アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ9
涙を流すだけでは、足りなくなった。
この絶望感を洗い流すには、涙だけでは足りない。
仕方なく少年は自壊を選択し、その場に崩れた。
少年は終わりを迎えたかったのだ。その本心では。
ただし、それは叶わぬ願い。
悪魔の定めたルールを思い出し、少年の身は再生された。
少年の心は、生きながらに死んでいた。
「――『喰って』しまったんだから」
少年は呪った。
己の愚かさを、
己の無様さを、
己の醜悪さを、
己の無力さを、
己の矮小さを、
後悔という形で。
そして少年は、放送によってその過ちを再認識した。
不死者である少年が絶望を表現する方法は、涙しかなかった。
◇ ◇ ◇
どことも知れぬ小道の脇に、チェスは蹲っていた。
膝を抱えた体育座りの体勢で、頂点に上り詰めた太陽を疎ましげに睨む。
多量の涙で赤く充血したチェスの瞳に、空から照射される太陽光は眩しすぎた。
「十六人……玖我なつきやジャグジー・スプロットも、どこかで死んだのか」
虚ろな瞳を両腕で覆い、視界を闇に浸す。
ついさっき流れた放送の内容を反芻しながら、忌避したい事実をもう一度確認する。
アイザック・ディアンが死んだ――正確に言えば、『喰われた』。
重要なのはそれだけで、仮初の関係者二人に特に感傷は抱かない。
夢や幻ではなく、これだけは確かな現実なのだと、認めざるを得なかった。
「不死者に殺し合い……当初は馬鹿なものだと思ったが、なるほど。螺旋王もどうしてどうして……策略家じゃないか」
数分前、あるいは数十分前――アイザック・ディアンを飲み込んだ右手。
それをを恨めしそうに眺め、チェスは自嘲した。
「私という存在がいるんだ……不死者とて無敵じゃない。そういうことか」
涙が枯れ果てた今だからこそ、冷静に分析できる。
悪魔が定めたルールにのっとり、チェスはアイザック・ディアンを『喰い』、彼の知識や記憶、技能を吸収した。
不死者は、喰らった不死者の持つありとあらゆるものを収得することができる。
長年積まなければならないような経験も、常人には理解しがたい学術的な公式も、思い出すらも、我が物にできる。
その代わり、喰われた不死者は消える。自我を失い、姿を失い、存在を抹消され、この世から消滅する。
この『喰う』という行為は、不死者が唯一、永遠の生を終えることができる方法でもあった。
故にアイザックを喰ったチェスは、彼のすべてを知り、我が物とした。
これは共有ではない。独占だ。
不死者や喰うという行為の概念はどうあれ、放送で螺旋王がそう告げたように、確固たる事実として。
アイザック・ディアンは、死んだ。
それがたまらなく、辛い。
「……」
後悔という重圧が、チェスの身に重くのしかかる。
客観的に見れば、怯えと疑念が生んだ、不幸な事故のようなものだった。
チェスに悪意など微塵もない。彼はただ恐怖に駆られ、自己を守るため、先手を打っただけだ。
それが大きな間違いだったのだと、改めて思い知る。
しかし、それももう遅い。
「…………」
鼻から垂れた水を乱暴に拭い、チェスはさらに深く蹲った。
小さな体をだんご虫のように縮こまらせ、矮小な自分を、より小さく見せようとした。
スン、という鼻を啜る音だけが、物静かな小道に悲しく響いた。
「………………」
錬金術師たるチェスからしてみれば、アイザックから得られた知識など、欠片の役にも立たないものばかりだった。
外国についての雑学はなぜか豊富であったが、そのどれもがどうしようもなくくだらないもので、かつ曖昧だった。
知能や学力の面で言っても、凡人以下のレベル。記憶力も薄い。なのに、
「……みんなを心配させないように、そんな嘘をついていたなんて……」
かつて、『線路の道をなぞる者(レイルトレーサー)』に襲われたらしいチェスに投げかけた言葉や、
「……だからね、もう笑ってもいいんだよ……」
相棒であり恋人でもあるミリアの言葉、
「マイザー……会いたかったよ、マイザぁぁぁぁぁ…………」
彼の中のチェス『くん』の言葉など――知人たちとの思い出に関しては、なぜか鮮明に残されていた。
アイザックという男がどれだけ交友関係を重んじていたかが、痛いほどよくわかる。
無知だが、無知だからこそ、アイザックはとてもいい人間だったのだ。
セラードやフェルメートなんかとは違う。彼は己が不死者であることも、チェスが不死者であることも知らなかった。
邪な願望もなにも持たず、『線路の道をなぞる者』からチェスを救い出してくれた。
保身のためについた嘘を、誰もがハッピーになれる形に解釈してくれた。
家族のいなかったチェスに、新しい家族を作ってくれた。
アイザックは、アイザックは……アイザック・ディアンは、
とても、とても……とても、
「……アイザックさん……いい人、だったの、に……ごめん、なさい。ごめん、なさ、い」
当に枯れ果てたと思っていた涙が、またあふれ出した。
悲しみがチェスの視界一面を満たし、歪める。
いくら泣いても、いくら謝っても、チェスの気持ちは満たされなかった。
アイザックならきっと笑って許してくれる。そう思う。
だけど、チェスは自分を許すことができなかった。
憤怒、敵意、憎悪、ありとあらゆる負の感情が、アイザック喰う以前の自分に向けられる。
なんで、あんな馬鹿な真似をしたんだと。泣きながら叱った。
「ぐすっ……あくまよ! 聞こえるか!?」
泣き顔のチェスが、ぐじょぐじょになった目元をそのままに、天に向かって語りかける。
「ふひしゃを……不死者、を! 喰った不死者を吐き出すことはできないのか!?」
いつかの時、船上に降臨した悪魔に問いかける。我ながら、荒唐無稽な行為だと思った。
「喰うことができる、なら! 吐き出すことも、できるんじゃ、ないの、か!? 答えてくれ! 悪魔よ!」
いくら叫んでも答えは返ってこない。返ってくるはずがないと、頭では理解していた。
「お願い、だよ。お願い、だから。おね、がい……やりなおしたい、んだ。もう、いちど」
顔を俯かせ、唱えるように呟く。精神はもう、叫ぶ体力を失わせるほど磨耗していた。
「もう、あんなことはしないから……アイザックさんを……アイザックさんを……返して……」
地に両手と両膝をつき、チェスはその場に泣き崩れた。絶望が押し寄せる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
だから、だからだからだから…………アイザックさんを、返して……お願いだよっ」
――人は痛みによって、初めて自分の愚かさを知る。
それは歴史上の偉人たちに関しても言えることだった。
自分を神と信じた者は、上に立つ者に罵倒され、己の立ち居地を知る。
