あの作品のキャラがルイズに召喚されました part82

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part81
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194662118/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
    l lf小从} l /   ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
             ・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!


    _
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ     本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l      ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
              ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。


   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
    { {_jイ」/j」j〉      これ以上だと投下できないそうです。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
   ⊂j{不}lつ     ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   く7 {_}ハ>     ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
    ‘ーrtァー’      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 18:39:36 ID:q47RmTRD
>>1
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:08:41 ID:KlqxpYhu
>>1
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:16:07 ID:N9cb+2cV
>>1乙パイ
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:22:10 ID:GgB+JJmS
ご、ご、五時から男のグロンサ…何でもないとです
>>1乙カレー
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:37:20 ID:kxkJ4unC
>>1
乙です
7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:16:02 ID:h3CSImtr
>>1
乙か霊夢
8名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:18:07 ID:nl20jg4S
>>1
乙!

981 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/11/12(月) 20:14:12 ID:8+tDLqQx
500kbならジェイムズ・ボンド召喚

前スレに続いて困難なものがwww
9名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:19:19 ID:jq9nv8Ny
コルベールにQのかわりが勤まるかな?w
10名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:19:34 ID:Qj+V2yc4
>>1乙なんだぜ

どうやってジェイムズをw
11名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:32:27 ID:wFTn5x/f
>>1
乙!

で、ボンドガールは誰?
12名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:34:18 ID:5l/mZgqF
ルイズではルパンガールなら勤まってもボンドガールは無理だな
13名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:34:29 ID:F+m6SfHc
ボンドは子供に興味ないだろうから…フーケだな!
14名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:36:55 ID:qmJ+DlWx
>>前スレ981
ボンドガールを誰にするかが問題だw
アンアンは女王様役だし、おマチさんは最初に親しくなっといて実は敵でした、な役どころだからなぁ。
後はボン、キュッ、ボーンの女性ってーと、順当に行けばシエスタかテファなんだろうけどあえてアニエスを推してみる。
仲間なんだけど最初はあんまり友好的じゃなくて共に戦ったり悩みを解決してもらったりでデレるってのが私の中の
ボンドガールのイメージなんで。




ルイズ?あの胸では問題外だw
15名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:39:26 ID:amE/aPv9
いやいや、キュルケがいるぜ!
16名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:44:07 ID:jq9nv8Ny
>>14
>おマチさんは最初に親しくなっといて実は敵でした、な役どころ
つ ロシアより愛をこめて
まああれとは状況もちょっと違うけど
17名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:45:42 ID:uN1C0QC+
キュルケはなぜか一同のおっかさん的イメージが……
18名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:46:54 ID:8+tDLqQx
読み手を思いっきり限定するのを覚悟で「定吉七番」召喚
チクトンネ商工会議所の丁稚にして、殺人許可証を持つ使い魔
19名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:47:40 ID:j6ZrqHDd
コネリー版ボンド?
20名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:48:22 ID:N9cb+2cV
おっぱいもミステリアスも戦闘技術も、どれも無いからな〜ルイズは
21名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:49:50 ID:F+m6SfHc
>>19
住人の年齢によって想像してるのが違いそうだなwww
俺はブロスナンなんだけどなあ
あとギーシュはボンドにいらんこと吹き込まれそうだ
22名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:54:09 ID:9IM6HqZz
HJ文庫版クィーンズ・ブレイドからフィオ&ソード・オブ・ユニコーン召喚。
サイト以下の身体能力のフィオと女性にしか使えない聖剣…そうとう筆力高くないと無理だなこりゃw。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:57:25 ID:husDCyCD
ジェームズ・ボンドをちょっと調べたらかなりお洒落な人と判ったよ。

…作者さんガンガレよ!

>>19
納豆スプレーを思い出した。
最後は潜水艦を包丁で止めるような気がしたが…はて?
24名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:03:53 ID:husDCyCD
アンカミス。・゚・(ノД`)・゚・。
>>19×
>>18
間違わないように、間違わないようにって念を押してやっちまった。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:06:35 ID:9fU6LpV1
コルベールはQ、オスマンはМか。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:07:04 ID:715G01+k
ジェームズボンドと聞いて、

ボンドシリーズを(特にジャーナリストでもあった作者の視点で)散々けなしてたシリーズがあったな。
ボンドがM16で、チャーリー・マフィンが・・・M15だったか?
M16がFBIに似た役割で、M15がCIAみたいな役割と聞いたんだが。

基本戦闘時役に立たない(銃撃ったときに目をつぶって撃つ的の後ろに当ててしまうような下手さで)
キャラがガンダールブ持っても戦闘能力がどうしようも上がらないケースってあるのだろうか?
27名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:15:55 ID:jq9nv8Ny
>>26
ヤン・ウェンリー
28名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:16:26 ID:q47RmTRD
>>26
滅茶苦茶虚弱とか、不運とか。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:20:21 ID:9IM6HqZz
>>26
ちなみにM16じゃなくてMI6な。1とIって似てるけど。
バンコラン少佐もMI6だ。

エクセル・サーガのハイアットもどうしようもないだろうなぁ。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:21:56 ID:O3BxC12h
>>26
スペランカー。
ルーンのパワーアップに身体がついていかない。
31名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:24:05 ID:qUH197/x
>>30
スペランカーじゃしょうがない
32名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:25:41 ID:F+m6SfHc
おっと多村の悪口はここまでだ
33名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:27:01 ID:yd0d6F3W
ゴールデンアイ?
34名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:28:15 ID:nBz5NsXf
>>26
リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵(ドリュー・ハイダル)・ジント
35名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:29:55 ID:pG0rKm2F
まあ……宇宙戦艦が武器じゃしょうがないですね
36名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:30:07 ID:kidqGVuJ
流星のロックマンのスバルとウォーロックとか
考える自分はやっぱり厨二病入ってるんだろうな。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:34:12 ID:OsINzK7E
>>32
直りは早いな
38名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:38:05 ID:OFVM7/Ka
仮面ライダーRXとか物理攻撃無効・太陽の光を浴びただけで体力全快なんて反則的な能力を持った奴
が召喚されたらルイズたちは空気になるな
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:39:04 ID:8+tDLqQx
>>26
刑事コロンボとか
シヤーロック・ホームズも拳銃の腕は「すこぶる付きの」劣等、柔道の達人だけど
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:40:02 ID:2HqPvN/k
>>27
 提督は違うぞ
 あれは、ガンダールヴ不要というレベルの頭脳派だ
 ついでに性格的に、前線で近接戦闘なんてありえないだけだ

 決して、ヤンじゃぁ無理だ、ちうわけじゃない
 そう信じたい


 でもやっぱ無理だろうw
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:40:10 ID:fwzRVngN
そもそもてつをは自力で帰れると何度いったら…
シャドームーンだと月2つだし、巨大化できるし、洗脳できるしとんでもないことになるが
42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:43:27 ID:C5eDH1se
ライダー全般ってカタログスペックだけならとんでもないんだよなぁ。一跳び何十メートルとかパンチ力○トンとか。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:43:40 ID:6uVrmwIq
>>28
滅茶苦茶虚弱と聞いて真っ先にスペランカーとエッグマンが思い浮かんだぜ
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:45:46 ID:KSuay4ts
>>43
エッグマンは虚弱じゃないだろ
天才だし何べんソニックにぶっ飛ばされても生還してる
その場にある材料でロケットこさえそうな辺りが怖い
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:47:52 ID:jq9nv8Ny
>>38
そりゃ10人ライダーまで空気にするナチュラル出番イーターだからな
>>40
「わたしが銃を持って役に立つと思うかい?」「思いません」とか
「あなたが持ってても意味がないでしょうが銃を持っててください」とか
散々なこと言われてる人だし
>>41
つまりシャドームーンRXと(ry
46名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:49:23 ID:xlbm0ZSH
>>44
虚弱なエッグマンって言ったらそっちじゃなくて半熟英雄の方だろ!
47名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:51:31 ID:KSuay4ts
>>46
なんだってーッ
なんという失念
すまん
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:51:40 ID:UT4OAYbQ
>>40
まあ提督はさ、首から下は無用の長物な人だし
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:52:47 ID:q47RmTRD
>>34
多分サイトと同レベルか上だろ、スポーツやってたし。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:55:25 ID:iADBCt00
ヤン提督なら武器の使い手ではなく知識の方になって欲しいかと・・・
51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:58:27 ID:Mf8TukEK
>>50
ガンダが不要なのとは逆の理由でミュズは要らんと思う。
自前の頭脳だけで十分。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:00:30 ID:q47RmTRD
>>51
や、どうしてもマジックアイテムの知識が必要になる場合もあるんじゃね?
53名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:00:44 ID:QvsaOMNX
つまりヴィンダーか。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:03:05 ID:D0aW1bjM
マジックアイテムがあれば戦術の幅は広がりそうではあるけどね

おそらく本編ラスボスだろう法王やジョゼフが主人公のクロスはあったっけ?
ダライアスのだけしか思い浮かばないんだが
55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:05:03 ID:vIVHos6O
戦は機動力だよ、兄貴
56名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:09:48 ID:Mf8TukEK
ヤンなら知略だけでアルビオン艦隊を撃退しそうで困る。

ルイズ出番無しw
こんばんわ
3話、行けますがよろしいでしょうか
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:11:53 ID:OFVM7/Ka
行っちゃってください
59名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:13:33 ID:KkIjpLma
>ルイズ?あの胸では問題外だw

胸と言ったらいっそおっぱいリロード(みなまで言うな
60名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:13:34 ID:AAAH4Ufr
>>54
ほぼないだろう
どう話を転がせばいいのか困るからだと思うけど
61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:14:04 ID:9fMdWlh+
>虚弱
メルニボネの白子皇子と申したか。

ストームブリンガーか、麻薬じみた強い薬がないと半日もあれば死亡。
SBを失った状態で召喚すればあら不思議、四六時中抜き身の剣をぶら下げる危険人物の出来上がり。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:14:38 ID:LCiAuLfq
ヤンはマジックアイテムの使い方を知る必要はないぞ。
あいつが学ぶべきはマジックアイテムの効果だけだ。
使うのは周りのやつらにさせれば良い。

順当にいってヴィンダールヴだろう。
無敵の動物王国ここに誕生。

というか動物を操るというのは、十分な知識があれば一番恐ろしい気がするんだ。
一番簡単なのは病気をはやらせることか?
いち早く仕掛けたウルカヌスは、ボルカノハンマーの直接殴打を狙ってきた。上段の一撃をオニクスは下がってかわし、更なる払いを、彼は飛んでかわした。
そして前に飛びウルカヌスの頭上を取ると、一気に蛇槌の量子ビームを撃ち込んだ。そして華麗に一回転してウルカヌスの背後に着地するオニクス。
ウルカヌスはダメージをものともせずに振り向くと、ボルカノハンマーを一気に放った。
それを冷静に亀甲盾でオニクスは防御すると、さらに量子ビームを放ったが、それをウルカヌスは左右にステップを踏むように、ブーストで動きを制御してかわした。
ウルカヌスは距離を取りつつさらにボルカノハンマーを放つが、その弾丸も、亀甲盾によりかき消される。
上空に上がったウルカヌスに対し、オニクスはBPWの光弾で追撃するが、華麗なダンサーのようなウルカヌスの機動に、BPWは命中しない。
その間を縫って繰り出されるボルカノハンマーをかわしつつ、オニクスもまた空中へと上がり、土俵は空中に変わった。
「ケッ、空中に出たな、馬鹿」
ウルカヌスはさらに高く飛び、太陽を背にしてボルカノハンマーを放った。容赦ない太陽の光に、オニクスは一瞬眼を覆ってしまう。だがその瞬間に弾丸が飛来、オニクスを叩き落とした。
地面に叩き付けられるオニクスの頭上にウルカヌスはいち早く移動し、ボルカノハンマーを振り上げる。防御しようと亀甲盾を繰り出したオニクスだったが、エフェクトの展開よりも先に、振り上げたハンマーが盾を叩き落とした。
「厄介な小細工はこれで出来ないなぁ!?」
「まだっ!」
悪あがきとばかりに思い切りウルカヌスの腹を蹴飛ばすオニクス。ウルカヌスは空中で姿勢を制御し、追撃に飛来した量子レーザーを回避する。
代わりにウルカヌスはフライトユニットからレーザーを放ち、亀甲盾を失い、姿勢も制御出来ていないオニクスを攻撃した。鉄の焼けるにおいがする。
「おおおおっ!!」
オニクスは地を転がりレーザーをかわす。二射目は外れ、ようやく体制を立て直したオニクスは蛇槌を構え直し、逆の先端をウルカヌスに向けた。
瞬間に蛇槌の先端は変形し、鞭となってウルカヌスを捕らえる。そして鞭を伝って強烈な電流が、ウルカヌスに流れた。悶えるウルカヌス。
「っああああああっ!!そんな攻撃でっ…俺がああっ!!」
「これからだ」
オニクスが蛇槌を引っ張ると、それに釣られてウルカヌスが引き寄せられる。
ウルカヌスは自らの意思でそれに抗おうとしたが、時は既に遅く、細い躯体は蛇槌に引き寄せられ、オニクスの眼前まで迫っていた。
オニクスは開いた腕を開き、そこに黒いオーラが集中する。そして至近距離まで引き寄せられたウルカヌスの頭を掴み、一撃を加える。
再びウルカヌスが悶え苦しんだ。
「その脳味噌を使い物にならなくしてやろう!」
「テメエ…『アプロディテ』のEMシェイカーかあッ!!」
「せめてこの一撃で楽にしてやる」
「ふざっけるな!!」
ウルカヌスは持っていたハンマーの銃口を、オニクスの腹に突きつけた。オニクスは自らの誤算に気付いたが、その時は既に遅かった。
放たれた弾丸はケーシングに誘爆し、オニクスは壁まで吹き飛ばされ、壁に半ば埋まる形となる。
「ぬぉおおおおっ」
「けっ、偽物はどこまで言っても偽物、おとなしく消えろよっ!!」
さらに撃ち込まれるボルカノハンマー。弾丸はオニクスの召還した全ての武器を射落とし、結果的にオニクスは丸腰になった。
それでもウルカヌスがボルカノハンマーの乱射をやめることはなかった。弾丸がオニクスの装甲を見る間に削っていく。
「あああああああっ!!」
「消えろ、消えろ、消えろぉおおおっ!!」
狂乱のウルカヌス。今彼の目に映っているのは、きっとオニクスだけだ。怒りが力を増大させ、無尽蔵の神の力により弾丸は生成をくり返し射出を続ける。
ウルカヌスはオニクスが機能を停止するまで、その連射を止めることはないだろう。
邪魔さえなければ。

オニクスは防御すら許されることはなかった。絶え間なく着弾するミサイルが、彼の体を灼く。視界に捉える赤い躯体は、怒りに満ちその攻撃を止めることはない。
(ここまでなのか)
爆炎の中、思考は正常に働いていた。元とは言えば、死にたがっていた身だ。こうやって死ぬのも悪くはないと少し思ったが、すぐに訂正する。
このような無様な死に様をさらす気は、毛頭ない。死を願うものにも、望む死に様があるというものだ。
だが、反撃は望めそうもない。召還は不可能。動きは城壁に封じられて動くことはかなわない。
(また俺は…しぬのか)
わずかな思考。視界には徐々にノイズがかかり、センサー系も死んでいく。あの時と同じ、死へと近づく感覚。
そのとき、死にかけたセンサー系が、ウルカヌス以外の動体を補足した。ウルカヌスの背後に立つその少女は、俺を呼び、俺をののしり、そして俺が最も今嫌っていた-------

「いけえええっ!!」
ルイズは杖をウルカヌスの背中に向け、短く詠唱。瞬間にウルカヌスの背中で爆発が巻き起こり、ウルカヌスは前に吹き飛んだ。
攻撃は中断され、オニクスは壁から外れて地に倒れ伏した。ウルカヌスはすぐにルイズの方を振り向く。
いままでで、一番ゴーカイな失敗魔法。
でも、それで良かった。
「ガキのくせに…まだ俺の邪魔をするのかよっ!!」
激高するウルカヌスに動じないルイズ。
「それはアタシの使い魔なんだから、あんたに殺されちゃたまったもんじゃないわよっ!」
「そんなことでっ…お前は…お前はッ!!」
ウルカヌスが再度ボルカノハンマーを振り上げ、ルイズに突きつける。

少女のその姿にオニクスは幻影を見た。
重なる姿。
記憶。

「神代 カナ」。

かつて自分が好きだと思いながらも、道具にしてしまった少女。
けなげで、真っ直ぐな瞳で前を見据えていた少女。
それが、今、目の前で、ウルカヌスに、殺されそうに、なっている

「ぃやめろぉおおおおおっ!!」

右手を突き出した。倒れたままの姿勢から、さながら狙撃手のように。
右手の甲から放たれた「剣先だけの剣」は、ウルカヌスの右フライトユニットを直撃する。バランスを失ったウルカヌスは地に倒れた。
オニクスは膝をついて立ち上がり、重い体を引きずって前方へと走る。左腕から柄だけの剣を抜き、右手に携えて。そして距離がつまる。
「切っ先だけの剣」と「それから下しかない剣」は合体し、一本の輝く剣となった。刺さった切っ先を勢いよく引き抜く。
ウルカヌスは残りのユニットでこちらを振り向き、ボルカノハンマーで剣を防御しようとする。
だがオニクスの振り下ろした剣は、あっけなくボルカノハンマーの柄を破断させ、逸れた切っ先は残ったフライトユニットを裂いた。
完全に地に着くウルカヌス。だが、彼が立ち上がることはかなわない。
なぜなら彼の足は曲がっていたのだから。
産み落とされたその時から、彼の足はいびつに曲がっていたのだから。

「殺してやるよ」

そしてオニクスは容赦なく、逆手に構えた剣を、ウルカヌスの胸に突き立てた。

飛び散る火花。上がる悲鳴。そして剣の傷から漏れる光は、頭像の最後の輝き。
「…」
オニクスは無言で剣をさらに深くへと押し込んだ。漏れる光は強くなり、ウルカヌスの悲鳴も、またそれに比例して大きく、激しくなり---------
そして、剣がひときわ深くに刺さったその時、光は奔流となり、うずたかく舞い上がった。
光が止み、オニクスは剣から手を離す。わずかに灯る命の輝きがそうさせるのか、ウルカヌスは顔をオニクスに向けた。
「へっ……やりやがったな…」
「カナは…殺させない」
「お前が見ているのは所詮幻想だぞ」
「それでもいい、俺は決めた、前世で果たせなかった誓いを、今こそ果たそう」
「勝手にしやがれ…それより…俺をけしかけた正体…知りたくはないか?」
「それは知りたい所だ」
「へっ、ヒントだけくれてやるよ」
「…」
「『俺達と同じ』さ、贋作野郎」
「!? 今何と言った!」
だが、そこでウルカヌスは完全に息を引き取った。
オニクスはしばらく、そこで呆然としていた。
彼の言葉の意味を、理解したからだ。

立ち尽くすオニクスに、ルイズは声をかけた。
「ね、ねぇ…」
「…契約に応じる気になった」
「え!?」
「もしも俺達の上にさらに神がいるのなら、それがきっとチャンスをくれたんだ。果たせなかった義務を果たすための切符を」
「よくわかんないけど、じゃぁ、契約さっさと済ませましょ」
と、ルイズが言ったその時だった。オニクスの目に灯っていた、明かりが突如消えた。だがルイズは気がつくことなく、オニクスに話しかけることを続ける。
「ねぇ、ねぇってば。さっさと動きなさいよ」
「…」
オニクスの機能は一時停止していた。覚醒してすぐの機能の酷使で、彼の体はボロボロになっていたのだった。満身創痍の体をようやく動かしてウルカヌスを葬った後だ、力が抜けてしまったのだろう。
彼は機能を止め、自己修復モードに入ったようだ。だがやはりルイズは気付かず、届かない手で彼の胸板を叩いていた。
「ちょっといきなり黙りこくってどーしたのよっ!ねぇっ!!」

がしゃん。

鈍い音を立てて彼は倒れた。全身の制御を切ったのだから、当然の結果だ。ルイズもまたそれを見て、何か納得したようだ。
「疲れたなら疲れたっていいなさいよ…馬鹿ね」
そして彼女は、人生最初のキスを、神の化身に捧げた。

Completion of the contract.
Onixs became use of Rouis.

Rouis was master of the skill.
"Blacksmith".
次 回 予 告

契約は終わった。
契約は結ばれた。
しかし、彼に申し付けられるのは
剣となることばかりではない。

次回「日常」 機械を纏った神の雑用が、始まる。
終了です。

Wiki編集してくれた人、サンクスです。
とりあえず一日目終了。どうなることやら。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:31:09 ID:KSuay4ts
乙です
雑用がんばれっ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:42:52 ID:gankqnMf
まずは城壁の修理だな<雑用
71名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:43:31 ID:9IM6HqZz
乙ですー。
かなりのでかぶつ相手になにやらせるのやら。
ああ、荒れた地面をならしたり外壁の補修とかかな?
72名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:58:09 ID:A3CB1QTz
ギガンテックに便乗して自分も巨大な使い魔。
小ネタだけども投下して良いですか?
73名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:58:47 ID:KSuay4ts
何をためらう必要がある
74トリステインの踏鞴法師:2007/11/12(月) 22:59:17 ID:A3CB1QTz
むかしむかしのお話です。
日本には「だいだらぼっち」という大きな大きな男が住んでいました。
甲州の土を集めて山を作ったのが富士山で、そのため甲州は盆地になったとか、
ある時びっくりして涙を流したら浜名湖になったとか、
羽黒山に腰掛けて、鬼怒川で足を洗ったなど、とにかく大きな巨人であったようなのです。
その上巨大なだけではなく、鉄を扱う方法を人々に教えてあげたり、
日本という国の形を今のようにしたりと、とても賢くて強かったと言います。
なにより、だいだらぼっちは子供達と仲の良い、優しくて気のいい男なのでした。
けれど、いつの頃からかだいだらぼっちの姿はこの国から消えてしまいました。
いったい、何処に行ってしまったんでしょうね?

<トリステインの踏鞴法師>

ルイズが呼び出した使い魔は、とにかく大きな使い魔でした。
それは「天を突くほど」というのが比喩では無い程の巨大な黒い男。
右手を伸ばせばゲルマニア領まで届き、一歩二歩と踏み出せば火竜山脈に到着する。
契約するためにタバサの竜に乗せてもらって、半日飛び続けてやっと頭までたどり着く。
立っているだけで日が翳り、脚にぶつかった雲が雨を降らせるので、時々移動しないと農作物に被害が出てしまってルイズも困る。
そんな、大山脈も膝丈までしか届かないような巨人だったのです。

けれどその大男は、見た目に反して賢くて優しい巨人でした。
巨人は目の前に飛んでいたちいさな竜と二人の女の子に向かって、自分の事を「だいだらぼっち」だとそっと名乗ります。
名乗った時に口から飛び出た突風に飛ばされたルイズ達を慌てて手の平でそっと掴んで、
おそるおそる地面に降ろす姿など、こっけいにすら見えたと言います。
その時女の子達が無事で良かったとおんおん泣いたせいで、トリステイン魔法学院の隣には大きな湖が出来たのでした。

だいだらぼっちは人の世界の仕組みもよく理解していて、
海でクジラをひょういと捕まえてメザシのようにバリバリ食べたり、火竜山脈の火竜をペロリとたいらげてしまう事はあっても、
人が飼っている牛や馬、騎士の竜やメイジの使い魔に手を出すような事は決してしなかったと言います。
そんなこんなで、だいだらぼっちと魔法学院の人々は仲良く暮らす事ができていたのでした。

そんなある日、幼馴染がすごく大きな使い魔を召喚したと聞いて、トリステインの王女さまが学校へやってきました。
アルビオン浮遊大陸にある、昔好きだった人に渡した恋文を貰ってきて欲しいと言うのです。
それを聞いていただいだらぼっちは、ひょういと平地を一跨ぎして、アルビオンを掴み取りました。
そのままぐいっと引っ張って、アルビオンを王女さまの所に持ってきます。
王女さまは突然現われた王子さまと再会を喜びわんわん泣きましたが、また別れないといけないと言います。
なんでもアルビオンにはレコンキスタという人達がいて、アルビオンを自分の物にするために王子さまを殺そうとしていると言うのです。
そこでだいだらぼっちはアルビオンの端と端を持って、ペキリと二つに折ってしまいました。
その片方を王子さま達が、もう片方をレコンキスタ達が取って、半分ずつにすれば良いと言うのです。
王子さま達はすっかり感心してしまいましたが、納まらないのはレコンキスタです。
アルビオンの半分どころか、世界の全部を欲しがっていたレコンキスタは、船団を組んでもう半分のアルビオンに攻めてきます。
大きな船が100隻、ちいさな船まで数えれば500隻という大軍です。
その着になればトリステインの端から端までをひと月で燃やしてしまえる大艦隊です。
しかし、だいだらぼっちは慌てず大きく息を吸い込み唇をすぼめて、ひゅうい!と思い切り息を吹きかけます。
途端にどんな台風よりも強くて恐ろしい風がまきおこり、大艦隊をそらの彼方に飛ばしてしまいました。
75トリステインの踏鞴法師:2007/11/12(月) 23:01:12 ID:A3CB1QTz

レコンキスタが居なくなったので平和になったアルビオンの人達は、だいだらぼっちにお礼をしたいと言いました。
そこで、だいだらぼっちは国中のお米を貰う事にします。
あつめたお米を、ラグドリアン湖から掬った水と一緒に火竜山脈の火山に入れて、だいだらぼっちはお米を炊きました。
炊き上がったご飯を丁寧に潰して、とてもたくさんの「のり」を造って、それを使って二つに割ったアルビオンをくっつけたのです。
アルビオンの人達はとても喜び、王子さまとトリステインの王女さまは、それを記念して結婚したそうです。

それからしばらく平和に暮らしていただいだらぼっちとルイズでしたが、ガリアという隣の国の王様がルイズを攫おうとしました。
しかもなんと、お母さんに酷い事をするぞとタバサを脅して、誘拐させようとしたのです。
子供が大好きなだいだらぼっちは、これには怒りました。
だいだらぼっちはひょういと一跨ぎでガリアの首都リュティスまで行くと、街を跨いで踏ん張ります。
そうして、大きな身体に見合った、大きな大きなウ○コをお城の上から落としたのです。
悪い王様は困ってしまって、やがてゴメンなさいもうしませんと泣き出しました。
おかげでタバサのお母さんは助けられたので、だいだらぼっちはウ○コを海に流したそうです。

そんなだいだらぼっちの活躍で、やっと平和がきたと思ったのですが、またまた問題が起こってしまいます。
サハラの砂漠に住むエルフという人達が、だいだらぼっちを攻撃しに来たのです。
でもだいだらぼっちは大きいし、なにより大地の化身であったので、エルフの魔法はちっとも効きませんでした。
それでも彼等はだいだらぼっちを虚無の使い魔と呼び、悪魔である虚無の担い手と使い魔をやっつけると息巻いています。
よくよく聞けば、サハラには悪魔の門というものがあって、そこから何か困った物が出てくると言っていました。
しかもその門は、だいだらぼっちやルイズが居ると開いてしまうかもしれないのでした。
そこでだいだらぼっちは、またもサハラをひょういと一跨ぎ。
シャイターンの門を引っこ抜いて、手の平でコネて潰してしまうと、ウ○コと同じように海へポイっと捨ててしまいました。

こうして今度こそ平和になったハルケギニアで、だいだらぼっちはずっと皆と仲良く暮らしたそうです。
ゼロのルイズと呼ばれていた女の子も、おおきな使い魔を召喚したちいさな魔法使いとして、
「ちびのルイズ」と呼ばれながら、だいだらぼっちと共に皆と仲良く暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:02:36 ID:A3CB1QTz
短いですが投下終了ー。
現時点で最大最古の使い魔を目指しましたw
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:06:19 ID:vIVHos6O
でっかい乙
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:06:24 ID:Qj+V2yc4
なんというほのぼのバランスブレイカーw
GJ!
79名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:07:00 ID:+N6kgsfx
これは良いほのぼのwwwGJ!
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:07:48 ID:ecuIz8OB
まさに日本昔話
GJです
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:09:10 ID:husDCyCD
地元の白い巨像を思い出してホッとした気持ちにさせられたぜ!

ダイダラの作者GJ!
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:10:24 ID:QnU3ptgz
GJ
ダイダラボッチってメガテン風に言うと種族:地霊だけど
レベルが三桁行ってそうな代物だからな
もしくは地祇神か?
どっちにしろバランスブレイカーだからな
83名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:10:50 ID:oc3lYIgY
最強すぎだろwww
GJ!
84名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:10:59 ID:LKFcvrjq
めでたしめでたしGJ!
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:12:09 ID:lG4888a/
腹痛スwwwwwww
神話レベルの話されたら流石にルイズ達出番ねえわなwwwwwwwwwww
86名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:15:41 ID:bBStfMw1
アルビオンの端と端を持ってペキリとか、次元が違いすぎるw
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:16:07 ID:kidqGVuJ
だいだらぼっち乙!
ゼロ魔の世界が凝縮されたお話だw

メガテン的には地母神とかそのレベルだな。
そういえばマニアクスでは255までレベル上がるんだよなw
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:16:34 ID:OFVM7/Ka
神とか悪魔とかああいうレベルの存在が召喚されたら人間の出番はないわなw
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:16:49 ID:ui2Z8HVv
つーか機神の作者さんに質問
姿形は原作どおりだとして、大きさについての記述が無い
そこんとこの説明プリーズ
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:18:16 ID:gankqnMf
ダイダラボッチと聞くと
おもらしロボを連想するのは
ダメすぎる
91名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:18:20 ID:UT4OAYbQ
ガリアの人達災難だなw
そりゃジョセフ王も泣いて詫び入れるしかないわw
だいだらぼっちの人GJ!
予約が無いなら、4話、いこうかと

>>89
追々説明されます。
でも結構小さいです。
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:24:29 ID:C5eDH1se
タイトルに英字つけてたらA〜Xで足りなさそうなペースだな。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:25:27 ID:KSuay4ts
機神の人はやいなあ
95名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:25:49 ID:Ysoc+7oE
>短いですが投下終了ー。
>現時点で最大最古の使い魔を目指しましたw
最大か?
小ネタに伝承族がいるだろ。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:27:49 ID:9IM6HqZz
すげぇ、俺TUEEEEE!のはずなのにまったくそうとは思えない
作者さんの発想に嫉妬だ!(w。

>>82
真3だとアルビオンが一番近いかもな
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:28:31 ID:A3CB1QTz
しまったぁ! 伝承族にゃあ勝てん orz

機神の人GOGO!
98名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:30:32 ID:Irf2hzL5
>>現時点で最大最古の使い魔を目指しましたw
>最大か?
>小ネタに伝承族がいるだろ。

あと、どっちが大きいかわからないけど、同じく小ネタのアースブレードも規格外にでかかったはず。
まぁ、伝承族の次にアースブレードかダイダラボッチだろうね。
とにもかくにもGJ!
事態は収束した。闖入者ウルカヌス?氓ヘ倒され、オニクス十式はルイズの使い魔となった。これで何もかもが丸く収ま-------
らなかった。

直後に教師陣が中庭に集結し、ルイズとオニクス、コルベールとその他一部の生徒が校長室に呼び出された。
待っていたのは質問攻め。

あの敵はなんなのか?
敵の目的。
オニクスとウルカヌスの関係性。
そしてオニクスの正体。

オニクスとルイズとその他の人たちは、本当のことを嘘偽りなく話した。

「ではあのウルカヌスワンとやらも、アナタも『神』だと?」
「そうだ」
「そしてこれから自分がいる限り、この学園にはあのような連中がやってくると」
「断言はできんがおそらく」
オニクスは教師らの質問に全て答えられる範囲で答えた。この質問攻めの開始された時から広がっていた教師陣の動揺は、さらに広がっている。
動揺せずがっしりと構えているのは、オールド・オスマンとその秘書ロングビル、そして数名の聡明な教師だけだ。
(馬鹿な…あのようなものが12体も、しかもここを襲ってくる可能性があるというのか)
(神を従える生徒なんて、聞いたことがない!)
(早急に排除すべきだ)
(恐れ多い、神の眷属を従えようなど…)
(またヴァリエールがやらかしたのか)
その雰囲気にも、オニクスは黙って耐えている。まるで聞く耳を持たないかのように。逆にルイズは不安だった。
あの時は気付かなかったが、確かに神を従える魔術師など、神話やおとぎ話の中でしか聞いたことがない。すごいことはすごいが、手放しで喜べることでは無さそうだ。
「オールド・オスマン、我々はこのオニクスの追放を提案します」
一人の若い教師が言った。それに感化されるかのように、他の教師も彼に呼応してオスマンにオニクスの追放を提案する。
「そうだ!これはヴァリエールにとってもよくない!」
「ここが消滅してからでは遅いのですよ!」
だがオスマンは黙ったまま。ルイズはつばを飲み込み、依然としてオニクスは押し黙っている。
「オールド・オスマン!」
「静まれ、静まらんか」
不意にオスマンが声を上げ、一斉に教師達が沈黙する。
「まぁ、ええじゃないか」
「しかし」
「例え手に入れたとしても、使いこなせるわけではなかろう?半人前の魔法使いに高位の魔道書を与えても、扱えないのと同じじゃ。だから、そこは彼女に任せてみても良かろう?
それに、オニクス殿」
「なんだ?」
「もしここに敵がやってきたとしても、お前さんが戦ってくれるんじゃろ?」
「ここの安全は保証しないがな」
100名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:34:00 ID:Ysoc+7oE
言うの忘れてた
GJ!
オニクスは平然と言い放つ。
「その時はその時じゃ、わしは、ヴァリエールとこの使い魔にすべてを任せてみてもいいと思うぞ」
オスマンの一言で、教師陣は沈黙する。この老いた魔法使いの放つ言葉には、何というか威厳というか、妙な説得力があった。
それに押されてしまったのだろう、もうオスマンに反抗の意を唱えるものはなかった。
「…ご覧の通り、皆納得したようじゃ。ささ、でてったでてった」

夜。ルイズはクッタクタに疲れていて、自分の部屋に戻るや否や、ベッドに倒れふしてしまった。続いてドアをくぐるように、オニクスがルイズの部屋に入る。
「ふはぁ…あんたのせいで、疲れたわ」
「そうか」
またしてもオニクスは、単調な返事を返す。まるでホンモノのロボットのように。ルイズは少し頭に来た。
「あんたさ、もうちょっとなんかないわけ?」
「なにかないかとは」
「もうちょっと『ごめんなさい』とか、『すいませんでしたぁ』とか、あるでしょ」
「謝る必要性はない」
「はぁ?」
「俺は自分の身を守ったまで。お前は確かにウルカヌスに殺されかけたかもしれんが、それはウルカヌスが悪いのであって、俺は全くの無罪だ」
「あんた、召還されてすぐに私にした悪行の数々を、忘れたって言うの……!?」
「…そうだったな。だが、アレも半ば自業自得だろうに。もう少しやんわりとした言い方は出来ないのか」
「使い魔に対してしつけをして何がいけないってのよ!」
「そうか、使い魔は人間以下の存在なのか。俺も堕したな、昔はもう少しマシに扱われていた」
「そりゃ神様だものね」
…彼らのコンビネーションは当分よくはならなさそうだ。

「そういえば、ルイズ」
ふと、オニクスが声をかけた。本来ならルイズはここで
「ちょっと、もうちょっとよびかたがあるでしょ!?『御主人様』とか(以下略 
などと怒鳴りつける所なのだが、ルイズにはその気力すらなかった。
「ぁによ」
「使い魔とは何をすればいいのだ」
「ああ、そうね。それをまだ言ってなかった」
ルイズはベッドから身を上げると、オニクスを見上げて説明を開始した。

「……まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
「で、俺はそうなってるか?」
「全然。だから、これは無理ね。
えーと、それから使い魔はね、主人の望むものを見つけてくるの。例えば秘薬の材料とか……」
「そんな能力は俺にはないし、必要なかろう」
「むかつく言い方するわね…さいごに、これが一番重要。使い魔は主人を守る存在でもあるの。その能力で主人を敵から守るのが一番の役目!」
「それならば俺で…事足りるな。それだけか」
「そうね、それ以外は特にないわ」
オニクスは納得したのか、顔を伏せる。
「そうだ、私はもうそろそろ寝るから、洗濯よろしくね。そこのカゴに入ってるから。後、朝は起こしてね。じゃおやすみ」
ルイズはそういって、ベッドの中に潜り込んだ。
オニクスは呆然としてしまった。

「…洗濯、だと?この俺に、洗濯だと?」

数時間後の早朝

窓を越え、地上へと跳躍する。カゴを足下に置き、オニクスは虚空を見つめた。
「…ふざけてやがる」
ここは神話界、そのものだった。魔法が世界の常識で、神話が人々の間に浸透し、エルフが、亜人が、当たり前に存在する。
科学に彩られたあの世界のことを思い出しながら、彼は洗濯する場所を探して歩き出した。
そういえば、あの世界では洗濯も機械が代行してくれるのだったか。つくづく怠惰な世界だ。だが、皮肉なことに怠惰も技術を進める原動力のひとつである。
○○を誰かがやってくれたなら、俺はそれをしなくて良い。
そういう思想が、案外発明を生み出す原動力になる。そしてそこに情熱が加わり、熱意となり、発明への努力に昇華される。
「…」
洗濯場を探しながら、彼はそんなことを考えていた。

洗濯場はほどなくして見つかったが、洗濯の方法がわからない。かの最高神も、洗濯まではしたことがなかったらしく、洗濯の方法は何度思い返しても思い出せない。
べつに洗濯をしないであの少女の元に戻り、口喧嘩になってもいいのだが、それはそれで面倒だとオニクスは思った。
「どうするべきか」
口に出してつぶやく。状況は、悪くなるばかりである。

「あ、あの…」
後ろから、誰かがオニクスに声をかけた。オニクスは振り向き、それを見下ろす。
メイド服を来た少女が、困った顔をして彼を見つめている。
オニクスの背は高い(2m10cm前後)。自然と見上げる形になる少女。オニクスは何となくかがみ、少女と近い高さをキープした。
「この学園にはメイドがいるのか?」
「そ、そうです。雑用は私たちの仕事で」
「雑用とは?」
「掃除とか、洗濯とか、料理とか…」
「…大変そうだな。で、洗濯か」
「はい、でも、あなたも洗濯物、持ってますよね?てことは、あなたが先じゃ」
「俺はいい。それより、後でいいから教えて欲しいことがあるんだ」
「はい、私に出来ることなら」
「…洗濯を、教えてくれ」

オニクスはメイド…シエスタの洗濯の様子を黙って見学していた。彼女はさながらプロフェッショナルのような手つきで洗濯を済ませていく。
オニクスは妙に感心してしまった。
「そういえばあなたも、誰かの使い魔なんでしたっけ」
「ルイズ…とか言ったか。あのクソガキの使い魔さ」
彼女はオニクスと会話をしながら、既に自分の洗濯を8割がた済ませている。
「名前は?」
「十式オニクス。オニクスでいい」
「なんか、厳つい名前ですね」
「…そうだな」
もしオニクスが人間なら、微笑を浮かべていたことだろう。昔の世界では絶対に味わえなかった、日常的な風景。こういうことを求めていたのかもしれない。オニクスは一人心中でつぶやく。
そうこうするうちにシエスタが洗濯を終え、オニクスに声をかけた。
「終わりましたから、洗濯カゴを持ってこっちへ!」
「わかった」
オニクスは生まれてはじめての洗濯に臨む。

結果は…

最早語るまい。

朝。
しばしの眠りから目覚め、オニクスは起動した。そして昨晩ルイズに言われた通りに、彼女を起こしにかかった。
「起きろ、ルイズ」
ゆさゆさ。
彼女の肩を揺するが、彼女は起きる様子を見せない。
「う〜〜ん…うるちゃい、うるちゃい、ぜろじゃないもぉ〜ん」
「寝ぼけてないで起きてくれ」
「メロンパン…かゆ………うま……」
「起きろ!」
「右斜め四十五度、これアタシの角度ね〜」
朝からどんな景気の夢を見ているのかも気になったが、オニクスは腹が立った。せっかく言われた通りに起こしてやったのに、なんだろうかこの態度は。と、思ったわけだ。
なので、少々荒っぽい手段をとることにした。手を手刀の形に固定し、狙いをつけ、上に振りかぶり、
「起きろ!!」
ルイズの額に、おもいっきり振り下ろした。

「嫌ぁあああああああ!!
ホァアアアアア!!ホァアアアアアア!!!
天皇陛下BANZAI !!!!!!!!!」

煩かったので、もう一発チョップを決めた。

効果はてきめんだったが、お陰で朝からルイズの失敗魔法を喰らったオニクス。
ダメージ自体は少ないが、おかげでオニクスは「この主人とのコンビネーションには期待出来ない」と、つくづく思った。
一人と一機は今階段を下り、授業へと向かっている。
「ったく、洗濯ものはボロ雑巾になってるし、朝からチョップで起こされるし、ろくなことがないわよ!」
「自業自得だろうが」
「うるさいわねっ、もうちょっとマシな起こし方は出来ないの!?」
「じゃあ次からボルカノハンマーで頭をカチ割ってやろう」
「それじゃ永眠しちゃうわよ!!」
「ならお前の夢に介入して悪夢を見せてやろうか」
「悪夢で目が覚めるなんて最悪じゃないの!」
「なら少々強めの電気ショックと行くか」
「半身不随にするつもり!?」
「全身でもいいだろう。一生眠れるぞ」
「そういう問題じゃないわよ!」
とにかく二人の朝は、当分喧嘩が定例になりそうだ。

話を少し変え、時間を少し戻そう。
視点をルイズとオニクスから移し、
ギーシュという少年に向けてみることにする。

その少年はドットメイジで、貴族で、ワルキューレの使い手「青銅のギーシュ」として、学園ではある程度名の知れた魔法使いであった。
だが彼は、もっと強くなりたかった。志ある人間なら当たり前かもしれないが、彼もまた向上心が高く、誰よりも上を目指していた。
数体のワルキューレが使えても、それではまだ駄目だ。自分よりワルキューレの使い手などいくらでもいる。
そうして少しばかりの壁に突き当たっていたギーシュは、二日程前に、ある拾い物をした。

それは、青みを帯びた小石だった。親指程の大きさで、なんと顔のような模様が極めて精巧に彫り込まれている。ギーシュはこれを何故だか気に入り、持ち歩くことにした。
その小石には、自分のように美しい男の顔が彫られていた。

そして授業。
自分の得意とする、錬金の授業だったか。
ギーシュは指名され、おもむろに教師に言われた通りに鉄屑に魔法をかけた。するとどうだろうか。
本人は軽くひねった程度のつもりだったのに、鉄屑はなんと金塊に変わった。
これにはギーシュも驚いた。その後も、ギーシュの魔法はとどまる所を知らなかった。
出せるワルキューレは八騎に増え
その作りは精巧になり
動きも人間に近くなり
まるで、マジックアイテムで急に強くなったかのような感覚。ギーシュは興奮した。これなら学年一位とて夢ではない。
そのせいで、彼は石のことなどすっかり忘れてしまった。

それ以来、石は彼の右ポケットに入っている。

そして時は動き出す。元の時間へと、元の視点へと戻ろう。

ルイズは席に着いていた。既に授業は開始され、黒板にはチョークで字が描かれ、彼女はそれを写し取る。だが、今回の授業は、いつもと違う所があった、
「静かすぎる」。
いつもなら数名の生徒の雑談や、紙切れを回してのしりとり、ペン回しもろもろが見受けられる。それが正しい「それなりの学生の授業」のはずだ。
そしてそれを注意する教師の声もまた、日常の一部。
だが、今日の授業にはそれが全くない。

静か過ぎた。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:41:44 ID:A3CB1QTz
支援じゃよー

原因は、後ろで壁にもたれかかるオニクス十式、彼にあった。
先日その力を遠慮なく見せつけてしまった彼の噂は、瞬く間に学校中に広まっており、しかも噂には尾びれまでついて、物騒なものになっている。
使い魔達もまた彼の存在を警戒し、静寂を保っている。

曰く「その手からは詠唱もなしにあらゆるものを生み出す」
曰く「身の丈程もある剣の使い手で、剣は輝き全てを切り裂く」
曰く「金色の羽で空を駆け、破壊の杖で天を灼く」
曰く「R-2とR-3と合体し、無敵のスーパーロボSRXになる」

そんな物騒な噂のせいで、今日の教室は静かなのだ。

そんな中でも、ルイズはいつもと変わらず熱心にノートを写し取る。唯一いつもと変わらないのは、彼女ぐらいだろうか。
黒板に再び字を書き始めたシュヴルーズのチョークを追い、それを書き取る。雑談には加わらず、ただそれに専念する彼女。
そう、いつもならそれで終わり。

だが、今朝は少し違った。

シュヴルーズが、前で錬金の実技をする有志を募っている。
(…普通いく奴はいないわよね)
ルイズはノートを写しながら、その光景を見つめていた。そして、瞬間ペン先への意識がおろそかになった刹那に、それは起きた。

乾いた音ともに、えんぴつが折れた。

「あ」
「ちょうどいい。ミス・ヴァリエール、今回の実技はあなたがやりなさい」

完全なるこじつけ。
だが、ルイズは渋々従った。


オニクスは授業の風景を見つめていた。
どうやら「四大元素」という考え方は、どこの世界でも共通のようだ。そして今回の授業で扱うのは「土」。
見た所オニクスが小指でひねれば出来る程の魔術ばかりであったが、細かい理論の違いをオニクスは探したりしてしばしの暇つぶしをしていた。
ふと、前の方で教師(シュヴルーズと言ったか)が、実技の有志を募っている。
(誰がいくだろうか)
オニクスは少し気になり、生徒達に眼をやる。
手を挙げかけで引っ込めるもの。
そもそも手を上げる気がないもの。
種類は様々だ。そして自分の主人は、後者に属していた。
(指名になるか)
すると、オニクスの聴覚は乾いた音を捉えた。鉛筆の芯が、折れる音だ。音源は主人たるルイズの鉛筆。彼女の鉛筆が折れたのだった。
シュヴルーズはこれをチャンスとばかりに彼女を指名し、実技を行わせるよう促した。ルイズは立ち上がり教卓へと向かう。
すると、一人の女生徒が立ち上がってシュヴルーズに言った。
「先生、危険です」
そうだ。危険だ。その威力は十分知っている。ウルカヌスにダメージを与える程なのだから、この教室の机を全て吹き飛ばすくらいのことは出来そうだ。
それは自分に取っても、この場の全員にとっても危険だ。
ルイズはその長身の女生徒に抗議し、周りの文句を無視して詠唱を始めた。
オニクスは杖に注視する。

魔力の具合を見るオニクス。
人によって魔力の質は微妙に異なる。Aという人間とBという人間の魔力は、違うものだ。ゆえに、人によって得意な属性苦手な属性があるし、差異が出てくる。
その中でもルイズは特に、個性的なものだ。何でも爆発に還元する力、といった所だろうか。昨日あたりでオニクスは結論づけていたが、実物を見れば何かわかるかもしれない。
そう思って、これは少し楽しみにしていたのだ。
(さて、どうなることやら)

魔力が生成され、回路を伝って杖へと。
杖から大気へ放出される一瞬、そこに手がかりがある。
オニクスは注視した。

杖から変換された魔力が大気に放出される。
本来ならそれは石に到達して、奇跡を起こし石を砂なり鉄なりに変える。
だが、ルイズの場合は違った。

魔力は石に到達。
そして、魔力は役目を果たすことなく、すぐに外部へと拡散していく。
爆発へと変換され。

「…!!」
よくわからない。だが、危ないことは明らかだった。オニクスは動いた。右腕の掌を向け、高らかに叫ぶ。
「銃の腕(ゲヴェーア・アルム)!!」

瞬間、掌から閃光がほとばしった。青い閃光は机の上の小石を魔力ごと消し飛ばし、惨事は免れた。
そして教室の人間の視線は当然、オニクスに向く。
「…オニクス?何してるのかしら?」
約一名、怒りの視線を向ける人間もいる。(無論ルイズだ)
だがオニクスはあくまで冷静に対応した。
「失敗するぞ」
「何言ってるのよ!私の魔法が失敗するはずないでしょ!」
「嘘をつけ。どれ、俺が手本を見せてやろう」
オニクスは机の間を横切り、教卓の隣にいるルイズに相対した。後ろではシュヴルーズが「ちょwwwおまっwww」と言った顔でオニクスを引き止めている。
「あなたなんですか?使い魔なら後ろで静かに…」
「もう一個石を用意しろ」
「ハ?」
「聞こえなかったのか、『もう一個石を用意しろ』」
有無を言わさぬオニクスのドスの利いた声に、思わずシュヴルーズは小石を用意してしまった。そしてオニクスは拳大の小石を、教卓の上に置く。そしてそれに向けて手をかざした。
「………」
ナーブケーブルを石に展開し、一瞬で組成を組み替える。小石は人形になり、着色された。

数秒後教卓の上にあったのは、ルイズとそっくりな精巧な人形だった。生徒の拍手と「おお〜」という賞賛の声が漏れる。そしてオニクスが指を鳴らすと、ルイズ人形が動き出した。
「ウルチャイ!ウルチャイ!ゼロジャナイモン、ゼロジャナイモン」
その怒り狂う姿は、見事にルイズそっくりだ。
ルイズは赤面し、再び賞賛の声。
そしてオニクスがもう一度、指を鳴らすとルイズ人形は爆発した。そして爆発の煙が晴れると、そこには鳩が立っていた。真っ白な鳩だ。
「…こんなところか」
「お…お見事」
思わずシュヴルーズも声を漏らす。一方で不愉快なのはルイズだ。
「オ・二・ク・ス〜っ」
「文句か」
「使い魔のくせにアタシより目立つんじゃないわよ!今日は昼食抜きよっ!!」
鳩が開いた窓から、外に飛び出していった。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:45:28 ID:qtNm11YW
支援
110名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:45:31 ID:UQTA+JHV
支援
次 回 予 告

プライド高き少年の些細な失敗は、
邂逅への鍵となる。
彼の手にした魔性の力は
黒き機神に悪い予感を抱かせた。

次回「青銅」 機械を纏った神々の戦いが、始まる。
終了です。
ちなみに「銃の腕」はミネルヴァス11(アテナ)の能力です。

113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:54:38 ID:KSuay4ts

ルイズ人形はどこで売ってますか?
114名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:55:30 ID:HT++JqUV
ざ、雑用w最終話で"人類を滅ぼすー"とか"世界をリセットするー"とか言ってた人が雑用w
ツンデレ二人の漫才に笑わせてもらいました。GJ!
115名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:58:23 ID:kidqGVuJ
あじゅじゅしたー

ルイズ人形ホスィwwwww
116ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:01:35 ID:X4DoIQUu
ルイズ人形w


ついでですが、投下、大丈夫ですかね。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:01:36 ID:qtNm11YW

キーボードクラッシャーとかw
ルイズ人形、台詞がそれっぽいからルイズ版コレジャナイロボが頭に浮かんだwww
118名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:02:23 ID:YiOB5AE4
ここで卑しい職業の人達を推薦する
119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:03:28 ID:YjqJ67M5
支援
120名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:03:34 ID:qtNm11YW
>>116
おk
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:04:21 ID:ZnTCPc91
オンドゥル氏、キバッテルデショ
投下してください、おながいします
122名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:06:00 ID:774RNvwn
>>117
キーボードクラッシャーと聞いて

Unreal Tournamentから初代XAN(最凶AI付き戦闘人型ロボ、最凶なのはゲームルール上"AI"だけだが)召喚
戦闘本能だけしかないAIを(ry

続かない。続きようが無い
123ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:06:26 ID:X4DoIQUu
では、投下。
 
 四人は、ミス・ロングビルを案内役に森へ出発した。
 オスマン氏が用意してくれた馬車は屋根なしの荷車のような馬車であった。
なんでも、襲われたときにすぐ飛び出せるように、とのことだ。
 ミス・ロングビルが御者を務めることとなり、剣崎は、黙々と手綱を握る彼女に話しかけた。
 
 「すいません、ちょっといいですか?」
 「なんでしょうか」
 
 ミス・ロングビルは、平民である剣崎にも笑みを浮かべる。
 「『土くれ』・・・って、男なんですか?」
 「・・・・・・さあ、あくまでも、聞いた話ですので」
 「そうですか」
 彼女は、剣崎の質問にも顔色ひとつ変えずに対応する。
 「ほら、あんたは大人しく力を温存しときなさいよ」
 ルイズが剣崎の服の裾を引っ張り、ミス・ロングビルから遠ざける。キュルケとタバサは、じっと黙っていた。
 「もうすぐですよ」
 馬車は深い森へと近付いていった。鬱蒼とした森は、夜ということもあってその迫力を増す。
 
 「ここからは、徒歩で行きましょう」
 「そうですね」
 「なんであんたが答えるのよ」
 
 いちいち相槌を打つ剣崎を不信に思ったのか、ルイズは疑わしげな視線を向けた。そんなルイズを急かし、馬車から降ろす。
 森を通る道から、小路が続いている。一行は、ミス・ロングビルが先頭になる形で進むことにした。


 森を進むと、ちょっとした広さの空き地に出た。多分、魔法学院の中庭と同じくらいの広さだろう。真ん中に、ぽつんと廃屋らしきものがある。
 
 「あの中に・・・?」
 「はい。私が聞いた情報だと」
 
 剣崎は、みんなを輪にして話し合いを始めた。やはり、倒すなら奇襲が楽だろう、とミス・ロングビルが提案し、全員がそれに頷いた。
 タバサが考えた作戦は、囮が小屋の中のフーケを挑発し、出てきたところを集中砲火で倒す、というものだった。
 「偵察と囮は・・・」
124名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:07:04 ID:U92cdJLm
>>36
そのスバルがゲーム序盤のスバルだったら鬱過ぎてどうしようもないなw
戦闘はロックマンになればいいからともかく
125ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:08:21 ID:X4DoIQUu
 
 女性陣が一斉に剣崎のほうへ顔を向けた。
 「やっぱり、俺だよな」
 持ってきたデルフリンガーを鞘から抜き、慎重に廃屋との距離を縮めて行く。
 「おう、相棒!もう怪我は大丈夫なのかい」
 「ちょっと静かに」
 デルフリンガーを握ったときから、なんだか体が軽くなったようだ。
すっと一足で、廃屋まで近付こうと、足を踏み出した。
 
 「待って」
 
 後ろで、ルイズが小さく叫んだ。
 
 「だれかいる」
 
 廃屋の扉が、がちゃがちゃと音をたてて開いた。

 「じゃーん」
 「またお前かよ!」

 派手な赤い服に、お決まりの携帯電話を装備して現れたのは、いうまでもなくキングだった。
ミス・ロングビルが、聞こえないくらい小さな声で、アホ、と呟いた。
 
 「なんでお前がここに・・・ってのは、フーケに協力しているからなんだよな」
 「まぁね。でもあの人、どこか行っちゃったしね」
 
 どこいるんだろう、と探すふりをしつつ、キングの視線はミス・ロングビルを捕らえたまま動かない。
 
 「お前、戦う気があるか?」
 「ないかな・・・僕は、あんまり争いごと好きじゃないんだよね」
 「なら、『破壊の杖』、というかロケットランチャーを返せ。そしたら、今回だけは見逃してやる」
 
 キングは、どうしようか、と再びミス・ロングビルを見た。なにも知らないはずのルイズでさえ、キングの視線の意味を薄々感付いていた。
 「どうしようか」
 キングは、ミス・ロングビルに尋ねた。
 そして、剣崎たちは、顔を見合わせて頷いた。
 
 「決まりだな」
 「そうね」
 
 剣崎はブレイバックルを装着し、いつでも変身できるように。キュルケも、杖を抜いていた。
 
 「『土くれ』」
 
 タバサがミス・ロングビルを指差して言った。


126ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:10:38 ID:X4DoIQUu

 森の広場が静まりかえる。木々が風に揺れる音しか聞こえない。
 
 「ばれちゃったね」
 「あんたがばらしたんでしょう」
 
 ミス・ロングビルは先ほどのおっとりとした上品な態度を止め、粗暴な雰囲気になっていた。
もしかしたら、こちらが本性なのかもしれない。
 ミス・ロングビル、改め『土くれ』のフーケは、内心自分の行いを後悔した。
 やはり、キングを信用したのは間違いだった。
あそこで自分の性別を判断できたのは、あの使い魔だけだと思っていたが・・・まさか、キュルケとタバサまで見ていたとは。
 とんだ誤算である。
 「大人しく捕まれ」
 フーケは睨みつける剣崎のほうを見て、にこりと微笑み、その後ろの空間を指差した。
 
 「危ない!」
 「え?」
 
 ルイズが叫び、剣崎が振り向く。それと同時に、真横を猛スピードの『何か』が通過する。
 
 「ゴーレム」
 「あんな大きさ反則よ!」
 
 そこに立っていたのは、巨大という形容詞が超お似合いなゴーレムであった。
 
 「なんだよアレ!反則だろ!?ギーシュのはもっと小さかったぞ」
 「うるさいわね!いいから早くどうにかしなさい!あんた、使い魔でしょうが」
 「カズマを頼る前に、お得意の爆発で吹き飛ばしたら?ゼロのルイズ」
 「かなり危ない」
 
 突然の敵襲に。、剣崎たちはパニックに陥っていた。
討伐隊であってはずのだが、いつのまにか空中分解し、ルイズとキュルケはついに取っ組み合いにまで発展しそうな勢いだ。
 「と、とりあえず。変身!」
 機械音とともに、剣崎はブレイドへと変わる。よし、やっとこれでいつものペースになった。
気合が体中を駆け巡る。今なら、あのゴーレムとやらを一発でノックアウトできる気がする。
 「それがライダー?」
 「ああ。そういえば、お前は初めて見るんだったな」
 ルイズはぽかん、とブレイドの姿を上から下まで観察した。赤く光る大きな目に、白銀と紺の甲冑。
腰には、切れ味がよさそうな剣が収まっている。
 「どれくらい戦えるのか、ご主人さまに見せてみなさい」
 背中にデルフリンガーを引き抜こうとして、止めた。
あの錆びた剣では、とてもじゃないが適わないだろう。腰からラウザーを取り出す。
 覚醒器であり、己の剣でもあるそれを構えた瞬間、体が軽くなる。

127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:11:24 ID:0u5jHP2N
だが私は支援する
128ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:13:34 ID:X4DoIQUu
 
 ブレイドは、気合をいれて、ゴーレムの懐へ飛び込む。
見かけ以上に素早い攻撃を繰り出す相手の、腹の辺りまで跳躍し、ブレイラウザーを突き刺す。
 
 「なっ!ぬ、抜けない!?」
 
 深く突き刺したのが災いした。ブレイラウザーが突き刺さったまま、ブレイドは地面に落ちた。
 転げ落ちたブレイドに、ゴーレムの巨大な拳が振り下ろされる。
 めきっ、という音がして、ブレイドの気が遠退く。その隙を逃すまいと、ゴーレムは二度、三度と拳を打ちつけた。
 アーマーの防御力のおかげで、潰されることはなかったが、大きな衝撃を体に受けたためか、その体は地面に埋もれていく。
 「・・・みんな、逃げろ」
 ブレイドは次の拳が振り下ろされるまでのわずかな間、力をふり絞ってルイズたちのほうに首を向ける。
 さっきまで、彼女らがいたところには誰の影もない。遠くのほうで、竜の羽ばたく音がした。

 「はは・・・もう、逃げてるし。でも・・・」
 
 これでいいんだよな。
 全身に走るであろう衝撃を想像し、仮面の中の剣崎は、目を閉じた。


 「離してよ!!あいつを助けないと・・・っ」
 「無理よ!今のあたしたちじゃ」
 
 ゴーレムの拳を受けている使い魔へ駆け寄ろうとする、ルイズを、キュルケは後ろから羽交い絞めにして無理矢理引っ張った。

 「はやく」
 「分かってる!」

 タバサが珍しく慌てたふうに言った。
すぐ近くにタバサの使い魔のシルフィードが待機している。
 タバサが最初にシルフィードに跨り、続いてキュルケがルイズを連れて乗る。
 
 「見て!あのままじゃ、死んじゃう!」
 「いまあそこに飛び込んだら、あなたも死ぬの!分かるでしょう!」
 
 諦めないルイズに見せ付けるように、キュルケは呪文を唱えて炎球を生み出し、ゴーレムにぶつけた。
だが、ゴーレムの体にダメージはほとんどない。

 「ほらね。だから、あたしたちは一刻も早く先生に伝えて・・・」

 キュルケがルイズのほうを見ると、そこにはもう彼女の姿はなかった。ルイズは倒れたブレイドへと駆け寄っていた。
 
 「まったくもう、ルイズはなんて馬鹿なの!」

 キュルケは興奮したように叫んだ。そして、タバサの肩を乱暴に掴み、がくがくとゆすった。
 
 「タバサ、あたしたちも行くわよ!」
 「馬鹿?」
 「あたしが馬鹿なのは、あなたが昔から知ってることでしょ!」
 「なるほど」
 
 キュルケの顔をじっと見ていたタバサは、いつもどおりの無表情で頷いた。
シルフィードを従え、ふたりは勢いよくゴーレムへと疾駆した。
 

129名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:13:42 ID:y7vy6DmK
支援
130ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:16:49 ID:X4DoIQUu
 

 無駄な攻撃を行おうとしている討伐隊の面々を、呆れ顔で眺めていたフーケは、廃屋の中に隠していた『破壊の杖』をキングから受け取った。
 「なによ」
 「いや、別に。続けて続けて」
 なにが面白いのか、キングは笑みを浮かべていた。その笑みは、人を馬鹿にしたそれだ。
 ちっ、とフーケは舌打ちする。もともと、キングは、あのヴァリエールの使い魔に始末させるはずだった。
その後、消耗した彼らをゴーレムで倒す。それがベストな計画だったはずなのに・・・。
 
 「少し、狂っちまったね」
 「なにが?」
 
 相変わらず、人を馬鹿にしたように笑うキングを横目で睨み。
フーケは『破壊の杖』を、キングがしていたように構えた。


 ゴーレムの拳が、地面に触れるか触れないかの僅かな瞬間に、ブレイドの目の前で爆発が発生した。
 「・・・だれだ?」
 以前、そのような爆発を出す魔法使いを見たことがある。
 「ルイズ、か?」
 「そうよ」
 ぼんやりとした視界に、桃色の影が映った。剣崎は、はっとして立ち上がった。
 
 「なんで戻ってきたんだよ!」
 「あのね。言っておくけど、敵に背を向けたり、使い魔を見捨てるのはメイジとしても、貴族としてもダメダメなの。
そんなことしたら、あんた以下になっちゃうわけよ」
 
 気丈にも、ルイズはそう言い切った。その足は震えている。
 
 「でも・・・お前、」
 「あんた、覚えてるでしょ。使い魔は、なにするの?」
 「えーと、洗濯とか」
 「違うわよ!いい、これからずっと憶えておきなさい。いちばん、大事なのは!」
 
 ご主人さまを守ることでしょ。
 それを聞いた剣崎は、仮面の下で軽く笑うと、覚醒器が突き刺さったままのゴーレムを見上げた。
 
 「まあ、倒したいのは山々なんだけどな」
 「あの剣ね」
 
 ああ、と頷く。何時の間にか拳を鋼鉄にしていたゴーレムは、再びその巨大な拳をふるった。

131名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:17:20 ID:U92cdJLm
これ支援してもいいかな?
132豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/13(火) 00:17:24 ID:avxdDgJE
支援します。
133ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:19:11 ID:X4DoIQUu
 

 剣崎は、ルイズを抱きかかえて横に飛ぶ。その一撃は避けたが、ゴーレムは執拗にこちらを攻撃してきた。 
 「あたしに任せて」
 「キュルケ!」
 シルフィードに跨ったキュルケが、ゴーレムの腹めがけて一斉攻撃をしかける。
だが、それでもゴーレムは蝿でも追い払うかのように腕を振り回すだけだ。剣崎は、キュルケが作ってくれた隙に、ルイズを安全な場所まで避難させる。
 
 「それだけじゃ、こいつには勝てないぞ!」
 「分かってるわよ・・・ルイズ!ゼロのルイズ!!いつもみたいに、あの爆発をこいつの腹にぶっ放して!」
 
 キュルケの頬を拳が掠める。目をわずかに細め、それでも杖を振るって賢明にゴーレムを足止めしていた。
 
 「くっ・・・こいつ、けっこう早っ・・・」
 
 シルフィードにゴーレムの拳が直撃し、地面に激突する。キュルケは顔を青くした。
 このままじゃ、死ぬ。
 
 「くそ!」
 
 剣崎は、キュルケのほうへ走るが、今のスピードでは追いつかないだろう。
 そこで、あることを思い出した。
 確か、剣を握ったら動きがよくなった。なら、こんな錆びた剣でも、多少は役に立ってくれるのではないだろうか。
 
 「頼むぞ・・・」
 
 剣崎は、デルフリンガーを鞘から抜く。同時に、そのルーンが輝きだした。


 がちゃがちゃと、『破壊の杖』をいじりながら、フーケは眉間に皺を寄せていた。
 「おかしいね・・・」
 キングと同じ手順で操作したが、あのときのような爆発は起こらない。
それどころか、杖の先端から、なにも発射されないのだ。
 
 「あんた、なんかしたんじゃないでしょうね」
 「そんなことするわけないじゃん!」
 
 キングが暇そうに手をひらひらさせる。ふと、そこで茂みから現れた少女に気づいた。
 
 「そこまで」
 
 現れたのはタバサだ。ゴーレムを止めるには、術者であるフーケを潰したほうが早いと判断したのだろう。
幼いながらも、その瞳は数多の修羅場を越えてきた者のように見えた。
 「あら。ミス・タバサ・・・残念だけど、あなたでは私に勝てないわ」
 フーケは余裕の態度だ。タバサは杖を構え、フーケとキングどちらを先に叩こうか考えた。
フーケは、強力なメイジだ。数々の宝を盗んできた手口から、相当な使い手だと簡単に予想できる。
一見、ひ弱そうなキングだが、不死身という最大の盾と、人間離れした能力を有している。
 フーケだけなら、もしくはと思ったが、キングは未知の敵だ。この場でやり合うにはリスクが高い。
 タバサは、杖を握る力を強めた。


134ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:21:56 ID:X4DoIQUu
 

 あんなにでかいくせして、なかなか速い。
そいつの真下に落ちたキュルケを助けるのなんて、どう考えても無理だった。
 キュルケはシルフィードから落ちた拍子に、杖を落としている。
 
 ああ、助けられないな。
 
 長くアンデッドとの戦いを続けてきたブレイドは、それを一瞬で理解した。
 だがそこで、爆発音がした。ルイズの魔法だ。
 偶然、腹の辺りに命中した爆発が、刺さっていたブレイラウザーをブレイドの目の前まで吹き飛ばしてきた。

 いまの自分なら、或いは行けるんじゃないか。

 どう考えても無理だろう。あの巨大な拳がキュルケに直撃するのだって、残り数秒程度だ。人が出せる速度じゃない。
 鞘から引き抜かれ、その刀身をさらけ出したデルフリンガーが言った。
 
 「ありゃ無理だわ。あきらめな」
 
 錆び錆びの剣にそんなことを言われて、逆に闘志が湧いてきた。マッハのカードをラウ
ズし、剣を持って軽くなった体を、さらに加速させる。
 急に自分以外のすべてのものの動作が緩やかになる。デルフリンガーが、たまげた、と感嘆の声をあげた。
 そのままスローのゴーレムへと突進し、地面に横たわるキュルケを抱きかかえた。
 
 「攻撃しねえのかよ」
 
 デルフリンガーが不満げに言う。
 
 「もう、効果が切れる!」
 
 急いで、ルイズの前まで移動した。
 マッハの効果が切れると同時に、ずしん、とゴーレムが地面を叩く鈍い音がした。
 
 「あ、あら?」
 
 キュルケが目を丸くして、ブレイドを見上げた。
 「行くわよ、三発目!!」
 ルイズが桃色の髪を振り乱しながら揮った魔法は、ゴーレムの右腕を爆発させる。だが、それも少し、表面が吹き飛ぶ程度の効果しかない。
 「ああ、やっぱり、だめね・・・」
 ルイズががく、と肩を落とす。そのとき、頭上に大きな影が舞い降りた。

135名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:22:23 ID:y7vy6DmK
支援
136名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:22:38 ID:0u5jHP2N
支援エースは俺のモノだ!
137ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:24:51 ID:X4DoIQUu
 
 ゴーレムのパンチを受けたシルフィードは、いつのまにかタバサを乗せるほど回復していたらしい。
 タバサが、なにかを投げてよこし、起伏の少ない声で言った。
 
 「使って」
 「これは・・・ラウズアブソーバー?」
 
 再び動き出したゴーレムの前に立ちはだかり、ブレイドは二枚のカードをアブソーバーに通した。

 『Absorb Queen』
 
 『Fusion Jack』

 アーマーに金色の装飾が施され、胸には一際目立つ鷲の紋章。
覚醒器には、切れ味を増すディアマンテ・エッジが追加装備される。
そして、この形態の最大の特徴は、背中に装備されたオリハルコンウィングで飛行が可能になった点だ。
 カテゴリーQと、J。二体の上級アンデッドの力を借りた、このジャックフォームは、薄暗い森でもはっきり視認できるほど輝いていた。

 『Thunder』
 『Slash』

 二枚のラウズの後、遅れて、必殺の技名が発せられた。

 『Lightning Slash』

 ブレイドは、ゴーレムの頭上まで上昇し、電撃をまとった剣で右の肩口から一刀両断した。

 「うぇぇぇぇぇぇぇぇいッ!!」

 まるで泥のように柔らかく両断されたゴーレムは、そこで活動を停止した。
それを確認し、ブレイドも地面に降りる。

 「すごいじゃない!カズマって、空も飛べるのね」
 「ああ。まぁ、少しくらいは」

 キュルケに抱きつかれ、仮面の下の剣崎は頬を赤らめた。それを感じ取ったのか、ルイズは腕を組み、ふん、と不機嫌そうに鼻を鳴らした。

 「あんた、これくらいで調子にのっちゃだめよ。帰ったらいつもどおりの重労働なんだから」
 「いちおう、あれが重労働だって分かってるのか・・・」


138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:24:56 ID:ZnTCPc91
チョッドドボリバズヨ
sienn
139ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:28:23 ID:X4DoIQUu


 どすん、となにかが響く音がした。
 
 「ねえ、今のってまさか・・・」
 「・・・まだ、生きてたのか」

 体が半分になったゴーレムは、再び立ち上がっていた。

 「あ、あんた、さっきのもう一回!」
 「あ、アンコール!」
 「アンコール」

 ルイズたちが期待した眼差しを向けてきた。
よし、ここは、いっちょ見せてやるか。
 サンダー、スラッシュをラウズし、少し格好つけた感じに、とう、と飛び上がる。
 が、
 
 「ふぐっ!」

 ゴーレムのビンタで軽く弾き飛ばされた。そして、そのままルイズたちのところへ落下する。
 あーあ、とルイズやキュルケ、タバサまでもが失望の眼差しを向けてくる。

 「いや、今のはまだジャンプ中だったからで・・・」
 「それより、なんかほかに手はないの!?」
 「そうよ!今度こそ絶対絶命!?いやよ、こんなとこで死ぬなんて!」
 
 ルイズとキュルケが今にも泣き出しそうだったので、ブレイドはようやっとライダーの目的を思い出した。
 そうだ。自分はアンデッドを倒す前に、人を守ることが役目だったはずだ。
 遅すぎる理解に、ブレイドは自分のアホさ加減に赤面した。
だが、そんなことしている場合じゃないと気づくと、ラウザーから一枚のカードを引き抜く。

 「ちょ、ちょっと・・・、もう、間に合わないわよ!」
 「相棒。ほら、ゴーレムゴーレム」

 デルフリンガーが諦めた口調で言った。
 半身を失ったせいで、動きが鈍くなっていたゴーレムは、たったいま、四人の前まで移動し終えたところだった。
そして、さきほどと同じように拳を振り上げる。

 「うぎゃー!!!!!!」

 ルイズが女性にあるまじき悲鳴をあげたが、そこは聞かなかったことにする。
なにせ、使い魔だから。
 風切り音とともに、その拳が打ち下ろされる。
なるべく落ち着いて、間違っても落としたりしないように、ブレイドは、始のものである一枚のカードを覚醒器に通す。

 『Reflect』

 キィン、と耳をつんざくような音がした瞬間、ゴーレムの拳は、ブレイドの一歩手前で見えない壁に阻まれていた。
リフレクトのカード効果である、『反射』で、ゴーレムの攻撃は、そのまま本人に跳ね返ることになる。
 小気味よい音がして、ゴーレムの片方しかない腕が弾けとんだ。魔力が切れたのか、ゴーレム本体も崩れ落ちる。
ぴくりとも動かずに、ただの土へと還ってゆく。今度こそ、確実に仕留めただろう。

 「なんとも、不思議な術を使うね。相棒は」
 「だろうな。俺、ライダーだから」

 デルフリンガーが、陽気に笑った。


140名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:30:02 ID:ZnTCPc91
(キングとフーケを)オッペケペダバザー!
支援
141ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/11/13(火) 00:30:22 ID:X4DoIQUu
以上で投下終了です。支援ありがとうございます。

前に言われたモンモランシーの間違いは、指摘されるまでモンモラシーかと思ってました。
恥かしい。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:31:11 ID:8lqm83sB
>>141
何、実は俺も今まで思っていたorz
143名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:31:51 ID:RL1H/HJM
オンドゥルオンドゥル!

