あの作品のキャラがルイズに召喚されました part92

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part91
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197351579/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


    __              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ  .   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
    l lf小从} l /   ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
             ・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!


     _
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ     本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l      ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
              ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。


   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
    { {_jイ」/j」j〉      これ以上だと投下できないそうです。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
   ⊂j{不}lつ     ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   く7 {_}ハ>     ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
    ‘ーrtァー’      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 23:45:48 ID:oUIqWxfd
とにかくスレタイ、テンプレ以上に空気よめ。
後、荒らしっぽいのは総スルーで。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 23:52:57 ID:ypbY0c4C
いちもつー
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 23:54:32 ID:y5shVJIZ
>>1スレ立て乙!
>>2アイサー!
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 23:56:11 ID:y47rIFDT
こ、これは>>1乙なんかじゃなくてただの誤爆なんだからねっ!
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 23:57:48 ID:/5LTig2G
変態執事乙
ここまで破天荒な使い魔は過去例を見ない!!
アンアンワロスww
俺はネットワークが生み出した人造人間説を唱えるぜ

ファーザー乙
あのネタとテンションを再現する腕はさすがだぜ
時空が違うww


この二人、センスと技術がすげえ
7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 23:58:40 ID:5ab4QAXP
>>1
インテリジェンス乙
8名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 00:04:07 ID:ltgsuSMZ
>>1
左利きでサウスポー支援
9名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 00:12:08 ID:rMKnGGGH
キースはキースでありその理由はキースだからでしかない
10名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 00:17:56 ID:8K0sG8WR
                                          ○________
                                >>1乙         |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ___
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 `
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-―
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{
11名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 00:21:51 ID:al63qjZ+
●     「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃  ●  ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘  よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃         おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃          (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃           どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃            たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃             ね・え・かたをっかしてよっ
┃              す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃               き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃                ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃                 だからすぅきぃよっなんていわない
┃                  のんのんのんどっこかへいったら
┃                   ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん  ・・・だぁって
┃                    ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃                     あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
12名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 00:32:31 ID:MLmnI4co
マチルダさんの探し物「自在の黒剣」、キースが盗んで売りさばいた「アレ」とは
「星の紋章の剣」じゃろか?
13名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 00:51:48 ID:bJjzbdp1
キースの人お久しぶり。これでオーフェン関連は2作品が継続更新中ですな。
ああ、キースとオーフェンの掛け合い漫才がまた読みたくなってきた。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 01:38:54 ID:jxrUa8nW
じゃ、投下するよ。
15ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:39:30 ID:jxrUa8nW
今なら大丈夫かな。
それにしてもocnは相変わらず絶好調です……。
最初からocn規制に引っかかり、ずっとここでしか投下していないので、もういっそこのままここに住み着こうかと思い始めてきました。

では、ゼロの教師4話投下します。
16ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:41:05 ID:jxrUa8nW
 昼間にも姿が見えていた月は、夜になりその威容を濃紺色の夜空に横たえていた。
 赤と青のその姿は、やはり、アティには見覚えのないものだ。
 その姿の大きさから見るに、随分とハルケギニアから近い位置にあるらしいが、これだけ大きな衛星を2つも持つと言う事は、ハルケギニアというこの世界は、リィンバウムよりも遥かに規模の大きな世界なのかもしれない。
 と島の守人の1人である女性の語っていた、潮汐力と重力場についての講義を思い出した。彼女の言う科学の講義は興味深いものがあった反面、難解に過ぎるそれの大半を、アティは理解できなかったが、
 成る程。学問というものは、例えそれが異世界であっても、役に立つものは多いようだ。
 宛がわれた居室に備え付けられていた、やけに座り心地の良い椅子に腰掛け、窓から見える月を眺めていたアティは、改めて今日1日の間に起こった事を思い返していた。
 ハルケギニア側での、召喚された記憶は未だにはっきりと思い出せるが、リィンバウム側で召喚された記憶は、殆どない。学校に向かう前、普段の習慣で島の外周をパトロールしていた事は覚えているが、
 いつ、どのタイミングで呼び出されてしまったかについては、どうにも記憶が曖昧である。
 これがリィンバウム世界の召喚術であれば、誓約の儀式をであれ召喚事故であれ、召喚される際にはそれだ。と分かる瞬間があるらしい。島民の大半が召喚獣である為、そういった情報には事欠かなかったので、
 ルイズの起こした召喚事故がリィンバウムで使われている召喚術による事故である可能性が低い事は、考慮の端に追いやって問題はないだろう。
 例外的な召喚に関しては、その例の範疇には入らないかもしれないが、4界でもない名も無き世界に呼ばれた時点で、既に異常事態なのだ。いくら場慣れしているアティとは言え、できれば召喚術そのものまでが異常動作を起こしているとは考えたくなかった。
 それにしても、随分と落ち着いている。
 どこか他人事のように、この異常事態を把握できるのは、果たして場慣れしているからという理由だけなのだろうか。
 正直な所、どうしようもない事態に対し、開き直っているんだろうな、とため息交じりに考える。
 召喚事故と聞いたばかりの時は、未だ自分がリィンバウムに居るものだとばかり思っていたので、さほどの驚きも感じなかった。全く驚かないと言えば嘘になるが、嵐の夜の海に飛び込み、見知らぬ土地に放り出される事に比べれば、まだ今の状況はマシというものだ。
 それが、完全に見知らぬ、未発見の名も無き世界に呼ばれたとあって、内心どれだけ驚いた事か。これだけ驚いたのは、もう随分と久しぶりのような気がした。
 島の皆は、心配しているだろうか。
 当然しているに違いない。本来なら、パトロールが終わったら、すぐに学校に向かい、同僚の青年と授業について話し合い、子供達相手に教鞭を揮い、ふらりと現れる島の大人達の相手をして、友人達とお茶を飲みながら雑談を交わして、夕方になったら別れて。
 そんな1日を過ごしていた筈だったものが、突然居なくなってしまったのだ。
 きっと、突然居なくなった自分を探し回ってくれているのだろう。
 考え始めると良くない考えや、不安ばかりが思い浮かんでしまうが、頬を強く叩くと、アティはテーブルの上に広げた所持品を見詰め、明日の授業に備える事に決めた。
 どれだけ考えても、現状が好転する事はありえない。
 それならば、やれる事を精一杯の力でやるのが、自分らしいと思えたから。
17ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:42:51 ID:jxrUa8nW
 アティの初授業は、彼女の希望から授業のうちの1つを借り受ける形で、まずはアティの最初の目撃者でもある、2年生の生徒達に自己紹介と、簡単な講義をする事となり、現在教壇にはアティとコルベール、そして快くアティに授業の時間を譲ったシュヴルーズが並び立っている。
 コルベールとは、前日の夜に授業内容や生徒達についての説明、魔法学院と島の学校の差異からくる、授業進行の方針等を話し合い、しばらくの間、アティの授業にはコルベールが立ち会う事となった。
 シュヴルーズは、授業時間をアティに譲った為その時間が空いたのと、未知の魔法の存在への興味から、授業を観覧する事に決めたようだ。
 アティの授業の内容は、初授業もあってか自己紹介とリィンバウム(ここではそれを国名とした)についてが大半を占めた。島の学校であれば、初授業は生徒達の喧騒との戦いだったのだが、そんな事を思っていたアティからすると、魔法学院の生徒達は少々物足りない程に静かで、
 拍子抜けしてしまうくらいであった。アティについて、リィンバウムについては質問が多く見られたが、発言の際にしっかりと挙手が伴うのも、島の子供達とは違う点だ。そもそも同じ生徒でも年齢差が大きいので当然と言えばそうだろうが。
 自己紹介に関しては、前日の内に質問内容を想定した回答を用意しておいたので、不自然な点があったとは思えなかった。リィンバウムについては、東の世界という設定も幸いしてか、召喚獣や召喚術については説明は避けたものの、未知の世界の話という点が良かったのか、
 アティの一人語りも概ね好評を得ていた。
 召喚術の授業は、それらの話の終わった最後のほんの少しの間に、簡単な説明と実演を交えて終了した。
 やはりこれも前日の内にコルベールと相談した結果、召喚術は無属性と呼ばれる、名も無き世界の召喚術のみを授業として教える事に決めた。理由としては、無属性の召喚術が、確認されている限り、非生物の召喚術しか存在しない点が重視された。
 アティは黙っていたが、無属性の召喚術に限定した理由は、召喚術とは、召喚した対象との関係が、術の出来に大きく関わる問題である為、サモン・サーヴァントから来る術者と召喚された側の関係が、とてもではないが良いものと考えられないと思えたからだ。
 サモナイト石の所持数が少ない為、初めから誓約の儀式については実技を教える気はなかったが、元々召喚術において最も危険なものが、誓約の儀式だ。
 召喚術にとって、召喚するという結果を導き出すのは、比較的簡単な問題だ。誓約済みのサモナイト石さえあれば、術の難易度にもよるが、術者と相性の合う世界の召喚術はそれこそ術師でもない人間でも行使は可能だ。勿論その効果や威力は術師とは比べるべくもないが、
 既存の術を扱うという点に関して言えば、召喚術とはとても使い勝手の良いものなのだ。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 01:43:07 ID:i+EpLLYn
支援
19ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:43:53 ID:jxrUa8nW
 しかし、誓約の儀式は未だに真名の刻まれていない無印の召喚石に、それを刻むという行為から始まる。
 新しく呼び出した召喚獣の多くは、術者に対して敵意を持っている。突然見知らぬ世界に呼び出されたのだから仕方のない事だが、中には獰猛な獣や、そもそも最初から人間に対して害意を持つ悪魔や魔物などを呼び出す事もある。
 そういった召喚獣を御し、思いのままに操る為に、術者は召喚されたものの真実の名前を探し出し、サモナイト石に刻むのだが、それが誓約の儀式と呼ばれるものだ。
 誓約の儀式は失敗するのが当然とも言われるもので、現在存在している召喚術は、そういった失敗の果てに辿り着いた一種の到着点でもある。専門の術者であっても、未知の存在を召喚する事が困難であるのは、
 召喚獣の真名が知られていないという点からきているが、既存の召喚獣であっても、誓約の儀式には多大な知識と、膨大な魔力を必要とするのだ。
 そういった理由から、意識ある生物を召喚する4界の誓約の儀式を含む、一切の召喚術は、サモナイト石を所持していないという理由で説明までに留めたが、どうやら無属性の召喚術、
 それも初歩の初歩の術であっても、どうやら生徒達の心を掴むには十分だったようだ。
 サモンマテリアルと呼ばれるそれは、術として成立したものでありながら、召喚される物体が術を使う度に異なるという変り種の召喚術だ。最初は何故か土鍋が召喚され、次には船の錨が、
 剣に鉄塊、果てはフライパンやおたままで無差別に呼び出す様は、召喚術というよりも奇術師の手品じみていたが、それが生徒達には興味が引かれるものだったようだ。
 実技に関しては、初授業という事もあるが、サモンマテリアルのサモナイト石が1つしかない所為もあって、座席の順に試してみる形になり、全員が試せた訳ではないが、成功者は1人も居なかった。
 その中に、ルイズが居なかったは単純に、彼女の座っていた席が室内の後方だったという理由だが、その事に室内に居た、アティと才人、そしてシュヴルーズの3名以外の全員が、安堵の息を漏らしたのを、彼女達は知らない。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 01:44:03 ID:OeWvTmjs
シエン
21ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:44:39 ID:jxrUa8nW
 そうして、授業が終わってしばらく。
 昼食までの少しの間に、アティは召喚術に興味を持った、主に今回の授業で召喚術の実技を行えなかった生徒達に対して、補講と称した座談会のようなものを行う運びとなった。
 座談会のような、とは言ったが、その内容は授業時間では及ばなかった召喚術についての説明の追加。、更に生徒達からの要望もあり、サモンマテリアル以外の召喚術の実演も行う事となった。

「では、ミス・アティのおっしゃるマナ、でしたか。 それを収束させる技術が私達には無いから、誰もサモン・マテリアルが成功しなかったのですか?」

 アティが、杖を手にし召喚術の実演を踏まえた説明に対し、挙手と共に質問した赤い髪をした少女、キュルケに対しアティは首肯し、

「はい。私達の扱う召喚術には、こちらの魔法のような、ルーンの呪文や術の固有名は存在しないですね。
 召喚されるものの名前はありますが、それを唱える必要はありません。
 例えば、今から使う術は一般にシャイン・セイバーと呼ばれていますが……召喚っ」

 鋭い声と共に、杖を頭上にかざした。
 かざした杖の先には、名も無き世界の魔力を帯びた白い輝きがあった。その光が周囲を覆い、召喚石によって開かれた扉から、速やかに召喚対象を呼び寄せる。
 シャイン・セイバーの名の通り、光をまとった剣が数本、アティの頭上に浮かびながら、その輝きを周囲に振りまいている。

「このように、召喚術には呪文らしいものは存在しません。人によっては無言で術を行使する事もありますが、召喚術の種類によっては広い範囲に広がるものもありますし、
 何より周囲の味方に、今から召喚術を使いますよという宣言をした方が良い為、それぞれ個人が思う言葉を使う事が普通ですね」

 送還もまた同じ事です。と呟くと、その言葉と共に頭上に浮かんでいた剣は、光の粒子となって消え去った。
22ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:45:23 ID:jxrUa8nW
「マナ、というものは世界のどこにでもある、空気のようなものだと考えられています。
 それを杖やサモナイト石を触媒として収束し、収束したマナの力異界の扉を開ける。それが召喚術の基礎なのですが……」
「私達は、ルーンを紡ぐ事と、あとは精神力や集中力で魔法を行いますから」
「そうですね。多分、皆さんの魔法はルーンという特殊な呪文、呪印でマナをコモン・マジックや系統魔法に変換してるのだと思います。
 私達は意識的にマナを制御していますが、皆さんは言葉によってマナを制御しているから、まずは、意識的にマナを制御する事がまず初めになりそうですね」

 アティの説明に、質問をしたキュルケを含む、出席していた生徒達は首を傾げながらも、丁寧な説明には納得できるものがあったのか、各々が臨席の親しい友人と初めて耳にした、
 マナというものに対しての憶測や、アティの召喚した剣について、子供らしい賑やかさを伴って話し始めた。
 アティもこれが補講である為か、生徒同士の会話を好きにさせつつ、鋭い憶測を思い浮かんだ生徒にはフォローを与え、とにかく召喚術を試してみたいという生徒には、丁寧な説明を加えながら、失敗する生徒を励ました。
 そうしてしばらくして、召喚術を未だに試していない生徒、ルイズが挙手をすると、そんな和やかな雰囲気は瞬時に冷めた空気へと変貌する。

「ミス・アティ。私にも召喚術を試させて頂けませんか!」

 普段のような、周囲に緊張感と怒気を振りまく彼女しか知らない生徒は、溌剌とした彼女のそんな表情に驚きながら、しかし、

「やめろやめろ。ここに居る奴が誰もできなかったのに、ゼロのルイズが出来る訳ないだろう」

 いつものように、彼女のやる気に釘を刺す者がそう囃し立てる。
 それに対し、ルイズも反論するが、彼女に対する辛辣な言葉は中々止まない。
 そんな空気に耐え兼ねて、アティにしては珍しく声を荒げ、生徒達の口論の仲裁に入る。生徒達もまた、出会ったばかりのアティに悪印象を残す事を恐れたのか、それでも最後にルイズに対して嘲笑を浮かべた。

「それじゃあ、ルイズさんも試してみましょう」
23ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:46:12 ID:jxrUa8nW
 召喚石を持ち、未だに小声でルイズを野次る生徒を注意しつつ、彼女の席に近寄る。近寄ったルイズの机の上には、この僅かの時間の授業にも真剣に取り組んでいたのだろう、
 びっしりと文字の書き込まれたメモ書きが置いてあるのが見えた。文字の書けないアティの授業は板書を利用しないものだが、メモには文字だけでなく、簡易ながら図を用いた、恐らくは彼女なりに分かりやすくまとめた説明らしきものも書かれていた。
 アティを見る目には、期待と不安の入り混じったものがあった。
 そんなルイズの肩に手を置き、優しく頭を撫でる。

「大丈夫。ルイズさんならきっと出来ます」

 私の勘はよく当たるんですよ。微笑みながらそう言うアティは、ルイズにサモン・マテリアルの召喚石を手渡し、石を手にしたルイズの手を両手でそっと包んだ。

「頑張って」

 そう言って離れるアティに、ルイズは笑顔で返す。
 何故か、あれほどあった不安が薄れ、冷静に頭が働いているのを、ルイズは感じていた。普段であれば、あれだけ騒がれた後は、集中力も切れ切れになり、
 半ば自棄になって魔法を使おうとしていたのに、召喚石を手にした今、彼女の頭は冴え渡っている。
 授業中メモにまとめ、彼女なりに考えた召喚術を、改めて頭の中で反芻する。
 それは、唯一自分が成功した魔法、サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントの事だ。2つの魔法はコモン・マジックと呼ばれる基礎魔法の分類されるもので、コモン・マジックには共通して、
 それらの行使にルーンを必要としない特性がある。
 例えばルイズがアティや才人を呼んだ呪文と、キュルケが自身の使い魔となったサラマンダーを呼び出した呪文は違う。それぞれが、思い思いの言葉を紡ぎ、集中した何かで思い描いた結果を出す。
 それがコモン・マジックだ。その中には、ランプの魔法のように、言葉ではなく、動作で起こすものもある。
 それは、アティの言う召喚術に近いものなのではないだろうか。
 キュルケとの会話にもヒントはあった。
 自分達は、言葉でマナを制御していると。

「私は心より求め、訴えるわ」

 右手に杖を、左手にサモナイト石を持ち、サモン・サーヴァントの際に使った呪文に手直しを加え、集中する。

 元々、自分には系統魔法の成功した感覚なんて知らない。
 私が知っているのは、彼女と彼を呼び出した、この感覚だけだ。

「異界の果てより、我が導きに応えなさい!」

 不意に、左手に持つサモナイト石を熱を帯び、ルイズの身体をサモン・サーヴァントの際に感じた説明し難い感覚が襲った
 成功する! そうルイズが確信すると同時に、

「ギーシュが決闘するぞ! 相手はルイズの平民だ!」

 そんな叫び声が、学院中に響き渡った。
24ゼロの教師 代理:2007/12/14(金) 01:46:32 ID:jxrUa8nW
以上、投下終了です。
代理の方よろしければお願い致します。

次回はギーシュフルボッコの回になります。

遅レスですが、前スレで忠告をしてくれた方、ありがとうございました。
これからも問題点がありましたら指摘して頂けると幸いです。
では、失礼致しました。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 01:53:11 ID:i+EpLLYn
乙。なんというタイミングの悪さだw
26名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 03:30:48 ID:D41/ZsI1
サモナはガチ百合ガチBL両方あり+ロリショタもガンガンいけますなんだよな…
27ゼロのS小ネタ:2007/12/14(金) 03:45:05 ID:0TF7e/2Z
背後から何者かに刺されるルイズ
ルイズ「……ど、どうして…」ドサ
総悟「ルイズの死体が4016体」
ルイズ「きゃああああ」
総悟「ルイズのバカの死体が4017体」ズバァ
ルイズ「いやあああ」
総悟「ルイズのゼロの死体が4018体」ズバシャァ
総悟「ルイズのクソッタレの…」
ルイズ「ヒツジを数えなさいよォォォォォォォォ!!」
総悟「あれ?もう朝ですかィ…全然眠れなかったチクショウ」
ルイズ「眠れるワケないでしょーが!そんなグロテスクな物数えて!!」
総悟「すいやせん、わざわざ起こしに来てくれたんですかィ4019号」
ルイズ「誰が4019号よ!!(なんでこんなドS男を召還しちゃったのかしら)」
28名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 03:48:41 ID:9u423L7h
破壊の杖が似合うってレベルじゃねーぞ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 03:59:35 ID:bHsAwdf/
ルイズも度Sだがこれは方向性が違うw
30名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 04:00:32 ID:1s+wd8EO
ゼロの教師&代理の方、乙です!

次回はギーシュがフルボッコか〜
いきなり抜剣したりしないだろうね、アティ先生w
とりあえず死なない程度で手加減はしてあげて、先生

あと読んでて思ったんですけど、書き方が少々おかしいかと
読点「、」が多かったり、変なところで改行されてたりしていて読みにくいです
31名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 04:04:02 ID:J0Zcn0YM
909 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2007/12/14(金) 02:08:22 ID:Yexmzg5w
500kbなら幻想水滸伝4から4様召喚。

書くなよ!絶対書くなよ!?
高瀬小説版とか絶対書くなよ!?読んじゃうから!
32名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 05:17:09 ID:E9cK83lW
別に書いても良いんでない?
ただし、こうしたクロスものを読む受け手は、こうした別作品同士が混ざり合う事で
生まれる『何か』を期待しているわけだ。
それが一番最初に書かれたデンプレからキャラの名前と技を変えただけが延々と
続くだけならば、見ていていい加減腹は立つわな。
大体、原作準拠なら召喚直後は呼び出されたモノはどんな生き物でも鎮静効果で
おとなしくなってるはずだ。それと使い魔の契約を果した瞬間から、ルーンの
効果で主に対する親近感を持つ。
また、召喚する場合、召喚されるもの召喚するもの、互いに求めている点が
一致するからこそ召喚に応じるという設定もある。
そうした点で見れば、こうした蹂躙やヘイト系にはならんよ。
それにな。召喚直後のルイズは魔法を爆発しか使えない最弱キャラだ。
それをお前らの最強キャラが倒して悦に入るなんざ、まるでオナニー覚えたての
小学生にしか見えんね。
原作ならば、さらに強いキャラがいる。それらと戦わせるSSくらい書けないのかね?
召喚した直後ならば、その場に引率の『炎蛇のコルベール』がいる。こいつの気化爆弾
なみの炎の魔法と戦わせてみようとか思わないわけ?
他にもギーシュやキュルケやタバサはいざ知らず、原作では土くれのフーケのゴーレム、
ワルドの遍在、ゾンビウェールズとアンリエッタのヘクサゴンスペル、
烈風カリンのトルネードカッターなど強キャラや技があるんだ。
そこまで話を進めてみようとは思わないのかねえ?
まさか、原作なんて全然読んでないわけじゃあないよね?
クロスさせる上じゃあ当然の礼儀だろう?
まあ、こんなスレに居る連中じゃあ、読むと言っても漫画とゲーム攻略本だけかもしれんけどね。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 05:37:07 ID:JRxFKwcW
34名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 05:52:27 ID:p35KCaU8
>>31は竜ちゃん的ボケをかましただけなんだろーなぁー
35名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 06:11:28 ID:sKUdngjK
>>32はどこを縦読み?
36名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 06:48:32 ID:uJNB9+s6
格ゲースレのコピペだわ。これ。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 07:07:17 ID:opqRgkLD
デロリアンに乗ったドク一行が召還されて、
コルベール先生が狂喜乱舞したり、
時間遡って事件を解決したり、
アンリエッタがウェールズじゃなくてマーティに惚れちゃったり、
始祖の秘密を解明しに過去に行ったら、実は始祖はヘタレで、伝説の正体は過去に遡って
エルフと一悶着起こしたルイズの事で、伝説の使い魔はドク達の事だったり、
ドクが地球へ自由に帰れる装置を開発して、ルイズが
「こっちの過去や未来はもう行ってきたわ!次は地球行ってくるわ!」
とか言ってドク達と地球に旅立つルイズ


という電波を受信した
38名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 07:43:01 ID:MwiNdX9h
クロスファイアから青木淳子を召喚。
ダミーの杖を持たせれば炎しか属性を足せないメイジと誤魔化せるかな?
中の人は御出産おめでとう。


学年みんながポケモンを召喚しちゃったネタ、
タバサがピカチュウを召喚した裏で、ガリアでは彼女の従姉が彼の従兄を召喚しているんじゃないかと想像。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 09:15:43 ID:Yexmzg5w
>>31
おまえに嫌がらせするために宣言どおり書いてやんよ! しかもおまえの言う小説版準拠でな!
すでに107人リストアップは完了している。人数足りなくておっそろしくマイナーところからキャラ引っ張ってきたがな。
ラ・ラメー伯爵なんて誰がわかる?
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 09:17:38 ID:fe27lwY3
ゼロ魔キャラから召喚というネタで真っ先に某反射ゴーレムが真価を発揮できないまま
戦うというのを思いついた俺最強厨。ワルド召喚だとラブコメ方面になるのか
謀略劇になるのかどっちなんだろう。
41釣りバカ日誌ゼロ(1レスのネタ):2007/12/14(金) 09:46:40 ID:hMlfztFs
さて、来週のゴールデン洋画劇場は皆さんおなじみの年末の吉例
トリスティン一の大企業グラモン社の会長、青銅のギーシュと
出世をあきらめた社員ハマちゃんの珍道中も今年でもう13作目

今回のハマちゃんとギーさんは伝説の大物鯉を求めてラグドリアン湖に突撃
そこで二人が出会ったのは逢引をするトリスティンの姫君とアルビオンの皇太子
国家の重責と愛に揺れる二人のために、ダメ社員とメイジ会長が一肌脱いだ!
さて今回の二人は伝説の鯉と二人の恋を釣り上げることが出来るのか…?
例の如く二人の尻ぬぐいをさせされる中間管理職、タバサ係長補佐の胃は持つのか?

夜は皆さんのご期待通り浜ちゃんとあの何とかって名前の桃色髪メイジが合体♪
42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 10:07:40 ID:xaD+mh0y
>>41
GJーw
つかゴールデン洋画劇場って懐かしいなw
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 10:08:56 ID:+6YHwBGx
いーなぁー!
桃色髪メイジと合体できるのいーなぁー!!
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 10:19:58 ID:MwiNdX9h
ルイズの息子は喋る犬を召喚しそうだなwww
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 12:01:03 ID:YpZnB4fP
>>39
お前の優しさに俺が泣いた
46名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 12:08:44 ID:J0Zcn0YM
>>39
マジか!

てかもしやラプソでカニ狩りしてる4様や小船で流された後の4様じゃなく
ゼロ魔内で宿星集めるのかww
47名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 12:51:55 ID:rwBJojLK
>>39
みさくらのキャラ?
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 12:57:57 ID:VEP1CLqK
>>39

確か「フランダースの犬」の作者だっけ?
ルイズ・ド・ラ・ラメー。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 13:03:54 ID:L8qmsaHj
>>48
フランソワーズの犬と申したか
50名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 13:09:40 ID:Y6t+nsQQ
ヒョウさん呼びたい
51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 13:44:22 ID:3AEYzrqJ
>>47
ラ・ラメー・ウン・チモレールと申したか。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 13:57:13 ID:JaxPd9l1
そういや確かウンディーネって幻想小説を書いた人の名前がラ・モット・フーケだったな
……ひょっとしてここから?
流石に無いか
53ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:33:39 ID:WbidwZ2f
さて、半端な時間に投下宣言。
5分後から投下開始します。
54ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:35:31 ID:WbidwZ2f
 ルイズは目を覚ますとまだ重いまぶたをごしごしとこすった。
 窓からは朝の光が差し込んできている。
 今何時だろう? ルイズは枕元に置いていた時計に目を通した。
 授業が始まるまではまだ暇がある。
 ようやく覚醒し始めた頭を振って、ルイズはベッドから降りた。
 ちらりと壁に背を預けて眠るガッツに目を向ける。

 ―――いいぜ、元の世界に帰るまでの間、お前の使い魔をやってやる

 昨夜、そう宣言したその使い魔は、静かに寝息を立てていた。
 そういえば、とルイズは思いだす。
 ガッツを召喚したその日、ガッツが気絶しベッドで眠り続けていた間、ルイズは自分なりに使い魔をどう扱うか考えていた。
 その時にとったメモを机の引き出しの中に入れっぱなしだった。
 ルイズは引きだしを開けると『使い魔の扱い方!!』と書かれたメモ帳を手に取った。
 パラリと表紙をめくる。

 一.何の能もない平民なのだから、洗濯その他雑用をやらせるべきだわ! 着替えの手伝いなんかもやらせるべきね!!

 実に元気良く書きなぐっている。
 ルイズは視線を下げ、己の姿を確認した。
 ネグリジェである。つまりこれから制服に着替えなければならない。
 ガッツを起こし、着替えを手伝わせる。ガッツの逞しい手がルイズのネグリジェに指をかけ、するすると上に引き上げ―――ルイズの下着があらわになる。
 ガッツが持つ制服に袖を通し、ガッツの指がそのボタンをとめていく。
 必然、ガッツの太い指がルイズの慎ましやかな胸に触れる。
 ルイズは小さく「あ――」と声を漏らした。

 ―――っ て 出 来 る か そ ん な こ と ! ! ! !

 ルイズは顔を赤くしながらメモ帳をパァン!!と思いっきり床に叩きつけた。
 ぱたぱたと頭上に浮かんだ己の妄想を打ち払う。
 そしてまたちらりとガッツの様子を伺った。

 一.主人より遅く起きる使い魔には鞭打ちの刑!!

 再び引き出しを開けると愛用のムチを取り出し、ガッツの頭に向かって一振り。
 パシンッ!! 小気味良い音が鳴る。
 ガッツの左目がくわっ!と開き、立ち上がると同時にドラゴンころし。ずんばらりん。
 あっはっは、胴と足が泣き別れだわ。無様ねルイズ・フランソワーズ。
 ―――ルイズはため息と共に制服を手に取ると、コソコソと着替え始めた。
 まあね、あの時はガッツのこと何にも知らなかったからね。
 大体ガッツの左手義手だしね。洗濯しなさいなんて鬼畜か私は。
 制服に着替え終わってルイズは床に落ちたままのメモ帳を拾った。
 こんなものガッツに見られたらどうなるかわからない。
 ルイズは決してガッツの目に触れることがないようスカートのポケットにメモ帳をしまった。
 準備を終え、授業へ向かおうとドアを開け部屋を出る。その前に、もう一度ガッツの様子を伺った。
 けっこうパタパタと動いたというのに、ガッツはまったく起きるそぶりを見せない。
 それもそのはず、実はガッツ、30分程前にようやく寝付いたところである。

―――意外と寝起き悪いのね

 そんなことはつゆ程も知らないルイズは使い魔の思わぬ一面にくすりと笑うと、ゆっくりとドアを閉めた。


55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:35:48 ID:VEP1CLqK
支援態勢ok
56ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:39:03 ID:WbidwZ2f
 それからしばらくして、ガッツは目を覚ました。
 しぱしぱする目をこすろうとして、自身の体に毛布がかけられていることに気づく。
 ルイズはもう部屋にいない。どうやら起きてどこか出て行ったようだ。
 その時にでも、かけてくれたのだろうか?
 ただの高慢ちきな小娘だと思っていたが―――意外な一面もあるようだ。ガッツは思った。
 毛布をベッドに戻す。
 ふと腰元のバッグに目をやると、毛布のせいで蒸していたのだろう、汗をだらだらかいたパックが寝苦しそうにベヘリットを蹴り上げていた。ベヘリット涙目である。
 腹具合から今の時間を推定するに、眠りについてから3時間ほどたっていると思われる。
 さてと―――何をするか。ガッツは頭を悩ませた。
 とりあえずルイズを探してみるか。そう思い立ったガッツはベヘリットの鼻を引っ張りながら眠るパックをたたき起こした。


 トリステイン魔法学院の廊下をガッツは歩いていた。
 パックがその前を飛び、先導する。
「うむ、今日もセンサー好調! ルイズはこの部屋の中にいるよ」
 わずかなドアの隙間からガッツは教室の中を覗き込んだ。
 多くの少年少女が己の使い魔を引き連れて長机に着席している。
 おそらく全ての少年少女はメイジ、かつ貴族なのだろう。
 隙間からではルイズの姿を確認できない。
 ガッツはドアを開いた。
 教室がシン…と静まり返る。生徒たちの視線が一斉にガッツに集中した。
 右の窓側、ギーシュは一瞬肩をすくませ、中央ではキュルケが目を輝かせ、タバサは一瞬ガッツに目をやるとすぐに読書を再開した。
 左の窓側、ルイズもガッツがまさかこんなところに来るとは思っていなかったのだろう、驚き固まっていた。
「な、なんですかあなたは!」
 突然現れた黒尽くめの剣士に、土のトライアングルメイジであり、本日『錬金』の授業を行っていたミセス・シュヴルーズは狼狽した。
 どうやら彼女はガッツとギーシュの決闘を直に目にしていないらしい。
「ミセス・シュヴルーズ! 申し訳ありません! その男は私の使い魔なんです!」
 慌てた様子でルイズが説明する。それからルイズは自分の座る窓側の席へガッツを手招いた。
 ガッツが歩み寄ってくる。ルイズの頭にまたもや『ルイズメモ』がフラッシュバックした。

一.教室の席はメイジのものよ! 使い魔は床!

(言えるかッ!? わたしッ!!)
 ルイズがわたわたしてるとガッツは既にルイズの席の傍まで来ていた。
 ルイズに言われるまでもなくそのまま壁に背を預ける。
 拍子抜けしたルイズははたと気づいた。

 ―――てゆーかガッツ座れないんじゃないの?

 サイズが問題なのだ。ガッツでか過ぎ(甲冑着込んでるし)。席狭すぎ。
 結局ガッツの選択肢は一つである。まだルイズの席が窓側だっただけましというものだ。
 ガッツが教室中央で仁王立ちしている画を思い浮かべ「ないわ…」とルイズは首を振った。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:39:34 ID:garOB2DE
寝る前に支援
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:40:06 ID:VEP1CLqK
>大体ガッツの左手義手だしね。洗濯しなさいなんて鬼畜か私は。

ちょっとまて。この頃のお前は鬼畜な筈だろ!
支援
59ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:42:34 ID:WbidwZ2f
 気を取り直して授業が再開される。
 意外にもガッツはシュヴルーズの話を興味深く聞いていた。
 前述したが、今日の授業は『錬金』についてである。
 シュヴルーズが錬金の原理についてつらつらと説明している。
 錬金とは物質を金属に変える魔法らしい。教壇に立つ中年の女はただの石ころを真鍮なんていう金属に変えてみせた。
 なるほど、この世界では武器弾薬の補充には事欠かないようだ。
 ガッツはこの世界で矢や投げナイフを使うことがあるかはわからないが、一応、そういう技術があることを頭に刻み込んだ。
「ところでさ、ルイズ。あの女の人がちょくちょく言ってるスクウェアとかトライアングルってどういう意味なの?」
「こら、パック。今授業中よ」
 ルイズの机に座り込んでいたパックがピーピー騒ぎ出した。
「じゅぎょうってなによ? いいじゃん教えてよ」
「しょうがないわね。いい? 魔法には系統があって…」
 ルイズの魔法のレベルについての講釈が始まる。
 長いので以下略だ。
「…てわけよ。わかった?」
 ルイズが説明を終えた時、パックの頭からぷすぷすと煙が上がっていた。
(絶対わかっちゃいねえな)
 パックの性格と知能をよく知るガッツは思った。
 ガッツの方はというとルイズの説明を大体ではあるが理解していた。
 シールケをこっちに連れてきたら何に該当するのだろうか―――ガッツはそんなことを考えていた。
「ミス・ヴァリエール!!」
「は、はい!!」
 シュヴルーズから叱責の声が飛ぶ。
「授業中の私語は慎みなさい」
「すいません……」
「お喋りをする暇があるならあなたにやってもらいましょう。ここにある石ころを望む金属に変えてごらんなさい」
 そんなシュヴルーズの言葉に教室中からブーイングが飛ぶ。
 やめさせろ、危険だ、そんな声が端々から聞こえた。
「わかりました。やります」
 そんな周囲の声に反発するようにルイズは立ち上がった。
 教壇に向かうと、緊張した面持ちでシュヴルーズの隣に立つ。
 ガッツは首を捻った。
 なぜこうも皆反対しているのか。
 赤毛の女など顔面蒼白ではないか。
 なんてことを思っていると―――石が爆発した。
 そしてガッツは知る。ルイズの二つ名『ゼロのルイズ』その意味を。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:42:44 ID:aMkDUWkW
このルイズは怖い目にあったからな。
痛みを知るものは他人の痛みが分かるものだ。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:43:01 ID:liT3Hhu/
支援
62ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:44:40 ID:WbidwZ2f
 教室の片づけを行いながら、ガッツはルイズに声をかけた。
「お前が錬金を使うといつもああやって爆発すんのか?」
 ルイズはごしごしと床についた煤を雑巾でぬぐっている。
 少しべそをかいているようだった。
「…そうよ」
 本当にもう、泣きわめきたいくらいに恥ずかしかった。
 こんなんじゃもう、ご主人様としての威厳なんて地の底である。
「だいじょぶだいじょぶ! ルイズもいつか出来るようになるって!!」
 片づけを手伝いもせずぷかぷか浮かびながらパックは能天気な励ましをかける。
 ルイズはガッツの反応が怖くてたまらなかった。
 せっかく使い魔としてやっていってくれると言っていたのに、ご主人様がこれじゃ、早々に愛想がつきたんじゃないだろうか。
 しかしガッツの言葉はルイズの予想外のものだった。
「大したもんだな」
 その言葉に驚いたルイズは瓦礫を運んでいるガッツの方を振り向いた。
 その顔に皮肉や何かを含んだような様子は見られない。
 ガッツは真剣に感心していた。ルイズの起こした爆発、その威力に。
 自身の持つ炸裂弾を大きく超える火力だった。
 しかもそれはただの石ころにルイズが『錬金』をかけた結果だという。
 だとすれば『武器』としてこれほど有用なものは無いとガッツは思っていた。
(……励ましてくれたのかな)
 そんなガッツの真意など知らないルイズはそんな風に思っていた。


 片づけが終わると昼食の時間だった。
 ルイズはガッツに『アルヴィーズの食堂』の説明をしながら食堂に入室する。
 テーブルの上には豪華な料理が並べられてあった。
 パックは目を輝かせる。ガッツも少し感心している様子だった。
 ルイズは自分の席について―――気づく。
 自分の席の隣の床に、粗末なスープとパンが置いてあった。
「あ゛っ」
 忘れていた。そういえば、こういう料理を用意するようにと、ガッツを召喚したその日に厨房に命令していたんだった。
 それからようやく今日、ガッツを伴って食堂に来ることになったわけで、こんなもんガッツに食えなんて言えるか!!ってなわけで。
 ルイズメモ。

一.「あのね、本当は使い魔は外。アンタは私の特別な計らいで、床」

 なんて考えてた台詞ももちろん言えるかッ!!となる。
 ルイズはコソコソとテーブルの下にスープを隠した。
 ガッツに見られた。
「―――!?!!?!!?」
 真っ青な顔で必死に言い訳を考える。
「何たくらんでたかは知らねえが……どの道、ここでおちおち飯を食ってるわけにゃいかねえらしいな」
 そう言い残してガッツは食堂を出て行った。
「ちょ、ちょっとガッツ!?」
 そんなに怒ったんだろうか―――そう考えて、ルイズはようやく気づいた。
 食堂にいた生徒たちが、敵意を持った眼差しでガッツを睨み付けていたのである。
 ギーシュとのいざこざでガッツがした貴族への耐え難い侮辱。それに対する怒りは根強く生徒の心に残っているようだった。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:46:23 ID:VEP1CLqK
支援
64名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:46:44 ID:garOB2DE
しえん
65ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:46:56 ID:WbidwZ2f
 当のギーシュは本来昼食をとるべき昼休み、食堂には行かず中庭の原っぱに座っていた。
 トリステイン魔法学院は中庭にもよく手が入れられていて、咲き誇る花々と整えられた木々が美しい様相を作り出していた。
 そんな庭を眺めながらギーシュは考えていた。
 脳裏に浮かぶのはワルキューレを切り倒しながら自分に迫り来るガッツの姿。
 ガッツが振り回すその無骨な大剣。優美さも、雅さの欠片も無い、ただ『敵を粉砕する、そのためだけに造り上げられた剣』。
 その在り方を―――美しいと、感じてしまってはいなかったか。
 貴族に対して耐え難い侮辱を行ったあの男に、憧れのようなものを自分は感じてしまっていたのではないか。
 ギーシュは薔薇の杖を振り、ワルキューレを錬金する。
 中身を伴わないその優美な姿が、今のギーシュの目にはひどく矮小なものに映った。


 夜になって、ルイズが部屋で魔法書に目を通していると、ガッツが部屋に帰ってきた。
 少し頬が煤け、露出している右腕にも少し傷が出来ているような気がする。
 何かあったのか聞きたいが―――そこまで踏み込んでいいのだろうか?
 使い魔の状態を把握しておくのは主人の義務、そう自分に言いきかせてルイズはガッツに声をかけてみた。
「ガ、ガッツ…それ、ど、どうしたの?」
 よく観察してみるとけっこう深い傷のようにも見える。
 ルイズは慌てて机からいつも自分が使っている傷薬を取り出した。
 ガッツに駆け寄り、傷に薬を塗ろうとするルイズをガッツは手で制した。
「必要ねえよ、もう処置はすんでる」
 言われて傷口をよく見ると、ほのかに輝く粉が塗りつけられている。
(何か特別な魔法薬でも持ってるのかしら?)
 考えたがルイズにはわからなかった。それよりもまた自分がガッツに対して何も出来なかったことに落ち込んだ。
 ガッツが口を開く。
「何人か貴族のお坊ちゃま連中に襲われてな」
「え! 嘘っ!? 何ソレ!?」
 告げられた衝撃の事実にルイズは声を上げた。
 確かにガッツは貴族を侮辱したとはいえ、今は自分の使い魔だ。
 それに手を出すとは許せない。あとでとっちめてやる。ルイズは思った。
 それにしてもギーシュとの決闘を見た後でガッツに挑む気概がある者がいたとは…ルイズはそこにも驚いていた。
 そして最も気になるのは。
「も、もしかして、ここ殺しちゃったり、して、ない、わよ、ね?」
 ガッツは鼻で笑った。

(ど、どっちよぉぉぉ〜〜〜〜!!!!)

 ルイズは心の中で悲鳴を上げた。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:47:11 ID:hHxTgFkX
まあ正直ガッツって怖いしね支援
67ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:49:17 ID:WbidwZ2f
「心配すんな、そんな面倒なことはしちゃいねえよ」
 ガッツの言葉にルイズはほっと息を吐いた。
「で、でもね、ガッツ。あの時あなたが言った言葉は貴族にとってはとても許しがたいものなのよ? そ、その、面倒ごとが嫌なら、一度謝っちゃったほうが…」
 勇気をもって注意してみる。ルイズはガッツの反応をびくびくしながら待っていた。
 ガッツが口を開く。ルイズは身構えた。
「そうだな。いきなり襲われるようなことがなけりゃあ、な」
 ガッツの言葉にルイズは拍子抜けした。
(い、意外と素直なのね……)
 ガッツとて誰にでも譲れないものがあるということは承知している。
 あの時は頭に血が上っていたため、発言を取り下げる気はさらさらなかったが、今のガッツは避けられる面倒事はなるべく避けるつもりでいた。


「そ、それじゃあ眠る時は言ってね。毛布、貸すから」
 そう言ってルイズは机に戻ろうとする。
「おい」
 その背中をガッツは呼び止めた。
 ビクッ!と肩が震えてルイズは恐る恐る振り返る。
「な、なに…?」
 ガッツはぽりぽりと頭をかいた。

「何をビクビクしてるのか知らねえが……使い魔をやると言った以上はちゃんとやってやる。もっとシャンとしろよ『ご主人様』」

68ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:51:15 ID:WbidwZ2f
 ―――不意打ちだった。不意打ちだったが故に、心にしみこんだ。
 そうよ、主人が使い魔に媚びてどうするの。
 ガッツを使い魔らしく扱いたいのなら、私がまずご主人様らしくふるまわなくっちゃ。
 使い魔を恐れるメイジなんて、メイジじゃない!!
 私は私らしく、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールらしくあなたに接するわ、ガッツ!!
 決意を新たにガッツに顔を向ける。
 その顔にはガッツを召喚して初めて―――『不敵な笑み』が浮かんでいた。

「お前がちゃんと俺が帰る方法を探している限り、な」

 そしたら釘を刺された。
 うぐっ、となったけれどルイズは「わかってるわよ!」と返す。
 俄然やる気が出てきた。うん、私はやっぱりこういう風にやるほうが私らしい。
 その時パックが窓から部屋に入ってきた。学院内を散策でもしていたのだろう。
 ルイズは鞭を取り出すとガッツにビシイッ!と突きつけた。
 頭の中には『ルイズメモ』が復活している。

「あなたのご主人様として命じるわ、ガッツ!! これから毎朝私の下着を洗濯しなさい!!」

 ぴかー。
 ルイズから放たれる光にパックとガッツが照らされる。

 変な空気になった。





 ぽとりとルイズのポケットからメモが落ちる。
 ルイズがそれに気づくより早く、ガッツはそれを拾い上げた。
 ルイズの顔が真っ青に染まる。パックもガッツの傍に飛びよってきてメモに目を通した。
 不思議だ。ルーンの効果だろうか、メモの字は読めずとも、その内容はばっちりと意訳されてガッツの頭に流れ込んでくる。
 ガッツはメモを窓から投げ捨てた。
69ベルセルク・ゼロ7:2007/12/14(金) 14:54:11 ID:WbidwZ2f
以上投下終了。
これでようやくルイズがルイズらしくガッツに接することが出来るとこまでこぎつけたよ〜〜
支援サンクス!!
70名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 14:59:57 ID:hHxTgFkX
GJ
これはわがまま娘に振り回されるガッツを期待する流れですね!
71名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 15:02:09 ID:VEP1CLqK
はてさて、ルイズらしさがどこまでガッツに通用するやら(w
思いっきり空回りするのが目に見えるような・・・
ギーシュじゃなくてルイズがドロピー化?(w
乙&GJでした。
72名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 15:10:24 ID:vCfEIso0
GJ
なんだこのやたら(原作比)微笑ましいガッツはw
73名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 15:21:14 ID:zxKRe2jE
ニヤニヤw
GJ!
74名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 15:33:55 ID:9/aDzbwx
まあ、それくらいの対応で正解というか
サイトと同じ対応してたらずんばらりんどころか即効ミンチだわなw
75名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 15:35:23 ID:QvP1oTlL
ベルセルクGJした!

そういえば、ガッツにけしかけた貴族の坊ちゃんたちはどうなったのかな?かな?
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 15:42:41 ID:jSVnxZsy
む〜ざんむ〜ざん
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 15:46:24 ID:aMkDUWkW
どっこい生きてる土の中
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:04:38 ID:+6YHwBGx
これは良いお兄やんなガッツですねw
GJ!
79名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:11:06 ID:J0Zcn0YM
…あれ?
ガッツは眠れないとか前回言ってなかったか?
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:26:18 ID:kepmxGSi
眠れないのは夜だけで太陽が昇ってきたら寝る
だから今の投下の中でもルイズが目覚める30分前にやっと寝たって言ってたろ
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:31:55 ID:sB6VfcCt
ずんばらりんで噴いたのは俺だけでいい
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:34:10 ID:8D3ju9Fw
それよりも文字をちゃんと読めた?方が気になる。
ルーンにはそんな効果ない(原作では)から……烙印の方がなんか働いてる訳か?
83とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:45:30 ID:x+QKUW8s
お久しぶりです。
とある使い魔の一方通行、ある程度書き溜まったので投下したいと思います。
一応、5分後に投下したいと思います
84名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:46:28 ID:IpgI7Je9
支援は任せろ
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:48:31 ID:FouMqB5O
紫煙
86名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:51:43 ID:FvGacpE8
支援の体勢はバッチリだ
87とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:52:15 ID:x+QKUW8s
それでは、投下させていただきますー

―――決闘から約1週間。
食事の待遇が改善されたり、シエスタに力の事を聞かれたりはしたが、総じて特に問題は起きなかった。
あえて言えば、食堂で彼がかなり歓迎されるようになったことだろうか。
ただ、その雰囲気がどうもなじめず、以前より足は遠のいた。
他には、すれ違いざまに「平民がっ」と舌うちする奴がいたので、その場で3人ほど、風で3メートルくらい上空へとまきあげたくらいか。

ある日、廊下を何をするでもなく歩いていると、キュルケのサラマンダーが現れた。
ジーとこちらを見つめている
(なンだァ?)。
と、サラマンダーの「言葉」のようなものが頭の中に流れ込んできた。
(ついてこい)
「一体何なンだ?」
サラマンダーは、ルイズの部屋のすぐそばの部屋の中へ入って行った。
そこへ入ると同時に
バタンッ、とドアが閉じた。

「オイ、一体俺に何の用だ。突然閉じ込めるたァ、いい度胸してンじゃねぇか」
何者かの声が、返事には答えずに応える。
「貴方は、私をはしたない女だと思うでしょうね・・・」
(この声・・・キュルケか?)
一体何をしているのだろうか。
「思われても仕方がないの。わかる?私の二つ名は「微熱」。あたしはね、松明みたいに燃え上がりやすいの。だから、いきなりこんな風におよびたてしたりしてしまうの。わかってる。いけないことよ」
「・・・」
「でもね、貴方はきっとお許しくださるとおもうわ。恋してるのよ。私。あなたに。恋は全く、突然ね」
「あなたがギーシュを倒したときの姿・・・ゾッとしたわ!今まで味わったことのないような感覚!今までの恋とは違う・・・そう確信したのよ!」
(付き合い切れねェ)
そう思うと、その場から立ち去ろうとする一方通行。
「待って、ダーリン!」
そう言い、一方通行の手を取ろうと・・・
「キャッ!?」
キュルケの手が弾かれた。
「一つだけ言っておく・・・俺ァ年増に興味はねェンだよ!」
そういうと、鍵がかかっていて開かない部屋のドアを蹴り飛ばし、破って廊下へ出た。
88とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:53:11 ID:x+QKUW8s
―――平民の癖に、何やら不思議な力を使ってギーシュを無傷で圧倒した。
その姿を見たとき、キュルケの全身にゾクゾクっとした感覚が走った。
普通に考えればどう考えても正体不明な力に対する、恐怖による戦慄なのだが、プライドがそれを許さないのかそれが性なのか
(恋よ!これは恋なのよ!)
と思いこんだ。
(ふふ・・・ルイズにはMOTTAINAI使い魔ね・・・あぁ、それにしてもなんて格好良いのかしら!)

数日後、一方通行が一人の時を狙い、サラマンダーを使って一方通行を部屋へ呼び込んだ。
(彼なら呼び込むの手こずると思ったんだけど・・・まぁいいわ!すぐに私の魅力で虜にしてあげる・・・待ってなさい!ダーリン!)
「オイ、一体俺に何の用だ。あァ?」
(ふふ・・・きたきた!)
「貴方は、私をはしたない女だと思うでしょうね・・・」
そう言いながら、どうやって一方通行を悦ばせようかという思考を巡らせる。
「でもね、私は〜〜中略〜〜したのよ!」
全く返事がないことに少し困惑するが、
(きっと初めてだから戸惑ってるのね?そういうところもかわいいわ!)
続けようとする。
と、いきなり一方通行が踵を返して出ていこうとする。
驚き、掴もうと反射的に手が伸びた。
「待って、ダーリン!」
―――ミシッ
「キャッ!?」
手首が不吉な音を立て、彼の手首から弾き飛ばされた。
「一つだけ言っておく・・・俺ァ年増に興味はねェンだよ!」
(い、一体何なの・・・それに、年増ですって!?)
ドアが蹴破られた。
ロックによって鍵がかけられている、頑丈な筈のドアがいとも容易く。
「ふ・・・ふふ・・・いいわ・・・燃えてきたぁ!!」
(次こそ・・・次こそ私の魅力の虜にしてあげる・・・アクセラレータ・・・!)

ちなみに、このときルイズは熟睡中でした。すやすや。
89とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:54:20 ID:x+QKUW8s
―――次の日。虚無の曜日。
「買い物に行くわよ、アクセラレータ」
「あァ?ンなの、てめェ一人で行きゃいいじゃねェか」
「だから言葉を・・・いや、もういいわ。」
ルイズが何かを言おうとしたが、諦めたように溜息をついた。
「とにかく、馬に乗って行くから準備しなさい。5分以内で」
「短けェなオイ」
(まァ準備する物も特に無いンだがな)
そして、そのままルイズについて行く。
学院の裏手にある、馬小屋の前までくると、
「とりあえず、町まで馬に乗っていくわよ。馬に乗ったことはあるわよね?」
「あるわけねェだろ、ンな物・・・」
今の時代、馬に乗るより空を飛ぶ回数の方が圧倒的に多いだろう。
人によっては、一生、生の馬を見ることのない人間だっていると思う。
「はぁ・・・あんたがいた世界、馬もいないわけ?」
「いや、馬自体はいるけどよォ。馬なんか不便なもン、殆どの奴は乗ったこともねェだろうよ」
「馬が不便って・・・ま、まぁ、貴方みたいのがいる世界なんだし、どうせ変な生き物にでも乗ってるんでしょ・・・」
少し投げやりな感じで一方通行に返すルイズ。
(まァ、中世レベルの文化水準じゃ車や電車なんて想像すらできねェか)
「それより・・・そんなんじゃ、アンタ馬の乗り方なんてわからないわよね?どうしましょ・・・」
二頭いる馬のうち、ルイズが片方に乗る。
彼はあいている方の馬に近づくが、もちろん乗り方なんて・・・
その時、、彼の右手が馬に触れた。
―――瞬間、ルーンが光だした。
(な、何だこれ・・・)
瞬時に頭の中に、馬の理想的な乗り方、操り方等の知識が頭の中に入ってくる。
体が自然に動いた。
足を一切使うことなく、回転するように馬の上へと飛び乗る。
「しょ、しょうがないわね・・・わ、わ、わた、私のうう、後ろに乗っても、い、良いわよ。
か、勘違いしないでよね!あなたが馬に乗れないからしょうがなくなんだからねっ!」
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 16:54:34 ID:FvGacpE8
年増はマチルダさんのハズなのに!支援
91とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:55:34 ID:x+QKUW8s
ルイズが何事か言っていたが、彼はそんなことにかまっている余裕はなかった。
(な、何なンだよこれは!?)
馬の上に乗ると、さらにこの馬の知識が入ってくる。
現在の心拍数、呼吸、思考。
さらには
(この馬は・・・8呼吸に一回!左にブレながら走る癖がある!)
なんてことも分かった。
今まで馬に触ったこともないような人間が、である。
一方通行の頭の中は驚きで埋め尽くされていた。
この世界の馬に触ると、皆そうなるのだろうか。
一方通行はそんな話聞いていないが、常識的な知識であったならわざわざ耳にすることもないかもしれない。
(って、ンな事あるわけねェよなァ。)
そんな馬鹿らしい考えはすぐに否定。
(一体これは・・・ン?)
視界の端に右手の甲が入る。
(ルーン光って・・・?)
―――使い魔になると、何かしら不思議な力を得る。
以前ルイズから聞いた話では、何の変哲の無い動物でも、使い魔になると何かしらの力を得るらしい。
身体能力が向上するだとか、人語を話すようになるとか。
もしかして、これもその力の一部なのだろうか。
「―――ルイズ」
「ひゃわっ!?え、な、何?」
「使い魔ってのになると、確か何かしらの能力を得るンだったな?」
突然何を?というように一瞬いぶかしんだルイズだが、返事はすぐに返した。
「そうよ。前にも言ったと思うけど、大抵の動物は人語を理解して、人語を操ったり不思議な力を使うのもいるわ。感覚の共有とかも、その範囲ね」
「人間の場合はどうなンだ?」
「知らないわ。そもそも、人間の使い魔自体が例のないことなんだから。・・・はぁ」
「そうか」
人の使い魔自体例の無いことだけに、やはりルイズは知らないようだ。
とすると、もしかしたら誰も知らないかもしれない。
(まァどうでもいいか)
どうせわからないことなのなら、今考えても仕方がない。
後で教師から聞きだすなり、図書館なりを調べるなりしてみよう。
92とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:56:30 ID:x+QKUW8s
―――自分よりもうまく馬を扱う一方通行に驚くルイズ。
(見たこともないとか言っておいて、無茶苦茶馬乗れるんじゃない)
ブツブツとつぶやくルイズ。
(せっかく私の後ろに乗せてあげようと思ったのに!)
なんだか少し悲しかった。


―――町まであと半分といった所。
「なァ。街へ行って何買うンだ?」
「あんたの剣よ。」
馬を操りながら、ルイズが返事を返した。
「剣だァ?んなもン何で買うんだよ?俺ァ剣なンざ触った事もねェぞ」
「使い魔が丸腰じゃ、格好がつかないでしょ?とりあえず、剣くらい持ってても損はしないわ。・・・それに、助けてもらったお礼、してないし・・・」
(お礼?あー・・・ギーシュの時のことか?)
一方通行は、寧ろルイズに迷惑をかけたことだと思っていたので、少し意外だった。
だが、その言葉を聞いてどこか嬉しかった。
(こんなことで喜ぶなんて・・・ガラにもねェ)
「そうかよ」
何と返していいのかわからなくなったので、ぶっきらぼうに言葉を返す一方通行だった。


―――眩しい陽の光によって目が覚めた。
「うぅ〜ん・・・」
大きく体を伸ばす。揺れる谷間。
「今日も無駄に良い天気ねぇ・・・さてどうやってダーリンを落とそうかしら」
窓を開け、空気を入れ替えながら考える。と
「ん?あれは・・・ダーリン!とルイズね・・・って馬?馬に乗ってるの?ええ!?ちょっと!どこ行くのよ!?」
二人を見つけ、あわてて着替えるキュルケ。
(不味いわね・・・このままだとルイズに先を越されるわ・・・。かといって今から準備したんじゃ馬で追いかけても間に合うかどうか・・・)
考えながらも手は止まらない。
素晴らしいスピードで着替え、身だしなみを整えると、ドバンッとドアを乱暴に開けて出て行った。

親友、タバサの部屋。
鍵がかかっているので、アンロックを唱える(校則違反)。
ズバンッと乱暴にドアを開け
「ダバサーッ!!タバサタバサタバサ助けてタバサ〜」
早口に叫ぶが全く動じない、青い髪と瞳、白磁の名品のような白い肌を持つ美幼女タバサ。
「ターバーサー?聞こえてる?」
(・・・さてはサイレントね。)
状態から推測し、この問題を解決する最も手っ取り早い方法をとる。
タバサが持っている本に、手を添える。
つかむ。
ひっぱる。

グルンッ
首を回転させ、目を見開いたタバサがキュルケを見つめた。
サイレントを解いたのを確認してから、
「タバサ!ダーリンとルイズが馬に乗って出かけたの!追いつくには貴方のシルフィードが必要なの!助けて!」
うるさい折角の虚無の曜日の楽しみを邪魔しやがてこのデカメロン。と思ったタバサだが、その必死の剣幕に押されて渋々了承した。
「ありがと〜タバサ!やっぱり貴方は心の友ね!」
93とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:58:02 ID:x+QKUW8s
―――トリステインの城下町を、一方通行とルイズは歩いていた。
「にしても・・・狭い所だなァオイ」
「狭い?これでもトリステイン最大の大通りなんだけど」
「あァ?これでか?」
幅は5メートルくらいしか無く、左右を露店が占めている。
これじゃあ、どう考えても地方商店街の方が大きいだろう。
確かに活気にはあふれているが。
「それよりも、財布は大丈夫でしょうね?ここ、スリが多いんだから。」
「安心しろ。盗られちゃいねェよ」
(ってか盗られるワケねーだろ)
「ってか、剣はドコで買うンだ?」
「ちょっと待って・・・あった、この道を入って・・・」
ルイズに言われるがまま、小道に入っていく。
生ゴミや汚物が撒き散らされている、汚らしい道路。
そこを通り過ぎると、いくつかの小さな店が並んでいた。
(ン?あれか?)
「えっと・・・あったわ!」
それは、剣の形をした看板がかかっている、武器屋であった。

「いらっしゃ・・・き、貴族!?うちは真っ当な商売をしてまさぁ!お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありやせんぜ?」
店に入ったとたん、主人だと思われる男が素っ頓狂な声をあげ、ついで警戒したように言ってきた。
貴族は滅多に来ないのだろうか。ずいぶんと警戒している様子だ。
(っつか、そんな反応じゃ何かしてますって言ってるようなもンじゃねェか)
少し呆れるが、特にルイズは気にしていないようだ。
「客よ」
その言葉に主人は驚いたようだが、愛想笑いを浮かべるとルイズに剣の紹介を始めた。

「こいつぁどうでしょう?あの方が振るには丁度良いもんですぜ!」
「へぇ、中々良さそうね。いくら?」
ルイズがきくと、
「何せこいつはかの高名な、ゲルマニアのシュぺー卿が作り上げた品でして。魔法が掛かっているから、鉄でできた剣すら一刀両断でさ!・・・安くありませんぜ?」
「私は貴族よ!」
無い胸を張って、得意げにいうルイズ。
対して、店主は淡々と値段を告げる。
「エキュー金貨で2千。新金貨なら3千」
「立派な家と、森付きの庭が買えるじゃないの」
呆れてルイズがいう。
94とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 16:59:16 ID:x+QKUW8s
(新金貨2千枚で豪邸が買えンのか。大体、日本円に直すと2~3億って所か?)
特にすることもないので、適当な事を考える一方通行。
「新金貨で、100しか持ってないわ」
駆け引きなぞしたことも無いルイズは、簡単に手の内を明かしてしまった。
「まともな大剣なら、どんなに安くとも相場は200でさ」
店主は呆れたように言う。
ルイズの顔が朱に染まった。
「そのなりであの剣を買うだァ!?生意気言うんじゃねぇよ嬢ちゃん。あの体でそんなもん持ったって重しにしかなんねぇよ!」
突然、大声が響いた。
「え、えぇ?何?」
「やい!デル公!お客様に失礼な事いうんじゃねぇ!」
「お客様!?剣をまもとに触れないような小僧と嬢ちゃんがか?ふざけんじゃねぇよ!」
ルイズは、その剣をまじまじと見つめている。
刀身が細く長い薄手の長剣で、剣に錆等は無かった。
あわてて主人が鞘をそれに嵌める。
「それって・・・インテリジェンスソード!?」
「え、えぇ・・・そうでさ。こいつは」
「すごいじゃない!インテリジェンスソードがだなんて、大きな商会にだってないわよ!」
興奮したようにルイズが言う。
「え、えぇ?あ、まぁ・・・」
「う〜ん・・・見かけはボロボロだけど、ここって実はすごいところなのかも・・・インテリジェンスソードなんて、宝物庫に保管されてるのくらいしか見たこと無いし・・・金貨2千枚どころか、1万枚とかしちゃうんじゃ・・・」
ルイズが困ったように言っている。
(どうやら、今のアイツじゃキツイみたいだなァ。適当なもン選んでサッサと終わらせるか)
「なァルイズ」
「え、な、何?」
「これ、買えるか?」
指さしたのは、長さ20サント程のナイフ。
切れ味はよさそうだが、他の剣と比べるとどうしても見劣りする。
「そんなんでいいの?折角来たんだし・・・」
「いや、正直俺ァでけェ剣よりこっちのが使いやすい。これで頼めるか?」
「あ、あんたがそれが良いっていうなら、それでも構わないわよ」
ホッとしたようにルイズがいう。
「そいつなら50枚で結構でさ」
一方通行は、ポケットの中から膨らんだ財布を取り出し、50枚を渡す。
「ひふみ ひふみ ひふみ ひひふぅ、ひふみ ひふみ ひふみ ひひふ?・・・確かに。50枚丁度頂きやした」
ナイフを納め、ポケットに突っ込む。
「毎度」
主人の言葉を背に受け、二人は店を後にした。
95とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 17:01:02 ID:x+QKUW8s
―――ガチャッとドアが開いた。
「いらっしゃ・・・おや!今日はどうかしてる・・・また貴族だ!」
長身で、胸の大きな褐色の貴族と、小さくて可愛いつるぺた幼女貴族が入ってきた。
「また?あぁ、小さいピンクの子ね?」
「え、えぇ・・・お知り合いで?」
「そんなところね。所で、そのピンクは何を買ったのかしら?教えてくださる?」
「へぇ、あそこにあるナイフでさ。エキュー金貨で50枚」
「へぇ〜・・・ルイズったら、あんなものを買ったの。お似合いね」
ウフフと褐色の女が笑う。
自分も笑う。
ただし、こちらは腹黒い笑みだ。
(また貴族、しかもさっきのの知り合い・・・剣の良さなんて分かんねぇ奴だろうな)
「この店で一番高い剣はどれかしら?」
やっぱりだ。
剣にある程度精通しているものなら、こんなことを聞きはしない。
(これは・・・チャンスだ!)
愛想笑いを浮かべ、手を揉みながら先ほど持ってきて戻していない、デル公と呼ばれたインテリジェンスソードをカウンターの上に置いた。
「これは、かの伝説の勇者、ガンダールヴが使っていたとされる剣でさ!」
「へぇ・・・ってガンダールヴ?」
(しまった!?さすがに嘘がでかすぎたか・・・)
「い、いえ、あくまでそう言われている剣でして・・・本物かどうかはとにかく、これは特別なものなんでさ!」
見てくだせぇ!とデルフリンガーを一瞬だけ鞘から抜く。
「ぶわっ!何しやがんだこのクソ野郎!ってうわ!」
「・・・喋った。インテリジェンスソード?」
先ほどから全く言葉を離さなかった、無表情の幼女が呟く。
「へ、へぇ。そうでさ。これこそが、伝説の勇者、ガンダールヴの剣といわれる所以でして」
汗をかきながらも必死に言う。
「なるほど。確かに、そんじょそこらのものでは無いことは確かね」
キュルケが感心したように呟く。
いける。
押せばいける。
(このボロ剣を高値で売る最初で最後のチャンスだ・・・ものにしてみせる!)
高すぎてはいけない。
それでは買ってくれないだろう。
安すぎてはいけない。
変にいぶかしまれ、疑われる。
96とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 17:02:00 ID:x+QKUW8s
「おいくら?」
「き・・・金貨1万で」
「1万!?高すぎよ!」
ここでひいては駄目だ。
この反応。おそらく、値切ってくるはず。
ぎりぎりまで粘る、演技をしなくてはならない。
「しかし、伝説級の品ですぜ・・・むしろこれでも安すぎるくらいで」
そういうと、褐色の女の顔が、いきなり近付いてきた。
「ご主人・・・ちょっとお値段が張りすぎはしませんこと?」
顎の下を撫でられる。ものすごい色気だ。
だが。
(なんという幸運だ・・・。色仕掛けに負けた振りをすれば、いくら安くしても相手はいぶかしむことはない!)
「は、8千で・・・」
ふぅ〜、と耳に息がかかる。
「な、7千で・・・」
「ちょっと、熱いわね・・・」
手が服のボタンに掛かる。
「ちょっと脱いでしまおうかしら・・・よろしくて?ご主人」
「6千で!へえ!」
ボタンを1個外した。
「ご、五千五百で!へえ!」
もうひとつ、ボタンをはずす。
谷間があらわになり、もう少しで胸の先端も見えそうになる。
「ご、五千で!へえ!」
ボタンをはずす手が止められた。
今度は、スカートの裾をまくり始めた。
が、その指が途中で止まる。
(もう一つか・・・おそらく、こいつは4千くらいまで値切る!)
「4千5百で!へえ!」
スカートがするすると上がる。
息をわざと荒くし、太ももを凝視する。
褐色の女の顔が笑みに歪んでいる。
「四千よ!」
指がピタッと止まった。
「あ・・・あぁ・・・」
笑いを必死にこらえ、情けない声を洩らす。
「四千よ」
再び要求を口にする。
「四千で結構でさ!」
瞬間、褐色の女は手をパッ放し、小切手にさらさらと書いてカウンターの上に置いた。
「買ったわ」
くふ、と口から息が漏れた。
まだだ、まだ笑うな。
必死にこらえる。
それに気付かず、手から素早く剣を取るとそのまま店を出て行った。
完全に店からいなくなったことを確認して。
「くふ・・・ぐふ、ぐはっ、がは、があっはっはっは!」
「あの貴族、完全にしてやったと思っただろうが、してやったのは俺の方だぜ!あの剣は厄介払いといってただでもらった物なのによぉ!があっはっはっは!」
笑いが止まらない。
なんてついているんだろう。
「今日はもう閉店だ!酒飲むぞ酒え!」
そういうや否や、店を早々とたたみ、秘蔵のワインを取り出して一人酒盛りを始めた。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 17:04:16 ID:FvGacpE8
キュルケが出し抜かれたのは初めてじゃね?

