あの作品のキャラがルイズに召喚されました part76
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part75
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192951099/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ --------------------------------------------------------------------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
l lf小从} l / ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!
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〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
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,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
{ {_jイ」/j」j〉 これ以上だと投下できないそうです。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
⊂j{不}lつ ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
く7 {_}ハ> ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
‘ーrtァー’ ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
いちもつー
どうやら前スレも埋まった模様。
よかったよかった
>1は乙
>>1 乙です。
こっちも何とかなったので行きたいと思います。
よろしくお願いします。
リンディさん支援
歓迎の列から隠れるように歩き去っていく二つの影を、同じく二人の人物の視線が追っていた。
一人は見目麗しい王女。
彼女が聞いたのは、先日学院で起きた怪異と、幼馴染みが使い魔にしたという平民の話。
それが先住種族かもしれないという噂に関しては、一部の者しか知らないはずである。
聞いた彼女が、何をどう考えたかは現時点では分からない。
そしてもう一人。
魔法衛士隊隊長を務める精悍な若者。
彼が聞いたのは、自分と視線を合わせる間もなく、列から離れていく旧知の少女の事。
その少女については色々と思惑もあるが――今、彼の視線は少女の使い魔に注がれている。
彼女を何処に立たせるべきか。彼は慎重に事を図る。
その為には、見極める必要があったのだろう。
――とは言え、どれほどの思惑があったとしても。
関われない者には無いも同然という原則は、全てに対して平等だ。
それに気付かない者、気付いても理解を拒否する者は、おそらくただの道化なのだ。
◆ ◆ ◆
(何だかねえ)
キュルケは、教壇で喋り始めた長髪黒衣の男を眺めていた。
間違っても自分の趣味ではない、陰気と言うか不気味な教師である。
疾風のギトーだそうだ。どうでもいいけど。
偉そうに二つ名を名乗った後、うっかり目があった自分に聞いてくる。
「最強の系統は知っているかね? ミス・ツェルプストー」
『虚無』とテキスト通りの答えを返そうとしたキュルケは、思い直して口を噤んだ。
一瞬、頭の中に系統で区別出来そうにない魔法が浮かんだからだ。
ルイズの使い魔が放っていた光線。
(あれは火じゃないわよね、多分だけど)
「どうしたね?」
重ねて聞いてくるギトーに、キュルケは首を捻った。
「虚無だという事になってはいますが、正直分かりませんわ」
「無論だ。虚無など伝説でしかないのだからな。では、現実的な答えではどうかね」
(はあ?)
再度放たれた質問に呆れる。
どうやら彼は、最強の系統をどうしても生徒に言わせたいらしい。
(つっまらない男ねえ。虚栄心丸出しで)
知っている男たちの中でも、最下級ランクと判定する。
考えるまでもない。最強は自分の風系統だとでも言いたいのだろう。
授業で系統に優劣をつけてどうするのか、などと思うが、あの手の人間には言うだけ無駄か。
「もちろん――」
火ですわ、と答えようとしたキュルケは、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
予想された答えを返すのは癪だし。
「あれじゃないですか?」
「あれ?」
怪訝そうなギトーが視線を向けた先には、噂の使い魔が座っていた。
ルイズの隣の席で、黙々と編み物をしている女性。
「調理器具とか剣とか服とかであれですもの。もっと凄いマジックアイテムを持ってたら最強ですわね」
教室の各所から、さざなみのような笑い声が上がる。
予想外の事を言われたからか、ギトーは表情の選択に困ったようだ。
「何を聞いていたのかね? 私は、最強の系統魔法は何かと言ったのだよ」
「聞いてましたけど、最強の系統魔法より強いものが他にあったら、意味無いですわよね?」
「きみは、系統魔法を無意味だと言うのかね!」
「まさか。系統に優劣をつけることが、無意味だと思うだけですわ」
ギトーのこめかみが引きつった。慇懃無礼な物言いに怒気を滲ませる。
もちろん、そんな事はキュルケの知った事ではない。
嫌味を振り回す陰湿さは持ち合わせていないが、猫と同じで、相手で遊ぶ場合はそれなりに優秀なのだ。
侮蔑の視線に晒されながらも、それに気付かないギトーはいい獲物だったろう。
「渦中の人物としては、どうなの?」
「はい?」
手元から視線を上げないリンディ。
その様子に、ルイズはあっさりと首を振った。
「……あー気にしないで。どうせいつもの事だから」
注目されることには慣れているし。
それに、最近は気を張る必要が無くて楽なのだ。
最初の方こそ、平民を使い魔とした事への嘲笑じみた視線は感じたが、今は全く無い。
リンディに対する評価が上がったからだろう。
ギーシュとの決闘?でのマジックアイテム使用もそうだが、夕方に見られる剣士としての評価も高くなっている。
当然ながら、一緒に練習しているルイズも注目されているわけだが、
(本当に、ゼロのルイズって言われなくなったのよね)
魔法が失敗しているのは間違いないのに、マイナス評価に繋がらない。
悔しがっていないから?
堂々としていれば評価を得られるのだという、証明なのかもしれない。
しかも練習でストレス発散をしているからか、教室の雰囲気も居心地良く感じられる。
何となく、皆の視線も柔らかくなっている気がするし。
「かぜっぴきすら絡んでこないのよね。――そう言えばリンディ、さっきギーシュと話してたわね?」
仲直りしたの? という視線に、
「この前、クッキーの差し入れをして謝ってきたから」
網目を確認しながら答える。
「決闘なんかに付き合わせてごめんなさいって。なんだか困った顔をしてたけど」
「申し込んだ方が言われちゃ、そうなるでしょ」
ルイズは大きく伸びをする。
ギトー先生とツェルプストーの舌戦(と言うか詭弁の応酬)は終わりそうに無い。
むきになったギトーが風系統の魔法で偏在――分身を作り出して見せた時は、さすがに教室が沸いた。
キュルケも目を見張ったが、戦闘には最強だったとしても医療や建設現場では最弱、とタバサの冷静な突っ込みが入る。
微妙な沈黙の後、始まるのは結局論点が絞れなくなった口論なわけで。
(今日の授業は、このままお終いね)
最強の定義なんて、未来永劫結論は出まい。
あ、と声が上がった横を見ると、間違えたのか一列分、ほどいている姿が映る。
「……あんたも、マイペースよねえ」
「そうかしら」
「そうよ。わたしのペースも落ちそう」
別にいつもハイペースというわけではないが、ここまで遅いというのはどうだろう。
「たまには良いんじゃないの?」
「たまには?」
「そう」
ちまちまと動く指先が、反論気分を何となく封じ込んでしまうから。
「そうかもねー」
だらり、とルイズは机に突っ伏した。
やたらとのんびりしたやり取りは。
教室に駆け込んできたコルベールが、アンリエッタ王女一行の急な来訪を告げるまで続いたらしい。
◆ ◆ ◆
「ちょっといい?」
「あ、ミス・ヴァリエー……ルイズ様」
洗い物をしていたシエスタは、手を拭きながら振り返った。
「何か御用でしょうか? リンディさんなら――」
「あー、今日は違うのよ」
ルイズはぱたぱたと手を振った。
シエスタと話すようになったのは、最近のことである。
ここ数日、彼女がリンディと菓子作りをしているところに顔を出す機会が多かったからだ。
最初は遠慮して黙っていたシエスタも、リンディに促され、今ではそれなりに会話に参加出来るようになっていた。
「何かスープ作ってくれない? 寝たままでも飲めそうな、軽めの」
「構いませんけど……何かあったんですか?」
怪訝な表情のシエスタに、ルイズは頭を掻いた。
「お昼に姫殿下がいらっしゃったでしょう。その時、リンディと一緒に見てたんだけど」
王女の一行が学院内に入ってくるのを、ルイズは歓迎式典に出た生徒の一員として見つめていた。
幼馴染でもあるアンリエッタ王女を目で追っていた時だ。
「?」
突然肩を掴まれたルイズは、振り返って眉を顰めた。
「どうかしたの?」
「え? えっと?」
手を置いたリンディが、困ったような顔で自分の右手を眺めていた。
普段見られない珍しい表情に、思わず目を覗き込むように凝視してしまう。
支援
支援ぬ
ふと気付いた。
目の下の薄い隈に、ほんの少し汗の見える額。左手は背負っていた剣を杖代わりにして?
「――あんた、どっか調子悪いの?」
ルイズは目を細める。
自分の肩に右手を置いた理由が、よろけた体を支える為だと気付いたからだ。
「いいえ。ああでも、ちょっと寝不足が続いちゃったかしらね?」
「へえ」
平然と言ったリンディに、ルイズは無表情で頷いた。
が、そのままデルフリンガーをひったくると、鞘から少しだけ引き抜く。
冷たい視線で一言。
「で?」
「……風邪だってよ。ここんとこ寝不足だってのは本当だから、それが原因じゃねえの?」
促されたデルフが、渋々と口にした。
「あっそ」
据わった目で突き返す。
あんた馬鹿でしょう、という視線から、リンディは惚けるように目を逸らした。
「まったく」
ルイズは溜息を吐いた。
不思議そうな表情を浮かべるリンディの手を強引に握り、引っ張りながら歩き出す。
「あの、ルイズさん? まだ式典が」
「もうご挨拶はすんだわよ。大体、もし使い魔がここで倒れでもしたら、主人のわたしが大恥かくでしょ!」
「そ、そうね。――ごめんなさい」
もっともな話に、リンディは素直に謝るしかなかった。
「ってことで、ベッドに放り込んであるわけ。薬を飲むにしても、何か食べさせないと」
「そういう事ならお任せください。栄養のある物を用意しますから」
シエスタは手早く準備を進めていく。
「あ、これ」
「乾かしてから、お返ししに行こうと思ってたんですよ」
洗い物の中に隠すように置いてある物を、彼女はそっと引き抜いた。
「リンディさんが持ってることになってますからね。マルトーさんも、こっそり使ってるんですよ」
色々と試してみたい調理方法があるって言ってました、とシエスタは布巾で丁寧に拭っていく。
「不思議に思わないのかしらね。これが無くても魔法を使ってるってこと」
「マルトーさんはそこまで考えていませんよ。お菓子作りをしてるリンディさんと、楽しそうに話してます」
シエスタの手の中にある調理器具を見て、ルイズは頭を掻いた。
「あなたは、どう思ってるの?」
「それは」
一瞬、手を止めた彼女は、すぐに作業を再開する。
「いい人だと思います。それ以外のことは、よく分かりませんけど」
「ならいいわ。これはわたしが持っていくわね。それと」
シエスタから赤いフライパンを受け取ると、ルイズは話し辛そうに口篭った。
「……あのこと、覚えてる?」
支援
……あーなんか腹減ってきた
何の事かと首を傾げたシエスタは、すぐに思い当たった。
リンディが学院に来た日、彼女はルイズと顔を合わせている。その時の事だろう。
「ええ。すみません」
「い、いや別に謝らなくてもいいのよ! ただ、その」
真っ赤になったその様子に、シエスタはつい笑いそうになった。
「秘密、ってことですか? でもリンディさんになら――」
「と、とにかく、言っちゃダメ! 分かった?!」
叫ぶように言い捨てて、ルイズは走り去っていく。
微笑みながら見送ったシエスタは、お湯を沸かす準備を始めた。賄い食の材料が残ってるから、さほど手間はかからない。
野菜を多めに煮込んだ後、柔らかい物以外を上げてから、少し薄めに味を調えて――
――不意に動きを止めた彼女は、手にしていたトングを静かに置いた。
ぽつりと呟く。
「風邪、ですか。……そっか、こんなに早いんだ」
鍋の前に佇んだシエスタは、俯いたまま、じっと何かを考え込んでいた。
◆ ◆ ◆
「何であなたがいるわけ?」
「別にいいでしょう? わたしはそこの使い魔さんと、永ーく付き合っていくわけですから」
じとっとした目で眺めるルイズに、ロングビルは満面の笑みで答えた。
ベッド脇では、シエスタが持ってきたスープを深めの小皿に注いでいる。
「はい。スプーンを使わない方が飲みやすいですよ」
「ありがとう」
身を起こしたリンディは、ティーカップサイズのそれを受け取った。
少しだけ冷まし、口をつける。
「うん。美味しい。塩加減も丁度いいわね」
「お口に合って、良かったです」
微笑みあう二人を見ながら、ロングビルはルイズに囁いた。
「何のつもりか気になって見に来たんだけどさ――あれも、本当に風邪とかひくわけ?」
「みたいね」
「ふーん。意外と人間みたいなトコもあるのねえ」
半信半疑という表情で呟いた彼女は、何か思いついたような怪しげな笑みを浮かべる。
「ってことはさ、調子が悪い時には隙とかあったり」
「――リンディ」
遮るように、ルイズが唐突に声をかける。
「なに?」
「ん? 別に何でも」
ルイズはにっこりと笑みを返してから、訝しげなロングビルに向き直る。
「う・し・ろ」
「え?!」
ロングビルが慌てて振り向くと、シエスタから死角となるような位置に、光球が一つ浮遊していた。
冷や汗を浮かべて前を見る。
が、リンディはシエスタと談笑しているままだ。こちらをちらりとも見ていない。
「で? 隙って何の話?」
「……なんでもないわよ」
楽しそうなルイズの前で、彼女はがっくりと項垂れた。
あいからわず外道で魅力的なリンディさん支援
紫煙
シエスタが食器を片付けている横から、ルイズが何やら話しかけている。
もしかすると、明日朝の食事も頼んでいるのかもしれない。
「それにしても、あんたがそうしているのは、違和感だらけだわ」
「わたしだって眠ったりするのに?」
「そうだろうけどさ。何となく気色悪いのよ」
ベッドで上半身だけ起こしたリンディに、ロングビルは皮肉っぽく言った。
肩のショールに手を触れて、位置を直してやる。
「ありがとう」
「病人っぽく見える間は、喧嘩は売らないよ。たとえ化け物でもさ」
「ひどいわねえ」
肩を竦める彼女に、リンディは苦笑した。
ふっと真顔になり、呟くように尋ねる。
「ここでずっと働いたら? お給料もいいんでしょう?」
「まあ、ね」
実際、事務職の中ではかなりの高給だ。仕事は不足無くこなしているし、学院長の評価も高いので昇給も望める。
収入も職場も安定しているから、長い目で見れば危険な仕事より稼げるかもしれない。
誰かに仕送りをする、という観点から考えれば、老いるまで働ける今の職場は、文句無しと言えた。
「わかっちゃいるさ。いつまでもアレを続けられるわけはないって」
「だったら」
「――ただね、わたしにも色々あるんだよ」
暗い笑みを浮かべたロングビルは、リンディに視線を向ける。
「色々、ね」
「色々さ」
言外の意味を悟って、リンディは溜息をついた。事情は知らないが、彼女にも譲れない部分があるのだろう。
「まあ、しばらくはここで頑張ってみてね。お仕事して損なことは、何も無いんだから」
「仕方ないかねえ」
隙があったら逃げるよ、という顔で睨むロングビル。
唐突に、部屋の空気が変わった。
ルイズは戸惑うように扉から離れた。シエスタも、慌ててその後ろに隠れる。
「な、何よ?」
ロングビルが、いきなり鋭い視線をこちらに向けたからである。
「誰か、外にいるわ」
リンディの声に、彼女は黙って頷いた。
四人が見守る中。
誰かが扉をノックした。最初に長い間隔で二回、続けて短く三回。何らかの符丁だろうか?
「まさか」
ルイズが急いで扉を開ける。
入ってきた人影は、予想もしてなかった人数に驚いたのか、一瞬立ち止まる。
目深にかぶったフードから、微かに覗く横顔。
その正体に気付いたのは二人だ。
ルイズは、先程の疑問を確信に変えて。
そしてロングビルは驚きと共に。
先程オスマンと共に迎えた相手を、そうそう見忘れるはずもない。
「――なぜ、王女が?」
彼女は、思わず呟いていた。
しー
俺が思いついた勢いで書いた小ネタ投下おk?
投下完了です。
支援ありがとうございます。
それではまた、週末に。
>>24 後書きまでもうちょっとまってあげて支援
そしてお疲れ様です。
>>25 GJです!
リンディさん相変わらず抜け目が無い・・・。爆弾フラグも着々と・・・
乙&GJ
相変わらずシエスタに不穏な空気が。
リンディさんどうなってしまうの支援
32 :
ゼロの風使い魔:2007/10/24(水) 22:03:31 ID:v7jpMTtV
とある日からのルイズの日記より抜粋
私が幾度目かの召喚の呪文を唱えると、大きな爆発が起こったの。それによる砂煙が収まった頃…私の視界に現れたのは、死にかけの若い男でした。
―ゼロの風使い魔
死にかけのその男…いや、同年代ぐらいの少年と契約を交わした後、私は急いで水のメイジに傷を治す秘薬を貰ったわ。平民とはいえ、私が始めて成功した証。それに、どこか、満足しているようでも私にはどこか心残りがあるような表情をしているように見えた。
あのまま死なせておけば、私はまた召喚できたのに、私、しなかった。べ、別にあんなやつに興味ないわよ私!私にはワルド様がいるもの!!!
でも、コルベール先生が何か言ってたわ。見慣れないルーンが右手に刻まれてたって。額にも見えるらしいの。
それから数日後、そいつはやっと目を覚ましたわ。「何で生きいてる」「なんでこいつまで?」「あんた誰」「セラは?」
ああもう。使い魔の癖に生意気よ!!しかも助けてやったのに礼一つしないし、使い魔のことも中々承諾しなかったの!!
でも、月を見て一言二言何か呟いた後、承諾してくれたの。何でかしら。ああそう。そいつの名前は「ルック」
生意気なヤツよ!ども、その一言一言が耳に痛いわ。
すごい。家事を任せてみたら完璧にこなすのよ!!なんなのこの平民。
でも、今日の授業…最悪。失敗するわ笑われるわオマケにルックは毒舌。ご主人様に歯向かうなんて!今朝のご飯が不満だからってツンツンしてんじゃないわよ!ああもう同属嫌悪かしら。…!!違うわよ私つんでれとかじゃないもん!!
片付けは手伝ったけど、なんかいつもより早く終わった気がする。
あーもう!!なんでこの子はギーシュなんかに喧嘩吹っかけてんのよ!!決闘!?平民が勝てるわけないでしょ!!
て思ってたけど、勝ったのよ!!あの子、風魔法使ったのよ!偏在とかは出さなかったけど。
でも、体力のなさが目立ったわね。最初ワルキューレの攻撃を避けるのに苦労してたもの。メイジじゃないとは言ってたわ。でも魔法使えるなら貴族よね。……ルックが異世界から来たのって本当みたいね。
ああ!ツェルプストーにはムカついたわ!人の使い魔を誘惑して!でも、あの子がなびかなかった。さすが私の使い魔!!
杖がいいって言ってたけど、私、ルックにインテリジェンス・ソードを買い与えたの。だって剣のほうがいいでしょ。最初はあの綺麗な剣にしようと思ってたけど。
…使い手って、何かしら。あ、でも熊って何のこと?ルックが言ってたの。「熊と同類…」熊は剣は使わないのに。
投下予約しても大丈夫ですか?
34 :
ゼロの風使い魔:2007/10/24(水) 22:04:45 ID:v7jpMTtV
学校の秘宝である癒しの宝石を盗んだフーケを追った時も。あの巨大なゴーレムを一瞬で打ち壊してしまったの(蒼き門の紋章の力ですって。ルックの世界では平民でも紋章というものを宿せばつかえるらしいの。うらやましいわ)。
フーケ…実はミス・ロングヒルだった…はルックの魔法で無事取り押さえたわ。ルックって実はスクウェアクラスのメイジ?体力はないけど。
で、その宝石…ルックの世界の紋章ですって!流水の紋章球と言って水魔法を使えるらしいの。でも宿し方知らないらしいわ。残念、私宿したかったのに。でも、学校の秘宝だし仕方ないわよね。
うっそー!!私、シュバリエの爵位もらっちゃった!!
フリッグの舞踏会で、私、ルックをダンスに誘ったわ。意外とうまいのね、あの子。でも、「青の舞踏会…」って呟いたのを私聞いちゃった。なんで青?ルックってわかんないこと多すぎ。
「さて、今日の日記はここまで!!ルック、明日も時間通りに起こしてよね」
「はいはい」
「はいは一回!!」
「じゃあおやすみ」
「こらぁ!!聞きなさーい!!……………………ふん!お、おやすみ」
幻想水滸伝3よりルックを召喚。
37 :
ゼロの風使い魔:2007/10/24(水) 22:07:06 ID:v7jpMTtV
以上、久々3プレイとノリによる小ネタ終了。
出来れば続きが書きたいと思っている。シエスタネタをメインに。
では20分あたりから投下させていただきます
乙!
見ていない間にPE2から喚ばれていた……不覚!
リバレート使えるから正確には無印と2両方か。
質問だがタバサの冒険2の内容使うとしたらどれくらい日数開けたらいいだろ?
乙!
元ネタは・・・やった事ないからわからんのだよなぁ。RPG系全般とか特に。
たしか100人以上仲間ができるゲームだったけ。
そして血と硝煙と肉片支援
支援
支援支援
>>40 二週間くらい?
正直わからない。でもまだちょっと早いかも。
ラノベについて語る場合は発売日の翌日からだが
ネタにするとなるとどうなんだろう……
46 :
災いのタバサ:2007/10/24(水) 22:22:44 ID:R9vyOLiI
>>44 把握した
じゃあ二週間後に投下する
そして支援
>>46 避難所に投下しておいて、ウィキに登録するのは2週間後にすればいいんじゃないかな支援
48 :
代理人:2007/10/24(水) 22:34:52 ID:xfeNjQD5
49 :
代理人:2007/10/24(水) 22:53:19 ID:xfeNjQD5
>>38 トラブルかな?
