あの作品のキャラがルイズに召喚されました part80

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part79
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194092595/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

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    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
    l lf小从} l /   ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
              ・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!

--------------------------------------------------------------------------------
    _
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし      ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ      本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l        ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
              ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。

--------------------------------------------------------------------------------

   ,ィ =个=、       ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
    { {_jイ」/j」j〉      これ以上だと投下できないそうです。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
   ⊂j{不}lつ      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   く7 {_}ハ>      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
    ‘ーrtァー’       ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 10:33:40 ID:6/UsDpyY
いちもつ!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 11:12:15 ID:NgiMG4VU
>>1

ついに80スレか
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 12:41:04 ID:PzmZW/bW
股間に>>1乙背に荷物

ところでキン肉マンからって誰か呼ばれてたっけ?
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 12:58:25 ID:8yZnVobP
>4
まとめwikiをぱっと見た感じないな
キン肉スグル召喚しても、誰も王子だとは思わないかもなぁ、亜人の一種扱いぐらいはしてもらえそうだが
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 13:55:43 ID:X6teYqPB
貴族の心を解するロビンマスクを召喚するか
スグルを召喚してルイズに「火事場の・・・く・・・くくっ・・・クソ力よ!」と言わせるか
7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 14:33:25 ID:c56N3Hir
ベンキマンを召喚
パンツを詰まらせて見事脱出するフーケとか
8名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 15:28:04 ID:bgEM5sIf
ギーシュ「杖二本で2倍 いつもの二倍気合を入れて更に二倍で4倍! コレでスクウェアに相当だ!」
9名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 16:39:46 ID:SkZ2peKi
ギーシュ「ウギャーモンモランシー!」
10小ネタ:2007/11/06(火) 18:31:43 ID:wvHoa+5b
新スレ立っていたのに気付かず、前スレに小ネタを投下してしまった私

己のマヌケさを恥じて、首吊ってきます
11名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 18:32:50 ID:1ztJqFu7
いやいや、埋まってないならそこは現行スレだよワトソン君
12名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 19:36:12 ID:lKicRKrQ
そろそろ、ゲッター線がハルケギニアに興味をもってもいいと思うんだ
13名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 19:40:12 ID:bgEM5sIf
>>12
隼人が昔取った杵柄で爆弾を作ったり
「目だ!耳だ!鼻!」をやったりしますか?
14名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 19:43:03 ID:y0EmsmN7
前々スレ500kb、マニフェストは守ろう


932 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/11/03(土) 21:56:37 ID:FMaMZAbZ
>>500kbなら電脳コイルのイサコ様召喚。

電脳メガネが使えなければ面白くないので、なぜかハルケギニアでも
使えるという設定で。
15名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 19:53:20 ID:Tv4M8NeT
>>12
聖地にて
「でたなゲッタードラゴン!」
こうですか?わかりません!
16名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 20:38:04 ID:ybu+jAm5
>>12
「これがゲッター線の力か…たいしたもんだぜ」
いかん、それだと3人目の死亡率が高すぎる!
17名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 20:38:42 ID:Osa4+qj6
「ぼくらの」からココペリを召喚。
全長約500メイルの巨大ゴーレムに乗って、次々と襲い掛かる巨大ゴーレムと
戦うはめになる。
勝利するたびに、倒れていく仲間たち。
戦いの中で次第に明らかになる真実。
一人生き残ったルイズは、決死の覚悟で最後の戦いに挑む。
最後に出現した巨大ゴーレムを操っていたのは、ルイズ達と同じ様に
自分の世界を守る為に戦い、一人生き残ったサイトだった……

というのを考えたんだが、ダメかい?
18名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 20:42:04 ID:j/hEef/6
>>17
EDはVermillionで全員が手を繋いでいるんだな
19名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 20:57:28 ID:56VxaoPl
>>12
新ならやりかねんなあ、次元超越やっちまってるから
竜馬一人での性能試験ですっ飛んだタイミングと召喚がかち合ったら
辻褄も合っちまうし
20名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 20:59:09 ID:Osa4+qj6
>>18
画面のスクロール順に
ルイズ、キュルケ、タバサ、ギーシュ、モンモランシー、
マリコルヌ、シエスタ、マルトー、ジェシカ、スカロン、
アンリエッタ、ワルド、モット伯、ティファニア、ガリア王ジョセフ

人選は適当
21ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:17:42 ID:GKg7CXEi
21:20に投下予約します
22ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:21:07 ID:GKg7CXEi
「サン、あんた朝ご飯抜き。それとハウリングボイスは私の許可無く使用禁止」
翌朝、生徒までも動員した大手術の末、一晩で完治にまで至ったルイズは不機嫌マキシマムな表情でそう言った。
「へへぇー」
平伏して素直に言う事を聞く燦。
ちなみに今回の治療費は、医療スタッフによる致命的な医療ミスが発覚し、全額彼らの負担となっている。
今日は虚無の曜日。街まで買い物に行ける日なので、正直かなり体は重かったが、燦を連れて買い物に行く事にした。
本来はここまでしてくれた使い魔に何かを施してやるなぞありえないのだが、いつまでも女の子が衣服も下着も一着づつのみという扱いをする訳にもいかない。
「寛大な私に感謝しなさいよね!」
「へへぇー、ルイズちゃんは神様でごぜぇやす」
簡単に身支度を整えると、すぐに学園を出る。
燦は馬に乗った事が無いというので、ルイズが前で二人乗りで馬に乗る事にした。
「うっわ〜、思ったより馬の背中って高いんじゃな〜」
燦は後ろで上機嫌である。
風が気持ち良いだの、景色が飛んでいくみたいだの、じゃんぷしてーだのととかく騒々しい。だが、
「乗馬ってホンマ楽しいな。ありがとうなルイズちゃん」
そんな事を満面の笑みで言われると、まあ良いかという気になってしまうのだった。



キュルケが窓の外を何の気無しに覗くと、丁度ルイズと燦の二人が馬で学院を出ていくのが見えた。
召喚の儀以来、ルイズは何時も医務室でせっかくサラマンダーを自慢してやろうと思ったのに、その機会に恵まれないでいた。
どうやら今日もそれが難しいようなので、暇潰しにタバサの部屋を覗いてみる事にした。
ノックをして、タバサの部屋に入ると、予想通りタバサは椅子に腰掛け読書の最中であった。
「お邪魔かしら?」
そんな声をかけてタバサの様子を伺うと、今日はどうやら一緒に居ても良い日らしく、タバサは首を横に振って本を膝の上に置く。
これ幸いとベッドに腰掛けるキュルケ。
すると、珍しい事にタバサの方から声をかけてきた。
「キュルケ、ルイズが怪我した時、一緒に居たって本当?」
「怪我した後、だったけどね」
「その時、部屋に居たのは誰?」
奇妙な事を聞いてくるとは思ったが、別に隠すような事でも無いので素直に答える。
「召喚の時に見た平民らしい女の子が一人居ただけね。あの時は驚いたわよ、ルイズは全裸で傷だらけだし、まるで肉の塊に赤ワインでもブチマケたみたいな惨状だったわよ」
「なら決まり、犯人はその女の子。何か危険な物でも召喚したのかもしれない。キュルケも近づかない方が無難」
一回目にルイズが怪我をした時、側に居たのはコルベールと平民らしき女の子のみ。
次に怪我をした時は女の子のみ、ならば自ずと結論も出る。
「でも、それだと変じゃない? なんでコルベール先生はそれを放置しているの?」
「危険性を認識していないのかもしれない」
キュルケは昨日の事を思い出してみた。
しかし、泣きながらルイズの無事を祈る彼女に、悪意があるとは思えなかった。
「コルベール先生がどうしてルイズが怪我したのかを彼女に聞いていたけど、私には彼女が何を言ってるのかさっぱりわからなかったわ。それでも……」
タバサは無表情のまま目でその先を促す。
「そんなに悪い子には見えなかったわよ」
「ただそこに存在するというだけで危険な物もある。いずれにしても……」
そこまで言って言葉を止めるタバサ。
キュルケがタバサの唇に自分の指を当てたからだ。
「だったら、確認してきましょ。ゼロのルイズにはその判断も下せないでしょうからね」
これは憎まれ口に類する言葉ではあるが、キュルケはどうやらルイズが心配であるようだという事も理解できたので、タバサは無言で席を立つ。
「付き合う」
タバサの言葉にキュルケはタバサに抱きついて喜ぶ。
「あっりがとー! だからタバサは好きよ!」
23ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:23:17 ID:GKg7CXEi
ルイズと燦の二人はまず洋服屋に向かった。
ここで午前中のほとんどの時間を費やす。
ルイズは燦の衣類を数着揃えるだけのつもりだったのだが、やはりそこは女の子二人、姦しくも微笑ましい時間を過ごし、気が付いたら二人共両手が塞がる程の買い物をしていた。
「いっぱい買っちゃったわね〜。一度馬預けた所に置いてきましょうか」
「せやね。可愛い服たくさんあったきに。ルイズちゃんかわええから、つい色々欲しなってしまう」
そう言うとにこっと笑う燦。山ほど買った服を燦が着ている所を想像しているのであろう。
「ば、ばかっ! 何言ってるのよ!」
照れて赤くなるルイズ。その様が無性に可愛らしく、燦はその頭を抱えこむように抱きつく。
「ルイズちゃんめっちゃかわええっ!」
「こらっ! や、やめなさいってば!」
二人でじゃれ合いながら、一度馬を預けている所に荷物も預ける。
燦はこれで今日の買い物は終わりと思っていたのだが、ルイズはもう一軒回る気であった。
ルイズがうろ覚えの記憶に従って向かった先は武器屋であった。
武器がハウリングボイスだけというのは、その効果範囲の関係上少々使い勝手が悪いとルイズは判断したのだ。
武器屋に入ると、主人は上機嫌でルイズ達を迎えた。
ルイズには剣の事などわからないので店の主人に任せようと思ったのだが、燦は店に入るなり目を輝かせて物色を始めたのだ。
最初は主人もこんな小娘に剣がわかるはずないと思っていたのだが、燦が粗悪な剣には見向きもしない所を見て考えを改める。
「ほ〜、お嬢ちゃん剣がわかるのかい?」
「そうでもないです、こういう形の剣はそれほど詳しないんよ。おじさん、片刃の剣とかは無いん?」
「それなら……」
主人と燦とで剣談義を始めると、ルイズは手持ち無沙汰になってしまった。
どれも同じに見えるので何処を見てもあまり面白く無いのだが、それでも暇潰しにとその辺の剣を手にとって見てみる。
数本を手にとってみるが、やはり何がどう良くて悪いのかさっぱりわからない。
肩をすくめて剣を戻すと、一本の剣が目に入った。
それは、明らかにその剣だけ手入れが為されていないとわかる、薄汚い汚れだらけの剣であった。
ルイズは思わず店主に声をかける。
「ちょっと貴方、いくらなんでも売り物がこんな汚いのはマズイんじゃない?」
剣を手にとってみると、剥き身の刀身にも随所に汚れが目立つ。
「ああ、そりゃ……」
店主が何か言おうとするのを遮るように剣から声が聞こえてきた。
「おうおうおう娘っ子! 俺様に目をつけたのは褒めてやるが、汚ぇってのはなんでい!」
ルイズはいきなりの事に驚いて剣を床に落としてしまう。
すると剣からの声が勢いを増す。
「コラ! もっと丁寧に扱わねえか! 近頃のガキは刃物の扱いも知らねえのか!」
ルイズは数歩後ずさる。
「……インテリジェンスソード?」
「おうよ、デルフリンガー様だ。恐れ入ったか?」
あまりに偉そうな物言いにカチンときたルイズが、文句を言ってやろうと身構えた時、燦がその剣を拾い上げた。
「何? この剣話するん?」
「おうよ、てめえも少しは剣がわかるみてぇだが……ん? もしかしてお前さん使い手か?」
「すっごい、ホンマに話すんや。私、瀬戸燦言うんよ。デルフリンガーでええかな?」
ルイズは柄を片手に、残った手で刀身を支えるように持つ。
まるで壊れ物でも扱うかのような丁寧な持ち方だ。
「ほう、きっちり名乗りで返すあたり礼儀を弁えてるねえ。セトサン?」
「燦でええよ。凄い珍しい造りしよんね、良ければ綺麗にしてあげたい思うけど、どやろ?」
「大歓迎だ。おう、そこのくそ親父、さっさと手入れ道具を用意しな」
物凄い嫌そうな顔をする店主とルイズであったが、燦が笑顔で頼むと断りずらいのか渋々それを認めた。
手入れ道具を預かると、一つ一つ使い方を確認してからデルフリンガーの手入れを始める。
そうやって手入れしている様が、燦もデルフリンガーもとても楽しそうに見えるので、ルイズは確認の為に燦に聞いた。
「何? 燦はその剣がいいの?」
24名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:23:34 ID:6rXMQGuc
来たぜ来たぜ支援
25ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:25:07 ID:GKg7CXEi
「うん、私デルフリンガー気に入ったで。でも、私お金無いから……」
「いいわよ。元々燦の剣を買うために来たんだし、貴女が気に入ったのならそれにしましょ」
「ホンマに!? ええの? でも剣て高いんちゃうん?」
ルイズは目で店主に値段を問う。
すぐに店主が提示した値段は、何とか手持ちで足りる金額であったのでルイズは即断し、店主に金を払う。
燦はデルフリンガーを抱えて、今にも飛び上がりそうな勢いで喜んでいる。
こうして何かにつけて素直に喜びを表現出来る無邪気な燦を見ていると、まるで妹が出来たような気になってくる。
出会ってから迷惑しかかけられていない気もするが、それでも放っておけないし、燦が喜ぶと何故かこっちまで嬉しくなってくる。
使い魔としてのありかたをきちっと教えなければとも思うのだが、どうにもそんな気になれない。
『燦は先住魔法の使い手なのだから、大事に扱う方がいい』
そんな言い訳を自分に言い聞かせ、ルイズは燦を促し店を後にした。



嬉々として剣を抱えている燦を伴い、ルイズはメインストリートを歩く。
これで全ての予定は完了したので、後はのんびりと食事でも取ろうと思っていた時、いきなり燦が通行人の手を叩いた。
「何しやがんだクソ女!」
貧相な身なりと顔つきの男が燦を怒鳴りつけるが、燦も負けじと睨み返している。
「おっちゃん人の物盗もうとしてたじゃろ!」
「けっ! 何処にそんな証拠があるってんだよ! おら、俺が何処の誰の物盗んだって?」
両手を上にあげて何も持っていない事をアピールしながら殊更に大声を出す男。
「盗む前に私にひっぱたかれたから手引っ込めたんじゃろ!」
「だーから何処にそんな証拠がある? おら小娘、てめえ証拠も無しに人を盗人扱いか? どうしようもねえ女だな、親の顔がみてえや!」
「お父ちゃんもお母ちゃんも関係無い!」
周囲に人だかりが出来始める。
ルイズは眉をひそめて燦に注意する。
「ちょっと燦。何揉めてんのよ」
しかし、燦はまるで止まりそうにない。
「ルイズちゃん! このおっちゃん私のポケットに手を突っ込でてん! ドロボウじゃ!」
「だーから、そんなの俺は知らねえって言ってんだろ。なあみんな?」
男が回りに問いかけると、周り中から燦を詰り、囃し立てる声が聞こえてくる。
品の無い言葉、品の無い表情、その全てがルイズにとって不愉快極まりないものであった。
これ以上それを聞いているのも気分が悪いので、その男の前にルイズが立つ。
「この子は私の使い魔よ。文句があるのなら私が聞くわ」
学園の制服に手に持った杖、これだけでチンピラ相手には充分であろう。
現に、その貧相な男はルイズのそれを見て明らかに怯んでいる。
年齢、容姿共にガキの域を出ないルイズであったが、あからさまに貴族とわかる風体にケンカを売る程その男も愚かでは無かったのだ。
燦はまだ納得いってないみたいだが、ルイズの顔を潰すつもりはないらしく黙ったままだ。
そこに、別の男が顔を突っ込んできた。
「おいおい、何こんなチビガキ共にビビッてんだよ。飛び方が足んねえぜ兄弟」
その男は何やら乾燥した草のような物を貧相な男の口に突っ込む。
それはアップ系と呼ばれる類の麻薬の一種であった。
それを明らかに限度を越えた量、口に放り込まれたのだ。
貧相な男は、咳き込みながらそれを飲み込み、そして少しの間の後、痙攣して口から泡を吹きながらその場に倒れた。
「ありゃ? おい、そこのガキ二人。俺の兄弟死んじまったじゃねえか、どうしてくれんだ」
呆気に取られながらその様子を見ていたルイズだが、そう声をかけてくる男の目が尋常でない事にすぐに気付く。
燦もその危険性に気付き、ルイズに忠告する。
「アカン、ルイズちゃん。あいつジャンキーじゃ」
「ジャンキー?」
「麻薬中毒者じゃ。ああいう奴らに理屈は通用せん……気に入らん、ここにおる奴らどいつもこいつも似たような目しよる」
26ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:27:15 ID:GKg7CXEi
燦の言葉にぎょっとして周囲を見回すルイズ。
なるほど、燦の言うとおり周囲を取り囲んでいる奴らはガラの悪い連中だけになっており、近くで店を出していた者達も逃げ出し始めている。
「呆れた、ここ何時の間にこんな街になってたの?」
「ルイズちゃんは下がって。私がこいつら全員叩きのめすきに」
燦は完全に目が据わっている。
ルイズは慌てて燦を諭す。
「ちょ、ちょっと燦! いくらこいつらがバカでも貴族に手を出したりしないわよ! そんな事したら……」
「せやから!」
燦の強い口調に言葉を遮られるルイズ。
「その、判断がつかなくなるんが麻薬じゃ。大丈夫、私が左側の三人吹っ飛ばしたらルイズちゃんはその奥の扉に入って出てこんといて。残りは私が片付けるきに」
ルイズは反論したかったが、周囲の空気が変わった事に気付き、その言葉を飲み込む。
二人が言い合っている間に、ルイズ達を取り囲んでいる連中が武器を手にしたのだ。
ルイズは生まれてこのかた殺意など向けられた事はない。それがいきなりこんなに大量の人間のそれに曝されたのだ。
怯えない方がおかしい。
当人はそれと認識していないだろうが、その怯えからルイズは素直に燦の言う事を聞いていた。
まるでその先どうなるかがわかっているかのような、凛とした態度を燦がとっていた事もそれに拍車をかけていたが。
燦はルイズが納得したのを見てとると、すぐに行動を開始した。
「そこ邪魔じゃ!」
ハウリングボイスで先制の一撃、左側の数人を吹き飛ばすとルイズの手を引いてその先の家に向かう。
衝撃波の余波で半ば崩れ落ちかけている扉を蹴り開け、ルイズをそこに押し込むと自分はその扉の前に立つ。
ここまでが一呼吸の動作である。
ジャンキー達は確かに薬で気が大きくなっていたが、しかしまだ貴族を害する事に禁忌めいた思いがあったのだ。
だから包囲するだけですぐには手を出さなかった。
そのまま包囲して脅すだけのつもりだったのか、それとも本気で手を出すつもりだったのか、それは当人達にもわからないであろう。
ただ、間違いなくその中に数人は殺すつもりで居た者がいるのも事実である。
押さえつけて拉致するつもりでロープを用意している者も居たのだから。
そんな冷静さと狂気を乗せた麻薬の天秤の動きを、誰が予測出来ようか。
結局その天秤は燦の行動であっさりと振り切れる事になったのだが。
「囲めオラァ!」
「切り刻めやぁあああ!」
「まわしあげたらぁぁぁ!」
「君をぶっ生き返すうぅぅぅぅ!」
「……くぅ、静まれ俺の邪気眼……」
最初の四人は燦が一息に振るった剣撃で全員悶絶、というか文字通り吹っ飛ばされひっくり返った。
燦はデルフリンガーの背で斬るというよりも殴ったのだが、考えていた以上の打撃に驚いた。
「あれ? おかしいな、私そんな吹っ飛ぶような振り方してへんけど……」
ルイズの疑問にデルフリンガーがケタケタ笑いながら答えた。
「相棒、そりゃあんたが使い手だからだろ」
「使い手?」
「おっと、その話は後にした方がいい。来るぜ!」
次々と襲い掛かってくる荒くれ者達を迎え撃つ燦。
『足止めたらイカン。動き続けなあっという間にやられてしまう』



燦は剣が得意と言っていたが、ルイズもまさかこれほどとは思っていなかった。
まるで打ち合わせでもしていたかのように正確に、そして確実に敵の剣をかわし、一人、また一人と打ち倒していく。
その動きには不安を思わせる要素などなく、つい見惚れてしまう程である。
しかし頭を振ってそんな思いを振り切るルイズ。
何しろ敵の数が多すぎる。燦の体力は無限ではないのだ。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:28:39 ID:1ztJqFu7
任侠支援
28ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:29:04 ID:GKg7CXEi
「燦! 私衛士呼んで来る! だからそれまで頑張ってて!」
そう叫ぶと家の裏口に向かって駆け出す。
「え? ちょ、ちょっとルイズちゃん! 危ないからそこ動かんとって!」
焦った燦がそう言うもルイズは既に走り去った後である。
囲まれている上、ここを離れればすぐにでもこの連中も後を追ってくるだろうから、一緒に行く事も出来ない。
包囲の奥の方の人間はどうやらルイズを捕らえに向かったようだ。
そうやって気を逸らされたせいであろう、荒くれ者の振るうナイフが燦の腕をかすめる。
周り中敵だらけなので一度崩れるとそこからは早い、右斜め後ろの男が大上段から振り下ろす剣を受け流しそこない、今度は左肩の先を衣服ごと切り裂かれる。
男が全力で振り下ろした剣は、ただ切り裂くのみならず、燦の体を大きく崩す事にも成功した。
剣の勢いに負けて半ばしゃがみこむように膝を落とす燦。
そこに、殺到する荒くれ者達。
そこで燦は両足に力を込め、全力で大地を蹴る。
男達は目を見張った。
燦の体が大地を離れ、男達の頭上を越える高さまで飛び上がったのだ。
空中で体を捻り、回転しつつ落下、剣を横凪に振るい一人の男の頭部を打ち抜き、しゃがみ込むように着地しながら更にもう一人の足を打ち払う。
同時に燦へと短剣を振り下ろしてきた男に、身をよじりながら逆袈裟に斬りあげて脇の下を強打した。
すぐに剣を横に突き出しながら歩き出す。
突き出した剣は牽制、目線で複数人を威嚇しつつ、数歩歩む事でそれぞれの敵との間合いを外す。
デルフリンガーはそんな燦の動きに感嘆の声を漏らす。
「あそこから立て直すか。やるじゃねーか相棒」
しかし燦には返事をしている余裕が無い。
『アカン、一瞬でも気抜いたら殺られる。集中せな……集中さえしてれば、政さんに教わった剣は無敵じゃ!』
ハウリングボイスは放つと脇が甘くなる。
一息に飛び込める距離で敵に囲まれている場合は使う訳には行かないのだ。
『このままでも戦りきれるけど、早うせなルイズちゃんが危ない。じゃったら……』
視界の片隅に入った路地、燦はそこを使う事に決めた。



ルイズは勝手口から家を出る。
途中その家の人間がとても怯えた目でこちらを見ていたが、申し訳ないとは思ったが無視して通り過ぎた。
路地に出て、そのまま大通りまで飛び出すとそこでルイズを探していた荒くれ者達に見つかった。
「おったぞ! ぶっ殺せおうるぁ!」
その言葉がルイズの癇に障る。こんな下賎な者達にこんな事言われる筋合いは無い。
なので、不快感そのままに大声で怒鳴りつけた。
「あんた達! 貴族相手にこんな真似してただで済むと思ってんの!」
小娘とはいえヴァリエール家の三女。貴族のなんたるかは良く理解しているのだ。
まあ薬中には通用しないのだが。
「何が貴族じゃボケカス死ねコラァ! そがーなもんワシのこの……」
男が上着を脱ぎ捨て、その腹に巻きつけたものを見せ付ける。
「腹マイトにはご意見無用じゃボケがぁ!」
ルイズはそれを信じられない目で見ている。
『何よあれ爆薬? そんなものがどうしてこの街に? ていうか普通自分に捲き付ける? 脅しとかフェイクとか?』
どうやら言葉でどうこうするのは無理のようだ。
かといって、逃げ出すなぞもってのほか。しかし、今のルイズにはやらなければならない事があった。
踵を返して駆け出すルイズ。
衛士達を呼んで来なければ燦が危ないのだ。
「待てやゴルァ! 貴様とワシとでForever with youじゃアホンダラぁ!」
火種を手に持ちながら涎を撒き散らしつつ流暢な発音で追ってくる男。
ふと振り返ってそれを確認したルイズは以後後ろを振り返るのをやめた。
29ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:31:27 ID:GKg7CXEi
追ってきている男達は既に十人超にまで増えている。
全員上着を脱いで、それが何なのか確認する気すら起きないが、腹に何かを捲きつけていたのだ。
「マイティボンジャックァアアアアーーーーーーーーー!!」
「完全無欠のマイトガイン! 定刻通りにただいま炸裂じゃけぇのう!」
「さあ、心配しないで。僕も一緒に逝ってあげるから……だから腸ぶちまけながら消し飛べクソボケがぁ!」
「……俺、このマイト爆発させたらあの子に告白するんだ」
何があろうと絶対に逃げ切る。そんな決意を胸に抱けるような声を背にルイズは走り続ける。
通行人の間をすり抜け、道を横切ろうとする子供を飛び越え、何故か襲ってきた暴れ馬の後ろ足蹴りを必死の形相でかわし、横合いから短刀(ドス)を腰溜めに構えてつっこんでくる荒くれ者達を振り切って走る。
ようやく衛士の詰め所が見えてきた。
ちょうど十人近くのメイジが出撃の準備をしている所らしい。
隊長と思しき人が馬に跨って指示を出している。
「商店街でヤクザ共が暴れているらしい、皆の者、俺に続け!」
そう! それ! それなんとかして! と心の中で叫びながら彼らの元へと駆け寄るルイズ。
が、衛士達の所にたどり着く前にルイズはそれに気付く。
建物の上で何やらバケツを抱えている者達がいる。
「貴族がなんぼのもんじゃーい!」
そこから水を撒き散らすと、見事衛士達の頭に降りかかる。
「貴様!? 一体何の真似……これは、油?」
「地獄へ墜ちろやクソボケが! ふぁいあああああ!!」
水らしきものをかけ終えると、彼らは屋根から、火のついたたいまつを手に、飛び降りた。
あっと言う間に炎に包まれる衛士達と男達。
「火! 火だぁ! 誰か消してくれっ!」
「うおっ! 凄いぞワシ! 心頭滅却したら火もまた涼しいわい!」
「ひぃぃ! 助けておかあさーん!」
「ホンマじゃ! ワシ等は貴族のボンボンとは気合が違うせいじゃ! おら死ねダボハゼ貴族がぁ!」
「ぎゃああああ! 僕の顔がっ! 顔に火がっ!」
「涼しいのう! 涼しいのう!」
ルイズはそんな地獄絵図を見なかった事にして、横道へと逃げていく。
衛士はダメ。となると別の手段を講じなければならないが、すぐには思いつかない。
走りすぎて息も絶え絶えの現状では無理からぬ。一度何処かで落ち着かなければ。
角を三つ曲がって後ろからの絶叫が聞こえなくなると、すぐ近くにあった喫茶店へと駆け込んだ。
「いらっしゃー……」
マスターはカウンターでグラスを磨いていた手を止める。
ルイズは店に入った勢いそのままにヘッドスライディング。そして地面に突っ伏したまま荒い息を漏らしていた。
「えっと……お客様?」
全身から噴出す汗が気持ち悪い、それが床に流れ込んで水溜りみたいになっているそこに寝転がっているのは最低の気分だったが、それでも体を動かそうという気になれなかった。
「水! ボトルでちょうだい!」
怒鳴り散らすようにそう言う。
ルイズの着ているのが、そこかしこ擦り切れてはいるが一応学園の制服だとわかったので、マスターは言われた通り水を用意する。
ぶっ倒れたルイズのすぐ隣にボトルを置くと、ルイズはがばっと身を起こしてボトルの水を一気に飲み干す。
するとすぐにまた突っ伏してしまった。
「あの、お客様。そこに横になられますと……」
「うるさい! しばらく話かけないでよね!」
理不尽極まりない要求をマスターは無言で受け入れる。
彼はそのままゆっくりと歩いて店を出ると、通りを見渡す。
「クソ女がぁああああ! 何処行きよったんじゃボケがぁああ!」
通りで雄叫びをあげている男に向かって手招き。
駆け寄ってきた男に向かい、自分の店を指差してみせる。
「そぉおおおおおおこぉこここおおおおおかぁあああああ! おどれらワシに続けやぁあ!」
五人の集団が店内へと突入していった。
30ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:33:04 ID:GKg7CXEi
ルイズは男の絶叫を聞くなり飛び起きる。
店の奥に向かって走り、カウンターを跳び越す。
『あ、足が上がらな』
「だっ! おごっ! あべっ!」
カウンターの縁に足を引っ掛け、そこを基点にぐるんと回り、カウンター奥側の縁に腰が当たり、更にそこを基点に上半身がくるんと四分の一回転。
顔面をまともにカウンターの裏板に叩きつけ、そのままぐるぐるとカウンター奥に転がっていく。
ウェイトレスは口元に手をあてて注意した。
「お客様、カウンターの奥はスタッフオンリーとなっておりまして」
ルイズは転がった勢いそのままに立ち上がって走り出し、裏口から通りへと飛び出していた。
その後を追うように店内に飛び込んできた五人の荒くれ者達も、カウンターを飛び越えて裏口へと駆けていく。
「あの、お客様……」
彼らが去ると喫茶店に静寂が戻る。
ウェイトレスは何事も無かったかのように床を掃除し、カウンターの中を片付ける。
それが終わる頃、マスターが店内へと戻ってきた。
「マスター、そろそろランチメニューは引き上げますか?」
「そうだね。それと張り紙をしておいてくれないか?『ひやかしお断り。通報します』と」



既に二十人以上倒した燦であったが、敵の数は一向に減る気配が無い。
むしろ増えているのではないかとさえ思える。しかし、ようやく狙った場所へと移動する事が出来た。
最後の障害は左前方の二人、その二人さえ倒せば他の連中への間合いは保てる。
燦は剣を構えなおすと、行動を開始した。
一息で二人を倒すと、それで出来た包囲の隙間に走り込む。
その先にあるのは狭い路地。そこなら敵は一度に襲ってこれないが、そこに入ってしまうとこちらもデルフリンガーを振りにくくなってしまう。
そんな路地に燦は躊躇無く駆け込む。
奥がどうなっているのか、燦からは見えなかったが路地に入るとすぐわかった。
レンガの壁が立ち、行き止まりになっていた。
燦はレンガの壁まで走ると路地の入り口に向き直り、大きく息を吸い込む。
「超・音・波・崩壊・励起……」
鬼気迫る表情で男達が路地に殺到する。

「全力全開! ハウリング・ボイス!」



キュルケ、タバサの二人は街の上空からシルフィードに乗ってルイズ達を探していた。
そんな時に聞こえた大音量、そして宙に舞う建造物らしきものの欠片。
キュルケとタバサは顔を見合わせるとそちらへと向かっていった。
案の定、騒ぎの中心にはあの使い魔、燦が居た。
燦は路地からゆっくりと出てくると、剣を背負って片足を倒れた男の上に乗せる。
「これがルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔! 瀬戸燦のケンカじゃあ! まだ文句のある奴ぁかかって来んかい!」
大見得をきった直後、空から舞い降りてきた竜が後ろ足で燦の両肩を掴んだ。
「何? 何やの?」
そのまま滑空しつつ高度を上げていく。
「え? ちょ、ちょっと待って。一体何が……」
大きく何回か羽ばたくと、高度は一気に跳ね上がった。
「なーにーごーとーじゃー!」
燦はちらっと上を見る。
竜の腹、そしてその先に下顎が見えた。
31名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:33:10 ID:6rXMQGuc
チンピラのキャラがw支援
32ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:35:00 ID:GKg7CXEi
竜は羽ばたきながら自分が掴んだ燦の様子を見る。
そこで燦と竜の目があった。
「か、怪獣じゃーーー!! わ、私なんて食べてもおいしないでーー!!」
先ほどまでの勇敢さは何処へやら。真っ青な顔でがたがた震えるルイズに、上からキュルケが声をかけた。
「サン、キュルケよ。ほら、医務室で一緒だったでしょ。何が起こったか教えてくれない? ルイズは何処?」
「私怪獣に食べられてまうんじゃー! おーたーすーけー!」
キュルケはタバサに向かって首を横に振る。
速攻で意思疎通を諦めた模様。
それを了解したタバサは強硬手段に出た。
シルフィードはルイズを空中に放り投げる。
悲鳴をあげて落っこちる燦、それを下に回りこんでシルフィードが背中でキャッチした。
「いらっしゃいサン」
手をあげて燦を迎えるキュルケ。
ルイズはきょとんとした顔でキュルケとタバサを見ている。
タバサは騒ぎ出さない燦を見て、これなら安心とばかりに下へと視線を移す。
先ほどちらりと見た先にルイズと思しき者が見えたから。
そして、それは程なく確信へと変わる。
「あそこ」
タバサが指差す先、大量の土煙のその先に、ピンクの髪が走っていた。



もうどれだけ走っているのだろう。
足は震え、腕もロクに上がらない。
走っているだけなのに、何故かお尻やらお腹も痛い。
最後にまともに息を吸えたのはいつだっただろうか。
視界がとても狭くなっている。もう通りの脇に何の店があるのかすらわからない。
それでも足は止めない。
何故?
理由はとうに忘れた。
ただ、足を止めてはいけない、それだけは覚えていた。
しかし、人間誰しも限界があるものだ。
それまでに……何をすればよいのだろう?
それも覚えていない。
なら何時まで走るのか?
わからない。ただ、何をすれば走るのをやめられるかを思い出せない以上、最後まで走り続けるしかない。
最後とは?
そうだ、走れなくなるまで、体が動かなくなるまで、つまり、死ぬまでだ。
ならば、早く死んでしまいたい。
そうすればもう苦しくなんてないのだろうから。
足を止めた瞬間、この世のものとは思えない幸福が私を包むだろう。
この苦痛から逃れるという事は、私にとっては最早最高の幸福と同義である。
ええい、何故私の足はまだ動くのだろう、何故私の腕は振り上げられるのであろう。
さっさと止まってしまえば、私はこれ以上苦しむ事は無いのに。
そうだ死だ。死こそ今の私に許された最後の終着点、ゴールなのだ。
そこに向かってひた走る。走る。走る。
もうわからない。死にたい。走る、死にたい、走る、死ね、走る死ね走る死ね走る死ね走る死ね……
何故だろう?
おかしい、私は空に向かって駆け上がっている。
ならば私は死んでいるはずだ。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:35:33 ID:lUsZCxLF
なんか一人邪気眼に目覚めてるよ支援
34ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:37:01 ID:GKg7CXEi
なのに何故まだ私は走っているのか?
神よ、始祖ブリミルよ、貴方は死して尚私に苦難の道を歩めというのですか。

「ルイズ! もう走らなくっていいのよ! 聞いてるの!」

急にそんな声が聞こえたが、よくわからなかった。



キュルケ、タバサ、燦の一行はシルフィードで逃げるルイズを上から捉まえると、そのまま街の外まで飛んで一息ついた。
ルイズは完全にグロッキーで意識すら怪しい状態のまま、荒い息を漏らしている。
一応、事情は燦から聞いたためキュルケもタバサも現状は把握した。
「とりあえず、ルイズが乗ってきた馬には私が乗って帰るわ。ルイズがそんな状態じゃ馬に乗るの無理でしょ?」
「ありがとうなキュルケちゃん。ほいでもルイズちゃん大丈夫じゃろか?」
さっきからルイズの様子を見ていたタバサが不意に立ち上がった。
「危険。すぐに運ぶ」
タバサの言葉にぎょっとしたキュルケと燦は同時にルイズを覗き込む。
ルイズは胸のあたりを掻き毟りながら足を交互に動かしている。
息の荒さは相変わらず、全身から流れ出る汗は最早尋常のものではなかった。
「ル、ルイズちゃん! どないしたん! どっか痛いんか!」
「ちょっとタバサ! ルイズはどうしたのよ!」
説明する暇すら惜しんで、タバサはルイズをシルフィードに乗せる。
「キュルケは馬と荷物お願い。サンは一緒に来て。至急学園での治療が必要」



その医師は全ての希望を断たれて椅子に座り込んでいた。
担当患者は男性のみに限定され、最早生きる希望も残っていない。
「さあ、死のう」
手首に当てたメスを引こうとしたその時、部屋の扉が開かれた。
「お主はそれでいいのかな?」
神々しい輝きを背に、杖をついた老人は、医師を試すようにそう言った。
「あ、貴方はもしや……エロ師匠!」
「いかにも。お主のエロ魂はその程度のものだったのかな? たかが規制の一つや二つで諦める、そんな侠だったのかお主は」
何かに気付いたように立ち上がる医師。
「確かに……確かに! 私が間違っていました! そう私は愛よりエロを選んだ男! 目の前の添え膳婚約者よりも道端を歩く幼女誘拐を選んだ男!」
部屋を飛び出し、大またに手術室へと向かう医師。
何の迷いも感じられないその背中は、まるで子が仰ぎ見る父の背中のようであった。
そんな医師の前に立ちはだかる女の影。
「貴方は謹慎中だったはずですよ。余計な事してこれ以上仕事を増やさないで下さい」
そう、誰あろうオールドオスマンの秘書、ミスロングビルである。
「黙れ下郎。私の前に立つなぞ十年遅いわ。その無駄に育った乳削ってから出直せ屑めが」
心底呆れたロングビルが実力行使に出ようとした時、彼女の真後ろから声がした。
「ほほう、貴様は炉の道を逝くか。それは我らエロ者達の中ですら理解を得にくい修羅の道。人の親全てを敵に回して尚歩み続ける覚悟があるというのか」
ロングビルの真後ろから至福の表情で彼女の胸を揉みしだいているのはオールドオスマン、もといエロ師匠だ。
「おーるどおすまん! ちょ! いきなり胸って! ……いいかげんにしてください!」
「隙あり!」
ロングビルが動揺している間にその横をすり抜ける医師。
「ありがとうエロ師匠! 何時までもそのままの君でいて!」
「なっ、何逃げてんですか! そしてオールドオスマンもいつまで触ってんですか!」
35名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:37:12 ID:rR3YErVW
チンピラが何人か妙な電波受信してるw。
麻薬って恐ろしいね☆支援
36名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:37:31 ID:1ztJqFu7
>>32
l.4
×真っ青な顔でがたがた震えるルイズに
○真っ青な顔でがたがた震える燦に
でおk?
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:39:03 ID:6rXMQGuc
ひらがなになってるw支援
38ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:39:21 ID:GKg7CXEi
ロングビルが真後ろのガラスにオスマンの後頭部を叩きつける頃には、既に医師の姿は見えなくなっていた。



ようやくルイズの容態が落ち着くと、燦、キュルケ、タバサの三人は一息ついた。
後は問題無いので燦が抱えて部屋まで運びベッドに横たえる。
キュルケもタバサも色々と燦やルイズに聞きたい事があったのだが、もうそんな事聞く気力も残っておらず、素直に退散する事にした。
実際、燦も二人を見送った後、ベッド側に置いた椅子に腰掛けたままベッドに上半身を預けるように眠ってしまった。
昼間の大騒ぎが嘘のように静かに眠るルイズと燦。
学園も既に消灯の時間である。
他の生徒達も同じく夢の世界、それを邪魔する者は少なくとも宿舎には存在しない。

「ドクターは一体何やったんです? はい、生食2リッターです」
「なんでも女生徒の治療に乱入しようとして、その友人達に本気で魔法打ち込まれたらしいよ。腹部縫合開始する」
「この火傷と凍傷と裂傷はそのせいですかね? ああっと、待って下さい。足も一緒にやっちゃうんで」
「トライアングル二人と剣の達人が相手だってさ、良くもまあ生きてたもんだよ。テンブレード」
「そりゃすごい。はい、テンブレード。すみません、足、元に戻すんで一緒に引っ張って下さい」
「せーの! 良し。これで踵が前向いてるなんて気分の悪い物見ずに済むな」
「それじゃ私は裂傷の治療にうつりますので、腹部はお願いしますね」
「あいよー。悪い人じゃないんだけどねぇ……誰だよ、この人煽ったの」
39ゼロの花嫁 第二話:2007/11/06(火) 21:41:11 ID:GKg7CXEi
以上です。支援ありがとうございました!
それと>>36
その通りです、見落としていました。すみません
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:42:55 ID:3dY9N8eD
前スレの>>809

ζ 勿  λλ...
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:43:49 ID:6rXMQGuc
GJでした
ルイズが心配ですな、サンは相変わらずいいなあ、では次回を待っております
42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:48:22 ID:GC5hnZ9D
 881 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/11/06(火) 21:46:47 ID:j/hEef/6
500kbならマブラヴから武ちゃん召喚
「平民を無礼るなッ!」

また困難な道を・・・
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:49:20 ID:j/hEef/6
>>42
むしゃくしゃしてやった
時間はかかると思うがちゃんと書くので許してほしい
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:49:48 ID:7c34R4E1
ギリアム召喚って書こうとしてギリギリ間に合わなかった


正直ホッとした
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:53:04 ID:6jURDzI3
ウンディーネを召喚して大喜びするルイズだったが、
その使い魔は恥ずかしい台詞を連呼するだけでちぃとも役に立たない。

みたいな話を考えたは良いが、まるっきり纏まらんぜ。
うむ、一発ネタとしてはアリかもな。
46名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:53:18 ID:rR3YErVW
>>44
「コール・ゲシュペンスト!」の人か?
別の世界からの侵略者とかがぞろぞろやってきそうだ。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:53:36 ID:6rXMQGuc
>>44
壁際のいぶし銀にしてXNガイストの人ですね
ODEシステムだ
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:55:22 ID:DXSdiXrN
ふう前スレ危なかったぜwwwww

XXXkbなら関羽召喚、そんでもってジョセフが関羽(*´Д`)/ヽァ/ヽァになる
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:55:41 ID:FtGOBXbH
>>42をみてサプリのタケルちゃんがよばれたらとふと思ってしまった。
まあ、避難所確定だけど。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:55:41 ID:ZC6E5X6A
>>12

「オスマンの糞爺はどこだ!」ですか?w
51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:57:55 ID:BPd28hXx
>>44
テリー・ギリアムですか。
全裸ネクタイでオルガン演奏の。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:57:58 ID:GC5hnZ9D
>>43
大変だと思うが頑張れ
俺も自分が書こうとしているやつ頑張る
53名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 21:59:17 ID:6rXMQGuc
>>48
それはおっさんの関羽なんだろうな
と確かめなければいけない私は色々末期
54名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:00:14 ID:rR3YErVW
>>48
鬼髭の大武勇を召喚するつもりか。
難しいと思うが頑張れよ。
55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:01:31 ID:H48F4CMo
皆がポケダン世界に逆召喚って書こうとしたが規制食らった。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:02:19 ID:7c34R4E1
>>46-47
そう、それもヒーロー戦記終了後から直で

宝物庫にあるのが何故かゲシュペンストの転送装置で
タルブに置いてあるのが半壊したXNガイストって所までは考えたんだが
悲しいかな俺自身に文才がない
57名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:02:25 ID:j/hEef/6
>>48
『どの』関羽なんだ?
某エロゲとかいうオチはなしだぜ
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:03:17 ID:P3QbzaQe
その内、『処女はお姉さまに恋してる』の瑞穂さま召喚されないかねぇ…
59名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:03:34 ID:j6+GliUr
>>55
ってことはルイズらがポケモン化か
何のポケモンだルイズ
60名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:04:19 ID:j/hEef/6
>>58
ギーシュやマルコヌルが危ない方向に行きそうだな
61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:04:44 ID:owK60jBc
どれと言わず。三国無双版、恋姫無双版、横山三国志版の三人を呼べばいいじゃないか。
すごい!どの層にも大受け!
62名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:04:49 ID:PzmZW/bW
個人的な好みだと蒼天航路がいいなあ
>関羽
63名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:05:17 ID:oAAcuOP4
前スレの王子護ハウゼン召喚はマジ読みたいなぁ。
自分で書け? 今グレンさん書いてるから無理っス。
つーかあの怪物をティファが呼んでどんな話になるか想像もつきません。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:07:49 ID:WhHYlp8I
とりあえず召喚された時の効果音は
ジャンジャーンだな
65名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:08:22 ID:ZLbxTz1W
>61-62
一騎当千版・・・いや、なんでもないです。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:10:03 ID:rR3YErVW
>>59
ミカルゲとか言ってみる。
なんとなくゴースト系なイメージがあるんだ、ルイズは。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:10:35 ID:j/hEef/6
>>64
げえっ! 関羽!
68名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:12:04 ID:8Eyw8mV5
つまりこう言う事か
ttp://jojodearka2uhr.gozaru.jp/kannu07.htm
69名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:12:07 ID:bgEM5sIf
>>57
デビサマ世界から完成する予定だった英雄「関帝聖君」を召喚
虚空斬破や真空波で大暴れ。

CP0だからルイズにも優しい
70名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:12:24 ID:oAAcuOP4
>>58
高島一子ならもう召喚されてるな。
あれ、ボケボケしてて好きなんだけど、もう更新してくれないかねぇ。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:15:44 ID:j6+GliUr
>>66
ミカルゲ怖いからやだ
72名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:17:17 ID:PzmZW/bW
デビサマときたか
メガテン系の悪魔全般はマグネタイトやマガツヒが必要だがどっから絞り取るかも問題だよな
ルイズが悪魔を呼んで以来日に日にやつれていくギーシュとマリコルヌってのも面白そうではあるが。
73嘘予告:2007/11/06(火) 22:21:05 ID:+o/TMKuv
ある日サイトとの口喧嘩の結果二度目のサモンサーヴァントを実行したルイズ。
そして出てきたのは一本の大剣と杯のようなものに生えた一本の腕だった。
不気味なそれを蹴飛ばそうとして腕に襲われ意識不明となるルイズ。数日後目覚めたとき、ルイズは完全に別人となっていた。

「ギ、ギーシュゥゥゥゥゥゥ!!」
「ごめんなさいモンモランシー、あたしお腹がすいて、晩ご飯まで待てなかったの」

「あたし変な夢を見たの。虫があたしにまとわりついてきて、何度もまとわりついてきて、あんまり鬱陶しかったから
潰しちゃったの。それが楽しくて」
「おい、あのフーケのゴーレムが今のお前には虫けらだっていうのか!?いったいどうなってんだよルイズ!?」

日増しに暴走を強めていくルイズ。オスマンはついにルイズを止めようと考えるが、逆襲にあい学院は壊滅する。

「アニエス隊長。一体われわれの相手はどんな奴なんですか?」
「なんでも生徒および教員のほとんどを虐殺、学院を文字通り崩壊させたそうだ」

ルイズ一人の手によって次第に広がる戦乱。その中でサイトは自分と同じ人間の使い魔に出会う。

「あれを人が支配するなど不可能だ。聖手はまさに聖主なのだ」
「サラマンダー(火竜)だぁ?トカゲが龍を語るんじゃねー!!」
「戦い足りねえ!戦い足りねえぞぉ!!」

そして完全に腕と一つとなり覚醒したルイズ。サイトはルイズが腕と召喚した剣ゴルゴダクライシスを手に
ルイズに立ち向かう。
そして空を裂いて現れる片腕隻眼の男。

「即死にしたけりゃ動くなよ」


そんなマイナー漫画ネタを前スレで500取ってたら書いてたかもしれない
>>72
デビサマと言うとライドウを思い出す俺は多分異端に属すると思われる
74名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:23:28 ID:bgEM5sIf
>>72
しっかり食事を取っていれば
フロストとかランタン辺りまでなら何とかなるかも?

悪魔のラインナップを見てみると

LV30辺りまでならワルドが一方的に凹されずに済みそう…
Lv40越えるとメイジでもどうにもなりそうに無い連中がゴロゴロ
75名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:23:45 ID:pwhYGit/
>>63
うん、自分で言っておいて何だけど三行目同意w

断片的なネタとしては、
・サイトの訓練。狙撃とか覚悟とか。
かなあ。でもタバサ召喚でもいけるねこれは。
その場合コルベールが溝呂木と化す気がしないでもないw

ゼロ魔のメイジだとライフルウィザードも今ひとつ実用性に欠けるから、広めるのは無理そうデス。
精々、飛行中での攻撃が容易になるのが最大の利点デスか。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:24:21 ID:rR3YErVW
GUNPを召喚して中に入ってたピクシーと一緒にサマナー街道を登り始めるルイズ、というのを考えたことはある。
GUNPのキーボードってルーン文字なんだよね。

>>71
じゃあルイズ=ゴースで。
ユキメノコというのも考えたけどこれはタバサっぽいし。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:24:42 ID:nJPRT+EE
ブロッケンブラッドの四方田礼奈さんが召喚されてだな……


実は、ブロッケンの血族の末裔だった事が判明した『彼』が、
謎の魔法少女ブローンセ・ローゼとして活躍させられるスペクタクルにw
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:26:44 ID:1ztJqFu7
大方の予想を裏切り関羽ガンダムが
79名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:27:31 ID:IjA09Vqj
王子護ハウゼン、完全大系の使い手だっけ?
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:28:21 ID:uCYh6Sp5
すまん、SS書いてて、ふと気になったんで教えて欲しい
本編読んでも、その描写がみつからんのだ

シエスタって、乗馬出来たっけ?
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:30:13 ID:HUUQBuZt
緒方☆四郎召喚…

確実に避難所行きだな
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:32:11 ID:Lute/rN1
ミカルゲは弱点無しだから地味に強いんだよなぁw
83とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:33:37 ID:RPf41xcp
久しぶりだけど、5分後投下OK?
84名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:33:41 ID:rR3YErVW
>>78
残念、すでに>>54で自分が話に出している!
貂蝉キュベレイとか孫尚香ガーベラとかなんか可愛いよね<ぉ
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:33:51 ID:6/UsDpyY
きゃめん!
86名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:34:51 ID:rR3YErVW
かもーん。
「禁書目録の全テ」買うべきか否か。今月は新刊も出るしね。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:35:19 ID:pwhYGit/
>>79
片目に装飾過多な眼帯嵌めてて、俺の脳内CVが白鳥哲なスーツの紳士で合ってる。
最新刊で分かった『唯一の』弱点が、ハルケギニアだとほぼ用意できないからなあ……漂着させればいいが、それでも死なないし。
『観測者の抱いた印象≒現実の事象』って出自の時点で反則度、万能度高いのに……
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:37:12 ID:ZQgauGZn
今更だけど花嫁の人グッジョブ!!

燦ちゃんの活躍もさることながらハルケギニアにもヤクザがいるのに驚愕w
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:38:17 ID:W4bPnIAr
>>14
考えてんだぜ。考えてるんだけど・・・
シエスタ周りの設定が思いつかないんだ。

で、支援
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:38:23 ID:+ZrrPi4g
支援準備開始!
スレ住人は速やかに雑談を停止せよ!
繰り返す!スレ住人は速やかに雑談を停止せよ!
91とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:39:02 ID:RPf41xcp
「あなたの名前はなんて呼べばいいのかな?」
 暗かった道は、朝日が差し込んで次第に明るくなる。その朝日が二つの人影をぼんやりと映し出す。
 このような時間に歩き以外の移動手段を持たないのは、端から見れば家出コンビだと思わせる二人はしかし、この国の住人ではない。
 安全ピンを体中に纏わせてる白いシスターと、ワイシャツと黒ズボンを身につけた、いたってシンプルな学生少年。
 そう、この世界に紛れ込んだ上条当麻という少年を、元の世界に戻すために送られた魔術師達。
 インデックスと土御門元春だ。
 二人は真っ直ぐに伸びている道を黙々と歩いていたのだが、堪らずインデックスが声をかけた。
「ん? 好きに呼んでいいんぜよ」
 名称など今更どうでもいいと言えるが故、土御門は素っ気なく答えた。
「じゃあとうまのことをとうまと呼んでるから、もとはるでいいのかな?」
 あぁ、と土御門はインデックスの提案に頷く。
 話の流れが止まり、再び沈黙が支配する。このような明朝から話す内容など限られているからだ。

 彼らはこの世界にたどり着いてからまだ半日と経っていない。

 二人は、タルブ村のとある戦闘機の前から侵入することになった。
 世界と世界とを繋ぐゲートには、元々こちら側にある物が関わってくる。もっとも、どうやってその戦闘機が移動したかを考えると埒があかないので、詮索しないことにした。
 時刻は深夜ぐらいだろうか?。周りは物の輪郭がうっすら見える程度の暗さであり、寝静まっている。
 土御門は、ここで上条当麻の情報収集をしたとしても、あまり効果的ではないと判断した。そのため、早々にこの村から去り、より大きな町を目指して道のりを歩き始めたのだ。
 タルブ村がそのとある少年と深い係わり合いがあることを知らないまま……。

 互いに「必要悪の教会」に所属している二人。直接出会ったことは今までないが、ある程度の事はそれなりに知っているようだった。
 故に、今更詳しい自己紹介とかをする必要性はない。
 短い会話のキャッチボールを終えた二人は、足をただ進める。もとより体力はある二人。通常よりやや早い速度で歩いていても、疲れを見せる様子はない。
 そんな中、土御門は考えていた。
 一体アレイスターが何を考えて当麻をこちらの世界へ呼んだのかと。
 そんな中、インデックスは考えていた。
 当麻はまた新たな女の子をいちゃいちゃしているのではないかと。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:39:24 ID:6/UsDpyY
支援!
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:39:35 ID:1ztJqFu7
>>84
なんとー

それにしても近年の日本産の三国志キャラは炎巻き起こしたりビーム撃ったり、
普通に先住魔法使いと誤認されそうだw
94とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:40:23 ID:RPf41xcp
 両者は自分の世界に閉じこもりながら、
 目の前の地平線から新しい町が見えてきた。



「これがトウマさんの世界の服装なんですか?」
 くるっ、とシエスタは体を一回転する。その際ふわっ、とスカートが宙に浮かぶ。
 ズバッ、と頬を赤く染めた当麻は首をすばやく横に動かした。
「あぁ、き、気に入ってくれたか?」
「はい! こんな素敵なお洋服……ありがとうございます!」
 当麻は以前貰ったマフラーのお礼としてセーラー服をプレゼントすることにした。
 とある少年とは違い、当麻はギリギリラインではなく、むしろゆったりとした感じな服装をチョイスした。
 ただ、夏という事もあり、胴の丈はちらりとおへそが見えるか見えないか辺りで切る事にした。ただ、スカートは膝上数センチと、少し長めだ。

 必死にシエスタから裁縫を習った当麻の傑作品とも呼べる代物である。

 日本人寄りのシエスタにはやはりと言うべきか、とてもよく似合う。やはり制服は女性の可愛さを引き出す必須アイテムだと当麻は感じた。
 もちろん、シエスタが下着を身につけていないのは知らない。
「これでわたしにも属性っていうのがついたのかな……?」
 シエスタの顔が赤く染まり、手をもじもじとしてるその言葉に、当麻は面食らったかのように目を丸くする。
「えと……何をおっしゃっているのですかシエスタさん……?」
「わたし聞いたのですよ、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪赤髪青髪
 魔乳怪乳爆乳巨乳豊乳貧乳微乳無乳虚乳ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛
 制服保母さん看護婦さんメイドさんシスターさん軍人さん秘書さん踊り娘ロリツンデレヤンデレおしとやか一途ドジッ娘
 白ゴス黒ゴス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様キャミソールガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し盲目眼帯包帯エルフハーフエルフ吸血鬼
 とかそういう属性があるんですよね?」
「あのー……、それは誰から聞いたのでしょうか?」
 思わず聞き返してしまった。まさかこのようなところでも、ジャパニーズ文化が浸透しているのだろうか?
 いや、そんな事はありえないとわかっていても、なぜかそう思える所がこの世界の不思議な部分だ。
「えと……ローラとドミニックですけど?」
95名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:41:51 ID:1ztJqFu7
あなた、メイド属性なら標準装備じゃないですか支援
96とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:42:07 ID:RPf41xcp
 あいつらか、と当麻はあらぬことをシエスタに吹き込んだ二人に対して怒りのオーラが沸いてくる。
 二人は、以前とある騒動で知り合いとなった金髪とオレンジ髪のメイドさんであった。
 というか、そんなことまで知っている彼女らに対して日本人ではないかという錯覚を覚えてしまう程。
 それだけ彼女らには親近感というのが感じられた。
「それでその……わ、わたしはどんな属性なのですかね?」
そんな事を考えているとは知らないシエスタがさらに質問を重ねる。
「……はい?」
 当麻は返答に困った。
 本人の目の前で、さすがに属性について自分の思っていることを言うのは失礼だとはわかっている。しかし、上目遣いでキラキラ輝かせるとなるとこのまま黙っているのもいかがなものかと思ってしまう。
 えぇい、どうする俺!? と究極の選択に悩んでいた当麻であったが、

 不意に、後ろから飛び蹴りが襲いかかった。

 ドゴッ! という鈍い音と共に壁際まで追いやられる当麻。キャッ、と短い悲鳴をあげたシエスタがその足の持ち主へと視線を向ける。
「ああああんたは〜、ななななにご主人様の存在をカンッペキに無視して、メメメイドといいいいいちゃいちゃしてるのかしら?」
 こめかみをひくひくと動かしているルイズが、ずかずかと当麻へと近寄る。
「いや、別にいちゃいちゃなど断じてこの上条当麻は――」
「なんか言ったかしら?」
 必死に説得を試みようとしたが、ギロリと睨まれただけでハハーッ、と土下座モードに入る。
 その突き出た背中に、ルイズは足を乗っける。
「あんたは、いつからそんな頭が高くなったのかしら!?」
 隣で「ラ・ヴァリエール嬢! 落ち着いてください!」と腕にしがみつくシエスタをうっとうしいと感じたのか、ルイズは彼女を薙ぎ払う。
「だいたいあんたもそうよ! 一体何のためにここにきたのよ!」
 ルイズに指摘されて、シエスタは「あ」と気付いたようだった。



「へぇ〜、中世ヨーロッパな外見なんだね」
 タルブから一番近い町、ラ・ロシェールに着いたインデックスは、同行者の土御門元春の周りをうろちょろしながら観光者気分を味わう。
「俺らとそんな変わらないんぜよ、もっと異世界人なのを予想したんだけどにゃー」
 異世界、と言っても自分達とは大差がない。普通の人間ばかりで、自分達と違う点を挙げるのが難しいくらいだ。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:42:28 ID:m/mSL0kD
青ピと同レベルの思考回路の持ち主か
98名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:43:26 ID:wI8sYfPA
>>40
うむ、知らない人が見たら何かの暗号にしか見えんな。
そして支援。
99とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:44:00 ID:RPf41xcp
 時刻も朝が過ぎて、そこそこ賑わいだす時刻。新しい世界という事もあり、インデックスはさらに見るもの全てに目を輝かして眺める。
 この点に関しては、上条当麻を捜す時は便利である。
 訪ねたらいきなり拳が飛んできたりとか、出会った瞬間襲われるそうなイメージはない。むしろ友好的に手伝ってくれそうである。
 しかし、

 決定的な問題点があった。

「wカラtgd」
「トイミgm6qアルマ」
 すなわち言語だ。
 当然のように、彼らが話している言葉は土御門には理解できない。それこそ、宇宙人が話しているようにも感じられる。
 このような事態に陥る事は、容易に想像できた。しかし、指摘されたアレイスターは「問題ない」の一言で済ましたのだ。
 あの世界最高の科学者であり、世界最強の魔術師である人間が問題ないと言ったので、気にしない事にしたのだが……。
(チッ……アレイスターは一体何を考えているんだ?)
 まさか魂のボディランゲージ一つでこの世界にいる上条当麻を捜すなど不可能に近い。
 まずは他人とのコミュニケーションが一番。そうでなくては話にならない。
 どのような思惑があるのかを考えながら、彼は町の中を突き進む。
「4ajチマヤmwtbf」
「あ、あれ一体なんなのかな?」
「シュチpuh58ox」
 ぴたっ、と土御門の足が止まった。
 今の会話の流れで、明らかおかしい言葉が混じっていた。
 ――すなわち、日本語だ。
「にゃぁぁぁぁぁああああああ!」
 ズバッ! と振り返り、絶叫する土御門に周りの視線が一斉に集まる。
 といっても、そちらに気をかける余裕はない。
「異世界式迷子は自力で救わないと次のイベントに進めないというオチかにゃー!?」
 たびたび言うが、ここではコミュニケーションをとれる手段が魂のボディランゲージしかない。

 あなたはそれだけで白いシスターを探しています。一体どこにいるのでしょうか。と聞けますか?

「無理ぜよ!」
 ウガー、と両手で頭を抱えて悩み出す。
 あのインデックスの事だ。ここで待っていればきっと戻ってくるはずだと脳は答えを導いたのだが、
 なぜか早く見つけないととんでもない事になってしまうと体が訴えてくる。
 周りの人が思わず近寄って『大丈夫ですか?』と聞こうした瞬間、
 土御門はガバッ! と起き上がり、辺りを見渡す。
「確かあいつは何か興味をそそるような物を見つけたはずなんぜい!」
100名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:44:41 ID:+ZrrPi4g
インデックスかわゆいよインデックス支援
101名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:45:07 ID:PzmZW/bW
おっぱいとメイドの二属性があれば大体間に合う支援
102名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:45:36 ID:DXSdiXrN
ところで、お前ら投票したかね?
ttp://www.mmv.co.jp/special/game/ps2/zero2/enq.html
103名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:46:25 ID:NeQ3sive
>>99
絵だ!絵でイメージを伝えろw!

