リリカルなのはクロスSSその27

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480名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:39:23 ID:fynQYJrh
ナンバーズの活躍が多そうで嬉しいな
GJでした
481×DOD:2007/12/03(月) 00:53:50 ID:6cQPoxLH
GJでした。数の子の今後が明るいといいなあ…


そして1時過ぎから投下予告してもいいでしょうか。投下間隔が未だに掴みがたい…
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:59:48 ID:5Le6NQ1A
>>481
ご予約承りました。
×DOD様、でございますね。

ではお待ちしております。


と、どこぞのフロントみたいに・・・
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:04:25 ID:GeIQDoOB
>>481
了解。只今より支援態勢に入る。
総員、全力全開で支援せよ
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:05:14 ID:VmGLesZW
>×DOD
来いよ、ベネット!
ボイラー室で支援準備しながら待機。
485Strikers May Cry:2007/12/03(月) 01:06:41 ID:luBkCLan
リリカル・コア氏おやすみなさいまし、そしてDOD氏、これより支援の心構えでございます。
486反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 01:10:35 ID:2ixfCGLt
正直寝不足でキツいが、支援するぜ!
進路クリアー、発進どうぞ! 勇気と共に進め!
487×DOD:2007/12/03(月) 01:13:06 ID:6cQPoxLH
 殺戮の衝動を、己の意志に従えられるかどうか――竜に向けられた彼の『声』は、
それを確かめたいと告げていた。
 カイムの精神は苛烈すぎる戦いの中で、人間の正常の範囲から一度崩壊してしまっている。
復讐に身を焦がして人を斬り続ける内に、いつしか「人を殺すこと」そのものに快楽を覚えるように
なってしまった。
 最近になってようやく安定してきてはいるものの、それでも先のガジェットの奇襲の時に、
決して己の中の獣がなりを潜めたわけではないと思い知らされた。
 だからこそ今回の手合わせを、「模擬戦」とやらを諾した。
 その試合は魔導師の一部が待ちに待ったものであったが、竜騎士カイムにとっては実験を兼ねていたのだ。
 実際、連れてこられた訓練場で、彼は愛剣を抜いたものの、手合わせでは攻めの手を高速の火球、
ブレイジングウイングの連撃のみにとどめた。
 相手を舐めていたのではない。逆に脆弱なあの鉄屑とは違うと、相対した時に認めたのだろう。
ある程度力を持つ者に自ら手を出すことで、檻が爆ぜるのを恐れたのだ。
 戦いは、序盤はほぼ拮抗。
 契約者の鋭敏な感覚は「敵」の攻撃をかわし続け、集束も圧縮もしない火球はダメージこそ少ないものの、
動きを止めるのには十分だった。
 反撃はあったものの、最初は問題にならなかった。カイムの反応速度は既に人間の域を超えている。

「何なのだ、これは?」
「これは…何?」
「ヴィータちゃん?」

 しかし戦意の高揚を見せる相手が、火炎ごときで足を止めるわけがなく。
 むしろ単調な攻撃に、自分をなめているのかとさらに奮起する始末。それに何やら恨みでもあるのか、
ヴィータの白兵戦は普段より一段も二段も激しかった。
 唸りを上げて振るわれる鉄槌が続けざまに胴を掠め、高速の火球は彼女の防護服に次々と弾かれていく。
気が付いたら殺していたという事態だけは何としてでも避けなければならなかったが、戦況はカイムにとって
あまりにも不利すぎた。
 気迫の分だけ増した隙に的確に火炎を叩きつけていくが、しかしあの布の鎧がどうにも破れない。
己の攻めの手を封じたカイムの方がジリ貧になるのは、当たり前の話だった。
 ヴィータとて、出し惜しみをしてなんとかなる相手ではなかったのだ。

「…え…っと……」
「…試合になっておらぬな」

 そして劣勢が確定した頃になって、ようやくカイムは火炎以外の魔法を使った。
 短剣「地竜の鉤爪」に封じられた呪術、クロウオブアイアンウィドウ。乱入したあの任務で、フェイトたちの
相手だったガジェットドローンの群れを圧し潰した、鉄球を空に呼ぶ魔法。
 小柄なヴィータの体を一回りも二回りも超える、八個の鉄球が宙に出現する。
 自分の足元に落ちる影に気づき、横っ飛びに回避するヴィータ。そのすぐ側を黒い塊が物凄い勢いで掠め、
さらに次の球が背後に落下し、訓練場のアスファルトを粉々に砕いていった。
488×DOD:2007/12/03(月) 01:15:13 ID:6cQPoxLH
 チッ、とカイムから舌打ちがこぼれる。
 放ったのは今使える全ての魔法の内、発動までの溜めが最も短いものの一つ。
それを、地面の影で察して、反応するとは。
 今までの戦いで見た防護服、バリアジャケットとやらの性能を酌んで割と多めに魔力を練っておいた筈だった。
防御力を過信していて取れる速度の回避ではない。はやてという女が言っていた、
「守護騎士」の名は伊達ではないということか。
 それでも今のところ、威力のある魔法を使ったからといって、精神のタガが外れてしまうわけではないと確認できた。
 魔力の消費は小さくないが、「未曾有の戦い」を経て膨れ上がったそれにはまだまだ余りがある。
追撃でもう一度、更に魔力を注いで鉄球を呼び出そうとして。
 それは起こった。

「…あの小娘、一体何をしておるのだ?」
「わ、私に聞かれましても…」

 ヴィータが戦闘を放棄した。
 口に出してその意思を宣言したわけではない。しかしそれは行動で示された。
 倒すべき(模擬戦上)不倶戴天の(個人的に)敵を前にして、それを無視する事は戦うことを棄てたと
見なされる。ヴィータがしたのは、まさにそれであった。
 具体的に何をしたか。
 確認しよう。ヴィータは自分で決めた事とはいえ、今目の前にいるこの男のおかげで、
毎朝毎朝都市部のパトロールをしてきた身である。
 そのうえ、目当ての「不審者」カイムはさっぱり見つからなかったのである。もちろん部下たちに
見せるようなヘマはしないが、友人や主が察していたように男への苛立ちは日々募り、ストレスは
溜まっていく一方。

――目の前には黒光りのする、見たこともない大きな鉄球。

――手には鉄槌。邪魔はいない、いるかもしれないがもう頭にはない。

 ストレスを解消するもの、人によるがそれは一般に「趣味」と呼ばれることが多いのである。
そして、ヴィータの趣味は――


「おおおおりゃああああっ!」

 物凄い勢いで振りかぶったグラーフアイゼンが、自分の身長を超える鉄球の芯を打ち抜いた。
 カイムを狙ったわけでもなく、まるっきりあらぬ方向へ飛び去る黒い球体。
 まっさらな平地では味気ない、障害物用にでもと用意されたビルを打ち抜き、三つ、四つと貫通したところで
ようやく失速して落下する。
489×DOD 四章二節 3/7:2007/12/03(月) 01:17:13 ID:6cQPoxLH
「一度、一度やってみたかった…ッ!!」

 俗な例ではあるが、たとえばショッピングモールにある買い物のカート。
 人を載せて思い切り発射してみたいと思った事はないだろうか。
 人間、少なくとも普通の人格を持つ者の多くは、法に触れる事はないが「常識的にやってはならないこと」の
誘惑に多かれ少なかれ駆られるものである。
 言うなればそれは巨大ビリヤード、いや彼女からすれば巨大ゲートボールだろうか。
妙な衝動に襲われたヴィータは最終的に、模擬戦ではなくストレスの発散を選択した。
 少女は不審者より趣味を選んだ。
 自分の魔法が遊びの道具にされるのは流石に気に食わないのか。意味不明な光景を眺めていたカイムも、
これでも喰らえと言わんばかりに鉄球の魔法を連発する始末。

『だぁぁああらああ―っ!!』
「ヴィータ、パトロール続きで結構苛ついてたしなぁ…カイムさんのこと、捜してたみたいやし…」
「カイムが告げた、街で後を追ってきた妙な幼子とはあやつの事だったか」
「恐らく…」
「……どうする心算だ、白」