先に行っちゃっていいのかな?
んじゃ代理投稿行きます。
STEALTH & Aegis :2−1 ストレンジャーズ(1)
エディはその夜1晩、着陸した中庭の片隅で過ごし、そのチタン合金製の羽を休めた。
もっとも機能を停止したのは飛行に必要な動力部や兵装のみで、センサー球体はずっとこの世界に来てからについての己の変化を調べる働き続けている。
人間で言えば、ベッドに横たわって身体を休めているだけで頭はしっかりはっきり起きている感じだろう。
おかしい。
着陸後、再度自己診断プログラムを働かせた際のエディの感想はこれに尽きた。
1つは兵装。
主兵装の20mm機銃の弾薬はフル装填済み、兵装ベイの中には燃料気化弾頭搭載の空対地ミサイルが6発。
それに併せて<スロート・リッパー><ショック・ハマー><ブルー・フェレット>がそれぞれ2発づつ、計6発。
タジキスタンでの爆撃任務の際の装備がいつの間にか、そっくりそのままエディに搭載されていたのだ――全て使い切ったにも関わらず。
更にもう1つ。
草原から学院への広場へと移動した際、エディ自身がサイトとルイズを乗せて飛行したのだから、少なからずタンク内の燃料を消費した筈。
現に中庭への着陸時、満タンを表示していたタンク内の燃料は約2.1%の消費を示していた。
それが・・・時間が経つと、勝手にタンク内の燃料の量は満タンを示していたのだ。
中庭への着陸後、誰もエディの元へとやってきた者は居ない。
基地への着陸の度に受けていた筈の点検、ならびに燃料の補給作業もエディは受けていない。
つまり、『誰の手』も、『何の作業』も受ける事無く、『自然』に燃料が補給されたという事。
・・・その原因についての確実な結論をエディを出す事はできない。
だが己の身体《機体》がこうなった原因となる最も高い可能性は、簡単に想像がついた。
ルイズの召喚。
それによって破壊された機体の構造が分子レベルで変貌、再編成された事による副次的産物という可能性が、一番確率が高い。
しかしそれは科学的根拠があまりに無さ過ぎて説明が――――否、科学的に説明できないからこそ、『魔法』なのか。
人間並みに柔軟で、機械ならではの冷静さでもって、エディは一応そう結論付けた。
とりあえず、少なくともこれで補給の心配は当面大丈夫だろう。
今後の課題はスクラムエンジンのなど飛行に必要な機器の整備についてだ。
だがその辺りはこの世界の技術レベル、ならびに魔法の種類や汎用性などを考慮に入れるべきなので後回しにすべきか。
自己の生存の為にしばらくの間は、サイトと共にルイズの使い魔として情報収集に専念すべき。
そう、エディは結論付けた。
・・・・・正直言って人間であるサイトより、曲がりなりにも機械であるエディの方が、よっぽど前向きな思考かもしれない。
そして翌日。
広大に広がる透き通るような青色の大空の中、エディはトリステイン王国領空―領空という概念があれば、だが―3000mを飛行していた。
燃料が自然に補給されるとは言ってもまだどれくらいの時間でどれだけの量が回復されるのかははっきり結果が出ていない。
だから最も消費効率が良くて長い時間飛べる速度で、50%を消費したらまっすぐ魔法学院へと帰還するようにしている。
それでも、風竜の数倍の速度で飛行しているのだが。
魔法学院の位置を中心にプログラムし、各種センサーをフル稼働させながら渦巻状に旋回。
徐々に旋回範囲を広げながら、センサーでスキャンした地理的データや建物の構造をスキャンし、細部に補正を加えながら記憶していく。
国境線などに関しては詳しく把握するのは不明だったが、その点はルイズからハルケギニアの地図を見せてもらって、倍率などの補正を加えていけば瞬時に把握できる。
エディはまだ知らないが、既にこの数時間の作業でトリステイン王国全体、そしてガリアやゲルマニアの一部の詳細な地形図までも調べ終えている。
タンク内の残存燃料、現在飛行中の空域と魔法学院までの距離を換算し比較。
そろそろ、戻り始めたほうが良策だろう。
そう判断し、エディはかつてロシアのSu37<ターミネーター>とのドッグファイトで見せた20Gを超える無人機ならではの急旋回で、回れ右してまっすぐ魔法学院への帰路へと着いた。
数十分で魔法学院に辿り着いた時、サイトが生徒の1人と決闘騒ぎを起こして魔法相手に立ち向かったと聞いて魔法に関する新しいデータを収集出来なかったと嘆くのは余談だ。
710 名前:STEALTH & Aegis 投稿日:2007/10/24(水) 16:14:31 [ YrktexDs ]
今回はこれで終了。今回からサブタイトル追加っす。
本家スレッドの方で燃料補給について喧々諤々議論してた所にこんな設定ぶち込んじゃってすいませんね。
でも色々考えて結局こんな感じになっちゃいました。
兵装に関しても同じように勝手に補給される設定なんですけど、エディの兵装だと威力高すぎて巻き添え食らう可能盛大な罠。
そういえばエディの1度の航続距離ってどれくらいなんだろ?
それからゼロの妖精の人とナイトライダーの人、乙でした。どっちも好きな作品でしたねー。
Aチーム、ナイトライダーと来たからには次はマイアミ・バイスかエアーウルフ召喚を希望。
それではどなたか、よろしくお願いします。
=============
以上で代理投稿終了です。
作者&代理人乙
ステルスは終盤のヒロイン救出が蛇足だったよなーと毎回思う
申し訳ありません。PCが青画面で復旧に時間がかかりました。
投下できるようになったら改めて投下予約させていただきます。
59 :
ゼロの風使い魔:2007/10/24(水) 23:19:50 ID:v7jpMTtV
>>41 そうそう。グットED目指すなら攻略本or攻略サイト必須なゲームw
あと、俺wiki関係のうp苦手だから誰かまとめにうpしてくれるとうれしい。
>『誰の手』も、『何の作業』も受ける事無く、『自然』に燃料が補給された
クソだ
最悪のクソ展開になりやがった
>>60 毒吐きへ行こうぜ・・・・
久しぶりに・・・・キレちまったよ・・・・
>>59乙でした
3からポリゴンになっちゃったからやってないんだよな
WAも3で通常時のキャラがポリゴンになったからなぁ…
カードキャプタールイズ
サモンサーヴァントで呼び出されたのは一冊の本
契約をしようと近づいたルイズはうっかり本を開いてしまい
三十枚くらいのカードをハルキゲニア中にばら撒いてしまう
守護獣のケルベロスと契約するも カードを回収しないと
世界の破滅だと聞かされ決心をするのであった
そんな折ケルベロスが食堂でギーシュのケーキを勝手に食べたのが原因で、決闘をする事になってしまったが果てさて
つづく・・・わけがない
キュルケを智世訳で
平成ライダー兄弟スレにまとめのアドレスが張られていたので
ざっと一覧を見ましたが、結構特撮ネタ多いっすね。
ブレイドも電王も続きが見たいです。
再度投下予約させていただきたいのですがよろしいでしょうか?
かもんかもん。アンジェカモーン。
「アンジェ、あのステアー何とかっていう鉄砲あったでしょ? あれだして」
ルイズは部屋に戻るなりアンジェリカに向かってそう言った。
「ルイズさん、弾がありませんよ?」
ステアーAUGの入ったヴィオラのケースを出しながらアンジェリカはそう言う。
「弾ならこの間買ってきたじゃない。ほら、デルフリンガーだっけ? あれと一緒に買ったわよ」
ルイズはアンジェリカに以前武器屋で購入した弾と火薬を手渡した。だがアンジェリカはそれを見て首を傾げる。
「これは使えませんよ?」
アンジェリカはルイズに弾と火薬を突き返した。
「え? でも鉄砲の弾ってこれじゃないの?」
ではどのような弾が必要かとルイズはアンジェリカに尋ねる。
「薬莢に入ってるやつです。ルイズさん、知らないのですか?」
「薬莢?」
ルイズはアンジェリカの言っている単語の意味が理解できないでいた。
「ねえ、どんなのがいいの? 見せて頂戴」
ルイズの問いにアンジェリカは困ったような顔を見せる。それもその筈、AUGの弾は全て撃ちつくし、薬莢もすべて捨ててしまったからだ。
どうしよかとしばらく悩むアンジェリカ。だが彼女はあることを思い出した。
「ルイズさん。M16はありますか?」
ルイズはアンジェリカに言われるままにM16を手渡す。
M16を受け取ったアンジェリカはマガジンを取り外すと弾を一発取り出しルイズに渡した。
「AUGの弾はこんな感じです」
ルイズは物珍しくそれを繁々と眺めた。
支援
「アンジェ、これを使えばいいじゃないの?」
オスマンもこの鉄砲……M16を使っていいといっていたことを思い出し、ルイズはさも当然のごとくそう言ったのだ。
「ルイズさん、規格が違うので暴発したりジャムったりしちゃいますよ」
アンジェリカの言ってることがよく分からないルイズ。
「ジャムとか何か知らないけど使えないならそれを使えばいいじゃない」
M16を指差すルイズだが何やらアンジェリカの顔が浮かないようだ。
どうしたのかと声をかけようとしたがドアをノックする音に遮られる。
「ルイズ、そろそろ行きましょう」
キュルケがドアの外から呼んでいる。
「アンジェ、いいからそれ持って行きましょう」
ルイズはアンジェリカの手を引いてドアを開いた。
「ルイズさん、何処に行くのですか?」
アンジェリカの問いを聞いたキュルケは少し呆れる。
「ルイズ、説明してなかったの?」
ルイズはムッとしながらもアンジェリカにフーケの捜索に行くと伝えた。
支援するよ!
Zero ed una bambola ゼロと人形
ロングビルは馬車の前でルイズたちを待っていた。しばらく待っていると彼女達の姿が見えてきたが一人見知らぬ女の子を連れているのが目に付いた。
「ミス・ヴァリエール。その子は?」
わからなければ本人に聞いてみるのがいいとロングビルはルイズに尋ねる。
「この子は私の使い魔のアンジェリカです。アンジェ、挨拶なさい」
ルイズに言われてアンジェリカは小さく頭を下げた。
「始めまして。アンジェリカです」
使い魔というルイズの言葉に少し驚きはしたが、すぐにアンジェリカが噂になっていた平民の使い魔だと思い出した。
「ええ始めまして。わたくしはロングビルです。この学院長の秘書をしています」
ロングビルは頬を少し緩めアンジェリカの頭を優しくなでた。
「そろそろ行きません?」
キュルケがルイズたちを急かす。
「そうですね。ところでミス・ヴァリエール。まさかこの子を連れて行くつもりですか?」
馬車に乗り込もうとしていたルイズは答える。
「もちろんそのつもりですけど…どうかしましたか?」
ルイズの返答にロングビルは眉をひそめる。
「相手はあのフーケですよ? 危険な任務に連れて行くなんて…」
ロングビルはアンジェリカを置いていくことを薦めた。
「大丈夫ですよ。それに何かあってもオールド・オスマンが貸してくれた鉄砲がありますし…」
そういってルイズはM16を掲げた。それを見たロングビルは息を呑む。何せ彼女が盗もうとして盗めなかったものの一つだったからだ。
「では仕方がありませんね。なるべく危険が及ばないように努力しましょう」
内心しめたものと思いながらアンジェリカの同行を許可したロングビル。三人が馬車に乗り込んだのを確認してから馬車の手綱を取った。
薬莢はコッパゲ先生も難儀してたなぁ支援
目的地までの道中ルイズたちはロングビルを含め雑談に興じる。
しかしアンジェリカは始終黙っていたままだった。
ルイズはそんなアンジェリカの様子にようやく気付いた。
「アンジェ、調子悪いの?」
ルイズはアンジェリカの顔を覗き込む。
「いえ…大丈夫です」
いつもと変わらない調子で言葉を返した。
「ミス・ロングビル。後どれくらいで着きますか?」
ロングビルは前を向いたままルイズに答える。
「もうすぐです」
馬車は鬱蒼とした森に入って行く。辺りは昼間だというのに薄暗く気味が悪い。
唐突にロングビルは馬車を止めた。
「あら? 目的地はまだでしょ」
キュルケはロングビルに聞く。
「ええ。ここからもう少し行った先に廃屋があります。ここからは徒歩で行きましょう」
一向は少し先にある廃屋を目指して歩いて行く。三人は先に廃屋を目視できるところに着いたのだがアンジェリカが少し遅れている。
「アンジェリカさん、大丈夫ですか?」
少しふらつきながらも追いついたアンジェリカだったが顔色が悪い。
「アンジェちゃん大丈夫? 馬車に酔ったのかしらね」
キュルケはアンジェリカを木の根元に座らせる。
「ミス・ロングビル。あの廃屋にフーケがいるのですか?」
ルイズはアンジェリカに構うことなくロングビルに情報を再確認する。
「ええ、あの廃屋に逃げ込んだということです」
ロングビルの言葉を聞いたルイズは手に持つ杖に力が入る。
「あの廃屋に行ってフーケを捕まえてきます」
ルイズはそう言葉を残すと廃屋へ走っていった。
「ちょっとルイズ! 待ちなさい! あ、ミス・ロングビル、アンジェちゃんを頼みますわ」
キュルケもルイズを追って行き、その場にアンジェリカとロングビルが取り残された。
本来ならロングビルはルイズたちを追うべきなのだが彼女の正体は土くれのフーケ。願ってもいないチャンスだった。ロングビル、いや土くれのフーケは笑みを浮かべる。
「アンジェリカさん。その鉄砲…M16だったかしら? 見せてもらえない?」
フーケは本心を悟られぬよう笑顔をアンジェリカに向ける。
そしてアンジェリカはそれを虚ろな目で見詰めた。
Episodio 24
Alle profondita della foresta…
森の奥へ…
ふ、ふーけさんが死んじゃうぅ!
何はともあれGJ!
Intermissione
学院長室ではオスマンとコルベールが一人の生徒を待っていた。
コンコンというノックの音と共にタバサが部屋に入ってくる。
「おお、待っておったぞ。君に頼みがあるのじゃがいいかね?」
オスマンの問いにタバサは小さく口を開く。
「内容次第」
オスマンは話を続ける。
「先ほど土くれのフーケ捜索隊が出発した。メンバーは誰か知っておるかね?」
タバサは首を横に振る。
「メンバーはミス・ヴァリエールとその使い魔。そしてミス・ツエルプストーじゃ。ミス・ロングビルも一緒に行っておる」
名前を聞いたタバサの表情が険しくなる。
「それでじゃな、君の使い魔に乗って上空から彼女達を見守っていて欲しいんじゃ」
タバサには当然のことながら疑問に思う。
「何故?」
タバサの問いにはコルベールが答える。
「すまないが理由は教えられない」
タバサの顔がさらに険しくなった。
「もし彼女達が危なくなったら助けて欲しい」
理由もいわず虫のよい話だとコルベールは思う。
「わかった」
だがタバサはこの話を受け入れ部屋を後にしようとするのだ。オスマンはタバサの背中に向かって声をかける。
「スマンのう。報酬についてだが…」
「いらない」
オスマンの言葉を遮りタバサは言葉を吐き捨て、乱暴に扉を開けて部屋を出て行った。
「彼女には面倒をかけるのぅ」
「ええ、彼女の母親が大変なのに…」
オスマンとコルベールは呟いた。
「わしら大人は無力なものじゃな…」
弾は量産が難しいだけで丁寧に造ればある程度は大丈夫じゃないか?
支援
アンジェの人乙! ついでに新参者が投下予約よろしいでしょうか?
投下完了。トラブルでご迷惑をおかけしてすいません。
では次回予告
ルイズたちの目の前に巨大なゴーレムが立ちはだかる。高さはおよそ二十メイル、顔にある部分には十字型の空洞がうがたれ、その奥から燃える一つ目がルイズを見下ろす。
竜の息吹のような音を立てて、ゴーレムが疾駆する。その釣鐘のように開かれた脚部から吹き出す風がルイズたちを吹き飛ばした。
ゴーレムが移動する。ただそれだけで、人は風のように吹き飛ばされる。そして誰ともなく叫んだ 。
「マチルダさんがドムを使うなんて!」
それは悲痛な叫び。
「不謹慎にも程がある!」
ネタ提供者:ブー○の人
弾丸や薬莢は、1mmの誤差があってもどえらい事になるよね
しかもAK47ならまだともかく、M16でしょ?
1mmの誤差もなく同じモノを沢山作る
それって、魔法云々を超えて、人間技じゃないと思う
んでもって支援
82 :
ゼロと聖石:2007/10/24(水) 23:55:17 ID:wGXTNR6s
それでは投下を開始します。
私が召喚したものはたった一つの石だった。
周囲からは『ゼロ』と囃し立てられ、私が再召喚の申請をしても監督の教師はそれを認めなかった。
契約の儀式を済ませると、その石に一つの模様が刻まれる。
ルーン文字とは違うその模様が、私の人生に影響を与えるなんて今の時点の私にはわからなかった。
私は悔しくて、悔しくて、涙で枕を濡らした。
私をゼロと罵る声が。
今まで応援してくれた先生の期待を裏切ってしまったこと。
なによりも、魔法が使えないこと。
それら全てが悲しくて、涙を流した。
石が、光を放った。
寝てしまったのか、目を覚ますとそこは廃墟だった。
いや、魔法陣の中に入った記憶がある。
つまりここは現実、感覚も全てはっきりしている。
ポケットの辺りが熱い。
取り出してみると、あの石がほんのりと光を放っている。
甲高い音を響かせながら光は私を導き出した。
最初に異変に気が付いたのはメイドのシエスタだった。
仕事が終わり、眠ろうかと思ったが女子寮の一室が光っていた。
魔法を使った新しいランプかと思ったが、それは即座に否定できた。
青い光など見たこと無かったから。
すぐさま寮監の下へと走っていった。
もともとは栄華を誇っていたのであろう廃墟は、王都を丸ごと入れてもお釣りがくる位の広さだ。
おおよその測距で王都の端から端まで歩いた距離以上を歩いたからだ。
それでも先は見えてこない。
そう思って更に歩き進めると桟橋と思われる部分に出た。
そこには、朽ち果てた飛行船が泊まっていた。
寮監がオールド・オスマンほか優秀なメイジを集め、ルイズの部屋に突入する。
床に、壁に、天井に広がる見たことも無い魔法陣。
ルーンとも違う言語で書かれた文字は淡く光を放つ。
見とれていたのは一瞬、すぐさま魔法陣の解析を始めた。
>>81 コッパゲ先生なら「重要性を理解して」丁寧に作ってくれる!
まあばらした形で数作った後で選別&組み立てする手も有るし…
そして支援
あれ、AUGとM16ってどっちも同じ5.56×45mm弾じゃなかったっけ?
乙っした!
やっぱあれか、ジャムっちゃうよね>薬莢
エデンみたいに早号からコツコツやるしかないか
バラ撒く前提の消耗品に職人芸かけてもパフォーマンス悪いし
86 :
ゼロと聖石:2007/10/24(水) 23:56:43 ID:wGXTNR6s
朽ち果てた飛行船の上に立ち、辺りを見渡す。
桟橋からは気が付かなかったが、辺りには無数の朽ちた飛行船が転がっていた。
ああ、墓場なんだな。と理解した。
この廃墟自体が死んだ都市、死してなおさまよう魂たちが住む死都なんだと。
石が振るえ、私の手を離れて浮く。
―――聖石を持つものよ、我と契約を結べ
汝の深き悲しみが我を呼び起こした
さあ、我と契約を結べ
石から聞こえる声が、私に問いかける。
「……契約?」
私は意志に問いかけてみる。
―――さすれば汝の魂は我が肉体と融合し、永遠の生を得ることができよう…
石の回答は人間の欲望を解りやすく表現したものだ。
だから、私は言った。言ってやった。
「そんなものは要らない。私はただ魔法を使えるようになりたいだけ」
そう答えた瞬間、石はまばゆい光を放ち、周囲を包む。
―――我は聖天使アルテマ。清らかなる汝の魂に宿り、汝の願いを聞き届けよう
強制ですか、かなり強引だなこの聖天使は。
青い光が、アルテマの魂が私の体内に入り込む。
そこで私の意識は途絶えた。
魔法陣が光を強めた。
オスマンが全員をかばう様に障壁を作り出し、有事に備える。
光は激しく唸りを上げ、そして急に収まった。
魔法陣はすでに消えうせ、魔法陣の中心、部屋の中央にルイズが倒れているだけだった。
>>81 薬莢さえ回収してたら何とかなったかもな。
薬莢は何十回と再利用可能
88 :
ゼロと聖石:2007/10/24(水) 23:58:59 ID:wGXTNR6s
目が覚めると、医務室だった。
先生の話によると昨日起こったことが原因で今日は休校。
食事を済ませたら学長室まで来るようにといわれた。
やはり、あれは夢なのだろうか? いや、アレは夢なんかじゃない。
聖石は今もこの手の内に。
そこで違和感に気が付く。
毎日手入れを欠かしていない髪の毛が白く見える。
いや、殆どはいつものピンク色なのだが、ちょうど一房分が白く染まっていた。
そこの部分だけが光を強く反射して光っている。
これは一大事、すぐさま部屋に戻る。
化粧箱を引っ張り出し、リボンを取り出す。
前髪は仕方が無いのでそのままにしてポニーテールに、白い部分はポニーに巻きつけるようにしてまとめる。
即席だが何とか見栄えする姿にまとまった。
と、そこでお腹が唸りを上げたので朝食にすることにした。
「つまり、その廃墟で君はその石、聖石と契約をしたんじゃな?」
「はい、始祖の名に誓って嘘は言っておりません」
オールド・オスマンから発せられるプレッシャーに満ちた発言に嘘偽り無く答える。
普段はミス・ロングビルのスカートを覗き見することしか興味が無いようなスケベ爺さんという認識を改めよう。
ここで嘘をついたら殺す、口調はともかく目がそう言っている。
「あい分かった、お疲れ様じゃのミス・ルイズ」
「それでは、失礼します」
そのまま退出し、裏庭に向かう。
自室は検査の真っ最中で、契約で思い出したことがあったからだ。
あの夢の通りなら魔法が使えるかもしれない。
だけど失敗は怖い。
そうなると必然的に裏庭での練習になるわけで―――
結論から言っておこう。
全身煤けています。
あたりは破壊の限りを尽くしたかのごとく地面が抉れている。
四系統はおろか、コモンですら失敗の嵐。
ああ、もう! せめて空ぐらいは飛びたいとか思った私が馬鹿だった!