兵器を作り出した国家は、自らの兵器を持って自国を滅亡へと導いた。
天才は数多の挫折を味わい、乗り越え、やっと努力家を越える。
過ちを犯した罪人は、被害者の涙を見て、ようやく慙愧の念を抱く。
「悪魔……螺旋王……誰でもいい……ボクに、ボクにやりなおすチャンスをください……」
いつしかチェスは、自分の保身についてなど微塵も考えないようになっていた。
我が身のかわいさで、とても大切なものを失ってしまった。
その苦しみを、理解したから。
「『線路の道をなぞる者』に襲われて……アイザックさんとミリアさんに助け出されて……
エニスって人の弟になって……マイザーと再会して……ボクも、ボクも……
…………アイザックさんの記憶の中にいた、チェス『くん』になりたいんだよっ!」
なるはずだった自分の姿。未来への憧れ。または執着心。
薄汚いチェスワフ・メイエルの存在を保守するよりも、もっと大事なこと。
チェスの目的と願望は、アイザックの記憶の中にあったチェスくんによって、淡く塗りつぶされていた。
「……………………ひっく」
当然のことだが、いくら待っても答えはなかった。
錬金術師に不死の酒を与えた悪魔も、この地に二人の不死者を呼び寄せた螺旋王も、チェスに施しを加えはしなかった。
かつてのチェスワフ・メイエルなら、それでも這い上がれただろう。
逆境と立ち向かう意志を見せ、怯えながらも勇敢に戦っただろう。
だが、違う。
そもそもこれは、逆境なんかじゃない。
時間を巻き戻したり、不死者を吐き出したりしなければ覆せない、
絶対的な、絶望なのだ。
◇ ◇ ◇
チェスはやりなおしを望んだ。が、それは叶わぬ悲願に終わった。
でも、ひょっとしたらまだ……希望あるんじゃないかと、しつこく縋った。
螺旋王。あの主催者ならば、時間や悪魔のルールすら超越して、アイザックを生還させることができるのではないだろうか。
チェスが喰ったアイザックには、列車強盗事件の数日先……チェスにとっての未来の記憶があった。
それはつまり、アイザックがチェスより先の未来から、この地に召集されたということだ。
方法など考えつかない。時間跳躍などSFの域だが、既にジェットという前例もある。
螺旋王が持つ技術、もしくは能力なら……この悲願が叶うかもしれない。
だが螺旋王はランプの魔人ではない。チェスの望みなど、耳も貸さないだろう。
ならば、素直に螺旋王が望むこと――殺し合いに興じ、優勝して彼に願いを聞いてもらうか?
……まさかっ。それこそ本末転倒だ。チェスはもう、かつてのような臆病者には戻りたくなかった。
アイザックなら、もっと楽しい結末を望むはずだ。彼の相棒のミリアにしたって、それは同様だろう。
だからチェスは、アイザックとミリアが信じたチェスくんならどうするだろうかと考えた。
考えて、ある一つの答えにいたった。
それはとてつもなく滅亡的で、しかし不死者であるチェスだからこそ目指せるものだった。
チェスワフ・メイエルは死を恐れ、周囲を敵と見なしていた。
チェスくんは孤独を恐れ、周囲は味方も多いんだと知った。
ここにいるチェスは、このまま後悔に溺れ、なにも成せないことだけが恐ろしかった。
◇ ◇ ◇
未知なる道を、ひた歩く。
この先に待つであろう人物に会うため、ただ歩く。
彼女との接触は、たぶんとても恐ろしいことなのだろう。
一歩一歩の歩みが重い。明らかに恐れている。でも、進まないわけにはいかない。
腹は括った。彼女がどんな顔で『ボク』を迎え入れようとも、やるべきことは変わらない。
たった一つの希望を掴むため、アイザックさんが望むやり方で、彼女とともに。
………………ううん。できるかぎり、彼女とともに。
歩もう。ボクは歩むんだ。
不死者のチェスワフ・メイエルでも、狐の皮を被ったトーマスでも、二人が知るチェスくんでもない。
ただの、決められた制限下で目的を果たそうと頑張るチェス。
これが、ボクのここからの、本当の勝負だ。
「…………く〜ん…………お〜い…………」
行く先の道で、ブロンドの長髪を靡かせた女性が手を振っている。
遠くから見た限りでは、その顔はとても穏やかだ。
……いや、違った。
その姿が近づくにつれ、彼女の瞳に涙が浮かんでいるのがわかった。
泣いている、というほどではない。潤んでいる、泣く寸前のような表情。
ボクは、その理由を知っていた。
知っていたからこそ、笑顔で彼女と向き合った。
向き合わなきゃいけないんだ。
「チェスくん、心配したんだよ〜! あのね、アイザックとチェスくんが消えちゃって、
それでさっきの放送でアイザックが呼ばれて、しかもカフカまで呼ばれちゃって、
それで、それでね、えと……わたし、わたし……」
声は、いつものように惚けていた。だけど今ならわかる。
彼女の内を満たしているのは、不安と混乱と、悲しみだ。
そしてその元凶は……ボク。
わかってる。でも今は、謝るときでも、説明するときでもない。
ボクは、
「安心してお姉ちゃん。アイザックさんはね、死んじゃったわけじゃないよ」
くしゃくしゃになった彼女の顔を、精一杯の笑顔で満たしてあげようと思った。
記憶の中……『線路の道をなぞる者』に襲われたボクに、彼女らがそうしてくれたように。
「アイザックさんはね、お父さんであるポロロッカ王に連れ去られちゃったんだ!
内緒で結婚の準備を進めていたことが、バレちゃったんだよ」
◇ ◇ ◇
――そっか〜、じゃあアイザックは、お父さんに軟禁されてるんだね!
――うん。わからず屋の息子はお仕置きだーって、ボクの前から連れていっちゃったんだ!
――どうやって連れていったの?
――それは……消しちゃったんだ! 手品みたいに、ボクの目の前からパッて!
――すっご〜い! ミステリーだね! イリュージョンだね!
――うん。ボクもすぐに追いかけようと思ったんだけど、お父さんはそれはそれはすごい手品師で……
――いきなり目の前から消えちまったねぇ……どうよアレンビー。信じられる?
――信じるもなにも、チェスくんがそう言うんならそうなんでしょ。
――おいおい知らないのかい? 最近のガキの言うことなんてのは、大半がウソなんだぜ。
――馬鹿キール! チェスくんが嘘ついてるとでも言うの!? それならどうしてアイザックさんの名前が呼ばれたの?
――んー、まぁあの男が死なないことは実証済みだしぃ。そりゃ俺にもわかんねぇけどよぉ。
――なら文句言わない! それにしても、ついにお父さんが動いたのか……くー、なんか燃えてきた〜!
――ひょっとして、チェスくんも手品ができるの?
――うん! 二人の結婚式の日になったら、ミリアさんにも見せてあげるよ!
――本当? やった〜! 楽しみにしてるね!
――うん。そのときは、きっと、アイザックさんも。
――うん、アイザックと。
――――みんなで一緒、だね!!
