アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ8

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277捻 -twists and turns- 1/7  ◆AZWNjKqIBQ
一度、二度と足を運び、そして三度目。三度足を運んで――三度小さな亡骸を運んだ。


「ガキばっかかよ…………」
病院の中。ひんやりとした明かりに満ちた霊安室の真ん中で、ランサーは暗鬱な溜息を漏らした。
彼の目の前、3つならんだ簡素な寝台の上にはそれぞれ一つずつ小さな死体が乗っている。
少年――少女――少年。三者三様に死を与えられ今はただ同じように眠っている。

「……ああ、そうだ」
ランサーの呟きに答える戴宗の言葉もまた愁いに満ちていた。
此処で行われているのは殺し合い。――ならば、未熟で力の弱い子供から死んでいくのは当然だ。
それは至って自然な道理と言えるだろう。
だが、そうだからこそそんな「子供」達の前はに自分達「大人」が立っていなければならないのではないだろうか?
戴宗は再び自問する。「大人」である自分達が、ここで「子供」達に対して何ができるのだろうか? と……。

「そっちの金髪の小僧もさっきの野郎に?」
エドワード・エルリックの死体を指して問うランサーに、戴宗は無言で頷きそれを肯定した。
それは彼が見つけた最初の被害者。
そして、その下手人に一時の情けをかけてしまったが故に彼は再びここに戻ってくるはめとなった。
ぎり……と音を立てて拳を握る。しかし、どう憤り後悔したところで時は逆巻きにはできないのだ。

「じゃあ、こっちの嬢ちゃんは……?」
言いながらランサーは顔を顰める。横たえられた三人はどれも無残な姿に成り果てていたが、
少女――アニタ・キングの遺体はその中でも取り分け損傷の度合いが酷かった。
弔った戴宗の手によって血と汚れは拭われていたが、その分白い肌に膾と刻まれた傷の多さが目立つ。
「わからん。だが……」
少女を殺害した下手人。それは、事の終わりに遭った自分には分からない。
そう言いながら、だが手がかりはあると戴宗は鞄に手を入れ、彼がそこで見つけた一本の剣を抜き出した。

鍔の先より、刃のない黒柱がのびる奇妙な剣。それを見て、ランサーの顔が僅かに驚きの表情を浮かべる。
「……それは、宝具じゃねぇか」
「宝具? なんだいそりゃあ」

片眉を上げて尋ねる戴宗に、ランサーは宝具――ノウブルファンタズムのことについて軽く語った。
それは貴き幻想。英霊のための最終最強の武装にして、顕現化した伝説そのもの――であると……。

「……じゃあなんだ。あんたもその英霊ってやつなのかい?」
それを肯定するランサーを前に戴宗は顎に手を当て、なるほどねぇ……と息を漏らして感心した。
さらにランサーの口により語られた、エリオの所属する機動六課と時空管理局。それらを聞いて戴宗は顔を顰める。

「次元の違う世界から……か。なんともややこしい話じゃあねぇか。
 どうやら、螺旋王とかいうおっさんをぶっちめただけじゃあ話は済みそうにもねえなぁ……」

複雑奇怪な話に肩を落とす戴宗ではあったが、それを前にしたランサーの心中も穏やかではなかった。
「(これで、ただの人間だとか言うのかよ。このおっさんは……)」
その戦闘力から、戴宗のことをどこの英霊か、はたまた超一級の魔術師か……と思っていたランサーだったが、
聞けば齢30足らずの真っ当な人間。ただ、国際警察機構とやらで修行を積んだだけのエキスパートだと彼は言う。
しかも、彼はその中でも最上級に値する九大天王の一人ではあるが未だ末席の身にすぎず、
警察機構と言う組織の中には、彼に匹敵し上回る人間が何人もいるらしい。
さらには相対するBF団とやらも同様で、彼らは日夜巨大ロボットを交えて戦い、しのぎを削っているのだとか……。
「(……どうやら、普通の人間そのものの基準が違う世界らしいな)」
そこでは制服を着た平の構成員ですら、訓練を受けていれば10メートル、20メートルを難なく飛ぶらしい。
そんな常識外れな話に驚いたランサーではあったが、同時にそこに対して強い憧れも感じていた。
もし自分がそんな所に召喚されたならば、一体どれだけの勝負を楽しめるのかと……。
278捻 -twists and turns- 2/7  ◆AZWNjKqIBQ :2007/11/18(日) 08:50:20 ID:HETCqeEV

……と、お互いが交換した情報にそれぞれの感慨を抱いて僅かな時を過ごした後、二人は話を戻した。

「……でだ。こいつの持ち主には何か心当たりはないか、あんちゃんよ?」
戴宗は再び金色の奇妙な剣を持ち上げる。話通りならば、大概の場合は宝具を見ればその持ち主も解るらしい。
「それが何か――ってのは俺は知らねぇ……が、持ち主になら心当たりがあるぜ」
そいつは? と目で問う戴宗に、ランサーは続けて英雄王ギルガメッシュだ――と続けた。
最古にして最強の英雄であり、この世の万物の所持者でもある男。ランサーを一度討ち、この場にも召喚されている者だ。
戴宗が見つけた不可思議ながら強力な力を感じさせる宝具。それは十中八九その男の物だろうとランサーは言う。

「じゃあ、その英雄王とやらが下手人であるという線もあるのかい?」
その質問にランサーは首を振った。
宝具とは英霊にとってはかけがいのないものであるため、それを放ってその場を去るとは考えづらい。
それに、それが宝具でないとしてもわざわざ使える武器を放っていってしまう者などいないだろう。

「……確かにそうだわな」
言われて納得している戴宗の前で、ランサーはこの話とは別のある可能性に気付いた。
「ギルガメッシュの宝具がどことも知れないやつの手に渡っていた……てことはだ」
そこで、一旦言葉を区切り口の端をにやりと歪める。
「――俺の槍(ゲイ・ボルグ)もこの場にいる誰かが持っているかも知れねえってことだ!」
すでに手中にある偽・螺旋剣もそうだが、さらに他の者にも宝具がばら撒かれているとすれば、
従来ならば持ち主の手から離れることのない宝具――この場合はゲイ・ボルグも誰かの手に渡っていてもおかしくは無い。

「……じゃあ、お前さん」
「ああ。悪いが、俺は人集めより自分の槍探しを優先させてもらうぜ」

いずれ訪れるであろう強敵との激突を予感しているのであろうか、眼を爛と輝かせるランサーに戴宗は溜息をつく。

「安心しなおっさん。槍が見つからなくとも頃合を見てそっちに顔を出すさ」
月がはっきりと見える頃には自分も温泉へと向う。そう言うランサーに、戴宗は渋々承諾すると
最後にいくらかの警告と言伝を頼み、足早に去る彼を見送った。

「じゃあ、こちとらも行くとしますかい」
ランサーを見送った後、新しく書いたメモをエリオの傍に残すと、もう一度だけ眠ったままの三人を見やって
決心を再び強く締めなおすと、戴宗もランサーに続いてその場を後にした。

そして、再び霊安室に一時の静寂が訪れる――。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 08:51:19 ID:2Oxumi+P
             
280捻 -twists and turns- 3/7  ◆AZWNjKqIBQ :2007/11/18(日) 08:51:31 ID:HETCqeEV
 ◆ ◆ ◆


霊安室を出て病院の屋上まで風の様に駆け上がると、ランサーはそこで一旦立ち止まりこの先に向け思案した。
探しているのは槍を持つ者。――だが、そいつは何処にいるのか?

頭の中に地図を浮かべて考えてみる……。

橋を渡り、北西の方角へと向ってみるか?
 ――向えばそちらは賑やかな繁華街だ。地図の中でも中央に当たるし、人が集まっているかもしれない。

それとも、此処を真っ直ぐ北へと向うか?
 ――其処にあるのは学校だ。そう言えば、士郎という男と最初に出会ったのも学校だったなと、そんなことを思い出す。

はたまた東へと向かい橋を渡るか?
 ――朝方に見かけた青い軍服の女と子供。彼女たちと再会できるかも知れない。

「さて、どうしたものか……?」
どちらに向えば、目当ての槍と出会えるだろうか……?
そして……、
「衝撃のアルベルト……ねぇ」

別れ際に戴宗より預かった言伝。
衝撃のアルベルトと言う男に、「自分達の決着はしばらく預けてくれないか」と伝えて欲しいと言うものだった。
戴宗の言によると、その男も相当の強者であり相容れない敵ではあるものの、道理は弁えており決して外道の類ではないらしい。


「じゃあ、行くとするか――!」
短い思案を終え行く先を決めると、ランサーは屋上の床を蹴り、向うその先の宙へと身体を躍らせた――……。



 【D-6/市街地/1日目-昼】

 【ランサー@Fate/stay night】
 [状態]:疲労(中)、強い決意
 [装備]:鉄槍(折ったポール+アサシンナイフ@さよなら絶望先生×1本)
 [道具]:デイバック、支給品一式×2、ヴァッシュの手配書、防水性の紙×10、
      不明支給品0〜2個(槍・デバイスは無い)、偽・螺旋剣@Fate/stay night、暗視双眼鏡
 [思考]
  基本:このゲームに乗った者、そして管理している者との戦いを愉しませてもらう
  1:どこかにあるかもしれないゲイ・ボルグを探す
  2:↑のために他の参加者を探して接触する
  3:言峰、ギルガメッシュ、ヴァッシュと出会えれば、それぞれに借りを返す
  4:衝撃のアルベルトと出会えれば戴宗からの言伝(一時的な休戦の申し込み)を伝える
  5:エリオの知り合いと出会えたら事の経緯を伝える
  6:日が暮れたら、戴宗と合流するため一旦温泉へと向う
  最終:エリオの遺志を尊重し、螺旋王を討ち倒して彼の仲間を元の世界へと帰す

 [備考]
  エリオ、戴宗と情報交換をして、それぞれの世界についての知識を得ました
281名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 08:52:32 ID:2Oxumi+P
       
282捻 -twists and turns- 4/7  ◆AZWNjKqIBQ :2007/11/18(日) 08:52:38 ID:HETCqeEV
 ◆ ◆ ◆


「あー……、なんだかややこしい事になってきたねぇ……」

太陽も頂点に近づき地面に落ちる影も短くなった中を、戴宗は難しい顔で歩いていた。
意味不明なまま何処かへと連れてこられたかと思いきや、今度は次元だ。魔法だ。英霊だ……ときた。
複雑怪奇な事態に立ち向かう戴宗が持つのはこの身一つ。
しかし、それは悪人を討つには足りても、諸処の問題を解決する手段には足りえなかった。
頭脳労働は専門外。まぁ、それは誰かに任せるとしても、こんがらがった頭の中を綺麗さっぱりに流してくれる酒は未だない。
青く晴れ渡った澄み切った空とは対照に、悩み事を抱えた戴宗の顔は暗いままだった。

「まさか、この世界には酒はありません。……ってなことはねえよなぁ?」

そんな不安も戴宗の中に浮かび上がってくる。まさかとは思うが、先ほどより一軒の酒屋も見当たらない。
酒そのものが無いと言うのは考えられないにしても、聞いた話によるとアメリカでは国全体で禁酒していた時代もあったらしい。
もしかしたらこの場所も、そういう所なのでは……そう思うと、決心は別として気も身体も重くなってくる。

「でも、まぁ……デパートって言うんなら、なぁ」
温泉へと向けて南へと歩を進めているが、その間にデパートがあると地図には記されていた。
デパートとは、つまり百貨店。普段立ち寄るような場所ではないが、百貨店というからには酒もなければおかしいだろう。
そんな期待を原動力に戴宗は足を進める……が、


「なんで、燃えてんだよおぉぉ――――っ!」


ビルの合間より、青い空へと濛々と立ち昇る黒煙。それに気付いて駆けつけてみれば、
戴宗の希望である酒――それが並べられていたであろうデパートは、一つの火柱となり轟々と音を上げて燃えていた。



 【E-6/デパートの近く/1日目-昼】

 【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
 [状態]:疲労(中)、強い決意
 [装備]:なし
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-[握り飯、3日分])、
      支給品一式(-地図、-名簿)(食料-[大量のチョコレート][紅茶][エドの食料(詳細不明)])
      虎柄の水筒(空)、アサシンナイフ@さよなら絶望先生×10本、乖離剣・エア@Fate/stay night
      『涼宮ハルヒの憂鬱』全巻セット@らき☆すた(『分裂』まで。『憂鬱』が抜けています)
      ダブルキャノン@サイボーグクロちゃん(残弾28/30)、不明支給品1〜2個(確認済み)
 [思考]
  基本:不義は見逃さず。悪は成敗する
  0:ちくしょぉぉぉぉぉ――っ!
  1:何が起こったのかを調べる
  2:温泉に向かいそこでランサーを待つ
  3:道すがら人と出会えたら、正義の心がある者は仲間に誘い、弱き者は保護する
  4:酒が飲みたい
  5:死亡した3人(エド、アニタ、エリオ)の知り合いと出会えたら経緯を伝える
  最終:螺旋王ロージェノムを打倒し、元の世界へと帰還する

 [備考]
  ランサーと情報交換し、彼の世界の知識と彼から聞いたエリオの世界の知識を得ました
283捻 -twists and turns- 5/7  ◆AZWNjKqIBQ :2007/11/18(日) 08:53:52 ID:HETCqeEV
 ◆ ◆ ◆


日が昇っても依然として薄暗く、冷ややかな雰囲気の病院内。
戴宗とランサーの二人が出立した直後、入れ替わりに入り込んできた二つの影があった。

静かな院内にコツコツと小さな足音を立ててその二人は進んでいる。
怪しい人物は両方とも去ったがまだ誰も残っていないとは限らない。
そう考え、警戒を最大限に強め静かだが油断のない目で周囲を窺っている青年はDボゥイ。
そしてその後ろを、子リスの様にキョロキョロと首を振ってついていっている小さな少女は小早川ゆたかだった。

裏口より侵入し、病院の中を貫く長い廊下を進み正面入り口が見えるロビーまで達すると二人は一度足を止めた。
Dボゥイが端にある案内板を指差すと、ゆたかは無言で頷きそこへとかけて行く。

外から差し込む光を頼りに、ゆたかは目を凝らして案内板と睨めっこをする。
「Dボゥイさん……ここ」
爪先立ちのゆたかが、案内板の上の方にある一箇所を指差しDボゥイに呼びかけた。そこは……、
「産婦人科? ……まさか君は」
「え? ええっ? いや。ち、ち、ち、違いますよ。そーでなくて……っ!」
ゆたかはくるりと振り返ると、真赤な顔をぶんぶんと振ってDボゥイの勘違いを否定する。
「えーとですね、妊婦さん用の病室は……」
そして、なぜ二人が休息する場所に妊婦用の病室を選んだのかを説明し始めた……。

「――個室にキッチンと、トイレか……なるほど」
「ええ。妊婦さん用のお部屋って、あまり動かなくてもいいように全部揃っているんですよ。
 それにこの部屋、お風呂も一緒にあって……」
そこまで口にしたところでゆたかがカチンと固まり、同時に湯気を立てながら顔を赤く染めた。

「どうした? また熱が出てきたのか……?」
突発的に挙動が怪しくなる少女にまたも訝しむDボゥイの前であったが……、
「……な、な、なんでもないです! へ、変なことじゃなくて。その汚れてるから……その、その……綺麗に」
言われて気付くと、確かにそうであると彼は納得した。
お互いに山道を転げ回っている内に服や身体は泥だらけになっていたし、自分に至っては血塗れである。
その血は自身の物であったが、事情を知らぬ者から見られれば誤解を招きかねない。
「そうだな。新しい服も調達したいし、君が選んだ部屋へ行くとしようか」
そう言うとDボゥイは固まるゆたかの手を握り、先程よりはやや大股で病院の奥へと歩き出した。


 ◆ ◆ ◆


突然に放り込まれた殺し合いという非日常の舞台。その中で体験する見知った人の死と、自身に降りかかる死の恐怖。
そして、今までの人生にはなかった頼れる異性との接近。経験したことのない肌のふれあいと、何らかの期待――。
自身の中に渦巻くそれらにゆたかの頭は再びオーバーヒート寸前にまで至り、
引っ張られる手に身体を任せたまま半ば夢心地で歩いていたのだが……、

「ヘブッ!」

……ドンッと鼻頭を打たれて、強制的に現実へと引き戻された。
顔をぶつけたDボゥイの背中を見上げれば、なにやら剣呑な雰囲気を帯びている。
「……誰か、いるんですか?」
「…………いや」
怯えた声で質問するゆたかへのDボゥイの答えは曖昧なものであった。
だが、行動は素早くゆたかの手を握る力を僅かに強めると、登るはずの階段を無視して通路の奥へと歩を進めた。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 08:54:23 ID:2Oxumi+P
                    
285捻 -twists and turns- 6/7  ◆AZWNjKqIBQ :2007/11/18(日) 08:55:01 ID:HETCqeEV
Dボゥイが感じ取ったもの。
それは戦いの中で無数の死を経験したことのあるものでなければ感じ取れないような微細な違和感。
静謐な空気の中、ほんの僅かに漂う死の匂い。Dボゥイはそれを捉え、それを辿る……。

「……れ、霊安室……ですか?」

その部屋の役割を示すプレートを読んだだけで足を震わせ始めたゆたかの手を放し、Dボゥイはその扉へと手をかける。
罠を警戒しながらゆっくりと慎重に扉を開け、それが半分まで開いた時――Dボゥイの身体が凍りついた。

「Dボゥイさんっ?」
「――来るな!」

異変を感じ取ったゆたかをDボゥイはもう片方の手で制し、強く扉を閉めた。
未だ固定された視線の先、見開かれたDボゥイの眼に映っていたのは――……。


 ◆ ◆ ◆


霊安室から離れた後、すぐに目当ての病室に移動した二人であったが、互いに安息とは程遠い表情であった。

ゆたかの目の前、椅子の上に腰を下ろしたまま固く沈黙を続けるDボゥイに、彼女も顔を暗くする。
彼が霊安室で何を見たのか。それは教えてもらえなかったが、その態度から彼女にもある程度は察しがついた。

「(……あそこで、誰かが亡くなっていたんだ)」

彼女のその読みは正しかったが、事態はそれを遥かに上回るものであった。それがDボゥイを悩ましている。
Dボゥイが霊安室の中に見たもの。それは三人の幼い少年少女の惨たらしく傷つけられた遺体であった。

一人は全身を焼かれ、残りの二人は身体を切り刻まれていた。
そのどちらもが、先刻までここにいた二人の男――彼らの手口に一致する。
Dボゥイは見ていたのだ。サングラスの男が無残にも片方の男に槍で腕を落とされ、もう片方の男に焼かれる姿を――!
霊安室に寝かされていた憐れな少年少女達。彼らを殺害したのはまず間違いなくあいつらだろうとDボゥイは考える。

しかし不思議なのは、何故遺体を集めるのかと言うことだ。
サングラスの男の遺体を放置していったことから、目的は子供の遺体であるのかと推測できるが、それが何故なのかは解らない。
ただ解るのは、あの二人組の男が最悪の外道であるということだけだ。
そして、この病院の霊安室に収集しているということは、また彼らが戻ってくる可能性が高いことを示している。
もしかすると、あのサングラスの男もこのことに気付き、戻ってきたあいつらに見つかってしまったのかもしれない……。

何のために、どうしてそんなことをしているのかは解らない。しかもあいつらは恐ろしく――強い!

Dボゥイは視線を上げ心配そうにこちらを窺う少女を見る。
彼女がもしあいつらに見つかれば――、彼女があの少年少女の隣りに並ぶようなことになれば――……。


 ◆ ◆ ◆


コツコツとゆたかの前で小さな鍋が揺れている。
ゆたかが立っているのは室内に備え付けられたコンロの前で、今病室には彼女一人である。
Dボゥイは彼女に食事を取ることを指示すると、自身は代えの服装と薬品を取りに部屋を出て行ってしまった。
詳しい説明はされず、ただあまり時間がないとだけ彼に言われたので、ゆたかは料理することを諦めたが、
せめて一度は身体を温めたほうがよいと、お茶を入れるためにお湯を沸かしている。
286捻 -twists and turns- 7/7  ◆AZWNjKqIBQ :2007/11/18(日) 08:56:13 ID:HETCqeEV
「(…………怖いな)」

沸き立つお湯を見て、自身の心の中もそうなっているとゆたかは感じる。
腕にはめた時計を見やれば、予定されている二回目の放送までもうあまり時間はない。
それがくれば、また人が死んだということを知ることになるのだ……、否応もなしに。

水が沸騰したことを確認すると、ゆたかはコンロの火を止め予め用意してあった病室に備え付けの急須の中に湯を注いだ。
二人分の食事をテーブルの上に広げ、空っぽの湯飲みの中に緑茶を注ぎ、立ち昇る湯気を見ながらその時を待つ。

「(………………怖いよぉ)」

何故だかは解らない。ただ漠然とした予感のようなものが彼女の中にあった。
なにか恐ろしいことを自分は知っていたが、今はそれを忘れている――そんな感覚が。

カチリ……、カチリ……、カチリ……と、等しく時間を刻み続ける時計の針の音。
それがまるで時限爆弾のカウントダウンのよう。
まるでそんな風に、身体を振るわせるゆたかの耳にそれは届いていた――。



 【D-6/病院内/1日目-昼】

 【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
 [状態]:左肩から背中の中心までに裂傷(傷は塞がったが痛みは若干残っている)、全身打撲(中)、貧血(中)
 [装備]:テッカマンアックスのテックランサー(斧) @宇宙の騎士テッカマンブレード
 [道具]:デイバック、支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!!   
 [思考]
  基本:テッカマンエビル(相羽シンヤ)を殺す
  1:病院内で二人分の代えの服や薬品、治療のための道具を集める
  2:ゆたかの待つ部屋に戻って放送を聞き、食事と休憩をすませる
  3:次の目的地を定め、速やかに病院を離れる
  4:信頼できる人物にゆたかを預けたい……だが(?)
  5:極力戦闘は避けたいが、襲い掛かってくる人間に対しては容赦しない

 [備考]
  殺し合いに乗っている連中はラダム同然だと考えています
  情報交換によって、機動六課、クロ達、リザの仲間達の情報を得ました
  青い男(ランサー)と東洋人(戴宗)を、子供の遺体を集めている極悪な殺人鬼と認識しています

 【D-6/産婦人科・病室内(421号室)/1日目-昼】

 【小早川ゆたか@らき☆すた】
 [状態]:疲労(小)、心労(中)
 [装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン
 [道具]:デイバック、支給品一式、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損]
      鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、M16アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)
      M203グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2)
 [思考]
  基本:元の日常へと戻れるようがんばってみる
  0:なんだろう、この不安は?
  1:Dボゥイが帰ってきたら、一緒に食事と休憩をすませる
  2:Dボゥイの指示にしたがって行動する

 [備考]
  コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました
  夢の内容は今のところぼんやりとしか覚えていません
287名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 09:01:31 ID:2Oxumi+P
               
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 15:44:44 ID:XQUbCaQA
保守
289名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 20:05:16 ID:o3uM8/uT
削除人さん、乙でした!
290なら過去の議論のDat落ちあげておこうか?:2007/11/18(日) 23:27:07 ID:FuDsOMAx
201 こんな感じ? sage 2007/10/08(月) 22:34:29 ID:XMC9H2dC
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。 (余計なお世話)
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。 (余計なお世話)
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。 (不要)
 本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。 (不要)
・『展開のための展開』はNG (意味わかんね不要)
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。 (当たり前不要)
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。 (当たり前不要)
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。 (大きなお世話)
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。 (大きなお世話)
 携帯からPCに変えるだけでも違います。 (大きなお世話)
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       `i、   ・=-_、, .:/              _ / { {ヽ、_   ヽ' ノ_,.〉
        /ヽ    ''  :/_ -ァー- 、_ ... -‐ ';;;;;;;;;;;;;ヽヽ、 `>、..ノ=┘
      _ ノ  ` ‐-、、ノ;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ `ー '!
   , -‐;;7;;;/iーニ二,.フ_/;;;;;;;;;j;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;>‐'
  /;;;;/;;//〉' ,  ヽ、>\;;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,  ' ´
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┌‐────┐
│ ムスカ.   |
├───‐─┴────────────────────────
│ムダなルールが多すぎる!
└─────────────────────────────‐
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:28:34 ID:FuDsOMAx
202 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:02:32 ID:OkkBigmn
ここはムスカがルールを決めるスレでつか
203 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:24:45 ID:nbY+h1qD
とりあえず他所で仮投下したものは多重になるので
こちらでは張らない、はる場合はこちらで相談というルールでいいね
204 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:27:27 ID:vgb1iNwE
反対する理由はない
205 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:42:14 ID:7rtLANVd
                      ____,,....,,__
                  ,.、-‐ ' ´     ゙`'‐、
                ,ィ'´  _,,..、、--‐‐---、.,  l
               ( ,.、ィ'´     i⌒i   `Y
               Y´ _,.、-‐'"_゜,´、ニ`゙、`ェ_.l
               ├r'i´、-‐'"´__,,..、、..,,__  ``‐、
               ├'、,.、-‐'"゙`'-、.,_ , ._-"゛゙`i‐'
              ィ'、~i  ,,.. (´._“,ィ   '、;.“.,)‐iO
              l´ ii    `'‐‐' r   .i``'´ 'l
              ヽ` , .    `、'‐'"゜`_'´゚`゙,'  {
              ,r '    `゙ニ、-゙`'"´_``,´   l
              l        `'‐---‐'´  ∠___,,..、、 ,-‐,‐‐'''>‐- 、.,_
               >-、,_       -‐  _,ィ'´, ;="゜ r'_=___,'´     `'‐、   >>203
        __,,.、-、, -‐''l i .i i i‐`'‐- 、,、..,,,___,,..r';;="゜      ,          ヽ
      ,r‐r'´'_,ィ'´    `/`'‐,---`‐‐‐'''";;="゜         /            ヽ   同意してやろう
292名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:30:50 ID:FuDsOMAx
206 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:44:26 ID:ii3yw4EW
>>203
ノシ
207 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:45:00 ID:S7EADUG/
そしたら読むのにこことしたらば行ったりきたりしなきゃなんないの?
208 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:50:17 ID:d3gX2hVM
どうせしたらばはしたらばで勝手にまとめるんじゃね?
こっちには関係ない
209 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/08(月) 23:57:55 ID:Q9M4zBBv
問題は無いな
210 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/09(火) 00:02:59 ID:S7EADUG/
ここで議論したって反映されないんじゃないの
211 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/09(火) 00:07:44 ID:5lRS/M12
ここの自治の問題だから無問題
212 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/09(火) 00:09:18 ID:09dwlPPr
まああとでしたらばに通告しておいて
それでも張られれば削除依頼
213 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/09(火) 00:19:39 ID:yBoPNUfW
だおー
214 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/09(火) 00:27:24 ID:meBTWBfx
ところで君たち雑種共は『SEX』について知っているのかね?
215 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/09(火) 02:22:48 ID:7kXyjEgS
仮投下→認められたらここに本投下
だと思っていたんだが
216 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2007/10/09(火) 02:33:06 ID:xHANmjOW
仮投下で認められればそれで終わりでええやん



http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191637331/より抜粋
議論そのものはこれだけで、無駄だということで話はそれで終わった。

・少なくとも、したらばの仮投下で投下が終わっている場合はもはや本スレ投下の必要は無い

これが、ここの議論の結果の1(→同内容をしたらばに通告したが削除)
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:33:30 ID:FuDsOMAx
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192195953/70-

あと、ここらへんからもちょびちょびと話してるかな?

