【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚74人目】

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1名無しさん@お腹いっぱい。
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【orz】http://orz.2ch.io/top.html
【iMona】http://imona.net/
     _      ここは「ゼロの使い魔」と「ジョジョの奇妙な冒険」のクロスSSスレよ。
    〃 ` ヽ     他にも避難所にしか掲載されてないSSとかもあるから一度見てみなさい 
    l lf小从} l /    投下中は空気読んで支援しなさいよ 荒らしはスルーだかんね
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/     職人さんは荒らし防止にトリップを付けてよね
  ((/} )犬({つ'      次スレは900か950を踏んだ人が立てること
   / '"/_jl〉` j      480KBを超えた場合も立てるのよ。 わかった?
   ヽ_/ィヘ_)〜′

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚73人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195409423/l50

●まとめサイト                               ,〜'´  ̄ヽ
http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html         ミハ^^ヽヽ(  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●避難所.                           ____. -' ヽル::::д)ζ <批判は避難所だ!君の意見を聞こうッ!
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9292/     =='、 ̄ニ|::... . . . . ...::::: :: ::〉:::.:ヽ     |_________________
●ジョジョの奇妙なAA集               ' ´   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`!:::::::::::.. :i
ttp://jojoaa.web.fc2.com/                         `y::::::. ::ト、
●ジョジョスレUPローダ                            〉::::::::. .::`ヽ
ttp://vblave.hp.infoseek.co.jp/                        ハ:::::::: ..:λ:i
●アニメAA保管庫 ゼロの使い魔ページ                /:::::::::: .:/::::i´
ttp://aa.tamanegi.org/anime/zero-tsukaima/
*******************************************************
*スレ運営について意見のある方は運営議論スレへどうぞ    . *
*http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9292/1184936505/ *
*******************************************************
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:38:53 ID:g3OWQ/JZ
第一部+第二部
ジョナサン 卿 ブラフォード シュトロハイム シーザー スケコマシーザー
究極生命体カーズ様 ワムウ様 スト様 石仮面+ブルりん+吸血馬

第三部
承太郎 法皇花京院 一巡花京院+平賀才人 メロン花京院
ジョセフ アブドゥル ポルナレフ イギー 
DIO様 ンドゥール ペットショップ ヴァニラ・アイス ホル・ホース
ダービー兄 ミドラー デーボ エンヤ婆 アヌビス神 ボインゴ 

第四部
東方仗助 仗助+トニオさん 広瀬康一 アンリエッタの康一 虹村億泰 ミキタカ+etc 間田
シンデレラ カトレアのトニオさん 岸辺露伴 静(アクトン・ベイビー)+露伴
デッドマン吉良 猫草 キラー・クイーン 

第五部
ブチャラティ ポルナレフ+ココ・ジャンボ(亀ナレフ) アバ茶 ナラ・アバ・ブチャ組
ルイズトリッシュ マルコトリッシュ ナンテコッタ・フーゴ アバ+才人 ジョルノ  ミスタ
ディアボロとドッピオ プロシュートの兄貴 リゾット ローリングストーン 偉大兄貴
ギアッチョ メローネ 俺TUEEEディアボロ ペッシ ホルマジオ スクアーロ
暗殺チーム全員 紫煙+緑日 ブラック・サバス セッコ 亀ナレフ+ジョルノ イルーゾォ
サーレー

第六部
引力徐倫 星を見た徐倫 F・F アナスイ ウェザー エルメェス エンポリオ ヘビー・ウェザー
プッチ神父 帽子 ホワイトスネイク 白蛇ホワイトスネイク

SBR
ジャイロ+才人 ジョニィ マイク・O
リンゴォ マウンテン・ティム Dio

バオー+その他
橋沢育郎 バオー犬 味見コンビ(露伴+ブチャ) 決闘ギーシュ タバサの奇妙なダンジョン
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:39:09 ID:g3OWQ/JZ
・スレッドが1000に満たなくとも、480kbをオーバーした場合には新スレを。
・行数は最大で60行。 一行につき全角で128文字まで。
・4096Byts、全角だと2048文字分。
・専用ブラウザなら文字数、行数を管理してくれるので目安がつけやすいかも。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:41:25 ID:si/lzfw5
>>1
  ∩∩      血  管  乙  攻  撃  !      V∩
  (7ヌ)                              (/ /
 / /                 ∧_∧            ||
/ /  ∧_∧     ∧_∧  _(´∀` )   ∧_∧   ||
\ \( ´∀`)―--( ´∀` ) ̄      ⌒ヽ(´∀` ) //
  \       /⌒   ⌒ ̄ヽ、ペイジ /~⌒    ⌒ /
   |      |ー、      / ̄|    //`i プラント /
    | ジョーンズ|  | ボーンナム/ (ミ   ミ)  |    |
   |    | |     | /      \ |    |
   |    |  )    /   /\   \|       ヽ
   /   ノ | /  ヽ ヽ、_/)  (\    ) ゝ  |
   |  |  | /   /|   / レ   \`ー ' |  |  /
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:46:55 ID:oI0NcTaA
>>1乙です
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:04:32 ID:+9MMfBe2
>>1乙!>>1乙!
7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:12:22 ID:BzuFn/3V
>>1
            H  /y'
        /ヽ  H  /y'                  
         /`  }_ ヽTァr-,、       /7に仁二仁二仁ィ7
        /   |こ=y7 ̄`ヽ>、   /7        //
      /   } ,,{ペ.f!{    ,ノソ  ノ丿       xく/
     ./ヽ  ,j} jf}气`ハ、  ,H  />'      /> '′
    |{ハ}} ,,ィリ州|い{,mヾコエ>゙ /7      /7′
     |ルjム=.' iif !ケy ,==ミ、_,/>'     ノ7′         ;′
     k<.9ノリ jリ|ひ!((.・>.)!┴'゙      「 }          /|
    __|77ァ''´   |Y,ィ`ァ'-ヘ         ゝ`仁二仁二仁二シ
  _r'「{|,;if|'   j; ビ了父ィソ ,/y  
 /_,>ィ|,fリ     |,八八/^′/y'zZ   こ、これは>>1乙じゃなくて
 |__/ム|イ    ,イ}|ゾY^ンYメYイ ⌒ヽ   血管針なんだから
  ,.く::7ト,    州こ^ニ^/⌒ヾィ´    勘違いしないでよね!
/;゙ `>| W! _,,ィ化儿>'⌒ヾ/.:: /;l
f.::::,ィl{{リヾ比"  jf|}y' `ヾ//.:::: /;f}}
 / ,ノ| f|\V"l; |7 `ミ/^!/.::::: /,,,,,,
f{G/| {{V,ハ wリト~ミ八/.:::::: /,;;;;;;;;
8名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:23:52 ID:cRTLrPH8
三三三三三三三  (     |    >>1
三三三三三     ))    |
三三三三)ミ,((^^彡ミ彡  /    きさまッ!
三三三三 ((三三  6)彡//\
三三三∩三ミl三三  /ミ彡 /) |  おつかれさんッ!
三三三|彡ミ三l三 / \ / /、 |
三三三ヽ_)二 | ̄ ノ / ミl :l、\
三 /二 /ミ ‐v-― ´/ )ミ/ / /ヽ ̄ ̄ ̄ ̄
三/  ̄ /ミ   lミ   (_/ 三`´`´`´

前スレが埋まったよ
9名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:26:32 ID:WxhEQnN2
          __________,,,,
         .7;:::::::::::::;:::::::::::;::::::::;;;;;;;;ヽ
         !;;;;;;;;;;::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;:::;;!
      __!;;;;;;;;;;;:::::::::;;;;;!jojo!;;;;;::::;:::|
         〃 {_{⌒   ⌒ リ| l │ i|
         レ!小l●    ● 从 |、i|  オレが前スレを埋めた……>>776の時点でな
          ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│  そして新スレ>>1に乙した…やれやれだぜ
        /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !
      \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│
.        /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |
10名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:49:48 ID:7BuVn2jY
\\   First kiss か ら 始 ま る ふ た り の 恋 の              //
  \\   H I S T R Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y !    //
   \\       こ の 運 命 に 魔 法 か け た             //
     \\ 君 が 突 然 あ ら わ れ た ァ ァ ―――z___  ッ! //
             ,ィ =个=、      _        _         _       ,。='゚=。、
    〃  ̄ ヘ   〈_/´ ̄ `ヽ    〃 ` ヽ.    〃  ^ヽ   〃 `´`ヽ.    〃了⌒ヽ
   くリ 7"バlキ〉>∩ { {_jイ」/j」!〉∩  l lf小从} l∩.   J{  ハ从{_,∩ {lヽ从从ノl∩.  ノ {_八ノノリ、∩
    トlミ| ゚ー゚ノlミ| 彡. ヽl| ゚ ヮ゚ノj| 彡 ノハ{*゚ヮ゚ノハ彡  ノルノー゚ノjし彡 ヾヘ(゚)-゚イリ彡 (( リ ゚ヮ゚ノノ))彡 >>1乙!>>1乙ゥ!
.    /ミ/ノ水i⊂彡  ⊂j{不}l⊂彡 ((/} )犬⊂彡.   /く{ {丈}⊂彡   /_ノ水⊂彡   /ノOV⊂彡
     / く/_jl ハ.   く7 {_}ハ>    ./"く/_jl〉`'l   l く/_jlム! |    }J/__jl〉」.   (7}ヽ/∧
   .ん'、じ'フ .ノ   ,,,,‘ーrtァー’  ,,,,,,んーし'ノ-,ノ   レ-ヘじフ〜l   ノんi_j_jハ_〉    /__ ノ_j
  ,,-''´  ̄ヽ    |!i!ii| ∩.    |!i!ii| ∩.    ,、 、      |!i!ii| ∩.    |!i!ii|∩.    |!i!ii| ∩
  ミハ^^ヽヽ(∩. ( ゚∀゚)彡  (;゚Д゚)彡   ,ヘハ@ヘ∩.  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  ル ゚∀゚)ζ彡   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   ゞ ゚∀゚)彡  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
  (  ⊂彡゛    |   |     |   |     ( ノ::⊂彡.  |   |     |   |     |   |
   |   |      し ⌒J.    し ⌒J.   │  │   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J
   し ⌒J.                     し ⌒J.
11名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 23:02:06 ID:itMBDVll
          r-‐ゞ'""ミヘヘvt_、,,,_ 、
         ノ彡 ヾ\ミヽ    `zハ
        rノノ三ミ \/ヾ  、、 .彡人
        ,イノ, ィ⌒'T''''゙''''} }} ミミ三  ζ
      (({ i(   |__, ヒ|ノ_ヽ-ミ三彡ミミ
         t,,、ii)   f━` ,-━-、 ヾミt⌒i  じょうだんッ! ハハハハ?
      (' ゙r┐  '| ij ! ij   ≡τ}  
     ('` ̄'''T‐‐,.、ィ::ソ_ ij_、   .,二ノi  じょうだんですよぉ〜〜〜っ
     {ミ二 t'F'''´●二゙::::::::ノ   // ||||
   /!ヽ-´イ   ´〒='''´ij /σ.lll|   >>1君乙
  イ |⌒''''イノヽヽ   | ̄ ̄,、-'' _-‐‐i||
 /<ヽ_,-‐//   `‐t彡‐'''´    ||  召喚されないからって
 >       i     |‖   ,、-''´´ ̄
..´ \   ,、-''i     乃 ,、-''           ヒガんでるわけじゃないですよォォォォォ(涙)
12名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:08:22 ID:Ie1DxEQP
            , -―  ――-、
             /に    (ニ==\   久しぶりの出番ッ!いくぜッ!!
         //')      に二) (ヽ   新スレを立てやがったなッ!
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  よく立ててくれたよなぁぁぁぁぁぁ
         i!   ● / /●  ヾヽヽ,!      >>1鬱!……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi   …じゃなくて>>1モツ!
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/


            , -―  ――-、
             /に   u (ニ==\   …は違う…
         //')  u    に二) (ヽ  うぐぐ………
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  >>1己…じゃない……
         i!   ● / /● uヾヽヽ,!  >>1没でもなくて……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
           ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~`=ーノ
           /⌒l,、 __, イー-<
.          /lilili/ |三/^ oOo,ヽ
          |三 lキヾr-、[] 「! (ニ }

13名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:14:15 ID:wtIuEKzS
          __________,,,,
         .7;:::::::::::::;:::::::::::;::::::::;;;;;;;;ヽ
         !;;;;;;;;;;::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;:::;;!
      __!;;;;;;;;;;;:::::::::;;;;;!jojo!;;;;;::::;:::|
         〃 {_{⌒   ⌒ リ| l │ i|
         レ!小l●    ● 从 |、i|   >>12
          ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│   『乙』か?
        /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !
      \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│
.        /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |
14名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:30:53 ID:oVUaqx5z
            _. -=ニ::_Z ̄ニ=-  .._
        / (:_: ;r'": :/:: ̄:7''ヽ:,r': ̄`ヽ、
        /: : : : : :ヽ、:_(_: : : (:: : : :\,r=‐':"⌒ヽ._
      / : : : : : ; ': : : : : : ̄::ヽ、__/: : : : : l: : :/ミノ
     ' : : : : : / : : : : : : :__:ヽ_: /:: :l: :l: : : : l : ゙‐'ヽ
     l: : : : : :;' : : : : : : (((//゙ハ、 : l: :l : : : l: : : l : ',
.    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : :`Vノ : l: :l: : : ,' : : ;': l:ll   >>12
    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : l: :/:l :l: :l: :l:: :/ /::/: :;リ|    乙だな
    l: : : : : :l : : : : : : : : : : l: :l::ノ: }: :} l / /::/レj:/::|  
.     l: : : : : l: : : : : : : : : : :l: :|/_;イ_;イ_;リ、// .ノ/:|  
     '; : : : : l: : : : : : : : : ::l: :|ニニ ‐--ミ`' } ,ィチj゙ :|   
    /´ヽ: : : :l; : : : : : : : : :l: :|z't'ツ"_>`` '" {^~ |: :|   
  / ¶′\: :ll : : : : : : : : l: :| `~¨´ (::"′   ',ノl: :j    
,r‐{   , \ll : : : : : : : :l: :| :.           ∨ノ:|
  ! ¶′',  r、\: : : : :::::l: :| :.      .._ /´): :l
 ¶′   \ ヾ>、\: : : ll: :|  :.       __-了:/::;'
エエエュ┬r 、\ `ヾ>、\:ll: :|   :   ‐.._'´¨´ノ:/::/
―‐ - 、 ̄`<〉、 ヽ、._`^‐-\ト 、 :      ̄「V/
 ¶′   \ `<〉、 \` ー==┬''^ヽ、 ...__ ノ
   ¶′  \ `〈>、 ヽ`:r'"||  ,タ ¶ }
¶′    ¶′ヽ  `〈>、ヽ i || ,タ  /
15名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 01:04:29 ID:Ie1DxEQP
            , -―  ――-、
             /に    (ニ==\  
         //')      に二) (ヽ 
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  ………………。
         i!   ◯ / /◯  ヾヽヽ,!
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
           ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~`=ーノ
           /⌒l,、 __, イー-<
.          /lilili/ |三/^ oOo,ヽ
          |三 lキヾr-、[] 「! (ニ }


            , -―  ――┛┗
             /に    (ニニ┓┏ 
         //')  u   に二) (ヽ  知ってんだよオオオォォォッ!! 
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  国語の教師か
         i!  ●`' ./ /´●uヾヽヽ,!  テメーらはよオオオォォォッ!
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi   べ、別に久しぶりなのにすぐ反応があって嬉しいだなんて思ってないんだからねっ
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/ 
16名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/01(土) 01:13:03 ID:CoGFRkin
>>9
どなただすかァー!?ちゅるやさんなのか?
17名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 01:16:48 ID:2nRkmpos
>>16
          __________,,,,
         .7;:::::::::::::;:::::::::::;::::::::;;;;;;;;ヽ
         !;;;;;;;;;;::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;:::;;!
      __!;;;;;;;;;;;:::::::::;;;;;!jojo!;;;;;::::;:::|
        l:::::::{:::l ,     ー-j从:ヽ::::::::.
        | ::i::ル{/     ●  !:: ト、::::::',
        l ::l::ハ ●   ,、_, ⊂⊃|ノ::::::::  俺の名はじょーたろーん
         ヽ::Viヘ⊃  ヘ _)  |:: |::::::::::::
            `|l: :::ゝv-、_〕l_,.イ<|:: |_:::::::::::
          |l:::: i/  lフヘ_____j|:: |/ス、:::
          |l:::: |  l:::::::::V==|:://  ゝ::
          |:!::: fk__,仏\ヽ l/人/::::ノ
          |::l:: 下ミ彡\ヽV/  ヾ/
18名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 02:41:41 ID:ffvORybG
じょ〜たろ〜ん!?こいつは新たな萌えって奴ですかぁ〜
19名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 03:02:52 ID:BQfk9k4m
スカロン店長ことミ・マドモワゼルが新たな萌えだと聞いてすっ飛んで来ました
そしてたまにはジェシカが目立つSSがあってもいいと思うんだ…
20名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 08:00:44 ID:+0b6ichW
>>19
チョコ先生召喚があるじゃないか
21名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 08:49:35 ID:SrTNEVrg
壺で知ったが、ルイズ世界デビューしたんだなwww
22名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/01(土) 09:38:21 ID:CoGFRkin
あれは英国流のジョークです。本気にしないように!
わかってるとは思うがな
23名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 10:40:50 ID:koDoHF8g
英国人のセンスはよく分からん。
まぁルイズはともかく、あのドラゴンがユニオンジャックに追加されるのは面白そうではある。

ジョナサンやジョセフがどう思うかは知らんが。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:49:02 ID:fwJWo+Xs
時を吹っ飛ばした
25風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:32:40 ID:1ywOU8Bn
J2を優勝する程度の能力

コンサドーレおめでとう新スレおめでとう一番槍投下を40分くらいから
26名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:40:25 ID:1ywOU8Bn

女盗賊が投獄された地下の監獄。
杖もない、金属もない、身動きもとれないで脱出は不可能だと早々に決め付け、観念した女盗賊。
眠りにつこうと思っていた刹那、階段の上からコツコツと靴の音が聞こえてくる。
「『土くれ』だな」
男は低い声を出した。

「あんた、何者?」
フーケは男に問い掛ける。男は質問には答えずに
「再びアルビオンに仕える気はないか?」
「ふざけたことを言わないで、それ以上そんな話をするようなら助けに来てもらったところ悪いけど死んでもらうよ」
半透明で薄緑色のゴーレムのような物体が現れる。
「物騒だな、勘違いをするな。アルビオンの王家に仕えろと言っているのではない。あそこの王家はもうすぐ倒れる」
「バカどもがドンパチやってるらしいからね」
「その片方のバカの誘いだ。トリステイン貴族などという枠を越え、この世界を憂う貴族たちの連盟だ。目的はハルケギニアの
統一、そして最終的には『聖地』を奪還する。手始めにあそこの風石と造船技術を頂く。造船所のお上は掌握済みだ、
最後の詰めに、そしてこの先の夢をキャンバスに描くためにお前のような優秀なメイジが一人でも多く欲しい」
フーケは肩をすくめて笑う。
「バカ言わないで、夢は寝ながら描くものよ。私は貴族が嫌いだし、ハルケギニアの統一なんかには興味が無いわ」
男は更に低い声を出す。
「断っても構わん。牢獄に転がっている死体にまで頼むほど人材は足りていないわけではないからな」

フーケはため息をつく。
「なら最初からそう言いなさいよ」
「そうか、なら話は早い」
男はフーケに杖を投げつけ、衛兵から奪ったであろう鍵で扉を開け、拘束具を外す。
「好きに脱出するんだな、三日後にラ・ロシェールの『サンジェルマン』で待っている」

フーケは男に杖を向ける。
「あんた、私をバカにしてるんじゃないの?殺すなんて脅した後に杖を渡されてそのまま従うほど従順じゃないね。
『ジャッジメント』!」

フーケのスタンドが檻を破壊し、杖からは男に向かって石礫が飛ぶ。

しかし、そこに立っていた男はもう影も形もなく、今度は数人『その男』が階段から降りてくる。
「『土くれ』、なかなか頭の回転が速いが、相手の属性もクラスもわからないまま攻めるのは感心しないな」
数人の『男』が同時に同じ声を出し、エコーのように響く。男は重なり合い、一人になる。
「『偏在』かい、一瞬で消えたのは魔力温存のため当たる前に引っ込めたのかい?」
「『偏在』の部分はその通り」
「ずいぶんと余裕だね、偏在は偏在に重なれない、あんたが本体だってのはわかりきってるのにね!」

もう一度フーケは石礫を飛ばす。
今度こそ男の体を捉らえる。
そして、男の体は消える。
「なッ!これも『偏在』!?」

今度は一人増えた『男』が階段から降りてくる。
「どうだい、力の差というものがわかったかな?これで断るようでも、ここの裏に墓標くらいは立ててやる」
フーケは再度ため息をつく。
「わかったわよ、完全敗北ね。当面の間は大人しく従ってあげるわよ」
「そうか、ではラ・ロシェールでな」

男は重なり、今度こそ一人になり、そして、今度は一人も居なくなり、消えた。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:41:38 ID:1ywOU8Bn


 * * *


「で、ワムウ、わかってるの?ふざけたことしないで大人しくしてなさいよ?」
「ああ、大体わかった。この国の姫が学校の視察に来るのか、また騒がしくなりそうだ。俺は適当なところにいる」
「そうはいかないわよ、使い魔と主人は一心同体、あんたも出ないと失礼に当たるのよ」
「面倒だな」
「だから大人しくしてなさいって言ってるのよ」

ルイズはワムウに言い聞かす。
先ほどコルベールが珍妙な格好で授業に割り込み、姫殿下が行幸されると伝えて今日の授業は中止となった。

姫殿下が通過するというだけでその街道はさながらパレードで、近隣の一般人が多く集まっていた。
王室の紋章の入ったレリーフが街道に並べられ、ユニコーンの引く馬車の中からアンリエッタ姫が手を振る。

「トリステインバンザイ!」
「アンリエッタ姫殿下バンザイ!」
「マザリーニ枢機卿バンザーイ!」
「君に会えてよかった!」

脇の民衆から歓声が沸きあがる。

馬車は魔法学院の正門をくぐり、整列した生徒が一斉に杖を掲げる。
アンリエッタ姫が馬車を降りると、歓声があがる。姫は優雅に手を振る。

ワムウが呟く。
「あれがそのアンリエッタ、か」
いつもならば姫を呼び捨てにするなんてといってすごい剣幕でまくしたてるルイズだが、ルイズはその呟きには答えなかった。
視線の先には姫の近衛兵であろう羽帽子をかぶり、グリフォンにまたがっている貴族がいた。
ワムウは鼻を鳴らし、ルイズが見とれている隙に人ごみから抜け出していった。


 * * *


日も沈み、二つの月が部屋を照らす。
鍵をかけないことが暗黙の了解となっている窓が外から開き、ワムウがルイズの部屋に入ってくる。
てっきり、途中でいなくなったことについてなにか言われるとでも思っていたが、
ルイズは放心状態で入ってきたことにも気づかないようであった。
が、ワムウは気にも留めず、部屋に来る目的であった先日買った剣を拾い再度窓から出て行こうとした。
その時、ドアが規則正しくノックされる。
ルイズはハッとしたように立ち上がり、ドアを開ける。
そこには頭巾を被った少女が立っていた。

「静かに」
少女は呟き、杖を出す。
それを一振りすると光の粉が部屋に舞う。

「ディテクトマジック?」
魔法の正体にルイズが気づき、怪訝な顔をする。
「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」
と頭巾の少女は返事をし、頭巾を外す。

その少女は、昼間歓迎式典を行った相手である
「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ」

アンリエッタ姫であった。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:42:39 ID:1ywOU8Bn

彼女は感極まったようにルイズを抱きしめる。
「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!私の友達のルイズ!」
「姫殿下、こんな下賎なところにお越しになられるなんて…」
「ルイズ、そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!あなたにまでよそよそしい態度をとられたら、私死んでしまうわ!」
「ああ、そんな姫さま…」

二人は昔話に花を咲かせる。ワムウはそれをつまらなそうに眺める。

「……忘れるわけ無いじゃない、あの頃は毎日が楽しかったわ。なんにも悩みなんてなくって」
アンリエッタはため息をつく。

「姫さま?」
「あなたが羨ましいわ、王国に生まれた姫なんて、籠の鳥も同然…飼い主の機嫌次第であっちにいったりこっちにいったり…」
憂鬱げに外の月を眺め、呟く。
「ルイズ、私結婚するのよ」
「…おめでとうございます」
アンリエッタの陰のある言葉にルイズは手放しでは喜べなかった。

「…あら、そこに立っているのはどなた?」
アンリエッタはワムウに気づき、尋ねる。
「私の使い魔です、姫さま」
アンリエッタは感嘆の声を上げる。
「すごいじゃないルイズ、こんなすごい亜人を召還したなんて!あなたって昔から変わってると思ったけれど…
こんな使い魔みたことないわ!」
「そ、そんな…確かにすごいことはすごいですが私の命令に従うことなんて滅多に無くて…」
「そんな謙遜することないわよ」
「まだ数日しか立ってないのに決闘騒ぎに色々と言えない事まで…もし使い魔にするならイモリかこいつを選べと言われたら
迷わずイモリを選びますわ」
ルイズは憮然とする。それに合わせるようにアンリエッタはため息をつく。

「どうしたんですか姫さま」
先ほどからの過剰ともいえるおかしな様子にルイズが尋ねる。
「…いえ、なんでもないわ・・・ごめんなさい、あなたに相談できるようなことではないのに…」
「なんでもおっしゃってください、姫さま。そんな様子ではとんでもないお悩みを抱えているんでしょう?」
「いえ、話せません…悩みがあるなんてことは忘れてちょうだい、ルイズ」
「そんな、私を友達なんて呼んでいただいたのに、悩みを話せないのですか?」
ルイズは語勢を強める。
アンリエッタは嬉しそうに微笑む。
「嬉しいわ、ルイズ。今日初めて私を友達と呼んでくれて。わかりました、そこまで言うのなら話しましょう」

「外しても構わないか?」
ワムウは面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁だと思い、なおかつこの姫には大してよい印象を持っていなかった上での発言だったのだが
「あら、人語も介するのね!お気遣いは嬉しいけれども使い魔と主人は一心同体、外さなくて構いませんよ」
やんわりと一蹴される。

そして、静かに話し始める。
「これから、話すことは、他言無用ですよ…私はゲルマニアの皇帝に嫁ぐことになったのですが…」
「ゲルマニアですって!あんな野蛮な成り上がりどもごときのうすっぺらな藁の家が深遠なる姫様の砦に踏み込んで来るのッ!」
ルイズが甲高い声をあげ、語を荒げる。
「ええ、でも仕方ないの…反乱を起こしたアルビオンの貴族がこのまま順当に王家を倒せば、トリステインに攻め込んで
くるでしょう……地理上は隣接しているようなものですし、ゲルマニアの軍事力は驚異的、ガリアとは政治的主張が
似通っています…あの反乱軍は腐敗した王家を倒すのが目的だといっていますが、その建前で同じような政治形態の
トリステインに攻めてくることはリンゴを幹から切ったら地面に落ちるくらい確実なの…
それで、軍事的庇護を受けるためにゲルマニアと同盟を結ぶのに私が嫁ぐことは致し方ないのです……」

アンリエッタは手で顔を抑え、下に向ける。

「そうだったんですか…」
ルイズは沈んだ声で言う。
29風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:43:40 ID:1ywOU8Bn

「それで、礼儀知らずのアルビオンの貴族派どもは私の婚姻を妨げるための材料を血眼になって探しているのです」
「…では、もしかして姫様の婚姻を妨げる材料があるのですね?」
ルイズはその意味を察し、尋ねる。
アンリエッタは悲しげに頷き、ひざまずき、顔を両手で覆う。
「おお、始祖ブリミルよ、この不幸な姫をお救いください…」

ルイズの顔は紅潮し、興奮した様子でまくしたてる。
「では姫さま!その婚姻を妨げる材料とはなんなのですか!」
アンリエッタは呻き声を出すように呟く。
「…私が以前したためた一通の手紙なのです…それがアルビオンの貴族派に渡れば、それをゲルマニアの皇帝に届けるでしょう」
「どんな内容なのですか?」
「それはいえません…ですが、それをゲルマニアの皇帝が読めば、この私を許さないでしょう。そうすれば婚姻は潰れ、
あのアルビオンの貴族派にトリステイン一国で立ち向かうことになります…それだけは避けなければなりません…」

ルイズはアンリエッタの手を取る。
「して、その手紙はどこにあるのですか?私、姫さまの御為とあれば鬼が島でもヒンタボ島でも夢見が島でも向かいますわ!」
「それが…現在火中にあるアルビオン王家のウェールズ皇太子が…」
「プリンス・オブ・ウェールズ?あの凛々しい皇太子様が…では、姫さま!この『土くれ』のフーケを捕らえた
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとその使い魔にその任務、お任せください!」
「ああ、そんな無理よルイズ!現在火中であるアルビオンに赴けなんて危険なこと、頼めるわけがありませんわ!」
「何をおっしゃいます! 姫さまとトリステインの危機とあらば、私見過ごすわけにはいけません!」
ルイズは強い意思を伝える。
「この私のためにそこまで言って下さるの!これが誠の忠誠と友情というものなのですね!ありがとうルイズ!」
アンリエッタは感涙したように眼を手で拭う。

ワムウが自分たちの言葉に酔っている2人の話に割り込む。
「俺も行くのか?」
「当たり前でしょ、連れて貰えないとでも思ったの?」
「断る。受身の対応者である悲劇の姫気取りの尻拭いなど俺がやるようなことではない」
ルイズは顔を紅潮させる。
「なななな、なに言ってんのよあんたは!すみません姫さま、私の教育が悪くて…」
「言った通りだ、若いとは言え姫なのだろう?心酔している者も多くいるようだしな。一国で事を構えられるだけの国力と軍事力を
整えるなり、アルビオンに介入して反乱の目を摘んでおくなり、開戦を察知して安全なうちに手紙を回収することもできた。
だが、それを怠ったのはお前の責任だ。結婚による同盟も一つの選択肢であることを割り切っているならともかく
敗戦が確実になるまで行動をおこさず、悲劇の姫を気取っているような奴にただで手を貸すほど暇でないんでな」
「ワムウッ!姫様になんたる失礼を!謝りなさい!」
「いえ、ルイズいいのです。彼の言うとおりです、これは私の責任です…ただで、とおっしゃいましたね?
ならば…母君からいただいたこの『水のルビー』を差し上げましょう。どうか、ルイズをお守りください」
アンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜き、ワムウに差し出した。
「そんな姫さま、畏れ多い…」
「ワムウッ!姫殿下になにをしたァーーッ!」

ギーシュが扉を開けて現れ、ワムウを怒鳴る。
すかさずワムウが殴り飛ばし、片方の手で指輪を受け取る。
「いいだろう、この依頼引き受けた。他言無用だったな?こいつは終了まで軟禁でもしておけ、なんなら証拠も残さず食うが」
ワムウの物騒な発言と拳を意に介さず、ギーシュはアンリエッタの前にひざまずく。
「姫殿下!その任務、どうかこのギーシュ・ド・グラモンにもお申し付けください!」
「あら、グラモンといえば…ワイルドキャット……じゃなくて…西部の投手でもなくて…」
「グラモン元帥の息子です、姫殿下!」
「知ってますわよぉおお!あなたも、私の力になってくれるとおっしゃるのですか!」
「ええ、もちろんです!加えて貰えるとしたらこれはもう望外の喜びに違いありません!」
「ではお願いしますわ、ギーシュさん」
ギーシュはひざまずいたまま深く礼をする。

「では、明日の朝に出発してください。貴方たちに始祖ブリミルのご加護かありますように」
30風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:45:37 ID:1ywOU8Bn
 * * *

ラ・ロシェールの『サンジェルマン』。
一人の男と一人の女。

「…それで、お前には『女神の杵』亭を襲ってもらう。狙いはワルドとルイズ以外…たぶんあの使い魔だけだろう、その殺害だ」
「使い魔一人殺すのに私を使うのかい?自分を過信してるわけじゃないが、随分無駄な使い方だね」
「あの使い魔を舐めるな、『ゼロの使い魔』だ、なにが起こるかわからん。それにお前一人だけではない」
「やれやれ、あんたは敵の実力を過信しすぎじゃないか?まあ、軍人なんてのはそれがお似合いなのかもしれないけどね
せいぜい丘の向こうの見えない敵に怯えてな。それで、私以外に襲うのはどんな連中なんだい?」
「お前と同じ貴族くずれのメイジだ、『同じ』、な。報酬の先払い分だ」
女は報酬の袋を開け、中身の量をみて驚く。
「使い魔一人殺すのにこんなに金を積むなんて、軍人の貴族さんは違うわね」
「相方も同額だ、文句は無いだろう。それに、戦争と暗殺と人脈に金を惜しむほど馬鹿なことはない。
コストパフォーマンスを考えればお前たちの力量ではむしろ割安だ」

フーケは袋をしまい、話を再開する。
「で、その相方とはいつ落ち合えるんだい?」
「二日後の同じ時間で先ほど言った『女神の杵』亭で下見も兼ねてもらう」
「わかったわ、任務はワルドとルイズ以外の殺害ね、あんたの言うように好きなように暴れさせてもらうさ」
「暴れるだけなら相方の方が上だ、対象以外の尊き犠牲がどれくらいでるか…ああ、心が痛むな」
「心にもないことを、じゃあ私は行かせて貰うよ、ここの勘定も報酬に含めときな」
女は店を出、扉の鈴が鳴る。

残された男は呟く。
「ふむ、勘定か。やれやれ、自腹など払うのもな、俺への報酬とさせていただこうか」

男は、一瞬のうちに姿を消していた。
31風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:46:48 ID:1ywOU8Bn
投下終了。
途中でコテ外れてましたね

クリスマスまでに3巻ラストまで持ってく予定だったけれどもこれは間に合わないな
32名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:02:46 ID:upJrowkF
投下乙です
そういやフーケとの戦いのときはワムウいなかったな
相方がかなりの実力者でないと喰われちまいますよw
33名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:50:20 ID:5S9zOQem
乙っ!レコンキスタなんてワムウ一人で食べきれそうな希ガス

そういやワルドはワムウとの戦いどうする気だろう
相手は髪飾りで小型のカマイタチを飛ばしてくる規格外なんだが
最悪風のスペルを見て「憶えたぞっ!」してきそう

スクウェア程度だと真っ向勝負したら即死しそうな悪寒
やっぱり何かしらのスタンドを身につけてるんだろうか

ところで神砂嵐とカッタートルネードは
どっちの方が破壊力あるんだろうか
34名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:57:24 ID:5S9zOQem
済まないageてしまった
35名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:58:40 ID:IRi2cgAP
発生の早さで神砂嵐じゃね?
36名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:08:24 ID:5S9zOQem
>>35
そういう事じゃあなくて
単純に威力だけ考えたらどうなるのかなって

実戦だとどうしても無詠唱なワムウに
メイジだと対応できそうにないし

そおいや魔法は使うメイジで威力が変わるんだっけ?
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:08:43 ID:dUqcnapB
>>33
神砂嵐は大理石も粉々ですぜ
38名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:14:44 ID:1ywOU8Bn
戦いは威力じゃないっておじさんが言ってた
魔法の強みは射程と応用性、威力の調節だと思って書いてる
大戦略でも自走砲強いし戦いは射程だよ兄貴
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:18:26 ID:Jb6cztvr
くだるくだらないは頭の使い方ということか


これは微妙に違うか
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:15:38 ID:mjMFtBFc
>>38
そのへんは…両方とも戦いの天才みたいだし
互いの策の練り方しだいか?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:16:49 ID:5S9zOQem
皆の言いたい事は痛いほどわかるんだけどよぉー
やっぱり真正面から打ち合うのも
戦いの醍醐味の一つじゃあないか
例えばGガンの師匠とドモンの石破天驚拳の打ち合いとか

皆だって見たくないか、カリン様とワムウが
真正面から魔法と神砂嵐をぶつけ合ってるシーン
42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:24:29 ID:1ywOU8Bn
>>41
だって真正面から打ち合ったらワムウ様に勝てる人がゲフンゲフン
とりあえずギーシュが無想転生くらいは身に付けないと追いつかん
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:35:48 ID:5S9zOQem
>>42
だからギーシュやロリドじゃあなくてカリン様を
例えとして出してるんじゃない

まぁプッツンした女王で妖精な姉さまでも
凄味補正でなんとかしそうだけど
               __
           ,...-‐ '´::::::::: `ヽ、  
             /::::/ヘry∧:::::::..::\
         /...:/〈/レ'^ 'V\:::::..:::::ヽ    ところで作家さん、更新はまだかい?
         i:::::{Nノ    `ヽ |l:::. ::.: |
         !: : l ●    ●. |i:::::.. ::i|
       (Z)ノ:,、:l⊃ 、_,、_, ⊂⊃::::::::::ヽ(Z)
        /⌒ヽ_::!ヘ   ゝ._)   j /⌒i ::ハ:ヘ
      \ /:::::|::::l>,、 __, イァ/  /(R) (I)
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       `ヽ<::::::.. ::!ヾ、__//:::::::...::/    \|^oメ^|/
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:55:51 ID:hZ7+hKQl
誰だ貴様!!
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:06:13 ID:9M/0Tkz2
真正面からの撃ち合い・殴り合いも良いが、隠者ジョセフみたいな『搦め手を使うスタイル』や、
女教皇ギーシュみたいに『能力差を知恵と覚悟で補う』戦い方も良いし、
サブ・ゼロギアッチョみたいに『困難は仲間と協力して乗り越える』ってのも良いし、個人々々で好みの戦い方はあるよな。
46名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/01(土) 21:18:47 ID:CoGFRkin
>>43
鉄の人・・・なのか?
47名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:37:35 ID:5S9zOQem
>>46
               __
           ,...-‐ '´::::::::: `ヽ、  
             /::::/ヘry∧:::::::..::\
         /...:/〈/レ'^ 'V\:::::..:::::ヽ    オレの名はりじょっと
         i:::::{Nノ    `ヽ |l:::. ::.: |     スタンド名はめたりか〜んさっ!
         !: : l ●    ●. |i:::::.. ::i|
       (Z)ノ:,、:l⊃ 、_,、_, ⊂⊃::::::::::ヽ(Z)
        /⌒ヽ_::!ヘ   ゝ._)   j /⌒i ::ハ:ヘ
      \ /:::::|::::l>,、 __, イァ/  /(R) (I)
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       `ヽ<::::::.. ::!ヾ、__//:::::::...::/    \|^oメ^|/
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:48:30 ID:OlwtA6PY
やあドッピオくんっ
鉄分はあるかい?

ゴメン、そろそろ自重する
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:50:44 ID:hZ7+hKQl
どんどん一属が増えてくな
50名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:51:05 ID:nIfiFyNY
>>43
うれしい事いってくれるじゃあないの。
俺は避難所に投下してもかまわずにほいほい本スレに宣伝する男だぜ?


校正がまだだから、十一時ごろね。もちろん避難所。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:52:51 ID:2nRkmpos
>>50
            /'rイイvイ ノ|イ,へ、
           lV l~V,イ^レ' ν;;/ ノ て、.
             /し' / ,ィγ'`ヽ ヽ ノ ̄;; `>
          `> /ヽノ?,三ヽハイィ ;,,'`て
         〃 _イヽレ /  し| l │て'" 
         | / ●    ●   V|て   関係ない
          ヽ|,⊃ 、_,、_, ⊂⊃ ;;メ,    投下しろ  
        /⌒ヽ__ ヘ   ゝ._)   ,j '/⌒i      
      \ /:ノ:ィ:| l>,、 __, イ★/;;;;;;/
        \'  〈《:::::::::::::::::》 〉人. ∧
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:59:28 ID:hZ7+hKQl
今度はでぃおーんか
53サブ・ゼロ ◆oviEMgpce6 :2007/12/01(土) 22:07:13 ID:UvYJz6Kv
や、やっと書き終わった・・・。時間が無くて校正は今からだが
それが終わり次第投下する!・・・出来るはずッ!恐らく15分には投下出来るはずだ!
54名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:08:04 ID:XURafnl4
うひょおおおおおw待ってたぜw
55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:10:35 ID:2nRkmpos
             ∧___∧   
            , -ミ´   ,シ`ヽ、  
            / ,.ヘ`=='''へ ヾ ヽ    
         //, /       `、k ゙.|,   
         ‖, / ⌒   ⌒  | .l !|,   
.         |l i l ●   ● u! l、l|    
         ‖ |⊃ 、_,、_, ⊂⊃|ノ! |  投下を祝福する
        /⌒V_'! |l、  ゝ._) , '|i/⌒i!|   
      \ /::/|i l. >.、 ___ , イ |/;;;;;;/'!|    
        ヾシXl lXー--‐一'!lXXYl l|     
        〃YX!XXXXX∩`!キxxメ!l|
56サブ・ゼロの使い魔(1/8):2007/12/01(土) 22:15:32 ID:UvYJz6Kv
「・・・何やってんだ、おめーら」
部屋の扉を開けたまま、肩にデルフリンガーを担いだ状態でギアッチョは
しばし固まった。
厨房でルイズ達と別れてから数時間を剣の訓練に費やし、今戻って来た
彼の眼に飛び込んだものは、
「あ、おかえりギアッチョ」
「お邪魔してます」
足りない分はキュルケあたりの部屋から持ってきたものか、しっかり
五人分揃えられた椅子に座り円卓の騎士よろしく丸テーブルを囲む
ルイズ達の姿だった。
「シエスタの嬢ちゃんまでいるじゃねーの 今日は半ドンか?」
やけに俗な言葉でデルフがギアッチョの疑問を代弁する。シエスタは椅子を
引いて立ち上がると、律儀に礼をしてからそれに答えた。
「はい マルトーさんに掛け合ったら快く許してくださいまして」
「・・・理由はそいつか?」
ギアッチョはテーブルの上に丁寧に広げられた数枚の地図に眼を向ける。
「ロマンだよギアッチョッ!!」
両手で勢いよく地図を叩いて、ギーシュが興奮した面持ちで声を上げた。
「見たまえ!宝の地図だよ!宝、財宝、進化の秘法!」
「ああ?」
「宝探しは男のロマンさ!男に生まれたからには、心躍る冒険の一つや
二つ夢見て当然!いや、見ないでどうするッ!!」
「あんた毎日冒険してるじゃない」
主に女性関係で、と突っ込むルイズの言葉も、熱苦しい情熱を振りまいて
語るギーシュの耳には届かないらしい。キュルケはやれやれという風に首を
振ると、一人と一本に説明を始めた。
「ほら、折角こんな関係になったんだしシエスタも入れてどこかに
遊びに行こうって話になったのよ それで、最近私が買った地図のことを
思い出してね」
「貴族の割に野趣溢れる選択だな・・・こういうなぁ人を雇って探させる
もんじゃあねーのか?」
「貴族と言っても私達は所詮子供だしね、大金持ってるわけじゃないのよ
それに、ま・・・ギーシュじゃないけど、ちょっと夢があっていいじゃない?」
ギアッチョはもう一度並べられた地図に眼を落とす。どれもこれも、いかにも
作り話じみたうさんくさい代物ばかりである。胡乱な視線に気付いたらしい、
タバサが本をめくる手を止めずに口を開く。
「・・・確率は低い でも伝承や噂と矛盾する内容は見当たらない」
「行ってみる価値はある、っつーわけか」
桃色の髪を揺らして、ルイズがギアッチョを見上げた。
「・・・ダメ?」
「何でオレに許可を求めんだ ・・・ま、いいんじゃあねーのか」
「見たとこどれもそう遠くはなさそうだしな」地図にルイズ達がつけた
印を見ながら応じる。「死なねー程度に頑張って来な」
「何言ってるの?あなたも行くのよ」
57名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:15:56 ID:bSKMeFci
支援する!
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:16:32 ID:8iW1D258
支援
59名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:16:38 ID:1ywOU8Bn
さぶぜろだああああ
わくわく
60サブ・ゼロの使い魔(2/8):2007/12/01(土) 22:17:06 ID:UvYJz6Kv
「・・・何?」
キュルケの言葉に、ルイズのベッドに無造作に下ろしかけた腰を一瞬止める。
「同行」
「おめーらで行きゃあいいだろーが」
「皆で行くからいいんじゃないか!」
「だからおめーらで行けば・・・」
「ダメよそんなの!皆で行くんだから、ギアッチョがいなきゃ意味ないわ!」
五人は喧々囂々主張を交わす。この数日を特に鍛錬に充てるつもりの
ギアッチョとしては、それが潰れることは歓迎出来ない。一方ルイズ達は
誰か一人欠けても意味が無いと主張し、彼らの議論は中々収束しない。
「・・・あのっ」
おずおずと声を掛けたシエスタに、全員の視線が集中する。慌てて机上の
地図を一枚掴み、ギアッチョに差し出して言った。
「これ、『竜の羽衣』って宝物の地図なんです」
「・・・?」
「さっき話してたんですけど、これ実は私のひいおじいちゃんの持ち物で」
「おめーの故郷か?そりゃあ奇遇だな」
「はい、それで・・・あの ・・・何にもない村なんですけど、一つだけ
――とっても綺麗な草原があるんです 私、ギアッチョさんにも見て
貰いたくって」
「・・・・・・」
「・・・ダメ、でしょうか」
ギアッチョの冷たい双眸が、シエスタの不安げな瞳を捕える。
「・・・・・・しゃーねーな 保護者が必要だってことにしとくぜ」
小さく溜息をつくと、両手を上げて降参の意を示した。同時に、その場が
わっと歓喜に沸く。
「よく言ったッ!それでこそ男だよギアッチョ!」
「おめーに男がどうとか言われたくねー」
「お手柄よシエスタ!」
「きゃっ!?だ、ダメですミス・ツェルプストー!」
再びロマンを語り出すギーシュの横で、キュルケがシエスタを抱き締める。
珍しくというべきか、歳相応にはしゃぐ彼らだったが、
――あ・・・・・・
嬉しそうに笑うシエスタと、その視線の先にいるギアッチョに――ルイズの
胸はちくりと痛んだ。すぐに理由に気付いて、それを吹き飛ばすように彼女は
強く首を振った。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:18:41 ID:7JK2x5BF
支援
62サブ・ゼロの使い魔(2/8):2007/12/01(土) 22:19:57 ID:UvYJz6Kv
「それじゃ、明日はちゃんと起きるのよ」
「わ、分かってるわよ!」
キュルケ達を見送りに出た廊下。今朝のことが頭をよぎり、ルイズは思わず頬を
染めて返答する。一瞬怪訝げな表情を浮かべたキュルケだったが、自室の扉を
開くと特に詮索することも無く手を振った。
「そ、じゃあ二人ともお休みなさい」
「お休み・・・また明日」
「じゃあな」
無理矢理見送りに引っ張り出したギアッチョと三人で挨拶を交わし、キュルケは
あくびをしながら扉を閉めた。同時に、ルイズが同じく自室の扉を開ける。
「さ、わたし達も早く寝ちゃいましょ 明日は早いんだから」
ギアッチョは声を出さずに、肩をすくめてルイズに応えた。

ぱたり、と扉が閉まる。その音に被せて、
「・・・ギーシュ・・・」
廊下の角に姿を隠して、見事な金糸の髪を持つ少女は――怒りと不安と悲しみの
入り混じった声で恋人の名を呟いた。


ニ脚に戻った椅子に腰を下ろして、ギアッチョは最近見方を覚えた水時計を
覗く。もうすぐ深夜に差し掛かる頃合だった。中々スケジュールが定まらず、
夕食を終えて入浴を終えた後も六人はあれやこれやと打ち合わせを続けていた。
もっとも、その半分以上は他愛の無い雑談に割かれていたのだが。
「ほら、さっさと寝るわよギアッチョ!寝坊なんてしたら許さないんだからね!」
「・・・随分と楽しそうじゃあねーか」
「そ、そう見える?」
「見えるも何も・・・っつーやつだ」
二人は背中を向けたまま会話する。
「おめーがそんなに笑顔でいんのは見たことねーからな」
「えっ・・・ええ?」
ぺたぺたという音がギアッチョの耳に届く。大方、今頃気付いて反射的に自分の
顔でも触っているのだろう。
「・・・単純なガキだな」
「ぅ・・・わ、悪かったわね・・・」
自分の行動を見透かされたと気付いたらしい、ルイズは小さく拗ねた声を出す。
「・・・別に、いいんじゃあねーのか」
「え?」
「おめーらみてーなガキがよォォォ〜〜〜〜、小難しいことばっか考えてて
どーすんだっつーのよ そうやってあいつらと笑ってるほうがよっぽど歳相応
だろーが」
毎度巻き込まれるのは勘弁だが、と小さく付け足して、ギアッチョはフンと
鼻を鳴らした。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:20:45 ID:7JK2x5BF
支援
64名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:20:54 ID:8iW1D258
支援
65名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:21:20 ID:SLfifQQk
サブゼロキター!支援!
66サブ・ゼロの使い魔(4/8):2007/12/01(土) 22:21:54 ID:UvYJz6Kv
「・・・そ、そう・・・」
若干の沈黙が場を支配する。微かに衣擦れの音が聞こえた後、
「・・・もういいわ」
着替えの終了が告げられた。といっても、ギアッチョは何ら興味を示さずに
黙り込んだままだったが。
「・・・あの」
「何だ」
ベッドの上に座り込んだまま、ルイズはどこか眼を泳がせながら問いかけた。
「わたし・・・笑ってたほうが、いい?」
「・・・・・・」
ギアッチョは肩越しにルイズを振り返る。
「・・・まぁ 年中辛気臭ぇ顔されるよりゃあよっぽどいいだろ」
何とはなしに軽い答えを返すが、ルイズの表情は予想に反して緊張したまま
だった。既に薄く染まっていた頬を更に赤くして、毛布をいじりながら口を開く。
「・・・・・・じゃ、じゃあ」
「まだ何かあんのか?」
「わっ、わわ・・・笑ってたほうが、か、か、かか・・・可愛い・・・?」
「・・・・・・ああ?」
コントよろしく椅子からずり落ちそうになった身体を何とか持ち直す。
「バカかてめーは」とあしらおうとしたが、ルイズが存外真面目な顔でこちらを
見ていることに気付いて、ギアッチョは思わず言葉を飲み込んだ。
物の本によれば、弟子の質問にどう答えるかで師匠はその真価が問われると
言う。しかしこのような場合に一体何と答えて然るべきなのか、ギアッチョには
皆目見当がつかなかった。
――そもそも、こいつは何を求めてやがるんだ
片手で特徴的な髪をいじりながら、ギアッチョは改めてルイズに眼を向ける。
毛布を抱き締めた格好で、ルイズは上気した顔に不安げにも期待するようにも
見える色を浮かべている。
自慢ではないが、生まれてこの方連想ゲームや伝言ゲームに勝った試しなど
一度とて無い男である――最も、敗北よりもブチ切れてゲーム自体を台無しに
したことのほうが多いのだが――、ルイズの心の機微など解ろうはずもなかった。
「あー・・・」
何と言っていいものか、ポーカーフェイスの下でギアッチョは白旗を揚げたい
気分だった。――その時。

コンコンと、扉を小さく叩く音が聞こえた。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:22:43 ID:7JK2x5BF
支援
68サブ・ゼロの使い魔(5/8):2007/12/01(土) 22:23:54 ID:UvYJz6Kv
「夜分遅くにすまんの、ミス・ヴァリエール 起こしてしまったかな」
扉の向こうに居たのは、誰あろうオールド・オスマンその人であった。
「い、いえ・・・大丈夫です それよりもこんな格好ですいません、今着替え――」
「いや、それには及ばんよ 忘れておったこちらが悪いんじゃからの」
「忘れ・・・?」
小首をかしげるルイズに、オスマンは古びた一冊の本を差し出した。
「本来ならば昼に渡すべき物だったんじゃが・・・いやすまぬ、職務に忙殺
されてすっかり忘れておったのじゃ」
「それは・・・ご苦労様です」
とりあえず受け取りながら、学院長に労いの言葉をかける。ミス・ロングビル
――土くれのフーケがいなくなってから、まだ新しい秘書は雇っていないらしい。
それでは忘れてしまうのも仕方が無いだろう。
「・・・それで、これは・・・?」
「うむ それはの、『始祖の祈祷書』と呼ばれる古文書じゃ」
「始祖の――こ、国宝じゃないですか!」
それがどうして、とルイズが疑問を継ぐ前に、オスマンは静かに説明を始めた。
「アンリエッタ王女が、この度目出度くゲルマニア皇帝との結婚を執り行う
こととなった」
「・・・・・・!」
ルイズは絶句する。こうなることは分かっていたはずなのに、刺すような痛みが
彼女の心を抉った。オスマンは数秒ためらうように沈黙したが、やがてゆっくりと
説明を再開する。
「おぬしも聞いたことはあろう トリステイン王室の伝統では王族の婚儀の際に
貴族から一人の巫女を選出し、その祈祷書を手に式の詔を詠み上げさせる慣わしが
あるのじゃ」
「ま、待ってください!それは――」
「うむ 王女はおぬしを巫女に指名した」
「姫様が・・・」
ルイズはハッとして顔を上げた。こっそり左右に目配せすると、オスマンは
ルイズを見返して言う。
「望まぬ結婚じゃ、王女も――おぬしも辛かろう しかし、ならばせめて親友に
祝ってもらいたいのだろうとワシは思う ・・・どうじゃ、引き受けては
くれんかの」
元より選択肢など無い。数多いる貴族の中から、アンリエッタはこの自分を選んで
くれたのだ。一体どうしてそれを拒否出来ようか。
「・・・謹んで拝命致します」
始祖の祈祷書を両腕に抱いて、ルイズは静かに一礼した。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:24:14 ID:2nRkmpos
支援だッ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:24:16 ID:8iW1D258
支援
71名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:24:19 ID:7JK2x5BF
支援
72サブ・ゼロの使い魔(6/8):2007/12/01(土) 22:25:54 ID:UvYJz6Kv
「・・・・・・どうしよう」
「何がだ」
扉を閉めると同時に、ルイズは弱った顔で呟いた。
「聞いてたでしょ?詔の内容はわたしが考えるんだって」
「みてーだな」
ギアッチョはさして興味も無いと言った風に返す。
「わたし、そういうの苦手なのよ 全っ然思いつかない」
「・・・受けちまったもんはしょうがねーだろ」
「それはそうだけど、しかもそれを国賓の貴族達の前で詠み上げるなんて・・・」
「考える前に弱音を吐くんじゃあねーよ」
「うう・・・」
ギアッチョのあまりの正論にルイズは言葉も無く溜息をつく。
「何にせよ今日はもう寝とけ」
「・・・うん」
言いながら寝床へ向かうギアッチョに習ってルイズもベッドへ足を向けるが、
ふと立ち止まって後ろを振り返った。
「・・・ねえ、ギアッチョ」
「何だ」
「・・・・・・やっぱり、ベッドで寝たい?」
「・・・今更だな」
毛布を広げながら、ギアッチョは首だけをルイズに向けて答えた。
「そりゃあよォォ クッションよりも硬い床が好みなんてヤローはそう
いねーだろうぜ」
「――そう・・・よね・・・」
悄然と俯くルイズに、フンと鼻を鳴らして言葉を重ねる。
「別に何とかしろたぁ言わねーよ 金もスペースもねぇのは分かってんだ
こういう所で寝るのは慣れてるしな」
事実、ルイズに金は無かった。昨日の自分とギアッチョの治療費に加えて、
キュルケ達の反対を押し切って彼女らの分までを負担していたのである。今の
ルイズの財布では、今日の糊口を凌ぐことすら難しかった。そんな現状を
把握した上での発言だったが、
「ん・・・」
いつまでも床で寝させていることへの罪悪感からか、それを聞いてルイズは
複雑な顔になる。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:26:19 ID:8iW1D258
支援
74名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:27:05 ID:SopXq8OL
今日のオヤツはソルベだったよ支援
75サブ・ゼロの使い魔(7/8):2007/12/01(土) 22:27:57 ID:UvYJz6Kv
「・・・・・・あ、あの」
しばし言おうか言うまかといった仕草を見せた後、ルイズは小さく深呼吸を
して意を決したように口を開いた。
「・・・や、やっぱりいつまでも床なんてあんまりよね だ、だから、その、
・・・ベ、ベ・・・」
そこで言葉が止まる。ギアッチョの怪訝な眼差しから逃げるように、ルイズは
俯いて毛布を抱き締めた。
「・・・だからオレぁ別に――」
「ベ、ベベベベッドで寝てもいいわっ!」
ギアッチョの言葉を遮って、一息に言い切った。
「ああ?」
ギアッチョは視線をルイズの下に移す。ベッドというのは――普通に考えてこれの
ことだろう。
「・・・おめーはどうすんだ」
「そ、それはわたしも隣で・・・」
「・・・・・・」
「あ、ちっ、ちち違うわよ!変な意味は全然無いんだから!た、ただあの、昨日
二人で使ってもスペースに問題無いって分かったし、ギアッチョの為にわたし何も
出来て無いし・・・だ、だからその・・・!」
ギアッチョの沈黙をなんと捉えたものか、ルイズはブンブンと手を振って釈明した。
ギアッチョはそれでも少しの間黙考していたが、すぐに顔を上げて口を開いた。
「・・・ならそうさせてもらうぜ」
「これから寒くなってくるかもだしやっぱり床は不衛生だし・・・って、え?」
投げられたのは、ルイズの予想と全く反対の言葉だった。毛布を担いで数度埃を
落とすと、ギアッチョは何の迷いも無くベッドへやって来る。
「えっ、えええ!?ちょちょちょちょっと待って!!まままだ心の準備が――!」
「何の準備だよ」
ルイズの心境も知らず、ギアッチョはあっさりとルイズの反対側に寝転がった。
「とっとと寝るぞ 明日遅刻したくねーならな」
「・・・・・・バカ」
「何か言ったか」
「な、何でも無いわよ!おやすみっ!」
ギアッチョから顔を背けてそう言うと、ルイズもそそくさと毛布に潜り込む。
それを確認して、ギアッチョは静かに眼を閉じた。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:28:53 ID:7JK2x5BF
支援
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:29:50 ID:2nRkmpos
支援
78サブ・ゼロの使い魔(8/8):2007/12/01(土) 22:29:54 ID:UvYJz6Kv
――変わったのは・・・どうやらオレだけじゃあねーらしい
静謐に身を委ねて、彼はぼんやりと考える。勿論、自分はルイズの何を知って
いるわけでもないのだろう。ルイズと共に過ごしたのは、まだたかだか数ヶ月だ。
しかし、その数ヶ月で自分はルイズの涙も笑顔も知った。だからこそ解る。
自分が変わったように、ルイズも変わったのだと。
ルイズの提案を受けた背景にはそういう思考があった。知り合ってすぐのルイズで
あれば、貴族のベッドで平民が寝るなど自分の私物で無くても許しはしなかった
だろう。――だから。昼にシエスタに言ったように、まさか本当に保護者になる
つもりなどは毛頭無いが――ルイズが自分を気遣うならば、それを受け入れて
やるぐらいの度量はあってもいいだろうと、そう思う。
――プロシュートの野郎は、こんな心境だったのかもな・・・
それは、ギアッチョが一番理解出来ないと思っていた感情だった。軽い自嘲を
口元に浮かべて――ギアッチョは今度こそ眠りの底へ落ちて行った。
79サブ・ゼロの使い魔(8/8):2007/12/01(土) 22:31:42 ID:UvYJz6Kv
以上、投下したッ!
最近投下頻度がどんどん落ちている・・・
危機感を覚えつつも改善出来ない自分がもどかしい。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:31:43 ID:LmW67GsA
ギア千代さんフリーダム支援!!
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:32:12 ID:bSKMeFci
ギアッチョの地味なデレかたはいい
心が洗われる
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:34:01 ID:SLfifQQk
俺サブゼロを読むと自然と顔がニヤけちまう奇病にかかってしまったようなんだ…

GJ!!相変わらず二人の近付いてるんだかなんだか分からない距離感がベネ
83名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:34:32 ID:2nRkmpos
          /´ ̄ ̄‖ ̄~ヽ
         // /ノ゙' " `ヽ   \
        / / / /  ー- ヽ   ヽ
.       l '  /,/,__,-‐ー-ヘЩ   }   ディ・モールト(非常に)
.       |i ___ r'"~:::::::::::〔●〉::::ト、  ス    ディ・モールト(非常に)
        /:::::)i"●,r‐-―一-、::シ ,i'"      投下乙!
      /:◎:yi ヘ⊃   ,_,⊂⊃l  //
      ( ̄~"ヽ、,ゝ、_,`´     ィ //       Wツンデレベリッシモ良いぞッ!
.      \    |=| "ー‐-イ'^i、/_
.       ||\,,_」;;:l、,,,,_,」:]:;;;;;;,:::ヽ、
.       ~|「 |"゙゙))::::::::T:::::::::((:::::)):::((|
84名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:39:18 ID:fJ8y8ogV
GJ!
>>82
奇遇だな
俺もさぶぜろを読むと唇の両端がニィイと吊り上がる悪役笑いが浮かぶんだ
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:39:37 ID:SopXq8OL
サブ・ゼロGJ!
デレギアッチョ可愛いよデレギアッチョ
86名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:42:14 ID:ffvORybG
サブ・ゼロさん乙&ぐっじょぶ!ですた
爽やかで心洗われましたよ
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:45:57 ID:nIfiFyNY
一言……許すと……
校正してて支援とGJができなかった俺を許してくれ……
そのひとことで俺は救われるんだ。

ツンがデレを! デレがツンを引き立てる!
「ハーモニー」ッつーんですかぁ?(ry
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:50:09 ID:ffvORybG
許しを願ったとき、すでに許されry
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:54:22 ID:OlwtA6PY
超GJってやつさぁ〜〜!
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:19:50 ID:QzAXD7Jq
>サブゼロ
GJ!
しかし寝ぼけたギアッチョがスタンド発現したら豪い目に合いそうだwww

>風
>知ってますわよぉおお!
姫様wwww
相変わらず小ネタが多くてGJ!
一番笑ってるかも
91名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:32:49 ID:9M/0Tkz2
サブさんGJ!!
ギアッチョとルイズを見てたら胸が熱くなって、その上何だか不思議な気分に成っちまう…
ひょっとしたら俺も病気にかかったのかもしれんな。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:08:35 ID:dEVLrfTe
メイドインヘヴン!

世界は一巡し……
皆メイドになr…げふんげふん、IDが変更される!!
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:18:12 ID:+vKTLiqG
>>92
お前のせいでメイド姿のワムウとシュトロハイムと
ヴァニラとアヌビス神とワルドが浮かんだじゃねえか!
94名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:24:17 ID:cvJbnU7J
>>93
メイド服着た剣って何だよwwwww
95名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:31:21 ID:OokDIq9u
フリル付きアヌビス神・・・・・・


ありか・・・・・・いや、ねーな
96名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:35:55 ID:2/52svW8
>>アヌビス+メイド

ジャッカルの顔をした獣クサイメイド………
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:39:16 ID:9/dVBTH/
それよりも一巡した世界にアヌビス神が錆びずに辿り着けたのだろうか
98名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:46:05 ID:aEw8J7do
立派なイタリアンコックの包丁として!!
99名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:47:57 ID:Em7Alu/W
ああそんなネタあったなww
100名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:03:53 ID:ojiPiofp
むしろ一巡後のアヌビスは剣どころかとらを押さえつけてる槍に
101名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:07:25 ID:OokDIq9u
--------ここからアヌビススレ-------
102名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:15:48 ID:cVymTQdu
だが断る
ここから先はこの僕のスレだ。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:39:56 ID:w1BtRxNO
良かったら…45分ぐらいから小ネタを投下しても…いいですか?
104名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:42:11 ID:Em7Alu/W
GO!
105ヤバイ「RUNE」がIN!! :2007/12/02(日) 01:45:32 ID:w1BtRxNO
行きます。





ゼロのルイズこと、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは緊張していた。
今まで挑戦した魔法は全て失敗。成功率ゼロ。何一つ上手く行ったことが無い。だが、今回は失敗するわけには行かない!
春の召喚の儀式を乗り越えなければ、トリステイン魔法学院の二年生に進級できないのだ!
前の生徒達が次々に使い魔の召喚に成功して行き、ついに自分の番になる。ただでさえ小柄で小さいルイズの身体は緊張と重圧のせいでさらに縮みそうだ。
(大丈夫…きっと成功するわ…)
心の中で呟く。
(いや、成功する!このルイズ・フランソワーズなら出来るッ!!絶対召喚できるッ!!)
自分を励まし、呪文を唱え始める。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!
神聖で美しく、そして最強な使い魔よ!!
私は心より求め、訴える!我が導きに答えなさいッ!!」
そして杖が振り下ろされ…
ドグォ――z__ンッ!!
「く、空間が火を吹いたッ!?」
「ルイズの奴また失敗してるぜw」
「いい迷惑だよ全く」
「いや…待て!クレーターの中に何かいるぞ?!」
「うそだろ!マリコルヌ!」
「ああ、嘘だ…と思ったけど、何かちっこいのが動いてるぞ!」
召喚された物にルイズが近づく。
「…これって…カエル?」
そこに居たのは、一匹のカエルだった。
「ふーむ。珍しいカエルだな…」
教師のコルベールがいつの間にやら隣で呟いた。
「何はともあれミス・ヴァリエール!召喚成功おめでとう!」
頭を輝かせながら労いの言葉を掛けてくる。
言われたルイズの方はというと…
(う…成功したのは嬉しいけど…ちょっと両生類ってやつはニガテで、き…気持ち悪いわ)
「どうかしましたか?さあ、早くコントラクト・サーヴァントを。」
「は、はい!」
(…仕方が無いわ。何回か失敗するかと覚悟していた所に、一発で成功してこいつが出てきたんだもん…
これがわたしに最良の使い魔なのね…。それに!貴族とは!敵に後ろを見せない者の事ッ!!私は貴族よ!やってやるわ!……敵じゃないけど)
意を決してカエルに両手を伸ばすルイズ。
(ううう〜…やっぱり気持ち悪いわ!ひんやりとしていてヌメヌメしてるし…お腹がぶよぶよじゃないッ!何でこんなに柔らかいのよ!肋骨無いんじゃないの?!)
何とか顔の高さまでカエルを持ち上げた。
カエルの方は大人しくしている。
多分、召喚された影響だろう。
106ヤバイ「RUNE」がIN!! :2007/12/02(日) 01:46:41 ID:w1BtRxNO
(……先にカエルに口付けしたモンモランシーを尊敬する……毒かもしれないのに…
こんな気持ち悪い生き物に平然と口付けしたあんたをッ!)
「…ミス・ヴァリエール?」
カエルと見詰め合っているルイズを、コルベールが急かす。
「今やります!……う…我が名はルイズ・フランソワーズ……ル・ブラン・ド…ラ・ヴァ……ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。このカエ…者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」
ゆっくりとカエルに顔を近づけるルイズ。
そして唇と唇が触れ合った。
………
(……思ったより唇は硬いのね)
そんな事を考えていると、カエルがジタバタ暴れだした。
ただでさえ嫌いなカエルが両手の中で暴れですのだからたまったものじゃあない!
「ちょ、ちょっと!暴れないでって!大丈夫よ、使い魔のルーンが刻まれているだけ…」
言いかけたルイズは、自分の異変に気づく。
熱い!左手が熱い!!そして痛いッ!!
(何?何この痛みはッ!!痛すぎる!!)
「…ぁぁぁあああああああああああッ!!」
我慢しきれず悲鳴を上げるルイズ。
カエルを放り出し、右手で左手を抑えるが、余りの痛みに立っている事も出来なくなりガクッと膝を付いてしまう。
「ミス・ヴァリエール!!どうしたのかね?!!」
コルベールが慌てて駆け寄る。
それも間に合わず、地面に倒れるルイズ。
丁度顔の前に倒れて来た自分の左手。
(…おかしいわ……手の甲のところがおかしいわ…)
薄れ行く意識の中、闇に包まれていく視界に手が映る。
(急におかしくなった…この手、ルーンが……刻まれてる!はっ!!
なるほどうわははははははは、使い魔にされたのはわたしでしたァぁぁぁ!いつの間にかぁぁぁー!)
何が起きたのかを理解したルイズはそのまま意識を失った。
その広場には、
気絶したルイズと、医者を呼ぶよう叫ぶ教師、
呆然とそれを眺める生徒達とその使い魔達。
そして……
見知らぬ異国の文字が書かれた謎のトランクが残されていたという。



その後…
ルイズ――自分に刻まれたルーンの能力と失敗魔法、そして『迂闊にカエルに口付けした事の反省』を生かし大いに成長(精神的な意味で)。
       君主であり友人でもあるアンリエッタからさまざまな任務を受け全て達成。史上初の『虚無の使い手+アヌb…ガンダールブッ!』となり、
       本来詠唱中は無防備となるが、ガンダールブの能力により、詠唱しながら杖を仕込んだ喋る剣で戦うことが出来、その戦闘能力は他の虚無の使い手の追従を許さなかった。
       さらにガンダールブの力で戦うのではなく、逆に思いっきり『逃げながら詠唱ぅ〜!』は、貴族らしからぬと批判されたが、誰にも打ち破られる事が無かったと言う。
       それらの事から、ハルケギニア最強の戦士として歴史にその名を刻む事となった。

涙目のルカ――ジョルノに適当な説教を垂れ生存ッ!!

