アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10

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126REASON ◆3OcZUGDYUo
「これで終わりだ兄さんッ!!」
上を向いたDボゥイの視界にはシンヤがカリバーンを空中で振り下ろそうとしている姿が入る。
紛れもない嬉しさを見る事が出来るシンヤのその表情にDボゥイは複雑な感情を抱く。
だが、その感情を握り捨てたDボゥイはテックランサーの柄の部分を両手で握り締め、
己の頭上に翳す事でカリバーンの斬撃を受け止める。
今度はカリバーンの刃とテックランサーが暴力的にぶつかり合い、小規模ではあるがその摩擦により火花さえも生まれてしまうほど激しい衝撃が双方に走る。

「シンヤ! 俺は……この身体がたとえ砕け散ろうとお前は殺す! それが俺の存在意義だッ!!」
先程はシンヤに押し切られたDボゥイは一旦左腕に込めた力を抜く。
だが当然その行為はカリバーンの斬撃を受け入れるためのものでない。
ほんの一瞬抜いた力を瞬時に左腕に戻し、いや先程込めていた力以上のそれを込めて、
強引にテックランサーを右方向に回転させる。
カリバーンをテックランサーに打ちつけていたシンヤの身体も同様に、彼の方向からすれば左の方向に体制を崩されるのを余儀なくされる。
そこにシンヤとほぼ同程度の異常な速度でDボゥイの左足が振り上げられ、シンヤの右脇腹に直撃。
咄嗟に身体を引いたシンヤだったが、僅かに苦痛な表情を浮かべながら一旦距離を取るために、Dボゥイに蹴り飛ばされた勢いを利用して後方へ跳躍する。
だがシンヤの表情には悔しさよりも喜びの感情が強く出ていた。
待ち焦がれていたDボゥイとの闘いにより、沸き起こる満足感がシンヤの心に癒しを与えてくれるから。

「さすがだよ兄さん……そうでなければ面白みがないからね」
「シンヤ……俺の事を兄と呼ぶな……俺達がもう相容れる事はないハズだ……」
Dボゥイとシンヤが再び数十メートルの距離を挟んで向き合う。
未だ彼らの闘いは始まったばかり。
一向に彼らの闘志、殺意は折れようとはしない。

「や……やめてくださいDボゥイさん! シンヤさん! なんで……こんな事しないといけないんですか!? 理由を……理由を教えてください!!」
そんな時ゆたかが声を張り上げ、悲痛な顔で兄弟と思われるDボゥイとシンヤの闘いに口を開く。
常人なら気を失いそうな程の雰囲気を醸し出すDボゥイとシンヤの闘いに口を出すことなど、人一倍繊細なゆたかにとってあまりに酷で恐ろしい行為。
だが今のゆたかにとってこの闘いが続く方がたまらなく、怖かった。
ゆたかの元々の声の大きさが小さい事もありそれ程の大きい声では無かったがDボゥイとシンヤの耳には確かに届いた。

「ゆたか……」
そんなゆたかの必死な顔を見て、Dボゥイの意思は揺らぐ。
たとえ血が、肉が、骨が、全てを失ってでもシンヤと闘い続けようとする自分をゆたかは悲しんでいるという事に。
かといって自分達の因縁を話すわけにはいかない。
血に塗れた自分達の因縁をゆたかが知れば、きっと彼女は自分を見る眼が変わる。
只の人間ではなく、悪魔によって造られた化け物である自分に対して恐怖を抱いてしまうと考えたからだ。

「へぇ……まさかあのゆたかって娘に話していないんだね兄さん。
だったら知って貰おうじゃないか俺達の事を……ええ! 兄さんッ!!」
だがシンヤはDボゥイの意思を踏みにじるかのように、口を開く。
別にシンヤはゆたかが悲しそうな顔をしているため、同情したわけではない。
シンヤはDボゥイが望まない事ならどんな事でも行おうとする男。
たとえその事でどんな結果が引き起こされても関心はないからだ。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:10:09 ID:+0QpCM3D
 