支援!
104名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:46:37 ID:6/UsDpyY
>>102
今は控えろよ
支援
105とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:46:49 ID:RPf41xcp
 この一見特に変わったものがない普通の町。ならばインデックスが興味津々に足を向けてしまうような物は、土御門自身も気付くはずだ。
 ぐるりと体を一回転してそれらしい場所を探す。
「あったにゃー!」
 ビシッ、と土御門が指した先には、空を飛んでいる飛行船が今まさに降りようとしていた。


「で、あんたはこいつと一緒にタルブの村で夏休みを過ごしたい。そういうわけ?」
 なぜか当麻と一緒に土下座の態勢でいるシエスタ。繰り返し言うが、スカートの中身はもちろん何もない。
「えっと……まぁ簡潔に言うのならー……」
「却下」
 ビシッ! といつの間にか手にしている鞭をシエスタの目の前の床にたたき付ける。
 たいていの人間――しかも平民であるから今の威嚇で反論の一つも出てこないのが普通だ。
 しかし、今日のシエスタは違う。
 当麻からプレゼントを貰い、後押しされた恋する乙女に階級の差など関係ない。
 シエスタは敵対する貴族に肩を震わせながらも必死に言葉を紡ぐ。
「ト、トウマさんだって人間です! いつまでも使い魔の仕事をやらせるのはあんまりだと思います!」
 もっともな反論なのだが、今のルイズはそのような事では納得してくれない。
「なによ! 使い魔の仕事は使い魔にとって本望なのよ! それなのにトウマが嫌がるわけないじゃない!」
「それはルイズさんの勘違いです! ……へぇ、それならトウマさん本人に聞きましょうか?」
「うっ……いいじゃないの! さぁ、早く答えなさい!」
「トウマさん、もちろんわたしと一緒にタルブ村に行きたいんですよね?」
「あー、えっとー……」
 二人の視線が自分に集中し、思わず口を濁す。
 正直以前もこんな事あったよなー、と思いながらどうやらどちらかを選ばなければならないようだ。
 その時だ。

 タバサが、窓から颯爽とルイズの部屋に侵入してきた。

「あータバサってうぉあ!?」
 暢気に返事をしようと思った矢先、突然腕を引っ張られる。
「きて」
 小さくぽつりとタバサは呟く。
 その華奢な体からは想像できない力で当麻は腕を引っ張られる。
 侵入した窓から再び外へと出て、待機しているシルフィードの背中にうまく乗ると、
「少しばかり、借りてく」
 という言葉を残し、そのまま去って行った。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:47:08 ID:C0s65WIg
花嫁GJ

とある人支援
107とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:48:10 ID:RPf41xcp
 突然の出来事に、ポカンという擬音が似合うような格好でルイズとシエスタは口を開いている。
 窓から出発したシルフィードはもう小さな点になっている。とてもじゃないが、今更呼び戻すのは不可能だ。
 そして、入れ違いに一匹のフクロウが同じく窓から侵入してきた。そしてルイズの肩に乗ると、お届け物の合図として頭を突く。
「イタッ……、もうなんなのよ……!」
 混乱していたその頭を突かれてルイズは不快感をあらわにする。
 まさに電光石火の早業――という程のものではないが、こちらの言い分を聞かないまま人の使い魔を借りていく行為に関しては納得がいかない。
 嫌々フクロウが口に加えている小さな書簡を取ると、それを眺める。
 最初はあまり興味のなさそうにしていたが、そこに押された花押を見て、態度を一変、真剣な眼差しへと変えた。
「ルイズさん……?」
 思わずシエスタが聞き返す。当麻の事などもうどうでもいいような態度に、事の重要性を感じた。
「ねえ」
「なんですか……?」
 読み終えたルイズがシエスタに声をかける。一体何事かと、シエスタは思わず恐る恐るな思いで聞き返してしまった。
「あなた、これから暇?」
「え? 私は実家に帰るつもりですけど……」
「そう、だったらお願いするわ。できれば一緒に来てくれるかしら?」
 何処へですか? と聞くシエスタに、ルイズはアンリエッタから貰った手紙を差し出した。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:48:23 ID:ncwwi3T3
トンビもといタバサに油揚げを持ってかれた支援。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:48:43 ID:m/mSL0kD
禁書目録は言葉をいつ頃操れるようになるんだろう
110とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:51:22 ID:RPf41xcp
「ゼー、ハー……インデックス……悪いが俺の目から離れないでくれ……」
「見て見てもとはるー、でっかい飛行船があるんだよ! てか凄いでっかい樹! イグドラシルといい勝負かも!」
 疲労感に襲われて、肩を上下に動かしながら叱ろうとしたが、目をキラキラ輝かせているインデックスの耳には入らない。
 ここは港町と呼ばれているラ・ロシェールの核といってもおかしくない場所、飛行船場だ。
 巨大な樹が四方八方に枝を伸ばして、そこに幾多の飛行船がぶら下がっていた。
 そのうちの一つの飛行船の前に二人は立っていた。
 インデックスは土御門のワイシャツをぐいぐい引っ張って、彼の視線を船体へと向けさせる。
「あれはガリア王国行きらしいんだよー」
 そういって指差すインデックスに、土御門は「は?」と目を丸くする。
「インデックス……お前、読めるのか?」
「うん、魔導書はもともと異世界のルールについて書かれた物だからね。たまたま運がよかったのかな? この世界の字で書かれた魔導書があるんだよ」
 ご丁寧に翻訳つきでね、と付け加える。
 インデックスには瞬間記憶能力というスキルがある。それにより、彼女の頭には十万三千冊という莫大な量の魔導書を抱えているのであった。
(だとしても……)
 おかしい。
 わざわざこちらの世界の言語を使うのはおかしい。いや、そもそも使える上に翻訳してしまうのがおかしいのだ。
 これがアレイスターが大丈夫だと言った理由なのだろうか? 土御門はインデックスから情報を引き出そうとする。
「なぁ、その魔導書は一体誰が書いたんだ?」
「ん? スタウリー・クローレイア。私が生まれた後に出来た魔導書なんだよ? 地球では使えない内容ばっかりだったけどね」
 聞き慣れた事のない魔術師。そんな名も知らぬ魔術師が書いた魔導書をなぜインデックスが覚えているのだとアレイスターが知っているのだろうか?
(いや、それとも……)
 別の可能性を見出だす土御門。どっちみち考えても答えは見つからない。
 とりあえず、この件に関しては保留にしても問題ない。王国、と言う限りには相当大きい場所である。ここに滞在するよりもヒントが見つかるかもしれない。
「王国ということは相当でかい場所なんだにゃー。ちょいと無賃乗船さして貰うんぜい」
「おー!」
罪の意識など感じない二人は、出発の準備をしている飛行船にこっそりと乗船するのであった。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:53:37 ID:rR3YErVW
ちょ、凄い勢いで斜め上にカッ飛んでいくなあ「必要悪の教会」コンビは。
…おなかすかないのかインデックス?支援
112名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:53:55 ID:VYPTWFJi
セリフに三点リーダ使いすぎだな

技量不足でまるっきり描写が進歩しないのはなぜだ?
113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:54:47 ID:ncwwi3T3
アナグラムかYO支援
114とあるの人 ◆3WQsphoeLI :2007/11/06(火) 22:55:50 ID:RPf41xcp
遅くなってすみません、二章開幕でありますー
今回は三組に別れてお話を進めたいと思っていますが、最初はどの組から行くべきか悩んでいますw

なお、禁書目録の言っているのはハルケギニアの文字の辞書みたいなのをイメージして下されば幸いです
115名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:56:10 ID:PzmZW/bW
スタウリー・クロウレイアってまんまアレイスター・クロウリー並べ替えただけだよ気付けもとはる支援
116名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:57:09 ID:+ZrrPi4g
GJ!!!
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:57:14 ID:dq//LYdT
とあるs乙です。新シリーズまっとりましたよ。
118名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:59:44 ID:Lute/rN1
土御門ww乙でした
119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 22:59:46 ID:H48F4CMo
乙でしたー。


>>76
ルイズにはムウマなんてのはどうだ?
サイトはいずれ剣使いのエルレイドになるラルトス。タマゴグループも一致するし。

タバサがユキメノコは自分も考えたが、ここはタバサがピカチュウ、
ピカチュウのいとこということでイザベラがピッピをおすすめする。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:01:58 ID:RPf41xcp
>>112
すみません……以後気をつけます

>>115
やっぱり気付きますよねーorz
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:04:26 ID:ZQgauGZn
>>112
そう言うのは三点リーダーちょっと多いかもねってアドバイスしてあげればいいんですよ?このクズ野郎
122名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:05:08 ID:NeQ3sive
三点リーダー?
123名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:06:19 ID:bDXiCYBq

↑これな。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:12:01 ID:rR3YErVW
>>119
うむ、ムウマというのは実は考えていた。でもテファに当てはめた方がいいかな、と。
ほらムウマージになると大人っぽくなるから。
…テファはミミロップでも良いかもしれんな。

>タバサ=ピカチュウ
…それもいいなあ。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:15:17 ID:PzmZW/bW
・・・
これを変換すると

が出る
「三点リーダ」で変換しても出る。
Wikiに登録するときに・・・だと違う意味になるから…のほうがいいって聞いた
126名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:16:26 ID:ZQgauGZn
召還でされなくても、時間と空間操るあいつらクラスならハルケギニアに現れることは可能な気がする

使い魔じゃなく敵としてでも面白いかも
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:17:51 ID:ZQgauGZn
>>126
これじゃなんだかわからないな…ポケモンの話ねポケモンの
128名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:18:22 ID:746C7AQJ
うかつに簡単な暗号解読で満足しちゃうと誤った文章に誘導され足を掬われると言う
魔道書特有の事情があるのだにゃー
129名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:18:53 ID:Gsq/be3w
>>119
穴久保ピッピかよ
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:20:22 ID:H48F4CMo
>>124
自分にはテファがトゲキッスなイメージが。
キュルケがミミロップ@ほのおのパンチ付き。

ピカチュウとピッピがいとこと聞いて心辺りはございませんか?
131名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:24:21 ID:yJOEjnBZ
ピッピ「この新種のポケモン(マリン)を売って金にするっぴー!」
あのラストから金銀編の繋ぎはもうなんというか
132名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:25:46 ID:Vj2A5YfL
>>130
ああ、コロコロに連載してた奴か
そんな設定すっかり忘れてたw
133名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:26:32 ID:1lyyXnbm
すみません、ボンボン派でした
134名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:30:23 ID:fpF/IT8i
ジョゼフ王弟殿下が魔窟堂信彦を召喚しました

異世界での魔王狩りに連れ出されていろいろと王位簒奪どころではない忙しさに
135名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:30:38 ID:rR3YErVW
>>130
キュルケはあやしいひかりとメロメロ持ちキュウコンだとおもふ
穴久保なんてなまえにこころあたりはございませんのことよ?
136名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:31:34 ID:PrMDWyp+
みんなから好感を得ようとこっそりアジフライを入れる黒沢
137名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:33:17 ID:ZQgauGZn
>>135
テファはミルタンクだよな?だよな?
138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:36:00 ID:MNgcZCxF
ロベルト・ハイドン召喚
よくよく考えたらこいつの能力はミョズだったら恐ろしすぎるな
ほとんどなんでもアリになってしまう
139名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:36:08 ID:H48F4CMo
ボンボンと言えばロックマンと、少年誌のベルセルクとまで言われたデビチル。

キュウコンか…確かダイパからは自力で誘惑とか覚えるんだよな……。
コッパゲはブーバーか、たてがみがヤバくなってきたウインディ辺りで。

ブーバーンは髪らしきものが豊かになってきてるから駄目。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:36:18 ID:fG8FMM3J
>>126
ディアルガ&パルキアVSルイズの召喚したダークライを妄想した
伝説は迷惑自重
141名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:37:05 ID:bDXiCYBq
そのボンボンも次で最終号だ
142名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:39:06 ID:pwhYGit/
>>138
しかし使用するたび寿命一年減少という恐るべきデメリットが。
あれ、「神に戻してもらった」ってところからして、ガセじゃなかったぽいし。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:42:41 ID:ncwwi3T3
動物のおしゃべりのミカちゃんとか…動物と喋ることしか出来ない幼稚園児だけど。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:44:12 ID:ZQgauGZn
>>141
ルイズが
「うっおおーっ!サニー爆発(エクスプロージョン)!」

「あんたは電子レンジ…いえ!かまどの中に入れられた爆弾よ!」

「ち、超スーパーすげぇどすばい…」

みたいな事言ってるのを想像してしまった……
145名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:44:18 ID:rR3YErVW
うむ、今調べたらキュウコンは自力で誘惑(異性の特攻を2段階下げる)を覚える。
サポート系の技が豊富なのでその辺結構キュルケのイメージに合うかも。
コッパゲがウインディならメンヌヴィルはヘルガーだな。

>ボンボン
……ロボットポンコッツ……
あとサイボーグクロちゃん
146名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:46:28 ID:wI8sYfPA
>>144
やばい、サニーエクスプロージョンにマジで噴いた。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:50:53 ID:PrMDWyp+
ボンボン版VAVAは?

例えば…このグラスの中身がバーボンでも泥水でも…俺達には大差ない
148罪深い使い魔:2007/11/06(火) 23:51:13 ID:4x/QEGHU
予約がなければ0:00から投下します

>>139
個人的には王ドロボウJINGが筆頭
149名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:51:39 ID:H48F4CMo
>>140
ルイズの祖母のルイーゼが歌った歌をルイズが知っていたり、
ヴァリエール領の大聖堂に秘密があるのか。
150名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:52:42 ID:kFn1cnGj
ルイズがラティアスを召喚
テファがラティオスを召喚
夢映しで文通して、フーケの正体がバレるとか
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:56:25 ID:LTCkZVt/
炎のコッパゲにはミュウツーがいいなあ
152名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:57:07 ID:H48F4CMo
>>148
ドゾー!!


ギトーは飛行タイプで紙耐久のオオスバメ。キュルケに焼き鳥にされて初めて真価を発揮。
シュヴルーズは土関連じゃなくてハピナスな印象が。ニドクインでもいいけど。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:57:19 ID:bDXiCYBq
>>139
っ【NOA】
154名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:58:36 ID:O1P0+/lw
ボンボンならフルカラー劇場がいいなぁ。ガンダールヴの効果で着せ替えによる能力が割り増しされるシャアとか
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/06(火) 23:59:12 ID:j6+GliUr
>>149
そんな感じ
でもルイズは悪夢にうなされる事になるんだなきっと
誤解が解けるまではたいそう嫌われそうだ、ダークライ
カワイソス

>>151
俺の嫁をコッパゲにすると申すか
156名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:00:32 ID:rR3YErVW
ギーシュはディグダで確定
ガバルドンでもいいけど強いしなあいつ。

そして投下支援準備
157罪深い使い魔:2007/11/07(水) 00:00:37 ID:4x/QEGHU
それでは投下開始します



最初に目にしたのは、見慣れない天井だった。
ここはどこだと疑問に思う前に、自分が異世界に来たことを思い出して達哉は憂鬱になる。
しかし『向こう側』で迎える朝も、やはり憂鬱なものだったに違いない。
そう思いながら寝返りをうつと、視界の端に昨夜ルイズが投げた下着がちょこんと置かれていた。

「洗濯か……」

面倒だが、使い魔の仕事を引き受けた以上サボるわけにもいかない。
達哉は暖かい毛布の感触に別れを告げて渋々起床した。
床で寝ていたせいで体中が痛かったが、軽くストレッチをするとそれも和らぐ。
下着を手に掴み、さっさと済ませようと部屋を出たところで大事なことに気づいた。

どこで洗うんだ?

当然達哉はこの学院の地理など知らない。
達哉は「ルイズを起こして聞いてみるか」と一瞬考え、すぐにその案を捨てた。
まだ朝は早い。そんなことをして下手に怒りを買うと後が面倒だ。

……まあ、適当に歩いていればその内見つかるか。

達哉は学院の探検がてら、洗濯場を探すことにした。


洗濯場があるとすれば一階か、外だろう。
そう当たりをつけて達哉は階段を降り、一階を適当にぶらついた。
日本の建物とは趣を異にする、どこか歴史を感じさせる装いの廊下を歩いていると、
イメージの中にある中世のヨーロッパ、そのどこかにある城か何かを散策しているような気分になる。
不謹慎だと思いつつも、達哉は少しだけ気分が高揚していた。
こうして知らない建物を歩いていると、仲間たちと冒険していた時のことを思い出すからだ。

もしここが悪魔の巣窟だったらどうするか?
例えば、そこの角から悪魔が……

「っ!?」
「きゃ!?」

いきなり角から現れた人影に、達哉は思わず身構えてしまう。
それを見て驚いたのか、人影から妙に可愛らしい悲鳴が聞こえてきた。
見ると、それはメイド服に身を包んだ若い女性だった。

「あ、あの……どちら様ですか?」

女性は明らかな不審の眼差しで達哉を見つめている。達哉は自分の行動を恥じた。

「……別に怪しい者じゃない。ルイズというメイジに召喚された使い魔だ」

これで通じるかはわからなかったが、とりあえず達哉は正直に身分を明かした。
しかしそれに対する女性の反応は少々意外なものだった。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:01:26 ID:fVo9q6At
もうへろへろ君でいいジャマイカ支援
159罪深い使い魔:2007/11/07(水) 00:02:41 ID:4x/QEGHU
「あ、あなたが噂の」

噂、という単語に一瞬ギクリとするが、すぐに思い直す。すでに終わったことだ。

「噂?」
「はい。なんでも昨日貴族の方が平民を使い魔として呼び出してしまったとか」
「そうか……」

どうやら自分とルイズのことは、この学院ではちょっとしたゴシップになっているらしい。
それが悪い方向に働かなければいいが。

「あの……いきなり使い魔だなんて大変だと思いますけど、頑張ってくださいね。同じ平民として、私応援してますから」
「君は貴族じゃないのか?」
「ええ」

言われてみれば当然だった。貴族がメイド服なんて着るはずがない。

「私はシエスタと言います。貴族の方々をお世話するために、ここでご奉公させていただいてます」
「俺は周防達哉。達哉でいい。知っての通り、ここには使い魔としてしばらく世話になる」
「はい、よろしくお願いします」

にっこりと、自然な笑顔を見せるシエスタ。
こちらに来てから『あの』ルイズばかり相手にしていた達哉には、それが妙に眩しく見える。

「それでタツヤさん。今日はこんな朝早くからどちらに?」

言われて当初の目的を忘れていたことに気がついた達哉は、シエスタに懐に持っていた下着を見せた。
大の男が女物の下着を取り出す様はどう見ても不審者のそれだが、仕事と割り切っている達哉は気にしない。
達哉には少々天然の気があった。

「……この通り洗濯を命じられた。だが洗濯場がわからないんで、散歩しながら探していたところだ。
もしよかったら洗濯場を教えてくれないか?」
「え? ああ、それでしたら私がやっておきます」

いきなり出てきた下着に多少驚きながらも、事情を察したシエスタはそう申し出る。
達哉にとってもそれはありがたい話だったが……
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:02:48 ID:rR3YErVW
OH!マイ、コンブを忘れるな支援
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:03:00 ID:Q2uMByK6
>>158 へろへ〜ろ!支援
162罪深い使い魔:2007/11/07(水) 00:04:51 ID:6oaEYAHj
「……いや、人任せにするとあとでルイズが怒るかもしれない。自分でやるよ」
「あ、そうですね。すみません、気がつかなくて……」
「謝るようなことじゃない。その気持ちには感謝している」

そう言って笑う達哉の顔は、シエスタには印象的だった。
歳は自分とそう変わらないように見えるのに、妙に大人びて見える。
おまけに顔の作りもいいので、シエスタは思わず見入ってしまった。

「…………」

急に固まってしまったシエスタを見て達哉は後悔した。
先ほどは驚かせてしまったので、せめて笑顔のひとつでもと思ったのだが、どうやら失敗したらしい。
思えば、意識して誰かに笑いかけるなんてほとんどしたことがない。
笑ったつもりが変な顔になって、怖がらせてしまったのかもしれない。

しかし、このままというわけにもいかない。
シエスタには悪いことをしたが、とにかく洗濯場は教えてもらわなければ。

「……シエスタ?」
「は、はい!?」
「その、そろそろ洗濯場の場所を教えて欲しいんだが……」
「あ、はい! こちらです!」

そう言って回れ右して歩き出すシエスタのギクシャクした動きを見て、
達哉は自分の予想が当たったことを悟り嘆息した。

その後洗濯場まで案内してもらった達哉は、なぜか快く手伝ってくれたシエスタの助けもあって
すぐに洗濯を終わらせることができた。
そしてワンモアチャンスとばかりにシエスタに笑顔で礼を言ったら今度は逃げられてしまい、残された達哉は

「『セブンス一イケてる男』なんて肩書きも、異世界じゃ役に立たないか……」

と、一人寂しそうに呟いていたとか。



「誰よあんた!」

いきなりのとんだご挨拶に顔をしかめることもなく、達哉は目覚めた主人に対してただ短く「使い魔だ」と答えた。

「ああ、使い魔ね。そうね、昨日、召喚したんだっけ」

あくび混じりにそう呟くルイズはすぐに使い魔に命令を下す。

「服」
「…………」

達哉は椅子にかかっていた制服を手渡す。

「下着」
「……下着もか」
「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」
「…………」

引き出しの中から適当に下着を掴み取るとそれをルイズに向かって放る。

「服」
「まだ他にあるのか?」
「着せて」
「…………」
163罪深い使い魔:2007/11/07(水) 00:07:03 ID:6oaEYAHj
お前は王様か、とツッコミそうになったところで、ルイズが貴族だということを達哉は思い出す。
なるほど、これが貴族か。
諦観の混じった感想を抱きながら達哉はルイズの言うがままに着替えを手伝った。
少しはシエスタを見習え。


ルイズの着替えが終わると、二人は部屋を出て食堂へ向かう。
するとルイズの部屋のすぐ近くのドアが開き、中からこの学院の生徒とおぼしき制服姿の女性が現れた。
炎のように真っ赤な髪に彫りの深い顔、ルイズとは違いモデルのような体型と、豊満な女性らしいバストを
胸元の開いたブラウスで強調する美女。

「おはよう。ルイズ」
「……おはよう。キュルケ」

出てきた女性とルイズが挨拶をする。女性はにこやかに、ルイズは嫌そうに。
達哉はなぜか二人の間に火花が散ったような気がした。

「あなたの使い魔って、それ?」

キュルケと呼ばれた女性が嘲るような口調で達哉を指差す。

「そうよ」
「あっはっは! ほんとに人間なのね! すごいじゃない!
『サモン・サーヴァント』で、平民呼んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがは『ゼロ』のルイズ」
「うるさいわね!」
「…………」

これだけあからさまにされれば達哉にもわかる。二人は仲が悪く、そして自分はバカにされているのだ、と。
この手の輩は無視するのが一番だと知っている達哉は、口を挟むことなく二人のやり取りを見守る。

「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよね。フレイム!」

キュルケの呼び声に応え、何者かがキュルケの部屋からのっそりと現れる。

「……っ!?」

それは真っ赤で、巨大なトカゲだった。しかし普通のトカゲと違って尻尾が炎に包まれている。
見ると、口からも小さく火が出ていた。
達哉はそれを悪魔かと思ったが、よく見ると雰囲気はまったく違う。
信じがたいが、これはこういう生き物なのだろう。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:08:56 ID:NLtzKmW1
ヴォルカヌス!支援
罰だと合流したときに結構いい装備持ってるよね達哉
165罪深い使い魔:2007/11/07(水) 00:08:58 ID:6oaEYAHj
「これって、サラマンダー?」
「そうよ! 火トカゲよ! 見てよ、この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、
間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんかつかないわよ!」
「そりゃよかったわね」
「素敵でしょ。あたしの属性ぴったり」
「あんた『火』属性だもんね」
「ええ。『微熱』のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。でも、男の子はそれでイチコロなのですわ。
あなたと違ってね?」

キュルケが得意気に胸を張る。ルイズも負けじと胸を張り返しているが、残念ながら勝負にすらなっていない。
達哉はその様に二人の力関係を見た気がした。

「あんたみたいにいちいち色気振りまくほど、暇じゃないだけよ」

そう言ってキュルケを睨むルイズだが、そんな態度で言っても単なる負け惜しみにしか聞こえない。
しかしそれを指摘するのは誰のためにもならないので、達哉も口を挟まない。
一方、キュルケはそんなルイズの様子を見て満足したのか、興味の対象をルイズからその使い魔へと移した。

「あなた、お名前は?」
「……周防達哉」

本日二度目になる自己紹介。しかし相手の反応は一度目とは雲泥の差だった。

「スオウタツヤ? ヘンな名前」
「…………」

こちらは名乗ったのに向こうからは名乗る気配さえない。
もっとも、初めから期待などしていなかったが。

「でも顔が良いのが救いよね。ねえあなた、もし良かったら私のペットになってみない?
使い魔はもう間に合ってるからいらないけど、ペットにならしてあげても良くってよ」

キュルケは腕を組んで自慢のバストを強調する。さあ、食らいついてこいと言わんばかりに。

「…………」

無視。
どちらかと言えば達哉は大人の女性の方が好みだが、単に色気を振りまくだけの女に興味はない。
ついでに言えば見下されているのも気に入らない。
そんな達哉を押しのけ、ルイズが騒ぎ立てる。

「人の使い魔に色目使ってんじゃないわよ!」
「あら怖い。それじゃあ、お先に失礼」

そう言うと、炎のような赤髪をさっとかきあげ、キュルケは去っていった。
サラマンダーがその後を追う。

「くやしー! なんなのあの女! 自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって! ああもう!」

心の中では負けを認めたらしいルイズは悔しさからか、拳を握り締めて怒声を吐き出している。
そんなルイズを尻目に達哉はようやく得心がいった。

「本来はああいうのが呼び出されるわけか」

自分のような人間ではなく、今のサラマンダーのような生き物が。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:10:35 ID:WPp0OTBj
これまた強烈な三点リーダ多用型の作者だな。

「沈黙」の意味を描写しないと手抜きに見えますよ。

少なくとも、黙っているキャラがどんな表情をしているかくらいは描写が欲しい。
167罪深い使い魔:2007/11/07(水) 00:11:20 ID:6oaEYAHj
「ええそうよ! それにメイジの実力を測るには使い魔を見ろって言われているぐらいだわ!
なんであのバカ女がサラマンダーで、わたしがあんたなのよ!」
「…………」

自分を呼び出したルイズが不機嫌になった理由はわかった。
しかし勝手に呼び出しておいて勝手に機嫌を損ねられても達哉は面白くない。率直に言えば不愉快だ。
こっちはそのせいで大変なことになっているというのに……

「……ところで、あの女が言っていた『ゼロ』や『微熱』というのはなんだ?」
「ただのあだ名よ」

あだ名、か。
以前自分のあだ名で笑われたことのある達哉は少しだけ苦い気持ちになる。
しかし、『微熱』はともかく『ゼロ』はどういう意味だ?
聞きたくても、もううかつに話しかけられる空気ではなかったため、その疑問は口にしない。
達哉は再び食堂に向かって歩き始めたルイズの後を無言でついて行った。


そうして向かったトリステイン魔法学院の食堂はなるほど、貴族の食堂らしい豪華な造りになっていた。
達哉達が到着した時にはすでに席の半分以上が埋まっており、中は生徒達の談笑で賑わっていた。

「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」

隣でルイズが得意気に説明している。

「メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーの下、
貴族たるべき教育を、存分に受けるのよ。だから食堂も、貴族の食卓にふさわしいものでなければならないのよ」
「…………」
「わかった? ホントならあんたみたいな平民はこの『アルヴィーズの食堂』には一生入れないのよ。感謝してよね」

チンチン

返事代わりにライターを鳴らす。ルイズはそんな達哉の態度が気に入らないのか、また不機嫌な顔に戻った。

「ほら、さっさと椅子を引いてちょうだい。気の利かない使い魔ね」

椅子を引いてルイズを椅子に座らせ、自分もその隣に座る。
衣食住の面倒を見るとは言っていたものの、どこまで信用して良いかわからなかった達哉は
ルイズを少しだけ見直した。

しかし、ルイズに肩を叩かれてその評価も再び地に落ちることとなる。
ルイズは達哉に床を指し示す。
そこには皿に乗った黒いパンと、具のほとんど入ってないスープが置かれていた。

「あのね? ホントは使い魔は、外。あんたはわたしの特別な計らいで、床」
「…………」

食事をもらえるのはありがたいが、これでは良い見世物だ。
実際すでに何人かの生徒がこちらを見てクスクスと笑っている。

「…………」

達哉はほとんど具のないスープをさっさと飲み干し、
パンを手にとって食堂を後にした。
168罪深い使い魔:2007/11/07(水) 00:13:40 ID:6oaEYAHj
達哉は食堂の出入り口の壁にもたれかかりながら、黒パンを口にする。
固く、お世辞にも美味しいとはいえないが、なんとか食べることはできる。

「あの……」
「…………」

見ると、そこには悲しげに顔を歪ませたシエスタがいた。

「こんなのって、酷いですよね……」

シエスタは事の一部始終を見ていたらしい。
どうやら先ほどの件は気にしていないらしいことに安心すると共に、
達哉は今しがた浮かんだ疑問について聞いておくことにする。

「ここではあれが平民の一般的な食事なのか?」
「そんなことありません。たしかに貴族の方々に比べたら質素なものですが、もう少しちゃんとした……」
「……そうか。だがシエスタが気にすることじゃない」

それにもう十分だ。
シエスタが自分のことのように憤ってくれた。
それだけで十分だった。

そんなことを考えていると、シエスタは何か思いついたようにぽん、と手を合わせ、
達哉に目を向けた。

「あの、よかったら、厨房でまかないを食べていきませんか? みなさん気の良い人たちばかりですし、
一人分くらいはすぐに用意できますよ」
「……いいのか?」
「はい!」

まさに渡りに船だった。実際あの程度の量ではぜんぜん足りない。
元の世界では達哉は、食べ盛りの高校生だったのだから。
しかしその申し出を受ける前に、達哉は何者かに脇を小突かれる。
見ると、彼のご主人様がふんぞり返ってこちらを見上げていた。

「授業に行くわよ。着いてきなさい」

……もう少しのんびり食ってろ。

さっさと歩き出す主人の背中を、仕方なく追いかける達哉。
ただその前にシエスタの方を見る。

「……昼に寄らせてもらって良いか?」

シエスタはにこやかに頷いて仕事に戻る。
それを見届けた後、少し先で達哉を待っていたルイズに合流した。

「何時の間に使用人と仲良くなったの?」
「…………」

黙殺。
この沈黙には先ほどの仕打ちに対する返礼も含まれているのだが、ルイズは気づかない。

「ふん。平民は平民同士の方が気が合うのかしらね」

そうかもしれない、と達哉はルイズを見下ろしながら思った。
少なくとも現時点で、この少女と仲良くなれる気はまったくしなかった。

以上です。支援ありがとうございました。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:18:37 ID:6oaEYAHj
>>166
実力不足は痛感してますが、当面達哉に関して三点リーダの多用は続けるつもりです
それが自分なりの表現ですので

あと今回は話全然動いてません
そこのところもお詫びします
170名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:18:51 ID:3FygL7nC
>>166
うわウザっ…
171名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:21:09 ID:YbLUNE56
乙ー!ゆっくりペースでもいいんだぜ。
>>166
またお前か。
172名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:21:35 ID:3E+zKPqn
達哉の人乙
無口なキャラだから三点リーダ多用は仕方ないと思う今日この頃
173名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:22:26 ID:wKtle37E
>>166
…の行数稼ぎはクロスSSの宿命だぜ兄弟wwwwww
174名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:23:11 ID:Q2uMByK6
乙でした。
このルイズは他の作品に比べて傲慢さが増してますね………。


アン様がウェールズ王子の遺体の肉を取り、骨を綺麗に綺麗にして泉に流す様子を幻視。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:24:21 ID:NLtzKmW1
というか三点リーダは達哉の特徴だから仕方ないんじゃ?
主人公じゃない罰でも台詞の大半に付いてたぞ。

まあ、沈黙してる様子を地の文でも描写した方がより良くなるとは自分も思うが
176名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:26:28 ID:Q2uMByK6
>>156
青銅だからドータ君だろう。

モンモンはカワイイおたまじゃくしになる筈がスケバンになってしまうと予想。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:35:11 ID:mR8yR9SX
モンモンがニョロモと申したか
178名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:36:37 ID:7mKrJ2Jp
>>155
ミュウツーに髪はない。
じゃなくて、炎使いで罪の意識に苛まれているコッパゲの相棒って言ったら、ミュウツーだよ。やっぱり。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:36:54 ID:cwSKkG6K
>ロベルト・ハイドン召喚
ロベルト・カーロンかと思った
180名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:37:05 ID:6zwCcBvM
ルイズはあれだろ

アンノウン
181名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:37:31 ID:NLtzKmW1
>>176
そ・れ・も・あ・り・かっ!
地面系の技をくらうのも変なんで、特性は浮遊だな。

そしてモンモンはグレッグルなのか。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:37:43 ID:jagt7rW7
>>176
ドータクンはやば過ぎだろう、せめてドーミラにしとけ
183名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:37:50 ID:1pej+xQs
たっちゃんの人乙です。
ペルソナ系から呼ばれたキャラは、三人とも多くを語るタイプじゃないからなぁw
ここはやはり、パンツ番長とテレッテの召喚でバランスを調整し(ry
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:39:17 ID:mR8yR9SX
>>178
熱血クイズオヤジか。
ゲームとかアニメの軽い設定の方が好きだったなぁ。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:39:49 ID:NLtzKmW1
>>180
>ルイズはアンノーン
そ☆れ☆だ!
186名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:40:18 ID:HbaEBtKp
>>178
カツラさんかよ!イイネ!
187名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:40:36 ID:Q2uMByK6
>>178
かつての部下を勝手に操られて怒ったワルドや
サイトへの想いは受け入れられず傷心のアンリエッタと一緒に
それぞれの系統に対応したジョウトの三匹で戦うのか。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:44:50 ID:NLtzKmW1
ポケスペは格好良い連中ばっかりだからな。

でも電撃ピカチュウも好きなんだぜ。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:47:19 ID:7QFfmL8c
>>4-9
まったくもって亀だが
「だってオラ、平民だから…」
で死亡するシエスタを幻視してしまった
190名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:50:41 ID:Q2uMByK6
>>181
まあ、アニメでのグレッグルの行動はルイズそっくりなんだがな。メスじゃないかって言われてるし。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:57:27 ID:b/Gd+QLI
>>188
このエロリストめ
192名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:59:39 ID:NLtzKmW1
>>191
ち、ちがう!違うんだ!
確かにエロも大好きだが同じくらいあの漫画のポケモンたちやメカニックが好きなんだ!
ゴーストをあそこまで格好良く描いたポケモン漫画は他に無いと思うんだぜ?
193名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:59:50 ID:/ORoA4I9
たっちゃん乙
達哉の格好って制服なの?あのあかいバッテンのライダースーツがいいんだがwww

ともかく罰後ってことは戦闘経験が半端ないんだよな達哉
はやく実力お披露目が見たいっす

がんばって
194名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 01:04:06 ID:Q2uMByK6
>>192
フーケが宝物庫の【呪いの大玉】を盗む→巨大ゴースト復活→戻せ!戻せ!
という展開を思い付いた。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 01:38:49 ID:qZEuYm4D
>>189
皆の貴族魂をちょっとずつ分けてシエスタ復活&メイジ化と申したか。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 01:42:28 ID:Qbh0Exi4
>>166
批評家気取りですかwww

馬鹿がやっても馬鹿丸出しになるだけなんだけどww
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:13:08 ID:hgpzs5LK
俺思ったんだがゼロ戦自体はただの飛行機なんだからサイトが操縦できるのおかしくね?
機銃だけ撃てるなら分かるんだが
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:14:11 ID:n28EgZ3w
>>190
ということはお姉さんに鼻の下伸ばしまくるタケシがサイトなのか
199ゼロのgrandma:2007/11/07(水) 02:16:32 ID:cZ9IlsM1
こんばんわ。
誰かいるかな? 予約します。
200名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:17:37 ID:LkgVhJsE
>197
むっちゃファジーなガンダールブのルーンにそんな屁理屈は通用しません。
それ以上は…
つ 避難所の考察スレに一名様ご案内
201名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:17:46 ID:qM5R0d9V
かもん
202ゼロのgrandma 1/7:2007/11/07(水) 02:18:45 ID:cZ9IlsM1
待ち合わせ場所を二人に伝えたロングビルは、学院長室に向かって足早に歩いていた。
昨晩の件を報告する為である。
――無論、あくまで表向きの分のみだが。
さほど時間は無いが、それでも最低限の仕事はしておかねば後々面倒だ。
(二度手間でも、言っとかないとまずいしさ)
少なくとも、あの場所に同席したのは事実である。知らない振りも出来まい。
ついでに言えば。
詳細については、王女から直接オスマンに伝わっているかもしれないが、既に旅立った事実を知るはずもない。
知ったら知ったで、書類仕事が幾つか発生する。
今回の密命で、ルイズが表向き無断欠席になるのか、休学扱いになるのか不明。
どちらにせよ王女の意志が絡む以上、評価を下げない方法を捻り出す必要がある。

外出の申請もしなければならないから、それほど時間も無い。
「定番の書式で通ればいいんだけどさ。ややこしけりゃ後回しにするか」
脳裏で業務手順を組み立てながら歩いていると、
「――――ル」
ふと、横から声が掛かった気がして足を止めた。
周囲を軽く見回せば、柱の影にシエスタが立っていることに気付く。
「呼びましたか?」
「……はい。ミス・ロングビル」
一瞬、丁寧な口調の相手に戸惑いながらも、シエスタは恐る恐る頷いた。
ロングビルが、人目がありそうな場所と普段で口調を使い分けているのは、それほど気にならない。
誰だって職場と私生活ではそんなものだ。
「朝はご苦労様でしたね。それで用は何かしら? 少々急いでいるのだけど」
「申し訳ございません。あの、こちらをお渡し頂きたいのですが」
ややきつめの口調に怯えながら、シエスタは手紙らしき物を差し出した。
表には、宛先すら書いていない。
ロングビルは、訝しげにそれを受け取った。
そもそも平民がメイジに頼み事をするなど、顔見知りでも滅多にない事だ。
「わたしが? これをどなたに?」
「ええと、その――」
逡巡の色を浮かべたのは、さほど長い時間では無く。
シエスタは、胸元で祈るように両手を組むと、やや震えた声ではっきりと告げた。
「学院長様に、お届け下さい」

(ただの平民が、オスマンに直接の用……?)
お願いします、と頭を下げたシエスタを、ロングビルは鋭い目で見つめていた。
接点が全く想像出来ない。この学院の最上位と最下層の人間に、どんな共通項があるというのか。
手紙の内容が気になる。
気にはなるが、封がされているものを覗き見るような時間は無かった。
「分かりました。こちらは渡しておきますが――」
「ありがとうござ……います……」
頭を上げたシエスタは、観察するような眼差しに気付いて身を竦ませる。
「宜しければ、後でお話を伺いたいわ」
ロングビルはそう言い捨てると、真っ青な顔のシエスタを残して歩き出した。

203名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 02:20:45 ID:+LTful/h
少し遅いけれどとあるの人GJ

そしてgrandma支援
204ゼロのgrandma 2/7:2007/11/07(水) 02:21:19 ID:cZ9IlsM1
その後ろ姿が視界から完全に消えた途端。
「渡し、ちゃった」
呟いたシエスタは、柱にしがみついて身体を支えた。
自分のした事がどれほどのものか理解する。――その恐怖も。
選択したことは間違っているのか、いないのか。他に方法は無かったのだろうか?
幾度となく考えた事だ。
だが、既にその機会は失われてしまった。
(怖いよ……だって――――かもしれないのに)
最後まで、選ばない方法もある。
「でも、そんなことは無理」
彼女は諦めたように首を振った。少し前までなら出来ただろうが、今はもう。
おそらく、自分は一生後悔する。

どんな結果が出ようと、それは仕方のない事だろう。
罪を償うには、罰を受けなければならない。――それは逃げようのない事実だから。

   ◆  ◆  ◆

「――――!」
部屋に響く音。
結末を予想していたはずの自分が、思わず息を飲んだ事を理解した。
握った掌には汗が滲んでいる。奥歯を噛み締める音が、耳に届いた気すらしてしまう。
ウェールズは、窓際に立つ女性から、目を逸らす事が出来なかった。

彼女は、柔らかく微笑んでいる。
一点の曇りも無い笑み。だが、その穏やか視線は、自分の奥深い所まで射抜いていると思えた。
奥底。
あるのは自覚している何か。それでも拒もうとしている何かだ。
誇り――それを唱える自分に酔っていないか?
意地――内憂を払えなかった自分を誤魔化していないか?
そして。
(そうか、そうだったな)
彼は心の中で、諦めたように呟いた。
結局、眼前に浮かんだものを否定することなど、自分には出来ないのだから。
思わず瞑目した彼は、天を振り仰いだ。

長い沈黙の後、
「きみは、笑っていられるのだな」
ウェールズは絞り出すような声で話しかけた。羨望と願望を織り交ぜながら。
無論、返事は無い。
「私は、私の愛する者が、私の為に悲しむ姿を、想像したくないのだ」
一節一節を、区切るように口に出す。
「だが」
顔を上げる。澄んでいながら突き刺さるような視線に、真正面から向かい合った。
「私は、彼女がいつの日か、きみのように笑えることを信じている」

205名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 02:22:40 ID:+LTful/h
支援
206ゼロのgrandma 3/7:2007/11/07(水) 02:23:01 ID:cZ9IlsM1
小さな、鈴のような笑い声が応える。
「そうですね。殿下の愛した方であれば、きっと」
いつの間にか、彼女の笑顔は本来のものに戻っていた。包み込むような柔らかい笑み。
ウェールズは同じように笑いかけ、すぐに顔を引き締める。
「ミセス。宜しければ家名をお教え願いたい」
「ハラオウン――リンディ・ハラオウンと申します。殿下」
「え、え?」
突然の空気の変化に、ルイズはついていけない。

「ミセス・ハラオウンと亡き夫君に、ウェールズ・テューダー、心から敬意を表します」
名を聞いたウェールズは、姿勢を正して踵を鳴らす。
「お二方の御功績に恥じぬよう、私は、己が意志を最後まで貫くことを誓いましょう」
宣言したウェールズの、鮮やかな敬礼。

カン、とリンディの足下から、剣先を落とした音が鳴る。
それは儀仗隊のように。
「リンディ・ハラオウン、亡き夫に代わりまして御礼申し上げます」
先程までが嘘のような、凛とした声が響く。
「皇太子殿下の、武運長久を心より願い奉ります。そして――」
清廉な敬礼と視線に、ウェールズは同意するように頷く。
同じ船乗りとして、と二人の声が唱和する。

良き航海を!
――それは、それぞれの旅路へ送る言葉。

糸のように張りつめた――それでいて清々しい声に、ルイズは圧倒されていた。
先程の、リンディの身の上話が衝撃だったという事も、確かにある。
だがそれ以上に。
目の前の二人は、命を掛ける事を知っている。
知識だけではなく、本当の意味で。
ウェールズも、リンディも、自分などには想像も出来ない事を見てきたのだろう。
人の死が、どういう意味を持つのか。
無意味な死とは、どういうものなのか。
明確な言葉にこそしなかったが、リンディはウェールズに覚悟を問い、彼は応えた。

そこに、自分が入り込む余地は無い。
脳裏に姫殿下の嘆き悲しむ顔が浮かんで、胸が締め付けられるように痛むのだけど。
口にする事は、どうしても出来なかった。

   ◆  ◆  ◆

207名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:23:47 ID:K8vCGG2i
>>197
ここでルーンの効果は「サイコメトリー能力」と言ってみる。


手にした物の残留思念を読み取る

武器として作られたもしくは使われたものの記憶を無意識に読み取る

だから最初から「飾り物」として作られると
鈍器とか棒の様な物として武器になるものでもNG

だが武器として作られたり使われたものならOK


ゼロ戦の木の葉落としは以前の持ち主が木の葉落としをやった事があるから使えた

これなら矛盾は発生しないかな?
208ゼロのgrandma 4/7:2007/11/07(水) 02:25:54 ID:cZ9IlsM1
「――と、あれでスパッと帰ってりゃ、絵になったんだが」
「まあ、別に舞台に上がってたわけじゃないし。いいんじゃない?」
デルフの呆れたような声に、リンディの苦笑が重なった。
二人がいるのは、質素ながらも品の良い家具の並んだ客間である。
休むように指示された彼女は、ベッドで横になっていた。デルフは枕元に立てかけてある。



あの後、リンディとウェールズが握手をしようとした時。
起床が遅いことを心配した下働きの女性が、ノックと同時に部屋の扉を開けたのである。
一応、リンディが平然と手を振ってみたのだが――剣を持っていたのがまずかった。

辺りに響き渡る悲鳴。

あっという間に近衛や側近の貴族が、そして筆頭にパリーという老メイジが部屋に雪崩れ込んできて。
「ちょ、ちょっと待ってってば!」
剣だの杖だのを突きつけられたルイズが、慌てて両手を上げる。
敵意が無いのは分かるだろうに、それでも警戒の眼差しは十重二十重。
そして。
ウェールズの隣に立つリンディに、全員の視線は集中する。
「あらー…」
珍しく冷や汗を浮かべる彼女。
客観的に言って、やたらと怪しく見えるのは自覚している。目立つバリアジャケットに長剣。
指一つ動かした途端、山のような魔法の的にされそうだ。
「……ええと、あのな? パリー」
緊張した空気を和らげようと、ウェールズがことさらにのんびりした声を上げる。
「この方たちは密使なのだよ。このような状況の中、わざわざトリステインから参られたのだ」
「トリステインから?」
老メイジは、不審そうに睨み付ける。
「ここ数日、船は入港しておりませんぞ? それに、誰にも見つからずに、どうやってここまで」
「ああ、それはだな……?」
フォローしようとしたウェールズも、言われて気付いた。
確かに、ここ最近船の入港は無い。
城の中へは例の結界とやらを使ったのだろうが、そもそもアルビオンまで来た方法は?
視線を向けると、リンディは一瞬視線を空に向けた。
(まさか、ここまで飛んできたというのか?)
驚愕の表情を浮かべたウェールズに、彼女は微かに頷いてみせる。
「……と、とにかくだ」
頭が痛くなりそうだったが、今は言い繕うしかない。
「ある方法で城下まで来て頂いた後、直接会える機会を窺っていたそうだ」
「ある方法とは?」
「トリステインの機密事項だ。入城方法も含めて、これだけは言えんよ」
強引に話を押し通すと、皆の視線が集まる中、ウェールズはリンディの腕を取った。
「?」
何故か、彼は微かに眉を顰めたが、そのまま続ける。
「御使者殿。お騒がせして申し訳ございません。このような時勢ではありますが、しばしの御滞在を歓迎致します」
と、優雅な仕草で、手の甲に口づけた。
「ありがとうございます。皇太子殿下」
合わせるように、リンディも辞儀を返す。

209名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:27:15 ID:veRxO7uv
支援!
210ゼロのgrandma 5/7:2007/11/07(水) 02:27:37 ID:cZ9IlsM1
「むー……」
ルイズはそれを眺めながら、納得いかないという風情で呻いた。
これではまるで、リンディが使者のようではないか。いや、使者には違いないけど。
あくまで自分が主格なわけで。
じろり、と座った目で横を見ると、杖を突きつけていたが男が慌てて下がる。
残念ながら。
紹介が遅れてしまったな、とウェールズが気付いた時には一歩遅かった。
実に間の悪い声が、景気良く火を点ける。
「して、こちらの方は? 御使者殿の侍従でしょうか?」

ぶちっ、という音を、誰が聞いたかは不明である。

一騒動が収まった後、平身低頭したパリーに連れられ、ルイズは先に歩き出した。
場を納めるため、ウェールズが食事へと招いたのである。
「ミセス・ハラオウンはどうします?」
ウェールズが意味ありげな視線を向けると、リンディも合わせるように頷く。
少々疲れたので休ませて下さい――そう、やんわりと断った彼女を、ルイズが複雑な顔で睨み付ける。
が、特に何も言わなかった。
体調が悪いのは事実だろうし、無理をさせている自覚もあったからだ。
「それなら、ちゃんと休んでなさい。帰りもあるんだから」
いつもより柔らかい口調で言い捨てると、彼女はさっさと退出した。

「……お気遣い、痛み入ります」
「いえ」
客間に自ら案内したウェールズは、苦笑しながら首を振った。
彼は、先程彼女の手を取った感覚を思い出す。
相当の高熱。
何故か、その直後には平熱しか感じられなくなったが、彼女の困惑顔から察することは容易だった。
「使い魔であれば、主人の前では平然としているべきだ。――そういう事ですか?」
「まあ、そういう事ですね」
にっこり、と微笑んだリンディの様子に、ウェールズは頭を掻いた。
「正直な話、伺いたい話が山のようにあるのですが」
「すみませんね。――女って秘密も多いんですよ?」
口元に指を当てた可愛らしい仕草に、彼は諦めたように溜息を吐いた。
「聞かない事にします。さて、私は朝食向かいますので、ゆっくりとなさって下さい」
「ありがとうございます」



「油断してたんか? 王子様に気付かれるなんてよ」
「ちょっと動揺しちゃって。つい、ね」
リンディは言い訳するように言うと、デルフを更に近くへと引き寄せた。
鍔元を枕の脇に位置するように置き、声を聞き取りやすくする。
「じゃ、お願いね?」
「いいけどよ」
いつも通り、デルフは不承不承返事をした。
それはそうだろう。彼は剣であって、目覚まし時計ではないのだから。
「少しでも寝りゃあ、違うだろ――って、おい?」
聞こえるのは微かな寝息。
もう寝てやがる、と言いかけた愚痴を、彼はあっさりと飲み込んだ。

211名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:28:06 ID:Zw7iX0sd
支援
212ゼロのgrandma 6/7:2007/11/07(水) 02:28:40 ID:cZ9IlsM1
王女の歓迎式典で、ルイズにリンディが寝不足だと説明したのは事実である。
仮の相棒である彼女は、この数日間、一度たりと熟睡していない。
聞いても理屈は分からなかったが――なんでも深い眠りに入ると、制御の許容範囲を越えてしまうそうだ。
(魔力なんてな、多けりゃいいに決まってるんだが)
その辺りの是非は、記憶があやふやな自分が考えても仕方無い。
出来る事は、異常を感じるか一定時間毎に、言われた通りの声を掛けるだけだ。
(普段から気い張ってるし、普通のヤツの二割も寝てねえし)

――壊れちまうのは早そうだなあ。
彼は嘆息と共に結論付けると、約束した時間まで思考を止めた。

   ◆  ◆  ◆

食事は、戦時下とは思えないほどの品揃えだった。
数日中には終わる戦いだからな、とウェールズが笑みを見せると、ルイズも黙って笑みを返した。
もう、自分に言えることは何も無い。
だからこそ、彼の聞きたがるだろうトリステインの話をする。
アンリエッタとの幼い頃の思い出も。
楽しそうに笑う相手を見て、ルイズも心の底から笑う事が出来る。
頬が濡れるのも、気にならなかった。

「それにしても」
食事後、顔を拭う彼女を眺めていた彼は、少しだけ残念そうに呟いた。
「きみが彼女を使い魔にした経緯は、是非聞いてみたかったのだがね」
「それは、その」
ルイズは口籠もった。
説明してもいい気もしたが、途中で絶対に破綻するのも分かるのだ。説明出来ない事が多過ぎて。
「リンディの事は、わたしにも良く分からないんです」
「自分の使い魔なのにかい?」
不思議そうなウェールズに、ええ、と頷きかけたルイズは――
「……自分の、使い魔なのに、です」
陰に籠もった声で呟いた。

「ラ・ヴァリエール?」
「殿下、先程のリンディの話ですが……」
戸惑うウェールズの前で、ルイズは曇天の様な雰囲気を纏っている。
「彼女の夫君の話だね」
「そうです」
彼女は、平坦な口調で続けていく。
「リンディにあんな過去があったなんて。――わたしも、あの話は初めて聞いたんです」
「初めて?」
ウェールズは、ようやく気付いた。
目の前の少女が、怒りに震えていることを。
「主人のわたしに、あんな大事なことを、今までずっと黙ってたんです」
「だが、それは」
「わかってます。気軽に話せる内容じゃないってことは」
だけど、と彼女は顔を上げた。
悔しいのか怒っているのか、自分でも分からないのだろう。
「それって子供扱いしてるってことじゃないんですか? 言ってくれれば、わたしだって――?」
そこまで言った彼女は、不意に黙り込んだ。

213名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 02:29:06 ID:+LTful/h
目覚まし支援
214ゼロのgrandma 7/7:2007/11/07(水) 02:30:21 ID:cZ9IlsM1
口に手を当てたルイズは、驚きの表情を浮かべている。
今、自分は何を言おうとしたのだろう?
「何やら事情は複雑なようだが」
ウェールズは優しく言い聞かせる。
「彼女ほどの使い魔はそうそういないと思うよ。これからも共に手を取り合って――」
「――いいえ!」
ルイズは、思わず叫んでいた。

響いた声に、一番驚いたのは彼女自身だ。
それほどまでに、彼の言葉を否定したかったのか?
違う。
そうじゃない!
ようやく、本当に理解出来た気がする。
「あんなに主人の言う事を聞かない使い魔なんていません。それに、許せないじゃないですか」
呆気にとられたウェールズの前で。
彼女は、自分の言葉が勢い良く組み立てられていく事を実感していた。
ずっと考えていた事なのだ。
心の中に澱のように降り積もった『これ』は。

「わたしの使い魔が、たった一人の親すら失った子供の事を、ちっとも気にしてないなんて」
気にしてないはずはない。
そんな人間が、あんな表情を見せるものか。

「帰りたいとも言わない」
言うわけがない。喚びだしてしまったのは自分だから。それだって分かってる。
だからこそ。

「わたしがリンディに命じるべき事なんて、本当は一つしか無いんです」
「そういうことか」
ウェールズは深々と頷いた。
言い切った彼女の顔からは、自分自身と相対した者特有の、高揚感が伝わってくる。

――必ず、彼女を子供たちの元に帰す。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、その日、絶対の誓約を心に刻んだ。
215ゼロのgrandma:2007/11/07(水) 02:32:36 ID:cZ9IlsM1
投下完了です。
深夜ながらの支援、ありがとうございます。
次は、週末です。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:32:41 ID:LkgVhJsE
ようやくルイズの方針が定まったか!乙
217名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:53:05 ID:StsdP6uE
grandmaの人、乙でしたー!

遅レスだが>>192
電ピカのゴーストは俺のトラウマwww
読後夜中だったんだが、マジ寝付けなくて困った
今見てもやっぱり怖いんだろうなー、アレ。
218名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 02:58:19 ID:uT3Bh7VA
乙!

ところで、シャドウハーツ フロムザニューワールドからレディを召喚。

契約のキスの時、レディからルイズへマリスが流し込まれる。
結果、異界の怪物を呼び出す“窓”を作りだし、自ら怪物へと変身するルイズ。
死人を蘇らすマリスの力でウェールズ復活、でも怪物に変身可。
異界への“門”を開くため、レディとルイズは虚無の封印を解き、聖地へ向かう。

ルイズの虚無を満たす悪意……     マリスの使い魔


というのを考えたがレディは喋らないし、何考えているのか分からない、おまけに無表情。
書きたいと思うけど難しい。
219豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/07(水) 03:27:38 ID:X+aVaWkl
投下しますよー
220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 03:29:21 ID:zU6hdZzM
ペース早いッスね〜
遅筆のオイラに何かアドバイスを
221豆粒ほどの小さな使い魔13 1/5:2007/11/07(水) 03:30:08 ID:X+aVaWkl
青い髪の女の子が、ガッコウに帰ってきた。どらごんの背中からすべり降りて、よろけて杖で支えてる。
左腕を包帯で吊って、薬の匂いがする。
ああ、これが気になった理由なのか。
私も、小さい頃から怪我はよくしてた。でも、あの子みたいに一人きりみたいな目はしてなかったから。
あの目。冷たいのに、吸い寄せられて、火傷しそう。
笑えたらいいのに。

「おねえさま、あそこ!」

高い声、どらごん? 女の子が長い杖をいきなりこっちに向けた。うそちゃんと隠れてたはずなのにばれた!
走る背中からもの凄い風。草に捉まる暇もなく巻き上げられて、
「……ミス・ヴァリエールの使い魔」
いつまでも地面に落ちない。目を開けたら、宙に浮いたまま、女の子の前に逆さまになって。
これは考えてなかった。ごくりと唾を飲んで。どうしよう。
「ゴメンナサイ」
覗き見してた。今日だけじゃなくて、何度も。
それに、
「いい」
女の子が差し出した手の上に降ろしてくれた。
「見てたのは、知ってた」
怒ってないの?
あ、目の感じが普通に戻ってる。
「シルフィードのこと、黙っててくれたから」
どらごん、しるふぃーども、私と一緒に首をかしげた。
だったら、どうして。
すいと、手をしるふぃーどの顔に近づけてくれた。大きい。近くで見ると本当にそう思う。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 03:31:03 ID:bgkBBW5e
支援
223豆粒ほどの小さな使い魔13 2/5:2007/11/07(水) 03:32:08 ID:X+aVaWkl
「見たければ、近くで見ればいい」
うわ。見るどころか、そのまま背中に乗せてくれた。
ぺたぺたと、撫で回してしまう。呼吸と、生きている熱を感じる。私の剣じゃ傷もつかなそう。
さく
足音に顔を上げたら、女の子がガッコウに向かって、
「ア、アリガトッ」
届いただろうか、多分、ぴくっと反応してくれたから。

だけど、頭がちょっと混乱してて、しるふぃーどにも心配されてしまった。
言いそびれた。
私が見てたのは、いいなって思ったのは、しるふぃーどとあなた、二人なんだって。

* * *

コルベール先生が、古い古い魔法書を見つけてきてくれた。
魔法学院初期に使われていたもので、今の魔法とは若干異なるって。
「コモン魔法に属性が含まれているのは、その方が通常は習得し易いからです」
先生の話を頭の片隅で聞きながら、ひたすら文字を追いかける。
あった。
レビテーション……の、原型。
呪文も長いし、ちっとも洗練されてない。だけど、純粋なコモン魔法だ。
「安定度と持続力は、現行のものと比べてかなり落ちます。それに100%ミス・ヴァリエールが使えると決まったわけではありません」
「ええ、確かに。ですが、やってみる価値は十分です。ありがとうございますミスタ・コルベール」
何度も何度も、声に出して読み返す。
真面目に勉強しててよかった。先生に聞きながらだけど、何とか理解できそう。
「るいず」
224豆粒ほどの小さな使い魔13 3/5:2007/11/07(水) 03:34:05 ID:X+aVaWkl
「ああハヤテ、見ててね」
立ち上がって、1メイル先の地面に置いたエキュー金貨に向けて杖を構える。
「たとえ爆発しても、私はへこたれやしないわ。これでいいでしょう?」
ハヤテと先生に見守られながら、私は高らかにレビテーションの呪文を唱えた。

失敗した

だけど、ああ、どうしよう、涙が止まらない。
失敗できたのだ!
ごく当たり前の、他のクラスメートと何ら変わらない、ありふれた失敗。
「先生、わたしっ」
「ああ、おめでとう。おめでとうと言うのは変かも知れんが、ディテクト・マジックでちゃんと見ていたよ」
ようやく、スタートラインに立てたのだ。
金貨を浮かせられるまで、どれくらい掛かるだろう。
「ルルルッ オメデト、るいずっ」
ハヤテが、本当に喜んでくれてるのが痛いくらい伝わってくる。そうよね、今日じゃないんだ。
きっと私は、あの日、ハヤテと出合ったあのときにスタートラインに立ったんだ。
「ありがとう」
一人では絶対に諦めてた私の背中を、小さな体で、全身で押してくれる。
これからも私の側にいて。
「レビテーションッ!」
繰り返す失敗。その全部が、一歩ずつ進んで行ってるのを感じる。
「アッ 今!」
ええ、目の錯覚じゃない。確かにぴくりと反応した。興奮が、疲れを一気に吹き飛ばした。杖がこんなに軽く、思った通りに動く。
「いや、まさかこんなに早くコツを掴むとは……」
「当然です、ミスタ・コルベール。何故なら私は――」
芝居めかして杖を振り上る。
225豆粒ほどの小さな使い魔13 4/5:2007/11/07(水) 03:35:43 ID:X+aVaWkl
「こと失敗については、誰よりも経験を積んでいるんですから!」
ハヤテが歓声を上げた。
ふわふわと、頼りなく揺れながら、でも確かに宙に浮いている金貨。
杖をゆっくりと動かせば、ちゃんとそれにあわせて動く。
この金貨、穴を開けて、鎖を通してペンダントにしよう。
一生の、宝物だ。


結局、その一回で、私の精神力かすっからかんになった。
まだ繰り返し練習しないと、自分のものにできたとは言えない。頬がにやける。
ベッドの上で、磨かれてぴかぴか光る金貨にもう一度キスした。
魔法書には、他にもいくつかのコモン魔法が載っていた。片っ端からマスターしてやろう。
と、そこに水を差すように、ひどくゆったりとした笛の音が響いてきた。
今はそんな気分じゃないからやめてと、そう言おうとしたんだけど、
いつの間にか、聞き入ってた。
初陣前みたいにぴりぴりしてたのが、そのまま、うたた寝しちゃいそうになって。まだ着替えもしてないのに。
笛の音が止まる。
「……ハヤテ?」
私の枕元に飛び降りてきたハヤテに顔を向けると、真面目 哀しそう? それとも心配?
「るいずハ、一人ジャナイカラ。私モイルカラ」
そんなの、当たり前じゃない。
ハヤテもシエスタも、コルベール先生だっているし、それに他のクラスメートだって、人をゼロ呼ばわりしたことをちゃんと謝るなら、許してやらないでもないわ。
「サッキノるいず、少シ怖カッタ」
「怖い? 私が?」
「一人デ、声ノ届カナイトコロニ、イッチャイソウダッタ」
ただちょっと集中してただけ……のはず。だけど、ハヤテの声が本当に震えてたから。
「ごめん。最近、色々なことが立て続けにあったでしょう? だからちょっと舞い上がってたみたい」
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 03:37:29 ID:0bQnR7+S
支援
227豆粒ほどの小さな使い魔13 5/5:2007/11/07(水) 03:37:47 ID:X+aVaWkl
半分はまだ納得してない。多分、ハヤテはそういうの見抜く勘が鋭くて、それで私は、半分はハヤテの言うのが正しいんじゃないかと思ってるから、だからちょっと拗ねてる、のかな。よく分かんない。
「アッ」
ハヤテが、びっくりしたみたいな声をあげた。それから、妙に焦った風に、
「なぁに?」
「今ノ、私ガまめいぬ隊ニ入ッタトキト、同ジカモ……ルルルッ!」
え? 何がどうしたの?
いきなりハヤテがぱたっと倒れこんで、足をばたばたとさせ始めた。
うつ伏せになった顔は見えないけど、耳と頬がかなり赤くなって。
「ヤッ 聞カナイデッ」
「何よ、人のこと怖いとか色々言っておいて、それはないでしょう?」
こんなに恥ずかしがってるハヤテは初めてだ。
大体、人の泣き顔とか恥ずかしいところ散々見ておいて、自分だけ隠そうなんて、そうは行かないんだから。
「話してくれるわよね」

しばらくウンウンと唸っていたハヤテだけど、ようやく、コクンと頷いてくれた。
228豆粒ほどの小さな使い魔13:2007/11/07(水) 03:39:27 ID:X+aVaWkl
投下終了
ルイズ、ようやくメイジとしての第一歩です。
229豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/07(水) 03:46:31 ID:X+aVaWkl
>>220
規則正しい生活と、自作を(たとえどんなに恥ずかしくても)毎日読み返すと、
続きを書きたくなったりするんじゃないかなーなんて思ったり。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 03:50:47 ID:LkgVhJsE
>規則正しい生活
ぐふっ
orz
231名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 03:52:07 ID:42ljVx1N
投下乙でありますー
時間が時間だけに、耳が痛い人が多そうなw >規則正しい生活
232名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 03:56:01 ID:zU6hdZzM
>>229
レスdクスッス。自作が恥ずかしくても読んでしまえるオイラって…
だけどプロットとかを多少組んでもなかなか先に進めない遅筆な上に文章力がないのかなぁ…orz

> 規則正しい生活
職場が三勤制で生活リズムが乱れまくっているなオイラには耳が痛いですorz

233名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 04:37:20 ID:bgkBBW5e
豆粒さんGJです
正統派に成長するルイズは本当にいい!
234ゼロと運命の剣の人:2007/11/07(水) 06:24:02 ID:uFS0HPRB
引越しで大分スレを離れてました。…というか前に投下したの20スレ以上前な罠。
忘れられてるかと思いますが投下します。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 06:28:34 ID:uFS0HPRB
「良くぞここまでやった、心から賞賛を贈ろうルイズ」
 ギーシュは朗々と語り上げた。
「しかし、これでは午後の授業に遅れてしまう……残念だが、ここで終わらせてもらおう」

 ルイズ=ヴァリエールとギーシュ=ド=グラモン。
 この二人のゲームは、大方の予想を覆し、長い膠着状態に陥っていた。

『ソーディアンの機能で一番大きいモノは晶術だ。無論、武器としての品質も高いが、
同時にソーディアンは晶術兵器でもある』
 ギーシュが去った食堂、ルイズとキュルケ、二人に話し始めるディムロス。
興味深そうによってくる生徒もいたが、キュルケの手並みが軽くあしらっていた。
「晶術……午前中の授業で使った、錬金の魔法みたいなもの?」
『原理自体は突き詰めると似てはいるが、晶術はもっと攻撃的な技術、戦闘に用いる術法だ。
どちらかと言えば、お前がやった爆発に近い』
 ルイズはむっとした。
『もっとも、あれほどの威力は晶術とは言え中々出せないが』
「…いらん事言うな」
 訂正、ルイズはむっとしたついでにディムロスを叩いた。
『しかし、あのギーシュとか言う少年が言うに、ゲームとは言えある程度戦闘形式を模した戦いにはなるだろう。
そういう場なら戦闘用の晶術は役に立つ』
「ねぇねぇディムロスさん、その晶術、って言うのは具体的にどういうことが出来るの?
戦闘用の術って言うと、炎を巻き起こしたり雷を落としたり、っていう事?」
 話が進まないと思ったキュルケが、テーブルに寄りかかりながら合いの手を入れてくる。
頷くようにうむ、と声を出したディムロスは、言葉を続けた。
『そうだな。我は炎をつかさどるソーディアンゆえ、攻撃手段は炎になる。
一番簡単な晶術と言えば、我の場合はファイアーボールだろう。
これなら、まだマスターになって日が浅いルイズにも使えるはずだ』