…デルフだからか。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 17:05:31 ID:JaxPd9l1
でも冷静に値段付けると4000でも悪くないんじゃないか支援
99とある使い魔の一方通行:2007/12/14(金) 17:06:15 ID:x+QKUW8s
一応、今回の投下はこれで終了です

前スレでのアドバイスを受けて、
考えていることを()で表したり、感情表現をできるだけ多くしてみました。

直した方がいい所や、変えた方がいい所など是非お願いします〜
次からはそこが治るように頑張ります。
100名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 17:06:18 ID:IpgI7Je9
支援
101名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 17:17:35 ID:Cd3PK+96
鍛冶屋がイイ目にあうのは珍しいw
102ゼロのマジックユーザーの人 ◆7L3ILCFUdM :2007/12/14(金) 17:18:42 ID:jc1YSpI2
久しぶりに書いたから後五分ぐらい後に投下します。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 17:26:46 ID:CTmciZ8H
一方通行の人乙

 フーケ討伐の為、後日に行われた舞踏会。
 そこには、討伐の功を労うと言う名目で王女も来校され、何時もより盛大に行われていた。

 そこに、レコンキスタを名乗るテロリスト達が学校を占領し、人質を盾に王宮に法外な要求をだす。
 そして、偶然にも魔法学院に居た一人の男も動き出していた。

ジョンマクレーン警部補を召喚
「ゼロハード」
と言う電波を受信した。
104ゼロのマジックユーザーの人 ◆7L3ILCFUdM :2007/12/14(金) 17:30:38 ID:jc1YSpI2
 ゼロのマジックユーザー第三話
  決闘!ギーシュ・ド・グラモン


大量の野次馬がいる中、ジーニアスはヴェストリ広場に現われた。
その大量の野次馬は、賭けを始めたり、ジーニアスとギーシュを
「きたね、平民君。逃げなかっただけ、勇敢と見える」
「減らず口だね」
「口の利き方に注意したまえ。私は、メイジだから魔法で戦う。異議は無いな?
 ところで君が持っているそのヘンテコな玉のついたものはなんだね?」
「僕の武器さ。剣玉っていうんだ。始めないの?」
「言われなくても始めるさッ!行けッ!ワルキューレ!」
杖である造花から花びらを散らせ、一体のワルキューレが出てくる。
無装備である。
「行け!ワルキューレ!」
合図とともに突進するワルキューレ。鳩尾狙いのストレート。
真ん前から攻撃を受け止めた。
「ふぅん。なら、これで!」
剣玉で薙ぎ払う。吹っ飛ぶワルキューレ。だが、直ぐに戦闘態勢に戻る。
「堅いなァ。じゃぁ、これならどう?」
剣玉の玉をぽんぽんはねさせる。同時に足元に青い魔方陣が表れる。
「いきなり何を始める!決闘中だぞ!」
105ゼロのマジックユーザーの人 ◆7L3ILCFUdM :2007/12/14(金) 17:32:09 ID:jc1YSpI2
「言われなくても!」
剣玉を掲げるジーニアス!
「アクアエッジ!」
ジーニアスの剣玉から水が出る。その水が高速回転し、ワルキューレが真っ二つになり、それぞれ動かなくなる。
「何ッ!」
「魔法だ!」
「魔法が使える平民!?」
「おい、水が来るぞ」
「逃げろォォォォォォ!」
野次を飛ばしていた野次馬の方に水が飛んでいく。
「なっ、お前、平民だろ?…どういうことだ!くそっ!生意気だぞ!」
残った八体のワルキューレが現われる。全てスピアを装備している。
「生意気でいいさ!」
またも剣玉をはねさせる。今度は黄色の魔方陣。
サンダーブレードが二つのワルキューレを一刀両断。ギーシュの真ん前まで帯電。
「もう遅いわッ!既にキサマをワルキューレは囲んでいる!」
106ゼロのマジックユーザーの人 ◆7L3ILCFUdM :2007/12/14(金) 17:33:51 ID:jc1YSpI2
「ふーん…ふふふ」
「何が可笑しい平民!キサマをこれから串刺しにしてやるのだぞ!ええい、行けェ!」
一斉にジーニアスに突撃するワルキューレ。
ジーニアスは屈み、跳ね上がる。するとどうだろう。全てのワルキューレがお互い突き刺さってしまった。
「一応これも倒さないとね」
中央から出てきたジーニアスは全てのワルキューレをまとめてロックブレイクで砕いてしまった。
「さぁ、次は君だよ」
「く、来るな!」
そういったときには既に術は完成していた。
「水に飲まれろっ!スプレッド!」
大量の水がギーシュを囲んでしまい、全くギーシュの様子がわからない。
水が無くなった時には、既にギーシュは酸欠状態。呼吸が整っていない。杖は近くに落ちている。
「ぼ、僕の、負け…だ…許してくれ…」
少しずつ杖のほうににじり寄る。それを察したジーニアスは、
「アクアエッジ。」
「う、うわぁぁぁっぁ!」
水はギーシュの髪をバッサリと切り落とし、地面に落ちていた杖を真っ二つにしていた。
「へ、平民の勝利だ!」
「ありえねぇ!」
「なんてこった!」
「大損だ…ギーシュの野郎…」
ジーニアスは歩き出した。
「フルーツポンチ作りに行こう。」

ゼロのマジックユーザー第三話
  完!

ジーニアス ギーシュを倒した。その後食堂でフルーツポンチを食べてTP回復。
      でも食べ過ぎて腹を壊して再起不能
ギーシュ 水を飲みすぎて腹を壊す、地面に落ちて全身打撲、
     ついでに髪をバッサリ切られて軽くうつ病。   再起不能
ルイズ  寝てた。
シエスタ ジーニアスに大量のフルーツポンチを出して腹を壊させた張本人。
     罪悪感にのまれる。
107ゼロのマジックユーザーの人 ◆7L3ILCFUdM :2007/12/14(金) 17:35:06 ID:jc1YSpI2
有難うございました。うp終了です。また時々書いて、時々うpりにきます。
108迷宮職人:2007/12/14(金) 18:15:57 ID:GPMum28E
毎度、迷宮屋です。三話書いたんで三分後ぐらいから
投下させてもらいます。

今回は今までより長くなったので8分割ぐらいと予想しますが、
それより多くなるかもしれません。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:18:08 ID:lYGLpS7F
ほいほ〜い、支援
110名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:19:22 ID:sB6VfcCt
支援せねばなるまい
111ゼロと迷宮職人1/8:2007/12/14(金) 18:19:27 ID:GPMum28E


ゼロと迷宮職人3 拳で、決着をつけましょう


/1/


トリスタニア魔法学院は全寮制である。教師も使用人も住み込みだ。
それだけ大勢の人間の食事をまかなうには、それ相応の厨房が必要になる。
そこを取り仕切るのはマルトー親方と呼ばれるいかついおっさんである。
腕は一流、妥協はしない。弟子には厳しさと優しさで接するナイスガイ。
言葉遣いは乱暴であるが、学院で働く平民には慕われている男だ。
今は昼過ぎ、貴族の少年少女のために色彩あざやかなデザートが作られていく。
調理器具が、食器が、時々怒鳴り声が、料理協奏曲を奏でている。
そんな中、こんにちわー、と少年の声。

「おう、ボウズ! よくきたなって、こらぁ! 横着するな!」

前半はアレンへの挨拶、後半は弟子への叱責である。

「こんにちわ、マルトーさん。あの……」
「すまねぇなボウズ! ちょいと忙しくてよ! メシはシエスタにいってくれ!」
「はい」

皆が慌ただしく動く厨房を探すと、すぐにシエスタは見つかった。

「シエスタさん」
「あら、いらっしゃいアレン君」

微笑むシエスタ。子供なのに礼儀正しいアレンをシエスタは好んでいた。普通の感覚で。

「ご飯いただいていいですか?」
「うん、すぐに用意してあげるからまっててね」
「はい」

程なくして、厨房の端でアレンの食事が並べられた。使用人たちが食べるまかないであったが、
そこは監督マルトーによる料理。実に美味しい。献立はパン、シチュー、形の悪いビスケットが二枚。
ひたむきにご飯を食べるアレンをニコニコしながら眺めていたシエスタは、ふと思い出したことを
口にした。

「そういえばアレン君、昨日マルトーさんに何かお願いしてなかった?」

昨晩、初めてアレンが厨房に顔を出した時のことである。食べ終わった後お礼をいったアレンが
マルトーとなにやら話をしていたのだ。まかせとけーがははは、とマルトーが笑っていたのが
印象に残っていた。

「はい、料理のお願いをしました」

ごくり、と口に含んでいたものを飲み込んでからアレンは答えた。

「料理の?」
「はい。これから色々食材を持ってくるので、それでご飯を作ってくださいと」
「食材って……アレン君、狩りとかできるの?」
「そんなところです」

はー、と感心するシエスタ。子供に仕事をさせるのは村でも街でもよくある事だが、
狩りは難易度が高い。ケガじゃすまないことも多いのだ。
112ゼロと迷宮職人2/8:2007/12/14(金) 18:21:07 ID:GPMum28E

「アレン君って村生まれでしょ? どこなのかな?」
「サウスアークの村です。山奥にありました」

聞いたことの無い名前だったが、山奥ならそういうものだろうとシエスタは考える。

「山なら動物がいるから、狩りなんだ」
「いえ、どっちかっていうと家具作りが盛んでした。森もすぐ近くにありましたし。
ぼくも最初は家具屋さんになろうと思ったんだけど、ほかの子がたくさん家具作りの
仕事に就いたからだめで。じゃあきこりかな、と思ったら森に魔物が住み着いちゃって」
「まあ!」

一大事である。そういった場合、領主などに退治を願うのが普通だ。が、すぐに動いてくれる
領主というのは少ない。中には放置し続けるやらかもいる。

「ああ、魔物は退治できましたよ」
「え、ああ、そうなんだ。よかっ……」
「シエスター! 手が足りねぇ!」

マルトー親方の大声が厨房の奥から響いた。

「はーい! じゃ、アレン君、ゆっくり食べてね?」
「はい」

デザートのトレイを受け取りながらはて、とシエスタは違和感を覚えた。

「退治できた? 退治してもらった、じゃなくて?」


/2/


食事を終えたルイズは、デザートのケーキを食べつつ午後の予定を立てていた。
今日からダンジョンで魔物退治である。であれば武器が必要だ。誰かに錬金してもらう
必要がある。
それから、家具、家具だ。家具があれば魔物をその場におびき寄せられる、
とアレンが言っていた。家具といっても色々だ。
どんなものが必要なのかしら? テーブル? クローゼット? ベット?
アレンに聞く必要がある。いざ揃えるとなったらどうしよう。王都まで買いにいく?
平日は無理だから虚無の日に……。

そんな風に考えていたものだから、この声が聞こえてくるまで騒ぎに気付かなかった。

「やめてください!」

アレンの声だ。首をめぐらせば、食堂の一角に人だかりができている。アレンの声は
そこから聞こえてくる。今も、だ。なにやら口論している模様。だれと? 席を立って
人ごみに入る。
ルイズには状況が理解できていないが、騒ぎのあらすじはこういったものだ。

二年生でも指折りのかっこつけ、「青銅」のギーシュが落とした香水を、給仕のメイドこと
シエスタが拾って渡した。ギーシュは無視ったが周りの生徒によってそれが
「香水」のモンモラシーが作ったものと発覚。付き合っているのかとはやし立てる声が
一年生ケティの耳に届く。二又されたと気付いた彼女はサヨナラ宣言。さらにモンモラシーにもばれ、
無様に破局。周りの笑われたことも含め、シエスタに八つ当たりするギーシュを止めたのがアレン、
という流れである。

「アレン! ちょっと!」

113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:21:56 ID:T6nPrYva
ひとかたさん乙
実は新パターンっぽいなこれw

そして肉体言語期待支援
114名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:22:24 ID:lYGLpS7F
支援
115名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:22:47 ID:J0Zcn0YM
>領主というのは少ない。中には放置し続けるやらかもいる。

やから(輩)じゃないか?
支援
116ゼロと迷宮職人3/8:2007/12/14(金) 18:24:07 ID:GPMum28E
急がなければならないと焦るルイズ。アレンは非常に、素晴らしく、これでもかというほどの
よい子である。たった二日の付き合いだが、先ほどそれを実感したルイズである。だから判る。
目の前で女の人が謂われなく責められていたらどうか? 決まっている。止める。
というか実際さっき止めていた。
人ごみを急いで進む。まずい、アレンは貴族、メイジというものを分かっていない。
平民が貴族にそんなことをいったらどうなるか分かっていない。
やっとの思いで前に出た。

「よろしい! ならばヴェストリの広場まで来たまえ! 決闘だ!」
「はい!」

事態はすでにとんでもない事になっていた。ルイズが呆然としていたのは数秒か。
アレンはすでにヴェストリの広場の場所を周りの生徒に聞き始めていた。

「待ちなさいッ!」
「あ、ご主人様」

駆け寄ってきたルイズを迎えるアレン。その表情は決闘を決めたというのに
いつもどおりである。

「謝りなさい、今すぐ! いま謝れば許してもらえるから! メイジと決闘なんかしたら
ケガじゃすまないわよ!?」
「そ、そう! ミス・ヴァリエールのいうとおりです! アレン君、お願いだから止めて!
私も一緒に、じゃない、私が謝るから!」
「ダメです」

アレン、一刀両断。思わず硬直する二人を真っ直ぐ見る。ルイズたちは気付かないが、
その表情はいつもと若干違う。眉の両端が少しだけ持ち上がっていた。

「人を傷つけるのは悪いことです。あの人はそれをして、おまけに何もしてないシエスタさんに
八つ当たりしました。そんなのはダメダメです。謝りません。決闘します」
「だから! 決闘はダメ! ギーシュはアレでも戦闘系の授業成績いいんだから! ゴーレムを
錬金させたら二年生指折りなのよ?」
「大丈夫です」

迷い無くアレンは言い放つ。

「ケガなんてしませんさせません。ぼくはダンジョンメーカーです。人を傷つけるのは
僕の仕事じゃないです」
「小僧! こっちこい! ギーシュがまってる」
「はい!」

案内役の生徒にくっついていくアレン。空元気でも、気負っているわけでもなく、
自然体で歩いていく。置いてけぼりを食らう二人。

「アレンったら……ッ!」
「ミス・ヴァリエール、アレン君、あんなに自信満々ですけど、大丈夫なんでしょうか?」

それはこっちが知りたいことだ、と心の中で思うルイズ。

「アレン君、狩人だっていうし……罠とか仕掛けるんでしょうか?」
「罠? 罠……」

アレンはダンジョンメーカーだ。よく分からないが、何かダンジョン的な罠を作ることが
できるのだろうか。と、そこまで考えたルイズの脳裏に、ひらめきが走った。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:24:55 ID:lYGLpS7F
支援
118ゼロと迷宮職人4/8:2007/12/14(金) 18:25:35 ID:GPMum28E

「そうよ! シャベルだわ!」
「シャベル、ですか? アレン君がいつも持ってる?」
「そうよシエスタ。あのシャベルは魔法のシャベル。土を自在に操るシャベルなの!」
「まあ!」

目を見開くシエスタ。ルイズの思考は止まらない。

「ゴーレムは土から錬金されるわ。つまり、あのシャベルが刺さったが最後、即座に
消滅よ!」
「そ、そんなことができるんですか!」
「たぶんだけどね。でも、いいえ、そんなまどろっこしいことすら不要だわ!
あのシャベルを地面に突き刺して大穴あけてゴーレムを落としちゃえば!」
「ケガ無しで勝てる! アレン君もギーシュ様も!」

思わず手をとって喜び合うルイズとシエスタ。たしかに、この手段ならばアレンの
言葉どおりの結果となる。

「こーしちゃいられないわ! アレンの晴れ舞台を見に行かなきゃ!」
「はい、ミス・ヴァリエール!」

二人は大急ぎでヴェストリの広場へと走り出した。


/3/


決闘会場ヴェストリ広場。中央でかっこつけているギーシュを遠巻きにして、生徒たちが
好き勝手騒ぎながら集まっていた。群集の反応は大きく分けて二つ。
生意気な平民のガキがいたぶられる様を楽しみに待つ者たちと、
子供に暴力を振るうことに眉をひそめる者たちだ。
前半は男子、後半は女子と分けることもできる。
ルイズとシエスタがその場に駆け込むと、丁度決闘が始まろうとしていた。

「よし、間に合った!」
「あ、ギーシュ様が」

シエスタの言葉どおり、ギーシュの杖であるところの造花のバラが振られ、花びらが落ちた
地面から青銅の戦乙女が現れる。

「だ、大丈夫ですよね? アレン君」
「大丈夫よ、ほら、アレンが動くわ」

自信満々でアレンを促すギーシュ。アレンは、はいといつもの如く返事をすると、
ギーシュに指を向けて一言。

「すいみん!」

ばたり、とギーシュが仰向けに倒れた。

「……」
「……」

ルイズ、無言。シエスタ、無言。まわりの生徒たちも無言。先ほどまでの騒がしさは
ぴたりと収まり、響くのはギーシュの寝息ばかり。
そんな中、アレンがてくてくとギーシュに近寄り造花のバラをとりあげる。

「勝ちました!」
119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:25:38 ID:lYGLpS7F
支援
120名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:26:10 ID:lYGLpS7F
支援
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:26:54 ID:u8dxsjbh
あっけねえwww支援
122ゼロと迷宮職人5/8:2007/12/14(金) 18:27:05 ID:GPMum28E

一拍置いて。

「「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」」」」」

ギャラリー一同、これでもかというほどの疑惑の叫び。

「ちょ! ま! 待ちなさいよアレン!」

思わず飛び出すルイズ。

「あ、ご主人様。勝ちましたよ!」
「異議あり! 異議ありよその勝ち方! なによ今の!」

ポーズまでつけて異議申し立てをかますルイズ。周りの生徒たちも異議ありの大合唱だ。

「え? すいみんの魔法ですか?」
「魔法!? 魔法なのそれ!? 何の系統魔法? アレンってメイジなの? っていうか杖はどこ!」
「ぼく、メイジじゃなくてダンジョンメーカーです」
「それは知ってるの! そーじゃなくてメイジの血を引いているかって話!」
「よくわかりません」
「またそれー! っていうか杖ないから先住魔法!? アレンのご先祖様はエルフとかそういうの
なのー!?」
「普通に勉強して覚えましたよ?」
「あーもー! 話が通じてないっていうか使い魔が魔法使えて何で私がっ」

そんな風に(ルイズが一方的に)ぎゃあぎゃあとわめいていると、わりと近距離に
ファイアーボールが投げ込まれた。爆発。

「いー加減にしなさい! 話が進まないじゃないの!」

騒ぐ生徒たちの集団をかき分けて出てきたのは、誰であろうキュルケだった。
その後に青髪の少女が着いてきている。キュルケとは対照的な少女だ。背も胸も。

「あにしにきたのよキュルケ!」
「アンタは黙ってなさい。質問よりこのバカ騒ぎを終わらせる方が先でしょう」

キュルケはギャラリーへと向き直ると、アレンを指差す。

「決闘は、それを行った二人が結果を出すもの。それ以外の人間が結果について
どうこう言うなんて、無作法の極みよ! それを踏まえて異議を唱えるなら
アレン君に決闘を申し込みなさい!」

途端、それまでのブーイングが嘘のようにざわつき出す。彼ら彼女らは
決闘というショーを楽しみにきただけである。得体の知れない、もしかしたら
エルフの血を引いているかもしれない相手と決闘するような気概のある者は
いなかった。
そんな彼らをキュルケは小さく鼻で笑う。

「じゃあ、この決闘はアレン君の勝ちということで……」
「異議ありだっ!」

キュルケの宣言をさえぎって、周りの騒がしさで起きたギーシュが立ち上がる。

「あんなのは貴族の、いや、メイジの戦いじゃない!」
「なにいってんの。眠りの雲って魔法もあるでしょうに」
「卑怯すぎる! 不意打ちだったんだぞ!?」

地団太踏んで喚くギーシュを冷ややかな目でキュルケは見る。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:28:06 ID:lYGLpS7F
支援
124ゼロと迷宮職人6/8:2007/12/14(金) 18:29:06 ID:GPMum28E

「あんた、かかってきたまえー、って思いっきり余裕綽々で促してたじゃない」
「戦場で負けてもそうやって言い訳するの」

キュルケに続いて、今まで黙っていた青髪の少女まで追い討ちを入れる。

「うるさいうるさいうるさい! ともかくやり直しだ!」

駄々をこねるギーシュ。決闘前にこれでもかというほどかっこつけていたのだが、
今はまるでおもちゃを買ってもらえない子供のようである。

「あんた、いい加減に……」
「いいですよ」

あきれ返ったルイズが話を治めようと口を開いたが、それを遮ったのは今まで黙っていたアレンだ。

「決闘、やり直しましょう」
「アレン! 何を言うのよ! せっかく勝ったのに」

アレンは造花をギーシュに返して距離をとる。

「だって、この人全然反省してません。だったら反省するまでやるだけです。
それに、決闘はぼくとこの人が結果を出すんでしょう? 二人とも納得してないんだから
続けるだけです」

なんで僕が反省しなきゃならないんだ、と喚くギーシュを横目で睨むアレン。
ルイズとしても、そこまでいわれては引き下がるしかない。
ので。

「アレン、ちょっと耳貸しなさい」
「はい」

小声でアレンに耳打ちする。何度かアレンが頷いた。

「ルイズ! 決闘の邪魔だ、はやく下がりたまえ!」
「っさいわね! わかったわよ。アレン、いったとおりにね?」
「はい」

ルイズはキュルケ達と共にギャラリーに戻る。

「ねえ、何を吹き込んだの?」
「すぐに分かるわよ。それにしても、ああ、気付かなかったなぁ」
「何よ?」

再びギーシュと向き合うアレンを見ながら、ルイズは誰にいうでもなく口を開く。

「あの子、声も荒げないし、表情もあんまり変わらなかったけど……怒ってたわ」
「ええ!?」
「かなり、怒ってた」

驚くキュルケの隣で、青髪の少女がルイズに同意する。この少女もまた感情を表に
出さない。そのつながりで分かったのだろうか、とキュルケは思った。
そして再び決闘開始。怒り心頭のギーシュはバラを大きく振り、さらにゴーレムを
6体製造。最初に作った物とあわせて7体がアレンに殺到する。

「うわ、ちょっとルイズ!」
「大丈夫よ、ほら!」

125名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:29:47 ID:lYGLpS7F
支援
126名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:30:36 ID:lYGLpS7F
支援
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:30:37 ID:79SNg2a3
支援
128ゼロと迷宮職人7/8:2007/12/14(金) 18:31:10 ID:GPMum28E
ルイズが指差す先、アレンがもっていたシャベルを地面に突き刺した。途端、
ゴーレム達が走る地面の上に、六芒星が浮かび上がる。
地面が、消えた。当然その上にいたゴーレムは万有引力に引かれて、落下。

「ね」
「うっわー……」

これまた物議を醸し出しそうな勝ちかたである。

「平安京エイリアン」
「なにそれタバサ」
「いってみただけ」


/4/


「な、っとく、いくかぁぁぁぁ!」

喉は大丈夫かと心配になる大絶叫である。もちろんその主はギーシュだ。
じゃあ、とアレンは前置きして。

「拳で、決着をつけましょう」

握った両拳を、見せ付けるように掲げた。

「そ、そんなのは貴族のやり方じゃない!」
「ぼくは貴族じゃありませんし、そのやり方も知りません。ですけど」

真っ直ぐ、ゆるぎない目でギーシュを睨む。

「男のやり方ではあります」

ギーシュは口元をわななかせると、杖とマントを放り出した。ギャラリーが何かを
いっているが、耳に届いていない。怒りで目の前が真っ赤になっていた。
もはや口上は無かった。力いっぱい握り締めた拳を、振り上げた。
が。

「……」

そのまま、動きが止まった。気付いてしまったのである。今、己がいかに滑稽であるかを。
自分より年齢も背も低い子供に手を上げる。そのあまりにも愚かな行為が、ギーシュの目を
覚まさせたのだ。
思えば、何もかも自分が愚かだった。急速に冷めていく意識でギーシュは思い出す。
綺麗な女の子に持てたい。だからかっこつけた。
色々な女の子にちやほやされたい。だから二又をかけた。
モンモラシーの香水を落としたことでそれがばれて破局した。だからメイドに八つ当たりした。
そして今度はこの子供に。

「はは……」

拳を力なく下ろしながら、ギーシュは笑った。自分を笑った。もう、笑うしかなかった。

「僕の、負けだ。はじめっから、僕は負けていたんだ……」
「それは、僕が勝ったんじゃありません。あなたの心が勝ったんです」
129名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:32:55 ID:lYGLpS7F
これはいい展開
支援
130ゼロと迷宮職人8/8:2007/12/14(金) 18:33:26 ID:GPMum28E

アレンも拳を下ろした。まだギャラリーが喚いていたが、二人には届かない。

「笑わないのかい? こんなにも滑稽な僕を」

アレンは首を振る。

「ぼくはあなたに気付いてほしかっただけです。あとはもう、ぼくがする事もいうこともありません」

そこまで言うと、アレンはギーシュに背を向けた。シャベルを地面に突き刺す。すると、
陥没していた地面が何事も無かったかのように元に戻った。命令が無くなって、
ギーシュのゴーレムが小山のように折り重なっている。

「なあ、ひとつ聞いていいかい?」
「なんでしょう?」
「きみ、攻撃する魔法って使えるかい?」

アレンは、ゴーレムを指差した。

「せいなる光」

突如、光の刃が三つ、ゴーレムの上に現れ突き刺さった。あっさりとゴーレムは砕け散る。

「……なんでそれを、最初から使わなかったんだい? 僕に対してつかえば、それで
終わっていたじゃないか」
「さっきもいいましたけど、ぼくは貴方に気付いてほしかっただけですから」

それに、と付け加える。

「ぼくはダンジョンメーカーです。人を傷つけるのは僕の仕事じゃないです」

それだけ言うと、ルイズの元へと歩いていった。
はあ、とため息をついてギーシュは座り込んだ。

「完敗だ……」


/5/


学院の長、年齢不詳の老人オールド・オスマンは決闘騒ぎの一部始終を
「遠見の鏡」と呼ばれるマジックアイテムを使って見ていた。

「いや天晴れ」

満面の笑顔で喝采するオスマン老の隣で顔をしがめているのはコルベールである。

「得体の知れない使い魔、得体の知れない魔法、得体の知れないシャベル……
何もかもが前代未聞です」
「一番初めに現れるものは、何もかも得体の知れないものじゃよミスタ・コルベール。
にしても、見事に争いを収めたものよの、あの少年」

鏡は、主の下に駆け寄るアレンを映し出している。

「それにしても、杖を使わぬメイジとはのう」
「先住魔法も杖を使いませんが、私には違うもののように思えます。あちらと違い、
あの少年の魔法は……なんといいますか、ひどく人間くさい」
「うむ、明らかに人の知恵のかおりがする。学んだ、とも言っておったようであるし……
詳しくは当人に聞くしかないの」
131名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:33:45 ID:hHxTgFkX
うん、正直に言うと穴を掘るって最初はそっちだと思ってた支援
132ゼロと迷宮職人9/8(笑):2007/12/14(金) 18:34:35 ID:GPMum28E

オールド・オスマンは鏡に向けて杖を振り、映し出されていた映像を消した。そして、
コルベールが持ってきた古文書に目を落とす。

「あの魔法もシャベルも気になるが、こちらも問題じゃのう」

古文書に書かれているのは、アレンの左手に刻まれたものと同じルーンである。

「始祖ブリミル。伝説の虚無系統。その使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたという
ルーン……それがあの少年の、右手に」
「古文書の間違いであればよいが、これはこれでまた」

ヤッカイじゃ、とヒゲをなでながらオールド・オスマンは呟く。

「ガンダールヴであるか確認は取れませんが、あの魔法とシャベルについてだけでも
王室に報告する必要があると思うのですが」
「ばーかもん。んなことしてみい、少年もシャベルもアカデミーのモルモットじゃ。
教師として大人として、そのようなこと容認できるか」
「……浅慮でした、もうしわけありません」

頭を下げるコルベールに、よいと手を上げて許す。決して頭が眩しかった訳ではない。

「人の噂は防げぬが、それでも努力はするべきじゃな。ミスタ・コルベール、彼に
杖を持つように指示しなさい」
「杖……なるほど。異質な魔法ですがそれならば多少はごまかしも聞きますな」
「うむ、それからみだりにシャベルを使わぬように、ともな」
「はい。強い力を持つマジックアイテムです。近頃城下を騒がせる盗賊に狙われないとも
限りませんしね」
「その通りじゃ」

その盗賊、土くれのフーケが廊下でこの会話を盗み聞きしているということを、
二人は知らない。ここでは秘書ロングビルと名乗り生活しているし、二人とも
助平で目が曇っている。

「それにしても、の」
「どうされました?」

目を瞑りながら、オールド・オスマンは思案に暮れる。

「なんというか、予感がするんじゃよ。あの少年がきっかけで、何かとんでもないことが
起きるんじゃないか、とな」

まさか、と笑えないコルベールである。伝説のルーン、異質な魔法、そしてシャベル。
ドットメイジを手玉に取る力と、何より胆力。あの少年には何かがある、という思いを
消すことができない。
コルベールは、今はただ室内を映し帰すだけの鏡を見る。
あの少年は何者なのだ、と悩む自分の顔だけが映っていた。

133名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:36:07 ID:lYGLpS7F
終わったかな。支援
134迷宮職人:2007/12/14(金) 18:36:53 ID:GPMum28E
以上です。支援ありがとうございました。
うわーい、分子が分母より大きくなったよw

……いっぺん文字カウンターで全部数えて、割ればこんな無様には
ならないと今気付いたorz

>輩
ウィキ掲載時に直します。ご指摘ありがとうございました。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:40:24 ID:mkahyfxL
>>134
乙でした

今一番楽しみにしている作品だからこれからも頑張って
って言っても元ネタ知らんけど・・・
136名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:41:46 ID:8D3ju9Fw
乙ー。楽しませてもらってるけど……9/8でガンダールヴのルーンが右手に有るような誤植が。

>「始祖ブリミル。伝説の虚無系統。その使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたという
>ルーン……それがあの少年の、右手に」
137名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:44:00 ID:sB6VfcCt
右だとヴィンになっちゃうねぇ

とりあえずwktkwktk
138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:44:03 ID:GPMum28E
>右手

orz ウィキ掲載時に修正します。ご指摘ありがとうございます。
イージーみーーーーーっす
139名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:49:31 ID:GPMum28E
と、なんと無しに確認したらもう誰かが掲載してくれました。
早いよ! ありがとう! なおしマシター。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:50:01 ID:u8dxsjbh
めずらしくルイズとシエスタが決闘にノリノリw
この後も楽しみにしてます。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:06:29 ID:hHxTgFkX
確かにアレン君はえらく強いな
まあそれはそれとして、次はダンジョンなんだな!
せっかく作ったんだしダンジョンで魔物退治だよな!
と、ダンジョンという単語で興奮してしまう俺は明らかな中毒
142名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:11:04 ID:CTmciZ8H
ダンジョンて天守閣て意味なんだぜ
と言うどうでも良いトリビアを言いながら、乙
143名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:16:04 ID:GPMum28E
>次はダンジョン
はいな。次は本格的にダンジョン製作と魔物退治です。
ギーシュと一緒に。

>天守閣
宮廷全員の器が一点上昇(ry
144名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:17:15 ID:9u423L7h
ヴェルダンテ君活躍の回と申したか
これは期待せざるを得ない
145名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:21:59 ID:rMKnGGGH
杖を持たすように指示するお爺ちゃんを初めて見た気がする。
見事な納め方で人格を示したせいかな。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:33:17 ID:zJWbzwRO
ダンジョンメーカー乙でした

>>145
IDがすごく・・・勇者です・・・
147名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:33:21 ID:L7gOCpM6
>>143
今度迷キンのオンセしようぜ!
148名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:41:23 ID:GPMum28E
>>147
俺も凄くやりたいんだが、今は迷宮職人書くことに夢中なんだ……。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:51:48 ID:L7gOCpM6
>>148
そうか!
んじゃ頑張ってくれ!
シナリオ作りながらwktkして待ってるぜ!
150名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:56:33 ID:hHxTgFkX
そして執筆が詰まった所で気分転換にオンセですね
これは色々とwktkです
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:59:28 ID:egHivXem
乙!GJ!
アレンかっこいいよアレン

迷キンてなんだろな?
それにしても今日はめずらしいIDを見るぜwww
>>145は勇者王
>>148はガンパレード・マーチ
152名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:03:30 ID:GPMum28E
>>151
詳しくはまとめウィキの「ルイズ・キングダム!」を読んでくれ。
アレに全部書いてある。
そして俺もさっき自分のIDがガンパレであることに気付いた。
これは、ブータニアス卿か魔王あっちゃんが復活する
暗示なんだよ!
153名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:11:50 ID:Ms52iW8W
迷宮職人 お疲れ様でした。
元ネタ知らないので読み始めの頃、○ードナーのごとくダンジョンに君臨するルイズをイメージしてました(笑)
154名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:42:09 ID:MwiNdX9h
>>152
キュルケ辺り赤のオーマに相応な気がするな。


そういえば、アカデミーって何してるんだろうな。種死のロドニアのラボみたいなやつだろうか。
アルビノの美少女なキャラを召喚したいがアカデミーに狙われるだろうな……超能力者だし。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:47:33 ID:egHivXem
女の子とのばら色の学園生活に憧れるケンカ帝王の風使いとかどうだろう
156名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:47:47 ID:uL+jPacw
>>153
ワー○ナーなんて言うから
「隣り合わせの爆発と青春」って思いついちゃったじゃないか。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:49:33 ID:9t3Jx1DO
>>50
先住魔法「ホクトリュウケン」を使う使い魔ですか?

魔闘気を纏っていなければ北斗キャラの中では人格者だが…


>とある
店主が幸せになってる!
武器屋畳んで隠居生活に移れそう…

158名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:50:09 ID:GPMum28E
>>156
ゲー!? ベニ松!?
あれか、「まだ覚えていないんだ」なんだな?
159名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:52:06 ID:OC2wvWjm
>>154
ヒント:ハルケギニアには超能力と言う概念はなく、
系統魔法か先住魔法かでしか考えられない。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:04:22 ID:9t3Jx1DO
>>159
と言うか

良くわからないもの=先住魔法
な感じ。

脊椎動物の中で
両生類でも鳥類でも哺乳類でもない物=爬虫類
に近いかも?

ワニは心臓の構造では蛇とかトカゲよりも鳥に近かった気がするけど
とりあえず爬虫類

花山の握撃でも烈海王の「見えない目潰し」も
地震を収めるオーガパンチも消力も
とりあえず先住魔法
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:05:16 ID:0Kgyg43/
いや、その辺は明確になってないだろ?
何でもかんでも不思議な系統魔法以外の力は先住魔法扱いかと言えば
別段そんな描写がって訳でもねーし
162名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:06:22 ID:GO4QcBwZ
>>157
極めるには魔界落ちしないといけない拳法だからな>北斗琉拳
半端な落ちこぼれだったから人格者でいれたというか

北斗キャラ召喚も面白そうだけど
されたらまず最初に断末魔を考えそうだ
163名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:11:00 ID:ltgsuSMZ
ヘルミーナさんは今日で見納めか……
ダチ公から借りたB'zでも聴きながら待つとするか
164名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:14:27 ID:MPjOFv0S
>>157
復讐に生きた人の方を連想したぞ俺は……


あの名台詞を残して亡くなったヒョウさんは果たして初期ルイズを我慢出来るのか?
165名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:15:23 ID:u8dxsjbh
先住魔法って精霊魔法のことを指してるんじゃないのか?
166名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:15:52 ID:WSSKatLY
ナイスワーク迷宮職人!

次を楽しみにしてるよ。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:16:14 ID:6M5mD6nz
迷宮職人面白い。
「男の戦い方」カッコヨス。

フーケがシャベルを狙いそうだけど、
召喚されてきれたクロスキャラの持ち物を盗もうとするのって何気に新機軸なんじゃないかな。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:17:06 ID:U51Riq/I
ウルトラソウル!!続きwktk
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:20:25 ID:E7KKIk7o
>>163
CDは買って聴け



























B'z以外は別にいけど
170名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:23:39 ID:HOX+H9wL
面白かったよ〜。

それはそれとしてまとめの過去ログ見れなくね?
後、14スレの40にある「邪気乳」を小ネタのその他に入れたいのだが、いいだろうか。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:25:43 ID:Zzy9UVua
いやいや、フーケが狙うのは
アレンだよ、シャベルはついで
172名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:29:37 ID:MMENgn+1
>>170
邪気乳・・・?
おっぱいエルフのことか・・・
おっぱいエルフのことかーーーっ!!!

・・・別にいいんじゃね?
コピペネタなら他にもあるし。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:30:18 ID:HiNT54Dq
>>171
フーケはショタなのか?
174名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:30:44 ID:+6YHwBGx
俺がワルド氏の立場だったら、シャベル使いのアレンを狙うね。
勿論本命はルイズ狙いだがな。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:37:32 ID:9t3Jx1DO
>>162
使い魔「秘孔解唖門天聴を突いた 貴様は自分の意志とは無関係に聞かれたことを喋る
何故盗賊になった?」
マチルダ「ティ…アッアルビオン王家のクソッタレ!」

まあ文明社会だし長兄以外なら比較的穏便に済ましてくれそう…
トキならうまくやっていけそう
「自称トキ」だと面白い事に…

176名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:45:02 ID:uGthZpX2
ジャギさんがコルベールと意気投合し
拳法や魔法もいいけどやっぱり文明の利器だよね!と
177名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:49:20 ID:JvA41ZEL
>>175
ん〜、ちょっと雲のジュ○ザらしくないな
マチルダ「…テ…ィ」
ラオ○  「そうだ、言ってみろ! ん〜?」
マチルダ「ウ、ウェールズのく、そ、馬鹿、野郎…
       ざまぁみろ、私は最後の最後まで土くれのフーケ!!」
178異世界BASARA:2007/12/14(金) 21:49:42 ID:uBd700nf
投下してもよろしいですか?
179名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:50:40 ID:GPMum28E
しえんっ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:51:20 ID:HOX+H9wL
15の15の戯曲魔王も無いよね。とりあえず2、3日まって反対が無いようなら
入れてみる。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:52:31 ID:GO4QcBwZ
>>175
「ほうなるほど、魔法でも治せんのか。俺が見てやろう」
バシィ!
タバサ「やめて」
「お、おれの顔を叩きやがったな〜!こ、この天才の顔を〜!!」
こうですかわかりません

てか解唖門天聴っておめえ、喋るの拒むと全身から血噴出して死ぬおっそろしい秘孔なんだぜ?w
せめて新一にしときなさいw

182異世界BASARA 1/4:2007/12/14(金) 21:52:59 ID:uBd700nf
では続きの投下を。


『魅惑の妖精亭』で横暴な振る舞いをする徴税官、チュレンヌ…
誰も近寄りたくないこの貴族の相手を、ルイズは自ら名乗り出たのであった。

「行くって…あんたに出来るのかい?普段だって全然ダメじゃない」
勢いよく名乗り出たルイズだが、早速ジェシカに突っ込まれる。
「ば、馬鹿にしないで。次こそは上手くやってみせるわよ!」
手近にあったワインとグラスを取ると、ルイズは一度深呼吸した。


『ルイズ殿のお役に立つ為ならば!誇りは一時捨て置く覚悟でござる!!』


脳裏に、先程の幸村の言葉が浮かぶ。
(そうよ、誇りは一時捨て置く…後で拾えばいいのよ…!)

「い、いらっしゃいませぇ〜」
ルイズはできるだけ明るく振舞ってチュレンヌの前に出てくる。
だが、当のチュレンヌはルイズの胸を見るや否や不満いっぱいの顔に変わった。
「…ここは男を働かせておるのか?」
「お、男!?」
ルイズの眉がピクピクと動く。
それに気づかないチュレンヌはさらに続けた。
「おやぁ?よく見れば単に胸の小さい娘か?」
「むむむむ、胸の小さい!?」
ルイズの体がわなわなと震え始める。
これ以上言えば、彼女の「何とか」袋の緒がブチ切れそうだ。
しかし、このような男の場合、そんな事を感じ取らないものである。
「どれどれ、私が本当に胸があるかどうか確かめてやろうか」
チュレンヌの手がルイズの胸を触ろうとした。
その瞬間…

「…ふ、ふ、ふざけないでえぇぇーっ!!!!」
「ぶっはああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!」

ルイズの脚が顔面を蹴り飛ばした。
チュレンヌは椅子から転げ落ち、無様に倒れる。
183名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:53:57 ID:GPMum28E
武田に染まるルイズ支援
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:54:44 ID:zQMoaqhK
あなたの実家に腐った支援を送りましたよ
185異世界BASARA 2/4:2007/12/14(金) 21:55:01 ID:uBd700nf
「「「「きゃあああぁぁぁ〜!!」」」」
「ノオオオォォーーーーーーーンッッ!!!」
予想していたとはいえ、あまりの事に従業員とスカロンは悲鳴を上げた。

「お、おのれ小娘!貴族を足蹴にするとは何事かあぁ!」
蹴られた鼻っ面を抑えながらチュレンヌは叫ぶ。
「ごごごめんなさい!この娘まだ新人さんでしてぇっ!」
スカロンがルイズに代わり、必死に謝った。
余程焦っているのか、腰の振りもいつもより速くなっている。

「黙れぇっ!今更謝っても遅いわぁー!!」
しかし、平民に蹴られたと思っているチュレンヌの怒りは納まらない。
テーブルに置いてあったワインボトルを引っ掴むと、ルイズに向かって投げつけた。
だが、ボトルがルイズに届く事はなかった。
当たる前に、ルイズの前に現れた幸村が受け止めたのだ。
幸村はワインボトルをテーブルに置き、チュレンヌを睨みつけた。
「……………」
現れた幸村に、チュレンヌとその部下は開いた口が塞がらなくなっていた。



「スカロン!スカロオオォォォーーン!!!!」
数十秒の沈黙を破ったのはチュレンヌだった。
「スカロン!おまっ!!お前!こ、ここはいつからオカマを雇うようになったんだ!?」
「い、いえ…ちょっと趣向を変えてみようと思いまして…ほほほ」
「趣向!?あんなオカマが客を取れると!?」
こればかりは、ジェシカも含めた従業員もチュレンヌに同意した。
186異世界BASARA 3/4:2007/12/14(金) 21:57:21 ID:uBd700nf
「チュレンヌ殿でござったな……」
と、幸村がチュレンヌに話し掛けてきた。
「先程の貴殿の振る舞い、民の上に立つ者として恥ずかしいとは思わぬのか?」
「何だと!?」
その言葉に、チュレンヌはパニックで忘れていた怒りが再び燃え始めた。
さらに幸村は続ける。
「そして、ルイズ殿に対してあのような破廉恥な行為に及ぼうとするとは…」
そこで幸村は目をくわっ!と見開き、大口を開けて叫んだ。


「この変態めがあああぁぁぁぁぁ!!!!!」
「き、きき、貴様に言われたくないわあぁー!!!」


「おのれぇ…変態の分際で私を侮辱するとは…!」
チュレンヌは持っていた杖で幸村を指し、周りの部下に向かって叫ぶ。
「お前達!この馬鹿と小娘をひっ捕らえろ!」
「馬鹿ではない、真田源二郎幸村だ!」
幸村は名乗りを上げると、先ず、最初に近づいてきた男を殴り飛ばし、次に右から飛び掛かってきた男を裏拳で叩き伏せた。
「囲め!取り囲んでしまえ!」
これはマズイと感じたのか、チュレンヌの部下は幸村を周りを取り囲み、一斉に襲い掛かる。
だが、幸村は動じることなく、店中に響く程の声で吼えた。
「それしきで、この幸村は止まらぬわあぁぁぁ!!!!」
その後、複数の男の悲鳴と争うような音が聞こえた。




その音は大きく、店の外まで聞こえており…
「………?」ウィーン、ギュギュギュ?
この男の耳にもその音は届いていたのである。
187異世界BASARA 4/4:2007/12/14(金) 22:02:07 ID:uBd700nf
「ぐあぁー!!」
殴られた部下の1人が、店の扉を破って外まで吹き飛ばされる。
辺りを見回してみれば、幸村によって倒された部下が床に転がっている。
皆、元の顔が分からない程に腫れ上がっていた。中には歯が数本折れた者もいるのか、抜け落ちた歯が落ちている。
「そ、そんな…こんな変態に…」
予想外の出来事にチュレンヌはうろたえた。
いくらなんでも、こんな訳の分からぬ平民のオカマに全て倒されるなど思っても見なかったのだ。
「ひ、ひぃ!」
さっきの横暴な態度とは打って変わり、チュレンヌは尻餅をつきながら後ずさる。

「ままま待て、ちょっと待て!!」
もはや立つ事も困難な程に慌てふためきながらも、チュレンヌは何とか店の入り口まで辿り着き、外へと逃げ出す。
「待たぬ、このまま尻尾を巻いて逃げる気か?」
「い、いいのか?私は女王陛下の徴税官なのだぞ!?」

「…むっ?」
外に出たチュレンヌを追ってきた幸村の表情が変わる。
(こいつめ…ようやく自分の愚行に気づいたな…)
チュレンヌは立ち上がり、嫌な笑みを幸村に向けた。
「今更後悔しても遅いぞ、お前達には罰として重税を課してくれる!」
「……………」
「フフフどうした?さっきの威勢がまるでないぞぉ?」
黙っているのを見て安心したのか、チュレンヌは後ろに下がりながら罵声を浴びせる
「平民風情が貴族に逆らうからこうなるのだ!平民は犬のように従っておればいいものを!
……いや、犬ではないな。貴様等は虫ケラだ、貴族に刃向かう者は犬以下の虫ケラよ!」


コツン
「んん?」
幸村を罵りながら後ずさっていたチュレンヌの背中に、何か硬いものが当たった。


投下終了します。
何だか忠勝ならある程度魔法受けても大丈夫な気がしてきました…
188名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:04:27 ID:GPMum28E
お疲れです。ホンダムなら大丈夫ですよ。傷ひとつつきませんよ。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:05:30 ID:fFvMuwaP
機動戦士ホンダム乙
190名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:12:01 ID:U51Riq/I
なんせ戦国最強だもんな……何故か「もっとTensIon上げて行こうぜ」な伊達男さんが女装して世界を越えて来そうで怖い…
191名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:13:22 ID:j5+NDDZu
チュレンヌ、後ろ、後ろー!!乙
192名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:14:28 ID:ITHcHtN+
>>142
天守閣はdonjon
dungeonは地下牢
193名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:53:17 ID:9u423L7h
これはいい理不尽武田
ホンダムの活躍っぷりに期待
194名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:59:31 ID:oxQpAMoC
浅井長政とかいろいろと波長が会いそうな気がするんだけどなぁ、トリステインという土地。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:06:29 ID:bJjzbdp1
最近スカロンが大活躍だな
これがシンクロニry
196名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:10:59 ID:MwiNdX9h
>>194
闇属性を操る嫁をアカデミーにさらわれて
単身アカデミーに乗り込む長政を思い付いた。
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:19:17 ID:oItuQPPi
英雄外伝の長政はかっこよかった
ヤンデレとツンデレって歯車があえばいいけどずれると大惨事になるよね
お市ストーリーをみておもった。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:20:19 ID:rwBJojLK
トゥーカするので道を明けたまえ
199Mr.0の使い魔 代理:2007/12/14(金) 23:21:28 ID:rwBJojLK
本スレOCN規制で書き込めませんでしたorz
なので、三十二話をこちらにトゥーカ。
どなたか代理投稿して頂けると嬉しいです。
200Mr.0の使い魔 第三十二話(1/6) 代理:2007/12/14(金) 23:21:56 ID:rwBJojLK
「どうした、ウェールズ殿下。随分と顔色が悪いようだが?」

 くつくつと笑いを噛み殺しながら、『悪魔』が右手を伸ばす。倉庫の
奥で身じろぎ一つしない小柄な影、その纏っている布を、勢いよく剥ぎ
取った。
 ウェールズの顔が屈辱に歪む。露になったのは、三本の剣を適当に床
に刺しただけの簡素な三脚。人間大の粗雑なカカシが、ウェールズ達が
少女と思い込んでいたものの正体であった。この部屋の対面の壁の穴は、
ウェールズ達に見つからないよう彼女を階段まで移動させる通路として
空けたものだろう。その目論見は成功し、当人は甲板で猛威を振るって
いる最中、というわけだ。
 そしてもう一つ、貴族の物言いにも得心がいった。ウェールズと同様、
この男が得意とするのは風系統だ。そして、風の魔法には離れた場所の
状況を知るのにお誂え向きなものが幾つもある。加えて発動するそぶり
もなく甲板の様子を口に出した、となれば。

「【遍在】を、使ったか」
「さすがは皇太子。御明察です」

 爆音と震動が続く中、仮面じみた無表情の貴族は、肩の痛みに耐える
ウェールズを見下ろした。対峙した時と違って全く感情を見せない姿は、
己がまがい物の【遍在】だと主張しているようだ。

「凛々しき王子様よ、そろそろこの喜劇も終幕だ。最期の台詞回しといこうじゃないか」

 【遍在】とは対照的に、『悪魔』はますます愉悦を濃くする。苦しむ
ウェールズの姿が心底楽しくてたまらない、といった感じだ。「喜劇」
という挑発じみた表現も、本心からのようである。

「ふざ、けるな……!」

 落とした杖は踏み砕かれ、もはや戦う術は残されていない。それでも
ありったけの意志を込め、ウェールズは仇敵を睨んだ。
 射殺さんばかりの視線を受けて、しかし『悪魔』は怯みもしない。

「それだけ口がきければ上等だよ。さて、ウェールズ殿下」

 一拍の間。

「『王女の手紙』、『風のルビー』、『始祖のオルゴール』。
 てめェが知っているこの三つの在処、洗いざらい教えてもらおう」


 Mr.0の使い魔
  ―エピソード・オブ・ハルケギニア―

     第三十二話
201Mr.0の使い魔 第三十二話(2/6) 代理:2007/12/14(金) 23:22:24 ID:rwBJojLK
 甲板は見るも無惨な有様だった。中央のメインマストが突然爆発し、
前側のサブマストを巻き込んで倒壊したのだ。轟音と爆煙に慌てる空賊
――ウェールズの部下達を、さらなる悲劇が襲う。まずは二人、一瞬の
うちに首を刎ねられた。不意打ちを仕掛けた敵の居場所を割り出すより
早く、新たに二つの頭が甲板に転がる。この時点で生き残りは九人。
 監視班のアーサーは、是が非でも敵を見つけようと必死だった。友を
次々と殺した憎き仇、ただ捕らえるだけでは済まさない。憎悪と憤怒を
たぎらせた瞳は、ついに怨敵の姿を発見した。煙の向こう、甲板後方の
階段口に潜むピンクブロンドの少女。もう一人、貴族の青年もいる。

「いたぞ! 階段だ!」

 それが、彼の最期の言葉となった。いきなり目の前が黄金色に染まり、
次いで耳にやかましい破裂音。薄れる意識の中、アーサーは仲間の一人
が得意だった【ライトニング・クラウド】を思い出した。


「あと八人か。纏めて相手をするのは、少し厄介だな」

 階段入り口で、ワルドはぽつりと呟いた。頭の中で考えるのは、下で
【遍在】と共に行動しているクロコダイルの事。ウェールズに敵対する
意思を示しはしたが、その裏の思惑がわからないのが不安を煽る。一体
何を目的に行動しているのか。少なくとも、主人であるルイズの指示で
ない事だけは確実なのだが。
 そのルイズは、まるで別人のように鋭い視線を空賊達に向けていた。
普段の活気、人としての暖かみは鳴りを潜め、ゴーレムやガーゴイルに
似た冷酷さを滲ませている。

「この程度なら問題ないわ」

 言うやいなや、ルイズは杖を振った。途端に、右端の男の帽子が爆発。
続けてもう一振り、今度は右から三番目の男の上着が吹き飛ぶ。手早く
詠唱の終わるドットクラスの【錬金】で、目標を爆破したのだ。至近で
炸裂した衝撃波に打ちのめされ、彼らの魂は彼岸の彼方へ飛んで行く。
 敵が狼狽えている間に、さらに一人。今度は左端の男が、かけていた
眼鏡を爆破されてのたうち回った。規模は前の二つよりも小さかったが、
欠片が眼球を傷つけたらしく金切り声を上げている。
 そして、悶絶する敵を見てもルイズは表情を変えない。部屋の掃除で
埃を掃き捨てるかのように、無感動に眺めているだけだ。

(これが、あのルイズなのか)

 背筋を震わせながら、ワルドも【エア・ハンマー】の呪文を唱えた。
やや手前の男の頭を、渾身の力で殴り飛ばすイメージ。狙い通り、その
男は首を折られて絶命した。残り、四人。
 敵の一人が、呪文を完成させる。先端をワルドに向けた巨大な氷の槍。
手元で一回転させ、いざ放とうとした所で砕け散った。ルイズの使った
【レビテーション】の効果だ。鋭い氷が無数の弾丸となり、術者とすぐ
隣の仲間を穴だらけにする。残り、二人。
 宙に浮かんだ二発の【ファイヤーボール】が、階段目掛けて放たれた。
すぐさまルイズは迎撃の呪文を唱え――最後の一節を残して、その口を
止める。
202Mr.0の使い魔 第三十二話(3/6) 代理:2007/12/14(金) 23:22:56 ID:rwBJojLK
(まだ、遠いわね)

 移動し続ける物体を精密に、しかも二つ連続して撃墜するのは、使う
魔法にもよるがそれなりの技術を必要とする。今回は、わざわざ個別に
迎撃する必要などない。火球の目標は二つとも同じ地点、自然と双方の
軌跡は近づくのだから。

(3、2、1……今)
「【ウィンド・ブレイク】」

 両方の火球が効果範囲に侵入した瞬間、ルイズは魔法を解き放った。
虚空で巻き起こる爆発、その余波で敵の【ファイヤーボール】はあらぬ
方向へ押し流され、フネにぶち当たって炎を散らす。
 間髪入れずにワルドが【エア・カッター】を唱え、驚きに固まる最後
の二人を切り伏せた。


 砂地に垂れ下がったウェールズの右腕が、僅かに震えた。手紙の事は
自分と送り主しか知らない筈。だというのに、この男は存在していると
確信を持っている。誰がそれを伝えたのか――自分ではないのだから、
アンリエッタ王女が告げたとしか考えられない。とすると、男達は平素
から王女に近しい近衛の軍人あたり、しかも手紙の事を打ち明けられる
くらいの信頼を得ているのだ。
 では、その二人(少女を女官だと考えれば三人だが)は、何のために
『風のルビー』や『始祖のオルゴール』を求めるのか。思考を進めて、
ウェールズは最悪の結論に辿り着いた。始祖につながる品を欲している
のは、まず第一に反乱軍の連中だ。すなわち、敵の手はトリステインの
奥深く、アンリエッタの膝元まで及んでいるという事。公開すれば醜聞
にしかならない手紙も、トリステインを他国から孤立させるには格好の
材料となる。

「貴様達に教える事など、何もない」

 懐に抱く手紙を支えに、ウェールズは毅然と言い放った。従姉妹姫の
姿が脳裏に浮かぶ。彼女の命や立場を危うくするようなまねは、断じて
できない。自分の命を縮める事になっても、だ。
 ウェールズの返答を聞いた『悪魔』は、軽くため息を吐いて首を振る。
落胆と、ある程度の納得。最初から素直に応じるとは思っていなかった
のだろう。

「この指揮官にしてあの部下あり、か」

 小馬鹿にした声と共に、砂に掴まれた剣が舞い上がる。ウェールズの
背に切っ先を向け、ゆらゆらと浮かぶ様はまさしく魔剣だ。
 死を前にしたウェールズと、『悪魔』の視線がかち合う。

「己の行いは、己に還る……貴様達はいずれ非道の報いを受けるだろう。心しておけ」
「負け犬の遠吠えだな。くたばれ、ウェールズ」

 昆虫の標本を作るように、ウェールズの体は床に縫い止められた。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:23:33 ID:ITHcHtN+
支援
204Mr.0の使い魔 第三十二話(4/6) 代理:2007/12/14(金) 23:23:39 ID:rwBJojLK
「ん、おい、おいおい」

 それに真っ先に気づいたのは、心臓を貫通した状態のデルフリンガー
だった。けたけた笑いながら、怪訝な顔の持ち主に呼びかける。

「旦那、王子様の胸ポケットにいいもんがあるぜ」
「あん?」

 ますます怪しげな表情になりつつも、クロコダイルは言われた通りに
ポケットを漁った。背後では【着火】でつけた炎が順調に広がっている。
ぐずぐずしていると死体と一緒に丸焼きだ。
 余計な手間を増やしたデルフリンガーの一言。ろくでもないモノなら
塩水に漬け込んでやる、とクロコダイルは仕置き方法を考えていたのだ
が――出てきたのは、血の滴る一通の便せんだった。デルフリンガーを
突き立てた時まとめて貫いたようで、半ばまで裂けてしまっている。
 何となく、嫌な予感がした。

「子爵」
「え、ええ」

 未だこの世界の文字に十分通じていないクロコダイルは、【遍在】に
受け渡して中身を確認させる。血で読めない所や破れた部分を飛ばして
読み進め、最後に【遍在】は引きつった笑みを浮かべた。甲板の方で、
ワルド本人も似たような顔をしていそうだ。

「大当たり、です」

 思わず、クロコダイルは天井を見上げた。

(始祖ブリミルってのは、相当いい性格をしてるみてェだな)

 おまけとはいえ、目的の品の一つがこんな形で手に入るとは思っても
みなかった。たまたま乗り合わせた商船をウェールズが襲い、空賊だと
思い込んだ自分達は容赦なく反撃。最後に殺したウェールズから手紙を
回収し、幕を下ろす。先刻自分で「喜劇」と言ったが、これでは三流の
茶番劇だ。
 余計な演出をしやがって、と信じてもいない神を心中で罵倒しつつ、
クロコダイルはデルフリンガーを引き抜いた。そこで、ふとウェールズ
の嵌めている指輪に目を留める。残る二品は、オルゴールと“指輪”。

「まさか、な」
「ミスタ?」
「……折角だ。この死体も持っていくぞ」

 血糊を振り払ったデルフリンガーを鞘に納め、クロコダイルは亡骸を
担ぎ上げた。同時に砂を傷口にまぶし、未だに溢れ出す血を乾燥させる。
二、三分ほどで加工を終えたウェールズの死体は、ついさっきまで息が
あったとは思えないほど見窄らしく、薄汚れていた。

「なぁ、子爵」

 右手の指輪を抜き取りつつ、クロコダイルは【遍在】越しにワルドへ
声をかける。

「何か?」
205Mr.0の使い魔 第三十二話(5/6) 代理:2007/12/14(金) 23:24:13 ID:rwBJojLK
「おれ達が見つけた時、皇太子は既に手遅れだった。
 治療がどうこうの段階じゃあない、とっくの昔にくたばってたんだ」

 ウェールズは、随分前にこのフネの空賊に殺されていたのだ。死体は
適当な船室に放り込まれて、それきり放置されていた。それをたまたま
発見し、持ち帰ったというだけの事。致命傷は空賊によるものであり、
真新しい汚れはあくまで自分達と空賊の戦いの余波。
 そういう“筋書き”である。

「――わかりました」

 含み笑いを浮かべたクロコダイルの提案に、【遍在】は厳かに頷いた。


 ワルドの【フライ】で『マリー・ガラント』号に帰還したルイズ達は、
足をつくと同時に興奮した船員達に胴上げされた。恐ろしい空賊の魔の
手からフネを救った英雄、という扱いらしい。
 感極まって抱きつこうと迫る船長に拳骨を喰らわせ、ルイズは空賊の
フネを見やった。さっさと通過した甲板には、まだ息のある者が何人か
残っている。そこにつながる一本の太い綱。

「【錬金】」

 ポン、と小気味よい音がして、牽引ロープが中央から千切れとんだ。
あちらに残された戦力は瀕死寸前のメイジばかり。飛距離の長い魔法は
もう使えないだろうし、空を飛んで報復に来るなら途中で撃ち落とせば
いい。一仕事終えたルイズは、水夫達に逃げを命じている船長に淡々と
声をかけた。

「船長。このまま空賊船を追いかけてちょうだい」
「む、無茶言わんでください。こっちにはろくな武器がないんですよ」
「向こうの大砲は全部潰したわ。
 残ってるのはメイジ数人で、距離を開けておけば魔法も恐くないもの」

 ルイズの話を聞いても、船長は渋い顔ですぐには応じなかった。横目
でワルドの方を伺い、彼が頷いたのを確認してからようやく指示を出し
直す。
 素早い対応とは言い難かったが、ルイズは既に船長を興味の対象から
外していた。頭の中にあるのは、まだ戻ってこないクロコダイルの事。
 間違っても、敵に捕まったとか怪我で動けないとかを案じているわけ
ではない。反則的な砂の力を使うクロコダイルの事であるから、きっと
かすり傷一つなくピンピンしている。心配なのは、その能力を制御する
凶悪極まりない性根の方だ。

(好き放題暴れ過ぎて、逃げるタイミングを忘れてるんじゃないかしら)
206Mr.0の使い魔 第三十二話(6/6) 代理:2007/12/14(金) 23:24:41 ID:rwBJojLK
 幾分遠くなった空賊船、その荒れ果てた甲板を見つめるルイズ。漏れ
出す黒煙が次第に増えているので、火災は刻々と広がっているようだ。
消火を行う者のいない木造船が燃え尽きるまで、もう時間はない。
 と、突如として甲板が爆ぜた。木っ端微塵になった床板と大量の砂が
空に舞う。噴水のように噴き上げる砂の柱、その上に立つ人影を見て、
ルイズは小首をかしげた。主の意を受けたグリフォンが迎えに行くのを
見送りつつ、疑問を漏らす。

「クロコダイルと、【遍在】と……もう一人?」

 頭を捕えた、にしては様子がおかしい。次第に近づくクロコダイルの
表情が、あまり嬉しそうではないのだ。仮に担ぎ上げているアレが死体
だとしても、一応目的は達成できている。ならば、もう少し明るい表情
でもよさそうなものなのに、あれではまるで葬式の参列者ではないか。
 悩んでいると、不意に肩を叩かれた。振り返ったルイズは、こちらも
また沈痛な面持ちのワルドと目を合わせる。

「どうしたの、ワルド」
「ルイズ、気を落とさないで聞いてくれ」

 そう前置きしたワルドの言葉に、ルイズは自分の耳を疑った。

「――嘘?」
「嘘じゃない。あのフネには、ウェールズ殿下が乗っていたんだ」

 それじゃあ。

「残念ながら、既に敵の手にかかって、亡くなっていた」

 任務は。

「ミスタは戦いの途中で殿下の遺体を見つけ……ルイズ?」

 失敗?

「ルイズ!?」

 暗転。
 間近に聞こえる羽音を最後に、ルイズはぷっつりと気を失った。


   ...TO BE CONTINUED
207Mr.0の使い魔 代理:2007/12/14(金) 23:25:10 ID:rwBJojLK
以上で三十二話、トゥーカ終了です。
208名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:26:44 ID:ITHcHtN+
作者氏、代理の方、投下乙です。

ルイズの変化といい、独自の展開といい、非常に楽しませていただきました。
流石はクロコダイルです。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:34:54 ID:91c3wyDO
作者さんも代理さんもGJそして乙でした

王子様殺しちゃったー!
クロコダイルまさに外道!
王族が嫌いなのは何処の世界でも一緒なのかな……
210名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:08:43 ID:z1BMpNRD
作者の人GJ!代理の人乙!