―――唱えるべき言葉が違う
自身の内から湧き出る言葉を紡げ―――
不意に聖石の声、いや、アルテマの声が響く。
その通りに意識を自身に埋没させる。
「慈悲に満ちた大地よ、つなぎとめる手を緩めたまえ…」
周囲に魔力が満ち、私の足元に空気が集まる。
「レビテト!」
空気が圧を持ち、体が持ち上がる。
大よそ30サントくらい。
…………これ、レビテーションとしては失敗の部類に入るんじゃないだろうか?
89 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 00:00:19 ID:wGXTNR6s
一抹の不安を残しつつ、使える魔法を確認するために自身の意識に埋没して魔法を確かめる。
火を発生―――ファイア
稲妻を発生―――サンダー
氷を発生―――ブリザド
障壁を発生―――ウォールかマバリア
傷の治療―――ケアル
そして、対象の破壊―――アルテマ
今のところ浮かんできた魔法はこれだけ。
さすがに物理的・魔法的障壁に加え、継続治療に気絶時の強制意識回復を発生させるマバリアが一番魔力を消費する。
一番破壊力があってアルテマだろう。
利便性では系統魔法に近い四つ、いやケアルは系統じゃないから3つが一番良いかもしれない。
ただ、問題が有るとすれば―――
「完全自動追尾は嬉しいけど即効性が無いのよね…」
ある意味致命的な問題だった。
指定範囲に魔法を発動させたり、動いている目標に対し追尾発動する。
しかし、即座に作り出せるフレイムボールなどと違い、詠唱にどうしても時間がかかる。
早口の練習でもしようかな?
そう思いつつ、寮へ歩き始めた。いつもより30サント高い目線のまま。
こうして休校の一日は過ぎていくのだった。
エディが最初からいるとなると、今後が気になるな。
原作より少しサイトが有利になるのか、目をつけられてやっかいなことになるのか…
自己再生と聞くと微妙にトランスフォーマーじみてるのがいいな。
系統魔法としては失敗だな支援
乙
しかしFFTのアルテマは弱いのであった!
93 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 00:03:09 ID:CdFAWCbI
以上で投下終了。
FFタクティクスの聖石ヴァルゴ(処女宮・おとめ座)を召喚。
レビテトはこんな感じになってしまいますが、今後の時魔法とマバリアに期待。
支援してくれた人に感謝を。
Tか……シドじいさんには大変世話になりました支援
95 :
ほしをみるひと:2007/10/25(木) 00:04:39 ID:BTD2zNb7
投下乙でした〜。
お久しぶりの投下になりますが、24:15頃からでよろし?
>>81 つまりデイブ・マッカートニーと
M16のスーパーバレルをゴルゴの為に量産する職人の爺さんはまさに神クラスということだな
ふむ、聖アジョラの再来となるのであろうか
とりあえずアグリアスさんは俺のy(ry
>>95 道は空いている
マスかき止めッ!支援開始!
GJ!シド爺が敵にならなくて本当に良かったよ。マジ勝てん
水の秘薬が要らない回復魔法は実はゼロ魔世界的に画期的じゃね
医療が価格崩壊を起こすかも知れない
>そして、対象の破壊―――アルテマ
NOOOOOOOOO!
ルイズそれすごい大変なことだよ気づいてマジ気づいて
>>96 81は魔法を使うこととある程度の精度が安定してだせる工業技術の違いを言ってんじゃないの?
「……」
「……」
馬車上で視線が交錯する。
屋根の無い荷台でフェイズガンを構えるクロード、御者台から振り返るミス・ロングビル。
クロードの後ろではタバサが杖を構えている。
ルイズとキュルケは『花摘み』に行っている。
戻ってくるまで数分あるかどうか、機会は今しか無い。
フェイズガンを握る右手に力が篭り、汗が滲む。
落ち着け、焦りを悟られるな。
「冗談はやめていただけませんか、クロード君?」
「いっそ冗談ならば、その方が良かったんですけどね、ミス・ロングビル……いえ、土くれのフーケ」
一瞬、ミス・ロングビルの眉間に皺が寄る。
彼女は知っている。
ワルキューレの胸を穿ち、己のゴーレムの体を大きく削らしめた光を放つ武器。
それを生身の人間が受ければどうなるか。
さらに、後ろに控えるはシュヴァリエの称号を持つ腕利きの小さきメイジ。
その瞳には一片の迷いも無ければ、人を撃つことへの気負いも無い。
クロードはともかく、彼女はいざとなれば容赦無く氷塊を叩きつけてくるだろう。
無言。
数秒。
頬を汗が伝う。
「……何時から気付いていた?」
溜息とともに口を開き、諦めたように両手を上げるミス・ロングビル───否、土くれのフーケ。
その表情はいつもの温和な秘書の顔ではなく、油断の無い盗賊のそれへと変わっていた。
それに気付いていればこそ、その手に杖が無くとも二人は空気は緩めない。
「貴女がフーケの情報を持ってきたときから疑ってはいました。
確信を持ったのは、貴女が捜索隊に同行を願い出たときです」
ってことは、ほとんど最初からか。舌打ちをするフーケ。
まず、一晩で集めたにしては、情報の内容が具体的すぎたこと。
片道半日かかる場所の情報を一晩で持ち帰るなど、どう考えても不自然だ。
第二に、隠れ家の場所が悪すぎること。
短期的にはともかく、本格的に山狩りされれば包囲殲滅されるのは目に見えている。
まるで早急に追撃をかけてくれと言わんばかりではないか。
第三に、そもそも『土くれのフーケ』が出来合いの木造建築を利用するとは思えなかったこと。
あれだけのゴーレムを練成出来るメイジなら、隠れ家の一つや二つ自分の魔法で作るだろう。
その方が足が付きにくいはずだ。
ついでに言うなら、捜索隊に志願したキュルケとタバサはそれぞれ火と水のメイジ。
ルイズとクロードは論外だから、そもそも容疑者は彼女しかいなかったのだ。
そこにこれだけ状況証拠が揃っていれば、疑わない方がどうかしている。
「……やれやれ、坊やだと思って油断した私が甘かったってことか。
で、どうする。王国に私を突き出すつもりかい?」
「それをするなら、出発前にやっています。
このまま帰っても意味が無いんですよ」
「は?」
支援
早っ!? 支援
思わぬ展開にキョトンと目を丸くするフーケ。
その後ろでタバサも怪訝そうにこちらを伺っている。
「ここで貴女を捕縛したら、真っ先に捜索隊に志願した彼女の面子を潰すことになる。
僕は自分の推理が正しかったのかどうか、確認しておきたかっただけです」
それだけ言うと、クロードはフェイズガンを下ろす。
背中に非難がましい視線を感じるが、黙殺。
フーケも気に入らなさそうに鼻を鳴らす。
「お前が、私のゴーレムを倒せるとでも?」
「出来ると信じています、彼女なら」
幾千の夜と幾億の闇に塗り潰されたフーケの金色の瞳が、クロードの青い瞳が覗き込む。
全てを飲み込まんと牙を剥くプレッシャーに相対しながらも、力強く睨み返すクロード。
そこに恐れはあれど、曇りは無い。
僕は彼女を守ると決めた。
自己満足でも、偽善でも構わない。
その全ての責任と業は、自分で背負う。
(やれやれ、あの主にしてこの使い魔あり、ってわけかい)
フッと口の端に笑みを浮かべるフーケ。
古人曰く、若さとは振り向かないこと。
主従揃ってここまで真っ直ぐだと、馬鹿馬鹿しくもいっそ清々しい。
かつては自分もこんな目をしていたのだろうか。
あれほど嫌悪していた瞳のはずなのに、今は怒る気にもなれなかった。
ふと、思う。
異邦人であるクロードが異能者であるルイズに召喚され、
左手に刻まれたのは誰も知らぬルーン。
その戦闘力は、未熟とは言えメイジを打ち倒し、その手に光を放つ謎の武器。
今は捨てた故郷も、なにやら不穏な空気になっていると言う。
この世界に、ハルケギニアに、人智の及ばぬ何かが起きているとでも言うのだろうか?
……馬鹿馬鹿しい、盗賊風情が何を考えているんだか。
「やれやれ、英雄でも気取るつもりかね?」
フーケは頭を振りつつ吐き捨てる。
そう、何の気も無く、言ってしまった。
英雄。その言葉がクロードにとってどれほど重いものか、知る由も無く。
裏取引 支援
「……英雄?」
クロードの肩がびくりと震えた。
目がカッと見開かれる。
息が詰まる。
冷たい汗が噴き出す。
全身をぞわりと悪寒が走り抜ける。
刹那、風が吹き抜けた。
木々は激しくざわめき、フーケの外套がバサバサと音を立てる。
風はまるで痛みにのた打ち回るクロードの心そのままに荒れ狂い、
その中心に居るクロードの瞳は、ここではない何処か遠くを見つめていた。
それは誉れにして呪い。
魂に刻み込まれた烙印。
矮小な身を焼き尽くす優しき煉獄。
何人が焦がれても得られず、拒んでも断ち切れぬもの。
「……」
風は止み、再び静寂が場を支配する。
気まぐれな風の舞踏はとうに掻き消え、
舞台にとり残されたのは、哀れな道化が一人と立ち尽くす観客が二人。
「……女性に銃を突きつける英雄なんて、いるわけないでしょう」
痛みを堪えるように、血を吐くように、俯いて呟くクロード。
その表情は前髪に隠れ、窺い知ることは出来ない。
(不味いこと言っちまったかね、こいつは)
困ったようにポリポリと頬を掻くフーケ。
自分だって触れて欲しくない話の一つや二つはある。
どうやら彼にとって『英雄』がブロックワードだったらしい。
ふと周りに目をやると、タバサが似たような調子で呆然としている。
が、こちらの様子に気付いたのか表情を引き締めて杖を向けてきた。
ふふっ、らしくないじゃないか、シュヴァリエ様ともあろう者が。
無愛想な娘と思っていたけど、こんなツラもするんだねえ。
何となく、フーケは理解していた。
クロードの心には、自分と同じに、世界への絶望が深く刻み込まれているのだと。
そして自分とは逆に、彼がルイズに強く惹かれていることに。
好悪は互いに鏡合わせ、意外に自分と彼は通ずるところがあるのかもしれない。
もっとも、だからと言って易々と捕まってやる義理は無い。
自分にも守らねばならぬものがある。
「悪いが、加減はしてやれないよ」
突き放すような口調で言い放つフーケ。
「構いません。ここで倒れるようなら、所詮はそれまでだったということでしょう」
僕も、彼女も。そう付け加えて、クロードも言葉を切る。
互いに言い終えると、クロードは荷台に、フーケは御者台にそれぞれ座り込む。
それを確認して、タバサも座って傍らに置いておいた本を再び手に取った。
結局、この場でそれ以上の会話が交わされることは無かった。
「ふー、ただいま……って、何かあったの?」
「いいえ。何もございませんわ、ミス・ヴァリエール」
ブロックワード支援
「……呆れた、ダーリンったら。土くれのフーケ相手によくやるわね」
「本当にゴメン、僕一人で勝手に決めちゃって」
タバサとキュルケ、二人の前で両手を合わせるクロード。
ここはミス・ロングビルの報告にあったフーケの隠れ家。
ルイズは外で見張り中、先ほどの場に居なかったキュルケに事情を説明している。
誇り高い主に事情を隠しおおせた事に内心で安堵しつつ、
そして最後までまるで気付く気配すら無かった彼女に軽く脱力して。
「いくらなんでもなあ、危ない橋渡りまくった割には実入りが少なすぎやしねえか、相棒?」
「全くだわ。そりゃタバサも不機嫌になるわよねえ」
「別に」
「いや……ホント、すいません……」
返す言葉があるわけもなく、ただひたすらに頭を下げ続けるクロード。
そんなクロードに、キュルケは穏やかに微笑む。
「ううん、気にしなくていいのよダーリン。
私だって、あの子の誇りを汚すような真似はしたくなかったし」
「そう言ってくれるとありがたいよ……ありがとう、キュルケ」
いや、感謝してますから、抱きつくのはカンベンしてください。
この後の戦闘に引きずりたくないんで。
「それはそれとして、だ。勝てる見込みあんのかよ、相棒?」
「正直言って、彼女次第だね」
キュルケを引きはがしつつ、懐の相棒に答えるクロード。
ここに居る3人には、あのゴーレムを倒すだけの火力は無い。
勝利の鍵を握っているのはルイズなのだ。
「本当に出来るのかしら、あのルイズに……?」
「出来ると信じてる、彼女なら」
首を傾げるキュルケに、フーケに言ったことを再び口にするクロード。
『錬金』で教室一つを軽々と吹き飛ばす彼女の力。
その力のベクトルを純粋な爆発、破壊に向ければどうなるか。
(……ごめんなさい、コルベールさん。今の僕のやっていることは、間違いなのかもしれない)
そこまで考えが至ったところで、かつてコルベールに語った悪夢がフラッシュバックし、顔を顰める。
結局のところ、自分が考えた最悪のシナリオを描いているのではないか。
開けてはならぬパンドラの箱に手をかけているのではないか。
だが、たとえそれが災いをもたらすものだったのだとしても、
諦めずに高き空へと手を伸ばす彼女を手伝いたかった。
その手が無力でないと知って欲しかった。
(何のことは無い、彼女に自分の夢を投影しているだけじゃないか)
ぐしゃぐしゃと頭を掻くクロード。
ならばこそ、彼女が道を違えぬよう共に行く責任がある。
それが自分にとっての使い魔としてのケジメなのだろう。
ごめん、父さん。帰るに帰れなくなるかもしれない。
「……見つけた」
タバサの言葉に正気に返り、ハッと顔を上げるクロード。
そういえば、この捜索の目的には『破壊の宝玉』の奪還も含まれている。
ゴーレム対策ばかり考えていてすっかり失念していた。
いつもと変わらぬタバサの無表情が、言外に責められているようでちょっと心が痛い。
アルテマか。
7万余裕で壊滅できるじゃないか乙
タバサ乗っ取られ支援
<<112
乗っ取っちゃだめだろう支援
「それにしても、これが破壊の宝玉、ねえ……」
タバサの手にある件の宝物を一目見るなり、微妙な表情でこめかみを押さえるクロード。
「ダーリン、これが何なのか知ってるの?」
「う〜ん、知ってる……って言うのかなあ、この場合。
とりあえずこれが何なのか、大体の予想はつくかな」
タバサから受け取ったそれをまじまじと見つめ、溜息を一つ。
確かに球状ではある以上、このような呼び方をするのはさほど間違ってもいないのだろう。
成る程、破壊の名を冠するに相応しいシロモノではある。
製造者の印なのか、凛々しい眉が印象的な女の子───風そよぐ桜並木よりも、夕暮れの河川敷の方が似合いそうな───の肖像が描かれている。
その顔にどこかで見たことがあるような無いような、微妙な感覚に囚われたのは気のせいか。
……さて、じゃれ合いはこの辺で切り上げないとな。そろそろ時間だ。
一つ息をついて、表情を引き締める。
ヴン、という唸り声を上げ、デルフの光の刃が具現する。
剣閃が駆け抜け、小屋の壁の一角が扉のように切り開かれた。
「行くぞ、デルフ」
「合点だ、相棒! 腕が鳴るぜ」
「ねえダーリン、何で普通に扉から出ないの?」
「奇襲対策。あと、雰囲気作り」
3人が小屋を飛び出したのと、ルイズの絹を裂くような悲鳴が聞こえたのは、ほぼ同時のことだった。
(……らしくない、らしくないじゃあないか、土くれのフーケともあろうものが)
口の中で、自分にさえ聞こえていないかのように呟く。
あの少年の眼を、希望と絶望が綯い交ぜになったあの瞳を見てから、どうもいけない。
夢を見ることなど、とうに忘れたはずなのに。
自分を裏切り、切り捨てた世界への復讐心を糧に生きてきたはずなのに。
たった一人残った妹に、自分の真実の姿を明かすことも出来ない道化が。
これもまた、始祖ブリミルの導きというものか。
「越えられるものなら、越えてみせるがいい。
己がその手で掴み取ってみせるがいい。
それだけの覚悟と、力があるのならばね……!!」
聞こえるはずのない、視線の先にいるはずの少年たちへと高らかに宣言する。
それは宣戦布告であり、若き戦士たちへの檄のようでもあった。
今の彼女は、悪辣な盗賊でも有能な秘書でもない。
己の魂に懸け、誇りと共に生きる貴族。それこそが彼女の真の姿。
忘れられたはずの、その名は──────
以上、15話終了。
なんかマチルダさんとフラグ立った気がするのはきっと気のせいです。
クロード坊やが原作で年上キラーだったのは筆者の錯覚に違いありません。
奴はただの女たらしで(コオリヲコオリヲコオリヲコオリヲ
なお、ちょっとだけ言い訳がましく解説させていただくと……
タバサが柄に無く動揺していたのは、彼女が『英雄ファン』だから。
書いていると意外なところから意外なクロスが見えてくるから困る。
え、問題はそこじゃないって? そりゃごもっとも。
と言うわけで、次回はvsゴーレムです。
え、9月中に一巻分終らせたかったって?
婆さんや、昨日の朝御飯はなんじゃったかのう。
PS.流石にガッコのPCで執筆するのは精神的にアレすぎます。
おまけ:マチルダさんのゴーレムは実はとっても凄かった!
身長30メイルということで、一辺30mの立方体の半分を削り出したと仮定する。
そして花崗岩の密度を2.4として計算すると……
30×30×30×(1/2)×2.4=32400
なんと3万トンオーバーという、ウルトラ怪獣級のヘビーウェイトになってしまうのでした!
……こんなもんロケットランチャーで破壊できんのか?
支援
乙&GJ!
>>115 そこはだな…ファンタジーだからつっこんじゃだめなのよw
>115
GJ!!
>なんと3万トンオーバーという、ウルトラ怪獣級のヘビーウェイトになってしまうのでした!
……こんなもんロケットランチャーで破壊できんのか?
普通は出来ない……よね?
作者はテキトーに30メートルと設定したのかと邪推……
>>115 乙
逆にヒビが入ったら自重で潰れるかもなw
>>115 乙
ストーンゴーレムじゃなくて土を造型してるんじゃね?
あれだけ動けるんだから、内部的には空洞があると思うし。
まあ、中まで完全に一枚岩じゃなくて、無数のブロックを魔力で繋ぎ合わせてんじゃね?
だからこそ自由に動けるし、一部を壊されてもすぐに元に戻る。
乙
雰囲気造りw
アルビオンでギーシュの兄貴達が城攻めの時のゴーレムは20メイルだったな
どう考えても子供数人を踏みつぶすよりこっちの方が力いるのに小さいって事は
サイズがでかい=つおい、って感じに単純でもないって事か
wiki見たら俺の書きかけだったキャラが召喚されてた
ぼやぼやしてるから…orz
>>124 作品は十人十色。
キャラが違っても同じような内容になることもあれば、その逆もある
気にせず書き上げて披露してくれ
>>125 でも筆力で圧倒的に負けてるからねぇ…
今の作者さんが完結させてかつ俺の文才が向上したらそのときに…向上するかなぁorz
>>115 乙彼
そこはほら、一辺30mの直方体の半分、という仮定に問題がw
(マケボノが入る直方体は180cmくらいだけど、半分の仮定だと体重約3tに)
マケボノ以上にずんぐりしてそうな形を考慮して1/10くらいに設定すれば・・・それでも6000tちょいあるな
ゴーレムで思い出したけどゴーレムとガーゴイルって別物なんだよな
ドラクエのゴーレムみたいに、自我のあるゴーレムはゴーレムでもガーゴイルでもないものに分類されるんだろか
デルフみたいにインテリジェンスゴーレムとか…安直かな
>>123 「かつてトリステイン城下をにぎわせた土くれのフーケのが操るそれに比べると、ずいぶん小柄だったが」
って書き方からすると、やっぱり30メートル級を造れるフーケさんスゲーって事じゃないかとも思うけど。
30メートルって10階建のビル位?だよなあ
こんなん動いて襲ってきたら途方にくれるしか・
ちなみにマジンガーZが18メートル。グレートマジンガーは25メートル。
グレンダイザーが30メートル。
洒落にならん。
昔、1/1スコープドッグを間近で見たが、4mくらいなのに恐しく迫力があった。
こんなん襲ってきたらマジで怖い。それが30mにもなると……。
ほしをみるひと乙
あー、リアルが忙しくて執筆する暇がねえ…。
>>115 土じゃなかったっけ?
それに脆いから大きな皹が入るとそのまま崩壊するのかも?
第三話、投下して大丈夫ですか?