あとでログ探ってみるわ
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:41:39 ID:CchJ3smY
ご苦労さん。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:01:45 ID:x15ja8V0
>>277-286
たぶん、エドワード・エルリックの死体のとこにはムスカの死体の位置情報と「仇はとった」みたいな内容があるはず
それにDボゥイが気付けば、ランサーと戴宗への誤解は無くなるんじゃね?
296名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:31:46 ID:CchJ3smY
なんのこっちゃ
297名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 04:08:26 ID:yQhwA0rP
>>295
「仇をとった」としてもそいつが信用できるかどうかわからんだろ……。
平気で復讐に「殺し」を選択肢に入れてるんだぜ? 
まだ話したことも無い人間にホイホイ誤解解けるかよ。Dボゥイは身内が殺人者なのに。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 04:23:06 ID:8h6eohbI
危機に陥ったゆたかを守るくらいしないと誤解は解けないだろうな
299295:2007/11/19(月) 08:02:50 ID:x15ja8V0
>>296
【1日目 昼】の「勝利の栄光」の中でランサーが

「エリオを埋葬してやりに戻って、霊安室の義手義足の少年のところにここの場所を書いてやろうと思う」

と言ってたんで

>>297-298
確かにそうかも
300名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 13:01:32 ID:g7PlEQYP
たった一行をそこまで拡大解釈しろって方がおかしい。
そして、雑談スレでなくSS投下スレで延々と雑談を続けることも十二分におかしい。
テンプレが読める人間は本スレへ。読めない人はスルー徹底で。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 23:29:22 ID:O6cQPy4g
そんな必要ないよ

そもそもテンプレ否定されてるんだからね
えらそうな口叩くな
302過去のテンプレ議論より:2007/11/20(火) 00:35:41 ID:JJOZ/DeF
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192195953/32-より

【NGについて】
(不要)修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
(不要)NG協議・議論は全てしたらばで行う。2chスレでは基本的に議論行わないでください。
(不要)協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
(不要)どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
(OK)『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
(不要)1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
(不要)2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
(不要)3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
(不要)4.イベントルールに違反してしまっている場合。
(不要)5.荒し目的の投稿。
(不要)6.時間の進み方が異常。
(不要)7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
(不要)8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

(不要)上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
(不要)例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
(不要)トーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

(必要)・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
(不要)ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
(不要)修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
(不要)書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。

(不要)【予約に関してのルール】(基本的にアニロワ1stと同様です)

(不要)したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行う
(不要)初トリップでの作品の投下の場合は予約必須
(不要)予約期間は基本的に三日。ですが、フラグ管理等が複雑化してくる中盤以降は五日程度に延びる予定です。

(不要)予約時間延長を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
(不要)申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手

(不要)【主催者や能力制限、支給禁止アイテムなどについて】
(不要)まとめwikiを参照のこと
(不要)http://www40.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/1.html



ほぼイラネ
303過去のテンプレ議論より:2007/11/20(火) 00:37:06 ID:JJOZ/DeF
【読み手の心得】
(不要)好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
(不要)好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
(不要)荒らしは透明あぼーん推奨。
(不要)批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
(不要)擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
(まったくもって不要)嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
(不要)「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
(不要)「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
(不要)やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
(不要)冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
(不要)感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
(不要)丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
(不要)ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。

【議論の時の心得】
(不要)このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
(不要)作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
(不要)ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
(不要)議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
(不要)『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
(不要)強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
(不要)これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。

(不要)【禁止事項】
(不要)一度死亡が確定したキャラの復活
(不要)大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
(不要)程度によっては議論スレで審議の対象。
(不要)時間軸を遡った話の投下
(不要)例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
(不要)この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
(不要)こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
(不要)話の丸投げ
(不要)後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
(不要)特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

-------------------------------------------------------------------

俺的にはこうかな?
いままでここまで禁止事項だらけだったSSなんてなかった気がする

誰が決めたの?これ

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

とりあえず、過去において。
このテンプレのほとんどが不要という意見が出てます。

この話をたたき台にして進めてください
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:46:10 ID:897IkGfP
誘導

アニメキャラ・バトルロワイアル2nd議論スレ
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1186551661/
305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 01:00:31 ID:VHbL8YMr
それよりもここのSSをアニサロに誘導するほうが先だよ
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 01:02:24 ID:YsPc7/lD
>>304
ここのスレのテンプレの話じゃないか
なんで誘導する必要があるんだ?


とりあえず、「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!) は即やめろ
307名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 01:09:45 ID:2xAKvp5X
>とりあえず、「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!) は即やめろ



それには激しく同意せざるを得ない
308名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 01:19:03 ID:ONE4yfId
誰だよそれ考えたの
309名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 00:12:30 ID:XZ5uSSwP
連続投稿で書き込めなくなったのでこっちで


議論スレは議論スレでまた別の用途で話せばいいのであって
そもそも作品投下そのものがまだ早すぎるという話で
そうなってるだけですよ?

今普通に楽しんでる住人にまで迷惑掛けないようにして下さいといわれても
そのかたがたは外部の方々であって、こっち住人とは違いますから

>>248

>あなた方に必要な説明を、あなた方がする気が無いように見えるが故の「要するに」です。

また意味不明ですね
あなた方に必要な説明ってなんですか?
あなたがしてほしいと願ってるだけの有利な結末のことですか?
310名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 00:14:27 ID:XZ5uSSwP
まあ、書き込めないんじゃ仕方ないんで落ちるわ

んじゃ
311名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 00:26:25 ID:ADA11jwI


大枠の決定=2ch上の「本スレ」=作品投下スレ
     感想=2ch上の「本スレ」=作品投下スレ

作家同士の細かい点の刷り合わせ=2ch上の「議論スレ」

作品にまったく影響しないところ=外部掲示板。チラシの裏、死者スレ


                    -、
                   (  ヽ
                    ヽ,_ \
                    /゙i、`゙""゙ヽ           -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
                   /   `'i   ゙、       / /" `ヽ ヽ  \
                   l,  _/ヽ  .入      //, '/     ヽハ  、 ヽ
                    ヾ、   / .ノ      〃 {_{\    /リ| l │ i|
                      `ー'く /.\.     レ!小l●    ● 从 |、i|
                            \\_. ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃  |ノ│ 基本にょろ
                               ( __ノヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !
.                                \\::| l>,、 __, イァ/  / │
                                 /\\ | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧. |
.                                `ヽ<\\  ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
312名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 00:54:20 ID:hva6XjMP
…なんだかよく分からないけど
あの削除人は、うちらは利用者じゃないと仰られてます?

ずっとこのスレにいますけど、はて、どういうことやら


313名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:21:59 ID:X5FNSY6v
うーんとね。

100人書き手がいれば100人のムスカがいるんだから
100回ムスカが生き返るし100通りのムスカの人生があるんだよ

ムスカなんて人気あるんだから100人書きたければ
100人全員に好きなように書かせればいいだけ

名作なんて作る必要なんてない、2ch程度で誰もそこまで期待しないよ
どれも作品なんて五十歩百歩なんだしさ
やめてくれよそういう変な書き手煽りはさ、SSは長ければいいってもんじゃないんだよ、
長すぎるとむしろ読む方だって迷惑なんだよ
そんなにやりたければ創作の板かなにかで専門的にやってくれよ

したらばで参加者制限して限定された人間だけが楽しむような企画なんぞで
自己満足な名作を作ることより、アニキャラ総合板で扱うすべてのアニメの
すべてのキャラクターを何回でも出せる環境を作る方が
より多くの参加者と板の住人が参加できるし有意義なんだよ。

できないかもしれないけど、どんなキャラでも好きなだけ参加可能な体制を作っておけよ。
人気がないから出さないとか、最近じゃないから出さないとか、文章力ないからしたらばでアク禁とか
そういういじめみたいなこと止めようよ
314名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:50:13 ID:EfVSYVZm
そもそもアンチスレが作られたり、アンチが出る事がおかしい
315名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 01:35:18 ID:heNms5eA
>>311
他の板のロワは、作品投下スレが感想と運営兼ねてるよ
1スレですむような単純な話だからね…

だからこの板のロワも、作品投下スレで感想と運営兼ねるのが当たり前だと思うんだよね。
それでどうしても必要だったら運営スレ立ててもいいけど、だからといって作品投下スレである
本スレでの議論が無効かというと、そんなことは無い。

ましてや削除依頼なんて正気の沙汰とは思えない
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 02:48:39 ID:5SN3KFWn
荒れるのが怖くてバトロワやってられるかよ
317螺旋博物館U ◆j3Nf.sG1lk :2007/11/22(木) 19:27:55 ID:wcdseFUK
 はげ頭でひげ面の大男と育ちの良さそうな雰囲気を纏った少年。
 その二人が奇妙な螺旋型にモチーフされた扉の前で立ち尽くしている。
 二人を足止めしているのは、何てことは無い、ただの張り紙だ。

 『特別展示準備中』

 改めて言う事でもないが、この一枚の紙切れその物に何ら力は無い。
 紙が扉に硬い鍵をしているわけでも、紙その物が人間を押し返すような障壁を作り出しているわけでもない。
 なのに、人間はたかが紙一枚に行動を制限されてしまう。それはなぜか。
 簡単な話しだ。人間には知能があり、必然的に与えらた情報から物事を推察してしまう生き物だからである。
 紙と、そこの書かれている文字、その二つが扉の前に立ちはだかっている以上、人間は情報から事実を推察しようとし、必然的に動きを止めてしまうのだ。

(準備中?なら今は準備している人の邪魔になってはいけない、後でまた来よう)

 その張り紙を見た人間は自然とそう考える。
 これは人間社会で培われた当然の考えであり、言い換えればモラルというものである。
 現代社会程度の文明で相応の年月を社会で過ごした者ならば、この程度のモラルは当たり前、そういう次元の話なのだ。
 当然、その扉の前に立つ二人も……。

「……フンッ」

 大男が躊躇いも無く扉に手をかけ、力を入れて扉を押し開こうとする。
 モラル云々の話しが一気に霧散した瞬間だった。
 しかし、それも仕方の無い事とご理解いただきたい。
 時と場合によっては間違いなく警備員や関係者に注意を受けるであろうこの行為も、
 今この瞬間だけで言えば、そう責め立てる様な行動ではなくなってしまっているのである。
 なぜなら、今大男と少年を取り巻く環境が『殺し合い』という常軌を逸した状況であり、生き残る為にモラルさえも捨てなければいけない環境だからだ。
 張り紙一枚で行動を制限され、その隙に殺されたのでは死んでも死に切れない。
 ゆえに、切迫している状況で張り紙に掛ける配慮などあって無いようなものであり、大男の行動は至極当然というべきものなのである。


318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:28:27 ID:tVLBffFM
 
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:30:05 ID:tVLBffFM
 
320螺旋博物館U ◆j3Nf.sG1lk :2007/11/22(木) 19:30:15 ID:wcdseFUK
「ヌッ……」

 大男、つまりジェットの額に僅かばかりの汗が浮かぶ。
 喰らい付いたら離さない「ブラックドッグ」と言う異名を警察官時代に持っていた男は、現在は賞金首を追いかける賞金稼ぎとしてその豪腕を振るっている。
 荒仕事から情報戦に至るまで何でもこなす彼にしてみれば、単純な力作業でさえ手を抜くような事はしない。
 その為、この瞬間も本気になって目の前の障害をぶち破らんばかりの勢いで力を込めているようだ。
 しかし、ジェットの太い腕には、残念ながらピクリとも反応が返ってこなかった。

「……フゥー、なんて硬い扉だ、びくともしないとは」
 
 疲労の溜まった息を吐き出し、ジェットが感心したように呟く。
 すると、今度は隣にいた少年が扉に触れた。

「ただ鍵が掛けられてるから、とかじゃないみたい……。
 ほら、見た目金属質で作られた扉みたいだけど、こうやって触ると、なんだか押し返されるような感触がするよ。それに、なんだか少し暖かいような……」

 ドモンと名乗った少年の言葉にジェットが同じく扉に手を触れながら答える。

「ああ、どうやら、下の入り口と同じ自動ドアのようだが、こっちは何か不思議な力で守られてるようだな」

 ジェットの指先は確かに扉に触れていた。
 しかし、指先の皮膚には、集中しないと分らない程度に押し返されるような不思議な感触が伝わってきており、少年の言葉が真実だと告げていた。

「不思議な力?」

 少年の顔に疑問の色が浮かぶ。
 その顔を見下ろし、ジェットはゆっくりと説明するように語りだした。

「爆弾やら危険な物が参加者に支給されてるこの殺し合いじゃ、鍵を掛けた部屋なんて何の障害にもならないはずだ。それこそ紙切れと大差ない。
 それなのに、こうやって時間制限付で立ち入りを禁止している部屋を無理やりにでも作らなきゃいけないって事は、
 この部屋は参加者が持ち出すどんな兵器より強くなきゃいけないって事になるだろう。
 それこそ、一番最初にあの螺旋王とやらに向かっていた男が放った、あの光の攻撃にも耐えられるぐらい頑丈なのは絶対だ」

 そこで一呼吸置き、ジェットは扉から手を離し、その周囲の壁を見つめる。

「となるとだ、話はこの扉ばかりというわけじゃなくなってくるんだよ。
 荒っぽくなるが、扉が開かないなら、今度は周りの壁を壊せばいい、てな事を考える奴が必ず出てくる。
 そうなると、もう鍵だの何だのは意味が無い。その考えが出た時点で、扉だけを頑丈にすれば済む話じゃなくなっちまうのさ。
 だから、俺が思うに……」

「部屋一つ丸ごと、最初に螺旋王が使ったバリアーってので守られてるって事?」

「ま、そう考えるのが妥当だろうな。
 見たところ、扉は金属性でも、周りの壁は明らかにコンクリートだ。
 入り口が玄関の自動ドアと同じと見る限り、厚さも大して無い。ダイナマイト一つで穴ぐらいは簡単に開くだろう。
 て事はだ、本気で侵入者を拒みたいのなら、何か特殊な力で覆っちまうしか手が無いってわけだ。
 そして俺達は、一番最初にその特殊な力を見ている……」

 そこまで言って、ジェットは大きく息を吐き出した。
 そして、ただ漠然とこれからの事を考え始める。
321名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:30:50 ID:DqWok9XA
322螺旋博物館U ◆j3Nf.sG1lk :2007/11/22(木) 19:32:02 ID:wcdseFUK



(やはり、俺の予想通り各施設に何かがあるのは間違い無い。
 映画館、そしてこの螺旋博物館。
 訪れた二つが二つとも、こうやって参加者を足止めするような小細工が施されているって事は、他の施設も回れば何かしら出てくるって事だ。
 そしておそらく、その何らかは、確実に今の俺達のような殺し合いに乗っていない人間の為に用意されたものに違いない。
 なぜなら、本当に殺し合いで選び出されたたった一人を求めるのなら、こんな無駄とも取れる施設を用意する必要何て全く無いからだ。それもわざわざ地図に載せてまで……。
 俺が思うに、螺旋王が求めているのは、あからさまな力だけではない。
 この状況を打破する程の何か、そう、それが螺旋力と言う奴なのだろう。
 各施設の役目は、この状況の打破の為に用意された、いわばヒントだ。
 何故俺達は選ばれた?
 何故俺達はここにいる?
 俺達の役割は?
 そして、螺旋力とは何なのか、それをどうやって手に入れるのか?
 それらの疑問に答えを出す為のヒントが、点在する施設にあると、俺は考えている)



「クソッ!せめて中に何があるのかだけでも分ればな……」

 張り紙の上にはタイマーのような物があり、その予想される時刻から明日の正午まで扉は開かないと指している。
 現実に開かない以上、それを受け止め、出直してくるのが筋と言うものなのだろうが、
 ジェットは目の前にぶら下がったヒントを見過ごし、次の場所に向かうような余裕を持ち合わせているような男ではなかった。
 その為、何か無いかと漠然と周囲を見渡してしまう。
 何か、この閉ざされた部屋に関する、何でもいい、何かの痕跡を――

 すると、都合よくジェットの瞳が一つの物体を天井近くに捉えた。

「……まさか、もしかしたら!」
「え?なに?どうかしたの?」

 突然のジェットの行動に隣にいた少年が同じように視線を泳がす。
 そして、少年の目もそれを捉えた。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:32:08 ID:X6h7z9C7
 
324螺旋博物館U ◆j3Nf.sG1lk :2007/11/22(木) 19:33:58 ID:wcdseFUK

「あれ何?」

 少年の疑問の声を聞き、ジェットは嬉々とした表情で答える。
 ジェットが見つけたもの、それは、天井にぶら下がっている一台のカメラだった。

「防犯カメラだ」
「カメラって……、あの写真を取る奴でしょ、何であんなところに……」

 その一言でジェットが思い出す。
 自分とこの少年には、丁度140年もの時間の差があるということを。
 全く信じられないような話だが、少年は1930年代からこの場所に呼ばれたらしい。
 対してジェットは、2071年から召喚されていた。
 つまり、少年の頭の中には、20世紀後半に誕生した監視カメラという当たり前の知識その物がないのである。

「そうか、君の居た時代ではまだ監視カメラの類は発明されていなかったっけな。
 えーっと、映画は知ってるよな?確か1930年頃には既にあったはずだし……。
 あれは映画のように映像を記録することが出来る装置だ。
 ああやって、大事なものがある部屋の映像を常時撮り続ける事で、人の出入りを監視するんだ」

 流石に映画と言う言葉には思い当たる節があるのだろう。
 少年は納得したように頷いた。

 余談だが、少年にしてみれば10年程前の1920年頃に、映像だけのサイレント映画から音声と映像を合わせたトーキー映画に移り変わると言う時代の流れをリアルに見ているため、
 それを考えれば、目の前の物体が小型化された映像を記録する装置だと説明されても、何ら疑いようも無く頷けるのは当然と言えよう。
 そこまで発明が進めば、いずれ防犯の為に一般的にカメラが使われる日もそう遠くは無い。
 少年ことドモン、いやチェスという名の錬金術師は瞬時に考えていた。

「え、じゃあ、つまり……」
「あれを調べれば何か分かるかもしれないって事だ」

 ジェットはそう言うと、チェスの腕を取って歩き出した。
 目の前のカメラには目もくれず。

「って、あのカメラ調べるんじゃなかったの?」
「君の知ってる映画と違って、防犯カメラの類はカメラ自身に映像は記録されない。大抵はまとめて別の記録媒体に映像が放り込まれるんだ。そいつを見つける」

 そう言いながら、ジェットはどんどんと進んでいった。
 その迫力に押され、少年は再び生まれた疑問を喉の奥に押しやり、ジェットの後についていく。
 その瞳は、知的好奇心に絆された少年特有の輝きをもっていたのだが、ジェットも少年自身もまるで気づかなかった。 



 ◆ ◆ ◆


325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:34:25 ID:X6h7z9C7
 
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:35:01 ID:DqWok9XA
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:35:45 ID:tVLBffFM
 
328螺旋博物館U ◆j3Nf.sG1lk :2007/11/22(木) 19:36:02 ID:wcdseFUK

 結論だけ言えば、防犯カメラが記録した映像を保存する為の記録媒体が見つかる事は無かった。
 建物の隅々、それこそ通風孔から天井裏を覗くほど探したが何処にも無かったのである。

「……はぁ、疲労が溜まっただけってわけか」

 博物館の入り口の隣に据え付けられた受付まで戻り、ジェットの呟きが溜息と共にむなしく響かせた。
 その溜息には言葉以上にジェットの残念な想いが込められているようだった。

(ま、考えればそうだよな。
 マジックで横から覗いたら種が見えたなんて話しはマジシャンとして最低の失態だ。
 あれほど厳重に閉じられている事を考えると、防犯カメラぐらい手を回してるのは当然と言える。
 俺は何を焦っていたんだか――)

「ねェ、ジェットおじさん、大丈夫?」
「あ、ああ…」

 少年の呼びかけにより幾分心が落ち着き、ジェットは今一度活力を取り戻す為、再び大きく息を吐いた。

「すまない、ちょっと当てが外れたからって落ち込み過ぎだな。
 まだやれる事は沢山ある。次に行こう」

 ジェットはそう言いながら、支給されているディパックを背負いなおす。
 厳密に言えばこの施設は空振りだったわけじゃない。
 開かずの間という明らかに何かある部屋を見つけることが出来たのだ。
 それを考えれば、防犯カメラでの失敗の一つや二つ――。

(って、待てよ。
 何で防犯カメラが設置されているんだ?
 最初から施設内に記録媒体を置いて無いんだったら、わざわざ防犯カメラその物を設置する必要が無いだろう)

