_ ヵ、 ,.へ
_∠ ,メ、 `ー――' ヽ
___r-'´ 、 `└-------ァ /
∠ -ァ l \ ヽ \ / /
/ 〉、、 ヽ弋 /レ'´/ / こ、これは
>>1乙じゃなくて
./ / | \l\X \Y | / / |\ ポニーテールなんだから
/ノ| ト|-  ̄ \ !_/ノ | { j ヽ 変な勘違いしないでよね!
'′| l l、! 、_入 |t j ', `ー――‐" ノ
l ト | ハ-‐′  ̄ Yー' ` ----------‐´
V ヽ! .}〃' r‐'>""ィ)、
`ー‐ ̄ィチ ///「 ̄ト、
rΤ「|Y// | ! \
>>1 な、何て速さ…乙です!
そんじゃ行くよ〜支援好き好き大好き!
投下予告
「さぁ〜て、今回のリリカルガオガイガーは?」
「おいで、鉈女」
「あぅあぅあぅ、違うのです。ティアナなのです」
「あら、ごめんなさい。ちょっとからかってみただけよ」
「梨花がイジワルさんなのですよ」
「あらそう?それなら、このシュークリームは楽屋でフェイトちゃんたちに食べさせるわ」
「あぅあぅあぅ!ごめんなさい。だからシュークリームだけわぁぁぁ」
「話が脱線してしまったわね。今回は戦闘パート無しで少し退屈かもだけど、じっくり読んでね。パク」
「美味しいのですぅ〜甘いもの好き好き大好き〜なのです」
「「それでは、スタート!」」
勇者王リリカルガオガイガー THE MYTHOLOGY
第十一話「機動六課のある休日【前編】」
◆新暦75年7月初旬頃
薄暗いラボでメンテナンスカプセルが開き中から灰色の髪で鋭い目つきをした男性が出てくる。
己の両手を握ったり開いたりなど、各部の身体機能のチェックを行い異常が無いのを確認する。
それから近くに置かれているロッカーから、服を取り出し着替える。
男は着替え終えると、ある方向へと歩き出す。
数分の距離を歩いた先には、厳重な警備が敷かれた扉の前へと辿り着く。
扉の警備には、ガジェット・ドローン1型が4機、3型・4型が各2機ずつ配備されている。
男は、扉に設置されている網膜照合と指紋照合のキーの前に立つ。
慣れた手つきで照合を終わらせ、扉が開く。
扉の中へと進み、巨大な樹木と化した装置の前で足を止める。
「…ソフィア博士」
ゾンダーメタルプラントへと変化したメイガスの生体コンピューターと成っているオリジナルが愛している筈の女性を見つめる。
「あなたを救い出すまで蛇の道を進みます。我はメイガスの剣…メイガスを作り上げた博士は、我が母と言っても過言ではない……では」
ウォーダンは眠り続けるソフィア博士を後にして、戦場へと赴く。
それが己の心に背く事であろうとも彼は突き進む。
確固たる信念の元に。
ゾンダーとガジェットによる機動六課とGGGへの介入事件の後始末が終わり時間の余裕が出来た夜、なのははティアナと共に暗闇の海を見ながら話を始めた。
そんな彼女たちを草陰から見守るスバル・エリオ・キャロ、そしてフェイト。
なのはは過去の自分が無理を続けた結果、大怪我をして仲間に多大な心配をかけてしまった出来事を話す。
「あの時は、身体に結構負担が貯まってる事に気がつかなかったの。寧ろ、レイジングハートに負担をかけてるって思ってたぐらい……でもね、
身体がベストな状態だったら不意打ちにも反応できたはずなの。その時からかな、今までの自分がどれだけ無茶な事をし続けていたかを考え始めたのは」
小学3年生の時は、9歳の身体で強力な集束魔法を何度も使い、闇の書事件ではカートリッジシステムの使い過ぎなど小さな身体で無茶を続け、
それらの結果は"撃墜"だ。
ヴィータちゃんに直ぐに助け出されていなかったら、今みたいに教導官として働くことなど出来なかっただろう。
なのはは、自分の経験から教え子達には無茶な行動を慎んでもらい丁重かつ着実に実力が付く訓練をさせて来ているのだ。
ティアナは遠くを見つめる彼女の横顔を見て、ついこの前まで思っていた嫉妬心など消えうせてしまった。
この人は自分やスバルたちを、全身全霊を賭けて育てようと頑張っている。そんな教官を上司に持った自分は幸せ物だと感じ頬に冷たい何かが零れる。
「ティアナもみんなもまだ、でこぼこだらけの原石の状態。でこぼこだらけだし、本当の価値も分らないけど、でも磨いていくうちに、
どんどん輝く部分が見えてくる。エリオはスピード。キャロは優しい支援魔法。スバルはクロスレンジの爆発力。
3人を指揮するティアナは射撃や幻術で仲間を守って知恵と勇気でどんな困難も乗り越えていける。
そんなチームが理想系で、ゆっくりだけど少しずつ近づいている。凱さんたちは元々戦闘能力に長けてるから、魔法関係の特訓をさせてるけどね」
なのはの話を聞いて、ますます自分がどれだけ恵まれた場所に居るのかを再確認するフォワードメンバーたち。
そして、なのははティアナの射撃は避け難くて応用すれば砲撃魔法にも変わる万能な魔法だよと助言する。
更に、模擬戦で行った行動も強ち間違いではないと言い、ティアナが横に置いていたクロスミラージュを手に取るとシステムリミッターを解除し手渡す。
なのはからデバイスを受け取り、モード2と呟いた瞬間、新たなモードであるダガーモードへと変化する。
「ティアナは執務官希望だもんね。ここを出て、執務官を目指す時どうしても個人戦が多くなるし将来を考えて用意はしてたんだ」
追い討ちの言葉に、ティアナの目からは大粒の涙が流れ始める。
そんなティアナの肩に手を回し、抱き寄せたなのは。
「クロスもロングも、もう少ししたら教えようかと思ってた。でも、出動は今すぐにでもあるかもしれないでしょ?だから、
もう使い慣れている武器をもっともっと確実なものにしてあげたかった。だけど私の教導地味だから、余り成果が出てないように感じて辛かったんだよね…ごめんね」
ティアナは、その言葉の後になのはの胸元で謝り続けた。
そして、夜が開け早朝の訓練に向かう時にはティアナの顔には落ち込んでいた時の様な影は微塵も無かった。
訓練所へ向かう途中で、合流したフェイトからある話を聞かされるスバルたち。
「技術に優れていて華麗に戦える魔道士をエースって呼ぶでしょ。その他にも優秀な魔道士を現す呼び名があるって知ってる?」
互いに顔を見合わせる新人たち。
「その人が居れば困難な状況を打破できる。どんな厳しい状況でも突破できる。そういう信頼を思って呼ばれる名前…」
フェイトの次の言葉を、息を呑んで待つ新人たち。
「ストライカー」
その単語に成るほどと言う感じに声を合わせて驚く4人。
「なのは、訓練を始めて直ぐの頃から言ってた。うちの4人は全員一流のストライカーに成れる筈だって。だからうんと厳しく、だけど大切に丁寧に育てるんだって」
その話を聞き、なのはさんの訓練がどれだけ自分達を大切にしているモノだと感じる。
「それからね、凱さんも言っていたよ。4人とも小さな"勇者"だって」
「ゆ、勇者ですか?あの世界を救うとかの」
ティアナの疑問に頷くスバルたちに、フェイトは微笑みながら答える。
「凱さんが言う"勇者"はね、どんな窮地であっても逃げ出さず、人々を守り、仲間を信頼し、自分の力を限界まで引き出せる勇気ある者って意味だよ」
彼が自分達を認めてくれている事を知り、笑顔になる4人であった。
そして、なのはと副隊長たちとブレイブ分隊の3人が待つ訓練施設へと辿り着き大きな声で挨拶をする新人4人の顔は以前にまして輝いていた。
いつもの早朝訓練と模擬戦を終えて息を切らしながら、腰を下ろして身体を休ませる新人フォワードメンバーたち。
その横で早朝訓練と模擬戦を見学しに来た命から渡されたタオルで汗を拭う凱とルネ、Jは涼しげな顔をしながら腕を組んでいる。
「はい、今日の訓練は無事終了。みんな、お疲れ様。でね、実は今日の模擬戦は第二段階への見極めテストだったんだけど」
なのはの一言を聞き、一斉に声を上げる新人たち。
それもそうだ。何も聞かされずに模擬戦をやり、その結果次第で落とされる可能性があるのだから。
なのはは、後ろにいるフェイトとヴィータに、今回の模擬戦での結果を聞いてみる。
「合格」
「「はや」」
フェイトの即答に驚くスバルとティアナ。
「まっ、こんなにみっちりやってて、問題があるようなら大変だってことだ」
ヴィータのもっともな言い分を聞き苦笑いをするエリオとキャロ。
「私もみんな良い先いっていると思うし、これにて第二段階終了」
新人たち4人は万歳しながら、喜び合う。
「デバイスリミッターも一段階解除するから、あとでシャーリーの所へ行って来てね」
「明日からはセカンドモードを基本形にして訓練すっからな」
「「「「はい!」」」」
その時、ヴィータの言った意味に気づくキャロ。
「えっ?明日」
「ああ、訓練の再開は明日からだ」
「今日は私たちも、隊舎で待機する予定だし」
「みんな、入隊日からずっと訓練漬けだったしね」
そういえば、そうだったかなと顔を見合わせる新人たち。
「まぁそんな訳で」
「今日はみんな1日お休みです」
なのはの一言に喜び4人。
「町にでも行って遊んでくるといいよ。あ、それから凱さんたちも休暇を取りませんか?ゾンダーとの戦闘などで休み取れていませんでしたし」
「いや、俺は一度休んだからな。ルネとJで休暇を取ればいいじゃないか?」
前に落ち込んだ際に休暇を取ったことから、自分は休暇入らないと断ろうとする。
「あの時は、直ぐに現場に来て貰いましたし、あなたが居なければ被害がもっと出ていたかも知れません。ですから、あの時の御礼って事で」
「なのはちゃんの言うとおりよ。凱も休暇をとって遊んでらっしゃい。今日は私も待機だから付き合えないけど、何かお土産お願いしちゃおうかな」
なのはと命のダブルアタックに根負けした凱は、わかったと答えて休暇をとることにした。
こうして、機動六課の新人たちの短い休暇が始まる。
朝食を取りながらミッドチルダのニュースを見ていた大河幸太郎長官は、ある人物の姿を見て食事をする手を休める。
『魔法と技術の進歩と進化、素晴らしい物ではあるが、しかし!それが故に我々を襲う危機や災害も10年前とは比べられない程、危険度を増している。
兵器運用の強化は、進化する世界の平和を守るものである!』
映像の中で演説をする男。レジアス・ゲイズ中将/防衛長官へ向けて多数の拍手が鳴り響いている。
『首都防衛の手は未だ足りん。地上戦力においても、我々の要請が通りさえすれば地上の犯罪も発生率で20%、検挙率では―』
このレジアス中将と言う男の事は、この世界に来てから一般常識や首脳達の名前を調べていた時に知った。
入局40年の大ベテランであり武道派と知られており、地上本部の数多くの実権を握る程の大物で事実上、地上本部総司令。
ゾンダーとの戦闘の際のGGGでの自分の役割と似ている人物だと考える大河長官。
世界の平和を望む故に、戦力の増強が必要不可欠と言う事は賛同できる。
しかし、この演説には何故か引っ掛かるものがある。
それが何かとは分からないが、長年の直感なのだろうか。大河長官は、そんな感覚をこの演説を見て思うのであった。
起動六課の隊舎にある車庫で、ヴァイス陸曹が赤い外装のバイクをメンテしている。その横で私服姿のティアナの姿があった。
「貸すのは良いけど、こかすなよぉ。プロテクターは?」
「自前のオートバリアで」
「しかし何だな、オラァ時々お前らの訓練とか見るだがよ…最近お前、立ち回りが少し変わったよな」
「あ、はい」
言い当てられ、少し驚くティアナ。
「お前今までは、シングルでもチームでもコンビでも動きが全部同じだったけどよぉ。最近は臨機応変に成ってきているように見えるぜ。
センターらしい動きになってきたんじゃねぇかぁ?」
「みなさんのご指導のおかげで」
心から、そう思うように成っているティアナの顔には曇りなど無い。
ヴァイスはバイクのメンテが終わらせ、エンジンを起こしてみる。
「よし、良い感じだな。それっ」
ヴァイスからバイクのキーを投げ渡され、あわてて受け取りティアナは彼に向かって笑顔で返事をする。
「はい」
ヘルメットを被り、バイクへ乗るティアナ。
「あの、これ聞いちゃ駄目だったら申し訳無いですけど」
ティアナの畏まった声に、何の話かと思うヴァイス。
「ヴァイス陸曹って魔導士経験ありますよね?」
「まぁオラァ武装隊の出だからな。昔は『その旨をよしとする』とか、『始めましてだな、ガ○○ム!』とか言ってたぐらいだからよぉ。
ど新人に説教くれられるぐらい程度には…な」
ヴァイスの少しきりっとした目線に、少しビクッとする。
「とはよぉ。昔っからヘリが好きでよぉ、そんで今はパイロットだ」
話を聞き入っていたティアナに、手の甲を振って行かせるポーズをとる。
「ほれ、相方が待ってるんだろう?行ってやんな」
「ありがとうございます」
そう言い終えるとティアナは、バイクに乗ってスバルが待つ隊舎前へと向かった。
起動六課の隊舎前では、なのはと私服姿のスバルと凱が雑談をしながらティアナが来るのを待っていた。
凱の私服は、シャツの上から濃い茶色のジャケットを着た風貌だ。
昔は、仮面○イダーやキ○イダーなどの主役が着るような服装だったためとても変だったが、ヴァイスなどの助言で今の服装に落ち着いている。
そんな彼の横には、バイク形態のガンドーベルが置かれている。
Gストーン搭載型だが、超AIを装備していないためGGGの隊員やボルフォッグの命令に従う。
今日は凱の足として、GGGから借りてきたのだ。
3人がしていた雑談の内容は、以下の通りだ。
『私だけ、ガンダムに出てないね…中の人の話だけど』
『そ、そんな訳無いじゃないか。ほら、俺の中の人が主人公しているガンダムに名無しだけど出ているじゃないか』
『名無しですよ…それに、凱さんの中の人は08では主人公、種では美味しいキャラクターをやってるじゃないですか。それからスバル』
『えっ、何でしょうか。なのはさん』
『スバルも、最新作のガンダムで名有りの準ヒロインをやってるみたいじゃない』
『え、あの…それは』
など、シビアな会話が続くかと思われた瞬間バイクに乗って現れるティアナの登場で場の空気は元に戻った。
「じゃあ、転ばないようにね」
3人を見送るなのはの表情はいつもの笑顔である。
「大丈夫です。前の部隊では殆んど毎日乗ってましたから」
「ティア運転上手いんです。あ、お土産買ってきますね。クッキーとか」
なのはは、お土産とか気にしないで、しっかり遊んで来なさいと笑顔で言う。
「凱さん、2人をよろしくお願いしますね」
「ああ。でも寧ろ、俺が助けられる方かもな。あまり町に出歩いていないからね」
にこやかな笑顔で道案内など何でも頼ってくださいね。と言うスバルとティアナに笑顔で頼むと答える凱。
そうして、3人はバイクで町へと繰り出して行った。
スバル達が向かった直ぐ後に、隊舎からライトニングの3人が出てくる。
エリオとキャロは、保護者っぷりを大爆発させているフェイトに心配されながら私服で町に出かける準備を終えている。
「ライトニング隊も一緒にお出かけ?」
「「はい」」
「はい。気をつけて」
なのはは、そんな2人を笑顔で送り出すも、2人の後ろで心配する保護者が1名。
遅く成らない内に帰りなさいや、夜の街は危ないから気をつけるようになど保護者節爆発のフェイトの姿があった。
そうしていると、1台の車が隊舎前で止まる。
「お待たせしました。さぁ、エリオ隊員とキャロ隊員、駅までお連れします」
車の正体はGGG諜報部に所属するビークルロボであるボルフォッグであった。
駅で待っているルネとJの元へ2人を連れて行くためにやってきたのだ。
本当は、そのまま護衛任務に就きたかったボルフォッグだったが、この後で陸士108部隊の隊舎へ向かい手伝いをしなければ成らない。
その訳は、ナカジマ三佐が合同捜査本部を作るとの事でシグナムとヴィータがその打ち合わせのため向かうからだ。その後で聖王教会にも寄るらしい。
GGG代表として、火麻参謀も行くためその護衛として行くことになっている。
ボルフォッグに乗り込み、シートベルトをしたエリオとキャロを見送るフェイト。
「2人とも、Jさんとルネさんの言うことを良く聞くんだよ」
元気良く「はい」と答えた2人は、ボルフォッグに乗って駅へと向かった。
駅前でJとルネと合流した2人は、ボルフォッグにお礼を言いホームへと向かっていった。
ボルフォッグは涙ながら、2人を駅へと連れて行った後に火麻参謀の元へと向かうのであった。
ミッドチルダの中央区画の都市で、休暇を満喫する機動六課のフォワードメンバーたち。
スターズのスバルとティアナは、ブレイブの凱と共にバイクでツーリングを楽しみ、その後ウインドショッピングへと繰り出し、
ライトニングのエリオとキャロは、ブレイブのJとルネの同行の下、健全な初デート?を満喫している。
シャーリーから貰った予定表を忠実にクリアしようと奮闘する幼い2人。
そんな2人に付き添っていくルネとJ。
遠目からも、エリオとキャロのカップルは可愛らしく微笑ましく見られている。
その一方、Jとルネの長身の男子と長身の美女のカップルの姿は人々の眼先を釘付けにしていた。
Jの服装は、白いジャケットに縦縞のシャツを着こなしている。数年前のゾンダリアンでの私服とは天と地の差である。
それに対しルネの服装は、ワインレッドのカシュクール風Tシャツにジーンズを着てショルダーバッグを肩掛けている。
2人の姿はまるで、モデルか芸能人と見間違えるほどのルックスであった。
「あぅ〜凄くカッコカワイイ!おっもちかえりぃ〜♪」
「お持ち帰りは駄目だ。お持ち帰りしたいなら、あっちのカップルにするんだな」
白いベレーを被った中学生ぐらいの少女に、近くに居るカップルと思われる男女を指す少年。
「おい、私の服装とあの女の服装…どっちが良いと思う?」
「何を言い出すんだ。俺たちは協力者という間柄だろう。何故、お前の服装を褒めなければ成らない?」
「…ただ聞いてみただけだ。女性の扱い方は相変わらず下手だな」
ゴスロリファッションと思われる服装でライムカラーのロングヘアーをした女性と、茶色いジャケットを着た長身の高校生ぐらいの青年が立ち話をしている。
そんな人々の話題の元となっている2人だったが、自分達の格好が注目されているとは思ってなく何故か多数の目線が自分達に向いているのか疑問に思っていた。
「何故か多くの目線を感じるのだが」
「さぁね?私たちの服装って、そんなに変わってるもんなのかな。なのはとフェイトと命とスワンが買ってきた服だからねぇ」
現在Jとルネが着ている服は、なのは達が買ってきた私服である。
この2人には、一般的な私服など無く。ほぼ、制服で過ごしているため急遽買い渡されたものだ。
その経緯は、こんな感じである。
「すっごく、御二人にお似合いな服を買って来ました。サイズは事前に測らせてもらったので、あっている筈です」
「エリオとキャロの引率者として、同行して頂きたいので是非この服を着て行って下さい」
「みんなで話し合って買ってきた服だから、ルネとJに是非着てもらいたいの!命お姉さんからのお願い」
「着れば2人は注目の的、間違い無しデス!」
こんな感じで言い包められ、現在エリオとキャロの引率者として同行しているのだ。
「あはははぁ〜♪ここのアイスは見た目から素敵だぁ〜♪」
目を輝かせながら、7個重ねのアイスクリームを見つめるスバル。
その横で2段重ねのアイスを受け取るティアナ。
「ほんと、アイスが好きよね。アンタは」
「好き好き、大好きぃ〜うふふ♪」
既にベンチで缶コーヒーを飲んでいた凱の横に座るスバルとティアナ。
「凱さんは、アイスいらなかったですか?」
「ああ、缶コーヒーで十分だよ」
それじゃあ、とティアナはスバルとアイスで乾杯をする。
ティアナが少しずつアイスを食べる横で、アイスを丸々1つ一気に食べるスバル。
本当にアイスが好きなんだなと思う凱。
アイスを食べ終わった後、どこへ行くか相談していたスバルたちは不意と凱に質問をした。
「あの、凱さん。少し質問とか良いですか?」
「うん?何かな」
2人は顔を見合わせて頷くと、
「「凱さんが元居た世界での、お話を聞きたいんです」」
スバルとティアナの質問に、少し考えた後こう答えた。
「あんまり2人が思っているほど、カッコイイ話じゃないかもしれないけど、良いかい?」
「「はい」」
飲み終えた缶コーヒーを足元に置き、目線の先にある海を見ながら語り始める凱。
「俺がGGGに入隊した経緯は、こんな感じだよ。18歳の頃史上最年少での宇宙飛行士として最新型のシャトルを駆ってギャレオリア彗星の観測に出たんだ。
その時飛来してきたゾンダー・EI-01と接触して、俺は瀕死の重傷を負ったんだ。死ぬかと思った時、白いライオンが俺を救ってくれた。
そのライオンが、ギャレオン。そのギャレオンがもたらしたオリジナルGストーンを使って父さんが俺を生かす為にサイボーグ手術をしてくれたんだ」
「…サイボーグ」
その単語に少し反応するスバルとティアナ。
「あの時、俺の命を存えさせるにはサイボーグになる以外無かったんだ。だから、父さんの事を悪く思わないでくれよ」
「あ、はい!」「はいっ!」
背筋を伸ばして少し驚きながら答えるスターズの2人。
「その後、ギャレオンがもたらしたオーバーテクノロジーとゾンダーの危機を知った日本政府と国連はゾンダー対策組織としてGGGを設立したんだ。
俺の生命維持には、国の力が必要なのもあったけど俺の命を救ってくれたギャレオンと父さん、泣きながら俺の事を心配してくれた命…そして、
人類を機械昇華しようとするゾンダーに立ち向かえるのは自分しかいないって思ったのが、入隊した理由かな」
それからの凱さんの話は、ゾンダーとの初対決や護少年との出会いなど、私達の好奇心を上げていくばかりだ。
「(凱さん、元はサイボーグだったんだね。それを経緯にゾンダーと戦う勇気を持てるなんて、すっごいよね)」
「(ええ。私だったら絶望してるわね…あ、ごめん)」
「(何で謝るの?私の体は、サイボーグ時代の凱さんの10倍以上幸せだと思うよ?)」
「(それもそうね。あ、そろそろ凱さん達にアンタの体の事を説明しとく?理解してくれると思うけど?)」
凱の話を聞きながら、念話で会話するスバルとティアナだったが急に話が止まったので、どうしたんですかと聞く。
「こういう話は、エリオたちの方が喜ぶと思ってね。後の話は、夜に隊舎で話すよ。そんじゃ、先の話で言ってたゲーセンにでも行くか!」
スバルは、自分の身体の事の話は次の機会にでも話そうと決意しながら、ティアナと一緒に元気良く返事をしてゲームセンターへと向かうのであった。
シャーリーの立てた予定通りに、公園のベンチで休憩を取るエリオとキャロ。
その2人から少し離れたベンチで、自分達の得物であるデバイスを磨くルネとJ。
>『その旨をよしとする』とか、『始めましてだな、ガ○○ム!』とか言ってたぐらいだからよぉ。
なにやってんすかグラハムさんwwww
それにスバルまでwwww
ココにきて00ネタがくるとはおもわなんだ。
とりあえず支援!
久しぶりにのんびりとした時間を過ごす中、エリオとキャロはフェイトさんとの思い出を話していた。
その時、スバルさんからの通信を受け回線を開くエリオ。
スバルとティアナから、そっちはどんな感じと聞かれ始めたばかりだと返答する。
これから、公園を出てデパートを回って食事をするなどの予定をクリアして行くと語るエリオとキャロ。
その答えに唖然とするスバルとティアナ。
「まぁ健全だ」
初心そうなスバルでも、色恋沙汰は分かるようだ。
そんな彼女達の話に首をかしげるエリオとキャロ。
「いや、こっちの話」
苦笑いをしながら何でも無いよと答えるティアナであった。
何かあったら、いつでも連絡するようにとお姉さん風を吹く2人に「はい!」と純粋に答えるエリオとキャロであった。
「でも、こっちにはルネさんとJさんが居るのに何かあったらって聞くのかな?」
「さぁ?」
頭に?マークを浮かばせるキャロとエリオの姿があった。
それから予定に沿って、デパートに向かった4人は服などを見て回っていた。
時々ルネとキャロが女性らしい仕草をするのを見て、少し照れるJとエリオ。
"こんな過ごし方も嫌いでは無いな"
優しげな目でそんな風に感じるJであった。
地下道路で事故を起こしたトラックの前でパトカーから降りていた警察官たちが、事故現場の現場検証中に1台の車が到着し座席から女性が降りてくる。
「陸士108部隊、ギンガ・ナカジマ陸曹です。現場検証のお手伝いに参りました」
到着した陸士部隊の隊員に挨拶をした警官は、事故現場へと彼女を通す。
横転したトラックの運転手からの話では、得体の知れないものに襲われたとの事だ。
周囲を見渡すと、陥没した道路で半壊し機能を停止したガジェット1型が調べられており、更に陥没した場所の横には液体が散乱し何かの装置が調べられている。
「これは、生体ポット!?」
予想外の物を発見し驚愕するギンガ。
「ギンガ陸曹」
行き成り車が喋ったので、驚いた警官達だったがギンガ陸曹が「大丈夫ですよ」と言い警棒を持った警官達を制止する。
「これは失礼しました。私はデバイスのAIを改良し車に組み込んだボルフォッグと申します」
礼儀正しい声を聞き、落ち着きを取り戻す警官達。
嘘も方便とはこの事だ。
「それで、ボルフォッグどうしたの?」
「はい。その生体ポットから出たと思われる人物の痕跡と思われるものが地下に続いています」
これは、自分の出番だと直感したギンガは陸士108部隊に通信を入れる。
「―はい。起動六課にも連絡を」
この事件の情報は既にスカリエッティのラボにも届いた。
『レリックを捜索していたガジェット1型6機が全て破壊されています』
「ほぉ、破壊したのは局の魔導士か、それとも当たりを引いたか?」
『確定は出来ませんが、どうやら後者のようです』
「素晴らしい。早速追跡を掛けるとしよう」
ウーノとの会話中だったスカリエッティの下に近づいてくる足音。
「ねぇ、ドクター。それなら私も出たいんだけど?」
「ノーヴェ、君か」
『駄目よ、ノーヴェ。あなたの武装はまだ調整中なんだし』
「今回出てきたのが当たりなら自分の目で見てみたい」
「別に焦らずとも、あれは何れ必ずここにやって来る訳だが…まぁ落ち着いて待っていてほしいな」
「…わかった」
そう言うとノーヴェは、来た道を戻って行った。
『ドローンの出撃は、状況を見てからにしましょう。妹達の中から適任者を選んでみます』
「あぁ…そうだ。彼にも出てもらおう。レリックを嗅ぎ付けて実験サンプル達がやって来るだろうからね」
『ウォーダンを…ですか?』
「そうだ。それと、愛すべき友人にも頼んで置くとしよう」
スカリエッティのラボに表示されていた空間モニターの映像がウーノからある都市を映し出す。
そこには、ルーテシアの姿があった。
「優しいルーテシア、聞こえるかい?レリック絡みだ…少し手伝ってくれるかい?」
エリオ達は、楽しくデート?をしていると何かの物音を察知し立ち止まる3人。
「エリオくん?ルネさんも、Jさんもどうしたんですか?」
「キャロ、何か聞こえなかった?」
「何か?」
「ごとっと言うか、ごりっと言うか」
「恐らくは」
斜め右方向にある路地裏を見つめるJ。
「私もあっちから物音が聞こえたよ。しかも、地下から」
4人は、奇妙な物音がしたと思われる現場へと向かうとそこにはマンホールの蓋があり突如開き、中から小さな女の子が這い出てきたのだ。
待機モードのマッハキャリバーに着信音が響く。
「キャロから、全体通信?」
「何だろう?」
考え込む2人の下にぬいぐるみを抱えて戻ってくる凱。
「ん?何かあったのか」
「こちらライトニング4。緊急事態につき現場報告を報告します。サードアヴェニングF23の路地裏にてレリックと思しきケースを発見。
ケースを持っていたらしい小さな女の子が1人」
「女の子は意識不明です」
「指示をお願いします」
キャロとエリオの報告で慌しくなる起動六課。
なのは達は、スバルたちにお休みの一旦中断を連絡し至急現地へ向かうように支持し自分達も現場へと急ぐ。
部隊長であるはやては、各人員に待機命令を出し、席を離れている隊員たちにも収集を掛ける。
「安全確実に保護するよ。レリックも、その女の子もや」
「了解」
隊長室から司令部へと向かうはやてについて行くリインフォースII。
現場に到着したスバル達は、エリオ達と合流する。
キャロの膝枕で眠るボロボロの小さな女の子を見つめる面々。
レリックの封印処理について質問したティアナに、キャロに封印処理をしてもらったと答えるエリオ。
「それから、これ」
レリックのケースに鎖が絡まっており、もう1つ繋がられていた事を連想させる。
現在デバイスからのデータをロングアーチに転送し調べ中とのことだ。
Jは周囲の警戒のため、ビルの屋上で待機しており、ルネはいつでも戦闘可能なようにデバイスを取り出している。
凱は、傷ついた女の子の頭をそっと撫でる。
"エリオやキャロ、それに護よりも小さい子がこんなにも傷つけられるなんて…こんな仕打ちをした奴は絶対に許せない"
凱の強い気持ちが小さな女の子の頭を撫でる左手のGストーンを輝かせる。
その光に若干眉を動かすが、その反応に気づく者は居なかった。
『それでは、2人とも作戦通りにね』
「了解しましたわぁ〜ウーノお姉さま」
「了解。行ってきます」
ウーノからの通信を切り、座席に座るクアットロとディエチ。
「そういう事で、ウォーダンのおじ様〜現地まで送って下さいまし」
「…お願いします」
『心得た』
3人が乗っているのは、全長50m以上ある巨大な人型兵器。コクピットが2つあるため、その1つを改造し2人が乗れるようになっている。
その大きな巨体は既に起動状態であり、出撃を待つばかりの状態だ。
「スレードゲルミルよ、行くぞ!疾風の如く!!」
ウォーダンは、スロットを最大にして出撃する。
スレードゲルミルが格納されていた施設は、シルバーカーテンと同じ原理で隠蔽されており出撃を察知される事は無い。
巨大なドリルを両肩に装備し、ドリル状の角を持つ白亜の巨人が大空を飛翔する。
「凱よ、再び合間見えん!」
次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
地下でレリックを捜索するフォワードメンバーに襲い掛かるガジェットと召喚士。
大空から巨人が舞い降り、再び激突する2人。
そんな彼らを嘲笑うかのように放たれる長距離砲撃がストームレイダーを襲う。
勇者王リリカルガオガイガー THE MYTHOLOGY
NEXT機動六課のある休日【後編】
次回も、このチャンネルでFINAL FUSION 承認!
これが勝利の鍵だ!
【エクシードモード&ボルフォッグ】
投下完了後
「あぅあぅあぅ、仮面さんが巨大ロボに乗って襲ってきます。大ピンチです!」
「落ち着きなさい羽入。私とレイジングハートの前じゃ、どんな敵だろうと撃ち落す。そうでしょう?レイジングハート」
『Yes my master』
「でも、全長50m以上あるのですよぉ?」
「私の砲撃は、天を突く砲撃なの!」
「それは、ドリルじゃ―ぎゃふん」
「少し、頭冷やそうか」
「た、助けてなのですぅ」
「次回リリカルガオガイガー12話『機動六課のある休日【後編】』見ないと、祟りが来るかもね」
「あぅあぅあぅ、祟りなんて僕はしませんよぉ」
終わり
リリカルガオガイガー氏GJ!
ネタが妙に直接的だなあw
……レジアスが一番気になる自分はきっとどうかしてる。
投下いきます。
■
「喰らえッ!」
「ロードカートリッジ……ナックルバンカー!」
拳と刃、打撃と投擲が交差。ギンガの左手で炸裂音。発生した防御力場が擲たれたナイフの鋭利を無力化し弾き飛ばす。
擦れ違ったその足が踏む戦場は、最早異形と化していた。
紺色の帯―――先天魔法『ウイングロード』による魔力の道が、今や目の粗い繭のような構造としてチンクにも足場を与えている。
相対する距離は二十メートル。存在する道は、直線で結ぶひとつ、並列する三本、下を潜る四本の合計八本。
機動力と近接打撃力、防御力では圧倒的にギンガが有利。だが、チンクにも三つの利がある。
ひとつは、中距離での圧倒的な手数。両手のみで同時八撃、隠し持ったスローイングダガーの数は十や二十ではない。
足を止めなければならないが、数十の刃を遠隔操作することも出来る。
そして、チンクの幻像を無数に生み出し、またその姿を隠蔽するクアットロという味方の存在。虚像は今なお増え続け、実像は既に隠されている。
『現状の』反応速度では追いつけぬ攻撃であっても、見当違いの位置を打つのなら危険性は無い。
尤も、ギンガもそこは承知の上だ。隙を突かせることはないが―――不利は否めない。
最後に、
「……どうした。倒すと言ってから、もう二分近く経ってるぞ?」
チンクの側には存在しない、時間制限。
「―――そうね」
だが、ギンガの顔に焦りは無い。
怪訝に思ったチンクは、その疑念を言葉として口に出す。
「奴を侮っているのか? だとすれば、その認識は甘いと言わせてもらおう。
魔導師ランクに換算して陸戦S−相当、それも単独での直接戦闘に特化したタイプだ。陸戦Aランクひとりで勝てるなどと……」
「侮る? 違うわ……信頼してるだけよ。
二分しか持たない、っていうのはね、二分は絶対に持たせるって意味よ。私たちの間ではね。
知らない仲じゃないみたいだし、相手の強さが分かってて油断するような奴じゃないわよ」
それに、とギンガは口を開き、
「ようやく、あなたを倒す目途が立ったしね。
―――結構キツいから使う気なかったんだけどなあ、これ」
その双眸を、強く閉ざし―――
「……何?」
「行くわよ。十六秒で終わらせる……!」
―――見開いた。虹彩が金の輝きを放つ。
瞬間、残像を残して加速。チンクは脚に回避の力を込め―――はたと、気付いた。
ギンガの先程までの戦術は、射撃や打撃で幻術を片端から打ち消しつつカウンターを狙うというもの。
敵であるチンク自身の姿は隠蔽され、二十数体もの虚像に囲まれている状況だ。極めて真っ当な判断と言える。
それが、何故。今になって、
何故―――こちらへ『真っ直ぐ』向かって来れる!?
偶然ではない。不可視化したチンクの回避運動―――左への跳躍を金色に変じたその両眼はしっかりと捉えている。
無数の虚像がそれぞれ全く別の動作を行っているにも関わらず、だ。
『クア姉、一体どういうことだ?!』
『……シルバーカーテン、解析されちゃったみたいねぇ』
幻術の解析、それ自体はさして珍しい技術ではない。否、故に幻術は廃れたのだ。
データを持ち帰られれば、次の闘いでは確実に見破られる。それは欠点としてあまりに重い。
『この数分で解析だと……あり得ん。別のパターンに切り替えは?』
『もうやってるわよぉ。頑張ってねぇ?』
『言われずとも……!』
だから、ジェイル・スカリエッティは一計を案じた。
幻術の固有値を自在に切り替え、同一の解析プログラムでは対応できないように変化させる。
それを可能としたのが、戦闘機人としての能力のほぼ全てを幻術管制に傾けたクアットロという筐体だ。
かくして前時代の遺物は、恐るべき援護型能力として現代に蘇った。
幾度見破ろうと、本来の意味では決して見破れない。翻る度に姿を変える、オーロラじみた絶対の虚像―――
―――それが、あっけなく破られた。
金瞳の焦点が揺るがない。隠蔽は継続しているというのに、ギンガの眼はチンクの動きを確実に『視て』いる。
ウイングロードを分岐させ、上へと逃れたチンクに左拳を打ち込んだ。
「な……!」
両腕を交差し、喉元狙いの一撃を受け止める。左手首を捻って腕を絡ませ、関節技に移行―――
―――衝撃が迸る。
……馬鹿な、これは―――
その驚愕を残し、チンクの意識は消え去った。
ゆっくりと、地上に落下していく。
―――その全身から、血じみた赤い液体を垂れ流し。
■
高町なのはとキャロ・ル・ルシエ―――対空迎撃の二人が出撃するのを横目に、後方支援部隊と連絡を取る。
紅く焼け、熱波を吹く右腕―――冷却/放熱。
「……命中、か。やってみるものだな。
だがまだ照準が甘い。ロングアーチ、下方にニクリック修整を」
『は、はい!』
「新人! 十五秒後に高度二百で降下可能域だ……アレックス、あんたはどうする!?」
「可能なら降下する……対地迎撃は俺がやる。高度を五十まで落とせるか?」
「舐めんな、その程度なら余裕だぜ!」
ヘリパイロット/ヴァイス・グランセニックに頷きを返し、次弾を準備する。
荷電粒子砲による長距離狙撃―――不可能だと一蹴したのと同時、突き出されたそれ。
眼前に投影された立体映像/風景に重なる凹凸―――磁気マップ/荷電粒子の加速度その他の情報から、最適な射出方向を演算する。
共振を頼りに座標を入力/射撃し、直撃/胴体を消し飛ばした―――が、共振が消えていない。奴のコアは何処だ?
「チ―――仕留め損なったか」
『……何やて!?』
「倒したとしても、相手は奴一人ではあるまい……奴の能力は無傷での制圧には向かんからな。
そして奴が持っていた見慣れん武器……答えろ八神はやて。機動六課は、一体何を敵に回している?」
『それは……』
何故か躊躇う彼女―――問い詰めはしない。それよりも気になることがある。
四つの仮想照準/下部に触れる/そのひとつが歪み、拡大された風景が変化。
映し出されたのは、地に膝をつく人影/肩を掠める金髪/白い肌/翠の瞳―――自分のそれと同じ色合い。
まさか―――とは思う。だが、自分やレッドがここにいた以上、あり得ない可能性ではない。
他のキースシリーズもまた存在し、既に魔導師として働いているという可能性は。
「……まあいい。護衛部隊のリストから検索を頼む。金髪翠眼の男の名前を教えてくれ」
『……片手間やし、一分ぐらい掛かるで。直接聞いた方が早いんちゃうか?』
「相手が相手だ。そんな余裕があるかも分からん」
絶句する気配―――思考する。
アレが失敗作と称されたのは、特筆すべき能力を持たず、戦闘ユニットとして最大限に能力を発揮できる状況が極めて限られるという理由から。
逆説的に言えば―――単騎/近接戦闘に限れば、それに特化している分だけ奴が上を行く可能性もある。
自分の主軸は中距離戦闘、制御に難のある完全展開も出来れば使いたくはない。加えて奴には隠し手が二つ/抜いた短剣/腰の長鞘―――確率は極めて不利だと言わざるを得ない。
さて、どうするか―――
■
―――"Nephilim" Ready for Combat.
閉じた目蓋の裏で、眼球が裏返るような感覚。
人間部分を主体としていた筐体が、機械部分へウェイトを移行する。
アナログからデジタルへ。思考の半分を数値と方程式に。データへと変換された戦闘記憶を解析。
要した時間は0.3秒。出力系、伝達系、共に戦闘稼動開始。
「―――行くわよ。十六秒で終わらせる……!」
眼を、開いた。
―――Combat Open. Faculty Preparation.
―――Decompress "Queen of Heart" Complete.
そして、両の瞳に『それ』が宿る。
二年前に目醒めた力。心臓の奥底に刻み込まれていた機械としての力は、それを完全に制御できる今でも多大な負担を強いる。
だが構わない。たとえ力尽き倒れても、肩を支えあう仲間がいるから。
どれが虚像か、何処に相手が身を隠しているのか―――手に取るように分かる。この眼を前にして、逃れ得る手段は自分の知る限り存在しない。
フェイントも無しに直線で突っ込んだ。上に跳んだ相手にただ一撃、左拳を打ち放つ。
―――防御された。衝撃強化の術を乗せる余裕も無い。ガードの上からでは崩せない。
その余波で隠蔽が解かれる。緑色のブロックノイズを撒き散らし、銀髪隻眼の少女が姿を現した。
武器ではなく、腕を交差して拳を受け止めている。
―――やれる! 直に触れているなら……!
―――Decompress "Lance of Mistilteinn" Complete.
両眼から力が消え、代わって左拳にそれが宿る。
一拍置いて、その一撃を解き放つ。
超震動が、敵の骨格を打ち砕く感触があった。
落下していく銀髪を眼の端に、列車の上へと飛び戻り片膝を突いた。
―――"Nephilim" Combat Close.
脳裏にちらつくメッセージが消失した瞬間、全身に虚脱感が襲い掛かる。
両目と左腕は特に酷い。視界が僅かに霞んでいる。指先には感覚すらなかった。
それでも、ゆっくりと立ち上がり、自分にだけ聞こえるように、呟く。
「さて……まだ死んでないでしょうね、グリーン」
■
投下終了ー
一人称は誰視点か分かり辛いなあ。精進せねば・
>>21 GJです!
ギン姉がかっこよくていいですね!!
ギン姉大好きなので見ていて興奮しましたwww
でも、やられたチンク姉はどうなるんだろ。少し心配だ…
それとちょっといいですか?
◆sP9nVRi1sI 氏は何となのはをクロスさせてるんですか?
名前欄がIDだけなのでよく分からないのですが…
あの…言い方が厳しいかもしれませんが、
こういったIDだけの表示されるとここが初見の人とか
クロス元のネタが分からない人にとっては少し厳しいんじゃないかと思います。
IDだけじゃなくて例で言うと「リリカルガオガイガー」氏や「なの魂」氏、
「メビウス×なのは」氏みたいにきちんと名前欄にクロス元表記してもらいたいです。
ほかにもこういう人たちがいますがその人たちもきちんとクロス元の表記をきちんとしてほしい。
保管庫に行けば分かるだろとか言う人もいると思いますが、
それだけじゃ…ううん…なんだろ言葉が浮かばないや(汗)
偉そうな態度ですみません。
でも、投稿する作家さんたちを大切にしたいとは思っていますが、
作家さんたちも読み手側の人のことも気遣って欲しい。
それだけ言いたかったんです。
気分を害してしまったのなら謝ります。ごめんなさい。
皆さんもお目汚しすいませんでした。
◆sP9nVRi1sI 氏はARMSクロスシルバーの人でしょう、ウブカタチックな文体といい。
てかギン姉、クイーンオブハートにナイトの槍って
どんだけー
◆sP9nVRi1sI 氏はARMSとのクロス。
一目で分かるトリップならまだしも、そうでない場合はタイトルも入れた方が親切ではあるだろうな。
>>21 わかる!
俺にはわかるぞ!!
(でも他の読み手がわかるかどうか、わかんないので前書きと題名をおねがいしますw)
あいかわらず銀兄さんは渋いw
それとギンガ、あんたナニを装備しているんだwwwwwwww
GJでした!シルバーはロングアーチに命令しているけど違和感ないですね。
いっそのことカリスマを発揮して六課を乗っ取ってはどうだろうか。
>>21 GJ!
ギン姉強すぎ!
ナイトにクイーンの力を手にしちゃうとは、もう誰も彼女を止められない。ギン姉好きの私にはたまらんです。
次回以降の活躍も楽しみです。
しかし、ギン姉とグリーンの関係はどこまでいっているのかな?
その辺りも今後気になるとこですね。
>>21 実にGJ!です
IDの件ですが、自分も名前の欄にクロス元を入れるか、
投下前の注意に報告するといいかと
そして、ギンガさん・・・
というか、じゃあ兎と魔獣は誰だ!?
確か、トーレがウサギさんでしたね。
う〜わっ・・誰もいねぇなぁ・・
やや顔を出しづらくはありますが…これより重爆、開始いたします。
ガジェットに、展性チタンが使われた。
こいつの意味は、あたしにだってすぐわかる。
対処方法をレポートにまとめてから現地の連中にあとをまかせて、
大急ぎであたしは新しい家に帰ってきた。
三年がかりではやてが作った、あたしたちの城、機動六課にだ。
やっぱし、あたしたちがいなきゃ締まるもんも締まらねーからな。
聞けばフォワード四人の選定も、とっくに終わってるって話。
なのはとフェイトが選んできたって、はやては電話で教えてくれたけど。
それに、あいつ…覚悟が帰ってきて、四人を早くも試し終わったとは聞いたけどよ。
これからあたし達が戦うのは、今までより数段強化されたガジェットに、
最近、各地に出没し始めた生物兵器人間。
それにヘタをしたら、零(ぜろ)みてーな強化外骨格も加わるっていうんだ。
生半なスパルタじゃ使い物になんねーぞ…
機動六課開設式より前に、そいつらの顔を一目見ておこうってことで、
あたしは眠たい目をこすりながら朝イチのレールウェイに乗り付けて、六課の朝メシに間に合ったわけだ。
…ガキの家出とカン違いしやがった駅員、てめーの顔は忘れねー。
てめーみてーなめんどくせーのを避けるためにわざわざ制服着てんのによ。
ま、あーゆーやつらを守るために戦ってんだよな、あたしたち。 うん。
おごってくれたジュースの味も、忘れねーでおくよ。
魔法少女リリカルなのはStrikerS 因果
第十話『頂』
受付で用件伝えたら、はやてがすっとんで来た。
喰ってる途中だったらしーな…ケチャップついてんぞ。
「おかえりな、ヴィータ。 どこもケガ、してないな?」
「ただいま、はやて。 ケガとか、大したことねーよ。
今日からでも戦闘訓練できっぞ」
ちょっと恥ずかったけど、はやてにはイの一番に送ったからな。
展性チタンガジェットとの戦闘映像のコピー。
知らなきゃみんな、それだけマズイことになりかねねーから。
あたしの苦戦と、おんなじことの繰り返しになっちまう。
それよりも。
「ついに始まるんだな、はやて」
「せや。 わたしらが、わたしらの判断でする戦いや。
追うべき敵をある程度決められる立場に、わたしは立った。
そのための部隊運営を、わたしは任された…責任、重大やで」
拳を固めて、はやては隊舎の天井を見上げた。
負った責任を重荷に感じてる様子なんか、全然なくて。
それでも、重荷だってことはちゃんとわかってて。
今のはやては、むしろそれが望むとこ、っつーか、どんとこい、みたいな感じ。
「肝心の新入りどもはどうなんだよ」
知りたいことを早速聞く。
これからの仕事は、早いうちにわかっておくに限るからな。
はやても、それをわかってくれてた。
「んー、やっぱり、なのはちゃん達みたいなわけにはいかないわー」
「そりゃそーだろ」
「でも、将来有望やで。 今、会うてみる?」
「うん」
あうんの呼吸ってやつだな。
あたしとはやて、ダテに十年一緒じゃねぇーよ。
食堂に入ったら、その四人らしいやつをすぐに見つけた。
二人組に別れてメシを喰ってた、女二人とチビ二人。
…わかってるよ、人のこと言えてーってくらい。
育たねえんだからしょうがねーじゃねーか。
大人に化けるのも、このミッドチルダじゃれっきとした犯罪行為だしよ。
ま、んなこた、どーでもいいわけだ。
だけど、あの二人組ふたつはもとからコンビか?
ずいぶん仲が良さそーで、そいつは何よりなんだけどな。
ああ、チビ二人の方は、ヤローの方がなんか気後れしてるけど。
女の方になつかれてんのか? 別にいいけどちゃんと仕事しろよ…
「みんな、こっち注目やでー」
一歩後ろから来たはやてが声を上げた。
四人とも気づいてこっちを見る。
隊長の声はちゃんと覚えてたか。
ん、さて。 何ごとも最初が肝心だよな。
咳払いひとつしてから、あたしはやつらの前に歩いていく。
「ひよっ子どもは、おめーらか」
「え、あ、あなたは?」
「上官の質問を質問で返してんじゃねえよ。
機動六課に入隊したてのひよっ子どもはおめーらかって聞いてんだ」
ちまっこいあたしだからよくわかる。
ナメられるのは厳禁だ、マジで。
これでも尉官で、場合によっちゃ指揮だって受け持つのによ、
エラさは体格で決まるみてーな勘違いしてるバカは本気で多い。
それでもまあ話のわかる奴は探しゃあいるんで、バカどもへの話はそいつを通すんだけどな。
ここでばっかりは、任務が終わってハイサヨナラとはいかねーもん。
これから長い付き合いになる。そうでなくっちゃならねー。
「返事はどうしたよ!」
「は、はいっ」
全員、あわてて起立した。
カチカチになりながら敬礼もだ。
「す、スバル・ナカジマ二等陸士です」
「ティアナ・ランスター二等陸士です」
「エリオ・モンディアルです、三等陸士です」
「き、きゃ、きゃ…キャロ・ル・ルシエ、三等陸士、ですっ」
「よーし、その調子で早いとこ顔を覚えてもらいな。
戦いは連携が命だからな、となりにいる奴の名前がわかんねー奴は死ね」
…ま、んなこた、ねーみてえだがな。
じゃ、あたしも名前を覚えてもらうか。
「あたしはヴィータ、三等空尉だ。
分隊の副隊長をやることになってる。
訓練教官としてバシバシしごいてやっからそー思えよ」
「はいっ」
「いい返事じゃねーか。だけど、返事だけで終わるアホはいらねーんだからな」
「はいっ」
「よし、好きにメシ喰ってろ。解散」
手応えはよかったと思ったよ。 好感触だな。
見た目だけであたしに反発する態度のやつもいなかったし。
そういうのがいないのはホント、面倒くさくなくていい。
訓練の効果、全然違って来っかんな。
…だけどな。
「ヴィータ」
「覚…」
サイテーのタイミングを零式以上にきわめてるよな、てめぇ。
そりゃあよ、三年ぶりだし、ちったぁ再会も楽しみにしてたよ。
おめーに貸したそれ、返してほしかったよ。
だけどよ、おめー、その…
「きみからの借り物を、今返そう」
空気読めよドチキショオぉぉ!
両手使って大事そうに差し出すんじゃねぇ!
「な、なに言ってんだか、全然わかんねーよ」
あたしはすばやくしらばっくれた。
我ながら上出来だったと思ったんだけどな。
うしろで誰か、肩をふるわせてる気配を感じる。
…笑うな、笑うなよぉ、はやて。
「返すやつ、間違ってねーか?」
「間違うものか。
きみが貸してくれたこれに、何度力をもらったかわからぬ!」
ぐあああああああああ!
やっぱこいつわかってねぇぇぇぇ!
三年間なにやってたんだよ、てめっ。
脳ミソに筋肉詰めこんで、頭の中身は空ッポかよ。
「はやてにも聞いたのだ。きみがこれを、どれほど大切にしていたか…
それほどのものを借りて、今おれがここに帰ってこられたこと、感謝は言葉に尽くせぬ」
ああああてめえ。
アツいセリフが途方もなくサムいんだよ。
あたしを凍え死にさせる気かよ。
見てんじゃねえよ新人ども。殺されてーのか。
ぽかんとした目であたしを見るな。
「ぷぷっ」
はやてが吹いた。
それから、盛大にむせて咳をしまくった。
…こらえきれねーほど、笑いこらえてたのかよぉ。
で、隊長が吹いたってのはな…隊長じゃなくても関係ねーかもしんねーけどよ。
ああ、そうだよ。伝染だよ。連鎖ゲロだよクソヤロー。
「ぷ」
「くくっ」
「ぐっ、ゲホッゲホッ」
「クス」
一斉に吹きやがったな、てめえら。
それでこらえたつもりかよ、おい。
いや、むしろ、ガマンしねーで笑ってくれよ。
なんだよこの微妙でいたたまれねーって空気は。
あたしが何したってんだよ。
ぬいぐるみが好きで何が悪いんだよ。
そんな困ったよーな目で見るんじゃねーよぉ。
…頼む、誰かあたしを殺してくれ。
いっそのことひと思いにやってくれぇ〜。
「どうした、ヴィータ?」
「……」
あー、当然のようにフシギな顔して聞くよな、てめえ。
自分が何したか、わかってんのかな。
わかってねーよなぁ、絶対。
あたしがこんなに死にてぇのは誰のせいなんだろーなー。
なーなー、教えてくれよ…
「…つーか、殺す!」
「!?」
どうもあたしは、とびかかったらしい。
前後数秒の記憶が飛んだ後、あたしは全員がかりで取り押さえられていた。
あたしの、のろいウサギも…気づいてみれば、手の中にあった。
流れがよくわからなかったけど、モニター室に連れてこられて、
あたし達は覚悟さん…葉隠陸曹とヴィータ副隊長の実戦訓練を見学することになった。
部隊長が言うには、この際いい機会だから…だそうだけど。
「叩きのめしてやっかんな」
「機嫌を損ねたならば謝罪するが、訓練上で黙って屈する気などなし」
「それでいいんだよ、手加減できるとでも思ってたのか」
「思わぬ!」
訓練場では、二人とももう準備完了してた。
シチュエーションは市街戦。
ヴィータ副隊長は鎚型のデバイスをふりかざして、空から葉隠陸曹をにらんでる。
だからといって、素手の陸曹が負けるとは思わない。
あの人の強さは、あたしが一番知ってるんだからっ…
「思わぬゆえに、爆芯着装にてつかまつる」
「爆芯? 零(ぜろ)はいねぇのに?」
「カリム、ヴェロッサ姉弟より賜りしカスタム・デバイスなり」
「へぇ…おめーともあろー奴が、武器に頼ってなまってなきゃいいけどな」
「それは拳に聞いてみよ。 …征くぞ富嶽(ふがく)!」
陸曹が、制服の胸に留めてあったボタンを空にかざす。
一瞬、光ってから現れたのは、あたしと同じ、シューティングアーツのブーツ。
だけど、ちょっと見ればわかってくる。
異様に武骨にできたあれは、他に何か、別の仕組みを内臓していることを。
「デバイス? あの人、使えるの?」
横ですっとんきょうな声を上げたのはエリオ君。
キャロちゃんと一緒に陸曹と戦い試されたって聞いてはいた。
「使えると、おかしいの?」
すぐ、聞いてみる。
あたしもあの人のこと、あんまりくわしく知ってるわけじゃないから。
だけど、エリオ君の教えてくれた事実は、おどろくには充分すぎて。
「魔法の資質はゼロだって、フェイトさんが言ってたし…
ぼくらと戦ったときも、魔法らしい攻撃はひとつも」
「資質ゼロ? そんなはず…」
あたしよりもティアが驚いてた。
驚くこと自体は当然だと思う。
だって。
「あの人、現に私達の前で、ブーツを使った加速を…」
「おしゃべりはそこまでや、始まるで」
そこで、部隊長の制止がかかった。
戦闘開始のシグナルが点灯する。
そっちを向いたときにはもう、戦いは始まってた。
正確に言うと、二人の姿が消えていた。
もっと正確に言うと…目で追えなかった。
鉄扉(てっぴ)を叩くみたいな音がちょっと聞こえたと思ったら、
気がつけばヴィータ副隊長が空から鉄球みたいなものを地面に撃ち込んで、
その先にいた覚悟さんが爆発の中から飛び出してきてローラーブーツで壁走り、
三角跳びから三角跳びでビルの間を飛び回ってヴィータ副隊長の頭上をとって、
で、それをヴィータ副隊長もだまって見てなくて、なんかグルグル回り始めて…
もう、なにが起こってるんだか全然わかんないよぉ!
開幕直後より真っ向勝負をいどみ来たヴィータは、
おれの拳を柄にていなし、遠心力のままに脇腹へ打ち込んできた。
身軽ながらも一撃必殺、まともに受けるわけにはいかぬ。
左膝にて柄を蹴り上げ防げば、その威力をそのまま利用しヴィータは飛翔。
身体の軽さと得物の重さ、双方を活かしきった挙動は
おれに三年間という時の流れを改めて教えるものであった。
当然なり、心技体練り上げたる戦士ならば!
富嶽(ふがく)を発動、ふりそそぐ飛燕(シュワルベ・フリーゲン)かいくぐりて壁を走る…
カートリッジ一発消費。あと四発だが不自由なし。
壁から壁へと飛び…とったぞ、頭上。
「来るかぁぁ――ッ 覚悟ぉー」
「受けるかぁぁ――ッ ヴィータ!」
「てめーに背中を見せるかよッ」
「なれば勝負はこの一閃」
「あとで吠えヅラかくんじゃねぇぞ」
「零(ぜろ)の拳に二言無し!」
わが積極を迎えて撃つは、グラーフアイゼンが回転奥義。
かつて因果極めたりといえども、戦士三日見ざれば刮目して見よ。
おれが繰り出すと同時に放たれた一打はひとまわり遠く、だが先におれの下腹に到達せんと唸りを上げていた。
だが恐れぬ! ヴィータはおれに背を向けぬと言った!
これに全力全開にて当たらぬほどの無礼無粋があろうものか。
零式積極正拳突 (ぜろしき せっきょく せいけんづき)
対
噴 推 打 法 ラケーテン・ハンマー
一打と一打、ここに激突。
「…ぐふっ」
「がはぁ、っ…」
おれとヴィータ、地に伏したるは共になり。
双方の一撃到達せしはまったくの同時、寸分の狂いなし。
水月と水月にめり込んだ拳と槌は、互いの威力の半ばを相殺。
残りの半ばで反吐を吐かせ、空中よりもつれ合うように落下。
勝負はすでについている。
仰向けにて見上げる蒼天が美しい。
「げふっ…あ、相打ちかよ」
「腹、突き破りて共に死したか」
「訓練で死ぬトコだったな」
「きみの強さが予想を超えた…」
「ンなこと聞いてもウレシくねぇーよ、勝たなきゃよ」
足を振りて勢いよく立ち上がるヴィータ。
おれも立つ。訓練場は寝転がる場所ではない…
おもむろに話し始めるヴィータは、しかし空を見上げたまま。
「話聞いたか、新型ガジェットのこと」
「展性チタン精製技術の流出か」
「これから、あーゆーのばっかりになると思う。
新人どももそうだけど、あたしたちも強くならなきゃ死んじまう。
場合によっちゃ、『後ろから狙われる』覚悟だってなきゃいけねーかもしれねーんだ」
「うむ…」
「だからよ」
グラーフアイゼンを肩に担ぎ、場外に歩き出しながら、ヴィータは言った。
「おかえり」
「…ん?」
「味方は何人いても足りねぇって言ってんだよ。
だから、おかえり」
いつわることなく言うならば、その言葉は嬉しいものだった。
だが、おれは葉隠なり。
牙なき人の明日のためにあるこの身は、誰かのための戦士であってはならぬ。
平常の安息に居座ってはならぬ。非常心にて非情に立ち向かうのが、このおれの天命なれば。
なればこそ、言わねばならぬ。
「おれは、ここに…戦士として戻ってきたのだ、ヴィータ。
それ以上でも、それ以下でも…あってはならぬ」
好意をふみにじる発言である。
どのような蔑みも受け入れねばならぬが…
ヴィータは、その場に立ち止まり。
「忘れたのかよ、おめー、シグナムになんて言われたのか」
そして、振り向くこともなく。
「どう思おうが、あたしたちの勝手だろ…」
また、何ごともなかったように歩き始めた。
決着がつくまで、時間にして三十秒くらいだった。
ほとんどあっという間に決着がついたのは確かだけれど、
それは瞬殺だったとか、そういう意味じゃ全然なくて…
「……」
みんな、黙ってた。
何も言えなかった。
だって、どっちが有利で、どっちが不利とか、
戦闘の経緯を把握できたのは、あたし達四人の中には誰もいなかったんだから。
レベルが、違いすぎる。
覚悟はしてたけど、実感する差が重すぎた。
これからあたし達は、あの人達と同じところで戦うんだ…
「あれが、みんなのいつかたどりつく場所や」
後ろから八神部隊長が、あたしとティアの肩を叩いた。
それから、エリオ君とキャロちゃんの肩も、同じように叩く。
「無理や、勝てっこない思うかも知れへん。
わたしかて、十年前なら同じこと言うたやろな」
正面にまわり込んで、あたし達ひとりひとりの目をのぞき込んでいく。
今、思っていることを包み隠さず言い当てながら。
「でもな、それは違うんよ。
みんな、ちょっと先を歩いているだけなんや」
語気を強める。
自信たっぷりに。
「立ち止まらなければ、いつか追いつく背中や」
そんな、簡単に言うけど…
そんな風に思ったけど、そんな思いも見透かしたみたいに。
「わたしの目は確かやで? 高町一尉の目も、テスタロッサ一尉の目も。
もちろん、葉隠陸曹の目も、や…わかってるんやろ? スバルちゃん」
「…え、あ、あたし、ですかぁ?」
「覚悟しとくんやな、覚悟くんの意気込み、すごいで」
八神部隊長は面白そうに、にぃっと笑って。
あたし達に背を向けて、部屋を出ていこうとする。
すこし、ぽかんとしてから、あわてて続くあたし達。
その勢いというわけじゃないけれど、あたしは聞いた。
「ま、待ってください」
「んー、なんや」
「あの…八神部隊長と葉隠陸曹って、どういう関係なんです…?」
こんな立ち入ったことを聞いてどうするんだろう。
そう自分で思いながらした、ためらいがちな質問に、
部隊長は、ほとんど即答で答えてくれた。
「機動六課では上司と部下。
せやけど、個人としては…家族のつもりや」
以上であります。
速さが足りず申し訳ありません。
リリカルなのはStS×覚悟のススメ 氏
美事!
お美事です!!
>>40 うおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜待っておりました〜〜〜〜〜!!!
GJ!!!!!
感激のあまりこれにて失礼!!!