 こうなってしまうと、もう模擬戦どころの話ではない。ため息混じりにドラゴンが言った。
 一体誰の事か、一瞬皆判断に迷う呼び名。
 しかし視線の先にいるのは一人で、ドラゴンと面識のある、白い魔導師と言えば。

「シロ…わ、わたし!?」

 鳴り響く鉄球の轟音の中で、愕然と声を上げるなのはであった。



「………」
「た、楽しくなんかなかったぞ、楽しくなんか!」
「…まだ、何も言ってないんですけど…」
「ぐっ」

 戦闘ですらなくなった、馬鹿馬鹿しい手合わせが終わった後。
 というより埒が明かなくなって強制的に終了となった後、いつものように、
または無視した気まずさに口を開けず、無言のまま帰ってきた剣士と鉄鎚使い。
 そのうち鉄鎚の方に視線が集中し、慌てて返した言葉はスバルに切って捨てられた。

「まあいい。娘、話を続けるぞ…戦力を限る、と言ったな?」

 まったくやれやれといった様子でドラゴンが言う。それを追って視線がヴィータからあさってに外れた。
 この時ばかりは、ヴィータはまだ信用していないこの竜であるが、本気で感謝したという。

「はい…機動六課の保有戦力は、これでもリミットぎりぎりで…」

 答えるはやての声は小さめだ。勧誘に成功し、そして模擬戦の相手を選ぶことになった時点では
喜びやら焦りやら何やらですっかり頭の中に無かったが、模擬戦の中でデータを測定するリインを見て
気付いたのである。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:17:18 ID:5Le6NQ1A
支援、でございます
491×DOD 四章二節 4/7:2007/12/03(月) 01:20:31 ID:6cQPoxLH
 一部への戦力の集中を避けるという理由で、管理局内で一部隊の保有できる魔導師のランクには
ある程度のラインが定められている。
 そのためはやてをはじめ、なのはやフェイトといった隊長クラスの魔導師たちは皆本来のランクを
抑えるべく、魔力を封じるリミットが今も課せられているのだ。
 ドラゴンに関してはキャロとフリードと同じ関係ということで申請すれば、事なきを得ることは可能だろう。
確実かどうかはやってみなければ分からないが、彼らを知るクロノにでも口添えを貰えばそのくらいは
きっとどうにかなる。
 だがその場合、ドラゴンを使役する立場として扱われる、カイムについてはそうはいかない。
 先程の模擬戦では序盤は攻撃手段と魔力の限定、終盤はもはや戦闘の様相すら呈していなかったという
こともあって、一応データとしては規定を超えてはいなかった。しかし実際管理局に嘱託するには試験を
受けなければならず、そこにおいては恐らく誤魔化しは効くまい。
 そう。よほど強力に、魔力を封じでもしない限りは――

「問題無い。詰まるところは、魔力を抑えれば良いのだろう?」
「へ? あ、はい」
「……だそうだ。カイム」

 考えそのものをずばり当てられて、どこか抜けたような声を上げるはやての横、カイムが静かに目を閉じた。
 何をと思った次の瞬間、あっ、と幾つか声が上がる。
 その体から魔導の気配が、感知の最小まで消え失せたのだ。

「一時は手こずったが、今は魔力の制御なぞ造作も無いこと。牙すら隠せぬ愚鈍の輩が生き延びるほど、甘い生を送っておらぬ」

 魔導師たちが知る術もないが、強者ひしめく空中要塞をはじめ、カイムたちの戦いは敵地での遊撃が主であった。
 大きな戦争のないミッドチルダの、その中でも潜入が必ずしも前提でない機動六課の面々よりも魔力の隠遁に長けてい
るのは必然である。
 それに。そうでなければ、とうに赤子に喰われている。

「………」

 開いた口が塞がらないとはこの事だ。一体どういう生活を送れば、これほどの隠密を体得できるというのか。

「これで文句は無かろう。それにどうせ、先の手合わせでは何の記録も取れてはおるまい?」
「あ、はい。魔力量しか…」
「全てを解放した訳ではない。その量も高が知れていよう…御蔭で動きやすい。その点では、そこの小娘はよくやった
と言うべきか」
「…楽しんだ割には」
「ちっ、違う! 楽しんでなんかないっ!」

 じっとりとした視線を向けるシグナムに対し、ヴィータが慌てて否定する。
 しかしあれだけ暴れ回った手前、信じる者はいなかった。
492×DOD 四章二節 5/7:2007/12/03(月) 01:24:58 ID:6cQPoxLH


 話もついたということで、その後集まりは一旦お開きとなった。
 気が付けば、陽が高く昇っていた。昼食の時間が近くなっていたのだ。
 午後の教練を見に来ると約束を取り付けると、カイムとドラゴンはさっさと森へ帰ってしまった。人目に姿を晒すのを
あまり好まないのか、それとも自分たちを信用していないのか。

(目立つからやな、多分)

 隊長格の魔導師、なのはやフェイト、そしてリインを交えた食事を楽しみながら、はやてが結論したのは前者だった。
 欠片も信用されていないのなら、恩があるとはいえそもそも力を貸すような話も出ては来るまい。
 キャロの件もある。ドラゴンが彼女を見るときの目は、なるほど確かに師が弟子を見る穏やかさが感じられた。
出会ってから日は浅いが、ひょっとしたらいろいろ気を揉んでくれているのかもしれない。

「…で、なのはちゃん…どうしたん?」

 あまり考えても仕方がないか。そう思って顔を上げると、やや控え目に盛られたスパゲティの皿の向こうには、
なのはの沈んだ姿があった。
 その周囲からはずーんと暗い空気が漂っている。見かねたフェイトが何やら慰めているようだが、
伏せられた顔が上がってこないとかろから察するにあまり効果は無いらしい。

「………シロ………」

 小さく呟く声は、本当に暗かった。

「…ま、まあ、さすがにあれは酷かったかもしれへんな」
「な、なのは、悪気はなかったんだよ、きっと」
「…あの後、散々からかわれた」
「あ、あはは……」

 それを言われると、二人とも笑って誤魔化すしかない。
 なのはが言っているのは、去り際ドラゴンと交わしたこんな言葉だった。

――この世界の魔導にも興味がある。昼の鍛錬とやらに顔を出すが…構わぬな、白?
――しっ…あ、あの、できれば、違う呼び方に…
――何だ、白。
――〜〜〜〜〜〜っ!

 不幸中の幸いは、新人たちを先に帰らせていたことか。
 どう聞いても、ドラゴンに弄ばれているようにしか聞こえない。
もし新人たちに聞かれていたらと思うとぞっとする。

「……フェイトちゃん…わたし、犬みたいに見えるのかなぁ…」

 カイムに出会うまで基本的に人間と距離をおいて生活してきたドラゴンからすれば、
数少ないまっとうな知人であるが故の行為である。
 それにドラゴンがペットの名前の定番など知る筈もなく、ただ狼狽するなのはを弄って遊んだだけだ。
しかし当のなのははそんなことは知らない。
 管理局において名実ともにエースオブエースと評され、実際多くの任務を経験してきたが、
さすがにペットみたいに呼ばれたことはなかった。
 相当ショックだった。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:25:28 ID:VmGLesZW
なのは「こいつら、状況に応じて戦闘力(魔力)を変化させることが出来るのか!?」
DBのサイヤ人襲来編が思い浮かんだw支援
494×DOD 四章二節 6/7:2007/12/03(月) 01:28:33 ID:6cQPoxLH
「……」

 そして当然、問われたフェイトがそれを聞いたことも有る筈はなく。
 ふと、家を守っている己の使い魔アルフの姿を、頭の中で重ね合わせる。
 栗色の髪からぴょこんと飛び出た耳。
 純白の衣の向こうでふわふわと揺れる、長めの尻尾。