 瞬間的に頭を過ぎった防犯カメラと言う存在。
 それがジェットの思考に引っかかった。

(博物館という建物の雰囲気作りの為に設置してるなら、防犯カメラがあるのは確かに必然だ。
 しかし、それならただのイミテーションでいいはずだ。本当に稼動させる必要は無い。
 カメラが稼動している理由、それは――)
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:36:36 ID:qpJuNpay
a
330名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:36:48 ID:DqWok9XA
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:36:54 ID:X6h7z9C7
 
332螺旋博物館U ◆j3Nf.sG1lk :2007/11/22(木) 19:38:03 ID:wcdseFUK

「うん、そうだね、わかったよ。
 それにしても、文明って発達するんだね。
 僕、あんな機械が未来に誕生するかと思うとわくわくするよ」

 少年の声を左から右へと聞き流しながら、ジェットはハッとなって頭上に煌めく入り口と受付を撮影してるであろう防犯カメラを見据える。
 その眼差しは、一瞬にして鋭く険しいものへと変わった。

「ドモン君、直ぐにここを離れるぞ」
「え?」

 突然の一言に少年の表情が固まる。
 何を言われたのか分らないような表情だ。

「俺は馬鹿だ。
 螺旋王がこのサバイバルゲームを実験と言っている以上、何らかの方法で俺達は監視されているって事は直ぐに気づけたはずなのに、その事を単純に失念していた」

「それって、もしかして……」

「ああ、俺達は常に監視されてる可能性がある。
 建物の監視カメラがそのまま俺達を監視する為の道具だとは思わないが、利用されている可能性は十分にあるんだ。
 外に出れば監視から外れるとは到底思えないが、こうあからさまに見られてるのは気分のいいものじゃない。
 姿だけじゃなく、もしかしたら音声だって盗聴されている可能性もあるからな」

 その言葉に、少年の瞳も頭上のカメラを捉えた。
 その眼差しは、カメラの向こう側でこちらを見ているかもしれない者に対して怯えているようだった。

「本当ならカメラを回収して調べたいところだが、調べようとした瞬間首輪を爆発させられたら堪らん。まだ情報が少なすぎる。
 今は当初の予定通り他の施設を回りながら、参加者と接触し、情報集めに専念しようと思う」

 そう言いながら、ジェットは外に向かって歩き出した。
 その後を追いながら、少年が聞く。

「う、うん、わかったよ。それで、次は何処へ?」

 後ろから聞こえた震えるような声に反応し、ジェットは振り返りながら答える。

「本当なら図書館や警察署に向かいたいところだが、その道は今朝の爆発を引き起こした危険な奴がまだ居る可能性もある。
 だから、次はここから一番近い地図に書かれた施設に向かう。つまりゴミ処分場だ」



 そうして、大男と少年は博物館を出て歩き出した。
 これから自分達を待っているであろう現実なんて、勿論知るよし無く……。




333名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:39:39 ID:X6h7z9C7
 
334螺旋博物館U ◆j3Nf.sG1lk :2007/11/22(木) 19:39:42 ID:wcdseFUK

【D-4/博物館前/1日目-午前】

【チェスワフ・メイエル@BACCANO バッカーノ!】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:デイバック、支給品一式、アゾット剣@Fate/stay night
     薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等)
 [思考]
  基本:最後の一人になる。または、何らかの方法で脱出する
  1:ジェットと同行し、彼に守ってもらう
  2:ゲームのクリア、または脱出に役立ちそうな人間と接触し利用する
  3:不死者かもしれない人物を警戒(アイザック、ミリア、ジャグジー)
  4:未知の不死者がいないか警戒(初対面の相手には偽名を名乗る)
  5:ゲームに乗った人間はなるだけ放っておく

 [備考]
  ※なつき、ジェットにはドモン・カッシュと名乗っています
  ※不死者に対する制限(致命傷を負ったら絶命する)には気付いていません
  ※チェスが目撃したのはシモンの死に泣く舞衣のみ。ウルフウッドの姿は確認していません
  ※ジェットと情報交換をし、カウボーイビバップの世界の知識をある程度得ました
  ※監視、盗聴されている可能性を教えられました。
  ※無意識の内に急激に進化する文明の利器に惹かれつつあります。



【ジェット・ブラック@カウボーイビバップ】
 [状態]:健康
 [装備]:コルトガバメント(残弾:6/7発)
 [道具]:デイバック、支給品一式(ランダムアイテム0〜1つ 本人確認済み)
     テッカマンブレードのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
     アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION
 [思考]
  基本:情報を集め、この場から脱出する
  1:情報を集めるために各施設を訪れる。とりあえず次はゴミ処分場。
  2:ドモン(チェス)を保護
  3:出会えればティアナを保護
  4:謎の爆弾魔(ニコラス)を警戒
  5:仲間(スパイク、エド)が心配
  6:明日の正午以降に博物館に戻ってくる

 [備考]
  ※テッカマンのことをパワードスーツだと思い込んでいます
  ※ティアナについては、名前を聞き出したのみ。その他プロフィールについては知りません
  ※チェスと情報交換をしました
  ※監視、盗聴されている可能性に気づきました。しかし、それは何処にでもその可能性があると考えているだけで、首輪に盗聴器があるという考えには至っていません。



【螺旋博物館】
 その名の通り螺旋に関するものを展示している博物館。
 常設展示用の部屋は3つあり、それぞれ、
 「どうぐにもなる螺旋!〜おとこのロマンだ〜」「きみのなかの螺旋!〜じんたいのふしぎ〜」「うちゅうのなかの螺旋!〜すごくでかいぞ〜」
 と題して展示物が並んでいる。
 二階には特別展示用の部屋があり、そこは二日目の正午まで開かず、中に何があるのかも不明。(螺旋力によるバリアーで完全防護されている模様)
 入るには螺旋に関するものが必要らしいが……?
 館内には監視カメラが設置され稼動しているが、それが、防犯の為なのか参加者を監視する為なのかは、今のところ不明。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:41:27 ID:wcdseFUK
 
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 19:43:51 ID:Njl5R22M
>>317-

アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ1
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1195728156/

したらばの方
仰られていた通りに移動先作りましたのでそちらに移動してください
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 20:06:50 ID:CnYJFXic
お前一人で出てけ
338崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:31:05 ID:rparoU/e
   弐/1――

 舗装された道路、罅割れたコンクリート、倒壊した家屋、血痕。
 文明も生活環境もごちゃ混ぜになった街で、リザ・ホークアイとパズーの二人は争いの痕跡を辿った。

「誰が争っていたかはわからないけれど、どうやらここにはもう誰も残っていないようね」

 と、銃を構えたリザが、短剣片手に周囲を目配りするパズーに。

「家が一軒、丸ごとぺしゃんこになってる。こんなの、大砲でも使わなきゃ無理だよ」

 と、短剣を構えたパズーが、銃片手に周囲を目配りするリザに。
 互いに背中合わせで告げ合い、しばらくして警戒の糸は途切れた。

 Dボゥイと小早川ゆたかの二人組と別れた後、リザたちはそのまま北上し、この現場に行き着いた。
 おそらくは数時間前、この地で戦闘が行われていたのだろう。
 路上には血の跡が溜りを作っており、検察して見るとまだそう時間は経っていなかった。
 近くで崩れ落ちていた家屋の様子を見るに、ただの殴り合いや銃撃戦ではない。
 国家錬金術師クラスの異能者による戦闘か、それに匹敵する兵器を用いた戦闘であったと、軍人であるリザは推測した。
 そして気になったのは、道路上にポツンと放置されていた、赤い車。
 フロントガラスが破壊されており、車体にもところどころ歪みがあったが、エンジンはまだ動いている。
 使えなくなったから乗り捨てられた、というわけではない。
 走行中に襲撃され、応戦するために飛び出し、そのままどこかへ……といった具合だろう。

「すごく派手な車だなぁ〜。僕のいた町じゃ、こんなの見たことないよ」
「搭載されている装備から考えて……火災時などにそのまま対応できる、消火用の車みたいね」

 パズーが住んでいたスラッグ渓谷にも、リザが暮らしていたアメストリスにも、消防車なるものは世に出回っていなかった。
 が、その根底は車だ。ハンドルとペダルの配置や差しっ放しキーから鑑みるに、運転方法はそう変わらないだろう。
 リザには運転の心得がある。運転席に座りハンドルの感触を確かめるが、やはりいけそうだ。
 そんなリザの様子を見て、パズーはしかめっ面をする。

「おねえさん、その車どうするつもりさ?」
「そうね……警察署に向かうための足にしてもいいし、いざというときは車体全体を盾にすることもできるわ。
 持ち主が戻ってくる気配はないし、このまま拝借して――」
「ちょっと待ってよ! それって泥棒じゃないか!」

 整然とした態度で語ったところを怒鳴られて、リザはやや驚いた後、冷ややかな視線でパズーを見やった。

「パズー、今は非常時なのよ? 確かに窃盗は罪だけれど、生きるか死ぬかというときに、そんな些事には構っていられない」
「それは……そうだけどさ」
「それにあなた……ここに来る前は、仮にとはいえ空賊とやらの手伝いをしていたそうね。そのことについては?」
「うっ」

 リザの現実を見据えた反論にあてられて、パズーは口を噤んだ。
 空賊――山賊が山を根城に強盗を働くのと同様に、空を根城にする盗賊がいるという、嘘みたいな現実をリザは先刻知った。

 『ねぇおねえさん。ちょっと遅いけど、朝ごはんにしない?』
 『は? この一刻も争うときになにを悠長な……』
 『でも、食べるもの食べなきゃいざってとき困るよ? それに実は僕、ずっとおなかぺこぺこだったんだ』
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:32:43 ID:DqWok9XA
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:33:09 ID:UVM1PEYm
 
341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:33:12 ID:GbUag5ia
支援
342崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:33:35 ID:rparoU/e
 発端は、Dボゥイたちと別れた直後のこの会話だった。
 人気のない民家にお邪魔し、リザとパズーはそこで一旦、小休止として朝食を取った。
 その際、リザはパズーからシータたちのさらに詳細な情報を聞き、その延長として、彼の世界の『空』についても聞かされたのだ。
 アメストリスでも実用化には至っていない空の航行方法――飛行船。パズーの住まう国では、それが確立されているというのだ。
 しかも話は飛行船だけに留まらず、シータやムスカを交えた争いの発端……ラピュタという『天空に浮かぶ城』まで出てきたから驚きだ。
 いや、これはもはや驚きを超越して、疑ってかかるべき御伽話のようにも思えた。
 城というからには、かなりの質量を持っているはず。それが宙に浮かぶなど、どのような方法を用いればいいのか検討もつかない。
 論理や法則を知らない一般人からは魔法のように捉えられる錬金術でも、それは不可能なことなのだろう。
 でなければ、アメストリスでも飛行船くらいならとっくに実用化している。
 動力はいったいなんなのか? そもそもパズーの住まう国には錬金術が存在しないとか。しかし科学は発展していて……
 と、話に花を咲かせるうちに、ほんの小休止が、予定よりも長い足踏みになってしまった。
 パズーの齎した情報は決して無益なものではなかったが、今はなにより、銃器の調達が先だ。ラピュタの謎など後回しで構わない。
 しかし、シータという少女に興味が湧いたのも事実。パズーが、どれだけシータを気にかけているのかも。

 『約束したんだ。シータを連れて行くって。こんなところで死なせたりなんかしない。するもんか』

 少年らしからぬ使命感に燃えた瞳はどこか――リザが慕うある野心家のものに似ていた。
 だからなのかもしれない。気が付けばパズーに肩入れし、シータを保護しようという考えさえ生まれ、二人とも死なせたくないと願う自分がいた。
 同時に、思う。時期を早くして死亡の報告がなされてしまったエドワード・エルリック、その弟、アルフォンス・エルリック、
 同僚であり故郷に妻子を残してきたマース・ヒューズ、そしてロイ・マスタング。
 彼らもまた、死なせたくはない人間たちだ。
 リザが仲間に対し抱くそれと同じように、パズーもまた、シータやドーラに対する心配を募らせているのだろう。
 ましてや、パズーはまだ子供だ。不安を看破できるほど精神が研磨されているとは思いがたい。
 国家錬金術師に軍人にほぼ不死であると言っても過言ではない鎧。それらと儚い少女を比較しても、安心でいられるはずなどないのだ。

「……まぁ、慣れないものに触るのはよくないわね。これの所有者が取りに戻ってくる可能性もあるし。早々に切り上げましょう」

 屈託なく微笑んで、リザは消防車から身を降ろした。
 その、直後。
 二人の下に、静寂を突き破る爆音が轟いた。

「今の爆発音は……橋の向こう?」
「見て、おねえさん。煙が上がってる。誰かがあそこで戦ってるんだ」

 襲撃者どころか通行人もろくにいない、寂寞とした道路に訪れた、突然の騒音だった。
 見ると、西の方角に煙が濛々と立ち上る光景があった。
 普段なら火災の一言で済ます惨事だったが、現状を考えれば、あれが自然災害や事故であるはずもなく。
 つまりは、何者かによる放火、それもなんらかの爆発物かそれに準じる兵器を用いた可能性が高い。

「行こう、おねえさん。ひょっとしたら、シータが巻き込まれてるかもしれない」
「……いえ。この川沿いに北上し、迂回して警察署に急ぎましょう」

 リザは淡白に、パズーの提案を制した。
 至って冷静な顔つきで焦り顔の少年を宥め、煙の立ち上る方角に背を向ける。

「どうして! あそこで何かが起こってるのは間違いないんだ。誰かが危険な目に遭ってるのも!
 それがもしかしたらシータかもしれないし、おねえさんの知り合いだって可能性もある!」
「私たちの目的は敵の殲滅でも、弱者の救護でもない。そもそも、私たちはそれを可能にするだけの戦力を持ち合わせていない。
 今は自分たちの身の周りを固めることが最優先よ」
「そんなの屁理屈だ! シータが誰かに襲われてからじゃ遅いんだよ!」

 徹底したリアリストを貫くリザに、まだ幼いパズーは反発するしかなかった。
 パズーとシータの繋がりがどれだけ強固なものかは、皮肉にも先ほど、共感を覚えるほどに知ってしまった。
 仲間のために命を懸ける、自ら死地に飛び込む、これらの行動は若さだけで片付けられるものではない。
 単なる命知らずではなく、『死なないという覚悟』があるからこそ、冒険ができる。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:33:43 ID:DqWok9XA
344崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:34:42 ID:rparoU/e
「……たしかに、私の言葉は臆病者の戯言かもしれない。でも、子供のあなたをみすみす死にに行かせるわけには」
「どうしてそんなに難しく考えるのさ!? 困っている人がいたら助ける、悪い奴がいたらやっつける、敵わないようなら逃げる!
 そんなの、当たり前のことじゃないか! やりもしないうちから諦めるなんて、そんなの間違ってるよ!」

 理路整然とした論理で武装しても、パズーはことごとくそれを剥がしてしまう。
 正義の代弁者でもなく、職務に準じる執行官というわけでもなく、パズーは人間として、目の前の惨事を見過ごせなかった。
 その若すぎる勇気にリザは感銘を受け、それでもパズーの主張を肯定することができない。
 縁も薄い赤の他人。ただ行き先が同じだっただけ。いずれは別れるつもりだった。なのに、リザはパズーを死なせたくないと思った。
 いつの間にか、こんなにも肩入れしてしまっていた。おばさんなどと、数々の失言を浴びせられたこの少年に。

(どうして、私の周りにいる男性は、こうも無謀な挑戦が好きなのかしら)

 思い、冷笑した。
 その後、パズーとリザの討論は数十分にも及んだ。その末に、

「荷物を」
「え?」
「私の荷物を、あなたのデイパックに移させてもらうわ。穴が空いた荷物を持ち歩いていては、いざというとき対応が遅れるから」
「おば……おねえさん、ッデェ!?」

 リザはパズーの熱意についに折れ、西への進路を検討した。たび重なる失言への制裁は、しっかり忘れずに。
 この、勇ましくも失礼極まりない少年を、慈愛に満ちた彼女は突き放すことができなかったのだ。
 荷物をパズーのデイパックに移す傍ら、リザはなおも騒動の続く西の方角を見やり、息を飲む。
 23本のダーツ、一振りの短剣、残弾3発の銃……これらの心許ない手持ちで、どうにかなればいいのだが。

(待っているのは重火器で武装した凶悪犯か、それとも……いえ、争いは避けるべきよね。まったく)

 これからやろうとしていることは、破壊者の検挙ではない。状況の確認と、襲われている者の救護だ。
 必ずしも戦う必要はない。うまく立ち回ることができれば、誰も傷つけずに場を収拾できるはずだ。
 ――と、そのときのリザはパズーに感化されたのか、軍人に相応しくない希望的観測を胸に抱いていた。
 その背後を、一つの影が追跡していたとも知らずに。


 ◇ ◇ ◇


   壱/1――

 男が三人、街中で小躍りする。
 鋼の装甲を鎧った女が一人、三人の男を躍らせる。
 阿鼻叫喚の宴は、咳き込むほどの粉塵と猛火の熱気に彩られ、さらに加速する。

「おいおいマジやべぇマジやべぇって。なんなのアイツ? なんなんだよオイ!」
「いやぁ〜、厄介なのに目を付けられちゃったねぇ。とりあえずどうする? 逃げる? 戦う?」
「ブッ殺す! ツラ拝まないことにゃどんな奴かもわからないが、あいつは今こう思ってるはずだ。こんな強力な兵器を持ってる俺は――」
「僕としては、安全を確保できればそれでいいんだけどなぁ。相手も無差別になってきてるし、このままじゃここら一帯火の海だね」
「聞けよ! で、問題はどうやってあいつをブッ殺すかだ。さすがの俺もあんなのとは戦り合ったことがねぇ!」
「逃げるにしても隠れるにしても、このまま町を無差別に破壊され続けたら、巻き込まれることは必至だ」
「いや、だからあいつをブッ殺せばそれで済むじゃねぇか! こちとらあのジジイのせいで鬱憤が溜まってんだ。揚げ足取るんじゃねぇよ!」
「ひゃあ顔近い! あと首に手かけるのやめて! ボク死んじゃう!」
「ああもう、あんたら少し静かにしてくれ! 声が聞こえない!」
345名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:34:44 ID:DqWok9XA
346名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:35:44 ID:UVM1PEYm
 
347名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:35:55 ID:GbUag5ia

348名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:36:12 ID:DqWok9XA
349名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:37:40 ID:UVM1PEYm
 
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:37:44 ID:GbUag5ia

351崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:37:48 ID:rparoU/e
 ブリタニア軍に属する技術者、ロイド・アスプルンド。
 マフィア崩れ、ラッド・ルッソ。
 魔術師の少年、衛宮士郎。
 数分前、ロボットにも似た謎の鎧人間に襲われた彼らは、ろくに自己紹介も終えぬまま、追われる身の上を共通項として一軒の民家に逃げ込んだ。
 家の外では、今でもロボットが三人を探し回っている。圧倒的な火力を用いての、市街破壊という方法で。
 このまま潜んでいても、いずれは家ごと抹消されてしまうだろう。そこで、素性も知らぬ三者は一時的に手を取り合った。
 選択肢は二つ。外敵であるロボットを無力化するか、被害の届かぬ場所まで逃げ切るか。
 ラッドは前者、ロイドは後者の選択肢を推したが、どちらも難しく、マイペースな態度とは裏腹に絶望感すら漂いつつあった。
 そんな中、士郎は一人指もとのリングにぶつぶつとなにかを呟きかけ、ロイドとラッドの論争を邪魔とさえ言い出した。

「おいおい兄ちゃん、早くも現実逃避か? 死ぬ覚悟を決めたっつっても、男の子ならせめて派手に散ろうぜ!?」
「そんなつもりは毛頭ない。それと、一応俺はあんたに賛成だ。あんな危険な奴、野放しにしておくわけにはいかないからな」
「士郎くんって言ったね? ずいぶんと勇ましいことを言うけど、なにか策でもあるのかい?」
「……ない。けど、俺たち三人と『こいつ』で協力すれば、どうにかできるかもしれない。だから二人とも、俺に力を貸してほしい」

 そう言って、士郎は指に嵌めたリングを翳した。

「こいつ? その指輪が勝利の鍵だとでも言うのかい? 魔術礼装とか、興味深いことを言っていたけど……」
『Ja』
「のぅわぁ!?」

 ロイドが士郎の嵌めた指輪を小突くと、そこから機械的な音声が聞こえてきた。
 大袈裟に驚き仰け反るロイドを尻目に、士郎は先刻知った指輪の正体を説明する。

「こいつの名前はクラールヴィント。シャマルって人の相棒で、厳密に言うと魔術礼装じゃなくてアームドデバイスってものらしい」
「なんなのよ、その魔術とかアームドなんとかってのは。ロボットが出てくるSF展開かと思えば、今度はオカルトか?」
「むむむむむ! いやぁ、ますます興味深い! ぜひ分解……じゃなくて、お話を聞きたいなぁ。自立思考システムでも搭載されているのかい?」

 指輪が喋るという、時代的にも技術的にも不可思議な現象を目の当たりにして、しかし二人の反応は楽観的だった。
 もっとも、人型の機動兵器に追われている現状を鑑みれば、今さら喋る指輪ごとき驚くほどのものでもないが。
 技術者としての欲望全開で士郎に縋るロイドだったが、本人はそれを振り払い、真面目な顔で話を続ける。

「今はお互い、暢気に身の上話をしていられる状況じゃない。あのロボットをなんとかするほうが先決だ」
「それはそうだけど、その指輪が役に立つっていうのかい?」
「ああ。こいつは俺の力になってくれるって言ってる。でも俺たちの力だけじゃ、あいつは止められない。だから――」
「俺たちに手を貸せって? 殺し合いの会場で出会ったばかりの俺たちに、背中を預けろって?
 おまえ、ちょっと平和ボケしすぎなんじゃねぇの? 頭イカれてる? それとも、俺は死ぬはずないとでも思ってんのか?」
「んなわけあるか! これは、生き残るための提案だ! 俺は玖我を助けに戻らなきゃいけない……だけど、ここで逃げることもできない!
 無理強いはしないさ……俺だって、あんなのを止められる自信はないんだ。でもな、ここで退くわけにはいかないんだよ!」

 士郎の言葉は勇敢を越えて、もはや無謀とも言える域だった。
 勝算はない。だが逃げない。少しでも勝算を上げるため、赤の他人に協力を求める。まるで馬鹿な思考だ。
 が、ロイドは気付いていた。彼をそうまでして無謀に近づけさせるものの正体……それが、衛宮士郎という人間が持つ強い正義感だということを。
 彼とは違う。だが根底に鎮座する抗いようのない意思は、死んでしまった彼、枢木スザクのものとまったく同じだ。
 あるいは、その意志に共感と懐かしさを覚えたのかもしれない。
 そしてラッドも、士郎の発言を無碍に扱ったりはしなかった。言葉よりもまず、その確固たる意志の灯った目に感嘆した。
 緩みきった目ではない。この地で最初に出会った高嶺清麿のものよりも、遥かに崇高な眼差し――死ぬ覚悟を決めた目。
 自分がいつ死ぬともわからない、安心などありはしない、それを自覚してなお、困難に牙をむく。
 ラッドが忌み嫌うタイプとは、明らかに正反対な人間。だからかもしれない。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:38:58 ID:DqWok9XA
353崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:39:37 ID:rparoU/e
「ククク……ヒャーハッハァ! こいつぁおもしれぇ。とんだ馬鹿野郎がいたもんだ」
「笑いたきゃ笑えよ。俺は一人でもあいつを止めるから」
「待てよ。誰も協力しないとは言ってねぇ。俺もああいう輩は虫が好かなくてね。ブッ殺すってんなら協力するぜ?」
「まぁ、殺すかどうかはともかくとして、止められるなら確かに止めたいね。このままじゃ被害が増すばかりだ」

 士郎の正義馬鹿ぶりに爆笑するラッドと、含み笑いを浮かべながら携帯電話を弄るロイド。
 おちょくられている気分でもあったが、二人の言動には、士郎に対する一応の同調が見られた。
 と、そんなときだ。ロイドの操作する携帯電話から、突如『ラセーン』という珍妙な機械音が響き、他二名の視線が集まる。

