アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10
なんで私Dボゥイさんと目が合った時、思わず目を逸らしちゃったんだろう?
きっと私の事を心配してくれていたハズなのに……。
一瞬Dボゥイさんの顔が、凄い悲しそうに見えたのは今でも思い出す事が出来る。
でもDボゥイさんは人間じゃない…………。
Dボゥイさんはテッカマンっていうよくわからない存在…………。
Dボゥイさんもあの黄色い人がやってた凄く怖いもの……ボルテッカっていうのを出せるかのかな…………?
なんで…………あんなに優しいDボゥイさんを……私は怖がってるんだろう……………。
Dボゥイさんはいつも私の事を守ってくれたのに…………なんで………?
そんな時シンヤさんが私の方に漫画やアニメでしか見た事がないような剣を私に投げた。
ああ……あれに当たったら私もつかささんやパズーくん、お姉ちゃんの所に行けるのかな?
運動はお世辞にも得意と言えない私は思わずそんな事を思ってしまった。
だって私きっとDボゥイさんに嫌われちゃったから…………シンヤさんの言葉を鵜呑みにしてDボゥイさんを見る目の色を変えてしまったから……。
きっと私はここで死んじゃうんだ…………そう思って私は両目を瞑ってしまった。
だって私にはあの飛んで来る剣を避わす事なんてとても出来そうにはないから。
けど突然私の身体が何かに押され、一瞬だけ宙に浮いた感じがした。
何でだろう…………? そう思って私は恐る恐る眼を開けたの。
そうしたら……そうしたら……そうしたら…………。
「がッ!」
「ふん、よくやるよ……だがそれでこそタカヤ兄さんと言えるのかもしれないな」
Dボゥイさんが私を庇ってくれたの…………。
Dボゥイさんを一瞬でも信じることが出来なくなった私を………。
右肩にあんな剣が刺さってまでもこんな私を…………。
右肩からあんなに痛そうな赤い血を一杯流してまでも私を…………。
私も……私も……私も……私も何かやらなくちゃ…………。
Dボゥイさんがあんなに痛そうな顔をしてるのに……何も出来ないなんて……嫌だ。
だってDボゥイさんは……Dボゥイさんは……Dボゥイさんは!
◇ ◆ ◇
「予想はしてたけど……俺との闘いの為に無茶はやめてくれよな兄さんッ!」
Dボゥイがゆたかを庇う事は薄々感付き、カリバーンを投げた直後から駆け出していたシンヤが叫ぶ。
狙いはDボゥイに必死に寄り添うゆたかではなく、ゆたかを庇い右肩にカリバーンが突き刺さり、地に膝を屈したDボゥイ。
「くっ……シンヤ……」
シンヤの方を振り向き、肩に突き刺さったカリバーンを武器として使用するためにそれの柄にDボゥイが手を掛ける。
だが、シンヤと闘う以前から貧血気味であり、更に血を失ったDボゥイの動きは重い。
「どうせ俺達はテッカマン……化け物である俺達が人間如きを気にする必要はないハズだブレードッ!!」
そんなDボゥイがカリバーンを引き抜く前に、シンヤが十分に距離を詰める。
更にシンヤの手にはDボゥイに近づく途中で拾い上げたテックランサーがしっかりと握られている。
体制が前かがみ気味になっていたDボゥイの隙だらけの腹に斜め方向から右足を叩き込む。
そのシンヤの右足による衝撃でDボゥイの身体がいとも容易く、数十メートル先横方向へ吹き飛ぶ。
シンヤがテックランサーで直ぐにDボゥイの身体を切り裂こうとしなかったのは、それでは味気ないと思ったのかもしれない。
「トドメだタカヤ兄さんッ!!」
だがもうシンヤにはそんな気は微塵にもない。
幼少の時からいつも優秀で、尊敬の対象でもありながら父からの愛さえも独占し、嫉みの対象でもあったDボゥイ。
