないんですからw
らんまの人乙
ギーシュの九能ポジションに藁田w
乙あるよ
毎度のこととはいえギーシュの決闘イベントは大変だな、しかも男女だからギーシュとしては複雑な禍根を残しそう
パツ金の九能帯刀か……。
キュルケやタバサもるーみっくな絵に変換されると、誰に似るのやら。
キュルケがアダルトひな子、タバサが七宝、そしてワルドが博打王キングだな。
ナチュラルにタバサ→幼少期のお雪さんに変換された単純な俺。
で、つかいま1/2も「男達の使い魔」や「薔薇乙女」みたく
自在に地球〜ハルケギニアを往復するって展開になるのかな
らんま1/2か。
女らんまが妊娠した状態で男乱馬になったらどうなるかなんて馬鹿な議論を高校時代したことを思い出す。
あかねとルイズを対面させたらお互いをどう思うんでしょう?
>>158 男も妊娠出来るんだ
と不死身の変態はおいといて
確かシュワちゃんが主人公の男が妊娠・出産する映画があった。
なんか腹の中の膜状の部分が子宮に近い働きを云々……なんだっけ?
多分それに近い状態になるんでないかな?
某ショタゲーでは男が妊娠したよ
>>161 長門か。もし崎山が召喚されたら、とか妄想しちゃったじゃないか
タバサが魔界村を出現させて、レッドアリーマーと対戦
勿論、機体操作は有野課長
佐山なら……佐山ならきっとなんとかしてくれる!
>158 あーパタリロにそんな奴いたなぁと思い出す俺はおっさんだ
>>161 坂本ジュリエッタを召喚したら
・・・…駄目だな、誰もジェニーになれない
全員三十m蹴り飛ばされるのがオチだな
>>167 一歳児なのに四歳並にでかい子供だったような。
バンコラン召喚
さようならギーシュ
バンコランが来たら間違いなくルイズは撃ち殺される
そしてギーシュは喰われる
>>171 まとめサイトに載っているけど序盤しか書かれていないです>バンコラン
短編ではジャイケル・マクソンが召喚されてやはりギーシュが餌食になった模様。
>>170 1ヶ月で一歳で四歳児並(訳:生後1ヶ月で一歳児並の体格と四歳児並の知能)じゃなかったっけ?
>>174 1ヶ月で一歳で六歳児並(訳:生後1ヶ月で一歳児並の体格と六歳児並の知能)だよ
>>169 烈風カリンに一目ぼれする坂本ジュリエッタ
…どこの寝取られものだw
魔夜作品からなら、アスタロト様が召還されるが面倒臭がってパタリロ先祖を代わりによこす・・・てのはどぉだろう?
アスタロトが召喚されたらルイズは魔法を使えるようにしてとお願いするだけになりそうだ
帰ってVPネタトークのログ見て絶望した
召喚するならロレンタかジェラードだろJK
間違ってイマジンを召喚して「魔法が使えるようになりたい」と願ったらどうやってかなえるんだろうか?
>>181 魔法を手品と勝手に解釈したイマジンがスパルタ教育でルイズに手品を叩き込み、
習得した所で契約完了と言った感じか。
>>182 なるほど。それを「ゼロの電王」と組み合わせると面白そう。
そういえばあの世界にもデンライナーって来れるのかな?
来れないなら来れないでもまぁ分かるが、
何の問題もなく当たり前のように来そうなのがあの番組がらみの恐ろしいところw
>>183 どうせなら、ゼロライナーを呼んで欲しい。
でもその場合だと、来るのはデネブか?
186 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:19:07 ID:wUoErLBd
支援爆撃用意
>>183 デンライナーは出来る出来ない以前に、最低でもオーナーの許可がないと不可能。
そしてオーナーは結構厳しいからなぁ。
時の運行に関連しないどころか思いっきり乱しそうだから許可下りないと思うぞ。
最悪の場合ゼロライナーと言う手があるが。
まあ、デンライナーとかゼロライナーに異世界間航行能力があるかどうかは不明だな。
>>184の言う通り案外何の問題も無くやってきそうではあるが。
191 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:21:27 ID:wUoErLBd
森の中で爆発音。
それと同時にゴーレムの動きが止まる。
ルイズがフーケをやったようだ。
「今だ!」
RPG−7の弾頭にC4と衝撃感応式の電気信管をくっつける。
「タバサ!離れろ!」
シルフィードが離れるのを確認し、引き金を引き、弾頭が飛んで行く。
RPGがゴーレムの腹部に命中する。
―強烈な爆音と衝撃波―
RPGに仕掛けたC4が爆発したのだ。
C4の爆発により、ゴーレムの上半身が吹き飛んだ。
破片が飛んでくる。さすがにこのダメージはフーケでも回復できないようだ。
残った下半身も崩れ落ち、砂の山と化す。
「終わったわね。」
キュルケとタバサが降りてくる。
シルフィードは疲労困憊で、しばらく動けそうに無い。
「あれ、ルイズは?」
「ああ、ルイズなら―。」
「ここよ。」
背後から答えが聞こえた。
しかし、答えたのはルイズでも、スネークでもなかった。
「動くな。そこのメイジ二人は杖を捨てな。」
声は女性のようだ。
振り向く事が出来ないため、顔は分からない。
だが間違いなく杖を突きつけられている。
「スネーク、といったわね。アンタだけゆっくりとこっちを向きな。」
ゆっくりと振り向く。
ルイズがロングビルに手を回されて拘束されている。
「やはりお前か。ロングビル。」
「あら、ばれていたのね。何処からかしら?。」
「最初からだ。そもそもフーケの調査をしてあの時間に帰ってこれるはずが無い。」
「そう。たいしたものね。
さて、スネーク。おしゃべりは終わり。こいつの命が惜しい?惜しかったら破壊の杖を渡しなさい。」
杖をルイズに突きつけるフーケ。
どうやら冗談じゃないらしい。
192 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:22:29 ID:wUoErLBd
「分かった。」
「おっと、ゆっくりとよ。あせっちゃ、だ・め。」
アレだけ派手に盗んでいった割りに細かい。さすがはプロだ。
地面にRPGを置く。拾い上げるフーケ。
「約束だ。解放してもらおう。」
「ああ、そうだったわねぇ。…いいわ。解放しましょ。
…コイツの性能を試してからね。」
RPGを構え、こちらに照準を合わせるフーケ。
「約束が違うぞ?」
「そもそも約束した覚えは無いわ。」
笑いながら引き金に手をかける。
フーケがにやりと笑う。
「死ね!」
カチリ…。
乾いた音が響く。
しかし弾頭は飛ばない。
突然の事に動揺するフーケ。
「何!?どうして!?」
ニヤリと笑うスネーク。
計算通り。
「安全装置が外れていないぞ、新米。」
「何!?」
この一瞬の隙をルイズとスネークは見逃さなかった。
ルイズがフーケに頭突きを食らわせ、その隙にスネークが一気に距離を詰め、CQCで武装を解除。
そして投げ飛ばした。
地面に身体を打ち付けるフーケ。息も絶え絶えだ。
「安全…装置?」
「そうだ。この破壊の杖、RPG−7には暴発を防ぐための安全装置が備え付けられている。
お前ならその存在を知らないだろうと思ってな。」
「どうして…?」
「分かったかか?簡単だ。
使い方が分かっていればこんな手の込んだ罠を仕掛ける必要なんて無い。」
このときフーケは悟った。
相手が悪かった、と。
「ルイズ。」
「な、何よ?つかまったのは悪かったわよ。」
「いや、いい判断だった。いいセンスだ。」
拳でトンとルイズの胸を叩く。
ペタン
安心しきったのか、ルイズは地面に座り込んでしまった。
194 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:24:16 ID:wUoErLBd
「もうこんなぼろぼろになるような役はごめんだわ。」
―デブリーフィング―
学院長室でオスマンは四人の話を聞いていた。
破壊の杖、ゴーレム、フーケ。特にフーケがロングビルだった事には驚いているようだった。
「ふむ。君たち、ご苦労だった。破壊の杖が戻った事も嬉しいが、
君たちが全員無事で帰ってきてくれたことが一番嬉しい。
よくぞ、帰ってきた。君たちには感謝しておるよ。」
スネーク以外の三人が誇らしげに礼をする。
特にルイズの顔は今まで見た事が無いくらいに輝いて見えた。
自分の成し遂げた事がそれほどまでに嬉しいのだろう。
「フーケは城の衛士に引き渡した。破壊の杖もその使い魔くんが持っておる。一件落着じゃな。
君たちの功績を称え、『シュヴァリエ』の爵位申請を城に提出しておいた。追っ手沙汰があるじゃろう。
…といっても、ミス・タバサは既に『シュヴァリエ』の称号を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた。」
三人の顔が輝く。
ルイズはもはや直視できないほどに輝いている…と思ったら、そうでもない。
それどころか険しい表情だ。
「オールド・オスマン、スネークには何も無いのですか?」
「残念だが、彼は貴族ではない。」
「別に興味は無い。」
この世界の勲章がなんの役に立つだろうか。オスマンが手を打つ。
「さて、今宵は『フリッグの舞踏会』じゃ。破壊の杖も戻ってきたしの、予定通り執り行う。
君たちは今日の主役じゃ。せいぜい着飾りなさい。」
オスマンの話が終わり、部屋を出ようとする。
オスマンがスネークを呼び止めた。
「君は残りなさい。」
「さて、破壊の杖奪取の件は感謝している。
君がいなければ彼女達は死んでいただろう。本当にありがとう。」
「そうか。別に構わない。」
「ふむ。それで話と言うのはじゃな、君に破壊の杖について教えてほしい。」
「…分かった。」
破壊の杖の情報をスネークは教える。オスマンの表情は硬い。
「そうか…。恐ろしい兵器か…。」
しばらく考え込む。
「スネーク、これを貰ってくれんかね?」
「俺がか?」
「そうだ。君なら使い方を間違えないじゃろう。」
武装が少ない中でRPG−7が手に入るのは見過ごせない。二つ返事で了承した。
「それと、オールド・オスマン。聞きたい事があるんだが。」
「入手経路かね?」
うなずくスネーク。
支援
>>161 俺もそんな話しを聞いた覚えはあるんだが、その時に確か、「脳が育ちつつある赤ん坊を異物と判断して、免疫が胎児を殺しにかかる」という話しだったような……
まあ、かーなーりうろ覚えだが
197 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:25:55 ID:wUoErLBd
「三十年前の話だ。森の中で私はワイバーンに襲われた。
そこを救ってくれたのが破壊の杖の持ち主じゃよ。既に死んでしまったがのう。」
「そうか…。」
肩を落とすスネーク。
これでまた振り出しだ。やはり、オタコンを待つしかないのか。
「すまんのう、力になれずに。」
「いや…。」
「君が元の世界に帰れるのを私も手伝おう。いつでも相談してくれ。」
左手のルーンをなでる。そもそもこれが始まりだ。
このルーンや召喚術を研究するのが一番の近道だろう。
「このルーンに見覚えは?」
「それは伝説の使い魔、ガンダールヴのルーンじゃよ。
ガンダールヴはあらゆる武器を使いこなしたと聞いておる。」
「それが俺か?何かの間違いだろう。」
「かもしれん。だが口外するのはよした方がいい。
王立研究院に連れて行かれれば実験体としてばらばらにされてしまうかもしれん。」
それは遠慮したい。
この世界で死んだらどうなるか見当も付かない。
「わかった。」
「さて、話は終わりじゃ。君も帰りなさい。」
アルヴィーズの食堂の上の階は、大きなホールになっている。
そこで舞踏会が行われていた。
スネークはバルコニーに寄りかかり、空腹を満たしていた。
「相棒、うまいか?」
バルコニーに立てかけた抜き身のデルフリンガーが話しかける。
そういえばコイツの声を久しぶりに聞いた気がする。
「ああ。最高だ。食ってみるか?」
「あいにく消化器官がなくてね。遠慮するぜ。」
「それはそうだな。HAHAHA!」
陽気に笑うスネーク。少し酒が入っているようだ。
「…おめぇは踊らないのかい?」
「なんだって?」
「さっきまでキュルケとかいう娘っ子とか踊りたがる奴はいたじゃねえか。
どうして踊ろうとしない?」
「あいにく服がないもんでね。」
「それだけか?そんなもんかねぇ人間ってのは…。」
こういう話が出来るのがデルフのいいところだ。
そもそもスネークは剣を使わない。
インテリジェンスソードのような不思議なものでなければ目もくれなかっただろう。
ホールの中では先ほどまで戦いを共にしていた戦友が、それぞれにパーティを満喫していた。
「さっきまで戦っていたとは思えないな。」
「おうよ。元気なやつらだねぇ。」
「「若いってのはいいねぇ。」」
二人の声が重なった。
198 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:26:41 ID:wUoErLBd
ホールの壮麗な扉が開き、ルイズが姿を現す。
さすがのスネークも息を飲んだ。
先ほどまで涙目でぼろぼろになりながら戦っていた女の子と同一人物に見えないほどに輝いていた。
その美貌に今までゼロと言ってはやし立てていた男子生徒が群がっている。
ダンスに誘っていたようだが、ことごとく断られている。哀れだ。
こちらに気がついたルイズが近寄ってきた。
「驚いたな、ルイズ。君がこんなに女らしいとは思わなかった。」
「そうかしら?なら、踊ってあげてもいいわよ?」
「あいにく服が無くてね。遠慮す…」
「ちょっと待った、『我らの蛇』!そう簡単に断っちまって良いもんかねぇ?」
いきなり後ろから大声で割り込まれた。
マルトーだ。
「俺の使わなくなったタキシードがある。お前さんにそれをやるよ。」
「決まりね。さあ着替えてきなさい!」
笑顔で見送るルイズ。さすがに断れん。
マルトーからタキシードを受け取る。
元の世界のものとつくりが変わらなかったため、すぐに着替える事が出来た。
黒い蝶ネクタイを締め、真っ黒なタキシードに身を包み、ルイズの下へ戻る。
「遅いわよ。」
さっきまでの涙を感じさせないルイズの笑顔。
やはりまだまだ子供だな。
「エスコート位しなさいよ。」
すっと手を差し伸べるルイズ。
その手を取り、手の甲にキスをする。
「お嬢様、私と一曲踊っていただけませんか?」
「喜んで。」
清楚に笑うルイズ。
やはりこの子は笑っていた方がいい。
「あら、結構うまいのね。踊った事あるの?」
「いや、見よう見まねだ。」
「そうは思えないわよ。」
ルイズが軽やかにステップを踏む。
それにあわせてスネークも踊る。
「信じてあげる。」
「何がだ?」
「アンタが別の世界から来たってこと。」
「今まで信じていなかったのか。」
「信じられると思う?」
「そうだな。」
曲が終わり、また次の曲が始まる。
だが二人は踊りを止め、部屋に戻っていった。
支援
支援
201 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:29:38 ID:wUoErLBd
「乾杯。」
ワイングラスが音を立てる。
二人は窓辺でワインを飲んでいた。月が雲に隠れ、部屋が暗くなる。
遠くで舞踏会の音楽が聞こえるが、それ以外は静かなものだ。
「ねぇスネーク、貴方の名前はなんていうの?本当の名前。」
ワイングラスを傾けながら問いかけるルイズ。
灯りが小さいため、スネークの表情はわからない。
「戦場では名前なんて意味がない。」
戦場では生きるか死ぬか。そこでは個人なんて関係が無い。
自分の名前は何だっただろうか?
「歳は?」
「君より死人を多く見てきている。」
俺の人生は死人と殺しでいっぱいだ。だが、そんな俺の人生を人は英雄と呼ぶ。
「家族は?」
「育ての親ならいくらでもいる。」
自分の実父は自分が殺した。
そんな事は、今この子に言う言葉でない。
「……好きな人は?」
「他人の人生に興味を持った事は無い。
他人に興味を持てば自分が守れなくなる。」
自分を守れない者に他人など守れるわけが無い。
「何にも答えてくれないのね?」
「いつか話すさ。」
「今じゃ駄目?」
「ああ。」
人にほめられるようなことなどひとつも無い。俺はただの人殺しだ。
それが何のためであろうと正当化される時代は無い。
「そう…。いつか話してね。」
「そのときがきたらな。」
「…ねぇスネーク。元の世界に帰りたい?」
やはり暗くて表情が読めない。
貴方は泣いているの?それとも笑ってるの?
「俺はまだやらなければならない事がある。」
「何?」
「それもまたの機会だ。」
いつしか二人のワインは空になっていた。
月明かりがスネークの顔を照らす。やさしく笑っている。
初めてこの世界に来たときとは大違いだ。
「もう遅い。寝たほうがいい。」
「そうね、おやすみ。」
二人の長い一日が終わった。
202 :
蛇の使い魔:2007/12/17(月) 23:30:30 ID:wUoErLBd
投下終了。
とりあえず一巻までは終了しました。
支援感謝です。
乙乙
スネークかっこいいよスネーク
乙。
やはり才人にはないダンディズムに満ち溢れていますなぁスネークさんは。
妄想戦士ヤマモトがルイズに召還されたら
ルイズとタバサは萌えキャラ、キュルケはビッチ
ギーシュはフィギュアオタク
ワルドは真性ロリ・・・
ろくなもんじゃねー
MGSのメリルとのくだりを思い出してニヤニヤしていたのは俺だけではないはず
投下乙〜
舞踏会がなんだかほのぼのしていていい感じだな…
スネーク渋すぎるぞスネーク
蛇超絶GJ!!
普通に無線会話のノリだなww
>>180 遅レスだがそこはガンダールブに蘇芳、ニョルにシ帆で燃える展開だろう
あれ?キャンベルと同じ人だっけ?
スネークかっこいいよスネーク
大塚ボイスで自動脳内再生される
メリルにはエンディングで名前を教えたが…
さてルイズにはいつ教えるのかwktk
舞踏会のシーンで某沈黙の戦艦の導入部思い出した...
蛇がセガールにw
さあ、代理叔父さんが投下しちゃうよ
今日は二本立てだからよろしく
前回の代理投下と、まとめwikiへの転載ありがとうございました。
今回も相変わらずのOCNなので、こちらに投下させて頂きます。
このまま規制が続くようなら、避難所用SSスレに移住した方が良いのかもしれませんね…。
どっちにしても迷惑かけすぎですがorz
では、ゼロの教師その5です。
才人は、自分でも驚く程の憤りを感じていた。
彼は、自身には理解し難い価値観に基づく講釈を続けている金髪の少年、ギーシュの顔を眺める。
熱心に語る様は、成る程同性の才人から見ても美少年という範疇に収まるものだろう。自分と比べれば、どちらがそのカテゴリーに属するかと言えば、ギーシュであると認めざるを得ない。
しかし、才人にとっては、ギーシュもまた自分の主のように、鼻持ちならない傲慢な、不愉快な他人でしかない。
人の話を聞かず自分の我ばかりを押し通す。不満があれば無関係な者にも当り散らす。
それだけなら、まだ才人も我慢はできていた。まだこの世界にやって来て1日しか経っていない自分としては、最大限の譲歩がそれを受け入れるというものだったのだから。
何をどうしても元の世界に帰る事は出来ず、また自分がこの世界では平民と呼ばれる人間である以上、その立場に甘んじて行き続けるしかない。
それに不満がないと言えば嘘になる。しかし、受け入れる努力はすべきだと自分の中の、冷静な部分がそう囁いた。主人であるルイズのように、癇癪を起こすだけなら才人にだって出来る。
文句なんて未だに星の数ほど言える自信がある。不本意だが、ルイズを脅して帰れるというのなら、それだってやってやれるのだ。
それでも、それらに意味が無いから受け入れるべきだと考えた。
なのに、何故自分はこうも怒っていて、しなくても良い喧嘩をしているのか。
自分の中の冷静な部分はこの世界に順応しろと囁いているが、生来持ち合わせている気の強さや反骨心、更にこの世界や現在の境遇に対する反発心が、冷静な自分を押え付けたのだろう。
なんだ、と我ながらあまりの単純さに呆れてため息しか出てこない。
要するに、単に我慢の限界が来ただけだ。
「ごちゃごちゃ御託が多すぎるんだよ、てめえ」
少なくとも、自分からギーシュに頭を垂れる事などあり得ない。
貴族の価値観も、彼の家の事も、メイジも貴族も平民も、かつてない程の憤りの中にある才人には、一切の意味を持たない。
「貴族貴族貴族ってどいつもこいつもアホじゃねえのかクソが。
てめえだって、結局はただのガキじゃねえかよ。
自分のした事の始末もつけられないような奴はな、どこの世界でも只のクソ野郎ってんだ」
しかし、怒りに震えているのは、才人だけではない。
「よかろう! かける温情もこれまでだ。
ここまで言って分からないと言うなら、その生意気な口を胴体から切り離して差し上げよう!」
ヴェストリの広場にて対峙していた2人は、その言葉と共に距離を取り、才人は記憶の中から漫画で見た出鱈目なボクシングスタイルの構えを取り、
ギーシュはバラの花を模した杖を片手に構える。
開始の合図も無い決闘は、あくまでも余裕の態度を崩さないギーシュに向かって、才人が全速力で駆ける事が始まりの合図となった。
「予め言っておくが」
10メイル程度の距離を駆け抜ける才人に向けて、ギーシュが片手に持った杖を一振りする。
薔薇から1枚の花弁が散ると、何も無かった大地から戦乙女を模した青銅の像が生まれた。
「僕はメイジだ、だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね」
目の前で突如生まれた像に対し、目を丸くして驚いた才人だったがギーシュの言葉に再び戦意が沸いたのか、手槍を持つ戦乙女の銅像の横を素通りし、
ギーシュの目の前で大きく振りかぶり、拳を彼の顔面に叩き込むべく、痛いくらいに拳を握りこんだ。
ルールに従うなら、才人は杖を持つギーシュの手を狙うべきだった。杖を奪うだけなら、そこで動きを止めてまで振りかぶる必要もない。
そのまま駆け抜けて体当たりをするだけでも良かったのだ。
だが、興奮状態にあった才人はルールの事など頭になく、とにかくこのギーシュという男の事を殴ってやるという事だけが、頭にあった。
「無粋だね君。
乙女の名乗りには耳を傾けて差し上げるのがマナーというものだろう?」
だから、手槍をを構えた戦乙女が、大きく腕を振りかぶっていた才人に向けて体当たりをし彼を5メイル程吹き飛ばすまで、
その戦乙女の能力というものに対して、自分が何も考えていない事に気付けなかった。
「さあ起き給え平民くん。
君には僕の、青銅のギーシュの魔法。ゴーレムのワルキューレが全力をもってお相手しよう!!」
ルイズが、アティや他の補習を受けていた生徒達とヴェストリの広場に着くと、そこには生徒達の人山が築かれていた。
貴族同士の決闘はご法度であり、絵物語でしかそれを知らない生徒達にとって、どうやら2人の決闘は良い見世物のようだ。
ワルキューレの拳に才人が打たれる度、立ち上がる度に小さなどよめきが辺りに響く。
「ギーシュ!」
ルイズはそんな中、肩を震わせながら2人の間に割って入り、よく通る声でギーシュを怒鳴りつけた。
「おや、ルイズじゃないか。悪いね、少し君の使い魔を借りているよ」
「ふざけないで!」
「おお怖い。だがねルイズ、この決闘は両者同意の元で行われている正当なものだよ」
「禁止されているものに正当なんてないに決まってるでしょう!」
それは貴族の間だけだ、と抗弁するルイズをぴしゃりと跳ね除けると、再び立ち上がった才人を打ち倒すべく、ワルキューレに命令を送る。
「済まないがねルイズ。邪魔をしないでくれたまえ」
強かに打ち付けられた才人は、それでも不適な笑みを浮かべ再び立ち上がる。
「彼も、まだまだ元気なのだしね」
ルイズを跳ね除け、再び突進を始めた才人の姿に生徒達の歓声がひときわ大きくなった。その中に、
この決闘を止めようという意思を持つものは居ないようだ。
数名の生徒は呆れたようにそれを見詰めていたが、ただそれだけだった。
支援
「ルイズさん」
そんなルイズに、先程からずっと彼女の側に立ち、この決闘を見詰めていたアティが声をかけた。
「ミス・アティ! お願いします。あの2人を止めて下さい!」
「何故、ですか? ギーシュくんもサイトくんも同意の上でしたら問題ないはずです。
勿論命に関わるような事になれば止めますが、2人とも今止められる事を望んでいないのは明白です」
穏やかで優しい印象のアティは、あくまでもその印象を保ったまま、信じられない事を口にした。ルイズも、
側にいたキュルケや他の生徒達も、目を丸くしてアティを見詰めている。
「私は、どんなものでも信念に基く行動を最大限尊重します。
確かに今止める簡単ですし、実際に私も止めたいと思っています。けど、今私が教師という目上の立場で横槍を入れれば、
確実に禍根が残ってしまいます。
だから、私は2人の意志を尊重します。
尊重した上で、暴走するようなら絶対に止めます。それが最大限の譲歩です」
でも、と反論をしようとするルイズを制して、アティは続ける。
「だから、止めたいと願うなら貴女がやるしかないんです。ルイズさん」
「私が…?」
「ルイズさん、どうしてサイトくんは、こんな決闘をしているか、考えられますか?」
俯いたルイズは、アティの問いに首を横に振って答えた。
「きっと、サイトくんも分かっているんです。自分がどうしても帰れない事も、この国が貴族本位の国である事も。
自分が平民である事も全部。
でも」
「でも?」
「譲れない何かに、きっと触れられたんだと思います。
どんな些細な問題でも、そういったものって、きっと誰にでもありますから」
だから、と重ねてアティはルイズに尋ねる。
「貴女は、どうしたいのですか。ルイズさん」
「わ、私は……」
ルイズの頭を、たった1日しか共に過ごしていない、才人に対する思いが駆け巡る。
平民の癖に貴族を敬わない。命令しても文句ばかりで、碌に洗濯もできないような無能で、主人である自分を差し置いて使用人如きと意気投合し、
自分の知らない所で使用人と交流を深め、あまつさえ今現在彼は必死になってやめてと叫ぶ自分を無視してまで、ギーシュと戦っている。
やっと、やっと成功させた魔法で手に入れた、自分だけの魔法の成果なのに。
「それでも、私はあんな風に傷付いて欲しいだなんて思わない! あいつは、サイトは私の使い魔です!」
顔を上げたルイズの頭を撫でて、アティはポケットからサモナイト石を取り出し、祈るように胸の前で両手を合わせていたルイズの手に、それを手渡した。
「それなら、きっと貴女には出来る事があるはずです。
誰かを思いやる真摯な願いは、きっとどんな世界にも響きます」
サモナイト石を手にしたルイズの背を押し、今も必死にワルキューレと戦いを続けている才人へ、アティは声を張って教える。
この不器用な少女が、決して彼の事を嫌っている訳ではないのだと。
1人で戦う必要はないのだと。
「サイト君!
距離をとって!」
極度の興奮と緊張、そして疲労の極地にあった才人がアティの言葉に反応したのは、穏やかな印象ばかりのアティから鋭い言葉がかかったからだ。
手槍を突き込んでくるワルキューレから逃れ、一時でもワルキューレの動きを止めようと、足元の石をギーシュに向けて放る。
放物線を描いてゆっくりと放られた石には、ギーシュの身体を傷つけるような威力は無い。精々服に汚す程度の事しかできないだろうが、
ギーシュはわざわざワルキューレを呼び戻し、その石を手槍で叩き落させた。
才人を追いまわし、執拗に肉薄し続けていたワルキューレが、彼の側を離れる。
「お願い、サイトを助けて……私の願いに、応えて!」
サモナイト石と杖を持った両の手が熱を帯び、ルイズの身体を再び説明し難い感覚が襲う。緊張から視界は狭まり、ルイズの目には、
才人から離れ小石を叩き落したワルキューレの姿だけが、やけにはっきりを映って見えた。
お願い! と心の中で強く願うと、両の手の熱はその熱量を光に変える。
その色は、どこまでも白い光だった。
「召喚!」
援護!
言葉と共に、手元の光はルイズの掌を抜けて頭上へ延び、さらにその輝きを強め周囲の生徒達がその眩さに目を細めた瞬間。
4本の光り輝く剣がワルキューレの頭上に現れ、瞬く間にワルキューレの身体を貫き、青銅で構成されたその身体を地面に縫い付けた。
「なっ、何だこれは!?」
それに最も驚いたのは、ワルキューレを破壊されたギーシュだ。
突如として現れた剣は、決して周囲の誰かが投げ入れたものではなく、確かにその場で現れたものだ。
魔法で作られた氷の刃でも、錬金で作られたものでもない。
彼が、ルイズやキュルケ達のようにアティの補習を受けていたのなら、それがシャイン・セイバーと呼ばれる召喚術であると理解できたかもしれないが、
その存在を知らないギーシュは、慌てて杖を振り、隠し玉を登場させる。
落ちた花びら6片が、速やかにワルキューレとなる。
「あらギーシュったら、平民如きに本気になったのね」
態度を一変させたルイズは、堂々とワルキューレと才人の間に立ち言った。
その言葉から、ギーシュは先程の剣を呼び出したのがルイズである事を直感し、怒りの矛先をルイズに向ける。
「さすが、ゼロのルイズには貴族の誇りがないようだね。
貴族の決闘に横槍をいれるなんてね!」
「あらギーシュ、それは貴族の決闘でしょう? 貴方も言ってたじゃない。才人は平民、それもわたしの使い魔。
ねえギーシュ、それなら私、貴方のモグラを今の剣で突付いて遊んで良いのかしら?」
嗜虐的な笑みを浮かべるルイズに、高圧的な態度を取り続けていたギーシュの動きが止まる。
しかし、そんなルイズの顔を見ていない才人は、突然乱入したルイズの肩を引くと、彼女を守るように両手を広げた。
「勝手な事、言ってんじゃねえよ。
これは、俺とあいつのケンカだ。お前には関係ない」
「ルイズよ」
背中に投げかけられた言葉に、才人は目を丸くする。
「は?」
「シャイン・セイバーがまだ残ってるから、好きにすれば良いわ。
でも忘れないでね。私どんな勝負でも負けるのが大っ嫌いなの。だから、私の使い魔にも負けは許さないわ。
頑張って……サイト」
「……おう。お前の使い魔だからな、負ける訳にはいかないだろうがよ、ルイズ!」
代理支援
言葉と共に、才人は地面に縫い付けられたワルキューレに向かって走り出した。
距離的にはさほどの時間もない場所だが、その間にはギーシュの生み出したワルキューレが6体、内1対はギーシュの側を守っているので計5体が、突如動き出したサイトに反応し、
それぞれの武器を手に才人の元に殺到する。
才人は、5体のワルキューレが自分の元に辿り着けないのを確信していた。
初めて心を通わせる事の出来た彼女が、ルイズが勝てと言ったのだ。そして自分は勝つと言ったのだ。
「だから、負ける訳がねえっつんだ!!!」
突き刺さった剣は4本。その内1本、ワルキューレの足を貫いていた両刃の長剣を手にし、振り返りざまに後方から殺到するワルキューレに全力で斬りかかる。
まずは、また距離を取らなくてはいけないと考えていた才人は、その1戟はあくまで牽制のつもりで振ったものだった。
しかし、その一振りは才人に最も近づいていたワルキューレの手槍を捕らえると、まるでバターを裂くように、手槍共々ワルキューレの体を両断していた。
あっさりとワルキューレを倒されたギーシュは目を見開くが、彼に背を向けている才人はそんなギーシュの驚愕を知る事はない。
ルイズの召喚した剣の力か、淡い白い光を放つ剣を持っていると、あれだけ苦戦し続けていた筈のワルキューレを相手にしても、全く負ける気がしなかった。
風のように動く体が、淀みのない動きで剣を操る。
袈裟懸けに斬りつけて、1体。
手首を返し、返す剣で逆袈裟に斬り、2体。
剣から毀れる光を伴う才人の太刀捌きは、見る者を魅了し、対峙する者を威圧する。まるで華麗な舞のような才人の動きに、それまで唯の野次馬だった生徒達は、徐々に才人に向けて歓声を送る。
側面から突き込まれた手槍を避け、横薙ぎに胴体を両断し、3体。
未だにギーシュに背を向けてワルキューレを倒し続ける才人に、ギーシュは声を上げる事無く杖を振り、自身を守る為に側に置いていた、虎の子のワルキューレを突進させ、前後から挟み撃ちにする。
「サイト! 後ろ!!」
ルイズの言葉に反応し、才人は大きく跳躍し目の前のワルキューレの頭上を越えた。振り返ると挟み撃ちには失敗したが、
合流したワルキューレ2体が、左右に分かれて才人に向かって同時に槍を構えながら突進する姿が見えた。
才人は、しかし冷静に判断し、まずは左から向かってくるワルキューレに狙いを定め、それまでの最大速度で肉薄した。
才人の素早さに反応しきれないワルキューレは、手槍を構えた状態のまま、手足を斬られ、鈍い音を立てて地面に転がった。
最後の1体が、ギーシュを守るべくその元へ向かっているが、その姿は誰の目にも、敗北を恐れ逃走する敗残兵の姿にしか見えなかった。
「これで! ラスト! だああああ!!」
頭頂から股間まで1本の線が走ると、その線に沿ってワルキューレが両断される。ゆっくりと崩れるワルキューレの影から、
剣を構える才人の姿を見たギーシュは、腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。
そして、剣の切っ先がギーシュの眼前に迫った時、彼は杖を地面に放り、敗北を宣言した。
「僕の負けだ……」
「……そしたら、ちゃんと、謝れよ。二股してた女の子と、あと、シエスタにも」
「ああ、約束するよ。貴族の誇りにかけても、ね」
どこか晴々した表情でいうギーシュを見ていると、才人もまた、決闘以前に感じていた憤りが綺麗に消失しているのを感じた。
体中が痛いのに気分はとても晴れやかで、疲労が無ければギーシュと肩を組んでお互いの健闘を称え合いたいとすら思えた。
しかし、そろそろ限界だ。
がくがくと、もう少しでも立っていたくないと主張する足を踏ん張り、腰を落としたままのギーシュに握手を求めようとしたが、
満身創痍な自分と比べて、傷一つ付いてないギーシュの顔を見ると、やはりほんの少し憤りを感じた才人は、伸ばした手を握りゆっくりと、ギーシュに向けて拳を下ろした。
「でもな、やっぱり1発殴らせろ」
力の篭らない拳がギーシュの頬を捉えると、才人は速やかに意識を手放しその場に崩れ落ちた。
彼を助けたルイズの剣は、彼が意識を手放すと同時に、その姿を消していた。
以上です。
代理の方よろしければお願いします。
次回はもう少し、今より上手く書けるように頑張ります。
>>99 うわー、超ごめんなさいタイミング悪すぎでした。
次回からはきちんと宣言してから投下しますorz
ああっと、ごめんね。
もう一個は練習用だった。投下予約取り消し。
乙。
アティ先生とは別に才人君が召喚されている事がここで意味を持ってきた訳ですね。
しかしぶっつけ本番で「シャインセイバーを召喚できたのは彼女の眠れる才能か、それとも彼を護りたいという願いの為か?
迷宮職人=近年まれにみる屑
だったとはこれは驚き、ダンジョンメーカー好きとしてはこれはいわざるを得ない。
元ネタの評判落とすようなことをするな。
>「……なんでよ。なんで助けてくれなかったのよ、アレン!」
なあ、仲間と連携しないでボーと突っ立て助け以内ゲームだったか?
>だからこそアレンはルイズをご主人様と呼んだ。しかし、アレンに頼りきって自分で歩くことを
>止めるのであれば。アレンを必要としないのであれば。
>アレンは使い魔であることを止める。たとえ、左手を失ったとしても。
ヤクザの因縁よりもひどい調理論だな、オイ。
仲間を助けなかったを無理矢理難癖をつけて正当化してるんじゃねえよ屑。
あれか?説教でもしたかったのか。
やたら、自慢話してばかりいるが調子扱いているのかオイ?
なんて人間の屑なんだこんなやつがいたらドン引きだな。これ>作者の願望?
スルースルー
まあ、口調を抜きにすれば理解できないでもないけどね。
不満があるのならもう少し落ち着いて話そうぜ。
俺もいきなりの説教展開に少々閉口しているけど助けなかったってのはどうなんだろうか。
公式見た感じだと普通のDQタイプのRPGなんだろうが、みがわりとかだいぼうぎょみたいなシステムってあるの?
ないのならかばうことはできません、そういうものですって展開のほうがよかったのかも。
ここで言っても荒らしとしか思われないから職人もスルーするぞ。言うなら毒吐きで言った方が効果あるだろ。
>>235 ん? その作品全肯定のレスしかしてはだめってことか。
それとも感想や批判は別のところでってことかな。
>>234 低階層の敵ならかばいながら戦えてもいいだろうけど、これから先どんどん潜っていくとモンスターが強くなるわけだろ?
で、アレンがかばいながら戦えないような強いモンスターを相手にしたときに、まともに戦えないルイズが死んじゃうわけで
殴られても死なない敵相手に戦い方(というか身の守り方)を覚えるのは当たり前だと思うけどなあ
ゲンダイのクソ記者みたいに偉そうなこというなら自分で書きなさいよこのバカ犬。
俺も俺も!
>>237 普通はそう考えるんだけど、迷宮職人氏の作品内ではシステム的な事を言ってるから、
システム的にかばえないのならアレンの台詞もあれ?って感じに。
もしかばえるようなシステムがあるのなら見当違いのことを言ってるな、ゴメン。
>>241 システム的にかばえなくてもアレンの台詞に疑問を持たず、
かつ今読み直してもまったく疑問に思えなかった俺はおかしいんだろうか……?
いいこと思いついた。お前俺のケツの中でファイアーボールしろ。
こうしてボクの初召喚は焼け糞な結果になったのでした。
―――ヤケクソテクニック、完
ホイホイ着いてきてよかったのかい? 俺はメイジでもかまわず食っちまうような男なんだぜ
>>242 いや多分それが普通だと思う。
あれ?って思ったのは守るっていう台詞。
まあできないならできないで今回のが伏線になってたら面白そうだ。
というわけで続きを楽しみにしています。
>>230 ルイズ「アレンもう少し庇うと言うか守るというか…」
アレン「痛くなければ覚えませぬ」
迷宮道は死狂いなり
究極的に守りたいならルイズを魔法学院においてくれば良い話。
ルイズが自分を鍛える気があるからダンジョンにつれてきた。
んで、鍛えるならアレンにおんぶにだっこでいいわけないし、そりゃ怪我ぐらいするよ。
死なない程度に守るし、回復してるし、むしろ怪我してアレンに当たるルイズに違和感。
あと
>>230は口調を考えよう。
内容には一理あっても感情的に嫌味言ってる様に見える。
「丸い卵も切りよで四角、ものも言いよで角がたつ」って知ってる?
>>230こそ屑ってことでFA
以降は毒吐きスレだな
ルイズ依存症な使い魔ってアリデスカネ?
255 :
253:2007/12/18(火) 05:18:56 ID:neFCkfzG
>同じやつが暴れてるだけだと思うけどな
>ID変わってても、毎度毎度感情むき出しに噛み付いてきてるからすぐわかるw
|
\ _ /
─ (m) ─ピコーン
/ |ミ| \
`´
(∀゜)
ノヽノヽ
くく
>>255 |
\ /
─ ※ ─パチューン
/ \
|
(∀゜)
ノヽノヽ
くく
?
(゚∀゚)
ノヽノヽ
くく
どうでもいい
>>254 ルイズを姉と呼び、後ろをトテトテついていくとか
袖を握るとか、膝にのってご飯とか
寝ぼけて服の裾つかむとか
そういう依存なら俺は萌えます
荒らしはNGですべて解決
>>254 ルイズを神と呼び、崇め奉って崇拝するとか
罵られて恍惚とか、折檻されて恍惚とか
寝ぼけて理不尽なことされても恍惚とか
そういう依存でも俺は萌えます
っていうかそういうの読みてええええええええええ!!
>>259 トップ2のノノ召喚
ルーン効果でインプリンティング(お姉さま認定)完了
180センチの長身(髪の毛含む)でピンク髪のノノが
ルイズをお姉さまと呼んで髪を梳かしたり着替えをさせたりします。
そして周囲に「どうみても逆だろう」と突っ込まれて
ルイズの体型的トラウマを刺激します。
決闘イベントはモグラにじゃれ付かれて
ノノ「止めてください!止めてください!止めろ!この馬鹿土竜!」
ギーシュ「何するだー!許さん!」
ギーシュやフーケはゴーレムを壊すだけでいいから大丈夫だが
生身の人間相手が問題だね…
(作中の描写では人間相手にはバスターマシンとしての力は振るえないっぽい)
マンセーマンセーで手放しで褒め称えて前から気持ち悪かったけど
わざと援護しないで放置して見物 人間じゃないね
死んだらどうする?見殺しかよみたいなマネをして
自分に一切非はないんだ それは試しだよ勝手な俺理論を展開
あんたどこの師匠?
あげくにルイズ僕いらないんだぁ? どういう思考回路してるんだこのナマモノ?
逆ギレして腕を落とせだので契約切れるかよあほか
そう思うのならテメーでやれというか
自殺しろてな感じだな
気色悪い
はいはいテンプレ・空気読まないキチガイは死んでねw
毒は毒吐きで吐きましょうねゴミ屑www
>>265 何か嫌な事でもあったのか?少し落ち着いてくれ。
落ち着いてやってるからタチが悪い
またいつもの句読点使えない子が暴れてるのか('A`)
それに
>>250のレスすら嫌味に思えるなんて、自分自身に相当やましいことがある証拠だろう。
>>251とか
>>256はどんだけ後ろ暗いもの抱えてるんだよ。
お前らもう少しスルー力を身に着けろよ・・・
前から思ってたけどなんで批判したらだめなの?
全員がマンセーしててきもいったらありゃしないんだが
北朝鮮かよここw
…発想としてはおかしくないと思うぞ>腕を落とす
普通の中世医療技術だし。
神の視点だけで物を言うのはやめた方が良い、キャラの行動を非難する時は。
何も相手に合わせて無茶な擁護せんでも…
耳障りのいいカキコだけおkでそれ以外の矛盾点やまっとうな批評は全て禁止
アーアーキコエナイですかw
わかったよ俺も今後ほめ殺しor皮肉に満ちたのカキコしてやんよ
>>262 既にノノでプロット立ててみてるんだが、正直強すぎて盛り上がりに欠ける
戦わせると絶対勝つし、バスターマシン能力無いとタダの女の子だからなあ……
フィジカルリアクターの使用条件次第で話が変わってくるんだよねえ
戦いでは解決できない障害を用意してやればいいかと
>>277 もともとはただの男の子のサイトが活躍する話だってことを忘れないほうがいいと思う
バスターマシン能力を持って来たいのか、ノノっていう女の子を持って来たいのかで話は変わるだろうね
>>279 確かに、タダの女の子であることを前提として話を練ればいいかもしれない
でも、人間相手に武器を振るうノノの姿が想像できないんだよねえ
才人は才人で召喚して、特異点通過を理由にノノを無理やりハルケギニアに連れてこようかな
避難所向けになるけど
いや、やはり別ネタで考えている銀河中心殴り込み艦隊を……
>>277 バスターマシン能力がなくても
冷蔵庫とかの替わりに「ついうっかり」宝物庫の壁を壊す
とかやってくれるよ!
アレだ。バスターマシンの力=虚無とかにして、使い魔と担い手で八等分すればいいんだ。
ガンダールヴがエキゾチックマニューバとか、ウィンダールヴがバスター軍団を操ったり、縮退炉が四人目とか。
サイトも呼んだ場合はノノといい感じになりそうになったりしなかったり、ノノのみの場合は女の子同士でダラダラ話し合ったり。
マテパのティトォが召喚される話はマダー?
>>283 ティトォって炎の回復魔法・ホワイトホワイトフレアのあいつか
火の破壊以外の使い道にコルベール大喜びだな
たしかこの人一を聞いて十どころか百まで計算する千里算総眼図とかいう無茶苦茶な能力(というか特技?)も持ってるよね
……フーケもワルドも即バレそうな
さて、代理叔父さんが投下するから道を明けたまえ
邪魔する奴は指先一つでDOWN
あいも変わらずOCN絶賛規制中なのでどなたか代理投稿お願いします。
いい加減代理の人に世話になりっぱなしなのも心苦しいんだけどなあ・・・他の掲示板にも書き込めないし。
とにかく、宜しくお願いします。
翼人を一応退けた武士達は、村長の屋敷で夕食をご馳走された。
その中心に居るのは武士である。ほぼ単独で空を飛び先住魔法を操る翼人達を村人の目の前で倒して見せたからだ。
村人達はご馳走やワインを次々勧めたりして恐縮する武に構わず大いにもてなしていたが、武士がメイジではないと知ると全員が驚愕した。
ARMSについては、間に入った恵がマジックアイテムの一種という事で通してそれ以上の質問は封じさせた。
村人達もお上の人間の言う事にあれこれ口出しして怒りを買うのを恐れたのか、それ以上の質問はしなくなった。
とにかく彼らにとっては、迷惑な翼人をどうにかしてくれればそれでいいのだろう。
一方タバサ、イザベラ、恵の3人は蚊帳の外に居たが、それでもそれなりにもてなされてはいた。
しかし、これに大いに不満を抱いていたのはイザベラである。
無理矢理外に連れ出されて自分が憎んでいる従妹と一緒に危険な任務に巻き込まれた上に、王女である自分がおざなりにされるなんて・・・
などと思うが口には出さない。
口に出したら最後、全部言い終わる前にきっと隣の使い魔から鉄拳が飛んできそうだから。
だから黙ってチビチビご馳走をつまみつつ、ヤケ気味にグラスの中身のワインをカパカパと空けるのであった。
・・・間違って反対側のタバサの皿に山と積んであったハシバミ草を口に運んで、あまりの苦さにぶっ倒れるのは数分後の事。
サーヴァント・ARMS:第6話 『芝居』フェイク
「うう、ううううううう〜〜〜〜・・・・・・」
「調子に乗ってお酒を飲みすぎるからよ。あんたねえ、まだ未成年でしょうが」
ベッドで唸るイザベラの傍らで、呆れたように恵は言った。
いくら彼女でも、まさかハシバミ草のとんでもない苦さに体調を崩したとは想像出来なかったようである。
というよりも、そのハシバミ草を無表情、けれどおいしそうにタバサがパクついてたのを見たせいで普通の付け合せの野菜としか思っていないのだった。
ある意味その現況のタバサはといえば、イザベラの事などお構い無しに静かに読書中である。
合掌。
「村長さんに水とタオル貰ってきたよ」
下の階に下りていた武士が桶とタオルを持って部屋にやって来た。
桶に入った水にタオルを浸して、軽く絞ってからイザベラの広いおでこに乗せてやる。
少々朦朧としていた意識がタオルの冷たさでハッキリして、焦点の合ったイザベラの目に飛び込んできたのは・・・心配そうに覗き込む武士の顔であった。
近い。微妙に近い。
「大丈夫?」
裏表も無く自分を気遣ってくれる武士の声に、思わずイザベラも柄に無く素直な様子で「だ、大丈夫だよ・・・」と答える。
蒼白気味だった筈の顔色は、今度はうって変わって何故か赤い。
と、読書をしていたタバサがいきなり本を置いて、杖を構えた。
いきなりの反応に何事かと武士も身構えかけたが、恵の出した手に止められる。
見れば、恵の視線は扉に向けられていた。
「村の子よ。多分大丈夫だろうけど、一応いつでも動けるようにしといて」
タバサと武士は、こくりと頷く。
訪問者がノックする前に恵が「入っていいわよ」と声を掛けると、ゆっくりと扉が開いて痩せっぽちの少年が入ってきた。
タバサの詠唱の邪魔をしたあの少年である。名前は確か、ヨシアと村人が呼んでいた様な・・・
その顔は、明らかに憔悴した表情を浮かべていた。
「あの・・・」とヨシアは切り出す。
「翼人達に危害を加えるのを・・・止めていただきたいんです」
ヨシアから翼人達の事情を聞かされた武達。
内容はこの季節は翼人達の家族が増え、『巣』を作るのに幹が太くて立派なライカ欅が必要であり、そしてその巣はもはや立派な家だという事。
そしてここの村人達は森に生えてる木を売って生計を立てているが、翼人達が巣を作っている辺りの木を切らなくても別に他に生えてる木を売ればいいだけなのにあの辺りのライカ欅は特に高く売れそうだから、翼人を追い出そうとしているという事。
とどのつまり、要は金の為、という事だ。
後からここにやってきたのは自分達なんだから彼らから木を奪う必要は無い。そう思って、ヨシアは武士達を説得しに来たのである。
しかし、4人中3人がヨシアの頼みに「No」と答えた。
タバサは「任務」と簡潔に。
恵は「こっちは命令を受けた以上そう軽々しく自分達だけで止める訳にもいかないし、ここの村人全員の総意ならともかく1人だけの個人的な感情から任務を遂行しない訳にはいかないの。
第一勝手に任務を放棄したら私達が罰せられるだけで、他の人間がここに派遣されるだけよ。殆ど意味は無いわ」
とタバサと同じような命令を受けた側としての演技を交えつつ、組織人としての意見を交えて詳細に。
イザベラは「ふん、翼人なんてどうだっていいじゃないの!」などとヨシアの神経を逆撫でする事を言って恵に撃沈されていた。合掌part2。
結局、ヨシア寄りの意見を出したのは武士だけだった。
「でもさ、言葉も通じるし話だって出来るんでしょ?ならお互い話し合えば・・・」
「それが、村の皆は話し合いなんて必要無い、追い出せば良いだけの話だって言って、全然俺の話を聞いてくれないんです」
悲しげにヨシアが俯いた時・・・窓の外から透き通るような女性の声が聞こえた。
「ヨシア」
ちなみにここは2階である。
そしてその女性の背中には、翼が生えていた。
「アイーシャ!?あの、ちょっと待って下さい、彼女は敵じゃない!」
「タバサ、待って!ちょっと待って!」
タバサは杖を構えた。それを見て慌ててヨシアと武士の声が再び重なった。
「よ、よくじモガッ!」
「静かにしなさい!」
恵が叫びそうになったイザベラの口を押さえた。勢いが良すぎて平手打ちになってしまい、イザベラは悶絶した。
ヨシアに会いに来たという翼人の彼女、アイーシャを招き入れた4人は、実は恋人同士である2人の馴れ初めと村人と翼人それぞれが持つ悪感情について聞かされた。
場所や世界が変わろうが、そういった差別意識はどこにでもあるという事実を見せ付けられ、武士と恵は苦い表情になる。
その一方、目の前の2人のように人種どころか種族が違おうが分かりあう事が出来るのを改めて知って嬉しくもなり。
やがてアイーシャ達がこの辺りから立ち去る事を聞かされたヨシアは、タバサ達にこのまま立ち去ってもらう様懇願した。
が、タバサは黙って首を振り、イザベラには鼻で笑って一蹴され、気まずげに視線を交わす武士と恵の様子にヨシアの顔が絶望に染まる。
―――そして絶望は、人を容易く狂気に染める。
「そんな!どうしてこれだけ頼んでもダメなんだ!?あなた達には心という物が無いのか!?