43 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:22:02 ID:dlku8bkQ
>>覚悟のススメ氏GJ
ヴィータかわゆすwww
魔法少女リリカルなのはStrikerS−時空剣客浪漫譚−の第一話の前編が出来ました。投下よろしいですか?
リリカルなのはStS×覚悟のススメ、錆びてはおらぬようだな……
46 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:35:37 ID:dlku8bkQ
新暦0071年 4月に発生したミッド臨海空港の大規模火災。
利用者、職員とも多数の負傷者を出し、空港施設のほぼすべてが焼失する記録的な事故ながら、死亡者は出る事はなかった。
奇跡のようなこの火災事故で現場に居合わせた3人の魔導師の働きがあったこと。また、火災の中。異世界からの迷い人が居た事をあまり知る者がいないのも事実である。
魔法少女リリカルなのはStrikerS−時空剣客浪漫譚−始まりでござる。
第一話「異世界での出会い、誰かの為に振るう力」
空港火災から一夜明けた朝。
救助活動に尽力した高町なのは、フェイト・ハラオウンは自身の制服をまとい、同僚の八神はやてが泊まっているホテルのフロアの一角の席で座っていた。
本当なら、二人ともはやてが泊まっている部屋で眠っているはずである。だが、そうもいかなかった。
その理由は昨日、なのはが救出した侍の少年。フェイトが救出した二人の長身の男性の事だ。
フェイトはなのはに救出した少年の事を尋ねるがなのはは首を振り「まだ、起きないみたい」とまだ彼が昏睡状態であると答える。
治癒魔法で傷は完全に塞がった。だが、彼はいまだ目覚めない。
それもあり、なのはは少し元気が無かった。
「あの時……私はあの女の子よりも大怪我を負っているあの子の言葉を信じて私は女の子を先に助けた。でも……戻ったらあの子はいっぱい血を流して気を失っていた……私の責任」
「なのは……」
気を落としてしまっているなのはにフェイトはどう声をかけて良いかわからなかった。
話を聞けば、少年はなのはに大怪我を負っている自分よりも小さな少女を助けてくれ。と願ったという。
優しい少年だ……。
フェイトも昨日救出した二人の青年を思い出していた。
なのはが救出したスバル・ナカジマの姉のギンガ・ナカジマをあの青年達は私よりも早くギンガを救出し。
その少年のように自分達も大怪我を負っているにも関わらずギンガの方を助けるよう優先させた。
あの後で救護班から二人の話を聞けば相楽左之助と名乗った青年は右手複雑骨折、全身打撲傷。
四乃森蒼紫と名乗った青年は胸から腹にかけて大きな打撲傷。
今は治癒魔法で傷は完全に治っているが、普通ならそれほどの怪我で立って、走って、あんな跳躍力を見せる事など無理である。
47 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:39:59 ID:dlku8bkQ
そして彼らは「本部とやらに聞きたい事、話したい事がある」と願った。しかし、本部に彼らを簡単には連れて行く事は出来ない為、あの後。
二人をこのホテルに泊まらせた。そして今日は二人が彼女達に自分達の事を告げに、この世界の事を聞くためにこのフロアで彼らを待っている。
「お待たせ〜」
「お待たせしましたです〜♪」
「はやて」
「はやてちゃん」
背後からかけられた友人の声になのはとフェイトは振り返る。
エレベーターから出てきた八神はやてと彼女の肩の辺りを飛んでいるリインフォースUがこちらに笑顔を浮かべてやってくる。
その後ろには二人の長身の青年が、どこかげんなりとしたような表情をした相楽左之助と昨日のように無表情ではやてにつづく四乃森蒼紫が居る。
「あー。もう突っ込む気ねぇや」
「…………」
まったく対照的な空気を放っている二人の姿になのはとフェイトは可笑しく感じながら重たい空気から解き放ってくれた彼らを連れて来てくれたはやてを有り難く思っていた。
「ん、何か面白い話してたんか?」
「あ、ううん 後ろの二人が対照的だなぁって」
首を傾げて尋ねるはやてに答えたフェイトにはやてとリインUは納得したように苦笑いを浮かべる。
「二人ともおはよう」
今までの暗さを隠すようになのはは微笑んで二人に声をかける。
「おう、おはよ」
「ああ、おはよう……」
「おはよう、左之助。えっと……」
蒼紫を呼び捨てで良いものか、表情を崩さない彼を見てフェイトは悩むが。「好きに呼べ……」と告げる蒼紫にフェイトは微笑んで「おはよう、蒼紫」と彼の名を呼ぶ。
挨拶を済ませてから彼女達は彼らに席に座るよう薦め、彼らと向かい合う形になる。
「先ず、昨日聞いといてくれって言ってた。斎藤一って人やけど、空港ではおらんかった」
「……悪ぃな。にしても魔法か……」
48 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:43:43 ID:dlku8bkQ
なのは、フェイト、はやての顔を見遣ってから告げる左之にはやては「そうや」と頷く。
「昨日、軽く話したように私らが今おる世界は魔力−−魔法が一般的になっとる。質量兵器つまり銃とかはあんまり見なくなっとる」
「てー事はその魔力があって魔法が出来ねぇと駄目なのか?」
左之助の質問にフェイトは首を振る。
「確かに魔力をもっている事が一般だけど駄目って程でも無いよ。でも、私達みたいに管理局に入って治安を護るとなったら必要だけど」
「んじゃ、昨日、フェイトが飛んでたのも魔法……だよな」
左之の質問にフェイトはコクンと頷く。
「魔法ね……やっぱり俺にはさっぱりわかんねぇな」
頭を手で押さえる左之になのはやフェイトは苦笑いを浮かべる。
そんな彼にはやては「大丈夫や」と胸を張って答える。
「頭良くなくてもやろうと思ったら出来るから♪」
全く悪意の無い笑顔で断言するはやて。
「って、そりゃ遠回しにバカだって事か……?」
ぷるぷると身体を震わせる左之の反応にはやては「しまった」と言わんばかりに口を押さえる。
なのはやフェイトにいたっては「あ〜あ」というように悪戯っぽく笑ってジト眼で見ている。
「ちがうちがう、それはその言葉のあや。てゆーか勉強出来んかっても技術は身につくって言いたいわけでそのやな」
「はやてちゃんそれはフォローになってませんですι」
リインのツッコミにはやては「へ?」と周りの親友に視線を向ける。となのはやフェイトもうんうんと頷いている。
「あ〜……さ、相楽左之助さんι」
はやては恐る恐る左之助に引き攣った笑顔を見せて告げる。
「ごめんなさいι」
「ま、あんまり難しくねぇってのはよくわかったぜ」
頭を下げるはやてに左之助は気にしていないといった感じに告げ、そこで空気を切り替えるべく口を開いたのは先程から黙っていた蒼紫であった。
「……大方は理解した、礼を言う。」
「答えただけや、そんなたいしたことはしてへんよ。」
笑顔で蒼紫にそう答える。となのはは「じゃあ……」とはやての言葉に繋げる。
支援!
50 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:47:52 ID:dlku8bkQ
「次は、あの子と二人の事を聞かせてもらえるかな?」
自分も表情を引き締めて尋ねる彼女。蒼紫はそんな彼女から悲痛そうな空気を感じた。
−抜刀斎の事を……だいぶひきづっているのか。
「……そうだな。まずは俺達が何処から来たか話そう。」
「うん……」
蒼紫の話は、彼女達からすれば驚く内容であった。無理もない……彼らは日本、明治11年の京都に居たというのだ。
明治という年号は彼女達に縁のある第97管理外世界、地球の日本の昔の年号である。 学校で習う歴史の授業で知る時代に住んでいた彼等。
しかし、未だ眠っているあの少年や彼らの服装や刀を見れば理解出来る。
「明治時代……」
フェイトは噛み締めるようにその時代の名を呟く。
−左之助達は過去の日本から着たんだ……。
「俺達は志々雄真実という弱肉強食の時代を興そうとした男と闘った……」
さらに蒼紫は志々雄真実との闘いを事細かに彼女達に打ち明ける。
「弱肉強食」の信条で日本を牛耳らんとし、常人には理解できないほどの野望や功名心を危険視され、仲間である維新志士らの手に掛かり、全身を油で焼かれたにも関わらず生きていた一人の剣客。明治政府に対し、復讐戦争を起こした男の事を……。
強きは生き、弱きは糧として死ぬ。それは飢餓や殺戮、死体が辺りに転がる地獄絵図のようなものであると蒼紫は語る。
彼女らは悲痛そうな表情を浮かべてその話を聞いていた。 学んだ授業にも載っていない歴史であるが……。
「そんなの酷いです……」
悲しそうな表情を浮かべ、リインUが零した言葉になのはも「うん」と頷く。
「それにしても、そんな大規模な事件やのになんで歴史の授業には出てこんかったんや……」
考え込むように腕を組みながら告げるはやての言葉を聞き、左之助は驚いた表情を浮かべながら彼女に声をかける。
「ちょっと待ってくれ、歴史ってどうゆう−−「俺達が居た明治は、この世界のお前達からすれば遥か過去……か?」
左之助の声を遮るように結論を告げたのは蒼紫であった。
その結論に左之助は固まってしまい、混乱のあまり声が出なくなる。
−遥か過去……
支援します
52 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:51:34 ID:dlku8bkQ
蒼紫の結論に彼女達は本当の事を告げてよいか少し戸惑ってしまう。
しかし、彼の結論は的確でもあった為、はやてはなのはとフェイト、リインと顔を見合わせ本当の事を告げよう。と、決意する。
「うん、蒼紫さんの事は半分当たってる。 左之助くんや蒼紫さんが居た明治って時代は私やなのはちゃんの出身世界の日本って国の過去の年号や。」
「出身世界?」
「そう、時空管理局の仕事や時空の話はしてへんかったな。」
はやてはポケットからメモとボールペンを取り出し、メモにペンを走らせる。
「まず、時空の話をすると。このミッドチルダって世界にも様々な地方や都市があるとするやろ?」
メモに先ず管理と書き入れ、一角に親指程の円を書く。
その円の真ん中に半分程のサイズの円を描き、その周りの余白にピザを切り分けるように線をいれていく。分けられた余白にはミッドチルダでの地方の頭文字を書く。
「ここが今、私らや二人がいる世界。ミッドチルダやとする−−」
その円グラフの上にミッドチルダと書き入れ、さらにはやてはほかの余白のところに同じサイズの円をいくつか書き込み。
もう一つのメモを取り出し、そこに管理外と1番最初に書いてから同じように円をボールペンで書き込む。
そして新しく書き込んだメモの中の一つの円に第97と書き。それを左之助と蒼紫に見せるようにフェイトに管理、なのはに管理外と書かれたメモを渡す。
「この紙が時空として、その中に書き込んだ円がいろんな世界や。そんで今、なのはちゃんに持って貰ってる管理外って書いた紙の円の一つに第97って書かれたのがあるやろ?」
はやての言った場所にリインが指を指す。
二人が頷いて認識すると管理外のメモを持つなのはがはやてに代わり説明する。
「私とはやてちゃんが生まれたのがこの第97って書かれた世界なの。で時空管理局はフェイトちゃんの持ってるメモのミッドチルダから時空やいろんな世界に異常がないか艦を使って見回るの。それが私達の仕事」
「異常って何があるんだ?」
思考を整理し、冷静さを取り戻した左之助が尋ねると今度はフェイトが質問に答える。
「例えば、この中の世界で文明がすごく進化している世界があるとするでしょ? そしてその進んだ世界で造られた技術の遺産ロストロギア……簡単に言えば。
この魔法が発展しているミッドチルダから魔法でつくられた兵器が簡単に使えて。
強い力を放つ。それが二人のいた明治時代にまで流れてしまって誰かが使い方とかも知らないで触ったら大変な事になるよね。
そうゆう異常が無いように、または異常を発見したら対応出来るように見回るの。解りにくかった?」
説明を終え、恐る恐る、二人に尋ねると二人は問題無いといったように頷く。
「ようは警官みてぇなもんなんだろ?」
「うん、そうや。で、話戻すけど。二人は第97世界の過去の時間から来たって事になるんやけど何が原因。とか解るかな」
支援
54 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:57:03 ID:dlku8bkQ
はやてのその質問に二人はあの光を思い出す。
志々雄真実との闘いの後、燃え盛るアジトから脱出する時、爆発が起きた。 その時に白い光が自分達と剣心を覆い。気付けば昨日の空港に居た。
記憶が納まっている棚を整理しながら、蒼紫はぽつりと彼女達に告げる。
「光に包まれて気付けば俺達は昨日のあの場所にいた……原因はそれだけしか解らない」
「そうか……うん、解った。十字傷の子や二人が明治時代に戻れる方法はこっちでなんとか調べてみるわ。」
二人ははやての言葉に一先ず安堵する。
彼らは昨日から帰れるのか?という事を少なからず考えてはいた。
調べてみる。という事は可能性は閉ざされたという訳ではない。
しかし、彼らははやてから思いがけない事実を告げられるなど思ってもいなかった。
「それと、ごめんなさい!」
突然の謝罪。二人は頭下げているはやてに首を傾げる。すると、彼女に続きフェイトも自分達に頭を下げす。
「はやてだけじゃない、私も。ごめんなさい!」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。いきなり謝られても何が何だかわかんねぇι なん何だよいったい?」
戸惑いながら左之助が二人に尋ねると、はやての傍で浮いていたリインが左之助の前に出てきて、答える。
「実はですね、昨日お二人が普通ならありえないジャンプを見せた事にフェイトさんがはやてちゃんに相談して、気になったはやてちゃんは救護班の人達にお二人のリンカーコアがあるかどうか調べて貰ったんです。」
そこで初めて耳にする単語に左之助はさらに首を傾げる。
左之助のわかりやすい反応になのはは苦笑しながら二人にリンカーコアについて説明する。
「リンカーコアっていうのは魔力を発動するのに必要な物。それがあるかどうかでフェイトちゃんみたいに飛べたりできて闘う力にもなるの」
「へぇー。で♪」
なのはの説明に納得した左之助はにっかりと笑顔を浮かべ、頭を下げていたはやてとフェイトの肩を叩く。
「あったのか?そのリンカーなんたらってのは」
「うん。二人ともあった。とくにあの子はなかなか凄い魔力を持ってた」
はやても彼に負けない程の笑顔を浮かべている。
「それで、二人に話があるんや」
「話?」
「二人とも、帰れるまでの間やけど。管理局の仕事手伝ってみいひん?」
55 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 18:59:54 ID:dlku8bkQ
とりあえずバイト中なので、これまでです。続きはまた後で投下します。
GJ!
えっ?バイト中に投下してたんすか、あなた?
だとしたらなかなか大胆なことしますね・・・・
GJ!!!
でも、バイト中はまずいってwwwww
この時期ってなのは達14歳ですよね?
幾ら剣心が童顔で背が低くても「あの子」呼ばわりはおかしくないでしょうか?
どんなに若く見積もっても同世代以上には見えると思うんですが。
14歳で同い年や年上の男をあの子呼ばわりするのがデフォだとすれば、
あまりに他人を舐めすぎというか何と言うか・・・・・・。
59 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 19:39:04 ID:dlku8bkQ
それに関しては続きで明らかにするので今はご容赦下さいm(__)m
>>58 時系列的に見ると15歳だね。
空港の事件が起こったのが新暦71年4月30日
アニメ第1話が新暦75年4月
なのはの本編での年齢は19歳
4年前の出来事だから15歳だね。
剣心の外見が
身長158cm・体重48kg
文部科学省の学校健康調査によると
平成16年度における男子の平均身長に照らし合わせると、
大体15〜18歳くらい。
まぁ、そこから考えるに
タメかちょい上くらいと予想したと思われる。
59
おそらく、剣心は若返ったということですかね。
剣心って実は三十路前だっけ?何にせよGJ
今日はシルバー氏、覚悟氏も投下しているし目出度い日だっ
まっことめでたかwww
というか、覚悟氏は久々に見た希ガス。
EDF氏はどうしたのだろうか……
きっとスカ博士に改造されてるんだよ
んな、仮面ライダー一号じゃあるまいし・・と言い切れないと思う自分がいるのは
何故だろう?
>66
戦士には休息が必要なんだぜ
どんな戦士にもな
眠る戦士の瞼は何人たりとも開いてはならんのだ、とクウガ的に言ってみる。
>>69 「俺はやすらぎ いらない男さ」と某宇宙刑事は歌ってるが、さて…
>>66 きっとそのうち凄まじき戦士になって帰ってくるよ。
しかし、平日だってのに進行早すぎだゼ! 俺の能力ではこのスピード、追い切れん!
おざなりで真に遺憾だが、せめて覚悟氏とりりかる剣心氏にGJを贈っておく!
それにしてもヴィータ……出来ておる楠。幼女に軍隊張りのストレートな物言い……出来ておる。
そして、その後のらんちき騒ぎにテラモエスwww
日曜あたりから感想。元ネタを知ってるものだけですが。
>>魔装機神氏
GJ!まさか雅藍が来るとは……。ヤドリギの光とか、記憶を失わない方法とか気になる。
しかし一番の疑問は、雅藍の座布団はどうやって浮いてるのか……。
>> リリカルスクリーム氏(StrikerS-NEXT)
GJ!ほのぼのとした光景と殺伐とした雰囲気の両方を感じます。
北条らもオルフェノクなんですね。でもこうして見ると人間と違いは感じない。
>>×DOD氏
GJ!キャロは着実に成長してるし、各キャラの心情も良く書けてて感服。
この平穏が続くといいのですが、いずれ荒れてしまうのでしょうか……。
>>リリカルスクライド//G.U氏(リリカルガオガイガー)
GJ!OOネタもGJw日常も楽しそうで良かったです。
次回、スレードゲルミルに期待大です。
>> リリカルなのはStS×覚悟のススメ 氏
GJ!独特の文体は流石の一言。台詞回しもさることながら、心理描写が秀逸でした。
あとヴィータにも笑えましたw
>>りりかる剣心氏
GJ!るろ剣、もとい和月作品が大好きな私には非常に楽しめました。
少年、ってのは第一話から気になってましたが、まさか時間移動の何かで全盛期(抜刀斎)の姿になったとか……ないか。
>>66 クロノを殺したせいで腐女子に殺されたんだよ
あと、これはおまけです。
正直、橘さんとティアナの師弟ってこういうネタまみれの姿しか想像出来ない(ぉ
いや、二人とも大好きなキャラですが、愛し方も同じというかね…w
「タディのパワーアップアイテム・NG編」
http://kjm.kir.jp/pc/index.php?p=45990.jpg きっと二人の訓練はバッティングセンターですよ。ティアナも対怪人より対ライダーに強くなってくんだろなぁ…。
それでもここぞという時にはキメちゃう二人はマジ素敵師弟。
78 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 23:51:14 ID:dlku8bkQ
後編投下よろしいですか?
本当に投下祭りだな。これは、何のご褒美だ?
フタエノキワミ、アーーーーーッ支援。
81 :
りりかる剣心:2007/11/05(月) 23:58:30 ID:dlku8bkQ
「二人とも、帰れるまでの間やけど。管理局の仕事手伝ってみいひん?」
「おいおい、えらく急だな」
「……管理局か」
二人の反応に表情を引き締めているフェイトはうんと頷く。
「急なのは本当にごめんね。 だけど、局に居れば三人が帰れる手掛かりも早く言えると思うから。」
フェイトの意見は正しかった。
しかし、左之助は考え込む。
組織とかそういうのは赤報隊に居た経験から上に切り離されるかもしれない。という疑いを持っている。
だが、この世界は明治政府のように情けなく、腹立たしいといった感じはまだ見られない。
入ってみても悪くは無いだろう。しかし、左之助は勉強や規則正しい環境は好きではない。だからトリ頭なのだが。
しばらく沈黙が続く。するとそれを破る答えが告げられる。
「…………確かに一理あるな。お前達のやっている事を知れば俺達に協力を願うのも頷ける。良いだろう、俺は管理局に入る」
「ほんまか♪」
蒼紫の協力に彼女達は嬉しそうに微笑む。
だが、左之助は意外そうに蒼紫に視線を向けると彼は既にこちらを見遣っている。
「……立ち止まっていても帰れる道へは辿り着けない。俺は進む。
あいつならそう言うだろう。」
相変わらずの無表情で蒼紫は答えるが、左之助は彼の眼から本気だと感じとる。
確かに、剣心が眼を覚まし、この場で居たら、そう判断するだろう。
歯噛みする思いで左之助は蒼紫から視線をはやて達に移す。
「……俺も入る。」
左之助の判断に彼女達は嬉しそうに微笑み……「ありがとう」と口々に述べる。
が、途端に暗い表情で俯むく彼を不思議におもう。
「左之助どうしたの?」
「魔法って勉強するんだよな?」
「うん、魔法は計算式を組み上げるから数学を基本に」
「お、お、おーし。や、ややってやるぜ!」
冷や汗をかきながらしどろもどろに喋る左之助。
「だ、大丈夫だよ左之助!困ったら私が教えるからι」
「そうそうι 私も解りやすく教えてあげるよ!」
「カラでも出来るぐらい簡単やからι」
「はやてちゃん、フォローになってませんですι」
「あ…………ごめん!」
「てめぇコラ」
支援
83 :
りりかる剣心:2007/11/06(火) 00:01:16 ID:dlku8bkQ
しばらくして彼女達は左之助のご機嫌を直す為にホテル内のバイキング式のレストランへと場所を移す(もちろん彼女達のおごりで。
初めて体験するバイキング式に左之助は直ぐさま機嫌を直し、テーブル席に着く彼女達や蒼紫を余所に料理を取りに行った。
そんな姿に彼女達は可笑しく感じ、大笑いして見ていた。
「あはは、左之助。すごいはしゃいでるね♪」
「ホント、見てて飽きないや♪」
「同い年やけど、なんかお兄ちゃんみたいやなぁ」
ほほえましく左之助を見遣っている三人とは打って変わってリインは怒ったように頬を膨らませている。
「むぅー。行儀悪過ぎです、お兄さんじゃなくて弟くんです!」
「でもほっといたら全部食べられてまうかもなぁ♪」
「…………左之助さん!リインのプリンは奪わせませんですよ!」
慌てて皿を取りに飛んでいったリインに思わずはやては吹き出す。
「あはははははは!あぁー、あかん涙ちょちょぎれるわ♪」
「はやて、私達も行かないと無くな「待ちー!!勘定は私が払うんやからなー!」
そう叫びながらも彼女は楽しそうに左之助とリインの元に駆け寄っていった。なのはとフェイトはくすくすと笑い声を零す。
「にゃはは。フェイトちゃんと蒼紫さんも行こう♪」
「うん。行こう」
「……そうだな」
蒼紫さんはきっと斬殺しまくってくれる支援
支援
けど、サノスケって18歳だよね?
はやて達とタメではないとおもう
86 :
りりかる剣心:2007/11/06(火) 00:09:02 ID:ImgnaZef
あれからしばらく時間が経つ。
六人は食事を済ませ、再びある話をしていた。
それは食事中に蒼紫が彼女らに尋ねた事から始まった。
「……管理局に入る前に訓練する施設はあるのか?」
その質問にはやては、飲んでいたお冷やを下ろして答える。
「うん、訓練校にまず二人は入って魔法の事や闘い方について学んでほしい」
「……そのまえによ、あいつが起きてからって事にしてくれねぇか。」
最後に残していた焼き魚に噛り付きながら彼女達に尋ねる左之助。
「うん、そうやな」
はやては左之助の言葉に納得する。確かに、未だ目覚めぬ彼をほおっていてはかわいそうだ。
「ま、あと少ししたら起きるだろうし」
「……左之助くん、蒼紫さん。あの子の名前、教えて」
彼らに声をかけたのはなのはであった。
昨日も先程も彼について知りたかったが、なかなかタイミングが無かったからだ。皆が落ち着いた頃合いを見た彼女はあの十字傷の少年の事を聞こうと思ったのだ。
すると左之助は平らげた焼き魚の骨を口に加えたまま、良いぜと彼女に答える。
「名前は緋村剣心」
「緋村……剣心。」
彼の名を彼女達は噛み締めるように呟く。
「後、あいつの事を知りたかったら、起きた時にあいつに聞け。十字傷とかはな……あれは俺達が会う前からだ」
「あ……うん」
「それとよ……」
「?」
「さっきから聞いてて不思議に思ってたんだけどよ。あの子って、嬢ちゃん達には剣心はいくつに見えるんだよ?」
その質問に彼女達は少し考え込み、口々に答える。
なのは「えっと……16歳かなぁ」
フェイト「私も……写真見た限りは。15、6歳だと思う」
はやて「私は17歳……やと思う」
リイン「何歳なんですか?」
いくら剣心が若くてもそこまでは左之助は不思議に思いながら彼女達に告げようとした
だが、その時
「拙者は28でござる」
「彼が若く見えるのは理由があるの」
87 :
りりかる剣心:2007/11/06(火) 00:18:47 ID:ImgnaZef
二人の声が背後からかけられるそのうちの一人の声に左之は聞き覚えがあった。しかし、若干であるが声が若いのだ……違和感を覚えながら振り返ると。
そこには話題になっていた緋村剣心が修復された着物を着こなし、苦笑いを浮かべて立っていたのだが……左之助は驚く。
「剣心……お前」
見れば、剣心の顔はあの光でこの世界にくるまえよりも若い。
また、なのは達も驚いた表情を剣心ともう一人の声の主に向けている−−
「緋村……さん」
「か、母さんも……」
「年齢詐欺や……」
「詐欺です……」
「Σおろ?」
「……お前は誰だ?」
剣心の姿にたいして表情を崩していない蒼紫は剣心の隣に立っている女性に尋ねる。
「はじめまして、相楽左之助くんに四乃森蒼紫くん。私は時空管理局、総務統括官のリンディ・ハラオウンです」
「……解った、リンディ。で、理由とは一体なんだ?」
「その質問に関しては、緋村さんが話した方が良いかもしれないわ」
リンディは剣心と共に、彼らが着いている席の空いている椅子を動かしてそこに座る。が相変わらず左之は不思議そうに剣心を見遣っていた。
リンディの言葉に剣心は「ああ」と頷き、左之と蒼紫に視線を合わして口を開く。
「左之、蒼紫。正直拙者も驚いているが今の拙者の身体は幕末(むかし)の頃ほどに若返っている。
さっき、アースラという艦で眼が覚めて身体に違和感を感じていたら……リンディ殿に拙者達が何らかの原因で明治11年の京都からこの世界に来た事、拙者の魔力がかなり多量だという事。
それらの影響で若返ったようでござる。もちろん彼女からは、拙者達が居る世界がどのようなものかも教えてもらったでござる」
この身体になった経緯を説明してから剣心は蒼紫と顔を見合わせる。
剣心は優しく微笑み、蒼紫は無表情といった対照的であった。だが、二人はこれで会話は成立している。
「……目覚めは良いようだな」
「手当てしてもらった事もある」
「……そうか」
「皆、解ってくれたかしら?」
リンディは微笑みながらなのは達と左之達に尋ねる。
彼女達は、こくりと頷き。左之助と蒼紫は口々に「ああ」と認識した事を告げた。 剣心は左之、蒼紫から彼女達へと視線を向け、微笑む。
88 :
りりかる剣心:2007/11/06(火) 00:24:18 ID:ImgnaZef
「拙者は緋村剣心。友人共々、昨夜は助けてもらった事、感謝しているでござる。ありがとう」
「私も、緋村−−剣心さんを置いていってしまって。ごめんなさい」
立ち上がり、悲痛そうに深々と頭を下げるなのはに剣心は、いや。と告げて顔を横に振る。
「あの少女を助け出してくれた事に拙者は感謝している。気にしてはいないでござる」
優しい人だ……。
なのははもちろん、フェイト達も彼の言葉や笑顔からそう感じる。
「ありがとうございます……剣心さん」
「いやいや♪」
リンディも彼らに対しほほえましい印象を感じ思っていた。
剣心だけではなく、二人も優しい人だ。とくに左之助のギラギラした空気。それに蒼紫は無表情ではあるがさっき剣心と交わした言葉。あれは少なかったがそれでも友情を感じた。
リンディはある件の事を思い出し、はやてに尋ねる。
「もしかして、彼らにあの話はしたの?」
「あ、はい。ついさっきです」
「あの話とはなんでござる?」
「ああ、剣心。実はな−−」
やっと思考を整理できた左之助は先程、はやて達が自分と蒼紫にした話を剣心に告げる。
帰れる可能性があるか調べてくれる事。
帰れるまで管理局に協力してほしい事。
その話を剣心は表情を引き締めて聞いていた。
「そう。それで良かったら緋村さん達の力を貸してほしいの。 管理局に居れば貴方達の帰れる方法を早く教えてあげれるから」
左之助と交代するようにリンディの告げた話に剣心は眼をつぶる。
「…………」
そしてゆっくり、瞼を開け。眼の前の彼女達を見遣って答える。
89 :
りりかる剣心:2007/11/06(火) 00:30:54 ID:ImgnaZef
「……確かに、帰れるか帰れないか見当のつかぬ状況に拙者達はいる。だからこそ、立ち止まるよりは前へ進む事が大事でござる……。
リンディ殿、拙者の力で人々の為に役立つなら管理局の仕事、手伝わせてはもらえぬでござるか。」
蒼紫が言っていた言葉。「あいつならそう言うだろう」を彼は言った。
その姿に彼女達は畏縮してしまう。
「いいえ、緋村さんや左之助くん、蒼紫くんと働けるなんて私は嬉しいわ。それに頼んだのはこっちです、私達に……皆の為に力を貸して下さい。」
リンディはきりっとした大人の女性の笑顔を見せ、彼に手を差し出す。
剣心も力強く微笑み、彼女と握手を交わす。
「ああ、できうる事であれば助太刀するでござるよ」
剣心の強い決意に左之助
「勉強は苦手だけどよ……確かに一理あるぜ」
蒼紫も剣心の意志に同意する。
「……ああ」
そこでリンディははやてが先程、二人に持ち掛けた訓練校の話を剣心に説明する。
「三人には管理局武装隊、第四陸士訓練校に行って短期プログラムをやってもらいたいの」
「短期プログラム、でござるか……」
剣心の反応にリインがはいです。と答えて第四陸士訓練校のデータを表示させる。
「短期間で重要な事を詰め込んでもらうのですが、剣心さん達のリンカーコアを調べた結果かなりの魔力を保有してますので短期プログラムで入学して貰おうと。」
「……だが、それだけではこの世界の規準での俺達の実力は解らないはずだ。」
蒼紫の言葉にリンディはええ。と頷く。
「そこで、三人の身体能力を調べてその結果から訓練校での入学期間を考えたいから。アースラに来てほしいの」
「アースラって剣心が寝てた?」
剣心の発言を一つ一つ思い出した左之助はフェイトに尋ねる。
「うん。さっき説明した時空を渡る為の艦、次元航行艦−−名前は『アースラ』」
「身体能力を調べたいとはやはり……」
剣心の質問にリンディはこくりと頷く。
「ええ、模擬戦で見せてほしいの。」
「では……アースラに向かってからその判断をしたいのですが。良いでござるか?」
リンディを見据える剣心−−いや、彼らの眼は、先程の明るい眼ではない。不思議な力が発展した世界でのあり方全てを見極める。
新時代の為に数多の命を奪い、二度と人を殺めないと誓い。修羅場を潜った剣客としての眼。
政府に切り捨てられ、最強の喧嘩屋としてあけくれたかつての喧嘩師ではない、惡を背負った男の眼。
仲間を失い、無くした誇りを取り戻し、凍った時間を動かした若き江戸城御庭番衆御頭の眼。
彼らは再び、誰かの為に力を振るうのか……。
剣心とリンディ。若作りコンビ支援。
支援
一つ投稿してまた投稿するまでの間に平均十分弱も時間がかかるのって何か訳があるんですかね?
自分は大体投下してから2〜3分で次のが投下出来るようになりますけど。
支援
まだ時間かかるんなら
Bパートの投下は明日にしようかなあ…しかし自分としては今投下したいんですよね。
でももう三十分は待ってるけどまだ続きそうな訳で…。
支援。
94 :
りりかる剣心:2007/11/06(火) 00:37:22 ID:ImgnaZef
そして、同じ頃。
ミッドチルダ首都・クラナガン 首都防衛隊、長官室。
防衛長官レジアス・ゲイズはデスクのパソコンで、ある資料を見据えていた。
モニターに映るのは製造を進めている『アインヘリアル』のデータ。
唸るような表情でレジアスはモニターを見ている。
しかし、彼の心はデータではなくある事に向いていた。
−あの藤田と言う男。多量の魔力を持っているが、デバイスを使わずに刀一本で良いと言う。
しかし、あの男の力を上手く使えばなんとかなるやもしれん。目指す平和の為の……。
藤田と呼ばれた男はレジアス・ゲイズの働きにより、首都防衛長官直属の捜査官に就任していた。
だが、レジアスは気付いていない。藤田という男が狼のような鋭い眼を自分に向けている事を。
「ぐぁぁっ!」
模擬室で局員は何かに吹き飛ばされ、ぐったりと倒れる。管理局の制服を着た狼のような眼の男が刀を納め、タバコに火をつけながら気を失っている相手に歩み寄り、呟く。
「阿呆が……」
続く
見直してるんじゃないですかね? 修正効かないし。
壬生の狼を飼った(と思っている)レジアスは既に死亡フラグ。
97 :
りりかる剣心:2007/11/06(火) 00:40:56 ID:ImgnaZef
以上です。
すいません、最後の最後で見直しながら投下してましたorz。
りりかる剣心氏>
魔法と無関係の世界から来ながらも魔法の才に恵まれる剣心…
とはいっても、身体に負荷がかかればまずいことに変わりなく…
などと思いはしたものの、身体の方は若返っているし?
剣心に宿った魔法の力はどういった性質のものか、
それによって運命が分かれそうでありますな。
GJであります。
99 :
なの魂の人:2007/11/06(火) 00:49:14 ID:WlMednrq
GJです
個人的にるろ剣は好きなんで、こっから先の展開に期待です。
こちらも、もう少しで話が書きあがりそうなのですが
リリカルスクリーム氏が投下予告をしていらっしゃるので、その後に投下しようと思います
>>97 GJです。
しかし敢えてはっきり言わせて頂くと投下ってそういう作業まで終わらせてからするもんじゃないですかね?
そりゃ自分もチラッと見直すくらいはしますけど。
悪即斬の信念は六課と絶対に対立するな。
あと壬生の狼を相手にナンバーズが何人生き残れることやら。
なのはStrikerS-NEXT2話B「ナンバーズ&Gシリーズ」
「それより顔色が優れないなオットー。また悪い夢を見たのか?といっても最近私も悪い夢ばかり見てるが…
どんな夢だったんだ?」
リンディ達を遠巻きに眺めながらオットーとディードが語らっていた。
「僕は培養液の中に居て…誰かよく解らないけどリスティって言う綺麗な女の人が僕の事を悲しそうな目で見つめるんだよ。
リスティって名前が解ったのは今日だけどいつも肝心なところで
大きなシャッターが降りてきて気がついたら目が覚めているんだ…。
どうしたのディード?」
「…私が近頃見ている夢もそれと殆ど同じなんだよ。私を見つめてきた女性はフィリスという名前らしいけど
それ以外は全く同じだ…。」
「えっ…?」
「その話詳しく聞かせてほしい。」
驚くオットーに傍で物思いにふけっていたセッテが割り込んできた。
「セッテ?」
「同じなんだ。私の見た夢と…私の夢の中の女性はセルフィという名前らしいが。」
自分達に輪をかけて他の姉妹とコンタクトを取りたがらないセッテが話しかけてきた事に怪訝そうな顔を
するオットーとディード。
しかしセッテの話を聞くと二人は互いに顔を見合わせた。
そのころ
「ほんと悪いね。格納庫に持っていくところまで付き合ってもらっちゃってさ。」
「いえ…。あれは?」
ウーノが格納庫の中に保管されている兵器群を見て不思議そうな顔をした。
「あれはG1。G4-Xなんかの元になった機体でパワーだけならG4並み…でも常人には負担がきつくて扱えなくてねえ…。
なにしろ五代さん…いえ、未確認生命体第四号をトレースするというコンセプトのみで作られたものだから。」
赤銅色の胸部装甲に鉛色を基調としたボディとG4に近い形の銀色の角状のアンテナが特徴的なかつての未確認生命体第四号を
元にして作られた強化外骨格「G1」を苦笑交じりに説明するひかり。
「そしてその隣にあるのがG3-MILD。こっちは誰にでも扱える事を目的として量産を前提に作られたものだけど
スペックが低すぎてアンノウンには対抗出来なかったので量産は打ち切られたって訳。」
「随分と両極端なんですね。」
トーレはしばしの間G1とG3-MILDを見比べると、言った。
「誰にでも扱えるのですか?」
「基本的にはね。開発主任の小沢さんと氷川さんがあの事件から少し経ったころに
突然ふたりしてオリジナルのG4とG3-Xと一緒に蒸発しちゃったからよくは解らないけど…
でもそれがどうかした?」
「いえ…何も。」
ウーノは誰にでも扱えるという点を問いただすとしばしの間G3-MILDを感慨深げに見つめた。
「そういえばリンディていと…いえ、リンディ部長。エイミィさんと赤ちゃんの調子は?」
「母子ともに何の問題もなし…ただし父親のクロノが…。」
演習ルームでメガーヌの質問に言葉を切るリンディ。
「あっ…申し訳ありません。」
「別にいいわよ。あの子はそう簡単に死ぬような子じゃないわ。」
「そう、クロノくんの事だもの。きっと何処かで生き延びてるわよ。」
俯くメガーヌにリンディとレティは自身ありげに言ったものである。
そしてさらにそのころ
「クアットロ。」
「クアットロ姉様」
「ディエチちゃん…。それにディードちゃん。」
「みんなが探してたよ。いろいろ気が滅入ってるのも解るけど一人で抱え込むのはよくないんじゃない?」
廊下を歩いていたクアットロを呼び止めるディエチ。
特性上彼女とコンビを組むことが多いディエチはクアットロの心中をよく察していた。
ディードは別段クアットロの事については姉として尊敬している程度にしか気にとめていなかったが
榎田ひかりがクアットロを心配している旨を
本人に伝えるようにトーレに言われていたのである。
「別に抱え込んでなんか…ッ!」
言い返そうとするクアットロ。しかし彼女は不意に押し黙った。廊下の反対側から歩いてくるある影を認めたからだ。
スマートブレインの少数精鋭部隊「ラッキークローバー」の琢磨逸郎、そしてその部下の
カクタスオルフェノクこと赤井とスティングフィッシュオルフェノクこと井沢博司である。
ナンバーズの中でもふてぶてしくもっとも性根の黒い彼女が何故ここまで怯えているのか説明しなければならないだろう。
オルフェノクの青い薔薇作戦開始の数日前。
すなわちナンバーズが地上本部襲撃を終えてトーレ、セッテとともに撤退するべく地下道を移動していた
クアットロ達に一番最初に攻撃を仕掛けてきたのがこの琢磨であった。
その時はトーレ、セッテの空戦コンビネーション攻撃に琢磨が一方的に攻撃を受け為すすべなく敗退。
しかしこの時クアットロの行動が不味かった。
「どこの誰かは知りませんけどお〜ちょっと呆気なさ過ぎるんじゃないですかぁ?
そっちから喧嘩売ってきた癖にぃ…くす♪」
「う…あああああ…が…ああ…。」
べそをかきながらうめき声を上げる琢磨を満面の笑みを浮かべて踏み躙るクアットロ。
「楽しいわぁ〜。何にも出来ない無力な命なんか虫けらと同じ…そして
そんな奴らを蹂躙するのって…ほ〜んと最高!くすくすくす…。」
琢磨の表情に満足げな笑みを浮かべると彼の腹を踏みにじる足にさらに力を込めるクアットロ。
琢磨の悲鳴が地下道に響いた。この時クアットロの名前と顔とが彼の
「いつか必ずぶっ殺すリスト」に刻み込まれたのは言うまでもない。
なにしろオルフェノクとしての能力よりも少し弱気の性格を補って余りある執念深さを
買われて出世したのが琢磨逸郎という男だったのだから。そして彼の復讐の機会は望外に早く訪れた。
言うまでもなくこの数日後。青い薔薇作戦が決行された日である。
廃棄エリアのビルの谷間。窓の外には大量の灰と徘徊するオルフェノクが見える。
「うう…ううう…。」
運悪く先ほど出くわしたライオトルーパー部隊との交戦で痛めた足は言う事を聞かなかった。しかし研究所へ戻らなければ。
なんとか這って行こうとするクアットロ。だがその時…彼女の背後から足音が聞こえてきた。
「…?……ッ!あ…あんたは…!」
そう、琢磨である!微笑みをたたえながら最短距離をまっすぐにクアットロへと歩み寄っていく琢磨。
「あ…あああ…ああーーー!」
まるで悪餓鬼に足をむしりとられたバッタかコオロギのようにもがき、
喚きながら逃げようとするクアットロ。しかし無駄な足掻きだ。
あっという間に隅へと追いやられてしまった。琢磨の姿が有刺鉄線の如き形状の鞭を手にした怪人
…センチピードオルフェノクへと変貌していく。
三日前に目撃した時は意識しなかったがなんと不気味で醜悪な姿なのだろうか。
「いい姿ですねえ…。」
センチピードオルフェノクの影がまるで映写機で投映したように青白く透き通った琢磨の姿になり、
勝ち誇ったように言った。そして鞭を手にした右手が振上げられる。
その後何があったかは敢えて語るまい。かくしてクアットロは彼女自身にも多少なりと非があったといえ
その代価としてはあまりにも重過ぎる心的ダメージを負わされ、今ではだいぶましになったものの今でも
琢磨を前にすると気の毒な程に怯えるようになってしまったのである。
当の琢磨はそんな哀れなクアットロの姿にたいそうご満悦であった。
かつて彼が恐れていた北崎がそうしたようにクアットロ、ひいてはナンバーズを
いじめぬくことに一切の手間を惜しまなかった。無論今この時も例外ではない。
「どうしたんですか?急に俯いてしまって…?」
クアットロの頬に拳をグリグリとめりこませる琢磨。
「何するんだ!」
「黙って見てなぁ!」
ディエチを押さえつける赤井。だがその時。
「………ペッ。」
「ん?うわっ…何しやがんだよおこのアマぁ!」
「ぐっ…がっ…!」
蔑意のこもった視線を彼に向けると唾を吐きかけるディエチ。
赤井は激昂してカクタスオルフェノクへと変貌するとディエチを蹴りつけた。
「ISッ!ツインブレイズ!」
「なんだやる気か?それはいいがな…お前もあのアル中ドクターの奴もどうなるか覚悟の上でなんだろうな?」
今まで黙っていた井沢が見かねてツインブレイズの光刃を抜いたディードの前に進み出ると、睨みつけながら言った。
常に冷静さを保つディードの顔が悔しげに歪み、ブレイズの刀身から光が消える。
「…ふん。」
ドカッ!
「うっ…!」
ハンドポケットのままディードを容赦なく蹴りあげる井沢。
「人をコケにしやがってよお…誰が飼ってやってるか解ってんのかよてめえ?ん…?」
そんな事はお構いなしにディエチを痛めつけるカクタスオルフェノク。そんな彼の目に明滅する蛍光灯が映った。
「丁度いい…こいつをぶち込んでやる。ここじゃ俺達が法律だってことをせいぜい思い知るんだなぁ!」
「ヘッヘッヘッヘッヘッ…」
触手を頭部から伸ばして蛍光灯をもぎ取ると鋭利に尖ってバチバチと火花を散らすそれをディエチに突きつけた。
その脇では井沢がヘラヘラと笑っている。ディエチの顔が恐怖に引きつったその時である!
「ぶち込むだと?そりゃ例えばこんな風にか?」
何者かがカクタスオルフェノクの手から折れた蛍光灯を取り上げるとそのままそれを彼の頭に…
籠を頭から被ったような姿をしている
カクタスオルフェノクの籠の隙間の急所である部分に突き刺した。
「あああああああああーーーーーッ!」
断末魔のごとき叫び声とともにのた打ち回るカクタスオルフェノク。
「椿…さん。」
かつて未確認生命体事件に際して榎田ひかりらとともに未確認生命体第四号ことこの事件の立役者、
五代雄介を補助していた元関東医大病院の外科医、椿秀一である。
彼もまたこの時の経験を買われ、(不本意ながら)スマートブレインの一員となっていた。
「ううっ…?があああーーーーーっ!」
それに一瞬気を取られた隙にクアットロをいたぶっていた琢磨にも
何者かが襲い掛かった。そのなにかは腹にぶち当たると
凄まじい勢いで琢磨を吹き飛ばした。
「うう…?」
コロコロと銀色の卵程度の大きさの銀色の玉が床に転がった。
これが彼を吹き飛ばした犯人…グレネード弾の弾頭である。そしてこの弾頭が飛んできた
演習ルームの方角から足音が聞こえてきた。
Gシリーズの装甲の下に装着するスーツに身を包んでいる北條透である。
その手にはG3用の対未確認生命体用(もっとも実際に使用されたのはアンノウンに対してだが)
グレネードランチャー「GG02」が握られていた。彼はこれを不発モードで発射したのである。
「うう…ぐえ!お゛え゛え゛え゛え゛!」
「催してきたのならトイレへどうぞ。」
飽くまでも冷静な北條を睨むと腹を抑えながら逃げていく琢磨。しかし今度は
彼と入れ替わりに気難しそうな顔をしたサングラスをかけた青年…
マンティスオルフェノクこと緑川が現れた。
「緑川…こ、こいつら俺達をコケにしやがったんだ!殺っちまってかまわないだろう?ぐえっ…!」
「な…何すんだよお!」
「五月蝿い!こいつらは飽くまでもスマートブレインの所有物なんだ。
お前らが自分達の都合でどうこうしていいとでも思ってるのか?仕事はいくらでもあるんだ!さっさと戻れ!」
援軍が来たとばかりに景気付く井沢と赤井だったが緑川はそんな二人に拳骨を食らわすと怒鳴った。
スゴスゴと引き上げていく井沢と赤井を見送りつつ椿やディエチ達を
睨むと緑川はまた今来た方向へと去っていった。
「あの緑川はともかく赤井と井沢の奴はただのチンピラ以下だな。
こんなご時世じゃなきゃぶっ飛ばしてるとこだが…大丈夫か?」
「…なんとか。」
「…有難うございました。」
口々に礼を述べるディードとディエチ。しかしクアットロは不機嫌そうな顔で北條を睨んでいた。
「別に助けて欲しいとなんか…。」
「そうですか。それは結構。こちらも目障りなんで追い払っただけですしね。」
全く自分のペースに乗らない北條の言葉に顔をしかめると突然彼の行く手
を阻むように床に大文字に寝転がるクアットロ。無論挑発が目的である。
「…邪魔なんですが。」
「通るんならど〜おぞご勝手にぃ…。」
支援
やべえ、腹黒嫌われキャラのクアットロと北条さんのシンクロ率上昇中www
「では遠慮なく。」
相手の神経を逆なでする彼女お得意の口調で挑発するもあっさりとかわされる。
だが彼女には次の手があった。北條が彼女をまたごうとした瞬間…足を引っ掛けたのである。
為すすべなく転ぶ北條。先ほどのサイガ戦でかなりダメージを受けていた北條には
かなり堪えたはずだろう。今度こそ怒って向かってくるに違いない。
クアットロは眼鏡越しに眼を細めるとほくそ笑んだ。しかし同時に結果的に
とはいえあの状況から助けてくれた北條に自分はなぜここまでの嫌がらせを
しなければならないのかという疑問も彼女の中で起こりつつあった。
(もっとも現時点での彼女はその疑問の答えであり、北條に抱いた感情の正体でもある
物が何なのかを知ったところで頑として受け容れようとはしないだろうが。)
「……。ディードさんでしたね。クアットロさんは戦闘機人の中では初期型で
あなたが最後期型と聞きましたが?」
「はい。ウーノ姉様、ドゥーエ姉様、トーレ姉様、クアットロ姉様、チンク姉様の五人が初期型。
逆に私とオットー、そしてセッテが最後期型です。」
「そうですか…。」
ヨロヨロと立ち上がって埃を払いつつディードの説明を聞くと
クアットロを馬鹿にしたような視線で睨む北條。
「何よ?何が言いたい訳?」
その視線と冷静な態度を貫く彼に無性に腹が立ち、余裕の無い口調で
彼をすごむクアットロ。
「別に…ただの戦闘機人も精神年齢と実年齢が単純に比例して成長していく訳では無いという事が
解ったのでちょっと興味深いと思いまして」
「それは…一体どういう意味ですか?」
「言葉通りの意味です。」
感情的に言い返すクアットロと対照的に
無表情のままあしらう北條。
「だから…」
「クアットロ!いい加減にしなよ!」
そして再び彼女が言い返そうとした瞬間ディエチが怒鳴った。
少し潤んだ目でディエチを睨むとクアットロは彼女とディエチにあてがわれた部屋へと走り去った。
「ごめんなさい。悪気は無いんです。むしろクアットロは多分北篠さんのことがどちらかと言えば
気に入ってるんだと思います。ただドクターにはそういう場合にどうするべきかといった教育を
受けていないからどうしたらいいか解らないだけなんです。」
深く頭を下げるディエチ。
「で、お前はそういう教育ってのを受けたのか?いやにあの眼鏡の姉ちゃんの複雑な乙女心に
ついての分析が正確じゃないか。」
「…あの事件から時間的にはそれほど経っていないにしろいろいろな事があったし…
変わりますよ…いろいろと。クアットロみたいに変わる事がうまく出来ない
お姉達も居る分余計に…。」
椿の質問にディエチがしばし目を瞑ると答えた。
「そうか…強いんだなお前。ジュース飲むか?」
「…いえ…悪いですし…。」
「遠慮すんなって…な。お前レモンティー派だっけ?」
椿が歩きながら語らううちにたどり着いた休憩スペースの自動販売機を指差して言った。
辞退しようとするディエチだったが椿はさっさと買うとレモンティーの缶を彼女に手渡した。
「…どうぞ。」
北條が手渡したやはりレモンティーの缶を遠慮がちに受け取るディード。
「ほらよ。」
「?…あの…。」
「お前の分だよ。どうせそれはあのオットーって奴にやっちまうつもりだったろう。」
だが今度は椿がもう一本同じ缶を彼女に手渡した。不思議そうな顔を
するディードに椿は言ったものである。
「なんでそれを…」
「簡単なことだ。三日前あいつに買ってやった時も自分は飲まないで
お前にやっちまおうとしたからな。お前今その時のあいつと同じ顔して
受け取ったから読めたのさ。まあなんだかんだ言ってお前らやっぱ双子だよな。」
「有難うございます…。あの…。」
同時期完成型という以上の絆で結ばれたオットーへの好意と椿の配慮に珍しく笑顔になるディード。
ふと、彼女は先ほどオットーとセッテとの間で話題になった夢の話を思い出した。
「どうした?」
「リスティ、フィリス…それからセルフィという名前に心当たりはありませんか?」
「リスティ槙原さん達のことですか?あなた達と似た境遇の方ですよ。
遺伝子に刻まれた特殊な情報によって一種の超能力を持って生まれてきた
試験管ベビーで軍事目的として作られた人達です。」
北條が答えた。
「リスティさんがいわばオリジナル。フィリスさんとセルフィさんはそのクローン体だ。」
「その人達は今どこに?」
「四年前の未確認生命体事件の際三人ともお亡くなりになりました、いえ…正確には
行方不明というべきでしょうが丁度そのとき未確認生命体の活動が活発になっていたので
未確認生命体の仕業ということに…リスティ槙原さんには私もお世話になった事があるだけに
惜しい方達を亡くしたものです。しかし彼女達が何か?」
「いえ…有難うございました。それでは私はこれで。」
やりきれないと言った表情で語る北條の言葉を聴き終えると
ディードは二つの缶を抱えて自室へと去っていった。
彼女の頭は疑問符で埋め尽くされていた。死んだはずの人物が何故自分達の夢の中に?
謎は深まるばかりだ。
「私も帰ります。クアットロが心配ですし。」
レモンティーの缶を飲み終えてゴミ箱へ捨てるとディエチもベンチから立とうとした。
「これを。彼女の分です。」
「…ああ。有難うございます。」
北條が手渡したレモンティーの缶を受け取るとディエチも自室へと戻っていった。
「…いいとこあるじゃないか。俺の見分によるとあのクアットロってのは落とすのに
時間かかるだろうけど一旦落としてしまえば一生お前に靡いたままだと思うぜ。」
「…何の話ですか?」
ニヤけながら北條をつつく椿だったが北條の反応はつれないものだった。
そしてディエチ達の自室。クアットロはベッドに突っ伏していた。しかし寝息を経てていないので狸寝入りだと一目でわかる。
「これ北條さんがクアットロにってさ…。」
反応は無い。
「それじゃ私は寝るから。お休み…。」
そしてそのおよそ三分後。
クアットロはベッドから起き上がり枕元に置かれたレモンティーを飲み干すと、こころなしか少し顔を赤くして言った。
「ふん…ぬるい…まずい。」
しかし飲み干した後涙が一筋頬を流れたのは何故だろう。
その答えを見つけられぬまま彼女は改めて眠りに就いた。
北條さんモテモテ私怨
ここまでです。
長いっすね〜。
しかしこれでも先送りにした部分もあったりします。
椿さんはクウガに出てきた一条さんの悪友です。
井沢は555一話に出てきたオコゼオルフェノクで
赤井は同四話に出てきた奴です。で、中の人は平成セブンのカザモリ隊員だったりします。
緑川も四話に出てきた奴で真面目で存外にいい奴っぽかったけど部下に恵まれず
巧とは戦わずして死亡…。彼らが生きてるのはまあパラレルワールドということで。
あとはG1ですかね。
ヒーローサーガでこいつを三ヶ月前に見た時痺れました。
クウガに似たカラーリングなのに実に渋い!
スクリーム氏乙です。小沢さんと氷川君は生きてるのか
イルカフェノクなピザ店長とかも出てくるんですかね
あと海老姉さんとか草加さんとかの陰謀に期待w
114 :
なの魂の人:2007/11/06(火) 01:43:34 ID:WlMednrq
乙であります
さて、それではこちらも投下させていただきたいと思います
115 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:45:08 ID:WlMednrq
「おーう、帰ったぞう」
そう言って銀時が万事屋の玄関を通ったのは、夜もとっぷりふけた頃だった。
あの後ユーノから色々事情を聞き、なのは達を家へ送り、手当てを受けて……気がついたら、こんな時間だったという具合だ。
ちなみに腕の怪我は、ファミリーマートの自動ドアに挟まったといってごまかしておいた。
「銀さんが帰ってきたよ〜っと、イテテ……オーイ、誰か救急箱ー」
「おかえりなさい、銀さ……って、どうしたんですかその怪我!?」
驚く新八。
コンビニまで買い物に行っただけの人間が、こんな怪我して帰ってきたら誰だって驚く。
「うっせーな、ローソンの自動ドアに挟まっただけだ。んなことより救急箱よこせ」
「慌てんぼうネ。そんなんだからジャンプ買ったことも忘れるアルよ」
そう言って神楽は銀時の顔面に今週号のジャンプを投げつける。
上手い具合に背表紙が銀時の目に直撃。
その場で転げまわって悶絶する。
「あだだだだ! テメェ何すんだァァァ! 一応怪我人なんですけど! 銀さん怪我人なんですけど!」
「そっちこそ、僕らに内緒でどこ行ってたんですか」
落ちたジャンプを拾い上げ、銀時を睨みつける新八。
どうやら完全に気付かれていたらしい。
別に内緒にするつもりではなかった。
ただ、そこまで深刻な事態が起こっているわけではないだろうと、タカをくくっていただけだ。
しかし……。
「……わーったわーった。全部話すよ」
今回の件、どうやら一筋縄ではいかなそうだ。
もしかしたら、彼らの力も必要になってくるかもしれない。
銀時は今日起こった事、そしてユーノから聞いた話を全て新八たちに話した。
夕方、傷を負ったフェレットを助けたこと。
そのフェレットがこの世界の住人ではなく異世界――ミッドチルダの住人であり、輸送中の事故でこの世界に散らばってしまった古代遺産
"ジュエルシード"を追っていること。
ついさっき、ジュエルシードの暴走事故に自分となのはが巻き込まれたこと。
そして……なのはに魔導師の資質があったこと。
さらにジュエルシード捜索の協力を、なのはが自らの意思で申し出たことを。
116 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:47:10 ID:WlMednrq
「士郎の旦那達には言うなよ。あまり心配をかけさせるわけにはいかねェ」
「いや、ていうか止めなかったんですか銀さん!?」
まだ九歳の少女には、いささか荷が重すぎやしないか? と抗議の声を上げる新八。
銀時はそんな彼の発言を聞きながら、遠い眼をして窓を眺めた。
「新八よォ……なのはの身の安全と、俺達の借金。どっちが重要だ?」
「脅されたんか? 脅されたんか!?」
銀時は高町家に色々と借りを作っている。
弱みを握るのは容易だろう。
しかし小学三年生に、しかも金銭関係で脅されるとは情けない話である。
「どっちにしろ、アイツは止まらねーよ。
やるって決めたらテコでも動かねーからなァ、アイツは」
「銀ちゃん銀ちゃん。やっぱ変身する時は真っ裸だったアルか?」
"魔導師"という言葉に興味を示した神楽は、目を輝かせながら聞いてくる。
しかし、その質問はあまりにもあんまりだろう。
「なんですか? お前の中の魔法少女はそんなイメージか?
公衆の面前で全裸晒す変態なイメージですか?」
「セーラームーンもキューティーハニーもみんな変身する時は脱ぐネ。
きっとなのはも例に漏れないネ」
「ソイツら魔法使いじゃねーだろ。テメーはおジャ魔女を百回見直せ」
訳の分からない口論を繰り広げる二人。
そんな彼らの後ろで、新八がポツリと呟いた。
「あ、でも銀さんも協力するんなら、そこまで深刻にならなくても大丈夫そうですよね」
するとバツが悪そうに銀時は頭を掻きながら言う。
「……俺ァ今回は蚊帳の外だ。ユーノとかいう奴の話だと、俺じゃそのなんたらシードってのは封印できねーし…
なにより、魔法も使えねー奴には任せらんねーだとよ」
もちろん、そんな棘のある言い方をされたわけではない。
しかし結局のところ、話の内容は同じだった。
それを聞いて新八は不快感をあらわにする。
117 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:49:11 ID:WlMednrq
「……なんかソレ、ナメられてません? 魔法が使えなくても強い人なんて、世の中にはたくさんいるのに…」
「向こうじゃ魔法が使えねー奴は基本的には無力らしいからな。そう思われても仕方ねーんじゃねーの?
……まァ、俺も黙って見てるだけのつもりはねーよ。何かあったらすぐにすっ飛んでいってやるつもりさ。
オメーらも、どっかでなのは見かけたら力になってやってくれや」
「もちろんですよ!」
「江戸っ子の底力、見せ付けてやるネ」
心強い返事を返す二人。
……このときの彼らには、知る由も無かった。
自分達を取り巻く運命の輪が、大きくねじれ始めていることに…。
なの魂 〜第三幕 どっちが悪者か分からなくなる時がある〜
翌日。
いつものように八神家に向かい、いつものようにはやての家事手伝いをする万事屋。
ただ一つ、いつもと違うことといえば、銀時の怪我を見たはやてが妙に献身的になっていたことだろうか。
『いや、だから世話されてどーすんだよ』とは新八の弁である。
そんなこんなで、今はお昼時だ。
「はぁ〜……極楽極楽ぅ〜…」
そう言って定春の身体にモフモフっと顔を埋めるはやて。
朝昼夕、一日三回こうやって定春とじゃれ合うのが最近のはやての日課なのだ。
犬好きのはやてにとっては筆舌に尽くしがたい至福の時間である。
「定春はええ子やな〜。大人しいし、全然吠えへんし」
真っ白な体毛に包まれた身体を優しく撫でる。
定春は気持ちよさそうに目を細めた。
「そうでもないヨ。定春、結構やんちゃネ。人に噛み付くの大好き。
きっとはやてのことが好きアルよ。だから大人しいネ」
愛犬の頭を撫ぜながら神楽は言う。
事実、この巨大犬は銀時や新八には容赦なく噛み付くが、自分を拾ってくれた神楽には
全くと言っていいほど噛み付こうとしない。
「そうなん? 定春」
「わん!」
首を傾げながら尋ねると、定春は尻尾を振りながら肯定の意を込めて短く吠えた。
118 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:50:51 ID:WlMednrq
「えへへ〜。嬉しいなぁ」
笑顔を浮かべながら頬擦りする。
犬好きにとっては感極まる状況であろう。
「……なんで僕らには懐いてくれないんですかね、銀さん」
「アレだろ。最近原作で出番無いから、機嫌悪いんだろ」
一方こちらは犬好きどころか、犬に好かれない二人組。
現在は黙々とはやての部屋を掃除中だ。
隣の居間で和気藹々としている神楽たちと比べると、見ていて哀れになってくる。
「……あれ? 銀さん、何ですかねこの本」
棚の整理をしていた新八が一冊の本を手に取って言った。
皮の表紙に金の十字があしらわれた、妙に古めかしい本。
文庫本や少女漫画が並ぶこの棚においてはいささか場違いなこの本は、新八の興味を引くには十分なほど異彩を放っていた。
だが、それ以上に気になることがある。
鎖。
その本は、無骨な鎖によって厳重に封印されていたのだ。
「辞典……にしちゃ妙ですね。本型の小型金庫?」
「こりゃ魔法律書だな。開くと契約した悪魔や魔王を呼び出せる」
「お前はいい加減ジャンプから離れろ」
後ろから覗き込んできた銀時のボケに即座にツッコミを入れる新八。
事ツッコミにおいては、新八の右に並ぶ物はそういないだろう。
何事も無かったかのように本を元の位置に戻す新八。
その時、何かが屋根を叩くような小さな音が聞こえてきた。
不審に思い天井を見、そして窓の外に目をやる。
先程までは快晴そのものだった空が、いつの間にか暗雲に覆われていた。
「……あ、雨降ってきたアル」
「大変や、早く洗濯物取り込まんと!」
「私も手伝うアルよ」
はやてを車椅子に乗せ、そのまま一緒にテラスへ出る神楽。
外へと通じる窓に手をかけようとした、その時だった。
119 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:52:43 ID:WlMednrq
「……ん?」
鳴り響くパトカーのサイレン。
それも一台や二台ではない。
さらに、そのパトカーの編隊はどうやらこちらへ近づいてきているらしい。
「なんだァ? なんか事件か?」
挙句の果てには爆発音まで聞こえてきた。
――爆発音?