「…………」

 ――それはそれで、いいかも。

「……うぅ」
「あ、み、見えない、全然見えないから元気出してなのはっ!」
(…リイン、さっきの映像って記録しとった?)
(い、いえ、でも音声なら)
「は、はやて!」

 一瞬あらぬ方向へ走りかけた自分の思考をバルディッシュで天の彼方まで吹き飛ばし、フェイトは必死になって叫んだ。

「わ、悪ふざけはの辺にしといてやなっ…あの人達、どう思う?」

 さすがに拙いと気付き、いい加減に真面目な話に切り替えるはやて。
 語気が今までの冗談混じりのものから「部隊長」としての真っ直ぐなものへと変わり、
フェイトは立ち上がりかけた腰を再び椅子へと戻す。
 鬱屈していたなのはもまた、遅れてではあるが普段の調子を取り戻して顔を上げた。
仕事とプライベートの切り替え。手こずりはしたが、基本である。

「…まだ、力は隠してたと思う」
「あそこまで魔力の制御が完璧だと、データもちょっと信頼度は低いです」
「うん。私も…ヴィータちゃんに聞いたけど、本気を…『出したいけど出したくない』みたいだった、って」

 フェイトとリイン、続いてなのはの意見は一致した。そこに唯一の模擬戦経験者ヴィータの言葉も加味すると、
同じ見解に四票が集まったことになるか。
 そのヴィータは現在、シグナムと一緒に自分の食事を調達している最中である。何でもシグナムが、
聞きたいことがあるのだそうだ。想像はつく。大方、カイムの腕についてであろう。
 …しかしそうだとすると、シグナムはモニタリングを見ていたにもかかわらず、
わざわざ尋ねに行ったことになる。
戦い方に疑問をもったという点では、もう一人増えたと言えよう。そしてそれは、はやても同じこと。

「…『出したいけど、出したくない』?」
「うん。そう言ってたよ」
「信用されてないってことやろか?」
「でも…それだったら、『出したい』の説明がつかないと思います」
「まだ事情を詳しく聞いた訳じゃないし、仕方ないのかも…」

 それもそうかもしれない、とはやては思った。言われてみれば確かに乱入の理由や事情は
模擬戦の間に聞くことができたが、そういえば彼らの過去や、素性は未だに白紙のままだ。
495×DOD 四章二節 7/7:2007/12/03(月) 01:31:58 ID:6cQPoxLH
 キャロはどう、とフェイトに聞いても「特に何も聞いていないみたい」という答えしか返って来ない。
頼みの綱といえば残るはクロノだが、なのはによれば彼からも情報は得られていないそうだ。
 となれば、自分たちで訊いてしまった方が早いか。

「今度、聞いてみよっか」
「せやな」

 幸い助力は約束してくれたのだ。無理な詮索さえしなければ、話してくれる機会は遠くはあるまい。
「戦う以外に出来ることはない」とはドラゴンの言だが、共同戦線を張るのに互いを知ることが鉄則なのは
言うまでもないし、ドラゴンだって承知のはずだ。

「それにしても…前も言ったけど、素性も知らずによくキャロを任せる気になったなぁ」
「あはは…それは、シグナムさんにも言われたけど…」
「でも竜召喚なんて技術、私たちには無いから」

 フェイトが思い出しながら言い、なのはが言葉を引き継いだ。

「専門かは分からなかったけど。少なくとも、私たちよりはキャロに近いしね」

 そう言った顔には一点の陰りもなかったが、はやてもフェイトも、皆忘れてはいない。
 正式な訓練も受けず、過酷な戦いを続けてきたが故の、とある事故の事を。

「…せやな。けどまあ、エースオブエースの人を見る目は正しかったみたいやな」
「人じゃなくて竜ですよ、はやてちゃん…」
「…そのドラゴンに散々遊ばれちゃったけどね…」
「ああ、またなのはが欝モードにっ」

 己の過ちを二度と繰り返させない。その最大の配慮をもって、なのはは今も新人たちを導いている。
 スバル、ティアナ、エリオとキャロ。少年少女たちにとって、これ以上幸せな環境はあるまい。

(せやな。無理は、あかんな)

 あの竜と竜騎士が、なのはの力になってくれれば。はやては心から、そう願った。
496×DOD:2007/12/03(月) 01:36:39 ID:6cQPoxLH
でんぱ たたないです ぷーぷー



携帯からでした。長引いて申し訳ない。
そして支援感謝!
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:41:33 ID:5Le6NQ1A
>>496
GodJob!!!
徐々にその力を見せはじめてまいりました!!!!
次回もワクテカ、でございます。
498反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 01:42:39 ID:2ixfCGLt
>>496
ああっ、×DOD氏に電波属性が!?
ともかくGJ! ヴィータ…一度やってみたかったって…w

…ああーっ、もう無理! 限ッッッ界!
ちょっくら1時間ほど仮眠取ります。まあ、起きたところで投下するものもないのですが…
明日…明日には投下できるかと…
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:43:51 ID:VmGLesZW
カイムの狂気がいつ爆発するか…
ほのぼののなかにも、風船に針を近づけるような緊張感がたまらないぜw
そして、なのはの力になるなら、具体的にメイス系の武器を渡すといいと思うよw
500名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 05:23:40 ID:5hXmUYoG
>>431
亀ですがリインの方に着目して
白い・ちっこい・作中で3人と合体で
飛影が浮かびました。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 05:41:54 ID:fdLQJHML
ttp://paint.s13.dxbeat.com/up/src/paint_1975.png
なんか聞いてるとスカさんにこれに乗せてみたくなってきた。狂ってそうだし。
えぇ、最初にライオットで吹っ飛ばされるのは当たり前。

オレンジな奴に乗って再出撃するのも(ry
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 07:19:01 ID:GeIQDoOB
ヴィータが可愛すぎるw
惚れ直しましたよ副隊長
503名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 14:02:59 ID:VmGLesZW
休みだけど平日だからか、静かですね。ひっそりと支援。お目汚しを。
SMC支援絵。バージルとヴィヴィオの関係を妄想して描きました。

http://kjm.kir.jp/pc/?p=48421.jpg

バージルは手を差し出すだけで、絶対に握り返さないというイメージ。
ゲームでもそうだったけど、僅かなデレにもツンが混じってるのがバージル兄貴だと思うんですよね。
なんにせよ、孤高の戦士と薄幸の少女の組み合わせは好物なのです。
何気にスバルの好感度も高い兄貴だが、兄貴の貴重なデレ分はヴィヴィオが独り占めさw
504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 14:05:05 ID:o9fLzZeC
>>503
兄さんのデレは一握りの稀少なものなのに、羨ましいぜヴィヴィオ!
505Strikers May Cry:2007/12/03(月) 14:57:12 ID:luBkCLan
素晴らしいいいい!!!あなたは新世界の神ですか?マジ崇拝いたします。
ところでガングレイヴODの短編ってか嘘予告が出来たんで、投下いいですか?
506Strikers May Cry:2007/12/03(月) 15:11:35 ID:luBkCLan
それじゃ投下行きます、ガングレイヴODクロスの嘘予告。
アニメ版の内容も少し入ってます。
507Strikers May Cry:2007/12/03(月) 15:12:46 ID:luBkCLan
魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 偽第一話「ビヨンド・ザ・グレイヴ」