命令だからって、人から大切な物を奪おうとして・・・愛する人と離れ離れになることがどんなに辛いのか、あんた達には分からないのか!!」
ヨシアは一番傍に居たイザベラへと手を伸ばす。
こうなったら人質を取って、無理矢理にでも立ち去ってもらう――愛する相手を失いたくない焦りから選んだ方法。
修羅場を潜り抜けた経験などこれっぽちも無い上に体調不良気味のイザベラが即座に反応できる訳も無く、そのまま腕を掴まれ引き寄せられかけた所で―――
引き寄せきる前に、素早くヨシアの懐に潜り込んだ恵の拳がめり込んだ。
ボディ一閃。臓物をかき回す衝撃に、堪らず崩れ落ちるヨシア。
恵はそのまま腕を取って捻り上げて事も無げにヨシアを拘束する。
「だからってねえ、女の子に手ぇ上げようとしてんじゃないわよ!」
ヨシアは何とか恵を振りほどこうとするが、ガッチリ極まっていて動けない。
イザベラを庇う様に武士は移動し、タバサも杖を構える。
ヨシアが自分に危害を加えようとした事に激昂したイザベラは、杖を抜いてヨシアに杖を向けたが、その前にアイーシャが立ちふさがった。
「待って下さい!ヨシアを殺すのなら先に私を殺して下さい!」
そう懇願し、覚悟を決めて目を瞑るアイーシャ。
その必死な光景にイザベラは思わず杖を握る手を緩める。忌々しげにヨシアを見下ろし、口から呟きが漏れた。
「羨ましいねえ・・・心の底から庇ってくれる相手が居てくれて」
小さく鼻で笑い、杖をしまう。
気まずげな空気が漂う中、武士はヨシアとアイーシャを見て決心した。
――やっぱり、何とかしてあげたい――
愛する人と離れ離れになることがどんなに辛いのか、武士にはよく分かる。
そうなって何度も辛い目に遭ってきた仲間を、武士はずっと見てきたのだ。
「ねえ久留間さん・・・何とか出来ないのかな?彼女達を追い出さずに済む方法って本当に無いの?」
武士の言葉にやれやれと恵は首を振ってからヨシアを開放してやる。すぐに寄り添う2人を横目に恵は腕を組んで考え込んだ。
「そうねえ。翼人達が村人の敵じゃなくて、生活に必要な仲間だって事に出来れば良いんだけど、実際そうならない限り誤魔化しようが無いし・・・」
「ちょっと、私を差し置いて何勝手な事考えてんだ―――」
ゴンッ!
「・・・とにかくどうすれば村の人達と翼人が仲良くなれる様に仕向けれるのかが問題よね」
「・・・こっちからそうすればいい」
「ああ、そうね、その手があったわ!よしそれじゃあこういうのはどうかしら?」
「フン、そんなので上手く行くのかしらねえ本当に」
「成功するって自分で信じなきゃ成功するもんも成功しないわよ。あとはそうね・・・武士、白兎<ホワイトラビット>は完全にいけるわよね?」
「うん、やろうと思えば今までと同じようにいけると思うよ」
「よし、それじゃあこの作戦で行くわ!総員自分の役目をキッチリ全うするように!」
「何で私までこんな事しなくちゃならないんだい・・・」
ガンッ!
「ブツクサ文句を言わない!」
翌朝、『それ』は唐突に村に現れた。
外見はガーゴイルに似ていたが、体表はよっぽど滑らかで尚且つ頑丈そうである。
翼を広げて竜よりも速く村の建物を通り過ぎるたび、襲い掛かる突風が屋根を吹き飛ばし崩壊させていく。
いち早くそのガーゴイルもどきの接近に気付いた恵の警告により村人達は建物から避難していたので瓦礫の下敷きになった者は居なかったが、避難時に突風などで転倒して軽症を負った者が数人出ていた。
それを治療しているのはイザベラである。タバサは風系統なので、治療魔法の方に関してはドットとはいえ水系統のイザベラの方が分があった。
やって来た怪我人に治療魔法をかけていきながら、手伝いをしていた恵に小声でイザベラは聞いた。
「何で私がこんな事・・・大体ね、ここまでやる必要あるのかい?このガリアの王女である私が平民風情なんかにこんな事してやる必要が――」
「ふーん・・・あんたも怪我人の仲間入りさせてあげようか?」
にっこりと恵、握り拳。
慌ててイザベラ、治療再開。
「こういうのはね、リアリティが大切なのよ。それにあれで武士自身しっかり大怪我させない様に手加減してるもの」
「・・・まさか、あんな冴えないのがガーゴイルみたいなのに変身できるなんてねえ」
「後はあのタバサって子と、あの2人が上手くやってくれればめでたしめでたしよ。でもいくらこれが芝居でも、最後まで油断しちゃダメだけどね」
少し出血している程度だったが、治療が終わった時には村人の傷は跡形も無く消えていた。
技術レベルに関しては恵の世界の方が格段に上だが、こういった治療に関してはこの世界の魔法の方が一歩先んじていると言える。何せ簡単な治療魔法だけでも浅ければ傷跡すら残らないのだから。
イザベラに治療してもらった村人は、嬉しそうに彼女に頭を下げた。
「おお、ありがとうございます!やっぱりメイジの方は凄いですなぁ!」
「ふん・・・治ったんならさっさと行きな」
屈託の無い笑顔と共に心からの感謝の言葉を告げられ、イザベラは少し顔を赤くしてそっぽを向く。
宮殿では回りから魔法の才能がある従妹と比較されながら、あからさまな愛想笑い交じりのお世辞ばかりかけられていたイザベラだったが・・・
情報伝達の媒体が殆ど進歩していないこの世界ではこんな辺境の田舎では彼女の顔は知られて無いので、世辞でも何でもない感謝の言葉を貰ったのはこれが初めての体験である。
―――こういうのも、結構悪くないね―――
微かな照れくささを感じ取られまいと「次、さっさと来な!」と声を上げるイザベラの様子を、恵は生暖かい目で観察していた。
一方その頃、村上空。
『・・・まさかこんな寸劇でこの姿を開放するとは思わなかったぞ、巴武士よ』
「ははは、ま、まあそう言わないでよホワイトラビット。これも人助けだしね」
そう。このガーゴイルもどき、実は完全体のホワイトラビットである。
このハルケギニアでは竜やガーゴイルなどファンタジー一直線の存在が普通に存在している為、今の武士の姿も村人達には単なるガーゴイルに似た何かとしか受け取られていない。最初に恵がそう言って認識するように誘導した事もあるが。
そんな武士の下の方では、タバサが杖を構えて詠唱・・・みたいな事をしていた。
とりあえず詠唱の内容はデタラメにも程があるが、見かけによらずとってもノリノリで演技をする姿に内心微笑ましくなる。
しかし。
「最強呪文、風棍棒!」
なんだかなあと言いたくなるその詠唱に、思わず武士は空中でずっこけそうになった。
さて、そろそろ武士達主催の寸劇も佳境に入る。
相変わらず色々物申したくなる詠唱と共に、『フライ』で飛ぶタバサと武士(Verホワイトラビット完全体版)は観客(村人)達が手に汗握る空中戦を繰り広げる。
しかしあえなく敗れるタバサ。気絶した彼女を置いて村の方へ再び向かってくるガーゴイルもどきこと武士の姿に、村人達は逃げ出そうとする。
だが村を捨てたら自分達は生きていけない。どうすればいい?
その時ヨシアが叫ぶ。翼人達を追い出そうとしたから、罰が当たったんだと。
協力し合うって選択肢もあった筈なのに、そうすればあのガーゴイルもどきだってやっつけれた筈なのに、と
そこでアイーシャが登場。村人達は怒りにかられるが、構わずヨシアは彼女と共に武士と戦おうとする。しかし人1人分の重さは彼女には辛いのか上手く飛べない。
ここぞとばかりに2人に襲い掛かる(ふりをする)武士に村人達が青くなったその時、騎兵隊が現れた。
アイーシャの仲間の翼人達である。
そして彼らは―恵達の思惑通り―正体を知らぬまま、武士を退けようと共闘を始めた。
村の猟師達は矢を次々放って牽制し、翼人達は武士の周りを飛び回って撹乱する。武士もそのコンビネーションに混乱しているふりをしつつも、怪しまれない程度に軽く体当たりなどをして反撃を行う。
そんな攻防がしばらく続いた頃には、村人と翼人の間で同じ敵を相手にする為に手を組んだ事でによる絆がハッキリと生まれていた。
そろそろ幕を引く時間だ。
猟師達の矢と翼人達の先住魔法の連発に這う這うの体といった感じを演じながら武士は村から離れていく。
追撃しようとする翼人を振り切って充分離れたその時・・・・・・村の方から歓声が聞こえてきて、武士はにんまりと笑った。
=========
今回はこれで投下終了。最初の名前が前スベったヤツのまんまだったorz
そして筆者はワガママ王女様を応援中です。きっとデレったらルイズより凄そうだと思いません?
このまま避難所専門になりそうな勢いですが、今回も代理投下を宜しくお願いさせていただきます。
GJ!
規制に負けない筆者を私は応援しています。
代理さんも乙です!
冷戦も地球規模の敵が出現していれば早々に終結してたんだろうなぁw
イザベラも角ばる必要がなくなって丸くなるかもと期待期待。
おつ〜
>>284 千里算はある程度相手の情報収集しないと使えないけど
素で頭いいから嘘はすぐバレるだろうな
このデレ化は期待するしか…
このイザベラ様は気さくなイザベラ様を超える逸材!!になれるかもw
ティトォを召喚しつつ、ギーシュで交代。
フーケとワルドでは出番無しにする。
デレろ!デレろ!
規制解除って話が他板で出てたけど、実際どう?
>>296 んなら最初からアクアかプリセラにしろよw
つかティトォがギーシュに負ける姿が想像つかん上に
倒すべき敵でもないんだからうまいこと決闘回避するだろ
OCN?
さっき実況で解除解除言ってたからされたんじゃないか?
亀頭?
おお、書き込めた。
ダンジョンって迷宮じゃなくて地下牢だろ?
ああああああ
やっべ、誤爆した!すんません。
同じマテパなら是非ともマスターキーの人を…
E.T.の小説でダンジョンマスターのことを牢名主と訳したってのはそれなりに知られてるな
叩き合い・無法地帯→アグ萌え
自重・誘導→FFT描く
なんだそりゃw
職人の皆さん、下書き用テキストエディタでオススメありませんかー?
>>309 脳が一番いいな
絶対どこにいったか分からなくなることは無いから
しかし、記録その物の抹消という危険性はあるが
しかも気づかないうちに抹消されそうだな。
ゴミ箱にも入れてないのにいつの間にかってやつで。
>>309 ここで聞くより作家チャットで聞いてみたほうがいいんじゃないか?
まぁ、なんにもSS書いたことない。ってんじゃなければの話だが。
下書き用かは分からないけどUnEditorを使ってます。
タブで複数開けるので以前書いた部分を見ながら書けて便利ですよ。
プロットの話ならiEditとかそのあたりですかね。
>>312 ゼロ魔は未経験なんだ
今はメモ帳と大学ノートでやってる
脳内はロストの危険が大きすぎる
>>311 俺なんてセンター試験中に数U・Bで公式が一ついきなり消えてヤバかったことがある
まあ、終了10分前に見つかって窮地を脱したが
脳・紙媒体・電子媒体の三つで常に確保しておくんだ
脳みそでは普通に消える
紙は紛失や損壊が怖い
データは消える時はあっさり消える
用心に越したことはない
紙媒体にしろ、電子媒体にしろ、流出が怖すぎる
>>313 UnEditor落としてみました
軽くいじってみたけど、いい感じっす
情報サンク
このイザベラ様はアル・ボーエンに似てるな。
タバサはジェフに・・・
>>319 アル・ボーエンが
U.K.オーエンに見えた俺は病気
321 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 17:18:47 ID:AECStNs+
最近イザベラ様ブームだな
俺の中ではイザベラ様は周囲の人間全部が敵に見えるキングクリムゾンな人がデフォ
使い魔がタバサとのなか取り持とうとして「こいつもシャルロットの味方か!」と人間不信が加速する、なんてネタを妄想したことがある。
>>321 とぅるるるるるって言ってるところを想像してしまったじゃないか。
323 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 17:27:44 ID:ll6XQITM
1話完結の作品を載せてもいいでしょうか?
投下はかまいませんが、メール欄にsageは入れましょう。
それ実際考えたことあるわw
ルイズと違って身内にすら味方がいないイザベラ様はツンよりヤンの方が似合うと思うがどうだろう。
いったんデレると言葉様以上に化けると思う。
「フフフ……。ここに聖誕せしアルビオン共和国の始まりの時を、君達の命で飾ってもらおう」
私達の目の前にいるのは、レコン・キスタの手先だったワルドと建物いっぱいの貴族派兵士達。後ろを振り返ってみてもワルドがいないだけで状況は同じ。私達は完全に包囲されていた。
「贖罪せよ、貴様の命で」
「彼女」がそう唱えると、私達を囲むように雷撃が放たれて、頼りないながらも突破口が開かれた。
「ルイズ、ギーシュ、キュルケ、タバサ。すぐにこの建物から出ろ」
「何言ってるの! あんた1人置いて私達だけ逃げるなんて、そんな事できるわけないじゃない!」
「いいからすぐに出ろ」
無茶にも程がある。いくら強くたってこれだけの人数相手じゃどうにもならない。だからって……、いくら主人を守るのが使い魔の役目でも、こんな事望んでないわよ!
「早く」
タバサが私の袖を引く。なおも留まろうとする私にギーシュも、
「彼女は無駄に命を捨てるような人じゃない。何か考えがあっての事のはずだ」
その言葉に私が頷くと、タバサが私の手を引いて建物の外まで連れていった。
(きっと大丈夫、生きて逃げてくるくらいはできるわよね……?)
建物を見つめて私はそう自分に言い聞かせているうちに、いつしか私は「彼女」と出会った日からの事を思い出していた。
あの日、サモン・サーヴァントで私が召喚したのは、奇妙な衣服を纏い地面に届く程の長い金髪を持った女性だった。
「彼女」によると、自分は異世界のメイジ(彼女の故郷の世界では「聖女」というらしい)で、自分を高次の存在(聖霊や天使の類)に進化させるべく暗躍して、完全とはいかないまでも成功したのだという。
その後それを阻止しようとした相手と戦って(まあ、ニューカッスルより大きい大都市が崩壊する危険があるんじゃ止めるわよね)負けて、気付いたら召喚されていたそうだ。
はっきり言って眉唾物の話だった。子供だってもう少しまともな作り話をするだろう、その時はそう思っていた。
けれど、それは本当だった。少なくとも、「彼女」がそう思い込んでも仕方ない程度の力は持っていたという事は。
最初に私がその力を見せつけられたのはギーシュとの決闘の時だった。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね? 僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
「我は代弁し、代行す。神は我と共にあり」
ワルキューレを生成しつつ言ったギーシュの言葉を開戦前の景気付けと受け取ったみたいで、「彼女」も自信たっぷりの笑顔でそう言い放った。
「いくぞ!」
高速で接近したギーシュのワルキューレが、手に持った2本の短剣で「彼女」を×の字に斬り裂こうとしたその瞬間、
「消し飛べ」
一瞬の出来事だった。指を鳴らすと「彼女」を中心に爆発が起きてワルキューレは盛大に吹き飛ばされた。
ワルキューレはその衝撃で関節がひしゃげたようで、手足をじたばたさせるけれどまったくの行動不能状態だ。
「な、何だと!?」
驚愕したギーシュは6体のワルキューレを生成、「彼女」に一斉突撃させた。けれど……、
「灰に還れ」
「彼女」の伸ばした手から放たれた光線が、先陣を切った長剣のワルキューレの胴体に大きな風穴を開けた。……いや、胸から上と腰から下に両断したと言った方が正しいはず。
続いて薙刀のワルキューレが上から、ランスのワルキューレが前から同時攻撃を仕掛けたものの、
「罪を裁こう」
上から攻撃しようとしたワルキューレが振りかざした薙刀に落雷3連発が直撃、ワルキューレはそのまま落下して白煙を吹いた。
その隙に前のワルキューレのランスが「彼女」の体を貫通した……かに見えた。
「無駄だ」
ランスで突き刺された「彼女」の体は消えて、本物の「彼女」はその少し後ろに悠然と立っていた。
「耐えてみろ」
そう言った「彼女」の手から人の腰程の太さの蔦が伸びてランスのワルキューレを締め上げると、何かを吸収しているかのように不気味に脈打った。
解放されたワルキューレはボロボロで、青銅の粉になっている部分さえあった。人間ならミイラ化しているところだと思う。
「そんな馬鹿なっ!!」
3体のワルキューレを瞬殺した「彼女」は、ギーシュが残るワルキューレに自分を守るような陣形を編成させたのを見て自分から打って出た。
地面から少し浮き上がって滑るように前進する「彼女」を、弓を持ったワルキューレ2体が迎撃するけれど、
「邪魔だ」
「彼女」の前に展開された魔力の盾が矢の全てを防ぎきった。
「塵と消えよ」
数えきれない程の風の刃がギーシュと残る3体のワルキューレに襲いかかる。
ギーシュはワルキューレに守られて無傷だったけれど、これでまたワルキューレのうち斧を持っていた1体が撃破された。
「死に絶えろ」
ワルキューレの足元から黄金に輝く怪物が真上に伸び上がり、すぐ上にいた弓のワルキューレをとどめとばかり噛み砕いた。
これを2連続でくり出されたギーシュは、ついに壁となるワルキューレを全部失った。
「フン……」
そのギーシュの様子を鼻で笑ったかと思うと、「彼女」は空中に開いた闇のゲートの向こうに消えて、
「!!」
直後にギーシュの背後に出現した。
「足掻け、苦しめ、絶望しろ」
「ひいいいいいっ!」
光の球がギーシュを包み込んだかと思うと突然破裂して、吹き飛ばされたギーシュは校舎の壁に叩きつけられた。完全にダウンしていて杖もどこかに吹き飛ばされたようだ。
『………』
私を含めて静まり返った観客達に「彼女」はただ一言、
「ふっ、かわいいな」
支援
フーケを相手にした時もそうだった。
「彼女」は巨大なゴレームを相手にしないで、その肩に乗るフーケに狙いを定めた。
「なっ!?」
闇のゲートを使って突然自分の目の前に現れた「彼女」にうろたえるフーケ。
けれどすぐにフーケはもっと驚いた顔になった。無理も無い、何十本もの黄金の剣が自分の周囲を取り囲んでいたのだから。
私も「彼女」がいろんな属性の魔法を高いレベルで使えるという事はギーシュとの決闘でわかっていたけれど、「練金」までできるとは思わなかった。
「運命は変えられん」
「はひ……が……っ!」
「彼女」の言葉と共に全部の黄金の剣がフーケを串刺しにした。
「これが力というものだ!」
フーケはかろうじて生きてはいたものの、為す術無く私達に捕らえられた。
でも、でも……、今回ばかりはもう……。
「出る」
「何がよ……。ワルド……? 兵隊……? それとも……、幽霊……?」
「大技」
そう言ったタバサが指差した先を見て私は硬直した。
建物の天井を光の矢(理由はわからないけれど「彼女」に間違い無いって思った)が突き破って、建物上空で止まった。
「彼女」の纏う光が一際大きくなり……、
「神の息吹を受けよ!」
光線になって建物中に降り注いだその光が目を眩ませて、爆音とそれに比べればかすかに思えるような悲鳴が耳をつんざいた。
ようやく視覚と聴覚が回復した私達の目の前にあったのは、さっきまで「彼女」が戦っていた建物だった瓦礫の山と、その真ん中にゆっくり舞い下りてきた「彼女」の姿だった。
「これが人を超えた力だ」
悠然とっていう言い方がぴったりくるような態度でそう呟いた「彼女」の所に、私達は先を争って駆け寄った。
「あんた、まさか私達に『出ろ』って言ったのは、『ここは私に任せて逃げろ』って意味じゃなくて、『巻き込まれないように離れていろ』って意味だったの!?」
「その通りだ。ともかくこれで……いや、待て」
言葉を止めた「彼女」の視線を追うと、うず高く積もった瓦礫の山の1つが崩れ落ちて、中から1人の満身創痍のワルドが這い出てきた。
「ふ……。さ、流石だ……、と褒めておこうか……。さ、最後に聞かせてくれ……。あ、あれだけの兵を一瞬で……。お、お前は何物だ?」
「元英国聖霊庁長官にして高次の存在、そしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、ミルドレッド・アヴァロン」
「こ、高次の存在!? ル、ルイズの使い魔がだと!? ……こ、こんな……バカな……私は……。う……うあぁ……あ、あれ……は……? あ、ああ……光が……見える……」
そう呻いたのを最後にワルドは動かなくなった。
――この日、レコン・キスタは崩壊した。
支援
支援
終わりです。
結構長く読んでいましたけれど、書くのは初めてだったので少々不安でした。
もしよろしければ感想をお聞かせください。
乙です。
>巨大なゴレーム
セント・レーガン吹いたw
乙カレー
できれば原作の名前も教えてもらえるとうれしいかな
キャラ名言われただけで分かるほど知識は多くないんで
多分アルカナハートという格ゲーのキャラ
>>335 申し訳ありません。
召還されたのは「アルカナハート」の「ミルドレッド・アヴァロン」です。
「アルカナハート」で長編を書きたいと思っていたので、練習も兼ねて書いてみました。
少女アーカード>>随分と、人間臭い感を受けました
以上です
アルカナハート乙です。
確かにコリャ長編と違って短編の方が無茶が効くわ。
でも強大な力に振り回されるルイズも長編で見てみたいと思ったり。
乙です
童話もいけそうならつながりでオオカミさんとかりんごさんとかりょうしくんとか
今投下OKでありましょうか?
才人の話を聞きながら、エリーはどうしたもんかねえ、といった顔をした。
ちなみに、才人はただ口論になったとかいうことだけを語り、エリーやキュルケに関してのルイズの発言は黙っていた。
腹の立つことではあったが、わざわざ本人たちの前で言うのもどうよ、と考えてのことだった。
「……で、そのルイズさんと喧嘩してごはんもらえなかったの、要するに?」
「左様」
「左様って……」
どこか芝居がかった態度で、他人事のような顔をして答える才人に、エリーは苦笑する。どうも彼なりの見栄というか照れ隠しらしい。
「あの、ヒラガさん、でしたっけ? 貴族のかたにそんな態度をとっては大変ですわ」
シエスタはかすかに顔を青くしてそう言う。
「へん。いいんだよ、あんなの。貴族だか山賊だか知らねーけど、魔法が使えるからって威張りやがって。つーか、あのおピンク頭はその魔法すら使えねーんじゃねーか! ぼっかんぼっかん爆発起こすだけで」
才人は悔しげに言ってから、うつむいた。腹が減っているのに大声を出して、がくりと疲労がきたのか。
「まあ、“ゼロ”のルイズらしいって、言えばらしいかもね」
キュルケは赤い髪をかきあげながら、皮肉な笑みを浮かべた。
彼女の生まれ育ったゲルマニアは、トリステインに比べれば貴族=メイジの地位は絶対ではない。
「確かに魔法が使えるに越したことはないわ。でもね、ゲルマニアで一番ものをいうのは、これ。これを稼ぎ出す能力よ――」
キュルケは昨夜、エリーにそう断言している。親指と人差し指で○をつくって。
「それで、どうするの使い魔さん? 私としては、またあなたに食事をわけてもいいんだけどね。……面白いし」
才人に向かい、つやっぽい笑みを浮かべながらキュルケはたずねる。面白いというのは、その後で起こるべくして起こるであろう事態をさしてのことだ。
すなわち。
「でも、キュルケさんにごはんもらったら、お仕置きなんだよね……?」
エリーが複雑そうな表情で言った。
お仕置き。
その言葉を聞くや否や、才人はがっくりと肩を落とした。
「やっぱ、めしと寝床を押さえられてるのが痛いよなあ……。ちっきしょう……」
「うーーーん…………」
目の前で途方に暮れている“使い魔仲間”に、エリーは小さくうなってしまう。
助けてはあげたいのだが、それをすれば後々才人がひどい目にあうのは間違いない。
ちらりと横目で見ると、キュルケはむしろそうなること、ルイズがぷっつんして暴れるのを期待しているように思われる。
「あのう? もし、私たちの食べている賄いでよろしかったら……。それなら、大丈夫なんじゃないでしょうか?」
横から、シエスタが声をかけてきた。
「え? ホントに!?」
「良かったねえ、ヒラガくん」
楚々としたメイドの声に、才人はパアーッと顔を輝せ、エリーもほっと胸をなでおろす。
キュルケだけはちょっと残念そうな顔をしていたが、やがて、まあ、いいかと肩をすくめる。
やっぱ、拾う神はいるんだ。才人は心中密かに今日から神様を信じようかなどと思っていたりした。
支援
「おいシエスタ、何だそいつらは?」
そう言ってエリーと才人をジロリと睨んだのは、やや太り気味でいかつい風貌のコックだった。どうやら厨房の責任者であるらしい。
見たところあまり歓迎しているような態度ではない。確かに厨房へ素人がウロウロ入り込まれては迷惑ではあるのだろうが。
それにしても、心地のいい視線ではない。
特にエリーに向けられる視線は、厳しいというか、小さな敵意のようなものが含まれているようだった。
マルトーと呼ばれるその男の視線に、エリーと才人は思わず顔を見合わせた。
「あの、こちらは……ミス・ツェルプストーとミス・ヴァリエールの……」
「ああ、人間が使い魔としてきちまったってな。話は聞いてる」
とりなすように経緯を説明するシエスタの言葉に、マルトーはエリーと才人を交互に見比べる。
「こっちの坊主は見たこともねえ格好だが……。そっちの嬢ちゃんはメイジじゃねえのか?」
「違いますよう」
緊張に耐えかねたエリーは、いっそ哀れみさえおぼえるような声で言った。
「だから、私は貴族でも魔法使いでもありませんって。錬金術士です。見習いというか卵ですけど」
「錬金って、そいつは錬金の魔法じゃねえのかい?」
「あんな便利なことはできません」
エリーはシュヴルーズの見せた錬金魔法を思い出しながら断言する。
杖を振っただけで石を別の金属に変質させる。そんなことはイングリドのようなベテランですらできないだろう。
確かにアカデミーの中には、魔法を操れるものもいるにはいる。ノルディスやアイゼルなどがそうだった。
だが、それらもどちらかというと護身用のためのものであって、ここハルケギニアのような、それこそエリーから見れば何でもアリの便利な代物ではない。
「ふうん? まあ、何でもいいやな。それで、そっちの坊主は……飯だったか?」
マルトーはシエスタに言った。
「はい。何でもミス・ヴァリエールから罰を受けて食事を抜きにされたそうで」
「…ったく、勝手に呼びつけといていい気なもんだ。これだから貴族って連中は……。で、そっちはそれとして、嬢ちゃんは何だったてんだ? あんたも飯抜きにされたのか?」
「いえ。そういうんじゃないです。ええとですね、ホウレンソウがあったら、いくらかわけていただきたいんですけど」
「ホウレンソウ? ホウレンソウって、あの野菜のホウレンソウか?」
マルトーは目を丸くしてエリーを凝視した。
「そうです」
エリーはうなずいた。
「生のままでか? 何に使うんだ、そんなもん?」
「薬の材料に必要なんです」
「薬? やっぱあんたメイジか? しかし……ホウレンソウ? あんたの国じゃ、そんなもん秘薬の材料に使うのか?」
「秘薬っていうほど、たいそうなものじゃないですけど。滋養強壮によく効くって評判です」
エリーはちょっと照れくさそうに笑った。
ホウレンソウを材料として作る薬・アルテナの水は飛翔亭で受けた依頼で何度もこなしているので、調合にはちょっと自信を持っているアイテムなのだ。
「ま、まあ、いいけどよ……」
エリーの顔を見ながら、マルトーは指で頬をかいた。
今ひとつ正体がよくわからないが、悪い娘ではないらしい。そのように判断したのか。
そんなマルトーに、エリーは頭を下げた。
「ありがとうございます。あの、お礼とかは何もできませんけど……」
「別にそんなもんは……。いや、そうだな。だったら、シエスタを手伝ってやってくれねえか? これからデザートを運ぶんでな」
「まあ、そんなこと……!」
「わかりました! お安い御用です」
シエスタは驚いたが、エリーはとんと胸を叩いて了解した。
「でも、エリーさん」
「いいの、いいの。気にしないで」
「あの――俺も何か手伝えることないかな?」
才人が言った。
「ヒラガさんまで」
「いや、こっちだってただ飯食わせてもらうより、何かしてからもらったほうが。何ていうか、気が楽だから」
「話は決まったな。人手があるほうがさっさと片付くってもんだ。シエスタ、遠慮しないで手ぇ借りな」
「そうだよ、遠慮なんかしないで」
マルトーがシエスタに笑いかけ、エリーもそれに同調した。
「そうですか……。それじゃあお二人とも、お願いしますね」
エリーと才人、それにマルトーを見ながら、シエスタは控えめな微笑を浮かべた。
「ええと、ところでさ」
才人がちょっと声の調子を変えて、エリーとシエスタを見た。
「俺のことは、名字じゃなくて、名前で呼んでくれないか? 何か平賀って呼ばれると、どうも……」
「え? ヒラガが名前じゃないの?」
エリーが首をかしげた。シエスタも同じような顔をしている。
「俺の国では、名字つうか、家名? それが前に来るんだよ」
「へえー。そうなんだ……。じゃあ、改めてよろしくね、サイト」
「ああ、よろしく……」
「お二人とも仲が、よろしいんですね?」
エリーと才人を見て、くすりとシエスタが笑う。
エリーは、そうかなあ? とのんきな笑顔で言った。才人はかすかに照れたような表情になったが、エリーは気がついていないようだった。
錬金術スタート! 支援
しばらくして後。エリーは白いエプロンをつけて、トレイのケーキを配って歩いていた。
才人は少し離れたところで、エリーの持っているものよりやや大きめのトレイを手に、シエスタと二人で配っている。
「はあい、エリー」
いくらか配り終えたところで、エリーは声をかけられた。
キュルケだ。
褐色のつややかな少女は、手をひらひらさせながらエリーに笑いかける。
「ホウレンソウもらいにいくーとか言ってたのに、何やってるの?」
「ホウレンソウのお礼、かな?」
「ふーん……? まあ、いいわ。私には、イチゴケーキをちょうだいな」
「え? ケーキ、一種類しかないだけど……」
エリーはあわててトレイに目をやる。その様子を見て、キュルケは小さく噴き出した。
「冗談よ」
「もー、脅かさないでください。ドキッとしたじゃないですか」
エリーは小さく頬を膨らませた。ちょっとハムスターチックだ。
「ごめん、ごめん。エリーって、何か可愛いから、ついね」
そうキュルケが言った、そのすぐ後だった。
何やら、大きな笑い声が響いた。
振り向くと金髪の端正な顔をした少年を中心に、数人の男子生徒が談笑をしている。
内容は、誰それと付き合っているかいないとかいう、まあ、ありふれた話題のようだ。
しかしエリーはしばらく輪の中心にいる少年から目が離せないでいた。
なるほど、いかにも貴族然とした美形である。胸のさした薔薇もよく似合っている。
しかし、エリーが受けた印象は、貴人というより、奇人だった。
(何か、変わった人だなあ………?)
「ねえ、エリー、早くケーキちょうだいな」
「あ、ごめんなさい」
キュルケの声に、エリーはあわてながらも器用な動作でケーキを皿の上に置く。
「ひょっとして、あのギーシュに見とれてた?」
「え? いや、そーじゃないですけど……」
エリーがちょっと引きつった笑みを浮かべた。まさか、変な人だと思いました――というわけにもいかない。
キュルケは、ふーんと探るようにエリーを見つめていたが、不意に視線を別の方向をやった。
「あれ? ルイズの使い魔くんじゃない」
ちょうど才人たちがケーキを配っているところを見つけたらしい。
「うん。サイトも一緒に手伝ってるんですよ」
エリーがそう言って振り返ると、才人はギーシュに何か話しかけているようだった。しかしギーシュのほうはそれに応じない。才人はムッとしながらも床から何かを拾ってテーブルの上に置いた。
ギーシュはそれに対し何か言っていたようだが、急に周囲の少年たちが何やら騒ぎ出した。
その後はまさに急展開だった。
ギーシュが何か弁解をしていると、茶色のマントを着た女の子が出てきて泣き始めたかと思うと、ギーシュにびんたをかまして走り去ってしまった。
おちつく間もなく、今度は巻き毛の女の子が出てきた。巻き毛の子は何事かギーシュと話していたが、ワインを頭からギーシュに浴びせてから一声怒鳴りこれまた去ってしまった。
「………何あれ」
あっという間に起こった修羅場を見て、エリーは呆然としていた。
キュルケは口元を押さえてかすかに身を震わしている。笑いをこらえているのだ。
そばで修羅場を見ていた才人は、芝居がかった仕草で顔を拭いているギーシュをケッという顔で見ていたが、すぐに歩き出した。
ギーシュがそれを呼び止める。
何やら両者は話しているが、どうも穏やかな会話ではなさそうだ。シエスタも青い顔をしている。
エリーは嫌な予感を覚えて、才人のほうへ駆け寄った。
君が軽率に――
二股かけてるお前が悪い――
いいかい、給仕君。僕は――
どっちにしろ、二股なんかすぐ――
ふん、ああ君は――
どうやらギーシュは修羅場の起こった責任を才人に求めているらしい。
しかし。
「……平民に貴族の機転を期待した僕が馬鹿だった。行きたまえ」
エリーがすぐに駆け寄った時には、ギーシュは小馬鹿にした態度ながらも、話を切り上げたようだった。
その態度にエリーはちょっと嫌なものを覚えたが、まず荒事にならずにすんだようなので、ほっとする。
だが、そんなエリーの心境をよそに、才人は目を怒らせてギーシュを睨みつける。
「うるせえキザ野郎! 一生薔薇でもしゃぶってろ!」
その一言に、ギーシュの顔色が変わる。
あっちゃー……。才人のうかつな言動に、エリーは思わず片手で顔を押さえた。
このサイト・ヒラガなる少年、自分からトラブルを招き、なくても作り出すタイプかもしれない。
「使い魔くん……どうやら君は貴族に対する礼儀を知らないらしいな?」
「あいにくと俺はそんなもんのいない世界にいたんでね」
「いいだろう。ならば君に貴族への礼を教えてやる。食後のいい腹ごなしだ」
「おもしれえ」
才人は凶暴な笑みを浮かべた。
「だ、ダメだよ!」
エリーは大声で叫び、才人の肩をつかんだ。
「え、エリー?」
「何で喧嘩なんかしてるの。それに、相手を挑発するようなこと言って」
「それは、あいつが――」
「確かにあの人が二股してたのが一番悪いけど……だからって無意味に喧嘩なんて」
「意味はあるんだよ、可愛らしいお嬢さん」
ギーシュは若干顔を引きつらせながらも、キザな仕草でエリーに言う。それに対し、才人はさらに表情をこわばらせた。
「彼はこの僕を侮辱してくれた。それ相応の対応をしなければ、面子にかかわるんだ」
わかるだろう? とギーシュはエリーに言った。妙に色気を含んだ声である。
先ほど修羅場を体験したばかりであるのに、こりていないのだろうか。
「上等だ、この野郎!」
「ダメ、やめて!」
才人はギーシュに詰めよろうとするが、エリーは必死でそれを押さえる。
「離してくれよ! こいつ、ぶん殴ってやる!」
「どうして!」
「あいつ、けっこう可愛い子と二人も付き合ってやがった!!!!」
「…………え――?」
才人はおまけに俺を……とさらに叫ぼうとしたが、エリーの眼を見て動きを止めた。
「あの……可愛い子と付き合ってから、喧嘩を?」
エリーは目を丸く才人を見つめる。
シーン……。
しばらく、沈黙が周囲を包んでいた。
「ぷふぅ!!」
それを破ったのは、ギーシュだった。顔をおたふく面みたいにふくらませて噴き出したのだ。
「ど、どうやら僕は、君にひどく残酷なことをしてしまったらしい……。いや、薔薇の存在自体が君には残酷なのかな? す、す、すまなかったね。謝るよ……」
ギーシュは爆笑しそうなのを必死で抑えているという体で、キザったらしく言った。
「愛を受けることができない者に嫉まれ憎まれるのも、薔薇のさだめだ。では失礼――」
そのまま、スキップでもするように席を立って離れていく。
「てめ、待て! こんちくしょう! やっぱ殴る! ぶん殴る!! 待てよ、おい! キザ野郎! アホ! ボケ! うんこ!!」
「だからダメだって!!」
才人はエリーに押さえられながらギーシュに向かって怒鳴りちらす。
しかし、ギーシュは、あははあ、くはーと笑いながら意にもかいさない。何か勝者の余裕という感じだった。
「ちくしょお…! 何だかとってもちくしょおおう……!」
「あのサイトくん、何も泣くことは……」
エリーは床に膝を悔し泣きし始めた才人の肩を叩きながら、子供をあやすように言った。
「そ、そうですよ。貴族と喧嘩にならなくて、良かったじゃないですか……。それに、その、サイトさんにもいつかいい人が……」
シエスタも遠慮がちながら慰めの言葉をつむいだ。しかしそれによって、才人の泣き声はさらに大きなものになった。
そんなエリーたちの様子を遠くから忌々しそうに見ている少女がいる。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール――才人の、“主人”であるメイジ。
今回はこれにて投下終了であります
支援のかた、ありがとうございますね
これはなんて残酷な展開www 支援
乙です。
サイトが横島化してる(w
そのうち藁人形でも出すかな?
サイト・・・(ノ∀`)
なんだかマルコメあたりとしっと団でも組んじゃいそうだな
しっとの心は乙ごころ!
横島サイトに噴きましたw
乙!
これはひどいwww(サイトへの仕打ちがww)
まぁ、ルイズがアレじゃなぁ……
支援
ヘタに決闘イベントおこしてルイズ改心(?)とかするよりはいいな。
まあそのうちサイトにも良いことあるさw
新しいパターンだな
毎回ギーシュがぶっとばされるのも食傷気味だったし
この展開は新しすぎてワロス
>>354 お前は俺を笑わせた!
何という予想外の展開w
GJでした
GJ
ケーキ配るエリーみててそのうち上質なワインとケーキ造りに励むエリーを生暖かい目で
見守るキュルケが思い浮かんだぜ
GJ
乙
微熱の人乙っすー。
コレはやられた、GJと言うしかないわw
…ルイズからなにやら八つ当たられそうなふいんき(なry)ですが
>>358 つーかルイズが癇癪を起こす→才人の反感が増す→エリー達とのコミュニケーションに癒しを求める
→ルイズが(ryのループ→以下略→Nice boatになりそうな
まあどっかでエリー達がフォロー入れるだろうな
乙です
GJ
サイトいと憐れ
しかし、ギーシュは二度とモンモンと付き合うことは出来なかったといきそう
グッジョブ
370 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 19:58:45 ID:3NvIeQCH
>>346 肉体関係もない異性に対してファーストネームを呼べっておかしくないか?
面白い
>>370 別に肉体関係なくたっていいだろw
それにサイトが女を求めてるのはわかるだろ?それにエリーは今サイトにとって唯一の「仲間」
ちょっとくらい勇気を出してみたっていいじゃないかw
>>370 いいんだよサイトはあと数日で作者様の願望のまま童貞を卒業して
プチハレームキングダムになるんだから
荒らすなよハゲ
>>370 君も薔薇とは無縁なのだね・・・
何も摘み取るだけが楽しみではないんだ
乙
テラ横島w
投下お疲れ様でした
ふと気づいたんだが…
ここで決闘イベントが潰れたって事はシエスタフラグもキュルケフラグも潰れて、
連鎖的に買い物イベントも無くなって…
あれ、結構いろんなフラグ潰れてないか?…作者さんの手腕に期待だなw。
>>377 仮にフラグがあったところでキュルケイベントは……
サイトつれてきて一晩外で過ごせってエリーに命じる外道キュルケになっちゃうw
ヘルミーナのルイズがサイト一直線に突っ走ったというのに、こっちのルイズときたら……
斬新な展開に思いっきり吹いたww
>>377 何?各種フラグやイベントが潰れたって?
そこは逆に考えるんだ、エリーが主役なんだから才人がフラグを立てる必要なんてないとそう考えるんだ
ひょっとしたら全くもって意外な人物とフラグが立つかもしれんしw
(あえてルイズと不仲なまま進んでもいいんじゃない?と思うのは多分俺だけ)
>>382 まあねw。
だから手腕に期待してるんだ。
310: 2007/12/18(火) 20:47:05 ID:Zs6N4SJh[sage]
★このスレの荒らしがスレを潰す目的で方々に
ここに クリスマス中止 と書き込んでくれ
健闘を祈る(`・ω・´)
このような書き込みとともに、このスレへのリンクを張りました。
それに釣られて誘導されて来た方はレスするのを止めて下さい。
クリスマス中止をNGにすれば万事解決だ
この作者は12巻に好評つけてそうだな
>>385 俺たちは毎年自主的に中止して一人で過ごしてるじゃないかorz
12月23〜5日の予定?
ガンプラ作ってゲームしてこのスレに入り浸るに決まってるじゃないかHAHAHA
orz
おいおい、ゼロの使い魔十三巻を楽しむってのが抜けてるぜ兄弟。
バイト
稼ぎ時なんだよ年末は
去年クリスマスの仕事帰り車に跳ねられ落ち込みながら家でカップラーメンすすった俺が通りますよ
人間意外と頑丈だよな
12月24日は13巻にwktkしながらダンジョンメーカーやってるぜ。
クリスマス?なにそれおいしいの?
>>387 去年も一昨年もそして今年も大腸菌と培養細胞が一緒だから
俺はさみしくないんだぜ。
さみしくないんだぜ。
>>394は公衆衛生関係…
いや、大腸菌なら遺伝子系か?
>>395 遺伝子っつーか発生っつーかその辺。
iPS細胞の影響でてんやわんやなんだZE☆
クリスマスかあ、ゼロの使い魔の新刊読んで、
翌日には、マリア様がみてるの新刊読むかなあ。
>>395 きっとクリスマスの奇跡でミトコンドリアが美女の姿になってお前んトコに現れるんだぜ。
俺はもうこれから1週間はJavaとにらめっこの日々だ。
ここのSSはどれもレベル高いなぁ。
特にゼロのミーディアムとか好きなんだけど
水銀燈ってめぐよりイズみたいなタイプをマスターにした方がお互いプラスになって
良かったかもなんて思ってしまう。
お前らちゃんと考えろよ
クリスマスにデートする奴等<働いている人達 なんだぜ?
お前達は多数派なんだよ
いちゃついてる奴等はマイノリティなんだよ、わかる?
つまりは多勢に無勢な訳だ彼奴等がなんと言おうと多数派は多数派
つまり正義、すなわちジャスティスなんだよ
わかる?ジャスティス、つまり正義
お前達は何一つ落ち込む要素なんて抱え込んでないんだよ
むしろ胸を張るべきなんだよ、堂々と街を歩いていいんだよ、むしろ歩いて当たり前
それをお前らと来たら部屋にこもりっきりで何?何なの?
街に沸いてる彼奴等が怖いの?何で?マジョリティ、お前らマジョリティなのよ?
それが分かったらさっさと美容院にでもいって格好つけて外に出てみろよ
お前らみてお茶にさそってくれる女性だっているかもしれないんだぜ
自分から積極的になってみろって、な?
俺には彼女がいるけどな、ざまぁ
正義と勝者は違う…
悲しいけれど、これってクリスマスなのよね。
いいよ、俺にはブギポ全巻読み直すという予定があるから
>>401 ああ、特に原作のめぐと水銀燈は痛々しくてうへぇっ(;´Д`)てなる時あるもんな。
ルイズとの方が相性いいかもな。
早朝から仕事→多分朝までゲームセンターCX
ですが何か?
おい! 誰か
>>403に三角帽を被せろ!
こやつは俺たちフラレタリアートの敵だ!! 自己批判の時間だ!!!!
>>399 待て、それ父子心中フラグwwwww
そんな自分は友達とメールしながらセンター過去問とにらめっこの日々。
規制解けたのか
連休は某所の人気投票で文字通り桁一つ違う得票で一位になった黄金聖闘士召喚される話でも考えてみるよ
微熱の方、GJです!
サイト哀れだ… その上この後待ってるのはルイズの折檻だろうな〜
決闘がないとなると、ガンダールブの力が出てくるのはフーケ戦までお預けかな?
次回も楽しみにしております
電車の中に「クリスマスなのに家で煮魚」って広告があったが、むしろ望む所なんだぜ
じいちゃんと3年ぶりの再会だ、今から楽しみでならん
コタツで肩をもみつつミカンでも食おう
>>412 孝行してやれよ……出来なくなってから気付くからさ。
415 :
貴族:2007/12/18(火) 22:46:41 ID:Evqli+q3
クリスマスの予定だって? ハハハ、僕は教会でお祈りとパーティーさ!
ゼロ魔の13巻は手に入れなくてはね、SS書きとしても。
じゃあ、投下予約するよ!
ギーシュを支援する!
ダンジョンメーカーといえば迷宮職人、不評だった部分を書き換えてるね
わざわざ変えんでもとは思ったが、こっちの方がよさげだと思うんで結果的にはいいかも
毎回毎回妥協する必要はないがな
クリスマスプレゼントに何もらおうか考えてる
脛かじり大学生が支援
クリスマスっていつだっけ?