いなくなったチェスを見つけた後、ミリアたちはそんな会話をしていた。
たが一人だけ、その場にいながらこの会話に参加しなかった者がいた。
ジェット・ブラックである。
◇ ◇ ◇
アイザックは父親であるポロロッカ王(螺旋王)に拉致された。
放送で名前が呼ばれたのは、恋人であるミリアに揺さぶりをかけるためだろう。
チェスから説明を聞いたミリアたちは、わからず屋のお父さんからアイザックを救い出すため、改めて立ち上がった。
アイザックとミリアの結婚式を開き、パーティーでお祝いして、ハッピーエンドを迎える。
みんなの思いは、重なっていた。
「じゃあ、アタシとキールは一を見つけしだい合流するよ。オジサンたちは先に船のほうへ行って。ガッシュたちがいるはずだから」
「探し人が野郎ってのが気に食わねぇが、愛しのアレンビーの頼みなら仕方がない。俺の翼がまた煌くときがきたみたいだな」
「俺としては、さっさとまともなメシにありつきたいんだがな」
「ダメ! このブリはみんなが揃ったときのため夕飯! メインディッシュ! それまではお預けだよオジサン」
「でも大丈夫? アレンビー、キンダイチくんの顔知らないんでしょ?」
「大丈夫大丈夫! 一の話は剣持のオジサンからも聞いてるし、キールっていう『目』と、ミリアに貰ったとびきりの『声』があるかね」
「あー……一応忠告しとくが、むやみやたらにそれで叫んだりするなよ。誰が聞いてるかわからんからな」
「そのときは、アタシとキールの必殺ノーベルロワイアルで撃退だよ!」
「そうだぜオッサン。俺という勇敢なる騎士がついてるんだ。心配は無用、いやむしろ侮辱に値するぜ」
「カフカって子が本当に現実に帰っちゃったかどうかは一に聞くとして、ミリアたちは船で待っていてくれればいいからさ!」
「そうそう。なんたってミリアちゃんは、後に控える『愛の奪還作戦』の主役だからな。おい野郎ども、ちゃんとミリアちゃんを守ってやれよ!」
「アイザックはポロロッカ星の王子だけど、ミリアはアタシたちと変わらない地球人なんだからね!」
「うん! うっかり殺されて、現実の世界に帰らされたら、アイザックさんとの結婚もパーになっちゃうもんね」
「ま……女一人と子供一人の身辺警護なら、仕事としては楽な部類だしな」
「それじゃあ……次に会うのは、あの『でっかい船』で、だね!」
アイザック奪還作戦――螺旋王が一筋縄ではいかない相手だと知った一同は、強硬手段での説得を試みることにした。
螺旋王のアジトを突き止め、軟禁されているアイザックを救い出し、力ずくで螺旋王に結婚を認めさせる。
そのための戦力集めとして、今は別行動中の一、豪華客船に向かったガッシュと剣持、
そしてそこで人集めをしている高遠、高遠の呼びかけに集まる人たちも、まとめて仲間に加える。
アイザックの拉致事件で色々疲弊しているであろうミリア、チェスはジェットとともに先にベースとなる豪華客船へ。
鳥という特性ゆえに人探しに便利なキール、そしてアレンビーはミリアの拡声器を持って金田一一を探しに行く。
ブリを食べるのはみんなが揃ってから。みんなが揃ったら、アイザックを助けにレッツゴー。
――それが、チェスの立てた今後の方針だった。
これに手放しで賛成したのが、ミリア、アレンビー、キールの二人と一羽。
そして賛成の意も反対の意も示さなかったのが、ジェット一人。
多数決によりチェスの案は可決され、三人は南へ、一人と一羽は北へと道を別った。
「行こう、お姉ちゃん! ボクたちみんなで」
「アイザックを、助け出すんだね!」
チェスと並んで前を行くミリアの表情は、かつての能天気な笑顔そのものだった。
放送でアイザックの名が呼ばれたときは、動揺と混乱で酷く荒れていたのだが……今はその面影はない。
喜ばしいことではある。が、隣で無邪気な笑顔を浮かべている少年が狐を演じている可能性を考えると、素直に喜べなかった。
チェスとミリアの後ろを歩く今となっても、ジェットはまるでポロロッカについて信用していない。
風浦可符香の言は妄言、アイザックの不死はトリック、アイザックの死は真実で、チェスの証言は嘘であると見なしている。
ジェットには確信があった。チェスが嘘をついているという、確かな根拠を握っていたのだ。
ジェットはズボンのポケットに手を突っ込み、二人には見つからないようにある金属片を取り出す。
それは輪の形状をしており、銀の色を纏っており、そして『Issac Dian』の名を刻んでいた。
アイザックを捜す際、ごみ山で発掘した、アイザックの首輪である。
側には、アイザックのパンツと荷物らしきものも見つかった。
混乱を防ぐためミリアたちには内緒にしているが、これは『アイザックが首輪を残して死んだ』という確たる証拠なのだ。
だが、死んだにしてもこれは少々不可解だ。
首輪が外れているということは、アイザックの首は体と分断されている可能性が高い。おそらく死因もそれだろう。
だというのに、この首輪にはまるで血痕が見当たらない。首輪が落ちていた周囲にも、それらしきものはなかった。
血を首輪に付着させずに、首輪だけをアイザックから取り除いた?
どこか別の場所でアイザックを殺し、首輪を回収し、付着した血を洗い流してからごみ山に埋めた?
それともジェットの考えつかないようなまったく未知の手段を持ってアイザックを殺し、結果として首輪が残った?
方法は? 意味は? 必然性は? 真犯人は? チェスが犯人である可能性は? チェスが嘘をつく理由は――?
なにからなにまで、わからないことだらけだった。
ジェットは混乱する頭を抱え、楽しそうに歩く二人を見やる。
ミリアの笑顔はいい。彼女という人間を知らぬジェットでも、その笑みが天然のものであるというのがよくわかる。
対してチェスのほうは――見るからに無理をしているような、どこかやつれた、人口的な笑みだった。
「チェス」
このまま悩んでいても仕方がない、と、ジェットは意を決してチェスに声をかけた。
「なにか、俺たちに話し忘れてることがあるんじゃないか?」
ただし単刀直入にとはいかず、遠まわしな台詞で、まずは反応を窺う。
変化は、すぐに訪れた。ジェットの言葉を受けたチェスの表情は一瞬だけ凍り、不自然だった笑顔をさらにいびつにする。
やはりなにか隠しているのだろうか。そう思いジェットが顔を顰めた次の瞬間、チェスは走り出し二人の前方に躍り出た。
振り向き様、ジェットとミリアの二人に向かって言葉を放つ。
笑顔は、さっきよりも辛そうだった。
「敵わないな、ジェットおじさんには」
どこかおどけたような口調で、チェスは話す。
「うん……そうだね。なにか、とても大切なことを話し忘れているような気がする。でもごめん、思い出せないや」
「思い出せないって、おまえ」
「チェスくん? なにか心配事でもあるの?」
さすがのミリアもチェス異変に気づいたのか、心配そうな眼差しを傾けている。
ジェットはチェスの本心が未だ掴みきれず、警戒心は解かないまま次なる言葉を待った。
チェスは、意地でも貫くみたいに笑っていた。
「でも安心して! それはきっと、ミリアお姉ちゃんやジェットおじさんが心配するようなことじゃないから。
いつか……そうだね、いつかきっと。それを思い出したら話すことにする。だから、それまで待っててほしいんだ」
並びのいい白い歯を覗かせて、和やかに眉を緩めて、ふっくらと頬を弛緩させて、チェスは精一杯の笑顔を浮かべていた。
ジェットは、それが作り笑顔であることに気づいていた。
ミリアもまた、その笑顔が本当の、楽しいときに出る自然な笑顔でないことを、薄ら感じていた。
「それにね、今まで内緒にしていたんだけど、ボクこれでもとっても強いんだよ!
