あの作品のキャラがルイズに召喚されました part85
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part84
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195350054/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ __ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 `ヽ . ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
l lf小从} l / ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!
_
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
{ {_jイ」/j」j〉 これ以上だと投下できないそうです。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
⊂j{不}lつ ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
く7 {_}ハ> ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
‘ーrtァー’ ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
>1 乙
>>1乙式高次物質化能力
コンプレックスのせいで
アリカ(ガルデローベ入学済・コーラルGEM)から蒼天の青玉を、
ラキシスから旦那様とお揃いのドラゴンドロップを、
ナルトから綱手に貰ったお守りを、
ベルリッツ家のお嬢様から金剛石の指輪と真珠の指輪を、
奪って自分のものにしようとするDQNなルイズが見たいwww全部高価な宝石だし、やりかねん。
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 08:06:51 ID:MMsGfXPz
>>7 「使い魔のものはご主人様のものよ!平民のくせにこんな高価な宝石を持っていてもいいと思ってるの?」
そして、アリカはマテリアライズ、ラキシスは女神の力を、ナルトは螺旋丸、お嬢様はエンペルトを繰り出す。
めでたしめでたし。さ、次いってみよー!
>>7 宝石好きなヴェルダンデがごっくん!
ジャイアントモールの尻穴に手を突っ込み「早く出しなさいよ〜」と
悲鳴を上げるルイズは、その姿を見た同級生達から妙な誤解をされ・・・
11 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 09:51:16 ID:x8Ki0JR6
>>1乙
そしてこんな時間ですが、外出する前に投下したいと思います
予約がなければ10:00から投下開始します
>>10 ひぎぃ!これはひどいド変態趣味
ド変態支援
なんて言うか変態の上にドがついて、さらにTHEもつきそうな変態っぷりだなw
14 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:01:07 ID:x8Ki0JR6
それでは投下開始します
何よ、この使い魔。
最近はいい子にしてたから、ご褒美に剣買ってあげたのに。
私の偉大さを見せつけてやったのに。
剣持った途端にこの有様?
平民のくせにゴーレムに立ち向かう?
バカじゃないの?
バカよバカ。
バカバカバカ。
本当にバカ。
剣なんか、渡すんじゃなかった。
翌日、トリステイン魔法学院は上を下への大騒ぎとなっていた。
賊の侵入。鉄壁だったはずの宝物庫の破壊。厳重に守られていた秘宝の強奪。
さらにそれらをやってのけたのは、巷を賑わすメイジの盗賊『土くれ』のフーケ。
まさに学院創設以来、屈指の大事件であり、同時に、過去に例を見ない大失態でもあった。
「土くれのフーケ! 貴族たちの財宝を荒らし回っているという盗賊か!」
魔法学院にまで手を出しおって! 随分とナメられたもんじゃないか!」
「衛兵は一体何をしていたんだね?」
今は学院の全教師が学院長室に集まり、緊急の会議を行っている。
事件を未然に防げなかった原因を究明し、責任の所在を明らかにしようと言うのである。
ただしこの場に部屋の主、オールド・オスマンはいない。到着が遅れている。
「衛兵など当てにならん! 所詮は平民ではないか! それより当直の貴族は誰だったんだね!」
集まった教師の一人、シュヴルーズ女史の体が震える。
昨晩――フーケ襲撃時の当直は彼女だった。
しかし彼女は昨晩当直の任に就いていない。率直に言えばサボっていた。
事件が起こっていた時もぐっすりと眠り、すべてを知ったのは翌朝になってからだった。
「ミセス・シュヴルーズ! 当直は貴方なのではありませんか!」
「も、申し訳ありません……」
「泣いたって、お宝は戻ってはこないのですぞ! それとも貴方、『風車の鎧』を弁償できるのですかな!」
「わたくし、家を建てたばかりで……」
オスマンを欠いた中で、教師達の意見は固まろうとしていた。
泣き崩れるシュヴルーズを人身御供にして、この事件を収めようというものだ。
すべての責任がシュヴルーズにあるというわけではないが、今のところもっとも罪が重く、そして弱いのは彼女なのだ。
「これこれ。女性を苛めるものではない」
しかし、ここでシュヴルーズにとっての幸運が舞い込む。遅れてきたオスマンである。
教師達はシュヴルーズを庇うオスマンに噛みついたが、オスマンはこれをにべもなく散らした。
そして全員に問う。
「この中でまともに当直をしたことのある教師は何人おられるのかな?」
15 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:03:26 ID:x8Ki0JR6
これには誰も言葉を発しない。それが現実だった。
なんのことはない、先の会議は結局、皆が責任逃れをしたくてやっていたことなのだ。
原因の究明など本当はどうでもいい。ただ、自分に累が及ばないように事件を収拾したいだけだった。
大人らしい保身的な対応だが、この場においてそれは憚るべき非建設的な議論で、かつ無駄な争いである。
オスマンはこの事件の責任が全員――オスマンも含めて――にあると断言し、
その上で事件を解決するべきだと結論づける。
常の飄々とした態度からは想像もつかない采配ぶりに、内心で舌を巻いている者も多かった。
「……で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」
オスマンの問いに、教師コルベールが一歩進み出て説明する。
「使い魔を通して見ていた生徒が数名。ですが夜目の利く使い魔ではなかったらしく、
詳しい情報は得られませんでした。そのため、フーケを直接目撃した者は……」
コルベールは後ろを見る。
「彼女達だけです」
その視線の先にいるのは学院の生徒達。
先の教師達のやり取りを、白けた目で見つめていたキュルケ・フォン・ツェルプストーに、相変わらず無表情のタバサ。
そして――目を充血させ、目元には泣きはらした痕を残しているルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの三人だった。
……ここはどこだ?
達哉は見知らぬ街で一人、呆然と立ちつくしていた。
なぜ自分がこんな場所にいるのか。それを思い出そうとしても思考に靄がかかってしまい、判然としない。
達哉はどうしていいかわからず、とりあえず適当に街を歩き回った。
寂しい街だった。あちらこちらに破壊の跡が見られ、人はおろか犬猫や小鳥すらいない。
通りに並ぶ店は半分以上がシャッターを下ろし、残りは荒らされたのか、店内の商品が散乱している。
電車は線路の途中で停車し、車道には乗り捨てられた車が列をなしている。
街の惨状は、昔映画で見たゴーストタウンそのものだった。
そんな街を、達哉は黙々と歩き続ける。
誰かいないのか。
ここはどこなんだ。
なぜ俺はこんな場所に……
――戯言はよせ。今さら忘れたなどとは言わせんぞ。
突如、声が聞こえた。それは遠くから反響しているようでもあり、耳元で囁かれているようでもある。
どこかで聞いた声。しかし、どこで聞いたのかが思い出せない。
16 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:05:58 ID:x8Ki0JR6
「……誰だ?」
――私がわからんか? まあいい。それよりもお前、そこで何をしている?
別に何も。ただ歩いていただけだ。そう答えようとしたその時、視界が暗転する。
そして気がついてみると、達哉はトリステイン魔法学院の中庭にいた。そこはルイズに召喚された場所。
驚く達哉に、声は呆れたような口調で答えた。
――そこがお前の帰るべき場所か?
言われて、達哉ははっとする。頭の中の靄が消えて、思考がクリアになる。
……そうだった。俺には帰る場所がある。なにがなんでも、帰らなければいけないんだ。
ついさっきまで歩いていた場所――『向こう側』に。
――わかっているならば、なぜそんな場所で油を売っている。帰りたくはないのか?
「……そんなことは、ない」
一瞬の迷いを、声は聞き逃さなかった。
声は嘲笑した。
――私に隠し事は無意味だ。お前は『向こう側』に帰りたくない。帰って、独りになるのが怖いのだ。
達哉は息を呑んだ。
――帰る方法を探すフリをして、その世界に留まる理由を探していたな?
「違う……」
――主人の言うことに従うのも、寝食の見返りではない。誰かに自分を認めて欲しかったのだろう?
「違う」
――人前で『力』を隠してきたのも、面倒を避けるためではない。『平民』として、その世界に受け入れて欲しかったからだ。
「違う!」
声を必死で否定する。しかし、その一方で達哉は疑念を拭えない。
本当に違うのか? 俺は心のどこかで、この世界に甘えているんじゃないのか?
『向こう側』の景色を忘れていたのが、その何よりの証拠ではないのか!?
達哉の葛藤を他所に、声は怒りの感情を滲ませる。
――あくまで自分の非を認めないつもりか、卑しい人間め。私に隠し事は無意味だと言ったはずだぞ!
またしても視界が切り替わる。
しかし、今度はどこの風景も出てこない。一面の闇が、達哉を飲み込んだ。
――罪を認めろ! 罰を受けろ! 自分が『罪深い存在』だということを忘れるな!!
「うるさい……」
――その世界に留まり続ける限り、お前は生きているだけで罪なのだ!
「やめろ……」
――恥を知れ愚か者!!
「……ッ!」
17 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:08:07 ID:x8Ki0JR6
「黙れッ!!」
「きゃあ!?」
耐えきれなくなった達哉が叫んだのと同時に、女性の悲鳴が上がった。
……なんだ今のは?
困惑しながらも達哉は、その声に妙な既視感を感じる。
なんだか、前にもこんなことがあったような……
「タツヤさん!」
「……シエスタ?」
先ほどの悲鳴の正体は彼女だったらしい。シエスタがこちらを見ていた。
なぜか目元に涙が滲ませ、ほっとした表情で。
「よかった……目が覚めたんですね」
「……ああ」
わけがわからず、曖昧に返事をする達哉。
しかし一部の疑問はすぐに氷解した。見回すとそこは学院の医務室。
達哉は、医務室のベッドで横になっていたのだ。
俺は寝ていたのか。
すると、今のは夢――夢?
俺はどんな夢を見ていた?
寝ていた体を起こし、額に手を当てる。記憶を辿ってみても、すでに断片すら思い出せない。
いい夢ではなかった気がするが、覚えていないというのも、それはそれで後味が悪い。
「大丈夫ですか?」
顔を曇らせる達哉に、シエスタは気遣うように声をかける。
「あんなことがあったばかりですもの。気を落ち着けるために、もう少し休んでいた方がいいですよ」
「あんなこと……?」
「ゴーレムに襲われるなんて、本当に災難だとしか……。
怪我はメイジの方々が治療をしてくださいましたけど、恐怖心はそう簡単に薄れるものではありませんから」
ゴーレム……!
シエスタの言葉を皮切りに、達哉の記憶が急速に蘇っていく。
「シエスタ!」
「はい?」
「あれから何があったのか、教えてくれ!」
18 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:10:12 ID:x8Ki0JR6
達哉はシエスタから、ゴーレムが現れてから今に至るまでの、大まかな経緯を聞いた。
ゴーレムが学院を襲ったのは昨夜。今は翌日の昼前で、事件からすでに半日近くが経過している。
達哉を倒したゴーレム使いのメイジは『土くれ』のフーケ。最近城下町で話題になっている盗賊だった。
フーケは学院の宝を盗んだ後学院の外に出、現在まで行方をくらましている。
「……ッ!」
それらの情報を耳に入れ、達哉は歯噛みした。
半日もあればいくらでも逃げられる。もうこの近くにいない可能性は高い。
フーケには、聞き出さなければならないことがあるというのに……
「あの……それで……」
おずおずと、シエスタは言葉を続ける。
「タツヤさんのご主人様――ヴァリエール嬢が」
「……ルイズがどうした?」
「先ほどまでここでタツヤさんを看病していたのですが、今しがたここを出て行かれました。
フーケの目撃者ということで、学院の方々が話を聞きたいと――タツヤさん?」
達哉は呆気にとられた顔でシエスタを見つめた。
ルイズが看病?
それに……目撃?
「ふうむ……」
オスマンは神妙な顔つきで自分の髭を撫でる。
残念なことに、三人の証言からもフーケの正体に関わるような有力な情報は得られなかった。
彼女らが見たのは黒ずくめのローブに身を包んだ謎の人物のみ。相変わらず年齢も性別も不明なまま。
わかったことと言えば、逃走したフーケをタバサの使い魔が追跡した結果、
ゴーレムは学院の城壁を乗り越えた後すぐに崩れてしまい、フーケもそこで見失ったということくらいだった。
これではまったく足取りがつかめない。
「後を追おうにも、手がかりナシというわけか……」
さて、どう出るか。オスマンが思案を始めたその時、部屋の扉が勢いよく開かれた。
「遅れて申し訳ありません」
やってきたのはオスマンの秘書、ミス・ロングビルだった。
本来ならこのような場合、常にオスマンの側についていなければならない彼女はどういうわけか、
朝から行方をくらませていた。皆は早速そのことを問い詰めようとするが、ロングビルは
平然とした顔であっさりと言葉を返す。
「重ねてお詫びいたします。実は朝から、調査をしておりまして」
「調査?」
「そうですわ。今朝方、起きたら大騒ぎじゃありませんか。そして、宝物庫はあの有様。
おまけに、壁にはフーケを名乗る者のメッセージ! すぐにこれが、国中の貴族を震え上がらせている
噂の大怪盗の仕業と知り、私は今の今までフーケに関する情報を集めておりました」
一気にまくし立てるロングビルに、場がどよめく。教師達が責任のなすりつけ合いをしている間、
一介の秘書に過ぎないロングビルが、早々に学院のために奔走していたと言うのだから無理もない。
オスマンもこれには驚きを隠せなかった。
19 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:12:38 ID:x8Ki0JR6
「仕事が早いの。ミス・ロングビル」
「それで、結果は!?」
興奮したコルベールが後に続く。
「はい。フーケの居所がわかりました」
これには部屋の中にいたほぼ全員が仰天した。例外はロングビル自身と、タバサのみである。
「近在の農民に聞き込んだところ、近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです。
おそらく、彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと」
黒ずくめのローブ、という単語にルイズはピクリと反応する。血走った目にさらに熱がこもる。
一方で、オスマンの目も鋭くなった。
「そこは近いのかね?」
「はい。徒歩で半日。馬で四時間といったところでしょうか」
「すぐに王室に報告しましょう! 王室衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けてもらわなくては!」
コルベールが叫ぶ。他の教師達もこれに同意しかけたが、それよりもオスマンが怒号を発するのが早かった。
「馬鹿者! 王室なんぞに知らせている間にフーケは逃げてしまうわ!
大体、身にかかる火の粉を己で払えぬようで、何が貴族じゃ! 魔法学院の宝が盗まれた!
これは魔法学院の間題じゃ! 当然我らで解決する!」
重要なのは宝ではない。盗まれた秘宝『風車の鎧』は、所詮はオスマンの私物。
なくなって懐が痛むのはオスマン一人だけである。しかし『こと』はそれだけでは収まらない。
学院を守る屈強な衛兵、優秀なメイジを謳う教師陣、そんな教師達の下で日々腕を磨く、若く有望な貴族の子弟。
今回の事件は、彼らすべての信用を完全に失墜させる。
最早プライドだけの問題ではない。このまま事件を放置すれば学院は軽視され、
入学を希望する貴族の減少を招きかねない。卒業した貴族の信用にも関わるだろう。
押し寄せる問題はそれこそ山のようだった。
フーケは秘宝と共に、学院の『名誉』を奪って行った。
それだけは、なんとしても学院の手で取り返さなければならない。
この期に及んで外部に頼ってしまえば、『名誉』は永遠に戻ってはこないのだ。
「フーケの捜索隊を編成する。我と思う者は、杖を掲げよ」
厳粛な響きで以て、オスマンはその場にいた全員に声をかける。
しかし、誰も杖を掲げない。教師達は皆尻込みをしていた。
これにはオスマンも呆れる。
「おらんのか? おや? どうした! フーケを捕まえて、名をあげようと思う貴族はおらんのか!」
それでも、誰も動かない。彼らは皆トライアングル以上の優秀なメイジだが、
優秀なメイジ=優秀な戦士というわけではない。
ここで杖を掲げるような気骨があれば、昨夜の内にゴーレムに戦いを挑んでいる。
つまりはそれが答え。平民には決して見せない、彼らの実態だった。
軽い失望を覚えたオスマンがさらに声をかけようとしたその時、さっと一本の杖が掲げられる。
と言っても、それは教師達の中からではない。シュヴルーズはその人物を見て驚きの声を上げた。
「ミス・ヴァリエール!」
20 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:14:56 ID:x8Ki0JR6
杖を掲げたのはルイズだった。
ルイズは睨みつけるような目で杖と、その場にいた全員を見据えている。
「何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて……」
「誰も掲げないじゃないですか!!」
ルイズの体が震える。恐怖からではない。彼女にとっては非常に馴染みの深い感情、怒りによってだ。
ただし、その密度はこれまで誰も見たことがないほどに煮詰まっている。
憤怒に彩られた表情は、元の顔の造形が秀逸であるだけに余計に恐ろしいものとなっていた。
「私はフーケに……使い魔を傷つけられました」
ルイズは内面の激情を押し殺し、形のいい唇から淡々と言葉を紡いだ。
「使い魔の負った傷は私の傷も同然です。私は、私を傷つけたあの盗賊を絶対に許しません。
必ずや、この手でフーケを捕らえてご覧に入れます!」
「しかしだね、ミス・ヴァリエール。君の魔法は――」
『ゼロ』を知る教師の一人が声をかける。ルイズはその教師に目を向けた。
「……ならば先生が行かれるのですか? 昨夜フーケを取り逃がした先生が?」
「いや、それは……」
「私の使い魔がゴーレムと戦っている間、先生は一体何をしていらしたんですか?
ベッドの中で震えていたのですか!?」
「な――!?」
教師の顔が引きつる。
「盗賊に怯えるなんて、それでも貴族ですか!? 先生方がフーケを捕らえていれば、今頃は……!」
「ミス・ヴァリエール!」
さらに言葉を続けようとしたルイズを、オスマンが制した。
「それ以上は言うでない。教えを請う身で教師に説教なぞ垂れてはいかんぞ」
「……はい。申し訳ありませんでした」
ルイズはうなだれる。先の発言内容は本来なら厳罰ものだったが、オスマンの後に続く者はいない。
ルイズ自身の報告から、彼女の使い魔が今どうなっているかは全員が聞いていた。
「しかし、君の言うことももっともじゃ。結果としてワシらは、本来の職務を
使い魔に肩代わりさせてしまった。そのことに関しては、後で君の使い魔に礼を述べねばならん」
オスマンはふっと笑う。
「……君はよい使い魔に巡り会えた。これは大変な幸運なんじゃぞ?」
「……お褒めに預かり、身に余る光栄と存じます」
ここでようやくルイズは笑顔を見せた。儚い笑顔だが、オスマンはそれを見て満足した。
そして厳かに告げる。
「ミス・ヴァリエール。君は生徒、つまり学院の人間であり、フーケを追う明確な理由と意志を持っておる。
よって捜索隊への参加を許可しよう。しかし貴族たる者、一度吐いた言葉は必ずや実現せねばならんぞ?」
ルイズは頷いた。
21 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:17:16 ID:x8Ki0JR6
「さて、他に有志はおらんかね? まさか生徒一人に行かせるつもりではなかろうな?」
オスマンの声に、今度はすぐに杖が掲げられた。ただし、またしても予想外の方向から。
「君もかね、ミス・ツェルプストー」
「ヴァリエール一人に手柄は譲れませんわ」
仕方がない、といった調子でキュルケは掲げた杖をひらひらと振ってみせる。
そんなキュルケに呼応するように、もう一本杖が掲げられる。
「タバサ。あんたはいいのよ。関係ないんだから」
「心配」
タバサはこともなげに言う。その姿を見て、キュルケとルイズは自然と笑顔になった。
オスマンも楽しげに笑う。
「では、君達に頼むとしようかの」
「オールド・オスマン! わたしは反対です! 生徒達をそんな危険に晒すわけには!」
「では、君が行くかね? ミセス・シュヴルーズ」
「い、いえ……、わたしは体調がすぐれませんので……」
やれやれ、とオスマンは肩をすくめた。
「……彼女達は敵を見ている。その上、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いておるが?」
『シュヴァリエ』。それは王室から与えられる『騎士』の称号である。爵位としては最下級に位置するが、
純粋な実力や功績のみを評価されて与えられるため、下手な称号よりも敬意を払われる。
そんな称号がタバサの年齢で与えられるのは非常に稀である。異常と言ってもいい。
もちろん周囲は驚いたが、それを受けてもタバサは「だからどうした」と言わんばかりに超然としていた。
彼女は他人の評価を気にしない。
「また、ミス・ツェルプストーはゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、
彼女自身も優秀な『火』のメイジであると記憶している」
キュルケは得意げに髪をかきあげた。
「そしてミス・ヴァリエール。公爵家に名を連ねる君の気高き血筋と魂、期待しておるぞ。
遠慮はいらん。盗人風情にその意地を見せつけてやるのじゃ」
「はい!」
ルイズは力強く答えた。
「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」
オスマンの言葉にルイズ、タバサ、キュルケの三人は真顔になる。
それからさっと姿勢を正して直立すると「杖にかけて!」と同時に唱和した。
最後にスカートの裾をつまみ、恭しく礼をする。
この瞬間、生徒のみによって構成された『土くれ』のフーケ捜索隊は、正式に学院より認可された。
22 :
罪深い使い魔:2007/11/21(水) 10:19:57 ID:x8Ki0JR6
予想外の形で今後の方策は確定し、会議は終了した。
皆は解散し、今部屋に残っているのはオスマンとコルベールのみである。
コルベールはオスマンに疑問を投げかけた。
「本気ですか、オールド・オスマン。生徒達だけに盗賊の捕縛をまかせるなどと……」
「では君も参加するかね?」
「わ、私は……」
戸惑いを見せるコルベールにオスマンはほっほっ、と笑ってみせる。
コルベールが杖を掲げなかった理由をオスマンは知っていた。
「よい。今回は君の助けも必要なかろうて」
自信満々にオスマンは言うが、コルベールの表情は晴れない。
「しかしフーケはあの『ガンダールヴ』を下したのですぞ。それも未だに意識を取り戻さないほどに――」
「その『ガンダールヴ』というのは」
オスマンは部屋の扉を見やる。
「先ほどドアの外で聞き耳を立てていた者のことかね?」
コルベールははっとして扉を振り返る。
もちろんそこには誰もいない。少なくとも『今』は。
「心配はいらんよ、ミスタ・コルベール。シュヴァリエを含むトライアングルメイジが二人と、『ガンダールヴ』。
そして『ガンダールヴ』を召喚せしめたメイジの編成で負けはない」
オスマンは笑みを深める。
「なりは子供でも、この捜索隊は当学院の切り札(ジョーカー)じゃ。
フーケのやつには、せいぜい粟を食ってもらおうかの」
投下は以上です
これにて今日はお暇させていただきます
乙ー
GJ
GJ!
たっちゃん今回良いとこなしだなw
次回に期待してます!
「アテナよ…これは一体どういうことだ?」
ルイズがクレイトスさんを召喚してしまったら凄いことになるな
ギーシュのワルキューレやフーケのゴーレムにCSアタック決めたり
勢い余ってルイズやキュルケに対してもCSアタックをですね…
あ−管制塔管制塔。
今現在滑走路空いておりますか?
クリアならばランディグの許可願います
クレイトスさん…キュルケの夜這いイベントで先に達して「チッ…」とか言われてみてぇw
予約ないなら投下しちゃいますよ−?
五分後くらいに
かもんかもーん
問題ない。ゴーだ。オーバー
「あ・・・あの・・・ミズヴァリエ−ル・・・」
「なんて顔してんのよ!決闘するのはあんたじゃなくてあたしなんだから」
「で・・・でも・・・あの・・・」
「だ−いじょ−ぶよ!たかがドットメイジ程度の邪魔する奴は指先ひとつでダウンよ!」
「でも・・・」
「気にすんなっつってんのよ!
平民如きが貴族様の心配しようなんて一万年と二千年早いわ!
とりあえずクックベリ−パイでも焼いて待ってなさい」
食堂を飛び出し、見えないところまで来て誰も居ないのを確認してから、ルイズは真っ青な顔で壁に縋り付く。
シエスタに言った言葉は嘘だ。
現状の、魔力と扱える適性の数のみで評価するシステムでは確かにギ−シュは無能と呼ばれても仕方がない。
しかし彼は、それをカバ−すべく己の魔法を徹底的に練りこんだ。
深夜裏庭で鍛錬を続ける彼の姿を窓から幾度となく見かけたルイズは、彼の努力を知っている。
その結果、ドット程度の魔力でありながら瞬時に六体ものゴ−レムを作り出し、完璧に制御可能なまでになった。
白鳥は水面下で必死に漕ぐ足を他者に見せる事無く泳ぐように、彼は己の鍛錬を他人には決して見せない。
恐らくモンモランシーにも。
だから判る
自分は勝てない
決闘に負けるのは別に怖くない
「負ける」という事実が怖い
これまで徹底的に他人と関わる事を、そして争い事を避けて来た
他人と関われば自分が無能と思い知らされるから
自分の心が折れてしまうから
だから だけど でも
今から逃げる・・・・馬鹿言っちゃあいけない
それはシエスタを、マルトーを・・・切り捨てるという事だから
笑うことを知ってしまった自分はもう・・・ひとりぼっちには耐えられない
でも だって だから それでも
懊悩していた自分を、唐突に暖かいモノが包み込む。
「セ・・・ト・・・・?」
「大丈夫よ、ルイズちゃん」
「落ち着いた?」
冷えた果汁水を飲み干したルイズは瀬戸に問う。
「あたし・・・・どうすればいいんだろ・・・」
「だからね、大丈夫なのよルイズちゃん。
あたしは多少人を使う仕事をしてた。
だから判るの。目の前に居る人が何が出来るか何が出来ないか。
ルイズちゃん、あたしはね・・・人に出来ない事をしろって言ったことは一度もないわ」
生命の限界までぎりぎり振り絞って、やっとのことでかろうじて出来ることをしろって言った事はあるけどな。
「だから、ギ−シュちゃんが強いのも判る」
「ならなんで!」
「だから ルイズちゃんも出来る事をやればいいのよ。
出来ない事をしろ、なんて言ってないんだから」
33 :
ゼロの女帝:2007/11/21(水) 11:19:53 ID:aeMKuUGT
ちと短いですが、今回はこの辺で
ちなみに「ギ−シュのゴ−レムは七体だ」というツッコミが入るだろうということであらかじめ
彼はいざというときに備えて周囲には作り出せるゴ−レムの数を少なく思わせています。
彼の努力を見ていたルイズですら、最大六体だとしか知りません
支援
支援したつもりが終わってたGJ!
>>33 突っ込まれてもあえて何も言わずに決闘で書いたほうがよかったんじゃあ……
GJ
>35
ここだと、そういう設定違いにはうるさいからな
後になって真実を明かして驚かせる、なんてことするとこらえ性の無いのが集中砲火に来るから先に明かした方がいいと思う。
>>36 読者として「ここ間違ってるぞ」と思っていながら読み進めて、
実は作者の手のひらの上で踊らされていると知った時の悔しさと嬉しさ。
自分が本を読むのをやめられない要素の一つ。
使い魔消失事件は上手かった
罪深い使い魔おつかれ!
さっき読んだ。
次回はロンギヌス・フーケ戦か?
ジョーカーがどうかかわってくるのかも気になる。
アルビオン編だとレコン・キスタの裏でラストバタリオンも出てきそう。
それにしても達哉の報われなさときたら……(涙)
罪世界の人間は罰世界が造られると同時にシンクロして消えたようにも夢の内容ではとれる。
ルイズが達哉の過去を知ったら待遇を改めてくれる……可能性が想像できねえ。
ガンパレネタでルイズ、シエスタ、キュルケ、タバサ、ギーシュがガンプの誇りを持ってる話を書こうかと思ったけどすでにゼロのガンパレードで似たようなのがやられていたのでやめたよ
フォン・ゼークトの組織論より「利口な怠け者は指揮官に、利口な働き者は参謀に、
無能な怠け者は兵隊に、無能な働き者は銃殺にしろ」
これをゼロ魔にあてはめると、ほとんど魔法使えないのにでしゃばったりえらそうにしている
初期のルイズは銃殺刑だな。
>>41 無能な働き者は銃殺にするしかない理由
『無能なので間違いを起こすが、無能なので間違いに気づかず
しかも働き者なので気づかぬまま間違いを幾度も起こすため』
……うん、軍隊だったら即刻軍法会議だ
確かになあ、初期のキャラの大部分は銃殺刑になるな
逆に銃殺刑にならない奴と言うとタバサとコルベールとオールド・オスマンくらいじゃないか?
ゼロのインパール作戦
>>43 司令官タイプ
オールド・オスマン
参謀タイプ
タバサ、コルベール
他は銃殺だよなぁ・・・
>>44 味方を大量虐殺した無能が戦後、ふんぞり返って生きる話か。
>確かになあ、初期のキャラの大部分は銃殺刑になるな
何、初期キャラの大部分がムカつくって?
そこは逆に考えるんだ
そういう連中がルイズの使い魔に影響されて、成長もしくは変化していくのを見れると考えるんだ
まあ、人によっては好みがあるからね
感情の起伏が激しすぎるルイズがお気に召さない人もいれば、男をとっかえひっかえなうえに
ルイズのことを気にかけている割には「ゼロ」連発するキュルケはデリカシーに欠けると嫌う人もいる
>>45 そこは
指揮官 オールド・オスマン
参謀 コルベール
兵隊 タバサ
だと思うぞ
参謀は確かに少々迷うがコルベールの方が向いてると思う
『有能な怠け者』→指揮官にすえろ
面倒ごとは他人を利用する。自分が楽をするため、
常に最小限の労力で最大限の効果が出る作戦を立案できる。
有能だから、そういったやりくりは無駄に上手い
『有能な働き者』→指揮官はやらせず、参謀どまりにせよ
なまじ有能で働き者なので他人の能力を信用できず自分で何でもやりたがる。
完璧であろうとして、あらゆる場合に万全に対処できるような戦略的優位の確保 の労を惜しまない。
しかも働き者で完璧主義だから、それら策を考案することに関しては一流
『無能な怠け者』→連絡将校や一般兵ぐらいはできるだろう。
無能なので間違いは犯す。
でも怠け者なので、間違いに気づかずとも繰り返すことはない。
>>48 タバサは少なくとも有能だとおもうがね。
それにこの組織論は結構極論だからなw
あの、wikiに収録された自分の作品の、誤字を直すのって勝手にやっていいんでしょうか?
ゼロのガンパレード読み直していたらブータとルイズ達がかっこよすぎて惚れたw
前スレ埋まった
乙
1000行かなかったか
…警告!
目標上空に到達。これより投下を開始する。
嫌な人は、ただちに退避されたし。
繰り返す、ただちに退避されたし…!
>>56 内容にもよるが避難所のほうがよくないか?
避難所だよな、基本的に。
てか腐ったオナゴは帰れよ
いや、やばい表現とか作品とのクロスじゃないんですがね。
一応、嫌いな人にはスルーとか、専ブラ使用を通達…ってな感じで。
テンプレに違反してなかったり避難所向きのようなものだったりしなければいいんじゃん?
紛らわしい事書かないように。
ちょっと日本語おかしかった。
違反してたり。ね。
…済みません、気を付けます。
…授業が行われる教室の構造は、大学の講義室と凡そ変わりない。
半分に切った擦り鉢の様な石作りの部屋に、階段状にしつらえられた机と椅子が並んでいる。
ルイズと共に龍麻が入室するや、あちこちで笑い声が上る。
笑い声の元を睨みつけつつ、ルイズは席の一つに着くが、龍麻は部屋の最後部の壁際…、部屋全体を見回す位置に立つ。
龍麻が見た限り、生徒連中は全員が大なり小なり、使い魔らしき生物を引き連れていた。
――まあ猫や鴉、大蛇や梟とかはまだしも、例のキュルケが連れていた火トカゲに始まり、コンピューターRPGや
幻想小説にのみ存在し得た筈のクリーチャーが当たり前の様にいる光景には、それなりに
『経験値』を蓄えている龍麻といえど、感心や呆れとは無縁で居られなかった。
(よくもまあ…。此処は本気で何でもアリというか、とんだお化け屋敷だな……)
内心で呟いていると、扉が開き紫色のローブと同色の帽子を被った、教師と思しき中年の女性が現れた。
その際、真意は兎も角シュヴルーズと名乗ったその教師が放った一言が引き金で、
教室中の生徒連中が笑い出し、ルイズと近くにいた男生徒が口喧嘩を初めたが、
彼女は魔法で黙らせると授業に入る。
(…一体、何をやらかしたかは分からんが、俺を召喚び出した事も含めて、露骨に見下されているな、あいつは……)
そのやり取りを見た龍麻は疑問を抱きつつも、手にした情報端末に素早く授業の内容を打ち込んでいく。
――曰く、『火』『水』『土』『風』、そして喪われたとされる『虚無』という、五つに系統される魔法。
『土』の魔法だと、建築や鉱業、農業の殆どが魔法とその成果により、支えられている等……。
(成る程。別段『土』にとどまらず、「こっち」は科学に替わり、社会生活の何もかもが魔法とそれを扱う魔術師に
依存、って事か…。「向こう」とは比較する事自体が間違いだろうが、えらく歪な世界だな…)
そうして、龍麻や生徒連中の前でシュヴルーズ教諭は『土』の魔法の基本という、『錬金』で
いとも簡単そうに教卓の上に置かれた石を、金属へと変えてみせる。
「ゴゴ、ゴールドですか? ミセス・シュヴルーズ!」
「違います。ただの真鍮です。ゴールドを錬金出来るのは『スクウェア』クラスのメイジ
だけです。私はただの…『トライアングル』ですから……』
キュルケとシュヴルーズ教諭の会話を聞きながら、龍麻は驚きを声に出していた。
「話の内容から、「有り」かもとは思ってたが、まさか真物の錬金術にお目に掛かれるとは…!
あいつが見たら驚喜するだろうな、多分……」
『トライアングル』やら『スクウェア』の意味も含め、今夜にでも煩がられない程度に雇い主に質問してみるかと、龍麻が考えている所に。
「それでは、おさらいも兼ねて…ミス・ヴァリエール。あなたにやってもらいましょう」
「え? わたしですか?」
「そうです。ここにある石ころを、望む金属に変えてごらんなさい」
――瞬間。
ざわ…ざわ……。
室内の雰囲気が変わった事を龍麻は気付かされ、その強張った空気の中、キュルケが口を開いた。
「先生。それは、止めといた方がいいと思いますけど……」
「どうしてですか?」
「危険です」
その発言に教室中の生徒が頷いてみせるが、シュヴルーズ教諭は取り合わず、
ルイズに『錬金』を使うよう促し、彼女も真剣な面持ちで教卓の前に立つ。
「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」
杖を構え、呪文の詠唱に掛かるべく目を閉じ、精神を集中させるルイズ。
一方で、他の生徒連中は姿勢を低くして机の陰へと入ったり、耳を塞いで足早に後ろの席へと下がる…と、いった行動を取っている。
「――もしかしなくても、ヤバそうだな…」
流れと雰囲気から、事の剣呑さを感じた龍麻も用心の為、近くの机を盾にしつつ、ルイズの様子を見守る。
――詠唱が終わり、杖を振り下ろした瞬間。
拳大の石ころの表面が一瞬輝き…轟然たる爆発を引き起こした。
教卓は爆砕し、至近にいたルイズらは爆風で吹き飛び、黒板に叩きつけられたり、床に這う。
部屋を満たす煙と破片。悪罵混じりの悲鳴に窓硝子の割れる音。更には部屋にいた使い魔達が好き勝手に暴れ出すわと、収拾が付かない有様である。
生徒達の学び舎は、さながら爆弾テロの現場も同様の惨状を呈していた。
「……。此処はボスニアの南か、北アイルランドやヨハネスブルグなのか…?」
唖然とする龍麻。一方で、
「だから言ったのよ! あいつにやらせるなって!」
「もう! ヴァリエールは退学にしてくれよ!」
等と、一斉に上がる糾弾の声。
事の当事者たる二名…、床に倒れ伏したシュヴワーズ教諭を余所に、ルイズが立ち上がる。
外傷こそ無いが、髪や服に外套は所々が裂け汚れて、全身埃塗れに煤塗れ。
火事で焼け出された難民もかくやな格好である。
ひーちゃん支援そして魔人氏の投下終了10分後くらいに投下予約。
「――無事だったか。柔弱(やわ)そうで案外、タフな奴だな」
龍麻が呟く中、ルイズは顔や服の汚れを払いつつ、普段と変わらぬ声で言う。
「ちょっと失敗みたいね」
「ちょっとじゃないだろ! ゼロのルイズ!」
「いつだって成功確率、殆どゼロじゃないかよ!」
「いい加減にしろよな! ほんとに!」
「反省がないぞ、反省が!!」
が、言い終わるが早いが、声量・数共に、数倍する生徒らのブーイングの前に掻き消される事になる。
(――成る程。『ゼロ』ってのはそう言う意味だったのか。しかし…この件の後始末は俺ら、なんだろうな……)
――程無くして、騒ぎを聞き付けて来た他の教師達により、シュヴワーズ教諭は医務室へと担ぎ込まれ、
他の生徒達には昼迄の自習が言い渡された。
そして、騒ぎの張本人たるルイズ本人には、ペナルティとして魔法を使わず(元々使えないが)に、部屋の後始末と修繕が命じられる事となる。
恨みがましい視線と罵声にイヤミを投げ付けながら、生徒連中と教師達が教室を後にすると、
残った二人…は荒れた室内を見回すと、それぞれの表情で溜め息をついたり、以後の段取りを立てたりする。
「…取り合えずは、だ。着替えて来たらどうだ? で、帰りにバケツに水を汲んで持って来てくれたら、その分早く終わるんだけどな」
ちら、とルイズの格好を見やって龍麻はそう声を掛けると、早速仕事に取り掛かる。
――割れた硝子を掃き集め、元教卓な破片や壊れた机に椅子等と纏めて室外に出す。
暫くして、着替えを済まし戻って来たルイズが(以外にも)バケツを持って来てくれた事に礼を言うと、また次の作業に移る。
元来、龍麻は嫌な事から先に片付ける主義であり、本質的には勤勉を尊び、怠惰や手抜きを嫌う。
ルイズから場所を聞くと、倉庫から予備の机や教卓を運び入れ、所定の位置へと据え付けていく。
「…もう、わかったでしょ」
かたや、嫌々といった動きと表情で、机の汚れを拭くルイズがふと口を開いた。
「話は後だ。口より手を動かさないと、終わらないぞ」
「うるさいわね! 今だって、何にも考えてないような顔して、あんたも内心じゃわたしをバカにしてるんでしょう…!?
ええ、そうよ。あんたが気にして、キュルケや他のクラスメイトが言った通り、わたしは魔法が使えない、成功しない、『ゼロ』のルイズよ!!」
突然の癇癪にも、手を止めず、振り向かずに応じる。
「勝手に決め付けるない」
「ふんだ! 口では何とだって言えるわよ!」
床か机を蹴り付けたらしき音と同時に、憎まれ口が飛んでくる。
「そう思うのは勝手だが…、大体、何を根拠に俺もそうだと、決め付けて掛かるんだ?」
言った所で水掛け論にしかならんと思いつつも、応じる。
「また、白々しい事を! いつも、誰も彼もそうだったわよ!! みんな、わたしのした事を見た後で、
白い目で見て笑うのよ! 貴族なのに、メイジなら誰でも出来る事、初歩のコモン・マジックさえ出来ない、半端者の『ゼロ』だって!
わたしだって…、わたしだって好きで爆発させてる訳でも無いし、失敗したい訳じゃないわ…!!」
「なら尚の事、一緒にするな。失敗したといっても、まだ取返しが利かん事は無いだろ。捨て鉢に成るのはまだ早い。
俺はお前が何者だろうが、含む様な所は無いし、他人を下に見て、自分が優れてると思いたがってる輩なぞほっとけばいい」
そう言っても、まだ棘の有る視線が無形の針となってこちらに突き立てられるのを感じ、龍麻はルイズの方へと振り向く。
両者の身長差は30cm以上あるのだが、ルイズは両手を固く握り締め、
唇を一文字に引き絞った、険の有り過ぎる表情で睨み上げて来る。
「…何よ。言いたい事があるなら、言ってごらんなさいよ! 使い魔風情が何をさえずるか、聞いてあげようじゃない」
「俺は魔術師じゃ無いし、この世界の事はまるで分からん。だからお前の抱えた問題だって解決は元より、
助言一つ出来んが…経験上、これだけは断言出来る。《力》の有無で、人間の有り様や値打ちは決まりはしない、ってな」
ルイズの顔を真っ正面から見据え、言い切る。
「…『信じろ』なんぞと、図々しい事は言わない。俺は、原因や理由次第では失敗した奴に怒りはするが、
それを盾にして相手を一方的に謗り、辱める様な真似はしない。この一件にしても、怒る様な事では無いし
『ゼロ』だ何だの、俺には関係無い。お前が、俺の中の仁義や良心に背いたり、どう考えても間違った事を手を染めない限り、
此処にいる間はお前の手伝いと外敵が現れた時はそれを追い払うのが仕事だし、今はそれをこなすだけだ」
一息に吐き出した後、背を向けて掃除を再開する。
「…悪い。随分勝手というか只、一方的に言いたてただけだったな。聞き流してくれていい」
――何の《力》を持たずとも、己の信じる所を貫き徹して、理不尽や現実に立ち向かった者がいた。
酷い逆境や業を抱え、あるいは自分の無力を嘆く事はあっても尚、『護りたい』と
いう想いを一心に抱いて、前を見続けて歩く事を諦めなかった者も、男女問わずいた。
(いや、特別な《力》で無くたっていい。小さくとも他人からの吹聴や外圧を撥ね除けるだけの、
『何か』を自分自身の裡から見出だせりゃ、こいつも変わっていけるとは思うんだが…。こればっかりは、
他人がどうこう出来る訳でも無いしなあ…)
再び、床や壁の汚れを雑巾で拭き清めながら、龍麻は思案する。
「………」
龍麻からルイズの表情は窺えないし、黙り込んだままだが、それでも彼女が先程迄振り撒いていた癇気が僅かながらも、下がったのが感じられた。
…駄菓子菓子。会ったばかり、しかも第一印象とそこからのやり取りも加え、両者の関係は確認する迄も無く最悪に近い訳で。
そんな人間から何か言われた所で、古くは物心付いた頃からだろう鬱積した澱みや、激情等が抑まる筈も無く。
「…取り敢えず、あんたの言い分はわかったわ。随分と言いたい放題、無礼勝手な駄犬だけど、
ご主人様を立てるって事ぐらいは弁えているようね」
そんな、不機嫌さに満ちた声が背後から響いて来る。
「…で、何が言いたいんだお前?」
「簡単よ。残った場所の掃除、全部あんたがやりなさい。わたしの手伝いをするのが、あんたの仕事でしょ?