覚えているのは青い空…覚えているのは白い雲…覚えているのは……

太陽の光の届かない地下施設、違法なる科学者ジェイル・スカリエッティの研究所の一室で意識を闇に落としていた男は目を覚ました。
「おや、目を覚ましたのかね?」
声をかけたのは白衣を着込んだこの施設の主、ジェイル・スカリエッティ、対するは隻眼の死人兵士(しびとへいし)ビヨンド・ザ・グレイヴ。
「古びたコンテナに眠る君を発見してね、勝手かもしれないが修復と蘇生をさせてもらったよ…グレイヴでいいのかな?」
スカリエッティの言葉にグレイヴは険しい目つきで答える。
「ああ名前か、私はジェイル・スカリエッティだ一応は科学者のはしくれだよ、それと君の名前はコンテナの資料から知ったよ」
スカリエッティがそう言うと彼の作った戦闘機人たち、セイン・ノーヴェ・ウェンディといった元気のある面々がコンテナから発見された荷物を部屋へと運び込んだ。
「ドクタ〜これは何に使うんっすか〜?」
「ああ、それは彼の身体の血液を交換するために使う専用の椅子だよ」
「そんなモンが必要なのかよ、とんだ欠陥品だなそいつ」
「本人の前で失礼な事を言っちゃダメだよノーヴェ、セインお姉ちゃんおこるよ〜」
「うっせー、姉貴面すんな」
「う〜妹が反抗期だ〜今度チンク姉に言いつけてやる〜」
「それはヤメロ!」
そうやってグレイヴの前でナンバーズがやかましく微笑ましい会話を繰り広げる、表情こそ変わらないが彼の出していた殺気が引いたのをスカリエッティは感じた。
「彼女たちはナンバーズ、私の作った戦闘機人…つまり君と同じような人工的な処置を受けた人間だよ、もっとも君は既に死んだ人間のようだが」
「えっ…その人って死んでるんっすか…ちょっと恐いっす」
「厳密に言えばね、でもこうやって生きて動いているのだから、君たちとそう変わらないさ」
怯えるウェンディにそう言うとスカリエッティはグレイヴに向き直り彼に声をかけた。
「さて、それじゃあ必要な事はこの3人から聞いてくれたまえ、私は研究に戻るよ」
「マジかよ」
「別にいいじゃんノーヴェ、最近は暇だったんだからさ」
「そうっすよ、死人も幽霊も戦闘機人には恐くないっすよ」
「恐がってんのはお前だけだろうが」
スカリエッティはそう残してその場を去り、ノーヴェたちがグレイヴの下に集まる。
「あたしはナンバーズ6番のセインだよ♪よろしくねグレイヴ」
「…ノーヴェだ」
「あたしは11番ウェンディっすよ、とりあえず服を着るっすよ」
3人は自己紹介をしてグレイヴの十字架の刻まれたスーツを差し出した、彼は目覚めの血液交換の為に上半身裸の状態だった。
服を着たグレイヴは3人に施設内を案内され様々な場所を歩いた、そして自分が眠っていたというコンテナの下にたどり着いた。
「これがグレイヴのいたコンテナっすよ」
「すごいボロボロだね〜」
「ってかグレイヴっつたか、なんか喋れよ!最初っから一言も喋らねえじゃねえか」
「そう言わないっすよノーヴェ、きっと美少女だらけで緊張してるんっすよ」
そんな3人を置いてグレイヴはコンテナ内部を見た、最後の自分の記憶では十二やビリーと共に戦いを終え、“ミカ”に見守られて眠りについた筈だった。
「あっそうだ、グレイヴ、あたしこれをコンテナの中で見つけたっすよ、たぶんグレイヴ宛っすよ」
ウェンディはそう言うと古びた手紙をグレイヴに差し出した。
彼はその手紙を丁寧に開き、読み始めた……そして最初から一切の感情を見せなかった表情を悲しみに曇らせ、頬に一筋の雫を零す。
「どうしたっすか!?どこか痛いっすか?」
「どっか痛いならドクター呼ぶか?」
「グレイヴ〜大丈夫?」
たった一滴の涙だったが、表情を表に出さない彼が発露するその感情の重さを語っていた。
グレイヴは自分を心配する3人の少女を見て優しく微笑み、かつて自分のファミリー“ミカ”にしたように、そっとその頭を撫でた。
「うわっ、いきなり何するの?まあ悪くないけど…」
「勝手に撫でんなよ…」
「セインとノーヴェずるいっすよ〜その後はあたしっすよ!グレイヴ〜」
地下の薄暗い施設に温かい空気が流れ、微笑ましい笑い声が響いた。

508Strikers May Cry:2007/12/03(月) 15:13:35 ID:luBkCLan
それは彼へ宛てられた古びた手紙、送り主は最愛のファミリー(家族)。

グレイヴへ。
あなたがこの手紙を読んでいる時、私はきっともう、この世には居ません。
専門医の先生からは後半年の命だと言われました、最後まであなたの傍に居られなくてごめんなさい。
最近は昔の記憶ばかり思い出します、スパイクや屍さんビリーさん、そしてグレイヴと一緒に駆け回ったあの時のことを…
きっと私が死んだらあなたは悲しんで泣いてくれるねグレイヴ、でも私はあなたや皆に会えて本当に嬉しかったから、これだけは忘れないで。
この先あなたが安らかに眠り続けてくれるのを祈ります。
でも目を覚ましたらあなたは、また誰かを守ろうと助けようとするよね、私はそんなあなたが大好きだから、そんな時はその人を守ってあげて。
それじゃあ、ありがとう、さようなら…愛しています。

浅葱ミカ。


グレイヴはスカリエッティの下で大した事でない雑用を行いながら、ナンバーズの面倒を見て静かに暮らす、かつての血と硝煙に塗れた日々を忘れるかのように、しかしそんな日々は長く続かない。
ナンバーズが時空管理局という組織の機動六課という名の部隊と交戦になり苦戦をしているという通信が入る。

スカリエッティのラボのドアが乱暴に蹴破られ死人兵士、グレイヴが姿を現す。
「君か…来ると思ったよ」
視線をその場に置かれていたグレイヴの棺桶“デス・ホーラー”へと移し言葉を続けるスカリエッティ。
「弾は全弾非殺傷設定のものを込めておいたよ、、転送はルーテシアが行なってくれる…」
科学者は転移魔法陣を指差し、武器の説明を入れる。
「しかし、良いのかね?これで君は管理局をこの世界の法を敵に回すのだよ?」
その質問に振り向きもせず、死神とまで言われた最強の死人兵士は再び戦いの場へと足を踏み出していた。

「あなたは何でこんな事をするんですか?どうして彼女達を守るんですか?」
戦闘機人を助けに現れた謎の二丁銃の男に高町なのはは、声を荒げた。
「…ファミリーだ」
男はこの世界に来て初めて口を開いた。
「あの子達は俺のファミリーだ!」
言葉と共に地獄の番犬の名を持つ二丁銃“ケルベロス”を構えた男ビヨンド・ザ・グレイヴは戦場を駆ける、新たなるファミリー(家族)を守るために。

続く(嘘)
509Strikers May Cry:2007/12/03(月) 15:17:31 ID:luBkCLan
投下終了、なんかゲームやってアニメ見たら電波受信したので書いてしまいました。
デビルメイクライ3クロス十話は今夜あたり書き終えて投下しようと思います。
510SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 15:52:39 ID:PS6BdGPU
>>509
GJ! ガングレイブですか…元ネタはさっぱり分からない(汗
あ〜最近見たこと無いものの話題が増えたなぁ〜…

さて、では何事もないようであれば、第7話Aパートを投下したいのですが、よろしいでしょうか?
ちなみに…前回のような、何と言うか…色々スゴイことにはなりません。
ホンワカ〜というか、和やか〜というか…そんな感じで読んでください。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:54:51 ID:Yy1X+bd9
アニメ版の最終回はよかった……
できれば書いてほしいです
512SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 15:57:55 ID:PS6BdGPU
第7話「どんちゃん騒ぎの機動六課?(後編・A面)」

※このSSはドラマCD風仕立てとなっておりますので、地の文が少な目になっております。ご了承ください。
※JASRA●への通報はご遠慮ください。
※これが勝利の鍵だ! 【脳内再生】

【前回までの涙ぐましい凡骨ロード】
機動六課のトップ3ことなのは・フェイト・はやての3人が同時に暇になった。
彼女らはこの休暇を最大限に活かすべく、キリヤ達を連れて街へと繰り出す。
そして向かったボウリング場では、(一部)血で血を洗い合う凄惨な戦いが繰り広げられた。
後の歴史に「管理局史上最大の戦い」と語り継がれる、「機動六課ボウリング大会」である。
そして、戦い疲れた戦士達は、とあるカラオケボックスへと足を運ぶのだった…
(ナレーション:相も変わらずキー●ン山田)