悶漏裸子なんていう痛い当て字が思い浮かんだwww
144名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:32:17 ID:U92cdJLm
>>141
乙カジャラ
145名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:33:16 ID:0u5jHP2N

キングはやる気がないのか、ちょっとドジっこなのかw
しかしアブソーバーまで出ると錆び錆びのデルフは矢っ張り涙目だな
146名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:34:08 ID:y7vy6DmK
GJでした。
次はキング戦となるのかな?
147豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/13(火) 00:34:51 ID:avxdDgJE
投下お疲れ様です。
45分になったら投下させていただきます。
148名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:36:12 ID:ZnTCPc91
オンドゥル氏、乙ナンドル
やはりゲンザキは適度に情けないほうが格好いいですね
そしてダディと比べてタバサはなんと頼りになることか
149名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:38:36 ID:05LlwUwL
豆粒かもーん♪

そして、このスレでたびたび名があがるヤン=ウェンリーだが
何故誰も彼を召喚して長編SSを書かないのだ!?

卿らの矜恃は羽を生やして、何処かへ飛び去ったか!!
150名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:40:05 ID:gjkD4HqC
>>143
本当に洪水のモンモランシーになってしまうジャマイカw
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:41:06 ID:EThvgQRR
乙アナサーン!!

TOEのアーチェ召喚とか闇のパープルアイの麻衣召喚とか書いてみたいが受験生なせいで時間が中々取れない。


ルイズは麻衣の生い立ちを聞いたら同情するだろうか、
それとも「あっそ、じゃあ平民以下の亜人ね」とか無下に扱うだろうか。
それ以前に麻衣自体がブチ切れやすい性格だから………
152名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:41:21 ID:hkwEl1Qv
>>149
・・・書き手以上の頭のよさにはけっしてならないからさ
153豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/13(火) 00:45:53 ID:avxdDgJE
それでは投下させていただきます。
154豆粒ほどの小さな使い魔18 1/4:2007/11/13(火) 00:47:22 ID:avxdDgJE
ヴァリエール家までは、シルフィードが乗せて行ってくれる。
キュルケとシエスタはそこで一泊、次の日に故郷に向かうって。だから手荷物だけにして、嵩張るものは先にそれぞれのお家に送ることになってる。
まだ二日あるのに、ガッコウの中、どこか浮ついてるみたい。授業中なのに、ざわめきが収まらない。先生も、諦めてるのかな。簡単なおさらいだけ。
「ハヤテも、家に帰りたいわよね……」
「帰リタイケド、今ジャナクテモイインダ」
少し強がって、笑ってみた。
「旅行好キナ人間ノ『トモダチ』ニナッタころぼっくるモネ、長イ間帰ッテコナカッタヨ。ソレデ、旅行記書イテタ」
私も読んだことがある。私が書き溜めてる手紙が、私の旅行記になるのかな。
だから、寂しくなんてないよ。


* * *


懐かしいヴァリエールの屋敷が、どんどん大きくなる。
ありがとうシルフィード。首筋を撫でる。あともう少しだから、頑張ってね。
まだ小さくしか見えないけど、あの窓の辺りがお父様の書斎。あっちの東屋ではよくお茶会をした。それから、
「流石は名立たるヴァリエール公爵家。上から見るのは初めてだけど、大したものだわ」
豪華さじゃうちも負けないつもりだけど、こういう景観との一体感とかは負けるわ。
キュルケの軽口に、こみ上げてたものが引っ込んだ。そうよ、一人じゃないんだから、泣きたくなることなんてないんだから。
「当たり前でしょ、先祖代々ヴァリエールの一族が愛してきた屋敷なんだから」
「あ、あの、私なんかが来ても、本当に宜しかったんでしょうか?」
「ルイズがいいって言うんだからいいのよ。ルイズ、仮にも友人として引っ張ってきたんだから、ちゃんと責任は取りなさいよ」
分かってる。シエスタを平民扱いなんてさせない。私にとって、彼女は恩人なんだから。気持ちは、全部手紙に込めた。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:47:27 ID:YjqJ67M5
豆粒支援
156豆粒ほどの小さな使い魔18 2/4:2007/11/13(火) 00:48:29 ID:avxdDgJE
お母様は厳しいけれど、受けた恩義はちゃんと返すことを知ってる人だ。
「ごめんね、ちょっと居心地は悪いかもしれないけど、でもシエスタにはどうしても来て欲しかったの」
私は、魔法を使えるようになった。お母様たちにそれを見せるのが、夢に見るくらい楽しみだった。でも、一人で魔法を使えるようになったんじゃない、支えてくれた人たちがいることも見せたかったから。
「気弱になってるわけじゃないの。ただ、見ててもらえたら、嬉しいかなって……キュルケっ 笑わないでよっ」
ふわりと、ゆるやから螺旋を描きながら、シルフィードが館の前庭に降下していく。
誰かが伝えたんだろう。人が出てきてる。竜で降り立つなんて、まるで凱旋だ。
案外当たってるのかもしれない。ゼロだった私が、メイジになって帰って来たんだから。
なんて、まだ卒業したわけじゃないのに、気が早いかな。
「お母様! お父様! ルイズ・フランソワーズ、ただ今戻りましたっ!」
行儀が悪い。こんなに大声で叫ぶなんて。でも、目が合ったら我慢できなかった。


「改めて紹介いたします。こちらはミス・ツェルブストー。学院での私の友人です」
ツェルブストーの名前を出したとき、お母様の目元がぴくりと震えた。
「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。ミス・ヴァリエールのお招きに預かりまかりこしましたわ」
場所を第二応接室に移して。
「お久しぶりですね、ミス・ツェルブストー。幼い頃の面影がありますね」
虚勢かもしれないけど、それでも大したものだと思う。私だってお母様は怖いもの。
だけど面識があったなんて知らなかった。
「こちらはタバサ。ガリアからの留学生です。彼女はシエスタ。二人とも私の大切な友人です」
「ちょっとルイズ、私は大切じゃないっていうの?」
うるさいわね、言葉の綾よ。
「いや、ユニークな友人を持ったものだね。風竜の主は、君か。素晴らしい竜だ。厩で休ませているが、他に何か希望があれば、使用人に言いつけてくれたまえ」
157名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:50:01 ID:EThvgQRR
昔よく読んだ支援
158豆粒ほどの小さな使い魔18 3/4:2007/11/13(火) 00:50:52 ID:avxdDgJE
くすくすと、お父様が楽しそうに笑って。私もつられて肩の力が抜けた。そう言えば、お姉様の姿が見えない。
「エレオノールは、実験の手が放せないと手紙が来たよ。三人とも、よく来てくれた。是非自分の家とも思ってくつろいでくれたまえ」
「は、はいっ ありがとうございますっ」
タバサは軽く会釈したけれど、シエスタはがちがちだ。
でも、返ってそれがよかったみたい。お母様の目元が、何となく和らいでる。
「じゃあ、カトレア姉様は?」
「お前が帰ってくるというので、はしゃぎすぎてしまってね。少し熱を出したので休ませているんだ」
無理をさせてしまった罪悪感と、私のために無理をしてくれたって嬉しがる自分が、私の中でぶつかる。
「この後行っておあげなさい。無理に休ませたから、今頃うずうずしてるかも知れないわ。それより」
お母様にしては珍しく、そわそわ? そんな感じの声。
「はい、お父様、お母様、紹介いたします」
一歩前に、でもまだ遠いから、そのまま二歩、三歩。
「私の大切な、大切な使い魔、コロボックルのハヤテです」
肩から、腕を伝って、手のひらへ。お父様たちの目が見開かれる。
「ハジメマシテ。私ハ、はやて。るいずノ使イ魔デス」
真っ白い布を肩から斜めにかけて、マメイヌ隊の剣を腰に挿したハヤテは、昔話に出てくる異国の剣士のよう。シエスタが細い銀糸で縁に刺繍をしてくれたので、元がハンカチだったとは思えないくらい可愛い。
この服は皆で作った服だから、これで行きたいと言われて、ハヤテがもう少し大きかったら抱きしめられたのに。
「……手紙にはありましたけど、まさか本当に小人とは。それに、不思議な装いですね。でもよく似合っていますよ」
きっと、シエスタもくすぐったい気持ちだろうな。

159豆粒ほどの小さな使い魔18 4/4:2007/11/13(火) 00:52:23 ID:avxdDgJE
「ハヤテは、とても笛が上手いんです。お父様たちにも聞いて欲しいの」
「ほう? それは楽しみだ。夕食の後にでも是非聞かせてもらおう」
ヴァリエール領で取れたお茶の香りを吸い込むと、帰ってきたんだっていう気持ちがまた胸に広がる。
ハヤテが殻のコップを両手で持ってる姿は、二人にも好評だった。それに、ようやくシエスタも、お茶を味わう余裕ができたみたい。
「ねえルイズ、魔法のお披露目をするんじゃなかったの?」
キュルケがこそりと囁いてきた。本当はそのつもりだったけど、でも、
「あのね、最初は、ちい姉、カトレア姉様に見て欲しいの」
私が魔法を使えるようになるって、本当に信じて、一番待っていてくれたのは、ちい姉様だから。
熱が上がるくらい喜んでくれたって聞いて、本当は今すぐ駆け出したい。
二人も私のそんな気持ちを知ってるから、言い出さないでいてくれるんだと思う。
目が、ついドアの方に向かう。さっき、ちい姉様の様子を見に行かせた、そろそろ戻ってきてもいい頃。
ハヤテが、とことこと歩いて――人目のあるところでは、本気で走ったり跳んだりしないで置こうって決めたから――お母様の手のひらに腰を下ろした。
こんな風に固まってるお母様は、滅多に見れない。吹き出しそうになったけど、後が怖いから、お父様と目配せするだけ。
「お館様」
メイドが戻ってきた。
「おお、どうだったかね?」
手が震えて、テイーカップがぶつかっちゃった。
「お医者様の許可も頂きました。興奮させなければ大丈夫だと」
「だそうだよ、ルイズ。行っておあげ。カトレアも待ってる」
「はいっ ハヤテ、皆も行くわよ」
一礼をして、皆を急かしちゃう。早く、ちい姉様が待ってるんだから。
「待ちきれないのはルイズでしょ。はいはい、分かってるわよ」
階段を駆け上がる。
最初はなんて言おう? やっぱり、ただいま、かな。それから、それから、
「よっぽど好きなのねぇ」
「私も、カトレア様のお話は何度も聞かせていただきました」
そうよ、好きよ。悪い?
ドアをノックして、返事を待つのももどかしい。息を整えながら、

「ルイズ?」

その優しくて懐かしい声に、ドアを開けて中に飛び込んだ。
160豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/13(火) 00:54:00 ID:avxdDgJE
投下終了。
何か、お母様が丸くなっちゃいました。
実は可愛いもの好き?
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:54:36 ID:B8+7RCQj
しえーん!
162名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:55:55 ID:B8+7RCQj
支援遅れてしまった orz
いつもながらほのぼのGJ!
163名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:56:14 ID:EThvgQRR
ほのぼのGJ!!あじゅじゅしたー!

小学校の時に読んだなぁ。テラナツカシス。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:56:57 ID:iSzgYgGG
GJ
和気藹々としてて和む
165名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:57:46 ID:7cJIQwTU
豆の人GJ
ああ、ほのぼのとして和む
166名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:00:32 ID:YjqJ67M5
GJ!
このほのぼのが今日一日の活力です。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:02:14 ID:aNbQYQXw
乙です。
メックウォリアーリプレイで新規行きたいんですが、10分からいいでしょうか?
168名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:09:46 ID:67pkbhoB
構わないんじゃねぇかなぁ
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:10:51 ID:B8+7RCQj
ごーごー!
170ゼロの独立愚連隊:2007/11/13(火) 01:11:45 ID:aNbQYQXw
んでは、バトルテックのメックウォリアーリプレイより、サモンジ注意で。

「あっちゃっちゃあ!!」
がばり、と跳ね起きるだらしない格好の男。まあ、服そのものはワイシャツにネクタイ、ロングコートと変ではないのだが、ことごとく手入れ不足でよれているのでしまらない。寝タバコなんて最近してなかったけどなぁ…、などと呟きつつ左手を振っている。と、
「目、覚めたみたいね」
「へ?」
言われて周りを見る。
不機嫌そのものの表情のピンクの娘さん。疲れた顔をして襟のよれたハゲチャビン。その他。ていうか、ここ地面の上?
「まだ夢の中みたいだねーあいたぁ!」
のん気に答える男に、べし、と目の前の女の子が星の飾りの付いた棒で頭を叩く。周りから上がる笑い声を受けて赤みを増していくその顔は、不機嫌そのものである。
だが、ルイズが視線にどれほど怒気を込めても目の前の男はのほほんとした顔を崩さない。というか、明らかにまだ寝ぼけている。
「あー……色んなことはさておいて、君、何?」
それにびくり、と眉を跳ね上げ、貴族様に向かって不躾に指を向けるその男に、ルイズは精一杯の厳格さ(のつもり)を乗せた声で告げる。
「あんたを私の使い魔にしてやるわ。これからはご主人様である私に精一杯奉仕するのよ!!」
決まった。腕を組み仰け反りぎみの姿勢で頑張って見下すルイズは、内心で自分に喝采を送る。このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが召喚した使い魔なのだ。
もしかしたらいや間違いなくでもやっぱりそんなことはなかたったりするんじゃないかという気もするのだがそれでもなお信じたいのであるからして特殊な能力があると仮定するならば、ここで上下関係をはっきりさせなければ使い魔に逆らわれた、と哂われる事になる。
この男が目覚めるまでの間、散々かけられた罵声に邪魔されながらもイメージトレーニングした甲斐があった、と思い返していた。
が、目の前の使い魔はしばらく指先と目をふらふらさまよわせた後、

「えー……あなたはSの字異常性癖の痴(幼)女で、私は性の奴隷として拉致られた?……優しくしてね?」

くねり、とポーズを取ってボケをかました。空気が凍結した。
あまりのキモさに思考停止するルイズ。
無表情で固まるコルベール。
微熱を絶対零度に持って行かれたキュルケとあんまり変わらないタバサ。
そして空気を読んで一緒に固まる大勢の生徒と使い魔。

凍りつく空気を破ったのは、あんまり空気を読まないor空気と同化しやすい丸い生徒だった。
「Sだ!ゼロがSになった!Sのルイズだ!」
「ぶ、ぶはははっははは!Sだって、Sのルイズ!よかったわね〜、長年の悲願だったゼロのルイズの汚名返上が適ったわよってぷははは、ダメ、耐えられないぃひひっひひぃぃ…」
「いや〜おじさんこの年で新しい世界に目覚めさせられそうになるなんて、困っちゃうなぁ。たはは〜」
『ははははははははははははは』
「………」
悪い意味で汚名返上した、というか汚名上書きして怒りに震えるルイズ。しかし、先ほどから続く嘲笑や罵声、気絶している男にコントラクトサーヴァントを行ったときの下品な野次。
それを考えれば、今さらこれに一々反論するのも燃料を供給するようなものだ。やむなく教師の権力で黙らせてもらおうと、コルベールの方を振り向き……
背中を向けてガクガクと震えているハゲ。
「ぐうぅ…ぐふっ、ぐふっ……ふーっ、ふーっ……ぶっ、ごふっ…はぁーはぁー(ビクンビクン)」
ぎん!と一睨み効かせた後、再度使い魔の男に目をやると、こっちはこっちで頭は夢の中のようである。
「いやー、明晰夢だっけこういうの。楽しいねぇ〜よーし、ロリっ子はあんまり趣味じゃないから下着ウェイトレスのお姉ちゃん登場で!(パンパン)」
「何が夢よ!黙れこの、この、エロ犬!!」
連続噴火しながら杖で男を乱打し、とどめに失敗魔法で吹き飛ばす。
息を荒げるルイズ。
爆笑する生徒たち。
いよいよ呼吸困難で顔色がやばいコルベール。
激動を迎えつつあったハルケギニアの歴史。それに止めを刺した、あるいは新たな歴史の風を吹き込んだ男。メック戦士ユージン・サモンジの(しまらない)戦いの始まりだった。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:11:47 ID:ZnTCPc91
GOGO!
ライフルマンorクルセイダー召喚してルイズの誤爆で誘爆なんてオチだったら泣く
172ゼロの独立愚連隊2:2007/11/13(火) 01:13:43 ID:aNbQYQXw
はっ、と目を覚ます。
見上げれば見慣れない天井。見渡せば白いカーテン。今いるのはベッド。
不本意ながら負傷入院に慣れているサモンジは、とりあえず病室にいるんだなーくらいは把握した。
「とはいえ、ここ何処だろ?うちの基地の医務室じゃないよなー」
とりあえず今までのことを思い出してみる。いつもの氏族メックを想定したシミュレーターだけではく、実機を使用しての野外訓練を行っては、という話が出て、ならばついでにとエニウェア政府から蛮王国への強行偵察の依頼があったのだ。
まあ強行偵察といっても、駐屯している部隊のいない小衛星の一つだし、サモンジ隊の実力は何度か小競り合いをして知っている相手である。ここで暴れるなら手を出すまい、という威嚇目的の軍事演習のようなものだった。
だが、そこに未探索と思われる星間連合時代の遺跡を発見したのだ。とりあえず規模が小さいこともあり、報告を出した後は小隊で軽く探索をしようということになった。基地に戻った翌週に準備を整え出発したのだが……
「イワンの馬鹿が『この辺の浅い階層ならそうヤバイ罠も無いでしょうし経験点は温存しましょうや』とかいってケチったんだよ」
まあ実際そう致命的な罠も無く、いくつかの未探索の部屋の扉がロックされる程度のトラブルで済んでいた。のだが。
「妙な機械の集まった部屋の探索中に……だよなぁ、多分あのとき何かあったんだろうけど……」
「目、覚めたみたいね」
と、カーテンが開いて声がかかる。そこにいたのは
「あ。夢に出てきたSの人!」
ゴ。
とっさにルイズが掴んだ花瓶の一撃を食らって、サモンジは再度意識を手放した。

「夢じゃなーいっ!?嘘ー!!」
「夢じゃないって何度も言ってんでしょ、このバカ!私の使い魔にしてやるって言ってんの!それ以外無いの!」
「嘘だ嘘だ……私一人こんなところに拉致られてるなんて嘘だ……」
夜になってようやく目が覚めたサモンジはこんな調子である。
とりあえず今になってようやく互いに名前を告げ、状況を確認しようと会話を始めたのだが……
ルイズの語る、使い魔召喚の件からサモンジは矢継ぎ早に質問を繰り返し、魔法なんて信じらんない、使い魔って何?等のやり取りの後、通信機を散々弄り回して連絡が取れず、途方にくれて空を見上げれば衛生が二つも見えるのである。
明らかにサモンジがいた蛮王国の衛生とも、その近辺にある居住惑星とも別の星である。加えて言えば、周辺宙域にある居住可能惑星ぐらいは頭に入っている。が、こんな独自の文明を持った隠れ里のような惑星があるとは考えられない。
サモンサーヴァントやコントラクトサーヴァントを行ったことを説明しても、「人間を対象にした超空間移動?あれは『よく似た空間を繋いで瞬時に移動』なんだから惑星重力下の上に大気圏内で行うなんて不可能なんじゃない?」などと意味不明のことを喚いた後は、
魔法なんだからというルイズとそんなの信用できるかというサモンジの押し問答である。しかし、いい加減不毛になってきたと思ったサモンジが先に折れることにした。、
「まあ、魔法で呼ばれたとして、倒れてたのは私一人?私の小隊の部下が3人いたんだけど」
「知らないわよ。サモンサーヴァントで呼び出すのは、基本的にハルキゲニアの生物1体だもん。あんた軍人?それとも傭兵?」
ここまでで、サモンジの頭にはサモンジにとって極めて致命的な重大問題が浮かび、それに占められた。そりゃもうサモンジにとっては、世界が滅びるのと『コレ』を天秤にかけられたら結論を出せないくらい重大な問題。
「じゃ、じゃあ!ルイズさん、ちょっと大事な質問が!」
ガバリ、とルイズの両肩をつかんで真剣な顔になる。
「な、何よっ!」
一瞬気圧されるが、平民如きに、と睨み返す。
173ゼロの独立愚連隊3:2007/11/13(火) 01:14:53 ID:aNbQYQXw

「私のサイクロプスは何処だ?」

変なことを聞かれた。一つ目巨人が、私の?この使い魔の、物?もしかするとこのさえない平民は、凶悪な幻獣を手なずけるような特殊な技能を持っているんだろうか?
そう思ってルイズは問い返す。
「何よ、もしかしてあんた魔獣使いとか、そんな感じの特技持ってんの?」
「いや、私はメック戦士だってば。だから私のメックは?サイクロプスは?ねえ何処っ!!」
頭に疑問符を一杯に浮かべながら、気になる単語を拾う。戦士でサイロプス?もしかして、こいつ実はすんごく強くてサイクロプスをやっつけたところとか?勝利の証としてーとかで探してるのかしら。
そういえばベッドに寝かしたときに色々変な道具を持ってたけど、コートの下に剣が差してあったと思い出す。
「えっと、あんた戦士?とりあえず私が呼び出したのはあんただけよ。その、あんたのサイクロプスは呼び出してないから無いわよ、残念ね」
それを告げた瞬間、ようやく事実を受け入れたサモンジは、まさしく世界が滅んだかのような顔でずるずるとルイズの体から床までへたり込んでベッドからずり落ちる。そしてそのままうずくまってしまう。
「とほほ〜失機者になっちゃた……またなっちゃった……メックが、ない……人生で2回もメックを無くすなんて……」
一気にテンションが下ったサモンジが心配になり、屈んで顔を起こそうとすると、がばり、と飛びつかれた。
「ルイズちゃん?メック戦士はね、メックで戦うからメック戦士なんだよ、メックがないとメック戦士廃業だよ、国から領地取り上げられて一家取り潰しだよ、一家離散だよ!?君が不用意に私を誘拐するからだよ!!」
「おおおおお、落ち着きなさいよあんた!うわっ、汚っ!!」
半泣きで迫るサモンジ、逃げ惑うルイズ。ある意味形勢は逆転している。事態は全く好転していないが。
「ル゛イ゛ズぢゃ〜ん、君、貴族で魔法使いだって言うならこれ、解るよねぇ……メックの無いメック戦士なんて、売り物の無いお店、魚がいない釣堀、剣のない剣士だよお〜」
「ちょっと、ちょっと、あんたさっきから変なテンションで喚くわ泣くわ…私の使い魔なんだからもっとシャキっとしなさいよっ!」
「もうホント、魔法の使えない魔法使いみたいなもんだよー、こけおどしにもならない、張子の虎以下の邪魔な置物ですよぉぉぉおーいおいおいおい……」
ぶちり。
とりあえずまた花瓶でぶん殴った。
そしてひびの入った花瓶を提げて、ルイズは大きくため息をついた。よりによって人間、それも杖を持たない平民である。役立たず以外の何者でもない。どうせこんなことだろうから、とコルベール先生にも何度もやり直しをさせてもらうよう頼み込んでいたのに、
と少々八つ当たり気味にコルベールへ呪いの言葉を呟く。どうやら特殊な能力を持っていない、単なる平民の傭兵か何かのようである。自分が魔法を使うまでの壁にしからならい出来損ないの召使。そう思うと涙がにじんでくる。
私の人生は、今日劇的に変わるはずだった。それが、今になって思えば根拠のない妄想だったと思い知らされる。これが私の現実なのだ。平民でも召喚できただけまし、留年しなかった。でもそれだけ。
ふるいから落ちなかっただけで、次のステップに進む生徒たちを未だふるいの上で見送るだけ………
「だめよ、弱気になるな!だったら私が、私の魔法で見返すのよ…」
そうだ、使い魔の力で皆を見返そうなど弱気もいいところだ。明日からは、なめられないようにこいつを私に従わせて、あとは私の実力で勝負よ!無理矢理にでもテンションを上げて心を奮い立たせる。そうだ、こんなのに頼れるものか!
「よし、まずはこいつのせいで恥をかかないように躾けることからよ!ちょっと、途中になっていた使い魔の心得を………」
返事がない。サモンジは体力度を基準より下げてるので気絶しやすいのである。
ルイズは、使い魔の使えなさに魔法使いの道のけわしさを思い知り、大きくため息をついた。
174ゼロの独立愚連隊4:2007/11/13(火) 01:16:08 ID:aNbQYQXw
「と、とほほ、とほほほほ〜……じ、人生で2回も失機者になろうとはあぁぁぁ〜」
「だから、それはもういいって!ふ、ふん、あんたが前の国の貴族だろうと関係ないわ。あんたが自分で言っちゃったんだもの、こんな遠くじゃ国の迎えも来れないどころか、一生故郷に連絡できないってね。これで私が平民のあんたを一生奴隷にしたって問題ないわ」
「横暴だー、アレス条約を遵守せよー」
やけくそ気味にぶーぶー文句を言う使い魔を後ろに連れて食堂に向かう。使い魔は自分が目を覚ましてもまだ寝ていたので叩き起こした。着替えを手伝わせようとしたが、なんかこいつに下着を見られるのは気分が悪かったので自分で着替えた。
あと、自分のことをやたら子ども扱いする。朝、自分に向かって「ルイズちゃんおはよー」などと言いやがった。しかも、なんど言っても子ども扱いをやめない。確かにこいつの方が相当年上だが、ご主人様に向かってこれはあるまい。
確かに、自分で言ってもなんだが人間を誘拐して奴隷にしているというのは気分が悪い。だがヴァリエール家の三女である自分が留年などという汚点を残すわけにもいかない。おまけに、この男が故郷に連絡できないとなれば誘拐の事実は発覚しない。
そう、この男は孤立無援である。逃げ道は無い。それをいいことに自分は………そこまで考えて、ますます気分が悪くなる。そうだ、こいつが悪い。こいつが召喚されなければ自分がこんなことで悩まずにすんだのに。
「しかも拉致って奴隷って……私、何か悪いことしたかな……サイクロプスは置いたままだけど、誰か家を継げるメック戦士なんていないからなぁ……」
しかも愚痴ばっかりだ。どうやら、こいつはメック戦士という傭兵だったらしい。強いのか、と思ったが「メックが無いとただの人」「メック戦士は生身だと弱いものですよ」などとしゃあしゃあと言われた。
「私だって愚痴りたいわよ、こんなハズレを……まあ、ヴァリエール家のメイジの使い魔になれるってのは光栄なことよ。感謝しなさい。それと、他の生徒に会うまでには立ち直っておきなさい。そんなみっともない姿をさらしたら朝ごはん抜きよ」
そういって先を急ぐ。が、廊下の先に嫌なものを見つける。
「止まりなさい、サモンジ」
「へ?どうしたの、ルイズちゃん」
サモンジが問い返すが、その目をじっと前に据えたまま言葉を発しない。視線の先にいるのは、宿敵ツェプルストー家のキュルケである。少なくとも、いきなり遭遇戦はまずい。向こうは見る限りサラマンダー、こちらは平民のおっさん。勝ち目はその名の通、ゼロだ。
「どうしたの?遅れるよ。私もお腹空いてるし、さっさと朝飯にしようよ」
それに気づかずのんきに自分をせかすサモンジ。まだだ、あれが食堂に入った後、なるべく離れた席に座る。遭遇は授業の時にすればまだ………
「あら、おはようルイズ」「……おはよう、キュルケ」
挨拶を交わす二人。あまり空気がよろしくない。サモンジは居心地が悪そうに視線をそらすと、キュルケの使い魔と目が合う。
「やあ。おはよう」「(グルグル)」
挨拶を交わす一人と一匹。サモンジが握手をするように右手でサラマンダーの喉をなで、左手を頭に当てておじぎをする。サラマンダーは喉を鳴らして応える。
爆笑するキュルケとますます不機嫌になるルイズ。
「あっはっは、ほんとに人間なのね。しかも愉快な」「うっさいわね!」
そう言ってひとしきり笑ってからサモンジを見る。上から下。下から上。ちゃんとすればそれなりに見れるのだろうが、いい加減な服の着こなしにしまらない雰囲気……
「ほんと、あんたにお似合い………お名前は?」
「ん?ああユージン・サモンジですお嬢さん。よろしく」
お嬢さんときやがった。ルイズの目がさらに釣りあがる。しかも、頭を下げながらむ、胸をガン見している。それを知ったキュルケが軽く笑っている。
「じゃあお先。急がないと遅れるわよ」
去っていくキュルケとサラマンダー。キュルケのお尻を視線でホーミングするサモンジ。蹴りを放つルイズ。そして
「あんた飯抜き」
「はぁ!?」
いや、あれは不可抗力で……と言い訳するサモンジを置いて、ルイズはさっさと食堂に行ってしまった。

それを見ていたサモンジがひどく驚いてルイズの肘をつつく。
「あの、ルイズさん。あの人、粘土を真鍮の塊にましたけど…どう見ても重くなってますよね?どういう原理なんですか」
「原理も何も、組成を司るのが土の魔法よ。当たり前じゃない」
さも当然のように答えるルイズと、質問の意図が全く通じないことに頭を抱えるサモンジ。これでは話にならないと思ったのか、やおら立ち上がると手を上げる。
175ゼロの独立愚連隊5:2007/11/13(火) 01:17:25 ID:aNbQYQXw
「はいは〜い、先生しつもーん」
「サ、サモンジ恥ずかしいからやめなさい!」
能天気に手を上げて質問するサモンジ。平民の使い魔が授業に口出ししたということよりも、そのひょうきんな姿に生徒達は大笑いしている。慌てたのはルイズである。自分への質問をやめたと思えば、こんなまねをしでかすとは。
「あ、あなたはミス・ヴァリエールの使い魔……ま、まあいいでしょう。魔法が使えないとしても知識欲があるのは良いことです。どうぞ」
「はーい、黄金は不可能ということでしたがー、錬金の難易度は周期表に従うんでしょうかー。というか黄金より重い鉛の錬金は黄金より簡単なんでしょうかー」
「し、周期表?まあともかく、黄金と比べれば鉛のほうが簡単に錬金できますね。これは金属としての格が錬金の難しさに……」
「ふむ……卑金属と貴金属で分かれるのかな?てことはやっぱり結合しやすい方向への錬金なら簡単ってことなら、段階的に錬金すれば……でも赤土を一発で真鍮ってことは不純物が多すぎるから何度も処理が……」
シュヴルーズの説明に真剣に聞き込み、ぶつぶつと独り言を言いながら考えるサモンジ。置いてきぼりのルイズ。ぶっちゃけサモンジの質問の意図と、今考えていることが理解できない。
本当は他にも、コンマ以下の比率で合金を造り分けられるのか、特定の温度であらわれる相(組織)を常温で生成できるのか、質量を無視して物質を作れるか、核融合物質を容易に生成できるか、といったものも聞きたかったのだが、
今の手ごたえから考えるに十分な答えは期待できないだろう。それにしてもあんな不純物だらけの土を合金に一発で変化させられるなら……などとサモンジが考えていると、ルイズがこちらをにらみながら腕をつねり上げた。
「あっだだだだだ!何すんのルイズちゃん!」
「あんたまだ覚えてないの、人前でルイズちゃんとか言うなって朝言ったでしょ!あと私に断らずでしゃばった真似しないの!」
ルイズはなるべく顔を寄せてこっそり言ったつもりだが、サモンジの悲鳴で目を引いていたのでバッチリ目だってしまっている。当然授業中に目立つ真似をすれば、教師の行動は目に見えている。
「ミス・ヴァリエール!おしゃべりする暇があるのなら、あなたにやってもらいましょう」
その言葉に教室中が騒ぎ出す。何事か、と思うサモンジをよそに周囲のざわめきはどんどん大きくなる。
また失敗…ゼロが……ルイズ考え直して……隠れろ、吹っ飛ぶぞ……
何のことだ、とサモンジが思っていると教卓の前でルイズが杖を構え、それに合わせて他の生徒は慌てて机の下に隠れ始める。直後
爆発。
ものの見事に周囲のものを吹き飛ばし、教室内は大混乱になる。爆心地にいた教師は気絶しているため静止する者もいない。
暴れる使い魔、逃げ惑う生徒とそれを鎮めようとして返り討ちに会う主人、そしてルイズへの罵声。
「ゼロのルイズが!」「成功率ゼロがでしゃばるなよ!」「お前、さっさと退学しろよ!」
それで、ゼロか……それを意識の片隅に残し、今日もサモンジは気絶した。
176ゼロの独立愚連隊6:2007/11/13(火) 01:18:50 ID:aNbQYQXw
「な〜んだ、魔法使えないんじゃない。メックの無いメック戦士と魔法の使えないメイジ、いいコンビじゃない私たち」
罰掃除を手伝いながら、能天気に話しかけるサモンジ。あっはっはーと笑いながら大きなゴミをひとまとめに集めている。目が覚めてみれば、ルイズが罰掃除を言い渡されたそうで一人で掃除を行っていたので手伝うことにしたのである。
まあ、手伝うと言い出さなくても手伝わされたような気がしないでもないが。
気楽に掃除しているサモンジに、ルイズが毒づく。
「何勘違いしてるのよ、私とあんたが同類ですって……馬鹿にすんじゃないわよ、私はヴァリエール家の、三女……」
言葉を詰まらせながら、それでも心が挫けない様にと言葉だけでも強気でいようとするルイズに、サモンジは相変わらず明るい調子で言葉を続ける。
「はっはっは、そういう意味じゃなくって。足りないものがある者同士、いろいろフォローし合える様に頑張ろうってことだよ」
そこまで言って、こんどは逆にサモンジのテンションががた落ちになる。
「そうだ〜私は失機者〜失機者の失は失うの失〜失機者の機はメックの機〜」
変な歌を歌いながら真っ暗な陰を引きながら箒を引きずる。まだ失機者とか言うのを気にしているらしい。
はぁ、とため息を着いた後、勢いよくルイズは立ち上がる。そうだ、この程度で落ち込んでられない。この男はメックというのをなくしたらしいが、私はまだ失っていないではないか!
気合を入れて声を上げる。
「サモンジ!落ち込んでないでさっさと掃除するわよ。今度はちゃんとお昼あげるから」
そうだ、負けるものか!まだ、私は魔法使いになる道の途中なのだ。
自分の気合に釣られてか、サモンジも失機者モードから立ち直る。
「そうだね。ま、私も気に病みすぎか……いつもどおり、気楽にやりましょうか。ま、それはともかく一息入れようか。ルイズちゃんもひとつどう?」
そう言ってサモンジはポケットから何かを取り出すと、パキリ、とそれを割ってかけらをこちらに渡す。チョコレートか?珍しいものを持っている。所詮平民が持てる代物だろうが、せっかくの使い魔の気遣いだ。うけとってやろう、そう思って一息に口に入れる。

……
「なにこれ!!おいしい!こんなものどこで手に入れたの!そ、そういえばメック戦士は貴族みたいなものって言ってたわね、信じるわ!」
「へ?こんななことで信じてくれたの?私の今までの努力は何なのさ……」
軽くへこむサモンジ。と、そこにさらにルイズが突っ込む。
「サモンジ。そういえば今のチョコレートの包み紙、ずいぶん減ってたみたいだけど……」
「ぎく」
「あんた、私が朝飯抜きって言った後、それ食べてたのね………」
「いや、チョコレートを非常食ってのはよくある話で……」
「罰よ!全部よこしなさい、というか使い魔のものはご主人様のものよ!」
そう言って飛び掛ってくるルイズ。避けるサモンジ。しかし、31世紀(とはいえ文明は星間連盟時代に比べれば後退しているが)のチョコレートの持つ中世レベル調理技術とは比較にならない、ミルクと砂糖とカカオマスの生み出す神秘を知ったルイズの食欲には適わない。
ついに右手にしがみつかれ、そのまま一気にルイズが噛み付く!
「あ」
サモンジが制止しようとしたが、一歩遅かった。ルイズは『銀色の』包み紙ごとサモンジの右手からチョコレートを食いちぎり、かみ締めた。



「昼飯抜きよっ!!」
「またぁ!?」
177名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:20:35 ID:RL1H/HJM
ルイズwww
178名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:20:49 ID:B8+7RCQj
奥歯キーン! 支援
179名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:20:57 ID:CGUQ0gw2
>>151
亀だけどTOEにアーチェは居ない!
居るけど居ないぞ!
アーチェはTOPだ!
180ゼロの独立愚連隊:2007/11/13(火) 01:21:38 ID:aNbQYQXw
以上で完了です。
続きはぼちぼちで。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:23:25 ID:B8+7RCQj
たった一人の独立愚連隊GJ!
続き楽しみです。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:25:38 ID:ZnTCPc91
独立愚連隊氏乙
そしてハルケギニアでようやく手にしたメックがシャドウホークとかだったらサモンジ涙目w
183ゼロの独立愚連隊:2007/11/13(火) 01:29:55 ID:aNbQYQXw
ついでに。バトルテック関連は知名度低いだろうから解説。

メックウォリーアリプレイ背景
地球を中心とした500以上の星系からなる「中心領域」領域まで人類の活動圏が拡大した世界。しかし、シュタイナー家、クリタ家、ダヴィオン家、マーリック家、リャオ家それぞれ
継承国家間による第一〜三次継承戦争と呼ばれる大規模戦争を始めとした大戦により文明が後退、恒星間移動や常温核融合技術などの高度技術を喪失し、
それらを利用することはできるが、復元できないという状況に陥る。
争いは今も続き、戦争の主役はメックと呼ばれる十数メートルの大きさに及ぶロボットである。メックを駆る人間はメック戦士とばれ、所属する国家から領地を与えられる特権階級である。
ただし、メックを失うと一転して失機者とよばれ、領地は取り上げあれ、メック戦士に養われていた一族郎党は離散と一気に没落する。
ちなみに、メックの装甲は安いので壊しても大丈夫だが、中枢部品は鬼のように高い。しかも、メック戦士が傭兵として結ぶ契約は、一般的に修理費自前である。
高価な部品を壊すと一発破産、失機者まっしぐらである。

ユージン・サモンジ
エルミート旋風機士団独立中隊所属、後に小隊になり、同隊長。通称「独立愚連隊」
主に西暦3025〜3026年、第四次継承戦争勃発前まで公式に活動。以後ライラ共和国の依頼によりメック工場と合体した航宙艦を基地として活動し、活動記録は残っていない。
3026年時点で30歳。さえない外見と裏腹に、NAISと略され、中心領域全ての中でも最高の、人類宇宙最高学府とも称されるニューアヴァロン科学大学の卒業生。
ただし専攻は農業w
卒業後に義務付けられている10年の奉仕期間を農業技術研究者として過ごすはずだったが、メックを継承していた兄が戦死したため、自分がメック戦士として家を継ぐ羽目になる。
隊長の癖になにやら被撃墜数がトップ、負傷入院も多い。
ちなみに、戦死した兄から継承した先祖伝来のメック「ウォーハンマー」は戦闘の最中に胴体内部の弾薬に敵弾が誘爆、木っ端微塵になって失われる。
いろいろあって現在のメックはサイクロプスとよばれる、大火力低装甲のメック。これも一度大破させたw
ただし、メック戦士としては一流で、 2Dで成功判定を行うゲームなのに、メック操縦とメック射撃の基本値が1という人間。
(熟練兵で操縦4/射撃4)

メック
核パルスエンジン搭載による地上戦の花形兵器。基本的にメックに対抗できるのはメックのみ(あと気圏戦闘機というメックと同じ技術で作られた戦闘機)とよばれるほど。
実際ゲームをやってみると、うっかり戦車の体当たりを食らって撃墜されたり、サモンジのように装甲の隙間に入った敵弾が〜ということもある。壊すのは難しいが、壊れるのは簡単。
20tから100tまでの重量があり、原則重いほうが装甲が厚く、武器も多いため強い。でも公式のメックは設計ミスとしか思えない欠陥メックが多く、重ければ強いとも言い切れない。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:35:03 ID:l4V2CYm/
…タルブの村に零戦ならぬストームプリンセスが眠ってそうだ
メックウォリアー&バトルテック大好き人間なので続きを楽しみにいておりますよー
GJ!
185ゼロの独立愚連隊:2007/11/13(火) 01:41:40 ID:aNbQYQXw
いま気がついたけど、4番の下のほうの改行部分、文章が抜けてたので補完。失礼。


食事が終わって教室に移動する。授業が始まるまでは他の使い魔に驚いていたサモンジだが、いざ授業が始まると以外にも真面目に聞いている。
授業は順調に進み、シュヴルーズ教師の錬金の実演が行われる。赤土を真鍮に変えるというもので、さりげなく自分がトライアングルと自慢している。ムカつく。
186名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:09:59 ID:FiCplA7h
>>179 か、亀がしゃべった
187罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:22:03 ID:Bohk9mN2
こんな夜更けですが2:30頃に投下予約します
188名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:30:02 ID:umNyr2CD
支援
189罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:30:58 ID:Bohk9mN2
「やあ、ごきげんよう。ミス・タバサ」
「…………」

オスマンの陽気な挨拶に、タバサは無言で答えた。オスマンの顔が引きつる。
青いさらさらのショートヘア。表情に乏しいが整った顔立ち。
そしてルイズよりもさらに一回り小さい、小柄な体格。
オスマンはそんなタバサが、怯える子供のように見えたのでわざと明るく振舞って見せたのだが、
どうやらその心配も杞憂だったらしい。
それを知ってオホン、とわざとらしく咳払いをした。

「あー、別に緊張することはないぞ。ワシは君を罰するためにここへ呼び出したわけではないからの」
「…………」

タバサは何も答えない。
オスマンは「やりにくいのう」と心の中で呟いた。

「呼び出した用件は他でもない。昨日君が目撃したであろう光景についてじゃ。覚えはあるかね?」

オスマンの問いに、タバサは少しだけ沈黙を置いて、言った。

「図書館」

ようやく口を開いたタバサに、オスマンは安堵する。

「そう、君が図書館で見た使い魔の一件についてじゃ。君はそのことを誰かに話したりしたかね?」

タバサは首を横に振った。

「うむ。今後もそれを他言してはいかんぞ」

タバサは小さく頷いた。
オスマンはこの少女との付き合い方がなんとなくとわかってきた。

「さて、ミス・タバサ。実は君に、少し頼みがあるんじゃが――」


「オールド・オスマンは何をお考えなのか……」

塔内の階段を移動しながら、コルベールは報告を聞いたオスマンの、最後の言葉を思い出していた。

「監視を生徒にまかせるなどと……たしかに生徒の方が怪しまれずに監視できるだろうが、
もし万が一のことがあったら――おや?」

コルベールは通路の先、学院の宝物庫の前に立つ人影を見た。
それはコルベールの見知った顔だった。

「ミス・ロングビル。ここで何を?」

人影の正体はミス・ロングビル。
日々オスマンのセクハラに耐え続ける、美貌の秘書だった。
190罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:32:57 ID:Bohk9mN2
この日も達哉は一日ルイズに付き従い、午後は図書館に足を向けた。
しかしもうルイズは同行しない。その必要がなくなったからだ。

達哉は先ほどのやり取りを思い出す。

「はい」
「……これは?」
「勉強したんだから、それくらい読めるでしょ」

達哉はルイズが渡した、一枚の紙切れを手に取り、その文面を読む。
途端、その顔に驚きの色が浮かぶ。

「図書館の出入り許可証よ。私が学院に申請しておいたの。本は借りられないけど、中に入って読むことは出来るわ」
「ルイズ……」
「何かあったら私の責任になるんだから大人しくしてなさいよね」

そう言って顔を背けるルイズが、達哉には眩しく見えた。
もっとも今の今まで、昨夜夕食が食べられなくて癇癪起こしたルイズが、
自分を殴り飛ばしたことを根に持っていたのだが。

「ありがとう、ルイズ」

自然と言葉が出た。偽りのない達哉の本音だった。
しかし、なぜかそれを聞いたルイズの顔は赤い。

「どうした?」
「ななな、なんでもないわよ! さ、さっさとその紙持って図書館に行きなさい!!」

わけもわからず、その日達哉は半ば追い立てられるようにして図書館に向かった。
途中、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべるハゲ頭の中年と、
その中年とは不釣合いな若い美女が談笑する横をすり抜けたことは、特に覚えていない。


入り口で司書に紙を見せると、司書は何も言わずに通してくれた。許可証の効力は抜群だった。
これに気を良くした達哉は、意気揚々として図書館の中を探索した。
この日の目当ては伝承だった。もしかしたら、自分と同じようにこの世界に迷いこんだ
異世界の人間がいるかもしれない。それが物語や伝承の形で残っている可能性がある。
もしかしたら帰る方法もそこに載っているかもしれない。
そんな希望的観測に基づく選択だった。

しかし、そんな達哉を見つめる視線がひとつ。

「…………」

学院長であるオールド・オスマン直々に呼び出され、そこで同級生である
ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔の監視を命じられたタバサは、早速仕事にかかっていた。
なんでも学院は、当の使い魔が危険な存在でないかを危惧しているらしい。
だからそれとなく使い魔の様子を見ておいて欲しいというのがオスマンの命令だった。
学院長の命令ならば従うしかない。またこの件はどれほどの危険性があるのかわからないため
実力を見込める人物にしか任せられないと言う。
ならば使い魔の『謎』の一端に触れ、また腕の立つ騎士の称号、
『シュヴァリエ』を持つ自分に白羽の矢が立つのも当然だった。
合理的な理由なのでタバサも特に異論は唱えなかった。

……ついでに言うと、オスマンの言葉に少し安心もしていた。
やっぱり、オバケじゃなかったと。
191罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:35:12 ID:Bohk9mN2
使い魔の名はタツヤ。
達哉はタバサのことなど顔も覚えていないが、タバサは達哉のことをおおよそ把握していた。
彼女自身が達哉に目を向けなくても、『ゼロ』のルイズが呼び出した『平民』の使い魔という風聞は
勝手に彼女の耳に飛び込んでくる。
曰く、変な髪形。曰く、でも背が高くて美形。曰く、ルイズに奴隷のような扱いを受けている。
曰く、やっぱり変な髪形。
タバサにとってはどれも興味のない情報だが、今はそれが活きて来る。
今日もルイズは食事の席で、囃し立てる周囲に怒りを振りまきながら
使い魔に関する説明をいくつかしていた。タバサはそれを反芻する。

なんでもタツヤは、遠く離れた異国から召喚されたらしい。
タツヤという変わった名前も、いつも着ている珍しい服も、
一種独特とすら言える雰囲気も、異邦人となれば一応の説明はつく。
ただし事実かどうかはまだ疑わしい。そんなものは金と手間を惜しまなければ簡単に偽装できるからだ。

またタツヤは、その国では戦士だったと言う。
周囲はバカにしていたが、おそらくそれは事実だろうとタバサは推測していた。
タツヤの身のこなしを見ていればわかる。あれは戦い慣れした者のそれだ。
昨日『光』を出した時の対応も素早かったし、
少なくともタツヤが実戦経験を積んでいることはほぼ間違いない。

そして……だからこそ用心しなければならない。
謎の『光』を使う戦士。仮に戦闘になった時、
そんなものを相手に対メイジ戦の経験がどこまで通用するのかわからないのだから。

タバサは本を読むフリをしながら、注意深く達哉を監視した。

「…………」

一方の達哉も、自分を注視する視線には気づいていた。
『降魔』によって強化された身体能力は五感にまで及ぶ。
『他人の視線』などというあやふやなものも、図書館という静謐な環境ならばたやすく感知可能だった。
ただその視線に敵意が感じられず、どちらかというと探るようなものだったため、
あえて放置することにしたのだ。

……なんでも、平民の使い魔というのは前代未聞のことらしいからな。

達哉は視線の方へ目を向けた。
そこでは青い髪をした小柄な少女が椅子に座り、机に置いた大きな本を読みふけっていた。

今は見てないが、間違いない。あの子だ。

達哉は視線の主が小学生くらいの子供だと知ると、再び本棚に目を戻した。
なぜ学院に小学生がいるのか、それは達哉にとってどうでもいいことだった。
192罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:37:34 ID:Bohk9mN2
悟られた。
タバサは達哉の勘の良さに内心舌を巻いた。
監視しているといっても、もちろんじっと凝視していたわけではない。
あくまでも自然に、ただ何気なく視線を漂わせるようにして時折眺めていた。それだけだ。
なのに、気づかれた。
タバサはこの仕事が一筋縄では行かないことを痛感する。

「…………」

それでも……タバサは監視は継続した。
見ていることはバレたが、その真意までは見抜かれていないはず。
ならば……平民の使い魔に興味を持っているように見せかける。
こうなると向こうは容易に尻尾を現さないだろうが、こちらは常の生活ぶりを知ることができる。
あとは、根比べ。


「…………」

今度は目が合った。
先ほどよりもあからさまな視線を向けてくるようになった少女に、達哉は辟易した。

もの珍しいのはわかるが、俺は見世物パンダじゃない。

しかし文句を言ってやめるとも思えない。貴族はどいつもこいつも自侭で尊大だ。
目当ての本が見つからないことも合わさり、達哉は少しだけイラついた。
それでも表面上はなんでもない風を装って、先ほど手に取った本に目を落とした。

本のタイトルは『イーヴァルディの勇者』。触りを読んでみると、
伝承というより大衆娯楽の色が強いが、その分文字を習ったばかりの達哉でも読みやすい。

……試しにこれを読んでみるか。

達哉は『イーヴァルディの勇者』を片手に本棚を離れ、そして――

「…………」

青髪の少女の、真向かいの椅子に腰を下ろした。
見たければ好きなだけ見ろ、ということだ。

「…………」

タバサは身じろぎもしない。
戦局は新たな場面を迎えた。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:39:46 ID:YVTjFy3s
支援
194罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:41:41 ID:Bohk9mN2
図書館の中は変わらず静かだった。
騒ぐ者は一人もおらず、その一角を通り過ぎる生徒達も、特に異変は感じなかった。
けれども、そこにはたしかに意識された沈黙が存在した。

「…………」

タバサはこの状況でどうすべきか迷っていた。
『好奇の目で見る』のは遠巻きにするのがベストだ。
これだけ近いと見やすいが、見辛い。
しかし逆に考えれば、これはチャンスだった。
この状況なら自然に話しかけ、情報を得ることができる。
もちろん、すべて本当のことを言うとは限らないが、真偽はこちらで慎重に見定めればいい。
ただ問題なのは……自分は話術が得意でないということだった。


「…………」

子供相手に少し酷かとは思ったが、しかし達哉は現状少女に対して何もしていない。
問題が起こっても、責められる謂れはないのだ。
少女は何か言いたげな目を向けてきたが、達哉は応じず読書を続けた。

『イーヴァルディの勇者』は、有体に言えば英雄譚の一種だった。
元の世界で『神』や『キリスト』に相当する始祖ブリミルなる存在から加護を受けた
勇者イーヴァルディは光る左手を持ち、『剣』と『槍』を武器に竜や悪魔などの強大な敵を次々に倒していく。
ストーリー中では時に右手に槍、左手に剣を持っていたりするが、達哉は
「そんなことしても扱いにくいだけなんじゃないか」と無意識につっこんだ。
少なくとも達哉には真似出来ない。
あるいはイーヴァルディというのは筋骨隆々の大男だったのかもしれないが、
それにしては性格とのギャップが多々見られた。
女の尻に敷かれたり、怪物相手に怯えて見せたりと情けないシーンが多かったりと、あまり『勇者』らしくない。
なのにいざ戦いとなると、武器を振りかざして『勇者』と呼ぶにふさわしい活躍ぶりを見せるのだ。

「……どう?」
「…………?」

見ると、青髪の少女がこちらを見つめていた。

「その本」
「……ああ」

本の感想を聞いているのか。
達哉は得心する。

「ああ……面白いかな」
「その話は、平民に人気がある」
「そうか」

どうやら、このまま話を続けるつもりらしい。
この状況で無視するのも気が引けた達哉は、しばし付き合うことにした。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:43:42 ID:/ZyfyDII
支援
196罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:44:04 ID:Bohk9mN2
あまり上等な切り出しとは言えなかったが、なんとか会話に持ち込むことができた。
勝負は、ここから。

「異国」
「…………?」
「遠い国から来たって、本当?」
「まあ……な」
「どこ?」

タツヤは少しだけ迷ったような顔になる。
言いたくないのだろうか。

「……わからない」
「どういうこと?」
「俺のいた国は、少なくともここの地図には載っていなかった。それだけ遠いということだ」

嘘をついているようには見えない。
でもすべて本当のことを言ってるようにも見えない。
……何か隠してる?

「そこは、どんな国?」
「……こことは何もかも違うな。一言では答えられない」
「あなたは、その国の戦士だと聞いた」
「誰がそんなことを?」
「あなたの主人」

なぜかため息をつくタツヤ。

「……俺は戦士じゃない。たしかに多少戦いは経験したが本業は学生、お前達と同じだった」

嘘は言ってない。
でも……

「平民なのに、学生?」
「俺の国に貴族はいない。俺やお前くらいの年齢の子供は皆学校に通っていた」

これには私も驚く。

「信じられない」

思わず言ってしまった。
それを聞いてタツヤはふん、と鼻を鳴らす。

「なら信じなくていい」

タツヤはまた本を読み始めた。
……会話が終わってしまった。
いくらか情報は得られたが、核心に迫るようなものは何もない。
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:45:30 ID:/ZyfyDII
支援
198罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:46:11 ID:Bohk9mN2
「……その本」

……読書の邪魔をするのは主義に反するけど、ここはもう少し聞き出しておきたい。

「どこが面白い?」

タツヤは顔をしかめたが、それでもゆっくりと、
言葉を選ぶようにして質問に答えてくれた。

「……このイーヴァルディという人物は……強い。体もだが、心が」

……珍しい意見だった。

「イーヴァルディは命がけで大切なものを守り通している。
怖くてたまらないと言いながら、最後まで戦い抜いている。
その強さは……見ていて気持ちがいい」
「…………」

タバサは達哉の言葉の中に、ある要素を見出した。

「……あなたは」

ようやく見つけた尻尾。だからタバサは、その尻尾を引っ張らずに入られなかった。

「守り通せなかったの?」

途端、タツヤの空気が一変する。
表情を失い、目が虚ろになり、瞳の奥から底知れない感情が覗く。
それは、タバサもよく知る感情だった。

「…………」

けれど、その姿を見せたのは本当に一瞬のことだった。
すぐに『無表情』に戻ったタツヤは本を閉じ、静かに立ち上がった。
私が見つめていると、タツヤは少し困ったような顔になる。

「……気に障ったわけじゃない。こいつが目当ての本じゃなかった。それだけだ」
「…………」
「異世界に関連した伝承を探してるんだ。……知ってるか?」

……コクリ


少女に待つように言われて、達哉は再び椅子に腰を下ろした。
ただ、ものすごく居心地が悪い。
今すぐにでも立ち去りたいくらいだった。

本の感想を言っただけで、自分の内面を見透かされた気がした。
いや、多分見透かされた。
でなければあんな言葉は普通出てこない。
察しがいいというか、勘がいいというか……
199名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:47:14 ID:/ZyfyDII
支援
200罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:48:54 ID:Bohk9mN2
しかし――

「俺は……守り通したはずだ」

一度は守りきれなかった大切な人の命を、『やり直す』ことで生き長らえさせた。
自分があの世界を離れることで、今も守っていると言える。
間接的でも、守り通していると言えるはずだ。
なのに、先ほどはなぜ動揺したのか?

俺は……守り通せたと、納得していない?
不意に、この世界に召喚された夜に、ルイズが言った言葉を思い出す。

『使い魔は、主人を守る存在であるのよ! その能力で、主人を敵から守るのが一番の役目!』

あの時、達哉は即座に応じられなかった。
感覚の共有も秘薬の採取もできない代わりに、戦う力はあるのに、「守る」と言えなかった。
別にルイズを守ることに対して不満を感じていたわけではない。
宿を借り、『向こう側』へ帰る協力をしてもらう見返りとしては安いくらいだった。

それでも「守る」と誓えなかった。
その理由は……考えるまでもないことだった。

「俺には、これ以上何かを守り通す自信がない。また失うのが、怖いんだ……」

守るということは、失わないということ。
失うことを何よりも恐れる達哉には、その約束は重すぎた。
だからあの時、答えられなかったのだ。

程なくして、少女は戻ってきた。
少女は異世界へ行く話、異世界から人や妖精、怪物がやってくる話を扱う本数冊を手渡してくれた。
達哉は礼を言った。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:49:23 ID:/ZyfyDII
支援
202罪深い使い魔:2007/11/13(火) 02:51:15 ID:Bohk9mN2
タツヤは礼を言ったが、これはせめてもの謝罪だった。
自分の領域に土足で踏み入られることを何よりも嫌う自分が、
他人の領域を土足で踏み荒らしてしまった。
その謝罪だった。

本を受け取ったタツヤは早速一冊を手に取ると、それを黙々と読み始めた。
『イーヴァルディの勇者』を読んでいた時よりも、空気が重い。
とても娯楽のために本を読んでいるとは思えない。本が好きで読んでいるわけではないのだろう。
多分、何かに追い立てられている。

でも、何に?