「……ああ、なるほど。タイミングからしてもしやと思ったけど……あの機動兵器の操縦者がわかったよ」
「な、なんだって!?」

 思わぬ発言に瞠目する士郎と、「すげぇなオイ。で、どんな奴なんだ?」と血走った目を輝かせるラッド。
 二者を前にして、ロイドはやや冷淡な口調でこう告げた。

「……彼女の名前は鴇羽舞衣。なんてことはない、ちょっと顔が怖いだけの女の子だよ」


 ◇ ◇ ◇


   参/1――

 カチリ……、カチリ……、カチリ……と、等しく時間を刻み続ける時計の針の音。
 それがまるで時限爆弾のカウントダウンのよう。
 まるでそんな風に、身体を振るわせるゆたかの耳にそれは届いていた――。

 その微音の波を、轟然とした爆発音が突き破る。

「っ!? な、なに?」

 Dボゥイとともに訪れた、人気のない静謐な病院。その産婦人科病室内で、小早川ゆたかは轟音を耳にした。
 壁際を見やると、外の風景を映し出す小窓が僅かに空いている。おそるおそる覗いてみると、外はもう完全に明るかった。
 が、その視線の最奥で――コンクリート色に広がる淡白な市街が、濛々とした煙に包まれているのが見えた。

「誰かが……してる、の?」

 殺し合い、とは口に出せなかった。
 街を焼き、数十メートルは離れているであろうこの病院に届くほどの音を掻き鳴らして、誰かと誰かが争っている。
 本能的に導き出した答えと向き合い、しかしすぐに顔を背ける。目をギュッと瞑り、残酷な現実から逃避した。
 怖い。ただ恐れの感情だけを胸に抱きしめて、ゆたかはその場に蹲った。

「――ゆたか!」

 そのときだった。ゆたかと同じく異変を聞きつけ舞い戻ってきたDボゥイが、脇目も振らず421号室の門を掻い潜る。
 仲間の帰還に安堵したゆたかは、目尻に涙を溜めながら、助けを請うようにその身に縋った。

「Dボゥイさん、あの、すぐ近くで爆発が……」
「ああ、俺も聞いた」

 ゆたかとDボゥイの二人は、改めて窓の外を注視する。立ち上る煙の量は、初見のそれより遥かに拡大していた。
 そしてまた、爆音が一回、鳴り響く。ゆたかは反射的にDボゥイの身にしがみ付くが、今は気恥ずかしさを感じる余裕もない。
354名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:39:47 ID:UVM1PEYm
 
355名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:40:44 ID:d6XnAJKw
   
356崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:40:51 ID:rparoU/e
「どんな兵器を支給されたかはしらないが、あの破壊は異常だ。少し探ってくる。君はここで待っていてくれ」
「えっ!?」

 Dボゥイの発言を聞き、ゆたかは明らかに狼狽する。

「あ、あの! わたしも……わたしも行きます!」

 そして気付くと、無謀極まりない言葉を口走っていた。
 当然、Dボゥイは顔を顰め、これに反論する。

「今度ばかりは、君を守れるという保障がない。いや、素直に自信と言ってもいい。
 あの破壊は、恐らくは人の手によるものではないだろう。それこそラダムのような、人智外の輩が暴れ回っているかもしれない」
「な、なら、Dボゥイさんも一緒にここで大人しくしてれば……」
「いや、駄目だ。あの規模の戦闘が続けば、いずれはこの病院にも被害が及ぶかもしれない。
 万が一の場合すぐに逃げ出せるよう、状況は把握しておくべきだ」

 そう断言すると、Dボゥイは踵を返し病室の出入り口へと向かう。
 遠ざかっていく大きな背中を見て、ゆたかはたまらずそれを抱き止めた。

「ゆたか?」
「……」

 少女に無言のまましがみ付かれ、Dボゥイはやむをえず足を止める。
 背中越しに伝わる少女の体温は仄かに暖かく、そして震えていた。
 脆弱な小動物のように微動し続けるゆたかを見て、Dボゥイは考えを改める。

「……すまなかった」
「ふぇ?」

 唐突に謝られて、ゆたかは情けない声を漏らして返す。

「一緒に行こう。ただし、君はどんなことがあっても俺から離れるな。絶対にだ」
「は、はい!」

 市街での戦闘に、ラダムと同等の外道が、あるいは宿敵である愚弟が関与している予感に駆られ、失念していた。
 すぐ傍で震えている、守るべき存在。アキやミリィとは生まれも境遇も違う、弱すぎ少女のことを。
 ブレードの力を失った今、爆心地に少女を連れて潜入するのは危険かもしれない。
 もし敵がラダム獣やテッカマンと同等の力を保持していたとして、現状のDボゥイではゆたかを守りきれはしないだろう。
 だが、少女にとっては危険よりもまず、Dボゥイとの別離がなによりの恐怖と成り得た。
 それを知り、Dボゥイは少女とともに行く。そこに、なにが待っているかも知らず。
 騒動により放置された病室には、口の付けられていないお茶が二組だけ残された。


 ◇ ◇ ◇

357名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:41:27 ID:UVM1PEYm
 
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:42:24 ID:GbUag5ia

359崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:42:25 ID:rparoU/e
   弐/2――

 猛火に包まれた被災地を、鋼鉄の少女が練り歩く。
 ポイントにして、C-6地区。あの飄々としたアホ面を闇雲に追撃しているうちに、こんなところまでやって来てしまった。
 後方、まだ戦火の残る街々を眺め、少女は陶酔する。素晴らしき炎、輝かしき燃焼、破壊。
 カグツチもエレメントもなしに、これらをやってのけた力……落手した力の壮大さに、鴇羽舞衣は歓喜した。

「すごい……すごいよコレ! これならもうなにも心配いらない……やれる、やれるやれる!」

 自身を覆う鋼をマジマジと眺め、歴戦の愚かな兵士たちと同じように、舞衣は兵器の齎す力に酔い、溺れた。
 鉄砲から始まり、核兵器に至るまで。人間という生き物は、己が欲望のままに兵器を生み出し、破滅の道を歩んできた。
 どんな世も変わらない。絶対的な力が持つ魅力は、人の心を狂わせる。舞衣のような力を求める者にとっては、なおさらのことだった。

「それにしても、あいつらどこに行ったのよ? まさか逃げられた? それとも、街ごと壊しちゃったかしら?」

 これより北の街々は、無造作に乱発したフェルミオン砲によってほぼ廃墟と化している。
 規模が規模だ。追っていた男たちが戦火に巻き込まれ、とっくに死んでいる可能性は十分に考えられた。

「そうだとしたら、おかしいったらないわね。でも、そんなんで死なれたら困るのよ……」

 表情を窺わせぬ鉄仮面の裏で、舞衣は妖艶に微笑んだ。
 激しい憎悪と、奪うことに対する快楽を求めて、進路を再び北に取る。

「そうよ……私は奪う側に回った……力も手に入れた……味わわせてやるのよ……あいつらに……奪われる苦しみを」

 スーツ越しから、抑えきれないほどの殺意が滲み出る。
 これまでの波乱万丈にして幸薄い半生を恨みながら、北へ、北へ、不気味にローラーを滑らせる。
 焦る衝動を抑え、まだ戦火の広がっていない地区を中心に、獲物を捜す。
 そして、とある十字路に差し掛かったとき、

「!」

 標的は、曲がり角の向こうから姿を現した。
 舞衣は熱源を察知したことにより走行をやめ、次にその全姿を確認して、動きを止めた。
 曲がり角の奥から現れた人物は、白衣に身を包んだロイド・アスプルンドでも、彼と一緒にいた二人の男でもなく。
 薄汚れた帽子を被り、作業着のようなズボンを穿いた――巧海やシモンと同年代くらいの――少年だったのだ。

「なぁアンタ、シータって女の子を知らないか!?」

 舞衣の異様な姿に若干驚きつつも、その少年――パズーは、常の元気さを装い声をかけてきた。
 対して舞衣は、返事を返すことができない。脳内で巧海の消滅、シモンの失血死、自分が殺した少年の残滓が蘇り、困惑する。

(また――弟と同じくらいの男の子が死ぬ。違う。殺す)

 似ている箇所など一点もない。なのになぜか、巧海やシモンの面影が、目の前のパズーに合致していく。
 カメラ越しの映像が、潤んだ瞳のせいか歪んで見えた。

「パズーくん! そいつから離れなさい!」
「――ッ!」

 数秒、動きを止めていると、パズーに続いて青い軍服を着た女性が飛び出してきた。
 その手には銃を持ち、ソルテッカマンの装甲に纏われた舞衣を見て、明らかな敵意を飛ばしている。
 反射的に、動いた。右腕のライフルを展開し、銃口を目の前の二人に向ける。
 ターゲットは二つ。僅かに揺れるレーザーライフルの照準は、パズーのほうに向けられ、
 光の一閃が、放射された。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:42:28 ID:DqWok9XA
361名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:42:31 ID:tVLBffFM
    
362名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:43:39 ID:d6XnAJKw
      
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:43:41 ID:DqWok9XA
364崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:43:49 ID:rparoU/e
「え――」

 それは少年の脇腹辺りに命中し、貫通する。
 本来ならばラダム獣をも粉砕する光線の一撃は、此度の実験仕様に改造されていたため、肉体を完璧に破壊するほどではなかった。
 だが、傍から見ればあまりにも鮮烈で、十分すぎるほどの殺傷でもあった。
 光線に射抜かれたパズーの体は、ゆっくりと仰向けに倒れていく。

「パズゥゥゥゥゥ!!」

 リザは絶叫とともにその身を抱え、反撃としてM500ハンターの弾丸を三発、惜しむことなく放つ。
 対象はもちろん、パズーを攻撃したソルテッカマンである。
 三発の銃弾はソルテッカマンの右足へと命中。操縦者である舞衣はバランスを崩し、その場に転倒した。
 その間、リザは追撃をかけることはせず、負傷したパズーの身を抱え退却する。
 ただのきぐるみとは勝手が違うこともあってか、舞衣はなかなか起き上がれず、リザとパズーの二人は無事にその場を逃げ果せた。

 しばらくして、舞衣はソルテッカマンの重量維持の難しさを噛み締めながらも、どうにか立ち上がった。
 軍服の女と少年の姿は、もうどこにもない。追撃するにしても、どの方角を目指せばいいのかわからなかった。
 いや、それよりもまず。立ち上がった舞衣の胸中にはなぜか、あの二人を追おうという気持ちが湧いてこなかった。

「……これで、四人目。私が殺したのは、二人目」

 か細い声で言い漏らし、しばしの間立ち尽くす。
 前方の路上、灰色のコンクリートの上には、微かに黒ずんだ血痕が残されていた。
 量からしてかなりものである。シモンの流したそれよりは少ないが、十分な致死量に思えた。

「どうしてかな……どうして私、落ち込んでるんだろう」

 あの二人の関係がどういったものかはわからない。
 だが確かな結果として、舞衣はあの金髪の女性から、少年という大切な存在を奪った。
 求め、願い、掴み取った結果であるはずなのに……どういうわけか、達成感は欠片もなかった。
 それどころか、虚しげな寂寥感すら覚える。認めたくはないが、少し、悲しくなった。
 あれが少年ではなかったら、巧海やシモンに重ねようがない、老人や女性だったら違ったのだろうか。
 自問しても、答えは見えてこない。

「…………」

 空に問いかけることも虚しくなって、またしばらく、舞衣は無言で佇んだ。
 誰かから、大切ななにかを奪う――自分がこれまでに受けてきた不幸に対する仕返しとして選んだ道が、霞む。
 殺意が霧散し、どうでもよくなってきた。
 やっぱり、自分はあそこで死んでおくべきだったのではないだろうか。
 そんなことさえ、考え出し――

「――よぉ子猫ちゃん。空なんか眺めてどうした? 休憩だってんなら付き合うぜ。いっちょ踊ってくれや」

 銃を構えた白スーツの男の来訪により、また殺意は蘇った。


 ◇ ◇ ◇

365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:44:18 ID:UVM1PEYm
 
366名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:44:44 ID:GbUag5ia

367名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:45:11 ID:Z6db3XAr

368崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:45:14 ID:rparoU/e
   壱/2――

『……彼女の名前は鴇羽舞衣。なんてことはない、ちょっと顔が怖いだけの女の子だよ』

 なんでさ。
 誰に語りかけるでもなく、士郎はロイドの宣告に対し、心中でそう呟いた。

(鴇羽舞衣……それが、あのロボットみたいなのを動かして、街を破壊していた奴の名前。なんで)

 士郎が指に嵌めているリング、クラールヴィントは、元はロイドが学校で舞衣から没収した支給品だ。
 ロイドは、『支給品の正式名称を入力することで、支給主の現在地を特定する携帯電話』を用いることにより、
 クラールヴィントの本来の支給主――鴇羽舞衣がどこにいるのかを割り出した。
 その結果、戦場となっているC-6地区付近を高速で周旋している彼女こそ、彼らを襲ったロボットの正体であると判明した。
 敵は優勝に目が眩んだ快楽殺人者でも、支給品の威力に溺れ暴れまわる大馬鹿者でもなく――

(なんでそれが……よりもよって、玖我の知り合いの鴇羽なんだよ!)

 ――ただの、女子高生だったのだ。
 情報によれば、彼女も玖我なつきと同じくHiMEと呼ばれる異能者であるらしかった。
 だが、それだけだ。殺戮や市街破壊に及ぶ危険性など、微塵も持ち合わせていない。
 実際に会ったことはなくとも、士郎はなつきからの情報によって、勝手にそう判断していた。
 HiMEの事情は知らない。だけど、魔術師でもない同世代の女の子が、ロボットを駆り街を破壊するなどありえない、と。

(悪い玖我、少し遅れる。お願いだから、俺が助けに行くまでもってくれ。その代わり、おまえの友達は)

 まだ破壊の及んでいない、比較的平和な街路のど真ん中。士郎は武器となる剣を投影し、来るべきときに備える。
 曰く、中国古代の呉の刀工によって作られた夫婦剣、かつての赤い弓兵が用いた双剣を、少女を止めるための得物として選択した。
 そして、

「クラールヴィント、頼む」
『Ja』

 士郎が声を発し、クラールヴィントがそれを返して、全身は光に包まれた。
 清風を思わせる緑色の輝き。その奥に形成されていくのは、赤い外套。
 士郎が得意とする投影魔術ではなく、クラールヴィントの機能を用いての、変身。
 鴇羽舞衣を止めるための戦い。そのための武装が今、完了した。


 ◇ ◇ ◇

369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:45:45 ID:UVM1PEYm
 
370名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:45:46 ID:DqWok9XA
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:45:53 ID:d6XnAJKw
    
372名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:46:45 ID:UVM1PEYm
 
373崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:46:48 ID:rparoU/e
   弐/3――

 それは、天空に浮かぶ城を廻るを御伽話。
 竜の巣と呼ばれる嵐雲の中で、今は亡き少年の父は、天空の城を見た。
 周囲からすれば、信じがたい話だった。城が空に浮かぶなど、妄言としか思えない。
 そんな世間の評価を受け、嘘つき呼ばわりされた少年の父は、やはり間違ってなどいなかったのだ。

 パズーは見た。竜の巣を抜けた先、広大な天空に浮かぶ、ラピュタという名の巨城を。

 あの瞬間、少年の夢であった天空の城――ラピュタの発見は果たされた。
 だがその頃にはもう、少年は新たな目的を胸に抱いていた。
 あの日スラッグ渓谷の銀鉱で働いていた少年の下に降って来た、シータの助けになるという目的が。
 ムスカの野望はまだ終わっていない。シータは狙われている。飛行石やラピュタも。
 力にならなければ、いや力になりたい。少年は願い、殺し合いという窮地に立たされても、その指針を忘れなかった。
 こんなことは早く終わらせよう。そしてシータを連れて帰るんだ。
 ラピュタへ、もう一度――

「……ズー! パズー!……」
(……誰だい? シータ……じゃない……おかみさん……でもない……ああ、なんだ)

 深い闇の中で、パズーはラピュタの光景を思い出していた。
 シータと一緒にタイガーモス号に乗り込み、竜の巣を越えて、やっと見つけたラピュタ。
 降り立とうとして、しかしその寸前で、二人は螺旋王の下に連れて来られた。
 まだ、なにも終わっちゃいない。シータを連れて、もう一度ラピュタへ――

「パズー! しっかりしなさい、パズー! くっ……駄目だわっ、血が、止まらない!」

 目を開いたパズーの視界に飛び込んできたのは、青い、どこまでも青く続く、快晴の空だった。
 こんな青空は、久しく見ていなかった気がする。見つめれば、シータが降って来た日を思い出す。
 こんなに空が綺麗な日は、きっといいことが起こる。そんな予感がした。

「止血が……追いつかない! パズー、私の声が聞こえる? いい、気をしっかり持つのよ!」

 親方、おかみさん、マッジ、ポムじいさん……鉱山町のみんなは元気にしているだろうか。
 それに、ドーラ一家のみんなも。急に大黒柱が消えて、戸惑ったりはしていないだろうか。
 ドーラおばさんは……なぜだろう、こんな状況下でも、たくましくやっていそうな気がする。
 ムスカは……どうなっただろうか。ここでも、シータや飛行石を求め歩いているのだろうか。
 シータは……シータは、どこにいるのだろうか。

「! パズー……喋れるの? 意識があるなら、私の手を強く握って! 生きて! あなたには、やり残したことがあるのでしょう!」

 そうだ……ぼくには……まだ……やり残したことが……ある……。
 ようやく……見つけたんだ……シータと……一緒に……ラピュタを……。

「……おばさん……」

 あ……間違えた……おねえさんだった……ごめん……でも……。

「……ラピュタはあった。父さんの言っていたことは、嘘じゃなかったんだ」

 それが、少年の最後の言葉だった。


 ◇ ◇ ◇

374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:46:53 ID:DqWok9XA
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:46:56 ID:Z6db3XAr

376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:47:38 ID:GbUag5ia

377名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:47:48 ID:d6XnAJKw
     
378名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:47:59 ID:UVM1PEYm
 
379崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:48:00 ID:rparoU/e
  壱/3――

 白いスーツが、笑う。鋼の乙女が、猛る。
 それぞれ異なる銃器を持ち合い、奇声を上げながら盛大なパーティーを繰り広げる。
 片方は楽しげに、片方は怒りながら、相手の命を奪うべく、殺し合う。

「ヒャッハァ! やべぇって、破壊力だけでなく推進力もハンパねぇって! どこで売ってんのそれ? ねぇどこで売ってんのよそれ!」

 入り組んだ市街地を舞台に、超伝導ライフルで地球連合軍の最新鋭兵器・ソルテッカマンに対抗する男――ラッド・ルッソ。
 マフィアの肩書きを背負い、ある特定の人間に対して熱烈な殺意を抱く狂人ではあったが、彼は一応はただの人間である。
 テッカマンのような超人でも、ラダム獣のような化け物でも、HiMEのような異能者でも、ましてや不死者などでもない。
 なのに彼は、ライフル一丁でソルテッカマンを装備した舞衣と渡り合っている。それも、心底楽しそうに。

「まったくスゲーもんを作るとこがあったもんだ! 作ったのは米軍か!? 
 今年死んだっていうトーマス・エジソンの遺作かなんかか!? 無理矢理作らせたのか!?
 しかし、いったいどこと戦争するつもりだったんだろうなぁ! 全世界を相手に喧嘩でも売る気だったのかね!」

 舞衣が纏うソルテッカマンは、言ってみれば鉄の鎧だ。ならば、ナイフも拳も意味を成さない。接近戦は不利と考えた。
 都合のいいことに、向こうも接近戦を良しとはしていない。
 ラッドと舞衣は互いが視認できる距離を保ちつつ、隠れ、狙い、撃ち、避け、移動してを繰り返していた。
 決定的なのは、防御力の差。舞衣は全身が一つの兵器であるため、多少の被弾はものともしないが、対するラッドは生身。
 フェルミオン砲の直撃を受ければ悪くて蒸発、良くて丸焦げ。レーザーライフルでも、致命傷は避けられない。
 つまり、いずれかの攻撃に一発でも当たればゲームオーバーは必至。
 それを自覚してなお、ラッドはスリルを満喫するかのように、狂気的な笑顔で舞衣に挑みかかった。

「だんだんパターンが掴めてきたぜ! テメェが主力にしてんのは、右腕のちいせぇヤツと、背中のでけぇヤツ、計二つ!
 ちいせぇほうはスピードもあって射程もそこそこだが、距離がありゃまぁ避けられる! だがでけぇほうはやべぇ!
 当たりゃ一撃で死ぬ! 避けるしかねぇ! けどよ、そのでけぇほうにも欠点はあるみてぇだなッ!」

 民家の庭先に逃げ込んだラッドが、自らの居場所を知らしめるかのように大声を発する。
 当然、舞衣はそれを聞き逃さない。足を止め、背部のフェルミオン砲を展開。照準を前方の民家に定める。
 フェルミオン砲発射。レーザーライフルのそれよりも数段は大きい破壊の閃光が、家を燃やす。
 爆砕音が鳴り響くも、耳障りな挑発は、それでやみはしなかった。

「威力はスゲェ! 認めるよ! だけどな、そのでけぇのを撃つには、溜めがいる!
 ちいせぇほうみたいに走りながら撃つことはできねぇ! 必ず一旦止まる! そこが丸分かりなんだよぉ!」

 ラッドの声は舞衣の前方から轟き、声量の変化に合わせて左方に傾くと、その姿はいつの間にか、横合いの路地先にあった。
 すぐさま超伝導ライフルが発射され、装甲に命中するが、僅かな反動だけでダメージはない。
 舞衣は欠点を指摘されながらも、展開したままのフェルミオン砲をラッドに向ける。
 たしかに、フェルミオン砲には背部パッチを展開し、射撃体勢に入るまでの僅かなタイムロスがあった。
 だが、それも一時のものだ。一度このように展開してしまえば、連射は容易。
 螺旋王の改造によってその速度は低下していたが、生身の人間を相手にするのに支障はない。

「あーヤダヤダ! スゲェ武器を手に入れた奴ってのは、どうしてこう馬鹿になるのかね、っとぉ!」

 フェルミオン砲の銃口を向けられ、それでもラッドは怯まず、舞衣の脚部目掛けて超電導ライフルを撃つ。撃つ。撃つ。
 立て続けに命中した弾丸は舞衣の右脚部へと命中し、体勢を崩させた。
 舞衣の右肩が下がり、フェルミオン砲の銃口が明後日の方向に向く。
 放たれた衝撃がラッドの数十メートル横を通り過ぎ、爆風が金髪を靡かせた。
 避けるのではなく、相手の体勢を崩すことによって照準を外させる。
 少しでも手元が狂ったり、目測が外れれば、直撃コース必至の狂った戦法。
 それを平然とやってのけて、ラッドは狂気的な笑顔のままだった。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:48:05 ID:Z6db3XAr

381崩落 の ステージ(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:49:19 ID:rparoU/e

 膝を折り、残りカートリッジの少ないフェルミオン砲を一発無駄にしてしまった。
 舞衣はソルテッカマンの火力に酔い、だというのに翻弄されている現状を嘆き、内部で舌打ちした。
 巧海やシモンのときに感じた悲しみをパズーに重ね、彼を射抜いたことに対して覚えた後悔など、当に忘れていた。
 皮肉なことに、ラッドの挑戦が舞衣を鬼に戻したのだ。一時的な迷いを吹き飛ばすほど、彼の行いは舞衣の怒髪天を突いた。

「しかしやべぇな、弾の残り数が心許なくなってきやがった! このままじゃジリ貧だ!
 そういうあんたはどうなのよ? さっきからバンバン撃ってんのにも、残数とかあんの? ええ、マイちゃんよぉ!?」
「――ッ!?」

 ふと、面識のないはずの男に本名を呼びかけられ、舞衣は驚きのあまり静止した。
 ソルテッカマンを装備してからは、誰にも素顔を晒していない。操縦者が舞衣である事実など、これを齎した老人しか知り得ないはずだった。

「そこでだ! 名残惜しいが、俺は一時退却させてもらうぜ! なぁに心配すんな!
 いざというときテメェを殺すのは俺の仕事だ! そんときにまた会おうぜ! じゃ、後は頼むわ!」

 舞衣が疑問で動けなくなっている間、ラッドは調子のいいことを言って背中を向けた。
 まさか、本当に逃げようと言うのか。舞衣は残り少ないレーザーライフルをその背に向けて放とうとするが、

 間を、赤い外套を着込んだ男が遮った。


 ◇ ◇ ◇

382名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:49:32 ID:d6XnAJKw
         
383名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:50:07 ID:UVM1PEYm
 
384名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:50:37 ID:tVLBffFM
  
385崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:50:57 ID:rparoU/e
   壱/4――

『なるほど! 電話もできる上に探知機にもなる、その上こんなにも小型とは、スゲェ発明品があったもんだ!
 ところでよ、俺ぁそのマイとか言う女が動かしてるロボットにちょっとばかし見覚えがあるんだが、どう思う?
 いや、実を言うと今の今まで忘れてたんだがな! あんなスゲェもんだとは思わなかったしよ!』

 数分前、舞衣打倒のための算段中にラッドが零した言葉を思い出す。

(やれやれまったく……出来すぎているというか、まるで螺旋王がこうなるよう仕組んだような配置だねぇ。
 まさか、ラッドくんにこんなものが支給されていて、しかもそれを僕が使うことになるとは……。
 だいたい、気分じゃなかったから使わなかった、マニュアルを読むのも面倒だった、なんて……あぁもったいない!
 あのまま死蔵品にならなかったから良かったものを、こんなお宝を今の今まで忘れてたなんて、考えられない!)