そんなDボゥイにトドメを刺そうとテックランサーに添えた腕に更に力を込め、彼の元へ駆け出そうとする。
だが、その時シンヤは気付いた。
とても弱く、簡単に振りほどくことが出来る力ではあるが。
小早川ゆたかが身体を震わせながらもシンヤの上着を、その小さな両手で引っ張っていた。
なにかを決心したような瞳で真っ直ぐ、出来るだけシンヤのそのどす黒く、見るものに恐怖を与える瞳に視線を逸らさずに。
◇ ◆ ◇
「何のつもりだい?」
シンヤが心底不思議そうに問う。
別に今この場でゆたかをテックランサーで切り裂き、Dボゥイの反応を見るのも面白いかもしれない。
だがこの場であえて身の危険を顧みずに、ラダムのテッカマンである自分にわざわざ自分から接触してきたゆたかに対しシンヤは興味を持っていた。
そのため即座にゆたかを殺す事はせずにシンヤは取り敢えず話を聞こうと思ったからだ。
「訂正して……ください」
そんなゆたかはシンヤの威圧感に押されながらも必死に口を開く。
こなた達が死んでしまったショックも完全には癒されていなく、Dボゥイが自分を庇い重症を負っている。
いつものゆたかなら卒倒してもおかしくないほどの出来事の連続。
だがゆたかはなけなしの気力を振り絞り、必死に意識を保つ。
シンヤが言った言葉で一番許せなく、どうにかして取り消してもらいたいから。
只、その揺ぎ無い意志を糧にしてゆたかはその細い両の足で立ち続ける。
「訂正? 何のコトだ?」
シンヤがまたしても訝しげに言葉を返す。
事実、シンヤ自身は何も嘘を言ってはいなかったからだ。
そのシンヤの行動がゆたかの意思を更に強固なものとさせる。
「Dボゥイさんは……化け物なんかじゃありません」
「なんだって……?」
自分より高い位置にあるシンヤの顔を真っ直ぐ見つめ、ゆたかが声を絞り出す。
そんなゆたかの言葉をシンヤは不思議そうに眺め、シンヤによって蹴り飛ばされたDボゥイもゆたかの言葉に驚愕の表情を浮かべている。
「Dボゥイさんは私をいつも守ってくれた……Dボゥイさんはこんな私を助けてくれた
……そんなDボゥイさんが化け物のハズがありません!」
だがゆたかはそんなシンヤとDボゥイの表情を尻目に言葉を続ける。
この殺し合いが始まり、寂しさのあまり泣き崩れ、取り乱していた自分を優しく保護してくれたDボゥイ。
ヒィッツカラルドが襲撃して来た際、自分を庇いながら闘ったDボゥイ。
自分がつかさの死を知ったショックで思わず気を失っても、自分を見捨てずに傍についてくれたDボゥイ。
パズーとこなたの死を知り、再び気を失いそうになった自分を優しく
そしてたった今あまりにもリスクが高い行為でありながら、自分を庇ってくれたDボゥイ。
そんなDボゥイが化け物であると一度でも疑った自分に対しての憤りを気力に変えて、ゆたかが精一杯の大声を出す。
「ふん! だがお前はランスのあの姿を見ただろう? 兄さんがあんな姿になってもそんな綺麗事を言っていられるのかッ!?」
「もういいゆたか! もうその言葉で俺にとって十分だ……」
ゆたかの言葉に若干の苛つきを覚えたシンヤが吼える。
何故この少女はそこまで言い切れるのかがシンヤにはわからないからだ。
ゆたかの言葉に驚き、直ぐに彼女の元へ向かおうとDボゥイが叫び、必死に身体を起ち上がらせようとする。
Dボゥイはそれ以上ゆたかが何か言おうとしているのを止めて欲しかった。
きっと今のシンヤの言葉を受け、ゆたかは言葉に詰まってしまうだろう。
シンヤの言葉は真実であり、勿論ゆたかにその事について非があるとDボゥイは思っていない。
だが自分を気遣って、言葉に詰まりながら無理に自分を庇護するゆたかの姿は見たくない。
それがDボゥイの本音だったからだ。