広瀬康一のトランク――トリステイン魔法学院に保管されている。発明好きな名物先生の機嫌を取ると見せてくれる。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:47:48 ID:w1BtRxNO
以上、『広瀬康一のトランクからゴールドエクスペリエンスで作られたカエル』を召喚しました。
使い魔に能力与えるより、自分がその能力持った方が良かったじゃないですか?ブリミルさん。
そんな気持ちを作品に込めました。
ゴールドEが作った生物が魔法を反射できるのかですが?そこん所だがオレにもようわからん。
では。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:51:02 ID:+vKTLiqG
何が召喚されたのかと思ったらあの時のカエルかw
面白かったGJ!

受けたダメージを反射させる能力って
何処行ったんだろうな
109アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:07:55 ID:x4bOV9zO
夜も遅いですけど自分も15分から投下しても構いませんか?
110アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:15:31 ID:x4bOV9zO
反応無くて寂しいけど気にせず投下

何とか三人の追っ手から逃れた康一とマザリーニは、一時近くの部屋の中に逃げ込んでいた。
薄暗くて部屋の中はよく見えないが、机と椅子に幾つかの本が納められた書棚があるだけのようだ。
当然ながら人は居ない。窓があるとはいえ、明かりもつけずにこんな場所にいる人間は怪しすぎる。
そして二人は追っ手に気付かれぬように明かりはつけられないので、充分怪しい人間であると言えた。

「あっぐァ…!」
「マザリーニさんッ、大丈夫…じゃあないですよね」
ピチャリ、と水滴の滴る音がした。そしてその水は赤黒い。
先ほどの氷の矢を、康一は致命傷になる分は防御できたが全てを防げた訳ではなかった。

康一も所々で学ランが引き裂かれ、地肌までも切り裂かれている。
しかしマザリーニはもっと酷い。ザックリと足が裂けて、傷口を押さえても血が止まらないでいるのだ。
これがこの部屋へ逃げ込んだ理由。足がこの状態で追っ手から逃げ切ることは難しい。
一旦落ち着ける場所が必要だった。

「くそっ、とりあえず何か包帯みたいなのでキズを押さえないと…!」
康一は窓に取り付けられたカーテンをACT2の『チョキン』のしっぽ文字で切り落とし、
それを長い布状に裂いてマザリーニの足の傷に巻きつけキズを圧迫する。
血を止める為でも、キズを圧迫しすぎるのは良くないらしいが、そんな加減は康一には分からない。
今は何とか血を止めて、早急に水魔法で治療するべきなのだ。

「痛いと思いますけど我慢してくださいよ、マザリーニさん」
「できる限りしますが、これは、我慢できる痛みを、超えてい、あづッ!」
明らかに苦悶の表情を浮かべて、カーテンをきつくキズに巻かれるマザリーニ。
痛みなのか、血を失った為なのか、多分両方だろう。その顔色はどんどんと青白くなる。

血が完全に止まった訳ではないが、巻き終わったカーテンの端をACT2がしっぽ文字で切り落とした。
「ひとまずはこれでいいと思います。でも早いトコ治療しないと不味いかもですよ」
「むぅ…いえ、それよりも大切なのは、この書類を姫様の元へ必ず届ける事です。
これを姫様へと届けるのが、今一番大切な事。それに比べれば、私の手当ては二の次。
いざとなれば私を置いていってでも構いません。何としてでも姫様にお届けせねば」

マザリーニの手にある書類の束。彼はキズを負いながらもこれを手放さなかった。
痛みを堪えて所々うめくような口調だが、マザリーニは誓った忠義を果たさんとする。
真に国を、アンリエッタを案ずる姿は、父性のように逞しい優しさを備えていた。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:15:52 ID:HJK9Vsev
支援
112アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:16:58 ID:x4bOV9zO
『S・H・I・T。シカシ一個問題ガアリマスネ』
いつの間にかACT3が宙に浮いている。マザリーニの話を聞いていたらしい。
「ああ、その通りさ。僕達は生きてアンリエッタさんの所へ帰ります。
マザリーニさんを置いてくなんて、僕は自分でムカついちゃって出来やしませんよ」

康一とACT3の顔が同時に、ニヤリと笑う。とても不敵な面構えになった。
「まず状況を整理しといた方がいいと思うんですけど。
僕達がやるべきことはその書類をアンリエッタさんのところに届ける事。
そして多分ですけど、これは他の人の手は借りられない」

「何故です。この騒ぎに気付いた衛兵や衛士が、誰かここへ向かってくる筈では?」
先ほどの爆裂音はかなりの大きさだった。夜の城では余計に響くだろう。
気付いて人が集まって来るのではないだろうか。しかし康一は首を横に振った。
「さっき曲がり角で攻撃を受ける直前に気が付いたんですけど。
資料庫へ向かう時に、あの曲がり角で衛兵の人とぶつかりそうになったの、マザリーニさん覚えてますか?」

「それは、覚えておりますが。それがどうされました?」
「僕達、もと来た廊下を戻ってた訳ですから、そのブツかりそうになった衛兵の人とは会わなくちゃいけないですよね?
でもその人はいなかった。そもそも他にも衛兵の人はいたはずなのに、その人達ともすれ違わなかった。
これってどう考えても、ありえないですよね」

マザリーニ、沈黙。言葉の代わりに一段と目つきが厳しくなる。
「つまり……人は少なくともこの辺りにはいない。敵に排除されたと、そういう事ですかな?」
一つ、康一が頷いた。それともう一つ。
「前にアンリエッタさんを襲ったヤツは、音を消す魔法を使ってたらしいじゃあないですか。
多分今回も隠蔽の為に、その魔法が使われてるんじゃあないかと僕は思うんですけど」

黙考するマザリーニ。サイレントを使われたなら、魔法が生み出す破壊音を人が聞きつけるのは不可能だ。
「恐らく奴らの狙いはこの書類とそれを知った私達二人を始末する事でしょう。
もう四・五分もすればこの部屋も見つかってしまう。早く行動を起こさねばなりますまい」
今頃奴らはディティクトマジックで自分達を探している事だろう。残り時間は少ない。

「とりあえず僕達にある選択肢は二つ。書類を届ける為に、敵を「倒す」か「足止め」をしとかなくちゃならない。
方法は二人で逃げるか、二手に分かれるかになります、けど。
この場合は……やっぱり二手に分かれた方が良さそうですよね」
康一はマザリーニの重症を負った足を見ながら、そう言った。
113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:18:04 ID:HJK9Vsev
支援
114アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:18:21 ID:x4bOV9zO
マザリーニの足のケガは重症だ。多少は布で圧迫しているためマシになったが、それでも二人で動くのには支障をきたしすぎる。
「……情けない。今の私では敵に背を向けるしかできませぬ。
何たる屈辱っ。コーイチ殿、真に面目の次第もありませぬ」
眼前の敵から、若い少年を盾にして逃げることしかできない。マザリーニの誇りが揺らぐ。

しかし康一はなんのそのってな感じだ。度胸はあるし意外と慣れたモンである。
「大丈夫ですって。ほら、僕って結構荒っぽいことするの向いてますし。それに僕達は仲間なんです。
今はドーダコーダ言う前に生きる事を考えるんです。僕たちはそれを必死でしなくちゃあいけない。
必死で、必死で、生きてこの事を伝えなきゃあならない。何よりもアンリエッタさんを守る為に」

以前、同じような場面があった。虹村億泰。康一の親友の一人。
彼は兄、虹村形兆を殺害したスタンド『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に挑んで苦い敗北を味わった。
そのまま屈してしまいそうになる億泰を、康一は勝つ為でなく守る為に戦えと言った。
『チリ・ペッパー』を倒す為に、勝つ事のできる人を、守れと。

大きな目的のために、目の前を見るのではなく、その先へと向かう道を示した言葉。
今、期せずして康一はマザリーニに対して同様の事を伝えた。
正直に言ってマザリーニには僅かだが康一を軽く見ていた気がする。
本当につい先日現われたばかりの、特殊な能力を持つとはいえ平民の使い魔。

話をしてみると、見た目通りに結構気弱な印象を受けた。
だが今の彼はどうだ?そんな様子は微塵も無い。
否、彼にだって恐怖はあるだろう。しかし彼は恐怖を克服している。
アンリエッタを守る為にと、勇気を出して恐怖をねじ伏せた。

マザリーニは今までの自分のつまらない意地を恥じた。
恥じると同時に康一への尊敬が生まれた。そして更に心が生への渇望で沸騰する。
生きたい。生きて、あの寂しそうな姫を守りたい。
自分が本当の孫のように思える、可憐な女の子を、この手で守ってやりたい。

ああ、生きたいなぁ。生きていたいよ。
他の事など自分の全てから消えて、その単純な一つだけが残った。
「生きて…守る為に戦う……!」
マザリーニの心で熱い灯火が燃え盛った。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:19:00 ID:HJK9Vsev
支援
116アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:19:43 ID:x4bOV9zO




未だ終わらぬ舞踏会の広間。まだまだ夜はこれからと誰も彼もが浮かれている。
その中でアンリエッタは幾多のダンスの誘いは断り、一人静かに広間の端で宴の席を外れていた。
「やっぱりコーイチさんが傍にいないと、何だか落ち着かないわね」
独りごちるアンリエッタが自分でも意外そうに呟いた。

確かに意外と言えばそうだろう。この間だ二週間もない時まではこれが普通だった。
華やかな王宮の真ん中で、貴族のご機嫌取りを黙々とこなす毎日。
蝶よ花よと持て囃されて、しかし真に自分を思ってくれる者など僅か一握り。
その一握りでさえ、殆んどは政務や任務に忙殺され会える事など数少なかった。

だが今はどうだろう。自分が召喚した使い魔はいつだって傍にいてくれた。
彼はとてもイイ人だ。大抵の事には嫌な顔もしないし、あってもシブシブ付き合ってくれる。
しかも自らの意思とは関係なく、異世界から無理やり喚ばれて来たというのにだ。
「多分わたくしには出来ないわね」

自覚はあるが、自分は結構な世間知らずだ。
それが王族としては普通なのだが、それでは異世界に行くとかになったら通用しないだろう。
多分行ったなら、母や今は亡き父を想って女々しく泣くのが関の山。
彼のようにあっさりと適応する事は極めて難しいと言わざるをえない。

「コーイチさんは故郷に帰りたくはないのかしら?」
自分だったら帰りたい。この世界に置いてきてしまったモノの元へと何をしてでも帰りたい。
多分彼も自分の故郷へ帰りたいと望んでいるんだろう。
だけど今は召喚してしまった自分の為にと働いてくれているのだ。

こんなのは康一に対して凄く卑怯な行いじゃあないのか?
何だか後ろ指を指されたような、酷く後ろ暗い気分になった。
早く自分を狙う者を割り出して、康一の帰る方法を探さなくてはならない。
そもそも王宮の内部に通じている者が犯人だろうと目されているのだ。

もしかすると今この舞踏会に出席している中の誰かが犯人である可能性だってある。
アンリエッタは自分の想像に少しだけゾクリとした。思わず肌身離さず持ち歩く杖を強めに握り締める。
杖を持っていると少しだけ安心した。それでも傍に広瀬康一がいるのと、比べるのもおこがましいチッポケな安心感だが。
こんな事でも今は無いよりマシ。早く時間が過ぎてくれることをアンリエッタは祈った。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:20:03 ID:HJK9Vsev
支援
118アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:21:08 ID:x4bOV9zO
アンリエッタは広間を見渡す。何とも実の無い宴だが、ただ漠然と見ているだけよりは良いかもしれない。
今日は酒を飲む気分ではなかったが、少し杯をあおろうか。
自分も宴の中へ混じろうと考えて足を動かす、がピタリと歩みを止めた。
広間の端の方で全体が見えていたから分かったのだが、一人足元が覚束ない者が広間にいる。

グラグラと足が揺れて今にも崩れそうで、本当に足の中に骨が入っているのか疑わしい。
顔に覚えのある女性の貴族だが、顔が少し赤らんでいる。酒でも飲みすぎたのだろうか?
少々危なっかしいとアンリエッタは思って、さりげなく彼女の傍へと行って声を掛けた。

「もし、失礼ですが御気分が優れないのですか?よろしければ部屋を用意させますが」
しかしいつまで経っても、声を掛けた女性はアンリエッタの方を見ようともしない。
聞こえていなかったのか?酔っているのならそれもありえるだろう。
気を取り直してもう一度声を掛けようと思ったときだった。

グラッと彼女の体が揺れたかと思った時には、すでに自分の体は押し潰されていた。
「きゃあっ!」
どすんっ、と崩れ落ちた彼女の体に押されて、アンリエッタは床へと押し倒される。
そんなに痛くはなかったが少し衝撃が胸を打つ。

アンリエッタの悲鳴を耳にした周りの貴族等が、床に組み合って倒れる彼女等を見た。
突然見るとアンリエッタの上に女の貴族がのしかかって、いかにも鼻血もののヤバイ感じのアレだが、
非力なアンリエッタが床でじたばたしているのを見咎めて慌てて助けに入る。
「ご無事ですか姫さま!?」

「わたくしは大丈夫です、それよりもこの方が…!。
もしっ、もしっ!大丈夫ですか、お怪我はありませんでしたかっ!」
助け起こされたアンリエッタは、床に倒れ伏す女貴族の体を揺さぶって呼ぶ。
にわかに騒ぎを聞きつけた貴族達がアンリエッタの傍へと集まってきた。
それに気付いたアンリエッタはこれ以上騒ぎになるのは不味いかと杖を持った。

「…ううっ」
瞬間。アンリエッタを助けた内の一人、壮年の貴族がドスンと床に倒れこんだ。
目はやや白目気味で虚ろ。時々ピクピクと指先が動いている。
貴族が倒れた後の周囲の者達は、何が何だか分からない、といった表情。
そして沈黙の中で誰かが小さく悲鳴を漏らすと、ざわめきは打ち寄せる細波のように、広間全体へと広がっていった。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:21:31 ID:HJK9Vsev
支援
120アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:24:03 ID:x4bOV9zO
投下完了、支援してくださったHJK9Vsevさんに感謝
今回の投下で言いたいことは唯一つ、おじーちゃーん!
やっぱりおじいちゃんキャラが自分は結構好きみたいです
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:24:41 ID:HJK9Vsev
GJでした
122名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:26:56 ID:+vKTLiqG
GJでした!
支援しそこねて申し訳ない!
123名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:52:11 ID:qfLtj4dU
サブちゃんも康一もしえんできなくてごめんよ。
相変わらずのクオリティ。感服するぜ。
後どうでもいい余談だけど止血ってアクト2のピタリ…とかピタッ
で止まらないかな?www無理かwww
124名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:55:42 ID:zT0dO0Wy
GJですぅ。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 03:28:45 ID:FaS4oMPJ
ドラドラで治ったらギャグだなあw
GJっした。
126アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 03:44:52 ID:x4bOV9zO
>>123自分もしっぽ文字で止血とかできないかなと考えたんですが、
ちょっと都合が良すぎるかなと思って止めておきました
それにしっぽ文字は複数に分けて使えるのか分からないのもあります
じゃないと止血している間に、しっぽ文字が使えない康一君がフルボッコですのでw
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 05:33:44 ID:XobvpjdV
しっぽ文字は使った後回収しないと使えないはず
128名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 07:05:04 ID:qfLtj4dU
ああ、そうか。回収しなきゃダメなのかwww
納得です。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:39:39 ID:NrO6WWrt
露伴の家で連射してなかったっけ>しっぽ文字
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:40:19 ID:QABO95+X
>>129
それはその、あれだ
スタプラの指が最初の時だけ伸びたりチャリオッツが後半から甲冑を脱ごうともしなかったり
GEに殴られると最初の時だけ感覚が暴走したりするのと同じだ、きっと
131名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:56:26 ID:ArDXzizo
>>108
>受けたダメージを反射させる能力って何処行ったんだろうな
涙目のルカに
「こいつはまだそれほどぼくに忠実なわけではないんだ
こいつはただ自分の身を守っている守っているだけで
こいつにはこいつの「命」がある」
って言ってるから変化させた生き物の扱いになれていったんじゃね?
132名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:43:19 ID:9FpvIAEm
パープルヘイズのワクチンを蛇から作って以降、ダメージ反射の描写が無いので、ウィルスの影響だと思ってる。
133名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:02:22 ID:OgZ96mYL
ああ、そんなのもあったね(笑)
134名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:49:32 ID:FaS4oMPJ
あのワクチン携帯してれば、紫煙は使い勝手良くなるよな。紫煙自体が一発キャラだったんで意味無いけどw
135名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:08:32 ID:/zGd6Zbi
そういえば最近見ないフーゴの人帰ってきてほしいな〜。
直後の展開がギーシュが溶けた汚泥と化す以外にあんまり予想できないけど
136名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:43:48 ID:NrO6WWrt
ウィルスは進化する
137名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:05:45 ID:Iv4L3U7e
DIO様の続きが気になる…
138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:13:07 ID:hM/W13ds
皆さんが他の職人さんを待っている所すまないが…九時頃から投下させていただいて構いませんね?
支援絵を頂いて、一気に書いてしまえたんだ。
名無しさん、『許可』をいただけませんか?
139名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:13:48 ID:+V/t1xhZ
自分はもう連載中の作品は
全部続きが気になってるぜ!

愉快な暗殺チームとか変態とかスト様とかスケコマCとか
140名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:15:15 ID:dEVLrfTe
            /'rイイvイ ノ|イ,へ、
           lV l~V,イ^レ' ν;;/ ノ て、.
             /し' / ,ィγ'`ヽ ヽ ノ ̄;; `>
          `> /ヽノ?,三ヽハイィ ;,,'`て
         〃 _イヽレ /  し| l │て'" 
         | / ●    ●   V|て   関係ない
          ヽ|,⊃ 、_,、_, ⊂⊃ ;;メ,    投下しろ  
        /⌒ヽ__ ヘ   ゝ._)   ,j '/⌒i      
      \ /:ノ:ィ:| l>,、 __, イ★/;;;;;;/
        \'  〈《:::::::::::::::::》 〉人. ∧
141名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:20:27 ID:YxjPz+ch
番鳥、DIO、絶頂、俺TUEEEEEE
…orz
142名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:27:17 ID:aEw8J7do
まとめサイトの方は、更新履歴の古いやつ残ってないから
作品がどれくらい前から途切れてるのかわかりにくいんだよな・・・。
鮫とか…
143名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:28:00 ID:LF5VMNCv
>>138
投下を許可するッ!!!
144名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:29:18 ID:bA902Xdi
兄弟スレのまとめみたいに最終更新日を表示するようにするとか・・・
145名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:34:06 ID:cCavRKrK
支援絵ってことは亀さんか
146兄ィ:2007/12/02(日) 20:42:05 ID:QK26bn7p
ok
それじゃあ支援茶でも淹れながら投下を準備しようか…
対メンヌイル戦前哨戦で、あの人が出るよ
147名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:45:55 ID:YxjPz+ch
                                          ○________
                               支援するー      |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_
148兄ィ:2007/12/02(日) 20:48:12 ID:QK26bn7p
HAHAHAHAメンヌイルって誰だよ…
最近、キーボードのzとvが効き辛くて困る…

Gジェネ魂やりながらサイド支援だッ
149名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:59:25 ID:y5mhv2N/
>>142
そのページの編集履歴見ればいいんじゃないの?
150名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:02:35 ID:hM/W13ds
予告どおり、投下させていただきます。
今回も避難所に外伝もいきます(外伝の方が何故か長いですが)



あ、ありのまま今起こったことを話す!

僕は、愛しのモンモランシーからもらった香水をうっかり落としてしまった。

その日は良い陽気で、友人達との会話も弾んでたしワインもおいしかった。
だけどまだそんなドジ踏むほど酔っちゃいない…!
だから、落とした事に関して僕に非は無いと先に言わせて貰おう。あえて言うならこのポケットが悪いんだ!

それはともかくなんだ。
さっさと拾いたいところだったけど、実は僕は浮気の真っ最中なので不用意に拾う事は出来ない。
まだ手を握った位だが、貴族としてオトコとして可愛らしいシニョリーナを泣かすわけにはいかない。

その香水が大切な物であることも事実!
だが…大事なものだからこそ不用意に拾う事はできない。
大事な物だからってうっかり拾って浮気がばれるなんてことになったら…正に本末転倒だからね。

僕はそう思いそ知らぬふりで友人達と談笑を続ける。
先ほど言った理由から談笑を続けながらも僕がどうしようかと悩みだした瞬間、床に落ちた香水の前に亀が通りかかった。
その亀には見覚えがあった。
何せその亀の甲羅には鍵が刺さっていたからね。

そう…確かコイツは。
そうだ、ゼロのルイズの亀だ!

だが亀に何ができるわけでもない。
と、僕が思った瞬間に目の前に香水の瓶が現れた。

「おい、落としたぜ」

その亀は間違いなく僕に言った。
亀のくせにレビテーションを使って僕の前に香水瓶を差し出したことからそれは間違いないだろう。

「?何の事だね?僕の物ではないが…」

咄嗟に僕は嘘をついた。
苦しいとは思うが、この場さえ切り抜ければどーとでもなる!
見た目どおり、亀は間抜けだった。
敬虔な教徒である僕にはブリミルのご加護があるらしい。
内心、僕は笑みを浮かべていた。それが顔に出てくるのを抑えようとしたが、駄目だ。
どうしても笑顔になってしまう。

「そうか。確かに女ものっぽいしな…悪かったな」

亀がしゃべるのには驚かされたが、僕の期待する返事を聞いた安堵から笑ってそれを許し後で回収する事にした。
やれやれ、亀が間抜けで助かったよ。

後は機会を窺い取り戻すだけだ。
友人達との談笑に戻りながら僕は亀がどうするか聞き耳を立てていた。

亀がメイドを呼び止める声が背中に聞こえた。

いいぞ!気が効くじゃあないか!
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:06:40 ID:hM/W13ds

僕はそう思った。なのに…!

メイドはまぁ、平民にしては中々可愛いんじゃないかな?
亀相手にも笑顔を見せてしっかり相手をするのはちょっとだけ好感が持てるじゃないか。

「亀なのにしゃべれるなんて凄いですね。それで御用はなんでしょうか?」

その亀は…!メイドにこう言いやがったんだ!

「あぁ、コイツが落ちててな。誰かが踏んだり蹴って割っちまっても手間だし、すまねぇがコイツをゴミ箱に捨てといてくれないか?」
「は「貴様何をするだー!」」

しまった!
思わず声を張り上げたせいで注目が集まるのを感じる!
不味い、不味いぞ!

狼狽しながらサッと動かした視線には興味本位にこちらを見つめる同級生、下級生、上級生までいる!
…僕は震える指で髪をかきあげた。それを目ざとく見ていた友人達がニヤニヤしている気がしたが、黙っているなら何も言わない。
だから待っていてくれ。

「なんだよ?アンタのじゃないんだろ?」

亀の指摘に僕は言葉に詰まる。
確かにそう言ったが、ちょっと位感づいてくれたっていいじゃないか?
思っても仕方が無い…僕はこれ以上注目を集めずにすませようと一つ咳払いをした。

「も、勿論だ。だが「あぁ…なるほど。わかったぜ」」

どもる僕を見ていた亀は、何故か合点が行ったような様子でメイドから瓶を返してもらう。
おお!もしかして察してくれたのか!?

一気に好転した事態に僕は余裕を取り戻す。
なんだつまらない、周囲からそんな声が聞こえたような気がするがしったこっちゃない。
僕は震えの止まった手でワインを飲んだ。

渇いた喉に染み渡る良い味だった。

「助かったぜ。言われなければひどい事をしちまうところだった…あんたは紳士のようだな。私はカメナレフと呼ばれている。よかったら名前を聞かせてくれないか?」

難関を乗り越えて一服する僕にそう言葉がかけられた。
言ったのはルイズの亀。
散りそうだった好奇の視線が引き止められてしまった。

だが、世辞を言われて悪い気はしない。
それにコイツには助けてもらうことになるわけだしね、僕は亀相手にだが、奇妙な友情が芽生えるの感じた。
名前を教えてやってもいいんじゃないかって位にはね。

「何、当然のことしただけさ。僕はギーシュ。武門の家グラモン家」
「ギーシュか、もう一度礼を言っておくぜ!」
「あぁ、ルイズの使い魔君。いいんダヨ別に。貴族として当然ことだからね」

心のどこかでまだ動揺してしまっていたらしい。
酔っ払ったような語調で言ってしまったが、間抜けな亀は気付かなかった。フフッいいぞ。凄くいい!
亀はまたレビテーションのような力を使って香水を運んでいく。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:09:53 ID:dEVLrfTe
支援
153名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:09:55 ID:LF5VMNCv
支援!
154名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:10:20 ID:hM/W13ds
それにまた驚かされるが、いやいやお陰で助かっ…

「貴様っ!何のつもりだ!?」
「あん?ギーシュ。お前が教えてくれたんじゃねーか」

なんと、亀はテラスに行き香水の中身を捨てやがった!
奴がわけのわからないことを言う間にも、香水の中身が…あぁ!
モンモランシーの僕への気持がこもっているせいか!?

言葉では言い表せないほどに…香水が、モンモランシーに貰った香水が!
風に舞い光を受けて美しく散っていく。

僕の口は、間抜けに開いていたことだろう。追い討ちをかけるように亀が言う。

「ゴミはゴミ箱に捨てる。だが容器の中身は空にする…誰だってそーする」

重々しい口調、しかも断言している!
なんだコイツ?

僕の中に流れるグラモンの血が、亀の口調に込められた真意を嗅ぎ取ったのだろう。
亀の言葉に、僕は知らず一歩退いて椅子にぶつかった。

「時々忘れちまうんだが、ギーシュ。お前が教えてくれて助かったぜ」

こ、コイツ何をいってるんだ?
回収の時そんな作法があるなど聞いたことがない!
この亀の故郷の作法だとでも言うのか?
い、いや…それこそまさかだ。亀の世界だぞ?
ということは…つまりコイツは、天然とか、うっかりなんてちゃちなもんじゃない…!

はっきりと浮かんだその考えに、僕はもう一歩退いてしまい…椅子が倒れたが、僕はそんなものに構う余裕など無かった。

こ、コイツ。間抜けと思っていたが、まさか!

冷や汗が流れる度に、僕の中でその思いつきが正解だという思いが強くなっていく。
戦慄する僕に、気の良さそうな態度で言い終えた亀は、集まった観衆の好奇の視線をより一層集めようとするかのように、メイドへ空になった香水のビンを投げた。

空中で回転するビンはスローに見え…その間に僕の耳にははっきりと周りの囁き声が聞こえた。

嫌になるほどはっきりとだ!

「おい、あれってまさかミスモンモランシーの?」

ほら、もう誰かの囁き声が聞こえる。し、しかし誰だ!? 何故モンモランシーの物だと断言できる!?

疑問が一瞬僕の頭を過ぎったが、僕は狼狽する心をなんとか抑えようと必死だったのですぐにそれは忘れてしまった。
しかもその試みは無駄だった。忙しく脈打つ心臓の音はもはや静まる事を忘れていた。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:10:35 ID:PyW+ed1t
支援スタ
156名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:11:30 ID:QK26bn7p
S.I.E.Hッ!
157名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:11:33 ID:EvEeZLyl
確かに中身入りの香水なんてゴミ箱に捨てちゃダメだな支援
158名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:13:15 ID:dEVLrfTe
処分する人が困るんだよな、中身入りの香水って支援
159名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:15:11 ID:BMu/cVT6
下水に流すのも処理場に負担がかかるから止めてよね支援
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:15:27 ID:hM/W13ds
もう僕のシャツは汗びっしょりで…足も震えている。
頼む。言わないでくれ。お願いだ…!
僕は自然と始祖ブリミルに祈りを捧げていた。
神に縋るのは自分に出来る事を全てやりつくした後、そう教えられていたが、今が正にその時だった。

僕にはもう…

もう…縋るものがそれしか残っていないんだ……

僕が何かを言おうと、更に泥沼になるだけじゃあないのか?
そんな諦めの言葉が僕の胸を埋め尽くしていて気の利いた言葉が浮かんでこない。

「え?あれ落としたのギーシュじゃないのか?」

ついに…ついに誰かが言ってしまった。
知らず握り締めていた手から力が抜けて解けていく。

僕は『終わった。何もかも』と心の中で呟き…訪れてしまった終わり、既に心のどこかで覚悟していた恋の終わりをどこか心穏やかに迎えて肩を落とす。
防ぎたかった最悪の事態に陥ってしまった、そう思った。

だが…


本当の最悪とはこの先にあったんだ。


まだこの程度なら振られるだけ…そう言ってしまっても、いい!と思うほどの最悪が、どこかから囁かれた。

「わかったぜ…これはつまり!ギーシュはモンモランシーと付き合ってたけどゴミみたいに捨てるって事なんだよ!」

は?

最初、それを聞いた僕の頭は真っ白になった。

周りにいる観衆達もそうだっただろう。だが彼らはすぐに立ち直った。

そうすぐに…

「「「「ナナナナンダッテー!」」」」

思考を停止した僕を置いてけぼりにして、細波のように静に…だが深く素早くその出鱈目は浸透していった。
僕は違うと否定したかった。

だがそれよりも先に誰かが合点がいったとでも言いたげな重々しい声で言う。

「なるほど…全ては、ギーシュのパフォーマンスって事か…それなら説明がつく。こんな人目につく場所…それも昼食が終わったばかり、皆が談笑を楽しもうかって時の食堂で香水のビンを落とすなんてありえないからな」
「だが君。よく考えても見てくれたまえ。普通、この衆人環境の中で中身まで捨てるか? 成る程…これが正に外道って事か。吐き気を催すぜ。昼食の余韻が台無しだ」

皆の気持を代弁する言葉だったのだろう。
吐き気を催す! 
その言葉と共に、周囲の視線は急速に冷え、冷たい熱とでも言うような恐ろしいものを帯びていった。

ち、違う!違うんだ!

真っ青になりながら周囲を見渡すが、既に周りの視線は極低温!
ブチ砕けてしまいそうな寒さの中、僕はその中に、美しいものを見たんだ。
それは友人達に守られたモンモランシー…僕の愛しいあの人が、見事な縦ロールを風に靡かせ去っていく様子が見えた。
追いかけようとするが、亀が視界に入り僕は足を止めてしまった。

しかもそこへ―「ギーシュ様っ!」
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:28 ID:cCavRKrK
引火するからモニターの前のよいこの皆はちゃんとポルナレフを見習いましょう支援
162名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:41 ID:EvEeZLyl
これは今まで見た中でも有数に最悪なギーシュ支援
163名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:45 ID:dEVLrfTe
なんという因縁付け、食堂には夜神月の性格のキバヤシがいる支援
164名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:51 ID:hM/W13ds
「ゲ、ケティ…」

僕の止まっていた足は、モンモランシーを追いかける所か逆に…一歩退いてしまった!
それが、またいけなかったんだ!

まだ手しか握った事の無い浮気相手が僕に抱きついてくる!
柔らかい感触は嬉しい…それだけは胸を張って言える。
そこに関しては、僕に嘘は無い。紛れも無い真実がそこにはある…着やせするタイプと見た!

だが…だが今はもう少し、もう少しだけでいいんだ! 空気読んでくれ!

「申し訳ありません!私、貴方を勘違いしておりました…貴方は、ミスモンモランシーと付き合っている、と…」
「あ?え?」

ば、ばれてたの?

そう思いながら周りの視線に怯える僕は視界に収まったままだった亀のこう、僕も初めて向けられたんでよくわからないんだが…殺気立った視線を感じた。
亀は、先ほどの場所でまだ僕をジッと見ている。
ふいに僕は気付いた。

コイツ、やはり計算か?

僕は悔しさに歯を強くかみ締めていた。
ケティはそんな僕を邪魔するように…自分の存在を主張するように更に力を込めて抱きついてきた。

「そんな私の為にこんなことを…! あぁ、貴方が私だけを持ってくださっていることが、頭でなく心で理解できましたわ!」

OK落ち着くんだ。ギーシュ、父上も言ってたじゃあないか!
たとえ一見四面楚歌な事態であろうと、どこかに希望が「最低だな、ギーシュ。いや、ここはあえてゲーシュと呼ばせてもらおう! うっかり騙されたぜ…まさかここまで計算してたなんてな。恐ろしい野郎だぜ」

冷静になろうとする僕にかけられた侮蔑の言葉は、間違いなく亀から発せられていた。

…ハハ、もう間違いない。

顔を俯かせ、僕は笑っていた。
ケティが不思議そうな顔をして、僕を見つめてくる。
だがそんなものはどうでもよかった。

コイツ計算だ。この食堂で、敵はコイツだったんだ!

間抜けな亀なんかじゃなあない!

恐るべき敵だったんだ!

「ちょっぴりでも紳士だと思っちまった私の間違いだったな! 平気でかつては好きだと言った女を泣かせるとは、紳士どころか男の風上にもおけねー!!」

その言葉に同調する雰囲気が、食堂を包んでいた。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:19:18 ID:+vKTLiqG
KKY(亀 空気 読めてないよ!)
支援
166名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:19:44 ID:EvEeZLyl
いい語呂だなゲーシュ支援
167名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:21:20 ID:dEVLrfTe
ゲーシュとヒドナレフ支援www
168名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:22:15 ID:hM/W13ds
深い、僕にとっては逸れに加えて重過ぎる深い沈黙が食堂を包んでいたような気がした。
給仕達や、アルヴィース像までが僕に白い目を向けて見下しているような気がした。

もう…もう駄目だ。

「このギーシュ…もはや、容赦せん!」
「あん?」

僕の突然の雄叫びは亀の癇に障ったようだが、むしろそれがいい!
僕はポケットから真っ白な手袋を!

『命を惜しむな。名を惜しめ』

この学院へ入学した時にその言葉と共に父上から頂いた純白の手袋を取り出した!
同時に教わっていたこの手袋の正しい使い方が、今ははっきりと理解できていた…この手袋は、この亀のような奴に投げつける為の物だ!

そう思った時には既に僕の怒りが正当な事、なんら恥じるところが無い事を表すかのような白一色の手袋が宙を舞い、亀へとぶつかっていた。

『決闘を申し込む!そう思った時には既に決闘は始まっているんだ!』

兄上、未だその境地には至っておりませんが、思った時には既に投げつけておりました。
今なら兄上の真剣な眼差しが僕にも理解できる。

「キサマァッ!決闘だ!」

僕の手はかつてない力で握り締められ、かみ締めた奥歯が砕ける音がしていた。
血の味が口に広がり、心臓の音がうるさくて周りの音も聞こえない。
僕の怒りは今、頂点に達しているのだ。

以上です。
決闘は次で…

それと支援絵を描いてくださった方。感謝いたします。
GJだった。グラッツェと書き込むよりこっちの方が感謝を表せるかなと思う…だからこのまま避難所にジョルノも投下してくるよ。
ではまた
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:25:58 ID:dEVLrfTe
乙!!!

しかしギーシュは亀に決闘を挑むよりも黒キバヤシをとっちめるのが先だと思うんだがなwww
まぁ人間頭に血が上るとバカになるからしかたないよねw
170名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:26:33 ID:QK26bn7p
もうケティとくっつきゃいいだろこのゲーシュはw
GJw
171名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:27:01 ID:+vKTLiqG
GJそして乙でした!
ギーシュが何か可哀想だ
そして空気読んでください享年36歳
172名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:30:39 ID:rM4TL8Bx
GJ!そういえばポルって空気読めてない時あるよなw
そしてギーシュ超がんばれw
173名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:30:42 ID:EvEeZLyl
GJこれはひどいwww
エロナレフにゲーシュの倍の人生経験があるとは思えねえw
174兄貴:2007/12/02(日) 21:40:35 ID:QK26bn7p
Gジェネ魂は無理ゲーなんじゃないかと思えてきたが…投下してもいいかなぁ〜〜〜?45分ぐらいから・・・
175名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:42:18 ID:bA902Xdi
支援するぜェ、兄貴ィ!
176名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:45:19 ID:cCavRKrK
シエングルベール
シエングルベール
レスがふるー
177ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:47:23 ID:QK26bn7p
遂に艦隊出撃し、どこか人が少なくなったような首都トリスタニアをお馴染みのローブで身を包み歩いているのは、ご存知…もとい久しぶりのフーケだ。
「はぁ…わたしもヤキが回ったかね」
そう呟いたのは、今頃部隊を率いてある場所に向かっているある男のせいだ。
フーケ自身は、裏の情報を生かしトリステインの内情を探るという事で別に動いていたが、正直乗り気ではない。
一応の義理はあっても義務は無いし、あの男を嫌悪しているというのが大きいだろうが、それでもやらなければ己の身が危ないのだ。

そろそろ、合流するかとして人通りの少なくなった通りを歩いていると、後ろから肩に手を置かれた。
ロングビル時代の習慣で蹴りが飛びそうになったが、目立つと不味いので耐える。
「悪いけど、わたしはあんたみたいなヤツは知らないよ。向こうへ行きな。蹴り殺すよ」
少なくともこんなヤツに肩に手をおかれる覚えは無い。
適当にあしらったつもりだったが、その手に力が篭る。
杖を引き抜き、追い散らそうかと思ったが、そうする前に相手が声を出したが…フーケの頭の中に絶望ォォォォだねッ!という妙な髪形の男の声が響いた。

「よォーーー会いたかったぜぇ〜?フーケェ」
その声がフーケには地獄の門番の声に聞こえた程だ。
恐る恐る後ろを振り向きフードを被った相手の顔を見て、相手がそれを外した瞬間、息が止まる。
胃が痙攣し反吐を吐く一歩手前だ。
だが、それでも反吐の代わりに声を吐き出そうとするが巧くいかない。
「で、で、で、で、ででででで…」
「あ?何だよ」
「出たァーーーー!!」
「ルセーな。人を化物みたいに扱うんじゃねぇ」
やっとの思いで叫びと共に息を吐き出したが、想定外にも程がある。
「な…なんで、こんな所に…あの娘と一緒にアルビオンに……あぐ!」
「こんな所で何叫んでんだてめーは。そういう事は向こうで話しようや……な?」
かなりうろたえていたフーケが大人しくなったが腹が少し凹んでいる。
グレイトフル・デッドで殴ったためだ。
本気で吐きそうなフーケを半分引き摺りながら人気の無い場所へ連れて行く。
さながら事務所の奥に連れて行かれる債権者のようだ。
人は居たが、全員関わる気は無いようで誰も寄ってこない。
都会が寒いのはどこでも同じである。
178ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:49:23 ID:QK26bn7p
「ゲホ…!…いきなり何すんだい!」
「あんな場所で騒いだら困るのはオメーだろ?感謝しろよ」
確かにそうだ。未だフーケの首に掛けられた懸賞金は解かれてはいない。
もっとも、殴る必要も無いのだが。
「…そもそも、なんであんたがこんな所に居るのさ」
「使い魔ってのクビになったからな。仕事探してんだよ」
言いながらスデにルーンの消失している左手を見せたが、半信半疑っぽい。
「馬鹿言うんじゃないよ。契約ってのは死なないと解けないんだ。見たところ、死体ってわけでもないし」
「死人か。ま…似たようなもんだろ」
実際の所イタリアでは死亡扱いなので一回死んでいると言ってもいい。

「で、仕事って何さ」
「クロムウェルって奴を殺りに行くんだが…ワルドと組んでたって事は『レコン・キスタ』だよな。アルビオンの道案内しろ」
「…は?」
「いや、アルビオンに行く方法は分からねーわ。行けたとしても地理が分かんねーわで、お前に会えて助かったぜ」
何言ってんの?この人。という目を向けてきているが、無理も無い。
「聞こえなかったか?オメーの組織の頭を暗殺するから案内しろ。って事だ」
「…何言ってるのか分かってるのかい?つまり、あたしは敵って事だよ」
最初こそテンパっていたものの、そこは一級の盗賊。
暗殺という言葉を聞いて顔付きが変わった。
「その態度、聞く耳持たない。…って事か?」
「他を当たりなよ。せいぜい無駄な努力でもするんだね」
まぁ無理も無い。
敵にいきなり協力しろと言ってするやつは居ない。
179ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:51:57 ID:QK26bn7p
「仕方ねーな……ああ、言い忘れたが肌の手入れはしといた方がいいぞ。『歳』取ると…シワが出るって言うからよ……」
「わたしはまだ23だよ!シワなんて……ハッ!」
そこまで言うと思い出した。
こいつの…!この男の魔法を越えた能力をッ!
(ま…まさか…)
急いで杖を取り出し、錬金で鉄板を作り覗き込んだが本気でヤバイと思った!
「と…歳を取っているッ!」
「じゃあな。『そのまま』元気でやれよ」
半ば唖然とするフーケを後にとっととその場を後にする。
無論、直で適度に老化させただけとはいえ、永久持続するわけではない。
スタンド能力を詳しく知らないからこそ通用する…ハッタリである。
「ま、待ちなよ!話は最後まで…」
やっとこさ我に返ったが、ぶっちゃけもう居ない。
スデにフーケの遥か先を後ろ手を振りながら歩いている。

一分後
「どうした?そんぐらい走っただけで息切れするたぁスタミナ不足だな」
「ハァー…ハァー…待ちな…って言ってるだろ…!」
「おいおい、聞く耳持たないんじゃあねぇのか?」
程よく50手前ぐらいまで老化していたフーケが猛ダッシュでプロシュートを追いかけていたが
やはり老化の影響でもうバテて息が上がっている。
広域老化進行中なら死んでもいいぐらいなのだが、そう考えるとまだ運が良い方だろう。

「き、気が変わっただけだよ。案内するよ。アルビオンをね」
職業柄、多少の脅しや尋問などには意にも介さないだろうが
この場合は別だ。
キュルケにおばさんと言われてはいるが、まだ23。
言わば『絶好調ッ!誰も僕を止める事はできないッ』的な年齢である。
だからこそ、この老化の能力はキツイ。女性であるならなおさらだ。
『レコン・キスタ』にもそれ程拘っていないのもあるが、あったとしても多分結果は同じだ。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:52:05 ID:LF5VMNCv
しえん!
181ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:53:27 ID:QK26bn7p
「いやいや、オレとしても無理言ったと思うしな。オメーにも都合があるだろうし、残念だが他を当たるよ」
多少演技掛かっているが、追い込む為の一手だ。
普段のフーケなら通用しないだろうが、ディ・モールトパニくっているので、こうなればトコトン追い込んで利用しやすくすることにした。
まさに外道…いや、まさにギャング!
「……あ……ない……」
「何ィ?聞こえねーなァーーー」
なおも先へ進もうとしたが
フーケの呟くような言葉に対し、某六聖拳伝承者のように返す。
女だろうが、敵であるならば手加減無用というだけに一切の容赦は無い。
スト様もビックリだ。
「わ…わたしに、アルビオンを案内させてくださいッ!!」
「そこまで言われちゃあな。しっかり頼むぜ」
逆に向こうから頼んできたところで、あっさりと承諾の意を示す。
テープがあれば録音しておくとこだが、無いので仕方ない。
手のひら返したように態度を変えたプロシュートにハメられた事に今更気付いたフーケだがもう遅い。
強要され渋々承諾したというのなら、途中で反抗する機を窺う気にもなるが
ハメられたとはいえ自分から頼み込む形になってしまったのでは、精神的な残り方が違う。
黄金や漆黒と呼ばれるような精神を持っていれば別だろうが、生憎とフーケはそこまでは持っていない。

「こ、この…悪魔が憑いてるんじゃなくて悪魔そのものだよ……」
地面に手と膝をつき、力なく顔を地面に向けているフーケがやっとの思いで言葉を吐き出したが
敵組織を広域老化でまとめて潰した時なぞ、悪魔はもちろん死神だの何だの言われているので今更気にしたりはしない。
当の『悪魔』は淡々と返すだけだ。
「ああ、よく言われる」
182名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:54:05 ID:bA902Xdi
支援
183名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:54:38 ID:QK26bn7p
猫に弄ばれる鼠と同じだ。
相手の気分しだいでどうにでもなる。
窮鼠猫を噛むと言うように、隙を見て魔法で攻撃ぐらいはできるだろうが
所詮、鼠の攻撃。少しひるむぐらいですぐに追いつかれる。
そうすれば老化という、ある意味死ぬより最悪な能力が待っている。
まして、射程は200メートル程もある。到底逃げ切れるものではない。

完全に何かを諦めたような目でこっちを見てきているが、全く悪いとは思っていない。
一応、殺る、殺られるを体験した仲なので、殺らないだけマシというヤツだ。

「で…案内するのはいいとして、アルビオンへはどうやって行くつもりだい?」
「その辺りも期待してんだがな。どうやってここまで来たんだよ」
「こっちはワルド連れての隠密。行きだけの一方通行だよ」
「あのヤローか…オメー確か盗賊だったよな。裏のルートとかで無いのか?」
「無理だね。あったとしても、これからドンパチやろうって国に好き好んで行くやつが居るもんか」
「あ?オメーの帰りはどうすんだ。大体、何しにきたんだよ」
戦時とはいえ、フーケが出たとなれば追われる事は確実である。
そんな国に目的も無しにやってくるとは思えない。

「ヤボ用だよ。あんたが気にする事じゃないさ」
「まぁいいがな…仕方ねぇ、ジジイに頼むとするか。あんだけ歳食ってりゃ何か知ってんだろ。行くぜフーケ」
あのジジイになら知られても、何とかなるだろうという事からだったが
言いながら後ろを振り向くと、見た瞬間速攻でフーケの肩を掴んだ。
「おい、テメー…言った傍から何逃げようとしてんだ」
「い、いや…あの学院に行くのはちょっとね」
あの場所で一犯罪やらかしたのだから、行きたくないのは当然だが少しばかり様子が妙だ。
「…何か妙だな。何かあんな?おい」
「あー…いや」
ハッキリ言わないので、顔を近付け尋問する。
正直距離が近いが、ペッシ的対応である。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:55:31 ID:aEw8J7do
支援
185ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:57:13 ID:QK26bn7p
「……メンヌヴィルって聞いたことないかい?」
「知らねーな。誰だよ」
「白炎のメンヌヴィル。伝説とまで言われてる傭兵で戦場とは言え
  楽しみながら人を焼き殺すような外道さ。そうさね、あんたがあの森の中でわたしの腕を掴んだ時のような目をしてたよ」
そうは言ったがフーケ自身はメンヴィルとプロシュートが似ているっちゃあ似ているが、全く同じだとは思っていない。
メンヌヴィルというのは、人を笑いながら殺せるようなヤツと見たが、プロシュートはそうではないと見ている。
必要があれば老若男女区別なく殺るという点では違い無いだろうが、少なくとも楽しんだりはしていない。
もっとも、『ブッ殺す』と心の中で思った時点で足元に死体が転がっているような男とどっちがマシと言われれば迷うとこだが。

「あいつは、こっちに来る前に、オーク鬼を20匹焼いたんだ。
  楽しそうに話してくれたよ、人が好きだから焼く。その焼ける匂いが興奮させるんだと。わたしとした事が背筋が寒くなったよ…あれは」
「で?そのメンヌヴィルがどうした」
「……あー、もう仕方ない、言ってやるよ。
  …今、学院を襲ってるのがメンヌヴィルの部隊なんだ。人質にするつもりさ」
そう聞いたが、中々良い手だと思う。
戦争なんだから、何でもアリだ。卑怯もクソも無い。やられた方が悪いという価値観だけに、全く敵対心というものが沸いてこない。

「そうか。ならすぐに人が死ぬ心配はねーな。行くぜ、おい」
「…やめときなよ。助けに行くつもりなんだろうけど」
「誰が助けに行くなんざつったよ。アルビオンに行く為にジジイの手を借りたいが敵が居るから排除する。シンプルで良いじゃあねーか」
「行きたいなら一人で行っとくれ。わたしは死ぬ気は無…」
踵を返そうとしたフーケだが、何かにガッシリと掴まれて動けないでいる。
プロシュートの両手は空いているし、周りに人は居ない。
「そうか、なら選ばせてやるよ。オレと学院に乗り込むか…ここで老化するかだ。オレはどっちでもいいぜ?」
「…ッ!」
選択とあるが、行くも地獄、退くも地獄というやつだ。
ベネ(良し)という選択肢は一切存在しない。
「こ…このドSめ…」
ドSと言ったが、ギャングであるからには自然とそうなるものである。
ブチャラティでさえ、必要があればジッパーを使い尋問をしている。

フーケがカタギであれば別にこうもしないが、メイジであり、敵であるからには容赦はしない。
第一、存在を知られたからには、余計な事を…特にワルドあたりに知られたらやりにくくなる。
一段落付くまで手放す気は全く無い。
186ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:58:47 ID:QK26bn7p
「分かったよ!行けばいいんだろ!行けば!」
半ばヤケクソだが、まだ学院に乗り込むほうが先があると判断したようだ。
「心配すんな。白炎って事は火だろ?なら一瞬でカタが付く。オメーの出番はねーよ」
無論、巻き込むだろうが仕方の無い犠牲というやつだ。
巻き込むとは言っても馬鹿みたいに火を放っていなければ、解除すれば十分助かる。
敵が死ななくても、倒れている間に杖をヘシ折るか殺ってしまえば何も問題無い。
(火だと都合がいい…どういう事だ?あの宿の時、偏在はともかく一緒に居たタバサって娘は老化してなかったね。確か二つ名が…)

「雪風…か。そうか、あんたの妙な力は温度で変わるんだ。周りの温度が低ければ効かない。そうだろ?」
「50点ってとこだな。だが、流石だな。名うての盗賊ってだけあった中々の洞察力だよ」
「ま、まだ何かあるのかい…」
「何、そんな大した違いじゃねーよ。周りの温度じゃあなくて、体温ってとこだがな」
「どう違うんだよ」
「体温だからな、氷かなんかで冷やせばそれでいい。ま…動き回っちまえば関係なくなるが」
「…そんな弱点話していいのかい?情報持ってクロムウェルのとこに駆け込むかもしれないよ」
「困るのはオレだしな。オメーを巻き込んで足手まといになられる方が厄介だ。それにだ…」
「へぇ、言ってくれるね」
手の内をある程度晒した事に多少安堵し、メンヌヴィルと組むよりは良いかと思ってきたフーケだったが…甘かった。


フーケの肩をガッシリとグレイトフル・デッドで掴み、スゴ味と冷静さと殺意が混じった声で言い放つ。
「裏切ろうとしたら直を叩き込めばいいだけだからよォ。直触りは…関係無いんだぜ…?」
「あ…あ…」
なおも続けるが、フーケは聞いちゃいない。
「オレに直を使わせないようにしてくれる事を期待してんぜ。えぇ?おい」
そう言ってグレイトフル・デッドの手の力を強めた瞬間、人気の無い裏路地に若い女の叫びが響た。


プロシュート兄貴&フーケ ― チーム『はぐれ犯罪者コンビ』ほぼ一方的に結成
187名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:59:28 ID:bA902Xdi
兄貴ッ・・・何てドSッ・・・!
188ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 22:00:56 ID:QK26bn7p
投下したッ!
二部の真ん中ぐらい以来だね、この人は
次どうしようかマジで…
189名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:02:13 ID:cCavRKrK
おつ
コルベールと共闘フラグか?w
190名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:03:13 ID:EvEeZLyl
いじめられてるフーケさん……これを見てると……なんというか……その……フフ……興奮……しちゃいましてね
GJです
191名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:09:57 ID:LF5VMNCv
なかなか良いコンビじゃないか!wwGJ!!!!
192名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:15:30 ID:9OOGODAN
フーケが味方になるSSはあるが、子分にするというのは新鮮だな
193名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:20:49 ID:pOtSma5I
次回、頭部に迫る魔の手!
コルベールは自らの炎によって体温を上げてしまう
そこに襲い掛かるのは兄貴の老化攻撃
果たしてコルベールは髪の毛を守ることができるのだろうか
194名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:40:30 ID:Em7Alu/W
GJ!兄貴の人お疲れさんです。

あともう少しで投下できそうなんだが
まだ待っててください。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:39:27 ID:Dr2naZ+q
兄貴さん、亀さんGJ!
では194さんより先に45分から投下しますけど構いませんねッ!?
196ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:47:20 ID:Dr2naZ+q

「っ………」
苛立たしげにワルドが噛み締めた歯を鳴らす。
冷静に状況を分析しながら彼は撤退を決意する。
単独で撃退するには奴は危険すぎる。
ましてや遺体と手紙は必ず持ち帰らなければならない。
ここで戦う必然性など無い。
決して敗北などではない、これは後の勝利を得る為の一手だ。

未だ意識を朦朧とさせるルイズを避難させる使い魔を警戒しつつ、
ワルドは割れたステンドグラスへと視線を向ける。
奴も上空までは追って来れない。
あそこからフライで逃れるのが最善だろう。
だが、それでは飛行中の無防備な姿を晒す事になる。
(……時間稼ぎが必要か)

ワルドが詠唱を終える。
同時に、彼の両脇に出現する二体の偏在。
それが彼に残された最後の戦力だった。
二人同時に詠唱される『ライトニング・クラウド』。
動けないアニエスにのみ集中した狙い。
もはや形振りを構ってはいられない。
一斉に降り注ぐ雷に、アニエスの視界が白に染まる。

瞬間。その閃光を蒼い異形が遮った。
分泌液の影響か、彼の痛覚が麻痺していた。
身体も心からも痛みが消え失せていく。
いつの間にか自分の身体を物のようにしか感じられなくなっていた。

いや、今はこれでいい。
不必要な事は考えなくていい。
無駄な痛みが無いというのなら好都合。
雷に打たれて焼かれようとも、直後にデルフの投擲で一人を仕留められる。

デルフを咥える彼のルーンから輝きが失われた。
主であるルイズが倒れた為、彼をバオーから守っていた楔も弱まっていた。
余分な思考と感覚を削ぎ落として、彼は戦闘生物“バオー”として特化していく。

「相棒! 雷に向かって俺を振れ!」
突如、迫り来る雷を前にしてデルフが叫んだ。
意味を理解出来ぬまま、彼はその言葉に従った。
バオーの支配下にありながら二人の信頼は健在だった。
左右より来る稲妻に向けてデルフリンガーが一閃される。
その太刀筋は“言葉通り”雷を真一文字に切り裂いた。
触れれば容易く人間を感電死させる『ライトニング・クラウド』。
しかし、それは効果を発揮する事なく力の大半をデルフに吸収され、
僅かな残滓が宙へと散らされるのみ。
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:48:09 ID:EEndTWPN
支援
198ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:48:34 ID:Dr2naZ+q

「バカな…」
信じられないといった呟きがワルドの口から漏れる。
しかし、事実を目の当たりにして否定する事は出来ない。
「何を驚いてやがる…?」
デルフがワルドに不思議そうに問いかける。
魔法を吸収した瞬間、赤錆の浮いた刀身が輝きを放つ。
内より広がる光に押し出されるように剥がれ落ちていく錆。
そして、光の中から姿を現したのは一振りの剣。
その威容は正しく伝説の剣と呼ぶに相応しい。

「伝説の“ガンダールヴ”が振るった剣が! 
“最強の生物”が振るう剣が!
ただの剣だとでも思ったのかよ! ワルドさんよォ!」

礼拝堂に響き渡るデルフの雄叫び。
もはやワルドの顔には驚愕しか浮かばない。
使い魔が只者でない事は知っていた。
だが、その剣までもが尋常の物では無いなど予想だにしていなかった。
その動揺が伝播しているか、偏在までもたじろぎを見せる。
ワルドが見せた一瞬の隙。そこを突いて“バオー”が飛ぶ!
片足を失っているにも拘らず、その動きは弾丸に匹敵する。

魔法を吸収するというのならば迎撃は無意味。
だが『エア・ニードル』までは無効化できない。
そうでなければ今までの剣戟を防ぎ切れなかった筈だ。
偏在達が迫り来る“バオー”を迎え撃つ。
ぶつかり合う刃と杖の間で火花が散る。

斬り合いとなれば分が悪い相手だが、
こちらは二対一で相手は片足の刃も使えない。
そして理由は不明だが“ガンダールヴ”のルーンの輝きが鈍い。
それを証明するように、奴はただ力任せで打ち付けるだけの剣を振るう。
そこには、かつての犬とは思えぬ技量の冴えはない。
力押しだけでは二体の偏在相手に勝つ事は出来ない。

“時間稼ぎは…成った”
そう確信するワルドの耳に酷く鈍い音が響いた。
異音のした方向へ視線を向けたワルドが我が目を疑う。
まるで棒切れを振り回すかのような稚拙な剣。
それを受けた偏在の腕があらぬ方向に捻じ曲がっていた。
見れば、剣を振るった怪物の歯も砕け散り、
柄を噛み締めた口からは血が流れ落ちていた。
その一撃は自身が損傷する前提での暴走。
杖を振るうことが出来なくなった偏在に容赦なく浴びせられる針。
瞬く間に炎に包まれた偏在が風の中に消え失せていく。
199ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:49:55 ID:Dr2naZ+q

「お、おい! 相棒!?」
デルフの気遣う声も遠い。
すぐさま残りの偏在へと刃が向けられる。
荒れ狂う暴風の如き剣を受け流しながら偏在は後退する。
一撃ごとに腕が持っていかれそうな衝撃が走る。
その最中、跳躍し距離を取った偏在が『ウインド・ブレイク』を放つ。
障害物を巻き上げながら迫る嵐をデルフが切り払う。
だが、風に巻き上げられた物までは防げない。
長椅子や祭壇など数多の残骸が一斉に“バオー”へと降り注いだ。
舞い上がる砂埃に視界を奪われつつも偏在は残骸の山へと近付く。
あの程度で殺せるとは到底思えない。
しかし逃れる隙は与えなかった。
この下に確実に奴は埋まっている筈だ。
その出てきた瞬間を確実に仕留める!

杖を突き付けたまま出方を窺っていた。
その直後、偏在の膝が崩れ落ちた。
石にでも躓いたのかと思った右足は膝から下が失われていた。
足元の石床には、いつの間にか大きな穴が穿たれている。
そして、その中で爛々と輝く金色の瞳。
理解した直後、偏在の身体は床下へと吸い込まれた。
そこに杖を振るうスペースなどある筈もない。
瞬時にして原形を留めぬまでに破壊された偏在が消失していく。

穴から這い出てきた“バオー”の見上げる先にはワルド本体のみ。
その傍らにはウェールズの遺体が置かれていた。
恐らく、偏在が相手をしている間に運んできたのだろう。
だが、もはや邪魔する者は誰もいない。
逃げ場など何処にも無いし、何処にも作らせない。
今度こそ完全に丸裸となった彼へと歩み寄る。
しかし、ワルドは笑みを浮かべる。
敵の実力も状況も判った上で、自分の勝利を確信した。

「動くなッ!!」
周囲に響いたのは確かにワルドの声。
だが、聞こえてきたのは目の前からではなく逆の方。
その声に振り向いた先にいたのは先程と同様の偏在。
しかし構えた杖は彼ではなく、その腕に抱えたルイズへと向けられている。

この偏在は水門を守らせていたものだった。
だが“バオー”が水路から脱出した事で無意味となり、急遽呼び戻したのだ。
先に出した二体の偏在は時間稼ぎだけではなく、
“バオー”の注意をルイズと偏在から逸らす為の物でもあった。
200ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:51:03 ID:Dr2naZ+q

「脅しに乗るなッ! そいつに彼女は殺せん!」
「いや、出来る。僕達には生命を司る“虚無”の力がある。
最悪、彼女を一度殺して甦らせれば済む話だ」

アニエスの言葉を冷たく否定する。
彼は本気で最悪の手段として考慮に入れていた。
殺してしまえば彼等に生き返らせる手段はない。
手を下す事に躊躇はあるが、出来ないという事はない。
ワルドは自らの手でルイズの精神を壊そうとしたのだ。
それが彼女の死を意味すると判っていながら…。
一度緩んだ箍はあまりにも脆い。
他人の手に落ちるぐらいならばと彼は黒い決意を滾らせる。

(そうすれば彼女を手に入れられるのは僕だけとなる…)

自身の思考に浸るワルドは気付かない。
抱き上げた直後、彼女の意識が明確になっていった事。
そして、彼の言葉を聞いたその肩が悲しく震えていた事に。

「さあ、剣を捨てて貰おうか」
そう言い放つ偏在の足元にはルイズの杖が転がっている。
杖を失った彼女が自力で脱出する事は不可能だ。
一か八か、捨て身で攻撃を仕掛けようとするもデルフを手放す。
向こうが失う物は偏在のみだ。
いざとなれば刺し違えてもルイズを殺せる。
それだけは決してさせてはならない。
ここは黙って従い、機を待つ他に無い。

彼は感じていた。
遠くから迫ってくる懐かしい臭いを。
それはトリステインから駆けつけてくれた戦友達の臭い。

「さて、と」
ウェールズを抱えてワルドはフライを詠唱する。
ルイズを人質に取っている今、奴を殺す事が出来るかもしれない。
だが、我が身可愛さにルイズを見捨てる可能性もあるだろう。
いくら“虚無”といえど完全に溶かされては蘇生できまい。
彼女を奪い返すチャンスがあるなら、ここは見逃してくれるだろう。
ここはウェールズと手紙、そしてルイズを手に入れた事で良しとすべきだ。

「…待ちなさい」
呟くような小さくか細い声。
それに飛び立とうとしたワルドの身体が静止した。
偏在が自分の腕へと視線を向けた。
そこには大粒の涙を零すルイズの姿があった。
鼻先に突きつけられた杖のせいか、彼女の抵抗は無い。
しかし、ワルドの杖は確かに震えていた。
201ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:52:11 ID:Dr2naZ+q

「どうして…? どうしてなの、ワルド…?
何で私にあんな薬を飲ませたの? どうして私にアイツを…」
ルイズの言葉が自身の嗚咽に遮られる。
彼女には洗脳時の記憶が明確に残っていた。
杖を振るう自分に向けられた、彼の悲しい瞳を覚えている。
守りたかった物を、彼女は自分の手で傷付けてしまった。
その悲しみが容赦なく彼女の胸を抉る。

「違うんだルイズ! あの怪物は存在してはいけないんだ!
生きていれば全ての生物を滅ぼす、奴はそういう物だ!」
“バオー”の危険性を説く言葉も彼女には届かない。
必死に首を振って聞き入れようともしない。
元より彼女を騙して薬を飲ませた男の声など届く筈がなかった。
それでもワルドは弁明を続ける。

「君に薬を飲ませたのは間違いだった。
だけど君の力は世界を変えられるほど強大な物だ。
愚鈍な連中に渡していいものじゃない。
だからこそ、君に『レコンキスタ』に来て貰いたい。
君だって自分の力を認めぬ連中よりも、
その価値を知っている彼等の方が素晴らしいと理解できる筈だ」

事前にワルドはフーケから情報を得ていた。
ルイズが魔法を使えぬ事にコンプレックスを感じている事も知っている。
そして、教師や生徒達から白い目で見られている事もだ。
かつての自分同様、彼女は今のトリステインに絶望している。
自分を認めてくる人間がいれば、彼女は頷くと信じていた。

「…いらない」
「え?」
彼女の呟きに思わず聞き返す。
何を言ったのか、それさえもワルドには理解できない。
次の瞬間、囁くような言葉は劈くばかりの叫びに変わった。

「いらないッ! そんな力なんていらないッ!
アイツだって成りたくて怪物に成ったんじゃないッ!
私もアイツも力なんていらないのに…!
どうして放っておいてくれないの…!」

彼女はただひたすらに叫び続けた。
あらん限りの声で、喉が裂けんばかりに胸の内を吐き出す。
それは自分の宿命に耐えかねた少女の悲鳴だった。
202ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:53:43 ID:Dr2naZ+q

「ルイズ…!?」
力を追い求め続けたワルドに彼女の気持ちは判らない。
手にした力を放棄するなど考えられない。
ましてや伝説の“虚無”の力だ。
それさえあれば全てを手に入れられる。
なのに、彼女は拒絶を示した。
困惑するワルドに、彼女は問う。

「どこでこうなってしまったの…?
私達は、もう以前のようには戻れないの…?」
「そうだ。時は戻りはしない。
僕の進む道は前にしかないんだよルイズ」

その返答にルイズは俯いた。
彼はルイズの知るワルドではなくなっていた。
中庭の池に浮かべたボート、そこにはもう彼はいない。
振り返るべき過去を彼は自らの手で捨て去った。
無くなった物は決して戻らない。
憧れの人は既にこの世には存在していなかったのだ。
悲しい決意と共に、彼女は自らの懐へと手を伸ばした。

「ごめんなさい…ワルド様」
突然、ルイズが謝罪の言葉を口にした。
彼女の断り文句と聞こえた彼の耳に、カチリと小さな音が響いた。
刹那。高らかに響き渡る炸裂音と共に、偏在の心臓は破裂した。
倒れ逝く偏在の眼に映ったのは、拳銃を手にしたルイズの姿。
それは出立前にアニエスから託された物。
彼女がそんな物を持っているとはワルドも思わなかった。
杖を失えば無力と勝手に思い込んでいたのだ。
完全に不意を突かれた偏在が消えていく。
だが、その視界の端にこちらに向かって走る怪物の姿が映った。

瞬間。彼の胸中にドス黒い感情が駆け巡る。
それはルイズを奪われたくなかったのか、
あるいは奴からルイズを奪い取りたかったのか、
ワルド自身でさえ理由は判らなかった。

気が付けば、彼は自分の杖を振り上げていた。
目の前に赤い花弁のような血飛沫が舞う。
消えゆく視界の中で、彼はその姿を目に焼き付けた。
胸元に赤い華を咲かせたルイズ・ド・ラ・ヴァリエールを…。
203ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:56:25 ID:Dr2naZ+q
以上、投下したッ!
204名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:59:44 ID:24ZuwSPT
ここで銃かああああ!GJ!
ルイズかっこいいよかっこいいよルイズ、でもどこか哀愁が漂ってるよ。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:01:28 ID:yeSuLRsT
いぬさんGJそして乙!
哀れというか、悲しいワルドだな……
206名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:55:21 ID:grqa8HkW
やっべえ銃の存在すっかり忘れてたよGJ!!
そして互いに想いあってるのにすれ違うルイズとワルド……
207使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:44:44 ID:std9dzyQ
専ブラの問題解決。間あけちゃってごめん。
前みたいに毎日投下は出来ないけど、また今日から頑張るよ!