何か間違ってる?」
当然の様に言い放ち、雑巾を放り出すと、ルイズは出入り口へと足早に向かう。
「って、お前は何処へ行くんだ?」
「食堂よ。そろそろお昼の時間だし、午後からの授業の用意もあるもの。
…いい? わたしがいないからって、さぼるんじゃないわよ?」
等と、腰に手を当てながら念入りに釘を刺す。
「あっそ。行くならどうぞ。この程度なら、一人でも手は回るしな」
「ええ。そうさせて貰うわ。終わったら、知らせに来なさい。終わる迄、ご飯ぬきね」
(…言うと思った)
踵を返し、教室を出て行くルイズを見送ると、龍麻はバケツに汚れた雑巾を浸す。
そこから暫し、時は流れ……。
「ふう…」
昼を告げる鐘の音が室内に谺するのを聴きつつ、教室内を見回す龍麻。
床や壁、黒板に机迄もが輝く程に…とはいかないが、ルイズかやらかした爆発事故直前に近い状態にはなっていた。
「この待遇も、“積悪の報い”って奴かもなぁ……」
慨嘆を洩らしながら、掃除用具一式を元の場所に戻し終えて、龍麻は事の次第を報告すべく、教室を後にした。
69 :
書いた人:2007/11/21(水) 20:43:09 ID:GbKFSPoC
…投下終了です。
今迄、言いそこねてましたが、形だけでも支援してくれた方には感謝してます。
では次の方、いらっしゃったらどうぞー。
んでは遠慮なく。そろそろ行かせてもらいまーす。
----------------------------
ご奉仕 その1
それは彼が現在のご主人――
巨乳で頭の弱い剣道少女と出会う少し前の物語。
貧乳で無能な魔法使い少女の許で働いていた頃の物語……。
今度ばかりは失敗するわけにはいかない。
決意を新たに、ルイズは召喚の呪文を唱え始める。
すでにクラスメイトたちは皆使い魔を召喚し終えていて、大小様々玉石混淆であるが、皆己の使い魔を得ている。
いけすかないゲルマニアの女、キュルケに至ってはサラマンダーなどという大物を手にしているのだ。
ここで、ここでなんとかキュルケに負けないような使い魔を得て、「ゼロのルイズ」という不名誉な二つ名を返上しなくては。
そう思えばこそ、詠唱にも力が入る。オリジナルの呪文を混ぜてしまうほどに。
「――我が導きに答えなさい!」
呪文を唱え終え、杖を振り下ろした瞬間。
――いつものように爆発が起きた。
煙が晴れ――そして、
「ヌウ……ここはどこだ?」
場の空気が一瞬にして凍りつく。
爆煙の中から現れたのは一人の男だった。
背の高さは推定でも優に200サントを越えるだろう。小柄なルイズからすればまさに見上げるほどである。
剥き出しになった二の腕はルイズの胴ほども太い。鋼のようなその筋肉は見せ掛けではないことが一目でわかる。
ボサボサの髪は長く背中まで届いていて、まるでそれ自体が一つの生き物であるかのように蠢く。
大きな口から覗く歯は不釣合いなほど白く、そして鮫のようにギザギザと尖っている。
その瞳には、内に潜む凶暴さが滲み出てくるような鋭さがある。
野卑ていると言えばそれまでだが、それよりむしろ野生的と評したくなるような独特の気配が全体から漂ってくる。
龍や鳥といったまともな使い魔である以前に、まともな人間であるかも怪しい。
平民か貴族かどうかとかいう、それ以前の問題だった。
だがそれはいい(本当はよくないけれど)そこまでははいい。問題なのはその男の服装であった。
黒い血を落としたような漆黒のスカート。悪魔のマントが如く禍々しく翻るエプロン。
顔の半分を覆いつくす仮面と一体化したヘッドドレス。
細部こそ大きく違えど、それは学院の食堂で、実家の屋敷で、王宮の廊下で、ルイズが幾度となく目にしてきた存在。
そう、紛れも無く『それ』は……。
メイドだった。
「な、な……何なのよアンタはああああああ!?」
ルイズの疑問は当然のこと。およそ目の前に居る物体がまともな使い魔であるとは思えない。
男はそんなルイズの叫びに動じもせず、不敵に笑う。禍々しい笑みが異様なほど似合っている。
「ククク……。そこの小五月蝿い桃髪小娘よ、人に名を尋ねるときは己から名乗るのが礼儀。
俺の名を知りたくばまずは貴様から名乗るのが筋だろう?」
「むっ……」
道理ではある。たとえ相手が一目でわかる変態であっても、こうまで言われて名乗らないのは貴族の名折れ。
「ル……ルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!」
男の迫力に圧されぬよう気力を振り絞り、精一杯無い胸を張ってルイズは名乗る。
そんなルイズの態度に、男は『ホウ……』と幾分感心したように息を漏らす。
「ルイズか。なるほど、その名乗りぶり、ただの小娘ではないと見た。
なればこそ、このメイドガイが名乗るに相応しい。
――では改めて初めましてだ! 俺の名はメイドガイ……。メイドガイ、コガラシ!」
大仰に手を振りかざし、拳に力をこめ、全身で言葉そのものを表現するように、
男――メイドガイ・コガラシは名乗りを上げる。
一方名乗られたルイズはというと……。
「め、めいどがい?」
目を点にして呆然とする。この男が何を言っているのか全く理解できない。
「メイドガイって、メ、メイドのメイドガイ?」
「他に何がある」
「もしかして、アンタ……メイドなの?」
「如何にも。俺こそメイドの中のメイド、メイドガイ・コガラシ!」
(いや、そんな……)
ここに来てルイズの混乱は頂点に達する。
(メイド? メイドって何?)
既にゲシュタルトは崩壊寸前。ルイズの中でメイドという言葉の意味は完全に破壊されつつある。
そうだ、目を瞑ってメイドという言葉を思い浮かべて。
メイドメイドメイド。メイドという言葉からイメージを思い浮かべる。
質素なドレス、
清潔なエプロン、
ささやかなお洒落のヘッドピース、
温かな笑顔、
可愛いらしい少女。
うん、それこそがメイド。そうよルイズ、
目を開けて前を見なさい。そこにいるのは可憐な少女――。
「ククク……。どうした小娘、白昼夢でも見ているのか?」
「いやあああああああああ!?」
牡臭いドレス、
装甲のようなエプロン、
怪しい仮面付きヘッドピース、
禍々しい笑い声、
むさ苦しい男。
およそメイドという言葉とは正反対な物体が鎮座している。
イメージとのギャップが激しいだけに、ルイズはさらなるダメージを被ってしまった。
「ムウ……。何やら良くないものでも見たかのようなリアクション。精神衛生には気をつけるがいいぞ、小娘。
しかしそんなことよりここは何処だ? 何やら見慣れぬ景色ではあるが」
「こ、ここはトリステイン魔法学院だよ、その……メイドガイくん?」
あまりのショックに廃人になりつつあるルイズを見かねて、弱々しげにコルベールが口を挟む。
「トリステインだと? 聞いたことの無い場所だな。それで貴様、何故俺がそのトリステインにいるのだ?」
「ハッ!? そ、そうよ! あんたを呼び出したのはこの私よ!」
ようやく正気に戻ったルイズが叫ぶ。
呼び出した、という言葉にコガラシは怪訝そうな顔を浮かべる。
「呼び出した? ……そう言えばここに来る途中何やら光のようなものが見えたが」
「それはきっとサモン・サーヴァントの光よ。使い魔はそうやって呼び出されるのよ」
「ホウ、使い魔だと? 貴様ごときが? この俺を?
クハハハ! このメイドガイを従えるつもりとは、こいつはとんだ身の程知らずも居たものだ!」
よりにもよってそいつかよ支援w
メイドガイ出たー!! 支援
乙。
空行いれたら?
ものすごく読みにくい。
ちゃんちゃら可笑しいとばかりに、大笑するコガラシ。
「……っ、あんたねぇ!」
余りの無礼さにルイズは一瞬言葉を失い、そしてすぐさま怒鳴り返そうとする。
だがそれをコガラシは「慌てるな」と制する。
「だが、数多あるであろう使い魔の中から選りにも選ってこのメイドガイを呼び出すとは、小娘ながらなかなかの運の良さ!
そしてさらに貴様にとって幸いなことに、このメイドガイは只今フリーの身……。
小うるさいあのドジメイドもいない今、貴様がどうしてもというのであればご奉仕してやらなくもないぞ?」
「お、お断りよ! あ、あんたみたいなへ、へへへ変態を使い魔にできるわけないじゃない!」
嫌だ。絶対嫌だ。自分の理想の使い魔は竜やグリフォンのような幻獣か、さもなきゃもっと可愛い動物なのだ。
まちがってもこんな変態ではない。
「だ、だがミスヴァリエール。
一度使い魔(なのか!?と己に問う)を呼び出してしまった以上、契約を行わないことはできないんだ。
もし契約を拒否するというのなら退学処分になってしまうが……」
コルベールが困ったように言う。
さすがに「文句を言わずコレと契約しろ!」と強くは言えないようだった。
「そ、そんな……」
無慈悲なコルベールの言葉に、ルイズは愕然とする。
そんなルイズの顔をわざわざしゃがんで下から覗き込み、これ以上ないというほど憎らしくコガラシは笑う。
「ククク……どうやらそういうことらしいな。さぁどうする小娘? 貴様の道は二つに一つ。
俺を拒んで大人しく退学処分を受けるか、それともこのメイドガイにご奉仕されるかだ!」
退学or変態のご主人様。二つの単語がグルグルとルイズの脳内で回る。
馬鹿にする級友たち。両親の失望。姉の叱咤。姉の励まし。いけすかないキュルケ。自分を友と見てくれるアンリエッタ様。
それらいくつもの言葉を経て。わずかに、極わずかに天秤が揺らぐ。
小さな、だがそれは確実にルイズの人生に決定的な楔を打ち込む揺らぎであった。
「わ……わかったわよ! 契約すればいいんでしょう!? 契約すれば!」
どうにでもなれ、とばかりに叫び。早口で契約の呪文を唱え、頭突きをするようにキスをする。
さようならファーストキス。こんにちわ変態のご主人様。
コガラシは「小娘の接吻ごときがどうだというのだ?」という態度でそれを受ける。
キスを受けたコガラシの左手にルーンが浮かぶ。
付け加えるならばそのルーンはちょっとした珍しいものであるのだが、誰もそんなことには気づいていない。
コガラシを直視するのが難しいからだ。いろいろな意味で。
「――良かろう。貴様はたった今から我がご主人だ!」
そして……大波乱を含んだ使い魔契約の儀式は終了した。
「さ、さっさと帰ろうぜ!」「ルイズ、おまえはそいつと歩いて来いよな!――なるべくゆっくり!」
使い魔を従えた級友たちは口々にルイズを馬鹿にして去っていく。
だが彼らの足はどこか急ぎ気味で、ルイズから逃げるようでもある。
さもありなん、本日この学院の生徒たちが呼び出した数々の使い魔たち。
それらの中で一番インパクトのあるものを呼び出したのは、誰あろう彼女。
ゼロのルイズその人であることは誰の目にも明らかだった。
「…………」
無言で呆然と立ち尽くすルイズ。そんなルイズを見下ろし、コガラシは「クククク……」と不敵に笑う。
「さぁ、どうご奉仕してやろうか?」
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 16歳――
ハルケギニアに渦巻く全ての陰謀を打ち砕き、メイドガイ・コガラシから解放されるまであとXXXX日……。
(続く!)
投下終了。というわけで、『仮面のメイドガイ』よりメイドガイ・コガラシです。
ギャグ系作品ってえのは、ちゃんと1話1話オチつけれて便利な反面難しい。
ではまたいずれ、メイドガイの華麗なるご奉仕の数々をお楽しみください。
[追記]
しまった、またハルケギニアって書いちまったorz ハルキゲニア、だよね?
間に合うか…?
さあ、支援。
>>76 GJ!
ここからが本当の地獄だ・・・ゴクリ
ついでに突っ込むとハルケギニアであっとるがなw
乙&GJ!
これは使い魔のルーンとは別に語るのもはばかられるwwwww
メイドガイの人GJ!
ああ、可哀想なルイズが又一人……。
後、ハルケギニアであってるよ。
>>76 乙
作者もゲシュタルト崩壊起こしとるがな
あああああ。ちゃうねん。俺もハルケギニアが正解やって知ってねん……。
でも自分の書いたのがハルキゲニアに見えたんや。
そんでさらに訂正する時に間違えたんや……。
ゲシュタルト崩壊するよな、こういう長い固有名詞はw
ルイズも哀れだが
こいつに使われるだろうデルフも不憫だw
よりにもよってメイドガイかwww
ゲシュタルト崩壊と共にGJ!
フツーの人はハルケギニアにいないのかしら……
ていうか、キュルケはこいつに欲情できるのか……?
>>82 ハルキゲニアを変換するとハルケギニアになるように辞書登録しておけば安定するよ
>88
キュルケは男の器量を見いだす女だぜ
コガラシの器量を考えれば答えは自ずと出てくる
人の話を聞かないのと暴走癖さえなければ、
普通に万能なイイオトコだと思うけどなー、メイド・ガイ。
男なのにメイド服着てる事に関しては、最早違和感を感じて無い自分が居るw
クロス先を考えるためにゼロ魔の魔法に関する世界観を煮詰めてみたら
属性…火・水・風・土・虚無
火・土→太陽 水・風→月 太陽+月=星 星≒虚無
四属性…各属性に対応する要素の操作 虚無…四属性よりさらに細分化された要素の操作
虚無が分化→四属性…太極(虚無)が分化→四象(四属性)
四象(四属性)→陽:太陽(火・土) 陰:月(水・風)→太極:星
ゼロ魔的にもOKだしCCSの設定的にも問題なし!
クロウ=リードは世界間移動を可能とするモコナ・モドキの製作に関わってるから封印の鍵や書に
世界間移動時に守護者や書・鍵・カードを主に随行させる機能を持たせてるかも!
と結論が出たんでカードキャプターさくらの木之本桜を全カード(漫画版のみ+アニメ版のみ+映画版含む)+守護者二匹とともに召喚させようと思ったが
…どう動かしたもんだかさっぱり思いつかないんだ。すまん
まぁカード使ったら「精霊を召喚した!?」って驚かれるしケロちゃんやユエさんに対してもびっくりされるわけだが。
メイドガイGJ!
人の話を聞いて暴走しないメイドガイなどメイドガイではない!
まあ今までこのスレ召喚された連中の中では大分まともなほうだもんな
>>76 逆だ逆
ハルキゲニアは大昔の生き物だよ
ハルキゲニア(Hallucigenia)は、古生代カンブリア紀に地球の海に生息して
いた、バージェス動物群に属する生物。名前は「幻覚」から由来する。
(Wiki参照)
性格はアレだがメイドとしての性能は最上級だからなぁ。
むしろシエスタさんやコックの仕事がなくなりそうで不安だw
投下よろしいですか?
支援するぜ
誰かしらワクワク
投下します
僕の名前はギーシュ・グラモン。
自慢じゃないが、成績優秀、眉目秀麗、完全無欠で将来有望な学園生徒なのだよ。
さあ、僕を殴って!(もっと)
そんな僕の唯一の悩みといったらこの溢れ出る魅力。
僕は何もしていないのに遠乗りに誘われたりするのだよ。全く困った物だよね。
でも、いまではまったくそんな気にならないんだ。
何故なら、僕の部屋にはとても奇妙な使い魔が住み着いたから。
今日も僕は、自分の部屋にノックをせずに入ってしまった。
少し前まで一人部屋だったのだからしょうがないよね。
そして、部屋の中では僕より少し年下ぐらいの女の子が服を着替えていたのさ。
しかも、素敵な物体が見えるアングルで。
僕は絶句した。
「……いやああああああ!!」
「ドクロちゃん、キミ結構大きいん、うわあああああ……」
僕の叫びは、少女の突き出したトゲトゲの付いた鋼鉄バットで中断された。
彼女が、僕の左脇腹から右上腕にかけて振り抜いたからさ。
〈じゅばあああ!!〉という音がして僕の内臓や右腕が飛び散る。
そして僕の上半身(といっても、頭と左腕と右肩しかないけど)が後ろに倒れて転がったのだよ。
彼女はとても恥ずかしがりやのようだね。
「きゃ、ごめんなさぁいギーシュ君!」
彼女は可愛らしい声で言う。そして鋼鉄のバットをくるくると回しだしたのさ。
gyaaaaa!!!
またとんでもないのが支援!
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
赤黒い僕の肉塊は、キラキラした魔法をまといながら、元に戻っていく。
僕は治ったお腹を触りながら言う。
「いきなり撲殺するなんて、酷いじゃないか!」
ドクロちゃんは、ほっぺを膨らませる。
「いきなり部屋に入ってくるギーシュ君が悪いんだよッ!」
僕はため息をついた。
実は彼女、未来からやってきた天使なのだよ。
名前はドクロちゃん。
召喚した時に彼女は言った。
「ギーシュ君、キミはこれから虚無に目覚めるんだよ。虚無は危険なんだよ、人がいっぱい死ぬんだから。だからボクは天界から来たんだよ!」
僕は驚いた。
「ほ、本当なのかい?」
ドクロちゃんは僕を見ずに。
「きっと目覚めるよ……多分」と言った。
なんてことだ。僕のほうを見れもしないなんて……なんて重い話なんだ。
少し(きっと)(多分)に引っ掛かりを感じるけど。
「だから、これから魔法を勉強したり、使ったらダメ!」
と、言われたのだった。
――これはヒストリー、虚無のヒストリー。(二回言う意味は無し)
僕とドクロちゃんの日常を描いた愛と涙と血みどろの物語。
ちなみに同級生の皆は普通に使い魔を召喚した。ただし、ゼロのルイズは平民を召喚したようだね。
まったく、虚無は辛いよ。
次回予告
昼食中に僕が落とした物は……パンツ?
何で! 何でパンツなの!!
次回
決闘だよ!ドクロちゃん!
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
支援だよ!ドクロちゃん
投下終了。多分全四回位で終わります。(ギーシュの命的に)
支援ありがとうございました。
なんという人違い・・・このギーシュは間違いなく不幸(生的な意味で)
ギーシュが虚無持ちなのにルイズはゼロのままかw
またすごいのが来たな…
ギーシュの将来に幸あらんことを…
>>106 >「きっと目覚めるよ……多分」
>多分
違う!属性:虚無なんて生易しいものでドクロちゃんがくるはずがない!
きっと、属性:木工ボンドとか属性:蟹とかなんだ!?
じゃあ属性:ダイオウグソクムシで
頭の中が虚無じゃね?
あ、なんか誰かきた。
そこで属性:ハルキゲニアですよ
ちなみに俺の属性は巨乳です。
いや、属性:ヤムチャだろ
>メイドガイ・コガラシから解放されるまであとXXXX日
最短で3年位……三日で限界をむかえそうな・・・
先程『男はつらいよ』からフーテンの寅さんこと
車寅次郎を召喚という電波を受信したんだが
どうすればいいんだろう?
燃える!お兄さんからポキール星人召喚とかを考えてしまった
あんまり覚えてないけど価値観がほぼ逆だったから
ルイズの仕打ちで逆に喜ぶんじゃないかな
CIC聞こえるか?
スレに到着したばかりで現状の確認ができない
こちらはSS投下の用意は完了している
指示を請う
聞こえた
いつでもいけるぜ支援
ゼロの悪魔召喚師 第五話
<流星>
「へくちっ!!」
さむっ、自分のくしゃみで目が覚めた
いくらなんでも、春先だからだって毛布一枚なしってのは無理がある
ベットを見るとご主人様は暖かそうに布団に包まって穏やかな寝息を立てている
この自称ご主人様は寝る前の会話でも無理やりなこと言ってたしなぁ…アイテムも持ってかれたし…
呪殺系とかメギド系のアイテム出したり銃だけじゃなくて剣もあるとか悪魔を召喚できるとか言わなくてよかった、本っっっ当に良かった
悪魔とかうかつにも口走った時は、思わず服直す振りして下向いちゃったよ、俺
ん、何か寝言を言ってるな?
「これで最後よ!ツェルプストー」
間違いなく相手を殺す時の台詞だよな…
幸せそうな顔で不穏当な寝言を言っているこの少女はDARK-CHAOS系か?
「のろいの木馬まだ余ってたよな…世界平和のためにも使っておくか…?」
馬鹿な事言ってないで寝なおそうかとも思ったが、ひとつ思いついて外に向かう
時間は夜明け前、まだ月が二つ空に輝いている
ある意味都合がいい、COMPを起動させる
月が二つあるこの世界では仲魔たちにどんな影響があるか分からない、最悪俺自身に襲い掛かってくるかもしれない
それは俺自身の死活問題に関わるし、何より生死を共にした仲魔を殺したくない
最悪すぐさま戻せばいいだけだ
……SUMMON……
……シルフ……
COMP最大の特色
悪魔召喚という不安定、不確実な事象をプログラム上の仮想空間によって召喚できるようになるシステム
悪魔召喚に必要な召喚呪文、触媒、魔法陣、儀式を必要としない
その上儀式の形式上時間の経過が必要であっても、仮想空間ゆえに時間が経過した空間を作り上げることにより瞬時に召喚を可能とする
ただし悪魔は意識体の為「こちらの世界」でその力を十分に発揮させるには、マグネタイトを触媒として肉体を構成し実体化させる必要がある
マグネタイトの消費量のことをCP(抗体ポイント)といい、これが多い悪魔ほど巨大な力を持つ
十分なマグネタイトが無いと悪魔は自身の肉体を維持できず矮小化、最悪スライム化するのだ
また仲魔は奴隷ではない、必ず代償を要求してくる
それが魔貨と呼ばれる魔界の通貨だ
彼らには分割や後払いなど通用しない、どんなに親しくしていても決して「向こうの世界」から出てこない
召喚時に支払われる魔貨、体を構成させるマグネタイト、この二つのどちらかが欠けても悪魔を使役することはできない
こちらCIC、全兵装使用自由、全兵装使用自由。
好きにやれ!
「お呼びでしょうか?召喚師さま」
風が集まり丁度1メートル位の大きさの美しい少女の形をとる
普通の少女と違うのは、背中に4枚の羽を生やしていることと空に浮かんでいること
そして常に彼女を中心にしてそよ風が吹いていることだろう
少なくとも見た目では異常は見当たらない
「…?どうしたのですか…?」
怪訝にこちらの顔色を伺ってくる
「調子はどうだ?ここはノモスどころか魔界ですらないんだ」
そう言うとシルフは目をつぶり思案顔になっている
自身の体のことをより深く感じているらしい
「特に私には問題はありません」
こちらを安心させるように笑顔を浮かべる
その答えを聞いて安堵の息を吐く
「ただし周囲のエーテル濃度はノモスよりかなり濃いです。また月の魔力も大きいです」
「エーテル濃度?」
「マグネタイトの元、ベクトルを持たない力です」
さっぱりわからん
「消費マグネタイトが少なくなると思えばいいです。詳しいことがお知りになりたいのでしたら、魔法などに詳しい仲魔を呼び出すことをお勧めします」
「悪魔にとってすごしやすいところと言うわけか」
これで安心だな
「とりあえずこの建物周囲の把握を頼む、それとほかの人間や生き物に見つかるなよ」
「わかりました」
愛らしい微笑を浮かべたまま、風を纏い飛んでいく
それを見送りながらひとりごちる
「あいつ、あんなに速かったかな?」
とりあえず部屋に戻り洗濯物を持ってくる
そして今度はサキュバスを呼び出す、別に大人の時間というわけじゃない
腰まである艶やかな金髪、体の線のハッキリする赤いレオタード、男にとって理想と言える体、健康的な肢体、それらに劣ることのない美しい顔
そんな悩ましげな美女が投げキスと共に登場する
「私と夜を楽しみたいのですか?」
妖艶な笑みを浮かべながら話しかけるものの、手にしてる洗濯物を見てがっかりする
「はぁ〜〜、洗濯なのお〜〜まぁ魔界にいたときはメイド兼護衛でしたけどね〜〜」
「そういうな、機会があれば相手してもらうさ」
ため息をつきながら拗ねているサキュバスの頭をなでながら答えてやる、いい匂いがあたりに広がる
「お前はここのエーテル濃度や月の魔力の影響は受けないのか?」
「ん〜〜、私は召喚師と契約してるから、そんなに強い影響は受けませんよ。もともと意識体だから〜〜、契約を否定することは自分を否定するのと同じだし。えっとお〜〜魔界でも契約してれば満月でも命令を聞くでしょ〜〜」
なるほどな、そう考えたことは無かったけど
そうこうしていると、シルフが戻ってきた
「この建物の周囲の確認を終えました」
「洗濯するから〜〜水場への案内よろしくね〜〜」
水場でサキュバスが洗濯をしつつ、シルフが風を飛ばして周囲に何か来ないか警戒しながら、今の状況の説明を聞いている
「そんなことがあるんですね」「信じられないわね〜〜」「俺も信じたくない」
俺は溜息と共に答えながら、改めて仲魔の様子を観察する
サキュバスはメイド服風の格好になっている、服もマグネタイトで構成されてるからな
仕事に応じて着替えてるのだ、流石は女性系悪魔だ
もちろん洗濯といっても手を使うわけでなく魔法で水を竜巻のようにして、そこに洗濯物を投げ込んでいる
「終わったわよ〜〜」「わかりました」
水竜巻から飛ばされた洗濯物は今度はシルフの作った風でグルグル回される
「どうぞ召喚師さま」
シルフの風で乾かされた洗濯物が畳まれながら手元に飛んでくる
「二人ともご苦労様、とりあえずここで使い魔しながら情報を集めようかと思うんだがお前たちはどう思う?」
「確かな情報が集まるまではそれがいいと思いますが……」
「あの娘ねぇ〜〜、情報を集めるなら私があの娘の中に入ったほうがいいきがするわぁ〜〜」
「それはまずいな、このルーンでこっちの言葉が話せるんだ。それに俺の格好はここだと目立つんだ、余計な事はしないでおこう」
「しばらくは従順に従って、帰還の手段をみつけたら即座に実行魔界に戻る。それで……」
シルフがこちらを手で制止し声を上げる
「召喚師さま、小型の竜がこちらに向かってきます」
「あら〜〜残念ね〜〜もっとおしゃべりしようとしてたのに〜〜」
本当に残念そうだ、ノモスと変わらない反応に安心するな
「どうなさいますか?」
二人ともこちらの指示を待つ
「二人とも戻って、召喚できる事自体知られたくは無いからな」
「はい、お気をつけて」「わかったわ〜〜死んじゃだめよ〜〜」
そんなに危険な場所だとは誰も言ってなかったんだけどな
そう思っていると竜が目の前に下りてくる
確かに竜族にしては小型だな、それともノモスのほうが巨大すぎるのかな
きゅいきゅい啼きながらあたりを見渡している、こちらに攻撃する意思はないないようだな
しえn
……TALKモード……
『風の精霊がいたと思ったけど、人間しかいないのね』
『ここには俺しかいないよ』
『何で竜の言葉が話せるのね!?』
竜が驚き、頭をこちらに向けてくる
『それはひ、み、つ、です』
笑いながら答える
『意地悪なのね!』
ばさばさと羽を動かす、魔獣たちの羽ばたきほどではないな
『君だって名前も知らない人間に秘密を教えたりしないだろう?』
『むーー』あ、むくれてる
対応の仕方が幼いな、幼生なのか?
『冗談だよ、俺の名前は流星さ』
『シルフィはシルフィードっていうのね』
『シルフィード?風の精霊と同じ名前だな』
返答が気に入ったのか全身で喜びを表現する
『そうなの!シルフィの名前お姉様がつけてくれたの!るーるーるー』
『シルフィも使い魔なのかい?』
『「も」って言うことは流星も?』
『ああ、そうだよ』
『凄いのね、人間の使い魔なんて見たことないのね』
ああ、人間だけじゃなく使い魔にまで物珍しがられるとは…
流石に泣きたくなって来たぞ
シルフィは楽しそうにこっちの様子を興味深く見ている
『おしゃべりしたらお腹減ったのねー、まだ朝ごはんまで時間が有るのにー』
『俺もだ、近くに川でもないか?あれば魚でもとるんだが』
下手したら朝飯自体がないかもしれない、俺の場合
『ある、ある!連れて行くからシルフィにもわけて、わけて』
笑いながら洗濯物をかかげ『洗濯物をご主人様の部屋においてきたらね』
シルフィは体を低くし『背中に乗ってー、飛べば直ぐなのねー』
シルフィードの背中に乗って、ルイズの部屋の窓から侵入する
洗濯物をテーブルの上に置き、また空の旅へと戻る
『流石に寒いな』
『すぐに着くのねー』
シルフィードが高度を落とす
『ここなのねー』
『寒すぎて風邪を引くから、薪になりそうな木を頼む。魚ならすぐに取っておくから』
『わかったのねー』
そういうとすばやく上空へ上がるシルフィード、こっちも魚を獲るか
マハジオストーンを取り出し、川へ投げる
電撃が川の中を流れ、大量の魚が浮かび上がる。
裸足になって川に入り魚を集めてると、後ろからドズンと重い物が高いところから落下した音がする
振り向くと枯れた古木が一本川辺に鎮座していました、その上に得意げなシルフィード
『これがシルフィの力なのねー』
『凄いな、シルフィ』
いろんな意味でおでれーた
『魚もいっぱいなのねー』
マハラギストーンで古木に火をつけ、暖を取る
その焚き火の周りには、枝で作った即席の串に魚が刺してありいい匂いを放っている
俺は魚の焼き加減を見ながら、シルフィードから「お姉様」の話を聞かされた
俺は魚を食べながら、シルフィードから「お姉様」の話を聞かされた
俺は帰りの空で、シルフィードから「お姉様」の話を聞かされた
俺は「お姉様」をちょっぴり恨んだ
126 :
MtL:2007/11/21(水) 22:44:51 ID:RXGJW3d6
支援!
しつつ、投下予約しますー。
そして寮の前で降ろしてもらい
『また、一緒にご飯食べておしゃべりするのねー』
『ああ、食べ物に困ったら頼むよ』
俺は笑顔で手を振りながら、「お姉様」をちょびっと恨んだ
シルフィードはそういうと空へと上がり、旋回をして見せてから消えていった
さて、ご主人様を起こしに行きますかね
ご主人様の部屋の前で赤毛の少女が立っている
「おや、貴女様はどちら様で?」
「そういう彼方は?」
「申し遅れました。私はルイズ様にお使えする使い魔の流星と申します。今後ともよろしく」
「私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ、あっはっはっは、ほんとに人間なのね」
「有名になっているようですね」
あんまり目立ちたくないんだがな
「そりゃ、ゼロのルイズだもの」
「ゼロのルイズ?」
とりあえず、ご主人が有名な人間という事と俺が目立っているという事だけはわかった
「まぁ、知りたいなら本人から聞きなさいね」
「知りたい事はほかにあるんですが、よろしいでしょうか?」
「私と付き合いたいのならお断りよ。平民の使い魔に興味はないわ」
自信ありげに笑ってるけど、サキュバスやラミアに比べたらまだまだだよ、おじょうちゃん
「そういうことではなく、何故、ご主人様の部屋の前に?」
「そ、それは……」
なんだかんだ言いつつ、ご主人を気にかけているということか……
俺は笑いながらおじょうちゃんに
「これからもご主人様をよろしくお願いします」
「私なりのやり方でよければね」
ため息をつきながら答えるおじょうちゃん
そのとき部屋の中から叫び声とドタバタという騒音が聞こえてきた
今度は俺がため息をつき、おじょうちゃんは笑いながら
「「がんばれ、使い魔生活」」
同じ言葉を放っていた
支援
ゼロのマーチー
マーチーはギーシュと決闘をする事になり、
決闘当日。
「どどど、どうしようルイズ」
「しっかりしなさいよ」
「おい、使い魔はいるか?時間だぜ?」
マリコルヌが呼びに来たが、マーチーはあわてているので
ストーブに躓いてしまう。
そしてストーブの蓋を見て、何かをひらめくマーチー。
(これならいけるかもしれない)
広場には公開死刑だと期待して大勢の貴族の子弟が集まっていたが、マーチーは遅れてやってくる。
「やぁ、ギーシュやっぱりやめないか?」
「怖いのか?腰抜けのマーチー」
「腰抜け」
「ひゅーひゅー」
ギーシュとその金魚の糞が挑発するが、マーチーはいたってクールである。
「そんな気は無いね!」
ボゴン
マーチーは青銅人形に殴られ数メートル飛ばされた
「ギーシュ卑怯だぞ!」
さすがにワルキューレで不意打ちをしたのを卑怯に思ったのか一人の観客が非難するが、ギーシュは意に介さない。
今憑いているガーディアンや車椅子の紳士が気になる支援
CIC
残弾ゼロ!支援機に感謝!
RTB!
132 :
MtL:2007/11/21(水) 22:52:35 ID:RXGJW3d6
ええと……
>>129さんが投下を始めてしまったようなのですが、どうすれば良いんですかね…?
ゼロのマーチー
「おやおや、もうKOかい?」
ニヤニヤしながら杖を片手にマーチーに近づき、体をひっくり返すのに杖でつつくギーシュ。
もはや貴族というよりDQNである
むくり
「!」
バコン
マーチーの必殺フックがテンプルにヒットする
「うぐぅ、この!」
ギーシュが力を込めてマーチーを殴るが、ゴキリといやな音がして手首が曲がる。
「あ、あいつストーブの蓋をよろいにしてるぜ!」
「な、なんてかしこさだ!」
「こ、この!」
ひるむギーシュをストーブの蓋で殴り飛ばすと、ちょうどベルダンデの糞の山に顔から突っ込む。
「こら!お前たち何勝手にケンカしているんだ!」
オスマンが鏡で見ていたのか怒ってすっ飛んできて、
結局ギーシュの負けということで勝負はついた。
「ま、マーチー!燃料が出来上がったぞ!ほら見てくれ!」
コルベールが何やら光る液体の入ったビンを嬉しそうに見せるが、マーチーは青ざめ動悸が激しくなるのであった。
次の日、マーチーはデロリアンに乗り込むと元の世界へと
出発するのであった。
To Be Continue...
投下予告もなしに投下するやつが悪い。
MTLさんカモン。
こっちのSSは終わりですので、どぞ&支援
137 :
MtL:2007/11/21(水) 22:54:49 ID:RXGJW3d6
では、11時から投下させて頂きます。
マーチーじゃなくてマーティじゃなかったっけ?
ごめんね
ルールとかよく判らなかった
今は反省している
>>139 ははは、冗談は休み休みに言って下さいよ
とりあえず半年とは言わんから半月ROMってルール学ぼうな?
そして支援
142 :
MtL:2007/11/21(水) 23:00:21 ID:RXGJW3d6
マジシャン ザ ルイズ (24)女王の召集
行き交う人の群れ、群れ、群れ。群集と言う言葉こそが相応しい光景。
賑わう王都。
それもそのはず、今は国を挙げてのお祭り騒ぎの真っ最中なのである。
数日前の夜のことだ。王都の住民達はすべからく皆、あの月光に照らされた禍々しい浮遊大陸の異様を目撃した。
南方に軍が出払って守りが薄くなったところに、図ったかのようなアルビオン軍の来襲。
王都中に動揺が走り、一時はパニック直前にまで緊張感が高まったほどであった。
しかしそれは、始まりと同様に唐突な終焉を迎えた。
『始祖の光』と呼ばれている謎の光の発現で。
王都中の民達は空を呆然と見上げ、声を失った。
そうしてその光が収まり、夜の闇が再び世界を支配したときには浮遊大陸アルビオンの姿はまるで光に溶かされた霧のように掻き消えていたのだった。
夢まぼろしのような一夜が明けた翌日、国中に王宮からの触れが出された。
そこには始祖ブリミルの加護によりトリステイン王国は神聖アルビオン共和国を退けることに成功した事実と、始祖に指名されたアンリエッタ姫が女王として即位するということが宣言されていた。
また、同時にその触れには翌日、女王の戴冠式と、戦勝パレードが行われることが示されていた。
急な通達に急な祝祭であったが、城下の国民達は王宮の目論見通りに、アルビオンのことなど忘れて喜びに沸いた。
そうして開催されているお祭り騒ぎこそ、今ギーシュとモンモランシーの前で行われている、これまでに無い規模の大祝祭なのであった。
更に、明日の夜には宮廷での舞踏会も開かれることになっているらしい。
まさに上へ下への大騒ぎとはこのことである。
「それにしても、良かったのかしら?」
「ん?何がだい、モンモランシー」
色とりどりに飾られた出店、商人らしき姿の一団が大声を出して呼び込みを行っている。
街を歩く人々は老若男女、その姿は貧者、富豪、平民、貴族と様々だ。
ある者は着飾り、ある者は身分相応の格好をし、またあるものは客寄せの仮装をしている。
そんな人ごみの海を歩く二人の手には小さな旗が握られていた。
旗には百合をかたどったトリステイン王家の紋章が描かれている。
二人はパレードで更新しているアンリエッタを一目見ようと、大通りを目指して歩いているところだった。
同じことを考えているのか、周囲見渡せば同じように旗を持って歩いている者もちらほら見受けられる。
「ルイズのことよ。あのまま置いてきちゃって良かったのかしら」
「うーん。でもほら、積もる話もあるだろうからね。何より家族水入らず二人で話すのを邪魔しちゃ悪いじゃないか」
決してルイズの姉、エレオノールが怖かったので逃げだしたなどとは、口が裂けても言えない。
「そうかしら?」
「そうだよ。帰りにでも何かお土産を買っていってあげれば大丈夫さ」
ただでさえ騒がしく雑多であった人ごみが、ますますその度合いを増してきた。
パレードに近づいている証拠である。
そんな中を歩を進める二人の前を、大柄な男が横切ろうとした。
ギーシュは慌てて足を止めたが、モンモランシーはそのことに気づかずぶつかってしまった。
「きゃっ!」
当然の帰結として弾き飛ばされるモンモランシー。華奢な体がバランスを崩して、白い石畳に尻餅をついた。
「あっ!こら!待ちたまえっ!」
ギーシュが男を呼び止めようと声を上げたが男は立ち止まらず、そのうちその後ろ姿も人の海に消えてしまった。
「いたた……」
「全く酷い奴だ。ほらモンモランシー、掴まって」
転んだモンモランシーに差し伸べられるギーシュの手。
微笑みかけた彼の笑顔が眩しかった。
支援!
すられたか?支援
支援
悪魔召喚師の人乙〜 顔に出さずに腹の底でいろいろ黒い事考える主人公がいい感じw
そしてMtLの人支援しまっせ〜
支援しようではないか。
148 :
MtL:2007/11/21(水) 23:03:26 ID:RXGJW3d6
ギーシュはモンモランシーの手を優しく握ると、今度は力強く引き起した。
彼女は意外な力強さに驚きを覚えながら立ち上がり、その姿を見て「まるで物語の中の王子様とお姫様みたいだな」と思った。
そしてギーシュの顔を思わずじっと見入ってしまうモンモランシー。
しかしそれも一瞬のこと、すぐさま我に返った。
握ったままだった手を慌てて離し、耳まで真っ赤にさせながら手をパタパタと動かして髪や服を整えた。
自分でも明らかにおかしい挙動をしているのはわかっているのだが、ギーシュのその笑顔や仕草は、思わぬ破壊力で心の城壁を打ち抜いてしまいそうだったのだ。
ありていに言えば――ちょっとときめいてしまったのだ。
(ば、ばばばば!馬鹿じゃないの!?相手はあのギーシュよっ!?ただの幼馴染よ!?)
馬鹿な考えと切って捨てようとする刹那、唐突に思い出されるウェザーライトUの艦橋。男らしく舵を握ったギーシュの引き締まった横顔。
そしてその後、自分は顔を近づけギーシュの唇にキ
(あ、あああああああああああああぁぁぁぁ!!??)
危うく掘り起こしかけた記憶を大慌てで埋める。
両手で顔を覆い、そのことは考えないようにした。
(確かに、盛り上がっちゃってそういう気持ちになったこともあったけど!ノーカウント!違うわ、あれは気の迷いよ!)
伏せていた顔を上げて、ちらりとギーシュを見る。
優しく微笑むギーシュ。その姿にモンモランシーの心臓がとくんっ、と鳴った。
(ぁぁぁああああ!?私ってば!私ってば!?)
もしも目の前にベットがあったら全力で潜り込んで手足を振り回していたに違いなかった。
真っ赤になったり真っ青になったり、そしてまた真っ赤になったりするモンモランシーを暖かい目で見守るギーシュ。
まあ、彼にとっては転んだ拍子にちらりと見えた、彼女の可愛らしい下着のことを思い出してニヤニヤしていただけだったのだが。
一方その頃、コルベールはルイズの部屋へと向かっていた。
弱った体のまま、たいした休みも取らずに作業に没頭していたことで、その目元にははっきりとくまができていた。
普段ならしっかりしている足取りもどこかおぼつかない。
そんな状態でもコルベールは生徒の顔を一目見ようと足を動かしているのだった。
愛する生徒の元気な顔を見るまでは一息つけない、それがこの二十年続けてきた『教師』としてのコルベールの生き方なのだ。
コルベールはいつの間にやら目的の部屋を通り過ぎていたことに気づいて慌てて引き返し、ルイズの部屋の前に立った。
部屋の中からは二人の女性の声が聞こえた。
一人は何を言っているのか聞き取れないが、もう一人は「あいだっ!」とか「やめて姉さまっ!」と連呼しているようであった。
「……ふむ」
賑やかな雰囲気に立ち入ることに一瞬の躊躇いを覚えたものの、コルベールはおもむろにドアを三回ノックした。
「あいだだっ!だだだっ!」
一度は開放されたものの、また地雷を踏んだルイズがエレオノールに頬を抓られていると、来客を伝えるコンコンコンというノック音が響いた。
「ほら、ちびルイズ。お客様よ、ヴァリエール家の子女らしく、礼儀正しくお迎えなさい」
ルイズはエレオノールの方を恨みがましい目で見た後、扉の外にいる人物に来訪を歓迎する言葉を伝えた。
コルベールが入室すると、大貴族が使うほど豪華でもないものの、小奇麗に趣味良く整えられた部屋に二人の女性がいた。
その片方、ベットから身を起こしている桃色のブロンドの少女の姿を視界に認めると、コルベールは顔を綻ばせた。
「やあ、ミス・ヴァリエール。加減はどうかな?」
支援
sien支援
もひとつ支援
《疲労困憊/Exhaustion》支援
153 :
MtL:2007/11/21(水) 23:06:06 ID:RXGJW3d6
「ミスタ・コルベール!」
その姿を見て興奮するルイズを、エレオノールが肩を掴んで抑えた。
「ミスタ・ウルザから無事とは聞いていましたが、お元気……」
そうですね、と続けようとしたルイズの言葉が詰まる。
目の下にはくま、顔色は土気色、心持ち立っている姿もふらふらしているように見える。
その姿がどう見ても元気そう、とは言いがたかったのだ。
「ご、ご無事で何よりです」
「ははは、今まで作業をしていてね。この後はゆっくりと休ませてもらおうと思っているよ」
休めるかは分からないが、とは続けなかった。
「ごきげんよう、コルベール先生」
「やあ、ミス・ヴァリエール。君もお変わりない様子で」
胸が?という言葉が脳裏をよぎるルイズ。
「ええ、コルベール先生は……大分変わられましたね」
頭が?ととっさに連想してしまうルイズ。
「エレオノール姉さま。姉さまはミスタ・コルベールと顔見知りでしたの?」
「ええ、そうよ。こうして顔を合わせるのは久しぶりですけどね」
「いやいや、昔から変わらぬ美しさですぞ」
にこやかな談笑と思いきや、エレオノールは挨拶もそこそこに、鋭く話の核心を突いた。
「それで、コルベール先生。うちの不肖の妹がどうしてあのフネに乗っていたのか、ご説明していただけませんか?」
虚無の使い魔こと、プレインズ・ウォーカーウルザが部屋に入ってきたのは、コルベールがエレオノールの執拗な追求に音を上げかけたそのときだった。
「ああ、ミスタ・ウルザ!良いところに来て下さいました」
先客を気にも留めず、ベッドの横に置かれた椅子に座ろうとしたウルザであったが、コルベールの懇願にも似た声に動きを止めた。
「何ごとかな、ミスタ・コルベール」
「いえ、大した用件ではないのですが……」
その言葉を聞いたエレオノールの目が釣り上がる。
「大したことでは無いとはどういうことですか。うちのルイズが戦争に参加することが大したことが無いと、先生は仰りたいのですか?」
「ああ、いえ、そう言うことでは無く……」
エレオノールに問い詰められるコルベール。先ほどからずっとこの調子である。
さしものコルベールとしても、そろそろ誰かに助け舟を出してもらいたいと思っていた頃合だった。
「ふむ……そちらのお嬢さんは、ミス・ルイズのご家族といったところかな?」
そういったウルザは少し顔を動かして、色眼鏡越しにエレオノールを見やった。
一方、ノックもせずにいきなり入ってきた白髪白髭色眼鏡に見慣れないローブを羽織ったこの老メイジに、エレオノールは困惑の表情を浮かべる。
「ええ。私はこの子の姉でヴァリエール家の長女、エレオノール・ド・ラ・ヴァリエールよ。そういうあなたはどこのどなた様かしら?見たところメイジのようですけれど……」
言葉だけは丁寧に、眼鏡越しの視線は不審者を見るような厳しい目つきでエレオノールが言った。
「私の名はウルザ。こことは陸続きではない『遠い地』より来たる者だ。ミス・ルイズに使い魔として召喚されここにいる」
「……使い魔?」
呆れたような、どこか諦めた表情でエレオノールはベットの上のルイズを見下ろした。
「ルイズ、本当なの?」
「ええっと……その、本当です」
おずおずと答えるルイズ。それを聞いたエレオノールは疲れたように、自分のこめかみをぐりぐりと押して溜息をついた。
「魔法からっきしのあなたが召喚の儀に成功したと言うのは喜ばしい知らせだけど……人間の、しかもメイジの方を召喚するというのは、流石ちびルイズ、一味も二味も違うわね」
「うう……」
ここ数ヶ月、人間的にある程度の成長を遂げているルイズであったが、この姉と母親にだけは頭が上がる気がしなかった。
「とんだご無礼を、わたくしの方からもお詫びいたしますわ。……ええと、ミスタ・ウルザとお呼びすればよろしいのかしら」
「それで結構だ。お嬢さんは……ミス・ヴァリエールでよろしいのかな?」
『お嬢さん』と呼ばれたエレオノール、ルイズはその顔色を恐る恐る伺った。
しかし、激怒しているかに思われたエレオノールは恥ずかしそうにうっすら頬を赤らめているだけだった。
「それではこの子との区別がつきませんわ。エレオノールで結構です」
しぇん
まさかこのエレ姉さまはオジコンか支援
支援
>>139 本当に反省してるならもう二度と投下するな
支援
158 :
MtL:2007/11/21(水) 23:09:16 ID:RXGJW3d6
「ふむ……」
言われたウルザが手を顎に当てて、髭を撫でる。
エレオノールはウルザが手を動かしているその口元から胸にかけ手をじっと見ていた。
「ではミス・エレオノールとお呼びしよう。よろしいかな?」
「ええ。私はそれで構いませんわ」
ルイズとしては姉の様子がどこかおかしい様に感じられたのだが、口出しするのははばかられた。
「それで、ミス・エレオノール。用件とは何ですかな?」
ウルザの質問に、素早くコルベールが声をあげた。
「彼女はミス・ルイズが先の戦いの場に居合わせたことの説明を求めているのです。
ミス・エレオノール、こちらのミスタ・ウルザは先の戦いにも参加した『例の船』の関係者です」
すかさず要点だけを伝え、自分の役目は終わったとルイズの横、ウルザが立っているのと逆の方へと移動するコルベール。
彼もルイズと同様にこのアカデミーの鬼才には苦手意識があるようだった。
「ミスタ・コルベールが仰った通り、私はここにこの子がどうして戦場にいたのかを問い質しに来たのですわ。
もしも何かの事故、手違いなどであのフネに乗ったということでしたら、わたくしはこの子をすぐに屋敷にまで連れ帰るよう、父に言いつけられております」
「姉さまっ!?」
それは困る。
自分にどれだけの時間が残されているか分からない。
それをル彼のため、この世界の為に使おうと決めたのだ。
屋敷の中で閉じ込められている余裕は、自分には無いのだ。
そういったルイズの葛藤や決意を無視して、エレオノールは言い放つ。
「お黙りなさい。大体、魔法も使えないあなたが戦場で一体何の役に立つと言うの」
うっ、と言葉に詰まるルイズ。
ルイズは今だ誰にも自分が虚無の系統に目覚めたことを他人に明かしたこと無いのだ。
コルベールやオスマンは、早い段階からウルザの口からそのことが説明されていた為、ルイズ自身が誰かに語る機会は無かったのである。
ゼロのルイズと呼ばれ馬鹿にされ続けてきたルイズだったが、自身が虚無の系統であることを知って以来、以前ほど風評が気になることは無くなっていた。
また、それ以上に自分が虚無の系統であることを吹聴してまわることに強い抵抗を感じていた。
それは『虚無』という選ばれた者の力に、潜在的に恐怖を感じていたかもしれなかった。
暫く顎鬚を撫でていたウルザが手を止めて、口を開いた。
「それは少々困る。彼女は今や『ウェザーライト計画』の要とも言える存在、ミス・ルイズ抜きでこのトリステインがこの先の戦いを続けることは難しいだろう」
いきなり突拍子も無いことを言われて、鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔を見せるエレオノール。
ルイズは姉がそんな顔をするのをいつ振りに見ただろうかと思案したが、記憶に霞がかかって思い出すことはできなかった。
妹の視線に気づき、咳払いを一つ。これで調子を整えたエレオノールは、勢い良くウルザに食って掛かった。
「この子が要?魔法も使えない子がどうして王宮の計画らしい『ウェザーライト計画』とやらの要になると言うんですの?