力はないけど、体はかなり頑丈なんだ。だから、いざというときは二人の盾にだってなれるよ」
破滅的な笑みだった。他人の浮かべる愛想笑いのほうが、まだ親近感を覚える。
ジェットもミリアも、こんな破滅的な笑顔を見せる子供を見たことがなかった。
「ねぇチェスくん、本当に、本当に大丈夫? つらいことがあるなら、無理しないで私たちに話してね?」
「だいじょうぶだよ。ボク、とっても元気だから! それよりもほら、早く船に行こう。
一秒でも早くアイザックさんを助け出して、みんなでパーティーを開くんだから!」
――馬鹿野郎。ガキがなんて顔してやがる。
結局、最後まで胸に溜まった言葉を吐けず、ジェットはチェスへの言及をやめた。
チェスの嘘を暴いてしまうことが、破滅への引き金となるような気がしてしまったから。
「パーティー……そうだね! うん、そうだよね! 私たちみんなで、アイザックを救い出すんだよね!」
「うん、そうだよ! ボクたちみんなで力を合わせて、アイザックさんを救い出すんだ!」
いつの間にか、チェスの印象は無邪気な子供のものに戻り、ミリアもまた常のペースに戻った。
ジェットの胸中にだけ、靄のような違和感が残った。
◇ ◇ ◇
螺旋は加速する。
後悔という名の重石を背負った不死者は、
アイザックが望むことを、ミリアが望むことを、彼らの知るチェスが望むことを、
アイザックのためになることを、ミリアのためになることを、彼らの知るチェスのためになることを、
選択肢として選んだ。
代償として、不死者自身の幸福は捨てた。
安心も、命も、将来も、心さえも――。
なにかを得るためには、同等の代価を支払わなければならない。
即ち、等価交換の原則。
錬金術師の一端である不死者は、世の理を知っていた。
だから、願った。
――不死の体などくれてやる。
――だから貰うぞ、螺旋王。
――貴様の持つ法、術、叡智、すべてを。
――いいか、必ずいただくぞ!
――そして、あの二人の、二人の知るチェスの幸せを!
――絶対に、取り戻す!
背負った後悔という名の重石を取り除くため、不死者はやり直しを望んだ。
代価は、自分自身。
得たいのは、やり直す術。
それを握るのは、螺旋の王。
錬金術師であろうと、不死者であろうと、結局は螺旋に行き着く。螺旋を目指す。
だからまた、螺旋は加速する。
【D-3北部/高速道路/1日目-日中】
【アレンビー・ビアズリー@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康
[装備]:ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:生きてる)
[道具]:デイバック、支給品一式、爆弾生物ポルヴォーラ@王ドロボウJING、注射器と各種薬剤、拡声器
[思考]
1:金田一一を捜して合流。その後豪華客船に向かいミリアたちと合流する。
2:仲間を集め、螺旋王からアイザックを救い出す。そして目指せ結婚式!
3:豪華客船へとゲームに乗っていない人間を集める(高遠の伝言)
4:悪いヤツは倒す!(悪くなくとも強い人ならばファイトもしてみたい……)
[備考]
※キールロワイアルのアレンビーver.「ノーベルロワイアル」を習得
※参加者名簿はまだ確認していない
※シュバルツ、東方不敗はすでに亡くなっている人として認識している
※ガッシュ、キール、剣持、アイザック&ミリア、ジェットと情報交換をしました
※高遠を信用できそうな人物と認識しています
※チェスの証言を全面的に信用しています。
【キール@王ドロボウJING】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:デイバック、支給品一式、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING
[思考]
基本:可愛い女の子についてゆく(現在はアレンビー)
1:金田一一を捜して合流。その後豪華客船に向かいミリアたちと合流する。
2:他のことは……、まぁ、あんまりどうでもいい
3:女性は口説く! 野郎? 別に興味ない
[備考]
※参加者名簿はまだ確認していない
※ガッシュ、キール、剣持、アイザック&ミリア、ジェットと情報交換をしました
※高遠を信用できそうな人物と認識しています
フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
『展開のための展開』はNG
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
携帯からPCに変えるだけでも違います。
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いつのまにへんな文言追加されてないか?
湖の騎士・シャマル。
夜天の書の守護プログラム・ヴォルケンリッターの参謀格。
もう一つの二つ名は“風の癒し手”。
時空管理局に所属する古代ベルカ式・AA+級の魔導士。
機動六課所属の後方支援(ロングアーチ)・主任医務官。
“隣のお姉さんに欲しい女性No1(時空管理局内男性限定非公式アンケート)”
“白衣が似合う女性No1(同上)”
“すれ違ったときについつい後姿を見てしまう女性局員No1(やっぱり同上)”
……エトセトラエトセトラ。
数多くの肩書きを持つ彼女は、その肩書きの多さに比例するように有能である。
通常は上記のように医務官を勤めるが、有事の際には現場指揮や索敵、通信など多くの任務をこなせる
優秀なバックアップ要員であり、更に何かとストレスの多い管理局員相手にカウンセリングを行っている。
(このカウンセリングが始まってから離職率がガクンと減った、と一部では噂されているほどである)
またプライベートでも最年長の人格を持つことも手伝い、掃除、洗濯といった細かい雑務を一任されている。
そのおっとりとした外見からは想像しにくいが、まさに“出来る女”の代名詞のような存在であった。
だがそんな彼女にも唯一人に誇れないものがある。
それが三大欲求の一つに直結する家事の一つ、即ち“料理”であった。
しかしながらそのことについて本人に聞けば、
『ちがうもん。シャマル先生、お料理下手なんかじゃないもん!』
と否定の意を返してくれるだろう。
だが客観的に見て、彼女の料理の腕は“いま一つ”であった。
いっそ出来上がるのが人知を超えた代物ならば本人も諦めがついただろう。
しかしマズイながら半端に食える、進歩の可能性を僅かに垣間見せる代物を作るため、
シャマルはその腕を日々磨こうとし、その度に仲間達に阻止されるということを幾度と無く繰り返してきたのであった。
そんなわけでこんな状況にもかかわらず、久々の料理に気合が入るのであった。
しかし螺旋王は何を考えているのだろう、と支給品のパスタセットを見て思う。
偶然施設内にキッチンがあったからいいものの、調理場所が無ければ喰えたものではない。
どうやら道具にも当たりはずれがあるように、支給された食料品にも当たりはずれがあるようだ。
そんな益体ないことを考えながら、湯を張った鍋にパスタを放り込んだ――そんな時であった。
『さて、二度目の放送を行う』
天空から忌まわしい声が響いてきたのは。
* * *
――エリオ・モンディアル。
シャマルから聞かされた“キドウロッカ”の一員の名だ。
また人間の手によって同胞たる獣人の命が失われた――そのこと自体にも怒りがこみ上げるが、
シャマルにあの表情をもう一度させるかと思うと、それとは別種の怒りがヴィラルのなかで膨れ上がっていく。
「……お待たせしました」
そして数分後、料理を運んできたシャマルの声は案の定暗く沈んでいた。
励ますために何か声をかけようとして、やめる。
キャロという仲間が死んだと聞かされた時に見せた、凍りついたようなあの表情。
あの時の彼女は、まるで粉雪のように脆くか弱い存在に思えた。
そんな彼女に対し、女性の扱いに慣れていない自分が下手なことを言えば更に傷つけてしまうのではないか?