【リリカルマスター XENOGLOSSIA】
オープニングテーマ:突撃ラブハート(歌:ファイヤーボンバー)

「一番乗りです〜♪」
はやてが開いたドアから、リインが真っ先にカラオケルームへと入る。
「フリータイムやから、みんな時間気にせず歌えるで〜」
「よーし、夜まで歌いまくるぞー!」
「程々にしなさいよ、スバル。あまり歌いすぎると次の日喉がつらいらしいから」
「ふふん、まだまだねティアナ。喉の痛みを恐れるようじゃカラオケは楽しめないわよ!」
そんな感じで和気あいあいとしながら、一同が部屋の中へと入っていく。
だが、その中でも唯一、キリヤだけはいまいちテンションが低かった。
「あれ? どうしたの、キリヤ君? 顔色が悪いみたいだけど…」
なのはが真っ先に気付き、キリヤに問いかける。
「あ…いや、大したことじゃないんですけど…」
「気にしないでくださいなのはさん、コイツ単に歌がド下手なだけですから」
「そ、そりゃいくら何でもひどいよシーナ…大体、悪いのは俺よりもむしろ●田彰だし…」
何だか前にも見たようなやり取りだ。
シーナの言う通り、キリヤは歌が苦手である。だから、あまりカラオケには来たくなかったのだ。
「大丈夫大丈夫、上手い下手は関係ないよ。自分が楽しむことを考えて」
「はぁ…」
そうは言われたものの、やっぱり歌う気にはなれないキリヤだった。
「じゃあトップバッターあたし達でいいですか?」
「ん、ええよ〜」
「景気よく決めろよな」
と、どうやら一番手が決まったようだ。新人フォワード4人で歌うらしい。
「曲どれにします?」
「これなんてどう?」
「まぁ無難な選曲ね…」
「私も頑張ります」
4人がたかるようにしてリストを覗き込み、曲を決定する。
「んじゃレッツゴー!」
スバルがリモコンを手に取り、曲を入力した。
513SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 15:59:05 ID:PS6BdGPU
【Break Out】
歌:JAM Project(「スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ」OPテーマ)

「おおー、JAMですかー♪」
「ま、基本だわな」
「そうなのか?」
「…シグナム…お前、ホント戦闘以外に趣味見つけた方がいいぞ…」
ヴィータが呆れた口調で言う。傍のシャマルも苦笑気味だ。
「ティアが影山パートね。あたし遠ちゃんやるー♪」
「じゃあ僕が福山で行きます」
「私はきだたにさんですね」
「ってちょっと! 松本・奥井の叫びはどうするのよ!?」
「んー…適当!」
「適当って…あーもう曲始まっちゃう!」
そんなこんなでロック調のイントロが終わり、遂に歌詞に入る。
「ブ…ブレイクアゥッ!」
結局松本パートはティアナがやった。
「みなぎるパッショーン♪ ほ〜のおのショウターイム♪ Red Hot Soldier〜♪
 吠えろっ!」
「ギリギリデッドラーイン♪ 下手をすりゃNo Surviver〜♪ Steel Heart Soldier〜♪ いーっ千万のBurning Heart!」
「暗闇のか〜なた〜、ヒカリを追いかけろ〜♪」
「Max Speedで銀河を抜けろ〜♪」
文字面では伝わりづらいが、熱くカッコよく歌い上げる新人達。次第に周囲からも手拍子が聞こえ出す。
そして、4人はぴったりのタイミングで声を合わせ…
「「「「Rock on!」」」」
「いえーいっ!」
「ゴーゴーです〜♪」
「「「「ブレーイクアゥッ! つーき破れそして時を超えー未来へぇーっ! はーげしくー強くあーつくぅー!
    限界なんてDon't know why! 愛があるんだオーライッ! 燃えるぜぇーっ!」」」」
「Just All Ready!」
「Let's Count Down!」
「「「スリー! ツー! ワン! ゴーッ!」」」
当然カウントダウンはギャラリーも一緒である。
「「「「Oh〜OhOhOh〜♪ Super Robot Wars!!!」」」」
かくして、初っぱなから大盛り上がりのうちに曲は終了。
「イエーイ!」
「ええよええよー!」
「カッコよかったよ4人とも」
「えへへ…ありがとうございます」
トップバッターからかなりの滑り出し。一同のムードもかなり盛り上がった。
「息もぴったり合ってたね」
「あはは…なのはさんの訓練の賜物ですよ」
「ふふ…ありがとう。教官冥利に尽きるよ」
(教え子をミンチよりひどい段階までフルボッコにする教官だがな…)
若干呆れながら思うヴィータだったが、決してそれを口に出したりはしない。言えば即座に「SATSUGAIせよ!」である。
ちなみに、1番しか再生されないのは、お約束と割り切っていただきたい。
514SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:00:19 ID:PS6BdGPU
「うーし、次あたし行くか」
気晴らしにとでも思ったのか、思考を止めたヴィータがそう言って、リモコンへと手を伸ばす。
「おっ、ヴィータ行くん?」
「頑張ってねヴィータちゃん」
「おう。ボウリングでは色々ストレスたまったからな…一発ドカンといけるのを…っと」

【真赤な誓い】
歌:福山芳樹(「武装錬金」OPテーマ)

「おおお! 出た出た出た!」
「いきなり行っちゃいますか副隊長!」
2006年を代表する名曲アニソンの登場に湧く一同。
「当然だろ。よぉし…行くぜーっ!」
「「「イエーイ!」」」
「ウォオオーオオッ! ウォオオーオオッ! ダッダダダダッダァー!
 ウォオオーオオッ! ウォオオーオオッ! ダッダダダダッダァー! お前とぉぉーっ!」
気合いのこもった声で熱唱するヴィータ。
だが、文面だけ見ると、アホの子にしか見えないのが惜しいところ。
「立ち止まる、ヒ〜マ〜な〜ん〜かないさ〜♪ 考える、余裕な〜ん〜かないさ〜♪
 あぁりったけ〜のお〜も〜いぃ〜を胸〜にぃ〜♪ 灼熱ぅのた〜た〜かい〜の中へぇ〜♪」
「ヘイ! ヘイ!」
はやての合いの手が入る。しかし何と言うか、妙にダサいぞ。
「あまりにも大きな♪ 力の〜壁、世界の〜闇♪ 絶対負け〜るもんか、限界超ぉえてぇぇぇーっ!」
サビに入る寸前の瞬間、ヴィータの身体が光に包まれた。
一瞬の後、光の中から現れたのは、そう、「真赤な」騎士甲冑姿のヴィータである。
「おおおーっ!」
「カッコいい〜!」
「今はわ〜からな〜いこぉとば〜か〜りだぁけどぉ〜♪ しぃんじ〜るこ〜の〜道〜を進〜むだ〜け〜さぁ〜♪
 どんなてぇきで〜も〜みか〜たで〜も〜かまぁ〜わなぁ〜い♪ この〜手ぇをは〜な〜す〜も〜んかっ!」
マイクを握るヴィータの手が高々と挙げられる。
この歌には、一部の人にのみ通じる、ある楽しみ方があった。要するに…
「「「真赤な誓いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」」
弾幕、である。
「いつまーでもっ! いつまーでもっ! 追い続けるんだぁーっ!
 どこまーでもっ! どこまーでもっ! 明日への勇気をぉーっ!
 どこまーでもっ! どこまーでもっ! 燃えたぎるハートをっ、お前とぉぉーっ!」
曲の終了と共に拳を掲げ、キメポーズ。自然と周りから拍手が起こった。
「ヴィータちゃんやるぅ!」
「カッコええよ〜」
「流石副隊長! あたしも見習わないとなぁ〜」
「へへ…ま、まぁ、褒められて悪い気はしねーな」
ほんの少し顔を赤らめ、ヴィータが頭をかきながら言った。
515SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:01:30 ID:PS6BdGPU
「シーナ、次辺り歌わないのか?」
「ん〜、ちょっと待って。今曲選んでるから」
パラパラとリストをめくりながら、シーナが返事をした。
横ではスバルもまた、もう一冊をうんうん唸りながらめくっている。
「あ、じゃあ私が繋ぎでいいかしら?」
と、名乗りを上げたのはシャマルだ。
「シャマル先生ですか?」
「そんな繋ぎと言わず、どーぞどーぞ」
「ウフフ…ありがと。それじゃあ遠慮なく…っと」
シャマルがリモコンを取り、曲のナンバーを入力。その選曲は…