はっきりとここで説明をしてください」
説明をするまではてこでも動かないと、全身から漂わせる気配が語っていた。
「ミス・ルイズ、君は君の口から自分の魔法について説明するべきだ」
「……え?」
てっきりウルザが説明するとばかり思っていたルイズが、思わず声を漏らす。
「ちびルイズ。あなたもしかして自分の系統に目覚めたの?」
エレオノールにそう問われてルイズはすぐさま答えることができない。
口にして、何かが変わってしまうのが怖かった。
だが、それ以上に家族である姉に、嘘をつくのが嫌だった。
少しだけ躊躇った後、ルイズはその口からはっきりとエレオノールに自分が何に目覚めたのかを伝える覚悟を決めた。
「姉さま。私の系統は……」
息を吸い込み、唾を飲み込んだ。
「虚無です」
159 :
MtL:2007/11/21(水) 23:11:32 ID:RXGJW3d6
それを聞いたエレオノールが、何かの冗談だろうとコルベールとウルザの顔を交互に巡らせた。
そして、二人の真剣な表情に冗談ではないらしいと読み取ると、エレオノールは本日二度目の唖然とした顔を見せた。
「虚無?虚無ですって?そんなもの伝説の中にあるだけじゃない。アカデミーでだって虚無の系統の実在は報告されていないわ!」
声を荒げるエレオノール。しかし、ルイズの表情は真剣そのもので、自分が見たことも無いような『一人前』の顔をしていた。
いつも泣いていたルイズ、自分とカトレアの後ろばかりを歩いていたルイズ。
そのルイズがこんな顔をするようになっていたことに、エレオノールは姉として大きな驚きを感じた。
そのとき、またドアがコンコンとノックされた。
それを聞いて話は終わったとばかりに椅子に腰掛けるウルザ、コルベールは後のことが気になりながらも部屋を退出する旨をルイズに伝える。
ルイズはエレオノールのことが気になりながらも、ドアの外に待つ来客に声をかけて、入ってくるように伝えた。
そうして、ガチャリと音を立てて入ってきたのは歳若い魔法衛視隊の制服を着た騎士だった。
ルイズにとって魔法衛視隊の知り合いと言えば、元グリフォン隊の隊長であった彼のほかに無い。
見覚えの無い顔にきょとんとした顔をするルイズに、騎士は背筋を伸ばし、深く敬礼をした。
「ミス・ルイズ、ミスタ・ウルザ。お二方に手紙を渡すように預かってまいりました」
そういいながら騎士はきびきびとした動作で巻物を差し出す。
それを受け取ったルイズは、中を見て差出人を確認しようとしたが、そこで手が止まる。
そこにある封蝋に押された花押は、王家の紋章。
「!? これってまさか!?」
ルイズが上擦った声を上げるが、青年はきびきびとした声はそのままに、事務的な口調で返答した。
「自分は何も仰せつかっておりません。差出人の確認は中を見れば分かるそうであります」
直立不動の姿勢を崩さない青年。何かを言い含められているのか、その顔は緊張して目線は何も無い宙のただ一点を見ているばかりだった。
「……分かったわ」
青年が退室した後も、無言のまま手紙と封蝋の印章を見つめ続けるルイズ。
退出するつもりだったコルベールも、先ほどまで取り乱していたエレオノールもまた、無言。
ウルザはそれが何であるのか分かっているのか、興味なさそうに備え付けの机の引き出しから本を取り出して、何かを書き込み始めた。
ルイズは恐る恐るといった手つきで手紙を開封した。
手紙の中身、アンリエッタの筆跡で書かれていたそれは、王宮にて明日開かれる予定である軍議への出頭要請だった。
国を守る為、戦ってもらわねばなりません。
―――トリステインの女王
とりあえずギーシュは俺と視界だけでいいから交換しろ支援
161 :
MtL:2007/11/21(水) 23:13:31 ID:RXGJW3d6
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました!
>>139 ルールを守るのは人として当然のこと
それが出来ないなら作り手以前に人として失格だ
といっちょまえにほざいてみる
支援
投下予約。えっと、139さんはもう終わってる……んですよね?
大丈夫そうでしたら25分から投下しようと思います
乙。ルイズがここで家族にバラせる展開は珍しいな。
だが少ない余命とか戦ってもらわねばなりませんとか待ち受けてる物が悲愴すぎる……。
そして
>>163氏を支援かな?
GJ!
スゲー!
フレーバーテキストが話にガッチリ噛み合ってる
いいなあ
こういうの書けるようになりたいなあと一度ももの書いた事の無い人間が言ってみる
乙。
ルイズの連想力は異常
つーか口に出してたらどれだけ(主にエレオノールに)酷い目にあわされていた事かw
いつもより空が高い日だった。
トリステイン魔法学院の生徒たち、とりわけ今年度から二年生となる生徒たちは朗らか
だ。入学したての一年生だったころから、上級生の連れ歩く多種多様な使い魔への憧れを
抱いて一年間過ごしてきた。大多数の生徒たちにとって、その日の朝食がとても美味だっ
たことは想像に難くない。
誰も彼もが頬を赤く染めて、大仰な身振り手振りで自分が召喚することになるだろう使
い魔の姿を語っていた。皆一様に能天気な顔をしている。
喧しく大広場に集まる生徒たちを窺って、オスマンは息を吐いた。彼ら彼女らの祖父や
祖母、曽祖父や曾祖母がここで学んでいた頃が否応なく思い出される。己が家名に恥じぬ
使い魔を召喚せねばと強く意気込む者、もしもこの一生ものの魔法に失敗してしまったら
と必死に復習する者。昔はそんな生徒が多かった。オスマンはそんな若者たちを、こっそ
りと学院長室から見守るのが好きだった。
今どきそんな風に、気張る者など居ない。魔法を使える貴族は、平民とは違って楽をす
るのだ。オスマンもそうは思うが、楽をするための魔法に怠慢を持ち込むのは違うと考え
る。それから余談だが、今どき、という言葉を彼はあまり好いてはいなかった。
自分の若い頃は、誰も彼もが魔法の研鑽に必死だったというのに。オスマンは自分が抱
えた学院の現状を恥ずかしく思った。最近生まれたばかりのこの国の王女様や、その少し
前に生まれたばかりの王妃様なんぞには、この体たらくを見られても一向に構いやしない。
だがもしも、彼なりに信奉する魔法そのものや、その体現である伝説のブリミルを前にし
たら、恥ずかしくて縮こまってしまうかもしれない。
今のトリステイン魔法学院は、魔法学院として、あまり好ましくはない。
オスマンはまた息を、今度は露骨な溜息を吐くと、広場の隅で必死に口を動かして、何
度も呪文の復習をする少女に目を動かした。
桃色の髪が快晴に良く映える少女だった。トリステインの大家、ヴァリエール公爵家の
三女で、ルイズ・フランソワーズという。オスマンはその少女のことを非常によく知って
いて、彼女は学院始まって以来の落ちこぼれだ。
他の生徒たちの気楽さの一部は、彼女に因るのかもしれない。
王家に最も近いと言われるヴァリエール公爵の三女で、自分たちとは比べ物にならない
程に魔法の才がない女。ルイズはまさにそれだった。机を共にする誰もが、魔法への慢心
を抱いてしまっても無理はないのだろうか。
願わくば、結ぶことなくとも、決して今日の日まで研鑽を欠かす事のなかったひたむき
な彼女に素晴らしい使い魔を。
オスマンは軽く杖を振ると、遠見の鏡を閉じた。広場を映していた鏡面が彼の顔を映す
のを確認し杖を置く。
そして、広い椅子に深く腰掛け、ゆっくりと背もたれに寄りかかった。彼の皺くちゃの
瞼の裏には、使い魔のねずみが見ている沢山の生徒たちと、今年の召喚の儀を監督する教
師の姿が映っていた。
宴はまろやか・始めに
「君と鬼の居ぬ間に」
「あんたってば本当に、見栄っ張りでどうしようもない娘」
使い魔召喚の儀当日の朝だった。ルイズは顔を洗うよりも先に鏡と向き合って呟いた。
彼女の毎日は、平坦な毎日だ。魔法学院には沢山の行事があったし、そこに集まった沢
山の貴族の子女たちは皆個性豊かだった。ただ、一年前からルイズの魔法は変わらない。
感激屋の多い彼らの中に取り残されて、ルイズの感性はとてもフラットに纏まっていた。
尖ってみせることもあったし、隠れて枕を濡らすこともあった。だが、どれも些事だ。
憤慨と、嘆きを彼女の魔法が代言する。ルイズは唇を噛む。今日の日の意気込みは、諦
念から体をベッドの預けてしまわないための知恵だった。召喚の儀を越えれば何かが変わ
るのか。魔法が成功しなければ何も変わるまい。
「今日もきっと失敗する。明日は昨日より惨めな私が居る。明後日の辛さは明日と変わら
ないかもしれないけれど。
でも、ちょっと、やだなぁ」
二年生になっても、良いことはきっと来ないだろう。三年生になったらもっと辛くなる
かもしれない。卒業したらどうだろうか。やはり辛いのだろうか。魔法が使えなければ、
いつまでたっても変わらないのだろうか。
ルイズの心は諦めを知っている。それが一瞬の油断で、自分の広いとはいえない心の殆
どを占めてしまうことも。きっと、それは仕方のないことなんだろう。
生まれてから僅か十七年だが、一生この気持ちと付き合って生きていくことを覚悟して
支援
いる。才能っていうのは、そういうものだ。死ぬまで自分と歩いていくもの。
取り留めなく浮いては消える雑念とは別に、ルイズの手はいつの間にか身嗜みを整えて
いた。そろそろ部屋を出ないと、朝食に間に合うまい。
ノブに手をかける。召喚の儀に意気込むルイズ、を顔に貼り付けて彼女は思った。もう、
一生分の諦めと覚悟は用意してしまったけれど。
もしかしたら、もしかしたら今日は良いことがあったり、すると、良いのにな。
「あら、おはようルイズ。相変わらずぶさいくな顔。昨日あれだけ大口叩いてくれたんだ
から、今日はさぞかし大層な使い魔を召喚するんでしょうね?」
「うっさいわね! 見てなさい、あんたなんかとは比べ物にならないくらいすっごいの召
喚してやるんだから!」
召喚の魔法は、何度も失敗した。繰り返される爆発と、吹き荒れる煙に生徒の誰もがル
イズから距離を取っていた。監督のコルベール先生は何か召喚するまで止める気はないよ
うで、腕が上がらなくなるのを億劫に思いつつ、彼女は何度も杖を振る。
そして最後に、緑色の肌をした貧相な亜人を召喚した。
風貌は教科書に載っているオーク鬼やトロール鬼に通じるものがあったが、酷く小さい。
召喚の魔法は作動したものの、成功とはいえないだろう。自分の魔法の限界に項垂れるル
イズをそのままに、彼はきょろきょろと挙動不審に周りを窺っている。契約するなら今し
かなかった。召喚魔法がどんなものであれ、鬼の類は本来人間と相容れない。
「我が名はルイズ・フランソワーズ……」
早口でコントラクト・サーヴァントを唱えてキスをする。蔓延していた煙が晴れ、ルイ
ズが召喚した使い魔を指差して周囲の生徒たちが笑ったが、ルイズは顔が綻ぶのを感じて
いた。
ルイズのキスに、きゃあきゃあと嬉しそうにその鬼が跳ねて回ったのだ。この学院に来
てから、一度も女性として褒められたことはなかった。こんなちっぽけな事で舞い上がっ
てしまうのは、なんだか本当に小娘のようで癪だったが。
それからもう一つ、嬉しいことがあった。
「よ、よよよよよよ、よよろおしくお願いします大将!」
ルイズが召喚した彼女に好意的なこの鬼は、人語を解する程度の知恵があった。とても
足りているとは言えなかったが、辞書に載っていない彼の種族がゴブリンということが
解っただけでも収穫だ。
人語が通じることに気を良くしたルイズは先ず、彼に名前を尋ねた。
ところが彼が言うには、ゴブリンで一番偉い人は王。一緒に何かやるゴブリンの中で少
し偉い人は大将。自分と一番目によく話をするゴブリンはおまえ。二番目に話をするゴブ
リンはあいつ。自分は、大将からも仲間の誰からもおまえと呼ばれていた、と胸を張って
言った。
ルイズは自室に戻る道を歩くなか、実に三十歩分の時間をこめかみをほぐすことに使っ
た。そして、彼をラッキーと呼ぶことに決めた。
「あんたって本当にばかね!」
「へい、すみません」
「でも嫌いじゃないわ!」
「へい、ありがとうございやす」
支援
支援♪
む、以前のグランビル……じゃないよな? モグは緑じゃないし支援
MTGからゴブリンラッキー、ここでいったん終了です。妙なところで終わってすみません。
これから派生するオムニバス形式で、
ばかで間抜けでどじで鈍間なゴブリンと、美人で可愛くてスタイルが(私の嗜好的に)抜群のルイズ様の
だらだらとしたどこにでもあるような話を書こうと思っています。
あと推敲終わったらmtlさんが投下しててマジビビリしたのは秘密な!
支援
これは……レガシー環境で禁止されている、あの子では……
なんというMTGつながり。
とりあえず乙!
ヒィばれt 中の人が一緒でした。
>>173 支援ありがとうございました。
あの子…禁止されてるんですよね…。せめてハルケギニアでは良い目をみさせてやろうと…
>>174 GJ!
>美人で可愛くてスタイルが(私の嗜好的に)抜群のルイズ様の
よし
(握手)
本当にラッキーだったw
危ないぞルイズ!危ない!(ロビー・ザ・ロボットの声で)
乙、ラッキーか。出来ればもう少し長く……とか思ってしまった、ごめん。
後禁止されてるのは徴募兵殿であってラッキーじゃない。この前出されたからな!
乙でした、元のモンスターはしらないけど
なぜ禁止されてるのか気になっちゃうぜw
>>174>>179 トリステイン魔法学院で俺と握手!
え、エクステンデットで禁止なだけで今のレガシーだと大丈夫なんだ……流石レガシー。
相手にダメージ与えると手札から仲間を呼べるあの素敵なラッキーか。
ギーシュ戦で数が増えそうだけどワルキューレアタックに耐えれるのかなぁ、1/1だし・・・
なんてこった…! 禁止じゃなかったのか。
>>181 今回は文字通り始めにというか、起承転っていうか序破、あたりでわざと止めてました。
確かに1話も書いてから投下したほうがよかったなぁ。すまん
と、あんまりだらだら引き摺るのもあれなんでここで。次は1話書いてから来るよ
ととととと投下したいんだけど如何でしょうか!?緊張する!!
飛場りゅーじに通じるものがある支援
毎度毎度お世話になっております。運営の方々にも引っ越し許可を頂き最初の投下……
言ったよ、僕は投稿するって。
・でもその前にちょっと簡単なあらすじ
春の使い魔召喚の儀式、ゼロがジャンクを召喚ししたようです。
契約の儀式はルイズに薔薇の指輪を、水銀燈にガンダールヴのルーンをもたらしました。
ハルケギニアに召喚された水銀燈ですが、呼ばれたのは彼女一人。
アリスゲームは元の世界で行われるのであり、水銀燈はその輪を外されてしまったのです。
帰る手段は無く、nのフィールドを我が物顔で飛び回る兎の道化もお手上げのこの状況。
つまり彼女はアリスゲームに復帰するため帰還する手段を自ら探さなければなりません。
フーケを捕まえそれをオスマン氏に報告した後。
水銀燈はオスマン氏に(ルイズにも黙っていた)自分が元の世界に帰らねばならない事を伝えます。
「召喚の儀式により我々は君の生きがい(アリスゲーム)を奪ったも同然か」と言うオスマン氏の言葉を、水銀燈悪く言うつもりは無いと言うも否定はしませんでした。
実はこの会話をこっそり聞いていたルイズ。それを聞いて動揺し、盗み聞きしていた事がバレてしまいます。
彼女は事の重大さに耐えられず、逃げるように走り去って生きました。
ルイズに内緒にしていたことを聞かれ、水銀燈もまたショックを受けるもミーデァイアムを追って学院長室を飛び出します。
ギーシュとの決闘やフーケとの戦いで少しずつ心が近づいたかに見えた二人。
課せられた現実を前に、彼女達は何を思うのか?そしてその行く末はどうなるのでしょうか?
これは出来損ないと呼ばれた二人の少女の物語…。
ゼロとジャンク、悩める二人の絆を描いた物語……
……なんちゃって。
「お前は何言っているんだ?」と言う方はまとめサイトで預って頂いていた同名の作品をご覧になって貰えれば幸いです。
長くなりましたが次のレスより本編開始!
銀様いいよね!支援
支援
……薔薇獄乙女の映像は実に好み。
ルイズを追い、オスマン氏との話も半ばに、思わず学園長室を飛び出してしまった水銀燈だが、
彼女のミーディアムは行方をくらまし結局その姿を見つける事は出来なかった。
途方に暮れたお人形が佇んでいるのは以前の休みで居眠りをした中央塔横のベンチ。
彼女はデルフリンガーを隣に立てかけそこに座る。そして膝の上に頬杖をついて曇った顔を支えていた。
「はぁ…思いもしなかったわぁ。まさかこんな形であの子に伝える羽目になるなんて」
アリスゲームがこの地で行われない以上、水銀燈にとってはここに居る事に意味はない。
つまりアリスになると言う本懐を成し遂げるため元の世界に帰らなければならない。
……ルイズと契約を打ち切って。
「姐さん。んな大事な事、なんで娘っ子に黙ってたんだよ?」
デルフが少しだけ鞘から鍔を上げて刃を覗かせる。
「別に黙ってた訳じゃないわぁ…。気持ちの整理をしてから伝えるつもりだったのに…」
そしてブツブツ言い訳がましく、ふてくされたようにしてデルフにそっぽを向いた。
「でもこれじゃあ結果的に黙ってたも同然だぜ?今となっちゃ後の祭りってもんだ」
「言われなくても分かってるわよぉ……」
気持ちの整理とは言うが、本当はそれを伝え辛くて後回しもとい、逃げていただけだった。
今更それを認め、それを悔いる。だがもはや遅いのだ。傍らのボロボロの剣の言う通り、後の祭りだ。
水銀燈は眉間を押さえて忌々しく顔を振る。彼女はラプラスの魔から問われた2択の問題を思い出していた。
『帰りますか? 帰りませんか?』
本来なら答え等聞くまでもない。だが水銀燈はその答えに踏み切れなかった。
そして結果はこれだ。
気持ちの整理などつかずに、思いもよらぬ形でルイズに真意を伝えるハメとなった。
(だからって…この世界に残る事なんか考えられないだの、存在意義を奪っただの、そんな風に伝えなくても言いじゃないのよぉ……)
やっぱり始祖とやらは異界の者に対しては冷たいのだろうか?
そう思い、水銀燈は大きくため息をついた。
「姐さん、姐さん」
「今度は何よぉ、デルフ」
再び自分の膝に肘をついて顔を両手に預け、彼女はデルフリンガーに視線だけ向ける。
「なんかこっちに来るぜ」
デルフに移した視線をさらに奥に向けた先。そこからのっそのっそ何かが近づいてきた。
支援
( ゜∀゜)o彡○銀様!銀様!
いいか!俺達のやる事はなんだ!(支援支援支援!)
銀様を愛しているか!(ガンホーガンホーガンホー!)
支援
ミーディアムの人キターーーーーーーーーーー!
支援!
「何かしら…あれ」
水銀燈は顔を上げて胡散臭さそうにそれに目を向けた。
近づくにつれだんだんと大きくなってくるそれは、彼女にとって見覚えがある物だ。
「たしかあれって品評会で見た…」
それは大きなモグラだった。丸々とした茶色い体の上に、よく見ると誰か人がダラーンと突っ伏している。
品評会で見たジャイアントモール。それを使い魔にしていたのはたしか……
「や、やあ水銀燈」
「…ギーシュ?貴方ギーシュなの!?」
ぐったりさせた首を億劫そうに上げた金髪の眩しい少年の顔は、目元に濃い隈を浮かばせたギーシュ・ド・グラモンその人。
異常にやつれた知人の表情故に、一瞬理解が追いつかなかった。
「話は聞いたよ…フーケを捕まえたそうだね……大活躍だったらしいじゃないか……。決闘で負けた僕も鼻が高いよ……」
ギーシュは「あははは…」と乾いた声で笑い、妙なことを呟いて精気のないげっそり顔を水銀燈に向けた。
「それより何事なの?その酷い隈!」
その病人のような顔色に水銀燈は驚きを隠せなかった。
寝不足にしてはひどすぎる。一体どれだけの不眠に耐えればこのような半ば死にかけたような顔になるのだろうか?
(そう言えば品評会の時点で危険な兆候が出てたわねぇ…)
彼女は光のない瞳で空を見上げアハアハ笑い続けるギーシュを見て顔をしかめた。
「ようやく…悩んでた事に片が付いたんだ……寝る時間も惜しんで考えて、ね……」
「悩み事?どんな事よぉ?」
天を仰いだギーシュの首がガクンと落ちる。彼はクワッ!と目を見開いた。
「ヒドいじゃないかぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!あの時の君からの質問をずっと考えてたのにぃぃぃぃぃーーーー!」
「きゃぁぁぁ!?」
そして頭をガタガタ上下させ妙に高いテンションでギーシュは絶叫した。
その勢いに然しもの彼女も思わず後ずさる。
オマケにキモい、実にキモい。正直顔を背けて飛び去りたい。
だが、ギーシュ魂の叫びとがっしり自分の肩を掴んだ両手の前に水銀燈はそれを断念した。
「仮にモンモランシーとケティ、同時に結婚を申し込まれたらどうするかって話だったじゃないかぁぁぁぁぁ―――ーー!」
「あーそう言えばそんな話も…って、あれまだ考えてたのぉ!?」
自分がお父様とルイズ、どちらを取ればよいのかの例えとしてギーシュに聞いた質問。
確かあれは品評会よりさらに前の話だだいたい三週間近く前だっただろうか?
そんなに前から眠れぬ夜を繰り返し過ごしているのなら、ギーシュのこのアンデットな顔も納得できる。
「あの時、もういいって言ったじゃないのぉ!」
「でも頭から離れなかったんだよぉぉぉぉーーーー!」
ギーシュは両手で頭を抱え既に乱れていた金髪をかきむしって更に叫んだ。
別段水銀燈はギーシュを苦しめるためにこんな事を聞いた訳では無いのだが……
どうやら少々浮気性ながらこのギーシュと言う男、恋愛に関してはかなりバカ正直な質らしい。
「まさかここまで深刻に考えるなんて思わなかったわぁ…。貴方、ホント女性がらみだと大したお馬鹿さんねぇ……」
「フフフ…!お褒めに預かり至極光栄!拍手喝采傷み入る!」
「ほめてない…ほめてない…」
コホンと一つ咳をしてギーシュは水銀燈を真っ直ぐに見据えた。
「では!僕の出した答えを、君に聞いていただこう!!」
超絶支援
支援
ギーシュww
内容読まずに支援
俺、この投下が終わったら保管庫にある分を読むんだ
そーれそーれ乳酸菌飲料、支援
それに水銀燈は無言でゴクリと喉を鳴らした。
果たしてギーシュが出した答えは?自分はそれを受け止め、今後をどう考えればよいのか?
ギーシュの口から放たれた衝撃の一言は!
「……その時にならなきゃわからない!!」
「…………はぁ?」
緊張に身を強張らせ待った彼女は耳を疑った。
声高らかに宣言されたそれは「結局は分からない」と言うもの。
薔薇の杖を天に掲げて(自分では)格好いい(と思っている)ポーズをとるギーシュに、水銀燈は冷やかな視線を向ける。
「わからないって…何よそれ」
呆れ顔で突っこんだ。
「わからないんじゃないよ!『その時』にならなきゃわからないんだよ!!
仕方無いじゃないか!今の僕じゃそんな残酷な問いを答える事なんかできない!だから仮にそうなったとしてもそれは未来の僕に任せる!!
未来はまだ何が起こるかわからないんだ!!どちらを選ぶかはその時の自分を見据えて決めるべきだよ!!」
ギーシュは早口でまくし立て奇妙な持論を長々と展開する。
もそも将来だの未来だの水銀燈は一言も言っていない。
どうやらギーシュはこの難題を無理やり自己完結させたらしい。それでいいのか自称薔薇の貴公子。
ギーシュの結論・未来の自分に丸投げ
ポカンと口を空け唖然としているお人形の反応にギーシュは自分の答えにちょっと後悔した。
(あ…やっぱり納得言ってないのかな……?)
……わかってるなら、最初からごまかすような解答出すな。
(まだわからない、か…)
水銀燈は口を閉じその言葉の意味を考える。
今の自分はまだ帰れる手段はない。
だが、もしかしたら思いも寄らぬ事で、突然明日帰れるかもしれない。
反対に数十年、百年近く待ってもその日は来ないのかもしれない。
あるいは、他のドールズがこの地に呼ばれアリスゲームが始まるなんてことも……
虫の良い話だが、現に自分は召喚されたのだ。他の姉妹が呼び出される可能性だって無きにしも非ずと言える。
今、無理に決めてもいつ、何が起こるかはわからないのだ。
そのときの自分に任せる、まんざら悪い答えでも無い気がした。
「…まさかそんな答えとはね」
水銀燈は瞳を閉じて口元にフッ…と笑みを浮かべた。
「確かに答えを急ぐ必要は無いかもしれないわ。すぐに帰れる訳でも無いのだし、今決めた所でどうしようも無いもの」
どうやらこの答えを受け入れたようだ。瞳を見開きギーシュに微笑みかけた。
「前言撤回よ。なかなか面白い答えだったわ」
水銀燈はベンチから立ち上がりデルフリンガーを翼にかける、広場から飛び去った。
漆黒の天使が飛び立つと共にそよ風がサーッと広場の草を優しく撫であげる。
まるで今の水銀燈の心中を表すかのような爽やかな風だった。
今宵もあんにゅ〜い 支援
支援
水銀党員として
支援!
「……やれやれ、どうやら納得してくれたみたいだね」
彼女の羽ばたきでひらひらと舞い散った羽を一枚手にとりギーシュは呟いた。
そしてガックリとヴェルダンデに倒れこみ体を預ける。心身ともに限界が来たのだろう。
重い瞼がだんだんと下がり眠りの世界へと彼を誘う。
「これでようやく僕も眠りにつけるよ……」
その瞼が完全に閉じられた。
まるで自らの命を賭して最期の仕事を成し遂げた戦士のような安らかな顔だった。
――こうして『青銅』のギーシュことギーシュ・ド・グラモンはその身をもって人形の少女の苦悩を解放し、深き眠りについた。
安らぎに包まれ静かに眠り続ける一人のメイジ。
――その瞳が開かれることは二度と無かった。
「待ちたまえ!生きてるから!僕まだ死んでないから!!」
さらばギーシュ!僕らは君の勇姿を忘れない!!我らの心の心で永遠に生きろ!!
銀様来てるー!?支援だッ!!
ギーシュはカッコいい馬鹿支援。
ナレーションの強引さに惚れたぜ支援!
アルヴィーズの食堂の上の階が大きなホールになっている。
魔法学院伝統の行事の一つ、『フリッグの舞踏会』はそこで行われていた。
その奥にあるバルコニーの枠に腰掛ける一人の人影。いや、人間にしてはそれは小さすぎる。
美しくも、どこか妖しげな空気を醸し出すそのシルエットは、普通とはちょっと変わった姿をしていた。
まるで夜闇を纏ったかのような漆黒のドレスに身を包んだ少女。
流れるような長い髪は月の光を受けて銀色に冷たく輝き、黒薔薇を模したヘッドドレスでそれをまとめている。
そして何より、一際目を引くのはドレスから大きく開けたむき出しの背から生える一対の黒い翼だった。
「これが本物の舞踏会…。いい雰囲気ね……」
水銀燈は赤い液体の注がれたグラスを傾け、絢爛豪華な舞踏会場を見つめていた。
うっとりとした瞳が艶やかにが細まっている。
どうやらこの煌びやかつ華やかな様と、一時的とは言え悩みが解決した事で気分は上々のご様子。
結局あの後ルイズを見つける事は出来ず彼女は舞踏会の開場を迎える事となった。
――だがきっとルイズは此処に来る。
水銀燈はそう信じ彼女を待つ。そして改めてミーディアムに自分の気持ちを伝えるのだ。
彼女は天を見上げ鮮やかに輝く双つの月を眺めそう思った。
「ああそうだなぁ。特に姐さん、あんたこの雰囲気にお似合いだぜ。なんつーか、ハマってると言うか……」
デルフリンガーがバルコニーの枠に抜き身で立てかけられている。
こちらも感慨深げに呟いた。決してお世辞などでは無い、率直に意のままの事を言ったのだ。
「ハマってる…悪い気はしないわぁ。…そうそう、聞きたかったんだけどその姐さんって呼び方何よぉ?」
「いやだって、俺あんたの舎弟だし」
「少なくとも私、貴方程長くは生きてないと思うのだけど。そう言えば貴方って作られてどれぐらいたつのかしらぁ?」
デルフはう〜んと唸って考えこむ。この様子と、物忘れの酷さから見ると少なくとも水銀燈よりかは年上のハズだ。
「……多分、六千年くらいかなぁ?」
「六千年…そんなに生きてる癖に私を姐さん呼ばわりしてるの?」
でもまさか千年単位の言葉が出てくるとは思わなかった。
「この呼び方嫌なのか?」
「剣とは言え数千年以上年上に姐さんって呼ばれるのはどうかと思うわね」
「だって俺舎弟だし…。んじゃ、お嬢ってのはどうだ?」
「……私ヤクザ者じゃないんだけど」
あねさんがいやなら銀様とお呼び!
支援!
ナレーション自重w支援
薔薇乙女 vs 馬鹿薔薇男!
なんてグダグダな勝負だったんだ…
デルフリンガーを相手にそんなやり取りをしている彼女に、ホールから声がかかった。
「へえ〜!私も色んな女を見てきたけどあなた程あの双月が優美に映える子は見たこと無いわね!」
水銀燈は空を見上げた顔を、声の聞こえたホールの方に向けて笑いかける。
「色んな女って……貴方の場合は男ではなくて?キュルケ」
「恋をするにはライバルたる女を見る目も必要なのよ」
その先にいたのはボリュームたっぷりの肢体を彼女の象徴たる炎のような赤いドレスに包んだ赤毛の女性。
「はぁい♪水銀燈、ご機嫌如何?」
キュルケもまた陽気に水銀燈に笑いかけた。
「ええ、上々よぉ。楽しませてもらってるわ」
「それは何より。ワインを傾ける仕草も様になってるわよ?初めての舞踏会とは思えないくらいに!」
「これでグラスの中身が葡萄ジュースじゃなけりゃその通りなんだけどな!わははは!」
デルフリンガーは、からかうようにガチャガチャと笑う。
「何よぉ。二十歳以上はお酒を飲んじゃだめって知らないの?」
キュルケもデルフもそんな事聞いたこと無いと言わんばかりに首を傾げる。あ、デルフはやっぱり除く。
お酒は二十歳からと言うがそもそもハルケギニアにはそんな決まりは無い。
「じゃあ姐さんは何歳なんだよ?」
どうやらデルフの水銀燈の呼び方は姐さんで変わらないらしい。
「私は…17歳よ」(自称精神年齢換算)
「おいおい」
「おいおい」
キュルケもデルフも思わずツッコミを入れた。
尚、水銀燈の以前のミーディアムもこれを聞き「流石にちょっとキツいかも……」とのコメントを残していることをここに追記しておこう。
て言うかむしろ、すいぎんとうさんじゅうなな……
ギャァァァァァァァーーーーー!!!
ハァハァ…は、話を元に戻そう。
キュルケはホールに控えて自分を待つ大勢の男子生徒達に気づき、
水銀燈に「またね♪」と一言別れを告げてその輪に向かう。
「やっぱりあの子はモテるわねぇ。ダンスの相手には困らないでしょうに」
男子達の中心で楽しそうにお喋りをし始めたキュルケを眺め、水銀燈は感心して言った。
デルフリンガーはそんな彼女に不思議そうに一つ尋ねる。
「せっかくの舞踏会だぜ?姐さんは踊らねーの?」
「流石に人形と踊るような酔狂者はいないわよ」
クスクスと苦笑して、賑やかなパーティー会場で舞踏を楽しむ貴族達の姿に溜め息をつく。
「……そもそも私の舞踏の相手を許されるのはお父様だけよ」
そしてグラスを天に掲げて中の液体を透かし、再び天上輝く双月を見つめた。
「あ!忘れちゃいけないわ!あと、くんくんもよ。と言うかむしろくんくんとは是非ともお願いしたいわ!!」
だが唐突にはしゃぎだし、途端にカリスマ性溢れる仕草が一瞬にして地に落ちた。
ここまできてくんくんは無いだろくんくんは…
水銀燈は頬を押さえ恍惚とした表情を浮かべてうとりとしている。
「ああ…素敵よぉ…くんくん……」
「……くんくんって誰だ?」
「よくぞ聞いてくれたわ!」
錆びた剣に向けられた人形の瞳に、怪しい光がキラリと瞬いた。
以後デルフは水銀燈の口から、彼女のアイドル「名探偵くんくん」についてとその素晴らしさについて延々と聞かされる事となった。
ええ、そりゃあもう、うんざりするくらいに延々と……
王大人「死亡確認!」
さて、水銀燈がデルフリンガーに「名探偵くんくん」について熱弁を振るっている頃。
料理の置かれたテーブルの前で大量の料理と格闘している少女がいた。
それは短くまとめた青い髪と澄んだ碧眼。黒いパーティードレスに包まれた小柄な少女。タバサである。
ホールで踊る生徒や教師達に我関せずと言った感じでサラダの皿に手を伸ばしたその時……
舞踏会の喧騒の中一羽の伝書梟が飛び込んできてタバサの肩に止まり。書簡を差し出した。
彼女は書簡を受け取り中を改める。
少女の、日頃感情をあまり感じさせない顔が僅かに固くなった。
タバサはバルコニーの方を凝視する。黒翼の天使が興奮したように剣に向かってオーバーアクションで何かを語っていた。
途端に彼女は全速力でそっちの方に駆け出した!!
「――そこでペロリーナ男爵にくんくん必殺のハイパー銀色の肉球スペシャルが炸裂!!あの後の決め台詞は忘れもしないわぁ!
彼はこう言ったの!『君に足りない物。それは情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ。そして何より速……』」
「姐さん楽しそうなとこ悪いけどよ」
くんくん大活躍の場面を語っていたところにうんざりしたデルフが水を差した。水銀燈はそれに不機嫌に顔を歪ませ文句を言う。
「何なのよぉ。せっかくこれからがいいとこなのに」
「なんかすっげぇ勢いでこっちに来る奴がいるんだけど」
「んー?」
ホールを一瞥した彼女が見た物は、いつもの仏頂面ながら全速力で走って突っ込んでくる青髪の少女だった。
「ああ、タバサじゃないの」
顔見知りともあって、おそらくキュルケ同様自分に声でもかけに来たのだろうと楽観する水銀燈。
だがそのスピードは全く落ちずむしろ加速している。
「でも何をそんなに慌ててるのかしらぁ?」
そんな折デルフリンガーがハッと何かに気づいた。
「姐さん!わかった!アイツの目的はあんたの翼だ!!」
「翼ぁ?……はぁっ!?」
水銀燈は思い出した。知り合ってまだ間も無いながら、タバサが自分のフカフカの黒翼に只ならぬ執着を持っている事に。
以前とある騒ぎで、「抗い難い誘惑」とすら言って黒翼の心地よさに味をしめたタバサ。
それ以来、水銀燈の翼をモフモフせんと虎視眈々とその機会を狙っているのだ。
どさくさに紛れて顔を埋められた事もこれまでに数回。
まさに、モフモフハンタータバサと言っても過言ではない。
★1★7★歳★教★
支援
支援
銀様を抱き枕にして眠りたい支援。
精神年齢もガクッと落ちたな!
よし、これなら17歳でも十分に(ry
銀様にモフモフしたい支援
何そのファーマニア的思考
支援
なんか今回第一部の終わりだからって砕けまくってないかミディアムの人?w支援
タバサはバルコニーへと入ると同時に水銀燈の翼にダイブした。
「わぁ!?」
「待て!今避けたらヤバい!!」
デルフの注意もむなしく、無表情でかっ飛んでくる少女を水銀燈は思わず身を引いて避ける。
……水銀燈はバルコニーの手すりに腰掛けているのであって。当然その後ろにあるのは足場も何も無い空間である。
タバサはバルコニーから身投げして重力に引かれて落下していった。
突然のタバサの読んで字の如くの自殺行為を前に流石に水銀燈とデルフも大慌てした。
「どどどどどうしましょ!?タバサが飛び降りちゃったわぁ!?」
「おおおおお落ち着け!!こんな時は素数を数えてだな!?」
「そ、そうね!落ち着いて素数を…イー・アル・サン・スー・焼き・ビーフン……」
「素数じゃねェェェェェェーーーー!?」
どう見ても漫才にしか見えない。だがバッサバッサと何かが羽ばたく音を聞き、水銀燈もデルフもそちらを見た。
バルコニーの枠の向こうでタバサが彼女の使い魔の風竜に襟首をくわえられ、相も変わらぬ冷めた顔でこっちを見てる。
いや、よく見ると頬が少しだけ膨れていた。どうやら彼女なりにちょっとご立腹の様子だ。
「次は必ず…モフモフ」
タバサは小声でそう呟くとシルフィードを反転させ夜空の向こうに消えていった。
「…何だったのかしらぁ?」
「…さぁ?」
残された二人(?)はその様子を呆然と見送った。
無論、一体タバサがパーティーを抜け出してまで、何を胸にここを去ったのかなど知る由も無い。
支援
風竜を駆ったタバサは双月輝く夜の彼方に溶けるように消えていった。
そして姿が見えなくなってもそちらを見続けている水銀燈。
左手のルーンが少しだけ疼いたような気がした。
「……ようやく主役のご登場のようね」
彼女は背後を振り返り、ここと対角にある壮麗な扉に目を向けた。
その扉がゆっくりと開き姿を現したのは使い魔としての主であり、そしてミーディアムでもある少女。
門に控えた呼び出しの衛士が到着を告げその名を名乗り上げた。
「ヴァリエール公爵家が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな〜〜り〜〜〜!」
「ルイズ…」
水銀燈は小さくその名前を口にし視線を飛ばす。「水銀燈…」
ルイズもまたその視線に気付き使い魔の名を口にする、受けた視線を真っ直ぐそのままに返した。
その後、無言のまま見つめ合う二人。双方共に何を思っているのかは読み取れない。
ルイズが硬い顔つきでゆっくりとした足取りでこちらに歩いてくる。
その途中、彼女に周りに男達が群がり、しきりにダンスの相手を申し込みだした。
日頃ゼロだの言ってからかっていた癖に、何という変わり身だろうか?
ノーマーク故に今のうちに唾付けておこうとしているらしい。
だがそれもまた致し方ないのかもしれない。
何より、本日のルイズはそれくらい魅力的な姿をしているのだから。
ルイズは長い桃色がかった髪をバレッタにまとめ、ホワイトのパーティードレスに身を包んでいた。
肘までの白い手袋が、その高貴さを嫌になるくらい演出し、胸元の開いたドレスがつくりの小さい顔を、宝石のように輝かせている。
その美貌が男達を引き寄せているのだ。だが彼女は差し出された手を誰一人として取ることなく断っていく。
そして月下のバルコニーに優雅に佇む水銀燈の前に立った。
支援
相変わらずぶっ飛んだ銀様だぜ。
支援!