と言うわけで投下します。
208使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:46:07 ID:std9dzyQ
オレは女の笑顔がこんなに怖かったのは初めてだね、マジに。
「さあイルーゾォ、別に怒ってなんか無いの。大人しくして、名前特技その他色々ありったけ全部吐きなさい」
だから杖を向けるなよ、畜生・・・・後ずさるまま部屋の隅まで追い込まれ、もう逃げ道はない。観念するオレ。
(イルーゾォ自身は気づく事すらないが、『コントラクト・サーヴァント』は彼の思考にある程度干渉し、
ことルイズに対し恐れは抱けど実際に拳を振るおう、という気を起こさせない。)

ギーシュは(途中から共犯って雰囲気だったくせに!)帰還を喜ぶ恋人に抱きしめられてデレってるし
まるっきり誘拐犯扱いのオレをメガネ女は感情の失せた目で見つめ、
反対に褐色肌の方はなにやら熱っぽい目で嘗め回す。(おい、好意的なら助けてくれよ!おいったら!)
「ほらッ!早く言いなさいよッ!!」
「はい!イタリアから来ましたイルーゾォ、特技は鏡の世界を行き来する事、職業は暗殺者です!」


・・・・。・・・・・・・・。


うわあ、凄く嫌な間。凍った空気。
テンション上げて聞き出した本人はビシッと固まったっきり動かねえし
抱き合う恋人同士は着信中の携帯電話宜しくガタガタブルブル震えだした。
メガネ女は何処から突っ込んでいいやらわかりません、と顔に書いてあるようだし
褐色肌も余りの事に血の気が引いて、肌の色が普通になってた。そんな訳は無い。


やがてルイズがおずおずと口を開く。
「い、今まですみませんでした・・・・殺さないで下さい・・・・」
「いえいえこちらこそ、殺さないで下さい。」

ラチが開きやしねえんだ全く。

「そんで、ええと?オレに何か用だったんだろ」
正直じっとして居たかった所を無理矢理引きずり出され、一刻も早くバックレたいオレとしては
この恐ろしい状況をすぐさま切り上げて鏡を探す旅に出るのが最優先。後、シエスタに癒されたい。
冷静に考えれば考えるほどに、向こうとこちらの戦力の差がマジに規格外で、その上わずらわしい事に
お向こうさんはオレの千分の一だって頭を使って動いてない。
オレがいくら理詰めで保身のために動いたって、向こうはそんな事意にも介さず力を振るうだけ。

だんだん判ってきたぞ。特にギーシュと十数分づつの格闘と会話を経て、脳の片隅で組み上げる。

こいつらがオレに向ける意思は、『敵意』でも『害意』でもなくただの『圧力』だ。
支配して当然という意思なんだ。
だから今オレが置かれている状況は、例えば『自分のボールペンが机の上から転がり落ちたから拾い上げた』のと同じように
『いないと不便だから、居たほうがいいから捕まえた』と、こういうことだ。

しかし此処へきて、拾い上げたボールペンはボールペンじゃない、って事に奴らは気づく。
もっと血の染み込んだ、鋭いものさ。

209使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:46:43 ID:std9dzyQ
皆が次々と使い魔を召還する中、私だけ幾度も失敗する。
まあ、これは普通に予測できた事だ。
召還した使い魔は、なんと人間で、魔法を知らない平民だった。
まあこれだってあるかもね。予測こそ出来なかったけど、十分キャパシティに収まる。
魔法を知らない平民は、けれども不思議な力を使う。
・・・・これだって。鳥が空を飛べるように、魚が海を泳ぐように、私達に少し難しい事を、平気でやってのける使い魔は少なくない。大丈夫。

使い魔の正体は、暗殺者だった。
もうこれは、どうしようもなく『有り得ない』。

だってまず、暗殺者、って言ったら人を殺すじゃない。
もうそこから駄目。だってね、人前じゃあ絶対にこんな事言わないわ、けれど殺人鬼って言うのは怖い。凄く怖い。
私が貴族で、殺人鬼が平民でも、それでも怖いもの。
人を殺すような奴は、全員牢屋の中にいるべきなのよ。それが秩序ってものなの。

それだけじゃない、しかも『暗殺者』。一人や二人じゃあないぜ!って感じがひしひし伝わってくる。
しかも『正々堂々と誇りを賭けて』みたいな私達『貴族』の考えは全然通じないでしょう、『暗殺』っていうからには。
『貴族』は例え戦争だろうと誇りを持って戦うって私は信じてる。背中からグッサリ、なんてことはあってはならない。
けれど、『暗殺者』だったら違うんじゃあない?どうだろう。今まで知り合いに『暗殺者』がいなかったから、よく判らないけど。

決定的な脳味噌のつくりの違いだと思う。そしてそれは、私にとって完全に『他の生物』と同じぐらいの隔たりを持つ。
私は今まで何回だって『ぶっ殺してやるんだから!』って思ったけれど、
『よし、今から殺す』って言うのは無い。そんな選択肢は無いの。だって人は殺しちゃあいけないもの。
決闘を仕掛けたギーシュだって同じだわ!きっと口ばっかりで、思っても見なかったはずよ。


目の前にへたり込んで『暗殺者です』と言いやがった私の使い魔を見る。
笑っていた。それはもうニヤニヤと。
どうやら『暗殺者』っていうのは本当らしい。私達の心にちょっとずつでも(たくさんって訳じゃないわ!)芽生えた恐怖を
すぐさま嗅ぎ取って愉悦をもらす。そう、恐怖するって事は、自分が相手より弱いと認めること。
力ばかりじゃあない、メンタルとか、可能性とかの話。

私達五人がかりで今彼を取り押さえようとしたら、物凄く簡単だ。
でも、その結果の先に『イルーゾォの死』は有り得ない。
私達は殺せない、でも目の前の男は『オレは違うぞ』ってきっと思ってる。
逆に、凄く凄く難しいけれど、イルーゾォは私達を殺せる。その『可能性』がある・・・・

ニヤニヤ笑いは信憑性に直結していた。
「話は終わりか?」
言外に『殺さないさ、そんなに怖がるなよお嬢ちゃん』みたいな含みを感じて悔しかった。

――――上から押さえつけたから、押さえつけ返される。

じゃあどうするの?ルイズ。
杖を突きつける手が震える。怖かった。使い魔が殺人鬼なんて酷い受難。運命を呪う。イルーゾォの存在を恨む。
私は、私は――――
210使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:49:17 ID:std9dzyQ
「関係ないわ。あ、あなたが暗殺者でも、私は貴方の主人なの。」

言った。
怯えも震えも飲み込んで、きっぱりと言った。『使い魔は主人の言う事を聞け。』従属は私の魔法で決定されている。
だから抗うな。

この選択は褒められたものじゃあない自覚はある。
この使い魔の人格ってものを、踏みにじる結果になるかもしれないけど。
それでも私はイルーゾォを召還して、決めた。何よりも『尊敬に足る主人になる』と。

イルーゾォの顔から笑みは消えていた。冷えた瞳は侮蔑と憎悪を含んで、私を透かして誰かを睨む。
ほら、彼は支配者を嫌っている。
彼はきっと覚えがあるのだ。抗い得ない力でもって支配し、配下の人格を一切省みない『主人』ってものに。

私がやっと成功させた魔法。
呼び出された使い魔は、今までもずうっと誰かの使い魔で、そして主人を恨んでいた。
これは乗り越えるべき試練だ。――――なにも、魔法の力で屈服させようというわけじゃないの。

彼が仕えても構わないと思うような主人にならなくちゃいけない。
『そういう主人』になるには・・・・自分の使い魔を恐れているようじゃいけないと思った。

「ルイズ?」
キュルケが私の背中に声を投げる。
それに続くように、ギーシュもそういう言い方は無いんじゃないか、と言った。
恐れから言っているのか、彼への憐憫で言っているのかは判らなかった。
――――両方だと思う。

「わかった。仕えろって言うんだな?わかったよ。」
冷えた瞳のままで、彼は無理矢理に笑顔に似たものを作る。ぎちっと軋む音すらしそうだった。
「暗殺者に何をさせる?ああ、前に言ってたな。身の回りの世話だったか。
掃除か、洗濯か、何かな・・・・?どれも得意って程でもない。――――お勧めは暗殺、なんだけど。」
「いらないわ。人殺しなんてもうさせない。」

何故だか漠然と抱いていた、彼と友人同士のように笑いあう未来が、ぱりんと音を立てて崩れる。
私達は、対等になることは決して無い。私がそれを選択した。
(それでも私は、これこそ彼への敬意の現れだと断言できる。)

「明日、外出するから。――――身辺の警護みたいなものだと、思ってくれればいいから――――予定を空けておいて。」
言外に命令であると含ませる。彼はそれを受けて、ふんと鼻を鳴らして頷いたあと、不機嫌に部屋から出て行った。
少なくとも今日はもう彼の顔を見ないだろうという確信がもてた。


「なんでもっと、素直になれないのよ!」

じゃあどうしたらよかったの?キュルケはずるい。手放しで彼のためだけに行動できるんだから。
イルーゾォがもし、キュルケの使い魔なら・・・・その台詞、私が貴方に言ったはずよ!
211使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:52:09 ID:std9dzyQ
投下終了。さあ寝るぞー!

ルイズが絡むとほんわかしなくてごめんよ。
でもルイズには立派な上司になって欲しいと思ってる。どっかのヘタレとは違う。
いつかこの微妙な上下関係に信頼が生まれると信じたいね
212名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:10:11 ID:Iem+tHz9
いるぞぉさん乙でした、「シエスタに癒されたい」ってのが泣けるわ〜
213名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:20:37 ID:grqa8HkW
鏡警備員が普通の警備員に格上げになった、のかなあ?
なんつうか互いにびびり合いながら少しづつ理解しあうのがGJ
214名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 06:41:01 ID:yeSuLRsT
引き籠りさんGJそして乙でした!
そうだよな、普通は暗殺者が目の前に居たらビビるよな
基本的なことを忘れてた
このビビり合い主従の明日はどっちだ
215名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 07:44:24 ID:uZDlzEM7
殺さないでくださいの部分でヘルシング後書き風の絵柄に脳内変換されたGJ!
216名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:00:53 ID:d5O49Lch
>>215
あれ、俺がいる

キュルケフラグ後退したかな。鏡を無くした鏡警備員は、次回新たな鏡を手に入れられるのか
G〜J〜
217名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:40:53 ID:24ZuwSPT
投下しちゃおっかなー
218仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:41:56 ID:24ZuwSPT
「そんなに堅くならなくてもいいわよ」
「はっ、はい!」
シエスタは、エレノオールの気遣いに緊張して、かえって体を強ばらせていた。
モンモランシーはシエスタの隣に座り、馬車の窓から外を眺めている。
シエスタとモンモランシーの二人は、エレノオールの乗ってきた馬車に乗り込み、ラ・ヴァリエール領へと移動している最中だった。

シエスタとモンモランシーは魔法学院の制服姿、手持ちの小道具を入れた小さなバッグを脇に置いている。

エレノオールは飾り気のない白を基調とした服を着ており、魔法アカデミーの紋章が胸に刺繍されていた。

エレノオールは波紋についてシエスタに質問するが、緊張しているシエスタはうまく説明できず、そのたびにモンモランシーが説明を補足する。
だが、魔法学院では習わないような専門用語が出てくる度に、モンモランシーも狼狽えてしまう。
「オールド・オスマンの論文では、波紋はメイジも平民も等しく持つモノだとされているわね。体内を循環する血液に波紋は本来備わっていて、副次的作用として覚醒作用と浄化作用が……」
水系統を基にした、人体構造の研究にも目を通しているエレノオール。
彼女の知識はモンモランシーとは比較にならない程深かった。
「は、はい、たぶんそんな感じだと思います」
モンモランシーは冷や汗をかきつつ、曖昧な受け答えで誤魔化すことしかできなかった。

しばらく馬車がすすみ、外の景色が移っていくと、シエスタもようやく馬車の雰囲気に慣れてきた。
強ばっていた肩から力が抜け、どこか懐かしむように外の景色を見つめる。
「シエスタ?」
モンモランシーがシエスタ側の窓から外を見ると、外には草原が広がっており、その遙か先には森林が見えていた。
そよ風に吹かれた草花が柔らかい太陽の日差しを受けて輝いている、シエスタは故郷を思い出していた。
「あ、はい」
「あんまりきょろきょろしちゃ駄目よ」
「すいません、あの、草原が綺麗だったもので…」
エレノオールも外を見る、そして、少し目を細めてから、座席に座り直した。

「ルイズは、変わった子だったわ。あの子ったら子供の頃、カトレアのためにこの草原まで花を取りに来たのよ」
「ルイズ様が、ですか?」
ルイズと聞いて、シエスタが反射的に聞き返した。
「ええ。ヴァリエール家の中庭に、小さな花の種が風に乗って飛んできたの。
カトレアが『どんな花を咲かしているのでしょうね』なんて言うから、ルイズったら馬で遠乗りした時に、泥だらけになるまで花を探してたのよ。
この草原はルイズが花を探した場所なの」

「…そうですか」
「ねえ、魔法学院ではルイズがいろんな人に迷惑をかけたのでしょう?あの子、どんな事してたのか、教えて欲しいわ。それと貴方ルイズのこと知っているみたいだし、貴方のこと教えてくれないかしら」

モンモランシーはツバを飲み込んだ。その時の音が、やけに大きく聞こえたので、自分が緊張しているのだと理解できた。
魔法学院でルイズが何をしでかしたか、どれだけ被害を被ったか、馬鹿正直に話すわけにはいかない。
その上、シエスタはシュヴァリエを賜ったとはいえ元平民、貴族の上下関係厳しいトリステインで、田舎出身の平民がラ・ヴァリエール家の人間を診察するなど考えられない。

しかしシエスタは、隣で頭を悩ませているモンモランシーの思惑など知ったことではない、馬鹿正直に話をしてしまった。
「私がオールド・オスマンに『波紋使い』だと告げられる前は、魔法学院のメイドとして過ごしていました」
「……メイド?」
「はい、オールド・オスマンは、私の曾祖母『リサリサ』に恩を返すつもりで私を雇って下さったそうです」
219仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:43:04 ID:24ZuwSPT
隣に座るモンモランシーは『やっちゃった』と言わんばかりの視線でシエスタを見ていた。
ラ・ヴァリエール家の長女に『私は元平民です』などと言おうものなら、その場で馬車から放り出されてもおかしくない。
いや、怒り狂って自分も一緒にうち捨てられてしまうかもしれない、そんな物騒な未来予想図がモンモランシーの頭をよぎった。

「そうだったの。オールド・オスマンは貴方を保護していたとしか言っていなかったわ」
「保護ですか?」
「ええ。きっと、貴方が怪しまれるのを防ぐためじゃないかしら」

モンモランシーの予想に反して、エレノオールはシエスタが元平民である事実を受け止めていた、それどころか、あらかじめ知っていたかのような反応だった。

エレノオールは、リサリサと出会った後のオスマンが、どんな苦境に立たされていたのかを話し始めた。
当時、人間と亜人はまったく別の系統で発生した生物だとする学説と、人間と亜人は一つの根源から枝分かれしていったとする学説が対立状態にあった。

そんな時にオールド・オスマンは、『波紋』という未知の説を打ち出したのだ。
あらゆる生命体が持つ力であるが故に、系統魔法や先住魔法の力を底上げするという『波紋』は、すべての生物は根源が一つだと証明するものでもあった。

そのため、対立する学者達から命を狙われたのだ。
幸いにもオールド・オスマンの唱えた『波紋』は、ごくごく微々たる力でしかなかった、そのため彼自身の老化を遅らせることはできたが、他人にそれを分け与えることはできず、『波紋』はアカデミーから忘れられていった。

だが、それはオスマンの策でもあった。
『波紋』をメイジ同士の争いに利用されぬために、波紋使いである『リサリサ』の存在を隠すために、あえて『波紋』を役立たずであると印象づけたのだ。

シエスタを魔法学院で雇っていたのは、リサリサの血を引く一族へのせめてもの恩返しであった。
シエスタが『波紋使い』の素質があると知ってからは、シエスタを保護するために雇っていたのだと対外的に説明している。
そのためエレノオールは「オールド・オスマンは、シエスタを保護するために魔法学院で雇った」と思いこんでいるのだ。



「オールド・オスマンの研究は確かに素晴らしかったわ。でも、改めて読んでみると不思議な点がいくつかあるわね。たとえば貴方のような『波紋使い』の存在を隠すために、わざと不完全に書かれているみたい」
「そ、そうなんですか」
オールド・オスマンという人物の底知れなさに、シエスタは少しだけ驚いた。
モンモランシーも驚いている、スケベ爺が実は凄い人だった、そんな風に考えているに違いない。

「もし、その当時貴方のような『波紋使い』が世に出ていたら、きっと『先住魔法を使うエルフの間者だ』と誤解されて解剖されていたでしょうね。オールド・オスマンの先見性には驚かされるわ」

エレノオールがシエスタの瞳を見つめる。
「さ、この話はもういいでしょう。ルイズの話を聞かせてくれないかしら」
「はい。私がルイズ様からお声をかけて頂いたのは……」

エレノオールは、シエスタとモンモランシーの話を寂しそうに聞いていた。
モンモランシーが、ルイズの勝ち気さに愚痴を言うと、『あの子はそういう子だから』と言って笑った。
シエスタが、ルイズは魔法学院で働いている平民達にも気を配っていた、メイド仲間からも尊敬されていたと語ると、エレノオールは『あの子も成長したものね』と言って、ほんの少しの間だけ…声を殺して泣いた。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:43:44 ID:miRbtlbZ
しえんだー
221仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:44:05 ID:24ZuwSPT
「…ごめんなさい、ちょっと、取り乱しちゃったわね」
エレノオールはそう言いながら、涙で濡れた目元を拭った。
「父が倒れたの。ルイズが死んだって聞かされて、相当こたえたんでしょうね。私も父も、魔法の出来ないルイズを叱ってばかりだったわ」
顔を上げると、シエスタとモンモランシーの顔を交互に見つめて、エレノオールは笑う。
「魔法が使えなかったら、貴族は貴族として認められないの。だから私も父も厳しく接してきたわ。でも、一度もルイズを褒めてあげられなかった……きっと、私と、父様を、ルイズは恨んでいたでしょうね」


「そんなことはありません。絶対に、そんなことはありません!」
シエスタの口調が強くなり、エレノオールが少し驚いた。
「ルイズ様は、土くれのフーケに立ち向かったんです。『立場における責任を果たす』と私に仰って下さったのは、他ならぬルイズ様です!そんなルイズ様が家族を恨んでいるだなんて……絶対に、絶対にありえません!」

「ちょ、ちょっとシエスタ、無礼よ!」
モンモランシーがシエスタの肩を押さえる、はっとして、シエスタの興奮は一瞬で冷めた。
「あ……す、すみません、あの、興奮してしまって」

急におどおどしだすシエスタを見て、エレノオールは、静かに微笑んだ。

「いいのよ。気にしないで…ね。到着したら妹にも、父にも、母にも、その話を聞かせてくれないかしら」
「…はい」

ごめんなさい、と、シエスタが心の中で謝った。
ルイズは生きている。
それも、吸血鬼として。
でも今は、シエスタが知る『尊敬するルイズ様』の姿をエレノオールに語るべきだと思った。
シエスタはもう一度、心の中で謝った。
もしルイズが心まで吸血鬼になっていたら、自分はルイズを殺さなければならないのだから。





エレノオールは、少しだけ救われた気がした。
自分の気の強さは、ルイズを厳しく教育するために養われたのかもしれないと思った。
ルイズが死んで以来、覇気が抜けてしまったのは自分だけではない、父も母も、口には出さないが心が疲れ切っている。
ルイズを溺愛していた、ルイズは誰よりも愛されていた!
でもそれをルイズに語ることはできない、ルイズが貴族として、メイジとして一人前にならなければ、自分たちが死んだ後残されたルイズが苦労する。
だからルイズに厳しく接してきた。

そして、厳しく接し続けたままルイズは死んでしまった。

いや、ルイズを『貴族らしさ』という言葉で死に追いやったのは自分達だ。
本音を言えば、どんなに無様でも、ルイズには生きていて欲しかった。

けれども、シエスタの言葉を聞いて、自分たちがいつまでも悲しんではいられないのだと気付かされた。
父の教えが、母の教えが、自分の教えがルイズに伝わり、ルイズの言葉が、シエスタに受け継がれている。

ルイズは本当に立派になったのだ、そして死んだ。
だから自分たちもラ・ヴァリエール家の人間として、役目を果たさなければならない。

魔法アカデミーで一番刺々しい茨だったエレノオール、彼女の棘は、ルイズの死と共に落ちたのだ。



エレノオール、モンモランシー、シエスタ。
三人を乗せた馬車がラ・ヴァリエールの居城に到着する頃には、漆黒の空に二つの月が浮かんでいた。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:44:43 ID:miRbtlbZ
しえんだー
223仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:45:53 ID:24ZuwSPT
「いらっしゃいませー」
その日も『魅惑の妖精亭』は繁盛していた。
ルイズは扉を開けて入ってきた客に屈託のない笑顔を向け、空席へと案内する。
フードを被った客は、席に案内されるとルイズを見上げて小声で呟いた。
「何をしてるんだこんな所で」
「え?……やだ、何言ってるのよ、貴方が教えてくれたんでしょ?」
フードの影から覗く瞳と金髪には見覚えがある、まごうことなき銃士隊のアニエス、その人だった。
「潜伏には魅惑の妖精亭がいいって言ったの、貴方じゃない」
「それはそうなんだが…」
「無駄話をしに来た訳じゃないんでしょ?ご注文は?」
「とりあえずコレとこれを貰おうかな」
「はい、ワインとシーザーサラダね、承りました」
トレー片手に厨房へと入っていくルイズを見て、アニエスは小さく呟いた。

「冗談のつもりだったんだが……」



ルイズとワルドが潜伏先に選んだのは、城下町ではそれなりに人気の酒場『魅惑の妖精亭』だった。
アニエスの部下がこの店で働き、情報収集を務めていたことがある。
そのため『情報収集を兼ねるなら魅惑の妖精亭がいい』と言ってしまったのだが。
アニエスとしては、アニエスの息がかかった秘薬屋や、郊外の隠れ家に潜伏して欲しかったが、すでに働き始めている以上取りやめろとは言えない。

露出度の高いキャミソール姿で給仕をするルイズ、それを見て、アニエスは再度ため息をついた。
今のルイズはルイズであってルイズではない。
『ロイズ』という偽名を名乗っているだけではなく、姿形も大きく違う。
まず、背が高い。アンリエッタより10サントは高い。
その上胸が大きい、中に何を詰めているのか知らないが、とにかく膨らんでいるのは確かだ。
そして髪の毛は茶色の染料で染められ、王宮を出る前に『固定化』をかけられている。
顔立ちも違う、鼻はほんの少し高く、いつものルイズよりほんの少し面長になっており、しかも口元には黒子までついている。
ごくごく親しい人間でも、一目で彼女をルイズだと見抜くのは難しいだろう。

「反則的だな…あの能力は」
アニエスは、変身前のルイズを思い出し、静かに呟いた。




厨房に注文を届けたルイズは、この店の店主であるスカロンと二〜三言言葉を交わして、再度表に出て行く。
皿を洗いながらそれを見ていたのは、精悍な顔立ちの男性、ワルドだった。

店主のスカロンは、ワルドがルイズを見ていたのに気付くと、ワルドに近づいて肩を叩く。
「ロイズちゃん頑張ってるわねー!ロイドちゃんはお兄さんとして気になるかしら!」
「ええ、まあ」
髭を蓄えた中年の男性が、くねくねと体を揺らしながらオネエ言葉で喋るのはちょっと不気味だ、しかしミノタウロスを相手にするより遙かに気楽だ。
ワルドは照れくさそうに笑いつつ、皿洗いを続けていた。

この店でワルドは『ロイド』ルイズは『ロイズ』と名乗っている。
二人は訳ありの没落貴族という設定で、身分を問わずに雇ってくれる『魅惑の妖精亭』にやってきた…
そういう設定なのだ。
ワルドは人間の腕と見まがう程精巧な義手を巧みに操り、皿洗いを続ける。
水をくむのが面倒なので、義手に仕込んだ杖から、魔法で水を継ぎ足しつつ、延々と皿を洗っていった。

ふと、手を休めて、給仕口から店内を見渡す。
料理を運んでいるルイズと目があって、ウインクを返された。

「訳ありの没落貴族か…駆け落ちみたいで悪くないな」
トリステインの貴族らしくない、奇妙な満足感に包まれて、ワルドは笑った。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:46:31 ID:miRbtlbZ
しえんだー
225仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:48:16 ID:24ZuwSPT
ルイズはこの店で、ブルリンと旅をした数日間のことを思い出していた。
注意深く周囲を観察し、人々の会話に耳を傾ける。
ただそれだけのことなのに、ルイズの耳には刺激的な話がどんどん入ってくるのだ。
あの時ブルリンと会わなければ、五感をフルに使うことも無かったろうし、情報収集の大切さも気付いていなかったかもしれない。

商売のために高等法院の許可貰うに、どんな抜け道を使うとか。
脱税スレスレの節税方法とか、北側の衛兵のいい加減さとか…
アニエスの部下が、情報収集のためこの店に赴いたこともあるそうだが、その理由が分かる気がした。

特に気になるのは、アンリエッタに関する噂だった。
アンリエッタは聖女といわれ湛えられているが、すべての平民がアンリエッタを湛えているわけではない。
そもそもの原因となったウェールズ皇太子との恋愛話は平民達の噂の的だった。
アンリエッタとウェールズが以前から恋仲だったと、まことしやかに噂されているが、ラブレターのことまでは噂されていなかった。
二人を称えるもの、けなす者、酒場には多種多様な客が来る。
ルイズは、この不思議な空間を気に入っていた。

「ねえちゃんワイン注いでくれよ!」
そう言いながら、酔った客の一人がルイズの尻を撫でる。
ルイズはすぐに振り向いて、テーブルに置かれているワインの瓶を手に取った。
「お触りはいけませんよ」
そう言って笑顔でワインを注ぐ。
ワインをつぎ終わり瓶をテーブルに置くと、その客はルイズの腕を掴んで、酒臭い息を隠そうともせずルイズに顔を近づけた。
「なあ仕事の後どうだい?俺とさぁ…あ、あれ〜?」
ルイズは男の腕を払い、逆に握り返す。
「お客様、飲み過ぎですわよ」
掌から少しずつ、少しずつ血を吸っていく。
「あ〜…飲み過ぎたか…なあ〜………」
みるみるいうちに顔色が青くなり、男は眠るようにテーブルに突っ伏した。

「あら大変!」
それを見た他の店員がルイズに近づく、青ざめた客を見て、どうやら酒に悪酔いしたと思ったらしい。
「ロイズちゃんは注文を取りに行ってくれない?この人よく酔っぱらって寝ちゃうのよ」
「解ったわ、ありがとう、ジェシカさん」

そう言ってルイズはテーブルを離れる。
心なしか、ルイズの胸は先ほどより少し膨らんでいる気がした。


226仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:49:41 ID:24ZuwSPT

夜も遅くなり、客が少なくなった頃、黒髪の少女ジェシカがルイズを呼んだ。
「ね、ちょっとこれ手伝ってくれる?」
ジェシカの前には木箱が置かれており、そこには沢山の食材が入っている。
「わかったわ」
ルイズは短く返事をすると、重そうな木箱を軽々と片手で持ち上げた。
「どこに持って行けばいいのかしら」
「え……えーと、ついてきてくれる?」
ジェシカは、少し狼狽えながら倉庫へとルイズを案内した。

倉庫の中で木箱を開け、中身を棚に並べていく。
すると、不意にジェシカがルイズに耳打ちした。
「ねえねえ、あったしー、わかっちゃった」
「え?」
「訳ありって言ってたけど…身分違いの恋とか、駆け落ち?」
ルイズは唇を手に当て、少し考える仕草をすると、首を横に振った。
「私とロイドは兄妹よ」

だが、ジェシカは不敵な笑みを漏らすと、人差し指を立てて顔の前で左右に振る。
「あたしはね、パパにお店の女の子の管理も任されてるのよ。女の子を見る目は人一倍だわ。ねえねえ、どんな訳があるのよ。ただの駆け落ちじゃないでしょ?誰にも言わないから、ね?教えてよ」
ルイズが黙っているのを見て、ジェシカは微笑む。
「もしかしてぇ…貴族のロイドさんが、メイドの貴方に恋しちゃった…とか?」

内心では『あたしは公爵令嬢よ』と思っていたが、そんなことは口には出せない。
ルイズはジェシカの顔を見つめて、一つ、質問してみることにした。
「どうしてそう思ったの?」
「だって、あの人プライド高そうだもの。貴方はお尻を触られても飄々としてるじゃない、こういう仕事慣れてるでしょ」

ルイズは心の中で、少しだけ苦笑いをしていた。
自分はいつの間にか、平民が板に付いていたようだ。
「私が貴族で、あの人は従者だったの」
「まさかぁ!」
ジェシカが口を手で覆いつつ、笑う。
つられてルイズも笑い出した。

「本当よ」
「本当に?」
「じゃあ嘘でいいわ」
「何よ、ずるーい!」

ころころと笑うジェシカを見て、ルイズはふと何かを思い出した。



『そうだ、この笑顔…シエスタに似てる』
227名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:50:27 ID:miRbtlbZ
しえんだー
228仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:54:07 ID:24ZuwSPT
その頃、洗い物を終えたワルドは、ルイズよりも一足早く部屋に戻っていた。
ルイズとワルドに与えられた部屋は、ベッドが二つ並んでいるだけの小さな部屋で、余計なものは一切置かれていない。
ベッドの下に置かれていたデルフリンガーを取りだすと、鞘から少しだけ引き抜いてベッドの上に置く。
『ずいぶん繁盛してんなあ、この店。どーだい皿洗いは?』
「意外と疲れるものだな」
『そりゃそーだろ、ところで、嬢ちゃんは』
「ルイズなら倉庫だ、女性同士の内緒話だろう」
デルフリンガーと話をしつつ、ワルドは先ほどルイズから渡された紙切れをポケットから取り出す。
アニエスから渡された紙切れには、リッシュモン追跡の様子が簡潔に書かれていた。

「…………商人、か」
『ん?』
「メイジが商人に化けているようだ、そいつがリッシュモンの手先らしいな」
『そいつをどーするんだい』
「捕まえるさ、聞くまでもなかろう?」
『その後だ、殺すのか?』

ワルドは顎に手を当てて、しばらく考えこんだ。
「……衛兵に引き渡すさ」
『おでれーたな、おめえ、あのギラギラした殺気がサッパリ消えてやがる』
「ルイズのおかげだよ」

そう言いながら、ワルドはデルフリンガーをベッド脇に立てかけた。
「彼女の苦悩に比べたら、僕なんてちっぽけなものさ」

デルフリンガーも同じ事を考えていた。
彼女は、自分の幸せを犠牲にした分だけ、その周囲にいる人を助けている気がする。

『あー…考えてもしょうがねえなあ』
「ん?」
『なんでもねえ。おめえが嘘を言ってないのは解った。嬢ちゃんを悲しませんなよ』
「そのつもりさ」


ルイズは、フーケに、ワルドに、ティファニアに、アンリエッタに、ウェールズに、アニエスに『頼られている』
だが、彼女が『頼れる』人は居ない。







彼女が本来頼るべき母は、シエスタとモンモランシーの二人の到着を、笑顔で迎えていた。

To Be Continued →
229仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:56:48 ID:24ZuwSPT
投下したッ!


>>使い魔は引き籠り
反則的能力のイルーゾォにどう対処するのか気になる。
それにしてもルイズ、プライドは高いよね、これがいい方向に傾くといいなあ。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:59:13 ID:miRbtlbZ
GJ&投下乙!
どんな状況でもルイズは胸がコンプレックスなんだね・・・(´;ω;`)ウッ…
スカロンはある意味ミノさんより危険な相手
231名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:16:31 ID:2oYR/oRK
GJ!
しかし見所いっぱいあったのにレスの文面がルイズに給仕されたいとしか思いつかない
私は破廉恥な人間かも知れん……。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 17:12:22 ID:opGkFuH8
>>231
ギジェ乙

>だが、彼女が『頼れる』人は居ない。
ルイズが頼れる相手か…、デルフは話し相手つーか愚痴の聞き役だしな
233名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 17:55:26 ID:Iem+tHz9
仮面さんGJ!GJ!!GJ!!!
ベネ、ディモールトベネっすよ ルイズの苦悩と成長に泣ける
願わくは誤解が解けハッピーエンドになってほしいものです
234名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:37:55 ID:O03opuEr
後れたが兄貴GJ
暗殺者と盗賊コンビに期待せざるを得ない
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:41:29 ID:yQEhV2z3
さて、今どのくらいいるかな?
5人以上そろったら投下します故。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:44:31 ID:e9K0brUS
一人目!
237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:45:04 ID:Rzczt6FT
ふたりめ。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:45:23 ID:kzfbRbtw
私は、多分三人目だから……
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:45:23 ID:DdZiJj1f
GJ!
>心なしか、ルイズの胸は先ほどより少し膨らんでいる気がした。
ルイズ!!貴様一体何人の命をその胸の為に吸い取った!?
というエレオノール嬢の叫びが聞こえた気がしたw

>>235
三人目かな?
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:46:20 ID:qyWWyEMN
          ____      \  [] []
      ,. <ゝ<><ヽ.    /  o o
     /´ ,ニニニヽ/\.ヘ  \
      /、└'7/厶ヽ\, へハ  /  
.    |{Z_//イ,lブ-| |\,/|  \ 四人目だとォーーーッ!!
      |Tz>::..`>¨´!| |/\.|   /
     | | \フ J u 〉\/ >  ̄\/\/\   /\/\/
.     | ト、 '}三> u ,>''"´´゙>.、       \/
     | 」 ヽ`!¨´ ,r'´,ニニニ, ,==
     l.ノ ̄ヽ-‐f゙ //__/∠_
         ,. -{,/ r―ァ / ̄ ̄ノ
      ソ⌒X乂ヽ.!__,ノ ィ"´ ̄
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:47:10 ID:Rzczt6FT
>>240
違うねっ 五人目だ!

さあ投下を。
242奴隷 ◆CR2IDhbEVw :2007/12/03(月) 19:48:22 ID:yQEhV2z3
グッド!17コマ投下開始ッ!!
243slave sleep〜使い魔が来る 1/17:2007/12/03(月) 19:49:34 ID:yQEhV2z3
ドォォォォン・・・

遠くから爆発音が聞こえる。
「おかっぱさん!今の爆発音って!」
「『爆発』音か…?」
今聞こえたのは確かに爆発がおきた時に起きる音。そう、ルイズが失敗して起こる爆発はこういう音を出す。
イルククゥがハッとしてブチャラティに言う。
「つまり、そこにあなたのご主人様がいるってことよね?きゅいきゅい!」
「だがルイズが爆発を起こしたということは、すでにルイズの身に何かが起きていると言うこと。
一刻の猶予も無い!急げ!爆発音のしたほうに走るぞ!」
ブチャラティは走る。ルイズの危機を救うために。
(おかっぱさん…。あの子を心配している。同じ使い魔の私にはよくわかる…。
私もお姉さまにさっきから何度も問いかけているのに返事が無いのね。きっとお姉さまの身にも何かあったのね!
急がないと!お姉さま待ってて!)
イルククゥも走る。タバサの身を案じつつ。

待ち合わせ場所へ走る三人の耳にもその音が届く。
方角はちょうど自分の向かっている目的地の方角から。
「これは…爆発音?」
真っ先に気付いたのは金髪の青年、ウェールズ。
ウェールズが真っ先にその音に警戒する。
それに続いてマリコルヌ、ギーシュも爆発に気付く。
だが彼らが抱いていたのは別の想像。
「ギーシュ!今のは『ゼロのルイズ』の爆発じゃあないか!?」
「かもしれない!キュルケの言うとおりブチャラティが来ているとしたら当然ルイズもいるだろう。
使い魔のブチャラティがこの町に来ているとすれば用事は普通に考えるなら『ルイズの買い物のお供』だろうからね!
そしてこの爆発音は、彼女も今危険に晒されているということに繋がるッ!」
その時ウェールズが疑問を浮かばせる。
「『ルイズ』?」
「ブチャラティの主人で僕達のクラスメイト、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
ブチャラティを召喚した本人です。」
「ヴァリエール…。ヴァリエール公爵の…。」
ウェールズにはその名前に聞き覚えがあった。
「そうか。いや、急がなくてはな。彼女も助けに行かなくては…。」

244slave sleep〜使い魔が来る 2/17:2007/12/03(月) 19:50:33 ID:yQEhV2z3
ゴロツキメイジチームリーダーとルイズの生き残りを賭けた戦いは佳境に入っていた。
「やった…!ゼロの私がここまでできるなんて…すごい!!」
しかし相手はまだ動くのをやめていなかった。ルイズに負わされた瓦礫のトラップという予想外のダメージで
肉体的にも精神的にもショックを受けているであろう、それでも執念からか動くのをやめなかった。
「ぐ、ううう、ガホッ!がああ!クソッ!なんでこのオレがここまで押されてやがる…!」
荒々しい声をあげ、欠片を引き抜きながら動いているのを見たルイズはまた緊張が走ったのを確認する。
「この…!よくもっ!よくも顔に…ぐうっ!腹に、腕に傷を…!!やせっぽちのチビガキがッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・!!!!!!!

ルイズもリーダーのその迫力に思わず息を呑む。
「この…鼻持ちならない…温室育ちの…貧弱でやせっぽちの能無しビチグソ野郎の分際で…!
よくもこのオレに傷を…傷を!!!」
リーダーがすごい形相で睨んでくる。
「ぜってぇにバラしてやる!!切り刻んで!五体を引き裂いて!生き肝えぐり出して!
血肉を味わうことで!てめえの残酷な死で清算してやるッ!!BIIIIIIIIIIIIITCH!!!!!!」
再び目の前が赤く染まったような錯覚が起きた。ルイズの目の前の男の狂気がむき出しになる。
その形相にルイズの背筋は縮みあがった。
「なにコイツ!?精神的にキテる…!ヤバすぎるッ!!」

245名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:51:00 ID:qyWWyEMN
支援
246slave sleep〜使い魔が来る 3/17:2007/12/03(月) 19:51:14 ID:yQEhV2z3
ルイズがブチャラティを探しにふたたび走り出す。
「FWOOOOOOOOOOOOOOO!!!」
リーダーが目をギョロつかせてルイズを睨む。
ルイズは右に曲がる。そこには階段があった。この階段を曲がれば表通りには近くなる。
「階段…!チャンスだわ!」
「逃がすかよォ!!」
ルイズが大急ぎで階段をあがるが、リーダーは凄い。一気に4段抜かしである。
当然2段抜かしが限界のルイズではすぐに追いつかれる。
「HYAAAAAAAAAAAHAAAAAAAAA!!!!刻んでやるよォ!!」
だがルイズは不意に後ろを向き、
「『レビテーション』!!」

ドカンッ!!

不意に天井が崩れる。
ルイズの狙いは上ではみ出ていた屋根。それを爆破したのだ。
「アンタが下!私が上よ!!変態野郎!!」
「なんだとォォォォォォ!!!!」
屋根が瓦礫となりリーダーを飲み込む!!
ルイズはそれを全く躊躇せずこう言った。
「地形の相性を考えて動くべきだったわね。アンタたちゴロツキは魔法で平民にデカイ顔してたぶん、
メイジ同士の戦いはてんでダメね!」
ルイズは伊達に『ゼロ』呼ばわりされていない。気位が高い彼女だからこそ今までの人生常に努力と背中合わせに
生きてきた。ありとあらゆる魔法の知識やその用途は頭の中にいっぱい詰まっている。
失敗だらけで努力家のルイズならではの戦いだった。
彼女が最後の台詞を言い切る前にルイズは階段を上りきる。
(やった!この階段さえ上ってしまえば表通りはすぐよ!)

247slave sleep〜使い魔が来る 4/17:2007/12/03(月) 19:51:58 ID:yQEhV2z3
「貴様が下だ!チビ女がッ!!」
リーダーが瓦礫を振り切りながらそう言うとルーンを唱えて飛び上がる。
「『フライ』で先回りを!?」
ルイズが壁に杖を向ける。
「『レビテーション』!!」
爆音とともに穴が開く。ルイズはすかさず壁の向こうに逃げた。
「機転の…きくヤロー…だぜ!あんな爆発しか能の無いゴミ女のくせに!生意気なんだよォ!!
HEYYYYYHAAAAAAAAAA!!!」
発狂したような声をあげリーダーがそのまま穴へと続く。
だが穴をぬけた先は建物の中。ルイズは逃げたつもりが逆に追い詰められていたのだ。
「しまったっ!!」
「つっかまーえたァ〜〜。ウヒヒヒヒヒヒヒヒアヘアヘアヘラ!」
杖であるナイフをいとおしそうに舐め、ルイズに切っ先を向ける。
今度こそルイズを殺すために照準を合わせたのだ。
「『エア・カッター』ッ!!」
リーダーがルイズに呪文を唱える。だがルイズはすでに読んでいたと言わんばかりに杖を振るう!
「『レビテーション』ッ!!」
リーダーの攻撃が発射される前に二つ目のカフスを爆破!攻撃をそらす。
だがそれはリーダーの作戦だった。今放たれた風の刃はごくごく小さいものだった。
(あらかじめカフスをぶっ壊しておけばよォ〜〜。肝心なとどめを妨害されたりしねーよなァ〜〜!!
壊すのめんどくせーからこっちから爆破させてやったぜ!!)
248名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:52:10 ID:qyWWyEMN
支援
249slave sleep〜使い魔が来る 5/17:2007/12/03(月) 19:52:51 ID:yQEhV2z3
「しまったッ!!もう攻撃はそらせないッ!!」
「逃げたつもりが建物の中!冷静でいられなかったのはドコのドイツさッ!!
このまままず頚動脈を切ってから…おたのしみはそれからかなァ!?」
ナイフを向けてとどめを刺そうとする。だがルイズの目はまだ生き残ろうと言う意思が消えてない。
このメイジを倒すか!ブチャラティと合流するかが生き残るための道!!
何不自由なく暮らしてきたルイズは今!!初めて生き残りを賭けた試練を乗り越えようとしているッ!!
「まずはこの石をッ!!」
ルイズの次の行動。石を『3つ』投げたッ!!
「『レビテーション』!!『レビテーション』!!『レビテーション』!!『レビテーション』!!」
リーダーの懐に投げ込んだ石が爆発を起こすッ!!
「うぐえッ!!クソッまだやるつもりか?お前にはもう助かるすべは無い、
もう諦めて楽になれば…?」
爆発の影響で起きた煙で一瞬視界が遮られる。そしてリーダーは触覚で感じ取った。
ルイズが煙に紛れて逃げていくのを。
「一時しのぎだ…。こんな手を使って何になる…ハッ!!」
リーダーは攻撃を喰らい一瞬もうろうとなった意識が戻った瞬間やっと気付く。
「4回唱えたはずなのに…。喰らった爆撃は3回?残りの一回で何を爆破した!?」
ルイズが向かう先には!4つめのの失敗魔法で爆破された壁の穴ッ!!
「このあたりには何回も来てるのよ…。この方向に真っ直ぐ行けばブルドンネ街の中央部に出るはずッ!!
「コイツッ!攻撃と同時に退路を切り開いてやがったッ!!生き残るための道を…。追い詰められたことで
生き残るための執念が表立って出てきやがったかッ!!」

250名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:53:33 ID:DdZiJj1f
これは…支援のレスだぜ
251slave sleep〜使い魔が来る 6/17:2007/12/03(月) 19:53:56 ID:yQEhV2z3
しかしリーダーの顔からは笑みが消えない。
「だがよォ〜〜〜。俺だってこの辺りを庭のように歩いているんだぜ?
いくらお前がこの町を歩きなれてるからって結局ここでの戦いをホームゲームにしてるのはこの俺様だぜ?
その道を使えば確かに中央街まで真っ直ぐいけるだろうよ…。途中曲がる道もないからなぁ〜。」
ルイズが一瞬振り返ってこっちに向かいながらリーダーがルーンを唱えているのが見えた。
「何?このいやな予感は?私は何か…ミスをしている?」
「その走るスピードなら!こっちの『座標指定』と『呪文詠唱』のほうが圧倒的に速いッ!!『トルネード』ッ!!」
ルイズは遠くから『トルネード』のルーンが聞こえた時に背中がゾクリとする感覚を味わった。
理由は簡単。この逃走経路には大きな欠点があったことに気付いた事で。
目の前にトルネードが立ちふさがったことで自分のミスに気付いたのだ!
「足止めを…しまった!まっすぐ行けば…途中曲がる道がないからこそ!
この道を塞がれたらもう私はこの位置から逃げられないッ!!」
ルイズが壁に杖を向ける。
「『レビテーション』!!」
「グッド!!その瞬間を待ってたんだッ!!お前が避けるために壁を爆破するために!
一瞬横を向いて呪文を唱えるときに無意識に行う『減速』の瞬間をッ!!」
リーダーが走りながら唱えていた次の呪文を開放する。
「くらえッ!『エア・カッター』ッ!!」
放たれたのはまたしても小さな刃。だがその一撃は壁を爆破されたと同時に
ブチッっと音を立ててルイズの右足に当たるッ!!
「ぐッ!……あああッ!!!足がッ!!」
「よし!今の音は右のアキレス腱が切れたなッ!!これでもうお前はちょろちょろ逃げることは
出来ないッ!!やっと追い詰めたぜッ!!」
252名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:54:54 ID:Rzczt6FT
『支援』する
253名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:54:58 ID:kzfbRbtw
支援!
254slave sleep〜使い魔が来る 7/17:2007/12/03(月) 19:55:03 ID:yQEhV2z3
リーダーが自分の血で汚れたナイフをルイズに突きつけようとする。
「いいかげん…死んでおきなッ!!」
「それは無理だわ。」
ルイズが右足を抑えていた手を離し近くの石を掴みとって軽く上方向に投げる。
重力に引っ張られ下に落ち、体勢を崩したルイズの胸の高さまで落ちた時。

「今私は…今までで一番生き延びる事に必死だから。」

ルイズが再びコモン・マジックを唱える。そして当然のように石は爆破するッ!!
「な、なにいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
ドカンッ!!という爆発音と共に爆破の衝撃はリーダー以上にルイズ自身を襲う!!
だがその衝撃でルイズは逃走経路を抜けて竜巻を回避する。
「ゴホッ!!な、なんとしてでもあの場所に…!行きさえすれば…!!」
だが。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………。

「キレ…てんのか…この野郎…。自分をふっ飛ばしてまで…俺に殺されるのがイヤか…?」
リーダーが目の前に立ちふさがる。
(くっ…。やっと…。あの竜巻をよけて…やっとここまで生き延びたのに…もう…これ以上動けない…。
せっかく…一生懸命あがき続けたのに…!!)
「聞いてんだよ…。俺に殺されるのがそんなにイヤかッて…てめーに聞いてんだよ…!!」
「当然よッ!!」
ルイズが力を振り絞ってリーダーを威嚇する。
「あんたなんかに殺されるなんて…貴族としての誇りが傷つくわ…!
そんな目に会うくらいなら…いっそ自分の力で死んだほうがマシよッ!!」
狂人を前にして彼女はそう言ってのけた。
もう自分の舌を噛む力も残ってないはずのその体で。
周りから馬鹿にされながらもそれでも貫き続けた『誇り』のために。
なにより、今自分を必死で探してるであろう『彼』の行動をその喉が切り裂かれるその瞬間まで
信じているからこそ。
「そいつぁ大層な心意気で。その誇りを粉々に崩せば…さぞかし気持ちがいいだろうなぁ〜。」
リーダーがナイフを振りかぶる。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:55:11 ID:DdZiJj1f
支援すると思っ(wry
256slave sleep〜使い魔が来る 7/17:2007/12/03(月) 19:55:50 ID:yQEhV2z3
「ヒャハハハハハハハハハハハハハ!!!!!さようならだじゃじゃ馬女!!せいぜい俺を楽しませろよォ!!」

来てくれる…!!

リーダーの手が振り下ろされる。

――――――きっと来てくれる…!!!


手にしたナイフが一直線にルイズの首へと向かう。



―――――――――――――アイツは…必ず来てくれる!そう…信じさせてくれる…!!

―――――――――――――――たとえそれがどんなに信じられなくてもそれをやってのけるのが『アイツ』だから!!

ルイズの喉に切っ先が。
切っ先がルイズの喉の皮膚を破る。
このまま声帯や呼吸器が切り裂かれる…リーダーはそう信じて疑わなかったが。

「ウリアアアアアアアアアアア!!!」

切っ先が皮膚を切った瞬間、それとほぼ同じタイミングでリーダーのわき腹に一撃が叩き込まれた。



257slave sleep〜使い魔が来る 9/17:2007/12/03(月) 19:56:42 ID:yQEhV2z3
ルイズの目が見開かれる。
見間違えるはずが無いその人物が目の前にいた。
彼女の奮闘はその男がかけつけるまでのコンマ一秒間に間に合ったのだ。
その男の到着はルイズに安堵を起こした。
相手が自分に与えた恐怖は暖かな環境で育った自分には計り知れない物だったのに。
不可能を可能に変えて見せた男が!
優しさと厳しさを合わせ持つ男は駆けつけてくれたからッ!!

「…間に合ったな。」
「ああ、相棒。マジに危なかったようだがセーフみたいだぜ。」

彼が自分を案ずる声が聞こえた。
優しく、暖かい物が心の中に広がった気がした。
「その傷…ずっと戦っていたのか。驚いたな。そしてゾッとしたよ。もしもう少し遅かったら…。
いや、そもそも戦ってくれなかったら…。結局間に合わなかっただろう。
…がんばったなルイズ。本当に…よくやってくれた。」
弱弱しく笑うルイズに彼は微笑み返す。
「あとはオレにまかせてくれ。」
「遅いわよ…。主のピンチにはもっと早くかけつけなさいよね…。ブチャラティ。」

258slave sleep〜使い魔が来る 10/17:2007/12/03(月) 19:57:38 ID:yQEhV2z3
「きゅい!やった!間に合ったのね!!」
イルククゥが後ろから追いつく。
「イルククゥ。ルイズを頼んだぜ。コイツはオレがやる。」
「わかったわ!さあ、お嬢さん!一緒に行きましょう!!きゅい!」
「へ?ブチャラティ!?誰なのこの女!!わっ!ちょっと!急に背負わないでよ!」
ブチャラティが起き上がるリーダーに向き合う。
「コイツがベックの親玉か。ルイズの爆発を立て続けに喰らっている割りに立ち上がるとは
ずいぶん頑丈なようだな。」
「クソッ!こんな時に来るなんて!だが従者が一人増えて何だってんだ!何をそいつに期待してるかしらねーが
そいつからは魔力を全く感じない!ただのメイジ殺しだ!そんなのが来たところで何ができ…?」
リーダーがわき腹に違和感を感じる。わき腹にはジッパーが貼られていた。
わき腹に喰らった一撃がそのままジッパーを発現させたのだ。
「な、なんだコレは!?なんでこんなコトができる!?」
ブチャラティが少しだけ出ていたデルフを完全に抜き、全く躊躇した様子を見せず
みねではなく刃のほうで切りかかる。
「フンッ!俺に斬り合いで挑む気か!?」
リーダーがナイフで受けるがブチャラティはそのまま踏み込む。
全身の力をデルフにこめて『体当たり』の要領でリーダーをレンガの壁に弾き飛ばしたッ!!
「おおおおおおおおおおおおおあああああああああああああッ!!!!!!!」
「こ、コイツ…!なんてパワーを…ガアッ!!アアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ルイズは今この瞬間自分は『とてもツイていた』と思った。
本当に危ないところでブチャラティが間に合ったことを心から本当にツイていたと考えた。
なぜこの局面で自分にツキが回ってきたのか自分でも不思議に思ったほどに。

     ・・・・・・・・・・・・・・
その幸運はルイズだけのものではなかったからだろうか。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:59:53 ID:qyWWyEMN
支援だッ!
260slave sleep〜使い魔が来る 11/17:2007/12/03(月) 20:00:14 ID:yQEhV2z3
「あ…その壁…!その壁の向こう側にッ!!まさかッ!!きゅい!!」
最初にその何かに気がついたのはイルククゥ。
だがその事に気付いた時にはブチャラティは壁に押し付けたリーダーにさらに大きな一撃を叩き込む。
その衝撃で後ろの壁がぶっ壊れるほどの一撃を。


「いや、その身一つでよくここまで戦い抜いたよ。これほどの健闘、オレは永久にお前を『憶えて』おこう。」
アヌビスの美しく輝く刀身をタバサの細腕でキュルケに向けて振りかぶる。
「タバサ…!!」
だが振りかぶった刀が振るわれる事はなく、

オオオオオオオオン!!!!!

「ぐあああああああああああッ!!!!!!」
「な、なんだぁ!?コイツら…うぐぇッ!!」
ブチャラティが
弾いたリーダーの体がタバサに乗り移ったアヌビスを弾き飛ばす。
「ブチャラティ!?」
キュルケが突然の来訪者に目を見開く。
ブチャラティ、ルイズの両名がそこにいる意外な人物に驚いた。
「おまえ…キュルケか?何をしている?」
「間違いない…キュルケだわ。何でここに「お姉さまッ!!」」
言いかけたルイズの台詞を遮ったのはイルククゥだ。
「やめて!おかっぱさん!!お姉さまが下敷きになってるわ!!このままだとお姉さままで巻き込んじゃう!!」
「お姉…さま?」
最後の一撃でとうとうのびていたリーダーが下敷きにしていたのはキュルケの親友の『タバサ』だ。
「タバサも?ていうかあれ!?アンタお姉さまってタバサが!?」
「あっ。」
イルククゥが口を押さえた。今一瞬明らかにブチャラティがこっちを見て疑いの目を向けてきた。

261slave sleep〜使い魔が来る 12/17:2007/12/03(月) 20:01:12 ID:yQEhV2z3
「なんだオマエらはッ!!あれ?てめーらさっきあの店でデル公を買っていった奴じゃあねえか?」
タバサが起き上がった。まずブチャラティが驚いたのはその小柄な体で大の大人一人ぶつけられてピンピンしていた
と言う点。もう一つはブチャラティの記憶の中のタバサはたしかこんな言葉使いをする子ではなかったという点だ。
「タバサ…?」
「ブチャラティ!!気をつけてッ!!」
傷を抑えてキュルケが起き上がっていた。必死な表情でブチャラティに説明する。
「ブチャラティ!これはスタンド攻撃よッ!!タバサはその刀で操られているッ!!」
「何ッ!?」
すぐにタバサに向き直る。アヌビスがタバサの口でそのまま喋り始める。
「そうか。お前やっぱ『スタンド使い』だな?『タバサ』の記憶では『ブチャラティ』と言う名前らしいが。
…うん?タバサの記憶にはコイツのデータがねーのか?ツイてねーな。」
それを聞いたキュルケが思い出す。なぜタバサが知らなかったのか。
「そうよ!タバサはあの決闘に来ていなかったッ!!あの子にはブチャラティがすごいことやってギーシュを
倒したとしか言ってなかったからッ!!」
しかしそれを我関せずといった感じでブチャラティがアヌビスを睨む。
その殺気に一瞬アヌビスが押されるほどだ。
やがてブチャラティが口を開く。
「…いますぐに、タバサを離してもらえるか?」
「それは無理だな。戦いはまだ続いているんだぜッ!!」
ブチャラティとアヌビスが互いに飛ぶ。
「ブチャラティ!!『アヌビス神』の刃に気をつけて!!そいつはすり抜けて任意の対象だけを斬る能力を
持っているわッ!!そしてそいつは一度受けた攻撃は完全に憶えて二度と通用しなくなる!」
ブチャラティがデルフを叩き込む。アヌビスは冷静にそれを受けとめる。
「相棒!ガードはするなッ!!すり抜けると言うことはアヌ公の刃はガードできねぇッ!!何が何でも攻め続けろ!!」
デルフがそう言うや否やブチャラティが連打する。
「ハッ!どうした!?『スタンド』を使わなくていいのか?このまま続けたところでどんどんお前の動きを
憶えていくだけだぜ!?」


262名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:01:37 ID:DdZiJj1f
『支援』した!
263slave sleep〜使い魔が来る 13/17:2007/12/03(月) 20:01:55 ID:yQEhV2z3
ルイズがイルククゥの背中でギリと歯噛みする。
(どんどん成長するスタンド…。無駄な攻撃をしたら奴に覚えられてしまう…。
ブチャラティはおそらくギリギリまでスタンドを使わない…。おそらくタバサを
傷つけることをためらっているから…。)
「ダメ!お姉さま!やめて!おかっぱさんを傷つけないでッ!!」
イルククゥが動揺してタバサに声を投げかけるがそれは届かない。
その一方、ブチャラティが考えているのは当然タバサを助ける方法。
そのためにアヌビス神を分析することに集中していた。
「キュルケッ!!近くに本体らしい奴は見てないか?」
「ダメよ!町中探したけどそんな感じの奴はどこにもいないッ!!」
(だがこいつの動きは近距離パワー型の物だ。自動追跡型や遠隔操作型にしてはあまりにも動きが複雑すぎる。
まるでタバサ自身が本体のような…。)
ブチャラティはそこまで考えて意見を出す。
(まさか…。いやそうとしか考えられない。)
ブチャラティが一歩離れてアヌビスに言う。
「わかったぜおまえの正体。なるほどな、これではキュルケもわからないわけだ…。
いきなりこういう変則的なスタンドに出会ってしまってはな。」
「え?」
「キュルケ。こいつの本体は探しても無駄だ。こいつに本体はない。こいつは本体が死んでもなお残り続ける
『一人歩き』型のスタンドだッ!!」
「正解だ。こうも簡単に答えにたどりつくとは驚きだぜ。だがわかってどうする?
結局コイツを開放するにはコイツを傷つけるほかないと言うのに。」
「ブチャラティ…!!」
キュルケが怪我を押して立ち上がろうとする。
264slave sleep〜使い魔が来る 14/17:2007/12/03(月) 20:02:30 ID:yQEhV2z3
だがブチャラティはキュルケを止めた。
「動くな、キュルケ。タバサは必ず助ける。」
そういうブチャラティの目に迷いはない。
デルフを上段に構えてアヌビスに振り落とす。
「向かってくるかッ!とうとうコイツを傷つけてまで戦う決心がついたか!」
「いいや!そんな必要はない!」
振り落とされたデルフの刃をアヌビスの刃が受け止めた。その瞬間をブチャラティは見逃さなかった。
「今だッ!!『スティッキィ・フィンガース』ッ!!」
S・フィンガースの拳はタバサの両手首に当たる。タバサのしなやかな両手にジッパーが発現する。
そのジッパーが開いてタバサはアヌビスを『自らの手ごと』落とした。
「何ッ!?こ、この能力は!?しまった!!」
「ウリァッ!!」
ブチャラティはそのまま床に落ちたアヌビス神のみねを思いっきり蹴り飛ばす。
手からアヌビス神が離れて洗脳が解けたタバサはそのままガクンと力尽きる。
「お姉さまッ!!」
イルククゥがタバサを即座に抱えた。ルイズが背中からタバサの様子を見る。
「大丈夫。気を失ってるだけよ。手当てすれば直るわ。」
キュルケがタバサの無事を確認してブチャラティに言う。
「いったいどうして…?」
「一人歩きするスタンドと言うことはタバサを操っているのはあの刀そのものということになる。
だからあの刀を手から離してしまえば洗脳は解けるだろう。だからジッパーでタバサの手ごと落とせば
ほとんど傷つける必要も無くタバサを助けられると言うことだ。」
つまるところブチャラティは自分が苦労したタバサの開放を簡単にやってのけてしまったのだ。
素早く、それでいて華麗で全く無駄なく。
そんなブチャラティを見て彼女は、キュルケは思った。
『なんてカッコいいのかしら…!』と。
「ああ〜。ブチャラティ。ねえ、私からひとつお願いがあるんだけど…。私、あなたのことを『ダーリン』と呼ばせて
もらってもいいかしら?」
「無理。」

265slave sleep〜使い魔が来る 15/17:2007/12/03(月) 20:03:33 ID:yQEhV2z3
「もーう、ダーリンのけちんぼー。」
「断っても結局言うのか…。」
「ちょっと!キュルケ!何勝手なこと言ってんの!?」
ブチャラティがふと思い出し、蹴り飛ばしたアヌビス神を見る。
「そうだ…。キュルケ、コイツを封じる方法はないのか?今回はなんとか引き離すことに成功したが、
このまままた誰かに持たせたらやっかいだぞ。」
ブチャラティの言葉にキュルケがハッとした。
しかしその時あることを思い出す。
「でも待って。考えても見ればアヌビスを最初に持ったのは私だけど、なんで私は操られなかったのかしら?
タバサと取り合いになったときもいきなりタバサが洗脳されたわけではなかったみたいだけど…。」
「その辺りに何か奴を完全に封じるヒントがあるんじゃあないか?もう少し思い出せないか?」
キュルケがうーん、うーん、と唸っているうちにルイズが何かに気付いた。
「そういえば…この刀さっき武器屋に寄って見たときは抜き身になってなかったと思うけど、
コレの鞘はどうしたの?」
「それだわ!!」
キュルケが思い出したように大声を出し、ルイズが驚いてイルククゥの背中からずり落ちる。
「イタッ!ちょっと!どうしたのよ急に!!」
「鞘よ!!タバサが操られたのは私達が揉め合った時に鞘が抜けてからだったわ!!もしかしたら
あの鞘があれば完全に動きを封じることができるかも!!」
心配そうな顔で背中に引き上げるイルククゥの背にルイズが戻る。
その時、肝心なことを忘れてたように指摘した。
「で、鞘は?」
「ああ、武器屋に忘れてきたわ…。でもそんなに遠くは無いから今から取りにいけば…。」
そう言いかけたキュルケの顔が青ざめる。
指差す先にいたのは…。

「ゲホッ!…ヒヒヒ…ヒャハハハハハハ…!!」
266名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:04:04 ID:kzfbRbtw
支援するぞっ!
267slave sleep〜使い魔が来る 16/17:2007/12/03(月) 20:04:36 ID:yQEhV2z3
真っ赤に充血した眼球、爆発でボサボサになった髪。
表情だけでその男の狂気は伝わってきた。
リーダーが意識を取り戻していた。
「コイツ…!あれだけの攻撃をくらってまだ…?」
リーダーが這いつくばって喋る。
「よくも…!てめえら…ここまでコケにしやがって…!!ヒヒハハハハ…!
全員皆殺しにしてやる…!!五体をバラバラに引き裂いてやる…!
なあ、わかってんだろォ?『妖刀』さんよォ!?」
リーダーが手にしようとしているのは…アヌビス神!!
「まずいッ!!相棒!!コイツアヌ公を使うつもりだぜッ!!」
「ヒャハハハ…!いい判断だぜ妖刀…!!一瞬でオレの殺人衝動と殺しの技術に気付くとは…!
だからさっき操っていた女の『治癒』でやられる前にオレを治したんだろ!?
気が利くぜェ!ここまですばらしい得物は始めて見た!!」
ブチャラティが止めるまもなくリーダーがアヌビスを手に取ったッ!!

「アッハッハッハッハッハッハッハ!!!!これでてめえら皆殺しだッ!!
桃色のチビも…!おかっぱ頭も…!みんな、みんなブッ殺してやる!!
妖刀!!テメエにオレの体を貸してやるッ!!どうかこのムカつく野郎どもを
殺させてくれェ!!!ハハハハハハハハハハ!!!ヒャハハハハハハハハハハハ!!!!!!…!」

瞬間、リーダーが完全に沈黙した。そして口がまた開かれる…。

「なんてサイコ野郎だよ…。コイツらを殺るために自分の体すら投げ打つとはな!
そして!なんてすばらしい!『タバサ』の体も動きやすかったがここまで刃物で斬ることに特化していて、
なおかつ魅力的なくらい頑丈なボディ!!これほどオレに向いたボディも珍しいッ!!」
ブチャラティの顔に汗が浮かぶ。
「なんて事だ…!復活しやがった!!」


268slave sleep〜使い魔が来る 17/17:2007/12/03(月) 20:05:42 ID:yQEhV2z3
「もはや運命じみた物すら感じる…!!なんだよコイツの記憶…!!
本名”鮮血”の『キャラバン・サライ』だと!?信じられねえ!!
コイツ!500年以上前に妖刀になった時に捨てた俺の名を持ってやがるとは!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!

ブチャラティは胃の中に入れられた鉛を押し込むように唾をのみ、口を開く。
「キュルケ!!タバサを連れて今すぐ安全な場所に避難しろ!!」
「そんな!!一人は無茶よ!!私も!!」
「そいつはやめときな。オレの能力はオレ自身がおまえの情報を覚えているんだ。
一度闘った相手はたとえ持ち主が変わったとしても絶対に、
絶対に絶対に絶っ…
                       〜〜〜対に負けなああああああああああああィィィ!!」
ブチャラティが再び構える。
「『スティッキィ・フィンガース』ッ!!」
「ちなみに断っておくがッ!!さっきの開放はもう通用しないぜ!!その手はもう覚えたからな…。
スタンド+魔法の妙技、味わってもらおう!!」
「そうか。こちらは片付ける相手がひとまとまりになって大助かりだがな…。」

「いくぜッ!!このキャラバン・サライ容赦せんッ!!」

対峙するブチャラティとアヌビス。
戦いは激化する。
いよいよ昼間の町の恐怖に終止符は打たれる。

               リタイヤ
『雪風』のタバサ      再起不能       

To Be Contined →




269slave sleep〜使い魔が来る 17/17:2007/12/03(月) 20:07:02 ID:yQEhV2z3
投下終了…。
この次終わったらやっと本筋復帰とかバカすぎだろ…。

もう流石に懲りました。次回、とうとう決着なので
よろしければ見てください。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:10:55 ID:kzfbRbtw
GJそして乙でした!
ここでまさかのキャラバン・サライ!!
次回も楽しみです!
271名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:12:34 ID:qyWWyEMN
GJです
これからの展開にwktk
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:16:14 ID:iqfigHcL
GJだけど○人以上そろったら〜ってのはなあ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:23:42 ID:yQEhV2z3
すいません。一回やってみたくって…。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:36:47 ID:uZDlzEM7
GJ!
ジッパーはマジ便利。
>>273
それじゃあ仕方ないな
275名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:20:11 ID:cfrfBRaY
>>268
タバサが「再起不能」ってオカシクネ?