オンドゥルニトウカスルンディスカー!
ドウゾー!!
支援するディス
では、投下します。
ミスタ・コルベールはトリステイン魔法学院に奉職して二十年、中堅の教師である。二つ名は『炎蛇のコルベール』。『火』系統の魔法を得意とするメイジである。
彼は、先日『春の使い魔召喚』の際に、ルイズが呼び出した平民の青年のことが気にかかっていた。正確に言うと、青年の手に現れたルーンのことなのだが。珍しいルーンであった。それで、先日の夜から図書館にこもりっきりで、書物を調べているのであった。
彼は教師のみが閲覧を許される『フェニアのライブラリー』の中であった。
生徒たちも自由に閲覧できる一般の本棚には、彼の満足のいく回答は見つからなかったのである。
『レビテーション』、空中浮遊の呪文を使い、手の届かない書棚まで浮かび、彼は一心不乱に本を探っていた。
そして、その努力は報われた。彼は一冊の本の記述に目を留めた。
それは始祖ブリミルが使用した使い魔たちが記述された古書であった。
その中に記された一節に彼は目を奪われた。じっくりとその部分を読みふけるうちに、彼の目が見開いた。
古書の一部と、青年の左手に現れたルーンのスケッチを見比べる。
彼は、あっ、と声にならないうめきをあげた。一瞬、『レビテーション』のための集中が途切れ、床に落ちそうになる。
彼は本を抱えると、慌てて床に下りて走り出す。
彼が向かった先は、学院長室であった。
学院長室は、本塔の最上階にある。トリステイン魔法学院の学院長を務めるオスマン氏は、白い口ひげと髪を揺らし、重厚なつくりのセコイアのテーブルに肘をついて、退屈をもてあましていた。
彼は、今、秘書であるミス・ロングビルにセクハラ攻撃をしかけて、お説教をくらったところだ。
そんななか、勢いよくドアを開け、コルベールが部屋へ飛び込んだ。
「オールド・オスマン!」
「なんじゃね?」
ミス・ロングビルは何事もなかったように机に座っていた。オスマン氏もすでに腕を後ろに組んで、重々しい態度で蘭入者を迎え入れた。
「たた、大変です!」
「大変なことなど、あるものか。すべては小事じゃ」
「ここ、これ見てください!」
コルベールはオスマン氏に先ほど呼んでいた書物を手渡した。
「これは『始祖ブリミルの使い魔たち』ではないか。まーたこのような古臭い文献など漁りおって。そんな暇があるのなら、たるんだ貴族たちから学費を徴収するうまい手をもっと考えるんじゃよ。ミスター・・・なんだっけ?」
「コルベールです!お忘れですか!」
「そうそう。そんな名前だったな。君はどうも早口でいかんよ。で、コルベール君。この書物がどうかしたね?」
「これも見てください!
コルベールは剣崎の手に現れたルーンのスケッチを手渡した。
それを見た瞬間、オスマン氏の表情が変わった。目が光って、厳しい色になった。
「ミス・ロングビル。席を外しなさい」
ミス・ロングビルは立ち上がり、部屋を後にする。それを見届け、オスマン氏は口を開いた。
「詳しく説明するんじゃ。ミスタ・コルベール」
オディノシエンハボドボドダ!
ルイズがめちゃくちゃにした教室の後片付けが終わったのは、昼休み前だった。
罰として、魔法を使って修理することが禁じられたため、時間がかかってしまったのである。といってもルイズは魔法の成功率ゼロといわれるほどなので、禁止されていなくても、その成果を期待できないのだが。
「とんだ災難だったな」
「うるさいわね」
ふたりで食堂に向かう途中、慰めるつもりで言葉をかけたが、逆に怒らせたらしい。
実は、剣崎一真(22)は彼女いない歴=年齢である。女性の感情の機微など理解できないのであった。
食堂につくと、剣崎は椅子をひき、ルイズに、座れ、と促す。
「とりあえず、腹いっぱい食べれば、嫌なことなんて忘れるって」
「・・・」
ルイズは無言で席に着く。剣崎は床におかれたスープの前に座ると、朝生徒たちがやっていたように祈りの言葉を唱える。
「始祖・・・ブリミ。女王様。ささやかなご飯をありがとうございます」
うろ覚えなため、少々おぼつかない感じになったが、なんとかそれっぽいものにはなった。
スープを引き寄せようと手を伸ばしたとき、皿がひょい、と持ち上がった。
「なんだよ?」
「なによ。ブリミって。私たちのこと馬鹿にしてるの?」
どうやら、つい先ほどの教室での事件から立ち直ってないらしい。
貴族だのなんだの言っているが、やはり悔しいのだろう。
「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ、今日聞いたばかりだけど、ご飯の前にいうことくらいは憶えておきたくて・・・」
「嘘。あんたもどうせ、私のこと馬鹿にしてるんでしょ。ふん、平民のくせに・・・」
平民のくせに。なによ。
ルイズはそのまま机に突っ伏してしまった。どうやら、下手に慰めるより、昨日のように怒らせてやったほうが気分転換になって良かったのかもしれない。
ならば、実行してやる。
「そんなんで落ち込んでるから、ゼロのルイズなんだよ」
「あんですって!?」
「うわっ!た、立ち直り早いな・・・」
「あんたね、私が泣いてるとでも思ったの?私はね、ご主人様の心情も理解できないダメダメな使い魔を召喚してしまったことを嘆いていたのよ。そして、どんなお仕置きをするか、ってこともね」
墓穴を掘ってしまった。ルイズは全然、弱くなかったのだ。むしろ橘さんより強い。メンタル面で。
「あんた、ごはん抜き」
ルイズは先ほど奪った手スープを自分で飲んでしまった。
「お、俺の唯一の昼食が・・・」
がっくし、と落ち込むふりをしつつ、手はテーブルの高級料理に近付いていく。今なら、ルイズはスープを飲みきるのに夢中で気づかない。
あと10センチ。
あと5センチ。
あと1セン・・・
すんでのところで、ルイズに手首を掴まれる。もう食べ終わってしまったのか。
「はい止めー。ゼロって言った数だけご飯ヌキ!これ絶対!例外なし!」
結局、ルイズのご立腹もあり、剣崎の昼食はなしになった。
心を理解しろ、といわれてもどうしたらいいやら。
どうやら、自分は重すぎる役割を背負ってしまったらしい。
「それにしても、腹減ったなぁ」
暇すぎる。ルイズは昼食中。ほかの生徒たちもそれぞれ食事をしている。
「どうなさいました?」
振り向くと、大きい銀のトレイを持ち、メイドの格好をした素朴な感じの少女が心配そうにこちらを見つめている。カチューシャで纏めた黒髪とそばかすが親しみやすそうな雰囲気をかもし出している。
「いや、ちょっと昼メシを奪われてね」
少女はちらり、と剣崎の左手のルーンを見た。
「あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったていう・・・」
「俺を知ってるのか?」
「ええ。なんでも、召喚の魔法で平民を呼んでしまったって。噂になってますわ」
にっこりと笑顔で答えてくれた。なんていい子なんだろう。
ルイズとは大違いだ。
「君はメイジ?」
「いえ、私は違います。あなたと同じ平民です。
貴族の方々をお世話するために、ここでご奉仕させていただいてるんです」
なるほど。魔法使いの世界だと思っていたが、どうやら普通の人間もいるらしい。とりあえず、剣崎は挨拶をすることにした。
「俺は剣崎一真。よろしく」
「変わったお名前ですね・・・。私はシエスタっていいます」
シエスタっていうのか。
俺から聞いたら、そっちも変わった名前なんだけど。
とりあえず話すこともないので、それじゃ、と剣崎が行こうとしたところを、シエスタが呼び止めた。
「あの、もしかしてお腹すいてるんじゃないですか?」
「うん・・まぁ」
「こちらにいらしてください」
シエスタは歩き出した。
支援かつ投下予約
剣崎が連れて行かれたのは、食堂の裏にある厨房だった。
大きな鍋や、オーブンがいくつも並んでいる。そこで、コックやメイドが忙しそうに料理を作っている。
「ちょっと待っててくださいね」
剣崎を厨房の片隅に置かれた椅子に座らせ、シエスタは小走りで厨房の奥に消えた。そして、お皿を抱えて戻ってきた。皿の中には、温かいシチューが入っている。
「貴族の方々にお出しする料理の余りモノで作ったシチューです。
よかったら食べてください」
「ほんとうにいいのか?」
「はい。賄い食ですけど・・・」
やっぱりいい子だ。ルイズやらキュルケやら個性が強すぎる貴族とは違う。それに自分が今まで関わってきたあらゆる女性と違う。
優しくて、気が利く。しかも中々かわいいし。まさに理想の女性像である。
シチューを一口すすって口に運ぶ。おいしい。
「うまい。うまいな、これ」
「よかった。お代わりもありますから。ごゆっくり」
剣崎は夢中でシチューを食べた。
シエスタは、ニコニコしながら剣崎の様子を見つめている。
「なんで、ご飯、貰えなかったんですか?」
「ご主人様の心を理解できてない、ダメな使い魔だから・・・ってのと、ゼロのルイズって言ったから。
そしたら、スープを取られて、飲まれた」
「まぁ!貴族にそんなこと言ったら大変ですわ!」
「・・・慰めるつもりで言ったんだよ。
あいつ、落ち込んでたからさ、怒れば普通になるかなって思って」
「優しいんですね・・・」
シエスタはますます笑顔になって、剣崎を見つめてくる。
剣崎は空になった皿をシエスタに返した。
「うまかった。ありがとうな」
「よかった。お腹が空いたら、いつでも来てくださいな。
私たちが食べているものでよかったら、お出ししますから」
なんと。これで食事の心配は解消された。
少しルイズに反抗しても大丈夫かもしれない。
「ありがとう」
「いえ」
ふと、見ると、まだ厨房では人々が慌ただしく働いている。
「タダってのもなんだし、何か手伝うよ」
少し迷ってから、シエスタは笑みとともに言った。
「なら、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな」
「ああ、分かった」
こういう手伝いなら、むしろ喜んで引き受けたい。
デザートをのせた大きい銀のトレイを運んで、剣崎はシエスタとともに食堂内を回っていた。
シエスタはトレイからはさみでケーキをつまみ、一つずつ貴族たちに配っていく。
妙に着飾った、気障な貴族がいた。薔薇をシャツのポケットに挿している。
「なぁ、ギーシュ!お前、今は誰とつきあっているんだよ!」
「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」
彼の周りの生徒たちが、口々に彼を冷やかしている。
ギーシュというらしいメイジは、すっと唇の前に指を立てた。
「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないのだ。
薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
見ているほうが赤くなってくる。
なんでこんなに恥ずかしいことを堂々と言えるのだろうか。剣崎がそう思っていると、ギーシュのポケットからガラス製の小壜が落ちた。中では紫色の液体が揺れている。
剣崎は親切心で、ギーシュに向かって呼びかけた。
「これ、ポケットから落ちたぞ」
しかし、ギーシュは振り向かない。聞こえてないのか。
剣崎はトレイをシエスタに預けるとそれを拾い、ギーシュに突き出した。
「これ、落としたぞ。お前のだろ?」
受け取るそぶりがないので、とりあえずテーブルに置く。
ギーシュは苦々しげに剣崎を見つめると、その小壜を押しやった。
「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」
その小壜に気づいた周囲の生徒たちが、大声で騒ぎ始めた。
「おお?その香水は、もしや、モンモラシーの香水じゃないのか?」
「そうだ!その鮮やかな紫色は、モンモラシーが自分のためだけに調合している香水だぞ」
「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモラシーとつきあっている。そうだな?」
「違う。いいかい?彼女の名誉のために言っておくが・・・」
ギーシュが言いかけたとき、後ろのテーブルに座っていた茶色いマントの少女が立ち上がり、ギーシュの席に向かって、コツコツと歩いてきた。
栗色の、かわいい少女だ。マントの色からして、一年生だろう。
「ギーシュさま」
そして、ボロボロと泣き始める。
「やはり、ミス・モンモラシーと・・・」
「彼らは誤解しているんだ、ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ・・・」
しかし、ケティと呼ばれた少女は、思いっきりギーシュをひっぱたいた。
「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ!さようなら!」
ギーシュは痛そうに頬をさすっている。
すると、遠くの席で見事な巻き毛の女の子が立ち上がった。
いかめしい顔つきで、かつかつとギーシュの席までやってきた。
「モンモラシー。誤解だ。
彼女とはただいっしょに、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで・・・」
ギーシュは首を振りながら言った。冷や汗が、つ、と額を伝っている。
「やっぱり、あの一年生に手、を出していたのね?」
「お願いだよ。『香水』のモンモラシー。
咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでくれよ。
僕まで悲しくなるじゃないか!」
モンモラシーは、テーブルからワインの壜をつかむと、中身をギーシュの頭からかけた。
「うそつき!」
モンモラシーはそう怒鳴り、去っていった。
「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ。
顔をハンカチでふいてから、芝居がかった風に、ギーシュが言った。
そして、剣崎のほうを見る。
「君が軽率に、香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「どうするって。悪いのは二股してたお前だろ?」
ギーシュの友人たちが、どっと笑った。
「そのとおりだギーシュ!お前が悪い!」
ギーシュがわずかに赤くなる。
「いいかい?給仕君。僕は君が香水の壜をテーブルに置いたとき、知らないフリをしたじゃないか。話を合わせるぐらいの機転があってもよいだろう?」
「どっちにしろ、あれじゃあ、ばれてただろ。それに、あの子たちだって、かわいそうだ」
「給仕君、いいかい?」
ギーシュの言葉を遮るように、剣崎は言う。
「あと、俺は給仕じゃない」
「ふん・・・。ああ、君は・・・ゼロのルイズが呼び出した、平民じゃないか。そんな平民に機転を期待した僕が間違っていた」
「そうかよ」
いちいち癇に障るヤツだ。
軽く睨みつけると、ギーシュの目が光った、
「どうやら、君は貴族に対する礼を知らないようだな」
「そんなの知るか」
「よかろう、君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ」
ギーシュは立ち上がった。
こういう捻くれたやつは再教育の必要がある。少しばかり痛い目を見てもらうとしよう。しかも、二股なんて羨ましい。許せない。
剣崎も袖をまくり、臨戦態勢になる。
ルイズに怒られたら、主人の名誉を守るためやった、とでもいえばいいだろう。例え、メシ抜きにされても、今はシエスタという大きなバックがついているのだ。恐れるものはなにもない。
「では、ヴェストリの広場で待っている。ケーキを配り終えたら、来たまえ」
ギーシュはくるりと身を翻すと、食堂を出て行く。
ギーシュの友人たちが、わくわくした顔で立ち上がり、ギーシュの後を追った。
一人だけ残っている。どうやら、剣崎が逃げださないように見張るらしい。
シエスタがぶるぶる震えながら、剣崎を見つめている。剣崎は軽く笑ってみせる。
「あんなやつ、すぐ倒せるって。心配ないよ」
「あ、あなた、殺されちゃう・・・」
「なんで?」
「貴族を本気で怒らせたら・・・」
シエスタはだーっと走って逃げてしまった。
そんなに強いのか、あのギーシュは。
後ろからルイズが駆け寄ってきた。
「あんた!勝手に何してんのよ!」
「ああ・・・ルイズか」
「ルイズか・・・じゃないでしょ!なに決闘の約束なんかしてるの!」
「いや・・だって、あいつは二股してたから・・・」
私怨も混じっているが。
「謝っちゃいなさいよ」
「どうしてだよ?」
「怪我したくなかったら、謝ってきなさい。
今なら許してくれるかもしれないわ」
「いや、それは無理だって」
「無理じゃない!いいから、早く謝ってきなさい!!!」
有無を言わせないルイズに、剣崎が悪戦苦闘していると、男子生徒が血相を変えて食堂内に走ってきた。
「どうしたんだ?」
生き絶え絶えなその生徒に、剣崎は話かける。
「広場が大変なことになってるんだ!!」
「大変なこと?」
ルイズが訝しげに呟く。
「赤い服の、見慣れないヤツがいきなり出て来て、ギーシュとあと何人かで決闘を・・・」
「・・・赤い服?」
剣崎の脳裏にカテゴリーKが思い浮かぶ。まさか、あいつがこの世界に来ているのか。
こっちにくる寸前までは、あいつと戦っていた。可能性はゼロじゃない。
「ルイズ、そこまで案内してくれ!」
「え、ええ?分かったわ」
すでに男子生徒の会話を聞きつけた何人もの生徒が広場へ向かっている。
その波をかき分けるように、剣崎とルイズは走った。
しえーん
広場には、食堂で決闘の話を聞いていた生徒と、先ほどの話を聞いて集まった野次馬でごった返していた。
「どいてくれ!」
剣崎が強引に先頭へ出ると、そこで倒れている数人の生徒の姿があった。
そしてギーシュと、それを守るようにしてたたずむ甲冑を着た女戦士を見た。
ギーシュが向かいあう先には、予想通り、キングが立っている。
「あれ?僕に礼儀を教えてくれるんじゃなかったっけ?早く、教えてよ」
キングは、携帯電話をギーシュに向けながら、笑っている。
「キング!!」
剣崎はギーシュを庇うように、キングに殴りかかった。
しかし、それも当たる寸前で突如出現した盾に阻まれてしまう。
「なんだ。ブレイド。もう来ちゃったのか」
キングがつまらなそうに呟く。
「それより、なぜお前がこの世界にいる!」
「知らないよ。君と同じで気づいたらこの世界にいたんだ。
だから、暇つぶしにこいつらの相手をしてたってわけ」
キングは携帯をいじったままだ。
「でも、もう、いいや。ブレイド、たまには本気で相手してやるよ」
携帯をパチン、と閉じ、ポケットにしまうと、パンッと、キングが手を打った。それと同時に、
「ッ・・・!!」
10メートルは距離が離れていたであろう、ギーシュのいた空間にさっきの盾が出現し、弾き飛ばしていた。
ギーシュはそのまま数メートル、ごろごろと転がると、ぴくりとも動かなくなった。
近くにいた生徒が悲鳴をあげる。
「お前・・・!」
「はは!やっぱり、この世界でも人の強さってのは変わらないね!
何人かは、周りから妙な攻撃を仕掛けてきたけど、全部たいしたことなかったよ」
どうやら生徒の中には、キングを攻撃した者もいるらしい。
けど、こいつはきっとその全てをあの盾で防ぎきったのだろう。
キングを倒すには、まずあの盾をどうにかする必要がある。
ブレイバックルに、カテゴリーAのカードを挿入し、ベルト・シャッフルラップが腰に巻かれる。
「ちょっと待ってて!せ、先生呼んでくるから!
無理しないで、危なくなったら逃げなさいよ!」
少し混乱したルイズと何人かの生徒がばたばたと走り去って言った。
先生の早い到着を願いつつ、剣崎はターンアップハンドルを引いた。
「変身!!」
『Turn up』
機械音と共に、ブレイドアーマーを分解したオリハルコンエレメントが展開する。
剣崎はその光のゲートに向かって走り出す。
その先には、いつもと同じく余裕の態度の王がいた。
以上で、投下終了です。ちょっと見づらいかもしれまんが、すみません。
支援、ありがとうございました。
いかん、自分の脳内ではどうしても剣崎のセリフ部分が
オンドゥル語翻訳版に差し替えられてしまう…w
152 :
聖石の人:2007/10/25(木) 02:12:01 ID:CdFAWCbI
オンドゥルの人乙です。
こっちは15分前後から投下開始しますね。
>>84 外見(寸法)は同一だがいまのNATOの規格と昔のM16/M16A1用の米軍規格だと
弾頭重量とか装薬量に違いがあります。
AUGはNATO弾用に最適化された設計なので、昔の米軍規格のタマを使うと所期の性能を発揮できない、
ってことなんじゃないかと。
>>87 薬莢は再利用可だけど、ケツのプライマー(雷管)は無理なんだよね。
発射薬もただドカンと爆発する火薬が入ってるんじゃなくて、タマを押し出すのに最適化されたレシピのやつが
均一に練った顆粒になってたりするので、ハルケギニア世界で量産するのはむずかしそうだな。
調合系は錬金術師とかいたら何とかなったりするかな?