<ルイズはファイアーボールを習得しました>

『ファイアーボールは火炎球を発生させ、射出する事で対象を攻撃する晶術だ射程はさほど長くないが、
それでも生半可な剣術よりは強力だろう』
「……って、ちょっと、ちょっと待ちなさいよ!」
 何か初歩的な算術でも教えるかのように語るディムロスに、あわてたのは当の『習得した』ルイズであった。
「それって、もう魔法じゃない! 私の魔法なら授業中に見せたでしょ!」
『晶術は魔法とは違う。見た目は似ているかもしれないが……』
「出来るわけないじゃないッ!」
 ルイズは小さく、しかし強く拒絶した。
 少女の魔法は常に爆発する。それは、何回やっても、何度試しても同じ結果に終わった。
それが例え、この使い魔を呼び出した時であったとしてもだ。
 自分の魔法は失敗する。それは自分が良く判っている。
 少なくとも、使い魔がちょちょいと細工をしたくらいで、出来るようになってたまるか。
「ルイズ…」
 横に居たキュルケも、どう声をかけたものかと迷う。
 ルイズが気難しい事も、人並みならぬ努力と苦労をしている事も、他の生徒よりは良く知っている。
 ミス・ヴァリエールを馬鹿にする人間は多かったが、ミス・ヴァリエールとちゃんと話す人間は少ない。
 キュルケはその少ない方の人間だった。
『ルイズ。我にはお前がどれだけ魔法を失敗してきたのかは判らん。その苦労も判らねば悔しさも判らん』
「だったら……!」
 えらそうな事言わないで、と言いかけたルイズに、ディムロスは断固として言い切った。
『だがお前は我を召還した。我と契約したソーディアン・マスターで、我を使い魔として契約した我が主だ』
 はっとするルイズ。
『誰が笑おうと、我が保証する。お前の魔法は成功した』
 ああそうか。
 この口やかましい剣は、私のことを認めてくれていたんだ。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 06:30:54 ID:uFS0HPRB
「ファイアーボール!!」
 ルイズの詠唱一閃、火の玉がギーシュのワルキューレに叩きつけられ、ワルキューレが一体くずおれる。
 ゼロのルイズが魔法を使っている! 周囲の観客になった生徒は大騒ぎ。
 晶術が魔法と違う事を聞かされていたルイズも、己の詠唱一つで火の玉が飛んで行く様には当初こそ喜びを隠せなかった。
 それこそ、飛び跳ねたい気分だ。しかし。
「覚えたての魔法一つじゃ……僕のワルキューレは打ち崩せないよルイズ!そして剣の使い魔君!」
(まさか同時に7体とはな…!)
 読みが甘かった、と言わざるを得ない。
 『青銅』の二つ名を持つギーシュの得意技は、錬金。
 それで生み出した石の像……ワルキューレを操作する戦い方を好んでいた。
 ワルキューレ……ゴーレム自体はディムロスがいた世界でもありふれた存在である。
生み出された経緯、手段こそ違えど、召還する者や装置等によって際限なく生み出される土や鉱物から鳴る擬似生命体。
 厄介なのは召還元さえ無事なら何体でも生み出せる事で、正面から事を構えると消耗戦に持ち込まれる危険が高い。
 だからこそディムロスは、先手を取ってファイアーボールによって召還元であるギーシュを叩き、早期決着を狙っていた。

 その点、ギーシュは策士であった。
 まず、ゲーム・ルールの説明といって予めワルキューレを1体呼び出していた事。
ギーシュにとって見れば、ルイズの『失敗魔法』による爆発で被害をこうむる事を避けたかったからなのだが、
これが不意打ちを防ぐ結果に繋がったと言える。
 そして、ゲーム・ルール自体も巧みにギーシュ有利なモノであった。
「これは決闘ではなく魔法の練習であるから、お互いがメイジ自身を攻撃してはならない。
 メイジ自身に攻撃をあてた場合、その時点で敗北となる」
 …と言うものだ。
 ワルキューレを呼び出すギーシュは、己の杖……つまり手元にある薔薇さえ守っていれば、いくらでもワルキューレを召還し放題。
 かたやルイズは、己の剣であるディムロスを四六時中ぶらさげ、振り回さねばならなかった。
 言ってしまえば、的が大きい。

 ルイズのファイアーボールがワルキューレを打ち砕き、その間に新たに召還されたワルキューレが穴を埋める。
 それを繰り返して行くうちにルイズも疲弊し、ペースも落ちる。詠唱ミスも起こる。
 ギーシュのほうはワルキューレの扱いには慣れており、ペースを保ちながらワルキューレを召還し続けていった。

 千日手。しかし長期的にはルイズ不利。分の悪い勝負であった。

「ファイアーボール!!」
 必死にファイアーボールを唱え続けるルイズに、ディムロスは声をかける。
『……ルイズ、聞こえているか。ファイアーボールに魔法を織り交ぜて使え』
「……え?」
「油断大敵! やれワルキューレ!」
 ディムロスめがけて飛んできたワルキューレの槍の一撃を、あわててディムロスをしっかり両手持ちしてガードする。
 がちん、といういい音を立てて、手がじんじんした。
『ファイアーボールより、あの魔法の失敗の方が威力自体は高い。取り回しは悪いが、上手く使えば武器に……』
「……魔法の失敗って、凄い恥ずかしいのよ、判る?」
『ルイズ!』
 ディムロスの言葉に、ルイズはファイアーボールの詠唱を止め(キャンセルし)て静かに続ける。
「……だって皆、普通に出来ることなのよ。そりゃ、失敗する人もいるけど、あんな爆発なんて普通は起こらないわ。
それが、私にはずっと出来ない。ずっと、爆発だけ。名門ヴァリエールの娘が、もう落第寸前だったのよ。判る?」
『……我には、判ってやれん。すまん』
「後で説教してやる」
 ルイズは魔法を唱える為、ディムロスを左手に持ち替えて、かわりに腰にかけていた己の杖を取り出した。
 失敗する事が判っているから短い呪文でもかまわないし、失敗してもいい、と思って使う魔法は、それまで唱えてきたどんな魔法とも違う開放感があった。

 気づいていた者は、いるだろうか。
 その時、ディムロスに刻まれた使い魔のルーンが、輝きを増した事を。

「フライ!!」
 力いっぱい失敗した魔法は、力いっぱいワルキューレ達を吹き飛ばした。
237ゼロと運命の剣:2007/11/07(水) 06:32:09 ID:uFS0HPRB
「なっ!? 魔法の失敗で!」
 ギーシュは驚いた。
 ルイズが、失敗魔法による爆発を用いてくるのではないか、と言う予想はしていた。
 ただ失敗魔法と言うのは文字通り魔法の失敗であり、あてずっぽうの、どこに飛ぶか判らない威力だけの爆発だと、ギーシュは思っていたのだ。
 まさかこれほど『正確に失敗した魔法』が、ワルキューレの群れの中心を打ち砕くとは誰が予想しただろうか。
「だが、まだワルキューレは残って……!」
「ファイアーボールッ!」
 台詞を次ぐまもなく放たれたファイアーボールが、残ったワルキューレのうち1体を吹き飛ばす。
(詠唱速度が、あがった!?)
『好機だ、切り込めルイズ!』
 思いのほか早い詠唱に戸惑うギーシュ、そこに駆け込んできたのは、誰であろう、炎の剣を構えたルイズ=ヴァリエールその人であった。
「わ、ワルキューレ!僕をまも……」
「『爆炎剣ッ!!』」
 すんでの所で割り込んだワルキューレと、炎を纏ったルイズのディムロスがぶつかり合う。
(間に合った!)
 しかし、ギーシュが安堵した次の瞬間、ワルキューレはルイズの剣によって、易々と一刀の元に切り裂かれる。
「わ、ワルキューレ!」
 新たなワルキューレを呼び出そうと手を掲げた時、ギーシュの表情は今度こそ驚愕の色に染まった。
 手に持っていた薔薇の杖はすでに、炎に焼かれて散っていた。

 驚きのあまり尻餅をついて、焼けこげた薔薇をマジマジと見つめるギーシュ。
 あまりの出来事に静まり返る周囲の生徒達。
 その沈黙の中、ルイズは宣言した。
「私達の勝ちみたいね」

<ルイズがレベルアップ! 爆炎剣を習得?>
238ゼロと運命の剣5:2007/11/07(水) 06:34:15 ID:uFS0HPRB
ゼロと運命の剣:5/ヴェストリ広場の決戦

でした。これにて投下終了です(タイトル入れ忘れてた…
以下おまけ。
=====
NOTICE:魔法と晶術で魔術連携?
違う晶術でコンボをつなぐと詠唱時間が大幅に短くなるが、それは魔法でも同じ事。
ただ、失敗魔法はどんな魔法が失敗しても「失敗魔法」として扱われる点には注意しよう。

ゼロと運命の剣コレクションブック・術技編1:
失敗魔法:ルイズが唱えた魔法が失敗?したもの。爆発を起こす。下手な晶術より威力が高い。

ファイアーボール:炎系の初級晶術。火の玉を発射して攻撃する。射程は長くないが、一定時間使用者の攻撃力をアップする効果がある。

爆炎剣:剣を振り下ろし、そこから吹き上がる炎で攻撃する術剣技。元はスタンの息子カイルの技だが、リメイク版ではスタン、そしてディムロスも使用する。
初出のカイル版では、目標以外の敵に攻撃が当たったとしても、爆炎がちゃんと目標の足元から吹き上がると言う特徴(バグ?)がある。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 06:37:51 ID:/casxYYJ
荒らしていい?
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 06:48:50 ID:ZcIFTDOi
>失敗魔法はどんな魔法が失敗しても「失敗魔法」
それはたしかにそうだが、なんだかヒデェw
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 08:47:00 ID:ARwPbX1H
やや遅レスですがgrandma乙です!
シエスタが本気で気になるなあ。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 08:56:17 ID:NLtzKmW1
grandmaの人も運命の剣のひとも乙ですー。
息子はもう自立してるけど…信じてないんだろうなぁw。

あと遅レスだが>>217
伝説系でもない普通のポケモンがアレだけの脅威になるというのを
しっかり描いてくれたのは偉業と言っていいと思うんだぜ。
実際、あんなゴーストがいたら怖いし。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 09:02:50 ID:4+ZMIMEx
電ピカの人のミュウツーも泣けた
覚えてる人いる?
ゴーストは怖すぎる
244名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 09:44:16 ID:NLtzKmW1
電撃ピカチュウ版『ミュウツー逆襲』は前半部分の予告編だけだが、
出来が非常に良いんだよなぁ。
単行本に収録されていないのが惜しまれる。
ミュウツーを作った科学者の苦悩とかロケット団の非情っぷりとか
ミュウツー量産計画とか見所がたくさんあるのに。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 09:49:08 ID:KCzfsqot
お前らゴーストゴースト言ってるが
ナツメさんの事も思い出してやれよ
246名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 09:52:58 ID:6sXIrBRM
>>244
あの筋でいってたら、多分ラストは映画版とまた違ってたんじゃないだろうか
ミュウツーの境遇とか人間関係とかが違いすぎる
映画のアイちゃんも泣けたけど、電ピカの博士も泣けるで
電ピカはエロだけじゃなくて、設定もしっかりしてるから好きだ
学校いかないのは、トレーナーが期間つきで授業免除されるからとか

というわけで誰かこっちのミュウツーを召喚うわなにするやめ
247聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 09:55:06 ID:2fsjMuoq
赤、リザードン1匹で四天王制覇した直後、データが消えた私が通りますよー。
ついでに投下OKですか?
大丈夫でしたら10:00位から投下しまーす。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 09:55:24 ID:6sXIrBRM
>>245
上が着物風、下がズボンなあの洋服が素敵
優しいお姉様だし
アニメのナツメは怖かったし、ちびうさの中の人て知ってびびった
249ゼロと聖石15 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 10:03:19 ID:2fsjMuoq
なんだかOKそうなので投下開始します。

タバサの行動は素早かった。
ウィンディアイシクルで面制圧をするように連打。
キュルケもそれに続いてバカスカと火球を放り込む。
ギーシュがワルキューレを作り出して接近戦対策をする。
シエスタは怯えながらその光景を眺めている。
私も新しく覚えた魔法で援護する。

「天空を満たす光、一条に集いて神の裁きとなれ! サンダガ!」

膨大なまでの雷が周囲を駆け巡り、あたりをなぎ払う。
煙が立ちこめたので、タバサが竜巻を起こして煙を払う。

跡形も残っていないかと思いきや、全てのチョコボがぴんぴんしていた。

「効いてない」
「効いてはいるんですが、火力不足です…」
「アレだけ撃ちこんで威力不足!?」

こっちが狼狽している間に、ワルキューレに向かってチョコボが突進。
くちばしがワルキューレの装甲を貫き、破砕する。

「―――全員、逃げるわよ!!」

その言葉を聞くまでも無く、一斉に行動を起こした。



森の中を駆け巡る。
後ろから来る怒涛の足音。

その足音に向かって私は錬金を放つ。
爆発にひるみながらもチョコボはこちらへと駆けてくる。

キュルケとタバサは、凄まじい速度でシルフィードに乗って逃げた。
ギーシュはワルキューレを囮に森の外へ。
私とシエスタはというと―――

「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん! 無双稲妻突き!」

無双稲妻突きが襲い掛かり、倒れ伏すチョコボ。
それでも追いかけてくる奴等を錬金で足止め。

「もうすぐです、ルイズ様! あそこまで行けば安全です!!」

シエスタが指定する場所までとにかく走る。
途中、オークの悲鳴が聞こえたが気にしない。
そんなものに構っていたらこっちが死んでしまう。
250ゼロと聖石15 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 10:04:35 ID:2fsjMuoq
正面に森の切れ目!
アレが目的地!

「シエスタ、つかまって! 一気に跳ぶわよ!」

距離的には若干不安あり。だけどここで成功させないと!
詠唱を一瞬で完了し、魔力のラインを目標地点に生成して流れに乗る。
次の瞬間には森の開けた場所、ちょっとした野原にたどり着く。

「ちょっと、ここだと危ないんじゃ!?」
「大丈夫です。チョコボは入ってこれません!」

確かにチョコボはこっちを遠巻きに見るだけで、入ってこようとしない。
その事実に心を許し、座り込んで深呼吸。

「―――ごほっ! こ、ここは!? まさか……!」
「思われている通り、ハシバミ草の群生地です」

凄まじいハシバミ臭。
は、鼻が曲る!

「チョコボはハシバミの匂いが大嫌いで、寄ってこないんです」

そりゃ私だって寄りたくない。
これだけのハシバミ草があって喜ぶのは雑貨屋位だ。
でも薬の調合で使うので、結構な量を袋に詰め込んだのは内緒だ。



無事に森を抜け出して、黒チョコボの追いつけない速度で飛び回ってるシルフィードに合図を送る。
着地地点にハシバミ草を撒き、黒チョコボを寄せ付けないようにする。

「それにしても、獰猛過ぎない? あのチョコボってやつ」
「縄張りに入り込んだのが失敗」

周囲に漂うハシバミ臭に顔をしかめながらキュルケがシルフィードを降りる。
タバサもそれに続く。心なしか表情が柔らかいような気がする。
むしろ深呼吸までしている。

「ひどい目に遭ったな、あんな獰猛な生き物だなんて」

全身を泥まみれにしながらギーシュが現われる。
やはりハシバミ臭に顔をしかめながら。

「あの子達は縄張りとよそ者に敏感だから」
「シエスタ、アレは一体何なの? 詳しく説明してくれない?」

シエスタは分かりましたと頷き、ハシバミの香油瓶を開けて森の中へ進みだした。
私達はその後をゆっくりと付いていった。
251ゼロと聖石15 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 10:05:40 ID:2fsjMuoq
森の切れ目に一軒の小屋があり、小屋の周囲には柵が設置されていた。
まるでよそ者の侵入を拒んでいるように見える。

小屋に入る。
中には一人の男が座っており、こちらを一瞥した後口を開く。

「北かい?」

呟かれた言葉に、首を傾げる。
しかし、シエスタだけは首を振る。

「じゃあ、南かい?」

シエスタは首を振る。

「じゃあ、西かい?」

三度首を振る。
この場所に入るための暗号なのか?

「じゃあ、東だな?」
「はい、その通りです」

やっとシエスタが口を開く。
その言葉に口に笑みを浮かべる男。

「ようこそ、冒険者の楽園タルブ村に。久しぶりだな、シエスタ」
「ええ、おじさんこそ。奥さんは元気ですか?」

今のやり取りで理解した。
ここが、シエスタの故郷なんだと。




入ってきた方向と反対側の扉を開くと、村が姿を見せていた。
いや、村という規模じゃないだろう。
これはもう町だ。
あちこちに冒険者風の男達が歩き回り、それを相手に商売する村の人たち。
トリスタニアより広い大通りには、馬車が三台は余裕で通れる。
そして、軒先につながれているチョコボたち。

「こ、ここだけ異世界な気がするんだけど…」
「同感」
「というかあんな獰猛なのがいても問題ないのか!?」

「ええ、人になれたチョコボはおとなしいので」

その言葉にギーシュは首を捻りながら着いてくる。
村の外れにたどり着き、シエスタが振り返る。

「ここが、私の家です。話はこの中で」

シエスタが扉を開け、中に入る。
私達もそれに続く。

「ただいま、父さん、母さん!」
252ゼロと聖石15 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 10:07:56 ID:2fsjMuoq
それを出迎える一本の剣。
シエスタは白刃取りで受け止め、投げ返す。
奥にいた人影がそれを掴み、腰の鞘に収める。

「お帰り、シエスタ。帰省はまだ先じゃなかったか?」
「いえ、今日はちょっとした用事で帰ってきただけです」

シエスタが何も見ないでデルフを抜き、上からの槍による刺突を防ぐ。
上から刺突を仕掛けてきた人物は、そのまま奥の人影の隣に降り立つ。

「今日はお客さんもいるのね? 奉公先の貴族様?」
「そう、私が使えている人たちです」

突然現われた火の玉をデルフで払って消す。
何だこの家は。
魔窟かどこかの暗殺機関か?

「お姉ちゃんが帰ってきたー!!」
「こら、いきなり鬼火を使わないの!」

シエスタが奥から現われた子供達の攻撃をいなしながら笑っている。
ちょっと待て、無数の拳とかあからさまに財布盗もうとしてたりおかしいぞ。
ああ、なんか悪霊まで飛び出してるし。

そんな混沌とした中、奥の人影が動き、こちらに向かってくる。

「はじめまして、シエスタの父です」
「シエスタの母です、歓迎します」




シエスタの父曰く、タルブ村にはこんな風習が有る。
『デュライ家の人間に自分にあった職を見出してもらう』という。
発祥はシエスタのお爺さんで、その人が星占いでその人の運命を見て、アドバイスするというものだ。
しかし、ほかの占い師と違ったのは……

「こういった、ニンジャとか風水士といった変わった職業―――ジョブをアドバイスできたと」
「正確に言うと、私は占星術師だったがニンジャもやってみようと思ってな」

デュライ家を継ぐものは占星術師として力を受ける。
ちょっとした勘と星を見る力が備わるんだとか。

「シエスタは剣聖というジョブを受けながら、占星術師の資格を持っています」
「極めていないので、大それたことは出来ませんが………」

話を進めていくうちに分かったことは、
デュライ家の人間にしか白魔道士といったメイジ系ジョブになることが出来ず、その他の人は戦士系のジョブに導かれる。
チョコボはシエスタのお爺さんに当たる人が乗ってきたものだそうだ。
そのうち卵が孵り、変異種で赤や黒が生まれたとのこと。

「最初のうちは森の一角で飼っていたんだが、いつの間にか逃げ出してな」
「早い話が管理不足です」

まったくだ。
そのせいで私達は死にかけたのだ。
とりあえずの対策として、森の外周にハシバミ草を植え、出ないようにしているとのこと。
あの強烈な匂いが、チョコボを囲う檻という訳だ。
253ゼロと聖石15 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 10:09:16 ID:2fsjMuoq
これだけ聞けば対策も出てくる。
要はハシバミが嫌いなのだ。

「シエスタ、町の人と一緒にハシバミ草を大量に用意して。皆も手伝って」

ここからが、私たちの反撃だ。
マントを翻し、シエスタの家を出た。




おまけ タバサの受難

シエスタの家に着く。
一連の歓迎には驚いたが、やはりこの親あってのシエスタと実感した。
と、そこで見てはいけないものを見てしまった。
青白い炎、昔話に聞いたオニビという人の魂が炎になった存在を連想してしまった。
いや、アレはメイジ系列の力で作られた、ただの火の玉だ!

「こら、いきなり鬼火を使わないの!」

ってオニビなのアレ!?
そんなあっさり肯定しないでシエスタ!

体が勝手に震えだす。
これは恐怖?
いや、怯えてなんかいない!
ただ昔話が懐かしくてちょっとだけ震えている、それだけ!

「刀に宿りし幾千の、亡霊の呼びて、いざ抜かん! 村正!」

子供が、東方にあるといわれるカタナを掲げ、叫ぶ。
瞬間、カタナから大量の瘴気があふれ、人の顔を象った何かがあふれ出す。
認めよう。
アレは幽霊だ。

その光景を見ないように後ろを向き、怨嗟を聞かないように耳をふさいで耐えるのだった。

「どうしたのタバサ、後ろ振り向いちゃって?」

あーあーきこえないきこえない。
なにもみえないきこえないー。
254ゼロと聖石15 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 10:13:58 ID:2fsjMuoq
以上で投下終了です。
今回は若干長めに。チョコボとの戦闘を期待していた皆さんゴメンなさい。
どう考えてもシエスタによる虐殺かチョコボによって蹂躙されるかしか思いつかず、
仕事をするということで戦わないで解決する手段に走りました。

そういうわけでありがとうございましたー。
シエスタ達の暗号が分かった方とは友達になれそうな今日この頃です。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 10:45:44 ID:AyK2yjLX
>>254
以前からだけど、文章が簡潔過ぎてぱっと見分かり難いよ。
もうちょっとくらい肉付けした方がいいと思う。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 10:51:16 ID:85gwWdPC
GJですよ

>255
気に入らないのなら見るな。

俺は聖石はさらりと読めるのがいいと思ってる
257聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 10:56:02 ID:2fsjMuoq
>>255
>>256
私個人として、こういった類の発言は凄く参考になると思っています。
こういった発言にへこんだこともありますが、それも一つの経験です。
堂々と批評できる人間は大事です。度を過ぎると腹立ちますが。
両者とも意見ありがとうございました。今後の書き方として考えてみようと思っています。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 11:04:50 ID:kk/4OyUh
×気に入らないなら見るな
○聖石は俺のもんだ
じゃあるまいし…

作者がどう取るかは作者の自由だが、素直な感想を述べるのも読者の自由だぞ。
毒吐きへ隔離するようなレベルならともかく。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 11:11:33 ID:3FygL7nC
三点リーダー指摘野郎はともかく>>255は普通のアドバイスだろ
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 11:54:45 ID:uT3Bh7VA
聖石乙!
タルブ村に侵攻するレコンキスタ……返り討ちにあいそうだ。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 12:06:04 ID:1K7nSpCO
聖石の中の人、投下乙です。

そう言えば、ワルドってちょっと鍛えればFFT的にすごくいいユニットになりそうだよね。
「偏在」をMP(精神力)に上限があって、物理攻撃力や防御力も低い魔法職で使うよりも、
戦士系ジョブに付けて、一旦偏在で増えたら、後は数人掛かりでノーコストでフルボッコw
「算術」それ自体は、魔力の低い算術師だとあまり使えないのと似てる希ガス。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 12:22:13 ID:YZMcZOlX
聖石乙〜

近いうちに避難所のスレに応援画像投下するよー

でもエフェクトのキャプチャがうまくいかNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 12:35:41 ID:tgFWvP14
>>260
タルブ村の前にチョコボの集団にフルボッコww
264名無し@お腹いっぱい:2007/11/07(水) 12:40:52 ID:HClA3aPm
作品投下、45分位に投下予告させてもらいます。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 12:42:08 ID:lOIe09BP
合言葉メタルマックスのじゃねえかw
266サーヴァント・ARMS:2007/11/07(水) 12:45:52 ID:HClA3aPm

「「何よ、これ?」」  「・・・・・・・・・」


トリステイン魔法学院――

その学院の生徒である3人の少女達が、使い魔召喚の儀式を成功させた時の最初の反応がこれである。
なお怪訝そうな声で仲良く同じ台詞を口にした2人の少女の間柄は、
先祖代々からの仇敵だったりするが、その辺りは割愛。

魔法が使えず『ゼロ』と揶揄されるピンク色の髪の少女が召喚したのは、
奇妙な格好(元の場所ではごくごく一般的な学生服なのだが)の気絶した、平民らしき黒髪の少年。

彼女1人なら、まだ周囲は納得したかもしれない。

しかし、他の2人の少女はトライアングルクラスの実力者でありながら、
それぞれ容姿は違っても同じような服装をした平民らしき少年を召喚してしまったのだから話は変わってくる。

3人中2人は納得のいかない様子でそのまま召喚した少年達と契約の儀式を交わしたのだが―――


彼女達はまだ知らない。

召喚した少年達が、ただの『人間』ではない事を。

少年達はまだ知らない。

今度こそ失った筈の『力』を、再び手にしてしまった事を。


誰も想像しえなかった物語<<プログラム>>が今、動き出す。





      サーヴァント・ARMS:第1話 『遭遇』エンカウンター




気が付いた時には、高槻涼は見覚えのある闇の中に1人佇んでいた。

―――えーっと、確か学校もやっと再開して、その帰りに恵と合流して5人だけでまたユーゴーの墓参りに行って、そしたらその時に突然光に包まれて―――


267サーヴァント・ARMS:2007/11/07(水) 12:47:02 ID:HClA3aPm
そこで記憶は途切れている。
もしかしてまた、エグリゴリの残党に襲われたのかと考えた。
アザゼルもキース・ホワイトももはや完全に消滅した上にエグリゴリの部隊の大半も壊滅が確認されている。
残った極少数も現在進行形でブルーメンが『排除』して回ってると恵や兜から聞かされていたが、エグリゴリの人員は組織に対する忠誠心が高い。

そしてカツミはともかく涼達『元』オリジナルARMSは組織の中枢部を根本的に打ち砕いてくれた憎い仇である。
今度こそ完全にエグリゴリ全体が壊滅したと分かるまで気が抜けないと思っていた――その矢先にこれだ。

「でもここってもしかして・・・」
『その通りだ、我が主高槻涼よ』

刹那、背後に見覚えのある異形の巨体が現れた。

「ジャバウォック!それじゃあやっぱりここはアリスの世界なのか?」
『大まかに言えばそういう事になるのだろう』
「どういう事だ?アリスや他のARMS達と一緒に完全に消えた筈じゃなかったのか?」
『わからぬ、気が付いた時には再度汝の元へと戻っていたのだ。
どういう訳か分からんが、共振から他のオリジナルARMS達もそれぞれの主の元へと戻っている』
「・・・まさか、カツミもなのか?」
『それについても詳しい事はわからぬ。赤木カツミのARMSは特殊だ。我らオリジナルARMS同士と比べても繋がりが薄い』
「そうか・・・ともかくまずは情報を集めるべきだな。隼人達もどうなったか分かんないけど、一緒に居たんだから近くに居るかもしれないし」

そう呟くと、涼は内面の世界から現実へと意識を引き戻そうとした。
何度も経験したお陰でやり方は嫌でも慣れた。
どこからともなく光が涼を照らし出した時、巨人は何時かの時と同じように涼の前で跪く。

『・・・・・・高槻涼よ。我は、再び汝と共に在ることを光栄に思う』
「ああ・・・俺からも、これからよろしく頼むな、ジャバウォック」



そして閃光に包まれて―――
268サーヴァント・ARMS:2007/11/07(水) 12:48:14 ID:HClA3aPm

目を開けると、涼は天蓋付きのベッドに寝かされていた。

「知らない天井だ・・・って何言ってるんだろうな俺」

身体を起こして見るとベッドが立ち並んでいた。
医務室らしい。窓の向こうが暗いので今は夜だろう。
すぐ隣で寝息が聞こえたので見てみると、ピンク色の髪の少女がベッドの傍らで寝息を立てていた。

―――中学生ぐらいかこの子?
でも何でこの部屋はこんなに古めかしいんだろうな。内装は豪華だけど、壁とかを見ると石で出来た城っぽいし―――

「お、やっと目ぇ覚ましたかよ高槻」

聞き慣れた声の主は隼人だった。学生服の上着を脱いでワイシャツの胸元から鍛えられた胸板を覗かせた格好だった。

「やっぱり隼人も一緒か。それじゃあ武士やカツミ達も居るんだな?」
「いや、それが武士の奴も俺達と一緒の場所に居たんだけどな。
・・・カツミと恵はどこにも居やがらなかったんだ」
「そんな!――ところでここはどこなんだ?雰囲気からしてエグリゴリの施設とかそういう感じじゃないみたいだけど・・・」
「・・・あー、まあその事についちゃそこのガキに聞いてくれ。
何つーか、俺自身どういう事かさっぱりわかりゃしねーんだ。オイ、起きろ!高槻が目ぇ覚ましたぞ!」

隼人は涼の傍らで眠り込んでいた少女を揺すってみるが、起きない。

「にゅ〜〜〜〜〜・・・・・・」
「おーい、起きろっての!」

ゆさゆさ

「うみゅ〜〜〜〜・・・・・・」
「このっ、起きやがれ!」

ゆっさゆっさゆっさゆっさ

「うにゃ〜〜〜〜・・・・・・」
「・・・・・・・・うし、これでもまだ起きねえんなら・・・」

ゴヅッ!

「〜〜〜〜〜〜〜!?!!?!!」

起きた。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 12:49:25 ID:Qbh0Exi4
ぶっちゃけ携帯小説レベル
270サーヴァント・ARMS:2007/11/07(水) 12:49:44 ID:HClA3aPm
「あー、隼人、相手は女の子で子供なんだし、もうちょっと手加減してやった方が良いと思うぞ?」
「良いんだよ。コイツ、わがままな上にアル以上に生意気ときてんだぜ?やってられっか」

そう言い捨てる隼人を、鉄拳制裁を食らった件の少女――ルイズが涙目になって睨みつけた。
ジジイこと隼人の義理の祖父、十三の睨みに比べれば迫力には程遠かったりするが。

「ま、またあんたねえ!この貴族である私の頭を遠慮無くボカスカと!へ、平民がこんな事していいと思ってんの!」
「何度も言ってるだろうが!俺達の所じゃ貴族だの平民だの関係ねえんだ、
生意気なガキには鉄拳お見舞いするのが基本なんだよ!」
「落ち着けって、隼人も年下の子供相手にムキになるなって」

ルイズの矛先が涼に移った。

「誰が子供よ!私は16よ!」
「あ・・・い、いや間違って悪かった。ゴメン!」

思わず冷や汗タラリ。女性には年齢と体重と3サイズは禁句である。
1度母親の美沙にうっかり「もう若くないんだから」と口にした時など――
――思い出したくも無い。
言ってしまった涼曰く、「あの時ほど親父に鍛えてもらって良かったと思った事は無い」といった反応だったらしい。
推してしかるべし。

「とりあえず、今武士が厨房の方に飯貰いに行ってくれてっから詳しい話はそん時にでも――」
「ちょっと、ツェルプストーの使い魔の癖に何勝手に人の使い魔と喋ってんのよ!」
「だから誰が使い魔だ!」
「なあちょっと待ってくれ・・・『使い魔』?一体何の話をしてるんだ?」
「・・・・・・窓の外見てみろよ」

窓辺に駆け寄って、外の景色を見つめた。
高い壁、その向こうには広がる森と広大な草原。
そして夜空には――――



「・・・・・・何だよ、これ」



――――月が『2つ』、重なり合って浮かんでいた。



左腕に刻まれたルーンにはまだ、気付いていない。
271サーヴァント・ARMS:2007/11/07(水) 12:55:52 ID:HClA3aPm
投下終了ー。
全巻持ってたけど売って内容はともかく設定は結構うろ覚えだから色々矛盾してるかも。
ついでにARMSが活躍し始めるのは後半辺りになりそうですます。
・・・皆川作品ってキャラが脇役でもしっかり固まってるから面白いのに、どーしてサンデーじゃいつも最後の方だったんだろ?
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 12:57:56 ID:WQ7Q8yTt
支援がほしいのならば……くれてやる
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 13:02:05 ID:nzZeSMXg
本人が召喚されるのは見なかったから期待。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 13:02:40 ID:WmwiCyoN
試練を乗り越えられるか? まずは支援。 
275名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 13:04:27 ID:COurxBsB
乙ー
ヘビー級サイボーグ・ガシュレーとスティンガーとコウ・カルナギが大好きです。
> 全巻持ってたけど売って内容はともかく設定は結構うろ覚えだから色々矛盾してるかも。
こういうことは言わない方がいい
276名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 13:09:39 ID:WmwiCyoN
乙です。
えーと、偉そうな顔をしてアドバイスをいくつか。
 
・伏線があっても後書きで語らない。
設定用語集とか出されても辛いので、本編で「実はこうだったんだよ!」

とやっていただけると、読者としても興奮いたします。


・未読部分があっても、正直に言わない。
支援とか感想で言われたら、こっそり直して進めてくれるほうがありがたいです。
 
ARMSで複数召喚によるクロスはおそらく茨の道だと思いますが、めげずに頑張ってください。
277サーヴァント・ARMS:2007/11/07(水) 13:17:11 ID:HClA3aPm
アドバイス多謝多謝。
自分ってどうにも余計な一言二言が多くて嫌になる。
そして支援してくれる人も感謝。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 13:29:55 ID:aGTX5rZ4
少し遅れたけど、乙。
>全巻持ってたけど売って内容はともかく設定は結構うろ覚えだから色々矛盾してるかも。
今からでも遅くないから読み直すことをお勧めします。
ARMS保持者が直接召喚されるのは初見なんで期待してます。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 13:38:19 ID:42ljVx1N
>どーしてサンデーじゃいつも最後の方だったんだろ?

サンデーは人気順てわけじゃないからね。指定席みたいなものかと。
あと、「知らない天井だ」は何かなぁとか思った。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 14:03:41 ID:qZEuYm4D
今は無くなったみたいだけど、サンデーには通称「最後尾枠」ってのが有ったんよ。
打ち切りレースから保護される特別指定席みたいなんが。あくまでウワサですが。
あとサンデーでは原稿が遅いと受領順で後ろへと回されるので、
描き込みが多くて遅くなりがちな漫画家さんも後ろになるらしい。あくまでウ(re

ジャンプなんかだと印刷所に無理が言えるから、受領順とかのシステムは無いんだってさ。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 16:47:59 ID:rcqsmT2J
聖石GJ、このタルブ村は自力でレキシントン号撃墜しそうで怖いなw
282名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 17:02:04 ID:+M5MmdxV
フーケのゴーレム対66式メーサー殺獣光線車
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:11:02 ID:wPmAWTWA
>>知らない天井 それなんてヱヴァ?けどGJ!!!
284罪深い使い魔:2007/11/07(水) 18:12:01 ID:6oaEYAHj
18:20に投下予約します
285罪深い使い魔:2007/11/07(水) 18:21:49 ID:6oaEYAHj
いいのかな?
それじゃ投下します


メイジ達が授業を受ける教室は、高校の教室よりもむしろテレビで見た大学の講堂に似ていた。
そこにメイジと、どう見ても悪魔としか思えない外見の生き物達がひしめき合っている。
それらを眺めつつ、達哉はルイズが座った席の隣に腰を下ろした。

「ここはね、メイジの席。使い魔は座っちゃダメ」
「…………」

すでに文句はない。今さら文句などつけようはずもない。
出会って間もないが、もう達哉の中でルイズの評価は限りなく最低に近い。
それほど食べ物の恨みは大きかった。

ガタッ

達哉は無言で立ち上がると、つかつかと教室の奥へと向かい、壁にもたれかかった。
教室から出て行こうかとも思ったが、それよりも魔法使いが受ける授業に対する好奇心が上回った結果だ。
そんな達哉を生徒たちが好奇の目で見てくるが、当人は気にしない。
そういう人間は『向こう側』にもいた。無視するのは慣れている。

しばらく待っていると、教室の中に教師と思われるふくよかな体型の女性が入って来た。

「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に
様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」

ルイズがピクリ、と震える。
シュヴルーズは教室の奥にいる達哉を見て「おや?」と首を傾けるが、すぐに理解が及ぶ。

「聞き及んでいますよ、ミス・ヴァリエール。随分と変わった使い魔を召喚したものですね」

その言葉で、教室中が笑いの渦に包まれた。

「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れて来るなよ!」
「違うわ! きちんと召喚したもの! こいつが来ちゃっただけよ!」
「嘘つくな! 『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう!」

騒ぐ声はどんどん大きくなる。
こんなところはどこも一緒だな、と達哉は呆れた。

「ミセス・シュヴルーズ! 侮辱されました! かぜっぴきのマリコルヌが私を侮辱したわ!」
「かぜっぴきだと? 俺は風上のマリコルヌだ! 風邪なんか引いてないぞ!」
「あんたのガラガラ声は、まるで風邪でも引いてるみたいなのよ!」

マリコルヌとルイズが立ち上がり、睨み合う。場は一触即発の様相を呈していた。
達哉はシュヴルーズという教師がこの事態をどう収めるのか眺めていると、
なんとシュヴルーズは手に持っていた、小さな木の枝ほどの大きさの棒を振っただけで二人の体を席に下ろしてしまった。

今のが魔法か?
達哉は自分の知らない『魔法』に思わず目を見張る。

「ミス・ヴァリエール。ミスタ・マリコルヌ。みっともない口論はおやめなさい」

達哉の嫌いな、教師の威厳をたっぷりと含んだ口調でシュヴルーズは言った。

「では、授業を始めますよ」
286名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:23:05 ID:bvd8kPY8
支援
返事がないのは投下OKの証拠と言うことで
287罪深い使い魔:2007/11/07(水) 18:24:08 ID:6oaEYAHj
『赤土』のシュヴルーズが語る魔法の内容はどれも興味深いものだった。

「『錬金』か……」

達哉はシュヴルーズが『錬金』の魔法で、小石から真鍮を作り出した様を見て感心した。
シュヴルーズはできないと言っていたが、この世界では文字通りの『錬金術』が存在するらしい。
『土』の魔法と言っても、達哉は土塊や岩石をぶつける程度しか知らなかったが、
この世界ではもっと幅広い運用がなされているようだ。

魔法の四大系統、『火』『水』『土』『風』。
達哉の知識では、属性と言えば他にも『氷結』『雷撃』『神聖』『暗黒』など多岐にわたるが、
これらは四大系統の中に組み込まれているか、四大に比べてマイナーか力が弱いか、そもそも存在しないか。
あるいは失われたという『虚無』に属しているという可能性も考えられる。

この世界の属性を把握した達哉は、次に自分の『力』について考えた。
昨夜ルイズに話さなかった、自分の力。
言えば異世界から来た証明になるかもしれなかったが、逆にややこしい事態を招く可能性もあり言えなかった『仮面』の力。

……この世界の基準でいうなら、今の俺は『火』の系統に属していることになるな。

『付け替え』ができれば話は変わってくるのだが、残念ながら他のは
『向こう側』へ渡る際にすべて失ってしまったため、それもできない。
そのため今『呼び出す』ことができるのは、あの戦いで最後まで『降魔』していた一体のみ。
そして、そいつは所謂『火』系統の魔法しか使えない。

しかし……このことをルイズに明かすべきだろうか?

これだけ魔法が普及しているのだから、自分の能力も少し変わった魔法程度のものとして受け入れられるかもしれない。
ルイズも自分を見直し、多少は待遇を改善してくれるかもしれない。
だが、もし受け入れられなかったら?
それを思うと、まだ大っぴらに自分の力を晒す気にはなれなかった。

「……ん?」

思考に没頭していた達哉がふと周りを見ると、なぜか生徒たちが机や椅子の下に潜り込んでいる。

「なんだ?」

なにか不穏な空気を感じた達哉はルイズを見て、
次に瞬間には、その手に持った棒が小石に振り下ろされる様を目撃した。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:25:04 ID:s79j9C4r
SS書いてる私も、たまには支援にまわるのだ
289罪深い使い魔:2007/11/07(水) 18:26:48 ID:6oaEYAHj
……なるほど、それで『ゼロ』のルイズか。

小石の『錬金』に失敗し、まるで『メギド』のような爆発を起こしたルイズに向かって浴びせられる
「魔法の成功率ほとんどゼロ」という罵声を聞きながら、
どうやら自分がとんでもないご主人様に仕えてしまったらしいことを達哉は悟った。

そして、そんな達哉を見つめる人物が一人。

「…………」
「あら、どうしたのタバサ?」

この授業に出席し、近くにいた男を使って爆発を回避していたキュルケは、彼女の友人があらぬ方向を見ていることに気づいた。
なぜか教室の後方――あのヴァリエールが呼び出した使い魔を見ている。
使い魔は自分の服をはたいて土ぼこりを落としているが、先の爆発にも関わらず怪我らしい怪我はしていない。
上手く物陰に隠れたのだろう。

「…………」

キュルケの問いに、タバサと呼ばれた少女は何も答えない。
ただぽつりと、キュルケにも聞こえないくらい小さな声で、呟いた。

「光った」


授業は中断され、達哉はルイズの失敗魔法で散らかった教室を黙々と掃除していた。

「さっさと片付けなさいよ!」

達哉の記憶が確かなら、片づけを命じられたのはルイズのはずだ。
それがなぜ机に腰掛けてふんぞり返っているのか。
このことについてルイズに聞いてみると、

「私の不始末はあんたの不始末。あんたが後始末するのは当然でしょ」
「…………」

元々我慢強い方ではない達哉の不満は当然大きい。
それでも、現状ルイズという『保護者』を失えば自分が路頭に迷い、
結果『向こう側』に帰る方法を探すのが難しくなってしまうことを予想し、黙って従っている。
ただ少しだけ、この世界を守るために帰ろうとしてるのにこの扱いは理不尽じゃないか、とは思っていた。
290罪深い使い魔:2007/11/07(水) 18:29:04 ID:6oaEYAHj
「……わかったでしょ」

表面上大人しく掃除している達哉にルイズの声がかかる。
達哉は無視してやろうかとも思ったが、これ以上機嫌を損ねると何が起こるかわからないので一応相槌を打つ。

「なんのことだ?」
「なんで私が『ゼロ』って呼ばれてるのかよ」
「……ああ」
「どうせあんたも心の中じゃ笑ってるんでしょ。散々偉そうにしておいて、魔法もロクに使えないのかって」

……そういうことか。
何かと思えばバカらしい。
それが達哉の素直な気持ちだった。

「失敗したなら練習すればいい。笑う連中なんて無視すればいいだろ」
「簡単に言わないでよ!」

半ば予想していたことだが、ルイズはやはり怒り出した。

「練習なんてもうずっと繰り返してきたわよ! 何度も、何度も、精神力が切れて気絶するまで!
それでもどうにもならないのよ! 由緒正しきヴァリエール家の生まれなのに、全然成功しないのよ! 私は自分が情けないわ!」
「『サモン・サーヴァント』とかいうやつは成功しただろ」

達哉としてはむしろ失敗して欲しかったが、そこは口に出さない。

「あんたなんか成功なんて言えないわよ! ていうかなんであんたが出てくるのよ!?」
「知るか」
「この――」
「心配しなくても」

達哉はルイズの言葉を遮る。

「ここにずっと留まるつもりはない。方法がわかればすぐに『向こう側』へ帰ってやるさ。
俺だって好きでここにいるわけじゃないし、お前が俺を必要としていないのも、わかってる」

そう言って達哉は再び掃除に戻っていった。
これ以上話すことはない。話しても、お互い苛立ちが募るだけだ。
おそらくこの後ルイズの怒声が飛んでくるだろうが、達哉はそれをすべて無視することに決めた。
しかし――

「…………?」

いつまで経ってもルイズの声が聞こえてこない。
不審に思った達哉はルイズの方を見て……後悔した。

「グス……」

ルイズは……目いっぱいに涙を溜めて震えていた。
達哉はここでようやく、自分が失態を犯したことに気づいた。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:29:21 ID:/EVpEU2/
支援
292名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:31:23 ID:WmwiCyoN
支援
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:31:58 ID:uIlsVPhf
支援
294罪深い使い魔:2007/11/07(水) 18:32:33 ID:6oaEYAHj
……これは、俺がなんとかしなきゃいけないのか?
俺は、何も悪いことはしてないのに。
いや、罪は犯したけど、でもそれとこれは無関係だ。
……っ

「……ルイズ」
「……なによ」
「俺は……バカにはしてない」
「見え透いた嘘つかないで」
「本当だ」
「気遣いは無用よ。私は……ヒック……全然気になんてしてないんだから」
「お前がどう思おうが勝手だが、俺は嘘は言ってない。魔法が失敗続きだからってバカになんてするか」
「…………」
「さっき自分で言っただろ、何度も練習したって。俺は理想を追い求める人間を決してバカにはしない」
「…………」
「ゼロなんてあだ名も気にするな。俺も以前あだ名で笑われたことがあるが別に気になんてしてない」
「…………」
「……ルイズ?」

見ると、ルイズは俯いてしまっていた。
ダメだったか、と達哉はこれから来るであろうルイズの泣き声に備え身構えた。
しかし達哉の予想はまたも裏切られる。

「……あんたのあだ名って、なに?」
「…………」


よりによってそこに反応するか……!

「教えなさいよ、使い魔」
「……断る」
「命令よ、あんたのあだ名を今すぐ教えなさい」
「嫌だ」
「教えなさいよ! これからあんたのこと、ずっとそう呼んでやるんだから!!」
「…………!」

それからしばらくの間、教室で何事かを言い争う声が響いていたと何人かの生徒が証言する。
その声がやがて、甲高い女性の笑い声に取って代わられたということも。

「…………」

教室で笑い転げるルイズを無視して掃除を続ける達哉は、
やはり使い魔なんてやるものじゃないな、と苦渋に満ちた表情で呟いた。


以上です
支援ありがとうございました
295名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:38:02 ID:NLtzKmW1
お疲れ様っしたー。
たっちゃんガンバ!…ギーシュあたりがストレスをぶつけられそうで怖いなー。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:40:09 ID:Q2uMByK6
乙でった。
やっぱり、ギーシュ戦で先住だー!な展開?
297名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:48:55 ID:s79j9C4r
あだ名・・・?「たっちゃん」だよな
298名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 18:55:46 ID:nzZeSMXg
ペルソナはやったことないが惹かれるな、たっちゃんw
299名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:03:43 ID:AyK2yjLX
あだ名で苦労する奴が多いな
300名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:06:11 ID:r8K65h9N
お疲れ様でした。
たっちゃんってあだ名より広東語しゃべる金髪少女のほうがすごいあだ名だと思うが・・・
この後のギーシュ戦で日輪の若き獅子ことたっちゃんはどう立ち回るか楽しみ
301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:12:04 ID:G/kNXfFV
>>300
あぁ、あれか。「情人(チンヤン)」だっけ?
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:15:05 ID:r8K65h9N
>>301
ちがう!!!
広東語しゃべる金髪少女に青髪の番長がつけたあだ名だ
303名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:20:57 ID:NLtzKmW1
ギンコか。ステータス画面の名前まで変わったんだよなアレ。
あとは…メッティーとか呼ばれてなかったかたっちゃん。たしか服屋のマヌカンから。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:32:40 ID:6sXIrBRM
ギンコというと蟲師のギンコさんが出てくる
でもあの人蟲寄せるから、多分ルイズのところにはいられないな
バトル系の人じゃないし、やっぱり蟲払いの旅に出るしかないと思う
そもそも蟲がいるんかどうかわからんけど
305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:36:40 ID:55WAr4C/
ギンコと名づけた番長もミッシェルなんて名前だけどね。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:37:47 ID:isBX3T5+
新規投稿をしたいのですが、よろしいでしょうか?
307名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:40:12 ID:J6Zpyctf
そういえばペルソナシリーズの連中はガンダールヴいらんな
武器の扱いとかは普遍的無意識からペルソナと同じ様に汲み上げるし、ペルソナ降魔してれば身体能力も上がる。
ルーンが無くても強いって奴は多いが、あってもなくてもたいして変わらない珍しい連中だな
308名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:41:09 ID:y81E5HpI
>>306
みちはあいてるっぽい
309名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:41:25 ID:bXry9l6p
>>306
かもん
310名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:42:52 ID:5qBQVkzC
契約しようと近づいたルイズをしまっちゃう
ルーンを調べようとしたコルベールもしまっちゃう
サラマンダーを自慢しに来たキュルケもしまっちゃう
洗濯するついでにシエスタもしまっちゃう
決闘挑んだギーシュもしまっちゃう
宝物庫に盗みに入ったフーケもしまっちゃう
ついでにオスマンもしまっちゃう
部屋に来たアンアンもしまっちゃう
逃げないウェールズしまっちゃう
裏切ったロリドもしまっちゃう
惚れ薬飲まそうとしてたモンモンもしまっちゃう
ついでにミョズやビダーシャルやテファやロマリアの王様やウィンダールヴやジョセフもしまっちゃう



そんなピンクパンサーを召喚するのは流石に無理か
311風の行く先:2007/11/07(水) 19:45:28 ID:isBX3T5+
 絶望を視覚的に表現できるとするならば、”それ”は正しく相応しい。
 巨大な銀色の体躯は、それだけで見るものに畏怖の感情を呼び起こす。周囲を取り囲む二百近い板状のものから吐き出される赤々とした光線は死角なく降り注ぎ、本体下部から生えた柱上の砲台からは緑色をした光弾が全てを蒸発させる。
 現代兵器ではその装甲の一枚も貫く事も出来ず、吐き出す光線の一条も防ぐ事が叶わない。最強の矛と盾をもった存在、それは正しく絶望である。
 人類全ての敵、明確で強大な悪、それは憎しみと恐れを持って星船と呼ばれた。



 ささくれ立ち、瓦礫で埋め尽くされた道を狙撃銃を片手に男が走る。
 疎開がなされた町はゴーストタウンとなっていた。避難する途中に落とされたのか、ビニール製の人形が道路にぽつんと横になっている様が物悲しい。
 乗り捨てられた自動車が引っくり返って腹を見せ、建物という建物は殆ど薙ぎ払われている。廃墟というよりも更地。これが、ほんの数ヶ月前まで日本の首都として栄えた町などとは誰も想像できまい。
 倒れたバイクを飛び越えたところで立ち止まり、後方に振り返りざまに引き金を引く。マズルフラッシュの直後、自ら射線上に飛び込むかのように銀色のガンシップが現われ銃弾の洗礼を受けた。
 結果を確認する間も惜しいと走り出すと、奇跡的に残っていたビルの影に身を隠した。
 わずかばかりに訪れた休息に、急いで相棒の弾倉を交換する。
 対物狙撃銃、ライサンダーZ。異星人と人間の技術の合いの子は、無茶な扱いにも動作不良を起こすこと無く男に付き従ってくれている。
 口径12.7mm、銃としては最大級に部類されるものではあるが、たかだか個人携帯火器レベルで戦車砲に迫る装甲貫徹力というふざけた威力は、実射したことの無い人間からすれば出鱈目を通り越して狂人の妄言に聞こえるだろう。
 かくいう男自身も緒元を聞いた時には欠片すら信じていなかった一人だ。けれど今ではその言葉は真実だったと確信している。
 神経をささくれ立たせる嫌な音を耳にし、忌々しげに空を振り仰ぐ。
 空には先ほど撃墜したものと寸分違わぬ姿のガンシップの群れが男を捜して飛び交っている。彼らの後ろに空は見えない。ただ銀色の”星船”と呼ばれる、侵略者たちの母船がビルから見える空一杯に浮かんでいた。
 直径ほぼ千m、銀色の球体は地を這う虫けらなど歯牙にもかけていないかのように、威風堂々と浮遊している。
――そうやって、余裕ぶっているがいい。すぐに地べたに叩き落してやる。
 家族を殺され、仲間を喪い、故郷を更地に変えられた。
 守るべき者も、帰るべき場所も、もはや残されていなかった。
 ただ心にあるのは黒々とした憎しみだけ、諦観など心に入れる隙も無い。
 虎の子の防護衣はとっくにバッテリーが切れていた。眼は激しい光で半ば焼け付き、片耳は鼓膜が破れ、体中に穴を穿たれ、骨も数本イカレている。満身創痍、それでも憎悪だけを糧にしてここまで来た。
 首筋にチリつくような感覚を覚えた。隠れていたビルから飛び出した直後、星船の光弾が直撃しビルが倒壊を始めた。
 目標を発見したガンシップがすぐさま殺到する。
 アスファルトを転がりながら不自然な姿勢で無理やり敵に照準して発砲、止まることなく転がりながら槓悍を引いて装填。一瞬前までいた場所を、光線が走り道路がめくれ上がった。
 スコープを覗く暇すら惜しみ、銃を構えて撃ち、後方へ転がる。
 発砲、回避、装填。
 機械よりも正確に一連の動作を繰り返す。怒りは熱く身を焦がすも、動作に一切の支障をもたらさない。
 光線がまたしても迫り、回避しようとしたが身体がそれを裏切った。
 唐突に膝が落ち、わけも分からずに転倒した。
 見れば、いつのまに攻撃を食らったのか腹に黒々とした空洞が口を広げていた。血は、流れていない。痛みすら無いがそれでも傷は確実に力を奪っていた。
 せり上がる熱に、堪えられず吐血した。着衣を濡らす赤々とした鮮やかな血に今まで感じたことも無い絶望感が訪れる。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:47:04 ID:/ORoA4I9
>>294
「たっちゃん」で笑われたっけ?罪は昔にやったっきりだからおぼえてないが

まぁ乙
次回楽しみにしてます
313風の行く先:2007/11/07(水) 19:48:08 ID:isBX3T5+
 立ち上がろうと足掻くが、手足は地面を擦るだけだ。
――ここまできて!
 一瞬の内に喪った家族と仲間の顔が脳裏をよぎる。助けられなかった、助けたかったかけがえの無い者たち。
 視界を敵の光弾が埋め尽くた。
 異星人との戦闘で初めて恐怖した。復讐を遂げる事も無く無意味に死ぬ事が、どうしようもなく恐ろしかった。
「あ、あ゛ああああぁああっ!」
 無念が口から飛び出したその時、勢いよく横に押し倒された。すぐ脇に光弾が着弾し、アスファルトにクレーターを作る。
 男を押し倒した何者かは、男を引き摺るようにして崩れたビルの陰へと移動した。
「大丈夫か!?」
 男をすんでの所で助けた者はこの場には似つかわしくない格好をしていた。
 身軽さと、低視認性を優先した都市迷彩、灰色に化粧した顔。スカウトだ。常ならば敵をいち早く発見し、情報を司令部に渡すのが仕事の彼らがなぜ激戦の最中に居るのか。
「なにを、している?」
「なに、ちと格好をつけにな。最後の最後までケツまくってたんじゃ、あの世の娘に会わす顔がねぇからよ」
 スカウトの直ぐ傍を、ビルを貫通して光線が薙いだ。
「っと、無駄話してる暇はねぇな。これ、拾った弾なんだけどよ。使えや。俺の銃じゃ使えないが、お前のなら使えるだろ?」
 こんな状況だというのに、スカウトは朗らかに笑いながら弁当箱ほどの弾倉を取り出すと男に押し付けた。
「なんでお前笑ってるんだ?」
「なんでって、そりゃあお前が生きてるからだよ。聞いてるぜ、お前の噂」
 まるで英雄を見るかのようなスカウトの眼に、男は居心地の悪さを感じた。
 自分は、そんな大層なものではない。正義のヒーローなどではなく、ただ復讐のために戦っていただけだ。
「俺は、そんなんじゃ」
 続く言葉は爆音にかき消された。
 もうもうと立ち込める粉塵に手をかざした。視界が限りなく零になる。
「もうここもダメか。俺が囮になる。お前も直ぐに復帰しろよ」
「おいっ!」
「俺らの地球を頼んだぜ。うおぉおおっ!」
 粉塵の晴れた先には、倒壊したビルと、星船へ向かって走って行くスカウトの姿があった。
 彼に群がるガンシップ、降り注ぐ光線。すぐさまスカウトは爆発と、ガンシップの影に隠れて見えなくなった。
『ぎゃぁあああ!』
 ヘッドセットから、断末魔の悲鳴が聞こえた。
「ちく、しょう」
 また一人、喪った。名前も知らない奴だったが、それでも命を助けてくれた恩があった。
 もう流すまいと誓った涙が、嗚咽と共に漏れた。
「畜生畜生畜生っ! これだけ殺してもまだ足りないかっ。クソッタレの異星人め! 殺してやる、殺してやるぞ!」
 銃を杖代わりに無理やり立ち上がった。膝はまだ力が入らず無様に震えたが構わなかった。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:49:48 ID:y81E5HpI
ストーむ1キタこれ
315風の行く先:2007/11/07(水) 19:52:53 ID:isBX3T5+
 襲い掛かってきたガンシップの射線上から倒れながら回避、同時に発砲。最新戦車の前面装甲すらも貫通する銃弾は、銀の体躯を容易く沈黙させた。
「弾丸の味はどうだ!」
 怒号を上げながら、転がり、撃ち、吹き飛ばされた。
 少し前までの機械的な正確さは望むべくもなかった。身体はスクラップ寸前で、立っていることすらままならない。槓悍を引く手すらもが覚束なかったが、それでも絶望はしない。
「俺たちに帰る場所は無い。お前らが奪ったんだ!」
 一発撃つたびに光線が体の何処かを貫き、光弾が肉を抉った。
 発砲の反動すらも使って回避と攻撃を繰り返す。
 意識が混濁しはじめ痛覚が完全に麻痺したが、引き金を引く指だけを認識する事ができた。それだけ判れば十分だ。地面に何度も叩き付けられながらも撃ち続けた。
 どれだけの時間をそうしていただろうか。
『マザーシップ大破! 墜落します!』
『総員退避せよ! マザーシップが落ちる! できるだけ遠くに逃げろ!』
 久しく聞こえなかった本部からの通信が聞こえた。
 敵の弱点しか見据えていなかった目を離し、星船全体を見た。
 黒煙が上がっていた。巨大な船体は傾き、炎を上げてゆっくりとだがこちらに近づいてきているのが見えた。
――ああ、終わったのか。
 笑い出したい程の達成感と歓喜を感じると同時に、空虚な風が男の心に吹く。まったく異なる二つの感情を、けれども自然と男は受け入れた。理由がなんとなくわかったからだ。どれほど憎んだ相手を倒そうと、喪った者までは帰ってこない。
 厳しくも優しかった父母、腕白盛りだった弟、引っ込み思案だった妹、何度も馬鹿話を肴に盛り上がった中隊の仲間たち、誰も、帰ってこない。
 腹ばいになっていた体を、銃を杖がわりにして立つ。しっかりと星船が落ちる様を眼に捉えた。
 船が金属の軋む音を断末魔の悲鳴のように高らかにあげた。黒煙をたなびかせながら落ちてくる様は、星が迫ってくるかのようだ。
 今更逃げた所で、最前線で戦っていた自分はもう助からないだろう。もとより助かるつもりはなかった。
「皆、今、そっちに行く」
 視界を埋め尽くす怨敵を眼に焼きつけて、ついに力尽きアスファルトに向かって倒れこんだ。
 何故か柔らかな土の感触と草の青臭さを感じたのを最後に、暴風の中の暴風と呼ばれた男は意識を手放した。