「再起可能」の間違いなんでしょ、でしょ?
276始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/12/03(月) 23:46:37 ID:pFkavzry
GJ!
そして50分から投下したいのですが、あぁ〜イイっすかねェェェ〜〜〜
                                             と。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:50:20 ID:6q3Ul/sf
もう50分ではないか。行け!
278Start Ball Run 1/4:2007/12/03(月) 23:50:41 ID:pFkavzry
長く手入れされていないであろう羽扉の蝶番がぎいぃ、と軋んだ音を立てた。
武器屋の中は薄暗く、外の明かりなど少しも奥まで届かない。
その暗がりに、ぽつんとランプの明かりが灯るだけで、鬱蒼とした雰囲気が醸されていた。
ランプが少しだけ、揺れては動く。どうやら武器屋の店主がいるらしい。脚立らしき足台に上がってランプの油を注ぎ足すと、店主はまた店の奥へ引っ込んでいった。
ルイズが入ろうかどうしようか、少しだけ迷ったように足を止める。後ろの二人は先頭が動かないものだから、店の入り口で同じように突っ立ったままであった。
「入んねえのか?」
ジャイロが、ルイズに促すように聞く。
「い、いま入ろうとしてたんじゃないの」
意を決したようにルイズが中に踏み入る。ランプの明かりで店の奥が見えるところまで来たとき、店主がパイプを咥えながら、奥から出てきたところだった。
じろり、と店主はルイズと、才人とその後ろにいたジャイロを一瞥する。一通り顔を眺め回すと、ルイズの胸にあった五芒星の紋章を見据えた。
「こりゃ珍しい。今日はなんのガサ入れでやしょう? 生憎うちは衛士の兵隊さん方にも贔屓にさせてもらってますんで、怪しいこたぁ何一つしちゃいませんがね」
どうやら店主は、ルイズが捜査か何かで来た貴族だと思ったらしい。
ルイズは眉間に小さく眉を寄せると、ふぅ、と少しだけ呆れたように息を吐いたあと。
「客よ。買い物にきたの」
と言った。すると店主は目を大きくひん剥くとこう言った。
「こりゃあたまげましたぜ。貴族様がこんなところでお買い物になるたぁ、いや、本当に珍しい」
剣や槍、弓は兵隊が使うものというのが、この世界の定理である。杖を振って魔法をひけらかす貴族が持つには、剣は重いし雑把な無用の長物のはずだからだ。
しかも必要になるときは、屋敷や領地の兵隊分をそっくり買い求める。だからますますこんな街中の武器屋に、わざわざ買い物にくる貴族は珍しかった。
「別にわたしが使うわけじゃないわ。使い魔が使うの」
そう言って、ルイズが視線を動かす。店主もつられて視線を向けると、なるほど、いかにも剣を使いそうな男が一人。
「かしこまりました。それでは貴族様。少々見繕って良い品物をご用意いたしますので、暫くお待ちのほどを……」
そう言って、店主は揉み手のまま奥へと引っ込んでいく。
「なんだ? あのオッサン奥に行っちまったぞ?」
店の中に乱雑に並べられた剥き身の剣を籠から取り出して物色していた才人が、店主の行動を見て不思議がる。
「ここにあるヤツよりいいモンを取りに行ったんだろ。高価な品物は軒先に並べたりしねーもんだ」
「そっか……。まあ物騒なとこだもんな」
ショーウィンドウに高価な時計やブランド品を惜しげもなく飾って展示できるのが当たり前だと思っていた才人には、この世界の防犯意識が何処となくズレて感じられた。
「さて……。それじゃどれを見せてやろうか……?」
店主は腕組みしながら、貴族に売りつける武器を選ぶ。
生半可なものではいけない。なまくらを売りつけてもいいが、バレたらあとで首を飛ばされるかもしれない。ここはやはり、店一番の品物を買ってもらおう。なにせどんな兵士も高すぎて買ってくれないんだから、こんなときでなければ売れやしない。
やがて、店の奥から出てきた主人が持ってきたのは、長く、それでいて肉厚に鍛え上げられた両刃の大剣であった。宝石が埋め込まれ、見るだけでも吸い込まれるほどの美しさがある。さらに鞘と柄には、金で装飾まで施されている。
「これなど、いかがでやしょう? ゲルマニアの高名な錬金魔術師シュペー卿が鍛えた一品でございましてね。長さは1.5メイルの大業物でさあ。魔法がかかっておりますから刃こぼれもせず、固い鉄さえ一刀に切り離しますぜ。まあそうそう世に出るもんじゃございませんな」
自信たっぷりに、店主は剣を薦める。かなりの業物なのだろう。
「す……、すげえ。この剣すげえ!」
才人は一目見るなり気に入ってしまった。アクセサリーに夢中になる女の気持ちがわかった気がした。
「これほどの一品なら、貴族様のお連れ様にもお似合いでしょうなあ」
そう言って、店主は持ってみろとばかりに、才人……の後ろにいるジャイロに、剣を差し出す。
「え?」
「は?」
「ニョホ」
この時やっと、才人はこの剣が自分のために出されたものではないことに、気がついたのであった。
279Start Ball Run 2/4:2007/12/03(月) 23:52:24 ID:pFkavzry
「あのね……。剣を使うのはこっちなの。こっち」
ルイズが、才人の頭を指差して言う。店主はなぜかがっかりしたように眉を八の字に曲げると、え〜こっちなのぉ〜と言いたげに才人を見た。
「……いいんだ。……どうせ、どうせ俺なんて……」
影薄いですよ。いつもジャイロの前の前座扱いですよ。空気ですよ。キン○マンの前のテ○ーマンですよ。
武器屋の薄暗がりに隠れるようにしゃがみ、のの字を指先でこねるように描いていた。
「あ〜……。悪りィんだがよ。オレはな、剣は使わねェんだ。それよりもよ、そこにあるソレ、譲ってほしいんだがよ」
ジャイロは店主に突き出された剣を押し戻すと、店の隅っこに置かれていた、錆の浮いた古い金床を指差した。
「……あんた、うちを素材屋か鉱物商と勘違いしちゃいませんかい? 武器屋に来て武器も買わずに鉄くずよこせってなぁねえでしょう」
気分を害したように、店主が言う。
「ちょっと、武器ならちゃんと買うわよ。その鉄塊ももらうわ。……で? それいくらなの?」
ルイズが店主に、立派な造りの大剣の価値を尋ねた。それにまた機嫌を良くした店主は、揉み手をしながら。
「おやすかあありませんな。エキュー金貨で二千で。新金貨なら三千でございます。へえ。……あ、鉄くずの分ならサービスさせていただきますが」
そう言われて、この世界の価値観がどれほどのものなのかわからない才人は、のの字を描きながら聞いているだけだったが、それを聞いたルイズが、たかっ、と呟く。
「な……、なにそれ? ちょっと、高すぎるわよ!? 庭付きの屋敷が買えるくらいじゃないの!」
ルイズが慌てる。そんなに高い剣があるとは、夢にも思っていなかったようだ。
「こいつは紛れも無く名剣ですぜ。それほどの価値があると思っていただきませんと」
いかがでしょう、と店主がまた尋ねる。
「なあ……。オメー、一体いくら持ってんだ?」
ジャイロが小声で、ルイズに持ち金を聞く。
「あんな高い剣買えないわよ! 新金貨で百しか持ってきてないのに!」
なぜジャイロが小声で尋ねたのか理解できないルイズは、大声で手持ちの額をぶちまける。少々足りないくらいなら、上手いこと交渉してみようと思ったのにね。……まあ、百ではどの道無理だろうが。
その大声は店主の耳にも入り、店主はそそくさと大剣をしまった。
「まともな大剣なら、いくら安くても相場は二百でさあ。……ご用意できましたら、またお越しくださいよ」
「なんだよ……。買えないんだ」
のの字をまだ描いている才人が、部屋の暗がりから、がっかりしたような声をあげる。
「しかたないじゃない。買えるのにしましょ。こんなにあるんだし」
「貴族なんだろー……。貧乏だなー……」
「あ・の・ね! あんたと! こいつの! 治療代いくらかかったと思ってんのよ!」
そうなのだ。ギーシュとの決闘で負った傷を治した秘薬やら魔法の支払いがあり、ルイズのお小遣いは大分無くなっていたのだ。
「しゅ、しゅいましぇぇん……」
暗い部屋の片隅で、体育座りになって体を丸める才人であった。
「へっ! ガキがおもちゃねだるみてえに剣欲しがって、いい年こいた大人が鉄くず欲しがるたあ笑わせやがる!」
突然、暗い武器屋のどこからか、威勢よく悪態を吐く声が聞こえてきた。店主は、その声に苦い顔をする。
「おまけに、欲しがる剣は宝石いっぱいくっついたキンキラキンときたもんだ! どこのパーティで振り回すってんだ!?」
「おい! やめねえか!」
店主が大声で怒鳴るが、声はますます声を荒げる。
「うるせえ! 大体小僧! おめえの貧弱な体で剣なんか振り回せるか! おとといきやがれってんだ!」
「なんだと!」
いきなり罵詈雑言並べられて頭にきた才人が、声のする方へ向かう。しかし、そこには誰もいない。
「あ、あれ? ……おかしいな」
「どこに目ぇつけてやがる!」
自分の真下からいきなり声がしたので、才人はびっくりして後ろに下がる。そこにジャイロが近づき、ひょいと一本の剣を掴んで持ち上げた。形と拵えは立派な大剣だが、ずいぶんと古い剣なのだろう。いたるところに赤錆が浮かんでいる。
280Start Ball Run 3/4:2007/12/03(月) 23:53:51 ID:pFkavzry
「よさねえかデル公! こちらはお客様だぞ!」
「へっ! 何がお客様だ! ものの価値も知らねえ貴族の娘っ子と貧弱な小僧! それと変なヤツの集まりじゃねえか!」
「ニョホホ。こいつは……」
ジャイロがおかしそうに笑う。
「け、剣が喋ってる!?」
才人もびっくりする。そしてルイズは、やや困惑したような顔で。
「それって……、インテリジェンスソード?」
「へ、へえ。さようです貴族様。どこの魔法使いが造ったんでしょうねえ。意思を持ち、喋る剣なんて。いや、こいつは喚くわ五月蝿いわケンカ売るわ馬鹿にするわで、買い手もつかずほとほと困っておりまして……」
店主が愛想笑いでそう説明すると、剣は再び騒ぎ出した。
「馬鹿野郎ふざけんじゃねえや! こちとらつまんねえ奴に使われるなんざ願い下げだ!」
「いい加減にしやがれ! 今すぐ黙らねえと明日の朝には溶かして鉄くずにしてやるぞ!」
剣と店主がいがみ合う。やれるもんならやってみやがれ。おう上等だやってやらあとお互いに荒れた声を上げる。そこに。
「なあルイズ。これ買おうぜ」
才人が、そう言ってきた。
「え〜。こんなの買うの」
「いいじゃん。喋る剣なんて、面白いし。なあオッサン、この剣いくら?」
ルイズとしては、汚くて古い剣なので気乗りはしなかったが、その剣なら厄介払いで百で結構でさあ。ついでに鞘と鉄くずもお付けしますんで、と言われてしまい、ほかに買える剣も無かったから、この剣を買うことに決まった。
剣を買うための新金貨百枚、しっかりと勘定すると、店主はそっけなく毎度あり、と言った。
「なあジャイロ、その剣くれよ」
才人がジャイロから剣を渡されると、その剣をまじまじと眺めた。
「なあ、お前」
「ちがわ。ちゃんと名前がある。おりゃあデルフリンガーさまよ」
「そっか。俺は才人。平賀才人。よろしくな、デルフリンガー」
そう言われて、剣はしばらく黙った。まるで才人を観察するかのように。
「おでれーた。見くびってた。……さっきのヤロウは心得はあるようだったが、おめーには……無ぇな。……けど、そっか。おめ、使い手か!」
何故か嬉しそうに剣は声を上げた。
「使い手?」
「自分の実力もわかんねーのか。まあいい。ま、これからよろしく頼むぜ相棒!」
「ああ。こっちこそよろしくな」
「ついでによろしくな! 貴族の娘っ子! 相棒の相棒!」
「む、娘っ子……」
その言い方に気分を害したルイズが、ぴくぴくと瞼を痙攣させた。
「相棒の相棒だぁ?」
ジャイロも、なんで自分がそう言われたのかよくわからず聞き返す。
「おうよ! 俺を握るのが俺さまの相棒! おめーはそのまた相棒よ! よろしくな!」
こんな調子で、剣は武器屋を出るまでも、出てからも、暫く一振りで喚きまくっていた。
やがてその騒々しさが途絶え、武器屋の店主は一息つくと、また羽扉が開く音が聞こえた。
281Start Ball Run 4/4:2007/12/03(月) 23:55:02 ID:pFkavzry
以下の証言は、トリステイン城下を収める衛士を勤めるA氏から聴取したものである。

「――あの日、俺はまた折れてしまった剣を仕立て直しに、あの武器屋に向かったんだ。
いい加減、あの武器屋で三回買った剣ばかり折れるんで頭にきてたんだな。
とにかく一言文句を言ってやろうと思っていたんだ。まあ、随分腹を立てていたわけだ。大人げなくな。
そうしたら、……暗いんだ。店の雰囲気が、じゃない。
あの愛想笑いが気味悪い店主が、客が来たのにずっと後ろを向いて座っていやがるんだ。
口からはなにやら呪詛のようなものを吐きながら俯いて、俺は新手の呪いでも受けちまったのかと思ったぜ。
まあ、そんなことずっとやっててもらちがあかない。俺は店の親父に言ったんだ。
『お前んとこの剣がまた折れたぞ。これで三度目だ。どうしてくれる』ってな……。そしたらあの親父いきなり、
『うるせえええ! 今日はもう店じまいなんだよおおお! なに勝手に入ってきてんだこの○○○○がァーーー!!』
って喚きだしてな。椅子は投げるわパイプは投げるわ売りものの剣は投げるわ、大騒ぎさ。
俺は命からがら斧や槍をかわして外に逃げ出したんだが……運が悪いことに、ランプに投げた斧が当たっちまってな……。
古い店だったからな……。あっという間だったぜ……。
親父か? 焼け跡からは出てこなかったって言ってたからなあ……。
骨まで燃え尽きちまったのか……。それとも、うまいこと逃げ出したのか……。今となっては――、分からずじまいだがな」

                 ――以上、某月某日に起こった、ブンドルネ街火災の目撃証言より、抜粋――
282始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/12/03(月) 23:56:37 ID:pFkavzry
以上投下したズラ。
さーて次回そろそろシエスタさん死闘編にいってみよー。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:59:13 ID:5PdeIlSK
GJ
親父にやばいのがInしちまったのか?
284名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:11:43 ID:ok0Vm8qs
キュルケに例の剣を安く買い取られたからじゃね
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:23:07 ID:KwjXq7NW
きっとデル公が買われて行っちゃったからだよ。
286名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 12:05:11 ID:mD0Nkaks
また時が飛んだか・・・
ボス、頑張りすぎです。
始球走サイト、デルフの登場で出番増えるのかな・・・むしろ減りそうだがwwwwww
287ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 12:58:08 ID:20gZsXiG
時が飛んだのなら投下したという『結果』を残さなければ。
というわけで投下します。
あ、あと今回は導入部分で、31.5話です
288ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:00:30 ID:20gZsXiG
interval 31.5

「アニエス隊長」
 トリステインの王宮の廊下を歩いていたアニエスはその声に足を止めて振り向いた。
「どうした?」
 声の主はアニエスが隊長を務める銃士隊の隊員の女だった。
彼女でなくとも、女王の身辺警護を主な任務とする銃士隊の隊員は全員が女性という異例の形を取っている。
「あ、あの、治安強化の件でトリスタニアの警邏隊との連携や増員の書類なんですけど・・・・・・まだ隊長のサインをいただいていなくて・・・・・・」
 隊員は抱きかかえるようにして書類を持っていた。アニエスはそれを見てすまなそうに言う。
「ああ、すまない。迷惑をかけてしまったな」
「い、いえいえ!だ、大丈夫ですから!」
 緊張した様子の隊員は必至に手を振って問題ないのをアピールしている。アニエスもその必至さにたじろぎながら答えた。
「そ、そうか・・・・・・そうだな」
 呟くと隊員の腕の中から書類を引き抜いてしまった。いきなりの行為に目を見開いてしまう隊員。
「私が代わりに行っておこう。トリスタニアだったな?」
「そそそそんなっ!隊長のお手を患わせることではありません!それに隊長もお忙しいですし・・・・・・」
 しかしアニエスは涼しい顔で笑い、
「なに、任務でこれからトリスタニアの方へ行かなくてはならないんでな。ついでに持っていくだけだよ。君もまだ仕事には慣れないだろう?有事に動けるようたまには休んでおくと良い」
 優しく肩を叩いたのだ。
「引継はミシェルに任せてあるから、何かあったら頼れ」
そして靴を鳴らして颯爽と去っていく。その後ろ姿を見つめながら、隊員はほぅ、とため息を付いた。そこへ影から様子を見守っていた他の隊員が二人、駆け付ける。
「ちょっとちょっとぉ〜〜!隊長に優しい言葉かけてもらっていいな〜〜ッ!」
「ああ・・・・・・もうダメ・・・ステキすぎて平静を保ってられないっ!もう私この服洗わないから・・・・・・」
「いっそのこと『固定化』をかけて貰うというのはどうだろうか?」
 きゃいきゃいと騒ぎ出す三人。
「ほふぅ・・・あの輝く金髪に澄み切った青い目・・・・・・凛々しい目と顔立ち・・・・・」
「あの声で号令かけられただけで痺れるよねー。立ち居振る舞いもいちいちカッコイイし」
「君たち、隊長のよさはそのストイックな性格にもあることを忘れてはいけないな」
「そのうち誰かアタックするかな?」
「えー?でも何だかそう言う空気にさせてくれないよねみんな。なんて言うのかなあ・・・暗黙の了解?」
「アニエス隊長はみんなのもの、か?」
「そうそう!」
「そう言えばこの前の帽子男!アニエス隊長にあんなに構われてるのにすっごいイヤそうな顔してんの!許せない!」
「噂ではアニエス隊長を振ったとか・・・」
「いやいや。あたしが聞いた話ではさんざん弄んでボロ雑巾のように捨てたと・・・」
「や〜ん、隊長かわいそー。やっぱりみんなで慰めてあげようよ〜」
「身体で?」
「モチのロンで!」
「騒いどらんで仕事しろ」
289ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:02:52 ID:20gZsXiG
 三人がきゃいきゃいと騒いでいたところに野太い声が割って入った。三人がその声の方を振り向くと、マンティコア隊の隊長がぬおおっ、と立っていた。
「ド・ゼッサール様!いや、もちろんこれからいくところです」
「あ、おい!ちょっと待て!」
 逃げるように立ち去ろうとする三人を呼び止めて、少し詰まったように喋りだした。
「あー・・・その、だな・・・アニエスはどこにいるかわからんか?」
「隊長・・・・・・ですか?でしたら先ほどトリスタニアに出向かれましたが」
「む・・・そうか。ならば副長はどうした?」
「ミシェル副長なら高等法院長に呼ばれて今はいないようですが」
「そ、そうか・・・・・・仕方ない、行っていいぞ」
 許しが出た途端に三人は走り去っていった。「そう言えばミシェル隊長もいいよねー」と聞こえたがよくわからない事にした。
「女三人寄れば姦しいと言うが・・・・・・」
 ゼッサールは首にかいた汗を拭う。どうにも今の若い娘と話すのは難しい。
「ジェネレーションギャップを感じるとは俺も年をとったかな・・・・・・」
「何を言っている?」
 いきなり後から声をかけられたが、ゼッサールは驚かない。誰の声かは解りきっていたからだ。
「もう練兵はすんだのか?」
「我がヒポグリフ隊は集中力も世界一ィィィィッ!密度が違うわッ!」
 ヒポグリフ隊の隊長が手を上げて答える。相変わらずのテンションだ。
「でもお前、この前お前のところの副長と銃士隊の娘が楽しげに歩いているのを見たが、女にかまけていて良いのか?」
「それを言うならお前の所のやつだって裏で密会してたって言うぞ」
 二人は顔を見合わせて苦笑した。ゼッサールがため息をつくと、隊長がその肩を叩く。
「ま、若い奴らに任せておけばよかろう、そういうのはな」
 わっははは、と笑いながら歩き去っていく旧友の背を見つめながら、ゼッサールは先ほどから気になっていたことを心の中で反芻する。
(しかし、高等法院長が?確か大の平民嫌いだったと思うが・・・・・・)
290名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 13:05:09 ID:v6csrGGq
支援
291ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:05:16 ID:20gZsXiG

 高等法院長執務室。
 普段は法の番人の最高位が机に向かっている場所だが、今日その場所には二人の人間がいた。
 窓の外を眺めながら後ろ手に腕を組む貫禄のある男が一人。
 そして、その男に向けて跪き、傅く騎士が一人。
 男は窓枠をなぞりながら、騎士に質問した。
「それで、銃士隊での動きの方はいかがしておる?」
「は、銃士隊自体には動きはありませんが、アニエス隊長が女王陛下直々に任務を貰ったそうです」
 顔を上げて答えた騎士は、驚くことに女だった。紫がかったショートカットに、気の強そうな眼差しはどこかアニエスを連想させる。その服装もアニエスのものと大差はない。
 それもそのはず。この女騎士は銃士隊の副長であるのだから。
「ふむ・・・・・・で、その内容は?」
「それは・・・・・・その・・・・・・」
 男は女騎士が言い淀むと、体を室内に向けて歩み寄ってきた。
「ミシェル。君が言いにくいのも解る。自分の隊の極秘事項だ。だが君がその銃士隊に入ったのは何のためだったかを思い出してみなさい」
 その言葉にミシェルと呼ばれた女騎士は拳を握りしめた。
「君の父上が王宮の何者かによって汚職の濡れ衣を着せられ、貴族の地位を剥奪された。追いつめられた父上は自害し、母上も・・・・・・」
「リッシュモン様・・・・・・わたしは・・・・・・」
「さぞ辛かったであろうなあ。だから君はこうしてこの王宮に、平民として潜り込んだのであろう?お父上とは親しく付き合っておったから、そのような悪事をするような人物でないことは私がよくわかっておる。
そして、その仇をとるためには、君の持つ情報と私の力を使えばより早くたどり着けるはずだ。私とてできるものなら仇をとりたいのだ」
愛を説く僧のように、優しく諭すリッシュモンに、ミシェルは心の底から感激し、感謝した。そして口を開く。
「アニエス隊長は首都トリスタニアでの昨今の治安悪化とある『組織』の関連性の調査に向かったとのことです」
「なんと、まことか!」
 リッシュモンはふむ、とか、ううむとか呟きながら顎に手をやる。
「いや、実はだな、最近怪しいと踏んでいた大臣とその『組織』との間に繋がりがあるという情報を掴んだのだ」
「それではッ・・・!」
「待て待て、焦ってはいかん。あくまで情報だ。ここは隊長殿に調査を進めてもらい、しっかりとした証拠を掴んでもらえばいい」
 やおら立ち上がったミシェルをリッシュモンは静かに諫める。たとえ初対面の相手でも、疑うことなく信じてしまうであろう優しい微笑みを浮かべてミシェルの肩を叩いた。
「我々の仇までもう少しだ。これからも銃士隊や魔法衛士隊の動向は逐一知らせてくれ」
「はい。王宮での事情に精通したリッシュモン様のお力のおかげです」
「うむ。私も力を貸さぬ訳にはいかぬからな。しかしこんな孝行娘を持って、天国のお二人もさぞ喜んでおることだろう」
 ミシェルは最敬礼を取り、リッシュモンの執務室を後にした。
「――――天国、か」
 後に残ったリッシュモンは懐の杖を一振りした。机の上の羊皮紙が一枚と羽ペンがふわりと手元に飛んできた。そこに何事かを走り書きをすると、鳥籠の中のフクロウにくわえさせて窓から放した。
 その軌跡を追うでもなく、リッシュモンは椅子にどっかと腰を落とす。背もたれに体重をかけて天上を仰ぎ見た。
「いくら払えば閻魔は天国に連れて行ってくれるかな・・・・・・」
 そこに人がいれば、リッシュモンのその笑みに思わず背筋を冷やしたことだろう。
天を仰ぐその顔には、先ほどまでの暖かい笑みなどそこにはなく、ドス黒い闇に彩られた笑みが張り付いていた――――

 next to 32→
292ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:06:59 ID:20gZsXiG
以上投下完了!
今回はこれだけ。次回はそこそこ長いかと・・・
銃士隊は平時は女子校のノリで、アニエスはもてると思うんだ、うん。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:18:11 ID:IeioyK/Q
GJ!
リッシュモン吐き気を催す邪悪
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 16:47:26 ID:Pd37NJtp
ふへへ
SBR14巻と岸辺露伴は動かない読んできたぜ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 21:25:25 ID:IdmowcJl
「岸辺露伴は動かない」に音石がいて、ちょっと嬉しかった
露伴先生やたらセクシーになってますね
296風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/04(火) 21:37:55 ID:S3fAjssK
板移転に気づかなくて変なとこにコテつけたまま誤爆したかと思って火を吹きそうになった

しっかし露伴ちゃんは趣味が広いな
SBR14巻は明日買うからネタバレするなよ!いいか!絶対だぞ!

トウカ・スル・デ・ド・ユビキタス
297風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/04(火) 21:39:07 ID:S3fAjssK
「なあ、一つお願いしたいんだが…」
アルビオンに向かうために馬に跨ろうとするルイズにギーシュが問い掛ける。

「なによ」
「僕の使い魔を連れて行きたいんだけど」
「好きにしなさいよ」

ルイズは興味を失い、再度馬に跨ろうとする。

「わかったよ、おいで!僕のヴェルダンテ!」
ギーシュが使い魔の名前を叫ぶ。

ギーシュの数歩前の土が隆起し、大きなモグラが姿を現す。
大きさは直径60サント程度だろうか。

「なにこれ、ジャイアントモール?これがあんたの使い魔?」
ルイズが尋ねる。
「そうさ、ヴェルダンテと呼んでくれ!ああ、僕の可愛いヴェルダンテよ!僕とワルキューレとヴェルダンテの
心が一つになれば僕らの正義は100万パワーさ!」
「そう、じゃあ66万パワーで妥協しなさい」
「ど、どういう意味だね、それは。使い魔を連れて行っていいと言ったんじゃないのか?」
「そんな大きなの馬のどこに積むのよ」
「決まってるさ、こう見えても地中を掘る速度は馬にも負けないんだ」

ルイズはため息をつく。
「あんた、姫様の話聞いてなかったでしょ?私たちはアルビオンに行くのよ?これ以上なにか言うなら「ひと言」につき
一発殴るわよ。「何?」って聞き返しても殴る。クシャミしても殴るッ。動かなくても殴る。あとで意味もなくまた殴る」
「ちょっと待ってくれ、最後のはなんだ最後のは」
「問答無用よ」

ギーシュに華麗に左アッパーを決めたとき、なんと使い魔のヴェルダンテがワムウに襲い掛かった。
ワムウは一応手加減しつつも反射的に殴り飛ばし、地面にモグラが転がった。

「な、何をするだァーーッ!」
「それはこっちの台詞だ、急に飛び掛かるなら殴られても仕方が無いだろう」
「うーむ、昨日アンリエッタ姫から貰った指輪に反応したんだろうね、僕のヴェルダンテは優秀な使い魔だから宝石を…」
ルイズが右頬にフックを叩き込む。
「これ以上使い魔の自慢をやるようなら大好きな使い魔と寝ててもらうわよ、急いでるんだから」
ギーシュは頬を抑えながら立ち上がる。
「ルイズ、君なんか変わったなあ…それにしても君たち、僕と使い魔になにか恨みでもあるのかね?」
「ないけどあるわ、さあそろそろ行くわよ」

やっと一行が出かけようとしたとき、朝もやの中から一頭のグリフォンが飛来する。
「やれやれ…どうやら間に合ったようだな」
グリフォンに乗った長身の男は声を漏らす。

「誰だッ!」
それにワムウが襲い掛かろうとする。
「やめてワムウッ!その人は敵じゃないわ!」
「やあ、愛しのルイズ。君の一行なかなか屈強だね、少しビビってしまったよ」
長身の男は明るく笑いながら一行に声をかける。
298風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/04(火) 21:39:57 ID:S3fAjssK

「お忍びの任務であるゆえ、一部隊つけるわけにはいかない。そこで、姫殿下から僕が指名されたというわけさ」
「ワルドさま…」
ルイズが声を漏らす。

ワルドはルイズに近づき、抱き抱える。
そして、二人のほうを向く。
「自己紹介が遅れたな、魔法衛士団グリフォン隊隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ、よろしく頼む」

ギーシュは肩書きを聞き、肩をわなわなとふるわせる。
「あ、あのグリフォン隊の隊長だって!?
ワムウはギーシュに尋ねる。
「そんなにすごいのか」
「ああ、『背中に目がある』『心臓が核鉄だ』『血管にドーピングコンソメスープが流れている』だのなんだの
言われてるぜ、半分は冗談だろうがもう半分はそうでも言わないと説明できない精鋭部隊さ。そこの隊長だったなんて…」
ワムウは姫の護衛についていることから精鋭部隊であることは察していたが、実戦でもそこまで恐れられているとは
思っていなかった。

「お褒めの言葉ありがとう、同行する仲間であるし、君たちの自己紹介もお願いできるかな?」
「ギーシュ・ド・グラモンだ、系統は土、二つ名は『青銅』です」
「ワムウだ」
ワムウは低く呟く。
「ふむ、もしかしてあのグラモン元帥の親族かい?」
「ええ、末っ子です」
「なるほど、それは心強いな、僕のは風のスクウェア、二つ名は『閃光』、よろしく頼むよ。
そして、そこのワムウくんは……どうやらメイジではないようだが…」

ワムウが答える様子が微塵もないのを察したルイズが代わりに答える。
「私の使い魔です、ワルド様」

ワムウが感嘆の声を上げる。
「使い魔とは思わなかったな、さすが僕のルイズ、こんな屈強な使い魔を召還するなんて!
さすが僕のルイズだ!それにしても、なんて頼りになりそうな一行なんだ、
僕も胸を借りるつもりで同行させて貰うよ。さあ諸君、ではそろそろ出発するぞ!」

ルイズはヴァルキリー、ワムウは巨馬、ギーシュはヘイ!ヤア!という馬(名前のセンスがないとルイズにバカにされた)
ワルドはここまで乗ってきたグリフォンに再度跨り、一行はまずは港町、ラ・ロシェールへ駈けていった。
299風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/04(火) 21:40:27 ID:S3fAjssK


 * * *

ラ・ロシェールまでは早馬で2日ばかり。ルイズは特技である馬術を生かし、ワムウの巨馬はなぜかスタミナ切れ知らずだったため
数時間おきに休めばワルドのグリフォンにもそれほど離されなかったが、ギーシュの馬および本体はすでに疲れきっていた。

「最後に休んでからいったいどれだけ立っているんだ…ええい!彼らの馬は化け物か!」
「私の馬もいい馬だけど、それだけじゃないわ。私のは『技術』よ、馬術には未知の部分があるわ」
「だいたい、なんで君の使い魔の馬はあんなに大きいのになんで疲れないんだね!
馬力のある馬ほどすぐ疲れるはずなんだ……『エネルギー』使うからなあ…」
「歩幅も大きいんだから大して変わらないわよ」
「いや…おかしい…これは辻褄が合わないッ!これが現実ではないッ!ほら、誰もいないはずの谷だってのに明るいし…」
「ギーシュ、しっかりしなさい」

実際にその谷は明るくなっていた。崖の上から松明が投げ込まれ、無数の矢が飛んでくる。
「奇襲だぞ、君たち!」
ワルドが叫ぶ。

ギーシュに向かってくる矢をワルドの魔法が弾く。
「た、助かった…」

しかし、息をつく暇もなく、二の矢が飛んでくる。
今度はワムウが左手でデルフリンガーを抜き、ギーシュとルイズに飛ぶ矢を弾き、右手で自分に向かってくる矢をつかむ。

「やあ相棒、やっと俺の出番が…」
二の矢が終わると、デルフをしまい、矢をもったまま右手を後方にしならせ、矢を崖の上の敵に向かって射出する。
「MOOOOOOOO!!」

数本の矢がものすごい勢いでワムウの手から崖の上まで飛んでいき、数人の体を貫いた。

「ほお、やるね」
ワルドが驚く。
一行が次の攻撃に備えていたが、急に矢の弾幕が収まる。
「だ、弾幕薄いよー、な、なにやってんだ敵さんは」
ギーシュが震える歯で強がりを言う余裕があるのは次の攻撃が来なかったからである。

竜に乗った少女が崖の上の敵に向かって小型の竜巻を放つ。
もう一人の女性が武装解除を徹底したのち、崖から転がり落とすと竜はこちらに向かって降りてきた。

「シルフィード!」
ルイズが竜の名前を叫ぶ。
竜の上からタバサとキュルケが降りてくる。
「お待たせ」
こともなげに数人の武器を剥いだキュルケが降りてくる。
「お待たせじゃないわよ!何しにきたのよ!これはお忍びの任務なのよ!」
「お忍びだなんて言ってくれなきゃわかんないわよ」
肩をすくめるポーズをとる。
「とにかく、感謝しなさいよね。危ないところを救ってあげたんだから」

ケガで抵抗の出来ない兵士に対してギーシュがいつもの尊大な態度で尋問を始める。
「子爵、こいつらはただの物盗りのようです」
「ふむ、最近は盗賊の集団化も進んでいるらしいしな、懸賞金に興味は無いし急いでいるし放っておこう。
もうすぐラ・ロシェールだ、あそこで一泊して朝一番の便でアルビオンに向かおう」

そして、彼らはもう明かりが見えてきたラ・ロシェールに向かって駆け出した。


To be continued.
300風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/04(火) 21:41:28 ID:S3fAjssK
投下終了。
最近鼻水が止まらない。名乗るとすれば鼻水のルカだ。
インフルエンザかなあ、たぶん風邪だろうけど
しかし休んでなどはいられない、すぐに出勤だ…
301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 22:32:23 ID:ByMwXdcF
風邪の方GJでした!
寒くなってきたようですので、お体には気をつけてくださいね
そしてよかった
傭兵とヴェルダンテがおいしくいただかれないで
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 22:33:41 ID:mJt5nixt
GJ!!

>>鼻水のルカ
誰が上手いこと言えと
303名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 22:34:17 ID:IdmowcJl
ワムウの職人さん乙です
インフルエンザの流行る時期なので お体お大事に
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 22:35:46 ID:S3fAjssK
病気が流行らなければ冬ではないってオシムがいってたし頑張る
305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 23:17:19 ID:n1CvQCLE
>>298
>ワムウが感嘆の声を上げる。
ワムウが大げさに驚いている所を想像して噴いた
ワルドの間違い?
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 06:02:05 ID:0ejAoj0m
・・・すごく時間が飛んでしまってるなぁ。
ひょっとして板移転してるのに気付いてない人が多いのか?

避難所から代理投下していいですかねぇ?
307ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:07:16 ID:0ejAoj0m
その動きは鈍重なため、落ちて来るまでに身をかわす時間ぐらいはある。
しかし今のように全員が一カ所に固まっている状態では、いくら拳をかわしても、お菓子の周りに群がった蟻を潰すように手を振り回されれば、僕らもやられてしまうだろう。
だが、それでも僕は慌てるつもりはない。
なぜなら此方の方へ、竜に乗ったタバサが滑り込んでくるのが見えたからだ。
蟻を潰すのは難しく無いだろうが、蜂を潰すのは骨が折れる。
ましてあんな鈍重な動きでは、飛んでしまった僕らを捕らえるのは不可能だろう。
と、落ち着いて思考できる人間であれば、余り下手に走り出したりしない方がいいというのは認識できるだろう。
仮にパニックに陥っても、才人やルイズは先程の、僕のエメラルドスプラッシュを受けた所為で、走る事はまだ無理なはずだ。
となれば……心配なのはキュルケの方だが。

僕はキュルケの方へと視線をやる。
キュルケは落ち着いた様子で、身をかわし、タバサの方へと目線をやっていた。
先程の様子を見ている限りじゃあ、もっとあわてふためいていると思ったのだが、それだけタバサを信頼しているということだろうか。
そういう相手を持っていない僕には、其処の所ははっきりとは解らない。
っと、僕も早くここから退かなくては。

僕が身をかわして数瞬後、先程まで僕らがいた場所に、土で出来たゴーレムの拳が振り下ろされた。
足下が揺れ、芝の生えた土が派手にめくれる。

想像以上の衝撃が、身体に伝わる。
少し甘く見過ぎていたッ!
先程の怪我から、忘れていた痛みが身体をかける。

「ぐぅッ……!」

痛みに耐えかねて、膝が笑う。
だが、今へたり込むわけには行かないッ!
今へたり込めば、タバサに回収して貰うことは無理になってしまうッ!
竜の足は二本しかないのだ。
308ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:08:57 ID:0ejAoj0m
しかし、身体は言うことを聞かず、ついに膝からへたり込む。
立ち上がるにも、身体が痺れてすぐには立ち上がれない。
そして、既にタバサの竜は目の前まで来ていた。

マズイッ!?
僕は急いで足に力を込めるが、その行為は無駄に終わる。なぜなら、


「浮いているッ!?」


誰かが魔法を掛けたのか、僕の身体はふわりと宙に浮いていた。
そして見えない力に引っ張られるようにして、タバサの竜の上まで誘導される。
目の前にはタバサの背中。その右手には、相変わらず不釣り合いに大きな杖が握られている。
彼女が助けてくれたのだろうか?

「大丈夫かしら、ノリアキ?」

礼を言おうと、声を掛けようとした所で、逆に後ろから声を掛けられた。

「これでおあいこね」

声を掛けてきたのはキュルケだった。
そして彼女の右手にも同じように杖が握られている。
ということは、助けてくれたのはキュルケらしい。
僕は素直に礼を口にした。

「どうも、ありがとございます」
「そんなにかしこまらなくても良いわよ。ねぇ、タバサ?」

キュルケはそういって、タバサにウインクを送る。タバサはそれに軽く、示しを合わすように後ろを向いた。

推測するに、キュルケが僕に、タバサがキュルケに魔法を掛けて、ここまで誘導したのだろう。
そして竜の二本の足で、固まっていた才人とルイズをつかみ取る。
あの、僕が倒れて起きあがろうとする、一瞬の間に示しを合わせて、誰をどう助けるかを決めたのか。
どうやらこの二人の間には、僕が思っている以上に深いものがあるようだ。
309ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:10:39 ID:0ejAoj0m
と、タバサとキュルケがもう一度、杖をふるった。
それによって、才人とルイズが足から、竜の上へとあがってきた。

「ありがとな」
「あ、ありがとう」
「あ〜ら、ルイズがわたしに礼を言うなんて、明日は雨ね」
「ツェルプストー! あああたしがせっかく礼を………!」

あがってきた才人は一言、タバサへ礼を言う。それに対し、タバサは無言で頷いた。
ルイズの方は、怪我の所為で少し殊勝になったのか、呟くような声でキュルケに礼を言う、が、また、からかわれていつものペースで口論を始める。
広場の時なら兎も角、こんな狭い所でやるのは止めてくれ。6m程度のスペースしかなくてキツいんだ。
第一、今はそれどころじゃないだろう。

「高度を上げる。しっかり捕まって」

タバサの声と共に、景色がぐるりと回る。
ちゃんと座れるような感覚で背びれがついているので、振り落とされるということはないが、これは存分に気分が悪くなるッ!
御陰で口論をしていた二人も、あっさり静かになった。
しかも高度を上げると、ほぼ真上に向かって飛んでいる所為か、周りは雲ばかりで、いまいち自分の位置がつかめないッ!
記憶の中で落ちていく飛行機という感覚を味わったが、これはそれの逆バージョンッ!


と、唐突に顔に当たっていた風が無くなり、視界が安定をする。
どうやら安全な高度まで来たようだ。
大分上がっていたようだが、一体、今どのくらいの位置に居るんだ?
僕は竜から身を乗り出して、辺りを見回した。

正面には塔。
庭の位置からは相当に見づらい塔の頂点が目の前にあるので、100mぐらいの高さといった所か?
次に先程まで僕らのいた庭を見る。
ゴーレムは相変わらず其処にたたずんでいる。
その肩の上に乗っている人影は、辛うじて人間と解る程に小さく見える。此方を見上げているらしいのは解るが、それ以上は無理だ。
暫く此方を見つめていたソイツは、届かないと判断するやすぐさま行動を切り替え、ゴーレムの巨体を再び反転させた。
それを見、いち早くタバサが、次いでキュルケ、ルイズと杖を抜く。
僕も負けじとスタンドを出し、肩にのったヤツに狙いをつける。
310ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:12:26 ID:0ejAoj0m
タバサが竜の高度を軽く下げるタイミングに合わせ、一斉に魔法を放った。
タバサの大きな杖からは巨大な竜巻、キュルケの杖からは1mものサイズの火球、ルイズの杖からは……何も出てない。
それに併せて、ヤツも静かに杖を振い、ゴーレムは右腕を掲げてヤツを守る。
その大きな手はまるで壁だ。
その壁へキュルケとタバサの魔法が叩き込まれた。

竜巻はゴーレムの身体を構成している土砂を巻き上げ、火球はゴーレムの身体を火で包んだ。
しかし、いくら竜巻で身体の土砂を巻き上げられようが、火でいくらその身体を焼かれようが、ゴーレムは巻き上げられたなら直せばいい、焼かれたのなら取り替えればいいと、すぐさま身体を修復させ、悠然と其処にたたずむ。
それどころか、ドームから炸裂した土砂をショットガンの様にして、此方の方へと打ち出してきた。
火で良く焼き上げられた岩石のショットガンは、低速であっても十分に凶器だ。

「くッ! 『エメラルド・スプラッシュ』!」

アレを喰らっては火傷じゃあ済まないッ!
僕は急いで狙いを外し、岩石をハイエロファントで残らずたたき落とす。
どうやら此方の攻撃よりも、相手の防御の方が堅固な様だ。
タバサの方もかなわないと判断したか、高度を上げ、僕らは再びゴーレムの上空を飛び回ることになった。

「これじゃ無理ね」
「どうしようもない」

タバサ、キュルケが諦めの声を上げる。あれだけやって通用せず、挙げ句反撃を喰らったとあっては、それも当然か。

ドグォオン!

唐突に、何故か塔の壁が爆発した。
あまりの爆音に、ヤツも含め、全員の意識がそちらへと向く。
そこには、あのゴーレムが拳を叩きつけても傷一つつかなかった壁に、大きなひびが入っていた。

「何であんな大きな的に当たらないのよ!」

ルイズが叫ぶ。どうやら犯人はルイズらしい。
ルイズが魔法を放つのは初めて見たが、本当に爆発するんだな。
しかしノーコンの上にあの爆発力。危ないにも程があるだろう。

ヤツはひびの入った壁を見、再び向きを転身する。
さっきから、逃げようとしたり、此方を迎撃しようとしたりと、本当に忙しいヤツだな。

「ルイズ。どうやったらあの大きな相手をはずせるのよ。器用にも程があるわ! 挙げ句、壁にひびまで入れて! 盗賊の手助けをしても良いこと無いわよ!」
「うるさい、キュルケ!」
311ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:14:10 ID:0ejAoj0m
そう大声で返したルイズだが、様子を見るに明らかに凹んでいる。
当たり前だ。自分が足を引っ張ってしまったことを、露骨に自覚することになったわけだからな。
僕だったら余りの悔しさに、自分を呪う。

しかし、一瞬だが、相手の興味が本塔の方へと戻った。
これは先程、潰されそうになった礼を返してやるチャンスでもある。
僕は急ぎ、相手について解っていることを整理して、対策を練る。
まずわざわざゴーレムの手で防御した点から、新しく防護壁を作ったりする。ということは出来ないようだ。
左手も守りに回すと考えても、完全に守りを固める事は出来ないらしい。
ゴーレム自体は相当な再生力を持っているのか、現状で破壊するのはほぼ不可能。
狙うのはメイジに直接だろう。
となると、なるべく広範囲に渡って、メイジのみを直接攻撃出来る手段。
それなら簡単だ。僕のスタンドで結界を張ればいい。
だとすると、問題が二つある。
まず第一に、こんないつも動いている足場の上では、結界をはれないので、シッカリとした足場が必要だということ。
次に結界を張っている最中、及び攻撃を加えた後は消耗が激しく、全神経を集中させる必要があり、僕自身の動きを止めなくちゃあならないこと。
これらをカバーするには、僕が集中できる状況を作ってくれる協力者が必要だ。

それともう一つ気になることがある。
僕のエメラルドスプラッシュに対し、ガードをしたということだ。
見てガードしたというのであれば、ヤツは最悪、スタンドも使えるという可能性がある。
それも問題だが、もし見えてないとするなら、一度でも僕がスタンドを使っている所を見たことがある相手、つまり学院内の人間という可能性が高い。
例え見えなくても、そのスタンドの起こした事象は見ることが出来るからな。
来ると思ったタイミングでガードすれば、全く不可能でもない。
それに、もし内部の人間であるとするのであれば、こうやって裏手から宝物庫を狙える程度に本塔の構造を知っていてもおかしくない。

となると、ここで逃げられれば、寝首をかかれる可能性もある。
チャンスはおそらくこの一回。
なるべく早く行動に移さなければならない。
そのことが、自分で自分にプレッシャーを掛けてしまう。
できるのか? 僕に。

僕は一旦呼吸を整え、手を何度か握り直す。
そして僕は自分の『ハイエロファントグリーン』を見て考える!
コイツを昔のように誰にも気づかせなくしてやる。
そう! 今の状況を乗り切り、ヤツを倒すため完璧に気配を消してやる!
312ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:15:52 ID:0ejAoj0m
覚悟は決まった。なら、後は一緒に、この勝負に乗って貰う相手を決めるだけだ。
そこで、銅鑼をひっぱたいたかのような空気の揺れが再び身体を伝わる。どうやらゴーレムが再び本塔に攻撃を加えたようだ。
今度は以前と違い、本塔に大きな穴があいている。
時間がないッ! 誰に協力を頼む!?
ルイズ? キュルケ? タバサ? いや、全員どうもここ一番で僕が信用しきれない。

ふと、ギーシュとの決闘の光景が頭に浮かぶ。
才人なら、スタンドも見えるし、フォローも大丈夫だろう。
だが、実力にムラがある。
あの時は青銅製の人形を意図もたやすくなぎ払ったが、今日は木の幹一つ断ち切れなかった。
そんな才人に頼って良いものか、迷う。

「とりあえず、ここから離れましょ」
「退却」
「……」
「おい、ルイズ。大丈夫かよ?」
「……平気よ」

どうやら逃げるという方向で話はまとまりだしているらしい。
それだけはマズイ! 今、撃退できないのは最悪の状況だ。
あの鈍重な動きなら、今の僕でもかわせるかも知れない。
……一人でやるッ!

僕はハイエロファントの触手で竜の首を掴み、飛び降りるための準備をする。

「おい、花京院。一体、何をするつもりなんだよ?」

僕のスタンドを指さし、才人が僕に尋ねる。心底、何をする気か解らないと言った表情だ。
僕は一番上に羽織っていた学ランを脱ぎ、才人に向かって手渡す。

「うわっと!」
「預かっておいてくれ。……思いついたんだ。ヤツをあそこから引きずり降ろす方法を」
「え!?」

僕はそういって、竜の上から飛び降りるッ!
313ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:17:36 ID:0ejAoj0m
「あ!」
「おい!」

才人達は僕の、その唐突な行動に全く反応出来なかったようで、飛び降りてから初めて、何が起きたのか慌てる声が耳に届いた。
しかし僕の身体は既に、順調に重力に支配されている。
身体はかなりの風に当てられ、着ている服がばさばさと波を打つ。
このまま落ちれば、大怪我程度じゃあ済まないだろう。
だが、僕は少しずつハイエロファントの触手を伸ばしながら、身体の減速に勤める。
僕のスタンドは、例え距離が100mあっても人型を保てるスタンド。
自分の身体を減速させつつ降りていくことだって出来るはずだ。

風と重力に身体を支配されながら、僕は竜の首を大きく引っ張る!

「ぎゅいぎゅいッ!」

なにやら悲鳴にも似た鳴き声で竜が鳴く。
重力で加速した僕の体重が首の一点にかかるんだから、仕方がないことだが。
堪えてくれ。後でお肉をやるから。
今暴れられたら僕が落っこちて、地面にグチャァ! となってしまう。

僕は竜が暴れてくれないことを祈りつつ、少しずつ触手を伸ばして地面との距離を詰めていく。
が何度も言うように、僕のスタンドは人間並の力しかでない。
自分の身体を支えるのには、それなりの負担がかかる。
竜が暴れないとしても、油断は出来そうにない。慎重に…

そう考えていた所で、体が軽くなった感覚を覚える。
僕は竜の方を見上げる。
逆光でよくは見えないが、誰かが杖を掲げているのが見えた。
どうやらその誰かが、慌てて僕に魔法を掛けてくれたらしいな。
まだ身体が痛むので、このフォローはありがたい。
僕は心の中で感謝を述べつつ、広場の芝生の上を転がるようにして着地する。

まず、最初の関門はクリアー出来たといった所かな?
さて、後はゴーレムの真上に結界を張り、ヤツが出てきた所をしとめる!
314ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:19:27 ID:0ejAoj0m
僕からゴーレムまでの距離は40mぐらい。
となると結界を張るには少し遠い。
僕は迷わずゴーレムの足下へ走って行く。
ゴーレムの手が届く範囲。
危険だが、其処が僕が彼処に結界を張ることが出来るギリギリのラインだ。
伸びきった触手を、今度はゴーレムの頭上で結界となるように再び、伸ばし、巻き取り、縮めながら網を編んでいく。
それほど網は大きくなくて良い。カバーするのはゴーレムの頭上だけで十分だ。
大体、5mぐらいか? 半径5mエメラルドスプラッシュ……どこかしまらないな。

ゴーレムの拳が飛んでくるラインへと入った。
僕も気を引き締め、ゴーレムへ全意識を集中する。
ゴーレムは僕の方へ、ただ蟻を潰すかのように拳を振るってくる。
アレをかわし続けながら、結界を張るのか……
近くで改めて見たその拳の圧迫感に、思わず屈しそうになる。
鈍重と言っても、それはサイズが大きいからそう感じるだけで、実際は相当早い。スクーター程度のスピードは出てると見て間違いないな。
しかし、たかがスクーター程度の速さと考えれば……。
立ち止まらなければ、捕らえられずに逃げ切れる!

僕は拳の届く範囲を走り回る。
ゴーレムは律儀にその軌道をおいながら、拳を振り下してくる。
しかし、落ちる地点に僕は居ない。
馬鹿正直にまっすぐ行くしか能がない訳じゃあ無いんだ。
僕は人間。だから好き勝手に走り回ることが出来る。
ゴーレムは所詮、プロムラミングされただけの相手。
肩に乗っていたヤツが操作していないというのなら、適当に走り回るだけで何とかなる!

そのまま僕は集中を乱すことなく、ゴーレムの回りを動き回って、ハイエロファントの結界を完成させていく。
ホンの数秒程度、結界を張るにはその程度の時間で良い。
拳を避けながら、触手同士を絡め、解き、編んでいくだけ。
簡単じゃあないか。
慌てるな、慎重に行くんだ花京院典明!

結界は三度、拳が落ちてくる間に完成した。
僕や、僕のスタンドにとってこのくらいは、わけない。
このくらいのことは出来て当然。
後はヤツが宝物庫から出てくるを待つだけだな。
避けに徹するため、僕はトン、と足にいっそうの力を込めた。
その瞬間唐突に、がくんと何かに僕の身体が引っ張られる錯覚がした。

「ぐぇえっ!」
315ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:21:23 ID:0ejAoj0m
今、一体、僕の身体で何が起きた? 何かが喉からこみ上げて……
僕は思わず口元を押さえる。
同時に身体全体に怠さを覚えた。
まるで食事が終わった後にマラソンを走らされたかの様な吐き気がッ、だるさが全身にッ!
どうやら身体、特に中に相当キていたみたいだ。
喉が痛い! 鼻にもクる!
胃液が戻ってきているのか!?
予想外だ。身体に受けたダメージがこうも引きずるなんて……。

だが、足を止めて吐いてしまうわけにはいかない!
今、止まれば僕はきっと、ぐしゃぐしゃになってここに惨めな屍を晒す事になる。
身体が内部からシェイクされるような感覚を覚えながらも、足を動かして、落ちてくる拳をかわし続ける。
早く! 早く出てこい!
一体、ヤツは宝物庫の中で何をしているんだ!

足下が怪しくなり、フラフラとよろめいたすぐ先へ、ゴーレムの拳が落ちる。
ッ……。 今のは危なかった。
結界を張り終えたからといって、余計なことを考えている余裕は無いか。
後のことを考えれば危険だが、ゴーレムの足下まで行けば、多少の余裕は出来るかも知れない。
シューティングとかでも、つっこんだ方が安全な事もあるしな。
だいたい今、ゴーレムは下手に動いたりはしないだろう。
口の中の酸の味を振り切って、僕は其処へと駆けていく。


走ると共に、いっそう気分は悪くなった。
口の中の酸の味が、いっそう強くなる。
視界が一回転し、景色が目まぐるしく動く。強い風が顔に当たる。
何だ!? 一体! 何が起きた!?
何がなんだか解らないが、兎に角、足を動かす。
が、蹴るべき地面がない!

「あばれんなよ! 重いんだから!」

横から声がする。
そこでようやく気がついた。僕は今、抱きかかえられているッ!

逆さまのまま景色は流れ、ゴーレムの足下についた時点で、僕はドスン、と降ろされた。
誰が抱えてくれたのかは、想像がつく。
多分、才人だ。

「無茶すんなよ! 死ぬ気か、お前!」
「才人……」

僕を降ろすなり、才人は僕の方へと怒鳴りつけてくるのだった。

To be contenued……

316ゼロのパーティ(代理):2007/12/05(水) 06:24:06 ID:0ejAoj0m
以上、代理投下完了したッ!

・・・この量なら支援無しでも大丈夫なようだな・・・
317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 07:14:28 ID:xDtg2nqN
『もう・ずっと・人大杉』解除ォォォォォ!!
すげー久しぶりに見れたぜwwww
318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 10:00:32 ID:G3Ha+OTy
GJした!

>>317
専ブラ入れろよw
自分も今回入れたばっかりだけど結構便利だぜ?
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 12:00:04 ID:EYGsBJyV
妖怪六壁坂召喚
320名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 14:03:53 ID:YNqJh2IT
群平がマジオに見えたのはオレだけじゃないはず
321名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 14:33:05 ID:GgNou1AH
>>305
おい!それは俺の文に文句つけてるのかァーーーッ!!答えろォォォォォーッ!!
…なぁ〜〜〜んてね、冗談よ気に入ったわ☆その洞察力よ、その洞察力グーよ!ベリベリィグーッ!

お察しの通りミスです すまないね、オービー君
wikiは問題なく治しておきました
322名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 14:46:05 ID:FkluC8d4
ダービーだ!!2度と間違えるな!
わたしの名はダービー!オービーでもバービーでもない!
こうですか?よくわかりません><;
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 15:02:13 ID:11CRjX3W
すまんねドゥービー君
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 15:09:43 ID:YNqJh2IT
すまんねカービーくん。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 16:53:03 ID:C9BJCS11
すまんねボビー君
あと専ブラは金が掛かるから入れないんだ。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 16:58:46 ID:GgNou1AH
>>325
金壷というもの以外もあってな…
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 17:17:42 ID:FkluC8d4
ギコナビとかじゃダメなの?
328名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 17:45:26 ID:xslqf66a
Janeオヌヌメ
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 17:52:54 ID:1/0hJY/6
金払って専ブラ使ってる人なんてそういない
無料のしらんのかい
330名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 17:55:52 ID:Qui5WX0O
仮面のるいず最高です
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 18:00:41 ID:oQiAMY8W
ゾヌ2使いなんだが、ここを読み込んでくれない…
なぜ?
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:00:26 ID:/HtkTDgf
そろそろギーシュさん分が足りなくなってきたぜ
333名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:02:04 ID:GgNou1AH
移転したからアドレス変えた?
334331:2007/12/05(水) 19:20:01 ID:oQiAMY8W
>333
私のことだったら、あの後すぐに『ゾヌ2』でググッて何とかしたよ。
でも、本家スレの表示が(スレタイが表示されない)やや変。

 …まあいいか。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:46:04 ID:uNWPCbJU
ギコナビで新着が更新されないんだが何でだろう?
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:47:59 ID:EYGsBJyV
ギコナビ使いだがそんなことはないぞ?
板一覧の更新してもだめか?
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:49:35 ID:LEFrTJx2
>>335
自分もギコナビ使ってるが普通に更新されるよ
338名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:51:17 ID:GgNou1AH
ギコナビで板一覧更新おっつかなかったら手動でbord.txt(なんか違う気もする)
のアニキャラ総合のところのアドレスに新アドレスつっこむのが手っ取り早い
そういう点でJaneはめんどうなんだよな jane2ch.brdいじればよかった気がするが
めんどっちいから新板追加で誤魔化してるし おかげで外部カテゴリが肥大化してる
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:52:25 ID:FQLBjzCK
>>325
専ブラ入れてないのは2ちゃんに対する消極的なテロと同義だぞ。
いや、この期に及んで入れてないんじゃ、もはや積極的と言っても過言じゃないか。

さあ、今すぐ専ブラを導入するために旅立つんだ。
話はそれからだ。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 19:53:48 ID:GgNou1AH
ごめんなちゃい board.2chでした
341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 20:12:45 ID:uNWPCbJU
だめだ!全然更新されねえー!
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 20:34:00 ID:95UW77kC
私もギコナビで板一覧更新が出来なかったので、
ボード取得用のURLをホットゾヌの奴にしたら、
更新されるようになりました。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 20:40:17 ID:Xk9WxEtO
今も通用するかわからんが。
ギコナビ使いで更新されない人は
http://zonutan.hacca.jp/bbsmenu.html
を板一覧更新の時に出るURLの所にコピペしてみ。 で更新。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 20:44:28 ID:95UW77kC
もし>343でダメだったら、

http://t139.hp.infoseek.co.jp/bbsmenu.html

で試してみてくださいな。
345風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/05(水) 20:55:48 ID:GgNou1AH
鼻水ズビッ!
にーいちまるまるにたぶん投下する
酒場の名前は女神つながりで適当に決めた 最終候補のルイーダは残念
メガテンから名前持ってこようかと思ったけどやったことないからなあ
346風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/05(水) 21:00:23 ID:GgNou1AH
一行はラ・ロシェールの高級ホテル、「女神の杵」の1階の酒場「ジョディ・ターナー」で休めていた。
ギーシュは酒を飲む余裕も無く、ぐったりとし、ルイズとタバサは嗜み程度にグラスをたまに傾けていた。
キュルケはトリステインワインの利き酒をし、ルイズからこれは任務だと窘められるが気にしない。
ワムウは暖炉の前のソファにどっかりと座っている。

明日の乗船のために桟橋へ交渉に行っていたワルドが帰ってくる。
「アルビオンに渡る船は二つの月が重なる今夜の『スヴェル』の月夜のせいで明日
最も大陸とここが近づく。軍船でもない限り、短い距離でアルビオンの高度まで上がれるだけの
馬力も、大陸の周りを一周して入るだけの風石を積むスペースも確保できないそうだ」
ルイズが声を漏らす。
「そんな…急ぎの任務なのに…」
「慌てることはないさ、明日明後日でアルビオンが落とされると決まったわけではない」
ギーシュは一日いっぱい休めるとわかり、ほっと一息つき、酒に手を出す。
「ちょっとギーシュ、飲みすぎないでよ」
ルイズが釘をさす。
「酒は百薬の長ともいうだろ、体の調子を明後日には戻さないといけないし」
「良薬は口に苦しよ」
「いいじゃないか、ここの酒の一覧を見てみなよ。見ただけでよだれズビッ!だよ」
「ちょっとワルド、こいつになにか言ってよ」
「じゃあ彼が酔いつぶれる前に酒場は引き上げて部屋に行くとするか。
部屋割りはミス・タバサとミス・キュルケで一部屋、もう一部屋はギーシュくんとワムウくん、
あとの一部屋は僕とルイズで構わないかね?」
ワルドは一行に提案するが、彼と同部屋だということにルイズが異議を唱える。
「そんな、ダメよ!わたしたち結婚したわけじゃないんだから!」
しかしワルドは首を振る。
「大事な話があるんだ」


高級ホテルの最上級の部屋だけあって、かなり上等なたたずまいであった。
ロマリアと小さく書かれたセンスのいいテーブルにワルドはつく。
「一杯どうだい、ルイズ」
これまた上等なワインをグラスに惜しげもなくついでいき、ルイズはグラスをテーブルに置く。
「二人に、乾杯」
ルイズは俯いたままグラスを掲げ、小さく高い音が響く。
「姫殿下から頂いた手紙はちゃんと持っているかい?」
「もう、子供扱いしないで」
ルイズは大事そうに包装されている手紙をポケットから取り出す。
「おやおやルイズ、煌びやかなのはいいが、
敵が狙ってきたときそれが目的のものだとすぐバレてしまうよ?」
「心配しないで、本命はこれの下だから」
その包装された手紙の入っていたポケットの裏側に、質素な手紙が縫いこまれていた。
「…ずいぶん、用意周到だね、ルイズ」
「一日あればこれくらいは学園でも用意できるわよ」
「いや、そうじゃなくて…なんというか、失礼かもしれないけど君は、なんというか正直すぎるからね。
筋を通すと決めたら回りも見ずに駆けていくような…そこが君の魅力でもあると思うけどね」
「最近裸足で薄氷の上を突っ込むような奴にあってね、
走る前に靴を結ぶくらいはしておこうと思うようにったのよ」
「なんだか色々あったみたいだね、もしかしてそれはあの使い魔のことかい?
彼ならその上、炎のスクウェアでも持ってこないと止められないだろうね。
なんたって彼は伝説の使い魔、『ガンダールヴ』だからね」
347風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/05(水) 21:01:03 ID:GgNou1AH
ルイズは限られた人間しか知らないそのことを聞かされ、驚く。
「ワルド、知ってたの?」
「どうやらその反応なら間違いじゃなかったみたいだね。野盗どもに襲われたとき手に描かれてあったルーンをみてね、
もしかしてと思ってさっき桟橋で交渉するついでに立ち寄って調べてみたんだが大当たりのようだね。
あれは誰にでも持てる使い魔じゃない、きみは他人には無い特別の力を持っているんだ」
「そんな、冗談はやめてよワルド。爆発を特化して一握りの火薬でも身に付けろって言うの?そんなのごめんだわ」
「そうじゃない、君はまだ目覚めてないだけさ。きみは始祖ブリミルのような歴史に名を残すメイジになるような気がするんだ」

ワルドの熱い口調に、お世辞以上のものを感じ取り、ルイズは俯く。

「なあルイズ、この任務が終わったら結婚しよう」
「へ?」

突拍子の無い、しかしルイズにとっては衝撃的な一言に顔を上げ、呆けた声と顔を見せる。
「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。いずれは国にさえ影響力を持つような、このハルケギニアすら動かすような
貴族になりたいと思っている。それには君が必要なんだ」
「そ、そんな…まだ早いわ…」
「君はもう十六だ、もう子供じゃない。自分のことは自分で決められる年齢だ」

その真剣さに押され、ルイズは少し考えた後、口を開いた。
「で、でも…私はまだそんなあなたに釣り合うような立派なメイジじゃない…父上、母上から町の商人まで
皆に認めてもらえるようなメイジになってないのし、ならなくちゃいけないの。もちろんあの使い魔にも」

「それじゃあ、もう寝ようか。さすがにこれだけの強行軍だ、疲れただろう」
そういってワルドは腰に手を回し、唇を近づけてくる。
しかし、それをルイズは押し戻す。
ワルドは苦笑いをうかべ名残惜しそうに手を離す。
「少し急ぎすぎたようだね、じゃあ寝ようか」

部屋の光は一つに重なりかけている月だけになった。


月は沈み、日が昇る。
ワムウとギーシュの部屋にコンコン、とドアを叩く音が響く。
「どなたでしょーか」
ギーシュが顔を出す。
そこには羽帽子をかぶったワルドがいた。
「あれ、出発は明日でしたよね?」
ワルドはハハハと笑う。
「いやいや、これは任務関係じゃないんだ、あのワムウといったね、ルイズの使い魔に興味があってね」
「ああ、ワムウならいませんよ」
「へえ、ずいぶん早起きなんだね」
「いやいや、昨晩からこの部屋にはいなくて」

ワルドが怪訝な顔をする。
「なに?ではどこにいってるんだね?」
「普通の人間の部屋や寝床ではあわんから適当に探してくるといって窓から街へ」
ワルドは悩みこむ。
「ふむ、彼は見た目によらず火遊びが好きなのかな?それとも見た目どおり酒でも飲み歩いてるのか…」
「どちらも違うと思いますよ、彼は女どころか人に対してまともに接しませんし、酒なんか飲んでるところはみたことないですし」
「ふむ、そうか…すまなかったね、ギーシュ君」

ワルドは頭を抱えながら一階の酒場へと降りていく。
驚いたことに、すでにワムウが暖炉の前のソファに腰掛け、本を読んでいた。
「おはようワムウくん」
「なにか用か?」
「ふむ、君は文字が読めるのか。人間ではないようだが人語を解するし…識字はどこで習ったんだね」
「3時間前からこの剣にわからん部分を聞いていた」
348風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/05(水) 21:01:42 ID:GgNou1AH
壁にはオレっちこんな屈辱的な役立ち方初めてだよと涙声でこぼすインテリジェンスソードが立てかけられていた。
「ふむ、インテリジェンスソードか。しかし、剣に聞いたんじゃ効率が悪いだろう。いくらなんでもその本は早すぎないか?」
「ラテン語に似ている部分もあったんでな、この程度の本はもう読める」

貴族として教育を受けてきたワルドでさえもちょっと敬遠したくなるような厚さの本で、どうみても児童向けや
教育用として適さない物であった。
「君、ぼくをもしかしてからかってるのか?」
「なぜ俺がお前をからかう必要がある」
「…じゃあこの文はなんと読むんだね?」
「『昨今のアルビオン大陸の風石の貿易戦略と歴代王の傾向について』」
「ここは?」
「『トリステインに幽霊が出る――産業革命という幽霊である』」
「…じゃあこれは?」
ワルドは手元にあった紙に筆を走らせる。
「『いいもわるいもメイジしだい、ゴーレムゴーレムどこへいく』」

ワルドはあっけに取られる。
「亜人だっていうのになかなかの知能だね、人間のようじゃないか!」
「人間と我々を比べるな、覚えるだけが知能じゃないだろう」
「しかし驚いた…あの伝説の使い魔『ガンダールヴ』の上に数時間で文字を覚える知力とは」

ワムウが首を傾げる。
「『ガンダールヴ』?俺が読み漁った中にはそんな言葉はなかったが…一般的な語なのか?」
ワルドは明るく笑う。
「なんだ、君は知らなかったのか。始祖ブリミルはわかるかな?」
「ああ、東方に住む強力なエルフの集団に比肩しえる程の能力を持ったメイジらしいな、
それ以外のことが書かれている物もあったが神格化されているためか誇張が多くて信頼できん」
「『ガンダールヴ』とはな、その始祖ブリミルが従えていた四体の使い魔の内の一体で、どんな武器も操ったといわれている」
「そうだそうだ相棒、まさか『ガンダールヴ』に二度も握られるとは思わなかったぜ」
壁のデルフリンガーが口を挟む。

「ふむ、君は以前にも『ガンダールヴ』に振るわれていたのかね?」
「おう、いやーあいつはすごい奴だった。今度の相棒はそれ以上にすごいオーラがただよってるんだぜ、
さっき言ったとおり相棒は武器を操れば今にも増して身体能力があがるんだぜ?」
「ハハハ、剣のクセに持ち主よりよく話すじゃないか、そこでだ、ちょっと手合わせしてみたいんだが」
「手合わせだって?俺とお前がか?」
「軽い決闘みたいなものさ、もちろん僕は杖を使う。君もその剣を使うといいさ」
「よーし相棒、やっと俺の出番か、見せてやるぜ俺のすごさを!」
しかし、ワムウは乗り気ではない。
「明日アルビオンに行くんじゃなかったのか?」

ワムウの発言に再びワルドは明るく笑う。
「言ってくれるね、しかし安心したまえ。多少の怪我なら近くの治療師に頼めばいい」
「その治療師とやらが胴体と首が離れても助けられるか、腹に穴を開けられても助かるほどお前が丈夫ならいいだろう。
そんな覚悟もなしに決闘を挑むのか?『軽い決闘』だと?貴様は戦い、ひいては戦士を侮辱しているのか?」
「これでもグリフォン隊隊長、奇襲ならともかく錆びた剣の使い手に真正面から一撃でやられるなんてことはないだろうさ。
それより僕は風のスクウェア、気をつけるのは君のほうじゃないか?風は急には止まれないよ」
「だ、誰が錆びた剣…」
デルフリンガーを鞘にしまい、ワムウはソファから立ち上がる。
「いいだろう、そこまで言うなら少々遊んでやる、貴様ごときには軽い決闘すら相手にはしない」

ワルドは少々険悪な目でワムウを見据える。
「まあ、なんとでもいうがいい。中庭決闘に丁度いい錬兵所がある。ついてきてくれ」
349風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/05(水) 21:03:01 ID:GgNou1AH

日差しがさす中庭。
ワムウにはあまりいいコンディションとはいえなかった。

先についていたルイズが決闘すると聞き、止めようとする。
「ちょっと中庭に来てくれって、決闘ってなによ!今はそんなことしている場合じゃないでしょう!
両方ともやめなさい!特に、ワムウ」
「彼が言うには決闘でもないよ、ただのじゃれあいさ」
「そうじゃなくて、えーと…その…」
ルイズはワムウを止めるのは無理だと考え、次にワルドのプライドを損ねることなく止める発言を考える。
しかし無常にも彼女が考えている間に両方の準備は整ってしまった。

ワルドは威勢良く叫ぶ。
「では、始めよう!」
ワルドは杖を片手槍のように構え、ワムウに向ける。
ワムウはワルドに向かって、歩き出す。
「余裕なのはいいが、メイジ相手に少し悠長じゃないかい?」
杖から風の刃が数個飛び出す。
ワムウはその間を最小限の動きでかわし、スピードを落とさず歩きつづける。

ワルドは顔色一つ変えずに、もう一度何発か風の刃を放ちながら今度はワムウに接近する。
「遊びだからといってメイジに詠唱させたまま近づけるのは危険だ、覚えておきたまえ!」
言い終えると同時に2メイル程の距離で先ほどより大きい刃を放つ。
確実に当たると思ったが、その直後。

ワムウはその刃をかいくぐり、前にステップする。
2歩目の足が着地すると同時にワルドの脇腹にデルフの柄を叩き込む。
ワルドがくぐもった声を出したと同時に、彼は顔面に回し蹴りを食らい、気絶した。

「決闘ごっこだからといって戦士に無防備のまま近づくのは危険だ、覚えておくんだな。
まだギーシュの方がマシだったな、しかし、15行とは情けないぞ、隊長殿」

もちろんその声は彼には届いていなかった。
ルイズの激昂した声を無視し、ワムウは中庭を出て行った。


To be continued.
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:03:42 ID:zm+KEURT
神砂支援
351風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/05(水) 21:04:07 ID:GgNou1AH
投下終了。
土日に2作のペースなら今年度中に3巻終えられるか…?
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:21:30 ID:UbDNvmZc
15行www
GJ!
353名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:25:07 ID:3Y7JA7X5
GJ!
本当の戦いなら蹴りの時点で食われてたなwww
354名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:31:53 ID:Pz/ZoO3s
15行とかメタなこと言うんじゃない!