128名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:10:21 ID:JBdzKFT0
これだけ見て他の人ぱっと分かるのかよ
129REASON ◆3OcZUGDYUo :2007/12/16(日) 22:11:08 ID:93EPVZJX
「何ッ!?……シンヤ! 貴様ぁぁぁぁぁッッッ!!」
「教えてやるよ俺と兄さんの事を…… いいだろうタカヤ兄さんッッッ!! 」
シンヤのふざけた言葉に逆上し、ゆたかに自分達の因縁を知って欲しくないDボゥイがテックランサーを携えシンヤに突撃する。
だがそんなDボゥイの様子など尻目に、カリバーンを携え、構えを取りながらシンヤは言葉を続ける。
ゆたかはタカヤという聞きなれない名前を聞き、困惑せずにはいられない。
まさかDボゥイという名前が本名ではないと思っていたゆたかは、タカヤという名前が彼の本名かと思う。
未だ怯えが取れない顔をDボゥイとシンヤに向けながら。
「そうさ……俺と兄さんの正体をなッ!!」

◇  ◆  ◇

Dボゥイさんとシンヤさんがまた闘ってる。
私にはとても持つことさえ出来そうにない武器を持ちながら。
本当はこんな危ない事は止めて欲しい……けど私にはあの二人の中に立ち入る事が出来ないからこうして見ている事しか出来ないの。
何故だが私はこれからシンヤさんが言おうとしている事に変な胸騒ぎを覚えた。
けど私は知りたい……Dボゥイさんが時々見せてた悲しい顔。
さっき私を励ましてくれた時に見せてくれた優しい顔とは似ても似つかない、今の怖い顔。
その顔の理由を私は知りたいから……。

「俺と兄さんは正真正銘血を分けた兄弟! 俺の名は相羽シンヤ、そして君がDボゥイと呼ぶ俺の兄さんの本名は相羽タカヤだ! きっとDはデンジャラスの略だろうッ!!」
「言うな……言うなシンヤぁぁぁッッッ!!」
やっぱりシンヤさんはDボゥイさんの弟さんで、Dボゥイさんの本名はタカヤさん。
でも私に本名を隠してたって事は何か本名で呼んで欲しくない理由があったのかも。
じゃあDボゥイさんって呼び続けた方がきっといいハズだよね?
でも何であんなにDボゥイさんは怒ってるんだろう?
シンヤさんが只、自分達の関係を話しただけなのに……?
ずっとシンヤさんに向かってあんなに武器を振り回すのはなんで……?

「始めの場所でボルテッカを放ち、憐れにも爆死した黄色の奇妙なヤツが居ただろう!? あれがテッカマン……地球を侵攻するためにラダムによって造り出された化け物さッ!!」
「黙れシンヤ!……それ以上……それ以上口を開くなぁぁぁッッッ!!」
ボルテッカ? テッカマン? ラダム? 全然言ってることがわからないよ……。
あの男の人が地球を侵攻するための化け物? そんなお姉ちゃんが読む漫画に出てくるような話があるなんて信じられない。
でもなんでシンヤさんがそんな事知っているんだろう?
Dボゥイさんがさっきよりもっと怖い顔になってるのも私にはわからないよ……。

「あの男は奇妙な結晶のようなものをロージェノムが渡した事でテッカマンになっていただろう? あの結晶こそテッククリスタル! テックセットを可能にさせ、テッカマンとなるのに必要な代物。そして……俺と兄さんが探し求めているものだッ!!」
「シンヤ……シンヤ……シンヤぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!」
え?…………タカヤさんとシンヤさんが探しているもの?
なんで? そのテッククリスタルっていうのはその……テッカマンっていうのになるのに必要なんじゃ…………?
どうしてそんなものをDボゥイさんとシンヤさんが欲しがる必要があるの……?
口に出して質問しようと思うけど、全然口が動かない。
これ以上聞いたら何故だか後戻りできないような気がするから……。
Dボゥイさんのあの怖い顔を見るとそんな気がしたから……。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:11:20 ID:+0QpCM3D
   