見事なまでに悪だな、クロコダイル。いっそ気持ちいいくらいだ。
しかも悪辣であるところはある程度晒しても外道な部分を隠してるあたりまさに悪党。
211ultra zero:2007/12/15(土) 00:18:38 ID:Hugd4ksv
どれだけがんばりゃいい 誰のためなの?
分かっているのに 名誉も揺らぐ

結末ばかりに気を取られ 魔法が使えない メマイ メマイ…

虚無である私でも 今こそ胸をはりましょう 祝福が欲しいのなら 歓びを知り ばらまけ ホントだらけあれこれも その真っ只中 暴れてやりましょう
そして羽ばたく ウ ル ト ラ ルイズ
212名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:29:19 ID:5/AtAiAx
張る胸が・・・・・お前にあるのか?
213名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:30:13 ID:hUvgP7HG
ないwww
214名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:31:16 ID:a7eTCURJ
ひんぬーは張りがあるから美しいんです!
215名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:42:36 ID:7k5QkHdC
2cmまでがおっぱい、それ以上は違います。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:44:12 ID:HbMVFbi+
ひんぬー繋がりでカルバニア王国物語からエキューを召喚。

ルイズしばかれそうだ、でも巨乳女王とは仲良くなるだろうな。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:48:37 ID:E3OUxmCg
クロコダイル過ぎるGJ
218名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:52:21 ID:hUvgP7HG
ハッ
エキューで思いついた
SWへっぽこ冒険隊のエキューとテファでえろいことにできるんじゃ・・・
219名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:56:52 ID:F05Wp6dO
デスマスク呼びたい
220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 01:09:55 ID:g0A1ibMj
面白くないかもしれないけど
書いてもよろしいでしょうか?
結構マイナーなキャラが出る話だけど
221名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 01:11:23 ID:ohNcdMzr
どんと来い
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 01:12:34 ID:JiqT+KfR
>>220
ヨーダ「やるか、やらぬかじゃ。やってみるはないぞ」
そのマイナー作品を他の人に知ってもらう為に書くというのもあり、では?
223名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 02:12:10 ID:ZqMBIwwc
たまには
「HAHAHA!オレのサイコーな作品を読みやがれテメーラ!」
みたいなアメリカン作者に会いたい
本当は投下する気満々なのに
「あ…あの…すみません、張っていいですか?」
な感じのジャパニーズ作者が多くて困るアルヨ
あ、空気と予約は大切ネ
224小ネタ:2007/12/15(土) 03:39:28 ID:J5sdh2LX
―ウンコみたいなのが現れた―
「おいおいウンコかよ」
「ゼロのルイズがウンコを召喚しやがった!!」
まわりで囃し立てる生徒たちは、当然の反応であったろう…
だがルイズは力の限り反論した
「違うよ!ソフトクリームだよ!ソフトクリームのチョコ味だよ!!」
そうであってくれという願いを込めて…

しかし、
「どう見ても…ウンコです…」
さすがのコルベールも認めざるを得なかった

「違うもん…グスッ違うもん…」
鳴り止まないウンココールの中、ついに泣きだしてそれでも認めないルイズ…
と、ここでやっと騒動の当人が口を開いた
「我が名はソフトン。アイスクリーム屋を経営している」
『う…ウンコじゃなかった!!?』

―後にバビロン教を担う偉大な二人が出会った瞬間であった―


ゼロのウンコ〜ハルケギニアにソフトクリームってあったっけ?〜
225名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 03:53:20 ID:B7JUcSWz
うんこだー!!!
ってこのキャラ強さはマトモじゃないか。
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 03:58:37 ID:J5sdh2LX
>>225
キャラもまともだけどねw

長編書きたかったんだがゼロ魔全然読んでないんだわ…
ある程度読んだらまた別のキャラで投下させてもらうわ、よろしく
227名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 04:03:35 ID:WbgQSeVw
こういうのって出オチっていうんだっけ?
228名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 05:38:46 ID:HMAWJAfS
>>147
オンセやる時に俺も誘ってくれ。

そんでベホイミの出番が少ないベホイミ投下。
229ゼロの看板に偽り有り:2007/12/15(土) 05:41:03 ID:HMAWJAfS
旋風が渦巻く。
烈風が奔る。
「雪風」のタバサが操る雪よりも冷たく北風よりも鋭い風が、宮殿の絨毯を切り裂いて襲い掛かった。
けれど、それだけだ。
研ぎ澄まされたエアカッターも、岩すら砕くエアハンマーも、魔法の障壁に阻まれて憎き仇敵までは届かない。
ガリア王ジョゼフ。
両親の仇である偉丈夫はタバサをここヴェルサルティ王宮へと呼び出すと、自分を倒してみろと挑発した。
玉座に座したまま、この叔父が憎ければ殺してみろ、とその口で言ったのだ。
その言葉にタバサは表情を変えないまま激昂した。
空気すら灼熱させそうな怒りを最強のスペルに乗せて解き放ち―――そして受け止められた。
それから矢接ぎ早に放った全ての攻撃が、尽く防御されてしまっている。
時にルーンが浮かび上がる光の魔法陣が、時にタバサの魔法以上に強力な魔法が生み出され、全てを蹴散らしたのだ。
ジョゼフを守って立ち塞がる、目の前の二人によって。

「……なぜ?」

タバサの口から疑問が漏れる。
1人はジョゼフの実子、つまりガリア王女イザベラ。
もう1人はジョゼフの腹心の部下シェフィールド。
それは良い。
なんで女王が矢面に立って戦うのかとか、魔法が苦手だったはずなのにとか、疑問はあるがまぁ良い。
タバサが聞きたかったのは二人の姿についてだ。
より正確に言えば衣装について。
そのヒラヒラでフワフワでピラピラしたミニスカの服は何なのかと問い詰めたい。
リボンとかフリルとか星とかハートとか満載の服は何の冗談かと小一時間問い詰めたい。
イザベラはまだ良い。
性格はともかく年頃の少女と言えなくも無いし、容姿も黙っていれば可憐の範疇に収まる。
薄い水色を基調にした改造ミニスカ水夫服に同系色のやたら可愛いデザインのステッキとか、正直痛々しいがまだ良いとしておこう。
問題はシェフィールドの方だ。
眼つきが鋭いとは言え、彼女は美人だと言って文句は出ないだろう。
体型とかボン・キュ・ボンで、一部マニア受けのタバサと違って多くの男性が絶賛すること間違いない。
だが、その大人の色気溢れる姿でフリフリのミニスカを着用している姿は、色んな意味で犯罪だった。
艶やかな長い黒髪を頭の左右で結んだ、いわゆるツインテールの髪型。
頭部に星型にカットされたエメラルドをあしらったナースキャップ。
首まで覆ったノースリーブのワンピースは、身体にピッタリフィットなのにリボンとか大量についている。
足には太腿までを覆うロングソックスにブーツ。
当然絶対領域完備である。
タイトなミニスカから伸びる太腿とかムッチリし過ぎだった。
大きな宝石の付いたリボンの下の胸元とかたゆんたゆんし過ぎだった。
全体的にケバ過ぎて、あんたどこの風俗、あるいは冥王星のセーラー戦士?な外見になっていた。

「なぜそんな、トンチキな格好をしているの?」
「余計なお世話だよ!」
「余計なお世話よ!」

イザベラとシェフィールドは頬を赤く染めて叫ぶ。
どうやら本人達はちゃんと恥ずかしいと思っているらしいので、タバサは少し安心した。
まだ脳ミソは無事だったらしい。
だが、彼女達の背後には羞恥心があるのか怪しい、本物のトンチキ野郎が控えている。
立ち上がったガリア国王は豪奢なビロードのマントを撥ね上げ、壇上からタバサを見下ろして言う。

「どうだね我が姪よ。この量産型魔法少女の能力は?」
「量産型……魔法……少女?」
「そうだ。虚無の力によって生まれる魔法少女を、限定的に再現した魔法少女のレプリカ。
異次元帝国ゾーンの技術力と虚無の魔法が組み合わさって生み出された究極の力。
お前の攻撃魔法すら楽々と防ぐ、強力な力を変身した者に与える事が出来る、画期的な魔術だ!
そして見るが良いシャルロット。魔法少女を生み出す力。始まりの魔法少女の姿を!!」

ジョゼフの手の中には、いつの間にか握られていた黒い杖。
杖っつーか、黒と紫の微妙に禍々しくかつ微妙にファンシーなデザインのステッキが振り上げられる。
230ゼロの看板に偽り有り:2007/12/15(土) 05:42:20 ID:HMAWJAfS
コウモリの羽をデフォルメしたような部品の付いた先端部分、単眼を思わせるパーツが見開かれた。
黄色い、ネコのような瞳が光を放つ。

「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ♪
ジェル・イサ・ウンジュー・イル・ハガル♪♪
マジカルバトンで……魔法少女になあーれっ!!」

クルクル回転しながら怪しい呪文を唱えたジョゼフの姿が変化した。
黄色い瞳からあふれ出す光の帯に包まれて、一瞬だけその姿が全裸になった。
ちなみにキケンな部分は上手に光の帯で隠されているので年齢制限も安心だ。
そして再構成されるジョゼフの衣服。
ガリア王族の証とも言える鮮やかな青の頭髪が、薄い黒のヴェールに飾られていた。
涼しげな目元には紫のアイシャドウ。
髪と同色の美髯は形良く切り揃えられ、その下にある拳闘士の如き肉体を包むのは、フリルの施された黒いレザーのボンテージ。
ボンテージらしく、肩とか背中とかヘソとか生肌丸見えのV字カット。
ボンテージなのに、胸には大きな五角形のアメジストがあしらわれた黒いリボン。
鍛え上げられた胸筋を包むカップはピッチピチ。
紫の金属カップで補強されている股の部分とか、凄い角度の食い込みが入っていた。
足には網タイツの上からハイヒールのロングレザーブーツ。
むき出しの二の腕に付いたリングに繋ぐようにしてマントが装着され、爪には紫のマニキュア。
無駄毛の処理が完璧なのが、逆にとてつもなく嫌だった。

「魔法少女―――ラディカル・ガリアよ♪」

カワイく小首をかしげてポーズをキメる。
どっからどう見ても変態さんな、悪の魔法少女(男)がここに爆誕。
瞬間、タバサは脳死した。
窓から覗いていたシルフィードも脳死した。
実の娘と腹心の使い魔は心底辛そうに目を逸らしている。

「さあシャルロットよ! 我が虚無魔法の力によって魔法少女となるのだ!!」

ステッキの眼が再び光る。
プワンプワンと音を立てて放たれるドーナツみたいな光の輪っかが、タバサの身体を捉えた。
放心していたタバサとシルフィードには成す術も無く、ジョゼフ――否、ラディカル・ガリアの術中に堕ちてしまったのである。

それが、今から数日前の事。

そんな事とは露知らないベホイミちゃんは、平和な学院の中庭で洗濯物を干していた。
雲ひとつ無いお天気の今日は、絶好の洗濯日和である。
学院に通う生徒達の服は、扱いが難しい高級素材の物もあるため専門のメイドが洗濯するので、
ベホイミちゃんが洗っていたのは同僚の洗濯物。
それも、寮で使われているベッドシーツの一斉洗濯という体力勝負の洗濯物であった。
大量のでかくて白い布を力技で洗って力技で干しまくったベホイミ。
ついでに汗臭くなってきたドクロ仮面の着ぐるみも、ゴシゴシ洗って干していた。
一応干してあるシーツの中程、人目に付かないあたりで、物干し竿を腕に通してブラーンとぶら下げてある。
見た目は磔獄門かモズのハヤニエみたいで、とっても不気味。

「はー、イイ天気っスねぇ〜」

そんなドクロの抜け殻の横に腰を下ろして、一仕事終えた爽やかな笑顔で額の汗を拭う。
空には太陽がサンサン。春風は穏やか&さわやか。はためく真っ白なシーツの海。ベホイミちゃんはメイド服。
すっかりこの生活に馴染みまくっている。
だが、一見弛緩し切っているように見えても、そこは色々後ろ暗い過去の持ち主である。
人の近づく気配を敏感に感じ取って視線を走らせる。
231ゼロの看板に偽り有り:2007/12/15(土) 05:43:27 ID:HMAWJAfS
見れば気ままな午後の散歩帰りなのか、片手に籐籠を下げたモンモランシーが暢気に歩いていた。

「ふ〜ふんふん〜♪ ら〜らんららん〜♪」
「こっちに来るっ!? イカンっス!」

ドクロ仮面スーツを干しているのを見つけられるのはヤバイ。
一応中の人など居ない事になっているのだから、見られるワケにはいかないのだ。
あと正体がバレて使い魔にされると、忠誠を誓うまで檻とかに入れられて調教されそうな気もするし。
他のシーツが邪魔になるので、咄嗟にスーツを下ろせないと判断したベホイミちゃんは、緊急手段を決行した。

「ふふ〜ん♪ ふんふふ〜ん♪ はっ!? そこにいらっしゃるのは、ドクロ仮面様!」
「や、やあ昨夜の少女」

フラフラと歩いてきたモンモランシーが発見したのは、物干し竿にぶら下がったドクロ仮面(中身入り)だ。
正体を知られないための苦肉の策として、ベホイミちゃんは生乾きの着ぐるみの中に飛び込んだのである。
干してある体勢のままで。
そんなブラーンとぶら下がった怪人に、恋する乙女の瞳をしたモンモランシーは深々と頭を下げる。

「ドクロ仮面様……あの、昨日はどうもありがとうございました」
「なに、悪の怪人として当然の事をしたまでだ」
「ところで、ドクロ仮面様は、どうして物干しからぶら下がっているのですか?」
「えーっと、その、太陽光線を受けてだな、なんとゆーか、ドクロパワーを貯めているのだ」

イキナリ新設定が付いたドクロ仮面。
うさんくさい言葉だが、モンモランシーは感心したように「へー」とか言って頷いている。

「そうだ! ドクロ仮面様、私さっき森に行って薬草を摘んできたんです」
(うう……生乾きでキモチ悪いっス。早くどっか行ってくれないっスかねぇ……)
「それで、ついでに蛙苺の群生地を見つけたんで、たくさん採って来たんですよ」
(なんで異世界でこんなブラーンってなってるんスかねぇ……せつないっス)
「はいこれ、美味しいからドクロ仮面様も食べて下さいな。あーん♪」
「えっ!?」

気付いた時にはもう遅い。
目の前に近づけられた山盛り一杯の野苺っぽい何かが、仮面にムギュっと押し付けられた。

(うぼあーっ!? いっ、苺のすっぱ甘い果汁が隙間からスーツの中にーっ!?
ベトベトするっスー! 生乾き+ねっとり果汁ってどんな拷問っスかー!?
目っ、目に入ってくるっスー!! ダメぇ! こんなの無理矢理入れちゃダメっスー!!)

ぶら下げられたままビクンビクンとのたうつ干しドクロ仮面。
しばらくするとガックリ死んだように脱力して静かになってしまった。
そんな姿をモンモランシーは微笑ましそうに眺めている。

「まぁ、喜んでもらえて嬉しいですわ」
(うぼー)

どうやら目が腐ってるらしい。

「今度はもっと美味しい蛙苺のケーキを、貴方のために作って持ってきますわね、ドクロ仮面様♪」
(うぼあー)

キャッ、言っちゃった♪ とか言って、口元に拳とか当てて、頬なんかも染めながら踵を返し、寮の方へ駆けてゆくモンモン。
232ゼロの看板に偽り有り:2007/12/15(土) 05:45:06 ID:HMAWJAfS
残されたのは、生気の無い様子でシーツの海に揺れるドクロ仮面だけ。
―――いや、建物の影にもう1人が居た。
それは、モンモランシーの元恋人であるギーシュ・ド・グラモンだ。

「モッ、モンモランシイィィィィィィ! おのれぇ、ドクロ仮面めえぇぇぇぇぇ!!」

血涙を流し、噛み付いたハンカチを引き千切りながら、怨嗟の声を上げるギーシュ。
恋人を一方的に奪われたギーシュの嫉妬ボルテージは今最高潮。
しかし、巨大ゴーレムを一撃で倒すドクロ仮面にケンカを売るほど無謀にはなれず、
こうして憎しみの視線を向ける事しかできずに居るのであった。

「ああ、ボクに力があったら。あの怪人を倒せるぐらいの力さえあったなら!」
「その力、あげましょう」

突然背後から声をかけられて、ギーシュは慌てて振り返る。

「き、キミは?」

そこに居たのは小柄な人影だった。
ギーシュより頭一つ分以上小さな身体を包むのは、黒を基調にした豪奢なドレス。
所々をワインレッドで飾り、シルバーの十字架をアクセントに配した、いわゆるゴスロリと呼ばれる衣装。
ドレープが効いて大きく広がったスカートから伸びる細い脚には黒いニーソックス。
身長を10サントは伸ばして見せる底の厚い編み上げブーツを履いているが、それでもなお小さい。
身長よりも長い、妙にメカメカしい杖を持った少女の肩には、デフォルメされた風竜が乗っていた。

「私は悪の魔法少女フィジカル・シャルロットちゃん」
「きゅいきゅい。マスコットのシルフィーなのよ!」

青い髪に小型のシルクハットを乗せた少女は、自分で「悪の」とか名乗る。
感情を感じさせない淡々とした言葉で、シャルロットは続けた。

「貴方に悪のマジカルパワーを授けましょう。思う存分暴れなさい」
「ちょ、ちょっと待ちたまえレディ! いったい何をするつもりな―――」
233名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 05:46:39 ID:efaoX2CY
ガリアが変態王国にw

支援
234ゼロの看板に偽り有り:2007/12/15(土) 05:47:24 ID:HMAWJAfS
慌てるギーシュ。
無理も無い。シャルロットちゃんは無表情なままで長い杖を高く振り上げたのだから。

「悪魂ちゅーにゅー」
「なのね!」

ギーシュには答えず、フルスイングで杖を振り下ろすシャルロットちゃん。
その先端は最大加速でギーシュの脳天に直撃した。

「さあ、これで貴方は―――」
「きゅう……」

当然、巨大なタンコブをつくって倒れるギーシュ。
ぶっ倒れた少年を前に、悪のゴスロリ魔法少女は無表情なままで、しばし沈黙。

「しまった。やりすぎた」

そして無表情のままでそう呟いた。
焦りとか罪悪感とかゼロで、シャルロットちゃんはギーシュの足を掴んで引っ張った。

「どうするのね、シャルロットちゃん?」
「どこかの草むらにでも放りこんでおく」

死体のようにズルズルと引きずられて行く暴行事件被害者。
シャルロットちゃんは見かけからは想像も出来ない怪力で、ギーシュを中庭の生垣にスポーンと投げ入れる。
かくして哀れなギーシュは翌日まで草むらの中で昏倒する事になった。
そのため、正体不明の魔法少女が彼に何をしたかは、翌日まで不明なままである。
平和な学園に何がおころうとしているのか。
それはまだ、誰も知らない―――

第三戦
――○香水のモンモランシーVSドクロ仮面●――決まり手は蛙苺責め
新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん、第四話へ続く!


以上で三話目投下終了。
ゼロ魔ともベホイミともほぼ関係ナッシングですなー<他人事のよーに
原作の展開? それって食べられるの?
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 05:50:59 ID:HMAWJAfS
しまった。地の文で一箇所シャルロットに「ちゃん」を付けるのを忘れてた。
魔法少女シャルロットちゃんは、ちゃんまで含めて名前です。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 06:06:24 ID:ZqMBIwwc
お疲れ様です。
まさかのガリア王変身シーンに年甲斐もなくドキドキしてしまいました。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 06:31:20 ID:LfRopb2G
お疲れっした!

ジョセフさんよぉ・・・イタすぎるぜorz
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 06:58:22 ID:sSTQ9qbV
ああ・・・イザベラ様だけでなく、とうとうシェフィールドとジョゼフまでいじられキャラに・・・
本当にここは・・・楽しいスレだなぁ(w

乙&GJでした。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 07:21:40 ID:zWlVORNK
ぽか〜〜〜ん。はっ、GJ!、GJです!!
馬鹿馬鹿しくて良いです。ガリアの行く末が激しく心配ですがw
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 07:42:32 ID:2qxxgHr5
ベホイミちゃんの方乙です!!

>>224
素顔が分かったら確実にキュルケに狙われるな。そういや妹と同じで髪はピンクだっけ。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 08:05:27 ID:0hZNHXZz
超一級歴史資料の続きはもう更新されないのかな〜
242プフの人:2007/12/15(土) 09:34:50 ID:Ld7EgS0I
小ネタ最新作を十時ごろ投稿したいのですがいいですか?
243名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 09:36:58 ID:iSe7djHi
>>242
おk
244名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 09:52:18 ID:lrnOwzD2
支援必殺
245プフの人:2007/12/15(土) 10:00:23 ID:Ld7EgS0I
召喚や途中経過は省略

朝もやの中ルイズは一人の男の姿を見た。
「やあ、ルイズ今日は良い天気だね」
ギーシュである。
「ギーシュ!ずいぶんと早いじゃない」
前日、ルイズはアンリエッタ姫の密命を受け、ルイズ、ギーシュ、ルイズの使い魔、この三人でアルビオンへ向かうことになった。
「実は、興奮して夜眠ることができなかったんだよ。なにせ、姫殿下直々のご命令だからね」
「あらあら、困った坊やだこと。そんなんで大丈夫かしら?」
ルイズの後ろには長身のお婆さんがいた。彼女がルイズの使い魔である。
「任せてくれ、たとえ命を捨ててでも君たちを守るよ」
「君たちって、どうせ私はおまけなんでしょ?モンモンやケティの次は私のご主人かい?」
「いやいや、勘違いしないでくれたまえ。僕はルイズに手を出そうとはしてないよ。それに、確かに君は僕より強いが、レディを守るのは貴族男子の務めさ」
「まぁ、期待せずに待っているわ。頑張って貴族男子の勤めを果たしておくれ」
こんな、ギーシュと彼女のやり取りを見て、ルイズは笑ってしまった。しかし、こんなやり取りをする二人が、以前決闘までした事を誰が信じるだろうか。
「ルイズは最近、笑顔でいることが増えたね。やはり、涙の似合うレディもいる、怒った顔が似合うレディもいる。しかし、君には笑顔が似合っているよ」
「あら、やっぱり私のお主人を狙っているのかい?」
「今はモンモランシー一筋さ。僕は純粋にレディの笑顔が増えたことに対して、喜びを感じているだけさ。そういえば、君が来てからルイズの笑顔が増えたね」
そうである、今ルイズが笑顔でいることができるのは彼女のおかげである。

彼女を召喚し数日後の夜、ルイズは自分の使い魔に怒りをぶつけていた。魔法が使えなく『ゼロ』と呼ばれ、平民を召喚してしまったことに対する周りの生徒による苦笑。様々なイライラがたまり爆発したのだ。
しかし、そんな怒りをぶつけるルイズに対して彼女はそっとルイズを抱きしめたのであった。
「すまないねぇ、自分のことだけに気が向いてしまって。ルイズちゃんのことに気を使えなかった」
ルイズを包み込む彼女の体は、この上ない愛情に溢れていた。
「私は、貴族じゃないから、そんな重圧は分からなかったんだよ。ほんとにすまないねぇ」
ルイズの頭をなでる手にも、彼女から発せられる声にも愛情がこもっていた。彼女は貴族ルイズではなく、ルイズの本心を優しく抱きしめたのだ。少なくともルイズにはそう感じた。
ちい姉様とは少し違う。年寄りだからこそ持つある種の深みのある愛情がそこにあった。次第に、怒りが収まり頬に熱い何かが伝うのをルイズは感じた。
「なんで!!なんで、そんなに優しいのよ!!あんなに酷いこと言ったのに・・・・・・・なんでそんなに優しいのよ」
「私は、もうお婆さんだからね。若者のワガママや愚痴はある意味年寄りの生きがいなのよ。でも、私はルイズちゃんと出会ってからまだ少ししかたっていないから、ルイズちゃんのこと、まだ分からないことが沢山あるの、できれば私に教えてくれないかい?ルイズちゃんのこと」
ルイズは泣いた。そして自分の思いをひたすら彼女に語った。彼女は黙ってそれを聞いてくれた。振り返ってみるとそのことがきっかけだったのかもしれない。
その後、ギーシュとの決闘、土くれのフーケとの対決。この他にも様々なことを経験した。そして二人の絆はより深くなっていった。
かつては使い魔としておばあさんを選んだ神を恨んだ。しかし、今は違う。こんなにも心優しい使い魔をルイズ本人も愛している。ただ一つだけ悲しいことがある。彼女はもうお婆さんだ。自分より早くに死んでしまう。それだけが、心残りである。

246プフの人:2007/12/15(土) 10:02:53 ID:Ld7EgS0I
話を戻そう。
ギーシュと彼女はまだ話している。
「君たちの仲の良さは認めるけど、僕とヴェルダンデとの仲も負けてはいないよ。出ておいで、僕の愛しいヴェルダンデ」
ギーシュが地面をトントンと叩くと、地面が盛り上がり巨大なモグラの顔が出てきた。
「あぁ、愛しのヴェルダンデ。また今日も可愛くなって、困ったもんだよ。どばどばミミズを食べたのかい?」
「おや、可愛いモグラさんだこと。こんにちは」
「ねぇ、ギーシュこのモグラを連れて行くわけ?アルビオンには連れて行くことができ無いと思うわよ」
ルイズは気がついた。ギーシュのモグラがひたすらに自分のほうを凝視している。
「おや、珍しいね。ルイズ、もしかして高価な宝石とか持っているのかい?僕の愛しのヴェルダンデは高価な宝石がすきなのだよ」
「一応、持ってるけど・・・」
ヴェルダンデはいきなりルイズに抱きついてきた。
「モグラと戯れる美少女。ある意味官能的だなぁ」
すると、いきなり強力な風が吹きヴェルダンデを吹き飛ばした。
「だ、誰だ!!!」
ギーシュは自慢の使い魔を吹き飛ばされたことに激昂して叫び、杖を掲げた。
すると、朝もやの中に一人の男が現れた。奇妙な事にその男は全身が白で統一されていた。髪も髭もマントも何もかもが白だった。
「僕は敵じゃない。姫殿下より、君たちとの同行することを命じられてね。僕は女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。久しぶりだね愛しの僕のルイズ」
そういうと、ギーシュと彼女を無視し、ルイズに歩み寄った。
ワルド子爵はルイズの婚約者である。しかし、ルイズはもの凄く青い顔をしている。そして、ワルドは気がついてないがギーシュも真っ青だ。
「どうしたんだい?僕のルイズ。婚約者である僕の顔を忘れてしまったのかい?」
「ワルド、何その格好?」
「これかい?前回の任務の依頼主が酷い白好きでね、こんな格好なわけなのだよ。なに、大丈夫だよ、君が望むならすぐに元に戻るように努力するよ」
「まずいわよ」
「まずい?今回の任務には影響は無いと思うけが」
ルイズは思い出していた。ルイズの使い魔が一度だけ豹変したことを、そしてその原因を。
「オールド・オスマンの悲劇」今のワルドとオスマンはある共通点がある。
それが致命的だった。
ルイズはこんな時どうすればいいかを知っている。まず諦める。諦めることもまた勇気だ。そして、神にワルドの冥福を祈るしかない。

昔々、仲のよい一組のカップルがいた。永遠の愛を誓い合った仲だった。女は男と一緒にいられるだけで幸せだった。
しかし、そんな幸せを時代が許さなかった。男は戦争に行ってしまったのである。
女は待った。そして戦争は終わったが、男は帰ってこなかった。女はただひたすらに男を待った。
ただ無事でいて欲しい、そう毎日神に祈りを捧げた。そして、その祈りは通じたのである。男は女の前に再び姿を現した。
「ただいま、ぼくの『愛しの』人」
「おじいさん、心配したんだからね、もう帰ってこないかと思って夜も寝られなかったのよ」
女の目には涙が溢れ出ている。
「ごめんよ、でも帰ってくるさ。『婚約者』を残して死ぬわけ無いだろ?『大丈夫』だよ、もう何処にも言ったりしないよ」
男の声は何よりも優しかった。
247プフの人:2007/12/15(土) 10:05:01 ID:Ld7EgS0I
「ルォオオオオオオオオオオオオオオオオ」「ジュララララララララララララララララ」
「URYYYYYYYYYYYYYYYY」「KYOOOOOOOOOOOOOOOH」
人とも動物とも取れない凶悪な声がこの森を支配している。
ワルドは一人薄暗い森の中にある湖に隠れていた。
「何故だ何故こうなった」
ワルドは必死に考えた。ルイズが「逃げて」と言った瞬間にルイズの使い魔が襲い掛かってきたのだ。
「おじいさん」と奇声を発していたが、何がなんだかサッパリ分からない。散々逃げ回り今ここにいる。グリフォンや雇った傭兵を時間稼ぎにぶつけた。
しかし、その結果は彼らの悲鳴としてすぐに知ることができた。
何度か魔法を放ったがノーダメージだった。ワルドは自分の強さに疑問を持っていた。
自分は弱い人間だと。しかし、それは違う。彼はスクウェアメイジである。
本人はあまりに必死で気がついていないが、その魔法はかつて最強と呼ばれた『烈風』のそれを遥かに凌駕しでいた。恐怖によって格段とワルドは成長を遂げた。
今の彼ならば、雷撃を放てば万の軍隊といえども一瞬のうちに蒸発するだろう。風を放てば一瞬のうちに山を裸にすることができるだろう。
現に彼は二つの森林を荒野に変えている。しかし、それでもあの化け物はノーダメージ。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「ずぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「さぁあああああああああああああああああああああああああああああああああん」
あらゆる方向から奇声が聞こえる。その声はワルドの精神を傷つけていく。
「安心しろワルド、見つかるはずが無い。ここは水の中だ。メイジでなければ、ここには来る事は出来ないはずだ」
しかしその発想は甘かった。
「そこにいたのね、お・じ・い・さ・ん」
何故だか知らないが、彼女がそういい終えると湖の水が一瞬にして蒸発した。彼女得意のラブビームである。
ルイズの使い魔が歩み寄っている。ワルドにはその足音、一つ一つに恐怖した。そして、決心した。このままでは殺される。ならば戦うしかない。ワルドは杖を抜くとルイズの使い魔に向けた。
「覚悟してもらおう、こうなれば僕も本気だ」
「うるさい!!!抱きしめろ!!!!!!強くだ!!!!!!!!!!」
ワルドはこの上無い精神力と詠唱スピードで呪文を唱える。
ワルドはウィンディ・アイシクルを放った。凍てつく氷の槍が敵に飛んでいく。
ミス、ルイズの使い魔はまったくダメージを受けない。
ワルドはライトニング・クラウドを放った。凄まじい雷撃が敵を襲う。
ルイズの使い魔は笑っている。
ワルドはエア・ハンマーを放った。巨大な空気の塊が敵を粉砕する。
ルイズの使い魔は涼しげだ。
「お・じ・い・さ・ん」
ルイズの使い魔はだんだんと歩み寄ってくる。
ワルドは偏在の魔法を唱えた。一個大隊を軽く超える無数のワルドが現れた。
「風使いが最強といわれる理由を教えてあげよう。君もこれだけの偏在からの魔法には耐えることが出来まい」
ワルドの偏在がルイズの使い魔を囲む。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:05:03 ID:jIGvLUVJ
支援
249プフの人:2007/12/15(土) 10:06:07 ID:Ld7EgS0I
幸せを取り戻したかのようだった。しかし、なぜか男は自分の方に歩み寄っては来ない。
「どうしたの?おじいさん」
「ごめん、今の僕には君の愛が信じられない」
突然のこの言葉を女は予想していなかった。かつて、永遠お会いを誓ったはず。
「なんで!!?なんでなのよ!!?おじいさん。私はこんなにも愛しているのに!!」
「僕は戦争に行っている間ずっと不安だったんだ。君の隣に新しい男が出来たのではないかと不安で夜も眠ることが出来なかった。
そして、君にあった今でもその不安は増すばかりだ。こんな綺麗な女性を黙って見ている筈が無い。だから僕は君を信じることは出来ない」
女の目には凄まじい量の涙が溢れている。
「どうやったら信じられるの?私どんなことでもするわ。だからお願い・・・私を信じて」
男は意を決した表情をした。そして、指を鳴らすと無数の男が現れた。
「どういうこと?」
「この中に一人だけ本当の僕がいる。本当の僕を探してくれ。そうしたら、また僕は君を信じることが出来る」
女にもう涙は無かった。女の顔に浮かぶの決意の表情だった。
「許してくれ、こんなことをしないと君を信じることが出来ない僕を」
「安心しておじいさん、必ず見つけ出すわ」
「その自信や根拠はいったい何処から出てくるのかな?」
「私は貴方を愛している。貴方を見つけ出すのにこれ以上の自身と根拠はないわ」
250プフの人:2007/12/15(土) 10:07:27 ID:Ld7EgS0I
十人の偏在によるワルドはエア・ニードルを唱え敵に襲い掛かった。
ルイズの使い魔はびくともしない。
「こうなれば最後の手段」
ワルドとワルドの偏在は持てる魔力その全てをつぎ込み、魔法を唱えた。
凄まじい量の魔法が敵に襲い掛かる。
ルイズの使い魔は凄まじいラブパワーを全身から放った。
無数の偏在は放った魔法ごと一瞬にして消し飛んだ。
ワルドは腰を抜かしてしまい立つ事も出来ない。
ルイズの使い魔がだんだんとワルドに近づいていくる。
「待ってくれ、僕が悪かった。白状しよう。僕はレコン・キスタだった。だがもう奴らとは手を切ろう。一時の気の間違いだったのだ。なんなら彼らの情報も差し上げよう。そうすればアルビオンはレコン・キスタに勝利できるかもしれない」
ワルドは必死だ。そして、ルイズの使い魔見た。微笑んでる。ワルドは希望を見た。
「見つけ出したわ、おじいさん」
ワルドの希望は一瞬にして砕かれた。かわりに絶望が目の前を覆う。
「愛してるわ、おじいさん」
ワルドはもう逃げれない。ルイズの使い魔がもう目の前にいる。
「うォおじいさあああああん。KILL YOU!!!!!!!!!!!!!!!!」
その後、ワルドの姿を見るものは誰もいなかった。
ワルドがどうなったかは、成人した人間でも心に深い傷を負う可能性があるので省略します。想像してもイイですが、トラウマになっても作者は一切の責任を取りません。

次回ゼロダマインパクト(犠牲者ビダーシャル)を予定?

スキスキおじいさんガンダールヴ
ハレグウよりダマばあさん召喚
251名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:08:14 ID:MAZTwZl6
支援
252プフの人:2007/12/15(土) 10:08:31 ID:Ld7EgS0I
投稿終了です
どうでしたか?
当時リアルで見ていたので衝撃的でした
ギャグ漫画のキャラは最強です
推薦BGMはいさじ、魔王、エアーマンあたりかな
あえて電波ソングにしてギャップを楽しむのも良いかも知れません
253名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:20:35 ID:8J3ytEAg
GJ
あんた何ちゅうもんを召喚してくれたんや…
懐かしすぎて吹いてもた…
そういえば、昔、弟とこれ見ていて突然奴が泣き出したときはあせったなぁ…

しかも決まってダマばあさんの出てくる話で
254名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:21:18 ID:4uvs/NM6
ガクガクブルブル
255名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:27:14 ID:IomJB6h2
256名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:28:37 ID:LfRopb2G
ダマGJ!

あんなに腹筋鍛えたのに、耐えられなかったwwwwwwwwwww
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:39:23 ID:xsdB9B1d
なにこのネタは分からないのに怖さだけ伝わってくる恐ろしさGJ!
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:42:16 ID:IomJB6h2
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:50:21 ID:lrnOwzD2
ハイズリマワルサンパツヤGJ
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:56:08 ID:fepOweLF
旅行から帰ってきたら何この最凶使い魔。次回も期待して待ってますよー。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 10:56:55 ID:2qxxgHr5
ハイパーババア乙!!


声が同じだしサイトじゃなくてサイ召喚。ルイズ、初日からブチ切れw
262名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 11:49:12 ID:yOI/+yf4
ダマ婆さん知ってるヤツには致命傷になりかねんwwww
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 11:49:37 ID:8J3ytEAg
獸拳戦隊ゲキレンジャーよりゲキレッド漢堂ジャンを召喚

フーケ戦での実現するであろう
ゴーレムvsゲキビーストでは『実況キュルケ/解説タバサ』を切実に希望
264名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:02:08 ID:Hugd4ksv
今日コンビニに行って弁当温めて貰えなくて、ラーメン作ろうとしたらポットにお湯が無かった不幸繋りで綾崎ハヤテを召喚
265名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:18:16 ID:M7F1/JME
>>264
借金執事ならまとめにあるよ。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:18:29 ID:wzlPUR2s
何と言うヴァーサーカー・・・
アニメの雄叫びはすごかった。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:44:08 ID:29GaxrF+
SSの設定考えてるんだけど、オリジナル設定ってどのくらいまで許されるのかな?
268名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:46:10 ID:XUdSYexz
君の文章力に比例する
269名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:52:52 ID:hPn5hNHs
アイディア勝負の小ネタ一発ギャグなが、かなり無茶なオリジナル設定や設定改変でも許されることがあるからな。
あしたのジョーの小ネタなんかいい例だ。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:54:06 ID:MAZTwZl6
説得力があって結構面白かったら大体は許せる
両方あっても、やりすぎたなと思ったら自分のサイトとか用意した方が無難だけど・・
271名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 12:58:17 ID:iSe7djHi
>>265
どっちも更新が断たれているけどな
早く帰ってこないかなあ…
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 14:03:35 ID:vfstGydp
当時、ダマインパクトの衝撃はかなり強かった……
時間のない人は ↓ を見るだけでもダマばあさんの凄さはわかると思う。
ttp://www.youtube.com/watch?v=hu3K6dOFtL0&feature=related
ttp://www.youtube.com/watch?v=lDs1dX55tdY&feature=related
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 14:33:32 ID:nODDB71q
手でハートを形作ってそこからハート型のビーム撃ったり地面に手を突っ込んで十数メートル先の相手の足を掴んだり中々愉快な理髪士だよねダマ婆ちゃん
274迷宮職人:2007/12/15(土) 15:50:13 ID:peVcoFOr
毎度ー迷宮屋です。予定の半分なんですがそれでも一話にゃ十分の
分量になったので投下したいっす。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 15:51:23 ID:o7w/epeD
どぞー
276ゼロと迷宮職人1/10:2007/12/15(土) 15:52:54 ID:peVcoFOr


ゼロと迷宮職人 第四「階」 みんなでダンジョン行きましょう


/1/


決闘騒ぎの翌日。授業が終わったルイズは、アレンに先導され学院の敷地内を歩いていた。
昨日はあの騒ぎのおかげでダンジョンに行けなかったのだが、今日こそは、である。
腰に杖(に見えるただの棒)を挿したアレンの後を歩くルイズ。今日は少し機嫌が悪い。
昨晩、部屋に尋ねてきたコルベールと一緒にアレンの魔法について尋ねたのだが、毎度おなじみの
返答が帰ってきただけだったのだ。そう、即ち。

『よくわかりません。そーいうものなんです』

これである。結局分かったことといえば

・アレンの村サウスアークには「魔法屋」という施設があり、そこで魔法が「買える」
・買った魔法は勉強して覚えることができる。アレン曰く「読めば使えます」
・本人の性格によって使える魔法が変わる。「やさしい」と「はげしい」の二種類。
・アレンは「やさしい」魔法が使える。その種類と能力は以下の通り。

ひとりかいふく:傷を癒す魔法。対象一人を癒す。
ぜんいんかいふく:最大三名を一度に癒す魔法。
ひとりなおす:対象一名の健康状態を回復させる。毒も一発。
すいみん:最大三名を眠らせる魔法。ギーシュに使ったやつ。強い魔物には効果が無いらしい。
つよくなれ:対象一名の攻撃力を挙げる魔法。
せいなる光:攻撃魔法。邪悪な相手に使うとダメージが上がるらしい。
はねかえせ:魔法を跳ね返す(!)障壁を張る魔法。
リターン:ダンジョン専用魔法。入り口に戻る。消費MP(精神力)0
ワープ:こちらもダンジョン専用魔法。望んだ階層の昇り階段に移動する。やはり消費MP0

聞き終わった後、ルイズはもう突っ込みを入れる気力が無かった。でもブツブツと座った目で
呟き続けた。本当それって何系統? 回復や睡眠はまだいいとしても、まずせいなる光って何?
邪悪って何が基準なの? つよくなれって、どんなネーミングセンスよ。はねかえせって
メイジに対しては無敵じゃない。何よりワープとリターンの消費精神力0って何なのよー!
最後は叫んだ。アレンの答えは省略。コルベールは必死になって原理を聞き出そうとしたが、
アレン自身よく分かっていなかったために無駄骨に終わった。しかしながら、ワープとリターンの
呪文を聞いて、

『やはり先住魔法とは別であることは間違いなさそうですな。彼らの魔法は自然的であり、
このような便利な技術ではありませんから』

という結論に達した。これでアレンの先祖エルフ疑惑が晴れたのだが、依然としてこの奇怪な魔法が
なんであるかという疑問は残った。アレン君の故郷に赴いて調査しない限り答えは出そうに無い、と
コルベールがいい出したところでこの話はお終いとなった。
なお、アレンには誤解を招かないように「杖を持って魔法を使うこと」と盗賊に狙われぬよう
「人前でみだりにシャベルを使わぬこと」の二つが言い渡された。

277ゼロと迷宮職人2/10:2007/12/15(土) 15:54:17 ID:peVcoFOr
そんなわけでアレンが杖に見せかけた棒を持つことになったのだが……ルイズとしては心中複雑
極まりない。その理由は三つ。
まず、使い魔が魔法使えて自分が使えないってのが第一。
今までアレンが魔法について黙っていたのが第二。
周りの生徒がゼロのあだ名をさらに面白おかしく言い始めたのが第三、である。
第一も第三も、自分が魔法を使えるようになれば全て解決する問題であり、その誓いも立てた。
アレンに当たるのは筋違いであるというのは分かっている。第二についてもダンジョンに意識が
行っていて、決闘騒ぎまで詳しくアレンのできることについて聞かなかった自分にも非がある、と
理解しているルイズである。

通常であれば八つ当たりの一つもかますのがルイズであるが、アレンに対してはそれができない。
アレンは有能である。戦え、魔法が使え、ダンジョンが作れる。
アレンは礼儀正しいよい子である。魔法が使えるのに自分をバカにしない。
何より、自分より小さい子に当たるなどということは、ルイズの中にある「貴族」が許さない。
そんなの、この間のギーシュと同じではないか。

しかしながら、頭が納得していても、心はそうはいかない。不満の捌け口が無いのが不満、と
いったところである。
こーいうのは気持ちの切り替えが重要なのよ、と心の中で呟くルイズ。

「着きましたよー」

アレンの声で我にかえる。そこは、学園内でも初めて足を運ぶ、使用人たちの宿舎の裏だった。
目の前では、使用人たちがいろいろなものを集めていた。馬や使い魔に使うエサ桶がいくつか。
古びたベットが二つ。これまた古いごみ箱、さらに鉄製のチェスト(宝箱)が一つ。

「あによこれ」
「ダンジョンに使う家具なんだそうですよ」

答えたのはエサ桶をもう一つ運んできたシエスタである。

「ダンジョンって……なんでメイドが知ってんのよ!」
「夕べご飯の時に聞かれたので答えました」

はい、と手を上げてアレンが返答。

「あ、ああああアレン! ダンジョンのコトは内緒って言っておいたでしょ!」
「……そうでしたっけ?」
「そーよ! いった! いったの!」

残念、いってません。第一「階」でコルベールにごまかした時、思っていただけです。

「ご安心くださいミス・ヴァリエール。アレン君のことは決して外に漏らしたりいたしませんから」
「そのとーりですぜ! 我らがシャベルの迷惑になることは、ぜってぇしません!
なあ、お前ら!」
「「「はい、親方!」」」

シエスタに追随したマルトー、さらに周りにいた使用人たちが声を揃えて同意する。
本当なんでしょうね、とかなり疑うルイズである。

「っていうか、なのよその我らがシャベルって」
「それはですね……」

278ゼロと迷宮職人3/10:2007/12/15(土) 15:55:35 ID:peVcoFOr
シエスタが夕食時に起きたことを説明する。
アレンが夕食をもらいに厨房を訪れると、使用人たちが複雑な表情で迎えた。無理も無い。
今まで平民の子供だと思っていたアレンが魔法を使ったのだ。日ごろ貴族に虐げられる
彼らにとって、支配者と同じメイジであるアレンを今までどおりで迎えることはできない。
が、しかし、それでも笑顔で迎えたものがいた。
我らがマルトー親方である。彼はアレンと貴族たちの違いを力説した。
アレンは威張り散らさない。アレンは平民であるシエスタを庇って決闘した。
そしてなにより、と強調してマルトーは語った。アレだけの魔法が使えるのに、
貴族の小僧(ギーシュ)に怪我をさせることなく勝った。そんなアレンを貴族と同じと
考えるのは間違いだ、と。
なるほど、と納得した使用人たちは態度を改めた、というわけである。
その後、シャベルについて尋ねられ、流れからダンジョンについても語ってしまったという
訳である。我らがシャベルのあだ名はその時に付いたもの。魔法のシャベルについて
語るときは「我らのシャベルのシャベル」となる。

ちなみに、時間の流れはギーシュとの決闘→夕食時の騒ぎ→部屋にコルベール来訪、である。


「あーもう、秘密だだもれ……」
「でも、おかげで家具が集まりました」

頭を抱えるルイズの隣で、家具の状態を確かめるアレン。

「そんなぼろっちいので大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。多少壊れてても魔物が直しますし」
「……直すんだ」
「使うのは魔物ですからね」

ルイズは空を見上げた。晴れている。突っ込む気力はここ三日で失われた。目線を戻せば、
いつもの表情のアレンがいる。

「……そーいうものなのね?」
「そーいうものなのです」

ルイズは気持ちを切り替えることにした。そうでなくてはこの使い魔の主はやってられない。

「じゃ、早速ダンジョンへ……って、この量、とても二人じゃもっていけないわよ?」
「荷馬車でも仕立てますか?」
「あ、大丈夫です」

アレンは魔法のシャベルを家具へと向ける。

「仕事だよ」
「おう! おう相棒! 家具だな! いいな!」

おお、しゃべったよ、と周りの使用人たちが騒ぐ。

「……?」

ルイズは後ろを振り向く。いま、後からも驚く声が聞こえなかったか?

「じゃ、いつもみたいに」
「おう! ばっち任せろ相棒!」

ルイズが視線を戻すと家具の置かれた地面に、あの六芒星の光が浮かび上がった。
それの輝きが消えると、家具もまた目の前から消失していた。

「き、きえたぁぁぁ!?」
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 15:56:36 ID:UrTakw1g
支援?
280名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 15:56:40 ID:PNExXLEh
sien
281ゼロと迷宮職人4/10:2007/12/15(土) 15:57:26 ID:peVcoFOr

ルイズも使用人たちも、目の前の光景に驚く。が、この声は彼らから離れたところから
発せられた。
ルイズは再び振り向いた。そこには、目を見開いた金髪の少年が一人。

「ああ、あんた! ギーシュじゃない!」
「あ……や、やあ」

なんともバツの悪そうな表情で、ギーシュは手を上げた。

「……見たわね?」
「わ、わざとじゃないんだ! そこの使い魔君に話があって、教室から追いかけていたんだ!
そーしたら、その、なんというか……」
「……見たのね?」
「ごめん」

潔く頭を下げるギーシュにルイズは深く頷いた。

「アレン、ギーシュの記憶が飛ぶように思いっきりぶん殴りなさい」
「勘弁してくれ!? グラモン家の名に懸けてこのことは秘密にするから! このとおり!」
「……破ったら本当に殴らせるからね?」

家の名を出した以上、一応信じることにするルイズだった。これで破ったら家名に泥を塗る
ことになる。貴族にとって名誉は重要だ。さすがのギーシュもそこまで愚かではないだろう。
許しの言葉が出て胸を撫で下ろすギーシュとアレン。

「……アレン君? なんでキミまで安心してるの?」

シエスタの問いに、アレンは真顔で答える。

「だって、僕が思いっきり殴ったら、記憶じゃなくて頭が飛びます」

アレン以外の動きが一瞬止まる。

「あ、あは、あっはっはっはっはっはっは」

アレン以外が、全く笑ってない笑い声を上げる。笑え、流せ、笑えないけど笑って流せ。

「って、ちょっと待ってくれ使い魔君! 何かい、君はそんな殺人ブローを決闘の時
僕にぶちかまそうとしててたのかい!?」

が、流せない男が一人。決闘で殴り合い寸前まで言ったギーシュである。
アレンは頷く。

「大丈夫です。ボディ狙いなら治せますから」
「怖! それ殴ったら壊れるって確定で言ってるよね!?」
「がんばれば、お腹壊さずにいけると思います」
「がんばらないと内臓破裂なのかい!? どんなパンチだいそれはっ!」
「うるさーーーい!」

二人のやり取りに、ルイズがキれる。

「そんな事はどうでもいいの!」
「いやルイズ、僕としては先日、気付かずに命を拾っていたという事態を捨て置けないんだが……」
「いいの! で、あんた何の用なのよ」
「そ、そうだった。衝撃の事実で目的を忘れていたよ」

咳払いをして居住まいを正すと、ギーシュはアレンへ頭を下げた。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 15:59:21 ID:nODDB71q
支援
原作はなんて奴?
283ゼロと迷宮職人5/10:2007/12/15(土) 16:01:27 ID:peVcoFOr
「先日は、すまなかった。心からお詫びしたい」
「皆さんに謝ってもらえましたか?」
「もちろんだよ。モンモラシーにもケティにも、そこにいるメイド……シエスタにも」

視界の隅でシエスタが頷くのを確認して、アレンもまた顎を引いた。

「じゃあ、それで十分です」
「いいやッ、それじゃ僕の気がすまないッ!」

胸に手を当ててギーシュ演説開始。反省はしたものの、かっこつけは止められないようだ。

「キミは僕の目を覚まさせてくれた恩人! お礼をしなければこのギーシュ・ド・グラモンの
気がすまない!」
「……どうしましょう?」

珍しく困った顔をしてアレンは主を見る。

「……好きにさせなさい。どーせ昨日の決闘騒ぎで評判下がりまくって、誰も相手してくれないから
私たちのところに来たって感じだろうし」
「うぐっ!? ル、ルイズ……何故それを」
「同じ教室で授業受けてればイヤでも分かるわよ」

それでなくても嘲笑侮蔑には敏感なルイズである。教室がどんな空気かなど分かって当然。
望んで得たスキルではないが。

「じゃ、みんなでダンジョン行きましょう」
「そーね。……しっかり役に立ちなさいよ、ギーシュ」
「任せてくれたまえ! ……で、ダンジョンってなんだい?」


/2/


三人は、ダンジョンのある裏山まで歩いてきた。道すがら、ギーシュに簡単な説明を終わらせる。

「ふうむ。お金にくわえて珍しい品々まで集められるなんて……いや、アレンは凄いんだね」
「そーですか?」
「僕のヴェルダンデは鉱石や宝石を集めてくれるけど、直接お金は稼げないからね」
「それってアンタの使い魔?」

ギーシュは誇らしげに頷く。

「その通り。僕の美しくいとおしいヴェルダンデさ。紹介しよう」

気取って指を鳴らすギーシュ。足元の地面が突如盛り上がり、豚よりも大きなモグラが
顔を出した。

「ジャイアントモール……なるほどね」
「どうだい、可愛いだろう!」
「よくわかりません」
「あ、アレン……」

がっくりとうな垂れるギーシュである。

「分かってもらえないのは悲しいが、しかしヴェルダンデは凄いんだよ? 宝石を嗅ぎ分ける鼻に
加えて、馬と同じ速度で地中を移動可能!」
「おお」
284ゼロと迷宮職人6/10:2007/12/15(土) 16:03:38 ID:peVcoFOr
それには驚くアレン。ギーシュの気分復活。

「ヴェルダンデならきっとアレンのダンジョン製作にも役立つさ」
「あ、それは結構です」
「そんなっ!?」

再び落ち込むギーシュ。シーソーのように気分が上下する。

「普通に掘るわけじゃないんです」
「そういえば……魔法のシャベルを使うんだったね」
「はい。例えばですけど、広い範囲を無計画に掘ったら、どうなります?」

唐突の質問に意図を計りかねつつも、ギーシュは思案する。

「それは……まあ。支えの土を失うわけだから、天上が落ちてくるんじゃないかな?
範囲とか補強にもよると思うけど」
「僕もそう思います。でも、こいつで掘ると、どんなに広く、深く掘っても平気なんです」
「そう! そのとーり!」

アレンとシャベルの言葉に、感嘆のため息をつくメイジ二人。

「ますますもって凄いマジックアイテムだね、そのシャベルは」
「へへん!」

ほめられて、うれしそうな声を上げるシャベル。

「ねえアレン? 前はどれくらい深く掘ったの?」
「地下二十階です」
「にじゅっかい!?」

脅威の数が飛び出した。この世界、メイジの魔法で城やら砦は作られ強化される。人手で作るより
遥かに楽ではあるが限界は存在する。地階を作る労力は人手で行うよりマシであるものの、
二十階ともなればスクエアメイジをどれほど投入しても足りそうに無い。

「着きました。先に下りますね」

斜面に空けられた入り口に入ると、即座にはしごを降りていく。初めの日と同じイベントを
回避するためである。
降りていくアレンを見ながら、ギーシュは呆然と呟く。

「ルイズ。キミは本当にとんでもない使い魔を呼び出したんだね……」
「……私もこの三日間、驚きっぱなしなんだけどね」

規格外の使い魔に、笑うしかない二人であった。揃ってダンジョンへと入る。

ルイズに続いて地下に降りたギーシュは、その場をぐるりと見渡した。
等間隔に壁に据え付けられた蝋燭の明かりのおかげで、地下だというのに
昼間のように明るい。

「これがダンジョン……もっと息苦しくて汚い場所を想像していたけど、いや、
いい意味で裏切られた」

杖を取り出してディテクトマジックを唱える。

「……なるほど、壁だけじゃない。空間全体から魔力を感じる。『固定化』……うん、
そのものじゃないけど、同じような力がかかってるね」

その言葉に、おー、と感心するのがアレン。疑わしげに眉をひそめるのがルイズだ。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:03:52 ID:PNExXLEh
sien
286ゼロと迷宮職人7/10:2007/12/15(土) 16:04:57 ID:peVcoFOr

「……なにかいいたそうだねルイズ」

ええ、と頷いて真顔で質問する。

「あんた本当にギーシュ?」
「……失礼なことを言うねキミは」
「でもなんていうか……キャラじゃないわよ、そういうの?」
「本当に失礼なことを言うね! 僕は土のドットメイジだ! 土の中の事だよ?
興味もあれば調べもするさ!」
「……そういうことにしておいてあげるわ」
「うっわ、何かねその百歩譲ったみたいな発言はっ。悔しかったらキミもやってみたらどうだい!」
「で、できるならとうにやってるわよ!」
「だっろーね! なんたってキミはゼロの……」
「ギーシュさん」

氷点下まで下がっていそうなアレンの声が、ダンジョンに響いた。二人の口論は即座に停止。
油を差していない扉のように、鈍い動きでアレンに振り向く。
案の定、両眉が少しだけ釣り上がっていた。

「すまない、謝罪する失言だったッ!」
「ぼくではなくて」
「ルイズ! すまないッ!」
「い、いいわよ。許す、許してあげるわ!」

一も二もなく謝るギーシュ、許すルイズ。アレンの怒りというものをハルケギニアで一番知っているのが
ギーシュである。ルイズとしても、この場で自分の使い魔がギーシュを撲殺、否、爆殺するところは
見たくない。

「ご主人様も」
「ちょっ! わ、私も!?」

怒りの矛先がルイズに向いた。ギーシュと違い、爆殺されることはないだろうが、怖いものは怖い。

「ギーシュさん、別におかしくなかったのに、変な因縁を……」
「そうね! その通りだわ! ギーシュ、謝罪の言葉を受け取ってほしいのだけど!」
「もちろんだよルイズ! このギーシュ・ド・グラモンは寛大の精神でできているッ!」

両者ともに、引きつった笑顔でシェイクハンド。それを見たアレンの眉が、通常位置に移動した。

「じゃ、いきましょうか」

背を向けて歩き出すアレン。二人は額に浮かんだイヤな汗を拭った。

「お二人とも、無闇に移動しないでくださいね」

定期的に立ち止まりつつ、アレンは周りを見回す。

「どうかしたの、アレン?」
「いえ、魔物を探しているだけです」

はた、とルイズは思い出す。そういえば、ダンジョンを作ったあとアレンがいっていた。
翌日になったら魔物が入っている、と。

287名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:05:52 ID:LDSbfCZn
支援
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:06:57 ID:LDSbfCZn
支援
289ゼロと迷宮職人8/10:2007/12/15(土) 16:07:06 ID:peVcoFOr
「ま、ままま魔物かい!? よ、よろしい! 僕のワルキューレにまかせたまえ!」
「思いっきり震えてるわよギーシュ」
「あ、ゴーレムだめです」
「そんな!?」

アレンはダンジョンの内部を指差して説明する。

「ダンジョン、そんなに広くないです。一つの部屋でまとまって戦うとなると、大人数じゃ
無理なんです」

二人はなるほど、と頷く。

「なので、1チーム3人まで。ゴーレムが入っちゃうと定員オーバーです」
「……しかし、魔物が三体以上一度に襲ってきたら大変だね」
「それ、大丈夫です。魔物は縄張り意識があるので、必ず一部屋に一匹しかいません。
同じ理由で、隣の部屋に人の気配があると襲い掛かってくるので、敵の数は最大必ず3体まで
なんです。あ、魔物とぼくらの間に壁があった場合はきません。気付いていないのか
壁があるからこれないのかは知りませんけど」

珍しく、理由つきの説明である。

「で、は……魔物への準備は、どうしようか?」
「武器を作ってくださると助かります」
「任せたまえ。錬金!」

ギーシュが造花の杖を振るう。花びらが落ちた地面から、青銅の剣が生えてきた。
アレンはそれを掴んで一回、二回と振ってみる。少し首をかしげる。

「む? なにかまずかったかね?」
「いえ、大丈夫です。ご主人様たちは槍とかのほうがいいですね」
「え〜!? 私たちも武器を持つの?」
「はい」

貴族のとしてそれってどうなのかしら、とブツブツ呟きつつ、ギーシュの作った
短槍を掴むルイズ。長すぎると壁に当たって取り回しが悪くなるのではないか、
という配慮であった。

「じゃ、戦いますね。二つ先に魔物いますから、次の部屋に入ると襲ってきます」

何でもない事のようにいうアレン。

「うぇ!? い、いるのかね、魔物がっ!」
「そういうことは早く言いなさいよ!」
「すみません。あと、次の魔物はお二人で倒してください」
「「えええ〜〜〜〜〜!」」

悲鳴と非難の声を片手で制して話を続ける。

「一階に出る魔物は弱いです。一匹どころか三匹でも一人で倒せます。なので、
お二人に戦いを学んでもらういい機会なんです」
「な、なるほど……本当に弱いんだね?」
「弱いです。もし強そうなのだったらぼくが倒します」

ルイズはむう、と考える。まさかいきなり実戦とは。正直怖い。何で自分が、という気持ちも
当然浮かぶ。が、ここで引いていては先には進めない。こちとらハルケギニア一のメイジという
大きな大きな目標がある。覚悟を決めるしかない。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:07:53 ID:LDSbfCZn
支援
291ゼロと迷宮職人9/10:2007/12/15(土) 16:08:28 ID:peVcoFOr

「わ、わかったわ。やる、やるわよ!」
「ぼ、僕もやるぞ! やるとも! なあに、アレンと戦うのに比べれば、たかが魔物の
一匹や二匹!」

空元気も元気の内、のような二人に頷いて、アレンは先に進む。
短槍を握り締めてアレンに続く二人。少し歩いてみるとアレンのいうとおり、
前方にいた何かが、こちら目掛けて接近してきた。

「……鳥?」
「カラスコウモリです」

ルイズの呟きにアレンが答える。全体的にはカラスであるが、羽に小さな鍵爪がついている。
なるほど、たしかにカラスでコウモリだ。が。

「あ、ああああんなの初めて見るわ!」
「僕もだ! 少なくともトリステインにゃあんなのいない!」
「襲ってきますよー」

アレンの声と共に、カラスコウモリがギーシュに飛び掛る。硬いクチバシが、ギーシュの
肩を突っついた。

「いった! 痛いなっ!」

棒で突かれたような痛みだが、たいしたことはない。ギーシュは怒り任せに反撃、持っていた
短槍をカラスコウモリに向けて突き出した。右羽の真ん中に命中。

「よっし!」
「まだですよ。ご主人様、攻撃を」
「え、え〜い!」

ルイズは勢いよく槍を突き出す。……目をつぶって。当たるはずもなく、穴の開いた羽を
バタつかせてカラスコウモリは健在。

「ルイズっ! なにやってんだい!」
「だ、だってッ!」
「攻撃きますよー」

やりやすし、と見たのか今度はルイズを突っつくカラスコウモリ。頭をしたたかに
小突かれる。

「痛いっ! こ、ここここの、カラスだかコウモリだかわかんない分際で、この私にッ!」

杖を取り出し、ファイアーボールを唱えるルイズ。見当違いの場所が爆発する。

「わー! こっちくんな、こっちくんな!」

ギーシュはギーシュで槍を振り回してカラスコウモリを追い払っている。
生まれてこの方、全く危険と無縁だった貴族の子供二人である。いきなりの実戦で
パニックに陥っても無理はなかった。
そんな二人のマントを、小さな手が引っ張る。

「ご主人様、ギーシュさん」

二人の視線がアレンに集まる。いつもの如く、落ち着いた表情だ。そんなアレンをカラスコウモリが
突っつく。が、眉一つ動かさない。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:09:14 ID:LDSbfCZn
支援
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:09:15 ID:ncvaepJD
支援
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:10:01 ID:nODDB71q
支援
295ゼロと迷宮職人10/10:2007/12/15(土) 16:10:06 ID:peVcoFOr

「大丈夫です。お二人なら簡単に倒せます」

魔力など欠片も篭っていなかったが、その言葉は二人に落ち着きを取り戻させた。

「よし、もう一度っ」

ギーシュが槍をしっかり握って突き出す。かろうじて攻撃を避けるカラスコウモリだったが、
そこに二本目の槍が。ルイズである。今度は目をしっかり開いている。

「こんの〜!」

さくり、と穂先が胴体に入る。途端、カラスコウモリが小さく爆発した。

「ふえ!?」

魔物は跡形もなく消え去り、小さな金属がいくつも地面に落ちる。

「ル、ルイズ、魔法を使ったのかい!?」
「つ、使ってない! 今のは使ってないわ!」
「魔物って動かなくなると爆発して消えますよ」

床にしゃがみながらアレンが答える。

「どんな生き物だいそれ!?」
「魔物ですから」
「いいのかいそれで!? おかしいじゃないかッ!」
「ギーシュ」

騒ぐギーシュの肩に手が置かれる。ルイズだ。その目には諦め、口元には薄ら笑い。

「そーいうものなのよ」
「そーいうものって、ルイズ! 明らかにおかしいだろ!?」
「ええ、そうね。でもそーいうものなんだからしょーがないの」

ルイズは無性に空が見たくなった。しかし、ここはダンジョン。天井が見えるだけだった。

「アレンと一緒にいるとね、こういう話ばかりなの。いちいち突っ込んでると体が持たないし、
アレン自身全然気にしてないから答えも分からないし。だからもう、そーいうものとして
流すしかないの」
「……ルイズ、心から同情するよ」
「あんたもアレンとかかわる以上、そのうちこーなるわよ」

うわ、とギーシュは嫌そうな顔をする。同じ境遇の人間を一人作り出したことに暗い愉悦に
浸るルイズ。

「ご主人様、これ見てください」
「んー? あら、銅貨ね」
「にーしーろく……20スゥか。これ、どうしたいんだい?」

アレンの手に乗った銅貨を数えギーシュは質問する。

「魔物が持ってたんですけど……ぼくの所のお金とちがったので」
「そうなの。って、魔物が落とすお金ってこれだけなの……」
「はっは、まあ、ドットも五人集まればスクエアに勝るともいう。数倒せば大きなお金に
なるさ、ルイズ」
296名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:10:27 ID:PNExXLEh
sien
297ゼロと迷宮職人11/10(笑):2007/12/15(土) 16:10:49 ID:peVcoFOr

ギーシュの言葉にアレンも頷く。大金を想像していただけにルイズは少々凹み気味だ。

「じゃ、多分もう一匹いるとおもうので探しましょう」
「おお、次はもっとスマートに勝って見せるさ!」

元気よく答えるギーシュを見て、気持ちを切り替えるルイズ。そう、気持ちの切り替え。
じゃないとこの使い魔の主はやってられない。

「よし! 次も私が倒して見せるわッ!」



この後、もう一匹カラスコウモリと遭遇。今度は混乱することなく倒すことに成功した。



第5「階」に続く



NGシーン

「あんた本当にギーシュ?」
「失礼なことを言うねキミは!」
「実は渋谷有利とかいわない?」
「声優ネタは分かりづらいから止めようよ三千院ナギ!」
「誰がヒキコモリよー!」
298迷宮職人:2007/12/15(土) 16:12:12 ID:peVcoFOr
以上です。また分割予想を超えた……orz
モトネタはDSソフト「ダンジョンメーカー 小さな勇者と魔法のシャベル」
です。
支援ありがとうございましたー。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:13:58 ID:jTg6tmTd
GJです。

とりあえずルイズ…ジャンプ史上初のゲロ吐きヒロインじゃなかっただけマシと思え
300名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:17:40 ID:nODDB71q
GJ!
楽しそうだなあ
そういやゲームからキャラクターもってきた場合殴るだけでギーシュ即死な場合もあるんだよな
ちょっと新鮮。
……某鍛冶師で魔法使いで戦士で農夫なラグナ呼びたいなあ
301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:18:04 ID:LDSbfCZn
なんてマイペースで怒らせてはいけない少年なんだ。
こういうキャラ好きだなオレは。
あとGJ!
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:29:32 ID:JTAe/eQD
>298
乙、面白かった。
次も期待してるぜ!
303名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:46:51 ID:TVZaa7eu
メイジなのに肉弾戦ww GJ!

>>300
 書くんだ!そして結婚イベントを!
 あとラピスさんは俺の嫁
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:47:47 ID:Rf92Di9D
アレン君って原作終了後からの召喚だから無茶苦茶強いのか・・・
あの性格だしもしルフィ海賊団に入ってもなんか普通に馴染みそうだな(滝汗)
305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 16:48:06 ID:gIURIIPF
強くてニューゲーム状態のキャラを使ってパワーレベリング……

そうか、これはアレン君によるルイズ育成シミュレーションだったんだなGJ!
306迷宮職人:2007/12/15(土) 17:10:08 ID:peVcoFOr
>>305
正解。もっというならアレンとダンジョンによるトリステイン運営ゲーム。
307迷宮職人:2007/12/15(土) 17:13:40 ID:peVcoFOr
>>303
ダンジョンは長期戦です。精神力を使い果たすとグダグダになる
メイジがダンジョンでがんばろうとしたら、接近戦をおぼえないと
やってられないのですよ。そーいうアレンの静かな思惑。
それにしてもこのアレン、スパルタである。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 17:18:32 ID:hPn5hNHs
まぁ、最低限逃げ回れる程度には接近戦ができてもらわないと、守る方も守り切れんだろうしな。

このままがんばって、FF見たく
「とてとてとて、こん!」
で99999ダメージを与えられるようになれば完璧だな。
309名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 17:19:51 ID:GP2r6tLH
魔法少女(男)ラディカル・ガリアに死に掛けた。
何考えてんだ、作者さんっ!!(超褒め言葉)
310名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 17:35:35 ID:xIitH92h
GJ!