予約あるようでしたら最後に予約しつつ支援っ
「ふぅん…流石は貴族のご令嬢とでも言ったところかしら?」
水銀燈は機嫌良さそうに膝に頬杖を付いて、まじまじとルイズを見ている。
その様子にルイズはちょっとだけ安堵した。
学院長室での一件からの気まずい雰囲気で水銀燈に合うのが怖かったからだ。
「意外ね。あんたでも人を誉める事あるんだ…。フリッグの舞踏会、楽しんでるみたいね」
ルイズもまた固い顔つきを崩して少しだけ笑った。
「ええ、御陰様で。今日の私は機嫌がいいのよ」
「いや、姐さんが誉めるのも無理はねぇさ!馬子にも衣装とはよく言ったもんだなぁ!」
デルフリンガーが茶化すように柄を鳴らす。
誉めてるのか、からかってるのかわからない剣の言葉に対しルイズは「うるさいわね」と一言文句を言った。
そんなルイズに水銀燈が聞いた。
「せっかくの舞踏会なのに貴女は踊らないの?」
「相手がいないのよ」
ルイズはわざとらしくそっぽを向いて答えた。
勿論ルイズがたくさんの男に誘われている様子を水銀燈は目の当たりにしる。
「いっぱい誘われてたのに?」
水銀燈の更なる疑問にルイズも質問で返した。
「あんたはどうなのよ?」
「あいにくとこっちも、私と釣り合う殿方は見当たらなかったもので」
肩を竦めて苦笑して返答した。
「そっか。それじゃ、余り者同士で踊るしか無いわよね」
「はぁ?」
疑問の表情を浮かべる水銀燈にルイズが手を差し伸べる。
「踊ってあげても、よくってよ」
ルイズは照れたように言った。
「ねえデルフ。この世界の舞踏会って女の子同士で踊ったりする物なの?」
水銀燈が傍らのデルフリンガーに問う。
「さあ?俺こういう常識に疎くってなぁ〜。だって俺剣だもん」
「私だって人形よぉ。それも異世界の」
あーだこーだ言っている人形と剣を、手を差し伸べたまま見ているルイズ。
呆れるようにしてその話に割り込んだ。
「そんな訳ないでしょ?別に悪くは無いけど原則、ダンスは男女一組でやるものに決まってるわよ」
「貴女の方が誘ってるんだけど」
ルイズの言葉に益々意味がわからないと水銀燈も戸惑った。
「だから!きょ、今日は特別なのよ!いいいい、いいから早く手を取りなさいよ!!」
ルイズはぷいっと横を向き目をそらして催促する。
「ねぇルイズ〜。貴女言ってたわよねぇ〜?」
お人形はニヤニヤと意地悪げな小悪魔的笑いを浮かべて自分のミーディアムを見た。
「人に物を頼む時の態度は?」
「うっ…」
いつぞや言った事をルイズはそのまま返されたのだ。それを言われるとルイズも立つ瀬がない。
「まったく…。本当に今日は特別なんだから……」
ふっと息をついてルイズはドレスの裾を恭しく持ち上げ、膝を曲げて一礼した。
「わたくしと一曲踊ってくださいませんこと?」
そう言って顔を赤らめ片目だけ開いて水銀燈に目を向ける。
「はい、良くできました」
水銀燈はその愛らしく清楚な様子に満足げにパチパチ手を叩いた。
「違うだろ?姐さん」
「そうよ。あんたも人の事言えないじゃないのよ…」
二人いや、一人と一本の鋭いツッコミに水銀燈も腰掛けた手すりを離れ、ルイズの前でコホンと一つ咳をする。
「光栄ですわ。レディ」
水銀燈は大きく手を回して胸元に持って行くと、彼女もまた恭しく一礼をして首を少し傾けてルイズにウインクした。
「姐さん、あんたと踊れるのはお父様とくんくんだけじゃなかったのか?」
「ええそうよ。…だけど私も今日は特別なのよ」
デルフにそう言って水銀燈は差し出されたルイズの手に自分ね手を重ねる。
ミーディアムはその手を掴み意気揚々と使い魔をホールへと引っ張っていった。
百合踊り支援。
まさに風(竜)とともに去りぬなタバサに吹いた支援
さて、ルイズは小柄な部類に入るものの、それは人間の中ではと言う話。
ダンスパートナーたる水銀燈の体長は1メイルより程なので身長差はかなり大きい。
そのためお人形の足は床でステップを踏めずダンスは成り立たない筈なのだが…
端から見ればまったくそのような事は無かった。
ルイズのステップに、宙に浮いた水銀燈は体中でリズムをとってそれに合わせる。
純白のドレスと漆黒のドレス。
対照的な衣装が互いに映えて魅力的かつ優雅な雰囲気を演出。それはフーケのゴーレムとの戦いで互いに助け合ったあの時の事と思い起こさせた。
しばらく無言で踊っていたがルイズが意を決したように口を開く。
「ねえ…水銀燈。いつかは帰っちゃうの?」
不安を含んだその物言いに水銀燈は少しだけ目を閉じて顔を険しくする。
「ええ。帰るわ。貴女も聞いてたでしょう…。私には成さねばならない事がある。帰らなければならない理由がある」
強い意志が込められたその言葉にルイズの顔が少しだけ陰る。
そうよね…、と一言だけ呟いて彼女はシュンと意気消沈な面持ちとなった。
「でもこの先何が起こるかは分からないわ。ずっと貴女と一緒かもしれないし、
明日にも帰る事になるかもしれない。だけどただ一つだけ言えることがあるの…」
そんなミーディアムの様子にフッと口元を柔らかくして水銀燈は言った。
「少なくとも今すぐいなくなったりはしないわ。黙って消えたりもね?
その時までは貴女に付き合ってあげるから、そんな顔しちゃ駄目よ」
。
ルイズの悲しげな顔に小さな笑みが浮かび出す。
「ま、どれだけの付き合いなるのかはまだ見当もつかないけど……これからもよろしく。ルイズ」
これからもよろしく。その言葉にルイズの顔が日が射したように明るくなった。
「ええ!よろしく水銀燈!!それまではたーくさんこき使ってあげるんだから!!」
水銀燈はそれに困るように笑ってて言った。
「それはちょっと御勘弁願いたいわぁ」
水銀燈もルイズも互いに見つめ合い笑顔を交わし幻想的な舞踏を続けていた。
「ほお…。こいつぁーおでれーたぜ」
そんな様子をバルコニーで眺めていたデルフリンガーがこそっと例の口癖を呟く。
「人形が貴族のダンス相手なんか務まんのか?って思ってたが……」
鍔を頷かせるように上下させた感心したような口調だ。
「十分立派にこなしてるじゃあねーか。いや、流石は俺が認めただけの事はあるぜ!こいつはおでれーた!」
でも結局はいつもどおり、おでれーた!おでれーた!と、うるさく騒ぎ出した。
二つの月がホールに月明かりを送り、蝋燭と絡み神秘的とすら言える様子を醸し出している。
その中央で寄り添うようにして踊る漆黒の天使と純白の貴族の姿を、舞踏会の面々は決して忘れる事はないだろう。
――それはその場の誰よりも美しく、幻想的な舞踏であったのだから。
えーい、誰かカメラを持ってないか!
映像記録を残してこちらへよこせぇっ
投下完了。
遅れましたが皆さん。はじめまして、そしてお久しぶりです。
こちらに引っ越してきて第一回のゼロのミーディアムをお送りいたしました。
水銀燈さん17さいのソースは公式ラジオCDであり、似た声をしたメイドさんとは多分一切ちっとも関係無いような気がしないんでもないんだからね!
引き続き、第二章もよろしくお願いします!
支援にも感謝を!
あとなんか投下に時間かけて申し訳ない…
それでは失礼しました。次の片どうぞ!!
うわぁー逃げろー!!
では少々時間を置いて四十五分ごろに投下させていただきますです。
ミーディアムの人乙でした
銀様の人超絶乙&GJ!
超待ってたんだよマジでェェェェッ!!!
これからも期待しまくってます。がんばってください。
このスレにようこそ!
乙です
タバサーッwwww
乙。17歳教自重しろw
そして次回から髭の回か……。
引っ越し報告を目にしてから時間がたったけど、待たされただけのことはあった。
奇麗にまとまったなあ。
次章も期待してますよ!
乙。
>ハイパー銀色の肉球スペシャルとか速(ryとか
くんくん自重w
乙でした
さて、ワルドはどういう展開になるかな
んで、次は
>>230→聖石の人かな?
ら、ライバル出現か・・・
ウソウソ、乙でした〜GJです。
私には書けないコミカルな文体や内容、羨ましいです
こちらは、続きはどうしたものか・・・悩み中
ギンサママッテマシター!
ラキシス召喚、興味はあるがどうしたものか…………
少々遅れましたが投下させていただきます。
それに気づいた理由は些細な事であった。
デルフリンガーを手に入れてからの日課である深夜の語らい。その中でデルフリンガーは自身が変わったことを告げた。
「相棒。レネゲイドってのはウィルスっていう……見えないくれぇちっさい生き物なんだよな?」
問いに間違いはない。隼人は頷いた。
そして次のデルフリンガーの発言に目をむいた。
「俺にも何か見えるぜ、”それ”」
EXレネゲイド、というものが存在する。
それは極まれば「レネゲイドクリスタル」と呼ばれる存在ではあるが、その前段階とも言うべき存在があるのだ。
人間以外、すなわち小動物や植物、はては器物にレネゲイドウィルスが”感染”する。それをEXレネゲイドと呼ぶ。
研究は今もレネゲイドとは何か、という題材とともに平行で進行している。UGNにある研究班「アール・ラボ」でもその研究は続けられている。
その結果UGNにはレネゲイドウィルスを操作、ないし利用した道具がいくつか存在する。
無論研究結果のみならず、自然発症したEXレネゲイドもある。
ブラム=ストーカーのシンドロームに発症した森があれば、それは血吸いか、それとも水分によって増殖する森となるだろう。
もしエグザイルのシンドロームに発症した小動物がいれば、その体躯を変形させ、巨大化させ、異常な行動に出るだろう。
器物であるのなら単純に性能があがるか、それとも”何かしらの事象”を起こすものへと変貌する。
デルフリンガーは自身がEXレネゲイドであることを宣言した。
デルフリンガーは剣だ。だが彼は意思を持っている。器物、と単純に割り切ることはできない。
何ができるのか、次の日から早速実験が始まった。
結果、わかったのはデルフリンガーがエグザイルの力、そしてノイマンの力を得ていた、という事だ。
しかし意思があるとはいえ、やはり器物であるという限界は見える。使用可能なエフェクトは限られるし、デルフリンガーは「使われていないと」その力を発揮することができない。
その中でも最も顕著だったのが、エグザイルの能力のひとつでもある”融合”であった。
融合。読んで字の如く、他の人物と融合する能力である。
メリットは融合したオーヴァードの力を融合対象である人物が使うことができる。
デメリットは、それによって生じるレネゲイドの衝動を、融合した側、される側が同様に受けることだ。
この場合デルフリンガーはEXレネゲイドに区分される。故にレネゲイドの衝動というデメリットに影響はない。
問題があるのは隼人の方だ。
確かにデルフリンガーが”融合”を使えば、隼人の戦闘能力は恐ろしいほどに上昇する。
しかしその結果、隼人の体内に存在するレネゲイドの衝動は格段に跳ね上がる。即ち日常からの乖離が激しくなるのだ。
故に切り札。まさに極まった状況においてのみ使用が許される、一撃のための力。
使う機会がなければいい、と思っていたが、ゴーレムとの戦闘ではそのような甘い考えは許されなかった。
躊躇、というよりは出し惜しみをした結果ルイズは瀕死に――まだ死んだというわけではない――陥り、隼人自身レネゲイドの暴走に襲われた。
切り札を抜けば一瞬。
届かぬ距離にあってなお、その刃を届かせることができたのは、単にデルフリンガーの力だ。
エグザイルの能力である形状変化の能力。そしてノイマンによる高速思考。
それによって剣軸をぶらすことなく、鞭のように伸びたデルフリンガーの刃は、普段隼人が振るう剣と遜色なくゴーレムを切り裂いた。
代償として隼人の中のレネゲイドは激しく暴れまわった。それも当然。本来ならば”ありえない”能力を使ったのだ。それほどの代償がなければ、寧ろ嘘であろう。
しかし――隼人は思う。想像以上にこのデルフリンガーとは相性がいいらしい、と。
隼人がオーヴァードであるという矜持を抱く理由のひとつに、自身の繋がりがある。
ディスクリプトロイス、と呼ばれるそれは、隼人というオーヴァードたらしめる物といえる。
生還者。それが隼人にあるディスクリプトロイス。
それはオーヴァードとして覚醒したとき、深く、心の中に根付いた「誰か」や「何か」への思いを持ったオーヴァードが持つロイスだ。
それ故に生還者たるオーヴァードは芯が強い。というよりは心が強いと言うべきだろうか。
支援させていただく。
レネゲイドの操作に長ける、といっても間違いはないだろう。先のレネゲイドの暴走も、隼人はその手綱をギリギリの領域で操って見せた。
更に隼人の場合、ダインスレイフという過去を持っている分、その力は顕著に現れている。
だからこそ暴走するレネゲイドを抑えるという作業は隼人に向いている。上昇するレネゲイドを封殺するという意味合いからも、デルフリンガーをEXレネゲイドとして使うのに相応しいといえた。
何故デルフリンガーがEXレネゲイドと化したのか。
隼人のレネゲイドウィルス感染して、というには理由が薄すぎる。デルフリンガーの方に何らかの準備ができていた。そう考えるほうがわかりやすいだろう。
頭脳労働は隼人の仕事ではない。
それでも考え抜いた結果――結局わからない、というところで落ち着いた。
・ ・
「ぶっつけ本番だけどなんとかなった、か」
流石に冷や汗を流しながら隼人はいった。
ぶっつけ本番。融合を使えるかどうかの実験はしたものの、それによるエフェクトの使用は試していなかったのだ。
おおっぴらに使うわけにも行かずどうしたものかと思ってはいたが、とんだお披露目になったな、と自嘲する。
ふっ、と息を吐く。レネゲイドの浸食は治まった、というよりは治めたというほうが正しいか。
「デルフ、もういいぜ」
「おうよ」
隼人の言葉と同時にデルフリンガーの鍔がギチリと鳴り、両腕から離れる。軽く手を振ってから違和感がないか確かめる。
EXレネゲイドであるデルフリンガーとの融合。実際に”使う”のは初めて故に、やはり不安も残る。
しかしそれを気にしている場合ではない。崩れ落ちたゴーレムには目を向けず、隼人は先ほど感じたワーディングの気配を探り始めた。
「ハヤト?」
「ちょっとダーリンすっごぉい! 何今の!?」
「…………」
上空から降りてきたキュルケとタバサ、そしてギーシュの声を聞いても、隼人は瞳を開かない。
訝しみ再び声をかけようとした二人をタバサが制する。何故? と言葉なく問いかける二人に、タバサは首を横に振った。
そのままついっと森を指さす。
「あっち」
言葉を受けて隼人はタバサの指さす方向に神経を集中させ――
――その方向からとてつもない悪寒を感じさせるワーディングを察知した。
「っ!?」
「うわあっ!?」
「え? 何、これ」
不確定な情報ではあるが、メイジは恐らく「ワーディングを察知できる」。
そう、オーヴァードではないキュルケ等が違和感以上に何かを感じるほど、そのワーディングの気配は濃い。
体を抱きしめるように両手を交差させながら、キュルケは背中から這い寄る自分以外の恐怖を感じていた。
「――怖い……?」
しかしそれはおかしい、とキュルケは思う。何故ならば目下の敵であるゴーレムは既にいないのだ。フーケの姿が確認できないのは確かに奇妙ではあるが、ここまで明確な恐怖を感じるのはおかしい。
支援
視線を向ける。黒い森の奥で、何か光がはじけた。
「ダーリン、あれ!」
その言葉を待たず隼人は既に走り出していた。
「ハヤト!」
追従するようにギーシュが、そしてタバサとキュルケが走り出す。
だがハヌマーンの力を持つ隼人に追いつけるはずもない。三人はすぐさま隼人の背中を見失った。
そして隼人は森を疾走しながら、体に纏わりつくワーディングの気配に眉を顰めた。
気配を持つワーディング。それだけならば、自分以外のオーヴァードがいる、という理由でまだ納得はいく。それ以外の理由がこのワーディングからは感じられた。
恐怖。何かを恐れるその気配の正体を、使い魔であるが故に隼人はわかってしまった。
最悪の状況が、可能性が、森の奥で悲鳴を上げている。
「ルイズ――!」
ワーディングからは、確かにルイズの力を感じた。
ダブルクロス ゼロ 14
フーケは身に走る激痛に目を覚ました。いや、目を覚ました、というのには少々語弊がある。一瞬で気を失い、すぐさま覚醒したのだ。
一瞬の空白の存在に、フーケは混乱した。わからない、わからないのだ。
何故自分の右腕が消えているのか、その理由が分からない。
ルイズらしき”何か”が悲鳴を上げ発光した、その次の瞬間の記憶がない。何をされたのか、その部分のみが空白になっているのだ。
気づけば右腕が消失しており、それを認識した瞬間、フーケの喉からは悲鳴が迸った。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
女性的な悲鳴、と言えるものではなかった。人間という種が身の危険に、そして瞬間的に襲いかかる激痛に対しあげる、精一杯の抵抗であった。
だが抵抗も空しく、生命の危機を告げるシグナルは止まらない。血が溢れないのが逆に恐ろしい。しかし血が出ないのならば、幻覚の類ではないのか?
咄嗟に傷口を押えようと左手を切り口にあてる、が、全く意味を成さない。あるはずの右腕の感触は一切ない。むしろ傷口に触れた痛みが勝った。
「アアアアア! う、うあ、あああっ!!」
止まらない、止まらない、止まらない。
フーケは必死に辺りを見回した。痛い、痛い痛い痛い! 何かこの激痛を抑える何かがないか! 何か! 何かが!
それ以前に何故右腕がなくなっているの? 嫌だ、なんだこれは、なんなのだこれは!
混乱し錯乱する視線の中に、ふと見なれた物が映った。
杖だ。自分がいつも使っている魔法の杖が地面に転がっていた――自分の右手首を張り付けたままで。
「ギ、ヒ――――ぃや、いやぁ、いやあああああああああああ!」
転がる手首と、それが掴んでいた杖を見た瞬間フーケは再び右腕がないのを認識した。幻覚でも何でもない。本当にフーケの腕は吹き飛んでいたのだ。
ならば血が流れないのは何故だ? その理由も分かった。”焼き焦げている”のだ。傷口が、そして大地が。高圧縮の炎。そう考えるしかない。しかしそんな魔法をフーケは知らない。
支援
255 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:50:25 ID:yw+l9klQ
支援
それでもフーケは縺れる足でその杖に走り寄った。
杖! 杖があれば!
頭の中が一色に染まる。冷静な意識など既に消えていた。彼女を動かしていたのは盗賊としての気概、そして生き残りたいという執念の二つのみ。
片腕をなくしたことで体の平行バランスが大きく崩れていた。情けなく地面にべしゃりと転がるが、それても這いずって杖に向かう。必死。杖がなければ必ず死ぬ、とフーケは思った。思っていた。
ならば杖があれば生き残れるのか。そうだと彼女は信じていた。だが頭の奥では、それもありえぬと囁き声が響く。
メイジであることに、杖に彼女は縋りついた。
杖を左手で攫む。張り付いたままの右手を無理やり剥し、震える腕で杖を攫んだ。
次にフーケが選んだのは自身を治療しようとする事でも、逃げようとする事でもなかった。
杖を向ける――未だ悲鳴を上げ続ける、ルイズに対して。
あれは、危険だ。
否、危険という代物ではない。あってはいいけない、”生きていてはいけない”何かだ。
自分でも何の魔法を唱えようとしたのかフーケにはわからない。それでも何とかしなければ――そう思い、必死に息を吸い込んだ。
「ヒュ」
奇妙な音をたててフーケは息を吸い込む。その音と、自分に向けられた杖を見てルイズは一際大きな悲鳴を上げた。
「わたしに――――わたし、を、殺さ――」
殺さないで。
そうルイズが叫んだ瞬間、フーケの体は硬直した。
何かを思ったわけではない。しかし息は吸えない。言葉を発せない。杖を持つ手が震えた。”恐怖”に。
それは自分が感じている恐怖とは別種のものだった。”まるで自分が殺される”という、第三者の視点から見たような恐怖の刃がフーケを貫いた。
殺される、とは思っていた。それとは違う、別種の殺意を感じた。ありもしない杖を向けられているような、恐怖。
まるで――自分自身に杖を向けられているような。
だからといって何もしないままでは殺されるのは明白だ。フーケは激痛と言いようのない恐怖に耐えながらも言葉を発しようとした。
瞬間、閃光がフーケの左耳を抉った。
「ギ――っ!?」
焼けつくような痛みが走る。それでも左手に持った杖は落とさない。手が青白くなるほどに握りしめられた杖は、万力で締められたかのように左手から離れることはない。
そしてフーケは見た。今の一瞬に自分を貫いた光の柱を。
それはルイズを守りように浮遊する、四つの球体のうちの一つから放たれたものだ。
焼けつくように痛む耳と、恐怖に伝染する心。それでも何とか理性を取り戻したフーケは、未知の恐怖にやはり身を震わせた。
それはダインスレイフと初めて相対したときに感じたものだ。わけのわからない異形の力。それを、目の前にいる”ルイズ”は使った。
まるで光そのものが襲いかかってきたようだ。炎の魔法の一種か、そう考えるもののここまでの魔法をフーケは知らない。
炎の魔法は寧ろ広範囲に広がるものという印象が強い。爆炎然り、単体に使うには大きく、強力すぎる威力を誇る。
だが、この魔法はなんだ? そこまで考えてフーケの頭に走るものがあった。
魔法ではない。もしかしてこれは”そんなものじゃない”のか?
ダインスレイフが砂のように消えたのも。
タカサキハヤトの剣で切り裂いたものが結晶になるのも。
ルイズの使う光が貫いたものを抉るのも。
”魔法を受けても死なない”のは――魔法では、ないのならば。
「化け物……」
ここに至ってフーケは後悔した。自分は何て物に手を出してしまったのかと、心の底から大声を上げた。
「いや! イヤアアアアア! 死にたくない! やめて! いやだ、テファ!」
気づけば名前を叫んでいた。
自分が守ろうとした人。自分が縋った人。後悔の人を、名を、声に出して叫んだ。頭の中でもういない誰かに対し、声を荒げた。
――悪夢、だ。
気づけば両膝が地面をつき、それを認識した途端、体中から力が抜けた。
すとん、と場にそぐわない音をたてて座り込む。それでも後ろに下がろうとして、右腕がないことを思い出した。ない右腕で地面をつくことはできない。フーケはそのままバランスを崩し後ろ向きに倒れてしまう。
逃げられない。その意識がフーケを覆った。死ぬしかないのか、とも思った。
死地に挑んだことがないわけではない。しかしこの状況は違った。完全な認識外の化け物がいるのだ。
半狂乱となったフーケは、何か固いものが地面に落ちる音を聞いた。
そちらに視線を向ければ――小瓶が一つ、落ちていた。
ああ――悪魔の、秘薬。
ただの液体が入った小瓶にしか見えなかったそれは、救いの手か、悪魔の囁きに見えた。
自分もああなるのが嫌だ。という意識が一つ。
アレを飲めば助かるのか。という意識が一つ。
化け物にはなりたくない。――でも、人であり続ければ、死ぬしかないだろう。
だから残った左腕で、縋るように小瓶に手を伸ばした。
心の中で、テファ、テファと叫びながら、彼女はゆっくりと手を伸ばし――
(あれ……そうだよ。ちょっと待ちなよ、マチルダ。あれを飲めば――ダインスレイフや、このルイズと同じになる? 化け物になるんだよ?
でも、でもでも、手を出さないと死ぬじゃないか。死んだら誰がテファを守るんだ。
化け物になっても、私があの子をまもらなく)
そうして、手を伸ばした先にある小瓶が一条の光により消滅した。
(――あれ?)
同時に彼女の意識はプツリと途絶えた。
・ ・
阿鼻叫喚、という状況ではない。しかし隼人の心境は正にそれであった。
最悪。しかも想定していた以上の事態だ。
大地には右腕を失い倒れたミス・ロングビル――否、あたりはつけていた。彼女がやはりフーケだったのだ。
証拠はフーケの纏うローブの色だ。これでも隼人の感覚、視力は悪くはない。寧ろ常人より優れてるといえるだろう。その隼人の目が闇色のローブを覚えていた。
第一、フーケを見かけたという情報も辻褄が合うことは合うが、都合が良すぎた。次いで、フーケを男と断定したところも疑問に残った。
意識して男という部分を強調していたのだろう。土くれのフーケは男か女か分からない。自身は女故、男という案を推しておけば疑いはかかりにくい、というところか。
しかし今はどうでもいい事実でもある。問題なのは、隼人の視線の先にいる”誰か”であった。
その正体は知れている。だが、認めたくはない。
その淡い桃色の髪は、月明かりを返し殊更に緩やかな光となっている。整った美貌は何処か恐ろしい程に白く、ところどころ破けた服の下から覗く肌は陶器のように滑らかに見えた。
歳に、というよりは見た目にそぐわないというべきだろう。艶やかさを持ったその”誰か”は、間違いなく隼人の知る人物であった。
「ルイズ…………っ」
言葉に対し、彼女は何も返さない。
ただ、ルイズの周りを浮遊していた四つの球体がぴたりと止まり、ぐるりと動いた。
まるで、眼だ。
ガリ、と奥歯が砕けるまで歯を食いしばる。彼女の背にあるのは羽だ。光の羽。見覚えのある、寧ろ馴染みに近い”能力者の翼”。
彼女の状態を見れば、すぐさま得たであろう力はわかった。
宙を浮く四つの光珠は、目だ。魔眼と呼ばれる、とある力が顕在したときに現れる現状の一つだ。
背に背負った翼は光だ。陽炎のように揺れる体もそれを証明している。
光を操作するエンジェルハイロゥの力。
重力を制御するバロールの力。
この二つがルイズの中に宿っている。宿ってしまった。
最悪だ。隼人は心の中で言葉を吐いた。
「最悪だ」
畜生。どうすればいい。
ルイズには来てほしくなかった。否、このような世界など、知らせたくないと思っていた。
平穏、というのも可笑しいかもしれない。こんなファンタジーの世界で、しかも魔法使いなんていうものをやってのだから、荒事に関わることはあるだろう。
だが非日常の世界に来てほしいとは、全く思ってなかった。
それは元の世界にいたときも同じだ。楠森という一人の少女を思い出し、隼人は歯噛みした。
楠森七緒。隼人を繋ぎ止める、そして隼人が突き放した一人の少女。
無自覚のオーヴァードという存在であり、かつ類稀な能力を持っていた楠森はファルスハーツから狙われ、UGNからも危険視されていた。
とある事件をきっかけに彼女の能力は明らかとなり、その結果、一つの街が閉鎖されかけるという事態にも陥った。
結果、隼人は彼女と決別を――日常を切り離すことを選んだ。
もう隼人には手にすることのできない世界を、守るために。数々の事件を乗り越えた隼人の信念のために。日常を守ると彼は心に深く決めていた。
それが例え異世界であったとしても。異世界だからこそ、隼人はそれを守ろうとした。
つまるところ、自分は異邦人に過ぎないのだ。
自分は帰ると決めている。どんなに心が安らごうと、どれだけ友人が増えても、思い出があっても、結局は仮初の場所に過ぎない。
隼人のいる場所は、彼が望んだ、彼の非日常の世界なのだから。
だから、こんな状況は不本意を通り越して憤りを感じるほどに、隼人は歯を食いしばった。
仮初でも、暖かい場所なのだ。
仮初でも、そこには彼らの世界があった。
それを――
そこまで考えていた隼人は、視界の端に光を確認した瞬間にその場から転がった。
「づあっ!?」
右腕に焼け付く痛みを感じる。視線を向ければ二の腕を切り裂くような焼き跡が残っていた。
思考に埋没するあまりに、魔眼の位置を把握し切れなかったらしい。四つのうちの一つが隼人の死角に周り、光の束を放ったのだ。
すぐさま戦闘状態にシフトし、隼人はルイズの表情を見た。
苦悶、というよりは青ざめた、というほうが正しいだろう。光に溢れ、寧ろ神々しさに近いものがある。だが眉は寄せられ、その瞳には恐怖の色が濃い。
怖がっている? というよりは――能力が暴走している、という感覚が隼人の頭にあった。
事実ルイズは能力を制御できていない。ただ感情、というよりは受動的に反応を起こし、能力を使っている。同時に、それは彼女自身も焼いている。
淡い光を纏い、傷は確かに塞がっている。しかしそれは確実にルイズの中にあるレネゲイドウィルスを活性化させ、戻ってくることのできない場所まで増え続けるだろう。
衝動のままに力を振るえば――その結果をUGNで何度も見てきた。ならば、止めなければなるまい。
「簡単なのは意識を断つこと、だな」
「そりゃー簡単に行きそうにねーな」
隼人の呟きにデルフが答える。それに頷き、隼人は改めてルイズを見た。
今は落ち着いている。そう、例えば無差別に攻撃を仕掛けていたとしても、今はまだ落ち着いているのだ。
ダブル支援
最悪、今しがた自分に襲ってきた光が”この森全てを焼き尽くす”。そうなれば眼も当てられない。
時間も多くはない。兎に角――まずは、仕掛ける。
「シッ!」
体内のレネゲイドを活性化させ、動く。とはいえこちらも限界が近いので、二重の意味でも時間は少ない。ハヌマーンの力により高速で移動。正に目にも留まらぬ速度で、隼人はルイズの背後を取った。
(暴走してて魔眼が四つなら、まだなんとかなる――!)
魔眼の数は、バロールにとっての力の証明にもなる。
力を隠したい人間は魔眼の量を調整するし、最大限に力を使うとき、その数は恐ろしく増えることもある。
暴走状態は力が際限なく使われている状態だ。それで四つならばまだ付け入る隙はある。
そう思い手刀を走らせようとした瞬間、突如として目の前に光の珠が現れた。
「んなっ!?」
体当たりするように飛来したそれをかろうじて避ける。そのまま突っ込もうと視線をルイズに向ければ、そこには更に飛来する三つの光珠が――
「ちっ!?」
舌打ちし真横に跳躍。着地と同時に更に大きく後ろに下がった。
一瞬隼人が着地した地点に先ほどから出ていた魔眼から閃光が放たれる。土の焼ける臭いを嗅ぎながら、隼人はぐぃっと流れた冷や汗を拭った。
「八つ、か」
ルイズの魔眼は八つあった。すぐさま増えた様子を見れば、恐らくまだ増えるのかもしれない。まだ完全な暴走に入っていない、という事実だけが安心材料だ。
「近づけなけりゃ、どうしようもないか」
ならば、と隼人はデルフリンガーを握り締めた。再びあの力を使えば、伸縮自在のデルフリンガーの一撃を、その高速思考にて叩き出した計算に基づき放てば、ルイズを昏倒させることは可能だろう。
しかしそれをすれば――戻ってこれる可能性は低い。それでも――
「こわい、よ……」
気づけば、ルイズの視線が隼人に向いていた。
相変わらずの恐怖の滲んだ表情ではあったが、その瞳に一瞬の安心を見たのは隼人の気のせいだったのだろうか。
まだ、自我がある。しかし自分が誰なのか、そういった把握はできていないのか。ルイズの様子に隼人は小さく息を吐いた。
「こわいよ――どうして? どうして、わたしをぶとうとするの?」
とつとつとルイズは語る。宙に浮いたまま両膝を抱え、顔を埋める。
「まほうがつかえないって、どうしていじめるの?
つかえないこだって、いらないこだって、どうしていうの?
ねえさまとちがうもん。でも、いつかわたしだってまほうがつかえるんだから。
だから、だから……すてないで、ほしいのに」
その心情の吐露を、隼人はじっと受け止める。
「まっくらなのはいや。こわいのは――いや。
いたいのもいや。なのになのになのになのに、どうしてわたしをいじめるの?」
視界が失せた、あの一瞬のことだろう、と隼人はあたりをつける。
デルフリンガーを握る腕に、力を込めた。
支援
ルイズの言葉には、少しずつ嗚咽が混じり始めた。
「ひっ……ここは、こわいよ。ねえさま、ちぃねえさま、かあさま、とうさま――どうしてたすけてくれないの…………?
ひとりはいやよ。いやなの。たすけて、たすけて、たすけて……っ!」
助けて欲しい。それはルイズの心の奥にある言葉だったのかもしれない。
貴族として振る舞い、魔法が使えないと馬鹿にされ、それでも誇りを見失わず、無茶、無謀を繰り返す。
そのためにならば命だって捨ててみせる。そんな覚悟がルイズにはあった。
しかしその奥底では、諦めもあったのかもしれない。不屈の精神の奥に、助けを求める声があがっていたのかもしれない。
それを前に出すのは、ルイズではなかった。
だが、今のルイズは――ある意味でむき出しの、最初のルイズだった。
故に。
「ぜんぶ、なくなればいいのに。でもぜんぶなくなったら、まっくらなのはこわいよ。こわい――たす、けて……
おねがい、だれかたすけて。たすけて…………
――ハヤト、助けて」
「わかった」
だから、待ってろ。
返事を待たず、隼人は疾走した。
融合を使う手間すら、惜しかった。
・ ・
その青年の動きを、コルベールは止めようとは思わなかった。
事情は詳しく知らない。だが、彼がミス・ヴァリエールを助けようとしている、それだけはわかった。
この場についたのはつい先ほどである。ゴーレムが崩れるのを遠目に確認した後、森の中で閃光が走ったのだ。
光に向かって走ってくれば、そこで一人の青年を見た。光の珠が放つ閃光を紙一重で避け、翼を生やし宙に浮くミス・ヴァリエールに近づこうとする、使い魔の青年を。
何をしているのかはわからないが、青年の表情には焦りがあった。手伝おう、とも思ったが、今この場に出たところで何ができるわけでもない。それでも杖を構え、彼は待った。
ミス・ヴァリエールの声が聞こえる。助けてと、嘆く声が聞こえる。
コルベールにはそれがあの村での声に聞こえた。助けてと叫ぶ声が耳に響く。
後悔の念に身が折れそうになる。だが、今はそのときではない。杖を握ると決めた瞬間から、後悔と自責の念と戦い続けることは決まっていたのだから。
青年――ミス・ヴァリエールの使い魔、ハヤトといったか。その青年が剣を構え、突進する。
疾い。それが第一印象。次に鋭い、そしてやはり――見事、ともいえる。
だがその疾走を以ってして、ミス・ヴァリエールを守るように浮遊する光の珠の一撃を避けきることは不可能だろう。
八つの珠が縦横無尽に空間を蹂躙する。それを追いながら、コルベールは杖を振るった。
・ ・
炎が巻き上がる。それは隼人の進路を確保する、道標の炎だった。
支援
遥かなる支援。
誰が、とか。何故、とか。そういった理由は全て後回しにして隼人は走った。
光珠の動きは炎に阻害され隼人に近づくことはない。まるで一陣の風のように、隼人はルイズの元にたどり着いた。
レネゲイドの侵食も、限界に近い。炎によって逸れたとは言え、閃光は確かに隼人の身を焼いていた。その姿は満身創痍に近い。
今も、次の瞬間には閃光が放たれるのかもしれない。すぐさまルイズを気絶させるべきだ。
それでも隼人は言った。
「待たせた」
そう呟けば、ルイズの怯えた表情に安堵の色が見えた。
後は任せておけ。そう言外に告げ――
隼人は手刀をルイズの首元に落とした。
電源を落としたように光の珠が消えうせる。
翼も消え、この空間を覆っていたワーディングの気配も、一瞬で消えた。
地面に落ちる前にルイズを抱え、隼人はやっと一息ついた。
「お疲れさんだ。相棒」
誰かが走りよってくる気配がある。遠くから、複数人の足音が聞こえる。
前者は恐らく先ほど助けてくれた誰かだろう。後者はギーシュたちに違いない。
近くに倒れるフーケはまだ息があるようだ。今すぐ戻れば、恐らくは助かるだろう。
そんなことよりも、デルフリンガーの放った言葉に隼人は大きく息を吐いた。
「全くだ」
今回は以上で終了です。支援していただいた方、有難うございます。
前回よりは間隔をあけずに投下できたと思います。このペースが維持できればなと夢みたり。
とりあえず次回で一巻分は終了です。もう少々お付き合いください。
聖石の人のあとに投下予約
ちょいと書いてみたものを投下しまつ
ダブルクロスの方、乙です。
ところで皆、不思議なダンジョンでどんな理不尽なことがあった?
出来れば聞かせてほしいんだ。
ちなみに投下は、10分前後に行います。
ルイズのシンドロームがエグイ件。
GJ!
壁の中のキトサンとかを敵のヌケニンが勝手に食った
ともあれ支援支援
GJ!
>>267 >理不尽
友達に借りたものなのにデータが消えた
別にいいと言ってくれたが謝り倒してしばらく昼飯を奢った
>>267 ディグダのパパの凶悪さ。
あとは壁から来る連中とか、清盛や洞窟でのモンスターハウスとか
この二匹の性能は完全に互角。だが、ワルドの風竜には一つ欠けた内容がある。
なんて事を垂れ流しつつ投下開始。
ワルドの杖に篭るエアニードルと、タバサの杖を媒体にしたアイスブランドがぶつかり合う。
交差する瞬間に起こる剣戟。
距離が離れた瞬間に、私はブラストガンを連射。
しかし、そこは流石元魔法衛士隊体長。
風竜の手綱を握り、見えない弾丸を回避。
当たりそうな弾は円錐状に張った障壁でしのぐ。
洗練された動きだ。
「キュルケ」
「ええ、風竜との連携がうまくいっていない。付け入る隙はあるわ」
「じゃあ、よろしく」
え、と思う間も無くジャンプするタバサ。
思考が真っ白になるが、意図に気が付いてブレイズガンを構える。
その間に、シルフィードがものすごい勢いでワルドの風竜に体当たり。
お互いの速度がゼロになった瞬間、私はブレイズガンをワルドの杖に連射。
エアニードルに阻まれて破壊は出来なかったが、杖を持つ手を弾く。
同時に風を切る音。
アイスブランドをワルドの風竜に突き立てるように落ちる。
風と風と風の三乗スペル。
氷の刃が突き立った瞬間に、内側から風の刃が内部を蹂躙する。
それを見届けたタバサが、即座にシルフィードへと舞い戻る。
「エアスパイク、シルフィードとの連携だからツインスパイク」
「きゅいきゅい(頭コブできたのね)」
「というか、ためらいも無くその連携が出来るあんた達が怖いわ」
眼下には絶命し、墜落する風竜。
同属が落ちていく姿を見て、シルフィードは呟いた。
「きゅいきゅいきゅい(勝てるかどうかはランナーしだいだったのね)」
タバサはシルフィードを杖で叩く。
何を言っているか解らない私は、その光景に首を傾げるのだった。
レキシントン号の周囲にいた戦艦約五隻。
今現在こちらに向かって進行してくる。
村の内部では一丸となって炊き出しが行われている。
最初は手伝おうと思ったのだが、休んでなさいと止められた。
シチューを啜り、心を落ち着ける。
「あ、いたいた! シエスタ!」
声のした方向に顔を向ける。
そこには、ギーシュ様が立っていた。
「ギーシュ様、なぜここに!?」
「本来なら君を守りに、と言いたい所なのだが…残念ながら今の僕はメッセンジャーだ」
確かに。
魔法というスキル自体は心強いが、数が勝負のワルキューレでは話にならない。
自分でも解るひどい評価を下しつつメッセージを聞くことにする。
「私とタバサはルイズの援護に行く。シエスタはとにかく時間を稼いで―――キュルケより」
それだけで、この戦いの光明となった。
やはり、ルイズ様は来てくれた。
私はその到着を完全な体勢で迎えなければ。
「張り切ってるな、相棒」
「こんなところで死ぬわけにはいきません。ルイズ様を迎えなくてはならないのですから」
デルフを振り、構える。
トウホウフハイがクェ、と鳴いた。
さあ、お迎えしよう。
ルイズ様を迎えるための準備をしよう。
笑いながら皆を迎えるために。
しつこく飛んでくる砲弾をかいくぐりながら詠唱。
目標はレキシントン号。
こいつを潰して、早いとこタルブ村に行こう。
私の所にキュルケとタバサが来たということは、シエスタの所にもギーシュが行っているという事だ。
とりあえず、目の前の敵に集中。
砲撃をかわしながら紡ぐは、古に失われた虚無の系統。
今まで使い手のいなかった失われし系統。
詠唱の大半が終わり、放とうとした瞬間に気が付く。
レキシントン号の護衛艦の内、五隻ほどがタルブ村の方向へ向かっている。
それでも魔法は止まらない。
「エクスプロージョン!!」
放たれた光は、レキシントン号と周囲の戦艦を巻き込んだ。
光によってマストや風石が破壊され、墜落していく。
地上のアンリエッタ様はその光景に驚きながらも、軍を突撃させた。
精神力をエクスプロージョンによって根こそぎ持ってかれた。
少しでも気を抜くと、意識は闇の中に閉ざされてしまう。
それは駄目だ、私はシエスタの元に行かなくちゃいけない。
かすかに薄れる視界の中、私はミメットをタルブ村に向けて飛ばした。
DXの人乙。デルフは九十九神か。そしてルイズ……良い組み合わせだ。おマチさんの安否も気になるが次回も待ってる。
そして支援
降り注ぐ砲撃、鳴り止まない爆音。
襲い掛かるレコンキスタの兵を一刀両断にする。
タルブ村事態にも砲撃を受けているが、被害はそう大きくない。
ラ・ロシェール周辺の空が急に明るくなる。
そちらを見ると、巨大な光の玉が戦艦を焼いていた。
ルイズ様が巻き起こしたものだ。
確証はないが、その直感を信じながら剣を振るう。
横ではギーシュ様がワルキューレで懸命に戦っている。
シルキスが岩石を落としてメイジを蹂躙する。
背後では刀に宿る怨霊が、周囲の敵をなぎ払う。
槍に矢が飛び交う。
あちこちで響き渡る怒号。
私は、ルイズ様の到着を待ち続けた。
かすむ視界の中、私はタルブまでたどり着く。
残された精神力はわずか。
それでも、私は全力を振り絞る。
詠唱が短く、威力の有る最高峰の魔法を放とうとする。
「震えろ…」
誰がこの行動を褒め称える?
後世の歴史家は「最低で、最悪の行動」と評価するかもしれない。
そんなボロボロの意識で何が出来る?
心の問いかけに、私は声に出してこう言った。
「そんなことは関係ない。私が、私の魂が自分のしたいことをしろと、そう告げている」
だから、私はこの選択を後悔しない。
たとえ、死ぬことになろうとも。
生きて、彼女達の元にたどり着けるのなら。
それが、希望のない絶望の道だとしても。
「命つなぎ止める光……」
ああ、わかる。
体が変化を始めている。
髪の毛が銀に染まり、背中に違和感を感じる。
「力の塔となれ………」
背中が弾け、翼が飛び出す。
頭から、小さな翼が生える。
完全な異形/聖天使と化してでも。
それでも。
――― わたしは、みんなの所にいくよ。
だからみんな、必ず待っててね ―――
「完全アルテマ!」
私は見た、ルイズ様が来てくれたのを。
私は見た、ルイズ様がふらふらになりながら魔法を使おうとしているところを。
私は、見てしまった。
―――ルイズ様が、聖天使になってしまった瞬間を。
そして、聞いてしまった。
ルイズ様の、心の声を。
――― わたしは、みんなの所にいくよ。
だからみんな、必ず待っててね ―――
「ルイズ様ぁーーーーーーー!!!」
戦艦五隻が、アルテマの光に包まれる。
膨大なまでに荒れ狂う魔力が、全てを包み込む。
そして、ミメットから落ちてゆくルイズ様。
生涯でも最速のスピードで戦場を駆け、落下地点に回りこむ。
落ちてくるルイズ様に合わせて飛び上がり、受け止める。
受け止めたルイズ様は、眠っていた。
体を調べても、翼は消えていた。
安堵の息をつきたかったが、つけなかった。
普段から聖石に触れている私は悟ってしまった。
―――もう既に、人間という種族から外れてしまったのですね。
今まで、一房だけ銀に染まっていた髪の毛が、全体に広がっていた。
ルイズという貴族を象徴していたピンク色の髪の毛が、一房だけになっていた。
「サジタリウス、ルイズ様は」
その問いに対して、サジタリウスはかすかな光を放つだけ。
とりあえず、生命に別状はないみたいだ。
周りを見ると、アルテマの光で敵は混乱。
こちら側も呆然としているが、この程度ならたきつければ何とかなる。
「全員、畳み掛けなさい! ルイズ様が作ってくれたチャンス、無駄にするなぁぁ!!」
私は絶叫し、ルイズ様を運びながら後退。
爆音の響かない戦場を、怒号に包まれた戦場をただひたすら後退した。
以上で投下終了。
鼻から吸い込む空気が冷たく、末端の手足が寒さで凍えています。
やはりブラウン管モニタとパソコンの放熱で部屋は温められないのか…
支援そのたもろもろありがとうございましたー!