 右腕を動かす。問題はない。
 左腕を動かす。問題はない。
 脚部も、正常に駆動した。

(こういうのは得意じゃないんだけどなぁ……どちらかというとセシルくんの領分だよ、これは。
 スザクくんならもっと上手く扱えるんだろうねぇ。なにせ彼は、最高のパーツだったから)

 それは、1934年のアメリカからやって来たラッドにとっては、とても理解の追いつくものではなかった。
 よもや、これが動くなど……ましてや武器になるなど、デイパックを覗いたときは思いもしなかったのである。
 舞衣との相対でラッドが死蔵していたそれを思い出したのは、不幸中の幸いと言えようか。

(僕としては、彼が持っていた飛行機で逃げるって案が良かったんだけど……あれは良くて二人乗りだしねぇ。
 そもそも、ああなってしまった士郎くんは僕一人じゃ止められない。根底は違うけど、その苦労はスザクくんで経験済みだ)

 最低限ではあるが、準備は整った。螺旋王の調整に感謝するべきだろうか。

(ソルテッカマンねぇ……舞衣くんのアレはパワーこそ及ばないが、総合的なスペックならKFを凌ぐものがある。
 まぁ、それでも僕のランスロットには到底敵わないんだけどねぇ〜! そして、フェルミオンか。これもなかなか……)

 未知なる技術の片鱗を前に、欲望を混ぜて笑う。
 時刻は、襲撃を受けてから1時間余りが経ち、11時を回っていた。
 第二回目の放送も、もう間もなく訪れるだろう。
 その頃には片付いていることを祈りたい。


 ◇ ◇ ◇

386名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:50:59 ID:d6XnAJKw
     
387名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:51:09 ID:Z6db3XAr

388名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:51:11 ID:UVM1PEYm
 
389名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:51:14 ID:DqWok9XA
390崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:52:33 ID:rparoU/e
   壱/5――

 かつて、遠坂凛という魔術師の少女に仕えた弓兵がいた。
 キリストの聖遺物に由来する聖骸布を元にした、一級の概念武装――それとよく似た赤い外套を纏い、立つ。
 しかし違った。彼が着込むその外套は、かつての弓兵が纏っていたような概念武装ではない。
 その名称をバリアジャケット――魔力で生成した防護服を身に纏う、魔法の一種。
 魔術ではなく、魔法。その相違箇所は多いが、魔力という根底は大きくは変わらない。

 それは魔術師である衛宮士郎が、クラールヴィントを通しバリアジャケットを展開した事実が証明している。

 両手には、投影魔術によって精製した干将莫耶。武器として、使い慣れたものを選択した。
 そして向かい合うは、鋼鉄の異形で武装した、鴇羽舞衣という名の少女。
 二振りの短剣を彼女に向け、再度確認する。
 彼女は敵ではない。助けるべきただの女の子だと――

「やめろ、鴇羽っ!」

 レーザーライフルの射線上を遮るように現れた士郎は、そのままの勢いで舞衣に突進する。
 左手の刃を一振り、舞衣の重厚な右腕に穿ち、狙いをラッドの背中から外す。
 予想外の乱入者、そして予想外の言葉に怯み、舞衣は士郎の接近を許してしまった。

「ッ……なんで、私の名前を?」

 ソルテッカマンのマスク越しに、舞衣の驚嘆の声が響く。
 やはり、あの携帯電話によるロイドの推測は当たっていた。
 学校でロイドを襲った鴇羽舞衣が、隠し持っていた装備で逆襲に訪れた――と。

「玖我さ! 玖我なつき! その子が君のことを教えてくれたんだ!」
「――ッ!」

 なつきの名前を出した途端、舞衣はソルテッカマンの稼働を再開し、士郎へ銃口を向ける。
 しかし、士郎は臆さず。低い姿勢で舞衣に挑みかかり、接近戦を貫いた。

「君は玖我の友達なんだろう!? だったら、こんなところで馬鹿やってる場合じゃない!」

 頑健すぎる装甲に刃を打ち鳴らし、士郎は舞衣に言葉を投げることをやめない。
 士郎の目的は、舞衣の殲滅でも鎮圧でもなく、説得だった。
 彼女が自らの意志で戦意を収め、ともになつきの救援に向かってくれればベスト。
 叶わぬときは……力ずくで捻じ伏せる。しかしそれは、士郎にとっての最終手段だった。

「あいつ、今ピンチなんだよ! 早く行ってやらないと、殺されちまうかもしれない! だから――」
「……私と、玖我さんが……トモダチ? ……はっ、なに言ってんのよ……ああおかしい、ちゃんちゃらおかしいわッ!」

 友達の危機を知れば、頭を冷やしてくれるだろう――士郎は常の性格どおり、そんな甘い考えで舞衣と相対した。
 が、違う。鴇羽舞衣と玖我なつきの二人では――連れて来られた時期のせいもあって――互いへの印象が、まるで違った。
 蝕の祭が終わり、舞衣を友人と見做していた玖我なつきと――
 蝕の祭の最中で、なつきを含むすべてのHiMEは敵だと思い始めていた鴇羽舞衣とでは――
 精神的余裕に、天と地ほどの差があった。

「敵よ、全員! 大切なものを守るためには、誰かを蹴落とすしかない! 私は、その大切なものすら失った!
 だから、もう、私は――奪うだけなのよッ!!」

 舞衣は叫び、背部パッチを右腕の砲身に連結、フェルミオン砲の発射態勢に入る。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:52:54 ID:Z6db3XAr

392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:53:18 ID:DqWok9XA
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:53:32 ID:tVLBffFM
     
394崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:53:55 ID:rparoU/e
「こ……のっ、おお馬鹿やろぉぉぉぉぉ!!」

 それに合わせ、士郎も走り出した。突きつけられた銃口にも怯まず、真っ直ぐ、正面に。
 いくらバリアジャケットを展開しているとはいえ、フェルミオン砲の極大的な破壊を防げるほどの効果はない。
 当たれば蒸発は必至の場面で、士郎はしかし、退かなかった。
 二つの刃が、左右から挟み込むような形で砲身を穿ち、銃口を上空に逸らす。
 舞衣はそれにパワーで抗おうとするが、上がった砲身はなかなか下がらない。
 ソルテッカマンの馬力に一介の魔術師である士郎が対抗しているのは、意地の成せる業としか言いようがなかった。

「っ、このぉ!」

 舞衣はやむをえず、そのままの体勢でフェルミオン砲を発射。
 天高くフェルミオンの閃光が迸り、士郎は衝撃の余波を受けて、大きく吹き飛ばされた。
 また一発、貴重なカートリッジを無駄にしてしまったが、泣き言は言っていられない。
 アスファルトを転がり蹲った士郎、その体がまだ再起し切れていないのを確認し、脚部のローラーを滑らせる。
 火器に頼りすぎたのが失敗だった。ソルテッカマン本来のパワーを持ってすれば、接近戦でも十分に戦える。
 そうだ。しかも舞衣は既に、なんの装備にも頼らず一人の少年を殺している。
 そうだ。人殺しは難しいことではない。大抵の人間ならば、二本のアームを打ち下ろすだけで終わる。
 そうだ。舞衣は奪うだけだ。なつきの窮地も関係ない。それを助けようとしている士郎の意志も関係ない。
 そうだ、そうだ、そうだ、そうだった――!

「死ねぇぇぇぇぇ!」

 意識せず、舞衣は醜い形相で叫んでいた。
 機械的な走行音に混じって、怨嗟の声を響かせて、
 それがまた、レーザーの照射される音に掻き消えて、
 不快な声が、舞衣の進行を止めた。

「ざぁ〜んねんでしたー!」


 ◇ ◇ ◇



   弐/4――

 血は止まった。呼吸も落ち着いた。意識も戻った。
 これで助かる――しばらく安静にして、然るべきところで処置を施せば――
 ――――助かる――――はずだった。

「パズー……」

 刹那の瞬きに抱いた淡い希望。それが無残に、音を立てて崩れ落ちていくのがわかる。
 リザの目の前に横たわるパズーの体。その顔面に、墓標のように突き立てられた一振りの剣。
 元気だった笑顔は、出血による蒼白状態でも明るく見せようとしていたパズーの顔は、
 今は血に染まり、なにも見えなくなってしまった。

「あ、あ、あ」
395名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:54:12 ID:Z6db3XAr

396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:54:15 ID:GbUag5ia

397名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:54:26 ID:UVM1PEYm
 
398名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:54:32 ID:DqWok9XA
399崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:55:09 ID:rparoU/e
 嗚咽を漏らし、涙を流し、涎を垂らし、リザは悲劇に直面した。
 荒ぶる精神状態を懸命に押さえつけようとして、しかしどうにもできない。
 希望から絶望への急転直下が、彼女の身を苛んだ。
 ジャンパーを着た長身の男は、そんな有り体のリザを見てなにも喋らず、黙ってパズーの顔面から剣を引き抜く。
 赤く濡れた刀身をそのままに、今度はその刃を、パズーの首へと振り下ろした。
 一刀では足りず、二度三度、繰り返して振り下ろした。
 女性ならば目を背けたくなるような光景だった。
 しかしリザは、硬直して瞼すら下ろすことができなかった。
 やがて、パズーの頭部は首から切断され、男はその境目から一つの金属片を拾い上げた。
 輪。それは、『Pazu』と名の書かれた銀色の輪。血塗れた首輪。パズーの首から採取された、輪。
 男はパズーの首輪をデイパックにしまうと、満足げな顔でその場を立ち去ろうとした。
 その後姿を目で追って、リザは声を絞り出す。

「……っ! どぉしてぇ!?」

 歩みを止めた男が、振り向き様に答える。

「どうして……? おかしなことを聞くね。いや、虫ケラ同然の人間の知能としては、至極真っ当な疑問か。
 教えてあげるよ。これは殺し合いで、俺は首輪を欲して、その子供は死に掛けだった。ただそれだけのことさ」

 罪悪感など欠片もない、微かな笑みすら浮かべた男の態度が気に入らず、リザは本能のままに銃を向けた。

「……急いでいるんだ。借りを返さなきゃいけない人間もいるし、瑣末事には構っていられない。
 あるいは放置しておくのも滑稽かと思ったんだが……そんなに死にたいのかい?」

 男はリザの向ける銃口を恐れず、一振りの剣で殺意に応えた。
 残酷すぎた少年の終わり。その衝撃がリザの整然とした精神を乱し、弾なしの銃を構えさせた。
 涙はまだ零れ続けている。パズーの死を克服できないまま、リザは男の殺意を買った。
 男は近づき――しかし咄嗟に飛び退いて、リザの下から去っていった。
 そして、フェルミオンの衝撃がリザを襲い――相羽シンヤもそれに巻き込まれた。

 パズーの意に同調し、彼を先行させ、謎の鎧に撃たれ、逃げ、火急ゆえ道端で彼を治療して、そこに男が現れて――現在に至る。
 リザの失敗は、いったいどの部分にあったのか。
 ただパズーへの申し訳なさを募らせて、
 リザの意識は、闇に消えた。


【パズー@天空の城ラピュタ 死亡】
【残り62人】


 ◇ ◇ ◇

400名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:55:32 ID:UVM1PEYm
 
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:55:35 ID:Z6db3XAr

402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:55:35 ID:tVLBffFM
          
403名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:56:49 ID:UVM1PEYm
 
404崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:57:00 ID:rparoU/e
   壱/6――

 咄嗟に放ったレーザーの一撃が、上手く舞衣の進行を止めてくれた。
 いやはや、僕の射撃の腕前も捨てたもんじゃないなぁ……と自画自賛し、ロイドは家屋の屋根から飛び降りる。
 着地の際、ガシャン、と機械的な音が鳴った。

「ご無沙汰でしたぁ〜! ありゃありゃ、ずいぶんと好き勝手やってくれたものだねぇ。
 僕はイレヴンへの差別意識はないとは言ったが、ここがブリタニアなら君は極刑ものだよぉ?
 あれ? 反応が薄い。もしかして僕が誰だかわからないとか?」
「……ロイド・アスプルンド」
「ぴんぽ〜ん。だいせーかい!」

 常の飄々とした態度で構えるロイド。舞衣は彼の登場に立ち尽くし、呆然としていた。
 予期していなかったわけではない。ラッド、士郎と続き、二人と戦う発端となったロイドが出て来ないのは、腑に落ちないものがあった。
 予想外だったのは、その姿だ。

「おや、僕がブリタニア軍技術部主任のロイド・アスプルンドであると知りながら、まだ混乱しているみたいだねぇ。
 なんならそんなものは脱ぎ捨てて、裸で話し合ってみる? や、女性に対してこの言い回しは失礼だったかな?」

 舞衣を包むその鎧が緑ならば、ロイドのそれは青。
 細部のデザインこそ異なるが、その全体像は、舞衣の着込むそれと明らかに同種だった。

「カラーがホワイトなら、白兜とでも名乗れたんだけどねぇ。まぁ僕はあの俗称が嫌いなんだけれど。
 それにこの機体の構造はとても魅力的だけれど、僕のランスロットには到底及ばない!」

 舞衣のソルテッカマン一号機に対し、ロイドが切り札として用意してきた決戦兵器は――

「それでも一応呼称を作っておこうか! そうだね、プリン伯爵とでもお呼びください!」

 ――ソルテッカマン二号機。ラッドの最後の支給品にして、舞衣が操縦するそれの後継機だった。

(って!)

 絶対だと思っていた力。その同格が現れたことに唖然としてしまった舞衣が、ロイドの進撃により我を取り戻す。
 ロイドは射撃武器を用いず、脚部のローラーを滑らせ、舞衣目掛けて真っ直ぐ推進しきたのだった。
 すぐさまレーザーライフルで迎撃しようとするが、弾数の残り少なさが脳裏を過ぎり、躊躇した。
 その間、我が身を両腕で覆いつつ攻め寄ったロイドが、舞衣の機体に取り付き、なおも推進する。

 ――ソルテッカマン二号機による舞衣の拘束。ここに至るまでの全てが、ロイドら三人の立てた作戦だった。
 まず、長距離射撃の可能なラッドが先駆となり、相手の弾数と体力を消耗させ、後続の安全度を上げる。
 次いで、バリアジャケットで武装した士郎が接近戦を展開。本人の意向により舞衣に説得を試みる。
 その時点で事態が収拾できればオールオーケー。もし駄目ならば、第三手。
 同じくソルテッカマンで武装したロイドが、舞衣を力ずくで拘束し、戦闘をやめさせる。
 殲滅ではなく抑止――敵の正体が鴇羽舞衣であると知った士郎が提案し、全員の支給品を考慮した上でロイドが組み立てた、平和的解決策だった。

「つーかまーえた! 残りのエネルギーも少ないんでしょう? 今謝ればみんな許してくれるよ?」
「誰が!」
「強情だなぁ。野蛮なことはしたくないんだけど、お仕置きが必要かねぇ」

 ロイドの二号機が舞衣の一号機に抱きつき、完全に身動きを封じた。
 軍人ではあるが、ロイドは軟弱な技術者だ。殺意を持った女子高生相手に挑めば、敗戦は必至。
 だが、技術者には技術者なりの戦い方がある。武器――この場合はソルテッカマンのスペックを理解し、活用する。
 捕縛が目的ならば、操縦者がロイドであろうと達成は容易。動かし方さえ把握できれば、それで十分なのだ。
 そもそも、こんな素敵なもの(舞衣のソルテッカマン)を傷つけるなんてとんでもない! 破壊するぐらいなら分解して……
 と、本人の職業病も加味されて、なおのこと作戦の遂行に対する熱意は燃えた。

「貴重な研究材料を傷つけたくはないし、悪いこと言わないからこのまま降伏――ってあらぁー!?」
405名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:57:02 ID:Z6db3XAr

406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:58:08 ID:DqWok9XA
407名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:58:10 ID:d6XnAJKw
       
408名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:58:34 ID:Z6db3XAr

409名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:58:49 ID:UVM1PEYm
 
410崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 22:58:55 ID:rparoU/e
 舞衣を抱えたまま推進するロイドだったが、不意にその進行が止まった。
 足元がキュルキュルと音を立て、二者が踏みとどまる。見ると、舞衣の脚部ローラーが前進しようと回っていた。
 互いに押し合う状態になり、しばし均衡する。その間も、舞衣は拘束から逃れるためアームの駆動系に力を込める。

「無駄だって! マシンの操縦はそんな力任せでどうにかなるものじゃない! 大人しくしなさい!」
「うるさいっ! 私は……私はああああああああ!!」

 鉄仮面越しだというのにも関わらず、舞衣の怒気は普段前線に立たぬロイドを竦み上がらせた。
 その結果、舞衣を縛る二本のアームが微かに緩み、一気に振り解かれた。

「!?」

 飄々とした口を利く暇もなく、ロイドは後方に仰け反った。
 しかし舞衣はその隙を見逃さず、ロイドの胸元目掛け、文字通りの鉄拳を振り翳す。
 同時に、脚部ローラーを回転させ、推進。
 鉄拳で押し出し、推進し、苛烈な勢いでロイドを前方に追いやる。

「わああああああああああああああああ!」

 周囲一帯に喚き散らしながら、舞衣はロイドを殴りながら前へ前へと驀進していった。

「痛い! 痛い! 痛い!」

 衝撃から逃れるため、脚部ローラーを後進させてしまったのがロイドの間違い。
 二号機の肢体は転倒を許さぬまま、むしろ勢いづいて後退させられ、胸元のフレームが歪んでいく。

「やめ、やべ、やめてー!? ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなざっ!?」

 舌を噛んだ。が、ふざけているのではない。
 殴打の衝撃による純粋な痛みと、舞衣の鬼気迫る迫力に圧倒されて、ロイドは早くも弱腰になっていた。
 だが、それでいて常の冷静さは崩さない。状況を打開するため戦略を練るが――

「がふんっ!?」

 後頭部を強打し、組み立て前の思考材料が全て吹っ飛ぶ。
 舞衣に後方まで殴り飛ばされ、背後にはいつの間にか、ビルという名の巨大な壁が迫っていた。
 退路を断たれたロイドは半ばヤケ気味に、鉄拳を翳す舞衣の機体にしがみ付く。
 ゼロ距離ならば殴られる心配もない。と考え実行に至った、苦肉の策である。
 しかし、戦闘本能むき出しとなった舞衣には、それすらも通用しない。

「こいつ……離れなさいよおおおおおおおお!!」

 右腕の砲身を持ち上げ、背部のパーツと連結。フェルミオン砲を展開する。
 銃口は標的の急所を捉えていたとは言いがたいが、この距離ならばさして関係はない。
 至近距離からの発射で、ロイドの体を吹き飛ばすつもりだった。

「なっ――よしなさい! こんな密接した状態でそんなもの発射したら――」
「っさい! 殺す、あんたはここでえええええ!」

 チャージが始まり、チャージが終わる。
 改造されているとはいえ、フェルミオン砲の発射速度はそれほど遅くはない。
 想定外ばかりの事態が続く前線での戦闘に戸惑い、ロイドはあたふたと思考の海を泳ぐ。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:59:37 ID:tVLBffFM
          
412名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:59:55 ID:GbUag5ia

413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:59:59 ID:UVM1PEYm
 
414名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:00:11 ID:d6XnAJKw
    
415名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:00:19 ID:UVM1PEYm
 
416崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:00:34 ID:rparoU/e
(至近距離からのフェルミオン砲!? 馬鹿な、そんな真似をしたら、
 いくら装甲があるとはいえどうなるかわかったもんじゃない! 僕のほうもフェルミオン砲を撃って相殺する!?
 それこそ愚行だ! だって、相殺できるような物質かどうかもわかっていないんだから!
 だいたい僕はフェルミオンという物質に関して数パーセントしか理解していない。
 それも憶測と推論が混じった割合だ、ギャンブル性が高すぎる! ああ、だから正面きって戦うなんて柄じゃなかったんだ!
 スザクくんやセシルくんならこんなときどうするの!? 誰か、誰か教えてください!!)