 鉄錆めいた臭いが鼻に届いて初めて、少女は己が喚び出した使い魔が人間であることに気が付いた。
 喚び出された人間は、体中から血を流してボロキレのように広場の中心に倒れていた。
「なに、あれ」
「人間か?」
「おいあれ、血じゃねぇのか」
 周りを取り囲んだ学生たちがざわつき始める。無理も無い。トリステイン魔法学院、いや、ハルケギニアの長い歴史を紐解いてもメイジが人間を召喚した事例など無いのだから。
 呼び出した少女自身、未だに自分のなした結果を受け止めきれず呆然としていた。
 突然の異常事態に誰も動けなかった中、人垣から一人の男が召喚された男に駆け寄った。素早く脈拍と呼吸の有無を確認し、
「水メイジっ、今すぐ応急処置を! それからそこの君、急いで医務室へ行って職員に有りったけの秘薬の準備と状況を説明しておいてください。手隙の者は彼にフライを。頭は動かさないように。医務室に運びます!」
 学生達の硬直を解くように怒鳴った。声を聞いて、初めてその男が自分の担当教諭であるコルベールであることに気が付いた。
 怒鳴り声に普段の凡庸とした雰囲気は感じられず、部下を叱咤する指揮官じみた厳しさを感じる。こんな声もだせるのだな、などと他人事のように思う。
「ミス・タバサ、行きますよ」
 声と共にコルベール教諭手を引かれ、ようやく少女は忘我の淵から脱出した。頷くことで返事をすると、教諭と、幾人かの生徒と共に医務室へと向かった。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:56:10 ID:6zwCcBvM
元ネタ分からないが支援
317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:58:09 ID:se/n/nbh
もしかして地球防衛軍?
318風の行く先:2007/11/07(水) 19:58:51 ID:isBX3T5+
 学院に常備してあるけして安くはない秘薬を幾つか使い切る事によって、怪我人は辛うじて一命を取り留めた。
 術式を担当した教諭が言うには、応急処置が少しでも遅れていたら命は無かった状態だったらしい。
 コルベール教諭は治療が一段落すると、他の生徒の監督があると付き合った学生を引き連れて広場へと戻っていった。
 医務室付きの教諭は、自分の噂を知っているのか特に話かけることもなく黙々と今回使用した薬の事務手続きを行っている。
 先ほどのまでの治療の喧騒が嘘のように医務室は静けさを取り戻していた。ベッドで昏睡する男の寝息と、羽ペンが書類の上を踊る音だけが響く。
 タバサは何をするともなく、ベッド脇の椅子に座り男を眺めた。
 血塗れでずたずたになった見慣れぬ衣服は脱がされており、今は簡素な麻の下着だけをつけた状態でシーツに覆われている。
 横たわっている状態でもわかるほどの長身だ。2メイル近くはあるのではなかろうか。大柄なもの特有の作りの大雑把さは無く、どこか彫刻めいた均整の取れた体つきをしている。
 シーツからのぞく腕と首は、鍛えられた者のそれだ。でこぼこと隆起し、けれど無駄が感じられない筋肉は荒縄を連想させた。
 筋肉以上に目を引くのは、まんべんなく残された傷だ。刺し傷、裂傷、擦過傷、火傷痕、それらが新しい肉特有の桃色をのぞかせていた。古いものも合わせるともう数え切れない。
 特に顔が酷い。火傷痕が右半分を覆っており、眠っている今でさえ息を呑むほどの凶相に男を貶めていた。戦に明け暮れる傭兵のほうがまだマシな面構えだ。
「よかったわね」
 唐突に後ろから話しかけられた。振り返ると、見慣れた赤毛の友人が此方を見つめている。
 身分を隠した亡命者として肩身の狭い思いをしている自分にとって国を捨てたもの同士、唯一心を許せる女性だ。姉がもしいたとしたらこんな感じなのかもしれない。昔共に遊んだ従姉姫は、姉というより友人であったし今では怨敵の一人娘だ。
 傍らに侍らせているサラマンダーは彼女が召喚した使い魔だろう。狼よりも一回りは大きい赤々とした体躯、尻尾の先に轟々と灯る炎、サラマンダーの中でも特に立派な部類に入るだろう。
 タバサとは違い、なかなかの上玉を引き当てたようだ。
「キュルケ」
「彼、助かったんだって? いくら平民を呼んじゃったって言っても目の前で死なれちゃ寝覚め悪いものね」
 お喋りな口を止めることなく、よっこいせ、などと年寄りじみた掛け声を上げながら引っ張ってきた椅子に腰掛けた。
 彼女はベッドの男へ視線を向けると、ヒュッと息を呑んだ。
「酷いわね」
「ええ」
 男の傷のことを言っているのか、それとも顔のことか。どちらにしろ同じだ。
「どこで何をすればこんな傷こさえられるのかしらね」
 半ば呆れたようにキュルケが呟いた。声には抑えきれない畏怖と好奇心が滲んでいる。
 古い傷にはいくつか致命傷とわかる傷があった。だというのに男は今現在生きてここにいる。よほど優秀な水メイジが治療にあたったのだろう。騎士か、それとも名の知れた傭兵隊長だろうか。でなければこれほどの高度な治療は受けられない。
「そういえばコントラクト・サーヴァントは終わったの?」
「まだ。教諭が意識を取り戻してからにしろって」
「ふーん。ま、無難な所よね。下手に刺激したら死にそうだし、彼」
 寝息を立てる男の顔をキュルケが指でなぞった。
「この傷さえなければ、そこそこ見れる顔だったろうにね。あーあ、勿体無い」
「キュルケ」
「冗談よ、冗談。いくら微熱の私でも、あんたの使い魔に手を出すほど無粋じゃないわよ」
 手をぱたぱたと左右に振り、冗談よ、と繰り返す。
「そういえば、あのゼロも平民を召喚してたわよ。ま、あっちは大怪我をしてる事も無く普通の男の子だったけどね」
「そう」
「彼が目を覚ましたら会わせてあげたら? 男の子のほうはなんか随分と混乱してたみたいだから、お仲間に会わせてあげたら多少落ち着くんじゃないかしら」
「考えとく」
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 19:58:58 ID:NLtzKmW1
星船…聞いたことあるはずだけど思い出せないっ!支援
320風の行く先:2007/11/07(水) 20:01:21 ID:isBX3T5+
 目でキュルケに礼をする。一年を共にした友人は、タバサの感謝を間違う事無く受け取ると軽く頷いた。
「さってと」キュルケは大儀そうに椅子から腰を上げた。
「そろそろ私部屋に戻るわ。夕食の時にでも経過を聞かせてね」
 手を振りながら、来た時と同じく唐突にキュルケはサラマンダーを引き連れて帰っていった。使い魔の立派な焔が見えなくなってから、深く溜息をついた。
 平民というかつてないものを引き当ててしまったことが、堪らなく憂鬱であった。当分はヴァリエール嬢と共に学院の噂の中心となるだろう。目立たないよう一年間を過ごしてきたというのに、だ。
 最悪、この噂が元で捨てた母国に存在が露見してしまうかもしれない。
 死。寒気を伴ったイメージにタバサは身震いした。
 毒を飲み床を転がる母を心底面白そうに眺めていた伯父王の瞳を幻視する。もしばれたら、あの男は自分を今度こそ抹殺しようとするだろう。トリステインも、自分たちを見捨てる。たかだか小娘一人のために圧倒的な国力差のある国に歯向かおうなどと思う馬鹿はいない。
 毒矢という下賎な手段で謀殺された父、自分の代わりに毒をあおり三日三晩熱病に苦しみ悶死した母、自分を逃がす為に一人娘をタバサの影武者にして屋敷諸共焼死した執事、一人トリステインへ亡命して来てからの復讐に身を焦がした日々。
 全てがこの男の存在、いや、平民を呼んでしまったという事実で無駄に終わろうとしている。
 いっそこの男を殺してしまいたかった。無意味とわかっていても、この焦燥感と怖気を払拭するのにいくらかは役に立ちそうな気がする。
 ぎりし、と杖が鳴った。手が白くなるほどに杖を握りこんでいた事に気づき、慌てて自制する。
 感情に流されるな。無駄なことをするな。何度も自身に言い聞かせ男への殺意を抑える。
 適当な詩集でも読んで気を紛らわせよう、そう思いたちカバンへ手を伸ばしたところでぎょっとした。
 男が目を覚ましている。
 真白な天井を微動だにせず凝視して、ただ一言「ここは、どこだ?」と呟いた。
 男の声は妙にしゃがれていて、歳経た翁のようだ。
「トリステイン魔法学院」
 内心の動揺を悟られないよう、出来るだけ平坦な声で答えた。
 ゆっくりと、言葉に反応して男が首を向ける。虚ろな眼がタバサを捉えた。男は自分の傍にいるメイジに驚きも、怯えもしない。ただ仮面がはりついたような無表情で、じっとタバサを見つめる。
 誰何の意だと解釈し、此方から自己紹介をする事に決めた。
「タバサ」
 また沈黙が降りる。今度はお前の番だ、という無言の圧力を加えたが、男は答えない。ただ虚ろに、タバサを見つめ続けるだけだ。
 先に痺れを切らしたのはタバサの方だった。
「名前」
「わからない」
 短すぎる問いに、内容を理解出来なかったのだろうか。もう一度、今度は少しだけ長く問う。
「自分の、名前」
「だから、わからない」
「物狂い?」
「そうかもしれない。自分の名前も、どうして此処にいるのかも、何も覚えていない」
 虚偽を述べているのかと思ったが、男の瞳がそれを裏切っていた。
 男の黒色の瞳は、嘘を付く者特有の焦りや打算といった色が無い。それどころか感情の欠片一つ、捕らえる事が出来なかった。
 人形。幾度と無く学院で囁かれた陰口が蘇った。情動をまったく感じさせない瞳は、まるで鏡に映った自分自身のようだ。
――なんて皮肉。
 感情の無い表情というのがいかに不気味かを、初めて知った。
 思考を切り替える。嘘をついているにしろ、本当に何も覚えていないにしろ、今やらねばならない事は一つだ。
 コントラクト・サーヴァント、これさえ行えば主人である自分の任意で五感の共有と、意思の疎通さえ可能だ。
 本来ならば言葉の通じない使い魔との為にあるの機能だ。ハルケギニア広しと言えども使い魔の言葉の真偽を計る為に使うメイジは、自分が始めてなのではないだろうか。
「貴方は使い魔」
「つかい、ま?」
「私の手足になる」
「俺は、君の使い魔、という奴だというのか」
「そう。契約する」
 素早くルーンを唱え、抵抗する暇も与えずに唇を合わせた。
 少し勢いを付けすぎた。歯がぶつかり合い、歯茎と唇に鋭い痛みが走る。男は僅かに片方の眉を動かした。
 厳しい外見とは裏腹に、男の唇はひどく柔らかい。
 お互い目を開けたままだ。情緒も何も無い、などと埒も無い事を考える。
 しっかりと男の身体に紋章が刻まれるのをメイジとしての感覚で理解してから唇を離した。
 男の唇には、どちらのともつかない血が滲んでいる。
 ファーストキスは、血の味がした。
321名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 20:03:42 ID:+LTful/h
支援
322名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 20:03:43 ID:+LTful/h
支援
323風の行く先:2007/11/07(水) 20:04:54 ID:isBX3T5+
以上で投稿終了です。クロス元はXBOX360版「地球防衛軍」よりストーム1でした。
タバサの背景については多少の改変があります。爵位ももらってなければ母親も執事も死んでます。そういった改変がNGの場合は……穴を掘って埋まっておきます。
ではでは支援ありがとうございました。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:06:08 ID:nzZeSMXg
あじゅじゅしたー

雪歩w
325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:06:38 ID:GByalcdn
GJ!
しかし孤立無援とは…
早くストーム1にジェノサイド砲を渡すんだ!
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:07:34 ID:NLtzKmW1
おつかれさまっしたー。X箱360版か。
あと星船を星虫と誤認してたですよ。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:10:35 ID:se/n/nbh
GJ!
地球防衛軍のガチさは某削除戦争の歴史第二部で堪能した。
328小ネタ:2007/11/07(水) 20:17:53 ID:s79j9C4r
お疲れ様ー

突然ですが、小ネタよろしい?
329名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 20:18:42 ID:+LTful/h
支援開始
330小ネタ:2007/11/07(水) 20:21:38 ID:s79j9C4r
トリステイン魔法学院で、今日も朝の授業が始まる
教室の扉が開き、冴えない講師が入ってきた。
中肉中背、大した特徴もない顔。ちょっと猫背で、どうみても運動神経と無縁な中年男
コルベールに匹敵する、冴えないオヤジだった
だが問題はそんな事ではなく、彼が魔法も使えぬ平民だという事だった。
にもかかわらず、メイジたる生徒達に平民出の教師を軽んじる態度は欠片も無かった

貴族の子弟達は知っていた。彼の舌が紡ぐ言葉は、スクウェアクラスに匹敵する呪文だと
学院の全ての人が知っていた。彼の頭脳が生む謀略は、アルビオン艦隊すら手玉に取る事を
トリステインの誰もが知っていた。彼がガリア王と繰り広げた、伝説的頭脳戦を
ハルケギニアに知らぬ者はいなかった。ゼロのルイズが喚んだ、「知の化身」たる彼の名を
だが当の本人は飄々としたもので、今日も社会の授業をのんびりとこなしていた。

「なあシエスタ、もう少しくらいワインを飲ませてくれても良いんじゃないか?」
「ダメです!真っ昼間から飲んだくれる英雄なんて、人にみせられませんわ」
「ああ、私は英雄なんて呼ばれたくなかったよ。せっかく退役したのに、ワインも好きに飲めないなんて」
「でも、今日はこれからマザリーニ枢機卿に会われるのでしょう?酔っぱらって行く気ですか?」
「まったく、ようやく念願の本に埋もれた生活が出来ると思ってたのに・・・」

 マザリーニ枢機卿は、王宮勤めのルイズを伴っていた。主の姿を見て、枢機卿の意図を悟った彼は
舌打ちしてしまった。
「久しぶりだね、先生。そろそろ色よい返事を聞かせて頂けるかな?」
「枢機卿、あいにく私はもう退役したのです。もはや王宮とは関わりの無い身です」
「そうか。だが君は使い魔まで退役したわけではあるまい?」
 ルイズが枢機卿の前に進み出た。
「さあ!我が使い魔、ヤン=ウェンリーよ!主の命に従い、枢機卿補佐官の任を拝命するのよ!」

 ヤンは神を呪った。
 まったく、暗殺され召喚され蘇生させられ、ようやく念願の平穏な生活を手に入れたのに
 これを断ったら、恩人たるルイズの顔を潰してしまうじゃないか!
「はぁ…しょうがないですね。気は進まないけど、久々に宮仕えでもしましょうか」
 こうして、ヤンの悲願である年金生活は再び遠のいた。

 その後、ヤン=ウェンリーの名は後世の歴史書に長く語られる。
 彼が示した知謀の数々は「第六の系統魔法」とすら呼ばれるようになった。

 ハルケギニアの歴史が、また1ページ・・・


 ちなみに、彼がガンダールヴだという事実は、見事に忘れ去られた
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:22:31 ID:wPmAWTWA
渦紋!
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:25:01 ID:s79j9C4r
というわけで、以前突発的に思いついたネタを、小ネタにしてみました

長編SSにするのは、俺には不可能ですorz
333名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:32:49 ID:qZEuYm4D
ガンダールヴ意味ねぇw
そしてデルフ出番ねぇww
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:33:49 ID:Q09JTTvP
海江田四郎とか召喚したら
ルイズの虚無魔法を存分に使ってハルケギニア統一とかやりそうだ

335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:35:39 ID:NLtzKmW1
ガンダールヴである、という事実がココまで華麗にスルーされるのははじめてみたw
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 20:38:22 ID:pAFH+SCV
>>330
そりゃガンダールヴ関係ねえわw
でも一応軍人の端くれなんだからサイトよりは強いはずなんだよな。
オスマンを助けた男が不良中年だったり
シエスタの髪の色が祖父の遺伝で赤毛だったりしそうだな
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:05:33 ID:6T8oeKn7
>ガンダールヴ関係ねえわw

おーよしよしであらゆる獣をなつかせるのでヴィンダールヴと誤解されてしまう某王国国王の作家召喚なんてどうだろう
338名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:06:52 ID:nzZeSMXg
>>337
あの人かwww
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:07:24 ID:gGsnAB5y
ど外道がぁ地獄へ落ちろ!
の人召喚されんかなぁ。
「レキシントンを受け止めただと!!??」
「いんだよ細けえことは」
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:13:43 ID:3xEUfvmG
>>339
自転車のスポークで頭を貫く人か?
341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:13:57 ID:15hyf5z+
>>323
お疲れ様、でも↓に投稿した方がいいかもね
避難所用SS投下スレ4冊目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1192896674/
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:16:29 ID:pAFH+SCV
>>339
「悪党相手に遠慮はいらねぇ〜!!」
とか言ったり
「あんた頭貫かれて殺されたんじゃないの!?」
「細けぇことは気にすんじゃねえよ」
とかなったり
敵がマッチョでパープーでドSでマニアックな性癖持ちの変態になったり
ワルドがインテリ気味でヒステリックでドSで
マニアックな性癖持ちの変態になったりするんですかわかりません
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:18:37 ID:fVo0OK4d
こんなの拾った

233 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2007/11/07(水) 10:05:40 ID:???
     |   /|    /|  ./|       ,イ ./ l /l        ト,.|
     |_≦三三≧x'| / :|       / ! ./ ,∠二l        |. ||      ■  ■ ■    ■   ■
     |.,≧厂   `>〒寸k j        / }/,z≦三≧  |.   | リ ■ ■■■■ ■ ■ ■■■■■   ■
     /ヘ {    /{   〉マム    / ,≦シ、  }仄  .j.   ./  ■     ■        ■  ■  ■■
.       V八   {l \/ : :}八    /  ,イ /: :}  ノ :|  /|  /   ■      ■        ■   ■   ■
       V \ V: : : : : :リ  \ ./   .トイ: :/    ノ/ .}/    ■      ■        ■   ■   ■
       ' ,    ̄ ̄ ̄        └‐┴'   {  ∧     ■   ■■■■■   ■    ■
        V   \ヽ\ヽ\     ヽ  \ヽ\  |     \.    ■  ■  ■   ■   ■     ■
        \  , イ▽`  ‐-  __       人      \  ■■  ■■   ■   ■ ■■
:∧           ∨              ∨    /          ハ
::::∧         ヘ,           /   , イハ         |
::::::∧.         ミ≧ 、      ,∠, イ: : : : :.',         |
::::::::::}          了`>ァ-‐ ´  } : : : : : : : : ',         | 
:::::::/           |  ∨/\  / : : : : : : : : : }           |
:::::/           レ'7 ̄{`ヽ. V/ : : : : : : : : : /          .|
::/          / /   V∧/: : : : : : : : : : /           /
344名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:21:04 ID:W/3SSyan
>>343
無駄に容量使うな馬鹿

>>330
アルビオン侵攻の時とか撤退する必要なく艦隊戦でキッチリ決めてくれそうだな GJ!
345名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:32:31 ID:lmpTv434
そう言えば、まとめにヤンが戦艦ごと召喚された小ネタがありましたね
346名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:34:43 ID:pAFH+SCV
>>344
ヤンならわざと敵をアルビオンに入れて民衆を逃がした後に
アルビオンを墜落させて一気に敵を全滅とかやりかねない
キルヒアイスならゼッフル粒子でアルビオンに集合する敵を一網打尽にしかねない
ラインハルトならそもそもアルビオンに攻め込んでくる状況を作らない
トリューニヒトなら敵に自分を売って生きながらえるのは確実
347名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:42:24 ID:eDQb89zc
そこでフォーク召喚ですよ
348名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:52:06 ID:Q2uMByK6
プランツドールを召喚してルイズがどうなるのか興味がある。


ポケスペネタと言えば今月号のトバリジム戦、
スモモのセリフのせいでお嬢様→ルイズ、スモモ→シエスタ、ダイパ→サイトとギーシュに思えてしまった。

ちなみにポケスペ第一章でのロケット団幹部のキャラを無理矢理置き換えてみたが、
マチスがワルド、ナツメがフーケまではイメージできたがキョウが思い浮かばない。
349聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 21:52:17 ID:2fsjMuoq
起こったことを正直に話そう。
聖石の16話を書いていたはずなんだ。
気が付いたらまったく違う、小ネタが出来上がっていたんだ。
というわけで投下していいでしょうか?
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:53:26 ID:s79j9C4r
小ネタの目次が、また1ページ・・・

というわけで、どぞー
351名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 21:57:42 ID:+LTful/h
支援
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:57:56 ID:yfGYhFC7
小ネタのヤンはなぜアッテンボローの旗艦のトリグラフと一緒に来たんだろう
ヒューベリオンでもユリシーズでもなくなぜトリグラフ
353名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 21:58:48 ID:KAnSXr7r
>>336

一応は射撃とか格闘術やら、必修科目としての技能はあるだろうけど、
「卒業の為にやっただけで、綺麗サッパリ忘れたYO?(・∀・)」と提督ならば
言いかねんようにも。_| ̄|○
354最先端ロボット科学の使い魔 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 21:59:01 ID:2fsjMuoq
―――ヴァリエール家三女・ルイズの日記より


私が召喚したのは何だかよく分からない生き物だった。
大きさは三十サントから五十サントくらい。
ずんぐりむっくりした体型丸っこい手足、青い髪らしきものが頭部から生えている。
私の後を付いて来るのだが、なんか不思議な音が聞こえる。

それが足音だと気が付いたのは翌日だったりした。

食事を与えると、丸っこい手で掴んで食べる。
動作が非常に愛くるしい。

使い魔としても優秀だった。
私が指示したものを持ってきたり、感覚の共有も出来た。
特技は? と聞いたら感覚を通じてこう伝えてきた。

『マッサージ』と。

なぜ、私はこの時、「やってもらおうかしら」と言ってしまったのか。
そのことを後悔しながら、今日の日記はこれぐらいにしておこう。






―――学院のメイド・シエスタの証言より



あれは、私がミスタ・グラモンに難癖をつけられた時でした。
あ、今の難癖の部分はオフレコでお願いします。
私が恐怖で震えているところにその存在はやってきました。

ミスタ・グラモンの足元まで歩き、飛び上がって丸っこい手で張っ倒しました。
あのずんぐりむっくりした体型に、青い髪、間違いなくミス・ヴァリエールの使い魔でした。
椅子から転げ落ちながら決闘だと喚き散らす様は滑稽…いえ、何でもありません。
ともかく、決闘になりました。
ヴァリエール家の使い魔と、グラモン家のギーシュ様の。

ギーシュ様がゴーレムを呼び出し、臨戦態勢。
それを見てミス・ヴァリエールは一言。

「ギーシュのワルキューレと、ギーシュ本人。マッサージしてあげなさい」

それが、まさかあんなことになるなんて。
私の口からはその時起こった事を口にすることが出来ません。
ただ、ミス・ヴァリエールは呟いていました。

「ドリルって、怖いわね」と、意味深に。
355最先端ロボット科学の使い魔 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 22:00:32 ID:2fsjMuoq
―――土くれのフーケの調書より



思い出したくも無い。
破壊の杖を盗み出して、万事うまく事が進んだと思ったらあのザマだ。

無理にでも破壊の杖を使わせる為、ゴーレムで威嚇したさ。
結局誰も使えなかった。
しょうがないから目撃者を全部消そうとしたら、あの使い魔が立っていたさ。

あぁ? 誰の使い魔だって!?
そんなもの、一人しかいないじゃないか!
ルイズの使い魔だよ! ヴァリエール家の!

何が『マッサージ』だ! アレはただの破砕活動だ!
その『マッサージ』でゴーレムが破壊されたんだ。
喚いても仕方が無いさね、ただ喚きたくもなるさ。
あんな使い魔がいてたまるか、とねぇ………






―――レコンキスタ・ワルドの発言集より




あの使い魔にとって、『マッサージ』とは敵を破砕する手段だ。
気をつけろ、あの体に魔法は効かない。剣で切りつけても涙目になるだけだ。
障壁で受け止めるな、その不思議な角で削られて穴をあけられるぞ。
遭遇したらまず一番に考えることは一つ、わき目も振らず逃げろ。
―――彼女の使い魔の事を語った時より
356名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:01:30 ID:rT246A81
な…マッサージこれいかに
つか何を呼んだんだw
357最先端ロボット科学の使い魔 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 22:02:04 ID:2fsjMuoq
―――アルビオンにて戦った傭兵の話より



撤退するトリステイン軍を追撃するのが俺達の仕事だった。
こちらは七万、圧倒的な戦力差だ。
そう思っていた、その時だ。

進軍方向に一人の少女が立っていた。
彼女は叫んだ。

「目標はここにいる私以外のマッサージ!」

抱えられていたずんぐりむっくりした、ぬいぐるみみたいな物体が地面に降り立った。
俺達の幸運は、軍の右翼端にいた事だ。

そのぬいぐるみは、両手を合わせるようにして構える。

すると、巨大な鉄色の角が姿を表す。
それだけならまだよかった。

「突貫しなさい!」

掛け声が聞こえると共に、ありえないスピードで突っ込んでくるぬいぐるみモドキ。
前列にいたやつは対応する間も無く、その突進によって吹き飛ばされていった。
そのまま戦場を縦横無尽に駆け巡る。
角を構え、誰にも対応できない速度で。
たったそれだけの行動なのに、行軍不能な事態にまで陥ったんだ。

悪夢を見ているみたいだったぜ。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:02:57 ID:dIYs7fSF
もうすぐシャナの新刊・・・誰か蛇悠二召喚ネタやらないかなあ・・・
359最先端ロボット科学の使い魔 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 22:03:15 ID:2fsjMuoq
「こうして、ルイズと使い魔は七万の兵隊を蹴散らし、皆の平和を守りましたとさ。めでたしめでたし」

寝る前に聞かせた物語、ルイズと使い魔の話を終わった頃、子供はぐっすりと眠っていた。
重厚な背表紙にはその使い魔を模した、強靭な角を持った熊みたいな姿が描かれていた。

「ふふっ、本当はこんなのなのにね」

背表紙を開いた部分にある、白い空白部分に木炭を走らせる。
ずんぐりむっくりした体型に、丸い手足、情けないが興味を引く顔、そして髪の毛。

「久しぶりにルイズと口げんかでもしに行こうかしら?」

私、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーはそんなことを思いながらランプを消す。

「変わってないんだろうな、ルイズも、あの使い魔も」

このたび正式に『虚無のルイズ』となった友人と、その『記されるのもはばかれる』使い魔を思う。
相変わらず仲良くやっているんだろう。
窓からヴァリエール領の方向を見ながら思った。






午後のティータイムとしゃれ込もうとした瞬間に、執事のサイトが入ってくる。

「ルイズ様、キュルケ様が参られましたが」
「通して頂戴、それとお茶と菓子の準備を」

その言葉に礼をして去っていく。
奥から、キュキュキュと足音が聞こえる。
そちらに振り向き、私は最愛の使い魔を呼ぶ。

「おいで、メカ進藤」
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:04:24 ID:ov6DS2cv
>>359
みずいろかよw
361名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 22:05:11 ID:+LTful/h
支援
362名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/07(水) 22:05:11 ID:+LTful/h
支援
363最先端ロボット科学の使い魔 ◆FIXARUtWLY :2007/11/07(水) 22:05:16 ID:2fsjMuoq
投下終了です。
なんかこう、むしゃくしゃして書いた。後悔は結構してるけどしてないということで。
というわけで『ねこねこソフト』の四コマ、諸葛謹よりメカ進藤でした。

ちなみに、私はおとなもやかまも大好きです。
支援ありがとうございましたー。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:06:05 ID:ov6DS2cv
>>363

諸葛謹はよく見ていたな
なんでねこねこは活動休止しちまったんだよ本当…
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:06:41 ID:wPmAWTWA
元ネタ解らん私怨
366名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:08:25 ID:ia/yGLJI
メカ進藤ワロタ
367名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:08:51 ID:pAFH+SCV
むう、元ネタが分からんのが寂しいぜ乙

>>353
「私が銃を持ってても役に立つと思うかい?」「思いません」
て普通に会話してるような人だしねえ
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:09:12 ID:rT246A81
ttp://pinkco.net/neta/meka.html
もっとメカ沢みたいなメカメカしいのを思い浮かべてたんだがこんなのなのかw
369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:15:14 ID:gz9Ada2g
とりあえず再生BGMは夏(冬)マシンガンでおk
370名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:16:07 ID:KzzqVuJU
も、元ネタ知りてえ〜!!!
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:33:02 ID:wMkd+Kcv
となると次はマジカルひよりんの出番だな。

個人的には健三郎というラインも捨てがたいがw
372名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:37:41 ID:feUNn1Q2
>>333
館長室の壁が定位置に…

>>339
松田さんなら魔法を殴って破壊してくれるはず!

>>353
筆記で最低合格ラインまで押し上げただけかもしれない…
合格ライン60点 筆記50点 実技50点
筆記で40点 実技20点でギリギリセーフ!
とか


373名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:46:57 ID:FztuDyFb
史上最強の弟子ケンイチはどうであろうか
ワルキューレ相手くらいなら勝てるかと思うが
374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:49:13 ID:pAFH+SCV
>>372
本編のセリフとか螺旋迷宮とかを見ると戦史研究と戦略・戦術理論以外は
合格ギリギリラインを行ったりきたりだったぽい
落第のとこはその三つで挽回してたし
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:52:10 ID:s79j9C4r
ガンダールヴ補正すら間に合わないと申すかw
376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:57:29 ID:HCEtdB2g
>>371
多分残念な中身にになると思いますが健三郎は執筆中です
小ネタで
特に期待しないでいただけるとです
377名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:58:31 ID:HCEtdB2g
>>376
×中身にに
○中身に
寝ぼけてるらしい、ちゃんと寝る
378名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:00:36 ID:MuvRWA3j
職人さんを支援しようとして、でも応援レスとか苦手だしどうすっかなー
と思っていたらいつの間にか小ネタを書いていた。
投下良いですか?
379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:02:20 ID:COurxBsB
>>373
あんなのにガンダールヴついたら恐ろしい威力になるぞ
加減して柔術で関節極めて仕止めようとしてブチリとかメキィとかそんな音が
ガンダールヴの本領・武器術
本日のメニュー・土ゴーレムの輪切り
本人は至って真面目に一般人のつもり。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:03:06 ID:hxJRzy+B
>>372

>>筆記で最低合格ラインまで押し上げただけかもしれない

提督ならばさもありなん…_| ̄|○

あくまで歴史が主目的だったわけだし、養子君の様に天賦の才の
ようなもんがあったわけでもない上、やる気も無かったしね…(;´Д`)

>>373

読みきりしか読んで無いが、ケンイチの物質破壊能力ってどれくらい?
些事っちゃ些事だが、対人間を想定した技術で青銅で出来たもん叩き壊すと
なると案外大変になるようにも。

単純に拳打や蹴りで鉄板くらい木端微塵やれたり、武器持ちなら大した問題にも
ならんだろうが。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:07:09 ID:704Bl628
よし、支援開始だ
382名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:07:25 ID:3f1fFJ/8
>>380
とりあえず師匠達は素手でMBT破壊出来るレベル
383名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:08:33 ID:MuvRWA3j
「素敵! ねえ見て! 見えるわ。あそこが王都!」
 ルイズは何度も何度も心に描いた景色を心の底から味わい、そして込み上げてくる幸せ
を噛み締めていた。
 魔法が使えるようになったわけでも、空を翔るドラゴンを召喚したわけでもなかった。
フライもレビテーションも、相変わらず爆発してばかりだ。だが、必死にフライを唱え続
ける彼女の隣で、喚ばれた異国風の男が広げた一枚の絨毯が全てを変えた。
「本当に本当に凄いわ。この絨毯って、使いすぎて魔法が切れたりしないの?」
 喜びであちこちに視線を飛ばしていた彼女が、はたと振り返ったのを見てクスクスと男
は笑う。
「大丈夫さ、心配いらないよ。誰かが魔法をかけたから飛べるわけじゃないんだ。
 グリフィンのたてがみと、ペガサスの尻尾で編んだ特別製だよ」
「ペガサスですって!?」
 バランスを崩したルイズの腰に慌てて手を回す。
「あまり数が居ない上に自己犠牲の激しい種族だからね。文句無しに高級品さ」
 この桃髪の魔道師見習いが本当に舞い上がっているのを感じて、男は自分も嬉しくなっ
た。選ばれた二十人だけが賜れるこの絨毯は、自分の誇りだったのだ。
「さぁルイズ、そろそろ下に降りよう」
 そう言って、まっさらな左の手の甲をくるりと回転させてから、絨毯の舵を取る。
 ルイズは景色を名残惜しむように一度見渡すと、下に視線をやった。こちらを見上げて
立ったまま、微動だにしない赤い肌の亜人が居た。ルーンが刻まれたとき、亜人は酷く興
奮したが、直ぐに従順になった。今日は良いことばかりだ。
「しっかり掴まっていてくれよ!」
 重力に身を任せるように、絨毯は降りていく。向かい風が強かったのだろうか、男のタ
ーバンという白い帽子に腰掛けていたフェアリーが、ゆるい上着の胸元に飛び込んだ。



 ルイズの使い魔召喚の儀は、何度目かの爆煙の向こうに三つもの影を浮かべて成功した
。彼女より幾許か背の高い端正な男と、彼女よりとんでもなく背が低い赤肌のゴブリンと
、彼女の中指より少し背が高い気難しげな妖精だった。
 男は腰元に立派なカトラスを提げていたが、平民だというので、ルイズは隣のゴブリン
とコントラクト・サーヴァントを結んだ。初めのうち、彼女は必死にフェアリーと契約し
ようとした。しかしそれが、耳をくすぐるくらいの羽音を立てるだけで、目にも留まらぬ
速さで逃げ回る種族だと知って諦めたのだった。
 ルイズから手を伸ばしても触らせては貰えないが、時たま平民の頭の上から離れて彼女
の肩口に腰掛けるので、概ね満足している。何よりフェアリーは愛らしかった。
 その日からルイズは、良く笑うようになった。



「ねぇ、ゴブリン」
「へい! なんでしょう旦那!」
「あのね、私は女なの。それにまだ16歳よ」
「へい! すいやせん兄貴!」
「兄貴は違うでしょ!?」
「失礼しやした! 旦那!」
「ああもう、ご主人様って呼びなさい!」
「ご主人ですか? わかりやした」
 ゴブリンは頭が悪い。
「ええと、そう、そうよ。あのね、頼みがあるんだけど……」
「へい旦那! 何でも言ってくだせえ!」
「こ、この……っ!」
「はは、ルイズ、私がやるよ。服の洗濯でいいのかな」
「……。はぁ。ええ、お願いするわ」
「剣には自信があるが、なにせ人間だからね。私たちは3匹一括りのようだし、使い魔の
皆さんの中じゃ肩身がせまい」
 そう言って男は軽快に笑うと、衣類のたくさん詰められた籠を片手で持ち上げた。
 そのやり取りが終わっても、ゴブリンはその場でしゃちほこばって、自分への命令を待
っていた。ルイズは両手で顔を覆った。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:11:31 ID:MuvRWA3j
 ある日、ルイズはミス・ロングビルと連れ立ってピクニックに出かけた。
 自分と学院長の秘書との間には、全くと言って良いほど接点がない。ロングビルの御す
る馬車の中でしきりに首をかしげていたルイズだったが、恥ずかしそうに言った秘書の一
言で詮索を止める事にした。
「その、つまらない理由なんですが、彼ってもの凄い奥手で。
 自分の主人が一緒じゃないと、なんて言って、いくら誘ってもつれなくて……すみませ
ん、ミス・ヴァリエールにはご迷惑を」
 なぁんだ、とルイズはロングビルには聞こえないように呟いた。
 長姉が行き遅れの部類に入るので、多少の理解があった。ルイズから見ても、自分の使
い魔は平民だが腕の立つ良い男だったし、平民だがエキゾチックな顔立ちには魅力があっ
た。
 その男は馬車の真上、空の上からこのあたりの地形の把握に努めている。自分の隣に座
るゴブリンは言うなと言えば何も言わなくなるし、少しこの年上の秘書の恋愛に助言する
のも良いかもしれない。
 ルイズは嬉々として使い魔の好みや、性格を語った。前を向いていたせいで表情は見え
なかったが、饒舌なルイズの話をロングビルは詰まらなそうに聞いていた。



 花を摘みに行ったまま帰ってこないロングビルを、ルイズは古ぼけた小屋の中で待ち侘
びていた。
 森の中に建つ簡素な小屋は木こりのためのもので、とても赴きがあるとは言えない。あ
と五秒以内に帰ってこなかったら、ロングビルの分のサンドイッチも食べちゃうわよ、と
ルイズが心の中で言い訳してから五秒も待たずに手を伸ばしたとき、彼女の耳がロングビ
ルの悲鳴を捉えた。
「ミス・ロングビル!?」
 慌てて小屋を出て、悲鳴のした方向に向かって駆け出す。戦闘を走る平民の背中にルイ
ズが頭をぶつけ、すぐ後ろに続いていたゴブリンが急に止まろうとして激しく転倒した。
ゴブリンだけ既に満身創痍だった。
 ルイズは痛む鼻頭を押さて、平民の後ろから前の覗き見た。
「……ジャイアントゴーレム!?」
「悲鳴は悪いけど冗談。わかるね? さっさと魔法の絨毯をよこしな!」
 ルイズはその一言で悟った。この秘書は盗賊だったのか。あんたも魔法使いなら、フラ
イが使えるんでしょう!? ルイズは叫びたかった。取り上げないで、と思った。
「使い魔は……逃がしてくれるのかしら」
「今日は秘書ロングビルも行方不明になる、って言えばわかるわよね」
 つまり全員まとめて不幸に遭ったことにし、全てを闇に葬ろうというのだ。ルイズは唇
を噛んだ。
 そのとき、ルイズを守るように男が懐から一輪の花を取り出した。
 ぞっとする程に美しい、黒い水蓮だった。



 あ、とその花に見惚れていたルイズは声を上げた。水蓮がぼろぼろと、男の中で崩れて
いく。そして緑色の光を三つ出して消えた。それを見た男は満足げに頷くと、肩口にとま
っていたフェアリーに全て分け与えた。

 巨大化/Giant Growth
 巨大化/Giant Growth
 狂暴化/Berserk 

 大きく、大きくなる。
 三十メイルものゴーレムを飛び越え、ルイズの腕ほどの大きさになったフェアリーがロ
ングビルに突進した。それは力の限りを尽くした体当たりで、彼女の体力を大幅に奪う。
そして、そのフェアリーの影から、絨毯に乗ってゴーレムを飛び越えた男のカトラスが襲
う。男の方はかすり傷だった。ロングビルは逆上する。
 吼えるゴーレムにルイズは慄いたが、はるか頭上から繰り出された鈍重な拳は、ルイズ
の後ろでぼんやりと立っていたゴブリンが一切を受けた。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:13:29 ID:MuvRWA3j
 とん、と軽く押されて一人分の場所を譲ったルイズは、真横に振り下ろされる土塊と、
それが当たる寸前に自ら四散したゴブリンを見た。ぴちゃぴちゃと肌に血が降りかかるの
を感じて、ルイズは泣いた。
 馬鹿だが、良いやつだったのに。
 ゴーレムが拳を振り下ろしたとき、ロングビルはちくりという痛みを感じて顔を顰めた


 男は絨毯の上で、懐から青い宝石を取り出した。それが一瞬輝きを放つ。先ほどの花の
ように崩壊することはなかったが、青色の光を一つだけ出して自分の胸に当てた。

 不安定性突然変異/Unstable Mutation

 どちらかと言えば細身だった男が、瞬く間に筋肉質になる。そして、ルイズが驚きの声
をあげる前に、彼は再び絨毯に乗ってロングビルに剣を振るった。
 ちょうどその一振りで、ロングビルが気絶した。
 ルイズは歓声を上げ、崩れ落ちたゴーレムを迂回して男に抱きつこうとしたが、男の筋
肉が萎み、肌に皺が出来始めるのを見て悲鳴を上げた。

「ルイズ、驚かないでくれ。これは仕方の無いことなんだ。この青の魔法は私たちに一時
の力を与えてくれる。けれど、ほんの僅かな火事場の馬鹿力の後の、死への衰弱も約束す
る」
 男の衰弱は、人間的な範囲をとうの昔に通り過ぎ、やがて肉体が淡い光となって散り始
めていた。
「いやよ、だめよ! ゴブリンも死んじゃったし、フェアリーも消えちゃったし、あなた
まで!? 絶対に許さないわよ!」
 ルイズはぽろぽろと涙を溢しながら言った。
 その言葉に男は目を見開き、少しだけ困ったように、何か言おうと口を開きかけた。そ
して消えた。
 ルイズは大声で泣き喚めいた。泣き喚いて、涙が止まらなくて、何度も何度も男と、ゴ
ブリンと、フェアリーを呼んだ。声が嗄れるまで、涙が枯れるまで泣いた。それから咽喉
の痛みで別の涙が流れ始めたとき、男の立っていた場所に何十枚ものカードが散乱してい
る事に気づいた。
 それは、ちょうど六十枚あった。



 気絶したロングビルを縛って学院に戻り、目元を良くマッサージして寝た次の日、ルイ
ズは中庭に出てそのカードの山から宝石を三つ取り出した。青い宝石と、赤い宝石と、緑
の宝石だった。
 それぞれ三色の光が現れ、そしてルイズの目の前に留まる。ルイズは続けて、特別な三
枚をカードの山から取り出した。それぞれに、光が吸い込まれる。

 空飛ぶ男/Flying Men
 モグの狂信者/Mogg Fanatic
 スクリブ・スプライト/Scryb Sprites

 ルイズはにこりと微笑んでから、生涯で二度目となるコントラクト・サーヴァントの詠
唱を始めた。
386Granvillouise:2007/11/07(水) 23:16:45 ID:MuvRWA3j
最初はマジシャン ザ グランビルイズとかどうだろう、とタイトル考えてたんですが、
名前まで借り始めると応援の域から出ちゃいますよね。

投下終了です。マジシャン ザ ルイズの職人さんがんばってください!!いつも楽しみにしてます!
387名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:17:36 ID:vaJsdBYz
>>368
お前ね
そこからリンク先からさらに飛んだ先でみたバックベアード様が見てるが面白くて
ついつい読みふけってしまったじゃないか!

サンクス
388名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:28:37 ID:Jqi67kVA
GJ!
激しくグランビル、これは早いw
389名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:43:42 ID:G0Y8sUzK
>>ぞっとする程に美しい、黒い水蓮だった。

黒の睡蓮か。あれは反則以外の何物でもないよね。
それはそうとGJ!
390名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:49:40 ID:COurxBsB
グランビルを知らないので調べた
なんという俺好み
黒ウィニー作るの中止してこっち作ろうかと一瞬思ってしまった
激しくGJ!
391名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 23:56:57 ID:YbLUNE56
なつかしいな。ブラックロータス
超ほしかった。手に入るわけなかったんだがなw
GJ!
392魔法少女リリカルルイズ:2007/11/08(木) 00:00:48 ID:psQC1nlU
こういう時間をねらって投下させていただきます。
誰も予約ないことはわかっていますが、一応
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:02:38 ID:3FygL7nC
さあこい
394名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:02:43 ID:q0IkLeko
投下前の先制リリカル支援
395魔法少女リリカルルイズ:2007/11/08(木) 00:03:39 ID:psQC1nlU
突然の訪問に立ちつくすルイズに、アンリエッタ王女は涙まで浮かべて頬を寄せた。
「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」
「いけません、姫殿下!」
その声でルイズはようやく我に返り、自分の不敬に気づいた。
「こんな下賎な場所にお一人で」
ルイズはかしこまって、膝をつく。
「そんな堅苦しい行儀はやめて、ルイズ・フランソワーズ。私たちはお友達じゃないの」
「もったいないお言葉です。姫様」
アンリエッタ王女は膝をつき、驚くルイズの両手を握った。
「ああ、ずっと会いたかった」
「姫殿下……」
「父上がなくなって以来、ずっと心を開いて話せる相手もいなかったの。それなのに、あなたにまでそんなよそよそしい態度をとられたら、私どうしたらいいか解らなくなってしまうわ」
「姫さま……」
「ほら、幼い頃、中庭の蝶を追いかけたことを追いかけ覚えているでしょう?」
「ええ、ええ。あのときには二人とも泥だらけになって怒られてしまいました」
二人は昔話を進めるうちにどんどんうち解けていく。
その様子を見ながら、ユーノは部屋の隅に下がった。
「なあ、あの二人どういう知り合いなんだ?」
「僕も知らないんだ」
女同士のお喋りに男二人が入り込む余地は全くなかった。
396魔法少女リリカルルイズ:2007/11/08(木) 00:04:43 ID:bvd8kPY8
二つの月がちょうど窓の真ん中に来た頃、それまで昔話に花を咲かせていたいたアンリエッタ王女が言葉を詰まらせた。
「姫さま?」
アンリエッタ王女はすぐには答えない。
胸のあたりをつかみ、一度大きく息を吸った後にようやく切り出した。
「ねえ、ルイズ。あなた、近頃何か困ったことがない?」
「え?わたし、なにもないですけど」
アンリエッタ王女はルイズの目のじっとのぞき込む。
ルイズは驚いて、アンリエッタ王女の目を見返すが彼女が何を言おうとしているかはさっぱり解っていなかった。
「数日前、町で何が起こったか覚えてる?」
「え?」
「大きな木が怪物が突然生えて、町を壊した事件」
「あっ」
ルイズが2番のジュエルシードを回収したときの事件だ。
あのときは、町に少なくない被害が出ていた。
「あの事件自体は、城に侵入した賊が何らかのマジックアイテムを使って引き起こしたものだと解ったわ。でもね、それだけじゃ終わらなかったの」
「何があったんですか?」
何かいやな予感がする。とてもいやな予感だ。
実はその予感に気づいているが気づきたくない、そういう予感だ。
「あの事件では突然のことというのもあったけど、魔法衛士隊は手が出せなかったわ。そんな中、木の怪物を倒したメイジがいたの」
「え!」「え!」
ルイズとユーノは思わず声を出してしまう。
「あらま」
デルフリンガーもついでに声をだしだ。
「あら、今の声は?」
あわててルイズは壁際に立てかけているデルフリンガーを指さす。
「あ、あ、あ、あれです、姫さま。この前、インテリジェンスソードを買ったんです」
「そうだったの。話を続けるわね。フライを使いながら見たこともない魔法一つで魔法衛士隊も手が出せなかった木の怪物を倒したメイジ。その捜索が今行われているわ」
「は、はぁ」
ルイズは背中に冷たい汗を流した。
──まずい、まずい、まずい、まずい、まずい。
──ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう。
顔から滝のように汗が流れているようだったが、気のせいであることを祈る。
「目撃者から集めたそのメイジの特徴は、白い服と桃色がかったブロンド……そう、ルイズ、ちょうどあなたみたいな色の髪の持ち主なの」
「そ、そうなんですか」
──そんなに!
キュルケにも見られていたのだ。誰にも見られていないはずがなかった。
あのあと、学院であの話があまり話題に上らなかったからたいしたことがないと思っていたが、甘かった。
「もちろん、それだけで誰かは特定できないわ。そんな髪の持ち主はヴァリエール家以外にもいるから。でも、私はその話を聞いて真っ先にあなたを思い出したの。ねえ、ルイズ!」
アンリエッタ王女わずかに強くなった語気にルイズはまたも体をびくつかせた。
「あれって、あなたじゃないわよね。あなた、何か困ったことに巻き込まれてないわよね?」
「そ、それは……」
それでも、ユーノとジュエルシードのことは隠さなければいけない。
ルイズは自分を見つめるアンリエッタ王女の視線に耐えられなるなり、視線をそっと外してしまう。
「何も、ありません」
「ルイズ、誰にも言わないわ。私には本当のことを言って」
「何も、何です」
「そう……」
アンリエッタ王女の声に少し悲しいものが混じったのはルイズの気のせいだろうか。
ルイズは自分も耳をふさぎたい衝動におそわれた。
「話したくないことって、あるものね。私もだし」
「姫さま……」
「でもね、ルイズ。本当に困った時には抱え込まずに私に相談して。私はずっとあなたの友達よ。昔、約束したわよね。必ず助けてあげるって」
「姫さま、まだそんな約束を覚えていたくださっていたのですか?」
「もちんろんです。それに、私も本当に困ったときにはルイズに相談するかもしれませんし」
「あ……もしかして、それがここに来た本当の目的ですか?」
「ばれましたか?ルイズ・フランソワーズ」
二人は言葉を詰まらせる。
こらえて、こらえて、ついに笑い出してしまった。
とてもおかしかった、うれしかった、楽しかった。
397名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:05:34 ID:nDDDfzml
淫獣支援
398魔法少女リリカルルイズ:2007/11/08(木) 00:05:51 ID:psQC1nlU
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
気づけば双月はとうに窓から外れ、中天にかかろうとしていた。
こっそり抜け出てきたアンリエッタ王女も、もう帰らなければならない。
扉の外に見送られたアンリエッタ王女は、ルイズの両手を握って今日最後の挨拶を交わす。
「ここ数年で、一番楽しい一時でした」
ルイズの手を強く握る。この手を次に握れるのはいつのことだろうか。
見下ろす視線の先に白い小動物が入ってきた。
「忘れていたわ。ルイズ、あなたの使い魔も紹介してもらえないかしら」
「あ、はい。ユーノ」
ユーノがルイズの肩に駆け上がる。
目線をアンリエッタ王女とあわせたユーノがぴょこんとお辞儀をした。
「私の使い魔。ユーノ・スクライアです」
「まぁ」
アンリエッタ王女がさも驚いたような声を上げる。
「あなたの使い魔って、さっきのインテリジェンスソードじゃなかったの?」
「ち、違います!あんなもの召喚するはずがありません!」
きっぱり言い放つルイズ。
「冗談よ。冗談。解ってるわ。ユーノ・スクライア、ルイズをお願いね」
ユーノはまたお辞儀で返す。
「もう、姫さまったら」
ユーノのすぐ横でルイズがほおをふくらせていた。

その頃のデルフリンガー。
「あんなもの扱いはねーよな。あんなもの扱いは」

ルイズは扉を静かに閉めた。
アンリエッタ王女はもう、戻られたはずだ。
「ねえ、ユーノ」
「なに?」
ルイズは眉を寄せる。
このことだけはユーノと話し合わなければならない。
「あのね、姫さまにジュエルシードのことはいつか話さないといけないとおもう」
「ルイズ……」
いつか話さなければならない。
そうでなければ、姫さまの信頼を裏切ってしまう。
「そのときは私に決めさせて。お願い」
それはユーノを危険にさらしてしまうかもしれないことだというのは解っている。
だが、ルイズんにはアンリエッタ王女の信頼も、ユーノの信頼も裏切るなんてできない。
その果てに出した結論がこれだった。
沈黙が続いた。静けさが聞こえる。そんな沈黙だ。
「いいよ。ルイズが決めて」
「ありがとう」
ルイズは肩に乗せたユーノをそっとなでた。
399魔法少女リリカルルイズ:2007/11/08(木) 00:07:21 ID:psQC1nlU
そして品評会当日。
この日を待っていたのか、来て欲しくなかったのか複雑な心境でルイズは自分の出番を待っていた。
他の生徒が演技をしていくが、ルイズにはそれが目に入らない。
「えーと……それから……」
自分の演技の手順の確認で精一杯だ。
何回目かの確認を終えた頃、周りから今までにない歓声が起こった。
順番がルイズの前のタバサの演技が始まったのだ。
皆がうらやむような風竜の背中に乗って飛んでいる。
しかも、ただ飛んでいるだけではない。竜騎士にも劣らないような曲芸飛行をしているのだ。
「ルイズ、すごいよ。うわ、宙返りだ」
ユーノの声も耳に入らないルイズがようやく気づいたのは、司会進行役のコルベールに自分の名前を呼ばれたときだった。
「続きまして、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」
まばたきも忘れて、妙にぎこちなく歩いていく。
シエスタの作ってくれた大道具が重たかったが、これも姫さまにみっともないところを見せないためだ。仕方がない。
観客の注目が集まる中、ルイズは大道具を下ろして準備を整える。
あまり難しいことはない。準備はすぐに終わった。
観客に向き、胸を張って遠くまで響くように声を出す。
「紹介いたします。私の使い魔、ユーノ・スクライアです」
周りからおざなりな拍手が聞こえてくる。


その頃、ロングビルは宝物庫のある塔のすぐそばに立っていた。
周りに人影はいない。
予定通り、衛士はすべて品評会場周辺に配置されている。
しかも、今は風竜を召喚した学生が演技しているときだ。
すべての目がそちらに集まっているはず。
今から始めるかなり乱暴な計画にはうってつけの状況だ。
ロングビルはマントのローブを深くかぶり、唇を青い三日月のようにゆがめる。
その姿こそ、彼女の本性である土くれのフーケのものだ。
「さあ、始めるとしようか」
ロングビル改めフーケが呪文を唱える。
杖で叩かれた地面が急速に盛り上がり、土のゴーレムを作り上げていった。

地中に埋もれていた青い宝石はじっと目覚めの時を待っていた。
それがいつ目覚めるかは誰にも解らない。
だが、目覚めるきっかけになりうる事象がある。
強い魔力を浴びたとき、強い願いを感じたときがそれだ。
それが今、青い宝石の近くにあった。
宝を手に入れるという強い願い。
そのために使われているゴーレムを作り出す魔法。
それを感じた青い宝石、ジュエルシードは魔力と土の流れにのり、土のゴーレムの中に入っていった。


そのとき、ルイズの脳裏には閃光のような感覚が走った。
「ジュエルシード!?」
連日の練習でルイズの魔力コントロールは上達してきている。
「ユーノ!行くわよ」
舞台を降りたルイズは感知した閃光の源に走る。
「ミス・ルイズ!どこに行くのです?待ちなさい!」
アンリエッタ王女のいるこんな場所でジュエルシードが発動しようとしているのだ。
コルベールの声が聞こえたが待てるわけがない。


演技の終わったタバサは観客席に戻っていた。
その後、ルイズの演技を見るのかと言えばそうではなく、いつものように本を広げていたのであるが、ルイズが突然舞台を降りて走り出したと同時に本を閉じた。
「あら、どうしたの?」
キュルケは珍しいものを見たような気がした。
タバサがこんな風に自分から読書をやめてしまう時なんて滅多にないからだ。
タバサは立ち上がり、ルイズとは逆の方向に走り出していく。
400魔法少女リリカルルイズ:2007/11/08(木) 00:08:45 ID:psQC1nlU
あまりおもしろくもない品評会だったが、ここでおもしろくなってきた。
ルイズがいきなり舞台を放棄したのだ。
これは何かおもしろいことがあるに違いない!と思って追いかけようとするが、隣に座っていたタバサまで走り出してどこかに行く。
しかもルイズとは逆の方向だ。
どちらも何かありそうではあるが、両方を追いかけることはできない。
「あー、もー、どうなってるのよ」
どちらを追いかけるか、早く決めなければならなかった。


タバサは走りながら誰にも見られない陰を探していた。
このあたりには、警備の衛士も観客もいない。
そういう場所はどこにでもあるはずだ。
ちょうど良さそうな建物の影に飛び込み、壁を背にする。
薄い胸元に手を当て、魔力を集め、あの言葉を唱えようとする。
「バ……」
「ねえ、タバサ。何してるの?」
元来た道に目をやると、息を切らせたキュルケが赤い髪が少し乱れさせていた。

******************************************
今回はここまでです。
とりあえず、あそこまで暴れておいて何もないはずねーだろ、と自己つっこみしておきます
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:11:07 ID:RLrBO96b
バってなんだぶるぁぁっぁlっぁぁぁぁっぁ
GJ
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:12:10 ID:0gu4O0Tp
GJ!

バ…?バ……バル…
バルス!!
403豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/08(木) 00:15:19 ID:tmp76hOq
投下乙です。
秘密持ちはルイズだけじゃなかったのか。

20分になったら投下します。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:16:01 ID:BnBbmj8W
>>400
GJだが……な、なんだってぇ〜〜〜!?
405豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/08(木) 00:22:30 ID:tmp76hOq
では投下します。
406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:22:57 ID:IyHdLqa8
かもん
407豆粒ほどの小さな使い魔14 1/4:2007/11/08(木) 00:24:13 ID:tmp76hOq
……マメイヌ隊に入隊が決まって、舞い上がっていた気持ちは、最初の一週間でぺしゃんこになった。
走ることに自信はあったけど、それだけじゃだめだって知ってたから、狩りや探索も自分なりに練習してた。
お父さんとか、元クマンバチ隊の人にもお話聞いて。
なのに、いざ現場に出たら、先輩たちに全然着いていけないの。
やらなきゃって思ってるのに、頭が働かなくて、手が間に合わなくて、それで、

「それで……叱られたの?」

叱られなかった。だから余計に怖かった。
ルイズはどう?
叱られたら、そりゃ泣きそうになるかもしれないけど、でも、どこか安心できなかった?
心配してくれるから、だから叱ってくれるんだって。
マメイヌ隊は、ね、結構入れ替わりが激しいの。先輩たちは皆優しかったけど、でも本当は、後ろにいる隊長たちがどんな目で私のことみてるのか、怖くて振り向けなかった。
おかしいでしょ。
小さいときからずっと憧れてて、頑張って、ようやくなれて、これから頑張ろうっていうのに、頭の中がぐちゃぐちゃになってるんだから。
隊服が締め付けるみたいで、ご飯も食べられなくて、
焦って、でもどうしたらいいのか分からなかったときに、たまたま偶然か、それともその時皆が本気じゃなかったのか、その日の訓練で、私が一番速く走れたの。
これだ! って。
一つでも皆に抜きん出てるものがあれば、隊員でいられる。
ばかみたいでしょ。
だから恥ずかしくてルイズに言えなかった。ごめんなさい。
それから、どうしたかって?
走ったわ。脇目も振らずに、少しでも速く、もっと速く、誰よりも速く、
それしか頭になかった。
ふふっ
408名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:24:27 ID:hPhfOJtk
リリカル乙です。
ってタバサのソニックフォームが見られるのかっ!
409名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:25:16 ID:K7wHZjSv
>>402
目が、目がァァァァァァ!支援
410豆粒ほどの小さな使い魔14 2/4:2007/11/08(木) 00:26:24 ID:tmp76hOq
何日目だったのかな、とにかくがむしゃらに走ってたときに、いきなり、頭ががーんってしたの。
気がついたら、仰向けに倒れてた。
木にぶつかってた。
頭から、思いっきり。コロボックルがそんなの、聞いたことないわよ。
ぶつけて、頭が空っぽになって。やっと気がついた。
私は、何の為に走るのか、全然考えてなかった。
マメイヌ隊員だった人たちに、たくさん話を聞きに行ったのに、全然分かってなかった。
あの人たちは、隊を辞めても少しも悔しそうでも恥ずかしそうでもなかった。
お父さんもそう。
私は、あの人たちを見てたからマメイヌ隊に憧れたのに。
この剣ね、世話役が直接私に渡してくれたの。
だからすごく重く感じてた。何よりも大切にしなきゃって。
違うんだよね。
子供を助けるためだったら、剣なんか折っちゃってもいいんだ。
隊長に、そう言いに行ったの。気がついたこと、思ったこと全部、ぐちゃぐちゃだったときのことも。
返事は一言だけ。「そうか」って。
嬉しかったな。それで、やっと剣が剣の重さになってくれた。
副隊長なんて、お前は頭がいいんだか悪いんだかって。

はあ、すっきりした。

* * *
411名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:27:22 ID:nDDDfzml
まめっこ支援
412豆粒ほどの小さな使い魔14 3/4:2007/11/08(木) 00:29:21 ID:tmp76hOq
引き込まれてた私も、ようやく息がつけた。
ここで終わってもらって助かった。だって、この後はハヤテから見た私のはずだったもの。
しっかり分かったから、重ねて聞かされたら恥ずかしくて死んじゃう。
それにしても、
「半年前かぁ」
たった半年。それでこんなにしっかりしたお姉さんになっちゃうのか。
ずるいなぁ。そのころのハヤテが来てたら、私だけが子供っぽくなくて済んだのに。
「ガンバルノト、焦ルノハ、チョット違ウ」
まだちょっと赤いわよ。でも、感謝してる。
話してくれてありがとう。
手を伸ばして、ノートをぱらぱらとめくる。20ページほど遡ったところに、その書き込みはあった。
目的を間違えちゃだめだって。何のためにメイジになるのかよく考えようって。
あの後、ミスタ・コルベールとのごちゃごちゃがあって、それで埋もれちゃってたんだ。
大事なことに気づけて、大人になれた気分だったのに。ほんと、ばっかみたい。
「るいず、私モ、子供ダヨ。イキナリ大人ニナル、違ウ。少シズツ、行ッタリ来タリシナガラ、ネ」
もしもハヤテがいてくれなかったら、私も目を瞑ったまま走って、木に頭をぶつけてたんだろうな。
「ハヤテは、私の悩んでることとか、分かりやすくて、子供っぽいって思う?」
ううん、の指笛。
「大人ダッテ、分カンナクナルンダヨ、キット。先生モソウダッタジャナイ」
ゼロと呼ばれてむきになってたころが懐かしいわ。それだけで頭一杯になってた。
自分のこともだけど、シエスタとか、コルベール先生のことなんて、全然考えなかった。
ただのメイドで、ただの先生。
それに、そうだタバサ。
あの子今日は授業に出てたわよね。あれ? 昨日からだっけ? ううん、やっぱり今日からよ。
こんな風に考えることが増えて、魔法だけに集中できなくなってからの方が、よっぽど進んでる。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:30:02 ID:+Ofsl1hD
マメイヌ支援
414豆粒ほどの小さな使い魔14 4/4:2007/11/08(木) 00:31:26 ID:tmp76hOq
「フシギ、ダヨネ」
ハヤテもその言い方実感が篭ってるわね。
「アノネ、ゴ飯トイッショジャナイカナッテ、思ウンダケド、ドウカナ?」
また、話が飛んだわね。でもいいわ。面白そうだから聞いてあげる。
「好キナモノ、トカ、精ガツクモノトカ。デモソレダケヲ食ベテルト、病気ニナッチャウ。タクサン、色ンナモノヲ食ベル、元気ノ素」
「そうよね。ハヤテって実は食いしん坊だしね」
「チ、違ッ! ルルルルッ!」
「冗談よ。分かってるわ」
私が意地を張らないように、わざと優しく噛み砕いて言ってくれてるの。そういうところも、ちい姉さまに似てる。
「明日から、ちゃんと授業受けるわ」
それだって、無駄じゃない。きっと私の糧になる。


「なんか、寝るの勿体無いな」
もう時間も遅いんだけど、もう少しハヤテとお話したい気分。
ちい姉さまにするみたいに、ちょっと甘えてみたら、しょうがないなぁってもう一度座り直してくれた。
「学院の庭、よく散歩してるでしょう? 何か面白いこととか、変わったことってないの? あ、別に何でもいいの。ハヤテの目から見た学院の話、聞きたいな」
眠くなるまで、余韻に浸りたいだけだったんだけど。
「ええっ! 風竜の背中に乗せてもらったの?」
それっていつ? いつの間にそんなに仲良くなっちゃったの?
寝てなんていられない。
「落チ着イテ、るいず。違ウノ。飛ンデナイカラ」
よくよく聞いてみたら、本当に背中にぽんと乗せてもらっただけ。
やっぱりタバサって分からない。竜の背中に乗るのはすごく興味あるけど、でも地面に降りてる竜に乗って楽しいの? 上手く想像できない。
だけどハヤテは嬉しかったって言うのを聞いてたら、その顔を見てたら、私も羨ましくなって、
「決めた! 私も明日タバサに会いに行くわ。だから明日の朝、一緒に起こしてね」
「エ? アレ? ウ、ウン。ワカッタ」
ベッドに潜り込む。

ハヤテ、子守唄、お願いね。
415豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/08(木) 00:34:06 ID:tmp76hOq
投下終了。
行ったり来たりしながら、
ハヤテとお話しながら、
ゆっくり成長です。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:37:01 ID:ULiGBu66
更新はやいっすねー。
相変わらずこのほのぼの感がいい味だしてます。
なごむにゃ〜www
417名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:39:57 ID:C2ZhPjcn
ああ…使い魔なんて…
なんて僕は卑しいんだろう…
418名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:40:07 ID:0gu4O0Tp
すんげぇ和む…ええわぁ
明日からまた頑張ろうという気になれる
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:41:36 ID:TdG6HHio
ハヤテはよい子だね
俺は上司に罵倒されても鬱になって死にたくなるだけだよ
こいつの頭、石でカチ割ったら気分いいだろうなって考えながら、いつもどうでもいいことを口汚く罵られてるよ
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:43:22 ID:ufMw9g+x
>>417
こんな所で何してるんですか志賀さんw
てか職・殺が召喚されたら確実に血とエログロを見る羽目になるんだろうなぁ…
421名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:45:45 ID:SlpkQBVM
豆粒さんGJ!
いつも楽しませてもらってます。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:50:37 ID:IyHdLqa8
乙!毎度ながらこの和み感がいいね。
>>417
俺も書こうと思ったんだけど絶対死にまくるし無理ですw
423名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 00:56:41 ID:3uf7tfXk
ハヤテもルイズも良い子だナー。

あれっ?
なんで俺、眼から汗が流れてるんだろう?
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 01:08:25 ID:W3Xggu2F
豆の人乙です

ところで今衛星放送を見て思ったが、
あのコブラが召喚されたらどうなるやら
確実にサイコガンが火を噴くのはフーケ戦辺りだろうか
425名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/08(木) 01:20:33 ID:AB4Atx90
とりあえず女性陣はみんなTがデフォと申したか!
426名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 01:24:13 ID:aVCseiRK
>ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、自らが召喚した使い魔に驚愕した
>彼女はトリスティン魔法学院の制服、白いブラウスにマント、黒いTバックのパンティ姿のまま立ち尽くす

ですか?
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 01:26:24 ID:W3Xggu2F
ネタを振っといてなんだがビール吹いたwww
ドミニコー!
428名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 01:58:29 ID:7rR5jlfh
>>310
し、しまっちゃうおじさん…
429名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 02:19:40 ID:VWMTU5R6
ところで、聖石のシエスタがいずれ星天停止を極めてしまったら……。
どうなってしまうんだ。だれも止められねえぞ。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 02:23:02 ID:60am2gnm
>>400
バ・・バ・・バ・・バルバルバルバルバルバルバルバルバル!
431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 03:06:09 ID:kWZDouY2
>430
貴方は兄弟スレで修羅場(?)の真っ最中でしょうが!
432名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 03:47:09 ID:I/73DFdN
バ、バル…バルサミコス〜
433デューク・トウゴウ(1レスの小ネタ):2007/11/08(木) 04:32:30 ID:AyfK4nTW
ゴルゴ13召喚

ゴルゴは青銅のゴーレムに囲まれながらアーマライトでギーシュの杖を狙い、一発で撃ち抜いた

「・・・・・オゥ!・・・・・・オッオ〜ウ・・・トウゴウ!・・・トウゴウ〜〜〜!!!」

ゴルゴはフーケのゴーレムと対峙し、足の関節の一部分を撃ち飛ばして転倒させる

「くぅっ!・・・・・・トウゴウ!!・・・・・・やめ・・・・・・やめないで!・・・・・・トウゴウ!・・・・・・やめたら殺すわ!」

ゴルゴはワルドの偏在を、S&Wの6連発リボルバーで全滅させる

「あぁっ・・・・・・トウゴウ!・・・・・・これが・・・・・・これが東方の神秘ィ〜〜〜〜!!」

ゴルゴは戦艦レキシントンにあやしい商人にカネを叩きつけ買った船で突撃し、艦長を狙撃する

「・・・・・ちくしょう・・・・・・トウゴウ!・・・・・・男にこんな事されるなんて・・・・・・男になんて〜〜〜!!」

ゴルゴはアルビオン7万の軍を、その移動中の貨車を脱線させることで全滅させる

「あぁん!・・・・・・東郷さん!・・・・・・堪忍してやぁ!・・・・・・あかんえ〜〜〜・・・・・・東郷はぁ〜〜〜ん!」

ルイズは召喚したその日の晩にやられたそうな
434名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 04:49:14 ID:kWZDouY2
>・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
> 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 04:50:19 ID:IyHdLqa8
ゴルゴwwwww
ヤッてばっかりじゃねえかwwww
そーいやゴルゴってライフルのフルオート一発一発を正確に
200m以上先の人間の頭に狙えるんだよな。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 05:13:10 ID:e9eUp6sI
具体的にナニをしてるかは表現してないから18禁ではないんじゃないか?
ゲームとか漫画でも話の流れ的に明らかにナニかをしていても
直接的な描写をしてなかったら全年齢向けになるし
437名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 05:20:03 ID:m4snHLSl
脊髄反射の低能自治厨はスルー
438名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 05:50:07 ID:RODQhJFm
エリック・カートマンを…と思ったけど
カートマンだとギーシュは何とか出来てもゴーレムには
歯が立たなさそうだな
439名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 06:17:35 ID:r+7P5cxY
ルイズ「ここは地獄だ。いや、地獄の方がまだマシよ」




 ルイズが蟹工船に召還されたようです。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 06:53:09 ID:YVfd5SHQ
カートマンのアジ能力ならなんとかなる。

「SHIT!!あのクサレビッチが俺様の学園からT&Pのサイン入りロケットランチャーを奪っていきやがっただと!!SHIT!」

「うるさいわよこのデカッ尻!そもそもあんたのじゃないでしょ」
「ほうっておきなさいよ。どうせカートマンにはたいしたことはできないわよ」
「…………」
「「鋭い」」