今日一日原作のゲームを探し回ったけど、5店舗とも置いてなかったんだぜ。
北陸は田舎だから入荷数少ないとでも言いたいのかね。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 17:51:33 ID:d+8xZBj4
ちょっと調べてみたけどこのゲーム面白そうだな。俺も探そう
ともかくGJ!
312名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 18:40:04 ID:FedPqWit
乙です
313名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 18:44:58 ID:FedPqWit
ルイズクリスマスバージョン リボンつき
ttp://kakuri.sakura.ne.jp/oekakix/data/IMG_007644.jpg
314名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 18:51:51 ID:d+8xZBj4
フォビ丼
315名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:05:22 ID:y2Ab6qwU
このスレから興味を持って元ネタの作品を読んだはいいが、アンケート葉書の「この作品を手にとったきっかけは?」の問いにどう答えようか考え中。
正直に書くべきだろうか?
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:09:41 ID:eO8twevh
友達に勧められた、でいいんじゃね?
317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:14:25 ID:hPn5hNHs
ネットで書籍に関する記述を見つけて興味を持った、で良いんじゃないか?
318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:14:42 ID:iobJF7gh
鳥の骨とか好きだから!
とか書いとけば?
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:28:20 ID:n6H2d1HI
逆に考えるんだ
「アンケートなんて別に出さなくてもいいや」と
そう考えるんだ
320名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:42:41 ID:eU1tRzO9
迷宮職人おもしろいなぁ。

原作ゲームはやったことないんだけど
「ひとりなおす」ってタバサママンを直せないのだろうか。
321名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:55:04 ID:mvfpDKpc
ネットの口コミでって書くとそれがキャッチフレーズに使われるかもよ
322名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:55:49 ID:o7w/epeD
「ボクと魔王」からルカと魔王を召喚!
剣士だからデルフも涙目にならない
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 19:59:29 ID:n6H2d1HI
>>322
スタン様とルイズが喧々騒々としているのが目に浮かんだぜ
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:00:35 ID:mvfpDKpc
すげえ懐かしい!
あれ主人公の特徴ブルードラゴンにぱくられてたよな
325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:11:51 ID:Hk7BaVth
>>323
二人とも、ルカは自分の下僕だ!お前のじゃない!っつって言い争うんだろうなw
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:32:07 ID:lo6DSigK
ルカはマルレイン様の下僕です。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:42:34 ID:wzlPUR2s
ボクと魔王は家族にやたら腹が立ったことを強く覚えてるなぁ。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:43:41 ID:N58i+jHQ
タバサママ・カトレア姉様を治せそうな人たち
華陀:三国志大戦版ならガンダールヴになっても違和感なし。
KAZUYA:格闘戦能力も高いが、人を殺せないという弱点あり。
間黒男:BJ。いくら要求されるのか(汗)。敵に回したらメス投げが炸裂。
トキ:触れるだけで治せるから科学技術がなくてもOK。「俺は天才だ」の偽者は却下。

あとスレ違いだけどJoJo第4部のトニオさんもできそう。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:50:39 ID:ZY8U9N+R
>>328
ご意見無用の反則ロボ
ドラえもんを忘れてやしないか?w
330名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:50:45 ID:29GaxrF+
ジョジョスレじゃあすでに治してるぜw
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:51:12 ID:wzlPUR2s
トニオさんは治療完了して既にラブラブ状態です
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:53:59 ID:o98IeHJ9
Dグレのミランダも『刻盤』で精神崩壊・感染前まで時間戻したらOKじゃね?
333名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:55:53 ID:SN9We0Af
ドラえもんでもできる
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:56:28 ID:ytQ/s6TH
やっぱり医者と言えばドクター・メフィスト
335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 20:58:46 ID:m//1XXYP
ドクター・ウェス…いや、なんでもない
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:00:04 ID:DAjmf65z
医者と言えばDr.くまヒゲ
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:03:01 ID:F05Wp6dO
エンジェル伝説の北野君を呼びたい
338名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:10:42 ID:gIURIIPF
>>337
ポマードをどうするか、それが問題だ
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:13:49 ID:eO8twevh
>335
西博士に直してもらったら、語尾にアンドロイドだとかサイボーグだとかと着くようになるぞ
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:18:33 ID:8PaT2hwn
>>338
植物油からモンモンあたりに作ってもらえるんじゃ?
341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:22:59 ID:EX0M1EBY
ふと思ったんだがタバサママンの症状ってエヴァのアスカの母親の症状と同じだな。
エヴァの方は魂が欠けたせいで精神狂ったらしいが、それを考えると
エルフの薬は魂にまで干渉しているんだろうか? スレチスマソ。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:28:46 ID:f9QeQs9I
投下してもよろしいでしょうか?
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:30:13 ID:o7w/epeD
>>341
タバサとその母親の話はアスカとその母親の話じゃなくて
クシャナとその母親がモデルだろ。モデルっつーかまんだけど

支援
344“微熱”の使い魔4−1:2007/12/15(土) 21:31:14 ID:f9QeQs9I
 先生が目を回してしまったために授業は一時中断され、急遽召喚した使い魔とのコミュニケーションの時間に変更された。
 教室を吹っ飛ばしたルイズは、罰として魔法なしで掃除を命じられ、他の生徒は中庭のほうへと移動していった。
 中庭にはいくつもの丸テーブルが並べられ、ちょっとしたオープンカフェみたいになっている。
 使い魔を膝に乗せて優雅にお茶を楽しんでいる生徒や、草の上でじゃれあっている生徒。中には、使い魔ではなく異性とのコミュニケーションを行っている者もいたが。
 生徒たちの中には、エリーとキュルケの姿もあった。
 ただ、タバサの姿はない。
 みんながルイズ(と才人)を残して移動する途中、

 「これから用事があるから」

 そう言って一人、使い魔の青いドラゴンに乗ってどこかにいってしまったのだ。
 エリーとキュルケの二人、彼女らの行動は他の生徒と若干異なっていた。
 最初は二人とも席に座ってあれこれと話していたのだ。
 ところが、エリーが突然他の人間の目も気にせず、庭の隅のほうに座りこんでしまった。
 落ちこんでいるわけでも、泣いているわけでもない。
 あちこちにはえている草を採りながら、うんうんとうなっているのだ。
 キュルケもそれを止めるでもなく、後ろからじっと見ていた。

 「……やっぱり、魔法の草だ」

 エリーは採った草を見ながら、驚きと確信をこめてつぶやく。
 シグザールではあちこち見られる珍しくもないトーンという草。しかし、錬金術士の間では魔法の草で通っているものだ。
 錬金術において、一番最初に調合方法を学ぶアイテム――中和剤。
 それぞれ属性の異なる材料同士を調合する際になくてはならないアイテムである。
 その中和剤の中で、緑の属性の材料となるのが、この魔法の草だった。

 「そんな雑草から、薬ができるの?」

 信じられない、という顔でキュルケが言った。

 「薬っていっても、それ自体は本当に毒にも薬にもならないようなものだけど……。でも、調合には必ずっていいほど必要なものなんです」

 「ふーん……。こんなどこにでもあるような草がねえ?」

 「あ、そうだ! 綺麗な水の出る場所ないです? あと……カノーネ岩がとれる場所とか」 

 「水なら、井戸場じゃない? ここの水はいいとか、料理人たちが話してたわ」

 「ふんふん、井戸場ですね」

 「それと、カノーネ岩、だっけ?」

 キュルケは人差し指を下唇に当てながら、うーんと空を見上げた。
 昨夜、エリーの本で見た、赤い岩石の図を思い出す。

 「あれと同じものを冬に見た覚えがあるわね……確か、平民たちが暖房用か何かで使ってたのを見たわ――」

 「そっかあ、よし!」

 エリーはぽんと手を打って立ち上がった。

 「キュルケさん、井戸場ってどこですか?」

 ウキウキした表情でたずねるエリーに見て、キュルケはやれやれと苦笑した。

 「こっちよ」

 そう言いながら、キュルケはエリーを先導するように歩き出した。
345“微熱”の使い魔4−2:2007/12/15(土) 21:32:25 ID:f9QeQs9I
 井戸場で水を汲んでいたシエスタは、二人連れ立ってやってくる人物を見て、その手を止めた。
 見事な肢体を強調するように服を着こなした褐色の少女と、見慣れないオレンジの服を着た可愛らしいが地味な印象の少女。
 使い魔召喚の儀式で、人間が召喚された。それも二人も。
 このことは、学生たちのみならず学院で働いている平民たちにも広がっていた。
 しかも召喚したのは、貴族でありながら魔法の使えない“ゼロ”こと、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 そして、その多情さで知られ、影では淫蕩とさえ呼ばれる“微熱”のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
 どちらも色々な意味で周囲に話題を提供している少女である。

 「あら、ちょうど水をくんでるわね」

 キュルケはシエスタを見て言った。

 「すみませーん、ちょっとお水を見せてもらっていいですかー?」

 オレンジ服の少女はメイドであるシエスタに敬語で呼びかけながら走り寄ってきた。

 「は、はい…!!」

 貴族からそんな言葉を受けるなど、予想だにしていなかったシエスタはいつも以上に頭を下げながら、二、三歩ほど後ろによった。
 少女は――何というか、珍しい虫や動物でも観察する男の子のような目で、桶の水をのぞきこんでいた。
 近くで見ると、遠目以上に地味というか、野暮ったい印象を受ける。
 ヴァリエール嬢は平民の少年を、ツェルプストー嬢は異国のメイジを召喚した。
 シエスタの聞いた噂ではそのようになっている。

 「朝、ゲルマニアのお嬢様と一緒にいるの見たけど、貴族っていってもありゃ相当の田舎者ね。物腰といい立ち振る舞いといい、野暮ったいたらありゃしないわ」

 そんなことをメイド仲間が話していたのを思い出す。

 「あのー」

 「は、はい!! 何で、ございましょうか……?」

 声をかけられたシエスタは、思い出していた内容が内容なだけにまさに震え上がって、つっかえながら答える。

 「桶の水、飲んだり、触ったりしていいですか?」

 「は、はい! どーぞ!」

 シエスタはどう考えても不自然な声音で言いながら、心の隅っこで、何故この人は平民相手に敬語なのだろうと考えていた。
 少女は首をかしげてシエスタを見たが、すぐに桶のほうへ視線を移し、その水を手ですくった。

 「うん…。色も澄んでるし……いい感じ」

 少女は嬉しそうにつぶやき、すくった水を飲む。

 「これなら…十分いける」

 そう言ってすっくと立ち上がった。

 「材料になりそう?」

 キュルケが言った。

 「はい! これで後は……あ、いけない」

 忘れるところだった、と少女は手を鳴らして、シエスタのほうを振り向いた。

 「あの、ちょっとお聞きしたいんですけど、カノーネ岩ってご存知ですか?」
346名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:33:30 ID:SBhwDs6R
四円
347“微熱”の使い魔4−3:2007/12/15(土) 21:33:37 ID:f9QeQs9I
 「かのー…え?」

 耳慣れない言葉に、シエスタは記憶の倉庫をあれこれ引っ掻き回してみたが、該当するものは見当たらなかった。

 「こっちじゃ、そういう言い方はしないと思うけど?」

 助け舟を出すように言ったのは、キュルケだった。

 「ああ、そうか。そうですよね。えと、ですね……」

 少女はキュルケの言葉になるほどうなずき、これこれこういった、赤い岩なんですけれど、と身振り手振りを加えて、その外見や性質を説明し始めた。

 「それは……多分、暖炉石のことだと思いますけれど……」

 魔法の使えぬ平民が、懐炉や火を起こす携帯用の道具としてよく使うものだ。ただし、火に近づけると発火するという性質があるので今ひとつ勝手がよろしくない。

 「でも、このへんではあまり採れないですし……それに、大抵冬場にしか使いませんから………」

 「え…じゃあ、ないんだ」

 「あの、でも、もしかすると倉庫に、予備のものが少し残っているかもしれません」

 がっかりと肩を落とす少女に、シエスタはあわてて言った。

 「ほんと!?」

 「……ですが、確実にあるかどうかは」

 「ちょっとでもいいんです」

 少女は笑顔で言った。まったく屈託のない、純朴な笑みだった。
 シエスタの中で、故郷の村で一緒に育った家族や、友人の顔がオレンジの少女の顔と重なる。

 「わかりました。ちょっと時間がかかるかもしれませんが……」

 「ありがとう! ……あ、私はエルフィール、エルフィール・トラウムって言います」

 いけないとばかりに、少女は名前を名乗った。

 「私はシエスタと申します。この学院で、ご奉公をさせていただいているものです」

 「私は――私は…その、何というか、キュルケさんの使い魔として呼ばれちゃったというか……あ、私のことは、エリーでいいよ」

 「と、とんでもない! 貴族のかたを、そんな風に……滅相な」

 「きぞ……あのう、よく間違われるんだけど、私は別に貴族じゃないから、そんなにしなくてもいいですよ?」

 エリーは困ったようにアハハ…と笑ってみせた。

 「貴族のかたでは、ないのですか?」

 「この子の国では、平民でも家名があるの。中には名乗らない人もいるらしいけどね。それより……挨拶もいいけど、あまり時間かけてると……もうお昼始まってるわよ?」

 キュルケは説明するように言った後、ぽんとエリーの肩を叩いた。しかし、エリーは反応しなかった。怪訝そうな顔で、別の方向に注目している。
 キュルケも、シエスタも、そちらの方向に目を向けた。そこには、憂鬱そうな顔で歩いている、平民の少年が。

 「ヒラガくーん、おーい」

 エリーが呼びかけると、少年はちょっと情けない笑顔を浮かべた。
348“微熱”の使い魔4−4:2007/12/15(土) 21:34:53 ID:f9QeQs9I
 失敗魔法の爆発によってめちゃくちゃになった教室が、どうにか見れるものになったのは昼前のことだった。
 机を運び、ゴミを片付け、ガラスを拭く。ただでさえ広い教室をほぼ一人で掃除した才人の胃袋は、いい具合に“ぺこぺこ”になっていた。
 ちなみにルイズはというと、終始ぶすっとした顔で、やったことといえばしぶしぶ机を拭いたという程度である。
 才人はそんなルイズにちょっとむかつきはしたものの、朝に栄養をたっぷりととっていたおかげか、まあ、しょうがないかと思うことができた。
 これがもし、あの貧しい残飯ちっくなものだけであれば、こんな余裕はなかっただろう。人間、空腹になると短気になりやすいものだ。
 “ゼロ”の由来を知って、ちょっとからかってやろうかと考えもしたが、やめておいた。
 下手に刺激すると、また鞭の洗礼を受けかねない、いや、確実に受けるであろう。それに、才人はあまりルイズと話をしたくなかった。
 初めて見た時は、グンバツに可愛い子だと思った。少なくとも、見た目は脳天を直撃せんばかりに才人の好みだった。これでもし待遇が今より良かったら惚れてしまったかもしれない。
 しかし、中身のほうは最悪だ。態度がでかいってレベルじゃない。
 “ツンデレ”だとか、“ワガママ”だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わった。
 大掃除をした疲れよりも、鞭で打たれた痛みのほうが後を引いていた。
 そして、痛いのは、体だけではなかった。

 「あー、腹へった! めしめし」

 才人は首をこきこき鳴らしてつぶやきながら、食堂へ向かうルイズに続く。食堂に、エリーがいたらまた飯をわけてくれるかなあ、などと考えながら。
 途中で、いきなりルイズが立ち止った。

 「何も、言わないの?」

 何かを押さえ込むような声で、ルイズは前を向いたままそう言った。

 「“ご主人様”の二つ名の由来はようくわかりましたよ」

 才人はルイズから目をそらしながら、独り言のように言った。“ご主人様”に、皮肉をこめて。
 二つ名の言葉を聞いた途端、ぴくりとルイズの肩が揺れたが、才人はそれを見てはいなかった。

 「でも、そんなの俺には関係ねえし」

 それは、まごうかたなき本音だった。
 
 「関係ない?」 

 キッとして、ルイズは振り返る。

 「俺はしがない使い魔でございますから。“ご主人様”のプライバシーに口はさむことなんかいたしません。保護者でもお友達でもございませんから」

 「ずいぶん強気ねえ……。ちょっとツェルプストーの使い魔にちやほやされたからって、調子に乗ってるんじゃないの? 後で泣き見ても知らないからね」

 「なんだと?」

 「あの淫乱で男好きなゲルマニア女の使い魔やってるようなやつだもの。見た目はしょぼくても、中身はあのツェルプストーと同じようなものかもよ。大体、会って間もない男に色目使って、食べ物で釣って、いやらしいったらありゃしないわ!」

 「おい……」

 ずいと、才人はルイズに近寄った。

 「なによ……」

 「俺のことは、まだいい。犬呼ばわりされても、鞭でぶたれても、納得なんか……できねーけど、まだいい! だけどな、あの子まで、エリーのことまで悪く言うな!!」

 「な……!!」

 才人の殺気だっているとさえいえる態度に、ルイズは言葉を失った。
 普段の抜けているような表情からは、想像できない鋭い視線がルイズに容赦なく突き刺さる。
 事実、才人は押し殺してはいるが、まぎれもなく激怒していた。
 この世界にきて、最初にまともな対応をしてくれた、“同じ使い魔という立場”の少女。ルイズから受けた扱いが動物並であったため、エリーから受けた優しさはずしりと響くものがあった。
 それはひな鳥が生まれて始めてみるものを親と認識することに、似ていたかもしれない。
 平賀才人、親教師双方から抜けていると評価される少年ではあったが、“恩人”を侮辱されて、黙っているような“すくたれ者”ではなかった。
349“微熱”の使い魔4−5:2007/12/15(土) 21:36:14 ID:f9QeQs9I
 もしもルイズは男であったなら、真っ向から喧嘩を売っていたかもしれない。
 怒鳴りつけられたルイズは、しばらく呆けたように口をパクパクさせていたが、悔しそうに才人を睨みつけた。

 「ごごご、ご主人様に向かって、ななな、なんて、口のききかたするのかしら……」

 声が震えている。

 「何だよ、また鞭でぶつのかよ?」

 「何で……あんたなのよ」

 「あン?」

 「何で、あんたみたいな礼儀もわきまえない平民が、私の使い魔なのよ!!!」

 「そんなこと、俺が知るか」

 激昂するルイズに対して、才人はかえってさめた視線になっていた。二人の間の空気が、さらに険悪なものになっていく。
 そして、食堂につくまで無言状態が続いた。
 食堂の入り口手前で、ルイズはぴたりと静止した。かと思うや、ぐるんと振り返り才人を睨みつけた。

 「あんた……ごはん抜き。反省するまでごはん抜き……! 言っておくけど、またツェルプストーに施しなんか受けたら許さないからね!!」

 ルイズはまだ震える声でそう宣言した。といっても、それは迫力内容ともに著しく威厳や威圧感に欠けるものだ。
 幼児が口喧嘩で劣勢になった時、悔しまぎれで叫ぶ憎まれ口――そんなようなものだった。

 「あー、さようございますか。まあ、俺が飢え死にしたら、新しい使い魔呼べますからね。ご主人様としてはけっこうなことでございましょうね」

 「………!」

 才人の言葉にルイズはひるむ。まさか、そこまでするつもりはない。腹いせと脅しを兼ねたものでしかなかったのだ。
 ふん、と鼻を鳴らして、才人はルイズから離れていく。

 「ど、どこいくのよ!」

 「どこだっていいだろ」

 「な…なんですって!?」

 「それじゃあな。せいぜい始祖のなんとか様に感謝して、ご馳走たらふく喰ってくださいよ」

 ルイズが何か叫んでいたが、才人は耳をふさいでスタスタと歩く。もうあのヒステリーにはうんざりだった。


 「って、えらそうには言ったもののなあ…」

 適当にあちこちをうろつきまわった後、才人はすきっ腹を押さえて嘆息する。
 さっきは怒りのあまりつい大見得を切ってしまったが、人間プライドでは腹は膨れないのだ。
 腹だけではなく、喉も渇いていた。

 「水……」

 せめて、水で腹を膨らまそう。そう考えて、才人はきょろきょろと水飲み場を探した。
 そうするうちに、何やら人の話し声が聞こえてきた。
 どうも若い女の声らしい。それに、何か聞き覚えもあるような。
 声に釣られるように、ふらふらとそちらへ足を向けると、見覚えのある少女たちが、井戸場で黒髪のメイドと何か話しているようだった。
 少女の一人は才人を見つけると、親しげに声をかけてくる。
 エルフィール・トラウム。
 才人は何とか笑顔を作って、それに応えた。
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:37:08 ID:OU9+cRYa
支援
351“微熱”の使い魔:2007/12/15(土) 21:37:48 ID:f9QeQs9I
以上です
支援ありがとうございました
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:39:22 ID:SN9We0Af
支援
353名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:44:11 ID:yQ09b8Ln
おつ〜
354名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:48:53 ID:gIURIIPF
関係良好な微熱組みと、少し深刻になってきた虚無組みの差が激しくなってきたかな
今後が気になるねGJ
355名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:50:18 ID:EX0M1EBY
乙〜
珍しく冷静に対応するサイトと相変わらずおバカなルイズが良かったっす〜
356名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:50:51 ID:XUdSYexz
ああ、確かにあの状況で助けてくれる人間が現れたらこうなっちゃうよね。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 21:51:24 ID:D2LsVeBA

しかしどんどこ関係がひどくなってくなあw

>>328
つ 毒島獣太
やっぱり精神の病ならサイコダイバーを出さないと
そのかわり親子共々ご賞味されかねないけどな
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:02:21 ID:2qxxgHr5
ああ……サイト………。


エターニアからルイズがキールを、キュルケはメルディを召喚したらどうなるか気になるww
メルディはセレスティアのトップの娘だから事実上お姫様だし。
359名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:03:49 ID:DmoijMOb
>>331
ママンとか?ラ・マンになっというのか?
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:06:51 ID:F05Wp6dO
ライオネット蛮を呼んでもセリフが二つしかない…
361名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:07:34 ID:N58i+jHQ
>>360
シカログなんて何を言われても「……」だぞ。
362とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:07:53 ID:DdFINvgw
最近の作品に勢いで負けているとあるです。
お久しぶりですが、投下してもいいですかね?
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:10:42 ID:lrnOwzD2
支援シャイニングショット
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:11:21 ID:Ti8lRI9g
ヴァリエールの家系はツェルプストー家に恋人を奪われている

最初この話を聞いたときはキュルケがビッチと思ったものだった。
しかし真実はヴァリエール家の自業自得でファイナルアンサー?
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:12:37 ID:LIrCRxk9
GOGO!
366名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:13:53 ID:zcoDIpsB
>>364
思うんだが恋人を奪われた歴代のヴァリエール家の人間って、皆ルイズやエレオノールみたいな
性格してたんじゃね?
367名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:14:15 ID:Ti8lRI9g
>>361
ヴィガジ「『お昼寝(シエスタ)』だと?また翻訳機が壊れたのか!?」
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:14:29 ID:DdFINvgw
大丈夫かな……?
とりあえず投下いきますー



「とは言っても……、どうすればいいのかな?」
 次の日、早速インデックスは吸血鬼捜しに力を入れようとしたのだが、ものの二秒でぴたりと足が止まった。
 よくよく考えてみれば、どこをどう捜せばいいかすらわからない。吸血鬼、と呼ばれてもその容姿は人間と全く変わらないからだ。
 うーん……、と何かいいアイディアがないかどうか必死に唸る。しかし、そういった事に関してあまり経験がないため、やはりというべきか閃きは出ない様子。
 村長の扉の前で唸るシスター、というのは珍しい。横切る人全員に一回は目をつけられる。
 そんな事に気付かず、ただひたすら考えるインデックスは、
「浮かばないんだよ……」
 急激にテンションが下がり、深いため息を吐く。諦めきれないせいか、ばつの悪そうな表情を浮かべた。
 こればっかりかはどうしようもない。それこそ、土御門がいたら何かいい策が思いつくであろうが、あいにく彼は自室で勉強中だ。
「なにかないかなー……」
 部屋に戻って「成果ゼロでしたー、テヘッ」なんて言えるわけがない。昨日あれだけ豪語したのだから、手掛かりの一つぐらいは持ってかえるべきだ。
 神頼みとはこの事なのだろうか、インデックスは静かなこの村の景色を呆然と眺める。
 何かトラブルでも起きないかなー、とあまりこの村にとってよろしくない考えを浮かべた時だった。
「おらぁ! 早く出てきやがれ!」
 荒げた声が聞こえてきた。
 突然の出来事に、インデックスの肩がビクッと震え上がる。
 自分が願った瞬間に起こるとは、なんてタイミングのいい事だろう。
 しかしそのはず。この村は吸血鬼に襲われているのだから、もう少し緊張感があってもおかしくない。
 が、だとしても少し様子がおかしい。吸血鬼騒ぎはあったとしても、これではただの喧嘩であるような感触を覚える。
 他に行く宛もないし、インデックスはとてとてと叫び声があがる中心地へ、足を進めていった。

 そこはとある民家であった。
 特に他の民家とそう変わりはない。ただ、あえて挙げるとするならば、そこにいる人数の多さと、他の集落より離れてぽつんと建っている点だ。
 どうやらここの人達が集団で声を荒げているようだ。
「出てこない言うなら中に入るぞ!」
 その中で、リーダー格であろう男がさらに一歩前へでた。もう数歩歩けば玄関へとたどり着く。
369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:14:32 ID:n6H2d1HI
>>364
ヴァリエール家が邪険にしてるからツェルプストー家がちょっとやさしい言葉かけたら
コロっと落ちちゃうってわけか

これでツェルプストー家に悪意無かったらヴァリエール家のほうが最悪だなwww
370名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:16:11 ID:d+8xZBj4
みんな、とりあえず雑談はお休みして支援に移ろうぜ
371とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:16:11 ID:DdFINvgw
 なにかあったのだろうかと、好奇心旺盛な瞳でやや離れた場所からインデックスは眺めた。
 すると、
「急になんだ!?」
 扉が乱暴に開かれ、のしっ、とがたいのいい男が現れた。家の前で怒鳴り続けられたのだ。明らか不機嫌そうな表情を浮かべている。
 が、数では勝っている余裕からなのか、そんな事など気にせずにリーダー格の男は怒鳴る。
「早く吸血鬼をこっちに出せって言うんだアレキサンドル!」
 それはこの民家の住人にとって予想外の言葉であった。アレキサンドルと呼ばれた男は目を丸くし、「は?」と口から出そうな勢いで開いている。
「とぼけてんじゃねえ! てめえのババアのことだよ!」
「おいおい何を言ってるんだ? 一体何を根拠にしてるんだよ!?」
「テメエのババアは寝たきりとか言ってるがよ! ホントは昼に外へ出れない吸血鬼なんじゃねえのかよ!」
「待ってくれ! なんで吸血鬼扱いされなきゃいけないんだよ!」
「うるせえ! とにかく事の真相をたしかめっからあがらして貰うぜ!」
 ちょっと、やめてくれ! と相手の勢いに押し潰されそうなのか、あまり大きく出れない。
 幸い玄関は狭い。両腕をひろげなくても、男一人で十分壁になる。
 しかし、だからといってそれが妨げになるとは限らない。
 十何人もの人間が迫りくるのは正直怖い。普通ならばすぐに道を譲るであろう。
 実際、アレキサンドルも一歩ばかし後ずさった。
 たとえ自分にどれだけの力があろうとも数字という名の武器には敵わない。
 が、だとしても引けない時はある。
 自分の後ろには病気で寝込んでいる母親がいる。そんな彼女を吸血鬼呼ばわりして黙ってままなどできるわけがない。
 アレキサンドルは意を決してキッと睨み、鼓膜を破らん勢いで怒鳴りあげた。
「ふざけんな! 勝手になに吸血鬼呼ばわりしてんだよおい!!」
「なんで疑っているのかな?」
「当たり前だろ! お前らが一番あやしいから……ってあぁん?」
 勝手に割り込まれたせいか、こめかみに血管を浮かべたリーダー格の男はそちらへと睨みつける。
 周りの人間もそれに合わさるかのように、一斉にインデックスの方を向いた。
 自分より一回りも二回りも大きいそれに睨め続けられているが、インデックスはキョトンとした態度を崩さない。
「だからなんで二人を疑うのかな?」
 間違った解き方をしている子供に、あえて疑問を投げかけるような親の口調で再び述べる。
372とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:18:06 ID:DdFINvgw
 リーダー格の男が目的地である玄関から離れ、インデックスへと近寄る。
 相手はシスター。下手な真似はできないため、優しい口調で口を開いた。
「嬢ちゃん。あそこには婆ちゃんがいてな。病気で寝込んでいる言うんだ。だけどそれは嘘で、ホントは昼間は外にでれない吸血鬼なんだよ」
 おい! だから吸血鬼じゃないぞ! と否定する男に耳を傾けようとはしない。ただ、この目の前にいるインデックスに納得させようとするだけだ。
「だからそれがおかしいんだよ」
 が、インデックスはさらに否定する。
 それにたいしての反応は頭に疑問詞を浮かべるだけで、全く理解していない様子。
 そんな態度にはぁ、と出来の悪い子供を見るようにため息を吐きながら、インデックスは解答(せつめい)を始めた。
「いい? 本当にここの家のおばあさんが吸血鬼だったらこんなバレバレのようなことするわけないじゃん」
 インデックスは続ける。
「吸血鬼って姑息なんだよね? 女の子しか襲わないし、見張っても眠らされたりして。だったら『ここに吸血鬼がいますよー』って自分からは言わないと思うよ」
 周りの人間は驚き、近くにいる人に話しかけてざわめき始めた。たしかにインデックスの言い分には一理ある。
「で、でもな嬢ちゃん。そう俺達を思わせる作戦かもしれないだろ?」
「確かにそれは否定できないね」
 でも、とインデックスはさらに口を開く。
「だからってこんなリスクの高い作戦を取るわけないよ。むしろそんなことするならもっと安全な位置を探すはず」
 それこそ、あなたたちの中に紛れることだってね。と結論まで説明したインデックス。
 途端、騒然とし始めた。わかりやすい解説であったため、やや興奮気味た彼らでもたやすく納得できた。

 つまり、この中にもしかしたら犯人がいるのかもしれない、と。

 ザワッ、と全員が息を飲み込み視線を合わせる。確かに自分のお隣りさんだからといって吸血鬼じゃないと否定できるはずはない。
 疑心暗鬼、誰が犯人かわからず、自分しか信じることしかできない状況をインデックスはわずかな時間で形成させてしまった。
 が、予想通りの展開を迎えたのか、そんな悩める子羊を宥めるようにインデックスは笑う。
「ね。部外者の私が言っただけでこんなにも混乱しちゃうんだよ? こうなったら吸血鬼の思うつぼだよ?」
「だ……だったら俺たちはどうすればいいんだ?」
373名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:19:17 ID:Ti8lRI9g
禁書目録支援
374とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:19:53 ID:DdFINvgw
「もっとも安全な位置。絶対自分は怪しまれないという確信、もしくはそれに近い場所に位置する場所に吸血鬼はいると思うけど……。てか極論あなたたちじゃ倒せないでしょ?」
 リーダーの男はもう大きく出れなかった。もともと力で物事を推し進めるタイプ。相手がシスターという事もあり、本来の力は発揮できないからである。
「だから私ともとはるに任せて。なんとかしてあげるんだから」
「一体なんの騒ぎじゃ!?」
 事の状況をとある村民から聞いてきたのか、ようやく村長が血相を変えて現れた。
 普段は聞くことがない村長の怒号。その言葉にざわついていた男たちは一斉に声を出すのをやめた。
 ふぅ、と一回ため息を吐いた村長は周りを見渡す。
 そこでようやく気付く。この場には相応しくない存在がいることを。
「これはこれはシスター様。見苦しいところを見せてしまって申し訳ありません……」
 深々とお辞儀をされたのに驚き、インデックスは慌てて手を左右に振る。
「ううん。気にしなくていいんだよ。村民がみすみす殺されるのを黙って見過ごすほうがどうかと思うしね」
 ただ、とインデックスは一つ付け加える。
「たとえこの村の中に吸血鬼がいたとしても、一人だけを疑うのはよくないかな」
 そう言ってアレキサンドルの方を向いた。彼を安心させようと、朗らかな笑みをインデックスは浮かべる。
 それに気付いたアレキサンドルもまた少しだけ笑みをこぼした。
 こうなってしまったらもうどうしようもない。いくら人数が勝っていても、自分たちが悪であるのは明確だ。
 しかし、
「すまん。それでも婆さんを調べさせてくれ」
 なっ……と呆れるアレキサンドルに加え、目を見開く村長。
「まだ疑って――」
「わかってる。さっきみたいなことは悪かったとは思う。ただ、一応それなりの理由があったんだ」
「それはなんなの?」
 かわいらしく小首を傾げるインデックスに、男は自分の首をちょんちょんと指した。
「知ってると思うが、吸血鬼は自分の部下として一体だけ人間をグールにすることができるんだ。もちろん外見は人間となんら変わりはないが、だけど吸血鬼に血を吸われるから噛まれた後ができるんだ」
「それは本当であるのか?」
 村長が代表して尋ねる。皆の視線が一斉に集まり、アレキサンドルはやや困った表情を浮かべたが、観念した様子で首を見せるように顔を上げた。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:21:07 ID:XUdSYexz
しえん
376とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:21:26 ID:DdFINvgw
 そこには、確かに二つの小さな傷があった。よく観察しなければ気付かない程度の物であったが。
「だがこれは吸血鬼の物じゃねえ。山ビルに噛まれた奴だよ……。というか、他の奴らもそういった傷はもっているだろ?」
 アレキサンドルの指摘はもっともだった。確かにこの場にいる中で一人や二人同じような傷を持っている男達もいる。
 つまり、傷があるからといってグールだと判断するのは難しい。
(これも吸血鬼の作戦なのかな?)
 だとしたらその用心深さには目を見張るものがある。魔術を使って眠らせることはできるのだから、一晩でこの村を全滅にさせることだって可能なはず。
 ならばここまで自分が吸血鬼だとばれて欲しくないのだろうか? と、不意に考えていたインデックスがぽつりと口を開いた。
「なら私が会ってみるよ」
 その声は決して大きくなかったが、周りの視線を貰うには十分過ぎる内容だ。
「嬢ちゃん一人で行くのかい?」
「うん、こんなたくさんの人が押しかけちゃったら迷惑でしょ?」
 そりゃそうだが、と躊躇う村民。いくらなんでもこんなか弱い(見た目)シスターを、僅かながらも吸血鬼である可能性を秘めている人物に一人で会わせるのは心が痛む。
「シスター様、そのようなことまでしなくても大丈夫でありますぞ?」
 こういった場面で代表となる村長が優しく静止させようとする。しかし、その程度で意見を変えるインデックスではない。
「ううん。一人で行った方がお婆さんも気が楽になるからね。それに仮に襲われてもなんとかなるもんだよ」
 ニコッと微笑みを浮かべられ、周りの男達は言葉が出ない。
 その笑みは太陽のように眩しいものだが、だからこそ一人で行かせるのは躊躇われる。
 と、そこへ
「じゃあ俺も行かしてもらう」
「レオン!?」
 そう言い、手を挙げたレオンと呼ばれた青年がインデックスに近寄る。
「確かに大勢で行くのは失礼だ。かといってシスター様一人で行かせるのも認められない。これでいいだろうか?」
 レオンの提案にしばらく悩むインデックスであったが、その首を縦に振った。
377とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:22:25 ID:DdFINvgw
「お婆さん、こんにちわ」
「こりゃシスター様ではないか……。こんな村にはるばるおいでなさったとは」
 事実、アレキサンドルのお婆さんはインデックスに対して非常に好感触であった。
 安全ピン、という少し変わった要素も加わっているが基本は修道服。この世界にもシスターという概念が存在していたことがインデックス達にとって予想外の嬉しさだ。
 突然の来訪者にお婆さんは目を丸くして、ベッドに預けていた上半身を起き上がらせた。
「いたたたた……」
「あわわ、大丈夫かな?」
「すまんねえ、歳をとると体もがたついてしまってねえ……」
 ゆったりとした言い方に微笑みを付け加えるお婆さん。どうやらインデックスに余計な心配を与えたくないようだ。
 この部屋には四人がいる。インデックス、お婆さん、アレキサンドル、そしてレオン。
 そのレオンは壁に寄り掛かり、二人の会話を注意深く観察している。二人の会話に参加する気配はない。
 いざという時は自分しか頼りになれない。そう体が表現しているかのように足が一定のリズムを刻んでいる。
 一方のアレキサンドルは、慌ててお婆さんに近寄るとその痛がる腰を摩る。
「まったく……婆ちゃんも無理しなくていいんだよ?」
「ほっほっ、せっかく私たちの家にシスター様がいらっしゃってくれたのだ。のんきに寝転んでいるわけにはいかないだろ?」
 そういって、お婆さん未だに笑みを絶やさない。いや、絶やすそぶりさえも見せない。
 第一印象から判断するならどう考えても彼女は普通の人間だ。
 姑息な吸血鬼が役を演じている可能性は否定できないが、そうあって欲しくないという願望さえも抱いてしまう。
 実際、レオンとインデックスはその感情を抱いていた。
 むしろレオンに関して言うならば、それは驚きの方が大きかった。
 アレキサンドルのお婆さんはいつも家に引きこもっていたため、「魔女」とか「吸血鬼」とかあまりよくないイメージが噂として伝わっていた。
 しかしどうだろう。目の前にいる老婆はそのような類いなのであろうか?
 違う。レオンはそう断言できた。
 自分が普段より落ち着いた状態でいたため、第三者の立場として物事を考えることができたからだ。
 そして、
「あのねお婆さん」
「なんだい?」
「今吸血鬼が襲われているの知ってる?」
 重要な部分に突入した。
 インデックスの質問に、お婆さんは少しだけ哀しそうな表情を浮かべる。
378とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:23:49 ID:DdFINvgw
「ええ……私たちがきてすぐのことだからね。ホント残念だわ」
「じゃあ一つだけ質問していいかな?」
「なんだい?」

「お婆さんは吸血鬼?」

 無邪気な子供が大人に尋ねるような感じであった。この空間の時間が止まったような感覚が襲う。
 そして、お婆さんがインデックスから一度だけ視線外したのをレオンは見逃さなかった。
「違うよシスターさま。始祖ブリミルに誓ってでもそれはないよ」
「うん、ありがと。んじゃわたしは行くね」
 そういい立ち上がると、「それじゃあね」と別れの言葉を貰った。
 トテトテと部屋から出ていくインデックスを、レオンは慌てて後を追いかけた。
「いいのか? あんたが質問をした時僅かばかし視線をずらしたじゃないか」
「うん。あれが人間の証拠だよ」
 インデックスはレオンの方へと振り返る。
「どんなに予想された質問でも、それがマイナスのイメージになるものだったら一瞬ばかしためらわれるの。逆に吸血鬼だったらそれをばれないようにするからね」
 言われてみれば、とレオンは思う。
 実際自分も同じような質問をされたとなると、そう疑われるような行為をしたかどうか過去を振り返るはず。
 それはたとえどんなに潔白だと自負したとしても変わらない。
「だ、だが。それこそ吸血鬼の罠なのかもしれんぞ」
「その可能性は低いかな」
 インデックスは一呼吸入れてから、続ける。
「相手は完璧主義者のように感じられるからね。絶対に疑われるようなことはしないと思うな」
 人間じゃないからこそ、人間の小さな仕草まではわからない。
 レオンだってある程度は納得している。しかし、たったそれだけで今という今まで疑いが晴れるというわけにはいかない。
「……あまり納得していない様子だね?」
 心を見透かされて目を丸くするレオンだが、「顔に出ちゃってるよ」とインデックスは優しく微笑む。
「まぁ気持ちはわからないこともないけど、人を信じるということはとても大事だよ?」
 それを最後にインデックスは再び玄関へと歩いていく。
「彼女は人を疑ったことがないのか……」
 ある意味理想的とも呼べる人間だ。危険な所に自分達を巻き込ませずに、そして自分が信じることに微塵の疑いもかけない。
 が、同時に危険でもある。裏切られるという体験をした時に、もっとも深く心に傷を負うであろう存在。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:24:57 ID:iobJF7gh
志村ー名前欄名前欄
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:25:45 ID:ytQ/s6TH
支援
381とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:26:01 ID:DdFINvgw
 まだ純粋な子供だから、という理由もあるかもしれない。いつか自分達のような人間になるのかもしれない。
 だが、

 レオンは彼女にだけはそうなってほしくないな、と思った。


「と、今日はこんな感じだったんだよ」
 時刻は夕方。腹を空かせたインデックスは土御門を呼んで夕食をとった。
 シスター様、ということもあるので、昨日と同じように村の女性がわざわざ作ってきたようだ。
 インデックスはスープを一口飲んで、
「とうまのご飯よりウマーなんだよ!」
 どこぞの学生少年が落ち込むような感想を述べた。が、腹ぺこシスターの手はその程度では止まらない。今度はサラダに手を加える。
 ムラサキヨモギ。この村の名物でありとてつもなく苦い味がするのだが、それに比例してとてつもなく健康にいい。
 が、インデックスは味の方など全く気にしない。
 彼女の舌はたとえどれだけ苦くても、辛くても、酸っぱくても、おいしい物はおいしいと判断するようだ。
 ぱくぱくとその口が止まらないインデックスを見て、土御門は自分に盛られたムラサキヨモギ草のサラダをスッ、とインデックスにへと寄せる。
 そんなことなど露と知らず、インデックスは土御門のサラダにも手を加えた。
「これ凄い美味しいんだよ! おかわりしちゃってもいいかな?」
 隣で立っている女性に空の皿を渡すと、「えぇ」という返事が返ってくる。
 そこまで見て、土御門は席から立ち上がった。
「ふぉうひたの、もほひゃる?」
 ムラサキヨモギ草をほうばっている途中であったため、とてもだらし無い言葉になる。
 が、土御門は気にする事なく、
「悪い。少し用事があるんだ」
 という言葉を残し、すたすたと去って行った。
 ほえ? と首を傾げるが、別にこの村から出ていくわけではない。階段を登っていくのでどうやらまだ勉強をしたいようだ。
 気にしても仕方がないので、再び尽きることのない夕食を満喫しようとサラダに手を延ばす。
 瞬間、
「お姉ちゃん」
 声をかけられた。
 そちらを向くと、エルザであった。昨日の一件でインデックスに対して悪いイメージを持たせたがが、今はそんなそぶりも見られない。
 インデックスは口に溜め込んだムラサキヨモギ草をゴクンと飲み込むと、それを開く。
「どうしたのかな?」
「あのね。来てほしいところがあるの」
 エルザはこれでもかという笑みを浮かべた。
382とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/12/15(土) 22:29:11 ID:DdFINvgw
最初の投下で名前つけわすれた……すみませんでしたorz

以上で投下終了です。前回よりかなり空いたのにあまり長い内容でなくてすみません……
では、支援ありがとうございました〜
383伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:30:29 ID:LIrCRxk9
純粋なインデックスGJ!

カミやんとインデックスの再会を楽しみにしています…。
では10分くらい間をおいて投下。
384ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 22:34:07 ID:OU9+cRYa
その次に最終話を予約しますー。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:34:52 ID:XUdSYexz
しねん
386名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/15(土) 22:36:23 ID:kk71xMwt
支援
387名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/15(土) 22:36:43 ID:kk71xMwt
支援
388伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:40:17 ID:LIrCRxk9
ルイズは、部屋をめちゃくちゃにした罰として、魔法の使用を禁じられ部屋の掃除をやらされた。
「あんたも掃除手伝いなさいよ。」
「えーめんどくさーい。キナくさーい。」
「主人の不始末は使い魔の不始末、使い魔の不始末は主人の不始末よ。手伝いなさい。」
恐ろしく不満そうな顔で適当に箒に手を伸ばす。
「早くしなさいよ。お昼までに終わらせなくちゃ、ご飯たべれなくなっちゃうんだから。」
「ほーい…。」
しかし面倒くさいものは面倒くさい。
「おでかけですかー。レレレーのレー。必殺!埃隠れー!
オナガザルのしっぽ〜。!そーれローリングローリング〜。」
「真面目にやらんかい!」


掃除がもう終わるというころ。
「・・・あんたも私の事、ゼロって馬鹿にしてるんでしょ」
「お?」
しんのすけが声をかけられて一旦手を止める。
「何が?」
「さっきの見たでしょ?私は何やったって爆発を起こしてしまう。簡単な錬金すらまともにできないのよ?
アンタも本当は私に幻滅してるんじゃあないの?」
「うーん…。」
しんのすけが頭をかかえて考え出す。
「うーん…。うむむむむむ…うーんうーん!ブハァァァァァ!!しぬかと思った〜。
えっと、オラも魔法なんて始めてみたからあの爆発も凄い魔法だな〜。
と思ってほかには特に何とも思わなかったゾ…。」
そう聞いたルイズがしかめた顔を緩めていたのに気がついた。
「あ、そうだったわね…。アンタ魔法を知らなかったんだっけ…。」
「でもさ、そんなに気にする事かな?それって。魔法はオラも使ってみたいと思ってるけど
オラ別に魔法使えなくても困らないもん。」
「それはアンタのいたところの話でしょ。こっちじゃ魔法の使えない貴族なんて本来なら考えられない事なのよ…。
これでも私はね、ほかのみんなの何倍も努力して勉強では学年で1番だって何回もとったのよ。」
「え!?全然そういうキャラに見えないゾ。」
しんのすけの余計な一言でルイズがしんのすけのほおの両側をつねって大きく広げる。
「アーンーターはーやっぱりケンカ売ってんの!?」
「いええええッ!ほれでろうしたの?」
「でもあの爆発以外はなんの呪文も使えなかった。『錬金』を唱えようが、『ファイヤー・ボール』を
唱えようが爆発しか起きない。コモン・マジックすら爆発させてしまうのよ?他の誰もそんな事しないのに。
いつしかお父様やお母様も、エレオノールお姉さまも私に何一つ期待しなくなった。
…どうして一度も成功しないのか自分でもわからないのよ…。」
いつになくルイズの表情が曇る。
389名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:40:33 ID:Hugd4ksv
キター!! しらねヨーソロー
390伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:41:40 ID:LIrCRxk9
しんのすけは落ち込むルイズを見てなんとも思わない人間ではない。
ふと、自分の思ったことを言った。
「ルイズちゃん。ルイズちゃんママは怖い人?」
そう聞いたルイズは真顔で頷いた。
「ええ、おそらくハルケギニア一怖い母親、いや女性ね。」
「うーんどこの世界も母親は恐ろしいもんですな。オラの母ちゃんも地球一怖いから
その苦労よ〜〜くわかるゾ。オラもね、よくおバカなことやって母ちゃんに叱られたりするけど、
それでもオラたち結構仲良くやってるんだ。」
「…それがどうしたの?」
「父ちゃんも足くさいしおひげ濃いし、ひまは赤ん坊のくせに光物とイケメン大好きだし、
シロもわたあめだしやれやれと思うこともあるよ。
よくケンカするし、たまに腹が立ったりすることもあるよ。」
呆れたようにそう言い放ち、一呼吸置いて口を開く。
「…でもね、オラは誰よりもみんなを信じてる。楽しいときはいっしょに楽しみたいし
困ったときはみんなで助け合うよ。今までいろいろあったんですよコレが。オラん家一回大爆発したことあるし。」
「マジで!?」
「マジマジ。だからオラこう思うんだ。家族ってなんだかんだ言っても見えない何かで繋がってるんだなって。
家族はそういうもんだって思う。だからね、ルイズちゃん。ルイズちゃんの家族も今でもルイズちゃんの事大好きだと思うな。
だから『何一つ汚くなった』なんて言わないほうがいいと思うぞ。」
「『期待しなくなった』、ね。」
そうとも言う、と言ったあとしんのすけが思い出したように言う。
「それと、ルイズちゃんはいっつも失敗するのがイヤだって言ってたけど、それって誰よりも完璧な魔法使いに
なりたいの?」
え、とルイズが一瞬戸惑う。



391伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:42:52 ID:LIrCRxk9
「一番に…?いや私は特にそういうのはいいから私はみんなが一人前のメイジとして認めてほしいの。
みんなが普通にできることが私にもできるようにってね。」
「ふーん。」
しんのすけがめんどくさそうに箒をぐるぐる回しながら言う。
「じゃあ大丈夫なんじゃあないの?『一番』じゃなくて『一人前』になりたいなら。」
「え…?」
「だって、『頑張っても一人しかなれない一番』じゃなくて『がんばれば誰にもなることができる一人前』
ならだいじょーぶだいじょーぶ。ナンバーワンよりオンリーワンの精神ですな。寝る前も何かお勉強してた
ルイズちゃんだもん。問題ない問題ない。」
ルイズはそう言われたとき、自分の心の中に溜まっていた重みが少しずつ軽くなっていくのに気がついた。
「それって私をはげましてるの?」
「オラは紳士ですから。」
その時、ルイズが感じたのはしんのすけの強さ。自分は彼より11年も多く生きてるのに、
彼が秘めている強さにはてんでかなわないなと感じた。

これが、ルイズがしんのすけの強さを見た最初の瞬間だった。

一瞬ありがとうと言いかけたルイズだが、素直になれないのでどうしても言い方がキツくなる。
「フ、フン!使い魔の忠誠心としてはまずまずの所だわ。アンタを見直してあげる!」
「ほう、元気があってよろしいですな。まールイズちゃん。おムネも16くらいになったらボインボインとまでは
行かなくても結構なサイズになるんじゃあないかな?」
そうきいてルイズが疑問に思った。
…16くらいになったら?
「あの、私今16なんですけど。」
「ええ〜!!?女子高生じゃん!!てっきり13,4くらいかと思ってたゾ!それでそのおムネ!?…フッ、子供だな。」
余計なこと言わなければいいのにとみなさん思っただろう。
当然ルイズがキレるのは仕方の無いことである。

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!!!!!

「アンタ今日飯抜き!!じゃあね!」
ルイズはカンカンになったままその場から姿を消した。

392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:43:02 ID:u4XRCsRA
しえーん
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:43:36 ID:5gxsDx9h
支援
394伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:46:18 ID:LIrCRxk9
「うーん、全然もたないゾ…。」
バカな事言ってメシを抜かれたしんのすけは学院をうろちょろしていた。
しかしこのしんのすけ、たとえ発端が空腹でも一度うろちょろし始めたら止まらないうえ、
道いっぱいに『うろちょろ』と言う効果音が出るほどうろちょろするから正直通行人の邪魔だ。
「うう〜うろちょろうろちょろ〜。おお!」
そして邪魔な事をやってたら誰かにぶつかってしまうものだ。
「おっとっとっと!うわあっ!」
「おおっ!すまんのう。大丈夫だったかね?」
そう言って駆け寄ったのは豊かな髭を携えた老人のメイジ。
彼、オールド・オスマンはこのトリステイン魔法学院の学院長を務めていた。
「おお?君は確かミス・ヴァリエールの使い魔になったと言う…。ん?」
しんのすけの表情から驚きの感情がうかがえた。
「ど、どうした?学院長相手だから緊張してるとは思えんが…。」
無論。彼が驚いたのは全く別件である。
「その声は!!ブラック・メケメケ団総帥メケメケZ!!」
「なあっ!?」
彼が驚いていたのは、オスマンの声がそのメケメケZに似ていたという事に関してだった。

「急げ。この事を早く学院長にお伝えしなくては…。」
彼、コルベールはしんのすけのルーンに関する本を見つけ、
学院長のオールド・オスマンに報告しようと学院長室に向かおうとしていたところだった。
すると、どうしたことか、やけに向こうが騒がしい。
「…?いったいどうしたのだろう?」
ちょっと気になって様子を見に行った。その先には。
395名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:47:30 ID:u4XRCsRA
支援
396伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:48:23 ID:LIrCRxk9
「くらえーアクションビーム!」
「ぬおおおおあああああぁぁぁ!これしきでやられるかぁ!!メケメケジャイアントスイーング!!」
「うおおおおお!はなせ!はなせ!」
今まで探してたオールド・オスマンが話題の少年と遊びほうけていた。
「あららら!?」

ズコッ!と転んでしまうのはご愛嬌。

「学院長ともあろうお方がこんなところでなにやってんですか!」
「おお、いたのか。たしかミスタ…。」
「コルベールです!いいかげん覚えてくださいよ!」
しんのすけもコルベールと向き合う。
「おお!昨日のはげ頭のおじさん!」
「コルベールです!オールド・オスマン、探してたんですよ。」
「なにかね?おお、それじゃあなシンノスケくん。」
しんのすけもまたさまよい歩くためここで別れた。
「バイバーイ総帥センセー!」
コルベールがオスマンを見てポカンとしていた。
「総帥せんせい?」
「悪役の声に似てるから総帥せんせいだって…。ところで何のようかの?」
コルベールがその質問で思い出したように仕切りなおす。
持っていた分厚い本のページをめくり始めた。

397名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:48:53 ID:yOI/+yf4
支援!
398伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:50:25 ID:LIrCRxk9
「今の使い魔の少年の件で緊急にお伝えしたい事がございまして。これを!」
オスマンがその本のタイトルを見て、またかと言う感じに呆れた。
「『始祖ブリミルの使い魔たち』?そんなモンよんでばかりだからお主にはいつまで経っても嫁がこないのだと…。」
「見ていただきたいのはこっちです。」
見せたのはその本のルーンのさし絵のページ。
そしてコルベールの描いたしんのすけの手に現われたルーンのスケッチを見せた。
それを見たオスマンの眼光は今まで子供と遊んでいた老人とは思えないほど鋭くなった。
「学院長室に行こうか。ミス・ロングビルに茶でも入れてもらおう。そしたら、」
コルベールから受け取った閉じた本の表紙に手を置く。

「そのあたりの話、詳しく聞かせてもらおうかの。ミスタ・コルベール。」

流石のしんのすけもエネルギー切れにはかなわず途中で倒れこんだ。
「うう〜。オラしんどい〜。なにか食べたいゾー。」
そうやってへたれこんでいた時だった。
「あれ?シンちゃん?」
声をかけて来たのはシエスタだ。偶然通りかかった所でしんのすけを見かけたから声をかけたのだ。
「シエちゃん!いやーこんなところで会うなんて奇遇だゾ!」
だがその後グゥーという音が腹から出てきた。
「お。」
「シンちゃん、おなか空いているんですか?」
「おお〜。もうおかげさまでおなかと背中がルイズちゃんの胸周りみたいになりそう…。そのこころは?」
「ペッタン…ハッ!!」
背筋にゾクッ!とした感覚が走ったのに彼女が気付いた。
「(わからないけど…これ以上言ったら命の保障が出来ない気がする!)
えっと、もしまかないものでよろしければ食べて行きませんか?」
「いいの?わーい!」
399名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:50:37 ID:gIURIIPF
確かに似てるなw 支援
400名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:52:56 ID:xsdB9B1d
しんのすけは周りの人間をノせるのが本当上手いよな支援
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:53:22 ID:HMAWJAfS
なんというしんのすけの声が脳内再生されるSS。
しえん
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:54:11 ID:ytQ/s6TH
しえんおぱんつローリングサンダー
403名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 22:54:55 ID:mfR0bYQl
そういやメケメケの人でもあったなw
404伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:55:05 ID:LIrCRxk9
シエスタに案内されしんのすけは厨房でまかないのシチューをご馳走になっている。
料理長のマルトーが豪快な笑い声とともに口を開いた。
「ハッハッハ、貴族の使い魔なんておめえも大変だなぁ!大したもんはないが、食ってけ!」
「ムグムグ…言われ…ムグムグ…なくとも…ムグムグ…ちょっとと言わず…ムグムグ…かなり
お世話になる気だゾ…ムグムググッ!グゥ!!ウググッ!!!」
すごい勢いで食べていたしんのすけが喉を苦しそうに押さえる。
シエスタがそれを見てハッと驚いた。
「いけない!喉に肉をつまらせた!!」
「ウッグ!ググウ!ウググググ!!

ぅんまああああああああい!!!!!」

祖父、銀之助直伝のお茶目の前にズデッっと二人が大コケする。
「すごくうまい!おかわり!もう一杯食べても飽きないゾ!」
「あぁ…スゲェな…。これ一応4杯目なんだけどな。まあ、いっぱいあるから安心してくれよ。」
マルトーもシエスタもしんのすけの喰いっぷりには目を見開かざるを得ない。
そうこうしてるうちにようやく食べるのをやめた。
「ふぅー満腹満腹。」
「お粗末さまです。」
しんのすけは腹をさすりながら幸せそうな顔で言う。
「ここはいいよね〜。魔法はあるし、建物広いし、コックのおじさんやシエちゃんの作ったシチューはおいしいし、
みんなも連れて行きたいな〜。風間くんやネネちゃんは魔法みたら感激するだろうし、母ちゃんも魔法少女にあこがれてたし、
父ちゃんも一度でいいからご本の世界に行ってみたいって言ってたし、きっと喜んでくれるぞ〜!」
シエスタが微笑みながら言う。
「では、私はデザートを貴族様にお配りしなくてはいけないので。」
「おお!オラも手伝うぞ!!」
急にそんな事を言ったしんのすけにシエスタが戸惑う。
「いえ、いいんですよ。そんな、シンちゃんにそこまでやらせては…。」
「いいってことです。たんしゅくいちばんの礼って奴ですよ…。」
そう、気取って言うしんのすけだったが、
「アハハ…。一宿一飯ですよ…。」

405伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 22:59:47 ID:LIrCRxk9
「おお〜そうとも言う〜。」
何はともあれ、しんのすけは手伝いを始めた訳だが。

「おおおっとおっととととととと!!!」
「うわこっちに来るんじゃない!」
「…とっとっと。ふう〜。危ない危ない。」
危ない足取りでデザートを運ぶしんのすけ。
せっかくの昼食なのに生きた心地もしない。ろくでもない5歳児である。
しかしそんな貴族たちの冷や汗も気にせず本人はウェイトレス気取りなのか女声で「チョコレート
ケーキのお客様ァ〜ン。」なんて言ってるからのんきなモンだ。
「おーい!誰かあのウェイタークビにしろ!!」
「ていうかあれ『ゼロのルイズ』の使い魔じゃない!あの人何してんの!?」
しかしそこまで騒いでるのにマイペースなしんのすけはまだ配る。
「続きましてェ〜ンストロベリータルトのお客様ァ〜ン。うおっととと!」
「キャア!」
しんのすけが急にバランスを崩したことで茶色のマントの女の子がこけてしまった。
「大丈夫?」
「ええ、なんとか…。それよりウェイターさん、ギーシュ様を見かけませんでしたか?」
どうやら彼女は人を探していたようだが、しんのすけにはギーシュと言う名前に心当たりはない。
「探していただけますか?」
「ほほい。オラも探しておきますです。」
女性の頼みは断らないしんのすけだった。
406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:00:04 ID:XUdSYexz
しねん
407名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:00:36 ID:z07HOFxW
ヴァリエール一家、ファイヤー!
408名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:01:00 ID:u4XRCsRA
しえんのすけ
409伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 23:03:34 ID:LIrCRxk9
「黒マントで金髪でバラを持ったギーシュ様、ギーシュ様っと。」
しんのすけが探していると向こうのテーブルから声が聞こえる。
「なあ、ギーシュ!お前今誰と付き合ってるんだ」
「誰が恋人なんだ?ギーシュ」
 どうやらギーシュ本人らしい。そのメイジは唇の前に指を立てながら言った。
「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
「お、めーっけ。」
その時、ギーシュのポケットから紫色の液体が入ったガラスの小壜が落ちた。
(し、しまった。モンモランシーの香水が!アレが見つかったらバレる!)
しかししんのすけがそれを拾ってギーシュに渡す。
「ほい、落としたよ。」
ギーシュは本気で焦りながら言う。
「何の事だね?僕の物ではないが…(頼む!察してくれ!ソレは後で渡してもらう!)」
そう聞いたらしんのすけもあっさりとソレを信じた。
「ほうほう。これだーれのだ!?」
そしたらしんのすけが壜を上に掲げてそう言った。
(うわああああああ!!!やめろ!なにするんだ!!)
「ん?その香水はモンモランシーのじゃないか!?」
「そうだ!その鮮やかな紫色はモンモランシーしか調合できない香水だぞ!」
周りの少年がギーシュを見る。
「おい、コレ本当におまえんじゃあないのか?もしかしてコレお前が落としたんじゃあないか?」
「な、何の事かな?ボクは何のことだか…。」
少し苦しい言い訳。しかししんのすけは疑わなかった。
「フーン。じゃあいいや。それはそうとさっき茶色いマントの女の子が探してたよ。ギーシュって人を。」
「…?ああ、ケティだね。わかった。ここにいると伝えてくれ。」
ほい、と言って香水を持って行く。
(よーし。ひとまずここは切り抜けた。)
そう安心したギーシュだったが次の瞬間肝を冷やすことになる。

「この香水の持ち主のモンモランシーと言う人はいますか〜!?あとケティさ〜ん!!
ギーシュさんと言う人がいましたよ〜!!」

「なああああああああ!!!?」
410名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:04:05 ID:ytQ/s6TH
支援な支援です
411名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:04:26 ID:d+8xZBj4
ちょw
しwんwのwすwけwwww
412名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:05:05 ID:qVg+Cem8
まあそうなるわな支援
413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:05:19 ID:u4XRCsRA
・・・さすがしんのすけ。
善意で最悪の選択をしてのける(w
414名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:06:50 ID:hPn5hNHs
幼稚園児に空気を読むことを求めたギーシュが全面的に悪いな。支援
415伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 23:07:18 ID:LIrCRxk9
「うわああああ!!!何やってんだよ?!何まとめて呼んじゃおう的な手抜きやってんだ〜!!」
「お?だってこっちが楽だし。」
その声を駆けつけてモンモランシーが来た。
(ヤ、ヤバイ!)
「ん?ええ。それは確かに私が作った香水よ。そこのギーシュにあげる為に作った奴ね。」
しかしギーシュの焦りも空しくそれは暴かれた。
(し、しまった!!)
「やっぱりそうだったのか!!それはおまえの持ち物だったんだな!」
「これでスッキリした!お前は今! モンモランシーと付き合っていると言う事だな!?」
内心冷や汗ダラダラのギーシュ が必死で取り繕う。
「違うぞ。いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……。」
栗色の髪をした、可愛い少女がコツコツとギーシュの元へと歩き、
「ギーシュさま……。」
ボロボロと泣き始める。
「やはり、ミス・モンモランシーと……。」
「そんなわけないだろケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは君だけ――」
バチーン、と気持ちいい音が響く。ケティと呼ばれた少女は、思いっきりギーシュの頬をひっぱたいた。
「その香水が証拠ですわ! さようなら!」
ぷんぷんという擬音が似合うように去っていく。すると、ずっと近くで聞いていたモンモランシーが
鬼のような形相で睨んでいた。
「ま、待ってくれモンモランシー、誤解だ。彼女とはただいっしょに、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで……」

416名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:09:16 ID:l4P3ECah
十分後くらいに投下する
417名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:10:07 ID:tBqfGit6
>>416
30分以上後にしてくれ
418名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:10:34 ID:XL6jzCQB
>>416
とりあえず>>384が投下した後でな

で、支援
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:10:45 ID:u4XRCsRA
>>415
予約待ちの人がいるからその後にしてくれ支援
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:11:08 ID:hPn5hNHs
>>416
投下中+>>384
支援
421名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:11:13 ID:EQrP+a3x
>>416
過疎時はともかくこの時間帯、
投下順序の予約は出来るが時刻指定投下はできないぞう・・・
422名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:11:18 ID:qVg+Cem8
>>416
>>384の後だね支援
423419:2007/12/15(土) 23:11:34 ID:u4XRCsRA

アンカーミスった>416だった支援
424伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 23:14:53 ID:LIrCRxk9
ギーシュは冷静な態度でモンモランシーを宥めようとする。
しかし、
「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね?」
「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇のような顔をそのような怒りで歪ませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」
ギーシュの必死な叫びへの返答として、モンモランシーはワインの壜を掴むと、中身をどぼどぼとギーシュの頭の上からかけ、
「うそつき!」
と、怒鳴って去っていった。
「ほうほう。これが修羅場ってやつですね。」
「君のしわざだろうが!!何やってんだ!?冷静に考えてウラを合わせてくれよ頼むから!」
「なんか感情的な怒り方が風間くんに似てますな。」
ギーシュがとうとう激怒した。
「よくもやってくれたな!君が軽率に香水の壜なんか拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた!
どうしてくれるんだね!?この空気!!」
「二股したギーシュくんが悪いということで一つ!」
「何故くん付け!?貴様貴族を愚弄するか!!もう許さん!!」

「ヴェストリの広場にこい!決闘を申し込む!!」

「け、結婚ですって!?」

次回!女好き同士の戦い勃発!!