154 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 02:16:47 ID:CdFAWCbI
前日から翌日までの話をしよう。
結局誰とも遭遇することなく部屋にたどり着き、着替えを済ます。
30サント浮いた状態で。
食堂で食事を済ませる。
椅子から30サント浮いた状態で。
予習と復習をする。
椅子から30サント浮いた状態で。
眠気が来たので眠る、毛布をかぶってお休みなさい。
ベットから30サント浮いた状態で。
ええ、持続時間は優秀だ。朝も目が覚めたらベッドから30サント浮いていた。
…本当に、レビテーションとして優秀なのか失敗なのか分からないレビテトという魔法だった。
いい加減解除したいなと思った瞬間、新しい魔法の気配。
「風に潜む古の力秘めたる精霊達よ 魔に汚れし空を払え! デスペジャ!」
視線が30サント分下がる。
実に12時間ぶりの地上だ。
効果時間はすさまじく長い、しかし移動速度は自身の能力と変わらず高さは30サント。
良く分からない魔法だ。
とりあえずは食事だ、と思い立ち、着替える。
今日はリボンではなくバレッタでまとめる。
気分の問題で香水もつける。
つい最近買ったばかりのソルティレージュという香水屋のだ。
不思議と落ち着き、これをつけた日は怪我とか失敗のダメージが少なくなるから不思議。
さて、気分も落ち着いたところで食事に移る。
ここのコックは腕が良いので毎日の楽しみになっている。
さすがに量は多いが、貴族の精神として全部食べるように心がけている。
もったいないという意味も有るが、奪った命を残すという行為が許されない。
鳥のローストの骨に付いた肉もこそぎ落として食べる。
実はここが一番好きだったりするのは内緒だ。
155 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 02:18:20 ID:CdFAWCbI
投下宣言忘れてました、すみませんでした。
食事も終わり、胃と精神を落ち着けるために紅茶を飲みながらノートに書き込む。
タイトルは魔法詠唱。
詠唱時間が長いだけあって効果は抜群な私の魔法。
ソラで言えるのは勿論、素早く正確に唱えることが重要になる。
性能はいいのだ、性能は。ただ何もかも詠唱が悪い。
愚痴りつつ、小声で詠唱の練習をするのであった。
授業が始まった後、ミス・シュウルーズの発言に反応して囃したてる輩を無視しつつ、詠唱の練習をする。
詠唱がないマバリアは無視して、今のところ一番詠唱が必要な魔法であるアルテマだ。
Spが20というのは速いのだが、ほかの魔法が25あるんだから必然的に一番遅い。
レビテトに至っては50、アルテマ一回使う間に2回は唱えられる。
今なにか別な人の思考が飛んできたような気がした。
「授業中に独り言とは余裕ですね、ミス・ヴァリエール。前に出て錬金をやってみせなさい」
おっと、小声だったのにばれた。
仕方が無い、ここで実験してみよう。
歩きながらマバリアを発動、これで準備は完了。
「いいですか? 自分が作り出したい金属をイメージするのです…聞いてますかミス・ヴァリエール?」
聞いていません。詠唱するので必死です。
スピードを上げ、一気に魔法を練り上げる。
「先生、伏せてたほうが良いですよ?」
詠唱が完了する一瞬前にそう教えておく。
ほかの皆はいつものように失敗すると退避済み。
こうなったら度肝を抜いてやる!
「渦なす生命の色、七つの扉開き力の塔の天に到らん! アルテマ!」
対象は目の前の石ころ。
あたりに青白い魔力が収束し、
大爆発。
威力はいつもの2倍くらい、範囲はいつもと同じ。
教室の調度品は消し飛び、机は跡形も無い。
同級生は机ごと吹き飛ばされ、小型の使い魔は壁に打ちつけられる。
爆心地のルイズは焦げ目一つ無く仁王立ちし、ミス・シュウルーズは黒こげ。
無事なのはとっさに男子と机でガードしたキュルケと氷で障壁を作ったタバサのみ。
そして、後々伝説となる一言を私は叫んだ。
「よし、実験大成功!」
復活した生徒から大ブーイングだったのは言うまでも無い。
156 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 02:19:30 ID:CdFAWCbI
罰掃除を命じられ、机を片付ける。
魔法禁止の令が出ていたので魔法を使わずに机を並べる。
調度品とかも片付けなければならないのだが、片付ける調度品が無い。
アルテマで全部吹き飛ばしましたから。
今は昼食も済んでアフタヌーンティーの時間、シェフ絶品のお茶請けを堪能する最高の時間。
なのだが、そのはずなのだが、いつまで待っても本日のお菓子が来ない。
入り口にはクックベリーパイと大きく書かれていたのに、配膳に来ない。
苛立ちが募り、抗議しようと厨房に乗り込もうとすると聞こえる怒鳴り声。
「君が香水を拾ったおかげで二股がばれてしまった、どうしてくれるんだ!」
隣のテーブルにはギーシュ・ド・グラモン達が集まって平民のメイドを責めていた。
メイドの足元にはクックベリーパイの残骸。
経路から見て次の順番は私。
―――滅殺決定。地べた這いつくばらせてやる。
そんな心に反応してか魔法ゲット。
「無念の死を抱き続ける大地よ、黒き呪縛となれ…グラビデ!」
口汚く罵っているギーシュが急に地面に向かって倒れこむ。
周囲も何が起こっているのかわからないであわてている。
「私を怒らせた罪は重いわよ、ついでにその格好情けないわね、ギーシュ」
魔法の効果が切れ、ギーシュが起き上がる。
その目つきから仕草までこちらをゼロのくせにと罵っているのが伺える。
「邪魔しないでくれたまえ、僕はこのメイドにお仕置きを」
「そんなことで私のクックベリーパイが届かないことが何よりも許せないのよ、二股男」
図星を付かれたのか、顔を真っ赤にしながらこちらをにらむ。
「よろしい、ならば決闘だ。ヴェストリの広場へ来い!」
「良いわよ、実験したいことがいっぱいあるから」
こうして、当事者であるメイド・シエスタのことを完全に無視した決闘という名の、
ギーシュにとっては憂さ晴らしになる決闘が、
ルイズにとっての実験が幕を開けることとなった。
小ネタと思ってたら続いてた素敵 支援
158 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 02:21:56 ID:CdFAWCbI
以上で投下終了。
前述の通り投下宣言忘れていました。
申し訳ありません。
アルテマの威力高すぎないかと思った方は詠唱にご注目というところでありがとうございました。
そういえばTでは魔法に待機時間があるんだっけ?
ルイズが先住魔法の使い手と目されるようになるのも時間の問題か乙
聖天使版なのかー>アルテマ詠唱
なんという覇王道
まさしくこのルイズは総てを破壊する
GJ!
生き生きとしたルイズは、何時見ても心地よい感情をあたえてくれます。
調子に乗ってると怖い物出てくるって設定だっけ?聖石
ほとんどゲームは忘れてるがキュクレインだけは覚えてる
このまま革命とか起こすのかな?と思っていたら
びっくりの急展開 さらにLVもHPも分からない仕様
と度肝を抜かれたな
聖石の人乙。
自分もFFTで執筆してるぞ〜。
今さっきも書いたけどリアルで忙しいせいで書く時間がないけどねorz
ガンバ。
165 :
エデンの人:2007/10/25(木) 02:31:37 ID:bsn0Tm+4
よし、じゃああたしが投下してそれから寝る
全力で支援。
十七話 『イヴは迷わず受け取った』
戦争とは国家間経済競争の最後の一手である。
さまざまな外交手段の果てにある最後の一手だ。
恒久的な平和とか叫ぶ頭の悪い人間が太陽系第三惑星の極東方面にいたりするが、そんなものは不可能である。
経済抗争も一種の戦争であり、冷戦状態こそが人間を進歩させるのだから。
少なくとも外交の最終目的が友好関係の締結だというのは幻想だ。
ここトリステインの貴族もそんな感じで、少々侵略されても「ああ、手違いだからいいんじゃね?」で済ませようとしたりする。
どこかのお馬鹿な新聞のような貴族連中が慌てふためく様にほくそ笑みながら、マザリーニは声が漏れるのをこらえていた。
王女は騎士団を引き連れて戦争に向かった。
まったくあのヴァリエール家の小さなメイジは!
まだわめき散らす数名の貴族を尻目に、マザリーニは側近に指示を出した。
アニエスの調査の報告を、と。
戦況はこう着状態だった。
途中参戦したモット伯たちが異様なまでの活躍を見せていたからだ。
それは彼の率いる水のメイジが放つ魔法だった。
ちなみにジュール・ド・モットは不正の発覚で現在男爵の地位にある。
ただしこの戦争の武勲で伯爵に戻されるので、まあモット伯でいいだろう。
ともかく彼ら水のメイジたちが放つ真っ黒な水の固まりは、着弾地点で炸裂、爆発を引き起こす。
まれに発射前の戦艦の砲弾に着火し、多大なるダメージを与えていた。
この黒い水、正体は石油である。
無論石油は水に類するものではない。
どちらかといえば石炭を溶かしたもの、という表現がぴったりな太古の動植物の死骸の堆積物だ。
水を含む要素はかけらも無いが、しかし液状のそれをメイジたちが使えない道理は無かった。
何せこの世界の魔法、純粋な金や銀よりも化合物の青銅のほうが簡単という不思議な法則性を持つ。
要は魔法の使用者の精神的価値観が優先されるのだ。
それゆえ水にしか見えないそれを水のメイジが用いるのは当然のことといえる。
なお石油というものが正しく認識されていないこの国で、モット伯は始めてそれを用いたメイジである。
後年二つ名が“波濤”から“悪魔の水”に変わったりするが、まあそれは完璧に余談に過ぎない。
そんな光景をよそにワルド達はじりどんだった。
決め手が無い、それが問題だったのだ。
精神力に限界のある自分たちメイジと違い、戦艦は弾薬がなくならない限り体力が続くのだから。
加えて町の上にフネを落とせない、それはハンディどころの問題ではなかった。
「くそ! 何か、何か手は!」
視界の端に、大きな羽根を広げた何かが映りこんだ。
「……翼人?」
その何かから、細長い杖を抱えた小さな人影が飛び降りる。
「あれは……」
「むう!」
ズキリと、モット伯をファントムペインが襲った。
数刻前、学園は騒然としていた。
突如ラ・ロシェールを占領した貴族派、それに対抗する騎士団。
待機を命じられおのおの部屋に戻る。
ルイズは一人、小屋へ向かった。
各種武装をかっ喰らい、カツ丼たちを呼ぶ。
ラ・ロシェールの近くにはシエスタのいるタブルの村があるのだから。
誇りを胸に生きてこそ、貴族たる価値がある。
ひっそりと巨体を感じさせない小さな音で学園を飛び出していくイノシシ。
それを窓から見送りながら、キュルケ達はため息をついた。
「付いていってあげたいけど、ゲルマニアからの留学生の身としては進軍に参加はできないのよね」
「同じく」
「ギーシュは? 確かに怖いだろうけど行かない気?」
「いや、行こうとは思ったんだけどね」
レイピアの飾りをもてあそびながら、ギーシュは顔をしかめた。
「『モンモランシーは?』なんて言われてはね。僕はここにいなくては」
「……世知辛いわねぇ」
シエスタは教会の前、ぐずる子供たちを押し込んでデルフリンガーを引き抜いた。
眼前には傭兵という名の略奪者が数名。
この文化レベルの世界の傭兵なんてこんなもんである。
「お嬢ちゃんよ、やれるのか?」
「……引くわけには行きません。弟たちがいるんですから」
「そうかい……」
デルフは自分を持つ震える手を見やる。
生き残れるかどうかはこれ次第、か。
「お嬢ちゃん、心を振るわせろ」
「心、ですか?」
「そうだ。父を想え、母を想え、弟たちを想え、友達を想え。そしてそれらすべてを守ると決めろ」
「守る……」
「そうだ、守ろうと思うんじゃねえ。守ると決めろ。振るえる心が力をくれる」
シエスタは思い描いた。家族を、友人を、学園の知り合いを、ルイズ達を。
心に温かい感情が染み渡っていく中シエスタは確かに、自分と同じ色の髪と目をした少年の笑顔を感じた。
左手が、左手の蚯蚓腫れが、古い文字を浮かべ輝く。
「そうだ! これだよ! やっぱり当たりだ!」
デルフリンガーは歓喜に震えた。
存在意義を確認する喜びが、その心のサビをそぎ落とす。
一瞬輝き、刀身の質すらかえてデルフは力を取り戻す。
「さあ行けガンダールヴ! 俺達は神の楯! 右手が少々寂しいが“イーヴァルディの勇者”の再来と行こうぜ!」
「あああああああああ!」
今までのようなただ振るうだけの剣と違い、確かな足捌きと確かな挙動で、シエスタは雄たけびを上げた。
傭兵たちの剣戟を裁き、デルフを振るう。
そこに五名いた傭兵たちはろくな対応もできないまま、その刃の洗礼を受ける。
飛び散り降りかかる真っ赤な血を体に浴び、シエスタは下がると同時に嘔吐した。
すべて吐き出して胃液で口内がすっぱくなってもまだ吐いた。
胃がねじれるようにきしむまで吐いて、口をぬぐいながらシエスタは前を見る。
空になった村をあさっていたのだろう傭兵たちが下卑た笑みを浮かべて並んでいる。
中には杖を構えるものもいた。
「(まずい、まずいぜ。腕はともかく実戦経験が無いお嬢ちゃんじゃこれ以上は……)」
シエスタはひっそりと、ポケットから取り出したそれを見つめる。
そして迷うことなくそれを口に放り込んだ。
ルイズに渡されたそれは瞬く間に消化されシエスタを作り変えていく。
ふと、ルイズに言われた言葉を思い出した。
『空を飛びたいと思ったことはない? メイジのように、鳥のように』
『少しはありますね』
『ならこれはあなたにあげる。少しのリスクと引き換えに、あなたに翼をくれるもの』
それはトリトリの実:モデルファルコン。
鶏と鴨ばかりだったトリトリの実の中で、何故か一つだけあった猛禽の実。
盗賊たちの前、窓から覗く家族の前、シエスタはその力を解放した。
服の両袖両脛から羽根が生える。
「ああああああ!」
それはゾオン系の実に共通する、単純で強力な付加。
全身体能力の飛躍的な向上。
それにさらにガンダールヴの力を乗せ、シエスタは雄たけびと共に大地を蹴った。
最大の戦力とは数である。
物量こそが最大の戦力だ。
いかに能力を得ようが呂布でも本田・忠勝でもないシエスタの限界は、思った以上に早かった。
「ああ畜生! ガス欠かよ!」
「まだ、まだです!」
デルフを構えるも先ほどまでの力は出ない。
ガンダールヴの力が切れかけている。
「クソッたれがあ! さっさと来やがれあのペチャパイ!」
「誰がペチャパイかあ!」
「ゴルルアアアア!」
巨大なイノシシにまたがった桃色の少女が木々ごと傭兵たちをなぎ倒して出現した。
「よーう娘っこ! 助かったわらば!」
爆発に吹き飛ばされてデルフは壁に突き刺さる。
「ルイズ様!」
「無事ね。被害は?」
「村と草原だけです。あの、ルイズ様、私っ!」
「……お疲れ様シエスタ」
支援
その声に緊張の糸が切れ、シエスタは大声を上げて泣いた。
「ねえシエスタ、食べてしまったのね」
「……はい、その」
「デルフ、どうして止めなかったの?」
少しきつめに、ルイズは彼に問いかける。
「しょうがねえだろ。食わねえと死ぬような状況だったんだぜ?」
「領主の職務怠慢ね。後で王女に報告しなくちゃ」
「それよりもよ、あれどうにかしねえとやばい感じだぜ」
声の先には巨大なフネ。
「ロイヤル・リヴリン? あれは皇太子様が……」
「同型艦だろうな。最高の空戦力を誇るアルビオンが一隻しか作らないわきゃあねえ。まあ少々小さめだが」
「……でも他よりは大きいわね」
そのフネをみやり、ルイズはシエスタに向き直る。
あたりに散らばる砕け落ちたフネの残骸を、ルイズは集めだした。
「シエスタ、飛べる?」
「えっと、まだ練習とかしてませんから」
「俺がいりゃあ誤差はごまかせる」
「そう、なら手伝って」
撃墜された三隻のフネは、すぐにルイズの腹に収まった。
抜き身のデルフを口にくわえシエスタは両手を広げた。
手が服ごと変化し始め大量の羽が生える。
全身を羽毛が覆い、数秒後には一羽の大鷹がそこにいた。
「飛ぶほうはまだ慣れてねえだろうし俺がサポートするわ。さっき魔法喰らって思い出したんだが、俺使い手をある程度操れるみたいでな」
「そう、ならあのフネまで」
大鷹はルイズを乗せて飛び立った。
鷹が空を飛んでいる。
初めはレコン・キスタの面々も、それをただの鷹だと思っていた。
その翼を広げたサイズが三メイルでなければ。
「よ、翼人か!?」
「何か落ちてくるぞ!」
その鷹から人影が一つ。
その人影、ルイズは体内に取り込んだ三隻の空船を再構築した。
ロイヤルリヴリン級のフネの前に突然出現した空船。
三隻の残骸から築き上げられたそれは、まさに通常の三倍。あとなんか色が赤い。
「ノーマルとは違うのよ! ノーマルとわあ!」
船首と船尾に集められた通常の三倍の金属。
船尾にすえつけられた金属の筒から爆炎が噴き出し、その船首の通常の三倍はある巨大なラム(衝角)が、その勢いのままフネに突き刺さった。
そのまま通常の三倍の速さで直進する。
「うわあああ!」
「何だあのフネは!」
慌てふためくレコン・キスタに構わずルイズは全身から生えたパイプに爆炎を送り込む。
その勢いのまま、三倍のフネは相手の船を大陸の向こう側へ押し出した。
海上で煙を上げる二隻のフネ。
「こういうときは何だったかしら? そうそう」
ブツンと、推進力を与えていたパイプがその体から離れる。
直後ルイズの全身から大量の煙と光が発せられた。
「『Bon Voyage!(良い旅を!)』」
ルイズと『ルイズ』の声が重なり、ボムボムの実が“ルイズ”という名の火薬に火をつけた。
空を焼き尽くさんばかりの光、消し飛ぶ二隻のフネ。
爆発地点から零れ落ちた人影を大鷹が拾い上げ、空のかなたへ飛んで消えた。
「“ウ○トラ・ダイナマイト”のほうが良かったかしら?」
下では逃げ腰になったレコン・キスタをトリステイン王軍が圧倒していた。
戦争とは戦略をまず練ってこそである。
だからこそ劉備は三日連続で孔明の家に頭を下げにいったのだし。
まず終わらせ方を考えてから行うべきものなのだ。
余談はさておき強大な戦力があるなら分けてしかるべきであり、もしくは関係ない戦力が横からちゃちゃを入れるのは当然予想して当たり前の代物だ。
まあ何の話かというと、戦争を正々堂々なんてちゃんちゃらおかしいってことだ。
そんな軍事論を頭で展開しながら、ギーシュは眼下に迫る傭兵の集団をシルフィードの上から見下ろしていた。
「ねえキュルケ、ルイズはこれを見越してたのかな?」
「もともと頭は良かったもの。あのルーンを手に入れてから感情に振り回されてた頭が妙にさえわたってるし、そうかもね」
「確かに僕のような土のメイジには、このやり方はぴったりだろうけど、ね」
「せめてミス・ロングビルがいればねえ。妹さんの安否確かめに帰っちゃったし」
「つまりだよ、二人とも」
ギーシュはレイピアを抜き下に向ける。
「この学園には属性特化した芸の無いメイジばかりしかいない。他は生徒と平民だらけだ」
「そうね」
「つまりそんな役に立ちそうに無い要員を抱えて、僕らはあの大群と向かい合うわけだ」
「あら、自信が無いの?」
「傭兵くらいならどうにかできる。それくらいの鍛錬は積んできた。でもねキュルケ、数が問題だ」
見下ろす視線の先には線のように広がる傭兵たち。
「僕らで相手にできるのはせいぜい二三面、オールド・オスマンとミスタ・コルベール以外は戦力として期待できない」
「あら、いつも最強最強言ってるミスタ・ギトーは?」
「風しか使えない上に詠唱も遅い彼が最強? 子爵と共闘した身としては、それは“風”への侮辱にしかきこえないよ」
傭兵たちに衛兵がようやく気づき、学園中が騒がしくなる。
「さて、では始めようか。キュルケ、タバサ、用意は?」
「化粧も完璧♪」
「問題なし」
「よろしい。では」
進軍していた前列の衛兵がヴェルダンデの掘った溝に落ち、敷き詰められていた青銅の槍が彼らをあの世へいざなう。
「グランギニョルの開幕だ!」
本当に教師達は役に立たなかった。
オスマンとコルベールの三面六臂の活躍に比べ、他の教師達はあまりに役に立たなかった。
ギトーなど偉そうにしていたわりに、土のメイジが出てきた途端一人で竜巻ごっこをする有様だ。
かろうじてシュヴルーズの鋼のゴーレムと鉄の壁は敵の侵攻を防いでいた。
学生寮の正面、生徒たちががたがた震える前でドットに過ぎないはずのギーシュは驚くほどの戦果を上げていた。
錬金に持っていかれる精神力が問題なら、あまりなくさないようにすればいい。
ギーシュはジークフリートを行使し、傭兵たちを追い払っていた。
彼らの中にメイジがいなかったのも彼に幸いした。
傭兵の一人を“焼き殺して”ギーシュはレイピアを突きつける。
「死にたくなければ引くがいい! それ以上進めば容赦しない!」
人間の肉の焼けるにおいにこみ上げるものを必至にこらえながら、ギーシュはそれでも毅然と見栄を切る。
戦う前にファンデーションを塗りたくったキュルケに感謝しながら、青くなった首筋を隠すように服の飾りを波立たせる。
「さあどうする! 死ぬか! 逃げるか! 選ぶがいい!」
ヴェルダンデに地面への仕掛けを命じながら、ギーシュは誇り高くあった。
キュルケとタバサは余裕綽々だった。
二人ともトライアングルメイジであり、タバサに至っては入学前から“シュヴァリエ”の称号を持つほどの実力者だ。
ばら撒かれる火球と氷槍にメイジ、非メイジに関わらず次々と吹き飛ばされていく。
キュルケが炎の壁を引いて敵の足を止め、その間に氷槍と蓄炎鉱石から放たれる火球が敵を焼く。
たまに硬めのゴーレムが出てきても、連続で着弾する氷と炎の熱膨張で自壊する有様だった。
少なくともこの二人に死角はなかった。
オスマンは強かった。
普段のエロジジイはどこにいったの? と生徒が目を見開く中で、属性など関係ないとばかりに炎が、氷が、風が、石礫が、容赦なく侵入者を肉片に変えていく。
そこにいつもの温厚な顔は無かった。
コルベールも強かった。
彼が苦い顔をしながらも放つ炎は正確に、的確に、そして確実に敵の数を減らしていく。
その二つ名“炎蛇”の通り蛇のごとく駆け巡る炎が敵を焼いていく。
だがやはり数は強く、精鋭が数人では抑えきれないのも事実。
崩壊はコルベールから。
彼が守っていた門が、周りの壁ごと吹き飛んだ。
「くっ! こんな威力を、味方ごと!」
その炎は入り口を広げただけでなく、その周りの傭兵ごと吹き飛ばしたのだ。
「味方? ただの露払いの傭兵どもなど松明にもならんさ。そうだろ隊長殿お!」
顔を焼かれた男が一人。
「メンヌヴィル!」
「久しぶりだなセンセェエ! 会いたかったぜえ! そしてなんだかわからんだろうが喰らえ!」
霞むメンヌヴィルの右手。
直後コルベールの肩口から血肉がはじけ飛び左手がだらりとたれる。
「(大丈夫、魔法で回復可能だ。だが何で切られた? 何も飛んできてはいない、魔法でもない)」
「ははははは! 見えないだろう? わからないだろう? 俺は力を手に入れたんだよ隊長! この新しい力を!」
メキメキと音を立てて右手が毛むくじゃらになる。
黒い体毛と鋭い爪は確かに肉食獣のもの。
顔が前に長くのび、筋肉で膨れ上がった全身を黒い毛が覆う。
「人狼!? いや、君は人間だったはずだ!」
「人間だぜ? 人狼と同じくらい体は頑丈だがなあ!」
「(馬鹿な!? 人間を人狼に変える? 無理だ、不可能だ! 千年を生きる吸血鬼でも難しいあの呪いを!? しかも魔法は感じなかった)」
魔法を使わず人を変える、そんな不可能なはずの事象を考察し、コルベールはふと一つの記憶を思い出す。
それはイノシシに変わるブタ。
「……まさか悪魔の実!」
「ははははは! 知ってるのかよ! そうだよ、これが俺が授かった、新しい力だよ隊長!」
イヌイヌの実:モデルジャッカル。
メンヌヴィルがほえる。
「いやあああああああ!」
後ろで震える手で治療を行っていたモンモランシーが、布を裂くような悲鳴を上げた。
逃げ帰っていく傭兵たちを尻目に、ギーシュはヴェルダンデの彫った穴に胃の中身を吐き戻していた。
胃に傷が付いたのか黒ずんだ血が混ざっている。
「ああ、もういやだ、いやだぞこんなのは、何が楽しいんだ? 僕は土のメイジだ。彫刻やアクセサリーを作るのが趣味の、しがないドットメイジなのに」
錬金魔法で扉に罠をセットして封鎖し、別の場所への増援へ向かおうとレイピアをしまう。
直後、少女の悲鳴が響き渡った。
「モンモランシー!?」
間違えるはずが無い、聞き間違うはずが無い。
確かにその悲鳴はギーシュの愛しのモンモランシーの声。
声のほうを向くと別の場所からの人員なのか傭兵たちがたむろしている。
「数が多すぎる、時間が!」
何か手は無いか? 頭を振って必至に考える起死回生の手。
たった一つだけ、反則のような一手が頭に浮かんだ。
懐に手を入れ小さな袋を取り出す。
中にはライチの実が入っていた。
少なくともその形はライチだった。
外皮の色と渦巻き模様以外は。
「……確かライチは“この世で一番高貴な果物”だったっけ?」
渡される際のルイズの言葉を思い出す。
『ギーシュ、あんたは他の二人に比べていろいろ心配だからこれ上げるわ』
『いいのかい? 一つしかないんだろ?』
『別に構わないわ。発生条件はわかったから何とかなるもの』
『まあ使わないことを祈るけどね』
『そうね、それが一番だわ。遺伝しないとはいえ人間から外れるのは確かだし』
ふう、と回想の中のルイズがため息をつく。
『でも戦争になれば必要になるわ。自分のだろうが他人のだろうが力は力でしょ?』
『戦争、か。父上も懸念されていたが……』
『だからそれを使うかどうかは優先順位の問題ね。自分が変わることより大事なものはあるか? 使うかどうかの判断なんて、所詮その程度よ』
「優先順位、か……」
ギーシュは思い出していた。
自分は女性が好きだし、女性の笑顔が見れるなら道化に徹するくらいわけはない。
実際何人もの彼女がいたし、“大人”になったのは実は十二歳のころで相手は家庭教師だったりする。
だが彼女は違う、モンモランシーは違う。
今まで付き合った誰よりも、モンモランシーは僕の心を捉えて離さない。
彼女が笑ってくれるなら、僕は悪魔にだって魂を売ろう。
「決まってる。彼女より優先すべきものなど、この僕にあるものか」
それはグラモンの誇りより、はるかに高く価値あるもの。
ギーシュはためらうことなく、ライチの実にかぶりついた。
♪ライチ ラライチ ララライチ 誘惑の果実 ララライチ♪
♪ライチ ラライチ ララライチ 天使の口付け ララライチ♪
♪ライチ ラライチ ララライチ 裏切りの果実 ララライチ♪
よし、トゥーカ終了
だんだん混沌としてまいりました
乙です。
ギーシュがロギア系(だっけ?)になる予感
乙
>♪ライチ ラライチ ララライチ
ちょ、それはエログロに定評の有る光クラブw
『道化』『薔薇の青銅製ナイフ』何より『薔薇薔薇』。
バラバラの実か!?