しっかしこのワルドはヘタレwww
355ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:36:00 ID:w7mjcb/c
GJ!
15行とはwww
そして後に続くぜワムウ様!投下だ!
356名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:36:41 ID:meBofiSe
よし、こんどは奇妙スレで支援だ!
357ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:38:01 ID:w7mjcb/c
第三十二話 『魅惑のアルバイター』

「さあやって参りました夏季休暇!二ヶ月半に及ぶ長大な期間、学校という檻から解放された生徒たちは真夏の日差しに誘われて今まさにサマー・オブ・ラブ!と言うか誰かわしと一夏の恋のアヴァンチュールを楽しまんか!?」
「はい、以上学院長の挨拶でした」
「え!久々の出番これだけ!」
 そんな挨拶で始まった終業式も無事終わり、生徒たちは帰郷のための荷物を手に正門に集まり始めていた。故郷の領地で羽を伸ばす者がいれば、首都トリスタニアで働く両親の元へ向かう者もいる。
 つかの間の自由を手に入れた生徒たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。
 そして、そんな声を遠くに聞きながら、ルイズの部屋ではちょっとした集まりが開かれていた。
 ルイズがとうとうと話すのを、誰も彼もが黙って聞いている。
「――――と言うわけで、わたしは『虚無』の使い手に選ばれたってわけ」
 始祖の祈祷書を片手に、ルイズはそう締めくくった。それから部屋のみんなを見回す。
 部屋にはいつものメンツが顔を突き合わせていたが、ルイズの話にみな、放心したかのように口を半開きにしている。
「・・・・・・・・・じゃ、じゃあ、この前湖で使った魔法も『虚無』なのかい?」
 呆けた調子のまま尋ねたギーシュにルイズはしっかりと頷いて返した。ギーシュだけではない。キュルケもタバサもモンモランシーも、皆一様に驚いている。
「はあ・・・なんだか、とんでもない話ねえ」
「別に、信じてくれなくてもいいわ・・・・・・」
 キュルケの言葉にルイズはそっぽを向いて応える。絶対に信じてもらえるなどとはもとより思っていない。だが、そんなルイズにキュルケは微笑んで言った。
「信じるわよ。だって、これって極秘なんでしょ?それをあたしたちに話したって事は、あなたがあたしたちを信じてくれたってことじゃない」
「うむ、そうだね。友の信頼を裏切るわけもないさ」
「ま、私はあなたの系統が何だって構わないんだけどね」
「・・・・・・おめでとう」
 皆の素直な感想に、ルイズは背を向けてしまった。しかし誰もそのことを咎めたりはしない。ルイズのその小さな背が小刻みに震えているのを知っているから。
 少なからず恐れはあったのだろう。信頼する者に拒絶されること。それはとてつもなく恐ろしいことだから。ウェザーが優しくその背を撫でてやる。
「・・・・・・まあ、話も終わったことだしあたしたちは退散させてもらうわ」
 キュルケの言葉に従って全員が部屋を出ていくのを、ウェザーがすまなそうに見送った。キュルケが微笑みながら手を振って応える。しばらくルイズの背をなで続けていたが、徐々に収まったのを見計らってしゃべり出す。
「よかったな、認められて。少なくともあいつらはお前のことを『ゼロ』のルイズとは呼ばないさ」
「そんなこと・・・・・・わかってるわよ」
 ぐしっ、と目を擦ってルイズはウェザーの方を向いた。目は赤くまだ鼻をすすっているが、それについてつっこむほどウェザーも野暮ではない。
 ルイズは自分を見られているのが恥ずかしいのか、無理矢理に話題を変更してきた。
「そ、そうそう。明日から夏季休暇に入るんだから、帰省の準備しておきなさいよ」
「ああ、ヴァリエール領だろ?どんなところなんだ?フロリダみたいなところか?それともベガス?LAとか?」
「どこよそれ・・・・・・あたしの故郷はねえ――――ん?」
 ルイズが得意げに語りだそうとした瞬間に、ばっさばっさと一羽のフクロウが現れた。開け放たれた窓を通過して、ウェザーのてっぺんにとまる。ルイズが見上げると、フクロウは書簡をくわえていた。
「あの花押・・・・・・!」
 ルイズは真顔に戻るとジャンプしてその書簡を受け取り、すぐさま中を改める。
「うした?」
 ウェザーが顔を見合わせて尋ねるが、ルイズはそれには答えずに呟いた。
「帰省は中止よ」
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:39:16 ID:meBofiSe
じっくり読むのは後回しにさせてもらうぜ
まずは支援だ
359ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:40:32 ID:w7mjcb/c

 アルビオンは艦隊が再建されるまでまともな侵攻を諦め、不正規な戦闘を仕掛けてくる――――マザリーニ達大臣連中はそう予測したらしい。町中の暴動や反乱の先導といった、こそくな手段を交えて中から攻めてくる。
 現にここ最近の治安は悪化の一途を辿っているらしい。もしもこれが敵の手によるものであるのならば、そうそうに手を打たなければならないのである。
「――――と、手紙には書いてあったわけだが・・・・・・俺らに何をしろって言うんだ?」
「身分を隠しての情報収集任務よ。なにか不穏な活動が行われていないか?平民たちの間ではどんな噂が流れているのか?」
「ふぅん・・・・・・情報戦の様相を呈してきたってわけか」
「でも、地味だわ」
 ルイズがぼやきたい気持ちもわからないでもなかった。今二人は首都トリスタニアに続く街道を歩いているのだ。真夏の日差しが地面に照りつけ、熱と光を反射するために、まるで延々と続く蒸し風呂の中を歩いている気持ちだ。
 ルイズは日よけに帽子を被っていたが、それでも汗が滴ってくる。うっとおしげにそれを拭った。
「あっつい・・・・・・ねえ、涼しくしてよ」
「スタンドの無駄遣い、ダメ絶対」
 同じく汗を流しながら隣を歩くウェザーはにべもなく言い放つ。そもそもルイズの荷物もまとめて持たされているのだからこれ以上注文されるいわれはないのだ。
 あくまでお忍びである以上、馬車も使えず馬も借りられない。頼れるものは自分の足二本だけだった。
「こんな辛い目に遭うんだったら、みんなも巻き込めばよかったかしら・・・・・・」
 みんなとはもちろんキュルケたちのことだ。『虚無』を話した手前、このことも伝えておこうかと思ったが、アンリエッタもそれを見越してかわざわざ手紙の最後の方に"二人で"と強調して書いていた。
 さすがに旧い友人というか、ルイズの性格や行動を把握しているお姫様だった。まあ、貴族然とした輩が何人もいてもこの任務はこなせないだろうが。
「ぼやいていたって始まらんさ。速く歩けば早く休める。きりきり歩けい!」
「ふえ〜ん・・・」
 二人っきりの行軍は続く。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:41:51 ID:meBofiSe
支援を続ける
361名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:41:53 ID:ZsWAIBre
うむ、ワムウは闘いの天才だ、
風の遍在くらい見ただけで真似て数でも勝ちそうだ、
なんてったって風の流法の使い手。
362ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:43:33 ID:w7mjcb/c

 そんな調子でえっちらおっちらと、ようやく街に着いた二人はまず財務庁を訪ね、任務に必要とされる経費として手紙にそえられていた手形を金貨に換えた。
「新金貨六百枚ってことは、四百エキューか」
「あら、あんたいつの間に通貨覚えたのよ」
「ん?最近だよ最近。やっぱりここにいる以上は必要になってくるだろう?」
 それから荷物の中に入れておいた、アンリエッタからの褒美金を取り出し数える。手をつけていないために新金貨丸々残っている。
 ウェザーたちはまず仕立屋に入り、服を探した。街に紛れるのであればそれなりの恰好というものがある。ルイズはいつものマント姿で、「わたくし、貴族でしてよ」と言いふらしているようなものだ。
「まあ、こんなもんだろう」
 ウェザーのセンスで、白い地味なワンピースと明るい色のサンダルを着させる。頭の上には熱中症予防の麦わら帽子。街を歩けば四人ぐらいは似たような恰好の娘を捜せそうな恰好だ。しかしルイズは不服そうだった。
「安物ね」
「はあ?何言ってんだお前は・・・十分良い素材だろ」
「あたしはあっちのシルクのがいいの」
 そう言って指差した所には、つやつやと光る豪華なドレスを着た人形がいた。
「お前はなあ・・・・・・あれ一着で新金貨百だぞ?だいたいあんな服着て街を"お忍びです"って歩いて見ろ。その瞬間にお前は『おつむもゼロ』って二つ名を貰うことになるぜ」
 それはさすがにイヤなのか、ルイズは唇を尖らせながらも黙り込んだ。しかし、すぐに口を開いて別の文句を言い出す。
「それにしたって活動金が少なすぎるわ。馬がなければ満足な奉仕も出来ないし、馬具だっている。宿もしっかりした所じゃなきゃダメよ。この金額じゃあ二ヶ月半泊まったらなくなっちゃうし、他にも色々と入り用でしょう?全然、足りないわ」
 ルイズの言葉にウェザーは口を閉じることが出来なかった。一体何を言っているんだこのお嬢様は、と。
「街には着いたんだ、親から貰った立派な足があるだろうが。歩け。それからこれだけの額が飛んじまう宿ってどんだけスウィートなんだよ。値段を見ながら安宿を探すぞ。ボロかろうがベッドがあれば十分だ」
 ウェザーはルイズのわがままをスッパリと切り払った。
「いいか?お金っていうのはな、気を緩めるとすぐに飛んでいっちまうんだ。衝動買いなんて以ての外だ。買う物のリストは常に作る!品物を見つけても他の店と見比べてから買う!ギリギリまで値切る!これが真の買い物だ」
 ウェザーの熱弁にルイズは思わず引いてしまった。そして思い出す。ウェザーが貧しい家で育ったことを。
(そ、そう言えばウェザーがお金使ってるとこ見たことがないわ・・・・・・。武器屋でも結局タダで貰ってきてたし、姫さまからお金貰ってるはずなのに一度も・・・・・・)
「ほら、わかったら行くぞ。飲み物くらいは許してやるから」
 ルイズはもはや何も言えなかった。

 街の様子を見て回った二人は、中央広場の片隅に休憩がてら座り込み、今後のことを話し合っていた。
「で、情報を集める手段なんだけど・・・・・・花売りって書いてあるわ」
「花売りねえ・・・・・・。だったら街角に立ってるのとあんまり変わらないだろ。もっと色んな職種の人間と接触できる事をするべきだな」
「色んな職種とって、例えば?」
「そうだなあ・・・・・・・・・思いつかん」
 ルイズはため息をつくが、ルイズにもちょっと想像がつかなかったのであまり人のことは言えない。日はまだ高いが、これから宿も探さなければならず、やるべき事は意外と多かった。
「・・・・・・」
 と、ウェザーがやおら立ち上がった。ルイズも何事かと思い立ち上がろうとしてしまう。
「ど、どうしたの?」
「ちょい、トイレ」
 はあ?と気の抜けた声を出してルイズは浮かした腰を再び下ろした。
「荷物を見ててくれ」
「はいはい」
「いいか、ルイズ。何があってもそこにいるんだ」
「はいはい、わかりましたぁ」
 適当な返事を返すルイズに呆れたため息をつきながら、ウェザーは去っていった。途端にルイズは暇になってしまう。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:45:53 ID:meBofiSe
苦労人ウェザーにホロリとしながら支援w
364ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:47:03 ID:w7mjcb/c
「しっかし、暑いわねえ・・・・・・」
 麦わら帽子をいじったり足をぷらぷらさせたり、きょろきょろと物珍しげに辺りを見回したりと、手持ちぶさたにしていたところにいきなり悲鳴が飛び込んできた。
「いてえぇぇ〜〜〜、いってえよおおお」
 搾るような悲鳴にルイズは何事かと視線を移した。と、まだ十歳程度の子供が倒れているのだ。友達だろうか、もう一人少年が心配そうに背中をさすってやっている。
「お、おい!大丈夫かよ?」
「苦しい・・・いてえよお〜〜」
 症状は芳しくないようだ。だが、通りには大勢の人がいるのに、なぜ誰も助けに行かないのだろうか。皆一別もくれずに素通りしていく。薄情な街だ。
「・・・もう!」
 がまんできなくなったルイズがそばに駆け寄る。
「ちょっと、大丈夫なの?どうしちゃったのよこの子」
「あ、お姉さん!助けてください!こいつ胃に病気持ってて・・・・・・」
 成る程、先ほどから腹を押さえて蹲っているのはそのためか。
「そこのベンチに座って休ませたいんだ。手伝ってください」
「いいわ。そっち持って」
 ルイズは純粋な正義感からその少年の肩を担いだ。両脇から挟まれるようにして少年はベンチに横たわった。すると、少し楽になったのか表情が和らいでいく。
「本当にありがとうございます!本当に・・・このご恩は一生忘れません!」
「い、いいわよ。そんな大げさな」
 ルイズは気恥ずかしげに手を振った。
「いえ、本当に、本当に"ありがとうございました"」
「じゃ、じゃあわたしは戻るから、お大事に」
 踵を返したルイズは満足げにほくそ笑みながら元の位置に帰ってきた。
「あれ?」
 しかし、そこにあったはずの荷物が無い。場所を間違えたかと辺りを見渡すが、間違いなくここに置いたはずだ。
「え・・・うそ、なんで!」
「スられたな」
 慌てるルイズの後からウェザーが声をかけた。手を拭きながら辺りを見回し、それからルイズに視線を戻す。
「す、スられたって・・・・・・なんで?」
「何でもクソもねえよ。金目のもんがあるから盗むんだろうが」
 ウェザーはため息を一つこぼしてからルイズに問うた。
「何してた」
「えっと、子供が苦しんでたから助けてて・・・・・・人助け?」
「それだよ。お前が離れた隙に別の仲間が持っていったんだ」
 ルイズが振り向けば、案の定少年たちはずらかった後だった。ウェザーは再びため息を付く。
「言ったはずだぜ?『何があってもそこにいろ』って」
「で、でもあの子苦しがってて・・・・・・だいいち、周りに人がいるにもかかわらず誰も助けに行かないから仕方なくわたしが・・・・・・」
「お前、前に俺に言ったよな、街にはスリが多いって・・・・・・」
「え?う、うん・・・・・・あっ!」
「この街の奴らはあのガキ共が窃盗グループだって知ってたのさ。奴らの狙いは端ッからお前だったんだよルイズ。きょろきょろしてりゃあ余所者ですって言ってるようなもんだ」
「だ、だってしょうがないじゃない!人助けがいけないなんて・・・・・・」
「ああ、お前の行動は人として正しいよ。道徳的だ。でもな、世の中にはその道徳を食い物にして生きてる輩もいる。だからお前は正しかったが、『騙される方が悪い』っていうのが世の常なんだよ」
「あぅ・・・・・・」
 ルイズはガックリと項垂れた。
「まあ、勉強代だと思って諦めな。足のつきそうな物は捨てられちまうだろうし、取り返そうにも情報がない。ま、昨今の治安の悪さを肌で体験できましたって報告は出来そうだがな」
 当然そんなことが出来るはずもなく、ルイズはますます意気消沈してしまった。極秘の任務である以上、誰かに助けを求める訳にもいかない。事態は一気に悪い方向へ向かい始めていた。
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:48:59 ID:meBofiSe
支援
366ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:52:03 ID:w7mjcb/c

 そして結局夕方まで二人はそこを動くことはなかった。サン・レミの聖堂が六時の鐘を打つ音が街に響き渡る。オレンジと影に彩られた街が静かに夜の装いへと変わり始めているようだ。
 きゅるるるぅぅ〜〜
 情けない音が鐘に紛れて聞こえてくる。
「お腹空いた・・・」
「そうだな」
「冷えてきたわ・・・」
「そうだな」
 先ほどから会話になっているのかギリギリの二人だった。
「・・・・・・その、ごめんなさい」
 ルイズはしゅんとして頭を下げた。だが、ウェザーはその頭に手を置くだけで怒鳴りはしない。
「まあ、しょうがないと言えばしようがないさ。お前を一人にしたのは俺のミスだ」
 だが、ルイズは精神的ショックに加えて空腹に襲われ泣きたい気分だった。と、二人の足下に何かが投げ込まれた。足元を見てみればどうやら銅貨らしい。
 ウェザーは拾い上げたが、ルイズはかなり憤慨した様子で怒鳴った。
「だれ!でてきなさい!」
 すると人ごみの中から奇妙ななりの男が現れた。
「あら?物乞いだと思ったんだけど・・・違ったかしら?」
 言葉遣いが妙になよなよしいと言うか、女言葉全開である。しかし話し方を声が完全に裏切ってはいたが。
「ものご・・・!あんたそこに直りなさい!わたしは恐れ多くも公爵――――」
 そこまで言おうとしたが瞬時に口内にウェザーの手が突っ込まれて塞がれる。
「こーしゃく?」
「いい。気にするな。講釈垂れるのが趣味なちょいとおつむがアレな娘だから」
 むごむがとルイズは暴れるがウェザーに完全に押さえ付けられているために喋れない。もっとも、これ以上喋らせたらお忍びどころか裸の王様もびっくりの注目を浴びてしまう。
 しかしすでに男は二人を興味深そうに見つめていた。男も男で偉い派手な格好をしていた。ギーシュも派手だがこれはベクトルが四次元あたりを向いている。
 黒髪をオイルでなでつけ、大きく胸元の開いた紫のサテン地のシャツから剛毛がのぞいていた。鼻の下とシュワルツネッガーもびっくりの割れ顎に小粋な髭が乗っかっている。キツイ香水の香りに思わず眉をしかめてしまう。
「じゃあなにやってるの?」
「衣食住を求めて彷徨ってたんだよ。いや、衣はいらねえか・・・」
「物乞いじゃ、ないわよ」
 ルイズがキッパリというと男は二人を交互に見つめて頷いた。
「そう・・・・・・ならうちにいらっしゃい。わたくしの名前はスカロン。宿を営んでいるの。よろしかったらお部屋を提供するわ」
「おお、本当か!」
「ええ、でも条件があるの」
「貧乏人にも出来ることならなんなりと」
「一階でお店も経営してるの。そのお店を、二人が手伝う。これが条件。よろしくて?」
 ルイズは唇を尖らしているが、ウェザーの視線にとうとう折れた。
「・・・・・・わかりました」
「トレビアン」
 スカロンは両手を組んで頬によせ、唇を細めてにんまりと笑った。オカマみたいな動きである。いや、確実にオカマだ。と言うか、トレビアンって何よ。その服のセンスってどうなの。なぜにオシャレヒゲ?
「じゃ決まり。ついてらっしゃい」
 ルイズがどこからツッコんでやろうかと考えている間にスカロンはさっさと歩き出してしまった。パリコレのモデルのように腰をくねらせながら歩く背中は無駄に逞しい。
「なんだかヤバそう・・・・・・」
「選り好みできる立場かよ」
 青ざめているルイズの手をウェザーが引いてくれなければルイズは動くことが出来無そうだった。
367ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:54:33 ID:w7mjcb/c

「いいこと!妖精さんたち!」
 スカロンが、腰をきゅっと捻って店内を見回した。
「はい!スカロン店長!」
 色とりどりの派手な衣装に身を包んだ女の子たちが、いっせいに唱和で答えた。
「ちがうでしょおおおおおお!」
 スカロンは腰を激しく左右に振りながら、女の子たちの昭和を否定した。
「店内では"ミ・マドモワゼル"と呼びなさいって言ってるでしょお!」
「はい!ミ・マドモワゼル!」
「トレビアン」
 カクカクと腰を振りながらスカロンは嬉しそうに身悶えした。おそらくあの腰は頭とは別の所にスイッチがあるんだな、などとウェザーは考えていた。自分達を連れてきた中年男性は明らかにブッ飛んでいる。
 しかし店の女の子たちは慣れてでもいるのか、表情一つ変えない。逞しい限りだ。
「さて、まずはミ・マドモワゼルから悲しいお知らせ。この『魅惑の妖精』亭は最近売上げが落ち込んでいます。ご存じの通り、最近東方から輸入され始めた『お茶』を出す『カッフェ』なる下賤なお店の一群が、わたしたちのお客を奪いつつあるの・・・・・・ぐすん」
「泣かないで!ミ・マドモワゼル!」
「そうね!『お茶』なんぞに負けたら、『魅惑の妖精』の文字が泣いちゃうわ!」
「はい!ミ・マドモワゼル!」
 するとスカロンはテーブルの上に飛び乗り、関節の限界に挑戦するかのようなポージングを決めた。
 バアァ―――z___ン!
「魅惑の妖精たちのお約束!ア〜〜〜〜ンッ!」
「ニコニコ笑顔のご接待!」
 ドオオオオオンッ!
「魅惑の妖精たちのお約束!ドゥ〜〜〜〜ッ!」
「ぴかぴか店内清潔に!」
 ドッギャアァ―――z___ンッ!
「魅惑の妖精たちのお約束!トロ〜〜〜〜ワッ!」
「どさどさチップをもらうべし!」
「トレビアン」
 女の子たちの掛け声に合わせてポージングを変えていたスカロンが満足そうに微笑んだ。ウェザーはツッコミたくてしょうがなかったが、周りの娘たちが平然としているのを見ると自分がおかしいのではと思いとどまってしまうのだ。
「さて、妖精さんたちにステキなお知らせ。今日はなんと新しいお仲間ができます」
 一気に女の子たちがざわめき出す。どこでも女の子の反応というのはあまり変わらないらしい。
「じゃ、紹介するわね!ルイズちゃん!いらっしゃい!」
 拍手に包まれ、羞恥と怒りで顔を真っ赤にさせたルイズがあらわれた。
 店の髪結い師によって桃色のブロンドを結われ、横の髪を小さな三つ編みにしていた。きわどく短いホワイトのキャミソールに、コルセットのような上着が密着し、身体のラインを浮かび上がらせている。
 背中がざっくりと開いて、熟し切らない色気を放つ。何とも可憐な妖精のような、その姿であった。
「ルイズちゃんは、お父さんの借金のかたにサーカスに売り飛ばされかけたけど、間一髪お兄ちゃんと逃げてきたの。とっても可愛いけれど、とっても可哀想な子よ」
 同情のため息が女の子の間から漏れる。もっとも、それは当然デタラメである。道すがら考えたものであり、容姿やら何やら色々と似ていずにおかしいところはあるが、幸いスカロンはその辺にあまりこだわらなかった。
(そもそも、俺とルイズは兄妹っつーか、親子だよなあ。年齢的には)
 なんてことを考えているうちに、ルイズの挨拶が始まっていた。しかし、あのプライドの高いルイズが、あんな恰好をさせられて、しかも平民に頭を下げろと言われているのだ。いつ暴れ出すかわかったものではない。
 とは言え、ここを追い出されては任務どころではなくなってしまう。アンリエッタの期待に応えたい気持ちと責任感が、ルイズの怒りを内面だけに抑えてくれていた。拳は震えているが。
「ルルル、ルイズです。よよよ、よろしくお願いなのです」
「はい拍手!」
 一段と大きな拍手が店内に響く。スカロンは壁にかけられた時計を見つめた。開店時間だ。指を弾くのを合図に、店の隅の魔法細工の人形たちが派手な演奏を始め、スカロンも興奮したように捲し立てた。
「さあ!開店よ!」
 ばたん!と羽扉が開き、待ちかねた客たちが雪崩れ込んできた。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 21:54:45 ID:meBofiSe
良い感じで話が転がりだしたなぁ
支援続行
369ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:57:36 ID:w7mjcb/c

 ウェザーたちが雇われた『魅惑の妖精』亭は一見ただの居酒屋だが、かわいい女の子が際どい恰好で給仕をしてくれるので人気の店であった。スカロンはルイズのその容姿に目を付け、連れ込んだのである。
 で、そのルイズはどうしているかというと、
「・・・・・・ご、ご注文の品、お持ちしました」
 引きつった笑顔を必死に浮かべて、ワインとグラスをテーブルに置いていた。目の前では、にやにやと下卑た笑みを浮かべた男がルイズを見ている。
「おう、来た来た。じゃ、注いでもらおうか」
 平民にへいみんにHEIMINに酌?貴族のわたしが?きぞくのわたしが?KIZOKUNOWATASIGA?
 屈辱に煮えたぎったルイズの頭はもはやまともな言葉を出すことすら困難であった。
「あん?どうした?いいから注げって言ってんだろ?」
 ルイズは おおきくいきを すいこんだ!
 深呼吸で気持ちを落ち着かせ、これは任務、任務、姫さまのため・・・・・・、と呪詛のように呟き、なんとか笑顔をつくる。
「で、ではお注ぎさせていただきますわ」
「ふん・・・・・・」
 ルイズはビンを持ち、グラスにゆっくりと注いでいく。が、怒りで震えていたために狙いがはずれ、ワインが男のシャツにこぼれてしまった。
「あ、テメ、こぼしやがった!」
「す、すいませ・・・・・・ん」
「すいませんですむか!・・・・・・・・・でもお前、胸はねえけど割と別嬪だな」
 じろじろと見つめられているルイズの顔から、さぁーっと血の気が引いた。
「気に入った。じゃ、ワインを口移しで飲ませてもらおうかな!それで許してやるよ!あっはっは」
 と、ルイズはその口にワインを含むと、笑っている男の顔面に向けて吹きかけた。
「なにすんだこのガキ・・・・・・え?」
 ドズン!とテーブルを踏みならして片足をかけたルイズの迫力に、男はたじろいでいた。
「げげげげ下郎。あああああたしはねえ、おそれおおくも、こここここ、こうしゃ――――」
 公爵家と言いかけた瞬間に、ルイズの後からスカロンのタックルが決まり、ルイズは軽々と跳んでいってしまった。
「ご〜〜〜〜めんなさぁ〜〜〜〜い!」
 男の隣にどっかと腰掛けると、逃げようとする男の腰を掴んで問答無用に男のシャツを布巾で拭き始めた。
「な、なんだよオカマ野郎・・・・・・てめえはお呼びじゃあ・・・・・・」
「いけない!ワインで濡れちゃったわね!ほら、ルイズちゃん!新しいワインを持ってきて!その間はぁ・・・・・・とっくべつにこのキング・オブ・妖精こと、このミ・マドモワゼルがお相手つとめちゃいま〜〜〜〜っす!」
「いや、それ普通はクイーン・オブ・妖精じゃ・・・・・・ちょ、ま、待て!や、やめ・・・アーッ!」
 逃げだそうと試みていた男だったが、スカロンの怪力の前にあえなく捕獲。問答無用の究極接待の餌食となった。周りの客も笑っているだけで、助けにはいかない。
 男の悲鳴で我に返ったルイズは、慌ててワインを取りに駆け出していった。
370ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 21:59:45 ID:w7mjcb/c

一方ウェザーはと言うと・・・
「〜〜〜〜♪」
 鼻歌交じりに食器を洗っていた。ウェザーも宿を借りている身なので当然なにかしらで返さなければならない。そしてそれが店での下働きであった。
 店は繁盛しているので山のように食器が運ばれてくるというのに余裕の表情である。
 それもそのハズ。店の刺繍が入ったエプロンを身につけたウェザーの手の動きはかなり素早い。しかもそれだけではない。皿洗い用の布につける洗剤は限りなく少量。水も新しいものを流すのではなく限界までためた水を使い節水を心がけている。
 皿を洗う際は汚れを落とすための強さで洗い、決して食器を傷つけることは許さない。そして洗い終わった食器を手早く拭いていき、丁寧に重ねていく。そこまでの流れは破壊力E(汚れを落とす力はA)・スピードA・精密動作性Aであった。
 気づけばあれだけあった洗い物はウェザーの手際の前に全滅していた。ウェザーは洗い終えた食器を一枚手に取りその面を指で擦る。きゅきゅっ、という小気味いい音が耳朶に届き、思わず笑みがこぼれる。
 するとそこへ派手な格好の少女が現れた。長いストレートの黒髪に太い眉が活発な印象を与える可愛らしい子である。年の頃はルイズと同じか少し上だろうか。いや、そもそもルイズの見た目は当てにならなかった。
 胸元の開いた緑のワンピースを着ており、その開放された地区の谷間は否応なしに目に入ってしまう。
「ほーら新入り、お皿追加――――って、もう終わったの!?」
 少女は驚いた様子で食器を置くとウェザーの手から皿をひったくりウェザーと同じように擦って確認した。むむむ、と神妙な顔つきで唸ってからころっと笑顔に変えて皿を返す。
「すごいじゃない!完璧よ完璧!慣れない新人君に手解きしようかと思ってきたのに、これじゃあ逆にあたしの『自信』ってヤツが粉々だわー」
「ふふん、舐めるなよお嬢ちゃん。俺はこう見えて皿洗いの経験は豊富なんだぜ」
 そう。ウェザーは貧しい家の育ちゆえに、多くのバイト経験を持ち、皿洗いやウェイター、運搬などは完璧にこなせたりするのだ。多くの経験と努力の積み重ね。たかが十円に一喜一憂した日々。これがッ!これがッ!これが『時給戦隊アルバイター』だッ!
 すると少女は感心したように目を見開くと、からからと笑い出した。
「あっはは、すごいねあなた。即戦力は大歓迎だよ。でもあたしはお嬢ちゃんじゃなくてジェシカって言うんだ。おにーさんは?」
「ウェザー」
「ヘンな名前」
「面と向かって言うかよ・・・」
 そんなやり取りをしていたらジェシカがウェザーの横に立ち皿洗いを始めた。ウェザーほどではないがそれでもかなりの手際である。ウェザーも手を動かし始める。今度はさっきよりも速度を落としてジェシカに話しかけながらだ。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:01:23 ID:UYi76NCx
しえん
372ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:02:06 ID:w7mjcb/c
「しかしお前こんなとこで油売ってていいのか?」
「いいのよ。だってサボりに来たんだもん」
 疲れちゃってねー、と屈託なく笑うジェシカ。
「素直でよろしい」
「お、話が分かるねー」
 その後も下らない話をしながら二人で皿をかたしていく。
「そう言えば皿洗いの経験豊富みたいなこと言ってたけど、やっぱワケあり?」
「まあな。ウチは貧しかったから、働いて家に入れないといけなかったし、欲しいものとかデート資金とかのためにもっと働かなきゃならなかったからな」
「へー、大変だったのね。でも、ここにいる子はみんなワケありなんだから特にいじられたりはしないよ。で、ワケありと言えばあの子、ルイズって何者なの?ていうか、兄妹はないでしょー」
「あー・・・・・・わかっちまうもんか?」
「そりゃあね。似てるところがなさすぎ。信じてる人いないわよ。そもそも、ウェザーってお兄さんって歳じゃないでしょ?」
 ウェザーの手が思わず止まる。
「あたしの見立てでは三十そこそこってところなんだけど、どう?当たってる?」
 ウェザーはジェシカの顔をまじまじと見つめてしまった。
「・・・年齢がばれたのはお前が初めてだよ」
「あたしってここの女の子たちのまとめ役だしさ、仕事柄色んな人見てるから、人を見る目には自信があるんだ。あ、それとパパもとっくに気づいてるわよ」
「ほー。・・・・・・パパ?」
「そ。あったしー、スカロンの娘だもん」
 ウェザーの手からスポンジ代わりの布がずり落ちて、べちゃっと床に張り付いた。ウェザーは頭を押さえて考えてから尋ねる。
「それは・・・養子的な意味で?」
「ううん。実子よ。正真正銘」
 あのモンスターからこんな可愛い子が生まれるとは・・・・・・
「じ、人類の夜明け・・・・・・」
「?何それ」
 と、そこへスカロンが顔を表したのだ。噂をすれば何とやら。
「こーら!サボってたらダメでしょジェシカ!働きなさい!これからが本番よ!」
 はーい、と答えたジェシカは店の方に向かう。と、途中で振り向いて、
「でもあたしって結構年上好みなのよねー。おじさんの相手ばっかりしてるからかしら?」
と言って花のような笑顔で手を振り出ていった。もっとも、職業柄のおべっかだろうが。
373ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:05:16 ID:w7mjcb/c

「えー、では、お疲れさま!」
 店が終わったのは、空が白み始めた朝であった。慣れない仕事にフラフラのルイズは、ウェザーの裾につかまって半分寝ていた。瞼を開いているのが苦痛でしょうがないのだ。
「みんな、一生懸命働いてくれたわね。今月は色をつけといたわ」
 歓声が上がり、店の女の子や厨房のコックたちに給金が配られ始めた。どうやら今日は給金日であるらしい。
「はい、ルイズちゃん。ウェザー」
 わたしたちももらえるの!とルイズの顔が輝き、袋を逆さにしてみた。わたしったら貴族なのにこんなことさせられたんだから、それ相応の額よね!と期待に胸を膨らませながら。ところが、出てきたのは紙切れ一枚だった。
「なに、これ?」
「請求書よ。ルイズちゃん、あなた何人のお客さんを怒らせたと思ってるの?」
 なんてことだ、と意気消沈したルイズはウェザーを見上げた。こいつもきっとガッカリしてるんでしょうねー、なんて事を思いながら。だが、ウェザーの手の中のものを見て、ルイズは我が目を疑った。
「あ、あんた何でそんなにもらってるのよ!」
 ウェザーの手の中には確かにお給金があった。なぜ自分だけ請求書で使い魔のウェザーには給金を出すのかと、ルイズはスカロンに食ってかかろうとしたが、出鼻を挫くようにスカロンは言った。
「ウェザーは皿洗いだけじゃなく、頼まないでも掃除をしてくれたりと大変お店に貢献してくれたから、ミ・マドモワゼルからの感謝と愛の分が入ってるわ」
「愛の分はさっ引いてくれ」
「でも、いいのよルイズちゃん。初めは誰でも失敗するわ。これから一生懸命働いて返してね!」
 項垂れるルイズに、スカロンは優しく諭したが、ルイズはそれにため息でしか答えることは出来なかった。

 その夜、二人にあてがわれた部屋を見てルイズは再びため息を付いた。
 そこは屋根裏部屋で、どう控えめに見ても人が暮らす機能を備えてはいなかった。埃っぽく薄暗いそこは、壊れたタンスに歪んだ椅子、酒瓶の入った木のケースや樽と言ったものが雑多に置かれた、ようするに物置であるらしい。
 奥の方に粗末な木のベッドを見つけて、ルイズが腰を下ろすが、足が折れてどすんと傾いた。
「なによこれ!」
「ベッドだろう。廃材じゃなければな」
 蜘蛛の巣を払ってウェザーが小さな窓を開けると、蝙蝠たちが雪崩れ込んできて梁にぶら下がった。
「なによそれ!」
「同居人だろう。先客だから上座は当然なんだろうな」
 ウェザーに動じた様子が全くないことにルイズの苛立ちは大きくなるばかりだ。ウェザーは無言で毛布の埃を払い、ベッドに敷き直す。
「ほら、寝るぞ。スカロンが言ってたろ。俺は昼には起きて仕込みだから。お前は店の掃除な」
 ベッドに横になったウェザーがぺしぺしと自分の隣を叩いて促す。その仕草にルイズの顔が赤くなっていった。
「い、一緒のベッドで寝る気なの?」
「そりゃあこれしかベッドがないからな。仕事があるから俺もグッスリ寝たいし・・・・・・だいたい湖の時に一緒に寝てたろ?」
 あれは勢いというか、他のみんなも一緒だったからできたある意味奇跡だ。アニエスに対抗したと言ってもいい。ルイズはむ〜〜、とか、う〜〜と唸っていたが、やがて観念したかのようにベッドに潜り込んだ。
 もぞもぞと動きながら枕を探すが見あたらない。見ればウェザーが一人で使ってしまっているのだ。ご主人様を差し置いて枕を独り占めするとは何事かと、「枕」と強めに言い放った。
「ん?ああ、そうか。すまんすまん」
 そう言って差し出されたのはウェザーの腕だった。一瞬、ルイズの思考が止まる。それからちらっとウェザーを見たが、すでに目を瞑って寝ようとしているらしい。結局ルイズは頬を熱くしたまま腕を枕に横になった。
 すると、ウェザーが頭を撫で始めたのだ。最初は戸惑ったルイズだったが、その温かさに安心感を持ち始めていた。
(まあ、夏期休暇中ずっと一緒にいられるのは・・・嬉しいかな。もしかしてウェザーも・・・・・・なんてね)
(親子か・・・・・・あながちはずれてねえな。俺も人の親になれるんだよなあ)
 噛み合わない二人は、疲れに引き込まれるようにゆっくりと眠りについていった。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:07:16 ID:zm+KEURT
風虚無の人の酒場の名前ってテラフルハウスw支援
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:08:21 ID:meBofiSe
苦労人だ、やっぱり苦労人だよウェザーw
といいつう支援
376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:08:42 ID:zm+KEURT
ジョディをディジェと読み間違えたorz支援
377ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:08:58 ID:w7mjcb/c

 しかし、ルイズの安息は長くは続かなかった。
 次の日からもウェザーは裏で、ルイズはホールでそれぞれ仕事をしているのだが、ある日、ルイズは客たちの自分への評価を理解した。
 一つは色々と小さいルイズを見て、この店はガキを使っているのかと怒る連中。
 もう一つは、特殊な性癖の持ち主で、積極的にルイズに絡み、お触りに挑戦する連中。
 共通点としては、どちらも結局ルイズのサービスによって両の頬に真っ赤な手形をつけて帰ることだろうか。もちろん、その後でルイズはスカロンに呼び出され「ここで他の女の子のやり方を見ていなさい」と隅に立たされるが。
 見てみれば、なるほど、他の子たちは巧みだった。ニコニコと微笑み、決して怒らない。相手を誉め、持ち上げ――――しかし決して一線を越えさせはしないのだ。男たちはそんな娘たちの気を引くためにチップをはずむ。
 たとえチップを貰えようとも、あんなことできるわけないじゃない!
 メイジは貴族のこの世界、生まれたお家はヴァリエール。恐れ多くも公爵家!領地に帰ればおひいさま!のルイズである。たとえ世界が一巡したってあんなお愛想はかませない。
 わたしは何をやっているのだろうかと疲れが増した気がしたルイズは、ウェザーの所にでも行くかと厨房の方に体を向けた。
 しかし、そこにいたのはジェシカと楽しげに話しているウェザーの姿だった。
 ウェザーが大仰な仕草で冗談でも言ったのか、ジェシカはその長い黒髪を揺らして笑い転げる。お腹を押さえながらウェザーの横っ腹を小突いてまた笑い出す。二人で。とても会って数日とは思えないような親密度だ。
 なによ、ご主人様が屈辱に歯噛みしているっていうのに、あんたは女の子と楽しく雑用ですか。ああそうですか!ここに来てから毎日色んな娘と話してるわよねえ、あのスケベ・・・・・・
 気づけばルイズの足は床を踏み鳴らしながら進んでいた。

 ウェザーがゴミを裏口から外へ運び出したとき、ゴミの山のてっぺんにやけに綺麗な封筒が落ちているのを見つけた。いや、置いてある、と言うべきだろうか。そこには"ウェザーへ"と書いてあったのだ。
 ゴミを置いてからその封筒を手に取る。別段変わった風でもないが、少し重い。中に何かが入っているようだ。ウェザーは警戒するでもなく封を切り、封筒の中を手のひらにひっくり返した。
「これは・・・・・・土?」
 その土はウェザーの手の中からこぼれて地面に落ちる。ウェザーはしばしその土と睨めっこをしていたが、やがて封筒を破り捨てて戻っていってしまった。
 戻って早々、何度目かの皿がひっくり返される音を耳にして、ウェザーはため息をついた。案の定ルイズがやらかしたのだ。何をやってるんだあいつは。
 その時、いきなり視界が何かで塞がれて真っ暗になってしまった。
「だーれだ?」
「・・・・・・またサボりか、ジェシカ」
 目を覆っていた手を掴み振り向けば、イタズラっぽい笑みを浮かべたジェシカが立っていた。後から飛びついて手で視界を隠していたのだ。
「よくわかったわね」
「そりゃあお前・・・・・・こんなガキ臭いことするのはここじゃお前だけだからな」
 さすがに胸が当たってたからとは言えなかった。
「え〜?本当は胸でわかったとかじゃないの〜?」
 確信犯か、こいつ。
「ま、これもサービスサービスぅ!」
 ジェシカは胸を寄せて上げてみせる。それも面白いくらいに谷間が強調されるのだ。
「あ、そうそう!あったしー、わかっちゃったのよねー」
 得意げに指を立ててそう言う。ウェザーが促すと、自信満々に続けた。
「ルイズ。あの子、貴族でしょ!」
「その心は?」
「あの子ってばお皿運びの仕方も知らなかったのよ?おまけに妙にプライドが高いし、何だかあたしたちのこと見下してる節があるのよね。微妙なところだけど。どう?あたしってば人を見る目は人一倍なのよ!」
378ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:12:38 ID:w7mjcb/c
 まあ、確かにルイズの平民っぷりは酷いものがある。遅かれ早かればれるかと思ってはいたが、予想以上の早さにウェザーは苦笑いするしかなかった。そしてジェシカはそれを正解だと受け取ったらしい。
「だーいじょーぶ!誰にも言わないから。でも、何か事情があるんでしょ?なになに?」
 まるで好奇心の塊だ。にかにか笑いながらウェザーに詰め寄ってくる。どうやってはぐらかすか。
「ふう・・・・・・ばれちゃあしょうがない。そうさ、俺とルイズはただの平民じゃあない。実はだな、胸に七つの傷を持つ男を捜しているんだ」
「それってパパのこと?」
「伝承によれば、『ホクトアラワルルトキ ナントミダレル』・・・なにィッ!?」
「うっそー。無いわよそんな傷。商売柄パパも肌には気を遣ってるからねえ」
「肌って・・・・・・あれが店に出ること自体が営業妨害じゃねえか・・・・・・」
「ひどいわね。あれでも優しい、良いパパなのよ。お母さんが死んじゃった時に、じゃあパパがママの変わりにも努めて上げるって言い出して・・・・・・」
「トレビアンか」
 ジェシカは頷いた。
「で、パパのことはいいのよ。ウェザーが貴族の娘と何をしてるのか、それを知ることだけが満足感よ。だから、ねえ・・・」
 ジェシカは体をくねらせてウェザーの体にすり寄ってきた。わざわざ胸が腕に当たるように調整している辺りが確信犯的だ。
「下心丸見えの誘惑に乗るほど飢えてねえよ」
「あっそ」
 あっさりとジェシカは引き下がった。と、まさに紙一重のタイミングで今さっきまでジェシカの頭があった場所にグラスが飛んできた。目標を見失ったグラスはそのまま壁にヒットして粉々になる。
 ウェザーが視線を移すと、真っ白なキャミソールを着たルイズがグラスを投げた姿勢のまま震えていた。
「ちょっとルイズ、あんた何してんのよ!店のグラスを投げるなんて!だいたい接客は?まだ仕事中でしょ?」
「うっさいわよ!だいたいアンタだってサボってるじゃないのよ!」
 するとジェシカは、ポケットから銅貨を一掴み出して見せた。
「あたしは休憩してるの。ちゃーんと仕事した人間には当然与えられるべき権利よ。で、ルイズは?どれだけ働いたのか、教えてみなさいよ」
「か、関係ないでしょそんなの!」
「大ありよ。わたし、女の子の世話役でもあるんだから。迷惑なのよ。客は怒らせるわ注文一つ取れないわ、グラスも投げるし」
 ジェシカのもっともな意見にルイズはそっぽを向いて唇を尖らせる。
「ま、ガキに酒場の妖精は務まらないって事ね」
「ガキじゃないわよ!十六だもん!」
「え?あたしと同い年だったの?」
 ジェシカは本当に驚いたのか、目を見開いていた。そしてルイズの胸を見て、自分の胸を見る。ぷっ、と口を押さえる。
「ま、頑張ってー。期待してないけど。でも、これ以上やらかしたら、クビだからね。たとえどんな身分だろうと」
 ルイズの肩を叩きながらそう言って、ジェシカはホールに足を向けた。
「じゃ、まったねーウェザー!」
「しっかり稼げよ」
 ルイズに見せつけるかのように投げキッスのおまけを付けてジェシカは去っていった。しかしルイズの怒りは収まらないようだ。
「な、なによ・・・・・・なんでバカ女っていうのは揃いも揃って胸を比べるのよ!ちょっと、ウェザー!あんたもなに普通にいちゃこいて馴染んでんのよ!わたしたちの目的を忘れてんじゃないでしょうね」
「情報収集のためには当然だろう?それから、ジェシカの言うとおりだ。お前ちっとも店に馴染もうとしない。暴れて目立って・・・お前の方が目的を忘れているんじゃないのか?真面目にやれよ」
「やってるわよ!」
 ウェザーは黙ってルイズの目を見つめる。その視線に気圧されてしまったルイズは、とうとう癇癪を起こしてしまった。
「もういいわ!やってらんない!」
 肩を怒らせながら二階への階段を上がっていってしまった。姿が見えなくなってから、ウェザーはため息を一つつく。
「やれやれ・・・・・・」
379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:13:15 ID:meBofiSe
キャラの動きがらしくて良い
と、思いつつ支援、支援
380ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:15:40 ID:w7mjcb/c

 ルイズは部屋に入るといきなりベッドにダイブした。ぼろいベッドが不安定な悲鳴を上げる。
 なんでわたしがこんなことしてるの?なんでこんなことしなきゃならないのよ!わたしは『虚無』のメイジでしょうに、こんなところで燻っていて良いはずが無いじゃない!
 投げ出した手足をばたつかせて暴れる。が、すぐに虚しくなってしまいやめた。急に静かになった室内には、階下からの明るい騒ぎ声が届く。それがまた、ルイズを虚しい気持ちにさせるのだ。
 寝返りを打って窓の方を向いてじっとしていると、空が微妙に明るくなってきているのがわかった。そろそろ店仕舞いだろう。階下の音も小さくなっていく。と、床の板が開きウェザーが顔を出した。
「飯だぞルイズ。しっかり食わないと、昼からまた仕事だぞ」
 その手にはまかないであろうシチューの皿があった。しかし、ルイズは窓の方を見たまま言い捨てる。
「いらない。もうお店にも出ないから」
「にしたって食わなきゃ死ぬぞ。ほら・・・」
 ベッドに腰掛けたウェザーがルイズの口にスプーンを運んでやる。だが――――かしゃん――――ルイズはその手ごとスプーンを払い除けた。ウェザーの手から飛ばされたスプーンが床に落ちて悲しい音を立てた。
「いらないっていってるでしょう!わたしはこんな所でバカやってるような立場じゃないのよ!『虚無』よ、『虚無』!もっと相応しい任務があるはずよ!こんな汚らしい仕事は、汚らしい平民にでも任せて――――」
 パキィッ
 乾いた音が部屋に響いた。ウェザーの拳によってルイズの左の頬が赤く腫れる。一瞬放心してしまったルイズだったが、すぐにウェザーを睨み、叫んだ。
「っあんたッ!なにすんのよッ!」
 だがウェザーはルイズの言を一顧だにせず、ルイズの襟首をひっつかんで上半身を引き上げた。
「この大バカ野郎がッ!その態度はなんだッ!俺はオメーは他の貴族連中とは違うと期待していたんだぜ?ええ!?」
「でも・・・あたしは貴族よ!」
「ああ・・・確かにそうだな・・・こんなに早くに『貴族』だってバレるとは、お前の演技力を差し引いてもジェシカのやつ、大した観察眼を持ってるよ!だがそんなことは遅かれ早かれバレるだろうってのは承知の上なんだよ。
 まだわかんねーのか、ママッ子野郎のルイズ!いいかッ!俺が怒ってんのはな、テメーの『心の弱さ』なんだルイズッ!そりゃあ確かに、今まで蝶よ花よと育てられてきた貴族が平民に交じらなきゃならねえんだ、不貞腐れるのも当然だッ!
 誰もお前を貴族扱いしないんだからなッ!
 だが!お前は姫さまの力になりたいとあの時言ったはずだッ!俺達の仲間の他の奴ならッ!自分の力が大切なモノのために使えるってこの時に、任務の『でかい』か『小さい』かを気にして不貞腐れたりしねえッ!
 たとえバカにされようが、平民扱いされようともなッ!
 オメーは『ママッ子』なんだよルイズ!驕ってるんだ・・・・・・慢心してんだ!わかるか?え?俺の言ってる事。
 任務の内容のせいじゃあねえ。心の奥のところでオメーには驕りがあんだよ!伝説の力を手に入れた自分は特別なのだと!自分は上位人種なのだとッ!無意識のうちに!だから『虚無』の話にもシエスタを呼ばなかったんだ!
 『成長』しろ!ルイズ。『成長』しなきゃあお前はいつまで経っても『ゼロ』のルイズだ!そしてハッキリと言っておくぜ。
 この店の奴らは誰一人、学院の廊下や角で『授業かったりい』『親のコネがあるからどうでもいいや』って日々を無為に過ごしてるような負け犬じゃあねえ。一生懸命やってるやつは汚くなんかないッ!
 『成長する』と心の中で思ったならッ!その時すでに行動は終わっているんだッ!」
 一気に捲し立てられて、ルイズはその気迫に全身の力が抜けてしまった。
「わ・・・わたしは・・・・・・」
「これは『試練』だ。お前が『成長』できるかどうかのな」
 ルイズを解放したウェザーは部屋を出ていこうとする。ルイズは止めようとするが、力が入らず声が上手く出ない。
「これは・・・・・・お前が一人で乗り越えなければならない『試練』だ」
 ウェザーは振り返ることなくそう言い残して、部屋を後にした。残されたルイズは動かなかった。朝日が窓から差し込んできてようやく、自分が泣いていることに気がついた。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:17:52 ID:KnozSDDm
あっ兄貴ィー!w 支援!
382名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:18:34 ID:meBofiSe
苦労人で大人だなウェザー
ルイズも大当たりを引いたもんだ
支援
383ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:19:00 ID:w7mjcb/c

 部屋を出たウェザーは階段を下りながら頭をかいた。
「・・・・・・外で頭冷やすか」
 冷静になってみて、顔を叩いたのはやりすぎたかと思い直したのだ。ついカッとなったが、波が引けば残っているのは掌の熱さだけ。
(まあ、これが何かのきっかけになってくれれば幸いだがな。まったく、世話のかかる娘だ)
 反抗期の娘を持つとこんな感じなのだろうかと、奇妙にまとまらない頭を引きずって一階についた。
「・・・・・・?・・・・・・・・・ッ!」
 すると、厨房の方から声が聞こえてくる。こそ泥かとも思ったが、近づいてみるとどうやら言い争っているらしい。角からこっそりと中の様子を覗くと、ジェシカともう一人の女の子が何事か言っていた。
「ジャンヌ!あんたまた"薬"やってたなんて・・・・・・どういうつもりよ!ここに来た時にやめるって誓ったじゃない!」
 作業台の上には何やら重曹のような、白い粉が落ちている。近くにはすり鉢が置いてあるのを見るに、"薬"とやらをあれで粉状にして使っていたようだ。
「ジェシカには・・・関係ないでしょ」
「大ありよ!あたしはここのみんなの――――」
「まとめ役・・・・・・でしょ?」
 ジャンヌと呼ばれた少女は口の端を歪め、バカにしたようにジェシカを見る。
「いっつもそれよ・・・・・・本当迷惑。知ってた?あなたみんなからうっとおしがられてるってさあ。ちょっと人気だからって調子に乗ってるオカマの娘」
「ジャンヌ・・・・・・」
「・・・・・・もういいでしょ。わたし疲れてるの」
 ジャンヌはジェシカの視線を避けるかのように下を見て、厨房を後にした。ウェザーは壁に張り付いていたが、どうやらそれに気づく余裕もないらしい。その姿が見えなくなってからウェザーは厨房に入った。
「ヒック・・・・・・なんで、うう・・・・・・」
 ジェシカは作業台に突っ伏していた。ウェザーは何も言わずにそばまで近寄り、その背を撫でてやる。ジェシカが落ち着くまで、ずっと。

「落ち着いたか?」
 それから数分でジェシカは顔を上げた。今は厨房に二人並んで座っている。
「うん・・・・・・あ、あはははー。恥ずかしい所見られちゃったなあ!このことは二人だけの秘密って事で・・・さ」
 赤い目で精一杯笑うジェシカにウェザーは視線で頷いた。
「・・・・・・"薬"、と言っていたな」
 作業台の粉を指で掬って尋ねる。ジェシカは俯いて、ゆっくりと話し出した。
「ここの女の子たちはわけアリだって前に言ったでしょ?ジャンヌもそう。詳しい過去なんて誰も知らないし、本人も言わないけど。でもジャンヌは元々超がつくほどの引っ込み思案なのよ。普段はあんなこと言えるわけがない。
 両親がいないジャンヌは、日銭を稼いでしのぐ日々を続けていたわ。辛さは当然あったし、抜け出したい気持ちはなおさら。そんなところにある男が声をかけてきたらしいの。男は"楽になりたいか?"と尋ねた。
 ジャンヌは当然"はい"と答えた。そして男はジャンヌに"薬"を渡したのよ。"君の気持ちを軽くしてくれる"なんて言って。実際それはスゴイ気持ちよかったって言ってたわ。引っ込み思案が治るって、ね。
 でもそれは魔法の薬でも何でもない、心を壊す薬だったのよ!あの当時からそういったものが出回っていたっていうけど、ここは首都で職を求めて貧民が集まるからね。かっこうの狩り場だったんだろうね。
 あたしとパパがジャンヌを見つけたとき、完全にラリってて、ナイフを持って恐喝してきたの。でもパパに返り討ちにあって、捕まるのかと思ったんだろうけど、パパは"ウチで働かない?"って」
 スカウトされたあの時のスカロンの顔を思い浮かべる。恐らくはジャンヌの時と違っていないだろう。
「それからはみんなで協力して、必死に薬抜けしたのに・・・・・・なんでまた・・・・・・」
 俯いたジェシカの目からきらきらと滴が零れる。
「怖いの・・・。あたしはこの街が好き。みんなが好き。賑やかでバカやってるここが大好き。でも、何か真っ黒なモノがこの街にやってきて、全部持っていってしまう気がして怖い・・・・・・怖いよぉ・・・」
 そこには、あの気の強いタニアっ娘の姿はなく、年相応の少女がいるだけだ。ウェザーは肩を震わせるジェシカの頭を抱いた。
「お前は優しいな・・・。心配するな。絶対に大丈夫だから・・・・・・」
 柔らかく言葉をかけるウェザーの胸にしがみついてジェシカは泣いた。
384ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:22:41 ID:w7mjcb/c

 朝露が香る石畳をウェザーは踏みしめた。朝日がうっすらと街を包み始める時刻。朝雲を見るだに、今日もよく晴れて暑くなりそうだ。
「・・・どこか行くの、ウェザー?」
 声のした方を向けば、スカロンが腰をくねらせ立っていた。
「ジェシカは店で寝かしてあるから。それと、しばらく帰ってこれねえかもしれない・・・・・・ルイズのことも頼む。ワケは話せねえが、あいつはやればできるやつなんだ・・・・・・」
「そんなこと知ってるわ。じゃなきゃお店に出さないもの。それに理由も聞かないし、わかってるから」
 スカロンは全て解りきったと言う顔で、ウェザーを見つめている。
「男には行かなければならない時がある・・・・・・だから、行って来なさいな。そして、何があっても帰ってくるの。這ってでもいい惨めでもいい。ただ、帰ってきてくれるだけであの子は幸せだから」
「・・・・・・まったく、お前といいジェシカといい、ここには何でこんなにイイ女が揃ってるんだろうな」
「それが『魅惑の妖精』亭のヒ・ミ・ツ。でも、それでもルイズちゃんの心配なんて、本当親馬鹿ね」
「ガハハ、かもしれねえな。だが、拾われた命だ。せめてあいつが巣立つまでは見ていてやりてえ」
「大丈夫。あの子は飛べるわよ。高く高く、ね。これ、女の勘だから」
「百発百中だな」
 ウェザーは軽く笑って、スカロンに頭を下げた。そして、まだ眠る街に消えていった。
 その背を見送ったスカロンは、店の屋根を見上げた。そこで眠るお姫様を。
「どんなときでも女の子の心配だなんて、まったく、本当男ってバカよね・・・・・・」

To be continued...
385名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:23:15 ID:meBofiSe
麻薬がきたかぁ…
スタンド使いに麻薬とはガリアも手広くやってくれる
支援
386名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:24:30 ID:KnozSDDm
イイ男だなウェザー!GJGJGJ!!
387名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:24:58 ID:3Y7JA7X5
GJ!!
なぜウェザーが一子相伝の暗殺拳法を知っているんだwww
388ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/05(水) 22:25:13 ID:w7mjcb/c
以上投下完了!
そして支援に敬意を!
次回から、表でルイズの成長記、裏でウェザー達の戦いになるかと。
オカマは大抵いい女なのは何でだろう?
389名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:25:58 ID:meBofiSe
投下 乙!

リアルタイムで楽しませてもらったw
390名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:29:06 ID:whGwGgLc
GJ!!
一瞬避難所のコロネと話がリンクしてるかと思ったぜwww
391名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:29:59 ID:flkeAwxs
ウェザーの人乙&GJッ!
支援間に合わなくてスマンっ!

痛みを知っているからじゃね?>オカマは大抵いい女
392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:30:04 ID:UYi76NCx
やっぱりウェザーの兄貴はスゲーや!
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:32:48 ID:meBofiSe
OKAMAは男の優しさと女の厳しさを持ち合わせている
ハイブリットビーイングだからなぁw
394名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:38:19 ID:8S8cQFdl
風の方も天気の方もGJ!
395名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:41:27 ID:oQiAMY8W
>『時給戦隊アルバイター』
ちょwww 有賀GJ


 …って、書き込むつもりだったのに
親を愛し、町を愛し、仲間を愛する女の子、
そして、その涙、悲しすぎるぜ、ホントイイ女そろいすぎだよGJ。
396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:50:59 ID:GgNou1AH
ウェザーさん乙
善行したらスられるってのは多古西応援団を思い出すな
いけない、年がバレそうだ
397名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:56:20 ID:GgNou1AH
おおう 避難所に偉大なる使い魔が
おせっかいやきの俺が投下終了次第代理するぜ
398偉大なる使い魔@代理:2007/12/05(水) 22:58:20 ID:GgNou1AH
「ヴァリエールの名に懸けて必ずお前を八つ裂きにしてやる!!」
いつもの見慣れた自分の部屋、わたしはベッドから身を起こした。
「・・・夢か」
ドン ドン ドン ガチャガチャ
乱暴にノックされ、ドアを開けようとする音が聞こえた。
しかし、鍵をしっかりとかけているのでドアは開かない。
カチリ ガチャ
鍵が勝手に外され、返事も待たずにドアが開けられた。
こんな事をする奴は一人しかいない。
「ちょっとキュルケ『アンロック』は止めてって何時も言ってんでしょーが」
わたしの文句にかまわずにキュルケはズカズカと部屋に入ってきた。
「あのね、朝早くから『八つ裂きにしてやる』なんて聞かされた日には
何事かと思うじゃない」
「あ・・・ご、ごめん。寝言、聞こえちゃってた?」
「寝言ォ?あんた思いっきり叫んでたわよ」
「だから、それは謝るわよ。起こしちゃったみたいね」
わたしは素直に頭を下げた。完全にこちらが悪いのだ。
「いや、それはいいんだけどね」
急にキュルケの態度がしおらしくなった。
「一体『誰を』八つ裂きにするの?」
キュルケが上目遣いに聞いてきた。
「誰って、あなたには関係ないでしょ」
そう、これは、わたしの問題。
「ひょっとして、あの『子爵さま』なの?」
ワルドの事を言っているのだろう。
「・・・違うわ」
キュルケが目をパチクリとさせた。
「ありゃ、違うの?」
「違うわ」
わたしは即答する。
「じゃあ誰よ?」
キュルケがしつこく訊ねてくる。
「それは・・・」
「それは?」
キュルケが続きを促すように復唱する。
「オ・・・」
「オ?」
キュルケが身をググッと前にのめり込ませてきた。
「思い出せない」
キュルケが道化師ばりにズッコケた。
「下着、見えてるわよ」
「おちょくってんの、あんたわー!」
399偉大なる使い魔@代理:2007/12/05(水) 22:58:56 ID:GgNou1AH
キュルケが怒って出て行った後、身支度を整えながらデルフリンガーに問う。
「ねえ、デルフリンガー」
「なんだ?」
「わたし、寝言を言ってたのよね?」
「みてえだな」
「『誰を』八つ裂きにするか言って無かった?」
「いや、名前は言って無かったな」
「そう」
わたしは、一体『誰を』八つ裂きにしようとしていたのだろう。
そもそも何故そんな事をしようと思ったんだろう・・・思い出せない。
「まあ、何かの拍子で思い出すか・・・」
「なあ、貴族の娘っ子」
「なによ?」
「なんで俺っちを持ってんだ、授業に行くだけだろ?」
「いいじゃない別に、倉庫に入りたいわけ?」
「いや、そういうワケじゃネーけど・・・」
デルフリンガーはプロシュートが持っていた数少ない私物の一つ・・・
わたしはプロシュートが居ないことを常に戒めるためにデルフリンガーを
杖代わりに突いて持ち歩いていた。

教室に入ると、クラスメイトたちが取り囲んだ。
顔を見渡すと、いつものバカにしたような表情ではなく
何か聞きたそうな顔をしてた。
タバサ、キュルケ、ギーシュも同じように取り囲まれていた。
「ねえルイズ、あなたたち、授業を休んでいったいどこに行っていたの?」
モンモランシーが腕を組んで話しかけてきた。
どうやら、ワルドと出発するところを何人かに見られてたみたいね。
タバサは何事も無かった様にじっと本を読んでいる。マイペースな子ね。
キュルケは化粧を直している。あんた人前で・・・娼婦か?
ギーシュは足を組み人差し指を立て上機嫌に笑っていた。
・・・しょうがないわね。
わたしは人壁をかきわけギーシュの頬をひっぱたいた。
「なにをするんだね!」
「軽々しくしゃべらないでよね」
わたしは真剣な顔でギーシュに頼んだ。
「・・・すまない、調子に乗りすぎてしまったようだ」
ギーシュは姿勢を正し黙ってしまった。
しかし、その事が逆に好奇心をツンツンと刺激してしまったみたいだ。
再び、わたしを取り囲みうるさく騒ぎはじめた。
「ルイズ!ルイズ!いったい何があったんだよ!」
「なんでもないわ。ちょっとオスマン氏に頼まれて、王宮までお使いに行ってた
だけよ。ねえギーシュ、キュルケ、タバサ、そうよね」
ギーシュは素直に頷いた。べネ!(良し!)
キュルケは意味深な微笑を浮かべた。このツェルプトーは・・・。
タバサはじっと本を読んでいた。ホント、マイペースな子ね。
クラスメイトたちはつまらなそうに、負け惜しみを並べながら席へと戻っていく。
「そうよねゼロのルイズだもんね、魔法のできないあの子に何か大きな手柄が
立てられるなんて思えないわ!」
モンモランシーがイヤミったらしく言った。我慢我慢。
400偉大なる使い魔@代理:2007/12/05(水) 22:59:27 ID:GgNou1AH
「フーケを捕まえたのだって、あなたじゃなく、あの怖い使い魔にまかせっきり
だったんじゃないの?」
わたしが言い返さない事をいい事に言いたい放題にいってくれるわね。
「だいたい、何であなたがあの使い魔の剣を持っているのよ?」
「預かっているのよ」
「なんで?」
キュルケといいモンモランシーといい、しつこく食いついてくるわね。
「死んだのよ・・・だから、わたしが持っているの」
どうせ隠しても、いずれバレるのだから言ってやった。
「へえ」
モンモランシーは目を細め口元をつり上らせた。
「ひょっとして殺されたのかしら、あの使い魔、ギーシュを倒したぐらいで調子に
乗ってたんじゃないの?」
イマ ナンテ イッタノ コイツ
「取り消しなさい」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「ひっ」
モンモランシーが悲鳴を上げた。
「プロシュートの侮辱を取り消しなさいって言ってんのよ」
「睨まないで、睨まないでよ」
モンモランシーが首を振りながら後ずさる。
「あんた、わたしをなめてんの!突っ掛かってきておいて今更被害者気取り?」
「ひっ、その『目』で睨まないで」
「謝りなさいって言ってんでしょうが!」
怯えるだけで、ちっとも謝らないモンモランシーに
だんだん我慢がならなくなってきた。
キュルケがわたしとモンモランシーの間に割って入ってきた。
「ちょっとルイズ、あんたマジで恐いわよ。その目、まるでダーリンみたいよ」
プロシュート?
「あははははははははははははは」
何言ってるのコイツ。突然に笑い出した、わたしを間の抜けた顔で黙って見る
クラスメイトが更に可笑しかった。
「ははははははははは、ふざけないで!!」
わたしはキュルケに一喝した。
「ルッ、ルイズ?」
「キュルケ、あんたの目は節穴なの、わたしの目がプロシュートみたいですって
冗談でも二度と言わないで!!」
「ご、ごめん悪かったわルイズ」
401偉大なる使い魔@代理:2007/12/05(水) 23:00:01 ID:GgNou1AH
やけに素直に謝るキュルケを置いて、わたしはモンモランシーに向き直した。
「さて、謝ってもらおうかしらモンモランシー」
モンモランシーは涙目になりながら杖を抜いていた。
「なによゼロのルイズのくせに。ちょっと恐い目ができるからって、
いい気にならないで」
魔法で黙らせるつもり?上等じゃない。
「モンモランシー頭上、二メイル」
「へ?」
わたしは素早く杖を抜き呪文を詠唱する。
「ファイアーボール」
狙い通りにモンモランシーの頭上で爆発が起こる。
爆発によりクラスメイトたちは耳を塞ぎしゃがみこんだ。
モンモランシーは腰が抜けたのかヘナヘナと座り込んだ。
「どうするのモンモランシー。あなたが、わたしを溺れさせるのが早いか。
わたしが、あなたを爆発させるのが早いか試してみる?」
モンモランシーが顔を見上げ睨みつけてきた。
「わたしの方が早いわ。わたしは、たった今、唱え終わったんですもの」
モンモランシーが杖を振るうと、わたしの顔が水で覆われた。
「ゴボッ」
なんたる失態、威嚇せずに当てとけば良かったわ。
どうする?
デルフリンガーなら、この水を消すことが出来る!
鞘から外し、刃を水に触れさせれば・・・
「ほほほ、どうしたのゼロのルイズ。まともに喋る事も出来ないみたいね」
モンモランシーが立ち上がり、勝ち誇るように笑う。
「頭を下げなさい。そうすれば『許して』あげるわ」
『許す』ですって?これで頭を下げることが出来なくなったわ。
それは、わたしの『誇り』が許さない。

頭が下げられないのなら剣を持ち上げれば・・・
重い・・・うまく力が入らない。
「ガボッ」
わたしはデルフリンガーを手放し、水をかき出そうと手を突っ込む。
バシャバシャと水をかき出すが、まったく効果が無かった。
「ほほほ、不様ねゼロのルイズ。さあ、頭を下げなさい」
誰が下げるもんですか・・・息が出来ない・・・
いや、息を『吸う事』ができない。
『吐く事』は出来る・・・そして呪文を唱える事も・・・
「イン・・・エグズ・・・ベッド・・・ブレイヴ・・ブァイアボール」
わたしは自分に向けて杖を振る。

どぱん

水表面に爆発が起こり、わたしは机に寄り掛かった。
すううううううぅ、空気がこんなにも旨かったなんて知らなかったわ。
「な・な・てま・を」
モンモランシーが目を見開き口をパクパクとさせていた。
なんてまねを?
よく聞こえないわ、耳が潰れたかしら・・・
「さて今度はこちらの番ね『覚悟』はいいかしらモンモランシー?」
モンモランシーは口をパクパクさせている。
ごめんなさい?許して?
「ごめん、聞こえないわ」
『ヤル』と心の中で思ったのならスデに、その行動は完了している!
「ファイアーボール」
モンモランシーの顔面が爆発した。
402偉大なる使い魔@代理:2007/12/05(水) 23:00:35 ID:GgNou1AH
いや、正確に言うとモンモランシーの目の前で爆発が起こり直撃した。
顔面血まみれになりながらモンモランシーは倒れた。
すぐさまギーシュが駆け寄り、モンモランシーの顔にハンカチを被せ
お姫様抱っこをした。
ギーシュが黙って、こちらを見つめている。
「どうするのギーシュ?敵討ちってんなら受けて立つわよ」
もう後には引けない・・・トコトンやってやるわ。
ギーシュの目には敵意が無かった・・・
黙って首を横に振り、ペコリと頭を下げてから教室から出て行った。
わたしも治癒を受ける為に、おぼつかない足取りで医務室に向かった。

次の日から、わたしに面と向かって『ゼロ』と呼ぶ者はいなくなった。
403偉大なる使い魔@代理:2007/12/05(水) 23:01:39 ID:GgNou1AH
ムーディブルース、リアルタイム投下終了ッ!
404名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 23:30:37 ID:8S8cQFdl
偉大なる方も代理の方も乙そしてGJ

ルイズ、兄貴の死を乗り越えて頑張ってくれ……
そしてクロムウェル爆発しろ
405名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 23:45:33 ID:flkeAwxs
なんで……支援が間に合わないんだ……
偉大なる使い魔GJ
406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:02:43 ID:NI2e1pVr
心で理解したルイズGJ!
407名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:25:32 ID:TPdjqQsV
ペッシばりの覚醒ルイズ噴いたw
偉大なる使い魔の中の人氏&代理人氏投下乙です。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 08:48:11 ID:HYoT79S1
心で理解したルイズはやっぱりすげーやッ!
しかし、容赦の無さも付いてるぜ。不安だ。まあ、今の状況ではこれくらいが頼もしいのかもしれないが…暗黒面に落ちないでくれよ…
409名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 17:19:43 ID:8ufHy/8V
そろそろデッドマンにも復活してほしいな。
410名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 17:24:40 ID:l057ozB1
そろそろ郡平がルイズに召喚される
411名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 17:36:33 ID:7lM4d8kc
妖怪六壁坂か
412名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 17:38:51 ID:S60fRNoi
毎朝血を捨てに行くルイズとか
413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 18:03:52 ID:3z+ey72f
なんというホラー展開、使い魔の世話を見るときだけ幸福なルイズになる。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 18:12:49 ID:ReFrfrGm
『妖怪六壁坂』という無尽蔵血液パックを召還する仮面ルイズ
415名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 18:18:57 ID:7lM4d8kc
その発想はなかったわ
416名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 20:23:10 ID:N9Pjn17Q
久しぶりに来たらようやく規制解除
俺泣きそうだ
417名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 20:31:03 ID:+yjfmpyJ
妖怪六壁坂と吸血鬼…。これほど相性の(ry
418名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 20:56:14 ID:l057ozB1
DIO様が血が垂れてくるところに口あけたまま寝てる図を想像した
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 21:39:16 ID:0Ph2TpY3
確かに無限機構で無敵モード発動かも知れんが
一つだけ問題がある。



非常にマヌケだ。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 21:48:55 ID:asIEeuZI
まて、娘のほうならまだ絵的に何とかなるかもしれん
まぁまともな感性だったらきしょいの一言ですむが

DIO様ならやってくれるかもなw
421名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 21:55:26 ID:0Ad6CT6J
照明を落として椅子に座り滴る地点にワイングラスを構えれば少しだけ格好がつく……といいなあ
422名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 22:12:43 ID:nK4WAeNL
「なんだと…… これでは…… これではまるで、このDIOが殺したようではないか!!」

確かに間抜けだな
423名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 22:28:04 ID:pNyyjq4R
神の左手ガンダールヴ。
勇猛果敢な神の盾。
左に握った大剣と地より掘り出す過去により
導きし我を守りきる。

神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を産み出して、導きし我を運ぶは地海空。

神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる物語を具現化し、導きし我の敵を討つ。

そして最後にもう一人……。記すことさえはばかれる……。
記すことにより恐慌性障害を
引き起こす可能性がある……。
四人の息子を従えて、我はこの地にやってきた……。

イタリア語でDIO=神
というのを知ったらこんな電波を受信した
かっとなって書いた
今は反省している
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 22:35:35 ID:mXn6xJd9
リキエルww
クソワロタww
425名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 23:07:05 ID:NI2e1pVr
おまいらwww
さてと、避難所に投下するか……
426風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/06(木) 23:52:47 ID:46ng9OuA
DIO様にインスパイアされたメイドさん強いです
なかなか苦労します

今にも投下されそうなワムウが下に
427風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/06(木) 23:53:49 ID:46ng9OuA
「ははは、ルイズ、君の使い魔は恐ろしく強いね。スクウェアの僕ですら歯が立たなかったよ」
「…だから止めようとしたのに」

気絶し、数本骨折したワルドはすぐにルイズが呼びつけた水のメイジに治療され、事なき事を得た。

「ワムウも、任務中に味方を怪我させるなんて…あとでキツくいっておかないと」
「いやいや、僕が吹っかけた喧嘩なんだ。返り討ちにあった僕の自業自得さ」
ワルドはなんの恨みもないのか、爽やかに笑いかける。
「まだ出発まで一晩ある。これくらいの傷、全く影響しないさ」
その笑みの隙間からは白い歯が覗けた。

 * * *

「仮面の男、で呼べばよかったわよね?」
「ああ、その通りだ。こんな重要なことを忘れるとはもう年かね?」
フーケは笑みを崩す。
「…わたしの、年が…なんだって?」
「認めたくないものだな!自分自身の、老い故の過ちというものを!」
「この私が『行き遅れ』みてぇーだとぉ!?」
フーケがガタンと立ち上がる。
「確かに聞いたぞこらあああッ!!」
「見せて貰おうか!土くれのフーケの性能とやらを!」
仮面の男も杖を抜く。

結局、数秒後にフーケが折れる。
「どうしたんだい、イラついて、あんたらしくないよ?」
「別になんでもないぞ行き遅れ」

ビキッ、とフーケの眉がつり上がるが、なんとか笑みを崩さない。
「わかったわ、なにも聞かないからぶん殴られる前にとっとと用件話しな」
「あの相棒、とは会ったな、どういった作戦を立てたんだ?」
「使い魔だけかと思ったらおまけまでついて来たって言うんでね、各個撃破することにしたわ。
二束三文で雇った傭兵どもで正面を襲う。そこであんたたちに裏口から逃げてもらう。
そうして残った奴らが前に集中している間に、予想外のところから仕掛ける。あいつの攻撃を
最初に食らった奴を始末する間に私が時間を稼いで、始末し終えたらあいつがそのまま強行突破。
残りの数人を戦闘不能にしている間にルイズとワルドが裏口から逃げてく寸法さ。あんた達の脱出は任せたからね」

ふむ、とワルドが頷く。
「なるほど、奴の能力なら妥当だろう。遠距離戦は向いてないが、背後から急襲をかければ俺くらいでなければ
どうにもならん。脱出に関しては任せてくれたまえ、筋肉バカとガキどもくらい簡単に説得できる…
ところで、最初に仕掛ける相手は誰なんだ?」

フーケは首を傾げる。
「さーね、そのとき一番近くにいる奴じゃないか?一々そこまで決めてないよ」

ワルドは身を乗り出す。
「ならば…先にあの使い魔をやれ、肉片すら残すなよ」
「…なにがあったかしらないけれど、あいつは頼まれなくても残すことはないさ」
428風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/06(木) 23:54:20 ID:46ng9OuA
 * * *

出かけていったワルドを待つ酒場で待つ一行。
案の定二日酔いのギーシュは飲ませてもらえない。
「酒!飲まずにいられないんだあッ」
「アルビオンまで酒は送迎してくれないわよ」

ドアが開く。
ワルドが入ってくる。
「皆、いいニュースだ」
その言葉にワムウ以外の注目が集まる。
「足りない馬力を僕の魔法で補うということで、交渉が成立した。もっとも、貨物船だが贅沢は言っていられない。
皆、出発の支度をしろ!」

ワルドが声を張り上げた途端、銃声が轟いた。
「ヒャッハッハッ酒だ!女だ!」
「ヒャッハー!ここは通さねえぜ!」
「面倒だ、全員やっちまうぜ!」

貴族の宿「女神の杵柄」の客とは思えない風貌の連中が武器を入り口周辺で振り回している。
蜘蛛の子を散らすように客が逃げていくが、一行は逃げるに逃げられない。
腕はあまりよくないが、一応彼らの近くを銃弾が飛び交っていたからだ。
同じく、奥にいた店長も体を伏せ、震えている。
数人のモヒカンが武器をもってこちらへ向かってくる。

「おら、大人しく死にやがれ!」
しかしワムウは気にも咎めず歩き出す。
「あ?てめぇこのボウガンが目に入らねえのかァーーッ!」

モヒカンはワムウに向かって弓を発射する。
発射した、つもりだった。
「どうだァアアア、でっかい穴があいたぜえええッ!…な、なんでそんな平然としてるんだ…
…なるほどうわははははははは は、これは俺の体でしたァぁぁぁいつのまにかァァァ!!」
発射しようとしたときには彼の腕はなかった。
発射したつもりになったときには彼の胴体は無かった。
話し終えたときには体も残っていなかった。

「参ったな、これでは出発できん」
ワルドが呟く。
「明らかに私たちを狙ってるわね、やっぱりあの物盗りも貴族派が一枚噛んでたのかしら」
ワルドはため息をつき、低い声で言う。
「諸君、すまないが、この目的地には僕とルイズさえ辿り着ければいい。君たちには…」
「囮」
続きをタバサが言う。
「そう、囮をお願いした。僕たちは裏口から出て、そのままアルビオンに出発する」
「ま、仕方ないわね。私たちは何をしにアルビオンに行くかすら知らないんだから」
429風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/06(木) 23:55:53 ID:46ng9OuA

決まりかけたころ、ワムウが声を出す。
「待て」
「なんだね、ワムウ君」
「その裏口から埠頭までほぼ一直線、敵の狙いは詳しくはわからないが、時間稼ぎならここより船や港を襲うなり
買収した方が確実だろう。つまり、敵の目的は時間稼ぎではなく俺たちの命ないしは身柄、所持品ということだ」

ワルドが眉をひそめる。
「なにがいいたい?急いでいるんだ、手短に頼むよ」
「ここを襲うと決めた以上、裏口にまで気を回さないということは無いだろう。それに、その裏口から埠頭までは
暗い倉庫街、暗殺にはもってこいだ。人間の目が4つでは到底足らんな。エシディシ様も言っていた、包囲した際には
一つだけ逃げ道を残し、そこを叩くとな。誰だってそうする、俺だってそうする」
「じゃあ、どうしろって言うんだね?」
苛ついたようにワルドが尋ねる。

「突破だ、俺が少々暴れればこの程度数分でケリがつく。暗殺されるのを防ぐには目が多いほうがいい。
戦力をここに集中させているなら、なおさらだ。戦力で勝っているのに決戦から逃げるのは間違いだろう」
「な…」

ワムウは有無を言わさず銃弾の雨と敵の森の中に突っ込んでいく。
銃弾が当たるものの、皮膚が弾き返し、射手をものの数秒で何人も食い尽くす。
「ひいいいッ!」
「あべしッ!」
「ヤッダバアアアアアッ!」
「もう一度…ぬくもりを…」

店内は阿鼻叫喚の様相を示す。

そして、二分後には、襲ってきた敵は一部しか残っていなかった。数ではなく、体積でだ。
たぶん数ヶ月は営業停止確実だろう。

「では、行くぞ」
行こうとしたワムウに、店主が感謝する。
「あ、ありがとうございます…この店は、祖父の代から受け継いでいて…」
ワムウは無視し、背中を見せ、店を出ようとする。
そのワムウに店主は礼をし、頭を下げる。

その瞬間、店主の頭が崩れ、ワムウを黄色い肉が襲った。
「この田吾作がァーーッ!多少心得があるらしいが、この『イエローテンバランス』に敵は無ァいいいッ!」
ワムウを黄色い肉が襲うと同時に、屋根が崩れ落ちる。
「落石注意報だよッ!」
岩石で穴だらけになった店をフーケのゴーレムが見下ろしていた。


To be continued.
430風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/06(木) 23:58:26 ID:46ng9OuA
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれはイエローテンバランスを出そうと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったらいつのまにか味見さんが出していた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    ほぼ同時間軸だとかカブリの海賊だとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

没ネタとしてバッドカンパニーでモヒカンを壁にして死角から打ち抜きまくるってのも出てましたが
ワムウ様に傷一つ与えられなさそうなのでボツ さあイエテンは善戦できるか
431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 00:00:13 ID:dUNutSDh
これがシンクロニシティってやつだなGJ
まあハンサムさんの能力ならうまくやれば善戦できそうだな
432味見 ◆0ndrMkaedE :2007/12/07(金) 00:09:24 ID:irPHI7dc
      、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}    逆に考えるんだ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´  「かぶっちゃってもいいさ」と考えるんだ。
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |     むしろ個性が出ると……
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ     味見の『黄の節制』は
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_     あんまり活躍してないし。
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、  これからの君の活躍に期待してるよ。
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__    むしろ支援が間に合わなかったことを許してくれたまえ。
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_ Janeの具合がよくなかったんでギコナビに変えたんだが…
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|           いまいち使いこなせていないのさ。
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 00:52:01 ID:w0U5gnWE
ほほほほほ包茎ちゃうわ!