第4話 「結婚を前提に付き合うゾ」

じゃ、そーいうことで〜。
425伝説を呼ぶ使い魔 :2007/12/15(土) 23:15:53 ID:LIrCRxk9
どうやらまた自力で投下完了した模様。
ではまたの機会に。

…風間くんポジション獲得っと。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:16:00 ID:d+8xZBj4
GJ!!
ギーシュ大人げなさすぎるw
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:16:33 ID:u4XRCsRA
乙&GJ
結婚て(w
そう言う切り返しってありがちな割にゼロ魔だと結構珍しいかも。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:17:33 ID:nODDB71q
GJ!
関係無いが昨日の映画でのアクション仮面の「カポエラも使うと言ったはずだ」はシビれた
429名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:17:33 ID:qVg+Cem8
GJでした
風間くんポジションはギーシュで確定かw
耳元でフ〜ってされて腰砕けになる姿が目に浮かぶ
430名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:18:26 ID:CqVKMUnl
ギーシュが大人気なさ過ぎる件について
431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:19:19 ID:ft1AtdJv
大人気ないギーシュが大人気
432名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:19:29 ID:gIURIIPF
なんというか気持ちは分かるがギーシュちょっと落ち着けw
というか、作者のせいでギーシュの声が風間くんで再生される件についてw
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:20:23 ID:ytQ/s6TH
五歳児相手に決闘とか正気かよww
434ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:20:39 ID:OU9+cRYa
伝説を呼ぶ使い魔さんお疲れ様でしたー。

それでは25分から投下したいと思います。
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:21:14 ID:SN9We0Af
436名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:22:44 ID:255048MU
マサオくんポジションは誰が取ることやらwww
437名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:24:22 ID:gIURIIPF
目つきが変わって暴走したマルコメが見えた
そして支援
438ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:25:47 ID:OU9+cRYa
トリステイン西部の海岸沿いに位置する辺境部に、タングルテールと呼ばれる一帯がある。
そこに点在するいくつもの廃村。その中でも、別段の不吉さをもって語られるものが一つ。
かつて起こった新教徒狩りを目的とした政府による住民虐殺事件、通称『ダングルテールの惨劇』。
その忌まわしい歴史の爪痕を残す廃墟。事件から四十年が経過した今も、誰も住み着くものがいない闇へと葬られた地、

今はそこに、一人の魔女が住み着いていた。

呪われた地に住まう魔女。
魔女の住む一帯には常に深い霧に包まれており、彼女に会おうとした誰かが足を踏み入れたとしても、必ず道を見失い、霧の外へと戻ってきてしまうという。
そんな不気味な場所に居を構える魔女に対して、人々は様々な噂を立てた。

ある人は言う、邪悪なる人食い魔女と。
ある人は言う、死者を冒涜する術を使う忌まわしい魔女と。
ある人は言う、全ての知識を持ち合わせた、万能の力を得た魔女と。

彼女に関する噂は枚挙にいとまがなかったが、ただ一つ共通するのはその呼び名。
人は彼女を『タングルテールの魔女』と呼ぶ。



春が来た、夏が来た、秋が、冬が、そしてまた春が来た。
四季は巡り、止まることなく時間は流れ続ける。

アルビオン崩壊から二十年。
七万の兵士に立ち向かった使い魔の少年が命を落とし、人々の記憶からもその勇姿が忘れ去られるのに、十分なほどの時間が流れていた。
多くの人から『タングルテールの魔女』と呼ばれているかつて少女であった女性は、今は少数の人々から『錬金術師ルイズ』とも呼ばれている。


当時から近隣の住人であっても近寄りたがらなかったタングルテールの廃村を、住処と定め工房を構えてから早十年。
ルイズに錬金術の教示を与えたもう一人の錬金術師、ヘルミーナの姿はもう隣にはない。
彼女はルイズに己の知りうる限りの知識を授けた後、己の世界へと帰っていった。
全ての機材と資金を引き継いだルイズは、その後数年間に渡り、ガリアに工房を構え続けた。

ヘルミーナがいなくなってから最初の一年目にしたことといえば、世界をまわり、四人の弟子をとることだった。
ルイズはヘルミーナと過ごした数年間で、錬金術というものが実に広大な海原のようなものであると理解していたし、故に己一人の手での目的へとたどり着くことができないであろうことも理解していた。

ルイズは四人の弟子達に、己の納めた錬金術の知識と技術とを、四年年の年月をかけて教え伝えた。
それも全員に同じものを教えたわけではない、それぞれの弟子達には適性ごとに別々の事柄を教え込んだ。
自分の限られた時間では辿り着けない境地へと、弟子の誰かが辿り着く未来を願って。
そうして四年間かけて、彼らを一人前の錬金術師に育てた後、彼女は弟子達にこう言ったのである。
「錬金術を、世に広めなさい」と。

その一言から、十年以上の歳月が流れた。


たった二十年、それだけの時間で世界は容易く変化する。
様々な部分で、小さく、大きく。
人は年を取ったし、真新しかった石畳は薄汚れた。
美味しかったパイの店は主人が引退し息子に代替わりしてから評判が落ち、草木が育たないと言われていた荒れ地も、開墾と土壌改良によって実りを得た。
439名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:26:39 ID:l4P3ECah
Xero Files シリーズ ファイナル 第三話

「ミス ルイズ、洗濯は終わったのだけれど次は何をすればいいのかな?」
「そろそろ朝ご飯ね、食堂に行くわよ。ついてきなさい」
「ああ」

結局モルダーの超頭脳では平民とメイジの差がどこにあるのかわからなかったが
もしこの場にスカリーがいれば嬉々として仮説を披露していたのは想像にかたくない。

食堂に着くと、モルダーはあやしげな小人像を熱心に調べはじめる。
「これは太平洋の巨石文明の人面岩に良く似た造詣だ・・・さらにこれはイースター島のモアイ像に酷似している・・・」

ルイズは無言でモルダーの脛を蹴飛ばすと食事が始まるまで説明をするのだった
「ほう、ということはこの像達は自分で動くのだね?」
「ええそうよ」
イースター島の古い言い伝えにモアイが自分で動いたという話があったが、まさか
ハルキゲニアが起源だとはさすがのモルダーも予想していなかった。

そしてモルダーの脳裏に浮かんだのはバミューダトライアングルである

イースター島とは地理的には無関係だと思えるのだが、あの海域では
多くの航空機や船舶が謎の消失をしている。

そんな事を考え上の空で推理をしていたモルダーであったが、ルイズに背中を叩かれ
目の前に置かれた皿に目を落とす。

「・・・食べ物はそれほど違わないようだな、しかし僕を餓死させる気なのか」
「使い魔を食堂に入れる事自体特例なのよ、黙って食べなさい」

モルダーは仕方なく平らげると食堂を出ようとしたが、戸口で香水の瓶を蹴り
気づいて拾い上げるとポケットに入れそのまま部屋に向かった。

モルダーは香水の中身よりもその瓶をしげしげと見つめ、いったいこれはどういうことなのかと考えをめぐらせるのであった。
「何故コーラの瓶が落ちていたんだろうか・・・」

そしてそれを遠見の鏡で見る、タバコをくゆらせるオスマン いや スモーキングオスマン

つづく
440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:26:46 ID:PNExXLEh
sien
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:29:05 ID:2OGnsH8R
>>439
ルールを守りなさいな

でヘルミーナルイズ支援
442ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:29:09 ID:OU9+cRYa
トリステイン王国は貴族によって寡占されていた職種の一部で広く平民を登用することを決定した。
ガリア王国では国が分裂し、その片方が共和政府を名乗り今でも内乱を続けている。
ゲルマニアは相変わらずらしいが内部での政争はその激しさを増しているらしい、ロマリアでは弾圧され力を失っていたはずの新教徒達が力を盛り返し、年々その発言力を増していると聞く。
ここ数百年無かったような、急激な変動が世界に起こっている。
そして、その一端には錬金術の存在があった。
魔法を使えない平民でも容易に扱うことのできる錬金術によるアイテムの存在。更には平民出身でも錬金術師にはなれるという事実そのものが、絶対的であった貴族の権威を揺るがし、貴族に対する平民の地位の向上へと繋がりつつあるのである。
が、このことはルイズとしては別段どうでも良いことである。
ヘルミーナとルイズがガリアにいた頃から平民に貴族に、表に裏にばら蒔いた錬金術とその成果は、やがては四人の弟子達にも受け継がれ、世界各地へと波及していった。

四人の高弟達は、各地に錬金術を広める傍らに弟子を取り、更なる錬金術の広まりに貢献した。
最初は争いの場に、やがては貴族達の社交の場に、そしてついには平民達の生活の場にまで、錬金術は手を伸ばした。
早くから錬金術が広まったガリア王国には、錬金術を専門で研究する機関を設立する気運が高まって居るとも聞く。
分裂し、国力を殺がれたとはいえ、格式と伝統の国ガリア。彼の国で錬金術が認められたとなれば、各国ともそれを追随せざるをえまい。

それもこれも何もかも、全てはルイズの思い描いた通りに。



工房地下に作られた廃棄処理施設、ルイズはそこで失敗作を破棄する作業を行っていた。
かつては美しかった桃色のブロンドも今はくすみ、その鮮やかさの面影を残すのみとなっている。
三十路半ばの盛りを過ぎた体は全盛期の美しさは失っていたが、逆に円熟した大人の女性を感じさせる。
露出を抑えつつも色気を発露させている黒いイブニングドレスを身に纏った姿は、妖しいとか、艶やかという言葉がよく似合う。
だが、それらの魅力と氷のように冷たい眼光とが合わさって、一種近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

失敗作を炉に放り込んで再生成し、新たなる錬金術の礎とする。錬金術師なら誰でも行っている行程である。
薄暗い地下で、こぼれ落ちる汗も気にせずに、根気よく作業を続ける。
錬金術というものは、これでなかなか力仕事が多い、今回のそれもなかなかに重労働であった。
弟子がいた頃にはこういった面倒な作業は全て彼らに任せっきりにしていたことが、今は懐かしい。

手の平大のものから一抱えもあるものまで、様々な失敗作や欠陥品を焼却台の上へと並べていく。
そうして、最後の一体に取りかかろうとしたところで、光源を最低限に抑えてある地下に不意に光が差し込んだ。
「ん……?」
ルイズは視線を上げて階段の上、闖入者の姿を確認しようとする。
逆行になってその顔は確認できなかったが、背格好とほのかに香った香水の匂いで、それが女性であることだけが知れた。
「『タングルテールの魔女』さん、であっているかしら?」
ヒールを鳴らしながら降りてくる声には女性的な瑞々しさが溢れており、推測が正しかったことが証明された。同時、ルイズはその声に引っかかるものを感じたが、そちらの方は無視することにする。
ルイズがじっと見つめる中で人影は石段を下り、残りが数段になる頃には、その姿をはっきり見て取ることができた。
燃えるように赤いロングウェーブに褐色の肌。身長はルイズよりも高い、百七十サントほどはあるだろうか。
どこか見覚えのあるような青いのローブと緑のマントを着用したその女性は、口元に不適な笑いをたたえている。

「ふん……初対面の相手を前にしたら、まずは自分から名乗りなさいってこともゲルマニアでは教わらないのかしら?」
先ほどの違和感を表へと出さぬように、『タングルテールの魔女』は普段通りの対応で客を出迎えた。
「あら、随分と変わったなと思ったのに、悪態の付き方だけは昔のままなのね。ゼロのルイズ」
久しく耳にしていない名前で呼ばれ、面食らうルイズ。
『ゼロのルイズ』自分をそう呼んだ赤髪の女性、古い古い記憶の中に一人だけ心当たりがあった。
「……キュルケ?」
遠い記憶の肖像画と、目の前の女性とが重なった。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:29:16 ID:Hugd4ksv
>>439 先客いるから後でにしてけろ
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:29:18 ID:SN9We0Af
支援
445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:29:49 ID:CqVKMUnl
>>441
相手にするな。
446ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:32:11 ID:OU9+cRYa
「あの高名な『タングルテールの魔女』に名前を覚えていて貰って光栄だわ」
あの頃と変わらずに、腰に手を当てて、自信に満ちた顔と仕草で微熱のキュルケが微笑んでいた。
「その派手な特徴を忘れろって方が無理があるわね。それで一体何のようかしら、同窓会の誘いならお断りよ」
皮肉げな声と表情で、作業を続けようとするルイズ。
半ば予想していたとはいえ、目の前の女性の過去と現在の差異にキュルケは小さく嘆息した。
「ふう……それにしてもここは熱いわね。長くなりそうだから上で話したいんだけど、駄目かしら」
キュルケの言葉にルイズは作業の手を止める。
「さっさと上に行きたいならそっちの方を持って頂戴。これをそこの台の上に載せるから」
そう言ってルイズが失敗作の端を指さすと、キュルケもそちらの方へ目線を移した。
「これ? ええと、この辺を持てばいいのかしらね?」
「それで良いわ。合図をしたら持ち上げるわよ。……いち、にぃ、さんっ!」
重い何かを二人で持ち上げ、少し離れた場所にある台まで運んでいってその上にのせる。今日の分はこれでお終いである。
「ところで、これって……」
キュルケが自分が持ち上げた袋状のものに入れられた何かを指さす。渡り百五十サント以上はありそうな大きな長細い袋、中には所々弾力のあるごつごつしたものが入っているようだった。
「ただの失敗作さ」
応えるルイズであったが、たまたまキュルケの指さしたその袋の一部が破れており、中身が覗けるようになっていることに彼女は気がついた。
好奇心で中にあるものを覗き込むキュルケ。
直後、彼女はそのことを後悔することになる。

そこから見えたのは、眠るように目を閉じたあの使い魔の少年の顔だった。

作業を終わらせたルイズはキュルケを伴って階段を上り、彼女の居住空間も兼ねている工房へと戻っていた。
煩雑にものが散らかった工房に、申し訳程度に置かれている丸いテーブル、そこに向かい合い座っている二人。
周囲には色とりどりの瓶やよく分からない鉱物の欠片、果てにはバナナの皮なんかも落ちている。
ふと何かが動いた気配を感じてキュルケがそちらを見ると、箒とちり取りがひとりでに動き回り掃除をしているところだった。
訪れる前に想像していた以上に、そこは『魔女の住処』じみていた。

失敗作の正体と、それを無造作に炉へ放り込むルイズに顔色を失ったキュルケだったが、今は立ち直ったのかそんなことはおくびにも出していない。
「それで、長くなる用向きとは何かしら?こう見えても暇じゃないものでね、さっさと済ませたいのだけど」
「そうね。さっさと用件を済ませたいのはこちらも同じだわ」

そう言ってキュルケが続けようとしたとき、工房の奥から小間使いの少年が現れて二人の前に紅茶の入ったカップを置いていった。
小間使いの少年は、サイトの顔をしていた。
「……」
それを見て、開きかけた口を再び閉じて押し黙るキュルケ。
「ここは魔女の工房さ。そんなことで一々驚いてちゃ身が持たないよ」
言いながら優雅な仕草で、運ばれてきたカップを口元へと運ぶルイズ。
その姿は確かにあの頃の片鱗を思わせたが、それ以上に『魔女』の凄みを感じさせた。

「ええ、あなたがとびっきりイカれてるってのはよく分かったわ」
「あらそう。ありがとう」
運ばれてきた紅茶に手をつけぬまま、キュルケは懐から一通の書簡を取り出して、それをルイズに手渡した。
「これは?」
「読めば分かるわ」
ごもっとも、と答えて封筒の端を手で千切り、その中に入っていた一通の手紙に目を通す。
そこにはキュルケの服装を見てから予想していた通りの用件が、事務的に書かれていた。
「こんな用件のためだけにあの霧を抜けてきたなんてね、とんだ酔狂がいたものだわ」
くすりと声を漏らしてから、白魚のような指で手紙を破り捨てる。その様子を見てもキュルケは何も言わなかった。
「伝えて頂戴。答えはノー、私には余計なことに関わっている時間はないと言っていたと」
細かな紙切れとなって床に落ちていく手紙に書かれていた内容は、ルイズをトリステイン魔法学院の教師として迎え入れたいという旨の打診であった。
447名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:33:59 ID:2OGnsH8R
わくわく 支援
448ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:35:44 ID:OU9+cRYa
魔法学院とはいえ、国の抱える高等教育機関。その教員ともなればそれなりの名誉には違いない。
けれど、ここ数年このような願いが各地からルイズの元へと寄せられる度に、彼女はその全てを断っていた。
その多くはルイズの持つ錬金術の奥義を己がものにしようとする政府や組織の意向によるものばかりで、本当の意味で教師や職員として迎えようなどというものは一つとして無かったからである。

「私は誰かの子飼いになって研究するつもり気はさらさら無いわ。別に援助なんて受けなくとも資金面での苦労なんてしていないもの」
そう言い放ち、話はこれまでと腰を浮かせるルイズの手を、キュルケがさっと掴んだ。
「学院はあなたを子飼いの研究員にしようとなんてしてないわ! ただあなたを純粋に錬金術の講師として雇いたいと言っているの!」
「ふん、口だけなら何とでも言えるわね。手を離しなさい、話は終わったわ」
「終わってないわ!」
振りほどこうとするルイズだが、キュルケは掴んだ手を頑として離そうとしない。
「良いから聞きなさい! 学院は来年度新設される平民向け教育カリキュラムに、錬金術を取り入れる予定よ」
平民向け教育カリキュラムという聞き慣れない単語に、ルイズの眼が細まった。
キュルケはその仕草でルイズの興味を引けたことを確信すると、話をたたみかけた。
「トリステイン魔法学院は来年度、出自を問わない専門課程として錬金術を中心としたクラスを設立することに決定したの。生徒の数は十五人、修学期間は三年間。教育費用は王国が大部分を負担、その上で奨学金制度を用意するわ」
「離しなさい」
今度こそキュルケの手を振り払い……腰を下ろす。
「ガリア王国で三年後に設立される予定のアカデミー、それを受けてトリステイン王宮内でも錬金術教育を進めるべきという声が上がって、その先駆けとしてトリステイン魔法学院に錬金術教育部門が新設されることになったのよ。
 そして、その目玉として『タングルテールの魔女』であるあなたを、教師として迎え入れたいというのがオールド・オスマンのお考えよ」
「……正気かい?」
『タングルテールの魔女』と言えば、確かに最初に錬金術を伝えた『旅の人』より直々に手ほどきを受けた、その道の第一人者。錬金術を少しでも囓った人間でその名を知らなければモグリであろう。
しかし同時に、多くの戦争兵器や毒薬を生み出した残虐な魔女としても名が通っている。
彼女が歩いてきた道は綺麗な道などでは無い、屍に屍を重ねて作った血塗られた道だ。
そんな人間だと知ってなお教師として雇おうなど、ルイズが学院長の正気を疑うのも無理はなかった。

「ええ、正気よ。大真面目よ。だからあなたも真面目に答えて頂戴。トリステイン魔法学院で、錬金術の教鞭を執るつもりは無いかしら?」
「……考えさせて貰うわ」

途端、キュルケが右手を握ってテーブルを叩いた。

「これはあなたの為でもあるのよ! 確信したわ、あなたはここにいたら駄目になる」
キュルケの激昂にもルイズは動じない、ただ小間使いの少年にお茶のお代わりを持ってくるように言いつけるだけ。
「さっきのアレは何? お人形さんにサイトの格好させてサイトの顔させて、おまけに失敗作って言って眉一つ動かさずにゴミ扱い!」
彼女自身こんなことを言うつもりは無かったのだが、キュルケの二つ名は微熱。その名に恥じない情熱と感情の迸りを、思うがままに放埒に言葉にのせる。
「もう二十年よ!? 忘れたって良い頃合いだわ! 第一彼があなたのそんな姿を望んでると思っているの!?」
年を重ねても、そんなとろこだけは当時のままだった。
懐かしい、と思わないこともない。
しかし、

「黙りなさい」

そんなことでは揺るがない。

静かに言ったその一言は、ルイズがそれまで積み重ねてきた二十年、その重みを感じさせるような暗く淀んだ声。
「あなたに何が分かるって言うの?
 私はこの二十年間、必死にサイトを取り戻そうと努力してきた。私はあなたが二十年をどう過ごしてきたか知らない、でもあなただって私がこの二十年をどうやって過ごしてきたのか知らないはずよ。あなたは何を持ってそれを否定しようとするのかしら?
 あなたの正しさはあなたが決めなさい。でも、私の正しさは、私が決めるわ」



449名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:38:55 ID:2qxxgHr5
男女逆転したかみちゃまかりんのようなことになりそうだ支援。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:39:18 ID:nODDB71q
間に合え支援
451ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:39:25 ID:OU9+cRYa
この二十年、一日たりともサイトを忘れた日は無かった。
それでも年月は人の記憶を薄れさせる。
嬉しかったことも、悲しかったことも、苦しかったことも、全部、全部。

ある日気づく、サイトの声が思い出せなくなっている自分に。
はっきりと覚えていたはずのサイトの顔も、おぼろげになっていることに気づかされ、そんな自分に愕然とした。
忘れないと、サイトを忘れないと誓ったはずなのに、月日の流れは残酷にも岩を削る川の流れのようにして、彼女の記憶を風化させていた。
ルイズは恐怖した。
いつか自分がサイトの顔も、サイトへの想いも忘れてしまうのではないかと気が狂ってしまいそうなくらい恐怖した。
だから作ったのだ、サイトの写し身を。
彼を忘れないために。

サイトのパーカーから抽出した血を用いて、ルイズは人工生命を作り出した。
彼はサイトの声で喋り、サイトの顔で微笑んだ。
だが、それはサイトではなかった。
肉体の複製は作れても、そこに宿る魂はサイトのものではない。
サイトの魂の復活無くしては、それはただのサイトの形を模した人形に過ぎないとルイズはこのとき知った。
加えて彼は、かつての恩師ヘルミーナがルイズに教えた通りの欠陥を抱えていた。
それは寿命。
人の手により生み出された彼のそれは、人間のものに比べて余りに短かったのである。

最初のサイトは、二十日で動かなくなった。
改良を加えた二人目も、三十日でその生を終えた。
ルイズはそれからもサイトを生み出し続けた、何人も、何人も。
けれど、どれほどの業を用いたかも分からぬ今になっても、その問題は解決できないでいる。

今この工房で生きているサイトは、都合百二十五日目を迎えていたが、ルイズの予測ではあと四十日ほどで寿命を迎えるはずであった。
欠陥だらけの失敗作、それがルイズの下したサイト達への評価だった。
だが、それでもルイズは彼女の作品達を愛した。
彼らに罪は無い。罪があるとすれば、それは己の無力さが罪なのである。

そうしてルイズは何度も何度もサイトを失った。
最初は一人のサイトが死ぬ度に、心が軋み悲鳴を上げた、発狂するような痛みが心を貫いた。
だが、二人、三人、やがて何十人と繰り返すうちにそれも慣れてきた。
折れた骨が太く堅くなるように、ルイズの心もまた堅く強ばっていった。



ルイズは工房の窓から、霧の中へと去っていくキュルケの後ろ姿を黙って見つめていた。
その背中は何かを語っているようであったが、キュルケの最奥を知らぬルイズがそれを知ることなど、適うはずもない。
周辺を覆う霧は推薦状無しに訪れたものを拒む効果があったが、それがあろうと無かろうと、出て行くものには干渉しない。
キュルケがこの工房へと辿り着けたのは四人の高弟の一人、今はトリスタニアに工房を構えているらしい彼女の推薦状があったからだったのだが、それも既に取り上げた。
これを燃やして話を聞かなかったことにすれば、今回の件は終わりだ。
二度とキュルケがここを訪れることはないだろう。

窓辺を離れる。

この先やらなくてはいけないことは山積みされている。
工房の機材の中、持っていくものと残していくものを選別しなくてはならない。
大きすぎるものや取り扱いが難しいものは、推薦状を渡した高弟のところへ出向いて巻き上げる算段を立てればいいだろう。
以前自分がヘルミーナから渡されたレジュメも探さなくてはいけないだろう。
まあ、何よりもまず工房の中を整頓するのが最優先に違いない。

452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:41:30 ID:nODDB71q
支援
453名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:42:47 ID:u4XRCsRA
支援
454ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:44:05 ID:OU9+cRYa
保留ということでキュルケに返事をしたが、実際のところ、ルイズは今回の誘いを引き受けるつもりでいた。
彼女が言っていたことは実に傲慢かつ正論ぶった内容で、とても気に入らなかった。
だが、その中で一つだけルイズにも同意するところがあるとすれば、それは「ここにいたら駄目になる」という部分。


それはルイズ自身にとっても、本当は気がついていたことだったのだ。
この工房には定期的に世界に散った高弟達から、各地で行われている錬金術研究の成果が送り集められてくる、そういう仕組みになっていた。
タングルテールにいながら、ルイズの元には常に世界中の最新の情報が集められてくる。
正に隠者として過ごすならば理想的な環境、研究をするだけならば工房にいるだけでことは満ち足りる。
人目を避けて外界を拒絶し、孤独に一人研究を続ける。あるいはこれが自分の終着点であると思った時期もあった。

けれど、この工房で十年を過ごし、何人ものサイトと触れあって分かったことがある。
これでは、駄目なのだ。
ただ一人で過ごし、サイトの死を諾々と受け入れ続ける自分。
そんなことを続けていけば、サイトへの想いはやがて変質する。
本来あるべき形を失って、歪んだ何かへと変わってしまうかもしれない。
それは到底認められないことだった。

人間は摩耗する。気力は衰え、在り方は変容する。
人は外部からの刺激無しに己を貫くことはできない。
だが同時、刺激に対して反応し、変化せずにはいられない。
ルイズは自分がなぜこんなところに隠れるように住まうようになったかを分かっていた。
怖かったのだ、何もかも変わっていく風景が。
恐ろしかったのだ、サイトを忘れろと語りかける周りの声が。
だから逃げ込んだのだ、何も見えず、何も聞こえないこの場所へと。

しかし、孤独は彼女を救いはしなかった。
変化を避けて逃げた先に待っていたものは変質であった。

そのジレンマに気がついて以来、ルイズは如何にすれば自分を保つことができるかを考え続けていた。
朝も夜も昼も考えた。
そうして今、彼女は一つの答えへと辿り着いている。

それは、伝えること。
サイトのことを漏らさず余さず、全てを伝えること。
自分の気持ちと共に、それを伝えるということが、ルイズの見つけた答えであった。
例え自分の中でサイトが薄れても、伝えた誰かが覚えてくれている。
分からなくなったら、誰かの中にあるサイトを確認すればいい。
伝えられた人の中でもきっとサイトの姿は変化するだろう。
だが、何百人何千人と伝えることで、彼らの中にある真実の断片を繋ぎ合わせて、本物に近いサイトを見つけることができるはずだ。
そうして、伝えながら常に自分でも確認するのだ、サイトへの想いを。


キュルケの誘いは、外の世界へ踏み込めないでいたルイズへの、最後の一押しとなった。
孤独の中で変質するか、困難であろうとも人の中で自分を貫くか。
ルイズが選んだのは後者。
もう恐れはしない、変化する世界を、人々の声を。
だから伝えていこう、錬金術を、サイトへの想いと共に。
いつの日か、本当にサイトが蘇るその日まで。





455名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:44:23 ID:5gxsDx9h
支援
456名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:45:31 ID:nODDB71q
噂システムでも造りそうな勢いだな支援
457名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:46:59 ID:u4XRCsRA
sien
458名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:47:39 ID:gIURIIPF
実にゾクゾクするいい展開だ支援
459ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:47:53 ID:OU9+cRYa
「先生! ツェルプストー先生! またルイズ先生が!」
火の塔、キュルケの研究室への扉を騒々しく開けて飛び込んできたのは、錬金術科の女生徒。
「あらら、どうしたのかしら?」
ある種の予感をもって、キュルケの手が机の引き出しの一番上、書類などを納めたそこへと伸びる。
「先生! ルイズ先生ったら酷いんです! 魚をとりたいって言ったら薬をくれて……それを使ったら川の魚が全部浮かんできたんです!」
「また人騒がせな……」
こめかみを抑えてキュルケが呻く。
伸ばした手で引き出しの金具を掴んで引く、そうしてそこから一枚の書類を取り出すと、そこには「始末書」の文字が躍っていた。
ルイズは錬金術科の統括教師、一方キュルケは一年生の学年主任をしている。
駆け込んできたのは錬金術科とはいえ一年生、キュルケの管轄には違いない。
加えて彼女はルイズがこの学院へと赴任して以来、何か問題を起こした際にはその後処理を行う役目も任されていた。
そもそも、当初学院において評判の悪い魔女であり、不名誉極まりない退学者であるルイズを召致するという思い切ったことを主張したオールド・オスマンを強く指示したのは、このキュルケくらいだったのである。
学長が自分の権限を使いルイズを呼び寄せた今、自然とルイズが何か問題行動を起こした場合に、面倒ごとに巻き込まれるのはキュルケというのが、一つの決まり事となりつつあった。
「まったく酷いんですよルイズ先生ったら! この前はこの前で畑の収穫を増やしたいって言ったら……」
そこから先はキュルケが続けた。
「畑の養分をすべて作物に変える苗を渡した、だったかしらね」
ルイズの問題行動はこれが初めてでも、ましてや二回目や三回目という訳でもない。
無論、それぞれオスマンからのフォローも入っていたが、細々とした書類上の処理などはキュルケが行っている。
何か起これば一蓮托生、それが現在のルイズとキュルケの関係なのである。

「そうなんです! あの人は魔女です! きっと悪魔に魂を売り渡してるんです!」
そう言って地団駄を踏む生徒を見ながら、キュルケは嘆息した。
そして更に詳しい事情を女生徒から調書する。まあ、それによれば自分で調合せずに手抜きをしてルイズを頼った生徒の自業自得とも受け取れる内容であったのだが……
「あー、はいはい、落ち着いて落ち着いて。そっちの方は私の方から彼女に言っておくから」
「ツェルプストー先生! 確か先生とルイズ先生って同期なんですよね? ルイズ先生ってば昔からあんなに根性ひん曲がった人だったんですか? あんな性格が異次元な人、私他に知りませんよ!?」
半泣きになりながら訴える生徒をぼんやり聞き流しつつ、指先でペンをくるくると回す。
「んー……昔は大分違ったんだけどねぇ……」
キュルケにすれば何の気は無しに漏らした一言だったのだが、それがいけなかった。
とたんに女生徒の目は輝き、おもちゃを見つけた落子猫のように、その動きをピタリと止める。
「え? ルイズ先生って昔からあんな感じだったんじゃないんですか?」
女生徒の顔が好奇心に燃えるのを見て、キュルケは先ほどの自分の失言に気がついた。
「あちゃー……」
「いいじゃないですか! 教えてくださいよ!」
「うーん、そうねぇ……」
暫し頭をひねって考える。するとキュルケの頭に何とも素晴らしい妙案が思い浮かんだ。
「話しても良いけど、これから聞いたことを絶対誰にも口外しない、勿論ルイズにも。あとそれから今回の件は忘れること」
ルイズの過去と、今回の面倒事とを秤にかけて、結局後者が勝ったのだ。
「いいですいいです! それで先生、昔のルイズ先生ってどんな感じだったんです?」
「そうねぇ。どこから話せばいいか迷うけど、彼女と最初に会ったときのことから話しましょうか……」
椅子を引っ張り出してきて、その上にある書類をどかして勝手に座る女生徒。
彼女を前にしてキュルケは語り始める、長く切ない過去の話を……




460名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:51:24 ID:sJA4CBvE
なんかプレシアママンみたいになってきてる
ワクワク支援
461名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:51:31 ID:EQrP+a3x
しえ!支援
462名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:52:01 ID:nODDB71q
支援
463ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:52:21 ID:OU9+cRYa




これはとある女性の人生の、ほんの一部分だけを抜き出した物語。
彼女は色々なものを失って、ほんの少しを手に入れた。
長い時間の中で、姿や考え方、性格まで変わってしまった彼女。
けれど、変わりゆく流れの中で、己の本質だけを守り通そうとした、そんな強い彼女の物語。

最後に、この物語を閉じるにあたり、彼女が初めて教壇に立った際に口にした言葉をここ記し、幕引きに代えることとしよう。




 初めは誰もが無力だった。

 不死身の勇者も、高名なる錬金術士も王室料理人も

 初めは何の力もないごく普通の人間だったのだ。

 だが、彼らは誰よりも夢や希望を強く抱き、追い続けた。

 だからこそ世に名を轟かすほどの存在になれたのだ。

 夢は、追いかけていればいつか必ず叶うものだから……

                     ――ルイズ
464名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:52:50 ID:SN9We0Af
イージスペン
465名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:54:28 ID:yLF2C5VV
うーん名作・・・
466名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:56:17 ID:21PCWmvJ
伝説のパイロット、フレデリック・ブラウンは来ないものか
467ヘルミーナとルイズ3:2007/12/15(土) 23:57:14 ID:OU9+cRYa
以上で投下終了、完結です。
暖かい支援、ありがとうございました。
少しでも楽しんで貰えたなら幸いです。

本当は小ネタだった話が長々となってしまいましたが、その分自分なりのルイズが好きって事が書けた気がします。

最後にもう一度、ありがとうございました!
468名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:57:37 ID:2OGnsH8R
GJっすたよ
469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:58:08 ID:5gxsDx9h
切ないなぁ……

GJ!
470名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:58:35 ID:yQ09b8Ln
GJっしたー!
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:59:37 ID:3R9CyZK3
>>467
感動した。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:00:12 ID:tKv3O7SZ
安易な展開にならなかったのは好印象。
こういうオリジナルは勉強になるね。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:00:18 ID:HMAWJAfS
ぐっじょーぶ!
キレイな物語、ありがとうございましたー
474名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:00:43 ID:gIURIIPF
すげー、面白かったーGJ!
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:00:51 ID:iskSMF6o
>>467
超GJしたっ!しかし切ないなぁ……せめて最期の瞬間にルイズと才人が再会できていたらいいなぁ
476名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:01:07 ID:j0tSeSju
ヘルミーナとルイズの人乙でした。

>夢は、追いかけていればいつか必ず叶う
某顔無し並の「いい笑顔」を浮かべながら言うルイズを思い浮かべてしまった
俺の馬鹿たれorz
477471:2007/12/16(日) 00:02:20 ID:1wH2pIy/
sage忘れた……orz
ごめんなさい。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:02:31 ID:ij1a2/M6
GJ………っ!
これはGJ………っ!
479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:02:33 ID:SN9We0Af
GJ
480名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:03:03 ID:hCrX+QKS
切ない、本当に切ない話でした。GJです。
なんだかまた泣けてきた。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:03:07 ID:EDcZ3ft/
きっと、きっと叶うとよいなと思う。

乙……ッ!
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:03:25 ID:+R01Y0DL
GJ…としか言いようがないです。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:04:27 ID:TL4zA9xX
最後の最後でイイ笑顔で言い切るルイズが浮かんだ
超GJ!
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:04:43 ID:icP24ki1
moemoe
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:04:52 ID:I6b4FP3r
>>476
もうっ……もう「そう」としか思えなくなっちまったじゃねーかよぅ orz
486名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:05:53 ID:1cwQI6Z6
切ねぇ・・・
才人を失ったルイズは才人を求めて努力し続ける・・・
GJでした

>「畑の養分をすべて作物に変える苗を渡した、だったかしらね」
何気に凄いです
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:06:06 ID:oTiLAzlI
GJすぎるぜ・・・
488名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:11:51 ID:U7Rdb2AC
GJでした。
永の年月をかけても、叶わない現実。
人の命は安易に戻せるものでなく、ルイズのひたむきさが切ない…
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:17:02 ID:vwNnF0mC
このキュルケはコルベールの奥さんに落ち着いてるんだろうか?
いや、ツェルプストー先生だしな……
しかし夫婦が同僚だと混乱を避けるため旧姓で仕事をすることも……

等と妄想してしまった
490名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:19:44 ID:MI32UPtE
GJ
これは良い作品
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:20:02 ID:icP24ki1
良作
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:20:31 ID:+7bvMx8l
GJ
最後の所みて、エリーのアトリエ引っ張り出してみようと行動
もちろん七人の虹妖精付きで
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:22:02 ID:o3G/Dl1B
>>467
完結乙




原作をだらだら追うよりオリジナルのほうがうまいの多いな
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:22:34 ID:V/n034mA
GJ!
そして投下開始。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:23:33 ID:+7bvMx8l
ならば支援必殺
496名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:23:33 ID:9h8CGJyt
さてと支援するかね。
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:24:20 ID:icP24ki1
実はオレ、作品読まないで空気呼んでGJとか書き込んでるんだよねw
498ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:25:29 ID:V/n034mA
ガラの悪い男とルイズはテーブルを挟んだ椅子に腰掛け何やら話しこんでいる。

「で、俺がお前の使い魔ってのはさ、分かったんだけどさ、具体的に使い魔っつーのは何すりゃいいのよ?」

ルイズの部屋で目を覚ました後に、ルイズと一通りの問答(もちろんゲロを吐いたことについても何度も謝った)を終え、ガラの悪い男はけだるそうに言った。
「あら?意外と素直なのね。」
ルイズは意外そうな顔をした。このガラが悪く軽い感じのする平民に自分を主人と認めさせるには、もう一悶着か二悶着はあるかと思っていたが、アッサリと男はルイズの使い魔であるということに納得したように見えたからだ。
どこから来た、という質問に対して、『たぶんここじゃない星か世界かなぁ』とか、『俺のいた場所には月は一つしかなかった』等とおかしなことを言っていたため(この平民の頭は大丈夫なのだろうか?)と多少心配になった。
だが『帰れるの?俺』という質問に、『無理』と答えたら、『・・ふぅん、そうなんだ』と言った。
どこか遠い目をしていたがその言葉で少し安心した。
てっきり『俺を帰せ!帰してくれ!』等と喚きながら暴れると思っていたので内心少しだけドキドキしたが、そんな素振りをこの男は全く
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:26:08 ID:XNqwKh38
支援
500名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:26:19 ID:icP24ki1
支援
501ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:26:23 ID:V/n034mA
(そうだわ!わたしと交わした契約のキスのことに違いないわ!平民が貴族の・・それもこんなにかわいい女の子からキスされたのだから、感謝しないわけがないものね)
ルイズはうんうんと頷いている。
実際には、男はキスのことなど特に何とも思っていなかっのだが・・

ルイズはふとこの使い魔の男の名前を未だに聞いていないことに気付いた。
「そういえばまだあんたの名前を聞いていなかったわね。」
「そういやまだ言ってなかったっけ?」
男は椅子を引き立ち上がった。
「俺の名前はウルムナフ・ボルテ・ヒュウガ。ウルって呼んでくれていいよ。まぁ、これからよろしくね」
そう言って男は右手をルイズへと差し延べる。
(握手を求めてるのかしら?)とルイズは思ったが、まるで友人の様に接してくるウルと名乗るこの平民に、主人と使い魔の主従関係を徹底的に叩き込まねばと考えていたため、その手を握らなかった。
「ふーん・・変わった名前ね。ところでこの手は何かしら?」
ウルの右手を指さす。
「え?握手だよ握手」
「駄目」
「え?」
「握手とか駄・目。いい?アンタは平民でわたしは貴族、アンタは使い魔で主人はわたし」
「え?え?」
いきなり高圧的な態度になったルイズを見て、困惑したウルの顔にはクエスチョンマークが張り付いている。
「いいこと?よく聞きなさい!」
ルイズも椅子を引き立ち上がると、ウルに近付き言った。
「わたしが『上』であんたが『下』よッ!あんたもそれらしく振る舞いなさい!理解した!?」
ウルは露骨に嫌そうな表情をしていた。
「理解したのかと聞いているのよ!」
身長の関係で、下からウルを見上げながらそんなことを言うルイズに対して内心では笑っていた。
というか顔に出して笑っていた。
「ははっ、分かった!分かったからさ、ね?そんな怖い顔しないでくんない?」
この男、分かったと口では言っているが何も分かってないのは言うまでもない。
「はおっ!」
突然ルイズに股間を蹴り上げられたウルは声にならない叫びをあげた。
あまりにも突然だったため全く反応できなかったウルは、苦悶の表情を浮かべながらその場にうずくまり股間を押さえて何やら呟いている。
「は・・ハッツ・・ハッツ・・!」
そんなウルを見下し、冷たい口調でルイズは言った。
「口の利き方がなってないわ。いい?あんたが今みたいな口を利く限り、わたしはこの丸太のような足であんたのソレを蹴り続けるわ」
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:26:46 ID:XNqwKh38
支援
503ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:27:27 ID:V/n034mA
最後の方で妙なことを口走っているが、そんなことを指摘する余裕などウルには無かった。
「わ・・分かった!いや分かりました!」
「分かればいいのよ・・分かれば、ね?」
ジンジンと痛む股間を摩りながらゆっくりと立ちあがったウルは泣きそうな顔で言った。
「うぅっ・・!死ぬかと思ったぜ・・そういや話しがそれちゃったんだけどさ、使い魔ってのは結局なにをはおっ!?」
再び股間を蹴られた。
既にグロッキー状態のウルには防ぐことはできずまたもやクリーンヒットしてしまった。
それにしてもこのルイズ、なかなかバイオレンスである。
「・・・」
ルイズが無言の圧力を放っているのがまた怖い。
「あ・・あ〜す・・あ〜す」
悶絶するウルはなにやら訳の分からないことを呻いている。

それからどれだけ経ったのだろうか?
何度股間を蹴っても決してその馴れ馴れしい口の利き方を直さず何度でも、何度でも、 な ん ど で も 立ち上がるウルの姿に、遂にルイズが折れた。
「もういいわよ」
「へ?」
「そのままの言葉使いでいいわよ。もう疲れたわ・・」
「あ・・・あぁそう?ありがとね。・・俺のパンツの中が大変なことになっちまったなぁ・・で、使い魔ってのは何すりゃいーの?」
もこりとふくれあがった股間を摩りながら、ずいぶん前にした質問を再び口にした。
ややへっぴり腰になってしまっているウルのその姿はなんとも痛々しい。
「まず使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
「・・どゆこと?」
「使い魔が見たものは、主人も見ることができるのよ」
「それは・・ちょっと困るな・・」
その能力で何だかパンツの中まで見られるような気がしてドキッとしたが、次の言葉を聞いて安心した。
「でも、あんたじゃ無理みたいね。わたし、何にも見えないもん!」
「そりゃよかった」
そんな能力を付けられたら迂闊に便所にも行けたものではない。
そう思ってホッ息を漏らしていたらなんだか睨まれたような気がした。
「それから使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」
「秘薬?」
そう言うとウルは腰のポーチを、ごそごそと漁り始めた。
「こういうののこと?」
ポーチから取り出し、テーブルの上に置かれた重厚な装飾が施された小さな香炉のように見えるそれは、窓から差し込む月の光を受けると、赤い光を放った。
「綺麗・・って何よこれ?」
504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:27:33 ID:9sbRFoq3
支援
505名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:27:34 ID:icP24ki1
支援
506名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:28:34 ID:icP24ki1
支援
507ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:28:48 ID:V/n034mA
一見香炉のように見えるそれが放つ光に心を奪われたルイズであったが、すぐに我に返りウルに聞く。
「だから秘薬だって」
「え?」
秘薬?嘘でしょ?なんでこんな平民がこんなの持ってるの?当然期待などしていなかったルイズにとっては想定外のことであった。
しかし目の前にあるウルが秘薬と呼ぶ赤い光を放つそれは、今まで目にしたこともない・・・言うなればそう、珍品だ。
もしかしたら本当に秘薬なのかもしれない。
微かだが期待に胸が膨らんだルイズはその秘薬の詳細について尋ねた。
「どんな秘薬なの?」
「聖者の秘薬って呼ばれてるもんでさ、何でも聖者『いぐなしお』って人が調合した体力と霊力を同時に回復させるっつーすごい秘薬らしいよ。」
「聖者イグナシオ?聞いたことのない名前ね。・・・ところで霊力って何?」
「お前等で言う魔力みたいなもんじゃない?たぶん。」
微妙に曖昧な答え、そして全く知らぬ聖者の名前を聞かされても正直半信半疑ではあるが、やはりこの『聖者の秘薬』と呼ばれる物の放つ光に心惹かれたルイズは、自分の使い魔の言うことを信じてみることにした。
「まぁ秘薬の話はこんなとこにしといて、他には何かある?」
ポーチに秘薬をしまいながら、ウルが言う。
「そうね・・これが一番重要なんだけど・・・使い魔は、主人を守る存在でもあるのよ!その能力で、主人を敵から守るのが一番の役目!でも、あんたじゃ無理ね・・・」
「弱くはなさそうだけど・・・所詮人間だもん・・」
(あれも無理、これも無理・・、ね。言いたい放題言ってくれるぜ・・そんなに俺って役立たずそうに見えるか?秘薬に関しては、ちゃんとお望みの物を出してやったじゃねぇか・・)
ルイズの言葉に不満を募らせながら、ウルはつまらなさそうに言った。
「ふぅん。人間・・人間ねぇ・・・そういやさ、ずっと気になってたんだけど人間が使い魔になることって普通はないの?いや、なんかみんな俺のことを珍妙な眼差しで見てたからさ。」
「当たり前でしょ!『サモン・サーヴァント』であんたみたいな人間が召喚されるなんて、前代未聞よ!」
「ふーん」
怒鳴り散らすルイズをよそ目に、ウルは目を細め、顎を摩りながらなにやら考え込んでいる。
「あのさ」
「何よ?」
「俺みたいなの召喚してさ、恥ずかしい?」
508ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:29:29 ID:V/n034mA
「当然よ!このヴァリエール家の三女が・・・。由緒正しい旧い家柄を誇る家柄を誇る貴族のわたしが、あんたみたいな人間・・、それも何の取り柄もなさそうな、ガラの悪い平民を召喚したのよ?これじゃあいい笑い者だわ!」
「・・おまけに契約のキスの直後に・・、その・・・、ゲロを・・、コホン。ぶちまけてくれたしね!」
肩を小刻みに震わせながらそんなことを言うルイズを見て、適当に下手に出ておくことにした。
また話が逸れてしまっては、たまったものではない。
「おいおいそのことはもう散々謝ったじゃない?ごめんって!ほんとに!ね?」
手を合わせながらへこへこと頭を下げ、チラリとルイズを横目で見たら、不機嫌そうに顔をぷくりと膨らませていた。
フグが膨らんだみたいな顔が可笑しく、ウルは思わず笑みをこぼす。
「何笑ってんのよ?」
「何でもないって。話の続きだけどさ、俺みたいなの召喚しちゃって恥ずかしいっつったよね?発想を逆転させてみたらどうよ?」
ルイズが「はぁ?」、とでも言いたげな顔をしているが、気にせず話を続ける。
「前代未聞とも言ったよね?それって凄いことなんじゃないの?だってこの世界の歴史上で、こんなことやらかしたのは誰もいなかったわけでしょ?あ、やらかしたっていい意味でね。」
「そうよね、歴史上初ね・・」
クルリと後ろを向いてしまったルイズのその言葉には、なんの感情も込もっていないように感じられ嫌な予感がしたが、ウルの口上は止まらない。
「世界初!『さもん・さーう゛ぁんと』で平民を呼び出した少女!ハッハッハ!どうこの『世界初』って響き?かっこよくね?それにさ・・・」
「それに?」
背を向けたルイズの体がカタカタとバイブしているが、ウルはまだまだ止まらない。
「俺、凄いよ?いろいろとね。」
その言葉を聞いた途端に、スイッチが切れたようにルイズのバイブが止まった。
「呆れた・・。あんたみたいな自意識過剰な平民初めて見たわよ!そりゃあ、さっきの『聖者の秘薬』?・・確かにあれは凄いと思うけど・・・、ハァ・・」
大きなため息が出た。
ウルの口上で苛々が頂点に達していたルイズであったが、最後の言葉でいちいち怒るのも馬鹿馬鹿しくなったようである。
「あんたと喋ってたら、疲れちゃったわ。今日はもう寝るわよ。」
ルイズはあくびをした。
「まぁ、結構長いこと話してたからね。俺ってここで寝ればいいの?」
ルイズは、床を指差した。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:29:52 ID:icP24ki1
支援
510ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:30:09 ID:V/n034mA
「床?俺床なの?酷くない?ねぇ?」
「しかたないでしょ。ベッドは一つしかないんだから。」
ルイズは毛布を一枚投げてよこした。
それから、ブラウスのボタンに手をかけ、一個ずつ、ボタンを外していく。
「・・お前、何やってんの?」
ルイズが投げた毛布を枕代わりにして、床に寝転るウルが怪訝そうに言った。
「寝るから、着替えるのよ」
きょとんとした声で、ルイズが言った言葉を聞き、ウルもきょとんとした。
「もしかしてさ、見せたいの?俺に?・・・痴女?」
「だ、だだ誰が痴女よ!」
「だって、普通男に見られてたら、アレじゃない?」
「男? 誰が? 使い魔に見られたって、なんとも思わないわ」
「あ、そ。ふーん・・・・、じゃあやらしい目でじろじろ見てるわ。」
刺すような・・それでいて湿った鋭い視線をルイズは背中で感じ、流石にこのまま着替えるのを少し戸惑ったが、(あれは使い魔、あれは使い魔、あれは使い魔!)と考えることで何とか乗り切った。
ランプの光に照らされたスラリとしたルイズの肢体は美しく、思わずウルも息を呑んだ。が、この男、特にロリ好きでもないために性的な反応はしなかった。
突然ぱさっ、と飛んできたものにより、視界が塞がれた。
何だ一体、と思いそれをつまみ上げてみた。
白いパンティだ。
更に、頭の上にはキャミソールが落ちている。
「何これ?くれるの?全然有り難くないよ?」
「あげるわけないでしょ!そういえば、まだ言ってなかったかしら?」
「何を?」
「あんたの仕事。」
そういえば、実際やるべき仕事をまだ何も聞いていなかったな、と今になって気付く。
「あんたにできそうなことをやらせてあげる。洗濯。掃除。その他雑用」
「えぇ〜めんどくせぇなぁ。・・いや、やるけどさ」
ウルは露骨に嫌な顔をしたが、素直に従うことにしておいた。
「とりあえず、それ、明日になったら洗濯しといて。」
ネグリジェに着替えたルイズは、先程投げてよこした下着を指差すと、ベッドに潜りこんでしまった。
寝転んだまま、つまんだパンティを振り回していると、パチンと指を弾いたような音が聞こえると同時に、ランプの明かりが消える。
「へっ、魔法がこうも浸透している世界ね・・。」
振り回していたパンティを、どこかに放り投げる。
「ま、悪くはねぇかな・・」
窓から見える二つの巨大な月に目を移し、ポツリと呟く。
そして、ウルは目を閉じた。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:30:46 ID:icP24ki1
支援
512ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:31:07 ID:V/n034mA
――どこだっけ・・?ここ。
俺は――暗い・・そう、暗く長い道を一人歩いていた。
俺はここを知っている。
俺の心の中に眠る怪物達の墓場・・『グレイヴヤード』だ。
今まで何匹の怪物や人間達を殺してきただろう?
何百?何千?いや・・何万か?
ハハッ、もう覚えてねぇや。
俺は自嘲気味な笑みを口元に浮かべ歩いた。歩きまくった。
それからどれだけ経ったのだろう?
突然前方に光が見えた。

扉だ。扉の隙間から光が漏れている。
俺は吸い込まれるようにその扉へと歩を進め、その扉を開いた。そして光に飲まれた先には――

「あ・・!」
一本の巨木が根を張る広大な草原には、幼き頃に見た夕日がかかっている。
夕日を見つめるウルの目から、一筋の光が流れた。
「俺の・・記憶?」
ウルの記憶の映像が、周囲に大小の写真のように具現化され浮かび上がる。
その写真の量に翻弄されるも、やがて一枚の写真に目がとまった。
そこにはブロンドがかったピンクの髪の小生意気そうな娘―ルイズが写っている。
「そうだ・・、このクソ生意気な女・・、ルイズのおかげで俺は、心を失わずに済んだんだ・・」
ルイズの写真から、顎の突き出た厳つい男の写真へと視点をずらす。
「加藤との決戦の後、みんなは自分の望む場所へと旅立った。そして・・俺は・・」
そう、俺は忌ま忌ましい呪いによりこの心を破壊されるはずだった。
それでも・・心を破壊されても・・・穏やかに過ごしてゆけるのならば・・・それは、幸せなことなのかもしれない。
確かにそう思った。
そして、俺が帰るべき場所を・・・強く願ったんだ!

再び視線をルイズの写真へ戻す。
「だけど、俺を迎え入れた世界は俺のまったく知らない・・異世界だった。」

最初は戸惑った。自分に何が起こったのか理解できなかった。
だけど最初から、一つだけ分かることがあったんだ。
それは、俺の心を蝕む呪いが消えたこと・・・
俺は頭が悪い。だから呪いが消えた理由についてなんて分かるはずもない。
だけど、目の前の写真に写る俺を『召喚』した女・・・ルイズが関わっているのは間違いない。
こいつにとってはきっと、俺を召喚したのは偶然みたいなもんなんだろう。
俺はこの女に感謝している。

きっと俺がこれから暮らしていくことになろうこの未知の世界に不安がないわけじゃない。
だけど・・この心に宿る記憶・・・これがあるだけで俺は、幸せを感じることができる。
大丈夫、俺ならやれるさ。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:31:36 ID:icP24ki1
支援
514ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:32:03 ID:V/n034mA

ルイズの写真から別の写真へ視点を移す。

「とりあえず暫くは、俺を決して逃れられないはずだった呪いから救ってくれた、この女に付き合ってみることにするよ。・・・前途多難っぽいけどさ・・・いいよな?」
ウルが見つめる先には、陽光に照らされ眠る、銀髪の女性の写真があった。

「アリス・・・」

そして、彼の使い魔としての生活が始まった。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:32:27 ID:icP24ki1
支援
516名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:33:22 ID:ivLdohH/
支援だっち
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:33:44 ID:icP24ki1
支援
518ガラの悪い使い魔1-3:2007/12/16(日) 00:34:18 ID:V/n034mA
投下終了。支援してくれた人ありがとねー。
やっぱ携帯より素直にPCで打った方がいいね。

指がヤヴァイ。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:35:15 ID:icP24ki1
乙でした
520名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:39:21 ID:icP24ki1
グッジョブ!!
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:40:40 ID:pw8ZlgDL
>>476
>>485
失った恋人を甦らせるために錬金術に没頭するあたりはまさしくそれだな。
これで柔らかい石作ってサイトの人形作って、
作ったサイトを笑わせるために真夜中のサーカスを結成したらまさしくアレじゃないか。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:43:14 ID:05Bi8O2h
>>521
それなんてふぢた先生ですか?
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:49:30 ID:icP24ki1
宇宙ステーションごと死に際白金召喚を考えたことがあるんだが、

顔無しがルイズに恋したら意外にうまくいくんじゃないか?

というか、産業革命起こして社会を変えられるキャラだよ、マジで。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:06:10 ID:FBcscCqz
一途を通り越して妄執にまで達してる顔無しが他の女に惹かれるとは思えないが・・・
変態じゃない顔無しはアイデンティティが喪失してしまう。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:15:41 ID:TL4zA9xX
あの作品から呼ぶならいっそアルレッキーノを。
リュートに仕込まれるデルフリンガー。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:16:17 ID:lFW4f04+
GJ 

なんだけど・・・・・・・・気になる、姉二人とルイズの関係がその後どうなったのか非常に気になる
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:31:00 ID:lDrasL8U
ガラGJ!
528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:34:43 ID:lDrasL8U
>>526
上の姉はルイズの人格歪む原因になったし、下の姉はちゃんと生きているのか・・・
529名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:36:47 ID:EDcZ3ft/
上の姉がアレじゃな……没落か?
530チャーリーのママ:2007/12/16(日) 01:38:26 ID:u7v836Kp
キートン9出来ました
投下していい?
531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:38:35 ID:pw8ZlgDL
>>525
自動人形呼んだ場合、擬似体液のおかげで周りの人間がゾナハ病になりそうだが…。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:41:04 ID:9sbRFoq3
>530
よし、行け!
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:41:09 ID:hCrX+QKS
>>530
おーけー、支援するからドンと来い。
534ゼロのMASTER 9 1/4:2007/12/16(日) 01:41:24 ID:u7v836Kp
学院長室から退室したキートンとルイズは廊下を歩いていた。ルイズはルイズでぶつぶつと小言を言っている。
まあ、キートンを召喚して以来、騒ぎに巻き込まれてばかりなのだから、無理も無いだろうが。
 二人が歩いていると、向こうから女性が歩いてくる。遠目でもわかるほどの美人である。
眼鏡をかけており、いかにも知的な印象があった。女性は二人に微笑を浮かべながら一礼すると、学院長室へと歩いていった。
 「彼女は?」
キートンが尋ねる。
「ミス・ロングビル。オールド・オスマンの秘書をしている人よ。…ちょっと、いつまでジロジロ見てるのよ」
「ふーん…。秘書、ね」
キートンはもう一度、振り向いてミス・ロングビルを確認する。ルイズはいい加減にしなさいとばかりにキートンの尻を抓った。
抗議の声が来るのかと思いきや、意外な言葉がルイズへと向けられる。
「ルイズ。悪いけど、今晩は別の部屋に泊まってくれ」

所変わって、ここは学院長室。コルベールが退室した後、一人だったオールド・オスマンは、室内に入ってきた彼女の姿を見て、大いに喜んだ。
もっとも、彼女はそんなオスマンをあまり相手にしなかったが。
「どこに行っておったのじゃ、ミス・ロングビル。わしゃもう寂しくて寂しくて…」
「申し訳ありません、オールド・オスマン。図書館で本の整理をしておりまして。それよりも、先ほど人が出て行かれたようですが…」
オスマンは慌ててゴホンと咳をする。『土くれのフーケ』のことは、あの二人とコルベール以外、誰にも言わないはず…だったのだが。
「わたくし、誰よりも学院長のことを案じております…。もし宜しければ、ご相談下さい」
こういって、オスマンに寄り添ってきたのだから。あっさりとオスマンは秘密にするはずであった『あの事』を彼女に話してしまった。
「おお、おお!す、すまんのう。いやな、隠し事をするつもりでは無かったのじゃが…」
オスマンはデレデレしながら包み隠さずミス・ロングビルに事の詳細を話す。何よりも自分の秘書だ。やはり、こういった重大なことも話すべきだろう。オスマンはそう考えてしまった。
「…という訳で、あのフーケが出たんじゃ。幸い、奴の杖を奪うことには成功したのじゃがな」
「そうでしたか。恐ろしいですね、あのフーケが…」
そうじゃろう、とオスマンが言う。
「ミス・ロングビル。くれぐれも、このことは他言無用にな」
「勿論、わかっておりますわ。ところで、フーケの杖はどこに保管されておられるのですか?」
オスマンは少し考える。さすがに杖が置かれている場所まで話してよいものだろうか。
535ゼロのMASTER 9 2/4:2007/12/16(日) 01:42:20 ID:u7v836Kp
 だが、いつもと違って優しいミス・ロングビルの態度にすっかり気を良くしているオスマンは、呆気なく場所を言ってしまった。
「うむ、実はここにな…」
そう言って、本棚の裏にある隠し棚を開ける。そこには確かにフーケの杖が入っていた。
「ミス・ロングビル。恐らく、フーケの奴はまた襲ってくるだろうからの」
「はい、オールド・オスマン。わたくしも気をつけますわ」
ミス・ロングビルはそう言うと、いつも通り、本日の事務作業の仕上げに入る。オスマンもまた、いつも通り、モートソグニルを使って、彼女のスカートの中を偵察していた。

深夜―
休日も終わりを告げ、新しい日のために生徒たちは就寝する。草木も眠ると言うのだろうか、そんな静かな夜の学院の中を素早く動く影があった。

フーケである。
彼女が向かう先は、学院長室。そして、目当てのものは唯一つ。こっそりと室内に入ると、本棚の裏の隠し棚を開ける。
「ふふ…。ようやく、取り返せたわね」
いかにも嬉しそうに笑みを浮かべる。杖を取り戻したとはいえ、まだ目的は達成してはいない。宝物庫のお宝を強奪するのが目標ではあるが、もう一つあった。
あのキートンとか言う男に仕返しをすること。
生徒名簿で奴がヴァリエールと同室であることはわかった。今頃はグッスリ眠っているだろうし、倒すのは造作も無いだろう。ヴァリエールの方はどうとでもなる。
その後、混乱の隙に宝物庫からごっそりと獲物を頂く。そういう算段だった。
「待っていなさいよ…!」
フーケははやる気持ちを抑えつつ、ルイズの部屋へと向かった。

ルイズの部屋のドアが静かに開けられる。と、同時にフーケが部屋の中へと侵入した。キートンとルイズは既に眠っているようだ。
あまり大きな魔法は使えないが、この至近距離なら充分だろう。そう思い、キートンのベッドへと近づく。
「覚悟…」
「人の部屋に勝手に入るのは良くないよ」
突然、後ろから声が響く。ドアから光が差し込むと同時に、男が入ってきた。キートンである。
眠っているはずの男が何故―!?いや、それよりも、どうやって自分が部屋に侵入してくることを知ったのか。フーケは狼狽する。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:42:38 ID:pw8ZlgDL
たびたびsage忘れスミマセン支援。
537ゼロのMASTER 9 3/4:2007/12/16(日) 01:43:11 ID:u7v836Kp
「学院長室から出たあと、すれ違った時にまさかと思ったんだけど、どうやら当たりだったようだね」
「…なんで、わたしだとわかったの?」
キートンは射抜くような目つきでフーケを見る。場に緊張した空気が流れる中、キートンは彼女に説明する。
「すれ違った時に君を見たんだが、どうも歩きを作っている≠謔、に思えてね。君が退室した後、オスマン氏に言って細工をしてもらったのさ」
細工?細工とは何のことか。だが、今はそんな些細なことはどうでもいい。こちらには『切り札』がある。
フーケはそう思い、ルイズのベッドに素早く走り寄って、杖を向ける。
「動くんじゃないよ。大事な御主人様に傷を付けたくは無いでしょう?」
フーケはそう言い、不敵な笑みを浮かべる。追い詰められている状況だが、まだ望みがある。このヴァリエールの娘を人質にすれば、手出しは出来まい。
そんな計算だった。だが、目の前の男は慌てる素振りを見せない。
「シーツをめくってごらん」
微笑を浮かべながら、男が話す。めくる?どういう事か。そう思いながら、シーツをはがす。
「藁…!?」
ベッドの上には縄で太く結ばれた藁があるだけだった。恐らく、男のベッドの方にもあるのだろう。
自分はまんまと一杯食わされたのだ。悔しさで頭に血が上りそうになる。
だが、まだ終わる訳にはいかない。せめて、男に一度でも仕返しを―
「ああ、そうそう。それも細工の一つでね。その杖は偽物だよ。本物は既に別の所に移してある」
慌てて杖を見る。紋様こそ彫ってあるが、確かに、自分が持っていた杖とは違うようだ。これは、これは只の―
「木の棒だね。オスマン氏に言って作ってもらったのさ」

「ふ、ふふふ…!」
フーケは肩をわなわなと震わせる。自分をここまで追い詰めた人間は初めてだ。まして、何の力も持っていなさそうな奴が―!
「…貴方、名前は?」
一転して落ち着いた声でフーケが尋ねる。
「平賀・キートン・太一です」
 「あんたの名前と顔、覚えたわよ…!このままで済むと思わないことね!!」
精一杯、強気な顔をしながら怒鳴るとフーケは窓を突き破り、逃げようとする。が、既にコルベールが外で待ち構えていた。
窓の外からは悲鳴と怒鳴り散らす声が聴こえる。
「…終わったの?」
キートンの後ろからルイズが姿を現す。それと共に、キュルケ、オスマン、タバサも現れた。
「やるじゃない、お兄さん!あのフーケをここまで追い詰めるなんてね」
キュルケが満面の笑みを浮かべながらキートンの腕に抱きつく。キートンは慌ててルイズの方を見るが、時既に遅し。
真っ赤な顔をしながら睨んでいる。そんな騒ぎを他所に、タバサはあくびをした。
「…のぅ、キートン君。きみ、わしが彼女にバラすと知っ…」
ゴホンと咳をすると、キートンは窓の外の夜景を見る。綺麗な満月だ―。下もそろそろ騒ぎが収まってきたようだが。

「これで、彼女も諦めてくれるといいんだが」

538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:43:51 ID:9sbRFoq3
支援
539ゼロのMASTER 9 4/4:2007/12/16(日) 01:43:56 ID:u7v836Kp
 翌朝―キートンとルイズは再び学院長室にいた。
フーケの問題は解決したのか…と思ったキートンであったが、目前のオスマンの顔は険しい。どうやら、再び問題が起きたようだ。
ルイズの授業だが、オスマンがどうにかしたらしい。それほど話が長くなるということでもあろうが。
オスマンは咳払いをすると、静かに話し始めた。
「キートン君。まずは昨日のフーケ捕獲作戦、ご苦労だった」
作戦自体はうまくいったはずなのだが…オスマンの表情は崩れない。隣にいるコルベールと言えば、ハンカチでしきりに額の汗を拭いている。
「何かあったんですね」
「うむ…。ミス・ヴァリエールの部屋からフーケが飛び出したあと、ミスタ・コルベールがうまく追い詰めた。捕獲までいけるかと思ったんじゃが…」
コルベールから汗がますます噴き出す。
「…何者かが現れ、フーケを連れて行ってしまった。どこのどいつが奴をさらったのかはわからん」
「申し訳ありません!」
コルベールが謝る。まあ、あと一歩のところで逃げられたのだから無理も無いだろう。
相当に悔しいに違いないのだから。
 「とはいえ、拠点を失った以上、フーケも当分は大人しくしているだろう。キートン君、ご苦労だった。暇があれば、共に茶でも飲みたいもんじゃな」
オスマンは静かに言うと、二人に退室するように言う。二人が出て行くと、オスマンはぶつぶつと愚痴を言い始めた。
「…だって、仕方が無いじゃろ。居酒屋でいい気になってたときに彼女の方から近付いて来たんじゃもん。そうじゃ!それこそ、フーケの策略…」
「あの、学院長」
コルベールが口を開く。
「前々から思っていたのですが、なぜフーケはあの宝物庫を狙ったのでしょう?」
オスマンはふん、と鼻を鳴らすとまた愚痴を言い始める。
宝物庫は確かに貴重な文献やマジックアイテムこそあるが、フーケの目を引くような特異な物は無かったはずだ。
「知らんよ。あそこにはわしが昔使った思い出の品々があるからな、案外それが目当てだったかも知れんぞ」

「やあ、大変な目に遭ったねえ」
「…まったくよ」
部屋へと向かうまで二人は話す。フーケの捕獲こそ失敗したものの、既にキュルケが学園のあちこちに言いふらしてしまったらしく、キートンは有名人となってしまっていた。
授業中の生徒たちが密かに好奇心の目で二人を見る。だが、恥ずかしいと言う気持ちは無かった。むしろ、ルイズは誇らしかった。
「ま、今回はあんたが一番の殊勲者ってことね」
 そう言うと、キートンは照れながら頭を掻く。頼りにならなさそうで頼りになる男。
この男といると色々と大変だが、なぜか嫌ではない。ルイズにとって、その感情がなんとも不思議であった。
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:45:20 ID:u7v836Kp
以上でーす
支援ありがとうござんす
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:45:38 ID:hCrX+QKS
支援
542名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:49:50 ID:z3jTu9p6
ぐじょ〜。
力技じゃなく頭使ってるキートンいいな。
543名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:51:41 ID:9sbRFoq3
実にキートンらしいなぁ
544名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:51:51 ID:lFW4f04+
>528 たぶんの予想だけど下の姉は生きてる、ルイズの弟子辺りが錬金術で作った薬かなんかで回復して、
むしろ上の方が(特に精神的に)壊れてないか心配 まぁ、健康でいても結婚はしてないだろうが
545名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:52:13 ID:EDcZ3ft/
ぐっじょーぶ!