「…………」

タバサも腰を下ろし、本を読み始める。
もうじろじろと見つめたりはしない。
正直、見ていたくない。
今タツヤを見ることは、自分の傷を見ることに等しく感じられた。
それでも、この場を離れる気にはなれなかった。

それから夕食まで、二人は一言も言葉を発することなく本を読み続けた。


ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、タツヤ。
その正体には未だに謎が多い。
けれど、ひとつだけわかったことがる。
それは、彼もまた大切な何かを失い、今なお孤独に打ちひしがれている者の一人なのだということ。

翌日、タバサはオスマンに、「彼に危険性はない」という報告を届けることになる。



投下は以上です、支援ありがとうございました
203名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:52:02 ID:/ZyfyDII
乙かれGJでした
204名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:53:59 ID:Gq3Ncbn9
GJ
こいつはいい心理描写ですね
205名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 04:32:53 ID:XLnHcytF
全く関係ない話になるがゼロ魔世界の魔法ってどっちかというと体系化された超能力に感じる。
使用に必要なEが魔力じゃなくて精神力なのは超能力では有る意味当たり前(脳が基点だから)。
貴族の血筋でなければ魔法が使えないのはその遺伝子が通常の人類と著しく差異が有るから。

詰まる所、メイジとは6千年前に宇宙人ブリミルによって遺伝子レベルで改造された超人類の末裔なのだよっ!(ナンダッテーッ!!
・・・もしかしてとっくに終わった話題だったり?
・・・時代に乗り遅れた男と嗤って下さい。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 04:38:25 ID:y3rSux80
なにそのFSSの騎士やダイバーみたいな設定
207名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 04:49:19 ID:Oub3jBR4
独立愚連隊が独立機関銃隊に見えた。
疲れてるな。

九二式重機が七万を薙ぎ倒すのは見たい気がするが。
208名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 04:58:07 ID:fa2ixEb2
>>205
超能力……。

つまり、ブリミルは超人ロッ(ry
209名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 05:13:39 ID:C7AWPMn8
>202
GJです!
こんな早い段階でタバサが達哉に接触してくるとは思わなかった
ギーシュとの決闘もなかったし、意外な展開が楽しめます
タバサがペルソナの力を知ったら、どうなるかな〜?
210名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 05:44:51 ID:Gq3Ncbn9
そもそも魔力と精神力ってどう違うんだw
超能力って意味的に魔法も超能力だと思うんだぜ
三行目は同意
211名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 05:53:12 ID:EThvgQRR
>>179
おお、凡ミスしてた。

それよりも気になるのはルイズの麻衣への反応だったりするが。
先住を使う亜人で、ネコ科なら大体は従えられるし。平民とはいえ同年代。
212名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 06:11:53 ID:1cjJEKyX
>>211
初期のルイズだし、特に高級そうには見えない牙のペンダントを麻衣が大事にしていると知って、
何かの罰として取り上げて麻衣を怒らせるとかは平気でなると思う。麻衣編の最初に出てきた先輩みたいに。


それに、麻衣は結構胸があるというか、発育が早いらしいしな………。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 06:16:29 ID:IPIvEPh9
たっちゃんの人GJ!
日常の描写が好きなんだぜ。
しかしおとなしい者同士だと話し進まないなwww
214名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 08:26:35 ID:D7I4fGiJ
>>207
啄木鳥機関銃よりも、伝説の四〇糎噴進砲を・・・

科学自体はほとんど発展してないしなぁ、この世界
2150 to 2:2007/11/13(火) 08:48:36 ID:mEj1pid8
今から投下おkでしょうか?
216名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 08:52:04 ID:1mTD/7p+
カムオン!
217名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 08:54:37 ID:Ump6mOeS
支援
218名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 08:54:40 ID:KfDtR8xW
平日朝でも普通に人がいる不思議支援
219名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 08:57:49 ID:Ump6mOeS
講義開始前で暇だから

支援
220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 08:59:18 ID:UIY0S18J
cadの裏側から支援
221名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:01:37 ID:KfDtR8xW
タウンワークをめくりながら支援
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:02:15 ID:1mTD/7p+
徹夜で仕事しながら支援
223名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:03:07 ID:Ump6mOeS
早く投下しないかな…
支援
224名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:06:08 ID:KfDtR8xW
なんかトラブル? それか用事出来た?
支援
2250 to 2:2007/11/13(火) 09:08:31 ID:mEj1pid8
「ん、なあに? 聞きたい事? ……ああ、それは太陽ね。朝になると昇るし、夜には沈むわ。
あれがないと農作物は育たないし、皆からも元気がなくなるし……え? あれ? あっちは太陽じゃないわ。あれは……」

月明かり差し込む部屋に、少女の声が響いている。ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの声だ。
一見延々と独り言を続けており、見るものが見れば、ヴァリエール家のご令嬢の……あるいは、出来そこないのゼロのルイズの気が、遂に触れたと思ってしまうだろう。
だが、それは独り言ではない。
会話相手の声は、ちゃんと響いていた。――ルイズの頭の中だけに。

一体、どうなっているのだろうか。
話は、二人が出会った日まで遡る。
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:09:24 ID:KfDtR8xW
子育てルイズ支援
2270 to 2:2007/11/13(火) 09:10:35 ID:mEj1pid8


『ここは、どこ? ボクは、だれ? どうしてボクは、ここにいるの……?』

そう囁く声を聞き、流石のルイズも飛び上がるほどに驚いた。
「あ、貴方……お、起きてる、の?」
確かミスタ・コルベールは、彼が胎児にも等しい状態だと言っていた。そしてその命は脆いとも。
だが、彼は生きていた。目は閉じているし、身体も水の中で丸めたままだが、生きていた。
「ねえ! もう一度、もう一度でいいわ! 何か言って!」
ルイズは水槽に顔を押し付けそうな勢いでかぶりついた。

『……キミは……なあに?』

使い魔が――しかも、まだ言葉も覚えていないであろう胎児が言葉を発した。
韻竜か、何らかの先住魔法なのか、はたまたルイズも知らぬ未知の力なのか。
あの状態から持ち直した事も驚きだったが、こうして口を利いたことも驚きだった。
ルイズは唾を飲み込み、
「わ、わたしは、ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……あなたを呼び出したメイジよ」
と、名乗った。
『…………る、い、ず?』
まただ。また、聞こえた。おまけにその言葉は、ルイズの頭の中に直接聞こえてきた。
しかも、話しただけではない。ルイズの存在を認識し、その言葉に答えたのだ。
緊張なのか恐怖なのか、あるいは興奮なのか。ルイズの額を汗が伝った。
「そ、そうよ。ルイズ。それが、わたしの名前。……言ってみて?」
『る、い、ず……るいず……ルイ、ズ?』
「そう! ルイズ!」
ルイズ、ルイズ、と、覚えようとするように復唱する「彼」。
やがて彼は、
『うん。おぼえたよ、ルイズ』
と答えた。そして、
『ねえ。ここは、どこ? ボクは、だれ? どうしてボクは、ここにいるの?』
そう、無邪気な――しかし不安げな声で、そう尋ねてきた。
どうやら、知能は高いらしい。ルイズはそう判断すると、質問に答え始めた。
「ここは、トリステイン魔法学院の医務室よ。貴方は……」
先ほど決めた名前を、告げる。
「……ブロン。貴方の名前はブロン。わたしが召喚した使い魔よ。ここにいるのも、わたしが貴方を呼んだから」
その白い身体を見て、思いついた名前だった。
『ブ、ロ、ン? ツ、カ、イ、マ? それが、ボク?』
「そう! そうよ、ブロン!」
解ってくれたらしい。ルイズはなんだか嬉しくなった。
彼は、ブロンは、生きている。こんな状態でも、彼は生きていてくれる。しかも、お話をすることが出来る。
『コントラクト・サーヴァント』はまだ出来ないだろうが、それでもルイズは嬉しくなった。
が、しかし。世の中そんなに甘くないのが常である。
『じゃあ、ルイズもツカイマ?』
ルイズは思わずズッコけざるをえなかった。
「違うわよ! わたしはメイジ! 魔法使いで貴族で、貴方のご主人様!」
『……???』
混乱したような気配が返ってきただけだった。
「……まあ、あなたはまだ小さいしね。これから教えてあげるわ。時間はまだ、沢山あるし」
意思疎通には困らないようだし、表に出てから苦労しないように、色々教えるのはいい事かも知れない。ルイズはそう思った。
途端、ルイズの中に弾んだ思考が飛び込んできた。
『ほんと? あのね、ルイズ。ボク、もっと、いろんなことしりたい!
じゃあね、ルイズ。あのねぇ、ツカイマって、メージって……いったいなんなの?』
ルイズは咳払いをひとつすると、かつて自分が教わってきたことを思い出しながら、話しはじめた。
「それじゃ、教えるわ。そうね、まずはこの国の事から教えたほうが分かりやすいかしら」
『うん! おしえてルイズ!』
228名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:11:26 ID:KfDtR8xW
支援
229名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:13:07 ID:KfDtR8xW
支援
230名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:14:47 ID:KfDtR8xW
支援
231名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:16:25 ID:KfDtR8xW
支援
232名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 09:18:51 ID:KfDtR8xW
支援
2330 to 2:2007/11/13(火) 09:19:18 ID:mEj1pid8
この世界の事、メイジの事、使い魔の事、学園の事、自分の事、そして、ブロンの事。
教える事は多すぎて、とても一日で伝えられることではなかった。
それにルイズの本業は、あくまで学生である。いくらゼロと呼ばれようが、魔法が失敗しようが、日々勉強し、立派なメイジ、貴族を目指すのが本分だ。
だから結果的に、夕食後から消灯までが、この小さな学校の時間となった。
ブロンの物覚えは目覚しかった。好奇心も強く、何かを学ぼうとする意欲も申し分ない。
一を教えれば十を知りたがり、百、千と知りたがる。
ルイズというたった一つの接点を通じ、ブロンはますます賢くなっていくようだった。
そしてルイズもブロンに教えていく中で、また新しい見方を発見していった。

そして、今に至る。


「あれは月よ、ブロン」
『つき? ねえルイズ。どうしてつきはふたつなの? おひさまはひとつなのに。どうして?』
「……うーん」
『ねえねえ、どうして? どうしておつきさまはふたつなの? ねえ、ルイズったらあ。ねえ!』
「それは……また今度調べとくわ」
『そう? あ、それからね、ルイズ。あのね……』


気がつけば二人は、メイジと使い魔の関係ではなく、むしろ姉と弟、あるいは母と子のような、より近しい関係になっていった。
たとえ少しの間だけだとしても、互いに教え、教えられることで、その絆はより深く固いものへと変わっていった。
しかし。
昨日の敵は今日の友という。が、今日の友は明日も友とは、限らない。ましてや、双方心や主張を持っているからこそ、永遠の絆はそうありえることではない。
二人は、まだ。それに気づいていない。
2340 to 2:2007/11/13(火) 09:20:24 ID:mEj1pid8
以上です。宣言から投下が遅れて、ご迷惑をおかけしました。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 10:58:05 ID:8n4oqsJ9
>>210

魔術書なんか読む限りだと、イメージ力が伴うと魔法力になって、
それが無いと気とか生命エネルギーって事らしい。

たとえば、炎の神様召還しようとするやん?大魔法使いみたいなのだと、
ありありと炎の様をイメージし、そのイメージの形道理に、生命エネルギーを
投入して、なんか作ると。

一般人だと、手が何か熱くなったりはするけど、ちょっとした自己暗示の域をでないなんて感じ。
数学思考が高い人だと、図形をかなりリアルに頭の中で描いたりとか、素質無い人には無理なような
こと出来るそうだが、そういう感じのことなんじゃないかと勝手に思ったもんだが。

236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 10:59:24 ID:cYZidGxD
乙カレー

ん〜なんか良い感じ
こういう奴隷と主人じゃない
友人とか、家族とかいう関係は、見ててほのぼのする

決して私の心がすさんでるからじゃない
237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 11:39:07 ID:5KSD3aIb
インプリティングなんだろうな親子っぽいのは
ほのぼの展開の裏に潜む不安要素にwktk
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 13:09:57 ID:5qgo+2b7
>>205 改造された超人類の末裔
それなんてX−MENですか−
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 13:39:16 ID:pBP6fEUc
>>238
つまりジャガーノートを召喚しろと?
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 13:54:24 ID:zyxOBzrW
>>210
ゼロ魔の魔法のモデルになったソードワールドRPGだと、
魔術とは世界に存在するマナと呼ばれる魔力を消費して、さまざまな現象を発生させるものを指すようです。

魔術師は自分の精神力を消費して必要なマナをかき集め、そのマナで魔術を発動させるようです。

魔術師はレベルが上がり魔術に熟達していくにつれて、
同じ呪文でも消費する精神力が少なくなっていくのですが、
ソードワールドにおけるマジックアイテムの大半や大掛かりな魔術装置は使用者の精神力ではなく、
直接マナを使用して効力を発生させているようです。

魔術師の精神力と魔術の効力のつりあわなさからして、
ゼロ魔でも直に精神力を使用しているのではなく、
ワンクッションおいてより膨大な外部の魔力を利用している、と仮定しても無理ではないでしょう。
あくまで考察にすぎませんが。

(これ以上詳しい考察は避難所の該当スレで)
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 14:55:35 ID:Pb9XaxRM
>>240
ゼロ魔の魔法のモデルがSWとは、どこの情報かね?
242【女帝】代理:2007/11/13(火) 14:58:24 ID:PYLc6Yyd
道が開いているようなので代理投下

785 名前:ゼロの女帝 投稿日:2007/11/13(火) 14:29:14 [ OFzqpDbE ]
第二話 その一

彼女は・・・神木・瀬戸・樹雷は屋根に座って杯を傾けながら星を見ていた。
主たるルイズの世話をするうち仲良くなったメイドのシエスタやコックのマルト−に貰った酒は正直、以外に美味しい。
樹雷の酒になれた自分の舌に合う酒がこんな未開の、辺境の地にあるとは思わなかった。

二つの月、というのは別に奇異には思わない。
樹雷の一員として幾多の星を巡り、様々な風景を見てきた。
97の衛星を持つ星があれば二つの衛星リングを建造している星もあったのだから。

しかし今彼女が思いを巡らせているのはルイズの事だ。
否、ルイズを正しく導く義務を持っているはずのコルベ−ルという教師の事だ。
錬金とやらの授業を見て、ルイズが失敗するのを見た。
そしてその後、コルベ−ルがルイズに対して行った補修とやらもみた。
正直この世界の魔法なるものは今ひとつ理解できない。
だがあれは違う、と感じる。
コルベ−ルは、ルイズが集めたエネルギ−をわざと制御出来ないよう煽り、故意に歪めて
暴発するよう仕向けたのは間違い無い。

ただ・・・それが何の為なのか。
悪意ではなさそうだ。
ルイズに敵意を持っているとも思えない。
機会があったら問いただしてみるべきか

杯を干しながら、彼女は推測を立てていた。
優しい、実直で生徒思いな教師の             真意を。
243【女帝】代理:2007/11/13(火) 15:00:19 ID:PYLc6Yyd
786 名前:ゼロの女帝 投稿日:2007/11/13(火) 14:29:54 [ OFzqpDbE ]
その二
 
さて、召喚の儀式から数日が経った。
当初、いかなる騒ぎになるのかとハラハラしていたルイズだが、以外に普通に周囲に溶け込んでいるセトに
安堵と困惑を感じていた。

「ねえ、セト。あなた随分手馴れてるようだけど」
「こう見えても主婦ですからね、家事とか色々お手の物よ」
そういって笑いながら炊事選択掃除をするセト。
メイドやコックたちとも随分打ち解けてきたようだ。
 
コルベ−ル先生は、時折彼女を監視?   影から密かに見守っているようだけど。
「先生、何そんなにセトを見つめてるんです?
 ひょっとして恋ですか?」
「・・・・・・いえ、彼女は・・・危険ではありませんが・・・恐ろしい人です。
 多分・・・相手を『殺さない理由が無い』という理由で殺せる狂気を有している。
 しかも、その狂気を制御できる人だ」
「?」
「あなた達には判らないでしょうし、判らないほうが幸せではありますがね
 戦場・・・いやあらゆる状況において自分の狂気を制御できる人というのが
 もっとも邪悪で、もっとも凶暴で、もっとも恐ろしく・・・そして最後に生き残る」
 
そんな先生の言葉を思い出しつつ、食堂でウェイトレスとして皿を運んでいるセトを見ながらクックベリ−パイを食べていた。
ど−でもいいけどセト、その年でメイド服はちとイタ「ルイズちゃん、何かよからぬこと考えてない?」
そ、そそそそ、そんな、めっそ−もありません

などとやっていると、向こうの方で騒ぎが起こった。
「二人のレディの名誉が」とか「君が機転を利かせて」などといった声が聞こえる。
あの色ボケギ−シュが二股ばれて、通りすがりの平民に責任なすりつけようとしてるんだろう。
やれやれ。
正直わたしは、この数日で随分変わったと思う。
魔法は使えない(らしい)けどなにかとてつもない、と思わせるセトに聞かせてもらったお話。
空気の無い海での悪党との戦い、優しい少女との友情、麗しいハンサムとのラブロマンス。

・・・・・・それがどの程度本当なのかは置いておいて、ハルケギニアにおいて至高の能力とされている魔法など
一歩外に出れば宴会芸の一つでしかないのだ、と理解した。

そして、彼女の紹介で幾人かの、かつて平民と蔑んだ人達と友達になれた。
マルト−なんかスゴい。
炎の魔法を自在に操るより美味しい料理を作ることのほうが数万倍偉いのだと、今は理解できる。
そして、最初に友達になってくれたメイドのシエスタに、あいつは言いがかりをつけてるようだ。
ここは一発、バカにふさわしくシメてやらねばなるまい。

244【女帝】代理:2007/11/13(火) 15:02:31 ID:PYLc6Yyd
「で、なぜあなたがしゃしゃり出てくるのかね」
「だって、あんまりギ−シュちゃんが無体な事ばかり言うんですもの」

どしゃあ!
豪快に食堂の床にイチロ−ばりのスライディングをかます。    ところでイチロ−って誰?
「何やってんのよセト!」
「ああ、いい所に来てくれたよルイズ。彼女を何とかしてくれないか」
いつのまにかシエスタに代わってセトがギ−シュの相手をしていた。
「でもね、このコがあんまり聞き分けないから」
「平民風情が貴族を子ども扱いするな!」
「あら、駄々こねちゃ駄目よ、良い子良い子」
「やめないかぁ!」

ありゃ馬鹿にしてるというか怒りを煽ってるというか・・・わざと怒らせてるように見える。

「こんな侮辱は我慢出来ない!決闘を申し込む!」
「おおっ!」
 
いやおでれ−た。
あのヘタレのギ−シュが平み・・・魔法を使えない人相手とはいえ決闘を申し込むほど度胸があるとは。
セトがあのホラ話の数万分の一でも強いのならヘタレ程度恐るるに足らないのでしょうけど。
「よろしい、その決闘受けましょう!   ルイズちゃんが」
「あたしスかぁ?」
「そ−よ、ルイズちゃん。使い魔といえば主と一心同体。
 主の危機は使い魔のピンチ。使い魔のおやつは主のおやつ。ならば使い魔が申し込まれた決闘は主が受けたも同然でしょ」
へ?そうなの?

ギ−シュも、何者とも知れない平民よりは無能とはいえ貴族と決闘した方が聞こえが良いって考えてるのが
見え見えな嫌らしい笑顔をしてる。

あんな笑顔は許せない!
「いいわ!その決闘、このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが受けた!」



あれ?何でこんな事になっちゃったんだろ・・・
245【女帝】代理:2007/11/13(火) 15:04:00 ID:PYLc6Yyd
734 名前:ゼロの女帝 投稿日:2007/11/13(火) 14:21:46 [ OFzqpDbE ]
以上です。
本日はここまで、という事で


─────
以上です。

「改行が多すぎます」といわれたので適当なところで切らせていただきました。
246サーヴァント・ARMS:2007/11/13(火) 15:31:59 ID:Xfyaw3kv
誰も投下する人が居ないみたいなので、第2話逝きますね。





「分かった。それなら俺はルイズの使い魔になろう」

使い魔として召喚された事についての説明を聞いた涼のルイズへの返答は、この簡潔な一言だった。






       サーヴァント・ARMS:第2話 『異界』マジックワールド






話を聞けば、涼達3人ともここトリステイン魔法学院に運ばれる前に、既に目の前の少女達が契約の儀式を交わしてしまったそうだ。
その証拠として、3人それぞれの左腕に引っかき傷に似たルーンが刻まれている。
ARMSが復活している以上特定のもの――ジャバウォックの爪やナイトの『ミストルテインの槍』といったARMS殺し――
――を除いて傷跡が残る事はありえないのだが、一向に消える事が無い以上、契約の印である特別なものとして認めざる負えないだろう。

なお涼の左腕に刻まれたルーンを見たある教師が不思議そうに首を捻っていた時があったが、その時気絶していた涼は知る由も無い。


「にしてもよ、高槻。お前本当にあのルイズって奴の使い魔やる気か?」
「仕方ないだろ、もう使い魔のルーンってやつを刻まれちゃったんだし・・・それにこの世界でカツミと恵を探すには、それなりのコネとかがあった方がきっと役立つと思うからな」

異邦人どころか異世界人である彼らに、この世界にコネと呼べる物は有る筈も無い。
最初にカツミを追いかけた時はブールメンという大規模な反エグリゴリ組織の助けを借りても途轍もない苦労と労力をかけたのだ。協力者の存在の重要さは嫌というほど理解しているつもりである。
ならばせめて使い魔として涼達を呼び出した少女達とそれなりに友好関係を結び、彼女達のコネを利用させてもらった方が0から始めるよりはよっぽど良い。
なんでも彼女達は貴族、つまりこの世界の支配階級らしいからそれなりの力やコネは持ってるだろうし。

ちなみに、呼び出した少女達と呼び出された涼達のそれぞれの組み合わせはこうだ。


涼(ジャバウォック):『ゼロ』のルイズ

隼人(ナイト):『微熱』のキュルケ

武士(ホワイトラビット):『雪風』のタバサ

行方不明:カツミ、恵


ARMSが復活している理由は不明だが、共振を感じた以上カツミはどうかはともかく恵もこの世界にやってきている可能性は高い。
ちなみにARMSについてはルイズ達に説明していない。
ここが異世界であっても、気軽に話しても良い力ではないのだから。
だから今現在、彼女達が涼達を見る目は『変な格好の平民の使い魔』といったところか。
247サーヴァント・ARMS:2007/11/13(火) 15:33:09 ID:Xfyaw3kv


「でも今頃、父さん達や麻耶が心配してるだろうなぁ・・・」
「ジジイやアルはともかく、キャロルの奴今頃大慌てしてるかもな」
「うちの母さんは・・・どうだろ。全然慌ててないような気がする」
「「まあ、美沙さん(ちゃん)だし」」

「リョウ!何いつまでキュルケの使い魔なんかとお喋りしてるのよ!さっさと寝るわよ!」
「ハヤトー、今日はもう私疲れちゃったから速く寝ましょー」
「・・・寝る時間」

3人が3人、それぞれ主人となった少女に呼ばれて、廊下の端で顔を見合わせる。
今居るのは学院女子寮の廊下、既に就寝時間になって人気の無い石畳の通路に少女達の声はえらく響いた。

「とにかくまずは情報を集めてからカツミ達を探そう。変える方法は後回しだ」
「だな。また3人からのスタートだ、さっさとカツミと恵を見つけて元の世界に返ろうぜ」
「うん。これからも頑張って行こう」

右手を掲げて、3人で打ち鳴らす。

比喩でも何でも無く、言葉通りの意味で再び元の自分達の世界へと戻る為に、少年達は動き出す。



「うわ、る、ルイズ、何脱いでるんだ!?」
「着替えるからじゃないの。じゃあこれ、明日になったら洗濯しといて」
「・・・この世界の女の子って皆こうなのか?」

「ふーん、ハヤトってこうして見ると結構イイ男よね」
「ん?そ、そうか?(目を逸らしつつ)」
「ふふふ、ねえハヤトー、私と一緒のベッドで寝てみない?」
「は、ハア!?」

「・・・・・・えっと・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・おやすみ」
「あ、うん。おやすみなさい(無口な子だなぁ)」



・・・頑張れ少年達。


248名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 15:35:36 ID:gvv3vxdT
支援
249サーヴァント・ARMS:2007/11/13(火) 15:39:08 ID:Xfyaw3kv
ルイズに渡された毛布に包まっていた涼は、学生服姿のままパッチリと目を覚ました。
白い下着が散乱しているのを見て、溜息をつきつつもベッドへと近づく。

「ルイズ、朝だぞ、起きろー」
「はにゃ?そ、そう・・・ってあんた誰?」
「涼だよ、高槻涼。ルイズが俺を召喚したんだろう?」
「ああ、そうね、私が召喚したんだっけ」

ルイズは寝ぼけ眼のまま身体を起こして命令する。

「服」
「ん」

椅子にかけてあった制服を渡した。
ルイズがだるそうながら躊躇い無くネグリジェを脱ぎ始めたから、涼は素早くそっぽを向いた。

「下着」
「いや、それぐらいはさ・・・」
「そこのー、クローゼットのー、1番下の引き出しに入ってる」
「やれやれ・・・」

―――これじゃ使い魔じゃなくて召使いじゃないか?―――
ルイズの方を見ないで気配だけで適当に選んだ下着を投げ渡す。少し衣擦れの音が続いたかと思うと、

「服」
「さっき渡したろ?」
「着せて」
「いやいやいや、そりゃちょっと色々と拙くないか?」
「平民のあんたはしらないでしょうけど、貴族は下僕がいるときは自分で服を着ないのよ」
「召使いどころか下僕かよ・・・」

計画に色々と変更を加えた方が良いかもしれない、と涼は頭痛を覚えながらそう思った。
彼が内心深々と溜息をついてしまっても、それは仕方の無い事だろう。


「「お」」「「あ」」

着替え終わったルイズと涼が部屋に出ると、同じタイミングで別の扉から隼人と彼の主人となった炎のような赤毛の少女が姿を現した。
隼人の方は何故か目の下にくまを作っていたが。

「よう、おはよう隼人・・・えらく眠そうだな」
「まあな・・・色々あったんだよ、俺の方はよぉ」
「そ、そうか」

一晩でかなり消耗した様子の隼人に柄に無く一瞬邪推な事を考えてしまう涼。
なにせ隼人の主人となったキュルケという少女は、一言で言えばスタイル抜群お色気ムンムンな褐色の肌の美少女なのだから。
隼人も高校ではかなりモテていたが実際の中身は硬派で純情な少年である。
そんな彼だ、普段から(多分きっと)色気を振りまいている少女の寝室で2人きりという状況で、普段通り寝れる訳無いだろう。
・・・実際、涼の想像はドンピシャである。
静かに友情を確認し合っている少年達のすぐ隣では、その主人達が姦しくも廊下の真ん中で舌戦を繰り広げていた。

実にいい迷惑である。
250サーヴァント・ARMS:2007/11/13(火) 15:41:01 ID:Xfyaw3kv

隼人に続いて武士も青い髪の少女と共に現れた。
武士の主人となったタバサという少女はキュルケとは正反対のタイプだ。
まさしく火と氷、水と油に似ているが、実際には2人は親友らしい。
こちらの場合、心なしかキュルケ・隼人ペアとは逆に主人の方が眠たそうだ。

「・・・」
「ほら、髪の毛とかまだ寝癖がついてるよ」
「・・・・・・気にしない」
「いや、気にしないじゃなくて女の子なんだし、髪形整えておいた方が良いよ。ほら」
「「・・・・・・・・」」


―――何だろう、この2人を包むのほほんとした空気は?―――


「何つーか、武士の奴が保母さんか何かに見えるぜ」
「そういえば武士って妹いたからなぁ。その関係じゃないか?」

タバサの髪を梳いてやる武士の手つきは、何故か手馴れた雰囲気を感じさせるのだった。


――――巴武士、スキル『面倒見のいいお兄ちゃん属性』持ち――――


そしてまだ、ルイズとキュルケの口論は続いていた。
251サーヴァント・ARMS:2007/11/13(火) 15:42:12 ID:Xfyaw3kv

朝食の時間だという事で、3組計6人で食堂へと向かった涼達ではあったが。
ルイズ達は普通に席に着き、隼人と武士の席もそれぞれキュルケとタバサが使用人に言って厨房の方で準備させていたので2人はそっちに向かう。

しかし。

「あんたの分は、こっち」

ルイズは涼を伴って食堂に連れてくると床を指差した。
異世界初めての涼が食べる食事は、硬そうなパン2つに具の殆ど無いスープのみ。
・・・ああ不憫なり。

「あのね、ほんとは使い魔は、外。あんたは私の特別な計らいで、ゆ『ガツッ!!』〜〜〜〜!!」

最後の1文字は、背後から飛んだ鉄拳に遮られた。
ルイズのあんまりと言えばあんまりな行いにいち早く鶏冠に来たのは
当の本人である涼ではなく仲間に対しては情が厚く短気な隼人の方だった。武士も居る。

分かれた涼が気になって一緒に食べないかと誘いに来たのだが・・・

「ふざけんな!人に食わすモン位もっとマシなの出してやれ!」
「〜〜いい加減にしなさいよ!キュルケの使い魔の平民の癖に何度も何度も・・・!」
「ねえルイズ、幾ら殴ってきたのが色々因縁のある私の所の使い魔なのは置いといても、そんな貧相なの出すなんて酷くないかしら?」
「同感」

キュルケが少し怒りのこもった鋭い視線でルイズを睨んだ。
タバサもいつもより5℃ほど冷たい眼差しでルイズを見た。
隼人がもしまたおかしな事を言ったらもっぺんぶん殴るとばかりに拳を握り締めている。
この面子では1番温和といえる武士も3人よりはマシだが怒ったように眉を寄せてまっすぐルイズを見ている。

頭ごなしに叱られるよりも、無言のプレッシャーの方が効果が高い時もある。
ルイズは俯いて、黙りこくってしまった。

「・・・別に用意してくれたんだから俺はこれで良いよ」

とっても居た堪れないこの場の空気を壊したのは、当の被害者とも言える涼本人の一言だった。
まあ涼自身も思う所は色々あるが、他の生徒達の視線が集まり始めたのが気になってきたので言ったのだが。

「それに昔っからキャンプとかで粗食には慣れてるしさ」

昆虫だって試食済みである。

「まあ次からはもう少しまともなのにしてくれれば俺は別に良いからさ、隼人も武士もキュルケもタバサもそこまで怒らないでくれ、な?」
「・・・ったく、わーったよ。変な所で甘いんだからな、お前ってよ」
「そこが高槻君の良い所なんだけどね」
「へえ、よかったわねルイズ。彼が寛大で」
「・・・・・・・・」

隼人と武士は改めて厨房の方へと朝食を取りに行ったが――――



ルイズの周囲に立ち込める気まずい空気は結局、最後まで涼が貧しい食事を取り終えても完全に霧散する事は無かった。
252サーヴァント・ARMS:2007/11/13(火) 15:46:44 ID:Xfyaw3kv
今回はこれで投下終了・・・妙な電波が入ったな。
この分だと隼人の属性は『鉄拳兄貴』で涼は『頼れるお兄さん』になったりして。
ニュアンスの違いって結構おっきいです。そしてもっと話を進めたいのに進めなくてorz
253名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 16:04:01 ID:BJh3SPcU
スレイヤーズあたりだと魔法=気合力だったな
さしずめルイズは空回りが世界でも屈指なので虚無の魔法を使えるというような解釈になるか
254名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 16:04:45 ID:C00SaKmo
GJ!
いいと思いますよ〜
雰囲気が好きですw
255名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 16:19:43 ID:pBP6fEUc
女帝代理の人、おつかれさまっす。
瀬戸さま楽しんでやがるな?(w

ARMS三羽烏のひとも乙ですー。
流石にあの朝食は隼人が怒るよなぁw。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 16:21:27 ID:IwdwAblD
>>253
虚無属性の連中はジョゼフも乳革命も人生的に空回りぎみだからな。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 16:39:02 ID:pBP6fEUc
三人揃って自分のせいじゃないのに空回り、なのがまたなんとも。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 17:05:54 ID:KTRo4Pvk
遅レスだが「罪深い使い魔」8話までいってルイズが達也の力に気づかないってけっこう珍しいんでは?
それにしても7話はルイズの横暴さがよくわかる話だ。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 17:44:37 ID:GzWKRoYr
50分ぐらいから小ネタ投下してもいいかな?
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 17:46:40 ID:mP3YYn2B
いいともー
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 17:49:36 ID:OcvTR+aM
sienn
262使い魔にはお供がいた:2007/11/13(火) 17:50:38 ID:GzWKRoYr
では投下します






トリステイン魔法学院で春の召喚の儀式が行われている。
順調に行われていた儀式の中で、たった一つだけ問題が起きていた。
ルイズ・フランソワーズが召喚したのが、人間だったのだ。
「なんだ?ここは。今まで供の者と街道を歩いていた筈なんが…」
体格が立派であるが。妙な格好をした男だった。
髪型は男でありながら長髪で結っていて、額には妙なバンダナを巻いている。
服装はトリステインで見たことのないもので、腰にはこれまた見たことのない剣を帯剣していた。
少なくとも貴族の外見ではない。
念のため本人に聞いてみたところ、自分は孤児なので貴族かどうかは判らない。
育ての親は平民だ。丁度、一仕事終えて育ての親の元に返ろうとしていた所、変な鏡が目の前に現れて気が付いたらここに居た。
との事。
使い魔については
「衣食住を保障してくれるなら、引き受けよう」
とアッサリ承諾した。
むしろ、ルイズの方が渋々という感じであった。
「何で平民なんかを…」
まあ、無いよりマシだし、使用人代わりにはなるだろう。
それにコントラクトを済ませないと二年生にはなれないし…
そう考えてこの大柄な平民に、大事な大事なファーストキスを与えたのだった。

だが、ルイズの期待は裏切られた。
その男、ルイズがいくら言って仕事をしない。
下着を洗えと言っても「後で」と答える。
服を着せろと言っても面倒だと言う。
粗末な食事を与えても、元々素食だったので気にしない。
逆に、
「鶏をその様に食べるとは…見てるだけで吐き気がするなぁ」などと言い放つ。
食事を抜きにしてやったら、日がな一日ルイズの部屋でゴロゴロしだして教室にも顔を出さなくなった。
怒って殴ってみても、相手は体格のいい男、ルイズの拳が痛くなるばかり。
ならばと鞭で叩こうとした所、鞭を奪われ窓の外に投げ捨てられた。
キレて爆破してやろうとしたら、杖まで窓の外に捨てられてしまった。
「ああああ、あんたが投げたんだからあんたが取ってきなさい!!!!」
「…後で」
その後数時間、いつ今で待っても取りに行く様子も無く、仕方が無いので誰にも見られぬよう闇夜にまぎれて杖を探すルイズ。
「…種族も最低なら素行も最低……殺してサモンやり直そうかしら?」
真面目に物騒なことを悩み始めたある日、事件は起きた。

その平民が、香水ビンを拾って珍しそうに手で弄んでいた為に、ギーシュの二股がバレてしまったと言うのだ。
挙句決闘を申し込まれた。
近くでそれを聞いたメイドは「あの人大丈夫かしら…」等と心配していたが、
まさかギーシュも殺すまではしないだろうし、大柄で丈夫そうな男だから平気だろう。むしろ、多少痛い目にあって反省した方がいいわね。
だが、またもルイズの期待は裏切られる結果となった。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 17:50:51 ID:r5HGv/iY
支援
264使い魔にはお供がいた:2007/11/13(火) 17:51:42 ID:GzWKRoYr
「僕はメイジなので、このワルキューレが代わりにお相手しよう」
ヴェストリの広場でキザったらしく薔薇の造花を構えたギーシュが言う。
言われた平民は驚いた。
「代わりでもいいのか?!では俺は面倒なので…」
面倒なので…?なに言ってるんだこいつ?殆どの貴族はそう思った。
「こいつに代わりに相手をさせよう」
こいつと言われた物を見て、ギーシュは悲鳴を上げる。
「ヴェ!ヴェルダンデ!?何してるんだ!!?」
平民の足元の地面を突き破ってギーシュの使い魔が現れた。
「ほれ。かかれモグラ」
平民のその一言でヴェルダンデがギーシュに突進する。
哀れギーシュは自分の使い魔を攻撃する事が出来ず、全身引っかき傷だらけになって敗北した。
さらに、決闘の商品として、寝具(ベッド除く)を一式奪われてしまったのだった。

ルイズは自分の使い魔を多少見直した。
他人の使い魔を使役できるとはただの平民ではないのだろう。
だがどうやったのか?
「ただ親しくなっただけだ」と言ってはぐらかされてしまった。
挙句、全然反省していないのでルイズの言うことも全然聞かない。
やっぱり死んだ方が良かったかも。
再度そう考えたルイズだった。


次に使い魔が活躍したのはフーケ討伐の時であった。
悪党の討伐ということで、流石に怠惰な使い魔も、渋々ルイズの言う事を聞いて参加したが、道中馬車の上では寝てばかり。
さらに宿敵ツェルプストーに膝枕されている始末。
怒ったルイズと、それをからかうキュルケと怒鳴り合いを始めても、面倒ごとに首は突っ込みたくないとばかりにタヌキ寝入りされた。

フーケが目撃された小屋に入ると、盗まれたという破壊の杖はアッサリ見つかった。
だがそこをフーケ操る巨大なゴーレムに急襲された。
全員が逃げ出そうとするなか、破壊の杖を持ちゴーレムに戦いを挑むルイズ。
しかし。
「なんで?!何で何も起きないのよ!!」
巨大なゴーレムの巨大な足が、踏み潰さんと小さなルイズに迫る。

後に、その時起きたことを聞いた魔法学院の教師たちは、一様に首を捻ったと言う。
265使い魔にはお供がいた:2007/11/13(火) 17:52:46 ID:GzWKRoYr
ルイズが踏み潰されそうになった刹那、何かがでゴーレムの足の下に飛び込んできたのだ!
それは馬だった!!
ルイズ一行が乗って来た馬車を引いていた馬が、物凄い勢いでゴーレムの下を駆け抜け、ルイズを咥えて助け出したのだ!!!
………………。
その場にいた全員が我が目を疑った。
いや一人を除いて。
「うむ!無事だなご主人」
ルイズの使い魔が主人に声を掛ける。
「はい?」
馬の口から地面に落とされたルイズは、状況を把握しきれて居なかった。
主人の無事を見届けるとルイズの使い魔は馬車馬にこう命令を下した。
「次はあの化け物だ!行け!!」
信じられないことに、馬車馬によって、30メイルはあろうかと言うゴーレムが、滅茶苦茶に踏み砕かれて、木っ端微塵に粉砕された。
さらに、小屋に残っていた臭いからロングビルがフーケだと突き止めた馬車馬によって、フーケは捉えられた。
詰まる所、ゴーレムもフーケも名も無き馬車馬によって討伐されたのだった。

学園に戻って後、ルイズ、キュルケはシュバリエの称号を。
タバサは精霊勲章を。散々教師たちの頭を悩ませた結果、馬車馬にはサトウキビ50kgが授与される事となった。
因みにルイズの使い魔は、朝食を毎朝部屋に運んでもらう約束を取り付け、満足してさっさと部屋に戻ってしまった。


この討伐劇でルイズは使い魔がどうやってヴェルダンデや馬を操った秘密に気がついた。
あの使い魔は馬車を離れる際、馬に何か食べさせていたのだ。
どう聞こうか悩んだ末に、部屋の床にギーシュから分捕った布団を敷いてゴロゴロしている使い魔にストレートに聞いた。
「ねえ、あの時馬に何を食べさせてたの?」
「あの時?…フーケ退治の時か。これの事だな?」
アッサリ見せてくれた。
それはピンポン玉大の丸薬だった。
何の薬か聞いて見たが、薬ではないとはぐらかされただけだった。


それから数週間、相変わらず怠惰な日々を過ごしていた使い魔だったが、ある日、思いも寄らぬ事件巻き込まれる。
アンリエッタ王女が学園を訪れたのだ(その時、使い魔はルイズの部屋で昼寝していた)。
夜、ルイズが妙にソワソワしている横で、ダラダラ寝転がっていると、アンリエッタ王女がルイズに会いに来た。
一応、姫ということもあって、かしこまったルイズの使い魔。それを横目にルイズとアンリエッタは昔話に花を咲かせ始める。
所が、いつの間にか、戦争中のアルビオンに、アンリエッタ王女が送った恋文を取りに行ってくれという事に成って居るではないか。
ルイズは行く気満々である。
「ルイズの使い魔殿。わたくしの大切な友人を守ってくださいね」
と、姫直々のお言葉。
それに対する使い魔の答えは。
「面倒だから嫌だなぁ」
まさか姫様の命令を面倒で片付けるとは!!
これにはルイズも空いた口が塞がらない。
その後真夜中ごろまで、ルイズとアンリエッタ、そしていつの間にか乱入してきたギーシュに説得されて、渋々行くことになった。
266使い魔にはお供がいた:2007/11/13(火) 17:54:11 ID:GzWKRoYr
翌日、珍しく早起きした使い魔は厨房で何かを作っていた。
聞けばあの丸薬を作っているとの事だ。
厨房の材料で出来るの?と疑問に思うルイズだが、まともな答えは期待できそうに無いので聞くのは止めた。
ギーシュと、ルイズの婚約者のワルドと合流し、ラ・ロシェールへ。
出発から数十分後、ギーシュは一人馬を走らせ、その上で泣いていた。
その前方数キロの地点を飛んでいるワルドはルイズに聞いた。
「君の使い魔が乗っている馬はどこの名馬なんだ!?グリフォンが追いつけないなんて!」
「ただの…馬車馬です」

途中色々あってタバサとキュルケも合流し、無事到着。
船が出るのが明後日ということになり、丸一日ゴロゴロする使い魔。
翌朝、ワルドが申し込んだ決闘は「後で」と言って一応承諾した。ように見えたが。
ワルドがルイズから、「後で」言われた時はいくら待っても絶対にやらないと教えられたのは、既に暗くなってからであった。

夕食をとっていると謎の傭兵団に奇襲を受けた。
「このような任務は、半数が目的地に辿り着ければ、成功とされる」
ワルドの言い分を聞いてルイズの使い魔が頷く。
「なるほど…おいギーシュ」
「はい!」
「面倒だし、この程度の連中、モグラとお前だけで十分だな」
そう言うと例の丸薬を、床を割って現れたヴェルダンデに食べさせる使い魔。
そしてそのまま残りの全員が行ってしまった。
ギーシュは…その場に一人残され……恐怖ではなく、寂しさで泣いた。


その後、海賊に襲われたり、実は海賊の頭がウェールズ王子だったりしてアルビオンに到着。
アンリエッタの恋文を取り返したはいいが、ルイズに悩み事が一つ。

「ワルド様に結婚を申し込まれたわ…明日ウェールズ様に式を挙げてもらう事になったのよ…」
あてがわれた部屋でゴロゴロしている使い魔に何となく相談してみるルイズ。
こんな奴に言ってもあんまり意味は無いだろうけど、等と思っていたら
「止めた方がいいぞ」
と即答された。
267使い魔にはお供がいた:2007/11/13(火) 17:55:14 ID:GzWKRoYr

「あいつは実はレンコン何とかの間者で、その目的はウェールズ殿の首とアンリエッタ姫の手紙、ご主人と結婚する理由は虚無の使い手のご主人を良い様に扱いたいからだそうだ」
それを聞いたルイズは…
プッツ〜ン
切れた!!
今までただの怠け者だと思ったら、とんでもない大法螺吹きだったのね!!
そのままの勢いで翌日、式を挙げる事になった。
が、途中で使い魔の言葉が気になりだし、やはり式はトリステインに帰ってから挙げようと言って見ると、ワルドが本性を現した。
ワルドのエアニードルに胸を貫かれるウェールズ。
その時ルイズの使い魔は!?
ボケーと見ていた。
「な!何でこうなると判ってたのに助けなかったのよ!!」
「死にたがってる奴を助けるなんて面倒な事はしないよ」
ごもっとも。
そこへ偏在を繰り出すワルド。
スクウェアクラスが四人に対して、こちらはキュルケとタバサのトライアングル二人と、爆発だけのルイズ、そして今まで自分じゃ戦わなかった使い魔のみ。
正に絶体絶命の状況だが、全然焦らない使い魔。
「そちらが四人で来るのであれば…」
そう言って例の丸薬を取り出す。
「こちらはな!一つ食べれば十人力よ!!」
そういって丸薬を食べたのだ!!
「これで四人に負ける筈が無い!!」
「フン」
鼻で笑うワルドたち
「それは…力を増す秘薬か?なるほどガンダールヴに相応しい能力だな。だが!それならば遠距離攻撃すれば済むだけのこと!!」
そう叫び距離をとるワルド。
だがしかし、今正に始まろうとしていた風のスクウェア四人と伝説のガンダールヴの戦いはまったく予期せぬ形で決着を迎えた。
ドカーン!!
突如、
天井を破って、
ワルドのグリフォンが飛び込み、
そのまま偏在たちを蹴散らし、本体のワルドをアッサリと捕まえたのだ!!
「ねぇタバサ?何が起こったの?」
「理解不能」
「ちょっと!!これはどういう事!!?説明しなさい!!」
「何、簡単な事。このグリホンとは来る途中の船で知り合いになっていたのだ。ワルドのたくらみも全てこいつが教えてくれたのだぞ」
それ以上の追求は、誰もしなかった。
その後、縛ったワルドをグリフォンに持たせ、そのグリフォンに乗ったルイズの使い魔と、残りの三人を乗せたタバサの風竜は、何だか釈然としないままトリステインに帰還したのだった。
268使い魔にはお供がいた:2007/11/13(火) 17:56:22 ID:GzWKRoYr

それから数週間後、ルイズはアンリエッタ王女と成り上がりのアホとの結婚式で詔を詠む大役をまかされていた。
始祖の祈祷書と使い魔の言った言葉から、自分が虚無の使い手と判ったが結局何も浮かばぬまま式当日になってしまった。
だが、突如アルビオンが戦線布告し、現在タルブ村で交戦中との知らせを受け式はとりやめ。
虚無の力を使えば何とかなるのでは?!と考えたルイズはタバサに頼み、風竜で一路タルブ村へ。
だが、そこで見た光景はこれまた想像を絶するものであった!!
神聖アルビオン誇る巨大戦艦レキシントンが、何者かによって撃墜されていたのだ。
見ると、草原に落ちで轟々と炎を吹き上げる船からルイズの使い魔とワルドのグリフォンがやってくる。
「ああああ、あんたいつの間に私たちを追い越したのよ?!!!」
呆れ顔の使い魔。
「三日も前からこの村にいるぞ」
そういえば、詔の事で頭がいっぱいで気が回らなかったがここ数日こいつの顔を見ていない気がする。
何故この村に居たのかと問うと、シエスタというメイドと結婚するため、親の了承を得に来ていたとか。
「何それ?!そんなの初耳よ!!」
「そりゃ当然。言ってないから」
何でも、ギーシュと決闘した日の前の日、シエスタがモットとかいう悪党にさらわれて、手篭めに成りそうに成った所をヴェルダンデと助けたと言う。
「そっちの話も全然聞いてないわ!」
普段怠惰な使い魔も、さらわれたとあっては一大事と飛んで出たそうだ。
だから気づかなかったのだろうと。
なるほど、ギーシュと決闘の時にあのメイドが心配していたのは、こいつじゃなくてギーシュの方だったのか。
「それに悪党のモットって…ジュール・ド・モット伯の事じゃないでしょうね?」
「さあ?モグラにペコペコ土下座していたので、貴族には見えなかったな!」
頭が痛くなるルイズであった。
269使い魔にはお供がいた:2007/11/13(火) 17:57:24 ID:GzWKRoYr
そんなこんなで色々あって今、ルイズの使い魔はモグラと馬車馬とグリフォンと共にアルビオンで7万の軍勢を待ち構えている。
『何を為さっているのですか?』
馬車馬がルイズの使い魔に聞いた。
「これが無いと、気分が出ないんでな」
そういって使い魔は地面に置いた白い旗指に何か文字を書き始めた。
『七万相手に勝てるとお思いですか?』
ヴェルダンデが聞いた。
「そりゃあ勝てるだろう」
旗に文字を書きながら答える。
「この黍団子は、一つ食べれば十人力、二つ食べれば百人力、三つ食べれば千人力よ。四つ食べればきっと万人力だ!それになあ…」
ふと文字を書く手を止める。
「前の戦いの時も、絶望的な状況から勝利を掴んだのだ」
『前の戦とは何ですか?』
グリフォンが聞いた。
「この国に来る前になぁ」
最後の文字を書きながら答える使い魔。
「犬、猿、雉と鬼の軍勢を退治した時の話よ。よし出来た!イザ出陣だ!!!」
そう叫び駆け出すルイズの使い魔と、お供の三匹。
背中に立てた旗指には大きく

【日 本 一 の 桃 太 郎】

と書かれていたそうな。



こうして、無事七万の兵を蹴散らした桃太郎とお供の者達はアルビオンのお宝を手に入れトリステインに帰り、
桃太郎はシエスタと末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 17:58:27 ID:GzWKRoYr
以上です。
日本の昔話から伝統的ヒーロー・桃太郎(寝太郎型)を召喚してみました。
寝太郎型の特徴は、見てのとおり怠け者でお殿様とかに発破を掛けられないと鬼退治に行かないところ。
犬猿雉で良く鬼の本拠地を潰せたな〜と思ってたら、きび団子でパワーアップしたからだったとか。
一個食べるごとにパワーが10倍になるなんてDCSもビックリだw
271名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 17:58:57 ID:mEj1pid8
桃太郎印のきび団子かと思ったら本人だったとは
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:01:19 ID:gaPW2fxs
誰かと思ったら桃太郎かよw
おもいっきし意表を疲れたぜ、GJ!
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:06:40 ID:iAHE7NI5
桃太郎とは意表をつかれたっ!
274名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:10:00 ID:5KSD3aIb
面倒とか丸薬が出るからナルトのシカマルかとオモタ
275名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:13:08 ID:JgPGAYF8
こういう型の桃太郎もあるんだー
一つ知識が増えたなー
276名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:16:34 ID:0dNUXQZb
とあるだと魔道書扱いだしな
277名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:26:45 ID:j5xjJCK8
小ネタ完成したんだが、投下していいだろか?
何も無きゃ、30分頃に投下するが。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:29:49 ID:EThvgQRR
桃太郎とはwwww


>>212
いくらルイズとはいえそこまでするか?
誰か別の人の意見キボン
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:31:27 ID:j5xjJCK8
何も無いので投下ー。



―彼は、あらゆる武器を使いこなす、ガンダールヴだった―

アルビオンの大軍を前にしても、怯みもしない。
しかし、彼のガンダールヴは伝説と違い、両手には”何も持っていなかった。”



以前に買ってもらったインテリジェンスソードすら主たる少女の手の中。

この世界では見かけない黒い礼服に包まれた彼は強い自信に満ちた目で真っ直ぐと向かってくる大軍を見据えていた。



―主たる少女は知っていた―
   彼は、紛うことなくガンダールヴであることを・・・。

そして、目の前の軍勢が100億だったとしても、彼は素手で勝利するだろう事を確信していた。


すでに布石は打ってあるのだ。

そう・・・。

この短い期間の間に彼は人脈を作り上げ、あらゆる手段を使っていた。
弱みを突き、利益をチラつかせなどのあくどい事もあったが、新たな指針を示し希望を呼び、素晴しいリーダーシップで人心を掴み。
今やこの使い魔は、魔法が使えないにも関わらず、平民はもちろん貴族からも一目置かれる大物になっていた。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:32:48 ID:JYjNMXDe
>>278
コンプレックス持っている奴が
へこんだ時にまわりに当り散らす八つ当たりは

論理性が一欠けらもないからな

やるだろ
281名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:34:50 ID:j5xjJCK8

―所変わって―

伝令が走りこんでくる。
「なに?食糧の買い付けが出来ない?」

続けて別の伝令が・・・・・・。
「伝令!武器の供給がストップしました!」
続々と流れ込んでくる進軍物資の供給停止の伝令にレコン・キスタは憤りを感じていた。
しかし、物資の問題はすぐに解決するだろう。
諸国を制圧していけば良いのだ。

そう、考えているうちに新たな伝令が走りこむ。
「伝令!周辺の全諸国より!」
なんだ?何が起きている?
憤りは焦りに変わる。



282名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:35:17 ID:JYjNMXDe
おっとすまなかった

支援させていただこう
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:37:17 ID:j5xjJCK8




―再び戦場へ―
かの使い魔は、ゆっくりと立ち上がると深呼吸し、そして声を張り上げた。

           『 み な さ ん ! ! 』

それは、肉声だとは思えないほどの声量をで、死者の心すら振るわせた。

―彼はガンダールヴ―
  ―彼の武器は言葉、意志、そして人脈―

  『我々は、一致団結して立ち向かわなければならないのです!!』

演説を続ける彼に心打たれたのか、押し寄せる兵は徐々に数を減らしていた。


がっちりとした体躯に意志の強そうな四角い顔。
彼は周辺諸国に政治的な介入を行い、レコン・キスタを退かせた。

主たる少女は思う。
もしかすると、この戦いが終われば世界は変わるかもしれない。
平民も貴族も同じ立場になると言うのは、色々と問題があるのかもしれないが・・・・・・。



―その後、彼の使い魔は、政治屋と呼ばれ―
  ―王制を破壊して新たなる民主政治の礎を築き―
    ―やがて壊し屋の二つ名を持つことになるが・・・・・・―



  それは、また・・・別の話。



―現代日本より「小○一郎」を召喚―
284名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:40:34 ID:j5xjJCK8
※悪意ある物ではなく、純粋にパロディであることをご了承ください。
(自信過剰といわれそうだけど、書いた後々面倒になるとヤなので。注意書き。)
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:41:57 ID:/cDGSx/l
乙www
噴いたwwww
以前からあった話だが本当に書くとはwww
286名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:43:10 ID:JYjNMXDe
投下乙

角栄ならともかくなぁ
弟子の小沢だとレコンキスタと手を組みそうだがw
287名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:09:16 ID:ePYWzOB8
夕なぎの街から召喚とか妄想しているけどぜんぜんかける気がしないぜ!
何で2巻で終わってしまったんだーorz
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:17:11 ID:KZPmHVTz
>>154
昔、日本語勉強している外国の友達に、
何か面白いアニメのビデオを送ってくれと言われて、
「巨人の星」を選ぼうとしたら、
「日本が誤解されるからやめろ」と母に止められたことがある。
とりあえず「スクライド」送った
289名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:18:42 ID:EThvgQRR
>>280
コンプレックスと言えば、吉祥天女の小夜子とかイヴの眠りのアリサとかの
美人で頭が切れて、スタイルも良いキャラ召喚とか考えてるが…………
どっちも逆鱗に触れたらヤバいキャラなんだよな……………
290名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:23:09 ID:BJh3SPcU
花右京メイド隊を送っておけばよかったのに・・・
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:25:44 ID:JYjNMXDe
>>289
人はあまりに違う存在にコンプレックスを抱かない

自分と共通点があるのに相手のほうだけ自分が望んでいるものを持っている

こういうキャラこそが
ルイズのコンプレックスをクリティカルに抉ってくれるだろ

自分に近い幼女体型、ハキハキした性格で努力家

でも 魔 法 が 使 え る 

この一点でルイズは道を間違えてくれると思うよ
292名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:25:57 ID:zyxOBzrW
>>290
そんなフレンチメイド送っちゃらめぇぇぇぇぇ!

『英國戀物語エマ』……ってこれイギリスやん!
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:29:05 ID:zyxOBzrW
>>291
怒りに燃えてコンプレックスをたたきつけてくるルイズに、
「悪魔でいいよ、悪魔らしいやり方で話聞いてもらうから」
「少し頭冷やそっか」

……と白い悪魔が……
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:32:49 ID:5KSD3aIb
>278
やるだろ
初期ルイズはジャイアンだと思った方がいい
295名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:32:53 ID:OH9CkMgV
ということは同じ革命胸の持ち主で友達がいっぱい居る奴が
テファの使い魔として呼ばれたらテファが黒くなるのか
296名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:39:41 ID:lzxjKeRg
うん、幼女状態のなのはさんよくね?淫獣と出会う前で、ハルケギニア来て魔法覚えていく様をルイズが見て……
これで>>291の条件はほぼクリアな気がす。んでもってオメガ鬱入って逆ギレしたら>>293
297名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:41:23 ID:pBP6fEUc
カッシェ・アルバデルあたりはどたばた珍道中を繰り広げながらも
しっかりと大事なことをルイズに教えてくれそうだけどどうだろう。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:43:28 ID:7cJIQwTU
>>296
まあ、正直判り合える要素皆無な組み合わせな気がするな
つーかルイズが本気で気の毒になる
299名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:53:08 ID:Gq3Ncbn9
そこから始まる二人の友情物語か
なのはさんじゅうきゅうさいTUEEEEEよりよっぽど面白そうだ
300名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:54:53 ID:EshNmJER
>>295
胸革命を普通だと思って滑り続ける天然エロくてアホな子になると思う
少なくとも、ウエストウッド村から出る前ならほぼ確実に

でも、マチルダさんはちょくちょくティファとあってただろうけど、
その時には胸の大きさに疑問はなかったんだろうか
胸革命の美人秘書なんて、それだけでいけない魔法使いですね!
301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:56:24 ID:uz5jX2HG
>>294
初期ルイズが傍若無人だったのは、サイトの行動が多大に影響している思うんだけどね。

302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:01:06 ID:mEj1pid8
サイトもサイトで大人気ない事するからなあ
お前本当に高校生か
いや高校生だからこそのアホっぷりなのか
303名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:04:00 ID:HDdx8pfF
>>294
見てて何回か「俺ならブチ切れて殺して犯して埋めちまうかも」って思ったからなw
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:10:18 ID:7RVPeM48
>>291
ふと思ったんだが、聖剣伝説3のアンジェラ(ゲームスタート時点)を召喚したらどうなるんだろう。

周囲から魔法の才能無いと思われてる魔法使い同士、妙に気が合うのか?
それとも体型の違いというただ一点が埋められない溝を生んでしまうのか?
305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:12:43 ID:Gq3Ncbn9
>>304
いや流石に埋めれる溝だろw
ちい姉さまが不倶戴天の敵ってわけじゃないしw
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:16:34 ID:CftBsxTI
>>304

似ているからこそ自分の嫌な面も見せられてる気がして心底嫌いになる
というケースもあるが、分かり合えたかと思った瞬間に、体型問題が浮上して
決裂という方がありそやね。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:19:31 ID:zL/tcA05
髪の色と体型がマクロス7のミレーヌを彷彿とさせるのでミリア市長召還とか?
308名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:21:59 ID:D7I4fGiJ
轟天号が召喚されました
7万の敵軍に冷線砲を発射する轟天号

ムウ帝国人がカチコチに凍るのがトラウマだった
309名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:26:09 ID:AX0Jlq+x
努力と才能、と言えばバッカーノのクレアとか。
……確実にルイズに天才扱いされるだろうなあ。

トライガンのリヴィオとは分かり合える気がしないでもない。ラズロとは多分無理だが。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:28:00 ID:hkwEl1Qv
おそくなったけどタッちゃんの人乙〜

達哉が我慢してる分ルイズのむかつき度がアップしてる感じだが続き楽しみにしてるっす
311名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:29:36 ID:EzYSGUGN
>>278
初期のルイズの性格は常に最悪のケースを想定しろ。
奴は必ずその少し斜め上を行く!
312名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:31:13 ID:z109gV7u
バカ王子w
313名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:32:38 ID:5KSD3aIb
>301
あれサイトがMだからワザとやってるのか
>302の言うように天然なのか理解に苦しむ
>303
ドSすぎるW
314名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:33:05 ID:kt5JBpE5
>>304
たぶん最初は仲良しさんだろ。
しかし時が経つにつれアンジェラが精霊の力を使い魔法を会得し
それをルイズが先住魔法と思いこみ「体型だけでなく魔法まで・・・」とさらなるコンプレックスを抱き
ある拍子にクラスチェンジまで行い、スクエアクラスの魔力を有する段階にまでなってくると・・・
嫉妬どころじゃなくなってくるな。


ちなみに聖剣3の攻略本見たときに、アンジェラの年齢は16か17って設定だったな。
315名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:33:50 ID:j/GBvbC5
>>307
そこでガムリンさんがいるじゃあないか
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:34:04 ID:EThvgQRR
>>295
BLEACHの織姫と乱菊。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:36:02 ID:EThvgQRR
>>291
連レスすまんが、BLEACHのルキアと桃なんかはドンピシャじゃないか。
特に桃はかなりの使い手らしいし。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:44:03 ID:9IkfwvUJ
>>317
ゲーム中だと愛染と同じく九十番代詠唱破棄が出来ると聞いた
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:45:25 ID:4WojI2qs
ハーメルとかはどうだろうか…?
320名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:52:34 ID:nWdIo2mj
そーいや、ちい姉様系の女性は何人か呼ばれたが、エレオノール姉様系の女性が呼ばれた話ってあったっけ?
ハマーン様とか呼ぶと実に愉快なことになりそうなんだが。
321名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:53:31 ID:Gq3Ncbn9
髪の毛の色も似てる品
322名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:05:41 ID:br61Ltin
じゃあラクスもよんでやれよ。
歌しかとりえないけどw
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:06:14 ID:jNDBN5Od
いっそのことピンク繋がりでミレーヌ、ハマーン様、ラクス、みゆきさん、
ユーフェミア、ミルフィーユをまとめて召喚しちゃいなyo
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:06:23 ID:IapqRX0p
>>322
奴には電波と洗脳と独善と言う特技があるぞ。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:07:03 ID:mEj1pid8
絶望した!ピンク髪の多い業界に絶望した!
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:07:42 ID:y3rSux80
>白い悪魔が
とある投稿掲示板に例の撃墜大リハビリ直後の時点で召喚されましたって作品がある
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:07:56 ID:1hkuKf+9
>>303
それ読んでGTOの鬼塚英吉が召喚されて廊下を疾走しながら「殺してやる!ルイズの奴犯して殺して埋めてやる!殺す!」と呟くのを妄想した。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:08:02 ID:RL1H/HJM
デッドラからレベルマックスのフランクさんとか

……やっべ、ギーシュがフェイスクラッシャーされたり
ワルドが臓物抜きされるシーンしか思いうかばねぇ……
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:09:37 ID:y3rSux80
>ピンク繋がりで
ピピルマピピルマプリリンパ
330名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:09:39 ID:BsR3v/AA
>>240は頭がおかしい。 確実におかしい。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:13:57 ID:KZPmHVTz
2つある月のうちひとつが魔法そのものを制御している装置でその月を破壊すると魔法そのものがなくなるっていう未来の地球オチを思いついた
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:16:27 ID:m7Q2vZty
>>291
リナ・インバースとか初期設定のアルル・ナジャだな。
ウィッチでもいけるかな。
333名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:16:54 ID:IwdwAblD
>>291
ハーマイオニーでつか?
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:19:12 ID:qmQC5I+G
源文漫画のナカムラ召喚
ルイズに「本当にアンタは使えない使い魔ね!」と鉄拳制裁を食らい
「ちくしょういつか殺してやる」
335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:22:33 ID:NQZ8mkyg
FFXから海の底に沈んだウォルスの塔にあるクリスタルのかけらを召喚。

フライ、練金、30メートルのゴーレム、風の遍在など何でも出来るルイズ。
エクスプロージョンを使った自分を「ものまね」して精神力消費無しで連発。
でも強い武器は装備出来ないのでデルフはお蔵入り。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:23:48 ID:sRm+cssW
>331

違うよ。

2つある月のうち、1つが迷宮神群の一柱なんだよ。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:26:24 ID:s2MmbDBK
>>336
ここに来てパラサイトムーンかw
338名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:28:28 ID:EThvgQRR
>>318
できる。
つかルイズのワルドに対する言動等にかつての自分を見出して、
無意識のうちにルイズをワルドから遠ざけるとかしそうだ。

>>331
マシロくん召喚でそれっぽいことがあった。
しかし、地理的にツッコミが………。
カルデアが神聖ローマだからゲルマニアの位置にあった方がいいんじゃね?とか。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:28:49 ID:dht8jt7l
音速丸召喚
「ジャストナーウ!!ツンデレだの素直になれないだの言ってて許されると思うなよぉ!!
魔法だが貴族だが知らんがこんな雅みてーな性悪ピンクはこの地獄極楽音速丸様が
性根を一から叩き直してやらーぁ!!」
……うん、俺にはあのテンションとボキャブラリーを維持するのは無理
>>331
片方が流体金属に包まれた天体要塞で
その中に魔法使えるように改造された人類が保存されてるんじゃね?
なんか混ざった気がせんでもないけど気にしない
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:29:33 ID:+lQw2Xb4
3匹が斬るの殿様千石タコの3人が召喚されたらどうなるんだろう?
341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:30:07 ID:zYmF0PLn
>>283
 非常に遅レスだが

 俺のYakult、THORPEDOを返せw
 つか、俺が出した小ネタ案を返せww
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:32:21 ID:umnZp8fg
不思議のダンジョンシリーズから召喚は……
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:33:07 ID:Khlx00iu
>>336
でも現在あるのもフェルディナンの親玉なんだぜ

喚ぼうとしても従順で強いけど死体喰いだったり、雨で酔ったり、
どうみても先住魔法デス本当に、だったりで難しい
344名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:33:27 ID:AX0Jlq+x
>>337
懐かし過ぎるw

渡瀬さん空鐘の次はパラムンの七巻を……
345名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:33:48 ID:xm09sA1s
南国少年パプワ君ノシンタローを
決闘の場面でベトコン仕込みのスパイクボールを。

タコ離婚しちゃったね。
346名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:37:58 ID:jNDBN5Od
>>331
片方の月は地上に猿が100万匹を越えたら落ちてくるかもよ
347名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:38:12 ID:AX0Jlq+x
>>343
真砂がいるじゃないか。
爪が鉤爪かつ金色で、手の甲に何か同じ色の円盤がついてるだけ。性格はごくごくまとも、と……
348名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:38:37 ID:s2MmbDBK
渡瀬と言えば幼馴染だからなぁ……。