妙なデジャブを感じた銀時は頭を押さえる。
「オイオイ、これってまさか……」
飛び交うロケット弾。
弾ける手榴弾。
静穏な住宅街は戦場へと変貌していた。
「……しつこい連中だ。貴様らのチャンバラ遊びに付き合っている暇は無い」
そう言ってパトカーの追跡を振り払おうとする長髪の男は桂小太郎。
"攘夷戦争"――異世界と地球、さらには時空管理局をも巻き込んだ戦争を生き残った"狂乱の貴公子"の異名を持つ侍だ。
そんな彼がなぜパトカーに追われているのかというと……。
「うるっせァァァ!! 神妙にしやがれテロリストがァ!」
バズーカ片手にそう叫ぶのは土方。
そう、桂は大絶賛指名手配中のテロリスト――"攘夷志士"なのだ。
地球から天人――つまり、異世界の人間を排除せんとする、現政府にとっては忌むべき敵。
桂は現在は穏健派で通っているが、そんなことは政府や新選組にとってはどうでもよかった。
戦後ようやく安定しかけてきたこの世界を乱す存在は、穏健派だろうと過激派だろうと関係ない。全て敵なのだ。
(……そういえば、もう一人が見当たらんな。どこに行った…?)
ふと違和感を感じる桂。
もう一人の、小生意気な侍――沖田といったか――が見当たらない。
そのことを疑問に思ったその瞬間だった。
「おっと、こっから先は通行止めですぜィ」
「何っ!?」
桂の前方30メートル程のところに、バズーカを構えた沖田が躍り出たのだ。
突然の奇襲に泡を食った表情をする桂。
その隙を沖田は見逃さない。
120 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:54:22 ID:WlMednrq
「死ねェェェェェ!! カーツラぁぁぁぁぁ!!!」
物騒な発言と共に放たれたバズーカ弾は桂へ向かって一直線に飛ぶ。
着弾、爆発。
巨大な爆音と共に発生した黒煙が辺りを包み込む。
だが……。
「……チッ。逃げられたか」
突然の大雨によって掻き消される黒煙。
そこには、うざったらしい長髪の侍の姿は無かった。
「……俺としたことが、不覚を取ったか…」
息も絶え絶えになりながら、桂は少し離れた民家の敷地内に身を隠した。
何とか足へのダメージは避けたが、左上半身をやられた。
頭と腕からとめどなく血が溢れ出る
この雨のおかげで、血痕を辿っての追跡は不可能になるだろうが、どの道この出血ではそう長くは持たないだろう。
「これで俺も万事休すか……」
絶望感に浸りながらも、一歩を踏み出す。
ここで諦めて死を迎えるよりは、最期の最期まで足掻いてやろう。
そう決意し、また一歩足を踏み出す。
……物音が聞こえた。
とっさに腰の刀に手をかけ、音のした方を見やる。
『…………』
気まずい沈黙。
視線の先には、洗濯物を手にした車椅子の少女がいた。
「…………。
コンニチワ、サンタクロースダヨ」
先程のシリアスな雰囲気とはうって変わって、素っ頓狂かつカタコトなセリフで場をごまかそうとする桂。
そんな彼を見た少女――はやては、大慌てでこう叫んだ。
「ぎ……銀ちゃん大変や! 慌てんぼうのサンタクロースがテラスに!」
「どんだけ慌てんぼうなんだよ。まだ半月以上あるぞ」
家の奥から聞こえてきたのは、聞き慣れた盟友の声。
そして窓の横からひょっこり顔を出したのは……。
121 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:56:04 ID:WlMednrq
「……こんなところで何やってるアルか、ヅラ」
「ヅラじゃない……桂…だ…」
そう言ってその場に倒れこむ桂。
薄れ行く意識の中、彼はこう思った。
――あ、今日古紙の日じゃん。
「……なるほど、日雇いの従者か。相変わらず節操の無い奴らだな」
銀時達がここにいる理由を聞き、若干間違った解釈をして納得する桂。
居間に担ぎ込まれ、手当てを受けた彼が目を覚ましたのは、あれから二時間ほどたった頃だった。
頭と腕を包帯でぐるぐる巻きにされたその姿は、見ていて痛々しい。
「つーか、なんでオメーがこんなとこにいんだよヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。アレだ、日課のジョギングをだな」
「どんなジョギングですか。頭から血出てましたよ」
「アレだ。昨晩少し飲みすぎてな」
「酒にそんな効果あったら誰も飲まねーよ!!」
などと、常人には若干理解しがたい問答を繰り広げる銀時、新八と桂。
万事屋と桂が顔をあわせると、いつもこんな感じである。
そんな彼らを不思議そうに見比べていたはやては、思っていたことを口に出す。
「……銀ちゃんの友達なん?」
「友達じゃねーよこんな奴。むしろ友達になりたくねーよ」
即答で否定する銀時。
しかし今までの流れを見るに、彼らが知り合い同士であることは明白だ。
はやては少しだけ怒って銀時を咎める。
「もー、友達にそんな口利いたらアカンよ?」
「だから友達じゃねーって」
銀時はしつこく否定するが、もはや馬耳東風である。
はやては桂の方へ向き直り、ぺこりと頭を下げる。
122 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:57:51 ID:WlMednrq
「はじめまして、八神はやてっていいます。銀ちゃんがいつもお世話になってます」
「なんでだよ、なんで俺お前の子供みたいになってんの?」
異議を唱える銀時。
確かに彼は、子供というには大きすぎる。
どちらかというと『まるでダメなお兄ちゃん』略してマダオと言った方がいいだろう。
「俺は桂。好物はそばだ」
「オイ、なんで好物言った。そばか? そば出せってか?」
飄々とした態度で食い物を要求する桂の胸倉を締め上げる銀時。
怪我人相手になんて事を。という意見が飛んできそうだが、問題は無い。
これは彼らにとってはスキンシップのような物だからだ。
「ちょっと待っててなー。確かインスタントのそばが……」
お人好しなはやては要求通りそばの用意をしようとするが、神楽がそれを止める。
「いいヨはやて、そんなの出さなくても。こんな奴、そば粉喉に詰めさせて窒息させてやればいいネ」
「やってみるがいい。鼻からそばにして出してやる。アレだぞ? ものッすごいコシのある麺だぞ?」
「いらねーよそんなもん! つーかなんですかその特技!? それだけで食っていけるよ! ある意味革命起こせるよ!」
「マジでか。日本の夜明けは近いな」
「オイ、誰か救急車呼んで来い。革命的な馬鹿がいるぞ」
鬱陶しそうに呟く銀時。
すると彼の言葉に応えるように、外からサイレンが聞こえてきた。
まさか本当に呼んだのか?
……いや、これは救急車ではない。パトカーだ。
恐らく、姿をくらませた桂を探しているのだろう。
「……チッ。ひどい天気だ」
呟く桂。
これでは迂闊に外へ出ることが出来ない。
暫く考え込んだ後、桂ははやての方へ目をやる。
「八神殿。すまないが、暫く雨宿りさせてもらえないだろうか」
123 :
なの魂:2007/11/06(火) 01:59:37 ID:WlMednrq
「? それはええけど……。どっちにしても、その怪我やったらしばらく動かれへんのとちゃうの?」
と、桂の体をまじまじと見ながら言う。
確かに常人なら暫くは絶対安静だが、彼は常人ではない。
既にタップを踊れるくらいの体力は戻っている。
しかしそんなことは知らないはやては……あろうことか、こんな事を言い出した。
「よかったら、怪我が治るまでうちに泊まっていったらどう?」
「待て待て待て待てェェェェェ!!!」
凄まじい形相ではやての肩を掴む銀時。
こんなお人好しは今まで見た事が無い。と言いたげだ。
「落ち着けはやてェェェェェ! 考え直せ! コイツ手配犯だからね!
こんな奴家に置いたらどうなるかわかったもんじゃねーぞ!」
必死の説得を試みる銀時。
しかしここで空気の読めない桂が一言。
「む…そうか。なら、その厚意に甘えさせてもらおう」
「お前はもっと自分の立場を考えろォォォ!!!」
再び桂の胸倉を締め上げる銀時。
忙しい人である。
そんな二人を見たはやては、満面の笑みを浮かべながらこう言う。
「んー……でも、銀ちゃんの友達なんやろ? それやったら大丈夫や。
それに、こんなおもろい人が悪い人なわけないやん」
銀時は思わず黙りこくる。
本当に、この娘は。
ともかく、これで分かったことが一つだけある。
彼女の説得は不可能だ。
こうなったら力ずくでも桂を追い出すしかない。
「……オイ、お前ちょっとこっち来い」
胸倉を掴みながら、銀時は桂をはやての部屋へと引きずっていった。
124 :
なの魂:2007/11/06(火) 02:01:26 ID:WlMednrq
「お前ホント勘弁しろよ。俺らだけならともかく、はやてまで立場悪くなったらどーする気だよ」
桂を壁のほうへ叩きつけ、思いっきり睨みつける銀時。
珍しく本気で怒っているようだ。
しかし桂は銀時の放つ殺気を意に介さず、言葉を返す。
「何を言うか。人の厚意を無駄にする者は、一生後悔すると昔からよく言うだろう」
「どこのエースパイロットですかお前は!?」
脱力しつつも声を荒げる銀時。
いつもこうだ。
この男と話をすると、いつも自分のペースを乱される。
だが、銀時が危惧していたほど事態は深刻ではなかったらしい。
「……安心しろ。新選組の包囲が薄くなるまでの間だけだ。お前達に迷惑はかけん」
そう言って銀時の手を振り払い、桂は部屋から出ようとする。
元々長居をするつもりは無かったようだ。
先程の会話は、その場のノリだったのだろう。
「……だから居るだけで迷惑だっつーの」
憎まれ口を叩く銀時。
その時、部屋の片隅から何かが落ちるような音が聞こえた。
――思えばこの時、彼らがこの音に気付かなければ。
未来は変わっていたのかもしれない。
「……ん?」
桂は不審な音がした方へ向かい、音の主を拾い上げる。
何かの弾みで、棚から落ちたのだろう。
それは先程新八が興味を示した、古い本だった。
銀時が冗談で言った魔法律書、というのもあながち間違いではなさそうな……そんな不思議な雰囲気の本だ。
もちろん先程と同じく鎖で厳重に封印されているため、中を検めることは出来ない。
桂は興味深げにその本の表面を見つめ、そして一言。
「随分くたびれたタウンページだな」
「オイはやて、霊柩車呼んでくれ。コイツもうダメだ。頭が手遅れだわ」
名前を呼ばれたはやては、何事かと自分の部屋へやってくる。
支援
126 :
なの魂:2007/11/06(火) 02:03:01 ID:WlMednrq
「あ、その本……」
「八神殿の物か?」
本を持ち上げ、はやてによく見えるように表紙を向ける。
「うん。私が物心ついた頃から、いつの間にかあってんけど……なんや綺麗な本やし、そのまま飾っとこーかなって思って」
「ふむ……」
興味深げにはやての話を聞く桂。
といっても、彼が人の話を聞く時はいつもこんな感じなのだが。
聞く時は真面目。話す時も真面目。
そして真面目に馬鹿をする。
それが桂小太郎という男だ。
ピンポン、と突然家のチャイムが鳴った。
モニター付きのインターホンの前へ行き、客の応対をするはやて。
「すいやせん。警察のモンですが、ちょいとお時間よろしいですかィ?」
「あ、はーい。少々お待ちをー」
警察。
察するに、桂のことを聞きにきたのだろう。
――とりあえず適当にごまかして追い払おう。
そう思って後ろを向く。
「……何やってるん? 銀ちゃんら」
何故か桂だけではなく、銀時達もテーブルの下やソファーの後ろへ身を隠していた。
「スマンはやて。俺達がいることも奴らには言わんでくれ」
「あのチンピラ警察共に関わると、ロクな目に合わないネ」
「ただでさえ桂さんっていう爆弾抱えてますし、これ以上ゴタゴタになりたくないですからね……」
うんざりとした表情をする三人。
この三人、どうやら新選組とは切っても切り離せない腐れ縁があるようだ。
「分かった。銀ちゃんらのことも秘密にしとくなー」
そう言ってはやては、意気揚々と玄関へと向かった。
127 :
なの魂:2007/11/06(火) 02:05:01 ID:WlMednrq
「お待たせしましたー」
そう言って玄関を開けると、目の前には黒尽くめの男達がぎっしり。
『うわ、やっぱり居留守使っとけばよかったかな……』などと思うが、今さらもう遅い。
そんなことを考えているうちに、一番先頭にいた男――沖田がこちらへ歩み寄ってきた。
「新選組でィ。ちょいと捜査に協力してもらいてェんだが……お嬢ちゃん、この男見なかったかィ?」
そう言って懐から出したのは、"この顔にピンときたら110番!"と書かれた手配書。
紛れも無い、桂の手配書である。
それを見せ付けられたはやては、困ったような顔をして答える。
「……う〜ん…。ちょっと見覚えないなぁ。
こんな髪の長い男の人やったら、見かけたら覚えてそうなもんやけど……」
「……だそうですぜ、土方さん。どうしやすかィ」
手配書を懐に収め、沖田は後ろを振り向く。
視線の先では土方が雨の中、どうにか煙草に火をつけようと奮戦していた。
沖田の視線に気付いた土方はライターを胸ポケットに収め、機嫌悪そうに言う。
「チッ……逃げ足だけは速ェ野郎だ…。撤収だ。これ以上ここにいても、何も得られねェよ。
…時間取らせて悪かったな、嬢ちゃん」
「あ、いえ。お仕事頑張ってくださいね〜」
ちょっとだけ罪悪感を感じながらも、はやては大きく手を振って新選組の隊士達を見送った。
「バッチリ、追い払ってきたよー」
してやったり、と言いたげな顔で居間へ戻ってきたはやて。
先程まではうるさく聞こえていたパトカーのサイレンも、今では全く聞こえない。
胸を撫で下ろす銀時達。
「……そうか。なら、長居は無用だな」
窓から外の様子を窺っていた桂は、そう言ってそのままテラスへ出ようとする。
128 :
なの魂:2007/11/06(火) 02:06:06 ID:WlMednrq
「へ? もう行ってしまうん?」
「ああ、急用を思い出したのでな。では、サラバだ」
言うが早いか、桂はさっさと外へ出てしまう。
雨の中、傘もささずにだ。
制止する暇も無かったはやては、口をあんぐり開けて彼が先程まで居た場所を見つめる。
「……忙しい人やなぁ」
「八神殿」
「は、はい!?」
不意に聞こえた声に萎縮するはやて。
見ると、窓のすぐ横から桂が顔を覗かせていた。
「この恩は忘れん。いずれ必ず返す。……それが言いたかっただけだ。では、サラバ」
そう言ってすぐ顔を引っ込める。
どうやら今度こそ、本当に行ってしまったようだ。
「もう一生俺らの目の前に現れんでくれ。それが一番の恩返しだよ」
「……ホンマにおもろい人やなぁ」
ハエでも追い払うかのような冷たい態度を取る銀時。
それとは対照的に、はやては微笑みながら窓の外をずっと見つめていた。
129 :
なの魂の人:2007/11/06(火) 02:07:48 ID:WlMednrq
以上、第三幕終了です
ヅラの登場タイミングは結構悩んだんですけど、結局初期のほうで出すことにしました、ええ
ここから先、いい感じにカオスってくれると嬉しいんですが…果たして
こんな夜中にGJ
ヴォルケンは・・・まだか。
にしてもはやてが普通に馴染んでいるw
連休中に執筆されたのか、大量投下に狂喜乱舞しながら拝読させていただきましたw 皆様GJでございました。クロス元を知っている作品のみですが、感想を述べさせていただきます。
>>ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏
既に前スレですが今回もワクワクしながら読ませていただきました。まさかここでレッドキングが出てくるとは! つーか自分よりも遥かに小さいなのはさんの危険性に気が付いて攻撃してくるとは、野生のカン恐るべしw
無限書庫の資料からダイナの資料が出て来たのには驚き。無限書庫には他の世界のウルトラマンの資料もあったりするのでしょうか?
次回のゾフィー兄さんとバードンの登場も楽しみにしております。
>>リリカルガオガイガー氏
レジアス中将の演説に賛同出来る部分もありながら、どこかに引っ掛かるものを感じている大河長官はさすが。中将との直接会談も見てみたいものです。
凱とGGGの過去の戦いを知ることは、新人4人にとって大きな財産になりそうです。話の続きはこの後、コミック版のエリキャロの過去話辺りに絡めるのでしょうか?
それと今回も中の人ネタに笑わせていただきましたw Jとルネに見とれていた女の子は最初にゾンダー化した子と同一人物でしょうか?w その後に出てきたカップルは元ネタがわかりませんでした。
>>リリカルなのはStS×覚悟のススメ氏
更新を待ちに待っておりました! 覚悟とヴィータの不器用な者同士のぶつかり合いが実に良い感じです。
新人達相手に折角ビシッと決めたのに、空気を読まずに台無しにする覚悟に笑いましたw
>>りりかる剣心氏
剣心たちに魔法の素質があったのはちょっと驚き。4年後の機動六課立ち上げにも協力することになるのでしょうね。そうなったらシグナムと剣心の模擬戦を見てみたいと思います。
彼らが現代の日本のこと知ったら色々と驚くでしょうね。本一つとっても横書きの向きが変わっていたりしますから。
>>リリカルスクリーム氏
北條さんとクアットロの嫌われ者同士カップリングのハマリぶりに驚きました。クアットロを可愛いと思ったのは初めてですよw てか北條さんと琢磨って、確か中の人が同じでしたよね?w あのクアットロをここまで怯えさせるなんて、どれだけ酷いことしたんだか。
エイミィと子供たちはリンディさんの元にいるようですが、彼女達もオルフェノク化してしまっているのでしょうか?
それにしても魔法が使用不可能になっている世界で、これから先なのはさんたちはどう戦っていくのでしょうか? 正直絶望的な未来しか想像出来ません(冷汗)
>>なの魂氏
なのはさんたちに協力することになるのかと思っていたら肩透かしw 八神家にて闇の書が発見されましたが、次回辺りヴォルケン登場でしょうか? 闇の書事件の時期が早まって、PT事件とかち合ったりしたら凄いカオスになるかとw
アタック!スカリエッティ
(元ネタ:ギャグマンガ日和)
アジトの中には ガジェット棲むの
頼れるナンバーズ みんな目が死んでる
悪事にかけた青春 でもみんな目が死んでる
私とはやて(あなた)は 友達じゃないけど
あなたの上司と 私は友達
大体そんな感じ スカリエッティ
なのはと銀魂の原作の各エピソードが絶妙に融合しているのが面白い。
この時間はいつも過疎ってるな・・
>>134 純粋に人がいないのか、ROM率が高いのか。
>>なの魂氏
GJ!!安易に銀さんがなのはに協力しないのがいい原作再現です
銀さんは最初は最初は協力しないように言ってなんだかんだ言ってやってくるタイプですからw
>>"攘夷戦争"――異世界と地球、さらには時空管理局をも巻き込んだ戦争を生き残った"狂乱の貴公子"の異名を持つ侍だ。
って管理局何やってんすかw
投下の数の割りに感想が少ないんだよね……雑談は別にあるし。
何か投下、感想以外に役割を持たせられないものか。
っていうか
>「江戸っ子の底力、見せ付けてやるネ」
って神楽オメー江戸っ子じゃねぇだろォォォ?!
いや、そういうネタなんだろうってことは百も承知なんだがw
とりあえず、みんなで意見でも出し合ってみるか?
>>137 向こうも感想もOKなスレになったんだが。
呼んでおもしろかったら、読後は「おもしろかった」という思いになるが、感想と言うものを書くのはなかなか難しい。
拍手ボタンみたいなものがあればいいんだが、そういうのはないし。
GJだけを書いたレスがずらずら並ぶとそれはそれで嫌がられそうな気がするし。
難しいな。
>>140 うん。だから雑談、感想スレで分けた結果、このスレの役割が投下だけでは寂しいと思って。
今も基本、感想はこっちに書かれて、そこから考察等に派生していく場合は雑談スレ、といった感じか。
>>76-77 GJ
ダディwww
こんな僕の為に支援絵ありがとうございます。
次がもしあればホパシャマをry
それにしてもパソコン壊れてorz
続きはもう少しお待ちを・・・
分けた結果がkonozamaじゃな……
あのなあ、投下がこんなにあるのに不満を出すなんて贅沢だぞ?
俺の行きつけにゃ月に一話なSSスレだってあるんだぞ?
>>◆sP9nVRi1sI(ARMSクロス)氏
ギン姉つよw
チンク姉の無事を祈る。
戦闘写生が上手杉!GJ!
>>リリカルなのはStS×覚悟のススメ氏
相変わらずの上手さに土下座物です!
ヴィータ視点の話が上手く書かれていてGJ!GJ!
覚悟の相変わらずの力は凄いの一言。漫画は途中までしかゲオに置いてなくて読めてないなぁ。
ヒロインは、はやて。って感じがしますね〜最初の出会いとか読むと良くそう思います。
今後もゆっくりと完結に向けてがんばって下さい。
>>りりかる剣心
剣心の若返りとリンディさんの若々しさが良い味出してます(笑)
左之助と蒼紫もリンカーコア持ちだと、デバイスはどんな感じになるのかな?
剣心と蒼紫はアームドで刀型だろうけど、左之助は予想できないw
>>なのはStrikerS-NEXT2話B ◆0qJqyuBpiQ氏
思い出せない登場人物がいっぱい出てくるw
今度クウガのビデオでも借りて見るかなぁ。
GJですたぁ!
>>なの魂氏
ズラ!!GJ!!
銀さんたちと、はやての話が面白くて壷に入りましたw
もう少し進んで、フェイトが登場したときの銀さんの突っ込みを期待w
つーか今日は、なの魂氏以外全然投下されてなかった日だな・・
ある意味珍しい日だな・・
148 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 00:11:12 ID:8wgor3Ym
>>なの魂氏
GJ
おもしろかったです。
銀時が翠屋の二階にどういう経緯で住む事になったのかが
気になります。
>>129 なの魂氏GJ!相変わらず面白い。
しかし読んでると、銀さん×はやての同人誌が読みたくなってくるw
読みたくなるなら作ればいいじゃない
いや〜・・誰もいなくて寂しい・・
流石にこの時間はいねーだろ。受験生はまだ補習入ってるだろうし、社会人なら言わずもがな。
暇な大学生はいるけどね
誰か、この過疎状況をどうにかしてくれる救世主はいないのか?
ならば私がアナルを差し出して流れを変えてみよう
)*( <剥き出しのコックを打ち込んでくれ!
, r
_,..ゝ' _ `ヽ-、
;' ミ (゚:ノ .o.ヾj_
ゝ-=彡' - `ナミ、 呼ばれた気がした
/l/ .:/
´ノ"゙ :.:::::i
__. / j
,. '´ `j /, '; ..:!
/ ,.-‐ ´ / ! i ! !
! 、,' , ' `、 ', ,' /、
',. ` ..__ ! 、 ヽ.j Lノ ',
` 、  ̄l ', ゙´ ! l
` ー---',. } ノ ノ
ゝ.、._.ノー-‐'丶゙__)
Liノ
救世主になれるとはまるで思えませんが、このまま何事もなければ、新作のプロローグを投下させていただきます。
ウロス雑談スレでの反応はかなり微妙でしたが、PS2ソフト「シャイニング・ウィンド」とのクロスです。
…いや、まあ確かにアニメにもなったけど…これ内容知ってる人どれだけいるのかなぁ…
何故か知らんがしまぶーのRING読んでたら第一シリーズとたけしのクロスなどという電波を受信したwww
SHINING WIND CROSS LYRICAL
「――俺達はここへ戻ってくる、必ず」
1つの世界で、1つの戦いが終わった。
夢幻大陸エンディアス。
人の「想い」が結晶化するという、特異な世界。
その一地方「リーベリア」に、
「闇の世界」とリーベリアを繋ぎ、その瘴気によって大地を汚染する次元の歪み「カオスゲート」が大量発生するという異変が起きた。
そして、カオスゲートの問題を引き金に、リーベリアを構成する三国間の争いが勃発した。
世界の安定を願う、人族が治める宗教国家「聖フィリアス王国」。
国王不在の最中、宰相の暴走によりフィリアスと戦い、後に和解した獣人部族の連合国家「通商連合国家セイラン」。
それら2つを強引に併合し、管理することで世界を安定させようとした軍事国家「魔装錬金帝国ベイルガルド」。
そして、それらの戦いの中にもう1つ、重大な要素があった。
ソウルブレイダー――通称「心剣士」。
心を通わせた相手から、極めて強力な力を持った想いの結晶・心剣を生み出すことができる剣士である。
そして、その心剣士の力の発現の第一条件は、異界「エルデ」――地球からやってきた人間であるということ。
この動乱の時、リーベリアへと降り立った心剣士は3人。
ふとしたアクシデントからセイランへと飛ばされ、世界の安定のためにリーベリアを奔走した、アキヅキ・ソウマ。
世界の歪みのしわ寄せを受けた母の命を救うため、自らリーベリアに降りベイルガルドを立ち上げた、トライハルト。
そして、リーベリアからの呼び声に導かれ、迷いながらも平和への道を模索した、キリヤ・カイト。
移りゆく情勢の最中、彼らは時にぶつかり合い、時に共闘し、
遂に闇の世界の扉を封じることで、リーベリアの安定を取り戻すことに、一応成功した。
だが、戦いは終わらない。
戦争と汚染に苦しんだリーベリアの大地は、まだまだ人の手を必要としていた。
ソウマは二度と戦いが起こらぬよう、この地で出会った仲間と共に世界を巡ることにした。
トライハルトはかつてベイルガルドに位置していた、滅んだエルフ族の国「アストライア」の復興に尽力することを決めた。
そしてキリヤは、自らの使命――地球を守るという使命のため、残りの地球の仲間達と共に、故郷へ一時帰還することになった。
いずれ再び、このリーベリアへと戻るという、確固たる信念と共に。
「さあ、行こう…俺達の世界へ!」
ミッドチルダ・時空管理局。
この日の未明、突如時空間の転移反応が見られた。
そのため、すやすやと眠っていた八神はやて陸上二佐は不意に叩き起こされ、事態の対応に回ることとなった。
「状況は?」
指令室へ入って寝惚け眼を一度擦ると、はやては真剣な面持ちとなり、部下に説明を求める。
「転移反応があった場所は、この座標です」
「よくフォワードの人達が訓練に使ってる森林地帯ですねぇ」
座標を読み取ると、はやての傍らに浮遊する、小さな相棒リィンフォースUが呟いた。
「人数は3人。転移に用いたと見られる設備は見られません。もちろん、事前情報はまるでなし」
「思いっきり不正な転移やね」
「はい」
相づちを聞いた後、はやては一瞬何事かを考え込む。
(でも、どないやって生身での時空間転移をやってのけたんやろ…
そもそも、たった3人で、わざわざ管理局の敷地に何しに来たんや…?)
様々な面で不可解な点が見られた。
相手の意図を把握するため、はやては思考を張り巡らせる。
と、はやてはそこで、あることを思い出した。
「あかん、フォワードのメンバーに通達して救援を出して!」
「救援? 何のために…、あっ!」
オペレーターもまた、ある重大なことに気付き、すぐさま各部隊長に通達を始める。
「急いでや…相手の正体は分からへんけど、接触せんことにはそれこそ分からへんままやからな」
モニターに映る光点を見つめ、はやては目を細めた。
ちょうどその直前、森の中へ姿を現した人影があった。
眩い光の中から現れた人数は3人。
1人は、ショートヘアーに赤いベレー帽を被り、中世ヨーロッパの騎士を彷彿とさせる服装をした軽装の少女。
別の1人は、大きな弓を携え、橙色のかかった黄色の和装に身を包んだ、ロングヘアーの少女。
そして最後の1人は、腰に短剣を差し、灰色と黒の装束姿の少年。
「…あれ?」
それは、地球への帰還を果たしたはずの、他ならぬ勇者キリヤだった。
支援!
というわけでプロローグ投下。
連載開始前に1週間かけて全体の流れをかっつりとまとめた前作と異なり、こちらはまだ漠然としか決まっていない状況です。
なので多分短期連載となると思われます(そもそも作品自体が知名度低めですし…)。
前作に大分気合い入れただけに、クオリティがついていけるか非常に心配ですが、
あまり期待せずにお付き合いくださいませ。
最後に、シャイニング・ウィンドを知っている方へ2つ目の質問(1つ目はウロス雑談スレ参照)。
なのはキャラから引き抜くオリジナル心剣ってのはアリですかね?
それが是か非かで大分内容変わって来ますので…
GJ!
オリジナルの心剣ですか・・自分的にはアリですね。
GJ!
Gj!
でもソウマさん出ないの〜?ソウマさんの足技ならガジェットもイチコロ。
「お前が俺の聖杯だったのか」と言いながらキリヤから究極心剣を抜いたホモだからか〜?
心剣抜く時はエロい声キボン。
踏み台クロスの臭いがプンプンと漂ってくるから止めるべきだ、絶対に
派生ならまだしもオリジナルの行き着く先に希望は無い
まあまあ、この世にはいい言葉があるじゃないですか。
つやってみなければ分からない
クロスオーバーにおいてオリジナル要素と恋愛は劇物!
用法正しく心得ればドラマを何倍にも高めようが、
配分過てば木っ端微塵! あとには何も残らぬ!
…と思いつつ書いている自分ではありますが。
>反目のスバル氏
『反目のスバル』にて恋愛に類する絆を破綻させずに扱いきった貴方の方が、
私などよりははるかにそれについて語る資格がありましょう。
節度さえ、節度さえ忘れねば、なにひとつ問題を認めませぬ。
一度読み始めたら最後まで一気に読んでしまう作品、お待ちしております。
>>157 知らないのでウィキってみた。
あ、なるほど……シャイニング・ティアーズ関連の作品ですか
ちくしょう……たぶん読んでくうちに、本編がやりたくなっている自分が現れそうだ
GJ!アリの方向で。
GJ!アリの方向で。
だって、一回全部クリアしたから分かるがアレは心剣が鍵だから。アリだと思う。
クロスなら心剣を安売りしなければいいような気がします
心を通わせるまでに到る積み重ねの描写が欲しいです
いつも通り確認
投下してよろしいでしょうか。
何もなければと受かってことで
で、今回はラジオドラマ風をねらって描写を薄くしてみました。
ここは時空管理局本局。フェイトの執務室である。
次元航行部隊への復帰を希望したフェイトであったが、その希望は残念ながら叶えられなかった。
いつも人材不足に悩まされている時空管理局で、次元航行部隊の執務官が多すぎると言うことはない。
いささか不可解なこの人事に少し心配性なところのあるフェイトは真っ青になった。
これが左遷人事ではないかと考えたのである。
すでに解散した六課でいろいろと無茶をやった身。フェイト自身はこれは仕方ないと思っていたが、問題は自分の下に配属されたシャーリー、ティアナ、それにこちらも希望を叶えられなかったキャロのことである。
自分の左遷人事に巻き込まれたのではないかと焦るフェイトは、時空管理局中をかけずり回り、せめてこの三人は左遷人事から外すように嘆願して回ったのである。
時空管理局の一部で語りぐさになるほどの勢いで。
このことを聞きつけたはやてはあわてて独自のコネクションを使いし、この人事の理由を調べ上げた。
どうやら本局、本部ともに元六課のメンバー、特にファー・ジ・アースに突入したメンバーを手の届く範囲においておきたいようなのだ。
そのため、本局から遠く離れて勤務することになる次元航行部隊や自然保護隊への配属は見送られることになったようなのだ。
というわけで、今日もフェイトは空間モニターとにらめっこをしているような状態である。
いくつかの事件についての情報分析、評価、伝達を終えた頃に執務官補佐の肩書きとなったキャロがディスクを手に、息を切らせながら駆け込んできた。
「フェイトさん、フェイトさん。エリオ君からのお手紙が来ました」
ネットワークが発達しているミッドチルダでは、通常、手紙はディスクに入れて持ち運ぶと言うことはない。
それをしなければならないとすれば、よほど辺境からの手紙かびっくりパーティめいたものの仕掛けということになる。
それに、職場に手紙が届けられるというのも普通ではない。
ただの手紙ならフェイトの住所宛に届ければいい。
では、そんな普通ではない届けられ方をする手紙を書いたエリオは今どこにいるか。
ディスクに収められた手紙ファイルが表示されているフェイトの空間モニターを見ればそれがわかる。
そこにはこう書かれていた。
差出人:エリオ・モンディアル
発信場所:ファー・ジ・アース
現在、時空管理局の使節団とファー・ジ・アースの代表は様々な事項に関して難しい交渉を行っている。
いくつかの案件では難航を極めており、互いの関係が最悪寸前まで行ったこともあるようだが、その中でもいくつかの事項が交渉を終えている。
その一つが時空管理局、ファー・ジ・アース間の人材交流である。
互いに互いの世界をよく知らないままでは交渉もままならないというわけだ。
その人材交流の第一陣としてエリオは今、ファー・ジ・アースに研修に行ってる。
「じゃあ、見てみようか」
「はい」
こんにちは。フェイトさん、キャロ。
僕は今、ファー・ジ・アースのいろんなタイプの魔導師について勉強をしています。
ミッド式やベルカ式にはないタイプの魔導師も多くてとても驚いています。
その中でも、この前勉強したのは夢使いというタイプの魔導師についてでした。
「ふむ、君がミッドチルダから来たエリオ・モンディアル君か。どり〜む」
「はい。よろしくお願いします」
「うむ、いい返事だ。どり〜む。だが、覚えておきたまえ。夢使い同士では、『はい。どり〜む』もしくは、『はい。どり〜むどり〜む』だ」
「は、はい!」
「ちがう!そうではない。どり〜む」
「あ、えーと。はい、どりーむ」
「よろしい。最初にしては上出来だ。どり〜むどり〜むどり〜む」
僕に夢使いのことについて教えてくれたのはナイトメアさんでした。
ほかに、ドリームマンや死の夏色カブトムシという呼び名もあるそうです。
ドリームマンさんは大きなマントを着けていたり、目が悪くないのに眼帯をつけていたり、ズボンを二つもはいていたり、おなかを出した服を着ていたり、僕から見るとかなりおかしな格好をしていましたが、これが夢使いのフォーマルでトレンディな服装だそうです。
とても親切な人で研修の最後の日にはプレゼントをくれました。
「この研修で夢使いのこともだいぶわかったと思う。どり〜む」
「はい。ありがとうございます。どり〜む」
「うむ。よろしい。そこでだ、君にプレゼントがある。どり〜む」
「え?あ、えーと。どり〜む」
「これだ。うけとるがいい。どり〜む」
ドリームマンさんからのプレゼントは夢使いの正式なユニフォーム、つまり僕のサイズのドリームマンさんの服でした。
「君のことをつい妻に話してしまってね。そうしたら、ひどく感動して是非君にこれをあげたいとのことだ。どり〜む」
「ありがとうございます。大切にします。」
「ん?」
「あ、えーと。どり〜む」
今度そちらに戻ったときに着てみます。
他にも、この世界の聖王教会についての研修も受けてきました。
ここで出会ったのは、グィードさんでした。
「んー、いいねぇ。とてもいい。君はとてもいいよぉーー」
なんだかよくわかりませんが、出会った瞬間に気に入られてしまいました。
この世界の聖王教会はエミュレイターと戦っているそうです。
まずは実践だと言うことで、僕はその戦いを見学することになりました。
「くぁーはっはっはっはっはっは。
どうだぁ、痛いかぁ?苦しいかぁ?悪魔ども。
そうかぁ、痛いかぁ。苦しいかぁ。そうだとも。そうだろうとも。
祝福の施された剣だ。貴様らにはさぞかし効くだろうなぁ。だが、神の慈悲は貴様らにも降り注ぐ。すぐに消滅をもってその苦しみからときはなたれよう。
かぁーっはっはっはっはっはっは。
ん?どうした、ボーイ。君も早くエミュレイターを倒したまえ。神が見ておられるぞ」
こちらの聖王教会はとても怖いと思いました。
次は使徒についての研修でした。
僕に使徒について教えてくれたのはあのアンゼロットさんでした。
「どうぞ」
「ん……なかなかいい香りの紅茶ですね。だいぶうまくなりましたね」
「あ、あの」
「なぜ使徒のことについて知るのにこんなことをするのか、と思ってますね」
「はい」
「教えてあげましょう。私はこの世界の守護者。すなわち使徒です。その私に仕えることこそ、使徒について知る一番の近道にして王道なのです。わかりましたね」
「はい」
「ですが……まだ香りを引き出しきっていませんね。もっと精進なさい」
「はい!」
最後の日にはアンゼロットさんを満足させるお茶を淹れることができました。
今度、フェイトさんも飲んでください。
それから、大いなるものについても学びました。
「というわけで、世界の破滅はイコール世界結界の崩壊なの。また、逆に世界結界を崩壊させることで世界を破滅させることもできるわ」
「はい」
「でも、この際にまず邪魔になるのがアンゼロット率いるロンギヌスね。これを解決するためにあなたならどうする?」
「え、えーと……アンゼロット宮殿に奇襲をかけて、ロンギヌスの機能を麻痺させる、でしょうか」
「すばらしいわ。よくわかったわね」
「この前、ミッドチルダの地上本部が同じようなことになりましたから」
「うんうん。あなた見所あるわ」
この研修はベール・ゼファーさんの「世界を滅ぼす明日のために」という講義でした。
ベール・ゼファーさん……あれ?
「こーの、蝿娘!人の宮殿で何やってるのよ!」
「何って、大いなるものについてこの子に教えてあげているんじゃない」
「そういうことを言っている訳じゃありません!だいたい、この講義は真壁さんに頼んでいたはずです!彼女はどこに行ったの?」
「さぁ」
──その頃のアンゼロット宮殿ロッカールーム
「もがーもがががががががが。もがーがーがーがもがー(だしてー、ほどいてー、たすけてー、おねがいー)」
「とにかく、ここにあなたの居場所はありません。即刻出て行きなさい」
「いやよ、まだ始めたばかりだもん」
「くたばれ!地獄で懺悔しろ!」
「大変だー、アンゼロット様がベール・ゼファーと!!!」
「誰かお止めしろ!」
「誰が!って誰が?うわーだめだー」
まだこちらで勉強することがあるので戻るのは少し先になりそうです。
フェイトさんもキャロもお元気でいてください。
エリオ・モンディアルより
「……エリオ、向こうで何してるんだろ」
「……なんでしょう」
今日も世界は平和である。
******************************************
今回はここまでです。
エリオ、がんばれ。
>176-179
乙。エリオ逃げてエリオ。あとドリームマンにはキャロの分も衣装を送れと言わざるを得ない。
剣心とのクロスの今後が気になる。
キャラクター同士なら、左之助とティアナとの絡みが見てみたい。
境遇とか共通点が多いので。
(兄の件と相楽隊長の件とか、周りの強さとの差についてなど)
GJ!
柊達がミッドチルダに行く話も読みたいです。
レーヴァンテインならあっという間だぜ!
ナイトメアの昔の二つ名は『夏色』じゃなくて『ナス色』だったような
184 :
魔装機神:2007/11/08(木) 20:40:20 ID:9T79YmyI
投下します
185 :
魔装機神:2007/11/08(木) 20:43:57 ID:9T79YmyI
モニターの前の皆さん、このSSに登場するキャラクターはかなりイカれています。
リリカルなのはやのキャラクターに深い思い入れがある人は飛ばしてください。
さらに言えば登場キャラクターのほとんどが不良です。彼らの行為を決して真似しないでください。
以上、神山スバルでした。
魁!なのマティ〜〜高校
入学
『拝啓、天国にいるお袋様。私は都立なのマティ高校に入学する事になりました』
彼女の名前は神山スバル。今年なのマティ高校に入学することになった新入生だ。
『これから始まる高校生活はちょっと不安もあるけど、頑張っていきたいです』
これから始まる学校生活に、スバルは胸を躍らせる。
夢にまで見た高校なのだ、楽しみで仕方がないのは当然である。
『けど……』
スバルは周囲を見てため息を付く。
『周りがものすごく怖くていささか戸惑っています』
彼女の周囲の妙に思い空気に戸惑いを隠せないでいた。
さらにいえば、今日始めてこの教室に入るのにいきなり煙草くさいのだ。
その中でスバルがおどおどしていたときだった。
「は!鉛筆を落としてしまった!!」
スバルは鉛筆を落として頭を抱え込んでしまう。
なんと言う事だ。入学早々こんなミスをしてしまうなんて……
そのときだった、隣に座っていた生徒がスバルの鉛筆を拾い上げた。
「え?」
スバルはその拾い上げた人を見る。
「あ、ありがとう(よかった、意外と優しい人もいるみたい……)」
そうだ、ギン姉と今は天国にいるお袋様も言っていたではないか。人を見た目で判断してはいけない、と。
そう思いスバルがほっとしときだった。
生徒はスバルの鉛筆を口の中で運び……
「な!」
思いっきり噛み砕き、ぼりぼりと食った。
(え……鉛筆を食べた)
まさか人の鉛筆を拾い上げ、食べるなんてスバルには考えもしなかった。
ふと何かを思いついたスバルはおもむろに、自分の筆箱の中にある鉛筆をすべて取り出し生徒の前に出した。
「……」
生徒は一瞬戸惑ったが、彼はその鉛筆をおもむろに掴み、さっきと同じようにぼりぼりと食べ始めた。
(食べた…流石ワルで有名ななのマティ高校、次元が違う)
そう、この都立なのマティ高校は全国から有数の割るが集まる高校なのだ。
その中、スバルがこんな高校に入学したのか。
(まあ、それはいろいろあったってことで)
186 :
魔装機神:2007/11/08(木) 20:46:59 ID:9T79YmyI
友達
『拝啓、天国のおふくろ様。なのマティ高校に入学した当初はどうなるかと思ったけど、今はそんな生活にもなれて楽しくしています。
それに、お友達も何人か来きました』
今、スバルとその友達は勉強会をしている。
「わ、わかんねえっす……」
『問題集の前で頭を抱えて、この世の終わりのような顔をしているのは林田ウェンディ。とてつもなくお馬鹿な人です』
「この問題にはウェンディには難しすぎるよ。はいこれ」
そういってスバルが出したのは「魔王式、サルでもわかる足し算・引き算問題集なの」と書かれた問題集だった。
ウェンディはそれを手にとってその問題を解こうとする。スバルも自分の問題集に目をつけようとしたときだった。
「ちょっといい?」
スバルはその声のほうへ向く。
『ああごめん、もう一人いたのを忘れてました。名前は前田セッテ。地味であんまり目立たないから、
さっきのようにちょくちょく存在を忘れられるんだ。喧嘩は結構強いみたいだけど呼び名はないんだって』
スバルはそのセッテを見る。
「なんでいちいち私の家でする?」
その一言で、セッテの部屋は静まり返った。
「わっかんねえっす〜〜……」
そのなか、ウェンディはあまりの苛立ちに鉛筆をへし折るのだった。
支援
188 :
魔装機神:2007/11/08(木) 20:49:28 ID:9T79YmyI
ユカイな仲間達1
「た、大変っすよスバル!」
「ん?どうしたのウェンディ?」
ある昼休み、ウェンディがあわてながらスバルのところへくる。
「こ、この学校にとんでもないやつがいるって噂っす!3組は完全にやつに掌握されてるって噂っすよ!」
「それって本当?」
3組といえば隣だが、そんな噂は聞いたことがない。
「それに、ダブりのシグナムさんがそんな事をさせないんじゃ……」
平井シグナムの名前を聞いたとたん、ウェンディはいきなり細々と話しかける。
「あんまり大きい声では言えないんっすけど、あの人も奴をさけてるらしいっす」
「え?それって本当!?」
あのシグナムが背中を見せるほどの人物……一体どんな人なのだろうか……
「という事できちゃったけど……」
スバルは3組の扉の目に立っている。
ここにあいつはいるのだろうか?
意を決してスバルはドアを開ける。
そこにはこの学校ならどのクラスにも同じような不良が居た。
教室を見て回るが、確かに顔はいかついが、今のスバルにとってはこれぐらいどうってことない。
それどころか、これぐらいなら勝てる気がするほどだ。
(ここにやつはいない)
スバルはそう思って部屋を出ようともう一度ドアを開ける。
そのときだった。
(いた!)
感覚で解る。
この圧倒的な威圧感。間違いない、こいつが奴だ。
しかし……
(言葉、通じるかなあ?)
その人物はつなぎを着ているだけで、上は何も着ていない。
さらにおかしいのは、頭に兄の耳がついていることだった。
「あのー…私、スバル・ナカジマっていうんだけど……」
スバルが挨拶をしても、全く反応しない。
(どうにかして、この空気……)
スバルは心からそう願いのだった。
ユカイな仲間
「大変っす!またすごいや(以下略)」
そういうウェンディの言葉に、スバル、ウェンディ、セッテはドアの前に待つ。
「じゃあいくよ、せーの」
スバルはドアを開けるのだが、そのままセッテと一緒に固まってしまう。
「ほら、いたっすよ」
ウェンディのその視線には、ゴリラがいた。
見間違う事がない、正真正銘、本物のゴリラだ。
「なんで、ゴリラが……」
3人は、さらに頭を悩ませるのだった。
189 :
魔装機神:2007/11/08(木) 20:53:04 ID:9T79YmyI
ユカイな仲間3
「大変っすよスバル。さらにすご「もういいよ」」
スバルはため息を付きながらウェンディを見る。
「ザフィーラとゴリラ。これ以上の人がいるわけないじゃない」
「いや、本当にすごいってうわさっすよ!」
熱弁するウェンディに、しょうがないなあ、と後についてくスバル。
「ちょっとまって、ザフィーラってあれ?」
セッテはあるほうを指差し、そこには、3組の例の奴がいた。
「うん。だって話さないから名前わかんないし、私達だけの間でも呼び名とか作ったほうがいいでしょ?」
「………」
何かいいたそうなセッテをほうっておいて、二人は例の部屋に来た。
「いくよ、せーの!」
スバルがドア分けると、確かにザフィーラやゴリラに並ぶほどのものがいた。
ウィーン、ウィーン
機械音を奏でながらそれはいた。
いや、そのまんま機械だった。
カプセル状の体に、一つだけのモノアイのようなものがピカピカと光り、簡単なつくりの手足がついていた。
「大変だガジェ沢――!!」
ある生徒がその物体に近づく。
「どぉうした〜〜?」
どうやらその人物はしゃべるようだった。
そして二人は思った……
「「ガジェ沢…・・・渋い声だ(っす)」」
CAST
神山スバル(主人公) スバル・ナカジマ
鉛筆を食った生徒(サブ) レジアス・ゲイズ
林田ウェンディ(馬鹿) ウェンディ
前田セッテ(地味 空気 不運) セッテ
平井シグナム(ダブりのシグナム) シグナム
ザフィーラ・マーキュリー(謎の人物 無口) ザフィーラ
ゴリラ そのまま
ガジェ沢新1(?) ガジェット1型(声 若本紀夫)
(登場順)
最後に、このSSに出でてくる人物、団体名は架空(?)のもので、リリカルなのは、クロマティ高校共に関係はありません。
完
投下完了。
……ごめんなさい、おふざけが過ぎました。
かなりの電波を受信して本能のままに書いてしまった。
だからこのなのマティはこれ以上投下しません。
ただ、自分で書いててレジアスがアニメ版クロ高で鉛筆を食う様を想像して吹いたのはここだけの内緒だ。
190 :
魔装機神:2007/11/08(木) 20:56:14 ID:9T79YmyI
最後に。
これってもはやクロスSSじゃないよね
GJ!
ちょっ!クロマティって!?
ちょっと貴方、随分と思い切ったことしましたね・・・・
まあ、吹きまくりましたがw
GJ!!
いや、笑った笑ったwクロマティ高校とは盲点だったw
しかしここでは普通の高校だけど、機動六課を舞台になのは達がクロマティをやるのも
いいかもしれん。
なんだったら他の作品もクロスして、変なギャグ空間を……。
>>魔装機神氏
GJ!! 読者を笑い死にさせる気ですか!www
この人間関係からすると、クロマティを落ちた友人の役割はティアナなのでしょうか?w
194 :
りりかる剣心:2007/11/08(木) 22:18:46 ID:6XFXOdFw
>>魔装機神
GJ、クロマティとはまさに盲点でしたwww
第二話・前編が出来たので投下よろしいですか?
OKです
ダメな訳がありません。
支援。
197 :
りりかる剣心:2007/11/08(木) 22:39:02 ID:6XFXOdFw
ミッドチルダ……それは聞いた事もない未開の世界でござった。
拙者達が居た明治では銃や大砲が常に最新であり最強を誇っていた、しかしこの世界ではあまり使われなくなっており魔法などの科学技術が最たるものとなっている。
それに、左之から聞けば拙者達は志々雄のアジトから脱出する時に不思議な光に包まれそれが原因で拙者達はこの世界に迷い込み。
拙者の中に眠っていた魔力が光に反応して身体が幕末(むかし)の頃に若返ってしまった。
そして、この世界で出会った時空管理局の総務統括官であるリンディ・ハラオウン殿からの要請で帰れる手段が見つかるまで拙者達の力を貸すこととなった。だが、その前に拙者達は闘って力を見せなければならなかった……ヴォルケンリッターと呼ばれる騎士達と。
魔法少女リリカルなのはStrikerS−時空剣客浪漫譚−始まるでこざる。
第ニ話「試されし迷い人の力、過ぎ去りしは未来。前編」
>>188 スバル、自分で「ナカジマ」って言っちゃってるwwww
林田ウェンディには吹いた!
支援
199 :
りりかる剣心:2007/11/08(木) 22:41:18 ID:6XFXOdFw
ホテル内のレストランから剣心、左之、蒼紫の三人は時空管理局本局に停泊している次元航行艦・アースラへ足を運んでいた。
それは数分前に、レストランで彼らに告げたリンディ・ハラオウンの言葉によるもの……。
「三人の身体能力を調べてその結果から訓練校での入学期間を考えたいから。アースラに来てほしいの」
つまりは模擬戦という事だ。剣心はそう理解し「アースラに向かってからその判断をしたい」
と彼女に答え。リンディは快く了承し、今に至る。
もちろん、なのは、フェイト、はやて、リインも彼らと一緒にアースラへ戻ってきた。
昨日の空港火災で鎮火救助活動に急遽出動したとはいえ、彼女達は休暇中である。
途中、リンディの案内で艦内を見回り。改めて進化した文明に驚き、はしゃぎ、冷静に見据える。明治からの三人の迷い人。
此処でも、次元航行艦の事について彼らは簡単な説明をリンディやクルーに受け、理解する。
そして、次に彼らが訪れたのは今まで見た各部屋とは違い両開きの自動扉が出入口のとある部屋。
「此処は?」
視線を扉から自分達を引率しているリンディに移して剣心が尋ねる。
「此処は模擬戦を行う為の訓練室よ。そして此処に緋村さん、左之助くん、蒼紫くんの実力を見てくれる局員が居るの」
「局員の方々でござるか」
「ま、誰だろうと面白ぇ喧嘩出来そうだな」
にっかりと口に加えた魚の骨を揺らしながら微笑む左之助に剣心や彼女達は苦笑しながら思う。
−喧嘩じゃないんだけどなぁι
「ふふ、じゃあ。入りましょう」
左之助のやる気にリンディはくすくすと笑いながら、ドアが開かれた訓練室へと入っていく。
しかし、この時。彼らは既に訓練室から感じる闘気に表情を引き締めていた。
−何故だ、強い剣気が感じた途端に拙者の力が漲っている……これが魔力という力なのか。
それに、向こうもこちらを察しているのだろう。
部屋から感じる気配に剣心がそう感じていると、左之と蒼紫は構わず訓練室へと入っていく。
だが、剣心は動かなかった。
「剣心……さん?」
そんな彼を背後から見ていたなのは達は不思議に思い。剣心に声をかける。
「おろ?」
「どうかしましたか?」
なのはの声に剣心は我に返り、苦笑いを浮かべて顔を横に振る。
「ああ、いや少し考え事をしていたでござる。 すまない、では行こう」
「あ、はい」
剣心はそう告げ、眼の前の訓練室に入っていく。
彼女達も剣心のやんわりとした性格に渋ってしまうが、直ぐさま彼の後に続いて訓練室に入る。
200 :
りりかる剣心:2007/11/08(木) 22:43:52 ID:6XFXOdFw
そこには、リンディが言っていた局員−−甲冑を着て凝った装飾の剣を握ったポニーテールの女性。
赤いドレスのような服を着て変わった金鎚を肩に乗せている少女。
獣の耳を生やした体格の良い男を合わせた三人が入ってきた剣心達を見据えていた。
また、リンディの隣には制服の上から白衣を着た金髪の女性が立っている。
四人の姿になのは達は嬉しそうに微笑みながらリンディの方へと歩み寄る。
しかし、蒼紫以外、剣心と左之は待っていた三人を見て素っ頓狂な顔で見遣っていた。
無理もない、甲冑を着た女性と獣の耳の男は良いが赤いドレスのような服装の少女だ。
すると少女は二人の反応に少しいらついたように尋ねる。
「変な眼で見やがって、なん何だよ?」
「いや、なんでちっせぇ嬢ちゃんが居るんだ?」
その言葉を耳にした瞬間、なのは達、さらには隣にいた甲冑の女性までもが吹き出す。
すると訓練室にプチといった擬音が響き渡る。
「うるせぇ!私は本局付きの航空隊第1321部隊の局員だ!このトリ頭!」
この言葉に剣心は「おろぉ!?」と驚きながらも彼女の眼からただ者ではないと理解する。しかし、隣にいた友人はへぇと言いながら加えていた魚の骨をボリボリと食べる。
「悪ぃ、ただの子供だと思っちまっただけだ。あと、自慢の髪型にケチつけんなって。」
「んだとぉ!」
「左之、悪いのはこっちでござるι」
初対面とも思えない左之とヴィータのやり取りにリンディはくすくすと笑って見ていた。だが、まず自己紹介をさせようと手を叩く。
「はいはい、二人とも抑えて。まず自己紹介しましょう」
「そ、そうして頂けると有り難いでござるι」
冷や汗をかきながら少女にペコペコと謝っていた剣心は彼女が出してくれた助け舟にホッと胸を撫で下ろす。
そこでリンディは先に彼女達から挨拶するよう目配せする、甲冑を着た女性はそれにこくりと頷き。剣心達の前に一歩でて口を開く。
支援
202 :
りりかる剣心:2007/11/08(木) 22:48:37 ID:6XFXOdFw
「私は主、八神はやての守護騎士。また、ミッドチルダ地上部隊所属のシグナムだ。 お前達に会えるのを楽しみにしていた」
キリっとした表情で自己紹介をし、女性は剣心、左之、蒼紫を見遣る。
それに先程、左之と軽く口喧嘩した少女も少し苛立ちながらも一歩前へでる。
「私もはやての守護騎士。ヴィータだ。」
「俺は、はやての守護獣。ザフィーラ」
「私も、はやてちゃんの守護騎士。シャマルです、緋村さん元気そうでなによりです」
リンディの隣に立っていた白衣の女性の声は剣心に聞き覚えがあった。
剣心はシャマルに微笑み、頭を下げる。
「……拙者の怪我を治してくれたのはお主でござったか。 助かった、ありがとう」
「いえ、頬の十字傷まで治せなくてすみませんでした」
「いやいや、気にしなくてよいでござる。それにしてもはやて殿は良い家族に恵まれているでござるな♪」
彼女らの強い絆。その雰囲気だけで充分剣心だけではなく、左之や蒼紫にも充分伝わっている。
ただの主と守護騎士という間柄でも無いだろう。
剣心の尋ねにはやてはうんと頷き、太陽のようなあたたかい笑顔を見せる。
「うん。皆私の大切な家族や」
はやてのその言葉に四人は当然というように微笑み返し、うんうんと頷く。
そんな彼女達の絆に剣心達は心地良く感じている。 心から親しく、心から互いを慕っているんだな。と
四乃森蒼紫も、彼女らの姿とかつての自分の御庭番衆と重ね合わせていた。 般若、式尉、べし見、火男……彼らに慕われ、闘っていた頃の自分と。
そして、剣心は彼女らに自身の事を告げる。
「拙者は緋村剣心。シグナム殿、ヴィータ殿、シャマル殿、ザフィーラ殿。これからよろしく頼むでござる」
清々しい、剣心の空気。四人もまた彼らに心地良さを感じ。口々に「よろしく」と応える。
左之、蒼紫も彼に続く。
「俺は相楽左之助だ。悪かったなヴィータ」
「解れば良いんだ、次、言ったらぶっ飛ばすからな。」
「……俺は四乃森蒼紫。元・江戸城御庭番衆御頭」
彼の告げた名称にシグナムは思い出しながら尋ねる。
「江戸城……かつての王城だな。」
「ああ、徳川将軍家のな」
「ふ、ますます期待出来そうだな」
互いの自己紹介を済ませ、次に剣心らは模擬戦の説明をリンディから受ける。
それは次のようなものだ。
ルールは一本、どちらかが戦闘不能になるか降参するか。 負けてしまってもシャマルが治癒魔法で治すとの事。
203 :
りりかる剣心:2007/11/08(木) 22:52:23 ID:6XFXOdFw
リンディの説明に聴き入っている中、シグナム、ヴィータ、ザフィーラは剣心、左之、蒼紫から並々ならぬ実力を彼らの眼を見て実感していた。
シグナムは特に剣心の内に秘められている多大な魔力に関心し、また好敵手が現れた事により模擬戦に対する期待が高まっていた。
−緋村か……。若いが、なかなか良い眼をしている。
あれは数多の修羅場を駆け抜けた本当の眼だ。
−口の聞き方はなってねえけどなかなかやるみてぇだな。
−四乃森蒼紫……か。
「三人はああ見えてもこれまでに幾つもの闘いを経験しているわ。だから、貴方達も構わずに力を出してね」
リンディの言葉に左之と蒼紫は頷く。
確かに、彼女達の眼はこれまでの経験を証明している。 手加減はあまり出来ない。
だが。剣心は彼女達と言葉を交わした時から、模擬戦を行う事に葛藤していた。
−模擬戦とはいえ余り、闘争はしたくないが……。無用ではないし。場を設けてくれた、リンディ殿や彼女らに悪い。
好ましくない表情を浮かべている剣心にリンディは気付いていた。
彼の優しい性格からすれば闘いは好きではないのだろう。
だが、力を見せて貰えなければ訓練校への書類が出せない。
「緋村さん……大丈夫?」
心配そうに尋ねるリンディに剣心は振り向き、にこりと微笑んで答える。
「ああ、大丈夫でござる。すまない」
自分がもし彼女らの立場であればどうだろうか……。断るか相手の眼をみて考えるだろう。
−シグナム殿の眼……あれは幾重もの修羅場を駆けた剣士の眼。それに戻るまでと約束したが……目指した夢の技術の結果で関係のない人々を苦しめるなど放ってはおけぬ。
その為にこの魔力を使いこなせなければならない……迷ってなどいられぬでござる。
「リンディ殿」
「何ですか?」
「組み合わせは決まっているでござるか?」
204 :
りりかる剣心:2007/11/08(木) 22:59:57 ID:6XFXOdFw
彼の尋ねにリンディは「ええ」と微笑んで頷き、剣心達とシグナム達を見遣って答える。
「先ず、蒼紫さんはザフィーラさんと闘ってもらいたいの」
蒼紫、ザフィーラはその発表に表情を崩す事無く呼ばれた名の主である互いを見遣る。
「良いだろう」
「理解した……」
「じゃあ、他の皆はブリッジに移りましょうか」
そう告げて、リンディは訓練室を後にする。
なのは達も蒼紫、ザフィーラにエールを送り、リンディに続く。
剣心、左之も蒼紫と言葉を交わしはしない。だが、互いの眼で会話を終わらせて退室する。
そんな様子をヴィータは変に思いながらシグナムと共に退室していった。
ブリッジに移り、彼女達はそこに展開している大きなモニターを見遣る。
司令官の席にリンディが座り、回りをなのは、フェイト、はやて、リイン。 剣心、左之。
シグナム、ヴィータ、シャマルが固唾を飲んで二人が映るモニターを見守る。
オペレーターの席にはエイミィが座っており、蒼紫の力を量る為に計測モニターを展開している。
訓練室に四乃森蒼紫、ザフィーラの二人が残され、しばらくの沈黙が流れる。
そこで口を開いたのはザフィーラであった。
「何故か……俺は蒼紫に近いものを感じる。」
「俺もだ。 どうやら、お前達ははやての家族となる前にも闘っていたみたいだな」
ぽつりと答える蒼紫にザフィーラはこくりと頷き。構え始める。
「蒼紫も、様々な闘いを見てきたようだな。」
「ああ、醜い幕府(むかし)の裏切りも、部下の最期も。」
そして蒼紫もコートから長刀を取り出し、水平に柄と鞘を握る。
−長刀か……しかし、握り方が違うな。何故だ?
蒼紫の刀の握り方にザフィーラは疑問を感じていた。
シグナムもまた、ザフィーラと同じ疑問を抱いている。
−何故、四乃森は鞘尻を握っている……。長刀であんな鞘の握り方をすれば抜きにくいはずだが。
しかし……その疑問はすぐに晴れる事になる。
足に力を入れ、飛び掛かり、蒼紫をザフィーラの拳が襲った瞬間。
蒼紫の長刀から二本の刃が封印を解除される。
続く
乙
ザフィーラがネタ以外でこれだけ喋ったSSを見たのは始めてかもw
GJ!
いやいやシャマルさん、頬の十字傷は剣心のチャームポイント(?)