131REASON ◆3OcZUGDYUo :2007/12/16(日) 22:12:48 ID:93EPVZJX
「何故俺達が欲しがるかって知りたいだろう? そんな事は簡単だ! 何故なら俺とタカヤ兄さんは……」
「うおおおおおあああぁぁぁぁぁっっっっっ!!」
心臓の鼓動が早まるのはハッキリと感じることが出来る。
今にも胸に穴が空きそうなほど心臓が激しく動いてることがわかる。
頭の中でシンヤさんがこれから言おうとしている事の予想が浮かぶ。
けどそんなことはあるわけない! そう思って私は何度も何度もその予想を何かの間違いだと信じていた。
だってもしシンヤさんの話が本当ならシンヤさん、そしてDボゥイさんは……。
でもDボゥイさんのあの顔を見れば見るほどたまらなく不安になってくるのはなんでなんだろう……。
お願いシンヤさん…………嘘だと言ってください…………。
でもそんな私Dボゥイさんを見てシンヤさんが笑い、思わず私の背筋に寒気が走る。
シンヤさんの笑い顔はあまりにも怖かったから。

「あの男……テッカマンランスと同じラダムのテッカマン……そう、化け物だからだ!
俺の本当の名はテッカマンエビル! そして兄さんの本当の名はテッカマンブレード!
そうだろう……ブレードッ!!」
シンヤさんの言葉を聞いた瞬間、私はしばらく考える事が出来なくなった。
段々と考えるだけの力が戻ってくるのを感じる。
Dボゥイさんがあの死んじゃった男の人と同じテッカマンという存在……。
Dボゥイさんは人間じゃない……私はその事をぼんやりと考えることしか出来なかった。

◇  ◆  ◇

「シンヤ……いやエビル! 貴様は必ずこの俺が殺す!うおおおおおぉぉぉぉぉッッッ!!」
Dボゥイの攻撃にまともな対応はせずに、攻撃を避ける事に集中しながらゆたかに、彼が隠していたかった自分達の因縁を話したシンヤ。
シンヤに対して、耐えようの無い怒りを抱いたDボゥイがテックランサーを振るう。
自分が守ると誓った、か弱い存在であり、ついさっき大事な人の死を知ったゆたか。
そんなゆたかにこれ以上の悲しみ、恐怖を与えないためにもテッカマンという存在を彼女に知って貰いたくなかったから。
血に塗れた存在であるテッカマンはゆたかにとって知らない方が良いと思ったから。
今までの力に更なる怒りを上乗せしたあまりに重い斬撃。
そのテックランサーに対してシンヤもカリバーンを相応の力で振るう事で応じる。

「くッ!」
「ちッ!」
今までにない衝撃が二人の腕に走り、思わずDボゥイとシンヤはそれぞれ持っていたテックランサーとカリバーンから手が離れ、二本の刃は彼らの後方へ落ち、音を立てて転がる。

「シンヤッ!」
だが、Dボゥイはテックランサーを回収しようとはせずに、そのままシンヤに向かって右の拳を突き出す。
今の彼にはテックランサーを取りに行く時間さえも惜しい。
今すぐにでも取り返しのつかない事をやったシンヤを殺す事だけが望みだった。