>>344
さぁ今すぐ書店に行って新刊を買って来るんだ。
349爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 21:39:32 ID:I+yPoAy6
誰もいないなら投下予約したいのですがよろしいですか?
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:43:06 ID:mZgjLM1f
おk、来なさい(えらそう)
351名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:44:23 ID:y3rSux80
否定する立場でも肯定する立場でもない者ばかりだから何の返事も無い
そう言うことだろう
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:44:47 ID:kW5LqQMS
ジョゼフにCivilizationをPLAYさせたら部屋から出てこない件について↓
353名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:44:58 ID:iAHE7NI5
支援
354爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 21:45:46 ID:I+yPoAy6
「ちょっと、人間でも平民でもないってどういうことよっ!」
怒鳴るルイズに対して、ヒロは冷静に考える。
(見たところ、私が今までいた場所ではないようだな。遠隔召喚でもされたのかと思ったが
魔力の質がネバーランドのどの場所とも違いすぎる・・・まさか冥界というわけでもないだろう
そういえばアキラはチキュウという場所から召喚された異界の魂だったな、
ここでは私が異界の魂ということか。今まで召喚する側だったはずだが、まったく因果なものだ。)
冷静に考えつつも苦笑をもらすヒロ、それに対しルイズは無視された上に馬鹿されたと感じたのだろう。
「ちょっと!アンタ何笑ってんのよ!!」
怒っているルイズ、ヒロはいきなりの大声に少し驚きながらも
「ああ、すまんな。何、色々と思うところがあるだけだ」

「もう、アタシが話してるんだからちゃんと聞きなさいよ!」
「そうれもそうだが、先ほどあのハゲが次の授業が云々言っていただろう。
こんな場所で立ち話をしているのも
アレだ、とりあえず行こうではないか。私も少々聞きたいこともある。
(この額の文字のこともな)」

そして、その日は夜になるまでヒロとルイズはほとんど話らしい話をすることはなかった。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:46:33 ID:0dNUXQZb
>>348
仲間発見w
356爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 21:47:56 ID:I+yPoAy6
ルイズとヒロが向き合う。
「さて、ようやく落ち着いたな。さて、何から話したものか・・・
そうだなとりあえずは私が聞きたい事が少々あるがいいか?」
ヒロが会話を始める。
「わかったわよ。でも聞きたいことって何よ」
「まずは1つ目、ここはどこだ?まあ、場所を聞いてもいいが、大陸名など聞きたいものだな」
「ここはトリスティン魔法学院。ハルケギニアにあるトリスティン王国にあるメイジが学ぶ場所よ」
まったくもって聞いたことのない地名ばかり。国の中にいるメイジとかいったか、それを育てる学校。
いよいよもってここが異世界であると思い知らされる。
「フム・・・そうだな。どうやらルイズよ。私は異世界からお前に呼び出されたようだ。
何せその地名や国名、まったく聞いたことがないからな」
「ハァ?異世界って、何よそれ、単にあんたがひどい田舎にいたってだけじゃないの?」
ルイズはまったく信用していない、それもそうだ、信用に足るべきものがないのだから。
「まあ、そう思うのも仕方ないな、だがどれだけ田舎にいようとも、月の数くらいはおぼえるものだろう」
そうこの世界は月が2つあるのだ。さすがに最初は驚いたが、ここが自分のいた世界ではないなら納得がいく。

「う”・・・で、でもそれじゃあアンタが異世界から来たって証拠にならないじゃない!」
「別段信じてもらわなくともかまわん。私がこの世界で生きていくことに支障はないのでな。」
(何よ!さっきから偉そうに、態度大きすぎるんじゃない!?)
「さて、2つ目だ。私を呼び出せた、ということは送り返す方法とやらはあるのか?」
「それは無理ね。サモンサーヴァントはもともとハルケギニア生き物を呼び出すものなんだもの。
人間が召喚されるなんて聞いたこともないわよ!」
それを聞いたヒロは考える。
(ふむ・・・予想通りの答えだな。私たちもアキラを戻す方法はわからなかった。
こちらの「サモンサーヴァント」とやらも同様のものなのだろうな)
357爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 21:50:10 ID:I+yPoAy6
「では最後だ。私のこの額にある文字はなんだ?」
「それは使い魔のルーンよ。私の使い魔ですって証みたいなものね」
どうやらあのキスは使い魔との契約の儀式か。
「私はお前の使い魔になると言った憶えはないんだがな・・・そもそも事情も説明せずに契約するとはどういうことだ。」
「アンタの事情なんて知らないわよ!それにコントラクトサーヴァントはもうすませちゃったんだから!」
一気にまくしたてるルイズ。
「大体、もう契約しちゃったんだからね!アンタはもうアタシの使い魔なのよ!」
ふむ・・・、と怒鳴るルイズに対して思わずため息をつく。
「このルーンがその証か、とはいえ強制力がるわけでもないようだな。
お前の使い魔になってもいいという気持ちがまったく沸いてこないな。まったく、とんだ茶番だ。
今は先立つものがないが、どうやら1人では生きていけない環境というわけでもないようだ。
呼び出す方法があるくらいだ、各地を旅でもすれば帰る手段も見つかるかもしれんしな」
そういって窓の外を見るヒロ。
いきなりそんなことを言い出すヒロにルイズは慌てる。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!ねえ待ってってば!アンタに逃げられちゃったらアタシ留年しちゃうのよ!」
必死にしがみついてくるルイズ。しがみつくルイズがまるで自分が姉プラーナにわがままを言っていたときのようだった。
「・・・・わかった。いいだろうお前の使い魔とやらになってやる」
「ほ、ほんと!?」
ルイズは喜んだ、平民、とはいえ自分の使い魔なのだ。やっと成功した自分の魔法の結晶
逃すわけにはいかなかった。
「嘘は言わんさ。ところで私の世界にも使い魔はいたが、この世界での使い魔の位置づけはどんなところだ?」
「そうね、まず使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられるわ」
「つまり私が見える内容がお前にも見えるということか、一種の羞恥プレイのようだな。」
「羞恥プレイってなによ。でも私には何も見えないわね」
「まあ見えなくて何よりだ」
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。たとえば薬の材料とか」
「まあ、ここが元いた世界ならともかくこの世界のことはまだわからんから無理だろうな」
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:50:35 ID:hnE3H547
支援
359爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 21:51:31 ID:I+yPoAy6
を寄せて凄むヒロ、さすがにルイズも思わず後ずさる
「わ、わかったわよ!明日学園のメイドにでも頼むわよ。だから、私の部屋で寝て頂戴。今日はベッドが1つしかないけど
明日は用意するわ」
ルイズは下着をヒロから取り返した。するとヒロはルイズから離れ、頷いた。
「よし、いいだろう納得してやる。では寝るとしようか。とりあえずこのまま寝るのもなんだ、毛布を1枚いただこうか」
言うが速いか毛布を1枚剥ぎ取り自分に巻きつけ壁にもたれかかって座るとそのまま眼を閉じた。
ルイズはそんなヒロをみて体をワナワナ震わせている。
(何よ何よ何よ〜〜〜!!こ、こんなやつが私の使い魔だなんて・・・なってくれてよかったなんて思った私が馬鹿だったわ!)
ヒロは片目を開けてルイズを見る。
「どうした?寝ないのか?明日も授業なのだろう。もう遅い、早く寝ることだな」
「言われなくても寝るわよ!」
ルイズはそういうとランプを消してベッドにもぐりこんだ。
(やれやれ、明日から忙しくなりそうだ)
そのまま2人は眠りに着いたのだった。ハルケギニアの空には、今も月が2つ輝いている。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:52:26 ID:kt5JBpE5
>>354

チョwwwwwwwハゲってwwwwwwオブラートに包む気ナシかwwwwww
361名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:53:10 ID:Q9ChFMrk
間が抜けてる〜
362爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 21:54:35 ID:I+yPoAy6
こういったSSを書くのも初めてなのですが
ようやく2話目が終わりました。構想はかなり先まであるのに、中々筆が進まない。
妄想を文章にするのがどんなに大変なことかよくわかりました・・・

ちなみにこのヒロはちょっと甘いです。理由はやっぱりサイトと同じでルーンがあるから
無意識のうちに主人に好意を持ってしまうのです。
未だに左手は見せていません。もちろんゲートオブヘブンも所持しています。
ここだけオリジナル設定で、ゲートオブヘブンは自由に呼び出せるという設定にしてあります。
やっぱりあんなり大きな鎌はさすがに目立ちますし。

では、支援してくれた人に感謝しつつ3話目を早く出せればいいかと思ってます。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:55:06 ID:ZacL14Sf
>346
そんな
バ ナ ナ
殺猿ライフル
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:56:38 ID:Q9ChFMrk
>>362
>>357の後が抜けてる〜!
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:58:46 ID:kt5JBpE5
>>357

間かヌケテリア!
366爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 22:07:32 ID:I+yPoAy6
やれやれ、と首を振るヒロ
「そして、これが1番なんだけど、使い魔は主人を守る存在であるのよ。その能力で主人を守るのが使い魔の役目なのよ!」
ビシィッと指差すルイズ
「・・・でもアンタじゃ無理っぽそうよね。あんまり強そうに見えないし」
「くくく、それは残念だったな」
強そうに見えないと言われて思わず苦笑するヒロ
爆炎の申し子、死神と言われてきたヒロにとってこの少女の反応は新鮮だった。
それでもローブの中から左手を出さないのはこの少女が自分の左手を見てどう思うかということを気にしているからだろうか。
(我ながら女々しくなったものだ。それもあの連中に会ったからか。)
ヒロの脳裏に浮かぶのは元気に剣を振るミュウ、仲間を心配するアキラ、お酒を無理やり飲ませてくるリューンエルバの姿だった。
「もう!さっきから笑って!・・ああもう、喋ってたら眠くなってきちゃった。もう寝るわ」
そういうとルイズはさっさと着替えて着ていた下着などをヒロに投げる。
「なんのつもりだ?」
「それ、明日になったら洗濯しておいて」
「なぜ私がお前の世話をしてやらねばならん」
さすがにこれはどうだろうか、大魔王ジャネスの娘である私がこんな小娘の下着を洗濯など・・・
別に洗濯をしたことがないわけではない。長い放浪の日々、川で水を浴びたり、自分の服を洗ったりすることはあった。
「勘違いするな娘、使い魔になってやるとは言ったが小間使いになると言った憶えはない」
「誰がアンタを養うと思ってるの?誰がアンタのご飯を用意すると思ってるの?ここ誰の部屋?あんたは私の使い魔なんだからそれくらい
当然じゃない」
「別に養ってもらうつもりはない、食料の確保も自分の寝床も自分でどうにかする。もう1度言う。使い魔にはなってやる、
だが小間使いになるつもりはない。勘違いをす る な」
顔を寄せて凄むヒロ、さすがにルイズも思わず後ずさる
「わ、わかったわよ!明日学園のメイドにでも頼むわよ。だから、私の部屋で寝て頂戴。今日はベッドが1つしかないけど
明日は用意するわ」
ルイズは下着をヒロから取り返した。するとヒロはルイズから離れ、頷いた。
「よし、いいだろう納得してやる。では寝るとしようか。とりあえずこのまま寝るのもなんだ、毛布を1枚いただこうか」
言うが速いか毛布を1枚剥ぎ取り自分に巻きつけ壁にもたれかかって座るとそのまま眼を閉じた。
ルイズはそんなヒロをみて体をワナワナ震わせている。
(何よ何よ何よ〜〜〜!!こ、こんなやつが私の使い魔だなんて・・・なってくれてよかったなんて思った私が馬鹿だったわ!)
ヒロは片目を開けてルイズを見る。
「どうした?寝ないのか?明日も授業なのだろう。もう遅い、早く寝ることだな」
「言われなくても寝るわよ!」
ルイズはそういうとランプを消してベッドにもぐりこんだ。
(やれやれ、明日から忙しくなりそうだ)
そのまま2人は眠りに着いたのだった。ハルケギニアの空には、今も月が2つ輝いている。
367爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 22:10:14 ID:I+yPoAy6
とんだ失態を、注意してくれた人、支援してくれた人感謝!!
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:20:34 ID:Df8Per8m
>>363
とりあえずEGFマダー?
369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:25:50 ID:YQzW8KGl
新城直衛を召喚したら、
早々にルイズはぶっ殺すリストに載せられるだろうな
370名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:25:53 ID:emc1PdOt
まー、スペクトラルタワーで出会うヒロ的に『終わっている人間』なルイズとかルーンなしじゃとっくに消し炭だろうなぁ支援
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:26:33 ID:7chCAd7l
やはりここはウェイブを呼んでワルド涙目を
372名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:29:29 ID:YFm49OGW
>>344
渡瀬さんの新シリーズは再びの迷宮神郡で虹の屍や光に向かう獣や長くのたうつ
女神や通信玉とか寄生月ファンにはたまらんっす。そしてもちろんヒロインは幼馴染

でも弓と心弥のその後が見たいからパラサイトムーンを・・・
373名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:31:40 ID:AX0Jlq+x
>>372
……マジで?

これは買わねばノシ
374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:33:52 ID:P0mJmkN+
>>369
以前投下されてものでならば、ルイズが普通に空気の読める?娘なので大丈夫だ。

というわけで「ゼロの剣虎兵」投下祈願、ナモナモ。(AA略
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:38:16 ID:jTA4+ckb
爆炎と爆熱だったか
376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:40:09 ID:s2MmbDBK
爆炎の人乙。

>>373
だから>>348で今すぐ新刊買いに行けと言ったんじゃないか……。
377名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:46:56 ID:hkwEl1Qv
>>371
ウェイブはやばいなぁ・・・
っつーかウェイブよんだらめぼしいやつは強制進化の餌食だろうな
378名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:49:04 ID:TPhLVuat
爆炎乙
379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:50:41 ID:HfgZ+AC5
シャーマンキングの魔女組とか召喚されんかな
それか蘇生できるだれかで世界観ぶっこわしてほしいぜ
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:56:01 ID:ubt69I0z
爆炎の作者様乙です。そして「ワイルドの使い魔」の作者様の投下祈願
381名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:57:22 ID:Df8Per8m
>>377
ルイズ「で、あんたの職業はなんなのよ?」
ウェイブ「魔王の息子とかカエル男爵とかレディファイターとかペンギンとか・・・いろいろやったが最後はサトリだったな」
ルイズ「意味が分からないわ・・・」
382名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:58:51 ID:hkwEl1Qv
>>381
タワー2のころのウェイブならまだ安心・・・かな
うんこも食えるから粗末な食事でも大丈夫
383爆炎の使い魔:2007/11/13(火) 23:02:09 ID:I+yPoAy6
色んなキャラがいますが、ジャドウやウェイブとかだと世界自体を壊しかねないので

ヒロは私の中では未だにNo1ゲームキャラです。
384ディセプティコン・ゼロ:2007/11/13(火) 23:02:15 ID:4VB7iztU
はっはっはっ、投下―――――と逝きたいトコですが。




消えたよ、オイ orz
385名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:03:35 ID:/ZyfyDII
ええええええええええええええええええええええええ
386名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:04:03 ID:e2yHFn6U
>>384
俺が昨日FXで100万の損失を出したことよりショック!
387名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:05:07 ID:JuLFXs/i
…冗談だろ?
388ディセプティコン・ゼロ:2007/11/13(火) 23:10:32 ID:4VB7iztU
うん、書き上がった15話も、書き掛けの短編(某赤い服の女の子とクローン兵指揮官召喚)も消えたよハハハ



ちょいと休んでから書き直します、全裸で
389名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:11:26 ID:V7/tLUOJ
無理せず休んでくれ、俺は待っているから。
応援しているぞ!
390名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:12:12 ID:e2yHFn6U
ならば俺たちはネクタイと靴下だけの姿で待ってるぜ
391名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:12:38 ID:Ekeu4s1+
落ち着くんだ!
こんな時は冷静にPCと向き合うんだ。バックアップを取ってあったとか別のフォルダに入ってたなんてよくある話だ!

ディセプティコン・ゼロの作者幸運を祈る!
392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:14:07 ID:MSWmGlKY
自動バックアップのファイルとか
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:14:59 ID:M5pv3oWi
>>384
ま た か !

そのPCは窓から投げ捨てた方がいい
394生まれえざる0 1/3:2007/11/13(火) 23:15:38 ID:CpLfeZH7
えっと、初挑戦ですので下手ですが、投下させていただきます…

――生まれえざる0――

「ふ…たった7万か……やれやれ、私は何処までも罪人なのだな…」
アルビオンから艦隊が退却する折、その殿を押し付けられた己の主に代わって、私がこれを迎え撃つ事になった。
「彼女は艦に乗せておいた、後は全てを殺し……いや、止める」
銀の髪の毛を風に遊ばせながら、長身の男が一人、覚悟を決めた。

私は、私が生まれた世界で数多の罪を犯した男だ。
世界を、つまらないし美しくも無い物であると決め付けて、目に付いた全てを殺し続けた。
世界を愛した姉さんをこの手で殺し、あの不思議な石版の力を我が物にした時から、私は狂っていたのだろう。

そんな私を止めてくれた男がいた。

最初に出会った時、彼は狼の力を持ち、しかしその力は私の腕の一振りで吹き飛んでしまうほど弱かった。
だというのに彼は何度でも立ち上がり、最後には、石版をおいて逃げざる終えなくなってしまった。

そしてその時から、私の中に二つの声が争うようになったのだ。
一つは世界を愛し罪を償えという、姉さんに良く似た人の声
もう一つは、世界を異形で満たし、己の天下とせよという悪魔の声

やがて、悪魔の声が人の声を押さえ込むようになり、私は多くの人を殺した。
あれは、そんな時だった……女の身で私の力を模倣したガイアの使いを切り伏せた時に、彼が現われた。
彼は、以前よりも鋭く、強く、早い攻撃を持って私を打ち据えた。しかし、それでも私の方がずっと強かった。
心が折れるような速さで腕を振るい、骨が砕けるような力で蹴りを入れ、魂が霧散するような斬撃を喰らわせて…それでも彼は倒れない。
私は……私の中の悪魔は、彼を恐れた。
私の中の、僅かに残っていた人間が、彼の姿に光を見た。

そして、悪魔は逃げた……私の中の悪魔が、彼を危険な存在だと認めたのだ。
その瞬間、私は、人としての私は、私を模倣した女性と共にこの悪魔を切り裂いた。

その後私は、自分の犯した数多の罪に絶望し、そして悔やんだ。
贖罪の為にと言われて武道会に出たりもしたが……そんな事で償いきれるものではなかった。

そして、少しでも贖罪になればと世界を飛び回っていた時の事だ、私はこのハルゲニアに召喚された。
それからは、私には眩しすぎるような楽しい日々だった。
395名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:17:08 ID:M5pv3oWi
>>394
投下宣言しとけっての
396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:18:09 ID:bmiu9F1w
あとsageて
397生まれえざる0 1/3:2007/11/13(火) 23:18:21 ID:CpLfeZH7
私を召喚した少女は、私の顔を見ると頬を赤く染めて目を背ける事が多かった。
洗濯物を頼まれ、困っていたところで話しかけてきたメイドとも友になった。
薔薇を名乗る少年がそのメイドを攻め立てた時、私は彼女を庇って決闘を受けた。
――青銅とはいえ、動く金属の塊を7体同時に戦う為には、私も思わず本気を出さざる終えなかったが…

職員に扮していた女盗賊が使う、巨大な岩の巨人と戦った事もあった。
窮地に立たされた時、主である少女の誇りある姿を見て、私の中で何かが吹っ切れたように想う。
胸に刻まれた不思議な模様が、嘗ての石版とは異なる、清浄な力を私にくれて、私はゴーレムを切り裂いた。

アルビオンに書類の奪還に赴いた時には、主である少女の婚約者が裏切りを働き、私は裏切り者である彼の腕を切り落とした。
そういえば、アルビオンの王子が――死者ではあったが嘗ての私の様に操られた事もあったな…

私は、平和を願って戦った。
短い間であったが、主である少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと過ごした時間を、私は忘れない。
そして、大きな戦の最終局面、撤退する艦隊の殿を彼女が一人で行う事になったと聞いて、私は決意した。
僅かな時間ではあったが、こんな罪人に明るい世界と楽しい時間をくれた彼女を、美しい世界を、私は守りたいと…

私は、ここで私の命を燃やし尽くす覚悟がある。
嘗て悪魔が私を利用していた時には遠く及ばないだろうが、それでも、私は負けない。
胸に刻まれた模様が…ルイズとの絆が、私の思いと魂を燃やし戦う力をくれるのだから、私は負けない!

「うォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!」

私は『生まれえざるモノ』へと姿を変える。
私の髪と同じ色の外皮を持ち、長い触角と虫のような外郭、手首と足首からは鋭い刃が伸び、背中からは長い触手が2本生えている異形…
その見るに耐えない、禍々しき怪物に、幸せな時間をくれた主を……この怪物は、心から守りたいと想う。

だから私は今一度、武器を持つ人ではなく、人に武器を持たせる国を、世界を殺す罪人と成ろう!
398名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:18:34 ID:umnZp8fg
>>394
とりあえずsageないか?
399名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:18:45 ID:+JiaktgY
大文字で書くと斜め上予想
400生まれえざる0 3/3:2007/11/13(火) 23:21:14 ID:CpLfeZH7
―――以下旧アルビオン軍司令部大将の記録より抜粋
7万の軍勢がトリステイン軍の艦隊に追撃をかけた時の事だ、我々は異形の勇者に出会った。
ソレはおおよそ人には見えない姿であり、人所かエルフですら実現しえないであろう動きで我が軍を翻弄した。
放たれた矢も、魔法もソレの振るう刃の前には無力であり、空を飛ぶ軍艦ですらも、ただの一刀で切り伏せでみせた。
それだけならば、ただの怪物でしかないのだろうが、ソレは違った。
負傷者は数え切れなかったが、驚くべき事に死者は一人もいなかったのだ。
船が落ちたというのに、その乗員の全てをソレはただ一つの体で救ったのだ!
ソレは異形の姿ではあったが、イーヴァルディの勇者だとその場に居た全員が思った…
我が軍は戦意を喪失し、異形なるイーヴァルディの勇者は我々の前から消えた。

それから5年ほどが経過した時、世界は大きく変わっていた。
各国の保有していた火薬が、武器が、船の全てが何者かによって破壊されたのだ。
その破壊の爪跡は、巨大な刃物を振り回したかの様だった。
それだけではない、平民の間に製鉄技術や金属加工の技術、液状化した石炭を燃やすだけで動く動力などが齎された。
その上、安価で効果の高い薬を、岩や草等の材料を磨り潰し、または水や酒に溶かして混ぜただけで作れる者すら現われたのだ。
たった1年と言う短い時間の流れは、我々メイジの存在意義すら否定して見せたのだ。

そして、その全てをあの『異形のイーヴァルディの勇者』が行ったのだと云われている。
我々、旧アルビオン軍を初めとする調査委員会の全てが、彼の軌跡を追っているが、依然として彼の行方は知れない。

―――――――――――――――――――

空には星が輝き、町には魔法ではない安定した灯りが点っている。
産業の発展によって大気汚染や水質汚染が引き起こされる事がないように、後10年は世界を見て回った方がいいだろう。
だが、私には会わねばならない相手が居る。
数年前、私がこの世界に来る切欠となった光の鏡が現われた…しかし、あの時私は彼女の元に戻るわけにはいかなかった。
ただ、何者かに襲われている事だけは解ったので、片腕だけを突っ込み、私の生まれえざるものとしての感覚を頼りに敵を切り伏せた。
私は、あの時腕にすがり付いてきた彼女の温もりを未だに覚えている。
だが、私は言った、あと5年だけ時間をくれと…皆が平等で、平和な世界を作りたいんだと…

あれから丁度5年になる。彼女は怒るだろう、もしかすると爆発に巻き込まれるかもしれない。
だが、私はそれらを恐れる事は無い。
私は、彼女の今の住まい……ヴァリエール家の門を叩く。

少しして扉が開くと、そこには……


――お帰りなさい、バカシオン――

・BLOODY ROAR3〜4、EXより、世界を震撼させた異形の獣人―シオンを召喚―

うっかり投下宣言をし忘れておりました、お騒がせしてしまい申し訳ございません(_ _)
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:21:16 ID:CftBsxTI
sage←これをコピーして、貼り付ければ大丈夫だよ支援
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:21:24 ID:KZPmHVTz
ageていこうぜ!!
403名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:23:35 ID:M5pv3oWi
>>400
いや、1レス目の頭に入れてるし、最初から宣言する気無かっただろ。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:23:39 ID:IapqRX0p
>>402
sage進行推奨スレだぜ此処は。
>>1を見てみろよ。

半月前とは違って、半日で1スレ消費とか言うまねは流石に起こっていないんだからな。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:24:19 ID:umnZp8fg
>>402
志村ー、自分も自分も
406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:25:39 ID:+iYk1YtW
>>生まれえざる0氏

乙?GJ?そう言うのはスレのマナーを守ってからだ。
投稿するより何よりまずは>>1嫁
407ディセプティコン・ゼロ:2007/11/13(火) 23:25:51 ID:4VB7iztU
生まれ得ざる0の方、乙です。

そしてご心配をお掛けして申し訳在りません。
あちらこちらと探し回りましたが、やはり消えたみたいです。
PCには味噌塗りたくっておきます。
本編の方は即効で書き直しますので、暫しお待ちください。


でも短編の方はカンベンな!
408名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:38:33 ID:JPrB8cvB
人間の範囲内で強い格闘家って誰だろう?
409名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:40:45 ID:9rHZcKpj
塩田剛三氏はどうだ?
410名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:41:01 ID:zseHHUxn
丹波文七でも喚んどけ。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:41:29 ID:F3+sLzQc
>>408
佐川幸義とか李書文は?
412名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:41:45 ID:8lqm83sB
>>408
チートレベルの強さがお好みなら間違いなく師匠と馬鹿弟子
413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:42:04 ID:umnZp8fg
>>408
格闘漫画やアニメの名前さえない脇役達
名前あるのは基本的に能力が異次元
414名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:42:24 ID:r5HGv/iY
>>408
鉄拳チンミのチンミは?
最近の話を見たら一応剣も使えるみたいだし
415名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:45:02 ID:uUb1oFys
チンミまだやってんの?長いなぁ
416虚無の王:2007/11/13(火) 23:46:33 ID:MSWmGlKY
今、空いてます?
417名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:48:26 ID:fbz20SuQ
aiteiru.
418虚無の王 Trick15 1/14:2007/11/13(火) 23:48:52 ID:MSWmGlKY
 モット伯の邸を守る衛兵、従者、そして一門の貴族達とて、決して、警戒を疎かにしていた訳では無い。
 昨今は、“土塊のフーケ”なる盗賊が巷を騒がせている。警備には一層の力を入れていた。
 だが、どんなに厳重な警戒態勢にも、必ず穴が有る。
 侵入者の行動如何によっては、機能不全を起こす事が有る。
 今回は相手が悪かった。
 侵入者を指揮するのは空。前“風の王”にして、最も“空の王”に近い、と言われた男だ。
 “空の王”の資質の一つである“イーグル・アイ”は庭園の地形から、建物の構造まで全てを見通す。
 そこに、空のテロリストとしての知識が加わる時、邸の警備は丸裸となる。
 空は単独では無い。足手纏いを引き連れている。それが、警備側に不幸をもたらした。
 見慣れぬ血に荒れ狂う素人達に、無音で作戦を遂行させる事は出来ない。本来、殆どの人間に気付かれる事無く、目的を達せる男が、好んで無用な戦いに臨む。
 衛士の待機室。
 兵士達は固唾を飲んで、武器を構える。扉の向こうから、喊声が近付いて来る。
 扉が蹴り開けられる。飛び込んで来た所を包囲、一斉に打ちかかろうとして、衛兵達は唖然とする。
 先頭は車椅子。誰もが立っている人間を想定していた。一瞬、目標を見失う。対応が遅れる。
 その一瞬で、空は壁走り〈ウォール・ライド〉。後背へと回り込む。
 意図的に速度を抑えた動きに目を奪われた時、喊声が耳朶を打つ。
 いや、それは喊声では無かった。獣の咆吼だ。
 憤怒、恐怖、憎悪、そして血に狂う、オーク鬼の様に歪んだ目をした男達の姿に気付いた時は、もう遅い。
 野蛮で原始的な一撃が、忽ち刀槍で武装した兵士達を打ち倒す。
 もし、遠い異世界で、過半の国家から身分制度が失われている事を知ったら、彼等は身震いしつつも、納得する事だろう。
 警護の兵士達は、文字通り、骨身に叩き込まれたのだ。
 平等と言う虚構の信仰により、互いを牽制しつつも結びつく最大派閥。最も理性に乏しく、残忍凶暴なる集団。“平民”の恐ろしさを。

「走れっっ!!」

 デルフリンガーを振り翳して、空はマルトー達を叱咤する。放っておいたら相手が死ぬまで――――いや、死んでも――――滅多打ちに打ち続けるだろう。
 中世西洋の建築物は多くの場合、廊下が無い。
 それは防衛上の要請でもあり、人的な物を含む全ての資産を、来客に誇示する為でも有る。
 侵入者が最深部に至る為には、全ての部屋を突破しなければならない。
 ハルケギニアでは事情が変わる。
 防衛線の要所を構築するのは、魔法を操るメイジだ。その為にも、射線を通す必要が有る。
 メイジが直接防衛に当たる場所と、そうで無い場所で構造がガラリと変わる。
 また、一つの部屋を突破。次の扉を開く。
 最初に見えたのは、クォーレルの束だ。無数の弩が、一斉に殺意を解き放つ。
 空は掌を翳す。忽ち生まれた空気の壁が、矢を有らぬ方向へと弾き飛ばす。
 長い廊下だった。両脇に扉は見えない。居住の為では無く、防衛の為のスペース。
 衛兵に動揺が走る。
 なんだ、あの車椅子の男は。何をした?何が起きた?
 空が加速。後に控えたメイジが、炎の、風の魔法を解き放つ。だが、超音速の衝撃波さえ見切る男にとっては、矢だろうが、魔法だろうが、止まっている様な物だ。
 魔法までもが容易く打ち払われると、衛兵、貴族は今度こそ恐慌に陥った。
 まさか、先住――――っ!そんな言葉が漏れた時、車輪が壁を蹴り、空の姿は全員の視界から消える。天井を蹴り、敵陣のど真ん中に“出没”する。
 剣光閃々。
 血飛沫が散る。錆びた刃が肉を刮ぎ取り、骨を砕く。悲鳴が上がる。
 そこに、わっと押し寄せる狂気の怒号――――。
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:49:00 ID:Q9ChFMrk
ルイズのブラの中身くらい空いてる
420虚無の王 Trick15 2/14:2007/11/13(火) 23:49:47 ID:MSWmGlKY
 料理人達は血眼で武器を振り回す。時折、凶器の先端が仲間を掠めるが、誰も意に介さない。
 杖を失ったメイジが床に這い蹲り、頭を庇う様にして抱えている。その頭を、背を、腰を、スコップの縁が、棍棒が繰り返し打ち据える。
 壁に追いつめられた下級貴族は、既に顔の形が分からなくなっている。
 救いに入ろうとした兵士は、横合いから大剣の一撃を受ける。

「次やっ!」

 敵戦力の沈黙を確認して、空は叫ぶ。返事は無い。
 振り向いた時、料理人達は覆面の上からでも判る薄ら笑いで、動けなくなった貴族達を踏み躙っていた。誰もが、血と、貴族に対する歪んだ復讐心に酔っている。
 空は舌打ちする。これだから、ド素人は嫌だ。取って返し、その眼前にデルフリンガーを振り下ろす。
白刃と空の眼光が、一瞬、料理人達の濁った思考を停止させた。

「次や――――」

 前進を命じようとした時、向こうから扉が開いた。姿を現したメイジの杖には、既に火球が燃えている。
 空が飛び出したのと、火球が杖を離れたのは、ほぼ同時だった。眼前で炸裂。背後で悲鳴と絶叫が渦を巻く。
 火球を放ったメイジは、即後退。室内の兵力と交代する予定でいたのだろう。だが、空の速度も、火球を無傷で正面突破する事も、彼等の想像を超えていた。
 メイジは何が起きたかも判らぬ内に切り倒された。空は突き当たりから、壁を走る。
 料理人達は後に続かなかった。空が打ち払った火球の余波を浴びて、パニックに陥っていた。
 もし、壁際に隠れていた弩兵が、室内に飛び込んだ竜巻に意識を奪われていなければ、忽ち蜂の巣に変えられた事だろう。
 いや、一人、料理人達に杖を向けている者が居た。
 見習い騎士と思しき少年は、既に呪文を完成させていて、空の速度に反応出来ていなかった。
 目の前で同胞が倒れると、訳も判らず、廊下に向けて氷の矢を放つ。殴り倒され、意識を失ったのは、その直後だ。
 室内を綺麗に片付けると、空は廊下に向き直る。
 体のあちこちに火傷を負った料理人達は、脚をふらつかせ、座り込み、床に転がり、呻き、泣き喚いている。

「腕!腕!痛い!俺の腕!腕!」
 
 氷の矢を浴びたか、左腕が凍り付いた男も居る。

「止まるなっ!走れっ!」

 叱咤するが、料理人達は泣き言を止めない。空は呆れ返って、車輪を返す。

「待ってくれ!我等の風っ!こいつ、腕が!」
「棄ててけっ」

 冷然、言い放つと、空は一人先を急ぐ。連中が動く気になるのを待っていたら、包囲されるのがオチだ。
 頼みの綱が行ってしまうと、料理人達は弾かれた様に立ち上がる。慌てて後を追う。ここは、恐ろしい貴族の館だ。置いてけぼりは堪らない。

「ま!……待ってくれっ!……待ってっ!」

 凍った腕を引き摺る男が、悲鳴混じりで最後に続く。
421虚無の王 Trick15 3/14:2007/11/13(火) 23:51:04 ID:MSWmGlKY
「走れ!」

 一体、何度叱咤された事だろう。料理人達は必死で、車椅子の背中を追いかける。

「走れっ!」

 脚がふらつく。目を汗が刺す。心臓が破裂しそうだ。

「走れっっ!」

 意識が朦朧とする。武器に体が振り回される。
 それでも料理人達は走る。本能的な恐怖に背を押されて走る。落伍したら命は無い。
 刃が掠め、魔法の余波に突き倒されつつも、がむしゃらに突き進む。

庭園――――
 門衛達は唖然、屋敷を見つめている。交錯する怒号と喊声。
 侵入者?何時?どこから?
 上からは、何の指示も無い。
 あくまで持ち場を守るべきか、応援に駆けつけるべきか――――迷った時、頭上を何かが過ぎる。
 眼前で地響きが弾んだ。

「失礼するっ!」

 小さなチャリオットにも似た異形の車体が、一声残して駆け抜けて行く。
 車輪を持った奇妙なゴーレムにも、騎手たるメイジにも、見覚えが有った。
 急ぎつつも、ギーシュは慎重にワルキューレを操作する。
 広い庭園には障害物が多い。侵入者の脚を止め、上から狙い撃つ為だ。
 空の様な異能を持たずとも、建物の構造は大まかに判る。伯爵の部屋も判る。
 同時期に建築された建物なら構造は似通っているし、この邸は何度か訪れている。

「止まれっ!!」

 正面玄関前。
 言われるまでも無く、ギーシュは制動に入っていた。石畳を削り、砂を蹴立てながら急停止。

「あっ!……グラモンの御子息!どうされました!?」
「伯爵をお助け申し上げる為に来たのだ。退がってい給え」

 震える脚で、ギーシュはステップから降り立つ。
 原始的ながらサスを備えるとは言え、青銅の車輪はダイレクトに路面を拾う。強烈な震動は、手にも脚にも痺れを残す。
 ギーシュは杖を振るい、ワルキューレを変形させる。部分的に作り替える方が、一から作り直すよりは、若干、精神力の消耗を抑えられる。
 トラックレーサー仕様の車椅子にも似た下半身が失われ、ウィールを備えた脚部が現れる。上半身も若干ボリュームを増す。
 ワルキューレの胸甲が僅かに開く。何かが飛び出し、衛兵達は目を瞠る。フックが屋根を捉え、青銅のワイヤーが垂れ下がる。
 ギーシュはワルキューレの首に腕を回す。ワイヤーを軽くウィンチ。ウィールが地面から僅かに離れる。
 後は一瞬だった。ワルキューレが壁を蹴る。浮き上がった体を、ウインチが猛烈な勢いで巻き上げる。
 登攀型ワルキューレは、四階の高さを、たった二歩で征服した。


   * * *
422虚無の王 Trick15 4/14:2007/11/13(火) 23:52:19 ID:MSWmGlKY
 トリステインの平民は通常、サウナ風呂を使う。浴槽に湯を張り、身を沈めるのは、貴族にのみ許された贅沢だ。
 まさかその贅沢を、二晩続けて味わう事になるなど、三日前には想像もしなかった。だからと言って、堪能する気分には程遠い。
 シエスタは昨晩の出来事を思い出す。
 服を乾かしながら、空の残り湯を使った時には、人が来ないか、と気が気で無かった。
 湯に浸かっている、と言うより風呂釜に隠れている塩梅だ。
 その点、伯爵邸の浴室は豪華だ。
 広い広い大理石の浴場に香水の香り。空の風呂釜とは比較にならない。
 それでも、不安に身を縮めていた昨夜の方が、余程心地よかったし、安心だった。
 頭の中を、先輩メイドが残した言葉がグルグル回っている。

 用意してある服に着替えて、伯爵の寝室で待つ様に――――

 モット伯は言っていた。お前を単なるメイドとして雇った訳では無い、と。
 つまりは、こう言う事だ。
 とぷん、と湯に頭までを沈める。

 行きたくない――――

 そんな考えが脳裏を過ぎる。
 このまま、モット伯が待ち草臥れて眠ってしまうまで、こうしている訳にはいかないだろうか。
 いかなかった。メイドが戸を激しく叩いて急き立てる。
 仮にこのまま頑張っても、伯爵自ら喜々として乗り込んで来るだけだろう。
 仕方無く、浴室を出る。
 用意された衣服は、意外や意外。極普通のメイド服だった。この屋敷で使われる、露出が大きな物では無い。
 若干、魔法学院の物より、生地が安っぽいのは何故だろう。
 長湯をし過ぎた。
 のぼせて、フラフラとした足取りで指定の部屋に向かう。
 重い樫の扉を開くと、天蓋付きの豪奢な寝台が目に止まる。
 ああ。この部屋で、愛する人と契りを交わすのであれば、どれだけ素敵な事だろう。
 部屋には誰も居ない。
 寝台には小さなサイドチェストが付いていて、数冊の本と、邸の主人を象った陶像が立っている。
 見ていると、気分が悪くなって来た。
 シエスタは出来る限り、寝台から離れた場所で待つ事にする。
 と、壁越しに靴音。シエスタは身を小さく強ばらせる。
 扉が静かに開く。
 “波涛”の二つ名を持つ貴族が、鼻息も荒く登場した時、シエスタは一瞬、卒倒しそうになった。

「シエスタよ」
「は、はい」
「指示した通り、生地が薄く、少し引っ張っただけでも破れてしまうブラウスと、些細な事で伝線してしまうスットキングを、きちんと着用して来たかねっ?」
「は……えっ!……ええっ!?」

 言葉に併せて、モット伯爵の渦眉がピクピク動く。渦髭もピクピク動く。どう言う訳か、渦巻く揉み上げまで動く。
 シエスタは唖然とした。一瞬、言われた事が理解出来なかった。
 何?何?この人?何、あの眉毛!?
423虚無の王 Trick15 5/14:2007/11/13(火) 23:53:30 ID:MSWmGlKY
「あの〜……用意された服を着て来たのですが……」
「うむっ。宜しいっ。いいね。いいね。最高だねっ」

 モット伯が歩み寄って来る。ゆっくりと、ゆっくりと。獲物を追い詰めた肉食獣の慎重さだ。
 シエスタは身を縮こませる。

「どうした?逃げないのかね。良いのだよ、逃げても。反撃するなと好きになさい」

 そうは言われても、足が竦んで動けなかった。
 シエスタは顔を背ける。
 怖く無い。逃げない。何度、口にした事だろう。
 それでも、十数年間――――いや、六千年間かけて刷り込まれた恐怖が、そうそう払拭出来る訳が無い。

「つまらん」

 手首が掴まれる。体が独楽の様に回る。
 気付いた時、シエスタは寝台の上に倒れ込んでいた。
 白い布地が切り裂かれ、寝台の上に舞い散った。
 ボリューム感溢れる、柔らかい肉が零れ落ちる。

「いやあっ!」

 目に飛び込んで来た“物”に、シエスタは悲鳴を上げた。
 モット伯は脱いだら凄かった。自らの衣服を引き裂いた瞬間、突き出した下腹!ズボンから垂れ下がる柔らかい脂肪!
 シエスタは目眩を覚えた。
 ああ、貴族は魔法でエネルギーを消費するでのではなかったのかしら?
 だから、どんなに食べても太らないのでは?
 でも、そう言えば、ミスタ・マリコルヌはピザデ――――ぽっちゃりさんだったわね。

「フハハ!いいぞ!いいぞ!泣け!叫べ!」

 白い下腹部がたぷたぷと揺れながら躙り寄って来る。
 シエスタは後退る。
 狭い寝台だ。忽ち、追い詰められ、組み伏せられる。

「っ――――!」

 両手首が抑えられる。振り回す脚が空を切る。
 声が出ない。恐ろしさのあまりに、歯の根が合わない。
 と、モット伯の動きが止まった。喚声が床を伝って聞こえて来た。
 胡乱気な顔で、首を巡らせる。
 シエスタも動きを止めた。
 蛇の様な視線から解放された事で、若干、思考力が戻って来た。
 自分は今、モット伯に組み伏せられている。両手首を抑えられ、のし掛かられている。
つまり、
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:54:21 ID:+iYk1YtW
支援
425虚無の王 Trick15 6/14:2007/11/13(火) 23:54:39 ID:MSWmGlKY
 モット伯は杖を手にしていない――――!

 脳裏にギーシュの姿が浮かんだ。
 空とどう戦うかを相談していた時、ぽろりと零した言葉を思い出した。
 そうだ。メイジが魔法の力を行使するには、杖が不可欠。今のモット伯は下腹の突き出た、ただの中年男性でしか無い。
 シエスタは必死で身を捩った。小娘の力だ。大の男に抵抗するのは難しい。
 だが、相手はただの人間なのだ。メイジではないのだ。助かる可能性は有る筈だ。

「んん?大丈夫、大丈夫。心配は要らない。我が警備隊は優秀だよ。さあ、続けよう。もっと私を楽しませてくれ!」

 モット伯の顔が近付いて来る。渦巻く鬚が近付いて来る。突き出た唇が近付いて来る。酒臭い息と、荒い鼻息が近付いて来る。
 シエスタは堪らず、目を瞑り、顔を背ける。
 鬚が鼻を掠める。吐息を飲み込んでしまい、思わず咳き込む。シエスタは首を左右に捩る。
 蛞蝓の気配が、喉元に近付き――――そして遠ざかった。
 足音がする。
 乱雑な足音だ。
 側まで近付いて来ている。部屋のすぐ前。
 モット伯は下卑た中年から、一転、歴戦のメイジへと豹変する。
 足音で判る。近寄って来るのは、近従の下級貴族では無い。サイドチェストの杖に手を伸ばし、扉へと向き直る
 両手が自由になった。シエスタもまた、サイドチェストに手を伸ばす。
 扉が開け放たれた。
 現れたのは、車椅子の男だ。長さ1.5メイルもの大剣を手にしている。そして、返り血にまみれた、覆面の男達。
 邸の主人が侵入者めがけて、完成した呪文を放とうとした、正にその瞬間だ。
 主人の姿を象った像が、その米神を直撃した。



 モット伯の眼球がぐるん、と回った。水のトライアングルメイジは一転、寝台から転げ落ち、床に頭を打ち付けた。
 手にずしり、と重い感触。
 シエスタは邸の主人から守ってくれた、主人のブロンズ像を見つめる。
 辺りを見回す。確かに在った筈の物が見当たらない。

「シエスタっ!」

 誰かが声を挙げた。

「この野郎っっ!」

 誰かが叫んだ。
 料理人達は倒れ臥すモット伯へと群がり、鈍器を振りかぶる。

「やめいっ!ボケっ!」

 それを制したのは空だ。勢い余って振り下ろされた一打を、デルフリンガーで受け止める。

「大事な人質や」
426虚無の王 Trick15 7/14:2007/11/13(火) 23:56:03 ID:MSWmGlKY
 その様を、シエスタは目を丸くして見つめていた。
 空が助けに来るのが意外なら、マルトーを始めとする厨房の料理人達が来るのは、更に意外な事だった。
 涙が零れた。
 返り血にまみれた男達。それだけでは無い。刀創を負った男が居て、折れた腕を力無く垂らしている男が居る。凍傷を負った男が居る。マルトーの額には、はっきりと刃物の跡が見える。全員があちこちに火傷を負っている。
 彼等は自分の為に、そこまでしてくれた。
 恐ろしい貴族の邸に乗り込んで来てくれた。
 それが何より嬉しくもあり、申し訳無くもあった。

「シエスタ、大丈夫か?何もされてないか?」
「俺達だ!助けに来たんだ!もう大丈夫だ!」

 料理人達は次々に覆面を取って、素顔を見せる。
 シエスタは笑った。泣きながら笑って、礼を言った。

「こらこら!お前等!まだやで!まだ助かってへんで!帰るまでが襲撃や、言うたやろ!」

 抱き合い、笑い合う一同をよそに、窓際へ寄った空は、手を叩いて注意を促した。

「さ、撤収や!手順をちいと変えるで!よく聞け!」

 空は部屋のカーテンを外させる。
 結って、ロープ代わり。廊下側の窓から脱出する。

「そこに抜け道が有る!マルトー!皆を先導し!」

 部屋を照らす、魔法のランプを一つ放る。
 料理人達が四苦八苦、準備を進めている間に、空は廊下に出ると、窓から下を見下ろす。
 どうやら、大丈夫そうだ。

「我等の風!こいつはどうするんだ?」

 一人が、モット伯の頭を軽く蹴った。

「ワイに任しとき。話つけとく」

 自分は後から合流する。先に行け。
 その言葉に、料理人達は素直に従った。“我等の風”がどれ程の力を持っているのかは、戦列を共にしてよく判っている。
 料理人達は覆面を着け直すと、脱出にかかる。
 部屋には、空とモット伯だけが残された。

「もう、ええぞ」

 空は部屋の窓を開けた。


   * * *
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:57:08 ID:sUj1lyaP
支援
428虚無の王 Trick15 8/14:2007/11/13(火) 23:57:08 ID:MSWmGlKY
 意識を取り戻したモット伯が最初に目にしたのは、青銅の乙女だった。
 膝枕は冷たく、固かった。
 体を起こそうとした時、頭部に激痛が走る。

「ああ!伯爵!気付かれたのですね!良かった!本当に良かった!」

 安堵の笑顔を見せたのは、破れやすいブラウスに、容易く伝線するストッキングを履いた、巨乳のメイドではなかった。
 親友の息子だ。
 美少年と言って良い、端正な顔立ちだが、生憎、モット伯にその気は無い。

「ギーシュ君……これは……」
「ああ。僕よりは、青銅製とは言え、乙女の方が宜しいかと思いまして」
「いや、そんな事より、何故、君がここに……」
「ああ!伯爵!本当に申し訳有りません!僕がいけなかったのです!」

 不意にギーシュが詫びた。何が何やら、判らなかった。

「我がグラモン家とモット家は常に戦列を共にした間柄。なにより、高雅なる趣味を共にする同志。我が父にとって、伯爵は得難き友であり、畏れながら、私も伯爵を父の様にお慕い申しておりました。
その伯爵と――――ああ!僕はなんと愚かだったのだろう!あんな些細な事で諍いを起こし、身の程知らずにも、手勢を差し向けるなどと!――――」
「あの……ギーシュ君……話が見えないのだが?」

 諍い?何の話だ?
 自分とギーシュとの間に、いつ、どんな問題が起きた?
 手勢?何を言っている?
 確かに、不逞の輩が侵入し、遂には自分の寝室にまで踏み入って来たが、そこにグラモン家の家臣など一人も居なかった。

「心から悔いているのです。僕は愚かにも、伯爵の美しい邸を踏み躙り、多くの御家人を傷付けてしまいました。僕ごときが、偉大なる水のトライアングル・メイジ。“波濤”のモット伯爵に叶う筈など無いのに!」

 モット伯はピンと来た。
 シエスタが居ない。連れ去られた。あの侵入者達は、彼女が目的だったのだ。
 ギーシュが主犯、とは考え難い。遣り口が粗雑過ぎるし、何より無謀だ。
 だが、彼はシエスタに執心している。彼女を連れ去った者を庇い、この件を容認しろ、と言っている。あのメイドを諦めろ、と言っている。代わって、自分が咎を引き受ける、と……。
 なるほど、相手が平民なら、なんとしでも誅殺しなければならないが、貴族とその手勢なら和解の余地は有る。

「ギーシュ君、君は……」
「そうです!全ては僕の罪なのです!――――でも、伯爵はお優しい方。きっと、最後には許して下さる物と信じていますよ」

 と、ギーシュは口元を釣り上げて笑った。そこに全ての罪を背負う殊勝さは、微塵も見られなかった。
 なんのつもりだ――――

「!――――」

 この時、モット伯爵は気付いた。
 杖が無い!
 モット伯爵は魔法学院時代を思い出していた。倫理の時間だった。
 偉大なるオーギュスト三世、幼少の砌の話だ。彼は斧で父王が大切にしていた桜の樹を切り倒してしまった。王子は全てを正直に話し、父王はそれを許した。
 父王が何故、王子を許したのか――――教師の問いに、ジュール・ド・モット少年は答えた。
 王子が未だ手に斧を持っていたからだと思います――――。

「ギ、ギーシュ君。君は……こんな事をして、どうなるか判っているのかね!」
「勿論、僕は罪を犯し、お許しを乞う身です。その為には、誠意を見せなければなりますまい。伯爵。どうか、これで僕の罪を御容赦願えないでしょうか?」

 ギーシュは背中から羅紗の袋を取り出した。紐を解き、そして半分だけ覗いた中身に、モット伯は目を瞠った。
 それだけで判った。あれは、長年、自分が夢見て止まなかったツェルプストー家の家宝。召喚されし魔道書ではないか!
429虚無の王 Trick15 9/14:2007/11/13(火) 23:58:20 ID:MSWmGlKY
「ギギギ、ギーシュ君それは?」
「もし、お許し頂けるなら――――罪深き僕に、僕の罪行に荷担した者に許しを与え、僕の手勢が貴方に与えた、あらゆる人的物的損失に関する賠償・返済を免除して下さるならば――――謝罪と、そして和解、両家のさらなる友好の証として、これを差し上げたいと思います」

 モット伯は無言で歩み寄った。夢遊病者の足取りだ。
 ギーシュは再び、魔道書を袋に戻す。

「ギ、ギーシュ君!いい、意地悪をしないでくれ給えよ!ささ、もっとだ!もっと見せてくれ!」
「では、お許し頂けるのですね」
「当然だ!始祖にかけて誓うよ!だから、さあ!早く!」

 ギーシュは寝台に歩み寄った。側のサイドワゴン。天板下のラックには、ナイトキャップが収められている。
 内一本を抜き取る。

「タルブ産ですか。素敵だ。さすが、伯爵。良い趣味をしていらっしゃる」

 グラスを二つ。年代物の赤が、ルビーの深みでランプの灯を弾いた。

「さあ、乾杯しましょう伯爵!今夜の不幸な出来事を忘れ、更なる友誼を誓いましょう!始祖ブリミルと、女王陛下と、祖先より受け継いだ名に賭けて!」


   * * *


 抜け道の先で、空は料理人達と合流した。
 長い長いトンネル。空を除いては知らない事だが、ギーシュの使い魔ヴェルダンデが掘った物だ。
 恐るべき貴族の牙城を脱したと思うや、料理人達は一斉に膝をつき、へたり込んだ。
 誰もが疲労困憊していた。
 誰もが浅からぬ傷を負っていた。
 だが、その顔は晴れやかな物だった。

「皆さん、本当に有り難うございます」

 シエスタが改めて頭を下げる。
 いいって事よ。水くさい事言うな――――そう返しながら、料理人達は一様に笑みを浮かべている。

「なあ、“我等の風”」
「シエスタを連れ戻せたら勝ちだ、てあんたは言ってた」
「俺達、本当に勝ったんだよな……」
「貴族に勝ったんだよな」

 満面、笑顔を浮かべる料理人達。
 一瞬、空は胡乱気な目をした。
 正直に足手纏いだったのだが――――まあいい。貴族に依存するばかりで、自助努力と無縁だった連中が、気合いだけは見せたのだ。
 採点魔のキリクではないが、及第点として良いだろう。
 言いたい事が色々有ったが、結局、それは飲んでおく事にした。

「おうっ……けちょんけちょんやっ」

 歓喜の雄叫びが爆ぜた。へたり込んだまま、料理人達は拳を突き上げた。
 シエスタは一人一人に礼を言って回る。

「さあ、帰りましょう!」

 シエスタが元気良く号令をかけた。
 彼らの本分は戦闘では無い。明日には、いつも通りに厨房の仕事が待っている。
 空が言う通り、帰るまでが襲撃なのだ。


   * * *
430虚無の王 Trick15 10/14:2007/11/13(火) 23:59:35 ID:MSWmGlKY

 翌朝――――

「なるほどのう……」

 ギーシュが説明を終えると、オスマンは重々しく頷いた。

「わしと君の父上は趣味が似ておる」
「知っています」
「つまり、モットはわしらと趣味が似ておる」
「よく判ります」
「注意しておくべきだったのう。相談して貰えれば、最初からこんな事にはならんかったのだが……」
「やはり、御存知有りませんでしたか」

 知っていたら、オスマンはなんとしてでも阻止しようとしただろう。
 シエスタが勤務中まで“飛翔の靴”を履いているのは、学院長直々の要望と聞いている。

「全部署の事情が、直に伝わる訳では無いからのう。ともあれ、あのメイドの事は安心しなさい。悪い様にはせん」

 報告を終えて、学院長室を後にする。
 ギーシュは本塔を出た。
 今回の件は、本家にも報告しなければならないだろう。
 オスマンは口添えしてくれる、と言っていた。モット伯はグラモン家の名を出さない、と言ってくれた。あまり、大事には発展せずに済むとは思うのだが……。
 だが、モット伯の家臣には多くの犠牲者が出た。死人も出たかも知れない。彼等からの突き上げが有った時、伯爵はどうするだろう。
 彼等が犯人に辿り着き、私的な報復に出るのも考えられない事では無い。その場合、的になるのは後盾の無い料理人達だ。
 知った事か、と思う。シエスタは助かった。それでいいではないか。
 気付くと、ヴェストリの広場だった。
 初めて空と決闘した場所。
 その後は、しばしば特訓に利用させて貰った。
 芝や壁のあちこちにウィールの跡が付いている。
 昨晩、料理人達が退散した後、伯爵の寝室に入った。
 抜け道を掘ったのがヴェルダンデなら、衛士を誘導して、シエスタと料理人達の逃亡を幇助したのはギーシュだった。

「ええんか。手柄、全部、マルトー供にくれてやって」

 その問いを、ギーシュは首肯した。
 昨日、空が言った通り、早目にはっきりさせるべきなのだ。
 自分はモンモランシーと付き合っている。自分とシエスタとでは住む世界が違う。
 もう、出来るだけ会わない様にしよう。
 ギーシュはそう決めた。空との決闘に、協力願うのも止めよう。

「ミスタ・グラモン!」

 ギーシュの決意は固い。
 だから、背後から声を掛けられた時も、振り向く事はしなかった。

「なんだ、君か」

 出来る限り、素っ気無い風を装った。

「昨日は有り難う御座います。ミスタ・グラモン」
「何の話だね?厨房の仲間達に助けられたのだろう?礼を言わなくていいのかい?」

 返事は無かった。
 ウィールの音が、背後にゆっくりと迫って来た。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:59:48 ID:+iYk1YtW
支援
432虚無の王 Trick15 11/14:2007/11/14(水) 00:00:42 ID:go7JX2Rc
「……私、言いましたよね。貴族は怖くない、て」
「ああ」
「でも、駄目ですね。いざ、その時になったら、やっぱり……」
「ああ」
「伯爵に組み敷かれた時、私、怖かったんです。とても怖くて……震えちゃって、声も出なくて……」
「ああ」
「その時、厨房の皆や、空さんが来てくれて……伯爵が杖を取られて……」
「ああ」
「このままじゃ、皆が危ない、て……私、夢中でした。咄嗟に手近な物を掴んで……えいっ、て!……」
「ああ」
「それが、ブロンズ像だったんです。それで、伯爵は気を失われて、私も皆も助かったんです」
「その皆には、よく礼を言うといい」
「……でも、変なんですよね」
「……何が?」

 嫌な予感がして、声が上擦りかけた。なんとか誤魔化す。

「私、一人でお部屋に入った時、よく見たんです。そこに“青銅”の像なんて無かったんです」
「み、見落としたのだろう」
「それで、後で見たんですけど、陶像が無くなってたんです」

 薄い陶器の像だった。殴られれば痛いだろうが、それだけだ。気絶することなど有り得ない。

「……そ、それは、あれだ。うん。ま、間違いなく、君の気のせいであり、十中八九勘違いだ」

 動揺を隠そうとして、思わず多弁になる。直後、更なる動揺がギーシュを襲う。
 繊手が、そっと指先に触れた。

「ギーシュ様」

 ブロンズ像で頭を殴られたかの様な衝撃だった。

「“青銅”のギーシュ様」

 シエスタは“青銅”を必要以上に強調した。
 ありがとうございます――――甘い声が耳元で囁いた時、腕が柔らかく弾力の有る感触に包まれた。

「ししし、シエスタ?」

 声が震えた。
 正に鎧袖一触。二つの魔法兵器が誇る絶大なる威力は、“清童”のギーシュが築いた心の防壁を、忽ちに崩壊させた。

「ああ、あのだねえ……ぼ、僕はだね……その……」
「知っています。ミス・モンモランシでしょう」
「あ、あああ。うん。そうなんだ。だ、だかららら……」
「いいんです」

 シエスタは言った。

「いいんです。私は二番目でも……信じて、待ってますから……」

息が止まりそうになった。

「終まいには刺されるで」

 空の声が、脳裏に蘇る。
 艶の有る黒髪が肩に乗った時、ギーシュは決心した。
 そうだ――――遺書を書こう。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:01:40 ID:+iYk1YtW
支援
434虚無の王 Trick15 12/14:2007/11/14(水) 00:02:02 ID:go7JX2Rc

   * * *


 放課後――――

「どうして先に行っちゃうのよ!」

 いつも特訓をしている岩場だ。
 空の後姿を見付けると、ルイズは唇を尖らせた。

「ここまで歩いて来るの、大変なんだから」

 昨晩もそうだ。キュルケ、タバサ共々、風竜で駆け付けはしたものの、厳戒態勢のモット伯邸には降下も叶わず。
 どうした物かと悩んでいる内に、邸から現れたギーシュに告げられたのだ。
 万事解決だ。もう、心配はいらない――――
 全く。何をしに行ったのか、判らない。

「自分だけで何もかもやって。あのメイドを連れ戻して、さぞ得意なんでしょうね」

 不満のあまりに、そんな嫌味が口を衝いて出そうになった時だ。
 空は溜息を付いた。
 横からひょい、と覗き込む。憮然とした顔だ。

「……なによ、変な物でも食べたの?黄昏ちゃって」
「ワイかて、気分が悪い時くらい有る」
「何か有ったの?」
「どうもこうも、あるかい」

 箝口令を敷いたにも関わらず、マルトー達はすっかり浮かれきっていた。
 貴族に勝った。貴族に勝った。
 秘密だけど、ここだけの話だけど、と、学院中の平民相手に触れ回る。脚色も鮮やかな彼等の武勇伝は、遠からず街の酒場まで漏れ出す事だろう。
 これでは、話を収めてくれたギーシュの骨折りが無に帰しかねない。

「全く、しょーも無い奴らや。貴族のボーズに助けられたんも知らんと、いい気になりおって。あれしきの事で、空飛んだつもりになっとる。ホンマ、救いようが無いわ」
「仕方がないわよ」

 散々、悪態を吐く空に、ルイズは微笑した。

「“空”なんて、誰でも手が届く物でしょう」
「あん?」

 振り向こうとした時、ルイズの手が、ひょい、と帽子を取り上げた。

「本当、空は近いわ。手を伸ばせば、接吻できるくらいに」
「なら、してみるかい?」
「やーよ」

 ルイズは帽子を被って見た。ブカブカだ。

「今のあんたはいや。曇り空は御免だわ」
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:02:34 ID:s4zzpghl
>>408
ホーリーランドの神代ユウ
そして支援
436虚無の王 Trick15 13/14:2007/11/14(水) 00:03:04 ID:go7JX2Rc
 杖を手に、ルイズは手近な大岩に歩み寄った。大岩と言うよりも、岩山と呼んだ方が的確かも知れない。
 表面を撫でると、ざらりとした、重く冷たい手触りが返って来た。

「あんた、よその世界から来たんでしょう?」
「信じてへんのやなかったんか?」
「信じてなかったわよ。信じて無かったけど……」

 信じざる得ない気がした。
 空はあまりに自由だ。あまりに奔放だ。
 恐らく、彼の故郷は、階級が無いにも関わらず、人間が獣の群では無く、人でいられる特異な場所なのだろう。
 ハルケギニアには、そんな場所は存在しない。
 階級に相応しい生活、相応しい装い、相応しい言動を取らない人間は、貴賤を問わず、誰からも相手にされなくなる。

「……私ね。ずっと、“塔”の中に閉じ込められている様な気持ちだった。窓の無い、真っ暗な“塔”――――」

 自分は魔法の才が無い。貴族にも関わらず、魔法が使えない。
 役立たずを許しておく程、貴族の社会は寛容では無いし、魔法を使えない貴族を受け容れる程、平民の社会は慈悲深くは無い。
 お前は要らない――――世界にそう言われている気がした。

「でもね――――」

 ある日、暗く息苦しい“塔”の中に、“風”が吹き込んだ。
 風を辿ると、細い光が見えた。ぶ厚い“塔”の壁に、僅かな亀裂――――。
 ルイズは呪文の詠唱を始める。
 イメージするのは擂り鉢だ。爆発のエネルギーを一点に収束する形だ。
 閃光が生じた。
 熱を含んだ風が吹き寄せる。ルイズの頭から舞った帽子を、反射的に受け止めた時、空は目を瞠った。
 岩山越しに、“空”が見えた。
 熱量凡そ3000度。超音速のジェット噴流が巨岩を豆腐の様に刳り抜いていた。
 成功に、ルイズは安堵の息を漏らす。

「風穴、空けたわよ。“塔”の天辺まで」

 ルイズは自慢気な笑みを浮かべた。誇らし気と言うには、あまりに幼く、子供っぽい笑みだった。
 さあ、褒めて!驚いて!
 悪戯っぽい鳶色の瞳が、素直にそう言っていた。

「……こいつは、おでれーた」

 どこかで聞いた科白だ。
 事実、空は素直に驚いていた。こんなに早く、成果が上がるとは思っていなかった。
 いや、そもそも成果が上がる事自体、確信していた訳では無かった。
 この破壊力――――火の系統など及びもつかない。
 なるほど、昨日から妙に機嫌が良かった訳だ。
437虚無の王 Trick15 14/14:2007/11/14(水) 00:04:22 ID:go7JX2Rc
「んー、実は未だ、10回に1回くらいしか成功しないんだけど……“道”は開けた?」
「上等や!」

 帽子を被り直しながら、空は笑う。ルイズに負けず劣らず、邪気の無い笑みだ。
 イツキと違い、陰謀の絡まない二番弟子の成長は、純粋に喜ばしい物だった。

「“爆風の道〈ブラスト・ロード〉”て所か?目の前に転がる邪魔な小石、全部吹き飛ばして突き進む、お前だけの“道”や。ぴったりやんか!」
「私だけの“道”て事は、当然、一番の使い手は私なんだから、私が“王”よね、“元”王さま?」

 ルイズは得意そうに言った。

「この場合は“爆風の王”かしら?それとも“爆発の王”?“ゼロの王”とか言ったら、酷いんだから」
「えー、“ゼロの王”格好いいやん。まあ……爆発やら、爆風は語呂悪いわ。普通は漢字一文字やけど思いつかんし……“破烈の王”なんてどや?」
「“破烈の王”?……別に悪くないけど、どうして?」
「そら、ルイズはすぐ、癇癪、破裂させよるからな」
「な、なによー。それっ」

 ルイズは空の股を抓り上げた。
 声に笑みが混じった。顔にも笑顔が残った。指先には、まるで力が入らなかった。
 仕方なく、胸に肘鉄砲で勘弁してやる事にする。
 まるで効いていない。空はにやにや笑っている。

「それに、未だ“王”は早いわ。“破烈の王”候補、て所か?」
「候補、て。私しか居ないじゃない」
「力不足。元王さまが言うんやから間違いない。もっと精進し」

 ルイズは膨れた。
 まあ、仕方が無い。他系統のトライアングルやスクウェアと対等に渡り合えない現状、“王”はあまりにおこがましいだろう。
 だが、方向性は見えた。
 何をしていいのかも判らなかったり、本当にこれで良いのかと悩んでいた時期とはもう違う。ずっと気が楽になった。
 “塔”から飛び出す事は出来なくても、確かに陽は差した。“空”は見えたのだ。

「そや、ルイズ!滝や!滝見付けたんや!ほな、行くで!特訓や、特訓!特訓特訓クソクソクソら特訓やっっ!」
「何させる気よ」

 ルイズは車椅子の握りに手を伸ばす。
 春を迎え、陽は一日一日と長くなっていた。
 ゆっくりと車椅子を押していると、爽やかな風が頬を撫でて行った。
 頭上を仰ぐ。
 雲一つ無い空に、ルイズは頬を綻ばせる。

「本当に、気持ちのいい空――――」


 ――――To be continued ?
438名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:05:19 ID:FNgFAIKE
支援!!