 いや、むしろ溺れていたのかもしれない。
 未知の物質、フェルミオン。それが生み出す破壊の方程式。
 技術者だからこそわかる恐怖にロイドは混乱を極め、本能のままに舞衣の身から離れた。
 舞衣がフェルミオン砲の照準を、ロイドに向け修正。
 ロイドも咄嗟にフェルミオン砲を展開し、両者、銃口を向け合う。
 溜めに溜めた引き金を、舞衣は満を持して絞った。
 ロイドもやや遅れて、正面に迫る光に撃つ。
 フェルミオンの輝きがぶつかり合い、爆ぜた。


 ◇ ◇ ◇


   壱/7――

 フェルミオンとは、言ってしまえば反物質粒子を元にした破壊のためのエネルギーである。
 その性質はロイドの危惧どおり危険極まりなく、人間の手には余る代物だ。
 本来ラダム獣の殲滅に用いられるフェルミオン砲を、ソルテッカマン同士で撃ち合うなど、前代未聞だった。
 その末の惨事が、数件のビルを巻き込むほどの大爆発であり、震源地となった二人のソルテッカマンは、

「……し、死ぬかと、思った」

 ロイド・アスプルンドのほうは、どうにか生きていた。

「ロイドさん!」
「おーい、生きてるかー!?」

 焼け爛れた市街地跡、そこにうつ伏せのまま蹲るロイドがいた。
 士郎とラッドの二人はフラップターを駆り、ロイドの下に降下する。

「おいおいひでぇなこりゃ! 脚イッちゃってんじゃねぇか!」
「痛いですすごく……涙……出てます」

 ソルテッカマン自体はまだ健在だったが、衝撃により露出した頭部には流血の跡が見られた。
 それ以上に悲惨なのが、脚部。ロイドの片脚はソルテッカマンの装甲ごとぺしゃんこに拉げ、再起不能に陥っていた。
 ロイド自身は息も絶え絶えで、普段の余裕が窺えない。重傷だった。

「ロイドさん……鴇羽は?」
「さて……運がよければ僕と同じように、装甲に守られて、生きてるかも、だけど……」
「ってロイドさん、今は黙って! このままじゃいけない……すぐに治療を――」
「オイオイオイ! やっこさん生きてやがんぞ!」

 士郎がロイドの容態に血相を変える傍ら、ラッドの口から悪報が届いた。
 振り返るとそこには、残骸の中、膝立ちでフェルミオン砲を展開しているソルテッカマンが一機。
 照準はもちろん、士郎たち三名に向けられていた。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:00:39 ID:Z6db3XAr

418名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:01:39 ID:UVM1PEYm
 
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:01:42 ID:tVLBffFM
             
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:01:53 ID:Z6db3XAr

421名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:01:57 ID:DqWok9XA
422崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:02:08 ID:rparoU/e
「鴇羽……おまえ! まだこんなこと続けるってのかよ!?」
「言っても無駄だろ。最初の予定どおりだ……シロウが説得して、ロイドが力ずくで、それでも駄目なら俺が殺す。
 残念だったなぁ。作戦通りなんだわ。わかるかマイちゃん? おまえはここで死ぬんだよ!」
「いけない!」

 超伝導ライフルを構え殺気を放つラッド。その寸でのところで、ロイドが待ったをかけた。
 青ざめた顔で、ラッドに忠言を下す。

「撃っちゃいけない……おそらく撃てば、彼女の機体から零れ出ているフェルミオンに反応して……爆発する。
 逃げ……るんだ。すぐに撃ってこないところを見ると、彼女の意識はたぶんまだ完全じゃない……隙があるうちに早く」

 ロイドの言葉を聞き、二人は舞衣のほうを見やる。
 幾つか装甲が外れ、制服が露出している。自壊寸前なのだろう。

「チッ、銃が駄目ってんなら、殴り殺しゃいいじゃねぇか!」
「なにを馬鹿なこと言ってるんだ! ロイドさんの言うとおり、今は逃げよう!」
「あの飛行機を……運転できるのは君だけだ……頼むよ、ラッドくん」

 士郎とロイドの二人は、一人反対したラッドを制する。
 普段ならば、テンションの高ぶった彼にこれらの進言はまるで意味を成さない。
 が、今は状況が状況だ。ラッドは殺人狂ではあるが、短絡的な命知らずではない。
 殺したい奴は他にもいる。ジャンパーに、おさげジジイに、ハゲジジイに、そしてなにより元の世界に置いてきた婚約者が、ラッドに殺されるのを待っている。
 対して、舞衣はラッドが熱意を燃やすほど殺してやりたいタイプではなかった。

「だぁー畜生! わぁったよ、マイちゃんは後のお楽しみに取って置くよ! 今はこっから離れるぞ!」

 天秤にかけて、ラッドは退却を受け入れた。
 舞衣は怒声も発さず、黙々と砲身が安定するよう努めている。

「さぁ、ロイドさんも速――く!?」

 ラッドがフラップターを起動させ、士郎はそれに乗り込むべくロイドの身を引っ張り――そこで気付く。

「……無駄さ、士郎くん。人型だからってなめちゃいけない。これだけの代物だ、重量だって、並外れてる」

 ソルテッカマンを着込んだロイドの体は、とても士郎の力で持ち運べる重量ではなかった。
 たとえラッドと二人がかりだとしても、数十分はかかる。引きずることすら叶わない。

「だったらロイドさん、早くそれを脱いで!」
「だから無駄だって。拉げて……脱げなくなってる。脚なんて、もう感覚ないし……」

 見ると、ロイドの目は力なく沈みかけ、顔はいっそう青ざめていた。
 出血がまだ続いている。士郎は唇を噛み締め、再度舞衣に向きなおった。

「鴇羽! もうやめろ! こんなことしたって、なにも意味はない! 殺し合いなんかしちゃいけないんだよッ!」

 血迷ったかのように、再び舞衣に説得の言葉を投げかけた。


 ◇ ◇ ◇

423名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:02:51 ID:GbUag5ia

424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:03:06 ID:d6XnAJKw
    
425名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:03:11 ID:Z6db3XAr

426名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:03:13 ID:DqWok9XA
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:03:14 ID:UVM1PEYm
 
428崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:04:09 ID:rparoU/e
   壱/8――

 霞む視界の奥で少年が必死に呼びかけている。
 自らの理想を言葉にして、若さという原動力に乗せて、他者にぶつけている。
 誰かに似ていた。無防備な後姿が、誰かのそれと被った。

(ああ、スザクくんか。彼ならまぁ、この場面でもこうしただろうね。やっぱり、彼は似ていたんだ)

 自身が最高のパーツと評した少年を思い出し、笑う。
 矛盾を抱えた正義感という、共通の概念を持ち合わせた衛宮士郎に対し、叫ぶ。

「自重しろ! 衛宮士郎!」

 死に掛けの弱々しい声でも、いつもの飄々とした口調でも、なかった。

「君の理想は立派だ。だがそれは、現実を受け入れず駄々捏ねるだけで掴める理想なのかい?」

 今にも泣きそうな、それでいて悔しそうな顔をする少年を、厳しく叱咤する。

「君は軍人ではないし、彼とも違う。だけど君が正義の側に立とうとするなら――生きて、理想を貫くことだ」

 理想に準じて命を投げ出すのでは、なにも変わらないし変えられない。

「わかったら行きなさい。行って、君が信じるべきことをやればいい。あと、もう一つ」

 常のような、憎たらしくもどこか温情に満ちた笑顔を作り、

「命を捨てて理想を貫くなんて、そんな矛盾は抱えちゃいけない。矛盾は君を殺すよ。ふふふ……だから、行きなさい」

 士郎がフラップターの下に駆け出したのを見て、満足した。

「……さて、最後の言葉はなににしようかな。未練がましくプリン食べたいとか? ああ、相羽くんにも謝る必要があるか。
 天国なんて信じちゃいないけど、ひょっとしたらスザクくんやアニタくんに会う機会もある、かな?
 セシルくん……ランスロットの調整、よろしく頼むよ。アッシュフォードのお嬢様は……悲しんでくれるかな?
 ……おやおや、僕ってば、未練タラタラじゃないか。死にたくないなぁ……今からでもやめてくれないかなぁ、舞衣ちゃん」

 羽ばたき飛行機が、飛び去っていく音が聞こえる。
 一秒か十秒か、一分以上の時が流れたかもしれない。
 しばらくして閃光は奔り、ロイドの身は熱気に包まれた。

「それではみなさん、さよ〜なら〜♪」

 これは、誰の耳に届くこともなく。
 ひょっとしたら、空耳だったのかもしれない。

429名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:04:25 ID:tVLBffFM
               
430名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:05:13 ID:Z6db3XAr

431崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:05:27 ID:rparoU/e
【C-6中央部/市街地跡/1日目-昼(放送直前)】

【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康
[装備]:フラップター(+レガートの金属糸@トライガン)@天空の城ラピュタ
[道具]:支給品一式×2、ファイティングナイフ、超電導ライフル@天元突破グレンラガン(超電導ライフル専用弾5/5)
    ニードルガン(残弾10/10)@コードギアス 反逆のルルーシュ、携帯電話、閃光弾×1
[思考]
基本方針:自分は死なないと思っている人間を殺して殺して殺しまくる(螺旋王含む)
0:後味悪ぃな畜生!
1:東方不敗を探してぶち殺す。
2:鴇羽舞衣を殺す。
3:清麿の邪魔者=ゲームに乗った参加者を重点的に殺す。
4:基本方針に当てはまらない人間も状況によって殺す。
※フラップターの操縦ができるようになりました。
※ソルテッカマンを着込む際、ロイドの荷物を預かりました。
【携帯電話】
@全参加者の画像データ閲覧可能。
A地図にのっている特定の場所への電話番号が記録されている(どの施設の番号が登録されているのかは不明)。
全参加者の現在位置表示システム搭載。ただしパスワード解除必須。現在判明したのはロイドと舞衣の位置のみ。
パスワードは参加者に最初に支給されていたランダムアイテムの『正式名称』。複数回答の可能性あり?
それ以外の機能に関しては詳細不明。

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大)、腹部、頭部を強打、左肩に未処置の銃創、軽い貧血
[装備]:クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS、バリアジャケット
[道具]:なし
[思考]
0:ちくしょう……
1:玖我を助けに戻る。
2:舞衣に殺人をやめさせたい。
3:イリヤの保護。
4:できる限り悪人でも救いたい(改心させたい)が、やむを得ない場合は――
5:18:00に図書館へ行く
※投影した剣は放っておいても30分ほどで消えます。
 真名解放などをした場合は、その瞬間に消えます。
※本編終了後から参戦。
※チェスに軽度の不信感を持っています
※なつきの仮説を何処まで信用しているかは不明


【ロイド・アスプルンド@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】
【残り61人】


 ◇ ◇ ◇

432名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:05:30 ID:X6h7z9C7
 
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:06:24 ID:Z6db3XAr

434名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:06:47 ID:d6XnAJKw
         
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:06:51 ID:UVM1PEYm
 
436崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:07:13 ID:rparoU/e
   壱/9――

 舞衣が放った最後のフェルミオン砲は、ロイドの機体から漏れていたフェルミオン粒子に反応を起こし、大規模な爆発を起こした。
 反動で吹き飛ばされた彼女は、倒壊した家屋の中に叩き込まれ、そのまま気を失った。
 大切なものを奪う――かつては死にたいとさえ思っていた少女は、歪んだ方法で生きる意志を手に入れた。
 それに操られるがまま、過ちを繰り返し、それでも運命は、彼女に死を許さなかった。
 本当、イラつく。
 自らの境遇に悪態をついて、それでも舞衣は生きて奪うほうを選択した。


【C-6中央部/市街地跡/1日目-昼(放送直前)】

【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:精神崩壊、気絶、疲労(大)、全身各所に擦り傷と切り傷
[装備]:ソルテッカマン一号機@宇宙の騎士テッカマンブレード
機体状況:ほぼ全壊、エネルギー10%、フェルミオン砲0/12 レーザーライフル1/20
[道具]:支給品一式
[思考]:かなり短絡的になっています。
1:大切なものを奪う側に回る(=皆殺し)。
2:もう二度と、大切なものは作らない。
[備考]
※カグツチが呼び出せないことに気づきましたが、それが螺旋王による制限だとまでは気づいていません。
※エレメントが呼び出せなくなりました。舞衣が心を開いたら再度使用可能になります。
※静留にHIMEの疑いを持っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※瓦礫の山に埋もれているため、簡単には発見されません。


 ◇ ◇ ◇


   弐/5――

 全ての戦いに決着がついた後、その男は遅れてやって来た。

「――英霊か、はたまたあのおっさんの言ってたエキスパートって奴か……どっちにしろえらい化け物がいたもんだ」

 蒼き槍兵――ランサーは、騒ぎを聞きつけ戦地跡に訪れた。
 崩壊した大地、破壊しつくされた住居郡を見て、他人事のように頭を掻く。
 誰かは知らないが、派手な殺し合いをしていた輩がいる。思うところはそれだけで、収獲がなさそうだと判断すると、その地を後にしようとした。
 ランサーが求めるもの。それは愛用するゲイ・ボルグであり、あるいはその情報源となる参加者だ。
 ここで誰かが争っていたとして、情報の得られなさそうな殺戮者や、死体には用はない。
 生きた参加者ならば、まぁ接触する意味はある。そういう意味では、なんとも微妙な発見だった。

「……」

 無言で立つランサーの眼下には、一人の女性が転がっていた。
 軍服を纏い、軍靴を履き、そのいたるところに血痕を宿した……金髪の女性。
 橋で襲撃するかどうか迷った女、そしてエリオに致命傷を与えた男の、おそらくは同僚。
 言うなれば、敵になるやもしれぬ女。それが、気を失って目の前に転がっている。

「軍人ってのは、決まって口が堅いもんだがな」

 試しに鉄槍で小突いてみるが、反応はない。重傷というわけではなかったが、かなり疲弊しているようだ。
 ランサーは女の身を小脇に抱え、乱暴に運び出した。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:07:57 ID:tVLBffFM
                                     
438名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:08:40 ID:X6h7z9C7
 
439名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:08:43 ID:Z6db3XAr

440崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:08:48 ID:rparoU/e
「まぁ、こいつが本当にあの男の仲間だとしたら……いろいろ恨みもある」

 慈愛が働いたわけではない。ランサーは冷徹な憎悪を持って、眠る女に接した。
 労わるべき患者ではなく、単なる情報源として。


【C-6南部/市街地跡/1日目-昼(放送直前)】
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]:疲労(中)、強い決意
[装備]:鉄槍(折ったポール+アサシンナイフ@さよなら絶望先生×1本)
[道具]:デイバック×2、支給品一式×4、ヴァッシュの手配書、防水性の紙×10、
    不明支給品0〜2個(槍・デバイスは無い)、偽・螺旋剣@Fate/stay night、暗視双眼鏡
    M500ハンター(0/5)@現実、ダーツ@現実(残り23本)、タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実
    泉そうじろうのデジタルカメラ・説明書付@らき☆すた(※マタタビの勇姿(後ろ姿)を撮ったデータが一枚入っています)
[思考]
基本:このゲームに乗った者、そして管理している者との戦いを愉しませてもらう
1:女(リザ)を病院に運び、軍服の男(ロイ)等について尋問する
2:どこかにあるかもしれないゲイ・ボルグを探す
3:↑のために他の参加者を探して接触する
4:言峰、ギルガメッシュ、ヴァッシュと出会えれば、それぞれに借りを返す
5:衝撃のアルベルトと出会えれば戴宗からの言伝(一時的な休戦の申し込み)を伝える
6:エリオの知り合いと出会えたら事の経緯を伝える
7:日が暮れたら、戴宗と合流するため一旦温泉へと向う
最終:エリオの遺志を尊重し、螺旋王を討ち倒して彼の仲間を元の世界へと帰す
[備考]
※エリオ、戴宗と情報交換をして、それぞれの世界についての知識を得ました

【リザ・ホークアイ@鋼の錬金術師】
[状態]:気絶、疲労(大)、精神的ショック、全身各所に擦り傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考] 基本:ここから脱出する。殺し合いをするつもりはない
0:……
1:北上し、警察署で更なる銃器を調達する
2:ロイ・マスタング大佐、マース・ヒューズ中佐、エルリック兄弟(アル)を探し合流する
3:2日目の0時頃に温泉へと戻り、マタタビに協力を要請する
4:トンネルで見た化物を警戒す
5:ゆたかを心配
 ※リザ・ホークアイの参加時期はアニメ15話辺り。彼女の時間軸では、マース・ヒューズはまだ存命しています
 ※トンネルで出会った人物より、『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』の名前を聞きましたが、
  それが名簿に記載されていないことにまだ気づいていません
 ※マタタビと情報交換をしてません。また、マタタビを合成獣の一種だと考えています
 ※Dボゥイとゆたかの知り合いについての情報を得ました。
 ※穴の空いたデイパックは、めぐみの消防車の運転席に放置。
 ※ルールブレイカー@Fate/stay nightは、パズーの遺体とともにC-6のどこかに放置。


 ◇ ◇ ◇

441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:09:06 ID:UVM1PEYm
 
442名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:09:40 ID:d6XnAJKw
           
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:09:50 ID:tVLBffFM
                
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:09:51 ID:Z6db3XAr

445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:09:57 ID:DqWok9XA
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:10:21 ID:UVM1PEYm
 
447崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:10:56 ID:rparoU/e
   参/3――

 全ての戦いに決着がついた後、その二人は遅れてやって来た。

「ひどい……街がめちゃめちゃ」
「……卑劣な」

 その破壊が、ソルテッカマンによって齎されたものなどとは露とも思わず、Dボゥイは憤る。
 ゆたかも、テレビなどで見た震災の映像を思い出しながら、珍しい光景にただただ息を飲んだ。
 二人もまたランサーと同じく、騒音に引き付けられやって来た者。
 騒乱に直接関わることはなかったが、惨事の大きさは、容易に想像ができた。
 粉々に砕け転びやすくなったアスファルトを踏みしめながら、二人は破壊された街々を行く。

「あっ、あれ見てください」

 そのとき、Dボゥイの背中に縋るように歩くゆたかの瞳に、微動する瓦礫の山が映った。
 何者かが埋もれていると直感したDボゥイは、ゆたかの身を長身で隠し、声を発した。

「誰かいるのか!? 返事ができるようなら――」

 瓦礫の山に向かって――Dボゥイは、すぐさま異変に気付いた。
 埋もれているのが騒乱の被害者であるならば、助ける余地はある。
 だが加害者であるならば、それなりの戦力を持った危険人物であるのは必至。
 前者ならともかく、後者なら即座に対応しなければならない。ゆたかを守るための最善策を。
 そしてその異変の正体は――どうやら後者のほうであるようだった。

 瓦礫の山が、崩れる。中から、人が出てきた。

「……やあ、久しぶりだね。兄さん」

 埃に塗れた姿は、どこか狂気染みたオーラを纏う青年で――顔つきは、どこかDボゥイに似ていた。

「シンヤ……」

 強張った形相で、Dボゥイは埋もれていた男をねめつける。

「Dボゥイ……さん?」

 この二人の因縁などまったく知らないゆたかは、ただ首を傾げることしかできなかった――
 ――その胸に、得体の知れぬ不安を抱えて。

 放送が、流れた。

448名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:11:17 ID:Z6db3XAr

449名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:11:25 ID:tVLBffFM
                         
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:11:52 ID:UVM1PEYm
 
451崩落 の ステージ(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/11/22(木) 23:11:59 ID:rparoU/e
【C-6南西部/市街地跡/一日目/昼(放送開始)】

【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:左肩から背中の中心までに裂傷(傷は塞がったが痛みは若干残っている)、全身打撲(中)、貧血(中)
[装備]:テッカマンアックスのテックランサー(斧) @宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:デイバック、支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!!   
[思考]
基本:テッカマンエビル(相羽シンヤ)を殺す
1:シンヤに対処。ただしゆたかの安全を最優先
2:病院に戻り、二人分の代えの服や薬品、治療のための道具を集める
3:病院に戻ったら、一度食事と休憩をすませる
4:次の目的地を定め、速やかに病院を離れる
5:信頼できる人物にゆたかを預けたい……だが(?)
6:極力戦闘は避けたいが、襲い掛かってくる人間に対しては容赦しない
[備考]
※殺し合いに乗っている連中はラダム同然だと考えています
※情報交換によって、機動六課、クロ達、リザの仲間達の情報を得ました
※青い男(ランサー)と東洋人(戴宗)を、子供の遺体を集めている極悪な殺人鬼と認識しています

【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:疲労(小)、心労(中)
[装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン
[道具]:デイバック、支給品一式、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損]
    鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、M16アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)
    M203グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2)
[思考]
基本:元の日常へと戻れるようがんばってみる
0:なんだろう、この不安は?
1:Dボゥイが帰ってきたら、一緒に食事と休憩をすませる
2:Dボゥイの指示にしたがって行動する
[備考]
※コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました
※夢の内容は今のところぼんやりとしか覚えていません

【相羽シンヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:全身各所に擦り傷
[装備]:カリバーン@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、ファウードの回復液(残り700ml)@金色のガッシュベル!!、首輪(パズー)
[思考]
1:まずは兄さんに“挨拶”
2:ロイドの下に首輪を持っていく。
3:制限の解除。入手した首輪をロイドに解析させ、とりあえず首輪を外してみる。
4:テッククリスタルの入手。
5:Dボゥイの捜索、及び殺害。


※B-6の一部、C-6のほぼ全域が崩壊しました。一部まだ火災が続いてる場所もあり、煙が昇っています。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:12:33 ID:tVLBffFM
                         
453名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:13:02 ID:X6h7z9C7
 
454名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:26:34 ID:9AnamKD/
455名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:04:53 ID:RFxWyhu3
>>338-454

アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ1
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1195728156/

したらばの方は
仰られていた通りに移動先作りましたのでそちらに移動してください
456名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:36:17 ID:aOp3zC+i
やだ。
457鉄の、無敵の、 1 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:39:27 ID:PKjTl46f




『くだらん』


それが結論だ。
地図の枠に沿って位相差ゲートがあるのかどうか。
そのようなオーバーテクノロジーが存在するのかしないのか。
この枠の外へ踏み出せば何が起こるのか、起こらないのか。
あの女が不可思議な技を使うのか使わないのか。
今、あの女が何処にいるのか。
生きているのか、死んでいるのか。
その全てが、自分にとっては取るに足らない、下らない問題なのだと再確認する。

科学的な検証は物理学者がすれば良い。
理解不能な事象を無理に理解しようとする必要も無い。
可能性は、可能性として留め置けば良い。
あの女が生きているなら、見つけ出して殺せば良い。
怪しい技を使うのならば、使わせる前に殺せば良い。
自分の知らない情報を知っているなら、吐かせれば良い。
そう、全ては極めて単純なことである。

俺が今、思い悩む必要など、無い。

そして、目に見えない境界線へと向けていたその眼を、街の方へと向け直す。
その視線の先では、この閉じた世界に囲われた、虫けらの如き人間共が、殺し合いをしているのだろう。
そう、是は極めて簡単な状況だ。
俺は、前に進む。
障害は、排除する。
邪魔をするものは、殺す。
そして、俺は、俺自身が行きたい場所に行き、成りたい物になる。
ただそれだけの事だ。
それは、何時だろうが、何処だろうが、変わることなど無いだろう。
これまでも、そしてこれからも。

まどろっこしい真似などする必要はない。
進み、奪い、屠る。
虱潰しに。
ただ、それだけだ。

毒蛇は、人を呑み、他の蛇を呑み、そして、龍をも呑み込む。


そして、獲物を求めて、前へと進みだした。




 @ @ @ @ @ @
458名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:40:10 ID:yJ606T4k
   / ./i        `、
  / ィ/ ヾ,,、       }
  lノ、i゙, , _,.r'`ゝ、r-、  |
    ゝ,、( o) ̄'v'6,l  i
    ヽソ.  ̄    ,r'、 ノ   ぶっちゃけ、したらばがこのスレを荒らしてるんじゃないか
      ', -‐'`  ノ ヾr、._
       ', `  / ,r‐'゙/ \_
      ゙ フヾ゙,r''´,r/  /
     _,,r'ヽ',~,r''/__/
   ‐''´ ‐''" !/  \
459鉄の、無敵の、 2 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:40:31 ID:PKjTl46f


「わぁ! こんどはおっきい観覧車だぁ!!」
「おいおいイリヤ、地面も見ないと転んじゃうぞ!」
「ハァ……“また”か……一難去ってまた一難…・・・欝だ……」

やあ、全世界60億の老若男女即ち僕のファン達、元気かな?
ご存知、全人類のスーパースター、フォルゴレさ!
僕達、フォルゴレ、イリヤ、ねねねの3人は、
昨晩一夜をエキサイティングな思い出で満たしてくれた水族館を後に、
ミス・ねねねご所望の、図書館へと向かって歩き出した所だぜ。
もうお日様もずいぶん昇り、ちょいと小腹が空いてきたって頃合かな?