薔薇がバラバラ
それなんてスーパースターm(ry
名前は覚えてないけどなんかゼリー状に体が変化して小麦粉が弱点の能力と予想。
原作で海軍裏切ってたし
>“大人”になったのは実は十二歳のころで相手は家庭教師だったりする。
最近ドラマ化した漫画の読み切りか?
184 :
聖石の人:2007/10/25(木) 09:46:30 ID:CdFAWCbI
朝早くからおはようございます。
投下してもおーけーですかー?
185 :
ゼロと聖石3:2007/10/25(木) 09:50:38 ID:CdFAWCbI
誰も居ないようなので投下開始します。
ギーシュは怯えていた。
目の前のゼロに、先ほどまで格下だと疑わなかった存在に。
ルイズはしらけていた。
試したいことの半分も消化しないうちにギーシュが杖を手放したから。
杖を突きつける者と突きつけられる者の彼我が逆転した瞬間だった。
ギーシュが去った直後、私は部屋に駆け込む。
装飾された儀式用のきらびやかな杖、ヴァリエール家の家紋を象った杖を取り出す。
アルテマの知識が教えてくれた大切な事項。
―――魔法とは杖によって発動するのではなく、
武器や大気に篭った魔力を糧として自身を媒介にして放つもの―――
その観点から引っ張り出したのがこの杖だ。
どこかの霊木に水のメイジが精霊からもらった水で磨き、土のメイジが加工した銀を聖水で加護をした特注品。
そりゃもう魔力ならいくらでも篭っている。
ついでにマントも黒に赤い裏地の物を羽織る。
よし、これで後方防御も40%プラス。
魔法も20%防げる。
制服とバレッタでHPもMPもバランスよく、状態異常も無効。
―――いけない、また変な思考が。
装備品を整え、ヴェストリの広場へ。
この姿を見た生徒達は後にこう語った。
「ゼロがゼロじゃなくなった瞬間」と。
186 :
ゼロと聖石3:2007/10/25(木) 09:51:50 ID:CdFAWCbI
「逃げずに来たのは誉めておこうか、『ゼロ』のルイズ」
「おあいにく様、逃げる理由が無いもの。ギーシュ・ド・グラモン」
無粋に無粋で返したところで無粋の極みだ。
「もっとも、あなたは地べたを這い蹲る運命なのだけれどね」
こちらはせめて、小粋に返そうではないか。
「こちらは武器として魔法を使わせてもらうよ、まぁ『ゼロ』は『ゼロ』なりに逃げ惑ってくれたまえ」
そう言ってギーシュがワルキューレを召喚する。
その数は1体、これで十分だと言わんばかりだ。
呼び出された瞬間にこちらに駆け出してくるワルキューレ。
その拳が私の眼前に迫ったとき、一つの魔法を発動させた。
空振るワルキューレの拳。
次の瞬間にはワルキューレの真後ろに立っていた。
「甘い、そして遅いわよ」
ワルキューレが振り向きざまに裏拳を放つ。
その攻撃もかすることなく私はワルキューレの真横に。
矢継ぎ早に繰り出される攻撃を右に左に後ろにあるいは正面に『跳んで』回避する。
ギーシュには悪夢のような光景だった。
何しろルイズが消えたと思ったら次の瞬間には別な場所にいる。
しかも、その距離がどんどんワルキューレに対して遠くなっているのである。
いつこっちに現れてもおかしくない、そう思って二体目のワルキューレを防衛にまわすのはまともな判断だった。
ルイズ以外の相手には。
ギーシュがワルキューレの2体目を出したのを確認。
こちらはテレポの実験を終了する。
距離が離れると失敗するという説明だったが、今の状態なら100%跳べる。
ある程度ギーシュに近づいた瞬間、詠唱を開始。
使う魔法は三属性。
まずは、目の前の防衛用に対して目標をセット。
追いかけてくるワルキューレに対して思いっきり跳んで距離をとる。
「岩砕き、骸崩す、地に潜む者たち。集いて赤き炎となれ! ファイア!」
跳び終わった瞬間に詠唱終了。
突然現れた炎にワルキューレはなすすべなく熔かされる。
そのことに驚きながらもギーシュは防衛に1体、攻撃にもう1体を追加。
これで3体。最大数は7だったはず。
向かってくる2体に狙いを定め、詠唱。
187 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 09:53:59 ID:RTm/KhgD
支援
支援するものなり
189 :
ゼロと聖石3:2007/10/25(木) 09:56:11 ID:CdFAWCbI
「闇に生まれし精霊の吐息の、凍てつく風の刃に散れ! ブリザド!」
突然出現した氷塊がワルキューレ2体を砕く。
観客がどよめくが、気にしない。
テレポで徐々に距離を詰める。
ギーシュも近づけさせなければいいという精神で作り出せる限界数、7体のワルキューレを作成する。
そこまで密集されるとやりたくなるのが人の性である。
足を止めてワルキューレの一番前にいるやつに狙いをセット。
さすがにあのアルテマは死ぬだろう。
というわけで、
「虚栄の闇を払い、真実なる姿現せ。あるがままに! アルテマ!」
若干威力を抑えたアルテマを放つ。
威力は失敗魔法と同じくらい。
それだけあれば十分だ。
一撃で守りを固めていたワルキューレが吹き飛び、粉々になる。
その爆煙が晴れる前にテレポでギーシュの後ろへ跳び、足払い。
さらに正面に跳んで杖を突きつける。
爆煙が晴れる。
彼我関係が覆され、地面に這い蹲る形のギーシュに、杖を首に向けるルイズ。
ギーシュの目は恐怖に怯えている。
その恐怖で杖を手放している。
誰かがギーシュの手元に目が行く前に詠唱を終了させる。
「残念ね、降参してくれればこんな目にあわずにすんだのに」
「ま、まい「もう遅い。まばゆき光彩を刃となして地を引き裂かん! サンダー!」
ギーシュにどこからか落ちてきた雷が着弾。
全身をこんがりとさせてギーシュは意識を失った。
さすがにやりすぎを反省し、詠唱。
「清らかなる生命の風よ、失いし力とならん! ケアル!」
ギーシュを緑色の光が包み、雷で焼け爛れた皮膚が再生する。
相変わらず気絶したままだったが、これなら問題は無いだろう。
「それじゃあね、ギーシュ・ド・グラモン。今度はもっと腕を磨いてきなさい」
そのままギーシュに背を向けてヴェストリの広場を後にした。
支援
191 :
ゼロと聖石3:2007/10/25(木) 09:59:14 ID:CdFAWCbI
遠見の鏡からオスマンとコルベールが決闘の様子を眺めていた。
「アレが、ヴァリエールが契約した聖石の力…」
「多分、あれはほんの一部分に過ぎんな。あの悪魔には程遠い」
オスマンが遠見の鏡の発動を止め、空をにらむ。
「わし等も、覚悟せんといかんの。場合によっては殺さねばいかん」
「彼女を、ですか?」
その言葉にオスマンは答えず、緊迫した空気だけが流れていた。
192 :
ゼロと聖石3:2007/10/25(木) 10:01:17 ID:CdFAWCbI
以上で投下終了。
今回は新魔法の登録はなし、いや、弱アルテマは新魔法に入るのか?
とにかく、今までに覚えたウォール以外の魔法全出しです。
朝早くから支援に感謝を!
>189
乙です
>無粋に無粋で返したところで無粋の極みだ
>こちらはせめて、小粋に返そうではないか
フーケのゴーレムをアッパーパンチで殴り飛ばしたり、
「リリー・マルレーン」や「アメイジング・グレイス」口ずさみ
ながら7万の軍勢瞬殺するルイズの姿がw
その前になんか邪神みたいなモノになっちゃうルイズの姿が
>>193 「オ トワ ラヴィ〜」
「ラヴィ〜〜〜」
と申したか
最後は精神崩壊しちゃうのか
ギーシュ辺りは「モンモンごめん」と首から血の噴水
小ネタを投下しても良いですか?
え?前にいた使い魔?
あ、やっぱり気になるの?仕方ないわねえ、じゃあ教えてあげる。
でもねえ。アレが一体なんて生き物だったのか、わたし、未だにわからないのよね。
見た目は、服のセンスの悪い……というか、変すぎる服を着た、でも顔はいい平民だったわ。
行動もどことなくうさん臭かったし。何がおきても、わかっていたさと済ますのはいいんだけど、たまに本気で驚いてたわ。
ああ、それとふつーに空も飛んでたわねー。どうやって飛んでるのか、実は本人にもわかってなかったっぽいけど。
え、服?
そうねえ……靴下みたいな布地で、足先から首まですっぽり包んでるっていうか…え?全身タイツ?へえ、あれってそう言うんだ。謎が一つ解けたわ。
それと三日月みたいな飾りを額につけててね。で、そこから攻撃魔法を出してたの。
うん、攻撃魔法。それもほとんど詠唱なしの。
威力も凄かったわよー。決闘を挑んじゃった時のギーシュなんか、ワルキューレの群れごと、一撃でやられてたんだから。
フーケって言うトライアングルクラスの盗賊が、学院の宝物庫を襲ってきた時だって、おっきなゴーレムごとフーケを倒しちゃったし。
ああ、それと頭もオカシイくらい良かったわ。
アンタがゼロ戦もどきって呼んでるアレ、彼が改造したのよ。
元は竜の血っていう、エサ? それがないと動かなかったらしいんだけど、なんかそんなんなしでも動くようにしちゃったし。
仕組み?知らないわよ。コルベール先生も、元のままなら理解できたかも、でもこれは凄い技術だって悲しみながら喜んでるわ。
あと、他にも色々残してったのよね。
ミョズ何とか用の妨害念波発生器だとか、7万人乗っても大丈夫なバリアハウス発生器とか、虚無の魔法応用編とかバ…バストアップマシーンとか。
ほとんど、どんな時に使うのよそれ?ってのばっかりなんだけど、たまに役に立つから、捨てるに捨てらんないのよね。
それにね。
ある日突然、帰る方法なら最初からわかっていたさ。とか言い出して、ほんとに帰っちゃったのよ。
ひょっとしたら、ひょっこり戻ってくるかもしれないって思ったら、何だか、ね…
うん、ごめん。わたしがサモンサーヴァントで呼ぼうとしたのは、あんたじゃなかったわ。
でも、サイト。わたし、今はサイトでよかったと思ってる。
だから、その…ちゃ、ちゃんとこれからも、そ、そばにいなさいよ!いいわね!
そ、そう。わかってるならいいのよ。うん。
え?あいつの名前?
さあ…いつもこう言ってただけだから、わからないわ。
「ぼくは天才だー!って」
「ラッキーマン」から天才マンを召喚
月光仮面かと思ったw
天才マン、見ただけでラスボスを操作する機械を作った男か
ドラえもん召喚とか考えたけどラストが帰ってきたドラえもんにしかならなくてもう涙で画面が見えn
>>204 ルイズ「サモンサーヴァントで強くて素敵な使い魔を召還してみせるわ☆」
ドラえもん「いいや、碌な使い魔が現れないね」
こねーよ
ルイズが召喚した使い魔は平民の少女だった
冴えない外見に反し、彼女にはいくつかの特技があった
「マンガ」という、見る者の心を躍らせる不思議な絵画を描き、トリスティンの少年少女達を魅了した
ギーシュとの決闘では「やめて!わたしはか弱いのよ!」と言いながら馬鹿力でゴーレムを圧倒し
また彼女の貴族子女達に見習わせたいほどに健啖で健康的な食事作法は、マルトーもお気に入り
そして何よりもそれらの能力を決して誇らず、虚無魔法に開眼したルイズの使い魔である事を鼻にかけぬ
謙虚さとたゆまぬ努力を怠らぬ精神を、その少女は持ち合わせていた
使い魔のみならず貴族淑女の間からもトリスティン女性の模範とされた少女
彼女の名はジャイコ
ジャイコは見た目こそアレだが
非常に人間のできた奴だよなww
ジャイコと結婚した「ドラえもんのこなかったのび太」って実は勝ち組じゃね?
ってくらい本当は良い子だからなぁ。
兄思いで優しくて頑張り屋で
性格がジャイコならブサメンでもOKってやつはいるだろうな
クリスティーヌ剛田大人気w
佐藤さとるのコロボックル物語で書いてみた。
投下よろし?
よくわからんがこい
誰も知らない小さな国支援
サモンサーヴァントで大爆発を起こした後、幾度詠唱を繰り返してもうんともすんとも言わなくなってしまった。
クラスメイトたちははやし立てるし、コルベール先生も生温い目で私のことを見てる。
「もうやめたまえミス・フランソワーズ。続きはまた明日にしよう」
でも、と言いかけて口を紡ぐ。
皆がフライで塔に向かうのにただ俯いていることしかできなかった。
どれくらい時間が過ぎたのか、ようやく頭の中のぐちゃぐちゃも落ち着いてきた。
既に使い魔が呼び出されているときには、サモンサーヴァントは行うことができない。じゃあこの草むらのどこかに、私の使い魔がいるんじゃないだろうか?