でもあるのだから消しちゃ不味いって。
結局、消えたんだっけ?>剣心の頬の十字傷
>>りりかる剣心氏
GJでございます。剣心たちとヴォルケンの模擬戦燃えますな〜
やはり剣心にはシグナムと戦ってもらいたいです。
考えてみると多くの修羅場を経験しながらも、なのはさんたちの非殺傷設定を否定せず、
むしろ積極的に肯定しそうなキャラは初めてのような気がw
>>207 薄くなってきてるってだけで完全には消えてないはずだったけど。
>>209 背負った業は決して消えることは無い
って意味だよな?最後まで消えなかった傷
だいぶ過疎化から回復の兆しが見えてきた希ガス。
剣心とシグナム戦っても、シグナムが負ける場面しか思いつかないんだよな
アニメ本編の、あの大根剣術みてるとレヴァ剣の性能に頼ってるようにしか見えん
>>212 というか、屋内戦で剣心に勝てる魔導師ってのが想像つかん
縮地と同等の速さだぞ?
シグナムが勝ったら勝ったで
「その刀が逆刃でなれば負けていたのは私の方だ…」ってなりそう
西洋の剣術対日本の剣術か・・・続きが楽しみです。
西洋の剣術に技がないとは言いませんが、力対技のイメージがぬぐえないのは何でだろう?
>>212 それはたった一人の例外を除いて治癒魔術の恩恵に与れない、負傷で容易く手足を奪われ死ぬが故の悪鬼の技術。
ただ生まれ持った身体を修練し敵に勝つ。治癒魔術も強化魔術もなく、生身で敵に立ち向かわねばならないうえ、負傷はろくに治らない。
最低の条件が生んだ悪鬼の武術の豊かさ深遠は、魔法世界のそれと比して鬼子。人の身がいかなる奇蹟も無く、鍛錬にて起こす魔術。
by円環少女二巻
基本的に、技術ってのは必要性から生まれるものだから……
中距離、遠距離の選択肢が大きい分、近距離の技術ではそりゃ劣るでしょ。非殺傷あるから極め技締め技急所外し不要→骨格・筋肉の構造学ぶ必要もないし。
剣心の性格上、九頭龍閃や天翔龍閃は使わないでしょうが、やっぱり勝負の決め手は双龍閃でしょうね。
2種類ありますし。
>>215 フェンシングは剣道より強いって聞くけどね
リアルな戦国武士を描いたら大河ドラマは・・・・
剣心がウイングロード使えたら便利だろうな。
>>221 馬がサラブレッドとか有り得ない時代だし…ねぇ。それを言っちゃあ(ry
半端な知識でスマンが
日本=当たったらヤベェ
欧州もとい西洋=甲冑あるから即死はねーよww
だから、その分
日本=うはw俺速いwwww
西洋=大きくww振りかぶってwww
という訳ぽい、解らん?
日本=フェイトさん(ソニックフォーム)
西洋=シグナム(甲冑付)
これならどうだ
そもそも刀が主力じゃなかったし
>>225 戦場での主力は弓であり槍であって、刀というのはいわばでかい首切り包丁だ、と言うのを某サイトで見たことがある。
槍とか弓だよな。主に。
それなのに何故西洋でも東洋でも剣/刀は騎士/武士の象徴的扱いなんだろうな。
ここ雑談スレじゃねーぞ
やべぇ
リーチが極端に短く、耐久に難がある代わりに
防御系魔法ほぼ無効とか考えてたのに<日本刀
>>228 ・日頃から携帯する武器だから
・高価だから(刀身に金属を沢山使うし、技術もいる)
・十字架と似てるから(西洋限定)
こんな理由だったはず。
(戦い以外の)仕事中や社交場で槍や弓を携帯するのわけにはいかないし、
短剣や杖みたいな普通の護身用武器よりは刀剣のほうが強力だし。
まあアメリカ人にとっての拳銃みたいなものだろう。
>>226 昔サンデーでやってたミスタージパングで織田の侍が言ってたなぁ。
数コマ後種子島パーンッ!で名乗る暇ナシだったがw
>>227 アニメでそこら辺を一番上手く描いているのが、クレしんの戦国大合戦というあたり、激しく何かが間違っているような気がするw
てか、お股のおじさんと馬周り衆の頭の殺陣が燃える!
>>228 象徴=儀礼的 って事じゃないかな?
江戸時代では正に象徴そのものだったし。
西洋は……上手く言葉に出来んなぁ
GJ。
ザフィーラと蒼紫、言われてみると確かに似てるなぁ……
それと、ザフィーラが動物形態ではなく人間形態なのが地味に嬉しかったり。
StSじゃ、終始犬だったからなぁ……
そして自分も投下します、支援よろしくお願いします
第10話「再会は異世界でなの」
「フェイトォッ!!」
エイミィからの連絡を受けたアルフは、すぐさまフェイトの元へと駆けつけた。
幸いにも、彼女が相手をしていたザフィーラは「十分過ぎる成果を得られた」と言い残し、すぐに撤退してくれた。
その為、フェイトが倒されてからあまり間を空けずに到着する事が出来た。
彼女がその場に到着した時、そこに仮面の男の姿は無かった。
あるのは、意識を失ったフェイトとそんな彼女を抱きかかえるシグナム二人の姿だけだった。
「シグナム……!!」
「……テスタロッサの目が覚めたら、伝えておいて欲しい。
言い訳をするつもりは無い……すまなかったとな。
テスタロッサは、リンカーコアを抜かれてから大して時間は経っていない。
すぐに適切な処置をすれば、目も覚ますだろう。」
「え……あんた……」
アルフは、シグナムの言葉を聞いて少しばかりの戸惑いを覚えた。
自分達は敵同士、追う立場と追われる立場なのだ。
今、フェイトは極めて無防備な状態にある。
再起不能になるだけのダメージを負わせるなり、人質として連れ帰るなり、状況を有利に出来る手段は幾らでもある。
だが彼女は、その一切を取らなかった。
一人の騎士として、そんな卑劣な真似をしたくは無かったのか。
互角にまで渡り合えたフェイトに、敬意を払ったのか。
それとも……守護騎士として、主の名を汚したくなかったのか。
どれにせよ、シグナムが正々堂々とした態度を取っているという事実には変わりない。
「……敵同士で、こういう事を言うのもあれだけどさ。
その……ありがとうね、シグナム。」
「……礼には及ばない。」
シグナムはアルフへと、フェイトを手渡した。
そして、直後……彼女は転移呪文を使ってこの世界から姿を消した。
敵でありながらも、シグナムはフェイトの身を案じてくれていた。
アルフは、少しばかり複雑な気持ちではあったものの、その事に感謝していた。
とりあえず、何はともあれフェイトを急いで運ばねばならない。
アルフの術では、ここから時空管理局本局まで飛ぶのは流石に無理な為、エイミィに頼むしかなかった。
すぐさま、エイミィとの連絡を取ろうとするが……その瞬間だった。
突如として、激しい地響きが発生したのだ。
震源は真下……アルフの足元からだった。
「まさか!!」
嫌な予感がしたアルフは、すぐに上空へと飛び上がった。
この世界には人間は一切いないが、その代わりに大型の野生生物が多く存在している。
それが、今まさに現れようとしているのだ。
フェイトを抱えたままでは、対処の仕様が無い……彼女を安全な場所に避難させなければ。
すぐにアルフは術を発動させ、フェイトを先にエイミィの元へと送ろうとする。
「エイミィ、フェイトの事お願い!!」
『うん、もう本局に連絡は取れてるから何とかできるけど……アルフは?』
「流石に、二人一緒にってのは少し時間がかかるからね。
私なら大丈夫だよ、すぐに後から行く。」
『分かった……気をつけてね!!』
「ああ……!!」
フェイトの姿が、その場から消えた。
アルフの術によって、無事にエイミィの元へと転送させられたのだ。
後はエイミィがゲートを繋いで、フェイトを本局へと送ってくれるだろう。
これで、彼女の事は何とか安心できる……後は、自分の問題を片付けるだけである。
地響きが真下から来た事から考えれば、相手の狙いは間違いなく自分。
恐らくは、餌と認識されたのだろう。
「さあ、来るならさっさと来なよ!!」
アルフが構えを取った、その直後。
大量の砂塵を巻き上げながら、その生物は姿を現した。
青い体色の、顎が大きく発達した怪獣。
かつて、ウルトラマンジャックとウルトラマンエースの二人が戦った相手。
そしてメビウスも、その亜種と激闘を繰り広げた敵―――ムルチ。
「ギャオオオォォォォッ!!」
ムルチは口を大きく開き、アルフへと破壊光線を放つ。
アルフはそれを障壁で受け止めると、すばやくムルチの胸元へと移動した。
体格の差は圧倒的ではあるが、逆にそれが味方をしてくれた。
ムルチの巨体では、懐に入ってきたアルフに対処が出来ないのだ。
「ハアアァァァッ!!」
強烈な拳が、ムルチの胴体に叩き込まれた。
鳩尾に一撃……かなり効いている。
そこからアルフは、間髪入れずに拳の連打を浴びせた。
ザフィーラからの連戦だから厳しいかと思ったが、どうやら予想していたよりも大した敵ではなさそうだ。
アルフは少しばかりの余裕を感じた後、ムルチを沈めるべく一気に仕掛けた。
しかし……この時、彼女は思いもしなかっただろう。
もしもミライがいたならば気づけただろうが……本来ムルチは、こんな砂漠にいる筈がないなんて。
ムルチが、『巨大魚怪獣』の呼び名を持つ『水棲怪獣』であるなんて。
一応過去に一度、ムルチは地中からその姿を現したこともあるが……それでも、砂漠という環境は流石に無茶である。
ならば何故、ムルチがここで活動できているのか……その理由は一つしかない。
悪魔の魔の手は……既に、数多くの世界に広がっていたのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ディバインシューター!!」
『Divine Shooter』
「シュート!!」
なのはは5発ほどの魔法弾を生成し、それをレッドキングへと一斉に放った。
しかしレッドキングは、大きく尻尾を振るってその全てを掻き消す……ダメージは皆無。
その後、レッドキングは再び大岩を持ち上げると、なのはへと投げつけてきた。
遠距離にいるなのはに仕掛けるには、これ以外の攻撃手段はレッドキングにはない。
確かに命中すればダメージは大きいだろうが、流石に攻撃が単調すぎる。
なのはには、あっさりと避けられてしまった。
「パワーは凄いけど、距離さえ離しちゃえば……!!」
レッドキングの戦闘スタイルは至って単純。
怪力に任せての、荒々しく凶暴なものである。
接近戦における圧倒的不利は、目に見えている。
しかし距離さえ離してしまえば、攻撃の手段は岩を投げる以外に無い。
両者の戦い方は、完全な対極に位置している。
その事実は、なのはにとっては幸運であり、そしてレッドキングにとっては不幸以外の何物でもなかった。。
流石にレッドキングもこのままでは不利と悟り、一気に距離を詰めにかかった。
だが……レッドキングが取った行動は、走ってくるとかそんなレベルの話ではなかった。
力強く両脚で地面を蹴り、文字通りに『跳んで』きたのだ。
これにはなのはも度肝を抜かれた。
幾らパワーが持ち味とはいえ、あの巨体でここまで跳び上がれるのか。
しかもスピードがある……回避は出来ない。
なのははとっさに、障壁を出現させる……が。
「っ……キャアァッ!!」
レッドキングは、2万トンの体重を持つ超重量級の怪獣。
そのロケット頭突きには、流石に堪え切る事が出来なかった。
なのはは後方へと大きくふっ飛ばされ、派手に地面に激突する。
ヴィータにラケーテン・ハンマーをぶちかまされた時と同じ。
いや、あの時以上かもしれない破壊力があった。
不幸中の幸いだったのは、地面に激突する寸前に、レイジング・ハートが自動的に障壁を展開してくれた事。
その為、何とかダメージは軽減できたのだが……
レッドキングは、ここで追い討ちを仕掛けてきた。
大きく足を上げて、なのはを踏み潰しにかかったのだ。
ロケット頭突き以上に危険すぎる……防御の有無抜きで、命中したら致命傷は免れない。
「ギャオオオォォォン!!」
「レイジングハート!!」
『Flash Move』
とっさに急加速し、間一髪攻撃を避ける。
その直後、相当な量の土煙が吹き上がってなのはの全身を覆い隠す。
あと少し遅れていたら、確実に踏み潰されていただろう。
そのままなのはは、素早くレッドキングから離れようとする。
しかし今度は上空には飛び上がらず、低空飛行で移動している。
これは、先程のロケット頭突きを警戒しての行動だった。
今レッドキングの周囲には、大岩は勿論、投げる事の出来るような物は一切無い。
普通に考えれば、なのはを攻撃する手段は無いように思われるが……先程のロケット頭突きの様な奇襲もありえる。
そう安易に考えてはいけないのは、なのはも重々承知していた。
そしてレッドキングはというと……そんな彼女の考えどおりに、仕掛けてきた。
投げる物が無ければ、作ればいい。
そういう風に考えたのだろうか、あろうことかレッドキングは、地面を怪力で引っぺがしたのだ。
そのまま、なのは目掛けて巨大な土の塊を投函してきたのである。
土は岩に比べれば、かなり脆い。
命中まで形をとどめる事が出来ず、上空で砕け散り、無数の土砂となってなのはへと降り注いできたのだ。
「っ!!」
『Wide Area Protection』
相手が岩ならば打ち砕けたのだが、土砂となるとそうもいかなくなる。
なのははとっさにカートリッジをロードして、広域防御結界を展開した。
その直後、彼女の身に大量の土砂が降りかかった。
あっという間にその全身は土砂の中へと埋まり、姿が隠されてしまう。
土砂は大量、結界も何もなしに埋まったのではまず助からないレベルである。
だが……レッドキングは、それで満足するような怪獣ではなかった。
なのははミライから聞いたときに少しばかり疑問に思ったが、レッドキングは名前に反して『白い』体色をしている。
ならば何故、レッドキングなどという名前が名付けられたか。
それは、この上なく凶暴で『赤い血』を見ることを何よりも好むからである。
レッドキングは、極めて獰猛かつ残忍なのだ。
かつては、自分よりも遥かにか弱い存在であるピグモンを徹底的に甚振り、死に至らしめた事すらもある。
そんなレッドキングが……土砂で覆い潰したぐらいで、満足するわけが無い。
「ギャアオオオオォォン!!」
確実な死を与える為、レッドキングは両手を組んで、地面へとハンマーフックを打ち下ろした。
それも一発ではなく、何度も何度もである。
拳が叩きつけられるごとに、土砂が勢いよく跳ね上がる。
そして、およそ十発程打ち下ろした後。
レッドキングは周囲を見回して、丁度いいサイズの大岩を見つけ出した。
仕掛けるのは、駄目押しの一撃……豪快に持ち上げて、そして地面に叩きつけようとする。
これで、まずなのはは生きてはいまい……そうレッドキングは思っていただろう。
だが……その瞬間だった。
『Divine Buster』
「ッ!?」
地面の下から、レイジング・ハートの声が聞こえてきた。
直後、眩い桜色の光が地面を突き破って出現し……レッドキングの手首に命中した。
レッドキングは思わず大岩を落としてしまい、そしてその大岩がレッドキングの足の指を直撃する。
かつてミライ達も取った、レッドキングにとって最も効果的な攻撃手段の一つである。
『ギャオオオォォォン!!??』
レッドキングは足を抱えて、悲鳴を上げた。
なのはは倒されていないどころか、全くの無傷。
何故なら彼女は今、土砂の下……攻撃の届かない、深い穴の底にいるからだ。
レッドキングが追い討ちに出てくるのは、容易に想像できた。
それをまともに耐え切ろうとするのは、自殺行為に他ならない。
そう判断したなのはは、土砂で姿が隠された瞬間に、地面に穴を空けたのだ。
後は攻撃がやむまで、安全な穴の中に身を隠すだけだった。
上方の土砂は、障壁を展開する事でなだれ込んでくるのを防いでいた。
そして、レッドキングが大岩を拾いにいき攻撃が中断された瞬間。
なのはは契機と見て、仕掛けたのである。
ちなみにディバインバスターを放ったのは、外の様子が分からない現状でも、攻撃範囲が広いこの術ならば当たると踏んだからだ。
「いくよ、レイジングハート!!」
『All right』
レッドキングの悲鳴から察するに、レッドキングは怯んでいる。
またとない攻撃のチャンス……仕留めるのは今。
なのはは一気にカートリッジをロードし、レイジングハートの矛先を斜め上へと向けた。
直後、膨大な魔力が彼女の周囲に収束し始めた。
カートリッジシステムに変更してからは、これが初めてになるなのは最強の魔法攻撃。
「全力……全開!!」
『Starlight Breaker』
「スターライト……ブレイカアァァァァァッ!!」
膨大な量の魔力光が、地面を突き破りその姿を現した。
そしてそのまま、真っ直ぐにレッドキングへと向かい……直撃。
レッドキングは猛烈な勢いで、光と共に上空へと打ち上げられていった。
数秒して、レッドキングは地上20メートル程の高さに到達し……そして。
ドグアアアアァァァァァァン!!!
大爆発。
レッドキングは、見事に打ち倒されたのだった。
なのはは、スターライト・ブレイカーによって吹き抜けになった穴の底から、それを確認する。
無事に打ち倒す事が出来、ほっと一息つく。
そして、彼女が地上へと出た時……ようやくメビウスが、現場へとその姿を現した。
彼は、既にレッドキングが倒されていたのを見て、少しばかり驚いた。
流石というべきだろうか……自分の助けは無用だったみたいだ。
「なのはちゃーん。」
「あ、ミライさん。」
「レッドキング、もうやっつけちゃったんだ……来た意味、あまりなかったみたいだね。」
「にゃはは……じゃあ、早く戻りましょう。
フェイトちゃんの事が心配だし……」
「うん……!?」
帰還しようとした、まさしくその時だった。
これで二度目になる、強烈な地響きが発生した。
揺れはかなり激しい……一度目よりも大きいかもしれない。
流石に立っていられなくなった二人は、上空へと飛び上がる。
そしてその後……同時に、レッドキングが出現した火山へと視線を向ける。
二人とも、とてつもなく嫌な予感がしていた。
まさかと思うが、もう一匹何かが来るんじゃなかろうか。
確かめる為、二人はエイミィに連絡を取ろうとする……が。
「あ、あれ……?」
「念話が、繋がらない……!?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「レッドキングは倒され、ムルチも圧倒されっぱなしか。
ヴォルケンリッターを相手にした後で、よくやれる……」
広大に広がる砂漠、荒廃した建物の山々。
黒尽くめの男―――ヤプールは、自分以外には何者も存在しないこの異世界から、全てを見ていた。
そう……レッドキングとムルチを仕向けたのは、他ならぬこの悪魔だったのだ。
ヴォルケンリッターや仮面の男の御蔭で、多少なりともなのはとアルフは消耗している。
倒すのならば今がチャンスと感じ、現地に潜ませておいた怪獣を襲い掛からせたのである。
超獣は、怪獣がベースとなって作り出される生物兵器。
怪獣がいなければ、一部の例外的なものを除けば、基本的に作成は不可能なのだ。
そして、より強い怪獣がベースであればあるほど、生み出される超獣も強くなる。
そこでヤプールは、これまで異次元空間内に捕らえてきた多くの怪獣を、近辺の異世界に解き放ったのだ。
野生のままに暴れさせ、成長させる方が、より強くなるだろうと判断した結果である。
その内幾つかの怪獣には、既に軽い改造は施してある……ムルチもその内の一匹。
乾燥した、砂漠のような土地でも動けるよう改造してあったのだ。
無論、狙いはそれだけではない……今回の様になのは達が異世界に現れた際、それを撃退する事も目的である。
しかしながら、レッドキングとムルチは倒されてしまった。
ならば、次の手を打つまで……特になのはとメビウスの二人は、ここで確実に潰す必要がある。
魔力の蒐集が不可能な以上、二人は単なる邪魔者でしかない。
管理局の方に対しては、既に手は打ってある。
仮面の男が、自分達の足跡を下手に辿られない様にと、先程ハッキングを仕掛けておいてくれたのだ。
これは、仮面の男が管理局に通じているからこそ出来た裏技。
御蔭で管理局側からの増援は、当分の間食い止められる……思う存分に叩き潰す事が出来る。
ヤプールは、不適に笑い……新たなる僕を呼び出した。
「行け……ドラゴリー、バードン!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「エイミィ……?」
一方その頃。
ムルチと戦っていたアルフも、異変に気がついた。
いつのまにか、エイミィとの連絡が全く取れなくなっている。
あのエイミィに限って、現場から離れるなんてそんな馬鹿な事はありえない筈。
そうなると……考えられるのは、何者かからの妨害行為しかない。
ヴォルケンリッターか仮面の男か、どちらかもしくは両方か、自分達の足跡を辿られない様にしたのだろう。
しかし先程のシグナムの事を考えると、ヴォルケンリッターがこんな真似をするとは考えがたい。
(いや……そうとも言い切れないか。)
一人だけ、そんな真似をしかねない者がいた。
初遭遇の日、なのはに奇襲を仕掛けてリンカーコアを抜き取ったシャマルだ。
考えてみれば、ヴィータ・シグナム・ザフィーラの三人しか異世界には姿を現していない。
ダイナに関しては別として、シャマルは先日の戦いにも、直接の参加はしていない。
完全なバックアップ担当と見ていいだろう。
それに、あまりこういう言い方はしたくないが……一人だけ、正々堂々とは言い切れない。
彼女の性格はよく知らないが、それでも十分にありえる話だ。
勿論、仮面の男が妨害行為をした可能性もある……寧ろ、こちらの方が可能性としては高い。
仮にシャマルがやったのだとしたら、何でそれを今までやらなかったのかという話になるからだ。
だが仮面の男は、先日はベロクロンのゴタゴタに紛れてだったが、今回にはそれがない。
完全な形で姿を見せたのは、これが初……ならば、彼等であるのはほぼ間違いないだろう。
タイミング的にも、十分合う。
「どっちにせよ、こいつをぶっ倒してさっさと戻ればいい話さ。
とっとと決めに……!?」
とどめの一撃を叩き込もうとした、その瞬間だった。
何処からか、「ミシリ」と何かに亀裂が走るような音が聞こえてきた。
アルフはとっさに、その音源……上空を見上げた。
見渡す限り砂漠のこの世界に、そんな物音を立てられそうな代物なんて一つもない。
ただ一つ……昨日も目にした、空を除けば。
「まさか、嘘……!?」
ガッシャアアアァァァァァン!!!!
空が割れ、その超獣は姿を現した。
地球上に生息している蛾と、宇宙怪獣とを組み合わせて誕生した超獣。
かつて、エースとメビウスを苦しめた蛾超獣ドラゴリー。
ドラゴリーは着地すると、早速アルフへと攻撃を仕掛けてきた。
唸りを上げ、両腕を振り回す。
アルフはとっさに急加速し、その一撃を逃れる。
しかしその背後には、大口を開けて待ち構えていたムルチがいた。
「ギャオオオォォン!!」
「くっ……!!」
ムルチは口を開き、破壊光線を放つ。
アルフはとっさに障壁を展開し、その一撃を受け止める。
するとここで、今度はドラゴリーが背後から仕掛けにきた。
両の眼球から光線を放ち、アルフを焼き殺そうとする。
挟み撃ち……両方の攻撃を防御しきる自信はない。
ならばと、アルフは障壁を維持したまま上空へと急上昇した。
それにより、ムルチとドラゴリー両者の攻撃は、それぞれ正面にいる相手に命中してしまう。
見事、同士討ちをしてくれたのだ。
「ギャアアァァァ!?」
「グオオオォォォン!!」
「やった……あんまり、頭はよくないみたいだね。
それにしても、どうして……!!」
何故、ヤプールの超獣がこんな異世界に現れたのか。
先日の襲撃の件も考えると、やはり狙いは自分達ということになる。
メビウスに味方する者を全滅させるつもりなのは、まず間違いない。
ヤプールが闇の書を狙っているというのなら、尚更になる。
ここで自分が倒れれば、ヤプールは簡単に魔力を手に入れることが出来るからだ。
後は何らかの形で仮面の男同様にヴォルケンリッターに接触し、それを渡せばいい。
「全く、面倒なことしてくれちゃって……!?」
ここでアルフは、言葉を失った。
その眼下では、ドラゴリーとムルチが争いあっている。
同士討ちを狙った以上、それ自体はありがたいことなのだが……
正直言うと、これは争いとは呼びがたい。
そう、それは……一方的な虐殺だった。
両者の戦闘能力の差は、圧倒的過ぎた。
ドラゴリーはムルチを、徹底的に甚振っていたのだ。
ムルチはドラゴリーに馬乗りにされ、滅多打ちにされている。
必死になって抜け出そうと、ムルチはもがいている。
だがドラゴリーは、無情にもそんなムルチの左腕と肩を掴み……その怪力で、一気に左腕をもぎ取った
鮮血を噴出しながら、ムルチがもがき苦しむ。
しかしそれでも、まだドラゴリーの攻撃は終わらない。
今度は右腕と肩を掴み、そして勢いよく右腕をもぎ取った。
ドラゴリーは、ムルチを徹底的に八つ裂きにしようとしているのだ。
ムルチが悲痛な叫び声を上げる。
それが癪に触ったのだろうか、ドラゴリーはムルチの嘴を掴んだ。
そして……両手で一気に開き上げ、そのまま顔面を真っ二つにしたのだ。
ムルチの泣き声が止む……絶命したのだ。
「っ!!」
あまりの酷さに、つい動きを止めてしまっていたが……そんな場合じゃない。
寧ろ、敵の注意がそれている今は最大の攻撃のチャンスである。
アルフはすぐに飛び出し、全速力でドラゴリーへと向かった。
魔力を乗せた拳を、その後頭部へと全力で叩き込む。
流石にドラゴリーも、この奇襲には反応できなかった。
少しよろけ、地面に倒れそうになる……が。
「キシャアアァァァァッ!!」
そう簡単には、倒れてはくれない。
ドラゴリーは踏ん張ると、振り向き、その鋭い目でアルフを睨みつけた。
強い殺意に満ちているのが、一目で分かる。
この超獣は、ムルチよりも遥かに危険。
即座にその事実を、アルフは理解する事が出来た。
「……どうやら、最初に来た奴ほど甘くはないみたいだね……!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
すみません、規制をくらってしまいました……(汗)
残りは、明日の朝に投げます。
多分8時頃にいけると思いますので。
その時もし投下できなかったら、午後5時辺りになります……申し訳ございません。
投下乙です。
沸いては倒されてゆく怪獣哀れ。
いつものことか
「どうして、連絡が……」
「なのはちゃん、くる!!」
「あ、はい!!」
同時刻。
なのはとメビウスの前にも、ヤプールから送り込まれた刺客が現れた。
レッドキングが出現したのと同じ、火山の麓。
そこから唸りを上げ、その怪獣は現れた。
その姿を見て、メビウスは思わず声を上げてしまった。
現れたのは、ウルトラ兄弟最強と詠われた二大戦士、タロウとゾフィーを一度は葬り去った大怪獣。
メビウス自身も、かつて深手を負わされてしまった、最大の強敵が一匹―――火山怪鳥バードン。
レッドキングとは……格が違いすぎる。
「そんな……!!
レッドキングの次は、バードン!?」
「キュオオオォォン!!」
バードンは高らかに泣き声を上げると、その場で強く羽ばたいた。
強烈な突風が巻き起こり、周囲の木々が次々に吹き飛ばされていく。
バードンの羽ばたきは、民家を一つ破壊する程の威力がある。
なのはとメビウスは、とっさに防御を固めるが……踏ん張りきれない。
「セヤァァッ!?」
「キャアァァァッ!!」
二人は突風に煽られ、後方へと吹き飛ばされてしまった。
特に、バードンとのサイズの差があるなのはの方は、100m以上吹き飛ばされてしまっている。
そうなると、攻撃対象が近くにいるメビウスの方となるのは必然。
バードンは大きく翼を広げ、メビウス目掛けて飛びながら迫ってきた。
その巨体からは想像がつかないほどの、とてつもない速さ。
とっさにメビウスはメビウスディフェンスサークルを展開して、バードンの嘴を受け止める。
嘴による一撃だけは、絶対に受けてはならない。
その恐ろしさがどれ程のものか、メビウスは身をもって味わった経験があった。
メビウスはすぐに間合いを離して、光弾をバードンへと放つ。
しかしバードンは、それを翼で弾き飛ばした。
そしてそのままの勢いで、メビウスに翼を叩きつける。
「グゥッ!?」
「キュオオオォォン!!」
「ミライさん!!
レイジングハート、カートリッジロー……!?」
『Master!?』
「なのはちゃん……!?」
まともに胴体に打ち込まれ、メビウスが怯む。
それを見たなのはは、すぐさま助けに入ろうと、カートリッジをロードしようとした。
だが、その瞬間……異常は起きた。
なのはが胸元を押さえ、急に苦しみ始めたのだ。
顔色は悪く、汗も酷く流れ出ている……全身の震えも止まらない。
レイジングハートは、一体彼女に何が起こったのか、まるで分からなかったが……数秒して、事態を把握した。
よく見てみると、バードンの周囲の木々が枯れはじめているのだ。
『まさか……この生物は……!?』
「なのはちゃん、急いで地球に戻って!!
バードンは、体内に猛毒を持ってる……このままじゃ危険だ!!」
「毒……!?」
バードンはその体内に、強力な毒素を持っている。
それが先程の羽ばたきによって、微量ながらも散布されてしまっていた。
なのはは運悪く、それを吸い込んでしまっていたのだ。
メビウスが嘴による攻撃を恐れていたのも、ここにあった。
万が一、刺されてしまった場合……直接毒素を注入されてしまうからだ。
このままでは命に関わりかねないと、すぐに撤退するようメビウスはなのはに促した。
彼女をこのまま戦わせるのは危険すぎる……バードンは、自分一人で倒さなければならない。
幸い、メビウスは空気中の毒素の影響は受けてはいない。
戦うことは十分可能……すぐに向き直り、構えを取る。
「セヤァッ!!」
「キュオオオォォン!!」
メビウスはバードンの胴体へと、蹴りを打ち込む。
バードンは少しばかり怯むも、すぐに持ち直して反撃に移った。
怒涛の勢いで繰り出される、翼による殴打の連打。
メビウスは防御を固め、反撃の隙をうかがった。
そして、その時はすぐに来た。
バードンが大きく振り被って、翼を打ち下ろしにかかる。
その一瞬の隙を狙い、メビウスは前転。
バードンの背後に回り込んで、一気に仕掛けにかかった。
「セヤァァァァッ!!」
メビウスブレスのエネルギーを開放し、拳に纏わせる。
必殺の拳―――ライトニングカウンター・ゼロ。
メビウスは勢いよく、全力でその一撃を背後から叩き込んだ。
直撃を受けたバードンは、呻き声を上げて地面に倒れ……
「キュオオオン!!」
こまない。
とっさに地面へと両手をつけ、ギリギリのところで踏ん張っていたのだ。
その後、地面を蹴ってそのまま跳躍。
メビウスとは逆方向―――なのはのいる方へと、接近していったのだ。
肝心のなのはは、魔方陣を展開して撤退寸前だった。
しかし……この強襲を前にして、それを中断せざるを得なくなる。
とっさに、バードンを迎撃しようとするが……
「っ……!!」
視界が霞んで、狙いが定まらない。
毒の影響が、予想以上に響いていたのだ。
ならば先程レッドキングに仕掛けた時のように、ディバインバスターでいくのみである。
なのはは気力を振り絞り、魔力を収束させる。
「ディバイン……バスタアアァァァァッ!!」
魔法光が放たれ、真っ直ぐにバードンへと向かう。
だが……その威力が、先程に比べて弱い。
毒による消耗のせいで、完全に力を出し切る事が出来なかったのだ。
バードンは迫り来る光に対し、口を開き高温の火炎を吐き出した。
ディバインバスターが、相殺されてしまう。
そのままバードンは、なのはへと接近……嘴を突きたてようとした。
なのはは、とっさに目を閉じてしまう。
しかし……その瞬間だった。
「グッ……!?」
「!!
ミライさん!!」
なのはをかばって、メビウスがその一撃を受けてしまっていた。
深々と、バードンの嘴が肩に突き刺さってしまっていたのだ。
メビウスはすぐにバードンへと拳を打ち込み引き離すも、その場に膝をついてしまう。
これで彼の体内にも、毒が回ってしまった。
胸のカラータイマーが赤色へと変化し、音を立てて点滅し始める。
バードンはその様を見ると、高らかに鳴き声を上げる。
それはまるで、己の勝ちを確信し、嘲笑うかのようであった。
そして、トドメを刺すべくバードンが動く。
大きく口を開き、二人目掛けて火炎を噴出した。
(まずい、このままじゃ……!!)
せめて……なのはちゃんだけでも……!!)
障壁の展開は間に合わない。
自分の体を盾にして、炎からなのはを守るしかない。
重傷を負うのは確実……最悪死ぬかもしれないだろうが、それ以外に方法は無かった。
メビウスは、迫り来る炎を前にして覚悟を決めた。
なのははそんなメビウスを見て、力を出し切れなかった己を呪った。
何とかして、メビウスを―――ミライを助けたい。
なのはとメビウスと。
二人が、互いを思い強く願った……その時だった。
祈りは通じた―――奇跡は起こった。
ドゴォォォンッ!!
「えっ!?」
上空から、二人とバードンとの間に赤く輝く光の玉が落ちてきた。
その玉が丁度、火炎から二人を守る盾の役割を果す。
なのははこの予想外の自体を前に、ただ驚くしかなかった。
しかし……メビウスは違った。
彼は、この光の玉に見覚えがあった。
やがて光は消え、玉の中から何者かが姿を現した。
メビウスと同じ大きさをした、銀色の巨人。
その胸に輝くは、六対の球体―――スターマーク。
そしてその中央には、蒼く輝くカラータイマー。
「兄さん……ゾフィー兄さん!!」
「ようやく会えたな……メビウス。」
ウルトラ兄弟を束ねる長兄―――ゾフィー。
予想していなかった、しかしこの上なく心強い増援を前にして、メビウスは思わず声を上げた。
ゾフィーはそのままバードンに蹴りかかり、その巨体を吹っ飛ばす。
その後、大きく首を振るい、己の頭で燃え盛っていた炎を消す。
どうやら先程火炎を受けた影響により、燃えてしまっていたらしい。
ゾフィーはなのはとメビウスへと振り向くと、掌をカラータイマーへと一度乗せた後、二人に向けた。
そこから、エメラルド色に輝く光が二人へと放たれる。
「あ……体が、楽に……!!」
なのはは、己の体が軽くなるのを感じた……毒が抜けたのだ。
それはメビウスも同様であり、そのカラータイマーは青色に回復している。
ゾフィーが、己のエネルギーを二人へと分け与えたのだ。
二人は立ち直り、そして構えを取った。
「メビウス、そして地球の者よ。
ここまで、よく頑張ったな……もう一息だ。
力を合わせて、バードンを倒すぞ!!」
「はい!!」
圧倒的不利かと思われていた形勢は、一気に逆転した。
ウルトラマンメビウス、高町なのは、ゾフィー。
今……三人の、反撃の狼煙が上がる。
以上、投下終了しました。
ドラゴリーとムルチ、バードンの三怪獣。
そして、我等が長男ゾフィー兄さんがついに登場です。
とりあえずこの組み合わせのお約束として、ムルチの八つ裂きとミスターファイヤーヘッドをやらせていただきました。
特に後者……バードン相手に頭を燃やさないゾフィーなんて、ゾフィーじゃねぇよ。
ちなみに、アルフvsドラゴリーの方にも増援ウルトラマンがきてます。
青色をした、あのお方です。
GJ!
でもレッドキングって体重2万トンですよね…?
あとやっぱ同じ巨体同士での戦いの方が燃えるなあ。
等身大のなのはだとちょこまか動いてるだけになるし、なのはの攻撃でレッドキングがやられるのはちょっと哀しい・・・
GJ!
しかし折角のリベンジマッチなんだし無理に燃やさんでも…
そこだけ今から萎えてる俺。
でもって次は青いウルトラマン…ジュネッスブルーか!
253 :
ネオシャドームーン:2007/11/09(金) 12:35:48 ID:eN+QmVy6
違うよ。 ウルトラマンメビウスに出てくる青いウルトラマンっていえば
ウルトラマンヒカリに決まってんじゃん。
お前はいい加減sageろ
GJ。
怪獣<魔法少女<超獣ってな感じの構図なのね。
これでゾフィーとヒカリが来ると怪獣が可哀想な気がするぜ。
ヴォルケンリッターにもウルトラマンが来ないとバランスが崩れますね。
ダイナ関係ならティガかな。
ガイアの劇場版であった時空を超えるのならガイアとアグルもこれそうですが。
>>255 怪獣<魔法少女<超獣<<<<超獣を超えた怪獣が正解です。
ホント魔法少女が相手でも頑張ってくださいよ、怪獣の皆さん……なんか辛くなってくる。
では怪獣を強化するプランを考えようか
500匹ほどで一気に攻め込む
数的に強化ってことで
>>259 ただ数だけ出しても燃えないし雑魚化が進むだけだな。
そういうのはウルトラ的にゾイガーやビシやインぺライザー等の同種が大量にいる存在であって、
脅威としての演出があるからこそ成り立つのだ。
>>258 毒が効いてたから、ここはギエロン星獣とかケムラーにでも来てもらえればイケる。
怪獣に魔法を使わせるとか
いっそ怪獣と魔法少女を合成した超獣を創るとか
それもう怪獣じゃないやん
想像以上の事態になっててビックリ。
やっぱり、怪獣の強さって考えものっすね……
うまいことバランス取るの、思ったより難しいと実感しました。
とりあえず、今後のSSからはより慎重になるつもりではいます。
それでもやっぱり問題は出てきてしまうとは思うので、批判飛ぶのは覚悟の上です。
でも、どんな事態になろうとも、完結だけは絶対にすることを約束します。
PS.現在の今後登場確定怪獣
バキシム
改造レッドキング(FERより)
ギラス兄弟
シルバーブルーメ
Uキラーザウルス
シルバーブルーメくるのか
さーて何が食われるのかな
>>264 ギラス兄弟、あのスピンが見れるのか
この際レッドキングとかは日本個体じゃなく、アメリカの亜種でどうだろう?・・・・ダダを使えばグリッドマンも参加できると思う
>>255-264 ::| _________
::| /________\
::| / ィ ニニニニニ_\
::| ___/;;;;;;;;;:::イ ヽ__
::| ヽミ::::::::::::::::::::::::::::ゞ____/)
::| /ヽ:::::::ヽ《O》`:::::::::::::::::::::::::ノ
::| ":::::::::::::::::::(:::::ヽ:::::::::::::::::::::ノ
::| 1:::::::_::::::::< ( 1 ノ"V""|V""V"
::| /::::::::/ /_\\レ /} そこで俺様の出番だぜ!
::| /:::::::/ / ___\\イ /} え?「お前ヤプール配下じゃないだろ?」
::| /:::::::/ /_____\\イ /} ナックル様がまた騙されて貸したって形でできるだろ
::| /:::::::/ /_______\ニニ
::| /:::::::/ /________\
::|/:::::::/ /_________/
黒王はお帰りください
ゼットンとか強いよ。
カオスヘッダーを出せば怪獣強くなるよ。
ウルトラマンになれたんだから、なのは達にもなれそうだし、あれは強い。
個人的にはブルトンを出して欲しい所
怪獣では超獣には勝てないと聞いたが、じゃあゴジラでは超獣には勝てないのか?
>>271 タロウの怪獣は「怪獣より強い超獣より強い怪獣」だった
よって怪獣のゴジラの方が強くてもあんまり問題は無い
と言うわけでなのはFinalWarsとか
「やっぱナベばっかり作ってるやつはダメだな」
何故だ!何故誰もバルタン星人襲来を希望しない!?
>>265 というか誰の誕生日パーティを襲うかだ。
>>271 作品が違うのに、どうやったらそう思えるんだ?
ジャミラ登場を願う俺は異端だろうか?
ではツイフォンを所望してみる。
無論、超闘士版で
>>277 じゃあ、ヤプールが二段変身するわけですね?
>>273 ディバインバスターをスペルゲン反射板で跳ね返す。
ウルトラマンで必殺技が効かない敵が現れるのはお約束だし。
>>279 素の装甲でスペシウム光線に楽々耐えたウルトラマンのアントラーはすげえよな。
メフィラスは?
職人の皆様GJです。
さて、ではシャイニング・ウィンドクロスSS1話、
何事もなければ投下してよろしいでしょうか?
ダブル☆支援
いいとも〜♪
進路クリアー、発進どうぞ!
第1話「心の剣と魔法の世界」
暗闇の中、木々の繁る森の中を歩く3人がいた。
「なぁ…俺達、学校の光風館があった場所に飛んだはずだよな…?」
先頭を歩くキリヤが、背後の2人の少女に尋ねた。
「アンタ、ここのどこが校内の敷地に見えるって言うのよ!?」
苛立たしげにショートヘアーの少女が叫ぶ。
彼女の名はシーナ・カノン。キリヤの気の強い幼馴染みだ。
持ち前の明るさと強引さで、幼い頃からキリヤを引っ張り回していた。
「まぁ、それもそうだけど…それならここはどこさ?」
「分かるわけないじゃない!」
「はいはい…」
自慢にもならないことを堂々と断言され、キリヤは脱力感を覚える。
「そういえば…光風館はどうなったのかしら?」
最後の1人である、ロングヘアーの少女が言った。
クレハ・トウカ。キリヤ達とは生徒会の仲間だ。理事長の孫娘で、実家の神社で巫女をやっている。
学校内でも評判になるほどの美人で、容姿に似合った優しく落ち着いた性格をしていた。
「あ、そうだよな…光風館はどこに行ったんだろ?」
光風館とは、彼らが在籍する「聖ルミナス学園」に存在した、生徒会室があった建物だ。
キリヤとシーナは、リーベリアへはその建物ごと飛ばされたのである(ちなみに、クレハはソウマと一緒に飛ばされていた)。
「光風館は光風館で、ちゃんとした場所に飛んだんじゃないの?」
「つまり私達は、途中で振り落とされた…ってこと?」
「そんなことあるのか?」
「仮定の話をしてるの!」
シーナがそう言って、そこで会話が途切れた。
何故自分達が飛ばされた地点に光風館がなかったのか、という疑問の答えは出ず終いだった。
そもそも光風館には、キリヤ達の空間転移を引き起こした「桜の霊樹」がある。
それなくして自分達があの場に降りたのは奇妙な話だった。
「…で、結局ここはどこなのよ?」
不機嫌そうに切り出したのは、やっぱりシーナだ。
「ひょっとして、玄武の森かしら?」
「考えられるとしたらそれくらいだよなぁ…」
実家の神社がある森の名前をクレハが出し、キリヤが肯定する。
しかしまさか彼らも、ここがエンディアスとも地球とも異なる世界だとは思うまい。
と、そんなやりとりの最中、不意にキリヤがその足を止めた。
「どうしたのよキリヤ?」
「しっ」
身を乗り出すシーナを片腕で制すと、キリヤは再び慎重に歩き出す。
この先に何かがいる。
微かな音を聞き取ったキリヤは、そう判断したのだ。
いくらここが元いた地球と言えども(もっとも、実際にはミッドチルダなのだが)、
こんな夜更けに森の中をうろついているようなものは、人であれ獣であれ、警戒すべき存在だ。
目の前の茂みから、そっと顔を出す。
そこは比較的開けた場所になっていた。そして、その真ん中に陣取っていたのは…
「なっ!?」
闇だった。暗い、ではない、黒い闇。
完全に真っ黒な闇が、空間に割れたガラスのように生じていた穴から顔を出していた。
「そんな…俺達の世界にもカオスゲートが!?」
驚愕も露わにキリヤが叫んだ。後ろのシーナとクレハも同様の表情となる。
と、彼らがカオスゲートと呼んだ穴から、ひょいと飛び出してきた影があった。
褐色の小さな身体に、大きな斧。鬼のような醜悪な顔は、まさしくおとぎ話のゴブリンかと。
「やっぱり、闇の妖魔か…!」
一方この時、ようやくメンバーの集合が完了したフォワード部隊は、森の中を目標地点目掛けて移動していた。
「ふぁ…あ〜…」
「不謹慎よ、スバル」
先頭を進むスバルが大口を開けてあくびをすると、背後のティアナがそれを諌めた。
「それにしても、わざわざこんな時間に転移してきやがるとはな」
こっちの都合も考えろってんだ、と、スバルの半歩後ろにつくヴィータが悪態をつく。
「そのことなんだけど…ひょっとしたら、何かのトラブルがあったのかもしれないよ」
最後尾のなのはが言う。今回駆り出されたのは、彼女らスターズの面々だ。
夜に弱い子供を2人抱えているライトニングと比較すると、スターズの方が都合がよかった。
「連中の転移中にか? ったく…既にこっちがトラブルの被害者だっての」
安眠を妨害されたヴィータはご機嫌斜めだ。スバル達部下の前だというのに大人げない。
これならまだあくびしてるだけのスバルの方が優等生かな…と、なのはは内心で苦笑した。
現在この森には、正体不明の次元ホール――無論、カオスゲートのことである――が口を開けていた。
悪性のエネルギーと、いわゆるモンスターを発生させるということで、
対応に当たる者以外、この森は全面的に侵入禁止となっていたのだ。
そして、同様の現象は、現在ミッドチルダ全域で発生していた。
対応に追われているのか、あのジェイル・スカリエッティですら目立った行動を見せていない…それが今のミッドチルダだ。
「ウオーッ!」
キリヤ達の姿を認めた3匹のゴブリン達が、得物を構えて飛びかかってくる。
さすがに戦い慣れたキリヤ達だけあり、即座にその場から飛び退いて間合いを取った。
「シーナ!」
「分かったわ! …あっ」
そのままキリヤはいつもの癖で心剣を手に取ろうとし、シーナもいつもの癖で心剣を出そうとする。
だが、気付くのには一瞬あれば十分だった。
ここは、彼らの認識からすれば地球のはずである。心剣を引き抜くことは、ここでは不可能だ。
しかし…
「っ!?」
「ええっ!?」
シーナの胸元から、空間に真紅の魔法陣が展開される。その中心に姿を現したのは、複雑な表面構造をした握り手。
「心剣が…」
「出せちゃった…」
予期せぬ事態に2人は戸惑いも露わな声を上げるが、そのままでいるわけにもいかない。
起きたことは起きたこととして受け止めると、キリヤは迷うことなくその手を伸ばした。
握り手を掴み、それをシーナの胸から一気に引き抜く。
見事な1振りの剣が顕現した。
透き通っているかのような両刃の刀身は、神秘的な赤い光を放つ。
神々しささえ漂うその姿は、さながら神話の武具のように輝いた。
「砲剣ブレイドカノン」。
シーナの熱い情熱が結晶化した、真紅の炎の心剣。
キリヤはエンディアスではないこの地で、それを抜くことに成功してしまったのだ。
ゴブリンの1匹がそこへ襲いかかった。
「せいっ!」
褐色の小鬼の斧が届くよりも早く、赤い閃光がその胴を両断する。
続けてキリヤは、ブレイドカノンで虚空を薙いだ。
その切っ先から5つの炎弾が放たれ、残り2匹のゴブリンの胸を撃ち、一撃の元に絶命させた。
砲剣――カノンの名を持つ所以である。
心剣には、1つ1つに特殊な能力が備わっていた。
このブレイドカノンの能力は、炎の弾丸を撃ち出す射撃能力である。
「本当に抜けた…」
3匹の敵を屠った後で、ようやくキリヤは怪訝そうな表情を戻した。
「心剣って、こっちでも使えるのね」
「そんなことより! 今は何でカオスゲートがこっちにあるかってのが先よ!」
「いや、どうやらそれよりも先に気にしなきゃいけないことがあるらしい」
支援
キリヤがブレイドカノンを構え直す。
見ると、周囲の茂みから、先ほどのと同じゴブリンが続々と姿を現していた。
「あのカオスゲート…もう開いてから結構経ってるみたいね」
5匹に増えたゴブリンを見て、クレハが言った。
恐らく、それらは既にカオスゲートから出た後のゴブリンなのだろう。
「よーし…キリヤ、アンタ1人で全部片付けなさい!」
「そ、そりゃまた何でだよ」
「今のアンタなら、普通のゴブリンぐらいわけないでしょ」
確かに、リーベリアの激戦の中で、キリヤは数多くの敵と戦ってきた。
それこそ、ゴブリンなどはその中でも戦闘力は極めて低い、ただの雑兵である。
「それはシーナ達も同じなはずなんだけどな…分かったよ」
渋々承諾すると、キリヤはゴブリンの1匹へブレイドカノンを向ける。
先ほどの炎弾が、今度は散弾ではなく、一方向への連弾として撃ち出された。
スキル・マシンガンショットによって放たれた弾は計6発。当然ゴブリンなど敵ではない。
妖魔達は遠距離戦闘では勝ち目がないことを悟り、強引に接近戦へ持ち込もうとダッシュする。
それを許すキリヤではなかった。
先ほど2匹のゴブリンを仕留めたスキル・ショットガンエッジの散弾を放ち、3匹のゴブリンを炎で焦がす。
射線上から外れていたゴブリンは、これを好機と見て、斧を振り上げ飛びかかった。
その瞬間、キリヤが腰の短剣を抜く。
「グワッ」
ゴブリン達は空中で静止した。
一方はブレイドカノン、もう一方は短剣を眉間に突き立てられた姿勢で絶命し、そのまま投げ捨てられた。
「キリヤ君、後ろ!」
「っ!」
クレハの警告を聞き、キリヤは反射的にブレイドカノンを振るった。
断ち斬られたのは、今までいなかったはずの、6匹目のゴブリン。
辺りを見回すと、戦闘の騒ぎを聞きつけたのか、無数のゴブリンが集まっていた。その数、実に30。
更にカオスゲートからも、少しずつ新たなゴブリン達が現れる。
「さすがにこの数は体力がもたないな…」
辺り一面をゴブリンに囲まれ、キリヤは額に冷や汗を浮かべる。
「…シーナ、クレハ、あまりカッコいいとは思えないけど、援護を頼む!」
「あんまり期待されても困るわよ。こっちは力が使えないみたいだから」
「私の霊力も、元に戻ってるみたい」
シーナがレイピアを、クレハが弓を構えながら言った。
地球の人間は、エンディアスでは本来よりも強い力を発揮できる。
心剣士の力も、あくまでその中の1つだ。
リーベリアの戦いで、シーナは炎の剣を巧みに操り、クレハは聖なる矢で敵を射抜いてきた。
元々シーナ達のポテンシャルはかなり高かったが、それでもその素性は戦争とは無縁の高校生に過ぎない。
少なくとも、彼女らが百戦錬磨の手練れ達と戦ってこれた一因が、その力にあったのは確かだった。
だが、それらの力も、エンディアスを離れたことで失われてしまった。
シーナの剣に炎は宿らず、クレハが戦闘で発揮できる霊力も地球でのレベルに戻っている。
どうやらその力の持続は、心剣士の力が例外だったらしい。
「ゴブリンくらいなら、それでもまだ余裕だろ?」
「まあ、それもそうだけど…攻撃の主軸はアンタになるわよ、ってこと」
「気をつけてね、2人とも」
最後のクレハの言葉に2人が頷き、全員が武器を構え直す。
「ウオーッ!」
徒党を組んだゴブリン達が、一斉に襲いかかった。
ブレイドカノン=マシンガン支援
その時、うち5匹のゴブリンが飛び上がった高度から落下した。
見ると、頭を何か鉄球のようなもので撃ち抜かれている。
更に、追い討ちをかけるかのようにピンクの光がはしり、3匹のゴブリンを蒸発させる。
「!?」
キリヤ達が驚いている間に、光の放たれた方から、4つの人影が姿を現した。
「ふぅ…ギリギリ間に合ったね」
「おめーらだな、こんな夜中に飛んできやがったのは!? おかげでせっかくの
安眠が台無しじゃねーか!」
なのは率いるスターズの面々だ。まさにグッドタイミングと言えよう。
「まあまあヴィータちゃん、落ち着いて。…私達は、時空管理局機動六課の前線フォワード部隊・スターズ分隊です」
なのははヴィータをなだめると、キリヤ達に向かって呼びかける。
「このモンスター達は私達が殲滅します。後は下がってください」
「あ…どうも…」
突然の乱入者に、キリヤは戸惑いがちに答える。
「ご心配なく、あたし達もちゃんと戦えるわ。コイツらとは今までずっと戦ってきたんだもの!」
「…どうやら、後で詳しく話を聞かせてもらう必要があるみたいだね…じゃあ、くれぐれも気を付けて」
自分達も未だ正体を掴み切れてない相手のことをよく知っているというシーナの
発言に興味を持ったなのはは、ひとまず戦闘への参加を許可する。
「…いくよ、みんな!」
「「はいっ!」」
「おっしゃ!」
彼女の号令と共に、スターズメンバーは一斉に攻撃を仕掛けた。
先陣を切るスバルとヴィータが敵陣に穴を開け、後方からなのはとティアナが支援する。
「…どうする、キリヤ君?」
正体不明の援軍を前に、クレハがキリヤへと尋ねた。
時空管理局なんて組織は過去に聞いた覚えがない。おまけに、その戦闘力も戦い方も地球の基準では常識はずれときた。
警戒するなというのが無理な話だった。
「まぁ何にせよ、今は大人しく手伝ってもらおう。…それに、これだけの援護があるなら、俺も斬り込んでいけるしな」
言うと、キリヤは手にしたブレイドカノンを消失させ、クレハへと向き直る。
「クレハ、頼む!」
「うん、分かった」
キリヤの手がクレハに向けてかざされた。ブレイドカノンが抜けたのだから、「こちら」も可能なはずだ。
そして、新たな心剣が姿を現す。
「うわっ! ちょ…ちょっとティア、あれっ!」
偶然そちらを見ていたスバルが相棒の名を呼んだ。
呼ばれたティアナもまた、その光景に目を丸くする。
「人から剣が…!?」
キリヤが新たに抜き放った心剣は、太陽のように眩い黄色の光を放つ。
刀身はブレイドカノンよりもやや長い。斬撃――剣の本来の使い方に重きを置いた姿だ。
「霊剣日輪烈光」。
それが、クレハの暖かな心をかたどった心剣の名前だった。
「うおおおおっ!」
キリヤは猛然と敵陣目掛けて突っ込んだ。
乱戦では、直線的な銃撃よりも、複数の相手を巻き込める斬撃の方が有利だ。
目の前のゴブリン相手に、目にも止まらぬ速さで剣を振るう。
スキル・神速連斬の素早い太刀筋が、一瞬で4匹のゴブリンを蹴散らす。
更に日輪烈光が光を放つと、キリヤを中心に複数の分身が生まれ、周囲の敵を斬り刻んだ。
「ふーん…まあまあやるじゃん」
自分たち魔導師と互角の戦いぶりを見せるキリヤを、ヴィータはそう評した。
少なくとも、攻撃能力を有した幻術は、初めて見るものだった。
日輪烈光の能力は、相手の視覚を惑わす力だ。
目で追えないほどの剣速を生む神速連斬に、残像で敵を斬る霊光演舞斬。
それらが日輪烈光の武器だった。
数分後、全てのゴブリンが撃破され、戦闘は終了した。
「さて…後はこれを閉じないとな」
一息つくと、キリヤは空間に口を開いたカオスゲートに向き直る。
「あ、それは危ないから近寄らない方が…」
「…ふんっ!」
ティアナの制止の声が終わるよりも早く、キリヤは日輪烈光をカオスゲートに突き立てる。
次元の門は黒い煙を上げながら、ゆっくりと消失した。
そしてその様子を唖然として見つめるスターズの面々。何とか我に返ったなのはが口を開いた。
「驚いた…私達でも、それを消すのには時間がかかるのに」
管理局の技術をもってしても、カオスゲートの除去には数日を要する。
そして他の場所にも手を回す必要があったので、比較的規模の小さかったここのカオスゲートは野放しとなっていたのだ。
「助けてくれて、ありがとうこざいます」
キリヤは振り返ると、なのは達に礼を言う。
「貴方達は?」
「俺はキリヤ・カイト。こっちはシーナと、クレハです」
誰何の声に、キリヤは正直に答えた。
そして一瞬ためらいのような素振りを見せた後、覚悟を決めて口を開く。
「信じてもらえないでしょうけど…異世界から帰ってきました」
「えっ? じゃあ貴方達はこのミッドチルダの人なの?」
「え…ミッドチルダ? ここ、地球じゃないんですか?」
「地球? 貴方達、私と同じ世界の人だったんだ」
「は? ここ…地球じゃないんですよね…?」
さっぱり会話が噛み合わない。
その後、スターズの必死の説明によって、キリヤ達は状況を理解した。
まず、ここがミッドチルダという、地球ともエンディアスとも異なる世界だということ。
このミッドチルダでは、時空間を移動する手段がかなり発達していること。
エンディアスと同じく魔法が存在しており、更に、その技術が自分達が知るものよりもずっと洗練されていること。
エンディアスでの経験によって次元世界の存在は把握していただけあり、一度話を掴んでからの理解は早かった。
キリヤ達はひとまず管理局の保護下に入ることとなり、機動六課の施設で一晩を過ごした。
そして翌日。
キリヤ、シーナ、クレハの3人は、はやての隊長室へと案内された。
そこには、夕べいなかった人間も何人かいる。今回は、フォワードの全員が集まっていた。
「私が機動六課の責任者やってる、八神はやてや」
よろしゅうな、とはやてが手を差し出す。
「キリヤ・カイト。キリヤでいいです」
そう言って、キリヤがその手を握り返す。
「あたしはシーナ・カノンよ。よろしくね、はやてさん」
「クレハ・トウカです」
それにならい、シーナ達も自分の名前を名乗る。
3人が着ていたのは、夕べのエンディアスの服ではなく、地球での学生服だ。
あの中世騎士風の装束や和服では浮いてしまうので、こちらを着ることにした。
「キリヤ君にシーナちゃん、クレハちゃんか…シーナちゃんは、ウチのフェイトちゃんに声がよう似とるね」
「え…そうかな?」
急に名前を出され、後ろのフェイトが戸惑った様子で言った。
「お若いんですね、八神さん」
「あはは…恥ずかしい話やけど、まだまだ指揮官としてはペーペーの新米やから、毎日色々大変なんよ」
「あ、ごめんなさい…そんなつもりで言ったんじゃ…」
「ええよええよ。私が勝手に話しただけやしな。…さてと、んじゃ本題に入ろか」
はやては姿勢を正すと、来客用のソファーを勧めた。
キリヤ達は彼女の厚意に甘えることにし、ソファーへと腰かける。
支援!