学園長室にて

「フーケが学園の財産を奪っていった。
諸君らはそれを黙っている。
次に別の誰かが学園の財産を奪っていくとしよう。
諸君らはまたそれを黙っている。
その次に奪われるのは諸君らの財産、あるいは諸君らの大事な家族の命かもしれない。
諸君らはその時もまた、黙ってみているのか。

今学園の財産が奪われたことを黙っているのなら、いつかはゲルマニアか、アルビオンか、ガリアか、もしかするとトリステイン自身が諸君らから全てを奪っていくだろう。
その時でさえ黙っているというのか。
私は違う。
諸君らも違うと信じている。
我々は、明日何かを奪われないために、今日立ち上がるのだ。
学園と、我々自身と…我々の家族のために。
取り戻しに行こう。
破壊の杖をではなく…未来のために。
ありがとう、勇敢なる諸君。
始祖ブリミルのご加護を」

「うそ、どうなってるのよ」
「またろくでもないことをはじめたわね」
「……………」
「「まったくね」」

泥酔した教師陣がゴーレムを爆砕。
破片に潰されるタバサ。

「大変、タバサが殺されちゃったわ」
「ケダモノー!」

そして次の話では何事も無かったように復活するタバサ、と。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 07:07:07 ID:un+Ztuhm
>>440
タバサwww
442名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 07:10:12 ID:Ta+qfGV9
> 「ケダモノー!」
よりも「この人でないー」のが好きだな

しかしこいつ呼ぶとギーシュは決闘じゃなくてチリパーティーに招待されかねん
443スネーク:2007/11/08(木) 10:50:46 ID:JLPldKDe
ルイズに対して性欲を持て余す!!
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 10:52:24 ID:fKxHonfj
>>443
投下かい?
投下なら支援だ
445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 11:46:59 ID:ozXbSBPk
そういや十八禁ってどこから十八禁なんだぜ?
とある作家は「直接描写せず、比喩でぼかせばセクロスOK」
みたいに言ってたが。
446蛇の使い魔:2007/11/08(木) 11:48:06 ID:2o5BYCpI
>>443は自分じゃありません
447名無しかわいいよ名無し:2007/11/08(木) 11:48:30 ID:JLPldKDe
ルイズが聖杯戦争に殴りこむスレの方もなかなか人が来るようになった
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1187755129/
448名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 11:53:08 ID:KpxF8CL+
ぼかしててもシエスタがモットに云々なんて表現があったりしたら嫌なんだぜ。
449 ◆m9.upBLdeg :2007/11/08(木) 11:58:58 ID:KE4sc9b9
1分後に投下します。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 12:01:05 ID:vVowRhw8
wktk
451ゼロの使い魔ももえサイズ ◆m9.upBLdeg :2007/11/08(木) 12:01:09 ID:KE4sc9b9
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
トリステイン魔法学院の女生徒であるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは威厳たっぷりに言ってみせたのだがこれが何十回目の事なのかは覚えていなかった。
しかし、始祖ブリミルは彼女を見捨てることはなかった。
「あーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
上空で何かが光ったかと思うとルイズの元めがけて人が落ちてきたのだ。
「危ないっ!」
どしーんという大きな音がして周りには砂煙が舞っていた。
危険を感じたミスタ・コルベールはとっさのタックルでルイズはなんとか回避することができた。
「ふぅ………ここが私の通っている学校か。いつのまにか急に古風になっちゃって。」
彼女は肩にツメらしきものをつけて、紫色の装束に身を包み、
膝元には大きな鎖がつけられていて、足元には狂犬の首があった。
とにかく彼女がこの世界のものではないということだけは一目見てわかった。
「………あんた、誰?」
「私? 私の名前はももえ、死神ももえだよ。 あんたは?」
「変な名前ね……私はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。ところであなた何者なの?」
「いやー どうやらここに悪魔がいっぱいいるって聞いて来たのはいいんだけどさー」
そう言ってももえは大きなカマを取り出した。
「一体そいつはどこにいるのかなーって」
そしてそのままカマを振り回し始めた。
「あわわわわ!!!! あああああ、危ないでしょ! そんなもの振り回しちゃ。」
ももえがカマを振り回すごとに風がびゅんびゅん鳴って周りの生徒たちはそれに慄くばかりであった。
「まあこうやってあぶり出しをすれば悪魔も出てくるんじゃないかなーってね。」
452ゼロの使い魔ももえサイズ ◆m9.upBLdeg :2007/11/08(木) 12:03:04 ID:KE4sc9b9
???ものしり館???
※あぶり出し 乾燥すると無色となる液体で文字や絵を紙などに書き、それに熱を加えてあぶることで成分に酸化などの化学変化をさせて見えなかった文字、絵を表示させるもの。
転じて、あるものの裏に隠れていた対象を、隠していたものから浮き上がらせるという比喩表現にも使われている。

ももえは一心不乱にカマを振り回し続ける。
「きゃああああーーーーー!!!!!!」
「うわーーーーーーー!!!!!!」
「皆静まりなさい! それとミス・ヴァリエール、いい加減に彼女を取り押さえなさい!」
その状況をぼーっと眺めていたルイズだったがコルベールの一言によって現実に帰ると、とりあえずももえを取り押さえることにした。
「モモエ! とにかくその危険なものを振り回すのはやめなさい!」
ルイズは彼女の腰をつかんだ。彼女の露出させた腰はとてもつかみ心地がよくてそのままトリップしてしまいそうな―――
「いたーーーー!!!!」
あぶり出された悪魔が姿を現した。ももえにしか見えないのかと思っていたがルイズの目にもはっきりと確認することができた。
「あれが……悪魔。」
それは真っ黒な色をした一つ目で少し毛のようなものが数本生えていて、とても気色悪いシロモノであった。
「たぁッ」
それを見たももえは躊躇することなく悪魔めがけてカマを横に振った。
最もその一瞬の間に悪魔は姿を消し、代わりに取り付かれていたサラマンダーが顔を出した瞬間―――
ドシュッ
サラマンダーの首が宙を舞った。そしてその首は地面に落ちることなくどこかへ行ってしまった。
「あ、あんたなんて事を…………」
ルイズはももえを指差しながら、体を震わせてサラマンダーの持ち主に必死にアピールしていた。
目線で「私はやってない。悪いのはこの女よ。」とアピールしていたのだが、
「大丈夫だった、フレイム?」
サラマンダーの使い魔の持ち主はももえに近づいて頭をなで始めたのだ。
『ももえのカマで斬られた者の存在はこの世から存在が抹消されてしまう。
そして存在保存の法則により、その存在はももえが肩代わりすることになるのだ!』
とりあえずももえはサラマンダーらしく持ち主である彼女めがけて火を噴いてみた。
「ごーっ」
その威力はすさまじく、彼女を黒焦げにさせた。
「あの………大丈夫かしら、キュルケ?」
ルイズがおそるおそる聞いてみるとキュルケは笑顔で
「ぜんぜん平気よ、むしろ涼しいぐらいだわ。」
と答えたのであった。
453ゼロの使い魔ももえサイズ ◆m9.upBLdeg :2007/11/08(木) 12:05:01 ID:KE4sc9b9
「ミス・ヴァリエール、早くこの彼女とコントラクト・サーヴァントの儀式の契約をしなさい。」
「ええっ!?」
きまりとはいえ、彼女はかなりいやな顔をした。武器を持っているとはいえこんな娘と契約を結ぶのはごめんだ。危険すぎる。
「ミスタ・コルベールやり直しを
「ごーっ」
フレイムの能力を使ったももえの火が彼女を襲った。ついでに彼女は周りめがけて意味もなく火を噴き始めた。
後ろのほうで「何やってんだよ、キュルケ。自分の使い魔なんだからちゃんとしとけよ。」とか、
「ごめんごめん。この子、かわいくてちょっとやんちゃだから。」
とか言ってキャッキャウフフな世界が繰り広げられていたのだがルイズは無視することにした。
ルイズは自慢の髪が黒焦げにされて腹が立ったが、これ以上何かすると持っているカマで切られるかもしれないから何も言うことができなかった。
「やり直しは認められない。 もしこの召喚の儀式が不成功ならば君は留年だ。」
「ダブり!?」
その言葉にももえはいち早く反応した。明らかにルイズに留年を期待している視線を注いでいたがルイズはそれに屈することなく彼女を使い魔にすることで妥協することにした。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」
ルイズはももえに唇を合わせてとっとと契約の儀式を終わらせた。
しばらくするとももえの体が光りだし、体に使い魔のルーンが刻まれた。
「ふむ………これは珍しいルーンだね。」
そう言ってコルベールはももえに刻まれたルーンを熱心にスケッチしていたが、ももえの頭の中ではせっかく自分に留年仲間が出来ると思っていた期待が外れたのとファーストキスを黒焦げでアフロになったままの女の子に奪われたショックでかなり落ち込んでいた。
「はぁ………」
ルイズの部屋に戻っても、ももえは体育坐りの姿勢で落ち込んだままだった。ルイズはそんな彼女をあの手この手で慰めなければならなかった。
「はぁ………」
「ったく、いい加減にしなさいよ! いつまでそうやって落ち込んでるのよ!」
数時間後、ルイズはとうとうキレてしまった。
そしてどうでもよくなってきて適当にその辺で寝かせてやろうと思っていたのだが―――
「サイズラッガー!」
突如立ち上がったももえはいきなり持っていたカマをブーメランのように投げつけた。

???ものしり館???
※サイズラッガー
死神ももえの必殺技。カマを回転させながら相手に投げつける事が出来る。
この世界でガンダールヴの能力を手に入れた彼女だが元々カマを120パーセント以上も活用しているのであまり意味は無い。

ルイズは思わずそれをよけた。そしてカマは窓を破ってそのまま地面へと向かい―――
「ギャッ」
生徒の誰かが真っ二つに切られたのだがルイズはそれが誰なのかわからなかった。
「あ、私ダブりじゃなくなってる。」
どうやら斬られた生徒は上級生だったようだ。その事実に気づいたももえは嬉しくなって思わず部屋の中で小躍りした。
ルイズは見知らぬ上級生に対して冥福を祈ったのであった。
「ところでなんで急に元気になったの?」
「いや、ちょっとむしゃくしゃしてたから。まーでも元の学年に戻ったからどうでもいいや。」
ルイズは始祖ブリミルが自らを見捨てたのではなく試練を課したのだということに気づいた。
こうしてルイズと使い魔だという事実をよくわかっていないももえの生活が始まったのである。
『ももえのカマで斬られた者の存在はももえが肩代わり
上級生を斬ったのでダブりであったももえは本来の学年に戻ります。』

※おわり これまでのご愛読、ご支援ありがとうございました。
※次回から始まる「ゼロの使い魔死神フレイム二年生ももえサイズ」に乞うご期待!!!  
454ゼロの使い魔ももえサイズ ◆m9.upBLdeg :2007/11/08(木) 12:07:04 ID:KE4sc9b9
以上です。
「ももえサイズ」より死神ももえを召喚。
一話で死神に狩られてからのスタートです。
それなのになんでダブりなんだ。というツッコミはなしの方向で
では
455名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 12:34:18 ID:DvK26I8G
確かとあるスレでナノ秒以下の反応速度を持った方々でしたっけ
456名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 13:17:25 ID:Ae4louGa
ももえサイズとはまたマイナーなものを掘り出してきましたな
GJです
457名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 14:06:41 ID:oG0yoAXp
何気にメ欄に吹いたGJ

……しかしこのssの最終話はこのスレの最後だという事実にガクブルとせざるを得ない
458名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 14:46:29 ID:5tfp2soC
使い魔の品評会ってのが出てくるのが結構多いんだけどさ、
こんなシーン原作には無かったよね?
もしかしてアニメ版か何かだと王女の登場を前倒しにするために
商売の都合で無理矢理に追加捏造とかされたとかなの?
459名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 14:52:27 ID:Ae4louGa
アニメで出てきたシーンですね
460名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 15:35:06 ID:uu3cILao
おまえ、ここがどこだか分かって言ってるのか?
461名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 15:42:48 ID:xclRIrkc
以前にもそういう論議があったけど、アニメ板だからってアニメのことを必ずしも知ってる人ばかりとは限らない。
原作の小説しか知らない人だっているだろうさ。そもそもこのスレは元々漫画サロンにあった物だしな。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 15:48:58 ID:5tfp2soC
やっぱりアニメ版だったのね。
シエスタの顔が原作と違ってたりするから好みが分かれるよね。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 15:53:38 ID:Ae4louGa
どのイベントを抜き出して書くかは作者にまかされるけどな
464名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 16:00:23 ID:FAcmAdXf
でもアニメが無かったら姉妹スレの某モット伯は誕生しなかったんだなあ。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 16:05:17 ID:LHlOCEup
>>462
アニメ板の方が、画的には綺麗かもしれない。確かに雰囲気が違うから、あとは個人的な好みなる。
特筆すべきは乳の張り具合だな。原作が柔らかくて「ぽよよん」アニメ板が、弾力がありそうで「ぼよよん」。
うん、これも個人的な好みのよるかな。えー!?「ぷよぷよ」だよ!等の見解も有りで。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 16:21:16 ID:Bd3xS3Zv
アニメは二期のことがあってあまり好きじゃない
467名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 16:48:02 ID:Ib7tdde6
そういや、ゲーム版とかもあんのね。
やってないんで内容はサッパリだけど。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 17:26:17 ID:WDr/OGDI
>>465
謝れ!揺れる脂肪なんかございませんなルイズに謝れ!
469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 17:37:26 ID:4H1lTOI+
>>465
タバサには揺れる脂肪はありますか?
470名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 17:53:46 ID:zCPdcaOG
いきなり予告無しで投下。
評判良かったら本編書くかも。

アーカイブ:「とある歴史書」

「その者、名を名乗らず。
 ただ【SDK】と呼ばれた」
と言う書き出しで始まる全六巻の歴史書。
100年以上前の戦争、特にその戦争で活躍した使い魔について記されている。
特に七万の軍勢と対峙した時、巨大な火の柱を召還した場面の描写が秀逸。
しかし、この戦争の際にこのような使い魔は存在しなかったという説もある。


アーカイブ:「奇妙な土偶の複製」

奇妙な形の土偶の複製。
盾の文様が掘られており、本来は祭礼式に使用したものとする説が有力。
とある歴史書の使い魔がこの土偶のオリジナルを所持しており、これが炎を呼び出したと言われたこともある。
トリステイン魔法学校蔵。


一応、元ネタは「SIREN」の須田恭也
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 17:54:01 ID:8VlQ7j/t
>468-469
おまえらそんなに爆発と氷で死にたいのか
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:05:46 ID:9xm6C3SU
ルイズさん、そしてタバサさん、あなた方の存在は世界の宝。
いつまでもその穢れなき姿のままでいてください!

って診療所長兼監督が言ってた
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:05:54 ID:RLrBO96b
どいつもこいつもお乳お乳か…
474名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:08:46 ID:IKgMrD+r
>>451
目欄は「sage○○」としないとsage入れてる意味が無いぞ
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:14:30 ID:WnYLMvkx
>>473
尻や太股、うなじやふくらはぎなんかも大好きです
476名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:30:44 ID:WDr/OGDI
>>473
乳は乳ですが、抉れ胸が一番の好物です。
あとは手で鷲掴みできる尻肉とか、水を吸い始める太腿、白い指も大好きです。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:31:12 ID:QdUQGB1b
>>473
人間以外が好きです
478名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:33:28 ID:3JwcOqLs
よく、胸とかは触手を用いたほうがエロいって言うけど、
たくさんの手の方がよりエロいって思うんだ。
 
 
……千手ピンチしか浮かばねぇorz
479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:34:55 ID:u1FsIhiz
>>470に誰も触れないのは何故だ
480名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:42:25 ID:cFHIlix0
>>479
よくあること
481名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:43:05 ID:C2ZhPjcn
きみはゆくえふめいになっていたマックじゃないか
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 18:55:46 ID:/O1+viwS
まとめサイトの避難所アドレス書き換えられてない?携帯からだと違う掲示板に飛ばされちゃう
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 19:02:55 ID:ptio1/He
うわああああああああああああ
審判がああああああああああああ!!
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 19:15:52 ID:IjJZ4+RC
別に変えられてないが
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 19:23:36 ID:WDr/OGDI
>星花火は特殊能力無効〜
いやいや。あれは大気圏までボールを上げて、そこまで不二のスタンドが飛ぶ。
で、そこから急加速して落ちてきたボールを跳ね返してって事じゃね?
486名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 19:25:35 ID:WDr/OGDI
すまん。おもくそ間違えた…
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 19:32:37 ID:S0rIXPSo
>>482
したらば掲示板 by Livedoor Part 7
http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/esite/1166680387/339-


341 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/11/06(火) 18:27:25
なんか他の板のデータに入れ替わってた
物故割れすぎwwwwwww

344 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/11/06(火) 18:31:24
リロードする度に違う板いくしwwwwwww
クラックされてんのかwwwwww

488名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 19:32:51 ID:GLZV+iDC
ついにテニプリから召喚か・・・
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:05:53 ID:C2ZhPjcn
ピクルか本部以蔵を…
490名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:16:05 ID:lV4rjFSL
烈先生なら同じツンデレ属性持ちだから
ルイズに呼ばれてもおかしくないな
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:27:31 ID:Rhh9f7ei
>>489
ピクルが ビ ラ ク に見えてしまったよロシェ
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:29:25 ID:1GsoBySs
>>470
SDKは異形が存在する異界にしか行けないみたいだから
まずハルケギニアに堕辰子や母胎みたいな存在が召喚
される必要があるんじゃないか?
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:31:34 ID:lKtYxFV8
だからSDKと書かれるとスーパードンキーコング(ry
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:32:10 ID:9xm6C3SU
>>493
俺ガイル
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:37:30 ID:LDTSoF8W
>>489
解説屋はともかくピクルはやばい。
原作レイプ(性的な意味で)になってしまう。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:38:31 ID:Adt6/CsX
>>492

指輪のせいではあるが死人が彷徨いてるし。そのへんで
「デストロイー♪」と来ても一応は整合性は通るんじゃん?

異界の定義がちょっと考えるが、神代さんとの約束は人間を引きずり込む
異界の討滅とも取れるし。そうなると…人間を引きずりこむ魔法なんてもん
がある時点で、羽生蛇村と大差無い判定されても不思議は無いようにも。

個人的には何かブリミルの設定だけ聞くと堕辰子っぽいような気もするけどさ。
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:39:36 ID:Adt6/CsX
>>495

召還した瞬間、悲しいまでの野生が炸裂してしまうのでつね(;´Д`)ハァハァ
498名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 20:47:29 ID:QdUQGB1b
>>178
めっちゃ亀レスだが許してくれ
今やっとポケスペのカツラさんのことを言っていると気づいた
遅せえよ自分
泣けるで
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:02:01 ID:4MX3aO5q
>>490
烈なんて言うから使い魔がみんなミニ四駆な世界を幻視しちゃったじゃないか
サイトマグナムとかソニックフレイムとかスピンヴェルダンデとかネオシルフィードZMCとか
500名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:06:24 ID:lKtYxFV8
ミニ四駆って言うとホッケーのスティックっぽい物で軌道修正するヤツじゃないのか…
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:08:49 ID:1GsoBySs
>>496
西洋ファンタジー世界なハルケギニアとSIRENの狂気を孕んだ異界を同じもの
って一括りにしちゃうとどうしても違和感があるんだよな
SIRENの異形もクトゥルフ神話的な狂気を体現した存在って感じがするし
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:12:40 ID:Bd26mUoz
最後には科学の粋を集めた制御チップで音声認識&自律走行とかとんでもないことになってた
503名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:18:08 ID:A91upVew
気合いを入れると速度が上がるのは仕様だろ?
504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:18:22 ID:KZqUcnpj
>>435
ゴルゴって一体なんなの?

89式で300m先のF的に三発制限点射を集弾する事さえ苦労してるのにとても同じ人間とは思えん…
505名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:34:17 ID:Adt6/CsX
>>501

うん、破壊者化した後のSDKの目標はクトゥルフ元ネタな事も
あるが『人類の常識からは逸脱しきった狂気と妄念の異界存在』って事とは
俺も思う。

ただ、俺の主観の問題ともいえるが、例の皆殺しエンド以降の彼は正気か否かで
ちょっち思う所があるんだよ。二作目のオマケの時もそうだが、随分追い詰められてる
様な雰囲気がなんかあったように思うんだよな。

そんな時に、あの凶悪な使い魔契約の話とか、虚無の話なんか聞いた日には限り無くヤバげな
反応するようにも。細かいことっちゃ細かいことなんだけどさ。

>>504

超サイヤ人に細かい事気にしたらダメな様に、ゴルゴなら何が出来ても不思議は無いぞ。
そういう超絶スイーパーと覚えておけばいいよ。ちなみにブリーフ愛用なナイス害だ!
506名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:37:22 ID:9xm6C3SU
狙撃用ライフルのPSG-1とか使ったら
どれぐらい長距離まで狙撃できるんだろうな?
507名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:41:18 ID:5tfp2soC
自衛隊や海保の人でも、
こんなスレに来るんだね。
こういうのとは無縁だと思ってた。
508名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:43:19 ID:IyHdLqa8
>>504
0.04秒だっけな。一人殺るのにかかる時間。

ゼロ魔世界の銃でも相当狙えそうだ。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:46:43 ID:DgHdHskf
>>507
自衛隊はオタの巣窟だ
510名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:47:48 ID:3pr0Qnbz
>>506
PSG-1は軍用じゃないからあまり長距離での射撃は出来ないよ
最大有効射程は約700m だそうだ
511名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:51:23 ID:5tfp2soC
>>509
オタはオタでも種類が違うんじゃないの?
512名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:52:01 ID:J3IoopsY
> オタはオタでも種類が違うんじゃないの?
いんや、ぜんぜんそんなことはない
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 21:57:47 ID:eC+mq0Z2
>>504
64使ってる俺はどーなる
514名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:00:38 ID:kDYaiNcb
オタの見本市らしい>J隊
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:02:20 ID:OcKitZUk
ガチャピン、ゴルゴ、全盛期のイチローに不可能なものはない・・・んじゃない?
516名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:15:10 ID:Vkdn2+ud
>オタの見本市
一般的?なオタ
車、バイク、釣り

職業に関わりのあるオタ
軍事全般

あとはざっと思いつくだけでアニオタとかゲーオタもいたな
ガノタは言わずもがなで作家志望のやつもいたし、マジで見本市どころか巣窟だった
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:16:20 ID:gCsCXc8s
ゴルゴは1km先のフットボールを撃つために特別製の銃を注文した。
518名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:19:13 ID:4ym4+pVE
なんで虹オタだった友達がJ隊に行ったのかよくわかった
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:30:50 ID:nhonqWMM
ゴルゴは特注の銃が無ければ非常識狙撃はできないぞ。
ゼロ魔世界では最高のガンスミスでもコルベールくらいだろうから、ゴルゴで狙撃は無理
520名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:31:01 ID:eC+mq0Z2
>>518
ゼロ魔と東方とローゼンとキノとシャナを教えてくれた先輩には感謝してるんだぜ
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:32:18 ID:25o7XZyp
昔、友達の付き合いで自衛隊の一般開放日?みたいのに付いてったら、
宿舎のモデルルーム?的扱いされてる使用中の部屋に
「ああ、女神様」があったので興味持って後で買った覚えがある。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:38:36 ID:iVA2NKKP
>>478
千住花音を召喚ですか。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:39:25 ID:0gu4O0Tp
そんな人たちがこの国を守っているのか…
524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:41:25 ID:C9x946v9
感動した
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:44:05 ID:gCsCXc8s
安心しろ米軍でもジャパニメーションは大人気だ
526名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:48:14 ID:aFUn9C1K
>>522
一瞬三十三間堂の某お嬢様を思い出した
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:49:04 ID:cFHIlix0
>>504
・愛用武器のM16カスタムの有効射程550m一杯を使って狙撃可能
・専用の狙撃銃を作らせて1kmの狙撃を成功
・作中での狙撃の最高記録はレーザーを使用しての2400m
・早撃ち0.17秒。しかも>>508の通り抜いてからが速い
・ゴルゴの肉体を研究した人間のセリフによると
「筋肉が遅筋と速筋のほぼ中間点に位置していてしかも両方の最高レベル」
・医学・数学・語学あらゆる学問に精通。確か十三ヶ国語以上話せたはず
・あらゆる武術に精通。弓道なんかもやってた
・波が盛り上がった瞬間を狙って狙撃、その波で弾を弾いて狙撃成功とか
 戦闘ヘリに乗って高速で移動しながら狙撃成功とか
 スティンガーのカメラアイを狙撃したりとか
 同じ箇所に弾丸を当て続けて防弾ガラスを破壊して狙撃成功とか
 35年以上無茶な狙撃を成功させ続けてきた
・総資産二兆円以上
そんな人
528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:51:16 ID:0gu4O0Tp
>>525
いつか聞いた
「秋葉原が占領されたら最強の軍隊が日本へ来る」
ってのはただのネタというわけでもないということか…
529名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:53:45 ID:3uf7tfXk
漫研の先輩4名同級3名が自衛隊行ったからなぁ……
1人は同じ班のメンバーで同人誌作るって張り切ってたし。

チャットとかで知り合ったSS書きにも現役自衛隊が2人居る。
時間が限られてて特別な道具が無くても出来る趣味だから良いんだそうな。

あと有名な話だけど、
どっかの基地祭で使われてた自販機の案内板が某キャラ(ここで語るの禁止な)
だったとか、ネットに写真出回ってるよね。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:54:39 ID:urpcK+KS
で、いつまでこのスレとは関係ない話題が続くの?
531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:54:54 ID:A91upVew
>499
馬鹿言え!烈と言ったら虎堂 烈だろうが!
作者は今や素晴らしい乳とロリとショタを描くようになっちゃいるがな!
532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:55:56 ID:aVCseiRK
私立!三十三間堂学院ネタなら
千住花音の手は二本だろ
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:56:21 ID:IyHdLqa8
さすがにスレ違いすぎるぜ兄弟。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:57:09 ID:25o7XZyp
>>530
次に召喚されるのは自衛隊員
535名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:58:04 ID:psQC1nlU
どの作品の自衛隊員だ?
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 22:59:37 ID:S0rIXPSo
>>535
竜王の手下の不良自衛隊員でひとつ。


名前忘れた…
537名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:00:21 ID:aFUn9C1K
>>535
代紋のルイス・ザブロンスキー……って、こいつ自衛隊じゃねーや
538蛇の使い魔:2007/11/08(木) 23:00:39 ID:3pr0Qnbz
流れを切ってしまいますが投下OK?
539名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:01:58 ID:iBLtYcT0
shienn
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:02:00 ID:RLrBO96b
戦国自衛隊でも
戦略自衛隊でもどんと来い
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:02:06 ID:IyHdLqa8
かもん!

自衛隊員といえばガイアだろ
542名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:02:30 ID:QdUQGB1b
>>531
電ピカの作者の事かーッ
エロマンガ家と知って、ショックだったけどある意味納得した
543蛇の使い魔:2007/11/08(木) 23:03:34 ID:3pr0Qnbz
その後スネークはルイズについていき授業を見てみることにした
そこでなぜルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれているか理解することになる

―錬金の授業
元の世界では到底お目にかかれないような生物を観察して回るスネーク
うまそうだ、と思う使い魔も居れば
こいつはうまくても食べたくない、と言うような使い魔も居た
先ほど食事を強奪していったシルフィードとはしばらくにらみ合っていたがバカらしくなってやめた
そんなことをやっている間に教室の扉が開かれる
紫色のローブに身を包んだ中年の女性が入ってくる
どうやら先生のようだ
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですね
 子のシュヴルーズ、こうやって春の新学期にさまざまな使い魔を見るのが楽しみなのですよ」
その言葉を聞いたルイズは表情を曇らせる
「おやおや、変わった便い魔を召喚したのですね、ミス・ヴァリエール?」
教室がドッと笑いに包まれる
「おいゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた変態を連れてくるなよ!」
「違うわ!きちんと召喚したけどこいつが来ちゃっただけよ!」
ルイズも負けずに反論する
俺だったらルイズに口げんかを挑もうとは思わないがな…
ひと段落が付いた頃シュヴルーズが授業を始めた
時折生徒を指す
どの世界でも学校は学校だ、と少し安心する
ここでもいくつか発見があった
まず、文字が読めない
これは追々教えてもらうとしよう
次に魔法についていくつか。魔法には主流の四属性―――火水土風と、
失われた『虚無』を含めた5つの系統があると理解した
中でも『土』は生活に密接に関係している、らしい
目の前でただの石ころを真鍮に変えたときはさすがのスネークも驚いた
「たいしたものだ」
「黙りなさい」
授業中は潜入任務同様、目立つべきではない
下手に目立つと先生に目をつけられ指名されることになるからだ
静かな授業で無駄話などをしていると当然目立ってしまう
「おしゃべりをする暇があるのなら、ミス・ヴァりエール、貴方にやってもらいましょう」
この授業も例外ではない
「先生、危険です!」
「どうしてですか?」
「とにかく危険なんです!」
シュヴルーズもスネークも事態が把握できない
544蛇の使い魔:2007/11/08(木) 23:04:43 ID:3pr0Qnbz
「―――やります」
ルイズが立ち上がる。代わりに生徒が机の下にもぐる
「どうした?」
まるで爆発でも起きるかのようだ
生徒が震える中、ルイズは杖を振り上げ呪文を唱える
真剣な顔で石ころに集中するルイズ
こうしてみるとかなりの美少女だ
これでもう少し性格が丸くなり、胸が大きくなれば言うこと無いのだが…
など思っていると呪文が終わったのか杖を振り下ろすルイズ
すると

ドンッ!―ガラガラ

爆発の後に教卓が吹き飛んだ
ガラスは割れ、教卓は黒コゲ
シュヴルーズは黒板にたたきつけられ、使い魔たちは混乱する
しかし、爆心地に居たはずのルイズはたいしたことが無いようだ
なるほどどうりでなめられているわけだ
魔法使いなのに魔法が使えないとは…
「ちょっと失敗したわね」
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
その通りだ

「なるほど、魔法が使えないから『ゼロ』か」
「だ、黙って手を動かしなさい!」
爆発によって吹き飛んだ部屋を掃除する
「どうして使えないのか考えてみたことは?」
手を動かしながら問いかける
「…努力してるのに、なんでか使えないのよ
 教科書なんて穴が開くほど読んだ。内容だって暗唱できる
 授業だってまじめに聞いてるのに…どうして?」
小さな声、しかしスネークには確かに聞こえた

ゼロのルイズ
誰が言ったか知らないけれど、いつの間にかみんなからそう言われていた
悔しくなかったわけじゃない。だから勉強した。努力した。でも使えない
「私だって…召喚は成功したんだからね…」
そう、だから錬金に挑戦した
召喚が出来たのだから錬金も出来るはずだと思った
「…中国に『志有る者はついになるなり』ということわざがある」
「…スネーク?」
いきなり意味のわからない事を言い出した
チュウゴクって何?
「強い意志で物事を進めるなら、途中でいろいろ困難なことがあっても
 最後には目標を達成できると言う意味だ
 ルイズ、諦めるな。何事も投げ出さなければ目標を達成できる」
「…わかったわよ」
スネークなりの励ましなのだろう
「ありがとうスネーク」
小さく聞こえないようにお礼を言っておいた
545名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:04:46 ID:iBLtYcT0
支援
546名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:05:54 ID:cFHIlix0
メイ・リンのことわざ講座が役に立ったのか支援
547蛇の使い魔:2007/11/08(木) 23:06:04 ID:3pr0Qnbz
昼食
本来ならスネークも楽しみなはずだった
既にもらえないのがわかっているため食堂に行く気が起きなかったが
メニューの確認でもと思い付いていくことにした
「あ、スネークさん」
可愛らしい声に振り向いてみればシエスタが給仕をしている
「ああ、シエスタ。朝はすまなかった」
「いえいえ。あの位のこと…あ、そうだ、昼も来ませんか?いつもあまっちゃって大変なんです」
「いいのか?」
「ええ、もちろん」
「すまない、助かる。お礼といっては何だが…仕事を手伝わせてくれ」

給仕の仕事をしていると数多く居る貴族の中で、金色の巻き髪、フリルの付いたシャツを着たきざな貴族が目に付いた
確かにいい男なのだが、どうしてもカッコよく見えない
「おいギーシュ、今は誰と付き合ってるんだいよ?」
「付き合う?僕にそのような特定の女性は居ないのだ
 薔薇は多くの人を楽しませるために咲くものだからね」
頭がおかしいんじゃないだろうか
こんなことを素面で言える人間などまともじゃない
そんな彼のポケットから何か落ちたが気づいていないようだ
拾い上げ声をかける
「落ちたぞ、若いの」
548名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:07:02 ID:iBLtYcT0
支援
549名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:07:03 ID:iBLtYcT0
支援
550名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:07:03 ID:iBLtYcT0
支援
551蛇の使い魔:2007/11/08(木) 23:07:11 ID:3pr0Qnbz
テーブルに拾った小瓶を置いてやる。
「これは僕のではない。何を言っているんだ?」
嘘をついているのはみえみえだ
大方二股でもかけているのだろう
それをばれないようにするために嘘をついている
「そうか、ならこいつを今ここで叩き割っても文句は無いな?」
少し脅しをかけてみる。この若いのは一度くらい痛い目に遭ったほうが良さそうだ
「大切なものじゃないなら別に構わないだろう?」
「べ、別にいいとも!僕のではないからね」
手で握りつぶして割る
同時に見事な巻き毛の女の子がギーシュに平手打ちを食らわせる
「貴方の愛がどれくらいのものか良くわかったわ」
「聞いてくれモンモランシー、君は誤解して…」
「さよなら」
もう一発逆の頬に平手打ちを食らわせて帰っていった
するともう一人栗色の髪の可愛らしい少女が涙ながらにギーシュに近づいていき
「ギーシュ様のバカ!やっぱりミス・モンモランシーと付き合っていらしたのですね!」
やはり平手打ちを食らわせて走り去っていった
「これに懲りたら二股なんてかけないことだな」
仕事に戻ろうとする
「待ちたまえ。君のおかげで僕の名誉に傷が付いたぞ。どうするつもりだ?」
「どうもこうも、お前のせいだろうが」
「そうだギーシュ、お前が悪い」
周囲の生徒がはやし立てる
ギーシュの赤くはれた頬がさらに赤くなった
「…いいだろう。どっちが正しいか決闘で決めようじゃないか。ヴェストリの広場で待っているよ平民」
どういう理論だそれは?
この世界の貴族の考えが未だに理解できないスネークだった
「やれやれ、シエスタ、ヴェストリの広場はどこだ?」
答えがないので振り返ると顔面蒼白なシエスタ
「どうした?」
「あ、あなた殺されちゃいます…」
「生憎そのつもりはない」
「平民は貴族に絶対に勝てないんです」
貴族には魔法がある
この差を埋める事は不可能だとシエスタは言った
「不可能を可能に変えるまでだ」
552蛇の使い魔:2007/11/08(木) 23:08:24 ID:3pr0Qnbz
投下終了です
支援ありがとうございました
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:14:28 ID:C9x946v9
ついに決闘か、wktk
554名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:18:01 ID:yUJgm7SX
蛇の人乙でした。
諺がまともでちょっとだけ驚いた。
台詞と字の分を、改行で空白作ったほうが読みやすいかも。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:20:29 ID:yUJgm7SX
ついでに、句読点をしっかりとつけるとメリハリ付いていいと思います。
あと、>>554の『字の分』は『地の文』と変換してください。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:21:18 ID:cFHIlix0
蛇の人乙
前のをあんまし覚えてないんだがスネークの今の装備ってどんな状況だっけ?
装備によっては一発で終了だがさすがにそんなのにはしないか

>>535
荒野に獣慟哭すの独覚兵
557蛇の使い魔:2007/11/08(木) 23:22:15 ID:3pr0Qnbz
>>554
アドバイスありがとうございます
以後気をつけてみます

ちなみにコトワザについてはMGS1の無線を参照
558宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:31:03 ID:oKSreoMi
たぶんクリアだと思うけど進路確認ー。
何事も無ければ35分より投下します。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:35:19 ID:ya0NoLIT
久々にキター!!!
GOGO
560名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:35:35 ID:3pr0Qnbz
支援準備おk
561宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:35:41 ID:oKSreoMi
鶏冠に来たぜ、もう容赦は無しだ。
懺悔を済ませな、ワルド。
もう一度終わらせてやる。


宵闇の使い魔
第弐拾壱話:嵐の中の輝き


「おらぁッ!」

怒声と共に振り下ろされたデルフの刀身が、ブレスを放とうと口を大きく開けた竜の首と胴体を断ち斬った。

ワルドとの戦いのなかで低気圧としての貌を顕現させた虎蔵は、
逃走しようとするワルドとその後を追う二騎の竜騎士にあっさりと追いつき、背後から襲い掛かった。

竜騎士の一人は、追いつきざまに背後から斬りつけられ、既に大地に地面へと落ちてしまった。
そして今まさに騎竜を失い、フライで逃げようとする竜騎士には背後から蹴りを叩き込む。
骨の砕ける音ともに背中がグロテスクに陥没すると、彼もまた抵抗一つ出来ずに地面へと落ちていく。

背後からの高速接近による不意打ちはといえ、あっという間に二騎。
馬によってそうとう強化されているワルドにしても、その不利は一目瞭然であった。

「くッ――――他の竜騎士はまだかッ!」

けん制に《エア・ハンマー》を放ち、虎蔵へと竜の頭を向ける。
背中を向けて逃げるのは危険すぎると判断したようだ。
しかし今の虎蔵には風系統の魔法はほぼ意味を成していない。
せいぜい風の刃がスーツを切り裂く程度だ。
相性は最悪で、一対一では勝ち目がない。

だがその時、艦隊から飛び立った竜騎士達が近づいてきた。
待望の援軍に、流石のワルドも歓喜の声を上げる。

「やっと来たか!」
「ちッ――うじゃうじゃと来やがったな」

合流した彼らと睨み合う。
流石は名高きアルビオンの竜騎士隊である。
虎蔵の姿を見ても、明確に怯えを見せる者は居ない。

「結構な数だぜ、相棒。行けるか?」
「カカカッ! 上等ッ!」

しかし、虎蔵は二十近い竜騎士にも臆する様子を見せず、左手で印を組む。

「我、雷牙雷母の威声を以て五行六甲の兵を成す! 千邪斬断万精駆逐電威雷動便驚人!」

唱える口訣はワルドに放った物と同じだ。
だがしかし、虎蔵自身がその時とは異なる。
その威力を暗示するかのように、荒れる空で雷が鳴り響く。

「――――起風、発雷ッ!!」

虎蔵の掌から巨大な東洋竜が放電しながら放たれた。
ワルドを目掛けて放った物だったが、彼はギリギリのところで竜を急降下させて直撃を逃れる。
しかし、彼の背後にいた不幸な竜騎士は避けることが出来なかった。
その不幸な騎士を基点として放電を伴った大爆発が起きる。周囲の竜騎士すら巻き込んで。
ギリギリで回避出来ていた筈のワルドも、騎竜ごと爆風よって吹き飛ばされた。
562宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:37:04 ID:oKSreoMi
「ははッ! こりゃ凄ぇや! 相棒、突っ込め!」

デルフが上機嫌に叫ぶ。
ニィッと犬歯を剥き出しに狂気染みた笑みを浮かべ、竜騎士の群れへと突撃した。
それに対して騎士達が慌てて詠唱を始めるが、大爆発に動揺しているためか精彩を欠く。
詠唱を終える頃には虎蔵は一団の中に飛び込んでいた。

「くッ、撃つな! 味方にあたるぞ!」
「カカカッ、そんな余裕があるのか?」

右腕を振るって窮奇を発生させ、手近な竜騎士を切り刻む。
直撃を避けた竜騎士には肉薄し、デルフで止めを刺す。
竜の首を刎ね、騎士を切り裂く。
次々と空に血が舞い、虎蔵のスーツをどす黒く染めていく。
しかしその時、何かに気付いたデルフがガチャガチャと刀身を鳴らした。

「相棒、右上! ありゃ、嬢ちゃん達じゃねえか!」
「んだと? チッ、何しにきたんだ――こっちゃ、手加減なんて出来ねえってのに、よぉッ!」
「向こうも気付きやがったぜ」

周囲に睨みを利かせながら視線を向ければ、シルフィードとその背に乗る二つの小さな人影が見えた。
だが周囲の竜騎士達もそれに気付き、一騎が彼女達の元へと向かおうとする。
虎蔵はそれを追おうとするのだが、行く手を防ぐように無数の火球やブレスが飛んできた。
ギリッと歯を鳴らして右腕を振るう。
暴風を起こしてそれぞれを散らすと、残像でも見えそうな高速機動で竜騎士達を掻い潜り、
シルフィードの方へと向かった竜騎士を追いかける。
風を切り、高速で飛びながら虎蔵はデルフをその竜騎士目掛けて投げつけた。

「うおおぉぉッ!?」

よもや自分が投げられると思っていなかったデルフは盛大に悲鳴を上げるが、
狙いは過たず、竜騎士の背中に突き刺さった。
竜騎士は突然自らの胸から生えた刀身に驚くが、開いた口からは悲鳴の代わりに血が飛び出す。

「ッあ――――あ――」
「クカカカッ! 余所見はいけねぇなぁ」

絶望に震える竜騎士の耳に、即座に追いついた虎蔵の声が聞こえる。
だが、振り返ることすら出来ずに、右手の巨大な爪で頭を握りつぶされた。
怪力でそれを振り回し、慌てて追いかけてきた竜騎士達へ向けて放り投げる。

「ハハッ! やるねぇ、相棒! 最高だ、全身の錆が落ちていく感じだぜ!
 次に魔法が来たら俺を向けろ。凄ぇこと思い出したぞ!」

デルフが上機嫌に声を上げると、騎士の血に塗れながらも刀身が淡く輝いていく。
虎蔵は返事もせずに、再び竜騎士の群れの中へと飛び込んだ。
しかし、二度目ともなれば相手も対応してくる。
数騎が囮となり突っ込んでくる。
竜の爪が、騎士の魔法が襲い掛かるが、右腕から生まれる暴風に体勢を崩され、逆に一刀の元に叩き斬られる。
だが、その間に距離をとった竜騎士が次々と詠唱を終えていた。
彼らの杖先で風が渦巻き、火球が膨れ上がる。

「撃て!」
「相棒、今だ!」
563宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:38:08 ID:oKSreoMi
号令に合わせ、多方面から同時に飛来する魔法。
ワルドが行った四面攻撃以上の数だ。
しかし、虎蔵がデルフが言うように切っ先を飛んでくる無数に魔法へと向けると、
どういう事か、風が、火炎がその刀身へと吸い込まれるように消えてしまう。

「ははッ、思い出した! 思い出したぜ! 相棒、俺ぁ魔法を吸収できるらしい。」
「おいおい、随分な隠し玉じゃねえか――」
「しかたねぇだろ、なんせ六千年も前のことだかんなぁ!」
「六千か。なら仕方がねぇな」

虎蔵はニヤッと笑いながら更に飛来する竜のブレスを避わすと、魔法を吸収されて驚く竜騎士へと肉薄する。
一振りで騎士を逆袈裟に斬り裂き、返す刀で竜の首を斬り落とす。
喉元には油袋がある事をデルフから聞いているため、狙うのは首の根元だ。
地上に落ちた死骸は、なかなか無残な姿を晒していることだろう。

魔法をデルフで吸収し、ブレスは避けながら一騎一騎確実に屠っていく虎蔵。
だが、相手も見事なもので、連携によって出来る限り接近を許さないようにしてくる。

「使い魔ぁぁぁぁッ!」

そこに一際強い風が吹き付けてくる。
爆風で吹き飛ばされていた筈のワルドも舞い戻ってきたのだ。
風でダメージを受けることはないが、体勢は崩しかねない。
そこに別の火竜のブレスが飛んでくる。

「小賢しいッ――――」

ギリギリと歯を鳴らしながら、右腕を振って暴風を巻き起こし、ブレスを弾き飛ばす。
しかし。ワルドは更に詠唱を続けながら突っ込んでくる。
服は焼け焦げ、幽鬼もかくやという形相である。

「貴様ッ、だけはッ!」
「しつこいッ!」

放たれたのは《エア・スピアー》。
面で駄目ならば、一点集中でということなのだろう。
しかし、今の虎蔵にはデルフの魔法吸収まで備わっている。
威力とスピードのせいか"吸い漏らし"が発生するが、頬を浅く裂く程度にとどまる。

「なんだとッ!?」
「カカカカッ! 腕の次は首だぞ、ワルド!」

デルフが吸収能力を思い出した時には爆風で吹き飛ばされていたためか、その能力に驚愕するワルド。
その一瞬の隙を突いて虎蔵が肉薄、デルフを振り下ろした。

「ちッ――――ただの剣ではなかったか」

しかし刎ね飛ばす事が出来たのはワルドが駆る風竜の首のみ。
ワルド自身はとっさに飛び降りと《フライ》を唱え、距離をとる。
虎蔵は追撃しようとするのだが、そこには竜騎士隊の妨害が入る。

絶妙な連携をしてくる竜騎士達に、虎蔵の苛立ちはつのる一方だった。
もっとも、竜騎士が倒されるスピードはどんどんと速まっているのだ。
デルフ曰く"心の振るえ"が強まっているためか、ガンダールヴの能力で虎蔵自身の身体能力も向上しているし、
数が減る度に連携が取れなくなっているためだ。
564宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:39:20 ID:oKSreoMi
だが、低気圧としての貌を顕現させている虎蔵はちまちまとした戦闘に耐えられなかった。

「あぁぁッ! うぜぇッ! まとめて落とすぞ!」
「相棒ぉ、どうやってだよ。あの雷か? って、あ、相棒ぉぉぉぉぉッ!?」

ブチッと音デモしそうな勢いでキレると、方法を問いかけるデルフに答えることもせず、
それどころか彼を空高く思いっきり放り投げる。

「力尽くでだッ!!」

デルフの尾を引く悲鳴など一切お構いなしで、虎蔵が右腕を振り上げた。
今までのように窮奇を警戒した竜騎士の一人が声を出す。

「散開! 散開!」
「無駄だ――――宗州草薙!」

竜を失い、フライで戦闘空域から離れようとしていたワルドは、背後から感じる気配に振り返る。
そこで目撃してしまった。
虎蔵の右腕が禍々しい剣に変わるところを。
今まで手にしていた剣よりも遥かに長大で、刃は鋸状。
柄が右手と融合しているようで、其処を左手で支えている。
どんな剣で打ち合ったとしても、叩き折られてしまいそうな威圧感を感じた。
かなりの距離があるにも関わらず、だ。

虎蔵は逃げようとするワルドの方を向き、彼を目掛けるように誰もいない空間で剣を振り下ろした。
馬がどれだけ弄り回したのかは知らないが、これで終わらせるという殺気をこめて。
ワルドは逃亡も忘れ、その姿を眺めてしまった。
距離がある事に安心したのか、あるいは叩きつけられた殺気に縛られたか――それは彼自身でも分からないが。
しかし――――――

刹那、切っ先が走った空間から轟音を上げて暴風が走り――竜巻が発生した。
虎蔵の近くに居た竜騎士を巻き込みながら、ぐんぐんと巨大化していく。
ワルドの目にはコマ送りのようにゆっくりと写っていたが、それは一瞬の出来事であった。

「馬鹿な――――使い魔、貴様はいったい――」

迫り来る竜巻越しに呆然と虎蔵を見つめながらワルドが呟く。
虎蔵と関わることになった多くの者が口にする疑問である。
だが、答える者はこの場には居ない。

そしてワルドの意識は途絶えた。




「ワルド――――」

虎蔵達を迂回して艦隊へと向かうシルフィードの上から、彼らの闘いを眺めていたルイズが呟く。
あれは敵だ。頭でも心でも理解している。
それでも元婚約者が竜巻に飲み込まれる瞬間を目撃するのは、複雑なものがあった。

数多くの竜騎士が回避行動も虚しく風に巻き込まれ、竜巻の中へと消えていく。
もはや生存どころか、姿形が残っているかどうかも怪しいだろう。
そして竜巻が叩きつけられた平原には放射状に爪痕が残されている。
美しかった草原の一部が抉れ、荒地と化していた。
艦隊から降下していた陸戦部隊の一部も巻き込まれているようだ。
565宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:41:32 ID:oKSreoMi
暴威。
その一言に尽きた。
今更ながら、自らの呼び出した使い魔の特異性を思い知らされる。
タバサもまた衝撃を受けているようだが、ルイズとは異なり何かを考え込んでいる様子だ。

だが、その間にも虎蔵は残り少ない竜騎士達を次々と屠り、
とうとう二十騎近いアルビオン竜騎士を全滅させてしまった。

「これで一安心なのね! きゅい! あっちに行くのね!」

それを見たシルフィードは、タバサに確認を取ることもなく虎蔵の方へと針路を変える。
艦隊へ向かうにもその方が早いので、タバサも咎めることはせずに、姿が変わったままの虎蔵を見つめていた。

虎蔵の近くにつくと、彼は変身らしき物を解除してシルフィードの背に飛び乗ってきた。
普段は眼帯に隠れている右目は、ぼさぼさに乱れた前髪に隠されてしまい、
どうなっているのかは窺い知れないが。
右腕は何時も通り、人間の物に。
翼も消えている。

「――――あの姿は?」
「あー、本気モード? 上手く説明できるもんじゃねーんだが――ま、疲れるし今日は打ち止めだ。
 加減も出来ねえしなぁ」

デルフの峰でぽんぽんと肩を叩く虎蔵。
その姿からは、一撃で眼下に広がる平原――荒地の惨状を作り出したとは思えない。
"疲れる"という理由も、虎蔵の今までの言動からすればもっともらしい。
真実はもう少し別のところにあるのだが、虎蔵はそれを口に出すつもりは無かった。
面倒だから。

「んで、こんな所まで何しにきたんだ?」

アルビオン艦隊は、目と鼻の先とまでは言わないが、すぐ近くだ。
竜騎士が更に出て来る事になれば一瞬にして戦闘空域になるだろう。
いまだに暴風に晒されているフネで満足な砲撃が出来るとも思えないが、
対空砲撃にさらされる危険性もゼロとは言えないのだ。
タバサはそれを十分承知のようで、ほんの少し困った様子を見せてルイズに視線を向けた。

「アルビオン艦隊を落とすわ」
「あ?」
「これに書いてある《虚無》の魔法――――これなら出来る気がするの」

そう言って差し出してきたのは《始祖の祈祷書》。
虎蔵から見れば白紙の本だ。
タバサに助けを求める視線を向ける。

「――――試す価値は」
「ある、と」

こくりと頷く。
ルイズがそれに続けて喋る。
その目は真剣そのものだ。

"フーケ"のゴーレムと対峙した時や、アンリエッタからの頼みを受けた時だって真剣ではあった。
この少女は、ルイズは何時だって真剣に何かをなそうとしてきた。
だが、今はそれとはまた異なる意思以上の物を感じる。

恐らくそれは――――自信。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:41:38 ID:N/okkQJI
支援
567宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:42:39 ID:oKSreoMi
「トラゾウ、貴方のさっきの――魔法なのか何なのかは分からないけど、あれでも落とせるとは思うわ」
「まぁ、なんとかなる――――かな」
「でも、それだと沢山の人が死ぬ」

別に太陽が出て眩しい訳でもないが、自然と掌を翳して艦隊を見る虎蔵。
しかし、続けられたルイズの言葉に呆れた様子で彼女へと視線を戻した。

「今更じゃねえか?」
「今更でも、よ。私はトリステインを守りたいだけ。敵を滅ぼしたい訳じゃないわ。
 臆病だと思ってくれても良い。でも、今は私に従って。トラゾウ」
「うーむ。まぁ、別に構いやしないがね。《虚無》の魔法とやらは、不殺の上で艦隊を落せると?」
「えぇ。きっと。きっと出来るわ」

頷くルイズ。
その様子に虎蔵は肩をすくめる。

「なるほど。じゃあ、良いんじゃね? そもそも、止める理由も無いしな」

馬が関わったのはワルドだけであるようだから、彼を倒した今、積極的に動く理由は虎蔵には無い。

「気の抜ける返事ね――――じゃあ、やるわ。支えてて。タバサ、もっと近づいて」
「――わかった」
「ありがとう。さぁ――――使い魔だけに良い格好なんてさせないんだから」

相変わらずの様子の虎蔵に、ルイズは少しだけ肩の力を抜いて笑みを見せと、杖を取りす。
未だに強い風に飛ばされないように、虎蔵の腕が主の小さな身体をしっかりと支えた。

「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ」

古代のルーンが、リズミカルにルイズの口から流れ始める。
耳朶を打つ強い風の音にも負けない、朗々とした声で。

ルイズは感じていた。
自らの内に脈打つ、熱い何かを。
心音とは違う、もっと熱い鼓動だ。
《ゼロ》と蔑まれていた自分の、本当姿がそこにあると信じて手を伸ばす。

恐怖は無い。
虎蔵の力強い腕に支えられているのを感じる。
これほどの使い魔を呼んだのだ。
それだけの実力が、自らにはある。
ルイズは確信していた。

「オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド」

詠唱は続く。
長い。
虎蔵は系統魔法について殆ど何も知らないが、今まで聞いたタバサ達の詠唱と比較すると相当な長さだ。
実戦に向いているとは思えない。

「娘っ子、左だ! 散弾が来るッ!」
「きゅぃ!」

デルフの警告に、シルフィードが甲高くひと鳴きして急降下する。
あまりの急制動に詠唱に集中しているルイズは吹き飛びそうになるが、虎蔵が何とか押さえ込んだ。
しかし、それでもルイズは詠唱を続けている。
それほど本気ということなのだろう。
568名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:42:45 ID:iBLtYcT0
支援
569名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:42:45 ID:iBLtYcT0
支援
570名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:44:17 ID:iBLtYcT0
支援
571宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:44:18 ID:oKSreoMi
追撃の弾はまだこない。
虎蔵が元の姿に戻ったせいか、低気圧による暴風は少しずつ落ち着いてきている。
とはいえ、連続で砲撃できるほどの余裕は持てないようだ。

しかし、長く留まれば危険には変わりない。

「上だ。フネの上には弾を撃てねぇ」
「わかった」

タバサが頷くと、シルフィードが再度きゅぃ!と鳴き声をあげて、今度は急上昇する。
見事な加速でぐんぐんと上昇し、一気に艦隊の上をとった。
竜騎士が打ち止めならば、甲板から魔法を打たれる危険性は残るものの比較的安全な位置だ。

「ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル――――」

詠唱を終えるころには、ルイズはその呪文の特性を理解していた。
この《虚無》は艦隊全てを巻き込む。
伊達に伝説と謳われてはいない。
単純な破壊力では確実に虎蔵を上回る。
多くの人が死ぬだろう。

――けれど、殺す必要なんて、きっと、ない――――

ルイズはその双眸に艦隊中央に陣取る巨艦、レキシントンを捉える。
殺す必要は無い。
破壊するべきものは――――

宙の一点を目掛け、杖を振り降ろした。
吹き荒れる暴風の中、《虚無》が発動する。

レキシントンの真上に光球が生まれる。
みるみるうちに膨れ上がっては、艦隊の全てを飲み込んでいく。
それはまるで、産声を上げる太陽のようであった。



「全軍ッ、突撃ッ!」

アンリエッタが水晶の光る杖を振り下ろすと、盛大な雄叫びと共に王軍がタルブ平原へと進軍を開始した。
悪夢の如き空と、竜騎士隊を屠った翼人の存在。
更には謎の光球によって艦隊は炎上し、全てのフネがゆっくりと墜落していった。
もはや降下しているアルビオン軍――レコンキスタの陸戦部隊にも、まともに戦う力は残っていないだろう。
斥候からの報告によれば、翼人が放ったと思われる竜巻に部隊の一部が巻き込まれたという。
彼らは士気だけでなく戦闘能力の一部も失っているのだ。

「――――奇跡に奇跡が重なった、といった所ですな」
「えぇ。何もかも、謎だらけですが――勝ちは勝ちです」
「損害を考えれば敗北に等しい勝利ですが――その通りですな」

マザリーニの言葉にアンリエッタが頷く。
とはいえ、二人とも表情は明るいとは言えない。
王室が常備していた空軍は全滅しているのだから。

「あの翼人と竜についての調査は速やかに。ただし、結果は密に、私にだけ報告させてください」
「かしこまりました――――何か心当たりでも?」
「えぇ――少し。良い予感なのか、悪い予感なのかははっきりしませんが」

突撃する王軍の姿を眺めながら、アンリエッタはそっと目を閉じた。
572宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:45:30 ID:oKSreoMi
――ルイズ。まさか貴女なのですか?――

双眼鏡越しに見た光景を思い出す。
大荒れの空のなか竜騎士隊を絶滅させた翼人の服装に見覚えがあった。
謎の光が現れる直前に艦隊上空に現れた竜に見覚えがあった。
その背中に小さな人影が二つあった。

勘違いならば良い。
双眼鏡を使ったとは言え、結構な距離だ。
見間違える可能性はあるし、竜を個別に見分けられるほど詳しくも無い。
しかし、何故だろうか。
アンリエッタの胸には、確信にも似た感情が芽生えていた。

そして考える。
あの翼人がトラゾウと名乗ったルイズの使い魔で、あの光を放ったのがルイズであったとしたら。
その力のために、友人を――――たった一人の友人を"使う"のだろうか、と。
アンリエッタの悩みはつきそうになかった。




「ルイズ!」
「きゃっ!ちょ、ちょっとキュルケ。離れなさいよッ!」

シルフィードの背に乗りタルブ村へと戻ってきたルイズ達は大勢の人間に迎えられていた。
キュルケとマチルダだけではない。
シエスタや、避難していた筈の村人達まで戻ってきている。
ルイズが虎蔵によってシルフィードの背中から下ろされると、いの一番にキュルケが抱きついてくる。

「凄いじゃない! 貴女、もうゼロなんかじゃないわ!」
「わ、分かったから離れて!」

いつもは何だかんだとからかって来るキュルケに手放しで褒められ、
ルイズは妙な気分になりながらも彼女を押し返す。
だが、キュルケは何か変なスイッチでも入っているのか、聞く耳持たずに抱きついてくる。
ともすればキスでもされてしまいそうな勢いだ。
それだけは防ぎたい。
助けを求めて虎蔵へと視線を向けるが、彼の元にはマチルダとタバサがおり、気付いてはくれそうにない。
《虚無》を使った反動でくたくたの身体に鞭打ってでも、自力で唇を守らなければならないようだ。


573名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:46:15 ID:N/okkQJI
支援
574名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/08(木) 23:46:18 ID:iBLtYcT0
支援
575名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:46:29 ID:IyHdLqa8
支援!

576宵闇の使い魔:2007/11/08(木) 23:47:00 ID:oKSreoMi
「ご苦労さん。二人とも」
「まったくだ。風呂でも入ってひっくり返りてーわ」

ぎゃーぎゃーと騒いでいるルイズとキュルケを尻目に、マチルダが虎蔵とタバサの元へと歩み寄った。
虎蔵は肩をすくめて答えると、デルフを地面に突き刺して両手でゆっくりと伸びをした。
まるで日曜大工でも終わらせたかのような物言いにマチルダは笑みを見せる。
タバサもたいしたことは無いとでも言うように、首を振った。

「――あの姿は――――」
「まぁ、後で良いじゃないか。そいつはさ。ま、後で説明はしてもらうけどね?」

そして、当たり前といえば当たり前の事を突っ込んでくるのだが、それはマチルダに遮られた。
彼女はタバサの肩をぽんぽんと叩くと、虎蔵にもしっかりと釘を刺しつつ笑う。
マチルダにしてみれば、親の敵の敵をルイズが討つという複雑な状況ではあったが、
何故か、妙に嬉しく感じている自分を見出していた。

――もうこいつらに肩入れしちゃってんのかね――

そう心中で呟くと、苦笑しながら肩をすくめる。
当のルイズは、村人たちに温かく見守られながらまだキュルケと騒いでいる。
虎蔵はポケットから葉巻を取り出して銜えてしまった。完全にリラックスモードだ。
とりあえず今は、自分がまとめるしかないらしい。
名前を偽っている割には、ずいぶんと保護者役が板についてしまった気もする。

「ほらほら、そこまで。
 長居してるとトリステインの軍が来るよ。鉢合わせすると、ちょいと面倒になるんじゃないかい?」

マチルダの言葉にハッとして、ルイズとキュルケが目を合わせる。
確かにその通りだ。
大慌てで村人達に別れを告げる。
シエスタは村の建て直しを手伝ってから学院に戻ってくるらしい。
全員でシルフィードの背に乗ると、タバサの合図でようやく青を取り戻した空へと舞い上がる。

「さあ、帰りましょう。私たちの学院へ!」
「きゅい!!」

ルイズの声に、シルフィードの鳴き声が重なった。

-----------------------------
以上、第弐拾壱話でした。
またしても超遅筆。一日が1.5倍あったら良いのに。orz
次回から、実質四巻分に突入します。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:49:48 ID:za4N8HPF
かっけぇ・・・GJ!!
578Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/08(木) 23:52:42 ID:N/okkQJI
投下乙でした。
投下予約します。10分後ぐらいに
579名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:55:00 ID:grm7gdSj
連投回避
580名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:56:25 ID:xEsYjLSL
これだな!やっぱ虎の字はこうじゃないとな!!
今の時点からアルビオンの七万が可哀想に思えてくる…GJ!!
581名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:56:42 ID:VgKTxzE7
確認しておきたいんだが、このスレには『休載』はあっても『打ち切り』はない。

そういうことで宜しいな?
582名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:57:03 ID:IyHdLqa8
トラの人GJ!
久しぶりでうれしいぜ。
そしてアンジェの人も支援するよ!
583名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:57:16 ID:QdUQGB1b
すいません、短いのが書けたので先に投下してもいいですか?
584名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:58:38 ID:psQC1nlU
先約を優先すべきだろ
585名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/08(木) 23:58:58 ID:QdUQGB1b
わかりました。んじゃ明日にでも。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:01:00 ID:M1SJc4X4
宵闇の人低気圧モード大暴れGJ!
投稿速度はそちらのペースでゆったりやればいいと思うよ
こっちもゆったり待つし
587Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:03:16 ID:L3IM91Eg
夜も深け舞踏会もそろそろお開きになろうかとしていたとき、ルイズは一足先に会場を抜け出していた。

部屋に戻る途中に一人のメイドとすれ違う。

「あれ? シエスタ?」

声をかけられたシエスタは足早にその場を去ろうとした。

「ちょっと! まちなさいよ!」

ルイズはその場から立ち去ろうとするシエスタの手を掴み引き止める。手を掴まれてしまい、慌ててしまう。

怖い、怖いのだ。だってこの人はあの――の主人。この人の傍にはアレがいつもいるから……
シエスタは顔を強張らせ辺りを見回す。

「な、何よ。何か言いたいことがあるのなら言いなさいよね」

そんなシエスタにルイズは苛立ちを感じ、声を荒げた。
だがシエスタはそれには答えず、何かがいないのを確認した。

よかった。周りには誰もいない、一人のようですね。

「あの…はいないみたいですね」

シエスタは小さな声で呟いた。だがルイズの耳はそれを聞き逃さない。

「え? 何、聞こえない」

ルイズはすぐに聞き返す。シエスタは少し驚いたような顔をした。

しまった。思わず口に出てしまったみたいです。どうしようか。話をはぐらかそうか、それとも思い切って言ってしまおうか。
忘れられない……あの子が私に笑いかけてくれたあの笑顔。
忘れたい……私を殺そうとしたあの子の血まみれの笑顔。
ああ、ミス・ヴァリエールが睨んでくる。この方はこの苦しみなんて知らないのでしょうね。あの子の主人なのに…。
シエスタは恐る恐る口を開き、言葉を紡ぐ。

「あ、あの…ば、化け物は…い、いないみたいですねと言ったのです」

言ってしまった。もう後戻りはできない。

「今何ていったの。化け物? デルフリンガー…あの喋る剣のことではないわよね?」 

ルイズは化け物が誰を指すのかある程度は予想できた。だが認めたくはないのだ。アンジェリカと仲の良かったシエスタの口からそんな言葉が出てくるなんて……。

「いえ……違い…ます」

顔を俯かせながらか細い声でそうではないと言うシエスタ。
588名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:05:09 ID:csFGBwAf
のっけからおっかない支援
589名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:05:11 ID:AvSursEB
紫煙
590名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/09(金) 00:05:45 ID:9FcUDF4j
支援
591名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/11/09(金) 00:05:46 ID:9FcUDF4j
支援
592Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:06:28 ID:L3IM91Eg
「まさかアンジェだって言うの?」

心の奥底でシエスタに首を左右に振って欲しいと願うルイズ。だがシエスタはコクンと頷きルイズの言葉を肯定する。
ああ、やっぱり。ルイズはこの返答を予測していたが到底認められるものではない。

「あ、アンジェが化け物ですって?」

顔を真っ赤にしてルイズはシエスタに詰め寄る。

違うの! 私が言いたいのはそんなことじゃない!