【地上の星】
歌:中島みゆき

「お…おおっ!?」
「な、何だかすごく渋いチョイスですね…」
物々しいイントロが流れ、一同の意識がシャマルに集中した。
「え〜…それでは、歌わせていただきます。中島みゆきで、『地上の星』。
 …風の中のすぅばるぅ〜♪ 砂の中のぎぃんがぁ〜♪」
「おおー! 渋い!」
「カッコいいです〜♪」
「何やろ…渋カッコいい、ってやつ?」
丁寧な挨拶の後から放たれた、コブシの入った完璧な歌声に、思わず聞き入る一同。
ボウリング大会といい、何だかシャマル先生がパーフェクト超人に見えてきたぞ。
「みんなどこへい〜ったぁ〜♪ 見送〜られることも〜なくぅ〜♪
 草原のペガァサスぅ〜♪ 街角のビーナスぅ〜♪ みんなどこへい〜ったぁ〜♪ 見守〜られることも〜なくぅ〜♪」
「それにしても、また意外な取り合わせですね…」
エリオが隣のキリヤに声をかけた。
「エリオ、これはあれだ。新しい萌えの形というやつだよ」
「本当ですか。リリカルなのはシリーズも、遂に萌えの新境地開拓に踏み切ったんですねぇ…」
「あの…それどこかで聞いた覚えがあるんですけど」
流石はツッコミに定評のあるティアナ、心を通わせたキリヤ相手にも容赦ない。
「本当ですか?」
「うん、何かのアニメの受け売り」
「ひどいじゃないですかキリヤさん、騙すなんて!」
「ははは…悪い悪い。でも、俺は自分で考えたなんて一言も言ってないよ」
「それでも、からかわれていい気分はしませんよぉ!」
腕をぶんぶんと振り回して憤慨するエリオ。
「つぅ〜ば〜めぇよぉ〜♪ 地上の〜星はぁ〜♪ 今〜どぉこ〜にぃ〜あるんだろぉ〜♪」
そして、そんな彼を尻目に、シャマル先生は熱唱するのだった。
516SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:02:49 ID:PS6BdGPU
「にしても、さっきのシャマル先生すごかったですね…」
「まさか、あの歌をあのレベルで歌い切るなんてね」
そんな風にしみじみと語るティアナとクレハだったが、不意にスバルがティアナの顔を覗き込んでくる。
「…何よ」
「えへへ…ね〜、ティアは歌わないのぉ?」
「別に歌わないってわけじゃないけど…あたしはさっきの合唱で十分よ」
「歌おうよティア〜、あたしもその次歌うからさぁ〜♪」
首に手を回してじゃれつくスバル。その中でティアナが必死にもがいていた。
「う…うっさいわね! 別にいいって言ってるでしょ!」
「もう選曲しちゃうもんね〜」
そう言って、スバルがリモコンのボタンを叩いていく。
「ああっ、こら! スバル!」
「皆さ〜ん、次はティアが歌いま〜す!」
ティアナのマイクを握り宣言するスバル。
「おおっ、期待できそうやね」
「いいとこ見せなさいよティアナ!」
「あ、いや、違うんです! その…」

【Shuffle】
歌:奥井雅美(「遊戯王デュエルモンスターズ」OP)

しかし無情にも曲は始まる。
(あーもうっ! しかもよりによって、ピンポイントであたしの十八番じゃない…)
スバルの意地汚さに歯噛みしつつ、ティアナがマイクを握った。
曲が流れても拒否しない辺りが何とも律儀である。
「…超えられっな〜い♪ イライラすっるぅ〜♪ ハードルッをぉ〜壊したって♪
 なん〜にもぉ〜答〜えはぁ〜出ないしぃ〜っ♪」
アニソン歌手特有の、所々に力の入った歌声を再現し、力強く歌い上げる。
「へぇ〜…上手いんだな、ティアナ」
キリヤが感嘆の声を漏らした。
「ふふ〜ん、ティアは訓練校時代、生徒のカラオケ大会で優勝したこともあるんですよ」
「えっ、そうなのか?」
「恥ずかしがって、あまり人前では歌ってくれませんけどね」
ぺろっと舌を出してスバルが言った。
「見えなぁ〜い〜あし〜たの〜み〜ち♪ え〜がく〜こ〜とはぁ〜♪ 出来ないっかっも〜し〜れな〜い♪
 目を閉〜じて〜ここ〜ろでっひ〜く♪ just like card♪ き〜っと〜♪ 約束された〜 yes you are the winner!」
若干顔を赤くしながらも、ティアナは全力で歌う。
歌うこと自体は嫌いではないのである。ならば、本気で歌って楽しまねば丸損だ。
「never lose! ここ〜ろでっひ〜く♪ just like card! き〜っと〜…奇跡が起こ〜るからぁーっ!」
確かな手応えを感じつつ、歌い終えた。同時に冷静さを取り戻し、
「…だぁっ! 恥ずかしかった…」
顔を右の手のひらで押さえながら言った。
「そんな恥ずかしいなんて言うようなもんじゃないよ。上手かったじゃないか」
「そうですよ、ティアナさん」
「…そういう反応もあまり好きじゃないんだけど…」
「ふふ…ティアナの意外な一面を見ちゃったね」
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:03:15 ID:zHNdKxzO
ガングレはゲームもアニメもやってるが、
グレイブとミカが出てるらしいSRPGはまだノータッチだな。
ミカが死んでるって話はそっちの関係かな?

屍とビリーは一緒に出られる可能性があるな。
518SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:03:59 ID:PS6BdGPU
「よーし! じゃあ宣言通り、次はあたしが歌います!」
スバルが手を挙げて高らかに宣言する。
「よっ、待ってました〜!」
「楽しみです〜♪」
トップバッターを名乗り出たスバルなだけに、皆の期待も集まる。

【燃えろ!トランスフォーマー】
歌:五十嵐寿也、森の木児童合唱団(「トランスフォーマー 超神マスターフォース」ED)

「さぁみんな行きますよー! 燃えろ!トランスフォーマーッ!」
しょっぱなのマイクパフォーマンスからハイテンションで飛ばすスバル。
「イエーイ!」
自然と皆もそれに引きずられる形でテンションが上がる。
(スバル…何歳なんですか貴方は?)
一方、キリヤを含めた一部のメンバーは、スバルの年齢とトランスフォーマーの世代にずれを感じ、
何ともいえない違和感に囚われるのだった。
「Changing♪ Changing♪ 叫ぶ地平線♪ 君に〜きっと何かがお・き・る〜♪
 Burning♪ Burning♪ 燃え上がる空〜♪ 怒りをこめて〜パワー全か〜い〜♪」
拳を握り、感情をこめて歌い上げるスバル。本当に貴方は何歳ですか?
「Hero♪」
「「「ヒーロー!」」」
「Hero♪ 炎のバ〜トル〜♪ 昨日の〜き〜みを〜超〜えて〜ゆけ〜♪」
「「「ユーアーヒーロー!」」」
皆の合いの手を受けながら、曲は遂にサビに差し掛かった。
何となくスバルの好きそうな歌詞だなぁ、とキリヤはぼんやりと思った。
似ているのだ。微妙なスポ根思想が。
「そうさHero♪」
「「「ヒーロー!」」」
「Hero♪ マスターフォースでぇ〜♪ …君もき〜みも〜♪ トランスフォーマァ〜♪」
気持ちのよさそうな笑顔で、スバルは歌い上げた。
「ありがとーございましたー!」
スバルは勢いよく感謝の言葉を叫ぶと、ぺこりと頭を下げる。
「よかったよ〜スバル〜」
「フッ…さすがに積極的なだけはあるな」
「カッコよかったですよ、スバルさん!」
「えへへ…みんなどうもどうも〜」
少しだけ照れくさい様子で、スバルは頭をかいた。
519SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:05:35 ID:PS6BdGPU
「ねぇフェイトさん、一緒にデュエット組みましょうよ!」
そんな話を持ちかけてきたのはシーナだった。
「えっ…私と?」
「そうそう! フェイトさん、歌が上手って聞きましたよ〜♪」
「おう、こん中では多分1番だな」
「ヴィ、ヴィータ…」
褒められることには慣れられない性格のフェイトは、思わず顔を赤らめる。
「歌ってみてくれませんか? シーナさんも、歌がとっても上手いんですよ」
「声のよく似た2人のペアかぁ…いいデュエットになりそうだね」
「そうだ、歌えテスタロッサ」
クレハとなのは、そしてシグナムの後押しもあり、ようやくフェイトも了承する。
「あ、うん…分かった。じゃあシーナ、これでいいかな?」
「オッケーです! じゃ、行きますよ〜!」