頭脳戦は正にキートンの本領だな。

何者かの手引きで逃亡したっていうのがちょっと気になるが。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:54:30 ID:icP24ki1
547名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:56:06 ID:hCrX+QKS
GJです。フーケへの罠のかけ方、スマートで良いですね。
破壊の杖、あっさりスルーされてるのも新鮮かな。
次かその次は、アルビオン行き、ワルド登場かな?
続きが楽しみです。
548名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:56:28 ID:lDrasL8U
伝家の宝刀エリキシル剤か・・・
549名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:59:23 ID:EDcZ3ft/
>>548
あったなぁ、モノによっては死者の蘇生すら可能とか言われる究極の秘薬。
でもサイトの場合は……(´;ω;`)
550名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 02:01:09 ID:pw8ZlgDL
死体が無い状態から復活が可能なものってなんかあったっけ?
…ドラゴンボールくらい?
551名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 02:10:54 ID:ij1a2/M6
そういえばFFCCのレイズも霊体を蘇生してたよなぁ とか思った
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 02:33:28 ID:hCrX+QKS
少し時間が経過して、他のSSなども投下された後なのに、
まだ、ヘルミーナとルイズの話題が出るのは、すごいですね。
最終話、改めて通して話を読み返してふと思う。
アン様は、女王陛下は、サイトは亡く、親友だった幼馴染みにも去られ、
あれからどんな思いで過ごされたのだろうか? と。
まあ、アンリエッタの自業自得なのですが、
その辺、SSに書かれていない部分、色々想像してしまいます。
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 03:05:31 ID:nUx8Mtu1
>>551
あれはただの幽体離脱じゃないの?
CCのキャラバンとか前に妄想したなぁ
リルティ→ガン
セルキー→ヴィン
ユーク→ミョズ
クラヴァット→語る事すら
ってな具合に
554名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/16(日) 03:42:51 ID:+NKqBjDS
>>550
GS美神 極楽大作戦のコスモ・プロセッサとか、
とある魔術の禁書目録の黄金練成とか
ドラゴンボールも含め全能かそれに近いものしか思いつかないな。

全能以外のもので遺体の残っていない死者がよみがえるものはなかなか思いつかないな。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 03:50:18 ID:I7yMUgVw
>554

王大人
556名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 03:57:31 ID:I6b4FP3r
ほぼ全能だが「天からトルテ」の魔女。
湖に放置されて一週間以上建った肉片からでも復活するゼw

アレ呼んだらルイズ涙目どころじゃ無いなぁ。
しかし一部はマント付けてるし、全員杖持ってるからメイジ扱いかもシレン。

ルイズ→エクレア(今夜は俺とお前でダブルツンデレかつダブルヘタレ)
ギーシュ→プティング(乱暴者にしいたげられつつ成長するギーシュ)
キュルケ→マカロン(タバサに接するように良いお姉さんになりそう)
モンモン→トルテ(二人で怪しい秘薬を作ってはトラブルに)
タバサ→グラニテ(王族繋がり。グラニテがタバサを癒してくれそう)
ってトコロで。

あとガリア王の所に天使召喚で。
デコヘタレのイザベラ様と悪徳デコとお馬鹿ヘタレの天使とか萌えね?
557名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 04:14:28 ID:8iOfzQGA
>王大人
死亡確認の段階で嘘八百なだけだ、生き返らせてるんじゃなく
その場で死んだと見せかけて助けてるだけ
558名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 04:33:08 ID:KYXwLrzy
王大人が「死亡確認」することで、その死亡の事実が遡ってなかったことになるんだよ?
人それを「お約束」とも言う。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 05:09:34 ID:n088Wx+Z
あれ?シャドウハーツ3の主人公って死者復活で蘇った存在じゃなかったっけ?
うろ覚えだが
560名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 05:33:02 ID:TRRKeby4
塾長は一度寿命で死んでも生き返ってたな
561名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:02:54 ID:5m4cy+kR
一輝はギャラクシアンエクスプロージョンで跡形も無く吹っ飛んだか… って言われてもまた復活したぞ
562名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:12:38 ID:obPJfHeH
一輝はギャラクシアンエクスプロージョンで跡形も無く(どこか遠くへ)吹っ飛んだか… って言われてもまた復活したぞ
563魔法少女リリカルルイズ:2007/12/16(日) 07:12:49 ID:t3e2yxlZ
とりあえず作法どおりに。
投下してよろしいでしょうか。
何もなければ20分に投下します。
564魔法少女リリカルルイズ:2007/12/16(日) 07:22:15 ID:t3e2yxlZ
部屋の灯りは落とされ、泊まる客もすでにベッドの中で静かに寝ている。
そこに人影が一つ静かに、しかし淀みのない足取りで入ってきた。
影はベッドの中をのぞき込み、寝ている客の頬をそっと叩いた。
「ルイズ、ルイズ、起きるんだ」
「あら?」
影は寝ている女から手を引いてしまう。
聞こえた声が、予想とは全然違うものだったからだ。
「あら、誰かと思ったらワルド子爵。どうして、こんな時間に?もしかして、結婚前に婚約者じゃなくて私と?」
「ば、ば、ば、馬鹿なっ」
寝ていた女、キュルケの艶をたっぷり含んだ声を聞いたワルドはベッドから飛び退く。
キュルケはゆっくり起き上がりながら、杖を一振り。
ランプに火がつき部屋の中が揺らめく炎に照らされる。
赤い光を受けたキュルケは高く上げてから足を組み、その上に肘をついてあごに手を当て、うるんだ瞳をワルドに向けた。
──ヴァリエールの婚約者をもらっちゃうのも悪くないわね。
なんてことを考えながら。
「こうなったのも運命よ。いいでしょ、今夜は……」
甘いにおいさえ香ってきそうなキュルケの声がワルドの耳をくすぐる。
ワルドは咳払いを一つ。
帽子をかぶり直すふりをして、驚きで平面になっていた顔を元に戻して気を落ち着ける。
「いや、そういうことをしている場合じゃないんだ。驚かないでくれ。この建物は何者かに囲まれている」
キュルケが大きく息をのむ。
声が出る前に、ワルドの人差し指がキュルケの口の前で立てられた。
「静かに。君も早く準備をしてくれ。ルイズは?」
「私の部屋にいるわ。寝る前に無理矢理取り替えられたのよ」
「なん……だって!」
ワルドは身を翻し、キュルケに止める暇も与えず部屋に残っていたルイズの荷物を手に開けっ放しのドアの向こうに消えた。
急いではいても足音が高くならないのはさすが魔法衛士隊長と言ったところだろうか。
「ユーノ。あんたも起きなさい」
キュルケはさっきまでユーノが寝ていた机の上を見た。
そこにすでにユーノはおらず、扉のほうから小さい足音が聞こえた。


ルイズはドアを開ける音で半分だけ起きた。
目はまだ閉じたままだ。
「ルイズ。起きるんだ!早く!」
ワルドのその声で残り半分も起きる。
薄い胸の上が重くなった。
部屋の中は真っ暗だが、手触りで投げられた物が自分の学生服だとわかった。
「着替えるんだ。早く!」
剣のような軍装の杖を抜いたワルドは、油断無く部屋の外を見ながら鋭く叫ぶ
「で、でもワルド。ここで着替えなんて」
ワルドがいる前での着替えは貴族の子女としてはあまりにもはしたない。
顔を赤らめたルイズはシーツで胸元を隠した。
「ルイズ。よく聞いてくれ。ここから逃げなければならないんだ」
「え?」
「急いで」
いつの間にか横に立っているタバサはすでに着替えを終えていた。
いつもの杖を持って、窓の外をちらちら見ている。
「たいまつの光がある」
「数は?」
「わからない。10以上はある」
その間に、ルイズは着替えを急ぐ。
鏡がないので襟が整えられないし髪も起きたばかりでかなり乱れていてみっともない。
ルイズは夜の暗さに感謝した。
「伏せて」
タバサの小さい体が思わぬ強さでルイズにぶつかる。
565魔法少女リリカルルイズ:2007/12/16(日) 07:23:23 ID:t3e2yxlZ
壁が吹き飛んだ。
元は壁だった岩が部屋の中に押し込まれ、木っ端微塵となる。
ベッドは壁につぶされ、引きちぎられた。
壁の破片が舞う音が落ち着くと、動く岩が新しい壁になっていた。
それもよく見れば新しい壁ではない。
作りの荒い岩でできたゴーレムの腕が動いている。
その腕がゆっくりと引かれていく。
「ルイズ、行こう」
ワルドに引き起こされたルイズは部屋の外に出る。
廊下を走ってすぐに、再び部屋にゴーレムの腕がたたき込まれる音が地響きと共に聞こえてきた。


「無事だった?」
廊下へ出てすぐにキュルケが追いついてきた。
「なんで、制服着てるのよ」
キュルケは向こうの部屋に制服を持って行ってないはずだ。
なのに、何故か制服を着ている。
「あら、乙女のたしなみよ」
非常にわけのわからない理屈である。
もめていると、再び地響きがした。
今度はさっきまでルイズ達がいた部屋とは違う部屋からだ。
「あの方向は!」
「どうしたの、ワルド」
ワルドが壁と床に阻まれた地響きの方向を沈痛な面持ちで見ている。
唇が少し歪んでいた。
「ギーシュ君の部屋の方向だ」
「え!」
なら、そこにいたギーシュはどうなっているか。
顔を見合わせたルイズ達は、ギーシュの部屋に急いだ。
566魔法少女リリカルルイズ:2007/12/16(日) 07:24:44 ID:t3e2yxlZ
斜めにへし折れた扉は生半可な力では開かない。
ワルドの魔法で切り刻みようやく中が見えるようになった。
「これでは……彼は」
ギーシュの部屋もタバサ達の部屋同様に惨憺たるものになっていた。
壁は吹き飛んでいるし、高価なはずの部屋の調度類は原形を保っていない。
瓦礫の下敷きになっているベッドも同様だ。
足は無理矢理広げられ、ぺちゃんこにつぶれてしまっている。
ギーシュもおそらくは、つぶされたベッドと同じ運命をたどっていることだろう。
「ギーシュ……ぱっとしないやつだったけど、同級生だったものね」
「冥福を祈る」
キュルケとタバサも胸の前で手を合わせ、彼の安らかな眠りを神に願う。
「ま、待ってくれ」
ギーシュの声が聞こえた。
「あら、ギーシュの声?」
突然の死に、迷って出たのだろうか。
「彼は死んだ。声なんて聞こえない」
タバサは組んだ手が白くなるほどにきつく握り、微動だにしなくなる。
「だから生きてるってば!」
またも聞こえるギーシュの声。
だが、タバサには彼の姿形はどこにも見えない。
タバサの表情はそのままに、顔色だけがどんどん血の気を無くしていく。
「死んだ人間の声など聞こえない」
「だから。僕はここに!」
「聞こえない聞こえない聞こえない」
ひたすら同じ言葉を繰り返すタバサの横でルイズも胸の前で手を合わせた。
「始祖ブリミル。どうか、その御許にギーシュをお導きください。決して悪い人間ではありません」
──どうか、お聞き届けください。
「だから、待ってくれ。僕はまだ死んでいない」
生きていた。
部屋の壁がぼろぼろ崩れ、その中からギーシュが転げ出てくる。
「なんだ。死んでなかったの」
「ひどいことを言わないでくれ」
「それで、壁の中で何してたのよ」
「瓦礫に潰されないように、練金で壁の中に隠れてたんだ」
貴族向けの宿の壁は結構厚い。
文字通り、瓦礫を防ぐ壁になりそうではある。
「だいたい、僕を助けてくれたのは君だろう?」
「私が?」
「ああ、君の使い魔のユーノが起こしてくれたんだ。あのまま寝ていたら、ゴーレムにつぶされているところだったよ」
「ユーノが?」
小さな足音が聞こえてきた。
マントを引っ張る感触が順々に上ってきて、肩に重みがかかる。
(ユーノ)
何か、すごくほっとした。
あるべきものがあるべき位置に戻ってきた。
そんな感じになった。
567名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:24:50 ID:4IAJ0NVW
朝から支援
568魔法少女リリカルルイズ:2007/12/16(日) 07:26:01 ID:t3e2yxlZ
女神の杵亭は何者かの襲撃により混乱していた。
それは最高潮に達し、あちこちから客達の悲鳴や怒鳴り声、叫び声が聞こえてきた。
中には窓から魔法を使って飛び降りた客もいるようだ。
「奴ら、一体何者なんだ?」
ワルドが髭に手を当てる。
少しだが、考える時間があった。
宿の客達のパニックのおかげでしばらく襲撃者は上の方にいるルイズ達の方には来そうにない。
「ああ、そのことなんだけど」
さっきまで息をきらせていたギーシュが得意げに、バラをつけた杖を振りながら語り出す。
「彼らは僕たちを狙っているようだ」
「私たちを?」
ルイズの任務を考えればその可能性は十分にある。
「なんでわかるのよ」
「あいつらが魔法学院の生徒を捜せ、と言っているのを聞いたのさ」
「じゃあ、他の客は?」
「学生でないとわかったら、そのまま逃がしているみたいだ。あいつらにしてみれば、金蔓だろうに。よほど怖い頭目でもいるんじゃないかな」
「ふむ」
ワルドが髭を擦りながら目つきを鋭くする。
階下からの声は少しずつ大きくなっていた。
「いいか諸君。このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ成功とされる」
意味のわからないルイズの横で本を閉じる音と風がした。
タバサがいつもと同じ表情で呟いた。
「囮」
「そうだ」
ワルドが意を得たりとうなずく。
「やってくれるかね?」
ワルドはタバサ、ギューシュ、キュルケの順に視線をやる。
「しかたないわね。私たちは何も知らないんだし。で、どうするの?」
「私たちは向こうの窓」
タバサが廊下の奥にある窓を杖で指す。
「あなたたちはあっち」
今度は逆の方にある窓を杖で指す。そちらの方が桟橋に近い。
2つの窓をを見比べたワルドがうなずいた。
「それでいこう」
「私たちが出たら、その後に続いて」
「いいだろう」
もう一度うなずいたワルドはルイズの腕を引いて窓に向かい歩き出す。
階下からの足音が聞こえてきた。
「ヴァリエール。あたしが囮になるのよ。ちゃんとやりなさい」
「わかってるわよ!」
振り返るキュルケは、まだ躊躇しているギーシュの背中を蹴り飛ばしすでに窓の前で準備を始めているタバサを追いかけた。


****************************************
今回はここまでです。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:33:26 ID:XamGN7fo
おつ〜
570ゼロのgrandma:2007/12/16(日) 07:34:50 ID:ac1ONt9l
リリカルさん乙でしたー。

おはようございます。
諸事情でこんな時間に予約します。
すみません、何か大幅に遅れてしまいました。
……誰もいないかな?

良ければ2分後より投下します。
571ゼロのgrandma 1/15:2007/12/16(日) 07:37:42 ID:ac1ONt9l
折れた左腕を包帯で吊った彼女は、四苦八苦しながら洗い物をしていた。
同僚からは無理しなくていいと言われているが、食事の後始末くらいは自分でやるべきだと思ったからだ。
濡らさぬよう、慎重に水を使う。
まだ足や首筋などにも、包帯が巻かれている。薬臭もまだ抜けていない。
ぴりっとした痛みがたまに走るが、シエスタにとっては全く気にならない感覚である。
逆に、中途半端な罰を受け続けているようで、妙な歯痒さすら感じていた。

洗い終わったカップを置いたとき、何となく視線を感じて振り返る。
予感はあった。
目を覚ましたと人伝に聞いていたし、その主人であるルイズからも言われたからだ。
あなたのおかげで助かったのかもしれないのよね? ――そう疑問を提示しながらも、答えを求められず。
ただ一言、ありがとうと言われた時、それがどれほど自分の心を抉ったことか。
だから。
「手伝いましょうか?」
と、微笑みながら手を振る彼女に対して、何が言えるというのだろう。


杖代わりのデルフを片手に持ったまま、リンディは身体を柱に預けた。
まだ歩くこと自体を負担に感じる。もちろん、回復には時間が掛かることは充分に承知していたが。
――でもまあ、気になるものは気になるので。
「片手じゃ、不便でしょう?」
「大丈夫です。もう終わりましたから」
と、ぎこちない笑みを浮かべるシエスタ。
「じゃあ、これから何か予定ある?」
「え? いいえ、何もありませんけど……」
「何か作ろうかなーって思ったんだけど、一人じゃちょっと無理みたいなの」
だから、お菓子作りを手伝ってくれない? と拝むように頼んでみる。
シエスタは、少しだけ逡巡の色を見せた後、
「分かりました。あまり役には立たないでしょうけど」
そう言って、諦めたように頷いた。

椅子に座って生地を捏ねるのは、実は立ってやるよりも疲れる。
「何か、他に方法は無いかしら」
「うーん、細かく刻んで叩くっていう、無茶な方法もありますけど」
いやそれは。
「食感が怪しくならない?」
「なりますよ。火の通りが変になるからかなあ」
リンディのいつもと変わらぬ様子に、シエスタもそれなりに話に合わせてくる。
それでも、口数はやはり少なくなるわけで。
試行錯誤した結果を何とか巨大なオーブンに放り込んだ後は、微妙な沈黙が漂っていた。
緊張したからか、腕を組み合わせようとして――動かない左腕に力を入れ過ぎたらしい。
表情に苦痛を浮かべたシエスタに、リンディはそっと聞いた。
「痛むの?」
「少し」
「ごめんね。わたしのせい――なのよね?」
「違います。これは罰ですから、他の人には関係ありません」
そう言い切ったシエスタは、僅かに視線を向けてくる。
「わたしは、リンディさんを助ける気なんて無かったんです。本当は――」
唾を飲み込むと、彼女は再び声を上げる。
「本当は、居なくなって欲しかったんです。わたしの前から――そして、この『国』からも」
言い淀んだところに、本音が僅かに透けて見えた。
居なくなる。
それは、存在自体への嫌悪を示しているように思えた。

572名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:38:56 ID:l40FfD0l
連続でリリカルものキター。
支援支援支援!
573ゼロのgrandma 2/15:2007/12/16(日) 07:39:25 ID:ac1ONt9l
確か、あの時。
シエスタは『一度も会ったことはない』と言っていた。つまり、この世界で会う前には、と。
もちろん、リンディ自身にも心当たりは無い。
だが、彼女は間違いなく自分を知っている。
管理局魔導師としての自分を知っているのではなく、リンディ・ハラオウンという一個人を。
その上、憎んでもいるのだ。
理由は分からないが、人と人の関係は必ずしも両方向には繋がっていない。そういう事もあるだろう。
デバイスの持ち主が、ミッドチルダと関わりがあったのは間違い無いのだから。

だけど、それでも。

「――あなたはわたしを助けてくれた。自分の命を、危険に晒してまで」
それは何故? とリンディは穏やかに問い掛ける。
唇を噛み締め、暫く黙っていたシエスタは、やがて顔を上げた。
「以前にも聞いたことですけど、リンディさんは使い魔になって平気なんですか?」
「え、と」
「もう一生家族に会えないんですよ。どうしてそんなに笑っていられるんですか?」
シエスタは、睨むように視線を強める。
「でも、ルイズさんは――」
「ルイズ様が悪いわけじゃないって事は知ってます。偶然だったって。でも、だからって」
困惑の色を見せるリンディの前で、
「何でそんなに……そんなに――リンディさんにとって、家族って何なんですか!」
怒鳴るように言った彼女は、息を荒らげながら立ち上がった。

「シエスタさん……」
それでも、リンディは柔らかく微笑んだ。
憤然と立ち上がった少女の表情が、怒りではなく、悲しみに染まっていたからだ。
もし帰り方を知っていたら、彼女は強引にでも自分の帰郷を迫っただろう。
――しかし、その方法が存在しない事も、彼女は理解しているように思えた。
そうでなければ、これほど悔しそうな表情を見せるだろうか。
「きっと、待ってるはず、なんです」
絞り出すように口にしたシエスタは、俯いたまま動かない。

(まいったなあ)
いつの間にか、自分の手が胸のブローチに触れていた事に気付く。
一つ、溜息を吐いた。
子供たちは自立して、生活をそれぞれで営んでいる。今更親が面倒を見る必要は無い。
息子夫婦と同居はしているが、それだって孫が大きくなれば手狭になり、いつかは出て行くだろう。
同じ管理局に勤めていても、部署は異なるし、自分と違って皆働き盛りだ。
実際、直接顔を合わせる機会は、随分と減ってきている。
帰れたからと言って、家族一同が揃うことなど――もう、ほとんど無い。

574ゼロのgrandma 3/15:2007/12/16(日) 07:41:12 ID:ac1ONt9l
――でも。
「帰りたいな」
ぽつり、とリンディは呟いた。
多分、必死になって自分を捜している娘とその友人たち。子供と一緒になって育ててきた二人の孫。
そして、あの時以来、不器用ながら支え合ってきた一人息子。
他にも、たくさんの顔が浮かんでくる。
「……うん。みんなに会いたい。会って、もう一度色々なお話がしたいな」
こんな唐突に別れが来てしまうなんて、思わなかったから。
次に会った時には――どんな話をしよう?
話し切れないくらいの話題が、こんなに出来たのに。


その様子をじっと眺めていたシエスタは、ゆっくりと腰を下ろした。
左腕の包帯を触りながら呟く。
「この怪我じゃ仕事は無理だろうって、明日からお休みを頂いてるんです」
オーブンから、香りが漂い始めている。
もう少しで焼き上がるだろう。
「久しぶりに帰郷するつもりです。もし、リンディさんがルイズ様の許可を頂けるなら」

一緒に、来て下さい――真剣な顔付きで頭を下げたシエスタに。
リンディは、ただ黙って頷いた。

   ◆  ◆  ◆

名城ニューカッスルは陥落した。
いや――崩壊である。
それは比喩でも例えでも無く、文字通り跡形も無く崩れ去ったのだ。


攻城戦の前半は激しく、後半は悠長極まりないものとなった。
岬の突端に位置し、進入路が一方向にしか無い城を落とすには、犠牲を怖れぬ正面突破か――兵糧攻め等の持久戦。
叛乱軍こと『レコン・キスタ』が選んだのは前者である。
密集陣形で一気に攻め寄った先陣は、予想通り激しい砲火と魔法に晒され、甚大な被害を被った。
無論、それは予想の範疇であり、城壁内部への突入は結果的に成功する。

だが、攻城戦はここからが本番だったのだ。

突入した兵士達が見たものは、城内全ての通路が土と瓦礫で埋められているという、驚くべき光景だった。
質の悪い事に、一部では通路そのものも崩されている。
しかも要所要所には固定化の魔法が掛けられており、メイジたちが取り除くにも時間を要した。
先陣指揮官の気力が激しく削がれたのは事実だ。何しろ、メイジと平民総出での穴掘りが待っていたのだから。
被害も少なくて済む――それだけを救いに、突貫工事の命令は下された。

死兵と化した籠城軍としては、戦術的には間違っていない。
援軍は望めず、外へ撃って出る兵力を保持していない王軍が、防衛拠点を減らすのは当然である。
埋め立てるのも簡単だ。優秀なメイジが揃っているのだから、ひたすらゴーレムを作り、歩かせればいい。
ついでに土や石を運ばせれば一石二鳥。僅か一日しか無かったが、それでも何とか形になった。
単なる時間稼ぎにしかならないとしても、それなりに意味がある。
――敵兵で、城の中を満たせるという意味が。

城の上部ではまだ砲が生きており、艦隊と激しい砲戦を繰り広げていた。
そしてメイジは飛行魔法を使いながらでは、他の魔法が行使出来ない。魔法戦に関しては迎撃側が圧倒的に有利。
結果として、上層では射撃戦継続、下層では進入路確保の土木作業という情景が作り出された。
往生際の悪い相手に前線指揮官たちは憤り、ひたすら作業員として兵士を注ぎ込む。
反撃が弱まるにつれて、司令部が外壁の内側へ移設された。

575ゼロのgrandma 4/15:2007/12/16(日) 07:42:49 ID:ac1ONt9l
やがて砲を含めた一切の反撃が沈黙し、城最深部まで反乱軍が到達した時――それは起こった。

最初は鈍い爆発音。
だが、忽ちの内に外部城壁、中庭、そして城全体が大きく揺れ、一気に崩壊し始める。
まるで大地へと沈むように。
埋め立てる為に使われた大量の土砂が、一体どこから調達されたのか。
それに気付いた者もいたようだが――時既に遅く。
大勢の兵士やメイジたちと共に、その壮麗な城は瓦礫の山と化したのである。



混乱の続く街の一角で、傭兵らしき者が数名、酒盛りをしている。
実体は空賊である彼等が、心中で酒を捧げるのは城で死んだ親、そして親たちが仕えた相手。
本来ならばその一員として命を捨てるべきであったが、最後の御下命とあれば致し方無く。
故に、彼等は酒盛りをしながら、心にも無い世辞を言う。

嗚呼、素晴らしき革命軍レコン・キスタ。其は善政の始まりなり。
曰く。
戦勝の暁には、祝いとして税が半分になるだろう。
王党派貴族の財が平民に分け与えられ、暮らしはより豊かになる。
恩赦が大々的に行われ、微罪で囚われていた者は全て許されるそうだ。
裏付けの無い噂が、酔った者たちの耳に届く。
耳障りの良い話が、不安にかられた民衆に広がるのは、そう遠くない事かもしれない。

逆に、期待に胸を膨らませた者たちが、それが真実では無いと知った時――より大きな失望を抱え込む事になる。
そういう知恵を出したのは、どこぞに消えた皇太子か、共に消えた貴婦人方か。
おそらくは後者。なるほど女性の噂話とは、かくも怖ろしい。



「戦死――いや、正確には行方不明者ですかな。相当な数に上るようで」
「だろうな」
「あれでは掘り返そうとする者もおらんでしょう。城最下層に何があったかなど、未来永劫分かりますまい」
呆れたように首を振る老メイジに、相手はにやりと笑ってみせる。
「だが、欲を張った者共が宝物庫を掘り出したと聞いたが?」
「中は錬金魔法で念入りに潰されておりましてな。価値ある物は一切残って無かったとか」
「それはまた、意地が悪い」
残るはずがない。中身ならここにある。
空賊の頭である彼は、笑いながら窓の外を眺めた。
鍾乳洞は暗い闇に沈んでいる為に分かり難いが、隣に入港しつつあるのはマリー・ガラント号である。
彼のイーグル号が脱出途中に鹵獲した、トリステイン船籍の商船だ。
硫黄を入手出来たのは極めて有り難かった。貯蔵しておくにしても、軍資金に変えるにも使えるだろう。
ここが敵に見つかる可能性は極めて少ない。
空を荒らし回る空賊の住処としては、最高の立地条件である。
ちなみに。
商船の乗組員は、この鍾乳洞に入る前に、岬より少々離れた場所に置き捨てた。
徒歩で人里に出るには時間が掛かるだろうが、命が助かっただけ儲け物のはずだ。

576名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:42:53 ID:TL4zA9xX
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577名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:44:17 ID:TL4zA9xX
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578ゼロのgrandma 5/15:2007/12/16(日) 07:44:24 ID:ac1ONt9l
彼は、ふと表情を改めた。
「それで、王については?」
「お亡くなりになったそうです。かろうじて脱出に成功したメイジが、崩れ去る広間を目撃したとの事で」
老メイジ――パリーは沈痛な面持ちで目尻を押さえた。
老王と近衛、老臣たちは最後まで戦い抜いた。彼の説得には応じず、だが、彼の行動を否定もしなかった。
血気に逸る若い者を説き伏せ、彼に同行するように命じたのも王自身である。
パリーとて残るつもりであったが、目付役を仰せ付かってしまえば反論もならず。
結局、残留組と脱出組は半々に別れる事となり、脱出組は城への仕掛けを魔力が尽きるまで行った。
その後は全ての財宝等をイーグル号に積み、積みきれない分は鍾乳洞へと退避させたのだ。
「偉大なる王は誇りと共に逝った。城を崩したのは本意では無かろうが、叛徒共に使わせるのも忍びない」
彼は拳を握り締めた。
落城の際に城が無傷で残る事は少ないが、それでは不足だ。盛大に崩さねば死体を数えるのが容易になる。
脱出者の存在を疑われるだろうし、鍾乳洞への隠し通路に気付かれる可能性もあった。
逆に、ここまでやってしまえば、そうそう気付かれる事も無い。
何しろ、城を包囲していながら、出入りを許していたような連中である。
戦後ともなれば、碌な探索すらしないと思われた。地下なぞ、それこそ想像の埒外か。


もっとも、城を地下から崩した事例は幾つかある――ある人物からそう聞かされて驚いたのは、つい最近の事だ。
彼でさえそうなのだから、叛徒共にそういう思考を求めるのは酷だろう。
更に言うなら、この策はニューカッスルでなければ不可能だった。
浮遊大陸の岬の突端という極めて特殊な場所、しかも足下には船すら入港出来る鍾乳洞という大規模地下構造。
そこに堅城を築くというのだから、無茶もいいところである。
利点は多いだろうが、そもそも建築出来るかどうかすら怪しい。
その為、優秀な土系統のメイジたちが徹底的に地質調査をし、慎重に地盤を強化した。
基礎工事に要した時間も予算も、莫大の一言では足りず。
逆に言えば、だからこそ『触れてはならぬ場所』が城内に伝えられており――策の実行を可能としたのである。

脱出の足跡を隠蔽すると同時に叛徒共に一矢報い、しかも骸を敵に晒さない。
潔かったのか、それとも悪足掻きだったのか。
(他人がどう評価しようが、知ったことではないな。分かる者だけが分かれば良いのだ)
滅びたアルビオン王家に思いを馳せながらも、彼が表情を変える事は無い。
なぜなら、名も無い空賊が最優先にすべきは利益であって、感傷は無意味だからである。
(無論、私が何を『利益』とするかは自由だが)
と、彼は一瞬だけ、昔日の笑みを浮かべた。

「さて、これからどうなされます?」
市井の噂を取り纏める役となったパリーが、書類に目を通す。
「戦後処理は時間が掛かりますかな?」
「そうでもあるまい。戦場が限られていた以上、他への影響は少ないからな」
首都機能は、既に新たな体制へと対応しつつあるはずだ。
政治を司るのは一部の貴族だが、国を真の意味で動かしているのは民衆なのである。
「トリステインとゲルマニアの同盟が公になった時、叛徒共がどう判断するか見極めるとしよう」
同盟体制が整わない内にと、急遽トリステインに攻め入る可能性もあるのだから。
「そ、そんな事になったら、トリステインは持ちましょうか?」
「持たんだろうな。態勢を整えるには時間が無さ過ぎる」
あっさりと言う彼に、パリーは訝しげな表情を浮かべる。
「その場合は、どうなさるのです?」
「決まってるだろう」
彼は、楽しそうに笑った。
「空賊の頭が、麗しい妻を娶るという事さ」

   ◆  ◆  ◆

579ゼロのgrandma 6/15:2007/12/16(日) 07:45:59 ID:ac1ONt9l
旅行の許可をルイズに求めた時、彼女は特に反対しなかった。
未だ足下の覚束無いリンディを眺めながら一言だけ、
「気を付けなさいよ。病み上がりなんだから」
と、注意しただけである。
同行すら言い出さなかったのは、リンディとシエスタ――二人の邪魔をしたくないと思ったからだろう。
何らかの事情があると分かってはいても、今は関わらない方がいい。

「――って判断した割には、怒ってたように見えたけど」
「そうですか?」
風に煽られる髪を抑え、シエスタは苦笑する。
「多分、信頼してるんですよ。後でちゃんと教えてくれるって」
「そうかしら」
露骨な膨れっ面を見せたルイズを思い浮かべる。
学院長に呼び出された後、何やら由緒有りそうな本を小脇に抱えた彼女は、見送る時も最後まで同じ表情で。
と言うより、言いたい事を我慢してるのが見え見えだった。
それでも、聞くのを保留にすると決めたのは彼女自身だ。意地でも聞くわけにはいかない。
「逆に、帰ったらかなり大変そうよね?」
「それは仕方ないです。たっぷり怒られてください」
「わ、酷いなー。人ごとじゃないのにー」
言葉とは裏腹に、二人の顔は微笑んで。
お互い冗談だと示すように、軽やかな笑い声が空に響いた。


現在、道程は半分といったところか。
目的地はタルブという村で、港町より更に先にあるとの事だ。
リンディは人目を避ける為、かなり高空を飛行している。速度は抑えめ、身体を労りながらの安全重視。
荷物は数日分の着替え等の僅かな物で、おまけに例のフライパン。
デルフリンガーはルイズに預けてきた。一般人宅にお邪魔するには少々物騒だ。
馬車でも借りていれば、中に置いておくことも出来たとは思うけど。

最初はロングビルに頼んで馬を借りたのだが――二人には少々酷だった。
まだ足に上手く力を入れられないリンディに、打撲や骨折から回復していないシエスタ。
馬車だろうが何だろうが、振動のある不安定な乗り物ではどうにもならない。
身体を固定出来なくて酔うし、振動でやたら痛いし。
結局、前回同様に飛んでいく事となったわけである。
当初怖がっていたシエスタは、すぐに景色を楽しめるようになった。見掛けより度胸がある。
(と言うよりも、思い切りのいい子なんでしょうね)
そうでなければ、ああいう行動は取れないだろう。

「大丈夫なんですか? 魔法を使っても」
「これくらいならね。これ以上ってなるとまだ無理だけど」
実際、攻撃魔法一つでも苦労するはず。
それを聞いたシエスタは表情を変えた。恐る恐る問い掛ける。
「……あの、体調の方は本当に」
「聞いてないの? あれを使った後の事は」
「詳しくは知らないんです。使う時期と使い方ぐらいで。後は、あれがこの世に一つしか無いって事だけです」
「そう」
軽く頷くと、リンディは少しだけ加速した。
色々と不可解な事はあったが、問い詰めるつもりは全く無かった。話してくれるまで待てばいい。

――ただ、後から思い返してみると。
何か、予感でもあったのかもしれない。

   ◆  ◆  ◆

580名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:46:19 ID:TL4zA9xX
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581ゼロのgrandma 7/15:2007/12/16(日) 07:47:35 ID:ac1ONt9l
村の遠景は取り立てて珍しく無かったが、近くに広がる草原は見事だった。
所々に咲いた花の色が淡い模様を描き出し、絵画のような独特の色合いを表している。
「あ、あの辺りです。……結構人目がありますね」
「どこか良い場所ないかな?」
「じゃあ――」
シエスタの指示で、リンディは近くの森の中に降りた。
そこから徒歩で村に向かう。
途中、風変わりな建物が見えてきた。半円形で器を逆様にしたようなそれは、明らかに風景から浮いている。
直径十メイル程のドーム。元は白亜であったようだが、今は風化して薄汚れている。
「おじいちゃんの作った物なんです。そしてこの場所は、もう一つ意味があります」
呟くと同時に、彼女は足を止めた。目の前には建物の入口。
そのまま、シエスタは話を続けていく。
「おじいちゃんが最初に倒れていた場所で――辺り一面が焼け野原になってたって、おばあちゃんが言ってました」
(魔力暴走、ね)
リンディは目を細めた。
おじいちゃん――ミッドチルダの魔導師が、不本意にもここに転移してきた結果だろう。
それほど急激に制御を失ったのであれば、かなりの高ランクだと想像出来た。
優秀な者ほど、この世界の豊富な魔力は脅威となる。死亡しなかっただけでも大したものだと思う。
「大怪我していた上に、記憶も混乱していて。言葉も分からなくなっていたそうです」
全てのリソースを制御に回しても、暴走は防げなかったのだ。
記憶障害程度で済んだなら、むしろ奇跡に近い。――とは言え、治療手段の無い環境では致命的だ。
「運が良かったのね。それで、おばあさまが介抱を?」
「ええ。人並みに行動出来るまで、何年も掛かったって」

彼女の話によると。
祖母が助けた男性は、数年掛けて言葉を思い出したそうだが――それが『思い出した』のかどうか。
一から覚えた可能性も捨て切れない。
記憶障害によって認識があやふやになり、ミッドチルダの記憶が夢物語としか思えない生活。
後遺症からか、魔法も使えなくなっていた。使えたら平民としては村には居られなかったはずである。
そうして長い間暮らすうちに、祖母と縁が結ばれたようだ。
一平民として、そのまま人生を終える可能性も高かった。

だが。
「いつ思い出したの? 昔の事を」
「わたしが産まれる前、森でワイバーンに襲われている学院長様と出会ったのが、切っ掛けだそうです」
シエスタは、扉に手を掛ける。
「無我夢中で助けようとしたら、いつの間にか杖を握ってたって」
「なるほどね」
反射的にデバイスを起動したのだろう。
待機状態のデバイスは、カードやアクセサリー状態なので持ち運びは簡単だ。
記憶が無かったにしろ、身元の数少ない手掛かりとして肌身離さず持ち歩いていたのが、功を奏したという事か。
「そこから先の事は、また後でお話します。まずはこれを」
話を断ち切った彼女は、ゆっくりと扉を開けた。



中は、まるで前衛芸術のような有様だった。
壁に沿って円状に並べられた金属に、複雑に紐状の物が絡まっている。中心には棒が立てられており――
「ここに何かを乗せるようになってます」
頂上に設けられた台を、彼女は懐かしそうに撫でた。
「子供の頃に勝手に触ったら怒られました。村の人には最後まで『芸術作品』で通してたのに」
「確かに、そうも見えるわね」
リンディも納得したように頷いた。

582名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:48:17 ID:TL4zA9xX
支援
583ゼロのgrandma 8/15:2007/12/16(日) 07:49:33 ID:ac1ONt9l
単独任務の多い執務官や執務官補佐、または管理局上級職にいる者ならすぐに気付く。
これは基本装備品である探査機器を分解し、新たに組み上げ直した物だ。
その目的は?
「ちょっといい?」
「あ、はい。どうぞ」
壁際にある一際大きな機械に近寄った。
魔力を通すと、簡素なドキュメントデータが転送されてくる。
「……そういう事」
確認した後、リンディは沈痛な面持ちで首を振った。
これを構築した者の意図――それが痛いほど理解出来たからである。

執務官が取り扱う事の多いロストロギアは、出所不明の物も少なくない。
滅びた世界から、持ち出されたり自力で彷徨い出たりするうちに、元々の所属世界が分からなくなる。
そのロストロギアが危険物だった場合。
困った事だが、対処方法は往々にして元の世界に記されている事が多いのである。
それ故、構成材質の分析と共に行われるのが、『存在』そのものの分析である。
間接的には、ミッドチルダでの魔導師と使い魔の契約と関わりがある。
物理的距離や次元間距離に左右されない、存在同士の断たれる事の無い繋がり。それは単なる魔力リンクとは異なる。
魔導師によって作り出されるこの『契約』は、ある本質に沿いながら改変する事でもあった。
本質とは、即ち。
生命体に限らず、物質はその『存在』に於いて、元の世界と完全には切り離せない。
ならば――世界に所属している事を色濃く表している物質が存在したら?
必要な魔力は、この世界なら無尽蔵に手に入る。

「擬似的な契約生成による、所属世界の座標割り出しね。……無茶な話だと、分かっていたでしょうに」
座標特定は無論不可能だが、空間方位の算出程度は可能かもしれない。
ただし。
それには致命的な問題が一つと、
(この装備では無理ね。得られるデータを解析する機材も、残す為の媒体も足りないもの)
少々改造した程度では不充分。

おそらく、これを作り上げた者はそれを理解していた上で残したのだ。
後から来るかも知れない者の、礎となる為?
それとも――単なる未練か。


「どうでしょう? 何かのお役に立ちそうですか?」
「何とも言えないわね。あなたのおじいさまが、相当優秀な方だったって事は分かるけど」
「そうですか」
肩を落としたが、祖父を褒められた事は嬉しかったのだろう。
シエスタは僅かに笑みを浮かべた。
「では、またにしましょうか。二、三日はお泊まりになられるんですよね?」
「往復分の日程は許可して貰ったからね。飛んで来た分、時間は大丈夫。――でもいいの?」
ご実家にお邪魔なんかして、と再度確認すると、彼女は苦笑した。
「大丈夫ですよ。いつもの格好でしたら目立っちゃいますけど、それなら仕事の先輩で通りますから」
確かに、今日のリンディはバリアジャケット姿ではなく、ロングビルから借りた服を着ている。
目立たないながらも、質の良い生地を使用したゆったりとした淡色系の上下。
「でも、気を遣わせたりしないかしら」
「逆です。実は口裏合わせをして欲しいんです。この事で」
彼女は包帯で吊った左腕を指差した。
「あまり心配させたくないんですよね」
「えーと……階段から落ちちゃった、とかでもいいの?」
「あ、それいいですね。わたし、運んでる物を落としちゃって怒られることが多いんです」
落としそうになって慌てたら、自分が落ちちゃったってのは、説得力がありそうです――などと胸を張る。
(本当にありそうで怖いわね)
こっそり溜息を吐いたリンディだが、少し安心もしていた。
やはり彼女は、とても素直な可愛らしい子で。
どんな事情があるにせよ、進んで他人に危害を加えるような人間ではない。

584ゼロのgrandma 9/15:2007/12/16(日) 07:51:10 ID:ac1ONt9l
「それなら、仕事で怪我をしちゃった後輩を送り届ける、先輩さんって感じでいい?」
「印象ぴったり! それなら家族も納得します。きっと大歓迎ですよ」
ドームから出ると、ちょうど真昼の日差しが照り付けている。
楽しそうに歩き始めたシエスタの後を、リンディが続く。
村の家々から、炊煙が上がっていた。
「苦手な食べ物とかは無かったですよね? いつもの食材が使えないので、味付けも少し変えちゃいますが」
「シエスタさんが作ってくれるの?」
「もう準備は終わってるでしょうけど、わたしたちの分は無いと思うので」
確かに、帰省の連絡などしていない。
「わたしも何か作ろうかな。せっかく持って来たんだし」
フライパンを入れた背負い袋を、ぽんと叩く。
「ありがとうございます。一緒に頑張りましょう!」
満面の笑顔を向けられ、リンディも笑みを浮かべる。
ゆったりと流れる風と、素朴な雰囲気を感じさせる町並み。
療養を兼ねた旅行先としては、実に良い場所だと思えた。

が。
「あ、そうだ。一つだけ守って欲しい事があるんですけど、いいですか?」
「はい?」
不意に変わった口調に、戸惑ってしまう。
「何かしら」
「リンディさんの家名――ハラオウンの方は名乗らないでください。特に、両親の前では絶対に」
「えっと……それって一体」
「それだけです。じゃあ、ちょっと先に行って、父に帰省の報告をしてきますね」
あの家ですから、後からゆっくり来て下さいね――そう言うと、シエスタは小走りで駆けていった。

手を振りながら見送ったリンディが、笑みを崩す事は無かった。
と言うより、崩すタイミングを逸しただけで。
「わたし今、ほとんど魔法使えないんだけどなー」
彼女は正直に呟いた。
ここまで来て、今更そんな不安になるような事を言われても困る。

決めた。
――何かあったら、とっとと逃げよう。

   ◆  ◆  ◆

幸いな事に、シエスタの母と弟たちは所用で親戚の家に出掛けており、家にいたのは父親だけだった。
最初、怪我をした娘の姿に動揺していた彼は、リンディの丁寧な挨拶と説明を聞いて逆に恐縮した。
「すみません、娘は昔からそそっかしくて。他にも失敗ばかりしてるんじゃないでしょうか」
「そんな事はありませんよ。彼女はいつも頑張ってくれてます」
お互いに頭を下げる。
人当たりの良さそうな男性の様子に、リンディは警戒を解いた。
元々、そこまで深刻な危機感を感じていたわけでもない。
――念の為、忠告通り家名は名乗らなかったが。

585名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:51:18 ID:TL4zA9xX
支援
586名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:53:38 ID:TL4zA9xX
支援
587名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:55:17 ID:TL4zA9xX
支援
588名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 07:58:53 ID:TL4zA9xX
支援
589名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:03:34 ID:TL4zA9xX
支援
590ゼロのgrandma 10/15:2007/12/16(日) 08:03:44 ID:ac1ONt9l
「では、台所をお借りしますね」
既にシエスタはエプロンを付けて、釜に火を入れている。
「しかし、お客様にそんな事をさせるわけにも」
「シエスタさんは怪我してますもの。それに好きでやる事ですから、お気遣い無く」
「は、はあ」
妙齢の美人に微笑みかけられては、強くも言えない。
引き下がった彼だが、それでも時折こちらの方を覗いているようだ。
「いいお父さんね」
「たまに口煩いんですよ。心配性ってわけでもないのに」
二人は完全分業で料理を進めていく。
人数が多いのでシチューにする。味と火の加減はシエスタ。
当然ながら、食材を切ったり炒めたりするのは、リンディの役目である。
じっくりと煮込んでる時間は無い。
厚鍋の底で肉類等を軽く炒め、あとの切り揃えた食材は、シエスタの手の届く場所に並べた。
それ以上の事をすると、彼女の邪魔になる。

「そろそろご家族の方たちが帰ってくるのよね? わたしも進めちゃおうかな」
リンディは隣に立つと、フライパンを火に掛ける。
作り始めたのは、この世界に来る直前まで作っていたオムレツだ。
シチューは肉類がやや少ないし、子供が多いならサイドメニューとして用意してもいいだろう。
メインまでの時間稼ぎにもなる。
出来上がり始めた物に目をやったシエスタが、つい口にする。
「それ……最初の日にルイズ様が」
「ん? 何かあったの?」
「あっ!」
口止めされていたのを思い出して慌てたが、すぐに考え直した。
「言うなって言われてたんですけど、今のリンディさんになら言ってもいいかなあ」
「今の?」
「ええ。ルイズ様の為に頑張ったんですから、それくらいは良いと思うんです」


あの召喚の日。
昏倒したリンディが運ばれた後の事だ。
洗い場に戻っていたシエスタは、怖々と覗き込んでくる少女に気付いた。
貴族の、ミス・ヴァリエール。
「ど、どうなさったんですか?」
「これ、洗っておいて欲しいの。大事な物らしいから、丁寧にお願いね」
言いながら差し出されたのが、リンディのフライパンだった。
何故か、料理らしき物が入ったままである。
「分かりました。……こちらはどうします?」
「小皿、借りるわね」
あっさり言うと、ルイズはそれを皿に移して持ち去った。

591名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:05:23 ID:TL4zA9xX
支援
592名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:05:30 ID:WoIe49y3
しえん
593ゼロのgrandma 11/15:2007/12/16(日) 08:05:56 ID:ac1ONt9l

「洗った後に捜したら、ルイズ様は門の側に座り込んで泣いていたんです」
リンディを召喚した場所を、そして倒れた場所を眺めながら、彼女は全身で悔いていたらしい。
「泣きながら、冷えた料理を少しずつ噛み締めていました。忘れない、忘れるもんかって呟いて」
「……彼女らしいわね」
自分が奪ってしまったかもしれない命を目の当たりにして、どれほどの後悔と呵責に苛まれていたのだろう。
そこからは、責任感だけではない真摯な気持ちが伝わってくる。
「今だって、ルイズ様の気持ちは変わっていないと思います。リンディさんを本当に大切に思ってる」
「うん」
「リンディさんも、ルイズ様を大切にしてる。まるで自分の娘みたいに」
「そう見える?」
「はい。とても仲の良い母娘って感じで」
「出来れば姉妹って言って欲しかったなあ。……無理かしら?」
可愛らしく首を傾げた相手に、シエスタは苦笑しながらきっぱりと断言する。
「絶対、無理です」


「あ、帰って来ましたね」
軽く落ち込んでいたリンディに、楽しげな声が掛かった。
「ちょうど良かった。もう少しで出来上がるもの。リンディさんの方は?」
「何とか人数分は。最初の方のは少し冷めちゃったけど」

家に入ってきた子供たちは見知らぬ客に驚いたが、すぐに興味を含んだ眼差しに変わった。
相手の柔和な雰囲気に安心したのだろう。
母親と挨拶を交わした後、リンディは子供たちに向き直った。
まだ少し幼い、シエスタの弟妹たち。
リンディは微笑ましげに眺めていたが――最後に入ってきた弟を視界に映した時。

まるで、凍り付いたように動きを止めた。

「この子は、おじいちゃんの若い頃に、とても良く似てるんだそうです」
戸惑う弟の後ろに立ったシエスタが、こちらを射抜くような視線で見詰めている。
何を、言いたいのか。
何を、伝えたかったのか。
リンディはもう一度、シエスタの顔を眺めた。
僅かに別の色が混ざった黒髪に、黒い瞳。どこか懐かしく感じられる顔立ち。

壊れそうになり、激しく軋む自分の心に気付いたが、彼女は表情を変えなかった。
静かに息を吸ってから、大きな溜息を一つ。
全てを洗い流すように遠慮無く。それから、ゆっくりと話し掛ける。
「お亡くなりになったのは、いつ?」
「二年前です」
二年。
言葉にすると短いのに、何故か怖ろしいほど遠い昔の様に感じられる。
「お食事にしましょう。その後で――」
言うまでも無い事を飲み込み、シエスタは去っていく。

「そうよね。後で充分よね」
誰かに言い聞かせる様に呟いてから、自分に注目する視線に気付いた。
子供たちのそれに、笑顔で応える。
それが果たして本当に『笑顔』であったのか。――全く自信は無かったが。

   ◆  ◆  ◆

594名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:07:10 ID:WoIe49y3
SHIIIIIIIEEEEEEEENN!
595ゼロのgrandma 12/15:2007/12/16(日) 08:08:04 ID:ac1ONt9l
夕刻。
二人は散歩に行くと言い残して家を出た。
落ちかけた日差しが、細く長い影を、道に二つばかり落としている。

目的地は分からない。
「おばあちゃんと結婚した後、彼は平凡な日常を過ごしました。働き者で、村の皆から好かれたそうです」
敢えて祖父を『彼』と呼び換え、シエスタは話し始めた。
「家族を大事にして、誰にでも優しくて、責任感が強くて。母も尊敬してたって」
子供にも恵まれ、村でも評判になるほどの彼。得た物はとても大きかっただろう。
満ち足りた日常が、容易に想像出来る。

その彼の生活は、オスマンという男を助けた時から一変した。
自分が何者なのか、どこから来たのかを思い出した彼の、混乱ぶりは如何ほどであったろう。
そして、そんな彼を見る家族達の不安や怖れも。
運が良かったのは、彼が記憶障害から完全には回復しなかった事だ。
もし回復して記憶を取り戻していたら、現在の家族の記憶を逆に失っていた可能性もあったのだから。

「結局、変な事を言っていたのは短期間で、すぐに元の働き者に戻ったそうです。残ったのは変な趣味だけ」
「あの丸い建物?」
「そうです。持っていた杖も学院長様に預けてしまいました。それが噂になった『破壊の杖』だそうです」
帰れぬ事を知って、未練を断とうとしたのだろう。
実に彼らしい選択だと思う。

「小さい頃、おじいちゃんによくお話をして貰いました。寝る前に聞く不思議な話は、いつも楽しみだったんです」
貴族とか平民の区別の無い世界。馬がいなくても走る馬車や、風石が無くても大空を飛び回る船。
荒唐無稽に見えて、どこか説得力のある物語は、幼いシエスタにとって魅力的だった。
一つだけ、気になるとすれば。
「お話の中に出てくる人が、いつも同じだって気付いたんです」
多くの話の中で、その緑の長い髪を持った人の笑顔が伝わってきた。
彼女の幼い息子の事も。
ある時。
話ながら遠くを眺める彼を見ているうちに、唐突に気付いてしまった。
彼が、その人をどう思っているかという事に。

「何でも知っていて、何でも出来るおじいちゃん。子供の時から、ずっと自慢にしてたんです」
シエスタの足取りは、少し重くなっている。
目的地が近いのかもしれない。
「母も、父も、弟たちも皆そうです。わたしはそんなおじいちゃんが本当に大好きで――」

彼女は、不意に足を止めた。
「本当に――大っ嫌いでした」
と、彼女は吐き捨てるように呟いた。

   ◆  ◆  ◆

596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:08:09 ID:TL4zA9xX
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597名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:10:05 ID:TL4zA9xX
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598ゼロのgrandma 13/15:2007/12/16(日) 08:10:15 ID:ac1ONt9l
そこは村の共同墓地だった。
他の物と同様の、何の変哲もない墓碑が二人の目の前に立っている。

「家族は皆気付いていました。あの日以降、おじいちゃんが自分たちを半分しか愛してくれなくなったって」
涙を拭いながら、シエスタは眼前の墓に語り掛ける。
「いつも――そう、いつもです。必ず心のどこかに、別の人が住んでいました」
家族で食事をしている時も、自分の子供が結婚する時も。
孫と戯れる時も。
彼は、誰かのイメージを重ねていたように思えた。
「両親は分かりませんが、わたしは、あの建物を何の為に作ったか気付いていました」
物語の中の、自分が元居た世界に帰る為。
使い方なんて知らないけど、分かってしまうのだ。
「ああ、おじいちゃんは、いつか突然居なくなっちゃうんだ――そんな恐怖を、ずっと抱えていたんです」
子供の心に、澱のように積み重なるそれは、凄まじく重い物だったはずだ。
「わたしたちだって家族なのに。何でそんなにって」

「不器用な人だったからね」
生真面目で、責任感が強くて。
事情を理解し、納得した後は一生懸命に今の家族を愛そうとしたのだろう。
ただ、彼は捨て切れなかったのだ。

魔力暴走の後遺症か、彼は短命で亡くなった。
もちろん、この世界では充分に長命だったと言えるが。
死の間際になって行ったのは、自分のデバイスを誰かに託すという事だった。
いつか来るかもしれない、他の魔導師を救う為に。
余程高ランクの者でない限り、最初の魔力暴走を乗り切る事さえ出来れば助けられるかも知れない。
乗り切れなかった場合は、ほとんどが生存していないだろうから除外。
暴走の可能性は、多くても二回。それ以降は自然と適応する。
そう判断した彼は、特定の状況に特化した魔法を組み上げたのだ。
託す相手は、魔法に関して最も対応に長けた場所――トリステイン魔法学院。
後日、連絡を受けたオスマンが村を訪れ、預かっていた『破壊の杖』をかつての恩人に返却したらしい。
「数日後、おじいちゃんは別の物を渡しました。それが」
「わたしを助けたあれって訳ね。使い方はどうやって知ったの? 教えてくれたはずは無いし」
孫を危険に晒すような事をする人ではない。
「学院長様に説明していたのを、勝手に盗み聞きしたんです。あれの使い方や、使う機会とか全部」

彼は特に、使用した場合について念入りに注意していた。
周辺にかなりの影響が及ぶかもしれないから、防ぐ為の防壁を構築する事。
対象が限界を迎える時間まで猶予があるはずなので、対策を充分に話し合う事。
「普通は一度目から数ヶ月位って言ってました。それ以上なら必要なくなるかもって」
それだけなら良かったのだが――同時に、彼は懸念も伝えていた。
限界が来るのが早ければ早い者ほど優秀な魔導師で、それ故影響も大きくなる。
最悪の場合、起動した者は極めて危険な状況に晒されると。
「リンディさんの場合は……一週間ちょっとでしたね」
だから凄く怖かったです、とシエスタは虚ろに笑った。

「おじいちゃんが亡くなる直前、思い切って聞いてみたんです」
本当は帰りたかったのではないのか。
向こうの家族の方が、大切だったのではないのか。
「でも、おじいちゃんは笑って首を振っただけ。……最後まで、本当の事を話してはくれませんでした」
もしかしたら、本人にも分かっていなかったのかもしれない。

そう理解した時。
シエスタは、そこまで祖父の心を縛り付けている相手に、激しい憎悪を覚えたのだ。
自分を含めた家族に、あれほど寂しい思いをさせたその女に。

599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:10:29 ID:WoIe49y3
紫煙
600名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:11:33 ID:TL4zA9xX
支援
601ゼロのgrandma 14/15:2007/12/16(日) 08:12:25 ID:ac1ONt9l
「リンディさんの名前を聞いた時、まさかと思いました」
容姿も、聞かされていたものに良く似ている。
だが、シエスタの頭の中で育てられたイメージとは、随分と異なっていたのだ。
こんなに柔和な、優しげに見える人ではないと。
憎悪から生み出された虚像と異なるのは当たり前だが、彼女はそれを理解しようとしなかった。

「でも、いつまでも目を瞑ってるわけにはいかなくって」
決闘騒ぎでリンディが展開した魔法陣が、確信を揺るがないものにしてしまった。
「とてもいい人だっていうのは分かりました。自分が憎む必要なんか無いって。だけど」
彼女は貯め込んでいた激情を吐き出す。
「何で今更って。ずっとおじいちゃんは待ってたのに。ずっと帰りたがってたのに」
許せなかった。
祖父と同じようにこの世界に来てしまったのに、帰りたいという意志すら見せない事が。
残してきた家族を、大切に思っていない事が。
「絶対、助けてなんかやるもんかって思いました。このままいなくなっちゃえって」
幸い、学院長も動かなかった。確信を持てなかったからだろうか。
あるいは彼も、猶予期間を多目に見積もっていたのかもしれない。
「だけど、風邪を引いたって聞いた時、凄く怖くなりました」
自分が何もしないせいで、この人は死ぬかもしれない。
この人には何の責任も無いのに。
そこまで考えて、初めてシエスタは気付いたのだ。

いなくなる事を望むとは、死を望んでいるという事だ。
そして、助けられる相手を助けないのは――殺そうとする事と同じだと。
更には。
「おじいちゃんの最後の望みすら、わたしは消そうとしていたんです」
彼女は激しく後悔する。
――だけでは無く、夜な夜な重い罪の意識に苛まれた。
知人の死を望んでしまったという罪悪感は、彼女の心を押し潰そうとしていたのである。

「憎んでいたままなら良かったんです。そしたら、あんな怖い思いもしなくて済みました」
助けようとしたのは贖罪の気持ちからだった。
それがリンディに対してなのか、祖父に対してなのか。
思い出そうとしても、自分にだって分からない。
もしかしたら、罪の意識から逃げたかっただけかもしれない。
だからこそ、自分が生きていると知った時に、あれほどの絶望を感じたのではないだろうか。

「――でも」
シエスタは顔を上げた。
夕闇が迫る中。
黙って自分を見詰める相手から、顔を逸らさないよう必死に拳を握り締める。
「憎み続けるなんて、初めから無理だったんです。そんな事は、分かっていたはずなのに」
リンディ・ハラオウン。
祖父が一度だけ口を滑らした、御伽噺のお姫様。
「会った事なんて無い。だけど、絶対に助けなきゃいけない人です。絶対に。だって――」
溢れる涙が拭われる事は無く。

「血は繋がってないけど――それでもリンディさんは、わたしの『おばあちゃん』なんだから!」

――叫ばれた言葉は、随分と長く、その場所に残っていた。
その一言に、一体どれだけの感情が含まれていたのだろう。

   ◆  ◆  ◆

602名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:13:27 ID:TL4zA9xX
支援
603ゼロのgrandma 15/15:2007/12/16(日) 08:14:34 ID:ac1ONt9l
嗚咽の響く中。
リンディは、星の見え始めた空を見上げていた。


あの時。
自分の船が消滅する直前、彼は転移魔法で脱出を試みたのだ。
愛する家族の元へ戻る為に。
彼は責任感の強い人ではあったが、決して自己犠牲を美徳とする人ではなかったのだから。
しかし。
撃ち込まれた魔導砲が引き起こした、巨大な空間歪曲の余波は、転移魔法にも影響を及ぼす。
もちろん、それは予想もつかない事だった。
正常な座標軸は破壊され、通常の空間から弾き飛ばされたのは、比較的幸運だったと思う。
結果、やや時間軸のずれた――本来なら転移どころか観測も出来ないような世界に、彼は辿り着いた。
確かに、最初の魔力暴走で瀕死の重傷を負い、記憶障害は起こしたかもしれない。
それでも、概ね平和な生涯を送ったと言える。


不思議と、悲しみは感じなかった。
彼の――その人の為の涙を、流し尽くしてしまったからだろうか?
(違うわよね)
リンディは穏やかに微笑んだ。
胸にあるのは、清々しい喜びだけ。
心だけではなく、身体をも満たしていくのが感じられる。

その人は。
不慮の死で終わったのではなく、新たな人生を得ていたのだ。
妻を得、子を為し。――素晴らしい家族に包まれた暮らしを過ごした後、穏やかに生を終えた。
それどころか。
遺した物と孫娘は、こうして自分をも救ってくれた。最後の望みすら叶ったのだ。
これほど有意義な生があるだろうか?


闇に沈みつつある墓を、もう一度眺めた。
刻まれたのはこの世界の文字。彼女には読む事すら叶わない。
例え読めたとしても――刻まれた名前が一度も聞いた事の無い物であると、言われずとも理解出来た。
ここに眠る人が、この世界で得た名前。
この世界での、全て。


そこに眠る管理局魔導師に向けて、リンディは静かに敬礼をした。
読めない方がいい。
それはおそらく、自分が知る必要の無い事だから。

ただ、一言だけ。
彼女は、そっとその人の名を呼んだ。
墓碑に刻まれた文字と、異なる名で。

囁かれたその音色は、風に溶け込み――誰の耳にも届かなかった。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:14:39 ID:WoIe49y3
シ・エン
605名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:16:37 ID:OtYCiX41
この展開は読めなかったぜGJ

というか名のあるSS作家だと思うが深くは追求しないぜGJ
606ゼロのgrandma:2007/12/16(日) 08:16:51 ID:ac1ONt9l
投下完了です。
こんな早朝なのに!支援ありがとうございました。
途中でサルさんに引っかかった時はどうしようかと思いました。

最後まで頑張りますので、もう少しだけお付き合いください。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:17:11 ID:WoIe49y3
乙&GJ
608名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:22:32 ID:TL4zA9xX
起きて何気なくスレを見てビックリした
でもGJ!
規制かかったかとヒヤヒヤしながら支援し続けてたが戻ってよかったよかった。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:24:41 ID:l40FfD0l
ハラオウンの名云々であれっ?って思ったけどこう来たか!
くそ予想外の展開に次が待ちきれないぜ!
610名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:38:43 ID:aWujS+i/
GJ!!
シエスタには遺伝してないんだろうか。


ところでジーニアス召喚の方に聞きたいんだが……
彼のハーフエルフバレはありますか?
611名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 09:12:43 ID:T+yjD9ac
なんというGJ
grandmaはそういう意味か
612名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 09:33:01 ID:S+iBrcVg
>>561
亀だがポセイドン神殿が崩壊してから描写なしで生き残って
問答無用で冥界まで行くようなお兄さん相手にするだけ無駄
613名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 09:35:52 ID:p28vaFJ6
grandmaの人GJ。
予想していたとはいえ、いざ突き付けられるとぐっと来るものがあるな。
614名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 10:40:39 ID:osfnXwPc
GJ!
615名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 11:09:24 ID:TXFSoAdZ
grandmaの人GJ!!!!!!!
なんとなく予感はしていましたが、いざ知ってしまうと涙無しでは語れませんね………。
なんなんでしょう、このやりきれない思いは……。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 11:18:58 ID:qhVBlfpy
クライドさん生きてたー!!
やっべえしんみりしたっす。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 11:32:42 ID:yXLpjyJz
なのはスキーには特別な名前。
それがクライドさん
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 11:50:13 ID:ywNh10cl
リリカル→grandmaの人と、リリカルコンボ乙っした。

リリカルな人GJ!タバサ可愛いよタバサ。

grandmaの人、まさかクライドさんをここで持ってくるとは・・・・・・。
なのはスキーなだけに、思わずぐっと来たよ。GJ!
619名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 12:29:18 ID:5oeG3+EC
620名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 12:39:34 ID:Dh01ydEL
相変わらず読みごたえのある物を書いてくれるGJ!
621名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 13:04:05 ID:JqsvtOqU
grandmaの人
シエスタがリンディママンを憎む理由、
実はプレシアママンの血縁者だからかなぁ、と思ってました。
大外れっす。
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 13:06:01 ID:mMKJhklT
grandmaの人乙ッ!
623名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 13:37:54 ID:2bmiGBJh
投下GJッス!
まさか……予想はしてたけど本当にクライドさん関連だったとは
以前リンディさんの考察にあった時の流れ云々もしれっと伏線だったんんですね
624名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 13:45:36 ID:5oeG3+EC
グッジョブ!!
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 13:54:11 ID:WOu5oCfe
お疲れさまです。
色々、可能性は考えられたけど
まさかクライドさんとは・・・恐れ入りましたm(_ _)m
626名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 14:12:22 ID:5oeG3+EC
乙でした
627名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 14:33:44 ID:z3jTu9p6
だんな!なんとこりゃびっくり…
628名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 14:52:39 ID:/UpS6qi1
有野課長の天敵レッドアリーマーを召還
629名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 14:54:04 ID:uoE9NQIl
grandmaの人、実にGJでございました。

この世界のシエスタはクライドかプレシアか、どちらかの縁者ではないかと予想はしていましたが、
こうしてはっきりされると泣けるものがありますね……(涙) タイトルの意味が重く圧し掛かって来ます……
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:00:48 ID:5oeG3+EC
>ゼロのgrandma
グッジョブ
631名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:22:02 ID:S+iBrcVg
>>628
パターン掴めば楽勝なんだけどなあれ
632名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:26:36 ID:ivLdohH/
>>628
ナムカプとかデモンズブレイソン参考にすれば結構動かせそうだな
633名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:45:50 ID:5m4cy+kR
両さんを呼べばどうなるか?
634使い魔の中の使い魔:2007/12/16(日) 15:50:25 ID:xkYT3KfM
初めて長編を書きました。
といってもまだ2話分しかできてないんですけど・・・
投下してもいいですか?
635名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:53:10 ID:lnXkGDBc
支援開始
636使い魔の中の使い魔:2007/12/16(日) 15:54:06 ID:xkYT3KfM
「…あんた誰?」
ルイズが召喚した生物は、竜を模した杖を持った亜人のメイジだった。まがまがしい青色の体、赤い宝石のついた首飾り、よく分からない感じの髪形。
亜人というよりは、人型の悪魔といった感じだろうか。
「なんじゃ?相手の名を尋ねるときは、まず自分から名乗るべきだろうに。それに、この竜王にあんたとは、言ってくれるではないか」
「何よ!これから私の僕になる使い魔候補の癖に偉そうに!」
「無理をするな、娘よ。足元が震えておるぞ。」
「ご、ご主人様になんてこと言ってんのよ!」
傲慢かつ尊大な竜王に気圧されてしまうルイズだが、なんとか強気に答えた。
「…まあいいわ。早速私と契約してもらいましょうか」
「契約?一体何を言っておるのだ?」
「こ、こうすんのよ…」
少し赤面しながらルイズは手に持った杖を水銀燈の前で振り何らかの呪文を唱え始める
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
ルイズは思い切り背伸びをし、自分の唇を竜王の唇に重ねた。キスの直後、赤面がかなりひどくなったルイズだが、竜王は顔色人使えない。大人である。
「契約とはキスのことか?そうか。わしと結婚したかったのか」
「違うわよ!あんたを使い魔にする契約よ!だれが結婚なんてするもんですか!」
その後竜王の左手の甲にルーンが書き込まれる。
「これは一体・・・わしの手にルーンが?」
「ねえ、左手、熱くないの?」
「熱い?わしには何のことかさっぱり分からんのだが・・・」
巨大な竜の化身である竜王は、熱にはめっぽう強いのだ。竜王のルーンを確かめるべくに魔法学院の教師、コルベールが駆け寄った。
「これは、何とも珍しいルーンだ」
「まあいいわ!これで契約完了ね!」
ルイズが召喚に成功し喜んでいた時に、竜王はまたも尊大に話し掛けてきた。
「おい、ここは一体どこなのだ?詳しく説明するのだ」
「使い魔の癖に偉そうに・・・私の部屋で説明してあげるわ。ついてきなさい!」
637名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:54:18 ID:aMuA5Oju
支援させていただく
638名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:55:50 ID:ivLdohH/
DQ1か?モンスターズ+か?支援
639使い魔の中の使い魔:2007/12/16(日) 15:56:50 ID:xkYT3KfM
トリステイン魔法学院生徒寮のルイズの部屋。時は既に遅く、天には二つの月が浮かんでいた。
普通の者なら月が二つ浮かんでいることに驚くのだが、竜王の驚いた点はそこではない。
「空が暗くなっている。大魔王ゾーマが世界を支配していたときはこのような闇の世界だったと聞くが・・・」
「ねえ、あなたは一体何者なの?」
まじまじと空を見つめる竜王に、ルイズは話しかけてみた。
「わしはアレフガルド王国を我が手中にするべく、国王ラルス16世の一人娘、ローラを誘拐し、ドムドーラの街を滅ぼした。部下もたくさんおる」
「ふーん。凄いんだ、あんた」
ルイズは竜王を地球でいうヒットラーや金正日程度にしか思っていなかった。
「わしも質問させてもらおう。ここはどこだ?使い魔とはなんだ?」
「教えてあげるわ。ここはハルケギニア大陸のトリステイン王国。この建物はこの有名なトリステイン魔法学院。ここでは魔法を使えるものが貴族、使えないものは平民といった階級制度になっているのよ」
「魔道士が貴族か・・・それは興味深い」
「あなたもメイジのようだから、それなりの扱いはしてあげるわ。次は使い魔の説明ね。まず第一に!使い魔は主人の目となり耳となる能力が与えられるわ!」
「わしの見たものがそなたにも見えると言のか?」
「物分かりがいいわね」
「それで何が見えるか?」
「…怖いほどよく見える。普段見えないような変な物まで…」
「なんだ?その変な物とは」
「・・・お化け。帽子をかぶって舌を出してる」
「それならまったく気にすることはない」
「あとそれから使い魔は主人の望む物を見つけてくるの。例えば秘薬とか」
「き、貴様はわしに物探しをしろというのか・・・!」
「だってそれが使い魔・・・ひっ!ご、ごめんなさい・・・生意気なことを言ってすみませんでした・・・」
竜王の迫力に押され、思わず泣きながら謝ってしまったルイズであった。
「まあよい。そんなものを探すのはたやすいことだ。わしの気が向いたら探してやってもよいぞ」
「えっ・・・?」
契約をする際に、主人に対する親しみを使い魔に無意識のうちに刷り込むことができる。所詮使い魔は使い魔。
ご主人に逆らうことなど不可能。・・・というルイズの考え方はまったく的外れ。
竜王はハルケギニアのことをまだあまり知らない。見知らぬ地で事件を起こすのはあまりにも無謀と考えたのだった。
数カ月後には、この地を我がものにしようと企んでいる。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:56:58 ID:vwNnF0mC
sageって小文字じゃないとダメなんじゃないの? 支援
641使い魔の中の使い魔:2007/12/16(日) 15:57:38 ID:xkYT3KfM
「そしてこれが一番なんだけど…」
ルイズはほっと一安心し竜王に説明をし続けた。
「なんだ。言ってみろ」
「使い魔は主人の守護を担う存在の。その能力で敵から主人を守ることが最も重要!」
「ほう、守護か」
「あんたはとても強そうなメイジだけど、さすがにドラゴンやグリフォンは・・・」
「グリフォンは知らぬが、ドラゴンはわしだ。安心しろ。わしに倒せぬものなどない」
「何を言っているのか全然分からないわよ!あんたはドラゴンの杖を持っているけど、ドラゴンそのものには見えるわけがない。
あんたはドットメイジの私が召喚したのだから、あんたもドットメイジでしょ?」
「わしは8のようなポリゴンよりも従来のドット絵の方が好きだ。」
「は?」
ルイズには竜王が何を言っているのかまったく分からない。ポリゴン?ドットエ?
「もしかしたらスクウェアメイジ・・・」
「ファイナルファンタジーを出す前は、倒産するかもしれなかった。任天堂にも嫌われ、エニックスとコンビをなぜ組めたか不思議でならんわい」
話がまったくかみ合わない。とにかくニンテンドーという言葉の意味が分からない。
おかしな会話をしている間にもうすっかり夜になった。そこが問題である。
もともとこの部屋はルイズ一人しか住んでいない。ベッドも一つだけ。
自分はベッドに寝ればいい。しかし竜王は・・・
使い魔とはいえ彼はルイズと同じメイジ。さすがに床で寝かせるわけにもいかない。
もしかしたら自分より各が上かもしれない。一つのベッドに…2人で一緒に寝るしかないのだが・・・彼はどうみても男性。
一緒にベッドに入るのは恥ずかしい。となると、自分が床で寝るしかない。
「あの、リューオー」
「何だ。これからわしは外に出て散歩をしようと思うのだが」
「今から、散歩・・・?」
「そうだ。このように闇に閉ざされた世界をすばらしいと思わんか?」
「でも夜は寝ないと・・・」
「なぜだ?たいして疲労もしておらぬのに寝るのか?」
竜王のもといた世界、アレフガルドには、昼や夜といったものが存在しない。たとえ何十時間がすぎようとも、空は明るいままだ。
睡眠は、戦闘等で疲れた時のみにとればいい。最も、ゾーマが世界を支配していたころは、逆に何十時間がすぎようとも、空が暗いままだったのだが。
竜王は暗い夜道を一人で出かけてしまった。こうして、竜王に気を遣うことなくルイズは一人でベッドで眠ることができたのであった。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 15:58:36 ID:0MAUcSVW
>水銀燈
余所からコピペっすか…
643使い魔の中の使い魔:2007/12/16(日) 15:59:24 ID:xkYT3KfM
今日の分はこれでおしまいです。
支援ありがとうございました。
644使い魔の中の使い魔:2007/12/16(日) 16:02:50 ID:xkYT3KfM
>>638
DQ1です。
>>642
ゼロのミーディアムを参考にしながらつくりました・・・
645名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:04:09 ID:5oeG3+EC
乙です
646名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:06:50 ID:5oeG3+EC
グッジョブ!!
647名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:18:18 ID:qi9j+G0+
>>644
コピペ改変は御法度だぜ。面白そうなんで期待はしているが、そういうことはしないでくれ
648名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:20:05 ID:jlYJfNIb
A.意図的行為のage荒らし

B.今時、専ブラ使わずIE使ってるネカフェ厨でネット超初心者

のどちらかか?
649名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:22:27 ID:hSi2APpM
>>644
二次創作なんだから人の作品じゃなく原作を参考にしろよ。
しかも参考にしたって、お前の作品のどこに水銀燈なんて単語が出てくる余地があるんだ?
コピペして細部を改変しただけなのが明白じゃないか。

>>648
いつもの荒らしです。本当にありがとうございました。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:24:18 ID:EDcZ3ft/
Bだと思いたいけどな。
とりあえずsageはしたし。
651名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:29:48 ID:r6DwMI2h
まあまあ、初めてみたいだしそんな目くじら立てんでも。
次から直してくれれば良いと思うよ。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:37:42 ID:ryUr7r0j
あえて中身の方を言おう

この竜王って誰?というか何?
ゲームのキャラクタを真似している何か?
それともこういうメタなギャグとばすガンガンかどこかの作品の主人公?