事実、何の気なしに手袋のことを訊いてしまったことがあるだけに、殊更慎重になってしまう。
そのためヴィラルは彼女の顔を直視することが出来ず、その視線の先は無骨なコンクリートの床にあった。
だから、その声は丁度頭上から聞こえるような角度でヴィラルの耳に届いた。
「……私は大丈夫ですよ、ヴィラルさん。
キャロが死んだと聞かされたときから、覚悟はしていましたから」
声に引き上げられる様に顔を上げたヴィラル。
その視界に入ったシャマルの顔は笑顔であった。
だがその笑顔には先程まであった明るさは無く、その目じりにはうっすらと涙の後が見える。
先程まで泣いていたのは誰の眼にも明らかだ。
だが、ヴィラルは思う――この女は強い存在だと。
仲間の死を悼み、悲しむ。そこで立ち止まってしまうものも少なくない。
だが彼女はそこから前へ進もうとしている。
それが出来る存在は強い。戦士としての経験がそれを肯定している。
「それよりも食べましょう! シャマル先生、腕によりをかけて作っちゃいましたからね!」
わざとらしいほどに明るく振舞い、一つしかない皿をヴィラルのほうへ差し出す。
「……お前は食わないのか?」
「ええ……食欲が無くて」
その今にも壊れそうな笑みを見て、歯を噛み締める。
――目の前の女のために今、自分が出来ることは何だ。
所詮不器用な自分では、気の効いた言葉をかけることは出来まい。
ならばせいぜいこの料理を美味そうに食べてやることぐらいではないか?
目の前に出された料理は見たことが無い細長い何かであったが、
程よい酸味が鼻腔を刺激しているので喰えるものなのは確かだ。
「――では、いただく」
だが直接料理を掴もうして『ちょっと待って』と止められる。
「あの……箸は使わないの? フォークが無かったから箸にしたのだけれど……」
「“ハシ”……この棒のことか? すまんが……俺はこの道具を使ったことがない」
皿と共に置かれた2本の木の棒。
シトマンドラ様たちならば正しい使い方を知っているかもしれないが、生憎と肉をメインに食べる自分には馴染みの薄い道具だ。
2本の棒をどう使えばいいのか……とりあえず両手に持ってみるが、これでは逆に喰いづらそうだ。
その様子がよほど滑稽に映ったのだろう。
シャマルは苦笑し、ヴィラルの手に自分の手を重ね、箸を握らせる。
「こう、ですよ。わかりますか、ヴィラルさん?」
自分のガサガサとした手とは違う柔らかな感触に何か居心地の悪いものを感じ、思わず視線をあさっての方向に向けてしまう。
教えている最中に視線をいきなり中空へ逸らしたヴィラルを不思議そうに見る。
「? ヴィラルさん、どうかしましたか?」
「う、うるさいっ! 食べるぞ!」
シャマルの手を強引に振り払い、不器用に箸を使いパスタを口の中に放り込む。
そして――それを口にした瞬間、未知の衝撃がヴィラルを襲った。
前述したとおり、シャマルは普通の料理下手である。
だが自分を慕ってくれていた少年の死を知った彼女の手元は盛大に狂い、知らず知らずのうちにミスを重ねていた。
そのミスが一つならば少しマズいで済む。
だがそれが2つ重なれば? 3つ重なれば?
料理は掛け算だ。ミスが重なればそのレベルを飛躍的に上昇させる。
そしてその結果として生まれたのは名状しがたい“何か”であった。
バルサミコ酢の酸味と甘味、そしてキッチンにあったのだろう追加された塩の辛味、
つぎ込まれた各種調味料が絶妙なノイズを作り出し、芯の残るパスタの食感と相まって壮絶なカオスを作り上げていた。
一言に纏めるならば――極めてマズかったのだ。
そう、まるで漫画に出てくる代物のごとく。
胸の奥よりせり上がって来る嘔吐感。
その衝動に従えば自分は楽になれるのだろう。
だが彼の目に映るのは同胞の死に悲しみながらも前に進もうという健気な女の姿。
しかも自分の料理に対する反応を期待の篭った眼差しで見ているではないか。
彼は嘘を好まない。
だが、それ以上に仲間を悲しませるのは戦士の恥だ。
(守ったら負ける! 攻めろぉぉぉぉぉぉっ!)
内なる声に従い、皿を掲げ、パスタを一気にかきこむ。
酸味・甘味・辛味といったものの集合体が一気に口内と喉を通過していく。
つらいのは一瞬だ。天井のシミを数えておけばすぐに終わる。
そして永遠とも思える一瞬が過ぎ去り、唖然としているシャマルに向けて口の端を吊り上げる。
「……悪くない、味だ」
ヴィラルは今にも引き攣りそうな口の端を抑えるよう努力した。
そしてその努力はどうやら報われたようだ。
その証拠にシャマルの顔には先ほどとは違う、花のような柔らかな笑顔が浮かんでいる。
そうだ、これでいいのだ。
仲間の死を悼む優しい同胞のためならば、この程度の苦難どうということは「おかわりならありますからどんどん食べてくださいね!」
――ヴィラルは戦士である。
そして戦士には破滅が待っているとしても、避けてはならない戦いがあるのであった。
* * *
「ごめんなさい、作りすぎちゃったみたいね。
ヴィラルさんがあまりにもおいしそうに食べるからつい……」
「……も、問題ない」
そしてヴィラルは勇者であった。
アレを5杯おかわりしたものは少なくとも時空管理局内にはいない。
シグナムたちがこの事実を知ったら彼を褒め称えるであろう。
だが勇者に休息は許されないらしい。シャマルはヴィラルの顔を覗き込むようにして口を開く。
「ヴィラルさん。食事も取りましたし、これからのことについて話し合いませんか?」
この声に真剣なものを感じ取ったヴィラルは、込み上げる胸焼けを抑えながら、視線を彼女に向ける。
「これからのこと、だと? ニンゲンを発見次第殺す――それ以外に何があるというのだ?」
その為に自分は――いや自分達はここにいるのだ。
だからそれ以外のことなど必要ないはずだ。
「そのためにです。質問だけれど、ヴィラルさんは今までに何人の参加者と接触しました?」
クルクル、ケンモチ、蛇女、泣いていた男、カミナと名乗ったハダカザル、そして目の前にいるシャマル……
「6人だ。それがどうかしたのか?」
「それで、その内何人を殺せた?」
「…………1人だ。それがどうかしたというのか」
声に不機嫌なものが混じるのは仕方ない。
この事実に苛立っているのは他ならないヴィラルなのだ。
獣人は人間より優れているはず……ならば何故、自分はまだたったの一人しか殺せていない!