―――次回の小ネタは不思議のダンジョンだ。
乙でした!
では5分後くらいに投下開始します
投下前しえーん
ルイズは朗々と歌い上げる。鈴が鳴るような透き通る声で。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…」
その歌の名は『サモン・サーヴァント』。己が使い魔となる生物を召喚する呪文。
『トリステイン魔法学院』に所属する学生は二年生に進級する際、皆例外なくこの儀式を執り行う。
トリステイン魔法学院―――この『ハルケギニア』と呼ばれる世界に存在する大国の一つ、トリステインに作られた魔法使い養成機関である。
この学校において、今年二年生進級する生徒たちはこの儀式で召喚された使い魔によって自分の『魔法属性』を決定し、それぞれの専門課程へと進むのだ。
そして今日、その儀式を行うため今年二年生に進級する生徒たちは学院からおよそ2000メイル程離れた草原へと集められていた。
集められた生徒たちは円を描くように立っており、その円の中央で歌う桃色の髪をした少女を見つめていた。
少女の名はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
『可愛らしい』という形容詞が文句なしに似合う、美少女だ。
彼女の二つ名は――――
ドムッ!!
突然ルイズの前方で爆発が起こった。爆風が地表の草や土を巻き上げる。
「けほっけほ…またかよルイズ! まったくお前は本当に『ゼロ』だな!!」
「サモン・サーヴァントもまともに出来ないのかよ! 落ちこぼれ!!」
土煙に巻き込まれた生徒たちから野次が飛ぶ。ルイズは土煙から目をかばいながら、悔しさで奥歯をかみ締めた。
そう、彼女の二つ名は『ゼロ』。ゼロのルイズ。魔法成功率0のダメダメメイジ。
それが彼女につけられた――極めて不本意な――二つ名だった。
周囲から罵詈雑言を投げかけられながら、ルイズはしっかりと爆心地を見つめていた。
祈りをこめて。
既に三度。三度もサモン・サーヴァントを失敗している。『サモン・サーヴァントを唱えられない魔法使い<メイジ>』などいない。
メイジにとってそれを行うことは、魚が海を泳ぐように、鳥が空を飛ぶように自然なこと。
つまりはサモン・サーヴァントを唱えられないメイジなど―――
(お願い…! この際何の能もない視覚共有も出来ない秘薬探しも出来ないそれこそ炊事洗濯その他雑用位しか使い道の無い平民なんかでもいいから成功して!!)
煙が徐々に晴れていく。ルイズは目を見張った。
―――ぼんやりと影が見えた。
ルイズは狂喜した。
やった! 成功した! これで少なくとも私はメイジだわ!
でもちょっと待って。私は何を召喚したのかしら?
成功したとなると多少欲も出てくる。あの『雪風のタバサ』のように風竜を…なんて贅沢は言わない。
せめてサラマンダーを召喚して得意満面なツェルプトーに胸を晴れるような使い魔であればいい。
「張る胸なんてね〜じゃね〜か(笑)」って思った奴は後でちょっと来い。
支援
―――煙が晴れる。
ルイズの目が大きく見開かれた。
(……人間ッ!?)
草原に『黒尽くめの男』が仰向けになって倒れていた。
(確かに平民でもいいとは言ったけど…いや、言ったっていうか思ったんだけど……)
いざそうなってみるとやはりショックがでかい。一応『生物』を召喚できたとはいえ、これは失敗となるんじゃなかろうか?
そうしてルイズが己の使い魔となるその『男』から目を離して嘆息していると―――周りの生徒たちの間にどよめきが走った。
あ〜はいはいそうですよ失敗しましたよ笑えばいいじゃない『風邪っぴき』。馬鹿にすりゃいいじゃない『洪水』。
どうせ私は『ゼロ』よ。『ゼロのルイズ』なのよ。ヴァリエール家の面汚しなのよ〜〜ってあれ?
そこでルイズは気づいた。先ほどから聞こえる周囲のざわめきからは嘲笑や蔑みの響きは聞こえない。代わりにそこに含まれているのは『動揺』と『驚愕』。
何事かとルイズはもう一度己の使い魔となる『男』に目を向けた。
そのまま大きく目を見開いた。
『男』は『黒い鎧』を纏っていた。それだけではない。
黒いマントもつけている上、ここからではよく見えないが『左腕』まで肘から先が黒い。
『男』の『短い黒髪』とも相まって、まさしくその『男』は『黒尽くめ』と形容するにふさわしい。
よく観察してみれば、相当に鍛えられた体をしていることが伺い知れた。
しかし周囲のどよめきはそこに向けられたものではない。
草原に集まった生徒たちの目は――ルイズも含めて――その『男』の傍らにある『物』に釘付けになっていた。
それは、剣と言うにはあまりに大きすぎた
大きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた
―――それはまさに鉄塊だった
男の名は『ガッツ』。
狭間の世界に身を置き、『守る』ことと『挑む』ことを魂に問い続ける『黒い剣士』。
投下終了
短いですがこんなん考えてみました
需要ありますかね?
需要無かったら止めるのか?
無くても引きずり込んでやるくらいの意気込みでやってやれ
召喚シーンだけでどうこう言えんが、期待はしてるぞ
>>283 乙、ここでは需要はあまり気にしなくて良い。
迷わず進んでくれたまえ。
ベルセルクの鉄塊とDODの鉄塊は
何か関連があるのだろうかと思う肌寒い夜。
>>283 召喚シーンだけか?その後の展開は何も考えてないのか!?
だとしたら何も言うことはない。
吉野家コピペジェネレータなんぞ相手にするだけ無駄だからな。
ああ、書き忘れた。
もしもガッツならではの展開が思い浮かんでいるのなら、ケチケチするな。
そこが肝なんだ。
もったいぶらずに読ませてくれ。
なーんかガッツだと普通に逃げ出しても生き残れちゃいそうだな
ただベルセルクよりの展開になると間違いなく避難所向きになりそうだな…
別に使途やゴッドハンドとか出てこなくてもイケるんじゃね?
何故だろう
ゴッドマンを召喚して生徒たち(特にギーシュとマルコメ)が
無差別問答無用にボコられる様子が
突然浮かんだ
まぁ、ギーシュあたりは確実に体が縦か横か斜めか知らないが二つに断たれるのは確実だろうな。
……なぁ、キャスカがいないこの世界にきちゃったガッツって下手するとキレてルイズを速攻で真っ二つにしかねないんじゃねぇか?(汗
>>294 それはねえ
ドラゴン殺し持ってる黒い剣士以降のガッツは基本的にガキを斬ることができん
特に屁垂れ貴族のボンボンだとトラウマ直撃だぞ
使徒ですらガキってだけで斬るの無意識のうちに躊躇ったりするぐらいだからなぁ
怒り狂っても詰め寄るだけだわな
ふと、シールケが召喚されたらどうだろうと思ってみる。
あとは、KOGに乗って放浪中のラキシスとか。
ただ、絶対に言う事は聞いてくれないな
今すぐ戻さないと殺す、とか脅されて涙目のルイズだな
>>297 シールケの魔術ってその場所に居る精霊のパワーを元にしてるんだったっけ?
長い詠唱が必要って点がなかったら先住魔法扱いされかねないな。
>長い詠唱が必要って点がなかったら
固定契約する代わりに詠唱(随時交渉)してるわけだからな
微妙なんでね?
精霊魔法と聞くと、精霊魔法講座で相性の話で「ワシくらいの実力なら合反属性でも合成できる」といって引っ掻き回す乱入ジジイを思い出す。
たぶん知ってる人間は少ないだろうな…
「ほほう、貴様か。あれほどの長距離を跳躍するワープゲートを開こうとしたとは思えんほどチャチな魔力じゃな。感謝せい、貴様の下手糞なワープゲートの魔法を、ワシが向こう側から無理やり完成させてやったのじゃからな」
「ふふん、小僧が調子に乗るなよ。魔力も神の力も、精霊の力すら己の力で従わせるワイズマンの魔力、思い知るがよいわ!」
「うーしっしっしっし!雑兵7万ごときでワシに適うと思うたか。そうーれ、スペーススマッシャー!!」
「残念じゃなぁ、エルフの先住魔法とやらはその程度か。ハンデとしてゴーレム同士の戦いにしてやろう。
タルブ村で発掘して以来の出番じゃな。来い、対邪神兵器魔人伍號!」
「そーれ魔人ビィーンムゥゥゥゥ!!」
精霊魔法か。
・白粉塗ったダークエルフ
・聖剣3・アンジェラ
・オーフェン・フェアリードラゴン
・紫もやし
……意外と覚えてないもんだ。
もっとあったと思ったけど。
>>301 なあ貴兄、熱血!大冒険大陸復刊するといいね……。
ギルガメッシュ=ミナスタ召喚と思ったが、あの世界に“緑の髪のエルフの処女”がどうあがいても存在しないのに絶望した!
テファの髪、金だよ!
【ハーフエルフによって変身するとキモくなる】
>>302 何も聖剣3に固定しなくてもいいじゃないかw
メルディとキールの使う晶霊術も精霊魔術に含めていいのか?
メルディとキールは一緒に召喚しないと技が使えないよな………
大晶霊の技を見たゼロ魔キャラの反応が見たい。
どっかに気合いとか勢いで魔法並の現象引き起こす奴はいないものかと考えて
悪をぶっ飛ばす馬鹿を思い出した
>気合いとか勢いで魔法並
つテニヌの玉子様
>307
ハゲ「なるほど…君達の世界では、魔法の変わりにテニスという技術が発達しているのか」
>気合いとか勢いで魔法並
ミスター味っ子
中華一番!
焼きたて!!ジャぱん
ジョジョの奇妙な冒険第4部イタリア料理店
食べ物ばっかりじゃねーか
>気合いとか勢いで魔法並み
リングにかけろ
ドラゴンボールもある意味そうか
「気」をどう解釈するかによるんだろうが
味っ子は食ってる方の特殊能力だろ?
しかも既に召喚済みだ。w
短編だからふくらませる余地はあると思うぞ
スレイヤーズだと気合とか勢いのすごいのが魔法、という世界観
>>309 ジョジョは魔法に近いって、スタンド混入してるんだから
>気合、勢いで魔法並み
つ 六道神士の作品
つ B壱
特に後者、死に対する防衛本能だから気合に入るのではないかと
召喚された作品の中に巨大ロボを召喚したのってある?
ラインバレルで書こうと思ってるんだけど、あの世界にロボがいるとパワーバランスが…
あるし、何回も検討されている。
パワーバランスと補給の問題で非常に難しいのではないかと言われているがやりたいのなら止めない
あとはあれだ。人間関係を調整するのが難しいと思うがな。
超AIとかついてるようなメカならまだしも、単に戦力としての巨大ロボ出しちゃうとルイズがそれをどう扱うか考えるのが難しい。
まあ、サイトのパソコン同様『所有物』としてパイロットごと召喚するという手もあるが。
ラーゼフォンなら大丈夫じゃね?
虚無=奏者で
ワタルってハルケギニア内に居ても龍神丸呼べるのかな?
電話がないから戦神丸は無理だよな。
話が進んだらヨルムンガンドも出てくるしパワーバランスは取れそうではあるな
沢山の意見ありがとう
ルイズがラインバレルを呼ぶとすると、ルイズはラインバレルに殺されなきゃだから
操縦者を召喚するってのが妥当か
今ん所どれくらいのロボが召喚されてる?
って質問は前もやったけど、やっぱり作品の数が数なので今一把握できないっ
>324
途中をダイジェストですっ飛ばすという手がある。
後、ヨルムンガンド出現を前倒したりするというものある。
>326
まとめサイトで数えてみるのが一番早いかと。
>>315 気合や勢いで魔術が使えるのは魔族だけだ
・・・・
今ンとこ巨大ロボは・・・
エウレカセブンより ジ・エンド
ガンダムセンチネルより スペリオルガンダム(パ−ツ)
減が英雄伝説より トリグラフ ロボじゃないけど宇宙戦艦
ダライアスより 魚型戦艦(またロボじゃない)
フルメタより ボン太くん
カオスフレアより 粉雪(宇宙戦艦)
宇宙家族カ−ルビンソンより おとうさん(ロボ?)
究極超人あ−るより R田中一郎
甲殻機動隊より タチコマ
護衛神エイトより エイト
勇者王ガオガイガ−より 超竜神
戴天神城ア−スガルズより ア−スガルズ
このくらいかな?
巨大じゃないロボも混じってるな
「ロボットじゃないよ アンドロイドだよ」
>>320 世界オワタになる以外想像できんのだがw
>>316 スタンド混入っつってもあの人の場合技を極めたことで発現した能力だからなぁ
>>302 とりあえず、一番上は避難所向きかな
RPG系だと結構あるんだよなぁ、精霊魔法
>>329 ロボではないがこんなのもいる
エースコンバットZEROより ADFX-02 Morgan(戦闘機)
>>329 このスレじゃないけど 新世紀エヴァンゲリオンよりエヴァ初号機
>>277 不思議のダンジョンでの理不尽死?そんなんたくさんあるぜ。
楯を弾き飛ばされた>取りに行ったらバネトラップ
>モンスターハウスど真ん中>八方向囲まれてて移動できない
>聖域の巻物も無い>必死で抵抗するもフルボッコ、とか
つまずいて荷物全部ぶちまけ>目の前にトラップがあったので一歩横へ>落とし穴
>目の前にドラゴン×2、しゅーりょー。
とかな
シーマ様とノリスとバーニィを忘れるなんて
予約ないなら投下していいかな?
デモベのリベルレギスとかレガシー・オブ・ゴールドも出てるな>巨大ロボ
悪いわけがない
気が付くと目の前に青空が広がっていた。
頬の辺りがちくちくする。どうやら自分は草原の上に仰向けになっているようだ。
一体全体何がどうなっているのか。自分はつい先刻まで仲間たちと共に野営の準備に取り掛かっていたはずだが……
いささか混乱している。ガッツは冷静になるよう努めた。
まずは思い出す―――そうだ、『鏡』。鏡だ。
目の前にわけのわからん鏡が現れて―――
「その鏡に触れてはいけません!!」
夜に備えるため、薪拾いを終えて帰ってきたガッツの前に突然鏡が現れた。
貴族が好んで使うような、豪奢な鏡だった。
警戒と興味でガッツがその鏡を観察していると、仲間の一人である魔女・シールケの声が頭に響いた。
その声でガッツは鏡に触れようとしていた右手を引っ込める。
まったく、『念話』というのは便利なものだ。
言葉に表れる表面上の感情だけでなく、発信者の細かな心情までおよそ間違いなくうかがい知ることができる。
シールケはひどく焦っているようだった。
「これはそんなにやべえもんなのか?」
「よくはわかりませんが……まず間違いなく魔術によるものです。その鏡面は、魔力に満ちていて……なんだろう、水面のようにも……」
鏡をじっと見つめたままシールケはぶつぶつと呟く。
シールケの言葉を聞いてガッツももう一度鏡を見てみたが、見かけが豪奢という点以外は自分が今まで見てきた物と違いは無かった。
おそらく魔術師である彼女しか見えないものがあるのだろう。
となると自分に出来ることは無い。事態の究明はシールケに任せることにしよう。
そう思って鏡から目を切ると―――これまた仲間であるセルピコ、ファルネーゼ、イシドロ、そしてファルネーゼに連れられたキャスカが、先ほどの念話を聞きつけたのだろう、こちらに歩み寄ってきた。
「ようよう! なんかあったんか!?」
「いや、何でもねえ。そんな大したことじゃねえさ」
いの一番に駆け寄って声をかけてきたのはイシドロ。ガッツに憧れ、最強剣士を夢見る小生意気だけども憎めない少年である。
「そうですか? 何やらただならぬ様子でしたが…へえ、これは…鏡ですか。なぜこんな所に?」
「知らん。気づいたら目の前にあった」
次に声をかけてきたのは物腰柔らかな青年を『演じる』セルピコ。その本質は冷静かつ大胆。
純粋な剣技ならガッツにも引けをとらぬ男である。
「先ほど先生が『触れるな』と言っていたのはこれに対してのことだったのですね。あ、こら! キャスカさん触っちゃだめです!!」
「あ〜う〜」
金髪で白い肌の女が黒髪褐色の女をたしなめている。
金髪の女性の名はファルネーゼ。元々は貴族であり、『ある騎士団』の団長としてかつてはガッツと敵対していた。
今は紆余曲折あって仲間となっている。ここではそれについては語らない。
こう書くと勘違いされるかも知れないが、彼女、戦闘はからっきしである。
そして―――キャスカ。
ガッツが愛し、守り続けることを誓った女。
かつての―――そう、黄金時代とも呼べるあの頃の面影は微塵も無く―――心を閉ざしてしまった女性。
その胸に刻まれた烙印のせいでガッツと同じく眠れぬ夜を過ごす『贄』。
『生贄の烙印』―――ガッツの首筋とキャスカの胸に刻まれたこの烙印は『魔』を呼び寄せる。
日が落ちてしまえばそこら中の悪霊がガッツ達を襲うのだ。
ガッツはまだしも、現在戦闘力は『殆ど無い』と言えるキャスカは、誰かの庇護の下でなくては生きてはいけない。
現在、ガッツたちは『魔』の立ち入れぬ領域、『妖精郷<エルフヘルム>』へキャスカを送り届る旅の最中である。
シールケが皆の方に向き直った。
「詳しいことはわかりませんが、おそらくこの鏡はどこかに繋がっているんだと思います。鏡の奥にぼんやりとですが『道』が見えました。どこに繋がっているかはまったくわかりません……ひょっとするとどこか異界かも……」
「ほっときゃあいいんだろ? 飯にしようぜ」
なおも考え込むシールケにガッツは声をかけた。
こんなものに関わっている暇は無い。
無視をすると決めた以上、これに関わるのは時間の無駄である。
しかし、そんなガッツの思惑を完膚なきまでに粉々にする馬鹿がいた。
「お? 皆お集まりで何してんの? あ! 鏡じゃん! 久しぶりに見たなあ〜。昔っから不思議だったんだよね〜、おお、映ってる映ってる! やっほ〜」
栗である。名はパックという。れっきとしたエルフであるのだが―――栗である。
念話など届いていないため、まったく危機感の欠如したその栗は、軽やかに宙を舞い、鏡の前で滞空すると―――止める間もなく―――映画「ET」よろしく鏡に映る自分と人差し指を重ねた。
「バッ……!!」
ガッツの罵倒も言い終わらぬうちに、突如鏡が光を放った。
あまりに強烈なその光に、パックの奇行を、口をあんぐりと開けて注視していた全員の目が眩んだ。
「の、NOおぉ〜〜〜!! 引きずりこまれる〜〜〜ッ!!」
一番早く立ち直ったのはガッツだった。
じたばたもがくパックは、いやさ、馬鹿栗はもう半ばまで鏡に引きずり込まれている。
「こ…の馬鹿……!」
ガッツはぎりぎり『こちら側』に残っているパックの体を掴むと、思いっきり引っ張った。
いや、引っ張ろうと『した』。
パックの体を掴んだガッツの右手、その一部分が引っ張る前に鏡に触れてしまった。
―――光が止んだとき。
そこに、ガッツとパックの姿は無かった。
「そんな……」
シールケが崩れ落ちる。
他の皆も呆然と佇んでいた。
「……ッツ」
キャスカが、呟いた。
「なになに〜? どしたの〜?」
事情を知らぬもう一匹のエルフ・イバレラが遅れてやってきて、能天気な声を上げた。
―――思い出した。
ということはあれか。
俺はどこだかわからん、ひょっとすると異界かもしれない場所に放り出されたってことか。
どうやら自分の体に異常は無いらしいことを確かめると、ガッツはまず体を起こそうとした。
そこで、自分を覗き込む桃色の髪の少女と目が合った。
「……ガキ?」
思わず口に出していた。
「誰がガキよ! 私はもう16よ!」
(ガキじゃねーか)
そうは思ったが今度は口には出さない。
ガッツは体を起こしながら目の前の少女を観察した。
桃色の髪に鳶色のくりくりとした瞳―――その容姿は整っているといえるだろう。
服装はともかく、杖を持っている。とすると、シールケとはイメージが違いすぎるがこの女も魔女なのだろうか。
その可能性はある。
女は自分に対して先ほどの発言に対する怒りこそぶつけてくるが、敵意は感じない。
それでも油断無く―――腰を落とし、いつ襲われても対応できる体勢を維持したまま、今度は周囲に目を走らせる。
女と似たような格好をした少年少女が自分たちを取り囲むように円陣を組んでいる。
そしてその少年少女たちの傍らには―――
「ッ!!」
少年少女たちの傍らにいる魔物たちの姿を確認し、ガッツは目を見開いた。
首筋にいやな感じはしない―――では、使徒ではない?
状況から見ても少年少女たちと敵対しているわけでもなさそうだ。
とすると―――『使い魔』というやつだろうか?
先ほど自分を覗き込んでいた少女が中年の男と何か話している。
その話からも『使い魔』という単語が聞き取れた。どうやら間違いはないらしい。
ここにいる者たちはおそらく全員が『魔法使い』なのだ。
少女がこちらに向き直った。
聞くべきことはたくさんあるがまずは一つ。
「ここはどこだ?」
「トリステインよ。そしてここはかの高名なトリステイン魔法学校!」
知らん。ガッツは続けて聞いた。
「ミッドランドや…クシャーンって国は知らねえか?」
「どこよそれ。聞いたことも無いわ」
ガッツは頭を抱えた。どうやら相当遠くまで運ばれてきたらしい。
異界では無かっただけまだマシか。ガッツはため息をついた。
ガッツやシールケが言う『異界』とは決して『異世界』のことではない。
クリフォト…『幽界(かくりょ)』とも呼ばれる、魑魅魍魎が跋扈する世界のことを指す。
周りの景色を見ても―――ここがクリフォトであるということは無いだろう。
と、そこでガッツは自分と共にここに来ているはずのエルフの姿が見えないことに気が付いた。
また周りを見渡そうとして―――すぐ目の前に少女の顔が迫っていることに初めて気づいた。
思考に没頭しすぎていたらしい。抜けてやがる―――ガッツは舌打ちした。
なんてことをしてる間に少女の唇がガッツの唇に重なった。
ガッツが腰を落としているとはいえ、少女の唇は精一杯背伸びしてようやく届く程度だ。
キスを終えると少女は顔を真っ赤にしてガッツから離れた。
「……なんのつもりだ?」
「しょしょしょしょうがないでしょ! 契約の儀式はキキキキスって、決まってるんだから!!」
契約…? 何の話だ。
その響きに不穏な空気を感じていると―――突如、全身に激痛が走った。
「がああッ!?」
「使い魔のルーンが刻まれているだけよ。安心しなさい。体に害は無いから」
害は無い? 馬鹿を言うんじゃねえ。これは明らかに何かあるだろうが。
ガッツが心中でそう吐き捨てたのも無理はない。これは異常だ。明らかに異常なのだ。
だってそうだろう? 『無くなったはずの左手が痛む』なんて。
「てめ、え…一体…な…にを…!」
そこで。ぷっつりと。
ガッツは意識を失った。
ただでさえ『狂戦士の甲冑』を身に纏ってから、体に無理のある戦いを繰り返してきた。
ガッツの体はすでにボロボロなのだ。
今まで味わったことの無い類の痛みが、張り詰めていた糸をぷつりと切ってしまった。
どさ…と音を立てて、ガッツは草原に倒れこんだ。
ここに現れたときとは反対に、今度はうつ伏せで。
「ちょっとあんた大丈夫…? だめ、気絶しちゃってる。どうしましょうミスタ・コルベール?」
「ふむ…人間に『コントラクト・サーヴァント』を行うということは過去に前例がないからね」
己の使い魔となる男の傍らにしゃがみこんで、ルイズは不安そうにこの『サモン・サーヴァント』の儀式の監督者である『炎蛇』のコルベールを見上げた。
コルベールもルイズの隣にしゃがみこむ。
「人の体ではコントラクト・サーヴァントには耐え切れないのかもしれない。しかしどうやらルーンは刻まれたようだよ。彼が死んでしまっていないのであれば、これは成功といえるだろう。よくがんばったね、ミス・ヴァリエール」
コルベールは男の『首筋の刻印をなぞりながら』言った。
「これは珍しい形のルーンだね」
コルベールは懐からメモ帳を取り出し、さっとその刻印をスケッチした。
感動で目を潤ますルイズににっこりと微笑みかけて、コルベールは周囲の生徒を見回した。
「これでサモン・サーヴァントの儀式を終了とする! 皆さん、お疲れ様でした!」
>>336 エヴァVSギーシュなんて殺戮劇をやったアレかwwwww
(よかった…コントラクト・サーヴァントも…まあ納得できる結果ではないけれど…無事に出来た)
ルイズは己の傍らに倒れる男に目を向けた。
(この調子で、他の魔法もどんどん出来るようになるんだから!)
拳を握り締め、立ち上がる。
―――とりあえずはどうやって帰ろうかしら
足元で気絶している大柄な使い魔とその隣に横たわる鉄塊を見下ろして、ルイズは盛大にため息をついた。
前途多難である。
ガッツが最初に倒れていた場所。草が倒れて人型の跡をつけた草原に―――
一匹の栗エルフが泡を吹きながら倒れていたことには誰も気づかなかった。
支援
投下終了
どのくらいベルセルクによったら避難所行きになるのかな?
例えばベルセルクとのクロスである以上当然『破壊の杖』は出ないわけで
魔法学院がスプラッターな方法で壊滅して、なおかつスプラッターな状況を克明に描写したらかな
パックカワイソス……w
>>349 ストーリー的にベルセルク要素が入る分にはある程度はアリって解釈でいいのかな?
んなわざわざ気を使うくらいなら早いうちに避難所移ったほうがいいと思うよ?
ベルセルクのモンスター出すとやばいだろうけど。
学院が襲われて、数ヵ月後にはお腹のおっきくなった女子生徒が…
ガッツだけなら普通の傭兵だし大丈夫じゃねーの
超手練だけど
荒っぽいけど無茶な虐殺する人間でもねーし、子供の面倒だって普通に見ることできる人間性だし
>>348 ガッツの腕に仕込まれているような
「携帯可能な大砲」とかで代用出来ないかな?
妖刀サックリ丸の出番はありますか?
けどタイミングが不味いな。
蝕直後とかゴッドハンドグリフィス遭遇直後とかの最悪時期に較べればまだしも、
しなくてはならないこと、したいことがはっきりした時期だけに危険かもしらん。
まあその辺りの葛藤がストーリー進行の原動力になってくれそうなレベルではあるんだけど。
最近のガッツはかなり丸くなってるし。
しかもガキ認識したって事は、ルイズのツンもおそらくは真っ向立ち向かって叩きつぶすとかのノーマーシー系ではなくて聞き流す方になりそうだし。
こっからは先の予想になっちまうけど、ある意味掌編の構成になりそうやね。
アルビオン編辺りまでの時間域で、ガッツが戻るための手だてを見つけだして帰っていく的な。
その際にガッツの存在に触れて成長したルイズが残るオチに。
ベルセルクGJ!
非常に面白そうに感じました
避難所は生徒大虐殺とか生徒使徒化とかレイープとかなければ問題ないと思われます
>>348 むう、すんげー見たかったクロスなのですよコレ
楽しみにしてます。がんばれー
マァ人が死にまくったり使徒が大量にでてきたりしてゼロ魔世界側をレイ−プてんなら避難所か
いろんな意見をどうも
まぁとりあえずはやりたいよーにやっていくんで
「お前その内容は避難所行けやカス」という意見が出たら
即座に退避のスタンスで
>>355 ばっくり丸なら出そうかなw
でもガッツの意識的にはすぐ帰らないとキャスカがぴ〜んち!ぢゃん。
一生従属とか言われるとルイズが「死なないだけまし」な目にあわされるような気が……
あ、退避っていうのは避難所に行くって意味なんで、あしからず。
微妙なタイミングっぽいが、OKなら40分前後に投下開始。
どんな雑談しているときでも投下は最優先。
早めに支援
支援開始。
さて、学院と名前がつく以上、朝食の時間が終われば今度は授業である。
魔法学院の教室は小中高校のような長方形の構造ではなく、1列ごとに段がある大学の講義室に近い。
講義用の教卓と黒板が1番下の段で、階段の様に席が続いているのだ。
涼とルイズが教室に入っていくと、先に教室に来ていた生徒達が一斉に振り向き、そしてクスクスと笑い始める。
食事の時に分かれたキュルケも居た。周りを男子が取り囲んでいる。
容姿から簡単に想像がついたが、案の定クラスではアイドル扱いされているようだ。少し離れた席で腕組みして隼人が静かに座っている。
・ ・・違う。居眠りしていた。
その後ろの席には黙って本を読んでいるタバサがいて、その隣に武士が居る。
サーヴァント・ARMS:第3話 『授業』スクールレッスン
その外の生徒は皆、様々な使い魔を連れていた。
フクロウもいればデッカイヘビもいるし、カラスも居れば猫もいる。
中にはバシリスクだの目の玉お化けなバグベアーだの蛸のような人魚のようなスキュアだのとファンタジーど真ん中なのもいた。
もっとも涼達の場合は更にとんでもない物――隕石そっくりな地球外生命体やサイボーグやナノマシンや超能力者や、果てには全長100mを超えそうなだい怪獣(しかも中身は涼自身)や何やらかんやら――
――は嫌って程見てきたので、今更こんな生物見ても大して驚けない。ちょっと夢が無いかもしれないが仕方が無い。
今度は食堂とは違い、ルイズの許しを貰って涼は席に座る事が出来た。
その時ルイズがチラチラと隼人の方を見ていたので、理由はバレバレである。
扉が開いて、教師が入ってきた。
紫色のローブに身を包んで帽子を被った人の良さそうな中年の女性である。カツミの母親――もっとも涼達と同じで血は繋がっていないが――を思い出した。
彼女は教室を見回すと、満足そうに微笑んだ。
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。
このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
シュヴルーズの視線が涼、隼人、武士の順に移る。
「おやおや、ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ。変わった使い魔を召喚したものですね」
「お褒めに預かれて光栄ですわ、ミス・シェヴルーズ」
皮肉を込めてキュルケが答えた。隼人はまだ寝ている。
ルイズは俯いている。涼は教師があまりそういう事言うのは拙いんじゃないか?と思った。
タバサは教師がやってきたのも気にせずまだ読書中である。武士は居心地が悪そうに身じろぎした。
この辺りで誰かから「召喚できないからってその辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」なんて冷やかしが入りそうなものだったが、今回に限って入りはしなかった。
『ゼロ』と呼ばれて落ちこぼれ扱いのルイズだけならともかく、トライアングルクラスの実力者であるキュルケとタバサも召喚したのは同じような平民(?)の少年。
下手すると2人にもケンカを売った事になりかねないから言いたくても言えないのである。
世界が変わろうが、基本的に己より上の実力者相手だと弱腰なのは変わらないという事か。
なんともはや。
「では、授業を始めますよ」
シュヴルーズが杖を振ると、あまりにも唐突に石ころがいくつか現れた。
種も仕掛けもありません、とはこの事か。
話す内容はどうも復習的な内容らしく、それぞれの系統の魔法についての説明だった。
この世界の魔法がどんな物か分からない涼達にとってはかなりありがたい。・・・まだ居眠り中の隼人はともかく。
曰く、魔法には四大系統というものに分けられる。つまり火、水、風、土の四つの系統に。
後は失われた系統として5番目に虚無というのがあるとか。最近のファンタジーゲームよりはよっぽど単純だ。
魔法というものはこの世界ではどうやら科学技術のかわりとして重宝しているらしい。
――けどそれだと、ある意味俺らが召喚されたのってとんでもない皮肉だよなあ――
なにせ涼達は最先端の科学技術で生み出され、科学技術(とその他諸々)によって生まれたARMSを体内に宿している身だ。
ま、彼達の在り方にそんな事さっぱり関係ないのだが。
とりあえずこの世界の技術レベルが中世ヨーロッパ並みな理由がなんとなく分かった。
シェヴルーズが再び杖を振ると石ころが光りだして、光が収まるとそれは輝く金属に変貌していた。
キュルケが金だと勘違いし過剰反応を起こしていたがそれは割愛。
ルイズに聞いてみると、いくつ系統を足して魔法を使えるか、その数によって魔法使い――メイジのレベルが決まるんだとか。
そんな風に涼がルイズの話を聞いていると、シェヴルーズに見咎められてルイズがご指名を受けた。
その瞬間、涼は確かに教室中の空気が凍りついたのを感じた。
別にバンダースナッチが室温を−273℃まで低下させた訳ではない。
慌ててキュルケが立ち上がって声を上げた。何でか声が少し震えている。
「先生!」
「なんです?」
「やめておいた方が良いと思いますけど・・・」
「どうしてですか?」
「危険です」
即答だった。生徒の殆どがクラーク達並にぴったり息を合わせて頷いた。どういう事かさっぱり分からないのは涼と武士だけだ。
隼人はやっぱり寝ていた。
しかしキュルケの説得は実らず、ルイズが教卓の元へと向かっていく。
『・・・高槻涼よ、この者達は一体何を恐れているのだ?』
「さあ、俺にもわからん・・・」
相当ろくでもない事が起こると予想・・・どころか確信しているらしい。
前の方の席の生徒は魔法で防壁みたいな壁を作っているし、後ろの方は机の下に隠れて耳を塞いでいる。タバサは武士を連れて教室から出て行った。
――何だか爆発でも起きるみたいな・・・って、爆発?まさか――
気がつくともうルイズが杖を振り下ろそうとしていたので、涼は慌てて立ち上がった――――
次の瞬間、教卓が文字通り『木っ端微塵』に爆発した。
爆風に耐え切れず、防壁は吹き飛ばされた。
その陰に隠れていた生徒もなすすべなく床に叩きつけられた。
驚いた使い魔たちが暴れだした。悲痛な鳴き声。生徒の悲鳴、絶叫、怒号。
阿鼻叫喚、死屍累々―――後者はともかく、文字通りの大パニックである。
そして爆心地に居たルイズとシェヴルーズは爆発をもろに受けて―――
「・・・・・え?」
「こ、これは・・・」
「ふう、間に合って良かった」
―――いなかった。
左右それぞれルイズとシェヴルーズを脇に抱える形で、涼が爆心地から離れた教室の隅に居た。
――すこし久々だったから出来るかどうか判らなかったけど、高速移動が使えて良かった――
少々煤にまみれてはいるが、3人とも怪我は無い。
「何だ!?何が起こった!?」
「だから言ったのよ!あいつにやらせるなって!」
「もう!ヴァリエールは退学にしてくれよ!」
「俺のラッキーがヘビに食われた!ラッキーが!」
「ちくしょう!だから『ゼロ』のルイズにやって欲しくなかったんだ!いつもいつもとんでもない失敗しやがって!」
・・・もっとも、周囲は反比例して被害甚大だが。
ちなみに最初のセリフはようやく目覚めて状況把握が出来ていない隼人のものである。
――あー、もしかして『ゼロ』って、魔法の成功率ゼロだからだったりするのか?――
実はドンピシャな推測を立てた涼がルイズとシェヴルーズを下ろしたその時、キュルケから何が起こったのか聞いた隼人が思わず叫んでいた。
「こんのバッキャロー!!ドジ踏むならもうちょっとマシなドジ踏みやがれ!」
それは隼人の短気な性分と、昨日からのルイズの―特に涼に対しての―横暴とも言える振る舞いに対する悪感情から放たれた言葉だったが。
今回ばかりは、タイミングが悪すぎた。
――隼人、追い討ちをかけないでくれよ――
すぐそっぽを向いたお陰でほんの一瞬だが、ルイズの瞳に浮かんだ涙に気付いた涼は、額を押さえて思わず天を仰いだ。
空は、見えなかったが。
「・・・これって、どう収拾つければいいのかなあ」
「無残無残」
結局教室が破壊されたために授業は中断。
一部の生徒や使い場がパニック性の極度の興奮状態に陥ったので、結局今日の授業はお開きとなった。
他の生徒は昼食を取りに行ってしまったので、今教室に居るのはルイズと涼だけである。罰として教室の片づけを命じられたのである。
隼人や武も手伝おうとしたのだが、シェヴルーズに止められたので渋々キュルケやタバサと共に立ち去った。
これは罰なので、他の人が手を貸すのは矯めにならない、という事だろう。
もっとも結局清掃業者が勧誘したくなりそうな手際の良さでテキパキ教室の後片付けを終わらせたのは涼であって、ルイズは単に机を拭いた程度なのだが。
「これでよし。それじゃあ昼飯食べに行くか、ルイズ」
「・・・・・・・・・・何も言わないの」
「ん?何がだ?」
「だから!魔法に失敗した事よ!」
いきなりルイズは爆発した。物理的ではなく感情的に。
「バカにしたいならすればどーなの!そんな言われた通り黙々とやってないで!言いたい事があればハッキリ言ってみなさいよ!!」
「別にそんな事いきなり言われてもなあ・・・それに俺はルイズの事バカにするつもりなんて、これっぽっちも無いぞ?」
「ありきたりな嘘つかないで!あんたも思ってるんでしょ?貴族なのに、メイジなのに魔法が全然使えないって!
私だってね、好きでいつもいつも失敗してるんじゃないのよ!本も毎日何冊も何冊も読んだ!魔法の練習も勉強も人一倍やってきた!
なのに爆発ばっかり・・・何で・・・何でなのよ―――――・・・・・・」
血を吐くような叫び。
それは努力も実らず、努力を誰にも認めて貰えずにいたルイズの独白。
だが、それは。
「・・・あのさ、ルイズ」
今日この日。その想いは実り始める。
「俺が認めるよ、ルイズの事」
「・・・・・え・・・?」
「だってさ、ルイズは俺を召喚したんだろ。『コントラクト・サーヴァント』って『魔法』で。それならさ、ルイズも魔法が使えたってことじゃないのか」
「でも・・・あんた、平民じゃない」
「んー、まあある意味その通りなんだけどな―――『ただ』の平民じゃないんだよ、これでも」
自画自賛は涼の趣味ではないが、嘘は言っていない。
ただの人間として平穏な人生を送るために、涼達は戦ってきた存在なのだから。
「はぁ?どういう意味よ」
「まあその時がもし来たら教えるからさ、とりあえず元気出せって。きっと昼飯食べたら元気も出るぞ」
「・・・わかったわよ。その前に、厨房に寄るわよ」
「何でだ?」
「・・・あんたの分の食事。申し越しマシなの出してあげるから、か、感謝しなさいよね」
「・・・ああ、サンキュ」
「ところで授業の時にあんた、いつの間にか私とミス・シェヴルーズを抱えてたけどあれって一体どうやったの?」
「ああ、あれか?まあ簡単に言えば俺の中の『力』の1つって感じだな」
先に厨房へと向かうため、食堂の前を通り過ぎた時にその声は聞こえてきた。
「いいだろう!!君に決闘を申し込む!!」
「上等だぁ!!相手んなってやる!!」
『うおおおおおおおおおっっ!!!』
「ちょっと、ケンカは良くないよ隼人くーん!!」
「・・・何だコリャ」
「それはこっちのセリフよ」
支援
投下終了。ってな感じで次回は隼人VSギーシュになりました。
皆川作品は理屈と熱血が絶妙なバランスかつ量高めだから大好きだぞコンチクショウ。
乙乙!
ギーシュはともかく隼人はもう少し落ち着けww
GJです
個人的には極力アームズの力を使わない方向のほうが面白いかなーっと思ってみたり
隼人なら使わなくても楽勝だろ
ワルキューレの横をすり抜けるなりしてギーシュの右肘極めて瞬殺っしょ
ギーシュくらいだったらアームズ使わなくても楽勝だよなぁ
フーケやワルドあたりはアームズ使わないときついと思うが。
ワルドとの一騎打ちなら別に隼人楽勝だろ
さすがに巨大なゴーレムはアームズ使わんといかんだろうけど
つまりフーケ>ワルドということになるな
一回の攻撃でたたきつけることができる質量という意味ではそうだろうな
ここでARMSの力(の一端)を見せるのも悪くないかも
ただ隼人。
お前さんがキュルケから逃げられんのだぞ?
ここで実力見せつけたら避難所送りになってしまう。
あと高速移動は武じゃなかったっけ?
>>381 エグリゴリ本部で加速できるようになってる。
ベルセルクGJです。
自分も、ベルセルクネタは考えたんだけど、文章化できなかった。
その時の、メモだとこんな感じ。
対ギーシュ戦
ギーシュのゴーレムはドラゴン殺しの一閃ですべて破壊。
ギーシュ本人は義手で殴られる。
対フーケ
ドラゴン殺しでは破壊しきれず、大砲で破壊。
フーケの正体はパックが見破る。
対ワルド
四方から襲ってくる偏在を 大砲とその反動を利用した攻撃で
同時に仕留める。
元の世界への帰還は、ドクロの人が迎えに来る。
今後の展開が楽しみなので頑張って欲しいです。
ワルドのときは鎧の力とガンダールヴの力でフルボッコだろ
血+の人まだー?
>>381 その時は避難所帰りの隼人に卒業祝いのお赤飯だ
ガッツがグリ以外に負ける姿が想像できねぇ
隼人ならワルドさん涙目は確定だろ
エグリゴリの雑魚サイボーグだって音速超えてるのに、それを余裕で見切って瞬殺するチートキャラだぜ?w
>>387 そのグリフィスにも退団時にきっちり勝って、ケジメをつけているしね。
今現在のグリがチョーシこいてガッツを見下せてるのも、結局GH化のチート効果によるものだし、
今でもガッツの方が精神的にはグリフィスに勝ってると言ってもいいだろ。
取り合えずガッツがワルドに負ける様子は全然想像出来ないが
ワルドの攻撃で割りとボロボロになる様子だけは想像出来る
そう思わせておいてワルドが勝つというのが作者の思惑かもしれん
唐突にレーザービームを使う野球選手がハルケギニアで大暴れする
電波を受信した
>>384 つーか狂戦士の鎧の力が開放されたらルイズも巻き添え喰いそうな…
(それに+ガンダールヴなら本気で5万相手でも勝てそうだが)
港町に着いたあたりから読んでないんだが、現時点ではある程度は制御できてるの?
>>392 確かシールケの力借りてやっとこさだった気が。
しかも鎧の中の人の言からすると今後はもっと厳しくなりそう。
ハルケにいる間は現状維持としてもかなりきつそうだ
ただ鎧の力に依存し過ぎないと駄目なのは身体がガタガタになってきてる状態で超常的なの相手にしてるのも一因だから、治療系魔法が高度なハルケギニアに居る間は過剰に使わずどうにかできそうでもある
ワルドやフーケのゴーレムなら、ドラゴン殺しと義手の大砲と速射式ボウガンと炸裂弾だけで十分だわな
苦戦はするだろうけど
ギーシュとコルベール先生にはこれらの武器類への固定化と弾薬補充に頑張ってもらおう
>>391 召喚されるのが全盛期の『彼』なら
レコンキスタどころか、星ごと破壊しかねないな………
なんだっけあの乳がけしからんエルフ
ティファだっけ?
あいつの虚無の治癒?をつかえばボロボロだった身体も治るんじゃね?
残念ながら、テファの治癒は指輪依存だから時期によっては指輪の効果を使い切ってる
まあ流石にガッツ先生もななまんにん相手じゃ死ぬだろうけどな
……なんかさ、世界観の違いっつーか、戦場の修羅場っぷりの違いから、例え七万人相手でもガッツがぶっ殺される所想像出来ないんだが
「ヒロイック・エイジ」のエイジが召喚されたらどうでしょう?
第25話で扉を開いてから4年間の空いている時期でルイズの使い魔としてルイズの道を作ってくれたり、守ったり、戦ったりするエイジ。
エイジとルイズの出会いが黄金の種族の意図だとしたら・・・
または始祖ブリミルが黄金の種族の一人だとしたら・・・
>>401 そうか? キュルケにも勝てなさそうな気もするんだが。
>>402 人間状態でも普通に魔法に耐えられそうだ
しかしベルクロス化したら下手すりゃ星が容易に滅びるぞ
一晩中戦闘機動を続けられるガッツの体力は異常
>>402 ルイズが黄金の種族の血を引いていることになるぞ。
馬鹿貴族共がボケてもう戦えない枯木のようなお年よりか子供ばかりで
大人がほとんど居ないエルフの集落を襲撃して大喜びでアンリエッタが失望とか?
FSSからすえぞうとねーちゃんを召喚。
シルフィがお姉さんぶるとかどうよ?