ワムウ氏おちゅー
434名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 02:03:00 ID:AHFSU9j2
ワムウ様乙。
諸所に使われてるセリフの数々が殺伐感を醸し出していてワロスw
だが、ひとつ言っておこう。


イエローテン『バ』ランスじゃなくて、イエローテン『パ』ランスだ!!
何回教えりゃあ理解できんだコラァ! この……ド低能がァ――――ッ!!
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 02:31:35 ID:+T0+xSQR
40分に投下しますけど構いませんねッ!?
436ゼロいぬっ!:2007/12/07(金) 02:41:37 ID:+T0+xSQR

ニューカッスル城に投入された数多の傭兵団。
指揮系統も別々に、任務そっちのけで略奪や殺戮に走るものまでいる。
時には傭兵団の間で同士討ちが出るなど城内は混迷を極めた。

その中に王族や高級貴族などの大物を狙う連中がいた。
彼等は他の物には一切目をくれず、玉座を目指し突き進んだ。
しかし、そこに続く廊下で彼等の進軍は停止した。

彼等の誤算は二つ。
一つは両側から追い詰めた所為で、思いがけず挟み撃ちの形となってしまった事。
主武装が剣や槍ならば有利に働く形だが、小銃となれば話は別だ。
流れ弾や貫通した弾を恐れて迂闊に発砲が出来なくなる。
しかも道幅も狭く、一人ずつ斬りかかるのが精一杯という場所の悪さ。
一旦退こうにも後ろの連中が邪魔となって満足に動けない。

そして、もう一つにして最大の誤算…彼等は王党派を嘗めていた。
壊滅寸前で、兵の数も数百を残すのみとなれば士気も低い。
そんな連中に負ける筈が無いと高を括っていた。
その甘い見通しの代償がこれだ。
未だに抵抗を続けるメイジの足元に転がるのは幾多の仲間の屍。

王党派に残されたのは敗残兵などではない。
圧倒的な劣勢にありながらも、アルビオン王家の正統に忠誠を誓う勇士達だ。
しかもウェールズの演説に心打たれた彼等の士気は高い。
衰えたりといえども彼等は王国の精鋭。
それを相手にしている事を彼等は自覚していなかったのだ。

雄叫びと共にメイジが斬り掛かる。
気迫に圧されながらも傭兵が銃を盾にそれを防ぐ。
風を纏った杖が鉄で出来た銃身に深々と突き刺さる。
そのまま鍔迫り合いをしながらメイジが傭兵を階段まで押していく。
それを好機と判断し、逆方向より迫る傭兵達が銃を捨てて剣を抜いた。
敵が背を向け、しかも杖を取られている。
これならば容易く討ち取れると確信したのだ。

背後より迫る来る敵。
それを横目で見ながら、彼は眼前に立つ傭兵の剣を引き抜いた。
そして両腕が塞がった相手の喉を一閃し、振り返りざま詠唱を終えていたエア・ハンマーを放つ。
圧縮された空気の塊に吹き飛ばされ、敵兵達が窓から空へと叩き出されて地に堕ちる。
直後、まるで熟れたトマトを落としたような音が辺りに響いた。
先行した仲間が呆気なく殺された事で背後の一団の足が完全に止まる。
下手に踏み込めば次に死ぬのは自分かも知れないという恐怖。
目前の死に思考が束縛され、足が微塵も動かせないのだ。
背後からの攻撃が無い事を悟り、メイジはありったけの力を込めて切り伏せた相手を蹴り飛ばす。
それに押された連中が背後から来た一団と揉みくちゃになりながら階段を転がり落ちていく。
437ゼロいぬっ!:2007/12/07(金) 02:43:46 ID:+T0+xSQR

混戦を制した男が階段を上り、その場から走り去る。
背後を振り返り、追っ手がない事を確認してから男は一息ついた。
彼はウェールズの作戦に名乗りを上げた騎士だった。
状況さえも判らぬまま、彼は突然敵兵に襲わされた。
いかに地の利があるといっても休息も無しで戦えば、いずれは倒される。
ここは相手を足止めしつつ、長期戦に備えるべきだと彼は判断した。
剣を使ったのも精神力の温存の為だ。
両手に持った剣と杖を眺めながら彼は思い耽る。
普通のメイジならば、こんな形振り構わぬ戦い方はしないだろう。
だが、この命はウェールズ陛下に捧げると誓った。
ならば、彼の許し無くして死ぬ事は許されない。

決意を固めるように彼は手の内の武器を握り締める。
誰かが走る足音を聞き取り、曲がり角で息を殺し待ち伏せる。
数は三、四人程度。不意を打てば確実に仕留められる。
角に影が映りこんだ瞬間、彼は飛び出して杖を突き出した。
それに気付いた敵も杖をこちらに向けて突き出す。
交差する杖と杖。そこで彼は相手の顔を初めて認識した。

「副長殿!?」
彼の突き出した杖の先にいるのは『イーグル』号の副長だった。
海賊さながらの風貌を見間違えようも無い。
副長の背後には『イーグル』号の船員達もいた。
咄嗟に杖を引き戻して彼は無礼を詫びた。
しかし、そんな事は気にも留めず、副長は彼の健在を喜んだ。

「良くぞ生き延びていてくれた。それで、お前の部下達はどうした?」
「はっ。各自、城内にて非戦闘員の避難に当たらせています」
「そうか。では、これより出航の準備に入る。
それまでの間、お前達は港までのルートを死守せよ」

淡々と言う副長の顔は苦渋に満ちていた。
まだ城内には逃げ遅れた者達もいるだろう。
だが、全てを助け出す事など出来る筈も無い。
それを見捨てて脱出しなければならないという過酷な選択。
だが、指示を下す者が迷いを見せてはいけない。
その迷いは部下を戸惑わせ、不要な死を招く。
たとえ非道と呼ばれようとも誰がやらなければならないのだ。
副長の想いを余す所無く理解し、男は頷いた。

「…しかし、こうも容易く進入を許すとは」
「獅子も身中の虫には勝てん。
ワルド子爵が敵と内通していたのだ。
城門とて内から破られてはどうしようもあるまい」
答えながら副長は口惜しさに奥歯を噛み締める。
思えば交易船を接収した時から不審さはあった。
見抜けなかったのは自分の未熟。
ルイズやアニエスが信頼できる人物だっただけに、
一行の中に敵が紛れ込んでいる可能性を否定してしまったのだ。
438ゼロいぬっ!:2007/12/07(金) 02:47:00 ID:+T0+xSQR

ふと男は気付いた。
副長の背後にいるのは船員達のみ。
そこにはジェームズ一世やウェールズの姿はない。
咄嗟に聞き出そうとした彼を遮り、副長は真実を告げた。

「玉座にワルドの偏在が現れて襲撃を仕掛けてきた。
ジェームズ様は重傷、バリー殿もワルドと刺し違いに…」
「…! では、ジェ−ムズ様は今どちらに!?」
「もはや助からぬ自分よりも臣下達の避難を優先せよ、と。
そのまま一人玉座に残り、最期を迎えるおつもりであろう」
「では! ウェールズ様は!?」
「…………」

騎士の問い掛けに副長は沈黙せざるを得なかった。
ウェールズはワルドと共に礼拝堂にいると判っている。
しかし、護衛も連れずにいた彼がワルドの凶刃から逃れられたとは思えない。
あのバリー殿ですら偏在を道連れにするのが限界だった。
仮に生き延びていたとしても礼拝堂に向かうには敵陣を突破するより他にない。
そこから陛下を連れて撤退するなど、どれ程の犠牲を払おうとも不可能。
それに『イーグル』号の副長として共にいた彼には判る。
ウェールズならば“助けに来るな”と自分に命令するであろう事を…。

質問に口を噤む副長の姿。
それが何よりも雄弁に、ウェールズの生存が絶望的である事を語っていた。
行き場の無い怒りを堪えて騎士は唇を噛んだ。
今すぐ階段を駆け下りて敵兵を手当たり次第に殺して回りたい気分だった。
だが、それは許されない。
今は敵を倒す事よりも生存者の救出が最優先される。
それがジェームズ一世の命であり、彼の最期の願い。
主の願いに応えられずして何が騎士の誇りだ。
決意を新たにする彼を見据えたまま副長が続ける。

「この事は他言無用だ。
この事が知れ渡れば全軍の士気に影響が出る。
それに王の後を追おうとする者もいるだろう。
全てを打ち明けるのは無事に脱出してからだ」

それには彼も頷いて同意を示す。
生き残った者には辛い道程かもしれない。
正統な血筋は絶え、国さえも追われたのだ。
他の国が避難民を受け入れてくれるかどうかさえ知れない。
だが、それでも人は生きていかなければならないのだ。
守るべき者達の姿を脳裏に焼き付けて命令を復唱する。

「では、隊の者達に非常召集をかけ、総員で退路の確保に当たります。
それと副長。トリステインからの客人達はどうしますか?」
「ギリギリまでは待つ。それでも来ないようならば致し方あるまい」
少し残念そうな顔を浮かべて副長は背を向ける。
アルビオン王国最後の客となれば守りたいのは当然の事。
しかし彼等としても自分達の命で手一杯なのだ。
439ゼロいぬっ!:2007/12/07(金) 02:48:54 ID:+T0+xSQR

隠し港に向かって走り去る副長達を見送りながら、
彼は懐から紐のついた笛を取り出した。
それは隊内で使われる呼び笛。
平民ならまだしも貴族がそれを使うのは珍しい。
だが万が一、魔法が使えない状況になっても連絡が取れるように、
隊長である彼は常日頃からこれでの指示を徹底していた。
今は魔法での連絡は精神力の浪費になる。
零れ落ちる水の一滴さえも掬うような境地で大きく息を吸い込む。
直後、吹き鳴らされた笛が城内に響き渡った。
ただの音ではない、その鳴らし方で複雑な命令さえも伝達可能となる。
刹那。それに応えるように、あちこちから呼び笛の音が帰ってくる。
しかし、それでも隊全員の分には程遠い。
連絡も取れない状態にあるのか、それとも既に…。
疑念を振り払いながら彼も副長の後に続こうとした。

しかし、床に散った鮮血が彼の足を止めた。
それも戦闘の跡のような夥しい血ではない。
血の雫が点々と窓から一室へと続いている。
彼は確信を持って、その扉を開け放つ。
月光の差し込む小さな部屋の片隅、そこに男はいた。
その身形から王国の衛兵だと一目で判別が付いた。
恐らくは窓際で敵兵に狙撃されたのだろう。
肩からの出血は浅くはないが死に至る物ではない。
しかし一人で港に辿り着くのは不可能だろう。

肩を貸そうとする騎士に、衛兵は拒否を示す。
ここにいても死を迎えるだけだと言っても聞こうとはしない。
困惑する彼に、衛兵はぽつりぽつりと懺悔するように呟く。

「…全部、自分の所為なんです。
あの時、彼女はワルドが怪しい事に気付いていた。
なのに…、それなのに自分は耳も貸そうともしなかった。
それどころか彼女を取り押さえて…」

もし、彼女の言葉を信じていたならば結果は違ったかもしれない。
言われた通りにウェールズに護衛を付け、アニエスに加勢していれば。
この国が生き残る最後のチャンスを自分の手で摘んでしまった。
そう考えるだけで男から生きる気力は喪われていく。
もはや彼女にも仲間にも合わせる顔など無い。

「廊下に落ちてる自分の銃を持ってきてください。
自分はここで連中の足止めをします。その間に貴方は…」
「黙れ」
その騎士の一言で、衛兵の舌は凍りついた。
まるで射抜くかのような鋭い視線と鬼気迫る迫力。
それを前にして、男は何も口に出せずにいた。
張り詰めた沈黙の中、騎士が吐き捨てるように告げる。
440ゼロいぬっ!:2007/12/07(金) 02:49:49 ID:+T0+xSQR

「ハッキリ言ってやる、貴様は最低の屑だ。
そんな奴がアルビオン王国の兵として華々しく散るだと?
貴様如きにそんな事が許されると思っているのか!」

腹の奥まで響き渡る騎士の怒号。
やはり許されざる失態だったと、衛兵はこの場で殺される事を覚悟した。
瞬間、男の身体が力づくで引き上げられた。
横には騎士の顔が間近に迫っている。
胸倉を掴まれたのではない、騎士は彼に肩を貸したのだ。

「やるべき事を果たせ!
生き延びて必ず彼女に謝罪しろ!
許されるまで勝手に死ぬ事は認めん!」
「ですが! 自分は…」
「忘れたのか、王命は絶対だ!
ウェールズ陛下は死ねと命じたか!?
違うだろう! ならば無様だろうと生き延びろ!
それがアルビオン王国の臣下の最後の勤めだ!」

叫びながら騎士は思い浮かべる。
あのウェールズの姿を生涯忘れる事はないだろう。
どんな窮地にあろうとも、星の瞬きのような希望を掴もうとする彼を。
そして、それを奪った『レコンキスタ』への憎しみも。

彼が割れた窓から夜空を見上げる。
そこには視界を埋め尽くさんばかりの大艦隊。
それを憤怒に満ちた眼差しで見ながら呟く。

「…そうだ、逃げるのではない。
俺は必ず貴様等を倒しに戻ってくる。
一人残らずアルビオンから叩き出してやる…!」

まるで捨て台詞だなと自嘲の笑みが浮かぶ。
そして衛兵を引き摺るようにして彼は退路を歩む。
その姿は、敗走と呼ぶに相応しい無残な姿。

それでも彼等は選んだ。
死ではなく『生き残る』という戦いの道を…。
441ゼロいぬっ!:2007/12/07(金) 02:52:50 ID:+T0+xSQR
以上、投下したッ!
442名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 03:27:55 ID:PJYJZZ7/
乙!
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 10:48:42 ID:XcyefRZg
乙だぜ!
昨日バオーのOVA見たんだが育郎君強すぎるだろwwwwww
つか声かっこよすw
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 15:21:19 ID:zqdaNBO6
今日のわんこ乙
445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:45:39 ID:RgNlWAVM
投下したいが、レス数17ではバイバイさるさんが怖い・・・
支援をくれッ!
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:47:39 ID:4ssWfUts
おk
447名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:48:10 ID:irPHI7dc
キャマ〜ン!
448ゼロのスネイク1/17:2007/12/07(金) 21:49:49 ID:RgNlWAVM
では改めて・・・よろしくお願い申し上げます


11話


校庭に突然現れた巨大ゴーレム。
全長30メイルはあろうかというその巨体の肩には、一人の女が立っている。

この女――フーケは、ほんの数秒前まで校庭の物陰に隠れて盗みの算段を立てていた。
なのにその物陰から出てきたのは、予想もしなかった好機がフーケに訪れたからに他ならない。
その好機とは、宝物庫の外壁に突然出来た無数の亀裂。
ホワイトスネイクの手によって逃れようの無い死に追いやられたラング・ラングラーの死に際の攻撃
――ジャンピン・ジャック・フラッシュの鉄クズの砲撃によるものだ。

自分では傷一つ付けられないだろうと見積もっていた宝物庫の外壁。
それを突然現れた男が、恐らくは狙ってやったことではないのだろうが、容易く損傷させてしまったのだ。
勿論フーケは驚いた。
だが名うての盗賊として養った判断力が、これが逃さざるべきチャンスであるとすぐに知らせた。
そしてすぐにルーンを唱え、魔法を完成させ、ゴーレムを作り出したのだった。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:50:02 ID:irPHI7dc
スマンageてしまった支援
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:50:35 ID:4ssWfUts
支援
451ゼロのスネイク2/17:2007/12/07(金) 21:50:57 ID:RgNlWAVM
「・・・・・・何ダ、アレハ?」

ラングラーとの戦いで満身創痍になったホワイトスネイクが呟く。
スタンド使いとの戦歴20年にも及ぶホワイトスネイクにとって、未知なる敵と戦う事は日常茶飯事である。
しかしこれほどまでに巨大で、そして圧倒的なパワーを感じさせる敵と遭遇したのは、これが初めてであった。

「あれは・・・ゴーレムよ」

ホワイトスネイクの呟きに、その近くにいたモンモランシーが答える。

「ゴーレム?」
「土のメイジが作る人形みたいなものよ」
「人形・・・トナルト、ギーシュガ作ッテイタ『ワルキューレ』トヤラと同列ノモノカ?」
「ええ」
「ダガアマリニモ大キ過ギルゾ」
「分かってるわよ、そんなこと!
 あのサイズ・・・わたしは土のメイジじゃないからよく分かんないけど、ドットやラインじゃきっと無理よ。
 少なく見積もっても20、30メイルはあるんだから・・・」
「最低デモ、『トライアングル』ダト?」
「そういうことになるわ。どっちみちわたしたちじゃ無理ね・・・あんたもボロボロだし。
 どこかに隠れてる方がよさそうね」

そう言ってモンモランシーは怯えた目でゴーレムを見上げる。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:51:54 ID:irPHI7dc
しえn
453ゼロのスネイク3/17:2007/12/07(金) 21:52:25 ID:RgNlWAVM
「肩ニ人ガ乗ッテルゾ。アレガ操作シテイルノカ?」

ゴーレムの肩の上に立つ人影を目ざとく見つけたホワイトスネイク。

「乗ってるの? わたしには見えないわよ」
「人間ノ視力デハ無理カ」
「しょうがないじゃない。あんたみたいな化け物じゃないんだもの」
「『化け物』ジャアナイ。『スタンド』ダ」
「どっちにしたって一緒よ。わたしみたいな人間からすれば、あんたは化け物に変わり無いわ」
「『感情的な人間』カラスレバ、カ」
「何ですって!?」

唐突に二人の間の空気が悪くなる。
そのとき――

「ばばぶばびべぶべ! びびば! びびばぶばぶ!」

未だに水から出してもらえずにいたギーシュが激しく喚きだした。

「あ・・・・・・」
「オ嬢サンガ黙ラセタママデ放ッタラカシニシテオクカラ、今ニモ息ガ止マリソウダナ」
「う、うるさいわよ! あとお嬢さんとか呼ばないで!」

ホワイトスネイクに文句を言いながら、モンモランシーがギーシュに使った水の魔法を解除する。
その途端にギーシュを包んでいた水の塊が、ざばぁっと音を立てて落ちた。

「ゲ、ゲホッゲホ、ッ・・・た、助かったよ、モンモランシー」
「お礼なんていいから! さっさと逃げるわよ、ギーシュ!」
「そ、そうだね・・・ドットの僕じゃあ、あんな馬鹿でかいゴーレムはどうしようもないし・・・」
「そうよ! だから早く隠れるなり何なり――」
「だが断る」
「・・・はぁ?」
454名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:52:37 ID:4ssWfUts
支援
455ゼロのスネイク4/17:2007/12/07(金) 21:53:42 ID:RgNlWAVM
ギーシュが言い出したことの意味が分からず、唖然とするモンモランシー。

「このギーシュ・ド・グラモンが最も好むことの一つは、悪党から逃げるという提案に対してNO! と言ってやることだ・・・」

そう言っておもむろにバラの造花、もとい自身の杖を取り出すギーシュ。
そしてルーンを唱えようとしたところで――

ドシュン!

どこからともなく飛んできたDISKがギーシュの額に刺さった。
そして差し込まれたDISKは、ギーシュが自分に何が起きているかを理解するよりも早く彼を昏倒させる。

「『命令』スル。1時間寝テイロ」

言うまでも無く、DISKを投げたのはホワイトスネイクである。

「ちょ、ちょっとあんた、ギーシュに一体何したのよ!」
「今カラ1時間寝ルダケダカラ気ニシナクテイイ。ソレヨリ・・・声ヲ出スナ。物音ヲ立テルナ」

そう言ってホワイトスネイクは自分の残り少ないスタンドパワーを、体の底から引きずり出す。

「ソシテ・・・コノ場カラ動クナ」

引き出したスタンドパワーを自分の周囲、半径10数メイルに集中。
そして「能力」を発動する。
まるでそこに誰もいないかのように、風が何者にも遮られずに吹き抜けているかのように。
偽装し、欺き、隠蔽する。
これがホワイトスネイクの能力、その3つ目の「幻覚」だ。

幻覚の対象を見た者の脳そのものに干渉し、
見たもの、嗅いだもの、聞いたもの・・・あらゆるものがホワイトスネイクが望んだものになる。
使いようによっては、記憶を奪い去ることよりも凶悪な能力だ。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:53:56 ID:irPHI7dc
C-EEN
457ゼロのスネイク4/17:2007/12/07(金) 21:54:48 ID:RgNlWAVM
ゴーレムの足が、ホワイトスネイクたちがいる場所から20メイルの位置に踏み込む。
ズシン、と地響きが立つ。
人影が立っている場所からなら、すぐにでもホワイトスネイクたちを発見できる状況だ。
人間のモンモランシーでさえ、ゴーレムの肩の上で、月明かりが人型に切り取られているのが分かるのだから。
モンモランシーがごくり、と唾を飲む。
どうか見つかりませんように。
そう願った瞬間、人影が頭をこちらに向けた。
思わず悲鳴を上げそうになるモンモランシー。
その口をホワイトスネイクの、ボロボロの手が塞ぐ。

「モ・・・モガ・・・」
「声ヲ出スナ・・・今ノ私ノパワーデハ・・・声マデモ誤魔化スコトハデキナイ」

塞がれた口でもごもご言いながらモンモランシーが抗議する。
人影はまだこちらに頭を向けている。

だが次の瞬間、人影は何も見なかったかのようにこちらから目をそらした。
それに従うようにゴーレムもまた一歩、地響きを立てながら踏み込んだ。

「見つから・・・なかったの? 思いっきりこっちを見てたのに・・・」
「ソウナルヨウニ私ガシタカラダ」

驚きを隠さないモンモランシーに対し、ホワイトスネイクは淡々と答える。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:55:35 ID:4ssWfUts
紫煙
459ゼロのスネイク6/17:2007/12/07(金) 21:55:36 ID:RgNlWAVM
そうこうしている間にゴーレムは学院の校舎へと辿り着いた。
そしてその太い腕を振り上げると、宝物庫の外壁の、幾つものひびが入った部分に振り下ろす。

ドゴオオオォン!

学院中に響き渡る大きな音と振動を伴って、宝物庫の壁に大穴が開いた。
そして壁をぶち破ったゴーレムの腕の上を人影が素早く走り抜け、校舎に侵入する。

(ナルホド・・・アアシテ盗ミヲヤルノカ。
 巨大ナゴーレムハ周囲ノ人間ヲ恐レサセ、ソノ場カラ退避サセル。
 ツマリ現場ハガラ空キニナル。
 ソコヲ狙ウ・・・トイウワケカ。
 随分大胆ナ手口ダ。
 ソノ場ニゴーレムヲ恐レナイヨウナ気骨アル者ガイレバ、自分モ危険ニナルノニナ・・・)

その光景を見ながら、ホワイトスネイクが思考を巡らす。 

やがて、人影が校舎に開いた大穴から出てきた。
その手には大きな黒い箱が抱えられている。
そして人影がゴーレムの掌の上に乗ると、ゴーレムはゆっくりとその巨体を動かし、
ズシン、ズシン、と地響きを立てながら去っていった。

ゴーレムも、人影も、最後までホワイトスネイクたちがそこにいたことには気づかなかった
460名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:55:57 ID:irPHI7dc
支援
461名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:56:22 ID:4ssWfUts
ageてしまったすまん支援
462ゼロのスネイク7/17:2007/12/07(金) 21:57:06 ID:RgNlWAVM
「っはぁ〜〜、助かった・・・。」

それを見送って、モンモランシーが声を上げる。
ホワイトスネイクはゴーレムが十分に離れたのを見計らって、地面に横たわっているルイズを揺り動かす。

「マスター、起キロ」
「う、うん・・・・・・ッ! ほ、ホワイトスネイク! キュルケと青髪の子は!?」

意識を取り戻したルイズは、すぐにキュルケたちのことを口にする。

「重傷ヲ負ッテハイルガ、命ニ別状ハ無イ。ラング・ラングラーモ始末シタ」
「そう・・・よかった・・・・・・って、あの不届き者、殺したの!?」
「ソウダ。ソコニ奴ノ死体ガ転ガッテイル」
「・・・そう」

自分の使い魔が人間を殺したという事実を受け止めるルイズ。
そして自分の使い魔がした事を確かめるために、ホワイトスネイクが指し示した方向を見る。

「ッ!!」

凄惨な光景だった。
全身の血を一滴残らず周囲に撒き散らし、さらに全身が押しつぶされたかのようにベコベコになっているラングラーの死体。
そんなホラー映画顔負けのショッキング映像に加え、
ラングラーの血が自分にも降りかかっているのが分かった時には吐き気がこみ上げたが、
幸いにも消化しかけの物をゲロすることはなかった。
この一週間、ホワイトスネイクとのイザコザのために食欲が無かったのが功を奏したらしい。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:57:17 ID:irPHI7dc
支援
464ゼロのスネイク8/17:2007/12/07(金) 21:57:48 ID:RgNlWAVM
「・・・あんた、一体何やったのよ?」

やっとのことで、喉から一言搾り出したルイズ。

「『ラングラーの体内気圧を限界まで低下させた』・・・トイウノガ私ノシタコトダガ、
 ソレデハ分カラナイダロウカラ気ニシナクテイイ」
「気にするわよ。
 ご主人様には使い魔がした事を知る権利があるわ」
「説明シタッテ分カルモンジャアナイシ、ソレニスル時間ナド無イ」
「何よそれ!」

むぅ〜〜、と唸るルイズ。
それを見て、これはまた険悪になるかな、と思ったホワイトスネイクは、

「起コスカ?」

キュルケとタバサを指し示してそう言った。

「バカ言わないでよ。重傷負ってるんなら起こしちゃダメに決まってるじゃない」
「分カッタ」

ホワイトスネイクは淡白に答える。
そしてそう言って周囲を見回したルイズは――
465名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:58:29 ID:4ssWfUts
支援
466ゼロのスネイク9/17:2007/12/07(金) 21:58:43 ID:RgNlWAVM
「ちょっ、モンモランシー! あんた、何でここにいるのよ!?」
「それはこっちにセリフよ、ルイズ!
 ギーシュと二人っきりで歩いてたらいきなり変な奴と一緒に壁を突き破って出てきて、それにそれだけじゃないわ!
 あんたの使い魔、さっき言った奴と殺し合いまでしたんだから!
 わたし、心臓が飛び出るかと思ったわよ!
 ギーシュもギーシュであんたの使い魔のことを『あれは騎士だ!』とか訳分かんないこと言って興奮してたし・・・」
「え、ちょっとまって。ギーシュもいるの?
 あんた浮気されたから絶交だとか何とか言ってたじゃないの」
「一週間も経ったんだから許してあげてもいいかなーって思ったのよ!
 別にいいじゃないの!
 わたしとギーシュの問題なんだから!」
「まあ、それはそうだけど・・・」

少々ヤケクソ気味のモンモランシーの剣幕に押されるルイズ。
ちなみに会話の当事者であるギーシュはまだおねんねの最中だ。

と、そうこうしてるうちに、ルイズはホワイトスネイクに、ものの見事に話をすり替えられたことに気づいた。

「ホワイトスネイク!
 あんたまだわたしが聞いたことに答えてないわよ!」
「ダカラサッキモ言ッタロウ。私ニハソレヲ説明スル時間ナドナイ」
「何でよ!」
「ラングラートノ戦イノ前ニ言ッタハズダ。
 例エ生キ延ビタトシテモ、ソノ後自分デ自分ニ決着ヲ付ケルト」

それを聞いて、ルイズが固まった。

「何・・・ですって?」
「聞コエナカッタノカ? ツマリ私ハコウ言ッテイルノダ。『今から自決する』・・・トナ」
467名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:59:14 ID:irPHI7dc
支援
468ゼロのスネイク10/17:2007/12/07(金) 21:59:56 ID:RgNlWAVM
さも当然のように言うホワイトスネイク。
それを見て、ルイズは全部思い出した。
自分を主人と呼びながらも、自分がそれに足らない存在だと見なすかのような態度。
自分よりも優れた判断が出来るとでも言わんばかりの態度。
自分を、主人だと認めていない態度。
忘れていた怒りが、マグマのようにグツグツ煮えたぎった。
そして――

「・・・の・・・・・・」
「・・・何ダ?」
「・・・・・・この・・・・・・」

プッツンした。



「このバカ蛇ぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」


469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:00:39 ID:4ssWfUts
支援
470名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:01:18 ID:ZH0zefbC
支援
471ゼロのスネイク11/17:2007/12/07(金) 22:01:50 ID:RgNlWAVM
そう叫ぶが速いが杖を振り上げ、一切の迷い無くホワイトスネイクに向けて振り下ろすッ!

ドゴォォォォォン!

「ハグッ!」

至近距離でのルイズの失敗魔法の爆発が、ホワイトスネイクを吹っ飛ばすッ!
ルイズ自身も今の爆発で後ろに吹っ飛ばされたが、すぐに起き上がってホワイトスネイクの方へ走る。

「そこをおおおおおお!! 動くなあああああああああ!!」
「何ダトォーーーーーーーーーーーッ!?」

突然ブチ切れた主人の暴挙に激しく混乱しながらホワイトスネイクが悲鳴を上げる。
そしてッ!

メメタァッ!!

「ブゲアッ!!」

ルイズの100点満点の飛び蹴りがホワイトスネイクの顔面に炸裂したッ!
さらにその蹴りの勢いでホワイトスネイクは3回半ほど後ろ回りをした挙句、校舎の外壁にごつんと後頭部を打ち付けた。

「グオォォッ・・・」

激痛でしゃがみこむホワイトスネイク。
ラングラーとの激戦、さらには限界状態での幻覚の使用。
それら能力と体力の酷使とご主人様の乱行とでホワイトスネイクはヘトヘトに弱りきっていた
だがそんな彼に対しても、桃色髪の阿修羅は容赦しなかった。
当然モンモランシーもその光景を見ていたが、ルイズのあまりの凄まじさに何も言えなかった。
阿修羅――もといルイズは、そんな満身創痍を軽く通り越した状態のホワイトスネイクにおもむろに近づくと――

ドグシャアッ!

「ア・・・足ノ・・・小指・・・ヲ!」

口をぱくぱくさせながらホワイトスネイクが頭から崩れ落ちた。
足の小指を全力で、しかも革靴履いた足のかかとで踏みつけられたのだ。
痛いとかどうとかのレベルを超越している。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:01:59 ID:irPHI7dc
支援
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:02:37 ID:zxGxI2Zs
支援
474ゼロのスネイク12/17:2007/12/07(金) 22:02:58 ID:RgNlWAVM
「この・・・この大バカッ!」

地面に突っ伏して呻いているホワイトスネイクにルイズが罵声を浴びせる。

「そもそも何なのよあんたは!
 サモン・サーヴァントで出てきてからご主人様差し置いて好き放題じゃないの!
 決闘じゃギーシュを殺しかけるし!
 自分がスタンドだからとか何とか言って訳分かんないこと言うし!
 それに、それに自分から死ぬなんて言うし!!
 あの不届き者と戦ってる時、だって、凄く心配してたのに! わたしがバカみたいじゃないの!!
 わたしが、わたしがどんだけ、あんたの事を心配したのか分かってるの!?」

ホワイトスネイクは倒れたままの状態でルイズの言葉を聞く。
ホワイトスネイクの今の体勢からではルイズの顔は見えなかったが、ちゃんと分かった。
言葉が途中から切れ切れになり、声が涙混じりになったのも、ホワイトスネイクには分かった。
そしてそれらの言葉の中の一つの単語が、ホワイトスネイクの胸中に響いた。

心配。
スタンド本体の力そのものであるスタンドたるホワイトスネイクにとって、それは全く縁の無い言葉だった。
とはいえ、言葉の意味を知らないわけではない。
しかし、その言葉が自分に対して矢印を向けていると言う事実に、ホワイトスネイクは驚いていた。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:03:18 ID:FGKMu4Wb
支援
476名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:03:24 ID:Tf0ook89
メメタァwww支援
477名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:03:59 ID:zxGxI2Zs
スタンドでもソコは痛いんだな
支援
478ゼロのスネイク13/17:2007/12/07(金) 22:04:04 ID:RgNlWAVM
「マスター」
「・・・なによ」

ぐすっと鼻水をすすってルイズが答える。

「マスターハ・・・私ヲ心配シタノカ?」

そうホワイトスネイクが言うや否や――

ドグシャアッ!!

「フベッ!」

ホワイトスネイクの無防備な後頭部をルイズが容赦なく踏みつけた。

「当たり前じゃないのこのバカ蛇!!
 さっきから! さっきから何回もそう言ってるじゃないの!!」

後頭部の痛みを痛烈に感じ、そしてルイズの言葉を聞きながら、ホワイトスネイクは思った。

何てこった、と。

ここでは自分はスタンドとしては扱われないらしい。
自分が全存在を懸けて返済しようとした命令無視のツケの領収書を、この小娘はあっさりと突き返した。
さも当然、と言わんばかりに。
しかもそればかりじゃあない。
自分の力そのものであるスタンド――本体とまさしく一心同体であるものとは、まるで違う存在であるかのように、
あたかも他人に対するかのように心配などしてきたのだ。
自分をスタンドとして扱う気など、毛頭無いらしい。
今までの20年で積んで来たスタンドとしての立ち振る舞いの、その大半が一瞬で無用の長物になったように思えた。
何てこった。
こんなバカな話があるものか。
せっかく本体とのダメージ共有も無い分、よりスタンドらしく振舞えるものと思っていたのに。
何てこった。
これでは――



――これでは、今はまだ死ねないではないか。


479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:05:16 ID:ZH0zefbC
支援
480ゼロのスネイク14/17:2007/12/07(金) 22:05:22 ID:RgNlWAVM
ホワイトスネイクはおもむろに起き上がった。
そして、ルイズと向き合う。
自分を一方的にボコボコにしたご主人様は、目に涙を溜めていた。
それを見て、改めてホワイトスネイクは思う。
やっぱり、まだ自分は死ねない。
こんな前途多難なスタンド本体――もとい、ご主人様を守ることなど、自分以外では難しすぎる。
他の者には到底任せられない。

そして、口を開く。

「・・・トリアエズ、謝罪ハシテオク」
「・・・とりあえず、って何よ」

尖った口調でルイズが返す。

「言イ訳ハ趣味ジャアナイガ、謝ルヨリ先ニスルコトガアルノダ」
「・・・何よ」
「コッチノ世界ニ、対応スルコトダ」
「・・・は?」

ホワイトスネイクの言ったことの意味が分からず、聞き返すルイズ。

「私ハコレデモ20年生キテイルガ、ソノ20年分ノ経験デハコノ世界ニハ到底対応デキナイ。
 ツマリ・・・コッチノ世界ニ合ワセタ立チ振ル舞イヲ早急ニスル必要ガアル」
「だからどういうことよ!」
「ソウダナ、マズハ自分ニ自分デ決着ヲツケル・・・トイウノヲ撤回スルカ」
481名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:05:51 ID:Tf0ook89
支援
482ゼロのスネイク15/17:2007/12/07(金) 22:06:10 ID:RgNlWAVM
「・・・・・・本当に?」

疑いの強い目つきでルイズがホワイトスネイクを睨む。

「・・・本当ダ」

それを真っ直ぐに見返して、ホワイトスネイクが返す。

「本当に本当ね?」
「・・・本当ニ、本当ダ」
「だったら3つ約束して」
「何故ダ?」
「あんたがウソ言って無いんだったら、今からわたしが3つ言うことに約束して。いいわね?」
「・・・マアイイガ、何ヲダ?」

怪訝な顔をして聞くホワイトスネイクに、ルイズは真剣な顔で答える。

「1つ! わたしの言う事は最大限聞くこと!
 2つ! わたしの身を守るのは、ほんとうにどうしようもない時だけ!
 3つ! ・・・」
「・・・3ツ目ハ何ダ?」



「・・・わたしのことはルイズ、って呼びなさい」


483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:07:42 ID:Lu2Wyy6W
支援!
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:09:19 ID:B2TYDi9b
うおお間に合え!
支援!
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:09:33 ID:Tf0ook89
支援
486ゼロのスネイク16/17:2007/12/07(金) 22:09:53 ID:RgNlWAVM
「・・・マスター、ジャダメナノカ?」
「ダメ」
「何故ダ?」
「なんでもいいから! わたしにはルイズって立派な名前があるの! だからあんたもそれで呼びなさいってことよ!」
「マア・・・ソウイウコトニシテオクカ」
「何よその言い方! 文句あんの?」
「イヤ無イ。無イカラ、無イカラ私ヲ踏ンヅケヨウトスルンジャアナイッ!」
「いーや、踏んづけるわ。何だかよく分かんないけどまた腹立ってきたもの。覚悟しなさい」
「タカガ一週間ポッチノコトダローガッ! 私ハ体力的ニソロソロ危ウインダ! コレ以上ダメージハ受ケレンッ!
 ダカラヤメロト言ッテ・・・」

メメタァッ!

「ギャアァッ!」

結局ホワイトスネイクは踏まれた。
さっきと同じ足の小指を、さっきよりも強く。
そして、恐るべきジャンピン・ジャック・フラッシュと死闘を演じた強力なスタンドには不似合いな、情け無い悲鳴を上げたのであった。

しかし、この悲鳴・・・ひょっとしたら、産声なのかもしれない。
ルイズとホワイトスネイクの、「スタンド本体」と「スタンド」の関係ならぬ、「ご主人様」と「使い魔」の関係の。
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:10:46 ID:4ssWfUts
支援
488ゼロのスネイク17/17:2007/12/07(金) 22:11:56 ID:RgNlWAVM
ギーシュ:駆けつけた教師たちによって医務室に運ばれるが、
     ケガ一つして無い上にすぐに目を覚ましたので自室へ戻った。

モンモランシー:ギーシュに付き添って医務室へ。
        やはり何の問題もなかったギーシュにちょっぴり涙ぐみながら自室に戻る。

キュルケ:重傷。駆けつけた教師達によって医務室に運ばれる。

タバサ:重傷。駆けつけた教師達によって医務室に運ばれる。

オールド・オスマン:ルイズの部屋にラング・ラングラーが侵入した事件、そしてフーケ事件の処理で突如多忙になる。
          こんな時に限ってミス・ロングビルがいないことを恨めしく思った。

ミス・ロングビル:現在地不明。魔法学院にはいないようだ。

ルイズ:軽症。医務室で水魔法の治療を受けてから自室に戻った。

ホワイトスネイク:重傷。発現状態を保つのもキツくなったので、ルイズの中に戻った。

                 ・
                 ・
                 ・

そして・・・

(ソーイエバ、ラングラーカラ記憶ト『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』ノスタンドヲ抜イテオイタノヲ
 ルイズニ言ッテイナイ気ガスルガ・・・マア、イイカ)

何日後か、何週間後かは分からないが、ルイズから一発蹴りを貰うことが決定したホワイトスネイクであった。



ラング・ラングラー:死亡。スタンドと記憶はホワイトスネイクの手に。


To Be Continued...
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:14:11 ID:zxGxI2Zs
あれ?このホワイトスネイク萌えるぞ
支援
490ゼロのスネイク18/17:2007/12/07(金) 22:14:21 ID:RgNlWAVM
投下完了の世界

とりあえず、仲直り完了して本当に良かった。
あと白蛇がルイズに踏まれて痛がったり壁に頭ぶつけて痛がったりするのには
理由が用意してありますのでご安心を

次はフーケ戦の世界。
さて・・・どうするか。
ワルド戦考えてあってフーケ戦考えて無いとか、もうね
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:19:30 ID:Tf0ook89
投下乙です
ホワイトスネイクかわいいなwww
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:20:10 ID:Lu2Wyy6W
GJ!
この蛇はイイ蛇ッ!
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:21:54 ID:zxGxI2Zs
投下乙そしてGJ
このホワイトスネイクは萌える
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:22:02 ID:irPHI7dc
GJ!
なんて魅力あふれる蛇さんなんだww
495風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/07(金) 22:35:31 ID:bMHFecVR
オツカ・レクイエム
496名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:36:18 ID:bMHFecVR
うおう、コテ外し忘れ、途中送信、くだらないギャグの三連打をしてしまった
死にたくなってきた

とにかく白蛇さんお疲れさまです
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:54:54 ID:36V1Llhw
スネイクの人、ディモールト乙&GJっ!
このホワイトスネイクは確かに萌える!
498名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 23:02:27 ID:a1kZyd3J
GJ!待ってたぜ!
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 23:36:10 ID:yDPdSYpp
GJ!やべえ白蛇の萌えた
500名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 23:47:26 ID:mYOfiSjz
まさか蛇に萌える日がくるとは・・・GJ!
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:18:56 ID:brf8HZGf
>>「何よその言い方! 文句あんの?」
>>「イヤ無イ。無イカラ、無イカラ私ヲ踏ンヅケヨウトスルンジャアナイッ!」
>>「いーや、踏んづけるわ。何だかよく分かんないけどまた腹立ってきたもの。覚悟しなさい」
>>「タカガ一週間ポッチノコトダローガッ! 私ハ体力的ニソロソロ危ウインダ! コレ以上ダメージハ受ケレンッ!
>> ダカラヤメロト言ッテ・・・」

>>メメタァッ!

>>「ギャアァッ!」


この流れが秀逸すぎる
作者はラブコメのなんたるかを熟知しているな
502アヌビス神 ◆3TEZH33Zm6 :2007/12/08(土) 00:24:28 ID:IKElau+O
久々に投下しますよ。
トリップは前に宣言した通り今回から変更。多分もうなんか他と被ることは無いと信じて。

ちょっと久々だから色々不安だわって事で短めかも。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:25:26 ID:SY3whdmm
支援すると思ったときには!その時支援は終わっているんだッ!
504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:25:37 ID:UKUf9TUs
俺たちのアヌ○スが帰ってきたーーー!
≪OK、支援を開始する!≫
505アヌビス神 ◆3TEZH33Zm6 :2007/12/08(土) 00:26:54 ID:IKElau+O
「斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
 斬る斬るKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILL
 KILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILL
 KILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILL
 KILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILL
 KILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILLKILL」

 土埃が舞った。
 クロムウェルも、そしてその場に居合わせる『レコン・キスタ』のメイジらも驚愕に声も出せずにいた。
 土煙はゴーレム。それも『土』のスクウェアが作り出した五十メイルを超える鋼鉄の特上の物であった。
 それが一瞬で土煙へと眼前で化けたのである。
 煌めく十の刃。
 その前で塵芥へと。

「絶っ!!
 好っ!!
 調ーっ!!」
 ワルドの手から叫び声が上がる。
 その声は右の手より。
 そして左の手よりも声が上がる。
「おでれーた。
 俺、マジでおでれーてる!
 無敵過ぎるだろ兄弟」
 デルフリンガーは心情を隠しもせずに興奮の声をあげる。
「はは、盛り上がっている所を悪いが、来る!それも極上の『火』!」
 割って入ったワルドの声に右の手と四方から言葉が返る。
「ちょろいね!」
 アヌビス神は『火』『火』『火』『火』のハルケギニアで最も強力で無慈悲な炎のスクウェアスペルを前にへらへらと笑い飛ばす。
 燃ゆる業火。その色白色へと達する。それは最上の熱量の証。
 側に寄るだけで身を焼くそれへと五人のワルドは、デルフリンガーを前方へと突き出し一気に間合いを詰める。
 灼熱の火球の命はほんの数瞬であった。
「げーっぷ」
 デルフリンガーがふざけた調子の声でおどけた。
 五倍の魔法喰らう伝説の前には、『火』のスクウェアと言えども児戯であった。
506名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:27:49 ID:XSTkQ9Bv
あいかわらず飛ばしてるなw
支援!
507名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:28:11 ID:UKUf9TUs
FirstKillから始まるー 二人の血みどろデスティニー 支援。
508アヌビス神 ◆3TEZH33Zm6 :2007/12/08(土) 00:29:30 ID:IKElau+O
 ワルドらを囲む『レコンキスタ』が精鋭のメイジらが身を凍らせた。
 かの烈風の武勇伝すら、今見た現実の前には可愛らしいとさえ思えた。
「お前ら、ここは戦場だっての!」
 妖刀が吠え、自慢の魔法を喰らい尽くされ茫然自失の『火』のメイジの胴と首、胴と腰が泣き別れる。
 彼の最後の視界には左右を駆け抜けた二人のワルドが。最後の聴覚には『ガンダールヴ』を名乗る妖刀の狂ったような笑い声が聞こえた。

 吹き上がる赤き命の間欠泉。
 それを突き抜け二振りの輝きが、『土』のメイジに襲いかかる。
「あ……」
 小さく声を残し、彼は胸と首を貫かれ崩れた。

 スクウェアスペルが児戯も等しい扱い。
 有り得ぬ現実を前にして恐慌が巻き起こった。幾多の戦場を越え、屍を築き、血の海を渡った彼らだが、それによって築かれた常識を越える眼前の悪魔に、心は無垢な幼児へと戻され、泣き叫びながら蜘蛛の子を散らす様に逃げ去ってゆく。

「おやおや、閣下。
 ご自慢の精鋭たちは用事を思い出した様子。
 如何なされますかな?」
 ワルドがわざとらしくおどけて、小首を傾げる。

 流石のクロムウェル。皇帝の野心を持つ男は、その欲望を持って心を保っていた。
「この様な虐殺行為、『愛』の彼の意に反するのではないかね」
「駄目なのです閣下。この身体最早僕の自由ではありません。
 鬼の心で動きまする」
 ワルドのおどけに対し少々ふざけたふうに振る舞い笑ってみせるが、ワルドは悲しそうに首を横へと振った。
 そう、初めのあの時がワルドの独断を通せた最後の時。今やこの身はアヌビス神が支配している。
 血を好み肉を骨を断つ感触を好む妖刀。彼はたった今、複数の命を断った事に興奮し次なる贄を求めている。
 そう、現実としてその両の手からは奇妙な笑い声が聞こえてくる。
「ひゃっはぁー!いひひひひひひひひ。最高!肉最高!骨最高!」
「落ち着け。兄弟落ち着け。さっきの流れるような首撥ねは素晴らしかった。
 えへへ、落ち着け。俺たち絶頂っぽいけどよー。まあ落ち着け」
 興奮した二振りの邪悪としか言えない笑いが木霊する。

「つまりはこう言う事なのです」
 ワルドのその言葉にクロムウェルはついに心を折り、「ひぃっ」と声を上げ数歩後退り、振り返り尿を漏らしながら走り出す。
 刹那、左の腕に焼かれる様な痛み。そして突然左半身が軽くなり、体重のバランスが崩れ地面へと転がる。
 クロムウェルは恐る恐る己の左腕を見る。
 真っ赤な腕。否、噴出す血潮。
 恐怖に痛みは消し飛ぶ。
 たった今斬り飛ばされた左腕を、ワルドの脚が容赦なく踏み付けるのが視界の片隅に映る。
 声も出ず、這うようにして、迫るワルドから逃れようと必死に必死にもがく。
 進む先、目の前に脚が見えた。
「ひっ」と怯えの声を上げて恐る恐る視線を上げる。
 それはフードを深く被った女性であった。
「しぇ、シェフィー……ルドか?」
 クロムウェルは救いの神とばかりに残された右の腕のみで必死で掻きついた。
 シェフィールドと呼ばれた女性はクロムウェルを気にも止めず、唇をニィっと一瞬歪めワルドの方を見た。
「まさか『ガンダールヴ』がインテリジェンスソードだとはね」
 何処から、そして何時から様子を窺っていたのか彼女は言葉を続ける。
「それも『ガンダールヴ』の名前がアヌビス?なんて面白い冗談」
 その言葉にアヌビス神がハァ?と、がらの悪い声をあげる。
「人様を冗談呼ばわりたーふざけやがって。
 オイ、ワルド。誰だアレ?」
「クロムウェルの秘書のシェフィールドだ」
「おーおー。なるほどなるほど。ワルド子爵ご推奨のレコン・キスタ、ベストオブおっぱいだな?」
 ワルドは盛大に口から何かを吹いた。偏在の数だけ吹いた。
「と、とと突然何を。
 そ、そそそ、そのような事は。ま、待てシェフィールド!
 何だその表情は!」
 反射的に胸元を庇うように腕を組み、シェフィールドが何かせつない生き物に向けるような視線でワルドを見た。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:29:53 ID:UKUf9TUs
まじありえねぇ この切れ味支援
510名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:32:12 ID:UKUf9TUs
ここでもおっぱい子爵か! つか、そういえばエルフの聖者もアヌビスだった 支援
511アヌビス神 ◆3TEZH33Zm6 :2007/12/08(土) 00:32:46 ID:IKElau+O
「サイレンスの魔法で、こっそり風呂覗いて確認したから間違いないらしいぜ。
 睡眠中にスリープクラウドかまして起きないようにしておいて、じっくり触ったから間違いないらしいぜ」
「マジか。マジか兄弟。こいつそこまで屑だったのか」
「ああ、良い弾力だったとか―――――」
「ま、ままま、待ちたまえ!」
 ワルドは、勝手に五方向サラウンドで、戦場に似つかわしくないとんでも無い事を言い始めた二振りへと割って入る。
「覚えは無い!そんな事は断じて断じて!」
「嘘だね。其の侭寝巻き捲り上げて吸ってみただろ実は。味も見ておくべきだとか思ってただろ?」

「な、ななななななななな!
 何か油断なら無い物は感じていたけれど、まさかそんな下種だったなんて」
 瀕死ではぁはぁ息を切るクロムウェルを放置して、シェフィールドが纏った雰囲気に似つかわしくない感情を顕わにして声を荒げた。
 予想外のセクハラ発言に頭に血が上り、何故アヌビス神がそのような事を言い出したのか疑問にも思えずワルド殺すと殺意を向ける。
「誤解だ!僕はそんな事はしない。そんな事するような人間ならば既にフーケやタバサにもやっている!
 ではない、それも誤解だ。そんな無粋な事をこの僕がするとでも言うのか!」
 混乱気味のワルドが五方向サラウンドで必死に弁解するが泥沼である。
「あんな幼い子にまで……」
 フーケは兎も角として、諸事情でタバサの事は詳しく知るシェフィールドは、更に軽蔑するような視線をワルドへと送る。

 ワルドが五人揃って涙目で必死に弁解している。アヌビス神も茶々を入れるのに夢中だ。
 シェフィールドは、馬鹿馬鹿しい上に腹立たしいがチャンスであると判断した。どうあれこの場は当初の予定通り、瀕死のクロムウェルを救い脱出しなければならない。
 彼女は用意していた物を懐から取り出し素早く準備し、煙幕を焚いた。

「落ち着け兄弟。落ち着けワルド。馬鹿をするタイミングじゃねえぞ」
「確かにあれは良い物だが断じて吸っては……はっ!?」
「だってよー、あの胸を見るなりワルドの頭の中に邪まな感情が見えたしよー。
 それに覗いたりはした事あるんだよな実際……はっ!?」
 デルフリンガーの言葉にワルドは、アヌビス神は、はっと我に帰る。
 そして偏在を含め自分たちへ煙の中から飛来した何かを軽く斬り飛ばす。
「ちっ、煙幕か!
 おっぱい子爵が余計な言い訳をするからだ」
 煙の向こうを人影が走るのが見えた。
「逃がさな……ん?」
 アヌビス神は素早くワルドの身体を駆り、その逃げる影へと飛び掛ろうとするも影が幾つも存在する事に気付く。
 しかも其々に気配が存在する。
「おいワルド、デル公、何だありゃ?何で十も二十も沸いて出るんだ?
 あれも偏在か?」
「僕はあんな数の偏在など聞いたことも無い。不可能だとしか言えん」
『風』のスペシャリストであるワルドが真っ先に否定した。
 幾ら五の身体を持ってしても手におえる数ではない。
「かまやしねえ。片っ端からばらしちまやいいじゃねーか」
 デルフリンガーのその言葉に動こうとした、その時に偏在が一斉に姿を消した。
「は?」
「ど、どうしたんだ?」
 アヌビス神とデルフリンガーが、『え?』と声を上げる。
「先程斬り飛ばした何かが不味かったのか、ダメージを受けて掻き消えたようだね」
 ワルドが視線だけで己の身体を大丈夫かな?と伺う。
「もう一回出せばいいだけだろ。さっさと出せ」
 取りあえずとばかりに、最も近い影を斬り付けつつワルドを促す。
「無理だ。僕にはもうエア・ハンマー一発分残っているかと言った所だ」
 アヌビス神の言葉にワルドは苦笑気味に答えた。
 無理も無い、出陣前に若干の休息は有った物の、それ以前に魔法を酷使し過ぎていたのである。

512名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:33:57 ID:uG91iVBq
支援
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:34:04 ID:UKUf9TUs
シェフィールド、無惨 支援
514アヌビス神 ◆3TEZH33Zm6 :2007/12/08(土) 00:34:59 ID:IKElau+O
「つまりは何だ」
「取り逃がしたって事だあね」
「余計な事を言い出すからだ……」
 煙が晴れた後には、見た事も無い人形が転がっているだけであった。
 魔法か何かで身代わりとして動く人形を囮とし、クロムウェルとシェフィールドが煙幕に紛れて逃げたのは直ぐに理解できた。
 それをワルドの身体で蹴飛ばしながらアヌビス神たちはやれやれとぼやいた。

 ニューカッスル方面の空を覆いつくすような大艦隊が、轟音を響かせ砲撃を繰り返すのが見える。
「不味くね?」
「途轍もなく不味いな」
 アヌビス神とデルフリンガーは遠い眼差しで空の有様を見上げた。
 旗艦『レキシントン』を中心とし、レコン・キスタ艦隊がこれでもかとばかりにどっかんどっかんと大砲を撃ち続けている。
「デル公よお、あれってやっぱばれたら袋叩きだよな?」
「間違い無いね。一瞬で火達磨爆発炎上だあね」

「慌てるな。クロムウェル本人はまともに指令も出せぬ程には追い込んだ。
 今の内にクロムウェルの下の指令系統を押さえ撤退命令を流せばどうとでもなる」
 ワルドのその言葉に、アヌビス神がほほーとわざとらしく息を吐く様にして言葉を返す。
「で、その指令系統とやらは何処だ。司令官か何かがいる所があるんだろ?おれたちの今の足で如何にかなる場所なんだろうな?」
「その通りだあね。直ぐに駆けつけられる場所じゃないとはっきり言ってやばいね」
 デルフリンガーが鍔をかちゃかちゃ鳴らしながら、そうだそうだと言葉を続ける。
 グリフォンの場所までの距離。そして敵の情報統制が取れる前にグリフォンの速力で到達できる距離かどうか。それ次第では非常に面倒な展開も考えなければならない。
 場合によっては、魔法も殆ど打ち止めで偏在も無いワルドの身体を使って敵陣制圧も行わなければならないのである。
「コホン。ははは問題無い、場所なら良く知っている所さ」
 二振りの注目を感じながら、一度咳払いをし落ち着きを取り戻すようにしてワルドは口を開いた。
「『レキシントン』……いや、『ロイヤル・ソヴリン』だ」
 その言葉に二振りは黙り込む。

 そしてアヌビス神はちょっと待てよ!と思う。
 それ、最初に何か取り決めておけば良かったんじゃねえの?とデルフリンガーが考えているのが何だか伝わってくる。
 馬鹿馬鹿しさから復帰し思考が回り始め、堰を切ったように溢れ出すのは抗議。
「にゃにぃー!ちょっと待て!!」
「駄目じゃねーか!!本当に駄目じゃねーか!!」



 To Be Continued
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:36:42 ID:UKUf9TUs
ワルドー!間抜けすぎるぜーーー!
だが、アンタのおっぱい魂、YESだね!
GJっしたー!
516アヌビス神 ◆3TEZH33Zm6 :2007/12/08(土) 00:37:54 ID:IKElau+O
って事で今回はここまで
やっとでスーパーワルドタイム終了
後2回ぐらい年内にこなせればいいなぁ
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:38:38 ID:brf8HZGf
アヌビス無双GJ!
あとワルド最低wwwwwwwwww
518名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:45:42 ID:x2kTTIwZ
アヌビスおかえりッ!!

あいかわらずの良作っぷりで。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 01:07:52 ID:FyW1IlO+
ハハハワルド君、ソムリエの名に恥じぬ所業だねGJ
520名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 01:08:49 ID:1ByWnKqa
アヌビス神の方GJそして乙っしたー!
さっきまで幽体離脱してたけど戻ってきてよかった!
アヌビスとデルフの戦闘狂!ワルドのおっぱい馬鹿!(褒め言葉)
二振りの組み合わせが最強過ぎてたまらないッ!
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 01:26:27 ID:nIwI7ne4
GJ!
サイレンスとスリープクラウドの実用的な使い方。
きっと王宮や領地でもやっていたに違いない。
さすが風のスクウェア、おっぱいソムリエは伊達じゃない。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 01:44:02 ID:nCJ7e7T2
何この異世界レツゴー三匹www
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 01:45:25 ID:b0lzsElW
GJ!
シェフィールドのこういう扱い初めて見るな。
さすがおっぱいソムリエ!
524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 04:59:05 ID:i642oJTR
GJごめんなさいマチルダちゃんに続いてシェフィールドさんの片鱗が垣間見えました事よッ!
とりあえず今はこう叫んどくよ。

アヌビス神復活ッ!
アヌビス神復活ッ!
アヌビス神復活ッ!
アヌビス神復活ッ!
アヌビス神復活ッ!
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 14:11:20 ID:E10P3WrU
            -‐  '´ ̄ ̄`ヽ、
          /・・/:・,へヾヽ・:\  
         //,::'/ /レ'/   ヽハ 、・.ヽ
         〃 {_{ル'´    リ|l.│・:i| 
         レ!小ノ    `ヽ フ|l:i・ i|  
          ヽ|l ●   ●  |: ・|ノ!   私が時を飛ばした…04:59:05の時点でな
            |ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃j  |・, |  
           |: /⌒l,、 __, イァト |/.|
           | /==イ,┃, ,_┃XXヽ:|
           | || |il !トー癶-イXX/━||
526名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 15:11:35 ID:0VYD+nm2
SSを書いても一向に「完成」という「結末」に辿り着く気配がありません!
兄貴…SSを書くと思った時にはスデに書き上がっているという境地はあまりにも遠すぎるよ…
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 15:32:11 ID:zKWIO47m
『結果』だけを求めていると、人は近道したがるものだ………
近道した時真実を見失うかもしれない、やる気もしだいに失せていく
大切なのは『真実に向かおうとする意思』だと思っている
向かおうとする意思さえあれば例え今日は書けなかったとしても、いつかはたどり着くだろう?
向かっているわけだからな………違うかい?
528名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/08(土) 17:42:17 ID:HDlaizFF
イザベラ様はメイジよりもスタンド使いの方が似合う
529名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 18:57:36 ID:7eDDXkas
メイジがペイジに見えた
俺の脳がヤバイ
530名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 19:03:17 ID:lxWkvX30
>>528
それ温めてたネタだわw
531名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/08(土) 19:22:44 ID:HDlaizFF
シエスタ「これからも・・・普通の友達でいてくれますか?」
サイト「そ・・・そりゃあもう!こちらこそです・・ハイ」
シエスタ「よかったわ〜!私嫌われたらどうしようかと一晩中ねむれなかったの・・・」
サイト「ハハハ・・・おーげさだなあ」
シエスタ「それで・・・これサイトさんのために私・・・朝までかかって編んだんです・・」
     お守りもつくったのよ・・・『ブリミル様 すてきな愛がみつかりますように』って」
サイト「・・・・・」
シエスタ「それと・・・今日もごはん抜きなんでしょ?いっしょに食べようかとおもって・・・
     ・・・この魚は今朝私が湖まで行って獲ってきたの・・・一本一本骨をトゲ抜きで取ったのよ・・・」
     
     「おなかすいてるんでしょ?はいあ〜んしてあ〜ん」
      


532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 20:06:35 ID:Fv3LpZTm
シエスタの母親が一発でわかったW
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 20:12:35 ID:Jo+V5qky
このシエスタの髪は間違いなく、腰まで届く美しいロング。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 20:44:58 ID:8gegTMv8
サイトにSHIT!!してしまう…まぁいつもの事なんだが……
535名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 20:53:38 ID:Ez1pBx23
だがちょっと待って欲しい
サイトの性格だと間違いなく調教一直線ではなかろうか
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 21:04:13 ID:4WFiF9rW
>>535
そして調教のピンチ!サイトのガンダールヴが成長・・・
『ガンダールヴ ACT 2』!
537名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/08(土) 21:44:35 ID:HDlaizFF
ルイズ「なんてことッ!手に傷がついたわッ!このクソ犬がッ!
    この私にこんなことして・・・犬ッコロのくせに!
    使い魔は貴族のものなのよ!私の物なのに逆らうの?