「……私も殺せたのはたったの1人よ。
12時間でたったの2人……これではあまりに効率が悪すぎると思わない?」
確かにその通りだった。参加者は全部で82名。
現在、死者が4分の1ほど出た計算になるが、今のままではあまりにも効率が悪すぎる。
「では……どうすればいい! 手っ取り早く獲物を見つける方法でもあるというのか!」
その質問に答えるようにシャマルは地図を広げる。
そしてその指を滑らせ、ある一点で停止させる。
「――ここを目指しましょう」
シャマルの白い指が指し示した先は、
「……病院、だと?」
地図でいう【D-6】に存在する施設――総合病院であった。
確かにそこに行けば傷の治療に使える薬品が手に入るかもしれない。
だが自分の傷はほとんど塞がっており、更には多用出来ないとはいえシャマルの『マホウ』がある。
それを目的にするには理由が弱いようにも思えるが?
そんなヴィラルの疑問を読み取ったのか、シャマルは言葉を続ける。
「病院自体に何かあるというわけではないわ。
ただ恐らくはこれから先、時間が経つごとに中央部が激戦区になる――ということよ」
「……その根拠は?」
「地図の左側は見ての通り、ほとんどが水路と海で行動が制限されているわ。
モノレールは動く標的になりかねないし、そうでなくても出入りの瞬間を狙われる可能性が高い。
だからモノレールを使うのは相当な実力者か……相当な考え無しかのどちらかよ。
大多数の参加者は危険地域の指定による行動の制限を恐れて中央部を目指すはずよ。
ゲームに乗った者、乗らない者も関係なく、ね……」
なるほど、とヴィラルは感心する。
螺旋王がどんな基準で危険地域を指定しているのかは分からないが、
分断されない限り中央にいれば逃げるにしろ殺すにしろ選択肢が広がる。
そう考えて中央に向かうのだろう。そして――この戦場で人が出会えば戦闘は必死だ。
「では病院を目指し、そこで待ち伏せる、と?」
更なる戦いの予感に唇を吊り上げるヴィラル。
その瞳の奥に映るのは今まで殺し損ねた人間の姿が映っているのだろうか。
だが、その火を消すかのようにシャマルは首を横に振る。
「いいえ、病院自体には行かないわ。勿論周囲の建物……デパートにも、下水処理場にも近寄らないわ。
私達が目指すのはあくまで中央部“付近”。
その激戦区から逃げ出したもの、もしくはその戦いで消耗した人間を――殺すの。
そうすれば最小の効率で最大の戦果が得られるわ」
戦いから逃げ出したもの――それは敗者であり弱者だ。
その者の命を奪うというのは簡単なことであろう。
しかし……
「……つまりお前は俺の腕が信用できない、というのか?」
ヴィラルの言葉に険しいものが宿る。
繰り広げられるであろう強者達の宴に背を向け、敗残者を狩れと?
それは自分の力が信用ならないということの裏返しなのではないか?
戦士として実力を疑われることは侮辱以外の何者でもない。
だがシャマルは再び首を振ってそれを否定する。
「そうじゃないわ……ただ、確実を記したいだけよ。
もし、あなたの戦士としての誇りが許さないというのなら私一人でやるわ」
確固たる意思を言葉に滲ませながら、そう言い切るシャマル。
「もしかしたら、出会う人間は私達以上の人数で徒党を組んでいるかもしれない。
もしかしたら、敵と戦ってる最中に重火器か何かでまとめて焼き払われるかもしれない。
だから私は私が考えうる限りの最善の策を打つわ。
そのせいで例えどんな汚名を被ったとしてもかまわない。
私は……全てが終わってしまってから、後悔なんてしたくないもの……」
まるで自分に言い聞かせるようなシャマルの言葉。
その言葉に込められた気迫にヴィラルは驚嘆していた。
目の前の女は誇りすら犠牲にして任務をこなそうとしている。
これほどの使命感をもって任務に挑むとは……獣人の中でもそうそういはしない。
人間の仲間かと疑ってしまった自分を恥じる
ああ、彼女は尊敬するに足る立派な戦士だ。
「――わかった。お前の覚悟を信用する」
「……ありがとうヴィラルさん。
そしてもう一つ気をつけて欲しいことがあるの。聞いてもらえる?」
是非も無い。首肯で先を促す。
「これから先はほぼ確実に奇襲という形を取ることになるわ。
だからこれまで以上に敵に襲い掛かる前に十分に様子を見ましょう」
何故だ? 疑問符は浮かぶ。
だが先程のやり取りで、それにも理由があるであろうことを確信しているヴィラルは沈黙をもって先を促す。
「あなたは強い……いえ、獣人は人間よりも優れた身体能力を持っている……そうよね?」
何を今更聞くのだろう。そんなことは常識だ。
でなければ獣人が地上を闊歩できるわけはないはずだ。
「じゃあ思い出して、初めて広間に集められた時の事を。
螺旋王に刃向かった、あの奇妙な鎧の男のことを」
水晶を掲げて、閃光と共に奇妙な鎧をまとった男。
その男が放った謎の光はガンメンの武装に匹敵する威力があることが見て取れた。
「あの男の放った光――あれは“魔法”じゃないわ。
これから先は単なる推測だけれども……螺旋王はさっきの放送で言って……もとい、仰ってたわね。
『命と引き換えに“螺旋の力”を発現させたものが現れた』って」
そういえばそんなことを言っていた気もする。
だが、それがどうしたというのだ。
怪訝そうな表情を作るヴィラルにシャマルは衝撃的な一言を告げる。
「もしも……この“螺旋の力”があの男が持つような力だったとしたら?」
「!!?」
驚くヴィラルに対して、畳み掛ける様にシャマルは言葉を続ける。
「もしかして螺旋王は私達の魔法を研究する際に、ごく一部の人間が持つその力に気付いたんじゃないのかしら?
だから獣人の戦士がどれだけ彼らに対抗できるかを調べるために、貴方はこの戦場に送り込まれたのではないかしら?
そうでなければ私達のような実験部隊がここに送り込まれた理由はともかく、
ヴィラルさんのような“戦士”が送り込まれた理由が思いつかないわ。
それに……さっき名前を呼ばれたエリオは……私と違って戦闘に特化した魔術の使い手だったの」
「……なるほどな。つまりお前の仲間はその“特殊な力”を持つ人間にしてやられた可能性がある、ということか」
そう返すヴィラルの脳裏に浮かぶのは忌まわしい記憶。
城塞のような船の上で蛇女が取り出した紅色の槍を思い出す。
服を脱いでいた蛇女にあれを隠せるスペースが合ったとは考えにくい。
それがあのシャマルの言う『ハダカザルの持つ奇妙な力』だったとしたら?
それどころか今までずっと疑問であった何故螺旋王が優秀な螺旋遺伝子の持ち主を集めようとするのか?
そして何故自分がこの場所に送り込まれたのか?