DQ1の竜王だったらこんな台詞言わないだろ
653名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:39:12 ID:5oeG3+EC
コピペは良くない
654麗しの貴族・C:2007/12/16(日) 16:40:23 ID:qlXL0ryl
では、ここで空気を読まずに(?)投下しよう。およそ1ヶ月半ぶりだ。
655名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:40:51 ID:vwNnF0mC
まあ確かに作品名とキャラ名は明記して欲しいかな
これでDQ4コマの竜王だったら爆笑するw
やあ諸君、一足早くメリークリスマス!
僕の名は麗しき貴族、プリンス・趙公明! 大変ながらくご無沙汰したね!
親切なサンタクロースがこの僕を、キミたちに届けに来たよ! どうか受け取っておくれ!!


前回のあらすじ:『打神鞭』を持ったワルドが趙公明と決闘。夜、フーケ襲来。

「嘘!? 貴族派の刺客!? でも、こんなに早く気付かれるハズは」
「内通者だな。王女の側近にも、すでに『レコン・キスタ』の長い手が伸びているようだ」

あの巨大な岩のゴーレムの使い手は、女盗賊『土くれ』のフーケだ。肩に乗っている。
「おやおや、キミは僕たちに捕縛され、チェルノボーグの監獄とやらへ収監されたそうだが」
「見る目のある人はいるものねぇ。救出されちゃったのよ、プリンス」
よく見れば、彼女の傍らには白い仮面をつけた黒マントの長髪という、怪しさ大爆発の人物がいる。
アルビオン貴族派連合『レコン・キスタ』の刺客であろう。趙公明はワクワクしてきた。

「もうあんたのツタには負けないよ! 残念だけど、潰れっちまいな!!」
ゴーレムの腕が鋼鉄でコーティングされ、月光を浴びてぎらりと輝く。
ルイズを抱き上げ、一緒に部屋の中へ飛び込む。ゴーレムの巨大な拳が岩のベランダを粉砕した。

下の階は、灼熱の炎に包まれていた。
キュルケが『火竜の杖』を投げ、業火を放っているのだ。こちらもいきなり傭兵たちが襲ってきたという。
しかし、所詮平民の集団。キュルケ・タバサ・ワルドという強力なメイジと、宝貝の力には容易く敗走する。
ギーシュ? ああ、そんな人もいましたね。フレイムも喜んで炎を吐き、業火の中で戯れているが。
「ははッ、楽勝ね! 炎でこの私に敵うやつは、ちょっといないわよ!」
「……まだ、いる」

タバサの警告に、趙公明が反応した。火炎の向こうから多数のマジックアローが襲来する!
「「風よ、盾となれ!」」
ワルドとタバサが、『風の盾』を作って矢を防ぐ。ゆらりと現れたのは、頭にバンダナを巻いた若い男。
「キミは……僕の弟子であった、劉環じゃないか! 僕に歯向かう気かい?」

劉環。ある女性への歪んで行き過ぎた愛(ストーカー行為)によって、道を誤って死んだ悪しき仙道。
その手に持つのは、魔法の火矢を放つ『万里起雲煙』なる弓型宝貝である。
今は封神され、火部の神・接火天君となっているはずだが。
「……ブツブツ……うるせぇよ……オラ死ねやてめぇるらァァ!!!」
劉環は完全に自分を見失っている。ただ殺戮のためだけに、彼は召喚されたのか。
周囲の火炎をヒョォオオと吸い込み、炎を纏ってやや体つきが大きくなった。
『万里起雲煙』の威力もアップしている。前門の虎、後門の狼か。

「プリンス! 貴方の知り合いは、個性的ですな!」
「褒め言葉と受け取っておくよ。では大人しく、華麗に倒されたまえ劉環くん!」

フーケのゴーレムがバリバリと屋根を破壊して、酒場まで侵入しようとする。
趙公明は華麗なステップを踏みながら、『縛竜索』で劉環の両手首を締め上げ、あっさり宝貝を奪い取った。
「うごおおおおおお!! どうしていつも! どいつもこいつも! 何でもかんでも!!
 俺の邪魔をするんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!」
劉環が眼と鼻と口から火炎を吐きながら襲い掛かる。それをタバサが、『氷の槍』で串刺しにした。

「あ・ああああ・あああああああ……!!!」
劉環の仮の肉体はバサッと崩れ、一握りの灰となる。その狂える魂魄は封神されず、ふらふらと迷い出た。
しかしワルドの持つ『打神鞭』に吸い寄せられ、バシュッと音を立てて消えた。封印されたようだ。
「リューカンを倒したわ! やるわねタバサ、お手柄よ!」
一方ギーシュは、ヴェルダンデと抱き合って腰を抜かしていた。

「ふうむ、アルビオンにも『神界』の者たちが召喚されているのかな。それに、この魂魄……。
 だがまずは、このゴーレムを片付けなくてはね」
趙公明は『万里起雲煙』を拾い上げると、迫り来るゴーレムへ向けて火矢を放つ。
強大な彼の霊力と『ガンダールヴ』の力により、火矢は竜のような頭を備え、鋼鉄をも熔かして穴を空けた。
「流石に、全部を砕くのは難しいが……脚を狙えば」
ゴーレムの片脚が火竜矢の集中砲火を喰らい、破壊された。当然巨大なゴーレムは自重を支えきれず、
ズシィンと転倒してしまう。フーケは舌打ちして飛び去った。

「分断さえも無理か……まぁいい、時機を待とう」
仮面の男は、戦いが終わったのを見届けると、風に溶けるように姿を消した。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:48:38 ID:ryUr7r0j
支援を
翌朝。酒場と宿屋が全焼崩壊してしまったので、一行は別の宿に移り、疲れを癒す。
宿は趙公明の『福の神』効果で千客万来、燃えた宿屋と酒場も即座に寄付金が集まり、
一晩でオリエンタルかつゴージャスなスーパーホテルが建ち上がった。無論、コーディネートは貴族C氏である。
名づけて『ウルトラスーパーワンダフリャ大回転海老反りハイジャンプ女神の杵メガデス』亭。

「さて、諸君。それではアルビオンへ向けて出航だ!」
「「おう!!」」
アルビオン行きのフネ(飛行船)は『風石』で飛行するが、アルビオンが最大限ハルケギニアに近付くのは、
二つの月が重なる『スヴェルの月夜』の翌朝、つまり今朝である。『風石』で飛べるのは、それがギリギリの距離だ。
タバサのシルフィードなら、フネに乗らなくても飛んでいけるが、流石に定員オーバーだろう。

店を出て、長い石段を上りきると、丘の上に出た。山のように巨大な樹が、四方八方に枝を伸ばしている。
「ほう……樹齢は数千年ではきかないな。『世界樹』というものか……」
「今は枯れていますが、フネの発着場、いわば『桟橋』として利用されています」
樹の枝にぶら下がっている、木の実のようなものは『フネ』だ。
『桟橋』の巨樹の根元は、ビルの吹き抜けのように空洞である。
各枝に通じる階段には、鉄でできたプレートが貼ってあり、行き先を知らせる文字が書かれている。

フネ(飛行船)にはたどり着いた。予約していた商船『マリー・ガラント』号である。
ワルドは急ぎ出港の手続きをする。使い魔たちは船内に専用の厩舎があるそうだ。
今日の夕刻にはアルビオンのスカボロー港に到着予定である。そこからニューカッスルまでは、しばらくあるが。
乗員乗客の間では、行き先・アルビオンの噂で持ちきりだ。 明後日にも王党派への総攻撃が開始されるらしい。

「ふむ、総攻撃が始まる前に、その城に着いて手紙をもらわねばならないわけだね」
「……ねぇ、王党派に勝ち目はないの?」
「貴族派の軍勢はいまや数万人だが、王党派はたったの300。最初から勝ち目はないさ。
 残念ながら、六千年にわたるテューダー家の王統も断絶してしまいそうだ。ま、歴史の流れには逆らえないさ」
「ワルド子爵! 少々聞き捨てなりませんが」
「僕は別に『レコン・キスタ』じゃあないが、アルビオンに恩義があるわけでもない。
 反乱を防げなかった王家にも問題はあったんだろう。でも、我がトリステイン王家は不滅だよ」
「そーよ、所詮この世は弱肉強食。我がゲルマニアの皇帝陛下なんて、成り上がりもいいとこよ」
「…………。」
660名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:50:12 ID:4CuWfWOX
しえしえ
眩しい青空の中、雲の上を『マリー・ガラント』号は飛んでいく。地上から約3000メイルもの高さだ。
ルイズの一行は一等船室で寛いでいる。そして、夕方。
「アルビオンが見えたぞーーっ!!」
船員の声が、伝声管経由で船内に響いた。一行は揃って窓の外を見る。

『浮遊大陸』アルビオン。大きさはトリステイン王国と同じぐらいだが、細長い形をしている。
空中を浮遊して洋上を彷徨い、月に何度かハルケギニアの上にやってくる。
大陸からあふれ出た水が白い霧になり、大陸の下半分を覆っているところから『白の国』の名がある。
「ほほう……我が失われた金ゴウ島より、大きな大陸だ。内部に巨大な『風石』でもあるのかな?」

と、突然見張りの船員が、再び大声をあげた。
「う、右舷上方の雲中より、不審船接近ーーッ!!」
近づいてくる黒い船は、舷側からいくつも大砲を突き出していた。
「アルビオンの反乱貴族たちの軍艦か?」「いや、王党派では」「フネなんてあっちに残ってたか?」
乗員乗客がざわつく。こちらには最低限の武装しかない。

「この旗を見ろ、俺たちはアルビオンの『空賊』だ! 抵抗するな! 積荷をよこせ!!」
黒い船の甲板で、荒くれ男が停船を呼びかける。続いて鉤爪のついたロープが放たれ、舷縁に引っかかる。
たちまち武装した男たちが、ロープを伝ってフネに乗り移ってきた。悪名高いアルビオンの『空賊』である。
「なんてこと、もうすぐなのに!」
ルイズは杖を握り締めた。しかし、現れたワルドに止められた。
「止めておくんだ! 敵は空兵だけじゃない、砲門もこちらを狙っている。メイジだっているかも知れない」

ずいっと趙公明が進み出る。
「では、ここで僕の出番というわけだね。なあに、盗賊風情ならばどうということはない。
 ちょっと無傷であのフネをもらってしまおう。ワルドくんたちは、乗り移ってきた奴らを捕らえてくれ」
「プリンス!? お、おやめ下さい!」

趙公明は鞭とツタを伸ばし、逆に空賊のフネへと乗り込んでいく。隣の部屋に入るぐらい気安く。
「あぁ? なんだァ、テメエ!! 貴族様が何の御用だァ!?」
「降伏でもしにきやがったのかァ? それともアレか? 貴族派に付いて王党派と戦えってか?」
「安心したまえ、命を奪う気はない。さて『飛刀』くん、久し振りに出番だよ」

趙公明が袖口からズズッと妖剣『飛刀』を取り出す。どう見ても袖の中に納まるサイズではない大剣だ。
「なんだァ? 手品師かオメエ!? こ、この『イーグル』号にもメイジは沢山いるんだぜ!?」
662名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:53:28 ID:7V9FZpbA
趙支援
『飛刀』に趙公明の霊力が注ぎ込まれる。剣身が妖しく輝き、一人の美女の立体映像が出現した。
「さあ、幻の美女よ。少し彼らに礼儀を教えてやりたまえ」

美女は魅惑的に舞踊を初め、空賊たちは思わず集まって見惚れる。なぜかBGMつきだ。
その隙に趙公明は足元から根を伸ばし、ジワジワとフネ全体を覆っていく。
美女が舞い終わると、空賊たちは全身を木の根によって縛られ、吊り下げられているのだった。
「『マリー・ガラント』号の諸君!! もう大丈夫だ、このフネは占拠した! 曳航して連れて行こう!」

どちらのフネの乗員乗客も、狐につままれたような表情だ。
捕虜全員が集められると、空賊の頭領らしき髭面の男に、趙公明が声をかけた。
「キミが船長かな? どうせ盗品なら、積荷は全部貰って、アルビオンへの手土産にしよう」
震えながら船長が聞き返す。
「さ、然様です! あ、あの、旦那様は貴族派で? それとも王党派で? まさかエルフじゃあ……」

趙公明は『にこっ』と笑う。なんとも恐ろしい、爽やかな笑顔である。
「フフフ、僕たちはどちらでもない、ただ物見遊山に来た外国の貴族さ。どちらに付くかは、見てから決める」
「が、外国? ま、まさかトリステイン王国の、謎の貴公子様じゃあ……!!」
「随分有名になったものだな。実はそうなんだ! 我が名はプリンス・趙公明!!(ヴァッヴァヴァアアアン)
 ……さ、キミも名乗りたまえ」

「……いえ、お話があります、トリステインの貴族がた。船室へ僕を連れてきて下さい」
頭領の口調と声が急に変わった。全然顔つきに似合わない、貴族的な口ぶりだ。
その頭領は甲板から船室に移されると、縄を解かれた。すると、べりっと覆面を剥ぐ。
「ようこそ、歓迎しよう。我らが頼もしき味方よ!」
髭面の覆面の下は、似ても似つかぬ金髪の凛々しい青年。空賊の頭領の正体は…。

「あ……貴方は、まさか、ウェールズ皇太子殿下!!?」
「いかにも。私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。お見苦しいところを見せたね」
もう一人の『プリンス』は頭を掻き、苦笑する。ルイズたちはさっきから驚かされっぱなしだ。

「いやあ、今や空賊でもしないと軍需物資が足りなくてね。我が王家の先祖も、空賊をしていたこともあると言うし。
 積荷を貰ったら、どこかで解放するつもりだったんだが、逆に捕まるとは思わなかったよ。
 それで、キミたちは……?」
664名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:53:45 ID:5Goqzw5n
支援
ルイズたちは佇まいをただす。ようやく目的である皇太子に、謁見できたのだ。
「お初にお目見えいたします。私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。
 トリステイン王国のアンリエッタ姫殿下より、この密書を言付かって参りました」
恭しく一礼すると、ルイズは懐から手紙を取り出す。

「少し待ちたまえ。ひょっとしてその指輪は『水のルビー』かな? 確かめたい」
ウェールズは自らの指に光る『透明な宝石』の指輪を外すと、ルイズの指に嵌っている『水のルビー』へ近づけた。
すると二つの宝石が互いに反応し、美しい虹色の光を振りまいた。
「殿下、これは……?」
「この指輪は、我がアルビオン王家に伝わる『風のルビー』だ。
 キミのは、トリステイン王家に伝わる『水のルビー』。ともに始祖から授けられし秘宝。
 水と風は『虹』を作る、王家の間に架かる橋さ。なるほど、確かにアンリエッタが送ってきた本物の大使のようだ」

ウェールズはルイズから手紙を受け取ると、花押に接吻し、封を解いて便箋を取り出す。
そして真剣な顔付きで手紙を読み始め、読み終わると顔を上げた。

「そうか、姫は結婚するのか……あの愛らしいアンリエッタ、私の可愛い従妹が、野蛮なゲルマニアに……。
 姫は、私の手紙を返して欲しいと告げている。姫の望みは私の望みだ、承知した。
 ……だが、今手元には件の手紙はない。我が『ニューカッスル城』にあるのでね。
 多少面倒だが、このままニューカッスルまで足労願いたい。恐らく最後の客人だ、歓迎しよう」
「あの『イーグル』号で行くのだね。では、『マリー・ガラント』号も同行させよう!
 せっかくだし、諸君に積荷をプレゼントしなくてはね。福の神としての使命さ」

こうして、2隻のフネは進路を変え、直接ニューカッスルに向かう。
総攻撃は近い。警戒網を潜り抜けるのも一苦労だ。全長200メイルはある巨艦も見えた。

「……あの巨艦は、我が王国最大の軍艦であった『ロイヤル・ソヴリン(王権)』。
 しかし、あのフネで起きた反乱が全土に飛び火し、今やこんな有様さ。
 『レコン・キスタ』では、戦勝地にちなんで『レキシントン』と呼んでいるそうだ。
 我が国の『王権』も、共和制革命とやらの前に失われようとしているのかな……」
ウェールズは、独り言のように呟いた。

(つづく)
666名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:56:43 ID:xkYT3KfM
>>652
竜王のセリフが変なのは、アニメのローゼンメイデンの水銀燈の、乳酸菌とってる〜?見たいなオリジナルな物があったらいいと思って書きました。
ゼロのミーディアムの水銀燈も、オリジナルのキャラが言わないようなギャグを言ってましたし。
667貴族:2007/12/16(日) 16:57:29 ID:qlXL0ryl
投下終了、支援に趙・感謝! フジリュー版『屍鬼』、結構面白いな。フジリュー全開だけど。
数日後には続きを投下できる予定です。では、また。
668使い魔の中の使い魔:2007/12/16(日) 16:59:12 ID:xkYT3KfM
下げるのと名前書くの忘れてた。
669名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:59:49 ID:TL4zA9xX
あら、支援しそこねた
ともあれGJ!
あと宿の名前で妹強度・五六億七000万シスター思い出した
670名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 16:59:54 ID:hePTBYGe
乙ッス!

1月半というそこまで長くない空白期間がここまで長く感じるなんて…
このスレっていつも異状だよなスピードが…
671名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:02:32 ID:vwNnF0mC

なんであの組み合わせなんだろう……ってのはクロスssスレの住人は思っちゃいけないことかw


>>666
とりあえず君は一回落ち着いて書き込む内容を確認する癖を付けた方がいいと思うよ
メ欄とか
あと、魔王っぽいレス番おめでとう
672名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:04:04 ID:j1fs0ogF
>>666
とりあえずもうひっこめ
673名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:04:35 ID:j1fs0ogF
>>667
674名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:11:52 ID:ryUr7r0j
趙の人投下乙
相変わらずのノリで安心した。

>>666
あー反応に困る回答だが
ようは決め台詞のような特色をつけたかったと理解して良いのかな

だったら竜王の台詞の中で印象深い「世界の半分をおまえにくれてやる」等を捻った方が
良かったと思うよ

そのほうが「らしさ」が出てくるから
675名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:23:49 ID:TIzWbxmE
おまいらいったい何様だとw
676名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:25:26 ID:LMf2eb53
ジョルジュ長岡「おっぱいの半分をおまえにくれてやる」
オスマン「のった!」
677名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:25:35 ID:5oeG3+EC
支援
678名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:32:52 ID:I6b4FP3r
おろかものめ。
おっぱいはりょうほうがそろってこそ、おっぱい。
はんぶんではいみがない。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:42:42 ID:D2eF87Pe
やあ、投下していいかい?
よかったらちゃっちゃと投下しちゃうよ。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:44:01 ID:5oeG3+EC
了解支援
681ゼロ・HiME 代理:2007/12/16(日) 17:44:17 ID:D2eF87Pe
本スレOCN規制で書き込めんので、9話前半をこちらにトウカしま。
どなたか代理投稿よろしくお願いします
682名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:44:30 ID:j1fs0ogF
恵心の章
 ルイズ達はロングビルを案内役に早速出発した。
 馬車は道中での襲撃があった場合に備えて運搬用の荷馬車を使い、自ら御者を買って出
たロングビルに手綱を任せて現場に向かった。

 ちなみに出発前にどこからか静留もフーケ討伐に行くことを聞きつけたギーシュが自分
も同行させろと騒いだが、額に青筋を立てたモンモランシーによって阻止された。その後、
彼がどうなったかは神のみぞ知る……。


 「そう言えば、なんでロングビルはんが御者してはるん? 貴族さんらはこういことせ
えへんような気がするんやけど」

 静留が御者席で黙々と手綱を握るロングビルに向かって話しかける。学院の下働きや衛
兵達以外=貴族と認識していた静留は、てっきり彼女も貴族だろうと思ってそう尋ねたの
だが――

 「いえ、わたくしは貴族の名を無くした者ですから……」

 ロングビルは静留の問いに、どこか諦めの入った表情で微笑んだ。

 「え? だけど貴女は、オスマン氏の秘書でしょう?」

 横で二人の話を聞いていたルイズが不可解だという表情でロングビルに尋ねる。

 「ええ、でもオスマン氏は貴族や平民だということにあまり拘らないお方ですから」
 「へえ、貴族いうても色々なんやねえ」
 「まあ、いささかセクハラが過ぎるのが欠点ですが」

 感心するような静留の言葉に続いてロングビルの口から放たれた忌憚ないオスマンの人
物評に皆が苦笑した。
 そうこうしている間にも馬車は薄暗い森の中へと入り、やがて、馬車道が途切れたあた
りで停止した。

 「ここから先は、徒歩で行きましょう」

 ロングビルの言葉に促されて馬車を降ると、ルイズ達は馬車道から続く小道を辿って更
に森の奥へと向かう。
 程なく一行は開けた場所に出た。それなりの広さのある草原で、真ん中ぐらいに元は木
こりの炭焼き小屋だったと思われる朽ちた廃屋があった。

 「わたくしの聞いた情報だと、あの廃屋に潜んでいるようです」

 ロングビルが廃屋を指差して言う。一行は廃屋近くの茂みに移動して身を潜めると、タ
バサを中心に作戦会議を行う。

 「ほな、うちが合図したら打ち合わせ通りに……デルフはん、いきますえ」
 「おうよ、姐さん」

 作戦会議の結果、偵察にいくことになった静留は背中のデルフリンガーを鞘から抜くと、
廃屋へと近づく。
 窓に近づいて中を覗くと、そこには家具や空の酒ビンが雑然と転がっているだけで人の
姿はない。 さらにドアを薄く開けて覗き込んで確認するが、やはり誰も居なかった。

 (妙やね……使われとる様子も、だれぞいた形跡もあらへん……)
 
 静留は小首を傾げるが、誰もいない場合の合図を送って皆を呼び寄せる。
 
 「では、私はこの辺りを偵察してきますので」

ロングビルはそう言うと森の中に消えた。
 ルイズに外の見張りを任せ、廃屋に入った静留、キュルケ、タバサの三人はフーケの残
した手がかりがを求めて家捜しを始めた。
 そして、タバサが壊れかけたベッドの下にあった1メイルほどの細長いチェストの中か
ら『破壊の杖』を見つけ出した。

 「破壊の杖……」

 タバサは確認するように呟き、チェストの中に鎮座する『破壊の杖』を無表情で指差す。

 「なんだか随分とあっけなく見つかったわね」
 「……これが破壊の杖なん?」
 「ええ、間違いないわ。以前、宝物庫を見学した時に見たもの」

 静留の問いにタバサがコクリと頷き、キュルケが肯定する。静留は『破壊の杖』をまじ
まじと見つめると、眉根を寄せて考え込んだ。

 (……なんでこないなもんがこの世界にあるんやろ?)
   
 「きゃあああああ」
 「……!」

 ふいに外から見張りをしていたルイズの悲鳴が聞こえ、全員が廃屋の外へと飛び出すと、
そこには地面からむっくりと起き上がってくる土ゴーレムの姿があった。

 「ゴーレム!」

 キュルケが叫ぶと同時に、タバサが呪文を放つがゴーレムはびくともしない。ついでキ
ュルケが呪文を唱えたが結果はやはり同じだった。

 「無理よ、こんなの」
 「退却」
 
 状況が不利と判断したタバサは冷静にそう呟き、口笛を吹いてシルフィードを呼び寄せ
ると、その背に乗るように皆をうながす。

 「ルイズ様、逃げますえ」

 静留はルイズを抱きかかえてシルフィードに向かおうとするが、ルイズは腕の中でバタ
バタと暴れて抵抗した。

 「シズル、放して! あのゴーレムは私が倒すんだから!」
 「ルイズ様、無茶言うたらあきまへん! 破壊の杖はもう回収したんやし、戦う必要は
ありませんえ」
 「もう逃げるのは嫌! 私は貴族よ、魔法を使える者が貴族じゃない! 敵に後ろを見
せない者を貴族って呼ぶのよ!」
 「――ルイズ様!」

 ルイズは静留の腕を振り払うと、ゴーレムに向かって走り出した。それを感知したゴー
レムが足を振り上げ、ルイズを踏み潰そうとする。
 ルイズは呪文を放つがやはりゴーレムには通用せず、その拳がルイズの眼前に迫る。ル
イズは目をつぶってしゃがみ込んだ。

 「……っ!」

 次の瞬間、静留がゴーレムとルイズの間に飛び込んで、ゴーレムの足をデルフリンガー
で弾き返すように切り裂くと、ルイズを片手に抱えて後方に飛びのいた。バランスを崩し
たゴーレムは後方にひっくり返り、周囲に土煙が舞い上がる。
685名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:45:28 ID:j1fs0ogF
支援WAP
686名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:45:35 ID:aWujS+i/
支援。SO2のレオン召喚してえなー。
 「……シズル?」
 「さあ、ルイズ様! 今のうちにはようタバサはんの竜の所へ! 」
 
 静留は抱えていたルイズを地面に下ろすと、ゆっくりと再生しはじめたゴーレムに向け
てデルフを構えた警戒態勢のままで移動を促す。
 
 「で、でも、わたしは……」
 「ルイズ様、勇敢さと無謀さを履き違えたらあきまへんえ。ここにきた目的は『破壊の
杖』の回収ですやろ? だったらルイズ様は余計な心配せんと杖を持って帰ることだけ考
えればええんどす。露払いはうちがしたりますさかいに」
 「姐さんの言うとおりだぜ、娘っ子。分かったなら、さっさといきな!」
 
 静留とデルフの言葉を受けてルイズが立ち上がると、そこにキュルケとタバサを乗せた
シルフィードが舞い降りた。
 
 「ルイズ、乗って!」
 「あなたも早く」

 キュルケがルイズの手を掴んでシルフィードの上に引き上げ、タバサが静留に声をかけ
る。
 しかし、静留はシルフィードには乗らずに、動き出だしたゴーレムの方に向かっていく。

 「――シズル!」
 「心配せんでもあの木偶の坊を倒したら、すぐに追いかけますさかいに。タバサはん、
ルイズ様を頼みましたえ」

 静留は振り返ってシルフィードの上から怒鳴るルイズに答えると、タバサに先に行くよ
うに合図を送る。

 「分かった……」

 タバサは一瞬、躊躇するような表情を浮かべたが、すぐにこくりと頷き、シルフィード
を飛び上がらせた。

 「姐さん、危ねえ!」

 デルフが叫ぶと同時に静留の足元の地面が波打つようにうねり、そこにゴーレムの右の
拳が振り下ろされる。
 
 「……くっ!」
 
 間一髪、静留は横に跳躍してゴーレムの拳をかわす。一瞬、拳が地面にめり込んだ衝撃
でバランスを崩しかけたものの、なんとか無事に着地する。

 「やれやれ、このあたしが仕留め損なうとは、随分とヤキが回ったもんだ」

 ふいに森の方から女の声がしたかと思うと、黒いフードとローブを身に纏った人物が草
原に姿を表した。

 「ようやっと姿を表しはりましたな、『土くれのフーケ』はん」
  
 静留に声をかけられたその人物――土くれのフーケは、それに答えずに無言で杖を振る
う。するとゴーレムは表面を土から鈍い光沢を放つ鋼鉄へと変化させ、先ほどの鈍重さが
嘘の様なスピードで静留に襲い掛かった。
688名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:46:10 ID:j1fs0ogF
四円
689ゼロ・HiME 代理:2007/12/16(日) 17:46:14 ID:D2eF87Pe
以上で9話前半終了です。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:46:17 ID:5oeG3+EC
支援
691名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:47:11 ID:5oeG3+EC
692名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:48:10 ID:j1fs0ogF
乙カーム
693名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:49:50 ID:5oeG3+EC
代理乙です
694予告無しで投下:2007/12/16(日) 18:12:50 ID:cYUacWcS
ゼロティック ドーン

「私の名前はヘルプおやじ」
「平民・・・最悪だわ」

そしてルイズの脳に送られてくる使い魔のスペック
「お助け人?ヘルプおやじ?」

ヘルプおやじはその類まれな防御力でもって
決闘を仕掛けてきたギーシュを容赦なくぶん殴り

マルトーのおやじから我らのお助け人と絶賛され

ワルドを見るやいなや
「敵だ、倒せ!」 と叫び、半殺し
ライトニングクラウドを繰り出すも攻撃が全く効かず
ワルドはグリフォンに乗って退散したのであった

そしてアルビオンへ向かう道中、矢が飛んできても全くダメージを受けずに傭兵に突っ込んでいきタコ殴りである

アルビオンでワルドが突如「ウェールズの命は頂いた」などと宣言して魔法を使ってきた時も突っ込んでいきたこ殴り

さすがに七体からの連続魔法攻撃にはおやじも体力が半分ほど減ったが
一体ずつタコ殴りにして見事撃退したのであった

その後、ルイズが虚無の魔法に目覚めると用が済んだのかどこぞに消えてしまった

「ヘルプおやじ・・・」

そして、学院に戻るとおやじは部屋に当然のごとく居座っていたのであった
そしてルイズが話しかけると
「ついて行こうか?」
ヘルプおやじは平然と問いかけるのであった

この後、学院の生徒達のヘルプに活躍するのだが
それはまた別の物語

ルナティックドーン より ヘルプおやじ
695名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 18:14:29 ID:05Bi8O2h
>>694
せめて予告ぐらいしろ
696名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 18:16:12 ID:j1fs0ogF
今日のNG

ID:cYUacWcS
ID:xkYT3KfM
697名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 18:18:25 ID:5oeG3+EC
乙です
698170 180:2007/12/16(日) 18:21:28 ID:K/09Jr7Q
ええっと、反対無いようなので入れちゃうよ?

もっとも戯曲の方はタイトルが無いんで保留にしとくが。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 18:37:50 ID:D2eF87Pe
>>698
おっけい
700名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 19:05:30 ID:AZXi1AAp
>651
初めてだったらパクリが許されるのかよ
アタマ大丈夫か?
701170 180:2007/12/16(日) 19:05:38 ID:K/09Jr7Q
4の出来たページをリンクさせるがヘルプを見ても良くわからない、
猿な自分の為に誰か暇な人たのんます。
14スレの40です。
702名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 19:35:04 ID:09S5AuiV
>>700
『パクリは二度としない』
これでいいだろ。またやるようなら荒らし認定だけど。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 19:40:18 ID:w5cRERA1
>>701
まとめwikiに関しちゃ避難所行け。
本スレは流れ速いから気付きにくい。
しかも過去ログ倉庫もなくなってるからまとめられる人間少ないぞ。

まったく・・・とりあえず「邪気乳」はまとめておいた。
次からは避難所で依頼するんだな。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 19:52:38 ID:5oeG3+EC
乙です
705名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 19:56:22 ID:8iOfzQGA
コピペ改変がまかり通るのは
面接ンデレみたいなネタの新規作成のみ
「オレならこう改変する」みたいなネタ合戦ならそれもアリ
あくまで小ネタにしか通じない例外だがな
706170 180:2007/12/16(日) 20:01:48 ID:K/09Jr7Q
>703

乙です、どうもすみません。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:11:31 ID:/VE+OPtP
>>705
小ネタでもそう言った場合にしか当てはまらないだろうな。
それ以外でやっちゃうとパクリを通り越して盗作と言われても仕方が無い。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:22:32 ID:vwNnF0mC
代理投下してみたいと思う
今は大丈夫かな?


80 :オッツ・キイムの使い魔:2007/12/16(日) 19:54:18 ID:q//.nYSk
前回は代理投下と支援の数々、本当にありがとうございました。
まだ規制が解かれないようなので、今回も代理投下お願いします。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:26:56 ID:05Bi8O2h
本当ocnは多いな…
まあyahooより少ないとは思うが……
710オッツ・キイムの使い魔1/5(代理):2007/12/16(日) 20:27:54 ID:vwNnF0mC
 吟遊詩人は歌い伝える。
 その大陸の伝説を―――

 それは白銀の竜。魔物の王。邪悪なる絶望の竜、ディアボロス。それは世界を支配せんとする者。
 雷鳴轟き、風は荒れ、狂った魔物は人を襲った。
 大陸に満ちるは絶望の声。世界は闇に閉ざされようとした。

 しかし暗き闇の中、燦然と輝く光があった。
 それはただ一つの希望。
 それは幼き幼き少年。純白の鳥を連れ、神の剣を携えし者。
 それは闇を切り裂き、絶望を切り裂き、ただ独りで世界を守る、ただ一つの最後の希望。

 神の剣は魔物の王を貫き、希望に絶望は祓われた。
 囚われの姫を救い、ただ独りで世界を救いし少年は、勇者と呼ばれた。


××××××××××××××××××××××××××××××


 平民―――少年の名前はウリックと言った。
 歳は14。黒いボサボサの短髪に、僅かに青みがかった黒曜石のような瞳。
 よく日焼けした肌。太目の眉。背はルイズよりも少し低い。一応筋肉はあるものの、どう見ても強そうには見えなかった。
 頭には帽子のような布。そしてスカーフとマントの中間のような布を首元に巻いている。
 上は、一枚の縦長の布の真ん中に穴を開け、そこに首を通し、腰のあたりを紐で結んでいる感じだ。横から見ると、ぐるぐると包帯(?)が巻かれた胸元が丸見えである。腰の横には短剣が結わえられている。
 ズボンとブーツは普通、かつ質素。しかもボロボロ。
 この不思議な服装は、ウリックの出身地、アツィルト大陸のもの。
 両手首に巻かれた包帯のような布も、怪我とかではなくて、ファンエティレネという地方の習慣らしい。
 そしてウリックは貴族や魔法使い(ウイザード)や僧侶(クレリック)ではなくて、何の能力もない、その上住む場所も仕事もない、根無し草の旅人だそうだ。とても残念なことに。
 現在は世界を知るための旅の途中で、レムと一緒に、オッツ・キイム中を渡り歩いている―――。


「…ちょっと待って」
「え、なに?」
 ルイズの制止に、ウリックは不思議そうに首を傾げた。
 ランプの明かりが、室内の3人、ルイズとウリックとレムを照らしている。
「オッツ・キイムの、アツィルト大陸の、ファンエティレネ…?」
「うん。あ、ファンエティレネは田舎だから知らないカナ?
 今はイエツィラー大陸の西のほうの村に泊まっていたんだケド…」
「ファンエティレネどころか、アツィルト大陸もイエツィラー大陸も、オッツ・キイムも知らないわよ。 どこなのよ、そこ?」
 言われたウリックはきょとんと目を丸くする。
「ドコって…オッツ・キイムはオッツ・キイムだよ?」
『この世界の名前に決まってるじゃナイ』
 ウリックの肩に乗っていたレムが口を挟んだ。
「は? この世界の名前はハルケギニアに決まってるじゃない」
 相手が何を言っているのかが理解できず、3人は不思議そうに(ルイズは少し不機嫌さを滲ませながら)、しばらくお互いを見詰め合っていた。
711オッツ・キイムの使い魔1/5(代理):2007/12/16(日) 20:29:00 ID:vwNnF0mC

 ここはトリステイン魔法学院内、ルイズの自室。
 召喚の儀式の後、みんなが引き上げてからやっと我に返ったルイズは、失望と脱力と絶望と後悔と悲観とで気絶しそうになる身体を気力だけで支えながら、なんとか2人を部屋まで連れ帰って来たのだった。
 帰った瞬間、ベッドに倒れこんで眠ってしまいたい欲望に駆られたものの、ルイズ自身のプライドがそれを許さなかった。
(確かに私はゼロだけれど、どう見ても平民だからといって知る努力すらせず諦めるなら、それはゼロ以下の行動よ)
 それに平民とはいえ妖精をつれているし、服装も見たことがないものだ。もしかしたら、何か特殊な力を持っていたりするのかもしれない。
 そう思い、こんな時間まで事情聴取をしていたのだが―――

「まさか、東方の人間だなんてね」
 話を聞いた結果、どうやらウリックとレムは、ルイズとは世界の呼び名すら違う、遠い場所から召喚されたらしかった。
 トリステイン王国どころか、ゲルマニアもガリアも、その他どんな地域の名前も知らない。
 最初は単なる田舎者かと思っていたのだが、ここまで知らないとなると、どうやらこの大陸の人間ではないと認めるしかなさそうだ。
 もちろんエルフでもなければ、砂漠に住んでいたわけでもない。あとの残る地域は、今となってはこの大陸の人間が誰も知らない、遥かなる東の地。そこしか有り得ない。
「ボクも知らなかったよ、西にこんな地域があるなんて。世界って広いんだねー」
 数千年前から交流が絶えた地域同士なのだ。地名や文化、服装の違いがあるのは当然のことだろう。
 ルイズは溜め息をついた。
 珍しい地域の人間ということで、興味がないわけでもなかったが、いずれにせよ平民は平民。しかも特殊能力は皆無。残念にも程がある。
 しかもウリックたちの地域では、妖精は確かに珍しいけれど、別に伝説級というほどでもないらしい。ガッカリだ。
 そして更にもう1つ、溜め息を付きたくなる理由がある。
「それにしても、広場でみんなして空を飛んだ時はビックリしたなぁ。魔物たちともみんな仲良さそうだったし、ガッコウってスゴイね!」
 目をキラキラさせて、ニコニコと屈託なく笑うウリック。
 ルイズはこめかみに手を当てた。なんだか頭の頭痛が痛いような気がする。
 トリステイン王国のこと、学院のこと、魔法のこと、使い魔のこと。ウリックは何を聞いても見ても、目をキラキラさせて「スゴイ」を連発している。
 そしてそれこそが、ルイズの目下の悩みだった。
 どうやら東方――オッツ・キイムは、こちらと比べると、魔法も衣食住の文化も遅れている田舎のようだ。東方はエルフの影響で発展していると聞いたけれど、結局のところ噂は噂でしかなかったらしい。
 ただでさえ平民なんかなのに、その上、田舎者。同級生からの野次が今にも聞こえて来そうで、ルイズは眉を寄せた。
 それに魔法のことをやたらと誉めるのも気に入らなかった。
 何故なら、彼女にはそれが使えないから。彼女はゼロだから。ウリックが魔法を誉めるたびに、使えない自分が惨めな気分になっていくから。
 自分の気持ちも知らずにはしゃぐ少年が、ひどく癪に障った。

 そしてルイズは、惨めな自分から目を逸らすために、ウリックを睨みつけると、出来る限り呆れたような声を出した。一つ大きく溜め息をついて。
「まったく…本当に田舎者なのね」
 自分よりこの少年の方が、ずっとずっと惨めなのだと言いたげな声で。
「そんなにバカみたいに騒いじゃって」
 ウリックのはしゃぎ声が消えた。その瞳が不安げに揺れている。
 この何の苦労も哀しみも知らなそうな、お気楽な少年を黙らせたことで、プライドが少しだけ満たされる。ルイズは悦に入ったように、目を瞑って続けた。
「見た目通り頭が悪いのね。冒険者だっていうけど、全然強そうになんか見えないし」
 プライドを満たしていくのは、暗い悦びだった。
「どうしてアンタみたいな平民が、私の使い魔になっちゃったのかしら」
 薄く笑って、目を開けた。
712オッツ・キイムの使い魔3/5(代理):2007/12/16(日) 20:29:58 ID:vwNnF0mC

 しかし、その笑みは、すぐにピシリと固まって消えた。
 ウリックが、ボロボロ涙を零していた。
 大きな黒い瞳から洪水のように、次から次へと溢れている。
「ちょ…ちょっと! そそそんなに泣くことないじゃない!」
 ついさっきまで意地悪を言って優位に立ったと思い込んでいたルイズは、焦った。泣かせたかったわけじゃない。彼女の知り合いに、こんなに簡単に、しかもこんなに泣く人間はいなかった。どう対処したらいいかわからないのだ。
「…………う〜……」
 ウリックは口を一文字に引き結んで、ルイズを睨みつけている。ただし溢れ続ける涙のせいで、迫力は全くのゼロである。
 ようやく湧いてきた罪悪感が、じわじわとルイズを追い詰めていく。
『ルイズ…あんたねぇ…』
 ウリックの肩で、レムもじろりとルイズを睨みつけている。こっちは思いっきり怒っているらしく、ほぼ無言だがかなりの圧力がある。
「ななななによ! 私、ほほ、本当のことしか言ってないじゃない!」
「……………」
『……………』
「う……………」
 無言の睨み合いが続いた。ウリックから漏れる嗚咽だけが、部屋に響く。

「…わ、わかったわよ! 言い過ぎた! 私が悪かったわよ!」
 やがて折れたのはルイズだった。
 他人と喧嘩腰で言い合うことは多くても、無言の涙には敵わなかった。年下を泣かせるのも趣味じゃない。
 そもそもがやつ当たりである。先ほどの暗い悦びも、ウリックの涙でどこかに吹き飛んでしまい、残ったのは罪悪感だけだった。
 睨むのを止めたレムが、ふふんと勝ち誇って笑った。
『そういう時は”ゴメンナサイ”でしょ?
 まったく、貴族ってゆーのはみんな素直に謝れナイのかしら?』
「うるさいわね…」
 ウリックはともかくこいつはムカつく、とルイズは思った。ていうかみんなって誰よ。
 レムに頭をなでなでされて、ウリックはようやく泣き止んだようだ。なんて泣き虫だ。小さい頃の自分の100倍くらい泣き虫だ。貴族は泣けない。
「えへへ。ありがと、レム」
 もう笑っている。少し鼻声だが。
 やっぱりお気楽な少年だと思ったが、苛める気はもう起きなかった。
713オッツ・キイムの使い魔4/5(代理):2007/12/16(日) 20:30:48 ID:vwNnF0mC

 なんだかすっかり疲れてしまったルイズだが、そこに更に追い討ちがかかった。
『ルイズ。アンタね、先に言っておくケド』
 まだ怒りが抜けきらないレムだった。
『あんまりウリックのこと苛めるなら、私たち、使い魔なんか止めてスグに帰るからね』
「はぁ!?」
 驚いたのはルイズだ。使い魔が勝手に帰るなんて聞いたことがない。
「そいつと私は、”コントラクト・サーヴァント”で契約したじゃない! ほら、そのルーンが証よ!
 それがある限り、そいつは私の使い魔なんだから!」
『こんな魔法くらい解けるわよ!』
「そ、そうなの!?」
『…そ、そうよ!』
 半分嘘である。
 レムは多少の解呪はできるし、もしかしたら”コントラクト・サーヴァント”も解けるかもしれないが、未知の魔法をどうこう出来る保障もない。ここに天才な魔法使いでもいれば可能だろうが、今は自分とウリックしかいない。
 それでも、自分とウリックしかいないからこそ、レムは強気に出た。自分がウリックを守らなければ。この2年、ウリックと旅を続けてきたレムは、彼の姉のような心持ちなのだった。
 レムの声は明らかに動揺が混じっていたが、それはルイズも同じ、いや、ルイズの方が動揺していた。
 前述したが、この大陸において、妖精は伝説上の生き物だ。自分の魔法くらい、解除出来てもおかしくない。だからルイズは、レムの虚勢に気付かなかった。
「でもっ…だ、大体、衣食住はどうする気よ!それに、東方なんて遠いし、エルフもいるし…」
『私たちは元々旅人なのよ。そのくらい、自分たちでナントカできるわ。
 体力だってあるし、私たちは聖地とか関係ナイもの。帰るだけなら、エルフが邪魔するワケないじゃない』
「ぐっ…」
 先ほど聞いた話では、オッツ・キイムでは、エルフが人間と戦うことなど有り得ないのだという。だからといって襲われない保障はないが、妖精が一緒にいれば見逃される可能性も高そうだ。
 ルイズは考える。こいつらが契約破棄して帰れば、今度こそ人間以外の使い魔を呼べるんじゃないかしら?
 しかし、”サモン・サーヴァント”はやっと成功して「これ」だったのだ。次はもっと酷いものが呼ばれるか、もしくは成功しないかもしれない。
 そもそも、死んだならともかく、逃げられたという理由はよくない。再召喚は認められないかもしれない。逃げられて、手元に残るものがゼロでは、良くて留年。下手をすれば、放校もありえる。
 いつもの、ゼロと囃し立てる声が聞こえる。ゼロ。ゼロ。ゼロのルイズ。駄目なゼロのルイズ。
 うるさい。
 ウリックを見た。ボケッとしている顔はマヌケだし、やっぱり身なりは貧しいけど、それでもゼロじゃない。これと契約してる間は、少なくともゼロじゃない。これは呼び出して召喚できた。
 ゼロじゃない。この平民こそが、私の初の魔法の成功相手なのだから。

 ルイズは溜め息をついた。今日だけで何度目だろうか。
「…仕方ないわね。少しは待遇を考えてあげてもいいわ」
 レムは勝利の喜びを噛み締めた。それにしてもこの子、どこまでも偉そうだ。アイツもいつも偉そうだったケド、貴族っていうのはみんなこうなんだろうか。
 ウリックがおずおずと口を挟む。
「えーっと…結局、どうなったの?」
 聞いてたけどぼけ〜っとしてたのでよくわからなかったらしい。
 凛々しさの欠片もない顔を見ながら、ルイズは本日最大の溜め息をついた。
「…あんたは私の使い魔。詳しいことは明日説明するわ。OK?」
「らじゃー!」
 やっぱり帰らせれば良かったかもしれない。ルイズは後悔した。


714オッツ・キイムの使い魔5/5(代理):2007/12/16(日) 20:31:29 ID:vwNnF0mC


 すっかりめっきりとっぷり疲れきったルイズは、今日はもう寝ることにした。
 後は明日考えよう。もう全部明日でいい。とにかく寝たい。
 ウリックはベッドの隣のマットに寝かせる。床に寝せようとしたら、またレムに睨まれたので、メイドに持ってこさせたのだった。
 レムの寝床は、テーブルの上に置いた小さな麻籠だった。中に柔らかな綿と布が敷かれている。
 服を脱ぎながら、これを洗濯させるのはセーフかどうか考えて、ウリックを見た。
 ウリックはマットの上で伸びをしていたが、ルイズの視線を感じると、なに?、と首を傾げた。
 ……また妖精に睨まれても面倒だし、明日でいいか。正直もう、何もかもが面倒くさい。
 ルイズは何でもないと言って、素肌の上からネグリジェを着た。
「かわいーパジャマだね」
 パジャマじゃなくてネグリジェよ、田舎者。
 明日から色々教育する必要があると、そう思った。

 さぁ寝ようと横になり、ランプを消す。
「それにしても」
 ウリックの声は消えなかった。
「何よ」
 目を瞑ったまま、不機嫌に声を出す。
「こっちって、ずいぶん月が大きく見えるんだね。オッツ・キイムの2倍はあるよ」
「…こっちの方が、月に近いんじゃない?」
 眠いので適当に答える。
 適当ながらも、なんかもっともらしいので、私って天才じゃね?とルイズは思った。
「こっちの月は、ほんのり青と赤だし。オッツ・キイムでは両方とも同じ色だったよ」
「近いから色がはっきり見えるのよ、きっと」
 ここに本当の天才がいれば色々ツッコミを入れてくれるに違いないのだが、ここにいるのは半分眠っているお嬢様と、童話好きで世間知らずの田舎者。妖精は既に寝ている。
 したがって、ウリックの反応は、
「なるほどぉ…ルイズって頭いーね」
 であった。暗くなければ、ウリックのキラキラそんけーした瞳が見えたに違いない。
「まぁね、当然よ」
 今日一日、色々あってボロボロになったルイズのプライドだったが、最後の最後にようやくちょっとだけ満たされた。暗い悦びではなく、バカバカしい、でも明るい喜びだった。
「そうそう…言い忘れてたけど、あんたが先に起きたら、私のこと、起こしてよ…」
 ルイズの言葉に答える声はなかった。
 よくよく聞けば、寝息が聞こえた。さっきまで起きてたのに。寝つきが良すぎる子だ。
「ご主人様より、先に、寝るなんて…生意気、ね……」
 そのへんもよく教育しなくちゃ…そう計画しながら、ルイズの意識は少しずつ闇へ落ちていく。
 そして完全に落ちる間際、ウリックの寝言が聞こえた。

「…シオン」

 おそらく人名だろうという認識をしたかしないかのところで、ルイズの意識は途絶えた。


××××××××××××××××××××××××××××××


 しかし十年ののち、絶望は黄泉返った。
 絶望は世界を再び覆い、勇者を殺し、希望を殺した。

 希望を失いし大陸で、それでも立ち向かう者たちがいた。
 法力国の少年と、勇者の妹と、小さな妖精と。
 彼らの辿り付く未来や、如何に、如何に―――

 ―――その世界の名はオッツ・キイム―――


715名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:31:35 ID:pw8ZlgDL
代理支援
716名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:32:22 ID:5oeG3+EC
支援
717オッツ・キイムの使い魔(代理):2007/12/16(日) 20:33:23 ID:vwNnF0mC
『オッツ・キイムの使い魔』第2話、投下完了。

マイナーな上、原作はもう殆ど手に入らないと思うので、わからない方用に、レヴァリアースの説明多めです。
原作ご存知の方、くどく感じたら申し訳ないです。



以上、代理投下した
途中の番号ミスは俺のミスで、元はちゃんとしてたことを作者さんの名誉のために言っておく
718名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:51:48 ID:5oeG3+EC
代理乙でした
719名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:14:19 ID:yXLpjyJz
レヴァリアースの原作入手してきたりw
720名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:15:40 ID:v9TpPXFy
       ―――――----- 、 ,,         /                 ゙'-、           /′(    /`
          なあにいちゃん、 ヽ,       /        ,   /          \       / .,! `''‐   i´
       アタシのソフトクリ〜ム、 >    ,i´     ./  / .|  .i、、 、i、 .:、.ヽ,       ,i´  ゙ー-ー'  /
       食べてくれよ?     / _,,--,,|    /  l゙ ,i|′,|  'l,.゙l ゙l ゙l  .ヽ.゙l    ,r|、      /
                     ./,-"   ゙ヽ   l゙  .‖.,l゙| _,,!|  .|| li、 | │ ゙l 'y゙l   / ヽ、    ノ
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ,ノ     | ゙i、 | .| .,,ドl,l"゙|゙,i´|  ,「|レV|, | .| .从 ,,イ"   `―--'',「
                   /___,,,,、   | .゙l|.,,,| '゙.|, |てil}l′゙l . /lf,レi,l||` | 'l, |||.,/ `         ,/′
                    ,/"   `i、 │ |}|'',ヒ'''l||l゙ ゙l'|   ゙l,/ .||゙,lト|j| l| .,!|,!./.  ,.,i、   _,/
                 ,/  -、   ゙l l゙   || {_゙l .|.゙lニ,i´    、二l゙.l゙| .l゙| ,i レ,!  // `゙'''フ
                  /       |/   |'ミ'-,゙l,|,、:::::  r‐┐ :::: レ}./ |/  |   "  /
         _      ,/         ,/`   .| ヽ.|i,'il,''y,,_  ヽ,l゙._,.-t'フ|/ " 丿      |
   _,,,r'"゙゙゙゙゙  ''-,,,,,∠._ .、、   ,,イ      |,ニ,,,l,,!,l|,||,|,,二エ,,___lノ,[,,,=ニニl゙      |
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 |、      `'`       ,l{,i´` .|     _,,,|v―''''"-‐''"‐-, ̄ニニ=-イ,,,,_、      l-' ̄ ゙'-,,、
 ヽ       i、       │ `\,,{-ニ二゙ニミ,ニ=ニニ二ニ=,,,,,,,,,,,,,,,,,____,―ニニ二ニ='"゛     )
  \、     `'-,,,,,__   l゙    `ヽ二ニニ、,,_   ゙i、.,,,,、_,,,、--、、,,,__`,/.,,,-「フ‐''"        ,/
    `''ー-、,,,―-ー'_、   .|            ''ミ二つ ,゙^     ``,/_r'",r‐      .,,_,,,、-‐"
        ~゙T"゙゛      |`'‐,、.ヽ、     .、_.`\,  ヽ  ,ii,y, ,イ',、イ" 。     ,/` ,!
          \、  __ノ   ''T''ヘ、 `'`,,._゙"'=、\, ゝ .ノ'ハ'、 ゙|´ ,i' ././   /  │
            `'"''"゛     ゙l  \、.,,,"''ニッ,,ミ\'i, ./'/";l,゙ヽ / / /´,,ri、/    l゙
                      |   `ヽミヾニ-ニi,ミ'" |lj゙l|,リ.'l|`r',イ´,/./ .| i'    l゙
                     ゙l     `゙''''"     , ヾミ",イ、`レi,ノ  |,ノ     !
                        ヽ      、    `lr        、 ^   ."    /
                      ヽ、    |.r、   !| 、‐_,,,, ,   '" .'~!     /
                         \     |.|." (⌒ヽ.i゙;;;;;;;`゙'i´、⌒), |iヘ.   /
                        `ヽ,_  ‖ (;,  .,) |:;;;;;;;;;;;;| ',y,,,,.;).l| ` ./
                       プゥ〜ッ `''ーヽ,,,,,__/;;;;;;;;;;ノ´ ^'、;`;r-.'´ ブッ!
                    プスプス… ,__,、イ  .,/゛;;;`--‐イ---ー";;、;;| ⌒) ブリッ
                         (;;;;;;;ノ   l゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;丿  ;;:)
721名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:17:35 ID:v9TpPXFy
                    ,、-‐==''''''=‐- 、,,_
                  , ' ´     ブバッ!`丶、
                ,、'´      ⌒ヽ、 (⌒)  ヽ.
                , '      _,(⌒,、-i r-⌒)-,,_    ヽ
              /   _,、‐;i(;;  r'⌒`i ,;)'ヽ、_`;;、_  '、
.             /  ,、‐';'ー'  ミチ /{;;;;;;;;;|、ミチ…`ー、_丶, .'、
             i' /ノ''´     i' |;;;;;;;;;i'', U      `-;ヽ{、
             }rノ´       U ' 'i;;;;;;;ノ ',        `''、
             ィ,'         ,'、,'i;;;ノ!!_,,、', u       ヽ
             ,'         ,':::::::~l||| ::::::::'、         '、,、-‐――
            ,'         ,'::::::l| i'ヘ、l|| :::::'.       /
            ,'         ,'、、(⌒.|;;;;`、 ,、-''、     /あたしの
           ,'         ,'-=(;,, {;;;;;;;ヾ、;)ヘ     /ソフトクリーム
            i ,        ,'、,,_ (_,, \;;;;,`i, _,'、   <食べてよお
.          , ',      , ./'7、、;'、;'、;'、;',`vw’,,、、、'、 、  ヽ おにいちゃん?
.         ,'        ' , ' / ,、‐'´  ,'´ ヽ  `ヽ、ヽヽ ヽ.  \
         ,'        , ' ∠r'〃__〃"''''''´〃__〃'、L_ヽ    ` ー- 、-―
         .'        // i、`i';;;;,i ;;;;;;;;;;; i';;;'i.` '、ヾヽ'、       ヽ
       /       , '{ 7ー!、 !;;;;;!     !;;;;;!,r;;;i-‐}、ヽ       `、
       ,'       /(`ヽi '''!'';ヾ==''´   ゙''=='''丶,i` } }:ヽ        '、
       r';、      ,イ \ ヽ iーi---‐    ‐--‐'' / /ノノ ヽ       ,'、
      ,'  `'''''‐---/ |,,、-‐丶ヽヽヽ、,         〈、ノ/.   i '、  _,,、-''´ '、
.      ,'       / r'!-‐=''' ,/ ,  , i  ; ,  , 、  ;ヽヽ _~`丶、| ヽ´     '、
.     i'      ,' ,、1〃´,、7 / / i /! !  'i ヽ ;ヽヽ;、_ヽ` 、_ゝ  '、   __,, '、
     ,'      'ヽ、t 'i// { / i! i| | { ,}、 i、 i、 __}`、| ヽ)  |r'7 ,;、     '、
     /     ,'  ;)、`´  ヽ'ヽ/}ヽノヽ! 〉、;!
722名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:18:32 ID:v9TpPXFy
   おにいちゃん、あたしのソフトクリーム食べて?       _,,,、、、、、 ,,_
            ,、 -‐‐‐- 、 ,_                 ,、-''´      `丶、,,__ _,, 、、、、、,
         ___r'´        `'‐、.            /             `':::´'´     `ヽ、
      ,、‐'´  _,,、、、、、、_     ヽ`‐、         _/               ': :'          ヽ.
     /        `'' ‐-`、-、  ヽ、 ヾヽ、、_   ,、-',.'                , 、 ⌒)         ヽ
    /     -‐-、、,,_‐-、 、 \ヾ‐-、ヽ、、、;;;,、 '´ ., '                '、i ハ  ;;)         丶
.   /      -‐‐‐==、丶、ヽ. ヽヽ、ヽミ/   ./                :_X^⌒ヽ          ',
   i'     ‐-、、,,_==/=ゝ ヽ\ \_i レ' ,,,、,,__./                 ,,'..^};;;;;;;;;;}  ⌒)       ',
.  i    ヽヽ、、,,,___,,,/-‐〃´\ヽ`、 ゝ´ ´´´. ,'                  /( /;;;;;;;;;/   ;;)         ;
  ,,{   ヽ  \、丶_;;,/_//;;;;;;;;;;;;'ヽヽr'::     ,'                 , '  l;;;;;;;;;;;ゝ ⌒ヽ       .i
〆'    iヾ   ヾミ 、_'´' ヾ'‐ 、;;;ソ´'、{::::::    ,'                r'. ( \;;;;;;;;ヽ ヾ ;)       .!
./ / , i `、ヽ、 ''‐- =`;;,,、‐      ヽ}、:::::::::......,'                ,' ブリ / .};;;;;}  )        .,'
{ {  { .{ヽ `、ヽ.`''''''''""´  、  ,‐-、 iゝ:::::::::::,'                ノ    ノ  {;;;;;;;;;;l_ ブバッ!   .,'
i i  ;i { ヽ \ミ=、(_rr''';;;;:-、、 '-‐'’  ,> 、;;,'               /`''''''' 'ー;'''´ \;;;;;ヽ        ./
`、! ;;i 丶 \ ‐-、ヽヽミ;;;;'‐;    ,、‐'ヽヾ;,'               /-‐ '' ´ ,'    z;;;ノ        /
. ヽ\ \ミ \`‐-===‐'三''''‐-‐ 'ヽ ヽ)! ,'              /二==‐'7              , '
  ヽ.\ \ミ、_`'==---‐''´ヽ、`ヾヽヽ`;;;;;、,'              /  .〈   ,'             /
   丶、ヽ、丶-= 二三ー''´"'' ‐-=-‐ ' ´ ,'              /    ヽ、.,'             , '
       `''‐- ,;;=-‐''´         ,'             , '`''''丶ー‐'‐-''             , '
        r_',、-‐‐ 、,     ,,、、=-;;';;             .'        i.            /
              `" ''' "´   /;;;;;           ,.'  .      l           /
                    ,、、´- 、::,,_        
723名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:21:06 ID:v9TpPXFy
   おにいちゃん、あたしのソフトクリーム食べて?       _,,,、、、、、 ,,_
            ,、 -‐‐‐- 、 ,_                 ,、-''´      `丶、,,__ _,, 、、、、、,
         ___r'´        `'‐、.            /             `':::´'´     `ヽ、
      ,、‐'´  _,,、、、、、、_     ヽ`‐、         _/               ': :'          ヽ.
     /        `'' ‐-`、-、  ヽ、 ヾヽ、、_   ,、-',.'                , 、 ⌒)         ヽ
    /     -‐-、、,,_‐-、 、 \ヾ‐-、ヽ、、、;;;,、 '´ ., '                '、i ハ  ;;)         丶
.   /      -‐‐‐==、丶、ヽ. ヽヽ、ヽミ/   ./                :_X^⌒ヽ          ',
   i'     ‐-、、,,_==/=ゝ ヽ\ \_i レ' ,,,、,,__./                 ,,'..^};;;;;;;;;;}  ⌒)       ',
.  i    ヽヽ、、,,,___,,,/-‐〃´\ヽ`、 ゝ´ ´´´. ,'                  /( /;;;;;;;;;/   ;;)         ;
  ,,{   ヽ  \、丶_;;,/_//;;;;;;;;;;;;'ヽヽr'::     ,'                 , '  l;;;;;;;;;;;ゝ ⌒ヽ       .i
〆'    iヾ   ヾミ 、_'´' ヾ'‐ 、;;;ソ´'、{::::::    ,'                r'. ( \;;;;;;;;ヽ ヾ ;)       .!
./ / , i `、ヽ、 ''‐- =`;;,,、‐      ヽ}、:::::::::......,'                ,' ブリ / .};;;;;}  )        .,'
{ {  { .{ヽ `、ヽ.`''''''''""´  、  ,‐-、 iゝ:::::::::::,'                ノ    ノ  {;;;;;;;;;;l_ ブバッ!   .,'
i i  ;i { ヽ \ミ=、(_rr''';;;;:-、、 '-‐'’  ,> 、;;,'               /`''''''' 'ー;'''´ \;;;;;ヽ        ./
`、! ;;i 丶 \ ‐-、ヽヽミ;;;;'‐;    ,、‐'ヽヾ;,'               /-‐ '' ´ ,'    z;;;ノ        /
. ヽ\ \ミ \`‐-===‐'三''''‐-‐ 'ヽ ヽ)! ,'              /二==‐'7              , '
  ヽ.\ \ミ、_`'==---‐''´ヽ、`ヾヽヽ`;;;;;、,'              /  .〈   ,'             /
   丶、ヽ、丶-= 二三ー''´"'' ‐-=-‐ ' ´ ,'              /    ヽ、.,'             , '
       `''‐- ,;;=-‐''´         ,'             , '`''''丶ー‐'‐-''             , '
        r_',、-‐‐ 、,     ,,、、=-;;';;             .'        i.            /
              `" ''' "´   /;;;;;           ,.'  .      l           /
                    ,、、´- 、::,,_        
724名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:23:58 ID:RhppWBY+
俺はいまだに全巻持ってるぜ
725名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:39:46 ID:5Goqzw5n
実家に2巻まであったと思うがそこから先が見つからない
726名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:41:01 ID:k1x50LOS
皆さん乙です。

クロスファイアからの召喚、いろいろ考えたけど確実に展開は原作から離れるな……
ワルドは確実に木戸ポジションになるし。
杖もって強力な炎を出せれば、火の系統しか才能の無いメイジって言って通せるかな?
727名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:52:13 ID:raI5vUiD
現代の科学知識を持った人物が召喚されても良いかも。
例えば、化学知識と魔法を組み合わせてこれまでにない効果を生み出すとか。

ギーシュにマグネシウムやアルミニウムの物性を理解させる。
(現物があればモアベター)
ギーシュがアルミニウム粉末を錬金、キュルケが発火、粉塵爆発!
728名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:53:32 ID:ntQErnyH
懐かしいなレヴァリアース。
続編が未完で終了したという話を聞いたときは三日ほど落ち込んだぜ…
729名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:56:08 ID:S+iBrcVg
>>727
なんとなくキテレツが浮かんだ
てか奇天烈斎様の超発明の数々は
ハルケギニアでも十分作ろうと思えば作れるよな?
730名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:56:29 ID:yfIbe/DY
>>727
微妙に一方さんに期待できるかもしれない
731名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:58:49 ID:nUx8Mtu1
四大属性は汎用性がある分扱いやすいし、ドットからスクウェアまで幅広く使われているメイジの基本呪文。
対して虚無属性は、詠唱こそ四属性とほとんど変わりねぇが、
あえて濫用されない様に普通に継承しない分、特異性と規模をかなり増加させて、
1対1より大規模攻撃を目的とした玄人好みの扱いにくすぎる属性。
使いこなせなきゃ青銅のゴーレムより弱いただのゼロみてぇなもんだってのに、なんだってあのガキは?
732名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:59:14 ID:KQf1H+bd
刻の大地とイメージが被るなと思ってたら同じ作者か。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:00:16 ID:KQf1H+bd
ageてすまん、専ブラが壊れたっぽい
734名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:00:29 ID:Fn+EfGdF
科学キャラっつーと、9Sの峰島由宇とか書こうと思った時期もあったが。
どう考えても力量不足なので断念した。文系には荷が重い。
735名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:03:27 ID:vwNnF0mC
>>732
というか同じ世界の話だ
736名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:03:52 ID:w/GUFnqw
>727を見て思いついたんだが、あっちのメイジって医学知識どれだけあるんだろ?
例えばブラックジャックが召喚されて、水のメイジ(だっけ?)と協力したら、けっこう面白そうな気が。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:04:01 ID:pw8ZlgDL
され竜とかはもろ化学反応だな。
問題は咒式用の弾丸の調達が出来ないことだが。
738名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:06:15 ID:7qQqZ7Ts
>>727
化学ならあすか120%の本田飛鳥なんてのがいるな
フェノメノンクラッシュで吹き飛ぶギーシュが幻視できたけど
739名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:07:03 ID:TL4zA9xX
策士だ医者だ科学者だと考えるのはいいんだが実際に呼んで動かすとなると書く方の頭がよくないと(少なくとも書きたいキャラクターと同じ分野において)まず書ききれないだろうしなあ
真面目に作戦とか考えたり出来る人を尊敬する。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:13:16 ID:aWujS+i/
>>726
どの時点で呼ぶかが問題だぞそのキャラ。
原作での描写をみる限り、トライアングルは軽くいっていそうだが。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:14:11 ID:dMOWzW6v
>>727
冒険野郎マクガイバーなら科学知識も人命尊重の精神もある
ジャックみたいな困らせキャラとの絡みにも慣れてるし
地球でもまたハゲの下で働いてた