華麗なる貴族・趙公明、クライマックス!!
『レコン・キスタ』の厳しい包囲網を潜り抜け、2隻のフネはニューカッスル城に到着した。
さっそく出迎えを受けるが、念のためとして杖や武器、動物の使い魔は向こうに預けられる。
「おお、殿下! これは大手柄ですな!!」
「やあパリー、積荷はなんと『硫黄』だよ! 全てはこのプリンスのおかげさ!
これで我が軍は『レコン・キスタ』に一泡吹かせて、美しく散ることができる!」
「ははは、敵方にはトロール鬼やオーク鬼、それに得体の知れない怪物どももいるとか。
残った砲火をことごとく放って、奴らを粉微塵にし、冥土の土産にしてくれましょう!」
城内の将兵は歓声をあげる。もはや彼らには、それしか道はなかった。
ウェールズ皇太子は自室に入ると、小箱からアンリエッタの恋文を取り出し、ゆっくりと読み始めた。
そして静かに封筒に入れると、ルイズに手渡す。思い残す事はない。
「姫から頂いた手紙だ。このとおり、確かに返却したよ」
「殿下、有難うございます。これで私のお役目は果たせました」
ルイズは深々と頭を下げ、手紙を受け取る。来る途中のフネの中で何度も亡命を勧めたが、断られた。
討ち死にの決心は固いようだ。ならば、もはや何をかいわん。
ウェールズはニコリとルイズに笑いかけ、そっと『風のルビー』を指から抜くと、手渡した。
「私の形見だ。アンリエッタに渡してくれ、勇敢なる大使ルイズ殿。
そして、皇太子は最期まで誇り高く戦って、立派に戦死しましたと、姫に伝えてくれればいいさ」
決戦の前夜、城のホールで行われたパーティーに、ルイズたちも参加させられる。
王党派の貴族たちはきらびやかに着飾り、テーブルにはありったけの豪華な料理が並ぶ。
老王ジェームズ1世の演説が済み、最後のパーティーが始まった。
「ああ、明日で終わりなのに、死んでしまうのに、なぜ彼らはこんなに明るいの……?」
「フフフ、もうすぐ終わりだからこそ、人はかえって明るく振舞うのだよ。ルイズ・フランソワーズ」
傍らに立つ趙公明が答えた。ルイズは、泣き腫らして赤い目を伏せる。
「けれど……私には理解できないわ。あの人たちは、どうしてわざわざ死を選ぶの?
姫様が逃げてって、亡命してって言っているのに! 他国に迷惑をかけるからなの?」
「戦場で勇ましく散る事は、王侯貴族の男としての名誉であり、誇りであり、また義務なのさ」
「分からない。分からないわ……女だから、なのかしら? 私も貴族なのに。ただ、魔法は使えないんだけど」
「ノンノンノン。魔法が使える者が貴族なのではない。メイジなら傭兵にだって盗賊にだっている。
危機にあっても敵に後ろを見せない者こそ、『真の貴族』なのさ!! いいかな、ルイズ?
それに明日は、この僕が麗しき戦場に出て、反乱軍を華麗に倒してあげよう!!」
趙公明とキュルケはパーティーの主賓として、派手に宴席を盛り上げる。ルイズも少し、笑顔を見せた。
ライトが飛び交い、スモークが特設ステージを包み、やんややんやの大喝采だ。
ワルドとタバサは、静かにテーブルで酒食を貪っている。
貴族ってこっちだったかオレハズカシー支援
趙支援
翌朝。もうすぐ始まる貴族派の総攻撃から逃れるため、非戦闘員が続々と脱出船に乗り込む。
ルイズたちも、ここから脱出するために中庭に集まっていた。見送りにはウェールズが立ち会う。
「お忙しい中の見送り、有難うございます。皇太子殿下」
「いや、構わないよ。最後の客人だ、丁重にお送りしなければね。昨夜はとても楽しかった」
ウェールズが微笑む。そこへ趙公明がにこやかに進み出る。
「ノンノン、僕はここに残って、数万の敵軍と華麗な戦いを繰り広げる気満々なのだが?」
「いいえ、プリンスをこのような戦場に赴かせるわけには参りません。
あの愚かな野望を抱く叛徒どもに『ハルケギニアの王家は弱敵ではない』と示し、
我らは見事戦死いたします! どうぞ、しっかとご検分下されますよう」
「ノー、ですよ殿下。あなたはここで、いとも無念な死に様を晒すことになっているのですから」
突如、ウェールズの胸板を、背後から鋭い風を纏った『杖』が貫く。
それはワルドの『打神鞭』だ。
「それが我ら『レコン・キスタ』の望み。そして運命の然らしむる、歴史の帰結ですので」
「ぐあっ……!!」
ドウ、とウェールズが倒れる。ワルドは杖を振って、皇太子の『青い血』を散らす。
「殿下、これは神の定めたもうた運命、いわば天数と申すもの。お恨み召されるな」
「が……はっ! 何が……運命、天数だっ……」
趙公明にも反応できなかった。『天数』は神とは言え如何ともしがたい。死すべき命は、救えない。
ウェールズの体から魂魄が飛び出し、バシュッとワルドの杖に吸い込まれる。やはり、またか。
「ワルドくん! 先日の劉環といい、今の皇太子といい、その杖に魂魄が封印された!
キミが『レコン・キスタ』側についた事といい、いったい何なんだね、その杖は!!」
あの杖、『打神鞭』は風を操る宝貝、それ以上のものではない。
のちに『杏黄旗』でパワーアップしたり、スーパー宝貝『太極図』がインストールされたりしたが、
それ自体には、魂魄を封印する機能はなかった。魂魄の封印は、『封神台と封神フィールド』があっての事だ。
……誰が、こんな機能を? いや、本物なのか、あれは?
「プリンス、これも『天数』です。この国は我ら『レコン・キスタ』のものとなり、
その支配もすぐに終わる。僕はその争いを利用して、多くの命を奪わねばならない」
「ワルド!! 目を覚まして、正気に戻って!! お願いよ!」
革命騒ぎを利用した、『封神計画』か。宝貝や神界の者どもが来ているのも、天数。つまりは……。
「なるほど、ワルドくん。キミの夢枕には、『白い女神』が現れたのだね?」
「なぜ、それをご存知で? 彼女は、やがて現れる貴方をも殺せと命ぜられた。
そうすれば僕は、『聖地』で永遠の命を得られると」
やはり、か。趙公明が愉しげに笑う。
「彼女は『歴史の道標』。この異世界でも、あちらと似たようなことをしているようだね。
『創造と破壊の神』として、歴史を自分の思い通りに進めようと、地上に介入し……
気に入らなければ全て壊して、新しく作り直す。まるで子供の砂遊び」
ルイズにはさっぱり、何がなんだか分からない。すでに半狂乱だ。
「プリンス! ワルド! 何を言っているの?! 神様とか歴史とか、一体何の事!?」
「ルイズ、キミは知らなくていいし、知らない方がいい。
今言えるのは、ワルド子爵が我々の敵であるということ。
そして彼には、『レコン・キスタ』などよりも遥かに恐ろしい存在が味方しているってことさ!!」
趙公明が『縛竜索』を振り下ろし、ワルドを両断する。
しかし、それは風の魔法による『遍在』。もう一人のワルドがルイズを攫い、凄まじい速度で『レキシントン』へと飛んだ。
再び振り上げた鞭は、別の遍在に背後から叩き落される。そしてそのワルドも、ふっと掻き消えた。
「皇太子の命、王女の手紙、そして『虚無の担い手』ルイズ。3つとも僕がもらった!
今はプリンスには敵わないが、いずれ始末してみせよう」
ふわりとワルドは甲板に降り立つ。艦隊は総攻撃態勢に入り、砲火が城壁を砕く。
『レキシントン』は少しずつ、城から離れだした。ひとまずこの場を離脱するようだ。
「プリンス! 皇太子が、それにる、ルイズがっ!! 信じられない、あの子爵がそんな……」
呆然としていたキュルケが、今更ながら取り乱す。タバサが風竜を呼び寄せた。追撃する気か。
「フフフ……フフフフフフ、よかろうワルドくん!
ならばこの僕は『悪の貴公子・ブラック趙公明』となり、キミたちの『神の正義』に立ち向かおうじゃないか!!」
武者震いした趙公明が鞭を構えて、くるるんと華麗に回転すると、髪も衣服も真っ黒になる。
冥界において亡者や悪鬼を監督し、疫病神を支配する暗黒の武神『玄壇趙元帥』の相である。
「さあ、伸びたまえ『飛刀』くん! あのフネに突き刺さるのだ!!」
激しい霊力を注ぎ込まれた妖剣『飛刀』が数十メイルもの長さに伸びる。
ブラック趙公明はそれを『ガンダールヴ』の力で思いっきり投げつけ、『レキシントン』の側面に突き刺す。
「キュルケくん! タバサくん! いざ、皆を連れて逃げたまえ!
僕は彼らを倒してくる! できるだけ遠くへ逃げるんだ!!」
言い放つや、ブラック趙公明は鞭を伸び続ける『飛刀』に巻きつけ、ハイジャンプした。
そして剣身を駆け上り、『レキシントン』の甲板へ乗り移る。シュルシュルと『飛刀』が縮み、手元に戻った。
「う、うわああああ!! あ、あの距離から来たぁぁあ!?」
「ばっ、化け物だ! きっとエルフかなんかに違いねぇ!!」
「ノンノンノンノン、しからば反乱軍の諸君に教えてあげよう!!
我が名は麗しき貴族・趙公明!! 冥土の土産に覚えておきたまえ、あの世で役に立つはずさ!!!」
名乗りをあげると、ブラック趙公明は伸縮自在の宝貝『縛竜索』と妖剣『飛刀』を振り回し、
『万里起雲煙』で大砲のような威力の火矢を放って、貴族派の艦隊を焼き討ちし始める。
戦いの場を得たプリンスは、遊びまわる子供のように楽しそうだ。いや、まるで怪獣である。
「ハハハ! ハハ! ハーーーーッハッハッハ!!!」
しかし、艦隊はやむなく旗艦である『レキシントン』に照準を合わせ、次々に砲弾を撃ち込んできた。
さしものブラック趙公明も、これだけの集中砲火には耐え切れないだろう。
いやいや、スーパー宝貝『金蛟剪』こそないが、彼には奥の手がある。
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哄笑するブラック趙公明の全身からツタが、根が、枝葉が伸び、燃え盛る『レキシントン』を覆い始めた。
その植物は、炎熱や乗員や兵糧や『風石』を呑み込んでエネルギーを吸い取り、猛烈な速度で成長する。
全長200メイルの巨大戦艦が、バリバリと音を立てて内外から破壊される。
ゆっくりと高度は落ちていくが、墜落はせずになんとか空中にとどまっている。
「う……嘘っ……!!」
誰も、目の前の現実を信じられない。
趙公明がフネに乗り移ってから数十分後、空中に山のような巨大植物が現れた。
彼の『妖怪仙人』としての原形、『伝説の巨大花』である。
そして、ブアアァァァアアと花が開く。そこには、巨大な趙公明の『顔』があった!!!
輝く大きな瞳の眼、凛々しい眉毛、それに口が、子供の落書きのように『花』についている!!!
「いっっっ……イヤァァアアアアアアアア!!!!!(ばたっ)」
「(ふらっ ぱた)」
キュルケは絶叫し、無言のままのタバサと同時に倒れ、失神する。
あまりにも、あまりにも常識を超えた光景であった。
「「見たまえ! 見たまえ!! 僕はさらにさらに美しく伸び広がり、増殖する!!!
キミたちを苗床にして、僕の森が生まれるのさ!! 麗しいだろう!!
どこだいワルドくん、勝負だ! 僕と勝負して決着をつけようじゃないか!!!」」
巨大な花からブフーッと種が撒き散らされ、地に落ちるとたちまち樹木となり、森となる。
彼は男性だが、単為生殖できるようだ。森には動き回る人食い植物が闊歩し、人畜を喰らう。
種は軍艦の甲板でさえ出芽し、メキメキと成長してフネを飲み込んでいく。
残されたニューカッスルの将兵も、ただただ見守る事しかできない。
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その頃、ワルドはルイズを抱え、高速で戦線離脱していた。
アルビオン王国が滅びても、『レコン・キスタ』が滅びても、彼にはどうでもいい。
「ではルイズ、ひとまずロンディニウムへ行こうか」
「イヤ! 離してワルド、プリンスはどうなっちゃったの!?」
「彼はもう、誰にも手がつけられん。逃げるが勝ちさ」
しかし、ワルドの眼前で突如、ぽかっと何もない空間に黒い『穴』が空いた。
人ひとり通れそうな大きさの穴だ。召喚用のゲートとも違う。
ワルドが警戒して上空へ逃れると、凄まじい稲妻がその穴から発射された!
スクウェア級の魔法『ライトニング・クラウド』の、数万倍の威力であろう。
「フゥ……『雷公鞭』でようやく、異世界との連結口が拡がりましたね。感謝しなさい、皆さん」
「大体、師叔がなかなか捕まらないから、この異世界を発見するのに時間がかかって……」
「それに、何さ望ちゃん、さっきの小さなゲートは。こんなに人数がいるんだから、
最初からもっと大きく作ればいいのに」
「うっ、うるさいのう! 異なる位相の世界をつなぐのは、結構大変なのだぞ!
今まで何とか断片的に情報を掴めていたのは、わしのお蔭であろうがっ!(ギャーギャー)」
なにやら大勢の話し声が、穴の中から聞こえる。
そのうちゲシッと誰かが蹴り出され、ワルドとルイズの眼前で、空中に直立し静止した。
全身黒ずくめの不思議な衣装に身を包んだ、小柄で飄々とした青年だ。
だが、その纏うオーラの強さは、プリンス以上である。
「だっ……誰よあんた、いきなり!!」
「誰か、だと? よろしい、名乗ってくれようぞ。
我が名は『伏羲(ふっき)』!! 始まりの人の一人である!!!」
(つづく)
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アニメ三期決定オメ支援
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ちょwwwww太公望の原型ktkrwwww
437 :
貴族:2007/12/18(火) 23:09:46 ID:Evqli+q3
投下終了、支援に多謝。
とうとうプリンスが開花し、天国のお迎えが来てしまったよ。そして残るは二話!
では、近日中に会おう! 楽しみにしていたまえ!
お疲れさまっしたー
うーわ、ただでさえビオランテ趙公明(違)だけでも阿鼻叫喚だというのに
さらに人間大怪獣が増えてしまった…w
なんだかすごくwktkですよ?
乙&GJ、何か色々来てるw
しかし、伏羲って王天君二人分の魂魄無くなってもどうって事ないんかね?
スース来ちゃったー!?
お疲れ様でしたー
う、宇宙人キター!!(伏羲=王天君=太公望)
つうかプリンス、ブラック化www!
ワルド、オワタな。
っつーか、これはもはや大詰めの気配では……
まあダラダラ続けて終わりが見えなくなって更新途絶よりよっぽどましだ。
作者さんの予定通りすぱっといっとくれい!
伏羲ってあのでっかい剣を振るう男でしたっけ?あれだったらガッツの方が強い気がするんですが……。
(馬鹿は三国無双しか中国史を知らない)
いや、先っちょに玉の付いた教鞭っぽいものを振り回したり空間操ったりする宇宙人w
元ネタはジャンプの封神演義。
更にモトネタは「嫁と一緒に泥こねて世界とか創ってみましたー」な古代神さんだぞw
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支援
お疲れ
何の支援だ?
ルイズがFateの方に行くスレがあるせいか、Fateキャラが召喚されるのってないな。
アーチャー、士郎の無限の剣製って、ガンダールヴの能力と滅茶苦茶相性良さそうなんだけど…
・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
型月用があるからそっち池
節穴eyeか
minimum脳味噌か。
次のスレッドから誘導先をテンプレに入れといて…も無駄だろうなぁ。
どう考えても釣りです
457 :
双月の女神:2007/12/19(水) 00:41:12 ID:3CnMEkdf
どーもです。投下に参りました。
5分後投下いいですか?
全軍1つとなり、支援体制へと入れ!
支援
460 :
双月の女神:2007/12/19(水) 00:50:23 ID:3CnMEkdf
感謝です。では、逝かせていただきます。
小気味の良い、丸木を断ち割り、転がる音が、早朝の学院の薪置き場に響く。
それを響かせるのは一人。
屈んだ姿勢で鉈を振るう、ざんばらに切った黒髪の少年。
群青色の下地に、白地の布をパッチワークに、後ろのフードと一体の、このハルケギニアには存在しないであろう、
未知の生地布で作られた服の腕を捲くり、一つ、また一つと丸木を使いやすい形に変え、薪の山にくべる。
「ふぅ。」
まだ夜と早朝が肌寒い季節ではあるものの、薪割りで、自然と吹き出た汗を拭う。
少年の名はサイト。彼自身は平賀才人と名乗っている、この学院の使用人である平民の一人。
今日は休日を示す『虚無の曜日』。朝早くに、毎日割り当てられた薪割りの仕事をこなし、休日を楽しむべく、鉈を振るって
いたのである。
「うし、後はこいつだな。・・・ったく、こんなの取ってくる時に厳選しろっつーの。」
愚痴を言いつつも、一際太い、本来ならば斧が必要な丸太を台に乗せると、先程まで右手に持っていた鉈を左手に持ち替える。
布を軽く絞り込む音をさせ、握りしめると、左手に刻まれた文字が、光を帯びて浮かび上がる。
もし此処に、ミカヤを知る者がその文字が輝く光景を見ていたならば、既視感を感じたか、驚愕したことだろうが、生憎と
観衆が存在しなかったため、それは行われた。
「しっ!」
サイトが左手の鉈を高く掲げた後、一気に振り下ろすと―――――
そこには見事に、縦割りに八分割された薪が転がった。
「ふっ、つまらん物を斬ってしまった。」
目視が困難な速度で、四度も振り下ろされたのだ。
調子の良い性格のこの少年。一人、誰もいないはずである置き場で格好をつけてみた。
「何をやってるのよ、サイト。」
「・・・・・あはは、姉さん見てたのね?」
しかし、それを窘める女性の声に、乾いた笑いを浮かべながら振り返る。
エメラルドグリーンの髪の美しい、眼鏡をかけた女性が眉を顰め、頭痛を抱えるように右人差し指を額に当てている。
学院長付秘書のロングビルだった。
支援
462 :
双月の女神:2007/12/19(水) 00:52:42 ID:3CnMEkdf
ファイアーエムブレム外伝 〜双月の女神〜
第一部 『ゼロの夜明け』
第九章 『休日の街』
普段の彼女を知る学院関係者ならば聞くことは決して無い、おそらく此方が地であろう、砕けた口調で話す。
「まったく。今の光景をあの好色爺やコッパゲに見られたらどうするんだい?」
「ごめん。でも、斧振るったら今の俺じゃ粉砕しちゃうし。」
オスマンとコルベールのことを不敬な物言いで呼ぶロングビルは、目の前で起こった現象に心当たりがあるために、
そう忠告する。
頭を掻きつつ、謝るサイト。
「それはそうだけど、もう少ししっかりしなさい。
サイトが『ガンダールヴ』であることも、あの子が『担い手』であることもみだりにバラすわけにはいかないんだから。
あの子の出自も考えれば、知られれば尚更まずいんだし。」
彼女は何の変哲の無いはずの目の前の少年と、それに連なる彼女の妹分が如何なる存在かを知るがため、危惧する事項を
伝える。
学院長付秘書であるロングビルは、『フェニアのライブラリ』に立ち入る権限をオスマンから得ている。
その為、サイトの左手に刻まれているルーン文字を調べる機会があった。
その時に導き出した答えは、彼女を驚愕させ、納得させるものであった。
―――神の楯『ガンダールヴ』。
あらゆる武具を使いこなし、そのルーンから得られる力でもって振るわれる技は天下無双。
始祖ブリミルを守り、万敵を退けたとされる、不敗の騎士の使い魔。
ミカヤのいた『テリウス』ともまた異なる世界から召喚されたのがサイトだった。
特殊な出生の過去を持つ彼の召喚者は、人と関わりを持つことを憚られるが為、ロングビルと共に育った孤児院から外に
出られない生活を送っていた。
同じ孤児院の中でもロングビルを除けば最年長であるため、自らの出自を恐れない友人を欲し、『サモン・サーヴァント』
を行使したことにより、彼は現れた。
サイトも召喚当初は困惑し、元の世界に帰れない事を嘆いたこともあったが、暴漢が孤児院に押し入って来た時、薪割りに
使っていた鉈一振りで守ったことから、元来の前向きな性格も後押しし、友人として、守人として契約を交わした。
その契約者は傾国の、と例えても大袈裟では無い掛値無しの美少女であり、何よりサイトが好む、女性の誰もが羨むであろう
神懸り的なプロポーションを誇っていた。
何分に年頃の少年だったが故に、下心抜きでは無かったことは否めなかった。
463 :
双月の女神:2007/12/19(水) 00:55:05 ID:3CnMEkdf
「俺が伝説の使い魔だって言うけど、何か自覚無いんだよな。
確かにこのルーンが刻まれてから、左手に「武器になり得る物」を握ると、すごい力が出るんだけど。」
物心ついて以来、異世界で武具や凶器とは無縁の生活をして成長して来たサイトは、その類の扱いの心得を持っていなかった。
二人が酒場で給仕として働いている時に客として訪れたオスマンに目をかけられ、学院に秘書として、使用人として
雇われるまでの間、危険な目に遭うことが多々あり、それを潜り抜けられたのは一重に、このルーンの力によるところが
大きい。
「私から言わせれば、素人が動きが早くなって、腕っ節が強くなった程度でしかないね。
この学院まで連れて来るにも、危なっかしくて冷や冷やものだったんだから。」
「まぁ、そうだけどさ・・・・・。」
そう言い切るロングビルにぐうの音も出ないサイト。
ちょうどその時、馬車を引く音が聞こえる。
「お?シエスタ?」
貴族の外出の為に馬車を手配したであろう、使用人仲間の少女を見かけたサイトは目を凝らす。
すると、それを待っていたように、一組の女性と少女が乗り口まで歩み寄るのが見える。
この学院では既に貴賎問わず名の知れた銀髪と桃色髪の二人。ミカヤとルイズだった。
「すげぇ・・・・・。」
噂に違わぬミカヤの美貌に、たちまちに魅了されるサイト。最も、彼の場合は彼女のことを別の形で知っていたこともあり、
噂以上と評価を修正していたが。
―――――サイトの世界には彼女の姿似の絵が存在し、『科学』と彼が呼ぶ魔法じみた技術でもって造られた、
テリウス大陸の戦史を追体験できる遊具が存在している。
彼はその中の一幕をミカヤの立ち姿を通じて思い返し、郷愁の念を浮かべていた。
余りにも遠い所に来てしまったのだと痛感させられると同時に、何故、「あちらの世界」での「仮想の人物」がいるのか、
疑念を抱く。
「見とれてないで。
ノルマはこなしたんでしょう。私達も馬を借りに行かないと時間がないよ。」
すると、ロングビルから、頭に軽い小突きが落ちた。
「いて、そうだった。確かトリスタニアで武器を買うんだったっけ?」
「そう。早く行くよ」
気を取り直し、腕まくりした衣服を正すと、踵を返す彼女に続くサイト。
「ツテがあるから、私の知っている武器屋に行くけどいいかい?」
「ああ。姉さんが選んだものなら間違いないし、お願いするよ。出来れば・・・、タルブ製の剣なんかとか欲しいんだけど。」
「ヒヨっ子が贅沢言わないの。」
そんなやり取りをしつつ、学院内の宿馬場へと二人は歩いて行った。
464 :
双月の女神:2007/12/19(水) 00:57:21 ID:3CnMEkdf
「本当に助かりました、シエスタ。」
「馬車の手配も付き人として来てくれるのも助かるけど、どうして私達に?」
一方、ミカヤとルイズは馬車を手配してくれたシエスタに礼を言い、軽い自己紹介を終えたところで、今回の同行の理由を
聞いていた。
「ミカヤさんへの感謝の気持ちでもありますし、何より私も王都に用がありますので。
それに、ミカヤさんの主人であるミス・ヴァリエールにも、一度は御挨拶に伺いたいと思っておりましたから。」
「そうなの。改めてよろしくね、シエスタ。」
「此方こそ、ミス・ヴァリエール。」
召喚されてから、自身を導く道標となっているミカヤとの触れ合いにより、平民との当たり方も丸くなりつつあるルイズ。
柔らかな笑みを向け、そう話す彼女にシエスタは笑顔で返す。
そのまま彼女は御者台に乗ると、二人に催促をする。
「さぁ、参りましょう。」
手綱を握るシエスタにミカヤとルイズは頷くと、馬車へと乗り込み、一路王都へと向かった。
―――――トリステイン王国王都トリスタニア。
城下の繁華街ブルドンネは、休日の賑わいを見せていた。
道路には人々が行き交い、子供達が笑いながら駆け回り、道なりに店舗が垣根を連ね、商人が品物の売り込みに
声を張り上げる。
その光景に、二人と共に大通りを歩きながらミカヤは、復興後のデインでの暮らしを思い返した。
老若男女、貴賎、種族を問わず、ヒトが溢れた懐かしき故国の街。
行幸からの帰国では必ずと受けた、栄光を賛美する声と熱烈な出迎え。時には民らに混じり語らい、宴においては杯を交わし、
歌う。
街並みを眺めつつ、この国もそうあればと願わずにはいられなかった。
465 :
双月の女神:2007/12/19(水) 00:59:33 ID:3CnMEkdf
「ねぇ、ミス・ミカヤ。」
右隣につき、歩くルイズの声に思考を戻すミカヤ。
「何、ルイズ?」
「ミス・ミカヤは他に何か欲しいのは無いの?」
そう聞かれ、思考するミカヤ。
旅の為に用意していた最低限の持ち物以外持っていなかったミカヤは、まずはルイズとシエスタ達とで、着衣その他の日用品の
購入を済ませていた。
「日用品は此方でも購入出来たけれど、魔導書や杖の方は替えが無いわ。」
魔導書と杖は魔法や力を行使する度に磨耗していき、やがて負荷に耐えられなくなり、魔導書は燃え尽き、杖の宝珠は
砕け散る。
特に使用頻度が多い魔導書と杖は予備が欲しいところではあったが、このハルケギニアでそれを求めるのは無理だろうと
考えていた。
手元には決戦の折に女神の加護により固定化と神性を付加された、最上位の光の精霊魔法である『レクスオーラ』の書が
あるが、鍛え直している最中の自身が扱うには負担が大きい。
「あ、それでしたらミカヤさん。」
そこに、何かを思い出したように言葉を挟んだのは後方に控え、荷物を持つシエスタだった。
「私がお世話になっている武器屋にこれから行きたいんですけど、もしかしたら掘り出し物があるかも知れません。
ミス・ヴァリエールも、良ければ。」
「武器屋?それがシエスタの用事なの?」
「はい。」
ルイズにそう返すシエスタの提案に、暫し黙考するミカヤ。
テリウス大陸の武器屋ならば魔導書、杖も売られていた。もしかすれば、誤召喚等でテリウスから流れ着いた、この世界では
文字通り、掘り出し物が存在する可能性があった。
支援
しえん
468 :
双月の女神:2007/12/19(水) 01:02:33 ID:3CnMEkdf
「そうですね。では、案内をお願いします。」
「はい。ピエモンの秘薬屋の近くの裏通りにあります。」
「え〜、あそこに入るの?」
ミカヤの了承を受けて、シエスタの告げた場所に不満を漏らすルイズ。
貴族である彼女は、歓楽街は元より、貧困層が住む裏通りに踏み込みたがらない。
「ルイズ、私が初日に食堂で話したこと、覚えているわね?」
「あ・・・・・。」
向き直り、真剣な表情で諭すように告げたミカヤに、ルイズははっとする。
そう、末端と言われる一人一人に至るまで心を砕き、その人々の痛み、求めるものを共有するからこそ、
『貴き一族』―――貴族なのだと説いた彼女の言葉。
それを思い出した。
「・・・ごめんなさい、ミカヤお姉さま。
シエスタも、ごめんなさい。」
ならば知らねばならない。
末端として、富める者達を支える者達の、もう一つの姿を。
『姉』の教えに従い、頭を下げたルイズ。
「そう、それでいいの。」
「ミス・ヴァリエール、そうお気になさらないで下さい。」
素直な彼女にミカヤは優しい笑みを向け、シエスタは感銘を受けたように目を細め、微笑む。
「では、参りましょう。此方です。」
シエスタがそう告げ、3人は裏通りの入り口へと足を向けた。
―――――神の頭脳と神の楯、神の楯の左腕はここに邂逅する。
469 :
双月の女神:2007/12/19(水) 01:04:40 ID:3CnMEkdf
以上です。というわけでテファの使い魔才人登場。姉さん発言は、原作の
母呼称からです。
引っ張りましたが、ようやくデルフ登場になりますです。
規制解除されて感激です!
では失礼をば。
乙〜
サイトも召喚されてたのか。しかもゲーム知ってるしwww
果たしてデルフを手にするのは頭脳か盾か、
そしてマチルダ姉さんは宝物庫襲撃する気はあるのか、
続きが待ちどうしい。
乙でした。
マチルダさん、姉さん呼ばわりならフーケにはならないかな?
姐さんなら別だけど。
>>469 かなり複雑な構造になっていますね。
才人が本来いるべきポジションに彼にとってはゲームのキャラクターであるミカヤお姉様がいるというのは?
この世界ではルイズとミカヤは良好な関係を築いているようですが、ルイズと才人の関係はどうなるのでしょうか?
他人の使い魔だしミカヤが諌めるからあんまり無体な事は出来ないとは思いますが。
「こいつはすごいぜ!」(正宗一成)
乙です
そういえば、聖戦→暁の順にやったおかげで、テリウス大陸の魔道士の鈍足ぶりにびっくりした覚えがw
投下乙です
予約ないよね?
五分後くらいから投下しまうす
ok支援
トリステイン魔法学院の学院長であるところの『偉大なる』オールド・オスマンは学院長室のソファーに背をうずめ、大きく口を開けて欠伸をした。
「ふあぁ〜あぁ〜あ……うんむ、眠いのう。やはりこの年になると夜更かしは毒じゃわい」
言いながら机の上に乱雑に積まれた資料の山に目を向ける。これらの資料は昨晩コルベールがこの学院長室に置いていった物だ。
ミス・ヴァリエールの使い魔に関係するかもしれない文献、と言われて提出されたそれらを、オスマンは激しく面倒くさがった。
「コルベール君、ワシ、ほら、もう老眼じゃからよう字も見えんのじゃ」
そんなオスマンの言葉をシカトし、退室していったコルベールの姿を思い出す。
オスマンはその姿に「てめえ楽してねえでてめえが知りてえんだろてめえもやれよ」的オーラを感じとった。
そんなわけで渋々資料に目を通していたオスマン。秘書に夜更かしを窘められた時には時計は既に深夜3時を過ぎていた。
朝の光が射し込む学院長室、オスマンはまだ開けきらぬまぶたをごしごしとこすった。
コン、コン、と規則正しいノックが響く。オスマンは「おや?」と片眉を上げた。
ミス・ロングビルには今学院内の設備全般のチェックを任せているはずだ。来客の予定も今日は入っていない。
「入りたまえ」
オスマンの重々しい許可の声を合図に、扉が開く。そこにいた人物の姿を認めると、オスマンはなるほどと頷いた。
「失礼いたします。オールド・オスマン」
桃色の髪を弾ませて恭しく入室する小柄な少女、ルイズ・フランソワーズと―――
「そろそろ訪ねてくる頃じゃと思っておったよ」
黒い甲冑を纏い、鉄塊をその背に負った『黒い剣士』。
ガッツが、そこにいた。
「オールド・オスマンってやつの所へ案内しろ」
ルイズが朝の支度を終え、授業へ向かおうとした矢先にガッツはそう声をかけた。
「今から!? 無理よ、授業が始まっちゃうもの!」
「多少遅れたってかまやしねえだろ。それに、そんなもん俺には関係のねえ話だ」
ガッツの言葉にルイズは少し頬をふくらませる。
ご主人様の授業より使い魔個人の用事を優先させろなんて、使い魔の風上にも置けないやつだわ。
使い魔をちゃんとやるなんて言っておいて、使い魔の自覚0じゃない。まったくもう。
そうは思ったが、ルイズにだってちゃんとわかっている。
ガッツがオールド・オスマンに会いたいと言い出すからには、それはきっとガッツの世界に関する件なのだろう。
であるならば、それはルイズにとっても何よりも優先させるべき事柄だった。
「わかったわ。ついてきて」
ガッツを先導するように、ルイズはガッツの前に立って廊下を歩く。
大股で歩いているにも関わらず、すぐにガッツに並ばれてしまう。そのたびにルイズは無理やり歩く速度を上げた。
「こ、ここよ……ぜい、はあ」
多少息を切らせながら学院長室の前にたどり着く。
「こっからは俺一人でいい」
「こら! オレを忘れるな!! 二人だ二人!!」
ガッツの腰のバッグからパックが飛び出した。パックはそのままガッツの肩に降りる。
起きたのか…とガッツは心底うざったそうな目をパックに向けてため息をつくと、ドアノブに手をかけた。
慌ててルイズはガッツを制止する。
「ちょ、ちょっと待って! それダメ!! あんた達だけだとどんな無礼を働くかわかんないわ!!」
言いつつドアノブを握っていたガッツの右手を両手で掴みドアノブから引き剥がした。
代わりにドアの前に立つと、すぅーはぁー、と息を整え、コン、コン、とドアをノックする。
「入りなさい」
ドアの向こうから偉大なる老人の声が響く。ルイズは自身の緊張感が高まっていくのを感じながら、ゆっくりとドアを押し開けた。
支援っく
オスマンはルイズとガッツに来客用のソファーを勧めた。そして自身も勧めたソファーの対面、テーブルを挟んで備え付けられたソファーに身を預ける。
おずおずとルイズはソファーに腰掛けた。パックもソファーに飛び込む。
「うわぉ、モフモフしてて気持ちいい〜〜」
「こ、こらパック」
ルイズが遠慮全く無しのパックをたしなめる。
オスマンはパックの姿を認めると目を細めた。
「ほっほっほ、これはまた珍しいものを連れとるのう。妖精(ピスキー)の類など、数十年ぶりに見たわい。この子はお前さんの連れなのかの?」
オスマンはガッツの顔に視線を送る。ガッツはソファーに腰掛けず、ソファーの横に立ったままオスマンを見下ろしていた。
「ちょ、ちょっとガッツ…! ちゃんと座りなさいよ、無礼よあんた……!」
ルイズはガッツのマントの裾を掴み、くいくい引っ張って着席を促した。
そんなルイズをまったく気にせず、ガッツは鋭い視線をオスマンに向ける。
「単刀直入に聞く。あんたは俺を元の世界に戻す方法を知っているか?」
ガッツの言葉にオスマンは少し考えるように長く伸びた白い顎鬚をさすった。
「ふむ…『元の場所』ではなく『元の世界』ときたか……どういう意味じゃな?」
ルイズはオスマンにガッツの状況をかいつまんで説明した。
「ほぉ〜。なんとまあ、別の世界じゃと? こりゃたまげたわい」
オスマンはルイズの説明を目を丸くして聞いている。
どうやらこの様子ではこの老人に聞いても期待は薄いようだ。
一番可能性が高そうだった道を断たれ、多少苛立ちを感じながらもガッツは言葉を続けた。
「それで…なんでもいい。知ってそうな奴でも、載ってそうな本でも、心当たりはねえか?」
「いやぁ、知らんなぁ〜。何しろ今まで生きてきてお前さんのような例など見たことも聞いたこともないからのぉ〜」
チッ。ガッツは露骨に顔をしかめると舌を鳴らした。
この分ではいつ元の世界に帰れるかわかったものではない。
やはり早々にこの学院を出て街へ向かったほうがよさそうだ。
「何処へ行って何を聞いたとしても無駄だと思うぞい? 何しろこのワシが知らんのじゃ。そこらへんの有象無象が知っとるわけないわい」
ガッツの心を読んだようにオスマンは言葉を続ける。
ルイズは苛立ちを隠そうともしないガッツの様子をハラハラしながら見上げていた。
「なあに、この学院でもお前さんのことについて調査を進めとる。そう焦らんとここで気長にミス・ヴァリエールの使い魔を続けとったらいい。焦れば人生損するだけじゃぞ、お若いの」
ガッ―――!!
ガッツの右手がのび、オスマンの襟元を掴んだ。
そのままオスマンの体を引き上げ、無理やり立ち上がらせる。
ガッツの顔がオスマンの目の前に迫った。
「ふざけてんのか? ジジイ」
「う、うぅ…! ごほ、ごほ!!」
ルイズは慌てて立ち上がり、ガッツの右腕を両手で掴んだ。
「ちょ!! ちょー!! ちょーッ!! なななにしてんの!! て、手を離しなさいガッツ!!!!」
ガッツはまったく意に介さない。
ルイズは思いっきりガッツの右腕を引っ張り、力ずくで下ろそうとする。が、逆に自分の体が浮く始末だ。
「やれやれ……」
オスマンが小さな声で何事か呟く。と同時に、いつの間に手にしていたのか、右手に持った杖を振るった。
ゴォ―――!!!!
突然巻き起こった突風が巨大な塊となってガッツの体を叩く。
ガッツは抗う間もなく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「がっ……!」
一瞬、息が止まる。
石造りの壁に激突し、跳ね返りながらもガッツはしっかりと両足で着地した。
一方オスマンは杖を構えたまま飄々と立っている。
「まったく、年寄りは労わらんといかんぞ?」
ルイズは驚愕していた。今目の前の老人が使用したのは、おそらく『風』のドットスペル『エアハンマー』。
数ある魔法の中で一番レベルが低いドットスペルとはいえ、オスマンはほぼ無詠唱で、かつあれだけの威力のものをまるでうちわを扇ぐが如き気安さで行使してみせたのだ。
ルイズは『偉大なる』オールド・オスマン、その大いなる実力の片鱗を垣間見た気がした。
そこで、はっ、と気がついてガッツに目を向ける。
ガッツは床に唾を吐くとその背中からドラゴンころしを抜いた。
「ちょ、ちょっとーーーーー!!!!?」
「あ、やばい、あいつ相当キてる」
ルイズは思わずぶわぁ!と目から涙を噴出し、事の成り行きを傍観していたパックは苦笑しながら呟いた。
「やれやれ、まったく近頃の若いモンは血気が盛ん過ぎていかんのう」
オスマンが再び呪文の詠唱に入る。
『土』『土』『土』のトライアングルスペル『グラビトン』。
一瞬でその術式を完成させた恐るべき老人は、その杖を振るった。
杖から迸る魔力がまるで形を持ったようにガッツの持つドラゴンころしに絡みつく。
対象の物体に干渉し、その重さを20〜30倍に引き上げる『グラビトン』。
そんな呪文がかかったあの鉄塊を振り回すなど、人に可能な芸当ではない。
ガッツは何事もなかったようにドラゴンころしを振りかぶっていた。
「あれぇ〜?」
オスマンの額から汗が落ちる。
部屋の中にあるあらゆるものを巻き込んで、凄まじい速度をもってドラゴンころしが薙ぎ払われた。
「うきゃーーーーーーーーー!!!!!!!」
「あ、あほーーーー!!!! こんな狭いとこでそんなモン振り回すなーーーーーーー!!!!!!」
咄嗟にルイズはテーブルとソファーの間の床に伏せ、パックはドラゴンころしによって破壊されたソファーや観葉植物、その他雑貨もろもろの破片をよけまくっていた。健闘むなしくパックの後頭部に木片が刺さる。
オスマンは咄嗟にフライの魔法を唱え天井まで飛び上がることで、間一髪鉄塊から逃れていた。
「当たってたーーーーー!!!! 今伏せなかったら当たってたーーーーーーー!!!!」
ルイズは思わず叫んでいた。見るとさっきまで自分が座っていたソファーの背もたれが半ばから消失している。
心臓がバクバク鳴っている。怖かった。死ぬかと思った。
ルイズはガッツをキッと睨み付ける。でも涙目だ。
「ちょっとガッツ!!!! ご主人様に向かってなんてことすんのよぅ!!!!」
ガッツは宙に浮くオスマンを睨み付けていた。
「シカトすんなぁ〜〜〜!!!!」
ルイズは肩をいからせて叫ぶも、ガッツはまったく振り向きもしない。
「い、今のは胆が冷えたわい……」
オスマンは宙に浮いたまま、自分の足元に目を落とす。
ほんの少しかすっただけだというのに、靴底がべろりと持っていかれていた。
四円
支援
支援
ゆっくりと床に降り立つと、ガッツの持つドラゴンころしを注視する。
(なんなんじゃあの剣は…?)
オスマンは思考する。あの剣には確かに『グラビトン』の魔法をかけたはずだった。
しかし、オスマンにはわかる。
あの剣は『グラビトン』の影響を受けてなどいなかった。
「君のその剣じゃが…あぁ、すまない。出来ればもう剣を下ろしてくれんか? 先程のワシの態度については謝罪しよう。まことにすまんかった」
ガッツは構えていたドラゴンころしを下ろす。そして話の続きを促した。
「それで…この剣がどうかしたか?」
「うむ…その剣じゃが、どうもあらゆる魔法による干渉を受け付けぬ様な特性を持っているように感じられる。何か特別な魔法がかけてあるのかのう?」
ガッツの持つドラゴンころし。確かにこれは普通の剣ではない。
見た目、その威力、あらゆる点で確かに普通ではないのだが、それだけではない。
『魔』を斬り続けてきたが故に、『魔』を斬ることに特化した剣。
それがドラゴンころしの持つ、他のどんなマジックアイテムでも持ちえぬ特性だった。
とはいえ―――それが、オスマンの言う『特性』に繋がっているのかはわからない。
「さあな……どうも普通の剣じゃねえことは確からしいが……よくは知らねえ。興味もねえしな」
「そうか……ふむ、何か材質に秘密があるのかのう……」
ルイズは思い出していた。ガッツを召喚したあの日、『レビテーション』を使ってもガッツの剣だけ浮かべることが出来なかったことを。
ガッツは剣を背中にしまう。
その時、ノックすらなくドアが開かれた。
「オールド・オスマン!! やりましたぞ!! ついにこのコルベール、あの呪印が掲載された文献を発見いたしました!!!!」
やけに古ぼけた本を片手にコルベールが部屋に飛び込んできた。
最初は喜色満面だったコルベールも、部屋の惨状に気がつくと驚きに目を見開いた。
「やや、これは!? 一体何事ですかオールド・オスマン!!」
「何でもない。ワシが寝ぼけて魔法を連発してしまってのう…いや、二人には迷惑をかけた。いよいよワシもボケてきたかのう……」
切なげにオスマンはため息をつく。コルベールはあっさりとそれで納得したようだった。
よく見るとコルベールの目の下には深い隈が刻まれている。寝不足が彼から正常な思考能力を奪っているようだ。
「おや、ミス・ヴァリールとその使い魔の……確か、ガッツ君でしたかな? 二人ともここに何の用事だったのです?」
「ええい、いいからさっさと用件を言わんか! 呪印が掲載された文献が見つかったじゃと!?」
オスマンに急かされ、コルベールは慌てて持ってきた本のページを捲る。
「ええと…これ、このページです! 御覧下さい!!」
オスマンはそのページにざっと目を通すとゆっくりとガッツに向き直った。
ガッツに見えるよう、本を開いたままガッツの方に向ける。
「ここに描かれているこの呪印……君の首に刻まれているというものと一緒で間違いないかの?」
ガッツの左目が大きく開く。
オスマンが指差すそこには、確かに『生贄の烙印』が記載されていた。
支援
支援
しえん
シエシエッサ
し
支援
支援
「これは……!? おい、これには何て書いてあるんだ」
ガッツから見ればまったく意味のわからない記号がページの上を踊っている。
しかし、オスマンもコルベールも首を振った。
「あまりに古い文献過ぎて、今使われている文字とはまったく系統の異なるもので書かれています。解読には相当な時間がいるでしょう」
コルベールの言葉にガッツは舌を打つ。
オスマンがゆっくりと口を開いた。
「ガッツ君……先程は言い方が悪かった。君にとっても、このままこの学院に留まるのがおそらく最善なのだ。我々は全力でこの文献の解読に取り掛かる。それ以外にも出来るだけ君の力になろう。
そうして、君が元の世界とやらに帰るまでの間…ヴァリエール嬢の力になってはくれんだろうか? 使い魔というものは、この世界、メイジにとっては非常に重要なものなのじゃ。君という使い魔
がいる以上、ヴァリエール嬢は新たな使い魔を呼ぶことも出来ん。勝手な願いとは承知しておるが……どうか」
オスマンはゆっくりとガッツに向けて頭を下げた。ルイズは気まずそうにガッツを見上げる。
ガッツもルイズを見る。しばらく、不安げに揺れるルイズの瞳を見つめていた。
―――はぁ
ガッツの口から、この世界に来てからもはや癖になりつつあるため息がこぼれる。
「また近いうちに来る。行くぞ、ルイズ」
踵を返し、扉へ向かう。バサ―――とマントがたなびいた。
慌ててルイズはガッツの後に続く。
「あ―――」
廊下に出て、先を歩くガッツの背中を見つめたまま、ルイズは気がついた。
―――初めて、名前呼んでくれた
何となく嬉しくて、少しだけ走ってガッツを追い抜く。
「使い魔はご主人様の後ろに従って歩くものなのよ!! ガッツ!!」
怒ったような口調とは裏腹に、振り向いたルイズは―――花のような笑顔を浮かべていた。
パックはちゃんと回収した。
学院長室では、オスマンが唯一無事だったミス・ロングビル用のソファーに沈み込んでいた。
「つ、疲れたわい……もうあんな修羅場はごめんじゃ!!」
コルベールは既に寝不足の体をおして授業へ向かっている。
オスマンが杖を振るうと散らばった家財道具の破片が一箇所に集まった。
「ミス・ロングビルに新しいモンを注文してもらわなきゃならんの〜」
呟き、立ち上がる。寝不足の体にガッツとのやり取りは堪えたのだろう。猛烈な眠気が襲ってきていた。
学院長室を出て、自室へ向かう。
廊下を歩いている間、オスマンの頭の中ではあるピースが組みあがり始めていた。
(『異世界』から来た『烙印』を持つ『黒い剣士』……なるほど、噛み合ったわい)
しかし、この事実をガッツやルイズに伝えるわけにはいかない。
これからの歴史に、これから起こる出来事に、ソレは不要なことなのだ。
オスマンは自室のベッドに倒れこむように飛び込むと、ゆっくりと眠りに落ちた。
そしてオスマンが眠ったのを見計らったように―――トリステイン魔法学院、その宝物庫の前に、巨大な影が持ち上がった。
以上、投下終了です。
うん、決定。俺の次回予告は当てになんね。
支援ありがとうございやした。
GJでした。
ガッツには修羅場と何故かニヤニヤなシーンがやけに似合うw
投下乙でした。
烙印が文献に残っているという事は、昔誰かが使徒になった記録があるって事かな?
ブリミル=使徒
これでいいんじゃね?
虚無の使い魔は正しく神(使徒)の頭脳だったり楯だったりするとな。
ガッツが大急ぎで義手のルーンを引き剥がしそうだw
爺助けたのはガイコツのオッサンか?
でもそうすると思い出の品なんてのこらねぇよーな
取り敢えず乙
ベルセルク乙!
いや〜、想定の範囲内にあったとはいえ、オールドオスマンにもまっぷたつの危機が訪れた時はおでれーたぞwwwww
502 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 07:12:28 ID:VJV7G7/L
>>500 呼び水の剣がなかったら、どくろのおっさんが帰れなくなって困るじゃないかw
うお、あげてしまった、すまん
504 :
蛇の使い魔:2007/12/19(水) 07:32:07 ID:l7IH1O4i
すみませんがどなたかwikiの更新をお願いしてもよろしいでしょうか?
506 :
蛇の使い魔:2007/12/19(水) 09:32:07 ID:l7IH1O4i
507 :
プフの人:2007/12/19(水) 09:43:32 ID:E7+3BDrB
昨日思いついた小ネタ投稿しても良いですか?
結構短いですが
モチコース
さぁこいっ!