化け物なんて…ほんの少しでもそう思ってしまった自分を恥じるシエスタ。だがもう遅い。彼女の瞳には手を振りかぶるルイズの姿が映った。
それを目にした彼女の顔が見る見るうちに恐怖に染まっていく。そう、まるでいつかの光景を思い出すかのように……。

「あ、いや」

今のシエスタにとって相手が誰であるかは関係がなかった。ただ恐怖に身を震わせ、言葉もまともに発せない。
だがルイズは熱くなっていた。感情に身を任せ、急に泣き出したシエスタを気に留めることなく振りかぶった手をシエスタの頬に打ちつける。
頬を打たれたシエスタは悲鳴と共にその場に倒れこむ。

「あんたに…あんたに何がわかるのよ!」

顔を真っ赤にしたルイズは床に倒れこんだシエスタに怒鳴りつける。

我を忘れたシエスタだったがルイズに頬を打たれ直ぐに正気を取り戻した。

この人は何を言っているのでしょうか。あの子の何を知っているというのですか。
もう止められない。悪いのは、何も知らないこの人だ
シエスタの中で沸々と怒りが込み上げてくる。

「あなたこそ何がわかるというのですか!」

身に受けた恐怖と貴族に楯突くという二つの恐怖を押さえ込み、有らんばかりの勇気を振り絞ってルイズに言い返したシエスタ。

「あの子が…アレが何をしたのかご存知なのでしょう?」

あなただって何も解らないくせに! 何も知らないくせに!

「知っていますか。知っていますよね? 私を殺そうとしたことも!」

あの現場にいなかったくせに! 自分は何もしていないくせに! いつも威張っているだけの貴族だけの癖に!
もはやシエスタの心には恐怖心しか残っていなかった。アンジェリカやルイズと共に過ごした短いながらも楽しい日々の記憶はその恐怖心に打ち勝つことなどできなかった。
シエスタは恐怖に負けまいと、己の心の平穏の為にはアンジェリカから離れる、いやルイズと決別するという選択肢しか選ぶことができなかったのだ。

「何よ。何言ってるのよ」

シエスタの言葉にルイズの頭は一気に冷え込む。知りたくもない、忘れたいモット伯の屋敷での惨劇での事実。全てはなかったことに……そして事件前の、あの楽しい生活に戻りたいルイズにとってそれは認められないことだった。

「知らない、そんなの知らない! アンジェは何もしてないもん! 全部嘘よ。そう嘘ね! 嘘ばっかりついて…許さない!」

ルイズは真実から目を逸らす。そう、シエスタの言葉は到底受け入れられない。受け入れられないのならどうすればいいのか。捻じ曲げればいい。
己の都合のいいように強引に解釈しようとするルイズ。シエスタは嘘をついていると……。
再び我を忘れたルイズは目に留まった花瓶を両手で掴むと、シエスタに投げつけようと頭の上に持ち上げた。
593Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:09:16 ID:L3IM91Eg
「ルイズ! 何してるのよ!」

騒ぎを聞きつけたキュルケがルイズを止めようと割って入る。
キュルケに止められ、シエスタにぶつけようとした花瓶は幸いにも誰にも当たることなく床にぶつかり砕け散った。

「うるさい! キュルケには関係ないでしょ!」

キュルケに後ろから抱きしめられじたばたとルイズは暴れる。

「馬鹿! 落ち着きなさいよ」

キュルケはルイズをなだめようとするがルイズは喚き暴れる。仕方なく彼女の目の前にいるシエスタに話しかけた。

「ちょっとそこのあなた。早く行きなさい」

シエスタはその場で固まって動けないでいた。

「早く!」

キュルケが大きな声を出すとようやくシエスタは起き上がり、小走りにその場を去っていく。
それを見届けキュルケが力を緩めるとルイズはようやくキュルケの腕の中から逃れたのだ。

「ルイズ、あなた正気? 自分が何をしていたのかわかって?」

ルイズに怒るのではなく、まるで諭すように話しかけるキュルケ。ルイズはムスッとした表情のまま答える。

「だって…だってシエスタがアンジェのこと悪く言うんだもん」

ルイズの答えにキュルケは呆れ果てる。

「ねぇルイズ。最近あなたアンジェちゃんが絡むとおかしいわよ」
「おかしくないもん! キュルケだってアンジェによくかまうじゃない」

キュルケは首を左右に振りルイズに語りかける。

「確かにアンジェちゃんは可愛いけどね。あのメイドの子は何をいったの?」
「知らない。あいつアンジェが化け物とか言うんだもん」

ルイズは頬を少し膨らませて答える。まるで子供のように……。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:11:45 ID:csFGBwAf
喫煙
595Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:12:18 ID:L3IM91Eg
「化け物…ねぇ。あたしもあの子のことが少し気味が悪いと思うことだってときどきあるけど…」

キュルケの言葉を聞きルイズは愕然とする。まさかシエスタに続きキュルケまでもが……。

「ルイズ? 勘違いしないでよね。だからと言って別にあの子が嫌いというわけじゃ…」
「うるさい! もう放っておいてよ…」

ルイズはキュルケの手を振り払い自室に戻ろうとする。今頃部屋で横になっているであろうアンジェリカの顔を見るために。

「ちょっとルイズ!」

ルイズの背中に声をかけるも振り向くことはない。

「聞きなさいよ! ねえ! あなたにとってあの子は何なの! 使い魔? それとも…」

ルイズは懸命にキュルケの声が聞こえない振りをした。
自室に戻り部屋の扉を閉める。キュルケは扉越しにまだ何かを言っていた。両手で耳をふさぎ聞こえないように努力する。

「聞こえない。何も聞きたくない!」

ベットにはアンジェリカが寝ている。舞踏会に行く前にベットに寝かせてから変わった様子はない。

「アンジェは…私の大切な…大切な……」

ルイズは自分に言い聞かせるように呟きベッドに倒れこむ。
意識のないアンジェリカをギュッと抱きしめそっと耳元で囁く。

「アンジェ、ずっと…ずっと一緒にいようね?」

596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:12:21 ID:AvSursEB
しえん
597Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:14:01 ID:L3IM91Eg
Zero ed una bambola   ゼロと人形



「ルイズ! ルイズ! 最後まで聞きなさい」

キュルケは部屋に篭ったルイズにしばらく扉越しに声をかけていたが、全く反応がない。

「何よ! 子供みたいにはぶてちゃて…」

声をかけるのを止め、部屋に戻ろうとしたキュルケだったが、何処からかすすり泣く声が聞こえる。

「空耳…ではなさそうね」

どうやら声は近くから聞こえるではないか。どうしたものかと悩むよりに先に体が動いてしまう。

「我ながら損な性格よねー」

つまりキュルケは困っている人間を見ると基本的に放って置けないお人好しなのだ。
声の発生源は意外と近く、廊下を曲がった先から聞こえてきた。

「あら?」

泣いていたのは先ほどルイズに暴行を受けていたあのメイドだった。

「ちょっと、大丈夫?」

全くルイズったら……あの子の尻拭いも楽じゃないわ。
キュルケはメソメソ泣いているメイドの顔をこちらに向ける。

「頬っぺたが真っ赤になってるわね。少し待ってなさい。氷を持ってくるわ」

手ひどくやったものね。これでは泣いてしまうのも当然だ。
キュルケ自身は彼女が微熱と名乗ることからわかるように魔法で氷など作ることはできない。作れるとしたら友人のタバサだ。

「タバサ!ちょうどいいところに」

運良くタバサは直ぐに見つけられた。

「何?」
「ちょっと氷がいるのよ。魔法で作ってくれない?」

特に理由は説明せずにタバサに頼み込むキュルケ。タバサはコクンと頷き杖を構える。

「どのくらい」
「ほんの少しでいいわ」

杖を振るい氷を作り出すとキュルケの手のひらに載せる。

「ありがとうタバサ」

キュルケはお礼代わりに軽くタバサを抱きしめる。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:15:39 ID:znGVjqPS
トラゾウに乙を言いつつヤンデレ気味なルイズ支援だ
599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:15:43 ID:AvSursEB
シエスタ大丈夫か?支援
600Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:15:49 ID:L3IM91Eg
「別にいい」

抱きつくキュルケを引き離しながら無愛想に答える。
キュルケはタバサと別れ、頬を赤くしたメイドの下へ戻った。


「ほら、これで冷やしてなさい」

キュルケはハンカチに包んだ氷をメイドの頬に優しく宛がう。

「申し訳ありません。ミス・ツェルプストー」

氷を受け取ったメイドはキュルケに頭を下げる。

「いいのよ。ところであなた、名前は何というのかしら?」

名前を聞かないと呼び辛いとばかりに尋ねた。

「あ、すみません。シエスタと申します」

シエスタの名を聞いたキュルケはあることを思い出した。

「そういえば…あなたよくアンジェちゃんと一緒にいなかったかしら?」

最近一緒にいる姿を見ないと、そう聞いてみようとしたキュルケだったが目の前ではポロポロとシエスタが涙をこぼし始めたではないか。

「え!? 何? どうしたの?」

突然泣き出したシエスタにキュルケはオロオロとしてしまう。

「わ、私酷いこと言っちゃたんです。アンジェリカちゃんのこと…化け物だって、ミス・ヴァリエールに…」

シエスタはルイズに殴られた痛みで泣いていたのではない。自らの失言を後悔して泣いていたのだ。

「何が…何があったの? 教えてもらえないかしら…」

あの夜何が起こったのか……その全容を知ることになったキュルケは……。



Episodio 27


Dividendo, ogni pensiero
決別、それぞれの想い
601名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:16:32 ID:csFGBwAf
ここからしゃべるのか……
支援
602Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:18:55 ID:L3IM91Eg
Intermissione



「何か勘違いしておらんかのう?」

ロングビルの反応にコルベールは少し慌てるものの、オスマンは余裕を持って彼女の誤解を解こうとする。

「わしらは君を処罰するつもりはないんじゃが…」

オスマンの言葉を聞いたロングビルは唖然とする。まさか自分の正体を知っていながら処罰しないなどありえない。一体何を考えているのか。

「理解できないといった顔じゃな。まぁ逆の立場じゃったらわしも理解できんしのう」

呆然としていたロングビルはゆっくりと口を動かす。

「な、何が目的なの?」

当然の疑問だ。土くれのフーケと知りながら何もしないなんてありえない。

「まさか!?」

思わず声を出してしまう。そう彼女には思い当たる節があるのだ。オスマンの目的、それは……。

「ど、どうしたんじゃ?」

オスマンが声をかけるもロングビルは覚悟を決めようと目を瞑る。
一時の恥辱など命と引き換えならば耐えられる、いや耐えなければならないのだ。生きてティファニアに会うために。

「ミス・ロングビル?」

どこか思いつめた表情を見せるロングビルにコルベールは思わず声をかける。

「どうぞ、お好きになさって下さい」

覚悟を決め、言葉を吐き出す。

「ミス・ロングビル。何を…」

言葉を返すコルベールにロングビルは唇をグッと噛む。

「わたくしの身体が目的なのでしょう? 日頃の言動から用意に想像できますわ。命に…命には代えられませんもの」

コルベールはオスマンを睨み、オスマンは慌ててロングビルに弁明する。

「ミス・ロングビル! 何もしない、何もしないからのう! コルネール君、そんな目でわしを見ないで!」

コルベールは呆れて溜息をつく。

「コルベールです、オールド・オスマン。それと、彼女にちゃんと説明しなければいけませんね」
603名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:20:25 ID:csFGBwAf
ちょwwwwマチルダさん勘違いっすかwww
604Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/11/09(金) 00:20:39 ID:L3IM91Eg
投下完了です。

支援に感謝します。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:22:17 ID:znGVjqPS
オスマンは勘違いされても仕方ないな!
GJ!
606名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:24:13 ID:Alb4d68I
日ごろの行いって大事っすね…
607名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:25:33 ID:IkwJqrsy
倍プッシュだ……
608名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:32:29 ID:Un1NDojy
GJ!
段々と終わりに近付いてるのが感じられるなぁ……。

マチルダさんの身体で無罪放免する人挙手ー。
俺は心も貰うがな。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:34:04 ID:AazZC+6+
>>506
M24が中隊に入ったとき研修を兼ねて撃たして貰った事あるんだが、たいして見い出ししなくても
500mのF的5点圏に結構命中するんだわ。あの感じだと上手い人が撃つと700mぐらいは軽いんじゃない。

>>513
…今年で普通科全部に一応89が行き渡るはずだから辛抱。

>>527
フイタwww人間じゃねぇwww
こんなもん召還して言う事聞いてくれんのかよ?
多分、このスレで召還された使い魔の内最も使い勝手の悪い使い魔だろ。
610名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:38:40 ID:F/YmAvGG
>>576
むふぅ…心地よいものを読ませて頂いた。GJ!

>>604
潔いフーケにワロタ
今後事あるごとに涙目でこれを持ち出せば武器になるw
611名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:42:30 ID:L6epbVuB
今現在、予約はある?
612名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:45:22 ID:csFGBwAf
か も ん
613名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:46:05 ID:Alb4d68I
>>611
短い話を書いたという>>583が居たはず
614名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:48:56 ID:5l/g3MY9
寝るっつってたからどうだろ?
1時あたりまで待って反応なかったらとかか?
615名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:49:15 ID:AvSursEB
583は翌朝にするとか言ってたような。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:51:02 ID:NJXTIKJ4
>>609

>>こんなもん召還して言う事聞いてくれんのかよ?

スイス銀行にお金を振り込んでくれたなら大丈夫( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
617名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:51:06 ID:AvSursEB
コメント見直したら、翌朝でなく明日にでもだった。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:51:55 ID:csFGBwAf
>>616
「有罪」(ギルティ)

ズキューン!

短編カモンだぜ。
619名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 00:54:08 ID:L6epbVuB
了解、俺も翌朝にでも推敲して出直しますわ
620名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 01:28:19 ID:dH6oXoof
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%82%AF
まぁ、対物ライフルを使えば
>2002年にアフガニスタンでカナダ軍のロブ・ファーロング兵長によって破られる
>(マクミランTAC-50長距離狙撃ライフルによって、2430mの距離からタリバーン兵を狙撃に成功した)
621名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 01:30:10 ID:O5CNf58W
ミリオタキタ――――――――――――――(°∀°)
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 01:44:16 ID:VczabZJy
軍事、兵器の類の話は聞いてると幸せになれるから嫌いじゃないね私は(憶えてられないので知識にはならんのだけど)
投下待ちの間ぐらいいいんでないかい?
623名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 01:47:12 ID:Ibm9Vbvz
ミリオタって言うか本職の軍人さんらしいよ
624名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 01:47:39 ID:csFGBwAf
自重しようか。>>622がよく思おうが
スレ違いすぎる。クロスに絡んでるわけでもないのに場違いな話を延々としちゃ駄目でしょ。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 01:49:00 ID:Ibm9Vbvz
戦闘シーンはだめだってさ
626622:2007/11/09(金) 01:49:38 ID:VczabZJy
>624
たしかに、イヤ申し訳ない。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 02:00:05 ID:KLH3gSpO
>>581
「連載は終わらないッ! 書こうとする意志が絶えない限りッ!」
628名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 02:01:58 ID:znGVjqPS
光戦隊マスクマンの長官…あれってレビテーションかな
629エンジェリック・ゼロの中の人:2007/11/09(金) 02:12:57 ID:OcqQ77Ny
2:15頃に投下予約です。
何日か前に書いたエンジェルダビィの続編です。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 02:14:37 ID:qGkrkiIX
「う、うまい。魔法学院のメシ」
BLAM!
「ヒィッ!」
「ナカムラァ!あんたってばどうしてそう卑しいの!」

「チクショウ…。いつか○してやる…」
631エンジェルタビィ 傑作選 1/6:2007/11/09(金) 02:17:13 ID:OcqQ77Ny
「今だっ! タバ・・・じゃなかった、タビィ! トドメを刺せっ!」

フーケのゴーレムから次々と繰り出される攻撃をデルフリンガーで捌きながら、サイトは後方に居る
タビィに合図を送ります。

「任せて」

タビィはバトンを構えて、必殺技の詠唱を始めました。

「必殺! パ○リックイリュージョンアタック!」

模擬戦で鍛えられたスペシャルな何かがゴレームに2000回ヒットします。
頭と両腕を破壊されたゴーレムはその場で仰向けに倒れ込みました。

「とぉぉっても、コォォ○サワァァァァ!」

フーケは必殺技の衝撃で意味不明な叫びを上げながら、遠いお空の彼方へと消えて行きました。

「天罰」
「やったな、タビィ」
「うん」

今日は午後の授業はお休みです。使い魔との親睦を深める為の自由時間に充てられているからです。
本来ならこの二人もそれぞれの使い魔や主人と一緒に居るべきなのですが、タバサちゃんの使い魔
サーリアと、サイトの主人であるルイズは昼食で出されたスープを飲んだ途端、急にお腹の痛みを訴
えて寝込んでしまったので親睦を深めるどころではありません。
特にする事も無いので二人で買い物がてら、王都トリスタニアにやって来たのです。
そこで、街の中でゴーレムを使って暴れている『ダイナマイト・フーケ』の姿を発見します。
フーケが操っているゴーレムは妙に細い体躯をしています。高速で飛行するので苦戦しましたが、何
とか倒せました。

(タビィの力って凄いよなぁ。でも、何か足りないんだよなぁ)

タビィの能力を認めながらも、サイトはそんな考えを抱いていました。



まじかるメイジ☆エンジェルタビィ 第183.5話「やっぱり魔法少女には変身ポーズが無くちゃね☆」

※ヴィントヴス用ゲームソフト「まじかるメイジ☆エンジェルタビィ 愛憎版」初回限定版に同梱の
ドラマCDより抜粋。
632エンジェルタビィ 傑作選 2/6:2007/11/09(金) 02:19:11 ID:OcqQ77Ny
翌日。
学院の教師コルベールは急ぎ足で学院長室へ向かっていました。
1ヶ月前の『破壊の杖』盗難事件で負傷し、意識不明の状態で入院していたオスマンが昨日退院した
と聞いたので挨拶をする為にです。
昨日の内に行けなかったのは、自身の研究に没頭していて忘れていたからです。他の教師達は既に挨
拶を済ませていると聞きます。
生徒の見本となるべき自分がこの様な失態を犯すとはなんと情けない。そう自分を戒めつつ、学院長
室に辿り着いた彼は扉を軽くノックします。
すると、扉の向こうから返事がしたので中に入ります。目に涙を浮かべたオスマンが居ました。

「おお。コルベール君か」
「退院おめでとうございます。オールド・オスマン」
「うん。ありがとう……グスッ」
「どうなさったのですか? もしや、お体の調子がまだ優れないのでは…」
「ううん。違うの。調子は良いんじゃが、寂しくてしょうがないんじゃ……グスッ」
「何かお悩みであれば、このコルベールが力になりますぞ」

コルベールは自信たっぷりに言いました。

「ありがとう。じゃが悩み事では無い。ただ寂しいだけじゃ。だってこの部屋、わし一人しか居ない
んだもん」

コルベールはずっこけました。どうやら秘書だったロングビルが居なくなり、一人きりになってしま
ったのが寂しかっただけの様です。

「偵察に出したモートソグニルも帰って来んし……わし、一人ぼっち……グスッ」
「げ、元気を出して下さい。秘書ならまた雇えばいいではありませんか」
「そうじゃな……うん。わし、もう泣かない」

(これでは、先が思いやられるなぁ)

健気に涙を拭うオスマンを見て、コルベールは溜め息をつきました。
ちなみにモートソグニルとはオスマンの使い魔で、白いハツカネズミの名前です。
633エンジェルタビィ 傑作選 3/6:2007/11/09(金) 02:22:17 ID:OcqQ77Ny
「なあ、サーリア。それ、どうしたんだ?」

厨房での皿洗いの手伝いを終え、休憩をとっていたサイトは隣で白いネズミを弄んでいる少女に声を
掛けました。

「これですかぁ? さっきからサーリアの周りをウロチョロしてたんですけど、美味しそうなので捕
まえちゃいましたぁ〜☆」

ネズミはサーリアの手の中で必死にもがき苦しんでいます。

「放してやれよ」
「駄目ですかぁ〜?」
「まあ、可哀想だしな。それに、年頃の若い女の子がネズミなんか弄ってたらマズいだろ?」

今のサーリアは人間の姿をしています。頭にネコの耳がついている以外、若い女の子の姿そのものです。
サーリアがネコの姿の時はタバサちゃんとしかお話が出来ませんが、人間の姿になれば誰とでも普通
にお話が出来るのです。
ネコの耳がついている人間なんて怪しまれそうですが、サイトが元居た世界のとある場所ならともか
く、ここは火を吐く大トカゲや、無駄に大きいモグラ等が居る学院の中です。ネコ耳の女の子ぐらい
居ても不思議ではありません。
それに魔力の消耗が激しいから、長時間この姿を維持する事が難しい等といった制限も無いので、こ
の姿の方が何かと便利なのです。
欠点を言えば、ネコの時と同じ量のご飯を食べてもお腹がいっぱいにならない事ぐらいです。

「それもそうですねぇ〜。寂しいですけど、これでお別れですぅ〜」

サーリアが名残惜しそうに手を放すと、ネズミは一目散に逃げて行きました。

「それでさ、ちょっとサーリアに相談があるんだけど」
「相談ですかぁ? 恋のお悩みなら、お任せですよぉ〜☆」
「そんなんじゃねぇよ! 実はな…」

サイトは昨日から考えていた事をサーリアに耳打ちしました。

「にゃにゃあ、それはグッドアイディアな名案なのですぅ〜☆」
「だろ? 後でタバサにも話してみようぜ」
「はいですぅ〜。タバサちゃんもきっと喜ぶですぅ〜☆」

「おーい。こんな所に居たのか」
634エンジェルタビィ 傑作選 3/6:2007/11/09(金) 02:23:48 ID:OcqQ77Ny
学院の食堂に勤務する料理長のマルトーが二人に声を掛けてきました。

「二人共、皿洗いご苦労だったな。メシの用意が出来てるから食っていきな。賄いだけどよ」
「やった! ご馳走になります!」
「お腹ペッコペコですぅ〜☆」

二人は食堂の厨房の一角で賄い食のシチューを食べる事になりました。教師や生徒達に出しているシ
チューの残り物ですが、沢山の野菜が煮込んであってとても美味しそうです。
味わって食べていると、サイトはマルトーの足元の異変に気付きました。マルトーの靴が新しい物に
変わっているのです。
確か、前の靴はお気に入りだった筈です。疑問に思ったサイトはその事をマルトーに尋ねてみました。

「前の靴? ああ、ありゃ、破れて履けなくなっちまったんでなぁ。新しいのに替えたんだよ」
「へぇ。それで前の奴はもう捨てたんですか?」
「そんな勿体無い事しねぇよ。こないだ貴族のガキ共にまた文句を言われたのがムカついたんでな、
ここ数日、スープのダシとして使ってる訳よ。勿論、今日のシチューにも使ってるぜ。貴族の何人か
は腹壊してるかもしれねぇけどな」

サイトはショックの余り、スプーンを床に落としてしまいました。コック達が休憩に入っている為、
静まり返った厨房に乾いた金属音が響き渡ります。

「ゲッ! 何て事しやがる! 思いっきり食っちまったじゃねぇか!」
「冗談だよ。そう怒るなって。そんな事したら、クビになっちまうからな」
「何だよ、マルトーさんも人が悪いなぁ」

いくら貴族の糞ガキ共が気に入らないからといって、マルトーさん程の人格者がその様な下種な事を
する筈がありません。

「ぎにゃあ!」
「どうした!? サーリア!」

サーリアは何故か涙目になっています。

「く、靴紐が…入ってるですぅ…」
「やべぇ、取り除くの忘れてた」
「やっぱ、入れてんじゃねぇかぁぁぁ!!」
「ニンゲンの分際で何て事するんですかぁ! コンチクショー! 謝まりやがれですぅ!!」

サーリアもサイトの後ろに隠れながら、マルトーに怒りをぶつけました。口調も若干、変わってしま
っています。
635エンジェルタビィ 傑作選 4/6:2007/11/09(金) 02:25:32 ID:OcqQ77Ny
その頃、ルイズは一人馬車に揺られていました。

「やっと腹痛の痛みが治ったわ。それにしても何だったのかしら…」

ここ最近、学院では腹痛の痛みを訴える者が続出している為、数日間休校になりました。その間、ル
イズは一時的に実家へ帰る事にしたのです。
本来なら使い魔であるサイトも連れて行くべきなのですが、今回は連れて来ていません。
平民に貴族の家の敷居を跨がせる訳にはいかないだとか、男を連れて行って恋人に間違われるのが嫌
だ等という訳では無い様ですが………た、単に忘れてきた訳じゃ無いんだからね!
そんな事を考えていると、馬車はラ・ヴァリエール公爵家の屋敷に到着しました。

「お帰りなさいませ。ルイズお嬢様」

屋敷で働く使用人達が一斉にルイズの帰りを出迎えます。そして…

「お帰りなさい。(胸が)小さなルイズ」
「ただいま。ちい姉様」

ルイズのすぐ上の姉であるカトレアも、彼女の帰りを優しく出迎えました。
カトレアは生れ付き病弱の為、余り屋敷の外に出た事がありません。激しい運動など以ての外です。
カトレアはルイズを優しく抱きしめました。

「ルイズ。(胸以外が)また一段と大きくなったわね」
「ちい姉様こそ、具合は大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。最近は調子が良いの」
「良かった………ちい姉様。もう離してもらってもいいかしら?」
「? どうしたの、ルイズ」

カトレアは少し困った顔でルイズを見つめています。

「だって、ちい姉様って、動物臭いんですもの」

カトレアは優しい笑みを浮かべたまま、ルイズに強烈な左フックを叩き込みました。
ルイズは空中できりもみしながら、5メイル程離れた場所に倒れてしまいます。
数秒間、気を失った後、その身を起こしました。

「ち、ちち、ちい姉様。一体、何を…」
「人の悪口を言うのは良くないわ、ルイズ。そんな事をしても、倍になって自分に帰って来るだけよ。
分かった?」
「は、はい! 御免なさいっ!」

カトレアは、一番上の姉エレオノールの様に感情を露にして怒ったりはしません。
表情を変えずに怒るのです。普段がおっとりしていて物静かな分、余計に怖いです。

「分かったのならいいわ。今度から気を付けてね」
「…えーと、ところで、エレオノール姉様は?」
「今は居らっしゃらないわ。アカデミーの仕事が忙しくて、暫くはお戻りになれないそうよ」
「まったく、可愛い妹が帰って来てるのに。アカデミーもろくな所じゃないわね」
「ルイズ…」

又もやカトレアは怒っています。笑顔のままですが。

「ひっ! 御免なさいっ!」
「いい? ルイズ。個人の悪口はいけない事だけど、大きな組織の悪口はもっといけないわ」
「え?…どういうこと?」
「個人の悪口を言った場合、その人から殴られるだけで済むけど、大きな組織の悪口を言った場合は
皆から殴られるのよ。皆から殴られたら、もっと痛いでしょう?」
「…殴られるだけで済む問題じゃ無いと思うわ、ちい姉様……」
636エンジェルタビィ 傑作選 5/6:2007/11/09(金) 02:28:27 ID:OcqQ77Ny
タバサちゃんは昨日買ったばかりの小説を片手に、寮の自室で優雅なひとときを満喫していました。
その小説のタイトルは『いばるの』。ハルケギニアに古くから伝わる英雄譚の中で、最も有名な物語
『イーヴァルディの勇者』を現代の解釈で再構成した作品であり、全長約500メイルの巨大なゴー
レムを操って、異世界から次々と現れる敵とハルケギニアの命運を賭けて戦う少年少女達を描いた内
容です。
アンリエッタ王女殿下が帯に推薦文を寄稿した事により人気に火が付き、発売以来、どこの書店でも
品薄が続いています。
その人気はトリステイン国内の書籍売上ランキングの10位以内に、10週連続でランクインしてい
る事からも分かります。

タバサちゃんは『イーヴァルディの勇者』に相当な思い入れがあります。
故に、最初は『いばるの』の原型を留めない程の改悪ぶりが許せませんでした。
しかし、巷での評判が気になったので、試しに人から借りて読んでみたところ、見事にハマってしま
いました。特に、終盤の最後に生き残った一人が全てを受け入れて戦う場面がお気に入りです。
その最後の一人が勝利した後、後に続く者達に想いを託して逝く場面では思わず泣いてしまいました。
その時、一緒に居たキュルケに心配された程です。
もう一度、ゆっくりと読みたくなったので、昨日、サイトとトリスタニアに出掛けた時に買ったのです。

物語を堪能していると、部屋の扉をノックする音が聞こえてきました。
何時もなら消音魔法で周囲の音を消しているのですが、今日は小説に没頭する余り忘れていました。
今日のタバサちゃんは、本への感情移入度が何時もより格段に高いのです。
誰かに邪魔されようものなら、最大威力の風魔法で容赦無く吹き飛ばしているでしょう。
けたたましく部屋に入ってきたサーリアを、今日だけで既に2回も吹き飛ばしています。

「タバサー、居るんだろー。ちょっと話があるんだけど、いいかなー」

声の主はサイトでした。先程のノックも彼の様です。

「開いてる。入って」

サイトには昨日のフーケとの戦いで助けて貰った借りがあるので、話を聞いてみる事にしました。
サイトと一緒に、サーリアも入ってきました。今度はけたたましく無いので、風魔法は使わずに済み
そうです。

「それで、話って何?」
「実はダビィの事なんだけど…」
637エンジェルタビィ 傑作選 5/6:2007/11/09(金) 02:30:01 ID:OcqQ77Ny
サイトは昨日から考えていた事をタバサちゃんに話しました。
それは変身の呪文を唱えている時に、変身ポーズを取り入れて見てはどうかという提案でした。
今のタバサちゃんは直立不動の状態で呪文を唱えているのですが、魔法少女に強いこだわりを持つサ
イトには、それが納得いかないのです。
話を聞き終えたタバサちゃんは暫く考え込んだ後、サイトの提案を受け入れる事にしました。。

「分かった。やってみる」

思い立ったが吉日。早速、練習開始です。
先ず、サイトがこちらの世界に来る前に、よく見ていた某魔法少女アニメの変身ポーズを実演してみ
せます。
大の男がやるには少々恥ずかしいポーズですが、なかなか堂に入っています。

「大体、こんなもんだな。じゃあ、やってみろよ」

タバサちゃんは先程のサイトの動きを思い出しながら、見様見真似でやってみました。
本人が恥ずかしがっている為か、動きにぎこちなさが残ります。

「うーん。一通りの振りは出来てるんだけどさ。まだ、ぎこちないんだよなぁ。それに笑顔が無い!
ここ、一番重要だぜ。」

再度、やってみます。今度はサイトのアドバイス通り、笑顔も取り入れてみました。
動きは先程よりも良くなりましたが、顔は引き攣っている様にしか見えません。笑顔には程遠いです。

「タバサちゃん、さっきより良くなってるのですぅ〜。後は練習あるのみですぅ〜☆」

その後も変身ポーズの練習は続きました。
638エンジェルタビィ 傑作選 6/6:2007/11/09(金) 02:31:32 ID:OcqQ77Ny
翌日。
タバサちゃんは昼近くになっても起きて来ませんでした。
万が一の事も考えられます。心配になったキュルケは様子を見に行く事にしました。

「ちょっと、タバサ。何時まで寝てるのよ」

扉を叩いてみましたが、反応がありません。鍵も掛かっています。
こうなったら開錠魔法の出番です。開錠魔法は校則で禁止されているのですが、タバサちゃんの安否
を考えれば些細な事です。
しかし、開錠魔法を使うのは何時もと同じで芸が無いので、フレイムを特攻させてみました。
扉は壊れてしまいましたが、タバサちゃんの安否を考えれば些細な事です。

「…あ……キュルプストーちゃん……おはよう……ですぅ……」

部屋に入ると、そこには目に隈を作ったサーリアが居ました。ふらついていて、今にも倒れそうです。

「人の名前を変に略さないで。それより、タバサはどこ?」
「…あ、あそこ……ですぅ……」

視線を部屋の奥に向けると、タバサちゃんが姿見の前でうつ伏せに倒れていました。

「タ、タバサ! 大丈夫!?」

キュルケはタバサちゃんに駆け寄り、彼女を抱き起こします。タバサちゃんはサーリア同様、目に隈
を作っていました。

「何があったの?」
「…変身する時の……ポーズを……練習してた……タビィの……」

昨日、サイトが帰った後もサーリアに付き添ってもらって練習を続けていました。
しかし、熱中する余り、一睡もせずに今日の昼前まで練習を続けてしまったのです。
そのおかげで変身ポーズは完璧にマスターしましたが。

「あんた達、寝ないで何やってるのよ…」

キュルケはタバサちゃんが努力家であることを理解していますが、これには流石に呆れてしまいました。
その後、この変身ポースはタビィの変身時に役立てられる事になりますが、サイトはまだ物足りなさ
を感じていました。

「必殺技の決めポーズが無いな…」


おしまい
639エンジェリック・ゼロの中の人:2007/11/09(金) 02:33:35 ID:OcqQ77Ny
投下完了です。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 03:05:33 ID:N6UYCp8m
エンジェリック・ゼロの中の人さん乙〜です^^そしてサイトGJ♪
かくしてタバサちゃんは、より完璧な“魔法少女”に近づきましたってかw
641名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 03:33:39 ID:znGVjqPS
このサイトはもう駄目だ(いい意味で)
642名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 03:34:18 ID:C8kc7Njs
指輪物語のキャラが召喚されたSSはあるの?
643名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 03:59:13 ID:Y6WI85Km
>>513
>>…今年で普通科全部に一応89が行き渡るはずだから辛抱。

94年からずっとそう言ってるんだよ…
644名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 04:03:18 ID:1A951ZFj
毎年地方限定で行き渡ってるんだよ順繰りと
645名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 05:43:03 ID:uUNz4ALG
全体に行き渡ったころには新しいのが出てきてる訳ですね
646名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 05:46:08 ID:CmG5uMdv
ガンダルフがガンダールブになるのか?w
647名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 05:48:00 ID:WUKcCq5j
ガノンドロフ
648名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 05:49:18 ID:CmG5uMdv
ハリーポッターかハーマイオニーが召喚されたのって既出?
649名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 07:05:14 ID:l1M4ebj3
召喚された人間が「ハリーポッターのコスプレ会場?」みたいな事を言ったりはしてますが
当の本人達が召喚されたのはまだ無いはずですよ。

しかし今のところ児童ファンタジーからの召喚と言う流れですか?
では、The Arabian Nightbreedから阿房宮召喚とか言ってみる。
ん?ダンジョン召喚ってありましたっけ?というか有りでしたっけ?
650名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 07:19:32 ID:FX6v+iV3
>>642
ボロミアが召喚されたら面白いかも
651名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 09:12:18 ID:ciiuY1y0
文章の方も瀬田貞二訳っぽくやってみるとか

たぶん書き手死ねるw
652 ◆m9.upBLdeg :2007/11/09(金) 09:29:24 ID:B0j1g1fp
1分後に投下します
653ゼロの使い魔ももえサイズ−2 ◆m9.upBLdeg :2007/11/09(金) 09:31:33 ID:B0j1g1fp
「そういえば私ここに持ってきたものがあるんだけど」
ももえはルイズに別の世界から来たという証拠を見せるように要求された。
「何よ、これが証拠なの? なんか白い布をかぶった人の体のように見えるけど……」
「まあ大した事ないんだけどちょっと見てみてよ。 ―――余った私の本来の体」
「きゃあああああああ!!!!!」
ルイズは思わず悲鳴を上げた。そこにはあるべきはずの首が無いのである。
なぜか手を振っていた。吐きたくなってきた。
「な、なんでこんな事が………」
「だから昨日から言ってるじゃん。私ははじめ、悪魔の体を持つ死神から斬られたから存在を肩代わりされちゃったのよ。」
ももえはやれやれとつぶやきながら説明する。「で、今はその影響で現れた悪魔を追いかけてここに来たんだけどこのカマで斬られたものの存在を肩代わりするのよ。」
すると、ももえは突然窓に目を向けた。
「最も肩代わりするのは斬られた者の"部分だけ"だから残りも当然あるわけで……
ほら、あそこに首だけある火とかげとか名前も知らない上級生が朝の散歩を
「いやぁぁぁぁあああああああ!!!!」
秋休み突入記念「ゼロの使い魔死神フレイム二年生ももえサイズ」

ルイズとももえはなぜかトリステインの城下町にいた。他の二年生達は今頃新しい使い魔を連れて授業を受けているはずだ。
「なぜ、私達だけ『虚無の曜日』なのですか!?」
朝食後に教科書を取りに行こうと部屋に戻ったらそこに禿教師のコルベールがいて
町にでも行ってももえの服を買いにでもいけばいいと言われて、お金を押し付けられた。
もっとも、ももえに服が一着も無いのは事実だ。あんな恥ずかしい衣装を着た使い魔を連れまわすのはルイズにとっては恥ずかしいことだった。
「まったく、私達だけ『虚無の曜日』だなんて学院長も勝手なことをするものね………」
「まあ、私のいた世界でも自主休講っていう似たようなのがあったし別に気にしてないけどね。」

???ものしり館???
※自主休講【じしゅきゅうこう】
自らの意思で学校の授業を取りやめてしまうこと。類義語:「エスケープ」「サボタージュ」「俺、自宅警備の仕事やるから」
ちなみに『無印ももえ』でのももえは学校の存在そのものを忘れていたので論外である。
また今回の場合無理やり休まされているのでそういう意味でも論外である。
654ゼロの使い魔ももえサイズ−2 ◆m9.upBLdeg :2007/11/09(金) 09:34:36 ID:B0j1g1fp
「気にしなさいよ! あんたのせいでこんな事になったんでしょうが!!」
ルイズは人通りの多い城下街で激昂した。
「ねえねえこの服買ったけどいいよね?」
「誰が勝手に買っていいっていったのよ! しかも私のお金勝手に使ったでしょ!!」
『ももえはお嬢様だからお金の心配とかはあまりしない性格なのだ!』
「いいの、いいのー 気にしないでー」
「って、それ私の台詞でしょうが! だいたい人のお金使っておいてそんな台詞口が裂けても言わないわよ!」
ルイズは周りからの好奇の視線の痛さを避けるのとももえが勝手にお金を使わないかを見張るのとでへとへとになっていた。
ようやくルイズは人通りの少ない通りに抜けるとももえにある事を命令した。
「そのカマはもう使っちゃだめ。」
「えー?」
ルイズの突然の宣告に当然ながら反抗するももえ。しかし、ルイズには考えがあった。
「代わりに新しい武器を買ってあげるわ」

ルイズ達が来たのは大通りから少し外れた武器屋である。
しかし本来ルイズはここに来るつもりは全く無かった。ももえがここで足を止めて動こうとしなかったためである。
「ここに悪魔がいるのよ。」
困ったのは武器屋の店主だ。変な衣装を着た女の子がそんな事を言うものだから誰も店に近づこうとしないのだ。
「全く………これじゃあ商売にならないじゃないか。これでその悪魔とやらが居なかったら………」「とりあえずここで売られている武器を見させてもらえるかしら? 気に入ったのがあれば買うから。」
仕方なくルイズはそうフォローした。それを聞いた店主はしぶしぶすべての武器を取り出してももえの前に差し出した。
「まだ見せてないのがあるでしょ。いいから早く見せなさいよ!」
なぜかいらだっていたももえはカマを振り回しながら店主を脅した。店主は残っていたぼろぼろの剣を取り出した。すると
「おい、何しやがる! 俺は見せしめなんかじゃn
ももえのカマが躊躇無く振り下ろされる。思わず店主はそれを手にした剣で受けた。
ガキィン!
そんな音が響き渡った刹那、ぼろぼろの剣は無残にも崩れ落ちた。
『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』
「おでれーたー! 剣と同化した使い魔なんて初めて見たぜ!」
ももえの半径3メートル以内の人物が驚きのあまり跳ね上がった。
655ゼロの使い魔ももえサイズ−2 ◆m9.upBLdeg :2007/11/09(金) 09:39:10 ID:B0j1g1fp
「いたぞー! こっちだー!!」
声がしたかと思えばいつの間にかルイズ達は囲まれていた。
「おい小娘! 俺達の商品を勝手にパクっといてのんきにお買い物とはいいご身分ですなぁ、オイ。」
「全くだ。大人を誑かしおって………きっちり体で返してもらうからな!」
「ぐへへへへへ………くぁいいおんにゃのこが二人も、ふふふふふふふ…………」
追いかけてきたのは服屋、貴族、変質者などがそろった大人一同であった。
ルイズはももえを甘く見ていた。ももえは元からルイズのお金を使ってなどいない。お金を使わずに物を盗ったのである。
「いやだから気にしないでって……えーっとあんたの名前何だったっけ」
「そっちの方が問題でしょうがぁ!!! あと私の名前はルイズよ! 三文字の名前すら覚えられないってどういう事よ!」
『ももえは人の名前を覚えるのが苦手なのだ!』
「いや、だから覚えるのが苦手っていっても限度ってものが
「任せて。」
ももえはルイズを後ろに下げ、十数名はいる大人達と対峙した。
「ルイス、後は任せて。」
「いやだから私の名前はルイ
「うおりゃああああああああ!!!!」
手にした武器を持って大人たちがよってたかって押し寄せてきた。
「…………」
精神を集中させたももえはカッと目を見開いた。ももえの全身が光りだす。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ももえは体をくるくると回転させる。
「人間回転切りぃ!」
『デルフリンガーの能力』
「ぐわああああああ!」
ルイズは、ももえの体に当たった大人たちが血しぶきを上げながら倒れていく大人たちを見てしまった。更にももえの攻撃は続き、
「人間滅多切りぃ!」
「人間急所切りぃ!」
「人間MVソード!」

???ものしり館???
※MVソード【えむぶいそーど】
アニメ「スカイガールズ」の桜野音羽が操るソニックダイバーが使っている武器の名前。
剣から衝撃波を発したり、敵に止めを差すのに非常に有効。
ただし対象相手が巨大なもののため人間相手に使うのはかなりのいじめプレイとなる。

動く殺人兵器と化したももえは周りの人間をばったばったと切りまくり大人たちを全滅にまで追い込んだ。
しかし、ももえが元に戻ったそのとき後ろから最後の力を振り絞って変質者が襲い掛かってきた!
「うわぁあああああああ」
「死神レーザー!!!」
突如ももえの体から光線のようなものが発射されて変質者を跡形も無く焼き尽くした。
656ゼロの使い魔ももえサイズ−2 ◆m9.upBLdeg :2007/11/09(金) 09:40:21 ID:B0j1g1fp
恐怖に戦慄く武器屋の店主をよそに、ひょっとしてこの使い魔ってかなり使えるんじゃないか?と考えていたルイズであったのだが
「あーっ!!! ルイズったらこんなところにいたのね。」
声がするほうに顔を向けるとそこにはキュルケとその友人のタバサが風竜のシルフィードに乗ってここまで追ってきたのだ。
「おーい、モモエちゃーん!」
キュルケが上空からももえに声をかけたその瞬間
「サイズラッガー!」
ギュルルルルルルル、ザシュッ。
シルフィードの首が飛んだ。そしてそのままキュルケとタバサは落下していく。
「キュルケーーー!!!!」
ルイズは叫んだ。しかし、無常にもキュルケとタバサはただただ落下していく。
思わずルイズは目をつぶった。しかし、何も物音がしないのを不審に思って目を開けてみると、
「あ」
「いやー あんたが授業サボって町に繰り出してるって聞いたからついてきちゃったわ。」
「あの、授業はサボってなくて
「あら? 別に言い訳なんてしなくてもいいのよ? 人間誰しもサボりたいときはあるんだから」
「だから、今日は『虚無の曜日』だからって学院長が
「あらあら? 自分のサボりを人のせいにするなんてあなたらしくないわね。ミス・ヴァリエール。
それにその言い訳面白いわね! 今度サボる言い訳で使わせてもらおうかしらね。」
ももえの背にキュルケとタバサが乗っていた。タバサは愛しげにももえの頭をなでていた。
『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』
「それの乗り心地ってどうなの?」
「うん、とっても気持ちいいわよ。 ちょうどいいからルイズもこれに乗って帰る?」

※おわり これまでのご愛読、ご支援ありがとうございました。
※次回からはじまる「ゼロの使い魔死神フレイムデルフリンガーシルフィード二年生ももえサイズ」に乞うご期待!!!
657ゼロの使い魔ももえサイズ−2 ◆m9.upBLdeg :2007/11/09(金) 09:41:48 ID:B0j1g1fp
以上です。分割ミスして申し訳ありません。
なぜももえは死神レーザーを使えるのか? なぜももえはシルフィードをカマで斬ったのか?
そんな疑問を取り残して次回へ進みます。

では
658名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 10:33:28 ID:zYakXzvM
ひでえ!何もかもブチ壊しだw
だが元ネタの雰囲気完全再現されてて面白い。続き楽しみにしてます。
659名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 10:55:13 ID:VQtJTfLj
ふと思ったんだが、この作品は完結作品として扱うのか?
660名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 11:05:24 ID:epLFOU/b
>>659
いや、様式美だから。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 11:25:31 ID:F3XdK2+3
いちいち最後に「ご愛読ありがとうございました。次回から〜」と付くのは
『ももえサイズ』という作品におけるお約束なので気にしなくておっけぃ。

>>525
超亀だが、イラクの米軍駐屯地でもミニシアターを作って
ジャパニメーションの上映会をやっていた、という話を聞いたことがある。
舞ー乙HiMEが人気だったとか。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 11:37:47 ID:Ru3KoIVl
一応毎回最終回がももえ
663名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 13:26:55 ID:65xeVi45
声繋がりでティオを召喚。
チャージル系を使うのがサマになりそうな………。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 13:28:54 ID:sc6twyV0
>>663
サイス程度の術でも人間相手には十分なんだぜ?
665名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 14:12:12 ID:pJss4wfA
サンデー読者多いな
こわしや我聞知っている人いるかな?
666名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 14:26:31 ID:w5Qr2Unv
そら、山ほどおるでよ
667名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 15:26:03 ID:j8K9rivM
>>665
ノシ
668名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 15:31:18 ID:XY6XxESH
投下したいので支援してほしい
669名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 15:32:57 ID:sIybC2I9
支援
670ゼロの少女と紅い獅子:2007/11/09(金) 15:34:05 ID:XY6XxESH
 トリステイン魔法学園本塔、宝物庫。今ここで作業する人物がいた。一人はコルベール、もう一人はミス・ロングビル。
 二人は宝物庫にも拘らず目録がなかったと言う意外な事実が判明したため、その製作のためにこうして作業を行っていた。
 大半の物は箱に厳重に収められ簡単に中身を見る事は適わず、また名札が丁寧に張られていたのでその必要もなかった。
 作業を続けていたミス・ロングビルがふと一抱えほどの箱を手にした。名札はなく代わりに『取り扱い注意』と注釈が
なされていた。よく見れば鍵穴はおろか蓋と本体の隙間は鉄板が張られ完全に密封されていた。
「ミスタ・コルベール、これは……いったい何なのです?」
 コルベールは作業の手を止め振り返る。ミス・ロングビルが持った箱を見て彼は目を細める。
「ああそれは、目録に入れないでそのまま仕舞って置いてください」
 その言葉にミス・ロングビルが鋭く反応する。
「あら、それは学院長の支持でしょうか? 確かに厳重ですけど、いったい中には何が?」
 コルベールはその質問にやや躊躇したものの、結局口を開いた。
「まあ良いでしょう、不思議がるのも無理はない。と言っても私も殆ど知らないのですが」
 ミス・ロングビルが頷くのを見て彼は続ける。
「学院長によれば『暗闇の欠片』と言うものらしいのです。学院長に言わせれば魔法の触媒になるものらしいのですが、
詳しく聞こうとしたらはぐらかされてしまいました。正直、学院長にも正体は分からないのでしょう」
 コルベールの説明に耳を傾けながらミス・ロングビルは箱をいろんな角度から見ていた。
「ああ、中身が気になりますかな。しかしそれほど厳重にしていると言う事は、開ける気はないか使い道がないのか」
「とても貴重なもの、と言う事も考えられますわね?」
 ミス・ロングビルが意味ありげな視線をコルベールに寄越した。
「はっはっ、ミス・ロングビルは探求家でおられる。ま、古いというだけで価値が出る事もありますからな。大方
何の変哲もないガラクタでしょう」
 そう言ってコルベールは作業に戻る。ミス・ロングビルは尚も箱を気にしていたがやがて言われたとおり奥の方に持っていった。
 

 一方その頃、ルイズは校舎の片隅の物置でその日調度百回目のアン・ロックを唱えた。が、鍵からは何も音はしない。念のため
ノブを捻ってみたが扉は硬く閉ざされたままだった。数えていたわけではなかったが、流石に疲れ果てて座り込んだ。
 特訓を始まってから数日が経過していた。今のところアン・ロックの練習のみだが、自分でも嫌になるくらい魔法は発動しなかった。
 放課後にこの物置に入って夕食までの約四時間、ひたすらアン・ロックのみを唱え続ける。正直気がめいりそうだったが、彼女は
特訓開始の翌日からは文句も言わずに続けていた。無論好き好んでやっている訳ではなかったが、この様な練習方法はこれまで
思いもよらなかったし誰も提案しなかった。だからどうせ他の事をやっても無駄ならばとこの特訓に一つ打ち込んでみる事にしたのだった。
 もう一つ、これはルイズは自覚していない事だが。ルイズにとって他人が積極的に自分の、特に魔法に関しての才能を開花させようとしてきた
人間は彼が初めてだった。彼女の両親は決して自分の娘に無関心な親ではなかったが、精々説教をするくらいで魔法の習得そのものに関してまでは
何もしてくれなかった。或いはそれは自分で乗り越えて欲しいと言う一つの親心の表れだったのかもしれないが、少なくともルイズはその事
を感じる事はなかった。
 学院に入ってからも、教師達は彼女を格別の劣等生と決めつけそれっきりだった。
 そこでゲンである。はっきり言ってルイズがアン・ロックや照明の魔法を使えるようになったところで彼には何一つ利益はない。無論
損得だけで人間は動かないが、ゲンの場合は本当に何もない。彼が提案――非情に強引ではあったが――したと言う事であったとしても、
毎日物置の前に佇んでルイズが出てくるのをひたすら待ち続けているのは彼女にとって新鮮な事であった。

 
 ルイズが座り込んでいると鍵の開く音がしてドアが開いた。
「今日はこれまでにしとこうか、食事の時間だ」
 そう言いながらゲンがコップに入った水を差し出してきた。喉がかれていたルイズはひったくる様にコップを受け取ると一気に飲み干す。
突き出すように戻ってきたコップにゲンは水差しから注いでやった。それを再び一気飲みするルイズ。
「今日は三十六回だ。昨日よりだいぶ増えたな」
 三十六回と言うのは、ゲン曰く『何となく鍵が開きそうだった瞬間』だそうだ。因みに初日は零回だった。
「アテになんの、それ?」
671ゼロの少女と紅い獅子:2007/11/09(金) 15:35:26 ID:XY6XxESH
「さあ? まあ、目安だと思ってくれたらいいよ、何も成果が見えないよりは張り合いがあるだろう」
 そんな会話をしながら物置を後にしようとした二人だったが、入り口の近くに放置されてあった何かにルイズが躓いた。よろけた所を
ゲンが直ぐに支えたので転倒は免れた。
「ちょっと、何?」
 ルイズが顔をしかめて下を見る。ルイズが躓いたのは剣だった振りこそ大きかったがボロボロの鞘が古さを物語っていた。ゲンが拾い上げる。
「この間、ドアに投げつけたのはもしかしてコレか?」
「あ、そうかも。あの時はムカついてたから近くにあったのを適当に投げただけなんだけど」
 ふうん、と言ってゲンはしげしげとその大剣を眺めた。そしてルイズから少し離れて抜刀した。その途端、
「こらあ、娘っ子! よくもブン投げやがったな! 俺をその辺の投げ槍と一緒にしやがったら承知しねえぞ!」
 大剣が絶叫した。
 ゲンも流石に呆気にとられる。
「イ、インテリジェンス・ソード!? 何でこんなところに」
「喋る剣は珍しくはないのか?」
「何だ何だ、俺をそこいらの大剣だと思ったのか? まあ、こうボロくなっちまったらしょうがねえか」
 三者それぞれに喋るので会話が成り立たない。暫らくの沈黙の後ゲンが口を開いた。
「で、お前は……一体何者なんだ?」
「俺はデルフリンガー、その娘っ子の言った通りインテリジェンス・ソードよ。ご覧の通り年季の入ったな」
「何でインテリジェンス・ソードが魔法学校の倉庫なんかにあるのよ
「年代者には色々と事情があるんだよ娘っ子、まあお陰で久しぶりに使い手に……」
 そこで、デルフリンガーが言葉を切った。突然だったので二人が怪訝な顔をする。
「どうした黙ってしまって」
「ちょっと、使い手って何の事よ」
「ああ、いや、何でもねえ」
 一瞬の沈黙の後、デルフリンガーが再び喋りだす。
「使い手、あんた名前は?」
「おおとりゲンだ」
「そうかい、アンタが使い手となるとそこの娘っ子はつまり……何だったかな。すまねえ今のは無しだ」
 話についていけないルイズが顔をしかめる。
「何なのよ一振りで盛り上がって」
「いやいや、久しぶりに鞘から出たんでちょいと混乱しただけだ。ところでゲン、アンタ俺を使いこなせるかい?」
「俺に使えって言うのか? それにお前は学院の所有物だろう」
 唐突な提案に困惑するゲン。そこにルイズが口を挟んだ。
「いいんじゃない別に。大事なものじゃないからここに有るんだろうし、先生の許可をもらえば大丈夫よ」
「そんな簡単なもんじゃないだろう」
 そう言いながら物置に鍵を閉めてゲンは歩き出した。デルフリンガーにはまだ聞きたい事があったので、鞘から
少しだけ刃を覗かせておく。
「ところで、俺を『使い手』と言っていたが何の事だ?」
「あん? ああ、シラネエのか。ま、娘っ子がさっきみたいに鍛錬がしているようじゃあ知らなくてもしゃあねえか」
「何よ私がどうかしたの?」
「いや、何でもねえ。長生きするとな、与太話に触れる事がよくあるもんだ、これもその一種さ。そんな重要な事じゃねえ」
 それっきり黙ったのでゲンはデルフリンガーを完全に鞘に収めた。
「ねえ、ゲン」
 食堂に向かって歩き出してから、ルイズがゲンの方を見ずに話しかけた、
「今更なんだけどさ、この鍛錬って意味あるの?」
「正直、魔法のことは俺にはわからん。ただ素質があるのにまったく使えないなんてのはおかしいだろう。継続は力となって
いずれ現れる」
「それはアンタの経験論?」
「いや、俺の場合は師匠からは甘いと言われた」
「え、じゃあやっぱり……」
「その方法が必ずしも成功するとは限らない。それに流石にそこまで火急の用件じゃあない」
 そしてルイズの方をむいてニヤッと笑う。
「ご希望なら無理やり才能を開花させるのもアリだが」
「何となくスゴそうだから遠慮しとくわ」
 

 ほぼ同時刻、学院長室。
「何でまた、盗賊ごときの事情聴取にグリフォン隊の隊長殿が来られますかな」
 迷惑そうなのを隠そうともせずオールド・オスマンがぼやく。眼前に立つのは口ひげの凛々しい若い貴族が立っている。
「国軍は事態をそれだけ重要視していると言うわけです」
672ゼロの少女と紅い獅子:2007/11/09(金) 15:36:34 ID:XY6XxESH
「その割には、大した成果が上がっておりませんなあ」
「だからこそ私が参上したのです。宝物庫を襲撃したそうですな」
 話を反らされても一向に気にせずグリフォン隊隊長――ワルド子爵は話を続ける。
「何もとられてはおりませんわい」
「その日にあった、怪物の一件と関係が?」
 その言葉にオールド・オスマンが思わず目を見開く。あの一件は正確には軍や王室には報告していない。
「いやはや、軍の情報筋を少々侮ってましたな。何、怪物と言っても毎春恒例の使い魔召喚の儀式で逃げ出した使い魔がおったと言う事ですよ。
逐一お耳に入れるまでもないと判断したまで」
 しかし、あくまでも飄々とした態度を崩さないオールド・オスマン。
 ワルドは暫らく黙っていたがやがて、
「とにかく、フーケの捕縛は軍の重要課題の一つです。次に何かあったら報告願いたい」
 その言葉にオールド・オスマンは無言で頷いた。そして話は終わったとばかりに机の上に広げてあった本に目を落とした。
 ワルドは一礼すると退室しようとした。だが、ふと思い出したように立ち止まって、
「その怪物を召喚したのは誰なのです?」
「……ヴァリエール家のお嬢ちゃんじゃよ」
 隠しても無駄と判断したか、意外とあっさり白状するオールド・オスマンだった。
 ワルドは軽く頷くと今度こそ退室した。
 
 ワルドが部屋を出ると階段の方からミス・ロングビルがやってきた。彼女は一礼して学院長室に入ろうとしたが、
「話がある。土くれのフーケ」
 というワルドの言葉に身を凍らせた。
 とっさに距離をとって杖を抜き去り、油断なくワルドを見据えるフーケ。だがワルドはそんな彼女を前にしても悠然と構えている。
「話があるといった。捕縛するつもりならとっくにそうしている」
「お生憎だね。貴族はそう簡単に信用しない事にしてるのさ」
 ミス・ロングビル――フーケにとって何故正体を知ってるかはこの際どうでも良かった。重要なのは眼前の男が何を考えているかである。
 おとり捜査なら論外、共犯の依頼も一人でやってきた彼女にとっては余程のことでないと乗る理由はない。何よりこの男は間違いなく
トリステイン王国魔法衛士隊の隊長なのだ。警戒しない方がどうかしている。
「話の続きを拷問部屋で行なうと言うのも一興だが、あまり私の趣味ではない」
 いつでも捕縛できると言う事を言外ににじまされフーケは考える。彼女自身魔法の能力は一流のであるが、ワルドの物腰はその自分の能力を
完全に推し量ってなおこの余裕があるように思われた。
 つまり抵抗は無駄。第一騒ぎを起こせばここで逃げられたとしても、トリステイン全域に非常線が張られて一巻の終わりである。
 彼女は諦め構えを解き杖を片付けながら、
「場所を変えてくれるかい?」

 学院近くの森の中に場所を移して、フーケは口を開く。
「で、私に話ってのは何の用件だい?」
「お前に盗んで欲しいものがある」
「アンタなら自分の権限で大概の物は手に入るだろう?」
 茶化すように喋るフーケを無視してワルドは続ける。
「この学院の宝物庫にある『暗黒の欠片』 知っているか?」
 その言葉にフーケの双眸がスッと細くなる。さながら獲物を見つけた捕食者のようだ。
「へえ、あれやっぱり重要品なんだねえ。正体は一体何なんだい?」
 そう言うフーケをワルドは無言で見据える。睨んでるわけでもないが、言い知れぬ圧力が滲んでいた。
「ハイハイ、分かったよ。余計なことは聞くな、だろう。でもねあの宝物庫は中々難物だよ」
「お前なら巨大ゴーレムくらい作れるだろう」
「土のゴーレムじゃどんなにでかくてもあの塔の壁は破壊できないね。おまけに壁一面に固定化が施されてる。
ああ、私の立場を使って鍵を借りるってのは無しだよ。あそこは最低二人で入る事になってるからね」
 ワルドはしばし考えるようなしぐさを見せた。
「ヒビでも入ればどうにかできるのか?」
「? ……まあ確かにそんな都合のいいものがあればね。当てでもあるのかい?」
 ワルドはそれには応えず更に別の話を振る。
「壁の件は俺がどうにかする。お前は盗み出す事だけ考えろ」
「報酬は? 流石にただ働きはゴメンだよ。見逃すのが報酬だってんなら……」
「五千エキュー。それでお前から『暗黒の欠片』を買い取ろう」
「話が早いじゃないか。ま、壁の件は期待しないで待ってるよ」
 そういい残してフーケは戻って行った。
 そして、残されたワルドは校舎の方に歩いていった。
673ゼロの少女と紅い獅子:2007/11/09(金) 15:38:20 ID:XY6XxESH
 夕食後、ルイズは授業の復習をしていた。さすがに夕食後までは特訓はない。ゲンは体を動かしてくると言って出て行って、
今はいなかった。
 その時彼女の部屋の扉ををノックするものがいた。ゲンかと思って放って置いたが一向に入ってくる気配がないので、ルイズは気になって
扉に向かった。
「誰、キュルケ?」
 返事がない。少し躊躇ったが不審者などそうそう校舎内にまで入るまいと思い扉を開けた。
「やあ、ルイズ。久しぶりだね」
 羽帽子をかぶった男が優雅に一礼していた。その男を見てルイズの目が見開かれる。
「ワルド子爵! ……どうしてここに?」
「任務で用事があってね。ついでと言っては何だが、君がここにいることを思い出したのさ」
 意外な人物の突然の登場にルイズは戸惑っていた。ワルドは彼女の婚約者である。また幼い頃は憧憬の対象でもあった。それは
今もなお変わっていない。ただ彼は随分と有名人になっていたが。
「夜分に押しかけた事は謝るよ。しかし、どうしても会いたくなってね。どうだろう、時間を割いてもらえないかな」
 その言葉にルイズは少し考えたが、消灯時間までは若干時間があったのでその誘いに乗った。
 
 学院の中庭を二人で歩く。ルイズにとっては久しぶりの体験だった、ゲンは所謂そういう相手とは違う。
 会話は弾んだ。思い出話に赤面し、ワルドの武勇伝に素直に感心し、上の姉の婚姻話で二人でクスクス笑いあった。ルイズにとって
楽しいおしゃべりと言う、女子にとってはそれなりに重要なイベントはこの学院に来てから参加できることは少なかった(キュルケとの
やり取りをおしゃべりと捉えるなら大幅に増えるが)。
「ところでルイズ、君に直接聞くのもなんだが、魔法の方は相変わらずかい?」
 その質問にルイズは黙って小さく頷く。
「何も使えないのよ、サモンサーヴァントは辛うじて成功したけど」
「何でも巨大な竜を召喚したそうじゃないか。まあ、そいつは逃げたそうだが」
「学院長と話しをしたのね? そうよ、その後召喚したのは……人間よ。そいつと契約したの」
「人間を呼び出すなんて、ブリミルの様だな」
 ルイズは苦笑して、そんないいものじゃないわ、と呟いた。
「聞くところによると、失敗じゃなくて爆発するらしいな。そんなのは僕も聞いた事がない」
「貴方まで私を笑いものにするの」
 本当に悲しそうな顔をしてルイズが言うのでワルドは、
「気を悪くしたなら謝るよ、だが本当なんだ。僕はその爆発と言う結果に興味がある」
 ワルドの言葉にルイズは苦笑を浮かべたまま。
「使い魔と似たような事を言うのね。そんなに興味があるならお見せしましょうか? 私の『失敗魔法』」
 冗談のつもりで口にしたルイズであったが、ワルドは真面目な顔で頷いた。
「ぜひ見せて欲しい。君はもしかしたら或いは……」
 そこで言葉を切って黙るワルド。暫らく黙考していたがやがて再び口を開いた。
「すまない、とにかくここならそう被害も出ないだろう。そうだな、あの塔にでも」
 本気にするとは思っていなかったルイズだったので流石にこの申し出には面食らった。しかしワルドは真面目な面持ちを崩さない、
本気である。断りづらい雰囲気が二人の間に漂った。
「……まあいいわ。爆発しても練習してたって誤魔化せば通じるでしょ」
 観念して、ルイズはルーンを唱えだす。どうせ野外なら攻撃魔法でもいいだろう、それに……どうせ失敗する。
 そんな気持ちを押し殺し彼女は杖を振るった、しかし何も起こらない。
 フッとため息をつこうとした瞬間、本塔の中腹あたりで爆発が起こった。壁にはひびが入り破片が下に落下している、幸い
本塔には誰もいなかったらしく人が出てくる気配はない。
「ご覧の通りよ、ワルド。これでも失敗魔法じゃないかしら?」
 自嘲気味のルイズに、と言うより自分に言い聞かせるように頷いたワルド。
「よく分かった、気分を害したなら謝るよ。さあ、そろそろ部屋に戻ろう」