私は跪いて目を凝らした。どんな姿形をしていてもいい。ただいてくれさえすれば。
太陽が次第に傾いて、何かが視界の隅でちかって光を反射した。自然のものではない、何か金属か硝子のような物。私は急いでその辺りに駆け寄った。
失敗呪文で大きく抉れた地面から、ほんの少しだけ外側。そこに
「……なにこれ?」
とても、とても小さな人形が落ちていた。壊さないように、掌に掬い上げる。柔らくてほんのりと暖かかった。
大きさは、5サントもないのに、黒い髪はよく見れば丁寧に結ってあるし、もしかしたら、閉じた目に睫毛も生えているかもしれない。
見慣れない模様が散りばめたチョッキとスカート。靴まで履いている。
あまりにも精巧で、顔立ちも幼げながら整っている。
ああ、もう目を逸らすのはやめよう。胸がゆっくりと上下している。間違いない。
この人形は、生きているのだ。
「……この娘が……私の使い魔……」
あまりにも軽くて小さな彼女は、私の手の中で、どんな宝石よりも美しく大切なものに思えた。
いつの間にか、私は涙を零していた。眠っている間に契約を結んでしまえという下賎な考えはすぐに捨てた。
彼女を抱いて、寮の自分の部屋に帰る。夕食の時間だったせいか、誰にも会わずに済んだ。
ベッドの、私の枕の上に、ハンカチを敷いて、そこに彼女を寝かせた。
ランプを近づけて、よく見させてもらう。異国風の顔立ちだけど、美少女と言ってもいいと思う。こうなると瞳の色が気になる。早く目を覚まして欲しい。
腰に巻いた帯に、長さ1サントもない短剣が差してあった。鞘や柄に私の目には細かすぎて捉えられないほどの精緻な飾りが施されている。光を弾いたのはこれだった。
着ている物も含めて、文明を持たない原住民とはとても思えない。どこにどうやって隠れ住んでいるのか知らないけど、もしかしたら世紀の大発見なのかも知れない。アカデミーにいる姉様のことがちらりと頭を過ぎって、寒気がした。
あそこは研究のためなら解剖も辞さないと聞いてるから。彼女がそんな目に遭うなんて考えるだけでも堪えられない。絶対に私が守るんだと誓ったとき、ぴくりと少女が動いた。
「…………」
聞き取れないほど小さく呻いて、瞼がぴくぴくと震える。
ゆっくりとその瞼が開いて、深い海色の瞳が私の目と合った。
二三度の瞬き、そして「ルルルルッ」としか聞こえないけど、少女がしゃべった。驚かさないように、できるだけ優しく話しかける。
「落ち着いて聞いて欲しいの。私はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あなたを使い魔として召喚したメイジよ」
びっくりと目を見開いているけど、私の言葉は理解してくれているみたい。
「あなたが気絶している間に無理やり契約するのはおかしいと思ったから、目が覚めるのを待ってたの」
少し釣り目がちで、口元もきゅっと閉じている。意志の強そうな顔立ちだ。年は幾つくらいなんだろう。
「使い魔と主は一心同体。生涯を共にするのに相応しい使い魔が召喚されるの」
擦り切れるまで読んだ教科書の内容を噛み砕いて彼女に語る。そうすると、私の心にもそれが沁み込んで来て、じわじわと喜びと感動が湧き上がってくる。
「――これから、コントラクト・サーヴァントをするから、落ち着いて受け入れてね」
彼女から見たら、私は巨人もいいところだろう。それが口付けをおろしてくるのだから怯えてもおかしくないのに、彼女はハンカチの上に座ったまま、臆することなく私を見上げていた。その勇敢さはとても心地よくて。
左手にルーンが刻まれる痛みに彼女が手を抑えているのを見て、私の方が慌ててしまった。
「ルルルッ……ルルルルッ」
「だ、大丈夫だから、使い魔のルーンが刻まれる間だけ、すぐに収まるから」
しばらくすると、彼女の小さな左手の甲に、それに相応しい小さなルーンが刻まれた……らしい。小さすぎてよく見えなかったけど。
立ち上がった彼女が、とんとんと足踏みをした後、いきなりふっと姿を消した時には、息が止まるほど驚いた。そのすぐ後に、肩に軽い感触があって、目をやれば彼女が上手にバランスを取っていた。
「……びっくり、させないで」
こんなに動きが素早いなんて。なるほど、今まで人の目に触れなかったはずだ。
彼女が私の耳たぶに手を掛けてきたので、くすぐったかったけど、我慢して耳を澄ませた。
「ルル……ル…………るい、ず」
彼女が、私の名前を呼んでくれた。
「るいず……コレカラ……ヨロシ……クネ……」
たどたどしい話し方だったけど、ちゃんと聞こえた。
「ええ、よろしく。それと貴女の名前を教えてくれないかしら」
ミス・ヴァリエールと呼ぶのが正しいんじゃないかな支援
「ワタシ……ハ……くるみのひめ……アダナハ、はやて」
「はやて?」
「ルル……まめいぬたいノナカデ、イチバン、ハヤイカラ」
そう言ったときの彼女は、何だか自慢そうだったから、きっとあだ名で呼んであげた方が嬉しいんだと思った。メイジの二つ名みたいなものなんだろう。
「それなら、貴女のことはハヤテって呼べばいいのね?」
「ルルルッ……ウン」
「ねえ、話すときにルルルッて聞こえるんだけど、何て言ってるの?」
「同ジコトヲ言ッテル。タダ速スギテ、人間ニハ『ルルル』トシカ聞コエナイノ」
どうやら素早いのは足だけじゃなかったらしい。
そう言えば、感覚の共有はできるのだろうか? 目を閉じて、集中してみると、ぼんやりと絵が浮かび上がってくる。
桃色のふわふわと、これは……斜め下から見上げた私の顔だ。驚いて目を開けたら途切れてしまったけど、ちゃんと見れたから嬉しかった。そのことを話したら、ハヤテも驚いたように目を見張った。
「ジャア、ワタシモるいずガ見テルモノガ見エルノカナ?」
好奇心も旺盛らしい。目を閉じてうんうん集中してる姿は、今までの中で一番子供っぽくて微笑ましかった。
「ルルルッ……るいずッ 見エタッ」
目を閉じているのに、見下ろされている自分が見えたと、身振り手振りを交えて教えてくれる。
どうしよう、こんなに気が合うなんて。まだ契約を結んでから一時間も経ってないのに。頬がだらしなく緩んでるのが自分でも分かるから。
「ああ、でももう遅いから、今日は寝ましょう。ハヤテはここで寝てくれる?」
ベッドの枕の横に、ハンカチを折りたたむ。即席の掛け布団だ。
肩から飛び降りたハヤテが、ちょっと目を逸らしたらもうチョッキとスカートを脱いでてびっくりした。着替えるのも素早い。きちんと畳んで、その上に短剣を置いた。それを見て恥ずかしくなって、私も脱いだ服を畳んだ。
「女の子なのに、剣を使うの?」
ネグリジェに着替えてベッドに潜り込んで、ふと気になったことを聞いてみた。
「ルル……ころぼっくるハ、ミンナツカウ。鳥ニ襲ワレタトキトカ……狩ヲスルトキトカ……」
コロボックル、というのが、ハヤテたちの種族の名前か。
「タダ、私ノ剣ハ特別……まめいぬたいノ証」
また、マメイヌタイが出た。マメイヌ、隊かな? 騎士団みたいなものを思い浮かべた。ハヤテみたいな格好をした小人たちが、剣を構えて走っていく。何だか格好いい。
「よかったら、明日剣を見せてね……お休み」
「ン……オヤスミ、るいず」
小さな返事に瞼を閉じる。学園に来てから初めてなくらい気持ちよく眠れそうだった。
投下終わり。
>>220 そうだった。どうして気がつかなかったんだろうorz
いや見知らぬ言語の敬称まで正確に要求することもないだろう
ってか、コロボックル、アイヌに姓と名ってあったのかな?
1分後に投下します
支援するっ!
「あんたわかってるの!? 相手は貴族なのよ、平民が勝てるわけないじゃない!」
「しかし……自分で蒔いた種は自分で摘まねばなりません。どうかわかって下せぇ……」
「あっ、あんたね……」
ルイズは使い魔である彼の強情さにたじたじになってしまう。彼はこう続けた。
「お嬢さん……ここは逃げてください。」
「でも……」
「魔法を使います」
遂にルイズの使い魔である彼の口からその言葉が発せられた。
それを聞いたルイズは彼に言われたとおりの事を行った。
「みんな逃げて!! でないとみんな死んじゃうわよ!!」
そう言ってルイズ達は皆この場から逃げる事にした。そして今、ここにいるのは決闘相手であるギーシュ・ド・グラモンとルイズの使い魔であるエイジだけである。
「そんなに魔法を使うのが嫌なのかね。全くもったいぶりおって……」
エイジの眉がぴくりと動いたがギーシュは気づかずにしゃべり続ける。
「だいたい、君みたいなちょっと魔法が使えるからといってもどうせドットクラスのものだろう、え? 君の魔法を見たら死ぬと聞いたがね……僕に言わせればそんなの井の中の蛙に過ぎないのさ!」
エイジは我慢の限界だった。この魔法を見たら死んでしまうのだ、一刻も猶予が無い。
なぜ自分がこんなところに来てこんなところで魔法を使わねばならぬのか。その答えは誰に聞いても帰ってこなかった。
エイジは傷心旅行の途中、魔法使いギルド聖竜会の会頭の訃報の知らせを受け帰ろうとしたときに列車爆発事故に遭った。
明らかに相手の手先による犯行である。普通であったら死んでいるはずなのだがエイジは気が付いたらこのトリステイン魔法学院の中にいたのである。
目覚めるとそこには桃色がかったブロンドの長髪をした少女がいた。それがルイズである。
そして、今までずっと気絶していたこと。自分は彼女の使い魔になったこと。そしてその時に彼女は自分に契約の儀式と称してキスをしたことを知った。
特に最後の事実については不幸にも記憶が全く無かったらしくあまりの悔しさに男泣きをしてしまい彼女に引かれてしまった。
そして彼について詳しく聞いてみると…… 「えっ? あんたって魔法が使えるの!?」
「お嬢さん、あんまりそのことは言わないで下せぇ……」
エイジは彼女の事を「お嬢さん」と呼んだ。
はじめルイズは「ご主人様」と呼ばせようとしたのだが、「男がご主人様なんて口にするなんてありえねえですぜ!」との猛抗議を受けたためそれは取り止めとなったのだ。
「でも、なんで使い魔のあんたが魔法を使えるのよ! 不公平じゃない!」
「いや、その………自分の魔法は他人が見たら死ぬ危険なものでありやして、あまり人様の前で魔法はちょっと………」
そこまで言うとエイジは口ごもってしまった。ルイズも自分が魔法を使えないから嫉妬していた自分を恥じた。そしてこう約束した。
「わかったわ。そこまで言うんだったら無理に魔法を使えとは言わない。
でもね、もし何か危機があったら魔法でも何でもいいから私のことを守ること。いいわね?」
エイジは固く頷いた。
「さあとっととケリをつけるとするか……行けっ! ワルキューレ!!」
ギーシュが薔薇の花から出した青銅のゴーレムワルキューレを繰り出した。対するエイジは、
「パピコン」
そう言うとどこか魔法少女のようなステッキをどこからともなく取り出し、ワルキューレの攻撃を軽く受け流した。
「何っ!?」
ギーシュの顔が歪む。彼は薔薇の花びらを散らせて六体ものワルキューレを出して一気に襲い掛からせた。
「バカヤロウが………」
命知らずの魔法使いに対して彼はもはや容赦しなかった。エイジの身体が光りだす。
「死に急ぐんじゃねえ!!!!」
大爆発。六体のゴーレムは四散してしまいあとは裸同然のギーシュだけだった。
「あわわわわ………」
思わず後ずさりするギーシュ。しかし爆風から現れたエイジの姿に愕然とした。
胸元には大きなルビーをつけ、頭にはカチューシャをつけ、足元は短めのガーターベルト………
一言で表すとメイド服を着た変態がそこにいた。
「ぷっ………ぷぷぷぷぷ……アーハッハッハッハ!!! そんな変な格好うちの学院のメイドでもやらないぞ! アーハッハッハッハ!!!」
ギーシュは思わず笑い転げてしまった。エイジは思わず羞恥のあまり顔を赤らめた。
女であればかなりの萌え要素になるのだろうが男、それも屈強の男がやっていればそれはただの変態なのである。彼はそのことを十二分に自覚していた。
「俺だってこんな……好きでこんな格好をしてるんじゃねえんだ!!!」
エイジは魂からこの言葉を叫び魔法の呪文を提唱した。
「ロンリー・ラブリー・シンメトリー・プックンジップで・ロリポップ!!」
この間エイジはカメラ目線でウインクしたり指をくわえて少し首をかしげたりしたりして自分なりの萌えるポーズをしているのだがここでは書くに耐えないので割愛する。
「め、目が離せない……!」
しかしその間ギーシュは彼の動きから目を離せなかった。そして……
「キ、キレイ……だ…」
そういい残したあとまたしても大きな爆発が起きた。
全てのことを終えたことを確認したら余韻に浸るまもなく急いで服を着替えはじめた。
ルイズたちは外れで二度目の大きな爆発を見届けていた。
「どうなってるのかしらね……まあギーシュにあんな魔法使えるわけないし…ってあんたどこ行くのよ!」
「様子を見に行ってくるわ」
ルイズはいてもたってもいられずに広場に向かって走り出した。
(お願いだから………死なないで、エイジ!!)
そんなこととは露知らずエイジは急いで着替えをしていた。
「この姿は誰にも見せるわけにはいかねえ……」
エイジはメイド服を手馴れた様子で脱ぎながらそうつぶやいた。そうこの姿だけは……
「エイジ!?」
エイジは手にカチューシャを握り締めたまま固まった。
「何そのカッコ……?」
突然風が強く吹いた。その風に乗ってどこか消えてしまいたい。とエイジはこのとき強くそう思った。
ギーシュを確認してみると決闘のときの記憶はなくしてはいるもののなんとか一命はとりとめたようだった。
周囲がエイジに畏怖の念を感じているのを軽く受け流し、ルイズとエイジはその場を後にした。
ドスペーラドwwwwwwwww
「あの魔法……一体なんだったの?」
誰もいない場所でルイズは彼に聞いた。
「この世界では、火、水、風、土の四系統が存在している……さっきの授業で先生はそう言いやしたですね?」
「ええ、そうよ。あと他に伝説の虚無の系統があるけど……」
「私がいた世界でも火、水、風、土の四元素というのがありやす。その四つはこの世界と大して違いはありやせん。ただ……」
「ただ……?」
そこでエイジは大きく深呼吸した。ルイズも思わず緊張する。
「お嬢さん……その制服は何で出来てますか?」
「えっ? 制服はただの布だから、水と土じゃ……」
「その通りです。………ではこれもただの布ですがその制服と同じですか?」
そう言って彼はぼろぼろの雑巾を取り出した。
「!」
ルイズは驚愕した。確かに雑巾と制服は同じ布ではあるが全く違うものだ。エイジは更に続けた。
「そして、その雑巾とこの下着………果たして同じですか!?」
そこにはエイジが昨日洗濯したルイズの下着があった。
「………違う! 雑巾と女子の下着は似て異なるもの!! でもその違いって………」
「"萌"です。 向こうの世界での第五の元素……それが萌なんです。」
「萌………っていうかなんであんたが私の下着を持ってるのよ!」
「あっ」
思わずエイジは下着を隠した。が、ルイズにそれを阻止される。
「返しなさい……ってちょっと!なんでこの下着白いどろどろしたのが付いてるのよ!」
「すいやせん、これはちゃんと洗って………」
「いいわよ! これから下着は私が洗うから! このままだと私の下着がなくなっちゃうじゃないのよ!!」
「それは絶対ありえないですぜお嬢さん……」
そんな二人の様子を遠くから見ていた女性がいた。学院長の秘書を務めるミス・ロングビルで
「全く………まさか私以外にもいたなんて……厄介なことになりそうね。」
ロングビルはそんな独り言を言い残してその場を後にした。
何者だ!?この元ネタはわからないがただ者ではない漢は!?
以上です。ネタをわかってくださる方がいて嬉しい限りです。
タイトルは「ゼロの使い魔は魔法使い(童貞)」です。
あと1,2話ぐらい続けるつもり。
では
コロポックルも魔法使いもGJ
しかしどっちもデルフ出番なさそうだw
>>230 大和田秀樹の漫画「ドスペラード」からエイジを召喚しました。
大和田漫画の作品は大魔法峠の短編が一つありましたね。
そして、俺も小ネタを落とそうと思うんだ…いいかな
236 :
聖石の人:2007/10/25(木) 17:18:21 ID:CdFAWCbI
学校帰りに考えて、夕食準備前までに書き上げたのだが、投下ヨロシですか?
>>236 俺のはどーでもいいネタだし、そちらを優先してくれ。
>>234 うぃき見て噴いた。大魔法峠の人と言うのを見てさらに噴いた。
最終幻想的サブキャラの名前にだめ押しで噴いた。
無論このSSにも噴きましたとも!
239 :
聖石の人:2007/10/25(木) 17:21:20 ID:CdFAWCbI
分かりました、それでは25分から投下を開始します。
ミス・ロングビルの第五元素魔法の姿は我々にとってご褒美です。
>>223 名前呼んだのコッパゲなんだorz
コロボックルの名前は植物名+ヒコ(女ならヒメ)
家族親戚で同名が沢山いるから、普段はあだ名で呼ばれる。
マメイヌ隊は、特に俊敏なコロボックルが選抜された特殊部隊だと思ってくれい。
>>233 うん、デルフは持てないw
剣にクマンバチの毒が塗ってあるから、その気になれば暗殺くらいはできる(しないけど)
242 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 17:25:30 ID:CdFAWCbI
それでは、投下を開始します。
決闘から一週間。
いろいろ変化があった。
まず、謹慎を食らった。一週間も。
相変わらず系統魔法は使えないが、それに変わる魔法が使えるので問題は無い。
ただ一部の人たちが、
『あの使い魔はエルフの魂が篭っていてルイズはそれに乗っ取られている。だから先住魔法が使える』
とかうわさをしている。
いや、先住に近いけれど先住魔法じゃないし。
というかアルテマはエルフじゃなくて聖天使だ。
『一部分だけ白く染まったのがその証拠だ!』と喚いていたヤツにレビテトで三日くらい浮きっぱなしにしておいた。
そんなことを考えながら部屋で勉強している昼下がり、タバサという子がたずねてきた。
「あなたの使った魔法、アレは何?」
そんな彼女とはちょっとだけ秘密を教えた後、すぐに打ち解けられた。
精神に関する魔法は有るか? と問われたときは素直に分からないと答えておいた。
今後、相手を眠らせる魔法とか混乱させる魔法は出てくるかもしれないが、今は不明だ。
「失礼します、ティータイムのお菓子をお持ちしました」
これは一週間限定だが、あの時結果的に助けたメイドが食事の準備などをしてくれる。
彼女はシエスタ。珍しい黒髪のメイドで、胸のサイズは私の敵だ。
ただ、彼女は以外に気が利いていて、私付きのメイドとして雇いたいぐらいだ。
一つ気になるのは、彼女がそばにいると微かに聖石が震えるのだ。
そうそう、これはあんまり嬉しくない変化だが、
「ハァーイ、ルイズ! 辛気臭く謹慎してる?」
そう、あのいけ好かないツェルプストーがよく出入りするようになったことだ。
散々騒いだ後、去っていくのだから迷惑この上ない。
ただ、二人で騒いでいる時が一番楽しいかもしれない。
そういったものだ。
そして、謹慎も終わった虚無の曜日。一番変化が激しかった一日。
私達三人は王都へ買い物に来ていた。
「えーと、各種ハーブに聖水、ちょっとした金の塊…」
「一体何に使うのよ?」
「即効性のある水の秘薬に石化解除、消耗した魔力の回復とかそういったもの」
タバサと知り合いになってから、移動が楽になった。
シルフィードなら移動が楽ちんだ。
オープンカフェで買ってきたハーブや薬品を混ぜ合わせてポーションを作る。
エリクサー以外は作ることに成功。というかエリクサーってどうやって作るのよ?
そして、目的も済んで学院に戻る。
中庭に降り立ち、寮に戻ろうとしたとき、聖石が甲高い音を上げた。
243 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 17:26:53 ID:CdFAWCbI
「おかえりな…さい、ミス・ヴぁりえーる―――」
寮の入り口前にはあからさまに様子のおかしいシエスタ。
右手にはさびた剣、左手には―――
「聖石!?」
独特の模様が刻まれた緑の石。
それが私の石と反応して共鳴しあっている。
―――彼女は我等の魂に抗っている―――
それが本当だとすると、何者か分からない、アルテマクラスの存在がシエスタを乗っ取ろうとしている。
直感的にそれはさせてはならないと魔法の詠唱を開始。
「タバサ、キュルケ、彼女を取り押さえるわよ!」
「ちょ、ルイズ!?」
「大地に眠る古の光、眠れるその力を地上にもたらせ! ウォール!」
自分でも現在最速の詠唱を行って障壁を全員に張る。
次の瞬間にはシエスタがこちらの懐に潜り込んできた。
私に剣を振り下ろそうとして、キュルケのフレイムボールに妨害される。
「問答無用ってわけ? 微熱を甘く見るんじゃないわよ!」
同時に幾つもの火球を作り出してけん制する。
それにあわせてタバサもウィンディアイシクルで相手の動きを封じようとする。
それを見てシエスタは後ろに下がり、剣を大上段に構える。
「身の盾なるは心の盾とならざるなり! 油断大敵! 強甲破点突き!」
剣先はタバサの方向、とっさに氷の障壁を作り出す。
発想はよかったが相手の技との相性は最悪だった。
地面から襲い掛かった刃は氷の障壁を貫き、あっさりとタバサの腹部に直撃した。
幸いにしてウォールの効果で吹き飛ばされるだけに留まったが、それ以上に深刻な事態を招いていた。
「た、タバサ…服が、胸から下、シャツが切り裂かれてる」
シエスタが使った技は装備破壊と呼ばれる技術の篭った剛剣技、その中でも鎧を破壊する技。
肝心な部分が見えてないので作品的には大丈夫なはずだ、多分。
そんなの気にしないとばかりにウィンディアイシクルでシエスタの動きを封じ続ける。
「何とか出来ますように、ついでにシエスタが耐えられますように。
渦なす生命の色、七つの扉開き力の塔の天に到らん! アルテマ!」
244 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 17:28:24 ID:CdFAWCbI
膨大な光がシエスタを包み込もうとした瞬間、剣に弾かれるようにアルテマがかき消される。
「はい? ちょっとそれって卑怯じゃないの?」
「どう考えても卑怯よね?」
「この後の行動方針は決まった」
タバサがウィンディアイシクルを唱えてけん制した次の瞬間、
「「「脱兎のごとく逃げろ!」」」
三人が全速力で走りながら広場を逃げ回る。
と同時に三人がそれぞればらける。
シエスタはルイズを追いかける姿勢をとる。
それを見たタバサとキュルケは魔法でシエスタの足を止めると同時に、氷を炎で溶かして水蒸気を作り出して視界を封じる。
ここでルイズが攻めに転じる。
これまで見せていなかったテレポでシエスタの右手側に跳ぶ。
跳んだ瞬間に杖で右手を叩き、聖石を落とさせ回収。さらにテレポで間合いを取る。
これでシエスタも元に戻るはず。
そうしてシエスタの方を見ると、
「我に合見えし不幸を呪うがよい。星よ降れ!」
ぎゃー! まだ正気に戻ってない!!
ええいもう何とか行動封じられれば―――そうだ、一つだけあった!
「時を知る精霊よ、因果司る神の手から我を隠したまえ…ストップ!」
「星天爆撃打!」
詠唱と同時に降り注ぐ巨大な刃。
宝物庫周辺の壁を砕きながらその牙を突きたてようとして、止まった。
シエスタに対するストップが成功して、攻撃も止まったのだろう。
刃は消え去り、シエスタは固まったまま。
この惨状をどう説明したものか、考えていたそのときに、
巨大なゴーレムが学院に現れた。
245 :
ゼロと聖石:2007/10/25(木) 17:31:26 ID:CdFAWCbI
以上で投下終了。
シエスタにも聖石持ってもらいました。
というか剛剣技の部分書いてて「これはまずいかも」と少々思ったりした今日この頃。
それでは、ありがとうございましたー。
乙、それで、5分後に投降しようと思うんだぜ
みんな凄いな頑張ってくれ支援。
ギーシュはかれこれ1時間、決闘の場にて待っていた
おでこが痛む、おそらくコブになったんだろうか
自分の端整な顔つきが傷ついたことも腹が立つが、もっと腹が立つのが
あの使い魔の態度だ
確かに、あの子とあの子で二股をかけていたことも
確かに、あの香水を落としたのも
確かに、あの平民の使用人に八つ当たりしたのも
冷静になったいま、考えてみると自分が悪い、だが一時間と少し前の
自分には、そんなことを考えている冷静さはなかった。
怒りに任せて使用人に罵詈雑言を捲くし立てていた…だが、それだけで、それだけで
いきなりケーキを乗せたお盆を投げつけるだなんて、酷いじゃあないか!