>>403 キュルケの魔法がモズグス様のゴッドブレス以上ならあるいはとも思わないでもない
>FSSからすえぞうとねーちゃんを召喚。
命の水持っててタバサ関連とかウェールズとか色々ブッチギリそうだな
騎士クラスの身体能力持ちに勝てる生物がハルケギニアに居るわけないし
すえはいざ成体になったら何も関係無しに帰る力持ってるし
>>401 戦線足止めして逃走くらいは余裕で出来そうじゃん?
原作描写でも七万と律儀に戦ったわけじゃなくて、先陣部隊とドンパチング
した結果、混乱が起きて足が止まったってネタじゃなかったっけ?
サイトに出来るなら、ルーンなドーピングまで入ってるガッツなら完全無傷で
やりぬくくらいはしそうな気も。
ARMSの三人組で
ワルドが、優位に戦えるのって、ARMS発動無しの武士だけじゃね?
あんな大剣を人外レベルの速度で振り回されたら七万の軍勢とか恐慌状態だろうな<ガッツ
多分デルフ使わねーだろうから、対魔法だとキツそーな予感
ああ、いや単にデルフ使ってるイメージが無いってだけの話なんだけどさ。しっかしみんなベルセルク大好きなのなw
1分後ぐらいに投下します
「出張由美ちゃん〜はじまりは超展開〜」
今日も今日とて患者を探すさすらいのナース由美(女性に年を聞くのはマナー違反だぞ☆)
今回はのっけから宇宙服ひとつで宇宙のどこかに居る患者を探してさまよっているのだ。
(あと何光年ぐらいかはこのままなのだろうか………)
OPの長門のポーズよろしくで虚空をさまよっていると、急に二つの閃光が目に入ってきた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
そんな効果音とともにやってきたのはロボット二体であった。
その姿を遠くで見つけた由美は目を擦りながらゆっくりと起き上がった。
「ははははは! ここなら思う存分勝負が出来るわい」
「望むところ! 今度こそお前を叩き潰す!」
(ロボ………?)
すると耳につけていた無線から声が入ってきた。
「アダルト! 今そっちにロボット二体が向かったという情報が入ったわ!」
彼女には良心が具現化したロリ由美というもう一人の由美が存在する。
アダルト由美がさすらっている間彼女に病棟の患者さんの世話をしてもらっているのだ。
「わかった」
短く答えたアダルトは、足裏に付けたブーストを起動させロボ2機の攻撃を食らわない程度に近づいていった。
「うわ、小っさ」
そこらにある隕石よりも小さなソレを見たとき、思わずアダルトは呟いた。
「うおおおおおお!!!!」
先に攻撃を仕掛けたのはタケノヤミカヅチの方だった。一気に間合いをつめて飛び膝蹴りを食らわせにかかる。
「とおっ!」
タケノヤスクナヅチは上空に飛んでこれを回避しすぐさま急降下してタケノヤミカヅチの頭部を狙う。
「うわっ!」
それを手で受けようとしたタケノヤミカヅチであるが、手にかかる衝撃に耐えられず思わず吹き飛ばされてしまう。
「ほれほれ、お主の力はこの程度か?」
そういって悪役っぽく高笑いをするオールド・オスマン 中々型にはまっているのではないかと由美は思った。
「ぐぐぐ…………」
思わず歯噛みをするフーケ。しかし彼女とてただやられているばかりではない。
一旦後ろに引くと素早いスピードでタケノヤスクナヅチの顔面に右ストレートを食らわせた。
「ぐふっ」
タケノヤスクナヅチがひるんだ。その隙を突いてタケノヤミカヅチはここぞとばかりにパンチを繰り出す。
「あたたたたたたた!!!!!!!!!!あたぁ!!!」
そのパンチを食らい続けるタケノヤスクナヅチはみるみるうちに落下していく。この機に乗じてタケノヤミカヅチは一心不乱に拳を叩き込んだ。
「お前はもう…………死んでいる。」
その瞬間、タケノヤスクナヅチが瞬く間に破砕した。
「あっ」
一瞬のタイムラグ。そして―――
「うわあああああああーーーーーー!!!!」
オールド・オスマンは断末魔の叫び声をあげながら大気圏へと落下していく。
由美はそれを遠くから見ているだけであった。あとあくびもした。
魔法が使えないルイズは生徒達の虐めに耐えられなくなり学校から逃亡。
そしてそのまま静丘に迷い込むという電波を受信した。
無事脱出した後は拾った鉄パイプ一本でギーシュのゴーレムを(ry
パックがデルフを・・・
いや、なんでもない忘れてくれ
そして、今までタケノヤミカヅチの中に居たキュルケがフーケに問いかけた。
「どうしてこんな事を…………?」
「それは………私には大切な人が居るんだ。」
宇宙の果てを見据えながらフーケはそう答える。
「私にはせいぜいこの世界を守ることしか出来ないけれど、守りたい人が居るんだ。
ただ……それだけでいいんだ。」
「守りたい………人」
キュルケは自分にとっての守りたい人を想像してみる。父、母、親友、使い魔……使い魔!?
「あーっ!!!! 私、フレイムの事忘れてた!」
そうなったらいつまでもこんなところにはいられないとキュルケは機内で暴れ始めた。
「ちょっと! あんた達の茶番は済んだでしょ! いい加減早く私を帰しなさいよ!」
「まっ、待て! 今ちょっと私いい事言ったのに、なんでそんな邪魔をするのよ!」
「うるさいわね! あんたなんかがちょっといい事言ったって別に扱いがよくなったりするわけじゃないのよ!
元はといえばあんたはただのコソ泥
「しゃがますね!(やかましい)」
さすらいのナースは数少ない出番を取られてしまう事をとても恐れているのだ。
彼女の一喝に怯みはしたもものすぐに二人は彼女に詰め寄り始めた。
「何だお前は私になんか文句でもあるのかい?」
「そうよ、そうよ。 だいたいなんであんた変な服着てこんなところにいるのよ!」
タケノヤミカヅチが彼女に触れたその瞬間
ざしゅ
さすらいのナースに触れる事は死を意味する。
「うわああああああああああああーーーーーーーー!!!!!」
アダルト由美の手刀を食らったタケノヤミカヅチはあっという間に落下していった。
(終わった………)
戦いを終えて少し眠りにつこうかと思っていたアダルトであったが、通信機から何か声がしてくる。
切ってしまおうかと思ったがそんな暇もなく、通信機からかわいい声で怒っている声が聞こえてきた。
「アダルト! もっと空気を読まないと駄目だよ。 いくら初登場で出番が最初だけしかなかったからって
「うるさい」
そう短く通信を切ったアダルト由美はひと時の眠りに落ちた。
心の広い者にさすらいのナースはつとまらない。
それがこの宇宙を旅して得た彼女の出した一つの結論であった。
俺、まかり間違って腹筋スレとか行っちゃったら確実に死ねるな支援
「………てなことがあってねー」
「………そう。」
タバサはいつもの反応で
「ふーん……よ、良かったね……」
ももえはなぜか目をそらしていて、
「そっ、そうなんだ……ははは………」
ルイズは必死に目の前の現実を受け入れようとして壊れかけていた。
その日の深夜には既に戻ってきていたキュルケの口から聞いた話を聞いた三者の反応はこんな感じでいまいちだったのだ。
まあそんなことはキュルケにどうでもいい。キュルケは使い魔のフレイムと早く戯れたかった。
「おいで、フレイム。」
キュルケが口笛を吹くと、フレイムは御主人様の呼びかけにこたえてこっちによってきた。
キュルケは大きな胸を押し付けながら抱擁する。
「う〜ん………♪ よしよしよし………」
サマランダーの着ぐるみを着ていて、キュルケになすがままにされているももえ。とりあえずスキンシップをとることにした。
「ごー」
「とかげはかわいい……。とかげはかわいい………。とかげはかわいい………。」
それを遠くから見守っていたタバサと首の無い火とかげは両手を肩まであげてそれを首と一緒に横に振った。
「だめだこりゃ。」
一人と一匹はその場からさっさと退散したのであった。
「ねえ、キュルケってさ なんかムツ○ロウさんみたいになってきてない?」
「え? 誰のことを言ってるのかしら、モモエ?」
目が既に虚ろになりつつあるキュルケは着ぐるみの頭の部分をなでながらニコニコと笑っていたのであった。
終わりだけどつづく
以上です。今回は外伝的なものでした。次から本編に戻ります。
しかし自分と全く同じIDの人がいるとは………
なんか自演臭いですけど違いますから。いや、本当の本当なのですよ。
ではまた
>>406 んじゃ、始祖ブリミルが黄金の種族の教え子だとするのはどうでしょう?
そしてエルフが恐れている大いなる災厄・悪魔はブリミルが召喚して狂乱におちた一匹の幼い英雄の種族であり、
名が知らされてない4人目の虚無の使い魔であり、あるはずがない6人目のノドスだとするのは?
最後にベルクロスのことは「ルイズが虚無に目覚めるまで使うな」とお父さんたちに言われたとする方法もあります。
支援しようと思ったら終わっていた…!な、何を言ってるかわかんねぇと(ry
まぁそれより乙&GJ!
原作は見たこと無いがアダルト由美が良い意味でやりたい放題だwwwwwwwwwww
>>420 非常に面白そうだから待つんだ
今ここでそんな後半のネタを明かしまくったら書く時大変だ
ついでに避難所に設定考察スレ有るからそちらでお願いしたい
おまえら、考察するより投稿された作品に何か言えよwwwwwwwww
無礼ここに極まりだぞwwwwwwwwwwwwww
すまん、感想の文章がどうしてもまとまらなかった。
だからとりあえずいっておく
>419 GJだ
また頼む
エルフは銀と青銅を足して二で割ったポジションになるのかね。
つか老人と子供しか居ないエルフの集落を襲撃して大勝利と喜ぶ馬鹿共(特にトリステイン)
は原作でも有り得るな………
エルフのお年寄りってエントと見間違えそうな姿してそうな気がするww
とりあえず、2以降全て手直ししました。
変更点は
ギャグっぽいのの削除
描写の追加
以前原作6巻までだった知識を13巻まで読んだので、知らないせいで出た矛盾を記述を追加してちょこちょこ修正
の3点です。
ただ、すいませんギーシュのゴーレムの数を直すのは無理でしたorz
展開が浮かばないので、そのままですみません
civilization for ZERO
ルイズが召還したのは開拓者の乗った馬車であったが
さすがに使い魔には出来なかったので
どこかにいきなさいと追い払ったのが運のツキであった
ハルゲキニア世界は元の世界と時間の進みが違うのか、次の
日には民兵がいつの間にか現れ
タルブの村に攻め入りゼロ戦を手に入れるのであった
それから日を追うごとに街は大きくなり
加速度的に文明を進めるその街の名は
”東京”
使い魔は日本から召還されたのではなく
日本を召還したのだった
おわり
上の方でラインバレル召喚の試みについて書いているヒトがいたが、
自分もそれについてプロットを練ってみたことがあった。
ただ、自分は他のSSを抱えてるのと、クロス先がまだ未完なので断念したが。
ネックとなるメンテナンスについては、JUDA=魔法学院として解決しようとしていた。
当然、オスマン=社長化の方向で。
ただ、自分が書こうとした内容では、最初にキュルケが暴走したマキナに潰されて
腕だけになる筋書きだったので、その辺りも投げ出した理由なんだが。
みんなベルセルクで熱くなってるのなw
魔法使い編に入って人気落ちたかと思ったら、そうでもないのか
とはいえ、ガッツはこのままほっとくと
ドクロのおっちゃんが呼び水の剣で次元を渡って迎えに来るので無問題♪
ここで俺が流れをぶった切れないと思う
エルフェンリートのナナを召喚。
いつもは優しいが戦闘などでフルボッコにされると…
どうみてもギーシュやワルドが危険です、本当に有り難うございました。
ガッツが七万の兵をトロールの時みたくぶった斬る姿が簡単に想像できる
>>430 近年まれに見る徹頭徹尾何処までも闘争道な主人公は珍しいしww
オカルトアイテムもでてくるには来たが、伝説の血筋も減ったくれも
全部人間力だけで戦う姿はカコイイお。
某ヘルシングのアーカードいう所の人間力の保有者とは、きっと、あんな
感じに違いないwwハードル目茶高いが_| ̄|○
Alive a ZERO(龍騎ネタ)でギーシュがどうにも占い師になりそうな気しかしない
誰だったかが言ってた ルイズ「私の魔法は成功しない」 を聞いて俺はルイズで鉄板だと思った
無論最後は虚無炸裂。今わの際に「……やっと私の魔法が(略」
龍騎は才人でよくね?「お前達おかしいよ、貴族の誇りとか言って戦うなんて。死んだらおしまいじゃないか」
ギーシュは土メイジだから、土属性=大地=牛=ゾルダだと考えてた。
あとイメージ的にはタバサ=白鳥かな。
まあ、問題は『カニ』が誰かと言うことだがね。
水属性ならモンモンだが。イメージとは違うね、
『カニ』に食べられそうな奴……マルコメ?
サイトがファイナルベントやられそうな瞬間をギーシュがかばって攻撃を受けて
「ギーシュッ!!」
「僕の予想は当たるんだよ・・・」
サイトの死の運命を自らの手で変えた事に満足して、それがもっと大きな運命を変えるであろう事を確信しつつサイトに看取られながら息を引き取る
マルコメはディノ蜘蛛に食われそうな気がする
>>410 確か武士って終盤、純粋な身体能力だけで敵撃退してたような…
>>439 カードの入れ方に多少無理のあるライダーと申したか
サイト=龍騎
ルイズ=ライア
ギーシュ=ゾルダ
タバサ=ファム
他の奴らはなにが合うかね
もっとがカメレオンなベルテで放火魔なメイジは王蛇……
大穴でオルタナティブが木端ゲで
一人だけ契約のカード三枚もっているライダーと申したか
マルコメはインペラかタイガ
タバサの復讐相手であるジョゼフは当然王蛇
怨讐の塊アニエスとその仇コルベールも出したいところだね。
タバサは、あの背景からしてナイトではないかと思われ。「母さんを助ける為に……」空飛ぶ召喚モンスも居る事だし
ああ、後オルタナ=コッパゲ、王蛇=メンヌヴィル、ゾルダ=イザベラ この変はふんいき
サイトとタバサが背中合わせて「タバサ、もし生き残れたら俺と戦ってくれ」と
ギーシュ…ワルキューレでの集団戦法からエンペラー
ワルド…風の偏在を活用ということでベルデと
妄想してみる
ベルデはもっとトリックスターなキャラクターがふさわしいでしょ?
モット伯はまっ先に殺られる自滅キャラなんだから、カニで決まりでしょう。
コルベールは確かにオルタナティブにはふさわしいかも。
生徒たちのライダーバトルを止めさせようとする意味ではね。
そうなると、やはりアニエスはタイガか。
お前ら龍騎大好きだなw
俺も好きだけど
なら
サイト=龍騎
タバサ=ナイト(ヒロイン昇格)
ルイズ=ライア
ギーシュ=エンペラー
マルコメ=タイガ
ワルド=ベルデ
コルベ=オルタ
そろそろ自重せえよー
君たちとは旨い酒が飲めそうだ
いや私は未成年ですけどね…
いや、自重するもなにも、召喚するキャラ=この場合デッキ&モンスターを
妄想するという主旨は、このスレ的には間違っていないはず。
元々SS専用スレはないんだから。
SSが投下される合間に、こうした何が召喚されるか考えを出し合うのも、
このスレの本来の用途だと思うが。
SSを投下したいのなら、その旨宣言すれば、すぐにこのような
やり取りはおさまるよ。
そう問題は、やりとりがおさまらない場合がある事だなwwwwwww
投下作スルーとかも時々あるしなwwwwwww
OK俺は自重しよう
ギャラリーゼロ
「おやおや、ここは一体どこでしょうかね?」
その日ルイズが召還したのはスーツを着た
裏の道に通じる男だった
裏と言っても”美術品”の話だが
あいにくハルゲキニア世界には彼の知識が通用するような
物は無かったが、なんだかんだと武器をルイズから貰う事になった
「これぞかの有名なシュペーア卿が鍛えた剣でさあ!」
「ほほぉ」
煌びやかな宝飾技術に目を開くが、指で軽く何箇所か叩くと
「表面は確かに手が掛かっているかもしれないが、中身が良くない」
「そ、そんな、素人にはこの剣の良さがわからねーんだよ!」
つぎつぎと”偽物”を鑑定し、一緒に来ていたルイズが呆れ果てるまで続くかと思われたが部屋の片隅で第三者が登場しる
「おでれーた、六千年も見てきたがここまでの目利きは居なかった。てーしたもんだ」
龍騎のカードデッキも良いけどカブトのゼクターも良くない?
クロックアップは龍騎以上のチート能力になるけどさw
あっそ
おお作品きた支援
ええと、投下宣言?なし?
しかしガンダールブの能力と贋作の名人?の能力がももろに
合致しないキャラクターだが。
>>457 ライダーVSライダーならチートにならずにすむかと
天道を徹底的にボコる話なら読みたいぞ
加賀美だと間違いなく、ルイズに振り回されるであろう…
裏をかいて地獄兄弟とか
アンリエッタがファムか?姉のポジションがウェールズで。
>>410 武士は三人の中でも一番反射神経や反応速度が良いって高槻ママが言ってた。
そういえばぼっちゃまきてないねぇ
>>433 ガッツは使途やゴッドハンドたちとの戦いの影響で「人の領域から片足出てる」状態。
ドラゴン殺しも同じ理由で「ただの剣」ではなくなっている。
だからこそブンまわして人外の存在を殺すことが出来る。という設定がある。
……エロ?
つか誰だこれ?
誤爆か?
>>460 小ネタでいちいち投下宣言ってのも大袈裟な気もする。
雑談しかしてなかったしね。
簡単に感想。
>>428 アイデアは良い、つーか、やられた。
もっと丁寧にチマチマと描写すればシュールで笑える作品になったと思うだけに残念。
>>456 こいつは展開を膨らますのが辛い使い魔だな…城下町で商売でも始めさせるにしても…
地球から科学を持ち込んで平民に銃火器をばらまいたら一気に革命が起きそうだから
革命思想のキャラを召喚すると手が付けられなくなるかも
平民に銃器をはらたいらって何かと思った。
平民に銃火器ばらまいてから、寝返ってメイジ率いて反乱の鎮圧に行って、
「くそっ 数は互角、銃もあるし攻撃力も互角のはずなのに…!」
って言う平民に向かって
「火薬は誘爆するんだよ馬鹿共ォオオヒャハハハハハ!!!」
とか言いながらファイヤーボールをぶち込みまくる展開を考えたんだけど、
流石に自分でもどうかと思ってやめた
>>477 ショット=ウェポンとかね。
最後はサイトがワルドと相打ちになりつつアンリエッタ様に浄化を頼むのかw
>>469 まあ、その辺も聞いてはいるんだが、素敵で便利な超能力じゃないやん。
鎧や魔法も結構出てきているが、それでも痛々しいまでに便利なもんで
楽勝とかにならず肉弾やってる所が、なんか萌えるんですはい。
>>479 直後に、からくりでサーカスな人に登場した銀の人っぽい錬金術師が登場して、
「私達の銃は、こんな事に使うものじゃなかったじゃないか」と井戸に身投げし、
謎の液体を精製。
生き残りの村の人たちが飲み、その結果、メイジと平民の別路線な戦いが開幕というのを
幻視したですよはい。
>革命思想のキャラ
今流行のCCOの出番かな?
志々雄が言うこと聞くとは思えんが
しかし革命思想持ちって、総じてぶっ壊すことは得意でも新しい秩序を産み育てるのは苦手な罠。
>>478 とりあえず1000点賭けとくか?
。・゚・(ノД`)・゚・。
同志ヨゼフ・ジュガシビリ・スターリンが召喚されました
マルクスが召喚されました
毛沢東が
>>456 どうせならゼロ THE MAN OF THE CREATION(そのまんま)の方が……
こんな国はもう滅ぼせ!
スクラップアンドスクラップ!
な自称ミュージシャンの革命家を(ry
>>483 勇者は事が終わったら、ヒッソリと姿
を消すが丁度良いということでせうか?
変に居座って現政権の打倒とか言い出して、
大混乱とかネタで見た記憶が
ルルーシュが召喚されました
>>488 英雄を快く思わない奴等に暗殺、謀殺なんてのもある
ジャンヌ・ダルクのように
とりあえずニバス先生召喚
死者から兵士作り出せるしゾンビも作れるしつよいよ!
任務ほっぽりだして研究する可能性もあるが
風来のシレン召喚
破壊の杖は白紙の巻物
学園戦記ムリョウからジルトーシュ召喚
しかし未開惑星には介入するのは銀河連邦の規則に抵触するか・・・
>>489 ル「妹が居ない!ナナリーがいない!」
こうなって、うっかり戻れないとか
高圧的な物言いしようもんなら、ギアスで
何されるか知れたもんでは・゚・(ノД`)・゚・
逆に妹いるならいるで、返って喜ぶかもしれんが。
どっちにしろルイズ失脚は時間の問題っぽいが。
経済特区タルブでアン様が平民どもを虐殺しまくります。
護衛のアニエス隊長もギアス効果で無辜の民を射殺しまくりんぐです。
497 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:37:39 ID:9hMZbJN2
子連れ狼から
拝一刀が召喚されました
すまんageてしまった
>>496 シティオブサウスゴータで食料が無くて困窮してる市民を
全力で見放すアン様なら現在構想中だw
ピストル大名召喚
されるわけないか…
>>500 なにそれ
マーラ様の部分がピストルなの?
>>497 ガンダールヴの力でさらに凶悪になった手押し車で7万の軍勢を虐殺!!
『地獄へ行くぞ!ヴァリエール』
デタラメってレベルじゃねーぞw
ちょんまげがピストルのゲームキャラ
>497
子連れ狼から拝一刀なら小ネタにあるね
子連れ狼から大五郎が召喚されました
ベラボーマンの雑魚敵から派生した足の扇子で空を飛び、頭のピストルで攻撃する横スクロールのシューティングだったな。
弾の軌道が放物線を画くような弾で、撃ち続けるとどんどん射程が短くなる変なゲームじゃなかったかな?
>>503 ああ、読んでみたいなあ。
無論、拝一刀は若山富三郎版で尾長居します><
マリオブラザーズの最初のクリボーを召喚する。
ルイズが衝突する→ゲームオーバー
キノコ食べれば大丈夫さ
国連無双から小泉とか
>>510 アン様と一緒に率先してアルビオンと戦争始めそうだから困るw
龍騎云々で話が出てたけど、あれって特にミラーワールドのモンスターに関して凄く扱いづらい(と言うか致命的)な
問題点があるんだよね。
そいつは「共食い、或いは人食いをしないと存在を維持出来ず、それを怠ると契約者ですら食い殺そうとする」事。
ミラーワールドとか云々以前にこれが100%無視不可能な問題だからなぁ。
つーか、モンスターだけだとゼロ魔方式の契約の場合、しようとした途端に頭からパクリな気が。
まあ、避難所向きの話になるだろうな、その辺きちんと再現すると。
>>486 悪人から『始祖の祈祷書』の再現を強要された「ミスタ・ゼロ」が
タルブの別邸で
ゼロ「駄目だッ!始祖ブリミルに成り切れない────ッ!」
だがふとしたことがヒントになり、始祖ブリミルと「虚無」の真実に
気付き、『始祖の祈祷書』の再現に成功。
そして悪人はゼロの手によって然るべき報いを受けて、
「ウガァァァァァ―――ッ!」or「カヒッ」
こうですか?
芸術品の再現ならその厨性能に任せて可能だろうが…
さすがにマジックアイテムの再現までは無理矢理だw
>>514 ゼロは原作中でも「呪われたブツ」やら「どう見てもオーパーツです本当に(ry」再現してる。
>>514 そこでミョズニトニルンのルーンの出番ですよ
>>514 ゼロは本物を作るんだから本物の始祖の祈祷書を作るさ
当たり前だろ?
ゼロの手に掛かれば魔法程度なら楽勝とは言わないまでもやってのけるね
当然ルイズが持ってるやつはゼロの手で燃やされてしまうがな
呪いっぽい描写はあったが、そのものずばりという断定はしていなかったはず。
オーパーツはむしろ具体的な加工方法から再現してなかったか?
神の手を崇めるのはいいが、ゼロ魔をレイプしないよう適度に自重してくれ。
ルイズは召喚呪文を唱え、杖を翳した
学院の目の前に現れたのは、10リーグ四方もあろうかという巨大な街だった
召喚されたのは、秋葉原とその一帯
ルイズはラジオデパートの支柱に口づけをした、ソフマップの巨大モニターにルーンが刻まれる
ルイズ「みんな〜、今日も授業終わったらドネルケバブ食べにいこうよ〜」
テファ「ごめんルイズ、今日わたしヤマギワソフトでイベント出なきゃいけないの」
キュルケ「あたしはそっち、どうも馴染めないから、隣の神田で蕎麦でも食べてくわ」
タバサ「・・・ジャンク屋でパーツ漁り・・・」
アンリエッタ「とらでサークル申込書貰わなきゃ、今年もウチはサムライトルーパー本で行きますわ!」
シエスタ「さ、ティッシュ配んなきゃ」
秋葉原の街と共に異世界に召喚された少年少女達からは、それを抗議する声は出なかったとか
>隣の神田
秋葉原だけじゃねーじゃんか、おい!
アンリエッタの趣味がえらく周回遅れなのはネタですか、それとも未だにファンは現役なんですか!?
>秋葉原だけじゃねーじゃんか、
>秋葉原と"その一帯"
ちゃんと読めよこの程度の文章量
神田を秋葉原とセットにされるのは非常に抵抗があるのだが…
個人の感じ方による
以上
よつば「るいずはむねうすいな!」
ボウケンジャーから菜月ことリリーナを召喚………
ガンダールヴよりミョズニトニルンの方が向いていそうだ。
以前あったBLEACHから雛森召喚のネタ、
彼女だけだと何するか分かったもんじゃないからタバサに日番谷を、キュルケに吉良を召喚させればいいかも。
ターちゃんが召還される日をずっとまってるぅ
ターちゃんはルイズにとって父親みたいな感じになりそうだなー
上手く成長させてくれそう
ターちゃんの場合、飛行で失神者続出は固い気がするが
>ターちゃん
授業中におしっこ我慢しないかなw
「こうしてすり鉢状にすることで、おしっこを溜めて長く我慢できる」
>>525 確かに雛森だけだともう藍染に会えないと知った瞬間に暴走しそうだなwww
タバサ 日番谷はなんか凄く合いそうだが、
キュルケに吉良が召喚されると運が悪ければ初日の夜から………
そういえばキュルケと乱菊ってどことなく似ているような気がする(胸とか
いい加減雑談スレに移動しろよ。
チミは来たばっかりの人のようだ
半月位ROMる事をすすめる
本当に雑談の酷さが過ぎる。
833 :名無しさん:2007/11/23(金) 07:46:43 ID:fGOkFEWw
アナフィラキシーショックって蜂よりピーナッツの方が件数多いんだってな。
ところで本スレでネタ出しと称してネタ潰しをしてる連中には、いい加減自重って言葉を覚えて欲しいんだけどな。
正直、見てるだけの身からしても相当ウザイ。
834 :名無しさん:2007/11/23(金) 08:02:24 ID:n75eDHnA
アレはNG出来ないからタチが悪い
とびっきりの大脱線なスレ違い雑談ならば
好い加減にしろと言いたいが
まさかとは思うが、
ここを投下onlyのスレと勘違いしとる奴はおらんだろうなッ!?
これで書かれたネタ通りだったらパクリだの捻れだの言うんだろうな。
おれは書かれたネタ通りでも委細気にせず投下する
それは俺が思うにビビった臆病モンの言い訳だ。
いちいちモヴの言葉まで気にしてたらなぁーんにも出来んぞ!
ネガティブ至高もとい思考では駄目だ!傲岸不遜に!厚顔無恥に!
どうせならむしろ直球ど真ん中で其の通りの内容で書けばええがな!
・・・それで「俺のアイデアです」って自己主張するのはクズだがな!
>>535 最近雑談が減り気味だから勘違いするのがいるのは当然でしょう。
一時期はすごい勢いで雑談が進んでたのに……
あのころが懐かしい。
ネタが割れてると面白み半減ってのはあるね。
読者的にはタネと展開をばらされた後に見るマジックに近いものがあるかも。
いや、これだと余程の好き物以外、面白さ半減どころか9割減か……。
>>524 「るいずはむねおはうすな!」
に見えた自分
とりあえず部屋に戻って食事抜きにされてきます
投下onlyって思ってる人が幾人かいるな
1のルールを守る
投下された作品の展開予想はしないってのはマナー
ゼロ魔や召還されるものとは関係ない雑談がマナー違反
このキャラは召還されるといいなぁとかされたらこうなるんじゃね?ってのはセフセフ
と思ってるんだが、あ、後投下中の雑談もいけないな
これもちっとルール違反のカキコだが
ルイズ以外の使い魔として召喚される場合ってさ、
シェスタのひいじいちゃんやら破壊の杖の軍人みたいに
一旦、何らかの形でハルケギニア内に連れて来といて、
そこから段階踏んでの二重召喚みたいにしないと駄目なんじゃないか?
虚無の召喚じゃないとハルケギニア内からしか連れて来れないんでしょ?
原作中では『虚無系統でないと異世界からは召喚できない』とは断言されていないから。
普通はハルケギニア内から召喚されるとしか書いてない。
ご都合解釈でどうとでもなるもんよ。
>>543 そこで魔王退治の旅の途中に火山に落下しちゃったYOか、
魔王倒したら謎な大穴開いて急降下の登場ですよww
大穴の先がたまたま変な所に繋がってたでも、そりはそりでOKではないかと。
DQM+からのローレシアの王子とかどうだろう…
フーケのゴーレムとタイマンガチバトルをやった挙句に勝ちそうだが。
DQの敵、タイマンだったらほとんど倒せるローレシア王子って、小説描写したらガッツみてーな鬼筋肉になりそーだなwww
魔法が使えないと言えばギュスターヴ
条件を厳しくしてみたらどうかな。
ドラクエの連中、ただし敵から逃げまくってイベントを進めていたので未だレベル1、みたいな。
一つのアイデアとして、ルイズの虚無の力が副次的に作用するというアイデアも考えられる。
これは自分が考えた方法だが、春の召喚儀式のときに、召喚の鏡にルイズの
エクスプロージョンがぶち当たって、虚無の召喚のゲート化してしまうという
いわば偶発事故的なものだ。
まあその場合、ルイズが虚無に目覚めた以降、すなわちケティたちの学年に
しか使えないというネっクがあるが。
ペンタウァのソーサリアンとかなら
逆に自分達の方からギニアに来ちゃいそう。
>>549 ロマサガ3キャラで
「僕はメイジ〜略」
「なら素手で相手しよう」 「超次元ペルソナ!」
「うわ〜先住魔法だ!」
と言う想像をしてしまった…
あの世界の技は魔法と区別がつかない…
>>548 勇者「これは勇者ロトの剣!」
それは、剣と言うにはあまりに大きすぎた
大きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた
―――それはまさに鉄塊だった。
勇者「正直勘弁してください。振れません。うちのご先祖、どういうガ体してたんだ_| ̄|○ 」
モンスターズ+の王子にはしびれた
>モンスターズ+の王子にはしびれた
あれはもう人間やめてるよな、成長や鍛え上げたと言うよりも進化の粋だろう
破壊神を破壊した者か
なんであれ打ち切りにしたんだよ糞編集者が
バーズ編集者並に頭がおかしい
最初の方、とっつきにくかった気がする。人気無かったのかねえ。
王子召喚は一対七万をすぎてからが本編。
化け物呼ばわりされ始めてからさあどうなるか!
……私には書けませんorz
あれ話が進んだら他の歴代勇者も出てきたのだろうか……
Xの場合は勇者じゃなくて主人公が出てきそうだけどな
半日以上投下がないとは珍しいな
>>561 安倍やらブッシュやらのメディアの扱いが参考になるかも
>>564 勤労感謝の日ですし、職人さんも一休み中って事でw
新作&続編マダー?
>>560 逆だ逆、あらかじめ決められてた連載数オーバーするほど人気あったんだよ
ローレシアの王子(モンスターズ+版)だと魔法を素手で振り払う様がありありと浮かぶ
……バズズの腕をもいだりしてる辺りワルキューレが腕の一振りでスクラップになりそうだな
あれ?この人ガンダールヴ補正かけたら魔神とか魔王クラスじゃね?
>>550 (・∀・)「先生!ギーシュ君のワルキューレぶっ壊しは、はぐれメタル狩りよりも
経験値がたまりますか?」
>>353 遅レスだが、ガッツの首筋の烙印って妖魔とかそういうのを呼び寄せるわけだから
ハルケギニアに生息している化け物(ミノタウロスとか)が学院の周りに集まってくるんじゃないだろうか?
そういえばあの烙印にディテクト・マジックをかけたらどんな反応するんだろ?
スレ見てると仲間だらけで嬉しい
モンスターズ+は未だに何回も読み返すくらい大好きだぜ
ルイズがDQMのスライム召喚でもいいかもなー
でもある程度配合させないと弱いままなんだっけか
>>あれ?この人ガンダールヴ補正かけたら魔神とか魔王クラスじゃね?
ああ、そうだとも、アイツは化け物だ
byおさるさん
誰も書かないなら俺が書いてやるZE!宣言する間も惜しいので投下だ、投下
Xero Files シリーズファイナル
FBI捜査官モルダー&スカリーの二人が謎の失踪事件を調査する内に謎の黒魔術結社のアジトに踏み込む事になった
部屋に入ると同時にあかなくなる重厚なつくりのドア
突然激しくフラッシュしだした鏡を焦点の合わない目で
見つめながらぶつぶつ呟き始めたモルダーと
サングラスを掛け、モルダーを止めようとするスカリー
しゅうううううううううううううううううう
サングラスも用を成さない程の閃光が起こったかと思うと
スカリーの前からモルダーの姿は消えたのであった
そしてルイズの目の前に現れたモルダーであったが、一時的に目が見えなくなった為か、手を前に突き出し「スカリー、スカリー居るなら返事をしろ!」と喚いている
なんとも自分勝手な男である
そしてルイズはさっさとモルダーと契約をするのだが、突然の手に走った痛みにモルダーは錯乱し始める「くそっ、何か埋め込まれた!」インプラントされたと勘違いしたモルダーは学院の保健室で拘束衣を着せられ監禁されるのであった。
まだ つづく
いや、投下予告はしなきゃダメだろ
>・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
Xero Files シリーズファイナル 第二話 人体発火
「そろそろここがどこだか教えてくれ」
「だから、何回もいうけどここはトリステインの魔法学院であなたは私に召還されたの いい加減覚えなさいよ馬鹿犬」
拘束衣から解放されたが、ルイズの使い魔という意識が無いモルダーは学院のあちこちを調べ、どうやら未知の惑星にワープしたのだという可能性が過ぎるが原住民は明らかに地球人に類似している為いまだに納得をしていない。
スーツにネクタイ、手帳にFBIマークの入った身分証明書、念の為持っていた護身用のハンドガン、携帯は電波が通じない。
八方塞がりである
(ここはどうやら異星人の植民地らしいが、奴らの乗った宇宙船らしき物がどこにも見当たらない)
「朝食に行くから服を着せなさい」
アメリカ紳士であるモルダーはロリコンがどんな社会的制裁を加えられるのか熟知していたが、単なる仕事だと早くも割り切りつるぺた娘の世話をするのであった。
さすがに下着の洗濯には抵抗があったので、”平民”のシエスタに選択を頼んだ。
「しかし、メイジと平民の違いはどこにあるのだろうか・・・」
「メイジは血筋で魔法を使うらしいです、詳しいことはよくわかりません」
モルダーの独り言に律儀に返答するシエスタであったが、
思考に沈んだモルダーは気が付かずそのまま食堂に向かった。
きょうはこれでオワリ
>>575 このスレでおさるさんなんて言われるとバイバイさるさんが浮かぶわけですが
そういやマルモにおさるさんって呼ばれてたっけ?
手元に無いからどうにも曖昧だ……
しかしモンスターズ懐かしいなあ
地道にレベル上げてパラメータALLMAXとかよくやったよな
そして今ドラクエロト編を3しかやってないことに気付いて携帯アプリの1を購入。
中古で1・2GBを買えば済んだ事に今気が付いてげんなりしながらプレイ中。
今不意にアルトネリコからライナー召喚とか脳裏に電波が走った。
オチが読めるからボツ、と思った。
これはひどい
>>580 アルトネリコからなら自分の管理してる搭なのに迷子になるシュレリアや
ラスボスでヒロインなミュールや
ダイゼンガーなココナや
アヤタネとか召喚のほうが
見た目はかわいいけど凶悪なモンスターを召喚。
聖剣伝説3のブラックラビやFFXのドクロイーターなど。
見た目に騙されて決闘でもしたら怪我ではすまないだろう。
つゴールデンスライム
うかつに決闘申し込むと死ねる、魔法効かない超硬い
スタートレックのピカード艦長を召喚ってのは?
いっそQ連続体の誰かを……話が成立しねえ
むしろピカード艦長が連れてこられるのはQのせいだろう……
ピカドン召喚。
くやしいのうwwwwwwwwくやしいのうwwwwwwww
ジャン・リュック・ピカチュウ召喚
592 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 16:35:24 ID:PIa45YYY
ニンジャマスター・ガラ召喚
誰か書いたっけ?
ダルシムかザンギエフの被召喚話が読みたい。
いやそこはバルログ召喚で
とりあえず鉤爪でギーシュ君の顔を伊達にして
真の美について教育するところからはじめよう
>>586 召喚された時点で艦隊の誓いにモロに衝突するな…
少なくとも「異世界から来た」ってのは可能な限り隠そうとするだろう。
ゼロの大魔道師の人マダー?
そもそもあの世界に金網があるのか?
>>596 ピカードなら丸く治めてくれそうだけど、ジェインウェイ艦長だとぶっちぎりそう。
って言うか、1時間放送くらいの気持ちで単編で召喚から期間まで全部やると面白そうだな。
いっそのこと記憶喪失データを召喚して、艦長が迎えに行く話にする
601 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 17:06:15 ID:Ccd5qvbL
ワイルドの使い魔ってもうやんないの?
はじめまして〜
ジョジョが好きなのですが、ルイズに召喚されていないみたいなのですね。
なので、冒頭だけ書いてみました・・・。
何分、まともに文を書いたことがないので、あちこち稚拙になると思いますが、もしよければ書かせていただきます。
こいつはだめだぁ と思ったら、そう書き込んでくださればどこかで腕を磨いて顔を洗って出直します。
まて、ジョジョは専用スレががる。
そっちに投下するのがよい
>>603 了解しました
お知らせいただきありがとうございます
もう何回目だこの展開w
主な姉妹スレ一覧とか、
>>2とか3辺りにテンプレ化して居れるべきなのかね。
ハーメルからベースやギータ達をだな…
まあ「ジョジョと型月は専用スレに」ってテンプレに入れとけばいいだろ
ヘルシングの存在も忘れないでください
今日は投下が少ないな…
勤労感謝の日
とりあえず、連載の投下は書き溜めて出したほうがいいのだろうか?
それとも書き終えた時点ですぐさま投下がいいのだろうか?
書き溜めの方がいいと思ふ
今日の投下の少なさはこれから来る投下ラッシュの前触れに違いない
616 :
612:2007/11/23(金) 17:32:47 ID:uMFBcJKo
とりあえず、書き溜めることにする
まだ休みはあるんだし今日は皆ゆったり過ごしてるんだよ
モンスターズ+って途中で終わっちゃったから、テリーが最強で終わったんだよな。
何故かラストシーンだけ以前のテリーに戻ってたが。
召還されたら邪配合でハルケギニアのモンスター達涙目w
ラインバレルのを書いてる者です
プロローグと第一話を書いたので投下してもおk?
>>618 吉崎といい西川といいゲームとのタイアップ漫画を描いた人は後に濃い漫画を描く印象があるぜ!
つまり、ケロロ小隊と銀髪の蜘蛛をだな
進路クリア、いつでもどうぞ
弱くても良い。強くなれば良い。
もう誰も傷付けない。
もう誰も泣かせたりしない。
俺が、城崎を、皆を、世界を守ってやる!!
彼は侵攻してくる敵のアルマを睨みつけながら不適に笑った。
「大切なのはどうすればいいかじゃない。 俺自身がどうしたいかだ!」
護るべき彼女と、友にそう言い放ち戦いへの参戦を決めた。
そして呼ぶ
機械仕掛けの巨人。白鉄の鉄鬼。そして、自分自身の力を
「―――っ来い!ラインバレル!」
その瞬間、辺りが光に包まれて浩一は
この世界から姿を消した。
鉄の使い魔 プロローグ 浩一の誓い
支援
支援
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!」
何度目の呪文になろうか。飽きる事無く繰り返される儀式の呪文に一度も成功は無い。
ルイズは焦った。自分以外は全員成功させている。
コルベール先生も半ば呆れている。
呼ばなければならない。何としても、使い魔だけは!
今、ルイズが行っているのは《春の使い魔召喚》と呼ばれる儀式だ。この儀式で呼び出した使い魔によって生徒達は今後の属性を固定し、専門課程へと進んでいく。
即ち、使い魔が召喚できなければ自分はどの専門課程へも進めず、本当にゼロのルイズになってしまう。
それだけは避けたい。家名にも、自分の貴族・メイジのプライドにも傷がつく。だから彼女は渾身の想いを込めて叫んだ。
「この宇宙のどこかにいる、強く、美しく、そして従順な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ!我が導きに応え、その姿を表しなさい!」」
その瞬間、辺りは光に包まれ、砂埃が舞う。
周りの生徒達が咳き込む中、ルイズはじっと光の中心に目を凝らせた。
そこにいたのは、変わった格好をした少年だった。
鉄の使い魔 第一話 召喚
投下終了です。
短くてすみません。上のレスに書き留た方が良いとあったので、今夜にはまとめて投下する予定です。
ではまたノシ
対七万特攻でサイトがマジに死んで、代わりに召喚されてくるタイミングとかどうだろう。
もの凄い過酷に当たられるだろうし、周りからの眼も冷ためでハードなシナリオが期待できるが。
俺の科学力は完璧だ乙
>>626 元世界ぽかーんな始まりGJ
なんと間抜けな始まり方・・・
>>627 ただでさえ無理やり拉致されて奴隷のような扱いを受けるのに、その時点で召還されるとハッピーエンドになりそうもないな。
元の世界終わったな。
少年の悟空が召喚された場合
筋斗雲に乗れる人はどれぐらいいるだろうか
いるわけないだろ常考
>>630 ザオリクやアレイズ使えるキャラを召喚すれば……
>>627 男と入れ替わりっつーと、alfasystem系の「女子の本懐」から鬼魂号とかかなー。
ルイズがいい女たる決意してE・M・P。
サイトは水の巫女のところへ(ry
放課後毒電波倶楽部
EMPバックパックを装備したカームの群れ
>>634 でも「ロスト」したら魔法ではどうしようない気も(ry
「あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ 」の作品ならば、
リリカルなのはのリィンフォースI(夜天の魔導書)が召喚される、夜天の使い魔。
ヴィオラートのアトリエからヴィオラートが召喚される、ゼロのアトリエ。
「あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ」にある「ゼロのガンパレード」をお勧めします。
「ガンパレード・マーチ」のブータが「ゼロの使い魔」のルイズに召喚される、というもの。
ゼロの使い魔の雰囲気がぶち壊されているため、オリジナル作品、あるいはガンパレード・マーチ作品として見た方が吉。
しかし文章の端々に光るセンスや、いわゆる「ガンパレ的」な魅力溢れるキャラクター達がたまりません。
ストーリー展開や世界観設定にややオリジナル要素が絡んでいますが、あまり気にならないレベルであると思われます。
しかし、惜しむらくはマチルダさんが汚れなことだろうか(笑)。
≪マティルダ―!≫
いや言っただけ
>>632 一番性格が良さそうなおっぱいエルフですら筋斗雲は怪しいんじゃないか?