 部屋に戻るとゲンが戻っていた。
「散歩かい? 消灯になっても戻らなかったら探しに行こうと思ってたが」
 別段怒った風でもなくルイズを迎えるゲンだったが、その目がワルドを捉えると眉をひそめた。
「あ、怪しい人じゃないのよ。ワルド子爵、私の……婚約者よ、一応」
「一応とは酷いな」
 苦笑しながら、ワルドはゲンに向き直る。
「魔法衛士隊のワルドだ。君が彼女の使い魔かい?」
「ええ、おおとりゲンです」
 ゲンも一礼する。そして二人はそのまま黙りこくって互いに見合ったまま動こうとしない。睨み合いほど険悪ではなく、
さりとて友好とは程遠い不穏な空気を漂わせていた。
674ゼロの少女と紅い獅子:2007/11/09(金) 15:39:56 ID:XY6XxESH
 やがて、ワルドはルイズにもう一度礼をすると去っていった。
 と、同時にルイズがゲンを肘でつつく。
「初対面の人を睨みつけるのがアンタの故郷の礼儀?」
「いや、すまない。少し気になってな」
 そう、ゲンはワルドから初対面とは思えない何かを感じ取っていた。その正体が分からないが故の沈黙の一幕であった。
 ルイズは、ふうん、と特に気にした様子もなかった。

「あれがアンタのアテかい?」
 校舎から出たワルドに声がかけられる。フーケだ。ただし姿は見えない。
「まあ、とにかくあれなら何とご期待に添えそうだよ。早速やろうかい?」
「いや、依頼がもう一つ増えた」
 そう言ってないようを説明するワルド。フーケは彼の真意を測りかねたがワルドの冷たい視線に結局了承した。

 
 次の日、ルイズは最早日課になっている特訓を行なっていた。ただしいつもの校舎端の物置ではなく、本塔の宝物庫の一階下にある
空き部屋を使っていた。無論やってる内容は一緒である。
 何故かいつも使ってる部屋の鍵がなかったのと偶然通りかかったミス・ロングビルからここの部屋を与えられた結果だったが。
「何で、あの女性がこのことを知ってる」
「さてね、大方教員どもの中じゃ噂になってるのかもな」
 デルフリンガーが応答する。
「ところでゲンよ、変な事を聞くようだがアンタ本当に人間かい?」
「どこかおかしいか、俺は」
「別におかしくはない、おかしくないからこそシックリこねえ」
「お前の言ってる意味が分からないんだが」
 デルフリンガーはそれきり黙ってしまった。彼なりに何か思うところがあるらしい。
 ゲンが外を見る、日が傾きはじめていた。そろそろ今日も終了だ。
 ゲンが扉をノックしてルイズに声をかける。
「ルイズ、少し離れるぞ」
『いいけど、何かあったの』
 かすれ気味の声が中から聞こえる。
「水を忘れたから取ってくるよ」
 そう言って、ゲンは階下に降りて行った。

 同時刻、本塔の壁に張りつく影が一つ。
 フーケは未だにワルドの追加要求を理解しかねていた。
「劣等生がどうなろうと知った事じゃないけどね」
 仕事のついでにルイズ・ヴァリエールを死なない程度に命の危険にさらせと言う内容。正直彼女にとってはどうでも良かったが
クライアントがそう言うなら仕方がない。適当に理由をつけて本塔に押し込んでおいた。
「じゃあ、始めましょうかね」
 彼女は長いルーンを唱えた後、手に持った杖を地面に振るった。

 激しい衝撃がして、ルイズは何度目かの詠唱を中断した。何? 何事なの? その疑問に答えるものはいない。その間も衝撃は
本塔そのものを揺さぶり続ける。
 何度目かの衝撃の後、壁が吹き飛ぶ。幸い彼女に怪我はなかったが、そこから見えたゴーレムの影に彼女は身をすくめた。
 何、なんでここにこんなのがいるの。私が狙われてる? 別の目的? 混乱する彼女を無視してゴーレムは尚も壁を殴りつづけた。
「ゲン! いないの!? 助けて、ここを開けて!!」
 半狂乱になりながらルイズはドアを叩く。だが応答するものはいない。ゲンが上ってくるにしても若干時間がかかる。件のゴーレムが
塔を破壊する気かどうかは分からないが今のままでは自分は相当に危険な事は混乱するルイズも理解できた。
 ルイズは息を大きく吸い込むと落ち着こうと努力した。ここにいるのは危ない、扉は施錠されている、ならばとるべき行動はただ一つ。
 
 ルイズはルーンを唱えだす。短いルーンの一つ一つを集中して唱える。それはもっとも簡単な魔法、それは誰もが使える魔法、
そして彼女が使えなかった魔法。
 
 ルーンが完成する。
「アン・ロック」

 ガチャリと鍵が外れる音がした。ノブを捻ると果たして扉は開いた。ルイズは喜びに浸る間もなく部屋を飛び出す。
「ルイズ、無事か!」
 その時階下から上ってきたゲンと鉢合わせになった。。彼はルイズが部屋から出ている原因を一瞬で察したらしく。
「やったな! だが、とにかく逃げよう」 
675ゼロの少女と紅い獅子:2007/11/09(金) 15:41:35 ID:XY6XxESH
 そう言いながらこんな状況にも拘らず満面の笑みを浮かべたのだった。
 ルイズはその笑顔が――彼女にとってはまったく意外な事に――嬉しかった。

「おや、逃げれたのかい。まあ、いいさ仕事はもう一つあるんだ」
 フーケはそう一人呟くと、壊れた壁を抜けて宝物庫に入る。宝物庫の一番奥、鍵穴のない箱を見つけるとそれを無造作に
壁の穴から外に放り投げた。
 がしゃりと音がして箱が変形する。気にすることなく彼女はさらにゴーレムでその箱を踏み潰した。
 ゴーレムが足をどけると、そこには真っ黒な物体があった。ゴーレムの足の下敷きになってなおその物体は壊れた様子はない。
「やれやれ、気持ち悪いね、これだけやられて何ともないなんて。ま、とにかく仕事は終わり。後は……」
 彼女は嗜虐的な笑みを浮かべた。
「ちょっと、からかってやるかね」
 そう言って彼女はゴーレムを塔から脱出したルイズ達に向けた。

「私って巨大なものに追われる星の基に生まれたのかしらね!」
 走りながら、ルイズがわめく。塔を破壊したゴーレムは何故かルイズを標的にしたようだ。
「肩に人が乗ってるな、奴の顔を見たんじゃないか?」
「知らないわよそんなこと!」
 言葉を交わす二人の直後にゴーレムが迫った。焦ったルイズが足を滑らせる。
 ゲンがすかさず助け起こすがその間にゴーレムは迫り片腕を叩きつけようと振り上げた。
 振り下ろされた鉄拳を辛うじてゲンがルイズを抱えて飛び跳ね交わす。だが、執拗にゴーレムは迫ってきた。
「ルイズ、俺が注意を引き付ける内に校舎に非難するんだ」
 ゲンはデルフリンガーを鞘から抜きながらルイズに告げた。
「あんなの一人で……もしかしてあの赤いのになるの?」
 初めて会った時の事を尋ねるルイズ。
「いや……とにかくアレを校舎から離さないと戦闘も出来ない」
 ゲンはデルフリンガーを構える。
「俺が飛び出したら君は逃げるんだ、いいな?」
 背後で頷く気配がしたのを確認して、ゲンはゴーレム目掛けて駆け出した。

 ゴーレムが繰り出す文字通りの鉄拳をかわすと脛にあたる部分に大剣を叩きつける、だが相手はびくともしない。
「勇者ごっこかい? うっとうしいねえ」
 フーケは五月蝿い虫から片付ける事にしたらしく、今度はゲンに向かって攻撃を始める。
 放たれる鉄拳を巧みにかわしながら徐々に森に誘導するゲン、その間も何撃かデルフリンガーで斬り付けるがそうそう
切れる相手ではなかった。
「中々頑丈だな、お前も奴も!」
「……使い手がこの期に及んでこの様たあ、解せねえ」
 ゲンの言葉が耳に入っていないのか独り言を呟くデルフリンガー、そちらに一瞬気を取られた隙に巨大な鉄拳がゲンを
襲う。
「おい、相棒!」
 注意を換気するデルフリンガーの叫びにとっさに反応して直撃は回避した、だがかすってもその巨体から繰り出される一撃は
半端ではなくゲンは吹っ飛ばされた。
 止めを刺さんと迫るゴーレム。と、その背中が突然爆発した。
「ルイズ! 何を」
 フーケのみならずゴーレム自身が苛立ちのオーラを滲ませながら振り返る。逃げたはずのルイズがそこにいた。
「そんなに死にたいかい」
 ゴーレムの片腕が又しても叩きつけられる、お陰で辺りは滅茶苦茶な状態だ。間一髪ルイズは飛び出したゲンに救出される。
「なんで逃げてないんだ!」
 珍しく怒りをあらわにしてゲンが怒鳴る、だが彼女は怯まない。顔を真っ赤にして怒鳴り返してくる。
「なーにが注意を引くよ、戦闘するよ! 無様に吹っ飛ばされてるじゃないの! アンタねえ、使い魔が勝手に死んでいいと思ってるの!?」
 それに! とルイズがなおも続ける。
「使い魔を見殺しにする飼い主がいる訳ないでしょう!」
 ゲンは一瞬あっけにとられていたが、直ぐに真顔に戻る。
「じゃあ、使い魔も飼い主を危険に晒しっ放しじゃだめだな」
 そう言ってゲンはデルフリンガーを鞘に収めるとルイズに渡した。
「預かっておいてくれ。ここまで離れれば大丈夫だ」
 そう言ってゴーレムの方に一歩踏み出す。その顔に一切の恐怖はない。
「ちょっとゲン!」
676名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 15:43:58 ID:/1hX2ORU
支援の瞳が輝いて
677ゼロの少女と紅い獅子:2007/11/09(金) 15:45:32 ID:XY6XxESH
 追いすがろうとするルイズに無言で手を振ってみせるゲン。左手のリングが一瞬大きく光ったように見えた。
 斜め十時に組まれる両手、つき出される右手、続いて繰り出された左手のリングが眩く輝く。
「レオオオオオ!!」

「死にな!!」
 踏み潰そうと踏み出されるされる巨大な足。だがそれがゲンを踏み潰す事はなかった。
 ゴーレムは突如光とともに現れた巨人によって足元からひっくり返された。

 フーケのゴーレムをも上回る巨体。
 その全身は燃える炎のごとく。
 その銀色に輝く頭は怒れる獅子のごとく。
 その輝く双眸は太陽のごとく。

 その戦士の名はウルトラマンレオ。

『ヤアアアアアアア!!』
 
 裂帛の気合が夜の空気を切り裂いた。

終わり



以上、第4話でした。「暗黒の欠片」は分かる人には分かると思いますがレオのあれです。まあ欠片ですから。
と思ってたらロベルガー……。

支援してくれた方に感謝して、それではさいなら。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 15:50:10 ID:/1hX2ORU
乙が俺の使命、GJがレオの願い♪

さすがにダン隊長の領域には入ってないと言うか女の子相手に入っちゃダメかw
679名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:10:25 ID:pJss4wfA
>>667
我聞召喚とかなかなか良さそうじゃないか?
680名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:21:05 ID:N6UYCp8m
「レオオオオオ!!」 乙ぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜!!
681名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:22:19 ID:Syi+0BX4
別件で小ネタだが、投下いいだろうか?

出来はイマイチかも知れないが;
682名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:26:04 ID:Syi+0BX4
何も無ければ、30分に投下予定ー。
683名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:32:25 ID:sc6twyV0
しえんする
684名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:33:05 ID:Syi+0BX4
何も無いので投下ー。


ゼロの神罰

???「おめでとう わたしを しょうかんするとは なかなかのものだ。」
呼び出されたのは、青いスーツとシルクハットを被り、赤いネクタイを締めた・・・多分平民だった。
ルイズ「あんた誰?」
訝しがるルイズだったが、コルベールに急かされるように、その場は使い魔の契約を済ませて落ち着いてしまった。

その後・・・
なぜかギーシュと決闘することになった使い魔。
左腕をたった一振りしただけでギーシュのゴーレムを全て粉々に砕いてしまった。
この一件で平民でない事はハッキリしたけど、あれは魔法?
だとしたら一体何系統だろう?

次は、フーケとの対決。
あの巨大なゴーレムを前に、右手を振るった。
今度は、はっきりと魔法みたいな光が見えたけど、やっぱり系統はわからなかった。
けど、フーケは捕まえたからまあいいわ。

そして、なぜかアルビオン7万の軍と戦う羽目になったんだけど・・・。
多分平気よね。
「ひかりあれ!」
たった一言で天空から光の束が落ちてきてあっという間に全滅させてしまってた。

そんなこんなでハルゲニアには平和が戻ったんだけど・・・。
あいつ、こんな事をいいはじめたの。
「へいわな せかいは つまらないですね」
そして、顔が三つに腕が6本もある怪物を呼び出して世界に放ったの!

ルイズ「何てことするのよ!」
すぐに辞めさせようとしたのだけど、あいつったら・・・。
???「へいわな せかいは つまらないでしょう?」
なんて言いはじめた。
そして、使い魔のルーンを自分で消したかと思うと巨大な塔を一瞬で作り出しちゃったの!

???「あなたとの けいやくは ここまで です。ここからは わたしのゲーム。
さあ、この とう を のぼってきなさい。わたしを たのしませてくれることを きたいしていますよ。」

いつもの妙なイントネーションでそう告げると、あいつは、塔の中へと入って行ってしまったの。
・・・やっぱり私が行かなきゃダメよね?
685名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:34:23 ID:sc6twyV0
かみか?w
686名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:35:27 ID:KQfaZFgF
なんというフリーダムなかみ
あとセリフの前に名前入れるのはおすすめしない支援
687名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:36:50 ID:Syi+0BX4
そして、今
???「やっときましたね。 おめでとう。このゲームを かちぬいたのは きみたちがはじめてです」

キュルケやタパサ、ギーシュに協力してもらってやっとたどり着いた最上階。
ここまでにいろんな人と出合って、いろんな経験をした。
ルイズ「あんたの言うゲームとやらは攻略したわよ!」
ここまでくるのにどれだけ苦労しただろう?
悲しい事もたくさんあった。
わたしの怒りを受け流してあいつは続ける。

???「しすべき うんめいをせおった ちっぽけなそんざいが ひっしに
いきていく すがたは わたしさえも かんどうさせるものが ありました。わたしは このかんどうをあたえてくれた きみたちに おれいがしたい!どんなのぞみでも かなえて あげましょう」

キュルケ「ふざけんじゃないわよ!あんたのためにここまで来たんじゃない!」
キュルケが啖呵を切り

タパサ「そう。わたしたちは、あなたの玩具じゃない」
タパサも静かながら怒りに震えている。

ギーシュ「僕たちはモノじゃない!」
ギーシュなどはすでにワルキューレを呼び出してすぐにでも攻撃に移るつもりだ。

???「わたしに ケンカをうるとは‥‥
 どこまでも たのしい ひとたちだ!」

あいつは、呆れたように肩をすくめた。

???「どうしても やる つもりですね。」
ゆっくりと立ち上がり、見下した視線でこちらを見てきた。

???「これも いきものの サガ か‥‥

かみ「よろしい。しぬまえに ”かみ”のちから とくと
めに やきつけておけ!!」

あいつが右手をかざすのとともにわたしは、コルベール先生が作った最強の武器のスイッチを入れた。

ウォォン!!!

力強い音が心地よい。
「いくわよ!」

わたし達は、私の元使い魔だった、かみに戦いを挑んだ!

―魔界塔士Sa・Gaより ”かみ”を召喚―
688名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:38:44 ID:Syi+0BX4
以上投下終わり。

名前入れようか入れまいか迷ったんだけどね。
一応、原作の感じだそうかと、名前入れてみたんだ。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:39:30 ID:Nuojy0Y6
乙です。
チェーンソーはいい思い出です。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:43:24 ID:Syi+0BX4
そーいえば、デルフの存在を完璧に忘れてたわ。
そしてそして、下手な文など、諸々失礼しました(礼)
691名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:44:12 ID:KQfaZFgF
必死にスワンクリスタルとワンダースワン版のSAGAを探し回って念願のチェーンソーによるかみバラバラ殺人事件を成し遂げたあの感動は今も色褪せないGJ!
692名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:45:23 ID:DweF3DiO
タパサに泣いた
693名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:47:54 ID:j8K9rivM
タ『パ』サなんて間違い初めてみたぞ
694名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 16:50:26 ID:Syi+0BX4
すまぬ。一ヶ所どころか全部間違ってたよ。
実は、最初タサバで打っててな。
ミスったーと思って置き換えたんだ。
それもミスったらしいorz

どっちにしろ間違いじゃー。
恥ずかしくて仕方ないので、しばらく雲隠れするわ。
695名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 17:13:43 ID:1A951ZFj
伝説武装デルフリンガーはチェーンソードだったでおk
696豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/09(金) 17:22:41 ID:/MtZzHt5
投下してもよいですか?
697名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 17:24:35 ID:KQfaZFgF
カモン
支援
698豆粒ほどの小さな使い魔15 1/5:2007/11/09(金) 17:24:46 ID:/MtZzHt5
私には妹はいないけど、近所には小さな子供もいた。
けど、ルイズのような女の子はいなかったと思う。
靴下のハンモックに揺られながら、目を閉じても中々眠りは訪れない。
ルイズは、とても不安定だ。
見ていてはらはらする。ああ、目が離せないというのが一番近いかも。
そして、恥ずかしいことに、かなり私に似てる。
まだ頬の火照りが治まらない。本当に気がつかなかった。私も、周りからルイズみたいに見えてたんだろうか。
一生懸命なルイズを可愛いと思ってたのは……だめだじっとしてると変なことばかり考えちゃう。もう一度服を着て、窓から外に飛び出した。
月明かりと、夜気の肌寒さに目が冴える。腰の剣を確かめた。
マメイヌも、他の隊員たちもここにはいない。
怪我をしても、誰も助けてくれない。
ルイズなら感じてくれるかもしれないとちらりと思ったけど。
死にたいのかな、私。
ルイズに無茶はいけないって言った後で、夜の中に走り出そうとしてる。体が、足が走りたがってる。
自棄になってるのとは違う。
地に伏せるように上体を低くして、目ではなく皮膚で感じることを意識しながら。
ぞくぞくする。ルイズが変わっていくのをこの目で見ていると。だけどその影で、悔しいと思ってなかった? 羨ましいと、私だってまだ変われるはずだって。
一人きりだから、慎重になってた。それは間違いじゃない。でも、萎縮しちゃだめだったんだ。
爪先から髪の毛の先まで、ぴんと張り詰めてる。この感覚がいい。
いつか、矢印の先っぽの国に帰ったとき、今よりも大きくなっているために。
それに、
「るいずノ、オ姉チャンデイタイ」
ルイズに甘えられるのは、くすぐったくて、とっても嬉しいんだから。
妹より怠けてるようじゃダメだ。
ああ、やっぱり私、ルイズと似てる。

私もすごく、負けず嫌いだ。


* * *
699豆粒ほどの小さな使い魔15 2/5:2007/11/09(金) 17:26:58 ID:/MtZzHt5
「ひぅっ!」
飛び起きた。何か、すごく怖い夢を見たような……う、早く起きないと、たべちゃうぞぉって、あれは……
「るいず、オハヨ」
「あぁ、おはようハヤテ」
頭を振って眠気を払う。今日は笛で起こしてもらえなかったのか。でも自分で起きれたからよしとしよう。
まだ空は薄暗い。だけど、二度寝はしない。
外を見て思い出したから。
タバサに会いに行くって。
わざわざ早起きしなくても、食堂でも教室でも会える。それは分かってるけど、そこだと、いやな私が出そうだから。
ぐちぐち考えてたってしょうがない。
気合を入れて、でもまだ他の部屋は睡眠中だろうから静かに、部屋を出た。
空が白みかけたこの時間の光景は、ちょっと新鮮。タバサって、結構いい趣味してるじゃない。
「それで、どの辺りだって?」
「アッチ」
いるかどうかハヤテに確かめて来てもらえば確実だけど、何となく無粋な気がしたし。
それにあちらはメイジと使い魔の二人でいるんだろう。だったら私たちも、二人一緒に会いに行くのが対等でしょう。


「あ、いたわね」
風竜だから、この距離からでも見える。タバサは影になってるのか見えなかった。あの子小柄だし。
大きな使い魔と、小さなメイジ。私たちとは反対ね。
すいと、風竜が顔をこちらに向けた。
ハヤテに気がついたのもあの竜だったっていうし。ただの竜とは一味違うのかな。前に見た竜騎士隊の竜よりも、何て言うんだろう、表情がある気がする。
私が近付くのを、タバサは表情も変えずに待っていた。
700豆粒ほどの小さな使い魔15 3/5:2007/11/09(金) 17:28:52 ID:/MtZzHt5
「おはよう、タバサ」
返事は無言。辛うじて頷いたと分かる程度に顔が動いただけ。
これでも、キュルケの友達なのよね。キュルケ以外と一緒にいるとこ見たことないけど。
「この間は本当にありがとう。いいって言うかもしれないけど、でももう一回言わせてね」
あの時は頭が混乱してたけど、ああいう風にしてくれる人って、学院に来てからは初めてだった。
私が意地っ張りなせいもあるけど。例えばモンモランシーがいても、本当に重症でもなければ、笑われて終わり、だと思う。
タバサの左腕に巻かれてる包帯。いなくなってた数日、どこで何をしていたんだろう。
気になるけど、そこまで踏み込めるほど私と彼女の距離は近くない。今はまだ。
「左腕、痛くない?」
ハヤテが会った時には、腕を吊っていたと言うから、昨日の内に治術師に見てもらったんだろうけど。
こうしてみると、タバサが無口なのは、とってありがたかった。
気にしないつもりでも言葉につい反応しちゃう私が落ち着いて話そうと思ったら。
「それと昨日も、うちのハヤテを風竜と遊ばせてくれたんですってね。嬉しそうに話してくれたわ」
竜か。見上げると、目が合った。やっぱり羨ましいって思っちゃうな。ハヤテが最高なのは絶対だけど、誰からも一目で分かるわけじゃないもの。
「……シルフィードに会いに来たの」
「違うわ。貴女たちに会いに来たの」
あ、今ほんの少しだけ、首をかくんって傾げた。栗鼠みたいで可愛い。
よく見てないと分からないだろうけど、もしかしたら、タバサって顔以外はわりと素直?
直感だけど、当たってそうな気がする。
「ねぇタバサ、貴女の風竜に触れてもいいかしら」
「かまわない……あなたの使い魔も」
大きいけれど、すらりとしているせいか、威圧感よりも優美さを感じるわ。
竜の首筋に、そっと手を伸ばす。
強さとしなやかさ。健康な命の脈動。つい撫で摩ったら、風竜がきゅいきゅいと思いの外甘い声で鳴いた。
怒っているというよりは、くすぐったがってるみたい。一瞬、タバサをくすぐったら、こんな風に笑ってくれるかなって。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 17:29:22 ID:U5mQGGpT
豆支援
702豆粒ほどの小さな使い魔15 4/5:2007/11/09(金) 17:30:11 ID:/MtZzHt5
「ごめんなさいね。ありがとう、とても素敵な使い魔だわ」
毎朝会いに来たくなる気持ち分かるわ。
「あなたのも……」
お世辞、じゃないわよね。この子がそんな気の回し方をするとは思えないし。
だとすると、タバサは、ちゃんとハヤテのことを見てくれたんだ。ただ小さいだけだとそれで終わりにしないで。
一年間、私は何を見てきたんだろう。
どれほどのものを見落としてきたんだろう。
今からでも遅くない?
「私の使い魔は、ハヤテと言うの。コロボックルのハヤテ。貴女に名前で呼んでもらえたら、彼女もきっとその方が喜ぶと思うわ」
指し出した手のひらの上で、ハヤテがタバサに、ルルル、ヨロシク と。
タバサの表情は変わらないけど、右手の指が、ぴくぴくしてる。
「なら……あなたたちも、シルフィードと呼んであげて」
ごめんなさい。吹き出しそうになっちゃった。タバサって、意外と負けず嫌い?
何だろう。
魔法の実力や、先生や周りの評価でも、タバサは私よりはるかに上。だけど、今ここにいるのは、私よりも本当に小さな女の子に見える。
キュルケも、きっとタバサのこういうところを知ってるんだろう。
あれ? だとすると、キュルケも意外といい奴?


それほど長い時間話してたわけじゃないし、会話と言うにはぶつ切れだったけど、でも私たちの距離は、随分と近くなって、タバサの周りの空気もとても柔らかくなったと思う。
「じゃあ、私たちは部屋に戻るわ。また遊びに来てもいいかしら」
タバサはほんの少しだけ頷いて、シルフィードも翼と尻尾を嬉しそうに振ってくれた。
きゅいきゅいという鳴き声にも結構バリエーションがあって、タバサとハヤテが静かにお話してる横で、私たちもそれなりに会話を成立させることができたのだ。
主人と違って、かなりおしゃべりらしい。これで言葉が話せたら、さぞ賑やかになるだろう。
703豆粒ほどの小さな使い魔15 5/5:2007/11/09(金) 17:32:06 ID:/MtZzHt5
「ハヤテの言った通りかもね。タバサって、私とちょっと似てるかも」
トゲトゲで自分を覆って、それで誤魔化してた私と。
その内側まで入ってこられると、どうしようもなく子供になってしまうところも。
勿論、タバサの方がずっと優秀だから、
「だから、多分、私よりも子供のまま」
今日は楽しかった。だけど、楽しいままでそれでばいばいしたら、きっとタバサは、私をただそれだけの人と見るだろう。
きっと怒ったりはしない。最初から期待してなければ、失望も怒りも感じないだろうから。
むかっとした。
やっぱり無鉄砲だな、私。
無関心になられるくらいなら、怒らせたいとか思ってるし。
コルベール先生で懲りるどころか、味を占めちゃったのかも。
「友達ガ、増エルネ」
「ともっ? ああ、そう、友達、ね」
ハヤテにしてみたら、シエスタもコルベール先生も、それからシルフィードもタバサも友達になるんだろう。
「そうね、きっとそうだわ」
一人で我武者羅になってたときより、強くなれた気がする。それに、前よりもずっと、欲張りになったと思うしね。
「ああ、でも流石に早起きし過ぎたかも。シエスタに朝のお茶濃い目にしてもらわないと」
今日中にレビテーション完成させて、ついでにもう一つ二つ覚えちゃおう。そのくらいできそうな気がするから不思議だ。
「ハヤテ、だけどまたぐちゃぐちゃしちゃったら、ばしっと叱ってね」

頼りにしてるからね。お姉ちゃん。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 17:33:09 ID:/NlxTRjB
支援
705豆粒ほどの小さな使い魔:2007/11/09(金) 17:33:24 ID:/MtZzHt5
投下終了
甘えることを覚えたルイズは無敵だと思います。

ルイズに怖い夢を見せたのは、ハヤテです。
中々起きてくれなかったので。
(寝ているルイズの耳元で、「起キナイト食ベチャウゾー」と繰り返し囁きました。
これは夢操りと言う、コロボックルの得意技だったりします)
706名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 17:44:27 ID:KQfaZFgF
支援が間に合わなかった
でもグッジョブ!
……このルイズは実にほっぺたをぷにぷにしたくなる
707名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 17:45:30 ID:kKJHwsBB
GJでした!
豆粒さんのほんわかした雰囲気が大好きです
708名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:04:37 ID:j9GqYLD/
[sage]

豆のお方乙です!

俺このままだとお豆さんの作品で泣いてしまいそうです・・・
709名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:11:20 ID:67cSeSft
とりあえずsage
710名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:24:29 ID:L6epbVuB
…もしかして、丁度予約が空いてるのかな?
711名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:33:09 ID:ozCyfDgL
GO!
712ゼロの家庭教師:2007/11/09(金) 18:35:04 ID:L6epbVuB
「おや?どうやら再開の鐘が鳴ったなったようですねぇ。
 随分長いこと休んでいた気分ですが…ま、気にしないでいきましょう!」

『先生の長い一日!!!』の巻 続き

昼休みの終わりと、授業の開始を告げる鐘が学院に鳴り響き、
アバンはそれまでの長話を切り上げて大きく体を伸ばした。

この数刻ほどの間、教えたがりの説教くさい聞き上手と、
素直で好奇心に満ちたおしゃべり好きの会話は、
弥が上にも盛り上がりを見せていたが、少しばかり熱中し過ぎたようだ。

「おじさま、もう時間なの…?」
それまでとはうってかわってシルフィードは落胆の色を隠さなかったが、
「続きはまたの機会としておきましょう。その時はもっと面白い話を用意しておきますから」
との言葉に再び瞳を輝かせた。

「おじさま、きっとよ!待ってるのだわ!!」

シルフィードの言葉に送られて広場を去るアバン。
振り返って振ろうとした手が羽に変わっていることを思い出し、思わず苦笑して姿を改めた。
「ついつい時間を忘れてしまっていたようです。急いで戻りましょうか…ルーラ!」
次の瞬間、アバンの身は光弾となって空を切り裂いていた。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:35:13 ID:tLRLmiW8
あじゅじゅしたー

ガチャ○ンとは……ハヤテお茶目ww
714名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:36:22 ID:L6epbVuB
急いで学院に戻ったアバンではあったが、どうやら既に授業は開始してしまったようだった。
生徒でもない自分が「遅れてすいません」と入っていくのも妙な具合であり、
同時に次の授業の担当が、こらまた実に陰険そうな感じのする教師でもある。

自分はともかく、ルイズまで嫌みったらしく当てこすられたりしたら堪らない…
アバンはあらためて次の授業まで待つことにした。

(大型のものなど、使い魔が必ずしも同席する必要はないようですしねぇ)

これならばもう少しシルフィードと話しを続けてあげるべきであったか、とも考えたが、
今更いっても仕方が無いので食堂裏の厨房に顔を出すことにした。

――やぁやぁ皆さん、コンニチハ〜
と、いつものように明るく乗り込もうしたアバンであったが、
この世の終わりが来たかのように暗く沈んだ厨房の雰囲気に言葉を呑んだ。
そこには普段の活気に満ちた姿は無く、酷く閑散とした光景があった。

入って直ぐにこちらに気付いたコック長のマルトーは、神妙な面持ちでアバンの顔をしばし眺めると、
部屋の奥で俯いたままのシエスタの方に視線を促し、自身は他の者を連れて席を外した。

「……どうかしましたか?」
「!アバン様!?」
ハッと顔を上げたシエスタの、その赤い目が事態の深刻さを物語っていた。
715名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:36:46 ID:tLRLmiW8
うおっ変なタイミングでレスしてしまった、スマン!

支援
716名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:37:31 ID:L6epbVuB
「その…なんでもないんです!!!なんでも…」
勢い立ち上がろうとするシエスタの両肩に手を置き、
静かに、そして優しく座るように促すと、片膝をついてシエスタを正面から見つめ、
ゆっくりと穏やかに語りかけた。

「シエスタ、シエスタ…いいんですよ。どんなことだっていいんです。
 どんな些細なことでも、どんな深刻な難題だろうと、話してみてください。
 そして一緒に悩んで、一緒に考えましょう。一人で抱え込む必要はありません。
 どうにも頼りない私ではありますが、貴方のために惜しむ力はありません」

「アバン…さま…………」
初めは尚も言葉を続けようとしたが、途中からは言葉にならず、
終には堪えきれずに涙が溢れたシエスタをアバンがそっと抱き寄せると、
彼女は最早嗚咽を止めることはできなかった。



「…それで、その後もそのシエスタとかいうメイドの話に付き合ったがために、
 次の授業にも間に合わず、主人である私に何の連絡もしないまま、
 今の今まで外をほっつき歩いていた、と。こういうこと?」

「流石はルイズ、パーフェクトな回答です。いや〜私も実に鼻が高いですよ!」
カンラカンラと大笑するアバンに、机をどんっ!と叩いたルイズ。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:39:08 ID:xhveicuH
支援します
718名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:40:07 ID:L6epbVuB
「あんたね〜、絶っ対にわたしをおちょくってるでしょ!」
「いやいや、きっと心配してるだろうな〜とは思ってましたとも」
「だだだ誰があんたの心配なんか、ああああんたのそういうことがね〜!」

――まずい、言葉が震えてきたのは噴火の兆候だ。

アバンはさっと居住まいを正した。

「オッホン…失礼。勿論ルイズが怒るのも判りますよ。
 最初に時間をすっぽかしたのは私ですからね、それについては申し訳ない」
この通り、と頭を下げるアバン。

「むむ…」
急に下手に出られたために、怒りをかわされ少し言葉に詰まったルイズ。

「でも見過ごしては置けなかった状況だった、というのもわかって貰えるでしょう?
 どうやら件のモット伯は、王宮からの勅命ということで度々この学院を訪れていて、
 目に付いた平民の娘を強引に召し上げて自分の召使としてるらしいのですよ」
「別にそれは…」
「しかも!その目的は美しい娘を手篭めにするためだというのですよ!!
 こんなことが見過ごされていいのでしょうか!!?否、断じて否です!!!」

今度は一転、拳をグッと握り締めバックの炎を背負いながら熱弁を振るうアバン。
この辺りから、ルイズは段々嫌な予感を覚え始めていた。
確か以前もこんな流れでやり込められて…
719名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:40:35 ID:/1hX2ORU
田中秀幸声が恐ろしいまでに合っていた先生が帰ってキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!支援
720名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:41:28 ID:L6epbVuB
「私はねルイズ、力はあるだけじゃ何の意味もないと思いますよ
 人のために使ってこそ初めて意味があるのだと…」
突然の話題転換である。

「…それで?」

「思えばこの世界の魔法の力は実に素晴らしい。ありとあらゆる事が可能です。
 この世界でメイジが貴族として崇めたてられるのも、ある意味尤もなことで、
 これだけの力の持ち主には、人々の幸福を担う責任と義務があるでしょう」
「…そうね」

「そうであるなら、貴族とは人々のためにその異能を発揮し導いてこそ尊いのであって、
 いたずらに特権を振りかざし、人を不幸にするようなものが名誉ある貴族と言えるでしょうか?
 今回のようなことは完全に…」
「〜〜〜ッもう!」
ダン!と再び机を叩いたルイズ。

「アンタの長口上は聞き飽きたわ!!話しは簡潔に纏めなさいよ簡潔に!!!」
「一緒に悪い貴族を成敗して彼女を助けましょう」
本当に簡潔に纏めたアバン。

(薄々判ってはいたけど、ホントに一言にまとめちゃったわね…)
言いたいことはルイズにも良く判る、モット伯は確かに嫌な男だ。
アバンの主張には同意できる、シエスタの境遇には同情もできる、けれど…
721名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:42:32 ID:L6epbVuB
「そんなことできるわけないじゃない…あなた伯爵家の当主を手にかけて無事で済むと思ってるの?」
どうにかしてやりたくても、無理なものは無理なのだ。
そう主張するルイズに対し、

「手にかける?物騒なことを言わないで下さいよルイズ。バレたらことじゃあないですか」
他人の苦悩を知ってか知らずでか、あっさりと否定するアバン。

「?…じゃあどうやって助けるっていうのよ?」
金かなにかで取引でも持ちかける心算だろうか、と訝しむルイズだが

「ここは盗んでしまいましょう。何からなにまで全てです」

返って来たのはとても教育者を名乗るものとも思えぬ言葉であった。

先生の長い一日は、まだ終わらない。
722名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:44:20 ID:L6epbVuB
長いこと掛かって申し訳なかったが、なんとかここまで書いた。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:45:18 ID:TntnrZ0L
アバン先せぇぇぇぇぇぇ!支援!
724名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:45:18 ID:fyokSG1s
久しぶりの投下、乙です

相変わらず常人には思いもつかない発想をしてくれるアバン先生だ
そこに痺れる、憧れるぅ!
725名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:45:35 ID:67cSeSft
乙〜
アバン先生来たならオイラも頑張らないと(´・ω・`)
726名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:52:44 ID:j8K9rivM
もう続きは読めないだろうと思っててすみません
GJ!
727名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:56:18 ID:tLRLmiW8
アバン先生はホンマ説教上手やでー

乙!それと割り込んでごめんなさいorz
728名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:57:24 ID:fKZOA2+E
先生久々過ぎw
そして発言がもう勇者じゃねぇww盗賊に転職っすかw
729名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 18:57:28 ID:5BvPBKVB
>>722
我々は十年待ったのだ!
アバン先生が帰ってくる…こんなに嬉しい事はない…
730名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 19:13:00 ID:KQfaZFgF
…………頑張れジュール・ド・モット伯爵
きっと家は残るさ
多分
731名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 19:16:53 ID:C4YJj0+/
投下乙!
つか前の投下から何スレ経ったっけ
732名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 19:22:00 ID:fKZOA2+E
…下手したらスレ番一桁の頃以来じゃないか?
733名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 19:36:00 ID:+mZYMSef
アバン先生お久しぶり&GJ

>>731
確認したら12スレ目の7/22のが最後かな
普通のSSだとこれくらい待つのはよくある事なんだけどなw
734名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 19:42:16 ID:kvM325ae
アバン先生おかえりなさいそしてGJ!
いやあ続きが楽しみです
735名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 20:11:38 ID:cnsyTGGp
アバン先生お帰りなさい!続き楽しみに待ってます
736名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 20:21:25 ID:ObqL32bD
どっかで見たようなストーリー
ttp://www.shoukan-shoujo.jp/index_story.html
737名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 20:22:47 ID:y3tfVwCp
>>736
あれ?それまだ発売されてなかったのか
738Mr.0の使い魔:2007/11/09(金) 20:23:58 ID:CRWlD20I
コロポックルの人、読んでて表情が緩んでしまいました。
二人のやりとりが可愛くて可愛くて。

アバン先生の人、お久しぶりです。
いい事言ってるような気がしますが、いわゆる勇者とはかけ離れて(ry

さて、アチシも五分後ぐらいを目処にトゥーカします。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 20:26:26 ID:j9GqYLD/
[sage]
乙です!
久々にダイの大冒険読み返してみようかなGJ!
740名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 20:26:41 ID:QaJGUms+
アバン先生久々の投下乙でした
続き楽しみにしてます。
741Mr.0の使い魔 第二十九話(1/5):2007/11/09(金) 20:30:27 ID:CRWlD20I
「た、大変です、船長!」

 ノックもなしに飛び込んで来た赤毛の青年に、頭は一瞬反応が遅れた。
危うくみっともない所を見られたかと身構えたが、青年の様子を見ると
それどころではないらしい。息も絶え絶えに「大変だ」と繰り返す彼を
前に、何か尋常ではない事が起きたのだと頭は表情を引き締める。

「落ち着け、デニス。一体何があった?」
「ほ、砲甲板に、砂、砂がッ!」

 何度も詰まりながら必死に説明しようとするデニス。最初はどうにも
要領を得ない単語が並ぶばかりであったが、話を聞くうちに頭の表情が
強張った。

「一面の砂、だと?」
「そうです! おまけに壁は壊されて、先にいた筈の先輩達も見当たりません!
 こんな事ができるのは、ジンしか、砂漠の悪魔しかいない!」

 悪魔、ときた。普通なら一笑に付されるのが関の山だ。
 しかし、頭はそれをしなかった。怯えた仕草や恐怖で引きつる顔が、
相応の異変を目の当たりにした事の証明だ。全て演技なら超一流の役者
だろうが、そもそもデニスはそういう事が得意ではない。

「デニス、全員に非常召集だ。大至急、杖と武器を手に甲板に集まれ、と」
「あの、先輩達は――」
「今は考えるな。行け!」
「は、はい!」

 なおも恐怖に苛まれているデニスを無理矢理に送り出すと、頭は棚
から杖を手にとった。
 同時に、デニスが言い残した『先輩達』の顔を脳裏に浮かべる。話
を聞く上では合計九人、デニスの前に砲甲板にいた筈だという。その
九人全員が、こつ然と姿を消した。
 彼らとて屈強な空の戦士、生半な事でどうにかなりはしない。が、
事の中心に居合わせたであろう彼らは、誰にも異常を伝えられず姿を
消してしまった。現場を離れて無事、と考えるのは楽観が過ぎる。
 右手で杖を握りしめた頭は、空いた左手を棚の上の小箱に伸ばした。
蓋を開き、中から古ぼけた便せんを取り出す。色あせた手紙を丁寧に
上着の内ポケットに仕舞い込むと、頭もまた甲板へと向かった。

「始祖よ、そして我が愛しき者よ……どうか、我らに今しばらくの御加護を」


 Mr.0の使い魔
  ―エピソード・オブ・ハルケギニア―

     第二十九話

742Mr.0の使い魔 第二十九話(2/5):2007/11/09(金) 20:33:18 ID:CRWlD20I
 階段を上ったクロコダイル達は、続いて近場の船室を次々と覗いて
回った。どの部屋が宝物庫かわからないので、手当り次第に物色する
他ないのである。
 誰かを捕まえて尋問する、というのは却下だ。この空賊達は、賊と
しての要領が悪い割には随分と口が堅い。砲甲板でのやりとりがいい
例だ。あの砲手は、自分の命が危機に瀕しても頭への忠誠を貫いた。
腕の悪い海賊団では大抵頭目への忠義も低いのだが、今回はそれには
当て嵌まらないらしい。
 ともあれ、尋問に時間をかけるよりはしらみつぶしに探す方が目的
達成への近道になる、とクロコダイルは判断した。ルイズやワルドと
手分けして、扉を開いては中を覗き込み、違うとわかると即座に次の
部屋を開く。ひたすらその繰り返しだ。

「あ」

 クロコダイルが三番目に訪れた部屋では、手透きらしい男達が五人、
カードで遊んでいた。が、思わぬ闖入者に唖然としている間に砂の中。
反撃どころかまともに口をきく暇さえない。

「悪いが、時間が惜しいんでな」

 五人纏めて干物に変え、クロコダイルは次の船室へと向かう。今頃
敵は総出で自分達を捜している筈だ。無駄に結束の堅そうな空賊達は、
倉庫でミイラになった仲間を見てさぞや怒り狂っているだろう。
 そんな猛獣共に包囲される前に、何としてもデルフリンガーを回収
する必要がある。現状で確認できる唯一の対魔法用装備なのだ。多数
のメイジと戦うにあたって、弱点となる水の魔法を防ぐにはあの剣が
不可欠である。
 と、余計な考え事をしていたのがまずかったか。

「てめぇ、そこで何してやがる!」

 誰何の声をかけられるまで、クロコダイルは敵の存在に気づく事が
できなかった。今しがた開いた四番目の扉を間に挟んで、廊下の突き
当たりに一人の男。
 間一髪で部屋に飛び込んだ直後、扉の上半分が水流で粉微塵になる。
飛び散るしぶきと木片が、クロコダイルの頬を浅く傷つけた。

「命が惜しけりゃ大人しく出てこい!」

 荒々しい声に似合わず、耳に届く足音のリズムは遅い。容赦のない
水撃といい一息に踏み込まない慎重さといい、かなりの手だれらしい。
さらに、部屋には冷たいもやが吹き込んでいる。魔法で霧を生み出し、
目くらましにしているのだ。狭い廊下で狙いを絞られないための策。
これだけ周到に防御を固めているのだから、のこのこと姿を見せれば
今度こそ濁流に飲み込まれるに違いない。

(よりにもよって、水系統とはな)

 僅かに滲む血を拭いながら、クロコダイルは己の不運を罵った。今、
最も出会いたくない系統のメイジだ。しかも相手は知らないだろうが、
霧のせいで砂の能力を完全に封じられた。攻撃を受け流す事はできず、
使える武器は左手のかぎ爪だけ。それも思い切り距離を詰めなければ
かすりもしない。
743Mr.0の使い魔 第二十九話(3/5):2007/11/09(金) 20:38:21 ID:CRWlD20I
 せめてもの幸いと言えば、ワルドとルイズの姿を見られなかった事
だろうか。クロコダイルがこの部屋の扉に手をかけた時、二人は別の
部屋の中を探っていた。室内にいて敵の目を逃れたどちらかが、多少
でも気を引いてくれればつけ込みやすいのだが、さて。
 頭を働かせているうちに、床板を踏みしめる音はすぐそこに迫って
いた。声は半壊した扉の向こう側、隣の部屋の前辺りからだ。

「抵抗するだけ無駄だ。観念し、ッ!?」

 風を切る音、直後に肉を裂く音。
 クロコダイルはすぐさま飛び出した。急速に薄らぐ白い帳の中に、
後ずさる男と曲刀を握ったワルドの姿。床には男の左手首が、主の杖
を握ったまま転がっている。敵がクロコダイルへと集中していた隙を
突いて、ワルドが横合いの部屋から奇襲を仕掛けたのだ。
 しかしながら、相手の無力化は完全とは言えない。健在な右手には、
予備の武器であろう、小振りなナイフが煌めいている。

「下がれ!」

 叫ぶと同時、クロコダイルが床板を蹴った。まだ湿気が多く能力は
使えないが、杖を拾うチャンスを与えては勝ち目がなくなる。室内へ
引っ込むマントの裾をかすめ、鋭いかぎ爪が空賊へと襲いかかった。
 獲物の喉笛目掛けて一直線に突き出された切っ先は、しかし寸前で
ナイフに弾かれる。片手を切断されて相当な痛みだろうに、なおこれ
だけの反応を見せるのは賞賛ものだ。だが。

「くそっ!」

 悪態をついたのは空賊の方。一見しても二対一、さらに頼みの杖は
掌ごと失われた。ナイフ一本で渡り合う不利を理解した男は、素早く
身を翻して逃げの体勢に入る。
 無論、見過ごしてやる義理などクロコダイルにはない。僅かに身を
沈めて力をため、無防備な敵の背に狙いを定める。そして――一発の
銃声に、その動きを止めた。


(ちゃんと、当たった……当てられた)

 硝煙の立ち上る短銃を手に、ルイズはごくりと喉を鳴らした。紅い
水たまりの広がった目の前の床には、片目に穴の空いた空賊の亡骸が
転がっている。
 部屋を飛び出してすぐ、2メイルとない至近距離から額を狙ったが、
発射の反動で僅かに照準がずれたようだ。銃など今まで一度も使った
事がないから、当然と言えば当然か。

「やるじゃねェか、ルイズ」

 クロコダイルの声は、珍しく感嘆を含んでいた。敵の目の前に躍り
出て、即座に射殺。軍人や傭兵ならともかく、荒事とは無縁であった
貴族の子女がやってのけたのだから、彼が驚くのも頷ける。
 第一、貴族なら普通は杖と魔法があり、銃のように不安定な武器の
扱いに長ける者は少ない。ルイズの場合も、単に知識として大雑把な
使い方を知っていただけで、一発で事をなし得たのは偶然による所が
大きかった。

「大した事、ないわ」
744Mr.0の使い魔 第二十九話(4/5):2007/11/09(金) 20:39:25 ID:CRWlD20I
 少しだけ声が震えた。クロコダイルに認められたという安堵の中に、
人を殺した自分への猛烈な嫌悪が混じる。
 失敗魔法で怪我人を出した経験は何度もあるが、それが原因で死に
至った者は一人もいない。大抵は打撲や擦り傷、気絶で済んでいたし、
いざとなれば学院の水メイジ達が治癒の魔法で治してくれたからだ。
桟橋の件だって、相手は生身の人間ではなかった。
 だが、今回は違う。治癒魔法が使える人間は誰もいないし、何より
明確に殺意を抱いて銃を撃った。そして、この名も知らぬ空賊の命を
奪ったのだ。

「この銃は、もう使えないわね」

 喉元まで込み上げる嘔吐感を意思の力でもって押し止め、ルイズは
弾切れになった短銃を放り捨てた。代わりに、握力の失われた空賊の
手からナイフを拝借する。短銃に比べると随分と心許ないが、“力”が
なければ戦えない。ただでさえ自分は無力なのだから、少しでも戦力
足り得る事を、無用でない事を示すために、何かしらの武器が必要で
あった。
 それに、本来の自分の得物――杖を取り戻しさえすれば、これほど
弱気にならずとも済むのだ。それまでの繋ぎになればいいのだから、
あまり贅沢を言うべきではない。
 ナイフを軽く振って重さを確かめるルイズに、幾分トーンの落ちた
ワルドの声がかかった。

「ルイズ、あまり無理をしないで」
「わたしなら大丈夫よ。さ、行きましょう。敵は待ってはくれないわ」

 気遣うワルドを直視できず、ルイズは素早く踵を返す。
 故に、僅かに歪むクロコダイルの表情を見落としていた。


 甲板では、空賊達が武器を手に二列横隊で並んでいた。正面に立つ
頭は二十五人の手下達を見て、眉をひそめる。

「これで全員か?」
「休憩室の陸戦班五人、第一保管庫の警備二人がおりません。
 医療班のジョンとヘンリーが、それぞれ休憩室と第一保管庫へ向かっています。
 予備船倉の貴族達は監視班からアーサーが迎えに行きました。
 同じく監視班のエドワードと陸戦班のブライアン、砲手班九人は行方がわかりません」
「そう、か」

 手下の一人が素早く報告する。『砲手』のところで列の中程にいる
デニスが肩を震わせたが、頭はあえて何も言わなかった。
 それにしても、エドワードとブライアンも行方不明とは。思えば、
トマスが二人を探していたあの時点で、既に犠牲となっていたのかも
しれない。
 そう考えると何ともやりきれない気持ちになるが、いくら後悔した
ところで状況は好転しないのだ。ならばこそ、今は割り切って行動を
起こさなければ。

「時間が惜しい。諸君には先に状況を説明しておこう。デニス、前へ」
「は、はい」
745名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 20:39:39 ID:3iMGCbrX
支援
746Mr.0の使い魔 第二十九話(5/5):2007/11/09(金) 20:40:57 ID:CRWlD20I
 緊張した面持ちで進み出たデニスは、顔を青くしながら自分が見た
光景を語る。壁を破壊された砲甲板、砲手と大砲の消失、そして一面
に広がった砂。
 あまりにも非常識な説明だが、嗤う者は一人もいない。表情を引き
締め、あるいは忌々しげに顔を顰めて、デニスの言葉を真剣に聞いて
いる。全員が、彼が真実を語っていると理解しているからだ。
 説明を終えたデニスが下がると、頭が再び口を開いた。

「聞いての通り、今、この『イーグル』号は異変に見舞われている。
 これまで諸君が経験した事のない、全く未知の脅威に、だ。
 アルビオンまでの三時間、我らはこの脅威に立ち向かい、打ち勝たねばならない。
 祖国で戦う仲間の元へ、憂いを持ち込まぬように。その事を肝に銘じておけ」
「「「ハッ!」」」

 手下達が唱和し、一糸乱れぬ敬礼を頭に返した。一介の空賊の仕草
ではない。身なりは粗野だが、それはまさしく鍛え上げられた軍人の
姿である。

「まずは部隊を四つに分ける。持ち場は予備船倉、砲甲板、第一保管庫、そしてここだ」

 言って、頭は皆をぐるりと見回した。

「トマス以下監視班七名、船倉のアーサーと合流し、貴族達の警護につけ。
 合流後は甲板に戻り、彼らを『マリー・ガラント』号に避難させよ」
「了解です」

 トマスが頷き、仲間を連れ立って階段へと向かう。

「次に砲甲板の状況を調査する部隊。これは私とデニス、陸戦班五名で行う」
「了解!」

 隊列の右端、坊主頭の大男が威勢よく声を上げた。

「第一保管庫へは旗手班三名、休憩室を経由して向かってもらう。
 ジョンおよび休憩中の五人に出会った際は同伴を伝え、合流できなければそのまま保管庫へ。
 いずれかで彼らと合流した場合、保管庫にて預かっている杖と剣を受け取り甲板へと戻れ」
「ハッ」

 敬礼を返し、三人の旗手は列から抜ける。

「医療班二名、風石班三名、操舵班四名は甲板で待機し、操船と連絡、治療を担当。
 監視班およびヘンリーが戻った際は、そのまま彼らを甲板へ配属。
 ジョンと陸戦班の者達は保管庫へ向かわせるのだ。
 貴族達の避難誘導、杖と剣の返却も忘れるな。
 避難が終わり次第『マリー・ガラント』号へ退避指示を出し、牽引索を切断せよ」
「はい」

 計九人を代表して、医療班の眼鏡の青年が頷いた。
 頷き返した頭は、デニスと陸戦班の五人を促す。

「では、我々も下へ向かうぞ。各人、気を引き締めよ」


   ...TO BE CONTINUED
747Mr.0の使い魔:2007/11/09(金) 20:42:24 ID:CRWlD20I
以上、二十九話終了です。支援ありがトゥー!
748名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 20:59:36 ID:3iMGCbrX
Mr.0の人GJ。
相手の正体を知った時のルイズが心配過ぎだぜ…
749名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 21:04:08 ID:dhrPSb+V
クロコダイルの人お疲れ様&GJでしあすた。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 21:12:15 ID:kvM325ae
クロコダイルの人GJでしたー
何て不穏で不安なアルビオン入りなんだろう
ウェールズ様、手紙渡してくれんのかな
751名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 21:51:36 ID:4Qy1usm1
やっぱクロコダイルは危険な使い魔だなぁ。
ルイズが制御どころかむしろルイズの方が流されてるとゆーか。ブルブル

上のほうで我聞の名前出してた人。
ひょっとして桃子召喚とか言うツモリでは?
ダブルハーマイオニー互換キャラw
752名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 21:55:42 ID:rR93x/fg
>>751
桃子は科学と魔法、両方がいけるキャラだし面白そうだよな。
753名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 22:09:20 ID:BhP8u7PQ
Mr.0の人GJ

着々と主人は使い魔の影響を受けてるようで、将来が楽しみだw
754蛇の使い魔:2007/11/09(金) 22:43:41 ID:IeqA3qJ5
>>751
それも考えた
我聞だと素手で強いけど桃子でも面白そうだな
キノコつきだとなおさら面白そうだ
755名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 22:47:36 ID:IeqA3qJ5
>>754
なまえ消えてなかったorz
756名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 22:51:57 ID:csFGBwAf
なあに避難所ではよくあるドジっ子ってやつだ。
757名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:21:28 ID:OVUl4YIX
今投下おkですか?
758名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:22:49 ID:sIybC2I9
どうぞどうぞ
7590 to 2:2007/11/09(金) 23:24:24 ID:OVUl4YIX
何が起こったのか、よく解らなかった。
いつもいつも失敗してばかりだった魔法。今日この日こそと挑んだ『サモン・サーヴァント』。
幸いにも魔法は成功し、ゼロのルイズと呼ばれる彼女は、漸く生涯を共にする使い魔と出会えた――はずだった。
だが、しかし。
ゼロの名とは無関係に、事は起こってしまった。

爆発による砂埃が晴れると、そのクレーターの中心に、何かが蹲っているのが見えた。
痩せっぽちで、生まれて間もない赤子に見えるほどに小さい身体。
病的に白い、紫がかった肌。その中に浮いて見える、紫色の長い尾と丸い腹部。
リザードマンにも竜のようにも見える、しかしそれらの種族には生えていない、角のようなものが目立つ頭部。
筋肉がついているとは到底思えない、細い腕。それとは対照的な、ウサギのような脚。
異形。そんな言葉が、ちらと皆の頭をよぎった。
ルイズは元より、その場にいた他の生徒も、コルベールすらも見た事のない、奇異な生き物であった。否、生き物であるかすらも疑わしい。
囁き声は集まりあい、やがてざわめきとなって広場を包んだ。
何より困ったのは、召喚した張本人であるルイズだった。
とりあえず、ナニカを呼ぶ事は出来た。だがそのナニカは、ナニカ解らない。
これは果たして成功と言えるのか、それとも――
一先ず近づかなければ話にならない。そう思い、ルイズが一歩踏み出したその瞬間。

「――げほッ」

びちゃり。草むらに、ソレの体液が毀れた。
腹に力が入らないのか、弱弱しい咳が続く。
肌は強烈な秘薬に触れたかのように赤く爛れ、尾は引き攣りびくびくと痙攣した。
足が、動かない。一歩踏み出したまま、ルイズは唯、呆然とその様を見ていることしか出来なかった。
「いけない……! 水の魔法を! それに秘薬を! 急いで!」
コルベールの声に漸く我を取り戻したルイズはソレに近づこうとした。
だがその痙攣を続ける身体はフライで運ばれ、医務室へと消えていった。
760名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:28:40 ID:nMnM6Uyp
761名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:30:07 ID:gAtOUm90
支援支援しえん
7620 to 2:2007/11/09(金) 23:31:58 ID:OVUl4YIX
ルイズがソレと対面したのは、それから数刻が過ぎたときだった。
ソレは水で満たされた巨大な水槽の中で、静かに身体を丸め、目を閉じていた。
幸いにも、辛そうな表情はしていなかった。楽しそうでもなかったが。
「ミス・ヴァリエール……少々酷な話だが……」
コルベールは曇った眼鏡の位置を直すと、ルイズに向かい合った。
「彼はまだ、外で暮らせるまでに育っていない」
「え?」
ルイズは耳を疑った。育っていない? どういう意味だ、それは。
「……ミス・ヴァリエールは、子どもがどんな風に生まれてくるのか……その仕組みはもう、勉強済みだったかな」
基本的には、大体。だが、それとコレとの関係性が、見つからない。
「彼はいわば、まだ母親の胎内で眠っている状態に等しいんだ。しかも……その身体は、とても脆い。
だから、外気に触れようとすれば……またさっきの様な事に……」
嘘、だ。
ルイズの世界がぐるりと回った。
つまり、自分は。赤ん坊、よりもまだ幼い、胎児を――
「今は応急処置として、魔術と秘薬で清めた水に浸している。ちょうど、母親の胎内の成分に整えてある水にね。今は安定しているけど、育つまでは外では……」
頭の奥がぐらぐらする。そんな子を、召喚してしまったなんて。
「『コントラクト・サーヴァント』は、彼の身体が成長した時で構わないよ、ミス・ヴァリエール。外に出ても平気になってからで。それに……」
そこで、コルベールは言葉を呑んだが、ルイズにはその後が嫌でも分かった。
死ねば、また再召喚すればいい、と。


ルイズは待ちます、と答えた。
この子が育つまで、元気に外で、一緒に生きることが出来るようになるまで待ちます、と。
胎から途中で取り出してしまった赤子を、見捨てるわけにはいかなかった。


コルベールが去り、医務室にはルイズと、巨大な水槽にいる彼だけが残された。
ぷかぷかと浮いている様はまるで金魚のようだったが、彼はそんなに生易しい、軽いものではない。
今もずっと目を閉じ、眠り続けている。
「……名前……決めないと」
ルイズは、そう呟いた。
いつまでも「ソレ」とか「彼」では、収まりが悪い。何より、かわいそうだ。
「よし……決めたわ、貴方の名前。貴方は――」
763名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:33:55 ID:gp4LN/kl
私怨
7640 to 2:2007/11/09(金) 23:37:23 ID:OVUl4YIX
「彼」は、もう、起きていた。
身体は眠っていたが、心は、もう目覚めていた。
生まれた地ではエスパータイプに分類される「彼」は、その心の目で、辺りを見回していた。
冷たい水。薄ぼんやりとした視界。暗い影。ノイズ交じりの、意味不明な音。
そして――優しい、桃の花の色。
闇の中で、「彼」の心が躍った。
アレを、知っている。あの色を知っている。はやく、はやく話さないと。はやく――


一瞬、水面が揺れた。ぽこりと小さな泡が、「彼」の口から漏れる。
「……ッ!」
ルイズは目を見開いて、水槽に近づいた。
そして――彼の囁く声を聞いた。


『ここは、どこ? ボクは、だれ? どうしてボクは、ここにいるの……?』


彼の地でツーの称号を与えられた者。この地でゼロの称号を与えられた者。
二人は、こうして出会った。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:39:36 ID:gAtOUm90
んん?ポケモンかな支援
7660 to 2:2007/11/09(金) 23:40:17 ID:OVUl4YIX
以上です。支援ありがとうございました。
いつかのこのスレで言った、幼い日のミュウツー召喚です。
ちょっとばかし早すぎたようですが。まあ、腐ってないだけいいか。うん。
767名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:44:03 ID:KQfaZFgF
そんな後に
「薙ぎ払え!」
とか
「腐ってやがる……! 早すぎたんだ!」
とかなりそうな事を言わないでおくれGJ!
768名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:51:36 ID:6s5r5Ttq
心読めるミュウツーとかワルド戦どうするよwww
「こいつ悪い奴」とかミュウツーがチクッたらイチコロやんGJ!
769名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:53:13 ID:OWklpN3p
おつー
ずいぶんと怖い召還だ。ルイズ無茶しすぎ。
770名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/09(金) 23:56:17 ID:MSOpug//
それよかルイズが早死にしそうな予感がしないでもない。


女の子が好きでケーハクに見えて結構鋭いサイト
目付きが悪くて青い髪の少女。
かつては凄腕のポケモンゲッターだったカリンに鍛えられたルイズ
というもんを思いついたのでいろいろ練ってる。
…………カリンママがピンクハウスみたいな服で登場とか恐ろしいものが頭をよぎった。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 00:14:37 ID:m16Fajug
>>770
キュルケとイザベラがオスマンの元からエスケープするのか。
そして、ジョセフの使い魔のせいでキュルケの目の前で両親が消え、
イザベラがシェフィールドのせいで悪の王女にされ、
最後はジョセフと和解するものの、シェフィールドの手により
ウェールズ、マチルダ、キュルケ、テファ、イザベラが石になって以下次章!!
772名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 00:23:15 ID:m16Fajug
連レスになるが………
マチルダっつーかフーケはナツメの方が合ってたかもorz
773名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 00:29:02 ID:ZZfxix/g
胎児召喚のイメージは女性にとって最悪だろうな
ルイズの罪悪感が表現できてるのはいいと思う
逆にレアモノゲットで喜んでたらビッチだった
774名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 00:42:04 ID:LHy9hODK
子供繋がりでアリオーシュ召喚とか浮かんだ
エルフを召喚したと大騒ぎ。アリオーシュが呆然としてるうちに契約
そして契約の痛みを受けていきなり「私の子供はどこぉォオ!」
ルイズ呆然。
アリオーシュがおかしくなったのは(おかしいのは元からだが)自分が子供から引き離したせいだとか思い込んで色々頑張るルイズとちょっと大きいけど子供が沢山いて満足なアリオーシュ。
アリオーシュでは食堂イベントがうまく進まないが進んだら進んだでギーシュがランチ的な意味で食べられちゃいそうでヤバい。
ルーンに洗脳でもなんでもいいからフル稼働してもらわないと最初にルイズが燻製肉になっちゃうからルーンの効果とか改変が必要かな?
775名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 00:52:55 ID:HuqPEA52
トライガン13巻発売記念age
776名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 01:06:41 ID:yPE6UC0h
綴り繋がりでアリオッチ様召喚。
使い魔の癖に全然言うことを聞いてくれない。
終いには名前を連呼しながら血と魂を捧げる羽目に。(でも言うことは聞いてくれない)
777名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 01:14:25 ID:EWZd69bw
>>677
ついにハルケギニアに光の巨人が!