>そうだ――――遺書を書こう。
よし、リタしよう。に見えたのは俺だけでいい
439虚無の王:2007/11/14(水) 00:07:15 ID:go7JX2Rc
御支援有り難うございます。

今回はここまでです。

ついでに、原作のイベントも全然消化してませんし、張った伏線もまるで拾ってませんが、

なんか区切りが付いたんで、ここで第一部完、て事にしておきます。

続きもその内、投下させて頂くと思いますので、その時はヨロシクお願いします。

では〜

440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:08:14 ID:PCuc+3QT
爆発の収束・・・それなんて我門www
GJでした。

>>408
DADDYFACEの草刈 鷲士
ルイズの使い魔つーかお父さん(笑)
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:09:26 ID:q4eezuDr
>>439
GJ!
ギーシュ、シェスタを手に入れたはよいがw
けれど結局は許されそうね。
[虚無の王]の方、GJです。
さてさて、五話、行ってもよろしいでしょうか?
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:20:33 ID:cNvjySZ0
乙でした!
第二部楽しみにしてますよー

>>379
宝物庫にあった【破壊の天使】をぶっぱなし、3秒だけではあるがOSさせるシエスタ。

シエスタは10年前にオスマンがワイバーンに不意打ちされた際に破壊の天使で助けた人物の娘。
父親の腕の中で生死の境をさまよっていたが一命を取り留める。
が、父は息を引き取り、天外孤独の身となったシエスタは魔法学院の下働きとして働き育つが………

とか考えたがタルブどうしよう。
444mgs3:2007/11/14(水) 00:33:50 ID:vCdec2Sx
初めて投下するのですが、今投下して宜しいかな?
445豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/14(水) 00:33:50 ID:t/R6/H8l
虚無の王、シエスタがギーシュと、
意外なのに頷いてしまいましたー

ゼロの機神支援

ついでに次投下予約です。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:34:28 ID:1qMw6Gxk
>>444
すこし待った方がよろしいかと
447mgs3:2007/11/14(水) 00:35:19 ID:vCdec2Sx
了解しました。明日にします
時は過ぎ、昼休み。生徒の大半は、昼食をとっている。
オニクスに昼食は要らなかった。ほぼ無尽蔵のエネルギーを誇る彼に、食事の補給など必要なかった。
ルイズはまたしても敗北した気分で、昼食を食っていた。これでは昼食抜きの意味がない。

オニクスは食堂の壁にもたれかかり、ぼんやりと時の経過を待っていた。
戦うために生み出された自分に平常時に出来ることなど何一つなく、食事時などは特に暇だ。戦争がしたいわけではないが、彼は退屈だった。
それに彼女の近くにいても、また口喧嘩になるだけだろう。彼はそう判断して、この食堂の隅にいるのだった。
「…」
人間で言えば目をつむり、半ば眠っている状態だ。
だが、聴覚はきちんと働いている。
その聴覚が、あるとき、ひとつの音を捉えた。
「…!」
何かが砕ける音。直後に食堂は少し静まり返り、大きな声が響く。オニクスはシステムを平常モードに移行させ、音の方角を見つめた。
どうやら、何か揉め事が起こっているらしい。オニクスは視界にそれを捉える。メイドが一人、椅子にふんぞり返る男が一人。
ギーシュ・ド・グラモン。
オニクスは彼を何度か見かけていた。きざったらしい奴、と思っていたが、どうやらそのとばっちりを受けたようだ。 顔に奇麗な紅葉がついている。
「す、すみません!」
オニクスの目にまず飛び込んできたのは、メイド服の少女が、ギーシュに平謝りしている光景だった。
オニクスは近くにいた男子生徒に声をかけた。
「何事だ」
「えと、あのギーシュがさ、かくかくしかじか」
オニクスは全容を理解した。そして、その喧噪の方向へと足を進めた。
あのメイドには、ひとつ貸しがある。

「弱いものいじめはそこそこにしておけ」
ギーシュとシエスタの騒動の一部始終を見ていたルイズは驚いた。あの何でも無関心そうで無愛想な自分の使い魔が、なんとシエスタの助け舟に入ったではないか。
ルイズは興味がわいたので、それをもう少し見ていることにした。
「自分の過失で他人を責めるな」
「何を言っている、僕はこのメイドのせいで、二人もの女性のプライドを傷つけてしまったんだぞ」
「ハイリスクな行動を起こすならば周到にしろということだ。軽い気持ちでバクチをするな」
「バクチだと!?これは正しい行いだ、僕は多くの人を幸せに」
「出来ていないなら意味は無い」
「ゴーレムだか人造人間だがPTだか知らないが、そこまで僕を侮辱して済むと思うなよ」
「こないだの戦闘を見てまだその口が叩けるか、いい度胸をしている」
確かに以前のギーシュなら、尻尾を巻いて逃げ出していただろう。だが今のギーシュは違う。何だか知らないが絶好調だ。
ギーシュは負ける気がしなかった。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:38:05 ID:SaX6adM5
何故そこでいきなり明日になるんだ……。せめて十分くらい間を開けてくれってことだろう

虚無の王の人乙!
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:38:07 ID:1qMw6Gxk
支援
「決闘だ!ゼロの使い魔!」
「…愚かしい。だが、『痛まなければわからない』というアレもあるしな、ここは少し懲らしめてやろう」
「ふん、馬鹿め。ヴェストリの広場で待っている」
オニクスを尻目に去っていくギーシュ。
これを聞いていてもたってもいられないのは、ルイズとシエスタであった。

「オニクスさん!」
「…すまない、洗濯の借りを返すだけのつもりだたが、面倒なことになった」
シエスタがオニクスになかば懇願のように言った。
「私が謝ってきますから、ど、どうか決闘は」
「俺は負けない。俺は戦うために作られた。それで負けるはずが無い」
「でも、貴族の魔法を相手にしたらどんなに強い人だってやられちゃいます!」
「…心配は無用だ。俺が死んで悲しむものなどいない。俺は負けても勝っても、どうにもなりはしないさ」
「約一名悲しむわよっ!」
そこへ後ろから、大怪獣のような形相でルイズが歩いてくる。彼女は声を荒げてオニクスに言った。だがオニクスはさらりと受け流す。
「心配してくれるのか、嬉しいものだな」
「心配じゃないわよ!負けたらアタシが大恥かくでしょっ!」
「おおかたそんな所だろうとは思っていたが…」
「わかってるなら言うな!」
「それより、心配なら要らんぞ。俺は負けない、すくなくとも赤子の手をひねるくらい簡単だ」
「ひねりすぎもどうかとおもうけど…?」
「ああいう奴は、3回転ぐらいひねってやらないとわからない」
きっとオニクスに表情が出せたなら、彼は、笑っていただろう。だが、一方でオニクスは、悪い予感を感じていた。
(--------あの小僧、何かに『憑かれている』のか)
だが、オニクスは悪い予感を頭から振り払い、集中する。憑き物が憑いているなら、振り払ってやるまでだ。

ヴェストリの広場。そこには多くの観衆が集まっていた。ルイズの使い魔と絶好調のギーシュ、どちらが勝つかで賭けが始まっている始末だ。
そして観衆の輪の中にたっているのは、ギーシュ、ただ1人。
「遅いぞ、ルイズの使い魔は」
そう。オニクスが来ない。十分が経過した今なおオニクスは来ない。
「捨てたのか、勝負を…!」

否、来ていた。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:39:53 ID:RiN/kPlZ
>>449
遅いからもう寝て明日起きてから投稿するってことじゃね?
支援
ギーシュの頭上、遥か上空。
彼は正々堂々戦う気など、はじめから無い。
「…面倒ごとは一発でけりをつけるに限る」
オニクスは右腕を天に掲げ、そこにエネルギーが集中していく、掌にたまったエネルギーはみるみる巨大なエネルギーの弾になり、一撃必中の「矢」となる。
そしてオニクスはセンサーのすべてを動員し、地上のギーシュを捉えた。
罠は無い
風は無い
弾道上に障害物なし
護衛もいない
ガラ空きだ

「矢の鉄槌(リュストゥング・ファイル)」

一句、詠唱。腕を振り下ろし、金色の弾丸を叩き下ろすようにオニクスは地上に放った。

地上では、ルイズとギーシュがもめていた。
「キミの使い魔がちっとも来ないじゃないか!」
「アタシに文句言わないでよ!」
「部下の不始末は上司の責任だろう!」
「いつからアタシは上司になったのよ!ていうかあんたがふっかけた喧嘩でしょ、あんたが責任持ちなさい!」
「なんだと、ゼロのくせに!」
「言ったわね!!」
ルイズはすぐに懐から杖を抜き出し、ギーシュに向けて構える。ギーシュは平然と構えているが、周囲の生徒は「爆発」を恐れ、退避を始めている。
ルイズは詠唱を続けていたが、不意に、ルイズは詠唱をやめてしまった。ギーシュは気になってルイズに尋ねた、
「おい、どうしたんだ」
「……ギーシュ」
「え」
「上」
「あ」
上を見上げるギーシュ。
光の弾丸が雲を裂いて、ギーシュの元に一直線に飛来するのが、見えた。ギーシュは固まる。直撃コース、常識的に考えれば間に合わない。
光の弾丸は速度を緩めず、ギーシュの頭上に。

着弾。

ぽかんとしているルイズの隣に、音もなくオニクスが降り立った。ルイズは目の前に出来たクレーターを見つめ、放心している。周囲の観衆も同様に放心したようにクレーターを見つめ、動けないでいる。
「おお、当たった」
一方でオニクスはのんきそうに、そのクレーターを見つめている。ルイズは我に返ってオニクスに言った。
「あ、あれ、あんたの仕業でしょ!」
「いかにも」
「不意打ちってちょっと…」
「いいか、ルイズ」
オニクスがクレーターから眼を離さずに、ルイズに語りかける。
「お前はこの攻撃を卑怯と思ったわけだな?」
「あ、あたりまえでしょ」
「それは『真剣勝負』を前提にしてるからだ」
「それこそ当たり前じゃない!」
「大人になったらそんな言い訳は通用しないんだ、ルイズ」
「え?」
「いつまでも自分の前提で相手が動いてくれるとは限らない。おれはその厳しい大人の常識を、身を以て教えてやったのさ」
「………それにしたって、やりすぎよ」

「全くだ」
その会話に割り込む、男の声。ルイズとオニクスは、そして周囲の人間は驚愕した。その声の主は、
ギーシュ・ド・グラモン。
先ほど光弾を喰らいクレーターの爆心地にいなければならないはずの人物は、キズひとつなくクレーターから姿を現した。
「…うそでしょ」
ルイズの耳から、またひとつ何か抜けた。心はもう抜けたので、きっと魂だろう。
「…手加減したとはいえ…無傷だと!?」
「危ない所だったよ、まさか不意打ちとはね」
「大人の世界の辛口常識て奴さ」
「子供と女性にはやさしくしたまえ…紳士ならね」
ギーシュは手に持った造花の杖を構え直す。ルイズは一歩下がり、観衆の輪の中に、一人と一機が取り残された。喧噪は止み、空気は一変する。
両者の殺気が空気を張りつめさせ、どちらが仕掛けるか、どちらがやられるのか、そういう「修羅場」の空気が、ヴェストリの広場に充満する。
もはや会話すらためらわれるこの状況、先手を打ったのは----------

破砕音。

オニクスは後ろを向いていた。その首元には剣が突きつけられている。
オニクスの視線の先には、人波を割って登場したと思われる黒い鎧を纏った戦乙女が、胸から「切っ先が無い剣の片割れ」をはやして、剣をオニクスに突きつけている。
切っ先はそれているが、反応が遅ければ、背後からの一撃は免れなかっただろう。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:44:11 ID:ZD0+giVE
支援
「…その場の状況は利用する。戦闘の基本だな」
「やはり、君に不意打ちは効かないか」
ギーシュは微笑みを浮かべている。既にその周囲には、七騎のワルキューレが待機している。
その姿は前ギーシュが使っていたワルキューレとは異なり、漆黒の刺々しい鎧を纏い、武器も禍々しい外見へと変化している。
「かかってきたまえ、ゼロの使い魔っ!」
「のぞむ所だ、ナルシスト野郎!」
剣の片割れをオニクスは引き抜くと、素早く右手の盾に格納された切っ先と合体させる。剣は完成し、光を纏ったソードへと変化する。オニクスはスラスターを吹かし、一直線に突撃した。
対するギーシュはワルキューレを突撃させ、それに応ずる。先頭の剣を持ったワルキューレの攻撃をオニクスは素早く打ち払い、跳躍。
二体目のワルキューレを踏み台に、さらに天高く飛んだ。そして大上段に構えた剣を、ギーシュに向かって打ち下ろす。
だがギーシュは素早くバックステップし、身代わりに一体ワルキューレを生成すると、それを盾に後退した。剣は一撃でワルキューレを裂く。
オニクスは素早くギーシュ本体からの攻撃を警戒し、空中へと飛んだ。
(有効な戦術だ)
ギーシュはそれを冷静に観察する。護衛に一騎のワルキューレを従え、彼は遠くからそれを見つめていた。
(確かにワルキューレは、空を飛べない。そしてそちらは空中から攻撃が可能)
だがギーシュは、笑っていた。
(確かに有効だ、「今までの僕」ならば!)
空中に飛翔したオニクスを追うように、六騎のワルキューレは背中から翼を生やし、飛翔した。
オニクスとワルキューレは、空中で熾烈な剣戟を繰り広げる。剣は火花を散らし、迫り来るワルキューレを足蹴にし、オニクスは空を舞った。
だが、斬り捨てようとワルキューレは補充され、7VS1の図式が覆ることはない。
熾烈な空中戦は、続く。

一騎のワルキューレがランスで突撃を仕掛けてきた。オニクスは蹴りで穂先を逸らし、ソードでワルキューレを串刺しにすると、さらに後方から迫り来るワルキューレに剣を払った。
剣からすっぽ抜けたワルキューレが、突撃してきたワルキューレと激突する。
オニクスは内心驚いていた。
小僧、ここまでやろうとは。
だが、この強さは既に「強力」を通り越して「異様」ですらある。
(クソ、やはりあれはただの魔術師なんかじゃない)
オニクスの悪い予感は、既に確信に変わっていた。
(しかも、あの無尽蔵の魔力…まさか)
さらにその確信は、新たなる予感を生み出す。
(『神』か!?)
次 回 予 告

変容する青銅の魔術師
そして事態は急展開を迎える
それこそ悪魔の悪戯のように
悪夢は広場で幕を開ける

次回「玄武」 その者、神の御使いか。あるいは。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:48:18 ID:75xYrp+P
しえn
終了です。
おもいっきり「奴」登場フラグですが、誰が出るかを楽しみにして下さい

ちなみに今回も解説ですが
リュストゥングファイルはミネルヴァス11の技です
460名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:52:12 ID:vY7dIK7H
虚無の王の人乙!
ギーシュのワルキューレがワイヤー撃ったり足に車輪生やして走ったりするから
某ランスロットとか思い出したw
461豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/14(水) 00:54:36 ID:t/R6/H8l
ギーシュ一体何があったんだと思ったら憑依状態でしたか。
投下乙です。

あと10分くらいしたら投下します。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:05:51 ID:GWnAz/qz
ギガゼロ乙。そして豆粒支援
463豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/14(水) 01:06:36 ID:t/R6/H8l
では投下します
464名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:08:00 ID:s4zzpghl
豆粒支援
465名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:09:01 ID:l7sbkIHQ
>>384
このレスを見て不覚にも大爆笑した俺はどうすりゃいい
466豆粒ほどの小さな使い魔19 1/5:2007/11/14(水) 01:09:41 ID:t/R6/H8l
とても暖かい雰囲気だと思った。
聞いていたのと少し違う。ルイズの態度からは、もっと緊張と不安を感じたんだけど。
この暖かさはどこから、そう思って見回してみれば、一番柔らかく笑っていたのはルイズ自身だった。
会ったばかりの、不安定なルイズのままだったら、もしかしたらぎくしゃくしてたのかもしれない。ちい姉様だけが優しかったって、いつだったか言ってたし。
見上げるルイズのお母さんは、自分にも他人にも厳しい人だって。
ルイズは正直に手紙に書いてた。こもん魔法だけだけど、使えるようになったって。
この優しい空気を壊したくないから言えないけど、どうか、ここにいる間は、ルイズに次の魔法を求めないで欲しいと思う。
精一杯背伸びをして、やっと届いたんだから。
ヒュ と、小さな口笛。他の人に聞こえないように、ルイズと二人で練習した合図。
慌てて振り返ったら、そ知らぬ顔をしたルイズが、笑みを浮かべながら私のことを見てた。
あ……そっか。
ごめんなさい。
つい勘違いをしてしまう。ルイズは妹じゃなくてトモダチなのに、泣き顔をみたことがあるせいか、それとも真っ赤になって照れてる顔が可愛いからか。
お母さんの手の上で座りなおす。庇う必要なんてないんだ。
ルイズはきっと傷つくだろう。悔しくて泣くかもしれない。
だけど、それで折れるほど弱くないんだから。
ガッコウで、何度も、悔しさに歯を食いしばりながら杖を振るルイズは格好よかった。
なら、もう心配はしない。
カトレア、さん。ルイズの二人いるお姉さんの、優しい方? 何度も繰り返し聞かされたから、もうすぐ会えると思うと。コップのお茶が揺れる。最初になんて言おう。
重い病気なのに、人に優しくできる人って、どんな目をしてるんだろう……本当に、優しいだけの人なのかな。
そうシエスタに零して笑われた。あんまりルイズがお姉さんのことを褒めるから、羨ましくてちょっと悔しいんですねって。
そんなんじゃないって、言えなかった。シエスタに、自分が子供だってまた教えられちゃった。
467豆粒ほどの小さな使い魔19 2/5:2007/11/14(水) 01:11:35 ID:t/R6/H8l
階段を駆け上がるルイズの肩で、ちらっとでもいいから、こっちを向いて欲しいなって思う変な気持ち。
ルイズ、私が病気だったら、同じように一生懸命になってくれる?
来るまでは平気だったのに、どうしちゃったんだろう。
大きなドアを、ルイズが叩く。この向こうにいるんだ。どくんどくん、心臓まで変になってる。

「ルイズ?」

やわらかな、女の人の声。それだけなのに優しそうって分かるのは、きっとこの人にとっても、ルイズっていう言葉がとても大切だから。
ぱぁって輝いたルイズの顔を見て、逃げ出したくなった。


* * *


ドアを開けた瞬間、ちい姉様しか見えなかった。
両手を広げて、私のことを待っていてくれる、少しだけ首を傾げるいつもの仕草に、エレオノール姉様に泣かされた7才の私が駆け出してくその後姿に引き摺られて、気がついたら、抱きついて、抱きしめてた。
ああ、ちい姉様の匂いだ。柔らかくって、暖かい。
「あらあら」
そっと背中に回される腕を感じながら、ちい姉様の胸にいつもみたいに頬を摺り寄せる。くすぐったそうな笑みに、いたずらが成功した気持ち

コンコン

はっと我に返って、振り返ってみたら、呆れた表情でドアに片手をついたキュルケと、両手で口を覆ったシエスタ。無表情のタバサ。
468零魔娘娘追宝録の人:2007/11/14(水) 01:11:58 ID:wKNYTfxd
書けた!けど予約入ってるぽいし眠いから昼間仕事の隙を見て投下しまっす。そして豆粒氏支援。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:13:23 ID:GWnAz/qz
豆粒支援、そして追宝録の人は真面目に仕事しようよw
470豆粒ほどの小さな使い魔19 3/5:2007/11/14(水) 01:13:44 ID:t/R6/H8l
私一人じゃなかったんだ。それに7才でもないしっ
「お取り込み中のところ申し訳ありませんが――ルイズ、そちらのお方に、私たちを紹介していただけないかしら?」
うあ、キュルケの声に小さなとげとげがいっぱい。からかってやろうっていう気満々のあの目。
あうあうと言葉が出なくて、抱きついたまま動けなくなってるのに、ちい姉様はふわりと微笑んだまま、
「可愛いルイズの、お友達の方?」
益々顔に血が昇っちゃったけど、ちい姉様に悪気はないんだ。深呼吸を一つして、抱擁を解いた。
「カトレア姉様。学院での私の友人たちをご紹介します」
キュルケは優雅に、シエスタはお父様たちで慣れたのかさっきよりも滑らかに。
それにタバサも、普段の無口を知ってる私からすると、相当頑張って挨拶をしてくれた。
ようやく部屋の中を見渡す余裕ができた。動物が、また増えてる。どうして仲良くしてられるんだろうという疑問は部屋に入るたびにどうでもよくなって、部屋を出るとまた頭を擡げる。ああ、そんなことはいいんだ。
ハヤテが肩にいない。どうしてと思った時には、もう戻ってきてたけど。
びっくりさせないで。一瞬心臓が止まるかと思った。
「まぁ そちらがルイズの?」
「はい、ちい姉様。手紙にも書きましたけど、彼女が私の使い魔になってくれたハヤテです」
ぴょこんと頭を下げるハヤテ。下にいたときよりも、緊張してるみたい。大丈夫よ、ちい姉様はとても優しい方なんだから。
「姉様、お休みになってなくてもいいの?」
熱があったから、休んでいたと聞いてたから。
「大したことないの。ほら、もうすっかり元気。だからベッドに戻れなんて言わないでね?」
両腕を曲げても、力瘤なんてできないでしょう。
でも、よかった、本当に大丈夫そう。
「お客様を立たせたままにはできないわ。どうぞ中へお進みになって」
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:15:23 ID:XFR5hoiI
支援
472豆粒ほどの小さな使い魔19 4/5:2007/11/14(水) 01:15:34 ID:t/R6/H8l
メイドたちは怖がるだろうと、私がお茶を用意しようとしたら、シエスタが買って出てくれた。ここではお客様なのにと思ったんだけど、させてもらえる方が気持ちが楽だからと押し切られた。
流暢な手つきで、私が淹れるのより美味しそう。
シエスタが最後に自分の分を淹れて、ソファーに座ってから、他愛ないお話をする。
ちい姉様の雰囲気のお陰か、先ほどの応接間よりも空気が穏やかだ。
ハヤテと遠乗りに行ったこと。シルフィードから見下ろす景色のこと。
靴下のハンモックには、ちい姉様、ころころと笑ってくれた。


気が満ちた。
ティーソーサーをテーブルに戻したら、キュルケがやっとお披露目する気になったのねと笑った。
分かっちゃうんだろうか。
「ちい姉様。ここにいる友人や先生に、何よりもハヤテに支えられて、私は魔法の徒としての一歩を登ることができました」
杖に触れたとき、指先にぴりと痺れるような心地よい痛み。
「初歩の初歩、ですけれど、見ていただけますか?」
「ええ、喜んで」
立ち上がって、部屋の真ん中、ちい姉様の正面に回る。
ハヤテにも、今回ばかりは肩ではなく、テーブルに残ってもらった。
たった数歩。それだけなのに、心細さを感じてしまうのはどうしてだろう。
以前は感じることもできなかった寂しさ。ハヤテの存在は、こんなにも大きい。
教室では、今も私が前に出ると、机の下に隠れる人たちがいる。だけどここにいる人たちはそんなことしない。私を信じて、僅かな不安もない微笑で見守っていてくれる。
「それでは、行きます」
幾百回繰り返した通りに、杖を振り上げた――
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:16:44 ID:MAa6Rm6M
支援
474名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:16:46 ID:XFR5hoiI
支援
475豆粒ほどの小さな使い魔19 5/5:2007/11/14(水) 01:17:50 ID:t/R6/H8l
ビスケットの盛られたお皿が、ゆっくりとテーブルに戻る。
ほぅ、と、息を吐いた。どの魔法も、今までで一番よくできたと思う。
「以上です」
ぱちぱちぱち
ちい姉様が、一生懸命拍手してくれてる。ぽろぽろと涙を零しながら。嬉しいなら笑えばいいのに。袖で目元を擦る。皆も一緒になって。
まだ、たったの5つしかできないのに、そんなにしなくてもいいじゃない。そんなんじゃ、私が虚無を使えるようになったときに大変なんだから。
「頑張ったじゃないの」
くしゃくしゃと頭を撫でられる。うるさいキュルケ。いつも通り憎まれ口の一つでも叩きなさいよ。シエスタも、学院で何度も見たでしょうに。
「おめでとう、ルイズ……本当に」
もう小さいルイズじゃないのねと嬉しそうにでもどこか寂しさを滲ませるちい姉様。
いいえ
多分私は、ちい姉様の前では、ずっと小さなルイズだと思います。
だから、いつもみたく、ぎゅってしてください。


476豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/14(水) 01:19:45 ID:t/R6/H8l
投下終了。
ちい姉様へお披露目しました。
心の奥で、ルイズの一番は私なのにと拗ねるまだ子供のハヤテでした。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:19:53 ID:wKIuhcVj
GJ!GJ!
478名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:20:40 ID:GWnAz/qz
豆粒の人乙ー。ルイズ良かったな……そしてハヤテヤキモチ可愛いよハヤテ。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:21:33 ID:waDST55e
なんとすばらしいほのぼのなのか
GJ!
480チャーリーのママ:2007/11/14(水) 01:26:19 ID:U66zp2DV
乙。

キートンのが出来上がったんだけど投下してもいいだか?
481名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/14(水) 01:38:29 ID:bFcWnWuk
許可する。キャモーン!
482チャーリーのママ:2007/11/14(水) 01:40:02 ID:U66zp2DV
あい、では投下しまーす
短いけど勘弁してね

カルーンの鷲!カルーンの鷲!
483ゼロのMASTER 1 1/2:2007/11/14(水) 01:41:05 ID:U66zp2DV
ここはイギリス、ロンドン。一人の男性が街中を歩いている―――

「ダニエルの奴、人使いが荒いんだからまったく・・・」
私はロンドンの街中を文句を言いながら歩く。例によって、探偵事務所所長ダニエルの依頼を片付けて、帰路についているのだ。
毎回の事ながらダニエルには閉口する。たまには自分ですればいいのに。
そう思いながら人通りが少ない路地へと足を運ぶ。いまごろ百合子は何をしているのだろうか?
父さんは・・・まあ、心配ないだろう。大方、太助とのんびり昼寝をしているに違いない。
私は平賀・キートン・太一。職業は・・・ロイズの保険調査員(オプ)をしている。
本当は考古学者として大学に就きたかったのだが――色々あり、いまはこれと悪友のダニエルが経営しているダニエル・オコンネル探偵事務所に務めている。
もっとも私は夢を諦めてはいないが。

「ん?」
私は足を止めた。これはどうしたことだろうか。目の前に鏡がある。いや、鏡自体は別に珍しいものではない。
問題なのは、鏡が「浮いている」ということだ。
路地の真ん中で鏡が出てくることも不自然だが、まるで糸で吊り下げられているかのように浮いているのだ。
好奇心まじりに石を鏡に向けて放り投げてみる。石は・・・跳ね返ってくるのかと思いきや、中に吸い込まれるように消えてしまった。
今度は落ちていた木の棒を当ててみる。
これも中に吸い込まれていく。手元に戻してみたが別段異常は見当たらない。
一体、どうなっているのだろうか?ここで私の悪い癖が出た。すなわち、これは太古の秘宝ではなかろうか、と。そう思うと、いてもたってもいられない。
今度は自分の腕を直接鏡の中に入れてみる。痛みはない。熱くも無ければ、寒くも無い。
これは世紀の大発見かも知れない。そう思った瞬間だった。

「うわっ!?」

突然、鏡の中に身体が引き込まれた。慌てて街路樹にもう片方の手でしがみ付こうとしたが遅かった。
無情にもあと数センチというところで私は完全に鏡の中に引きずり込まれてしまった・・・。
「うう・・・」
手を突っ込んだときは何もなかったのに、全身が鏡の中に入った途端、耐え難いショックが私を襲った。
物凄い電気ショックを与えられたようなものだ。数十秒もしないうちに私の意識は完全に途絶えた・・。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:43:31 ID:xOPfm8Tz
支援
485ゼロのMASTER 1 2/2:2007/11/14(水) 01:43:52 ID:U66zp2DV
「う・・・・」
私は酷い頭痛の中、目を覚ました。一体、自分に何が起きたのだろうか?
そうだ、鏡だ。あの鏡の中に引きずりこまれた途端、意識を失ってしまって、それで――
「おい、見ろよ!!〈ゼロ〉のルイズが何か召喚したぞ!!」
「おいおい、ありゃあ平民じゃねぇか!」
「さすがはゼロのルイズ!俺達に出来ないことを平然とやってのける!そこに呆れるぜ!」

いきなり笑い声が聴こえて来て、あたりを見渡す。見ると、子供達が笑っている。
少年少女、共に腹を抱えて笑っているのだ。なにがそんなにおかしいのだろうか?
すると、目の前に小さな女の子が立っている。本当に小さい。中学生ぐらいだろうか?
何よりも私の目を引いたのは、その髪の毛と服装だった。・・・桃色だって?染めているようには見えない。東洋人か、西洋人か。
地毛だとでも言うのだろうか。服は・・・一言で言うなら、御伽噺に出てくる魔法使いだろう。
杖らしきものまで握っている。女の子はなぜか顔を真っ赤にして、体をブルブルと震わせていた。
怒っているのか、或いは悲しんでいるのか私にはわからなかったが。

「あんた誰?」
ようやく目の前の少女が口を開いた。身の心配をしてくれているようには見えない。
「私は・・キートン。平賀・キートン・太一です。ええと、ここは一体・・・」
立ち上がって周辺を見渡した私は自分の目を疑った。ここはあのロンドンなのか?
辺り一面は草原に覆われている。遠くには大学時代、参考書で見た石造りのヨーロッパ式建造物が並んでいた。
ビルが無い。信号機も無い。何よりも、車・・・自動車などが見当たらない。
「どこの平民?」
少女が続けて口を開く。平民?なんだろうか。いまどき「平民」などという言葉を口にする人間はそういないと思うのだが。
瞬間、私の頭に最悪の想像がよぎった。あの鏡、そしてこの景色・・・。
「ああ、うん。一応、職業は保険調査員なんだけど・・・」
たぶん自分でも動揺していたのだろう。この台詞を言ったところで、通用するはずがなかったのだが。
486チャーリーのママ:2007/11/14(水) 01:45:24 ID:U66zp2DV
あー、以上でふ
うん、短くてすまない
初めてだから緊張しちまってさー

とりあえず、続きをもっと書けるようにがんばりますんで
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:59:45 ID:hQiM/pZR
投下乙ですた
488名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 02:06:58 ID:MTNDbt0s
ゼロのMasterの作者乙っした!

一瞬にして浦沢直樹なルイズ他がイメージ出来てたぜw
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 02:35:17 ID:htzdsYos
>>486GJです!
キートンは浦沢作品で一番好きなので応援します
ハゲと仲良くなって先生にでもなりそうだww
490名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 02:53:05 ID:v9UtNH33
キートン先生は一応貴族のばっちゃの血は引いてた…気もする。
その場にあるもので何とかする、サイバイバルマスターを演出するのは大変そうだけど頑張ってー!

491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 02:55:00 ID:v9UtNH33
誰もいない…小ネタ投下するなら今のうち





 ――その者 青き衣をまといて――

 その人は、強い人だった。

 ――金色の野に降り立つべし――

 その人は、優しい人だった。

 ――失われし大地との絆を結び――

 その人は、賢い人だった。

 ――ついに人々を青き清浄の地に導かん――

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!!」

 そう、なるはずであった一人の少女は……

「こ、ここはど…ガフッ…」
「ちょ、アンタ一体!?」
「ゼロのルイズが平民を召喚したー!?」
「しかも血を吐いて倒れたぞ! 病持ちだ!」
「で、伝染病だったらマズイ! 逃げろー!!」

 生まれ育った世界とは違う、毒を全く含まない異世界の清浄な空気に耐えられず…
 召喚早々に、死亡した。


 風の谷のナウシカより、ナウシカを召喚
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 02:58:38 ID:t/R6/H8l
残された死体から腐海が生まれそうなナウシカ乙です。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 03:07:22 ID:4NFobCkB
ナウシカー!?

ナウシカと言えばあの青い飛行服の下は穿いているのかいないのかの議論で有名だが。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 03:13:07 ID:6aUVeoa4
原作版ナウシカ乙です

>>492
汚染された土じゃないと腐海にはならないし毒も出さないんだぜ
そもそも腐海は汚染されきった土地を浄化するために作り出されたシステムだし
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 03:13:36 ID:v9UtNH33
>>492
あ、そのオチがあったか。でも腐海はきれいな空気と水だけ与えてたら、毒出さないんだよな…
496名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 03:21:47 ID:DsyaXUZI
ナウシカ一人に蓄積された毒だけで魔法学院一帯の土地を汚染したりして
497名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/14(水) 04:40:52 ID:bFcWnWuk
時よとっまーれ!!!
498名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 05:11:38 ID:LlXXS7jH
>>493
厚めのタイツというか、ぴったりしたズボンみたいのを穿いてるんじゃなかったっけ
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 05:30:24 ID:iLTR4Qtv
宮崎はあの手合いで生足は出さんぞ
500名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 06:59:38 ID:D2wTXY3T
>>486
イギリスには普通に石造りの城が残されてるよ
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 07:25:21 ID:nRmyMOp1
安い奴だと10億くらいで競売に掛けられてる。
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 07:36:19 ID:EWYN/0w8
城だから仕方が無いとはいえ高い安いの基準がはるかに違う世界だよなぁ
503名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 07:36:23 ID:+jSJJxB2
遅れたけど虚無の王の人GJ!
ギーシュがシエスタもっていくとは思わなかったw
つかキュルケ達がモットイベントで出番ないのはめずらしいな。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 07:54:10 ID:Y8S/6Zu7
鉄人28号を召喚。



ただしFXね。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 08:02:07 ID:rIuJLCtp
>>504
操縦出来ない罠…

ここはGロボ(漫画版)で


「大変です!オールドオスマン!ミスヴァリエールの召喚した巨大なガーゴイルが…」
ギーシュのワルキューレを凶悪な笑みを浮かべながら愉しそうに破壊するジャイアントロボ
「ガーゴイルってあんなに表情があるものかのう?」


当然「彼が納得しないと止まらない」
506名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 08:55:52 ID:5p80F/sd
>>504
あんなものは鉄人28号じゃねぇ
507名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 09:00:32 ID:Y+MUcFlQ
>>596
それはファースト鉄人がFXだった私に対する挑戦だな?(w
まあ、リメイク版鉄人のアニメの方が面白かったけど。
508名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 09:03:23 ID:Y+MUcFlQ
ぎゃあ、アンカーミスorz
>>596じゃなくて>>506です
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 09:09:35 ID:5p80F/sd
>>507
落ち着け、俺はリモコンで善悪が変わるのが28号と思ってる
まあ確かにFXもかっこいいけどね?
510これでいいのだ(1レスのネタ):2007/11/14(水) 09:11:30 ID:4FMgOxsr

ルイズは平民の男を召喚した

その男は「ピストル」を持っていた
その異世界の「ピストル」は亜音速の弾丸をほぼ無尽蔵に撃つことが出来た
そして…その男は、己の信じる正義を貫く鋼のような意思と強い眼差しを持っていた

「逮捕だ逮捕だ逮捕だ〜〜〜〜〜!!!!!」

ルイズは目玉のおまわりさんを召喚した


なお、この話においてガリア王族ジョゼフは、並行世界で起きるような弟殺しや悪政に手を染めることはない
彼は自らが召喚した異世界の使い魔が発した言葉に救われた

           「これでいいのだ!」


運命の輪はつながり、ルイズ達の元に、ロマリアの神官が白竜アズーロに跨り現れる

…頬にはミョズルニトンである事を示すグルグルが刻まれていた…

そして四つの4、虚無の使い魔が揃う時が来る

「あ?キミはバカ田大学の後輩「口にするのもはばかられる」君ではないか?」


これでいいのだ
511名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 09:15:47 ID:5p80F/sd
>>510
>「あ?キミはバカ田大学の後輩「口にするのもはばかられる」君ではないか?」

バカボン吹いたwwww
しかも声が再生されたwww
512名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 09:21:11 ID:9M6X1YEE
シリアスの中のギャグキャラは最強
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 09:51:12 ID:P7NwN57c
>>512 なら、ポッチンは?
514名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 11:11:16 ID:p0Hq2Tfu
>>513
ちょ、ポッチンってあれっすか!?
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 11:15:47 ID:yDO6hLUf
クリスタルオブワルイコトのことかー
516名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 11:16:24 ID:HcpiGvlg
ワルサースルーなんて最近の子には分からんよー?
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 11:21:44 ID:rDWyjw6i
ワルサースルーとかw
今日の帰りに探してくるか
518名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 11:51:29 ID:0Alm0jfl
轟世剣ダイ・ソードを召喚。


デルフリンガー涙目w
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 11:58:58 ID:ZWOA+vz3
>>518
ダイソードと混ぜて打ち直される悪寒w
520名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:02:38 ID:vBWiHKpM
ゲキリュウケンとディムロスとライアンとズバーンと白虎真剣を一括召喚

デルフマジいらない子w
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:06:19 ID:MOX7wAHE
斬艦刀召喚、一体どうなるやら
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:10:51 ID:D0LIpEYU
誰が持つんだ。誰が
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:11:32 ID:dceJYNQ8
フーケのゴーレムならいけそう
524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:17:01 ID:P7NwN57c
いや!ルイズならきっと150ガーベラの様に…!
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:22:38 ID:SI15uc7j
零式斬艦刀やサムライ7のヤツなら単体でも使えね?
526名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:29:10 ID:kA9t+HCH
>>525

カンベイ殿以下七名の愉快な同志でも憑いて来そうなノリでつね
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:34:44 ID:mwQx8JU5
>>519
口が悪くて昼寝をライフワークとしている喋る剣……。
せめて呼ぶのはサン・ジュオウ(冬の鳥)かヨゴにならないものか?
528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 13:32:25 ID:4FMgOxsr
「黒鉄」の人斬り迅鉄召喚
ルイズとシエスタが迅鉄を取り合う横で
からくり刀とデルフリンガーもツンデレ勝負
「あ、相棒は使い手なんだからな!ガンダールフは俺を使うって伝説になってんだよ!」
「迅鉄は俺が居なけりゃ喋れねぇんだからよ、渡世の義理って奴でここは退いてくんな」
529名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 14:04:00 ID:3OiBDIK9
中々サビが落ちないので諦めてデルフを材料に新しい剣を作るルーンファクトリーのラグナ
530名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 14:48:22 ID:Y+MUcFlQ
>>529
サモンナイト/クラフトソード物語のプラティも同じことやりそうだw。
そしてドリルに作り変えられるデルフリンガー。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 14:54:17 ID:4dDeR1XR
そのドリルをかぶるルイズ^^
532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 15:02:32 ID:drWDvwfu
>>531
その後グレンと合体してグレンルイズになったりするのか
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 15:08:47 ID:nuf1sOcP
ここはあえて真ゲッタールイズ2にw
534名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 15:31:22 ID:bLEQb4RE
>>528
いいねw
デルフ萌えとしてはぜひ読みたい。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 16:44:09 ID:Y8S/6Zu7
ハーメル一行を召喚とかは…?
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 16:53:23 ID:sbC9TLiU
魔導物語のアルルとか
537名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 16:59:51 ID:v9UtNH33
>>535
召喚されて、不意打ちで契約されるも使い魔するのに金を要求するハーメル
断られてケンカ。バイオリン演奏で金を稼ごうとするハーメル
決闘イベントでワルキューレを出すも、演奏で自分が操られ、負けた上に寿命が縮むギーシュ
バイオリンミサイルで蹴散らされるワルド
ガンダールブ効果で皇帝の魔曲を使うハーメルに操られるレコンキスタの皆さん

なんかフツーに長編書けそうだな>ハーメル召喚
538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 17:00:20 ID:v9oDeuWH
記すことさえはばかれるオワニモの呪文とか
539名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 17:05:21 ID:sbC9TLiU
4つ以上揃えたから消されるワルキューレ
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 17:10:44 ID:Mbwa+cHV
ぷよが消えるのは同色同種のモンスター4つ揃えば消せる魔法だっけ?
小説かなんかでそんな設定だった気がする。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 17:14:36 ID:EHPsk8j+
召還と送還の呪文で成立してるんじゃなかったっけ?
542名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 17:19:45 ID:nXErcEdt
>>537
操られてる連中を操り返したり出来そうだねw
フーケさんに思わず死にたくなるようなドナドナを聴かせてあげてほしいもんだ。
543名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 18:22:22 ID:tPQbliG3
むしろ四つそろって消えるのはワルドではないか
544名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 18:25:24 ID:7dmAekB/
つまり

ギトー
     「見よ!これが風の・・・・」
ワルド


  ば っ よ え ー ん
こういうことだな
545名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 18:28:30 ID:5fvsnPEg
ところで「JESUS」よりリック・バウマン召喚という電波を受信した
ゾフィーの話をシェスタでやったりするかんじで
最終的にルイズとリックの戦いで終わり
「私はッゼロなんて呼ばせないッ!連れてきなさいッ戦場へ!!」

でも実際やろうとするとリックの出番の少なさがネックになるなあ
と言うより知ってる人がいるかが疑問だ
546名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 18:34:43 ID:v9UtNH33
ジーザスの面々は、情報収集した後帰還は不可能と割り切って、ゲルマニアに脱出して貴族目指しそうで困るw
547名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 18:43:57 ID:5fvsnPEg
>546
むしろ単身特攻で王家またはレコンキスタ潰しで
548名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:01:52 ID:uI/V2Lyl
まぁ、ルイズに呼ばれた際に「なんてこった」ってぼやくのがデフォだろうな。
ただし、数日しないうちに学園からいなくなりそうな連中ばっかだが。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:07:11 ID:a3JoUFiF
>>537
ギーシュとの決闘で塔のてっぺんから飛び降りて足を折る訳だな?
金さえ出せば躊躇いもプライドも無く靴を舐め回す主人公w
まあそこで金を出せないからルイズな訳だが。
平民で使い魔ってだけで賃金も報酬も無く滅私奉公するのが当然と思ってんだもんなー。
最初にちゃんとした雇用契約を要求しそうなキャラっていったら誰だろ?
……エリア88の連中とかか?
550名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:08:10 ID:SDuGMDYv
キャッシュマンは?
551名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:08:12 ID:vQt01rtr
>>546
JESUSで死亡した味方キャラって、意外と少ないですよね。
バウマンと、空手使いの少年(名前忘れた)くらい?
御堂は「生死不明」らしいし…って、そこで召喚かw
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:09:38 ID:ONWcFT4A
ジーザスは伝説の傭兵部隊出身で最高クラスの殺し屋で千の兵士と闘い抜く自信があると
言い切った奴だからなぁ
ゼロ世界では銃弾に限りがあるから格闘戦主体になるが、銃抜きでのナイフ刃物を扱った接近戦も
かなり強いし手慣れてるからデルフ大喜びだろ?

・・・銃弾はコルベール先生あたりに作ってもらえるかな?

553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:10:37 ID:3OiBDIK9
金払ってるうちは忠実で金が払えないと悪魔になるような奴っているだろうか?
554名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:13:07 ID:sbC9TLiU
>>553
両津
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:16:11 ID:YKWVjjxn
>>552
乱射しないんだったらある程度は造れるんじゃない?銃弾
556子守唄:2007/11/14(水) 19:22:01 ID:+Tkob5Ix
箱根の歩道が空いているようなので投下します。
557白き使い魔への子守唄 1/5:2007/11/14(水) 19:23:38 ID:+Tkob5Ix
なぜタバサの母親が何の前触れもなく、理由も謎のまま、回復したのか。
それは毒を飲んだ時からの記憶を失っている本人すら解らぬ事だった。
そのため手放しに喜ぶという訳にはいかなかったが、タバサはとても落ち着いていた。
なぜ母が正気を取り戻したのか、理由などどうでもいいという態度。
母親はタバサが目覚めてから、改めて己の身に起きた出来事を聞かされ、
今までタバサにつらい思いをさせたと酷く悔いた。
だがこれから、今までの不幸だった分を取り戻すべく、幸せな時間をすごせる。
キュルケもしばらく学院を休んで、母と一緒にすごす事を勧めた。
しかしタバサは言う。
「他にやる事ができた」
タバサはその日のうちに学院へ戻った。ルイズ達と一緒に。

   第14話 忠実なるもの

「本当によかったの? せっかくお母様が元気になられたのよ?
 今までさみしい思いをしてきたんだから、数日学院を休むくらい……」
「いい」
馬車の中でキュルケはしきりにタバサに話しかけたが、タバサは普段通り黙々と読書、
かと思いきや時折御者台に目を向ける。手綱を握っているのは、ハクオロだった。
「ダーリンと何かあったの?」
「別に何も」
やっぱり何かあったに違いないとキュルケは思ったが、
タバサがそれを口にしたくないなら、何も訊かない方がいいのだろうとも思う。
ギーシュとモンモランシーは外の景色を眺めながら歓談している。
ルイズは、一人でぼんやりとハクオロの背中を見つめていた。何か考え事があるようだ。
しばらくして、ハクオロは「あっ」と声を上げる。
全員の視線が集中する中、ハクオロは気まずそうに言った。
「……いかん」
「ハクオロ、どうかしたの?」
「すっかり忘れていた……」
「何を?」
ハクオロは、引きつった笑みを浮かべる。
「デルフの奴を、タバサの家に置き忘れた」
「別にいいんじゃない?」
「そうね、無くても特に困らないんじゃない?」
「デルフって何?」
「ああ、あのインテリジェンスソードか。後で送ってもらえばいいんじゃないか?」
こうして、わざわざ取りに戻るというのを面倒くさがった皆の意見により、
デルフリンガーは後で学院に送ってもらう事になった、のだが。
「私が取ってくる」
と、タバサが言うや、口笛を吹いて使い魔のシルフィードを呼び、
わざわざ取ってきてくれるから驚きだ。
ちなみに持ってこられたデルフリンガーは愚痴がうるさかったので、
鞘にきつくきつく納められましたとさ。
558白き使い魔への子守唄 2/5:2007/11/14(水) 19:24:58 ID:+Tkob5Ix
学院に帰ってからの生活は静かで平和だった。
特に事件も無く、ギーシュとモンモランシーも仲直りしたようで、
タバサも手紙で母とやり取りしているようだ。それを見てキュルケも安心している。
ハクオロはハクオロで、タルブの村の様子を知るべく手紙を受け取っていた。
シエスタと一緒に手紙を読んで、二人して笑っているところを見ると、
どうやらタルブの村改造計画は順調らしい。収穫が楽しみだ。
ルイズは、コモンマジックに続いて系統魔法も成功させようと躍起になっているが、
結局夜中の広場で爆発を起こすだけで何の進展も無かった。

平和な日々を壊す人物は、外からやって来る。

ある日、突然、アンリエッタ王女殿下が学院を訪問してきた。
授業は中止になり生徒達総出で歓迎する。
姫の警護をしていた衛士の一人に、ルイズとキュルケは見惚れてしまう。
が、ルイズの場合はキュルケとは違う意味でその衛士から目が離せないようだった。
夜になって、ルイズの部屋をアンリエッタが訪ねてきた。
探知の魔法で目や耳が無い事を確認すると、顔を隠すフードを脱いでルイズと手を取り合う。
ルイズは幼少の頃、アンリエッタ姫の遊び相手をしていた事があったらしい。
思い出話に花が咲き、蚊帳の外のハクオロは藁の上で正座をしていた。
一応、相手が姫という事で正座なのだが、眼中に無いから意味が無い。
しかしいよいよアンリエッタが本題に入ろうかとしたところで、
今さらすぎるがハクオロの存在に気づいた。
ルイズが部屋に連れ込んだ恋人、というお約束の誤解を解いて使い魔と説明。
するとアンリエッタは、秘密の話をルイズだけでなくハクオロにも聞かせる事にした。

アンリエッタはゲルマニアの皇帝に嫁ぎ、両国に同盟を結ぶ事になった。
理由はアルビオンの貴族が反乱を起こし、
王室を倒した後はトリステインを攻めてくる可能性が高いためだ。
だが同盟のための婚姻を阻む材料が、アルビオンの王室にある。
それが反乱軍、貴族派の手に渡れば婚約ともども同盟はご破算。
かつてアルビオンのウェールズ皇太子に送った一通の手紙がその材料だ。
大仰に嘆き悲しむアンリエッタを、ルイズが励ます。自分がその手紙を回収する、と。
そこでハクオロが口を出した。
「失礼。アンリエッタ皇女殿下にひとつ質問がある」
「何でしょう?」
「貴女は、友人たるルイズに『死ね』と命じているとご理解しておいでか」
アンリエッタとルイズの表情が固まる。
「……反乱の起こっている國、しかも劣勢な王室の皇太子に会いに行くなど不可能に近い。
 まさに命をとして果たさねばならぬ任務だろう。
 國の平和のために、唯一信頼の置ける友に命令を下すという貴女の判断を否定はしない。
 だがそのような泣き落としをしてルイズを死地に送るのは如何なものか?」
「……それは…………」
「少なくとも私は、自分の部下に危険な任務を命ずる時、その者の死を覚悟する。
 ……私の言葉で、その者が死ぬという責任を負う覚悟を。貴女はどうか? 姫殿下」
沈痛な面持ちとなったアンリエッタは、しばし黙り込み、唇を噛んで震えた。
そんなアンリエッタを見ながら、ハクオロはいくつかの記憶を思い出す。
559白き使い魔への子守唄 3/5:2007/11/14(水) 19:26:01 ID:+Tkob5Ix
死ねと命じた事は無い。だが、死の危険がある命令を下した事はある。
戦なのだ。死者が出ぬ訳がない。
それを理解した上で、自分は戦に身を投じた。
守るために戦った事もあれば、復讐のために戦った事もあった。
皇として、國のために、友のために、家族のために。

(ああ、そうか。私は皇……トゥスクルの皇だった)

思い出したからこそ、このアンリエッタという姫の未熟さがよく解る。
だからといって彼女を蔑むつもりは無い。
しかしこのままでいいとも思わない。
「アンリエッタ姫。無礼を承知で、言わせていただきます。
 貴女は皇族としてもっと自覚を持ち、学ぶべきだ。
 友の前で素顔をさらすのはいい。だが公私はわきまえなければならない。
 如何に相手が友といえど、このような頼み事をするのなら、
 例え胸中がどれほどの不安にさいなまれようとも毅然とあるべき……」
デルフリンガーが鞘をかぶったままハクオロの後頭部をどつく。
「だっ!?」
「ひひひ、姫様に何て無礼な事を……!」
デルフリンガーを振るったのはルイズだった。
しかしそんな彼女を、アンリエッタがたしなめる。
「いいのです、ルイズ・フランソワーズ。彼の言う事はもっともです。
 このアンリエッタ、如何に自分が未熟であるかを思い知りました。
 使い魔さん。貴方はもしや、高貴な生まれの方でいらっしゃる?」
「自分は……」
皇だった。しかし自分は反軍を率いて朝廷を滅ぼし、新たに國を築いたにすぎない。
余計な乱を防ぐため皇の座について、皇としての立ち振る舞いも学んだ。
そう、例えば……山積みの書簡を置いて逃げ出して虎に餌をやったり、
エルルゥとお茶を飲んだり、視察と称して町に行っちゃったり。
「……自分は、別に高貴ではありませんよ」
元皇として偉そうな事を言ってしまったハクオロだが、
思い出した記憶によると、あまり褒められた皇ではなかったように思える。
「自分は、異境から召喚されたルイズの使い魔です。
 今の私はそれ以上でもそれ以下でもありません」
「……そうですか。では、ルイズ・フランソワーズ。改めて命じさせていただきます。
 アルビオンへ赴き、何としてもウェールズ様の持つ手紙を回収してきてください」
仕切りなおしとばかりに、ルイズは深々と頭を垂れてひざまずいた。
「はっ」
「そして……この任務、どれほど危険なものか承知した上で……。
 もうひとつ、無理難題を申しつけます」
「何なりとお申しつけください」
「生きて、帰ってきてください。私のお友達、ルイズ・フランソワーズ」
「……必ずや、この任、完遂してみせます」
560白き使い魔への子守唄 4/5:2007/11/14(水) 19:27:06 ID:+Tkob5Ix
綺麗に場がおさまったと思った途端、部屋の戸を開け放ち一人の少年が入ってきた。
「姫殿下! その任、どうか僕にもお与えください!」
ギーシュである。どうやら部屋の外で盗み聞きしていたらしい。
気づかなかった自分達に落ち度があるが、聞かれてしまった以上放ってもおけない。
仕方なく彼も任務に加える事で情報の漏洩を防ぐ。
アンリエッタはウェールズに手紙を返してもらう旨を書いた手紙を用意し、
ルイズ達は翌日の早朝、ラ・ロシェールに向けて馬を走らせる事にした。
そして最後に、アンリエッタは己の指から抜き取った青い宝石の指輪をルイズに渡す。
「これは?」
「これは水のルビー。お守りとして持っていってください。
 もしお金に困るような事があれば、資金に変えてしまって構いません」
これで任務のすべてを話し終えたと、アンリエッタはこっそりと退出する。
それからしばらくして、ギーシュも部屋から出て行った。
明日は早いとルイズとハクオロが寝入ってから、
窓の外で、外壁に錬金をかけ足場を作って息を潜めていた彼女は、
ようやくレビテーションで静かに地面に降りた。

翌朝になってふと目覚めたキュルケは、まだ早い時間だったため二度寝を考えたが、
ふと見た窓の外、学院の塀を越えて広場へと入ってくるシルフィードに気づいた。
朝食をもらいにきたにしては妙だ、この時間では他の使い魔は眠っている。
となれば、任務、だろうか?
タバサは王室から危険な任務を命じられ、利用されている。死すら願われている。
急速に意識を覚醒させたキュルケは、素早く着替えるとタバサの部屋に走った。
「タバサ!」
アンロックで鍵を開けて中に入ると、タバサは旅支度を整え、
今まさに窓から抜け出そうとしている最中だった。
「……任務、なの?」
「違う」
恐る恐る訊いて、即座に否定された。
タバサの事情を知っている自分に対して嘘をつく理由は無い。
「……違うの? じゃあどこ行くのよ?」
「……ラ・ロシェール」
「……任務じゃないのよね?」
タバサはうなずく。
しばし黙考したキュルケは、タバサの肩を抱くと窓から飛び降りる。
予想通り、そこには彼女の使い魔シルフィードが待機していた。
「さあ、ラ・ロシェールにしゅっぱーつ!」
抗議の声を上げたのはタバサではなくシルフィードだった。
いいの? とタバサに鳴いて訊ね、いい、と態度で返事をされる。
こうしてタバサとキュルケはラ・ロシェールに向けて飛び立った。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:27:51 ID:ks1rpPYX
支援
562白き使い魔への子守唄 5/5:2007/11/14(水) 19:28:27 ID:+Tkob5Ix
早朝から旅支度を整えたルイズとハクオロは、馬を二頭借りて学院の外に出る。
そこにはやけに張り切った様子のギーシュが、馬に乗って待っていた。
「やあ! 遅かったね二人とも!」
「あんたが早いのよギーシュ。約束の時間まで、まだちょっとあるわよ」
「そうかい? いやあ、姫殿下に尽くせるのだと思うと気分が晴れ晴れとしてね!」
「あー、そう」
ギーシュのテンションに朝っぱらからついていけるはずもなく、
ルイズとハクオロは申し合わせたように深々と溜め息をついた。
「……さて、行きましょうか」
「……そうだな、行くとしよう」
頭に春が来てるギーシュを置いていく勢いで二人は馬を走らせようとし、
直後頭上から舞い降りてくる影に気づき慌てて馬を止める。
「何だ?」
呟きながら上を見ると、一頭のグリフォンがその背に何者かを乗せて降りてきた。
アンリエッタからの命を知るのは自分達のみ。
だからグリフォンに乗る人物は、敵でもなければ味方でもないはずだ。
学院の誰かだろうかとハクオロは思ったが、
着地したグリフォンから降りてきたダンディな男は満面の笑顔を向けてきた。
「久し振りだねルイズ! 僕の可愛いルイズ!」
「わ……ワルド様!?」
男の正体はグリフォン隊の隊長、ワルド子爵だった。
聞けば彼も昨晩アンリエッタから命を受け、ルイズ達に同行するよう言われたらしい。
ルイズの身を案じて、あの後信用できる者を護衛にと考えたのだろう。
そうならそうと前もって言って欲しかったが、仲間が増えるのは心強い。
ワルドが憧れの魔法衛士隊とあって、ギーシュは感激し、
ハクオロも快く彼を仲間として受け入れた。
しかし、顔見知りらしいルイズとワルドの関係を訊ねてハクオロは唖然とする。
「婚……約者?」
これにはギーシュも引っくり返るほどに驚いた。
ルイズは恥ずかしがり、けれど、嬉しそうな素振りも見せる。
だからワルドが自分のグリフォンに乗らないかとルイズを誘えば、
当然その誘いを受け、余った馬をハクオロに頼んで戻しに行ってもらう。

ハクオロが馬を返しに学院の中に戻っている時、ワルドは何気なくルイズを褒めた。
「ルイズ。君は美しい指輪と腕輪をしているね。どちらも色鮮やかな蒼の宝石がついてる。
 とてもよく似合ってるよ、僕のルイズ」
しかしその褒め言葉で、初めてルイズの表情が陰った。
左手にしているクスカミの腕輪を見て、白い仮面の男を思い浮かべた。
――これは君が持っているといい。
今朝旅支度をしている時、彼が護身用にと渡してきたのだ。
コモンマジックを除けば、威力が凄まじいとはいえ失敗魔法しか使えないルイズにとって、
雷の柱を何本も落とせるこのクスカミの腕輪は強力な武器となるだろう。
使い魔として当然の心配りが、ルイズにはとても嬉しかった。

ハクオロが戻ってくると、彼とギーシュは馬で、ルイズとワルドはグリフォンで、
ラ・ロシェールに向けて旅立つのだった。成すべき事を果たすために。
563子守唄:2007/11/14(水) 19:29:30 ID:+Tkob5Ix
投下完了。
訳あって今後投下ペースが遅くなりそうですってか停滞したら堪忍な。
それはそれとして今週のNGシーンです、どうぞ。


NGシーン
「……任務、なの?」
「違う」
恐る恐る訊いて、即座に否定された。
タバサの事情を知っている自分に対して嘘をつく理由は無い。
「……違うの? じゃあどこ行くのよ?」
「……ロマリアで開かれる天下一はしばみ草大食い大会へ出場しに」
「……行ってらっしゃい」

   食闘士(シュヴァリエ)タバサ 天下一編 序奏〜overture〜 完
564名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:35:58 ID:ks1rpPYX
更新乙です。
投下ペースが遅くなるのは残念ですが、気長に待ちます。
565名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:36:00 ID:wKNYTfxd
子守唄氏、乙でした。
ついでに10分後くらいに投下予約させていただきます。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:38:23 ID:FT+Smmcd
GJです、子守唄好きなので気長にたつことにします。
567零魔娘娘追宝録10 1/6:2007/11/14(水) 19:47:24 ID:wKNYTfxd
んではそろそろいかせていただきます。
---------------------------
            マリー・ガラント号を襲う謎の空賊の
                             『正体』
                              とは?
                     そしてルイズにとって
                             『宝貝』
               とはいかなる存在であったか?