510 :
プフの人:2007/12/19(水) 09:48:42 ID:E7+3BDrB
黒くて、でかくて、硬い使い魔
ルイズは召喚された『それ』を見ていた。
「なんなんだろこれ?」
周りのギャラリーは『それ』の正体が分からないので反応に困っている。
ルイズもこんなものは見たことも無い。
召喚された『それ』はルイズの前で僅かに上下している。
『それ』をなんと表現したら良いのだろうか。
変で、黒くて、でかくて、ずいぶんと硬そうだ。
「とりあえず触ってみようかしら」
ルイズは恐る恐る『それ』に触ってみた。
ルイズが触ると『それ』はピクっと反応した。
「すごーい・・・生き物みたい・・・それに不思議な感触・・・柔らかいようで固いようで・・・」
それにルイズの目の前に現れた『それ』は微かに熱を帯びている。
「とりあえず、よく分からないけど・・・契約しないとね」
ルイズは小さい声で呪文を唱え『それ』に接吻した。
すると、『それ』は更に熱を帯び動き出した。
モンスターファームよりモノリス召喚
壮絶にデルフの存在価値が消えた気がする>ベルセルク
魔を切るのはドラゴン殺しが、相棒はパックがやってる
そして今日は誰が来るのか支援
512 :
プフの人:2007/12/19(水) 09:49:33 ID:E7+3BDrB
投稿終了です
なんていうか・・・・いろんな意味ですいませんでしたOTL
話は変わりますが格ゲーキャラの長編書いているけれど
格ゲーのところに投稿したほうが良いのでしょうか?
あそこ、長編を投稿するって雰囲気じゃないんですが・・・
ここで投稿できるならここで投稿する予定です。
違う作品投下してるんだからそのコテ外しなよ
すいませんでした
完全に出落ちの一発ネタかよ!
なんてひどいやつだ!
連載に関しては、とりあえず向こうで聞いてみたほうがいいと思うよ
もしかしたら皆待ちわびてるかもしれないし
無理ならここでもいいとは思うけど、できるだけ知ってる人が多いところでやったほうがいいでしょ
あ、ごめん
感想の最後付け忘れた
興奮した、GJ!
最近あれですなぁ
デェルモンスターズZERO面白かった
ゼロ魔の世界でどう遊戯王を表現するのかと思えば
OCGの公式ルールの1ターン3分という設定を上手く生かしてた
確か遊戯王のカード(デーモンや六忘星の呪縛)とかは宗教表現に引っかかるから
海外版カードじゃ絵柄が変わってる
ゼロ魔の世界でもヤバそうだな
ブラックマジシャンとかいかにも黒魔術だし
こっちでいいんじゃないのか?あっちは半分ヘイトスレだし
豪血寺一族やサムスピ、龍虎の拳もこっちで投下されてたんだから
突然だが、ひさしぶりに投下させてもらいます。
駄文だが支援よろしく!!!
ゼロと人形遣い 6
「ごちそうさん。いや、久々にこんなに美味い飯を食わせてもらいましたよ。」
久しぶりのまともな食事に、ご機嫌な阿紫花は心の底から礼を述べた。
現在、彼が居る場所はトリステイン魔法学院の『アルヴィーズの食堂』、その調理場の隅である。
「なーに、気にするな。困ったときはお互い様だ、平民は平民同士助けあわねえとな。」
そう言って豪快に笑いながら背中を叩いてくる男は、この食堂の料理長マルトー。
話を聞く限りでは、彼は大層な貴族嫌いであり、阿柴花の食事している間延々と愚痴をこぼしていた。
「そうですよ。賄いでよければいっぱいありますから、遠慮しないでどんどん食べてくださいね。」
皿を片付けながら言ってきたのは、先ほど食堂で合図をくれたメイド、この世界に来てからほとんど見かけなかった黒眼黒髪の少女シエスタだ。
彼女は阿柴花の食事を世話しながら、元気付けようと励まし続けてくれていた。
「そう言ってもらえると助かりますね。」
「いやいや、こちらこそすまなかったな、あんな飯を出しちまってよ。平民の使い魔が召喚された噂は聞いてたが、注文を受けて時はさすがに頭にきたぜ。
でも貴族に逆らうわけにもいかなくてな。罪滅ぼしじゃないが、いつでも好きなときに飯を食いにきてくれよ。」
「マルトーさんの言う通りです。いくら使い魔とはいえ、あの仕打ちは酷すぎます。」
マルトーは、すまなそうにしながら憤慨した口調で言ってくる。
それに続けて、シエスタも可憐な顔を歪めながら、ルイズを非難する。
「それじゃあ、お言葉に甘えて、これからもちょくちょく来させてもらいますよ。その代わりと言っちゃなんですが、何か手伝える事でもありませんかねぇ?」
裏のある厚意ならいくらでも受け入れてから切り捨てるが、真に善意からの厚意を一方的に受けるのは主義じゃない。
「そんな、気にしないでください。当然のことですから。」
「そうだぜ。俺の尊敬する偉人の言葉に『泣いている人の隣で食べるご飯はおいしくない。』ってのがあってな。食事ってのは、より多くの仲間と分けあって食べるもんだ。
それを分かってねえ貴族のガキどもに食わせるくらいなら、いくらでもお前さんに食わしてやるさ。」
善意を当然の様に他人に与える。
この二人を見ていると、自分が場違いな存在の思えてくる。
この善意に甘え続けると、本当に自分に価値が無くなってしまう。
一瞬そんな考えが浮かんだ。
だが、すぐに嘲笑とともに否定する。
自分は、すでに彼らとは違う存在だ。
この身にすでに価値など無い。
この手はすでに血に汚れている。
いままでの人生を後悔するつもりも、罪を懺悔するつもりもさらさら無い。
しかし、
「いや、そうもいきませんよ。受けた恩は返さないといけませんから。」
少しでも自分に価値を見いだそうとする。
僅かでも彼らに追いつこうとする。
自分自身に反吐が出る。
所詮は、他人の血に染まった人生なのに。
しかし、マルトーは、
「よーし、気に入った!それじゃあ、暇なときにでもシエスタの手伝いをしてやってくれ。それでいいか?」
そう言って、また肩を叩いてくる。
「ありがとうございます。そんな訳でシエスタ、お願いさせてもらっていいですか?」
「はい。こちらこそお願いします。それでは、昼食のときにお手伝いしいただいてもよろしいですか?」
「かまいませんよ。そんじゃ、そろそろ行かせてもらいますね。うちのご主人様に怒られちまいますし。」
阿紫花は、席を立ちながら言う。
「アシハナさん、負けないでくださいね。」
「そうだぞ、夜は酒を用意して待ってるからな。」
本当にいい奴らだ。
なんとなく顔を向け辛い。
なので、振り返らずに言った。
「大丈夫ですよ。アタシは悪運だけは強い方ですからね。」
支援
525 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 10:44:00 ID:rOkW8tJg
支援
支援放火
そのまま出て行こうとした。
しかし、大切なことを思い出して振り返った。
「どうしました。何か忘れ物ですか?」
「いやぁ、そうじゃなくてですね。マルトーさんに訊きたい事があるんですが?」
「ん、どうかしたか?」
「こんな形の煙草って持ってませんかねぇ?」
新品の箱の封を開けて、煙草を一本差し出して見せる。
二人は、不思議そうに煙草を観察してから。
「これが煙草ですか・・・すみません。私は見覚えありません。」
シエスタは、すまなそうに首をかしげた。
「気にしなくていいですよ。どうも、ここらじゃ珍しいらしいですから。
それで、マルトーさんはどうですか?」
「んっ〜ん、いや、持ってねえな。そもそも煙草は料理人の大敵だからな、あんまり詳しくは知らねぇんだ。」
マルトーも知らないらしい。
やはり、喫煙者に訊いてみるのが一番だろう。
「そうですか。そんじゃあ、お邪魔しましたね。また後で来させてもらいますよ。」
今度こそは厨房を出る。
「はい。行ってらっしゃいませ。」
「美味いもん作って待ってるぜ。」
二人に見送られ、厨房を出る。
ブラブラと、元来た道を戻っていく。
しばらく人影が無かったが、食堂の入り口に近づくにつれて増えてくる。
人の波に逆らいながら歩いていくと、食堂入り口が見えてきた。
「さて、まためんどくさくなりそうですね。」
そう言った阿紫花の視線の先には、眼を見ただけで無差別に生き物を殺す『邪眼』の様な眼でこちらを睨んでくるルイズが見えた。
支援
支援法
以上です。
所々に他の藤田作品のネタを混ぜ込んでます。
全部分かった人は友達になってください。
ミネルヴァ乙でした。
皆さん乙でした。
闇のパープル・アイから麻衣でも召喚してみようか。
GJ!
フーケなり、タルブなりで人形を手に入れるのが楽しみです。
藤田作品は金が無くてチョコチョコとしか読めてないんですが、確か『自動人形』は
武器を持つ相手に対して、武器に比例して早く動け、そのため『しろがね』は武器と認識しづらい
人形で戦う。という設定でしたっけ?
だとしたらガンダールブは人形を操る指使いなどを強化してくれるのかちょっと気になる…
してくれなくても、義手の仕込み刃や日本刀で戦える世界でもありますし、仕込み武器持ち人形に
デルフをもたせれば十分だろーけど。
ocn規制解けたらしいので書き。
ぶっちゃけ、ガンダ補正無しで(気付かずに)人形で戦う方に期待。
からくりの人乙
煙草見つかるといいね
>>510 おいしそうなピンクボールを召喚してもらえないか?
GODHANDからジーン召喚の場合のネタが
部分的だけで思いつくだけで文章としてつくれんw
(水上貿易都市の大聖堂直前の時期にて鏡と遭遇したというシチュで)
というか『ハルケギニアに「最初のGODHANDの持ち主」が現れて、
徒手空拳をもって悪魔悪霊の軍団をフルボッコして再び帰っていった』
とかいう言い伝えな展開入るのはダメだすか
王様の奴と邪眼しか分からなかった。
このスレでフルボッコとか聞くと
ギーシュとワルドの二択が思い浮かぶ
その意味では微熱のトコのサイトは精神的にフルボッコで返り討ちだったなw
新鮮新鮮
ジーンはノリもいい奴だから面白いかも
ジーンじゃなくシャウトするロッケンローラーも楽しそうだが
WAAAAAoooo言いながら衝撃波飛ばしまくるギタリスト
>>539 でもギーシュのモンモンフラグはフルボッコだけどなw
ジーンもサイトと同じでドMだしな
ジーンの相棒のオリヴィアはドSだったし
ドSのルイズと、ドMのジーン
すげえ見てみてぇwww
>>536 ゴッドホームランで飛ばされるワルキューレを幻視した
中世つながりでアグ姐さん召還されないかなぁ・・・・・・
パンタローネやアルレッキーノを…
ヒョウさんとナガレ兄ちゃんを……
GBA用ソフト「オリエンタルブルー 青の天外」からダークオーブ破壊後の主人公(男だと天乱、女だと葵)のどちらかを召喚。マ石改造した武具・防具又は青の宝はマジックアイテム、マ石は先住魔法扱いになりそうだが。第一このゲーム知ってる奴いるか?
548 :
宴はまろやか:2007/12/19(水) 19:04:47 ID:EMzVAl0D
こんばんはー
今回は3レス分と妙に短いですが、そそくさと投下します。
肥沃な大地に足が埋まっていく。
列を作り歩いていたゴブリンのうちの一匹が、慌てて飛びのいた。足が埋まる土地につ
いて、彼らはいくつかの知識を持っていた。彼らの経験の中でそれらは常に、とんでもな
い猛毒を含んでいたり、耐えられないくらい熱かったりしたからだ。
それを見て、先頭を歩いていた、列の中で唯一黒い肌をしたゴブリンが言った。
「ああ、ここは沼地だからよ。たぶん歩きづらいけども勘弁してくれ」
「"ヌマチ"?」
先頭から四番目を歩いていたゴブリンが、すぐさま手の中の紙に「ヌマチ」と書き込む。
「おれにもよくわかんねーけどよ、婆が昔、教えてくれたんだ。土と川があわさると、沼
地ってやつになるらしい」
やはり先頭から四番目のゴブリンが、手の中の紙に「ヌマチ 土と川の子供」と書き込
んだ。
列の残りのゴブリンたちは、へえとか、ほうとか、彼らなりの感嘆の声を上げた。ここ
に来てから、真新しいことばかりだった。
「お、見えてきたな。あそこがおれたちの村だ。歓迎するぜ、シヴのゴブリン」
小間使いとして使節団に同行していた若き日のラッキーは、霧の中に薄らと見える猥雑
だが、どこか趣きのある集落に目を奪われた。
「それでよ、おれはそのとき思い切ってこう言ってやったのさ。『お前の従兄弟がいなく
なっちまう!』ってな」
「へえほう」
話し合いが始まるのを見送ってから、下っ端のラッキーは、集落までの案内役をしてい
たゴブリンの話に相槌を打っていた。
「そしたらそいつが何て言ったかって言うとだな。『俺の従兄弟がいなくなっても、俺の
子供の従兄弟がいるじゃねーか』だとさ。
おれはそのとき、そいつはなるほど真理だ! って思ったね」
「ほうへえ」
「……。何かほら、その、あれだよ。聞きたいこととかない? 今のが一番盛り上がると
ころだぜ」
「じゃあ一つ聞いていい?」
「おう」
「"シンリ"ってどういう意味?」
「わかんね」
黒い肌のゴブリンは言った。
「他に何かない? おれが答えられるやつ」
「じゃあそれ。お前が食ってるそれの作り方教えてくれよ。さっきから見てたらさ、おい
らは腹が鳴って鳴ってもうどうすりゃいいのか」
ラッキーは目の前で良い匂いを放つ、美味しそうなパイを指差した。黒い肌のゴブリン
は、ぱくん、と片手に持っていたパイを口の中に詰め込んで立ち上がる。厨房はすぐ近く
にあるようだった。
「よし解った。教えてやるよ。
こいつは"チューパイ"だ。すげえうまいよ。ここに住んでるやつはみんなこれが好きだ。
だけど、欠点が一つある」
「欠点?」
「ああ。みんなこれが好きだし、作ってすぐ食べないとなくなる」
「なくなっちまうのかい?」
「ああ。作ってそのままにしといたら絶対どっかいっちまう」
「なるほどなぁ。そいつは致命的な欠点だな」
ラッキーはしきりに相槌を打った。これだけ美味しそうなら確かに納得できる。
「ところでおれも一つ聞いていい?」
「何でも聞きなよ」
「"チメイテキ"ってどういう意味?」
「わかんね」
宴はまろやか
「チューパイくすね」
むずむずしたので、大口を開けた。
ラッキーは眼前の空中の一区間を山羊の丸焼きに見立てて、勢い良く噛み付いた。咀嚼、
嚥下の仕草をなぞり、肺に溜まった息を吐く。遠くを見れば、一本の細い木に鳥がとまっ
ていた。足元に目を落とせば、形の良い石ころが落ちている。
物欲しそうに鳥をもう一度見てから、足元の石を拾い上げようと手を伸ばした。
ところがその石は、ラッキーの手が触れる寸前になって突然、地面の中に引っ込んだ。
おや、とラッキーが石のあった場所に出来た穴を覗くと、一匹のジャイアントモールが彼
の胃の中に納まる筈だった石を咥えている。
「とられた!」
ラッキーはしばらくそのジャイアントモール、ギーシュの使い魔であるヴェルダンデと
睨み合う。ラッキーとしては、ヴェルダンデが背を向けて戻るか、あるいは石をそっと差
し出すことを期待していたのだが、根負けしてついと視線を逸らしたのは彼の方だった。
周囲を見渡しても、目ぼしい石は他に見当たらない。
厨房を預かるマルトー親方から、忙しい時間帯でなければ厨房を借りても良いと言われ
ていたことを思い出した。ラッキーは料理が全く出来ないというわけでもなかったので、
どうにかして学院の庭から材料を幾つか見繕って、作ってみることにした。
厨房へ向かう途中で、ルイズと鉢合わせした。
「あ、あああんた、ラッキーじゃないの。何よどうしたの。この先は厨房しかないわよ」
「へい! ちょっとチューパイを作ろうかと」
妙なところで義理堅いところを見せて、厨房を借りる許可を貰ってから材料を集めるこ
とにしたのだろう。ラッキーは手ぶらだ。
「チューパイ? 何それ。ゴブリンの玩具? 珍しい遊び道具とか?」
「食いもんです。これがやたらうまいんです」
ルイズは細い顎にしなやかな指を添えて、少しばかり考える仕草を見せる。
「それって食べ物なの? コック長、忙しそうだったわよ。また今度にしたら」
「いや、おいらが作るんです。マルトー親方はぜんぜん関係ないです」
「じゃあそれ、出来たら半分頂戴。ちょっと興味あるわ」
小ぶりな唇を震わせて言った。ラッキーは人間の大将が自分の好物に興味を持ったこと
を嬉しく思った。それから、大将もお腹が空いているんだろうか、と思った。
「へい! わかりやした」
昼食の後片付けだろう、厨房では殆どの人員が皿洗いに勤しんでいた。
「失礼しやす! 厨房借りに来やした」
「あん? ラッキーじゃねえか。どうした」
「へい。ちとチューパイを作ろうと思ったんで」
「チューパイ? パイか。ああこらそこの鍋は触るな。よし、夕食の仕込みまではまだ時
間があるから、好きに使って……」
出来上がったパイを日の当たるテーブルに置いて、ラッキーはルイズを呼びに行くこと
にした。
そして連れ立って戻ってきた一匹と一人は、チューパイから具がごっそりと抜かれてい
ることに気づいた。
「え、うそ。これがチューパイ……? パイ生地だけじゃない」
口に手を当てて驚いてみせるルイズの隣で、ラッキーは真っ赤になった顔を持て余して
いた。慌てて周囲に視線を飛ばすが、見える範囲には人一人居ない。作ったらすぐに食べ
ないとなくなる、これがまさかハルケギニアでも適応されるだなんて思っていなかった。
「具を乗っけたはずなんですが。ちくしょう、なんてこった」
ルイズは僅かばかり白い目を己の使い魔に向けた。ラッキーは指折り、自分が思いつく
範囲での怪しい人物の名前を挙げていく。
「マルトー親方? 隣の部屋の赤毛? ぎ、ギーシュの旦那? そういえば、結局石は貰
えなかったし、なんかおいらのこと嫌いみたいだし」
「ラッキー」
「へい!」
「あんた自分の名前も入れときなさい」
「へい! わかりやした。じゃあ怪しいのは親方と、赤毛と、旦那と、おいらと……おい
ら? なんでおいらが盗むんだろ。まあいいや、おいらと」
ちなみにあれ以来、下着盗難事件は起こっていない。
ルイズは腕を組むと、一度パイに視線を落として言った。
「仕方ないわね。チューパイはまた今度にしない? 今日は忘れましょ」
僅かばかり嬉しさを含んだ声音に、ラッキーは眉を寄せた。
「なんか大将、さっきからやたらと……。あっ、もしかして?」
すぐさまルイズは拳を振り下ろした。
「あいたっ!」
「馬鹿言ってんじゃないの! ああもう、解ったわよ。私も犯人探すの手伝ってあげる」
勢い良く使い魔の手を引いて、ルイズは先ほどラッキーが挙げた数人の、それぞれのア
リバイを確認しようと一歩踏み出した。そして、気まずい雰囲気を払拭するように、あれ
これと話を振り始めた。
「そういえば、チューパイってパイよね。なんでチューなの?」
「へい! こう、パイがチューチュー鳴くんです」
「え、あんたもしかして具はネズミですとか言ったりする?」
「へい、ネズミです。他にも色々入れるんですが、ネズミ以外捕まんなかったので」
「へ、へぇ。私は人間だから、ネズミは煮ても焼いても食べられないわね」
ラッキーは足を止めて言った。
「大丈夫! チューパイにはネズミを生きたまま入れるんで、ほら。大将も生なら大丈夫
ですかい?」
「生? 生きたまんま?」
「へい! こう、パイがチューチューとですね」
ルイズは使い魔の頭に何度も何度も拳を振り下ろした。
ラッキーが調理法を教わったゴブリンの言葉をもう一度確認すると、チューパイは作っ
てすぐに食べないと、具がどっかいっちまうのである。
その日のラッキーの夕飯には、彼が生まれてから一度も見たことが無い程上等な肉が出
た。そっと主人の顔を窺うと、彼女はぷいと顔を逸らして矢継ぎ早に言った。
「パイなんか食べちゃったら、あんたのお腹がいっぱいになると思ったんだもん!
だからね、私が半分食べたらあんたも、ちゃんと食べれるかと思って……。あんたは私
の想像以上にばかだったけど」
「へい! ありがとうございやす」
「それから、これはエレオノール姉さまが勝手に送ってよこしたお肉なんだから、別にあ
んたのために取り寄せたわけじゃないんだからね!」
「へい! わかりやした」
「あと、そうだわ」
「へい?」
「ありがと」
「どういたしやして!」
「ちい姉さま、ご病気が良くなりそうなんだって」
ラッキーは何も言わず、上等な肉を口いっぱいに頬張った。
投下終了です。今回で1話から通して一段落でしょうか。
短いわりにMTG側のネタばっかりの話ですみません。
ラッキーにチューパイを伝授したゴブリンの小噺はFodder Cannon/有象無象の大砲から。
あのフレーバーはかなりいかすと思います。
前に白金呼んでもフランシーヌへの情熱を忘れたやつは白金じゃないって話出たけどさ。
いっそシエスタの曾祖母をフランシーヌにしちまえばどうだ?炎の中に消えちまったんだし
ハルケギニアで一切何の邪魔も入ることなく新しい恋に生きる白金。
邪魔するヤツは(一方的な)愛の力で37564!みたいに
くっそ
相変わらずゴブリンかわゆすwwww
>>552 あー、確かにそれは逃げる
つーか本気でまったりしてるなこの主従w
GJ
待て、ネズミってまさか……
逃げてーモーニングソトル逃げてー
ルーン効果でインプリンティングってどういうこと?
ゼロ魔はアニメでしか見てないから分からん
GJ!
ゴブリンデッキつくりたいなあ
>>556 モートソグニルじゃなかったか
……一瞬モーニングソルトって読んで新手の調味料かと思った
NHKみてたら想像してしまった。
ルイズがタミフルを召喚したら・・・
こんなに頭悪いのにまろやかな空気出せる作者氏には尊敬すら抱く
>まろやか氏
「GJ!」
「"GJ!"ってどういう意味?」
「わかんね」
なんで『チュー』なのかと考えてたら、そっちの『チュー』だったとは!
いや、ほんとに中身はモートソグニルだったんでしょうきっと。
今度ラッキーとオスマンが遭遇したときに妙な反応したりして。
>>560 書いてる人も頭悪いので…
件のネズミがモートソグニルだったかどうかは秘密ですw
ダメだコイツはやく何とかしないと・・・。
GJでした。
乙カレー
ガッツの話読んで思ったがアリューゼは相性よさそうだな
乙ー。相変わらずまったり……じゃなくてまろやかだな。
後チューパイ怖いチューパイ怖い。
>>566 確かにジェラードのことを考えるとルイズともうまくやれるかな
アリューゼはイザベラ様に召喚されるべきじゃね・・・
2はリカちゃん人形としんのすけで最悪だった
1000ならエロゲ版ガンダールヴ書く
>>547 どう掛け合っていいのか全くわからん
どうせなら機械のレン先生呼んだほうがコルベールとマッドな感じに研究してくれそうでよくね?
永遠のアセリアが召喚され…
だめだ、ありゃ明確に水属性だし
カティマが黒属性だったか
>>575 そっちは続編の『聖なるかな』のキャラだな
どちらも白黒青赤緑で四大属性とはちと違うけど
メイジにはサイレントフィールドが激しく効果的な希ガス
・・・・・・ARMSのサラリーマン忍者出そうとしたら、まともな戦闘場面がry
フーケのゴーレムすら生身で瞬殺して「なに、ただの通りすがりの忍者さ」とか
「人間はゴーレムごときには負けんさ」とか言いつつガリアの鉄ゴーレムも撃破しそうだし
>>577 個人的にカシェルかグレイをプッシュ。
カシェルはマイペースにかき回してくれそうだし、
グレイは渋く決めてくれそう。
>>578 爪みたいな役割で『魔法殺しのデルフリンガー』を使ってくれると信じている
と言うかそうでないとデルフ涙目
あのサラリーマン、空間断裂なんて不可視の攻撃も避けるからな。
やっぱりデルフ涙目ww
582 :
虚無の王:2007/12/19(水) 22:16:09 ID:7D/HaZr3
今、空いてます?
予約が無ければ、20分辺りから投下します。
支援せざるをえない
森の空気は、重く、濃く、冷たかった。
トリステインの夏は湿度が低い。真夏でも無い限り、陽の当たらない場所、時間は涼しい。濃密な緑に囲われた森は、寒気さえ感じさせる。
ルイズは身を震わせる。だが、それは決して森の寒さ、暗さだけが原因では無い。
付き合って欲しい所が有る――――。
空はそう言って、自分をこの森に連れ込んだ。一体、どこに行くつもりだろう。
「ねえ……」
「懐かしい感じや」
不安になって、尋ねようとした時だ。空は言った。
「この森の空気、“塔”によう似とるわ」
「“塔”?例の“トロパイオンの塔”?」
「せや」
森を縫って、道が伸びている。この先に、農地なり集落なりが在るのだろうか。
それにしては、路面をうっすらと下生えが覆い、路肩からは緑の浸食が著しい。
「木々は腕をからめ天へと伸ばす……」
「え?」
不意に空が呟いた。何を言っている?
「群がる葉々は光を喰らい森の闇をいよいよ深くする」
「空……?」
道が狭まる。下生えの中に消える。これ以上、車椅子で進むのは無理だ。
と、空は両腕に力を込める。車椅子が跳ぶ。
駆動輪が次々と樹々を蹴り付け、忽ち森の中に消える。
「空っ!」
なんのつもりだ。
ルイズは空を追う。下生えを踏み越え、小枝を、丈の有る草をかき分け進む。
――――狩人は気付かない闇に潜むケダモノ達の双眸も牙も
どこからともなく、声が降って来る。空の声が降って来る。
何のつもりだ?
何を言っている?
ルイズは必死で進む。森をかき分ける。
マントが裂け、袖に棘が絡み、小枝が頬を弾く。
――――今日は狩人が狩られる夜
空の姿が見えない。暗い森の中、誰も居ない。
不吉な声だけが耳朶を撫でる。
焦燥がルイズの小さな胸を締め付ける。
樹木の隙間から明かりが見えた。
体のあちこちに小さな傷が出来たが、構ってはいられない。真っ直ぐ、光へ向かう。
――――ここは眠りの森〈スリーピング・フォレスト〉……!!
森を抜けた。ルイズは光の中へ飛び込んだ。
強烈な日差しが、頭に重くのしかかった。目を細めて、ぐるりを見回す。
小さな集落だった。
人の姿は無く、動く物は何も無かった。
凍り付いた様な時間の中で、半ば崩れ落ちた壁の塗り土と、下生えに埋もれた木の柵だけが、時間の経過を教えてくれた。
支援の王
過去に放棄された集落だ。
井戸の桶では水が腐り、得も言われぬ匂いを発している。正面には、薄汚れた教区教会が見える。
ルイズは鼻を押さえた。風が、強烈な異臭を運んで来た。
養豚場に屠殺場と糞尿、腐敗臭を混ぜ合わせた様な、吐き気を催す臭気だ。
薄暗い教会の中で、影が蠢いた。ルイズは身を強張らせる。
“何か”が居る――――そして、ルイズが悪臭に苦しんでいるのと同様、腐臭の主には、少女の甘い香りが届いている。
錆にまみれ、欠けた手洗盤の覗く小さな部屋を潜る様にして、教会からぬっと影が現れる。
身の丈凡そ2メイル、ぶ厚い脂肪と筋肉とで覆われた巨驅が、300sの重量で床石を踏み砕く。
そして、豚の様に突き出た鼻を目にした時、ルイズは心臓が凍り付くのを覚えた。
オーク鬼。人肉――――取り分け、柔らかい子供――――を好物とする化け物だ。
その力は一匹で五人の兵士に匹敵する、とも言われるが、この表現は或る意味語弊が有る。
相手は人間の頭蓋を容易く握り潰し、平然四肢をねじ切る怪物。五人の兵士が集まった所で、オーク鬼と互角の白兵戦が出来る訳では無い。
銃や弩を以て一匹を殺す間に、四人が犧牲となる。
深々と皺が刻まれた顔から、落ちくぼんだ目で少女を睥睨すると、オーク鬼はゆっくりと歩を進める。
その背後から、更にもう一匹が現れる。もう一匹。更にもう一匹――――その数七匹。
オーク鬼は鳴き声を上げる。歪んだ鼻腔から息を吹き出し、鼻を鳴らす。
縄張りに迷い込んだ窮鳥をどう料理しようか――――乏しいながらも、確かに宿した知性で相談する。
相手は小さい。女だ。絶好の御馳走だ。
まず、その細い首に、軽く力を入れてへし折ろう。
邪魔な包みを破り棄て、腹を割いて、ピンク色も鮮やかな内臓を貪り喰おう。
先ずは、何と言っても右脇腹の肝臓だ。
大腸は糞便の臭いにやや閉口するが、植物がよく発酵していて消化の助けになる。
女なら、陰部から子宮にかけても柔らかい――――。
口元から涎を吐き零すオーク鬼の群れを、ルイズは真っ青な顔で見つめていた。
メイジにとっては、必ずしも恐ろしい相手では無い。
生半可な魔法は、悉くそのぶ厚い脂肪で防ぎ止められてしまうにしても、所詮は獣。いざとなれば、飛んで逃げればいい。
だが、ルイズはレビテーションもフライも使う事が出来ない。
緊張に胃がでんぐり返った。カラカラに乾いた喉に、嘔吐感が食道を伝って這い登って来た。
息が苦しい。開けた村落の空気が、火を炊いた密室の様に濁る。
オーク鬼の群が半円状に広がる。邪魔な柵を蹴破り、何気ない動作で小屋の薄壁に力を込めるや、絵芝居の飾りの様にペシャンと引き倒す。塗り土が崩れ、木材が乾いた音を立てる。
小さな村落が、まるで玩具だ。そして屯する獣供は、その残忍と貪欲以外、子供との共通点は何も無い。
柔らかく華奢な肢体を涎と共に這い回る視線には、動物的な欲求と警戒心とが混じっていた。
五芒星の留め金にマント。見掛け程には、脆弱な獲物では無い。
太い脚が、泥とも汚物ともつかぬ地面を削る。ごつごつと堅い皮膚の上には、獣皮を纏っている。
首飾りの様に提げられた頭蓋骨――――それがどれ程原始的な物であれ、彼等が信仰と、そして首狩りの風習を持つ証左だ。
どの個体もが、棍棒と呼ぶにも野蛮な凶器を手にしている。
包囲の輪が縮まる。
筋骨と悪臭混じりの吐息が、巨大な壁となって躙り寄る。
ルイズは思わず、後退り――――それが切っ掛けとなった。
視界が跳ねた。
300s超の巨体が地面を殴り付け、ルイズの小さな足は、確かに宙に浮いた。
オーク鬼は慎重さを捨てた。こいつは退いた。こいつは弱い。こいつは怖くない――――野生の本能が、貴族の少女を捕食対象である“格下”だと保証した。
ルイズは目を見開いた。鳶色の瞳が、針の様にぎゅっと窄まった。
そこにはヴァリエール家の三女は居なかった。取り澄ました貴族は居なかった。
200の心拍で心臓を揺さぶる恐怖が、少女から教養の仮面を剥ぎ取る。哀れな獲物は、逃げる事も出来ずに立ち尽くす。
オーク鬼の群れが迫る。一歩ごとに地面が爆ぜる。
地響きが下腹を衝き、体を足下から振り回す。
視野が歪み、切り取ったかの様に狭くなる。
思考がバラバラに千切れ、感情が麻痺する。膝にはまるで力が入らない。
目尻には涙が浮いていた。歯の根は合わなかった。ルイズは剣の様に佩いた杖を抜き放った。
勇気を奮い起こした訳では無かった。恐怖に駆られた訳でも無かった。
それは怒濤の如く迫り来る殺意と食欲に対して、本能が許した無意識の抵抗だった。
――――どんな呪文を唱えたのかは覚えていない。
小さな村落に、森林に、爆音が響いた。
気付いた時、目の前は舞い上がる土砂と、木片とで真っ黒に染まっていた。
シ・エーン
ルイズは喘ぐ様に肩を揺らした。
荒く不規則な息に、喉が高く鳴った。鳥の首を絞めたら、こんな鳴き声を出すのかも知れない。
地響きが途絶えた。オーク鬼の姿は爆煙の向こうに消えた。
ルイズは震える手で、小物入れをまさぐった。爆発の瞬間、確かに見えた。
恐怖心が、距離感を浸食した。すぐにもその牙が届くかと思われた獣は、まだ二○メイルも先に居た。
小屋を四つ纏めて消し飛ばした自分の魔法は、当の目標に掠めてもいない。
ルイズは散弾を取り出す。
敵が来る。自分を捕食しようと迫って来る。
悠長に呪文を唱えている閑は無い。短い詠唱で、殺傷力を保証してくれる攻撃――――中空の杖に弾丸を籠める。
手が震える。自分の意志を頑なに拒む。その簡単な動作が、思うに任せない。
「あっ!……――――うあ!……――――」
ルイズは声を上げる。意味を成さない奇声だ。
早くしなければ。早くしなければ。
オーク鬼が来る。オーク鬼が来る。
ルイズの焦燥と裏腹に、オーク鬼供は足を止めている。
人間との長い抗争で、メイジの能力は大雑把にだが理解している。だが、ここまで広域を破壊する魔法は知らない。
見えない場所へ飛び込む事を、本能が拒否する。どんな危険が待ち受けているか判らない。
それでも、オークは突進を決意する。本能をねじ伏せる。
メイジとの戦いは一瞬で決まる。次なる呪文を許してはならない――――
爆煙を裂いて銃弾が飛来したのは、その時だ。
一度成功すれば、後は早かった。ルイズは恐怖に引きつった顔で、次々銃弾を送り込む。
一二粒弾、八粒弾、そして巨大な一粒弾。
豚の嘶きにも似た悲鳴が折り重なる。
雨霰と降り注ぐ銃弾が、オーク鬼をパニックに陥れる。
殺傷力は取るに足りないが、問題は数だ。
土煙が視界を覆っている。見えない所から、数え切れぬ程の弾丸が襲い来る。
オーク鬼が知る銃は先込め式。装填装薬に時間がかかり、訓練された兵士でも、二分で三発程度しか連射出来ない。
一体、何人の射撃手が居る?
一体、どこに隠れていた?
すると、あのメイジの小娘は囮――――?
銃弾が途切れるや、獣供は駆けた。
再装填を許すな。なにより、あのメイジに呪文の詠唱を許すな。急げ、急げ、急げ!
――――前が見えない。邪魔な小屋を、柵を蹴散らす閑など無い。教区教会から伸びる中央通りに殺到する。
煙を突き破った時、そこに、二桁を数える銃手の姿は無かった。呪文を詠唱する、狡猾残忍なるメイジの姿は無かった。
蝋の様な青白い顔で、恐怖と殺意とを瞳孔に凝集した少女――――そして、詠唱はもう終わっていた。
閃光が迸った。3000度のメタルジェットがオーク鬼の分厚い腹を紙風船の様に突き破り、脂肪と肉と臓物とを灼き焦がし、背面へと貫通した。
断末魔の嘶きと、唾液と、吐血とが同時に漏れた。
狭い通りを急いだ事が仇となった。豚面の食人鬼は、折り重なる様に崩れ落ちた。
作戦とは違う。銃弾を放ち続ける内に、不安が襲った。
威力が足りない。これではオーク鬼を倒せない。もっと、強力な攻撃を――――持ち得る最強の呪文を選んだのは、恐怖心の要請だ。
煙が晴れる。
教会へと通じる通りに、腹を破られたオーク鬼の死骸が並んでいる。
と、ルイズは心臓が凍り付くのを覚えた。
オーク鬼が動いた。死んだ筈の獣が動いた。こいつは未だ、死んでいない。呪文を!強力な呪文を!
自分の爆発は詠唱が長い程、威力が上がる。咄嗟に、思いつく限りで最も長い系統魔法を選ぶ。
実の所、オーク鬼は絶命していた。
だが、その恐怖心が、ルイズを救った。パニック状態の少女は、死体の数を確認する事さえ忘れていた。
左で、小屋が倒れた。角材が跳ねた。
生き残りが居た。狭い通りへの突入を諦めた一体。すぐ目の前だ。
反射的に杖を構えた瞬間、背後に物音――――
爆発が眼前の一体を吹き飛ばす。
振り向いた時、首筋に腐臭を帯びた息がかかった。そんな気がした。
ジェット噴流に巻き込まれたのだろう。棍棒を右腕ごと失ったオーク鬼が、真っ黒に染まった左の爪を振りかぶる。
牙が粘っこい唾液の糸を引いている。濁った目に、憎悪と嗜虐的な食欲とが覗く。
支援
細い杖が、オーク鬼の腕を打った。
少女の細腕だ。棍棒同然の殺傷力をもった、オーク鬼の腕を止める力は無い。と、ルイズは悲鳴にも似た声で呪文を紡ぐ。
爆発が生じた。
加速した杖、鋭利な短経の先端が、野太い腕を抉り、筋を断ち、骨を砕いた。
細い体がクルリと一回転。絶叫を上げるオーク鬼の頭部に、杖がコツリと当たる。
爆発。
頭蓋が割れ、血と脳漿とが飛び散った。
温かく、粘っこい液体が、桃色の頭目掛けて降りかかる。
それでも、獣の体液が少女の白い体を穢す事は無かった。
汚物はまるでガラス窓に張り付いたかの様に眼前で止まり、そのまま地面に降り落ちたが、ルイズにそれを不思議と感じる余裕は残されていなかった。
300sの巨体が、後に倒れた。その震動に、ルイズはたたらを踏む。
村を一望する。
嘗て平穏だった筈の村落は、屠殺場の様相を呈している。
オーク鬼の死体が七つ。吐き気を催す臭いが辺りに漂っている。
オーク鬼はもう居ない。
もう危険は無い。
ルイズは震えた。膝が力無く揺れ、そして折れた。
崩れ落ちる体を、背後から二つの手が受け止めた。
「ひっ――――!」
ルイズは悲鳴を上げた。心臓が止まるかと思った。
その恐怖心も、聞き慣れた声を聞いて、安堵にすり替わった。
「ようやった」
空だ。
「魔法巧くても、度胸の無い奴はいざっちゅう時、役に立たん。ルイズは合格やわ、合格」
「学生でオーク七匹狩れる奴が、どんだけ居る?」
「途中、手貸す必要有るかな、て思うとったけど、結局、出番無しやったし」
「ここ住んどった奴ら、きっと喜ぶで」
「ま、ワルドの見立ては間違いや無かったわ。ルイズなら、歴史に名を留めるメイジになれる。ワイも保証する」
空は上機嫌だった。陽気な声が、立て板に水で捲し立てた。
その言葉は一つとして、ルイズの耳に届いていない。
恐怖と緊張から解放された少女は、震える声で言った。
「……空……私……立てない……」
鳶色の瞳から、涙が溢れた。
* * *
あの後、空に抱き抱えられる様にして学院に戻った。
両腕で駆動輪を回さなければならない車椅子の男は、それでも時折、小さな背を軽く叩き、或いは頭を撫でてくれた。
その間、ルイズはずっと厚い胸板にすがり付き、震えていた。途中、何人かにからかわれたが、それも耳に入らなかった。
寮室に戻ると、ルイズはベッドに籠もった。夕食の時間になっても、部屋を出なかった。
食欲が無かったし、そもそも食事のことなど、頭を掠めもしなかった。
ただ、今日の出来事が、頭の中をグルグルと回っていた。
付き合って欲しい所が有る。
空はそう言った。
どこに?
近くの森に。
何しに?
オーディション、ちゅうとこか――――
支援
空はあの村落がオーク鬼の巣窟となっている事を知っていた。知りながら、自分を肉食獣の群れの真ん中へ放り込んだ。
何の為に?――――オーディション?審査?何の?
合格だ。空はそう言った――――不合格なら、どうなっていた?
背筋が凍った。一体、空は何のつもりだったのだろう?これから自分に何をさせるつもりなのだろう?
考え過ぎだ。そう思いたかった。
なかなか自信を持てずにいる自分に、荒療治を施したのだ。そう思いたかった。
何しろ、無茶な男だ。特訓初日は、崖の上から大岩を転がして来た。滝を見付けるや、樽に入って飛び込め、と口走った。
一方、そんな冗談めかした態度とは裏腹の、冗談にならない言葉が脳裏に浮かぶ。
ルイズ、戦争好きか――――
そこまで考えた時だ。
音も無く、戸が開いた。ルイズは一瞬、身を強張らせたが、つい先刻、空が部屋を出た事を思い出した。
車椅子がそっと、ベッドに近付く。
「具合、どや?」
上から空が覗き込む。
「大丈夫――――」
別に、体の具合が悪い訳では無い。
食事はベッドで摂るか――――その申し出を断って、ルイズは起き上がる。
着替えもせずに寝込んでいた事に、初めて気付いた。
テーブルではシチューが暖かそうに湯気を立てている。
匙を取って一口啜ると、体にじんわりと熱が沁み渡った。
眼前では、空がパンを千切り、シチューに浸している。
食堂では隣り合ってこそいるが、違うテーブルだ。こうして部屋で食事を摂るのも、偶には悪く無いかも知れない。
体が暖まって来ると、少し気分も楽になった。
好き勝手をやっている様に見えて、空は案外と気を使ってくれる。
何かおかしな事を企んでいる――――そう見るのは考え過ぎな気がした。
コツコツと窓が鳴った。ルイズが何かを言う前に、空が窓を開けた。
現れたのは、メッサーシュミット。伝書鷹だ。
魔法による処置が施されている為だろう。鳥目とは無縁らしい。
「また、工房から?」
「せや」
「今、何を作ってるの?」
「何、て言われてもなあ……」
空は顎に指を当てた。色々と手を広げているので、一口には説明し難いらしい。
「せやなあ……いっそ、見に来るか?」
百聞は一見に如かず。あれこれ説明するより、直接見せた方が話が早い。
それに、工房はトリスタニアの職人街だ。ついでに買い物をしたり、遊んで歩くのも楽しいだろう。
その言葉に、ルイズは目を輝かせた。
トリスタニアで空が何をしているのかには、大いに興味が有ったし、久しぶりに街を歩くのも楽しいだろう。
なかなか、魅力的な誘いだった。
尤も、ぱっちりと開かれた睫が伏せられるまでには、さしたる時間を要さなかった。
一つ、問題が有った。
「……無いわよ。そんなお金」
深刻で、どうにも抗い難い問題だった。
四円
「金持ちが締まり屋なんは、よう聞く話やけど、小遣いあまり貰ってないんか?」
「それなりの額は頂いているわ」
「なら、なして?」
「あんたの食費よ。それで殆ど消えちゃったの」
全く、贅沢をするから――――ルイズは唇を尖らせる。
「本当なら、もしもの時の為に、もっと倹約しておかなくちゃいけなかったのよ」
「もしもの時?」
「あんたが怪我したり、病気にかかった時」
ルイズ自身については、食費も、医療費も、実家が納めた学費から供出される。
だが、使い魔はそうもいかない。
「もし、あんたに何か有ったら、この部屋の家具や衣服を処分しないといけない所だったんだから。何事も無く、今季が終わりそうでほっとしているわ」
「……そら、悪い事したわ」
「いーのよ。“契約”だもの」
山の様な契約書の束を、ルイズは今でも少し根に持っている様だった。
契約書には食事量に関する条項が有る。
日本に帰れば、即刻、創世神〈ジェネシス〉計画を推し進めなければならない空にとって、現状の体力を維持出来るだけの食事は、決して譲れない一線の一つだった。
当時はハルケギニアの事情にも疎く、今現在している様に、工房を経営して利益を上げる、と言うのは全く想像の域を超えていたのだ。
さて――――空は顎を当てる。
思えば、自分がこの世界に来てからと言うもの、ルイズがお洒落をしたり、年頃の娘がする様な遊びに興じている所は見た事が無い。
それが性分とも考えていたが、自分が少女の乏しい財政を圧迫した結果だとしたら、いかにも気の毒だった。
今は自分にも収入が有る。食費は自分で出すべきだろうか。
だが、この依怙地なばかりにプライドの高いルイズが、契約――――それも、始祖ブリミルと祖先より受け継いだ名に賭けて誓った――――を反故にする様な行動を許すとも考え難い。
そもそも、食費が浮いたら浮いたで、この真面目な少女は、“もしもの時”の為に貯蓄する方を選ぶだろう。
「……なあ、ルイズ。芝居とか、興味有らへん?」
「お芝居?」
「せや。知り合いから予約券貰たんやけど、余っとってなあ……」
これは事実だった。
劇場は人の出入りが多く、その上、開演中に余所を気にする観衆は居ない。
観客席の暗さは姿を、役者の歌声は声を隠してくれる。
密談には打ってつけの場所だ。
「一人で行っても侘びしいやろ。ちょい、付き合ってくれへんか?礼に茶くらい奢るさかい」
「え?……いいけど……それ、て……――――」
つまりは、デートの誘い――――そう受け取っていいのだろうか。
「んー……ど、どうしようかしら?」
ルイズは態とらしく悩んで見せた。
生まれてこの方16年。そんな機会に出会いもしなければ、そんな相手に恵まれもしなかった。
とは言え、ここで即答するほど、自分を安く見積もってもいなければ、狼狽えて見せる程、純情無垢と言う訳でも無い。
無意識の内に、シチューを浚う匙が“の”の字を描く。
「演目は?」
「『トリスタニアの休日』言うてな。若い娘さん好みの話らしいわ」
どうにも、ワルドの趣味は判らない。その一言を、空は敢えて飲み込む。
ルイズはもう少しだけ、悩むフリをする事にした。とは言え、心はとっくに決まっている。
芝居は見た事が無かったし、空の言う演目が、女の子に評判らしい事は耳に入っていた。
「仕方ないわね」
ルイズは肩を竦めて見せた。
さり気なさを装ったつもりだったが、言葉と裏腹の明るい声は隠しようもなかった。
「あんた、相手居ないみたいだしね。可哀相だから、付き合ってあげるわ」
「おおきに」
食事を終えると、空は食器の片付けを始めた。
部屋の外に出しておけば、シエスタが回収に来てくれる約束になっている。
「ルイズ、芝居はよく見るんか?」
「ううん。初めて」
ルイズは素直に答えた。
何事についても初心者と見られる事を嫌う、プライド高きトリステイン人としては珍しい事だが、意図が有った。
この観劇は初めて尽くしだ。
それが、自分にどんな意味を持つのか知っておいて欲しかった。
「ま、ルイズは真面目やし、遊び慣れとる雰囲気は無いさかいなあ。ホンマ、家柄はええし、可愛ええし、勉強出来るし、最近は魔法かて巧く行っとる――――」
雨霰の賛辞に、ルイズは澄ました笑みを浮かべた。
必ずしも褒められ慣れてはいないし、こそばゆくもあったが、照れを見せない程度の見栄は有った。
「ただ、もう一つ足りんな。それさえ埋まれば、完璧?つーか、人生勝ち組やのになあ。ホンマ、勿体無い話やで」
「足りない物?」
ルイズは眉を顰めた。
褒めたら、褒めっぱなしにして、気分良くさせておいてくれれば良い物を、どうして、この男は余計な一言を付け加えようとするのだろう。
自然、目線が自分の体に落ちる。
どこを論う気だ。胸か?聊か口にし難い所が、まるで子供の様だと言う事か?