「つーか、どんだけ牛歩なんだよこの集団は……
 お前ら、目に付くモノ全てに興味示してるんじゃ無いよ……
 なんでン時間も経ってるのにこの程度しか進んで無いんだよ……」
さっきからご機嫌斜めのねねね嬢を笑顔にしてあげられない、自分の無力さが残念極まりない。
そもそも、折角仲良く(?)なったラセン君との別れを惜しんだりと、水族館を離れるまでにも、それなりの時間が必要だった。
それに、道中で見たワンダースポット、モノレールやドーム球場に心奪われるイリヤが居ては、
僕としてもそれを無下にあしらうことなど出来はしない。
近代的かつ展望の良さが期待できるモノレールには、当初からイリヤが目を付けていた事もあり、
その使用の是非を巡って中々な熱戦が繰り広げられた。
しかし、図書館に行くには遠回りになる、次のモノレールが来るまでに時間がありすぎる、と言うねねねによって、
結局、モノレールを利用するという案は却下になった。
そして、次に我々を虜にしたのがドーム球場だったが、
これも、誰も試合をしていないドーム球場なんて殺人事件の起きない推理探偵モノのようなものだ、という、
ミステリー作家に恨みでもあるのか? と言いたくなる様なねねねの暴論によって、その探索は却下となった。
そして、そういった諸所での出来事が積み重なることにより、
僕とイリヤのテンションは上がり、それと反比例するようにねねねの表情は曇って行ったのだった。
「僕のやり方が、ねねねにはお気に召さなかったみたいで残念だなあ。
 でも、そんなに暗い顔してたって、何も良いことなんかありゃしないぜ?
 ほら、スマイル、スマイル!」
「いや、お気遣いはありがたいんだが……もうちょっと、こう、緊張感というか……」
「ハハハ、そんなにツンツンしてたら、逆に相手も構えちゃうだろう?
 そういうのって損だと思うよ。壁を作って周りを拒絶してたって、何も良いことなんか無いさ。
 それに、誰だって心を割って話し合えば、理解しあえないことなんて無いよ!
 だからホラ、ねねねもスマイル、スマイル!」
「世界中がお前みたいなのだけなら、戦争も起こらないんだろうなあ……」
「おいおい、褒めても何にもでないぜ?」
「褒めてねえ……」

「ちょっと、二人とも、早く――!! 置いてっちゃうわよー!!」
前を行くイリヤが叫んでいる。
「おのれちびっ子め……ここまでのタイムロスを誰のせいだと……」
「ハハハ、過去なんて、あんまり気にするもんじゃないよ?」
「過去ってか今さっきだし! つか、お前も同罪だし!!」
「よーしイリヤ、あの観覧車まで競争だー!!」
「あー、フォルゴレずるーい! ちゃんとヨーイドンしなよー!」
「……逃げたな……」

460鉄の、無敵の、 3 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:41:33 ID:PKjTl46f
そんなこんなで、観覧車直前の橋まで来た時だった。
先頭はぶっちぎりでこのフォルゴレ。後にねねねとイリヤが続いている。
先に橋を渡って待とう、そう考えた僕が、橋を渡りかかったその時に、ふと気付いた。

橋の上の真ん中に、誰かが立っていたんだ。
失礼ながら、オバケとか悪魔とか、そういうのを連想してしまう雰囲気の人だ。
杖代わりの棒を持っているようだけれど、長い距離を歩いて疲れているのだろうか。

僕達以外で巻き込まれてしまった人だろう。そう思った。
だから、僕の取る行動は、決まっていた。

「やあ! そこの人! 君もこのパルコ・ファルゴレの仲間にならないかい!?」

何時ものスマイルで、そしてビシッ!とポーズを決めながらの一言!
よし、今回も決まった、完璧に……!


「…………って、アレ?」
しかし、眼前の男の人は、仏頂面のまま、眉一つ動かさない。
は、ハズしてしまったか……!?
だ、だが慌てない、スーパースターはこの程度では慌てない!
僕にはまだ、掴みのテクニックは無数に――

「おーい、フォルゴレー、待ってー」
と、後方から2人が追いついて来た様だ。
これで仕切りなおし、といったところだろうか。
「ああ、紹介しよう、彼女らが僕らの仲間の――」
そう言いながら振り向いた、その時。
「フォルゴレ、危ないっ!」

――ヒュン

「うわぁっ!」
僕の眼前を、黒い鉄塊が通り過ぎていった。
男が手にした鉄パイプの一撃……と、瞬時に理解する。
かわせたのは、偶然と、咄嗟の反射のおかげだった……だけど。
「ぐほッ!」
切り替えしの一撃が、鳩尾に直撃する。
一撃目はフェイント代わりで、本命はこちらだったのだろう。
しかし、これは確かにねねねの言う通り、もう少し緊張感を持っておいた方が良かったかもしれない。
食らった一撃の重さに悶えながらも、うっすらとそう考える。
……うん、それぐらいの余裕は、まだある。

「フォルゴレ、離れろ! ソイツはヤバイって!」
後ろで叫ぶ、ねねねの声が聞える。
そういえば、彼女が持っている、特別な“名簿”があったっけ。
全参加者の情報が載っているという名簿。
ソレを読んだねねねがそう言うってことは、相当ヤバイ人だったんだな、この男。
でも、ねねねに言われるまでもなく、この男のヤバさは肌で感じ取れる。
緩んでいた僕のネジが、高速回転で締まってゆく。
461名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:42:04 ID:kksn+1nD
【書き手の注意点】
・トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
・無理して体を壊さない。
・残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
・完結に向けて決してあきらめない

書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。

書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。

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いらない文章本当に多すぎだな。何度も見てるけど
462鉄の、無敵の、 4 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:42:53 ID:PKjTl46f
僕も、昔はちょいとヤンチャが過ぎる頃があった。
でも、だからこそ分かる。子供の遊びと、大人の仕事の間にある、確固たる隔たりを。
僕らが無意識の内に持っている大事なものを、とっくの昔に捨ててしまったような人種というのは、確かに居る。
そういう人間って言うのは、特有の目をしているんだ。
そう、この男のような。

男が、無表情のまま、ねねねとイリヤのほうを見た。
ああ、いけない。
この男は、全員殺す気だ。
そのためには、僕を放って置いて、逃げられると厄介な2人を先に始末した方が効率的なんじゃないかと、
冷静に計算しているんだ。
ダメだ、それだけは、なんとしても、ダメだ……!

「待ってろファルゴレ、いま助けに――!」
ダメだ、来ちゃダメだ。
こいつは、相手が女子供だからって、容赦どころか、意にも介さない。
冷静に、淡々と、ノルマをこなす様に……殺される。
ダメだ、、ダメだ……!

「ダメ……だ……! 二人とも、来ちゃダメだ……!」
痛むお腹を押さえつつ、やっとの思いでその言葉を捻り出す
「おまえ、その状況で何カッコつけてんだよ!」
「格好も……付ける……さ。な、何たって僕はスーパースター、だからね。
 それよりもねねねは……イリヤを、頼むよ」
僕の言葉を聞いたねねねは、はっとしたようにイリヤを振り向く。
イリヤも緊張した、張り詰めた顔をしている。
そう、今にも僕を助けようと、駆け出しそうな表情だ。
イリヤを、こんな危険な事に巻き込んではいけない。
子供を守るのが、大人と、お兄さんの役目だろう?
「で、でもっ、それじゃあフォルゴレが、フォルゴレが!」
そんなイリヤの悲痛な叫びを、優しく、窘めるように、言ってあげるんだ。


「ハハハ、僕を誰だと思っているんだい? 僕は、鉄の、無敵のフォルゴレだぜ?」


その時、おもむろに、男が2人の方へと歩き出した。
2人に狙いを定めたんだ!
「ねねね! 今なら間に合う、いや、“調度良い時間”だ! 行けっ、行くんだ!!」
絶叫にも似た僕の声に突き飛ばされるように、ねねねの体が飛んだ。
イリヤの腕を掴んで。
「何するの、ねねね! ダメ、ファルゴレを助けないと!!」
「黙ってろ! 黙って、走れ!!」
嫌がるイリヤを、ねねねが無理やりに連れて、走り出す。
ねねねは、ちゃんと僕の“キモチ”を察してくれたみたいだ。
「そうだ、行くんだイリヤ! 大丈夫、僕も直ぐ行く!」

「……逃がさん」

その2人を追おうとする男の背中に向けて。

「待てッ!!」

懐にしまっておいた、ソレを出し、

「動くと……撃つぞ!!」

狙いを、つける。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:43:55 ID:7p+gSPoE
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。

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話し合いの結果、移動することがきまったんですがねー

聞いてないというし、荒らしだともいうし
464鉄の、無敵の、 5 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:43:56 ID:PKjTl46f


 @ @ @ @ @ @


ああ、くそ、イライラする。
私が敵前逃亡? あいつにビビッたっての?
ふざけんな!
クソッ、クソッ、クソッ!!

感情的には、不本意極まりない。
でも、理性的には、こうするしかないって分かっている。
あそこで私たちが加勢して、いったい何が出来たっていうのか?
私たちが持っている武器といえば。イリヤのマッハキャリバーぐらいだ。
ちびっ子の、正体不明の不思議アイテムを頼って、あのマフィアと殺し合いをさせる?
死んだアニタのように?
……あり得ない。
それに、ここは離島。袋小路だ。
このままでは、遅かれ早かれ、あのマフィアに追い詰められてしまう。
――“あの時間”を逃してしまっては。

その時間は、しっかり覚えている。
それを逃せば、次のチャンスは数時間後。
だから、このチャンスを逃すことは出来ない。
しかし、時間的には、かなり際どいタイミングのはずだ。
だからこそ、まごまごしている暇は無かった。
迷っている時間を惜しんで、走りださなければ、間に合わない。
それが、分かってしまったから、
アイツの言葉で、気付いてしまったから、
私は走り出した。

理性では分かっている。
イリヤを巻き込んじゃいけないってことも、分かっている。
でも……感情は、理屈だけではどうにもならない。

イライラする。
どうにもならないことが、むしょうにイライラする。


でも、どうにもならない。


クソッ!



@ @ @ @ @ @
465鉄の、無敵の、 6 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:45:04 ID:PKjTl46f

「動くな! そのまま、そのパイプを捨てろ!」

銃を両手でしっかりと支え、男にそう叫ぶ。
気迫で呑まれてしまう訳にはいかない。
でも、この男は……とりたて慌てる素振りすら無い。
2人を追おうとした足を止め、ゆっくりとこちらを振り向いた。

「アンタも見れば分かるだろう? この銃はオモチャじゃない!
 撃たれたくなかったら、僕の言うとおりにしろ!」

必死にそう叫ぶ僕を見る男の目は、あくまで冷静で、冷ややかだ。
しばしの間、静かに僕を見据えた男は、
そのまま、ゆっくりと、
一歩。
また一歩。
無造作に、まっすぐに。
僕に向かって、歩いてきた。

「と、止まれ! 撃たれたいのか!?」
慌てる僕。冷静な男。
銃を向けているのは僕だというのに、まるで立場が逆だ。
男はなんの躊躇もしない。
くそっ、本当は撃ちたくなんか無いけれど……
男を止めるために、足を撃つか!?
そう思い、ぐっと指に力を入れ――、


「安全装置が付いたままだぞ」


「えっ――!?」


慌てて手元の銃を見た、次の瞬間。
強烈な衝撃が、銃を握る両手を襲った。
銃が宙を舞う。
次に僕が見たのは、自分の顔面へと滑り込む、鉄パイプの鈍い光沢だ。
痛みを感じたのは、その後だった。

地面に倒れる僕を余所目に、男は銃を拾い上げる。
そのまま、銃のマガジンやグリップをかちゃかちゃといじる。
品定めでもするかのようだ。
「……まあ、良いだろう」
そして、改めて、僕を見下ろした。

「……無駄弾を使うことも無いな」


466名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:45:33 ID:6lbOSQCD
>その時間は、しっかり覚えている。
>それを逃せば、次のチャンスは数時間後。
>だから、このチャンスを逃すことは出来ない。
>しかし、時間的には、かなり際どいタイミングのはずだ。
>だからこそ、まごまごしている暇は無かった。
>迷っている時間を惜しんで、走りださなければ、間に合わない。
>それが、分かってしまったから、
>アイツの言葉で、気付いてしまったから、
>私は走り出した。


こんな文書で楽しんでるとか、ウソじゃない?
467鉄の、無敵の、 7 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:46:09 ID:PKjTl46f
鉄パイプが振り下ろされる。
鈍い痛みが、全身を貫く。
呻きとも、呼吸音ともつかない音が、口の中から漏れ出てくる。
立ち上がろうにも、脚が言うことを聞いてくれない。
残念ながら、今の僕にできることと言えば、僅かに体を捩り、ダメージを僅かに和らげることぐらいだ。

でも、それにだって、意味は有る。
男は、銃を使わないつもりだ。
鉄パイプで殴り殺すつもりのようだ。
だから、ここで僕が、一分でも、一秒でも長く生きていれば、
それだけ2人と男との距離が開き、
2人が逃げるだけの時間が稼げる。

だから、僕は、必死に耐える。
今にも燃え尽きそうな命の火を、必死で守る。
たとえちっぽけなことだとしても、それには確かな理由があるのだから。
だから、僕は、必死に今を生きる。
今、この瞬間を。

なあに、大丈夫さ。
こう見えても、タフさには自信があるんだぜ?
それに、あの歌を聴けば、僕には力が沸いてくるんだ。



ほら、あの歌が聞えてきた……






【パルコ・フォルゴレ@金色のガッシュベル!! 死亡 】


     @ @ @ @ @ @
468名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:47:16 ID:liUYVXgF
無駄な文章多すぎ
469鉄の、無敵の、 8 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:47:20 ID:PKjTl46f


発車ベルが鳴り響く。
その音が、自分の徒労をあざ笑うかの様に聞え、うんざりしてしまう。

先にこの場所を訪れたのが、凡そ2時間前。
それから、私は速やかに行動を開始した。
螺旋博物館に続く施設の捜索――それが、私の目的だった。

水族館と、ドーム型球場。
時間的な問題もあったため、その2つの内のどちらか一方に探索は絞るべきだろう。
そう考えた私は、ドーム型球場に足を向けた。
螺旋……くりかえす円循環と、そこから別次元への前進……それを思わせる、円。
まあ、結局は唯の山勘だった訳だが、それは完全に外れてしまったようだ。
もしや、“ドーム内に何かを隠蔽しているのでは……?” とも考えたが、
そこにあったのは、がらんとした無人の球場だけだった。
もっと細部に至るまで調べれば、何かを発見できたのかもしれないが……
残念ながら、そのブレイクスルーが起きる前に、タイムリミットが訪れてしまった。

「結局、他の参加者とすら会えなかったか……」
そう呟いて、モノレールに乗ろうとした、その時。
ふと改札口の方を見ると、こちらに向かう人影が目に飛び込んだ。
物凄い形相で走ってくる、女性と、その女性に腕を捕まれている女の子。
彼女達は確か……

「やあ、こんにちは、はじめまして。
 私は警視庁の明智と申します。
 出来れば少しお話を聞かせて頂けますか? 薫川ねね――」

「うっさい!」

どがっ

相手の心情と微妙な間合いを計る私の言葉も聞こうとせずに、
彼女のタックルが私を直撃する。
そして、3人の体がモノレールの中に吸い込まれたのを確認したかのように、
そのドアが、ゆっくりと閉じていった。





【C-1/1日目/昼】
【ビシャス@カウボーイビバップ】
 [状態]:健康
 [装備]:鉄パイプ、ジェリコ941改(残弾16/16)@カウボーイビバップ
 [道具]:支給品一式、マガジン(9mmパラベラム弾16/16)×1
 [思考]
  基本:参加者全員の皆殺し。元の世界に戻ってレッドドラゴンの頂点を目指す。
  1:皆殺し。
  2:武器の補充、刀剣類の獲得。
[備考]
※地図の外に出ればワープするかもしれないと考えています


470鉄の、無敵の、 9 ◆P2vcbk2T1w :2007/11/23(金) 01:48:24 ID:PKjTl46f
【D-1・駅/一日目・昼】
【明智健吾@金田一少年の事件簿】
[状態]:右肩に裂傷(応急手当済み)、(上着喪失)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(一食分消費)、ジャン・ハボックの煙草(残り16本)@鋼の錬金術師、参加者詳細名簿、予備カートリッジ8
    ダイヤグラムのコピー
[思考]
基本思考:犯罪芸術家「高遠遙一」の確保。ゲームからの脱出。
1:ゲームに乗っていない人間を探しつつ施設を回る。
2:ねねねとイリヤと会話
3:D-4駅へと戻り、クロスミラージュと合流。
4:金田一、剣持を探す。
5:明日の正午以降に博物館の先に進む。信頼できる人物にはこのことを伝える。
6:もし死体を見つけた場合、気が進まないが首輪を回収する。
[備考]
※リリカルなのはの世界の魔法の原理について把握しました。



【菫川ねねね@R.O.D(シリーズ)】
[状態]:苛立ち
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(一食分消費)、詳細名簿+@アニロワオリジナル、手書きの警戒者リスト
   :ボン太君のぬいぐるみ@らき☆すた、『フルメタル・パニック!』全巻セット@らき☆すた(『戦うボーイ・ミーツ・ガール』はフォルゴレのサイン付き)
[思考]:
1:イリヤの安全確保
2:図書館に行く。誰も見つけられなければ本がある場所へ。
3:読子、スバル、ティアナ、エリオ、はやて、シャマル、清麿、ガッシュ、士郎を探す。
4:詳細名簿を参照に、危険人物、及び死亡者の知り合いを警戒する
5:柊かがみに出会ったら、ボン太くんのぬいぐるみと『フルメタル・パニック!』全巻セットを返却する。
6:読子が本当に自分の知る人物なのか確かめる。※
最終行動方針:打倒タコハゲ
[備考]:
※詳細名簿+はアニタと読子のページだけ破り取られています。
※思考7、パラレルワールド説について。
 富士見書房という自分が知り得ない日本の出版社の存在から、単純な異世界だけではなく、パラレルワールドの概念を考慮しています。
 例えば、柊かがみは同じ日本人だとしても、ねねねの世界には存在しない富士見書房の存在する日本に住んでいるようなので、
 ねねねの住む日本とは別の日本、即ちパラレルワールドの住人である可能性が高い、と考えています。
 この理論の延長で、会場内にいる読子やアニタも、ひょっとしたらねねねとは面識のないパラレルワールドの住人ではないかと考えています。



【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式(一食分消費)、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル、支給品リスト@アニロワオリジナル
[思考]:
基本行動方針:シロウに会うまで絶対生き残る
1:フォルゴレを助けに戻りたい 。
4:マッハキャリバーを使えるようにしておく。
5:放送で呼ばれた死亡者の知り合いを警戒する。
[備考]:
※フォルゴレの歌(イリヤばーじょん)を教えてもらいました(イリヤ向けに簡単にしてあります)。
※チチをもげ!(バックコーラスばーじょん)を教えてもらいました(その時にチチをもげ!を完璧に覚えてしまいました)



※キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!! の入ったデイバックは、フォルゴレの遺体の傍に放置されています。
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:48:35 ID:sAOCcjaa
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:48:56 ID:bovCFUvU
>>ID:PKjTl46f

アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ1
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1195728156/

移動ね

あとでそのSS全部削除依頼出しとくから
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:57:07 ID:/OTFu3Yv
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>ID:PKjTl46f

2chのスレで決められた運営ルールは守りましょう。
したらばでいくらテンプレを作って強引にスレ立てしたってこのスレの住人は納得しませんよ

移動はあなた方の代表と話し合って決めて、しかもそれに対して何度も通告してます。
削除依頼を出せというのは、あなたがたの代表のお話です。

十二分に時間は与えた筈です。

アニメサロンに自ら行くと仰られたのですから、その自己の発言には責任を持ちなさい


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474読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:37:33 ID:s2H/XUtY
太陽は高く、時刻は時期正午。
ここは端っこジーワン駅。
人気はなく喧騒もなし。
ただページを捲る音だけが響いていた。
本当にここが戦場なのかと疑いたくなるほどに静かな世界。

駅のベンチに座りあたしは本を読んでいた。
そのすぐ隣で、同じく金ピカに輝く男が本を読み漁っている。

あたし達はモノレールを待っていた。
駅に到着したのは10時になろうとか言う時刻だった。
時刻表によれば次の到着は正午。
待ち時間は長く、歩いたほうが早いんないかと言うあたしの意見は、モノレールに乗りたいという意見(わがまま)に却下され。
こうして、待ち時間を潰すため、何故か大量にある本を読み漁っているのだった。

あたしが今読んでいるのは金ピカがすぐさまほぽらかした『BATTLE ROYALE』という本。
持ち辛いったらない位の分厚さに、重々しいまでの黒の外装。
黒の外装に似つかわしく、その内容は――――殺し合い。
とある国の中学校から選ばれた一クラスの生徒達が、隔離された小島に集められ、最後の一人になるまで殺し合いを強要される。
殺戮。虐殺。疑心暗鬼。
あらゆる最悪が詰め込まれたバトルロワイアルから果たして主人公は生き残れるのか?
まあ、だいたいストーリーはそんな感じだ。
それを読み耽りながら、あたしの頭に思い浮かぶ感想は、主人公の性格が気に食わねぇなぁ、とか、面白いとか面白くないとかいうモノではない。
なんと言うか、それ以前にこれは…………。

「ねぇ金ピカ……」
「なんだ、蜘蛛女。その本の感想でも述べたいのか?
 語りたいのであれば勝手に語れ。面白ければ耳を傾けてやらん事も無いぞ」
本を読む手を止めるでもなく、興味なさげに相槌を返す金ピカ。

「そうじゃなくて。いや、全然違うってわけでもないけど。
 この話って、さあ………なんか今の状況と似てない?」
あたしの言葉に耳を傾ける気になったのか、金ピカは本を読む手を止めて目を細める。

「ほう……どこが似ているというのだ?」
「どこって、まんま殺し合いって状況に、この首輪でしょ?
 あと禁止エリアとかルールは大体いっしょじゃない。
 だから――――」
「――――だから、この物語がこの遊戯のモデルなんじゃないか?
 そう言いたいのであろう?」
「あ、うん。その通りだけど」
金ピカは少しだけ愉快そうな顔をしながら、こちらの意図など見透かしたような言葉を放つ。
そう言えば、こいつは先にこの本を読んでいるのだから、同じ考えに至ってもおかしくはないわけか。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:38:51 ID:RYHpF7lS
 
476読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:39:16 ID:s2H/XUtY
「そうだな、これを見たなら大半のモノがそう思う。
 そして、こう擦り込まれるワケだ。
”殺し合いの話をモデルにしているのだから、この状況も殺し合いに違いない”と。
 それだけの話だ。その小道具がここに存在することに、それ以上の意図は無い。
 意図が読み取れたのならば、それ以上読んでも無駄というものであろう?」
「いや、擦りこまれるもなにも、実際殺し合いじゃないの、これ?」
金ピカの口ぶりだと、まるでこの状況が殺し合いじゃないと言っているように聞こえる。
今のところ金ピカという安全圏にいるあたしは呑気なものだが、実際すでに死者も出てる列記とした殺し合いだ。

「ああ、そうだな。本質がどうあれ、殺し合いに違いはあるまいよ。
 そしてこの話を参考にしているのも確かだろう。だが本質は別にある。
 聖杯戦争と同じだ。殺し合いなど本質を隠すための隠れ蓑に過ぎん。
 よいか? この場合、考えるべきは共通点ではなく相違点だ」
「相違点……?
 この本の話と今の状況と違う点ってこと?」
「そうだ。例えば相違点の一つに能力制限があるか。
 この一点だけを取っても、この実験の本質がある程度は見えてくる。
 この実験は一見すれば壺毒に近い。だが、その実まるで違う。
 壺毒は死にこそ意味がある。能力制限などは死を遠ざける足かせにしかならん」
「まあ……たしかに。てか逆効果じゃん」
こっちからしても無駄に動き辛いし、あのオッサン、何でこんな制限つけてんだ?

「その通りだ。端からつまらん制限などつけずにおけば、半刻と待たずこんな遊戯は終わっている。
 そうなっては困るのだろう。
 つまり、この実験の”死”に意味はない。
 意味があるのはその過程なのだろう」
「過程って……」
呟いてみて、すぐさま思い至る。
死の過程、そこにあるもの。
なんてことはない、それはあたし達には慣れ親しんだものに過ぎない。

「……そっか、戦いか」
こんな場所で病死や老衰もあるまいし、死ぬとしたら戦って死ぬ以外にはありえない。
あたしの答えを聞いたギルガメッシュは満足げに口の端を吊り上げる。

「そうだ、我とお前が最初に出会ったときを思いだせ。
 本来戦いにすらなりはしないこの我と貴様ですら”戦い”になったであろう?
 能力制限はそのためのモノだ」
力の差がありすぎれば、それは戦いではなくただの虐殺にしか為り得ない。
確かに、力の差が縮まれば戦いは生まれるだろう。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:39:56 ID:RYHpF7lS
 
478名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:39:57 ID:mDpQkLrO
479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:40:41 ID:oAD50PRX

480読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:41:13 ID:s2H/XUtY
「さて、時に蜘蛛女。貴様の能力制限はどうなっている?」
「どうって、エレメントは少し強度が落ちてる感じがするけど……。
 そう言や、チャイルド至っては完全に出せないわね」
よくよく考えれば、エレメントは出せるのにチャイルドだけ出せないのもおかしな話だ。
本来セットのはずのモノが片方だけ出せなくとはどういうことだ?