    『わたしのものなのにいーーーッ』」

サイト「ここまですごいとは!精神力がすごすぎるッ!
    ドス黒い執念の精神力がッ!・・・」
538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 21:53:58 ID:Fv3LpZTm
なにこの普段のルイズ
539名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:10:18 ID:M7ofxe+C
実にユージュアリーなルイズだな
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:13:37 ID:CBJVNy6P
皆の感覚だとnormalなルイズはドス黒いのか
とすると強化verなエレオノール様はどうなるんだwwwwwww
541風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:14:20 ID:Z8Vznu1O

ルイズ「私のパンティに切り込みを入れるなんて…ますます好きになって来たわ!
あたし全然相手にされなくてもいいッ!サイトの事思ってるだけで…」

これじゃメンヘラじゃねーかw
投下するよん
542風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:15:00 ID:Z8Vznu1O

「これがおれの本体のハンサム顔だ!」
文字通り肉壁を開け、自らの顔をさらけ出す。
そこにキュルケとタバサが魔法を放つ。
しかし、その魔法は肉に遮られる。

「『火』も『氷』も無駄なんだよッ!!俺には『弱点』はないんだよォーーッ!!偉そうなガキどもがァーーッ!」
続けてワムウがボディにパンチを叩き込む。
さすがの肉壁も耐え切れないのか、男の顔が少し歪む。

ワムウも驚く。
「ふむ、我が拳を受けて倒れないとは…面白い、実に面白い男だ!」
男は歯軋りをする。
「なめやがって…俺のこの肉は平民にも見えるし、触れもする…おめーらの一部はフーケのを見てるよなァ〜〜ッ!
そう、これは俺の能力!メイジの特権魔法に加え!新たなる能力、それが『スタンド』!
おめ〜らよ〜ッ…トリステイン魔法学院の生徒だってなァ〜〜ッ?あそこの俺は元生徒だったんだが…この俺をよぉ〜〜〜ッ、
問題生徒だとか言って退学にしやがったところなんだよなァ〜〜、うるせえ上級生をバレないよう足元を俺のスタンド、
『イエローテンパランス』で固めて、ちょっとばかしい痛めつけてやっただけだってのによォ〜〜…
それはともかく…あそこの品性方正なガキどもを俺の『イエローテンパランス』で痛めつける願いは叶いそうだなぁ〜〜ッ」

ワムウが先ほど男を殴った拳に肉片がついている。
「教えてやる!それにさわると左手の指にも喰らいつく…片手を食われるか両手を食われるか選びたいなら好きにしな。
嫌なら左手の指は鼻でもほじってるんだな」

ワムウの右手の肉片が嫌な音を立てて蠢く。
「右手を食らってパワーアップしてやるぜェ〜〜ッ!」
しかし、ワムウは動じない。
「食らうか…面白い、実に面白い…そして、我々に似ている…」
ワムウの左手に肉片が吸い込まれていく。
「食らうのに特化しているだけあって…これだけ小さい肉片すらも食い返すのに少々時間がかかる…
つまり、力押しは無意味だということか…俺にとって強い戦士こそ真理、久々に楽しめそうだ…
あっちのデクの棒は貴様らに任せたぞ」

そう残りに言い、風を纏いだす。
「肉の壁くらいカーズ様の輝彩滑刀ならば真っ二つだろう…名づけるならば輝彩竜巻の流法ッ!」
水蒸気を含ませ、宝石のように光を反射する鋭利な竜巻ッ!

「いいところに目をつけたけどよォ〜〜刃物対策はもちろんしてあるぜェ〜〜ッ…エアカッター相手には
まともにやったら怪我だらけになるからなァ〜〜ッ!」

竜巻は肉の表面を切り裂くだけで、内部までにはいたらない。
「その辺の鉄くずやら木片やら不純物よォ〜〜肉の中に含ませておけば風の刃くらい受け止められるぜェ〜〜…
ちょっとやそっとの肉片じゃ効かねぇしよォ〜〜〜その馬鹿力に『万が一』があるかもしれねェ〜〜…
ここは遠くから『ウェルダン』以上にじっくり焼いてェ〜〜ッ!俺のイエローテンパランスで食らってやるぜェ〜〜ッ!」

男は杖を振り巨大な炎の弾を放つ。
その炎の弾に魔法が着弾。爆発し、炎は消し飛ぶ。
543風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:15:34 ID:Z8Vznu1O

「あっちのゴーレムとやらをやれと言ったはずだが?」
ワムウは後ろの杖を構えたルイズとワルドに向かって話す。
「フーケには因縁があるとかいって三人でやるって言って効かないのよ、第一あんたは私の使い魔でしょ?
私を守るのが任務なんだから大人しく協力しなさい」
「戦いに誇りを持っているのはわかるが、これは決闘ではなく任務だ、急がないといけない以上ぐだぐだ言ってる
暇は無い、僕も参戦させてもらうぞ」

ワムウは舌打ちする。
「あの程度の炎の弾、連射でもされない限りかわすのはわけない…そして、俺の再生力ならば一発や二発受けても
別に大したダメージにはならん、打ち消す余裕があるなら精神力を温存しておけ」

「言ってくれるなァ〜〜、どうやら『ウェルダン』は好みじゃないらしいなァ〜〜ッ!」
巨大な炎の弾が何発も現れる。
「弾幕だぜェ〜〜火符ってとこかァ〜〜ッ…速度を捨てて威力に特化した『ファイヤーボール』とくと味わいな!」

ワムウは隙間を抜け、男の前に突っ込む。
男は杖を肉の中に格納するが、ワムウは構わず殴る。
しかし、今度は男の顔は歪まない。
「あの炎の間を抜けるなら正面しかこれねェよなァ〜〜…正面に集中すればどんな打撃にだって俺の城は
落とせねぇぜぇ〜〜…ブヂュルヂュルつぶしてひきずりこみジャムにしてくれるぜェー!」

ワムウはバックステップで肉片をかわす。肉に仕込まれている金属片などで拳から血がしたたる。
「なるほど、なかなか堅牢な砦だ…さて、ここはジョセフならどうするだろうな…」

後ろに下がったところを男は火炎で狙う。
ワムウは大人しく下がり、二人のところへ戻る。

「なかなか厄介だ、少々小細工でも弄してみようと思うが…自慢の隊長殿に聞きたい、
貴殿は風のナイフと炸裂弾と破壊槌であの城を落とすならどうするかな」

ワルドは杖を振り炎の弾の軌道を逸らせながら考え込む。
「ふむ、そうだな…破壊槌で背後から陥れて、兵が出回ったところを正面突破するとするか」
544名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:15:44 ID:KD07gH74
支援
545風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:16:14 ID:Z8Vznu1O

 * * *

キュルケが化粧をしながらフーケに話し掛ける。
「奇遇ですわね、土くれのフーケさん、お世話になったので夏中見舞いでも出そうかと思ってたところで」
「あら、こちらこそ。学校はお休みなのかい?」
「いえ、数日間ミス・ロングビルの喪中休みになる予定で」
「あらそりゃおかしいね…0親等の喪中休みは無期限休業のはずだよッ!」

化粧を終えたキュルケが『ファイヤーボール』を放つのと同時にフーケのゴーレムの拳が街道の地面をえぐる。
ファイヤーボールは届かず、巨大なゴーレムに当たり、消える。

タバサは口笛を吹き、やってきたシルフィードに三人は飛び乗る。
「タバサの分以外は全部燃やしてやるわッ!」
「なあキュルケ、君、最近ガラが悪くなったなぁ……」

上昇しようとするシルフィードにフーケの石礫が飛ぶ。
シルフィードの体をひねってかわそうとするが、ギーシュに巨大な石が当たり真っ逆さまに落ちていく。

「ギーシュッ!」
キュルケが杖を振り、レビテーションで軟着陸させようとする。
「キュルケ、僕のことはいい、その杖はフーケに向けててくれ、お願いだからな」

そのまま落ちていく。
フーケはレビテーションをかけることを予想していたのか、先ほどまでギーシュがいたところに石礫が飛んでいく。
「うおおおおうッ、ワルキューレッ!」

ギーシュは地面に杖を振り、着地地点にワルキューレを出現させる。
フーケは再度そこを狙おうとするが、キュルケ達に魔法を放たれ、防御に時間を割かれ阻まれる。
ギーシュはワルキューレの腕に墜落する。かなりの高度からおちたため、多少軟化してある腕とはいえ、
かなりの痛みを伴う。
キュルケ達は心配で振り返る。

ギーシュはゴーレムの上で親指を立てた後、気を失った。

「…柄にも無い」
ぼそりとタバサが呟く。
「ええ、ギーシュの分もしっかり返してあげないとね、さてどうする?」
「空中なら離れていれば『ジャッジメント』は無意味、トライアングル2人なら勝ち目はある」
「確かに遠距離ならゴーレムに精神力を裂いてる分私たちのほうが有利だけど…埒があかないわね」
「なら開ける、急降下しながら急接近する、攻撃お願い」

シルフィードの高度を上げ、ゴーレムの真上のあたりから様子をうかがう。
フーケは急接近に警戒し、ゴーレムの腕を上げる。
「腕の隙間を抜けれそう?」
「五分五分」
「抜けるだけで五分じゃちょっと採算あわないわね、さてどうしましょうかね」
キュルケは唇に指を当て考える。
「フーケのゴーレムはギーシュのと違ってこの辺の土が詰まってて堅いし…」
そして、なにか思いつく。
「そうよ!いっぱい詰まってるからいいんじゃないの!タバサ、ゴーレムにあなたの氷の矢を突き刺せる?
できるだけ深いほうがいいんだけど」
「やってみる」

シルフィードの距離を一旦離し、胴体に向かって数本の氷の矢を飛ばす。
しかし、表面を覆った鉄がそれを阻む。
546風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:17:04 ID:Z8Vznu1O

「私のゴーレムの自慢はでかいだけじゃないのさ!…さあ、今なら逃げても追わないよ」
「冗談言わないで、おばさん」

タバサは長い詠唱の後、巨大な氷の矢を強力な風圧で飛ばす。
ゴーレムの胴体にそれが突き刺さる。
「なかなか強力な呪文じゃないか、でも穴の一つや二つで崩れるほど私のゴーレムはやわじゃないよ!」

フーケのゴーレムは刺さった氷の表面より外の部分を叩き折り、大きな足取りでこちらへ動き始める。
再び、シルフィードを急上昇させる。

「タバサ、勝負を決めるわよ、首尾よくね」
「了解」

シルフィードが急降下し、フーケの胴体の穴に急接近しようとする。
ゴーレムの拳をギリギリでかわす。
キュルケが穴に向かって杖を振り、タバサが遅れて杖を振る。

そしてなんとか安全な場所に離脱する。

「あら、なかなか無茶なことしたみたいだけど…なにをしたのかわからないわね」
「あら、観察眼が足りないわよ」

変わった事は穴が厚い氷でふさがれているだけであった。
「そろそろ…変化がおこるはずだから」

ゴーレムの穴を塞いだ氷の隙間から蒸気が噴出し、甲高い音をあげる。
「まさかッ!」
「そのまさかよッ!」

ゴーレムの内部に残っていた氷をキュルケの炎が溶かし、蒸発させ水蒸気に変えた。
「氷で逃げ道を一時的にも塞いだら…あとはおわかりよね?」

約1500倍に体積の増えた水蒸気は逃げ場を求める。
フーケは叫ぶ。
「うおおおッ!だが!ゴーレム崩壊は許可しないィィィィィーーーッ」
穴の付近の固定化を解き、ゴーレムの穴を自ら広げる。
「キュルケ、どうするの?」
タバサは予想内の行動であったため動揺せずに、なにか次の一手を尋ねる。
しかし、キュルケは正反対に動揺して笑っていた。
「自分から穴を開けるなんて考えて無かったわ、どうしましょう、タバサ」
後先をあまり考えない親友の言葉にタバサはため息をつく。

しかし、穴の広がるスピードが異常に遅かった。
「錬金して穴を埋めるだけなら、トライアングルにも匹敵すると僕は自負している!」
ギーシュが杖を振り、穴を再度錬金し、蓋をする。
「なんだかよくわからないけど、フーケがやるってことは止めたほうがいいみたいだね」
ボロボロのギーシュが起き上がって穴に向けて杖を向けていた。
「ギーシュ、あんたかっこいいわよ!」
シルフィードがフーケの目の前に上昇する。
「さあ、選びなさい、私たちの魔法を食らうか、それともゴーレムが崩壊したところをボコボコにされるか」
魔法は同時に二つは唱えられない。
錬金をすれば二人の攻撃を受け、迎撃すればゴーレムが崩れ落ちる。
「こ、氷の矢で攻撃するの?」
「いいえ、違うわ」
「じゃあ炎の球で攻撃するの?」
「それも違うわ」
「もしかして、両方ですかァーーッ!」
「イエス!イエス!イエス!」
547風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:18:03 ID:Z8Vznu1O

「それだけはお断りだね!」

キュルケは錬金を諦め、ゴーレムの拳を振るう。
しかし、シルフィードに拳が届く前に、ゴーレムは崩れ落ちた。

大きな土ぼこりが舞い、周りの温度と湿度があがる。
その中に残っている影、フーケに全員が杖を向ける。
「再起不能くらいにはなって貰うわよ」

キュルケが魔法を放とうとしたとき、そのフーケは崩れ落ちた。

「…あの土人形?」
「逃げられた」
「まあいいさ、追い払ったのは事実だ」
三人はワルド達の所へ戻っていく。

 * * *

肉壁を操る男の背後に透明なワムウが潜む。
正面からは風の刃と爆発が男を襲うが、肉の壁を越えれない。
「このままよォ〜〜ッ…『海をまっぷたつにさいて紅海を渡ったっつうモーゼ』のように……
おめーらの魔法を突破しておめーら全員ブヂュルブヂュル引きずりこんでジャムにしてくれるぜェ〜〜ッ!」

前に肉壁の盾をつくり、ゆっくりと進んでくる。
そこを潜んだワムウが攻撃しようとし、纏った水蒸気を払いのけ、腕を振り上げる。

しかし、その拳は届かなかった。
ワルドの放った風の刃が運悪くワムウに飛び、ワムウは身を守るのに一瞬時間を使うのを余儀なくされた。
「いつからいたのかしらねぇけどよォ〜…もうちょこまかと避けさせやしないぜ…横も後ろも全封鎖だッ!」
縦に炎の弾を、横に広げたイエローテンパランスを。
しかし、ワムウは闘いの天才であった、
難なく大きくジャンプしてかわし、ルイズの横に立つ。

「すまない、君の姿が直前まで見えなかったから当たってしまった」
ワルドが謝るがワムウは別に気にした風もない。
「さて、どうする子爵。俺の風のプロテクターは所詮は水蒸気、一度手品を見せた以上適当に炎をばらまかれれば
軽く吹っ飛ぶ。策がもうないなら、今度は俺の話を聞いてもらおうか」
548名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:18:06 ID:KD07gH74
支援
549風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:19:52 ID:Z8Vznu1O
ワムウは話す。
「な…君は正気か?」
「お前の風程度で狂うほど弱くは無い」
「なんだって?スクウェアの風が弱くないだと?」
「風の流法の使い手だ、生きている風、死んでいる風くらいはわかる…貴様の風は死んでいる」
「ちょっとワムウ!なにわけのわからないこといってるの!やめなさいよ!」
「こんな侮辱は初めてだぞ、ワムウ」
険悪な雰囲気になる。

「いいだろう、君の作戦に僕たとは必要ないだろう、お手並み拝見といかせて貰おう」
ワルドはルイズを抱え、フライで飛びそこを離脱する。
「ワルド様、放してください!」
ルイズはもがき、男に魔法を放ちつづける。

ワムウはゆらめく炎の中、男に突っ込む。
「とうとう俺に食われる覚悟ができたかァ〜〜ッ!のタマナシヘナチンがァーーーーっ!」
「…わかったんでな」
「あ?」

ワムウは竜巻を発生させながら、男の目の前で構える。
発生させた竜巻はことごとこ男の肉の壁で打ち消される。

ワムウは左腕を関節ごと右回転させる。そして右腕もひじの関節ごと左回転!
そのふたつの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさに歯車的砂嵐の小宇宙と竜巻が男の肉の壁に
当たり続ける。
「俺のスタンド相手に力押しだとォ〜〜ッ!てめーの力がいくら強かろーがこの『イエローテンパランス』
の前には無駄だッ!俺を倒すことはできねーし、その両手は今も俺の肉片が食らいつづけているぜ!
ドゥーユゥーアンダスタンンンンドゥ!」

しかし、男のスタンドが次第にはがれ始める。
「な、なんだと…」
「わかったと言ったはずだ…」

とうとう、ほとんどの肉の壁ははがれる。
「ヒィィイイイイ〜〜ッ!」

ワムウは再度両腕を回転させ始める。
「闘技…神砂嵐!」

ほとんど露出した男の肉体に直撃し、男は断末魔を上げる。
男は吹っ飛び、ボロ雑巾のように地面に転がった。

「わかったのだ…策を弄するのはジョセフに任せるとしよう…俺はワムウ、風の使い魔ワムウだ」


イエローテンパランスの男…死亡
フーケ…再起可能

To be continued.
550風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/08(土) 22:20:36 ID:Z8Vznu1O
投下終了。
イエテンよく頑張った!感動した!

あと前回の指摘をなにごともなかったのように受け入れてもんだいなく治しておきました
551名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:22:05 ID:F49kF0Lu
投下乙
火符ってアグニシャインだっけ?w
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:23:54 ID:KD07gH74
GJ、節制は魔法相手に相性がいいので倒し方が工夫できる、いい敵キャラですね。
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:27:31 ID:JKMrvBDF
ワムウの方、GJ!
そして22:30から投下させてくださいッ!
554うわっ面:2007/12/08(土) 22:30:15 ID:JKMrvBDF
魔法学院の朝@





窓から差し込む日の光で間田は目を覚ました。
固い床に寝転がっていたせいで体中が痛む。ストレッチでもして体をほぐそうかと思っていると、右手に何かを握り締めていることに気付

く。
それは、昨日ルイズに洗濯しておいてと投げつけられたシルクのパンツだった。
昨日はこれのおかげで固い寝床でもなんとか寝ることができた。パンツに感謝しつつ、間田は他の洗濯物をかき集め、外に出―――ようと

したところで、どこで洗濯すればいいのか、いや、そもそもどうやって洗うのかわからないことに気がついた。

昨夜、ルイズを質問攻めにした際に返ってきた答えを聞いた限りでは、この世界には機械なんてものは存在せず、医療や土木といったあら

ゆる分野で魔法の力を利用しているのだという。洗濯機なんて便利なものはなさそうだった。
となると、やっぱり洗濯板かなんかでゴシゴシこするしかないだろう。
力仕事が苦手な間田は、想像しただけで気が滅入った。

「魔法って便利なモンがあるんなら、わざわざ俺に洗濯させなくてもいいんじゃねーかなぁ・・・?」
そう呟いて、枕に顔をうずめているルイズを見やる。
よく考えれば、こいつらメイジは様々な分野に応用できる魔法の力を使えるというではないか。なぜ魔法も使えない(間田はスタンドが使

えるが)平民にわざわざ洗濯なんかさせるのだろう。
魔法なら腕力に頼る必要もないだろうし、ずっと効率もいいはず・・・。

まあ、考えていても始まらない。
とりあえず洗濯場の場所を突き止めて、洗濯物を片付けよう。
ルイズを起こすとうるさそうだったので、サーフィスでルイズをコピーし、そのコピーから洗濯場の場所を聞き出すことにした。
そーっと、細心の注意を払いながら、ベースの人形の手の先をちょん、とルイズの頬に触れさせる。

サーフィスは粘土細工のように形を変え、ネグリジェ姿のルイズへと変身した。
「朝から何なのよ? まさかまた変な真似する気じゃないでしょうね?」
コピールイズは不機嫌そうに言う。

「うるせぇぞサーフィスッ! とっとと洗濯場に案内しろや」
「何よその口の利き方は。 ご主人様に対してそんな口利いていいと思ってるの?」
「クキィーッ! な、ナメやがってえ!」
サーフィスはコピーした人間の性格がそのまま反映される。今までコピーした中には命令を聞かなかったり反抗するヤツもいたが、ルイズ

のコピーはズバ抜けて言うことを聞かない。
口で命令するのは諦め、スタンドを『操作』し、無理やり案内させることにした。
クローゼットからルイズの制服を拝借し、サーフィスに着せると、一人と一体は部屋を出た。
555うわっ面:2007/12/08(土) 22:31:34 ID:JKMrvBDF
サーフィスの案内のおかげで、洗濯場はすぐに見つかった。
間田は最後まで(魔法の力で動く洗濯機みたいなのがあればいいなー)とか淡い期待を抱いていたが、井戸の傍にタライと洗濯板がぽつん

と置いてあるのを見てげんなりしている。
ため息をついて、タライに水を入れようとロープを引っ張っていると、後ろから足音が聞こえた。

「おはようございます、ミス・ヴァリエール」
「ん、おはよう」
女の子の声だ。コピーを本物のルイズと勘違いしたらしい。
額のネジに気づかれないようにしろよ、とサーフィスにこっそり命令しようとちらりと振り向いた刹那、固まった。




そこには。




『ある嗜好』を持つ者たちの憧れの存在がいた。




ヘッドドレス。黒い服。フリルがついた純白のエプロン。




そいつの名は。




 『 メ イ ド 』 ッ ! !



556うわっ面:2007/12/08(土) 22:32:48 ID:JKMrvBDF
「(う、うおおおおおおぉぉぉッ!? マジか! マジでかァーッ!!)」
自他共に認めるオタク、間田。『ある嗜好』すなわち、彼はメイド萌えな男だったのである!
初めて見る本物のメイドに、彼はヤバイくらい興奮していた。

「(すげぇ・・・コスプレなんぞとは訳が違う! 本物は『良い』ッ!! なんて清楚なんだッ!)」
黒髪に東洋人的な顔立ちも間田の興奮を上昇させるのに一役買っていた。要するに、彼女は間田のタイプだったのである。

「あの・・・・ミス・ヴァリエール? あちらの方は一体・・・?」
血走った目で自分を見つめる陰気な男を見て、若干おびえた表情をサーフィスに向けるメイドさん。
サーフィスは「やれやれだわ」と呟き、間田を彼女―――シエスタに紹介する。

「あいつは私の使い魔のトシカズ。たまにああなるけど、悪い奴じゃないわ」
「は、はぁ・・・」
何事かブツブツ呟きながらギラついた目でこちらを見ている間田は、悪い奴どころかアブナイ奴なのだが、貴族の言うことなのでシエスタ

は信じることにしたらしく、間田に近づいていくとペコリとお辞儀をし、自己紹介をした。

「初めましてトシカズさん。私、シエスタと申します」
「ど、どーも! 間田敏和ッス!」
子供のようなニコニコ顔で元気良く名を名乗る間田に、シエスタはクスッと笑う。
つい先ほどまでは明らかにヤバそうな奴に見えたのだが、意外とまともそうだ。

それから二人は、それぞれが持ち寄った衣服を洗濯した。
洗濯板を使って衣服を洗うのは間田にとって初めての経験だったので、シエスタに教えてもらいながら洗った。
その間、間田はずーっとシエスタを鼻の下を伸ばして見ていた。
全ての洗濯物を洗い終えると、間田が持ってきた分も干しておくと言い、シエスタは去っていく。
その後姿を、間田は涙ぐみながら見つめる。

「か・・・感動だッ! やっぱり本物のメイドさんは優しい上に気が利く!」
もうトリステインに永住しちゃおっかなぁ、と早くも故郷を捨てる気になっている間田の頭を、後ろにいたサーフィスが小突く。
「あんた、メイドごときに良くそこまで感動できるわね」
「だってメイドだぜメイド! 日本なんかにゃ一人としていねーんだぜ!? あ、待てよ。メイドさんて他にもいる?」
「まあ、あの子がいるんなら他にもいるでしょうね」
「・・・・う、うおぉおおぉ! 今日は人生最良の日だァーッ!!」
雄叫びをあげる間田に、サーフィスはもう何も言うまいと、寮へ向けて歩き出した。
「ほら、置いてくわよ!」
「おーう! 今行く!」
スキップしそうなほどルンルン気分の間田を見て、サーフィスは深いため息をついたのだった。
557うわっ面:2007/12/08(土) 22:34:48 ID:JKMrvBDF

ルイズの部屋につくと、本物のルイズはまだ気持ちよさそうに眠っていた。
コピーに着せていた制服をクローゼットにしまったところで、サーフィスが口を開いた。

「この時間になったら起こしてくれる? そうしないと朝食に間に合わなくなるから」
「わかったよ。そんじゃ、戻れサーフィス」
コピーは瞬く間に元の木の人形へと戻り、力なく床に倒れる。
人形の関節を折りたたみ、ナップザックへ押し込むと、間田はルイズを起こしにかかった。

「おーい、起きろー」
「・・・・うー・・・・」
肩を揺する。起きない。
「ルイズ、早く起きないと遅刻するわよ!(裏声)」
「・・・・むー・・・・」
頬をつつく。そっぽを向かれた。
この女、幸せそーに寝やがって。今さらながら、自分を差し置いて暖かいベッドで寝るルイズにムカついてきた。
自分は固い床に寝転がるしかないというのに。

「早く起きろコラァー!」
なんとなく腹が立ってきた間田はルイズの毛布を引っぺがし、どさくさ紛れにルイズの頬をつねる。
ルイズは夢でも見ていたのか、何か叫びながら飛び起きた。

「いいい、いだいいだい! ごめんなさいお姉さま! ごめんなさ・・・アレ?」
「おはよーございます、お嬢様ーッ」
「・・・あ、あんた誰よ!?」
「マジで頭がカワイソーなことになってんのか? 間田敏和だ」
「へ・・・あ、ああ、使い魔ね。そっか、昨日召喚したんだっけ」

ルイズはひとつ欠伸をすると、ベッドに腰掛ける。
「服ー」
「ほい」
ダルそうに命令するルイズ。眠そうな目をこすりつつ足をブラブラさせる姿はなんとも可愛らしい。
思わず間田は微笑んでしまう。世話の焼ける妹ができたようなものだと思えば、この命令口調も気にはならない。
服を渡すと、今度は下着を取るように言われる。
ネグリジェを脱ぎ始めたルイズを見ないようにしながら、クローゼットの一番下をあさる。

「・・・チッ、ハデなのはねーなぁ」
「何か言った?」
「いや、何も。ほい」
後ろを見ずにパンツを投げる。あとはルイズが着替え終わるまで彼女に背を向けていればいい。
しかし、女の子が自分の真後ろで着替えているというのは・・・何というか、その・・・フフ・・・・。
間田が『チラッと見るだけならバレないかなぁ〜』とか邪な思考を巡らせていると、ルイズが再び声をかけてきた。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:35:29 ID:7DKzn1VH
支援
559うわっ面:2007/12/08(土) 22:36:33 ID:JKMrvBDF

「服ー」
「・・・あ? 今渡しただろ」
「着せて」
時間が止まった。間田の周囲だけ。

「ごめん、もっかい言って」
「だから、服。着せて」
「おま、なっ、何言ってんの! 自分で着ればいいじゃねーか!」
「平民のあんたは知らないだろうけど、貴族は部屋に下僕がいるときは自分で着替えたりしないのよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
振り向くと、下着姿のルイズが早くしろよとばかりに間田をねめつけていた。

「(い・・・いいのか!? 本当にいいのか、俺ッ! こんな展開マンガでしか見たことがねえぞ・・・!)」
心臓は早鐘を打つように激しく鼓動し、額には脂汗。
順子やアニメキャラなどで似たような妄想は腐るほどしてきたはずの間田だったが、それを本当に実行するとなるとさすがに尻込みしてし
まう。

「ほら、早く! 朝食に間に合わなくなるでしょ!」
「は、はいィ〜ッ! ただいま〜!!」
間田はルイズに怒鳴りつけられ、慌ててブラウスを手に取るとルイズの元へ近づき―――そして落胆した。
何せルイズの体は凹凸というものがなかったのである。
見事なまでの幼児体系に、間田は先ほどまでテンパッていた自分を情けなく思った。
「(うん、俺はペッタンコには興味ねえんだ)」

ルイズに服を着せ終わり、外へ出ようとするルイズだが、ドアノブに手をかけようとしたとき、間田が何かを肩に背負っているのが目に入
った。
見れば、それは昨夜の木の人形が入った荷物である。
ルイズは当然のごとく顔をしかめ、荷物を指さす。

「・・・・あんた、それ持ってくの」
「え? ダメ?」
「いや・・・まあ、いいけどね」
ルイズは気味悪げに間田と荷物を見やり、再びドアに向かう。
ドアを開き、外に出ると同時に隣の部屋のドアが開き、中から褐色の肌と燃えるような赤毛を持つ美女が出てきた。
ルイズとは正反対とも言えるほどのナイスバディである。

「あら、おはようルイズ」
「・・・・おはよう、キュルケ」
キュルケと呼ばれた赤毛の美女はニヤリとした笑みを浮かべ、反対にルイズは露骨に嫌そうな顔をする。
―――そして、我らが間田はというと。

「(す、すっげぇ・・・。おっぱいがルイズの頭蓋と同じくらいの大きさじゃねえか・・・)」
マンガでしか見たことのない爆乳に、再び感動を露にしているのだった。









.....To Be Continued →
560名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:36:35 ID:C7WOok3o
支援
561うわっ面:2007/12/08(土) 22:41:03 ID:JKMrvBDF
以上、投下しましたッ!
最後の「おっぱいがルイズの頭蓋くらい〜」というセリフですが、
ゼロ魔のゲームのキュルケの立ち絵を見て感じたことです。

ちなみに間田の身長は初登場時の背が高いときのころを想像して書いてます。
デフォルメモードじゃさすがに・・・ねえ?
562名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:41:48 ID:Z8Vznu1O
間田変態すぎだろw
563名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 22:59:49 ID:wwja4iGk
「スタンド使いは引かれ合う」って最初に言ったの間田なんだよな
564名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 23:59:35 ID:qUynk4aJ
上っ面の人、乙!
果たして間田の変態度はメローネに対抗できるのか!?

続けて5分から投下して構いませんねッ!?
565ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:06:47 ID:qUynk4aJ

ルイズが倒れていく。
糸が途切れた人形のように、力なく自らの血溜りに沈んでいく。
彼女に遅れ、宙に舞ったネックレスが落ちていく。
それは彼がルイズに贈ったプレゼント。
二人の絆の証はワルドの杖に断ち切られていた。
石床に落ちたネックレスが乾いた鈴のような音を立てる。

それを耳にした瞬間、彼の中の何かが終わりを告げた…。


「っ……!」
自らの偏在に斬られ倒れ伏すルイズの姿。
正気に立ち戻った彼は自身の蛮行に凍りついた。
ワルドとて彼女を傷付けるつもりは無かった。
しかし、歯止めの利かない何かが彼の身体を突き動かしたのだ。
杖を握り締めたまま、ワルドは呆然と立ち尽くす。
しかし、微かに聞こえたルイズの呼吸が彼を現実に引き戻した。

彼女はまだ生きている。
出血の割に、それほど深手ではなかったのか。
彼女に手を上げた事実は変わらないが、
起きてしまった事は取り返しがつかない。
今はこのアクシデントを最大限に生かすべきだ。
使い魔の意識は完全にルイズへと向けられている。
この隙に逃げ果せるかもしれない。
既にフライの詠唱は終わっている。
後は、この杖を振り下ろすだけでいい。

ワルドが杖を振り上げた刹那、
礼拝堂に雷鳴にも似た音が響き渡った。

どさりと重い音を立ててウェールズの遺体が落ちる。
その顔の上に朝露のように滴り落ちる鮮血。
それはだらりと垂れ下がったワルドの腕から垂れていた。
彼の肩口には大きな穴が穿たれていた。
そこから止め処なく血が溢れる。

「チィ…! 外したか!?」
声のした方向にワルドが視線を向ける。
そこには壁に背を預けたまま、銃口を向けるアニエスの姿。
最初に捨てた銃を拾って再装填したのか。
「貴様ッ…!!」
武器を失い、動けないと思っていた相手からの逆襲。
油断していたとはいえ、平民に手傷を負わされたのだ。
屈辱に彼の怒りは沸点に達した。
アニエスの身を八つ裂きにせねば気は収まるまい。
しかし直後、彼はウェールズの遺体を置いて全力で飛び去った。
冷静に戻ったのではない、引き戻されたのだ。
頭に上った血さえ凍りつくような恐怖を彼は体感した。
それは訓練や実戦で得られた勘などではない。
生物が持つ、純粋な生存本能が彼を死より遠ざける。
566ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:08:35 ID:ZgUtWmhb

「ウォオオオオオオオム!!」
ルイズの傍らに寄り添い、気が狂わんばかりに叫ぶ。
胸元から首筋まで断ち切られた傷跡。
それを前にして彼は吼え続けた。

「落ち着け! 彼女は無事だ!」
彼を落ち着かせようとアニエスが伝える。
致命傷と思えた一撃は彼女の命を奪うに到らなかった。
大量に血を失った所為か、顔色は悪いが自発的な呼吸もある。
それに心臓の鼓動も脈もしっかりしている。

安堵した直後、彼女は我が目を疑った。
切り開かれたルイズの傷が見る間に塞がっていく。
奇跡と呼ぶに相応しい現象を前に、彼女は驚愕するより他になかった。
彼が分け与えたバオーの分泌液は未だルイズの体内で作用し続けていたのだ。
これが偶然だったのか、必然だったのかは判らない。
確かなのはルイズが助かるという事実のみ。
放心状態にあったアニエスの顔にもようやく喜色が浮かぶ。
そうして振り向いた先に彼の姿は無かった。
気が付けば彼は既に礼拝堂の出口へと歩みだしていた。
繋ぎ合わせた前足が動くのを確かめると、彼は疾風の如く駆け出して行く。

「待て!」
その背に声を掛ける間などありはしない。
火勢の衰えぬ礼拝堂の中は灼熱と化している。
このまま放置すれば一命を取り留めたルイズとて危ういのだ。
そんな事はアイツだって判る筈だ。
なのに、守るべきルイズを放り出して何処に行くのか。
痛む足を引き摺りながらアニエスは彼女を運ぼうとする。
歯を食いしばって上がりそうになる悲鳴を押し殺す。
大丈夫だ、痛いのは神経が繋がっている証拠だ。
ならば、まだ足は動かせる。動かなくとも気合で動かす。

「……、………!?」
痛みで意識の飛び掛ける中、彼女は誰かの声を聞いた。
それが誰かを思い出そうとしても頭に靄がかかる。
ここにいる筈がないと、彼女が無意識の内に自覚していたからだろう。
聞き覚えのある声は更に大きく、鮮明に聞こえてくる。

突如、脚に走っていた痛みが和らぐ。
感覚を失ったのかと危惧し、彼女は自分の脚へと目をやった。
そこには地面より離れて浮き上がる両足。
気が付けば、自分の身体は誰かに抱え上げられていた。
顔を上げた瞬間、アニエスはアレが誰の声か思い出した。
567ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:09:52 ID:ZgUtWmhb

「ギーシュか…! お前、どうしてここに!?」
「勿論、追って来たに決まってるじゃないか」
「バカか! ここは敵に囲まれているんだぞ!」
「なら、尚更アニエスを置いていく訳にはいかないさ」

笑顔で応えたつもりが、ギーシュの顔は引き攣っていた。
女性一人を持ち上げる腕力など貧弱な彼にある筈がない。
それでも男らしい所を見せようと彼女を抱き上げているのだ。
その証拠に今も彼の脚はプルプルと震えている。

唇が触れ合うような距離で二人が向かい合う。
その事に気付いたアニエスの顔が瞬時に赤く茹で上がる。
まともに男性と付き合った事がないどころか、女性らしい扱いもされなかった彼女だ。
こうしてお姫様抱っこされるなど初めての経験だった。

「い…いいから降ろせ! 自分で歩ける!」
「わ、た、頼むから暴れないでくれ!
どう見たって、その脚じゃ無理に決まっているだろ!」

まるで子供が駄々をこねるように腕の中でワタワタと暴れ回る彼女を、
ギーシュは足を踏ん張って懸命に押さえ込む。
しかし、アニエスも何とか離れようと必死だった。
ドキドキと高鳴る心臓の音を聞かれやしないかと気が気ではない。
こうして男性に身を任せるなど彼女には考えられない。
唯一、自由になる両手で必死にギーシュを叩く。
ちなみに本人にとってはポカポカ叩いているつもりでも、
ギーシュにとっては内臓に響くボディーブローの連打である。
プルプルと震えていた膝は遂にガクガクと上下に揺れだす。

「…………」
そんな二人をタバサが冷めた目で見つめる。
ルイズは自分に任せて、ギーシュに彼女を運ぶように自分は頼んだ。
だけど何故あの男は怪我人を抱き上げているのだろうか?
それも、見ているこっちが恥ずかしくなるようなお姫様抱っこで。

ギーシュが助けを求めるようにタバサへと視線を向ける。
その彼女の横には、レビテーションで浮かべたルイズの姿があった。
568ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:11:04 ID:ZgUtWmhb

「と…とにかく早くここから脱出しないと」
気を取り直したギーシュが口を開く。
余計な事で時間を食ってしまったが事態は深刻だ。
既に城内は敵に包囲され、いつ殺されてもおかしくない状況にある。
もはや強行突破しかないのかと本気で考える。
ルイズ達と合流した今ならあながち不可能ではない。
しかし頼りにしている彼の姿は何処にも無かった。

「アイツなら外に飛び出していったぞ」
「外にってルイズを置いてかい?」
ギーシュの疑問に答えたのはワルキューレに抱えられたアニエスだった。
思わずギーシュが聞き返す。
まださっきの事が尾を引いているのか、未だに顔を赤らめたまま彼女は頷いた。
加えてワルキューレに抱き上げられている事もあるだろう。
レビテーションを使っている間は他の魔法は使えない。
それでは敵と遭遇した際に応戦さえも出来ない。
そこでルイズとアニエスの二人をワルキューレに運ばせる事にした。
放置しておく訳にもいかず、同様にウェールズの遺体も持っていく。

ギーシュとアニエスが顔を見合わせる。
二人とも考えている事は同じだった。
いや、恐らくはキュルケ達も同意見だと思う。
彼が怪我したルイズを置いて何処かに行く筈がない。
誰もがそう考えている。
しかし、現に彼はここにはいない。

「…敵を撹乱しに出たのかもしれない」
タバサがポツリと呟く。
彼女とてそれが正しいのかどうか判らない。
ただ、そうあって欲しいと思っただけかもしれない。
まるで私達から逃げ出すかのような彼の行動。
そこにタバサは微かな不安を感じていた。
どちらにせよ、ここでこうしていても答えは出ない。

「この城に脱出路は?」
「地下空洞に繋がる隠し港がある。
そこから非戦闘員を載せた避難船が出航する手筈だ」
簡潔なタバサの問いにアニエスも的確に答えを返す。
それに頷きで返すと彼女に道案内を頼んだ。
先陣を切ってキュルケが前へと歩み出る。
敵で溢れかえった城内で、戦闘を回避するのは不可能。
図らずも初陣となった彼女に怯えは無かった。
しかし、いつものような高揚も無い。
ただ静かに彼女は振り返らずアニエスに訊ねた。

「…ねえ、貴方アニエスって言ったわね?
道すがらでいいから教えてくれるかしら。
ここで何が起きたのか、どうしてこの子が巻き込まれたのか、
そんでもって何処のどいつが、この子をこんな目に合わせたのかを…!」

顔は見えずとも語気だけで怒りが伝わってくる。
身に纏う空気だけで肺が焼かれそうな気迫。
“微熱”は礼拝堂を焼く炎の如く“灼熱”と変わっていた。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:11:08 ID:wN91byhx
あれ?まさかのギーシュフラグ?!支援
570名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:11:19 ID:BABHd1T4
支援だ!!
571名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:12:32 ID:7oDYSkM8
支援
572ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:13:06 ID:ZgUtWmhb

礼拝堂から少し離れた城内の廊下。
そこを息を切らせながら少女が駆ける。
着慣れたメイド服が今は鉛のように重たい。
スカートの端を摘み上げても走るのには向かない。
それでも彼女は懸命に脚を動かし続けた。
振り返りもせずに、背後から迫る恐怖から逃れようとしていた。

直後、彼女の身体が縫い止められた。
振り向けば、そこには自分の三つに編んだ髪を掴む男の姿。
雑多な武装で身を包んだ山賊紛いの粗野な風貌。
明らかに貴族派の正規兵とは違う。
獣臭のする荒い吐息を掛けながら男が歓喜の声を上げた。

「戦利品だァーー!!」
髪を乱暴に掴まれて泣きじゃくる少女の事など気にも留めない。
それは男が宣言した通り、人ではなく物を扱うかのような振る舞いだった。
そのまま少女を組み伏せようとする男の背後から、数人の男と頭目と思しき人物が現れた。
どこかで拾ったワインの瓶を片手に持ち、それを煽りながら男に注意を促す。

「遊ぶのは構わねえが、さっきみたいに壊しちまうんじゃねえぞ?
そいつらは後で商品として売りに出すんだからよ」
「へへ、分かってまさあ」
目線だけを送りながら会話していた男が、懐から短刀を取り出す。
そして、まるで撫でるかのように彼女の襟に刃を這わせた。
表情に嫌悪を浮かべるも恐怖に硬直した身体は動かない。
助けてくれる騎士様は何処にも居らず、屈強な傭兵達にメイドが敵う筈も無い。

「いい子だ、さっきの嬢ちゃんみたいに暴れてくれるなよ。
手が滑って中身まで裂いちまうからよ」
「ひっ…!」

その一言に彼女は完全に凍りついた。
それに下卑た笑みを浮かべながら男は刃を引き下ろす。

刹那。男の視界に血飛沫が飛び散った。
身体を刻んだつもりはないが、刃が何処かに当たったのか。
目の前の女は目尻に涙を浮かべたまま、こちらを凝視している。
死んでないなら問題はない。少し傷が付いても値が下がるだけだ。
愉しむ分には何の障害にもならない。

だが、男にある違和感が走った。
少女が見ているのは自分ではない、その隣だ。
不意に、彼は視線を移した。
そこにあったのは短刀を握った自分の右手。
本来あるべき場所からは血が溢れ出していた。
573ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:16:28 ID:ZgUtWmhb

「ッッァァァアーー!!?」
思い出したかのように走る痛みに蹲る。
俯いた彼の目が床に落ちる自分とは別の影に気付いた。
見上げた瞬間、それは張り付いていた天井から舞い降りる。

見た事も無い蒼い獣。
その前脚が男の被った鉄兜へと当てられる。
叩き付けたのでもなく、引っかいたのでもない。
ただ、ぽんとそこに置かれただけの脚。
しかし、それは死神の鎌そのものだった。

頭目の手から滑り落ちた瓶が音を立てて砕け散る。
彼は今、ありえない物を見ていた。
飴のように溶けた兜と頭蓋骨がドロドロに入り混じる。
それが、ぐにゃりと粘土のように捻じ曲がり潰れていく。
倒れた男の顔は、もはや人間としての原型を留めていなかった。

傭兵の頭目として生きてきた彼は死を恐れてはいなかった。
生と死の狭間にあって、幾度も人の死を目撃してきた。
運が無ければ人は容易く死ぬ、いずれは誰しもがくたばる。
ただ感覚が麻痺していたのかもしれないが、いつ死んでも後悔は無かった。
そう思うからこそ、自分の欲するまま悪行の限りを尽くして生きてきた。

だが…今は違う。
許されるならば惨めに頭を地面に擦りつけ、
群集から罵倒され石を投げつけられようとも生きたい。
あんな無惨な死に方だけは絶対にしたくない。
しかし、そんな都合のいい願いが目の前の物に通用する筈が無かった。

逃げ出そうとした脚は糸を引くように断たれた。
床に這いつくばるように転倒した男の背に掛かる確かな重み。
それがあの獣の前脚だと確信して、男は恨めしそうに声を上げる。
574ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:17:31 ID:ZgUtWmhb

「…化け物め」

その言葉を最後に、男の心臓は他の臓器と共に溶け落ちた。
空洞となった男の胴体を見下ろして、バオーは屍に問い掛ける。

“ならば、お前達は何者だ?”

ここに到るまでに彼は何人もの屍を見てきた。
自らの身体を盾にした老婆ごと赤子を貫く幾本もの槍。
腹と衣服を割かれて息絶えていた少女。
壁に貼り付けにし銃の的にされた衛兵。

何故、殺すのか。
何故、奪うのか。
何故、悲しまないのか。
ひとつとして彼には理解できなかった。

彼は知らなかった。
同族を戯れで殺す種族の存在を。
何の意味も無く命を奪う生物の存在を。
この地上で最も残忍で、最も恐ろしい物の事を。

新たな敵意の臭いを嗅ぎつけて、彼は駆ける。
ルイズが倒れた今、ルーンの束縛も心の歯止めも無い。
彼は完全に“バオー”として覚醒を果たした。
全ての敵意を刈り取り、己の命を守るだけの存在。
それが今の彼だった。

だからこそ彼はギーシュ達から逃げ出した。
自分を愛してくれた仲間だからこそ、彼等には見せたくなかった。
殺戮を繰り返す化け物に成り果てた今の自分の姿を…。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:17:36 ID:7oDYSkM8
支援
576名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:20:06 ID:7oDYSkM8
支援
577ゼロいぬっ!:2007/12/09(日) 00:20:45 ID:ZgUtWmhb
以上、投下したッ!
578名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:37:17 ID:9Qt/JVnZ
乙そしてGJ!
ああ……バオー犬……
579名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:39:30 ID:IrmxuVb3
GJ
580名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:39:47 ID:ZTl+dPtK
バオー犬たん・・・
581名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 08:10:36 ID:/qSVrfL5
バ、バオー犬たん…
ギリギリのところで理性にしがみついている…あんな完全バオー化じゃあ
も、もうバオー犬は元に戻らないッ! 死亡フラグ成立も時間の問題だ。だのにバオー犬は「戦うこと」を止めない…
何があろうともルイズは「才人」を召喚するんだね…バオー犬。俺たちはもう後には戻れないんだねッ!
分かったよ、ゼロいぬっ!の作者さんッ! アナタの書きたいことが「言葉」ではなく「心」で理解出来た!
そして「GJする」と思ったときにはッ! 既に「GJ」しているんだッ!!
582名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 09:55:15 ID:ldtEIArt
アニエス姐さんは年下の虐めがいのある少年が好きだという事が分かった
あとバオー犬、できればウェールズにも体液を飲ませてやってほしかったんだがまだ間に合うか?
583名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 12:11:20 ID:+XIxFL9T
バオーはべらぼうに強いな!存外に強いな!
584名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 12:14:54 ID:H+QAnWIV
今日のわんこ乙
585名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 13:59:43 ID:/PaZsc3l
GゥゥゥッJッ!
バオー犬……だ、大丈夫だよね? 主従の絆とか虚無とかでなんとか助かる、よね……?

>>583
少佐、ここにいたんスかw ヘルスレの方でガリア王が待ってますぜ?
586名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 14:01:26 ID:+XIxFL9T
そ、そんなスレもあったのか
さすがにいくらなんでもゼロ魔と合わんと思うから遠慮しておくが
587名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 15:28:21 ID:o/9TblWn
>>586
使い魔のルーンが無くてもやっていける連中ばっかりだからなw
アーカードなんか一号開放するだけでゴーレム取り込めちゃいそうだし
588名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 16:09:00 ID:pu3DC+hK
>>587
解放なし、銃なしでも圧勝

ていうかギーシュのかませっぷりは異常
589名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/09(日) 17:02:37 ID:gok1U5s2
ワルド「乳房にはそれぞれその女性にあった形や大きさがある
    ルイズには小ぶりの・・・姫様には豊穣の・・・
    それが『相応』というものだ
    乳房自体に「良い」「悪い」の概念はない」
590名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 17:13:49 ID:+XIxFL9T
ギーシュ「質問が悪かった…住民が遊びで話す『夏帆と山下リオはどっちが可愛い?』
そのレベルでいいよ」
591名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 17:20:32 ID:Mvewyk5H
サバイバーで長所が輝きすぎだろお前らwww
592名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 18:12:48 ID:MnJk6NrA
流れ切って悪い、今頃遅ればせながらだけどユリイカ買ったよ
593名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 18:51:14 ID:ap6SMrem
買っちゃ駄目だって・・・
594名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 18:54:25 ID:JGzGGfja
>>592が買った事を後悔するにギーシュの魂を賭けよう
595592:2007/12/09(日) 18:59:17 ID:MnJk6NrA
>>593>>594のレス見て気になったので読んでみると腐が・・・・腐がぁぁぁぁぁぁぁぁ
頼むからDIO様を801な目で見ないでくれよ(俺涙目)
>>593>>594買って後悔しちゃった・・・
596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 19:01:26 ID:ap6SMrem
ギーシュ生存ッ!
597592:2007/12/09(日) 19:04:27 ID:MnJk6NrA
ギーシュごめんよ、君の魂はダービーのコレクションになっちゃった
598名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 19:21:06 ID:68HclvkI
>>597の判断によりギーシュは結局コインとなってしまったのであった
599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:10:04 ID:xM1khdGo
コルベールと元の世界にゼロ戦で行きそうだったのにアルビオンで散るのか。
600名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/09(日) 20:29:19 ID:gok1U5s2
騎士隊の入隊志願者に

バオーを宿す
石仮面を被る
矢に撃たれる

の三択を強要する女王アンリエッタ
601名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:31:28 ID:S5fCRukJ
むしろ入隊志願者にはライターが渡されてだな
602L・I・A:2007/12/09(日) 20:32:34 ID:B8YB7oNE
職人の皆様GJであります。
さて、もはや風化しそうな位間が空きましたが投下予約入れても宜しいでしょうか?というか結構忘れ去られてるか・・・・・・
603名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:34:36 ID:mfHs5QpL
勿論覚えていますとも!
支援体制完了ッ!
604名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:41:29 ID:OrKBi9id
来やがれ…L・I・A!
605L・I・A 第17話:2007/12/09(日) 20:45:51 ID:B8YB7oNE
今回、あんまり長くないんで悪しからず。

第17話 食・神・降・臨〜前編〜


「グァァァァァァァッ!!いてぇェェェェッ!!」

苦しみもがく一人の男。黒衣に身に纏い、今まさに決闘の幕を下ろさんとしていた戦士が、情けなくも地面に這いつくばり、少しでも苦痛を和らげようと叫びを上げていた。
「畜生ッ!何なんだコラァッ!!グァッ!」

誰が予想していただろうか。
未知の力を持ち、相手を殲滅せんと、勝者とならんとした男、仗助が倒れ伏す等と。
ギーシュには悪いが勝ち目は無い。観衆の内、ギーシュ打倒派と平民の反抗を心良く思ってないながらも、仗助の力を計る事の出来た者達は思っていた。
「テメェ・・・・何しやがったんだコラァッ!」
しかし、予想は覆り、怒りに染まった目でギーシュを睨み付ける仗助の姿がそこにあった。

「ふふん。簡単な事さ」
邪悪な笑みを浮かべ、この上無い優越感に浸りながら仗助の目の前へと足を進める。
「そうさ!簡単な事なんだよ!」
ボゴォッ!!
「うぁッ!」
顔面に蹴りが入る。口の中が切れ、鉄の味がする。
「テメェ・・・・」
「ここまで来たら予想できるモンじゃないのかい?それとも、平民のオツムじゃあ気が回らないかなッ!?」
ドゴォッ!
「オェッ!」
ミシッ。腹を押さえていた手が衝撃で嫌な音を出す。ヒビが入っただろうか。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:46:32 ID:tk0MKvLO
「忘れる」ことは許可しないィィィィィッッッ!!!!!


支援「した」!!
607L・I・A 第17話:2007/12/09(日) 20:47:13 ID:B8YB7oNE
「まさか・・・・」
苦悶と驚愕の表情を浮かべ、理解した次の瞬間には憤怒の表情が浮かぶ。

「そうさッ!」
バキィッ!脇腹を蹴る。
「君の考えてる通りだよッ!」
ミシィッ!蹴る。蹴る。
「薬を入れたんだよ。君が食べた料理の鍋にねッ!」
ドゴォッ!愉悦の表情を浮かべ、種明かしの学園中に響く大演説と共に蹴る。思いのままに蹴る。
「あの新しい料理人が君に出す、と言っているのを盗み聞きをしてねッ!」
ボゴォッ!ここまで来るとギャラリーも事の顛末を理解する。
「なけなしの金をはたいて買った薬をね!強力で、死には至らないが、死にたくなる程の苦しみを与える、遅効性の拷問用の薬さッ!」
メシャッ!骨が軋みを上げる。素晴らしい。最高に気分が良い。

ブチンッ!!

何処かでアキレス腱が“切れた”様な音がした。

「しかし君には今一つの様だね。もっと強いのでも良かったかなぁ!?ハハハハハハハハハッ!!」
ドグシャアッ!顎に強烈な一撃。仗助の体は無惨にも傷つけられ、あちこちから血が噴出する。
「テ・・・・メェ・・・」
あれを食ったのは自分だけではない。厨房の連中も皆食していた。今頃同じ様な苦しみを味わっているに違いない。作ったトニオさえ・・・・
608名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:47:27 ID:mfHs5QpL
支援するぜェーーッ!
609名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:47:31 ID:qBqdTuJ7
支援
610名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:47:52 ID:2fiVzd6O
これは死亡フラグ支援
611L・I・A 第17話:2007/12/09(日) 20:48:55 ID:B8YB7oNE
「ん?・・・トニオさん?」
立ち上がる力も無く、朦朧とする意識の中でふと思った。
トニオはあれを食ったか。いや、ずっと出す側にいた。自分は彼が食べているのを見ていない。作ったのは昨日だと言っていたから味見をしていたとしても問題は無い。
寝かせ・煮込みの後も味見をしただろうが、所詮は舐める程度。有効量にはならないのではないか。
ならば今、彼は・・・・・

「さて、後はワルキューレで痛め付けるとしよう」
ギーシュの横には再生成したゴーレムが。
「喰らえッ!」
青銅の戦乙女が構えた時だった。
シュンッ!
何かが風を切った。
ギシィッ!ドワオッ!
「え・・・・?」
認識する隙もなくゴーレムは後ろへと吹き飛び、ワンテンポ遅れて弾けた。
気が付いてみれば後ろの壁にゴーレムは弾け、残骸を壁に縫い付けるのは一振りの良く研がれた牛刀。
「ななな・・・な・・・」
「・・・やっちまったな・・・アホめ・・・」
壊れた様なギーシュとは対称的に、哀れみの目で仗助は彼を見ていた。
ザワ・・ざわ・・ざわ・・ギャラリーも騒然となる。
「オマエの仕業デシタカァァァァァァ〜〜〜〜〜〜」
┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙
場が凍り付く。奴が来た。
「よくモ・・・・ヨクも・・・・」
]゙]゙]゙]゙]゙]゙]゙]゙]゙]゙]゙
かの地獄門より出でし母と一緒な邪神並、いや、それ以上の存在であるかもしれない。
「ヤッてクレヤガリマシタネ・・・・・」
皆の視線の先にムオッと出てくる一つの人型。ギーシュはやってはならない、やってはならない事を仕出かしたのだッ!
「オマエェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!!!ソコを動クナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
バァ〜〜ンッ!!
今ここに、最強の食神が降臨した。

→To Be Continued・・・・・
612名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:49:54 ID:mfHs5QpL
このギーシュはクセーーーッ!
ゲロ以下の臭いがプンプンするぜーーーッ!

まぁトニオに殺されるな・・・
613名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:51:28 ID:i2DAEELA
あぁ・・・泥棒したときのトニオさんの恐怖がよみがえる
614名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:52:46 ID:MYRfMSGb
トニオさんが降臨してしまったんか…。ギーシュ…さようなら…。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:53:17 ID:vbBUDYlT
はい!ダークサイドギーシュ、一人追加!
616名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:53:59 ID:xCjos+5u
というか仗助と関わってしまうギーシュはどいつもこいつもダメな子だよなぁ。
617L・I・A:2007/12/09(日) 20:54:41 ID:B8YB7oNE
完了。
いやしかし、中々に時間が取れないと言うのはキツいものです。
放置したままになれば自分も書き逃げ人間の仲間入りをしちまうしな。なんとかやっと今回時間が取れたぜ。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:55:14 ID:2fiVzd6O
>>616
むしろ決闘時に調子に乗ると、死亡フラグが立つ
619名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 20:58:14 ID:mfHs5QpL
L・I・Aの人、GJ&乙でした。
つーか完璧主人公がトニオさんのような気が。

まぁ、仗助は原作でも吉良戦以外影薄いしね(w
味方側に濃いのが多すぎるのが原因だけど。

トニオ・由花子・露伴・未起隆・・・・・・
620名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/09(日) 21:05:54 ID:gok1U5s2
パールジャムを攻撃手段に使えばダイバーダウンのようなこともできるかも
621名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 21:06:56 ID:Mvewyk5H
トニオさんのプライドが許さないがな
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 21:18:17 ID:7zm45S5J
つーかスタンドなんていらんやん
と、今泥棒に失敗した俺が言ってみる
つーかトニオさんやっぱかっこいいなあGJ
623名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 21:32:14 ID:OrKBi9id
GJ!
トニオさんは決闘の結果よりも
料理に毒を入れられたことに怒るタイプ!
624名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 21:37:00 ID:9Qt/JVnZ
乙そしてGJでした
ギーシュやっちゃったー!
ギーシュ終了のお知らせktkr
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 21:43:26 ID:aZ/SFjQM
L・I・Aさん乙&GJです
料理のためならー神となるー♪食神トニオここにありー
626名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 21:54:37 ID:xCjos+5u
>>622
聞き捨てならない事言ってないか君は?
627名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 21:55:57 ID:iV5EqsHK
>>622
何をしたかいってみ?
628名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 22:09:06 ID:RoPbOVLy
>626-627
大方店のものを盗んでトニオさんにぬっ頃されたんだろ。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 22:10:50 ID:HR85JnUV
つ「ディアボロの大冒険」
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 22:20:41 ID:84ObYuyk
ディアボロ大冒険のトニオさんなんて、シレン店長に100回以上ぶち殺されてる俺に言わせればまだマシな部類さ
631名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 22:22:37 ID:i2DAEELA
なんでディアボロの大冒険のトニオさん倍速じゃないんだろ
632名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 22:25:27 ID:hw2vnMHs
天国深層のトニオさん嘗めんなよ、レベル60とかGER+99でも無理ですサーセン
633名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 00:10:26 ID:ZZKpPWGB
>>628
把握。すまんかった。超すまんかった。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 10:25:50 ID:GvcXwJp1
キング・クリム(ry
635名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 15:21:23 ID:xhl7VW4g
キング(ry
636名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:23:55 ID:dNaR3Fm3
キン(ry
637名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:36:45 ID:xhl7VW4g
キ(ry
638名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:39:05 ID:J4n8T1+b
k(ry
639名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:42:41 ID:K+CEzRah
バイツァ・ダスト

1 :マロン名無しさん:2007/03/15(木) 15:14:14 ID:???
シャナスレみたいなノリで
640名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:54:49 ID:9f1i41md
何だこの流れww

ハッ!レスしたのは・・・・・俺だったッ!!
641名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:55:58 ID:2PDnfKAd
>>639ちょっwww

メイド・イン・ヘヴン


639 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/10(月) 18:42:41 ID:K+CEzRah
バイツァ・ダスト

1 :マロン名無しさん:2007/03/15(木) 15:14:14 ID:???
シャナスレみたいなノリで
642名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:59:37 ID:M2hDCrix
終わりがないのが終わり・・・
それがゴルードエクスペリエンスレクイエム・・・

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 18:55:58 ID:2PDnfKAd
>>639ちょっwww

メイド・イン・ヘヴン


639 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/10(月) 18:42:41 ID:K+CEzRah
バイツァ・ダスト

1 :マロン名無しさん:2007/03/15(木) 15:14:14 ID:???
シャナスレみたいなノリで
643名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:26:52 ID:N5Mbm6YZ
戻ったり進んだり止まったり一周したりする異常な時間の流れを正常に戻しに来ました。
三十分から投下しても構いませんねッ!?
644名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:28:22 ID:wxDSdWRZ
そして時は刻み始める…
645ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:30:52 ID:N5Mbm6YZ

先行しているキュルケの肩が震える。
背しか見えないというのに怒りに打ち震える彼女の顔が思い浮かぶ。
それほどまでにアニエスから告げられた事実は衝撃的だった。
そして今も目覚めぬ傷付いたルイズの姿が更に拍車をかける。
自身の高ぶる感情を堪えて、ギーシュは彼女を宥める。
ここは戦場なのだ。憤怒に囚われては生存の道さえ絶たれてしまう。

「気持ちは分かるが冷静になるんだ。
ここで取り乱したりしたらルイズだって助からない」
「落ち着け…? ええ、言われなくても私は冷静よ!
ワルドって奴の目玉を刳り貫いて八つ裂きにした後、
どうやって縊り殺してやるか考えられるぐらいにね!」

キュルケは激昂を隠そうともせずに怒鳴った。
味方が裏切った程度で彼女は取り乱したりはしない。
策謀蠢く戦争では、そんな事は日常茶飯事だ。
しかし、ワルドがした事だけは許されない。
奴はルイズの全てを壊していった。
誇りも、使い魔との絆も、彼自身に向けた信頼も。
何よりも彼女が大事にしていた物を一つも残さずに。
魔法が使えない彼女にとって、それは最後の寄る辺。

どんな理由があろうとも知った事じゃない。
この報いは必ず受けさせる! 『微熱』の二つ名に懸けて!

「………?」
走り続けながら不意にタバサは気付いた。
何故、未だ敵と出くわさないのかと?
中庭で遭遇したのが予備兵力だとすれば、
城内には相当数の敵兵が入り込んでいる筈だ。
身を潜めながら行動している訳でもないのに、
敵と一度も交戦しないなど有り得るのだろうか。

その疑問に答えられるデルフは一人沈黙を貫く。
これが相棒の仕業だと薄々勘付いていた。
一刻も早く相棒の元に駆けつけたい。
だが、この包囲を突破するなど彼女達には不可能。
それに、今の相棒の姿を見せられない。

“もしかしたら二度と戻ってこないかもしれない…”
数千年の時を経て、相棒を失う恐怖がデルフの内に甦る。
646ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:32:21 ID:N5Mbm6YZ

「何をやっておる! まだ隠し港は見つけられないのか!?」
傭兵部隊を指揮する貴族派の士官が声を荒げる。
正門に繋がる大ホールに作られた臨時の司令部には何の情報も届かない。
先陣を任され活躍の機会を与えられたというのに、彼の心境は穏やかではない。
だが彼に与えられたのは正規軍ではなく、元々が複数の傭兵団からなる混成部隊。
それも敗残兵を狩るのを得意とするハイエナのような連中だ。
そんな連中を指揮するだけでも腹立たしいのに、城の制圧は一向に進まない。
死にぞこないの王党派に苦戦しているとは思えない。
どうせ送り込んだ奴等が私掠に走っているに決まっている。

彼が一番恐れているのは敵の反撃ではなく逃走だ。
『イーグル』号が補給線の撹乱をしていたのは周知の事実。
ならば、このニューカッスル城には隠し港がある筈だ。
そこから国王や皇太子に脱出されては元も子もない。
逃亡先に亡命政府を建てられ、大義名分の下でアルビオンが侵略される。
そうなれば、逃がした私の責任は重大。
出世どころか責任を取らされ自決に追い込まれるかもしれない。

刹那。突き破る勢いで二階の扉が開け放たれた。
衆目の環視の中、現れたのは軽装に身を包む傭兵の姿。
ふらついた足取りで階段を降り、ホールへと向かおうとする。
しかし前が見えていないのか、男は足を踏み外して階下に転落した。

その只ならぬ様子に、不吉な予感を感じた指揮官が男の元に駆け寄る。
そして衛生兵を押し退けて、男を揺さぶりながら問い質す。

「何があった! 敵の反攻か…!?」
「……悪魔だ」
「悪魔…だと? 貴様、酔っ払っているのか!?」

返ってきたのは、まるで夢現の狭間にあるかのような一言。
緊急事態と案じた彼の不安は憤慨へと変わる。
殴りつけようと襟を掴み、男を引き起こす。
その時、初めて士官は男の顔を見た。
否。正確には『見えなかった』のだ。
顔があるべき場所は溶けて形を失っていた。

直後、男の身体が火の手が上がった。
それは瞬く間に燃え広がり、全身を包み込む。
業火に飲まれた傭兵が炎の中へと消えていく。

咄嗟に手を離した士官が尻餅を突いて見上げる。
篝火の如く燃え上がる炎に照らし出される蒼い獣の姿を。
見た事も無い異形の獣。
しかし彼は頭ではなく本能で理解した。
死ぬ間際、男が言っていた“悪魔”とは、この怪物の事だと…。
647ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:33:38 ID:N5Mbm6YZ

階上より舞い降りたバオーが敵兵が対峙する。
しかし、それはおよそ戦いと呼べる代物ではなかった。
引き裂き、押し潰し、噛み砕き、溶解し、切断し、焼き尽くす。
ありとあらゆる手段を用い、怪物は敵兵を蹂躙した。
対する彼等の牙はあまりにも脆弱すぎた。
身体に食い込んだ剣も槍も弾丸も等しく筋肉に押し戻されていく。
抜き出された傷跡は時を待たずに跡も残さず修復される。
人を殺傷する為に作られた武器が怪物に及ぶべくも無い。
バオーの猛威を前に彼等が唯一出来る抵抗は、その場から離れる事だけだった。

「これは、一体…!!?」
中庭にて待機していた正規兵の士官が目を見開く。
そこには堰を切った奔流のように城内から逃げ出す傭兵達の姿。
王党派の反撃など有り得ない。
不意を打った上に、数の上でも遥かに勝っているのだ。
幾ら優れたメイジと言えども、津波の如く押し寄せる敵を押し返す事は叶わない。
かといって城が倒壊する様子は微塵も無い。
目の前で起きた事態に困惑する彼に副官が進言する。

「我々も突入するべきでは?」
「いかん! まだ正門前が逃げる連中で溢れかえっておる。
今突撃すれば連中が邪魔になって身動きが取れなくなるぞ」
「しかし…」
副官がちらりと前へと視線を向ける。
そこには自分と同じ後詰めの部隊が殺到する様子が窺えた。
逃げ惑う連中を押し退けて尚も前進を試みている。
その結果、次々と負傷者が続出し更なる混乱を生み出している。

「あの阿呆がッ…!
いいか、我が隊はここで待機!
状況が落ち着き次第、負傷者を救出!
重傷の者は直ちに本部へ搬送する!」

杖を握る士官の手に力が込められる。
功を焦っての暴走だろうが無知にも程がある。
見る間に死傷者の数は膨れ上がっていく。
あの状態では、もはや突入も撤退の支援も無理だ。
後詰めとしての役割を放棄する事になるが致し方ない。
今は一人でも無駄な犠牲を抑えるべきなのだ。
648ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:35:15 ID:N5Mbm6YZ

「進めぇぇい! 王党派、何するものぞ!」

気炎を上げた士官が杖を前へと突き立てる。
男の脳裏に甦ってくるのは作戦前の軍議での事。
そこで後詰めを任された直後、彼の視界は暗転した。
数百程度の敵を相手に後詰めの出番などある筈が無い。
戦功を上げる機会がこの先に何度あるのか判らない。
ましてや王族を討ち果たすような大手柄など今回が最後かもしれない。

大任でありながら、落ちた小石を拾うような容易い軍務。
その失われた好機が再び自分の元に巡ってきたのだ。
歓喜と共に、男は自分の部隊を前進させる。
されど一向に前へと進めず、彼は正門を前に停滞を余儀なくされた。

「何をしている? 前進と言っただろうが!」
「ですが、撤退する部隊が邪魔して前にも後ろにも進めません」
「チッ、無駄飯喰らいの傭兵どもが。
構わん逃げようとする者には容赦なく発砲せよ」
「は……?」
「命令だ! さっさとせんか!」

突然の命令に困惑する兵達を一喝する。
何の問題も無い、敵前逃亡は銃殺にされてしかるべきだ。
ましてや傭兵ならば幾ら死んだ所で補充が利く。
それより、ここで王党派の連中に逃げられる方がマズイ。
艦隊戦力を重視する上層部にとっては、歩兵部隊などどうでもいいのだ。
ここで手柄を挙げて、ゆくゆくは艦隊の提督にまで登りつめる。
有りもしない幻想に酔い痴れた彼は命を下す。
士官の命令に従い、一斉に銃口から弾丸が放たれる。
耳を劈く轟音が響き渡る度に、屍の山が築き上げられていく。
幾度繰り返されたか分からない蛮行の後、正門より出てくる人間は途絶えた。
そして最後に出てきたのは、人ではなく獣だった。

バオーを目にした瞬間、兵士達は凍りついた。
獣が全身に浴びた返り血など取るに足りない。
それよりも尚、おぞましい空気を彼等は感じ取っていた。

誰が指示した訳でもなく一斉に引き金が引かれる。
万雷にも似た銃声と共に撃ち出された弾丸が、次々とバオーの身体を穿っていく。
それでも彼等の手は止まらなかった。
恐怖から逃げるように彼等は再装填し撃ち続けた。
しかし辺りに立ち上った硝煙が兵士の視界を奪った。
白煙に遮られ、彼等は敵を確認する事さえ出来ず立ち尽くす。
いや、もう確認する必要はない。
竜さえも挽肉に出来るほど弾丸を撃ち込んだ。
あんな獣など形さえも残っていないと、そう信じていた。
否。信じ込もうとしていた。
649ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:36:20 ID:N5Mbm6YZ

煙が晴れる。
そこから現れたのは爛々と輝く金の瞳。
全身の体毛がまるで針の山のように鋭く尖る。
咄嗟に構えた彼等の小銃に次々と針が突き立てられた。
瞬時にして燃え盛る炎に、慌てて手を離すも時既に遅し。
装填を終えた薬室が加熱されて暴発していく。
狙いの定まらない弾丸が四方八方に飛び散る。
自分のか、それとも味方の物か、
判別もつかぬ弾丸に兵達が撃ち抜かれる。
その場に蹲った兵が横へと視線を向けた。
そこに居たのは自分達が射殺した傭兵の屍。
因果応報の如き有様に苦笑いが浮かぶ。

死を覚悟した彼等の耳に、力強い羽ばたきが響いた。
見上げれば、そこには月を背に雄々しく舞う二頭の火竜。
頼もしい援軍の登場に兵達が歓喜に沸く。

「さんざ殺しやがって…化け物が!」
竜騎士が乗騎から眼下の兵達を見下ろし毒づく。
彼の眼に映るのは怪物と、その傍らに幾重にも積み重ねられた屍。
そのほとんどが味方の銃撃によって倒された事など彼等が知る由も無い。
目撃した状況から怪物に殺されたのだと判断し、彼は奥歯を噛み鳴らす。

「くたばりやがれィ!」
一旦頭上を通り過ぎた火竜が上空で旋回し、攻撃態勢に移る。
吐き出される炎の息吹に対し、バオーも体毛針で応戦する。
しかし、放たれた針は敵へと届く事なく焼き払われた。
火を吐き掛けながら降下してくる火竜を身を翻して避ける。
彼が飛びつこうとした頃には、既に火竜は頭上を通過しながら再上昇していた。

直後、彼の触角が臭いを感じ取る。
それは恐怖や苦痛、悲しみ、あらゆる物が交じった雑多な臭い。
自分が避けた所を見れば、未だ息のある兵達が火竜の吐いた炎に巻かれていた。
生きたまま焼かれていく苦痛か、それとも仲間にやられた悲しみか。
声も上げられぬ彼等は、のた打ち回りながら全身でそれを表現する。

燃え盛る炎の渦の中。
雄叫びも上げず、彼は無言で刃を振り下ろした。
自身を焼く炎に構わず、焼かれていく兵士達の命を速やかに絶っていく。
心を圧迫する臭いに耐え切れず、彼はその発生源を消去した。
もしかしたら楽にしてやりたいと思ったのかもしれない。
だが、それを判断する事は今のバオーには不可能だった。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:38:17 ID:MpKJHEJY
支援を
651ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:38:18 ID:N5Mbm6YZ

「なんて奴だ…!」
その光景に竜騎士が戦慄を覚えた。
放っておけば死ぬような敵を容赦なく狩り続ける。
それは紛れも無く悪魔の所業だった。
ここで仕留めなければ確実に地上部隊の被害は拡大する。
彼は隣の騎士に合図を送り、先に攻撃態勢に入った。
再度、旋回してからの急降下攻撃。
今度はギリギリまで接近し、同時に魔法での攻撃も試みる。
万が一、避けられたとしても時間差で迫る後続の竜騎士が仕留める。
高速で飛来する竜騎士さえ躱せない連携を、地を這う獣如きが破れる筈も無い。

背後に続く騎兵が勝利を確信した直後、視界が白一色に染まった。
それに遅れて凄まじい轟音が耳を直撃する。
方向感覚を失うかのような眩暈の中、彼は目蓋を開いた。
そこには先程と変わらず前方を飛び続ける火竜の影。
味方の健在に、彼は安堵の溜息を漏らす。

その刹那。前を往く騎兵の身体が崩れ落ちた。
まるで風に吹かれた砂が崩れ落ちていくように、
元は人間だった消し炭が彼の視界を高速で通り過ぎていく。
同時に、気化した油に引火し火竜の身体が内より弾け飛んだ。
突如として起きた爆発に巻き込まれ、彼の火竜も誘爆を引き起こす。

星空を朱に染める炎を兵達が見上げる。
中庭で待機していた彼等は一部始終を目撃していた。
だが、自分の目で確かめながら彼等はそれを信じられない。
地上から天へと逆に昇っていく稲妻。
断じて『ライトニング・クラウド』ではない。
あれは決して人の手では生み出せない脅威。
正に天の怒りと呼ぶべき轟雷だった。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:39:26 ID:23+/xq42
支援!
653ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:39:58 ID:N5Mbm6YZ

バオーが自分の身体を見下ろす。
そこには未だに帯電する自分の身体。
新たな武装現象の発現、その片鱗は水の精霊との戦いで垣間見ていた。
あの時、押し寄せる水を弾き飛ばしたのは“この力”だ。
体内から発生した高圧電流によって水を分解したのだ。

普通の生物でも筋肉や神経は微弱だが電気を作り出している。
その生体電流を乾電池を繋ぐように細胞同士を直列に繋ぎ合わせれば、
細胞が持つ電力はその瞬間、何百万倍にも達する。
更にバオーの細胞は他の生物より遥かに強大な力を秘めている。
生み出した高圧電流に指向性を持たせて放出する第四の武装現象。
それが“バオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノン”!