他のヤツはムリ。
せいぜい、癇癪起こすルイズが目に見える位だな。
19:12に投下します
ボトムズのキリコを呼びたい
支援体制
決闘騒ぎから三日後、既に傷は完治していたルイズだったが、何故か彼女は自室にて全身を恐怖に震わせていた。
この事件に関して、学園側が最終的に下した判断は、両者痛み分けであった。
事情聴取の結果、貴族としてあるまじき行為に及んだのは三年生側だったと分ったのだが、だからルイズ達が悪く無いという事でもない。
三年生側にも重傷者二名を出しているのだ。決闘だから仕方ない、なぞと学園教師が考えるはずもない。
参加者全員、十日間の謹慎と奉仕活動に加え、実家に事細かに事件の詳細を報告するという事になった。
そして、実際に禁止されていた決闘を行ったルイズとキュルケ、そしてギーシュと二人の三年生には更に厳しい罰が下される。
この五人は同様の罰則に加え、家族ないし代理者の呼び出しとなったのだ。
これは、学園の処置としても異例の事である。
学園生徒のほとんどがしかるべき立場にある貴族達、その家族をいかに権威有る学園とはいえそうそう呼び出せるものではない。
しかし、オールドオスマンはこれ以上の妥協を決して許さなかった。
当初彼は怒りの余り、参加者全員の放校処分を声高に叫んでいたのだが、周り中の教師達に窘められ、渋々ながらこの案で妥協したのだ。
重傷者四名を出す決闘騒ぎ、何より集団で最上級生まで混ざって下級生をいたぶろうなぞ、到底許せる事ではない。
オールドオスマンの怒りも無理ない事であるが、有力貴族を多数含む彼ら全員の放校処分も、同じぐらい出来ない相談だったのだ。
実際の所、オールドオスマンが本気になればやってやれない事も無いのだが、貴族の恨みを買う事を教師達は恐れたのだ。
そしてオールドオスマンは経験豊かな人物である故に、それらに対したルイズ達にも非があると見抜いた。
どちらかが正しい対応を行っていればここまでの事態にはならなかったのだ。
そんなこんなでこのような落としどころと相成った訳だ。
決闘時の勇敢さは何処へやら、親族呼び出しを聞いたルイズはベッドの上で悶え転がる。
「終わりよ! 私の人生ここであうとー! 一体どう言い訳すればいいっていうのよ! ああぁぁぁぁぁぁ……」
その様があまりに哀れなので、燦が慰める。
「そんなに落ち込まんで、な? 私も一緒に謝るから」
「謝って済んだら衛士はいらないのよぉぉぉぉぉ……とにかく! 燦、こうなったら一緒に言い訳を考えましょう! 何とか、こう、怒りが少しで済むように……」
もんの凄い腰抜け発言をしている所に、同じく親呼び出しを喰らっているキュルケが入ってくる。
「あら? やっぱり落ち込んでるわね〜」
ベッド側まで来ると、椅子に腰掛ける。
「キュルケ! あなた何か良い言い訳とか考えた!?」
焦るルイズと対照的にキュルケは暢気に答える。
「ああ、私実家遠いし。多分呼んでも来ないんじゃないかしら? 代理人ぐらい来るかもしれないけど、まあその程度だし」
「何よそれ! 卑怯よ! 卑劣よ! 大体あんたん所、私の実家と大して離れてないじゃない!」
八つ当たり気味に喚き散らすルイズ。
「国境挟んでるしね〜。それにウチはトリステインの貴族社会とは接点少ないから、別に学園に良い顔する必要も無いし」
「ひきょおぉぉぉぉぉものおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
断末魔の声を残し、ベッドに突っ伏すルイズ。
突然、部屋のドアが開く。
驚いた三人がそちらを見ると、眼鏡をかけた気の強そうな金髪の美女が仁王立ちでそこに居た。
ベッドに居たルイズはそこから飛び起きる。
「エレオノール姉さま!」
かの金髪美女はキュルケや燦には目もくれず、一直線にルイズの元に歩み寄るとその耳を引っつかむ。
「い、痛いエレオノール姉さま!」
ルイズの抗議も無視。そのまま部屋の外まで引きずっていった。
この話をそれぞれの家族に伝えに行ったのが昨日の事であるから、エレオノールの訪問は異例の早さであろう。
キュルケと燦は呆然とそれを見守る。
「……なるほど、ルイズの所は姉が来たって事ね」
「大丈夫じゃろかルイズちゃん」
「これから二人でオールドオスマンの説教受けて、それからじゃないかしら、一番危険なのは」
人事のようにそう言うと、キュルケは燦を散歩に誘う。
ルイズが怒られているのにと遠慮する燦であったが、どうせ時間がかかるからと半ば強引に引っ張って行った。
中庭で軽食でもと思いそちらに向かうと、既に一組先客が居た。
良く見ると、ギーシュとそれに良く似た美男子が居る。
>>626 対七万戦とかでラインバレル呼ぼうとしたら、元の世界で居なくなった早瀬に代わり城崎が使っていて来れない悲劇
実は今は授業中で、他に中庭に居る者もいなかったので、キュルケ達が席に着くとその気は無くとも会話が聞こえてしまう。
どうやら彼はギーシュの兄で、オールドオスマンの説教を一緒に受けてきた直後らしい。
彼もオールドオスマンの知らせを聞いてすっとんで来た口と思われる。
彼の口調はギーシュを問い詰め、責め立てるというよりは、そんなギーシュを見て嘆き悲しむといった感じである。
ギーシュに似たキザったらしい話し方をするが、ギーシュよりも洗練されているせいか、まるで嫌味を感じない。
「……直接文句言われるよりも効くわねコレ……」
「大変じゃなぁ」
案の定、ギーシュは兄の話を聞きながら終始涙目で俯いたままだ。
そして会話の流れから、ギーシュは兄を伴ってルイズに謝りに行くという話になっていく。
すぐにでも部屋に向かいそうな二人に、キュルケは声をかけた。
「ルイズなら、さっきお姉さんと一緒にオールドオスマンの所言ったわよ。その後二人っきりの説教タイムもあるでしょうし、まだしばらくかかるんじゃないかしら?」
ギーシュの兄はキュルケに礼を言った後「ご家族もいらっしゃるのなら都合が良い。終わるまで待たせてもらおう」と謝る気満々である。
まあ相手はヴァリエール家である。下手に怒らせると後で何があるかわかったものでもないので、これが当然の反応なのだろうが。
ギーシュは、兄に断るとキュルケの前に立つ。
「何よ?」
深々と頭を下げるギーシュ。
「済まなかった。君には随分と酷いことをしてしまった。どうか許して欲しい」
まさかの不意打ちに目を丸くするキュルケ。
更にギーシュは燦にも頭を下げる。
「君にも失礼な事を言ってしまったね。済まない」
キュルケは更に仰天する。まさか平民の燦にまで頭を下げるとは思わなかったのだ。
燦はにこっと笑って返す。
「私はええよ、気にせんと。でもルイズちゃんにもきちっと謝ってな。あれは私ホンマに頭来たんじゃき」
「ああ、もちろんだ」
キュルケの方に向き直るギーシュ。キュルケも燦に倣って笑ってみせた。
「あれから三日経ったけど、こうして面と向かって頭を下げてきたのは貴方が初めてよ。こっちこそ無茶して悪かったわね」
そんなやりとりをギーシュの兄は微笑ましい顔で見つめていた。
しばらくしてギーシュ兄弟がルイズの部屋へと向かうと、キュルケと燦は敷地外でここ数日の日課となった戦闘訓練を行った。
キュルケはこの間の決闘で、戦闘は魔力ではなく技術だと悟ったらしい。
燦も付き合いで剣を振るっている。
謹慎措置を容赦なくシカトするキュルケだが、それを咎める者が居そうな場所や時間帯をさりげなく外しているので、今の所は問題無いようだ。
充分に汗を流した後で、二人は部屋へと戻る。
そこで、ちょうど寮から出てくるギーシュ兄弟を見かけた。
心なしか青ざめている兄と、ぼろぼろと涙をこぼしながら歩いているギーシュ。
「あ、兄上、僕は悔しい。僕だけならまだしも兄上まで……」
「お前はそれだけの事をしたんだ。グラモン家の代表として来ている以上、そういう事もあるよ」
「で、でも兄上には……兄上があんな事言われるなんて……」
心底悔しかったのだろう、握り締めた拳と絶え間なく滴り続ける悔し涙が大層痛々しい。
キュルケも燦もさっきあんなやりとりをした後だっただけに、とても気まずかったので、顔を合わせないように物影に隠れていた。
「あのキツそうな姉よね、多分。ぼっこぼこにやられたんでしょうね……」
「……ルイズちゃんのお姉ちゃん、めっちゃ恐そうじゃったから」
二人が通り過ぎた直後、エレオノールが馬車に乗り込み、学園を去って行った。
キュルケと燦は、ルイズの部屋にそーっと入る。
「るいずー、元気ー?」
ベッドに突っ伏したままルイズは答えた。
「……無理、死んだわ。いえ殺して、お願い。もう私明日からの全ての事に希望が持てそうに無いわ」
これは重症とキュルケが肩をすくめると、燦も同じように困った顔になるのだった。
翌日早朝に、ルイズの部屋をノックする音が響いた。
まだ半分寝ぼけているルイズに代わりに燦が扉を開けると、そこには幽鬼のような顔をしたギーシュが立っていた。
「……ルイズ、少し外いいかい?」
燦が困った顔でルイズを見る。ルイズも幸い着替えは済んでいることだし、これは逆らってはいけないと思ったのかすぐに立ち上がる。
「わかったわ。ああ、燦はここで待ってなさい」
ルイズはギーシュの様子を伺う。
何かを堪えているような、今にも、そう今にも襲い掛かってでもきそうな雰囲気だ。
扉の前で待つギーシュを促し、その前をすり抜けた時、ギーシュはぽつりと呟いた。
「……あんな屈辱は初めてだった……しかも、兄上まで侮辱して……」
怪訝に思ったルイズは振り返ってギーシュを見る。
「ギーシュ?」
「兄上は何も悪く無いのに……許せない、絶対に許せるもんか……」
昨日のエレオノール大暴れを見ているルイズは、ギーシュの気持ちも痛い程わかっていた。
「あ、あのねギーシュ。エレオノール姉さまも悪気があって……」
それ以上言えなかった。
ギーシュの目がヤヴァイ。もう何か一線を突き抜けてしまっている目をしてる。
昨晩寝ていないのであろうその隈だらけの目元なんかが、その雰囲気をより濃密なものとしている。
「ルイズ、君にはもう一度、僕と決闘してもらう」
命令ですらない断定。理屈は通用しそうにない。
「ぎ、ギーシュ。それは色々とマズイから、落ち着いて……」
「さあルイズ! 決闘だ!」
ゼロと呼ばれるルイズに敗れた事。軍人の誉れであるグラモン家の人間が。女に男が。
そんな事もギーシュの妄執に拍車をかけていた。
ルイズが尚も説得しようと足を踏み出すと、ギーシュはその杖を抜き、即座にゴーレムを呼び出した。
宿舎の廊下で。
「ギーシュ! いいから落ち着きなさいって! こんな所見つかったらタダじゃ済まないわよ!」
そう言いながらゴーレムから距離を取るルイズ。
しかしギーシュはまるで聞いていない。かくなる上は実力行使で黙らせるしかない。
もう二度とやりたくはなかったが、鉄拳で黙らせる手ならばギーシュは防げまい。
そう思いゴーレムを見たルイズは全身の血の気が引いていく音を聞いた。
(……通路一杯にゴーレム出されてるじゃない。これすり抜けてギーシュ殴るとか絶対無理よ!)
「行け! ゴーレム達!」
通路一杯に広がったゴーレム達が、ルイズに襲い掛かってきた。
「待って! 待ちなさい! 待ってってばーーー!!」
殺到してきたゴーレムが剣を振り、槍を突き、斧を叩きつけにくる。
これはまともにやっては勝てない。それ以前に、謹慎期間中にまたそんな真似してたら絶対とんでもない事になる。
とにかくこの場は逃げる以外に手は無さそうだ。
何とかギーシュを冷静にさせないと、こっちまでとばっちりでまた処分を受ける事になる。
ルイズは一目につかなそうなルートを選びつつダッシュで逃げ出す。
それを追うギーシュ、ルイズの心中なぞ知った事かとゴーレム達と共に駆け寄ってくる。
「なんでこうなるのよー!」
悲鳴を上げて逃げ去るルイズと鬼気迫る表情でそれを追うギーシュとゴーレム軍団。
「朝ごはんまでには戻ってなー」
燦は、どうしていいのかまるでわからないので、とりあえず手を振って二人を見送ったりしていた。
キュルケとタバサがルイズ達を朝食に誘いに来た頃、ルイズが全身汗だくになって戻ってきた。
「おはよルイズ。一体何事よ?」
「ギーシュの奴裏庭でのびてるわ。ざ、ざまを見なさい、振り切ってやったわ」
支援
肩で息をしながらそんな事を言うルイズ。
タバサが窓から裏庭を見ると、ギーシュがそこでゴーレム達と一緒にひっくり返っていた。
倒れるギーシュの周囲の地面が変色する程に汗を掻いてる辺り、どうやら体力負けと思われた。
タバサはルイズに向かって頷く。
「正しい選択」
ルイズがやり返さなかった事を評価しているらしい。
「ありがと。あー、朝から汗かいたわ。さっさと食堂に行きましょう」
謹慎明けまでにギーシュに襲われた回数、十六回。
タバサに褒められた手前、こっちも逆ギレする事も出来ずひたすら逃げ回った。
回を重ねる毎にゴーレム扱いが巧みになっていくギーシュ、その勤勉さを別の所に向けて欲しい。
キュルケの戦闘訓練に付き合わされる事四回。
決闘では助太刀してもらう形になったので、借りを返すつもりで手伝った。
移動目標を狙う訓練だそうで、調子に乗って近距離でもかわせるなぞと豪語した結果、三度焦げた。今では反省している。
コルベール先生の説教三回。
ギーシュに襲われる所を発見されて一回、決闘直後の酒盛りがバレて一回、魔法失敗で塔にヒビ入れて一回。
キュルケに張り合って魔法使ったらこの体たらく。あれで怒られるのが私だけなんてとても理不尽だと思う。
ようやく謹慎が開けて出席が出来るようになったルイズとキュルケ。
ちなみにタバサ含むクラスメイト達はみんな素行がよろしかったので謹慎期間が短縮されていた。
さんざルイズに襲ってきたギーシュもちゃっかり素行優良組に入っている。
何か納得いかない気もしたルイズであったが、こうして謹慎も無事終わった事だし、気を取り直して授業に出る。
「おはよールイズ」
そう声をかけてくるキュルケ。
席は一番後ろの窓際。タバサもそこに居る。
何故かその周辺だけ、不自然に席が空いていた。
ルイズなりに察する所があったのか、他のクラスメイト達とは目を合わせないようにしながら席に着いた。
そうして授業が始ったが、クラスメイト達はまるでルイズ達が居ないかのように振舞っている。
(仕返しのつもり? ふん、相変わらずいけすかないやり口ね)
それが、ルイズの勘違いだったと気付くのは昼食時であった。
中庭でまたルイズ、キュルケ、タバサ、燦の四人で昼食を取る。
昼食時だというのに、四人の居るテーブル周辺だけ何故か人が来ないのだ。
みな遠巻きにこちらを見てひそひそと何事かを言っている。
キュルケはサンドイッチを手に持ちながらぶーたれた。
「何よ、言いたい事があるんならはっきり言えばいいじゃない。授業中もそうだったけど、気に入らないわね」
ルイズもキュルケの意見に賛同するが、タバサは一人首を横に振る。
「違う。文句を言いたいんじゃない」
「じゃあ何なのよ」
タバサはルイズを指差す。
「不死のルイズ」
「はい?」
次にキュルケを指差す。
「ゲルマニアの魔王、邪王炎殺拳キュルケ」
「はぁ?」
意味のわからない二人を他所に、タバサはサラダを平らげ、続きを口にした。
「二人の新しい二つ名。みんな決闘の話知ってる」
ルイズとキュルケは揃って複雑そうな顔をする。
「……不死って何よ。人をモンスターみたいに言わないで欲しいわ」
「……こ、コメントしずらい名称よねそれ」
しかし燦は何故か嬉しそうだ。
「ドスの効いたええ二つ名じゃ、良かったなルイズちゃんもキュルケちゃんも」
ナプキンで口元を綺麗にしたタバサは更に続けた。
「みんな恐れてる。しばらくは文句言ってくる人居ないと思う」
二人共、それはそれで楽といえば楽なので、文句を言うのは止める事にした。
そこで燦は、不意に何かを思い出したように立ち上がる。
「ほうじゃ、私デザートもらってくる」
がたん
立ち上がった拍子にテーブルが揺れ、上に載っていた水の入ったコップが傾く。
咄嗟に動いたのはタバサだ。
コップに素早く手を伸ばす。
しかし、既にコップは大きく斜めになっており、そこから滴る水が燦の両足に向かう。
ルイズは燦の腕を引き水からかわさせようとするも、燦はそれが解っていないのか、中途半端にその力に逆らって更にテーブルを揺らす。
他のコップも大きく揺れる。それらは何故か吸い込まれるように燦へと向かって行った。
燦が水を被ったら人魚に戻ってしまう。みんなにそれがバレたらマズイのだが、このままではフォローは不可能。
かくなる上は、最終手段。
キュルケは速攻で呪文を唱える。ドットやラインではダメだ、範囲が狭すぎる。
トライアングルスペルで、このテーブル一帯を……
幸い、目撃者達が一様に口をつぐんでくれたおかげで、中庭のテーブル群の色を全て黒に変えてしまった事へのお咎めは無かった。
中庭は燦が芝の張りなおしも含め、罰として一人で綺麗にさせられた。
夜、何処から聞いてきたのかモンモランシーに何故中庭でいきなり魔法を? と問われ、返答に困ったキュルケは、
「……そういう事もあるのよ、私の側に居ると」
と答えた。その返答と中庭事件の内容は、その晩の内に学園内を駆け巡っていた。
キュルケは、これが更なる事態を呼び起こす事に、まだ気付いていなかった。
ルイズ達四人は翌日も同じように中庭で昼食を取っていた。
そこに、にぎやかな下級生達の集団が歩いてくる。
彼らはみな話しに夢中で、とても楽しそうだ。
すると、調子に乗った女子が一人、後ろを向いたまま小走りに走り、ついバランスを崩してしまう。
「きゃっ」
なんとか立て直したが、持っていたお盆の上の紅茶が零れ、キュルケの服の裾にかかってしまった。
あらら、とそんな微笑ましい下級生を見守っていたキュルケだったが、突然周囲が蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
「あの下級生! 何やってんだ!」
「まずい、まずいぞ……絶対マズイ!!」
「お、俺ちょっと用事思い出した!」
「お前等! 早く避難しろ! 周囲一帯昨日みたいに火の海にされちまうぞ!」
いきなりの騒ぎにキュルケもルイズも声のした方を一々振り向く。
そして、キュルケに紅茶を零してしまった女の子は、その場にぺたんと座り込んでしまった。
「あ……あ……わ、私……なんて事を……」
彼女のその声を合図に下級生達は一斉に逃げ出す。
「うわー! お、俺関係無いっすよー!」
「近づいちゃダメ! 巻き込まれちゃうわよ!」
「馬鹿! お、お前が悪いんだからな! 俺はしらねーぞ!」
椅子に座ったままのキュルケは何とリアクションしてよいのか困り、とりあえず倒れた女の子の方に手を伸ばし……
「ゆ、許して……お願い、殺さないで……殺さないで、私、まだ死にたく……」
その手を合図に、もうぼろぼろ泣き出している。
紫煙
思わず手を止めてしまったキュルケ。
救いを求めるようにルイズ達を見る。
「私不死のルイズだから知らなーい」
「あー、えー、と、とりあえず助け起こしたらどうじゃろ」
タバサは無言で食後のお茶を楽しんでいる。
仕方ないので椅子から立ち上がって誤解を解こうとするキュルケ。
その動作がきっかけであった。
「ヤる気だ! 魔王が! 魔王が動いたぞ!」
「上級生蒸し焼きにして喰っちまったぐらいだ! あの女の子なんざ炭にされたあげく悪魔の庭の肥料にされちまう!」
「出るぞ邪王炎殺拳! マジパネェってあの人!」
そんな声に絶望しながらキュルケは数歩前に出る。
そこで、座り込む女の子の前に、一人の男子生徒が走りこんできた。
「こ、こいつをヤるんならお、おおおおお、俺が相手だ!」
いきなりの行動に呆気に取られる一同。
しかしこの流れに乗っていた外野は一様に驚きの声をあげた。
「ばっきゃろー! 死ぬ気かてめえ!」
「勇気と無謀を履き違えるな! 無駄死にだぞ!」
男子生徒は、これが最後とばかりに、震えながら後ろの女子生徒に告げた。
「お、俺さ、お前の事……入学した時からずっと……」
何やら盛り上がっている外野と下級生。
全てが嫌になりテーブルに突っ伏してしまうキュルケ。
急かすようにタバサがつつくが、キュルケはもう何をする気も起きなかった。
仕方が無いのでタバサが二人の下級生に言う。
「魔王は貴方の勇気に感銘を受けた。今回は見逃すそうだから早く行って」
驚いた顔でキュルケとタバサを見つめる下級生二人。
そんな二人にキュルケはそちらを見ようともしないで手だけを振ってみせた。
それを見た男子生徒はまだ呆けている女生徒の手を取ってその場を去ろうとする。
燦は、一段落ついたのでほっと一息。
テーブルの奥にあったパンを取ろうと手を伸ばし、手前にあったコップを肘にひっかけ零してしまった。
「あ」
びしゃびしゃー
瞬時に、お互いの役割を理解する三人。
視界を遮る事の出来る魔法を唱えるキュルケと、それ以外の二人という組み合わせだ。
ルイズとタバサが同時に動き、テーブルクロスを二人で持って一気に引っ張り燦にかける。
しかしこれでは不十分。何せ中庭に居る全員の視線がこちらに向いているのだ。
最後の仕上げ、絶対やりたくなかったが、キュルケはその魔法を唱えた。
「魔王は助かったと一瞬希望を与えておいて、地獄に落とす。そんな冷酷サディストだそうよ」
モンモランシーはルイズの部屋でそんな話を聞かせていた。
「へー、そー」
あんにゅいな顔でやる気なさそうにそんな返事をするキュルケ。
「それでね、あの二人タバサが炎から助けてあげたじゃない。だからタバサは魔王配下にありながら人の情けを知る唯一の人物って事になってるわね」
「…………」
これもまた返答のしようが無い内容なのでタバサは黙っていた。
燦は自分が原因なので、部屋の隅で申し訳無さそうに小さくなっている。
そしてさっきから笑い転げているルイズが続きを促す。
「そ、そうなの、く、くっくっく……で、それで?」
「そんな良い人が魔王配下に居るなんておかしい。きっと魔王に家族を人質に取られているんだ。ってのが大半の意見」
噴出してしまい、みっともなく大笑いするルイズと、複雑な表情のタバサ。
「もうダメ。お腹痛い……最高よそれ。今年のベストヒットだわ」
そこまで言うとモンモランシーは真顔になってキュルケに聞く。
「で、実際の所。キュルケはなんだってあんな所で邪王炎殺黒龍波なんて撃ったの?」
「知らないわよ! もう放っておいて!」
以後、キュルケの元を訪れるボーイフレンドは絶無となったらしい。
邪王炎殺黒龍支援
支援
以上です、みなさん支援ありがとうございました
支援
GJ
的外れな推論が時に真実を突くのは恐ろしいね>タバサ
おつ
乙でした。
流石、地雷踏みはヴァリエールのお家芸だな!とでも言ってみる。
そして魔王キュルケに乾杯。
キュルケかっこよすwwww
GJ!
そろそろキレネンコとプーチンが召還される頃合だと見た。
赤と緑の囚人服着た兎だなんて、ルイズもつくづく運が無い。
しかも元ロシアンマフィア。怖ぇー。
GJ
男子生徒カッコイイよ男子生徒
乙
こんばんは。こないだMTGからゴブリンの従僕(ゴブリンラッキー)を召喚した者です。
Wikiに登録してくださった方、ありがとうございます。
…あとタイトル解りづらくてほんとうにすみませんでした!
1話が書きあがったので10分くらいから投下させてください。
GJです
徴募兵と戦長と首謀者と包囲攻撃の司令官を手札に構えて前哨支援
欲を言えばタイトルを次のページにすればもっとよかったかも
目が覚めれば、普段より良い朝だった。
昨日までよりも僅かばかり深いまどろみの中、ルイズは部屋の隅の、藁の詰まれた一角
に目をやる。それから緩慢な動作で起き上がり、小ぶりな唇を半分だけ開いたまま動きを
止めた。
暫くして、藁ががさがさと揺れる。そして、ひょっこりと緑色の頭を覗かせた自分の使
い魔に向かって、彼女はおはようと言った。
「おはようラッキー。見て、良い朝よ」
「へい大将、良い朝ですね。カーテンは閉まってますけど」
「気の利かない使い魔ねぇ。閉まってるなら開ければ良いじゃない」
「そいつは気がつかなかった!」
ルイズはベッドの上で心行くまで伸びをして、景気良く寝間着を脱ぎ始めた。一着ずつ
ぞんざいにラッキーに向かって投げつけて、全裸になる。
「それ、洗っといて」
「へい!」
一度全裸のまま、上質で肌触りの良いシーツの上に寝転がる。また、心行くまで伸びを
した。
「それから、下着と制服ぅ」
「へい!」
ラッキーは、未だにベッドの上から動こうとしないルイズに下着を渡すと、そこで動き
を止めた。
「ちょっとラッキー、制服は?」
「へい! 制服ってのがなんだかわかりやせん。おいらに解るのは、それが服だってこと
だけです!」
「仕方ないわね。ちゃんと覚えなさいよ」
ルイズはそう言ってから、寝ぼけた顔で立ち上がると、制服を取り出してラッキーに見
せる。そして大胆にも下着姿のまま、ラッキーの前を横切って再びベッドに倒れこんだ。
春は二度寝の季節だ。
「そーいえばあんた、なんで下着は解るの?」
「住んでた家の隣のやつが集めてやした。たまに皆を集めて見せびらかしてやした」
「そいつ絶対独身で歳いってるわね」
「まさしくその通り! なんで解ったんですかい?」
「秘密よ」
宴はまろやか
「ラッキーと二つの特務」
「それ、ちゃんと洗濯しておいてね!」
そう言って慌しく部屋を出たルイズだったが、なにせ初めての使い魔で初仕事だ。ラッ
キーはばかだが良く懐いた可愛いやつだし、使い魔の指導も主人の務めだ。
そんな風に言い訳して、ルイズは下の水汲み場に向かった。塔の中ばかりで過ごしてい
ると、どうしようもなく外の空気が清清しい。記憶の中の校内地図を頼りに探してみれば、
丁度ラッキーが、満足げに洗い終わった寝間着を広げて頷いているところだった。
「やればできるんじゃない。心配で見に来たけど意味なかったわね」
「心配ご無用ですぜ。なんせおいら、洗い物は生まれる前から得意でした」
「訳わかんない」
「へい! つまりおいらがカァちゃんの腹ん中にいた頃は、カァちゃんの得意が洗い物で
して」
ルイズはラッキーの手の中を覗き込んで、洗濯の出来を確認する。洗濯の出来など彼女
には解らなかったが、特に汚れが見当たらないのを認めて何度か頷いた。
「あ、あれ? 大将、ここは大口開けて笑うところ……」
「うっさいわよばかラッキー。パジャマは悪くないわ。下着は?」
「へいすいやせん! 下着ですか? あれ?」
突然ラッキーが慌てだしたのを見て、ルイズはラッキーの足元に置いてあった籠を覗き
込んだ。
「ないわね」
「ねぇですね」
ルイズはまた、ラッキーの手の中を覗き込んだ。
「あんた持ってないわよね」
「持ってねぇですね」
ルイズは青い空を仰いだ。
「ぬ、ぬぬぬ盗まれたのかしら。あんた籠から一回でも離れた?」
「道具を借りに一回離れやした」
ラッキーは洗濯板と桶を指差した。ゴブリンは足りない物があったら人から借りる、解
らない事があったら人に聞く賢い種族だ。ただしゴブリンは、他人に何も貸せないくらい
物持ちが悪く、他人に何も教えられないくらい頭が悪い。
通りがかったメイドにこの場所を聞いて、更に道具まで調達してもらったそうだ。
「そのメイドには後でお礼を言いに行きましょう。
ラッキー、籠持ってついてきなさい。怪しいやつは私の魔法でふき飛ばしてやるわ!」
慌しく一人と一匹が走り回る。手がかりは全くなかった。だがルイズは、証拠がないな
ら証人を探せば良いと考えていた。証拠を見つけて犯人を推測するよりも、短絡的だが効
果的な手段だ。
忙しく動き続けているせいでルイズの息は上がっていたが、土を小さな靴が踏みしめる
柔らかい音や、煉瓦畳を踏みつける硬い音が、使い魔と一緒に騒いで走り回るこの遊びの
アクセントだった。
「許っせないわ、どこの不届き者かしら。昨日は召喚の儀だったから、一番お気に入りの
やつを着てたのに」
「そいつは災難で」
「もう、いちいち相槌うたないの。ほら、しゃきしゃき歩くっ」
レースの意匠が特に映える黒い下着だった。盗んだ奴がどんな奴だか知らないが、今頃
はきっと酷い扱いを受けているに違いなかった。早く助け出さなくては。
「角を曲がったらテラスよ。そこの生徒にも聞いてみましょう、って、あら」
「あいたっ!」
「いたぁ……ちょっとモンモランシー、やめてよね。私はちゃんと止まったのに」
丁度校舎の角に差し掛かり、曲がるか曲がらないかといったところでルイズは、逆方向
から歩いてくる女生徒、モンモランシーに気づいて足を止めた。
ところが彼女の方は、何かに気をとられているのか上の空で、一切の減速もなしにルイ
ズに思い切りぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい。ルイズ、考え事をしてて」
「構わないわよ。その代わりにってことで良いかしら? 1つ聞きたいことがあるの」
「やい金髪! 大将にぶつかっといてごめんなさいで済ますつもりかい!」
ごすん、と壮大な音を立ててルイズの拳がラッキーの脳天に突き刺さるのを、唖然と見
つめてから、ルイズの再度の呼びかけに我に返ったモンモランシーは曖昧にはにかんだ。
「あなたが人に何か尋ねるのって、ちょっと新鮮」
「もぅ、悪かったわね。それでね、実は……」
爪先立ちになって、若干背の高いモンモランシーの耳元に唇をよせる。そしてルイズは
事の概略を話した。始めは耳の産毛をくすぐる吐息に顔を赤らめていたモンモランシー
だったが、唐突に目を見開き、驚きの声を上げた。
「ちょ、ちょっと、どうしたの突然?」
「ええと、ええ、実はね」
今度はモンモランシーが屈んでルイズの耳元に唇をよせる。始めは頬の近くで囁く他人
の唇に胸を普段よりも早く鳴らしていたルイズだったが、やはり目を見開き、驚きの声を
上げた。
「あ、あなたのも無いの……?」
「ええ、ルイズ。お、お願いだから秘密にしてよ? 今、必死に心当たりを思い出して一
つずつ調べてるところなんだから……。
もしかしたら何か関係があるのかもしれないし、少しでも解ったことがあったら教えて
頂戴」
「ええ、わかったわ」
気づけば、ティータイムはとっくの昔に過ぎてしまっていた。モンモランシーと別れて
から、一応と覗いてみたテラスは閑散としている。心なしか空も暗くなりつつあった。そ
ろそろ空が赤らむ頃だろうか、と思って目を凝らしてみたが、そうでもない。
ルイズは、雨でも降りそうな天気、と言い残してテラスを後にした。
シエスタというメイドに洗濯道具を返し、ついでにまだ干していなかった籠の中身を丸
ごと預けてから、ルイズとラッキーは一度部屋に戻ることにした。
斜め後ろを必死についてくる使い魔を偶に気遣いつつ、早足で歩く。部屋の少し前で、
出す足の順番を間違えて盛大に転んだラッキーの手を引いて起こしてから、気を取り直し
て前を向くとそこには赤毛で背の高い女子生徒が居た。
「あらルイズ」
「キュルケじゃない」
「ええそうねキュルケね。じゃあこれで」
「あんたちょっと待ちなさいよ」
挨拶もそこそこに立ち去ろうとするキュルケを、ルイズは制服のマントを握って阻んだ。
普段なら先に顔をしかめて立ち去るのはルイズの方だったが、自分の顔を見て逃げようと
したキュルケの邪魔をしたくなったのだ。
「何を急いでるの?」
「や、やぁねルイズ。急いでないわよ」
「嘘よ」
「嘘でい!」
「嘘じゃないわ! ちょっと下着取り返しに行……あっ」
慌てて口を塞いだキュルケだったが、思わず手の力が緩んだルイズを好機と見てか、早
足で立ち行こうとする。ところが、ルイズに今度は飛びついて腕を抱え込まれた。
「キュルケ、教えて」
「なっ何よ?」
「誰が盗んだの?」
狼狽していたキュルケだったが、真剣な顔で言われて思わず眉を寄せた。
「ちょっと何なの?」
「実はね、私の下着も盗まれたの。だから連れて行って欲しいのよ」
「はぁ?」
ルイズはやっと掴んだ手がかりに驚喜していた。足の疲れは限界をきたしていたが、目
の前に現れた不敬な犯人までの道に比べれば些細なことだ。心配なのは、手がかりを持っ
ているのが自分と仲の悪いツェルプストー家の娘だということだろうか。
自分の顔を訝しげに見やるキュルケに、精一杯神妙な顔を作って頼み込む。ところが何
を思ったのか、キュルケは突然大口を開けて笑い出した。
「ちょ、ちょっとルイズ、あなた、あなたの下着ぃ? 誰が盗むって言うの」
「うるさいわね。私の下着にだって色気くらいあるわよ!」
キュルケははっとしたようにルイズの瞳を覗き込んで、それから申し訳なさそうに言っ
た。
「そ、そうね。ごめんなさい。あなたがどれだけちんちくりんでも、世の中には好きって
言ってくれる人もいるわよね」
「うっさいわね!」
「そうだ! もっと大将のこと褒めやがれ!」
「ラッキー、あんた本気で黙りなさいよ?」
「へい! わかりやした」
ふう、とキュルケが息を吐く。ルイズも使い魔の頭を叩くのをやめて、神妙な顔でキュ
ルケと向き合った。
「そうね。あなたの下着を盗んだ人の名前、教えてくれるなら、着いてきても良いけど」
「はぁあ? ばか言ってんじゃないわよ。だからそれを……」
「やーねルイズったら、じゃあ良いわよあなたが後でも。今から行くから勝手について来
てね」
ちょっとした混乱を胸に押し込みつつ、不満げな表情を浮かべてルイズはキュルケの後
を追った。どうやら、男子塔に犯人が居るらしい。
盛大な音を立ててキュルケが一つの部屋のドアを蹴り開ける。中に居た、ギムリと呼ば
れる一人の男子生徒に向かって盛大な火球を飛ばす。ごめんなさい、ごめんなさいと繰り
返すその男子生徒を見て暗い喜びに浸っていたルイズだったが、嫁入り前の公爵家の三女
には相応しくないその笑みは、次第に凡々とした顔に変わっていった。
「だから、あんたが昨日私の部屋から持ってった下着を出しなさいって言ってるの!」
「いやだよキュルケ! 君は昨日僕に向かって、あなたとはこれっきりねって言ったじゃ
ないか。せめて想い出くらい良いじゃないか!」
「想い出にパンツ持って行く変態がどこに居るのよ!」
「ここに居ます!」
「ファイヤーボール!」
隣の部屋から俺も!とか、向かいの部屋から僕も!とか声が聞こえることに頭を痛めな
がら、ルイズはこのギムリという同級生の部屋を見回した。
いたって質素な男子生徒の部屋で、とても下着の蒐集癖があるようには見受けられない。
それに彼がキュルケの下着を盗んだのは、誰でも良いから下着が欲しかったのではなく、
昨日恋破れたキュルケとの想い出を何か持って行きたかったのだろう。そこで下着を選ぶ
というのは、ルイズには理解できなかったが。
「あなたの下着を盗んだ人の名前、かぁ」
つまりそれは、ルイズの恋人の名前という意味だったのだ。仲が悪いことを理由に情報
を出し渋ったことを今更ながら後悔しつつ、ルイズはこっそりとラッキーの手を引いて立
ち去った。
それから部屋のドアを閉じても聞こえる、ゴブリンも食べない痴話喧嘩にうんざりした。
「ほんっと、肉体的にも精神的にも疲れる無駄足だったわ。汗かいちゃった」
部屋に戻ったルイズは、下着の棚を開いてから、なんとなく数が合わないなぁと感じな
がらも一着分だけ取って大浴場に向かった。ラッキーには部屋の留守番を言いつけてある。
言いつけてあるが、きちんと鍵はかけてきた。
ただ立っているだけの仕事はゴブリンの十八番らしいが、不届き者を彼が撃退できると
は思えなかったので、部屋の戸締りは今までと変わりない。
少し早い時間だった。誰も居ない脱衣所で、ルイズは着替えを脇に置き、マントをハン
ガーに預ける。
それから制服のボタンに手をかけたとき、脱衣所のドアが開く音と共にモンモランシー
がやってきた。
「あら、モンモランシーじゃない」
「え、ええ!? る、ルイズ。奇遇ね!」
「奇遇ねってあなた何よ。確かにちょっとずれた入浴時間だけど……」
そしてルイズは、モンモランシーに向かって事の進展を尋ねる。キュルケの事は全くの
無駄足になってしまったが、目の前の彼女の方は何か手がかりを得られただろうか。
ところがモンモランシーは、恥ずかしげに指を前で組んで暫く遊ばせた後に、ぽつりと
言った。
「じ、実はその、うっかりよ? 普段は、普段は絶対にしないミスなんだけど。
無くなったと思ってたら、本当はタンスに挟まってて」
「はぁ!?」
「本当にごめんなさいルイズ。あ、あなたも一度部屋の中を探してみると良いかも」
恨みがましい目でモンモランシーを見つめ続けていたルイズだったが、やがて瞼を閉じ
て大きな溜息を吐くと、ボタンをはずし始めた。
「私のは洗濯してる最中に無くなったのよ。黒い下着は一枚しか持ってないのに……」
「え?」
脱衣所には二人しか居なかったので、モンモランシーの声は事のほか良く響いた。
「なによ、間抜けな声出して」
「え、だって、ルイズ、黒い下着は一着しか持ってないの?」
「ええそうよ?」
何を聞くのか、と聞き返すルイズに対して、モンモランシーは声を震わせて言った。
「だってあなた、黒の下着ってそれ、自分で着てるじゃないの」
「は? 冗談も休み休み……ぇえええええええ!!?」
それからルイズは、素晴らしい速度で制服のボタンを留め直すと、勢い良く脱衣所を飛
び出して行った。
「あんのばかラッキィーッ!!」
モンモランシー一人だけの静かな脱衣所に、何よ、ルイズだって私より酷いポカしてる
じゃないの、という声が響いた。
事の顛末はこうだ。
誰も彼もが寝ぼけ眼の早朝に、「これを洗っておけ」というルイズの命令が最初に下さ
れた。歳若い乙女の寝間着から下着までが、ぽんぽんと景気良くラッキーの足元に積まれ
ていった。
しえん
支援
次にルイズは、つまりラッキーがそれらを洗濯し終わるよりも早く、「下着と制服を
持って来い」という命令を下した。ラッキーは制服がどれだか解らなかったので、下着だ
けをルイズのところに持っていった。
そのときラッキーの足元には、ルイズが投げてよこした服の山があった。そして山の一
番上で、脱ぎたての下着が強く存在を主張していたので、ラッキーは自分の一番近くに
あったその下着をルイズのところに持っていった。
二度寝寸前のルイズが上手く働かない頭でそれを着て、制服を持ってこなかった使い魔
の不明に苦笑しながら自分で制服を着用し、そして春の陽気に誘われて二度寝する。
これで完全犯罪の完成である。
使い魔が失敗したときには、罰が必要なのだ。
「ああもう、あんたの夕飯抜きだからね!」
「へい! すいやせん」
「よろしい。じゃあ今日はもう寝るから。おやすみ」
「へ? 大将の夕めしは?」
「うっさいわね、もう食堂が閉まってるから、ダイエットなの!」
「へい! ダイエットですか!」
「そうよダイエットよ」
「へい! ダイエットですね!」
「勘違いしないでよね、あんたに付き合ってとか、そういうのじゃないんだから」
「へい! 勘違いしやせん!」
にこにことした、何も考えていない顔のラッキーが藁にもぐりこむのを見守ってから、
ルイズは部屋の明かりを消した。
相変わらず燦ちゃんが居ると悪気無しにヒドイ事になってるなぁww
不死の二つ名GJ!
ゴブリンなだけに支援が追いつかなかった。
投下終了です。支援ありがとうございました。
1話から下着の話かよ!っていうつっこみにはすみませんでした。
ゴブリンに一度に二つのことをやらせてはいけません。たいていものすごいことになります。
つまりルイズは見えない敵と戦っていたんだよ!
乙ー。ルイズとラッキーに和ませてもらった。
25分から投下いきます!
支援を願いします
支援開始
乙そして支援
前哨支援だけして食事してくる支援
―――図書館
「『レコン・キスタ』……『レコン・キスタ』、か……」
「相棒、ため息なんてついてどうしたんだ?」
「……何かわかるかも知れねぇと思って調べてみてるが……ほとんどねぇ」
持っていた本をパタリと閉じると、本棚に戻した。
上のほうならその記述のある本あるのか、とも思ったが……見上げれば首が痛くなるほど巨大な本棚。
この本棚に足をかけて登るというのは、骨の折れる仕事だ。肩を鳴らしながら、棚の一部に手をかける。
「ところで、お前は何か知らないのか?」
「なにせこちとら過去すらねぇ上に、あの狭っ苦しい武器屋暮らしだったんだ。
外のことなんざ……」
「知るわけない、か」
デルフが言い切るより早く、彼がその続きを言う。
「あたりめーだ」
デルフをつかむ。すると、いつもの通りルーンに光が灯った。剣をつかみ、高く跳びあがる。
彼の体は6mほどの高さまで上がった後、落下が始まる前にまた本棚の端に手と足をかけていく。
基本、これのくり返し。今の彼なら、片手で体を支えることもそう難しくない。だからこそできる芸当だった。
適当に本を手に取り、指を這わせて表紙を開く。索引や章の一覧を見て、関係なさそうならなおし、それらしい記述があれば数冊まとめて持って降りる。
彼は朝から、この一連のくり返しの動きを、さらに何度もくり返していた。
大体、1サイクル40分から50分。ただ退屈なだけともいえるルーティンワークだが、それも仕方ない。
「しかし、武器を使う力をこんな風に使うんじゃ、ブリミルが泣くぜ?」
「知るか。 使えるものは何だろうと使うだけだ」
テーブルに足をあげ、背もたれにふんぞり返りながら本を開く。
彼自身、話しかけずらい性格、風貌のため近づく人間すらいない。
同然、話しかけようなどという奇人もおらず、そのあまりにもマナーの悪い座り方を注意する人間などどこにもいなかった。
周囲に雑念を割くことなく、黙々とページを進めていく。
集中さえすれば、時間も短縮できる。ほんの数も多く、時間は可能な限り節約せねばならない。
「……ねぇな。 やっぱ人に聞くしかねぇか」
30分はたっぷりたった後、今回持ってきた本を調べ終わった。
またおもむろに立ち上がって本棚に向かっていく。さてまた戻すのも面倒だ……などと考えていた時。
ふわりと、本が浮き上がった。
「おッ……!?」
しかもふらふらと高く上がっていき、勝手に本棚に収まっていく。
なにか、特別な力を持った本か何かだったのかと内心少し驚きながら、戻る様を最後まで彼は眺めていた。
支援
0.7g支援
空になった両手。なんとなく、その行き場がなく頭をかいた。
「しかし便利な力があるんだな、流石魔法世界ってやつか」
「――いや、相棒、いい加減気付けよ」
デルフのあきれ声。それを聞き、彼はデルフを置いたテ−ブルのほうを振り向き―――やっと気付いた。
青い髪の少女が、こちらを見ていることに。ご丁寧に、杖まで持っている。
さっきの本の浮遊も、タバサの魔法だろう。
「この本持ってきてすぐくらいからこの娘っ子待ってたぜ?