【PEACE AGAIN 〜ピース・アゲイン〜】
歌:下成佐登子(「戦え!超生命体トランスフォーマー」ED)

先ほどまでの流れとはうって変わり、穏やかな曲調のBGMが流れる。
「そうだね…ちょっとこの辺で休憩ってとこかな?」
「激しい曲が続きましたからね」
なのはの言葉にキャロが合わせた。
やがて曲は歌詞に入る。もちろん先に歌うのは、積極的なシーナだ。
「流せ〜いの〜彼方から響くTRUE OF HEART〜♪」
「地球は〜今〜デンジャラ〜スゾ〜ン♪」
「「「おおおー!」」」
優しくも悲しい曲調を見事に掴み、抜群の歌唱力で歌い上げるシーナとフェイト。
息もピッタリと合っている。さすがに中の人が同じだけはある、ということか。
「GIVE ME NOW〜♪」
「PIECE AGAIN〜♪」
「「燃えるそ〜ら〜に〜悲しみ〜だけは〜♪ 捨ててくださぁ〜い〜♪
  戦うためぇ〜生まれた〜TRANSFORMER〜♪」」
2人同時のパートもシンクロ率400%でこなし、曲は終了。
「イエーイ!」
「すごいですー! 歌姫ですー!」
「まさかこんなレベルのモンが聞けるとはなぁ」
湧き上がる拍手。まさしく機動六課総動員による大☆喝☆采だ。
「声援どーもーっ!」
「あ…ありがとう、みんな…」
満面の笑顔で、シーナは賛辞を受け止める。一方のフェイトは顔を少し赤らめてはにかんでいた。
歌声は似ているのに、性格は対照的な2人だった。
520SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:07:17 ID:PS6BdGPU
「シーナさんとフェイトさん、すごかったね」
「いいなぁ…私もあんな風に歌えたらな…」
「つーか、あれの後に歌うのはプレッシャーキッツイだろ…」
ヴィータが評した通り、皆先の黄金デュエットの影響もあって牽制状態に入っていた。
「ダメダメなカラオケだな」
「さすがのシグナムもそれぐらいは分かるか」
そんなカラオケ初体験のニート侍にも分かるようなぐずぐずの空気の中、挙手する者が1人。
「はーい、じゃあリインが行くですよー♪」
プレッシャーとは無縁の小さな勇者・リインである。
「リインが歌うん? …あれの後で大丈夫?」
「大丈夫ですー♪ そもそもボウリングでは出番がなかったので、いっぱい頑張るですよー♪」
「そっか。んじゃリイン、あたしがマイク持ってやるよ」
「はーい♪」
両手を器用に使ってリモコンのボタンを押し、ヴィータの持つマイクへと向かった。

【魂のルフラン】
歌:高橋洋子(「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」主題歌)

「おおっ、エヴァですか!」
「でも何で残酷な天使のテーゼじゃないんですか?」
ティアナがリインに問いかける。
「それはもちろん、リインの趣味ですよ♪
 …さ〜ぁ、リインフォースUで『魂のルフラン』! 初音ミ●には負けないですよー!」
小さな身体に決意を込めて、リインは歌う。
「…私に帰りなさい〜記憶をたどり〜♪ 優しさと夢の〜源〜へ〜♪ も〜一度〜星に惹かれ〜生まれるために〜…♪
 …たまっし〜のルフラァ〜ン♪」
「いいわよリインー!」
シーナが楽しそうな声を上げる。このチャレンジは、どうやら場の空気の改善に成功したらしい。
「青いか〜げに包まれたす〜は〜だ〜が〜♪ 時のな〜かで静かに震え〜て〜る〜♪
 命のゆ〜く〜えを〜問い〜かけ〜る〜よに〜♪ 指先は私を求〜める〜♪」
「ええねぇ、健気やねぇ」
「そうだね」
可愛らしく歌うリインの姿に和むなのは達トップ3。
と、その時、フェイトが何かに気付いた。
「そう言えば…ルフランって繰り返しの意味だよね?」
「そう言えばそうだな」
「とすると…魂の繰り返しやね」
「生まれ変わり…輪廻転生?」
シグナムの相づちを皮切りに、はやてとシャマルが思考を張り巡らす。
「リインで、生まれ変わり…、!」
なのはがそう言った時だった。
彼女らとヴォルケンリッター…要するに、「A's段階で登場していたメンバー」が、一斉に凍りついたのは。
「………」
「………」
「…うっ…」
そして、そんなヴィータの嗚咽を皮切りに…
「…うわああああああああ〜ん!」
「ふええええええええ〜ん! 初代〜!!」
「くっ…うう…っ…何故だ、何故お前が死なねばならなかった…!」
「お〜いおいおいおい!」
一斉に大泣きしだした。
「あれ? えっと…あの…どうしたんですかー?」
「リイン〜! リインはずっと私らと一緒にいてくれるよな〜!」
「いなくなっちゃったり…グスッ…しないよね…?」
「は、はい?」
止めどなくシャニティアを流す一同に困惑するリイン。
ついでに新人やキリヤ達もこの空気に全くついていけず、置いてきぼりを食らうのだった。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:08:04 ID:zHNdKxzO
割り込み失礼しました。

支援
522SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:08:29 ID:PS6BdGPU
「うう…グスッ…じゃあ、次誰が行く…?」
「誰かこの悲しいハートを癒してくれる、優しい曲を歌ってくれへんかな…?」
涙を拭いながら、なのはとはやてが言った。
「じゃあ…そろそろ、私が歌っていいですか?」
名乗り出たのはクレハだ。
「クレハさんですか」
「頑張ってくださいね!」
「クレハも歌は上手いからな」
「フフ…ありがとう、キリヤ君」
にこやかに笑うと、クレハはリモコンに手を伸ばした。

【約束】
歌:黒田倫弘(「エレメンタル ジェレイド」ED)