これ以上やったら心が折れてしまうな支援
「君ら、あの次元の歪みについて色々詳しそうやけど…よかったら聞かせてくれんかな?」
はやての問いかけに対し、一瞬言葉を組み立てる間を置いて、キリヤが答える。
「はい…あれは、俺達の飛ばされた世界・エンディアスでは、カオスゲートと呼ばれていたものです」
エンディアスという名称を聞いたはやては、隣のリインへ目配せをする。
リインは小さな身体で端末を操ると、モニターにデータを呼び出した。
「夢幻大陸エンディアス。
人間、獣人族、エルフ族、そして少数のドワーフ族で構成された世界で、第102管理外世界として登録されています。
多次元世界概念の理解や魔法技術の保有など、管理対象の条件をいくつか満たしていますが、
文明レベルの兼ね合いから、管理対象登録を見送られていますね」
文明レベルの低さは、キリヤ達も理解している。エンディアスは、地球でいう中世時代の文化水準だった。
「カオスゲートは闇の世界と繋がっていて、
負のエネルギーによる大地の汚染の要因となります」
「向こう側から、闇の妖魔っていう化け物が出てきたりもするわ」
「成る程…その辺は私らも把握してる。つまり、今の理解で問題ないってことやね?」
「多分。そして…」
キリヤは立ち上がると、隣に立ったシーナの胸に手をかざし、彼女の心剣・ブレイドカノンを引き抜く。
「うわぁ…」
エリオが感嘆の声を漏らした。その光景に他の面々も驚き、あのシグナムさえも
目を見開く。
「この心剣には、カオスゲートを封印する効力があるんです」
「ほぉう…」
はやては物珍しそうに、まじまじと心剣を見つめた。
「それ自体の戦闘能力も、かなりのもんって聞いとるけど?」
「おう。パッと見で陸戦Bランクはあるかな」
はやての質問にはヴィータが答えた。
「そっか…」
「本人の動きもよく出来上がってる。そこそこに修羅場くぐってる感じだ」
「修羅場…よかったらでええんやけど、そのエンディアスでのこと、教えてくれへんかな?」
はやてはキリヤ達に対して、個人的に興味を持っていた。
それは他の者達も同じだ。
地球から異世界へと飛ばされたこの少年達は、そこでどのような経験をしたのだろうか。
「分かりました」
キリヤは語る。
獣人の国セイランとの戦い。
ベイルガルドの機械化部隊との激戦。
リーベリアそのものを包むほどの氷の結界。
闇の勢力からのリーベリア奪還作戦。
そして、闇に染まった古代の究極兵器「神器」との最終決戦。
その場にいた者全てが、彼らの話に聞き入っていた。
キリヤ達は、10年前のなのは達にも負けず劣らずの戦いをくぐり抜けてきたのだ。
「はー…大したもんやなぁ」
すっかり感心しきった様子ではやてが言った。
世界の存亡を決する戦いなど、そう何度も何度も起こるとは思っておらず、
そんなことは、最近ではせいぜいなのは達が経験した戦いぐらいのものだろうと思っていたからだ。
「それに神器…まさか、ロストロギアが絡んでいたなんてね」
「あ〜不覚やったなぁ…これじゃ職務怠慢やないの」
フェイトの言葉に、苦々しげにはやてが顔を押さえる。
後から説明されたことだが、ちょうど闇の神器エルファーレンが起動した頃、
原因不明の空間の歪みにより(無論、カオスゲートが原因である)、エンディアスへのアクセスが不可能となっていたそうだ。
管理局はそれを「無闇に首を突っ込んでは面倒だから」という理由だけで、静観の姿勢を取ったのである。
その後、はやてはしばらく黙り込んで何かを考え、そして口を開いた。
「…なら、十分信用はできるかな」
「信用?」
言葉の意味が分からず、ソファーに座り直したシーナが聞き返す。
はやては先ほどまでのにこやかな表情を一変させ、真剣な面持ちとなった。
「…キリヤ君、シーナちゃん、クレハちゃん…君らを地球に帰すことは、当然今日中にもできる。
でもな…ちょっと君らに、頼みたいことがあるんよ」
「頼みたいこと?」
今度はキリヤがおうむ返しに尋ねた。
それから一拍の間を置いて、はやては続ける。
「知っての通り、このミッドチルダにはたくさんの次元ホール――カオスゲートが出現しとる。
その全部を私ら管理局だけで処理するには、あまりに時間がかかりすぎるんや。
もちろん、キリヤ君達にも、自分達の都合があるんは分かる。せやけど、もしよかったら…」
はやての真摯な眼差しが、キリヤ達を真っ向から見据えた。
「この世界のカオスゲートの除去…手伝ってくれへんやろか?」
重い口を開き、はっきりとそう言った。
はやては見極めていたのだ。カオスゲートを一瞬で封印してみせたキリヤ達が、信用に足る人物なのか否かを。
結果は合格。エンディアスのために身も心も削りながら戦い続けた勇者達ならば、心強い味方となってくれるはずだ。
もちろん、その話がこちらを信用させるための全くの虚言で、
彼らが管理局に取り入って内部から潰すための刺客だったというのも考えられるだろう。
しかし、はやてはそれを否定した。
彼らの言葉には、実際にその場を経験してきた者の重みがある。何よりその瞳が、真実であると語っている。
だからこそ、安心してはやては協力を頼むことができた。そして、それは他の面々も同じだ。
「………」
キリヤ達は一様に口を閉じて黙り込む。
しばらくの間、隊長室に重苦しい沈黙が流れた。
「…分かりました、引き受けます」
そして、その沈黙は、キリヤのそんなあっさりとした言葉で破られた。
「いいのキリヤ、そんな安請け合いしちゃって?」
「この世界には、他に心剣士はいない。なら、これは俺達の仕事だ。
…それに、俺達がこの世界に投げ出されたってことには、きっとそういう意味があると思う」
そう言うと、キリヤははやての方に向いていた顔を、シーナの方へ向けた。
「…そもそもそれ以前に、困ってる人の助けになれるなら、放ってはおけないよ。お前だってそうだろ?」
「…ま、あたしも同感だけど」
ふっと笑みを浮かべ、シーナが答える。
「なら決まりね」
穏やかな笑顔で、クレハが言う。
これで賛成3、反対0。彼らのなすべきことは決定だ。
「カオスゲートの封印…俺達でよければ、手伝わさせてもらいます」
キリヤは再びはやての方を向いて、はっきりと宣言した。
「…ありがとう。もちろん、私らは大歓迎や。これからしばらく、よろしゅうな」
元の笑顔に戻ったはやてが、キリヤ達を迎え入れた。
リーベリアの平和のため、仲間と共に激戦を戦い抜いた心剣士キリヤ・カイト。
彼らの新たな戦いが、この魔法の世界・ミッドチルダで幕を開けた。
というわけで1話うp。…何かまだプロローグって感じだなぁ…
基本キリヤ視点でストーリーが進んでいくので、シャイニングキャラがメインとなる話になります。
今回は色々な解説が必要だったのでキリヤ達ばかりが目立ってしまいましたが、
次回からはバランスが取れていくといいな…と思っております。
オリジナル心剣については、3人分を予定しております。
あまり強すぎてもいけないので、ゲームで動かすことを前提に性能を構想中。攻略本と格闘の日々です。
それでは。
支援します!
GJ!
とりあえず管理局はエンディアスのこと知ってたか。
だが、キリヤや四季会の面々は特別な一族で日頃から鬼や妖みたいな連中と戦ってたんだぜ(前日談の小説より)。
キリヤやシーナが強かったり、モンスターのいる世界でも普通に順応しているのはその御蔭。
キリヤは一族の実験のせいで自分の母親を殺してたりする。
で、ソウマさんのカポエラマダー?
ゼロの立ち位置が気になりすね。
双竜の指輪も立派にロストロギア指定だよね?
キリヤが究極心剣を抜く相手はエリオで決まりだな!
カオスゲートに関する描写は、動かしやすさを考慮してアニメ版準拠となっています。
>>299 小説版はもちろん把握しています。というか持ってます。
確かに彼らの実力や経験はアホかって思えるほどのものがありますが、
「化け物倒せる強さでも、それが何十何百といる戦場で生き残れるか」を考えると…ということで、今回のような構成になりました。
一応強さの位置づけは、キリヤがゲーム版、シーナとクレハが小説版です。
要するにシーナはバーニングハートなどの炎の技は使えませんし、クレハも鎮魂の矢を撃つには御札を必要とするというわけです。
>>300 ゼロは近いうちに本編に登場します。あとはホウメイも出る予定です。
そしてみんなお待ちかねのソウマの兄貴は…まぁ、ゆっくりとお待ちください(ニヤニヤ)。
ちなみに残りのキャラは今のところ出さない予定。
…みんな泣くんじゃない! 乳聖女クララ様の出番を奪ってしまった俺だって、その気持ちは同じなんだ!
パソコン盗られて更新できない・・・もはやいつものことですがorz
携帯からだと字数制限で感想が書ききれませんが、せめてこれだけは言っておきます
職人の皆様方GJです
>>304 ちょ・・・パソコン盗まれたんですか!?
>>303 >アニメ版準拠
シャニティア並の超展開にwktk
DVDの初回限定特典「実録!本当はものすごくツッコミたかった!!」は最高ですよね!
心の剣を解き放て!
>>307 ああ、そういうことかwww
いや、盗られてって書いてあったからそのとおりなのかと思ってしもうたわww
どっかの大学では、研究室のパソコン根こそぎとられたって事件があったな
なんか涼宮ハル○見たいですね。
それはさておき、やっと第五話Aパートの完成のメドが立ったので、
日付が変わる頃にでも投下したいと思います。
今度こそ!EDFはウソをつかない!
311 :
名無し@構想中:2007/11/09(金) 23:06:57 ID:lV9sWuI7
最近になって見始めました
なのはのほのぼのシナリオを見たかった僕としてはなの魂のほのぼの兼ぶっとんだギャグが楽しくて溜まりませんでした
平成ウルトラマンは見てないんですが怪獣達との戦闘は燃えるものを感じました
見てたら楽しそうなので僕も書きたくなってきました
投下してもいいですか?
sageろ
話はそれからだ
いぃぃぃぃぃぃぃぃぃゃゃゃゃゃややややややっっっっっっっっっっっったたたたたたたたぁぁぁ
!!!!!!!
すんげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇまってましたーーーーーー!!!!!
機動六課の役割はキリヤ達の露払いかな?
神剣も便利なゲート閉鎖装置扱いかぁ
技術部での神剣の分析とかもすんのかなぁ
あっちなみにさっきの魂の叫び↑は
>>310にあてたものなんで。
>>311 おせっかいかもしれないが、やり方はmail欄に半角でsageを入力する。
あなたとは趣味が合いそうだ。楽しみにしている。
心剣は心の絆の結晶みたいなもんだからなぁ
赤の他人に弄らせるのはやめた方がいいかも知れん
予定を超えて、俺、参上!
ということで投下おk?
またまた勝手に替え歌載せます。 クレヨンしんちゃんのアニメの中のアニメ
「超電導 カンタム・ロボ」の替え歌 「超魔導師 高町なのは」です。
立て 立て 高町なのは 無敵の魔導師
なのは なのは 高町なのは 不屈の魔導師
悪の手迫る この町に 夢と希望がある限り
未来の平和は壊せない ピンチを砕くその砲撃
どんな無謀も危なくない 君との約束遠くじゃない
立て 立て 高町なのは 平和の魔導師
なのは なのは 高町なのは 優しい魔導師
光る レイジング・ハートエクセリオン
パワー全開の スター・ライトブレイカー
高いビルでもひとっ飛び 誰かの泣き声聞こえたら
誰よりも速いスピードで かならずすぐにやって来る
ピンチの時は眠くない。 訓練の後も終わりじゃない
立て 立て 高町なのは 正義の魔導師
なのは なのは 高町なのは 優しい魔導師
我 々 は 君 を 待 っ て い た
魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――"mission5『無限の欲望』"
――新暦???年 ?月??日 ?時?分 ???――
気が付くと、ストーム1は、果てない『白』の中を歩いていた。
空にも、地面にも、何も無かった。どこまでも、どこまでも『白』かった。
自分以外はなにもない、殺風景な『白』が果てしなく続いていた。
歩いても歩いても、一歩も進んでいないんじゃないかと錯覚をしてしまいそうな『白』。
どれだけ経っても周りの光景はまったく変わらないのだから、そう思ってしまうのも無理は無い。
ストーム1は立ち止まり、自分の体を見下ろした。
死体寸前だった体に傷は無く、体にまとったアーマーも、新品のようにピカピカだ。
持っていたはずの銃はどこにもない。身につけていた爆弾も見当たらない。
痛みはない、疲れも無い、暑さも、寒さも、飢えも、乾きも、眠気も、何も感じない。
なぜここにいるのかと自問すれば、さっきと同じこの表現を使うしかない。
すなわち、『気づいたら既にここにいた』。
ストーム1はぼんやりと思考を張り巡らせる。
今度はちゃんと思い出すことができた。
『星舟』との死闘、暗転する視界、広がる暗闇、傷だらけの自分、闇から聞こえる銃声、爆音。
銃を杖がわりにして駆けつけてみると、少女が奴等に襲われていて。
助けた少女――確かノーヴェといったか――は普通の人間ではなくて。
ノーヴェに懇願されて、彼女の妹――ウェンディだったかな?――を助けにいって。
助けたついでに、無け無しのC70を使って奴等をまとめてふっ飛ばした。
そしたら、その後急に眩暈が襲ってきて、意識がだんだん遠くなって、そのまま――
――なるほど、そういうことか
笑い出したい気分だった。いや、すでに笑っていたのかも知れない。
ここがどこだか、わかった気がする。そして、自分がどうなってしまったかも。
>>312 >>316 311です。えと・・・sageるってこれでいいのかな?(初心者で申し訳ない)
とりあえずちょろっと出来たので投下してみます
〜ティアナ・ランスターの憂鬱T〜
「潜入捜査・・・ですか」
「そう、場所が場所だけにね、ティアナが年齢的にちょうどいいんだ」
改めてティアナは手元の資料に視線を落とす
場所は第97世界、地球の日本という国、フェイトさん達が昔生活してたという国だ
魔法の存在してない世界、そんな所で・・・巨大な時空震が観測されたというのである
しかもそれを引き起こしたの、一人の少女であるというのである
「信じられないような話ですね」
「うん、幸い大事にはならなかったみたいだけど。でも原因ははっきりしてないんだ。
もしかしたらロスト・ロギアがからんでるかもしれないけど・・・特にそういう形跡も見られない。
穏便かつ現地人に気付かれないように原因を解明して欲しいんだ。
私も教師として潜入する事になってるから、あまり無理はしないで」
「分かりました」
ティアナは資料を机の上において敬礼をする
資料に同封された写真にはやたらと目を輝かせ、「団長」と書かれた腕章をつけた少女が映っていた
ー ー ー ー ー
「イギリスから留学してきました、ティアナ・ランスターです」
自己紹介し、ぺこりと礼をする。クラスメート達が物珍しそうな視線を投げかけている
(まずいわね、あまり目立ちたくはなかったんだけど)
休み時間になると予想通りクラスメート達が集まってきて質問攻めにする、ティアナは愛想笑いを浮かべながら無難に受け答えしていた。だが突然、教室の扉を壊れそうな勢いで開かれるなり一人の少女が教室に入ってくる
「外国人留学生がきたってクラスはここね!」
返事も聞かずにずかずかとその少女はティアナに向かって一直線に歩いてくる。その少女の姿を、いや、声を聞くなりクラスメート達はそそくさと立ち去っていく。まるでやっかい事には関わりたくないと言わんばかりに。
その少女がティアナの目の前に立ち、バンっと机に手をつく
「あなたが噂の外国人留学生ね!」
「え、ええ・・・」
「私はあなたのような人材が来るのをずっと待ってたわ!あ、放課後面白い所へ案内してあげるからすぐに帰らないでね」
「え、えと・・・」
「あ、そっか留学生だものね、日本語は苦手よね。I'm・・・」
「あ、いえ、言葉はわかりますから」
「あら?意外と日本語流暢ね。学園ものの外国人留学生は胡散臭い日本語を使うのが相場と決まっているのに」
「あの・・・あなたは・・・」
「あ、自己紹介が遅れたわね。私涼宮ハルヒ。あなたは?」
「ティアナ・ランスターです・・・」
これが、私と涼宮ハルヒとの出会いだった
支援
>>324 予告済みなんだから、投下終わるまで待ちましょうや
◆tRpcQgyEvUさんと被ってしまった。続きを投下しても良いものだろうか
>>324 終わりですか?違うんだったら先の投下しますか?
えと・・・前をよく見てませんでした。そちらを先にお願いします
>>327 ×終わりですか?違うんだったら先の投下しますか?
○終わりですか? 違うんだったら先に投下しますか?
投下おkですか?
>>329 それではお言葉に甘えて。
>>323 ストーム1は、両手で顔を覆って項垂れる。
すると、頭の中に、今までの人生が次から次へと浮かんできた。
中心となったのは、やはりここ一年足らずの戦いの記憶。
空を埋め尽くす『異邦人』の艦隊。地球を蹂躙せんとする侵略者達にどれほど苦戦したことか。
戦いの中、志半ばで散った英霊達を前に、涙を流したこともある。
助けを求める仲間を見捨てて撤退したこともある。守りたかったものを守れず後悔することもあった。
戦場は、彼にとっては想像をはるかに超える過酷なものだった。それでも彼は命を賭けて戦った。
砲火に焼かれ、死体を踏み越え、血反吐に塗れてもなお、『異邦人』を倒すために戦った。
それでも、恨みや憎しみで戦ったことなど一度もなかった。
ただ、彼は守りたかっただけなのだ。子供のころに憧れた、ブラウン管のヒーロー達のように。
仲間や友人、恋人、親、兄弟、そして、武器を持てないか弱き人々を、ただ、純粋に守りたかった。
全ては『異邦人』の暴虐から弱者を守るために。自分が血を流すことで、大事な人々が生き長らえると信じて。
だけど、彼一人がいくら奮戦したところで、人類全体の劣勢を覆すことは出来なかった。
傷付けたくない、死なせたくない、無くしたくない、守りたい、そんな無限の欲望の果てに辿りついたもの、それは『喪失』。
EDFの将兵はことごとく玉砕し、美しき自然は焼き払われた。
力なき人々は、砲弾で吹き飛ばされるか巨大生物の餌となって死んでいった。
厳しくも優しかった両親、自分に良く懐いてくれた弟、EDFの上官で『インパルスの名人』と呼ばれた祖父、
唯一心を許した恋人、何度も危機を救ってくれた仲間達、誰も、帰ってこない。
正義の味方のなりそこないは、戦うたびに、守るべき者を失い、帰るべき場所を失い、何かを失い、そして最後には――
ふう、テンプレに追加だな
書き込む前には必ずリロードしろと
むお!
盛大に更新するのを忘れていたッ!
すんづれーしますた!
>>332 ストーム1はもう一度、白い地平線を食い入るように見詰めた。
この果てに、皆はいるのだろうか。この地平線の向こうで、皆は笑っているのだろうか。
暖かい、優しい笑い声。楽しい会話と愛情に満ちた、静かな一時を過ごしているのだろうか。
EDFに入隊してから今まで、全てを守れなくとも、自分としては恥ずべき戦いはしてこなかったつもりだ。
胸を張って、皆に会いに行ってもいいだろう。
ただ、『星舟』の最後と、あの二人の安否を確認できないのは残念だが……。
「皆、今、そっちへ行くからな」
呟いた途端、何か懐かしい声が聞こえたような気がした。
先に逝った皆が、待ちくたびれて自分を呼んでいるのかもしれない。
その声に導かれるように、彼は死出の一歩を踏み出そうと――
「おい」
後ろから腕を掴まれ、思わず立ち止まる。
しわがれた声、どこかで聞いたことのある声。
「ボウズ、テメェはこっちだ」
振り向く間もなく、そのまま後ろに引っ張られ、よろりと数歩後退った。
でも、そこにはあったはずの地面が無い。
視界があっという間に黒く染まる。
無重力のような不思議な浮遊感。それも束の間、ストーム1の体は否応なく奈落の底へと引き摺り込まれた。
無意識に絞り出される自分の悲鳴を聞きながら、底の見えない闇の中に、ストーム1は落ちていく。
奈落へ向かって、堕ちて、堕ちて、堕ちて、堕ちて、堕ちて――――――――
>インパルスの名人
おじちゃん支援
>>335 ――
瞼に感じる淡い光に導かれて、ストーム1の意識が暗闇の中から戻ってきた。
込み上げてくる吐き気、脈打つ頭痛、体を走る絶え間無い疼痛、鼻腔をくすぐる黴臭さ。
痛みと不快感の大合唱に身悶えしながら、ストーム1は重い瞼をこじ開けた。
初めに気づいたことは、自分が固いベッドに寝かされていること。
頭上に広がる鼠色の天井。視界の端の蛍光灯は、寿命が近いのか、ちかちかと明滅を繰り返している。
外を見られる窓は無く、あるのは通気口のような四角い穴が一つだけ。
ベッドの他には何も無い。病室と言うよりも、物置か独房といった方が正しい気がする。
どちらにしても、怪我人を寝かせておくには不衛生過ぎる環境だ。
だけどベッドがあてがわれているだけまだマシな方だろう。
地面にむしろを置いただけの、野戦病院という名の死傷者放置所と比べれば。
でも、それにしても、ここは、いったいどこなんだろう?
「気が付いたようだな」
すぐ近くから声が聞こえた。女の声だ。
首だけを動かし視線を向けると、赤錆びた鉄扉の前に少女が腕を組んで立っていた。
年齢は十歳くらいか。
幼い体を見覚えのあるボディスーツで包み、その上から灰色のロングコートを羽織っている。
琥珀色の隻眼と、腰まで伸ばした銀色の髪。
まだ幼さが抜けきっていない容姿。しかし、成長すればさぞ美しくなるだろう。
眼帯の無い左目からは、こちらへの警戒心と若干の威圧感が感じられる。
見たところは欧米人の子供であるが、少女が話す言葉は流暢な日本語だった。
だとすると、彼女は日本支部の関係者だろうか?
「ぃ……み……は……」
唇から洩れた声は、自分でも聞き取りにくいほどに擦れていた。
それでも聞こえていたらしい。少女は、ベッドへ歩を進めながら固い声で答えた
「汚いところですまないな。姉の名前は、チンクという」
投下終了。本家無限の欲望スカ山はBパートの半分辺りから登場予定です。
ちなみに祖父のところはただのお遊びなので気にしないで下さい。
それでは続きはまた後日。
ストーム1回復! これはwktkせざるを得ない…
GJ!
ついに次元世界最強の戦士が復活だ!復活だ!
クロノのお葬式マダー?
>>334 こちらこそ投下前に確認不十分でした
>>325 >>333 マナー違反だったようで大変失礼致しました。今度からは周囲の投下宣言の有無の確認、投下の宣言、リロードを必ず行ってから投下することにします
で・・・投下してもよろしいでしょうか?
GJ!!
おおっ・・一週間待ってたかいがあったZE!
それでは・・・
>>324 とにかく、一筋縄でいかないのは間違いないだろう。
とりあえずフェイトさんに連絡入れといた方がいいのは確かだ
(フェイトさん、目的の少女からコンタクトありました。放課後校内を案内する事をかってでていますが・・・やはり罠でしょうか)
(ええと・・・、その子私の所にも来たよ。なんというか、敵意とか罠とかいうのより、純粋な好奇心って感じはしたけど)
(・・・確かにそういう風にも見えましたけど・・・警戒するに越した事はないですよね?)
(そうだね、警戒だけは怠らないようにしよう。)
そうだ、相手はどんな凶悪な犯罪者かわかったものじゃないもの。充分に警戒してないと
そして放課後になるやいなや私達は件の少女に強引にとある教室へと連れて行かれることとなった
そう、言ってみればこれが厄介事の始まりだったといってもいい
「さあ!ここが我らSOS団本部よ!遠慮なくくつろいで!」
言うなり彼女はぐいぐいと私たちを部屋の中へと押し込もうとする
(特に結界や罠らしきものは感じられませんね)
(うん、普通の部屋だ。でもなんだろう・・・妙な感じが)
部屋の中を見回してみる。当然のように部屋の中にいた人間達は私たちを注目している
部屋の真中に位置しているテーブルでは二人の男子生徒が盤上に駒を並べている
部屋の隅では一人の女子生徒が黙々と本を読んでいた
なぜか一人だけ制服姿ではなく侍女姿の少女がいた
(この世界にも侍女とかは普通にいる・・・ということなんでしょうか?)
(普通の学校にはいないんじゃないかな・・・)
「紹介するわね、外国人留学生のティアナ・ランスターと外国人講師のフェイト・T・ハラオウン。で、こっちは団員ABCD」
全然説明になってないような気がした
以上です。短くてすみません
やっぱりもう少し書き溜めてから投下した方が良かったのかな・・・
慌てて投下した挙句タイミングが被ってしまってなんだか気まずい事に
投下するときは進路の確認と予告をしたほうがいいですよ
それはともかく乙です。
>>345 投下する前に前のレスで投下予告が有るかどうか確認
↓
その後でリロードして、レスが追加されていたら確認
↓
予告が無かったら、自分の投下予告をしてから投下
が一番確実だと思われる。まあ、今後から気をつけることだ。
何はともあれ、とりあえずGJ。
>>338 待っていました!
この後のなのはキャラたちとの出会いやフォーリナーの襲撃を想像をするだけでwktkが止まらんww
GJでしたー!
3D弾幕がたまらねえ!
>>345 題名からしてまさか・・・と思ったけどやはり涼宮ハルヒの憂鬱か
俺も一時期考えたなー
次に期待してる
今日は多重衝突事故が相次ぐ日だな・・・。
今頃スカは威力桁外れのライサンダーZやバリアジャケット?なにそれ、と言わんばかりの耐久力を持つEDFアーマーを解析してべっくらこいた頃だろう。
>>352 むしろ
スカ「何これ!? めちゃスゲーよwwwwひゃっほーぅ」
てな感じで科学者魂を刺激されているだろう
戦車砲以上の破壊力を持つライサンダーZは、魔導師にとって脅威だろうな
へたすりゃバリアジャケットのみならず障壁さえもぶち破れそうだしな。
しかもEDFアーマーはみんなの通常装備なんだぜ!
それでもフォーリナー相手には…
お、そんじゃ今のうちに天元突破グレンラガンのクロス投下します。
支援は要らないかも?
そんじゃ行きますが良いですか?答えは聞いてない!
支援!
天元突破グレンラガン×魔法少女リリカルなのはA's
あらすじ
王都テッペリン陥落後、修理の終わったグレンラガンで一時の旅行へ出かけたシモンとニアとブータ。
お花畑や各地の集落に立ち寄っていた際、奇妙なエネルギー反応を感知し近づいてみると次元に亀裂が生じていた。
本能的に危険だと感じたシモンだったが、
「これって、何なんでしょう?」
ニアの好奇心がグレンラガンを動かしてしまい、更に接近してしまう。
その瞬間、次元の亀裂に吸い込まれてしまった。
目を覚ますと、まったく知らない風景が目前に広がっていた。
「いったい、ここは?」
「ブゥ〜?」
「ここは、どこなのでしょう?それにしても、あの町はと〜ても、綺麗ですね。シモン」
グレンラガンが辿り着いた世界は第97管理外世界【地球】。
その世界にある日本と呼ばれる島国の【海鳴市】と呼ばれる町の海上に転移してきたのだ。
この状況が分からず、海上で立ち往生していたグレンラガンに通信を入れてくる者が居た。
『君達は何者だ?名前と出身世界を言いたまえ』
時空管理局執務官であるクロノ・ハラオウンとの接触で、グレンラガンはアースラへと転送される。
シモンとニアは、アースラで今現在の自分達の状況を説明する。
彼らが言った世界は、管理局でも知らぬ場所だったため、どうするべきか迷ったクロノだったが、
「2人とも家で預かりましょう。帰る手立てが見つかる間ね。あ、ブータちゃんもね」
クロノの母であるリンディ提督の計らいで、地球で一時暮らす事と成ったシモンとニア。
世間知らずの2人による闇の書事件の闇に風穴を空ける物語が始まる。
魔法少女リリカルグレンラガンA's
序章『やるって言ったら、やるんだよ!』
生まれて初めての寒さを肌に感じ、全身が震えている。
俺の肩に乗っているブータも、寒さで毛が逆立っている。
隣で一緒に居るニアも寒いのか、普段は開いているピンク色のパーカーが確りと着込んでいる。
地上に降りたのが夜だったのも要因に入るだろう。
そもそも俺が住んでいた地上は、年中暖かい気候だ。
こんな寒い地方には行った事が無いと言っても、それは唯の愚痴だ。
いけいけ!!!
スカ「「ライサンダーZ・・・なるほど。攻撃力と射程が異常数値でした・・・理解は幸せ!
異星人の技術を再現しようとしましたですネ?この銃は!」
えっ!ちょっ!答えはきちんと聞いて欲しい。
もちろんおk!
全身を刺すこの寒さから即刻脱出したくて、リンディさんと言う女性の後について行く。
「シモン。手をつなぎませんか?」
ニアの提案に即座に頷いた俺は、彼女の手を握ってみると、その手は冷気で冷たくなっていた。
少し強くつないだ手に力を入れ、暖かくなるようにしてみると徐々にだが暖かくなってきた。
「暖かいです」
ニアの言葉に俺は、全身が温かくなった気分になり、寒さなんて気にならなくなってきた。
少し歩くと、大きな建物の前に辿り着く。こんな建物なんてテッペリンで見た物以外見た事が無く、少し驚いてしまった。
「大きなお家ですね」
「やぁねぇ、このマンションの一室が私達の家よ」
リンディさんはニアの問いに笑いながら、マンションと呼ばれる建物に入って行くので急いでその後を追う。
エレベーターに乗り上へと上り、たくさんあるドアの1つの前へと立ち止まり、リンディさんはポケットから鍵を取り出しドアを開いた。
そこには、ダイグレンの部屋とは違い綺麗に室内が飾られている。
「ここが、これからあなた達が住む家よ。さぁ、遠慮しないで入りなさい」
「えっと、お邪魔します」
「お邪魔します」
「ブッブゥ〜」
俺とニアとブータは、挨拶をして室内へと入ってみると意外と広い部屋に驚いた。
更に、この世界では部屋では靴を脱ぐ習慣があるらしくリンディさんの教え通り下駄箱で靴を脱ぎスリッパと呼ばれる履物を履いてみると意外と履き心地が良い。
そして俺達の後ろから、クロノと呼ばれる俺と同じぐらいの歳の少年が入ってきた。
「マナーは分かってるようだね」
「はい。王都に居た時に作法を学びましたから」
ニアは元々テッペリンで教育を受けていたので、礼儀作法は俺とは比べられない程上手い。
一方俺は、穴倉暮らしでマナーなど言ってられる程、良い暮らしをしたことが無いので彼にはこう答えるしかない。
「えっと、がんばってみるよ」
「まぁ、がんばってくれ」
そんな感じでクロノと話していると、知らない顔の女性と少女が出てきた。
女性の方は、雰囲気的にキタンの妹たちのキノンとキヤルを足して割った感じだ。
その女性の横に立つ少女の方は、俺とニアより若く金髪が特徴的だ。
「初めまして。私の名前は、エイミィ・リミエッタだよ。クロノ君の補佐やってます」
「フェイト・テスタロッサです。時空管理局嘱託魔導師をやっています」
話を聞くと、フェイトと呼ばれる少女は俺達と似たような関係らしい。もう少し時間が経てばリンディさんの娘に成るかもしれないとの事らしい。
彼女達とこれまでの経緯を話していると、チャイムが鳴り玄関から男性と女性が入ってきた。
アースラのスタッフらしい男女の手には大きな紙袋が2つあった。
「リンディ提督。頼まれてた服をお持ちしました」
「2人ともありがとう。お茶でも飲んでいく?」
「いいえ。まだ仕事が残ってますので、また今度お願いします」
そう言い終えると、俺達に挨拶をして帰っていったあと、残された紙袋の中身を見て見なさいと言われ開いてみると、
「服?まさか、これ」
「ええ。あなた達の服よ。その格好じゃ風邪を引いちゃうしね」
リンディさんの心遣いに胸いっぱいに成った俺とニアは、頭を下げて彼女にお礼を言った。
気にしないでと笑顔で言い、その服を着てみてと言われ割れ当てられた部屋で着替える。
着替え終えて部屋から出てくると、そこには言葉では表せ切れない程可愛いニアが居たのだ。
「どうですか、シモン?私の服は」
「すっごく、良いよ。ニア」
「ありがとう。シモン」
笑顔で微笑むニアの姿を見て、胸が締め付けられるようだ。
クラシカルワンピースと呼ばれる服を着たニアは、まさに可愛いお嬢様と言う感じになっている。
一方俺の服装は、厚めのロングTシャツに迷彩色のパーカーとジーンズと呼ばれるスボンだ。
ニアと対照的に、動きやすい服装で結構気に入っている。
ブータも、俺の新しい服の生地が良いのかご機嫌だ。
そして、少し遅めの晩御飯を食べることになった。
出てきたのは、温かいビーフシチューと呼ばれるスープとサラダだ。
エイミィとフェイトの手作りらしく、とても美味しかったが何かが足りない感じがする。
ブータは、赤い毛並みが特徴の犬(使い魔と言うらしい)のアルフとじゃれ合っていた。
何故か、アルフの目は獲物を襲うような目だったけどたぶん大丈夫だ。
食事が終わり、皿洗いを手伝う俺とニアは同じく手伝っているフェイトと話を始めた。
「先は自己紹介ぐらいしか話せなかったけど、2人の住んでいた世界はどんな所だったんですか?」
フェイトの質問に、どう言えば良いのか少し手を止め考えている俺より先に答えるニア。
「私達の住んでいた世界は、螺旋王と呼ばれる私のお父様が統治する世界でした。お父様は、獣人と呼ばれる知性を持った生命体をお創りに成り、
地中に住んでいた人々を地下へと押し込めたのです。それが、およそ1000年前から続いていました」
「1000年前って…ニアさんのお父さんって、いったいいくつ?」
突拍子も無い話に、驚くフェイトの反応は当然だ。俺だって知らなかった話なんだからな。
ソファーで座っていたリンディさん達も、ニアの話に聞き耳を立てている。
「私も、お父様の実際の年齢は知りません。そして、そんな世界に風穴を空けた人が居ます」
俺を見つめるニアの顔は真剣そのものだった。
「それが、シモンなんです。約半年の間に世界に人の生きる道を作ったのです」
そのために俺はニアのお父さんを殺してしまった。これは、避けられなかった事だったのかと再び考えてしまった。
ちらっと周囲を見てみると俺に集まる視線を感じるのは気のせいだろうか?いいや、ニアの話で俺に興味が沸いたのだろう。
クロノが近づいてきて、俺と正面を向いて対峙する。
「アースラでは少ししか話せなかったが、ニアの話で君についての話をもっと聞いてみたい。良いかい?」
断ることなど出来ないな。よし、俺の旅の始まりを話してみるか、悲しい思いでも思い出すことになるけどな。
「いいよ。それじゃあ、旅の始まりから話すね。俺はジーハ村で毎日ドリルで穴を掘っていたんだ。
ずーと、そんな生活が続くと思ってたのを“兄貴”が打ち破ってくれたんだ」
「その“兄貴”とは、どんな人なんですか?」
フェイトからの質問に、誇らしく俺は答えてやった。
「兄貴は、無茶ばかり言うけど頼りになる俺の憧れだったんだ。どんなピンチでも弱音を吐かず、みんなに希望をもたらしたんだ…そして」
声を詰まらせてしまう自分に、微笑しながら俺は真実を語った。
「俺のミスが兄貴を死なせた」
その一言にみんなの表情が少し変わったのを感じ、やっぱり言うべきじゃなかったかなと思ったが一度ニアにも話しておこう。
俺は決意して、みんなへ事の流れを話し始めた。
四天王チミフルとの戦いで、敵の戦艦ガンメンを奪う時、決戦前の出来事が頭から離れなくてラガンのコントロールが取れなかった。
そんな俺に活を入れに来てくれた兄貴は、こう言ったんだ。
「お前が迷ったら必ず俺が殴りに来る。だから安心しろ。お前の側には俺が居る。お前を信じろ。俺が信じる、お前を信じろ!」
この時、俺は兄貴のパンチと励ましの言葉に集中力を取り戻して獣人の持つ戦艦ガンメン・ダイガンザンのコントロールを奪い取れた。
その後…兄貴は、致命傷を受けた。
チミルフのカスタムガンメン・ビャコウと以前から戦っていたヴィラルのカスタムガンメン・エンキドゥのコンビネーションで、兄貴の乗るグレンのボディを貫いた。
兄貴の声が聞こえなくなって、俺は怖くなってダイガンザンを暴走させて周囲にあった火山を噴火させてしまった。
暴走する戦艦のコントロールを放棄してしまった俺は、心を閉ざす一歩手前まで行った…その時、
「シモンッ、歯ぁっ食いしばれぇぇぇ!」
兄貴は、死にそうな状態で俺に活を入れに来てくれた。
今にも倒れそうな姿なのに、俺のために力を振り絞ってやってきてくれた。
「シモン、お前を誰だと思ってやがる」
兄貴の言葉に、沈んでいた心が徐々に浮き上がってきた。
「お前のドリルは天と地と明日を貫くドリルじゃねぇか!」
その言葉に、俺は涙ながら感動したんだ。
「こんなところで何モタモタしてやがる。俺達は勝ったんだ。そのデカブツはお前のモンなんだ。何の不安なこたぁねぇ!」
「兄貴…うん!」
そして、俺はダイガンザンを完全にコントロールしたんだ。
その事を良しとしないチミルフが、ガンメンで襲い掛かってきた。
兄貴に、合体して戦うぞと言われ俺は喜んでラガンとグレンを合体させた。
「無茶で無謀と笑われようと、意地が支えの喧嘩道」
「壁があったら殴って壊す!道が無ければこの手で作る!」
「「心のマグマが炎と燃える!超絶合体!グレンラガン!!」」
「俺を!」
「俺達を!」
「「誰だと思ってやがる!」」
そして合体したグレンラガンは、襲い掛かるガンメンを全身から出現したドリルで全て貫き破壊してビャコウと一対一に成った時、兄貴が言った。
「いいか、シモン。忘れんな、お前を信じろ。俺が信じるお前でもない。お前が信じるお前でもない。お前が信じるお前を信じろ」
それが、俺と兄貴の最後の会話だった。
この後、兄貴の放ったギガドリルブレイクでチミルフのビャコウを撃破し勝利を勝ち取った。
そして兄貴は、
「あばよ、ダチ公」
命の炎を燃やし尽くした。
話を終えた時には、自分の目から涙が流れていたのに気づき袖で拭い周りを見た。
リンディさんとエイミィさんは、眼をウルウルさせながら涙をこらえ、クロノは顔を伏せていた。
そして、毅然とした態度で居るニアの横に立つフェイトは大粒の涙を流して泣いていた。
その光景を見て俺は、良い人たちに助けてもらったんだと再確認した。
「シモン。話してくれてありがとう。シモンの言うアニキが、どれだけ立派で心が広い人だったか分かった気がします。
このアニキさんの言葉と思いが、今のシモンを作り上げたのですね」
両手で俺の手を握ってくれるニアに、拭ったはずの涙がまた流れ始めた。
何とか、悲しい雰囲気が薄れ再び話は螺旋王との戦いについてに戻った。
「それから、俺は兄貴の死を引きずり仲間達との関係も荒れていた頃、ニアと出会ったんだ」
「はい。私はお父様を怒らせてしまって、捨てられてしまいました。その時、シモンが開いてくれた箱で私は目覚めたのです」
父親が娘を捨てるなど予想にもしていなかったようで、リンディたちの顔には驚いた表情が張られている。
「ニアとの出会いで、落ち込んでいた俺の心に光が差したんだ」
「私が処刑されそうになったとき、シモンが助けに来てくれたのです。あの時は本当に胸いっぱいでした」
そう、あの出来事で俺は兄貴の死を引きずるんじゃなく背負う心構えが出来たんだ。
「あの時の名乗り上げは、とっても輝いていましたよ。シモン」
「あはは、あの時は無我夢中でカッコよく決めてみたんだけど…」
あのキタンからも、あの名乗り上げは無いだろうと言われていて少し恥ずかしい気分だ。
俺の言った名乗り上げの事を知らないリンディさん達は、どんな名乗り上げだったか興味が出たようで、
「ねぇねぇ、その名乗り上げってどんな事を言ったの?」
「少し、興味があるな」
「あら、みんな同じ考えみたいね」
「えっ、リンディさんもクロノもエイミィも聞きたかったの?」
少し恥ずかしかったが、ご希望通り言ってやった。
「兄貴は死んだ、もう居ない!だけど、俺の背中に、この胸に!一つと成って生き続ける!」
この時は、みんな真剣に聞いていてくれている。
「穴を掘るなら天を突く。墓穴掘っても掘り抜けて、突き抜けたなら、俺の勝ち!」
みんなの顔が少し理解に苦しむ顔になるのが分かる。
「俺を誰だと思っている。俺はシモンだ。カミナの兄貴じゃない。俺は俺だ!穴掘りシモンだ!!…こんな感じです」
俺の名乗り上げを言い終えると、
「確かに、そんな場面で言える名乗り上げじゃないね」
まぁそうだろう、俺だって後で突っ込みを入れられた赤くなるほどなんだからな。
「あ、でも結構カッコいいんじゃないですか?」
え?エイミィ的には俺の名乗り上げはありなのか。
「そうね。カミナってお兄さんの死を乗り越えたって感じが伝わってとっても良い感じよ」
「シモンの名乗り上げが、みんなの心に伝わった事が良く分かります。それだけの説得力があると私は思いました」
リンディさんとフェイトの感想に、俺はかなり照れてしまい顔が熱くて仕方が無い。
「ここからは、私がご説明します。この後に四天王との戦いを制して王都テッペリンで螺旋王…私のお父様と多数の獣人との戦闘が行われました。
多くの血が流れながら、シモンと私とロシウの乗ったグレンラガンでお父様と戦いました。お父様の乗るラゼンガンとの戦いでボロボロに成りながら、
シモンは…お父様を倒しました」
そう、俺がニアの父親である螺旋王を倒した。
人間の明日を勝ち取るために。
この後は、リンディさんから時空管理局という組織について教えてもらった。
俺達大グレン団見たいな、ならず者集団の集まりじゃなく、ちゃんとした統制が取れた組織らしい。
数多くの次元世界に向かいロストロギアと呼ばれる危険物の回収や、魔法による犯罪を防ぐのが仕事だという。
俺には今一分からないけど、正義の味方な組織って事は分かった。
いつの間にか夜の11時を過ぎたらしく、今日は一旦お開きとなり各自、自分達の部屋で眠ることになった。
俺は、部屋が空いてなかったためリビングのソファーで眠ることにした。
クロノと同じ部屋で寝る事も出来たが、流石に初対面に近い相手と一緒に眠るわけにもいかないと思ったからだ。
ニアは、フェイトと一緒の部屋で眠るらしい。
何だか嬉しそうで何よりだ。
こうして、この世界に来て初めての夜は、こうして過ぎていったのだ。
「ブッブゥ〜(涙)」
「まってよぉ〜取って食ったりしないからさぁ〜ただ、少し噛ませてくれるだけで良いんだよぉ」
朝の目覚めは、ブータとアルフのじゃれ合いによって引き起こされてしまい、少し憂鬱な気分だ。
朝食を取った後、俺とニアは一週間程この世界の文字について勉強することになり、頭の痛い事この上ない時間を過ごした。
ニアは元々頭が良く学んだことは直ぐに覚えていったが、その一方俺はと言うと、
「ん〜何度言ったら分かってくれるかな?この文字の意味は、…こうなるんだよ」
「頭が痛くなってくる……はぁ」
「シモンなら覚えられます。私が信じた人なのですから」
ニアの根拠のない励ましは、今の俺にはキツい事この上ないけど、やるしかないと開き直る事にした。
エイミィによる地獄の勉強一週間の合間に、グレンラガンのデータを知りたいとリンディさんが言ってきた時、
ノートと睨めっこしていた俺は、あまり考えずに了承していた。
そして、地獄の勉強会が終わり机に力尽きたように顔をうつ伏せにする。
「穴を掘るより疲れたよ…」
「お疲れ様。シモン」
ニアが紅茶と呼ばれるお茶を持ってきてくれていた。
少し苦いけど慣れると美味しく感じるように成ったのはニアが入れてくれたからかな?あはは(笑)
「あら、なんだか楽しそうね」
「あ、リンディさんに、クロノ」
アースラから戻ってきたリンディさんとクロノは、疲れているのか少し顔色が悪く見えた。
「あらあら、2人とも顔色が優れませんわね?紅茶をいれてきましょうか?」
ニコニコしながら、ニアは俺の紅茶を運んできた盆を持ってキッチンへ向かう素振りを見せる。
「じゃあ、お願いしちゃって良いかしら?」
「はい。喜んで!」
ニアが紅茶を入れている間に、リンディさんは俺にお願いをしてきた。
「シモン君。あなたが乗ってきたあのロボットについて調べてきたけど、分からない事尽くめなのよ。
エネルギーが螺旋力ってモノらしいのは分かったんだけど、あとはまったく不明。
過去にロストロギアとして回収されてないか調べてみたけど、前例が無いのよ。
そこで、君に乗ってもらって、その能力を調べてみたいの。お願いできないかしら?」
「僕からもお願いします。あのシステムが危険じゃないのか知っておきたいんだ」
2人の必死な願いに、俺はただ頷いてしまうことしかできなかった。
「さぁ、2人とも紅茶が出来ましたよ。たぁ〜と召し上がれ」
その紅茶を飲んだリンディさんと、クロノは急いで洗面所とトイレへ駆け込んでいった。
どうしたんだろう?こんなに美味しい紅茶なのになぁ。
『シモンの味覚と胃は異常に丈夫だから平気だが、一般人にとってニアの作ってきた紅茶は劇物に近かったのだ』
あの味覚崩壊気味なリンディすらダウンさせるとは…
恐るべしニアw
それから、何とか体調を元に戻したリンディさんとクロノは、これからの予定を説明してくれた。
これから、俺とニアはアースラに移動してグレンラガンの駆動実験に付き添うらしい。
その結果次第で、俺達が帰れる時が来るまで封印または、現在追っている闇の書事件に捜査協力をお願いしたいらしい。
食事と部屋などたくさん世話になっているので、手伝えることなら何でもしたい。
ニアとも話して、俺達はアースラへと向かった。
アースラに到着した俺達は、格納庫へ向かい久しぶりにグレンラガンと対面した。
メンテがされているのか、装甲はピッカピカだ。
ニアには、グレンのコクピットに乗ってもらい俺とブータはラガンのコクピットに乗り込んだ。
「一週間ぶりか…よし、行くぞ。ニア、ブータ!」
「ブッブゥー!」
「はい」
胸に掛けてあるコアドリルをコクピットのモニターの中央の穴に差し込み、
「グレンラガン、スピンオン!」
コアドリルによって、グランラガンは起動した。
立ち上がったグレンラガンに驚く周囲の管理局員の人たちとクロノをモニターから見て、何だか照れ臭くなってきた。
「クロノ。これから何をすれば良いんだ?」
グレンラガンの口から俺の声が出たことにビックリした表情をするクロノは、一旦コッホンと咳をして再びキリッとした顔つきに戻る。
「それじゃあ、これから結界を張った地上で能力の検査を―」
クロノが説明している時、突如アラーム音がアースラ内に響き渡る。
いったい何が起こったのかと、俺はクロノに声を掛けるも少し待ってくれと言われ、仕方なく座って待つことにした。
そうして、再びクロノがグレンラガンを見つめ、
「シモン。力を貸してくれないか?君の乗るグレンラガンでも苦戦する相手かもしれない」
「わかった!協力するよ、クロノ」
こうして、俺達はクロノと共に海鳴市の都市部上空へと転移された。
転移された場所が空中だったため、背中に装備したグレンウィングを起動させ空中に浮遊して見せた。
元々空中で発見されてたことから、飛べるって事はクロノも知っていたらしいのとアイツ自身何か焦っている感じがする。
「僕は先に捜索指定の犯罪者たちに攻撃を仕掛ける。君達は、僕達が危険になったら戦ってくれ。それまでは、待機を」
「わかった」
「クロノ、気をつけて行ってらっしゃい」
クロノは俺達に頷くと、先に飛んでいってしまった。
「実際に空を自由に飛ぶなんて、魔法って凄いんだな」
「私達も使えたらきっと、楽しいでしょうね」
相変わらず、少しネジが外れた感じのニアに苦笑いをしてしまう。
まぁそんな事は後にして、一先ずクロノが向かった場所へ急ぐぜ。
到着してみると、クロノが凄まじい数の青白い光の刃を上空に展開し下の方にいる青い服を着た男と、
赤い服を着た女の子へ向けて発射しようとしていて若干焦った。
しかし、止めようと思った瞬間、
「スティンガーブレード・エクスキューションシフト!」
凄まじい数の光の刃が、下にいる2人へと降り注がれ、その周囲が大爆発を起こしている。
こんな攻撃を受けたら、一溜まりも無いじゃないか。
俺がそう思っていると、煙の中から男が女の子を庇いながら攻撃を防いでいた。
あの攻撃を受けて何とも無いなんて、この世界の人ってすごいのか。
そう思っていると、クロノのいる直ぐ近くに転送されてきた人影を見つける。
「フェイト!?それに、あの子は」
「あ、フェイトちゃんのお友達のなのはちゃんですね」
「えっ!ニアは知っているの?」
「はい。眠る前とかにいっぱいお話をして下さったので良く知っています。ご本人とは初めてお会いしました」
だとすると、フェイトの横にいる子も魔法使い?
あ、その近くに長髪の赤髪の女性と金髪の少年がいつの間にか現れてる。
そうか、これが魔法の力って訳か…深く考えないようにしよう。
そう思った矢先、フェイトとなのはが輝きだしたと思うと彼女らは変身してしまった。
「どうなってるんだ?」
「ブゥ〜?」
「わぁ〜フェイトちゃんも、なのはちゃんも可愛いお洋服を着てます」
ニアの言うとおり、彼女達は黒と白の服に包まれ手には黒い斧状の杖と赤い宝石を先端につけた杖を持っているのが分かる。
あの子達は、いったい何をする気なのかと思っていると突如、何かが振ってきた。
今度は、ピンク色の髪をした女性が降りてくるなんて、本当にどうなっているんだ。
こんな気持ちは、集落にガンメンが落ちてきた以来だ。
その時白い服を着た女の子なのはと言ったか、その子が何かを言っているがここからでは聞こえない。
支援・・・闇の書の闇が貫かれるのかッ!!アースラと合体希望だぜッ!!
近づこうと動いてみると、クロノから通信が入る。
「シモン。ここは彼女達に任せて離れるんだ」
「何故だ?あんな歳の子に戦わせるなんて、クロノは嫌じゃないのか!?」
「僕は彼女達の実力を知っている。だから!」
「俺は知らない。だから、加勢に出る!」
「バカ!そんな事をしなくても」
俺は、クロノの態度につい怒りを爆発してしまい、言葉通り加勢に出る事にした。
「やるって言ったら、やるんだよ!」
クロノの言い分を蹴っ飛ばし、俺は戦闘態勢に入った6人の前に出て名乗り上げる。
「次元を飛び越えやって来た別世界。前も後ろも分からない俺達だけど」
「お友達が危険に成っているのを見逃せません!」
「穴を掘るなら天を突く。どんな強固な壁にぶち当たろうと突き抜けたなら、俺の勝ち!」
突然現れた赤いロボットに行き成り名乗り上げられ、ぽかんとするのも分かるが聞きやがれ。
「俺は穴掘りシモン!」
「私は、ニア!」
「どんなに相手が強くたって、俺のドリルは全てを貫く!」
「なぜなら、シモンのドリルは天を突くドリルなのですから!」
「「2人の愛が炎を呼ぶ!信頼合体!グレンラガン!!」
グレンラガンの全身からロージェノムが言っていた螺旋の力である緑色の光があふれ出る。
「俺を!」
「私を!」
「誰だと思ってやがる!」「誰だと思っていますか!」
『グレンラガンの登場が、この世界へどのような変化を与えるのか、この時は誰も想像など出来なかった』
続く
おおおおおおおお!!!!!
この流れでいくとリィンフォースTがはやての元から立ち去らない展開になりそうだな
しかも、シモンがかっこよく説得してくれそうだw
そしてグラーフアイゼンとレヴァンティンと話が合いそうwww
ふぃ、規制解けました。
投下終了です。
こんな感じに各章で誰かの視点から話が進みます。
今回はシモンでしたが、次回は誰の視点でしょうか!?(笑)
>>ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏
今回もGJでございました。スターライトブレイカーはなのはさんの最大の技ですから、今回の展開もありかと。ちなみにレッドキングのレッドは赤(RED)ではなく最強(LED)の意味だという説もありましたね。
ムルチ八つ裂きにゾフィー兄さんのファイヤーヘッドと、原作のシーンの再現も嬉しかったです。特に後者には笑わせていただきましたw
ゴジラといえば……なんか襟巻きくっ付けて出てきて、ウルトラマンにフルボッコにされていた記憶がw
それにしても、マジで出ちゃうんですかシルバーブルーメ……(冷汗) 誰かレオ兄さん呼んで来てーっ!!
>>ティアナ・ランスターの憂鬱氏
ハルヒが望んでいた異世界人が召喚されたワケですねw 二人とSOS団メンバーとの間でどのようなやりとりが展開されるのか楽しみです。魔法というファンタジックなイメージとのギャップに、思わずツッコミを入れるキョンの姿が思い浮かびますw
この先他の六課メンバーの登場はあるのでしょうか? 私もハルヒとのクロスを考えたことがあったりしますが、自分の構想では学校に潜入するのはフェイトのみで、なのはさんたちは表向き駅前に翠屋の支店を開店して、そこを前線基地にしているという設定でした。
朝比奈(大)さんと管理局側との、腹の探り合いみたいな展開も読んでみたいです。
>>リリカルグレンラガン(リリカルガオガイガー)氏
GJです! 今回はシモンの一人称で書かれているためか、普段とは少し文章の感じが変わっている印象ですね。このシモンとニアは第二部終了の直後に飛ばされて来たんでしょうか?
いっそこのシモンがニアを失った本編終了後、リリカルガオガイガーの方に助っ人として登場しないかな、とか思いました。シモンなら間違いなくGGG勢と意気投合しそうですしw
何よりも超銀河や天元突破を目の当たりにして、腰を抜かすスカ博士を見てみたいw
>>376 >>リリカルガオガイガー氏
やっべえええええええ!!あっちぃいいいいい!!!
ものすごいGJすぎるううううう!!!
自分も最近になってグレンラガンを見ましたが…
8話と最終回は泣けた・゚・(ノД`)
8、11、17、22〜最終話あたりが自分的には神回だったと思います。
どうしよう、今日で試験終わったから急いで
みなみけと舞-乙のなのはクロス書いてるんだけど、
グレンラガンも書きたくなってきたんだがwwww
まあ、落ち着いたら書こうかな(ムリっぽいけどorz)
アニキイイイイイイイーーー!!wwww
とりあえず、次の話も待ってるぜえええええええ!!!
>>377 >いっそこのシモンがニアを失った本編終了後、リリカルガオガイガーの方に助っ人として登場しないかな、とか思いました。
シモンなら間違いなくGGG勢と意気投合しそうですしw
あれ??なんか自分がもう一人いるwwww
>>リリカルガオガイガー氏 GJコレを心の中でまってたんです。やはり、アツい。これがグレンラガンです!
>>377 >なのはさんたちは表向き駅前に翠屋の支店を開店して、そこを前線基地にしているという設定でした。
それいいですね、使わせてもらってもいいですか?
本当はスバルも一緒に潜入させようかと思ってたんですけどそうしたら導入部の部分が思ったより長くなりそうだったので
とりあえず手っ取り早くSOS団と遭遇させたかったのでこういう形にしてみました
潜入捜査だからあまり大人数だと目立つ&スバルって潜入捜査向きじゃないなぁという観点からはじめは二人だけにしました
でもこのままだとなのはのキャラ達があまりたくさん出せないのでなるべく自然に他のキャラも出せたらと考えてはいるんですが
>リリカルグレンラガン氏
兄貴ぃぃぃぃぃっ!と思わず叫びそうになりました。GJ!
はじめタイトル見た時は密かにカミナの登場も期待してしまいましたが・・・
ロボットに乗って小さな女の子との戦闘、なんだかやりにくそうな気もしますね
ぎゃー起きて読み直したら肝心なところをミスったOrz
>>「いいか、シモン。忘れんな、お前を信じろ。俺が信じるお前でもない。お前が信じるお前でもない。お前が信じるお前を信じろ」
×お前が信じるお前でもない。
○お前が信じる俺でもない。
あぅちOrzまたミス
>>「私を!」
これを「私達を!」に変更お願いします。
あ、場所指定忘れてた。
381が
>>365 382が
>>374 です。寝ぼけてすいませんOrz
感想ありがとう。
次回はニア視点で、なのはたちに突っ込みを入れていきます!
>>377 あぁ、それも良いかな〜でもリリカルガオガイガーが終れるのかが問題だ(ぇ
>>377 >リカルガオガイガーの方に助っ人として登場
なんでも混ぜればいいってもんじゃないと思うぜ。
>「僕は彼女達の実力を知っている。だから!」
>「俺は知らない。だから、加勢に出る!」
何というシモンイズムwwwGJです!
ガガガといいグレンといい.hack//G.U.といい、アンタ本当に俺のツボを的確についてきてくれるぜ!
三作品以上のクロスオーバーとかってありなんでしょうか?
なんだかスパロボみたいなノリになりそうですね、それも楽しそうかも
こっちは学園ものなんで実は密かにバンブーブレードまぜてみたいなーとか考えてたんですけど話がごちゃごちゃしてくるかなぁというのが心配で今のところ保留ですけど
というか現時点でもなかなか話が大きく進んでないですしね
イイ!すごく良い!!
グレンとのクロスは色々考えたが、難しくて挫折したんだよな。
だって、アイツ等濃すぎるんだもの……。
A'sでカミナを闇の書陣営にしたら
ヴォルケンリッターが何時の間にかグレン団に改名……。
あと、書いている内に思い付いたが、
最終話BパートとCパートの間の20年の間のシモンとか、
あのドリル杖は実はデバイスだった、とか。
388 :
×DOD:2007/11/10(土) 10:09:05 ID:UOGaene9
グレンラガン原作知らないがこれはwktkせざるを得ない…!
さて、ではこちらもちょろっと7レスお借りします。
>>リリカルガオガイガー氏
うおおおおおおおおお!GJです!!
自分も、脳内ではなのはとグレンラガンのクロスを妄想はしてました。
まあ妄想だけで、文章にするだけの能力は無いのですが・・・。
やはりグレンラガンは熱い!!