ルイズの予想は少しだけ外れた。空は発育に恵まれなかった少女のコンプレックスを刺激する事はしなかった。
空の言葉は、一瞬、ルイズを呆然とさせた。
気付いた時、その手は杖を握っていた。
モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシは複雑な表情を浮かべていた。
ここは笑うべき所なのか、それとも怒るべきなのか、呆れるべきなのか、絶望するべきなのか……俄に判断が付かなかった。
目の前で陶器のグラスを片手に、窓の外を眺める珍生物。
「あら?裸のお姫様が空飛んでいる」
こんな言葉に本気で反応する馬鹿が、一体、この世のどこに居るだろう。
それが、目の前に居るのだ。
名前は確かギーシュ・ド・グラモンと言った。その上、自分の恋人と言う事になっている。
結局、モンモランシーは一粒、涙を零す事にした。それが、誰を憐れんでの事かは、自分でも判らない。
一体、どの様にして女子寮塔に侵入したのだろう。ギーシュが自室のドアを叩いたのは、30分程前の出来事だ。
青銅の二つ名を冠するこの恋人は、熱心に自分の美しさを褒め称え、くどいばかりに愛を囁いた。どうやら、最近、メイドとの関係を疑われている事が堪えているらしい。
さて、どうする――――自分を一番に愛している。その言葉を素直に受け止めるべきか?
否。絶対に否だ。一番が居るなら、二番も三番だって作る。ギーシュはそうしたタイプだ。
デート中、目を離した隙に他の女の子を口説き始めた事は一再では無い。
正直に言って、その女癖の悪さには閉口させられている。とは言え、嫌いな訳では無い。なんだかんだと言っても、幼馴染みだ。
付き合いを続けるなら、治る見込みの無い病気の自然治癒を待つよりも、自分から行動を起こした方がいい。
モンモランシーはそう考えた。幸か不幸か、その手段も手にしていた。
袖口に隠した小瓶。700エキューもの大金を叩いて調合した、御禁制の惚れ薬。
これをギーシュのグラスに一垂らししてやれば、もうナルシストの浮気性に悩まされる事も無い――――のだが――――
支援するぞもるふぁああ
一瞬――――いやに長い一瞬――――モンモランシーは躊躇した。
悩む時間はたっぷりあった。正しく、それが悩ましかった。
別に良心の呵責を覚えた訳では無い。浮気性とおさらばする方法は他にも有る。
それでも、モンモランシーは決断した。
透明の液体が、タルブ産の赤ワインに溶けるのを見届けると、安堵の溜息が漏れた。
「なんだ。ミス・タバサじゃないか……」
たっぷり三分間に渡って窓の外を見回していたギーシュは、失望の声を漏らした。
水色の髪をした少女が、エアトレックで学院狭しと飛び回るのは、今や珍しくも何とも無い光景だ。
最近は、そのすぐ下にマリコルヌも現れる様になった。
所で、どうして彼はエアトレックを頭に着けるのだろう。
「あら、勘違いね」
隠密裏に作戦を完了したモンモランシーは、何気なく言った。それよりも、乾杯しましょう――――二人はグラスを合わせる。
ギーシュは気取った仕草でワインをくゆらし、香りを楽しみ、そして一口含む。
舌の上でゆっくりと深紅の液体を転がし、口を湿らせながら、鼻腔に香気を送り込む。
一連の儀式を終えて、ギーシュは漸くワインを飲み込んだ。
「ふむ……」
気障な少年は、評論家気取りで目を瞑り、判りもしないワインの味を吟味している。
モンモランシーは同時に固唾を飲む。
彼が目を開いて自分の姿を目にした時、惚れ薬はその効果を現す筈だ。
調合は巧く行ったのか。効果はどの程度の物なのか。
そして、その時、この幼馴染みの少年は、どんな態度を見せるのか――――そこまで考えた時、突然、けたたましい音を立ててドアが開く。
「マルガリ!助けえ!」
モンモランシーは息を飲む。空だ。咎める間も無く部屋を横断、窓から飛び出した。
「待ちなさい!」
後を追う様にしてルイズが現れる。モンモランシーは卒倒しそうになった。
まずい――――もし、ギーシュが自分よりも先に、この闖入者を捉えていたらどうなるか。
「ちょ、ちょっと!なんなのよ、あんた!人の部屋に勝手にねえっ……!」
腰に手を当てて激怒するモンモランシーには目もくれず、ルイズは開け放たれた窓を見つめる。
どうやら、空はそこから逃げたらしい。
「あら……御免遊ばせ」
最後にギーシュを一瞥すると、ルイズはドアを閉じた。
女子寮は本来男子禁制だが、監視も緩い。女生徒の手引きがあれば、こうして部屋を訪れるのも決して不可能では無い。
生真面目な少女の口調には、そんな異性同士の不純な交友に対して抱く嫌悪と軽侮の念が、ありありと込められていた。
「何よ。あんたなんか、部屋に引っ張り込む所か、同棲してる癖に」
モンモランシーはドアに向かって毒吐いた。
支援ぐ
「行ったか?」
窓から声がした。空は飛び降りたフリをして、窓枠に手を掛けていた。
車椅子ごと、室内に飛び込む。
「あんたねえ……」
「取り込み中、スマンかったわ」
「今日は、一体、何で怒らせたの?」
「大した事やあらへん」
寧ろ、褒めたんやで――――空はぼやいた。
ルイズは家柄が良い。容姿も整っている。頭も良いし、魔法だってオーク鬼七匹を纏めて倒せる程上達した。
ただ、惜しむらくは、趣味の方面が丸ごと欠落している。
「同い年頃のボーイフレンド作れば、もう完璧なんと違う?そう言うたら、急に怒り出してよってなあ……」
「あんた、馬鹿だわ」
モンモランシーは呆れ返った。
全く、ギーシュと言い、この空と言い、どうして男はこうも馬鹿なのだろう。
本当に、嫌になる。
「とにかく、行ってよ。ドアからでも、窓からでも良いから出てって」
「いや、悪かったわ。ホンマ」
巧くやれ――――ギーシュに目配せを送ると、空はドアから出て行った。
モンモランシーはギーシュに向き直った。
惚れ薬を飲んだ恋人は、一連の騒動を声も無く眺めていた。
その瞳を、じっと覗き込む。さあ、彼が最初に見たのは、自分か。それともルイズか。
「なんだったんだろう?」
一言呟くと、ギーシュはグラスを空けた。モンモランシーもそれに倣った。
二つのグラスが空いても、永久なる愛の奉仕者を称する少年は、瓶に手を伸ばそうとはしなかった。
「ギーシュ……?」
「さて……では夜も更けて来たし、僕はこれで失礼するよ」
馬鹿の一つ覚えの様に「愛している」を連発して部屋に押し掛けて来たのが、まるで嘘の様だった。
ギーシュはそれきり、モンモランシーには一瞥も与えないまま、ドアノブに手を伸ばす。
モンモランシーは慌てて後を追った。拒絶する様にドアが閉じた時、香水の二つ名を持つ貴族は、今度こそ本当の絶望を味わった。
ドアの向こうから、漏れ聞こえた声。
感極まったかの様な声で、ギーシュは確かにこう言ったのだ。
「ウホッ……いい男――――!」
* * *
ヴェルダンデの大きなお尻を見るのは、久しぶりの事だった。
空はギーシュに二度目の決闘を挑まれた夜の事を思い出す。
思えば、あの時も、怒り出したルイズに部屋を追い出され、行く所に困っていた。
「ホンマ、ルイズは短気であかんわ」
空はぼやきながらも、ジャイアントモールの案内に従った。
向かう先は例によって例の如く、ヴェストリの広場だ。
一体、何の用だろう。
あの夜、ギーシュは広場の中央に堂々屹立していた。
今夜は少し、様子が違う。
広場の片隅に噴水が在る。ゆらゆら揺れる水面と、立ち上る飛沫の中で、二つの月が溶け合っている。
縁石には、金髪の少年が静かに座している。
空の姿を認めるや、口元にそっと微笑が浮かぶ。
はて、こいつは誰だ?――――空は首を傾げた。
ギーシュ・ド・グラモンと言う名前を思い出すのに、数秒かかった。
どうなっている?
「よく、お越し下さいましたミスタ」
「ん、ああ……?」
空は首を傾げた。口調がいつもと違う。
「なんや、また決闘か?」
「似た様な物です」
ギーシュはにっこりと笑った。花も恥じらう笑顔だ。
元々、衣服のセンスが壊滅的に悪く、仕草が間抜けなだけで、顔の作り自体は悪く無い。
こうして控え目に振る舞えば、十分美少年で通る――――問題は、あの気障なナルシストが、どうしてこんな態度を見せているのか、だ。
決闘と言いながら、ギーシュは立ち上がろうとしなかった。
「どうぞ。もっとお傍に」
空は背筋に嘘寒い物を覚えながらも、勧めに従った。何の冗談か、と思った。
突っ込みを入れたくなった時、相手の頭蓋に手が届く距離に居た方がいい。
ギーシュは空の瞳を下から覗き込むと、続いて、二つの月に目を移した。
「こんな夜だった――――」
「あん?」
「憶えていて下さらなかったのですか?僕が初めて、ミスタに決闘を挑んだ時の事です」
嫌な言い方だった。
空は無意識の内に体を退いたが、後には背凭れが有った。
「初めて決闘したんは、昼の話やろ」
「それは挑んだのでは無く、僕が受けの時でしょう」
本当に嫌な言い方だった。
ギーシュは月と見つめ合う様にして、溜息をついた。
「……待っている間、ずっと考えていたんです」
「あん?」
「僕はどうして、貴方に決闘を挑み続けていたのだろう、て」
「モテたいからやろ」
ギーシュは静かに首を振った。
平民に決闘で負けた為、女の子にモテなくなった。名誉を挽回したい。そう言っていたではないか。
それとも、あれか。シエスタが言っていた。
ギーシュが自分に決闘を挑むのは、難敵に勝利する事により、理想を追い続ける決意の証とする為だ、と。
「……今まで、そう思っていました」
でも、それは間違いだった。ギーシュはそう言った。
自分の気持ちを誤解していたのかも知れないし、自分を誤魔化し続けていたのかも知れない、と。
ウホッ いい本文!支援。
「でも、気付いたんです――――ああっ!僕が貴方に挑み続けたのは、勝利を得る為では無かった。名誉を得る為では無かった!――――他ならぬ、貴方が目的だったのだ、と!」
空は車椅子ごと後に退いた。口元から、夕食のシチューが軽く漏れた。
ギーシュは素早く距離を詰める。足にはエアトレックを履いていた。
「“飛翔の靴”を研究したのもっ、杖に磨きをかけたのもっ、今、こうしてエアトレックの練習をしているのもっ――――そう!全ては貴方の為だった!貴方に近付く為だったっ!」
「待ちや!待て!待て!ボーズ!お前、おかしい!絶対、おかしいで!自分の言うとる意味判っとるんかい!」
「判っています!確かに、僕の振る舞いは始祖の教えに背くものだと!サハラの悪魔に屈する背徳の道だと!ですが、ミスタ!愛は全てを許す物っ!そうお思いにはなりませんかっ!」
「ワイは許さへんわっ!」
空は叫んだが、ギーシュはその声を全く聞いていなかった。
真実の愛に目覚めた美少年は、感極まったかの様に身を震わせると、一躍、車椅子へと飛びかかる。
「お慕いしているのですっ!ミスタっ!貴方は使い魔などと言う身分に甘んじるべき人間では無いっ!僕の領地に来て下さいっ!僕が貴方の生活を御世話しますっ!」
「待て、こら!ボーズ!」
「ああ、ミスタっ!ミスタっ!ミスタっ!」
Tシャツを脱がせにかかるギーシュ。空はその手首を捻り、一転、地面に叩き付けた。
全く、なんだと言うのだろう。ともあれ、やられっぱなしは気分が悪い。
「おんどれも脱げっ!」
「きゃーっ!」
上から、上半身をひん剥く。ギーシュの嬉しそうな悲鳴と、物音とが混じった。
陶器の割れる音――――
振り向くと、シエスタが居た。
真っ青な顔だ。その足下ではルイズの部屋から回収して来た物であろう食器が、粉々に割れていた。
沈黙が流れた。シエスタは“飛翔の靴”を滑らせて、本塔に消えた。
後手に戸を閉じると、シエスタは走った。
自分は二番目で良い。そう考えていた。それは、あくまで一番目が貴族令嬢たるモンモランシーだからだ。
だが、今、ギーシュを組み敷いていたのは平民で、あまつさえ男で――――信じられない、信じられない、信じたくない!
厨房に飛び込むや、シエスタは叫ぶ。
「マ、マルトーさんっ!包丁!包丁!包丁を貸して下さいっ!」
「包丁?」
突然の要求に、料理長のマルトーは首を傾げた。額にはモット伯邸で負った刀創の跡が、今も残っている。
「料理でもするのか?」
「料理?」
その問いにシエスタは笑った。口元だけで笑った。
目元は相も変わらず、引きつったままだった。
「そ、そうですっ。料理ですっ。料理しちゃうんですっ!」
「で、何を作る気だ。それで包丁も……」
「とにかく!出来る限り先が尖っていて、丈夫なのがいいんですっ!」
「……わ、判った」
戸惑いながらもぶ厚い包丁を差し出すマルトー。
引ったくる様にして受け取ると、シエスタはすぐ様、広場へとって返す。
一方の空――――
「……なんや。嫌な予感がしよる」
「そんな事より、ミスタ……」
ギーシュは目を瞑って、唇を突き出した。空は迷わず、その顎を一撃。昏倒させる。
車椅子に戻り、相手を抱え上げるのと、本塔の扉が勢いよく開いたのは、ほぼ同時だ。
包丁を手にしたメイドの姿に、空はぎょっとした。
sein
「シエスタ……その、まあ、なんや……」
落ち着け――――最後の一言を、空は口にしなかった。その前に、ギーシュを抱えて走り出した。
刃物を握ったローラーメイドの瞳に、理性の色は全く窺う事が出来無かった。
「私と死んでーっっ!!」
シエスタは絶叫した。誰に言っている?考えるまでも無くギーシュだ。
だからと言って、自分が巻き込まれずに済む保証はどこにも無い。
空は女子寮塔に飛び込む。
シエスタは凄まじい速度で追って来る。壁を駆け、天井を蹴り、階段を一っ飛びに飛び越える。
“飛翔の靴”が、まるでエアトレックだ。
空は日本のTVゲームを思い出す。インラインスケートの包丁メイドに石造りの洋館を追いかけ回されるホラーゲームなら、ワゴンセールで980円が妥当だろう。
それぽっちのスリルと命を引き替えにされては堪らない。
空は逃げる。必死で逃げる。
さしものシエスタも、半ば本気の空には追いつけない。
背後にメイドの姿が見えない事を確認して、飛び込んだのはモンモランシーの部屋だ。
丁度、その時、縦ロールの金髪少女は、机で頭を抱えていた。
惚れ薬の効果で、ギーシュが空に惚れてしまったのは間違いない。解除薬を調合する予算は無い。
そして、薬の効果が自然に切れるのは短くて一ヶ月から、長くて一年――――
ドアが蹴り開けられた。モンモランシーは息を飲む。
丁度、惚れ薬の作成と使用が露見した場合の量刑が、脳裏を過ぎった時だったのだ。
場合によっては家門が潰れる。
「こらっ!マルガリっ!」
この時、空は色々と機嫌が悪かった。怒鳴るばかりでは飽き足らず、上半身裸の少年を部屋の主人目掛けて投げつける。
重量50sを超す肉の塊にのし掛かられては堪らない。モンモランシーは椅子ごと転倒する。
「なな、何するのよっ!私が何をした、て言うのっ!?」
しでかしてしまっているのを、承知で言った。
まさか、平民の空に惚れ薬の事が判る筈も無い。
「何もしいへんっ……いや、させてへんからやろ」
案の定、空は見当外れの事を言った。
「お前があんまり勿体付けよるさかい、ボーズがおかしなりよったわ。ったく。どないすんねん、ホンマ」
どうやら、空はギーシュが欲求不満のあまり、男に走ったと考えているらしい。
さて、どうしよう。
空は今、そこそこ金を持っている筈だ。ギーシュとの仲も悪く無い。
素直に話して協力を仰ぐか……しかし、ここまで決定的な弱みを握られて大丈夫な相手なのかどうか……。
「とにかくや。ちゃちゃっ、と一発抜いたれ。そしたら、ボーズも目醒めるやろ」
「ななな、何言い出すのよっ。そ、そんな事、出来る訳無いでしょっ!こいつはねえ……」
ギーシュを抱えながらも、なんとか体を起こす。と、開け放たれたドアの向こうに、“あの”メイドが居た。
手にした包丁には、驚かされたが、そうした意味では、別に害は無さそうに見えた。
支援 や ら な い か
sisen
sien
支援
「そ、そんな。ギーシュ様……私の責任です!」
いつから聞いていたのだろう。どうやら、空の言う事を真に受けたらしい。
別の意味で、害になりそうだ。
「そうですよね!貴族とは言え、健康な男の人ですものね!なのに、私ったら気付いて差し上げられなくて!……そりゃあ恋人が堅物の上――――」
「上、何よっ!何が言いたいのっ!」
モンモランシーは激高した。脱いだら凄い巨乳メイドの視線が、一瞬、自分の薄い胸を撫でたからだ。
痩せっぽちの背高のっぽ。セックスアピールが乏しい事に、縦ロールの金髪娘はルイズ以上のコンプレックスを抱いている。
「せや。丁度ええ。ボーズもエアトレック始めた事やし、お前が調律したれば喜ぶわ」
「調律?なんです、それ?」
首を傾げるメイドに、空は耳打ちする。忽ち、シエスタの頬が薔薇色に染まる。
「え?……あらあらあら……まあまあまあ……やだあ……そんな……でも……恥ずかしいっ」
頬に手を当てて、シエスタは身をくねらせる。
調律とやらが何を意味するのかは判らないが、どうやらギーシュがとても喜ぶ事らしい。勿論、性的な意味で。
「恥ずかしいけど……でも……私……ギーシュ様だったら……」
「そや。その意気や。いったれっ。奪ったれっ」
場所も人目もわきまえず、色ボケメイドはシャツのボタンに手をかける。
明らかに面白がって、空が煽り立てる。
「あんた達ねえ……」
モンモランシーは頭が痛くなった。
「人の話を聞いてっ!」
その時だ。
ギーシュが小さく唸った。危険を察知して、忽ち空は姿を消す。
目を覚ました少年は、ぐるりを見回す。
自分を抱きかかえるモンモランシー。上半身の衣服をはだけ、両腕から豊かな乳房が零れ落ちそうなシエスタ。
それは、本来、ギーシュにとって、天国と地獄を一つに合わせた様な光景である筈だ。
所が、薬に冒された脳は、その人格からは到底、出る筈の無い言葉を捻り出した。
「うわっ。女だ――――」
“空”に二つの月が浮いている。
柔らかい光の中で、ほっそりとした、小さな影が一転。
城壁を駆け、尖塔を蹴り、短いスカートを羽根の様にはためかせて宙を舞う。
本塔の尖塔にウィールを滑らせながら、タバサは女子寮塔を見つめる。
一つの窓に覗くのは、振りかざされる杖と、猛り狂う水流。煌めく白刃。飛び交う悲鳴――――
夜空の散歩は本当に飽きない。色々な物が見える。
その度に、タバサは短く呟くのだ。
「なんでやねん」
――――To be continued
支援
612 :
虚無の王:2007/12/19(水) 22:38:06 ID:7D/HaZr3
皆様、御支援どうも有り難うございました〜
今回はここまでです。
どこの阿部ガンだよwwwww
GJっしたーw
乙
ウホッいいBoat 支援
GJ
なにこのスピード感wwwww
乙
グッジョブ
GJアッアッアッー!
虚無の王さんGJでした!
次に投下してもOK?
マッテマスタ!!
ではいきますー
「まだなのかな?」
「もう少しだよー」
辺りはすでに薄暗くなっている。太陽は既に沈みかけており、それに比例するかのように二つの月が空に浮かんでいく。
闇、というには月明かりが眩しい。しかし、エルザに連れてかれた場所は森の中。木々によって阻まれた光りは僅かだけしか差し込んではくれない。
こんな場所に一体どのような用事があるのだろうか。
エルザに言われて、インデックスは考えも無しにただついていったのだが、薄気味悪い空間が彼女に危険信号を発信させている。
が、何か特別な計らいをして、驚かせようとしているのだろう。そう、インデックスは信じる事にした。
「ねえ」
そんな時だった。今までインデックスの前を歩き続けていたエルザの足がピタッ、と止まった。
が、こちらに振り返ってはくれない。あるのは背中のみ。
エルザの顔を見たいのなら、インデックスが大きく周りこめばいいのではあるかもしれないが、無言の圧力がそれを止める。
「……なにかな?」
気がつくと、インデックスは無意識のうちに片足を下げていた。
エルザの方には右肩しか向けていない。これではまるで……、
いつでも逃げる準備ができているかのようだ。
それでも、実行に移さないのはインデックスの性格だからであろう。幼い子供を一人にさせてはいけないという安易な考えが、彼女の足を板に刺した釘のように地面と繋がっている。
「お姉ちゃんは牛や豚を食べたりするよね?」
ピリッ、と空気が震える。ただ声だけしか聞こえてこないが、こちらからは伺えない顔は怒っているようにインデックスは感じられた。
「うん、そうだね……」
「じゃあさ」
エルザはそこで一回区切り、ようやく振り返った。
インデックスの視界に彼女の顔が入る。
以前見たように、変わらない笑み。幼く、優しく、可愛いその笑みは少女だからこそできる一つの特権。
が、何かがおかしい。その笑みは幼いはずなのに、優しいはずなのに、可愛いはずなのに、
どうしてこんなにも負の感情が襲いかかってくるのだろうか。
いや、もうわかっている。その理由も、答えも、インデックスにはわかっている。
しかし、まだその事実を否定している自分もいる。むしろそちらの方が割合としては大きいのだ。
しかし、
「吸血鬼が人間を食べても同じだよね?」
少女のはかない願望は脆くも崩れさった。
支援
言葉を発するためには口を開かなければならない。
口を開くという事はその中身を見せなければならない。
そこに、あったのだ。人間の犬歯とは比べものにならないぐらい、大きく尖った歯が生えていたのだ。
が、インデックスは逃げない。恐怖という鎖が足を止めているわけではない。
逃げようと思えばできる。その足を動かし、この場からエスケープするのは不可能ではない。
が、それでどうなる。
自分が逃げて話が解決するはずがない。たとえ自分が正直に話したところで、こんな幼い子供がするわけないと一蹴されるに違いない。
インデックスの予想通り、吸血鬼はもっとも疑われず、もっとも安全な位置に属していたのだ。
同時、一つの過ちに気付く。
そう、インデックスの話を信じてくれる人間がいないのだ。あくまで確率の話だが、不思議と断言できた。
それこそ、自分が襲われている瞬間を全員に見て貰わない限り不可能だ。
「お姉ちゃんは、逃げないんだね」
何やらがっかりしたのような意味合いを含まれているようだ。エルザははぁ、と一回ため息を吐く。
「なんか予想外。もっと他の子と同じように逃げ惑う姿を期待してたのになぁ」
「こうやって他の子たちを襲ったの
ん?支援
久々に途切れた……
言葉を発するためには口を開かなければならない。
口を開くという事はその中身を見せなければならない。
そこに、あったのだ。人間の犬歯とは比べものにならないぐらい、大きく尖った歯が生えていたのだ。
が、インデックスは逃げない。恐怖という鎖が足を止めているわけではない。
逃げようと思えばできる。その足を動かし、この場からエスケープするのは不可能ではない。
が、それでどうなる。
自分が逃げて話が解決するはずがない。たとえ自分が正直に話したところで、こんな幼い子供がするわけないと一蹴されるに違いない。
インデックスの予想通り、吸血鬼はもっとも疑われず、もっとも安全な位置に属していたのだ。
同時、一つの過ちに気付く。
そう、インデックスの話を信じてくれる人間がいないのだ。あくまで確率の話だが、不思議と断言できた。
それこそ、自分が襲われている瞬間を全員に見て貰わない限り不可能だ。
「お姉ちゃんは、逃げないんだね」
何やらがっかりしたのような意味合いを含まれているようだ。エルザははぁ、と一回ため息を吐く。
「なんか予想外。もっと他の子と同じように逃げ惑う姿を期待してたのになぁ」
「こうやって他の子たちを襲ったの?」
インデックスの問いに、エルザは目を丸くする。一体この娘は何を言いたいのだろうか、と表情に出ている。
が、突然プッ、と吹き出すと、声を大きくして笑った。
「凄いね、お姉さん。怖くないの? 吸血鬼に今から襲われて血を吸われることが怖くないのかなぁ?」
インデックスは返事をせず、黙っている。ただ、ジッとエルザの方を見つめるだけだ。
エルザと戦うしかない。それ以外の選択肢など今のインデックスには浮かばない。
戦いの場に余計な馴れ合いなど不必要だ。ゆえにインデックスは相手の出方を伺い、すぐさま行動に移れるような構えを維持する。
エルザにとっては逃げ惑ってほしかったのだろう。そんなインデックスの態度に腹立てたのか、
「つまらないよ、おねえちゃん。枝よ。伸びし森の枝よ。彼女の腕をつかみたまえ」
実力行使に走った。
轟ッ! と無数の木が、意思を持つかのようにインデックスに襲いかかる。
「ッ!」
意識をエルザから木が持つ武器、枝にへと集中させる。
インデックスを束縛しようと迫りくるそれの回避が第一だ。
支援
高い位置から迫る枝は身を屈めて交わし、飛び、手を縮みこませるかのように引っ込め、一つの地点だけでなく、戦場を大きくする事により避ける範囲を広げる。
が、その程度で振り切るのは不可能だ。こちらが枝を破壊する何かがあればよいのだが、手ぶらできたインデックスにその手段はない。
(これはおそらく魔術、言語は通常言語、その効果は捕縛。流れを見る限りは自然界の力を利用した物? ……ない。こんな魔術存在しないよ!)
インデックスの頭脳に入っている十万三千冊の魔導書がただの本へと変わった瞬間であった。
しかし、例えどのような魔術かわからなくても、インデックスには強制詠唱という技術を持っている。術者の頭を混乱させ、敵の魔術の指定等を妨害する事だ。
が、それはあくまで相手が直接制御している場合のみ効力を発揮するのだ。
枝の動きからいっておそらく自動、エルザの指示はなく、枝自身の意思で動いているように感じられる。
つまり、彼女にこの術式に対して介入する事は不可能なのだ。
他に何か有効打になる策も術も浮かばない。ただ、守りに集中するだけ。
そんな相手に、一体どうやって勝てるのだろうか?
その考えが、彼女に戸惑いと、隙を与えてしまう。
相手の枝は無機物。ゆえにその僅かな隙など気付くわけないと思う。
しかし、ビシッ、とその僅かな隙を狙いつけたかのように左足に枝が巻き付いた。
「くっ……」
動きを封じられた瞬間、今までの回避劇が嘘かのように残った片足と両手も枝に捕まってしまう。
「きゃっ」
小さい悲鳴をあげるが、状態はさらに悪くなる。枝はそのままピンと張られ、インデックスは大の字となって身動きがとれなくなってしまった。
ギシッ、ギシッ、ときつく硬く縛られている。力を入れるが、効果無し。一人で脱出はどうやら不可能なようだ。
「捕まえたっ」
キャハッ、と無邪気に喜ぶ姿は人間のそれと変わらない。ただ、違う点をあげるとするならその背後に黒いオーラが纏まっているような錯覚を覚える。
「うっ……」
「痛いかな? おねえちゃんが逃げちゃうかもしれないからいつも以上にきつく縛っているんだよ」
痛みを堪えるかのように歯を食いしばるインデックス。細い腕、足に絡み付いた枝が血の流れを止めるではないかと思える程威力を強めていく。
「痛い? 痛いかな? 痛いよね。でも緩めることはできないの」
支援
ごめんね。と謝るエルザに、ただ黙るインデックス。
そんな態度に、エルザはプクッと頬を膨らませて不服の態度をあらわにする。
「つまらないよ……喋れないほど縛っているわけではないよね? なんで泣いたり叫ばないのかな?」
「あなた、だったんだね」
しかし、返される言葉は確認。まぁ喋ってくれるだけでいっか、とニッコリ笑った後、続けた。
「うん。誰もわたしだと疑わないんだよ。ホント、人間って単純な生き物なんだから」
「その、生き物に両親を殺されたのに?」
ピタッ、とエルザの動きが止まる。禁断の言葉に触れてしまったらしい。
誰にでもわかるよう、口調が冷徹な物に変化した。
「まぁね。だからメイジだけはちゃんと真っ先に殺すの。そしてあなたは冗談でもメイジという単語を使ったからね」
近づき、クイッとその手でインデックスの顎をあげる。
見た目では幼い子供なのだが、そのひとつひとつの動きは妖艶な雰囲気を纏わり付いている。
「安心して。すぐには殺さない。ゆっくりと、ゆっくりと血を吸ってあげるんだから」
エルザはそういうと、小さく指を呪文を唱えるかのように振るった。途端、小さな風の刃がインデックスの頬を掠め、血が流れる。
「まずは味見、でしょ?」
「ん……」
ピクッ、とインデックスの体が震え上がる。突然舌が彼女の頬に触れたため、無意識のうちに体が反応してしまった。
ぺろりと流れていたやや黒い真紅の雫を喉に潤したエルザは、口の端が釣り上がるように笑う。
「おいしい……。今までの中で一番おいしいんだよおねえちゃん。あれ? どうしたのかな?」
再び機嫌がよくなったようだ。無邪気な口調でインデックスの顔を覗き込む。
彼女の頬が朱に染まっているのが目に見えてわかる。心なしか顔を俯せ、必死に何かを隠そうとしている。
「そっか、おねえちゃんは年頃の女の子だし、こういうのは初体験なのかな? でも安心して、これが最初で最後なんだから……」
今度は吸血鬼の象徴である牙をむきだしにする。どうやらメインデッシュの時間のようだ。
インデックスは目頭に頬とは違う、透明な雫をためながらも必死に枝から逃れようとする。
が、両手両足を塞がれた彼女は思うように力がでない。
インデックスの頭脳には十万三千という膨大な数の魔導書が蓄えられている。
しかし、先と同じように、今、この状況から逃れる術はその中には書かれていない。
支援
そうなると純粋な力勝負となるが、あいにくインデックスは小柄な女性。残念ながら大木相手に解ける様子はない。
「悪あがきは見苦しいよ、おねえちゃん。素直に諦めた方がいいと思うけどな〜」
エルザの顔がインデックスへと近づく。死のカウントダウンであるかのように、ゆっくりと、確実に迫ってくる。
身動きのとれないインデックスができる事と言うならば、少しでも顔をエルザの牙から離れようとするぐらいだけ。
迂闊であった。
自分でもっとも安全なポジションにいる人間があやしいと言ったのに、なぜ気がつかなかったのであろうか。
いや、原因はやはり自分自身の心だ。
エルザに対してもう少し疑いの眼差しをかけていれば。もう少し注意を払っていれば。
しかし、それらの行為をしていても嫌だな、と感じた。
していなかったからこそ、自分はアレキサンドルとそのおばあさんを信じる事ができた。
それはきっと素晴らしい事だ。
たとえここで命が絶たれたとしても、十分に誇れる事。
ただ、唯一気がかりなのはとある少年に出会えなかった点。
(とうま……)
その少年の名前を心の中で呼んだ。このまま会えずに死んでしまうのは、やはり悲しい。
しかし、いまさら悔いてももう襲い。せめてもの悪あがきと言えば、相手の目の前で悲鳴など上げない事。しかし、怖いものは怖い。
せめて自分が血を吸われるその光景は見たくないと目をつむった瞬間、
音が、響いた。
バン! という乾いた音がインデックスの鼓膜に突き刺さり、この森の中一体を反響するかのように拡がっていく。
思わず肩が震え上がった。痛みはないので何かしら傷を負ったわけではない。
わかる。科学に対しての知識が乏しいインデックスでもわかる。
(拳銃……?)
インデックスは恐る恐る目を開く。その行動に至るまで何秒とかかったかすらわからない。
もしかしたら一分以上消費したかもしれない。ただ、彼女の目に入ったのは倒れているエルザの姿であった。
「あ……か……」
先ほどまでの威勢は消え去り、代わりに弱々しい言葉が口から零れる。撃たれたヶ所は腹辺りなのだろうか、月明かりをバックに鮮血とも呼べる赤い液体が地面へとどろどろ流れる。
「悪いな」
そこに、第三者の声が入り込んだ。
拳銃なんて持ってるのはただ一人支援
支援
支援
支援
エルザは自分をこんなにした人間を確かめるために顔を向け、インデックスは自分の想像している人間かどうか確かめるために顔を上げる。
「ちょっと手間取ってな」
「もとはる!」
さながらお姫様を助ける主人公かのように、土御門元春は現れた。
彼の手には十五センチほどの拳銃が白いがうっすらと漂っている。
未だに銃口はエルザの方を向いており、いつでも二回目の引き金を引ける準備にある。
「な……んで……」
「簡単だ」
一蹴する土御門にエルザは目を見開く。
「お前はインデックスがメイジだと言った瞬間、僅かばかりだが完全なる憎悪が纏わったからな」
「たった……それだけで……?」
「たった? インデックスをこんな風に捕らえて血を吸おうとしているこの場を『たった』扱いするのか?」
「くっ……」
吸血鬼の生命力は人間のより遥かに凌駕している。エルザは素早く起き上がり、対応を試みようとしたが、
「遅いな」
その前に、銃弾が彼女の胸を貫通した。
「お前ら吸血鬼は人間よりかは身体能力はあるらしいが所詮はそれ止まりなんだろ? 銃弾の速度にはどうあがいても敵わない」
痛い! 痛いぃぃいいいい! と涙を浮かべて悶え続けるエルザ。が、土御門はそれに対してなんら感情を浮かべない。
ただ、冷徹に、冷酷に、だ。
「痛いか? お前が人間にしたことを俺がやっているだけだ。文句はねえだろ?」
言葉一つ一つが刺となってエルザに襲いかかる。
「所詮この世は弱肉強食。強い奴だけが生き残るのさ」
そして、三発目の銃弾が彼女の頭を粉砕した。
ドビュッ、と脳の一部が外へと飛び出した。その後ピクピクッと数回体が痙攣したが、すぐに全ての生命活動は停止し、動かなくなった。
それと同時、雄叫びがあがった。
「え……?」
インデックスの視線の先には、昼間とは似ても似つかないアレキサンドルが牙を剥き出しにしてこちらに攻めてくる。
吸血鬼が自分のしもべとして操る事ができるグール。どうやらそれがアレキサンドルのようであった。
「なるほど、気絶さして縄にかけてたぐらいじゃ意味ないか」
しかし、土御門は待ってましたと言わんばかりの動きで振り返り、どこから来るか見当がついたためか迷う事なく二発、続けさまに発砲する。
一発目で体にあたり、態勢が崩れそうになった所で二発目が脳に直撃。たったそれだけで、グールであるアレキサンドルはこの世から去った。
支援
支援
支援
「ちっ、一発目で仕留めるつもりだったが……。やはりすぐさま撃つのは照準がぶれるな」
短い感想を述べ、土御門は銃をベルトに差し込む。
圧倒的、とはこの事をいうのだろうか。インデックスはただア然とするしかなかった。
たしかにこの星での文化レベルと現代の地球での文化レベルには差がある。
それでも、たがか銃一つでこれだ。
戦闘機の一つでも持ってきたらとんでもない制圧力を誇るだろう。
もっとも、
「これで後九発か……」
それなりの欠点はあるようだが。
「もとはる……?」
仕事の顔、という風に理解しているつもりだが怖い。
インデックスは不謹慎だが早くいつもの土御門に戻ってほしいと願って声をかけた。
「あぁ、悪いな。今助けてやるにゃー」
その願いは通じたのだろうか。いつもの口調へと変わった土御門はインデックスを縛っている枝を、どこから調達わからないがナイフを取り出し、切り裂いた。
エルザが死んだため、枝が持つ力はほとんど失い、インデックスが自由の身になるにはそう時間はかからなかった。
「まあ怪我はないと思うが、一応念のために運んでやるにゃー」
ひょいっと土御門は軽々しくインデックスを背中へおぶさる。
へ? と情けない声でされるがままであった。しかし、徐々にインデックスの顔が赤く染まる。子供扱いされるのが恥ずかしいのだろう。
「あわわわっ。私は平気なんだよ?」
「気にすることないんぜよ。もしかしたら足を怪我をしたのかもしれないからにゃー」
そういって、土御門はインデックスを自分の背中から降ろそうとはしない。
背中に乗った人が暴れるのは危険だ。ゆえに言葉でしか説得できないのだが……、
「とにかく降ろして〜」
「にゃー、却下なんぜい。こんな素敵な体験を俺がみすみす離すわけないんぜよ」
どうやら不可能な様子。
インデックスは顔を真っ赤にしながらも、
「お……」
「ん?」
「重い……とか言っちゃダメなんだよ?」
「思い当たる節でもあるのかにゃー?」
うがっ、と爆発したかのように顔を真っ赤にする。
普段はどこにそんなに溜め込む胃袋があるの? と聞きたいぐらい大食いなのだが、やはり女の子。そういった恥じらいは持っているようだ。
「違うもん! 別に太ったりはしてないけど他の人よりちょっと食べてるから、もしかしたらこの体型の標準体重よりちょびっとだけ……お、重いかと思っただけだもん」
支援
支援
『重い』という単語を口から出すだけでも躊躇われるのだから、やはり気にしているのだろう。
土御門に対してそのような発言は禁句である。彼はニヤリと笑うと率直な感想を述べる。
「ちょびっとだけなら違いなんてわかるわけないと思うにゃー」
「なんでそんな軽々しく決めつけられるのかな!? もう少しレディーの心を考えるべきだよ!」
「というか、そんなに気にしてるなら食べなきゃいい気がするんだにゃー」
うー、もとはるのバカー! と結局両手両足をじたばたして土御門から離れようとする。
しかし、にゃーにゃー、と猫の鳴き声を出しながら笑い、それをうまくいなす土御門。バランスを崩す様子もなく、平然と歩いてく姿にインデックスはどんな邪魔をしても無駄なようだ。
しばらく暴れた後、さすがに疲れを感じたのか結局大人しくなった。
アレキサンドルはその場所に放置していったが、エルザはそのまま一緒に連れて、見晴らしのいい所で燃やす事にした。
頭を撃ち抜かれた死体、というのは些かグロテスクの領域に入る。土御門は平然と彼女の足をずるずると引っ張っていたが、その間インデックスは目を閉じていた。
運んだ理由は単純。村長達にエルザやアレキサンドルの
支援
支援砲火
支援
『重い』という単語を口から出すだけでも躊躇われるのだから、やはり気にしているのだろう。
土御門に対してそのような発言は禁句である。彼はニヤリと笑うと率直な感想を述べる。
「ちょびっとだけなら違いなんてわかるわけないと思うにゃー」
「なんでそんな軽々しく決めつけられるのかな!? もう少しレディーの心を考えるべきだよ!」
「というか、そんなに気にしてるなら食べなきゃいい気がするんだにゃー」
うー、もとはるのバカー! と結局両手両足をじたばたして土御門から離れようとする。
しかし、にゃーにゃー、と猫の鳴き声を出しながら笑い、それをうまくいなす土御門。バランスを崩す様子もなく、平然と歩いてく姿にインデックスはどんな邪魔をしても無駄なようだ。
しばらく暴れた後、さすがに疲れを感じたのか結局大人しくなった。
アレキサンドルはその場所に放置していたが、エルザはそのまま一緒に連れて、見晴らしのいい所で燃やす事にした。
頭を撃ち抜かれた死体、というのは些かグロテスクの領域に入る。土御門は平然と彼女の足をずるずると引っ張っていたが、その間インデックスは目を閉じていた。
運んだ理由は単純。村長達にエルザやアレキサンドルの亡き姿を見せるわけにはいかない。そう思っての行動であった。
本来はアレキサンドルも一緒に連れていきたがったが、自分より大きい男を運ぶのはどうやらできなかったようだ。
なので、仕方なくその場に放置した。そして願わくば、あそこに人がいかない事を……。
「そいえば、エルザが急にいなくなって村長さんどうなるかなぁ……」
「そいつは心配ないぜよ。今日一日でエルザを連れてく理由は書いてあげたからにゃー。アレキサンドルに関しては……事故にしてもらうしかないんぜい……」
エルザに関しては元から予測していたため、彼女の親戚を土御門が知っているので、彼女も連れてくという手紙を村長の家に残した。
しかし、アレキサンドルの方は違う。もとから殺す気はなかったのだが、どうやらグールという特徴を理解しきれてなかったようだ。
きっとお婆さんは悲しむだろう。たった一人の肉親が連絡もなく行方不明になるなんて。
「そっか……」
「まあこればっかりかは仕方ないにゃー」
「うん……」
怠そうに体を土御門の背中に預ける。やはりというべきか、非常に後味の悪い結末に参っているようだ。
それに加え、
「ごめんね。迷惑かけちゃって」
支
支援
自分が足を引っ張った事を気にしているのだろう。
「まあ次から気をつけるんぜよ。今回はたまたま俺が気付いたからよかったものの」
「うん……。あれ? でも最初にエルザと会った時にはもう気付いてたんだよね?」
「ぎく」
「……ひょっとして私を囮にしようと最初から考えて――」
「そ、そんなことないにゃー」
とは言っているが、土御門の目はどこか泳いでる。インデックスはジト目になり、ホントに〜、と疑いの言葉をかける。
「ホ、ホントはもっと楽な策があったけどインデックスがとてとてー、っと勝手に話を進めちゃうからこうなっただけぜよ!」
「なっ……とてとてって言い方にどうかと思うんだよ!」
案外この二人、気が合うのかもしれない。
周りに人がいたら確実ににやけるであろうこのカップルは、平気で大声をあげる。
もっとも、周りに人がいないとわかっているからこその行動かもしれないが。
「だいたいもとはるは格好がどうかと思うんだよ! サングラスなんてかけたら第一印象最悪なんだよ!」
「それは違うなインデックス。これは少しでもモテようと俺の中で考えに考えたファッションなんぜよ! まっ、俺は舞夏にしか目がないけどにゃー」
もはや論点が完全にズレているのだが、同時にこの状況を楽しんでいるようにしか思えない。
その時、土御門があることに気付く。
とても大事な内容であろう。その肩がふるふると震えている。
「ど、どうしたの?」
インデックスは土御門の状態の変化に気付き、不安そうな声に変わる。
何か先の村で忘れ物でもしたのだろうか? そうインデックスは想像していたのだが、
「にゃー! ツルペタバンザーイ!」
予想から斜め上に外れた答えが返って来た。
もしインデックスが地面に立っていたのなら、間違いなくこけていたに違いない。そうでなくても、確実に修道服は少し横にズレているだろう。
が、そんなインデックスを土御門は背負っているため、彼自身彼女の変化に気付いていない。
そう、土御門はインデックスを背負っている。
つまり、女性であると象徴する部分が土御門の背中に直に触れているのだ。
この事実により、むしろさらなる暴走を遂げている。
「さすがインデックス! ぺたぺたの中のぺたぺただと手にとるようにわかるにゃー。くぅ、カミやんはこんなにおいしい思いをしているのかー」
支援
援
アッハッハッー、と土御門のテンションが急激に上昇している。というか、一人別世界に行ってしまったというべきだろう。
それを象徴するかのように、歩く速度が明らか走っている速度に変わっている。
この土御門、下手をするとどこまでも突き進んでしまう勢いがある。
そしてインデックスもようやく彼が何を言っているのか気付く。
自分のそれが、土御門の背中に当たっている事を。
そして土御門が言っている言葉が自分のそれを指している事を。
途端、インデックスの中で何かがキレた。
当然のように土御門は背負っているインデックスから放たれる怒りのオーラに気付く様子はない。
その事実を知らせてやろうと、インデックスは口を開く。
「ねぇもとはる」
「なんだにゃー?」
ブチッ、という音がインデックスの脳内に何重にも響き渡った。
口笛を吹きそうな、あまりにも陽気な返し方に、インデックスの怒りのボルテージが突き破った。
「いただきます! そしてごちそうさま!」
は? とわけがわからない土御門の無防備な頭に、インデックスがガブリと噛み付いた。
「にゃぁぁぁぁああああああああっ!? 待てインデックス。それはカミやんにしかやらない最終技じゃって痛い、痛いんぜよ!」
「ふんだ! 悪いかな? 胸が小さいことがそんなに悪いかな!?」
「いや、むしろ喜ばしいことなんだが!? ……まさか、インデックスお前だからいつもそんなにたくさん飯を――」
「それ以上言っちゃダメェェェェエエエエ!」
口封じと言わんばかりに噛みつく威力をさらに上げていく。若干その顔が赤くなっている事から、もしかしたら土御門が言った内容は正しいのかもしれない。
ギィヤァァァアアアア、と誰からも助けが貰えない深夜の道で、土御門は叫び続ける事になった。
支援
支援
支援
土御門って仕事を終えると普段に戻っちゃいますよね。……多分
二回程投下をミスってしまいすみませんorz
以上で投下を終了させていただきます。
さて、未だに主の出番がないですね……
支援
乙
GJ
つるぺた最高!(GJ!)
乙です
グッジョブ!!
とあるの人、乙です。
10分後にDVD発売記念投下予約します。
最高!
支援了解
SI☆E☆N
トランスフォーマー氏の終了15分後くらいに投下予約したい。寝落ちしなければ!
とあるの人グッジョブです
丑三つ時も過ぎた頃。
梟の囀りや、鈴虫の類であろう昆虫達の合唱、夜風が木々を僅かに揺らす囁きの音。
そしてここトリステイン魔法学院に在学する、とある少女の寝息をバックミュージックに、
その少女の安眠の妨げにならぬ様、2つの月の光が僅かに窓から侵入しているのを除いて、
一切の灯りの照らされて無い、真っ暗な彼女の部屋のドアの横で、
それぞれ別の成行きで、この異世界ハルケギニアの大地に足を踏み入れた、
異質なる航空参謀と、剣の柄に納まった特殊破壊兵の2体が、何やらヒソヒソと小話をしていた。
2,5メイルサイズのロボットが胡座をかきながら、壁に凭れかかった柄に話しかける姿は随分と滑稽である。
『破壊の杖の正体は実は破壊大帝だったのだー。なーんて怒涛の急展開言い出さないだろうな、デルフ?』
『クキャッ、無用な心配はするな相棒、ただのM72ロケットランチャーだったよ』
特殊破壊兵フレンジーことデルフリンガーが、毎日学院内をのんびり放浪しているのは周知の事実。
ある時は厨房で、赤ワインやマルトーが残飯で調理した賄食を、給仕達と並んで貪り食ったり、
4つの広場で、ベアードやバシリクス等の、学院の生徒達の使い魔と戯れたり、
かと思えば、学院中の女生徒を数多く軟派し、何度も撃沈し、遂に1人のメイドと仲良くなったりと、
ともかく自由気まま且つ平和に、学院ライフを満喫していた。
‘特殊破壊兵’の名の通り、破壊を生甲斐としていたあの頃の彼の姿は、今や面影を見せていない。
過去に彼から闘争本能を奪う位の、余程の事態があったのかもしれないが、彼の口からは一切の情報は漏れない。
また、彼がここにるという事は、当然彼の‘四角い主’もハルケギニアに紛れている可能性があるのだが、
その話をしようとする度、普段は喧しいまでに口数の多いデルフリンガーは、頑なに口を閉じた。
しつこく尋問するのもなんだと思い、スタースクリームも最近はその件について触れないようにしてやった。
少々前置きが長くなったが、そんなデルフリンガー曰く、
昨日彼は、殆ど気まぐれでオールド・オスマンの尾行を決行。
ディテクト・マジックや、オスマンの使い魔であるモートソグニルの存在に警戒しながら、
瞬時に振り向くだけでバレてしまいそうな至近距離で、オスマンにぴったりくっついて1日中行動を共にした。
たまにはそうやって、学院内の調査の為隠密行動もする様だが、それもあくまで暇つぶしの一環なのだろう。
この日はたまたま宝物庫の点検の日だったらしく、昼過ぎ頃にオスマン(ついでデルフ)は宝物庫の扉の前に訪れた。
前々より、スタースクリームとデルフは宝物庫に保管されている‘破壊の杖’の噂を耳にしており、
その噂の内容は、‘破壊の杖は異世界より流れし物’というものだった。
同じ異世界から訪れしトランスフォーマー達は、それに対し興味が湧いていたのだ。
学院内で唯一、扉を開ける権利を持つオスマンは、特殊な鍵で宝物庫の扉を開け、
中に入るのと同時に、デルフも宝物庫の監視衛士の目を掻い潜り、まんまと宝物庫へ侵入。
数時間かけ、1通りの点検と、序でに埃拭取り掃除を終えたオスマンが、ふと1つの箱を目にし、こう言った。
「破壊の杖、か……」
これが破壊の杖ですよと云わんばかりの独り言を、物陰から聞いていたデルフは、
その箱の中身こそが噂の破壊の杖であると確信。
わざと物音を立て、オスマンの注意を逸らし、その隙に、箱の中身の正体を自らの目で確認した。
そしてその正体こそが、ロケットランチャーだったのである。
王の人GJ!