マクガイバー本編にも中世召喚話があるので
それを超えられる自信が無く、書くのを断念したけど


次点ではスーパージャンプの「ナっちゃん」
742名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:16:02 ID:pusUi4eS
>>727
トニーたけざきの岸和田博士召喚
ニューカッスルロボの大砲から弾丸として撃ち出される兵士
シエスタ家の地下にこっそり建造されていた脳天号2
新たに作られるマリコルヌ2号、そして反逆
うん、はちゃめちゃすぎるな
743名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:16:07 ID:yfIbe/DY
タバサとキュルケのコンビでは風で火を煽ったりしてるけどさ
ギーシュとモンモンで何かコンビ必殺技できないかな?
744名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:17:48 ID:M2UnbbQH
水と土で泥レスすればいいと思うよ
745名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:18:23 ID:dMOWzW6v
>>743
「ロレンツォのオイル」みたいに
水魔法と土の魔法の力で不治の病の特効薬を産みだすとか
746名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:18:43 ID:/VE+OPtP
>>743
土と水だから……土砂崩れ?
747ベルセルク・ゼロ:2007/12/16(日) 22:20:40 ID:ffLWPZ6H
予約入ってないよね?
748名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:21:24 ID:jtZRn2AN
土豚と泥亀思い出した
749名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:21:31 ID:z3jTu9p6
ばっちこいですよ〜>>747
進路とコンディションはオールグリーン
750名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:21:41 ID:hePTBYGe
どうぞ〜
751名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:22:21 ID:tPQsn3AX
水のイメージが大部分を占めるが多少砂とか混ぜてるんでウォーターカッターとか
752ベルセルク・ゼロ8:2007/12/16(日) 22:23:29 ID:ffLWPZ6H
 時間は少し前後する。
 ガッツが食堂を立ち去って気まずい昼食をルイズがとっていたころ、オスマンからガッツの調査を命じられた『炎蛇』のコルベールは蔵書数万とすら言われるトリステイン魔法図書室で大量に積み上げられた過去の文献と格闘していた。
 何しろ手がかりがまったくない。つまり、しらみつぶしに『何かしら呪印を刻む儀式』を古今東西、種類を選ばず追っていかなくてはならない。
 それは雲を掴むような話だった。
 しかも―――これはオスマンにも報告済みのことなのだが―――コルベールはガッツが召喚された際、用心深くもディテクト・マジックをかけていたのである。
 結果はまったくの『反応無し』。つまり、あの呪印には今のところ何の呪もかかってはいないのだ。
 にもかかわらずオスマンは呪印の調査をコルベールに厳命した。
 効力を失っている、無害としか思えない呪印に対してなぜそこまでオスマンがこだわるのか、コルベールにはわからなかった。
 コルベールはメガネを外し、目頭を押さえるとひとつため息をついた。
 とりあえずこの呪印については後回しだ。今度彼自身に話を聞いてみることにしよう。
 そう決めるとコルベールは広げていた書物を閉じ、立ち上がった。
 そろそろ授業の時間だ。教師が遅刻していては話にならない。
 コルベールが教材を片手に図書室を出ると、そこにはミス・ロングビルが立っていた。
 窓から射す光が彼女の長い緑髪を輝かせている。
 自分を待っていたのだろうか―――? いやいや、そんなことはあるまい。彼女のような美しい女性が私のような男に個人的な用があるなどと、そんなことがあるはずがないではないか。
「やや、偶然ですなミス・ロングビ―――」
「お待ちしておりましたわ、ミスタ」
 ロングビルの言葉にコルベールは仰天した。
「わわ、わたしなどを待っておられたのですか!? なぜ!? どうして!? ホワイ!?」
「研究熱心な先生に私、興味がありますの。色々お話を聞かせてくださらない?」
 コルベールは有頂天になった。ロングビルと肩を並べて廊下を歩き、少しでも彼女の気を引こうと饒舌に語る。
 ロングビルは相槌を打ちながら、時折質問を返し、話を盛り上げていた。
「ところでミスタ、宝物庫のことはご存知?」
「あまりに強力、もしくは危険なマジックアイテムを封印している倉庫ですな。それがどうかされましたかな?」
「いえ、あまりにも厳重に『固定化』と『反魔法』の魔法がかけられているでしょう? 中には何があるのかと、少し興味がありまして」
 コルベールはロングビルの気を引こうと記憶を探り、過去に宝物庫に入った時に見た品々を紹介していく。
 ロングビルのメガネがキラリと光った。
「なるほど、それだけの品が納められているのであれば、あれほど厳重に管理されているのも頷ける話です。賊に侵入されるようなことなど有り得ない話なのでしょうね」
「ところが私はそうは思わないのです、ミス・ロングビル」
「まあ、どういう意味です? ミスタ」
 理知的な男であるところを見せようと、コルベールは前々から感じていた宝物庫の弱点についての考察を披露した。
 ロングビルは興味深そうに聞いている。
「あの扉は魔法に対する対抗措置にばかり目がいきすぎて、物理的な衝撃に対する処置をおろそかにしているような気がするのです。例えば巨大なゴーレムが……」
 熱心に自説を披露するコルベール。
 コルベールが話を終え、ロングビルは妖艶な笑みを彼に向けた。
「大変興味深い話でしたわ、ミスタ」
「いやあ〜はっはっは! 他にも聞きたいことがあればじゃんじゃんお尋ねください!!」
 コルベールは絶頂だった。
 そして彼は授業に遅刻した。

753名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:24:05 ID:O7FlZ4cP
>>743
土と水と聞いて真っ先に龍脈とエリクサーを連想したおれロマサガファン

そして支援
754名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:24:08 ID:hePTBYGe
支援
755名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:24:10 ID:3x6Qf07Y
やべぇ・・・・波乗りワルキューレ と言う変な電波が・・・・・支援
756ベルセルク・ゼロ8:2007/12/16(日) 22:25:17 ID:ffLWPZ6H
 食堂を出たガッツは、これからどうしようか考えていた。
 あの決闘の際、ギーシュとかいうガキは『オールド・オスマン』とかいう名前を出していた。
 とりあえずその人物を探してみようかとも思ったが、そいつがどこにいるか、皆目見当もつかない。
 『学院長』を務めているという話だから、この学院の者なら誰でも知っているだろう。そうあたりをつけたガッツは通りがかりの女生徒に声をかけた。
 ガッツは気づいていなかった。今まで通りすがっていった生徒たちが怯えるような目でガッツを見ていったのを。ギーシュとの決闘を経て、自分がどんなイメージで生徒たちに伝わっているのかを。
「おい」
「ひっ!」
 またガッツが何の気なしに女生徒の肩を掴んだのがまずかった。
 黒い鎧を纏い、黒い大剣を振り回す黒い悪魔。
 ギーシュとの決闘を目にし、その後様々な噂を耳にして、少女はガッツに対してそんなイメージを抱いていた。
 そんな黒い悪魔に肩を掴まれたその少女は容易くパニックに陥った。
「いやあぁぁぁ! お か さ れ る ぅ ぅ〜〜〜〜 ! ! ! ! 」
「な…!?」
 少女はとんでもないことを口走る。さすがのガッツもあまりの事態に咄嗟に判断を下せずにいた。
 おかされるぅ〜おかされるぅ〜おかされるぅ〜。
 少女の悲鳴は石造りの廊下をよく反響しながら奥へと吸い込まれていく。
 そして悲鳴が吸い込まれていった廊下の奥からおびただしい数の男子生徒が集まってきた。あっという間にガッツを取り囲む。
 何か事態がとんでもない方向へ進んでいる気がする。なんなんだこれは。ガッツは思わず眉間を押さえた。
「貴様! ルイズの使い魔の黒い悪魔!! 貴族を愚弄しただけでなく、今度は婦女子に暴行を加えようとするとは……もはや到底見逃すことは出来ん!!」
 集まった男子を代表するように一人の男子が前に出て声を上げる。
 ルイズたちとはマントの色が違う。ガッツは知らないが、ここに集まった生徒たちは皆この学院の最上級生だった。
 先程悲鳴を上げた少女は、口上を述べた生徒とはまた別の、男子生徒の胸に顔をうずめて泣いていた。
「ひっく、ひっく……怖かったわシュナイダー」
「もう大丈夫だマリベル! この僕が来たからには!!」
 勝手にやってろ。ガッツはもはや呆れていた。何故肩に手を置いただけでこんな扱いをされにゃならんのか。本当に貴族ってやつは―――厄介極まりない。
 事情の説明をしても無駄だろう。この様子ではこちらの言い分に聞く耳を持つ者がいるとは思えない。
「いや、俺は―――」
「黙れ! 悪魔の言葉など聞く耳もたん!!」
 ほらな―――ガッツはため息をついた。
 どうしたものか。ガッツは思案する。ぼけっとしている間にすでに前後を挟まれてしまった。
 ざっと見て、前に14,5人。後ろにも15,6人。狭い廊下にひしめきあっている。
 セルピコのように空を飛ぶことが出来れば頭上を飛び越えスタコラサッサといくのだが―――いくらルーンの力を借りようと甲冑を着込んだまま人垣を飛び越える跳躍をするのは無茶な話だった。
 背中のドラゴンころしを抜く。何人かの生徒はその剣を目にしただけで怯んでいた。
 しかし―――
「恐れることはない!! こんな狭い廊下であんなデカイ大剣を振り回すことなど出来はしないさ!!」
 そう、この場所ではドラゴンころしを振ることは出来ない。ドラゴンころしを振り回すにはトリステイン魔法学院の廊下は少々狭すぎた。
 ガッツは舌打ちした。
757名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:25:32 ID:hePTBYGe
>>753
最終皇帝の人復活しないのかなと思いつつ支援
758ベルセルク・ゼロ8:2007/12/16(日) 22:26:43 ID:ffLWPZ6H
「さあ、悪魔に聖なる鉄槌を!!!!」
 その声を合図にガッツに様々な魔法が襲い掛かった。
 炎の玉、風の槌、水の槍、土の拳、迫り来るそれらをガッツはかわし続ける。
 狭い廊下に二十余りの人数がひしめきあっているため、その全てが戦闘に参加することは出来ない。とはいえ、連続して迫り来る魔法はいつまでもかわしきれるものでは無かった。
 ガッツは手を出しあぐねていた。本気を出せば蹴散らすのは容易い。
 いくらドラゴンころしを封じられているとはいえ、打つ手はいくらでもある。
 ボウガンを始め、炸裂弾、極め付けに左手義手の大砲。
 しかしそれらは全て『対使徒用』、すなわち、威力がありすぎるのだ。使えば相手はまだ未成熟な生徒たち、確実に死者が出る。
 死者が出れば、もう負の連鎖は止まらない。死者の遺族、友人、恋人による復讐、そしてまた生じる死者、その遺族、友人、恋人―――そんな悪循環はごめんこうむりたかった。
 風がガッツの肌を撫でていく。右腕が切り裂かれていた。
 ギリ…!! かみ締められたガッツの奥歯が音を鳴らす。
 目の前に火球が迫る。咄嗟に左手を顔の前にかざす。鉄の義手に触れた火球は破裂し、炎はむき出しの顔を炙った。
「手も足も出ないようだな黒い悪魔!! 土下座して謝れば許してやらんこともないぞ!?」
 リーダー格の生徒が勝ち誇り、声を上げる。
 生徒たちの魔法が止んだ。皆一様に勝ち誇り、地に膝をつくガッツを見下ろしている。
 ガッツは立ち上がり、ドラゴンころしを構えた。
「まだ懲りないようだな…!! よかろう、徹底的に―――」
「動くな」
 ガッツの低い声が廊下に響く。思わず生徒たちは皆動きを止めていた。
「な、何を偉そうに」

 ゴッ――――!!!!
 ドラゴンごろしが壁にぶち当たり、しかし勢いは衰えず剣は石造りの壁に食い込み、火花を上げながら切り裂いていく。
 再び壁からその姿を現した鉄塊はそのまま少年の鼻先を掠め、反対側の壁にぶち当たり、ようやくその動きを止めた。
 真一文字に切り裂かれた壁から外の光が射しこんでくる。光が廊下に舞う砂埃を照らし上げていた。
 パラ―――カツン。砕かれた壁の欠片が床に落ちたその音が、無音の廊下に響いた。
「正義の味方ごっこは終わりだお坊ちゃんたち。これ以上は真っ二つになりたい奴だけかかってくるこったな」
 ガッツはドラゴンころしを背中にしまうと悠然と歩き出した。
 モーゼが海を割り渡るが如く、ガッツの前に立つ生徒たちは皆端により、その道をあける。
「ば、化け物だ……」
「俺、もうあいつに手をだすのやめるよ……」
 ガッツの姿が見えなくなって―――口々にそう呟きながら生徒たちは散っていった。
 生徒たちが誰もいなくなったその廊下に、コツコツと、足音が近づいてきた。
 ガッツにより作られた真一文字の明かり窓、そこから射す光がその人物の足元を照らし出す。
 黒いヒールを履きこなす艶かしい足―――ミス・ロングビルは切り裂かれた、いや、切り砕かれた壁を右手で撫でると、妖しげに、しかし美しく―――笑った。

759名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:26:52 ID:WOu5oCfe
剣だけしか目に入ってないのね、南無
支援
760名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:27:28 ID:dMOWzW6v
>>751
工業系人間のステキアイテム「サンドブラスト」とか
支援
761名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:27:41 ID:hePTBYGe
支援
762ベルセルク・ゼロ8:2007/12/16(日) 22:28:41 ID:ffLWPZ6H
 以上が、ガッツがルイズの部屋に戻るまでに起きた事の顛末である。
 それからちょっとしたやり取りを経て、ルイズによるご主人様宣言を受けてから、ガッツは余計なことを言っちまったなと若干後悔していた。
 ルイズは既にネグリジェに着替え、寝息を立てている。今日は珍しくパックはまだ眠ってはいなかった。
「で、どうすんの? やるの? 下着の洗濯」
 パックがにやにやしながら問いかけてくる。
「やるか。あの侍女…シエスタっつったかな、あいつに頼む」
「そうだよねえ。画的に問題だもんねぇ〜〜」
 パックのニマニマは止まらない。ガッツは無視を決め込むことにした。
 と、パックの顔が突然真面目なものに変わった。
「ガッツ……部屋の外、何かいる」
「……」
 ゆっくり、物音を立てぬよう立ち上がる。また貴族の坊ちゃんの類だろうか。
 だとすればまた面倒くさい話だが―――
「いや、この気配は人じゃないよ。悪い意志も感じないなあ」
 パックがその考えを否定する。人ではない、という部分にきな臭いものを感じたが、烙印には何の反応もない。万が一にも使徒だということは無さそうだ。
 だとすれば誰か生徒の使い魔、ということだろうか。
 どっちにしろ、このままではにっちもさっちもいかない。
 ガッツはドアを開ける決断をした。
 ルイズを起こしてはまた面倒なことになる。ガッツは出来るだけ物音を立てないようドアを開けた。
 ドアを開けた途端襲われる、といった事態になることは無かった。ガッツはそのまま廊下へと足を踏み出す。
 灯りが消されて真っ暗なはずの廊下が煌々と赤い光で照らされている。その理由はすぐにわかった。
「きゅるきゅる」
 廊下に巨大なトカゲがいた。色は真っ赤で、尻尾の先が燃え盛っている。こちらを見てきゅるきゅると人懐っこそうな声をあげていた。
「フレイムだ。キュルケっていう姉ちゃんの使い魔だよ」
 パックがガッツに説明した。なるほど、言われてみれば見覚えがある。確かに、この生き物はいつも赤毛の女の傍にいたはずだ。
 そんなやつが廊下にいて、さらにこちらを見つめてくるのはどうしたわけなのだろう。
 わけもわからず様子を伺っていると、隣の部屋のドアが開けっ放しだということに気がついた。
「きゅるきゅる」
 そしてフレイムはいつの間にかガッツのマントの裾を咥えている。そのままくいくいと引っ張り出した。
「おいおい」
「いいじゃん、ついていってみようよ」
 そのままフレイムに後に従ってついていくと、開けっ放しだった隣の部屋に通された。
 ガッツが部屋に足を踏み入れると同時にドアが閉じられる。
 パックはまだ入室していない。扉の向こうから何やらパックが喚いているのが聞こえた。
「ごめんなさいね。妖精さんに用はないの」
 部屋の奥から声がするのと同時に蝋燭に火がつき始め、真っ暗だった部屋が仄かに照らされる。
 部屋の奥、ベッドの上に下着だけを身に着けたキュルケが悩ましげに寝そべっていた。
 キュルケの豊満な胸は黒い下着に押さえつけられ、はち切れんばかりである。
 キュルケの褐色の肌を蝋燭の炎が照らし、扇情的な光景を作り出していた。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:28:51 ID:TL4zA9xX
>>760
なにその素で何かの技名っぽいアイテム
支援
764名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:28:52 ID:hePTBYGe
支援
765名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:30:14 ID:hePTBYGe
支援
766ベルセルク・ゼロ8:2007/12/16(日) 22:30:51 ID:ffLWPZ6H
「…で、何の用だ?」
 なんとなく察しは付きながらも、ガッツは一応問う。
 キュルケの目が恥ずかしげにふせられた。
「あなたはあたしをはしたない女だと思うでしょうね……」
 ガッツは無言でそれに応えた。
「でもしょうがないの…紹介したでしょ? あたしの二つ名は『微熱』。あたしの体はすぐに燃え上がってしまう……でも、誰でもいいってわけじゃないの! あたし、あなたに恋してる! あなたには他の男には無いセクシーさがあるわ!」
 熱っぽくキュルケは語る。動こうとしないガッツに業を煮やしたのか、ベッドから立ち上がるとガッツに歩み寄った。
 そのままガッツに胸を押し付ける。甲冑に押しつぶされた胸はぐにゃりと柔らかくその形を変えていた。
 その頃パックはというと―――
「エマージェンシー! エマージェンシー!! 現在隣の部屋でエロエロな事態が展開されております!! ルイズ、ウェイクアーーーップ!! 現在隣の部屋でキュルケ×ガッツちょめちょめ中ぅ〜〜〜!!!!」
 なんてことを叫びながらルイズの部屋を飛び回っていた。
「むにゃ、うぅるさぁ〜い……もう、何騒いでんのよ〜〜」
 しばらくそんな様子でむにゃむにゃ言っていたルイズだが、パックの言葉の意味が染み込むにつれて、その顔を憤怒で赤く染めていく。
 ぶわぁ!! と体にかけていた毛布を剥がすとネグリジェ姿であることも気にせず廊下に飛び出した。
 そのままの勢いでキュルケの部屋のドアを蹴破る。
「どりゃあ〜〜〜!!」
 ドーン!!とドアを蹴破り、部屋の中に飛び込んだルイズはその光景を見て固まった。
 ガッツはキュルケの肩を掴み、その体を離そうとしていた。
 しかし、それは見ようによってはガッツが下着姿のキュルケを抱き寄せているようにも見えるわけで。
「な、なななな、なにしてんのよあんたたちぃ〜〜〜〜!!!!!!!」
 ルイズはネグリジェ姿のままブンブンと鞭を振り回し始めた。
 当然そんな姿で激しく動けばちらちらとけしからんものが覗くのだが、ルイズはそんなことを気にする余裕など失っていた。
「きゃあ! ちょ、ちょっとこらルイズ! 落ち着きなさいよあんたってば!!」
「うぅるさいうるさぁ〜い!!!! こ、この泥棒猫ぉ〜〜!!!!」
 ルイズの勢いは止まらない。ルイズの振り回した鞭は空中で爆笑していたパックを叩き落とし、キュルケにもその矛先を向けた。
「ちょっとヴァリエール、乙女の肌に傷をつける気ぃ!?」
 キュルケはぐっ、と目を閉じた。だが、いつまでたっても痛みは訪れない。
 ガッツがガシ、とルイズの右手を捕まえてそのまま部屋から引きずり出していた。
「離しなさいガッツ!! くおら!! 離せえぇ〜〜〜!!」
 ルイズのわめきを完全に無視して、ガッツはルイズを引きずったまま、部屋へと消えていった。
「ガッツ……あたしをかばってくれたのね……!!」
 キュルケは一人、残された部屋で勝手に感動していた。
 パックはキュルケの部屋でのびたまま取り残された。
 キュルケの部屋の窓の外で動く影があった。六人の男がレビテーションの魔法で体を浮かべ、唖然と部屋の中の様子を眺めている。
「キュルケが待ち合わせの場所に来ないから様子を見に来てみれば……」
「黒い悪魔…! 既に我らがキュルケをたぶらかしていたか!!」
 男たちは悔しそうに唇をかみ締めている。中には涙を流している者までいた。
「あぁ僕のキュルケが…僕のキュルケがあぁ〜〜!!!!」
「あの様子では既にヴァリエールも……!! おのれ! おのれおのれおのれィ!!!!」
 男たちの悔し涙はその夜、枯れることはなかったという。
 部屋に戻ったガッツはルイズからヴァリエールとツェルプトーのどろどろな因縁を散々聞かされていた。
 太陽が未だ昇らぬ深夜。いっそ眠りたいと思ったのは初めてかもしれないと、ガッツは思った。
767名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:32:01 ID:hePTBYGe
支援
768ベルセルク・ゼロ8:2007/12/16(日) 22:32:32 ID:ffLWPZ6H
 翌朝、ガッツはルイズに言われたとおり、日が昇りずいぶん経ってからも未だ幸せそうに寝息を立てるご主人様を起こしにかかった。
「むにゃ、う〜んなによぉ〜〜……もうあとごふん…むにゃ」
 構わずガッツはシーツ(下に敷いてるほう)を引っ張った。ごろんと音を立ててルイズは壁とベッドの間に落ちる。
「な、何!? 何ごと!? ここどこ!?」
 わずか30cm程の隙間に器用に落ちたルイズはしばらく状況を把握出来ず、何やら喚いていた。
 ガッツがルイズのネグリジェの後ろ襟を掴み、引っ張りあげる。にゃーんってな感じでルイズはベッドの上に舞い戻った。
「お、起こすにしてもやり方ってあるでしょ!?」
「人に起こせっつっといて起きねえのが悪い。水を汲んでくるぜ」
 ガッツはさっさと部屋を出て行った。
「く、負けないわよ…! 絶対私を主人だと心の底から認めさせてやるんだから……!!」
 もそもそとガッツが出て行った隙に服を着替えながら、ルイズは呟いた。
 ガッツが水を汲みに井戸へ向かうと、そこには見覚えのある人物がいた。かつてここで出会った時と同様に、洗濯をしている。
 シエスタだった。
「よう」
 ガッツは井戸の水を汲み上げながらシエスタに声をかけた。
「ガ、ガッツさん!!」
 シエスタはよほどびっくりしたのか目を大きく見開いて声を上げた。
 そのままガッツを見上げて固まっていたかと思うと、気まずそうに目をふせてもじもじし始めた。
「?」
 ガッツはその様子を妙に思いながらも井戸から水を汲み上げる。
 水はルイズが顔を洗うためのものだ。桶一杯あれば事足りる。
 汲み上げた水を持ってきた桶に移す。その作業はすぐに済み、ガッツは部屋に戻ろうとした。
「あ、あの! ガッツさん!!」
 立ち去ろうとしたガッツにシエスタから声がかけられる。
 ガッツは振り向いた。
「あ、あの、決闘の時、逃げ出しちゃってごめんなさい……私が原因であんなことになっちゃったっていうのに……」
 何か様子がおかしいと思ったら、そんなことか。ガッツは思った。
 実際ガッツはそんなこと全然気にしてなどいない。
「決闘になったのは俺が余計なことを言っちまったせいらしいからな。お前が悪いわけじゃねえ。気にすんな」
「は、はい……あ、あの時は私なんかのためにありがとうございました!!」
「おう」
 ガッツはそう言って歩みだそうとする。シエスタは続けて声をかけた。
「これからもよかったら厨房に寄って下さい!! マルトーさんも喜びます!!」
「ああ、腹が減ったらまた寄らせてもらう」
「そ、それとガッツさん……」
「……?」
 シエスタは急に声のトーンを落とした。怪訝に思い、ガッツがシエスタの顔を見ていると―――
「ミス・ヴァリエールとミス・ツェルプトーに二股かけてるってホントですか!!?」
 そんなことをのたまった。
 これにはさすがのガッツもずっこけそうになった。
「待て。何でそんな話になってる」
「学院中で噂になってるんです…『黒い悪魔』が二人に手を出して痴情のもつれからミス・ヴァリエールがミス・ツェルプトーに凶刃を振るったって……」
 勘弁してくれ。何の呪いだこれは。烙印の新たな効力か? ガッツは頭を抱えた。
 それからシエスタの誤解を解くのに時間がかかり、部屋に戻ってからルイズに叱責された。
「…? 何よ、人の顔じっと見て」
 この癇癪少女が噂のことを知ったらどうなるか―――ガッツはどんどん面倒くさくなってきている周囲の状況に、また思わず眉間を押さえていた。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:33:57 ID:TL4zA9xX
ガッツ頑張れ
超頑張れ
支援
770ベルセルク・ゼロ8:2007/12/16(日) 22:34:40 ID:ffLWPZ6H
以上、投下終了。
次回はいよいよvsフーケですぞ〜。
デルフは展開の都合上後回し!! 
771名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:35:12 ID:5oeG3+EC
乙です
772名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:35:54 ID:M2UnbbQH
GJですぜ! キュルケが第一話の女使徒みたくならないかとひやひやしてました
773名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:36:42 ID:2BO13ayA
あの烙印には女難の呪いもあるのか!?
支援
774名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:38:32 ID:aWujS+i/
>>743 キモクナーイの技の大部分は再現できるんでね?マッドショットわ濁流とか。泥遊びでワルド涙目だな支援。
775名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:39:29 ID:qHIzJxE2
乙でしたー
ガッツ……w
強く生きろ。自分の故郷とは違う意味で
776名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:45:00 ID:8p0ba+/l
ガッツつえー
まあ使途と戦うのに比べりゃガキのメイジなんて可愛いもんだよなぁ
777名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:45:32 ID:5oeG3+EC
グッジョブ!!
778名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:47:35 ID:vwNnF0mC
学院の壁って固定化かかってんじゃないのか?
と思ったけど、それくらいぶち壊せなけりゃ使途は殺せんか
ともかく平和でほのぼのした光景(相対的)にGJ−
779新入り:2007/12/16(日) 22:48:48 ID:M2UnbbQH
投下予約をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか
780名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:51:06 ID:05Bi8O2h
>>779
>>1を守るのなら誰でもおk
781名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:51:50 ID:iYjHiAdn
支援可能・支援可能・支援可能
782名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:52:00 ID:5oeG3+EC
いいよー
783名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:52:15 ID:K/09Jr7Q
ワルドが鷹の団のノリでグリフォン隊を率いたりして。

784名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:53:18 ID:z3jTu9p6
いつのまにかワルドがワイアルドになっていて
785使い魔を買いに:2007/12/16(日) 22:53:44 ID:M2UnbbQH
 子供時代の終焉というものは、どのような形で告げられるのか。それには諸説ある。
 実際には諸説などというほど大層なものではなく、先輩ぶりたい年長者が教化と謳ってもっともらしいことをでっちあげているだけなのだが、それでも一応は諸説あるということになっている。
 先達曰く、諸々諸々……。
 精神的な面で高みに達した時、大人になる。
 肉体的に成熟すれば、それで大人といえる。
 幼い頃の夢を失った時、人は大人になるのだ。
 なるほど、といちいち頷かされる。人生の先輩達が考えたもっともらしい条件は、いかにももっともらしくわたしの耳を打つ。

 わたしが精神的な高みに達しているとは到底思えない。『ゼロ』という忌まわしい二つ名で呼ばれれば、つい『風邪っぴき』だの『洪水』だのと、童子のような憎まれ口で言い返してしまう。
 寝台に潜り込んでからつらつらと思い返し、昼間とった態度を反省することしきりなのだが、こぼれた乳を嘆いても無駄で時間は二度と戻ってこない。
 マリコルヌに対しては「そんなにわたしのことをかまうなんて……ひょっとして、あんたわたしのことが好きなんじゃないの?」とでも言ってやればいい。
 モンモランシーなら「他人にかまう前にきちんと彼氏の舵取りしておきなさいよね。ギーシュが一年生の子と仲良さげに歩いてるのを見たわよ」これで黙ることは確実だ。
 しかしこのやり口はまるでキュルケのようであり、よりにもよってツェルプストーの真似をしているなどと思われることはわたしの気位が許さず、結局わたしは後悔の涙で枕を濡らすことになる。

 肉体的な面はあえてあげるまでもない。成長が遅いのはわたしのせいではないからだ。
 薄いながらも体毛は生え揃っているし、その気は無くとも赤子を授かる準備だってできている。
 それで充分だ。乳牛のごとき肉体を見せつけて恥じる様子もない隣人よりはよほど大人だ。

 幼い頃の夢はどうだろう。
 物心つかない頃の漠然とした夢は、皆から祝福される美しい花嫁、巨大な竜を退治する騎士、平民から慕われる優しい王女、精強な軍隊を指揮してトリステインを世界一の大国に導く名軍師。見事に一貫性が無いのは子供だからということで勘弁してほしい。
 それら絵物語的な夢が鳴りを潜めた頃、代わって鮮明な色でわたしを迎えたのは「アカデミーの研究員」というしごく具体的な職業だった。
 具体的な夢は具体的な達成方法を伴っているため、子供が夢想しているだけはすまない。相応の努力を必要とした。

 わたしには、病身の姉さまに代わって領地を治めていくことが宿命づけられている。
 魔法を使う才能の一切を持たずに産まれてきたというマイナス要素も相まって、とんでもない重圧として重く重くのしかかってくる。
 魔法が使えないからといって逃げることは許されず、無能な自分を冷笑して隠遁するほど人生に絶望しているわけでもない。
 劣等生扱いされることを我慢できるようなプライドの持ち主であれば、もう少し自分自身を御しやすかったことだろう。
 実技を練習することが許されないぶん、その情熱は理論へと向かい、机上で学ぶものに関しては学年トップの成績を維持し続けている。
 実践より理屈をこねることが癖になってしまった気もするし、このまま研究員になんてなれば嫁かず後家の大年増ができあがるような気もするが、夢をかなえる代償としてはまずまずだろう。
 形ばかりの婚約者だったバーガンディ伯爵は別の人と結婚しちゃったらしいし。ああ、本格的にオールドミスへの道を歩みつつある。まだ十六なのに。

 いや、しかし、でも! 今日この日この時間からわたしの人生は花開く。
 何一つとして根拠はないが、サモンとコントラクトは成功する気がする。気がしなくても成功させなければならない。
 そのメイジに見合う使い魔が召喚されるということは、メイジの足りない部分を補完する使い魔が召喚するともいえ、魔法に関して無能なわたしがアカデミーの研究員になるという難事を可能にする何かを召喚するということ……かもしれない。
 ひょっとしたら一足飛びに姉さまの病気を治す使い魔を呼び出してしまうかもしれない。そうなれば研究員になることさえ必要なく、でもそれはそれで寂しくはあり、もはや何が目的で何が手段なのか見失いつつ、わたしは杖の角度と声のトーンを慎重に選んで……。
「……ミス・ヴァリエール」
786使い魔を買いに:2007/12/16(日) 22:54:33 ID:M2UnbbQH
 杖の振りと発声、これだけが魔法を魔法たらしめているということはもちろんなく、慎重に慎重を期し、そもそも成功したことがないものを成功させようという無茶を通す事実を忘れてはならず……。
「ミス・ヴァリエール」
 頭の中でクラスメイト達の召喚模様を繰り返す。一番の大物は青髪の……なんとかいうツェルプストーの友人が召喚した風竜か。二番目は悔しいけど認めたくないけどツェルプストーのサラマンダー。
 あの二人の共通点……声が若干抑え目だったような……なるほど、そういう部分にコツがあるのかもしれない。
 ただただ逸る心に任せて勢いのまま召喚してはいけないということか。これは人生に通じることがある。そもそもわたしの人生において……。
「ミス・ヴァリエール!」

「は? ……ええっと、お呼びでしょうかミスタ・コルベール。サモン・サーヴァント前の精神集中を乱されたくはないのですが」
 教師でさえわたしの邪魔をするというのだろうか。どこまで壁は高く聳え立つのか。
「いやいや、気持ちはわかるよ。使い魔召喚の儀式は神聖にして不可侵なものだ。しっかりと準備をしてのぞむべきだろう。ただね」
 禿頭の教師は人差し指の先で頬をかいた。その態度から言いにくいことを言おうとしていることは馬鹿でも分かり、つまりはわたしにも分かる。その内容も容易に推測することができた。
「順番が最後とはいえ、授業時間にも限りがある。なんだったら放課後に付き合ってもいいから、この場は手早く済ませてもらえないだろうか」
 なんだろうか、この失敗することを前提とした物言いは。言葉を選んでいる風なのがかえって腹立たしい。

「さっさとしろよゼロのルイズ! こっちは爆発見物するほど暇じゃないんだぞ!」
「うるっさいわね風邪っぴきのマリコルヌ!」
 ああ、また反射的に侮辱し返してしまった。しかもあちらが言うゼロは事実だが、風邪っぴきはただの低レベルな言葉遊びだ。反省しよう。
「そうよルイズ。潔く諦めることも時には重要よ」
「引っ込んでなさいツェルプストー! あんたのサラマンダーなんか及びもつかない使い魔召喚してやるんだから。びっくりして腰抜かすんじゃないわよ!」
 客観的どころか主観的な視点で見てさえ大言壮語……というよりは強がり、法螺話寄りの発言を耳にしてさえ、ツェルプストーの余裕は崩れない。
 あきれるように肩をすくめるそのポーズが、あからさま過ぎてわたしの癇に障る。
「ねえルイズ」
「なによ!」
「無理したっていいことないわよ」
「なにがよ!」
「あなたって嘘をつくとき耳たぶが震えるのよねぇ。この癖、知ってた?」
 一瞬にして頬が、次いで耳の先までが朱に染まる感覚を覚え、声は上ずり、動揺が外に滲み出した。巻き起こった笑い声がわたしの耳たぶを揺らす。
 自分自身が自覚していなかった癖を指摘されると、しかもその癖がわりと恥ずかしいものであったりすると、人はこのように慌てふためいてしまうものだ。
「ううううっ、うるさいうるさいうるさい! いいから黙って見てなさい!」

 もはややぶれかぶれだ。失態を誤魔化そうという思いも手伝い、手早くコモンを唱えた。
 クラスメイトの嘲笑の只中という実によろしくないシチュエーションではあるが、贅沢を言っていてはきりがない。
 せめてずらり並んだ顔――わたしを指差し嘲笑う顔――が目に入らないよう瞼を閉じて、おそらくは起こるであろう爆発にそなえて身を縮めながら杖を振るった。
 始祖ブリミルよ、どうか、どうか、どうかどうかどうかお願いします。ルイズ・フランソワーズ・ル.・ ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、最初で最後のお願いです。
 ハエやゴキブリ、イモムシでもかまいません。クラスメイトのさらなる笑いを呼ぶようなものだって我慢します。
 わたしの夢につながる使い魔、姉さまのご病気を癒してさし上げることができる使い魔をどうかどうか、どうかどうかどうか……!

 果たしてわたしのか弱い祈りは聞き届けられたのか。気がつけば、心無いクラスメイト達の罵声と嘲りが止んでいた。そういえばいつもの爆発音も聞こえなかったような。
 爆発が聞こえないということは、召喚は成功したということではないか。
 クラスメイト達が静まっているということは、連中の減らない口を封じるだけの素晴らしい使い魔が召喚されたということではないか。
 胸の高まりは狂おしい鼓動に代わってわたしのかわいらしい双丘を千々に乱す。
 双丘などという使い慣れない詩的な表現をさりげなく用いてしまうあたりどうしようもない興奮が、ああ、ああ、神様、神様、始祖ブリミル、わたしの願いを聞き届けていただけたのでしょうか。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:55:24 ID:iYjHiAdn
支援
788名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:55:24 ID:5oeG3+EC
支援
789使い魔を買いに:2007/12/16(日) 22:55:40 ID:M2UnbbQH
 もったいつけたわけではない。ただ単なる不安から、ゆっくりと、少しずつ、両のまぶたを開いていった。開ききる前から辺りは暗く、目を閉じ続けていたせいかとも思ったがそうではなかった。
 何が起きたのか確認しようとしたが、それもできなかった。何が起きたのか説明できる人間がいなかったからだ。
「……なに?」
 これはベテラン教師であるミスタ・コルベールでさえ説明できない怪現象が起こったという意味ではない。ミスタ・コルベールもその他有象無象もわたしの視界内にはいなかった。
「なんなの?」
 答えは無い。わたしの脳内に建築されたルイズ図書館には推測する材料となるだけの蔵書が無い。
「なんなのよ! なんなのよこれは!?」
 ヒステリックに叫んでみても誰も助けてくれない。分かってはいても叫ばずにはいられない。
 わたしは草原にいた。確かにいた。それは絶対に間違えの無いことだったはずなのに、ここは草原ではない。ここは、道。
 どこかと問われればどことも答えることはできない。まばらな木々……なんという種類だろうか。それさえ分からない。
 獣道に毛の生えた程度の道を守るようにして背の低い樹木が生え、木々の向こうは色の濃い暗がりで覆われて視線を塞いでいる。
 どこか生臭い匂い……それに湿っぽい。長雨の最中としか思えないほどじめついている。なんだろう。上を見てみたが、月も星も無い。分厚い雲が地平線の向こうまで空を隠しきっている。
 地平線? ……おかしい。学院がなくなっている。いや、でも、そもそも場所が違っているのだから当たり前といえば当たり前……なぜ?
 どう考えても時間帯が違う。わたしは昼間の草原にいた。でもここは夜道。どこかの街道? この規模なら間道? どこに続いている? 先には街が? 学院が? 前を見れば長々続く道、後ろにも長々続く道。先は見えない。
 いたはずの皆はどこへ? わたしを残してどこかへ行った? いくら薄情な連中とはいえそれはない。だいたいこんな短時間に、音も立てず気配も感じさせずに不可能だ。
 罵声と嘲りはいつ消えていたのだろう。どんなに耳をすませてみても、風が木の葉をそよがせる音さえ聞こえない。

 首筋を撫でていくような風が吹いた。マントの裾を寄せたが寒気が去ってくれない。分からない。分からないことが恐ろしい。分かることなら恐れるまでもないが、何も分からないことが恐ろしい。
 誰かの悪戯だろうか。だがあの場にはミスタ・コルベールがいた。頼りないところもあるが、教育に対して真摯な教師だ。このような真似を看過するとは思えない。
 足を踏みしめてみるが、いつもと変わらない地面の感触があるだけだ。空気は少し違うようだが……なんだろう、この生臭さは。魚とも違う……不愉快というわけではないが、どこか気になる……分からない。
 落ち着かなければならない。落ち着かなければならない。落ち着かなければ。冷静に。冷静に。
 後から後から絶え間なく落ちてくる塩辛い体液を袖口でぬぐい、自分を抑えようと、理性を取り戻そうとするが上手くいかない。
 しゃがみこんでしまいたいが、こんな所でそんなことをして、後ろから誰かに襲われでもしたら……後ろから?

 ここでわたしが振り返ったのはただの偶然だ。怖気に襲われた小娘がビクビクしていた、それ以上のことではない。
 浴場で洗髪の真っ最中に視線を感じて振り返る、それと同程度のことだ。そこに何かあるはずもなく「まさかね……」という自嘲とともに洗髪作業に戻る。
 世界はそのようにできているはずだし、そうあるべきだとわたしは思う。だがすでに異常が発生していることは明白であり、わたしの願いがかなえられるはずもなかった。
790名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:56:27 ID:5oeG3+EC
支援
791名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:56:32 ID:MZaG/E4K
支援
792名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:57:26 ID:5oeG3+EC
びっくり新展開支援
793名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:57:30 ID:hePTBYGe
支援
794使い魔を買いに:2007/12/16(日) 22:58:17 ID:M2UnbbQH
とりあえず以上です。恒川光太郎の「夜市」とのクロスです。
原作のオチを下敷きにしているため、既読の方には見え見えでしょうがお許しを。
どうぞよろしくお願いします。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:59:45 ID:5oeG3+EC
原作知らないから楽しませてもらうぜ乙
796名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:00:50 ID:05Bi8O2h
虚無の(検閲)を(検閲)と(検閲)するとな?
797名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:01:30 ID:iYjHiAdn
乙でした。
ルイズの心情がいい感じ。
期待してます。
798名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:12:49 ID:ryUr7r0j
>わたしには、病身の姉さまに代わって領地を治めていくことが宿命づけられている。

>形ばかりの婚約者だったバーガンディ伯爵は別の人と結婚しちゃったらしいし。
>ああ、本格的にオールドミスへの道を歩みつつある。まだ十六なのに。

エレ姉の存在が抹消されてルイズがその肩代わりしているという設定なのか?
799名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:14:49 ID:vwNnF0mC
ああ、微妙に違和感があると思ったらそういうことか
800名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:14:52 ID:gjA24lbo
原作のエレオノールも何故か家を出る気満々のような気がするんだが
801名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:19:28 ID:4W4Z3PLZ
つまりワルド悲惨
802名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:25:52 ID:Nh/MQ1Tc
携帯から書いてもいいですか?
かなり遅くなるから迷惑かもしれないし
803名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:26:42 ID:gjA24lbo
書きながらは非常に嫌がられるんだが
804名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:27:18 ID:3NMR/qbr
>>802
ご遠慮ください。
805名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:29:02 ID:jlYJfNIb
>>802 迷惑だと思うならするなカス
806名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:29:15 ID:IKh7BLux
>>802
メモとかに書き溜めてからコピペで書き込むとよい。
807名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:33:48 ID:iKcJWieq
少なくとも、込む時間帯は避けるのが吉だな。
比較的過疎る時間帯なら、>>806の方法で書き込めばOKだとおもう。
808名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:38:17 ID:yXLpjyJz
タイトルで「手袋を買いに行く子狐を召喚するのかな?」と思ったのは
俺 だ け で い い
809名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:40:28 ID:dEvsdGfF
>>808
オレがいるぜ、兄弟。
810名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:44:00 ID:yXLpjyJz
>>809
あれは神本だよなぁ
811名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:46:23 ID:I6b4FP3r
思い出しただけでちょっと涙が滲むんだぜ。
812名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/16(日) 23:46:57 ID:+NKqBjDS
>>808-809
僕もいるぞ。
813名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:47:05 ID:EDcZ3ft/
>>808
なにその俺www
あのかぁいい狐を呼ぶなんてとんでもない!

っておもってみたらなんとも不思議ワールドが展開されててド肝を抜かれたw
814名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:47:38 ID:5oeG3+EC
かたあしダチョウの『エルフ』を召喚とか
815名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:53:06 ID:5Goqzw5n
>>808
結構皆考える事は同じみたいだなwww
816名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:53:32 ID:aMuA5Oju
>>808
よう、兄弟
817名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:53:48 ID:ij1a2/M6
>>808
母狐がかわいそうになる話になる悪寒
818名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:54:42 ID:0ad68qLY
100万回〜のネコ召喚とか

あらしのよるに のオオカミ召喚とか

結構童話ネタはいけそうな気がするな
819名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:55:39 ID:gjA24lbo
ネコバス召喚とか
820名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:56:52 ID:0ad68qLY
などと言ってる間にもう次ぎスレの季節か?
821名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:57:33 ID:raI5vUiD
ただ、バトルはなしの方向になるような気が。
そのキャラの影響で、ルイズや周りの状況が変化するくらいかな?
822名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:59:41 ID:KQf1H+bd
立てるから待ってろ
823名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:59:52 ID:yXLpjyJz
俺大杉ワロタwww


ある時、猫は魔法使いの猫でした。
猫は魔法使いのことが嫌いでした。
ある時、魔法の失敗で猫は死にました。
魔法使いはたくさん泣いて、猫を屋敷の庭に埋めました


100万回生きた猫、原文忘れたことに気付いた
824名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:59:53 ID:YzB6LI03
む、手元の専ブラでは481KBと表示されている…

スレ立ての準備をしてくる
825名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:01:50 ID:W7D+bg2m
>>798
原作では、エレオノールが登場したとき嫁入り?に失敗した事が分かったはずだから、
この時点ではもう嫁ぐ(領地は継がない)と思っていた。ってことじゃね?
826名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:02:13 ID:KQf1H+bd
827名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:03:11 ID:YzB6LI03
>>826
828名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:04:16 ID:DPZl4XBL
GJ作品が多くてこのスレには間にあわなんだか……。
829名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/17(月) 00:07:00 ID:UJCPGDtd
>>730
一方さんは超能力開発もできるんだよな。
これで思ったのだが、血縁にかかわらず使える魔法もしくはそれに準じる
異能力をハルケギニアに広めそうなキャラはほかにいるだろうか?
830名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:10:24 ID:MYFMm8rV
>>828
なぁに、これから残りをGJで埋めてしまえば良いのさ。

>>829
実はメイジには超能力が使えず、平民だけが能力開花したりしてな。
831名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:18:54 ID:vHngd+p/
>>830
いや、使えるでしょ。魔法を使うと死ぬようになるだけで
832名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:19:06 ID:gNGvFYrI
ちょっと聞きたいのだが、小ネタではなくアルビオンまでの展開(行くまではオリジナル)を書いて、クロス先の原作の有名な超展開を
そのまま殆ど写しで書くというのはやっぱりダメなのだろうか?
833名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:21:55 ID:rr9ONYNP
>>808
ごめん、感動するストーリーより先に、

「おててがちんちんする」

このセリフが思い出されて笑ってしまうんだ。
834名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:24:35 ID:SnrmiNeb
>>833
そのセリフを聞くと072中の狐耳のショタを想像するんだが
835名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/17(月) 00:29:55 ID:UJCPGDtd
>>831
だとすると超能力開発はメイジに対する刑罰として使えるかもしれない。
開発をレベル0でとめれば、メイジをメイジでなくすることが可能だ。
836名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:30:33 ID:6oMoLvda
>>832
そんなん原作読めばいいだけじゃないか
何でクロスでやんの?
837名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:37:25 ID:gNGvFYrI
いや、自分で書きたいネタ(召喚からフーケ戦)と
コラージュ?でそれをそこに持ってくるのかよ!的な小ネタにピッタリの話が
同一の作品にあるので。
838名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 00:53:42 ID:vJyy9B0e
さて、埋めようか
839名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 01:05:49 ID:54n5OIaM
>>829
ブギーポップの霧間誠一郎は地味にMPLS増やしてたな
840名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 01:17:18 ID:54n5OIaM
郎いらねーやorz
心理学?の本ってあの世界では受容あるのかね
841名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 01:22:47 ID:DPZl4XBL
事件シリーズじゃ異世界(?)に現れてるな。霧間誠一の本。
842名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 01:26:17 ID:CDuqMHgn
でもアレって増やしてたんじゃなくて能力使うのを自重していた奴らを促していただけじゃなかったか?
843名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 01:42:11 ID:MYFMm8rV
14KBあったら収まると思うんで投下しちまいます。
844ゼロの看板に偽り有り:2007/12/17(月) 01:45:00 ID:MYFMm8rV
「チーッス。ルイズさんチーッス」
「何よアンタ?」
「はじめましてー、サワヤカな春風の精でーす」

だだっぴろい平原で、剣を背負った黒髪の青年が片手をシュタっと挙げて自己紹介。
なんか異常にダルそうだった。
キッパリハッキリ金輪際、カケラ程も爽やかではない。

「嘘でしょ」

どう見てもちょっと変わった顔立ちの平民以外には見えないのだ。
ルイズは冷静にそう判断して冷たく切り捨てる。

「イヤイヤまじでまじでー。別名ガンダールヴ」
「嘘っ!? ガンダールヴって確か始祖ブリミルを守る神の盾じゃないの!?」
「まー全部嘘なんだけどな。信じた? ププッ」
「キシャー!!」

ルイズはヘラヘラと笑うヒラガサイトに襲い掛かった。
ルイズの折檻。
鞭が唸った。蹴りが飛んだ。失敗魔法が放たれた。
ヒラガサイトに150のダメージ。
ヒラガサイトはボロボロになった。

「スンマセン! まじスンマセン! 私は愚かな駄犬です。犬っコロとお呼び下さい
この珍しいおしゃべり剣とか差し上げますから、どーかお許し下さいませ」

目の回りを紫に腫らし、唇は紫でタンコブだらけという姿で土下座する少年。
腕を組み氷の瞳で見下ろして、ルイズは聞く。

「それで犬、アンタは結局何なのよ?」
「えーこの犬めはー、ルイズさんにー、お知らせがあって来ましたー」
「……はぁ。お知らせって?」
「前回、前々回とー、魔法少女がどーのこーの言ってましたがー」
「うん、言ってたわね」
「アレー、ぶっちゃけ無かった事にして下さいー」
「なんじゃそりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

春風が吹く草原にルイズの絶叫が轟くのであった。

<ゼロの看板に偽り有り>

絶叫と共に跳ね起きるルイズ。
気が付けばそこは、いつも見慣れた自分の部屋。
いきなり叫び出した自分を心配そうに覗き込む半透明の姿は、水の精霊ウンディーネ。

「どどどどどうしたのヨ、ルイズちゃん?」
「……………………夢?」

ぽえっ? と首をかしげるルイズ。
目の前の変な物体(生物かどうかすら定かでは無い)は、昨夜自分に「魔法少女になれ」と言ったモノだ。
つまり昨日の出来事は現実だという確かな証拠。

「夢オチ?」
「何のことなのヨ?」
「いえ、何でも無い。こっちのハナシよウンディーネ。
うう……なんか犬とか変な夢見たせいで朝からヤな気分」
845ゼロの看板に偽り有り:2007/12/17(月) 01:46:12 ID:MYFMm8rV
「朝じゃないのヨ?」
「え?」

ウンディーネの小さな指が指す先には部屋の窓が有る。
そこから差し込む光は、爽やかな春の日差し。
もっと言えば、爽やかな春のお昼の日差しだった。

「ひるーっ!?」
「そうなのヨ。お昼なのヨ。ルイズちゃんは寝すぎなのヨ」
「何で起こしてくれなかったのよ!」
「起こせって言われてないのヨ。それに私は目覚ましじゃ無いのヨ」

もっともな発言にルイズは責任転嫁を諦めた。
慌てて―――しかし途中でもう慌てても仕方ないと諦めて、ゆっくり身支度を調える。
どうせ今からでは、午前中最後の授業も途中からしか出られまい。
もう朝食は残っていないだろうが、少し早めの昼食には良い頃合だ。
そもそも、普通の学校に通っていない貴族なら昼前に起きるぐらいが普通なのだしと、ルイズはあまり気にしない事にした。
勤勉が美徳ではなく悪徳とされた地球のヨーロッパ文化と似て、ハルケギニアの多くの貴族も勤勉さとは程遠い。
普通地球で言う所の午前9時、教会の鐘が鳴る頃に起床した貴族は、それからゆっくりと身支度をする。
使用人が用意する水タライで顔を洗い、簡単に寝汗をふき取り、服を着替えて髪とヒゲを丹念に整えるのだ。
その頃には使用人達の室内での仕事は終わっているのが普通だった。
日の出と共に目覚めた家令以下の平民は、部屋を掃除し、主人の服を用意し、朝の礼拝をおこない、
主人の豪華な正餐の用意をし、自分の粗末な朝食を終えて、花を飾り水壺に新鮮な汲みたて水を注いでおく。
それらの用意がなされた頃に主人たる貴族は起き出して、山盛りに盛られたフルーツを一つ掴んで齧りながら朝食の席に着くのである。
つーか、そんなだから主人が早起きとかするとむしろ使用人が困るのだ。
貴族は寝てろと。
朝早くに目が覚めて、使用人を気遣って何時間もベッドで寂しく待ってる貴族だって居たぐらいだから。

さて、おおよその貴族にとって、平時の朝食は一番豪華なものになる。
多くの平民が野菜中心の食事を採るのに対して、貴族は下級、あるいは女性であろうとも肉食を好むのが常であった。
肉や魚の燻製、ハム、ソーセージ、サラミといった、たっぷりの香辛料が使われた保存食が中心を占めているのが普通である。
前日に狩りで獲物を仕留めていれば、晩餐会などに供されない場合はここで新鮮な肉も串焼きやステーキとなって出てくるだろう。
それから豆類や野菜を煮たものと、乳製品やタマゴなど。
豪華な食事は権力を誇示するものなので、大貴族ともなれば食べきれない程の用意がされるのも普通だった。
ついでに香辛料も権力の象徴なのでバンバン使う。
素材の味? ナニソレ? な激辛料理がスタンダードなのが貴族の食卓だ。

そんな朝餐を終えると小休止が入る。
ハルケギニアでは喫煙は一般的では無いようだが、喫茶の習慣は庶民層にまで根付いている。
お茶ではなく昼間からワインとかカパカパ飲むのも普通だった。あんなモン水替わりですよ。
それらを嗜みつつ夫人や子供達、あるいは屋敷に同居する親戚などと談笑して過ごす、安らぎの時間である。

地方領主ならば、その後は執事長から使用人の働きぶりや荘園作物の出来などを報告され、特産品の売買などの状況を聞いて指示。
現代日本の感覚からすると異常に牧歌的な農業と畜産中心の時代なので、だいたい農作物さえ作が良ければそれで良い。
闘争の用事さえなければ、領主は難しい事を考える必要はあんまり無かった。
まぁ戦争になったら殴りに行く事を考えるぐらいだが。

それから夕方まで狩猟やスポーツで汗を流して帰宅。
ハルケギニアでは読書なども一般的な娯楽なので、それを楽しむ貴族も多い。
晩餐会などを催さない場合はそのまま簡単な夕食を摂って寝るか、近隣の晩餐会に呼ばれて出向くかであった。
なお、地球のヨーロッパ貴族は入浴すると肌が弱って毒素が入るとして忌避したものだが、ハルケギニアの貴族はそれより随分清潔だ。
湯を張った風呂、蒸気サウナ、それに温泉なども楽しまれている。
これは魔法でそれらを用意するのが簡単だと云う事も無関係では無いだろう。
ともかく、汗を流してサッパリしたら、夜の生活を楽しまない貴族はそのまま就寝である。

つまり、基本的に貴族というのは怠惰なのだ。
むしろ怠惰こそ美徳。怠惰イズ・ゴージャス・アンド・ビューティフル。
生活について回る労働を平民に任せる部分が多いほど大貴族であるという認識すら存在したし、
「必要な事」を全てそぎ落とし「無駄な事」だけをするがゆえに文化の担い手たるという一面もある。
846名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 01:46:40 ID:KSE4iWfc
しえん
847ゼロの看板に偽り有り:2007/12/17(月) 01:47:51 ID:MYFMm8rV
領主は領民の家長的存在であり、ひとたび戦争ともなれば名誉をかけて領民を守護する戦士であるという価値観は強固だが、
裏を返せば平時には何もする事が無いのが貴族の本質だったりする。
まぁ戦争以外にも現代日本で言う所の行政権司法権立法権裁判権軍事権の全てを持っているヴァリエール公のような大領主ともなれば、
裁判や兵士の指揮なども行う場合も有ったが、それだって代官に一任している方が多いのが実状だったり。
経済学とか帝王学とか知ったこっちゃないのだ。中世ヨーロッパレベルの文明社会では。

そんな中で、ルイズは珍しいぐらい勤勉なタイプだと言えるだろう。
と、ゆーか、わざわざ学校に行って魔法の腕を磨こうとする学院生徒全体が、おりこうなキャリア組と言っても言いはずだが、
ルイズはその中にあっても特に生真面目で禁欲的な、悪く言うと頑なで面白味の無い娘である。
そんな彼女だから、授業をサボって朝寝するなど初めての事だった。
一方で、真面目さとはまるで縁の無い貴族の娘も居る。
つまり、向かいの部屋に住むキュルケ・フォン・ツェルプストーさんの事だが。

昨夜もハンサムな上級生と一夜のアバンチュールを楽しんだキュルケは、
一番鳥の鳴き声と共にマントを抱えて男子寮へと走って帰るハニーを見送った後、存分に惰眠を貪った。
ちなみに相手は流水のステックとかそんな名前だったが、キュルケの桃色脳細胞はもう覚えていない。
昼前になってやっと目覚めた彼女は、シーツをどかすと全裸でウーンと背伸びをした。
キュルケにとって下着はあくまで自分を美しく見せるための装身具なので、冬場はともかく寝るときは全裸の方が好きだった。
腕を上げ下ろしする度に褐色の豊満な双丘がプルルンと揺れて眼福だが、残念ながら見る者は居ない。
それでも誰かに見せ付けるように殊更ゆっくりと起き上がって、ベットサイドの水差しからワインを注いで一気に煽る。
ゴクンと鳴る喉、シーツの海に沈む太腿、どれも匂い立つような色香に溢れていた。
カットグラスのコップを水差しに戻し、キュルケは大きく息をついて、それからやっと制服に着替え始めた。
形の良いシリを揺らしながら、鼻歌と共にレースの下着やシャツ、スカートにマントを身に付けてゆく。
あまり寝癖は付かない髪質なので軽く整えるだけで、後は香水をふる程度。
手早く身支度を整えてから、昨日召喚した使い魔のフレイムを軽く撫でる。
なお、変温動物であるトカゲは普通貴族と同じく日中暖かくなってから活動を開始するが、火トカゲもそうであるかは定かでない。
でもまぁともかく、キュルケが起床するまで大人しく待っていた火トカゲのフレイムは、ご主人様について部屋を出た。
と、そこで彼は珍しい存在に出会うこととなる。
それは水のような、フワフワと浮かぶ半透明の少女のような物体。

(なんだい。水の精霊サマじゃないですか)
(あらこんにちはなのヨ、火トカゲさん)

こう見えてもウンディーネは、古い古い、長い長い命を持つ水の精霊のヒトカケラだ。
カケラと言っても水の精霊は全体が一つで一つが全体なので、それは全て大元の精霊に等しい。
更に人の心を操ったり、肉体を自在に操る水の精霊は、ハルケギニアの生物達からもそれなりに敬われている。
その事は火竜山脈の火トカゲも例外では無いので、フレイムも礼儀正しくかしこまって見せた。

(こんちお日柄もヨロシク。こんなトコで何をしてらっしゃるんで?)
(ああ、それは―――)
「あらヴァリエール、どうしたのよその透明なのは?」
「見て判らないかしら成り上がりのツェルプストーには。
この子は私の使い魔よ。水の精霊でウンディーネって言うの」
「……あなた、昨日は変な怪人を召喚してたじゃない」
「あの後で召喚したのよ! まぁコレが私の実力ってコトよね!!」

ウンディーネが答えるよりも先に、ルイズはその薄い胸を張って勝ち誇って言う。
フレイムは主人達の会話を聞いて大体の所を理解した。

「ああ、昨日の夜変なポーズで踊ってたのは、ひょっとして使い魔召喚をしてたの?」
「ま、まあね! あの時はツェルプストーに邪魔されたけど、こうして無事召喚出来たのよ!」
(つまり、姐さんはこの人間の使い魔になったって事ですか)
(正確には使い魔のフリをするように頼まれたのヨ。って、コレは人間にはナイショヨ?)
(へい。決して言いませんとも。尤も、言いたくても聞いてもらえませんがね)

使い魔同士にしか通じない先住言語で話し合う2体の使い魔。
人間には唸り声にしか聞こえないので主人達に聞かれる心配は無い。
848ゼロの看板に偽り有り:2007/12/17(月) 01:49:03 ID:MYFMm8rV
ついさっき、魔法少女として選ばれたルイズは喜んで誰かに魔法を見せたいと言ったのだが、
それは「魔法少女は正体を知られてはいけない」と言うルールに反するからとウンディーネに止められてしまった。
そこで、交換条件としてウンディーネがルイズの使い魔のフリをする事になったのである。
なにせ偉大なる水の精霊が使い魔ともなれば、メイジにとって素晴らしいステータス。
トリステイン王家と盟約を結び、本来専門の巫女だけが交渉役を担う精霊の主人となれば、ルイズの株はストップ高に高騰モノだ。
その証拠にキュルケも使い魔としての水精霊の凄さは認めて、自分の使い魔自慢は取りやめるほど。
流石の火竜山脈の火トカゲと言えども、水の精霊の前ではガクンと格が落ちるのである。

「一応おめでとうと言っておくわ。せいぜいワガママ言って使い魔に見限られないようにね」
「なっ、ししししし失礼な事言わないでよね、ツェルプストー!!」

それでも一言チクリと嫌味は忘れずに言って、キュルケはフレイムを連れてその場を去る。
その様子はいつもと変わりなかったが―――フレイムには主人の様子が平静では無い事が感じ取れた。
ご主人様は機嫌が悪い。
ツェルプストーのヴァリエールに対するライバル意識と言うのは、けっこう強烈なのだった。

一方上機嫌なのはルイズである。
嫌味こそ言われたが、あのツェルプストーに勝ったのだと意気揚々。
アルヴィーズの食堂で無理を言って用意してもらった早めの昼餐をゆっくりと楽しみ、後からやってきた生徒達の視線を存分に浴びた。
誰もが認め、驚き、感心する使い魔・水の精霊。
元水精霊の巫女の家系であり、ルイズとも度々衝突していたモンモランシーが静かなのは不満だったが、
とにかくルイズはその日すっかり普段の溜飲を下げたのであった。

ちなみにモンモランシーが静かだったのは、新しい恋に上の空だったからだ。
頭の中がドクロでいっぱいと言う、ハタから見たらキモイ状況。
そのせいで、ルイズの連れている精霊にも無反応なのであった。
なお、天日干しドクロ仮面を蛙苺責めで半殺しにするのは、この数刻後の事である。

そんな各人各様な使い魔召喚の翌日から一夜明け、次の日の事。
事件は起こった。
貴族の子弟達が午前中の授業へと寮から向かって行く朝。
さわやかな日差しを遮るように中庭に現れたのは、巨大なゴーレムだった。
それも、普通のゴーレムではない。
まるで鎧を着た乙女を模したような、青銅の色を持つ少女人形。
ギーシュの生み出すワルキューレを数十倍に巨大化させたようなゴーレムが、腕を組んで仁王立ちしていた。
とゆーか、ソレはギーシュのゴーレムに間違いない。

「うわーっはっはっはっはっ!! 学園の美少女は全員ボクのものだ!!」

本塔のてっぺんが腰の位置にある巨大なゴーレム頭上にはギーシュの姿が有るからだ。
全長150メイル超の巨体の頂上で豆粒にしか見えない少年の眼は、なんかグルグルになってる。

「おーい、なんかギーシュが馬鹿なことしてるぞー」
「なんか馬鹿な事を言ってるなぁ」
「ワルキューレビーム!!」

グルグル目でもギーシュは悪口に敏感だった。
超巨大ゴーレムを見上げてザワザワしている上級生の群れに叩き込まれる、ワルキューレの眼から発射される極太レーザー。
派手な爆発が起こった後には、服だけを消されて全裸になった少年少女達が居た。

「こっ、これは脱げビーム!?」
「いいぞギーシュ! もっとやれ!!」
「ワルキューレビーム!!」

歓声を上げる男子生徒の群れに脱げビーム。
正直止めて欲しい。
しかしこのビーム、服のみならず杖すらも消してしまう効果があるため、対メイジ兵器としては馬鹿にできなかった。
849ゼロの看板に偽り有り
ほうほうのていで寮へと逃げ出す全裸生徒達。
当然のように恋人を脱がされた男子生徒や、身の危険を感じた女性とが反抗の狼煙を上げる。
ワルキューレへ向けて次々と打ち込まれる魔法の数々。
しかし、あまりに巨大すぎる敵に、彼等と彼女等の攻撃魔法まるで歯が立たなかった。
そもそも、目標が遠すぎてギーシュには届きすらしないし。

「ワルキューレビーム!!」

攻撃の代償は反撃を受ける事に他ならない。
ギーシュに歯向かった生徒達は次々と脱げビームの餌食になる。
ビーム自体が極太のため、周囲に居た無関係な生徒も全裸になって学院は阿鼻叫喚。
ただし、黄色い悲鳴に混じって野太い歓声なんかも上がっている。

「いいぞギーシュ! もっとやれ!!」
「ワルキューレビーム!!」

若さを暴走させる彼等に、学習能力はあんまり無い。

「なにをしているのですか!」
「いったい何の騒ぎだねこれは!」
「ワルキューレビーム!!」

凶行を止めようと現れたミス・シュヴルーズやミスタ・ギトーまでもが全裸にされてしまう。
正直止めて欲しい。
まぁとにかく、学院は今や全裸だらけ。
このままでは風紀は乱れに乱れてしまうに違いない。

その時だった。
女子寮から、周囲の騒ぎにも気が付かずに一人の少女が現れたのは。
その少女とは『香水』のモンモランシー。
自分が恋する幼馴染の登場に、グルグル目ギーシュの心拍数は上ってヒートアップする。

「ああ、ボクのモンモランシー! 美しいキミの全てをボクに見せておくれっ! ワルキューレビ―――」
「そこまでよ!」

ギーシュがけっこうシャレにならないエロ暴走行為に手を染めようとしたその瞬間。
ギーシュの目の前に1人の少女が現れていた。
年の頃なら8〜9歳ぐらいだろうか。
ちいさな身体を包むのは、薄い桃色のワンピース。
ピラピラでフワフワでポワポワな服なのに、手足は無骨な鋼の手甲脚甲で覆われていた。
ピンクの髪を纏める大きなリボンは身長よりも長く波打って延び、胸の宝玉には無限を表す∞の紋章。
手には、身長の二倍はあろうかと言う長剣が握られていた。

「……あれは」

本塔外壁の影で混乱を見守っていたゴスロリ魔法少女シャルロットちゃんが目を見開いた。
悪の魔法少女が注視する中、新たな魔法少女が堂々と名乗りをあげる。

「剣戟系ガチンコ魔法少女、ソーサル・ゼロ! 只今参上!!」
「いくぜソーサル・ゼロ。デビュー戦だ!」

お供のマスコット剣・デルフリンガーの声に呼応して、剣を握った左手鉄甲に浮かぶルーンが光を放つ。
この魔法少女こそルイズが変身した、虚無の使い手たる姿。
彼女自身の願いとは正反対に、直接攻撃を得意とする肉弾専門魔法少女なのであった!

第四戦
――○オヤスミ中なルイズVSドリームなサイト●――決まり手はいつもの折檻
新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん、第五話へ続く!

ギリギリで投下終了