しかし、超銀河グレンラガンとかアルカンシェルでも簡単に弾き返しそうですね。
2部終了後だから、出ないとは思いますが。
機動六課の誇るバーチャル訓練場に、爆散したガジェットの破片が塵となって舞い上がる。
炎上する残骸を飛び越える機体は、もう既に対魔力フィールド、AMFを高出力で展開し続けている。理由は単純で、
本日一度目の訓練の出力ではあっという間に追い詰められたからだ。
新人フォワードが前線で役割を果たせるようになる為には、基礎能力や戦術・コンビネーションの向上と同時に「敵」
が如何なるものか知らねばならない。教導官高町なのはのそんな方針の下、機械兵ガジェットドローンを相手とした戦闘
訓練は新人フォワード達の日常となっており、そして今日はようやくの休日が明けた、つまり二日振りのそれであった。
「よしっ! ティア、次は!」
「右にズレすぎ、左から追いこんで! Y字路の右にエリオがいるわ!」
「フリード、ブラストフレア!」
フィールドを張り逃げる三機に、一体を文字通り粉砕して勢いに乗ったスバルが全速で追い迫る。そびえ立つビルの屋
上からティアナの魔導弾が檄を乗せて地を穿ち、フリードリヒの放つブレスが燃え盛る壁となって行く手を阻んだ。
「はああっ!!」
キャロの強化魔法こそないものの、自身に出せる加速の限界まで助走をつけたエリオが、急きょ進路を変え正面へと躍
り出た機体に砲弾よろしく突撃、回避させる隙もなく長槍ストラーダの加重の乗った刺突をお見舞いする。
「…シグナム…あいつら、何か…」
「…ああ、いやに張り切っているな」
休み明けと言うことで部下の様子を見に来た二人の副隊長、ヴィータとシグナムがぽつりともらす。それは、空から戦
況を分析するなのはもまた同じであり、思わず首をかしげた。
この日の新人たちは、前回に比べて明らかに動きの激しさが増していた。ブルー・マンデー、憂鬱な月曜日。その言葉
が示すとおり、休み明けの仕事やら何やらは一般に効率とモラルが下がるというのに、である。
その筆頭はスバルとティアナで、どういう訳か燃えに燃えているらしい。スタミナの限界まで動き回る二人に、エリオ
とキャロが引き摺られて速度を上げているような印象をなのはは受けた。
とはいえ、そのスターズ二人も絶好調という様子ではない。
現に動きの加速減速はかなり激しいものの最高速と一撃の威力は前回よりもやや劣る。体力的にはまだ余裕はありそう
だが、それもしばらくすればどうなるかわからない。
いわば整備不良のエンジンで急加速しているようなものだとなのはは思った。一体何が、彼女たちを駆り立てるのだろうか。
「夢の中でまで燃やされた恨み、絶対晴らしてやるんだから! あの爆弾魔ぁ!」
「もう、いっぱぁぁつ!」
「キャ、キャロ、左から回りこむよ!」
「フリード、追っ…まっ、ティアさん待って!」
「…あいつらの訓練着、あちこち焦げてねーか?」
「ガジェットの攻撃によるものではないようだが…爆弾魔?」
気合いの矛先は別の誰かで、そしてどうやらガジェットはその八つ当たりの憂き目にあっているらしかった。
ショタホモ聖職者支援
「なるほど。それで二人とも、あんなに張り切ってたんだ」
「はい…」
「ぅ…」
その夜悪夢に魘されたという隊員二人から事情を聞き、「新人フォワード火炙り事件」の顛末を知ったなのはは納得し
て笑ってみせた。
その目の前ではガジェット相手に大暴れした当事者、スターズの二人が、羞恥の色に染めて顔を伏せている。
年長二人が先導する形ではあるが、新人全員がかなりのハイペースで動いていたためスタミナの消費は相当早かった。
結局午前も終わりに近づいていたので訓練は中断、早めの昼休みと相成ったのである。
「それにしても、夢でも火球塗れとは災難だったな。爆弾魔と叫びたくなるのも無理はない」
「わ、忘れてくださいっ! あの時はその、一日振りの訓練で、頭に血が上ってたから…」
「私も、ティアが黒焦げになってる夢見て……う」
ふっと笑ってシグナムが言うのにつられたスバルが思わず口を開くが、真っ赤になった親友に睨まれて子犬のように顔
を伏せた。
黙っていろと言わんばかりの視線は、紅潮したままの顔では少々迫力に欠ける。しかしティアナの目は必死であった。
友達想いは嬉しいが、それ以上に恥の上塗りは御免なのだ。
「あの…あれは、最初は私だけの予定だったから、それで…」
「いきなり押しかけちゃったんだから、向こうばっかり責めるのも良くないよ。あと、全力全開は時と場所を選ばなきゃ」
「はい…」
「うん、じゃあこの話はもう終わり! 午後は制限時間付きでもう一回。今度は数を増やすから、しっかり栄養取らないとね」
キャロからもたしなめられて、しおしおと小さくなったティアナとスバル。いつまでも晒し者にしておくのは可哀想な
ので、なのはは一先ず話を打ち切ることにした。休憩の後はまた午後の内容が待っているのだから、引きずるようなこと
があってはならない。
その後、異様に高いテンションを疑問に思いながらシュミレーターを操作していたシャーリーと合流し、部隊は一端オ
フィスへと戻ることにした。
昼食は基本的に食堂で摂るのだ。確かに食事の時間ももったいないと言えるが、訓練と休憩のけじめは大切である。た
だひたすら頑張るだけでは身に付くものも身に付かない。
それにまさか、どこぞの男のようにそこらで獣を殺して食糧を調達するわけにもいくまい。
それぞれ近くの――といっても身長が分かれているため、隊長格・シャーリー組にスバル・ティアナ組、エリオ・キャ
ロ組といった形におのずと決まってしまうのだが――隣どうし目線の合う同僚と談笑を楽しみながら、一路オフィスへと
歩いていく。
「ねえ、キャロ。いつか…僕も、森について行っていいかな」
「え?」
「その…カイムさん? が気になって。あの時は地上にいたから見えなかったけど、槍も持ってるって聞いたから」
そんな折、ふとエリオがキャロにこんな事を言い出した。
なるほどエリオの持つストラーダは、槍型のアームドデバイス。魔導の力を借りる他にも、魔力で強化して白兵戦、と
いう戦い方は先程の演習でも行ったし、自身のスピードを活かす有効得意の戦術でもある。
キャロの話では武器を多く持つとしか聞かなかったが、剣の中に槍が混ざっている事を聞き落としていなかったのだ。
ピーター支援
自分を保護し、今なお多くの人を守るため働く保護者フェイトの後ろ姿から「道」を見出し、騎士を目指すと決めたエ
リオも守り抜く力を、強さを追い求める若き魔導師の一人だった。
彼は年長二人ほど怒りの念が強いと言う訳ではなく、それより「竜騎士」の名を負うカイムの持つ槍術が気になったの
だ。いかに新人とはいえ四人もの魔導師を手玉に取るほどの手練れだ、魔法もさることながら剣や槍の使い方も並大抵で
はないとの確信があった。
もちろん喋るドラゴンそのものへの、興味と憧れもあったが。
「うん、今度言ってみる。きっと大丈夫だと思うよ」
「本当? ありがとう! …あ、でももう少ししてからがいいかな。もっと鍛えてから…」
「そ、そんなことないよ。カイムさん静かだし、ああいう事はもうないと思うしっ」
『遊んでやる』との言葉から死なない程度に手加減していたと知っているキャロはまだよかったが、ティアナとエリオ
にとっては初めての、スバルには幼少以来人生二度目の命の危険を感じたのがあの事件である。
目の前の少女はこう言っているものの、不意打ちだったこともあってやや不安は残る。教練でなのはの放つ魔導弾・ア
クセルシューターに囲まれたことはあったが、あの炎はどう考えてもいつものような、訓練用の手加減の仕方ではなかっ
た。もっと一つ一つのサイズが大きかったし数もあったうえ、さらには合間を縫って黒き雷まで降り注ぐ始末。
そんな情け容赦ない魔法を経験してしまっては、さすがにこのまま何もせず会いに行くという訳にはいかない。あれは
試練だ、もっと鍛えなければと思ったのだ。そう言う意味ではこの真っ直ぐな少年にとって、あの一件は良い刺激であった。
「そういえば…キャロ、その竜と竜騎士に教えを受けているのだったか」
もっと強くなってから、と言い出す少年へしきりに誘いをかけるキャロに、ふとそう聞いたのはシグナムだった。
つい先ほどまで我らが主はやての書類仕事が…などと話していたヴィータの姿は、彼女たちより少し前方を行くなのは
の横に動いていた。話し相手がいなくなって隊員たちの話題を聞いていたら、ふと思い出したのだ。
キャロは問いかける剣の騎士を見上げ、はっとした。フェイトやなのはとはあの日のうちに話をしたが、この副隊長に
はまだ直接報告をしていなかった。
「す、すみません、勝手に…」
「いや、話は我らが隊長から聞いたよ。それより…どうだ? 竜騎士カイムとやらは、剣も使うそうだが」
教えを無断で乞うた事を謝るのをシグナムが制し、聞きながらオフィスの自動ドアを抜ける。
普段ならばデータ整理や他の仕事のある隊長格と新人たちはここで別れて別々に食事を取るのだが、珍しくシグナムが
立ち止って聞くので他の皆も止まり、興味津々といったようすで耳を傾けている。やはり他の世界の住人であり、映
像や遠目にしか見てはいないとはいえ、どんな魔法や力を持つかは誰もが気になるところだ。
だがシグナムとしては、力量以上に聞いておきたいことがあった。
その時の状況を知る術はないが、フェイトからはキャロが力の災いを理由に故郷を追われことは既に聞き及んでいるの
だ。その少女が力を求め、自ら教えを乞うにまで至る者が如何なる存在なのか、それが気になったのである。
「はい。何本か、肩とか腰にさげてます。抜いたのは見たことないですけど…でも」
「む?」
「…ふたりとも、すごく仲がいいみたいです」
Su-47ベールクト支援
話の流れとしてまず「武」の在り方を問い、然る後にどんな印象を持ったか…などと聞こうとしたが、無意識にか羨望
を言葉に滲ませるキャロを見て、シグナムはいい意味で当てが外れたのを悟った。
なるほど納得がいった。
大方人と竜の、強い絆を持つふたりに中てられたのだろう。フェイトはクロノ筋の情報で彼らがずっと戦場で共にあっ
たと話していたし、何よりキャロの表情は時々なのはとフェイト、スバルとティアナに向ける視線にも似て本当に羨まし
そうであった。
何より彼らは、キャロと同じ竜族と生きる者なのだ、幼心にも憧憬を抱くのは不思議な話ではない。
「……そうか。やはり、近い内に会ってみたいものだ」
「はい! あ、エリオ君と一緒に頼んでみましょうか?」
「いや、こちらの予定にお前たちも合わせてもらう訳にはいかん。私は私で機会を見るさ」
キャロはそのまま優しい顔をして、肩に乗せたフリードリヒの背を撫でている。何となく微笑ましくなって、そしてそ
んな表情をもたらした竜と竜騎士に少しの羨ましさと、ますます興味が湧いてくるシグナムであった。
だが彼女の願いは、その後しばらくの間叶うことはなかった。
時間が無かったわけではない。教練に参加していないシグナムは六課でも珍しく時間にゆとりのある職員の一人だった
し、その気になればキャロの目付け役として竜を訪ねに行くことは容易だった。
にもかかわらずそうしなかったのは、偏に彼女が一人の主に忠誠を誓う生粋の騎士であるが故である。
「ただの紙切れが、こんなに恨めしく思えたことはあらへん…私かて喋るドラゴン、一度見たいのにっ…!」
「主はやて…その、差し入れです」
ようやくの休憩時間に入って机の上で突っ伏すはやてに、シグナムが冷えたスポーツドリンクのボトルを手渡す。
つまりは、そういうことだった。忠義に厚いシグナムには、この主を差し置くことができなかったのだ。
六課の間に流れた先日の映像によってドラゴンの存在は周知の事実で、皆の興味を惹くのは当たり前であった。そして
それは隊長のはやても例外ではない。
戦闘には必ず前衛を必要とするため、前線で活躍することがほとんどなかったはやては、魔法生物の類いと相対した経
験がなのはやフェイトに比べてほとんどない。さらにそのドラゴンが人語を喋るとあればまるでおとぎ話だ。会ってみた
いと思う気持ちはひとしおであり、そしてそんなはやてを尻目に自分だけが会いに行くとなると、どうしても遠慮してし
まったのである。
「あ、シグナム。ありがとな、助かるわ」
「はやて。向こうでリインが呼んでた」
「はやてちゃーん、あと半分残ってますよーっ!」
「…ユーノ君の書類整理能力、ちょっと分けてほしいわぁ…」
設立当初に比べて大分落ち着いてはきたものの、やはり六課立ち上げからさして時間が経っていないことに変わりはな
い。苦とは思っていないが、はやてにはまだ休息の日は遠いようである。
禿神官長支援
五日が過ぎた。あれからキャロは休みとなると定期的にドラゴンのところに通っていたが、エリオがそこについて行っ
たことは未だに一度もない。
同じ部隊の仲間として親睦を深めたいキャロは何度か誘ってみたが、己がレベルアップを確信するまでは訪問を先延ば
しにするという少年の決心は固かった。一方ティアナはまだ煮え切らないものがあるらしく、さらにそんな親友に引っ張
られる形でスバルも奮起し、こちらもまた訓練を重ねて腕を磨く日々。
そんなある日の、とある教練だった。この日はもはや日課と化した対ガジェット戦の復習の後、なのは自身を相手取っ
ての実戦訓練が行われた。
消耗した状態で、いざという時の爆発力を高めるのが狙いだ。条件は一定時間攻撃を全て回避し続けるか、それよりも
先になのはに一撃を加えるか…いずれにせよ、失敗すればもう一度最初からやり直しである。
残りの体力からして前者は明らかに不可能、我らが教導官高町なのははそこまで甘くはない。それ故最後の一撃をいか
にして入れるかが、カギというのが新人フォワード共通の見解であり、なのはの意図とも一致していた。
ティアナがかく乱、スバルが接近戦で手を塞ぐ。そこへフリードの火炎をタイミング良く入れて視界を奪い、キャロが
強化したエリオの特攻で一気に勝負を決める。相手の技量から考えると成功するか失敗するかは五分五分といったところ
だが、ティアナに考えられる作戦としては現状これ以上のものはなかった。
が。
「キャロ…いつの間に、こんな…」
呟いたのは誰だったか。
目の前には燃え盛る炎のカーテン、それを背景にバリアジャケット腕部に傷を負ったなのはが、驚きの表情で白竜と召
喚士を見つめている。
フリードリヒの放ったブレスは、以前と比べて明らかに威力を増していた。予想以上に広がった火炎に一瞬意識がそれ、
刹那、回避した炎の陰から突撃するエリオへの反応が遅れたなのははそのまま一撃を受けたのだ。
「…私もまだまだ、だね」
恐ろしいまでの成長速度。これが新人の底力、と言うべきか。
キャロとフリードリヒだけではない。的確な作戦運営能力を見せるティアナも、高速戦闘の反応速度という努力では越
えられない能力を持つエリオとスバルも、日に日にどんどんその才が磨かれてゆくのをなのはは実感していた。
そして今回見せた、彼らの見事なコンビネーション…ティアナの幻術魔法とスバルのウイングロードの連携は、途中デ
バイスの不具合で途絶えはしたが十分に目を見張るものがある。何より最後の一撃は、繰り出される炎を追って臆するこ
となく突っ込むだけの気迫がエリオに無ければ決して成立しなかっただろう。
「ちょうど、スバルとティアナのも調子悪そうだし…そろそろ切り替え時、かな」
最後の一撃を見事に決めた二人を囲む年長組、それに照れて顔を赤くする年少組を見ながら、なのははまだまだ未熟な
彼らであるが、頼もしさを感じていた。
一級警戒体制のアラートが機動六課内に鳴り響いたのは、それからおよそ一時間後の事である。
自殺支援
ささやかな幸せ、という言葉がある。
一言にしてしまえば随分と単純だが、その意味は使う者で種々に異なるものだ。信頼する友との語らい、親や我が子と
過ごす時間――小さな欲が満たされる瞬間をいうものもいよう。しかし全て通して言えるのは、それらは日々を生きる中
で幾度と無く訪れるということだ。所詮は一時の出来事、いずれ流れ去っていくものに過ぎない。
だが竜と男にとって、その一時の幸福は彼らの生涯に匹敵するとも言えた。
平穏な日々を送る、ただそれだけのつまらない、取るに足らないこと。しかしそれは彼らが二度と味わうことはないと
諦めていた、穏やかな時間であった。
血も凍りつく地獄の恐怖と絶望に抗い抜き、彼等はようやく手にしたのだ。全てを分かち合う愛する友と共に、ただ静
かに暮らせる日々を。
…一体誰に、その価値を推して量ることができよう。
神の手が及ぶこともなく、空が紅に染まる事もない…彼らにとってこの世界、ミッドチルダは他のどんなものよりも優
しかった。カイムとドラゴンは間違いなく、そしてこの上なく幸せだった。
「…………」
その戦士カイムの目の前で、鉄屑と化した物体が煙と炎を上げていた。
向ける瞳の色は最近見せていた空の色から、深い暗黒を秘めた海の色へと光を変えている。同じく視線を向けるドラゴ
ンの割れた瞳もまた、静かだが穏やかならぬものをたたえて漆黒に塗られていた。
突如として空中に現れた謎の物体。それがキャロの言っていたガジェットなるものであると、カイムたちが悟る術はな
かった。そしてそれが偵察の役割を持ち、強大な魔力を探知してやって来たのだとも。
彼らが見上げる視線に疑問を宿すのと、急旋回したそれが光弾を発射するのはほぼ同時だった。
咄嗟にカイムが火炎を解放しようとするも、剣を抜くよりかはドラゴンが口を開く方が幾分早く、迫る光球を瞬時に生
成したブレスが撃ち落とす。しくじるなど有り得ない。赤子どもの破壊の息吹に比べたら、何と稚拙な技だろうか。
だが弱者だろうと歴戦の強者だろうと、一度己に刃を向けた者をカイムが赦すことはまずない。
狙撃に失敗したガジェットが魔力を無効にするフィールド、AMFを展開した機体が急接近するも、世界最大にして最
重の巨剣・鉄塊を純粋に筋力のみで振るいさえする狂戦士には、魔力があろうがなかろうがまるで関係がなかった。火炎
を封じる愛剣を手にしたカイムは宙高く跳躍、迎撃させる間もなく真っ二つに叩き斬る。まるで紙のように綺麗に裂けた
ガジェットは、文字通り撃墜し停止した。
「…………」
柄越しに伝わった破壊の感触に、男の背が粟立つ。
破壊と殺戮の、戦いの衝動が体を駆け抜ける。久しく感じていなかった昂りが指を震わせ、剣が揺れる。契約者の鋭敏
な感覚は遥か彼方の空に、この機械と同じ魔導の気配をもう感じ取っていた。
戦闘の予感に、カイムの顔が次第に喜色を見せ始める。先程のそれはあまりに脆く弱い敵であったが、あの空には何が
待っているのだろう。
何を殺せるのだろう。
殺戮の宴支援
「…そうか」
殺戮の笑みを見せ始めた狂戦士に、ふとドラゴンが、静かに声をかける。
「………………」
カイムははっと我にかえって、ドラゴンを見上げる。そして後苦しげに目を反らした。
甘かったか、とドラゴンは思う。
芯まで血塗れになった心は多少の安寧は見たものの、決して癒えきったわけではなかった。時計の針を戻すことはでき
ても時間まで戻ることはない。
割れた心を繋いだところで、痕は永遠に残るのか――。
「気にするな…お主は、お主のやりたいようにやればいい」
とはいえカイムの精神がまるで癒えていない訳ではないと、ドラゴンは気付いていた。
以前ならば己の殺戮衝動に対し、あのように苦しそうな顔を見せることはなかった。平穏を得たはずなのに闘いを望ん
でしまった、それが苦しいと『声』はそう告げていたのだ。
あの頃のカイムはただ殺したいように殺し、壊したいように壊す羅刹の如き復讐者。後ろを省みることもなければ、そ
のことで胸を痛めることもなかった。それがどうだ。ぽつぽつ訪れる魔導師たちはどうかわからないが、静かなる時間は
確実に、カイムの心に安らぎを与えていた。
そしてだからこそ、要らぬ手出しをしてくれた何者かへの激情が余計に膨らむ。
それはカイムも同じことだ。あの時の、偽りの大義の下で自分の為だけに人を斬った修羅の姿が消えたわけではない。
だがそこには確かに、半身の平穏を乱されて怒りに打ち震える男の姿があった。
「契約者を敵に回した罪、死を以て償わせてやろうぞ」
竜騎士を乗せたドラゴンが大空へと舞い上がり、闘いの咆哮が大気を震わす。彼らを迎えるように風が吹き付け、虚空
の中をふたりは駆けて行った。
「………あれは……そうか」
「…?」
「気にするな、直に分かる。雛鳥が若鳥に変わるのを見られる、ただそれだけの事だ」
向かう先に接近する子竜の気配に気がついたが、ドラゴンはくっと笑って言葉を濁しただけであった。
ララララララララララ支援
404 :
×DOD:2007/11/10(土) 10:32:40 ID:UOGaene9
次回はようやくのアクションとなります。では失礼。
GJ!
ついにカイムとアンヘルが戦場へ!
音ゲー女神に比べればガジェットなんてゴミ同然だぜ!
でも人相手の殺し合いじゃないとカイムは満足できなさそう。
GJです
ガジェットでは殺戮衝動満たせないだろうな…
となるとやっぱり……ナンバーズ逃げてナンバーズww
>>279 やはり、生体反射外骨格を持つ新ドラコか新ゼットンだろ
>>267 サイコバルタン星人、ブラックキング我が配下の怪獣で秒札だ
>>273 新ドラコを出せばバルタン星人も付いてくる
自分も投下いいでしょうか?
いいとも〜♪
なのはStrikerS-NEXT3話「未確認生命体」
ナンバーズ達が不憫な生活を送っていた頃人間解放軍の本部…舞浜エリアでは。
「死んだんだよ!ファイズは…。」
「違う!巧…巧は…。」
人間解放軍の本部エントランスで水原が演説をぶち上げ、
人間解放軍の一員にしてかつて乾巧ことファイズと暮らしていた少女…
園田真理が必死に反論を試みようとしていたその時。
アトラクションなどの際にスタッフが待機するための別室のドアが開き、
茶色のシャツにトレンチコートといういでたちの眉間に皺のよった青年が現われた。
「草加さん…。」
「スープのお代わり…もらえるかな?」
脇で見ていた解放軍兵士がその青年の名前を呟く。この男こそ
魔法が使えなくなってしまった管理局の戦力まで含めた上での
現在の人間解放軍で最強の戦力にしてライダーズギアの使い手「草加雅人」である。
一気に場の空気が張り詰めていくのが色々と鈍い
ところのあるつかさ達にすら理解出来た。丸いテーブルを囲んで歓談していた
ヴェロッサ・アコース、カリム・グラシア、シャッハ・ヌエラがお互い示しあうと無言で席を立ち、
建物を出て行った。去り際にヴェロッサが草加を睨む。
「ヴェロッサさん達はなんであんな草加さんを嫌うんですか?」
「良くは知らないんだけど二ヶ月くらい前。まだAMFが展開されてない頃の話だ。
草加さんは今と殆ど変わらない調子で真理さんの気ィ引く事ばかり考えて
スタンドプレーにばかり走っていたんだと。でな、ヴェロッサさんがとうとう耐えかねて
草加さんの心の中を魔法で読んじまったんだよ。」
つかさに質問されて自分は草加を止める時に居ただけなので詳しくは知らないと
前置きして話始めたのは元機動六課のヘリパイロット、ヴァイス・グランセニックだ。
「うへー。魔法ってそんな事も出来るんですかぁ〜。」
こなたがおどけたような顔をして言った。
「俺はそういう分野のは得意じゃなかったんでよくは解らないけどな。確かに知らない奴に
心を覗かれるってのは気持ちいい事じゃないわなあ。でもあれは流石にな…。」
「な…何があったんですか?」
「激昂するどころの話じゃねーよ。完全にぶっちぎれてヴェロッサさんを半殺しにしやがったのさ。
それも馬乗りになって蛸殴りにな。バインド…あの全身縛り付ける魔法な。あれで動けなくされてからも
体ごと向かってこうとしたんだぜ。何があったのかは知らないけどあそこまでする事は
無かったよな。それ以来ヴェロッサさんはあの調子で草加さんとは口を利こうともしねえって訳だ。」
「うや〜そりゃまあなんとも…。」
「あっ…真理ちゃん!」
こなたが呟いたその時。菊池啓太郎の叫び声とともに彼らが話しているよこで
草加と言い争いをしていた真理がエントランスを飛び出して行った。
そして草加はというと
「…これ貰うよ。」
本来なら他の者達に配分されるはずだった食事をごっそりかっさらうと自室にしている
元居た控え室へと早々に引っ込んでしまった。
「………。」
「わあ!り、りゅーちゃん?」
気まずい空気の中不意に背後に気配を感じた柊かがみが振り返るとそこに居たのは
召喚魔導師ルーテシアとともになりゆきで人間解放軍に合流していた彼女の召喚獣「ガリュー」である。
見掛けはいかついが人間不信なルーテシアをアギトとともになんやかやと世話を焼いている
忠義な人柄…もとい召喚獣柄から存外に人間解放軍内部での人気は高かったりもする男であった。
ちなみにかがみやすずかからは「りゅーちゃん」という親しみやすいニックネームで呼ばれている。
「むー…突然後ろに立つのやめてって何回言ったら解るのさ。」
「(少し緊張してそうな顔で)………。」
むくれた顔つきで文句を言うこなたにうやうやしく一枚のわらばん紙を差し出すガリュー。
「ん…?おーーーー。とうとう書けるようになったんだ〜。」
「………♪。」
そのわらばん紙にはたどたどしい字で「牙竜」と書いてあった。
こなた達はここ一週間暇に任せてガリューに字を教えていたのである。
かなり知能が高くあっというまに平仮名と片仮名でなら自分の名前をあっというまに
書けるようになったガリューだったが漢字は
やはりハードルが高いらしい。マスターするのに時間がかかっていたのだが…。
「あとでルーちゃんに見せに行こうね。」
「コクコク!(しきりに頷いている。)」
やさしく微笑むつかさの手を握って繰り返し頭を下げるガリュー。
「相川さん達が帰ってきたよーーー!」
「M14は反動でかすぎですよ。他の銃は余ってないんですか?」
「あ゛ーーーー。腹減った!」
真一郎と真雪を先頭にどやどやと帰ってくる偵察小隊。
「スバル〜お帰り〜!」
「わーいこなた〜〜!」
「相変わらず仲いいわねあんたら…。」
楽しげにハイタッチするこなたとスバルを眺めながらティアナが呟いた。
「まあ…それはいい事じゃないか。こんなご時世なんだし…。」
薫がティアナの肩を叩きながら言った。
なんだこの空気とがりゅーw
支援
舞浜…まさかゼーガペイン登場フラグか!?
…んなわきゃないか…支援
その頃エントランスの地下30メートル。人間解放軍地下シェルターにして
かつての時空管理局巡航艦クラウディアが隠匿されている巨大格納庫。
「ティアナ達が戻ってきたらしいよ。」
「丁度いい。一休みしたらこっちへ来るように言ってくれないかな。これの修理が終わったって聞いたら喜ぶぞ〜!」
巨大なバイク…ジェットスライガーを整備している元機動六課メンバーの眼鏡の少女…。シャリオ・フィニーノに声をかけたのは
ユーノ・スクライアである。彼もまた人間解放軍に参加していたのだ。
そんな彼らをほのかに蔑意を込めた目で睨みながら通路を歩いていく二つの影があった。
「ノー天気な…。」
かつて時空管理局の奥深くに潜入して工作を行っていた
ナンバーズの二番ことドゥーエである。そしてその後ろにピッタリ付いているのは
彼女を監視する役目を負ったフェイトの使い魔、アルフだ。
行き止まりになっている通路の奥のスペースに野村博士が付けている物に似た
ゴーグルをした壮年期の男が蹲っていた。
彼はドゥーエの姿を認めると意味ありげに笑いかけ、彼女の固有武装「ピアッシングネイル」の
刃の部分を布に包んで手渡した。男の二の腕に山椒魚を象った刺青が見える。ドゥーエは
ピアッシングネイルを右手に装着するとしばし弄び、
ぺろりと刃を舐めると無造作に壁に立てかけられているライオトルーパーの残骸に
向けて素早く刃を振り回した。音も無く細切れになり床に転がる装甲服の残骸を満足げに
見つめるとネイルを収納する。
「んな物何に使うのさ?」
「あら…?オルフェノクと戦うため…って答えじゃ不足かしら?」
敵意剥き出しの口調でドゥーエを問い詰めるアルフ。だがドゥーエの方は
全く相手にしていないようだ。
「ふん…よく言うよ。あんたの言う事は千に三つも信じられないからな。嘘吐き女め!」
「褒め言葉として受け取っておきましょう…。それよりあの子達が帰ってきたみたいだけど行ってあげなくていいのかしら?
私の監視を命じられてるのは解るけど…こんな状況で何が出来る訳でも無いでしょう?」
「…チッ。何か悪いことしようとしたってすぐに解るんだからね!」
「戻るんならこれをもって行ってくれよう…。」
刺青の男が風呂敷包みをアルフに渡した。いずれも高町美由希や御剣一角、
菟弓華と言った刀や苦無と言った武器を使う解放軍のメンバーが彼に強化を依頼したものだ。
だがこの場に居るドゥーエも含めて彼が一体何者なのか知る者は無かった。
では何故そんな怪しい奴に頼むのかといえば答えは簡単。腕がいいからである。
sienn
いや、いいなどという生半可なレベルでは無かった。
彼は白兵戦に関する武器に関しては魔術師と言われる程の腕と知識を持っていたのだ。
それもそのはず。彼の本当の名前は
「ヌ・ザジオ・レ」かつての未確認生命体の生き残りなのである。
何故そんな奴が人間に与するかというと彼がグロンギという存在に対しなんら
拘りやポリシーを持たず。武器を好きなだけ扱う事が出来、かつそれを使って
敵と戦う者が居てくれさえすれば満足という人物だったからに他ならない。
「…単純…♪」
地上へ戻っていくアルフを見送りつつドゥーエは呟いた。
壁に設置された隠しコンソールを素早く操作する。すると行き止まりだった場所に扉が現われたではないか。
その扉の中の小さな部屋には一つのポッドが据えつけられていた。
その内部にはスマートブレイン本社に居るはずのドクター・スカリエッティをエリオやキャロと
同い年程度に幼くしたような人物が眠っていた。
「オルフェノクを倒したのちにドクター、あなたの野望を必ずやこの私が…。」
一人ごちるとまだほのかに痛みの残る下腹部を摩り、
ポッドの内部のスカリエッティが自分に指示を下す姿に思いを馳せつつ彼女はひとしきり笑った。
その頃
「はー…はー…。いくら飯が足りないって言ったって…提督!
ヤドカリやカニはともかく俺自分はもうフナムシなんか食いたくありません!」
「俺に言ったって仕方無いだろう。」
元クラウディア乗組員のアレックスとランディのぼやきにクロノが黙々と防波堤を這い回る
フナムシを捕獲しつつクロノが呟いた。
ディズニーランドから少し離れた岸壁。二万人を養うための食料は無論尋常な量ではない。
そのため人間解放軍は目についたあらゆる物を食料としていた。ヤドカリやカニは問題無いとして…フナムシとは。
学名Ligia exotica英名Wharf Roacht(埠頭のゴキブリという意味)!岸壁、埠頭、防波堤…
海に纏わる場所ならどこにでも存在しマッハで這い回る恐怖の生命体である。
こんな物を食べさせられればまあ文句が出るのも無理は無いと言ったところだろう。
「こなたさんたち何処行ったのかなあ…。」
「お前がこっちって言ったんだぞ。」
「こなたたちならお前らがくるかなりまえに帰ってったぞ?」
クロノ達の横でグラーフアイゼンの素振りに励んでいたヴィータが今更やってきたエリオと蝶野に怪訝そうな声をかけた。
「仕方ねえな…戻るか。こりゃ飯を食い損ねたかもな。」
「あっ…?あの…あの…。」
ぼやく蝶野の服の裾を引っ張るエリオ。
「何だよ。いくら戻るのが遅れたからってお前の分が無いって事は無いから安心しろよ。」
支援。懐かしい奴はけん
「そうじゃなくて…あそこに浮いてるの…人じゃないですか…?」
エリオが指差す先にある波間を漂ううち捨てられた小型ボートのへりには確かに人…
女性の上半身のような物が見えていた。
「かしましい…一体何なのだ…この声は…?」
その女性はエリオやクロノの声を聞きながら夢を見ていた。
それにしても眩しいな…あれからどのくらいの時間が経ったのだろうか…。私は死ぬのか…。
生まれた時に初めて感じたのは血生臭い臭いだった。
「皆殺しにしろ!我等グロンギに逆らう物は例え地の果てまで追いかけてでも抹殺するのだ!」
父親も母親も顔を覚える前にさっさと死んで行った。
生まれてすぐに人を殺した。そうしなければ生き延びられなかったから。
ただひたすら他の集落の住人の血を見てすごす…
あれはとても人間が送る生活ではなかった。
そしてあの日がやってきた。嫌がる私に祈祷師があの魔石を埋め込んだのだ。
その時一緒に埋め込まれた仲間は次々と死んで行った。
魔石の力に耐えられなかったのだ。私はただ生き延びたい一心で凄まじい苦しみに耐え、生き延びた。
しかしその時既に名実ともに私は人間では無くなってしまっていたのだ。私は力を付け、のし上がり…
他のグロンギ達とは別格のグループ「ラ」の一員となった。そして我等グロンギの
目下最後の標的だった種族、リント…。そのリントが
送り込んだ最後の戦士「クウガ」との戦いに我々は敗北を喫した。そして幾星霜…
目が覚めて見ればリントが繁栄した平和な世界になっていた。早速執り行われることになったゲゲル。
だが再び我等の前に現われた戦士、クウガ。仲間は次々と息の根を止められ、
「究極の闇」も滅び、私もあの男によって命を絶たれて今度こそ本当に我々の…そして私の歴史は
これで終わるものとばかり思った。
ところがどうだ。リントの世界の書物に載っていた天上の世界とやらには一向に辿り着けない。
ひたすら暗く冷たい海の底という牢獄に
半分目が覚めた状態で囚われるのみ。それともこれが地獄というものなのだろうか。
だとすればこの眩しい光は一体…。
「おい、おい、!…ダメだ起きない。連れてくから手伝ってくれ!」
「わ、解った!後頼むぜクロノ。あたしはシャマルとはやて呼んで来る!」
「提督!フナムシを入れといたバケツが倒れちゃいました!」
「な、なんか足から這い上がってくるんですけど…。」
「どうでもいいだろそんな事!」
「私の部屋にウィスキーあんだろ?今すぐ持って来い。飲ませてマッサージするから…。
それにしても額なんて目立つ場所に薔薇の刺青とはなかなかやるなこの人。」
エントランスに運び込まれた女性の脈をとりながら真雪が呟いた。
「皮膚に赤みが戻ってきました。もしかするともうすぐ目を覚ますのでは…。」
フェイトが呟いたその時。
「やっと天国に辿り着けた…と、いう訳では…無いようだな。」
その女性…かつての未確認生命体のリーダー格にしてザジオを別にすればほぼ唯一の生き残り
「ラ・バルバ・デ」は辺りをけだるげに見回すと、呟いた。
ぎゃー!支援!
支援
序盤だからかギャグとシリアスが混じってるw
支援
ここまでで。
グロンギの生死不明コンビ登場。
バルバさんはいいとしてザジオは知ってる人が居ないかもしれないんで
どういうポジションの奴か説明しておくとグロンギの武器職人です。
もっとも見掛けはただの怪しいおっさんですけど。
中盤から終盤にかけては殆ど毎回出てるにも関わらず「ギギジョグ…(いいよう…。)」
としか喋らないんで驚くほど影が薄い。で、最後は生死不明。
それとナンバーズの胎内にはドクターのクローンが居るというエグ過ぎて
敬遠されていた設定を敢えて使ってみました。
GJ!
バラ姉さんキター!
>ナンバーズの胎内にはドクターのクローンが居る
アニメでもそんなことはなかったぜ!になった設定を使うとはそこに痺れる憧れるぅ!
GJ。
懐かしい勢力がw
全力全開な決戦時、最終的な勢力がどのようになってるか、楽しみにしています。
・・・あえて注文をつけるなら分ける数が多くなってもいいからもっと(特に台詞間)改行して見やすく・・・
>425
そうですか…。
改行って時間かかるし容量も食ってしまうと思ってたんですけど
それなら今度投下する分からはもっと意識して使う事にします。
スクリーム氏乙
やはり草加さんはステキですねw
なのは勢とオルフェノク三人組との絡みを期待。やはり腫れ物に触れるような扱いになるのか
>>404 GJ!!カイムが素敵笑顔で戦ってるのをついに目撃か・・・楽しみです。
>>423 GJ!!かつて敵対してたグロンギが味方になるフラグが起つとは・・・。
グロンギとオルフェノクはドッチが強いんだろう?まぁ個体差はあるけど。
429 :
マスカレード:2007/11/10(土) 14:49:06 ID:ha4Qjmx3
GJです!!
更新早いのが羨ましい……
薔薇のタトゥーの女キター!
今回は展開的にもグロンギは味方になりそうですね
草加はまた腹黒そうな……(笑)
五代はまだ旅を続けてるんでしょうか?
私、こういう雰囲気……っていうか世界勧の作品はかなり好きなんですよ
続きをwktkして待ってます!
>>428 私見ですけど平均的なパワーで見れば恐らくグロンギの方が強いと思います。
というのもファイズ系のライダーって結構ロースペックなんですよね。
なにしろファイズ・デルタ・カイザの三体のベルトの全てがクウガマイティフォームに
跳躍力以外の分野(百メートル辺りの走力、パンチ力、キック力)で負けてしまってます。
ファイズに至ってはキック力がマイティフォームの半分しかない。
わざわざ装着すると身体能力が落ちるような代物を開発する道理は無いでしょうし
とすると俺はグロンギの方が上なんじゃないかと思いますね。
訂正。
カイザはパンチ力ではマイティフォームと互角。
デルタはパンチ力では微妙に勝ってます。
>>431 なるほど・・・返答ありがとうございます。
戦場にグロンギが出てきたらオルフェノクたちは驚きそうですね(しかも上級グロンギだし)。
スペックで見るとクウガが異常なだけだよ
アルティメットに至っては80tとかだし、超能力で相手を発火させることも出来るし
1人でオルフェノク殲滅できるぞこれ
すべての職人の皆さんにGJをお送りして、自分の番とさせていただきます。
という訳で1900投下開始します。
勇み足の支援
「・・・まったく、どんだけ物資を使い込めばこんな請求ができるんや?」
「はやてちゃん、お顔が怖いですよ・・・」
「これだからレイヴンとかいう連中は信用できんというんや・・・」
戦術部隊本部施設、八神はやては指揮下にある諸隊から送られてくる補給要請の書類と格闘していた。
はやての指揮する第四部は補給を担当する部署であり、どんな部隊にとっても重要な後方での任務を負っていた。
補給物資を揃えて輸送手段を確保し、必要とする部隊に配送する“カンバン”方式。
部隊が必要とする物資の要請を受け後方の集積所から適時配送する。
だが戦術部隊の戦闘地域が広がれば広がるほどはやての仕事は倍になっていった。
特に戦術部隊所属のレイブンや本隊の要求する物資がとんでもない量になり、しかもそれが広く分散したため、
指揮下の輸送隊では足りず、他の部隊と調整しなければならならなくなり、それが更に仕事量を増やしていた。
「まったく・・・、こっちはお腹の贅肉とも戦わ無きゃならんのに・・・。昔見たく打ちまくって破壊すればいい
モンじゃないんやで・・・」
ユニゾンデバイスで公私共に重要なパートナーのリインフォースUが仕事を手伝ってくれているとはいえ仕事量は多い。
しかも本部の残留組で最先任がはやてであるため、作戦による付随被害の抗議書も自分に回ってくる。
それの対応もしなければならない。
「従来型の“集積方式”の方が効率いいんやないか?大体、ウチなら一発でみんな掃討したるわ・・・」
「・・・はやてちゃん、お休みしませんか?」
さすがに荒れつつあるマイスターを見かねてリインフォースUが進言する。
「そうやな、リイン。ちょっと休もうか。せやけどその前に・・・」
そういいながらはやては椅子を後ろに下げ机の下を見る。
「はやてちゃん?」
リインが不思議がって聞いてくるが聞いてない振りをする。
「・・・手癖が悪いのはこの指か?それとも頭か?」
「へへ、そんなこと言わないでくださいよ」
そういいながらはやての足元から首を出したのは元ナンバーズのNo6、セインだった。
「セインちゃん!!またそんな所から!!ちゃんとドアから入ってきなさいと・・・」
「気にしない気にしない」
「少しは気にしなさいです!!」
そう笑いながらセインは地面から体を出す。どうやったらそんな器用なことが出来るのか?
はやては聞きたくて堪らなかった。
「お帰りや、セイン。首尾はどうや?」
「上々、ってところですかね?」
はやてはレアスキル中のレアスキル『ディープダイバー』を持つセインを直属の秘書兼密偵として使っていた。
「やっぱりあのエヴァンジェって言うの、怪しいですよ。最近、戦術部隊本隊が妙な行動するように
なってますし・・・。まあ、レイブンを名乗る連中は一癖も二癖もありますけどね」
「ふーん、で、その紙袋は何や?」
「じゃーん。こっちのほうも大漁です」
セインが紙袋の中身を机の上に出す。はやての机の上に出てきたのは大量の菓子類だった。
「わーい!!お菓子ですぅ!!」
「こらこら、先にお湯沸かしてきてな。お茶にしよか」
「はいです!!」
「・・・ところで、どっからくすねてきたん?」
「く・・・、くすねてなんかいないですよ」
はやての質問にすまし顔で答えるセインだった。
ま、報告を聞いた後にでもしっかり答えてもらおか・・・。
戦闘機人はJS事件後、戦闘機人の処遇に関しては無力化処置後の更生プログラムの終了後が問題になった。
そのまま自由放免にしてしまえば管理局の機密情報がいつ漏洩するやも知れず、一部の戦闘機人はこの時点で
保護下に入り更生プログラムを受けていなかった。
過去の情報を彼女らの記憶領域から削除すれば人格や経験値をリセットする必要があるという更生プログラムの
教官からの報告もあり、一から調整するのは手間がかかる。一時は破棄するという論調が上層部で大半を占めた。
それでも結局は能力は惜しい、それと資材の有効活用という面から戦闘機人計画を進めたレジアス中将の遺児、
オーリス二佐が自身の部隊で試験機材として管理することになった。
だがその部隊も平時は少数の本部要員のみで構成され、有事の際に他部隊を編入し行動するという任務部隊方式
の本部班だった。言わば危険分子の体の良い飼い殺しである。
支援支援
この一連の処置に平行して管理局内では陸のレジアス=武闘派に対する締め付けが海空主導で行われており、
汚職まみれの陸とそれを取り締まろうとする本局・海・空という構図で進んでいた。
陸上部隊内では魔女狩りか黒死病かとまで評される上級指揮官の左遷・退職の乱発に嫌気の差した下級指揮官・
下士官・陸士の大量退職が発生、戦力の低下を招き、さらに残った隊員も士気の低下が表面化し始めていた。
陸の内部では疑心暗鬼に猜疑心が蔓延、これを決定的にしたのがゲンヤ・ナカジマ一佐のミッドチルダ方面管区
本部長代行就任であった。彼自身が就任したのは当時ミッド方面管区内では最先任者であったし、JS事件でも
ガジェット群の鎮圧の為に自身の陸士108部隊を指揮し解決に尽力、思想的には穏健派に近い。また妻を任務で失い、
男手一つで娘二人を育て、しかも母親譲りの高ランクの魔導師に育てる・・・。
そのようなストーリー持ちである点からも最適な人選といわれた。
だが問題は彼の二人の娘だった。
当時二人とも機動六課−口さがない陸士は“能力の無駄使い”といった−に出向か所属しており、さらに108と六課が
良好な関係、それもその筈、六課長・八神はやてとは師弟関係にあり、それが穿った見方を助長した。
「娘二人を本局・海空に売り渡して今の地位を得た」
「陸士の実情を知りながら本局海空と対立したレジアス中将の失脚に協力し地位の安定を図った」
大半は根も葉もない噂であり彼自身も特に気にするような素振をしなかった。
だがレジアス=武闘派の締め付けが厳しくなる中で本局と親しい人材が重要ポストに就いた事はそれだけで
陸士間に亀裂を入れるのに十分だった。
人員も士気も連携もガタガタになる陸を尻目に、海空は陸の削減分の予算というパイの奪い合いを本局を巻き込んで
始める。ただ海空両者の内部も一枚岩ではなく、中の派閥間でも政争を繰り広げるといううという少数の
良識派が頭を抱える事態となった。
だが、そんな状況を終わらせたのは新興の武装勢力バーテックスと各管理世界で同時多発的に発生する
武装勢力のテロだった。
明らかに統制の取れた、寄せ集めとは思えないバーテックスの戦術とそれを支援するかのように行動する
独立武装勢力の大規模テロ。広域化・大規模して行くにつれ、徐々に手に負えなくなりつつあった。
管理局設立協約加盟国からは早期の治安改善と武装勢力の取り締まりに力を注ぐよう要請が何度も出されたが
今度は本局内でバーテックス、独立武装勢力の跳梁を許したという問題の責任の擦り付け合いが始まるという
醜聞としかいえない事態となった。
後手後手に回る管理局の対応に業を煮やした加盟各国が自国の軍事組織・治安組織による管理局の各管区施設の
閉鎖と制圧、協約からの脱退といった通達を突きつけるまで発展。さすがに自分達の立場が危うくなり始めたのに
対して各派閥が妥協と打算を繰り返した結果、権力争いは後回しとし、目先の事態の解決を目指すことを大綱として
設定することとなった。
その中で強力な鎮圧部隊をバーテックスの鎮圧に向けて編成することも計画された。
今度は指揮官職で揉める事となったが、外部から招聘することで一致を見た。
そして編成されたのが管理局・戦術部隊、指揮官にはレイブン、つまり風来坊の傭兵が就任した。
名はエヴァンジェ、かつてアークの主催であるジャック・Oと対立し、アークを追放された男。
その彼が指揮官に就任することなった。
はやてはその中で戦術部隊内で補給を担任する部署への就任命令を下された。
結局これも局内における権力闘争の一端ではあったが、はやては辞令を受け本部へと出向した。
その後、補給要請を受けては対応し、足りない物資を予め準備するといった普段の業務を行っていた。
そして今に至っている。
セインは更生プログラム終了後、機会を見ては外の世界をふらついていたがある日、因縁のある聖王教会の
シスターにばったりと再会し、話を聞いて再度改心、教会の手伝いとして出向した。
・・・表向きはそうなっているが・・・、実施はとある司書長ととある教導官に依頼されて学校に忍び込んだところを
シスターに発見され捕まった。結局忍び込んだ罰として教会の手伝いを言い渡された。
なお二人の演じた逃走劇はいまだ関係者の間で語り草となっている。
そんなある日、世間話に来たはやてとシスターの上司との会話を聞いて面白そうだからとはやてについて行って、
結局密偵として働いている。
支援。
コネまみれの腐敗っぷりは本局の方が酷いよ支援
「この間、エヴァンジェが何で戦術部隊司令官に抜擢されたのか・・・、って話されてましたよね?」
「ああ、あれか?なんか分かったんか?」
「まあ、なんと言いますか・・・。ミラージュ社、知っていますよね?」
セインが制服に着替えた後、お茶をすすりながらはやてに今回の出張の収穫を報告する。
因みにリインフォースUはセインのくすねてきたお菓子にご執心で話に入る素振も見せない。
「管理局に色々と納入しとる企業さんやからな、知らんのもおらんやろ」
「エヴァンジェが企業との専属契約でアーク上層と衝突して放逐された前後でかなりの企業寄りの仕事をしてます」
「そんなん良くある事やろ?」
特定の主義主張に肩入れしないのがレイヴンの掟。だが、各レイヴンが持つ主義主張は色々だ。
破壊を楽しむもの、美学を持って戦うもの、信念で戦うもの・・・。
その中で企業に肩入れするレイヴンが居ても不思議ではない。
「そうです、でも問題なのはミラージュ社の他社の権益に強行介入した事件、前線の指揮とってたのあいつなんですよ」
「それって、確か資源採掘権を巡ってた時のか?」
「この時、企業に大分気に入られたみたいですよ。で、あいつが戦術部隊の隊長に潜り込めたの、
企業側から統合幕僚本部に強く推薦されたから・・・、らしいです」
はやては合点がいった。陸と並んで企業とべったりなのはどうやら本局・海・空も変わらないらしい。
レイヴンを重要ポストに据えたのも、本隊の部隊長クラスにも多数のレイヴン、本隊には各企業の息がかかった部隊、
それらには最新の魔導甲冑に装備が提供されている。
「まあ私は性格的にもあんまし好きじゃないですよ」
これには苦笑するしかない。彼と同じ会議の席上に座ればいやでも彼の性格が分かる。
普段の口調からも感じられるが自己顕示欲の強さには眩暈がしてくる、はやてはそう感じていた。
「よく調べおったな」
「本局の偉いさんの部屋でちょっと拝見しました。後から聞くのは難しいけど、今入って見るの簡単ですよ」
実ははやてはセインの行動を掌握していない。彼女の行動を追跡できるのはセインの天敵、あのシスターだけだ。
今回の“出張”もどうやら遥々本局まで出かけて潜り込んだ挙句、警備が厳重な偉いさんの部屋にお邪魔して端末を
操作したのだろう。
まさにセインのISディープダイバーの正しい使い方といったところ。
だが、そんな仕事を楽しむのもいいがもう一つの秘書としての仕事ではまったく使えない。
おかげで簡単な書類の決裁まで自身でやらなくてはならずデスクに座る時間を増加させていた。
「はーい、八神一佐のお部屋です〜」
隣の部屋の部下からの内線をリインが上機嫌に受ける。
「リイン曹長、八神部長はいらっしゃいますか?」
「いらっしゃるですよ〜」
「はいはい、どした?」
はやてがリインから内線を変わり、今では見知った部下に話しかける。
「お客様が見えられています」
「お客?なら私は席を外したほうが・・・」
「ええでそこにおって。あ、お客さんはお通ししてくれや〜」
「わかりました」
「セイン!!」
「はいはいセインさんですよ〜、・・・ん?げ!!シスター!!」
開きっ放しのドアから入ってきた、もとい突入してきたのはシスター・シャッハだった。
セインを確認する・・・、その前にドア前でヴィンデルシャフトを起動、バリアジャケットを着込んでいた。
「待ちなさい!!」
「いやだ!!」
セインがディープダイバーを発動、床に潜り込んで逃げようとする。
だが、一瞬の反応でシャッハのほうが早かった。
セインの襟首を掴み、無理やり引き上げる。
「わ、わ、はなし・・・」
喚くセインが見たのは優しく慈母の様に微笑むシャッハの顔。
だがその背後に燃える怒りの焔の大きさはセインが一番理解している。
「セイン、最近見かけないと思ったら・・・、こんな所にいたんですね・・・?」
嘘だ。はやては彼女が知ってていってるのが判る。
当のシャッハからは毎日の如くはやてに迷惑をかけていないかどうか、ちゃんと仕事をしているかどうか、
確認するメールが送られている。
「いや、それはその・・・妹達が心配で・・・」
「なら八神部長の下ではなく、オーリスさんのところに行くのが筋でしょう?」
「しかも・・・、最近人のお菓子をくすねているそうですね?」
「な、何で知ってるんですか!!」
「あなたは教会に居た時でもつまみ食いとかしていたでしょう!!」
そういわれて、セインは悪事をした後の子供のようにおとなしくなる。
「今回は、ちゃんと仕事して人に迷惑をかけ無くなるまでになるまで外出は禁止です!!」
「あ、一応役にはたっとるから一週間ぐらいで返してな〜」
「八神たいちょ〜・・・、リイン〜、助けて!!」
「セインちゃん、心を入れ替えて帰ってくるんですよ〜」
そんな上司と同僚(?)に笑顔と手を振られて送り出され、シャッハに襟首掴まれたまま、セインは連れて行かれた。
「まぁ、明日には逃げてくるやろ」
「きっとそうなのです」
二人はそう言うとデスクに戻って仕事を再開した。
かわいそう陸、戦力ないよ陸。支援
「八神部長、301機動隊からの補給申請が来ました」
部下の隊員が申請書類を携えて入ってくる。
「お、ありがとな、・・・なんや多弾頭誘導弾?リイン、どっかに在庫が残ってないか調べてくれんか?」
「ハイです。困りましたねぇ・・・うちに在庫が無いですぅ・・・」
「あー、そこらの武器商人から買うしかなさそうやな」
「とりあえず在庫が在りそうな人たちのリストです」
「選別して契約、取り纏めといてな。言い値で買うんやないで?」
「判っています」
「商談が纏ったら会計課に行って必要経費とか提出しといてな」
「わかりました」
最初の隊員が出て行くと次の隊員が入ってくる。
「バレーナ社に連絡して注文したカートリッジの納入を早めるよう伝えておいてな」
「弾薬類のストックも減っています。今のペースでは一週間後には備蓄は目標の八割をきりますよ?」
「あわせて追加注文や」
指示を受けた隊員が出て行くと次の隊員が入ってくる。
「輸送3班、帰還しました。受領確認書と追加申請です。確認をお願いします」
「プラズマライフル用の取り替え用パーツ一式、カラサワなんて一品モノを使うてるんは隊長ぐらいやろ」
「ストックが残り二セットあるはずです」
「次の本隊行きの便で送ろうか。ついでにストックも送ったれや。その二セットの為に味わった苦労も書き連ねてなぁ」
「70式装輪装甲車の部隊受け取り分が搬入されましたけど、クレスト社の人が点検してほしいと」
「すぐに誰か代理で行かせといて、不良品を掴まされるんやないで。しっかり点検しとくよう伝えて」
「・・・逃げてきました〜」
どうやらセインが逃げてきたらしい。
「お、ええ時に良い子が帰ってきたな〜。ほらセイン、こっちの書類の束にウチの名前でサインしといてや」
「は〜い〜・・・」
「セインちゃん!!自分の名前を書かない!!しかもなんでスカリエッティの名前を書くですか!?」
「あ〜、もうこんな時間ですぅ・・・」
リインのボヤキが聞こえた。はやても釣られて時計を見るともう、21時を過ぎていた。
「もういやです・・・こんな仕事・・・。地面に潜りたい・・・」
セインも机にぐったりと突っ伏して嘆く。
「今日明日の決済分は大分済ましたから明日は大丈夫やろ・・・」
はやても上着を脱いで椅子に深々と体を預ける。
そんなこんなではやてと第四部の一日は更けていく。
支援
セイン逃げてくるの速いよ支援w
本編三話はこれにて終わりデス。
引き続き捏造依頼集をお楽しみください・・・。
支援
予算がないから企業に頼る陸支援
GJです!でも些細な事ですが一つだけ。
>その前にドア前でヴィンデルシャフトを起動、バリアジャケットを着込んでいた。
シャッハは魔導師じゃなくて騎士なんで装着するのは
バリアジャケットじゃなくて騎士甲冑です。まあ中身は同じですけど。
依頼主:ゼスト・グランガイツ
依頼:捜査協力
報酬:前払い40000
ラナ・ニールセン:
大分急ぎのご依頼だ。依頼主はミッドチルダ地上本部直卒の強行介入部隊の隊長だ。
新人のお前に回ってくるとはよほど緊急を要する依頼らしい。
依頼内容
緊急の依頼だ。
本来ならもう少し内偵を進めてから急襲する筈だったが、こちらの都合で予定を繰り上げる事となった。
目標の施設は人造魔導士の違法研究プラントの疑いがある施設だ。
俺の部下は全員が精鋭で経験も豊富だ。
しかし内部の事情が分からん以上、さらに強力な戦力が必要となる。
だが、他の陸士部隊の応援を要請できない状況にある。
その点の事情は汲み取ってほしい。
急ぎの依頼だが。よろしく頼む。
依頼主:ミッドチルダ政府
依頼:地上本部襲撃
報酬:100000(前払40000)
エド・ワイズ:
面白い依頼だな。
最近の管理局の地上軽視に業を煮やしたスポンサーからの警告といったところか?
地上本部の守備は脆い。一暴れしてきたらどうだ?
依頼内容
我々の首都クラナガンを睥睨する地上本部を襲撃してもらいたい。
これは警告だ。彼らはあまりにも地上を軽視しすぎている。
すべての組織という物は人で成り立っている。その人的資源を供給する存在が無くなればどういうことになるのか?
彼らはそれが判っていないのか、それともただ目を背けているのか?
なんにせよ、彼らがそれを理解しようとしないのなら、理解するよう仕向けるまでだ。
地上本部への侵入路だが地下の下水道からの侵入が用意だ。
ただ未確認の情報だが、本局の要人が滞在しているという情報がある。
もしかしたら護衛に高ランクの魔導師が付いているかもしれん。
だが降りかかる火の粉は自分で払え。
レイヴンなら出来るはずだ。
まだ投下終わってなかったんすか…
支援継続。
依頼主:聖王教会
用件:廃鉱調査
報酬:55000
エド・ワイズ:
相変わらず高圧的な依頼内容だな。
最近、本部付の騎士まで動員して何かを追っているらしい。
まあ、そんなのは我々には関係はないし、何もなければおいしい依頼ではあるな。
依頼内容
ミッドチルダ・首都クラナガン地域に存在する廃鉱を調査してもらいたい。
現在、朽ち果てるままになっていた筈だが最近、何者かが再利用しているらしい。
調査中、何らかの存在と交戦状態となった場合、調査を続行し、施設の構造を掌握した後、
脱出、敵対戦力の状況を含めて我々に報告してくれ。
なお、付近には一般住民は住んでいないので追撃された場合も遠慮することはないだろう。
レイヴンに協力を依頼するのは好ましい事ではないが、この程度のことに騎士団から支隊を出すわけには行かない。
君達と違い、こちらは多忙だからな。
唯の廃鉱だったとしても報酬は払おう。
では頼む。
依頼主:ウーノ
依頼:襲撃補助
報酬:前払70000
エド・ワイズ:
最近よく見かける依頼主だ。どこの誰かは知らんが管理局と敵対する依頼が多い。
今回の依頼もうまく立ち回らないと管理局に目を付けられるぞ。
調査してみたがなんら存在を示す証拠が得られなかった。
こういう輩と付き合うとえらい目にあうことが多い。深入りは危険だな。
依頼内容
時空管理局、機動六課の襲撃の補助を依頼します。
目標の施設はクラナガン港・埋め立て地区に存在し、他の部隊も駐屯している場所です。
ですが、地上本部で行われている会議の警備に全力を傾注しているので大して脅威にはならないと思われます。
こちらからは先発としてディード、オットーの二名を派遣する予定です。
二人の能力はあなた達、レイヴンにも引けをとらないでしょう。二人の能力に疑いの余地はありません。
ですが、両名は経験が不足し、ガジェット群を支援に付けたとしても、若干の不安が残ります。
そこであなたには二人の戦闘の補助を依頼します。
こちらの増援の到着まで支援を行い、到着後、離脱してください。
もしあなたが機動六課の留守を守る隊員を撃破して頂いてもかまいません。
その場合、追加報酬も一人につき最高5000をお支払いいたしましょう。
なお報酬は全額を前払いでお支払いいたします。
それではよろしく。
依頼主:チンク
依頼:模擬戦支援
報酬:0(出来高払)
エド・ワイズ:
よく分からんな。
依頼主は最近確認された名前だ。どんな記録にも載っていない。
どこの輩か知らんが、依頼を受けるなら十分に気をつけろよ。
同じような依頼を受けた奴等が返り討ちに遭ったらしい。
依頼内容
今度実施する模擬戦を支援してほしい。
内容は簡単だ、私の妹達と戦う、それだけだ。
手を抜かれては困るからな、報酬は出来高払いとさせてもらう。
甘く見た連中を何人も妹達は返り討ちにしている。
お前がどれだけ妹達と戦えるのか、楽しみにしている。
もし、妹達を倒して余力があるなら私と戦ってもらう。
負けたとしても報酬は払う。
お前の働きに期待する。
依頼主:トーレ
依頼:決闘
報酬:デバイス用パーツ
エド・ワイズ:
どうやらこの姉妹はお前に御執心らしい。
またお熱い内容の依頼だ。
焼かれない様十分気をつけろよ。
依頼内容
お前の話は妹達から聞いた。
出来が悪いとはいえ、それなりの戦力となる妹達を倒したことは賞賛に値する。
しかも六人を正面から挑んで倒す、レイヴンの中にもお前のようなヤツがいたとはな。
今度は私が相手になる。
場所はミッドチルダの廃棄都市の一つだ。
お前にとっても、私にとっても戦いやすい場所のはずだ。
これは管理局公認の決闘だ。
最近は歯応えのあるやつが少なくてな、楽しみにしている。
禁じては無い、どんな手を使ってもいいので安心しろ。
臆せずに来い。
以上だ。
依頼主:ジャック・O
依頼:・・・
報酬:・・・
エド・ワイズ:
・・・・・・・・・
依頼内容
私からの最後の依頼は・・・。
☆ HA ★ ME ☆ SA ★ SE ☆ TE ★ KU ☆ RE ☆
君の手で存分に私をきのこってほしい。
私のレイヴンとしてふさわしい実力か試させてもらうぞ。
や ら な い か ?
君と相対することを今から楽しみにしている。
この依頼と契約しますか?
⇒はい
いいえ
出撃しますか?
⇒はい
いいえ
という訳で今回はここまでです。
>>リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ氏
ご指摘ありがとうございます。いつも誤字脱字が多い自分ですが、
まさかこんなところで間違えるとは・・・
いつも長々とすいません・・・。
今回は時間がなくかなり手抜きと見られるやも・・・。
支援していただいた皆様、ありがとうございました・・・。
次回の予定は再来週の土日かと。
次の土日は楽しい召集訓練(一週間)でつぶれますので無理です。
スイマセンデス・・・。
全 額 前 金
罠なり、死亡フラグなり!
調 査 依 頼
すでに敵群雲霞の如し!
決 闘 依 頼
背後に銃口光っておるなり!
ジ ャ ッ ク O
やつも後ろから狙っておるなり!
それはともかくとして、政治的事情の生々しいことこの上なし。
ラストレイヴンが舞台とならば、機動六課にも死人は避け得ずと見ますが…
次回をお待ちしています。
ライダーのスペックって水準が共通じゃないのでは
あれだと
剣<<555<カブト<<<<アギト<<クウガ=響鬼
と言う乱暴な図式になりかねない
皆様グーテンアーベント(ドイツ風)、GJ旋風な今日この頃を如何お過ごしでしょうか。
話題ぶっちぎって申し訳ないんですが、魔が差してトンでもないクロスを思いついてしまい、うっかり予告編を作ってしまいました。本編を作る予定はありませんが折角なのでそれを投下してみたい心持ち。
かなりクレイジーなものなんですが……良いですかね?
道は常に空いておるなり! 支援用意!
>>449 GJ!
なんというアーマードコアな展開、順調に企業が管理局を侵食している。
次元世界再構築戦争が勃発するのも時間の問題だな。
そして陸の有り様はいかに8年の間にテロを抑えたレジアス中将が偉大だったかを思い知らされる。
しかし陸に士気なんてものは元々ないような気もする。
カブトとかRXとか剣とか、そんな連中に惑わされんな!
お前が選んだ1人のライダーが、お前の宇宙の真実だ!
彼のリリカルなのはStS×覚悟のススメ御大の支援を受け、投下してみんとす。
まあかなりカオスな一発ネタだと思って下さい。ではレッツ&ゴー。
「……聖魔王杯?」
はやての告げた言葉にスバルは首を傾げた。それは周りに立つ機動六課の仲間達も同様だ。
「せや。第666管理外世界って知っているか?」
続く言葉に答えるのはフェイトだ。執務官の膨大な知識から算出された答えは、
「確か、今確認されてる世界の中で最大級の内包型次元世界だよね?」
「内包型……?」
「一つの次元世界の中に、更に複数の小型世界が存在する種類の事よ」
ちゃんと勉強しなさいよ、と忠告するのは稀代の親友ティアナ・ランスター。そして二人の補足に続くのはスバルが敬愛して止まぬ魔導師、高町なのはだ。
「それで……聖魔王杯って何なの?」
なのはの質問は、はやてを除く全員の総意だ。要するにそれは何なのだ、と。
「一言で言えば大会なんやけどな? 問題はその優勝賞品なんよ」
「優勝賞品…?」
「一体何が貰えるんですか?」
問うのは幼い少年少女、エリオとキャロだ。
「――これよ」
言葉と共にはやてがエリオとキャロに一枚の紙を渡した。冒頭には“聖魔王杯”とあり、参加者募集の広告である事が解る。
どれどれ、といった具合に周囲の人間がそれを覗き込む。そこに記されていたのは、
聖魔王杯
参加資格@人間と、自律した意思を持つ人間以外の種族のペア
A告知開始より一年以内に会場に入る事
大会期間:優勝者が決まるまで
優勝資格:勝ち続ける事
勝負方法:問わず
優勝賞品:聖魔王と聖魔王杯(この世界を支配する権限)
「…………」
それを見た全員が沈黙する中、はやてが溜め息をついた。
「えーと、つまりこれは?」
沈黙を破ったのはスバル。広告から読み取れる意味が信じられず、はやてに問うた。
だが返された言葉は、広告の肯定だった。
「――要するに、内包世界が百を超える次元世界の支配者を決めようっていう大会なんよ」
一拍の後、機動六課隊舎に驚愕の叫びが轟いた。
「まぁ次元世界の平和と秩序を守る時空管理局としては、これを見過ごす訳にはいかないよなぁ」
ティーカップの紅茶を飲み干しつつクロノが言う。
「管理局としては、これを機に666管理外世界を治めたいって腹づもりだろうね」
「内包世界の数は勿論、あそこには単体で人類を何回も滅ぼす様な存在が数十体はいるものね」
応じるのはヴェロッサとカリムの義姉弟。どちらも苦笑と溜め息を含んだ言葉を投げ出す。
「しかしそれを考えるのは管理局だけではないでしょう?」
「勿論。既に他次元世界から666管理外世界への侵入者が多数確認されている」
「やっぱり、666管理外世界の支配が目的なんだろうねぇ」
シャッハの指摘にクロノとヴェロッサはうんざりとした様子で答える。
「だから管理局も潜入してそれを阻止、出来るようなら優勝して支配権を得ろと?」
「それが時空管理局上層部の指令だよ。――JS事件を止めた実力者集団、機動六課への、ね」
「ペアを組む相手ってデバイスじゃ駄目なんですか?」
666次元世界へと向かう中でスバルが挙手した。その手には待機状態のマッハキャリバーがある。
「んー問題は無いと思うけどな。でもデバイスって自分の戦闘力として使うやろ? やったら持ち込み武器って事にして、それ以外の誰かと組んだ方が得やろ?」
一見すれば二人組、その実は三人組相当やー、とはやては笑う。
「……さすがは管理局で“チビタヌキ”と噂される人だね」
「陰謀と詭弁にかけては管理局随一ですね」
「そもそも能力限定で私とフェイトちゃん、ヴィータちゃんにシグナムさんを一つ所にまとめたのはやてちゃんだもん…」
「そこ! 聞こえとるよ!?」
こそこそと話すスターズ分隊にはやての声が響いた。
――かくして機動六課は到着、各自の協力者探しが始まった――
「うわぁ何これ、ロボット?」
『――ゴ』
「え、しゃ、喋るの!?」
スバルは丸みを帯びた鋼鉄の大型ロボットと出会った。
「ヘイ! そこの君、――オレとラブテスターしない?」
「結構です。っていうかそれナンパですか?」
ティアナの前に革ジャンを着込んだ銀髪ロンゲの青年が現れた。
「あら坊や、ひょっとして迷ってしまったのかしら?」
「ち、ちちちちち違います!」
「ふふ、何もとって食いやしませんわよ。……私が食べるのは主様だけですもの」
獣の耳と尾を持つ三つ編みの女性がエリオに迫った。
「ごしゅじーん、どこに行ったっスか〜?」
「え……カバが空を飛んでる!?」
浮遊するカバ似の霊獣にキャロが驚愕した。
「タッキュウドオッ!!」
「――速い! 彼と共にならば……勝てる!」
瞬間移動を行った鎧の男にシグナムが出会った。
「わふー! るっぷるどぅ!!」
「だー! 何言ってる解んねぇんだよお前ッ!?」
青い帽子と服をした人型の黒い獣にヴィータがキレた。
「こにゃにゃちわー……ってうわなんやお前! 急に抱きつくな!?」
「やーん何これめっちゃ可愛いわー!」
はやては羽を生やした関西弁の小動物を抱きしめた。
「おやおやお嬢さん、ビューティフォー!! ……パンツ見せてもらってもよろしいか?」
「見せませんッ!!」
ぼろぼろのスーツを着たアフロの骸骨にフェイトが赤面した。
「いひひひひひひっ! 僕だけ蚊帳の外っていうのもさびしぃぃからねぇっ! さあ、一緒に戦おうじゃないかぁっ! ドリル魔法少女となって!!」
「いやーっ! 人体改造はいやーっ!?」
やたらと絶叫する痩身の医者によってなのはは危機に瀕していた。
――会場に集まる選手達――
「ふん、世界の覇者とはな。――オレを除いて他にいるものか」
「全くです、ぼっちゃま!!」
トンガリ頭の少年と大柄な武将の幽霊が、
「ねーねー! 苦労しないで勝てる道具出してよー!!」
「何言ってんだい、そんな事言ってないでいくよ!」
眼鏡の小学生と青い耳無し猫型ロボットが、
『さやま かつ いっしょに』
「ああ勿論だとも。……まぁ神に等しい私がいるのだから勝利は確定事項だね?」
草の体を持つ獣と女物の指輪をした高校生が、
「ねぇ、優勝すれば本当にジンに会えるの?」
「あったり前だろぉ? オレを信じろって(世界を支配出来るっつぅなら嘘にゃなんねぇだろ…)」
シャツに短パンという軽装の少年と人型のカメレオンが、
「世界の支配者、ねぇ……。ま、酒にも飽きたし良いかもね」
「ヒヒヒッ! 酒の合間に国取り合戦たぁ良いご身分だなぁ、我が愛しのブッ!!」
人語を放つ巨大書物を肩から下げた眼鏡にスーツの美女が、その他多くの強豪と奇人達が集う。
――開始される激戦の数々――
「行くぜ! ジーク、ブレードライガーッ!!」
『ゴォォォォォォォンッ!!(ギュォンッ!)』
「こっちも行くぞ、龍神丸!!」
『おぉうっ!!』
青い機械の獅子と単身の人型ロボットが徒競走をする――!