というか盛大に笑わせてもらったw
>「おんどれも脱げっ!」
>「きゃーっ!」
その はっそう は なかったよ
そしてとあるの人もGJ!
『実物見るか? ちょいまち』
と、昨日の状況説明を終えたデルフリンガーが、
柄から飛び出し、昆虫に酷似した形へと変形すると、細い足でちょこちょこと部屋の角隅に駆け寄り、
そこに知らぬ間に敷詰められていた藁の束の中から、長方形の箱を穿り出し、
自身の身長の凡そ半分の大きさのそれを、ずるずるとスタースクリームの元に引っ張って来た。
『うんせうんせ。どっこいせ。ほら、これだぜ』
『盗んできたのかよ!』
『しっ、声がでかいっ。それに盗んだとは失礼だな、ちょっとレンタルしただけだよ』
『平和ボケにはなったが、手癖の悪さは相変わらずだな、お前は』
『お互い様だろ。クキャッキャッキャッ』
呆れるスタースクリームをよそに、デルフは手探りで箱の蓋を開ける。
見ると、箱の中には緑色の筒状の、大きさ70サント程の物体が収納されていた。
見慣れた人工兵器。デルフの言葉通り、確かにそれは1基のロケットランチャーであった。
スタースクリームはそれをひょいと持ち上げ、注意深く調べ始めた。
重量はそこそこあるが、スタースクリームにとっては軽い物である。
成形炸薬弾がまだ装填されているのを確かめる。まだ兵器としての実用は可能だ。
1通りそれを調べ終えると、暴発をしでかさないように、そっと元の箱に戻した。
『はぁーん、確かにこりゃ、元の世界の人間共が使ってたショッパイ火器兵器だな』
『なっ。しかしまぁ存在を知らんとは言え、これを見てよく杖だと言えるよな、ここの連中も』
そう、人間からしてみれば、ロケットランチャーは、戦車とも対抗しうる強力な兵器だが、
まさに存在そのものが兵器である、スタースクリームやデルフにとっては、少々危ない玩具程度の扱いである。
しかも、弾数はたった1発限り。彼等から見れば武器としての魅力は無きに等しかった。
『相棒よぉ、発明に部品が足りないって言ってただろう? 使っちゃえよ。
ちょっと試して、駄目そうならすぐに返せばいいじゃんかケケケッ』
元々が凶悪な面構えである、デルフの不敵な笑みは、本人が思ってる以上に他人に不快感を与える。
形相の悪さならスタースクリームも引けを取らないが、さすがの彼も宝物庫に保管していた秘宝を、
無断で使用する事に抵抗は生じたが、デルフのその言葉に、結局
『…ま、それもそうだな』
と即答したのであった。
支援
朝日が昇り、日光が部屋に届く事により生じる、室内の気温の変化で、ルイズは目を覚ました。
むくりと上半身を起こし、背伸びすると、目をこすりながら床に足を下ろし、ベッドから立ち上がった。
が、何か思い出したのか、再びベッドに腰を降ろした。
昨夜は、確かスタースクリームの酒屋でのバイトは休みだった。
ならば、今朝は自分で朝の支度をする必要は無い。
営業時間が夜間通しの酒場でのバイトがある日だと、彼女の使い魔の帰宅は早くても朝食の時間の後になる。
その為、普段は使い主として、朝の身支度を命令できないのだ。
「スタースクリーム? あれ?」
だが、この日の朝も、いつもと変わらず使い魔の姿は部屋に無かった。
見れば、使い魔にとって部屋の唯一の出入り口である窓が全開している。明朝出て行ったのだろう。
壁に凭れかかってる1.5メイルの大剣の柄に、デルフが納まってないのは、まぁいつもと変わらぬ光景。
う〜、と唸りながら、再度ベッドから腰をあ上げ、クローゼットにのそのそと寄り、
残る最後の制服(しょっちゅう巻き込まれる爆発などで、何着も使い物にならなくなった為)を取り出し、
何やらぶつぶつ文句を言いながら、寝間着から着替え、朝食をとるために食堂へと向かった。
――数十分後
朝食の時間を終え、生徒達が1時間目の授業に取り組み始めた頃、
オスマンがたまたま担当授業の無かったコルベールを引き連れ、学院の本棟内の廊下を歩んでいた。
「オールド・オスマン、宝物庫には一昨日点検に行ったのでしょう? 何故今日また」
「うーむ、何か胸騒ぎがしてな。妙なモヤモヤ感と言うかのぉ」
そうこう会話している内に、宝物庫の巨大な扉の前に到着し、
昨夜から、不眠の番で引き続き職務をこなしている衛兵に、一応何か変わった事が無かったか聞いたが、
曰く特に何も異変は感じなかったとの事だった。扉を開け、オスマンはコルベールを連れ中へ入る。
案の定、オスマンのモヤモヤ感は的中した。
これまた時は経過し、時刻は、2時間目の授業が始まった頃だろうか。
晴天の穏やかな空気の下、以前デルフとギーシュが決闘の地として選んだ、ヴェストリの広場の中央で、
何者かが多くのガラクタに囲まれ、何やら鉄を叩く音を発しながら座り込んでいた。
スタースクリームである。鉄を叩く音の発生原因は、彼が金槌で何か作業をしているからであった。
彼の他に、サラマンダーのフレイムと、ジャイアントモールのヴェルダンデの姿もある。
ヴェルダンデは物珍しさにか、スタースクリームの作業を横から食い入る様に見ている一方、
フレイムは少し離れた場所で、低い欠伸の唸りを気兼ねなく連呼し、目を閉じて日向ぼっこに精を入れていた。
『いいのかい。それはこの学院の秘宝なんだろう? バレたら、怒られるどころじゃすまないと思うよ』
『なぁに、少しイジったら直して返すつもりだ。何より、盗んだ張本人はデルフだしな。俺は知らん』
『なんと言い称えようかな、度胸が座ってると言うべきか。どうなってもぼく達は知らないよ』
本来、蜥蜴や土竜と難なく会話できるような翻訳能力は、さすがのトランスフォーマーにも備わっていない。
しかし、ここで使い魔として召喚された動物や幻獣達とであれば、会話は可能だ。
大抵の場合、使い魔となり知能を得た動物達は言語を理解し、主人の命令を的確に聞く事が出来る。
但し、いかに知能指数が上がろうと、喉の器官までは発達しないため、言葉による会話は不可能だが、
使い魔同士であれば、野生だった頃の本能で、意思の疎通は困難では無い。
例えば、蝙蝠が人間には聞き取れない超音波で、互いのやり取りをする様なものでる。
スタースクリームの場合、電子頭脳でこの音波の周波数を解読し、人語に値する音に読み取っているのだ。
『で、何を作ってるって? さっきはでんちって言ってたね』
『ああ、電池だ。なんでもかんでも魔法に頼るここの無精者どもに、科学の素晴らしさを見せてやるのさ』
現在、破壊の杖――ロケットランチャーは、ものの無残なバラバラの姿に成果てている。
スタースクリームが、コルベールの研究所から借りた金槌や工具用鏝で分解し、
使えそうなパーツに小分けしているためだ。
誤爆を防ぐために信管を引っこ抜いた後、砲弾は危なっかしいので、ヴェルダンデの掘った穴深くに埋めた。
年代物の骨董品だが、部品が殆ど錆付いていないのは、強力な「固定化」の魔法をかけていた御蔭であろう。
胡座で地面に座り込み、ロケットランチャーを解体を続けるスタースクリームの目の少し先には、
約1メイル四方の、コルベールから貰った余りの鉄屑を組み合わせて作った、謎の鉄箱がある。
また、傍らには、何十本もの大小様々な針金があり、これ等は配線部品として使用するらしい。
そして、そこから2メイルほど距離をおいた場所に、3メイル四方の大きな木箱があり、
その箱の上にびっしり敷き詰められた、鏡の様な板が木箱の存在感を際立たせている。
よく原理がわからないが、スタースクリームの言葉を鵜呑みすれば、自己発電バッテリーを試作しているらしい。
木箱の上に敷き詰められた鏡板は、実は太陽発電用のソーラーパネルの出来損ないなのだ。
ソーラーパネルに必要なシリコンは、森林で採取した樹脂をコルベールの研究所で他物質と配合し作製、
1メイル四方の四角い骨組みにその特製シリコンを填め込んで、なんとかソーラーパネルにも見取れる形にこさえ、
同じ物を9枚複製、針金コードでパネル同士を連結し、学院の倉庫で拾った大きな木箱の上に敷き詰め、
その木箱を太陽の光がよく当たる位置に設置した。
さらに5メイル程の延長針金コードを連結、例の鉄箱に接続しているのが今の状態である。
『という理論だ。解ったか?』
『えーと、えーと。うーん』
工具を片手に、発明について、ヴェルダンデに熱心に解説し、感想を求めるスタースクリームだが、
当の巨大土竜は、どう答えれば良いのか判断に戸惑っていた。
そんな彼は、しばらく云々唸った後、返答を誤魔化すためか、きょろきょろと周りを見渡す。
『そう言えば、また彼女がいないなぁ』
『うちの桃色主人か。授業中だろ』
『違うよ。あのシルフィードって名の韻竜さ』
『インリュウ? なんだそりゃ』
『あれ、知らなかったかい? てっきり使い魔同士なんだから解ってたと思ったんだけど』
シルフィード及びインリュウ、なる単語を記憶端末装置から検索するスタースクリーム。
「シルフィ−ド」のワードは、数日前のキュルケの「タバサのシルフィード」という発言から察するに、
ルイズのクラスメートの使い魔である事は解る。
だが「インリュウ」は、広大な電子頭脳内データを洗いざらい調べても、該当するデータは現れなかった。
後で主人にでも聞くとするか、と結論に達しようとしたその時、
『彼女が韻竜だって事は、ぼくたち使い魔同士だけの秘密だからね』
というヴェルダンデの忠告に、その辺ややこしい問題が建立しているのを悟り、
スタースクリームは頭脳から「インリュウ」に関しての興味を完全に解消させ、再び作業に没頭するのだった。
『スタースクリーム、君がいつも広場とかでぼくらと合流する直前に、彼女は君の気配を察知して、
顔を紅く染めながらどこかへ飛んで行っちゃうんだよ』
『俺が嫌いって事か』
『いやぁ、それは多分違うんじゃないかなぁ』
『じゃあなんなんだ』
『これまたなんて答えたらいいのかなぁ。うーん』
支援
支援
し・え・ん
会話の絶えない中、乍作業でスタースクリームの工作は着々と進んでいた。
今彼は、ロケットランチャーの解体を終え、使う予定のパーツを一端小さな空箱に入れて放置した後、
例の鉄箱のいたる場所に、小さな白い石灰岩、つまりチョークで印を刻んでいる。
そして、印を刻み終えると、鉛で出来た50サント程の細い棒と、針金コードを5本用意した。
何をするのか、全く予想が付かない。
さて、戦闘機F-22―ラプターから、手足の生えた亜人の姿へ変形するスタースクリームの外見に、
所々にF-22の名残があるのは至極当たり前の事である。
胸部には本来ならパイロットの命を預かるコックピット。
背中にはラプターの両翼が双方とも折畳まれた形で顕在し、機械の翼人、という言葉にも比喩できる。
そして、両肩にて存在をアピールする、2つのジェット噴射ノズル。
頭部に隣接したこの噴射ノズルは、人型形態でも使用可能で、
世界広しといえども、本来なら大空を飛翔するために開発されたターボファンエンジンを、
少しばかり威力の強いガスバーナー感覚で、別の用途に使用するのは、このスタースクリームぐらいであろう。
彼は座った体勢を維持したまま、右肩のターボファンエンジンを起動、燃焼ガスを最小出力で噴射。
左手で先程の鉛棒を掴み、その棒の先端を噴射ガスに一瞬当てる
(この姿、人間に見立てると、右肩のコリを自身の左手で解すあの仕草に若干似ている)。
ガスの高熱により、鉛棒の先端は瞬時に液体へと物理変化した。
すかさず、鉛棒をガスから離し、鉄箱の印を刻んだ部分に、融けた鉛の滴を垂らした。
そして、針金コードの先端の金属部分を、鉄箱に垂らされた滴に重ねるように浸ける。
これで鉛の液体が、空気の温度で硬直すれば、鉄箱と針金コードの接合完了となる。半田付けの感覚に近い。
他に4箇所の印を付けた部分に、同じ様に針金コードを溶接で接続した。
1通り接着作業を終えると、一休みして工具を弄り始めたスタースクリームの元に、紅い4足の蜥蜴が近づく。
『さっきから会話を聞いてみれば、やっぱり鈍いな。ご主人さまの言ってた通りだ』
『あん? 誰が鈍いだって? この4足歩行風情が』
居眠りから覚めたフレイムの放った言葉に反応し、手にしていた工具を地面に抛るスタースクリーム。
犬猿の仲という程では無いが、お互いの主人同士の関係と相互する如く、彼とフレイムは喧嘩になりやすい。
『なんで‘青いの’も君みたいなのに興味を持ったんだろうか。ああ趣味が悪い』
『てめぇは一々俺に喧嘩売らないと、気がすまないらしいな』
『初対面の時に、ぼくを最初にからかったのは君じゃなかったかな』
『悪かったな、俺は爬虫類嫌いなもんでね』
『見事なり偏見だね。頭冷やそうか? あいや、燃やそうか?』
『上等だ。やってみるがいい』
フレイムが低い唸りを上げ、尻尾の炎を灼熱の勢いに増幅させ、挑発をする。
スタースクリームが立ち上がり、左腕を4mmガトリング砲へと形状を変化させ、構える。
一触即発の状況に、慌ててヴェルダンデが2体の合間に割って入って、仲裁役を買って出た。
『まぁまぁ。ケンカごっこも体を動かすには丁度いいかもしれないけど、今は危ないよ?
この鉄屑の尖った部分が、足に突き刺さって怪我でもしたら、ご主人さまに無駄な心配をさせてしまうよ』
ヴェルダンデの介入の直後、一瞬の沈黙の間が経過し、フレイムは、あぁ下らないと呟き、
その場を離れ、体を丸くして日向ぼっこの続きを始めた。
スタースクリームもどすんと音を立てて元の場所に座り込み、工具を拾って作業を再開。
ヴェルダンデも、やれやれと胸を撫で下ろし、また発明見学の定位置に就いた。
シエーン
支援
『それで、発明は巧くいきそうなのかい?』
『ああ、このロケットランチャーの部品の御蔭で、鉄箱に必要だった足りねぇ部品を代用する事ができたからな。
後は太陽熱エネルギーをなんとかできりゃ、エネルギーをこの鉄箱に蓄電してバッテリーが完成する』
『ふぅん、もし成功したらすごそうだね』
『おうよ、特許でも取りゃ俺も大金持ちかもしれねぇ。そんときゃ蚯蚓の高級サラダでも食わしてやるよ』
『楽しみにしているよ。頑張ってね』
勿論技術的な面ではさっぱり理解はできないが、スタースクリームの熱心さや行動力、
手先の器用さに、ヴェルダンデは素直に感嘆した。
「スタァァスクルィィィッム!!!!」
不意に放たれた、無駄に舌を絡める聞き覚えのある声に、スタースクリームは座ったまま後ろを振り向く。
そこに見えるは、当然ながらルイズであった。えらくご立腹な様子が見て解る。
『あれって、君の使い主さまじゃないか。まだ授業中なのに』
『あん? なんだよ、もうバレちまったか』
「あんたって愚か者は、ついに窃盗にまで手を染めて!!」
『よく解ったな』
「わからいでか! 今朝方宝物庫にこんな張り紙があったそうよ!」
左手を腰に当て、薄汚れた羊皮紙をスタースクリームの目の前に突きつけるルイズ。
見れば、何か文字が並んでるようだが、まだスターはハルケギニアに来て日が浅いので、読む事が出来ない。
それを悟ったか、ルイズが代わりに、紙に記された内容を荒めの声で述べた。
‘破壊の杖、確かに領収いたしました。ご心配無く、ちょっと借りるだけですクキャッ。航空参謀のスタスク’
「なによこれ! しかもクキャって何よクキャって!」
『あー。あんの野郎、勝手に俺の名義語りやがったな』
早くも破壊の杖窃盗が表沙汰になってしまったが、だからと言って、彼から取り乱す様子は見られない。
発明の進行がが順調で心が踊り、その辺の事情はもう眼中に無い様だ。
バッテリーが完成すれば、ルイズを始め皆がその技術に感服して、たかだか杖1本盗んだ事など帳消しになる、
という若干自惚れ気味な余裕もあるのだろう。
ちなみに、ご丁寧に犯行声明を残したのは、盗みの主犯デルフと考えてまず間違いない。
フレンもといデルフリンガーは、本人曰く何千年もの昔に、この地に訪れたらしい。
相変わらず、その理由と経由は、都合よく記憶から消失されているそうだが。
それ程の期間があれば、ハルケギニア語を理解し、巧みに文章を書きとめる技を得るなど容易い事である。
『盗んだのは俺じゃないって』
「この期に及んで見苦しいわ。こうやって自慢げに、盗んだ事を紙に記して主張するのはあんたぐらいよ」
『ひでぇ言われ様だな。そこまで自己満野郎に見られてるのか俺は。
考えてもみろよ、俺はまだこの世界の言葉を完全に理解して無いんだ。んな文章書けるわきゃないだろ?』
スタースクリームのその言葉に、ルイズは怒りに歪んだ顔を僅かに緩ませ、
手にしていた羊皮紙を検めるように目に通した。確かに、よく観ればけっこうな達筆である。
いかに学習能力の高い者であっても、言語を理解するのは兎も角、
ここまで綺麗に文字を書く技術を得るには、それなりの時間が必要であろう。
まだ召喚されて日の浅いスタースクリームが、この文を書くのは有り得ないのだ。
しっしえっ
支援
支援
「でも、杖を弄ってるのは事実なんでしょ! 何よこの散かった鉄のガラクタ。まぁ〜た変な物を作って。
早く杖を返しなさい! というか何処に隠したの!」
『あえて言わせてもらおう。やだね。まぁもう少し待ってろや、今にこの素晴らしい発明が完成するからな。
そうすりゃあんたへの借金も返せるしうんぬんかんぬん』
そんな具合に延々と自身満々に語るスタースクリームを無視し、
所々に括りつけられた針金コードを、コモンマジックで外そうと、杖を取り出すルイズ。
ほぼ同時に、主人から彼女の危険性を伝えられていたフレイムとヴェルダンデが、各々その場から逃げ出す。
慌てて逃げた2匹の使い魔を目の当たりにし、何事かと演説を止めたスタースクリームの視界に、
今まさに魔法を使わんとばかりに、杖を高らかに掲げるルイズの姿があった。
『わぁっ馬鹿っ! 何やってんだ、余計な事するなぁぁ!』
「ていっ」
最悪の結末を阻止せんと、スターはルイズを止めようとしたが、決して止まらぬ時の流れは残酷なものであった。
彼が何日もの間、材料を集め、こつこつと作り上げていたバッテリーモドキは、
同じくわざわざシリコンから製作した、ソーラーパネルモドキ諸共、粉々に爆発粉砕してしまった。
かくも悲しきかな、「作るは長いが壊れるは一瞬」の摂理は。
『あ、ああ、ああぁぁぁぁ!! 畜生ぉ、珍しく成功しそうだったのに、なんちゅう事しやがったんだ!
阿呆! 八重歯折っちまうぞ!! この爆発しか脳の無い無能幼女がぁぁ!!』
爆風に巻き込まれ、煤だらけになったスタースクリームが、同じく爆風によって制服がボロボロになり、
薄い肌色の肩や臍を露わにして立ち尽くすルイズに、地団太踏みながら、指差して大いに怒鳴り散らす。
機械の体を持つトランスフォーマーにとって、機械の工作は、ある意味子供を生むようなものである。
そんな我が子を、原形を止めない程に無残な姿に曝された
スタースクリームの怒りの心境は、或いは同情できるに値するのかもしれない。
しかし、ルイズにもルイズなりの思いがあり、
彼女からしてみれば、学院の大切な秘宝を盗んでまで(盗みに直接関与したのはデルフだが)、
ワケのわからない発明に取り込む、時に憎らしくも愛らしい使い魔の今後が色々と心配でならないのだ。
我侭で身勝手な出来の悪い弟を持つ姉の心境とは、こんな具合なのであろうか。
だからこそ、ここは厳しく。
と、自身を無能幼女呼ばわりした使い魔に、ルイズはお仕置きする事を決意した。
決して、制服がズタズタになったからではない。と思われる。
「スタースクリーム。だ、誰に向かって口を聞いてるのか、ちょ、ちょっと自問自答してごらんなさい」
『ああん!? へ!? 誰って? そりゃ目の前にいる、顔を真っ赤にしながら、
この世の者とは思えない修羅の形相で、杖を力強く握ってらっしゃる俺の使い主様。
ほほう、だいぶボルテージが上がってるな?』
「い、今までの、た、たた絶えずなる過ちや、愚かなる愚考の数々。まぁ、その、ゆゆ許しましょう。
謝れば、ね」
明らかに平常心を保てて無い事を体現するように身震いをしながら、あくまで寛大な使い主として、
「素直に謝ったら、ゆ、許してあげないでもないわよ、へぷしっ。
そうしたら、オールド・オスマンも刑罰を少しは緩めてくれるわ、へっくしょん」
とくしゃみを加えながら、使い魔に謝罪を求めた。
制服が大幅に裂けた事により、身体の8割が露出されている為、体が冷えたのだろう。
『はっはっは、風邪ひいちゃったわ私ったらなんてドジっ娘なんでしょ、のつもりか?
笑わしてくれんじゃねぇか』
いつもなら情け無い声を上げながら謝罪表明するスタースクリームも、今回は後に引かない。
発明を失敗に導かれた事への恨みが、彼をいつもに増して強気な態度にさせているらしい。
支援
「だれの……誰の! せいで! 制服が! 何着! ただの薄汚い布になったか! わかってんの!?
へっくしょい!」
『少なくとも今の爆発自体はあんたの自業自得だろうが!』
両者、全く引けを取らない。ルイズがくしゃみをする度に、唾液がスタースクリームの顔に飛び散るが、
それは言い争いが収まる起因には到底及ばなかった。
「なんで素直にごめんなさいと言えないの、このひよこっ!」
『ほほぅ、挙句の果てにひよこか! この航空参謀様に対してひよこ呼ばわりか! いい度胸してんな!!
今まで俺様の大いなる心であんたのヒステリーに我慢してきたがもう勘弁ならな』
「う、う、うるさいうるさいうるさいだまれだまれだまれじゃぁーかぁーしぃぃぃぃっ!!!」
ルイズの獣の咆哮に近い叫びを切目に、永遠にも思える空気の静けさが両者の間に漂った。
「もぉ駄目。堪忍袋の緒が切れたわ。一寸そこで待ってなさい」
そう言い捨てると、ルイズは宿塔の方へ去って行き、3分後に何かを抱えて再び現れた。
彼女が抱えていたそれは、3本の箒と、1冊の書物であった。
『なんだその本は』
「‘ガーゴイルを実験的にからかう49の方法’。タバサのお奨めで、この前買ってきたの」
『んなもん買う暇あったら、少しは魔法の勉強なり鍛錬なりした方がいいんじゃねぇか?』
「してるわよ。えぇしてますとも。毎日授業もちゃんと聞いてるわよ。
部屋でもコモンマジックの練習を欠かさずやってるわよ。なのにさっぱり上達しないのよ。何故か」
『で、さっさと読んだらどうなんだ』
「そうね。えーと、実験その38、‘魔法で制御不能になった際の応急手段’。
なになに、先ず1メイル程の細い棒を3本用意します。これは箒でいいわよね。へぷしっ」
『だから箒なんざ持ってきたのか』
「あー、金槌も1本いるのね。忘れちゃった。そこにあるの貸してくれる?」
『ほらよ』
運良く爆風に逃れ、なんの損傷を負ってなかった1本の金槌をルイズに手渡すスタースクリーム。
彼女は受け取った金槌の重さを確認すると、足元に置き、再び本に目を通す。
えらく冷淡なルイズとスタースクリームの対話だが、
そこに秘めたる漠然とした緊張感が、確実に野次馬(主に他の使い魔)をその場から遠ざけていた。
支援
「ちょっとそのままじっとしてくれる? 棒をガーゴイルの適当な処に刺して下さいって書いてあるの」
『どうぞご自由に。その程度じゃ痛くも痒くもねぇけどな』
本を地面に置き、箒を3本手にし、腕を組んで貫禄を示して胡座を組むスタースクリームの元に近寄るルイズ。
ちなみにこの時点で、彼女は先の爆発によりマントは外れ制服が破れたままである。
ニーソックスは殆ど破れてないが、スカートが原形を止めてない故に、所謂絶対領域は消滅しており、
その代わり、薄い桃色のパンツを露わにしてニーソックスは健在という‘聖域’が発生していた。
シャツも下腹部の形状や色を眼に入れれる程に焼け焦げ、もし後十数サント程余分に破れていたら、
ここハルケギニアのブラジャーの概念が無い文化によって、危く発育の乏しい胸部までもが露出される処であった。
本人には自覚が無くとも、そんな淫らな姿で、座ったスタースクリームに密着し、
彼の鉄の体躯に、箒の柄を差し込む光景は、妙になんと言うかアレであった。
「後は、突き刺した箒を金槌で、杭を地中に打ち込む要領で叩き込みます。ですって」
『あ。ちょっとタンマ、地味に痛そうソレ。やめろ、ストップ、やめてぇぇ!!!』
例の如く、体内に喰い込んだ箒による障害で、トランスフォーム不能のスタースクリームが
その場から逃げ出す術は無い。変形せずとも走って逃げる選択肢も、ルイズの不のオーラがそれを消滅させた。
蛇に睨まれた蛙とは、まさにこの事。
『結局いつもの箒折檻の発展型じゃねーかぁ!! うわぁぁぁぁ!! やぁぁめぇぇぇろぉぉぉ!!!!』
「オールド・オスマン、秘宝もあの通り……。
この場合、そのぅ、彼への厳罰はどう下せばいいのでしょうか」
ヴェストリの広場での騒がしい事の流れを、学院長室から、魔法によっての現場を映し出した鏡で、
半ば傍観していたコルベールの言葉に、オールド・オスマンは鼻を小指で穿りながら答える。
「まぁ、壊れてしまった物はしょうがないじゃろて。それに、罰する必要も無きに等しかろう。見てみ」
金槌の重い一振りが箒を叩く度に、スタースクリームの悲鳴が木霊する。
痛みに耐えられず、ジタバタと暴れる彼を無理やり抑える半裸のルイズの姿は、
肌を露出した異性に対しての感情が芽生える前に、ちょっとした、否かなりの寒気を与えた。
「まったく。使い主も使い魔も揃ってえらいトラブルメーカーじゃのぅ」
「後で傷の補修をしてやらねばなりませんなぁ」
「厳重注意くらいもしておいてくれ。やれやれじゃ」
ため息混じりに呟くオスマンとは対照的に、コルベールは内面で好奇心の心境に浸っていた。
一体何を作り出そうとしていたのか、後で聞いておかねば、と。
絶賛折檻中のスタースクリームに、どうか口だけは聴けるように手加減してくれたまえミス・ヴァリエール、
とコルベールは禿た頭を輝かせて、人知れず祈った。
支援
遅ればせながらとあるの人GJ!
土御門…。だからおまえはいいキャラなんだ。
「何。学院を出るだと」
深夜、トリスタニアの裏街路、チクトンネ街の一角に聳える酒場‘魅惑の妖精亭’にて、
連日のように多くの客で大盛況の中、酔いもせず騒ぎもせず、只淡々とワインを口に含み味を確かめながら、
隣接した別々のテーブルで、お互い同じ方向を向いて、まったく目を合わさず会話している2人の人間の姿がある。
トリステイン王宮の魔法衛士隊グリフォン隊隊長兼、アルビオン反乱軍レコン・キスタの諜報員ワルドと、
トリステイン学院学院長秘書兼、怪盗‘土くれのフーケ’と名を馳せる、ロングビル。本名は別にある。
若い異性同士だが、同じテーブルに座らない所などを見ても、仲のいいカップル、といった印象は受けない。
この2人は紹介文を見て解る通り、揃って同じ組織のスパイである。
何時の間にか、ここ魅惑の妖精亭で、お互いの情報交換するのが暗黙の了解となっていた。
店の客たちが巻き起こす騒音は、下手なサイレントの魔法よりも、
よっぽど効率よく2人の秘密の会話を、他に漏れないよう掻き消してくれる。
わざわざこんな場所で、ディテクト・マジックを張り巡らせている輩もいないであろう。
そして何より、良質のワインを取り扱ってるのが、ワルド個人として存外気に入ったようだ。
「破壊の杖も塵になっちゃったしねぇ。あそこに留まる意味も無くなったよ。
例の褐色のスコーピスの探求にでも専念するさ」
褐色のスコーピス。
怪盗として暗躍(といってもしっかり犯行声明は残すが)するロングビルが、
その手腕が知られ、ワルドを通してレコン・キスタに勧誘され、最初に与えられた使命が、
極一部の歴史書物にて、その存在が仄めかされている‘褐色のスコーピス’の探索であった。
スコーピスの発見、或いはそれに繋がる重大な情報を手に入れた暁には、
膨大な謝礼金を、ロングビルに渡すという契約である。
彼女はその謝礼金を、アルビオンに住む彼女の親族への援助の足しにしたいのだ。
だが、書物に記されたスコーピスの描写は非常に漠然としたもので、そもそも実在するのかも怪しい。
現在も、東の砂漠地帯にていくつかの目撃証言もあるにはあるが、それも信憑性の薄いものである。
当初はとある酒場で働き情報を収集していたが、そこでオールド・オスマンに気に入られ、
秘書として雇われ、今に至る。
学院の図書館には、職員以外は触れてならぬ貴重な書物があると聞くし、
そして様々な秘宝が納められた宝物庫の存在が、彼女を秘書としての道に歩ませたのだ。
だが、図書館に収められていた書物に書かれていた情報は、殆ど既に得た物だったのに加え、
宝物庫も、さすがに一筋縄では下手に手出しできない仕様になっており、
しかも、一番の目的だった‘破壊の杖’の末路は知っての通り。
これ以上学院で燻るのも時間の無駄だと判断したらしい。
よく言えばまだ若者並みの性欲の持ち主、悪く言えば只の変態爺だったオスマンとも、別れの潮時だろう。
支援
「なんなら俺に着いて来るか? どうせアルビオンに行くんだろう」
「いや、だから先ずは地上でスコーピスを探すわよ。そうねぇ、ラ・ロシェールまでは同行しようかしらね」
「いいだろう。学院を退職する時の口上も考えておけよ」
何日か後に迫ったアルビオンへの旅立ちに、ロングビルも途中まで同行する事で意見は一致した。
2人は相変わらず目を合わせないまま、今後の打ち合わせを行っていたが、ふとワルドが、
懐中時計で時刻を確認すると、それまで一口ずつ味わっていたワインの残りを、一気に喉に流し込んだ。
「すまないが、話の続きは明日に願えないか? そろそろ王宮での勤めがあるんでね」
「仕方ないわね。あんまり頻繁に外出するのは避けた方が良いけど、まぁいいわ。明日、同じ時間に此処ね」
「ああ。なんなら別の場所にするか?」
「ここで結構。わりにいい店だしね」
ワルドは席を立ち、代金をチップ込みの色付きでテーブルに置き、店を後にした。
少し間を置き、ロングビルもフードで顔を深く隠し、席を立った。
まいどありー、と店の給仕長ジェシカが愛想良く見送った後、
ワルド達が座っていたテーブルを布巾で拭き、ワインの空瓶とグラスを下げる。
それらを洗い場に運んだ時、数名の若い女性客が店の入り口を潜った。
客層から見て、彼女たちがこの店に訪れた理由は明らか。
店の給仕であり用心棒でありマスコットである、スタースクリームを一目見に来たのだろう。
「スタスクー、8番テーブル接待お願い。あれ? スタスク?」
ジェシカは店内中を見回すが、
不気味なまでの存在感を放つ、逆三角形スタイルのガーゴイルが店内にいないのは一目瞭然。
厨房や店の外なども探し回ったが、結局見つける事は出来ず、
彼女の父でありこの店の店主であるスカロンに問い掛けた。
「ねぇ、パパ…じゃなくてミス・マドモワゼル、スタスク今日は休みだっけ?」
「そうなのよん。まったく、次無断休職なんかしたら、お給料引いちゃうわよって明日伝えときなさい」
「はーい」
スタースクリームの不在を知り、8番テーブルの客に詫びを入れた後、少し気の抜けるジェシカ。
今夜辺り、普段の労いを籠めてラム酒でも奢ってあげようと思っていたからだ。
酔った勢いで、スタースクリームの事を色々問い質してやろう、という思惑も混みでだが。
だが、現在ヴェストリの広場で、ルイズからの猛絶折檻の末、只の鉄屑となって力尽きていた航空参謀に、
トリスタニアの酒場へ出勤する力など残っていなかった。
支援
以上です。支援感謝。
支援
乙です
GJ
こいやあ!
支援するぜ
……そして、『剣』と『たて』をかざっていた27の宝石が
『27の真の紋章』となり、世界が動きはじめたのである。
(『創世の物語』より)
☆
抜けるような青空の下、広い大海原。その波の合間を一艘の小船が漂っている。
乗っているの一人の少年……だったものだ。
顔は青白く、見るからに生気はない。心臓に脈動の気配はなく、息をしていないことは明らかだ。
――小船の上の少年は死んでいる。
誰が見たとしても、そうとしか判断できない状態。
彼の左手には大きな痣があった。黒い、巻貝を重ねたような歪な痣。
その痣が光を放つ。目を覆わんばかりの眩い光だ。光輝くその痣は一つの紋章であった。
そして彼の体に生気が戻る。血色が良くなり、心臓が脈打ち、胸も呼吸で上下している。
それはあまりにも小さく、彼が未だ瀕死の状態であることは明らかだ。
だがそれでも、彼はたしかに息を吹き返したのだ。
そして、紋章の光とは別の、温かな光が彼を包む。
その光はしばらく彼の体にまとわりつき、そして消える。
光が消えた時、彼はもうこの世界には存在していなかった。
☆
「――我が導きに答えなさい!」
ルイズは精神を集中し、高らかな声で使い魔召喚の呪文を唱え、魔法を発動させる。
彼女の手の中の小さな杖は振るわれ、そして――
「うわあっ!」
「きゃぁっ!?」
まわりで召喚の儀式を見守っていた同級生達は悲鳴を挙げる。
轟く爆音、激しい光、そして舞い上がる土ぼこり。
ルイズの魔法の結果はいつものとおりの爆発。彼女のよくやる失敗魔法だったのだ。
メイジとしての一生を左右すると言っても過言ではない使い魔召喚の儀式。
それに失敗することは、いつもの魔法の失敗とは程度の違う問題だ。
また失敗してしまった? ルイズの内心に焦りが浮かぶ。
使い魔を召喚できなければメイジ失格。彼女の在籍するトリステイン魔法学院を落第となっても文句は言えないだろう。
そう考え、ルイズは最悪の結果を恐れた。だが、それは意外な形で裏切られることとなる。
ルイズの失敗魔法が引き起こした爆煙は未だあたりに立ちこめている。
その爆煙の中に何ものかの影が映る。人間大の影、それはルイズが召喚した『使い魔』に他ならない。
ルイズは歓喜の声を挙げる。
「やった? 成功した!」
喜び勇み、一刻でも早く使い魔の姿を確認しようと煙の中に歩み寄る。
少しづつ煙は晴れていき、その姿は鮮明になっていく。
竜だろうか? グリフォンだろうか? いや、この影はそれほど大きくないか。でも一体、自分の使い魔は何なのだろう?
期待に胸を躍らせ、じっくりと己の使い魔を見定める。
だがその使い魔は……
「何これ! 人間じゃないの!」
煙の中から現れた彼女の使い魔は、幻獣でもなければ竜でもない。小動物ですらない、ただの人間だった。
年のころはルイズと同じか、それよりも少し上くらいだろう。青年というには少し若い、少年であった。
顔立ちはまぁまぁ整っている。特徴らしい特徴は無いが、強いて言うなら優しげな面立ちをしていると言えるだろう。
身なりは立派なものではない。黒いシャツに黒いジャケットに黒のズボン、そして黒の皮手袋。
服の上から胸当てをつけていることからそれが一種の軍装であることがわかる。
鎧姿のような頑丈さよりも身動きのとりやすさを主軸にした水兵服に近いものだ。
いずれにせよ、貴族の身なりではない。平民のそれであることは間違いない。
ふと、ルイズの前に立っている少年の体がぐらりと揺らぐ。その目は薄く閉じられていて、体勢は弛緩している。
つまり、彼は意識が無いということで。当然の結果として彼は倒れ付す――目の前に立つルイズの上に。
「きゃっ!」
ドサリ、と鈍い音を立てて二人は倒れこむ。
受身も何も無い、あまりにも無防備な倒れ方から彼が正真正銘意識不明であることがわかる。
「ちょ、ちょっと! 離れなさいよ!」
客観的に見れば彼に押し倒される格好となり、真っ赤になってルイズは彼に怒鳴りつける。
しかし眠っているわけではない彼が目を覚ますはずもない。
彼の体の下から抜け出そうにも脱力した少年の体は重く、非力なルイズの力では思うように動かせなかった。
ことの成り行きを見守っていた級友達が、先ほどにも増してざわざわと騒ぎ始める。
「ルイズが平民を召喚した?」「でもなんかぐったりしてるわよ」「ひょ、ひょっとして死んでる?」「ルイズが殺した!?」
最後の言葉に弾かれるように、皆一斉に後ずさる。関り合いになるのを恐れての行動だ。
あまりにも薄情が過ぎるクラスメイトに、ルイズは涙目になって叫ぶ。
「ま、待ちなさいよあんた達! 私はただ呼び出しただけでしょうがあー!」
「落ち着きたまえ、ミス・ヴァリエール」
そう言って監督役の教師であるコルベールは、喚くルイズを少年の下から引っ張り出す。
人間が呼び出されたことに驚きこそすれ、死体のようなものには動じることなく淡々と少年の体を検分する。
脈に手を当て、口元に耳を寄せ呼吸を確かめ、手でまぶたを開いて瞳孔の反応を見る。
「……ふむ、死んではいないようだ。かすかだが、脈もある」
「ほ、ホントですか?」
あわや殺人者扱いされるところだったルイズはほっと息をつく。
「ああ。だがとても衰弱していることは間違いない。すぐに手当てをしなければな。それとミス・ヴァリエール」
「はい?」
呼び出したものが死体でなかったことにたいする安堵感でいっぱいのルイズに、コルベールは意外な言葉を投げつける。
「今のうちに契約をしておきたまえ」
「ええ? こんな状況でですか!」
驚くルイズ。
契約の儀式そのものは簡単に済ませられるものであるが、何もこんな状況でやることはない。
この謎の平民がの健康状態が回復し、その正体を確かめてからであっても遅くは無い。
無論のことコルベールもそう思ってはいるのだろう。やや困った顔をして言う。
「今は契約の儀式をしている場合ではないという、君の言うことももっともだ。ミス・ヴァリエール。
だがこのままこの少年が助かるにしろそうでないにしろ、契約をしておかねばいろいろと厄介ごとも多い。
なにせ前例の少ない事態だ。契約前に召喚した生物が死亡した場合、次にまた使い魔を召喚することが可能かどうかも怪しい。
それに、ただの平民ではなく君の使い魔ということにすれば手当ての手続きも簡略化できる。
平民を使い魔にするなど、不測の事態であるとは言え決まりは決まりだ。混乱するのもわかるが、残念ながら例外は認められない」
召喚した使い魔が死亡した場合、メイジは新たな使い魔を召喚することができる。
しかしそれはあくまでも契約した使い魔が死んだ場合だ。
ルイズのように、召喚したはいいが契約していない場合はどうなるかわからない。
普通はこのように、瀕死の状態で使い魔が召喚されることなどまず無いからだ。
支援つかまつる
支援
だれが償還されるのか知らんが真の紋章持ちはやめとけよ
幻水世界が壊れるから
そして彼を治療するにしても、自らが回復の魔法を使えるわけでもないルイズは学院の薬と治療専門の教師を頼ることとなる。
しかし、貴族のために用意された医療設備がただの平民の治療に使われるということは無い。
それを行うには、せめて彼がルイズにとって無二の関係者であるという事実が必要だ。
つまり彼を、メイジであるルイズには大事な存在『使い魔』にするのだ。
そのことに、無論抵抗はある。相手は獣や竜ではない。人間、しかも平民なのだ。
平民を使い魔にするなど、前代未聞と言ってもいいだろう。
この少年はたしかに自分の魔法で呼び出されたものではあるが、普通は平民が召喚されるなど在り得ない事態だ。
そんなイレギュラーを納得して受け入れることなどできはしない。
だがしかし――ルイズはやはりメイジなのだ。召喚した使い魔を無下に扱うなど、メイジ失格といえる。
さらにこの魔法学院においては、使い魔契約の儀式を成功させなければ在学し続けることはできないという厳しい掟があるのだ。
これではルイズとて、彼を使い魔にすることを拒むことはできない。
そして何より。たとえどこの誰だかわからない平民であっても、瀕死の重態に陥っている人間を見捨てることなどルイズにはできない。
使い魔を得なければならないという打算でもなく、弱者への哀れみとも少し違う、彼女の中にある『義』がそれを要求するのだった。
「わかり、ました……」
しかしそれでもまだ少し戸惑いながらも、ルイズは契約の儀式を行う準備をする。
少年の体を地面に寝かせ、その顔を見つめる。契約の儀式――すなわち口づけをする相手の顔を。
不思議なことに嫌悪感は少ない。この、まだ口も聞いたことの無い少年からは嫌な感じはしなかった。
「なんでこんなことになっちゃったのかしら……?」
ぼやくルイズ。自分が確実におかしな事態に陥っていることがわかる。
しかしそれでも、この少年を助けるためには自分が契約するしかない。
「……これでもファーストキスなんだから。ちゃんと回復しなさいよね」
せめてそれだけが願いとばかりに、早口で契約の呪文を唱え少年と唇を合わせる。
近づいた少年の髪からは、どこか懐かしい潮の香りがした。
☆
夢を見ていた。遠い、たしかな記憶として残っていないほど過去の夢。
それがいつのことなのか、浮かんでくる風景がどこなのか、誰が見えているのか、それを思い出そうとしても適わない夢。
だけどただ一つだけわかること、あれは――
☆
「ようやく目が覚めたみたいね」
薄く開いた眼に飛び込む光。まるで何日も光を見ていなかったかのような、あまりの刺激に頭痛がする。
「っ……」
首を振って、ゆっくりと眼を開ける。彼が最初に見たのは少女の顔だった。
薄く桃色がかった髪が特徴的な、気の強そうな顔立ちをした美しい少女。
彼女の大きな眼はじっとこちらを見つめていた。
「まだ寝てなさいよ。あんた三日も眠りっぱなしだったんだから」
言われて彼は身を起こそうとしてみたが、硬くなった関節は容易に彼の言うことを聞こうとしない。
時間をかけなければ歩くことはおろか、起き上がるのも難しいだろう。
三日とこの少女は言ったが、ひょっとすればもっと長い間気を失っていたのかもしれない。
記憶が混乱する。気を失う以前のことがはっきりと思い出せない。
少女の顔に見覚えがないことから、いろいろと状況が変わっていることは間違いない。
彼は少女に今の状況を尋ねようとして、自分がまだ彼女の名前も知らないことに気がついた。
四円グ
711 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:16:26 ID:63RFkwkd
ってか4主かよ・・・
小間使い体質だからキャラ的にはうまくいくのかもしれんが罰の紋章どうすんだ・・・難しいのをえらんだなぁ
チャレンジャーだな
がんばれ
「えっと……君は?」
「私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
「ルイズ・フランソワーズ……?」
あまりにも長ったらしい名前に閉口する。彼の知っている最も長い名前よりもさらに長い。
名前を覚えられない彼の態度に不機嫌そうな顔をして少女、ルイズは言う。
「……ルイズでいいわ。それで? あんたの名前は?」
「ラズロです。姓はありません」
問われて彼――ラズロはそう名乗る。姓も何も無い彼の名前は、ルイズに比べれば単純なものだ。
ラズロの名前を聞き、ルイズはしばし思案するような素振りを見せる。
「ラズロ、ね。……姓も無し。その名前からして、やっぱりあんた貴族じゃないわね」
「え、ええ。そうですけど」
彼の知る限り、世界には貴族でない人間のほうがよほど多い。というよりは、そうでなければ貴族にはならない。
なので、彼が貴族でないことは別に驚くことではないはずである。しかしそれに対する彼女は……。
ラズロは辺りを見回す。質素だが品の良い調度品に囲まれた清潔な部屋。間違っても下賎な人間の住むところではない。
かつてある貴族の屋敷で住み込みの使用人として働いていたことのあるラズロには、それがよくわかった。
「ええと――ルイズさん、ここはどこですか?」
「私の部屋。ついでに言うならあんたが寝てるのは私のベッドよ」
「え?」
言われて自分の寝ているベッドを見てみれば、それは天蓋つきの立派なもので、かけられたシーツも上質のものだ。
つまり、不可抗力とは言え自分は女の子のベッドで眠りこけていたということになる。
「――うわっ!」
気恥ずかしさに慌てて身を起こしベッドから抜け出ようとするが、やはり体はついてこない。
結果ベッドの上で転んでしまうこととなった。
それを見てルイズは呆れたように言う。
「だから寝てなさいって言ってるでしょ!」
「ご、ごめんなさい……」
女の子のベッドでゆっくり寝れるわけはないが、今は彼女の言うことを聞くのが懸命だ。
ラズロの肩をベッドに押し倒し、強引にベッドに寝かしつける。
「私だって赤の他人――しかも平民にベッドを貸す趣味は無いわ。でもしょうがないのよ、あんたは私の使い魔なんだから」
彼女が自分を心配してくれているのは、どうやら自分が『使い魔』なるものらしいからであるようだ。
「あの……使い魔って何ですか?」
聞きなれない単語に、ラズロは彼女に尋ねてみる。
彼が抱く当然の疑問に、ルイズは面倒そうに言う。
「やっぱり説明しなきゃ駄目よね……。もう! 普通の使い魔ならこんなこといちいち言わなくていいのに!」
そしてルイズは説明を始める。使い魔とは何か、召喚とは何かを。
説明を聞いたラズロは、半信半疑といった様子で聞く。
「つまり、貴女が僕をその……『召喚』したってことですか?」
「そうよ」
通常の場合、獣や竜などがその対象になるというのに、自分のような人間が召喚されてしまっている。
普通は起こりえないことだと言われ、召喚された当の本人であるラズロも困り果てる。
「それは……困ったな」
「困ったのは私のほうよ! 強くて美しい使い魔を期待してみれば出てくるのは平民だし! しかも死にそうになってるし!」
「ぼ、僕に言われても……」
怒りを露にするルイズに、ラズロは圧されたようになる。
彼女には彼女の事情があるとはいえ、自分もまた召喚に応じた覚えも無ければ好き好んでここにやってきたわけではない。
困り果てて視線を逸らし、窓の外を眺めてみてラズロは驚く。
「海が……無い?」
うみぃ? と鸚鵡返しにルイズは言う。
「海なんてここからじゃすごく遠いわよ。……ねえ、あんたどこから来たの? この辺じゃあ見ない格好してたけど」
それはラズロも気になっていた。ルイズの格好と自分たちが暮らしていた場所の服装は少し違う。
自分が主に海上での活動を主においた服装をしているのに対し、彼女の服装は内陸部のものにように見受けられる。
「群島諸国のラズリルからなんですけど」
群島、という言葉にルイズは得心したような顔をする。
「……そうか、島ね。それでキスした時に潮の香りが――」
「キス?」
何やら聞き捨てなら無い単語を聞きつける。
キス? キスというとやはり口づけのことか?