いつ気づくかと持ってみたら……相棒、もうちょっと周りを見ようぜ?」
早く言えよバカ剣―――と言いたくなったが、ぐっ、と吐き出しそうになった言葉を飲み込む。
確かに、調べること――いや、あいつの手がかりを知ること――ばかり考えていて、周りを見ていなかったことには違いない。
これは、彼に落ち度がある。
「……いったい何の用だ?」
わざわざ待っていたのだから、何か用事があるのだろう。いったい何で待っていたのだろうか。
そう思い、デルフに関しては切り上げ、立っていたタバサに話しかけた。
その言葉を受け、タバサの答え。
「あなたの世界の魔法について教えてほしい」
そう言うと、またタバサは沈黙した。彼はそれを聞き、眉をひそめる。
「おれの世界の魔法、だと?」
懐疑的な彼の声に、コクリと首を縦に振るタバサ。
「………なぜだ? 理由を言え」
腕を組み、本棚にもたれて答えを待つ。
1,2分彼は下を向いた後、彼女の放った回答は―――
「――――力のため」
それだけだった。僅かに暗い響きの込められた、あまりにも意外な答えに、逆に彼が今度は黙る番となった。
しばらく彼は顔をしかめて、タバサの顔を覗き込んでいたが……
「交換条件だ。 『レコン・キスタ』について教えてもらえるなら、こっちもいくらかは答えてやる」
まだ幼さが、残る少女からは、力のため、などと言葉はあまりにも不似合だった。
ませた子供が、大人扱いして欲しさに、背伸びして似たようなことをいうことはあるが……タバサのそれは、明らかに違った。
ルイズのような熱のある力への渇望ではなく、凍結し動くことのない力への渇望。
その瞳に、半端な気持ちは宿ってない。
そういえば、あの昔話を一番よく聞いていたのは、彼女だったことを彼はふと思い出した。
―――同類だからこそ感じ取れるシンパシー。
理由は何であれ、その力への渇望への真摯さに違いはない。
力への渇望の原因は、当然今より前、過去にある。
彼自身過去を語るのが嫌いなように、彼女も何かが過去ある。詮索されるのは当然嫌だろう。
力を求める理由を問うのは、相手の心の奥底をさらけ出させるのと同等の行為だ。
支援
支援
支援
パープル支援
だから、彼はあえてそこからは問わなかったし、いくらか教えようという気にもなった。
「だが、いくらここは駄目だ。 人の来ないようなところに―――」
そう言って、細かい条件を彼が付けようとしたときだった。
突然、図書館に一人の教師が入ってきて、叫んだ。
「アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされますことになりました!
急いでここから出て、全力を挙げて、歓迎式典の準備を行ってください、そのために施設はすべて閉館とします。
生徒諸君は正装し、門に整列すること!」
―――学院施設、屋根の上
「あれが、話に出てた『姫殿下』ってやつか?」
『姫殿下』のところにアクセントを置き、皮肉るように彼は言った。
建物の屋上から手を振る、ドレスを着込んだ女が見える。
世間知らずで死体を片づけたことも人も殺したこともなさそうな……どこをどう見ても、『温室育ちです』と言わんばかりの姿に、彼は興味の無い視線を向けた。
「そう」
タバサが短く答える。
本来タバサも、あの悪魔もどきの動物が引く馬車を見送らねばいけないのだが……興味がないのか、彼との情報交換を彼女は優先した。
そのことに、彼も何も言わなかった。むしろ、当然――そう思っている。
力のためなら何を投げてもいい、それ以外いらない――そんな人間からすれば、貴族のどうこうなど取るに足らないことだろう。
ルイズのように貴族として、という目的ならともかく、そうでなければこれは必然だ。
体を、タバサと後ろにいるシルフィードに向け直す。
「それじゃ、お互い始めるか。 まずはそっちからだ」
『レコン・キスタ』――
アルビオン王国を中心に起こった宮廷革命運動及び、その中心組織。
「聖地」の奪回と貴族の共和制による統治という大義を掲げ、国家の枠を越えたメイジたちの集まりで結成された。
当初、所詮は利害で集まった貴族たちであり、その企ては遠からず失敗するだろうと思われていたが、
一人の有力な指導者が現れたことにより、周囲の小組織を飲み込み成長。
鉄壁の信仰心も加わり、現在国を落とす寸前まで侵攻を続けている。
指導者の名前は、大司教オリヴァー・クロムウェル。
「……鉄壁の忠誠心、信仰心か……」
タバサの説明を一通り受け、唸るような声を出す彼。
信仰心、という言葉に引っかかりを感じながらも、大体のことを記憶していった。
―――メシア教がやはりどこかに絡んでると見て間違いねぇな。
その確信を得られただけでも僥倖だ。
なるほど、活動開始してからの日が浅いので、まだ本が編纂されるに至っていないのだろう。
大破壊前の世界ならともかく、そんな1,2年では、そこまではということだ。
やはり、そういう情報は、過去である本ではなく、今を生きる人に聞いたほうがいい。
「次は、あなたの番」
そう言って、こちらが話すよう促すタバサの顔を見る。あぐらをかき、ひじを膝に乗せ、腰を据えた。
さて、どこまで話してやろうか―――
そんなことを考えながらも、同時に彼は、今度はアルビオンに行く術を探していた。
「おれの世界の魔法は―――」
…………結果としてその夜、彼はアルビオンに行く理由を手に入れることになる。
――――――ルイズと共に行くことになるのだが。
この支援はインターネットのみの特別支援です
支援
支援
支援ありがとうございます!
60行近くまで詰めてるので、なんとか4レスで収まりました。
今回は、ルイズ抜きな上、タバサと情報交換するだけなのに、予想以上に長くなってすいません。
熊本支援
乙&GJ!
こうやって書けるのはすげえよなあ、ホント
龍が如くで書いてみたが、実際やってみると難しくてどうにもならねえな
ラッキーGJ!
スクイーっぽくて和んだ!
おつかれ!
GJ
カオスヒローとお姫様の出会いのシーンにワクテカ
それと、ワルドの本性がすごいことになりそうだな。
こんばんは
投下してもよろし?
補給開始!!
扉の隙間から、細く明かりが漏れている。
夜も遅いのに、耳を澄ませば、かさりと紙を捲る音がする。
覗き込むと、部屋の奥のベッドで、上体を起こしたカトレアさんが、静かに本を読んでいた。
そういえば、笑顔以外を見たのは初めてかもしれない。引き締まった口元は、ルイズと似ていながら少し冷たさを感じる。
もしかしたら、カトレアさんも、自分でそのことを知っているから、いつも微笑んでいるのかもしれない。
くるる、と、奥の薄闇から獣の寝息が聞こえる。
さて、どうやって声を掛けよう。いきなり目の前に飛び出すのは礼儀知らずだし、驚かせたくない。
思い立って、帯から草笛を抜いて、今日演奏した曲の一節を小さく吹いてみた。
聞き取ってくれたカトレアさんが、こちらを向いて、すぐにあの笑顔を浮かべてくれた。
「来てくれたの? ハヤテちゃん」
ひざ掛けの上、栞を挟まれた本の上に飛び乗る。音は立てない。
「コンバンハ、かとれあサン」
「いらっしゃい。こんなに遅くに呼び出して、ごめんなさいね」
ちらと見た本の表紙には、まだあまり文字を覚えていない私には読めない難しい綴り。
そこに、私の腰くらいまである天鵞絨張りの、多分宝石箱が、カトレアさんの手でことりと置かれた。
「お客様を立たせておくなんてできないもの、どうぞお掛けになって」
ますます敵わない気がする。私の方が余裕がない。
「本当はね、貴女に逢えたら、一番最初にありがとうって言おうと思ってたのよ」
「ル……ソンナコト」
「去年の夏辺りから、ルイズからの手紙が少しずつ減ってたの」
少し、遠くを見る目で、
「頑張ってる。元気です……いつも手紙にはそう書いてあって、でも、家族にもそう言い続けるのが辛くなってるんじゃないかって」
カトレアさんの、ルイズには言えないこと。
「私ハ、今ハマダイイ、ダケドイツカハ、国ニ帰リタイ」
私怨
そしてこれが、私の、ルイズには言えないでいること。
ルイズは好き。だけど、あの小山も忘れられない。靴に穴が開いちゃったとき、心にも穴が開いた気がした。
ほう、と、カトレアさんが、やさしく吐息をついた。
「それでも、ハヤテちゃんがルイズの使い魔になってくれて、本当によかった。ね? 私は、小さなルイズさえよければそれでいいの」
だから怒るならルイズじゃなくて私にしてね、と、小さな私に向かって本気で頭を下げてくれる人。
ルイズは、きっとカトレアさんへのお手紙に、私のこと色々と書いたんだと思う。
頭のいいカトレアさんだから、気がついたんだろう。
「ずっと昔、子供の頃だから、ルイズは覚えてないと思うけど、私もよく癇癪を起こしてたの。その度に発作を起こして、寝込んでは癇癪を起こして」
くすっ、と
「あの子ったら、私に八つ当たりされるのに、いつも私の側にいてくれた。泣きながら。それで、馬鹿な私が血を吐いて倒れたときに、『わたしがおねえちゃんの代わりに怒るから、だからおねえちゃんは笑ってて』って」
「本当は、ルイズの方が大人しくて優しい子だったの。もう死んでしまったけど、最初に私の部屋に動物を連れてきてくれたのもルイズなのよ。一生懸命『騒がしくして私の邪魔しちゃだめよ』って躾けて、連れてきてくれたの」
両手で、小さな空間を作る。このくらいの、白いネコだったわ、と。
今とは全然違う二人の姿が、カトレアさんの口から語られるのを、私は黙って聞いていた。
「ルイズはもう覚えていないのかもしれない。忘れようとして、本当に忘れちゃったのかも。あの子の中では、私は最初から優しいちい姉さまみたい」
「お母様にも、お父様にもどうしようもなかった私を変えてくれたのは、ちいさなルイズだった。だから私は、ルイズを、ルイズが魔法を使えるようになることを、世界の誰よりも幸せになってくれることを信じられるの」
ルイズを信じて支え続けてくれてたカトレアさん、その優しい強さは、カトレアさんの心の中にいるルイズ自身だったんだ。
頑張れ支援
安定支援
「るいずハ、本当ニ覚エテナイミタイダヨ。イツモ、チイ姉サマハ優シクテ最高ノ私ノ憧レダッテ言ッテル」
「まぁ」
「デモ、ナンデ私ニ話シタノ?」
これは、カトレアさんのナイショの宝物だと思う。きっとご両親にだって話してないはず。
それなのに、逢ったばかりの私に。
「だって、ハヤテちゃん、私のこと警戒してたでしょ?」
あ、あれは、違うの、ルイズがちい姉さまのこと好きだって何度も言うから、ちょっと変な気持ちになってただけ、なのに。
「ううん、それだけじゃなくて、私が笑うのに、不自然さを感じてたみたいだし」
あんまり鋭いから、びっくりしちゃった、って。
この人は、身体が弱い。走ったり馬に乗ったり、魔法を使うのもきっと大変なんだと思う。
だけど、すごく深い人だ。世話役とか、相談役の長老たちと同じ匂いがする。
「今日は私、お昼寝したから、結構元気なの。だからハヤテちゃんとお話できるわ」
なんで、だろう。
そう言われたら、ほろりと、涙が零れた。
全然、哀しくなんてないのに。
カトレアさんがちっとも慌てないから、私も不思議と落ち着いた。
それから、沢山話した。小山のこと。隊長のこと。組んでいるマメイヌのこと、今頃はきっとつがいができてること。大好きな桃のお酒のこと。
ルイズとあれだけお話してたのに、まだ話し足りなかった自分がちょっと恥ずかしい。
空も薄く白み始めて、
「アリガトウ、かとれあサン」
沢山話して、沢山泣いて。頭も身体も、すごく軽くなった気がする。
妹の前では泣けないものね、そうカトレアさんが言ってくれた。
そういうことだったんだろうか?
私みたいな新米お姉ちゃんには、まだまだ覚えないといけないことがありそう。
手を振ってくれるカトレアさんに見送られて、ルイズの部屋に駆け戻る。
よかった、まだぐっすりと寝てた。
畳まれたハンカチの布団に潜り込んで、だけど目は閉じずにルイズの寝顔を眺める。
つい、頬が緩む。
妹の寝顔を眺めるのは、妹に懐かれてる姉の特権なんだからって、本当にカトレアさんの言うとおりだと思った。
* * *
0m〜5m位支援
支援
くぅ、と伸びをして、あれ? と思ったけど、何が変なのか分からなかった。
ここは学院の寮じゃない、久しぶりのヴァリエール家だけど。
ああ、そうか。
枕元、ハンカチが盛り上がって、ゆっくりと上下してる。
ハヤテが私より遅くまで寝てるって、もの凄く珍しいから。
そうっと、振動を伝えないように、ハンカチの端を指で摘んで、そうしたら、解かれた豊かな黒髪に縁取られた整った寝顔。本当にお人形さんみたい。
起きてるときの凛とした様子からは信じられないくらいあどけない。
(だーれが、お姉ちゃんよ。まるっきり妹じゃない)
いつもの立場にはとりあえず目を瞑って、メイドが朝食の支度が整ったことを伝えるまで、つかの間のお姉ちゃん気分を味わった。
支援
水で育てる支援
投下終了
新米お姉ちゃんへ、ベテランお姉ちゃんからのアドバイスでした。
支援コスモス
乙
この使い魔は放熱が多い体を維持するために大食いなのだろうか
「わたしの名はドッコイダー。株式会社オタンコナス製造 超特殊汎用パワードスーツ ドッコイダーだ!!」
体格に比べれば食事量は多いだろうけど、絶対量では少ないと思われる。
熱血α波発生装置が搭載されるはずだったのに設計上のミスで搭載されてないのか
>>724 ちょwwノリと勢いでタバサママの問題から七万の軍勢まで
何となく解決しちゃうじゃないかYO!トリスティンの次世代正式採用鎧
になるというエンディングでフィニッシュ?
コスモス荘ごとの召喚になりそうだな。
豆粒の人乙。カトレアさんが良いなぁ……。
>>728 小説、漫画、アニメどれも違ったエンディングなんだが……
豆粒の人乙
ウチで桃のお酒をつくってるんですがよかったらどうですハヤテさん?
豆粒の人乙
ウチで桃のお酒をつくってるんですがよかったらどうですハヤテさん?
すまん書き込みミスorz
豆粒の人乙
LoadAverage = 211.19 (16.00以上は人大杉)
人大杉
なんてばかげた数字が出て30分以上は入れませんでした。
これからゆっくり読ませてもらいます。
専ブラ入れるとすらすら読めるよ!(AA略
投下予約させてください
鯉!
支援する
空から落ちる爆音にさらされながら、コルベールも会場に残っていた。
アンリエッタ王女から避難命令は出ていたが、そこには彼の目を奪うものがあった。
それは魔法の鎖と盾を操る空から降りてきた少年の左手に光るルーン。
「あれは、確かガンダールヴのルーン?」
少し遠目だが、間違いない。
「しかし、ガンダールヴのルーンはミス・ヴァリエールの使い魔のはずでは?」
コルベールの思索は息とともに止められた。
「ぐえ」
ヒキガエルのような声を出す。
後ろ襟が誰かに引かれて、服が喉に食い込んだ。
「なにやってるんですか。危ないですよ!」
「ちょ、ちょっとまって。ぐぇええ」
どこかの女性がコルベールを引っ張っている。
誰かと思い首を回そうとしたが。
「え?」
髪を捕まれた。
「ま、ま、ま、待ちなさい。ぐえええ」
首も回せない、息が詰まる。
そのうち頭から何か引きちぎれるような音が響いてきた。
「あ……」
コルベールの中で何か大切なものがぷっつり切れた。
シエスタは男を引きずり、走っていた。
男は杖とマントのえらい貴族様だが、あんなところに立ちっぱなしにさせておくなんてことはできない。
後でどんなお叱りを受けるかと思ったが、どうやらその貴族様も納得してくれたようだ。
しばらくばたばたしていた後で、今はおとなしく引きずられるままになってくれている。
「ユーノさん。がんばってください」
会場では、まだユーノが砲弾を防ぎ続けているはず。
シエスタは祈った。
──ユーノさんが怪我をしませんように
前で鎧を着た衛士が手を振っていた。
安全な場所まであと少し。
シエスタは足を少しはやめる。
「ああああああああ」
シルフィードの背中でリリカルイズを支えるキュルケは、叫んでしまった。
後ろを見ているキュルケにはシルフィードを追う火矢がよく見えていた。
その数は1本、2本、3本……とにかくたくさん。
10や20ではない数がシルフィードを追って、距離を詰めてくる。
タバサが何度かエアハンマーでシルフィードを加速させているが、もう追いつかれそうになっている。
そのタバサが長い杖をのばしてキュルケの肩を叩いた。
「な、なに?」
「追いつかれそう。あれを少し落として」
「どうやって!」
「フレイム・ボールをたくさんとばして」
「そんなにたくさん撃てないわ。精神力が持たないわよ」
「小さいフレイム・ボールでいい。当たればおちる」
「あー、もうっ」
キュルケは杖を手に取る。
このままでは火矢がシルフィードに当たって大爆発するのは間違いない。
だったら、何か言っている場合ではない。タバサの言うとおりにしてみる。
「どうなっても知らないわよ」
キュルケはルーンを唱える。杖を振る動きにあわせ、頭上に火球がいくつも姿を現していく。
「行きなさい!フレイム・ボール」
放たれた幾多もの火球は、火矢の行く手を遮るために空中に解き放たれる。
地上から見上げる者はその炎の航跡により、シルフィードの羽が4枚になったように見えた。
意志を持たぬ火矢はその速度にものを言わせて、火球の守り突き進む。
だが火球は自らの敵をお追う力を持っている。
火球に食らいつかれた火矢は爆発の中へ消えていった。
キュルケのフレイムボールが火矢を爆発に変える。
その爆音が響いても、ルイズはとぎれることなく集中し続けた。
魔力をくみ上げ、溜めていく。
使う魔法はディバインバスター。
──だけど……
ゴーレムは以前より強くなっている。
以前と同じのディバインバスターでは通用しないかもしれない。
タバサの策が成功しても、もっと強力な魔法攻撃が必要になかもしれない。
前と同じでは
──足りない。まだ足りない。もっと、もっと。
ルイズはさらに魔力を込めていく。
限界まで。限界を超えて。
「はじめる」
タバサはキュルケの返事も、ルイズの返事も聞かずにエアハンマーを打つ。
きゅいい
どん、という音と共にシルフィードが見えない天井を蹴って突如急降下を始めた。
火矢の群れもまた急降下を始める。
地面すれすれで再びエアハンマー。
きゅきゅきゅいっ
今度は学院を囲む森の木の高さで水平に飛ぶ。
再び突然向きを変えるシルフィードの軌道変化に火矢は追いつけない。
いくつもの火矢が雨のように降り注ぎ、地面をえぐり、木を吹き飛ばす。
それでも、まだ全ての火矢が炎の中に消えたわけではない。
数え切れない火矢がシルフィードに迫る。
ルイズはシルフィードの背中から離れる。
形成されたディバインスフィアがシルフィードの背中まで焼いてしまうかもしれないからだ。
「ありがとう。キュルケ。行くわ」
まだ不安はある。ある、ここで出ないわけにはいかない。
足下に作ったフライアーフィンに魔力を乗せ、ルイズはシルフィードの背中から飛ぶ。
かなり早く飛んだつもりだったが、火矢が何本かがルイズを追ってきた。
ほとんどシルフィードを追っているが、一発でも当たればルイズはやられてしまう。
──どうしよう
避けながら魔法の集中はできない。
何か方法を考えようとしたときに、ルイズを追っていた火矢が全て爆発した。
下ではシルフィードの背中でキュルケが杖を振っている。
小さなフレイムボールが火矢を打ち落としていた。
「しっかりやりなさいよ!ルイズー」
「リリカルイズ」
「そうそう、リリカルイズ!」
二人の声を受けてルイズはさらに高度をとった。
見かけ通り鈍重なゴーレムはシルフィードが突進しても、なお動かなかった。
体中に生えた小型の大砲から火矢を撃つ気配もない。
シルフィードは速度をゆるめない。
ゴーレムにぶつからんばかりのスピードで飛ぶ。
どん
きゅうううううっ
タバサのエアハンマーで強制的に上昇させられる。
小さく悲鳴を上げたシルフィードは、ゴーレムの体を翼だけでなく爪の生えた手と足も使って駆け上る。
きゅいっきゅいっきゅいっ
小さいとはいえ、大砲の前を走っているのだ。
怖いことこの上ない。
夢中で手と足と翼を動かし、やっとゴーレムの頭の上に飛び出した。
直後、爆発が連続して聞こえる。
きゅいっ
尻尾の先がちりちり熱くなった。
後ろは怖くて振り向けない。
シルフィードは必死に翼を振って逃げた。
こっそり支援してみよう。
ゴーレムに火矢がぶつかっていく。
その間にもルイズは力ある言葉を唱えることで、魔法をより強くしようとしていた。
──まだ、まだ。もっとたくさんの精神力を。魔力を。
そんな物はもうない。
ルイズが使えるだけの精神力はすでにディバインスフィアの中で魔力となっている。
もうどこにも魔力はない。あるはずがない。
──まだ、まだ
あるはずがない。
しかし、魔力はあった。
ルイズのすぐ近くに。
それを知覚したとき、レイジングハートの中で新たなプログラムが動き出す。
今、この空域の魔力はとても濃くなっている。
ディバインバスター、ジュエルシードの力、タバサのエアハンマー、キュルケのフレイムボール。
ゴーレムが撃ち出した火矢も魔力で作られたものだ。
爆発したときには魔力をまき散らす。
それらの残滓が、空間に満ちている。
集束魔法。
それが新たなプログラムが紡ぐ魔法の名前。
「リリカル・マジカル」
周囲に残る魔力を集めることで、術者の精神力を超えた魔法を完成させる。
ルイズの呪文と共に小さな星が無数にうまれ、スフィアに吸い込まれていく。
星を吸収したスフィアは少しだけ力と大きさを増していく。
「リリカル・マジカル」
また小さな星が生まれ、吸い込まれていく。
小さな光を、魔力を大きな魔力に束ねていく。
「Master.Please name new magic」
「新しい魔法……名前?」
新しい魔法には新しい名前が必要だ。イメージを魔法と成し、確たる物にするために。
──集まる。星の光。光の力。
──そう、これなら空の星だって!
そしてルイズは叫び、唱える。
「スターライト!」
今できたばかりの、新しい魔法の名前を。
「ブレイカー……シューーーーートッ」
それはまさしく星をも砕く光の槌。
ルイズがレイジングハートを振り下ろしたスフィアから落ちる魔力光は、すでに自分の火矢で半分ほどに削れたゴーレムをさらに叩き、砕いていく。
さらに半分に削れたゴーレムを青い光が包んだ
青い光は槌を止めるがそれもわずか一瞬のこと。
スターライトブレイカーの光は何もなかったかのようにゴーレムを叩きつぶしていく。
「捕まえた!」
ルイズは確かな手応えを感じる。
ジュエルシードの手応えを。
「Sealing form, set up」
形を変えたレイジングハートにルイズは命じた。
「リリカル、マジカル。ジュエルシードシリアル5 封印!!」
青く流れるジュエルシードがレイジングハートに飛び、その中に静かに消えていく。
「あ……っ」
ルイズの視界がぼやけた。
焦点が定まらない。レイジングハートが重さなって見える。
揺れ出した意識はルイズの思うようにならない。
「Sealing.Receipt Number X」
レイジングハートの声を聞いたルイズは、渦の中に落ちていくような感覚と共に意識を途絶えさせてしまった。
今回はここまでです。
リリカル乙
GJ!!
スターライトブレイカーをここで使いますか。
しかし、自分の現在MPと敵味方が今まで使ったMPをすべて攻撃力に転化するというのは反則すぎる。
リリカル乙です
うぅ、リリカル良いよリリカル。そしてフーケ南無
しかしここでスターライトブレイカーとか容赦ねえなルイズwwww
次も楽しみにしてるよ
リリカル乙です
乙。まさかここでSLB発射とは……
>>728 ドMのピエールだけならば、結構相性良いような気がする。
変身できるし。ランダムだけど。
乙です。
ところで、流れを大きく切ってしまいそうですが、
今、ゲームのヒットマンに登場する47とのSSを考えていますが、
これはすべてが完成してから投下するのか、それとも一話毎に随時投下でも良いのでしょうか。
すみません
>>753で名前欄を消し忘れていました。名前は見なかった事にしてください……
どちらにせよ、投下自体はまだ先になりそうなのですが。
>>753 元ネタに関しては正直知らないので何ともいえませんが
召喚しただけで終わって次に投下されるのが一週間後など間があいた場合
覚えていてもらえる可能性は低いと思いますよ
区切りのいいところ、自分が見せたい場面、読み手に印象が与えられる場面
いろいろありますがそういう場面まで
書き進められてみてはいかがでしょうか?
とりあえず1巻分は用意してから投下した方がいいと聞いた。
それは毒吐きクレーマーからのイチャモンだ。
聞き流せ。
すいません
10分くらいたったら投下します
テンプレの注意事項さえ守れば特に問題はない。
話がエログロとかだったら避難所でやったほうが良いかもしれんけど。
ではいきます
ルイズが暁を召喚して数日が過ぎた。
時々寝坊はするが洗濯はキチンとやってくれる使い魔にルイズは満足していた。
あのグータラが洗濯を欠かさずやってくれるなんて
これもしつけの賜物かしら
そのため最近は食事もそれなりにまともなものを与えている。
甘いものの摂りすぎはよくないためバナナパフェは一日一杯に決めているが。
しかしただのちゃらんぽらんな男を呼び出したと思ったらヒーローだったとは。
まったく嬉しい誤算だ。
それにギーシュの決闘の後、ルイズのことを表立ってバカにするものはいなくなっていた。
あの変身を見せられれば誰だってビビるだろう。
そんなわけでここ数日のルイズはとても充実していた。
「では本日の授業はこれまで」
教師が授業の終わりを告げる。
生徒たちは自分の使い魔と共に教室を出て行く。
ルイズも暁を呼ぼうと後ろを見たのだが。
「あれ?アキラどこ行ったの」
自分の使い魔の姿が見えない。
確かに授業前には居たはずだ。
そういえば暁は最近授業後によく姿を消す。
一体どこに。
すると一人の少女も声を上げて人を探している。
「もう、ギーシュったらどこに行ったのよ」
金髪の少女、モンモランシーだった。
ルイズは彼女に近寄り声をかける。
「アンタも人探し?」
気づいたモンモランシーもそれに答える。
「ええ、ギーシュ最近よくフラっとどこかに行っちゃうのよ」
「ギーシュも?」
そういえばあの二人は決闘が終わった後何やら意気投合していたような気がする。
もしや。
「…で、モンモランシーと仲直りできたんだよ」
「そうか。よかったなー」
暁とギーシュは広場に座り込み雑談をしていた。
あの決闘の後、仲良くなった二人は授業後にダベるのが日課になっていた。
話の内容は暁が元の場所でなにをしていたのかやらお互いの女性観についてだった。
そして今日はひょんなことから暁が出会った怖い女について話し合っている。
「んでその女ってのは俺にプレゼントしたり、いつの間にか部屋に上がりこんで料理作ってたりしたわけだ」
暁の話を聞いてギーシュは首をひねる。
「でもそういう風に一途に慕われるのって嬉しいもんじゃないのかい?」
「ギーシュ、お前はまだ青い」
暁は声を落とし恐怖感を煽るようにワケを言う。
「その女は俺の行くところドコにでも付きまとい始めたんだ」
「どこまで?」
「その女から逃げるため偽装で俺の葬式を挙げてもらったんだが墓の中まで付いてきた」
その話を聞いてギーシュは少し身震いをする。
「それは怖いな」
「だろ?しかもそいつは俺と二人だけになるために、ある目的があったんだ」
続きを聞くのが怖くなってきたが怖いもの見たさというのだろうか。
「目的って?」
ギーシュは息を飲み続きを促す。
妙にもったいぶった様子を見せて暁は口を開いた。
「俺以外の人間をみんな抹殺して二人きりの世界を創ろうとしていたんだよ」
話の続きを聞いたギーシュは恐怖で暁にしがみ付いた。
「ア、アキラ。一途に思われるのは良いなんて迂闊に言ってしまってごめん」
「そうだろ。あんまり深く愛されるのも考え物でしょ」
そんなことを話していると目の前に二人の女生徒が歩いていた。
暁は立ち上がるとギーシュに声をかける。
「よし!ギーシュやるか」
「またかい?君も懲りないな」
ギーシュは呆れたような口調で暁に答えるが、あまり嫌そうではない。
むしろ嬉しそうだ。
そして暁とギーシュは女の子たちの前に立ちふさがった。
突然のことに驚いている女の子たちだが構わず声をかけた。
「ちょっと待った。そこの二人!」
「ああ、ピカピカだ。まるでホタルのように光ってるんだキミたちは」
「俺たちと一緒に四人でピカピカになろうぜ。な!」
交互に口説き文句を言う暁とギーシュ。
だが女の子たちは
「やだ、変な人たち」
「行きましょう」
くすくす笑いながら立ち去ってしまった。
女の子たちの後姿を眺めながら暁はがっくりと肩を落とす。
「ありゃ、だめかー。最近の女は見る目がないんだな」
そんな暁の肩にギーシュは手を置く。
「まあ次頑張れば良いじゃないか」
「ギーシュ、やっぱお前はいいやつだな」
励ましを受けた暁は感謝の言葉を口にする。
「でも今のところ5勝8敗だから何か別のパターンにした方が良いんじゃないかい?」
「何を言う愚か者が。俺のナンパ攻略法に間違いはない」
ギーシュの提案を暁はすぐに否定した。
「明るい笑顔と楽しいトーク、素敵なタイミングだったよね確か」
「その通り。さっきのはそのどれかが欠けていたんだ。それだけだ」
何故ここまで言い切れるのか。
その自信はドコから沸いてくるのだろうか。
別の意味で感心する。
ギーシュと暁というだけで何をやってるか判るなw
しえん
するとまた別の女生徒二人が。
それに気づいた暁はまた声をかけようとした。
「おいギーシュ、次はあのコたちだ」
「わかった。必ず成功させよう」
二人はすかさず女の子たちの前に回り込み、またしても交互に台詞を口にする。
「やあ、待ったかい」
「あれ?俺たちじゃない?まあ良いじゃないの。だまって俺たちに…」
本来はこの後「ついてこい」と続くはずだった。
しかしギーシュと暁は女の子たちの顔を見て愕然とした。
二人の女の子はルイズとモンモランシーだったのだ。
「ギーシュ!貴方こんなところで何してるのよ」
「アキラ、アンタまで何してんの?」
二人の少女に問い詰められ暁たちは動揺を隠せない。
楽しい楽しいナンパのはずがよりによってこの二人に声をかけてしまうなんて。
「や、やあモンモランシー奇遇だね。こんなところで会うなんて運命なのかな」
「ようルイズ。実はギーシュと親睦を深めててな。よかったら仲間に入る?」
何故か妙によそよそしい二人。
ルイズはその態度と先ほど声をかけられたことにピンときた。
「アンタたちまさか最近授業後に居なくなってたのは、ナンパするためじゃないでしょうね!」
「ちょっとギーシュ、どうなのよ?」
ルイズに続いてモンモランシーも追求する。
「やだなー二人とも。勘違いすんなよ」
「そ、そうだとも。そう思われるのははっきり言って心外だ」
暁とギーシュは揃って否定しているが目を合わせようとしない。
その様子を見たルイズとモンモランシーが抱いていた疑惑は確信へと変わった。
「あのとき私に、僕には君しかいないって言ってたのはウソだったのね」
「アキラ、私はモーレツに悲しいわ。ヒーローだったアンタのことを
それなりに評価していたのに、こんなに節操なしだなんて」
二人はギーシュと暁にじりじりと詰め寄ってくる。
表情は間違いなく怒っている。
恐怖を覚えたナンパ男たちは自然と足が後ろに下がる。
「アキラ」
「何だギーシュ?」
ルイズとモンモランシーに聞こえないように、何故かお互い額を合わせながら小声で話す。
「逃げるか」
「気が合うな」
すると二人は弾き飛ばされたように駆け出した。
ルイズとモンモランシーは呆気にとられていたがすぐに我に返る。
「あー!待ちなさい!」
「逃げるな二人とも!」
彼女たちも全力で追いかけた。
結局とっ捕まった暁はルイズの部屋でこんこんと説教を受けていた。
ルイズは使い魔とは何ぞやだのヒーローとはこうあるべきだの一生懸命説明している。正直長い。
床に正座をして聞かされていた暁だったが話の内容はまったく頭には入っていなかった。
今彼の頭にあるのは捕まる寸前の友の姿だった。
追跡者から逃げる二人。
だが友であるギーシュは転んで倒れてしまう。
「ギーシュ!大丈夫か」
走るのを止めギーシュのそばまで寄る暁。
「ごめんよアキラ。ドジを踏んでしまった」
ギーシュは自嘲気味にふっと笑う。
「しっかりしろ。俺につかまれ」
暁はギーシュに手を伸ばし起こそうとする。
だがギーシュはそれを拒否する。
「いや、僕のことは放っておいて早く逃げるんだ」
それを聞いた暁は耳を疑う。
「何言ってんだよ。お前を見捨てて一人で行けって言うのか!」
「その通りだよ。ここで二人共捕まれば僕たちの負けだ」
ギーシュの言っていることは確かに正しい。
しかしこの状況で彼を一人置いていくなど出来っこない。
「そんなことできる訳ないだろ。俺たちは…」
「ああ、友達だ。だから逃げてくれ。君だけでも」
彼らのすぐ後ろには桃色と金色の追っ手が迫っている。
もはや一刻の猶予もない。
そして暁は決断をした。
「あっそ。わりぃなギーシュ。じゃーね」
暁は断腸の思いでギーシュを置き去りにし、再び駆け出した。
その様子を見ながらギーシュは呟く。
「それでいいんだアキラ。君だけでも逃げ切ってくれ」
走る暁は後ろを振り返る。
ギーシュは追っ手の一人に捕まっていた。
もはやギーシュには絶望の未来しかない。
しかしその姿に悔いはない。
その身を犠牲にし、一人の友を救った誇り高い男の姿だった。
それを見た暁は感謝の言葉を呟いた。
「サンキューギーシュ。お前の決意は無駄にしないぜ」
結局無駄になってしまったのだが。
「ギーシュ…強く生きろよ」
自分よりも先に捕まった友人の姿を思い出し呟く暁だった。
よし支援しよう
「ちょっとアンタ聞いてんの!」
暁の独り言を聞き逃さなかったルイズは怒鳴りつける。
「はいはいはいのはい。ちゃんと聞いてるって」
「はいは一回でいいの!」
メンドくさそうな暁の様子にルイズのイライラは募るばかり。
「あのね。女の子がたった一人で歩いてるんじゃサマになんないでしょ。
俺みたいないい男が隣にいればそのコのためにもなるんだからいいじゃないの」
ルイズをなだめるためによくわからん言い訳をする暁。
「屁理屈こねるな!使い魔のアンタがそんなんじゃ、私まで人間性を疑われるでしょ」
「なんだよ。結局自分のためかよ」
悪態をつく自分の使い魔にルイズはさらに怒りを増幅させる。
「うるさい!とにかくナンパは金輪際禁止!」
「そんなの俺の勝手…ん?」
暁は何かを閃いたようだ。
その様子を見たルイズは不思議そうに尋ねる。
「どうしたのよ?」
すると暁は口元を緩めながら立ち上がった。
「そうか、そーいうことか。ごめんねルイズ気づかなくってすまなかった」
暁が何を言っているのかよくわからない。
ルイズは聞き返す。
「なんのこと?」
「皆まで言わせるなよ。俺けっこーシャイなんだから」
暁は一呼吸つく。
「ルイズ、ホントは俺のこと好きだったんだな」
「は?」
コイツは何を言っているんだろう。
「アンタ何を勘違いしてるか知らないけど」
「いーよテレなくっても。そりゃ好きな相手が自分以外の女の子に声かけてたら気分は良くないよね」
暁は一人で盛り上がっている。
「でもすまんルイズ。俺はどのコも平等に愛してあげたいんだ。
だからお前だけ特別扱いってワケにはいかないからこれからもナンパは続ける。許してくれ」
ああ、そうか。
コイツが何を言っているのかよーやくわかった。
私が惚れたと思ったのか、この男は。
ドコまで自信があるんだろう。
少しうらやましい部分もあるかもね。
なんにせよ彼の気持ちに答えてあげなくちゃ失礼になるわ。
ルイズはありったけの力をこめて大声をあげた。
「ホンっっっトにナマコのようにノンキなやつねアンタは!」
部屋から追い出されてしまった暁は座り込み、壁にもたれかかっていた。
この前声かけたリコちゃんの部屋にかくまってもらおうか
でも知り合ったばかりで迷惑かけるのも良くないしな
ま、今日は廊下で我慢するか
ルイズも一晩寝れば機嫌も直るでしょ
珍しく思考を働かせていた暁だった。
しかし慣れない考え事をしたせいか、はたまた昼に全力で走り回ったせいか。
いつの間にか舟を漕いでいた。
すると誰かにシャツの袖を引っ張られた。
暁は眠たいので無視を続けていたが、だんだん引っ張る力が強くなってくる。
もしかしてルイズか?
そう考えた暁は目を開けた。
「きゅる」
そこにはどでかいトカゲがおり、暁の袖を引っ張っていたのだった。
「きょ――――――――――っ!」
このトカゲ、サラマンダーのフレイムは暁自身何度も見たことがある。
しかし寝起きのところ目の前にこんなやつがいるとは想像もしていなかった。
驚きのあまり妙な叫び声をあげた暁は立ち上がろうとしたが足を滑らせバランスを崩してしまう。
その拍子に壁に頭をぶつけ、倒れて気絶してしまった。
バカなやつ
フレイムがそう考えたかどうかはわからないがそのまま暁をくわえて引きずっていった。
「んー、よく寝たな」
目を覚ました暁は辺りを見回すが真っ暗で何も見えない。
「あら、お目覚めね」
ドコからか女性の声が聞こえてきた。
その声に暁は聞き覚えがある。
「その声キュルケちゃんでしょ」
暁はうれしそうに言い当てる。
「あら、あたしのこと覚えててくれたのね。うれしいわ」
「キュルケちゃんみたいな美人のこと忘れるわけないでしょ」
そう言ってキュルケの元に行こうとするが暗くてロクに歩けない。
「ねーキュルケちゃん。この部屋の明かりつけてよ」
「わかったわ。待ってて」
せがむ暁に答えてキュルケは部屋の蝋燭に明かりを灯す。
部屋が明るくなり暁の視線はキュルケの方に集中する。
そこにはベビードール姿のキュルケがベッドの上にいた。
「お久しぶり。やっぱりいい男ね」
暁に悩ましい視線を送り色っぽい声で話しかける。
彼女の姿を見ればどんな男だろうとイチコロだろう。
当然暁も例外ではない。
「いい男ならもっと近くで見たいんじゃない?」
そう言ってキュルケのベッドに歩み寄っていく。
明らかに嬉しそうだ。
というか近くで見たいのはお前じゃないのか。
支援は続くさ
自分の隣に腰を掛けた暁にしな垂れて、耳元に声をかける。
「あたしのこと、はしたない女だと思う?」
キュルケは尋ねた後にすぐさま暁の顔を覗き込む。
その仕草の効果は絶大のようだ。
「そんなことないよ。時には大胆な手を使わなくっちゃ」
暁はにやけた顔でキュルケを見つめている。
その暁の様子を見てキュルケは気づかれないようにほくそえんだ。
ふふ、やっぱりね
暁がギーシュに勝った日からフレイムに尾行をさせ、彼が女性には目がないことは調査済みだ。
この方法なら彼は簡単に自分に落ちる。
キュルケが暁に興味を持ったのは無論顔がいいこともある。
しかしそれだけではない。
杖もなく変身し、不可思議な力で活躍したことが一番の理由だった。
他の生徒からは高位のメイジやら先住魔法を使うエルフやら鬼の姿をした天使やら色々噂がある。
そんな男を自分の元につけるのである。
これ以上のステータスがあるだろうか。いや、ない。
「あなたがギーシュをやっつけた姿、とってもステキだったわ。まるで伝説に出てくる英雄みたい」
「当然でしょ。俺はヒーローだからね」
「ヒーロー?それほんとなの?」
口説き文句を言っている途中だったが予想外の暁の答えにキュルケは思わず聞き返す。
「ほんとだよ。言っとくけど魔法とかじゃないから」
間違いなく聞かれるであろうことを先に断り、自分のことを話し出した。
「すごいわ!おとぎ話だけだと思ってたヒーローが本当にいたなんて」
キュルケは目を輝かせて暁の胸に飛び込んだ。
「そう?にゃはは、ええおなごじゃ」
キュルケに抱きつかれた暁はちゃっかり彼女の背に手を回している。お前何やってんだよ。
「やっぱりあなたはあたしが思った通りの最高のひとだわ」
畳み掛けるためキュルケは暁を褒めちぎる。
ここは一気呵成に攻め立てるときだ。
しかし暁はふと別のことが頭によぎる。
「でもさ、キュルケちゃんほどの美人ならカレシとかいるんじゃないの?
俺そいつに逆恨みされて闇討ちなんかゴメンだよ」
「そんなのいないわ。あたしはこう見えても一途なのよ」
キュルケの部屋の窓の下では邪魔ということで焦げて気絶したボーイフレンドたちが横たわっていた。
「そうか。それなら気兼ねする必要もないね」
「そうよ。だから夜を楽しみましょう」
キュルケの言葉を聞いた暁は納得して向き直る。
そして口付けをしようとしたそのときだった。
「アンタ何やってんの!」
ドアが開くのと同時にルイズの怒声が響き渡った。
部屋の前からいなくなった暁を心配して探してみればキュルケとイチャついていたのだ。そりゃ怒る。
しかしそんなルイズとは対照的に暁とキュルケは冷めた目でルイズを見る。
「ちょっとルイズ、いいところなんだから邪魔しないでくれる?」
「今は男と女の時間よ。お子ちゃまは引っ込んでなさい」
相変わらずこいつらはマイペースだ。
なんだか前にもこんなことがあったようだが深く思い出すような余裕は今のルイズにはない。
「あれだけ言ったのにまだ女の子と遊んでんの!?いい加減にしなさいよ!」
「せっかく女の子が誘ってくれてるんだよ。それを断って恥をかかせるなんて俺にはできないね」
まくしたてるルイズだが暁は全く気にしていない。
「やっぱりいい男は心がけも違うわね」
「あはは、ありがと」
すかさず褒めるキュルケに、これまたすかさず返事をする暁。
その二人を見ていたルイズは完全にキレた。
「もう怒った」
そう呟いたルイズは懐から杖を取り出した。
「ちょ、ちょっとルイズそんなに怒ることないじゃない」
それを見たキュルケは顔を青ざめてなだめようとする。
「お、おいルイズ。俺は何だかモーレツに嫌な予感がする」
暁も同様に怯えている。
そんな二人の言葉など全くルイズの耳には入っていない。
「ファイヤーボール!」
もちろん炎など出るわけはない。
しかし二人をお仕置きするのには十分過ぎるほどの爆発が起こった。
ボロボロになった暁の足を掴み、部屋から出て行くルイズは誰に言うでもなく一人呟く。
「これは一から教育し直す必要があるわね」
ルイズは暁を引きずり自分の部屋に戻っていった。
一人残されたキュルケは決意を新たにする。
「やってくれたわねルイズ。でもあたしは絶対諦めないから。
キュルケ死すともツェルプストーは死せず…ガクッ」
キュルケはそのまま気絶した。
静寂の戻った部屋には避難していたフレイムが帰ってきた。
そして部屋の真ん中で寝息を立て始めたのだった。
以上シャンゼリオン召喚話の続きでした
支援していただいた方
読んでいただいた方
ありがとうございました
実に暁らしかったwGJ!
GJ!ナンパと言えばプリンちゃ〜んだなw
>>753 47キター!コッパゲ先生とのバーコードコラボレーション!
シャンゼリオン乙
フレイム…w
>>753 とか、同じような質問してる人
他の作者の投稿ペースを見たら、どの程度で投下すればいいか
すぐ分かると思うのに、なんで、いちいち判断を仰ぐのかな?
そんな他人任せの感覚だと、自分で考えたプロットも、すぐ人の意見で
左右されて、継続するのがつらくなるだけだよ?