「ボクが君の食べ切れないぐらい料理を作れば勝ちだからね!?」
「がんばれー! ミーくーん!!」
「ふふふ、飲食に関して私に勝とう等笑止千万ッ!!」
「ああ、これで今日の食費が浮く……」
機械仕掛けの猫と騎士王を名乗る少女が大食い対決をする――!
「勝つぞ、ヴィラル!!」
「当然だ!!!」
「行こう、雲七」
『――言われるまでもねぇや』
全身からドリルを生やした巨大ロボットと人面の白竜が激突する――!
――そして立ちはだかる最強の敵――!
「あーはっはっは!! リリー・オブ・バレイ参上!!!」
「ライフル担いだ覆面メイド!?」
――ジャンルも設定も時間軸も一切無用!?
―――史上稀に見るスーパーカオスストーリーが今ここに!?
――――『魔法少女城塞マスラヲ』!!! 余裕ができたら始まるかも!!?
「あ、お隣さんですか? 私スバルって言いま……目つき恐ッ!!?」
「……あなたは、とても、正直な人だ。――相手が、傷つく程に」
「ああっ、マスターがビニール紐で首つり自殺をー!?」
―――合い言葉は、「どんだけーッ!?」
支援。
支援
まさかここで林トモアキの名を見るとは・・・
いっそのこと極道魔法少女ともいかがですか?w
えーまず一言。
テンションに流されてやった。今は反省している。
いや、マジすいません。ただこの2作品のクロスだったら「何でもアリだなー」とか思って書いてしまいまして。まぁ「これは誰かな?」っていう風に一興としてもらえればありがたい話です。
終わクロとのクロスの次回は鋭意製作中、しばらくした後に出せると思います。
うたわれと、グレンラガンと、ワタルと、fateと、クロちゃんと…
自分もまだ、未熟。
とりあえず、分かった分だけ書き出してみた。
フジリュー版封神演技
CCさくら(?)
ワンピース(?)
シャーマンキング
ドラえもん
終わりのクロニクル
灼眼のシャナ
ゾイド
ワタル
サイボーグクロちゃん
Fate
グレンラガン
……都市シリーズが無いのは万死に値するね?
ブルックまじ自重www
ZOIDSとビックリマンとグレンラガンと快傑蒸気探偵団と封神演義とCCさくらとドラえもんと
ワンピースとデモンベインまでは分かったけど後は分からん…
あら、デモベあったっけ?
ドリルの人はマスラヲの変態博士だと思うが……
>>475 ドリルの人は西博士じゃなくってシャナのダンタリオンじゃね?
>>459 ACやってるとほとんどの依頼と企業がうさんくさく思えてくるから不思議だ
そして、ジャックは相変わらずにあういう扱いなのかw
>>468 3分の一ぐらいしかわかんねえw
HUNTER×HUNTER
風のクロノア
後、たぶんジャイアントロボ?
マジなんでもあり
>>479 やたら絶叫って書いてあるし、ギルティのファウストじゃね?
田中芳樹の作品なら
銀河英雄伝説
創竜伝
薬師寺涼子の怪奇事件簿
夏の魔術
あたりならクロスできそうと思ったりする。
銀英伝なら本編終了後のユリアンとか
創竜伝なら余か終の年少組なら6課の面子ともうまくいきそうだし。
(始兄さんは無限書庫で篭るだろうけど)
夏魔なら耕平と来夢は生けるロストロギアそのものだし。
薬師寺涼子だとレジアス放り出して、管理局を手中に収めるのは
目に見えてるけど。
>>482 先生だったらむしろ
「アフロはいy(ry」にならね?
>>483 もうやめて!泉田クンのライフは(メンタル的な意味で)ゼロよ!
とりあえずそのうち報酬が全額前払いの依頼が6課に来そうだな。
ジャンル広っ
それでも勘違いだけで勝ち残りそうな主人公だがw
>>486 電王ともども忘れてた。威力がAPだと計算が面倒
1AP=0.05トン
>>477 ドリルの人はお・り・か・みの博士でしょう。
てかジャック・Oの扱い酷ぇwww
まあ以前雑談スレで「教えて弱王先生」とかいうネタ出した奴が言っても説得力無いが
>>446 管理局みたいな公の組織が武器商人に注文するのはおかしくないか?
普通はメーカーとか商社だと思うが
>>495 武器商人たって
マッコイ商会みたいに一人で回してるような極小規模な会社のことだろ。
それにメーカーだってあちこちからの注文で手一杯だろうし。
>>496 ヨルムンガンドのココ様も武器商人だな。
はっ!これはココ様の登場フラグ!?
499 :
りりかる剣心:2007/11/10(土) 23:51:42 ID:Cez7LCI3
職人の皆様GJです♪
りり剣の続きを投下してよろしいでしょうか?
惨殺支援
>497
マッコイ商会特売品
・ベルカ式カートリッジ……3発5ドルから。口径多数
・射撃・砲撃デバイス用レンジ・ブースター……1000ドル(一つだけ!)
――――――
「マッコイさん、以前ロードしても魔力入ってなかったのがあったの」
「商売の邪魔をせんでくれ……」
そして支援
502 :
りりかる剣心:2007/11/10(土) 23:58:16 ID:Cez7LCI3
時空管理局の総務統括官であるリンディ・ハラオウン殿からの要請……。
それは拙者達の身体能力を調べるというものでござった。 しかし、その調べ方というのは闘って力を見せなければならなかった。
幾数の戦場と年月を駆けてきたヴォルケンリッターと呼ばれる、八神はやて殿の家族である守護騎士達と。
そして、最初に選ばれたのは四乃森蒼紫……蒼紫とザフィーラ殿。
魔法少女リリカルなのはStrikerS−時空剣客浪漫譚−。始まりでござる。
第ニ話「試されし迷い人の力、過ぎ去りしは未来。 蒼紫編」
「何……!?」
拳を繰り出したザフィーラの眼に映ったのは……転がり落ちる刀の鞘。ザフィーラの耳に聞こえたのは自身の拳を払う蒼紫の……鍔の無い小太刀を握る左手。
−小刀だと!?
それを見ていた、ザフィーラは勿論。モニターで見守っていたなのは達は蒼紫の両手に握られていた得物に眼を見開いていた。
「一つの鞘に……」
「刀が二つ……」
御庭番支援
504 :
りりかる剣心:2007/11/11(日) 00:01:48 ID:Cez7LCI3
「陰陽交叉−−」
蒼紫はその状態から峰に返した左右の小太刀を同時にザフィーラへ振り下ろす。
しかし、紙一重でザフィーラは彼の一撃を両腕で防ぎ止める。だが
「何!?」
蒼紫の両腕から繰り出された小太刀の一撃の重さに耐え切れず、後方へ飛ばされてしまう。
−力は侮れないと踏んでいたが……これが蒼紫の経験。
蒼紫の小太刀の技で深く腕に残った打撲傷の深い痛みから改めて彼の実力を噛み締め、ザフィーラは着地する。
「ザフィーラが防御をして飛ばされた……」
シグナムやヴィータも蒼紫の力に驚いている。
ただの一撃では無い、修練に修練を重ねた力に身体から込み上げた魔力がプラスされた両腕で一気に振り下ろす一撃……。
蒼紫もまた、自身の身体に違和感を感じていた。
−なんだ……、今の力は? 身体の動きを促進させる力を感じる。これが魔力というのか。
「陰陽撥止……」
驚きながらも、蒼紫はそのまま右手に握られた小太刀をザフィーラに向け、左手の小太刀の切っ先で押し放つ。
「刀を飛ばしたか……だが!!」
ザフィーラは自身に放たれた小太刀を拳で殴り払う。しかし、払った小太刀の後ろに隠れていた小太刀の存在に彼は初めて気付く。
「何−−ぐっ!!」
それも防ごうと防御魔法を展開する。……だが、後続の小太刀は、軌道を遮っていた先頭の小太刀が弾かれた事で威力と魔力が増していた為。
ザフィーラに大きな衝撃が直撃し、ディフェンスに亀裂を入れてしまう。
−魔力が安定しきれていなかった為に亀裂が入っただけで済んだか……。
ザフィーラはディフェンスを解き、蒼紫を見据える。
「やるな……」
「お前もな……」
弾かれた二本の小太刀を拾わず、蒼紫はザフィーラへとゆっくり歩み寄る。
その姿勢にザフィーラは疑問を抱くが、蒼紫から告げられた一言で彼の行動に理解する。
「御庭番衆の武術は刀だけではない……」
回天剣舞六連支援
506 :
りりかる剣心:2007/11/11(日) 00:04:39 ID:QM3/Uda0
蒼紫はザフィーラに飛び掛かり、拳の乱打を繰り出す。
「なるほどな」
様々なヵ所に繰り出された蒼紫の拳をザフィーラは的確に弾き、受け、魔力を篭めた拳を蒼紫の顔に返す。
−この重さと身体の関節を狙っての精確な拳の乱打を喰らっては致命的だ……。
こんな男は初めてだ……。流石に王城を護ってきたのは伊達ではないな。
「ふん!」
「はあっ!」
一撃、一撃の重さは般若の拳に匹敵する。
まともに喰らえば、脚力が低下する……流石に幾重の戦を駆けていた事は理解出来る。しかし、速さは般若程では無い。
拳の乱打を切り抜けたザフィーラの放った拳は蒼紫に当たらず。紙一重で彼の顔を掠める。だが、ザフィーラはそれに驚く事なく彼へ左足での蹴りを放つ
「はあぁぁ!」
「重さも正確さも申し分ない……だが。接近して闘う時は柔術の事も頭にいれておいた方が良い。」
耳に聞こえた蒼紫の忠告と共に何かを捕らえる音が訓練室に響く。
「!?」
一瞬の出来事であった……自身の左足は蒼紫の右手一本で締め上げられ、ザフィーラの身体は部屋の床にたたき付けられる。
−速いっ!
「どうする?」
眼の前には蒼紫の右の拳が突き付けられている。さらに魔力が自然と纏い、拳は刀のような鋭さ持っている。
身体を動かそうにもザフィーラの左足は蒼紫の左手に絡めとられたままである。が
蒼紫の眼の前には同じように魔力が纏ったザフィーラの左手の拳が突き付けられていた。
「そのまま、お前に返そう。」
『両者、戦闘不能。で良いかしら?』
訓練室に突然響く、リンディの声。
「「ああ」」
蒼紫とザフィーラはリンディの提案に同時に頷き
、蒼紫は右手の拳を解き、ザフィーラの左手を握って立ち上がらせる。
「良い腕だった。」
「お前もな」
互いにかけられた言葉。蒼紫とザフィーラは互いの寡黙な表情に隠された熱い眼をで言葉を交わした。
人誅支援
508 :
りりかる剣心:2007/11/11(日) 00:08:15 ID:QM3/Uda0
二人の握手に見守っていたなのは達はうれしそうに微笑み、よかった。と言うように頷いている。
リンディはエイミィに歩み寄り、蒼紫の計測データを彼女に尋ねる。
「どうだった?」
「あ、はい。さっきの刀での技も自然と両腕からAAA-の魔力が検出できていました。それにあの刀を連結して放った瞬間、まだ安定はしていませんでしたけど、AAの威力が計測できました。」
「そう……、ありがとうエイミィ」
彼女に礼を述べてからリンディは再びモニターに視線を移し、次の組み合わせを発表する。
「蒼紫さん、ザフィーラさん。戻ってきて良いわ。 次は、左之助くんとヴィータちゃん。お願い」
その発表を聞き、左之はだるそうな表情を浮かべて近くのヴィータを見遣る。
「おいおい、嬢ちゃんかよ……」
左之のその言い方にまたしても辺りにピキ。という擬音が響く。
「そりゃ、こっちのセリフだ。ふん、さっさと行くぞ」
睨みあげ、吐き捨てるようにそう告げたヴィータはデバイスを肩に担いでブリッジを後にする。そんな彼女に左之は「んじゃ、言ってくるわ」と告げ、ズボンに手をつっこみながら続いて訓練室に向かっていった。
そんな二人の後ろ姿をはやて達は心配そうに見送る。
「あの二人、蒼紫とザフィーラみたく仲良く出来たらええねんけどなぁι」
「はい、左之助さんも良い人なんですがι」
嘆くように告げるはやての言葉に彼女の肩の上で浮いているリインやシャマル、はやての隣に居るなのはも苦笑しながら頷く。
「はやて殿、すまない。」
彼女達のように苦笑いを浮かべた剣心がはやてに歩み寄り、頭を下げる。
「ああ、いやこっちもι」
「左之も悪気は無いでござるが、ただ、左之自身の誇りがそれを邪魔している。フェイト殿、左之の惡一文字の理由は彼から直接聞いた方が良い」
剣心の鋭い洞察力にフェイトは驚く。
今まさに彼女の心中には左之の背中あった惡と書かれた一文字が焼き付いていた。 彼の背中からは全て背負う何かが……その文字から感じられた。
「左之助は話してくれますよね……?」
たまらず、心配そうにフェイトは彼へと尋ねる。
そんな彼女に剣心は力強く微笑んで頷く。
「ああ、答えてくれるでござる」
縁さんは剣心がいなくなったら自殺しそう支援
支援
511 :
りりかる剣心:2007/11/11(日) 00:14:30 ID:QM3/Uda0
二人と入れ代わりにブリッジには二本の小太刀を鞘に納めた蒼紫とザフィーラが戻ってくる。
その姿に彼女達は微笑んで彼らを出迎える……先程まで左之とヴィータの事で思い詰めていた空気は二人の姿で晴れる。
「二人とも、ただいま♪」
「ただいまですー♪」
なのはとリインの出迎えに彼らは相変わらず表情を崩さず、「ああ」と答え。蒼紫はそのまま、リンディに口を開く。
「リンディ……さっきで良いのか?」
蒼紫の質問に彼女は微笑みを崩さず、「ええ」と頷く。
「詳細は左之助くんと緋村さんの模擬戦が終わってから教えるます。楽しみにしてて」
「……承知した。」
「四乃森」
背後から名を呼ばれ、振り向くとそこにはシグナムが嬉しそうな笑みを浮かべている。
彼女はそのままズイっと蒼紫に近づき、興奮したような口調で彼に先程の闘いを称賛する。
「先程の技は見事だった、まさか、刀を連結させて矢のように放つとはな……次の機会、私と闘ってくれないか?」
「考えておこう」
「ふふふ、楽しみだな」
自分との手合わせに熱く燃えているシグナムを何とかあしらい、蒼紫は剣心の隣に立つ。
そんな彼の姿に剣心やはやて達はくすくすと笑い声を漏らしている。
「どうした?」
「シグナム殿は大分、拙者達に興味があるようでござるから大変でござるなι」
「そうだな。 ……次はあの男と娘か」
話題を切り替えるべく、ぽつりと告げた蒼紫の言葉に剣心は再び表情を引き締めてモニターに視線を移し、頷く。
「ああ、どちらも強い……ヴィータも−−いや、ヴォルケンリッターの四人は全員、かなりの腕。手は抜けぬでござるが、左之がヴィータに対してどう闘うか。」
「そうだな」
そう答え、蒼紫もゆっくりとモニターに視線を移す。 そこには自分達と入れ代わりに訓練室に入った左之とヴィータが姿を見せている。
二重の極みが使えない支援
支援
514 :
りりかる剣心:2007/11/11(日) 00:16:49 ID:QM3/Uda0
相対するとすぐに左之に尋ねるヴィータ。
「おい、左之助。武器無いのか?」
だが、左之は相変わらずズボンのポケットに手をつっこんでいる。
グラーフ・アイゼンを担ぎながら聞いてくる彼女の姿を見て左之は何故かしっくり似合っていると感じていた。
まるで、お伽話に出てくる小人のようだな。 彼の頭には「ハイホーハイホー仕事が好きー」という不思議な歌が流れてくる。
「てめぇ、今私の事バカにしただろ……」
ヴィータのツッコミに動じず、左之は首を横に振り手をズボンから出し、顔の前で拳を握る。
「いや、全然。 俺の武器はこれだ。」
若干彼の目付きが変わったの感じたヴィータも表情を引き締め、グラーフ・アイゼンを握り直す。
「そっか……じゃあ、さっさと見て終わるからな。こいつの名はグラーフ・アイゼンだ、よく覚えとけ」
そう告げ、彼女はゆっくりデバイスを左之へと向ける。
左之もまた、あらためて自分より小さな身体の少女を見据える。
「構えないのか?左之助」
「俺は防御するのは好きじゃねぇからな」
「そんなんじゃ……死ぬぞ!」
左之の闘い方を批判し、グラーフ・アイゼンを握り締めたヴィータは走り出す。
続く
悪一文字支援
516 :
りりかる剣心:2007/11/11(日) 00:18:14 ID:QM3/Uda0
以上です。
次は左之編、剣心編で後編となる形です。
GJ!
頑張れ左之助!
>>471 やべえ、ティアナを口説いていたのは忘却の旋律の銀断のロキですか?
終盤の超圧縮展開が難点ではあるものの、アレは良い漫画だった。
アニメ版? そんなのあったっけ?
元ネタが分かる作品から、分からない作品まで色とりどり。
言いたい事はただ一言。 職人さん、GJ!
……自分も35分過ぎくらいから投下していいですか?
時空管理局地上本部の一角のテーブルで2人の男が向き合っている。
ローグとその部下の副隊長である男だ。 2人は真剣な表情で、今のご時勢には珍しい紙資料を覗き込んでいた。
「それで、この前のロストロギア保管施設で襲撃されたのは全部で10ヵ所か。 随分やられたな」
「随分なんてものじゃありません。 今回の強奪事件で管理局が保管していたロストロギアの1割近くが奪取されたようです」
「それはなんともまぁ……」
ローグも呆れてものが言えなかった。 管理局の保有していたロストロギアの1割が奪取される。 それは前代未聞の出来事と言っていい。
「警備にあたっていた部隊は何処の連中だ?」
「隊長が知っているのは、ラードルフ隊やジャックス隊の面子ですね。 後は知りませんが、一部は海の連中もいますね」
「あいつ等がいながら全部敗北か?」
ローグとしては信頼している元部下が指揮している隊がそう簡単に負ける筈がないと思っていたが、思った以上に現実は厳しいらしい。
それをフォローする形になるのか、副隊長は新しい資料を出してきた。
「問題は敵の数ですよ」
資料によれば、敵勢の数は100以上。 それに対する防衛部隊は30程度。 能力が同じぐらいで数がこれだけ差があれば、さすがにどうにもならない。
第97管理外世界の地球の言葉によれば、防衛施設を攻略するには防衛戦力の3倍以上の戦力が必要、だと言われているのだが、文字通り3倍以上の戦力で挑まれたらしい。
内容によれば敵勢にも痛手を与えたと思われるが、結局押し入る数には勝てず撤退する事になったとか。
「こりゃあ……な」
敵の戦闘能力はその辺のテロとは比べ物にならないぐらいに高い。 こちらも負けてはいないとは言え、これだけ圧倒的な戦力差ではどうにもならなかったのだろう。
「でも海の連中はもっと酷いですよ」
「ああ、どういう事だ?」
「なんでも魔法攻撃を封じられた途端、すぐに逃げ出したそうですよ」
これには唖然とするローグ。 魔法を封じる魔法については、意識が戻った後にあの八神はやて達を含めた部隊に情報を流したつもりであった。 もちろん海のほうにもだ。
だと言うのに、封じられただけで逃げ出すとはどういう事だ? 対抗手段の1つや2つ考えているだろうに。
「情報を聞いていなかった、と言うべきでしょうね」
「何考えてんだ海の連中は?」
「因みに地上部隊の幾つかもです」
「訂正するわ。 情報を聞かなかった奴等全員だな」
情報は大事だ。 情報があるかないかで生死が変わってくる事など珍しくない。
それを疎かにするのは阿呆としかいいようがないではないか。
そういう点では、あの八神はやての事は評価していた。 その辺はさすがに弁えているらしい。
「……奴等はまた来ると思うか?」
「来るでしょう。 相手が一部のロストロギアを奪取するのが目的ならともかく、これだけ無節操に奪取しているんです」
「だろうな……となると宛になる戦力は少ないな」
地上部隊の武装局員の魔道師ランクは基本的に低い。 もちろんローグとしてはだからどうした、と考えているのだが、今回は相手が悪いとしかいいようがないのもまた事実であった。
「ガジェット程度なら、Eランクの魔道師で十分なんだがなぁ……」
「奴等、相手ではきついでしょう」
簡易的なAIしか積んでいないガジェットはやり方にもよるが、総合的に見ればたいした事はないと2人は考えた。
しかし、あの強力な魔法を使い、化け物以上の速度で斬り込んで来る奴等相手では分が悪すぎる。
「それで隊長、自分達は?」
「まぁ、待て。 そろそろあいつが来るからな」
「あいつ? ……ああ、成る程」
最初はローグの言葉に疑問を持って声を上げたのだが、ローグの後ろから歩いてきた1人の男を見て、すぐに理解できた。
彼もまた自分達とは長い付き合いの1人である為。
「ふん、まだ生きていたかローグ」
「おうよ。 まだくたばってねえぜ俺は。 ……まぁ、久しぶりだなレジアス」
ローグ・ヴェルトスとレジアス・ゲイズ。 一角の陸戦部隊の隊長と地上本部の中将、階級も年齢も違う2人ではあるが、彼等は親友と呼べる間柄であった。
「よう、オーリスの譲ちゃんも久しぶりだな」
「お久しぶりです。 ですが……その譲ちゃんは勘弁してもらえないでしょうか?」
「ははは、譲ちゃんは何時まで経っても譲ちゃんさ」
恥ずかしそうなオーリスの言葉を一蹴するローグ。 そんな2人を見て、軽く微笑を浮かべるレジアスではあったが、すぐに地上本部の中将の顔に戻った。
そんなレジアスを見て、ローグも陸戦部隊隊長の顔に、オーリスも副官の顔へ戻った。 因みに副隊長は最初から真面目な顔だ。
「それでどうなってんだ今は?」
「ふん。 上の人間は大騒ぎだ」
「やっぱ、責任追求って奴か?」
「ああ」
そんな答えに、ローグは憮然とした表情になる。 責任追及なんてやっている上層部がまどろっこしいのだ。
現場にいる人間としては、責任追及なんぞしている暇があれば防衛対策の一つでも考えろと言いたくもなる。
彼等は組織の駒に過ぎない為、上からの命令がなければ動く事は出来ないのだ。
「お前の所にも来てるのか?」
「今回の責任を取って辞職しろ、とな。 だがそんな暇はないだろう」
「ああ」
どうやらレジアスもまた、あの魔道師集団がまだ攻撃を仕掛けてくる事は承知済みらしい。
「しかもそれだけではない。 他の組織も動き出すのは確実だ」
「この前の戦闘で海の部隊が2割程削られています。 地上は海程多くはありませんが、やはりすぐに行動可能な部隊の数が減っています」
レジアスの言葉をオーリスが繋ぐ。 どうやらローグが手に入れた情報以上にかなりやばいらしい。
オーリスから資料を受け取ったローグと副隊長。 そこにはやはり中々の絶望的な数字が並んでいた。
「襲撃されたのは地上の施設だけじゃなくて、海の次元航空艦もかよ」
「はい。 既に3隻が沈められています」
「……オーリス副官。 この資料が正しければ、航空艦を襲撃したのはたったの3人だと?」
彼が言う通り、沈められた艦を襲撃したあの魔道師はたった3人。 その3人によって1隻の艦が沈められているのだ。
副隊長はそこが信じられなかった。 海の次元航空艦には地上と違い、AAクラスからAAAクラスの執務官がいる上に、平均ランクAの武装局員も配置されているのだ。
地上以上に戦力が充実していると言うのに、彼等は敗北してしまったと言うのか?
「戦場が艦内だからしょうがない部分もあるが……もしかして全員取り逃がしたのか?」
「はい」
一応、ローグとしては否定の言葉を求めていたのだが、どうやら冗談抜きで襲撃してきた魔道師全員を取り逃がしたらしい。
さすがにこれはフォローしようがない。 まぁ、フォロー出来たとしてもする気はあんまりないのだが。 めんどくさいし。
「そのせいで海の上層部のほうもかなりの責任追及がされると思われますが……」
フタエノキワミ ア――ッ!!
「あちらにもすぐに動ける人間はいるらしい」
次元航空艦襲撃事件後、すぐに防衛対策に動き出した面子がいる。
その面子の中で有名所と言えば、リンディ・ハラオウン総括官であり、クロノ・ハラオウン提督などである。 彼等はすぐさま、防衛対策に走ったらしい。
ローグは関心する。 どうやらエリート意識が強い海のほうも馬鹿ばかりではないらしい。
さて、海の方は分かった。 では地上はどうする気なのだろうか?
「地上部隊は全隊に非常召集をかけ、各重要施設などに配置。 もちろん市街地の防衛隊も動かしています」
「それに加え、全部隊に無条件でのリミッター解除をさせるつもりだ」
「おおう? マジかよ」
リミッター。 それは1部隊に多くの戦力を集める為に行われる合法的な『裏技』である。
もちろん基本的にこの行為は認められる事はないし、行う隊も多くない。 せいぜい特殊なスキルなどの関係で1部に1ランクダウン程度のリミッターがかけられる程度だ。
その為、部隊長を始めとしたメンバーに2ランク以上のリミッターがかけられる機動六課は異質であり異端であると言っていい。
もし、彼等のバックが大した事がない連中なら、レジアスは認めなかっただろう。
閑話休題。
そんな訳で『裏技』であるリミッター解除を無条件で行うと言う事は、保有戦力の枷を外すつもりなのだ。
「この事態にリミッターなどつけて戦力の無駄遣いをさせる訳にはいかんだろう」
「それそうだな」
これから起こる可能性の戦いでは、リミッターなど邪魔なだけだ。 それをかけられていて敗北してしまいましたでは話にならない。
そんな事が起こらないように、全て外すとはそうとう大胆な行為だ。
「上の連中が黙ってないんじゃないか?」
「そうでもない。 自分の命がかかっていると分かれば、簡単に首を縦に振ったぞ」
「あらら」
どうやら保身目当てが多い上層部も、この事態の深刻さに気づいてきたらしい。 まぁ、気づかせたのはレジアスだろうが。
「さすがに地上だけではこの事件に当たるのは危険だからな」
「海との共同か。 懸命だな」
ここで仲が悪いからなどの理由で協力を断るのは、さすがに馬鹿としか言いようがない。
既に陸も海も多大な被害を受けているのだから。
「今から、管理局にとって生き残りの戦いだ。 ……荒れるぞ」
「やっぱ、他の連中も黙ってる訳ないよなぁ……」
管理局の敵は決して奴等だけではないのだ。 今尚、管理局の崩壊を臨んでいる者など多すぎる。
そんな中で、時空管理局は現在ボロボロだと言っていい。 そこを狙わないわけがない。
「ローグ、現場は任せたぞ」
「任せておけ。 その代わり上のほうは頼んぜレジアス」
○―――○
そこは巨大な基地であった。
ミットチルダ郊外に存在する巨大な研究施設。 こここそが、時空管理局が追っている次元犯罪者――ジェイル・スカエリティのアジトである。
そこの一角――施設の中枢部において、データの整理を行っている女性がいた。
彼女はジェイル・スカエリティが製作した戦闘機人の1号――ウーノである。 そんな彼女に近づくのは白い少女であった。
「ウーノ」
「これは……テムリオン様」
白い少女の声に、ウーノは敬語で話しかける。 第三者から見ればおかしな光景に写るかもしれないが、ウーノにとっては関係なかった。
目の前にいる少女――テムリオンは自分の主であるスカエリティのパトロンであるのだからである。
それにこのテムリオンを見た目で判断してはいけない事も既に彼女は知っていた。
強力な戦闘能力を持ち、尚且つ彼女に劣らない力を持った集団の長であるからだ。 その力は今のままでは自分達全員がかかった所で倒す事は出来ないだろう。
「どうかなされましたか?」
「例のモノがどうなったか聞きにきましたの」
テムリオンの言葉にウーノはすぐにそれを思い出した。
つい先日、テムリオンが持ってきたモノの調整などをスカエリティが頼まれていたのだ。
そしてそのモノも既に調整を始めとした作業は完了している。 いますぐにでもテムリオンに引き渡せる状態だ。
「はい。 問題なく調整は完了しています。 すぐにそちらにお引渡し出来る状態です」
ウーノの言葉にテムリオンは満足気に頷く。
珍しい事にテムリオンはスカエリティの事を高く評価していた。 今まで彼女が使っていた者達と比べるまでもないぐらいの頭脳と柔軟性を持ち合わせていた為である。
こちらから提供した技術を瞬く間に吸収し、それを運用してみせる手腕は見事なものだ。
もし、この作戦が成功した暁にはそのまま彼を使ってやるのもいいかもしれないと思っているぐらいである。
「それでは部下を送りますので、その時に引き取らせてもらいますわ」
「はい」
それだけ言うとテムリオンはまた空間跳躍か何かで転移して去っていった。
それを見届けると、ウーノは軽いため息を吐いた。
主であるスカエリティはともかく、ウーノは彼女達に何か得体の知れないモノを感じ取っていた。
もちろんパトロンとしてや、戦力としては申し分ないのではあるのだが……。
「ウーノ姉」
「チンク、どうしたの?」
何時の間にか近くには小柄な少女――ナンバー5のチンクがいた。
「あいつ等が来てたのか?」
「ええ」
隠す必要もない為か、すぐにウーノは頷いた。 チンクもまたテムリオン達に色々と思っている1人であった。
彼女も自分と同じように、テムリオン達について疑問を抱いているのだ。
「ここ10年ぐらい見たけど、やっぱり不安だ」
今から10年前に彼女等が接触して、スカエリティのパトロンになった日から不安は消える事はない。
「大丈夫?」
「大丈夫よ……」
ウーノはチンクではなく自分に言いかけるように言葉を発するが、その不安が消える事はなかった。
○―――○
「これは不味いよな……」
「ああ」
機動六課の廊下を歩きながら、ヴィータとシグナムが険しい表情で話していた。
原因は先日のホテル・アグスタの件に他ならない。
先日の戦いで、あのホテルの警備についている人間の3割が死んだ。 そしてその中の1人に六課隊員であるティアナの名前があったのだ。
戦いが終わり、暫くしてホテルを占拠していた敵の反応がなくなった為、調査隊が結成されホテルを調査。 その時に、死亡が認定されたのだ。
その調査隊の1人にスバルの同期の人間がおり、その人にティアナの確認を頼んだのだが、返ってきたのはボロボロになったクロスミラージュだけであった。
スバル達と例の男が戦った場所は、殆ど何もなかったらしい。 正確に言えば、何もないと言える程に破壊しつくされていたのだ。
残っていたのは、大量の血痕にぎりぎり原型を留めていたクロスミラージュだけである。
「……辛いんだろうな」
「主達にとって、このような事態は初めてだからな」
管理局に入局して10年。 この10年間、こんな大きな事態になる事件に遭遇する事はなかった。
そして遭遇したとしても、彼女達の力をあわせれば犠牲者を出す事なく解決出来ていたのである。
だが、犠牲者が出た。 なのはにとって部下であり、愛弟子となったティアナが死んだのだ。
この結果にショックを受けたのは、パートナーであるスバルだけではなく、なのはとフェイトにはやての3人もだった。
彼女達にとって近しい人間が殺されるといった事態にあったのは初めてなのだから。
「はやて達が復帰するまで、あたし達が頑張んないとな」
「ああ」
フェイトやスバルは、現在それぞれ治療を受け入院中である。 その為、現在の六課の戦力はかなり減らされていると言って過言でない。
だからこそ、動く事が出来る自分達が頑張らなければならないのだ。
だが、とも思う。 もしあの事に気づいていれば、ティアナは死ななかったのではないか?
「ヴィータ」
「なんだ?」
「もし我々が気づいていれば、どうにかなったと思うか?」
たった1つの事実。 戦う者として、戦場に出る者として、必ず知らなければならなかった筈の事。 そして自分達ならそれを知っていたと言う事。
それは、簡単で難しい事。 即ち、戦場に出れば死が常に隣合わせだと言う事だ。
「……わからねぇ。 でも……無理だったかもしれない」
「……そうか」
もし気づいていたとしても、はやて達がそれを本当の意味で気づけたかどうか分からなかった。
「はやて達は……こんな事態に遭遇した事がなかったからな」
彼女達はそんな事態になる前に事件を解決し、賞賛を浴びていたのだ。
だからこそ、それに気づく事が出来なかったのかもしれない。
そしてその結果、ティアナ・ランスターは死んだ。 そこで初めて彼女達も気づけたのかもしれない。
「我々の怠慢だな。 本当ならば、それを何よりも知っている筈の我々が主達に伝え教えるべきだった……」
だが、もう時間は戻る事はない。 どれだけ悔いようとティアナは帰ってこないのだ。
だからこそ、その後悔と罪を背負い、戦わなければならない。
自分達の主の為、そして仲間達の為に―――
リリカル×アセリア SCENE04 暗闇のミッドチルダ END
→
NEXT SCENE05 戦場の再会
今回はここまで。
なんか原作に喧嘩を始めそうな感じです。 というか何時の間にかモブ代表なローグが準レギュラーになってる気がする。
>>496 そんな規模の会社が管理局みたいな組織に食い込める事自体がおかしい
原作の段階で曖昧な設定の、さらに二次創作の設定なんて議論のしようが無いと思うんだが。
ここいう言い方はアレだけど作者に聞けよ、としか言い様がないんじゃないかな?
今は誰もいないかな?とりあえずちょこちょこっと書けたので一旦投下したいと思います
>>344の続きです
「そもそも・・・ここは何をする集まりなのでしょうか?」
いきなり核心を突くのはまずいだろうかとも思いつつ、だけどこれぐらいなら自然な質問のはずだ
私の質問に嬉々として答えたのはやはり例の少女、涼宮ハルヒだった
「いい質問だわ。いい?このSOS団はね、宇宙人・未来人・超能力者・異世界人・魔法使いを見つけて一緒に遊ぶのが目的なのよ!」
思わず硬直してしまう
(やっぱり・・・ばれてる!)
どうするティアナ?戦闘する?でもまだ向こうは明確な敵意を示した訳ではない
(でも後手に回るのは危険だわ)
私はクロスミラージュに手をかける、その時男子生徒の一人がゆっくりと立ち上がった
「ハルヒ、頼むから事情の分かってない人間を置き去りにするような発言は止めろ。そっちの二人も混乱してるだろうが」
その言葉に私は一旦動きを止める。
(どういうこと?事情?)
「いやいや、さすが涼宮さんだ。面白い人を連れてくる」
「え?え?えええ?!」
もう一人の男子生徒は無意味にさわやかな笑顔を浮かべ、侍女姿の少女は困ったようにまごまごしていた
(ティアナ、落ち着いて。今のところ罠の様子はなさそう)
(だけどフェイトさん、今異世界人とか魔法使いとか)
(この世界では異世界の事も魔法の事も一般に知られてはいないけどそういったものに興味を示す人達もいるの
多分彼女はそういうタイプの人間なんだと思う)
(その認識は正しい)
((?!!))
いきなり私とフェイトさんの念話に第三者が介入してきた。そしてその主は・・・どうやら先程から部屋の隅で本を捲り続けている少女であるらしかった
(警戒しなくていい、涼宮ハルヒの認識下においてあなた達は普通の人間でしかない。
異世界の存在も魔法の存在も認識している訳ではない)
「どうしたの二人とも、なんだか変な顔しちゃって」
涼宮ハルヒの声に思わず我に返る。いけないいけない、冷静さを失ったら負けよ
よく見れば先程涼宮ハルヒに声をかけた男子がこちらに微妙な視線を向けている
(まさか・・・彼も念話を?)
一瞬念話で話し掛けそうになって慌ててやめる、彼が一般人であった場合さらなる混乱を招くだけなのだ
事態がまったく飲み込めない・・・が、フェイトさんの言う通り差し迫って危険があるようにないのも確かだ。
(ここは様子を見るしかないわね)
「ねぇねぇ、二人ともなにか特技とかないの?」
「え?特技?」
「そうそう、なんかこう空飛んだりとか変身したりとか」
再びギクリとする。だが私たちが返答するより早く先程の男子がつっかかる
「やめろハルヒ、お前が言うと洒落にならん。もとい、そもそもなんなんだそのファンタジー設定は。
万有引力の法則や質量保存の法則をあっさり捻じ曲げたら世界中の科学者が発狂してしまうぞ。
そんなに空飛んだり変身したりする女の子が見たければ今すぐ家帰って魔法少女のアニメでも見てなさい」
「なによキョン、あんたには夢ってものがないの?だいたい空飛ぶだけなら鳥だってできるわ、姿変えるだけならカメレオンだってできるじゃない。だいたい魔法少女がこの世にいないなんて証明できる訳?」
「もしいても俺はそんなもんに巡り会いたくはない。ただでさえ頭のおかしい女の所為で変な事に巻き込まれまくってるんだ。
これ以上おかしな事態に巻き込まれかねない不思議要員なぞこちらから願い下げだ」
涼宮ハルヒのいちいち核心を突いたような台詞にどきりとさせられるがどうやらあくまでこの世界では魔法という物はありえないものであるらしいし、私達の正体がばれてるという訳でもないらしい
(でも、それならあの子は一体なんなの?)
改めて視線を読書少女へと向ける。
(あなたは一体何者なの?そしてこの涼宮ハルヒという少女は?)
(私が何者かと質問に対しては情報統合思念体が作り出した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。
涼宮ハルヒが何者かという質問に対してはこの世界の進化の可能性。
時空管理局が傍観するだけなら構わない、だが彼女に危害を加えるというのであれば私はソレを全力で阻止する)
(?!)
情報統合思念体というのは聞いたことがある。膨大の意識の集合体であるとかいくつもの世界をまたにかける巨大組織であるとか漠然とした情報だけでその正体はいまいちはっきりした事が分かっていなかった。
正直都市伝説の類かとも思ってたぐらいだった
でも情報統合思念体は実在した?そして涼宮ハルヒを保護しようとしてる?涼宮ハルヒが世界の進化の可能性?それがあの次元震の発生に繋がる理由?でも単体の人間にそんなことが果たして可能なの?
友好的な相手かと思われたがこれは迂闊な事が出来ないかもしれない
涼宮ハルヒは次元震を引き起こすほどの巨大なエネルギーを秘めている?情報統合思念体はその力でこの世界に変革を起こそうとしている?だとすれば見過ごして置ける問題ではない
「あの・・・、お茶をどうぞ」
見れば侍女がお茶を二人分入れてくれていた。とは言ってもさすがにこの状況で相手が出したお茶に手をつける気にはなれなかった
「あの・・・」
突然後ろから声がして振り向くとそこには一人の女生徒が立っていた
「こちらで悩み相談をしていると聞いてきたのですけれど」
その言葉に、涼宮ハルヒは溢れんばかりに瞳を輝かせていた
支援
なぜか部外者である私たちまでも一緒に話を聞くことになってしまった。
話を聞いてみるとこういうことである
彼女の名は喜緑 江美里、この学校の二年生であるらしい。彼氏が行方不明になったので探して欲しいとのこと
察するにこのSOS団というのはこういった何でも屋のような活動をメインとしているのだろう
しかし行方不明、彼女が心配するのももっともな話だろう。でもこれは現地の警察に問い合わせた方がいいのでは
(フェイトさん、これは本来の私達の任務からは外れるかもしれませんけどこれぐらいなら協力しても問題ないでしょうか)
(そうだね、あくまで執務官ではなく一民間人として、ね。彼女達を観察するのにもちょうどいいかもしれない)
そして私達は一緒に行方不明になった彼の家に向かう事になったのである
「どうせただの五月病よ、無理矢理連れてくればいいのよ」
「あの子のあういう短絡思考で強引な所ってスバルとちょっと似てるかもね」
「向こうでのお友達ですか?日本人っぽい名前ですね」
「そういえば先祖がこの国の出身とか言ってたわね」
「にしても・・・まぁ、つき合わせて悪いな」
「行方不明者が出たなんて聞いて放っておく訳にもいかないじゃない」
「いやいやいや、そういうのって警察の仕事だろ?素人が下手にクビを突っ込む問題じゃないだろ」
「そうだね、確かに民間人が介入した所為でかえってややこしい事態になった事件もあるしね、だから私はただのお目付け役。あなた達が危険に巻き込まれないようにね」
「だったらはじめから止めてください。」
「それにしてもフェイト先生って日本語上手ですね、ティアナさんも」
「うん、私は小学三年生から中学卒業するまでは日本に住んでたから」
「えぇ?そうなんですか〜?」
不意にキョン君がウホンウホンと咳をする
「まぁとりあえずだ、ちょっと二人に確かめておきたい事があるんだがな」
彼は急に声を潜めて耳打ちしてくる
「お前ら、まさかマジで異世界人だったり魔法使いだったりするんじゃないだろうな」
あまりに直球な問いかけに言葉をなくす。
「あなたさっき散々魔法とかありえないとか言ってなかった?」
「ん?ああ、そうだな、うん、魔法とか超常の力とか普通に考えてありえないよな、うん。いや、変な事聞いて悪かった」
妙な口ぶりだった、明らかに彼は何かを知っているがそれを隠してる。そんな態度だった
「もしかしてあなたは何か知っているの?例えば最近、涼宮ハルヒさんの近くで世界を揺るがすような大事件にあったとか」
「・・・やっぱりあんたらも只者じゃないなにかなのか?」
明らかにげんなりした表情を見せる、なんだか奇妙な反応だった
あんたらも、その言葉についっと例の情報統合思念体側の者と名乗った少女に一瞬視線を向ける。名前は長門有希というらしい
彼はもしからしたら彼女の正体も知っているのかもしれない
「その事についてはまた時間があるときにね。その代わりあなたも色々聞かせてもらえるかしら?」
「現実離れした与太話でよければな」
もっとも、この時点では私はこのすぐ後にあんな事に巻き込まれるとは夢にも思っていなかった
支援
投下終了です
ミステリックサインに突入です
なんだか腹の探りあいのような展開になってきてしまっている?
>>531 GJ!
かっこいいレジアス中将キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!
ローグもかっこいいぜ!やはり渋い親父キャラは大切だな。
それにしても敵前逃亡は陸だけの十八番ではなかったのかw
ティアナは生存フラグ立ったか?しかし相手はあのタキオスだしなあ。
>>301-302 ウォマエルアァァァァーッ!
…あんまりこっちのハードルを上げんでください。そんな超展開ねぇよ…orz
ひとまず何事もなければ、宣言どおり2話投下します。
第2話「ブレイドカノン、グラーフアイゼン」
「検査結果が出ましたよー」
技術部のとある控え室へ、何枚かの資料を持ったシャーリーが入ってきた。
そこにいたのはキリヤ達3人とはやて、なのはの計5人。
キリヤ達の六課への協力を取りつけたはやて達は、心を通わせた相手から抜けるという心剣に興味を持っていた。
そこで、技術部にてキリヤと、そのパートナーから抜いた心剣とを調べさせてもらったのである。
「まず心剣ですが、こっちは極めて高度な制御系統を内包した、デバイスのような性質を持っていました。
魔法に関する知識のないキリヤ君がその能力を上手く制御できたのは、心剣側からのサポートのおかげですね」
シャーリーの言葉は幾分か弾んで聞こえる。
それもそうだろう。魔力の収束・操作などの面において、これほどまでに高度なサポートシステムが存在したとなれば、
デバイスなどの機械に対して偏執的なまでに入れ込んでいるシャーリーにとっては、これ以上ないほどの興味深い発見だ。
「それから、今度はキリヤ君が持つ、心剣士の力の方の話です」
言うと、シャーリーは手元の資料を全員に配った。
「驚きましたよー。解析の結果、キリヤ君の魔力が空気を通して対象のリンカーコアにアクセスし、
そこから瞬時にデバイス――つまり心剣を精製する、というのが心剣を抜くプロセスだったんです」
「へぇ〜…」
はやて達は思わず感心の声を上げていた。
つまり心剣士の力とは、本人とパートナーの魔力のみを使って、デバイス1つを一瞬で生み出す能力らしい。
エンディアスの魔法は形式こそ原始的だったが、その奥深さには底知れないものがあると、はやて達は思い知った。
「何だか、一気に夢のない話になっちゃったな…」
一方そんなことは露も知らぬキリヤは、
解析によって心剣の神秘のヴェールが剥がされたことに苦笑いするばかり。
「リンカーコアっていうのは、魔力の源なんですよね…じゃあ、魔力の弱い人からは、心剣は抜けないんですか?」
ふと疑問に思ったクレハがシャーリーに尋ねた。
「ああ、それなら大丈夫。心剣そのものはキリヤ君の魔力から形成されるもので、
パートナーの方のリンカーコアは、心剣の属性や形状、戦闘スタイルを決定する要因みたいだからね」
シャーリーが答えた。
心剣が相手の心の形によってその姿や性質を変え、
それでも全ての心剣が大体同じくらいの性能にまとまっているのは、そういう理由だったようだ。
「それから、これを」
と、キリヤ達3人に、何やら首飾りのようなものが手渡された。
外見は待機状態のレイジングハートに似通っており、キリヤのものは白、シーナは赤、クレハは黄色だ。
シーナの物などは、遠目に見ればレイジングハートとほとんど変わらないように見える。
「これは?」
「キリヤ君達が着ていたリーベリアの服に特殊な処理をして、
ウチの魔導師のみんなが着ている戦闘服――バリアジャケットに改造してもらったの。
心剣以外の武器も中に入ってて、一瞬で身につけることができるよ」
なのはがキリヤ達に渡されたものを指して説明した。
鎧や装飾品など、向こうでの防具を全て置いてきてしまったキリヤ達には、ありがたい計らいだ。
「わざわざありがとうございます」
キリヤがぺこりと頭を下げた。
「それにしても、何でここにカオスゲートが出てきたのかしら?」
と、シーナが兼ねてから抱いていた疑問を口にした。
「そういえばそれもそうだよなぁ…はやてさん、何か詳しいことは分からないん
ですか?」
「それがさっぱりなんや。むしろキリヤ君達の方が詳しいんやないかと思ってたんやけどなぁ」
はやてがお手上げといった様子で肩をすくめる。
カオスゲートは3日前――ちょうどキリヤ達が闇の神器を撃破した頃から発生したもので、
管理局もまだ詳しいことは把握できていないらしい。
キリヤ達もキリヤ達で、カオスゲートの封印は何十回とこなしてきたことだが、
実を言うと、そのメカニズムなどは、難しくてあまり理解はしていなかった。
となると、頼れる者はただ1人。
「ホウメイに聞いてみるしかないか」
ぽつりと、キリヤがその者の名を呟いた。
「ホウメイ?」
それを聞いたなのはが聞き返す。
「俺達の世界で一緒に戦った仙女です。3000年生きてるだけあって、エンディアスの事象に関する知識は大体把握しています」
「3000歳かぁ…何だかもうファンタジーの世界だね」
アンタ達の世界も十分ファンタジーだよ、と突っ込みたくなるキリヤだったが、その言葉は胸のうちに閉じ込めておいた。
もう彼女達の世界では、魔法が使える程度は当たり前なのだろう。
今更ながら、キリヤは、リーベリアの人達が自分達の世界をそんな風にはまるで思ってたいなかったことを思い出した。
外から見た形がどれだけ奇異なものだろうと、そこに住む者にとってはそれが当然なのだ。
「ともかく、何か連絡に使えるものはありませんか? 向こうにはそういう端末がないんで、こちら一方からアクセスできるような…」
「うん、分かった。こっちにあるから、ちょっとついて来てな」
はやてが席を立ち、キリヤ達を案内した。
全知全能の仙女様なら、別世界が存在するという概念は当然知っている。ならば無理に隠す意味もないだろう。
そう判断して、通信を許可したのである。
キリヤ達は少し大きな通信室へと案内された。
その中の1つの端末に地図データを入力し、回線を繋ぐ。
『おおキリヤ。何か用か? …そもそもどうやって連絡してきておるんじゃ?』
やがて、尊大な口調の声が聞こえてきた。
「それが、どうやら別の世界に飛ばされたみたいなんだ」
『ほう、エルデに帰れなかったのか?』
「ああ。それで今は、ミッドチルダって所で保護を受けてるんだけど…」
キリヤとホウメイなる人物が、二言三言と言葉を交わす。
しかし、はやてとなのはは、その声に違和感を感じていた。
相手は3000歳以上の老婆のはず。にも関わらず、その声はやけに若いのだ。
『ミッドチルダか…うむ、噂程度には聞いたことがあるぞ。
時空管理局などという組織を作って、我が物顔で次元世界の警軍を気取っておるおめでたい連中の世界だそうじゃな♪』
「あの〜…聞こえとるんですけど?」
はやてが笑顔で、しかし額にはっきりと青筋を浮かべながら言った。
ホウメイはさぞ愉快そうに言っていたが、当の管理局員からすればちっとも愉快ではない。
『おっと、これは失敬』
一応ホウメイは謝ったが、悪びれた様子はまるでなさそうだ。
これは相当な強敵だな、と思いつつ2人の魔導師はモニターの前に立った。
そして、そこに映されたホウメイの姿に、大層驚かされることになる。
(若っ!)
(て言うか、ちっさ!)
モニターのホウメイは相当幼い姿をしていた。
豪華な和装に包まれた身体は、どう見ても10歳前後の幼女のそれである。
エリオやキャロのように、素質があればこれぐらいの年齢で魔導師として戦える者もいたが、
まさか世界1つの知識のほとんどを知り尽くした大賢人が、こんな姿だとは思いもよらなかった。
『挨拶が遅れたの。わらわがホウメイじゃ』
「あ…ど、どうも。管理局機動六課部隊長の、八神はやてです」
「高町なのは…です」
未だ動揺が抜けきらぬ中、2人が名乗る。
『…ふふん、わらわの姿を見て驚いたか? わらわはこう見えて、長命な竜族の血を引いておるのじゃ。
そう簡単に外見も歳を取っていては、永きを生きるには不便じゃろう?』
「はぁ…」
相手の動揺を見透かしたホウメイは得意気に語った。
(それじゃあアンタあと何千年生きるつもりやねんっ!)
(いや…何万年単位は生きるつもりなのかもしれないよ)
頭が痛くなるのを感じながら、当人に聞こえないよう、はやてが念話で突っ込んだ。
『まあ、前話はこれぐらいにしておくとするかの。
…キリヤ、わざわざこうして連絡を回したからには、何か用があるのじゃろう?』
ホウメイがキリヤに尋ねた。
管理局を組織するような世界に流れ着いたのなら、
帰れないなどという理由ではないだろう、と思っての問いかけである。
「ああ…それが、このミッドチルダにもカオスゲートが発生してるらしいんだ」
『カオスゲートが? …また面倒な話じゃな…心剣は?』
「どういうわけか使える。シーナ達と違って、俺の力だけは残ってるみたいだ。
で、本題なんだけど…こっちにカオスゲートが出た原因、調べられそうかな?」
キリヤの問いに対し、ホウメイは難しそうな顔をして、一瞬言葉を切る。
それこそほんの一瞬考えを張り巡らせた後に、ホウメイは再び口を開いた。
「ううむ…わらわとて、そんな話は過去に聞いたことがないからのぅ。
実際にそちらへ行ってみないことには分からん。…八神部隊長とやら、構わぬな?」
「ええ、ちょうど除去作業の予定がありますんで、明朝にこちらから迎えを出させていただきますわ。お時間あります?」
管理局側から迎えを出すという約束は、ミッドチルダへの転移方法を秘匿するためだ。
『うむ、問題ないぞ。わらわも暇な身じゃからな』
「ありがとうございます」
「じゃあホウメイ、今日はこれで」
そう言って、キリヤはひとまず通信を切った。
「ふぅ…」
キリヤは一息つくと、先ほど教わった操作の逆を行って電源を落とす。
これでキリヤ達は次の日までの間、暇になったというわけだ。
通信の中でも触れた通り、明日は午後にカオスゲートの除去作業が控えているのだが、
キリヤ達にはさしあたってそれまでにすることがなかった。
「当分することなくなっちゃったわねー…施設の見学でもする?」
それは他の2人も理解していたらしく、シーナがそんな提案を持ちかけてきた。
「案内は後々でする予定なんだけど…もしよかったら、ちょっと訓練に付き合ってくれないかな?」
「訓練?」
なのはの問いかけに、キリヤ達はそちらを向く。
「この機動六課には新人の魔導師もいるから、普段の私の仕事は、もっぱらその子達の指導なんだ。
…ほら、夕べのはちまきの子と、拳銃の子」
「えっ…あれで新人なんですか?」
キリヤが驚くのも最もなことだ。
既に陸戦Bランクを持つ彼女ら――スバルとティアナは、彼らから見てもかなりの実力を持っている。
恐らく、心剣を持ったキリヤともかなりいい勝負ができるだろう。何せヴィータの見立てがそのBランクなのだから。
「これから一緒に戦うことになるから、フォーメーションの練習もしたいし…どうかな?」
キリヤ達に、なのはの依頼を断るいわれはなかった。
どの道特にすることはないのだし、何より自分達を拾ってくれたなのは達は恩人だ。
「分かりました」
午後、キリヤ達はなのはに案内され、訓練場へとやって来た。
リーベリアで結構な経験を積んできただけあり、さすがによほどのことがなければ驚くまいと思っていたキリヤ達だったが、
何もない水上に突然出現した訓練場には、腰を抜かすのではないかと思うほどの衝撃を覚えたという。
「…というわけで、こっちに来て早々にだけど、今日からキリヤ君達も訓練に入ることになったの。
7人でのフォーメーションも追って練習することになるから、覚えておいてね」
「「「「はい!」」」」
4人のフォワードメンバーが声を揃えて返事をした。
スバル、ティアナ、エリオ、キャロ…この4人が、機動六課の引き抜いた新人達だ。
「で、まずキリヤ君達は…」
「なぁ、ちょっといいか?」
キリヤ達に訓練内容を説明しようとしたなのはだったが、それをヴィータが遮る。
「どうしたの、ヴィータちゃん?」
「訓練前に、コイツとサシで模擬戦をさせてほしいんだ」
「え…俺と?」
思わずキリヤは自分を指差す。
「おう。あたしはまだ、お前の戦いをじっくり見たってわけでもねぇ。
つーわけだから、手っ取り早く、自分で戦ってみて見極めてぇんだ。
その方が今後の訓練内容とかを決める時にも、何かと便利だろ?」
最後の一言は隣のなのはに向けられたものだ。
「…そうだね。本当は今日1日使って実力を見てみようと思ったんだけど、その方が早いか」
なのははふっと笑顔を浮かべると、ヴィータの提案を肯定する。
そして、今度はキリヤの方を向いて、その意志を確認した。
「よかったら、やってみてくれるかな?」
キリヤは結構悩んだ。
模擬戦をやろうとすれば、その間この訓練場は他の面々は使えなくなる。
新参者の自分がそんなことをしていいのかと、キリヤはスバル達に遠慮していた。
「面白いじゃないですか〜。やってみてくださいよ」
「僕とキャロは、まだキリヤさんが戦ってる所を見てないですしね。お願いします」
しかし、当のフォワードメンバーは、その模擬戦を観戦する気満々だ。
(ま、いいか…俺もちゃんと魔導師とは戦ってみたいし)
よって、キリヤは模擬戦の誘いを受けることにした。
廃ビル群を模した訓練場に立つ影が2つ。
1人は、赤いドレスのような騎士甲冑を身にまとい、グラーフアイゼンを担いだヴィータ。
もう1人は、灰色のBJを身につけ、赤々と輝くブレイドカノンを握ったキリヤ。
このブレイドカノンは、ヴィータ直々の指名だった。
近距離戦・遠距離戦双方のセンスを見たいということで、両レンジ対応のブレイドカノンを使うよう指示したのである。
「心剣には非殺傷設定っつーのはねぇみたいだからな。あたしも騎士甲冑有でやらせてもらう。
その代わり、手加減はなしだ。お前も全力で来いよ!」
猛々しく宣言すると、ヴィータはグラーフアイゼンを正面に構えた。
「もちろんだ!」
キリヤもブレイドカノンの切っ先をヴィータに向ける。
「それじゃあ…初め!」
なのはの合図によって、戦端は開かれた。
先手を打ったのはキリヤだ。開始と同時にヴィータ目掛けて、ブレイドカノンの通常炎弾を3連射する。
無論、ヴィータもそんなものでやられるつもりも、こんなに早くやられるつもりも毛頭なかった。
全弾を回避し、その勢いで一気にキリヤとの間合いを詰める。
まばたきをする間もなく、一瞬で2人の距離がゼロとなった。
「おぉりゃあああぁぁぁっ!」
キリヤに向けて、容赦のないグラーフアイゼンの一撃が振り下ろされた。
「くぅっ!」
火花が散る。
キリヤはヴィータの攻撃を、こちらもブレイドカノンで受け止めた。
(強い…凄い力だ!)
攻撃を受けるブレイドカノンが小刻みに震える。
(ヒョウウンの正拳…いや、下手すりゃロウエン並のパワーはあるんじゃないか?)
苦悶の表情を浮かべながら、キリヤはかつての仲間の姿を思い浮かべた。
もちろん、ヴィータの見た目に油断していたわけではない。
14歳で戦場に出た仲間・カリスを知っているキリヤは、相手の年齢などで実力を判断しない。
しかし、それでもこのパワーは完全に想定外だ。
一体この小さな身体のどこから、これだけの重みを引き出せるのだろうか。
このままでは体力を消耗するだけだと判断したキリヤは、僅かに剣を持つ手を手前に引く。
「っと…」
相手からの反発を急に失ったことで、ヴィータはその身をよろけさせる。
「はぁっ!」
キリヤのブレイドカノンがヴィータを狙った。
ヴィータの防御も素早かった。しかしキリヤはそんなものには目もくれず、その上から一気呵成に攻め立てる。
乾いた鉄の音が4回、5回と響く。キリヤの一太刀一太刀が、少しずつ、だが確実にヴィータの守りを押していった。
「こんなもんかよっ!」
しかし、あまりにもぬるいやり方だ。こんな、それこそいたずらに体力を削るだけの攻撃など、勇者らしくない。
痺れを切らしたヴィータは、グラーフアイゼンを押し出して、キリヤごとブレイドカノンを払おうとした。
「そこだっ!」
それこそがキリヤの狙いだった。
僅かに下方に生じた隙間を狙い、ブレイドカノンを振り上げる。
「うわっと!」
「くらえぇぇっ!」
態勢を崩したところへ、キリヤはブレイドカノンの3つ目のスキルを叩き込んだ。
「づあっ!」
貫通弾バスターライフルが、ヴィータの小さな身体を後方へ吹っ飛ばす。
単発で射程も短いが、ブレイドカノンの技の中では、最大の威力を有していた。
しかし、ヴィータは即座に態勢を立て直した。
そうでなくては困る。
防げないようでは、模擬戦で至近距離からノーガードの相手に最大技を叩き込むようなエグい真似は、キリヤはしていない。
「やるじゃねーか。こっちの動作を切り崩してくる攻撃…剣道ってやつか?」
「よく分かるな。ついでに、小さい時には古流剣術をかじったこともある」
「そりゃシグナムが聞いたら喜びそうだな!」
言いながら、ヴィータは前方に5つの浮遊する鉄球を展開した。
(夕べのやつか!)