「えっと、キスってなんの事?」
不思議に思い、ラズロは聞いてみるが。
「! な、なんでもないわよ!」
ルイズは何故か顔を赤くし、慌てたように首を振る。
「とにかく! ラズリルなんて聞いたことないわ。あんた適当なこと言ってんじゃないでしょうね?」
誤魔化すように言われたその言葉に愕然とする。
「じゃあ僕は本当にここに召喚されたの……?」
ラズロの仲間の中には、一瞬で離れた場所へ移動することのできる力を持った紋章を使う者もいた。
そして、さらに数ある紋章の中には異界から物や生物を召喚するものもあるという。
それと同じような現象がラズロの身に起きたというのだろうか?
半信半疑のラズロにルイズは言う。
「契約の儀式を済ませた使い魔の体には、使い魔の刻印(ルーン)が刻まれるているわ。それが証拠になるはずよ」
なるほど、とラズロは納得する。理屈はわからないが、自分の体に何かしらの変化があるならば
だがまた一つ、素朴な疑問が浮かんでくる。
「それで、その契約の儀式っていうのはどんなことをしたんですか?」
使い魔の刻印、というからには何か彫り物でもされてしまったのではないかと思ったのだ。
しかしルイズにはその質問が意外だったのか、再び慌てたようにして言う。
「う、うるさいわね! なんだっていいでしょう!」
言うや否や、ルイズはバッとシーツをめくりラズロの左腕を引っ掴む。
引き出したラズロの手の甲を指差す。
「とにかく、あんたの左手にはこの使い魔のルーンが……って、あら?」
「!」
彼の左手を見た瞬間。ルイズは間の抜けたような声を出し、ラズロは息を呑む。
ラズロの左腕にはたしかに使い魔のルーンがあった。
ラズロには読むことの出来ない、棒を何本か組み合わせた単純な文字。これがおそらくルイズの言う『使い魔のルーン』だろう。
問題はその『使い魔のルーン』の下にあるものだ。
「最初に見たときは慌てたから気づかなかったけど、ルーンの下に何かあるわね。何これ……痣?」
表面を刻印に覆われるようにして描かれた、黒い歪な形の巻貝を重ね合わせたかのような形をした禍々しい紋章。
ラズロは己の愚かさを悔やむ。
自分は何故この紋章の存在を今まで忘れていたんだ?
これを宿したその日からラズロの運命を大きく動かしてきた、今の彼とは不可分の因縁のある呪い。
この世に27あるという、世界の根源を現した真の紋章の一つ。
その忌まわしき名こそ――
「……罰の紋章」
え? とルイズはラズロのほうを見る。ラズロはそんなルイズと瞳を合わすことなく俯いた。
「まだ、僕の手の中にあったんだな……」
支援
前前スレ500kbの者、約定を果たしに今こそ参上しました。ま、500kb取る前から書いてたんですがね。
というわけで、電撃文庫版『幻想水滸伝W』から主人公4様こと『ラズロ』召喚です。
基本的に幻想水滸伝の主人公は無個性キャラであり、皆さんそれぞれご自分の主人公像をお持ちだと思うので。
ここは無難に小説版の主人公を選ばせてもらいました。
あくまでも小説版準拠なので、一部ゲーム版と設定が違っている部分がありますのでご注意を。
>>708 いやまぁ、そうなんだけど……。その辺もおいおい触れていきたいので今回は見逃してくださいorz
がんばる。
罰の紋章なら無闇に俺TUEEEEEができないからいいかもしれない
>>715 いやこっちもごめんなさい
それにしても4本編では罰の紋章はちっとも使えんかったがラプソではバランスブレイカーだったのを思い出す
どうも召還前の描写からしてベストエンドじゃないっぽいから使うたびに命削るんだろうな
こっちでも不幸になるんじゃ・・・
4主かわいそうだな
そろそろあのノートを召喚されてもいいころだな〜 と密かに期待してる
現在予約はなさそうなので五分後から投下します。
トリは、パソコンが一度壊れたために前のが分からなくなったので、変更しました。
虚空に彼女は浮かび上がった。陽炎のように、蜃気楼のように、あるかなしか分からない影として。
貫かれた身体も、最早その痕跡すらとどめない。
姿を現して、グリシーナは戦場を見下ろした。
唐突に姿を現したアポルオンに未だ混乱しているアムルタートに、現状を理解出来ていないガリア軍。
そのどちらもが、高みからはよく見える。
混乱の中なおも体勢を立て直そうと号令を下す冥龍皇、震えながらも風竜に乗り状況の把握に急ぐタバサ、そして――。
見える。グリシーナの誘いを切り捨てたジョゼフが見える。
たかが人間が、と言う思考が湧き上がる。
力をやろうと言ったのだ。それも、人では到底たどり着けないような力を。
あの男なら頷くはずだった。グリシーナはそう、仕向けたのだ。
わずかずつ毒を染みこませ、ダスクフレアに、破壊の権化としようと思っていたのに。
破滅の瞳の矜恃が、ぎしりと音を立てた。
生かしてはおくまい。
口には出さず、そう呟く。
誘惑をはね除ける強靱な心は希望を生む。
希望は伝染し、そこに他者との繋がりが生まれる。
繋がり、繋がり、繋がり、その果てに――カオスフレアが生まれるのだ。
そうはさせない。
造物主に抗うカオスフレアなど、これ以上増やしてはならない。
つと、腕を振った。ローブが翻り、ばさりと音が。
「来なさい」
告げる。たった一言ではあるが、言葉は力だ。その言葉が、道理を曲げた。
世界が歪む。
空気が澱む。
そして。
それは闇の中に唐突に現れた。
夜を昼に変える赤。
劫々と燃え上がる篝火。
ウィルオウィスプのような心許ない物ではない。
アポルオンと言う名の破滅を祀るために現れた祭壇の火。
――すべてを焼き尽くす破滅の火だ。
それを見下ろして、グリシーナは満足げに笑みを浮かべた。
両軍ともに疲弊し、今の状況ならばアポルオンの力が無くとも容易に全滅させることが出来るだろう。
危険の芽は早い内につみ取っておくに限る。
「お行きなさい」
短く命じる。その言葉に従って、焔の使徒が定まらぬその身体をうねらせ始めた。
不意に現れた劫火が燃える。それに照らされて揺れ動く巨獣の身体が、タバサにはたまらなくおぞましく感じられた。
体表を蠢く無数の死霊――としか言いようの無いものが、絶えずその身体を入り交じらせ怨嗟の声を放っている。
かたかたと震えだそうとする身体を杖にすがることで何とか押さえ、じりじりと肌を灼く炎を睨む。
それはまるで意志があるかのように奇妙に蠢き、そして燃える物が何も無いというのにその大きさを維持し続けている。
明らかに、まともではない。
巨獣は明確な攻撃の意志がないのかその身を時折蠕動させるのみだが、この炎は違う。
敵意がある。少なくとも、タバサはそう感じた。
故に警戒を緩めずその炎を注視しているのだ、が。
炎が、揺れた。その身を鞭の如くしならせ、天を奔る。
「――ッ!」
シルフィードが翼を返す。意志を持って襲い来る炎を紙一重でかわし――否、かわせていない。
灼熱がシルフィードの翼を炙る。悲鳴を上げて、シルフィードはその高度を落とし始めた。
間違いなく、これは新手の敵だ。
杖を構え、ルーンを口にする。生み出した氷の槍を、放つ。
穿つ。炎のみの身体を、その一撃は確かに穿ち抜いた。
鬼火の仲間だろうか。それにしてはこの大きさ、凶暴性、いずれもその比ではない。
見たこともない。そう、今日三つ目の『見たこともないモノ』だ。
とすれば、これもまたアムルタートや富嶽に関係のあるもの、かもしれない。
形の整った眉をたゆめて、タバサはほぼ変わらない表情にほんの僅か不満を表出させた。
せめて――これが何なのか教えて欲しい。タバサが如何に博識とは言え、この世界の外にあるものなど知ることが出来るはずがない。
知らなければ、対処の立てようが無い。となれば知る者に尋ねるしか無いのだが。
炎が大地に殺戮の絵柄を描く。縦横無尽に駆けめぐり、ガリアの兵とアムルタートの兵とを問わずに己が餌食にしようと荒れ狂う。
襲われた兵達は手に手に武器を取り――目の前の炎にただの武器が効き目を持つものかと困惑している。
タバサの魔法は確かに効果を発揮したが、武器までそうである、とは誰も言えぬ。
少なくとも、襲い来る炎に剣を振るったところで食い止めることは出来ない。どこまでが敵でどこまでが武器なのか、それすらも定かではない。
炎がしなる。まるで形あるように見えてその実燃えさかるのみの鞭が。
体勢を崩していたシルフィードが空を撃つ。翼の端をかすめた炎が熱気を放った。
篝火から溢れる熱に、タバサの肌から玉の汗が滲み出る。単純な攻撃ばかりでなく、これも間違いなく脅威だ。
汗をぬぐうこともせず、タバサは杖を構え、ルーンを唱え続ける。
下手を打ってこの戦いが長引けばこの熱に中てられて余計な被害が出るだろうし、そもそも――。
びくり、と巨獣が震える。震えただけだ。
それだけで――地が揺れた。こんな怪物の近くにいつまでもいることはできない。
早い内に決着をつけなければ、被害は甚大なものになるだろう。
巨獣の対処を考えるのはまた後だ。
何よりタバサだけで解決できることでもなく、そうせよと命じられたわけでもない。
だからまずは、あの炎を消す。
ジョゼフの指示か、眼下で兵士達が楯を持ち出し、炎を受けようと身構える。
炎自体を防げるとは限らないが、少なくとも熱を多少なりとも抑えることはできるだろう。
「きゅい、暑いのね!」
それはつまり、ガリア側で直射を受けるのはタバサとシルフィードのみ、ということでもあるのだが。
「我慢」
そう口にして、タバサは更にルーンを詠唱する。他のメイジが加わるまでは、恐らく有効なカードは自身のみだと考えながら。
そして、炎もそれを敏感に感じ取ってか兵士達へは牽制にとどめ、幾条もの鞭をタバサに向けて撃ちだした。
一瞬早く姿勢を低くしたタバサの頭上を炎が奔る。かすめた青い髪の端が僅かに黒く炭化する。
酷いニオイ、と表情を変えずに呟く。その程度の余裕はある。
きゅい、と一声鳴いてシルフィードが斜めに傾ぐ。その体勢のまま滑空を始め、速度を落とさないまま緩い弧を描く。
その傍らを、炎が貫いた。一条、二条、三条。僅かに差をつけて迫るその火炎が真横をすり抜けていく。
熱気がシルフィードとタバサを撫でた。
汗が滲む。
肌が灼ける。
かわしてこれだ。直撃を受ければこんがりとローストされてしまうだろう。
返礼に氷を放つ。その槍は炎を穿つと同時に蒸発し、炎にあけた穴だけを残して消えて失せる。
効いていないわけではない、だろう。だが、タバサ一人では荷が重い。
竜騎兵をそろえている訳ではない現状、徒歩でしか動けないメイジは下手をすれば良い的だ。
ゴーレムは兵士達と同じく有効打ではなく、炎は恐らく意味が無い。
水か風か。この怪炎を打ち倒した直後に離れるべきであることを思えば、水の使い手は負傷者の治療に回すだろう。
ならば風か。風の使い手がどれだけいるかは知らないが、その助けが入るのを期待するしかない、が。
タバサの見る限り風の使い手は、否。メイジの多くはどうすれば良いのか分からずまごついている。
ジョゼフは的確な指示を下しているように見えるが、それが上手く伝わっていない。
怪物退治などと言う御伽噺染みたことを繰り返したタバサだからこそ、この炎に挑めるのかもしれない。
あるいは兵士達が楯となったことで気づかないほどのレベルで油断してしまっているのかもしれない。
それは仕方のないことだ、と自分を納得させて、タバサはシルフィードを駆る。
炎は依然煌々と燃えあがり、夜を夕焼けに変えようとしている。
吹き散らす風が欲しい。
タバサの風では小さすぎる。あおり立て、その火勢を強めるのみが関の山だ。
氷を放つにも限度がある。
炎を避けて飛び続けるシルフィードの体力にも限界があるだろう。
最初に受けた炎が無ければ、限界までも遠いのだろうが。
少なくとも、こちらに加勢が欲しい。
不意に、声がした。
「ええい、闘争において人に遅れをとるはアムルタートの恥ぞ!」
可愛らしい少女の、よく通る声――イルルヤンカシュだ。
巨獣の体表から剥がれ落ちた何かを蹴散らしながら、統制を僅かに取り戻したアムルタートが巨獣の身体を超え、姿を現した。
一瞬ぎくりと身が凍る。炎の相手だけで手一杯の現状、横から攻められて耐えしのげるとは思えない。
その被害はどれだけのものになるか。
聞いたばかりの昼の損害を大きく上回ることだけは確かだ。最悪の場合、壊滅すらありえる。
兵卒達は新手に敵意をむき出しにして、気迫だけならば負けない状況ではある。ではあるが、そこに勝ち目があるかは別問題だ。
イルルヤンカシュがその顔に笑みを浮かべた、ように見えた。どんな指示を下すのか、とタバサは身構えて――。
「さあ、炎のアルコーンを仕留め勇者の誉れを得るのは誰じゃ!」
一瞬、呆気に取られた。
炎のアルコーン、というからには目の前の炎だろう。
それを仕留めるということは、つまり。
「助太刀なのね?」
シルフィードが小さく尋ねる。確証は無いが、タバサはひとまず頷いた。
「きゅい、さすがはいるるんなのね! ピンチに助けにくるなんて物語のヒーローみたいなのね!」
「いるるん?」
「イルルヤンカシュは長いから、いるるんなのね」
そう、と頷いてタバサは下方に眼を向けた。
突如戦場に飛び込み果敢に炎に挑む竜人兵達に、兵士達も戸惑ってはいるようだ。
昨日の敵は今日の友、などと言うのは物語だけでのことだ、と思っているのだろう。
そもそも昨日ですらなく、アムルタートと矛を交えたのは今日の昼のことだ。
それに――アムルタートは亜人である。亜人が人に与するなど見たこともない、というのが本当のところだろう。
だが、あえて食ってかかることはしない。それもまた当然だ。
アムルタートの実力を知っているからでもあり、現状はこの炎を相手取るので精一杯だからでもある。
助けとなれば、それが敵の手になるものでもありがたいのだ。
「氷龍、総攻撃!」
青い鎧のハイゼンガーが号令を下す。
強壮な咆吼が重なり、配下龍たちが武器を振るった。
一つ一つの一撃では、炎へ与えるダメージも微々たるものだ。轟音あげて振り回される槍が炎を僅かずつ切り落とす。
だが、その攻撃は一つではない。
アムルタートの中では屈指の統制を誇るハイゼンガー指揮下の一軍は、緩急をつけタイミングを合わせその攻撃を放つ。
単なる足し算以上に、その威力を高めている。
それに触発されてか、ジョゼフが口を開く。
「あの亜人どもに遅れをとって余に恥をかかすつもりか。動けるメイジは杖を手にあの炎を消し止めよ」
ジョゼフはあえて恐怖を持って人を動かす。
弟をも謀略によって弑したと噂されるジョゼフである。
功績が無ければいったいどのような目に合わせられるかを考えてか、メイジ達の顔に必死の形相が浮かんだ。
メイジ達には悪いが、タバサはジョゼフのその行為に感謝した。ジョゼフそのものへ、ではない。
つう、と頬を伝う汗を感じながら、タバサは再度杖を構えた。
その耳に、大きな羽音が届く。ふと振り向けば、イルルヤンカシュと出会った時に見た青い竜がそこにいた。
背にはイルルヤンカシュの姿もある。
「やはりわらわの見込んだ通りのじゃ」
言って、イルルヤンカシュは竜の背でふんぞり返った。恐らく本当にそれだけを言いに来たのだろう。
感謝の意を込めて――相変わらず表情は変わらないままだが――タバサは一礼する。
「きゅい、おねーさまだけじゃなくてシルフィも頑張ってるのね!」
ふてくされたのか、不満げな調子でシルフィードが言う。
分かっておるともと言うイルルヤンカシュを背に乗せた青い竜の、おそらくは苦笑だろう表情を見てタバサも頷く。
戦場とは思えない空気が、ほんの僅かに漂った。それというのもガリア兵とアムルタートが炎に挑んでくれているおかげだ。
そうでもなければこんな余裕を見せれば途端に炎が襲っていただろう。
「どけどけ小童ども! このような炎に手こずるな!」
巨大な体躯の赤竜、アジ・ダハーカが豪放磊落に言葉を発し、味方であるはずの竜人兵を蹴散らしながら炎の中に歩を進める。
じりじりと鱗を焼く炎を意にも介さぬように進んで、アジ・ダハーカは後ろのラハブの「これだからパワー馬鹿は」と言う言葉も聞こえないように戦斧を振るった。
轟、と烈風が渦を巻いた。炎はその一撃でその半ばまでが散り散りとなり、その姿を大きく減じる。
ガリア兵が唖然となる。力任せも良いところだ。
「きゅい、ものすごいのね」
呆気に取られたらしいシルフィードの声に、タバサは頷いた。
力任せではあるが、確かに凄い。
「どうですかなイルルヤンカシュ様!」
自慢げな声が轟く。うむうむと満足げなイルルヤンカシュを見ながらも、タバサはシルフィードに合図を送った。
今ならば、タバサの雪と風で十分に薙ぎ払える。
その身を削られた炎は、迫るシルフィードを最大の敵と認めたか、死力を尽くしただろう炎を放つ。
シルフィードの翼が力強く振り下ろされる。空気をかき混ぜて、シルフィードの身体が浮き上がる。
その足を、炎が薙いだ。高熱に、シルフィードは悲鳴を上げる。だが、その背のタバサは詠唱をやめない。
これが終わったら絶対お肉いっぱい食べさせてもらうのね、と泣き言を言いながら、シルフィードはなおも翼をはためかせ、炎に迫る。
ルーンが、完成した。
アジ・ダハーカの一撃にも相当するような風が舞い起こる。
白い風だ。タバサの二つ名、雪風に相応しい。
風が鳴いた。
激しく音を立て巻くその風に飲み込まれて、炎は外へ逃れようとしながら――やがて、散り散りになって消えた。
それを見届けて、タバサはシルフィードに降りるように伝えた。
焔の使徒が消えて、グリシーナは舌打ちをした。
人間風情があがく。度し難いことだ。
こうなれば仕方がない。アポルオンを操り両軍をともに叩きつぶすしか無い。
それでは気が晴れぬと思いながらも、グリシーナはアポルオンに命を下そうと手をかざした。
と。
咆吼が、耳を劈いた。
アポルオンの咆吼だ。とっさに耳を塞いで、グリシーナは狼狽えた。
アポルオンが、その身を大きく波打たせ、どこかに向かっている。
グリシーナは何の指示もだしていない。
一瞬現状の認識を拒否しながらも、グリシーナは歯ぎしりをした。
「まだ足りないというの。計算外だわ」
アポルオン自体を操作する手段を、グリシーナは持たない。
去りゆくアポルオンを見送りながらも、グリシーナはその藤色の目を細める。
「良いわ、まだ終わりではないもの。報復の時間が長くなると思えば――」
それだけ言って、彼女の姿は再びかき消えた。
突如として周囲の人もアムルタートも意に介さず動き出したアポルオンを見送って、誰もが呆然とそれを見送った。
その灰色の長大な身体が動くたびに、地面が揺れる。
こんなものに襲われていれば死以外に道は無かっただろう、と誰もが思った。
力なく、周囲を見やる。荒れ果てた戦場と何かが燃えた痕跡のみが見えて、そして。
ガリア兵とアムルタートは互いの姿を至近距離で捉えた。
緊張感をはらんだ空気が、流れ始めた。
一時的に協力はしたが敵だ、と言う思いが互いにある。
それを見て、イルルヤンカシュはふむと呟くと腕を組んだ。子供が大人の真似をしている様だ。
そして、口を開く。
「わらわはアムルタートの女帝冥龍皇イルルヤンカシュである。人の兵に指揮官がおれば姿を見せよ」
明らかに上から目線の発言だった。
それを聞いたジョゼフが、一歩前に踏み出す。
「余がガリアの王ジョゼフだ。何用か」
こちらも上から目線では譲らない。
ジョゼフの姿を認め、イルルヤンカシュはうむと頷いた。
「この戦、休戦とせぬか。疲弊した人間に勝ったところで我らに誉れはない」
「よく言う。だが休戦は受けよう。手負いの龍を相手に挑むほど愚かではない」
そう考えたそぶりも見せず、ジョゼフは答えた。周囲の兵達がざわめくが、知ったことかというように悠然と構えている。
よし、それでは、と。イルルヤンカシュは口を開いた。
「どこか休める場所を用意せよ。我らとおぬしら、ともに休息が必要じゃ」
フレアだ、フレア持って来い! 支援
「温泉じゃー!」
どたどたどたと走り抜けて、ジャンプ。
ざっぼーんと大きな水しぶきをたてながら、冥龍皇いるるんは温泉に飛び込んだ。
ちなみにいつもの露出の高い服は着ていない。全裸だ。
そんな様子を見ながら、タオルを巻いただけのタバサも温泉に続く。
ちゃぷ、と足から浸かる。ゆっくりと中央に向かい、肩まで沈めてふう、と小さく呟いた。
身体にたまった疲れが全身から解けていくように感じる。心地良い。
同じく肩まで浸かったいるるんが隣に並ぶ。
ほう。二人そろって悦楽のため息。
「気持ち良いのう」
「そう」
ぽかぽかぽかぽか暖まる。いつもは雪のように白いその肌も、今は暖かく薔薇色だ。
ぷに。
不意に、頬がつつかれた。
湯煙で煙る眼鏡越しに、それが誰かを確かめる。
赤い髪、とがった八重歯、良く動く丸い目。いるるんだ。
理由を尋ねる代わりにほんの少し首をかしげて、邪魔になった眼鏡を外す。
しげしげと興味深そうにタバサの肌を見つめているいるるんの顔がよく見えた。
「それにしても綺麗な肌じゃのう」
その言葉とともに、ほっそりしたいるるんの指がタバサの肌を優しくなでる。
「そう」
顔が赤くなっているのは温泉のせいで、他の理由はきっとない。
「髪も青くて綺麗じゃし」
いるるんの手が、くしゃくしゃとタバサの髪をなでまわす。
「そう」
顔が赤くなっているのは温泉のせいで、他の理由はきっとない。
「わらわの部下に欲しいのう」
どうじゃ? どうじゃ? と目が訴えかけてくる。
嬉しい言葉だ。
しかしはいとは答えかねて、タバサはふいと目をそらした、下向きに。
――そして、悟る。自らの行動の愚かしさを。
そこに、浮かんでいた。
何が、と言われても困る。タバサにはそれが何なのか、一瞬本当に理解できなかった。
たゆん、と。
確かな質感を持ってお湯から顔をのぞかせる二つの固まり。
――否、理解はできる。
確かに服を着ていたとはいえいるるんの胸が大きいのは理解できていた。
だから、目の前に浮いているそれが胸だと言うことは理解できる。
だが、分かりたくない。
いるるんの身長はタバサとほとんど変わらない。
それが。
なぜ。
こうも差がついているのか。
ほんの僅かコンプレックスに襲われて、タバサは落ち込んだ。
その間にもいるるんは実にいいのうとかなんとか言いながらタバサの身体を撫で続ける。
そこに、頭の上から声が降ってきた。
「二人だけなんてずるいのねー!」
ざっぼーん、と水柱。
人間に変化したシルフィードが、二人の近くに飛び込んだ。
頭からお湯を被って、タバサの青い髪からぽたぽたと滴が落ちた。
ざばりとお湯から立ち上がったシルフィードが二人に向かって飛びかかる。
その頭をいつものように杖――は無いので、素手でぺちりと叩く。
同じように髪からぽたぽたと滴を垂らすいるるんを指し示して、一言。
「迷惑」
その言葉を受けて、シルフィードはしょんぼりと肩を落とした。
ぶるぶるぶる、と頭を振って顔についたお湯を振り払ったいるるんが、やんちゃな子供のような笑みを浮かべた。
「逆襲じゃー!」
ばっしゃーん、とお湯が飛ぶ。顔に直撃を食らって、シルフィードはきゅいーと悲鳴を上げた。
というか、さすがアムルタートの女帝。その腕の一振りでまるで海の上ででもあるかのようにお湯が揺れた。
その波に乗って、タバサの身体が揺れる。
あわてて体勢を立て直したシルフィードも負けじといるるんにお湯をかける。
ゆらゆら。ゆらゆら。
ざっばんばっしゃんお湯が飛ぶ。
我関せずとタバサは揺れる。
ゆらゆら。ゆらゆら。
さっばんばっしゃんお湯が飛ぶ。
我関せずといるるんとシルフィードの胸は揺れる。
やっぱり、ほんの少し心に響く。
「お前は加わらぬのか?」
揶揄するような声が届く。振り返ると、そこにはジョゼフがいた。
均整のとれた歳の感じられない身体にたった一枚タオルを巻いただけの姿である。
表情には出さないまま、慌ててタオルをきつく巻き直す。
「イルルヤンカシュ様、お止めください」
反対側から現れたハイゼンガーが、楽しい遊びを止められて詰まらなそうないるるんに慌ててタオルを巻き付ける。
当然こちらもタオル一枚である。
「シルフィード。タオル」
となれば当然シルフィードを全裸のままでいさせるわけにはいかなかった。
「きゅい、タオル?」
だが、シルフィードは分からないという顔だ。仕方なく、胸を指さす。
「きゅい?」
全然分かっていない。今度は自分に巻いたタオルを指さす。
「きゅい。自分の胸が小さいからってそんなに気にすること無いのね!」
ぺしり。
言われると同時にシルフィードの頭を叩いていた。
「い、痛いのね。そんなにぺしぺしぺしぺしシルフィードの頭を叩いて良いと思ってるのね」
「良いからタオル」
その言葉を聞いて、これ以上叩かれてはたまらないとシルフィードも温泉の縁に置いていたタオルを巻いた。
「きゅいー。窮屈なのね」
強く巻きすぎたのか、ぎゅうぎゅうと締め付けられた胸がタオルを押し返している。
ふいとそっぽを向いて、タバサは一言。
「我慢」
きゅいーとしょんぼりシルフィードは肩を落とした。
それを軽やかに無視して、ジョゼフが口を開いた。
「ところで冥龍皇よ。あえて休戦を申し入れたということは何かあるのであろう?」
その言葉にいるるんは――否、冥龍皇イルルヤンカシュは当然じゃと応える。
「見たであろう、あの脅威」
それが何であるかは言わないが、ジョゼフにも理解できる。
あの、死者の凝り固まった巨獣だろう。あの後調べさせ、海に向かったということは確認している。
当然、とも言える。あんな怪物が人目につかず存在できるとすれば海の中くらいだ。
「見たが、どうした」
「アレを討つ。手を貸さぬか」
あまりと言えばあまりな言葉に、さすがのジョゼフも虚を突かれた。
ほんの僅か、黙り込み、それから――それから、肩をゆらしはじめた。
笑っている。
「良かろう、良かろうとも。では、互いに手と手を取り合って怪物退治といこうではないか」
その光景を、タバサは何も言わずに見つめていた。
支援
ということで、生存報告を兼ねて投下終了いたします。
やっべえもうちるるんにしか見えねえw
つーか一緒に風呂入ってんじゃねーよジョゼフ! 見たのか、見たんだな!!
仮面野郎共々マジ自重しろ!
GJ!!
ジョゼフがちゃっかり姪っ子のつるぺたボディやらいるるんやシルフィのたゆんたゆんなボディを見ているかと思うとジョゼフくびり殺したくなってきた乙
今初めて、俺はジョゼフになりたいと心底思ったぜGJ!
GJ
ジョゼフの使い魔なら視界の共有ができるかも…
予約ありませんよね?規制解けたようなので、拙作投下したいと。
「サモンジ、聞かせてもらえる?あの決闘の時、一体何をしたのよ」
しばらく休んで体力の戻ったルイズと共に部屋に戻るとすぐにルイズが話を切り出した。決闘の直後は、単に大人が仲裁に来たのでギーシュが退いたのかと思ったが、彼が言うにはサモンジから杖を折られたということなのだ。
考えられるのは、今サモンジが持っている鉄の棒。杖というには妙な形だが、以前宝物庫の見学で見た破壊の杖のようなマジックアイテムではないのだろうか。やはり自分はあたりを引いたのかもしれない、期待の眼差しでサモンジを見つめて答えを待つ。
「この銃で杖を撃ち抜いたんだけど。私、銃は苦手なんだけど距離近かったしね」
ごくあっさりとした答えが返ってきた。銃?
「ルイズちゃんたちはこんな銃見たことないだろうけど、私達にはそう珍しくないんだよ。結構高いけど。レーザー、う〜ん…物を燃やす光を撃つ銃って思ってよ。あの時はまず低出力モードにしてレーザーポインタ代わりに………」
サモンジが銃を構えながら解説を始める。と、銃を構えた瞬間に左手のルーンが光を放ち、サモンジの視界にはライフルの整備状況やパワーパック残量といった情報が神経反応ヘルメットを装着しているときのように視界に浮かんでくる。
「そういえば、これ何なのルイズちゃん?決闘の時もそうだったけど急に光って銃の状態が目の前に映るんだよね、この左手の…ルーンだっけ、契約の呪文が成功した目印なんじゃなかったの」
銃を下ろして不思議そうに光の消えた左手を見ながら、決闘のときと今起きた現象を説明するサモンジ。だが、ルイズの知識にもそんな現象は無い。既に内容を暗記すらしている教科書を再度入念に見直すがやはり解らない。
「だめね、やっぱり解らないわ…アカデミーにでも聞いてみる?魔法の研究してる機関なんだけど、身内がいるから連絡はとれるわよ」
「う〜ん、便利だし当面は問題ないからいいよ。変に目立ちたくないし、銃を預かるとか言われたら本格的に私何もできなくなっちゃうよ」
そう言って軽く笑うサモンジ。相変わらずお気楽な奴だ。
「いいわサモンジ、説明を続けて。あんた自分は銃が下手だなんて言ってたけど、あんな100メイル近い距離から杖を狙うなんで十分な腕よ。それに、私が覚えている限り火薬の音や煙はなかったわ。どういうこと?」
その疑問に再度サモンジが説明を始める。レーザーライフルの原理を説明しても解らないだろうから、と実演を交えて。まずはスコープを外してルイズに渡すと、レーザーライフルを低出力モードに変える。
「ルイズちゃん、ちょっとそこの窓開けて。……で、机の上のいらない紙を窓の前に出してみて」
ルイズが紙を窓の前に出すと、その上に光点が浮かぶ。
「ね?光の点が当たってるでしょ。で、引き金を引くと」
ジャッ、という鋭い音と僅かに焦げ臭いような変な臭いを残して紙に穴が開いている。驚愕するルイズにサモンジが続ける。
「こんな風に、最初の光の点に正確に当たるんだ。で、さっきルイズちゃんに渡した望遠鏡で見ながら光の点を当てたいものに合わせて引き金を引けば、ほぼ百発百中さ」
実際は、レーザーポインタに気付かれた時点で相手が回避行動を取り出すので、そう上手くはいかない。だが光点を見ても狙われていると気付かないこの星の人間相手なら十分だろう。
加えて、銃を持つと光る左手に関係するのか、銃のステータスが視界に表示される以外にも自分の体に射撃管制が加えられているかのように動作に補正がかかっているような感触がある。正直、少々気持ち悪い。
説明を終えて銃を下ろしたサモンジだが、もちろん安全装置は忘れていない。この傲慢なご主人様は魔法という力が使えないことにコンプレックスがある。そこにレーザーライフルという目新しく力のある道具があれば…そう思っていると、予想通りの反応が返ってくる。
「サモンジ、ちょっとこれ貸しなさい!」
やっぱり……単純だなこの子、などと思いながらあっさりとサモンジは銃を渡す。さっそくサモンジがやったように構えて、引き金を………
「……サモンジ、これ動かないんだけど?どうやるの、教えなさいよ」
高圧的に聞いてくる。これで素直に教えれば、もうレーザーライフルは返ってこないだろう。笑いをこらえながらサモンジは銃を取り上げ、嘘を吹き込んで誤魔化すことにする。
支援行動にはいる
「ま、こうなるよね。これお店で買うときに持ち主の登録をして他の人には使えないようにするんだよ。完全に戦闘用の武器、人が殺せる道具だから防犯のためにね。だからルイズちゃんには使えないよ」
それってどういうことよ、持ち主を私に替えなさい、などとしつこく言いすがるルイズを宥めるサモンジ。ルイズは随分と長い間食い下がったが、結局無理と解り、サモンジの持つ道具を片っ端から引っ張り出しては質問攻めにする。
おそらく、目に見える力を持つ魔法の道具を他の生徒の前で使って見せたかったのだろう。ゼロと呼ばれる自分に力があることを示そうと。だが、この方法は間違いでしかない、使いこなせもしない借り物の力だ。すぐに虚しくなるだけだろう。
そう思い適当にぼかして説明を続けてルイズが飽きるのを待つ。とは言え、この星から見て目新しそうなのは双眼鏡と高速振動剣くらいだろうが。
結局、ルイズにとって特に目を引く物はなかったらしく、唯一高速振動剣に興味を持ったようだが、「貴族が剣など持てない」と言って放り投げる。
「使えないものばっかりね……もういいわサモンジ。寝るわよ、明かりを消しなさい。それと、多少は使える使い魔みたいだから少しはましな扱いをしてあげるわ。明日からはその剣を腰に差して私の従者として付いてきなさい。
没落したけれども心優しい貴族に拾われて従者に取り立ててもらった、ってところかしら。感謝しなさい」
その台詞にはサモンジも、少し意地悪だったかな〜と同情していたのを軽く後悔する。はいはい、と呆れ気味に返事をしながら明かりを消し、コートを布団代わりに自分も寝る事にする。
何だか捕虜生活になじんじゃったなぁ……などと思いつつ。半ば奴隷の様に思われる魔法使いの世界、それに対する異常感と不満が薄れてきたのか、すんなりと眠りに落ちた。
「ミス・ヴァリエール。次の授業ですが、教材が多いので貴方の使い魔に少し持ってもらってよろしいですか?」
翌日、ようやくサモンジも一緒に入れてもらえた食堂での昼食が終わり、次の授業の教室に移動するルイズとサモンジは学院長秘書のミス・ロングビルに声を掛けられ3人で次の教室に向かうことにする。
「そういえばミスタ・サモンジ。貴方の事を誤解しておりました…大変勇敢で豪胆な方なのですね。昨日の決闘の件、聞きましたわ。決闘をする貴族の間に生身で割って入られたとか。素晴らしいですわぁ…元は傭兵だったとか、さぞ勇ましい戦いぶりだったのでしょう?」
今日のサモンジはルイズからの指示の通りにレーザーライフルだけでなく、高速振動剣をコートの上から見えるように提げている。剣を持つ従者を連れ歩けば万一を恐れ、決闘騒ぎの件で自分をからかう声も減るだろうと考えてのことである。
もし教師に注意されても、竜を使い魔にしている生徒もいるのだから、戦士の使い魔が剣を持って何が悪い、と言えばよいと思っていたが…見た目を傭兵らしく飾ったせいで無用に興味を引いてしまったようである。
サモンジの顔を覗き込みながら言うロングビルに、サモンジの鼻の下が露骨に伸びる。ああ、やっぱり眼鏡っていいよね。そんなサモンジを見て不機嫌そうにルイズが話しに割り込んでくる。
「ミス・ロングビル。こんな使い魔にミスタなど必要ありません。それに、生身ではなくマジックアイテムの銃でグランモンの杖を気付かれず先に撃っていたんです。豪胆どころか、決闘に不意打ちで横槍を入れる卑怯な小心者です」
その言葉にロングビルの目がかすかに光る。サモンジの腕を取って胸に押し付けながら、いっそう感激したような声を作り、さらに質問を投げかける。もうサモンジにまともな判断力はない。
「まあ!貴族の決闘を仲裁する行動力を持ちながら、さらに銃の名手でもあるのですか。しかも誰も傷つけないように杖を狙いたれるとは素晴らしいですわ。腰に差しておられる剣もマジックアイテムなのですか?さぞ素晴らしい腕なのでしょうね、見せていただけませんか」
サモンジの肩に顔を乗せるようにして言うロングビル。サモンジの理性はほとんど解けている。いやもう、傭兵部隊というおっさん臭い集団で、近くにいる女性といえば乗り物マニアのうっかり娘と博愛主義者の皮を被った外科手術マニア。鼻の下も伸びようというものだ。
「いやぁ〜、私って銃は素人に毛が生えた程度ですよ。剣なんて、なおの事全然ダメで……これは工具として持ってるんですよ。ここのスイッチをオン側にスライドさせると振動して発熱するから、こういう具合に壁をくり抜いて道を作ったり…」
そう言って廊下の壁に片手で高速振動剣を突き立てる。ざくり、ずぶずぶ、という音がして根元まで刀身が埋まる。息を飲んで驚くロングビルに気をよくしたサモンジは、ぐるり、と壁をくり抜く。斜めに空けられた穴から、その中身が手前に落下する。
「「あ」」
ルイズとロングビルの声が重なる。そして、ドッスン、という重たい音。
「はっは、まあざっとこんn「何やってんのばかぁー!!!」ぱーん、といういい音を立ててルイズの平手打ちがサモンジに決まる。運んでいた教材の箱ごと倒れるサモンジ。あわてて壁の穴に駆け寄り魔法を使うロングビル。
「あんた、夜中に教室のガラスを割って回る頭の悪い一年生!?何やってんのよ!!」
我に返って周囲を見てやっちゃったーという顔をするサモンジ。ようやく調子に乗りすぎたと気付いたようだ。しかし、そこにロングビルが割って入る。
「ミス・ヴァリエール、そのくらいで……私がサモンジ様をけしかたようなものですし、ここは私に免じて…ほら、剣の跡もこのように隠しましたから」
そう言って錬金で隠した穴を指差してにこり、と微笑む。流石にこれ以上怒る気も無くなったのか、ルイズも立ち上がって服を払う。流石に今回は食事抜きにはならなかったが、ルイズはしばらく不機嫌なままだった。
教室で授業の準備を終えたロングビルは今、中庭から学院の本塔を見上げている。サモンジの持っていたあの剣、宝物庫ほどの厚さはないとはいっても石の壁を簡単に切り裂くほどの切れ味だ。あれを使えば、錬金の通じない宝物庫の壁を物理的に破れる……
ロングビル、いや、怪盗土くれのフーケは一つ頷くと、早速今夜にでも宝物庫に侵入するべく準備を始めた。
その夜、ルイズの部屋の中。ベッドの中ですやすやと眠るネグリジェ姿のルイズと、シーツ代わりのコートをひっくり返して腹を出したまま寝息を立てるガラパンとランニングシャツのサモンジ。その部屋の中にもう一人。
窓の桟、錠の周りだけを錬金で土に変えることで錠を抜き取って侵入した影、土くれのフーケである。錬金を使う間はレビテーションが使えないため、窓枠にしがみ付いていたせいでしびれた手足を振りつつ室内を見渡す。
「(これだな…これさえあれば)」
足音を立てないように再度レビテーションで室内を移動し、眠るサモンジの上を越えて入り口の靴箱の上から高速振動剣を取り上げる。
「(これほどのマジックアイテムを、こんなに無造作に置いておくなんて……本当に工具としか思ってないみたいね、この男)」
見れば、銃の方はしっかりと藁束の下に―剣士がよくやる枕の下に剣、というやつか―置いて寝ている。銃専門の傭兵だったのだろうか。いや、そんな疑問など今は捨て置くべきだ。フーケは再度レビテーションで窓へ向かう…が。
「…う…ん…」
「(しまった、ローブが!)」
窓へ一直線に向かったせいで、ベッドの上のルイズにローブを引っ掛けてしまう。
だが、そのままゆっくりとした寝息を立て始める……すぐに起きる気配はないようだ。フーケはそのまま気付かれる前にと、慌てて窓を開いて外へと飛び去っていった。
…
……
………
(寒い…)
ぶるり、と体を震わせ、出そうだったくしゃみをこらえつつ上体を起こすルイズ。まだ暗い。月明かりが差し込む部屋の中を見回すと、窓が少し開いている。
「なに……サモンジの奴、窓を閉め忘れたの…?まったく…」
自分のベッドの上の窓だというのにサモンジのせいにする。寝ぼけた目つきでぶつぶつと文句を言いながら窓を閉めようと近づき、気付く。窓の錠が、いや錠があった場所がなくなっている。月明かりに目を凝らすと、窓の桟に土が残っている。
「何これ、土…?まさか、噂の土くれのフーケ?!」
室内を見回すが、特に荒らされた様子はない。サモンジもぐっすりと眠りこけている。ふ、と気持ちが落ち着く。そうだ、そんなはずはないではないか。いくら、ヴァリエール家の者とは言え、学生の部屋に怪盗が忍び込むなど。
馬鹿馬鹿しい、改めて気を落ち着けようと鍵の壊れた窓を開けて夜の空気を吸い込む。おそらく、鍵の周りが腐っていて落っこちたのだろう……と、気付いた。先程の、土くれのフーケという単語を思い出さなければ気付かなかった光景。
宝物庫のある本塔の5階、窓がないはずのそのフロアからライトの魔法らしき明かりが漏れている……外壁に、穴が空けられている。何者か、おそらく土くれのフーケが噂どおりに錬金で穴を開けて忍び込んで中をあさっているのではないか?そうだ間違いない。
月明かりに目を凝らせば、黒いローブの人影がライトの明かりを消して穴から身を乗り出しているところだ。ルイズはとっさに杖を取ると、だめもとで呪文を唱える。
「ファイヤー・ボール!」
ドカン、といういつもの失敗魔法の爆発。しかし、およそ100メイル近く離れている宝物庫の穴に見事命中したのか、開けられた穴は爆発でさらに大きく広がっている。もしや、不意打ちとはいえフーケを倒したのか?