――それらにすべて説明が付くではないか。
「ええ、だからまずは遠くから観察するの。
相手がどんな能力を持っているか、どんな武器を持っているか。
推測だけでも立てれたら上出来……といったところだけれどね。
私の魔法が回復や補助に特化しているように、恐らくは万能なものはいないはず。
だから相手の力の特徴さえつかめれば、自ずとその対策も練れるはず……」
「……なるほどな。一応の筋は通っているようだ。
だが俺は地上で相当数の人間と戦ってきたが、そんなヤツらとは遭遇していない。
これはどう説明する? そしてそんな奴らが出てきたのならば、俺の耳にも届いているはずだ」
ヴィラルとて人間掃討軍極東方面部隊長の地位にいる身だ。
ニンゲンたちにそんな変化があれば部下の獣人から報告があるはずだ。
「多分……人間がその力を発現させたのはごく最近なんじゃないかしら。
そして……もしも何かの拍子で人間がそんな力を持ったと知ったら、私達獣人はどう思うかしら?
ヴィラルさんのような実力に自身がある人はともかく、そうでない獣人たちは……」
戦闘に向かない、また好まない獣人たちもいる。
そんな彼らにこの情報が知れ渡ったらどうなる?
答えは一つしかない。恐怖によるパニックが起こり、士気の低下は免れないだろう。
それほど重要な情報ならば螺旋王直下の四天王ならばともかく、
所詮は一仕官である自分には知らされないのも当然なのかもしれない。
そこまで考えたところで改めて“キドウロッカ”の有用性を想像してみる。
優秀な螺旋遺伝子を持つものの傾向をこの戦場で調査し、定義づける。
キドウロッカが穴倉に潜入し、今回得られたデータを元に“螺旋の力”に目覚めそうなニンゲンたちを監視する。
そして覚醒の兆候を見せれば穴倉にいる時点でガンメンによって殲滅する。
その一方でマホウの研究を進め、“螺旋の力”の持ち主を圧倒できるように獣人を強化する。
なるほど、実に効率的ではないか。
すべての獣人のため――そう考えれば忌まわしい人間の体に近づけさせられた腹立たしさも、
僅かながら軽くなろうというものだ。
そういえば目の前の女はどう考えているのだろう。
彼女の言を信じるならば彼女は生まれたときから人間に近い身体にされているのだろう。
カプセルに入らずとも細胞は決壊せず、睡眠をとることで休息を取る……恐らくはそういう風に作られたはずだ。
ハダカザルに近い容姿と性能にされて――彼女は自分の身体をどう思っているのだろう?
「……お前は自分の身体について考えたことはあるか?」
そう問われたシャマルは何故か顔を赤くする。
何かまずいことを言ったか?
「え、ええと……最近確かにちょっとお尻のあたりがきつくなった気もするけど
それは誤差範囲内の話で……」
「そういう意味ではない! ……お前は生まれながらにしてニンゲンに近く作られた。
そのことについて貴様の誇りは傷つかなかったのか?」
シャマルの目が悲しそうに伏せられる。
「……あなたは傷ついたのね。人間に近い身体にされて」
「当然だ! 劣る存在に近づけさせられて誰が喜べる!」
ヴィラルにとって、いや獣人にとってそれはアイデンティティにかかわることだ。
獣人はニンゲンより優れた存在である。
でなければ何故獣人が地上を支配できているというのだ。
だがシャマルから帰ってきた問いは、ヴィラルにとって予想外のものだった。
「何故、人間を劣っているものと考えるの?」
「な――んだと?」
「確かに肉体的に弱いかもしれない。でも“彼女”達は――」
だがシャマルはそこで言葉を切り、目を伏せる。
「……ごめんなさい。おかしな事言ってるわね、私」
そう言って気を落されてはヴィラルは何も言えない。
何故、人間を庇うようなことを言ったのか?
彼女の真意を探ろうとして一つの可能性に思い当たる。
もしかしたら彼女はこちらの心配をしてくれたのかもしれない。
“人間は劣っているもの”。その気持ちが油断を生まなかったと言えるか? ――いや、言えまい。
だからクルクルに剣術で負け、ケンモチに投げ飛ばされ、蛇女に痛手を負わされたのだ。
そうだ、認めよう。この戦場にいるニンゲンどもは強い。
それがシャマルの言う“螺旋の力”に所以するのものなのかどうかは分からないが、油断をすればやられる程に強いのだ。
獣の王はヌメリブドウカバを狩るのにも全力を尽くすという。
ならば俺も例え相手が何者だろうと全力でかからなければなるまい。
僅かに残っていた人間への油断を消し去り、殺意を新たにする。
彼女がそこまで意図したわけではないだろうが、油断を消し去ってくれたことには感謝しなければなるまい。
「……気にするな。お前はしばらく休んでおけ。出発の準備は俺がする」
そう言いながら、改めてこの女のことを考える。
シャマル――ニンゲン型獣人。
特殊な力“マホウ”を持ち、自分の傷を治療した手際のよさから見て通常の医療技術にも秀でているようだ。
だが、それだけではない。
彼女は螺旋王の放送と地図だけでこれだけの推論を導き出した優れた頭脳を持っている。
また事実を事実として受け止める強さを持ち、その上で目的のために効率的に動く方法を導き出している。
それは自分のような戦士とは違う、言うなれば軍師の才だ。
しかも自分すら一本の駒として見れるような冷静な判断力を持ったものが何人いるだろうか。
この任務が終われば螺旋王に進言し、自分の副官に推薦するのもいいかもしれない。
そう、その為にも彼女を守り抜き、この任務を全うしよう。
恩人を守るのは、戦士として当然のことなのだから。
* * *
危ないところだった。
彼との関係は嘘の上に詭弁を重ねた非常に危ういものなのだ。
少しのミスも許されないというのに、タイトロープの上から自ら足を踏み外すところだった。
だけど彼の言う“人間”に主が含まれていると思うとどうしても口に出さずに入られなかったのだ。
八神はやて。
肉体的には弱い存在でありながら、その心はシャマルが今まで出会ったどの主よりも強くやさしい。
そして今、何を犠牲にしてでもも守りたい人物でもある。
彼女は無事だろうか。
彼女に何かあれば自分の身体にも何らかの変調が起こるはず。
それがないということは命はあるということだが、それが怪我をしていないということには繋がらない。
出来るなら今すぐにでも彼女の元へ駆けつけ、彼女を守りたい。
だけどそれは夢のまた夢だ。
行動を共にすることになったヴィラルさんは人間かそうでないかを嗅ぎ分けることが出来る。
(そのおかげで一命を取り留めた様なものだから文句は言えないが)
戦闘機人であるスバルならばいくらかごまかすことも出来るだろうが、
純粋な人間であるティアナやはやてではそうはいかない。
だから私は人間を見かけても、まず様子を見るように促した。
彼が急に襲い掛かるのを止めさえすれば、何らかの理由をつけてやめさせることが出来る。
その目論見は成功したようで、よっぽどのことが無い限りいきなり襲い掛かりはしないだろう。
だが、安全装置をつけた代わりに、彼から離れられなくなったといってもいい。
常に私が手綱を握っていなければ、この安全装置は役に立たない。
それはつまりはやてちゃんたちとの合流が遠のいてしまったと言うことだ。
――と、そこまで考えて、自分にその資格がないことを思い出す。
この手は既に血に染まっているのだ。
彼にも家族がいただろう。友人がいただろう。恋人や――もしかしたら子供もいたかもしれない。
闇の書の意思ではなく、シャマルという身勝手な一人の人間として彼を殺した。
それは大事な人を守るためとはいえ、決して許されることではない。
ああ、今の自分を見たらシグナム達はどう思うだろう。
再び手を血に染めたことに憤怒し、刃を向けるだろうか?