「このままあと半日ほど進めばアルビオンだ」
 宙に浮かぶ、アルビオンに向かう船。『マリー・ガラント』号の上でワルドは言った。
「へえ……! 船に乗るって言うのになんで山に登るんだと思ったけど、まさか空の上にあるとはね」
 帆に風を受け、空中を滑るように進む船に感心するように静嵐は声を挙げる。
「そうだ。アルビオンという国は空の上にあり、空中を移動している。この時期ラ・ロシェールの街にもっとも近づくんだよ」
 なるほど、と静嵐は納得する。
「それで船も浮いているわけだ。……落ちたりしないよね?」
 空飛ぶ船、というもの自体には特に疑問はない。仙界ではこの程度のものはどうというほどのものではないからだ。
 ただ、どういう仕組みで浮いているのかは気になる。メイジが空を飛んでいたように、なんらかの魔法の一種であることは確かだ。
 わけもわからない原理で浮かぶ船の上に乗っているというのは、静嵐でなくとも心配にもなるだろう。
 しかしルイズはそんな静嵐の不安を笑い飛ばして言う。

「まさか、落ちるわけないでしょ。船を浮かせる風石は足りないみたいだけど、心配しなくても――きゃっ!?」
 言いかけたとき、船体が大きく揺らぐ。何か大きなものがぶつかったような衝撃が船全体を揺らしたのだ。
「な、なんだ! 何事だ! 何があった!?」
 マリー・ガラント号の船長は船員を捕まえて慌てたように問いかける。
「きゅ、急に突風が」
「馬鹿を言うな、何の前触れもなくこんな風が吹くなどと!」
 たしかに奇妙な風である。それまで船上に流れる風は穏やかなものであったのに、
 このような突風がいきなり吹いてくるというのはありえないことである。

「船長、あれを!」
 周囲を見張っていた船員の一人が宙を指す。そちらを向けば、遠く雲の向こうに船影が見える。
 砲門の並ぶ黒い船体。あきらかに戦艦である。
「あれは……船か! あの船からあんな強力な風を送ったっていうのか?」
 どうやら先ほどの突風は『風』の魔法であるらしい。だが解せないのはその距離。
 この世界の単位でいうなら500メイルは離れている。それほどの距離を置いてあれほどの強力な魔法を発動させることは可能か?
「……並のメイジでは無理な芸当だな。トライアングルが数人か、さもなければスクウェアが一人以上は必要だ」
 同じく『風』のスクウェアであるワルドが冷静に推察する。だが、その表情は硬い。
『風』の使い手であるがゆえ、それが言うほど簡単な芸当ではないと気づいたのだ。

「だ、旦那ぁ! 旦那も風のメイジなんでしょ? なんとかしてくださいよ!」
 船長はワルドにすがり、懇願する。
 どうやら先ほどの風はこちらを停止させるのが目的であったらしい。
 その証拠に、こちらが帆を止めるとそれ以上の行動を見せず、静かにこちらに進み寄ってくるだけだ。
 しかし、もし逃げ出そうとするならば、またあの突風で今度こそは『転覆』させられるかもしれない。
 そんな船長の恐れに、ワルドは無慈悲に首を振る。
「残念だが、今の私では艦体の維持で精一杯だ。諦めるんだな」
「こんなところで貴族派に捕まるなんて……!」
 悔しげにルイズは歯噛みする。王党派が劣勢に追いやられている今、アルビオン近辺で制空権を握っているのは貴族派だ。
 この船は貴族派のために積荷――火薬を運んでいる船ではあるのだが、乗り合わせた静嵐たちにはそんな事情は関係ない。
 アルビオンへ向かう目的を問われれば一巻の終りだ。
 だが注意深く敵船を観察していたワルドは、そんなルイズの言葉を否定する。
「いや、待て、違うぞ。あれは王党派でも貴族派でもない。――空賊だ」
「空賊!?」
 驚くルイズ。そして静嵐もまた、ワルドに倣い敵船を見る。数百メイルの距離など、武器の宝貝の視力ならばどうということはない。
「所属を示すような旗の類は何も出てないね。甲板にはカタギには見えない柄の悪そうなおっちゃんたちが何人か」
 武装は剣や弓を持った者が幾人か、杖を持った者がまた幾人か。甲板上に見える人数はそれほど多くない。
568零魔娘娘追宝録10 2/6:2007/11/14(水) 19:48:30 ID:wKNYTfxd
「あの程度の戦力なら恐れるに足りないんだけどね。強力なメイジがいても船の上でなら大きな魔法も使えないだろうし。
僕とワルドさん二人でなら楽に制圧できたんだけどね。――陸の上だったら、さ」
「ああ。そうだな……。陸の上だったら、な」
 静嵐の言葉に苦々しく頷くワルド。
「そんな……なんとかならないの?」
「無理だよ。僕ら二人が敵船に飛び込んで暴れてる間にこの船が沈められちゃうからね」
「そういうことだ。仕方無い、ここは奴らの指示に従おう。だが、奴らとて空に浮きっぱなしというわけにもいくまい。
どこかの港に入った時、機会を見て脱出するんだ」
 ワルドの言葉にルイズは覚悟を決める。
「それしかない、のね……。でも、諦めない。必ず私はウェールズ様のところに辿り着く!」
 静かに拳を握りしめ。近づいてくる黒い船を迎えた。

                  *

「ま、なんだね? 覚悟を決めた割にはあっさりと会えちゃったわけだ」
「うるさい! あんたは黙ってなさい!」
 肩をすくめて軽口を叩く静嵐を怒鳴りつけ、ルイズは苦虫を噛み潰したような顔をする。
 ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべ、空賊船船長――を装っていた人物は言う。
「すまないね、ミス・ヴァリエール。敵を欺くには味方から、というわけだ。我ながら迫真の演技だっただろう?」
 冗談っぽく言う台詞にルイズは毒づく。
「いつでも役者になれますわ――ウェールズ皇太子様!」
 ルイズの言葉に彼は笑う。
「違いない! その時はミス・ヴァリエール、君にヒロインを演じてもらおうではないか!」
 そう。船長に扮していたのは誰あろう。ルイズたちがアルビオンにやってきた目的の人物、ウェールズ・テューダーその人であった。

 城を追われ、劣勢に追いやられた彼は空賊を装って貴族派の補給船を襲っていたのだ。
 だがその演技ぶりたるやなかなかどうしてたいしたもので、ルイズたちには見破れなかった。
 貴族派に与する恥知らずな空賊を装い、わざわざルイズたちにまで離反を促してきたほどだ。
 だがルイズはそんな話には乗らず、堂々と王党派に着くことを宣言した。普通の空賊ならばその場で縛り首になるところだが、
 しかし幸運なことに船長の正体ウェールズ王子であった。彼は正体を明かし、ルイズたちを信用することにしたのだ。
 が、騙されていたルイズにしてみればたまったものではない。死を覚悟してまで義に殉じたというのに、結果がこの有様だ。
 彼女でなくとも毒づきたくもなるだろう。

「――と、冗談はさておき。トリステイン大使の君たちが私に何用かな?」
 急に元の、王族らしい顔つきに戻るウェールズ。彼に触発されるように、ルイズも気を入れ替えて本来の職務に戻る。
 すなわち、トリステインのアンリエッタからの手紙を届けることだ。
 ルイズはアンリエッタから預かった手紙を取り出し、封がされていることを確認してウェールズに手渡す。
「殿下、これを」
 ルイズから渡された手紙を開き、ウェールズは無言で文面を読み進め、そして最後に一言だけ
「……そうか、彼女は結婚を……」
 と呟き、一瞬だけ暗く沈んだ顔を見せる。だがそれもすぐに消し去り、毅然とした顔つきで言う。

「手紙の件はたしかに承知した。しかし今は手元にないのでね、手間をかけるがニューカッスル城まで足労願いたい」
 ニューカッスル城。アルビオンの突端に位置するという古城で、現在は王党派の拠点――最後の拠点となっている場所だ。
 もちろんここで仕事が済むとは思っていなかったルイズは、その申し出を了承する。
 ウェールズは頷くと、何かを思い出したかのように口を開く。
「そうだ、これを先に渡しておこう」
 そう言ってウェールズは懐から何を取り出す。
 二十サンチほどの、細かな彫り物の施された細い棒。片側には房のように毛がついている。一見するとそれは絵筆のように見える。

「これは……筆、ですか?」
 問うルイズに、ウェールズは頷く。
「この筆の名はテンコヒツという。――パオペイと呼ばれるマジックアイテムだ」
 テンコヒツ、すなわち天呼筆。
「パオペイ! 皇太子様もお持ちだったのですか!」
 またしても宝貝。いくつもの宝貝がこの世界に落ちてきているらしいということは承知している。
 タバサが遭遇した『将軍』なる宝貝、オスマンを救いフーケを陥れた『符方録』、アンリエッタが所持しているという秘密の宝貝、
 そして昨日の仮面の男が使った『鬼神環』という指輪の宝貝。そして自分の『静嵐刀』……。
 いくつもの宝貝がさまざまな使用者の手元にある。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:49:03 ID:ch1+aQ8R
大帝支援
570名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:49:58 ID:omZ7wQJY
しえーん
571零魔娘娘追宝録10 3/6:2007/11/14(水) 19:50:40 ID:wKNYTfxd
 ならば、ウェールズ皇太子が持ち合わせていたとしても不思議ではない。だが、最近どうにも宝貝づいているような気がする。
「その様子では知っているようだね。ご存知の通り、宝貝とは強力無比な異界のマジックアイテム、
このテンコヒツは周囲の天候を自在に変えることができるパオペイなのだ」
 ルイズは驚く。宝貝とはそんなこともできるのか! と。
 インテリジェンスソードの範疇に収まる静嵐刀や、魔法薬などに類することもできなくもない符方録の符はまだわかる。
 だが天候を自在に操るとは。筆という形でどうやって天候を操るのかすら想像できない。

「天候を? ではあの、マリー・ガラント号を襲った突風はそのテンコヒツによるものなのですか?」
 風の使い手としては気になることだったのだろう。ワルドが尋ねる。
「そう。このテンコヒツを使ったのだ。風の強弱は自由自在。午睡にちょうどいいようなそよ風から、あのような強風まで思いのままだ」
 ウェールズの説明に静嵐も納得する。
「なるほど、そうか。道理で何の前触れもない急な風だと思ったよ」
「温度の調整ができないという欠陥のせいで、雪を降らすことはできないがね。それでもなかなかのものだろう?」

 手中のテンコヒツを弄び、器用に指先でくるくると回しながらウェールズは悪戯っぽく言う。
 どうやらウェールズにとっては自慢の宝貝であるらしい。
 だがルイズが気になったのは、その入手経路だ。
「一体、それを何処でお持ちになったんですか?」
 宝貝は異界のマジックアイテム。そうそうその辺の古道具屋にあるようなものではない。
「……ふむ。そうだな」
 ルイズの問いにウェールズは数秒何かを思案するような仕草を見せ、ルイズの後ろに控えるワルドと静嵐に向き直る。

「すまないが、君達二人は席を外してくれないか?」
 席を外させる。内密な話をするというのであれば致し方ないことではあるが、それは信用されていないということでもある。
 のん気そうにしている静嵐はいざ知らず、ワルドはそのことに少し不満そうであった。
「そのお話、我々にはお聞かせ願えないと? 殿下」
 ワルドの口調に少し棘があることを感じたのか、ウェールズは苦笑しながら否定する。
「いや、君達を信用しないわけではないのだ。ただ少し、込み入った話になりそうなのでね。無闇に言いふらしたくはないのだよ」
「……そのような事情でしたら。御意に」
 ウェールズの言葉に一応納得したのか、ワルドは静嵐を促して部屋の外に出て行こうとする。

 自分で尋ねたからとはいえ、一人取り残されることにルイズは不安を覚える。その不安を少し込めて静嵐に目配せしてみるが、
「?」
 と静嵐は何も察せ無い様子でそのまま部屋を出て行った。
(あのバカ剣……! ご主人様を心配しようっていう気はないわけ!?)
 察しの悪すぎる使い魔に怒りを覚える。いくらウェールズ皇太子の命とはいえ、主人の護衛をあっさり放り出して出て行くとは!
 それは少し言いがかりに近いものであったが、怒りのおかげで少し不安が紛れたのも事実だった。


 薄暗い船長室に二人になり。さて、とウェールズは語り始める。
「あれは、私が貴族派の兵たちと戦っていた時のことだ。まだ戦況が五分と五分。いや、我々が有利だった頃かな?」
 つまりそれは反乱の起きた直後ということだろう。アルビオン王党派は反乱が起きてからしばらくは優勢を保っていた。
「私はその日、一軍を率いて貴族派の軍を迎え撃とうと陣を敷いていた。敵の数はそう多くない。楽な戦だと思っていたよ。
 それは当然だろうと誰もが思った。反乱といっても所詮は一軍、一国全てを敵に回すことなど無理な話である。だが、
「だが――裏切り者が出たのだ。いかな手を使ったのかはわからないが、我が軍から離反者が続出し、あっという間に形勢逆転だ」
 話によれば、どんな手管を使ったのか。有力な諸侯や軍人たちは寝返るか、あるいは寝返った部下に陥れられ王党派を離脱。
 どんどんと彼我の勢力は逆転していったという。そしてそれが、ウェールズの直接指揮する軍でも起こったのだ。

「瞬く間に私と私の手勢は包囲され、敵に捕らえられる寸前だった」
 敵の軍に包囲される陣営。逃げ道はすでに塞がれ、こちらの情報は筒抜け。あとは敵の手に落ちるのを待つのみだ。
「――しかし、その窮地に現れたのがこのテンコヒツだ。
このパオペイを使って急な雷雨を呼び、混乱する敵陣を突破してなんとかその場を脱することができたのだ」
 なるほど。入手した経緯はわかった。だが疑問は残る。
「パオペイが自ら現れたとおっしゃるのですか?」
572名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:51:55 ID:omZ7wQJY
しえーん
573零魔娘娘追宝録10 4/6:2007/11/14(水) 19:55:37 ID:wKNYTfxd
 それが不思議だった。あまりにもタイミングがよすぎる話ではないか?
 生死の窮地にあって、まるで待っていたかのようにそれを脱する能力をもった宝貝があらわれる。出来すぎた話だ。
「最早これまでと覚悟を決めたその時、一筋の流れ星のような光が私の前に降り、その光とともにテンコヒツは現れた。
……まるで私の元に自ら飛び込んできたように、ね」
「まさか、このテンコヒツにも人間のような意思があるのですか?」
 タバサの言う『将軍』の宝貝や静嵐刀。宝貝の中には人間の形をとるもの、人間と同じような意思を持つものがある。
 そうであるならば、天呼筆がウェールズのもとに現れたのも納得がいく話だ。しかし、ウェールズはそれを否定する。
「意思? いや、そんなものはない。テンコヒツは物言わぬ、ただの筆の宝貝でしかない」
「では何故、殿下の前に現れたのでしょう……?」
 意思を持たないただの道具が、絶好のタイミングで使用者の元に現れる。
 もしそれが意思を持った何者かの仕業でないなら、あまりにもでき過ぎた話だ。

「……私が思うに、パオペイは意思とは別の何か、『本能』のようなものを持っているのではないかな」
「『本能』ですか?」
 本能。どんな生き物でも持っている根本的な衝動。それが宝貝にも備わっているのか?
「無論。我ら生物のそれとは少し違うものだ。しかし、であればこそ、この意思なきパオペイが私の前に現れたことも納得がいく。
あの時私は強く望んでいたのだ『この窮地を脱するための力が欲しい!』と。その願いに答えるようにテンコヒツは現れた。
私はこれをただの偶然ではないのだと思う。テンコヒツは意思以外の何かで私の思いを感じ取り、私の前に現れたのだ」
「それが、パオペイの本能だとおっしゃるんですか?」
 自らを望むもののところに、自らの力で現れる。そうさせる宝貝の『本能』。もしそうならばこそ、様々な事象にも納得がいく。

「彼らは道具だ。道具であるがゆえに、誰かに使われることを望んでいる」
 それは静嵐の語った、宝貝の持つ『道具としての業』のことだ。全ての宝貝は等しく誰かに使われたいと願っている。
「しかしそれは誰でも良いというわけではないのだろう。より自分を欲している、そんな主のもとに行こうとする、
そういう力があるのではないか……。このテンコヒツを手にしていると、そう思えてくるのだ」
 ウェールズは自分の手の中の天呼筆を大事そうに見つめる。それもそうだろう。
 天呼筆はウェールズにとって、自らの危地を救ってくれた恩人のようなものなのだ。

 自分はどうなのだろう? ルイズはそう自問する。
 ルイズが『静嵐刀』を呼び出したその経緯はどうであれ、間違いなく自分は『自分の意思』で静嵐刀を求めたことになる。
 人の形をとる刀の宝貝。異界のマジックアイテム。それはどう考えても真っ当な使い魔にはならない。
 だというのに数多の使い魔らしい使い魔ではなく、自分は静嵐刀を呼び寄せた。自分は静嵐刀を求めていたというのだろうか?
 それは一体何故……?
 ルイズの疑問の思考は、コトンという音でかき消される。ウェールズがその手にあった天呼筆を机の上に置いたのだ。
「ともあれ、このテンコヒツのおかげで私はこうしてここに居られるわけだ。……私の二つ目の宝物さ」
 そして、と天呼筆をルイズの前に押しやる。
「それを今、君に託そうと思う」

 最初からウェールズはそう言っていた。だが、この天呼筆がウェールズにとって大事なものであることは聞いた通りだ。
「そんな、これは殿下にとって大事なものではありませんか! 何故私などに?」
「何。最早使うこともないだろうからな。君に渡しておくのが一番だろうと思ったのさ」
「ですがこれは……かなり強力なパオペイなのでは?」
 天候を操る、と一言で言ってしまえばそれまでだが。ウェールズが言ったように雷雨を呼ぶこともできれば、風を呼ぶこともできる。
 その使い方は応用次第では幾通りにもなるだろう。それも、ただ便利な使い道だけではない。中には危険なものもあるだろう。
 ルイズの言葉に、ウェールズは同意する。
「そうだな。使いようによっては大変危険なものだ。雷の雨でもちょっと降らせれば街一つ滅ぼすことくらいわけもないだろう」
「……!」
574名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 19:55:53 ID:qMaIqIcM
うおお支援っすー。
575零魔娘娘追宝録10 5/6:2007/11/14(水) 19:56:41 ID:wKNYTfxd
 街一つ壊すことの出来る道具。それが今、ルイズの目の前にある。その事実にルイズは息を呑む。
 これを使えば数多くの人命を一瞬で奪うことができる。しかもこれは、兵器などではない日用道具の宝貝なのだ。
 あらためて、宝貝というものの恐ろしさを実感する。
「それ故に、これを敵に渡すわけにはいかぬ。このテンコヒツが姫に、いや、トリステインに害を与えるようなことがあっては困る」
 これがもし、レコン・キスタの手に落ちればその力は王党派に、そしてトリステインに向けられるだろう。
 数え切れないほどの雷の雨。トリスタニアを襲う未曾有の大災害。想像するだけでも恐ろしい。
 それほどの力、いくらなんでも自分のごときに身にはあまりにも――重い。
「……ならば殿下が御身に持ち続ければよいではありませんか」
 搾り出すようなルイズ声。重い責任から逃げようとするようで心苦しく、恥ずかしい。

 ウェールズはそのことを責めない。それが一人の少女の肩には重過ぎる荷であることは承知しているからだ。
 彼とて可能ならば、もっと勇気と責任感のある人間にそれを預けられればよかっただろう。だが、
「それは無理だ。私はもうすぐ……死ぬからね」
 青天の霹靂。いきなりのウェールズの言葉にルイズは驚く。
「な、何故そのようなことを!」
 自嘲するようにウェールズはおどけ、肩を竦める。
「簡単な話さ。私達王党派の軍はもはや敗北寸前だからだね。いかにテンコヒツといえど、この流れを変えることはできまいよ」
 自分が間もなく死ぬことを彼は悟っている。もはやそれはいかに強力な宝貝の力を持ってしても変えられるものではない。
「だから私は間もなく死ぬ。討ち死にだな」
 そう言ってウェールズは。己の死になど微塵も恐れを見せない様子で、晴れやかに笑った。

                  *

「……」
 ルイズはウェールズの部屋を出て、狭い船の廊下に立つ。力なく閉じられたその手の中には天呼筆が握られている。
 結局ルイズはウェールズの覚悟に何も言うことができず、ただ言われるがままに天呼筆を預けられたのだ。
 死を目前にしてもなお何の恐れも見せず、己の責務を全うせんとするウェールズの姿を見る。
 それは、今までただの貴族の子女として平穏に生きてきたルイズにとってはひどくショックな出来事であった。
 理屈ではわかる。王族として生まれるということは王族として死ぬということ。王族の義務、つまりはそれだ。
 敗軍の王は生きて恥を晒すものではない。王族がそのような醜態を晒せば、ハルキゲニアの王権は地に堕ちる。
 ルイズとて貴族。そのようなことは言われるまでもなく承知している。だが、実際にそれを目にした時、
 自分のそれはただの理屈。机上のものであることを痛感したのだ。

「ルイズ、ちょっといいかい?」
 そんなルイズに声をかけるものが居た。
「ワルド、何か用かしら? ごめんなさい、今は少し気分が悪いの……。後にしてほしいんだけど」
 今は何も話をする気にならない。このまま部屋で休みたかった。
 だがワルドはそれを聞き入れず、真剣な顔で言う。
「大事な話があるんだ」

                  *

「あ、ルイズ。もう話は済んだのかい?」
 ルイズが部屋に戻ると、静嵐が待っていた。部屋と言っても、さきほどまで捕らえられていた営倉ではない。
 城に着くまでの間。貴族であるルイズとワルドには、士官用の上等な(それでも手狭であるが)個室が与えられている。
 ルイズの使い魔である静嵐は、当然ルイズ同室だ。彼は刀の姿に戻れば部屋の狭い広いなど関係ない。
「……疲れたわ。少し横になってもいい?」
 そう言ってルイズはベッドの上に上がり、シーツの中に潜り込む。
「うん。今日はいろいろあったからね。ゆっくり休みなよ。僕は外で番をしてるからさ」
 そう言って静嵐は部屋を出ようとする。

「あ……待ちなさい」
 慣れない軍艦の硬いベッドの上。そこに一人取り残されることに不安を感じ、ルイズは静嵐を呼び止める。
「何? 水でも貰ってくる?」
 静嵐なりに気を使おうとしているのだろうが、的が外れている。
「ね、寝つけそうもないから。あ、あんたは話し相手になりなさい」
576零魔娘娘追宝録10 6/6:2007/11/14(水) 19:57:49 ID:wKNYTfxd
「……いいけど」
 静嵐は部屋に備え付けられてる椅子を引っ張り出し、ルイズの傍らに座る。
 いざ話をしようと思ったが、いい話題が浮かばない。話したいことはある、だがそれをどう喋ればいいのかわからない。


 仕方なく、ルイズはこれから向かうアルビオンの状況について話すことにした。
 武器の宝貝である静嵐ならば、そうした情報を欲するだろうと思ったからだ。
「戦況はかなり酷いことになってるみたい。今向かってるニューカッスル城も敵に包囲されているそうよ」
「ふうん、そりゃ不味いね。戦力も桁違いだって言うみたいだし。
武器の宝貝として状況判断をして言わせてもらうなら、残念だけどもう王党派に勝ち目はないだろうね」
 静嵐の言葉は正しい。もう王党派は勝てない。ウェールズは死ぬ。それは変わらない。
「……そう、勝てないわよね。勝てなければ死んでしまうだけ。なら、死に方を選べないといけない……」
 先ほどのウェールズとの会話を思い出し、ルイズの気分は再び暗く沈む。

「ルイズ? どうしたのさ、なんか変だよ。何かあったの?」
 そんなルイズの様子を不思議に思ったのか、静嵐は心配そうに聞く。だがルイズは感情を呑みこんで誤魔化す。
「……なんでもない、わよ」
 話を変えるため、ルイズは「そういえば」と切り出す。
「さっきね、ワルドに言われたの。『明日結婚しよう』って」
「結婚! そりゃまた急な話だねえ」
 驚く静嵐。そう、先ほどワルドから持ち出された『大事な話』とは、結婚の申し出。それも明日、ニュー・カッスル城で。というものだ。
 ルイズは16歳。結婚年齢としては少し早いかもしれないが、不自然というわけではない。
 親同士の決めた、ほとんど冗談のような決め事とはいえ、ルイズとワルドは婚約者同士。何もおかしくはない。
 ただ、あまりにも急なことで、ルイズ自身我が事として実感することができないでいた。
 何か、間の悪い笑い話のようにも感じる。死地へ赴こうという人がいる一方で、のん気に結婚式を挙げる。
 これが笑い話でなければなんだと言うのか?

「ちょどいい機会だから、って。王子様にかけあって、立会人になっていただくそうよ。……ホント、急な話よね。
……ふふふ。あはははは」
 口からは気の抜けたような笑い声が漏れる。――そう。笑い話ならば、笑うだけだ。
「ルイズ?」
 やはり心配そうに呼びかけてくる静嵐。どこかおかしくなったとでも思われたのかもしれない。
 しかしルイズは取り合わず、言葉を続ける。妙に気分が高揚してくる。疲れのせいかも知れない。
「学院もやめることになるのかしら? 正直、あまり未練は無いけれど……『ゼロのルイズ』を返上できなかったのは残念かもね」
 『ゼロのルイズ』。無能の証明。嫌いで嫌いでたまらない、自分の二つ名。
 どんなものでもいい。自分も普通の二つ名が欲しかった。たとえドットでもいい、普通のメイジになりたかった。
 しかし、自分はあまりにも無力。ゼロのルイズがお似合いだろう。それが、笑い出したくなるほどにわかりやすい現実。

「あんたはどうするの? まだ私の使い魔を続ける?」
 自分が結婚すれば、この使い魔はこれからどうするのか。それが少し気になった。
 静嵐は笑って言う。
「僕はルイズの宝貝だよ? 前にも言ったじゃないか、ルイズの行くところならどこへでも、さ」
 こののん気な使い魔は、いつもヘラヘラとしていて頼りない。だけど、いつでも自分を主人と思い助けてくれる。
 それだけが落ち込んでいるルイズにとっては嬉しかった。気恥ずかしくてそれを口に出すことはできないけれど。
 ルイズは誤魔化すようにして、ベッドの中に潜り込む。
「……そろそろ、眠るわ。城に着く前に起こして頂戴」
「うん。わかったよ」
 そう言って静嵐は部屋の外に出て行く。おそらく辺りの見回りでもするつもりなのだろう。


 狭い船室の中、一人になって考える。今部屋を出て行った静嵐刀。自分の使い魔。
 ウェールズの宝貝のように天から降ってきたのではない、自分の召喚した宝貝。
 彼が来てから様々なことがあった。
「大きなゴーレムをやっつけて『魔封の札』を盗んだフーケを捕まえて、アンリエッタ様の密命でアルビオンまでやってきて……
いろんなことがあったけど。でも、私は何もしていない。いつも、いつもただ見ていただけ」

 ルイズは呟く。
「……私は一体何ができるの?」

                             (続く)
577零魔娘娘追宝録の者:2007/11/14(水) 19:59:01 ID:wKNYTfxd
投下終了。というわけで、久しぶりに零魔娘娘追宝録その10をお送りしました。
ちょっと急ぎすぎたかも。一レス長いと何度も怒られた……。もっといろいろ余裕見て投下するべきだった。負け。

しかしまぁ、なんですな。自分みたいにあんまり原作からの乖離がない進行の仕方だと、どこで個性を出せばいいか難しい。
「原作と展開一緒だからここは書かなくていいや」なキングクリムゾン的早送りもほどほどにせんとなぁ、と自省。判定負け。

てなところでまた次回もよろしくお願いします。
578名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 20:00:48 ID:rMsDNpr3
零魔娘娘追宝録の者さん、グッジョブでしたー☆


>>552

かの鋼鉄腕のボディーガード殿との戦いでこそ「近接戦はこっちが不利か」
と言っていたが、トリックプレイなどの嵌め技を含め、サイレントキリングなどの
ナイフ術にも熟達してるし。もう、そのまんまでも十分強いっちゃ強いだろうな。

いっその事、オスマンの旦那の恩人だかの正体を橿原の爺さんにでもして、宝物庫の
中身は雁の巣だったとでもしておけば、銃弾の問題はクリアーできそうな気がしないでも無いが。
579名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 20:26:44 ID:ZrnTBtsy
投下乙です。
どーでもいいけど、これくらいの投下ペースが普通なはずなのに、このスレにいるとすっごい久しぶりに投下されたように見えるのは何故?
580名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 20:28:34 ID:+jSJJxB2
このスレは姉妹スレの某神父の加護を受けてる時があるからな。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:02:56 ID:ZKyTTB9o
SS投下準備完了
投下コースに入ってもいいか?
許可を待つ
582名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:05:26 ID:ZrnTBtsy
>>581便へ、こちら管制塔です。
支援の準備が整いましたので投下してください
583名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:05:37 ID:wKNYTfxd
投下すればよかろうなのだーっ
584名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:05:51 ID:MY26cxu+
>零魔娘娘追宝録

厨房レベルの知識もないバカが来た。

ゆとり世代か? マジで消防とか? なんかメスガキ臭いな。

頭の具合からすると偏差値底辺級の女子中学生ってとこか。
585名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:06:33 ID:ZKyTTB9o
        「あんた、誰?」

呼び出されたことが理解できてないのだろうか?幽鬼のようにただ立っている男に声をかけた。
召喚のショックなのか、返事がない。
仕方がないので男の格好をチェックしていく
彼は見慣れない格好をしているわね。
チェック柄のズボンに青い上着、なにより奇妙なのは左腕につけている物。
黒くて半透明のガラスのような小手、それと同じもので作られた首輪・・・

「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
周囲が一気に笑い声に包まれる。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
もう、私は男の格好などを気にせず周囲の人間にくってかかっていた。
「変な首輪つけてるぜ!」
「どこかの奴隷でも召喚したんじゃねーの?」
「そ、そんなわけないじゃない」
「『ゼロのルイズ』から『奴隷主のルイズ』か」
「だからちがうっていってんでしょーが!!」
チラッと男のほうを見ると辺りを見回している、怪訝そうな顔で・・・
「ちょっと、アンタ私の質問に答えなさいよ!」
「くぁwせdrf・・・・」
だめだ!!会話にならない!!
「ミスタ!ミスタ・コルベール!」私は大声を上げて監督官でもある中年教師に呼びかけた
「ミスタ・コルベール! 召喚のやり直しを要求します!」
「それは許されません、あなたにもわかっているはずですよ」
「現れた『使い魔』で今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。一度呼び出した『使い魔』は変更する事はできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。好むと好まざるに関らず、彼を使い魔にするしかない」無慈悲に断られた・・・
いつか復讐してやる!
私は黒い衝動に駆られながら、男に近寄ろうとすると変な黒い小手をリズミカルに叩き出した。
そして首輪を目のところに持ってきて固定した。
な、なによあれ!もしかして大当たり!?
「ミ、ミスター・コルベール?」動揺して声が震える。
「うむ、私もあんなものは見たことがない。それに見たまえ、彼の服についている胸の紋章のようなものを。」
私があわてて胸を見ると青い上着に六芒星をかたどったものが確かについている。
「も、もしかしてメイジなの?」
これ以上ない成功!!メイジを使い魔にしたメイジ!!
そんなの聞いたこともない!!
「それはないでしょう。ディティクトマジックをかけましたがそんな反応は有りませんでした。ただ彼の腕のほうからマジックアイテムの反応があります」
どういうこと?やっぱりあの小手?
怪訝な顔でそばにまで来ていた教師を見上げる。周りもいつの間にやら私たちの空気を察して静かになっている。
「年齢から考えて、君たちと同じ学生かもしくは・・・いや、たぶん学生でしょう」なぜだか自分の言葉を無理に信じようとしているようにも見える・・・
そうすしていると男のほうがこちらのほうを向き、なにやら話しかけてくるがやはり言葉が理解出来ない。
頭をかきながら苦笑いを浮かべて悩んでいるようだ。
「言葉が通じなくても、契約すれば話せるようになるかもしれません。契約を結ぶことにより特殊能力をみにつけることもありますから」
586名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:09:56 ID:ZKyTTB9o
で私はこんなことになるんだろう?これからどうなるんだろう?
今までのことを思い出して涙が出た。意を決して力強い声で詠唱を始める
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
男に飛びつきキスをする・・・身長の関係でそうするしかないのだが。
私の初めてのキスだというのに!!何でこんな言葉も通じない男なんかに!!
思わずムカついて蹴飛ばそうと思ったら、左手を押さえながら地面でのた打ち回っている。
「流石はルイズだね、契約のキスで使い魔を殺そうとしてるぜ」
「爆発的な衝撃なのさ」
「誰がうまいことをいえと」
「うるさいわね!!アンタもいつまでも地面を転がってるんじゃないわよ!!」笑い出す級友達を怒鳴りつけ、
男のほうを見ると肩で息をしながら四つんばいになっていた。
「大丈夫かね?少年」私を制してミスタ・コルベールが声をかけている。
「一体何なんだ?これは?ここは?」多少っていうか、ハッキリと戸惑いを含んだ声で答えを返してくる。
「なぜ会話ができるようになった?全員魔力を持っているが一体何者なんだ?」矢継ぎ早に質問を飛ばしてくる。
「まずここはトリステイン魔法学院というところで。そして君は『サモン・サーヴァント』と呼ばれる使い魔召喚の儀式でここに呼ばれたんだ。
その左手の印が使い魔の証だよ、会話ができるようになったのは使い魔になったからだとおもうよ。」穏やかにそして丁寧にコルベールは質問に答えているが、そこまでする必要があるのだろうか?
小声で何事かをつぶやきながら、考え込んでいる。
「しかし、珍しいルーンだな・・・もっとよく見せてもらえるかな?」そういいながらスケッチブックを取り出す中年教師。
「ああ・・・かまいませんけど少し待ってもらえませんか?」男はそういいながら上着のポケットに手を突っ込み、何かを取り出して広げる。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:13:50 ID:6Akq4aR6
sien
588名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:14:21 ID:ZKyTTB9o
〜〜〜〜♪

聴いたことのない音が流れ出て、それをいじる私の使い魔・・・
コイツはいろんな物を持っているんだ、その上にそれを使いこなせる!間違いない大当たり!
これであの不名誉な二つ名ともサヨナラよ!!そして私はこれから偉大なメイジとしての道を歩むのよ!

「そ、それは何なのですか?ここでは見たことがありませんよ!」興奮を隠せない様子のコルベール、それを見て笑いがこぼれてしまう。
「これは携帯電話というものですよ。」微笑を浮かべながら答えてくれた。
「これでいいか・・・頼むぞ」ひとりごちると
その携帯電話というのをひねり、右手で持ち左手の上にかざすとカシャっと音がして何事かつぶやきコルベールに見せている。
好奇心で覗くと、左手が携帯電話とかいうのにハッキリと写っている。
「すごい!こんなきれいな絵みたことないわ!!いったい何をしたの?」
「確かにそれだけ鮮明であれば、十分ですが・・・もしかしてほかにも何かできたりするのですか?」興奮のあまり二人で男に詰め寄ってしまう。
「後は動画と、目覚ましくらいですよ」後ずさりしながらも答える男。まあ、すぐにその分私たちが前に進むのだけど
「動画とは何ですかな?」
「動く絵です」
うん、コイツは大うそつきだった。ゼロの名前よ。再びこんにちは・・・
今日は浮き沈みの激しい日ね・・・この学院に着てからこんな日は始めてよ・・・
動く絵なんてあるわけないでしょ、魔法でもできないのに
「やってみてもらえますかな?」「かまわないですよ、あ、ついでにモデルをお願いします」
あ〜〜このBAKA二人は何やってるんだろう。
周りの雰囲気も私と同じものになり、ただ違うのは「ルイズの呼んだ使い魔は大嘘つきか・・・」そういう視線
後ろでは携帯を構える使い魔と火の魔法を唱えるコルベール、思い切り息を吸って思い切りため息をつく。
「なんてすばらしいんだ!!こんな魔法があるなんて!!」
「いや、魔法じゃないですよ」驚愕する教師と笑う使い魔に二人に置いていかれる私
嘘つきじゃなかった。ワタシも近寄って携帯電話を覗くとその中でコルベールが魔法を唱えている。
「き、君は一体どこから来たのだね?こんな技術があるなんて」
「日本という国ですよ。さっきまではノモスというところにいました。じゃあ、これを渡しておきますからスケッチするより正確でしょうし」
「日本、ノモス・・・聞いたことがないな、それにこのような技術、世界は広いのだね・・・。では、ありがたく借りておくよ」
なに、友好的な雰囲気作り出してるのよ!!アンタのご主人様はワタシでしょうが!!
「ちょっと!アンタ!」思わず怒鳴りつけてしまうが、使い魔のほうはまったく気にかけずにこういいました。

        「君がワタシのご主人様か・・・私の名前は流星・・・コンゴトモ、ヨロシク・・・」
589名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:14:34 ID:m9HxGJrl
      ィ";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙t,
     彡;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
     イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r''ソ~ヾ:;;;;;;゙i,
     t;;;;;;;リ~`゙ヾ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ    i,;;;;;;!
     ゙i,;;;;t    ヾ-‐''"~´_,,.ィ"゙  ヾ;;f^!   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ト.;;;;;》  =ニー-彡ニ''"~´,,...,,.  レ')l. < >>584 おまえは何を言っているんだ
     t゙ヾ;l   __,, .. ,,_   ,.テ:ro=r''"゙ !.f'l.   \____________
      ヽ.ヽ ー=rtσフ= ;  ('"^'=''′  リノ
    ,,.. -‐ゝ.>、 `゙゙゙゙´ ,'  ヽ   . : :! /
 ~´ : : : : : `ヽ:.    ,rf :. . :.: j 、 . : : ト、.、
 : : : : : : : : : : ヽ、  /. .゙ー:、_,.r'゙: :ヽ. : :/ ヽ\、
  :f: r: : : : : : : : !丶  r-、=一=''チ^  ,/   !:: : :`丶、_
  : /: : : : : : : : :! ヽ、  ゙ ''' ''¨´  /   ,i: : : l!: : : : :`ヽ、
 〃: :j: : : : : : : ゙i   `ヽ、..,,__,, :ィ"::   ,ノ:: : : : : : : : : : : :\
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590名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:17:41 ID:ZKyTTB9o
以上で投下完了!
メガテンif...クロスです
主人公は流星野郎から
591名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:18:56 ID:7RhD6S0c
支援
592名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:19:39 ID:ZKyTTB9o
重大なことを忘れていた!
支援してくれた方、いい声だったぜ・・・!
('◇')ゞ
593名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:28:24 ID:KIr8yGuk


メガテンか!
もしルイ・サイファーとか召喚したらどうなるだろう?
ルイズをカオスヒーローならぬカオスヒロインとして育てるか表面上は大人しく仲魔・・いや
使い魔するか。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:31:21 ID:W8nQKPI9
メガテンの人乙。

>>593
ルイ・サイファーを一瞬ルー・サイファーと見間違えてしまった俺はどうすれば良いんだorz
595名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:49:48 ID:XzsO53Y7
>>593
女神転生の悪魔は力にうるさいから
ルイズじゃまず無理。
596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:54:07 ID:gy+iAyHY
>>594
よーぅ、ご同輩。
ユーは誰の落とし子だい?
597名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:56:28 ID:JfVLT09O
メガテンのキャラって合体どうするんだろうってのが気になるな
ソウルハッカーズならCOMP合体とかあったけど
598名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:03:13 ID:KIr8yGuk
>>595
虚無の力に目を付けそうだけどな。
それでも大魔王から見たら大したことないかな?
599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:10:06 ID:nQGQMFJi
>>597
魔神転生だと同じマスに止まるだけで合体するぜ!
600名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:14:24 ID:rIuJLCtp
>>595
フロストぐらいなら何とか…

お菓子で買収出来るかもしれないし…


ルーン無しでもトライアングルメイジならレベル20弱までの悪魔なら従わせる事が出来そう…
スクウェアならレベル30前後まではいけそう

40超えるとメイジでも無理っぽい…
601名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:16:27 ID:3OiBDIK9
あらゆる船で
「業魔殿にヨーソロー」
602名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:18:31 ID:bjxYucnM
>>595
虚無なら余裕だろ
603名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:20:49 ID:phmyANCy
ご立派様みたいに気さくな人柄なら試しに使い魔やってくれんじゃね
604名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:23:08 ID:tmVyWyu2
>>595
技量以上に精神的に未熟すぎるので神様や高位の精霊とかよりも
自分より強い奴に媚びる低級ダーク系か
利用価値のあるものならなんでも使おうとする中〜高位ダーク系の方が
寄って来そうだな
605名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:24:23 ID:rIuJLCtp
>>603
高レベルでCPが高いとルイズがマグネタイトを吸われて干乾びてしまう…

CP低めの低レベルニュートラル〜ライト悪魔
もしくはCP0の造魔とか英雄
ならどうだろ?

ルイズもメガテン的なレベルならそこそこ高いかも?
魔法が使えないのに魔力極振りだったりするだけで…
606名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:25:32 ID:3OiBDIK9
悪魔次第では何らかの条件が揃えばこっちが弱くても仲魔になってくれるよな
例えば小説版真3のモスマンに赤ペン
あとアバタールの喰奴連中とかは基本的に人間だから交渉も難しくは無い……はず
ジナーナは……駄目だ食欲我慢し過ぎて餓死る
607mgs3:2007/11/14(水) 22:25:48 ID:vCdec2Sx
 昨日来た人間ですけど、投下して良いのかな?と言うかいいですか?
608名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:26:49 ID:UhTLHLxo
支援
609名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:27:05 ID:bDo4Hlhq
いいんだよ
610わかりました:2007/11/14(水) 22:28:24 ID:vCdec2Sx

「十分間、時間をやろう」

 昔々と言うほど昔ではなく、今と言うほど新しくない。
 日本の古典文学的に言えば、「今となってはもう昔の話」
 世界は二つに分かれ戦争をしていました。
始まりは歴史の必然なのか一人の男の狂気か、今でも議論されるその戦争中に、一つの部隊が出来上がりました。
 歴史的に見れば新興国である国の女兵士によって集められたその部隊は、その戦争を終わらすのに多大な貢献をしました。

「人生最高の十分間にしよう」

 そのお陰もあり、世界を二つに分けた戦争は終わり、また世界二つに分けた戦争が始まりました。
 ただし、前の戦争とは全く違いました
 戦車が兵士を蹂躙するわけではない
軍人が列を為して突撃するわけではない。
 英雄が現れるわけでもない
 たった一つのボタンが世界を破滅させる戦争
 世界から、冷たい戦争と呼ばれたその戦争。
 そして、これはその戦争で、誰も知らない。
いや殆どの人間が知らない愛国者の最後から始まるお話

「ボスは二人もいらない。蛇は一人で良い」
長い沈黙。そして、一発の銃弾。

西側からは「特殊部隊の母」、東側からは「ヴォエヴォーダ(戦士)」の通り名を奉られたコブラ部隊の元リーダーにして、東西にその名を轟かせる伝説の英雄。後の世界で、恥知らずの売国奴、核兵器を撃ち込んだ凶人として永久に語り継がれる女性の最後でした。

611わかりました:2007/11/14(水) 22:29:42 ID:vCdec2Sx
神聖なるサモン・サーヴァントの儀式。
 その日、彼女はいつものように魔法を失敗し、いつものように爆煙を生産し、 周りが諦めかけた中でも、最後の期待を込めて叫んだ。
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
 誰かが、「何あの呪文」と言っていたが、次の瞬間に起きた爆風がその声も掻き消した。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:31:18 ID:4NFobCkB
1レス60行まで入るぜ支援
613蛇の人:2007/11/14(水) 22:31:41 ID:1qMw6Gxk
支援
614わかりました:2007/11/14(水) 22:32:21 ID:vCdec2Sx
 もう、何十回目になる爆煙の中、魔法が成功しない魔法使いはようやくその中に動くものを認め、胸を高鳴らせていました。
 「ドラゴン?翼竜?サラマンダー?モグラ?」
 ですが煙が晴れて見えたのは、彼女の思いもしなかったものでした。
 真っ白な服らしき物、召還した彼女言うには「パッツンパッツンな服」、正式にはスニーキングスーツを着た、人間でした。

「ゼロが平民を召還したぞ」
「何処かから、連れ去って来たんじゃないのか」
「しかし、何だ?あの服」
周りの人間は、いつもの言葉をかけようと思いましたが、その人間の格好を見て困惑していました。

「ミスタ・コルベール!」
使い魔を召還した女性は、中年の男に捲し立てていました
「もう一度召喚させてください!」
「それは出来ない」
「どうしてですか!?」
男が否定しても、引き下がりません
「決まりなんだ。召喚した使い魔で今後の属性を固定しそれにより専門課程に進む
 一度呼び出した使い魔は変更できない。なぜならこの儀式は神聖なものだからだ
 好むとも好まざるにもかかわらずその人間を使い魔にするしかない」
平民の使い魔か留年か、彼女には選択の余地はありませんでした。
615わかりました:2007/11/14(水) 22:33:35 ID:vCdec2Sx
そして、その女性は、困惑していました。
自分の記憶が正しければ、愛弟子の銃弾を受け、死んだはずなのです。
それなのに、何故生きているのか。そして、何故こんな所にいるのか
もっと記憶を辿ります。
死んだ後、世界が真っ赤になったのは覚えています。自分の死体を見たのも覚えています。自らが殺した、最愛の人間が横に付きそったのも覚えています。
 そして、そして

「ちょっと、聞いてる?顔を近づけなさい」
目の前の少女の声に、思考が中断されました。
「感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて普通は一生無いんだから」
桃色の髪の、小さな少女。初めて見る髪の色です
死んだはずの女性は、どう反応したものか迷いました。
戦場に身を置き続けましたが、子供が嫌いというわけではありません
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン……」
女性は怪訝な顔で少女を見ましたが、取り敢えずは、言われたとおり顔を近づけました。
「この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そして、いきなりキス
そして、その瞬間、「ゼロのルイズ」ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔に、
伝説の戦士、the BOSSがなった瞬間でした。
616蛇の人:2007/11/14(水) 22:33:48 ID:1qMw6Gxk
ボスゥ!
617名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:35:35 ID:vCdec2Sx
 これで、取り敢えず一区切りは終了です。
 こういう二次製作は初めてなので、お手柔らかにお願いしますよ。ええ
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:37:19 ID:rIuJLCtp
ボスキター!

ビッグボスだったらギーシュがCQCされて
スネーク「言え!」
ギーシュ「ケティの胸はモンモンより豊かだった…」
スネーク「答えろ!」
ギーシュ「他にも声をかけている女生徒が何人か居る…」
とか尋問されるんだろうか…
619名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:38:10 ID:1qMw6Gxk
名前が…これで2度目だorz

>>617
乙!楽しみにしてます
620名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:45:56 ID:K/6UYzKB
伝説の英雄……ザ・ボス!!

乙です。
これから先どうなるかwktkしてますよ
621名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:48:21 ID:3HYRyXQ+
ボスってことはパトリオットで銃弾の心配は無しか
銃が得物のキャラにつきものの問題はないな
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 22:55:39 ID:vCdec2Sx
>>621
 パトリオットは出しません。そんなの魔法で勝てるわけry

 題名は、wiki編集してくれる素晴らしい人にお願いします。
 ちなみに今のところ3話まで書けてます

 所で
 「ゼロのルイズが羅生門の男をry」
と言う一撃ネタを思いついたけど、私には書けません
623名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:00:52 ID:3HYRyXQ+
>>622
ってことはCQC+ナイフぐらいかそれでも十分強そうだが。

あれ・・・デルフ・・・
624名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:02:29 ID:K/6UYzKB
そらそうだろうなぁww
ただでさえボスは超怪力でしかも近接格闘の達人なのに
大柄なハンドガンとしてのの携行性とライフル弾の威力を同時に得た携行兵器が
あったらハルケギニアの常識では誰も勝てんわw

RPG弾は撃ち落とし、ショットガンの弾すら跳ね返してたからなぁ、パトリオット。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:02:35 ID:1qMw6Gxk
>>621
そもそも死んだ後ならパトリオットはBIG BOSSが持ってる
626名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:03:07 ID:xez9FxcI
>>578
 それならイージスの人を…って腕のメンテできないな。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:05:21 ID:KIr8yGuk
ふと思ったんだがウルトラマンとかRXとか自力で帰れるなぁ
センベエ博士も宇宙船や物質転送装置を作って自分で帰れそうだ
628名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:05:26 ID:P4PYda1x
たしかパトリオットでザ・ボス撃ったんだっけ?
629名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:08:48 ID:K/6UYzKB
>>628
YES

にくい演出とともに。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:09:40 ID:OlQsdiXs
ザ・ボスに気付かれるとと銃弾が弾かれるし
どういう能力なんだ?
631罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:13:39 ID:y9C2vbfH
予約ありますか?
なければ23:20から投下します
632名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:13:44 ID:eK8CXoYK
シギントも思わずつっこむ反則武器だからな。パトリオットは
633名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:15:39 ID:1qMw6Gxk
>>630
パトリオットの弾幕が弾丸を落としているから
>>631
どぞー
634名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:17:54 ID:3OiBDIK9
パトリオットって何?武器?公式チートアイテムか何か?
とか思いながら支援準備
635名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:19:24 ID:lNAKkhJd
>>630
パトリオットの弾で弾いてたのでは?
>>634
パトリオットはM16のバレルを短くしてストックとっぱらったライフル。
反動ものすごいはずなのにザ・ボスはそれを片手で扱う人です
銃弾を撃ち落とすくらいわけないです

ちなみに隠れようとしてるときはスネークの攻撃も普通に当てれる。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:20:55 ID:1qMw6Gxk
>>634
クリア後のごほうびアイテム
弾薬無限・リロード不要
特殊アイテムに含まれない
集弾率はアサルトライフル中最高の性能
637罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:21:09 ID:y9C2vbfH
それでは投下開始します



タバサとの接触から数日の間、達哉を取り巻く環境は比較的平穏と言えた。
相変わらずルイズのワガママは絶えないがそれも慣れ、シエスタの厚意で食事にも事欠かない。
昼はルイズの授業に付き合ってこの世界のことを学び、午後は図書館で調べ物をする。
そのくり返しは新鮮さに欠けるが、同時に安定した『日常』となりかけていた。

そんな日々に変化が訪れたのは元いた世界で言うところの日曜日、
『虚無の曜日』にルイズが発した第一声だった。

「街へ剣を買いに行くわよ」
「……いきなりなんだ?」

達哉は眉をひそめた。

「あんた剣が使えるって言ってたじゃない。最近よく言うこと聞くし、褒美を取らせて上げるわ。
忠誠には報いるべきところがないといけないものね」

ふふん、と得意気な笑みを浮かべるルイズ。
一方の達哉は「そんなものか」と曖昧に納得する。
最近では大分慣れたつもりだったが、まだまだ貴族的思考というものには謎が多い。

「なによ、いらないの?」

達哉の態度が嬉しそうに見えないルイズは不機嫌そうな顔になる。

「……いや、欲しいな」

今は必要ないが、この先もそうとは限らない。
それに……

『使い魔は、主人を守る存在であるのよ!』

……なんにせよ、『力』はあった方がいい。
達哉はルイズの厚意をありがたく受け取ることにした。

「ただし、粗相をしたら取り上げるからね。これからも犬のように、従順に従うのよ」
「…………」

少しばかり不安は感じたが。

それから間もなくして、達哉はこの世界に来て初めてトリステイン魔法学院の外に出た。
638罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:23:05 ID:y9C2vbfH
学院から街までは、馬で三時間もかかった。
慣れない乗馬に四苦八苦しながら達哉が辿り着いたそこは、白い石造りの街だった。
ルイズの説明によると城下町らしいこの場所では、皆が一様にマントを羽織っている
学院と違って、いかにも『平民』然とした格好の老若男女で溢れかえっている。
また通りには様々な店が立ち並び、客を呼び込む商人達の活気に満ちた声で辺りを賑わせている。
海外旅行の経験がほとんどない達哉は、そんな光景を物珍しげに見回していた。

「街が珍しいの?」

そんなに田舎から来たのか、とルイズは邪推する。

「俺のいた街とは、だいぶ雰囲気が違うからな」
「あんたがいた街ってどんなの?」
「ここよりは広くて大きい」
「嘘おっしゃい。城下町より発達した街なんてそうそうないわよ。
それより、財布は大丈夫なんでしょうね」

財布は貴族が持つものではない。下僕が持つものだ。
そう言われて、先ほど達哉はルイズから金貨の入った袋を預けられた。
今は懐にしまってある。

「ああ」
「ならさっさと行くわよ。寄り道してる暇なんてないんですからね」

そう言ってさっさと歩き始めるルイズ。達哉は素直に後に従った。


「貴族の旦那。ウチはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、
これっぽっちもありませんや」

ルイズに案内されて入った武器屋の店主が、開口一番にそう言った。
……大丈夫かこの店?

「わたしは剣のことなんかわからないから。適当に選んでちょうだい」

交渉するルイズを置いて、達哉は店内の武器を物色し始める。

「昨今は宮廷の貴族の方々の間で下僕に剣を持たすのが流行っておりましてね。
その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」
「貴族の間で、下僕に剣を持たすのが流行ってる?」
「へえ、なんでも……最近このトリステインの城下町を、盗賊が荒らしておりまして……」

これじゃ切れない。
これも……期待はできないな。
……こんな錆ついた物まで売ってるのか。
これは……なんで折れた剣が売りに出されてるんだ?

「盗賊?」
「そうでさ。なんでも『土くれ』のフーケとかいうメイジの盗賊が、
貴族のお宝をさんざん盗みまくってるって噂で。
貴族の方々は恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末で。へえ」
「ふーん……タツヤ!」

ルイズは中古の剣を眺めている達哉に声をかける。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:25:17 ID:3OiBDIK9
支援
640罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:25:23 ID:y9C2vbfH
「これはどう?」
「軽すぎる」

達哉は一目で一蹴した。
ルイズも「そうね」と納得する。

「もっと大きくて、太いのがいいわ」
「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。男と女のように。見たところ、
若奥さまの使い魔とやらには、この程度が無難なようで」
「大きくて太いのがいいと、言ったのよ」

ルイズの言葉に不承不承といった様子で頭を下げると、主人は店の奥に消えた。

それを横目で見ながら、達哉はまた中古の剣の束に目を落とした。
ざっと見たところ、ここの剣はどれも大して変わらなかった。
『向こう側』や『こちら側』で使っていた剣や刀に比べると、明らかに質が悪い。
魔法が発達した分、鍛冶や製鉄の技術は遅れているのかもしれない。

ならば、わざわざ高いものを買う必要はない。
こういう、いかにも安そうな物で手を打とうと、達哉は考えていた。


「これなんかいかがです?」

戻ってきた主人が持っていたのは、長大な大剣だった。宝石のちりばめられた豪華な装飾に、
鏡のように輝く刀身。一見して名剣と思わせるような、圧倒的な存在感を放っている。

「店一番の業物でさ。貴族のお供をさせるなら、このぐらいは腰から下げて欲しいものです。
しかしこいつを腰から下げるのはよほどの大男でないと無理ですんで、
そちらのやっこさんなら背中にしょわんといかんですな」

にこにこと笑って説明する店主の持つ剣に、ルイズの目が輝く。
少なくとも、ルイズのお眼鏡にはかなう代物だった。

「タツヤ、これでいい?」

呼ばれて、達哉はそこに大剣が用意されていることに気づく。

「……手にとっていいか?」

達哉が興味を示したことで、ルイズはさらにその剣を気に入った。
そんなルイズを他所に、主人の「どうぞ」という言葉に従い、達哉は剣の柄を握った。
すると――

「…………?」

……体が少し軽くなった気がする。
何かの魔法が付加されているのか?
首をかしげる達哉だが、それを見ていた二人の驚きは達哉の比ではなかった。
641罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:27:20 ID:y9C2vbfH
「ひえっ!?」
「ええ!? ルーンが……!」

達哉の左手、正確には手の甲に刻まれたルーンが発光していた。
達哉自身もそれに気づき、同時にあることを思い出す。
先日読んだ、平民に人気があると評判の物語。
光る左手を持つ勇者の物語を。

「イーヴァルディ……?」

まさか、この剣はイーヴァルディ縁の物なのか?

伝承が、実話を元にしていることは決して珍しくない。
イーヴァルディにもルーツとなる『誰か』が存在したというのは、十分考えられることである。
だからもしこの剣が『イーヴァルディの剣』だと言うならなるほど、これは貴重な代物だ。
少なくとも、そこらに飾ってある剣よりは遥かに期待できる。
しかし……

「……これは駄目だ」

達哉の経験はそれを否定した。
この剣、付加効果はあっても剣としての性能は、他のより若干優れているという程度だ。
仮にイーヴァルディが使っていた物だとしても、達哉には使う気になれない。
実用的にも、心情的にも。

「こいつはおでれーた。てめ、『使い手』か」

唐突に、何者かの声がかかる。
達哉は声のした方向を振り返るが、そこには誰もいない。

「それに剣を見る目もある。悪いこたぁ言わねぇ。小僧、買うなら俺にしな」

しかし声は間違いなくその方向からする。
そしてよく見ると、錆の浮いた中古の剣が一本、震えていた。
鍔の部分がカチカチと振動しているのだ。

なんだあれは?

その疑問には、驚きから立ち直ったルイズが答えた。

「それって、インテリジェンスソード?」
「そ、そうでさ、若奥さま。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。
一体、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、剣をしゃべらせるなんて……。
とにかく、そいつはやたらと口は悪いわ、客にケンカは売るわで閉口してまして……」

店主も平静を取り戻す。
しかし当たり前のようなやり取りをくり広げる二人をよそに、達哉は当惑していた。

しゃべる剣?
使い手?
642名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:27:43 ID:spBwOjHX
>>539
道草異聞の設定上消えるのはモンスターだけ。ワルキューレはものなので消えない。
それに、アルルがオワニモの封印といてない限り消えない。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:29:13 ID:3OiBDIK9
支援
644罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:29:49 ID:y9C2vbfH
三者三様のリアクションを取る面々を無視して、剣は言葉を続ける。

「そいつぁ剣の力じゃねぇ、おめーさんの力だ。試しに他の剣を握ってみな」
「…………」

達哉は剣を店主に返す。店主は恐る恐る受け取ったが、剣は渡した時と何も変わってない。
そして達哉が剣を手放した瞬間、左手の光は消失し体の変化もなくなる。
次に達哉は、その辺に立てかけてあった量産品とおぼしき剣を手に取る。
ルーンは再び発光した。

「どうだ、『使い手』。それがおめーさんの力だ」
「…………」

達哉はそのしゃべる剣を手に取る。またしてもルーンが発光するが達哉はもう気にも留めない。

「んん!?」

剣が疑惑の声を上げる。

「……てめ、何もんだ?」
「……なんのことだ」
「おめーさんの中に『誰か』いる。そいつがおめーさんの力を『既に引き出している』ぜ。
これじゃ剣握っても握らなくても大差ねーやな」
「ッ!?」

達哉の目が見開かれる。

「驚いたか? 俺は触れた人間や道具のことがなんとなくわかるんだ。その俺が断言する。
おめーは『使い手』だが『使い手』じゃねぇ。それ以上の『何か』だ」
「何言ってるのよ、このボロ剣」

剣の言ってる意味がわからないルイズは呆れる。
しかし剣にルイズの声は届かない。

「ますます気に入ったぜ! それにおめーさん、相当修羅場潜ってるな?
若けーのに大したもんだ。なあ、俺買ってくれよ。損はさせねぇからよ」
「…………」

どこまでも軽口を叩き続ける剣を達哉は無視し、両手で握る。
グリップはよく馴染んだ。重量も悪くない。
一見するとボロだが、見た目ほど状態は悪くない。酷使しなければ問題なさそうだ。
645名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:31:29 ID:3OiBDIK9
支援
646罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:32:27 ID:y9C2vbfH
「……ひとつ聞きたい。『使い手』とはなんだ?」
「忘れた。なにせ作られてから随分長い時間が経ってるんでね。
でもおめーさんと一緒にいれば思い出すかもな」
「そうか……」

色々な意味で放置できない剣だった。
達哉はルイズに向き直る。

「ルイズ」

達哉の言いたいことはルイズにも理解できた。
しかし、それでも聞かずにはいられない。

「……本当にそんなのでいいの?」
「ああ」
「まあ、あんたがそれでいいって言うならいいけど……これおいくら?」

結局、店主からも厄介払いだと言われた魔剣は破格の安さで買い取られることになった。
こうすれば大人しくなると、鞘に入れられた剣を受け取って二人は店を出る。

「何もそんな安物買わなくったっていいのに」
「……不満なのか?」
「使い魔にボロい剣持たせてたら私がケチだと思われるじゃない」

見栄か。
達哉は呆れた。

「……こいつには色々と聞きたいことがある。それに、あの店の剣はどれも大して変わらない」

達哉は背中に背負った剣を軽く抜く。

「ひでーぜ相棒。少なくともそこいらの剣よりかは、いい働きしてみせるぜ」
「……期待してる。ところでルイズ、剣を握った時にルーンが光ったのはどういうことなんだ?」

『コントラクト・サーヴァント』で左手に刻まれたルーンが、使い魔の証だというのは
達哉も知っている。要するに奴隷の焼印かと、それを聞いた時は不快になったが、
害はないし今さらどうにもならない。
おまけに右腕にはもっと厄介な物が残っていたのですぐに気にならなくなった。
しかし、ただの印でないというなら話は変わってくる。
647名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:33:27 ID:1qMw6Gxk
支援
648名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:33:28 ID:7AuhdJRg
支援
649名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:34:18 ID:3OiBDIK9
ヒットポイント回復するなら傷薬か宝玉で支援
650罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:36:18 ID:y9C2vbfH
「私にもわからないわ。使い魔のルーンが光るなんて、聞いたことがないもの。
動物が使い魔になった時に何かの能力が付加されることがあるけど、それかしらね」
「昔俺を使ってたやつは、俺を握るとべらぼうに強くなったぜ。
ただ、そいつがどんなやつだったか覚えてないんだがな」

要するに二人(一人と一本?)にもわからないらしい。

「なんなら、トリステインのアカデミーに問い合わせてみる?」
「アカデミー……?」

ルイズの口から、達哉が聞いたことのない単語が飛び出してくる。

「王室直属の、魔法ばっかり研究している機関よ」
「そこでわかるのか?」
「かもね。あんたを実験体にして、体をバラバラにした後でだけど」

にぃ、と意地悪く笑うルイズを見て、達哉は顔をしかめる。

「おいおい、やっと出会えた相棒をいきなり殺されちゃたまんねーぜ」

……俺だってたまらない。

ルーンと、アカデミー。
調べなければならないことと、隠しごとが増えて達哉は気が重くなった。
億劫になり、剣を鞘に収める。剣は何か言いかけたが、相手にしない。

「さてと」

ルイズはん〜、と伸びをする。

「剣は安く手に入っちゃったし、日はまだ高いし、少し街を見て行こうかしら」
「……寄り道する暇はないんじゃなかったのか?」
「何よ、嫌なの?」
「……いや」
「だったらつまんないこと言うんじゃないわよ。さ、田舎者のあんたに街を案内してあげるわ」
「ああ……頼む」

達哉は苦笑した。


休日の午後を、達哉は主人と共に街で過ごした。
街には色々な物が溢れ、それ珍しそうに見て回る達哉をルイズが笑った。
その内案内すると言ったルイズが道に迷ってしまい達哉に八つ当たりをし、
仕方なく休憩のため入り込んだ店のウェイトレスが、胸元の開いた
きわどい格好をしていて達哉を赤面させた。
それを見てルイズが不機嫌になり、達哉の脛を思いきり蹴った。
店を出ると日がだいぶ傾いており、怒るルイズと一緒に馬の元まで急いだ。
途中、帰り道で食べる軽食を購入し、二人は街を離れた。
街にいた間ルイズは怒ったり、笑ったり、怒ったり怒ったりで達哉は忙しかったが、
不思議と悪い気はしなかった。

それもそのはず。この時達哉は、すべてを忘れていた。
『向こう側』も『帰る方法』も『這い寄る混沌』も忘れ、ただルイズの相手をしているだけで
騒がしくも穏やかな時間に身をゆだねることができたのだ。

『虚無の曜日』は達哉にとって、この世界にきて『最初の休日』となった。

ただし、それは達哉の主観による話である。
651名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:36:58 ID:7AuhdJRg
>>649
「か」じゃない「と」だ
支援
652罪深い使い魔:2007/11/14(水) 23:41:09 ID:y9C2vbfH
その日の夜。

「確かに『固定化』の魔法以外はかかってないみたいだけど……」

暗闇の中、影が値踏みする。
対象は、壁。
張りついた壁に垂直に立ち、足元の壁を見下ろしている。

「これじゃ私のゴーレムの力でも、壊せそうにないね……」

影――年齢、性別一切が不明の盗賊、『土くれ』のフーケは今、トリステイン魔法学院に身を寄せている。
目当ては宝物庫の宝だったが、その防犯性は調べれば調べるほどにフーケの頭を悩ませていった。
頑丈な錠前とフーケお得意の『錬金』を阻む『固定化』の呪文、そして厚さ5メイルにも及ぶ石の壁。
さすがのフーケも、盗み出す手立てを見出せないでいた。

「やっとここまで来たってのに……」

学院への潜入、そして宝物庫に関する情報収集のためにフーケが費やした時間や労力は少なくない。
その見返りとして、なんとしてでも宝は盗み出してやりたかった。
フーケは歯噛みした。
そんな折――


「己が無力さを嘆くか、魔術師」

突如、声が響き渡る。
フーケは弾かれたように辺りを見回した。

見られた!?
どこから!?

そんな内心の戸惑いを見透かすかのように、声の主は答える。

「汝が後ろに」

フーケが振り返ったそこには、宵闇の中で奇妙なほどはっきりと浮かび上がる、
白いシルエットが立っていた。


かくして達哉の『最後の休日』は終わりを告げる。



投下は以上です
支援ありがとうございました
653名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:45:33 ID:3OiBDIK9
乙です!
>>651
ぬおお、聞き違えてた!
ありがとう
654名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:47:37 ID:7AuhdJRg
罪の人乙
ふと思ったが這い寄る混沌がここにくるということは
鈎十字のチョビひげ親父の最後の大隊や
ジョーカー様とかでるんかな?
ちょっと期待
655名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:54:21 ID:UKVedLa+

その内ルイズ達も仮面つけたあの人に
「君は自分がなんであるか、名乗ることが出来るかな?」
と尋ねられるんじゃないかと間違った方向に期待してたりする

>>551
亀だがイージスだと御堂は死亡確定してるっぽい
>>599
一瞬魔界転生に見えた
もちろん宝蔵院が岩石ボディで
宮本武蔵の顔面に亜空間が広がってる石川版だがな!
656名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:04:34 ID:tXnY86JL
罪の人乙

>>654
そういう連中をハルゲニアの人たちは知りませんから噂が広まりようもないから現実化しないな
657名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:07:14 ID:WBnpKEpq
エルフってメイジたちから恐れられてるけどメガテンとかじゃレベル20くらいのザコ悪魔
ひょっとしてメイジってスクウェアクラスでもレベルは17、8くらいじゃない?
658名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:10:11 ID:dDhR42zs
>>657
原作読んでたらエルフの凶悪さが分かると思うんだが
659名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:10:58 ID:WBnpKEpq
>>658
すまん
ゲームに毒されすぎてた
660名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:12:32 ID:sUF46YDk
ますます、原作を読んでみたくなった
認識は、ダークエルフみたいなものなかな
661名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:14:04 ID:5z5v7kJD
職コロのメンバーでそこそこ強く、且つ社会的な性格のヤツっているかな…?
662名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:15:13 ID:neSWD7Ny
>>657
レベル59ハヌマーン ヤマタノオロチ
レベル46クーフーリン
〜これ以上はスクウェアでも(人間では)無理っぽい壁〜
レベル35テング
レベル31ローレライ
〜トライアングルの限界?〜
レベル26ドワーフ
レベル15ジャックフロスト
〜ラインとかドットレベルだとこの辺が限界?〜
レベル8キジムナー
〜コレ以下なら一般人でも武器を持てばそこそこ戦える壁〜
レベル2ピクシー


こんな感じかな?
663名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:15:47 ID:4Xbfuk3e
物(作品)の世界設定によってエルフの強さというか、できることが違うんで、
相対的なレベル評価は無理だと思う。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:16:13 ID:VDsQqvb8
>>656
うーむ、ということは
東方の連中がエルフと手を組み攻めてくるとかなら
ありえるだろうか・・・
665名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:16:34 ID:tZNoPk4R
>661
893、AA(まあシャイすぎるのが難点)くらいかな?
666聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/11/15(木) 00:19:40 ID:HX1ABpBl
今日も盛り上がってますね。
よろしければ30分頃から投下したいのですがおーけーですかー?
667名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:20:23 ID:tZNoPk4R
OK牧場。
668名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:20:34 ID:RDlW2Sl0
……ここで「だが断る」と言ったらどうなるんだ?
669名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:20:48 ID:WBnpKEpq
ゼロの世界では魔法より地球の科学の方が圧倒的に優れているという設定は面白いな。
でもあの世界に科学者が召喚されても設備がないからどうにもならんね。
670名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:21:33 ID:cXivUQDD
エルフの反射魔法ってどのくらいまで有効なんだ?
クトゥルー系の邪神の力をつかう魔術だと術式が違いすぎて反射しきれない気もするし
GSのアシュタロス級の高位霊格者の攻撃も無理そう。

要はエルフ以上の霊格や、邪神や悪魔の力つかった邪に属する攻撃(物理・魔法)使えば
無力化は可能なんじゃないかと。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:21:39 ID:KA/AXA3l
>>669
つ「ゼロのしもべ」
672名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:22:28 ID:n4ZLhEJF
一方、ショット・ウェポンは現地の住人を教育してオーラバトラーを造った
673名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:23:03 ID:neSWD7Ny
>>671
ヨミ様の方が人格者で世界の支配者に相応しく思えてしまうから困る…

バビルマジ外道
674名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:23:40 ID:RDlW2Sl0
だが断ると言ったヤツが言うのもなんだが……投下有るんだし落ち着こう。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:25:10 ID:KA/AXA3l
>>670
周囲の精霊より遥かに大きい力なら無効化は可能だと思う。
もしくは精霊を無効・無力化する力。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:28:22 ID:zIgBOKeb
作中でエルフとやりあうことがなかったしもう完結してるが
ご立派様がエルフとぶつかったらどうなってたのかね
677名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:30:15 ID:2Q1w2f3M
>>661
つ修羅と菩薩の拳を持つ拳闘家

職コロの顔が出なければ、蜘蛛や蟷螂、保育士とかもしっかり擬態できてるがなぁ
678ゼロと聖石17 ◆FIXARUtWLY :2007/11/15(木) 00:31:09 ID:HX1ABpBl
それじゃあまぁ、雑談ぶっちぎるように投下開始!