「その”チャイルド”とはどういったものだ?」
「どうって聞かれても、あたしも詳しくは知らないわよ。
 エレメントと同じでHiMEの能力と言うか……なんと言うか……」
チャイルドがなんなのかと聞かれても答えられるはずも無い。
そこらへんの詳しい事情は凪かチビッ子学園長辺りに聞いてほしい。

「当ててやろうか? チャイルドとは大方、召還獣のようなものであろう?」
「あ。そうそう、そんな感じ。
 って、何でわかったの?」
「簡単な話だ。能力制限が”戦い”を生み出すためのモノとして。
 なぜこれに限って”制限”ではなく完全に”禁止”されているのか。
 その理由を考えてみろ。
 そうすれば自ずと推察できる話だ」

「えーっと……強すぎて戦いにならない、とか?」
ジュリアや玖珂の犬コロはともかくとして、藤野や鴇羽のチャイルドは桁が違う。
あれに暴れられては会場は一瞬で火の海、瓦礫の山だ。

「ほう。大きく出たな蜘蛛女。
 それはこの我を相手取っても同じ事が言えるのか?」
「…………あ」
そうだ、ここにはチャイルド並の、それ以上の化け物がゴロゴロいるワケだ。
強さと言う点なら、チャイルドだけ封印される謂れはない。
むしろ化け物相手ならチャイルドが在ったほうが、まだ戦いになるだろう。

「では何故それに限っては弱体化ではなく封印なのか?
 他の能力とそれの違いは何か?
 答えは簡単だ。
 それが本人とは別の意志を持つモノを生み出す能力だからだ。
 つまり、それに戦わせては意味がない。
 きっと”本人”が”戦う”ことに意味があるのだ」
481読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:42:19 ID:s2H/XUtY
「なにそれ、結局のところ戦ってなんの意味があるの?
 っていうか、そんな理由でHiMEだけ能力封印だとか、なんか不公平じゃない?」
「たわけ、そのようなこと我が知るか。
 だが、なにか目的のために封印されているのなら。存外、目的が達成されれば封印は解かれるかもしれんぞ?
 まぁ、どうでもいい話だが」
ふん、と興味なさげにギルガメッシュは吐き捨てる。
いやいや、こちらにすれば死活問題なんですが。

「さて、他の相違点と言えば、禁止エリアがあるか」
HiMEの死活問題には本当に興味がないらしく、早くも次の話題に移る金ピカさん。
……まあ、いいけど。チャイルドよりもこいつに戦ってもらったほうがとりあえずは安全だし。

「って、ちょっと待って。禁止エリアはあるじゃない、この本のルールにも」
「名目と効果は同一だろう。だが宛がわれる意図と役割が違えば別物だ。
 そもそも、この禁止エリアとはいったい何のために存在するのだ?」
「何んでってそりゃ、動ける場所を限定して遭遇率を上げたり、隠れてるやつ等をあぶりだすため、とかそんなんじゃないの?」
まあ、この本の受け売りだけど、そんな感じで間違いはないだろう。

「ああそうだ。我も始めはそう思っていた。
 だが、蓋を開けて見ればどうだ?
 まるで無意味な場所ばかりを指定し、人が集まるような拠点は放置だ。
 適当に決めているワケでもあるまいし、これでは炙り出しも何も無いだろう」
あまり気に止めてはいなかったけど、確かに、言われて見ればそうだ。
まだ禁止エリアは三箇所、偶然で片付けられる範疇とは言え、一つも施設は封鎖されていない。
それどころか施設を避けているようにも思える。

「これは見方によっては、参加者を誘導しているようにも見える。
 さて、奴は参加者をどこに誘導し何をさせたいのか。
 はたまた、何を見つけさせたいのか。
 まあこれに関しては次の放送を聞けばよりハッキリとすることか」
金ピカは誰に話しかけるでもなく一人、自らの言葉に頷く。
自己中ここに極まれりといったところか。

「ああ、放送と言えば、奴はこんな事を言っていたな。
”一人、螺旋の力に目覚めた”と。
 何故わざわざご親切にもこんなことを明かす必要がある?
 嬉しさのあまり口を滑らせたか?
 それこそまさかだ。これ程の事を行う輩がそんな迂闊な阿呆でもあるまい」
何が楽しいのか。
語りながら、ギルガメッシュは口元に笑みを張り付かせている。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:42:24 ID:mDpQkLrO
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:42:47 ID:RYHpF7lS
484読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:43:28 ID:s2H/XUtY
「大体これほど書物が支給されている時点でおかしな話だ。
 これを凶器にする訳でもあるまいし
 大体本当に殺し合いをさせたいのなら本など支給する必要はあるまい。
 では本とは何だ?」
「いや、なにって本は本でしょ?」
「たわけ。本とは情報だ。
 この舞台。施設といい、図書といい。奴の発言といい。
 あからさまなまでに参加者を釣る情報と言う餌がばら撒かれいる。
 まるで何かに気付いた下さいと言わんばかりにだ。
 は。これでは釣堀か何かのようではないか。
 ここまで露骨過ぎては釣られてやる気にもならん。
 もっとも、釣り餌に喰らいついた者(さかな)の末路など語るまでもないだろうが」
嘲笑うかのような冷笑。
それはきっと、ギルガメシュの言うところの釣られた魚に向けられたモノだろう。
あのオッサンがキャッチ&リリースするようなエコロジストでもない限り、釣られた魚はまな板の上ということか。

「結局のところ奴は情報を開かしてなにがしたいのか?
 何故明かす? 何故見せる?
 何を明かす? 何を見せる?
 その意図は? その意味は?
 いったい奴は、何を期待している?」
矢継ぎ早にギルガメッシュは問いを投げる。
その問いかけは誰へ向けたモノか。
あたしに対してか、己に対してか。
それとも、ここいない誰かへか。
少なくとも答えを知らないあたしは押し黙るしかない。

「まあよい、残りは宿題だ。己で考えて置け」

元から答えなど期待していなかったのか、それとも、既に答えを得ているのか。
金ピカはあっさりと問答に見切りをつけ読書を再開する。
先ほどの話で色々気になるところはあったのだが、こうなってはもう駄目だろう。
こいつに一度失った興味を取り戻させるなど、この殺し合いを生き残ることより困難だ。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:44:03 ID:mDpQkLrO
486読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:44:34 ID:s2H/XUtY
金ピカが先ほどから熱心に読み耽るのはやたらと分厚い一冊の本。
ティム・マルコー著『今日の献立一〇〇〇種』。
本を読み進めながら、ギルガメッシュは満足げな笑みを浮べている。
献立見ながら笑う様はなんかアレだ。

「……ねぇ。面白い、それ?」
「悪くはない。
 生きた人間を材料に錬金術を用いた”賢者の石”とやらの創り方が書かれているが。
 この錬金術も、我の知る――穴倉の輩が使う――錬金術とも形態が異なるようだ」
…………スゲエ献立だな、ティム・マルコー。

「足りぬものを一から創るのではなく、既にある余所から持ってくるのは効率的だ。
 増えすぎた余分なものから使える部分を抽出して、道具を生み出すこのやり方は理想的とも言えるだろうよ」
本当に感心したような声でそう呟くギルガメッシュ。
だが、さっきこいつは、その材料が、なんであると言ったか?

「余分なモノって……人間がってこと?」
「そうだ。今の世は余計なモノで溢れている。
 我の時代の話なのだがな。
 十人の奴隷を選び、その中で“いなくともよい”モノを殺そうとした事がある。
 どうなったと思う?」
我の時代、という謎発言はスルーして。
無視する訳にもいかないので、一先ず考えて見る。

「そうね……全員殺した、とか?」
奴隷なぞ皆殺しだぁ、とか言って。
こいつの性格ならやりかねない。
だが、ギルガメッシュはあたしの言葉に頭を振る。

「いやいや。それがな、一人も殺せなかった。
 いかな人足とは言え無駄なモノなどいなかったのだ、かつての世界には。
 だが、現界してみればどうだ?
 今の世ならば十人どころか何千という人間を選んだところで、殺せない人間など出てこまいよ。
 なんとも人間に優しい世界になったものだ」
そう言ってギルガメッシュは皮肉げに肩をすくめる。
その様は酷く残念がっているようにも見えるし、酷く楽しんでいるようにも見える。

「ただ無価値なものが数ばかりが溢れている世界なぞ、見ているだけで気色が悪い。
 わかるか? 多いという事は、ただそれだけで怖ましい。
 怖ましきは一掃するが正義というものだろう?
 我は豪勢な物を許す。装飾華美など最も愛でるべきものだ。だが余分なモノに与える意義などない。
 そんな無意味で無価値な余分なモノなぞ、生きる権利をすら持ったいない。
 せめて穢れた生の苦より救うために死を遣わせるのが、情けと言うものであろう?」

驚くほど冷たい赤い瞳。
こいつは本気で多いというだけで人を無価値と断じている。
そしてこいつは、本気でそんな理由だけで人が殺せるのだろう。
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:44:57 ID:RYHpF7lS
488読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:45:46 ID:s2H/XUtY
「まあ、この場所に集められたものはある程度の人選はされているようだ。
 多少の小石はあれど、無価値なものは少なかろう。その点はよい。
 だが、 選定はあくまで我が行う。奴の定めた人選なぞ、畜生にも喰わせてしまえ。
 弱者はいらん、我が統べるに値するはあくまで強者のみだ。
 この程度の事態で脱落するような輩は我が統べるに値しない。
 蜘蛛女。我の従者となれたこと、もっと喜んで良いのだぞ」

あーそーっすか。光栄すぎて涙がでそうだ。
モノレール早く来ねーかな。

「まあ、このままこの実験とやらが進めば、必然的に我が統べるに値する強者が生き残るだろうが。
 こんな遊戯は早めに潰すに限る。これ以上おめおめと人間が殺し合うのを放置しておくのも性にあわぬからな」

正直、驚きだ。いや、マジで。
この自分のこと以外考えていない、散々人を無価値と断じてきた男から、まさか、他の参加者を心配をするような発言が飛び出すとは。

「……どういう風の吹き回しよ。アンタがそんなこと言うなんて?」
「驚くことはあるまい。我は、我以外の者が人を殺める事を善しとせん。
 人が人を降せばつまらぬ罪罰で迷おう。その手の苦しみは楽しくもないからな」
本に目を落としたままギルガメッシュはそう言った。
むちゃくちゃな奴だけど、こいつにはこいつなりの正義心があるのかもしれない。
まあ、その正義心もむちゃくちゃなのが問題なんだけど。

「さて、モノレールも見えて見たか、直に放送だ。準備しておけよ蜘蛛女。
 定時内容の他に、きっと奴がつまらんことを抜かすぞ」
くっ、と喉を鳴らしながら、ギルガメッシュは本を(あたしの)リュックに仕舞い込む。
「つまらんことって、何よ?」
「さてな。聞けばわかることだ。
 精々聞き漏らさぬようにすることだ」
そう言ってギルガメッシュはベンチから立ち上がった。
あたしも同じく席を立つ。

太陽は高く、時刻は時期正午。
ここは端っこジーワン駅。
人気はなく喧騒もなし。

モノレールが駅に到着する。
静寂に鳴り響くブレーキ音。
それを掻き消す様に天上から声が響いた。
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:46:00 ID:mDpQkLrO
490読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg :2007/11/23(金) 02:46:52 ID:s2H/XUtY
【G-1 道路/一日目 昼】

【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:健康、眼帯を外したい
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:支給品一式、パニッシャー@トライガン、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ) 、奈緒が適当に集めてきた本数冊 、『原作版・バトルロワイアル』 、『今日の献立一〇〇〇種』
[思考]
基本思考:面倒なのであまり戦いたくない。ヤバくなったら真面目にやる。
1:とりあえず金ぴかと一緒に行動する
2:攻撃してくる人間を殺すのに躊躇いは無い
3:藤乃にはあまり会いたくない

※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
※ドモンの発した"ガンダム"という単語と本で読んだガンダムの関連が頭の中で引っ掛かっています。

【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:巳六@舞-HiME 黄金の鎧@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、シェスカの全蔵書(1/2)@鋼の錬金術師
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】【王の財宝】の入手。
1:モノレールを用い、北上する。出会えば衛宮士郎を殺す。具体的な目的地のキーワードは【高速道路】【河川】
2:異世界の情報を集めておく。
3:宝具、それに順ずる道具を集める
4:目障りな雑種は叩き切る
5:ドモンに不快感
6:エレメントに興味

※学校の図書館には様々な異世界の歴史を記した本があります。
(ただしどれだけ関係ない話があるか、どこまで詳細かは不明。
 少なくとも参加者の名前や能力については述べられていない。
 また1stガンダム〜ガンダム00まで全黒歴史を紹介するなど、関係ない情報も相当数紛れている)
※主催者による監視を警戒しています
※今日の献立一〇〇〇種はシェスカの全蔵書から出てきた物です。
※参戦時期は原作死亡時。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:47:06 ID:RYHpF7lS
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 09:37:53 ID:QiW7zeOh
>>472-473
荒し仲間として教えてあげよう。
ここは投下専用スレ。そのルールを守ろうとする人が、ここで議論するわけがない。
2ch側とかしたらば側とか自称しても、証拠も何もない。
荒し同士で議論してるフリをして、議論に参加しなかった人を追い出す、という策は脆くも崩れたわけだ。
ご愁傷様。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 14:03:14 ID:vEVFUrx/
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>ID:s2H/XUtY

2chのスレで決められた運営ルールは守りましょう。
したらばでいくらテンプレを作って強引にスレ立てしたってこのスレの住人は納得しませんよ

移動はあなた方の代表と話し合って決めて、しかもそれに対して何度も通告してます。
削除依頼を出せというのは、あなたがたの代表のお話です。

十二分に時間は与えた筈です。

アニメサロンに自ら行くと仰られたのですから、その自己の発言には責任を持ちなさい


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494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 14:05:49 ID:NUBfvQ8P
>>492
ここに住人がいるって事がなによりの証拠やん

何寝言言ってるんだ?
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 16:37:09 ID:aOp3zC+i
ほらほらー、お前が正しいと思ってんなら言ったとおりにSS削除依頼だせよー♪
できるもんならなーw

まぁ、SS職人が認めないんじゃ議論も無効だね、それで終わり。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 16:41:18 ID:aOp3zC+i
493君ことゴッキー君無駄だよーーん、どんなにがんばってもテンプレ変更はないし、書き手は移動しないよーんw

永久にがんばってね、ばーかw
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 17:39:18 ID:YMLA8Y3Q
なるほど、今度は荒らしにかまってる住人がいるふりをしようという腹か
IPチェックこの間の削除の時にされてるだろうから、IPに気を使えよ

とりあえず、皆さん
荒らしは今まで通りスルーで。
>>495>>496の発言は9割9分Gです。Gは削除を逃れるために何でもやってきます。
ここを乗り切れば終わりでしょうし。とりあえず自分の発言ごと削除依頼出してくる。
498名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:15:14 ID:PToDQVX7
495 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2007/11/23(金) 16:37:09 ID:aOp3zC+i
ほらほらー、お前が正しいと思ってんなら言ったとおりにSS削除依頼だせよー♪
できるもんならなーw

まぁ、SS職人が認めないんじゃ議論も無効だね、それで終わり。


↑完全な荒らし宣言じゃんwwwwwwwwwwwwwwwwwww

499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:55:21 ID:PEbwyM/i
                      , - ─- 、_
                /        `丶
                rー‐<::/ ン-―ー- 、   、 \
           {(こ 〆.:::/  ____ \ ヽ..::::ヽ
           __/'´/  〃7了.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.j ::ヤ¬寸
         /,イ>/ .:::/,':::{:::::!:::::::::::::::::ヽ ::|:. ::::Vヽ_,イ
         レ/,イ ::/ :{:ハ\{ ::、::ヽ ::::::}::_|_: :::::l >::|
          {/::| :!{.::ィ'f坏ト\{ヽ ,><ム:!:::::::: Kヽ:ト、
            |::::ヽ::i:ヽi. r'_;メ  ヽ´ イ圷ハ|::::::::::|\/ヽ>
            |i:::::::トl::ハ.     ,    r';ン´j::::::::: l: V  したらばSSに
            |i::::::::!:::: ヘ  {>ーァ   /:!::::::::/::/    削除依頼だしてきたわ
            lN:ヽ:ヽ::',:::ヽ、ヽ _,ノ  ,.ィ::/::::::/ /
              ヾ /}::}八::::ヽ>.-‐か/7::/∨
          r<¨ リ\`ヽ、\__ {  〉/イ l  )}  もう我慢も限界でしょ?
          f⌒ \ \ヽ  )' \ニニ∧ | |!彡ヘ
          |    \ ヽム    ヽ‐' .| | }ヘ,__,イ
         r-ヽ     ̄ )\     Vrj/ ̄ヽ ヽ
         |  \     // /)ミ ー-∨   / ̄ ヽ
         |   (>―‐'/ /勺ヽ¨ア    /    }
         |   \三三‐'ノ ^ヽ/   /-―一 '
500読子達がみてる  ◆UCRiZtpozI :2007/11/23(金) 21:35:06 ID:LAqBoxeM



「だからその紙を置け、紙を」

スパイク・スピーゲルは温泉に入りながら微妙に命の危機を感じていた。
目の前には紙を構えた読子・リードマンがおり、その紙がなぜかは不明であるが鋭利な刃物となることを知っていたからである。
混浴だからと言って一緒に入ったのが問題であったらしい。
とはいえ、リードマンの裸などに興味はない。

「水着着てるんだから、見られて困るようなモンはないだろ」

それにリードマンは混浴だということを事前に知っていたため何処かから調達した水着を着ていたのだ。
これでは裸を見られるも何もあったものではない。それを知っていたが故に自分は混浴の温泉に入っているのだ。
流石に、裸婦のいる浴場に突入して紙手裏剣や風呂桶が飛んでこないことを予測できないわけがない。

「……むぅ」

読子は膨れっ面で紙や本を入れている風呂桶を持って湯から上がり、

「俺も上がるか」

スパイクも重い腰を上げ後に続く。
H2Oという空間からスパイクの裸体が介抱され、周囲に晒される。
手ぬぐいという邪魔なものなど一切身に着けてはいない。
正真正銘の丸裸である。
その体は180を超える長身を誇り、普段の鍛錬で引き締まった筋肉は女性を魅了するに相応しい。
また、無駄な贅肉が付いていないため男が憧れるのも無理はないと言うべき姿である。
だがこの場に唯一存在する女性にはまったく魅了の効果を発揮せず、
逆に背中を向きスパイクの方を見もせずに顔を背けさせる効果しか持たなかった。

「スパイクさんには恥じらいが足りません」
「わりぃ、貧乏なんだ」

スパイクの方に振り向こうともしない読子の非難に、彼は至極あっさりとした冗談を返した。


501読子達がみてる  ◆UCRiZtpozI :2007/11/23(金) 21:36:38 ID:LAqBoxeM


「なあ、機嫌直そうぜ」

体を拭き服を着たスパイクと読子は廊下を歩いていた。
だが読子の機嫌は斜め右下に進んでいた。
30というおばさん呼ばわりされても不思議ではない年齢の彼女とて、スパイクの無神経ぶりには御立腹なのであった。

「俺が悪かったからさぁ」

図太い神経を持つスパイクでも流石に調子に乗りすぎたと考え、
なんとか機嫌を直してもらおうと浴場を出てから何度か謝罪の言葉を紡ぐがいっこうに効果は上がらない。
読子がスパイクの先を歩いているため彼に彼女の表情など窺えないが、背中越しからでも考えていることが理解できる。
ああ、流石のこいつでも怒るんだ。と。
数時間ほどの付き合いで流石も何もあったものでは無いが、
これまでの行動からスパイクはリードマンのことをあまり怒らない人種の人間だと判断していた。

「もういいッ!! 全員黙れッッ!!!!」

そんな二人が廊下を当ても無く歩いているときだった。玄関先から聞こえた若い青年の声が耳朶を振るわせたのは。
スパイクと読子はお互い顔を見合わせ疑問符を浮かべる。
いったい何が起こっているのか?
二人は無言で小走りに廊下を歩き、曲がれば何かが起こっているであろう場所の手前で立ち止まり壁に隠れながら玄関の様子を窺う。

「突然だが、ここはゼロを筆頭とする、反螺旋王組織『黒の騎士団』の指揮下に置かれる!
 以降は、そこに居られるゼロが全ての指揮を取る! 異論は認められない!!」

玄関では複数の人間と猫達がいた。
先ほどまで共に行動していたはやて達である。
他にも見知らぬ学生達にどこぞのヒーロのコスプレにメカメカしい猫、と奇人変人のオンパレードである。
いったい何をしているのか?
スパイクは読子と共に様子を窺うことにした。自分でも知らず知らずの内に銃を握り締めながら。
だがスパイクが予想していたような血なまぐさい展開は起こってはいなかった。
ただ青年が声を張り上げ演説をし、全員の注目を集めているだけであった。
しかも内容は非常におざなりなものと言わざるえない。目的だけ駆け足で言っているだけだ。
あれならば、まだビシャスの方が口が達者だ。案の定はやて達からは非難の声が聞こえる。
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 21:37:55 ID:/k0aZ8/S
503読子達がみてる  ◆UCRiZtpozI
だがたった一声で、非難の声が突然止まる。こちらに背を向け全員の注目を集めている青年の一言で。

「やって欲しいことはこれだけだ。 エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。
 我々に害を為すようなら排除する。それだけだ。頼む。協力してくれ」

青年がそう言い放った瞬間、その場にいたほぼ半数の者達が同意する。
そのままはやて達は屋外へと出て行ってしまった。なぜか倒れた青年を無視して。

「……なんだぁ?」

スパイクには何が起こっているのか理解できない。声を掛けるという発想すら思いつけないほどに奇妙な状況であった。

「スパイクさん、ちょっとこちらへ」

だがそんなスパイクの困惑を無視するかのように読子は彼の腕を掴み、以外な力を発揮してその場から離れようとする。

「おい、痛いって……」
「静かにお願いします」
「どこに連れて……」
「黙っていて下さい」

スパイクは言葉を紡ごうとは思ったが、読子から発せられる何かに押しとどめられ黙ってしまう。
リードマンからは先ほどまで発せられていた朗らかな空気は消え去っており、
逆に自分のようなカウボーイたちが発する硝煙の臭いに似た何かに取って代わっていた。
リードマンは真剣な表情でそんな気配を纏いながら、自分を手近な部屋へと連れて行く。

「スパイクさん、たぶん非常に厄介なことになっていると思います」

部屋の扉を閉めると、開口一番に何を言おうとしているのか分からないことを言い放つ。
何が厄介なのか、この女の一言ではまったく分からない。

「いや、いきなり厄介なことになったと言われても……」
「あの男の子は特殊能力を持っているんですよ」
「ハァ?」
「だから、相手の行動を操る類の能力を持っているんですよ。一般には催眠術と呼ばれるようなものを」

リードマンの答えは予想を遥かに超えた珍解答であった。
とりあえず黄色い救急車を呼んで、病院に連れて行くのが一番だろう。

「いいかリードマン。温泉に入ったからといって脳までふやけるのは人間としてどうかしているぞ」
「ふざけないで下さいスパイクさん」
「ふざけているのはお前だろうが」
「スパイクさんも見たはずです、いきなりはやてさん達の行動が変化したのを。あれは彼の仕業です」
「……たまには人間変わったことをしたくなるもんさ」
「それでもおかしすぎます。温泉に入っていた私達を放っておいてどこかに行くものでしょうか?」
「そりゃあ……」

そこで言いよどむ。たしかにリードマンの言うとおり、あっさり自分達を放って一言もなしにどこかに行くのは妙である。
猫と男の方は我が強く人の言うことを簡単に聞くとは思えず、はやての方も何か一声ぐらいは掛けそうな性格だ。
それに、はやてはたしか自分が風呂に入る前にリードマンに鞄を返したいなどと言っており、
その時にはリードマンが風呂に入っていたために、上がってから返すつもりだったはずだ。
あの少年が青臭い正論を吐いたからと言って、彼の言葉を第一目標にするのはおかしい。
そうするにしても、相談の一つぐらいあっても良さそうなものなのだ。
しかし、人を操る超能力をあの少年が持っているなどと言われ簡単に信じるのは馬鹿がやることだ。