しかし、その淡い期待もすぐに消える。宝物庫へ目を凝らすルイズの目に飛び込んできたのは、身の丈30メイルにおよぶ巨大な土ゴーレムが造られる姿である。おそらくフーケは、既にフライかレビテーションを唱えていたためルイズの爆発の直撃は避けられたのだろう。
慌てて次々に失敗魔法を放つルイズだが、遠いこともあり中々命中せず、さらに頭や背中に命中した分は効果が薄い。一度運良く足首の辺りを吹き飛ばしてよろめかせたが、すぐに周囲の土を取り込んで再生してしまう。
「ななな、なに!どうしたのルイズちゃん!」
後ろを見るとサモンジが飛び起きて、既に銃を構えルイズを押しのけるようにして窓に取り付こうとするが、ルイズも抵抗する。
「邪魔しないでサモンジ!噂の怪盗を私の手で捕らえるのよ!!」
その言葉に一瞬きょとん、とするサモンジ。しかし、窓からの光景に気付いて事態に気付く。失敗魔法を撃つルイズの上から銃を構える。
「ルイズちゃん、あれってギーシュ君のゴーレムみたいな奴でしょ?魔法使ってる人、どこ!」
「ローブ着てる!探して!」
短く言い捨てて呪文の詠唱を続けるルイズ。フーケを見つけられないサモンジはとりあえずゴーレムに一発撃ってみるが、やはり効果はないようで、去っていくゴーレムを止めることはできなかった。
結局、ルイズの魔法の音を聞いて目を覚ました学生や教師が目にしたものは、維持を解かれ土の山となった元ゴーレムと、穴の開いた宝物庫の壁だけだった。
そして、宝物庫には有名なあのメッセージ。
「破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ」
翌朝、大騒ぎになる学院、その学院長室に三人の生徒が呼ばれていた。
「この三人が、事件を目撃したということです」
コルベールの紹介で、ルイズ、キュルケ、タバサの三人がオスマンの前に出される。サモンジは壁際に立ったままそれを眺める。
「ちょっと、ツェプルストー。なんであんたまでいるのよ」
「あんたねぇ、夜中にドッカンドッカンやってれば嫌でも気付くわよ。外であんたが秘密特訓でもしてるかと思えば噂のフーケのゴーレムじゃない。びっくりしたわよ」
「………」
オスマンが質問する前に勝手に喋りだすルイズとキュルケ。それを止めもせずぼんやり眺めるだけのタバサと、後ろで呆れながら頬をかくサモンジ。
昨夜の状況を説明する3人だが、キュルケが向かいの部屋から、タバサが使い魔の視覚で別視点から見ていただけでルイズ以上の情報はない様である。要するに、フーケは噂の通り大型のゴーレムと塔の固定化を破る強力な錬金を使える、そして追跡の手がかりがないということ。
しかし、そこにロングビルが飛び込んでくる。
「学院長、フーケの居場所がわかりました!」
その言葉に一斉に皆の注目が集まる。その視線に臆することなく、ロングビルはオスマンに頭を下げると言葉を続ける。
「遅れて申し訳ありません、朝起きてから急ぎ調査をしていましたので。しかし、周辺の者たちから聞き込みを行って逃走路を追っていったところ、近くの森の廃屋に入っていく不信な黒ローブの男がいたということで、おそらくフーケで間違いないでしょう」
「黒いローブ…フーケで間違いないと思います!」
続いて叫ぶルイズにオスマンが頷き返す。が、続く言葉に絶句することになる。
「実際にフーケを目撃した私が、破壊の杖を取り戻しに行きたいと思います!」
「ちょ、ゼロが何無茶を言ってんのよヴァリエール!」
「そうだよミス・ヴァリエール。生徒の君がこんな危ないことをする必要は無いんだよ。ここは……」
とめようとするキュルケとコルベールを始めとした教師の前で、ルイズが言う。
「私はフーケを最初に発見しておきながら、みすみす取り逃がしてしまいました。もう一度、フーケを捉える機会があるならば私が……!」
食い下がるルイズに、キュルケがあきれ気味に、だが微笑を浮かべる。
「なら、私も行きましょうか。あんた一人じゃ心配だしね」
「……」
キュルケの言葉にタバサも頷く。この娘も協力してくれるようである。3人が顔を見合わせているのをオスマンが満足げに見ている。
「良い友がいるようじゃな…それに引き換え教師どもは…まあよい、ミス・タバサはシュヴァリエの称号を持つ騎士、ミス・ツェプルストーは軍人の名家、ミス・ヴァリエールは…………まあ、名家の者じゃ。任せるに値する」
オスマンの言葉に微妙な表情になるルイズ。しかし、自分が手柄を立てる機会を逃したわけではない。貴族としての実力を証明して汚名を濯ぐ絶好の機会、今度こそフーケを捕らえ……
フーケを捕らえて実力を証明して見せるという目標に静かに燃えるルイズと、軽口を叩きながら微笑むキュルケと傍に佇むタバサ。サモンジも、ルイズの気合の入りように呆れた顔をしながらも笑いかける。
「それでは私が案内しましょう。魔法を温存するためにも馬車を使用させていただきたいのですが…」
そして着々と追撃の準備を整えるロングビル。ルイズらを振り返り、よろしくお願いしますとにっこりと微笑む。
「やあ。君たちも準備ができたようだね」
ルイズらが準備を整えて本塔から出ると、そこにはギーシュが待っていた。
「宝物庫を襲った、下賎な盗賊の討伐に向かうのだろう?僕も加えれば水以外の3属性が揃う、手伝ってあげようじゃないか」
そう言ってキザなポーズを決めるギーシュ。そんなギーシュにキュルケが冷めた目で言う。
「あんた、トライアングルの私たちにおんぶ抱っこで破壊の杖奪回の手柄に一枚噛みたいだけじゃない?それに、ロングビルも土のメイジでは?」
そう言ってロングビルを見る。と、皆の視線もロングビルに向いている。特に、お前は要らないと言われたも同然のギーシュは少し顔が引きつっている。その視線に慌てたように視線をそらしながらロングビルがおろおろと答える。
「そ、それはそうですが……私は貴族の名を失った者ですし実力もその程度、名門グランモン家のギーシュ殿ほどは…ささ、出発しましょう」
その言葉を引き継いでサモンジが全員を促して馬車へと乗り込んでいく。
「はっはっは、まあ戦力が増えるってのはいいことじゃないか。ちょうどいいし、道すがら戦力確認と大筋の方針を決めようか」
「ラインってことは…ギーシュよりは上じゃない。謙遜なんてして、家名がそんなに大事ですか?気にすることありませんわ。それよりどうして家名を失くしたのか教えてくださらない?」
ロングビルを質問攻めにするキュルケに、ルイズが突っかかる。黙って本を読むタバサ。会話の輪から置いていかれ居心地の悪そうなギーシュ。
大体の戦力を把握して方針を決めようと思っていたサモンジだが、キュルケ、タバサ、ギーシュと各々軽く属性と得意な魔法の説明したところでキュルケがロングビルにも確認を始めて完全に話が横道にそれた。
こうなった女の子の話が長いのは、サモンジも頭を痛めたガーディアンエンジェル小隊で学ばされた。やっぱりどこでも最近の若い者は…そう思いつつ、あぶれて所在なさげにしているギーシュに話しかける。
「ところでギーシュ君。昨日見たフーケのゴーレム、大きいけど動きはすごく大雑把だったんだよね。動きだけで言うなら君のゴーレムの方が良かったけど、それってトライアングルとかドットってのは関係ないの?」
ルイズとの決闘騒ぎの他にも実技の授業でギーシュのゴーレムを見る機会があったが、確かにギーシュの造るワルキューレは他のラインメイジの生徒が作る土のゴーレムよりやたらすばやく動作も人間に近かった。
授業で行われた模擬戦のルールが土ゴーレム限定+武器暖簾金不可というもので無ければ、ギーシュはそこそこ勝ち残れた、とサモンジは思っている。だが、ギーシュはそんなランクは気にしていないとでもいうように気楽に答えた。
「確かに同じゴーレムならトライアングルメイジの方が滑らかな動きをさせられるね。だが僕のワルキューレはただのゴーレムじゃない。僕の優れたセンスによって形作られる美しい造形によって、美しく舞い、闘うことができる。そうそう真似のできる技術じゃないさ」
ふっ、と薔薇をかざしながら語るギーシュ。延々と言葉を飾っているが、フーケのように一体型にせずに間接を作った、ということらしい。話を聞く限りは自分のゴーレム作成の腕に中々自身があるようだ。
「ふーん…でもさ、そんなに細かいことができるんならゴーレムに弓を持たせたらいいんじゃない?青銅なら板バネに良いし」
「ははは、誰でもそれを考えるんだね…普通はトライアングルでもゴーレムに弓を引かせるなん細かいことはできないよ、僕にはできるけどね。ただ、自分とゴーレムの視点が違うから狙いが付けられないんだ」
なるほどーだから授業の時あんな戦い方に…などと他愛のない話で時間を潰す。その内馬車は森に入り、徒歩に切り替えて幾分進んだところで空き地に出た。そこには確かに廃屋がある。
「あれが、フーケが潜んでいる廃屋です」
その言葉にサモンジは腕時計を確認してふーんと相槌を打ち、ルイズ達は緊張した面持ちで相談を始める。相談は実戦経験のあるタバサが主導して作戦を説明していく。
小屋の中にいるフーケは外に出なければゴーレムを使えず、土のメイジはゴーレム以外の攻撃手段に乏しい。その弱点を突くため、陽動の囮を使って挑発することでフーケをゴーレムを作るのにちょうどいい外に繋がる扉に誘導し、そこを一斉に叩く。
その作戦に皆同意し、囮はギーシュのゴーレムで残りが包囲、ロングビルは森の中で万一の備えをすると申し出た。しかし、そこにサモンジが待ったをかけた。
「その必要は無いよ。小屋の中には誰もいない、かな」
車座になって相談していたルイズ達が慌てて立ち上がり、相談に参加していなかったサモンジの方を向くと目の前に変な道具をあてて小屋の方を見ている。
「うん、周りの森の近く……もいない。地面に穴を掘って潜んでるってこともないみたいだよ」
「な、なんでそんなことがわかるのですか!?」
慌てて食って掛かるロングビル。自分の調査結果が間違いだと言われているのだ、当然の反応だろうと思いつつも戸惑うルイズ達にサモンジが説明する。
「この双眼鏡、赤外線モードがあるんだ。えっと、要するに熱、温かいところを見分けるってとこかな。ほら、人が潜んでいるかどうかは大抵見えるよ」
そう言って全員に赤外線モードにした双眼鏡を順に覗かせていく。全員、その機能と実際に見える光景に驚愕しながらも面白そうに周囲の風景と他の人間を見て驚きの声を上げる。
呆然とするロングビルの肩をぽんと叩いてサモンジが笑いながら言う。
「ま、フーケの隠れ家がここじゃないとは限りませんからね。たまたま不在って事もあるでしょ、とりあえず一緒に家捜しと行きましょうか」
「そ、それでは私は……フーケが戻ってきたときのために、馬車を置いてきた森の入り口で見張りをしていますよっ」
全員を廃屋へと促すサモンジに、呆然としていたロングビルが我に返ってそう言うと逃げ出すように馬車へと走っていく。
あちゃ〜そう来たか…と頭をかくサモンジの脇をルイズが駆け出していく。
「ちょ、ルイズちゃんまでどこ行くの!?」
「フーケがここに居ないのなら私も馬車のところで見張りをしてる!フーケが来たら捕まえてやるわ!」
あんまりな行動に絶句するサモンジ。昨日の夜、逃げるゴーレムすら倒せなかったのを覚えていないのか…これだから若いもんは、と頭を抱えるサモンジにキュルケが呆れながら言う。
「やれやれ、一体どうやって捕まえるつもりやら…まあいいわ。もし本当にフーケが来てあの二人だけで捕まえたら私の立場が無いし、私も向こうにいくわね」
タバサにウインクをしてキュルケが杖を取り出す。そこにサモンジが近寄り、一言忠告する。
「ミス・ロングビルから目を離さないでよ」
「え…どういうこと?」
「今はそれだけでいいから。早く追いかけてあげて」
そう言って目配せをするサモンジに首をかしげながらもルイズたちを追いかけるキュルケ。それを確認して、サモンジはタバサとギーシュを連れて小屋に入る。
「さ、さっさと探索して戻ろうか。ここに破壊の杖があれば、フーケは置いといて帰ればいいんだから一番簡単に済むんだけどね」
「破壊の杖」
家捜しを始めてすぐに目的の物は見つかる。タバサが皆の前に掲げる破壊の杖に拍子抜けしたとういう表情のギーシュ、そしてサモンジは少し意表を突かれたという顔をする。
「破壊の杖って、これ?…それはともかく、本物を置いていたって事は…これを見つけて安心して出て来た所を不意打ちする気だったのかなぁ…」
さらにギーシュが驚きの声を上げて入り口のドアの裏を指差す。
「サモンジくん、あれは君が差していた剣じゃないのかい?これもフーケに盗まれていたのか」
見れば、昨日靴箱の上においておいた高速振動剣がドアの脇に立てかけてある。しかし、わざわざこれを盗んだということは……
「よし、破壊の杖を取り戻すっていう目的は完了したんだ。すぐにルイズちゃん達と合流して帰ろう、急いで!」
サモンジはそう言って破壊の杖と剣を取り小屋を飛び出す。破壊の杖を手に取るとルーンが光る―この『破壊の杖』の保存状況は良いらしくまだ使用できることが解る―が、今はどうでもいい。
「早く!急いで合流しないと、やけになったフーケが変な行動をしないとも限らない!」
そう言って走るサモンジにタバサとギーシュが何とか追いつく。
「どういうこと」
「今のでミス・ロングビルは黒確定だよっ。フーケの共犯か、フーケ本人だね」
その言葉に驚きながらも、どうしてそんな結論に至ったのか問いただそうとするタバサだったが、その言葉を発することはできなかった。
「あっちゃー、間に合わなかったか。先を越されたね…何とかルイズちゃんとキュルケちゃんの無事を確認して合流するよ!」
サモンジの言葉に我を取り戻して再び駆け出す3人。その先、馬車を置いてきた入り口付近の森の中から、30メイル近い大きさのゴーレムが立ち上がろうとしていた。
以上で投下終了です。
今回はダバサとかの誤字は無いはず…
お久しぶりです。
大分間を挟んでしまいましたが、
進路クリアならば、2:00から、
ゼロの黒騎士第十一回を投下したいと思います。
よろしいでしょうか?
支援
「見て、ノワール! アルビオンよ!」
まるで我がことを自慢するかのように、甲板上のルイズはノワールを振り返った。
何処までも広がる雲海に、黒々とした大きな影が落ちる。
見上げれば、目を疑うような光景。
雲の切れ間から覗くその大地は、確かに空中に浮かんでいた。
“空”に向かって流れ落ちる幾本もの河の流れが、濃密な雲を形成し、
その大地の下半分を覆い隠している。
アルビオン。
その国土は、ハルケギニア上空と海洋上を周遊する浮遊大陸である。
常に雲を纏うその姿から、別名を『白の国』という。
「ルイズ、ここに居たのか」
眩しそうに目を眇めるルイズの後ろから、声がかけられる。
振り返る眼差しの先には、マントに羽帽子姿の青年貴族――ワルド――の姿があった。
どうやら、船室にルイズの姿がない事に気づいて、探しに来たらしい。
まだ早朝と言っても差し支えのない時刻。
その上、昨夜の騒動でさして睡眠時間が取れたとも思えないにもかかわらず、
俊英の呼び声も高い(元)魔法衛士隊隊長は、そんな様子をまるでうかがわせない。
「ごめんなさい、ワルド。もうすぐアルビオンが見えるって聞いたから、思わず」
対するルイズは、目の下にうっすらと隈が見える。
気遣わしげにワルドは訊ねる。
「眠れなかったのかい?」
わずかな逡巡の後に、ルイズは頷くと、そっと視線をラ・ロシェールの街の方向に投げかけた。
「タバサとギーシュとキュ……じゃない、タバサとギーシュ、無事かしら」
常々、先祖累々の仇敵と公言しているキュルケの心配なんてしてないんですよー、とばかりに誤魔化すルイズ。
そんな婚約者の様子に笑みをこぼすと、ワルドもまたラ・ロシェールの方角に眼差しを向けた。
まるでそうすればあの町並みが見えるとでも言うように、目を細める。
「大丈夫だろう。
確かにあのサイズのゴーレムの制圧能力は驚異的だが、三騎の竜騎士に抵抗できるとは思えないな。
となれば、問題は竜騎士が辿りつくまであの三人が無事かどうかだが、
ギーシュ君は兎も角、トライアングルメイジが二人いたんだ。
あれだけの短時間で易々と制圧はされないさ」
「そう……」
「それよりも」
そう言って、ワルドはルイズに向き直る。
「僕たちは僕たち自身の心配をした方が良い。
スカボローの港から、ニューカッスルまで丸一日。
その間、反乱軍の戦線を突破する事になる。
その際に奴らがどう出るかだが……」
昼は兎も角、夜は危険だな、と続くはずだった言葉は、
しかし、鐘楼から張り上げられる、急を告げる声にかき消された。
「右舷上方の雲中より、船が接近!」
甲板で作業していた船員達が、一斉に見張りが言う方向を見上げる。
雲間から悠然と下降してくるのは、『マリー・ガラント号』よりも、一回りは確実に大きい船体。
その舷側に開いた穴からは、大砲の筒先が覗き、威嚇するようにこちらに向いているのが分かる。
「反乱勢……貴族派の船かしら?」
「或いは、空賊か」
にわかに慌しく船員たちが動き回る中で、むしろのんびりとした空気さえ漂わせている二人と一匹。
危機感が無いわけではない。ルイズは兎も角、ワルドはそこまで頭が悪いわけではない。
ただ単に、船員としての技術を持たない二人(と一匹)はこの期に及んで出来ることが何もないだけである。
何も出来ないならば、せめて邪魔にならないように隅で大人しくしている分別くらいは持ち合わせている。
「これは……どうやら逃げ切れないな。
向こうの方が船足が速い」
「ワルド、貴方なら何か手伝えないの?」
「船を浮かべるので、魔法は打ち止めでね。
僕としては、船長達の奮闘に期待しているんだが……」
そうこういっている間にも、威嚇射撃なのか、雲の彼方に砲弾が打ち込まれる。
その轟音を合図にしたかのように、『マリー・ガラント』号の船足が見る見るうちに緩まっていった。
「裏帆を打った……船長も諦めたか」
ポツリと呟くワルドを、ノワールがじっと見つめていた。
時を少し遡る。
ラ・ロシェールの街、半壊した『女神の杵』亭。
見通しが随分良くなった酒場兼ホールには、竜騎士隊の三人と、
キュルケ、ギーシュ、タバサが向かい合って座っている。
「つまり、ワルド子爵とラ・ヴァリエール嬢はすでにアルビオンに向かった、と?」
竜騎士隊の隊長の言葉にキュルケは頷く。
「ええ。その通りよ。
これで事情は全部話したのですけど」
もうよろしいかしら? と告げるよりも先に、隊長は片手を挙げてキュルケを制する。
「後一つだけ、聞かせて欲しい」
急いでいるのよ! という言葉を飲み込むと、キュルケは艶やかに微笑んだ。
傍で見ていたギーシュが思わず見とれるほど華のある笑顔。
だが、タバサは知っている。
彼女の一番の友人は、怒りを抑えるために、時として笑顔を浮かべるのだ、と。
そんなキュルケの気持ちを知ってか知らずか、内心の窺えない淡々とした調子で隊長は続ける。
「いや、簡単な事だよ。
君たちはラ・ヴァリエール嬢の学友という事だったが、彼女を追ってアルビオンへ向かうつもりのかな?」
答えを返すまでの一瞬の躊躇いは、質問の意図が読めなかったからだ。
「……もし仮に、そのつもりだと答えたら、どうなさるおつもりかしら?」
意図が読めないので、思いつく中で最悪の展開を想定する。
彼らの目的はワルド子爵とその“同行者”の“保護”。
つまり、一応とはいえ同行者であるキュルケたちは、最悪この場で強引に捕縛される可能性があるという事。
覚悟を決めて、さり気なく髪を掻きあげた。
豊かな胸の谷間に潜ませた杖を、即座に引き抜けるように。
心持ち呼吸が浅く速くなる。
もしも、相手が引き止めるようならば、この場で一戦交わしてでも、アルビオンへ向かう。
これはルイズを助けるためなんかじゃない。
出し抜かれたまま引き下がるなんて、誇り高きフォン・ツェルプストーの名が許さない。
隊長は、考え込むように顎に手をやった。
何のことは無い仕草だ、単なるポーズだと、キュルケは自分に言い聞かせる。
が、黙考というには鋭すぎるその眼差しに、こちらが観察されているような気がしてならない。
心の底まで見透かされているのではないかと言う恐怖。
ホンの僅かな時間だというのに、掌がじっとりと汗ばむ。
唇の端が引きつっているような気がして気になって仕方がない。
長い長い一瞬の間の後、隊長は口を開いた。
「なるほどね。
最近は、アルビオンも随分荒れていると聞く。
要らぬ心配だろうが、重々気をつけたまえ」
心の中で、ホッと一息つく。
「貴重なご忠告、感謝いたしますわ」
それでは、御機嫌よう、と言って立ち上がろうとするキュルケたちを、隊長が手で制する。
まだ話を聞いていけという仕草。
無視して背を向けようとするキュルケのマントの裾を、タバサが引っ張った。
「これは独り言なのだが、最近は本当にこの辺りの空も物騒でね。
アルビオンへ向かう船を狙った空賊が出るそうだ。
まあ、船団も組まずに一隻でアルビオンへ向かう商船など、良い鴨だな。
まして、他の船が通りすがる心配の無い時間に、となれば尚更だろう」
「……ちょっと、それって」
「私は独り言を言っているだけだが?
話は変わるが、アルビオンの王党派は、十重二十重の重囲に対して、ニューカッスルに篭城の構えだそうだ。
ニューカッスルは決して大きな城砦と言うわけではないのだが、物資の尽きる気配もないとか。
さて、何処から仕入れているのだろうな。
確かにニューカッスルは、雲の下に港を隠しているという噂だが、
まさかそこに商船を呼ぶ訳にもいくまい……」
そんな技量を持つ商船などあるわけがないし、
そもそも秘密保持という点から見ても論外だ、と虚空に向かって呟く。
意外な成り行きに声にならないキュルケに変わって、タバサが問いかけた。
「目的地とすべきは、スカボローではなくニューカッスル」
その言葉に、隊長は大仰に肩をすくめて見せる。
眉を上げて、何を言っているのか分からないとでも言いたげな表情で。
「さてさて、私は独り言を言っただけだよ。
少々地声が大きいから、誰かに聞こえてしまったかもしれないがね。
そして、その誰かが何をしようと、我々は知ったことじゃあない。
さて、失礼する。
ワルド子爵に追いつけなかった事を、上に報告しに戻らなければいけないのでね」
会見は終わりだとばかりに、隊長以下竜騎士の面々は椅子から立ち上がると、
振り向きもせずに入り口へ向かって歩いていく。
その背中に向かって、キュルケはスカートの裾をつまんで優雅に一礼した。
心からの感謝の気持ちを込めて。
空賊船の船倉。
薄暗く、埃っぽく、小さな窓の他に明かりと言えば、古ぼけたランプが一つ吊るされるだけ。
酒樽や小麦袋、火薬樽、果ては大砲の弾丸までもが雑然と置かれたその場所に、
不似合いな可愛らしい寝息が流れていた。
そこには、片隅で寝そべるノワールに顔を埋めるようにして寝こけるルイズの姿がある。
『マリー・ガラント』号が拿捕された後、身代金目的の人質として、ワルドと一緒に押し込まれていたのだった。
勿論、最初からずっと寝ていたわけではない。それは違う。ルイズとてそこまで脳天気ではない。
ワルド共々杖を取り上げられた上で船倉へ移された直後は、一頻りドアを叩き大声をあげて抗議していたのだ。
が、しかし、今までずっと圧し掛かっていた、重要な任務を任されたという緊張感に、慣れない旅の疲れが重なり、
その上、昨晩の徹夜が響くという悪条件下で最後に残った体力の一滴まで使い果たしてしまったルイズは、
程なくして扉にずるずるともたれかかる様にトーンダウン。
今にもぶっ倒れそうな様子のルイズを見るに見かねたワルドが、少し休むように薦めたところ、
暫くは渋っていたのだが、疲れと眠気には勝てず、少しだけと断った上で、
空賊船が宙返りをしても起きそうにない程深い眠りについた。
そして、今に至る。
ノワールは寝た振りをしながら、耳と鼻で辺りを警戒している。
ワルドはそんな一人と一匹の姿を何処か楽しそうに眺めていた。
だが、ドアを開ける荒々しい音で、静寂は唐突に破られた。
戸口には、スープ皿を持った太った男の姿。
驚いたとでもいうように、口笛を鳴らす。
「怖くて泣いてるんじゃないかと思ったんだが、どうしてどうして、肝っ玉の太いお嬢ちゃんだ。
静かになったってんで飯を持ってきたんだが、こりゃあ暫く必要なさそうだな」
おもむろに立ち上がったワルドが答える。
「その辺りに置いてくれれば、この子が起きた後にでも食べるさ」
「おいおい、仮にも客人に冷めたもん食わすわけにもいかねぇだろうが。
まあ、嬢ちゃんが起きたら見張りに言いな。暖めて持ってきてやるよ」
「それは助かる」
太った男がぽりぽりと頬を掻いた。
どうやら感謝されて照れているらしい。
「ま、こっちも聞きたい事が色々あるしな。
あんたに聞いてもいいんだが、この嬢ちゃんから聞き出した方が楽そうだ」
それよりも、と少々不器用に話題を変える。
船倉の隅で丸まっているノワールとルイズに視線をやりながら。
「その犬、嬢ちゃんの使い魔って話だったが、大人しいもんだな。
さっきは肝を冷やしたぜ。その犬と離されるくらいなら飛び降りるー、とか騒いでよ。
これだけ大人しいって知ってりゃ、俺らだってあんな事は言わなかったんだけどな」
「あまりノワールを甘く見ないほうがいい。
ルイズ……主に害を為すと判断されれば、躊躇することなく牙を剥くぞ」
ワルドの声の調子が心持ち低く、抑えたものになる。
まるで何かをその内側に覆い隠そうとでもするように。
「ま、ようは嬢ちゃんに手を出さなきゃ構わんわけだろう?
安心しろよ、うちの連中はそこまで女に飢えちゃいねーって」
それに気づかぬまま、太っちょは言葉を返す。
ワルドが再び口を開いたとき、そこからは、
先ほど見え隠れした朧な影とでも言うべき暗い調子が綺麗に拭い取られていた。
「ま、そうだろうね。僕も心配はしていないよ。
仮にも誇り高きアルビオン王立空軍が、婦女子に不埒な行いをするとは思えない」
さり気ない一言にその場の空気が一変する。
開け放たれた扉の向こうには、柄に手をやり、こちらに踏み込まんとする見張りの姿。
「……何を言ってるんだかわからねぇな。
俺たちが、何だって?」
だが、緊迫した雰囲気に気が付かないとでも言うように、淡々とワルドは続ける。
「アルビオン王立空軍、さ。
とはいえ、その名を冠する軍隊は今や君たちと、この船一隻だけだろうけどね」
「……おい、貴様」
「君たちの頭領に話がある。
いや、こう言い直した方が良いかな?」
「おいっ!」
まるで世間話でもするように、気軽な調子で言葉の爆弾を投げ込んだ。
「アルビオン王国皇太子ウェールズ・チューダー殿下に話がある、とね」
有能だなワルド、悪だけど支援
以上、ゼロの黒騎士第十一回をお送りしました。
これからは投下のペースを元に戻せると思うので、
もう暫くお付き合いいただければ幸いです。
それではまた。
投下おつかれです。
登場人物が皆有能でいて一癖あって好きだわぁ
>ゼロの独立愚連隊
サモンジのキャラがいいですなぁ。
ライフルや振動剣などのアイテムもワクワクさせられるし、原作に興味がわきます。
GJ
おお、久しぶりに黒騎士が来てる!
GJです。
ノワールかえってきたああああああああ
わんこ!わんこ!わんこ!わんこ!わんこ!(ry
ラピュタを目指す一行が嵐抜けたらアルビオンだったら混乱するかなぁ
761 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 07:34:28 ID:AltJc00X
>>760 とりあえず財宝と風のルビーを頂くんじゃね?
で、バルス
ラピュタのロボット召喚したらコルベール先生が知的興奮のあまりぶっ倒れそうだな。
お前等、ルイズがシータみたいな素直で可愛い健気なキャラだとでもおもってるのか?
ルイズにシータ役をやれると思うなら、SS書いてみぃ
俺には、どうしても空賊のママなキャラだとしか思えんw
Θがいい子すぎてルイズしょぼーん
「あんた誰?」
「トオゥトオゥ、ルオオオオオオオオオ!!」
>>763 最近の俺のロボットブームはジェフティなんですよ。
コルベール先生が脳溢血で死にそうだな。
といってもゼロ魔では完全にオーバースペックだから
一発ネタにもならんが……
もうすぐ100スレ目だけど50スレ目の時みたいになんかイベントやるの?
770 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 10:50:20 ID:Z8RNqk1q
ADA召喚されたのが有ったよね^^
再開期待っすよ♪
>>768.770
マジで?
ちょっと見てくるわ。
お〜、本当だ。最終更新がもう半年近く前になるのな。
hitmanとのSSを書いている者です。
やっと規制が解除されたようですので、これから続きを投下したいと思います。
第三話 青銅たる者とワルツを
突然、自分の使い魔があのギーシュと決闘をする。そんな話を耳にしたルイズは、今までになく怒り心頭と言った様子で47に詰め寄る。
そして、次々に暴言を彼に浴びせた。馬鹿、阿呆、身の程しらず、唐変木等、とても一貴族と名乗る彼女が口にしないであろうものまで含まれていた。
だが、47は何時にも増して平静であった。そして、ああ、と時折頷くのみ。
「さっきも言った。魔法など、手段の一つでしかない」
やがて、ルイズの言葉に勢いがなくなった時、47は彼女のまで己の手の平を広げてみせた。ルイズは何事かと後ろずさるが、47はそれすら無視して己の言葉を紡ぎだす。
「例えばの話だ。ある目的を果たす為の手段が五つあるとする。その内の一つが、魔法だ。
しかし、魔法を使えない者はその手段の一つを初めから失っている事になる。では、魔法を使えない者はどうすれば目的を果たせるだろう」
言いながら広げた手の平の内、親指のみを折り畳む。
その眼差しは、やはり、冷たく静かであったが、その奥に揺るぎない何かがある事にルイズは気づく。だが、それでも47の出した質問の真意が分からない。
頭に血が上っているせいもあるのか、兎に角質問の内容のみが彼女の頭をぐるぐる巡るだけだ。
「……残りの四つの手段を駆使する」
すると、別の声が短く応えた。47に似た、物静かな声だ。二人は、揃ってその方向に顔を向ける。
47は、声の主に見覚えがあった。ほんの少し前に、ルイズに話しかけていた少女の隣に居た、青髪の小柄な少女だ。
やや間を置いて、その少女はタバサと名乗り、47の表情を覗き込む様に眺める。
そうだ。47もまた、短く言う。それは、最早呟きにも似ていたが、側にいたルイズの耳にも届いた。だが、ルイズはそれでも首を傾げる。47の言わんとするところが分からないらしい。
「あらあら、素敵なおじ様が素敵な事をおっしゃっているのに、やはりゼロのルイズだなんて呼ばれるだけあるわね」
今度は、タバサとは真逆の、極めて明朗な声があがった。いや、寧ろ嫌みともとれるその発言に、ルイズはあっという間に顔を赤くさせる。
だが、そんな声を上げた、キュルケと名乗った紅の髪をした少女はルイズに全くの興味を示さず、47に近づく。そして、タバサがしたと同じ様に彼の顔を覗いた。
「ふふ、近くで見ると、もっと素敵ね。ミスタ47」
うっすらと、キュルケは笑みを浮かべる。ルイズや、タバサとは年は変わらない筈だが、その笑みには妖艶さがあった。相手を魅了する笑みがあった。
しかし、そうであっても47にとっては子供だましでしかない。ただ時折頷くに留まる。こっち側、に来てくれないと悟ったのか、キュルケは肩を竦めた。
「相手は、ギーシュは土の魔法使い。貴方は、魔法を使えない。どうするつもり……」
一瞬、間が空いた。その隙間を縫う様に、タバサが今度は47に尋ねる。
決闘という名の茶番の相手が、ギーシュという名である事に、47はこの時初めて知る。同時に、土の魔法使いであるという事も。
しかしながら、47には絶対の確信があった。
先刻、彼と話をした時、彼の中にあったのは虚栄心ばかりだった。恐らく、貴族の名に違わず、家名というものに拘りすぎているのだろう。
故に、元来血腥くなる筈の決闘を行う者にとって、重要かつ必須なものが欠けていた。
暗殺支援 ……ゴメン嘘ギーシュ死なないで
殺意、である。
多分に、あのギーシュという少年は、47という暗殺者を愚かしい程に侮っている。無論、それは47が自身の素性を明かしていないからこそなのだろうが。
「手段は、幾らでもある」
そう呟き、近くのテーブルから、スプーンとフォークを一本ずつ手にする。そして、側にあったナプキンにカップに注がれた紅茶を垂らした。
スプーンとフォークは懐に、そして濡れたナプキンは小さく畳んで手の中に隠す様に入れる。
それから、歩き始める。まるで、これで準備が整ったと言わんばかりに悠然と。
この行動には、三人とも固まった。彼が手にした得物は、どれもほんの数十分前まで自分達の使っていた、茶菓子や、紅茶を味わい、貴族としての品格を保つ為の道具に間違いない。
それを、彼はあろうことか決闘の武器として使おうというのだ。
だが、何故か三人は彼を止められなかった。余りの常識はずれに、逆に彼を恐れてしまったかの様に。
47は、黙って決闘の場となる、広場で最も開けた場所に足を踏みいれる。皮肉にもそこは彼の召喚された場所であった。
既に、相手は何時でも闘えると言った様子で、手にしていたバラを翳す。彼の後ろでは、幾人かの女性とが甘い声を上げていた。
茶番にも程がある。47は憤りを通り越して、彼を哀れにすら思う。
くぃ、と何者かが47の右手を引っ張った。振り向くと、其処には息を切らし、まだ涙目を浮かべていたシェスタが居た。
すみません、彼女は47の顔を見るや否や、何度も頭を下げて繰り返しこの言葉を言った。そして、紅茶を間違えたのではなく、彼の落とした香水を渡そうとしたところ、何故か逆上されてしまったのだと告げた。
そして、だから貴方は悪くない。私が謝ればそれで本当は済む筈だった、と付け加えた。
「こうなってしまっては、もう仕方が無いだろう。俺が決闘に臨めば、それで済む」
47は言う。しかし、シェスタの顔にはまだ不安と、懺悔の感情がはっきりと浮かんでいた。既に47と、ギーシュを囲む様に生徒が円陣を組んでいる。今さら引く事は出来ないだろう。
「ふ、逃げずに来たのは褒めよう使い魔くん」
その円陣の中に入るや否や、ギーシュは嫌味ったらしく口角を上げた。
「だが、魔法を使え」「勝敗はどうやって決するのだ」
続けて何かを言おうとしたギーシュに、47はそれすら遮り質問する。不快に思ったのか、ギーシュは眉をひそめながら、手にしていた薔薇を47に向けた。
「本来ならば、決闘というのは互いの命をかけて行うものだ。しかし、今回は特別に、相手を戦闘不能にさせるか、降参させるか。そのどちらかで決着という事にしよう」
そして、身を軽く翻しながらそんな言葉を吐く。
彼の後方では一層の黄色い声が響いていたが、47は最早意に介する事も無く、黙って頷くと一歩歩み寄った。途端に、今度は後ろから少年達の声が耳に入ってくる。随分と興奮しているように聞こえる。
それは、もうルイズの言った、貴族としての心のゆとりという者は微塵も感じられない。やはり、彼らもまたこの決闘を、ゼロのルイズの召喚した使い魔が、ギーシュという魔法使いにめった打ちにされる、という光景ばかりを想像しているのだろう。
47が歩み寄り、一瞬間を置いてからギーシュはもう片方の手で杖を掲げて、何かを呟き始めた。すると、47の周囲の土が盛り上がり、彼を取り囲む様に甲冑の様な鎧が姿を現す。
「言い遅れたね。僕の二つ名は青銅。それは僕の召喚したゴーレムだ。まあ、せいぜいワルツでも踊ってくれたまえ」
遠くで、高笑いと共にギーシュの声が聞こえた。
彼が、ゴーレムだと言った青銅の甲冑は、じりじりと47に詰め寄る。手には、太い西洋剣が握られている。恐らく大きく振りかぶって斬りつけるつもりなのだろう。そうなれば、幾ら47とは言え大怪我は免れない。
だが、47は、彼らを無視して歩く。まるで、最初から円陣の中には47と、ギーシュしかいないかの様に。
これに驚いたのは、ギーシュ本人だ。既に剣の間合いに47は入っている。後は、指示を出せば一斉に彼を斬りつけられる。今回召喚したのは六体。即ち、六本の剣に睨まれている筈だ。にも関わらず、47はギーシュの方に向かってくる。
47と、ギーシュの目が合った。刹那、ギーシュは今まで感じた事の無い、重たく、冷たい感覚が自身を支配しているのだと気づく。
だが、ギーシュ本人が、後ずさりしつつあるのだと気づいたのは、それから暫くたってからだった。
支援支援
47−!お帰り支援!
自分の47はMr.ハヤモトの城が突破できないアレな奴だけど、この47には期待するよ。
周囲で決闘を見守る生徒達は、この奇怪な光景に我が目を疑う。
一見、圧倒しているかに見えたギーシュが、只黙って近づいてくる男に恐れおののき後ずさりしている。
「な、舐めるな!」
その視線に不快感をあらわにしたギーシュは、慌ててゴーレム達に指示を出す。
ここで、ようやく47を取り囲んでいたゴーレム達は、己の手にしていた西洋剣を振り上げ眼前を悠然と進む男に肉薄する。
それでも、47の歩む方向に変化は無かった。真っすぐ、哀れな少年を視界にとらえたまま、何ら速度を変える事も無く歩く。
ギーシュが恐れを抱く程に。
ギーシュの目に、微かに涙が浮かぶ。直後、粉塵が舞い上がった。ゴーレムが一斉に剣を47目掛け、一斉に振り下ろしたのだ。
余りの勢いに、完全にその周囲が視認出来なくなる。ギーシュが密かにガッツポーズを取ったのを他所に、周囲の盛り上がりはなお一層のものとなり、歓声すらあがった。
「47!」
ルイズは、悲鳴を上げる。しかし、それは歓声の中に直ぐにかき消される。
少しでも、使い魔に期待をした自分が馬鹿だったと己の浅はかさ呪った。
何が、魔法は手段の一つにしか過ぎない、だ。自分は、残りの手段を行使する前に魔法によって蹂躙されてしまったではないか。
只、使い魔をいたぶられたからだけではない。自分でも不思議なくらいの怒りが、彼女の中でこみ上げる。
或は、彼に期待をしていたのかも知れないと想像して、ルイズは首を横に振る。
「大丈夫、まだやられていない」
隣に居たタバサが、誰に言うでも無く呟いた。ルイズの耳に彼女の言葉が入ったのは、偶然に等しかった。
ルイズは、一瞬視線をタバサの方に移し、直後に沸き上がった、また別の歓声に驚き顔を上げた。
47が、何事も無かったかの様に、そこに立っていた。多少、服に砂埃がついたようであったが、何処にも破れは見当たらなく、無傷のままで立っていた。
ゴーレム達の西洋剣は、彼の足下近くの土に突き刺さり、盛り上げさせるだけに留まっている。
即ち、ゴーレム達の攻撃は、全てかわされ、何ら攻撃を加えるに至らなかったという事になる。
これに最も度肝を抜かれたのは、ギーシュの他におらず、ガッツポーズから一変して、青ざめた表情を浮かべている。
グラモン家は、軍人の家であり、ギーシュの父は元帥として戦場でそれなりの活躍をおさめていた。
無論、そんな父の息子として生まれたギーシュは、少なからず父に憧れを抱き、兵法を独学で学ぶ事もあった。そして、今回も、その兵法を存分に用いて闘っていた、筈だった。
しかし、一体の敵を、集中して叩くという彼の中での戦術の基本が、彼の中で音を立てて崩れていく。
何故、集中攻撃した筈の男が立っているのか、そして、意に介した様子も無くこちらに向かってやや足早に歩いてくるのか。
ギーシュの中で様々な思案が恐るべき早さで動き、其の早さ故に思考を停止させる。
47は、狼狽を超え、狂気にまみれた少年を今一度哀れむ。別段、ゴーレム達が西洋剣を振り下ろした時、彼は変わった行動をとった覚えは無かった。
ギーシュの訓練不足なのか、彼らの動きはとにかく一定だったのだ。47にとって、瞼を閉じても避けられると豪語出来る程に。何時の間にか周囲の歓声は止んでいた。
誰一人声を上げる者はいない。時折、ギーシュが何かを呟いているようだったが、それが何かを理解出来る者は居ない。
やがて、後一歩、大きく踏み込めば47の拳が届く距離まで二人の距離は狭まる。必然的に、二人の目が合った。
ギーシュが、言葉に鳴らない、悲鳴のような音を喉の奥から出した。同時に、せめてもう一度指示を出そうかと手にしていた杖を高く上げる。
だが、此処まで来て、そんな行動を47は許しはしなかった。懐から素早くスプーンを抜き出すと、ギーシュの手元目掛けて投げつける。
「あぁ……?!」
スプーンは正確に彼の手元に当たり、その拍子でギーシュの動きが一瞬止まる。47が駆けたのと、ほぼ同時だった。ギーシュは杖がまだ手元にある事を確かめると、急ぎ、呪文詠唱を行う。
ああ、サイトよりは警戒してるのか支援
だが、出来ない。何者かに後ろから羽交い締めにされた上に口を塞がれ、身動きが全く取れなくなってしまった。
首元に、鋭く、冷たい感覚が走る。首すら動かせない為に、それが何かまで判別出来なかったが、鋭利な刃物である事は間違いなかった。
「良い事を教えてやろう」
そして、後ろから47が囁く。
一瞬、ギーシュの動きが止まった隙を狙い、一気に駆け寄り彼を後ろから拘束した47は、次いでナイフを取り出し、彼の首に突きつけていたのだ。
最も、全身を恐怖に震わせるギーシュに取っては、彼の一連の行動を予想しうるだけの余裕はもうないだろう。
「人間は、自分の血液を三分の一失えば死ぬ」
更に47はこう続けて、ナイフを首に当てたまま引いた。あくまで、傷をつけないよう軽く引いたのだが、ギーシュは泡を若干吹きながら狼狽し始める。
47は、更に止めと言わんばかりによく濡れたナプキンを取り出し、片手で絞る。自然と、中に溜まっていた水分が絞り出され、それがギーシュの首を、丁度ナイフを当てた辺りを伝い始めた。
ここで、ようやく47は彼を解放した。彼の背中を軽く押してやる。それだけで、彼は目の前を転げ回る。
しきりに何かを叫んでいるようだったが、言葉の形をしておらず、周囲の観客は困り果てるだけだった。
しかし、その異常さに気づくのに然程時間はかからなかった。何故、目の前の色男は、首から血など流していないのにこれほどまで首元を抑え、助けを求めているのか。
ギーシュ本人は、首元にナイフを突きつけられた事、ナプキンを絞って、垂れた水分が自身の首元を伝っている事に気づいていない。
恐怖に飲み込まれてしまい、本当にナイフで首を切られ、血が溢れ出していると思い込んでいたのだ。
だから、ギーシュと周囲の人間とで認識の違いが出るのは当然だった。それが、この異常な光景の一因となっていた。
とは言え、ギーシュにとっては死ぬか生きるかの瀬戸際だった。首の傷を確認する精神的余裕すら無く、只管に生きる術ばかりを模索する。
瞬時に、治癒を得意とする水の魔法を使えるものがいれば助かる筈だと考える。運のいい事に、彼はその人間を知っていた。
ついさっきまで、仲良くテーブルを囲んでいた少女、モンモラシーだ。
地を這いずり回りながら、ギーシュは探す。彼女は、円陣のやや外側に居た。一直線にギーシュは彼女に近づき、助けを請う。
「貴方のせいで、貴族としての品格が傷つきましたわ」
だが、髪を大きなリボンで結わえたその少女は、丁寧な言葉で彼を突き放す。ギーシュの顔が、尚絶望に歪んだ。
それでも、ギーシュは彼女に助けを求める。許してくれ、と時折謝罪の言葉を交えながら。
「頼むよぅ愛しのモンモラシー……。僕は今、こんなになって、やっと分かったんだぁ……、僕には、僕には君しか居ないんだ。
頼むよ、助けておくれよ……。もう、他の娘に目移りなんかしないから、さあ」
もう、其処に色男の余裕は無い。
観客の声も、彼に対する侮蔑のものへと変化しつつあった。
そんな中、暫く考え込んでいたモンモラシーは、二度頷いた後に彼の首に手を当てて魔法を唱え始める。柔らかい光が、彼を包む。
その時の彼の表情は、今までになく安堵に包まれていたらしい。しかし、既に興ざめしていた47は、地を這う少年の事など視線に入れる事すら無く円陣の外へと足を向けた。
結局、この決闘はギーシュの戦闘放棄という形で一応の結末を迎える事となる。
後半の真相など彼が知る由もなく、土のメイジらしく、最後は地を這って闘った色男と言う誤解を受けたまま。しかし、険悪ムードと成っていたモンモラシーとの仲を回復させるに至った。
情報漏洩を防ぐためにwinnyのアップデートさせろよ。
逮捕した手前だの面子がどうとかいって一番適切な解決策をとらないのは愚の骨頂だろ。
以上です。
なんだか原作の47とちょっと違って来ているかなと思いつつ。
彼らしく、ボコボコにするでもないやりかたでギーシュと闘わせました。
それでは。
こいつは怖い
恐怖って奴を理解してる男のやり口だな
つーか自分がやられたらと思うとギーシュを笑うことは出来ないな
GJ
傍から見る方としては喜劇だが、やられる方としちゃ本当にたまったもんじゃないな
GJ!
GJ
暗殺者って怖いな
原作しらないんだが原作もこんな感じなんだろうか
必殺仕事人に憧れてワイヤー片手に蜂の巣にされたり、
孤高のスナイパーを気取ろうとして蜂の巣にされたり、
俺はランボーだ!とばかりに大量の武器とともに蜂の巣にされたりと、
実にさまざまな47の姿が見れます。
俺の47は、警備システムを止めようとして発電機に発砲したら、発電機が爆発して爆死したよ
乙!
ザ・フィアーもびっくりの人間心理をついた戦術、お見事……!
自分も実際の立場におかれたら錯覚しそうだからギーシュを笑えねぇわ。
>>787,788
何でお前らは俺の購買意欲を掻き立てるようなことを書くんだw
大往生を競うゲーム?
>791
一応、ミッションクリア型のスニーキング物。
でも最初は敵の配置や地図、移動パターンがわからないので、サイレンサー付ベレッタで出会い頭に射殺しまくって強行突破とかになる。
クリア後に評価と称号が出る。最高の称号は「サイレントアサッシン」。気付かれずに、ほぼ標的のみ殺害した場合の評価ね。
俺の47は、「アイスマン」と「天然」、あと「まさかり男」の常連。
>>792 潜入モノか。
サプレッサーがへたれたり、麻酔銃とかあったり、
狙いをつけにくかったり、弾足りなくなったりしない?
サプレッサーはへたれないけど、1ミッションで2発(かな?)発砲するとサイレントアサッシンの称号は取れなくなる。
麻酔は、銃じゃなくて布にしみこませての近接武器ね。気付かれると使えないし、そのうち起きる。
弾は敵の使ってる武器を拾って使えばまず切れない。狙いはぼちぼち。
サイレントアサシンの称号狙いじゃなければ、難易度は激烈に低下するよ。
>>794 なるほど、最高称号のためにはターゲットのみを
ワンショットワンキルってわけね。サンクス。
ルイズがネイティを召喚するのを書いてみたいのう。
他にもミョズはヤミラミ、ヴィンはマグカルゴと、名を憚られるのはゴローニャと
ブリミルは人選を誤ったとしか云いようのない連中で。
しかしこれだとポケモン板の方が良いかな。
>>796 カモネギとかの方がよくないか?ネイティ武器を持つどころか、1頭身だし
それでもトゥートゥーならきっとなんとかしてくれる…と思う
ルイズがエステル・ブライトを・・・・
いや、やめよう
ルイズがミ○キーマウスを召喚…
エステルは人の範疇を超えてないし、出すなら一人で軍隊を相手に出来るヨシュアのがいいかな…といいつつFCしかやってない人。
一人で軍隊を相手に、という部分で「一人対一城」の勝負を挑む将軍様を思い出したり。
「忍びではない、将軍だ!」
すでにその場所は通過している。
>>800 保管庫にいって「ゼロのm(ry 」を……
いや、なんでもない。忘れてくれ
>>801 ヨシュアの本気+ガンダールブとかバランスブレイカーにもほどがあるだろう
持ち込んだオーブメントとクォーツの種類によっては誰でも同じ事になりそうだが
491KBなんで次スレ建ててみるよ
でもキャラの深さと言うか書いてて楽しいのはヨシュアだろうなとは思う
>>795 毒殺という手も一部ではある
撃ち殺すだけが暗殺の方法じゃないと思うわけだし
自殺に・・・見せかけたりは出来ないか。
ヨシュアだとファーストキスがえらいことに…
500なら葦原涼召喚してウォオオオオオオオオオオオオ!!
>>797-798 トゥートゥー。
他のキャラもポケモン召喚したりとか考えてる。
キュルケにロコン、モンモンにタッツーでギーシュにフカマル(ドラゴングループなのでタマゴが見つかる)とか
大人キャラもコッパゲの使い魔がウインディ、メンヌヴィルの使い魔がヘルガーとか。
タバサにピカチュウ、イザベラにピッピとか。
>>812 フカマル→ガバイト→ガブリアス的に考えてギーシュにはもったいな……元からか
ピッピはピッピでもコロコロあたりで連載されたポケモンのピッピを召喚した
なんて事はないよな?
そんな事になったらイザベラが可哀想すぎるぜ
のび太を召喚して
のび太を探しにきたドラと一緒に
のび太のルーンを消すためにタイムマシンで6000年前のハルケギニアへルイズが向かう
『ドラえもん のび太と始まりの(ゼロ)の使い魔』
を勢いで書きはじめたが、アニメしか見てない身にはあまりにも荷が重かったぜ……
ETUの達海猛を召還して、ハルケギニアにフットボールを伝えるのはどーよ
空の軌跡ならジョゼット……というかカプア空賊団召喚希望
山猫号VSイーグル号とか見てみたいw
>>813 地面タイプなのと、進化が遅いから暫くはカワイイだけの大飯喰らいでいいかなと思うんだが。
>>814 何言ってるんですか。タバサとイザベラが従姉妹同士なんだし………。
両方ユキワラシでも良いかなとも思うけど。
エステル召喚したらいつの間にかハルケギニアに遊撃士協会ができてそうな気がするw
ギーシュならイシツブテ召喚で良いと思うんだ……
マチルダ姉さんはハガネール辺りでさ。
前雑談で出たレッド召喚だけどデオを利用すれば行けそうな気がするんだがキツいかね
500なら第38代目地球勇者カーチス(プリニー)召喚
ルイズが失敗魔法使うたびに誘爆したり、幽霊みたいなものと知ってタバサ涙目になったりw
>>814 ヤロー…
あのピッピは耐久力、生命力がクソ高い上に、有り得ない技を覚えてたりもの凄まじいずる賢い搦め手使ったりするんだぞ!
まさにイザベラ様にピッタリの使い魔じゃないか!
ピエー!異世界はもうこりごりだっピー!!
500ならボーボボ召喚
タバサの頭が大変な事に!
500なら孫悟空召喚、ただし「悟空道」の方の
プロットはいろいろ練ってるんだが…
500ならヴァンパイアからフォボス召喚
500ならドラクエモンスターズ・プラスからクリオ召喚
500なら終わりのクロニクルから佐山御言召喚
500ならスクールランブルの播磨拳児召喚。
500なら風の谷のナウシカより巨神兵を召喚。
>>822 いとこは賢くて優秀という点も一緒だしな。
とりあえず、ギーシュとモンモンは使い魔のポケモン同士もカップルにしたいんで。
サンドとブイゼルとかかなあ……ブイゼルは背中で女の子だと判別できるし
500ならこーりんをミョズとして召喚。
500ならハイパーレストランから林田ベルメランジェ召喚
500なら俺がなんか書く
500ならラムネス召喚
500kbならアレックス・ナム召喚。
ルイズは「足りぬ!」に至れる方かな?
どうでもいいが林田ベランメルジェだっただと
500なら地球滅亡
500なら海の影月の闇からルナウイルスを召喚。
500kbなら「Holy Brownie」のピオラ&フィオ召喚
・・・引っかき回すだけ引っかき回してさっさと帰っちゃうだろうけど。
500なら宇宙滅亡
500kならルイズの魔法でお前らのちんこ大爆発
危ない!俺とかわれ!
≡ ( `Д)ノ ガッ!
ヘ( `Д)ノ ≡ノ(┐ )─ .';ヾ○ノ ←サイト
≡ ( ┐ノ _ノ
:。; / ノ
500ならデスマスク
500なら11人いる!からフロルを召喚。
傍目には美少女の百合ップルに見えます。
500ならやっぱかかない
500なら乙女座のシャカ
500ならテファがリヴァイアス召喚
もういっそのこと日本まるごと召喚
500Kなら世紀末覇者召喚
500なら桐生蒼子を召喚。
500ならアルファ星ドゥベのジークフリート
500ならリロイ・シュヴァルツァーを召喚
フーケのゴーレムとがっぷり4つに組めるんだぜ
500なら蒲腐博士召喚
・・・お金無いと何も出来ない人だけど。
500kならルイズがキモオタを召還して同棲生活
500ならリヴァイアス召喚
500kならルイズの魔法でお前らのちんこ大爆発
ギコも召喚
500ならアリスソフトから小川健太郎召喚