「聞いたことねー曲名だな」
「リインも初めて聞きましたよー」
「とにかくまずは聞いてみて。きっといい癒しになるはずだから」
ヴィータとリインにシーナが言うと同時に、クレハが歌い始めた。
「君が教えて〜くれた歌を口ず〜さみ〜♪ 並ぶ〜影を〜少〜しずつ〜僕は君にち〜か付〜ける〜♪」
優しい響きを伴い、クレハの歌が室内に満ちていく。
「いい歌だね…」
「せやね。こう、何て言うか…甘〜い歌詞がええねぇ…」
少しずつ、周りの面々の表情が穏やかになっていった。
クレハは歌う。あの少年の顔を、瞳に映しながら。
「…そば〜にいるだ〜けで〜♪ 君〜といるだ〜けで〜♪ 
 き〜っと昨日より〜僕は強く〜君のことを好きになっているんだよ〜♪
 生ま〜れたばか〜りの〜♪ 青〜い風〜に〜乗せ〜♪
 い〜つ〜の〜日にか〜この想いが〜♪ かけがえのな〜い君〜に届くよ〜うに〜♪」
ゆったりとした、優しい歌声が途切れると共に、方々から拍手が鳴り響く。
「よかったよ〜クレハ」
「いい歌ですね〜。胸にじーんときました!」
「おかげで気分が落ち着いたよ。ありがとう」
「いえいえ」
フェイトの礼に対し、クレハは穏やかな笑顔で答えた。
「しかしええ曲やねぇ」
「神曲っていうのは、こういう歌のことを言うんですね」
うんうんと感慨深くはやてとエリオが頷く。
「お疲れ、クレハ。…でも…」
「でも?」
キリヤの語尾が気になったクレハは、その先を尋ねた。
「何て言うか…すごく実感のこもった歌い方だったからさ。何かあったのかと思って」
「!」
思わず、クレハはその場で硬直してしまった。
「…あれ? 俺…何か悪いこと言った?」
「キリヤさん…鈍すぎです…」
やれやれと言った感じで、スバルを筆頭に新人フォワード達がため息をついた。
「???」
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:09:44 ID:zHNdKxzO
 
524SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:09:55 ID:PS6BdGPU
「さてと…それじゃ、今度は私が歌おうかな」
遂に腰を上げたのは、エース・オブ・エース高町なのは。
「おおっ! ようやくなのはさんの出番ですね!」
(ポジティブだな、彼女…)
先ほどボコボコにされながらも、目をキラキラと輝かせるスバルにキリヤは呆れる。
「ボウリングみたいなヘマすんなよ」
「大丈夫。むしろ汚名返上してみせるよ」
「今度こそエース・オブ・エースの腕の見せ所だね、なのは」
「にゃはは…また微妙な見せ所だけどね」

【ゲキテイ(檄!帝国華撃団)】
歌:横山智佐(真宮寺さくら)+帝国歌劇団

「おっ…ゲキテイか」
言わずと知れた名曲に、キリヤの声が漏れる。
「確かに、エースのなのはさんにはピッタリな選曲ね」
「カッコよく決めてななのはちゃん!」
「来るぞ来るぞ〜なのはさんの演説!」
この曲には、1番と2番の間に台詞部分が存在する。
だが、今回のカラオケでは2番までは曲が進まない。よって、イントロ部分にそれが持ってこられた。
「…私達、正義のために戦います。たとえそれが、命をかける戦いであろうとも、私達は、一歩も退きません!
 それが、機動六課なのですっ!」
「「「イエーイ!」」」
若干アレンジの加わった「演説」を経て、ようやく歌に入った。
「引き裂いた〜闇が吠え〜ふ〜るえるて〜いとに〜♪ 愛の歌高らか〜に踊りでる戦士た〜ち〜♪
 心まで〜鋼鉄に、ぶ〜そうする〜乙女〜♪ あ〜くを蹴散らし〜て正義を示すの〜だ〜♪」
先ほどのクレハとはうって変わって、力強く歌うなのは。
間違いなく別のアニメの主題歌なのに、彼女が歌うとリリカルなのはの歌にしか聞こえなくなるのは気のせいだろうか。
「は・し・れ! 光速の! 帝こ〜く華撃団〜!
 う・な・れ! 衝撃の〜! 帝こ〜く華撃だぁん〜っ!」
高らかにマイクを掲げ、歌い終える。普段よりもテンションが高いような気がするが、多分曲のせいなのだろう。
「イエーイ!」
「流石なのはさん! お見事!」
「にゃはは…ありがとう」
「しかしまぁ、随分似合う曲だな」
感心した様子でヴィータが呟く。
「シグナムなんかが歌ってもカッコよさそうやね」
「そ…そうでしょうか?」
「もういっそ六課のイメージテーマにしちゃいましょうよ! もちろん歌うのはなのはさんで!」
「でも、それをやると利権問題とか色々面倒なんですよ」
「あ、そっか…」
意気込んで提案したスバルだったが、エリオにそう言われて少ししょんぼり。
525SHINING WIND CROSS LYRICAL ◆9L.gxDzakI :2007/12/03(月) 16:11:07 ID:PS6BdGPU
「それじゃ、そろそろ何か食べ物でも頼もうか」
思い出したようにキリヤが提案した。
彼らはまだ昼食をとっていない。このカラオケ屋で食べる予定だったのだ。
「せやねぇ。みんな、今日は私ら隊長組の奢りやから好きにたn」
「じゃあ、あたしはまずピザにー、チキン3皿にー、サラダ2皿にー、フライドポテトにー…」
「…やっぱ、割り勘にしてくれる?」
冷や汗を流しながら前言を撤回するはやてだった。
「ねーキリヤ、ドリンクバーの飲み物取ってきなさいよ」
シーナがキリヤに命令した。
「えぇ? 何で俺が?」
「だって、アンタ歌ってないじゃない」
「理由になってないよそれ!」
理不尽なシーナの言い分に、キリヤが反論する。
「いいから取ってくる! あたしコーラね〜」
「あ、じゃああたしもオレンジジュースお願いしま〜す」
「えええ!?」
スバルにまで頼まれ、思わず間抜けな声を上げるキリヤ。
「僕もメロンソーダ頼んでいいですか?」
「じゃあ、私もカルピスお願いします」
「あたしもコーラな」
「私はカプチーノをお願いしようかな」
「私もエスプレッソ頼むわ〜」
容赦なく浴びせられる注文に、キリヤは戸惑った。
「ちょっ、ちょっとみんな待っ…」
「ごめんね、キリヤ君。でも…私も、烏龍茶お願いね」
「クレハまで!」
ここまで必死に抵抗してきたキリヤだったが、これには完全に折れた。
地球での仲間達の良心的存在だったクレハにさえそちら側に入られては、もう自分を擁護してくれる人間はおるまい。
「…分かったよ、取ってくる」
「なるべく早めにねー♪」
「シグナムみたいにこぼしたらあかんよー」
「…申し訳ありません、主…」
そんなこんなで、シーナ達に見送られ(?)、キリヤは部屋を後にした。
これじゃパシリじゃないか、と内心で愚痴をこぼしながら。

「それじゃ、A面はここまでで終了。カセットテープを取り出して、B面を再生してね♪」
「何の話してるの、なのは…?」
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ユーノ「これじゃまるでなのは達が腐女子みたいじゃないか」
クロノ「諦めろ…そういうツッコミは無しで行くのが、この手の企画の鉄則だ」

にしても、キャラ達が作者の意図に反して勝手に動き出すから困る。
みんなそんなにマジになって歌わないでくれよ…会話が全然はさめれないよ…orz
そんなこんなで悪戦苦闘中のカラオケ編、次回はB面です。ある程度ネタは取っておいてあります。

…完全に読者の皆さんの脳内再生能力に依存する文章って、どうなんだろう…少々落ち込み気味です…
526Strikers May Cry:2007/12/03(月) 16:21:46 ID:luBkCLan
GJでした、B面に期待します。
ガングレイヴODクロスで書き忘れましたが、ミカの死亡は完全な捏造のオリジナル設定ですのであしからず。
527節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2007/12/03(月) 16:31:16 ID:rewoXibv
「裏返ったな、エーメンビーメン!」

……オンセンガーの前に、そもそもカセットテープを認識されるかが不安だ。

【レコード針を換えながら】
528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:53:04 ID:HAnQJdcj
>>525
GJです。初代リィン・・・・(つДT)
良い感じにみんなはっちゃけてますなーw
529名無しさん@お腹いっぱい。
ああ!SSもGJだが……


>>503が素晴らしすぎる!!!

よころでアニメ版といえば“中の人効果”で集金やら修理に来るオッサンが
ダンボールを被りながら「待たせたな!」「美味すぎる!!」と言いそうで、その、なんだ?
困るwwwww