森での戦闘で5匹のゴブリンの頭を撃ち抜いた技・シュワルベフリーゲン。
相手が相手だっただけにその威力は想像する他ないが、全弾食らえばただでは済まないだろう。
キリヤも迎撃すべく、その態勢を整えた。
「ぶち抜けぇぇーっ!」
「いっけぇぇぇーっ!」
両者の絶叫が重なった。
ヴィータのシュワルベフリーゲンが鉄槌によって撃ち出され、キリヤのショットガンエッジが砲剣によって放たれる。
双方が空中で激突した。
鉄球はヴィータの元へと弾き返され、火球は爆発して四散する。
「おらおらおらおらおらぁーっ!」
なおもヴィータは、跳ね返ってきた鉄球を豪快に叩き、キリヤ目掛けて次々と射出する。
キリヤは最初の2〜3発こそ通常弾で応戦していたが、対応できないと悟ると、全速力で後方へと突っ走った。
追撃する鉄球が背後のアスファルトへと突っ込む。
おまけに相手は誘導弾だ。自動的にヴィータの元へ戻り、キリヤを執拗に狙ってくる。
「くそっ…!」
キリヤは走った。迫りくるシュワルベフリーゲンから懸命に逃れながら。
ワンオンワンでこれほどの対人戦をやったのは久しぶりかもしれない。
闇の軍勢といい妖魔王エルファーレンといい、人外の面々と戦うことが多かっただけに、この模擬戦は新鮮だった。
だが、そんな思いに浸っている暇はない。未だ鉄球は容赦なくキリヤを狙ってくる。
(それなら…!)
キリヤは目の前に手頃なビルを認めると、その壁沿いに突っ走る。
空振りした鉄球はビル内部へと突っ込み、戻ってこなくなった。
道路と異なり、ビルの中は空洞だ。ブレーキが効かない所で全速力で突っ込んだ鉄球は、奥へ行きすぎて復帰が難しくなる。
(ヴィータはどこだ…?)
ようやく余裕を持てたキリヤは、見失ったヴィータの姿を目線で追う。
『Raketen Form.』
ふと、頭上から機械の合成音声が聞こえた。
それがデバイス・グラーフアイゼンの声だと気付いた頃には、ヴィータはキリヤの真上で攻撃態勢を整えていた。
「ラケーテンッ! ハンマァァァァァァァーッ!!」
ハンマーからロケットを吹かせ、ヴィータが凄まじい勢いで落ちてくる。
見るからにその威力は高そうだ。普通の攻撃で持ちこたえるのがやっとなのだから、ひょっとすると抑え切れないかもしれない。
しかし、避けられるタイミングでもなかった。
故にキリヤは覚悟を決め、バスターライフルで迎え撃つべくブレイドカノンを構える。
「でぇぇぇりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!」
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!!!」
銀の鉄槌と赤の弾丸が激突した。
ジリジリと迫るグラーフアイゼンは、しかしその妨害を押し退けていく。
「もらったぁぁぁぁぁぁぁ!」
遂にそのハンマーが、ブレイドカノンの刀身を捉えた。
「うわあぁぁぁぁっ!」
凄まじい衝撃波が脳を揺さぶる。必殺のラケーテンハンマーは、意識もろともキリヤの身体を吹っ飛ばした。
壁沿いにキリヤの身体がアスファルトを滑り、その痛みがキリヤの意識を揺り起こす。
「っつつ…、!」
しかし、目覚めたキリヤの眼前には、既にグラーフアイゼンが突きつけられていた。
「…こいつで終了だな」
「はぁ〜…」
未だ節々が痛む身体を押さえながら、キリヤがため息をついた。
「まさか六課入りしていきなり負けるとはなぁ…」
「キリヤ君だって善戦してたわ。そんなに落ち込まないで」
クレハが優しくキリヤを慰めた。
事実、キリヤの奮闘ぶりは凄まじいものだった。
来て早々に(限定付とはいえ)ヴィータと互角の勝負を展開したその姿を、スバル達新人組は食い入るように見つめていたという。
結果ヴィータの判断によって、キリヤの評価はAランク相当に格上げとなった。十分な活躍だ。
「だけどさ…何て言うか、幸先悪いと言うか…」
「まぁ確かに、世界を救った心剣士様よりも強い人がぽっと現れたらシャレにならないわよね〜」
シーナのからかう声に、キリヤはガンッと重りがのしかかってきたかのようによろめく。
キリヤとて自分の強さを誇るつもりは特にない。だが、さすがに今日の敗戦は堪えたようだ。
おまけになのはやフェイトは更に強いと言うのだから、なおのことお先真っ暗な気分になってくる。
「キ、キリヤ君…」
「まぁ、アンタにも人並みに『悔しい』って気持ちがあってホッとしたわ」
そうこう言っているうちに、3人は寮の前にたどり着いた。
3人は、今日からここの部屋で暮らすことになる。
「ほーらっ! もう暗い顔は終わり! 新しい戦いが始まったっていうのに、そんなんじゃ後が続かないわよ?」
シーナがぽんとキリヤの肩を叩いた。
「今回負けたは負けたで、地球に帰るまでに勝てばいいんだからさ、元気出して頑張りなさいよ!」
「うん。私も、キリヤ君には前向きでいてほしいな」
2人の仲間が、笑顔でキリヤに声をかける。
そうだ。自分にはやることがある。
少なくとも、それ以外のことで足踏みして、くよくよしている暇は、キリヤにはなかった。
「…そうだな」
キリヤは口元に笑みを浮かべると、寮へと足を進めた。
/////////////////////////////////////////////////
タイトルの割にキリヤ対ヴィータのバトルが短かった2話投下。
…何だかなのはさんよりも、はやてから心剣が抜けそうです。
いっそ乗り換えるのもアリかもしれないけど、はやての心ってどんなのだろ…
優しい、ってのだとクレハと被るからなぁ…難しいところです。
GJっす!
クロス元はよく知らないですがバトル描写が細かくて面白いですね。
自分がバトル描写苦手なだけに見習いたいです。
お待たせいたしました。
ブラックアウト襲撃編後半部が出来ましたので、UPいたします。
飛び立ったフェイトは、上空約三十メートルで滞空して、被害状況を確認する。
ヘリポート周辺は、駐機していたヘリコプター・航空機と車両が破壊されて炎上
し、エネルギー波にやられ、飛んできた車両に潰された魔導師・整備要員の累々
たる屍で酸鼻を極めていた。
その中を機械の巨人が機銃を乱射して車両・人間の区別なしに破壊・殺戮し、周囲
を火の海に変えながら基地司令本部に向かって歩いている。
フェイトは怒りに顔を歪めてバルデュッシュの刃を巨人へ向けるも、右往左往する
陸戦・空戦魔導師たちの姿を見ると、目を閉じて心を落ち着かせる。
「サー?」
バルディッシュが心配そうに声をかけると、フェイトは微笑んで言う。
「大丈夫。行こうバルデュッシュ」
「了解しました、サー」
フェイトは、エップスと彼にしがみついているデュラハ、メルゲル、ロアラルダル
デ・カタ、グーダら顔馴染みの陸戦魔導師部隊たちのところへ降り立つ。
彼女が来ると、陸士全員が一斉に敬礼した。
「状況はどうなっておりますか?」
エップスが尋ねると、フェイトは厳しい表情で答える。
「ヘリポート及に居た方々は全滅した模様です、襲撃者は現在、基地司令本部へ
向かっています」
「何て事だ…」
フェイトの話にエップスは絶句するが、すぐに気持ちを切り替えて質問を続ける。
「敵はどのような?」
「十メートル近くある人間型の機械です」
「十メートルの人間型…?」
「私も見た事がありません。
恐らく、今まで存在が知られていなかった未知の戦闘機械と思われます」
少し時間を置いてからフェイトは、周囲を見回しながら大きな声で聞く。
「非常事態に付き、私が臨時に皆さんの指揮を取ります。この中で最も階級の
高い方は?」
執務官の姿を見て集まって来た陸戦・空戦魔導師たちは次々と自分の階級を名乗る
が、一番高かったのはエップス一人だけだった。
「エップス陸曹、あなたが最上位のようです。部隊の再編と負傷者の救護をお願い
します」
「了解しました」
エップスは、寄せ集めの魔導師たちに振り向いて号令をかける。
「聞いたか、まずはあの化物の周りで右往左往している連中を後方に集めて部隊を
再編する! 集合場所は次元航行艦前の車両集積所だ、急げ!!」
指示を受けた魔導師たちは、混乱状態を収拾するために一斉に散って行った。
混乱の極みにあった管制室を、再び激しい衝撃が襲った。
今度は建物全体が揺さぶられるのではなく、天井が、上から何か叩きつけられて
いる感じで激しく揺れている。
蛍光灯やスポットライトの幾つかが落下し、職員が避けようと逃げ惑う。
衝撃は二度・三度と立て続けに繰り返され、やがて天井の一部が崩落する。
砕けたコンクリートや、歪んだ複合金属の梁が部屋に崩れ落ち、真下にいた管制官
を押し潰す。
破壊された天井から巨大な機械の手が伸びて、何かを探すように埃まみれになった
部屋の中を這い回る。
「退避だ! 全員早く退避しろ!!」
ラヴクラフトの小説に出てきそうな、蛸の化物の顔をした基地司令官が職員に
怒鳴りつけ、近くにいた管制官の背中を叩いた。
手は求めるもの――基地のシステムを統括するスーパーコンピュータ――に触れる
と、それをしっかりと握る。
コンピュータと?がっているケーブルの幾つかが切断され、機械の手に絡みつくと
ケーブルが手と融合する。
職員を退避させるのにかかりきりだった司令官がふとコンソール類に目をやると、
空間モニターの一つが表示され、普通ではありえない速さで次々とデータを流れて
いるのが目に入った。
「聖王教会」「ミッドチルダ元老院」「銀の魔神」「セクター7」…。
夥しいデータの奔流の中、司令官は辛うじて四つの単語を読み取ったが、最後の
二つは、司令官が初めて目にするものだった。
自分が見たことのない情報がここで流れているという事は…、それが意味するもの
を悟ったとき、司令官は血相を変えて周囲に怒鳴った。
「管理局のネットワークがクラッキングされてる! 誰か接続を切れ!!」
ガラスの破片を浴びて顔中青い血にまみれた、監視塔でヘリに指示を下していた
将校が配電盤に飛びつく。
彼は、レバーを下げて配電盤を開けようとするが、鍵が掛かっていてレバーが
下がらない。
普段、保安上の理由から配電盤には鍵が掛けられているのだが、焦るあまりその
事に気付かない。
「くそっ!」
将校は唸ると、自分のデバイスを持ち出して配電盤もろともケーブルを吹き飛ばした。
接続を突然切られた機械の巨人――名はブラックアウトという――は、怒りの咆哮を
上げると両手で拳を作って振り上げ、何度も管制室の天井に叩きつける。
天井と壁が衝撃に耐え切れず、部屋全体が崩れ落ちる。
勇敢な司令官と将校は、この時崩壊に巻き込まれて命を落とした。
基地司令本部を崩壊させたブラックアウトは、次の目標を緊急発進しようとしている
「アースラ」と同型の次元航行艦「マウヘンベア」に定める。
車両集積所にて部隊を再編し、負傷者の救護に当たっていたエップスは、マウヘンベア
へと歩き始めたブラックアウトを見て隣のフェイトに言う。
「まずい、奴は次元航行艦へ狙いを定めたようです!」
「私が食い止めますから、援護をお願いします!」
「了解しました、我々はここで車両を盾に防衛線を張ります」
「お願いします」
エップスの指示一下、魔導師部隊は陸戦も空戦も関係なく、集積所の車両の間に広く薄く散開する。
ブラックアウトの凄まじい攻撃力の前では、開けた場所や空で戦うのは自殺行為と
分かっているからだ。
車両の陰から攻撃魔法を繰り出してくる魔導師たちに、ブラックアウトは機銃掃射する。
雨あられの如く撃ち込まれる機銃弾を、隊員たちは戦車の陰に隠れてやり過ごす。
地上部隊がそうやって時間稼ぎをしている間、フェイトはブラックアウトの真正面に浮かぶ。
彼女の足元と正面にミッド式の円形魔方陣が展開され、バルディッシュを握って
いない右手にバスケットボール大の強力な電流の球が形成される。
「トライデント――」
フェイトの詠唱と共に、バルディッシュからカートリッジが三発リロードされる。
「来るぞ! 全員伏せろ!!」
エップスはそう怒鳴ると、デュラハの頭を下げさせ、自身も砂地に伏せる。
応戦していた陸戦・空戦魔導師部隊は一斉に車両の陰に隠れ、亀のように体を縮こませる。
「――スマッシャー!!」
フェイトが右手の球をブラックアウトの方へかざすと、そこから三本の雷の刃が
放たれてブラックアウトを直撃し、土埃が舞い上がってその巨体を覆い隠す。
「うおおおおおおお―――ッ!!」
魔導師部隊は歓呼の声を上げ、中には魔法を祝砲のように空中に向かって撃つ者もいる。
だが、周囲が熱狂する中、フェイトは驚愕に目を見開き、呻くように呟いた。
「魔法が…!!」
砂埃が晴れて行くにつれて、魔導師部隊から歓声が消え、凍りついたような沈黙が
それに取って代わる。
ブラックアウトはまだそこに立っていた。
電流が体の所々を走っているが表面は傷一つ付いていない、そして右腕に
付いた砲を上げてフェイトに狙いを定めていた。
ブラックアウトがプラズマ弾を放つのと、フェイトがシールドとバリアを
展開するのは同時だった。
プラズマ弾は、展開された複数の魔法障壁を突き破ってフェイトに命中。
彼女は爆風に吹き飛ばされ、集積所のはずれに停車していた一両の戦車に激突する。
「執務官!!」
エップスが叫んでフェイトの方へ駆け出し、その後をデュラハとメルゲルたちが追う。
フェイトを屠ったブラックアウトの背中のローターが開き、そこから蠍型の機械生物
「メガザラック」が飛び出す。
着地したメガザラックは、たちまちのうちに砂地の下に潜り込むが、その姿を見た者
は誰もいなかった。
続いてブラックアウトは、集積所の車両目掛けてプラズマ砲を乱射する。
強力なプラズマエネルギーが、人間や戦車や輸送車を紙のように吹き飛ばし、辺り
一面を焼け野原に変えていく。
フェイトを失い、盾にした車両が吹き飛ばされ、仲間が生きたまま焼き殺されるのを
目の当たりにした魔導師部隊は総崩れとなった。
パニックに陥った彼らは一斉にマウヘンベアへと殺到し、倒れる者を踏みつけ、先を
巡って殴りあう。
まだ多数の魔導師を残したまま、艦は入り口を閉め、タラップを外して飛び立つ。
あきらめきれない者が艦体にしがみつくが、手を滑らせたり、吹き付けてくる風や
飛びついてくる人間の重さに耐え切れず、空しくポロポロと落ちて行く。
ブラックアウトは、そんな醜悪な惨劇には目をくれず、上昇を始めたマウヘンベア
にプラズマ砲を向ける。
立て続けに連射されるプラズマ弾が、マウヘンベアの艦体に命中して装甲を傷つけるが、
致命的なダメージを与えるまでには至らない。
ブラックアウトは少しの間考え込んだあと、砲口をマウヘンベア後部の一箇所に定め、
そこへ目掛けて集中的にプラズマ弾を撃ち込む。
最初の数発は装甲を突き破り、次の数発は艦内の防御区画を次々と破壊し、最後は
機関部と艦橋で爆発を引き起こした。
次元航行艦は炎上し、断続的に小爆発を起こしながら惰性でしばらく上昇した後、
砂丘の麓に墜落する。
砂の上に破片を振りまき、巨大な擦過痕を残して、巡航L級24番艦「マウヘンベア」
は大爆発を起こして木っ端微塵に吹き飛んだ。
以上で、序盤は終了です。
さて、ここでオリジナルの設定を上げたので、それを説明いたします。
「ミッドチルダ元老院」
その名の通り、ミッドチルダの最高統治機関です。
元ネタは“共和制ローマ”での元老院、決して『スター・ウォーズ』では
ありません。
…同じ元ネタですけどね。
「銀の魔神」「セクター7」はいずれ、また説明いたします。
『トランスフォーマー』観てれば分りますけどね。
誰もいないようですが、予告入れてから投下します。
アニメでとうとう年齢まで下がった柊蓮司支援
ティアナはミッドチルダ埠頭近郊にある倉庫街を慎重な足取りで進んでいた。
バリアジャケットを装着し、クロスミラージュはいつでも撃てるように構えている。
倉庫街の静けさの中、ティアなの足音だけがやけに大きく聞こえる。
どのくらい歩いただろうか。シャッターが開いている倉庫を見つけた。
開いている出入り口の前に転がり込み、両腕とその中にあるクロスミラージュを突き出す。
「出てきなさい!」
ティアナは叫ぶ。
この中に追い続けた犯人がいるはずだ。いや、いるに違いない。
確信があった。
クロスミラージュを突き出した姿勢のまま、ティアナは待ち続ける。
時間が実際の何十倍にも感じられた。
汗が首筋を伝って地面に落ちて弾ける。
そのとき、倉庫の奥で光がともった。
まぶさしさに顔をしかめたティアナは、腕で覆った目を光源を凝視する。
「なっ!」
倉庫に隠されていた物は高速輸送機。
そのエンジンが甲高いうなりを上げ、徐々に速度を上げる。
進路上のティアナのこともかまわない。
ロケットブースターを使い、一気に加速してくる。
「くうっ!」
ティアナはあわてて倉庫の前から飛んだ。
その後ろを、輸送機が倉庫を破壊しながら通過していく。
地面転がるティアナの上にもその破片がいくつか落ちてきた。
ティアナは倉庫の残骸を払いながら素早く立ち上がる。
空を見上げれば、すでに離陸している高速輸送機がさらに加速しながら夜の空へ上昇していくのが見えた。
「なんてこと……」
あの高速輸送機には次元犯罪者の盗み出した数々の美術品が積まれているはず。
いずれも計り知れない価値を持つ物ばかりだ。
「……あたしには何もできないの?」
そう、もう何もできない。
空を飛べないティアナには航空機の追跡など不可能である。
「こんなことって……」
ただ、空を見上げることしかできない。
美術品はいずれ闇で裁かれ、追跡は不可能になる。
すでに、チェックメイト。王手。
勝負は決していた。
「もう、終わり……」
「そんなことないよ。ティア」
足元を見るティアに突然声をかける者がいた。
「す、スバル?」
「そうだよ」
ティアの後ろにいたのはバリアジャケットに、リボルバーナックルとマッハキャリバーを装着したスバルがいつものようにそこにいた。
「あなた、何でこんなことろにいるの!」
「当たり前だよ。あたしとディアはコンビじゃない」
「えええ?」
確かにその通りだが、それは過去形のはずだ。
六課解散後、ティアナは執務官補佐に、スバルは特別救助隊へと道を分かれたはずだ。
なのにスバルがそこにいた。
ここにいる理由がない。
それになのに、スバルはそれがさも当然のようにティアナの前で飛んでいく高速輸送機を指さした。
「さ、ティアナ。行くよ。あれを追いかけるんでしょ?」
「そうだけど、もう無理よ」
スバルがいればウィングロードで空を飛ぶ物も追跡が可能になる。
だが、相手は高速輸送機だ。
トップスピードになれば並以上の魔導師でも追いつけない速度になる。
スバルもまた、それほどの速度は出せない。
「大丈夫。あたしに任せて」
「なにをするの?」
「いいから、いいから。行くよ!マッハキャリバー」
「OK」
スバルの言葉にあわせて、マッハキャリバーが光を放つ。
「Broomform.Set up」
「はぁ?」
マッハキャリバーが形を変えていく。
というか、形を変えていくのはマッハキャリバーだけではない。
「あああああ。スバル!スバルの首があり得ない方向に!関節が逆に!それどころか、関節じゃない場所までぇええええ!胴体!胴体まで!あぁあああああああああ」
一通り変形が終わったとき、スバルは人から別の形に変形していた。
名付けてブルームフォーム。
デバイスと戦闘機人、そしてファー・ジ・アースの飛行機械ウィッチブルームの技術を集めて作り出されたマッハキャリバーの、というかスバルの新しい形である。
その変形シーンは端から見る物にとっては、それはもうショッキングな物だ
おまけに、変形後はスバルがどことなくガンナーズブルーム思わせる形になっているし。
「さ、ティア。早く乗って。見失っちゃうよ」
ではあるが、スバル自身はあまり気にしてないようだ。
「早くっていったって、あなた……」
「もう、ぐずぐず言わない!」
「きゃあああああああああああ」
音もなく宙を滑るブルームフォームスバルはティアナを引っかけて急上昇。
その速度はすさまじく、高速輸送機にぐんぐん追いついていく。
「ほ、本当にこれでいいのかしら」
「いいに決まってるじゃない」
「いいって……」
「ティア!それはあとで。向こうが攻撃してきた!」
輸送機とはいえ武装は可能である。
しかも人間を相手にするには十分以上の質量兵器が搭載されているようだ。
「スバル!逃げて」
あの武装では、高ランク魔導師か多数の武装局員が必要になる。
自分たちでは対抗できないはずだ。
「大丈夫。大丈夫。行くよ」
「え?きゃああああああああ」
スバルは輸送機から放たれる機関砲、糸のような航跡を引く追尾ミサイルをきりもみ、旋回を繰り返しながら巧みによけていく。
乗っているティアナはたまった物ではない。
いや、それ以上に……
「あぁあああ。そんなところに、そんな武装が!そんな物までつけて!ダメ!ダメよスバル。女の子なんだから自分の体は大切にしないと。あぁああ!だめぇええええええええ」
「うー、うーーー。スバル」
「ティア」
「スバル……お願い。人間やめないで」
「ティア!」
「あなたがどんな風になってもコンビだけど、お願い」
「ティア!起きて!」
はっ。
目が覚めた。
「ここ、どこ?」
「どこって、執務室でしょ」
管理局の制服姿のスバルが目に飛び込んできた。
あたりの状況を確認すると、間違いなくここはフェイトの執務室、ティアナの職場だ。
そういえば、近頃は事件捜査で徹夜続きだった。
つい、居眠りしてしまったみたいだ。
「あれ?スバル、なんでここに?」
「もう。今日、来るって言ったでしょ。そうそう、おみやげ持ってきたから出すね」
そういいながらお皿でも取りに行くスバルを身ながら、ティアナはそんな話もあったのを思い出していた。
まだ頭がくらくらしている。
目をつぶって頭を振っていると、横からコーヒーが出された。
「どうぞ、ティアナ先輩」
「ありがとう……あなたは?」
「今日ここに新人研修に来ました」
ああ、そういえばそういう話もあった。
とっさに思い出せないくらいにまだぼーっとしている。
「いただくわ」
目を覚ますには新人の淹れたコーヒーを飲むのが一番良さそうだ。
ティアナはコーヒーの香りを胸一杯に吸い込む。
「あ……いい香り」
そして、一口飲む。
コクとキレのある苦みが眠気を喉の奥に流し込んでいく。
「おいしい。あなた、コーヒー淹れるのうまいのね」
頭がすっきりしていくると、いまの状況が少し恥ずかしくなってくる。
新人にいきなり居眠り姿を見せてしまったのだ。
汚名返上のためにも、まずはティアナは研修に来たという新人に自己紹介するために横を向いた。
新人の顔が確認できた。
そのとたんティアナは口に入れていたコーヒーを一滴残らず吹き出した。
目の前の新人がたちまちコーヒーまみれになる。
「あ、あ、あ、あ、あなた!!」
「あら、覚えてくれていたの?嬉しいわ。でも、これはないでしょう」
新人、すなわち魔王ベール・ゼファーは口調を本来の物に戻して服や顔を拭いている。
「魔法怪盗リリカルベル!!」
「……」
「……」
その、何というか、いきなりには反応できない。
「すごい寝ぼけ方ね。どんな夢を見ていたのか、激しく追求したい気分になったけどやめておくわ。何か、すごく気の毒だし」
それは、ティアナにとってすごく助かることだったが、ティアナも目の前の人物に追求しなければならないことがある。
「あなた、何でここにいるの?」
「なんでって、ここに就職したのよ。先輩」
「嘘だ!」
ティアナはすさまじい形相で叫ぶ。
「あなたがここにいていいはずがない。ここにいるべきじゃない!ここはあなたの居場所はない!」
そのすさまじさは魔王をしてたじろがせるほどの物だった。
「これが……」
ベール・ゼファーは息をのむ。
「これが、新人いびりね!」
なぜかティアナが額を机に打ち付ける。
「ねー、どうしたの?」
そうしているうちに、スバルがお皿にアイスクリームとスプーンを人数分おいて戻ってきた。
机にお皿をおいたスバルの胸にベール・ゼファーが飛び込む。
「スバル先輩……ティアナ先輩が……私、私、ここにいちゃいけないんですって。それに、コーヒーを」
まだコーヒーがぬぐいきれていない顔に涙を溜めている。
いささかわざとらしい気もするが、スバルには効果覿面だった。
「ティア!ひどいよ!そりゃ、失敗することもあるかもしれないけどベルちゃんはまだ新人だよ。私たちが助けてあげないと!私たちだってなのはさんに助けてもらったのに!」
スバルは、胸の中のベール・ゼファーをなでながら、珍しくティアを怒鳴りつける。
「大丈夫。安心して。私がティアにちゃんというから」
とまで言っている。
ベール・ゼファーはベール・ゼファーで
「私、負けません。でも、涙が出ちゃう。女の子だもの」
とか口走っている。
「新人って、スバル、そいつが誰だかわかってるの?」
「あ、また。そいつってひどいよ。この子は新人のベル・フライ。ベルちゃんだよ」
「よく見なさいよ!ベール・ゼファーでしょ!魔王の!!」
「え?」
スバルはベール・ゼファーの顔を見下ろし、しげしげと観察した。
「そうなの?」
質問にベール・ゼファーは新人モードで答えた。
「はい。スバル先輩。ファー・ジ・アースにではお世話になりました」
瞬時にスバルは壁まで宙返りをしながら跳ぶ。
「べ、べ、ベール・ゼファー!なんでこんなところに?」
「遅いわよ!」
「だから、さっきから言ってるでしょ。就職したの」
平然とベール・ゼファーは答えるが、ティアとスバルは距離をとったままである。
そりゃそうだ。魔王対策なんてしていない。
どうしようか考えていると、扉が開いてフェイトが入ってきた。
「フェイトさん!そ、そこに魔王が!ベール・ゼファーが!」
「人をゴキブリか何かみたいに言わないでよ」
一応抗議をしているベール・ゼファー。
「あ、そのことなんだけど。ティアナ、今度うちで新人研修を受けるベル・フライさん。いろいろ教えてあげてね」
「だって、ベール・ゼファーですよ。ベル・フライって偽名ですよ。いいんですか?」
「う、うん。不正見つからないし……それに、魔王が就職って、誰も信じてくれそうにないでしょ?」
その答えはティアナにたいそうな衝撃を与えた。
「あーーーーーーっ」
ティアナはこれが夢であればいいと願った。
残念ながら、厳然とした現実だったが。
*****************************************
今回はここまでです。
ティアって、つっこみ役としてすばらしいキャラです
汎用人型決戦箒ー!?
>>556 「たちまちのうちに砂地の下に潜り込むが」これって変な言い方ですね。
すみませんが「砂埃を上げてたちまちのうちに潜り込むが」修正して下さい。
スバル!トランスフォーム!吹いたw
>>563 >「人をゴキブリか何かみたいに言わないでよ」
ハエだけどね。
ファー・ジ・アースの御神一族はテロ程度では滅びないと思う。
滅んだのは「エミュレイター掃討作戦」の時かな? 17年程前の。
あいつらのクラスは異様に高いレベルの「忍者」だと思う。もしかしたら一族の就職先はロンギヌスだったのかも。
で、本編で恭也が出なかったのは「柊力」恐怖症のため、ロンギヌスは全員別の任務にしてもらったとか。
>白き異界の魔王 外伝さま
>あぁあああ。そんなところに、そんな武装が!そんな物までつけて!ダメ!ダメよスバル。
>女の子なんだから自分の体は大切にしないと。
ここに大爆笑しました。
漠然とスバルのトランスフォーマーネタは考えてましたが、想像の斜め上を行かれてしまった
…て感じです。
白き異界の魔王 外伝さま GJです!
スバルが『鏡の迷宮のグランギニョル』のアニス化してますねww
流石に吹きましたよ。
そろそろ、次スレの季節ですな。
いや、もう少し後だな
またしても修正です。
>>555 「電流が体の所々を走っているが表面は傷一つ付いていない」
↓
「電流が体の所々を走り、頭を左右に振っているが、表面には傷一つ付いていない」
>>573 まとめWikiの方に誤字訂正用掲示板あるよー
今携帯からなので容量分からんのですが、4レス分の小ネタ投下しても大丈夫ですかね?可能なら投下します。
注:完全にうろ覚えで書いてます。多少描写に間違いがあってもご勘弁を。
今、457.32kBだ。何も問題はない。
なのはStS偽最終回「いつか星の海で」
なのは達とジェイル・スカリエッティの戦いは、終わりを告げた。
…しかし、予期せぬ事件が起こった!
ナンバーズとの戦いの中で、いつの間にかティアナに埋め込まれた「何やらよく分からない因子」が起動し、
最凶最大の悪魔・ティアーナが誕生してしまったのだ!
ティアーナの放つ強力なAMFにより、命の危険にさえもさらされてしまうなのは達。
最終決戦で消耗しきった彼女らには、最早抗う術はなかった。
ティアーナは聖王のゆりかごの残骸と融合し、黄金のティアーナロボとなって地上へ降り立つ。
最大の窮地に立たされた管理局は、唯一AMFの影響から逃れたスバルに全てを託し、
封印された質量兵器型デバイス「マッハキャリバーGGG(ギガント・ごっつい・グーパンチ)」を起動した!
「ティアーナー」
ミッドチルダの街を粉砕し、大地に降りたティアーナロボ。
ティアーナの能力はゆりかごによって更に高められ、全てのエネルギーを阻害するまでに至っていた。
迎え撃つは、身長31mという巨体を有したくろがねの巨神・マッハキャリバーGGG。
「あたしは信じたい…人類を、そしてあたし自身を! だから、戦う…生き抜くためにっ!!」
気合と共に、スバルがマッハキャリバーGGGの中心から絶叫する。
「ヘル! アンドヘブンッ!」
マッハキャリバーGGGの両腕が光を放った。右腕は赤く、左腕は黄色に。
「みんなの命、あたしに預けてっ!」
『『『『『All right.』』』』』
全身から響くデバイス達の声。
主達と共に無力化した彼らは、残された力を役立てるべく、マッハキャリバーGGGとの融合を選んだのだ。
「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ…!」
頭の中に流れてくるテキストを呟き、スバルはその両の手を組ませた。
AMFにも屈さぬ凄まじい魔力の竜巻が、ティアーナロボを包み込んだ!
「うおおおおあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
マッハキャリバーGGGが猛然とティアーナロボに突っ込み、その拳を叩きつける!
しかし、ティアーナに近ければ近いほどその効力を強めるAMFは、遂にそれさえも受け止めた!
「そんなっ!?」
「ハアアアアアアッ」
ティアーナロボの頭部から放たれた魔力ビームが、無防備のマッハキャリバーGGGに襲いかかる!
「やあああぁぁぁぁぁっ!」
それを遮ったのは、桃色の光を放つ魔力の壁だった。
「っ!? なのはさん!」
生命維持さえも脅かすAMFの中、なのはは命を燃やして魔力を放つ。
だが、それも数秒と経たずに燃え尽きてしまった。限界を超えたなのはの身体が、虚空を舞う。
「ああっ…!」
思わず声を上げるスバル。
(…嫌あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!)
冷たいティアーナロボの中で、ティアナの悲痛な叫びが響いた。
『ATFが弱まりました』
『撃破するなら今です』
マッハキャリバーGGGに組み込まれたストラーダとケリュケイオンが、スバルを奮い立たせる。
時間はかけられない。もう犠牲は出させない。
全力全開でこの鉄の悪魔をぶちのめし、ティアナを救い出す!
「うおおおおおおおおおおおっ!」
スバルは吼えていた。
マッハキャリバーGGGの鉄拳が、ティアーナロボの顔面を殴り付ける。
返すティアーナロボの一撃が、左肩を吹き飛ばした。
『構わずぶちかましてください』
ブリッツキャリバーの声が響いた。
「だあああああああああああっ!」
フィールドなどお構い無しに、スバルは右足で踵落としをお見舞いする。
ティアーナロボの頭が潰れ、身体が地につきマッハキャリバーGGGの右足の表面にも亀裂が走った。
『勇気と共に進んでください』
ケリュケイオンが言葉を遺す。
スバルはそのままティアーナロボの巨体を踏みつけ、その翼に掴みかかった。
「はあああああ…ふんっ! たあああああああああああっ!」
力いっぱいに翼を引き抜き、遥か彼方へと投げ飛ばす。
耐久限界を超えた右肩が弾け飛んだ。
『私達の心は一つです』
マッハキャリバーが告げる。
「おおおおおおおおおおおおっ!」
立ち上がったティアーナロボ目掛けて、更にスバルは左膝のドリルを叩き込む。
ドリルは粉々に砕け散った。
『機動六課万歳』
ストラーダが叫ぶ。
スバルはフルスロットルでバーニアを吹かせる。
背中の翼が衝撃に耐えきれずボロボロになった。
『勝利はすぐそこです』
バルディッシュが後押しした。
「おおおおおあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
遂にスバルは敵の懐に飛び込み、そのコアを両手に掴んだ!
「はああぁぁぁぁ…せやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
マッハキャリバーGGGがコアを高々と掲げると同時に、ティアーナロボは凄まじい爆炎を上げて大爆発する!
「ティア…」
戦いは終わった。
スバルはマッハキャリバーGGGの胸にあるライオンの口から、その手の中に立つティアーナの元へと歩み寄る。
「今、行く…待ってて…」
全ての力を出しきり、限界を超えたマッハキャリバーGGGの身体が、みるみるうちに朽ちていく。
(スバル…殺して…早く…あたしを殺して…)
ティアナの届かぬ声が、スバルに向けられた。
「死ぬ時は一緒だよ…」
しかし、自らの機械の身体が錆び付くのにも構わず、スバルはティアーナの傍に立った。
(手遅れになる前に…殺して…)
「ティア…ごめんね。あたしは…一番大事な人も、守れなかった…」
(スバル…)
「貴方を…愛している」
(アンタを好きになって、よかった…)
2人の声が、今重なった。
「もう離さない…死ぬ時は一緒…」
(スバル…!)
ティアーナの目から涙が流れた。
スバルは、その手に抱いた物言わぬなのはへと語りかける。
「手を貸してください…なのはさん…」
金の瞳を閉じたスバルは、魔法の言葉をつむいだ。
「リリカル…マジカル…ティアーナ因子、封印…」
眩い光が起こった。
「奇跡が…起きたよ…」
暖かい声は、2人の間に立つなのはの声。
「…あれ…あたし…」
意識を取り戻したティアナは、一糸まとわぬ自らの身体に自由が戻っていることに気付く。
そして、目の前に立つスバルを見て、息を飲んだ。
「あっ…スバル!」
「お帰り…ティア」
「その身体…!」
何が変わったのかは分からない。外見は、元の綺麗な身体になっただけでしかない。
しかし、ティアナは感じていた。
剥き出しの肌から、澄んだ緑の瞳から感じる、紛い物でない、本物の命の気配を。
奇跡が起きた。
スバルはティアナを浄解する過程で、紛れもない生身の身体――本当の人間の身体を手に入れたのである!
「神様が、取っておいてくれたみたいなんだ…あたし達の勝利の、ご褒美として…」
「スバル…!」
2人の瞳から流れるのは大粒の涙。
「ティア…もう離さないよ」
スバルの手が、優しくティアナを抱き止めた。
「…却下ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!」
ティアナの怒声が、管理局の食堂に響き渡った。
「こんなクロスできるわけないでしょ! 完全にバランス崩れてるじゃない!」
「え〜? いいじゃん、面白いじゃん」
「大体ねぇ…何が悲しくてあたしがアンタとガチレズやらなきゃなんないのよ! ねぇ、なのはさん?」
しかし、話を振られたなのはは何のてらいもなく一言。
「そうかな? 面白いと思うよ。ティアナがやらないなら、私がフェイトちゃんとやろうかな?」
「な、なのは…」
顔を真っ赤にしてうつむくフェイト。
「フェイトさん、ガチレズって何ですか?」
「えっ!? いや、ああああのっ! それはねっ、その…うぅぅ…」
「ティ〜ア〜♪ 一緒にラブラブしようよぉ〜♪」
「う、うっさいわね! 離れなさいよ!」
頬擦りしてくるスバルを、ティアナは必死に振り払おうとする。
「まんざらでもないくせにぃ〜♪」
「あーもうっ!」
そんなこんなで、今日もまたクロスSSが1つボツとなっていく…
////////////////////
うん、皆まで言うな。分かっている。作者は(頭が)病気だ!
せっかくウロススレで「ガガガクロスを書く」と言ったのだから、せめて一発ネタでまやってみようと思ったのだが…結果このざま…
…リリカルガオガイガーさん、怒らないでくださいね…
GJ!
>いつの間にかティアナに埋め込まれた「何やらよく分からない因子」
なんていい加減www
GJ!
なんだかとってもツッコミどころが満載なんだけど・・面白いからいいやw
アフォスwwwwwwwwww
何だかんだで、次スレの季節になってきました。
テンプレ読んでない人多いな
あと10kくらい残ってますお
>>580 GJ!笑わせてもらいました。
何やら良く分からない因子って(笑)
ストラーダがドリル部分だったのは…もう何も言うまい。
いつの間にかたくさん投下されてるので、今度一気に読みます。
各職人さん方GJです!
お互い完結できるよう頑張りましょう。
588 :
377:2007/11/12(月) 02:59:47 ID:TvPcV3Ye
土日はずっと出掛けていたのですが、帰ってきてここを見てみましたら、私と同じ考えの方がいらして驚きましたw
>>リリカルグレンラガン(リリカルガオガイガー)氏
>あぁ、それも良いかな〜でもリリカルガオガイガーが終れるのかが問題だ(ぇ
私の勝手な妄想に、そのような嬉しい事を言っていただけるとは、否応無しに期待してしまうじゃありませんかw
グレンラガンも絡めたら4作品の多重クロスになりますが、いずれも作品の方向性が一致していますので、氏の筆力ならば可能だと思って言わせていただきました。なのはさんたちは以前から、素でスパロボに生身ユニットとして参戦出来るとか言われていますしねw
妄想ついでに申し上げますと、シモンと共にヨーコがグレンラガンのサブパイロットとしてミッドチルダに来たら面白いな、と思っております。
なのはさんたちにとって、シモンとニアは理想的なカップルとして記憶されているでしょうから、
・なんかエロい格好したばい〜んなお姉さんと一緒のシモンに、ニアさんはどうしたんだと詰め寄るなのはさんたちw
・苦笑しながら自分とシモンはそういう関係にはなり得ないと説明するヨーコ
・ニアの死、ヨーコがカミナと恋人関係だったこと、さらにその後も恋人と死に別れていることを知りショックを受けるなのはさんたち
・大人の女の余裕ある態度で皆を諭すヨーコ
といったやりとりがあるのではないかとw
ヨーコのような酸いも甘いも噛み分けた、いい女の雰囲気を持つキャラは六課にもGGGにもいないと思うので、彼女がいれば話の幅が広がるのではないかと思います。先生やっていたくらいですから、エリキャロやヴィヴィオにも慕われそうですね。
なんにせよはやてがヨーコの乳にセクハラしようとするのは間違い無いでしょうがw
>>ティアナ・ランスターの憂鬱氏
>それいいですね、使わせてもらってもいいですか?
それはもう、構想だけで挫折してしまった私ごときの設定でよろしければ是非お使い下さい。原作の喫茶店の代わりに翠屋がSOS団の溜まり場になれば、自然と他の六課メンバーを出せるし、ハルヒたちとも顔見知りになれると思って考えた設定でした。
ちなみに他のメンバーの扱いに関しましても考えはしたんですよ。
なのはさんは中学卒業後、海外のパティシエ学校に留学していたというカバーストーリーを設けて店長に。ヴィヴィオも一緒なのでキョンに「随分と若い母親だな」と思われたりw
スバルは私も性格的に、潜入捜査のような任務には向いていないと思ったので翠屋の店員。
それとスバル以上にこの任務には向いていないであろうエリキャロは、本編通り新しい部署に転属していて登場しないつもりでした(StS終了後の設定でしたので)。
問題ははやてとヴォルケンリッターで、彼女たちだけはどうにもうまい設定が思いつきませんでした(苦笑)
>>リリカルスクリーム氏
草加のエゴイストぶりは教会勢にここまで嫌悪の念を感じさせるものなのか。無理も無いけれどw
グロンギの生き残りが人類に協力というのは予想外な展開ですが、人類の反撃の切り札となるのでしょうか?
それにしてもフナムシなんかまで食べなきゃならんとは……昔ジャンプの十週打ち切り漫画で、死体の口から這い出してくるシーンを見て以来苦手……自分がこの世界にいたら間違いなく餓死しそうですw
>>なのは×終わクロ氏
半分くらいしかわかりませんでしたw
>>りりかる剣心氏
蒼紫とザフーラの戦いがGJでした。次の左之助とヴィータの戦いにも期待しております。
赤報隊も現在では名誉回復がされているそうなので、左之助が知ったら喜ぶでしょうね。
>>反目のスバル氏
GJ! スバティアのガチレズぶりに笑わせていただきましたw
元ネタを知らなくて感想を書けなかった職人さんもお疲れ様でございました。
>なのは×終わクロ氏
「タッキュウドゥ!」ってあれですか、おち版のビックリマンの天使ですか?
>>518 >>589 エレスコレクート(君は正解だ)!
いやぁ、ここまで厳密に解って下さる方がいるとは思いませんでしたねぇ。「丸みを帯びた鋼鉄の大型ロボット」や「人面の白竜」共々で迷宮入り狙いだったんですが。
その内種明かしでもしますかねぇ……。
591 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 18:02:42 ID:OBRpZLLo
>なのは×終わクロ氏
人面の白竜は、天保異聞の竜堂と雲七ですか!
俺の記憶の中で「丸みを帯びた鋼鉄の大型ロボット」に該当するのは鉄人28号ぐらいしかないな
593 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:55:13 ID:cUY9C03X
リリカルパニック氏 まだかな??
リアルさを求めるか。
それとも、話のおもしろさを求めてリアルさに目をつぶるか。
SSに限らず、作者さんには>594さんが教えてくれたことみたいな話は悩みどころかもしれませんね。
>>593 なんというか待たせてしまって、すいません
悪いことにまだ忙しすぎて再開の目処が立っていません;;
なんか一通り正解出ちゃったし、次スレも立ちそうな感じなんで種明かししちゃいますね?
『丸みを帯びた鋼鉄の大型ロボット』=『快傑蒸気探偵団』の強力
『革ジャンを着込んだ銀髪ロンゲの青年』=『忘却の旋律』のロキ
『獣の耳と尾を持つ三つ編みの女性』=『うたわれるもの』のカルラ
『浮遊するカバ似の霊獣』=『封神演義(藤崎竜版)』のスープーシャン
『瞬間移動を行った鎧の男』=『スーパービックリマン(おちよしひこ版)』の聖Vヤマト
『青い帽子と服をした人型の黒い獣』=『風のクロノア』のクロノア
『羽を生やした関西弁の小動物』=『カードキャプターさくら』のケルベロス
『ぼろぼろのスーツを着たアフロの骸骨』=『ONEPIECE』のブルック
『やたらと絶叫する痩身の医者』=『お・り・が・み』のドクター
『トンガリ頭の少年と大柄な武将の幽霊』=『シャーマンキング』の道蓮と馬孫
『眼鏡の小学生と青い耳無し猫型ロボット』=『ドラえもん』のドラえもんとのび太
『草の体を持つ獣と女物の指輪をした高校生』=『終わりのクロニクル』の佐山と草の獣
『シャツに短パンという軽装の少年と人型のカメレオン』=『HUNTER×HUNTER』のゴンとメレオロン
『人語を放つ巨大書物を肩から下げた眼鏡にスーツの美女』=『灼眼のシャナ』のマージョリーとマルコシアス
『青い機械の獅子』=『ZOIDS』のバンとジーク(あとブレードライガー)
『単身の人型ロボット』=『魔神英雄伝ワタル』のワタルと龍神丸
『機械仕掛けの猫』=『サイボーグクロちゃん』のミーくん(ちなみにペアはDr.ゴー)
『騎士王を名乗る少女』=『Fate』シリーズのセイバー(勿論ペアは士郎)
『全身からドリルを生やした巨大ロボット』=『天元突破グレンラガン』のシモンとヴィラル
『人面の白竜』=『天保異聞妖奇士』の往壓と雲七
しかし……このクロスもやってみたいもんです。
自分で決めといて何ですが、終わクロとのクロスはストーリーがあくまでもアレンジ止まりだから物足りないっちゃ物足りないんですよね。こっちだとアイディアのまま自由奔放にやれそうだし。
でも何だかんだ言って終わクロも好きだしなぁ……。
えっと、翠屋支店の是非等についてレスを返そうかとは思ったんですけど
とりあえず先に投下おkでしょうか?
レスは後でゆっくり書こうかと思ってます
大丈夫そうかな?それではティアナ、行きまーす
>>538 「で、どうやって入るつもりなんだお前は」
「そうね、ベランダから回り込んでガラス割って入ればいいんじゃない?」
「涼宮さん!先生もいるのに・・・」
「先生がいなくても却下だ却下!俺はお前のとばっちりで犯罪者の仲間入りするなんてゴメンだからな」
「冗談よ冗談、ま、管理人さんに事情話して鍵開けて貰いましょ。友達を心配して見舞いに来たって言えば大丈夫でしょ」
彼らのやりとりにあたしは言い様のない不安を感じ始める。一体どこからどこまで冗談なんだか
「あんた達、まさか前科持ちとか言うんじゃないでしょうね」
「お、俺は別に何も悪い事はやってない。やってないはずだ。問題があるとすればハルヒぐらいなもんだろう」
「なによ、あたしだって別に犯罪なんてやってないじゃない」
キョンはその言葉にジト目で涼宮さんの事を見る、何か色々といいたげな様子ではあった
ま、多分普段からこういう事ばっかりやってるんでしょうね。私は溜息をつきながらふと視線を横に向けた
長門さんが部屋のドアノブを握り締めたままなにやらじっとドアを見つめている
カチャリ、とドアは何の抵抗もなく開いてしまったのである
「あら?なんだ開いてたんじゃない」
涼宮さんはなんの疑問もなくそのまま部屋の中へ入っていってしまった。でも私は素直にそうは思えなかった
「あなた・・・いま何かした?」
長門さんは私の目を見たまま、だけどなにも答えない
「あーっとぉ!きっと部長氏が閉め忘れてたんだな、うんそうに違いない。絶対そうに違いない、うんうん
だからティアナさんも気にする必要はないぞ」
キョン君があからさまにわざとらしいフォローを入れようとする、だがこれは逆に彼女がなにかしたのだと彼も知っている、あるいは確信している証拠でもある
いくら管轄外といえども彼らが本気で犯罪者紛いの事をしてるとなれば流石に放っておく訳にはいかない
「ティアナ、彼女がなにかをやったという証拠はないよ。ただ行方不明者を探しに来たら、たまたまドアが開いていただけ
それだけだよ」
フェイトさんは私の肩に手を置き、首を小さく横に振る。事を荒げるなと言いたいのだろう。
仕方ないので私も一旦引き下がる事にした
部屋に入った途端、なにか違和感のような物を感じた
(なにこの空間?なにかが・・・おかしい?)
私は油断なく周りを見渡す。部屋自体に異常は見られない・・・が、この部屋の中はなにかがおかしかった
(なんだか結界の中に入ったみたいな、でもそういうのとも何かが違う。なんなのこの感じ?)
異変にはフェイトさんも気付いてるみたいだった。だけどあくまで平静を装っている
なにやら長門さんがキョンに近づき耳元で囁く声がかすかに聞こえた
「この空間は次元断層により位相変換が生じている」
「?!」「・・・なんだそりゃ?」
思わず呆気に取られてしまう、いくらなんでもこんな所で次元断層が生まれてて、それなのに表面上には何も起きてない
こんな異常の事態は聞いた事がなかった
いつの間にか古泉というもう一人の男子生徒も加わり三人でこの事態について話し合っていた
しかも彼らは当たり前のように涼宮ハルヒがこの事件に関わりがあるように話をしていた
だが、当の本人は先程から普通に部屋の中を捜索しているだけだった
(なんなの、一体なんなのこの集団は?!)
支援!
結局なにもないと結論付けて涼宮ハルヒはメンバーに現地解散を命じた
いつの間にか私達もSOS団メンバーのように扱われていたのがちょっと気になるけど
私達はそこで一旦別れた振りをしてから再びその部屋へと足を向けていた
そしてそこには、まるで当然のように涼宮ハルヒを除く先程のメンバー全員が揃っていた
「あの、さっきの部屋をもう一度調べるってどういうことなんですか?なんでまた集合したんですか?
それにティアナさんとフェイト先生までなんでいるんですか?」
なんだか一人だけ事態をのみこめてないみたいだけど本当になんで彼女までいるのかしら
「とりあえずハルヒも帰った事だしあんた達の正体を聞いてもいいか?」
「待って、こっちの朝比奈さんは民間人じゃないの?あと古泉くんもなんだか訳ありっぽい感じじゃない?
どういう事なのか聞きたいのはこっちの方だわ」
「おや?ご存知ありませんでしたか。いえ、僕も詳しくは聞いていませんがね
僕はとある機関に属している者です。機関の幹部は一部の時空管理局員ともコンタクトに成功していましてね
この間の事件で管理局もついに涼宮さんに目をつけたらしいという事を聞かされていたんですよ」
「時空管理局?あ、それじゃぁティアナさんとフェイト先生は時空管理局の方なんですね」
「マテマテマテ、なんなんだその時空管理局というのは?長門の親分の親戚か何かか?」
「ちょっと待って、古泉君の方は・・・まぁ特殊な事情なのは分かったわ。でも朝比奈さんも時空管理局の存在を知ってるの?」
「あ、そういえばこの時代にはまだ時空管理局の存在は地球に公には知られてないんですね」
「この時代には・・・?」
「もしかして・・・朝比奈さんは未来人の諜報員?」
「フェイトさん知ってるんですか?!」
「噂程度だけど・・・時空改変の恐れのある事件のいくつかで未来人と思しき人物が介入してきたという事例はいくつか報告されてる
でも未来人についてはあまり詳しい事が分かってないし証拠も特に残ってないんだ。だからあくまで未知の次元からの来訪者としての見解が一般的なんだけど・・・」
「情報統合思念体に未来人、それによくわからない機関まで絡んでるなんて・・・なんだかずいぶん複雑な事情がありそうね」
「すまん、悪いが俺は完全においてきぼりだ」
降参だとでも言わんばかりにキョン君が手を上げるのを私はまじまじとしながら見つめる
「・・・それで、あなたは何者なの?」
「悪いが俺は完全にただの普通の人間だ」
「ええ、僕も証明します。彼は紛れもなく普通の人間ですよ。」
「普通の人間がなんでこんなメンバーに囲まれて異常な事態に関わっているのよ」
「それは俺の方が聞きたい」
「それは彼が涼宮さんに関するキーパーソンだからですよ」
「縁起でもない事を言わないでくれ、俺はハルヒのトンデモに巻き込まれてるだけの只の被害者だ」
「それよ、結局彼女、涼宮ハルヒは一体何なの?」
「ただの訳のわからん女だ」
「それについては僕が説明し・・・」
話がごちゃごちゃしてこんがらがってきた時、いきなり世界がぐにゃりと歪んだ
かと思ったらいきなり風景が一転していた、正直我が目を疑わずにいられなかったわ
マンションの一室にいたはずの私達は、なぜかいきなりなにもない平坦な空間に投げ出されていたのだ
「空間転位?!そんな、魔法も使わずに!」
「つーかここは一体どこなんだ?」
「局地的非侵食性融合異時空間。空間転位ではなく侵入コードを解析しただけ」
答えたのは長門さんだった
次元断層をあっさり解析して侵入する、そっち方面を専門としている魔道師でもこんな芸当をあっさりこなす人間は正直見たことがない
(なるほどね、こっち方面の技術に関しては時空管理局より情報統合思念体の方が上回ってるって訳)
私は内心舌を巻くほかなかった
長門さんはそのまますぅーっと手を上げる。キョン君がギョッとした表情で声を上げる
「長門!何かする時は先に一言言ってからやってくれないか」
「分かった」
彼女はそのまま前方を指差しながらポツリと口に出す
「来た」
言われて私達も気付いた、前方の空間をたゆませながら何かが出現しようとしていた
明確な敵意と共に
私たちの前に現れたそれは、巨大なカマドウマの姿をしていた
「これはこの空間を形作っている者の畏怖の象徴」
「もしかしてこれは部長さんの意識から作られているのですか」
「作られているのではなく、そのもの」
「っ?!これが行方不明者本人って事?!」
「厄介だね。ちょっと手荒いけどここは・・・」
「どうやらこの空間では限定的に僕の力が使えるみたいですね」
そう言って前に出たのは古泉君だった。その手には赤く光る魔力弾が浮かんでいた
「あなた、魔道師なの?!」
「あなた方の使う力とは形式も異なりひどく限定された能力ですが、まぁ似たようなものなのかも知れませんね」
ふぅもっふ!と掛声を上げて魔力弾を打ち出す。魔力弾はカマドウマに直撃しうずくまるようにしながら消滅していく
カマドウマが消滅した後には気を失った一人の男子生徒が倒れていた、彼が件の部長さんとやらだろう
「結局驚かされっぱなしだったけど、ひとまず一件落着って所かな」
「・・・・・・まだ」
長門さんの言葉にキョン君が再びげんなりした顔をする
「なんだ、まだ何かあるのか?次はなんだ、巨大なカナブンが出てくるとか言わんだろうな」
「別の第三者がこの空間に居座っている。部屋の中が表面上何事もないように見せていたのは何者かがカモフラージュしてた所為」
「まさか・・・次元犯罪者?!」
「その可能性は高い」
すぅ、と右手を水平に上げる
「偽装された位相空間を連結させる」
パチパチと空間が軋みながら焦げ臭い匂いが漂ってくる
「強力なプロテクトがかけられている、でも開けられないほどじゃない」
「なんか俺すごい嫌な事を思い出したんだが」
「以前朝倉涼子が張っていたものより、さらに複雑なプロテクトがかけられている」
「えと、えと、なんなんですかーっ?!」
「私も聞きたいけど、これなんかやばそうな雰囲気じゃない?」
「確かにこんな所を隠れ家にされてたら普通は見つからないね。もしかしたらかなり凶悪な次元犯罪者かも」
「やれやれ、これは大分面倒な事になりそうですね」
古泉君が少し真面目な顔付きで溜息をついた時、変化は起きた
支援します。
長門はやっぱり凄い、支援
「あ〜あ、見つかっちゃったか」
柔らかな口調と共に一人の少女がふわりと着地する。少女は今私たちが着ているのと同じ北高の制服を着用していた
「朝倉涼子、やはりあなた」
「待て!なんであいつが出てくるんだ!あいつは消えたはずじゃなかったのかよ!」
「何者かが彼女の体を構成している情報を収集し、再構成したものと思われる。以前よりもスペックが上がっている」
「あの、あの人何者なんですか?制服着てるって事は同じ学校の人なんですか?」
「分かりやすく言うと危険人物です!ああ、もう、長門頼んでいいか!」
「いい」
こくりと頷きながら前へ出ようとする長門さんを腕で押し留めたのは、なんとフェイトさんだった
「なんだかよく分からないけど、あまり生徒を危険に晒させる訳にはいかないな。一応、これでも先生だからね」
「彼女は私と同じく情報統合思念体が生み出したヒューマノイド・インターフェース。甘く見ない方がいい」
「今回は別に危害を加えるつもりはない、って言っても信用してくれないかな?悲しいなぁ」
朝倉と呼ばれた少女は唇に指を当て、いかにも残念そうに眉をひそめる
外見だけならその辺りにいる女子高生のように見える。でも外見だけからその人の実力を推し量れない事は私自身よく知っていた
なによりこんな異次元空間に潜んでるような人が普通な人のはずがなかった
「例え貴女が私達に害意を加える気がなくても、貴女が自分の居場所を隠す為に現地人を巻き込んで利用してたのなら
少なくとも私達に同行してもらい事情を説明してもらう必要はあります」
「あら、あなたもしかして時空管理局の執務官かしら?弱ったな、さすがに連れて行かれるのはまずいな」
にっこり微笑んだかと思った瞬間、彼女の手が伸びた
<Protection>
フェイトさんが張った障壁が彼女の攻撃を止める。でもその光景はなんとも異常だった
少女の腕はまるで液体金属でできた槍のように迫ってきていた
「公務執行妨害、それと殺人未遂」
<Set up>
フェイトさんの体が光に包まれ一瞬にしてバリアジャケット姿へと変わる
「あなたを時空犯罪者と認定、身柄を拘束させてもらいます」
<Get set>
バルディッシュを構えながら力強く宣言する
と、今回の投下はここまでです
GJ!朝倉対フェイトとは。バトルもあるんですね、どう戦うのか想像できません。
久しぶりに感想。土日纏めてと思ったけど、読んでみたら凄い量なので大体土曜分だけですが。
>>322 ◆tRpcQgyEvU氏
GJ!ストーム1は色々と悲しい想いをしてきたんですね。博士に拾われてこれからどうなるのか楽しみ。
>>ティアナ・ランスターの憂鬱氏
GJ!てっきり原作のキョンの文体を真似るのかと思っていました。でもあれは難しいか。
確かに留学生とかにはハルヒはとりあえず反応しそうです。
>>リリカルグレンラガン(リリカルガオガイガー)氏
GJ!二人ともすぐに仲良くなってていい感じです。二人の合体も、凄くらしさが出てます。
>>×DOD氏
GJ!繊細な心理描写に思い入れを感じます。いよいよバトルになりそうですが、いつか守る為の戦いになるのでしょうか?
>> なのはStrikerS-NEXT氏
GJ!ギャグとシリアスのギャップが激しいwドゥーエは出産したんですか……当然何らかの役があるんでしょうが。
>>リリカル・コア氏
GJ!ここまで詳細に裏側を考えたことは無かったので、色々と新鮮で勉強になります。
>>なのは×終わクロ氏
GJ!ほとんど分からなかったwでも変なテンションが楽しかったです。
>>りりかる剣心氏
GJ!るろ剣キャラが魔法で強化されれば凄いなぁ……。蒼紫とザフィーラの戦闘、友情も良かったです。
管理局も問題点はありますが、左之助の悪一文字はどこへ向くのでしょう?
うぬ!485KBを超えてきたか!ならば俺が次スレを建ててくれる!
>>588 >翠屋がSOS団の溜まり場になれば、自然と他の六課メンバーを出せるし
そこまで突っ込んで考えてはいませんでしたが他のメンバーを自然に出しつつ絡ませやすいですね
うまくそこまで話が転がるかどうか不安な所ですが出せれそうな時はありがたくその設定使わせてもらいたいと思います☆
しかし実は僕DVD待ちなので実はsts途中までしか知らないんですよね
まぁ見ないようにしつつもちょこちょこ情報が入ってくる所為で中途半端に知ってる状態な訳ですが
確かに物語終了後設定で話進めようとはしてたのですが(ある意味無謀ですね)
でも実はスカエリッティ使いたいなとも考えてるんですよね、時系列的におかしな事になってしまいそうですが
とりあえず朝倉さんを復活させた黒幕を用意する必要があるもので・・・。
二次SSだし多少無視しても大丈夫かな?
>>594 厳密な事を言うと確かにそうなんですが、
開業までの手間に関してですがとりあえず地球で活動する時の為の足がかりとして以前から準備してた、といういい訳も考えましたが
SOS団の溜まり場にはならんだろうという意見ですが。確かに普段彼らが溜まり場にしてるのは部室ですが
588氏の言う通りいつもキョンが奢らされてる店として出すのはありだと思ってます
別にいつも入り浸ってなくても一度出会ってさえいればその後も理由をつけて絡ませることは可能だと思います
それに無理にレギュラーにまでしなくてもサブキャラとして活躍させる分には充分でしょう
ハルヒ原作でも森さんが意外なところで活躍してたりしますしね
監視の点で言えば校内ならティアナとフェイトがついてますし、SOS団員に引き込んでしまえば休日まで張り付いている事が出来ます
正直四六時中張り付いて監視まではしようと思ってはいないのですが、それを実行しようと思った場合
喫茶店の店員という立場なら近所を徘徊してても不自然ではなくなります。バイトなら週勤3〜4日でもおかしくないですし
まぁリアルな事言い出すと、部署の違うなのはやスバルが出張るよりも名もなき(オリキャラ)局員でも出した方が自然にはなるんですけど
こういう所であまりオリジナル要素を前面に押し出すのはただの自己満足にしかならないでしょうし
僕も基本なるべくリアルに考えたいとは思ってますが、ある程度のご都合主義は許されてもいいのではないでしょうか?
原作の特徴的な話し方がある人ってマジ書きにくいですよね・・・・・・
もうやめてペガサスさん!とっくに私の言語力はゼロよ!
>>ティアナ・ランスターの憂鬱氏
どうも、
>>377及び
>>588です。今回もGJでした。ここで消滅したはずの朝倉が登場とは、独自色の強い展開になりそうですね。さすがのフェイトも朝倉が相手では分が悪そうです。まあ、長門がいるのであまり心配はしていませんがw
この先文化祭の話になるとしたら、ティアナとフェイトもあの映画に出演させられるハメになるのでしょうか?w
翠屋支店につきましては、リアリティよりもシチュエーションを優先したものでした。一応はハルヒの力が目覚めたと思われる3年前から準備を進めていたという大雑把な設定、と言うより言い訳は用意してありましたがw
構想途中で投げた私が言うのもなんですが、フィクション、それも二次創作であまり厳密なリアリティにこだわる必要も無いという考えですので。
>>607 左之助が原作でいってたように、理想の実現や何かを守ろうとする
いい野郎共が気持ちよく戦える場所を作るために戦うでしょう。
6課はそういう志ある者が集まっている場所だし。