話は酒場での結果報告より遡る。

仕事も終わり、意気揚々と帰還している最中だった。
森の中に石造りの建物があった。

部屋が一つだけの簡素な造り。
中には朽ち果てた船が一隻。
大きさから見て二人から三人乗りの船だろう。
船体に刻まれていた文字はエンタープライズ、船の名前だろう。
しかし、ギーシュが触るだけで船体が軋み、所によって割れる。

これが、未知の技術で作られていることはすぐにわかった。
なぜなら、風石が無い上によくわからない棒が付いている。
極めつけは中に積んであった黒い塊。

『魔力変換式空冷エンジン・銀鍵守護機関過渡期Ver.Dr.West』

とりあえず、名前とかそういったものには一切触れないで置こう。
なんだか検閲されそうだし。
よく解らないが、そういったときはあのハゲに聞くのが一番。
というわけで、戦果として持ち帰ることにした。





やぁ、皆の頼れる紳士、コッパゲ―――違うわ! コルベール先生だ。
初めて活躍した『コルベールをやっつけろ☆』以来、久しぶりの登場です。

横で部屋の片付けをしているのは、古代のゴーレム『労働八号』君だ。
戦闘用としても有用だが、命令に対して忠実なのでミス・ヴァリエールからリースしている。
一ヶ月金貨三枚で有能な秘書を雇うようなものだ。
彼のおかげで研究ははかどっている。
機構こそブラックボックスだが、その技術はいろいろと画期的だ。
ゆかいな蛇君Mk-2の開発も手伝ってくれたし。

と、外が騒がしい。
まぁ、私には関係ないが。

「なんだ? またコッパゲ関連か?」
「あのコッパゲも変人だからな。だからハゲるんだよ」

よろしい、私情で点数は付けないがイロは付けよう。
それにしても私関連ということはミス・ヴァリエールか?
マントを羽織り、中庭に出る。
679ゼロと聖石17 ◆FIXARUtWLY :2007/11/15(木) 00:32:17 ID:HX1ABpBl
黒い塊に、竜騎兵達。
その前にミス・ヴァリエール達。

「あ、コルベール先生。ちょうどよかった、この人たちに運賃を払ってくれませんか?」

数日間留守にしてようやく帰ってきたらいきなり金よこせですか。
ずいぶん偉くなったものですな。

「帰ってきていきなり―――こ、これは!?」

目の前に聳え立つ黒い塊。
いや、ただの塊じゃない、これはゆかいな蛇君の発展版だ。
純粋にスケールアップしただけではなく、所々違う部分や用途が不明な部分が多い。

―――バラシたい。

そこからの行動は迅速かつ丁寧に行われた。
研究室に戻り、運賃を支払う。
ついでに研究室前まで運んでもらう。
一緒に持ってきていた工具の類も運び込む。

そして、ミス・ヴァリエールにアイコンタクトを送る。

―――少なくとも二週間は授業を自習という旨を皆に。
―――了解しました、先生。成果のほうをよしなに。

アイコンタクト成立。
これだけの研究対象は久しぶりだ。
工具を携え、謎の物体『エンジン』へと戦いを挑みに行った。





これでしばらくは自由に過ごせる。
チョコボの卵、あの勇敢な赤チョコボが守っていた卵。
残念な結果だったが、あのチョコボのことは忘れない。

卵は馬小屋の端に藁を敷いて、暖めている。
私はその隣でポーションを調合する。
正面にはモンモランシー。
水系統のメイジで、『香水』の二つ名を持っている。

「つまり、十二種のハーブと七種類のビタミンっていう栄養の素、それに泡の出る水を合わせるの」
「泡の出る水って、炭酸ってやつ?」

彼女にポーションの作り方を教えてと言われ、実演している最中。
今作っているのは飲み薬の方、塗り薬もある。


ちなみに十二種類のハーブはFF]U、飾り瓶で有名な初代ポーション。
七種類のビタミンはFFZ、新羅カンパニー瓶の方である。
Zの方はローヤルゼリーとカフェインも含まれているぞ。


いけない、雑念が混ざった。
薬作りに集中。
680ゼロと聖石17 ◆FIXARUtWLY :2007/11/15(木) 00:34:02 ID:HX1ABpBl
「でも、こんな水の秘薬聞いたこと無いわ。材料費も安いし」
「ある所にはあるのよ」

主にタルブ村とか。
そんなことを考えながら、手早くハイポーションとエーテルを合わせてエクスポーションを作る。
同時にエーテルとエーテルドライ、ハイエーテルを作る。

「もしかすると、秘薬の常識を覆せるかも」
「いや、これだけで十分覆しているし」

私はエクスポーションの瓶とハイエーテルの瓶を持ち、ビーカーに注ぐ。
二つの薬をあわせ、出来上がったものをモンモランシーの口に突っ込む。

「ガボボボボボボボ!!!??」

さあ、効果の程はいかに!?

「殺す気ってあれ? 精神力が回復しているような…」
「体の調子は?」
「あんまり変わらないわ」

残念、失敗か。
エリクサーが出来れば今後楽になったのに。

「ルイズ、今舌打ちしなかった!?」
「してないわ。それよりもポーションを作ってみなさいよ」

その言葉にモンモランシーはポーションを作り始める。
私はというと、卵を見つめる。
時々動いたり。ヒビが入ったり………
―――ヒビ?

て、うわぁぁぁ!! 卵二つともヒビ入ってるし!?
ちょ、ま、シエスタ!?
681ゼロと聖石17 ◆FIXARUtWLY :2007/11/15(木) 00:35:02 ID:HX1ABpBl
「あ、ヒビが入ってますね。この様子だと後五分ぐらいですね」
「うわぁぁ!? いつの間に!?」
「ヒビが入り始めたあたりからです」

恐るべしメイド、いやシエスタ。
そんなことしているうちに卵のヒビがどんどん大きくなる。
一部の殻が外れ、中から羽毛の色が見える。

「こっちのほうは赤、こっちのは黒ですね」
「いずれこの子も岩を落とすのね………」

シエスタをも一撃で倒す威力の岩など見たくもない。
味方なら別だけど。
ヒビが全体に行き渡り、卵が孵る。

「「クエッ!!」」

二匹のチョコボが産声を上げ、誕生する。

「ルイズ様、名前をつけてください」
「そうね、性別わかる?」

シエスタが二匹の性別を調べる。
その間に名前の候補を決める。

「赤チョコボがオスで、黒チョコボはメスです」
「だったら―――赤チョコボがシルキスで、黒チョコボはミメット」

名前が決まったあと、藁で体を拭いてやった。
これからこの子達がどう育つのか、楽しみにしながら。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:36:22 ID:UPXM1q7v
しっしえっ支援
683名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:37:02 ID:kbGEBZQ4
あのポーションか
たまに飲むと美味しいよね支援
684ゼロと聖石17 ◆FIXARUtWLY :2007/11/15(木) 00:37:54 ID:HX1ABpBl
以上で投下終了です。
投下を断られたらどうするって?
雪降る中、朝っぱらから投下するに決まってるじゃないですか。
―――雪降るな、寒いし灯油代だってバカにならないんだ。

おっといけない、ありがとうございましたー。
685名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:38:43 ID:UPXM1q7v
青色一号に染まれモンモン
686名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:40:45 ID:UPXM1q7v
サントリーポーション乙!
687名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:41:07 ID:3GpMnJYH
乙!
あの○チガイはいったい何作ってんのやらw
688名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:57:50 ID:BG/Fp1ko
サイヤの使い魔まだ〜〜?
689名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:58:17 ID:drVH6RW9
小ネタが書きあがってしまったので・・・投下しても良いでしょうか?
690名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:58:41 ID:K6TQLmpK
乙でした
チョコボの名前は7の野菜だな
691名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:59:27 ID:HX1ABpBl
投下支援準備ヨロシ
692名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:59:37 ID:RDlW2Sl0
乙。確かに雪は勘弁だ。
そして前哨支援。
693名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:00:55 ID:AZyo0bVx
聖石さん乙

>『魔力変換式空冷エンジン・銀鍵守護機関過渡期Ver.Dr.West』

これはつまり、コッパゲがドリルを開発して、それをルイズが頭に装備
と言う流れですか?
694名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:01:26 ID:VdWMnsMY
俺はクウガのひとの続きがきになるぜ…
デルフもったらルーンの力で目にも留まらぬはやさのタイタンフォームがw
695小ネタ(1/2):2007/11/15(木) 01:03:54 ID:drVH6RW9
おじいさんの古時計



 ここ、トリステイン国立科学博物館の、厳重に固定化の魔法がかけられた資料室のそのまた奥に、その時計は置いてあります。
 一見木と真鍮で出来た質素な時計ですが、この時計はお金をいくら積んでも、どんな宝石を持ってこようとも絶対に買えないほどの価値があります。


 これは、そんな時計を作ったおじいさんのお話です。


 ある少女の使い魔としておじいさんは召喚されたと言います。
召喚されたその時、彼は自分の身に何が起きたのか分からなかったそうです。
「死んだと思ったら突然20才ほど若返っていた」
と、後に出版された自伝には記述されています。

 突然召喚されたにも関わらず、彼は若返らせてくれたお礼にと使い魔の仕事を快く引き受けました。
 でも、彼には使い魔の仕事は全く出来ませんでした。出来る事といえば雑用と、時々作るからくりで少女を楽しませるくらいでした。

そんな彼ですが、転機が訪れたのはある日の昼下がりでした。

 何が起きたのかは具体的には書かれていませんが、それが土のメイジと知り合うきっかけだったと自伝には記されています。協力者を得た彼は、まるで水を得た魚のようにその才能を発揮し始めました。
 手始めに彼は青銅で蒸気機関車を作りました。学園のメイジたちは石炭と水をくべるだけで動くそれを見て大層驚いたそうです。

 その後同じような趣味を持つ学園の先生もおじいさんの仲間に加わったのですが、その先生が作った機械を見て彼は新たな発明に挑戦しました。

それが、通称コルベール・エンジンと呼ばれる事になるガソリン内燃料機関です。

 彼はこのエンジンを使って、高速船「鳥巣手印」を作り上げました。この船にはどんな帆走船も追いつけなかったと記録にはあります。
696小ネタ(2/2):2007/11/15(木) 01:07:16 ID:drVH6RW9
 そんなある日、噂を聞きつけた当時の女王が、危機に瀕している友邦アルビオンを発明品で救って欲しいと頼みに来ました。
おじいさんは最初乗り気ではありませんでしたが、仕方なくアームストロング砲に弾倉式の連発銃、ガトリングガン、それらを作るための工作機械などなどをさっさと作り、設計図ごとアルビオンに提供しました。
その結果、敗北確定だろうと言われていた王党派は見事に息を吹き返して反撃に成功、アルビオンでの内戦勝利に大きく関わったのはあまりにも有名です。


その後彼は電球から始まって電信機に電話、無線機、魔法式の真空管にテレビ、製氷機に農耕機械、プロペラ式の装甲艦、自動車、飛行機エトセトラエトセトラ、今日の私たちの生活に必要不可欠な物、
その原型となったものを次々と発明しました。これらの品物が私たちの生活を大きく変えた事は言うまでもありません。
 メイジの地位転落を恐れる貴族によって刺客を送られそうになったことも1度や2度ではなかったそうですが、それらは協力者によって全てが阻止されたそうです。

そして彼がハルケギニアに来て最初に完成させたのがここに保管されている時計です。魔法を失敗して落ち込んだ主人に対して贈られた物と記録されており、彼は自らの主人にこう語ったと言います。


「知識は失敗より学ぶ。事を成就するには、志があり、忍耐があり、勇気があり、失敗があり、その後に、成就がある」


その言葉の通り、後年彼女は虚無の魔法に目覚めるのですが・・・詳しくお聞きになられたい方は隣接する国立魔法博物館へ行かれてはどうでしょうか、きっと新しい発見がありますよ。



TOSHIBA創業者、田中久重を召喚
697695:2007/11/15(木) 01:08:28 ID:drVH6RW9
以上です。

体裁がいろいろおかしくてすいません orz
698名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:30:18 ID:DpmBxMHn
乙でした〜。

デジモン02のメインキャラ六人のうち、
以前からいたヒカリとタケル以外の四人とパートナーをそれぞれ召喚とか思い付いた。
テイマーズ方式で究極体になってみたりとか。しかし、どいつもガンダールヴ適性はあるんだよな……。

だれか四人と四匹を四つの使い魔にうまく当てはめてくれorz
699名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:46:18 ID:c1owsNtK
万年時計ktkr
700ゼロのgrandma:2007/11/15(木) 02:13:48 ID:0m4umkBM
こんばんわー。

予約します。
他にいないようなら、数分後から投下します。
701ゼロのgrandma 1/6:2007/11/15(木) 02:16:17 ID:0m4umkBM
困った事だとは思うのだ。
自覚していても、そう感じてしまうのは。


息子に頼られた記憶は、随分と遠い。
彼は幼い頃に父親を失って以降、泣き言を言ってくれなくて。
恩師の使い魔を教師として、毎日のように訓練漬け。子供らしい生活など捨ててしまった。
逞しくなっていく過程は、それはそれで誇らしい気持ちになれたのだけど。
若いうちから老成してしまい、親に甘えるという事を忘れさせてしまったのは――やはり残念だと思う。

少し経ってから養子に迎えた娘は、生い立ちがかなり特殊だった。
苦労、の一言では片付けられないほどの艱難辛苦を乗り越えただけあって、儚げに見えても芯は強い。
とても素直で穏やかな――それでいて少し自虐的なところが心配だけど。
いざとなれば誰に寄りかかることなく歩けるのだと、その行動で示している。

息子の妻が二人目の娘。
不思議なことに、息子とそういった関係になる随分前から同居していたものだから、自然と家族になっていた。
士官学校で息子と同期だった頃から遊びに来ていたし、自分の現役時代では上司と部下。
とにかく歴史が長い。
甘えてくれるような歳でもないけど、おかげで嫁姑というより本当の母娘のような付き合いだ。
その彼女が双子に恵まれてからは、一緒になって育てている。
何しろ初孫なのだ。もう言葉に出来ないほど可愛い。
久々に甘えてくれる子供に触れて、独り占めにしたくなる位だけど――もちろん母親に優先権。

ちなみに一人目の娘は、義姉より遙かに若いうちから、二人も養子を迎えていた。
彼女と同じように生い立ちに色々あるけど、同じように素直な子たち。
血縁は無くとも、孫として甘えて欲しかった。――と思う暇もなく。
あまりに良い子過ぎて、家を出るのは実に早かった。今は二人揃って、仕事の方で頑張っている。

息子一人に娘二人。孫が四人。それと娘の使い魔が一人。
これだけの家族が皆、自分には勿体ないほどの子ばかりだったから。


(こうやって普通に抱かせてくれるのって、なんか嬉しいのよね)
などと、取り留めのないことを考えてしまう。
この年頃の子供を胸に抱くなんて、それなりに長い人生の中でもほとんど無かった。
だから楽しくて仕方がない。つい笑いたくなってしまう。

本来は、苦笑するべきなのだろう。
意識を呼び戻された直後にしては、我ながら度し難いかな、と。

702名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/15(木) 02:16:44 ID:eVsPwshg
支援支援
703ゼロのgrandma 2/6:2007/11/15(木) 02:17:19 ID:0m4umkBM
呼び戻してくれた少女――ルイズ。
泣いているのに、いつの間にか前より強さの込められた声。それは意識の奥まで届くような。
これで起きない方がどうかしている。
霞んだ視界の中でも、彼女の小さな体躯は力強い。
(この子もやっぱり、一人で走れるようになるのは早そうね)
自分でも気付けないほどの溜息は、寂しさと嬉しさが混ざったものだ。
見送る事には慣れている。
既に苦痛すら感じ取れなくなってきている身体では、触れている事すら幻のようだけど。
この温もりを手放す事を、もう少しだけ先にしたいと思うのは――我が儘だろうか。


緑色の光に染まった世界の中で、ルイズは、ふと気付いた。
柔らかな声が、のんびりと語りかけてくる。
「……怪我なんてしたら、お姫様に心配かけるのに」
(大きなお世話よ)
反射的に怒鳴りかけたが――やっぱり止める事にして、抱きついた腕に力を込めた。
自分の髪を、細い指が撫でている。
顔を上げなくとも想像できる、いつもと変わらない笑み。
何も言わず、ただ、腰に縋り付いた自分を優しく包み込むように。

「――――あ」
声を出そうとして、喉の痛みに顔を顰めた。
何度も何度も大声を上げたから。これほどまで人の名前を呼び続けたのは初めてだ。
それでも何とか絞り出す。
「……起きるの遅いわよ。もしかして歳のせいじゃない?」
「うわー。すっごく耳に痛い」

意図した内容とは全く異なっていたのは――まあ、ご愛敬という事で。

二人して笑い声を上げた頃。
いつの間にか、部屋は静寂を取り戻していた。

   ◆  ◆  ◆

「ロストロギア?」
「そう。遙か昔に滅んだ文明が残した、凄い技術や物の事ね」
ベッドの上で身を起こしたリンディは、背中を預けてきたルイズの髪を梳いている。
足を抱えたまま、彼女は思い出すように言う。
「昔に作られたのに凄い物かあ。そういうのって、伝説とかにはよくあるんじゃない?」
「そうね。――だけど」
例外があるのだ。
滅んだ『世界』の物の中でも、他の世界に自力で影響を与えるほど強大な物。
または悪意ある第三者によって流出し、違法に使われてしまう物。
そういった物や技術は、後に大きな危険を具象化させてしまう。

そう意味では。
傍らのデルフの、以前の姿が想像出来ないほど見事に輝いた刀身。
「あなたも、ロストロギアって呼ばれてもおかしくないわ」
「伝説の武器でいいだろ。使い手がいなけりゃ、価値が今一伝わんねえけど」
本当にね、とリンディは頷いた。

704ゼロのgrandma 3/6:2007/11/15(木) 02:20:11 ID:0m4umkBM
実際、とんでもない代物だと思う。
意志を持ったこの剣は、魔法を吸収できる。魔力ではなく『発動した魔法』そのものを、である。
一見、防御に向いた能力に見えるが、本質は逆だ。
一定方向からの攻撃しか防げない反面、攻撃に回った時の脅威は尋常ではない。
特に自分たちのような魔導師には。

接近戦時に、防ぐのがかなり難しいのだ。
どの規模までかは分からないが、この剣に対して魔法による防御が役に立つかどうか。
バリアジャケットも、結局は魔力で構成された防御魔法の一種である。
もし、しかるべき使い手がこの剣の主となった場合。
その前では、ただの服と変わらなくなるかもしれない。

先程、リンディが無意識に張ったバリア系の防御魔法もそうだ。
不完全な発動だったとは言え、この剣はそれをあっさりと斬り裂いた。
防御魔法の生成プログラムに割り込んで干渉・破壊するバリアブレイクとは異なり、タイムラグ無し。
――理不尽と言っていい。
(ミッドチルダにこの技術が伝わったら、大変な事になるでしょうね)
剣以外に幾らでも応用が利く。軍事関係者は目の色を変えるだろう。

さらなる問題は――これが武器屋に平然と並んでいたという事。
古物商で掘り出し物に当たったようなものかもしれないが、それにしても限度がある。
本人が言う通りに『稀少』な存在ならともかく、実は何口も店に転がっていたりしたら?
しかも、錆び刀に擬態してるのもいるかも?

いやもう、本当に。
(……怖い世界よね。わたしも、それなりに魔法を使えると思ってたんだけど)
ここでは、目立つ程の力を持っているなどと言えない気がする。
やたらと怖れられている先住種族なんて、一体どんな力を持っているやら。
何度目か分からない、実感のこもった溜息を吐いていると――強い視線に気付いた。
じっ、と観察するようなルイズの眼差し。
「なに?」
「あのね、リンディ。わたしは姫殿下から頂いた今回の任務、受けて良かったって思ってる」
その口調には、自分の目で確かめた事を、じっくりと心に積み重ねていく響きがある。
だけど、とルイズは続けた。
「そのせいで、無理をさせちゃったのは後悔してる」
「タイミングが悪かっただけだもの。気にしても仕方ないでしょう?」
「気にするわよ。これでリンディに何かあったら、一生後悔すると思う。――だから」
ルイズは、リンディと正面から向き合った。
ぐっと歯を噛み締めてから、目を一瞬たりと逸らさないように相手の肩を掴む。
「正直に答えて。あんた今、もの凄く『無理』してるわよね?」

705ゼロのgrandma 4/6:2007/11/15(木) 02:23:00 ID:0m4umkBM
「それは――」
笑って誤魔化そうとしたが。
こういう顔をした子供に通用しないのは良く分かっている。
息子に寝室に放り込まれ、熱が下がるまで念話すらさせて貰えなかったのはいつの記憶だったか?
「そうね。少し無理しちゃってる、かな」
苦笑しながらも、つい認めてしまう。
「本当は休ませてあげたいんだけど、ここはいつどうなるか分からないのよ」
「そうね」
「帰るまでは、やっぱり無理させちゃうって分かってるけど」
「大丈夫よ。帰ってからのんびりするもの」
お茶とお菓子を用意してね、と笑うリンディ。

「が、学院に帰ったら」
声が震えそうになったのか、ルイズは慌てて口を噤んだ。
もう一度、ゆっくりと言い直す。
「学院に帰ったら、何日だって休ませてあげる。秘薬も幾らだって用意するわ」
そこまでが限界で。
彼女は、リンディの身体をかき抱くように縋り付いた。
「……そ、それで直るまで、ベッドから出してあげない、から」

嗚咽を交えた声に。
「じゃ、それを期待して頑張るから――そんな顔しないで。使い魔を信じるのも、主人の義務ですからね?」
と、そんな楽しそうな声が重なっていた。

   ◆  ◆  ◆

最初に放り込まれたのは、直径1メイル程の火球だった。
完全な不意打ちとはいかなかったが、少なくとも風竜を射ようとしていた連中は避けようもなく。
派手に吹き飛ばされたのが五人。余波で同数。

さらには混乱しかけた傭兵の真ん中に竜巻が発生し、約半数が崖から転落した。
途中に段差もあるし、そこそこの傾斜もある。即死はしていないだろうが――高いことは高い。
戦闘不能は避けられまい。

たった二発の魔法で六割方が壊滅した直後、逃げようとしたリーダー格の周囲に壁が立ち上がる。
文字通り、高さ五メイルはある土の壁である。それが四方にいきなり出現したのだ。
更には十メイル程のゴーレムが数体、逃げ道を塞いでいる。
彼は混乱したまま、頭を抱え込んだ。
――聞いていた話とも段取りとも違う。これは無関係な事態なのか?
などと何かを考える余裕などあるわけがない。
次々と降り注ぐ火と風の魔法が、爆音を響かせ続けているのだから。

つまり、火、風、土のメイジが揃っている。
そんなあり得ない現実に彼が青くなったのは、ほとんど事態が収束してからだった。

「呆気ないわよねー」
つまらなそうに呟くキュルケの背後では、尋問が続いている。
リーダー格以外の連中は、ロングビルが作った土壁の囲いの中だ。見る事は出来ないが、喚きは聞こえる。
語彙の貧困な罵詈雑言。
恐怖の色が少ないのは、こちらを女子供となめているのか、それなりの熟練兵なのか。
「……の、割には口が軽いのよね」
キュルケは、先程の事を思い出して苦笑した。

706名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:25:08 ID:Yb0qDsS1
支援
707ゼロのgrandma 5/6:2007/11/15(木) 02:25:23 ID:0m4umkBM
そもそも、最初に捕まえた相手を尋問しようとしたのはキュルケだった。
頑として口を割らない相手に対し、脅してはみたのだが。
見た目が見た目である。
色仕掛けしてくれりゃあ喋るぜ、と言い放った相手に対してさすがに腹を立てると、今度は口汚く罵ってきた。
それがまあ、聞くに堪えないスラングで。

直接言われたキュルケにとっては、多少顔を赤らめた程度。
より上の内容で反撃してやろうと口を開きかけた時、横から突風が通り過ぎた。
風の魔法、ウインド・ブレイク。
そう判断する間もなく、今度は二十メイル程のゴーレムが生成される。
吹き飛ばされた盗賊を捕らえ、そのまま踏み潰そうと足を振り上げた。
「ちょ、ちょっと――」
あんたたち何やってんのよ、と言いかけて後ろを見ると、二人とも真っ赤で。
憤怒をそのまま絵にしたような表情。
いや。
憤怒っぽく見えるが、実のところは?
(あー……)
思わず黙り込んだキュルケの横を、二人は黙って通り過ぎていく。
多分、友人である自分が愚弄されたのが腹立たしかったのだろう。――と、思う事にする。
それだとロングビルの怒りが説明できないが、そこはそれ。
(二十三にもなって、あの程度で赤くなるって事は無いだろうし)
あったとしても追求するのは野暮だ。
「ま、いっか」
あっさり背を向けた背後で。
何だかよく分からない悲鳴が延々と響いていた。

とにかく、その結果。
死の恐怖を幾度も味わったらしい盗賊から、嘘では無さそうな話は聞けた。
雇われたのは今日の昼頃、ラ・ロシェールの居酒屋。
そして、以下の命令が与えられたらしい。

アルビオンへの船が出るまでここで待機し、目標を捕らえるか足止めすること。
この場合、殺害は禁ずるということ。
もし接触出来なければ、それ以降はある地点で他の連中と合流すること。
合流後は、ラ・ロシェールから学院までの街道を見張ること。
目標を捕捉したら、最悪の場合は殺害しても構わないということ。

その目標とやらについても、こと細かに伝えられていた。
少女と女性の名前と容姿、そして『平民に偽って荷馬車を使用している可能性』すらも。

「呆れたね」
ロングビルは溜息を吐いた。
このネタを知っているのは、極めて限られるというのに。
「まあ、説明しないわけにはいかないだろうけどさ。これはねえ」
ぎりぎり灰色の可能性も考えていたのだが、どうも意味が無かったらしい。
黒も黒。真っ黒だ。

708ゼロのgrandma 6/6:2007/11/15(木) 02:28:16 ID:0m4umkBM
「雇ったのは白い仮面をつけた貴族」
「うわ、怪しー」
タバサから聞いたキュルケが、露骨に顔を顰めている。
「昼って事は別人よね。誰かしら?」
「さあね。それは考えても無駄じゃないかい?」
何しろ、分かったのはワルドがルイズたちに悪意を持っているという事だけだ。
背景や黒幕など想像も出来ない。
出来ないが、
「少なくとも、姫殿下の手紙を狙ってるって事だけは確かだね」
「行きは通しても帰りはダメってなら、他に無いわよね」
「だとしたら」
三人は頷き合った。

ワルドは、アルビオン貴族と何らかの繋がりがあるという事だ。

「姫殿下を貶める為に動いている、トリステイン貴族って線は?」
「考えなくて良さそうだね。手配りが悪過ぎだしさ」
前もって動いていたならともかく、今日付けで雇われた傭兵の存在から――その可能性は低い。
用意周到なものではなく、場当たり的な計画なのは明らかだ。
協力者も、おそらくは極めて少数。
「ワルドの他に、いても仮面の男ぐらいかね」
ただし、とロングビルは補足した。
「どっちにしろ、正面からやり合ったら不味いのには変わりないから、出来ることをやるよ」

「ま、それしか無いか」
キュルケは欠伸しながら同意した。
合流地点が分かっているのだから、他の傭兵部隊もある程度予想出来る。ならば潰しておこう。
露払いとしての役目に徹しても損はない。――思ったより退屈だけど。
「取り合えず、近くで泊まれる所を探しましょうよ」
同意を求めて振り向くと、タバサが風竜を宥めている姿が見えた。
何故か機嫌が悪いらしい。

「……まあいいや。連中はどうするの?」
「そうだね。散々脅しておいたし――壁を少し薄くしとくよ」
あれだけの人数がいるのだから、協力して掘れば脱出出来るだろう。明日ぐらいには。
そう言うと、ロングビルは悪戯っぽく笑った。

彼女たちを乗せた風竜が飛び立ったのは、そのすぐ後である。

   ◆  ◆  ◆

――無論、気付けるはずも無かったが。

闇の中、それを見送った視線が一つ。
数瞬前までは確かにいなかったはずの影が、顔を歪めている。
舌打ちすると、彼はすぐ側から聞こえる騒音に目をやった。役立たず共が入った土の牢獄。

腹立ち紛れに潰して生き埋めにする――などと、無価値な物に気を向ける事も無く。
彼は、別の事を考えていた。
この場に残った跡から類推出来る、あの女共の魔法規模や技量等。
始末するのは可能だが、力をそれなりに使わねばならないのも事実だ。

目標の所在が不明という現在の状況では、下手に動けない。

「実に、小賢しい」
彼――閃光のワルドは、その日幾度か口にした怨嗟を、再度呟いていた。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:28:42 ID:K6TQLmpK
支援
710名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:31:04 ID:uAGPhghn
一番姑息なのはあんただ支援
711ゼロのgrandma:2007/11/15(木) 02:32:06 ID:0m4umkBM
投下完了です。
夜分の支援感謝ー。
次は、週末目標ですが…週明けかも。
712名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:32:44 ID:4GAPb4bB
今更だけど罪深い使い魔乙
罪世界のジョーカーらしい人物が登場、でも中身はニャルなんだろうな
こちらの世界にも仮面党が結成されそうな予感、フーケとワルドは幹部に…
ラストバタリオンも話が進むにつれ登場しそうな、つーかぜひ登場してほしい
ぶっちゃけ言うと魔法至上主義のハルケギニアの思考をぶち壊してほしいから
まあルイズの達哉への振舞い方があまりにも酷すぎて腹が立ったのもある
罪、罰とクリアしてきた自分から見て、正直殺気が沸いた
本題に戻るがニャルのことだから多次元偏在とか使って噂を広めて実体化させるのも容易そうだ
ゼロ戦やロケットランチャーといった地球の人や物が実在するから噂の火種には困らないし
ナチス側から見てもゼロ魔世界はシャンバラと認識されそうで辻褄も合いそう
713名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:41:53 ID:jpVDTXrf
714名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:45:08 ID:zlkLQ3KT
川上作品のドイツ最大の問題児でちょっと思考中。
破壊の杖は思いついてもその使い手がうかばねえ…
715名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 03:10:54 ID:PRFl5yGf
罪深いは使い魔がサイトでないにもかかわらずこれほど長期間ビッチルイズが降臨し続けている事が一番の驚きだったりする
職コロは人妻が召喚された場合、ギーシュだと決闘する代わりに比喩無しに料理されてしまいそうで困る
蜘蛛が召喚された場合はキュルケが蟷螂と同じ性癖に目覚めそうだし
716名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 03:22:26 ID:L55MDrvi
>比喩無しに料理されてしまいそうで困る
その点は誰呼んでも変わらんだろ、職コロだったら
無手系以外でガンダールブ補正なんぞかかったらなおヤバい
717名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 03:35:46 ID:B0HzDSql
デモンベインのニャル様と言いペルソナのニャル様と言い、どっちもゼロ魔世界で何やってんすかアンタ等
718名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 03:42:24 ID:1TF+eOOb
だってニャルさまなんだぜ?

どっちもロケット団の如く吹き飛ばされる事は目に見えているが
719名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 03:46:30 ID:B0HzDSql
若本ボイスで「やーなかーんじ〜〜」が再生されて腹筋が無限昇華しかけた
720名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 05:12:17 ID:E/Smk5Wg
ペルソナと言えば留守電を思い出すなぁ…
721名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 05:16:13 ID:rZOZr5pi
罪深い使い魔、フーケ戦直前まできて達哉に味方というべき人がほとんどいないのが新鮮
ギーシュ戦がなかったからキュルケからも興味もたれてない
シエスタとマルトーからは感謝されないでご飯もらってるだけだし
ルイズは…まぁ、尊大な貴族の態度ってあんなもんだよね
タバサは偶然達哉の心情を察したかから、きっかけでもあれば最初の味方になりそう
722名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 06:27:20 ID:rDed1x2L
>721
孤独を好む訳ではなく(それもあるが)『自分は孤独でなくてはいけない』だからね。
ルーンが無ければ、ニャルラトホテフ(名前間違ってないよね?)の存在を、
感じた時点で、思い切り腹を切って自害してそうだ。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 06:52:18 ID:EWXQnMuK
>>695

大きな古時計のおじいさんかと思ったら、田中久重か。
確かに田中久重なら、それくらいの発明は朝飯前だろうな。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 07:30:10 ID:DpmBxMHn
早くカルマリングがたっちゃんの所に戻ってきますように。フーケ戦とかに。
つか、本当にルイズむかつくな。使い魔とはいえ平気で所持品を奪うなんて。
それだけむかつかせる職人さんの文章が上手いってことだけど。
このビッチルイズなら個人的に召喚してみたいキャラの、
F.S.Sのラキシスのドラゴンドロップを奪うとかは平気でするな。
ラキシスは細身で胸はなくて美少女で快闊で強くて、ルイズのコンプレックスをザクザクえぐるキャラかもw

つか自分の召喚してみたいキャラ(ラキシスや雛森)って
悉くルイズのコンプレックスをモロに突くキャラなんだろ。
725名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 07:40:25 ID:Q/8yM8x1
どこぞのホモ大佐並の暴虐だな
って言ってもここから先どう引っくり返るか
わからないからそこらへんwktkしてるが
タバサがどう関わるかも同じく。
726名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 08:27:05 ID:zWfFsBVp
そういやブリーチ単行本でしか読んでないけど雛森って藍染に依存してる状態から直ったの?
かなりやばかったのは覚えてるが召喚されたら避難所のアレ並みにいろいろ
やばいことにならんか?
727名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 08:42:10 ID:DpmBxMHn
>>726
治ってない。隊長代理職も出来てないと思われる。
下手すればスクイズネタ同様にコッパゲの腕を持っていきそうだ。

召喚時期を藍染の偽装死の前にすればクリアできそうだが。
728名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 09:50:10 ID:kbGEBZQ4
藍染から引き離して帰る手段はありませんって時点で九十番台の破道が飛びそうな
729名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:00:06 ID:4GAPb4bB
ラストバタリオンのロンギヌス13のロンギヌスコピーはメイジ殺しとして最適そう
730名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:02:27 ID:eXtERHmW
>>729
X−1およびX−2が装備しているムラマサコピーも同じ能力があるぜよ
731名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:06:28 ID:le6NJMdp
>>670
例えば居合いなんかはエルフバリア突破できると思うんだ
 
エルフ(あるいは精霊)が危険と判断する
魔力収縮
力場形成
 
というプロセスを踏むのだと推測されるのでエルフないし精霊が反応出来ない
速さの攻撃は防げまい
例えば天翔龍閃なんぞなら勝てる?
そういえば剣心召喚って無いなぁ
732名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:09:29 ID:nMO1okUq
>>731
ニートを呼ぶのかw
733名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:10:54 ID:kbGEBZQ4
>>731
よしラディカルグッドスピードだ
734名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:13:10 ID:8ZFmC4l4
タバサが動いたらキュルケも達哉に興味持ちそうだな
後、カルマリングはフーケ戦の時にルイズは持ってくるの忘れる予感がする
735名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:13:11 ID:le6NJMdp
>>732
ニ−トを呼ぶといえば「DADDY FACE」の草刈鷲士呼ぶのいいかも。
元々彼の使う武術は「魔法使い(仙人)およびそれらが使役するヒトでない生き物」
にヒトが勝利するため編み出された武術だし
736名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:19:51 ID:+A1wlsnW
左手の気で防御する技あればデルフいらんなw
737名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:26:02 ID:4aBBqZ+9
>>735
いやあれ開祖が人外つーかクトゥルーだぞ
738名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:39:12 ID:PDBzXHmw
有名な連鎖ですな
九頭竜(クズリュウ)>くとうりゅう>くとぅるー
まぁ本編描写もそうだったっけ?
739名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:41:36 ID:RFau/b/t
ラストバタリオン・・・ヘルシングの少佐率いるナチスSS師団の方を思い出しますねぇ(汗)
740名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:51:18 ID:iUpAeczM
剣心呼んでも、ギーシュと決闘なんかせず、ひたすら家事に励んでいそうだ
741名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:53:33 ID:YyuV2T0U
>>735

ええと、草刈君は一応大学生だろ?(´・ω・`)
娘の方が金持ちだったりすることはするが、例の奥さんの援助
申し出も自分で稼ぐからと断ってるし。

就職の事も気にしとるようだったから、ニートではないよ思うんだが。
ちなみに、本編ではクトゥルーっぽさは匂ってはいるが、そのまんま
という事では無いみたいだな。深海の大破壊竜で、人類食っちまおうと思ったけど、
あんましチッポケなんで、気の毒になり人間に武術教えて海の中に帰っちゃったとか。

お人好しだか萌えキャラ疑惑がある…らしい。話半分だけど。
742名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:00:17 ID:dNLzCdPv
ニートどころか、対極にいる勤勉苦学生だよな>ダディフェイスの主人公
学費も生活費もバイトで賄ってる。

対仙術・仙術だったっけ>九頭竜
魔法使いにとっては確かに天敵だろうな。

でもあの性格は好かん。
743名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:09:57 ID:kbGEBZQ4
自前の得物は威力があり過ぎるから手加減的な意味でデルフを使うとかならデルフにも出番があるなと思った。
だがオーバーキルが標準になりそうな火力ある奴なんてそうそう浮かばない
744名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:15:00 ID:ophtP3nc
>>739
唐突に思い出したが、皆が「ドイツの少佐」で思い浮かべる奴はそいつなんだよな……


NATOの某少佐は、くせ者揃いの創作人物の中じゃそれほど特殊なキャラでも無いから仕方ないか
745名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:17:35 ID:yj1P/0AA
なんだかルイズを美沙ちゃんと同様に接するしゅーくんの姿が見えた
746名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:20:00 ID:fU+vE5+I
不死身に近い異能の化け物と多対一で戦うための武術だから、
悪ドが偏在使った程度じゃどうにもならんな>大学パパ
だけどスペック的には冗談みたいな高さなのに、
原作では毎度毎度死にかけてるからバランスブレイカーとは感じない罠
747名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:30:54 ID:+qiYpvnO
>675-697
わはは。遅レスだが乙。
最初エジソンかと思ったがそうきたかw
ハッカージャパンの連載「レトロハッカーズ」の第一回がちょうどその人だったのな。
748名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:45:08 ID:eXtERHmW
>>744
エロイカより愛をこめて?
749名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:54:26 ID:le6NJMdp
>>743 オーバーキルが標準な火力
 
スポーンより、そのまま「オーバーキル」

750名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:33:47 ID:wyKMDd2O
こんな時間ですが、ゼロの花嫁第三話、35分から投下します
751ゼロの花嫁 3話 1/23:2007/11/15(木) 12:35:30 ID:wyKMDd2O
「サン! サン何処に居るの!」
ルイズの自室内に彼女の悲鳴が響く。
しかしそれに答える者は無く、彼女の声は薄暗い部屋に吸い込まれるように虚しく消えて行く。
「サン! 聞こえてるの! 返事しなさい!」
再度の呼びかけ。しかしやはり返事は無い。
ルイズはベッドの上で天井を見つめながら恐怖に震える。
体が全く動かないのだ。
右足、ダメ。左足、ダメ。右腕、ダメ、左腕、ダメ、首も回せない、腰は? やはりダメだ。
ベッドのマットに僅かに沈み込んだ自らの体が恐ろしい。
このままより深く沈みこんだとしても、それに抗う手段すら無いのだ。
そう思うと、枕に沈んだ自分の頭部までもが恐ろしくなる。
口、鼻、共に上を向いているから問題は無いが、もし何かの拍子に横を向いてしまったら?
否、まかり間違って下など向いた日には、確実に死ぬ。
「サン! 答えなさいサン! 何処に居るのよ!」
こういう時の為の使い魔であろうに、彼女の返事は無かった。
代わりに木を叩く音が聞こえた。
「ルイズ、入るわよ」
「しー、まだルイズちゃん寝てるきに」
その声に続いて聞こえてきた金属の軋む音。
「その声はキュルケにサン? 急いでこっち来なさい! 体が動かないのよ!」
切羽詰ったルイズの声は聞こえただろうに、その足音はのんびりとしていた。
やきもきしているルイズの視界にようやく二人の顔が入ってくる。
「あ〜、やっぱりお医者さんの言うた通りになったな」
「凄いものねぇ、やっぱり医者は違うわ」
暢気な二人の言葉にルイズがキレる。
「何を暢気な事言ってるのよ! 早く医者でもメイジで呼んできなさい! これ一体どうなってるのよ!」
喚くルイズだったが、燦は慌てずにルイズの毛布をかけなおす。
「お医者さんがな、多分ルイズちゃんは筋肉痛で動き取れんくなる言うてたんよ。しばらく休めば時期に動けるようになるて」
「何が時期によ! 医者だったら今すぐ動けるようにしなさい!」
癇癪を起こすルイズに、キュルケは呆れ顔だ。
「あー、そんなに動きたいんなら動けば? 思いっきり力入れれば動けるとも言ってたわよ」
それは良い話だ。全く身動き取れないままで居るなんて恐ろしすぎる。
試しにと右腕にあらん限りの力を込め、一気に肘を曲げてみた。
その瞬間、おおよそ想像し得る限界値を遙かに超えた激痛が右腕を襲った。
「ほ、ほーっ!」
今、一体どんな声を出したのか自分でもわからない。
あまりに痛すぎて左側に体がよじれる。
今度は、腰周辺と肘をついた左腕にそれが襲い掛かってきた。
「ホアアーッ!! ホアーッ!!」
よほど絶望的な表情をしていたのだろう、驚いた燦とキュルケが慌ててルイズの体を押さえ、元の上を向いた体勢に戻してくれた。
何とか一息つけたルイズは、確認の為キュルケに聞いた。
「……力入れたら痛いとは言わなかったの?」
「言ってたわよ。だから絶対やるなって」
「先に言いなさいよ! し、信じられない。何よこの痛さ、痛すぎて涙出てきた」
それを見た燦はハンカチでルイズの目をぬぐってくれる。
「とにかく、ルイズちゃんは今日一日安静にしとらんと。食事は私がもらってきてあげるから」
「そうするわ。キュルケ、授業の方は無理って伝えておいて」
ドアの外からノック音が聞こえる。
首の回らないルイズの代わりに燦が声をかけると、学園の給仕、シエスタが一礼しながら入ってきた。
「失礼します。ミスヴァリエールが動けないとお聞きしましたので、もしよろしければこちらにお食事お持ちしようかと思いまして。余計でしたでしょうか?」
752ゼロの花嫁 3話 2/23:2007/11/15(木) 12:37:00 ID:wyKMDd2O
誰に聞いたのかは知らないが、その配慮はありがたい事であった。
キュルケが口笛を吹く。
「気が利くわね。ついでに私の分もお願い出来る?」
「はい」
ルイズは真上を向いたまま怪訝そうな声をあげる。
「キュルケ?」
「気になる事があるのよ。ルイズと私と燦の分お願いするわね」
「はい、では……」
シエスタが下がろうとすると、燦も合わせて席を立つ。
「それじゃ私も手伝ってくる。二人はゆっくりしててな」
燦の好意にシエスタは遠慮していたが、燦はその両肩を掴んで二人で部屋を出ていく。
燦はここに来てから看病の為、部屋に居る事が多く、こういった機会を活かしたいのだろう。
部屋に二人だけになると、ルイズが口を開いた。
「で? 気になる事って?」
ルイズはやはり真上を見たままなので、キュルケと顔を合わせる事は無い。
「そうね……あの、サンって子。どうなの?」
「良くやってくれてるわよ」
「良く、ねえ。主人がやたら怪我ばかりするのもその良くやってる内なの?」
ルイズは勢い込んで答える。
「あれは! 別に、あの子に悪気があってやってる事じゃないわよ。事故よ事故!」
軽く嘆息した後、足を組みなおすキュルケ。
「召喚から二日で貴女三回も医務室送りよ? 普通作為を疑わない?」
実はキュルケ自身はそんな事疑ってはいないのだが、昨日言われたタバサの言葉をそのままなぞってみた。
「絶対そんな事無いわよ!」
「言い切ってくれるわね〜。そんなに信頼出来る娘なの?」
何時もならこんな事言われて静々としているルイズではないのだが、如何せん今日はすこぶる体調がよろしくない。
怒鳴るのも面倒になり、大きく息を吐く。
「例えば、の話よ」
「ん?」
「貴女が見知らぬ土地にいきなり呼び出されたとして、その呼び出した人がどれだけ困っていようと、使い魔になれって言われて素直に、はい、なんて言える?」
「燃やすわね、まずは。その上で消し炭に事情を聞くわ」
キュルケらしい返事に少し噴出すルイズ。
「そう、それでね。サンは何て言ったと思う?『使い魔になれば、ルイズちゃん留年しないで済むん? じゃったら私使い魔になる』ですって。その時のサンの顔見せてあげたかったわよ」
「どんな顔してたのよ?」
まだ大して日も経ってない、ルイズは鮮明にその時の事を思い出せた。
「必死な顔してたわよ。会ったばかりの私の心配して、まるで自分の事みたいに大騒ぎしてた」
晴れやかな顔で続けるルイズ。
「私には姉しか居なかったけど、もし妹が居たらこんな感じなのかなって。……っと、これは関係無い話ね。忘れてちょうだい」
こんな穏やかな顔したルイズと話しする日が来るなんて、キュルケは想像もしていなかった。
いつも気を張って、ぎりぎりいっぱいの所で踏ん張っていたルイズを見ていた。
自分ならとうに諦めているだろう状況でも、歯を食いしばって踏み止まるルイズが気になってしかたがなかった。
何を考えているのか、どんな事を思っているのか、それを知りたかった。
だが、いざこうしてそれを素直に聞けるのは嬉しいとも思うが、少し照れくさくもあった。
だから、つい憎まれ口を叩いてしまう。
「妹ねえ、よっぽど貴女の方が妹に見えるわよ」
「何よそれ」
「体格的な話」
がばっと起き上がって全力で抗議するルイズ。
「何よー! わ、私はたまたま小さいだけよ! これからもっと大きく……」
そこで言葉が止まる。
涙目になって全身を震わせている。
753名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:39:02 ID:9Gk8S+Z9
/23とか正気か
754ゼロの花嫁 3話 3/23:2007/11/15(木) 12:39:08 ID:wyKMDd2O
「痛いの?」
「ぜんっぜん痛くないわっ! ええ、この程度痛い内になんて入らないわよ!」
馬鹿にされた相手に弱みを見せるのが悔しいらしい。
片手をあげるキュルケ。
「んじゃハイタッチ」
それに応じて片手を上げるルイズ。

ぱーん

「ほ、ほーっ!」
奇妙な悲鳴をあげながらも顔は平静を保とうと歯を食いしばるルイズ。
「……全然、痛くなんてないわ。ヴァリエールともあろう者がこの程度で根を上げるなんてありえないもの!」
「じゃあ両手で」

ぱぱーん

「ホアアーッ!! ホアーッ!!」
「その悲鳴気に入ったの?」
そう叫んで顔が硬直したまま動かない。全身に響き渡る激痛に耐えているらしい。
ちょうどその時燦とシエスタが戻ってきた。
「ルイズちゃん、どないしたん? 廊下の外まで声が響いてきたけど?」
燦は不思議そうにそんな事を聞いている。
シエスタも心配そうにルイズを見ているが、ルイズはキュルケを睨みつけている。
「あれよね、貴女と話してると何時の間にか自分が子供じみた事ばかりするようになるから不思議よ」
「そりゃそうよ。私はルイズのそれが楽しみで顔出してんだもの」
「なんですってーーーー!?」
再度ヒートアップしそうになったルイズを燦が止めにかかる。
「ほらほら、ルイズちゃん朝御飯にしよ。今日はルイズちゃんも食べやすいもの色々用意してもらったで」
燦とシエスタはルイズのベッド脇にテーブルを備え、食事の準備をした。
シエスタを除く三人が椅子に腰掛けた。シエスタはその脇で控えている。
燦はスプーンで野菜を掬うと、ルイズの口元まで持っていく。
「はい、ルイズちゃん。あーん」
「ん? あーん」
少し躊躇したが、良く考えたらこうしてもらわないととても辛いので素直に口をあけるルイズ。
キュルケはそうやって燦がルイズに餌付けする所を、どうからかおうか考えていたが、ふと思いなおして自分もスプーンを手に取る。
「それじゃサン。はい、あーん」
「へ? わ、私?」
戸惑っている間に既にキュルケはスプーンにグリルしてある鶏肉を乗せ、燦の口元まで運んでいる。
「あ、あーん」
それを一口に燦が頬張ると、キュルケは嬉しそうに笑った。
興が乗った燦は、次に同じく野菜をスプーンに掬うと、今度はシエスタの方にそれを向ける。
「はい、シエスタちゃんもあーん」
「い、いえ私は……」
困ったようにキュルケを見るが、キュルケもにこにこしながらシエスタを見ている。
それを見て観念したシエスタは口を開く。
「では、失礼して。あーん」
出来るだけ上品に咀嚼し終えると、シエスタは燦が期待を込めてこちらを見ている事に気付く。
目の動きで、その意図を察したシエスタは小さく嘆息しながらその期待に応える事にした。
「失礼いたします。ミスツェルプストー?」
「ん?」
755ゼロの花嫁 3話 4/23:2007/11/15(木) 12:40:58 ID:wyKMDd2O
流れるような所作でフォークを手に取り、小分けしてドレッシングをかけた鶏肉をそれに挿し、キュルケの前に差し出した。
キュルケはその不意打ちを快く受け入れる。
「あーん」
燦は意図が伝わった事がよっぽど嬉しかったのか、すぐに自分のスプーンで再度シエスタの分を取る。
キュルケもくすぐったいような感じが嬉しくて、スプーンで鶏肉をとり、今度はルイズの口元に運ぶ。
「シエスタちゃん、よう出来ましたのあーん」
「ほらルイズ。あーん」
『あーん』

コルベールがルイズの部屋のドアを叩いたのはそんな時であった。
ルイズの声で許可を得て扉を開く。
「はい、今度はサラダな」
「どうぞ、ミスヴァリエール」
「はいシエスタ早くやる。次が待ってるわよー」
「ちょ、ちょっとペース早いわよっ」
女四人があーん乱舞。
物凄く入りずらい。
というかこの空気に混ざれる自信が無い。
何かの間違いで巻き込まれた日には、男として、教師として、そして魔法使いとしてちょっと許せない事態になりそうだ。
「しょ、食事が終わった頃に出直すとするよ。ごゆっくり」
そそくさと出ていくコルベール。
「あれ、コルベール先生にも食べさせてあげよ思ったんに」
燦の言葉に、ルイズ、キュルケ、シエスタの三人は声をあげて笑った。


食事が終わると、ルイズは疲れたと言い一休み。
シエスタは食器を片付けて部屋を辞した。
ルイズはほんの一休みのつもりで目を閉じたようだが、昨日の疲労はまだまだ残っていたようで、すぐに本格的に眠ってしまった。
燦は部屋の中の片づけをしていたが、キュルケが何時までも部屋を出る様子が無いのを見て心配そうに声をかける。
「キュルケちゃん、授業遅れるで?」
「ああ、いいのいいの。今日はやりたい事あるから自主休校」
随分な事を平然と言うキュルケ。
「そうなん。やりたい事て? 私何か手伝える?」
キュルケはちらりとルイズを見ると、完全に熟睡しているようなので安心して話を始める事にした。
「ねえサン、貴女はどうしてルイズの使い魔になったの?」
部屋を片付ける燦の手が止まる。
背を向けているため、その表情はキュルケからは見えない。
「ど、どうしてそんな事聞くん?」
「何となくよ」
二人の間に沈黙が落ちる。
燦は黙々と片づけを進め、それを終える。
キュルケもそれを黙って見ていた。
次に、掃除をしようと箒を手に取った燦。
キュルケの目にもその手が震えているのが見えた。
「私、な。やっぱり使い魔失格じゃろか?」
予想と違う内容に、キュルケは少し虚をつかれる。
「私アホじゃから、うまい事使い魔出来て無いんよ。昨日だってルイズちゃんあんなに良くしてくれたのに、私があんなチンピラに構ったせいで、ルイズちゃんこんなになってしもて……」
言いながら悲しくなってきたのか、見た目に分る程落ち込むルイズ。
「服も買うてくれてな、私凄い楽しかったんよ。それにわざわざ私の為にヤッパまで買うてくれて……それでも私はルイズちゃんに何もしてあげれて無いんよ」
ルイズはキュルケの側に歩み寄る。
756ゼロの花嫁 3話 5/23:2007/11/15(木) 12:42:54 ID:wyKMDd2O
「なあ、キュルケちゃん。私どうすればええ使い魔になれるかな? 私、なんとかルイズちゃんの役に立ちたいんよ」
正直、人間並の思考能力を持つ使い魔なぞ想定外もいい所だ。ましてや燦は人間並どころか、人間そのもの。
何と答えたものか返答に窮するキュルケだったが、とりあえず自分なりに今の燦の立場で出来る事を考えてみた。
「そうね、身の回りの世話や、いざって時のボディーガード。後は……そう、貴女にしか出来ない事があるわ」
「何か出来る事あるん? じゃったら私何でもするで」
キュルケは静かに寝息を立てるルイズを見やる。
「サンがそのままの気持ちで居る事。今は、確かに少し間が悪い事が続いてるけど、きっと貴女がそのままで居れば、それがルイズにとって一番良い事になると思うわよ」
言葉の意味を正確に受け止められずに戸惑う燦。
そんな燦を見て、キュルケは柔らかい笑みを見せた。
「いいのよ、深く考えなくて。ただ、今のように一生懸命ルイズの事を考えてあげてくれれば。それだけで、きっとルイズの助けになってるから」
良くわからないという顔をする燦。
「そんなもんじゃろか……」
「ほら、そんな顔しないの、可愛い顔が台無しよ。という事で笑いなさい〜」
そう言って燦のほっぺたを両方から引っ張る。
「うに〜。ひゅるへひゃん、ひらひ〜」
キュルケは思った。ルイズ、妹云々の話。心の底から理解したわ、と。


しばらくそんなジャレ合いをしていたキュルケと燦だが、扉をノックする音に気付いて手を止める。
「はい、どうぞ」
扉を開け入ってきたのは、コルベールとタバサの二人であった。
コルベールは室内に居る人間を確認すると、少し困った顔をしながらも頷いた。
「どうやら、全員揃っているようだね。少し話をしたいんだが、いいかね?」
燦が人数分の椅子を用意し、それぞれに腰掛ける。
コルベールの要請でルイズも起こすとコルベールは話を始めた。
話題は燦の持つ先住魔法についてだった。
コルベール曰く、先住魔法の使い手が居ると知れたらアカデミーに目をつけられてしまう。
だから出来るだけ燦の先住魔法は他人に見せない方が良いとの事。
既に街で見せてしまっている件はタバサから聞いたが、これは普通の魔法だという事で誤魔化すしかない。
幸い相手はチンピラ達であり、魔法の詳細まではわかるまい。
おそらく街では事件の調査が始っているだろうが、いくらなんでも街の衛士ごときがトリステイン魔法学園に調査の手を伸ばす事は出来ないだろう。
そこで燦が口を挟む。
「あー、ごめんなさい。私思いっきり名乗ってしもたけど、平気かな?」
燦の言葉に、コルベールは平然としている。
「ミスサンの名前は正式に学園に登録されているわけではない。だから、この後君が不注意な事さえしなければ大丈夫だよ」
燦は頭をかく。
「あー、あー、そのー、私、ルイズちゃんの使い魔じゃーって言うてしもたー」
コルベールの額に冷や汗が流れる。
「……それは、ヴァリエール家の名を出したという事かい?」
「うん。私使い魔じゃし、ルイズちゃんの名前全部覚えとかんといかんなーって思って、必死に全部覚えたんよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールじゃろ?」
コルベール、キュルケ、ルイズの三人が頭を抱える。
『余計な事をー!』
どうしたものか皆思案にくれるが、タバサがぽつりと呟く。
「……ヴァリエール家の名前が出てるのなら、好都合。それとわかっていてヴァリエール家に不利になるような調書を仕上げる衛士はそうは居ないはず」
一応、後でルイズとコルベールが直接衛士の所に行き事情を説明して、彼らの顔を立てれば、綺麗に事は収まるだろうとこの話は終わった。
そしてここから先はコルベールの興味の話になった。
燦は一体何処から来たのか?
この話はコルベールだけでなく、ルイズもキュルケもタバサも興味があった事なので自然身が乗り出すというものだ。
素晴らしい程に天然な燦から色々な事を誤解無く聞きだすのは大層骨が折れたが、数時間に及ぶ聞き込みと激論の末、ついに結論が出た。
信じられないといった風に首を振りながらコルベールは議論をまとめる。
757ゼロの花嫁 3話 6/23:2007/11/15(木) 12:44:12 ID:wyKMDd2O
「つまり、ミスサンはハルケギニアではない別の場所から来た。いや、場所というのも適切ではないか。別の世界とでも言うべきだろうね」

キュルケは議論に疲れたのか椅子の背もたれによりかかっている。
「ルイズ、やっぱりあんたおかしいわ。何をどうやったらサモンサーバントのゲートがそんな突飛な場所に繋がるのよ?」
タバサはまだ何か考え込んでいる。
「ここ以外の何処か。という事なら、ここ以外の全てに可能性がある。それを引き当てられる可能性があるのはルイズだけ。でもゲートの特性を考えると……」
ルイズもキュルケの嫌味に反応しないぐらい思考に沈んでいる。
「確かに基本はランダムだけど、術者の力量や性質に応じた対象が召喚に応える事を考えると、そこには何か法則があるはず。それを掴めれば燦の居た場所とも……」
そして話に付いて来てるんだか、付いて来てないんだかわからない燦。
「ほえ〜、私異世界に来てしもうたんか〜。どうりで電話もテレビも無いと思た。お父ちゃんへの連絡どないしよ?」
そこで燦は突然何かに気付いたように立ち上がる。
「あー! ほなら私別に秘密にせんでもええんじゃろか!?」
急な大声にみんな驚く。
ルイズは少し咎めるような口調になった。
「何よ、急にどうしたの?」
燦は嬉々として部屋の中の水差しを手に取る。
「そうじゃ、ルイズちゃんに隠し事なんてしたないし、その方が私も気楽じゃしな」
そんな事を言いながら自分の足に水をぶっかける。
瞬時にその足が魚のそれに変わった。
大口開けて言葉も無いコルベール、ルイズ、キュルケと、手に持っていた本を床に落とすタバサ。
「私な、実は人魚なんじゃ」

人魚である事を隠す理由を燦が説明すると、皆一様に納得した。
というか、結局全会一致でここでも人魚の事は隠す事となった。
燦は少し残念そうであったが、アカデミーの存在がある以上、そんな事実を明るみにする事は出来なかったのだ。
ちなみにハウリングボイスを先住魔法だと嘘をついた事は、話の流れでスルーされたので燦がほっと胸をなでおろしたのは秘密である。
事のついでに眠りの詩の話もしたところ、全員からジト目で見られたのはさておき。
そして燦の元居た世界との繋がりは、燦の手に記された珍しい使い魔の文様を調べるという事でまとまった。
これはコルベールが調べていたのだが、一般的なルーンとはどれも一致しなかったのだ。
なのでもう少し時間をかけると言うコルベールに全て任せる事になった。

その日の夕食はその五人でとった。
その頃にはルイズも動けるようにはなっていたので、朝食時のような事もなく、コルベールは胸をなでおろした。
食事をしながら、そして食事後も、燦が異世界から来たという結論の裏づけ議論は続けられた。
ルイズは座学に関してはとても優秀であるし、キュルケもそうだ、そしてタバサも未知の知識を話し合うとあって、常より饒舌になった。
それをまとめる役割のコルベールは三人に授業をするような感覚で話をまとめ、そして進める。
燦を除く皆、魔術に興味のある人間ばかりなので、全く新しい発見の議論をとても楽しんでいた。
燦はそれが自分の為に行われている議論である事を感じていたので、何とかついていこうと努力はしたのだが、やはり難しいようで途中で遂に力尽きて寝てしまった。
それを見たコルベールは、非常に残念ではあるが、今日はここでお開きとした。
昼前からずっと話詰めであったのだ、他の三人も疲れが見え始めた頃であり、素直にそれに従う事にした。


翌日、完全に復調したルイズは燦を伴って教室に向かった。
召喚の日から一度も授業に出てなかったので、流石にマズイと思っていたルイズは授業が始る随分前に教室へと入った。
席に着くなり休んでいた分の授業を自分なりに確認する。
一通り目を通して付いていけなくなる程ではないと安堵し、横に目をやると燦は朝早くから来ていたタバサと話をしていた。
すぐにキュルケも教室に来て、自然と四人が固まる位置に座る。
その頃になると、他の生徒達も続々教室に入ってくる。
みんなの注目はもちろん平民と思われる燦を召喚したルイズに集まった。
758ゼロの花嫁 3話 7/23:2007/11/15(木) 12:47:59 ID:wyKMDd2O
ハウリングボイス他の特殊能力や人魚の出自を秘密にする以上、誤解だろうと平民で通すしかないのだから、これは喜ばしい状況なのだが、ルイズは素直に喜ぶ気にはなれなかった。
ひそひそと聞こえてくる声は、ゼロだのなんだのとまたルイズを馬鹿にするような陰口なのだろう。
幸い燦には聞こえていないようだし、これみよがしに騒ぎ立てたりしないだけマシと自分に言い聞かせるルイズ。
「おいゼロのルイズ! 召喚に失敗したからって平民連れてきてどうするんだよ!」
ルイズの努力をあっさりと無駄にして、そう叫ぶのは小太りの同級生マリコルヌ。
あの風邪っぴきめ、許されるのなら下着姿で屋上から逆さまに吊るしてやる所だ。
なぞとルイズの思考が陰に篭っている間にも、クラス中から囃し立てる声が聞こえてくる。
「もうみんなお前がゼロなの知ってるんだから、見得なんて張るなよ。みっともないぜ!」
ルイズはちらっと燦の方を見ると、燦はキュルケから何やら説明を受けている。
おそらくこの揶揄の理由、魔法が使えないルイズは何時もゼロと馬鹿にされている事を説明しているのだろう。
あまりの恥ずかしさに死にたくなる。
燦には知られたく無かった。
いずれわかる事ではあるのだが、もしこれで燦に軽蔑のまなざしで見られたら、ちょっと立ち直れそうに無い。
そんなルイズの思いを他所に、囃し立てる声は止まない。
大声に合わせるように響く、教室中から聞こえる笑い声が尚一層ルイズを惨めにしていく。
多分、もう燦と顔を合わせられない。

「いい加減にせんかい!」

教室中に響く大声。
ここ数日で聞きなれた、燦の声だ。
「おどれらよってたかって何やってんじゃ! 数に頼って女の子嬲るなんざクズのやる事じゃ! 表に出んかい! 私がアンタ達の腐った性根叩きなおしたる!」
年の頃十四才前後の見目麗しい女の子から予想されるセリフとはあまりにかけ離れていたので、教室中が無言となる。
しかし、僅かな時を経てすぐに自分達貴族が平民に怒鳴られたと気付くと全員が猛然と反発を始めた。
「な、なんだこの無礼な平民は!?」
「貴族に対して表に出ろだと? 正気で言っているのか?」
「礼儀を弁えたまえ! さもなくば痛い目を見る事になるぞ!」
口々に怒鳴り返す彼らに更に言ってやろうとする燦を、ルイズが襟首掴んで止める。
「さ、ささささサン! 何やってるのよアナタ!」
「あんのクサレ共に思い知らしたる! ルイズちゃん止めんとって!」
燦は怒りに我を忘れているようだ。
燦の実力は知っているし、ハウリングボイス込みなら大抵の奴には負けないとも思うが、いくらなんでも教室中の生徒相手にケンカを売るのは無茶苦茶だ。
「止めるわよ! 私にも立場ってものがあるんだから、そんな無茶されると困るのよ!」
何とか説得を試みる間にも生徒達の声は止まらない。
「ゼロのルイズは使い魔一つまともに扱えないのか! それでよく学園に居られるな!」
「その程度の使い魔なんだろ、主従揃ってまともじゃないのさ!」
その一言一言に一々燦がつっかかろうとするのをルイズが止める。
しかし、事態は更に悪化する。
「どうせルイズが怪我したのもその使えない使い魔がポカったからじゃないのか!?」
「使い魔がやらかした程度で大袈裟に医務室を使うルイズもルイズだけどな! バカな使い魔とダメ主人とは良いコンビだよ!」
一際大きな音を立ててルイズが立ち上がる。

「もういっぺん言ってみなさい! サンがなんですって!?」

他の生徒が何かを言う前に更にまくし立てるルイズ。
「サンは最高の使い魔よ! あんた達みたいなゴミと一緒にしないで欲しいわ!」
それは火に油を注ぐ結果となる。
「ふふふふふざけるな! ゼロの分際で僕達をゴミだと!?」
「もう許せん! 今までゼロをこの教室に置いておくだけでも不愉快だったんだ!」
「お前は今全ての生徒を敵に回したんだ! このままで済むと思うなよ!」
759名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:48:01 ID:CNFafkXi
ながッ! というわけで支援じゃけえ
760ゼロの花嫁 3話 8/23:2007/11/15(木) 12:49:55 ID:wyKMDd2O
そこでルイズとは別の場所でまた大きな音が鳴る。
キュルケが自分の隣にある椅子を力任せに蹴り飛ばしたのだ。
「……全て? まさかそれに私も含まれてるんじゃないでしょうね?」
生徒達の視線を一身に浴びてキュルケが立ち上がる。
「あんた達みたいなボンクラに、私も含まれてるなんて話じゃないわよね!」
ここでキュルケがルイズ側につくのは全員予想外だったらしく、言葉も無く呆然とキュルケを見つめる。
「いいわよ、ヤってやろうじゃない。教室全員だろうと全校生徒だろうと、まとめて相手してあげるわよ!」
ルイズは不満そうにキュルケを詰る。
「ちょっとキュルケ! あんたは関係無いでしょ! すっこんでなさいよ!」
しかしキュルケは怒りに震えながら怒鳴り返す。
「うるさい! 元はといえばあんたがしっかりしてないからサンが馬鹿にされるんじゃない!」
「な、なななな何よ! そんなのこいつらの見る目が無いせいでしょ!」
キュルケはゆっくりと生徒達へと視線を移す。
「それも、そうね。……このド低脳達が、どの口開けばあんなふざけた事言えるのかしらね」
すぐに生徒達は理解する。キュルケはどういうわけか知らないがルイズの味方をする気らしいと。
それに伴って、許せない程の暴言を自分達に吐いた事を。
「野蛮なゲルマニアの娼婦ふぜいが調子に乗ってんじゃないわよ!」
びしっ、ルイズの額に青筋が走る。
「ゼロのルイズが居るなんて学園の恥だ! お前のような奴はさっさと出ていけ!」
びきっ、キュルケの頬が引きつる。
燦も含めた三人は、後一押しで爆発する所まで来ていた。

ガラガッシャーン!