「そこまで怒ってくれるとは……うれしいよタカヤ兄さんッ!!」
襲い来るDボゥイの右の拳を左手で掴み、それ以上の右拳による侵攻を抑える。
Dボゥイが予想以上の反応を示した事により今のシンヤの気分はあまりにも良いものだった。
だがシンヤの望みは完全には成就してはない。
Dボゥイに反撃の打撃を与えるべく、シンヤが右腕に力を込め、右の拳を揮う。
だがその拳はDボゥイの空いていた左手により掴まれ、自分がやったように抑え込まれる。
互いに両腕に力を込め、己の相手を打ち倒すための均衡状態が再び生まれる。
132REASON ◆3OcZUGDYUo :2007/12/16(日) 22:13:36 ID:93EPVZJX
「まさかあの娘にミユキを重ねているわけではないよな兄さんッ!」
予想以上のDボゥイの激昂を不思議に感じたシンヤがふと思った事を口に出す。
Dボゥイの実の妹にして、相羽ミユキことテッカマンレイピア。
彼女もまたDボゥイと同じくラダムの精神支配から脱したテッカマンであり、彼と共にラダムと闘うと誓った少女。
だが父によって助けられたタカヤとは違い、完全なテッカマンになれる肉体を持っていないと判断された純粋な不完全体であるミユキの身体はボロボロだった。
そのボロボロの身体を引き摺りながらミユキは最後まで彼女の兄であるシンヤ達と闘った……只、愛する兄、Dボゥイのために。

「ッ!……ミユキは関係ない……それにお前にミユキの事を言う資格はない……ミユキを殺したお前にはぁぁぁッッッ!!」
確かにDボゥイはゆたかにそんなミユキを重ねていたという節はあった。
初めてゆたかと会った時に感じた事はもとより、病気がちだと言っていたゆたかの姿に、テッカマンの不完全体であるがゆえに弱り果てていたミユキの姿がどことなくダブってしまったのかもしれない。
その事が必要以上にゆたかを守るようにDボゥイの身体を突き動かしているだろうか。
だがその事を考えるよりも今のDボゥイにはやるべき事がある。
そしてそれはシンヤにも言えることであった。

「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉーーーッッッ!!」
「むおおおおおおおおおおぁぁぁぁぁーーーッッッ!!」
互いに掴まれていた腕を強引に引き抜き、一旦距離を開けるためにDボゥイとシンヤの二人は後方へ跳躍。
テッカマンのケタ外れの身体能力を利用して、空中で回転をしながら宙へ跳び、両足から大地に着地する。
たとえテックセットしていなくとも、首輪により制限をうけていようともDボゥイとシンヤはラダムのテッカマン。
地球侵略のための尖兵として造られたテッカマンがこれくらいの芸当が出来ないハズがない
丁度青ざめた表情を浮かべたゆたかの位置を直角とし、Dボゥイ、シンヤが直角二等辺三角形の残り二つの頂点に位置する場所に降り立つ形となった。
その時、Dボゥイはチラリとゆたかの方向に視線を向けるがゆたかは思わず視線を落としてしまう。
(ッ!ゆたか……俺は……俺は……俺はッ!)
そのゆたかの行為が今のDボゥイには残酷すぎた。

「そうかミユキのコトは関係ないか……だったら別に俺がこんなコトをやっても文句はないよなッ!」
そんな時、シンヤが更に後方へ跳ぶ。
言いようのない不安に駆られ、ゆたかの安全を確保しようと既に全速で駆け出したDボゥイを尻目にシンヤはあるものを拾い上げる。
それは先程の衝突により弾き飛ばされた、シンヤの支給品であるカリバーン。
更にシンヤはカリバーンの柄を片腕で握り、そのまま槍投げの要領で投擲を行う。
だがその標的はシンヤの宿敵、Dボゥイではない。
先程から只、Dボゥイの方だけを凝視し続け、座りこんでいたゆたかに対しての投擲。
別にシンヤにとってとても利用手段のないゆたかの死はなんら問題にはならず、同時にDボゥイがどう動くかが彼には気になっていたからだ。
『勝利すべき黄金の剣』そう謳われたカリバーンがゆたかの命を刈り取らんと迫っていく。
ゆたかがその事に気付いたのはシンヤが投擲を行ったほんの数秒にも満たない後だった。

◇  ◆  ◇