それとも同情して更生を促すだろうか?
そのどちらもありそうで、どちらもなさそうだった。
ただ分かるのは、既に人を手をかけた自分はあの暖かい場所にはもう戻れない――それだけだ。
そして同じ戻れないのならば大事な主を、仲間を守るために修羅に堕ちよう。
既に私は死んだ仲間だって利用してきているのだ。
人を助けてきた彼らの生き様を侮辱する行為だと知りつつも。
キャロのデバイスを使い傷を癒し、エリオの名を使って嘘の信憑性を高めた。
そして今自分が騙している男性の背中を見る。
彼は奇襲にはつかえないカートからあの大きな銃を取り外している。
その背中を見て彼の人となりに思いを馳せる。
ヴィラルさん――獣人の一人。
人間掃討軍極東方面軍部隊長にしてこのゲームに送り込まれたジョーカー。
性格は生真面目で、とにかく礼節を重んじる軍人。
どこか寝顔が可愛くて、そして――優しい人だ。
「銃を取り外すのに案外時間がかかりそうだ。
……辛ければ、横になっていてもかまわんぞ」
そんな訳は無い。取り付けたのは私だ。
外そうと思えば何時だって外せるはずぐらいにしか取り付けていない。
それを気遣って出発を遅れさせようとしているのだ。
でも優しくされればされるほど、私の心に残された良心が痛みを訴える。
「言ったじゃないですか、大丈夫だって。
――行きましょう、もう既に戦いが始まってる可能性がありますから」
嘘がばれ、バツの悪そうな顔になるヴィラルさん。
ああ、私は彼を騙しているのだ。実直な軍人で――根っこの部分は善良な彼を。
きっとこの罪は、廻り廻っていつか私を裁くだろう。
けれどその罰がはやてちゃんやスバル、ティアナたち六課の皆に及ばないというのなら、
それが私だけの罰だというのなら、甘んじて受けれよう。
その覚悟は当に出来ているのだ。
と、そんなことネガティブなことを考えていたからだろうか?
いつの間にか彼が接近して、こちらの瞳を覗き込んでいることに気付かなかったのは。
その瞳は先程よりもずっと真剣で、どこか決意の色を帯びていて、目を外せない。
「そんなに不安そうな顔をするな、シャマル。
絶対にお前は俺が守り通す。かすり傷も負わせん」
そう言われた瞬間――余りの出来事に心の中から先程までの鬱々とした考えが消え去った。
「――え」
時間の経過と共に、その言葉が耳から脳細胞に、そして脳細胞から全身へと染み渡っていく。
動悸は早鐘のように打ち鳴らされ、自分の意思とは関係なく顔に血と熱が登ってくる。
そんなシャマルの様子を見て、ヴィラルも遅まきながら自分が何を言ったのか理解した。
彼としては頭に『戦士として』を付けるつもりだったのだが、それを抜いたせいで意味合いが大きく変わってしまったのだ。
だが“彼女を守る”と思ったことは事実であり、言葉の大意は同じであるため否定することもできず、
どうしたらいいか分からない様子だった。
――何やってるのシャマル! ここは戦場で、しかも目の前の人は利用すべき駒なのよ!
心のどこかで冷静な自分がそう叫ぶが、それもまるで壁越しの声のようだ。
だって仕方ないじゃないか。ヴォルケンリッターである私は常に“守る側”で、決して“守られる側”ではなかったのだから。
異性からここまで直裁に、純粋な気持ちをぶつけられたことなどないのだから。
「……シャマル」
「は、はひぃっ!?」
『はひぃ』って何だ。『はひぃ』って。
冷静な心が突っ込むものの、顔と頭の大部分はオーバーヒート寸前だ。
見ればヴィラルさんの顔もかなり朱色が占めている。良く熟れたトマトみたいに真っ赤だ。
「……………………………………………………行くぞ」
「……………………………………………………はい」
奇妙な沈黙を保ったまま、二人は並んで歩きだす。
付かず離れずの微妙な距離で。
* * *
――それは奇妙な二人組だった。
一人は獣人。螺旋王の鬼札(ジョーカー)故に、獣人であるが故に当然のように人を殺す男。
一人は元騎士。仲間を守るために、修羅道へと堕ちる覚悟を決めた女。
男は女に騙され、利用されている。
女は嘘がばれれば、瞬時に男の標的へと早変わりする。
だから二人の間にあるのは打算と、嘘と、同じ殺人者であるという血塗られた仲間意識。
それだけのはずだ。
だというのに、はたから見ればその光景は仲睦まじい二人そのものだったのだから。
【G-3/空港/1日目/日中・放送直後】
【チーム:Joker&Fake Joker】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:脇腹に傷跡(ほぼ完治・微かな痛み)、胸焼け
[装備]:ワルサーWA2000(3/6)@現実 、大鉈@現実
モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと9秒連射可能、ロケット弾は一発)
[道具]:支給品一式、ワルサーWA2000用箱型弾倉x4、鉄の手枷@現実
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
0:……くそっ、何だこの恥ずかしさは!
1:中央部近辺に向かい、激戦区を観察。そしてそこから逃げてきたものを殺す。
2:シャマルに礼を尽くす。その為にも、クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
3:蛇女(静留)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
4:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
[備考]
螺旋王による改造を受けています。
@睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
A身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
…人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。
単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。
※二アが参加している事に気づきました。
※機動六課メンバーをニンゲン型の獣人だと認識しました。
※なのは世界の魔法について簡単に理解しましたが、それは螺旋王の持つ技術の一つだと思っています。
また、その事から参加者の中で魔法が使えるのは機動六課メンバーだけであるとも思っています。
※螺旋王の目的を『“一部の人間が持つ特殊な力”の研究』ではないかと考え始めました。
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:魔力消費 中
[装備]:ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式×2、バルサミコ酢の大瓶(残り1/2)@らき☆すた、魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!
[思考]
基本:八神はやてを守る為に、六課メンバー以外の全員を殺す。けれど、なるべく苦しめたくは無い。
0:……
1:中央部近辺に向かい、激戦区を観察。そしてそこから逃げてきたものを殺す。
2:しばらくの間はヴィラルと行動する。
3:クラールヴィントと魔鏡のかけらを手に入れたい。
※宝具という名称を知りません。
※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。
※魔力に何かしらの制限が掛けられている可能性に気付きました。
※魔鏡のかけらを何らかの魔力増幅アイテムと認識しましたが、
どうやって使用する物なのか、また全部で何枚存在しているのかはまだ理解していません。
※銃を取り外されたゴーカートは空港、コンテナ横に放置されています。