何故、この能力が今になって発現したのか。
その理由を彼は悲しいほどに理解していた。
今まで発現した能力は手加減の出来る物だった。
しかし、この武装現象は他の物とは違う。
使えば間違いなく相手を死に至らしめる、殺戮を前提した物だ。
だからこそ、ずっと彼の内で眠り続けていたのだ。
無意識の中で封印していたのかもしれない。
それが目覚めた理由は一つ。
人を殺す意思を自分が持ったからに他ならない。

もはや自分は獣ですらない。
運命の手に負けた瞬間、この身は化け物に堕ちた。
死んだ仲間達の所に逝く事さえ許されない。
人間の行為に憎悪を感じながら、同じ事しか出来ない自分。
バオーに対する恐怖から未だに兵士達は敵意を向ける。
それに応じ、彼はバオーの本能の赴くまま牙を剥く。
そうしている間だけ、彼は己の苦悩を忘れる事が出来た。


「…素晴らしい」
眼下で繰り広げられる一方的な殺戮劇。
それをアルビオン艦隊の旗艦『レキシントン』内で観賞しながらシェフィールドは呟く。
その表情には恍惚さえも浮かんでいるようにも窺える。
手元にはバオーのスペックが記された研究レポート。
しかし、それはもはや意味を成さない。
『遠見の鏡』に映るバオーの力は既に研究の範囲外にまで達している。

バオーの牙が金属鎧ごと脇腹を噛み砕きながら投げ捨てる。
その隙に魔法を放とうとしたメイジ達が巻き込まれて潰される。
頭上から襲い掛かる竜騎士もバオーより放たれる雷に散っていく。

圧倒的な物量差に制空権の確保。
たとえ如何なる英雄が現れようとも戦況は覆らない。
恐怖の象徴たるエルフでさえも、それは同じ。
彼等でさえ十倍の戦力を以って当たれば倒せぬ相手ではない。
それは言ってみればこの世界に存在する理のようなもの。

だが、バオーはその理から外れている。
幾ら傷付こうとも修復し、疲れを知らず本能のまま殺戮する。
あらゆる生物を超越した究極の戦闘生物。
654名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:40:39 ID:r00D0AeT
支援
655名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:41:05 ID:cx9KPI99
ブレイク・ダーク・サンダー支援!
656名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:41:10 ID:23+/xq42
ミョズ・・・!
支援
657ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:41:17 ID:N5Mbm6YZ

しかし、これを生み出したのは神ではない。
世界さえも滅ぼし得る怪物は一人の人間の頭脳から生まれたのだ。
レポートに掲載された写真を彼女が指で撫でる。
面識の無い人物でありながら、彼女は彼に親愛にも似た感情があった。
そこに映るのは白衣に包まれた禿頭の老人。
彼に囁きかけるようにシェフィールドは呟く。

「霞の目博士。貴方もこの光景が見たかったのでしょう?」

視線の先には、破壊の限りを尽くすバオーの雄姿。
これだけの存在を作り上げた彼には敬意の念が尽きない。
おぞましい怪物の姿さえも神々しく映る。
科学の力が神の領域に踏み込んだと実感させてくれる。

レポートと実際のバオーを見比べれば分かる事だが、
研究室のデータだけではバオーの全てを理解できない。
自然や人間から学んだ事や戦闘経験が与える影響は不明のまま。
しかし、バオーが外に解き放たれれば世界は滅ぶ。
それ故に、今の光景を決して見る事は叶わないだろう。

「だけど、貴方はバオーを作り出した」

世界を滅ぼす物だと分かっていながら、彼は自分の探求を優先した。
良心も道徳も全てを犠牲してでも追い求め続けた。
きっと心のどこかではバオーの逃亡を待ち望んでいた筈だ。
自分の生み出した研究成果が余す事なく発揮されるのを。

その狂気を孕んだ叡智こそが人間の偉大さの証。
たった一人の人間が世界を呑み込む程の力を生み出すのだ。
何と素晴らしい事だろうと、彼女は心から讃える。

シェフィールドも霞の目に近い心境を感じていた。
彼女もこの世界の全てを犠牲にしてでも見てみたいのだ。
一人の人間の憎悪がこの世界をどう塗り替えていくのかを…。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:42:35 ID:23+/xq42
わんこ支援
659ゼロいぬっ!:2007/12/10(月) 19:42:47 ID:N5Mbm6YZ
以上、投下したッ!
次回はアルビオン大脱出!
660名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:42:51 ID:Lqanmp0V
支援
661名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:43:10 ID:l/0enbVF
このにおいを止めてやるッ!支援!
662名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 19:46:53 ID:23+/xq42
いぬ乙&GJ!

シェフィールド・・・
己の目的のためにレコンキスタを捨て駒にする気か・・・?
それともそれはジョゼフの意志かッ!?
663名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 20:38:50 ID:gjU6ECwa
ワンコ一体で確実に貴族派全滅できるよな
664名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 22:38:58 ID:23+/xq42
時に少々お聞きしたいのだが・・・
ラウンジクラシック板時代の過去スレ、つまり47人目〜63人目なのだが、見る方法はないのだろうか?

いや、1月ほど前に来たばっかりなもので、最近過去ログを1から読んでいたのだが、
この期間は見ることが出来ないので・・・
665名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 22:50:14 ID:frOopp4i
確か、ラウンジクラシック保管庫で検索掛ければ読めた筈
666名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/10(月) 23:15:50 ID:23+/xq42
>>665
見られましたー。ありがとうございました。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 00:54:42 ID:skXLInFr
今日のわんこ乙!
668名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 08:36:50 ID:wIX3aymX
キング・クリムゾ(r
669名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 08:44:46 ID:RVPuprhw
頭の斑模様を自分で染めてるボス、またキンクリですか
670名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 09:01:39 ID:8EWdYSLZ
671名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 11:02:43 ID:Wr+xBOMK
キング・クリム(ry

なんか最近、キンクリばっかしてるぜ…
672名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 11:13:42 ID:Fn92KujI
フーゴは苺君かと思ったらキノコだったのかよ…
やられた
673名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 15:14:16 ID:f8r1cgc5
ずっとボスのターン!
674名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 17:22:33 ID:IxJOk3p0
(ry
675名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 18:32:39 ID:N0laYzWD
5レスいただきます
676名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 18:33:21 ID:N0laYzWD
油断した、やはりあの鏡はスタンド攻撃だったか…
確かにさっきまで僕はイタリアのアジトにいたはずだが今いる場所はどうだ。
どちらが上か下かも分からない、いやそういった概念が無い場所と言った方がいいだろうか。
ともかく現在僕は、落下し続けている最中なのだ。それだけはハッキリと分かる。

次第に目の前が明るくなっていった空間が、意識を失う寸前に見た最後の光景だった。



なんだろう、笑い声が聞こえる。ここはどこだ?イタリアからそう離れていなければいいんだが…
ゆっくりと、全神経を集中して上半身を起こしてみる。スタンド使いが近くに潜んでいるやもしれない。
細心の注意を払う…必要は無かった。取り囲む少年少女の傍には必ずとしてスタンド像が見える。
全員がスタンド使いとは…“一手”、遅れたか。

ここから一旦距離を取らなくては。出来るだけ遠くがいい。
しかし朦朧とした意識の中次に聞こえてきた言葉は、すぐ傍にいた(多数のスタンドに気を取られて気づけなかった)
ピンク色の髪の少女の口から発せられた。

 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
  五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」

油断とは続くものだ。次の瞬間その少女は何の躊躇いも無く唇を合わせてきたのだ。
それがスタンド発動の条件か。

 「くッ、身体が……燃えるように熱いッ……」
同時に左手の甲に記号が刻まれるのを目に焼き付けながら、再度気を失ってしまった。
くそ…“二手”遅れた…


677黄金の使い魔:2007/12/11(火) 18:33:58 ID:N0laYzWD
次に目を覚ました時いた場所はやはりイタリアでは無かった。夢などと都合の良いようにはいかないのは充分承知。
今はこれまでの経験を充分に役立てる事が先決だ。決まっている、まずは“逃げる”だ。

 「あ、目を覚まされたんですね!」
くッ、次から次へと敵が現れる。次は何のスタンドがでてくるんだ一体。
ドアを開け入ってきたのは一人のメイド。歳は…僕に近いようだ。

 「お体は大丈夫ですか?どこか具合の悪いところはありませんか?」
やけに悪意を感じられないメイドだ。しかし注意を怠ってはならない。
予想にもしないスタンド攻撃が無いとは言い切れない。

 「ここはどこだ?」

 「ここはトリステイン魔法学院です。あ、申し遅れました。私、この学院で小間使いをさせてもらっています、シエスタと申します。
  …学院中大騒ぎでしたよ。ミス・ヴァリエールが平民を使い魔にした、っていう。」
なるほど、あのスタンド攻撃がそれか。…人一人を使い魔にするだと?馬鹿馬鹿しいスタンドだ。
発動条件はあれど制限が見当たらないあたり、非常に強力なスタンドであることは間違いないな。
それにしてもトリステイン魔法学院?・・・ふざけた名前だ。どこかの宗教団体と関係するものだろうか?
だとしたら厄介だな。国を相手にすることに繋がるかもしれない。
少なくともイタリアでは無いわけか、ここは。

ファミリーはミスタとトリッシュに参謀を任せてあるから一通りは普段通りに動いているはず。
だが急に行方を眩ました僕を探す為奔走しようとしているのかもしれない。
希望は“僕を探さない”だが、ミスタ達の性格を察すればそれは無駄だろう。
しかし闇雲な行動が危険であることはあの二人もこれまでの経験から承知のはず。

とにかく今は早くイタリアに戻る方法を見つけなければ。

鏡台に突っ伏せているさっきの女を見つけた。通常スタンドは本体を叩けば消えるはず…しかしだ。
678黄金の使い魔:2007/12/11(火) 18:34:32 ID:N0laYzWD
 1.“使い魔”とされた僕が“主人”であるこの女に手を出した時に危険が及ぶのだとしたら。
 2.無事“主人”を倒した後も“使い魔”の属性が消えず、例えば決められた領域から外に出られなくなる、等の移動制限がかけられていたら。

以上二点が最大の疑問だ。不用意に手を出すべきではない。
そしてもう一つ疑問が。

 「このベッドは彼女のものだろう。何故彼女はあそこで寝ているんだ?」

 「ミス・ヴァリエールは一晩中寝ないであなたを看病していたんですよ。
  きっと疲れているんです。」
…理解できない。他人を“使い魔”にするスタンドから見れば本体の性格は恐らく支配欲の塊。
その性格があってこそあのスタンド攻撃が成立するはずだ。
ならば何故僕に対して手厚く世話をする必要がある?

しばらくして目を覚まし、むくりと起き上がった少女はこちらに詰め寄り、開口一番にこう言った。
 「ま、ま、まさか、へ、平民の人間なんかが使い魔になるなんて思いもしなかったけど
  こ、これも何かの縁だと思って諦めるわ。今日、この時よりあなたは
  このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔なんだから。よろしくお願いね。」

 「僕は敬意を払いたくもない自分より年下の女の子の使い魔なんかになりたくないね。
  ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」

 「名前を呼ぶならルイズでいいわ。でも使い魔の願いなんてご主人様であるこの私が聞けると思う?
  こっちだってまさか人間が召喚されるなんて思ってもみなかったわよ!
  もうどうしようもないことなんだからあなたも受け入れなさいよ、もう!!
  だいたいあなた歳は幾つなのよ!?」

そこへシエスタが止めに入った。
 「ミス・ヴァリエール。そろそろ朝食の時間です。用意をした方がよろしいかと…」
679黄金の使い魔:2007/12/11(火) 18:35:56 ID:N0laYzWD
 「ああ〜!もう、分かってるわよ。ええっと、あなた。名前はなんて言うの?
  ずっと“あなた”で呼ぶのもどうかと思うわ。名前を教えなさい。」

 「……ジョルノ。ジョルノ・ジョバーナだ。歳は15。」

 「変わった名前ね。しかも私より1つ年下じゃない、敬語を使いなさい。そもそも年上である以前に私は貴族なのよ、平民。
  まだあったわ、あなたは使い魔で私はご主人様。…3つも理由があるじゃない。」
僕より1年先に生まれておいて常識知らずとは頭が下がるね。

 「じゃあまずは使い魔としての最初の仕事を与えるわ。ジョルノ、着替えさせて。」

 「…お断りします。」

 「言ってくれるじゃない。じゃああなたは他に使い魔としての能力を持ってるの?
  いいえ持っているわけないわよね。既に試してみたけどあなたには主の目となり耳となる能力も無いようだし、
  主が必要とする秘薬を捜してくる能力も無ければ、主を守ることも出来そうに無いわね、だってあなたは平民ですもの。
  だからあなたには使い魔としてとても簡単な仕事を与えてあげることにしたの。
  掃除、洗濯、着替えがあなたに与えられた仕事よ。文句を言わずにさっさとしなさい。」
よくもここまで噛まずにスラスラと喋られるものだ。
しかし流石に僕でも…もう限界だッ……

 「…嫌だと言っているッ!」

 「はぁ?これから誰があなたを養うのか分かってるの?
  あなたは使い魔の癖に何もせずタダ飯を喰らうつもり!?」

 「これ以上君の理不尽な話を聞き続けるのは精神的に参るね。
  どうしても言うことを聞かせたいのなら君のスタンドを使って思い通りにしてみればいいじゃないか。」
680黄金の使い魔:2007/12/11(火) 18:36:27 ID:N0laYzWD
 「何を訳のわからないことを…ああもう遅刻しちゃうじゃない!
  もう、今回だけは大目に見てあげるけど今日の夜を覚えておきなさい!誰が上で誰が下なのか再認識させてあげるわ!」

スタンドが分からない・・・?まさかそんな。いや、試してみる価値はある。

像をイメージする。天道虫をモチーフにした人型のクリーチャー、スタンド名:ゴールド・エクスペリメンスが目の前に現れる。

 「これが見えないのですか?」
静かに佇み前だけを見据えるG・Eを指差して聞いてみる。
スタンド使いならばスタンドが見えるはず。

 「何言ってるのよあなた。まだ意識が朦朧としてるんじゃないの?
  そうか、だからまだ使い魔としての認識が…」

 「ゴールド・エクスペリメンス!花瓶をアヒルに変えろッ!」
命令と同時に降り落とされる腕は正確に彼女の傍にあった花瓶を殴りつけ、ドグシャアと音を残す。
花瓶は衝撃を受けて宙に舞う。

 「きゃあああっ!あなた、人の物に何して……え?確かに花瓶は吹っ飛んだのにジョルノは一歩も動いてない…何故!?」

 「ミ、ミス・ヴァリエール、かかか、花瓶が!」

ゆっくりと、花瓶は粘土細工のように形を変えていき、やがて絨毯の上を歩き回るアヒルそのものに変化した。
アヒルから目を離せない二人はどうやら、本当にスタンド使いでは無いようだ。
G・Eに部屋内のスタンドエネルギーを感知してもらっているが、欠片ほどのエネルギーも発生しないし
スタンドを出して身を護ろうとする動作すら行われない。

 「こ、これ、なんていう魔法なの?生き物を“創り出す”魔法なんていままで見たことも聞いたことも無いわ…」

681名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 18:37:10 ID:N0laYzWD
続く

ミスって本スレに投下しちまったぜ\(^o^)/
682名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 18:38:52 ID:MAlpLVpc
支援しようかと思ったら終わってたwww
GJ!あとちなみに向こうはこのスレの妹スレで本スレではないぜ。
683名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 18:40:33 ID:MAlpLVpc
ああ、マジでしつこい様だけどエクスペリエンスな。メンスじゃないぜ。
684名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 18:43:18 ID:N0laYzWD
んな馬鹿な…

コミックス第五部確認

/(^o^)\←いまここ
685名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 19:07:32 ID:z7i/6pMS
んー・・・ジョルノはかなり扱いにくいと思いますが、頑張ってください。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 19:08:30 ID:AeVXWfLd
ニッケとジョルノ、二人旅
687名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 19:15:18 ID:SvZNpl9l
Giorno Giovanna
×ジョルノ・ジョバーナ
○ジョルノ・ジョバァーナ
688名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 19:55:34 ID:MKj5osdF
×ジョルノ・ジョバァーナ
○汐華 初流乃

どうやってこれがジョルノ・ジョバァーナになるんだよぉ!
俺をナメてんのかっ!
くそっ!くそっ!
689名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 20:30:54 ID:9bYA8Y9h
○ジョルノ・ジョバァーナ
×ジョルト・コォーラ
690名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 20:33:43 ID:CvaEwHG2
×汐華 初流乃
○汐華 初流乃 ジョースター
ではなかったかな?w
691名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 20:46:56 ID:AeVXWfLd
>>688
×汐華 初流乃
○初流乃 汐華
692名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 20:48:37 ID:+KO7NNsH
>>691はちょっとお頭が足りないだけなんですぅ。
みなさん、優しい目で見守ってあげてくださいですぅ。
693名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 20:56:24 ID:0J24ilMn
×ジョルノ
○ポルナレフ
694名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:03:47 ID:AeVXWfLd
>>692
ですぅ とか言ってる奴に言われたくねえw
695名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:17:05 ID:FBlgZJA6
○汐華 初流乃(しおばな はるの)
日本人だからこっちが正しいぜw
まぁ母親がイタ公と結婚してるからそっちの名字があるんだろうがな
それとDioの息子だからジョースターじゃなくてブランドーじゃね?
696名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:29:25 ID:64khYul2
ついさっき「ギーシュがサバスの矢に射られてスタンドに目覚める」
という電波を俺に送ったのは誰だ
697名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:31:32 ID:0MKP5Rur
避難所の方で連載してる人の意思が漏れ出したんじゃね?
698名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:32:12 ID:AeVXWfLd
>>695
>>688が汐華 初流乃がジョルノ・ジョヴァーナになるのが理解できないみたいだから
汐華 初流乃じゃなくて、初流乃 汐華で考えないと理解できないよ、って言いたかったんだが、まあ。
>>688がネタなのはわかってるが

>>696
いますぐまとめサイトに行ってギーシュの奇妙な決闘を読むんだ
699名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:34:11 ID:bI+0yqcM
>>696
避難所に有るけど
700名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:41:15 ID:64khYul2
え?まじ?どのスレ?
701名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 21:58:55 ID:G+wnQT23
このスレは滅多に混乱しないから混乱してるのを見るとスタンド攻撃かと思ってしまう。
702名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 22:00:09 ID:N0laYzWD
僕がサバイバーを流しておきました
703名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 22:01:47 ID:Fn92KujI
ジェイル・ハウス・ロック……
704名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 22:02:55 ID:64khYul2
意外!それは>>702のスタンド攻撃ッ!!

ああこれか既に1000になってるスレから始まってたのか。
まとめを見に行っても見つからなかったからしばらく混乱してしまった
705名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 22:03:42 ID:bI+0yqcM
 俺が最強だぁぁ――ッッ!
  .__  トンファータックル!!    -=  ∧ ∧
  - = ┃   .∧ ∧, :;'   ‐= r―(`д´ ,,) >>702
 _ -= ┣(`~(,,^д^)~ て ;. ‐= ` ̄ヽ  、゙ヽ
    - = `ーと_^) ;・' そ '`;  ‐=  )   し′
  - ._ = ━┻( _) W ヾ ’  = r、/ノ ノ 
    (、, 、从(_ノ ゝ_)从,、 )      `ー^ー′
706名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 22:19:57 ID:T/pZfu3M
誰か!最近スランプ気味のオラに元気を分けてくれー!
707名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 22:32:14 ID:VWdK77DK
>>688
ギアッチョ乙。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 22:34:17 ID:64khYul2
ほら>>706・・・傷は完全に治したぜ…
いつもみてーによぉ…また調子とりもどせよ・・・
709名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 23:42:46 ID:m+ECkQDG
>>708
もう止めが刺されてるじゃあねーかwwww
710アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/12(水) 00:41:28 ID:qjOLj73J
遅くて申し訳ないが50分から投下します
711名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 00:45:26 ID:JqUiOpjS
ロードローラーで整地してまっているぞォォォ!!
712アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/12(水) 00:50:05 ID:qjOLj73J
これ、一体、何なの?
そんな切れ切れな真っ白い言語が、アンリエッタの脳裏を過ぎ去り、埋め尽くす。
言語に埋め尽くされた脳内の片隅で、眼球から取り込んだ現在の映像が放映される。
本当にこの映像が現実の物なのか。アンリエッタには判断し難い。

異常。それほどにまで異常。
異常事態により凍結した脳細胞は、しかしそれでも、僅かずつに現実へと復帰してくる。
その度にアンリエッタは現状にしこたま打ちのめされそうになった。

「……う…っ」
呻きが零れた。
指が震えて跳ねる。
呼吸は小刻みに、浅く、速い。

これはこの場のほぼ全ての者に共通している状態だ。
アンリエッタも、来賓も、ギャラリーも。今、絨毯に頬を寄せて倒れている者達も。
死屍累々。未だ倒れている者達は呼吸をしている事から、死人ではないだろうが、それが最も近い表現に思えた。
着飾った貴族達も、地面に這いつくばるというのは初めての経験だろうか。

何人倒れているのだろう。五人。十人。十五人?
否。違う。もっと、多い。
もっとたくさんの貴族達、この広間にいる殆んどの貴族達がこの場に倒れていた。
倒れていないのはアンリエッタに城の奉公人や衛士、それに僅かに残った立ちすくむ貴族。

最初に女貴族や壮年の貴族が倒れた後、ほんの一分やそこらで殆んどの貴族達が死んだように倒れた。
本当に死んだようだった。誰も彼も起き上がる事さえできない。
そして倒れていく者達を見ながら、誰も身動きできない。
あまりに深く、重く、沈殿した空気だったからだ。

時の止まった世界とは、このような全てが静止で統べられた世界なのかもしれない。
妙に思考だけが冷静なアンリエッタはそう思った。
次いで、立ちすくんでいた貴族がまた一人、小さく音を立てて床に沈む。
最高級の絨毯が敷いてあるお陰で、あまり派手な音は立たない。

だがアンリエッタの呼吸を深くするには、充分の衝撃であったようだ。
「ーーーーーっ゛!!」
人が倒れた事で、世界は静止を解除する。
周囲の奉公人や衛士等も、時の縛りから開放された。

と、同時に今度はざわめきが世界を統べる。
まだ状況を飲み込めない者等は、視線をあちこちに向け、不可解な言葉を独りごちる。
最初に誰が言ったのだろうか?医者を呼べ、と。
713アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/12(水) 00:51:58 ID:qjOLj73J
アンリエッタの耳にその言葉が届いた瞬間、彼女は叫んで言った。
「誰か医者を呼びなさいっ!水の使い手の医者をっ!早く…っ。誰かっ!」
ざわめきを破る一際高い姫の一声。
その声に反応するよう体に染み付いた奉公人達が、堰を切ったように扉を開けて廊下へと飛び出していく。

広間に残った奉公人や衛士等も、倒れた貴族達に駆け寄って声を掛け始める。
だが沈んだ者達は黙して語らず。何も反応は無い。
ただ顔色が悪いだとか、呼吸が異常に荒いだとか、危険な症状が出ている者はいないようではある。
これは不幸中の幸いと言っても構わないのだろうか?

そんな事を考えてアンリエッタが倒れ伏す者達を見ていると、その倒れた間を縫って一匹が駆け抜けていった。
白い、小さな、しっぽのある獣。
それは先ほど出て行った奉公人達が、開けっ放しにした扉を通って広間から出て行ってしまった。
アンリエッタには見覚えがある。あれは、確か。

「オールド・オスマンの使い魔の…ハツカネズミ?」
一体何故に廊下へ走っていってしまったのだろうか。
かなりのスピードで走っていったが何か身の危険でも感じたのか。
これだけの人数が倒れているのを考えれば、使い魔のネズミなら危険と感じたのかもしれない。

だが、それでも使い魔が、召喚主のメイジを放ってどこかに行ってしまうものだろうか?
自分の使い魔の康一ならば何処へも行く事はないだろう。
しかし理由があって離れるという事はありえる。
理由。何かあのハツカネズミにも理由があって行ってしまったのか。

アンリエッタはテラス付近にて、長い白髪を振り乱し、倒れるオスマン氏を見た。
他の者と変わらず、たまにピクリとするがそれ以上の動きはない。
そのうち廊下からドタドタと幾つかの足音が響いてくる。
どうも先ほど出て行った奉公人達が、水系統の使い手達を呼んできた足音らしい。

今はオスマン氏の使い魔の事より、皆の治療が先決だ。
思考を切り替え、自身も杖を構えていつでも治療のできる体制に入る。
アンリエッタもトライアングルの水の使い手だ。
代々伝わる王家の杖も水の力を蓄えており、強力な水魔法を行使する事を可能とする。

そうしてアンリエッタは先ほどのネズミの使い魔の事は頭から追いやり、
それに次いで自身の使い魔の事さえ一時的に頭から抹消してしまった。
自分の警護に当たっていた筈の康一が、何故このような事態になっても姿を現さないのか。
今、彼は何処で何をしているのか。異常事態での動揺が、それを失念させた。
714アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/12(水) 00:53:48 ID:qjOLj73J


「エコーズACT2ッ!」
操ろうとする意思のままに、像をもったエネルギーが疾走する。
ACT2で周囲の偵察を行っていた康一が、スタンドの射程距離に入ったメイジ三人を捕捉したのだ。
つまりもう自分達から50mにまで近づいてきたという事。
ただちにしっぽ文字が形状を変えて、丸い砲弾のような形になる。

刻まれたしっぽ文字は『ベゴォッ』の打撃音。
遠隔操作スタンドの特徴としてACT2のパワーはそれほどでもない。
それ故、この打撃音の文字では対象を死に至らしめる効果は得られないだろう。
この文字を康一が選択した理由はこの為だ。人殺しは遠慮しておきたい。

「喰らわせろ!ACT2ッ!」
そしてACT2が捏ね上げたしっぽ文字は、砲丸投げのように投擲ッ!
スタンドはスタンド使いにしか見ることは出来ない。
つまり回避をする選択肢というのはメイジに存在し得ない。

しっぽ文字は狙い通りに、間違いなく目標へ直撃するッ!
「グボッ!」
メイジの胸に直撃したしっぽ文字は、その効果を遺憾なく発揮。
『ベゴォッ』の打撃音によって血反吐を吐いたメイジは、後方へと吹っ飛ばされていった。

「よしッ、一人なんとかなりました。でも後二人に同じ手が通用するかどーか」
「ですが三人が二人になったのは大きい。これで逃げ切れる可能性がかなり高まりましたな」
攻撃の結果を報告した康一に、現状の好転を喜ぶマザリーニ。
しかし康一の言う通り、今の攻撃で遠隔操作の攻撃は警戒され、
防御をしながら進行してくるだろうから、これ以上この攻撃で人数を減らす事は難しくなった。

事実、ACT2の目で捉える残った二人は、腕で体を防御しながら康一達の方へ進んでいる。
「……え?」
否、三人だった。ACT2は人間がするように、自分の目を擦ってみる。
しかしスタンドにそんな事は意味が無い。つまり目の錯覚とかではない。

進行しているのは三人。先ほど攻撃を受けて倒れた筈の一人が、いつの間にか歩いている。
口から血反吐を吐いている為に間違えようが無い。
「スイマセン。マザリーニさん訂正しときます。三人ともこっちへ向かってきてます。
異様に打たれ強い奴なのか、それともダメージを魔法で治療したのか分かりませんけど三人とも来ますッ」
715アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/12(水) 00:56:03 ID:qjOLj73J
マザリーニ、あからさまに顔色が曇る。
確かに捕らえたメイジの中には水の系統の者がいた筈だ。
その者が治療をしたと考えれば、人を気絶させる程度の攻撃では効き目が薄い。
他の二人も火と土の系統の筈で、攻撃に防御と役割分担が出来る。

対してこちらは魔法の使えず、逃げるしか出来ない自分。
そして康一は遠隔攻撃は可能だが、それでは倒す事が出来ない。
彼は近接攻撃の方が攻撃力が上らしいが、それでは三対一になり圧倒的不利だ。
メイジ三人相手に一人で突っ込むなど無謀の極み。

現在マザリーニは康一に支えられて廊下を逃げている真っ最中。
遠隔攻撃で足止めしつつ、何とか逃げ切るという作戦はどうやら難しい情勢になってきている。
そもそも射程50mという距離は走ればそう長くも無い距離だ。
このままでは後一分足らずで追いつかれる事になるだろう。

無謀。しかし残る手がこれしか残っていない。
沈黙するマザリーニがチラリと康一を見た。彼の様子を伺う程度の行為だったが、康一もマザリーニを見ていた。
「僕は大丈夫ですっ。マザリーニさんは行ってくださいッ!」
そう言って、康一は普段と変わらずに笑った。

死にに行くような行為である筈なのに、彼は笑った。
これが無謀なのか、それとも勇気なのか。
マザリーニは両方に思えた。『無謀な勇気』、意外とピッタリかもしれない。
康一の足が止まった。だがマザリーニの歩みは止まらない。

生きて、守る為に戦う。もう決めてしまったのだ。
だから足を止めるのは康一への侮辱に思えた。
勇気を侮辱するのはどんな事があろうと、人間として、生命として許されない。
だから止めない。止めたくない。

後ろ髪引かれる思いを胸の奥に封じ込めて、歩く。
ゆっくりではあるが確実に歩いていく。それが生きるという事だ。
背後から康一が逆方向へ走っていく足音が聞こえた。敵を足止めしに向かったのだろう。
それでもマザリーニは前に歩いた。ただし、心の中で無力を嘆いた。
716名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 00:56:20 ID:JqUiOpjS
支援します
717アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/12(水) 01:00:10 ID:qjOLj73J
投下完了
今回は現実が普通に忙しくて投下が遅れました
でも一回遅れると以前のペースに戻るのは難しい
ペースを落として完成度を上げるか、ペースを持ち直すべきなのか
そこが問題、他の方はどうしてるだろう?
718名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 02:31:07 ID:IMXYibm9
GJ!!
グーよグー。
事件の結末は果たして?
康一とマザリー二の勝利をここで期待するッ!
719名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 04:30:53 ID:nQfmJhwE
読んでてメメタァッという文字だとどんな効果が出るのか、とか実験したくなったw
GJっした。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 13:07:48 ID:58sa69bi
KING CRIMSON
721名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 18:10:23 ID:ohBqQTWY
個人的に『クリムゾン・キングの宮殿』は名曲
722名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 18:45:54 ID:DiaJJt5K
宮殿が好きな人は精神障害者と墓碑名も好きなはず


テーン テーン テーン テーン テーンテテーン テーンテテーン テーーーン
こんな感じだよね?
723名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 19:09:55 ID:N4bb7igJ
ジョジョに名前の使われてる曲聞いてみたいがいまいち洋楽はよく分からないおいらに何かオススメを教えておくれ
アイアンメイデンのACES HIGH(綴り合ってる?)やメタリカ全般が好きなんだ
日本ならマリスミゼル(もう無いけど)やアリプロジェクトとか大好き。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 19:18:06 ID:ohBqQTWY
>>722
エピタフは聞いたけど精神障害者って何だか分からんw
どう見てもディアボロの大冒険から入ったにわかです本当に(ry
>>723
アリプロは俺も好きだぜ
参考になるかは分からないけどジェントリーウィープスなんか良いと思った
725名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 19:20:40 ID:Jxq0apy9
精神障害者はディアボロのダンジョンデフォルトのあの曲だったと思う
726名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 19:30:44 ID:kQ519893
While My Guitar Gently Weeps
Eleanor Rigby
The beatles Twist and Shout

が俺の中でのビートルズ三大名曲
727名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 19:44:22 ID:WVyFaJ4/
>>723
曲別再生回数一位ACES HIGH
アーティスト別再生回数一位METALLICAの俺が通りますよ
HR/HM好きならLED ZEPPELINとかDIOとかDEEP PURPLEとかWHITESNAKEとか聞いときゃいいんじゃね?
他ジャンルだったらunderworldとかFOO FIGHTERSとかおすすめ
728名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 19:45:06 ID:ohBqQTWY
>>725
そうだったんか
原曲聞いてみたけど気に入った

Deep Purpleも好きだな
あとジョジョ関係ないけどディアボロで使われてたStingのShape of my Heartとかも
729名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 19:54:09 ID:p/BTqY6p
ディアボロの大冒険でEnglish man in New Yorkに魅了された俺が通りますよ
ところでもう少ししたら新スレかな?
730テスト投下:2007/12/12(水) 20:31:54 ID:fAGdyrb+
?んだ!
掴んだ!
731名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 20:44:03 ID:T6GsxKYI
あと4kb位で新スレなんだけど・・・なんか中途半端だなぁ・・・
732名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 20:50:05 ID:kQ519893
あれ?501KBだから27KBじゃないのか?
733名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 20:51:19 ID:pf6S+TK4
480KBで次スレでしょ?
今474KBっぽい
734名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 20:53:33 ID:kQ519893
ああ、埋まるんじゃなくて新スレか
735名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 20:54:58 ID:N4bb7igJ
色々教えてくれてサンクス
教えてもらったCDは探してみるよ
そしてこの書き込み時点でこっち(携帯用2ちゃんブラウザ・べっかんこ使用)では476kbと表示されてる
736風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/12(水) 22:06:49 ID:kQ519893
そうえいばレッドツェッペリン一日だけ復活したらしいね
でもキーが変わってて老いを感じる

さーて投下投下
737風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/12(水) 22:07:22 ID:kQ519893
「さて、では急ごうか」
刺客を倒し、桟橋へと急ぐ。
先頭がワルドで、次いでキュルケ、ルイズ、タバサ、ギーシュ、殿はワムウ。
ワルドはルイズと並ぶことを主張したが、ワムウの狙われる危険の最も高いのを
近くに置くわけにはいかないと鶴の一声で順番が決まった。

長い長い階段を上り、巨大な樹木が丘の上に見えてくる。
開けた場所であるため、襲撃はしにくいと判断し、木の根元まで全員が一目散に走る。
ワルドが上る階段を見つけ、全員がスピードを落とし慎重に上っていく。

警戒していたためか、背後の踊り場からフライを使って追ってきた仮面の男に全員はすぐ気づく。
「戦っている暇は無い!全員走れ!」
仮面の男は階段に着地し、魔法をワムウとギーシュの間に放つ。
間一髪ギーシュはかわすが、足元の木の階段は木っ端微塵に砕け、ワムウは孤立する。
キュルケが階段を上りながら悪態をつきつつ魔法を放つが、男はフライで上昇してかわし、そのまま一行の
前まであがろうとする。

ワムウは足が浮き、魔法で反撃できなくなった瞬間に尖った階段の欠片を投げつける。
男はフライで後ろに下がり、階段から離れ巨大な樹木、世界樹の枝に着地し、飛んできた欠片に閃光を放つ。

その閃光は欠片を飲み込み、そのままワムウに向かっていく。
ワムウは大きくジャンプするが、その足に閃光が直撃する。
しかしダメージはないのか、一行の最後尾に何事もなかったかのように着地する。
ワルドはワムウの無事を確認した後、元のスピードで上り始める。
仮面の男に魔法とワムウによる投擲を浴びせるが、どれも決定打にはならない。
ワルドが杖を一振りし、風の槌による打撃を与えると、男は枝から転落していった。

「ワムウ、大丈夫?」
「あれはライトニング・クラウド、風の使い手による上級呪文だ。しかしあまり痛みはないところを見ると大丈夫のようだね」
「そうでもない、いくら体を鍛えても雷への抵抗力をつけるのは難しい。踊るとしたら難儀になったな」

ワムウの足を見ると焼け爛れ、常人なら歩くのもままならないような傷に見えた。
「ワムウ…」
ルイズは心配するが、ワルドがそれを制する。
「確かに彼の傷は心配だが、いつ次の敵が襲ってくるかはわからない。歩けるようではあるし、
もう少しの間怪我をおして進むしかないだろう」
「当然だ、これしきの傷で足手まといになることこそ戦士の恥だ」
「彼もそういっているし、では進もう」

階段を一行が上っていき、一艘の船がロープでつながり停泊している。
「すまない、色々と巻き込まれて遅れてしまった」
「俺が船長の赤鯱だ。なあに、どうせ出航の予定は無かったんだ、金さえ弾んでもらえるならいくらでも待つわ!
しかし、なんだって今商売でもないのに戦争中のアルビオンに行くんだか、気が知れんね…そうそう、急ぎの客が
一人いてね、同席してもらうが構わんね?」
「ああ、構わない」
「なら出発としますかい、出航だ!もやいを放て!帆を打て!」

船が浮き始め、ワルドは杖を構え船後部の風石室に向かう。
「さあ、君たちも乗りたまえ」
ワルドが促し、一行が乗り込み、部屋に案内される。
738風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/12(水) 22:08:01 ID:kQ519893
「無粋な貨物船でね、洒落た部屋は無いが文句は言わんでくれよ」
そういって船員は扉を閉めた。

「同席してる相手が一人居るといっていたが…」
ギーシュが呟き、隅で商品なのだろうか、大量の荷物の整理をしている男が居る。

ルイズは男を見て絶句する。
「あ、あんたは…」
「なんだ、急ぎの貴族とは君たちか、偶然だね。どうだね、私としてはリベンジでもしたいところなのだが…」
「武器屋の店主、ダービーッ!」
「覚えていて頂いて光栄だね、グッド」
「なんだね君たち、知り合いなのかい?」
ギーシュが首を傾げる。
「ちょっとワムウ君の持っている武器を賭けてギャンブルをしてね、ご覧の通り私は負けたわけだよ」
「ふーん…君達もけっこう悪趣味なんだな、そんなボロ剣を賭けるなんて」
ギーシュはワムウの持っている剣を一瞥しながら言う。
「おれっちがボロ剣だとは失礼な小僧っこだな」
「僕よりセリフもないくせに何をいってるんだね、君は」
「何の用でアルビオンに行くかは知りませんが十中八九戦争関係でしょう、どうです、
私の武器なんかを買っていっては…全長39p、重量16s、装弾数6発の13o拳銃などもはや
人類では扱えない代物もありますがワムウ様なら…あとは衛星付鉄球が数個と、空気砲なんかも…
目玉商品は必ず当たって、しかも投げた後戻ってくる槍ですな…名前はグンニグル」
「いらん」
ワムウは即答する。
「そう無下にしないでくださいな」
「武器は興味が無いが、ギャンブルは興味があるな」
ギーシュが話に割り込んでくる。
「ちょっとギーシュ、やめなさいよ」
「フフ、お嬢さん。『魂を賭ける』のを危惧しているのなら杞憂ですよ…まあアルビオンにつくまでの
暇つぶしのようなレートで…そうですな、麻雀牌を使ったギャンブルがありましてな…
レートは貴族様なら点1ドニエ程度で構わんでしょう?」
「ああ、構わないよ。それよりルール説明をしてくれ」

「もう、止めたのに」
ルイズがため息をつく。
ギーシュはもうやめる気はなさそうだ。
キュルケは本を読むタバサにちょっかいをかけている。
「それより、ワムウ。さっきの魔法受けたところ見せなさいよ」
ルイズが足を出させると、先ほどの怪我の部分を見つける。
柱の男の治癒力である程度治っているものの無残にも足はえぐれ、焦げ付いていた。
「ちょっと!なんでこんな大怪我だってのに黙ってるのよ!薬を探してくるわ!」
ルイズはギーシュと話していたダービーに割り込み、財布を出し、薬を買ってくる。

「ほら、これ塗るから。ちょっと染みるけど我慢しなさいよ」
まるで子供を扱うような言い方にワムウはニヤリと笑う。
「こういう怪我をしたときはご主人様にちゃんと言うの、わかった?」
「お前にもそんなところがあったのだな」
ニヤニヤしながらワムウは言う。
「な、なによ、心配してやったのにその言い草は何よ」
「まあいい、感謝くらいしておいてやろう」
739名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:08:41 ID:amYQE17S
支援
740風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/12(水) 22:09:42 ID:kQ519893
 * * *


「あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
『おれは奴と点1ドニエでギャンブルをしていたと思っていたらいつのまにか100ドニエすっていた』
な…何を言ってるのか わからねーと思うが、僕も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
竜巻ヅモだとか背中が煤けてるぜだとかライジングサンだとか、僕は本気を出さなかったわけでは断じてねえ
もっと恐ろしいギャンブラーの片鱗を味わったぜ…真っ白に燃え尽きたよ…」

マントすらかっぱがれたギーシュは寒そうに肩を抱える。
「だから言ったでしょ」
ルイズは言わんこっちゃない、という口調で話し掛ける。
「でも、あれほどとは思わなかったよ…」
落ち込むギーシュを尻目に、ワムウは空を眺める。
そして、なにかを見つける。
「あれがアルビオンか、浮遊大陸とは素晴らしいな」
ワムウが雲の向こうを指差す。

「なに、本当かね!僕もアルビオンを見るのははじめてなんだ」
ギーシュが真っ先に飛びつき、身を乗り出す。
「うおおおおお!あれがアルビオンか!」
ダービーも興味を示したのか、船室から出てきて望遠鏡を構える。
「いつみても綺麗ね、『白の国』は」
キュルケも読書を続けようとするタバサを無理やり引きずり出し、アルビオンを見せる。
「あんたもたまには本じゃなくて外を見なさいよ」

「杖を立てろ!ニョホホ ニョホホ〜ヴェルダンテがついてゆく〜♪
島がみえるよ ギーシュ〜島がみえるよ ギーシュ〜♪
ギーシュ ギーシュ ギーシュとなかまたちぃいいい〜♪」
「ワムウ、あいつ黙らせてほしいんだけど…」
ノリノリのギーシュの後ろにワムウが立ったとき、船員が声を張り上げた。

「三時の方向、上方雲中より船舶接近!」
船長が声を聞きつけて、双眼鏡片手に出てくる。
「貨物船や客船の類じゃねえな、軍船か、空賊船か…どちらにしても出くわして得なことはねえな、
野郎ども、全速力で十一時の方向、下方に進ませるぞ…相手のケツをとってそのまま逃げ切っちまえ」
「船長、それが…かなり大規模な空賊船のようで…武装も馬力も段違いのようです…」
相手の船は砲弾で威嚇射撃をしてくる。旗色信号が見える。

「停船命令です、船長」
「どうなんだい、貴族さんよお」
船長は横目でワルドを見る。
「そうだな、船が急降下する前に一発くらいは魔法を当てられるかな」
船長は舌打ちする。
「やむをえん、停船するぞ。裏帆を打て」


To be continued.
741名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:10:00 ID:ohBqQTWY
支援
742風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/12(水) 22:10:21 ID:kQ519893
終了ー
ついでに次スレたててくる
743風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/12(水) 22:13:22 ID:kQ519893
最近容量オーバーが近い!

├ 1.書き込みを減らす

│    [まちがい]
│      確実な方法ではありますが、レスがへるのが難点です。
│      それよりも別の手段を探してみませんか?
│      ちょっとした手間でなんとかなるかも?
│              ↑
│          ココがポイント!

└ 2.新スレを使う
    【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚75人目】
    http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197465065/

      [せいかい]
744名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:15:27 ID:ohBqQTWY
GJ〜
投下&新スレ乙
745名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:23:09 ID:kQ519893
もしかして避難所落ちてる?
746名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:35:08 ID:kQ519893
したらばが落ちてるのか
747名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:35:28 ID:LFX6uHxC
乙!
宝具でもワムウなら…ワムウなら使いこなしてくれる…
748名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:37:41 ID:XT7gOk04
遅れたがワムウGJ!
船長の名前を見た瞬間、急ぎの客が北斗の男かと勘違いしたのは俺だけでいい。
749名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:44:34 ID:wbot1nH3
何かジャッカル混じってないか、ダービーの武器
750名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 22:47:39 ID:rnIY6WQc
そういやライトニングクラウドってスプーン一つで無力化できそうだな、ジャンプ的に考えてw
乙!
流石のワムウも雷はきつかったか…
それとダービー自重汁wwwwバランス崩壊武器だしまくるなwwwwww
751名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 23:05:12 ID:0fxpMlEG
赤鯱・・・・息子守って男死にしそうだな;
752名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 23:10:27 ID:G8myzZqf
間違いなく息子は貴族派に潜入してるな。
753名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 23:23:06 ID:vmIRfdPf
ギーシュwwwガンバかよwwwww
ガンガンガーンバの所がギンギンギーシュになるのか
754名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 23:58:09 ID:DiaJJt5K
GJ!
この船長は間違いなく硫酸樽を持ってるなwww
755名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 00:32:50 ID:Q07eIxpU
凄い眼帯で凄い義手も付けてる筈だ
756名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 01:25:06 ID:1erZQVH/
息子にも犠牲フラグが立つじゃあないか
757名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 08:48:15 ID:hgpyldvA
         _,、=:ニ;‐、、--――‐y、,_     ,,r;;;;''''=―--、、,_
       /´  ヽ,ヽ,.゙'l,.゙Y;--',r'゙'ヾ;'V.j   /∠,,.r_;'゙-‐-,<゙゙ヽ,'i、'‐、,
      ./_   .,,_j ゙l l,. Y/゙'ヾ、;、ノ,r;'|  /jフ,r-、ヽ、  _,,>.゙'ー;゙' ーi,. |'i,
      j.ヾ!  ト‐! | .| .|,_ ./,.〈. 〉| ./ .(゙   _>゙'゙ r''゙´'i,゙l, ,j レ! .|:|
      .|il,  __  j .j゙ .l  ト,゙',/ j.゙ r;| .レ'゙''‐ニ'''゙r''゙´ .゙l,ヽ,. ,ノ ゙ r''1.jノ
      .|.l,゙l, ゙ー゙.ノノ  / / ゙l ゙l,ヽr',r'l ゙;| .ト、,. /./´゙ヽ;.、 ノ ,゙rッ  .,Y';V
      | l,.゙ヽ--'゙ ,ノ  /  l, ゙'゙,,.l, ,j ゙| l,ヾ,、--、,,,、'_, r''゙ l   / li,;)
      l,. ゙'i,  /  ,rシ-、,ィ) l,゙i,V/゙j゙ /゙,,、、、,_  ゙\!.レ゙  .| Y゙
       ゙l゙i,・ヾi, ,/ィl、・_ノ ,;:: ゙シ'i.l,ノ ./゙    \  ゙Y:   .l /
       | `ラ´゙'''´ ''"'´  .|  |:.r'`V'''" ̄`゙ヽ、 ゙'i,  |.   ' /
       ゙'i,         .j  |./ ∧、, ゙̄ヽ、. \ ゙l. |\ ./
        ゙i,. r、,,,.、,_   / ノメ、 .j |ヾヽ,゙'ー---‐'''''ヾ-、,‐'
         .゙i,ヾ'-'ニワ.  / ./ノ .V j゙ |'i,. ヽ;-‐-、,_::::__ ::..>
        /:::l,〈`   //‐'´ ./.ヽ/ .j.ノ  .:ヾ、;:) ゙'i    `ヽ、
       /::::::::|ヾ‐;<;/__,、r'´ ./ .)='゙  ..::  ,ソ  .(:: _,,r‐''゙⌒`゙ヽ、,
      / l;::::::::::Y゙人゙l;:.    .,/,r'ニ゙   _,、r''´  ..:: ゙ヾ、     ::  ヽ,
     l  /,r:| j‐゙''l; ゙ニー‐'゙ (`l.(_,r‐'''゙´__,, ....:::::   .`ヽ、,....:::::..  ゙l,
     .!. .l゙l゙レ'>‐゙ | ト;゙i,l、ノ,r;;'ニ゙/´゙Y .,r'゙ ̄    .....::::::::::::::::::::::::.゙ヽ、:::    l,
     | 'ー;l.'i,.l゙  ,j 'シ'‐-ヘ;'V゙./  ゙l, ヽ, ......:::            ::::..ヽ,   ゙l
     .|._,rラl,.|  / ,i l,   .ノ , ゙i,   .゙ィ,.レ'                :.゙l,  .|
     / / ゙l l,゙l,/./ .l, l, ././ .゙l,゙l、  /.,ィ´ ,.r''ニ'' ヾ,            .:l, j゙
   .,rl´.'-‐ニ, .,、 L,,,,,゙l, V /   ヽ,゙'´/.|  .l゙/;=iミ;゙'i,. [        .:::::::::::::::Y゙
  .,r',、 「゙´  | .| jヾ、--、ヾl,    /,、 ゙l,.゙l、-';j;ノ::::::゙レ゙lj゙   ........::::::::::::::::::::::::::|
 / ./.| .レ-‐' 'ソ::l,゙l, ./.∧、ヽ、,,/,/,,゙'i,,゙L、‐'゙::/::://     :::::::::::::::::::::::::::::j゙
 レ:'二i .i''゙゙´| .|:::::::)、V.l゙  ゙l,.゙'V /   ゙'i, ゙V゙ /ノ゙ /゙L,___,,,_   : : :: :::::l
..゙T´ .| |  ,.| .|::::::/ ゙'i,゙l,  `i , l,    〉,,.〈/  .ヽ、,,,,,、、-―‐-、ヽ、  ..:: .:/


緊具栗無損
758名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 12:50:09 ID:snQXYX7j
がんがんがーんばー がんばぁぁ

ダービーの弟もどっかでなんかしてそうだ。
759名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 15:16:31 ID:klk4K2Sq
             ,..、
           ,rニ二ゝ、
         /   l l、    ,、
         | 、   ト. ヽ  ,. /
            | |     ハ. |/ '
          ヽ/、_,...{、,イヨ´
          >‐--ャド.〈
            j__,.ノ´ lイ|
      ,.ィ  ,r',ハ ヽ Y
      | レ'/、 〉 | |
      ヽヽ:;;;::;} l  |  ,!   ,,;::;
         `゙l;::;;:).| ,! ,' __;r:;;:,.,::.:
.          ヾ::;:l| / /゙;;::`;:;;::..::;:
.          {:;;:l/ /''::;:,:::;;;'':.::,:;
          ゙~/ {
            L三、


760名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 15:27:27 ID:Xoj/3FXA
                 ,--、
 、__, _人_,    /{_ ( (_) )    rr:、                                    __,,--─'^ー_-'ニ=
  }        (   / / L-、´ /{ v!レ`' r──-, ,-、_,--─ 、、  ,.,- ー〜 (''"""''‐、...._‐ー〜‐,ニ二-─ '' "~ ̄,'r' ̄`ヽ:、 | {「| ,-,
 ノ  血   > ,' ,'   } | ,' / } |    ̄,-'ノ  ゙ー〜'"´⌒ーニ二-─ '' "~~ `'-、、,___);´~           //     )) '´ '' ,'./
,フ       (ヽ. レ'´r‐、  レ' '´   レ ,__   i/                    _,.. r`''_,.-'´         .,_-==''’  _ .:=''’⌒ヽ レ
<   管   》- 、  辷\   ,_,r,⌒)) ,,  __   __          _,.-''´  ,.-''´ ,-、      ..=〜'"´   __ ,/ ,',' >-' ノー:、
 }        ,' 辷\ 辷 }=〜'´ ̄´ (( {{ r'⌒))〜'´ ̄`ヽ       .(  __,/_,.,  /| |     _      jl⌒)) (,x  .:'   _,:'ー、
 )  針   |  ̄`-、_,,辷-}_、    _}\ ,リ,ノ (_,,     ''        ヽ ´,.!-'´:/  |::|  | _,ノ´ ̄`ヽ  _,〃 {,:r' -、 _,-' 丶'´ _;; ::.
<       { :^ヽ:'、_: `,::〈 `))   /:..  l'x','〜=、             r┴――-- ,.、/:::ヽ L  __   }}  ̄”   ,' ,x'<´_;: )、 -ヽ::.. ー
 ',  攻   (  {,弋ヽ.{ |=''   ノ)::..  }Y≧  ゙ー=''       ,.‐"\ヽ_、..,,_,....⊥..!_::|  |:'⌒`ー===;,ァ---:.、_  {_;:(。ノ^i _;:} { =:〉 :.. 、
 .}       〉 ::...` ゙ミ='_ノ  ,.=ァ-辷、゙,'彡。ァ __,      ,.;ー-、ゞ'~入 \ ̄ ̄""''''''''ラ `"'''((   _, ri}::Ξイ'r‐O、 〉 、,'´:`ノ= } ー{`ヽ.
,ノ   撃   | ::::::∧::::::{ | -r.、<,'::. .::. 逃{ミ;「,:'´  `-、  r∪! 、 ̄/,/入 'i:::::::::::::::::r'゙    =〜'´ ̄,-<_;ム{_`ー:ァ,:´ (_,ん-;ノミ z「 .:ノ  \
〈         { :::ノ =}:::ノ ,' ..:: =} }::.:::... ,'_w”'./:.. f^|j ij リ 彡i!、  /´ |/ /|:::::::::::::::::/       ,.:´:{。:::}亡__`,ノ/   {,.;n_ノ`  〉 :{
 }  !   」 /ミ z{n, _,) --'':::ヘ_彡,':ア,/::.. ,}     /|ミゞミi__,|川ノ,.∠--、_::::::::;::/       〈__,_;rェノ::. :.:: ゝ-  レ リ  rー' ノ
ム      f´ 《` _ノ'     ゙ー'三,r彡':^ヽ_ノ       ヾノノリ ̄"゙     `"´          ,'  トi`ー---‐'
  `V⌒` ̄ :::::゙ァ                /こうやって死んだ方がましだッ!\
761名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 15:35:03 ID:JsN0s/wR
     λλ∧λ
    λ):::::)::::::::::(
    |:::::::::::::::::::::::::::λ
    ||:::::::<===O=)
     |::ノ(  _ノ ::::\
    | ⌒(( ●)(●)
    .|     (__人__) /⌒l              ドグチアアア         ┌┬┬┬┐
     |     ` ⌒´ノ |`'''|                       ―――┴┴┴┴┴―――――、
    / ⌒ヽ     }  |  |            ノミYゝ ミ\  ・ /.  ̄ ̄ ̄//. ̄ ̄| || ̄ ̄ ̄||| ̄ ||
   /  へ  \   }__/ /      ′・   /ミ;三ミ|ミへノノ'ミノ /.   ∧// ∧ ∧| ||      |||   ||
 / / |      ノ   ノ           ●=))  ((=●[/____(゚_//[ ].゚Д゚,,) ||___|||   ||
( _ ノ    |      \´       _   /    (__人__)’,∴'||_. * _|_| ̄ ̄ ∪|.|.       |ヽ. _||
       |       \_,, -‐ ''"   ̄ ゙̄''―---└'´ ̄`ヽ/ .lO|o―o|O゜.|二二 杜|.|王 中央病院 ||
       .|                        __ ノ  | ∈口∋ ̄_l__l⌒l_|_____|_l⌒l_||
       ヽ           _,, -‐ ''" ̄ヽ、 ̄ `ー'´   __/ ̄ ̄`ー' ̄   `ー'  `ー'   `ー'
         \       , '´          /       ./
          \     (           /       |
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デッドマン再開しないかな〜…
762名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 17:38:52 ID:klk4K2Sq
.       /i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:\
       /i.:i.:i´゙ヽ、.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.:i.x-、:i.:i.:
      /i.:i.:_l   ,l\i.:i.:i.:i.:i.:i/   ヽ:i.:
      ,'i.:i.:/,.へ  i ハ>--イ´  /ヽ V
.      i.:i.://,.-、.:\/ lヽ  〃 //`ヾ   何で新スレ立ったのに 『埋め』に
       i.:i.i ' ,.=-ミ、ヽ ,ノ,.、 r:,'ィ ,. ‐-ミ    姿 現さねーんだよ
      ';i.:フ, ヽ、_..(ソヽ ノi ll i l /,,..(タ/     オメーらッ!
     _ Yi ,.-‐─ //  ', `‐- - ..,,_
    / ヽ!        、    _,
    //゙ヽ. !       ヽ  f/
.   i  ハ .ll.       、`‐' _ 、
   ', リノ i !      / /`ニ´入゙、     /
    V ヽゝl i.    ,/:;.‐、;.-、:::'、      ,'
     ヽ   l i.   〈::/    ヽノ!.    /
      `¨゙li !   \    // .  ,'
         l.l l   、 ` =ニ ィ /  ,'  /
        l !、 !   ヽ-==‐-く    /
        l  \  ,ノ   ‐-、   //
       /i  l \        / /
     /  .l  l   ヽ、..__,,..イ  ./
763名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 17:50:42 ID:JsN0s/wR
              //
             / --、,,__: : : : : : : : : : : : : : :
              /     `"''‐-、.,_: : : : : : : : : : :/ : : : / |/    (  /  ノ⌒)
          //`"''''‐-       `'''-、,_: : : /: : : : : :/ |/ /  / /   ( ,/
           /-,=、、,_  (''"""''‐、...._     `ノ\___ノヽ /⌒⌒`ヽ/ ./  / /
           /iゞ_ノ(oヾ'i `'-、、,___); -、/''''''   ''''''::::::\   _ \  / /
       ,...// (⌒)'‐--' _,.. r`''_,.-'´  /(●),    、(●)、.|   / \ ヽ' /
       〉-二_''‐-_,.-''´  ,.-''´ ,-、ミ/   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| ./\__.\__ノ
       r''‐、,_  (  __,/_,.,  /| | ミ|  ` -=ニ=- '  .:::://
        7-、,_  ヽ ´,.!-'´:/  |::|  | ヽ、_ `ニニ´  .::::ノ
        |::::::::::r┴――-- ,.、/:::ヽ L // ̄ ̄ ̄/ /
       ,.‐"\ヽ_、..,,_,....⊥..!_::|  |. /、.,_    / /
    ,.;ー-、ゞ'~入 \ ̄ ̄""''''''''ラ `"'''_/_ /-、,_`''‐/ /
   r∪! 、 ̄/,/入 'i:::::::::::::::::r'゙ `'''-、_,、_`''‐-、,_'''‐(_/
  彡i!、  /´ |/ /|:::::::::::::::::/ ::::::::::.....i、/::::::::::::::7゙
  /|ミゞミi__,|川ノ,.∠--、_::::::::;::/     ::::| \_:::::::/   _,.,
   ヾノノリ ̄"゙     `"´        |   `"''ー''''"´ |
    :::::::::::::::::::::::::::::::...         / ま 埋 こ  ヽ
         :::::::::::::::::::..       /  し め  う   \
              ::::::...     /  だ た や     フ
                    /   ッ 方  っ    /
                   く    ! が て    /

764名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 18:32:01 ID:9Di4lLeK
         _,、=:ニ;‐、、--――‐y、,_     ,,r;;;;''''=―--、、,_
       /´  ヽ,ヽ,.゙'l,.゙Y;--',r'゙'ヾ;'V.j   /∠,,.r_;'゙-‐-,<゙゙ヽ,'i、'‐、,
      ./_   .,,_j ゙l l,. Y/゙'ヾ、;、ノ,r;'|  /jフ,r-、ヽ、  _,,>.゙'ー;゙' ーi,. |'i,
      j.ヾ!  ト‐! | .| .|,_ ./,.〈. 〉| ./ .(゙   _>゙'゙ r''゙´'i,゙l, ,j レ! .|:|
      .|il,  __  j .j゙ .l  ト,゙',/ j.゙ r;| .レ'゙''‐ニ'''゙r''゙´ .゙l,ヽ,. ,ノ ゙ r''1.jノ
      .|.l,゙l, ゙ー゙.ノノ  / / ゙l ゙l,ヽr',r'l ゙;| .ト、,. /./´゙ヽ;.、 ノ ,゙rッ  .,Y';V
      | l,.゙ヽ--'゙ ,ノ  /  l, ゙'゙,,.l, ,j ゙| l,ヾ,、--、,,,、'_, r''゙ l   / li,;)
      l,. ゙'i,  /  ,rシ-、,ィ) l,゙i,V/゙j゙ /゙,,、、、,_  ゙\!.レ゙  .| Y゙
       ゙l゙i,・ヾi, ,/ィl、・_ノ ,;:: ゙シ'i.l,ノ ./゙    \  ゙Y:   .l /
       | `ラ´゙'''´ ''"'´  .|  |:.r'`V'''" ̄`゙ヽ、 ゙'i,  |.   ' /
       ゙'i,         .j  |./ ∧、, ゙̄ヽ、. \ ゙l. |\ ./
        ゙i,. r、,,,.、,_   / ノメ、 .j |ヾヽ,゙'ー---‐'''''ヾ-、,‐'
         .゙i,ヾ'-'ニワ.  / ./ノ .V j゙ |'i,. ヽ;-‐-、,_::::__ ::..>
        /:::l,〈`   //‐'´ ./.ヽ/ .j.ノ  .:ヾ、;:) ゙'i    `ヽ、
       /::::::::|ヾ‐;<;/__,、r'´ ./ .)='゙  ..::  ,ソ  .(:: _,,r‐''゙⌒`゙ヽ、,
      / l;::::::::::Y゙人゙l;:.    .,/,r'ニ゙   _,、r''´  ..:: ゙ヾ、     ::  ヽ,
     l  /,r:| j‐゙''l; ゙ニー‐'゙ (`l.(_,r‐'''゙´__,, ....:::::   .`ヽ、,....:::::..  ゙l,
     .!. .l゙l゙レ'>‐゙ | ト;゙i,l、ノ,r;;'ニ゙/´゙Y .,r'゙ ̄    .....::::::::::::::::::::::::.゙ヽ、:::    l,
     | 'ー;l.'i,.l゙  ,j 'シ'‐-ヘ;'V゙./  ゙l, ヽ, ......:::            ::::..ヽ,   ゙l
     .|._,rラl,.|  / ,i l,   .ノ , ゙i,   .゙ィ,.レ'                :.゙l,  .|
     / / ゙l l,゙l,/./ .l, l, ././ .゙l,゙l、  /.,ィ´ ,.r''ニ'' ヾ,            .:l, j゙
   .,rl´.'-‐ニ, .,、 L,,,,,゙l, V /   ヽ,゙'´/.|  .l゙/;=iミ;゙'i,. [        .:::::::::::::::Y゙
  .,r',、 「゙´  | .| jヾ、--、ヾl,    /,、 ゙l,.゙l、-';j;ノ::::::゙レ゙lj゙   ........::::::::::::::::::::::::::|
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 レ:'二i .i''゙゙´| .|:::::::)、V.l゙  ゙l,.゙'V /   ゙'i, ゙V゙ /ノ゙ /゙L,___,,,_   : : :: :::::l
..゙T´ .| |  ,.| .|::::::/ ゙'i,゙l,  `i , l,    〉,,.〈/  .ヽ、,,,,,、、-―‐-、ヽ、  ..:: .:/
765名無しさん@お腹いっぱい。
       ト、
 ':,      '「::::\┐___,,.. -‐ ''"´ ̄ ̄`"'' ー 、.,        /
  ':,   r-‐'へ::::::::!_'´ __,,,,......,,,,,__      `ヽ.       /  み み
   ':,  >:、:;::::::>''"´         `"''      ヽ.    ,'   ょ  ょ
    ':,└─ァ''"'   /   ,'´        ヽ.     ':,   i.  .ん  ん
. \    ,' /   /  ,'  !      ;   ',  ヽ    ':,  |   み 
   \  / ,'   ,'!  /!  !   ;  /!   i      .!.  .!.   ょ
     ∠__,!   / !メ、」_,,./|   /! / !   ハ!   |   |.  |.   ん
`"''  、..,,_  !  / ,ァ7´, `iヽ| / |ヽ、」ニイ、 |   .|   |.  |.   ! !
       i,/レイ i┘ i. レ'   'ア´!_」 ハヽ|   |   | ∠ 
─--     /   !  ゝ- '       !    ! !   |   |  `ヽ.
      /   7/l/l/   、     `'ー‐ '_ノ!   |  i  |    ` ' ー---
,. -──-'、  ,人    `i`ァー-- 、  /l/l/l |    !. |  |
       ヽ.ソ  `: 、.   レ'    ',   u ,/|    |  !  |
 み  み  i  /ーナ= 、 '、    ノ  ,.イ,カ    !  |  |
  ょ   ょ  .|ヘ./|/レへ`>-r  =ニi´、.,_ |  i  ハ  ! ,'
 ん   ん   !     _,.イ´ヽ.7   /  /:::| /レ'  レ'レ'
 み  み   |   /7:::::!  ○O'´  /::::::レ'ヽ.        ___
 ょ   ょ    |  /  /:::::::レ'/ムヽ.  /::::::::/   ヽ.    ,. '"´  `ヽ.
 ん  ん     ! ./  ,':::::::::::!/ ハ:::::`´:::::::::::;'    ',  /        i