しかし、レオの身長は51メートル。
30メートルゴーレムなんて大人と子供じゃんか、フーケ涙目確実だな。
778名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 01:35:07 ID:DV5ZZWho
というか、あいつら惑星を素手でぶっ壊せる連中だぞ
779名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 01:40:21 ID:UXPJYv9P
>>773
サンダルフォン召喚を幻視した
780名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 01:49:38 ID:wZCYN+VF
電人ファウスト召喚






あんな打ち切りマンガ誰もわかりませんよねー……orz
781名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:00:16 ID:mX+F3D2a
>>780
俺は大好きだぜ



でもあの作者の作品打ち切り率高いんだよねー・・・orz
782名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:07:30 ID:fy58Fh/u
>>642
>>646
>>650
>>651
ケレボルンの殿が召喚されたら…w
783名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:12:27 ID:4VMrosiu
>>779
艦載機がロボッ子の戦艦か
ウサコーモリ萌え
784名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:13:04 ID:Pa02GpdV
電人といえばザボーガー
785名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:19:36 ID:b3owjRcV
>>784
マシーン・ザボーガーに跨ってるルイズを想像するだけで笑えます。
786名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:26:52 ID:p34WWsuC
マッハバロンを召喚…きっとコックピットで操縦酔いで潰れてるんだろうなぁw

関係ないがマッハバロンのOPは神曲
787名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:29:34 ID:4Yan+ABy
投下したいんですが、大丈夫かな・・?
788名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:31:28 ID:EWZd69bw
Go!
789爆炎の使い魔:2007/11/10(土) 02:34:12 ID:4Yan+ABy
じゃあいきます。

神聖なるサモン・サーヴァントの儀式。
その日、ルイズはいつものように魔法を失敗し続けた、いつものように爆煙を立ち上らせていたのだ。

そしてその爆発の回数が2桁になりだしたころ・・・

「ミス・ヴァリエール、そろそろ日も暮れてきました。サモン・サーヴァントはまた明日やり直す事として、
今日の所は魔法学 院に戻りましょう」
「コルベール先生、後一回だけ・・・後一回だけ挑戦させてください。おねがいします!!」

真剣な眼で懇願するルイズ、その真摯な眼に根負けしたのかコルベールはうなずいた。

「わかりました。ミス・ヴァリエール、落ち着いてからゆっくり集中してやってみなさい」
ルイズは教師に礼を述べるとゆっくり深呼吸し集中を始めた。
「宇宙の果てのどこかにいるわたしのシモベよ 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よ!
わたしは心より求め、訴えるわ…我が導きに、答えなさい!!」

ルイズの声に遅れて、今までに類を見ない爆音が起きる。
生徒の何人かはその爆発で吹き飛んでいた。

「うわーーー!!ゼロのルイズが大爆発を起こした!」
「キャァ!スカートがっ!」

(ああ、また失敗したわ・・、これで留年かくて・・・・何か爆発の中心部にいる!?)

爆風が晴れるとそこには人(?)らしき人物がしゃがんでいた。何故?が着くかというとその何かはコートにフードを被っていたので
人なのかどうかわからなかったからだ。

「見ろゼロのルイズが人間を呼び出したぞ!」
「さすがゼロのルイズだ、普通の貴族とは違うな!」

ただ、他の生徒は二足歩行している時点で人間と思ったらしくいっせいにはやし立てた。

その人物(?)は立ち上がるとフードを上げる。そこにはタバサくらいの髪型で、年齢は20台なのか10台なのかわからない顔つきをした女性がいた。

その女性は、周りを不思議そうに見回し、こっちを見た。
ルイズは思わず
「アンタ、誰?」
と聞いたのだった。

790罪深い使い魔:2007/11/10(土) 02:37:18 ID:uN3lm4+4
支援です
791爆炎の使い魔:2007/11/10(土) 02:37:38 ID:4Yan+ABy
街道を歩いていると突然光に包まれた・・・

光に包まれたと思ったら煙に今度は包まれている。周りには多数の気配
何かのトラップかと思ったが、敵意は感じられないようだ。
よく見れば人間のようだ

「・・・!・・・・・・!!」
「!!・・・・・・・!!」

何か喋っているようだが、わからない。
言語体系が違う?しかしいきなり大陸間でも移動してしまったのだろうか。
何を言っているのかはわからない。だがどうやらこちらを嘲笑しているようだ。初対面の相手をいきなり笑うとはどういうことだろうか?
少しは見直したと思っていたが、やはり人間は人間なのだろうか・・・

実は、自分の顔にラクガキでもされているのか・・?とも思ったが
どうやらそういうわけでもないようだ。

周りの人間たちはどうやら私だけでなく私の近くにいる桃色の髪の少女も笑っているようだ。
少女はこちらを見るなり
「・・・・、・・・・?」
やはり何を言っているのかわからなかった.


この使い魔はこちらの言葉がわからないのか。少々首をかしげていた。
しかし、見たところ人間だ。人間を召喚するなんて冗談ではない。

「ミスタ・コルベール、儀式の再挑戦を希望します!」

そんなルイズにコルベールは無情にも言い放つ。
「ミス・ヴァリエール。呼び出された以上、君の使い魔にならなければならない。
今まで人を使い魔にした例はないが、使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先するんだよ」

「そ、そんな・・・・」

ルイズは泣きたくなった。せっかく召喚が成功したのに、よりにもよって人間、しかも平民を使い魔にするなんて・・・

「それに、もう次の授業まで時間がない、もし拒むのであれば君は留年ということになってしまう。」

留年と言われてしまってはグウの音も出ない。
仕方なくルイズは彼女に近づき、睨む。

「感謝しなさいよね!貴族にこんなことされるなんて普通は一生無いんだから!!」
 
呪文の詠唱。こんなときでもまだ何かを言っている。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る
ペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ…」
 そしてルイズは、唇を重ねた。
792爆炎の使い魔:2007/11/10(土) 02:39:46 ID:4Yan+ABy
いきなり近寄る少女、心なしか怒っているように見える。
何かしたような心当たりはないし、そもそも初対面なのだ。
理不尽さを感じながらも、視線はそらさなかった。
すると、なんということだろうか、いきなり少女は唇を重ねてきたではないか。

「!!!!!!?」

キスされたことがないわけではないが、初対面の人物にされたのは初めてだった。

「な、なにをする貴様、っ!!?」

いきなり額が熱くなる、思わず右手で額を抑える。

「使い魔のルーンが刻まれてるだけよ、すぐに収まるわ」

そんなことを言う少女、・・・・言葉がわかる!?
キスをされた瞬間から周りの雑談も認識できる言葉として聞こえてくる。
そのルーンとやらのおかげだろうか?

「ふむ、珍しいルーンですね。記録しておきましょう」
いきなり近寄ってきた少々髪が後退している男が自分の額の文字(ルーンだそうだ)をスケッチする。
訝しげな表情をすると
「ああ、すみません。私はこの魔法学園の教師をしているコルベールといいます。」

この教師、コルベールからはわずかだが火の気配がした。
こいつ、火の魔法を使うようだな。
どうやら描き終えたようだ。

「では皆さん教室に戻りましょう」
コルベールとルイズ以外の生徒たちは皆宙に浮いた。
「ルイズ、お前も飛んでこいよ!出来るならな!」
「ゼロのルイズには無理だよ」
「あなたみたいなのには平民がお似合いよ!」

そんな感じでルイズの事を馬鹿にしながら去って行った。

「うるさいわよあんたたち!!」
地団駄を踏んで悔しさを表現するルイズと呼ばれた少女
ひとしきりわめくと少女はこちらを向いた
「…ところでアンタ、一体何処の何者なわけ? 」

あまりといえばあまりの言葉にさすがにカチンとくる。
「人に物を尋ねるときは自分から名乗るのが礼儀だろう。それともそんな程度の教養もないのか?」
すこし、眼に力をこめて少女を睨む。それに少しひるんだのか
「う”・・・ わ、わかったわよ。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ、貴方の名前は?」
「長い名前だな」
「うるさいわね!名乗ったんだから名前教えなさいよ!」
むきになる少女に少し笑みを浮かべながら
「私の名前はヒロという。残念ながら、人間でも平民でもないがな」

スペクトラルソウルズ2終了時のヒロを召喚
793爆炎の使い魔:2007/11/10(土) 02:42:55 ID:4Yan+ABy
支援してくださった方ありがとうございます。

1話目がこんなに短くなってしまった。
自己満足な書き込みになってしまいましたが一応連載できたらなぁ・・と思ってます。
794罪深い使い魔:2007/11/10(土) 02:49:05 ID:uN3lm4+4
GJ
ハルケギニアに召喚されたヒロがどう行動するのか楽しみです

余韻を潰したくないので3:30頃に投下予約します
多分誰も起きてないと思いますが…
795名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 02:51:59 ID:mX+F3D2a
>>794
名前欄の文字数が同じだから一瞬自演GJに見えてしまったorz
お詫びも兼ねて支援
796罪深い使い魔:2007/11/10(土) 03:32:05 ID:uN3lm4+4
それでは投下します


「…………」
「クスクス……」

掃除を終わらせた二人(実際に掃除していたのは一人だけだが)は食堂への道を歩いている。
ただ奇妙なことに、いつも怒ってばかりのルイズは口を押さえて時折ぷっ、と噴出すようにして笑い、
それに付き合う使い魔は誰が見てもわかるくらいに機嫌を損ねていた。

「くくく……タ……タッちゃ……!」
「……いい加減にしろ」
「だ……だって……あんたどう見てもそんな顔じゃ……ぶぷっ!」

『あの時』もそうだったが、別に笑うようなことじゃないだろ!
一体何が面白いんだ!

ルイズの機嫌は直ったが、その機嫌と引き換えに何か大切なものを失った気がするのは気のせいだろうか?
そんなことを思いながら達哉は不機嫌なのを隠そうともせずルイズに付き従う。
どちらかと言えばあだ名そのものよりも、そう呼ばれたときの達哉のリアクションが面白くて
ルイズは笑っているのだが当人は気づいていない。

やがて食堂の入り口に辿り着き、ルイズは食堂の中に入っていく。
しかし、達哉は中に入ろうとしない。昼食はすでに確保してある。

「なによ、そんなに気にしてるの? 食事中は言わないでいてあげるわよ。タ……」
「いいからお前一人で食って来い。俺はその辺で時間を潰す」

そう言い残し、達哉はさっさと食堂を後にする。
せいぜい食事中に噴出さないよう注意してろ。


シエスタの言っていた厨房は、食堂の裏にあるためすぐに見つかった。
ただ厨房の中はまだ忙しそうなので、頃合を見計らって中に入ろうと思っていると、丁度中から出てきたシエスタと鉢合わせる。

「あ、タツヤさん。今呼びに行こうと思ってたんです……タツヤさん?」
「いや……なんでもない」

名前で呼ばれることがこんなに嬉しいと思ったのは初めてだ。
どういうわけかこのシエスタという女性は、普段意識しなかった当たり前のことを新鮮な感動として与えてくれる。
797名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 03:33:27 ID:p34WWsuC
しえr…支援
798罪深い使い魔:2007/11/10(土) 03:35:28 ID:uN3lm4+4
厨房の中に通された達哉はシエスタの計らいで賄いのシチューをご馳走になった。
その味に達哉は柄にもなく感動する。

「あの……お口に合いましたか?」
「ああ、とても賄いとは思えないな」
「フフ、そういうことはマルトーさん、ここの料理長に言って下さい。きっと喜びます」
「ああ、あとで伝える。……だがいいのか、本当にこんな食事をもらってしまって」
「全然平気です。タツヤさんが食べてもまだ余っちゃうくらいですから」
「…………」

それを聞いた達哉の表情が変化する。
シエスタはそんな達哉の変化を誤解しなかった。

「あの……おかわり要ります?」
「……頼む」

大人びた雰囲気を見せる一方、子供のような反応も返す達哉がおかしくて、シエスタはつい笑ってしまう。
達哉はそんなシエスタの様子が先ほどのルイズと重なり、少しだけ苦い顔になった。


食事が終わり、皿を片付けようとした達哉を静止して、シエスタは皿を取り上げた。

「皿くらい自分で……」
「いいんですよ、そこまでしていただかなくても」
「しかしただ世話になるだけでは……」

ここまで世話になったのだ。
皿洗いなどでは足りないくらいだが、それでもなにかしらの形で報いたい。
そう思いシエスタを見ていると、シエスタはんー、となにやら考える仕草を見せてから、ぱっと顔を輝かせた。

「なら、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな」


二人は食堂に移動した。
勝手のわからない達哉一人では配膳はできないので、
達哉がトレーを持ち、シエスタがそこからケーキを取り分ける分担作業となった。
達哉はこんなことで役に立つのかと気になったが、シエスタに十分助かると言われてしまえば黙るしかない。
シエスタの言葉が事実でも厚意でも、今の達哉には甘えさせてもらう以外の選択肢はないのだ。
ただ、いつかこの恩返しはしなければならないなと達哉は心の中で思う。
そうして作業を半分ほど終わらせたころ、すぐ隣で騒ぐ貴族の一団が目についた。
799罪深い使い魔:2007/11/10(土) 03:38:02 ID:uN3lm4+4
「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつきあっているんだよ!」
「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」
「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」

一団の中心にいるのは、妙な貴族だった。
金色の巻き髪に、フリルのついたシャツ。そのシャツのポケットには薔薇が一輪。一人だけ明らかに制服じゃない。

「……?」

そんなことを考え何気なく眺めていると、ギーシュの懐から小瓶が落ちた。
幸い割れずに済んだようだが、どうやらギーシュは落としたことに気づいていないらしい。
達哉がシエスタを見ると、困ったような表情をしていた。彼女も気づいたのだろう。

「……行ってくる」

達哉はシエスタにトレイを預けると、落ちていた瓶を拾い上げた。
それをギーシュの元へ持っていく。

「おい、落し物だ」

達哉は話しかけるが、ギーシュはまるで気づいた様子を見せない。
相変わらず友人らしき貴族と談笑に興じている。

「…………」

仕方がないので、ギーシュの前にあるテーブルに置いてやる。
これで気づかなかったらもう知らん。
だが気がついたのはギーシュではなく、その周りにいる貴族だった。

「おお? その香水は、もしや、モンモランシーの香氷じゃないのか?」
「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモランシーとつきあっている。そうだな?」
「違う。いいかい、彼女の名誉のために言っておくが……」
「……?」

なにやら妙な雲行きになってきた、そう思った矢先にそれは起こった。
近くのテーブルに座っていた少女が勢い良く立ち上がり、ギーシュの元へ歩み寄ったのだ。
栗色の髪をした少女。初めて見る顔だが、達哉にはこの人物とギーシュの関係におおよその見当がついた。

「ギーシュ様……」

泣き出す少女。先ほど達哉が覚悟した光景が今、役者を変えて目の前で繰り広げられている。

「やはり、ミス・モンモランシーと……」
「彼らは誤解しているんだ。ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ……」

パァン!

ギーシュの言い訳は、ケティと呼ばれた少女の平手で遮られた。

「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ! さようなら!」
「…………」

唐突な展開に達哉が呆然としていると、今度は遠くの席から一人の少女が立ち上がった。
眩しいくらいの金髪を、時代錯誤としか言いようのない巻き髪にしている。
少女は険しい顔つきで、ケティと同様にギーシュの側までやってきた。
達哉にはこの後訪れる展開がなんとなく読めた。
800名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 03:40:25 ID:CDMYcqaV
支援
801名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 03:40:32 ID:lxlg62J2
sien
802罪深い使い魔:2007/11/10(土) 03:40:58 ID:uN3lm4+4
「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで……」
「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね」
「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りで歪ませないでくれよ。
僕まで悲しくなるじゃないか!」

ギーシュは、達哉には逆立ちしてもできないような雄弁な口で言い訳を重ねるが、モンモランシーという少女が
テーブルに置かれたワインボトルの中身を頭にかけるとそれも聞こえなくなる。

「嘘つき!」

最後にそう怒鳴って食堂を後にするモンモランシー。

「…………」

嫌な沈黙が流れた。
今や観客は達哉一人ではない。さきほどギーシュを冷やかしていた貴族達だけでもない。
食堂にいる全員の視線がギーシュという、二股に失敗した男へと集中していた。
そんな空気が読めないのか、読めたからか、ギーシュは顔にかかったワインをハンカチでふき取り、
この場にそぐわない妙に明るい声でこう言った。

「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
「…………」

その一言で皆元の生活に戻り始める。誰もギーシュの言葉には賛同しなかった。
達哉もまた、ギーシュを無視して仕事に戻ろうとしたが――

「待ちたまえ」
「…………」

そのギーシュに呼び止められた。
達哉は内心でため息をついて立ち止まる。

「君が軽率に、香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「…………」
「おい、なにか言ったらどうだ?」
「…………」
「いいかい? 給仕君。僕は君から声をかけられたとき、無視したじゃないか。
間を合わせるぐらいの機転があってもよいだろう?」
「…………」
「なんだ、ビビッて声も出ないのかい?」
「…………」

ガン無視。

隣でオロオロするシエスタとは対照的に、達哉はどこまでも自然体だった。
まるでギーシュのことなど、最初から見えていないかのように。

「ふん……。ああ、君は……」

ギーシュには、その顔に見覚えがあった。
803名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 03:41:15 ID:OKLaIXO6
SIREN
804名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 03:46:02 ID:8B3HvGWh
たっちゃん支援
805罪深い使い魔:2007/11/10(土) 03:47:28 ID:uN3lm4+4
「確か、あのゼロのルイズが呼び出した、平民だったな。平民に貴族の機転を期待した僕が間違っていた。行きたまえ」
「…………」

それを聞いて達哉は仕事に戻る。
その姿は、貴族相手に尻尾巻いて逃げ出す平民のそれにしか見えない。

「プ、なんだあいつ」
「澄ました顔してとんだ腰抜けだな。一言も言い返せないでやんの」
「まあまあ諸君、平民が貴族に逆らえるわけないだろ。あんまりイジメてやるな」

そう取り繕うギーシュの顔にも明らかな嘲りの表情が浮かんでいる。
とりあえず表面上、彼の機嫌は直ったようだ。

「あの……」

シエスタが達哉のことを心配そうに見つめる。

「すみません、私が手伝いを頼んだせいで……」
「……シエスタが謝るようなことじゃない。俺が自分で手を出したんだ」
「でも……」
「俺は気にしてない」
「……はい」

シエスタはまだ心配そうな顔をしているが、達哉は一言も嘘を言っていない。
ルイズ。キュルケ。そしてギーシュ。
この世界に来てから何人かの貴族と知り合ったが、その実どいつも大して変わらない。
一々相手するのも面倒なので、達哉は『向こう側』の不良同様、貴族は基本的に無視するのが一番だと判断していた。

「ちょっと!」

達哉が見下ろすと、そこには腰に手を当ててこちらを見上げるルイズがいた。
どうでもいいがルイズが自分の前に現れる時はいつもこのパターンだな、と達哉はどうでもいいことを考える。

「見てたわよ!」
「そうか……」
「まったく、余計な面倒起こして!」
「…………」
「聞いてるの!?」
「ああ」

その後ルイズのお小言は昼休みが終わるまで続いた。
戸惑うシエスタにトレイを渡して先に行かせ、達哉は黙ってルイズの話を聞き『流した』。
どうせ大したことは言ってないので一々耳を傾ける必要もない。そういう判断だ。
しかし最後に、

「まあ、変に騒がなかったことだけは褒めてあげるわ」

そう言われた時、達哉はルイズの評価を少しだけ上げることにした。

「さ、次の授業に行くわよ、タッちゃん?」

……すぐに逆戻りしたが。


以上です、支援ありがとうございました
大方の予想に反して決闘はありません
これは達哉が、元々無闇にケンカするタイプじゃないという判断からです
期待していた人すみません
806名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 03:50:23 ID:8B3HvGWh
乙&GJ!              かみ
たっちゃんらしくていいよ。すべては作者の意思だからw
807罪深い使い魔:2007/11/10(土) 03:53:54 ID:uN3lm4+4
訂正です

>>805
>どうでもいいがルイズが自分の前に現れる時はいつもこのパターンだな、と達哉はどうでもいいことを考える。

「どうでもいい」が重複してるので

なぜかルイズが自分の前に現れる時はこのパターンが多いな、と達哉はどうでもいいことを考える。

と直しておいてください
808名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 03:54:45 ID:lxlg62J2
決闘ナシとは珍しい流れ
だが確かにたっちゃんらしい。
GJでしたー
809名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 04:08:10 ID:uN3lm4+4
あと最後に気になったレスに返信しておきます

>>193
自分もそちらの方が好きですが、あれは罰世界の達哉の服なんで罪の制服にしました
ただ達哉を書く時には罰の表情を思い浮かべています
罪のイラストだと顔色悪すぎるので…

>>307
おっしゃる通り、達哉の場合はルーンがあまり効果を発揮しません
ただルーンの役割については一応考えていることがあります
そこまで書ければいいですが…

それではおやすみなさい
810名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 05:47:12 ID:p34WWsuC
この世界にザウラーズ&ゴウザウラーが召喚されたら…


学校が丸々やってくるのかw
811名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 06:01:25 ID:7uHawC+K
>>810
いや、トリステイン学院校舎が変形するんだろ
宝物庫の壁を壊そうとしたら宝物庫“に”反撃されるフーケのゴーレム
812名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 06:14:31 ID:La9ZXlGo
>>810
そして、エルドランが出てきてハルケギニアに迫る危機を一方的に伝えた後、
「君たちがこの世界を護るのだ……頼んだぞ、ハルケギニアの子供達よ……」
とルイズ達に事態の収拾を丸投げw
813名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 06:27:41 ID:m16Fajug
>>779
ルイズ妊娠の危機。
814名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 08:14:36 ID:O/5/owqz
遅レスで悪いが>792
スペクトラルのヒロって、耳がとがってるからエルフと間違われるんじゃ?
815名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 08:56:48 ID:IZ9s/wOX
スペクトラル世界のジャドウとリトルスノーの扱いの悪さは異常
816名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:09:19 ID:nEFsgxQ3
そういえば銃を武器とするゲームのキャラでゲームシステムに残弾の概念がない
場合みんなどうかいてるんだろう?無限に撃てると萎えるし、やはりワルド戦
とかの強敵相手だけ使用してほかはデルフに見せ場を作るのかね?
817名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:11:36 ID:U3Ex1QZy
∞バンダn(ry
おおむねそんな感じなんじゃないかな
818名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:13:49 ID:BQCNBG8Y
>>816
闘神伝のヴァーミリオンならそんなの知ったこっちゃねーとばかりに、銃使いまくって相手をハチの巣だな。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:26:22 ID:CBcqhGso
>>816
俺ならそうする
無限なんて到底考えられない。

異世界だから補給無しというのはある意味緊張するだろ?
820名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:27:07 ID:+/CP/y9/
エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルとかな>残弾
最新巻で武器の内部構造が見えたが、どう見ても弾倉が無いww
821名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:37:45 ID:CBcqhGso
そういえば兵器関係が召喚された話って少なくない?
メタルギアRAYとかが召喚……駄目だ、ルイズは操作が出来ない。
822名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:38:50 ID:MVRxMM3q
武者頑駄無召喚という電波を受信した。
823名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:42:03 ID:CBcqhGso
>>822
今ではどう見ても、シャア板のルイズスレ行きです。
有り難うございます。
824名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:46:46 ID:tYnKi5rr
ウフコックが一生懸命ターンして銃弾造ってるんです
825名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:52:19 ID:XH7T+QEK
『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』より“銃使い”山本山茶花を召喚しちゃえば
残弾数を気にせず鉄砲撃ちまくれます。
問題はルイズが食べられてしまうかもしれないこと。性的に。
…好みと違うか。
826名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:54:40 ID:CBcqhGso
俺的にはMGS2のライデン召喚がしてみたいな。
カタナも持ってるしサイトより少しは上のレベルだからなんとかいける。

でもその分災難に遭う確率が多いキャラでもあるからな……ライデン。
827名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 09:55:15 ID:+/CP/y9/
>>824
あれ、結構なスピードでほぼ無尽蔵に出せるんじゃなかったっけ?
ボイルド拒絶のときなんか百発単位でじゃらじゃら出してたような。


……コッパゲにしたら宝の山だろうなあ。
828名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:12:36 ID:dmcNMVK7
>>826
あいつは銃弾を刀で防げるような奴だぞ?
829名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:15:13 ID:CBcqhGso
>>828
アーセナルの天狗兵もニンジャオルガも防いでいたな…
MGSのカタナはなにかすごいなwwwwデルフ涙目…。
830名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:15:55 ID:gBYC0loY
MADLAXとか三部作からだと何が良いかな?
831名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:18:02 ID:U3Ex1QZy
>>829
逆に考えるんだ。
HF.BLADEは実弾、デルフ(笑)は魔法を防げると考えるんだ
832名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:21:57 ID:CBcqhGso
つまり左手にカタナ、右手にデルフを持ったグレイフォックスがワルドと戦う。

すごい、想像だけでワルドがゴミのような弱さになった!
833名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:22:31 ID:4dfwghga
>>820
鉄を精製する小型プラントが内蔵されてるとしか思えんよなアレ…
銃口の大きさも不自然だし
834名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:24:59 ID:HrScJrjE
精神力を弾丸に変換するような銃?を使う奴なら残弾数は気にしなくていいのだが…。
ぱっと思い出せるのがコブラのサイコガンしかない俺はなんと発想が貧困なのだorz
835名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:28:06 ID:4AsqLqVF
ビィトの風の才牙とか
836名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:32:55 ID:U3Ex1QZy
>>834
DMCのダンテとかは魔力で精製した弾丸を発射するからリロードいらずだな
837名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:40:44 ID:dmcNMVK7
>>834
コスモドラグーン
838名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:46:35 ID:S76ikJRi
舞-HiMEのなつきも残弾数は気にしなくてもいい銃だったな。
839名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:47:48 ID:tYnKi5rr
『疾走する思春期のパラベラム』の銃なら
使用者のトラウマを弾丸にするから
ルイズ無敵
840名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:52:26 ID:KfSc7v+x
戦士の銃も弾要らずだな
松本ワールドの
841名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 10:59:20 ID:PWhkDczH
ロスト・ユニバースのケインの武器も精神力
まあ普段は剣であんま銃として使わんけど
マント好きのケインは召喚されたらマントだらけの光景に大喜びしそう
842名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:01:05 ID:GSUdah9+
松本作品は設定がコロコロ変わるからなあ。
あれは気合で威力が変わる程度で、銃としてエネルギーの補充は要るんじゃなかったっけ。
843名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:03:41 ID:FYcsYwTQ
黒猫@読み切り版なら切り札が道銃
844名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:08:53 ID:F5svVPtc
重力子放射線射出装置だな
845名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:09:52 ID:FX7Aofh/
FSSのMHは陽光で充電でけるらしいからビームくらい何度でも撃てるんじゃねーのー
846名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:18:08 ID:GSUdah9+
>>845
銃使う必要ねーだろ…腕一振りで7万全滅するわw
あ、騎士もファチマも付いてなくて、ルイズが動かすんならありか。
847名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:34:48 ID:bKj1OLk8
休日だし立てとくよ
848名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:35:28 ID:bKj1OLk8
849名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:41:24 ID:XH7T+QEK
ちょっと早いかもしれんがおつかれー
850名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:47:46 ID:oyouDeye
>>846
その状態でただの人間がMHを動かすのは120%不可能だろwww
851名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:50:33 ID:KvFCWsI/
今、連載されてるのだとARMSもだな
852名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:53:27 ID:GSUdah9+
>>850
そこはほれ、困ったときのルーン頼みで。
高級なMHなら自意識もわりとはっきりしてるし。
ルイズ的には苦行の連続な気はするけどな。
853名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 11:54:57 ID:oyouDeye
>>852
こけてぶっ壊れる姿しか想像できないぜ。
854名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:03:23 ID:IKEewlr3
>>853 それはメカ沢の事ですかい?
855名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:13:49 ID:FX7Aofh/
むしろ動かせなくてやる気ゼロのルイズとか呼ばれるんだぜ
856名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:16:15 ID:ZYJgui2K
>>852
それはもうMHが勝手に動いててルイズ乗ってるだけじゃねーか!
857名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:19:36 ID:SFq2Az1t
ルイズがMHに乗ったら衝撃で死にそうな気がする
858名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:20:14 ID:Yxbv/akY
つか間違いなく死ぬ。
859名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:20:28 ID:FX7Aofh/
お約束としては襲え!とか曖昧な命令で適当にどうにかなるんだな
860名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:21:07 ID:GSUdah9+
>>856
他にどーしろと言うんだ!

>>857
ああ、死ぬかもしれんなあ。
あれだ、そもそも中の人が死ぬほど動けないということで。
861名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:22:34 ID:HrScJrjE
エトラムルすらつんでいないとそれも無理だろうw
つか、エトラムルが使い魔になるのか?
862名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:26:49 ID:Yxbv/akY
>>860
それMHの意味あるのか?HMでよくね?
863名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:33:23 ID:C/CxnhEB
いやHRだな、伊藤さん的に考えて。
864名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:35:47 ID:SeK8LyJi
ここはむしろATでお願い
865名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:39:32 ID:F5svVPtc
ここは嫌なヴァンツァーをだな
866名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:42:34 ID:9KkX8uZ4
鉄人28号+リモコンとか実写版(昭和)のジャイアント
ロボ+腕時計型リモコンならなんとかなるのではないかと
867名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:51:18 ID:HrScJrjE
>866
その二つで、劇場版スレイヤーズ思い出したw
※ピコピコリナちゃんvs巨大ナーガ型ゴーレム
868名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:56:06 ID:Pa02GpdV
ユーパンドラ+アトロポス+パトラクシェのセット召喚ならアリかもな
ジュノーンと相打ちになった後LEDに焼き払われた瞬間って事なら
辻褄は合う、K・O・Gって頭の中に小型イレイザーエンジン入ってて
そのエネルギーから補修部品とか生命維持に必要な物質やら
対生成で作成しちまうらしいから

強力すぎて小ネタ以外成立しなさそうだけど
869名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 12:58:45 ID:IZ9s/wOX
>>866
時々敵にリモコン奪われたりするのか
870名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:02:08 ID:9KkX8uZ4
鉄人はリモコンと契約すればok

ジャイアントロボならTV本編で偽物にリモコン奪われても
なんとかなっていたので問題ないでしょう
871名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:05:43 ID:SeK8LyJi
ルイズがエルツヴァーユの世界に召喚されるのを想像してみる…

アカン、ネタがマイナー過ぎてワカランorz
872名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:10:49 ID:sdobs2B+
>>857>>862
そういえば小説版エルガイムでコクピットブロック抜きで動かそうとしたら
乗ってた人が衝撃に耐えられなくて死んでたよーな
873名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:14:23 ID:/DGr7qgQ
>>871
イハちゃん召還かよww
874名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:30:58 ID:SeK8LyJi
>>873
知ってるヤシいたww
つかイハちゃんゆーなww

個人的にはセツナか幽祢辺りをキボン
875名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:33:55 ID:Yxbv/akY
>>874
ここは完全懲悪ダンザイバーだろ?
エルツヴァーユはゲームも攻略本も持ってるぜ!
876名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:48:49 ID:R0QluFtE
>エルツ
超必がエフェクト以外全員共通とかw
そりゃ全キャラやったけどさ
877名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:54:30 ID:fy58Fh/u
Elder Scrollsの世界に逆召喚されたルイズを妄想してしまった。
Oblivionの、皇帝が来る寸前の牢獄に召喚されるとか…
878名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:56:20 ID:SeK8LyJi
みんな意外とエルツヴァーユ好きなのねww


>>875
ダンザイバーカッコイイよダンザイバーストも
確か投げ技で衛星からビーム攻撃もあったよね?
879名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 13:57:27 ID:Yxbv/akY
>>878
コンプリート後のドラマのイハちゃんがワロスww
880名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:00:54 ID:7PJQqugr
>>868
残念ながらそれは無理
K.O.G.-ATには頭部の予備イレーザなどは搭載されてない
装甲のネオキチンはどのMHも自己再生するけど、さすがに大破したらそれも厳しいしなw
881名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:14:04 ID:UXPJYv9P
>>870
それ鉄人w
882名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:17:21 ID:UXPJYv9P
>ジャイアントロボならTV本編で偽物にリモコン奪われても
>>881

抜けてたorz
883名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:18:01 ID:m16Fajug
>>853
ルミナス・ミラージュ召喚、ルイズとシエスタが操縦と申したか。

ふぁちまと人間は子供ができるらしいし、シエスタのばーちゃんがヒュートラン。
本来なら単なる騎士として産まれる筈だったシエスタには何故かふぁちま並の演算能力が……


とかで動かせるんじゃね。シエスタ一人で。
884名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:19:32 ID:EtSQ46y2
とりあえず“マグマ大使”とか・・・だめ?
生きてるロケット^^
885名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:20:18 ID:SeK8LyJi
鉄人28号FXと誰か申したかっ!

>>879
久々にエルツがやりたくなったジャマイカw
ちょっと中古ゲーム屋逝ってくるノシ
886名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:31:08 ID:IZ9s/wOX
横山先生はアニメの鉄人が正義のロボットで固定されてるのにご立腹だったんだっけ
887名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:45:03 ID:FX7Aofh/
外国為替で焦げ付かせてドえらい借金を背負うルイズと鉄人
多分明日の日の目は無い
888名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 14:48:34 ID:xzWiQBrm
>>880
加えて言うと、K・O・Gは頭部でパーツの生産が可能なだけで、あまり損傷がひどいと修復作業の為の設備が必要じゃなかったっけ?
ラキシスもそれで苦労してた気が……。

あっ!ラキシスとK・O・G(残骸)召喚ならいけるか?
長い時の旅の息抜き程度のノリで使い魔してくれそう。
しかし、ボケ姫モードでも以外ととんでもない強さだしなぁ。
889名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:10:43 ID:GAFFxXg9
>>884
普通にいけると思うが
普通すぎて先の展開まで普通な予測ができちまう

つかマグマは主人公より敵のゴアの方がキャラ立っていたから
ゴアこねぇと意外性も何も無い冒険譚で終わりそうだ
890名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/10(土) 15:14:08 ID:h0a83BEv
騎士とファティマとの間にまず子供はできないはず。
できても流産するか奇形児しか生まれないだかの設定だったが?
891BPZ ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:14:13 ID:c0yTmZu7
感覚的にはそんなに開いてないと思うんだけど。
このスレの速さでは、お久しぶりです。というべきか(笑)
応援していただいた方々、ありがとうございます。
その一言で作者としてはやる気が出たりして。
まあ、現金なものなんですよ。
ということで、予約もないようなのでトーカです。
892BPZ 1/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:15:18 ID:c0yTmZu7
ハジが目前に現れた光景を見て目を丸くしている。そんな気配を感じたルイズは自分が褒められた様にうれしくなった。
何度かアルビオンに行ったことのあるルイズには、既に感動する様な光景ではないのだが、初めて見る旅行者は
例外なく目の前の光景に見とれてしまう。それほど、目の前に立ちふさがる山のように巨大な樹には、圧倒的な力があった。
四方八方に広がる巨大な枝に、大きな木の実がついてるかの如く見えていた物も、近づくにつれてそれが飛行船のような
形の船であることが分かる。

「なるほど、それで”桟橋”ですか……」
「どお、びっくりした?」
「ええ、驚きました」
「ふふん、じゃあ、早く行くわよ、ワルドが待ってるわ」

隣を歩くハジは、その光景から目を離さない。ルイズは初めてハジに対して優越感を思え、小鹿が跳ねるように長い階段を
駆け上がった。
途中で荷運びの船員達に迷惑そうな視線を送られるのも気にしない、その生命力にあふれた姿を、微かな苦笑とともに
見送っていたハジもゆっくりと登り始めた。
ふと、顔に手をやったハジは、いつから、こんなに表情が出るようになったのか独りごちた。
帰る目処は未だ立っていない、が、愛する人が目覚めるまでに幾許かの時間がある。
そして、もう死ぬ為に生きる必要もなく、温かな家族もいる。

脳裏に浮かぶ顔が屈託なく笑う。
まるで、沖縄で再会した時のように。
あの時も今のように空が抜けるように青かった。

「……そうですね、小夜。生きてていいんですね」
「ハジッ! 遅いわよー」

階段の頂上から見下ろす桃色の髪の少女が、両手をメガホン代りにして、声を振りたてた。優しく降り注ぐ午後の太陽の
光を背にした少女を、眩しげに見上げた後、いつしか止まっていた足を動かす。

――未来に向けて。


―― BLOOD+ゼロ 12章――


「アルビオン行きの船が出ない? それってどーゆーことよ」

ワルドが手当たり次第声をかけたが、すべて同じ返事だった。”アルビオン行きの船は当面出港しない”
船長や船主達は異口同音に答えた。あるものは済まなそうに、あるものは鬱陶しそうに。
徒労感を感じた二人と一人は帰り際に、これが最後とばかり、”桟橋”の根元に一番近い―即ち余り上級ではない―船の
船長を捕まえた。

「どーもこーもねーな。向こうさんの許可がおりねーんだよっ。せっかくかき集めてきた硫黄だってのによぅ。
まあ、今日一隻向こうから入ったから、ぼちぼち許可が下りるだろうよ。明日になったら許可も下りると思うんでな、
もう一度来てくんな」

ビール腹の初老の船長は、口を囲むように生えている、白いものが混じった髭を弄りながら、胡散臭そうにがなりたてた。
割れ鐘のような声に混じって唾を飛ばされたルイズは、こめかみに青筋を浮かばせながら詰めよろうとしたが、ワルドに
制止された。
う゛〜と不満そうにむくれるルイズを余所に、ワルドは邪魔したな。とあっさりと引き下がる。

「先手を打たれたか」
「どういうこと?」

桟橋への階段をルイズと並んで降りながら、ワルドが険しい顔のまま呟いた。はっとワルドを見上げたルイズの表情も
自然と険しくなる。
二人の後ろを少し間を空けて歩いているハジは相変わらず無表情なままだった。
893BPZ 2/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:16:25 ID:c0yTmZu7
「トリステインからの船舶の入港を阻止しようとしているところを見ると、貴族派……反乱軍と呼ぶべきかな。彼らも
薄々と気が付いているんだろう。トリステインが証拠を取り戻しにくるということに」
「まさか」
「まだ、ばれてはいないと思うが、相当ピリピリしているみたいだね。この中を行くのは相当大変だよ?」

ふっとワルドが厳しかった視線を緩め、軽く揶揄する様な響きを声に乗せルイズを見つめた。隠密裏に依頼された内容が
ばれたのか?と不安になっていたルイズだが、少し考えて、ばれる要素がないことに思い至った。
ワルドと絡み合っていた視線をほぐし、荷運びを続ける船員を横目にルイズは毅然と前を向いた。

アンリエッタ王女との約束が、心に蘇る。
王女は出がけに、約束の証しとして、お守りとして、王家に伝わるという”風のルビー”をルイズに渡していた。
何もできない。と、無力感に囚われつつも、心の内で泣きながら足掻き続けている、お友達を助けたい。
その王女の心に答えたい。
ルイズは知らず知らずの間に手を握りしめていた。

――この旅を終えることができた時、答えが出る。

熱いものが満ちている心に、不意にそんな言葉が浮かんでくる。
どういう結果になるか分からない、ひょっとしたら命を落とすかもしれない。でも、それでも、旅をやめることはできない。
なにがあろうとも最後までやり遂げてみせる。
ゼロと言われ、誰からも当てにされることのなかったルイズは、今までにない高揚感と使命感に燃えていた。

「……分かってるわ。でも、それでも行かなくちゃ」
「さすがは僕のルイズ。そうでないとね」
「ジャ、ジャン、ち、ちょっと」
「なんだい、僕たちは婚約者なんだよ?」
「でも……」
「婚約者が困難に立ち向かっている時に助けることが出来るなんて、アンリエッタ殿下に感謝しなければ。
ルイズの同行者として、僕を選んでくれたことに」

微かに震える、しかし、強い意志を込めて毅然と顔をあげたルイズを、ワルドは眩しそうに見つめ、おもむろに抱き締めた。
階段の上の不安定な場所だったが、鍛え上げられたワルドにとってルイズの体重は重荷にもならず、抱きしめたまま、
くるりと一回転しても、その体は微動だにしなかった。
突然、宙に抱えあげられたルイズは、咄嗟にワルドにしがみ付くことしかできなかった。
幼いころから憧れ、今もそのはずの相手に抱きしめられ、普通は嬉しいばかりのはずなのに、眼の端に映るハジに自分が
どう映っているのか、それだけが気がかりだった。ワルドもハジがいる時に限って見せびらかす様な態度をとる。
それも木になった。

心地よい空と流れる爽やかな風、なのにルイズの心の中は雨の匂いを運ぶ、妙に流れの早い曇り空だった。

「で、私たちは明日まで待ちぼうけなわけ?」
「今日、一日だけよ」

『女神の杵』亭の一階の食堂兼酒場で、昼間からワイン片手に漫然と待っていたキュルケ達は、微妙に赤い顔でルイズ達を
出迎えた。最も、ギーシュは早々につぶれて、タバサはひとり本を片手にサラダを食べているのだが。
その豊満な肢体を惜しげもなく露出し、ワインでとろんと潤んだ瞳と表情で、周りの男性を視線を独占していたキュルケは
隣に座っていた小太りの男を蹴飛ばして席を開けさせた。
キュルケがハジに勧めた席に、当然のようにどっかりと座ったルイズは、キュルケのグラスを奪い取って一息に飲み干した。

「あんたねぇ。昼間っからお酒かっ喰らうのはやめなさいよ」
「そういう、あんたは何やってるのよ?」
「キュルケだけが飲むなんて癪だから飲んでるのよ! 悪い?」

あっけにとられていたキュルケだが、ルイズの苦言になってない苦言に、きゃらきゃら笑って、ルイズのグラスに
ワインをどばどばと注いだ。
足を組んで斜にすわり、片肘をついたキュルケは、ワイングラスを片手で弄びながら、詰まらなさそうに呟いた。

「ま、でもこの辺鄙な港町だったら、することもないわね。」
894BPZ 3/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:17:55 ID:c0yTmZu7

キュルケの言葉にうなずいたルイズは、手に持ったグラスになみなみと注がれた、紅の液体をしばらく見つめていたが、
心に溜まったもやもやを忘れるように杯を傾けた。


§ § § § § § § § § § § § § § § § §


昼間の宴会は、自覚していない疲労が溜まっていたのか、ルイズが合流してすぐに散会となった。
つぶれたギーシュをハジが、同じくワイン二杯でつぶれたルイズをワルドがそれぞれの部屋に運び、若干ふらつきながらも
しっかりとした足取りのキュルケは自らの足で部屋に戻った。
全員が再びそろったのは、日も完全に暮れた夜だった。

若さゆえの特権なのか、一眠りしたルイズ達は疲れもすっかりとれたすっきりした表情で、視線止めのラティスを配置した
奥まった一角に席を取り、目の前の食事にナイフを入れていた。
魔法学院の豪勢な食事に比べると、格段に落ちるが、それでも貴族相手の宿ということもあって、それなりの材料と
腕が振るわれており、ルイズ達からも不満は出なかった。

こんがり焼けたローストチキンのブロックにフォークを刺していたルイズに、隣に座ったキュルケが顔を寄せた。
内緒話の気配を察知したルイズは、突き刺したチキンを頬張りながら、幾分体をキュルケに寄せ、耳をそばだてた。

「ふぁに?」
「ルイズ、もうしたの? どっちと?」
「○×△□ー!」

真剣な表情のキュルケにちょっと気押されつつも、真剣に耳を傾けたルイズだが、その言葉で思わず口に含んでいた
チキンを勢いよく噴き出した。
ちょうど正面に座っていたギーシュがその被害をまともに受けた。

「うわ、汚いぞっ! ルイズ」
「ご、ごめんギーシュ」
「何噴き出してんのよ、ルイズ」
「きゅきゅきゅきゅるけっ!あああんんた、いいいうにこここことかいてっ」
「いけないなぁ、元気なルイズが好きだけど、レディは食事のときは、お淑やかにしないと」

ギーシュが慌てて顔に掛ったチキンの残骸をふき取って涙目で抗議し、キュルケは素知らぬ顔で突っ込む。
顔を真っ赤にしたルイズに、とどめを刺したのは斜め前に座っていたワルドだった。
軽く笑いながら見つめるワルドの視線を感じ、ルイズはプイっとそっぽを向いた。

「で、あなたはどっちにするの?」
「……どっちって何よ?」

ほとんど食事も終わり、思い思いにワインや紅茶を飲んでいるころ、再びキュルケがひそひそと話しかけた。
警戒していたルイズは、いやいやそうな表情ながらも、口の中のものを飲み込んで話につき合った。
キュルケに考えまいとしていたことを、つきつけられて否応なしに真顔になってしまう。
”どっちにする?” 即座にジャンと答えられないことが、ルイズの心境を映し出している。
聡いキュルケは、そんなルイズの心の機微を分かっているのだが、意地悪にも聞いてしまう。

「分かってる癖に、あの、子爵サマかハジか」
「なんであんたがそんなこと聞くのよ」
「え〜、だって、ルイズが子爵サマを選んだら、ハジは身が空いちゃうでしょう? そんなの詰まらないわ
やっぱり、恋はライバルを蹴落とさないと駄目よ」
「あんたねぇ」

ルイズは頭を振って呆れた様な表情を浮かべたが、熱意のないキュルケの言葉に一瞬目を見開いた。

「でも、あの子爵サマは遠慮しとくわね。あーゆータイプは好みじゃないの」
「え、珍しいわね、キュルケが男に興味がないって」
「私をどういう目で見ているのか、一度きっちりと聞いておかないといけないわね」
895BPZ 4/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:19:08 ID:c0yTmZu7

ルイズの心底意外そうな口調に、こめかみに青筋を立てたキュルケが、わなわなと震える。
いつものように、お互いの喉に噛み付いた二人が杖に手をかけて立ち上がろうとした時、そっとハジがルイズの肩を
押さえた。
全員がきょとんとハジの、表情の乏しい白磁のような顔を見つめた。

「どうしたの、ハジ」
「囲まれています」

ハジの静かなその一言で、全員に緊張が走った。
ワルドは素早く窓際により、ルイズ達は身を伏せる
怪訝そうな表情ながらも、歴戦の魔法衛士であるワルドは、そっと窓から外を見て表情を強張らせた。

「バカな」

思わず、呻き声がその口から洩れる。
窓の外にはざっと見て二個中隊規模の兵士が展開しつつあった。こちらに気取られないように、まだ、かなりの距離を
空けてあるが、道路の要所はすでに抑えられていた。

「途中で襲ってきた奴等と同じかな?」
「まさか」
「そのまさか、かもしれないな。あの動きは傭兵とかではないな、兵士特有のものだな」
「え? ジャン? だって、兵士って、トリステインの?」
「いや、あれはアルビオ……伏せろっ!」

状況を聞いて震えるギーシュとルイズに答えていたワルドが、振り返って叫んだ。同時に乾いた音が鳴り響き、キラキラと
ランプの光を反射しながら窓ガラスが砕け散る。
ガラスが割れる音ともに、空気を切り裂く弾丸が飛び込んで来る。
ビシビシと音を立てながら壁に、天井にめり込んでいく銃弾の雨は、若いメイジ達に身動きを許さなかった。
不幸にも流れ弾に当たった客が盛大な悲鳴をあげてのたうちまわる。一瞬でのどかな食堂は地獄と化した。

「きゃぁ」
「奴等、銃まで持ち出してるわね」
「強行突破だ! 突撃だ!」
「突破してどうするのよ、船は出ないのよ」

瞬く間にボロボロになった食堂にルイズの悲鳴が響き、キュルケが伏せたまま唇を噛んだ。
銃兵たちの位置が微妙に下に位置するため、床に伏せた彼らに銃弾が直接当たることはないが、天井を穿った銃弾は
パラパラと漆喰の雨を降らせ、あっという間に埃で辺りを真っ白になる。
メイジに対しては、魔法の使えない者は圧倒的な物量で制圧するしか勝つすべはない。その鉄則を襲撃者達は忠実に
守っていた。
とはいえ、銃弾は消耗品であり、無尽蔵に使用できるはずもない、弾幕として使用しつつ次の攻撃があるはず。
ギーシュの無謀な扇動を嗜めながらキュルケは考えていた。であれば次の攻撃は?

「いや、ギーシュ君の言う通りだな、船がでなければ、出させればいいだけだ、銃を使っているということは相手は
平民で編成された兵士だ。 空に出てしまえば彼等は無力になる」
「空……じゃあ、みんなでフライで飛んで行けば」

キュルケの思考を止めたのはワルドの苦虫を噛み潰したような声だった。歯ぎしりの間から洩れるような声は、若い
魔法衛士隊隊長の怒りを如実に表していた。
ワルドの言葉をヒントにキュルケが弾かれたように顔を上げ、勢い込んだ表情になる。

「いや、それは駄目だ」
「なぜ?」
「考えてもみたまえ、あれだけの数の兵士だ。フライで逃げ出すことはできるが船が出港する前に追いつかれて船が
破壊されるのが落ちだ。別動隊がここで敵を引きつけて時間を稼ぐ必要がある」
「……」
896名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:19:25 ID:UgBOTmi6
>>878
遠距離掴み技だな。

そしてBPZの作者、投下支援!(ボムズアウェイ)。
897BPZ 5/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:20:18 ID:c0yTmZu7

キュルケの名案に全員の表情が明るくなったが、ワルドのにべもない言葉に、誰も反論できなかった。また、戦闘状況下で
魔法衛士隊の隊長に反論できる人間もいなかった。
そんな会話をしている間にも、乾いた音が四方八方から順番に鳴り響き、窓から銃弾が飛び込んでくる。
負傷した周りの客のすすり泣く声が響くなか、全員の顔を一通り見渡したワルドは、意を決したように頷いた。

「よし、二手に分かれよう。僕とルイズは、一刻も早くアルビオンに行かなければならない。
君達はあいつらを抑えてくれないか? その間に僕達は船を調達して、アルビオンへ向かう。
船が出たら、あいつらの注意も逸れるだろう、だったら、逃げることは難しくない。
後は青い髪の君、彼女の風竜だったらアルビオンまで来れるだろう」
「……なんか釈然としないけど、妥当な線ね」

ワルドの言葉は銃弾が飛び交う状況下では理路整然と聞こえた。キュルケは、微妙な表情を浮かべながらも、他の効果的な
対策が咄嗟に浮かばずに、不承不承頷くしかなかった。
友人達を置いていくことに抵抗を見せていたルイズだが、ワルドの”優先することと私情を取り違えてはいけない”
という言葉に押し黙るしかなかった。

「は、ハジは今度は私と一緒にきてよね。……船が囲まれてるかも知れないんだし、つ、使い魔だし。わかったっ?」
「はい」

ハジを連れて行くことを主張するのが精一杯だった。
顔を青ざめたギーシュ、相変わらず無表情のタバサ、不満気味なキュルケ、そして、不安な表情のルイズ。それぞれを
見渡したあと、ワルドが腰を上げた。

「よし、じゃあ、それでいこう」
「ミス・キュルケ、確か君は火の系統だったね? 目晦ましに派手な炎をあげれるかね」
「ええ、子爵様、ツェルプストーの名前が伊達では無いことを証明いたしましょう」
「よし、その炎で敵の注意が向いた隙に僕等は裏口から突破する。タイミングは君に任せるから、自由にやってくれ。
さぁ、いくよルイズ」
「あ、ちょちょっと、みんな、絶対に、絶対に無事でね」

中腰でルイズの手を引いたワルドは巧みに障害物を使い外の銃兵の死角をついて裏口に向かった。それを見送ったハジは、
腰をかがめてタバサの耳元で何かを囁いたあと、あっという間に裏口に消えていった。

「相変わらず、ハジって分からないわ、いったい何者なのかしら?」
「ぼ、僕らであれだけの兵士を相手にするのか?」
「で、タバサ、ハジに何言われたの?」
「後で」
「分かったわ」

あっけにとられた表情のキュルケだったが、ハジを見送ったタバサが微かに眉を寄せていることに疑問を抱いた。
ギーシュの言葉を無視して、タバサににじり寄ったが、タバサは軽くかぶりを振る。
この小さな友人の判断は、大体において正しいことを知っているキュルケは、それ以上問い詰めずに質問を封印した。
話す時が来たら話してくれるだろう。

杖を握って窓の外をみたキュルケは、床に蹲ってバラを模した杖でワルキューレの絵を描いて、拗ねているギーシュを
足先でつついた。

「いいんだ、僕はワルキューレで……」
「ちょっと、ギーシュ」
「な、なんだよ?」
「あれ見て、ほらタバサも」

キュルケが指差す先。ガラスが割れ、枠だけになった窓の外に巨大な人型が映っていた。兵士たちもその人型の道を
あけるように再配置しようとしていた。

「げっ、な、な、なんだよ、あれは」
「あれって……」
「フーケ」
898名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:20:59 ID:GSUdah9+
支援。
899BPZ 6/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:21:20 ID:c0yTmZu7

ギーシュは震える声で驚いていたが、キュルケとタバサは二度目となるので、驚きもなかった。
月光に映し出されたのは、学院を襲ったのと同じほどの大きさのゴーレムと、その肩に乗った人影だった。
その特徴的な構図をみてタバサが呟いた。

「脱獄したのかしら……まずいわね」
「牽制する」
「いいえ、あれは私がやるわ」
「危ない」
「大丈夫、その代りシルフィード貸してくれる?」
「分かった」

タバサが杖を手に立ち上がろうとした。それをキュルケが肩を掴んで止めた。
タバサはキュルケの言葉に目を見開いて、首を振った。しかし、キュルケはウインクをして、タバサの心配を遮った。
相手の大体の作戦は分かった。銃兵で宿ごと封じ込めてゴーレムで押しつぶす。確かに効果的な方法かもしれない。
しかし、キュルケにはその作戦は穴だらけに思えていた。

定期的に飛んでくる銃弾を頭を引っ込めてやり過ごしながら、タバサはキュルケを見つめる。親友の意思が固いことを
悟ったタバサはあきらめて杖を横持ちにした。
頷いたタバサの頬にそっとキスをしたキュルケは、ギーシュに声をかけた。

「貴方のゴーレムって壊されない限り動けるのよね」
「当然だろ?」
「青銅よね?」
「くどいな、僕の二つ名を忘れたのかい?」
「多少炎に捲かれても大丈夫よね? フレイム貸してあげるからタバサと一緒に下の銃兵たちは任せるわね。
タバサは防御をお願い。じゃあ、そう言うことで派手に行くわよ」

キュルケは、そう言うなり入口に走り出し、ボロボロになった扉を蹴飛ばすと同時に杖を振った。
宿の前の馬車だまりに大きな炎が立ち上り、突入しようとしていた兵士たちが火にまかれて悲鳴を上げる。
兵士たちがその炎で狼狽した間隙をぬって、外に飛び出したキュルケを空から舞い降りた風竜が掬いあげて飛び立った。
散発的に銃声が響くが、舞いあがる風竜に狙って当てるほどの精度はなかった。

「さて、僕らも行くとするか」

半ば自棄になったギーシュがひきつった笑いを浮かべながら立ち上がった。
マントを引かれ、つんのめったギーシュが振り向くと、タバサが床の一点を指差していた。
怪訝な表情を浮かべたが、一転して笑顔になった。
ギーシュが見つめる前で床がバキバキに破壊され、巨大なモグラが顔をのぞかせる。

「おお、ヴェルダンデ! 来てくれたのかい?
ん? なるほど、そうだね」

自分の使い魔に駆けよったギーシュは、ひっしと抱きしめた後、ふごふご何かを伝えようとするヴェルダンデをじっと見た。
タバサが風の魔法を使って、入口付近に雹混じりの竜巻を起こし銃弾を反らしているのを横目にみたギーシュは、
髪を掻き挙げてバラの杖を掲げた。

「よし、今がチャンスだね。これなるは青銅のギーシュ。いざ、ゆかん。
鋼は木に、木は土に、錬金!」
900名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:22:04 ID:43xD3k7s
>890
そこはそれ剣聖さまやラキシスがいるわけで。
901BPZ 7/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:22:29 ID:c0yTmZu7

ギーシュの自信に満ちた声に、タバサは思わず振り返った。
そこに居たのは軟弱なギーシュではなく、一度だけとはいえ、戦場を生き抜いた青年のギーシュだった。
兵士に闇打ちされ、矢に射られ負傷しながらも、生き残った。何もできなかったとはいえ、戦場の空気を吸い、死と生の
挟間を潜り抜けた経験は、短期間で彼を青年に変えていた。
タバサの竜巻の中心に走り込んだギーシュは、眼についた兵士たちの銃めがけて錬金を唱えた。
ギーシュの錬金で兵士の持つ銃が木に錬金され、そして土に還っていく。
効果を及ぼすのはギーシュの視界に入った少数とはいえ、タバサの竜巻で銃弾があらぬ方向へ逸れて効果がなくなり、
自分達の武器が無効化されていく。その事実を理解した兵士たちの顔が青ざめる。
兵士たちは改めて、自分達が相手にしている貴族の恐ろしさを実感し始めていた。
一系統だけだったら、一人だけだったら対処のしようもあるが、異なる系統のメイジが、二人背を合わせて、防御と
攻撃の役割分担をこなしている今、目の前の竜巻を打ち破るほどの重火器ももたない兵士たちはなすすべがなかった。

「そして、行け、ワルキューレ」

自分達の攻撃は竜巻にさえぎられて無効化するので、遠巻きに包囲するだけの兵士達に、竜巻の中から剣を持った5体の
金属製のゴーレムが現れた。
兵士たちは意味もない叫び声をあげて銃を撃つが、ゴーレムには効かなかった。

「るるる〜♪」

いきなり兵士達の包囲陣の背後から、重低音の叫び声が上がったかと思うと、もこっと盛り上がった石畳の下から
ジャイアントモールが顔を出し、その直後に空けられた穴を通って巨大なサラマンダーが顔を出した。
兵士たちが異変を感じて銃を向ける前に、フレイムは炎を吐き散らした。
弾薬用の火薬が熱と炎に誘発され、暴発を始める。
煙に巻かれ、暴発した火薬に巻き込まれた兵士たちが悲鳴を上げる。猛り狂ったように燃え上がる炎を身にまとった
フレイムは、兵士を見るや否や手当たり次第に炎で攻撃を加えた。
兵士達の悲鳴にこめられた恐怖が一気に広がっていく。
小隊長たちは慌てて自分達のゴーレムを振り返ったが、そのゴーレムは、回りを飛ぶ竜に牽制され身動きが取れない
状況だった。
一人が、恐怖に耐えかねて叫びながら逃げ出すと、雪崩るように陣形が崩れていった。
その背にフレイムが炎のブレスで追い打ちをかけ、ワルキューレが、無作為に突っ込んでいく、氷が混じった竜巻が襲う

散々に追い立てられた兵士達は、もう既に戦えるだけの様相を呈していなかった。

「……勝ったのか? 勝ったんだね!? 勝ったー」

目の前の兵士達がちりじりに逃げていくのを見たギーシュが、へなへなと崩れ落ちながらも、戦いに勝った喜びを
かみしめていたころ、その後ろに立つタバサは、巨大なゴーレムの方をじっと見つめていた。
フレイム達が戻ってくるのを見たタバサはフライを唱えて舞いあがる。


「捕まえたのに、脱獄したのね」
「あの時のお嬢ちゃんかい、懲りずにまた来たんだね」

シルフィードに乗ったキュルケがフーケのゴーレムの周りを遊弋していた。
フードで顔を隠す必要もなくなったフーケは、緑の長い髪を靡かせながら昂然と胸を張った。

「懲りていないのはどっちかしら?」
「言うわね、でも私が負けたのはあの妙な化け物だけよ? あんたじゃないわ」
「そうかしら? 逃げるので精一杯だったのではなくて?」
「あら、なら試してみる?」
「受けて立つわ、ツェルプストーがなぜ、ラ・ヴァリエールと対抗できているか、理由を教えてあげるわ」

フーケの自信に満ちた声にキュルケも負けじと返す。
巨大なゴーレムの肩と風竜の背で、言葉の応酬が、お互いの矜持の激突が続く。
902BPZ 8/8 ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:23:38 ID:c0yTmZu7

前回の遭遇では、キュルケも無策だったが、あの後徹底的に土メイジの対策を考えていた。正直攻撃力のない土系統を
侮っていたという認識が、キュルケを後押しした。
虚無を除けば、火の系統こそ、最強である。その自負が土メイジに負けたことを許さなかった。
まさかこんなに早く汚名返上の場があるとは思ってもみなかった。

「ふん、うるさいわ、ゴーレム!」
「バカの一つ覚えのゴーレム?」
「なんですってぇ?」

にやりと笑ったキュルケの顔をしっかりと見てしまったフーケは、かっとなってゴーレムをけしかけた。
ゴーレムのパンチをシルフィードは器用に除けながらも、一定距離から離れることはなかった。
キュルケはメイジを乗せるという意味をよく理解しているシルフィードに感心しながらも、フーケを見据えていた。

「ゴーレムってそもそも、なんで人型なのかしらね?」
「どーゆー意味よ?」
「こーゆー意味よ、炎よ」
「只の炎じゃない、そんなもの効かないわ」

キュルケの言葉と同時にゴーレムの左足が青い炎に包まれた。
巨大なゴーレムから考えると、膝から下の炎ではフーケに被害はなく、お話にもならなかった。
呆れるような声でフーケはバカにしたが、キュルケは繰り返し同じ個所に同じ炎をかけた。

「そう思うの? 本当なら、あなたを的にすることもできるけど、貴方のその思いあがりを潰してさしあげるわ」
「鬱陶しいわね、そろそろ終わりにしてやるわ」

遊弋をやめ、目の前でホバリングする風竜めがけて、ゴーレムが大地を揺るがせて、足を踏み込んだ。
ちょうどその時に、それは起こった。
ゴーレムの肩に乗っているフーケには地面が縦になっていく様に見えた。想像していなかった感覚に、意識がついて行かなかった。

「あ、あ、あ、なんで?」

違う、自分のゴーレムが横倒しに倒れて行っていると気がついた時には遅かった。目前に迫った大地と、のしかかるようなゴーレムの頭に挟まれかけたフーケは咄嗟にフライで飛びだした。
地響きを立てて横倒しになったゴーレムはフーケの制御を離れ、小さな岩となって飛び散った。フーケもその岩の乱舞に
巻き込まれ、意識が一瞬遠くなりフライの魔法制御が切れる。
大地に叩きつけられ、額から血を流しながら上げた顔に、青い少女が持った杖が付きつけられた。
その背後にキュルケを乗せた風竜が風を巻き起こしながら舞い降りた。

「土でも岩でもを高温で焼いて行くと脆くなるわ。それも人型だったら、あんなに重い上半身は支え切れないわ。
片足潰せばバランス崩してそれでおしまい。」
「なッ」
「おーっほっほっほ、バカね、対策ぐらい立てておくわよ。同じ戦法で二度やられることはないわ。そんなことしてたら、
――あっという間にラ・ヴァリエールに滅ぼされてしまうわよ。残念ね、土くれのフーケさん」

シルフィードから降りたキュルケは、額の汗を光らせながら、昂然と胸を張った。

「さて、ひと段落したわね」
「あれ」

大きな溜息をついたキュルケの言葉に、タバサは空の一点を指差した。そこには星空の下、飛んで行く一隻の船があった。
903BPZ ◆VRV4gYzSQE :2007/11/10(土) 15:26:00 ID:c0yTmZu7
ようやく船にのれました。
支援ありがとうございますー

空気作者が言うのは何なんですが、気に言った作品が
止まっている時は応援してあげてください。

ではまた。
904名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:28:40 ID:GSUdah9+
おつー
905名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:33:47 ID:lxlg62J2
BPZの人GJ
あんど埋め
906名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:35:20 ID:GSUdah9+
>>900
カイエンのは代理母出産だし、ラキシスは既にファティマじゃないし。
事例が無いわけじゃないらしいけどな。
907名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:35:47 ID:5GIIO8TD

フレイムに出番が!出番が!
908名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 15:36:56 ID:a/TGZIn2
乙 !
BPZと見る度にバトルプログラマーゼロと読んでしまう自分が悲しい。
909名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:02:19 ID:m16Fajug
乙でした。

>>890
ハルケギニアの人間の遺伝子は人間と混血してもファティマと混血しても大丈夫とかの設定をつければ無問題。
910名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:06:51 ID:WEy5vFpe
BPZの人GJです
911名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:08:53 ID:P1JSvhBN
ゴッドガンダムならパイロットエネルギー源で極太エネルギー弾撃ちまくりですよ!
912名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:14:30 ID:9KkX8uZ4
>>881

大作コピーロボットの人造人間U7に腕時計リモコンを奪われて
しまい、ジャイアントロボが暴れるという回がありましてな
913名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:17:11 ID:DsezmHza
BPZの人、乙です。

そういえばケロロ軍曹って召喚されたっけ?

もしも召喚されてないのなら500kbでケロロ軍曹召喚。
914名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:21:44 ID:DZCeANSY
500kbならロリペド召喚

専任係官《沈黙》か、旧神か、ダン・原川かは置いておいて。
915名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:23:46 ID:l1Tu8RI8
そこでヒューイット大佐ですよ<ロリペド
916名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:26:42 ID:m16Fajug
500kbならパパの帯とママの帽子をかっぱらってきたじゃじゃ馬娘カレンちゃん召喚。
917名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 16:27:17 ID:U3Ex1QZy
>>915
あれって大佐だったっけ?
918名無しさん@お腹いっぱい。
>>917
バンコランより偉いとは考えられんし、CIAの役職って軍隊のそれと同じなんだろうか?