今までで一番大きな音が教室中に響いた。
全員が音のした教卓の方を向く。
見ると、いつのまにかそこに居たタバサが教卓をひっくり返していた。

「教室での乱闘はご法度。やりたいなら放課後ヴェストリ広場でも使えばいい」

生徒達からタバサ案の了承と挑発の言葉が乱れ飛ぶ。
クラスの全員が敵に回る事になりそうだったが、ルイズもキュルケも燦も、一歩も引く気は無かった。
タバサが小さく息を吐き、倒した教卓を元に戻すとミセスシュブルーズが教室へと入ってきた。
規定の挨拶、そして授業へと進めていったのだが、あまりに教室の雰囲気が殺伐としている為、授業中生徒に何かを問いかけるという事はしなかった。


午前中の授業が終わると、誰からとなくルイズ、燦、キュルケ、タバサの四人で中庭へと向かった。
テーブルを一つ占領すると、そこで黙々と食事を取る。
誰も一言も発しない。
タバサは一人一人の表情を見てみた。
キュルケは、特に怒っている様子は見られない。
しかし、それは表情に出していないだけであって、頭の中は怒りで一杯なのだろう。
普段良くしゃべる彼女が一言も発せずに居るというこの怒り方は、タバサも初めて見た。
ルイズと燦は主従だけあって良く似ていた。
二人共あからさまに不機嫌そうな顔で食事をしている。
この調子では三人共放課後までに怒りが解けるという事も無さそうだ。
残る頼りはクラスの生徒達が冷静になっていてくれる事だが、どうもそれも望み薄のようだ。
時々中庭を通るクラスメイト達の視線は敵意に満ちたものであったから。
ただ、幸いな事に誰もが放課後までは押さえる意思があるみたいなので、それまでは何とかなるであろう。
教師を頼る案も考えたが、それでは会場が放課後ヴェストリ広場ではなく別の場所になるだけだ。
実際にある程度やり合わせなければどちらも収まらないだろう。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:50:21 ID:L+zyv71P
支援する
762ゼロの花嫁 3話 9/23:2007/11/15(木) 12:51:30 ID:wyKMDd2O
問題はその止め時と、落とし所だ。
そんな時だ、コルベールが能天気な声でこちらに向かってきたのは。
「おーい、みんな揃ってるみたいだね。少しいいかい?」
ルイズ、燦は返事せず。キュルケもじろりとそちらに視線を向けるだけ。
仕方が無いのでタバサが応対する。
「……何か?」
そんな空気を察しないコルベールは上機嫌のまま言う。
「実はミスサンのルーンについて確認したい事があってね。良ければ午後の授業の間彼女をお借りしたいんだが、構わないだろうか?」
何か嬉しい発見でもあったのか、やたら陽気にそう言うコルベール。
燦はルイズをちらりと見ると、ルイズも頷く。
「構いません。サンも特に問題無いでしょ?」
「うん、わかった。じゃあコルベール先生の手伝いしてくる」
燦もあの不愉快空間と化した教室に戻るよりはコルベールと居る方が良いのだろう。
その提案を快く受け入れた。


放課後、授業が終わると皆ぞろぞろと教室を出ていく。
ルイズとキュルケ、タバサの三人はそのまま教室に残っていた。
生徒の一人がルイズを指差す。
「逃げるなよ」
「誰が!」
ルイズが即座に怒鳴り返すと、その生徒は含み笑いを残して教室を出ていった。
ぽつんと三人だけが教室に残る。
「ルイズ、あんた何か策とかあるの?」
ルイズは魔法が使えない。それで学生とはいえメイジ相手に決闘なぞ無謀にも程がある。
「そんなもの無いわよ、正面から堂々とやってやるわ」
キュルケはじっとルイズの横顔を見つめる。
「……そう、なら骨は拾ってあげるわ」
そのやりとりで納得したのかキュルケは席を立つ。
「タバサ、ヤバイ怪我する奴が出たら医務室に連絡お願い。生憎私は手加減する気無いから」
ルイズも席を立ち、歩き出した。
燦はまだ戻らないが、彼女を待つ気は無いらしい。
二人共が、燦抜きで決着を着ける気で居た。
タバサは無表情のまま、二人と少し距離を空けて後に付いていった。


ヴェストリ広場、そこには既に生徒達が集まっていた。
しかし、その数はルイズのクラスの人数を大きく上回っていた。
野次馬か何かかと思いながらルイズとキュルケの二人はその人垣の向こうへと向かう。
人垣は二人が来ると自然と道を開ける。
その横を通り過ぎる時、彼らの視線が好奇ではなく嘲りであった事に少し不快感を覚えた。
広場の中心部を円形に囲むように人垣は作られている。
ルイズとキュルケはその中心に着くと、クラスの生徒達が密集していた場所を睨みつける。
しかし、意外な事に最初の第一声はそれ以外の場所から聞こえてきた。
「さて、まずはここに来た勇気に敬意を払おう。よく来れたね君達」
そう言いながら人垣から一歩前に出てきた男。
ルイズもキュルケも顔ぐらいは見た事がある、三年生の中でも三本の指に入ると言われているトライアングルメイジの一人だ。
「驚かないで欲しい。彼らから話を聞いてね、何でも平民に肩入れして貴族を侮辱したメイジが居ると。しかもだ!」
芝居がかった身振りで話をする彼を、ルイズもキュルケも好きになれそうになかった。
「それがロクに魔法も使えないメイジとゲルマニアの娼婦の二人だと言う! これは由々しき事態だ!」
763ゼロの花嫁 3話 10/23:2007/11/15(木) 12:52:56 ID:wyKMDd2O
彼の言葉に賛同の声をあげる人垣達。
「そんな者達はこの由緒正しき学園には相応しくない! そう思った我々は君達に勧告に来たのだ! 今すぐ学園を去り、あるべき場所へ帰れとね!」
人垣達の声は更に大きくなる。口々に「出ていけ!」「貴族の恥さらし!」「淫売をのさばらせておくな!」「トリステインの恥部!」などと叫びだす。
前に出た男は、両手を振り上げてその声を制する。
「仮にとはいえ、私の後輩であった君達に実力行使は避けたい。ここで君達のクラスメイトに非礼を詫び、潔く学園を去ると誓うのならこのまま君達を帰そうじゃないか」
ルイズは胡散臭さそうな顔をして、目線でキュルケに問いかけると、キュルケは任せろとばかりにルイズの肩を叩く。
前に出た男を無視して、キュルケはクラスメイト達に言った。
「つまり、私に勝てそうにないから上級生に泣き付いたって事でいいかしら?」
キュルケの言葉に激昂して各々が好き放題喚き散らしだすクラスメイト達。
それを鎮めたのは三年生の彼であった。
「誤解の無いよう言っておくが、これは制裁であり、また学園全体の意思でもあるんだよ。だが、我々は野蛮なゲルマニアとは違う。貴族としての礼節はもちろん守るつもりさ」
両手を大きく横に広げる男。
「これだけの人数が君達の所業を許せないと集まったのだが、君達に相対するのは一人づつだ。神聖なる決闘の形式を遵守する事を誓おう」
今までキュルケに任せて黙っていたルイズだが、遂に我慢の限界が来た。
「何が誓うよ! 数揃えなきゃ何も出来ない臆病者の集まりなだけじゃない! 挙句三年生にもなって口から出る言葉が卑怯者の言い訳!? 情けないと思わないの!」
言葉では、それがいかに正しくても覆せない心理的優位というものがある。
三年の彼の心境は正にそれであった。
これだけの数の人間の支持を得ている自分が、誤っているなどと欠片も思わないのだ。
「淑女らしくない口のきき方だねミスヴァリエール。実家でそれは習わなかったのかね? ああ、魔法と一緒で覚えられなかっただけか」
彼の切り替えしに周囲がどっと笑い出す。
キュルケは早々に諦めた。
「ルイズ、口でどうこうって状態じゃないみたいよ」
ルイズは全然言い足りなそうだ。
「言う事為す事、一々腹が立つわ。いつの間に学園はこんなどうしようもない連中の巣窟になったのよ!」
「いやよね〜、女の嫉妬って」
キュルケは、集まった面々の女性陣がキュルケにその矛先を向けている事に気が付いていた。
その事実に気付いたルイズは何とも言えない顔になる。
「……まあそれはいいわ。それよりそろそろやるわよ。キュルケは下がってなさい」
「私が先にやってもいいわよ?」
「いいえ、私が先よ。アンタは残り物の相手でもしてなさい」
キュルケは思う所あるのかそれ以上抗弁せず、素直に三年の彼の居る場所とは反対側に下がる。
人垣はそこだけ綺麗に分れ、キュルケの側に立つ者は居なかった。
「こっちは何時でもいいわよ。誰が来るのかしら?」
実はルイズとキュルケが色々話している間にも降伏勧告やら脅迫やらが続いていたのだが、二人は綺麗にそれを無視していたのだ。
この場に集ったほとんどの人間が、これだけの数で囲み八方から責め立てられれば降参するだろうと思っていた。
にもかかわらず、あっさりと決闘を行う事に決め、あまつさえ魔法が使えないと評判のルイズが出てくるという。
これは、もう挑発としては最上級の行為である。
二人共完膚なきまでに叩きのめす。
そう全員が考えたが、ルイズのクラスメイト達は更に次の事を考えていた。
そもそもこの騒ぎを持ちかけたのは自分達である。
その自分達が決闘に出ないというのは恥ずべき事だ。
しかし、決闘をして一対一でキュルケに確実に勝てると言える者はクラスには居なかった。
だから、こうしてルイズが出て来た今は、千載一遇の好機であったのだ。
我先にとルイズの決闘相手を申し出るクラスメイト達。
そんな中、三年の男は、その家柄を鑑みて武門の誉れグラモン家の一員であるギーシュを決闘の相手として指名した。
ギーシュはドットメイジであるが、そのゴーレムを操る力はクラスメイトも高く評価している。
だから、三年の男の指名に異を唱える者は出なかった。
ギーシュは静かに歩み出る。
「この僕を選ぶとは、流石に見る目がありますな。そう、僕でなければ彼女達に貴族の美を魅せてやる事は出来ない」
これだけの人間が見ている前で無様を晒すわけにはいかない。
764名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:53:08 ID:CNFafkXi
支援じゃけえ
765名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:58:29 ID:2YndgunM
支援
766名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:02:43 ID:kbGEBZQ4
支援
767名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:03:13 ID:Sze8nxCB
支援じゃけんのぉ
768名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:03:26 ID:CNFafkXi
規制くらったらしい。まぁあの量じゃ仕方無いな……
769名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:06:51 ID:+qiYpvnO
支援のついでに

>755
> 言いながら悲しくなってきたのか、見た目に分る程落ち込むルイズ。

これは燦ではなかろうか
770【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:25:32 ID:+qiYpvnO
791 名前:ゼロの花嫁 3話 11/23 投稿日:2007/11/15(木) 12:59:02 [ LdVqvyWM ]
確実に、そして迅速にルイズを仕留める。
それに優雅華麗にとおまけがつく。
「ルイズ、僕が君に望むことは一つだけだ。このギーシュ・ド・グラモンの相手として相応しいよう、薔薇の様に美しく散ってくれたまえ」
ルイズは精神を集中させ、ギーシュの一挙手一投足に注意する。
三年の男が号令をかける。
「始め!」


コルベールは次の本を本棚から引っ張り出す。
「ミスサン、こちらの本にあるルーンを見てくれないか? 私はこっちの本を確認してみる」
「あ、あのーコルベールせんせー。そろそろ私も用事が……」
燦の言葉を聞いているのか聞いてないのか、コルベールは四冊の本をまとめて抱えている。
「ん? 何かあるのかね?」
まさかケンカの予定がありますとは言えない。
「あー、それはー、そのー」
「急ぎの用事でないのなら、後少しでいいから付き合ってもらえないか? 後20冊で現存し得るルーン全ての確認が終わるんだ」
「に、にじゅっさつ!?」
「ああ、ほんの少しだろう? ルーンがここまで見つからない事といい君の特異な存在といい、きっと素晴らしい発見が出来ると思うのだよ」
コルベールはぽんと手を叩く。
「そうだ、私から学園のメイドを一人、ミスヴァリエールに手配しよう。そうすれば今日の君の作業は彼女に任せられるだろうからね」
掃除洗濯食事の用意、その辺の逃げる言い訳はあっと言う間に封じられた。
「あー、うー、あー」
「じゃあそっちの本を頼むよ」
知らん振りして抜け出して、探しに来られたら間違いなくケンカがバレる。
燦は身動き取れなくなり、何やら意味不明な言葉を漏らしながら、本と格闘する事になる。


ギーシュが薔薇を模した杖を振るうと、そこから三枚の薔薇の花弁が舞う。
それが地面に着くと今度はそこから三体の青銅のゴーレムが現れた。
「さあ! 美しく舞ってくれたまえ!」
そう宣言すると同時に青銅のゴーレムがルイズに襲いかかる。
ルイズはその場を動かずに呪文を唱え始めた。
先頭の一体がルイズに剣を振り下ろす。
ルイズはそれを呪文を唱えながら右にかわす。
『ああっ! 呪文が途切れた!』
すぐに右側のゴーレムが槍を突き出してくる。
それを更に右にかわしてゴーレムに対して大きく回りこみながら再度呪文を唱え始める。
その場に居る全員が、あっさりとゴーレムの攻撃をかわすルイズを意外に思う。
かくいうキュルケもその一人である。
『あの子、全然剣を恐れてないわ。うっわ、今の頬かすったんじゃないの? 普通もう少し恐がるものでしょうに』
確かにルイズは小柄であるから身も軽いだろうし、ゴーレムも狙いずらくはあるだろう。
しかし、ここまでルイズが見事に避け続けるのは異常だ。
言ってる側からまた三体に囲まれるが、突き出された槍を身をよじってかわすと、その脇を駆け抜けて背後へと回り込んでいる。
その隙に呪文を唱えるルイズ。
すぐに別のゴーレムは斧を振りかざしてルイズに迫る。
『今度こそ!』
ルイズの二の腕を斧がかすり、服の裾が引きちぎれる。
しかし、ルイズはかわしながら詠唱を唱えきったのだ。
「ファイヤーボール!」
ギーシュに向かって突き出される杖、しかしギーシュどころかまるで明後日の空中で爆発が起こる。
771【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:27:02 ID:+qiYpvnO
792 名前:ゼロの花嫁 3話 13/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:00:50 [ LdVqvyWM ]
一瞬の間の後、観客全員大爆笑。
ここまで緊迫した空気の中で大失敗をやらかしてくれたのだ、それを野次るより先に笑いがこみ上げてきてどうしようもなくなったらしい。
しかし、ルイズはそれが聞こえていないかのように走り続け、すぐに次の呪文を詠唱に入る。
槍ゴーレムが横凪に払う槍を大きく後ろに下がってやりすごし、その間に両脇を固めてきたゴーレムの振るう剣を懐深く踏み込んで杖を持つ手とは逆の手で押さえながら後ろに抜ける。
もちろんその間呪文は唱えっぱなしだ。
「エア・ハンマー!」
声高らかにそう叫ぶ。
今度はルイズの直上彼方で爆発が起こった。
観客には笑いすぎて身動きが取れなくなっている者までいる。
そんな中、ルイズは確かな手ごたえを感じていた。
『コツは掴んだわ、避けながら呪文ってのもやれば出来るものね』
その一瞬の緩みを、ゴーレムにつかれた。
全速で踏み込み、槍を突き出すゴーレム。
その間合いとタイミングを読み違えてしまったのだ。
慌ててかわすも腿の表面を削り取られ、大きく体勢を崩してしまう。
その間に距離を取っていた残り二体のゴーレムの接近を許してしまう。
側面から横凪に、真後ろから袈裟懸けに、同時に斬りかかってくるゴーレム。
ルイズは覚悟を決めて、横凪に斬りかかる剣に向かって踏み込む。
袈裟懸けの斧はかわしたが、横凪の剣がルイズの胴体を捉える。
同時に、両足に力を込めて思いっきり奥に向かって飛び込む。
ゴーレムの剣はルイズのわき腹を切り裂きながら、宙に浮いたルイズを軽々と弾き飛ばした。
勝負あったとゴーレムを止めるギーシュ。
ルイズは地面を転がりながらタイミングを計って勢い良く立ち上がる。
そこでゴーレムの動きが止まっていることに気付いた。
「何よ? いきなり止まってどういうつもり?」
「終わりさ。さあ、杖を捨てて降参したまえ。相手が何者であろうと、レディをこれ以上傷つけるのは本意ではない」
ルイズは本気で怪訝そうな顔になる。
「は? 何言ってるのアンタ? こんなかすり傷つけた程度で終わるわけないでしょう。決闘を馬鹿にしてるの?」
全く動じていないルイズに、逆にギーシュが慌てる。
「い、いや結構血が出てると思うんだけど……」
ギーシュの言う通りルイズのわき腹と腿からの出血は続いている。
しかしルイズは歯牙にもかけない。
「当たり前じゃない。私達決闘してるのよ? それとも何? 貴方はおままごとの延長でもしてたつもり?」
ギーシュの判断が誤っているわけではない。
現にその場に居合わせたほとんどの人間があの傷では終わりだろうと思っていたのだから。
しかし、ルイズは何を馬鹿なと言わんばかりに平然としている。
「ようやくコツが掴めてきたんだから、さっさと再開しなさいよ。さあ早く!」
そこでキュルケはようやく気付いた。
ルイズは怪我を負う事を全く恐れていないのだ。
ここ数日の怪我三昧がルイズの痛みや怪我に対する感覚を麻痺させているのかもしれない。
ルイズは決闘に望む上で怪我を全く恐れておらず、その痛みに耐えうる精神も持ち合わせていたのだ。
それゆえ剣も槍もその動きを恐怖に惑わされずに見切る事が出来たのだ。
後は、まあそれでも仕留められないギーシュの腕が悪いのであろう。
キュルケは彼女の持つギーシュへの評価を少し下方修正する事にした。
ギーシュは怪我した場所を庇う事すらせず、悠然と立つルイズに恐怖した。
「だ、だったらこちらも決闘らしく、全力で君を倒すとしよう!」
そう叫んで更に四体のゴーレムを呼び出すギーシュ。
それを見たルイズの顔に緊張が走る。
今までの倍以上の数をあしらいながら呪文を唱えなければならないのだ。
すぐに呪文を唱え始めるルイズ。
772【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:29:02 ID:+qiYpvnO
793 名前:ゼロの花嫁 3話 14/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:03:31 [ LdVqvyWM ]
最初の三体が襲い掛かってきた。
剣ゴーレムの一撃を大きく身をかがめてやりすごし、その後ろから突きこんできた槍を思いっきり横に飛ぶ事でかわす。
もう一体の斧ゴーレムは二体のゴーレムが邪魔でルイズに斧を振るえない。
この三体と距離を取るべく前に踏み込んだルイズの正面に、新しく増えた剣ゴーレムが立ちはだかった。
ルイズの顔めがけて突きを放つそれを、頭を動かすだけでよけながら、肩でゴーレムに体当たりを仕掛ける。
それで倒れるゴーレムではなかったが、そのゴーレムが邪魔になり残る三体はすぐに切りかかる事は出来なくなった。
そして呪文が唱え終わる。
ルイズはゴーレムの影から飛び出しざまに術を放った
「ファイアーボール!」
そしてそれはやはりあらぬ場所で爆発するのみ。
運の悪い事に、ルイズが飛び出した先は新しく来た斧ゴーレムの真正面であった。
まともに左の肩口に斧を叩き込まれる。
制服が千切れ、鮮血が舞う。
痛みに顔をしかめながら、ルイズはすぐに横へと走りぬけた。
その先に居た槍ゴーレムが長い柄を使って横凪にそれを払うと、ルイズは一瞬避け方に迷う。
結局ルイズに出来たのは、左腕でそれを受け止める事だけ。
体重の軽いルイズは面白いように吹っ飛ばされ、地面に転がる。
ギーシュはそれでも追撃の手を緩めなかった。
一番近くに居た剣ゴーレムがとどめとばかりにルイズに剣を突き立てる。
それは転がるルイズのマントど真ん中を貫いていた。
キュルケが息を呑む。
するとすぐに、胸元の金具を外しマントを取っ払ったルイズがその影から飛び出してきた。
そのまま駆け出しつつ呪文を唱える。
数は七体、この広さではどう走ろうとすぐにどれかにぶつかってしまう。
二体がルイズの行く先に立ちふさがると、ルイズは一瞬後方を確認した後、正面突破を図った。
一体は槍、一体は斧。
槍ゴーレムはさっきので味を占めたのか、横凪に大きく槍を振るう。
ルイズはそれを地面スレスレまでに上半身をかがめてかわす。
すぐに斧ゴーレムがそんなルイズの上から斧を振り下ろすが、ルイズは更に一歩踏み込んで斧ゴーレムと密着する事により、これをかわす。
斧の柄の部分は肩に当たっているのだが、その程度はまるで気にもかけない。
そこで四度目の呪文完成。
「エアハンマー!」
しかし、やはりそれでも魔法は成功せず、城壁の一部を砕いたに留まった。

戦いを見ているキュルケは歯噛みする。
ルイズが魔法さえ使えていれば、それが例えドットであろうととうに勝負はついている。
この決闘の間にルイズは目を見張る速度で戦闘技術を増してきている。
最初の内こそ避ける=距離を取るであったのが、今は踏み込みながら、近接しながらこれを避け、かつ呪文を唱えるなんて軍人紛いの事まで憶え始めているのだ。
にもかかわらず、現状はただルイズが傷を負い、消耗しているだけである。
こんなに悔しい事があろうか?
しかしルイズは決して諦めず戦闘を続けている。
だから、それがどんなに痛々しくても、それがどんなに悲しくても、キュルケは最後まで目を離さずに見届けようと決めた。

何時まで経ってもルイズを倒せないギーシュは、心の中では焦りに焦っていた。
それを表に出すまいと、必死にゴーレムを操ってはいたが、ルイズはどんな痛撃を与えてもその動きを止めない。
まるで不死の怪物を相手にしているような錯覚に囚われたギーシュは、既にルイズの身を案じるといった思考を放棄していた。
倒さなくては、その剣で切り裂き、その槍を突き立て、その斧で砕いて。
集団で少数を弾劾するというヒステリーにも似た行為を行っていたせいもあるだろう。
その興奮と熱狂はギーシュから冷静な判断能力を奪い、凶行へと走らせていたのだ。
それは、傍で見ている観客達も同様で、そんなギーシュを止める者は誰も居なかった。

キュルケの居る場所とは少し離れた人垣の中にタバサは居た。
773【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:30:32 ID:+qiYpvnO
794 名前:ゼロの花嫁 3話 14/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:05:10 [ LdVqvyWM ]
タバサは自分の考えが甘かった事を悔やんだ。
ルイズがここまでになる前に勝負は決まると思っていたのだ。
しかし最早状況はタバサの手に負える状態ではなくなっていた。
教師を呼びに行っても間に合わない。
ルイズは勝てない。しかし負けを認めもしないであろう。
意識を刈り取るような一撃、もしくは完全に身動きが取れなくなるまでは。
いや、それでも、負けを認めない気がする。
タバサは杖を強く握り締める。
『ルイズの動きが少しでも鈍ったら、行く』
それは観客達、そして決闘の当事者達の大きな恨みを買う行為であるが、それでも、この場で唯一冷静な判断が下せる第三者として、やらなければならない事だと思った。

ルイズは走りながら、自らの限界が近い事に気付いた。
まだ動きは鈍っていないが、両腕を上げるのにひどく力が居る。
足は動くのでしばらくは保つだろうが、何より恐いのは時々視界がぼやける事だ。
致命的なタイミングでこれを喰らったら、どんな目に遭うかわかったものではない。
『……私は負ける? このまま? あのギーシュに?』
ギーシュは必死の形相でゴーレムを操っている。
あの苦労を知らなそうな甘ったれた顔、魔法を馬鹿にしてるとしか思えない薔薇の杖、何か勘違いしているあのファッション。
せめて、あの顔に、あのにやけた腑抜け顔に、一発入れてやらないと気が済まない。
ルイズは呪文を唱えるのを止める。
目の前のゴーレムをやりすごし、一直線にギーシュへと駆け寄って行く。
二体のゴーレムが両横から切りかかってくる。
片方はスライディングの要領ですべりながらかわし、もう片方は体勢を崩していたので仕方なく左腕で切りかかってきた剣ごと払う。
物凄い痛い。何か響くような感じがしたが、それでも足は動いてくれた。
走っている時にふと気付く。
どうやら左腕はもう動いてくれそうにない。
正面に二体、後ろからかわしたゴーレムが追いすがってきているから速度は落とせない。
下はダメだ。確実に読まれる。
左右から斧と剣を横凪に、同時に振り下ろしてきた。
高さは腰の位置。覚悟は完了済み。
ルイズは杖を口に咥えると、助走を活かし、思いっきり飛び上がった。
飛び上がるなり両膝を曲げ、少しでも高さを稼ぐ。
そして動く右手でゴーレムの肩を持って、その後ろへと飛びぬけた。
残る距離を数秒で詰め、拳を振り上げるルイズ。
『私の怒り! 思い知りなさいっ!』
そして呆気に取られるギーシュの鼻っ柱に、ルイズは渾身の右拳を叩き込んだ。


観客達も呆気に取られていた。
これはメイジ同士の決闘である。
そこでまさかぶん殴るなんて選択肢が発生するとは、誰も想像だにしなかったのだ。
ギーシュはその一撃で大の字に倒れ、目を回している。
ルイズは晴れ晴れとした表情で咥えていた杖を右腕に持ち、それを上に伸ばして大きく伸びをする。
「あー、すっとした」
とても活き活きとした顔でそう言うと、そこで初めてある事に気付いた。
ゴーレムが動きをとめている。
当然だ、ギーシュは意識を失い、その手から杖はこぼれ落ちているのだから。
「あら? これって……もしかして私の勝ち?」
ルイズは決闘中、ゴーレムの攻撃をかわし、呪文を唱える事にあまりにも集中しすぎていた為、どうやら決闘の勝敗の決め方を失念していたらしい。
キュルケは呆れながら言う。
774【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:32:02 ID:+qiYpvnO
795 名前:ゼロの花嫁 3話 15/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:06:16 [ LdVqvyWM ]
「あんた、それやる気だったんなら最初っからやっとけば良かったんじゃない?」
ルイズも同じ事を考えていたらしい。
とても不機嫌そうな顔になって答えた。
「うるさいわね! 気付かなかったんだからしょうがないでしょ! いいのよ! こんなのでも勝ちは勝ちよ!」
「ぎゃーぎゃー喚かないの。それよりその腕何とかしなさいよ。見てて気色悪いわよ」
「何よ腕って……きゃーーーーー!!」
左腕は肘の所から二の腕の半ばまで肉ごと捲れあがり、ぷらんぷらんと垂れ下がっていた。
「きゃーーー! きゃーーーー! 何よこれ! 何よこれ! ちょ、ちょっとキュルケこれ何とかしなさいよ!」
キュルケはすぐにルイズに駆け寄って包帯代わりに自分のマントを引きちぎって腕に捲き付ける。
垂れ下がった部位は、剣による物凄い大きな切り傷のようで、マントで固定すると、何とか普通の腕に見えるようになった。
肩を貸しながら広場の端にルイズを引っ張って行くと、ルイズが突然えらく甘ったれた声を出した。
「……あのね、あのねキュルケ。聞いてくれる?」
「何よ?」
その両の目からは大粒の涙がぼろぼろ零れだしている。
「左腕はもとより、それ以外も、全身が物凄い痛くなってきたの。ねえ、泣いていい? 本気で泣きそう。いや、もうこれ限界、泣くわ、全力で。キュルケ、本当ごめん、少し休ませて。次お願いしていい?」
そんな事を言いながらその場に蹲ってしまうルイズ。
「いくらなんでもそんな怪我人に続きやれなんて言わないわよ。さっさと医務室でも行ってらっしゃい」
蹲り、下を向きながら尚ルイズは言う。
「大丈夫! 少し休めば大丈夫だから! いいから次の相手だけは何とかして!」
キュルケはタバサに目で合図すると、タバサは頷きルイズの側で魔法による治療を始めた。
「じゃ、そういうことで次の相手は私がするわ。どなたがお相手してくださるのかしら?」
観客達は、呆然とルイズとキュルケのやりとりを見ていたのだが、そこでようやく状況を飲み込めたのか、口々に文句を言ってくる。
「ふ、ふふふふざけるな! なんだあの決着は!? あんなの認められるわけないだろ!」
「決闘を馬鹿にしてるのか!」
似たような事をそれぞれが口走るが、キュルケは鼻で笑った。
「何よ、今度は難癖? 誓いが聞いて呆れるわまったく」
キュルケの声が聞こえているのかいないのか、観客達は喚き散らすが、それを先ほどの三年の男が制する。
「その過程がいかに醜悪で、恥知らずであったとしても、ミスターグラモンが杖を落としたのは事実だ。貴族の誇りを持つ我々がそれを無視する事はない」
やはり芝居がかったキュルケの癇に障る言い方をする男。
「初戦はミスヴァリエールの勝利を認めようではないか。次戦に立候補する者は居るか?」
キュルケの実力を知らない三年生達はこぞって立候補する。
その中からキュルケと同じ火の、ラインである女を三年の男は指名した。
彼女がキュルケを見る目は、まるで親の敵か何かを見るようである。
キュルケはギーシュの介抱をしているモンモランシーの方を向いて命じる。
「モンモランシー、そこ、その奥の位置に水のメイジを集めておきなさい」
その一言でモンモランシーは理解した。
キュルケは相手が何であろうと、本気全力で魔法を打ち込む気だと。
外野がまた大騒ぎを始めるが、そんなのを気にしている場合ではない。
そうしておかないと、あの不幸な上級生は取り返しのつかない事になる。
モンモランシーだけではない、キュルケの実力を良く理解しているクラスメイト達も一様に青ざめた。
そんな彼らの心情を知ってか知らずか、三年の彼は開始の号令をかけた。

開始一分。
トライアングルスペルで観客全てが度肝を抜かれる程の炎の柱を作り上げるキュルケ。
対戦相手は余りの恐怖に失禁しながら座り込んでしまっている。
そんな彼女に、まるで不要になった廃棄物でも処理するかのように、炎全て余す事なく叩きつける。
一瞬で周囲の芝もろとも火達磨と化した彼女に、モンモランシー達の水魔法が降り注ぐ。
観客達の悲鳴と罵声が飛び交う中、キュルケは興味も無さそうに投げやりに言った。
「次よ」
皆がキュルケの行為を非難している。
曰く、殺す気か? 貴族の子弟に対して何という事を、学園で程度というものを学ばなかったのか、等々。
775【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:33:32 ID:+qiYpvnO
796 名前:ゼロの花嫁 3話 16/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:07:21 [ LdVqvyWM ]
キュルケは一切相手にせず冷たく言い放った。
「次、早く出てきなさい」

モンモランシーはキュルケの怒る様を見て、冷静さを取り戻していた。
彼女と一緒に居る時間が多かったせいであろう。
キュルケは表面上は大して怒って無いように見えるが、腹の中では信じられない程に激怒、いやキレている事がわかった。
今のキュルケなら何をやらかしてもおかしくない。
ああ、トライアングルメイジが後先考えずにキレるなぞ、考えるだに恐ろしい。
しかも戦闘向けの火のメイジである。それが暴れだしたら誰がそれを止められるというのか。
モンモランシーは周囲を見渡し、一人、キュルケに匹敵する能力を持つ人間を見つけ出す。
火達磨レディを上級生に任せると、その場を駆け出して彼女の元へと向かう。
「タバサ! ちょっとこれマズイわよ!」
タバサはルイズの治療に集中している。
「ねえタバサ! キュルケとんでもない事になってるじゃない! どうするのよアレ!」
その言葉にタバサは治療の手を止める。
「煽ったのは、貴方達」
どうやら、タバサも怒っているらしかった。
「そ、そうだけど……なんであんなにキュルケ怒ってるのよ。あんなキュルケ私初めて見たわ」
タバサは、広場の中心に立って次の相手を待つキュルケを眺める。
「それは私も驚いてる。最初から物凄く怒ってたけど、ここに来て上級生達まで居るのを見てもう歯止めが利かなくなった。そして多分トドメはルイズ」
「私?」
痛みのせいで涙目のままルイズは問い返す。
「キュルケはルイズの事嫌いじゃない。それがこんな目に遭わされて、もう後先なんて考えられなくなった」
タバサの意見にルイズは鼻を鳴らす。
「キュルケが? そんなわけないじゃない。そんな事より、キュルケがあんなに早く決めちゃうもんだから、次は私の番だってのにまだ痛みが取れないじゃない。どうしてくれんのよ」
ここにも後先考えないのが居た。
そんな顔をしてルイズを見下ろすモンモランシー。
「……やる気、なんだルイズ……へぇ……それは凄いわ、ホント……」
ルイズは憎憎しげにキュルケを睨みながら立ち上がる。
「ちょっとキュルケ! 次の相手だけって言ったでしょ! さっさと私に代わりなさいよ!」
キュルケは面倒くさそうに振り返る。
「この程度の相手なんて戦った内にも入らないわよ! いいから怪我人はすっこんでなさい!」
「何よ! ……っ!!」
更に言い募るルイズをタバサとモンモランシーの二人で取り押さえる。
そのままモンモランシーはキュルケに向けてひらひらと手を振る。
「キュルケー、こっちはいいからそっちはそっちで進めててー」
「あら? いつのまにこっちに来たのよモンモランシー」
「アンタに付いた覚えは無いわよ! いいからこっちは放っておきなさい!」
キュルケは肩をすくめて三年の方に向き直った。
モンモランシーは改めてタバサに聞く。
「タバサ、貴女ならキュルケを止められるでしょう? なんとかしてよ」
タバサは首を横に振る。
「まだみんな興奮している。今下手に止めに入ったら止めに入った私ごと袋叩きにされる。そうなったら死人を出さずに事を治める自信無い」
死人という単語にぞっとするモンモランシー。
確かに今止めに入ったら、同級生を火達磨にされた三年生達は収まらないだろう。
「じゃあどうするのよ!」
タバサは色々な事を考え、そして結論を出す。
それをモンモランシーに耳打ちすると、モンモランシーは頷き、校舎へと駆けて行った。
776【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:35:02 ID:+qiYpvnO
797 名前:ゼロの花嫁 3話 17/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:08:22 [ LdVqvyWM ]
次なる立候補を募る前に、三年の男は自らが前に出る。
「残虐非道なゲルマニアの悪鬼は、この私自らが退治するとしよう。みんな、異存は無いな?」
その勇敢な行為を集まった皆が賞賛し、そしてその人選に納得する。
彼はこの場に集まった誰よりも強いとされている人間だからだ。
トライアングル対トライアングル。
こんな決闘はそうそうお目にかかれるものではない。
観客達は固唾を呑んで二人を見守る。
「始め!」
号令と同時に二人は詠唱を始める。
詠唱の終了は同時、キュルケはファイアーボール、男はエアハンマーを唱えていた。
キュルケの放つ火球は男の放ったエアハンマーに弾き飛ばされ、ファイアーボール諸共にエアハンマーがキュルケを襲う。
まともにそれらをもらったキュルケは大きく後ろに跳ね飛ばされる。
幸い火球はキュルケを逸れていってくれたが、巨大な何かにぶん殴られたような衝撃にキュルケの表情が歪む。
どちらも初弾で崩し、次弾で大技を狙っていたのだ。
すぐに次なる詠唱に入る男。
キュルケは頭を振りながら立ち上がる。
「ウィンディアイシクル!」
咄嗟に真横に飛ぶも、襲い来る氷の矢全てをかわす事は出来ずに数発が肌をかすめる。
それでも気丈な表情を崩さないキュルケだが、内心はそれどころではなかった。
『痛〜っ! ハタで見てるより遙かに痛いわよコレ!』
ちらっと自分の傷口を見てみると、皮と肉の一部が削れただけだ。
『嘘っ!? こんなに痛いのにこれだけ? それじゃあルイズはどんだけ痛かったってのよ! 信じられない! 良くもこんなの我慢出来るわね!』
観客達の歓声が耳障りだ。
だが、そんな事を考えている余裕も無さそうで、次なる魔法がキュルケを狙っていた。
再度ウィンディアイシクルが飛んできそうな気配を感じ、走って標的をぶらしにかかる。
案の定動く標的相手ではそこまでの命中精度は望めないらしい。
しかし、それでもまた数発が体をかすめ、冷や汗を掻いたのも事実だ。
反撃をしないとと呪文を唱えるが、相手の方が僅かに早い。
詠唱の為に足を止めていたせいで、またまともにエアハンマーをもらってしまう。
真後ろにごろごろ転がりながら、呪文を唱えるキュルケ。
ふらつく頭で立ち上がりざまにファイアーボールを放つ。
狙いが定まるかどうか自信は無かったが、うまい事男に向かって飛んでくれた。
が、男はキュルケの詠唱を見ていたのか、いつのまにか唱えていたウォーターシールドで水の壁を張り、火球を受け止めた。
『コイツ! なんだってこんなに戦い慣れてるのよ!』
何しろ呪文の組み立て方が見事すぎる。こちらのやる事なす事全部お見通しと言わんばかりだ。
しかもウォーターシールドであっさりファイアーボールを止める辺り、魔力もどうやら向こうの方が上らしい。
しかし、とキュルケは思う。
『どうやらタバサと同系みたいね。だったら……』
杖を構えるキュルケ。
『絶対負けられないのよ!』
次の男の一手はラインスペルと決め付け、同じくラインスペルであるフレイムボールを唱えるキュルケ。
しかし、男が唱えた呪文はドットスペルのエアハンマー。
術を唱え終わる前にまたも衝撃がキュルケを襲う。
『痛い! とんでもなく痛いわよコレ! もーどうしてくれようかしら!』
しかし、心中泣き言全開しつつ、吹っ飛ばされ、転がりながらも術を唱え終える。
「フレイムボール!」
男はすぐにウォーターシールドを唱えるが、間に合うわけがない。間に合ったとしてもぶち抜いて終わりだ。
勝利を確信するキュルケ。
だが、男の唱えたウォーターシールドはギリギリで間に合い、火球着弾直前に水の壁が現れる。
水の壁にぶつかった所で一度完全に火球は止まる。
777【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:37:02 ID:+qiYpvnO
798 名前:ゼロの花嫁 3話 18/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:09:37 [ LdVqvyWM ]
男はその隙に脇へと飛びのくと、水の壁を貫いた火球がその横を通り過ぎていった。
フレイムボールの速度はそう簡単にかわせるような速さではないが、一度止まるとわかっていれば、確かに、かわす事も可能かもしれない。
だが、言うだけでなくそれをやってのける人間はそうは居まい。
男はおそらく軍の訓練を受けているのだろう。
そうとしか思えない程の見事な技であった。
言動は癇に障るなんてものではなかったが、どうやらその技術は賞賛に値する人間らしい。
学園でコイツに勝てる奴なんて居ないのではないのか? そうキュルケは思い、そして、この男との駆け引きを放棄する事にした。
同じ土俵に上がってまともにやってはまるで勝てる気がしない。
なら、男に出来なくて、自分に出来る事で挑むしかない。
覚悟は決まった。
恐い、嫌だ、やりたくない、絶対に後悔する、途中で投げ出したら恥さらしもいい所だ。
うるさい、そんなセリフを、態度を、あのルイズの前で晒せるものか。
キュルケは杖を高く掲げ、詠唱を始めた。
男はキュルケが詠唱を始める前に既に呪文を唱え始めていた。
唱える術はラインのウィンディアイシクル。
それはキュルケの術よりも先に完成し、詠唱中のキュルケを襲う。
キュルケは詠唱を中止してこれを避け……無かった。
詠唱は続けたまま、無数の氷の矢がまともにキュルケに叩きつけられた。
命中は四本、胴体下部右側、左腕上部、右足腿、そして最後が強烈で左の側頭部に当たって矢は跳ね、斜めの方向に飛んでいった。
しかし、半ば意識を手放しながらもキュルケは立っており、その詠唱は止まらなかった。
『これ! もう絶対無理! 次来たら逃げるわ! もう全部投げ出して部屋に逃げ帰って布団被って寝る! もう決めたわよ! 誰にも文句なんて言わせないわ!』
男は、キュルケは後一押しで倒れると見た。
ならばドットスペルで充分、それにエアハンマーは行動の阻害に最適だ。
もし、この男が軍の訓練だけでなく実戦を経験していたのなら、また違った選択肢も生まれたであろう。
実戦において遭遇する死を目の当たりした人間のしぶとさを、それを腹に収めた人間の覚悟を知っていたのなら。
しかし、現実には実戦経験を得る機会も無く、また、今のキュルケのような若さ故の自暴自棄にも似た蛮勇との対戦経験も無かった。
キュルケの呪文は難易度が高く、さっきのように転がりながら唱えられる程キュルケはこの術に熟練していなかった。
そんな状況で、エアハンマーがキュルケに襲い掛かってくる。
後ろ足を引き、腰を落とす。
膝に余裕を持たせ、来るべき一瞬に備える。
もう何も見なくていい。
敵の位置は真正面、衝撃がどう襲い掛かってくるのかは体が覚えている。
後は、自分の体がその方角を向いたままで詠唱を、術の完成を終えるだけだ。


キュルケがはっと我に返った時、すぐに自分が致命的な場面で意識を手放してしまった事を思い出す。
慌てて放ったはずの自分の魔法を探す。
すぐに見つかった。
何せ真正面の芝生がそりゃもう見事な程に黒々く焼け焦げていたからだ。
その先には一人の男が真っ黒になって倒れている。
「……判別つかないけど、多分、こいつよね」
どうやら自分が一瞬意識を失った事に誰も気付いていないらしい。
だから、キュルケは当然といった顔で振り向き、後ろで見ているアイツ等に見せ付けるようにガッツポーズをしてやった。


タバサはルイズの耳元でキュルケが勝った事を囁く。
ルイズはもう焦点の合って無い眼で何処か遠くを見つめたままだ。
出血と激痛で意識が混濁してきていると思われる。
その癖、タバサが医務室に連れて行こうとすると、意識は覚醒させ全力で抵抗してくる。
そしてそれを諦めて、静かにさせているとすぐに上記の状態に戻るのだ。
これでは戦闘は不可能、まあ怪我の状態からもそもそも無理なのだが、なので後はキュルケが何とかするしかないが、どうやらキュルケもかなり危険な状態に陥ってる模様。
778【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:39:02 ID:+qiYpvnO
799 名前:ゼロの花嫁 3話 19/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:11:22 [ LdVqvyWM ]
ここらが潮時である。
しかし、三年軍団はそのリーダーを倒されて尚、怒りが収まる気配は無かった。
いや、むしろ今まで彼等を制して来た男が居なくなり、本格的に暴徒化しそうな勢いだ。
だが、今ならまだ間に合う。彼等はリーダーの男が倒された事を正確に理解していない。
タバサはルイズを横に寝かせ、キュルケの元に歩み寄る。
観客達でそれを咎める者は居なかった。
「キュルケ、今が引き上げ時」
すぐ側まで来て小声でそういうタバサ。
しかしそんなタバサを叱責するキュルケ。
「ばかっ、何で来たのよ」
「引き上げる。一緒に」
「もう……遅いわよ」
最早決闘もへったくれも無い。こいつら全員ただでは帰さない。
観客達、特に三年生達は皆そんな顔をしていた。
タバサはすぐにシルフィードの居る位置を確認する。
上空待機中、遙か頭上で旋回している。
だが、安易に彼女を降ろす事は出来ない。
それが引き金となってしまうから。
不自然な沈黙は、徐々に緊張感を高め、そしていずれそれに耐え切れなくなった者が出た時が、破滅の合図だ。
そんな静寂が、本来聞き逃してしまうかもしれない音を全員の耳に届けた。
校舎の二階の窓を開く音、そして……

「そこまでじゃ!」

燦の良く通る声が広場中に高らかと鳴り響いた。


燦はデルフリンガーを手に二階の窓から広場目掛けて飛び降りる。
スカートと上着の裾が風に靡き、優雅に宙を舞うその肢体はまるで花が零れるようであった。
そのまま地面に吸い寄せられるように着地、そして僅かな停滞も無く歩き始める。
その歩みはまずルイズの側へ。
「何なら寝てても良かったのよ」
彼女に笑みを返して歩を進める。
次に広場の中央に居るキュルケの側に。
「何よ、もう来ちゃったの? こっちはその前に終わらせるつもりだったのに」
タバサは燦から目を離せない。彼女の動き次第で全てが決まるが、彼女がどう動くつもりなのか全く読めないからだ。
燦はすいっとキュルケ達から離れ、十数歩歩く。
剣を手にしたその肩が僅かに震えている。
ルイズ、そしてキュルケの怪我は燦の許容できる範囲を著しく超えていた。
「……このしょうたれ共が……」
クラスに居た時より人数が増えているではないか、一体、どういう了見なのか。
「……この……」
二人の赤黒く染まった制服は、燦の理性を粉々に砕いてしまった。

「こんのチンピラ共が! どいつもこいつも叩っ斬っちゃらぁ! どっからでもかかってこんかい!」

タバサがその場に跪く。
燦に期待した自分が愚かであったと痛感した瞬間である。
不意に隣から笑い声が聞こえる。
キュルケは爆笑しながら燦の隣に歩み寄る。
779【ゼロの花嫁】代理:2007/11/15(木) 13:40:32 ID:+qiYpvnO
800 名前:ゼロの花嫁 3話 20/23 投稿日:2007/11/15(木) 13:12:19 [ LdVqvyWM ]
「まったく、後先考えない娘ねぇ」
タバサも仕方なく立ち上がって側に立つ。
「人の事言えない、絶対」
それを見た生徒達が何かを言う前に、最後の一人が声をあげる。
「こらそこ! なーに私を置いて勝手に始めようとしてんのよ!」
見た目の怪我とは裏腹に、しっかりとした足取りでルイズもこちらに歩み寄ってきている。
「こんだけの目に遭わされた私抜きなんて、許されると思ってんの?」
四人はお互いに背中を向け合って周囲を取り囲む生徒達と相対する。
許しがたき敵は、自分から固まってくれた。
ならば、怒りに燃える生徒達がこれを遠慮する理由は最早残っていない。
一人が詠唱を開始すると、皆が我先にとそれに続く。
キュルケ、タバサも詠唱を始め、ルイズは防御直後に踏み込もうと腰を落とし、燦は大きく息を吸い込む。

「何をやっとるか貴様等!」

その怒声は、この学園に居る者ならば誰もが恐れ敬う人物、オールドオスマンの怒声であった。
皆が学園最強人物の登場に驚く中、タバサは一人安堵の吐息を漏らす。
オールドオスマンの後ろにはモンモランシーが控えていた。
当のオールドオスマンは憤怒の表情で広場に歩いてくる。
ここまで怒った彼は、誰しも見た事が無かった。

「この馬鹿者共が! 仮にも貴族を名乗る者達が何たる醜態か! 恥を知れ愚か者!」

オールドオスマンの後を追うように教師陣も広場に駆け寄って来る。
教師達の指示で強制的に解散させられる生徒達。
主犯格と思しき人物達は別室へと連れて行かれた。
そしてこの騒ぎの元凶たるルイズ、キュルケ、燦、そしてタバサの四人の前には、オールドオスマンが怒り顔を隠そうともせずに立っていたのだ。
「ミスタバサ!」
「はい」
「事の次第を我々に報告するよう動いたのは、まあ良い。だが! 何故こんな騒ぎになる前に報告せなんだか!」
「申し訳ありません。私が生徒間のみで解決出来ると勝手に判断した結果です」
「その挙句がこのザマか! 愚か者めが!」
次にルイズ、キュルケの順に睨みつけるオールドオスマン。
「貴族を名乗り、大いなる奇跡、魔法を操る学園生徒が! 私闘に魔法を用いるとは何事か! その上相手に大怪我まで負わせるなぞと言語道断じゃ!」
しかし、オールドオスマンの怒声はそこまでだった。
コルベールがルイズとキュルケの怪我を理由にこの場を収めてくれたのだ。
あくまで一時的な事であり、怪我の治療が終わったら嵐のような叱責を受けるのは必定であったが。
不貞腐れた顔で医務室に連れて行かれるルイズとキュルケ。
燦とタバサはその場に残り、状況を詳しく説明する事になった。

ルイズ、キュルケの治療が終わる頃には燦もタバサも事情説明という名の地獄のような叱責から開放されており、四人は医務室内、ベッドルームにて再び合流した。
「……どないしょ、オスマンさんめっちゃ怒っとった」
「当然。あそこで手が出なかっただけ、理知的な人物」
「じゃきに、オスマンさん学校で一番偉い人なんじゃろ? 私達どないなってしまうん?」
タバサにもどんな罰則が下されるのか想像できない。
最悪、放校処分も覚悟しなければならないだろう。
ちなみに、ルイズとキュルケの二人はベッドに入ったまま一言も無い。
中途半端な形で終わらせられてしまったのが不満だったのだが、そんな思いも頭に上った血が落ち着いてくれば、変化してくる。
キュルケはぼへーっと天井を見つめたまま呟いた。
「ねえルイズ」
「何よ」
780名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:44:32 ID:y3hAKeIo
しえん
781名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:44:40 ID:2YndgunM
支援
782名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:46:29 ID:x0SEpMX/
支援っていうか、そろそろ次スレ?
783【ゼロの花嫁】代理の代理:2007/11/15(木) 13:53:28 ID:zvgCjCVH
801 名前:ゼロの花嫁 3話 21/23[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 13:13:22 ID:LdVqvyWM
「もしかして、私達ってとんでもないバカなんじゃない?」
「そうね」
そこでしばしの沈黙。
今度はルイズも同じくのへーっとしながら天井を眺めて言った。
「ねえキュルケ」
「何よ」
「救いようが無いぐらいバカよね、私達」
「そうね」
考えれば考える程に自分の馬鹿さかげんを思い出してヘコんでしまいそうになる二人。
キュルケはベッドから身を起こす。
「ルイズ、いつまでもここに居てあいつらと顔合わすなんて事になったら不愉快よ。さっさと出ましょう」
ルイズもそれが気になっていたのか、すぐに同意してベッドから降りる。
タバサと燦が慌てて止めるも、二人は平気な顔ですたすたと医務室を出る。
途中でシエスタとすれ違うと、包帯まみれの二人を見て驚き、心配してくれた。
そんなシエスタにキュルケもルイズももう大丈夫と笑って見せた。
『大丈夫? そーんなわけないじゃないの! 歩くだけで振動でもう泣きそうなのになんでキュルケは平然としてるのよ!』
『ルイズ! あれだけの怪我しておいて何平然とした顔してんのよ! なんて腹の立つ子! おかげでタバサの肩借りたいのに言い出せないじゃない!』
二人の内心はさておき。
そして四人はルイズの部屋に集まった。
キュルケは部屋の主よりも先にルイズのベッドに倒れこむ。
「キュルケ! それ私のベッドよ!」
「うっさい、私は疲れたの」
ムカっと来たルイズは実力行使に出る。
「そこをどきなさいタックル!」
ベッドに横になるキュルケに自分も横になりながらベッドに飛び込んで体当たりするルイズ。
「っっ!!」
「っっ!!」
二人してベッドの上に横になりながら痛みに震える。
タバサは言いたい事が山ほどあったので一緒に部屋に入ってきたのだが、二人が馬鹿やってるのでとりあえず落ち着くまでは待つ事にしているらしい。
ベッドの上で顔を付き合わせる二人。
「じ、自分の部屋で寝ればいいでしょう」
「も、もう一歩だって歩くの嫌なのよ」
そのままぐでーっと体を伸ばすキュルケ。
「あ、もうダメ。私今日ここに寝るわ。ルイズ、あんた私のベッド貸してあげるからそっちで寝なさい」
「意味がわからないわよ!」
燦はそんな二人を苦笑しながら見ていた。
「晩御飯はどうする? 今日はやめとく?」
キュルケは首だけそちらを向けて答える。
「ああ、それならさっきシエスタに頼んでおいたからもう来ると思うわよ」
タバサは心配そうにしている。
「……食べれる?」
ルイズはベッドに突っ伏している。
「私はいらない。少し気持ち悪くなってきたわ」
そこにノックの音が聞こえ、シエスタが台車の付いた台に食事を乗せて持ってきた。
その食事の内訳を見た燦が怪訝そうな顔になる。
タバサは、それを見てキュルケを少し睨んだ。
シエスタも困った顔でベッドの脇まで食事を運んできている。
「一応、ご依頼通りですが……その、お酒はあまりお勧め出来ませんよ」
食事というよりつまみの一品料理ばかりで、台車の下段には夥しい量の酒が載っていた。
キュルケはベッドの端に腰掛けるように座って、酒の瓶を引っ張り出す。
784【ゼロの花嫁】代理の代理:2007/11/15(木) 13:54:35 ID:zvgCjCVH
802 名前:ゼロの花嫁 3話 22/23[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 13:14:30 ID:LdVqvyWM
「体中痛すぎて、酒でも無いと眠れそうにないの」
タバサがそれを横からひったくる。
「駄目」
「えー! いじわるしないでよタバサ〜!」
「絶対、駄目」
その隙に横からひょいと顔を出したルイズが酒瓶を手に取り、封を開ける。
「あー! イカンてルイズちゃん!」
「良い考えね。酔えばこの痛いのも何とかなるでしょ」
コップを取って注ぎ、燦が何をするより早く一息に空ける。
慌てた燦が止めに入るが、ひらりと後ろを向いてかわし、コップに酒を注ぐ。
すると、横からそれをキュルケが奪い取り、文句を言われるよりも先に飲み干す。
「ん、おいしっ」
タバサがルイズから瓶を奪おうとするが、ルイズはその瓶をキュルケにパス。
キュルケはルイズを壁にしてベッドの奥でコップに酒を注ぐと、ベッドに乗り出してきた燦をかわしながらルイズにコップを渡す。
ルイズは片手でタバサの頭を押さえながらそれをぐいっと飲み干し、キュルケは瓶ごといった。
「もー! 二人共怪我人なんじゃからお酒なんてイカンて!」
「大丈夫、大丈夫。ねえキュルケ、傷痛くなくなってきたと思わない?」
「そうそう、やっぱりお酒っていいわよね〜。タバサ〜、量は考えるから見逃してよ」
タバサはじーっとキュルケを見るが、諦めたようにベッドから降り、自分も酒瓶とコップを手に取った。
許可が降りたのが嬉しかったのか嬉々としてタバサに擦り寄るキュルケ。
「手酌は無しよ、ほらほらぐいーっと」
うきうきでタバサのコップに酒を注いでいる。
それを見た燦もしょうがないとばかりにベッドから降りた。

シエスタが燦のコップに果汁ジュースを注ぐ。
燦は夢中になってキュルケとルイズの話に聞き入っていた。
話題はさっきの決闘の事。
途中参加の燦は二人の勇姿を見ていなかったのだ。
ルイズとキュルケが交互に聞かせてくれる話に感動して涙を流す燦。
怪我を意に介さず戦い続けるなぞ、燦のストライクゾーンど真ん中である。
「漢前じゃー! 二人共めっちゃ漢前じゃー! うわー、傷の手当私がしたかったー!」
黙々と杯を重ねるタバサ。
文句も山ほどあるが、溜飲が下がったのも確かではあった。
正直な話をするとタバサも、キュルケが自分の得意魔法で傷つけられていく様を見ていた時は、自制をするのに苦労していたのだった。
良い感じで酔っているせいもあり、ルイズもキュルケも楽しそうに笑いながら決闘の話をしている。
やれあの時の連中の顔は見物だっただの、パンチを入れた時はスカッとしただの、あの戦闘のやりとりは参考になるだの、まあ結局最後に勝ったのは私だけどねだの。
シエスタはあまりの話の派手さに目を白黒させていたが、みんなが楽しそうにしているので、つられて笑っている。
キュルケは座ったまま真上を向いて目を閉じる。
「あー、本当に良い気分よね〜。もう何処も痛くなくなってるわ〜」
ルイズは酒瓶からコップに酒を注ぐのに苦労している様子。
「何よ……やりずらいわね……」
ふと、シエスタはキュルケの服の汚れに気付いた。
そこら中破けて血だらけになった制服はとうに医務室備え付けパジャマに着替えてあるのだが、それに黒い染みがあったのだ。
「ミスツェルプストー、その染みは……」
はたと気付く。
染みが徐々に大きくなっている。そして、それは一箇所だけではなく複数個所に及んでいる。
「み、みみみミスツェルプストー? もしかしてもしかして……傷口開いてません?」
ルイズが酒をうまく注げずに居るのを見て、燦は代わりに注いでやった。
「ありがとサン。なんでこんなにやりにくい……」
自分の左腕を見てみる。酔っ払っているのか何やら常より太く見える。
785【ゼロの花嫁】代理の代理:2007/11/15(木) 13:55:45 ID:zvgCjCVH
803 名前:ゼロの花嫁 3話 23/23[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 13:15:12 ID:LdVqvyWM
「る、るるるルイズちゃん! 腕がめっちゃ太うなっとる! それ腫れとるんちゃう!?」
言われてみれば、なんだか左腕が痛い気がする。
いや、気のせいどころか本気で痛い。脂汗出てきそうなぐらい痛い。
「ご、ごめんサン。ちょっと……痛いこれ……」
「あー、何言ってるのよ。私は全然痛くないわよーん」
腕を押さえて倒れこむルイズと、ケタケタ笑いながら血塗れになっていくキュルケ。
悲鳴をあげるシエスタ。
わけがわからなくなり、ばたばたと駆け回る燦。
タバサは、静かに酒を飲んでいる。
そこにあまりの騒々しさに頭に来たのか、モンモランシーが文句を言いに来た。
「ちょっと! あんた達少し静かに…………何よこの地獄絵図?」
そこらに転がる酒瓶と、ルイズ、キュルケの怪我の状態から全てを察するモンモランシー。
大慌てで医務室へと駆け込み、救急隊員がまた、ルイズの部屋に走りこんできた。
彼らは嵐のように怒鳴り散らし、罵声を浴びせながらルイズとキュルケを連れ去っていった。
燦は二人に付き添って医務室へ向かう。
残されたシエスタは、もう一人残った彼女へと声をかけた。
「あの……ミスタバサは行かなくてよろしいんで?」
タバサは、顔色一つ変えず杯を重ねていた。
「知らない」
どうやらタバサは、見逃したのではなく見捨てたという事らしかった。
786【ゼロの花嫁】代理の代理:2007/11/15(木) 13:56:54 ID:zvgCjCVH
804 名前:ゼロの花嫁[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 13:18:16 ID:LdVqvyWM
以上です
こんな時間にも関わらず、支援してくださったみなさんには感謝の言葉もありません
また、13/23が二つありますが、最初の方は12/23でしたすみません

さーらーにー本スレ769氏の言うとおり、あの場所はルイズではなく燦でした
重ね重ねすみませんでした
787【ゼロの花嫁】代理の代理:2007/11/15(木) 14:02:07 ID:zvgCjCVH
【ゼロの花嫁】代理(初代)の人

↓↓

807 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 13:45:09 ID:em9uoD8I
すみません、私もさるをくらいました。
続きをどなたかお願いします。

また、13(誤)→12(正)を、勘違いして
13,14,14,15,〜となるように修正してしまいました。

作者をはじめ、皆様にご迷惑をかけ、お詫び申し上げます。
788名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 14:09:22 ID:e8995B7l
量が凄いな、乙、代理も乙。代理の代理も乙
789名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 14:33:18 ID:1Kc4KfW+
花嫁の人&代理×2乙
すごく……長いです……
790名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 14:47:06 ID:2YndgunM
中身にGJ!
代理の連係プレーにもGJ!
791名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 14:48:31 ID:WpDS8a6N
二人の代理を要するとは
792名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/15(木) 15:01:02 ID:1LL2v7Zt
そろそろ次スレですね。
793名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 15:37:37 ID:0/iZYaxw
乙ー

ここまで長いのは、最近無かったな
薔薇より長いのは初めて見た
794名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 15:59:30 ID:LQwj2qpE
怪我人、特に打撲傷に酒飲ましちゃいかんよ〜
血行よくなるから悲惨なことになるGJ!
795名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 16:26:20 ID:y3hAKeIo
ディセプティコンの人は、順調に書き直しが進んでいるだろうか・・・
796名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 16:33:24 ID:wAfbgkSw
大丈夫だろう。今ごろ機械的な呻きを発しながら手から出した端子をコンピュータに突っ込んで書き直しているさ
797名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 16:41:55 ID:aoRI55og
>>794
痛む……のか?
798名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 16:52:52 ID:BjUZrYCj
>>797
血行が良くなる=体にたくさん血が回る→傷口は血管開いている→どばー
799名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 16:52:57 ID:CIHd2dBy
痛むではなく止まらなくなる?
800名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 16:55:51 ID:Sze8nxCB
治りを阻害するんでしょ。本来冷やす治療を暖めるわけだから。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:17:55 ID:KD2TpqiU
アルコールは末梢血管を拡張させます
そのため、体が温かくなったり、顔が赤くなったりします

もし傷があると、いつまでたっても収縮しない末梢血管損傷部からは・・・
802名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:28:43 ID:jl95VjA2
次スレ立ててきてもいいか?
803名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:35:11 ID:LQwj2qpE
ついでに打撲傷は内出血が多いから、表面上は何もないように見えても酒飲んだり風呂はいると……

……日本の社会人ラグビーってもしかして危険?特に草ラグビー
804名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:41:56 ID:jl95VjA2
すまん、無理だったからスレ立て頼む
805名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:43:05 ID:EpkkAuMl
じゃあ行ってくる。
806名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:45:58 ID:EpkkAuMl
駄目だった。
807名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:50:11 ID:uFSjQ5Hw
立ててみます。 失敗したらごめんなさい。
808807:2007/11/15(木) 17:51:47 ID:uFSjQ5Hw
立てました。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part83

http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195116653/l50
809名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:53:59 ID:TB/UtZZV
怪我の時の飲酒は傷にはよくない、けどメンタルな面で効果がある時がある
医学的には放熱を促進するだけなのに何度も命を救った山岳救助犬の酒樽も
未だに医学的な解明はされていない
810名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:00:10 ID:iC8CYjj3
>>808
新スレを立てた相手ならば、乙を使わざるをえない
811名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:08:06 ID:1Kc4KfW+
>>808
乙であります
あとは500KBいってないから埋めかな?
812わかったの人:2007/11/15(木) 18:10:04 ID:VA6x39RO
第二話を投下したいのですが、向こうの方が良いですかね?
813名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:15:39 ID:Sze8nxCB
題名マジでわかりましたなのかよwwwww

向こうに投下しなせー
814わかったの人:2007/11/15(木) 18:22:25 ID:VA6x39RO
わかりました。
向こうに投下します
815名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:25:08 ID:5z5v7kJD
500なら地球滅亡
816名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:44:17 ID:EWXQnMuK
500kならever17の倉成武を召喚。
817名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:51:48 ID:B0HzDSql
500ならシビルかガビル、ゲペルニッチのプロトデビルン勢召喚
818名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:59:35 ID:+3nJ8rPZ
500なら
猫召喚は当たりばっかりなのでここは一つ‘猫の恩返しのムタ’を召喚。
学園食堂の危機にシェスタ&メイドたちとの食堂攻防戦を繰り広げたりしてww
819名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:59:48 ID:YNlOPEFb
500kbならブリックヴィンケル召喚
820名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:00:09 ID:rDed1x2L
500なら続きが楽しみな停滞作品が多数再開。
821名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:03:07 ID:dgp3X9Ld
500なら精霊の守り人よりバルサ召還
822名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:08:10 ID:AgfyVBQ4
500ならドロンジョ様召喚
823名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:10:35 ID:PZ9bJAEu
最後ならアニメ版ウルトラザウルス召喚
824名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:11:28 ID:j0Ah6Hlj
てつを召喚
825名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:12:08 ID:rZOZr5pi
ゼロの花嫁&代理の方々、乙です!
決闘がここまで大事になるのも珍しい展開でした
惜しむらくは、燦の大立ち回りが見れなかったことですかね
『眠りの歌』使えよ、燦w

ちょっと気づいた点ですが、ミスと人名の間に・を付けた方がいいと思いますよ
ミスタバサ→ミス・タバサ
826名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:13:58 ID:TB/UtZZV
500なら椿三十朗召喚
827名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:16:55 ID:vwHrC4SJ
500なら音速丸召喚

を↑が書く
828名無しさん@お腹いっぱい。
500ならムシウタから兜召還