痛かったし、なによりケーキのクリームで汚れてしまった
その使い魔曰く
「任務中だ、邪魔をするな」
だとか言っていたが、ケーキを運ぶのが“任務”とは!まったく、馬鹿にしているとしか思えない!
お盆が命中したおでこが気になる、右手で、そこを撫で…大丈夫か確認する
……そのときギーシュの目になにか、遠くで太陽光が反射している、まるで、望遠鏡に太陽光が――
銃声が一発、ギーシュは気になるおでこに暴徒鎮圧用弾丸を食らい昏倒した。
これくらいに書き込めば支援になってるかな?
軍曹か自爆男か!?
「こんのッ……紛争馬鹿〜〜!!!」
スパァンッ
「なかなか痛いぞ」
この男を召還してから、何故かどこからともなく召還できるようになったハリセンを
自分の使い魔に食らわせる、片手には物々しい狙撃用スコープが装着されたライフル
「狙撃はなしよ!狙撃は!」
「だが、君は『決闘とはどんな手を使っても勝つこと』と言ったではないか」
「うるさいわね!そんな卑怯な手段、許されるはずがないでしょ!やり直しよやり直し!」
ギーシュは再び待たされていた、まさか、教室から狙撃してくるとは
卑怯め!絶対に許しはしない!!現れたら即座にワルキューレの拳をお見舞いしてやる!
地団太のようなものを踏もうと、ギーシュは地面を踏みしめた
カチリ
……いま、なんの音がした、カチリ?まるでなにかのスイッチを入れたような…
足元を見ようと、視線を彷徨わせると、何故か目の前にタバサが立っていた
「手紙」
何故か、手紙とナイフを手渡される…足元が気になるので、そのままの体勢で
それを広げる……習い立てのこの世界の文字、差出人は、決闘の相手、ゼロのルイズの使い魔だ。
『ギーシュ・ド・グラモンへ、貴様からの宣戦布告状は確かに受け取った
だが、あいにく今日は学園食堂の重要な任務があるので、お前の相手をできそうにない
そこで申し訳ないが、足元のそいつが代わりに相手をする』
足元のそいつ?もしや、つい先ほどの、金属音のそれか…?
『すでに金属音を聞いたのなら、動かないほうがいい。
そこに埋まっているのは対人地雷というものだだ、足を離すと即座に爆発する。』
「退却」
どこからともなく取り出したモスグリーンのヘルメットを頭に被り
ギーシュが助けを求めるより早く、タバサはマイペースに遠ざかっていく。
『ミズ・タバサに渡しておいたアーミーナイフを使え、足を離さず、地雷を解体してみろ。
首尾良く無力化して生き残ることができたら、お前の勝ちだ。
以上。健闘を祈る。』
気がつけば、ギャラリーも遠ざかり、全員、いつのまにやら用意していた
モスグリーンのヘルメットを被っている。
「ま、またしても、あの男…!!」
当の使い魔は、むっつり顔で、一心不乱にジャガイモの皮をククリナイフで剥いていた。
シエスタに頼まれ、今日の夕食に出すオカズ作りの手伝いをしていたのだ、これが『重要な任務』である。
ジャガイモの山が、剥いていないものより、剥いてあるもののほうが多くなったころ。
中庭から爆音が響いてきた…窓がビリビリと震え、振動が伝わってくるが、すぐに静寂が戻ってくる
他の人間が顔を潜める中、使い魔は瞑目した。
「失敗したか…。」
「なにがあったんですか?」
「なに、気にするな、どこかで戦いに赴いた男が、命を落とした…。それだけのことだ」
シエスタは首を傾げたが、すぐに作業に戻っていった。
「こんのッ!究極戦争馬鹿っ!!」
すぱん!すぱあーん!
「またどこから取り出すか見逃した」
ハリセンで折檻されながら、使い魔は叩かれた頭を撫でた。
支援
このあとも、幾度となくギーシュとの決闘が繰り返されるが
その度にガスだの、電流だの、偽装した草むらからの狙撃だの
破壊の杖だの、爆弾だの、あーむすれいぶなど、どう見ても主人公じゃない手段をひたすらに彼は使い続けた。
………「土くれ」のフーケが現れたときは、身内と故郷を人質に取って
どこかの国のレコンキスタが来れば、相手が飛ぶ前に戦艦に爆薬を仕掛けて
なんか分身(しようと)する裏切りものに対しては、相手の口上中にショットガンを食らわせた
……なんかいろいろとやっていたようだが、それはまた別の話である。
そう、彼は東京都立陣代高校2年4組、傘係兼ゴミ係
現ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、相良宗介であった。
以上です、長編で挑戦したかったんですけど。
アルが使える状態で、千鳥抜きって、ほぼ無理だったのでこういうことに
題名は「ゼロメタルパニック!」でした
超乙!
そういやゼロの傭兵って軍曹召喚されたSSもあったなぁ
乙です。ここまで武器を使いこなすガンダールヴも珍しい。
>>258 誰召喚したかあっさりバレたら面白くないから小ネタくらいいいじゃないか
まとめサイトに入るとタイトルでバレてしまいますが
せめてバレないようなタイトル考えるべきじゃね?
ここでリアルタイムに投下されるものとまとめサイトを同列に考えるなよ
>>255GJ!
この軍曹からは微かにふもっふ臭がw
紛らわしいからタイトル入れろ。
誰が召喚されたかを隠すような作品じゃないだろう。
何言ってるんだ、小ネタだから隠すんじゃないか
元ネタ作品名を伏せてることが、オチにも過程に対しても、何ら意味を持たせてないじゃんか
ぶっちゃけ面白くもなんともない
単行本の表紙によるネタバレみたいなもんだな
最初何とのクロスなのか明確でない、ってだけで十分だと思うが>意味
あと
>ぶっちゃけ面白くもなんともない
ぶっちゃけすぎ
タイトルじゃなくてもかまわない。投下予告したレス番でもつけてくれ。とこういうことか。
まぁパっと見普通の長レスと見分けつかないし、つけてくれたほうが嬉しいんだぜ。
>>240 ちょっと待て
第5元素魔法は童貞だと強くなる筈
つまりミスロングビルは…
…ますますご褒美だw
>268
騙りが出る可能性もあるしな
>>269 気の強い姐さんで未体験でぇすかぁあああ!?
左脇腹の浪漫回路がギュンギュン回りそうだぜ!
未経験で、しかも上司(老いぼれ)から日々セクハラを受けている23歳(未経験)。
尻揉まれたり尻揉まれたり尻揉まれたり…
>>271 でも、ちょっぴり興味津々。
最初は好きな人の為にと
ファーストキスはとっておいてある。
【螺旋力全開】
>>273 ああ、だからフーケには使い魔がいないんだ
>>273 左脇腹の浪漫回路が全力全開でフルパワーでぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
浪漫回路って・・・外道校長かよもしくは妄想戦士ヤマモト最終回
盛りのついたトリスティンの貴族や平民に一石を投じる
熟年バージンのワルドとフーケが提唱するスローセックス
あの十代の頃のように勃たないけど、濡れないけど、僕らのペースで、ね
さぁ、来い。
だが断る
282 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 19:52:22 ID:onMq0dAn
若さ故の過ち…か。
なにやらわけのわからん流れになってるんでここで
・アクション仮面召喚
・カンタムロボ召喚
・ぶりぶりざえもん召喚
・いっそのこと全員召喚
と言ってみる
別にちょうどアクション仮面の回を見返していた事とは関係ない
>・ぶりぶりざえもん召喚
ルイズ「最近アンタ喋らなくなったわね・・・」
>>285 触れてはいけないものに触れたな…(´;ω;)
スゲーナスゴイデスのカードを召喚する気かw
>>285 てめーは今触れてはならんものに触れた
そんなこと言ってるとブライトさん召喚とかルパン召喚とか
ヤン提督召喚とかバンドーラ様召喚とか言っちゃうぞ!?
>>289 ああ、でもスタースクリームは来てるよなあ……って
しんみりしちゃったじゃないかチキショウ!
マリコルヌがガンダムヴァーチェを召喚
>>289 是非ロードス島戦記のディードも加えてくれ。
そしてルパンといえば久々に聞いたクリカンのレベルが凄く上がっていたことに驚いた。
昔は無理して真似てますって感じが見え見えだったのに最近はだいぶ自然になってきた。
>>285 中の人ネタだとおれは、グレイ・フォックスとブンドルが出てくる。
次回作で機械音声でそっくりの声を作ったり、録り溜めしてたぶんだけ使って新規声優使わなかったり、本当に愛されてる人だよね……。
……ああ、フォックス
本当に、惜しい人を亡くしたなぁ
あーる君は? とさか先輩(神谷)とのかけあいは泣けてくる。
鰯水(鈴置)さんも効くけど。
296 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 20:44:00 ID:onMq0dAn
マタ、アエルトイイネ サナエ
盗賊王なバクラ召喚
ディアハウンドが倒せそうに無いな
>>291 マリコルヌが「絶望した!」とか「宇宙は良い……」とか言い出すのか。
>>297 コルベール先生ならやってくれるさ。
>285
「貴様の血は何色だーーーっ!!」
ヒャオォォーーーッ!!
なら社長を呼ぼう。もちろんブルーアイズ付きで。
ここはSSスレだ。
ぶりぶりざえもんもここでは饒舌ってくらい喋れるさ。
なのに…なぜこんなに悲しいんだ?
電撃ブタのヒヅメ大作戦を見たからさ
>>300 カイバーマンでよくね?
あの人正義の味方だから
中の人っていや、セイラさんやカクリコンも逝ってしまわれた…切ないねぇ…切な過ぎるよ…
>>296 その文は勘弁してくれ…
あのメールはまじ泣いたから…
ふと思ったんだが、闇マリクを呼んだら
メイジとして扱われるのか?
一応マントも杖も持ってるし
>>302 GXだっけ?
GXはよくわかんないんだよなぁ。
>>305 でも魔法は使えないしなぁ。
魔法カードもありなら話は別だがw
>>306 社長が自分の嫁の頭を模したマスクつけてるだけで
のりは社長そのものだから問題ない
投下しても宜しいでしょうか?
さあ飛び込んでおいで
どぞー
「ギーシュ、お前ルイズに何て聞いて何て答えられた?」
宛ら頭痛すら感じるこの状況で俺はこう切り出す。本気で余り関りたくはないのだが、状況が読めない以上仕方ない。
「いや……ルイズに『トニーを少しの間貸してくれ』って言ったら『私は嫌。だけどトニーの返答如何では考えなくも無いわ』って」
「ならダメだろ。ルイズが嫌だって言ってんだから」
逃げる口実が出来てすかさず俺は逃げる。自業自得で陥ったこの状況に巻き込まれるのはごめんだ。
「そこを何とか!……ほら、ルイズだって考えなくも無いって言ってる事だし……」
「……ルイズどうする?正直、俺は二股の自業自得を助ける気は無いがね」
俺に判断を振られたルイズは、苦悶の表情を浮かべながら苦し紛れとも言うべき答えを述べる。
「うーん……仕方ないわねぇ……トニー、気が向いたら助けてあげて」
「ああ、わかった」
ルイズの答えにパッっと笑顔になる優男。現金な野郎だ。
「すまない、恩に着る」
「だが今直ぐじゃない。明日は用があるから明後日以降だ」
流石にキュルケと青髪で短髪の姉ちゃんをドライブに連れて行くなどと言える筈も無いからな。
――翌日。
「どうしてルイズが居るのよ」
「さぁな」
翌日、講義が終った後約束の待ち合わせ場所であるガレージに行き、キュルケと青髪で短髪の眼鏡を掛けた姉ちゃんと待ち合わせを
した所、ガレージの裏からルイズが出て来た。待ち伏せしていやがった。
「……トニーの後を付いて来ただけよ。主人として当然じゃない!」
ストーカーかヒットマンやらに間違われるぞ。
ルイズとキュルケは本当に仲が良いので後部座席に乗せ、こちらの青髪の姉ちゃんを助手席に座らせる。察してくれ。
「あなたトニーが来た日にクルマに乗ったのだから、乗らなくても良いのに」
「別に良いじゃない」
別にそんなものでもないのだがな……それにしても、この青髪の短髪の姉ちゃんは静かに風景を眺めているな。ほぼオフロードだから
下は凸凹なのだが、後ろの二人の憎まれ口の言い合いに比べれば可愛いものだ。
「姉ちゃんは可愛いな、他の貴族のように憎まれ口一つ叩かないしな」
「……そう?」
何気なく言った一言だが、この青い髪で短髪の姉ちゃんはそう答えながら赤くなっている。しかし余計なものも釣れた様で、ルイズと
キュルケはまんまと釣れてしまった。
「「それはどう意味!?」」
「言葉のあやだ、気にするな」
その後も他愛のない会話が続きながら、学院周辺を走る。でも何処もオフロードだからボコボコでケツが痛い。
「それにしても、前から気になっていたんだけど、どうしてモンモランシーの事を知っていたのよ?」
「ああ、あれはルイズに名状し難い何かを喰わされそうになった時に俺逃げただろ?……あの時にMr.コルベールの部屋を案内して
貰ったんだよ。お陰で命拾いをしたよ」
こう言うとキュルケは爆笑し、この短髪の姉ちゃんは笑いを堪えていた。だが事実だから仕様がない。黙っていたら本当にあの猫でも
喰わなそうなモノを喰わされそうになったんだぞ。
「あとさ、いい加減名前覚えてあげなよ……タバサの」
「んん?この姉ちゃんの名前か……そう言えば聞いてなかったからな」
タバサと言うのか、以後覚えておこう。
「なぁ、ここだけの話だが……極めてここだけの話だが俺の質問に答えてくれ」
一心地ついたところで、俺は引っ掛かっていた事をぶつけてみる事にした。
「何かしら?」
「昨日、学院内をふら付いていただろ?その時に俺は学院内でおかしな女に誘惑された。見た目この学院の関係者だろう容姿で、緑の髪で
ポニーテイル、実際は若いんだろうが年増風で眼鏡を掛けた女なのだが、誰だか分かるか?」
この質問に少々場が沈黙する。
「多分……容姿的に合っているのは……だろうけど、誘惑……ううーん……」
あのキュルケが本気で悩んでいる。
「分からないか?」
「いや、思い当たる節は大いにあるのだけど、イメージがねぇ……イメージを無視すれば、多分間違ってなければ、ミス・ロングビル……」
捻り出した答えは『ミス・ロングビル』。そのロングビルがどうして俺を?……全く意味が分からん。
「生真面目そうでお堅そうな年増が誘惑……少々イメージがねぇ……トニー、何かされたの?」
「いや、文字通り誘惑されただけだ。身をかわしたら今度は『男好きか?』と言いやがった。思わず俺は『Fuck you!!』って言っちまったね」
キュルケとルイズは爆笑している。リアルな事だけに面白いのだろう。
「はははは……可笑しい。その時のミス・ロングビルの表情見たかったわ……」
キュルケがこれほど笑うほど、あの女は真面目なのだな……これは注意深く見ていた方が良さそうだな、必ず何かしでかす。
「それにしてもさトニー、ギーシュのあの一件本当に手助けするの?」
ああ、面倒臭い懸案を今持ち出さないでくれルイズ。折角気の良い姉ちゃんに囲まれてドライブに勤しんでいたのによ。
「やるって言っちまった以上、やるしかあるまい」
mission:『ギーシュ・ド・グラモン:I Scream You Scream』
今回はこれにてお仕舞です。
この世界でラジコンは面白そうかな……
では失礼します。
メイジなのに自動車移動が普通になってきている…w GTA乙!
>>306 アニメじゃサンダガ使ってたぞ、あの闇ヘタレは。
社長は決闘(デュエル)なんぞ挑まれたら物凄い毒舌かましそうだ。
ギーシュ「決闘だ!」
社長「貴様…誰に向かって物を言っているのかわかっているのか…この身の程知らずが!」
勝った後は、
社長「ギーシュ!貴様はそうやって地に這い蹲っているのがお似合いだ!立ち上がる事すら出来ぬこの負け犬めが!」
うん、絶対に友情なんか芽生えない
社長はルイズに対しても「この凡骨が!」とか言いそうで困る。
遊戯王キャラはモンスター実体化すると強すぎなんだよな
まぁそれが無かったらテンション高いだけになるんだが
そして一部のキャラが暴虐の限りを尽くしそうで困る
投下準備完了ということでひとつ。
予約はないですよね?
遊戯王関連だとRの天馬月光も能力(と言うかデッキ)的には面白そうだとか思ったり。
主力のモンスターがエルフだし、装備カードのモンスター化(デルフが自力で戦闘可能!?)も面白い。
……だけど俺は敢えて三沢召喚を推してみるぜ! 無論、光の結社脱退直後(真っ裸)の状態でな!!
ないみたいなので投下開始。
任務を終え、タバサと共に学院に戻ろうとしたヘイズであったが、
「寄るところがある」
というタバサの鶴の一声で、進路変更をすることになった。
いつも以上に感情を消した表情をするタバサの意図に気付いたヘイズは、
「けどいいのか? オレは細かい事情を根掘り葉掘り聞くつもりはねえし、別にこれ以上どんな事情を隠していても、これまで通り普通に手伝ってやるが」
「友人の権利であり使い魔の義務」
と言葉少なに固持するタバサ。
ヘイズも使い魔の件を盾にタバサに無理やりついてきた手前、使い魔の件を出されると断るわけにはいかない。
ヘイズはまいったというように両手をあげて、
「オーケー。じゃあ目的地はどこだ? ハリー、ガリアの地図を出してくれ」
『了解です』
ポスターのように丸まったマンガ顔がスピーカーから飛び出して、ウィンドウにガリアの地図を表示する。ハリーはこういうところで芸が細かい。
ウィンドウはひらひらと宙を漂い、タバサの前でぴたりと静止した。
「ここ」
タバサの指し示した場所。それはラグドリアン直轄領、オルレアン家であった。
いきなり一五〇メートル級の艦艇が降りたら、さすがに大騒ぎになるのではないかとヘイズは危惧したが、タバサの「無駄」という一言によってオルレアン家の屋敷前庭に着陸した。
立派なつくりの屋敷に荘厳な紋章。さすが王家の家だな、と驚くヘイズはふと違和感を感じた。
まず紋章に大きくバツの字に傷が入っている。
そしてこれだけ大きい屋敷なのに、人の気配がしない。キュルケに聞いた話では、一五〇メートル級の航空艦なんてのは、ハルケギニア全土でもアルビオンがひとつ所有しているのみだそうだ。
そんなもので庭に降り立ったというのに、誰も出てこないというのはおかしい。多かれ少なかれ、驚いた執事か侍女が現れても不思議ではないはず。
首をひねりながらタラップを降りたヘイズとタバサに、執事がたった一人で現れタバサに恭しく頭を垂れた。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
他のものが現れる気配はない。これは少し異常だと、ヘイズが話しかけようとしたところ、
「事情はお嬢様から伺っております。詳しい話は客間でいたしましょう。ご案内いたします」
と遮られ、ヘイズは仕方なく後を付いていくことにした。
客間へ行く最中、ヘイズは屋敷内の様子を横目で眺めた。確かによく手が行き届いているのが見て取れるのだが、その割には生活観というものを微塵も感じない。
どこか嘘くさいというか、無理やり取り繕っているような――言うなれば先日ヘイズが使用したデバイスよろしく、張子の虎的な見た目で真実をごまかしているような……
客間に案内されたヘイズとタバサがソファに座ると、二人をここまで案内した老執事が改めて頭を下げた。
「お帰りなさいませシャルロットお嬢様。そしてようこそいらっしゃいましたヘイズ様。私はこのオルレアン家の執事を務めさせておりまする、ペルスランと申します」
「どうやらオレの経歴とかもろもろは、すでに伝わってるみてえだな」
ヘイズの呟きにペルスランは首肯し、
「はい。シャルロットお嬢様の手紙から、概ねの事情は把握しております。お嬢様がヘイズさまを連れてきた時は、お嬢様の現状を全て伝える、とも」
とそこで一端きり、タバサの表情を伺う。タバサは視線で続きを促し、立ち上がる。
「母様の様子を見てくる」と言い残し、客間を出て行った。ヘイズはタバサが客間から立ち去るのを見届けて、
「タバサは自分のことを何も言おうとしねえんだ。だからこそ、ここであんたに聞いておきてぇ。タバサに一体何があって、王家の者があんな任務なんてやらされてるのか」
「先代ガリア王が崩御なされた際、跡継ぎとなる王家には長男のジョゼフ様と次男であるオルレアン公がおりました。
しかし長男のジョゼフ様は、お世辞にも王の器とは言えぬ暗愚の方でした。そしてオルレアン公は、困ったことに人望にも才覚にも恵まれたお方でした。
オルレアン公を王に据えようとする一派が持ち上がり、王宮は二分されました。そしてオルレアン公は、狩猟の途中で胸に毒矢を受けお亡くなりに……」
そこまで言って、心苦しいように表情をゆがめた。タバサの前で、タバサの辛く悲しい過去を語ることが苦痛でしかないように。
「さらにガリア王となったジョゼフさまは、シャルル様の命だけでは飽き足らず、当時まだ年若い少女でしかなかったお嬢様までもを狙ったのです。
ジョゼフはお嬢様と奥様をパーティーに招待したのですが、お嬢様の食事には心を狂わせる、恐ろしい毒が仕込んであったのです。
そして奥様はお嬢様の身代わりになることで、お嬢様の命だけは守りました。それからというもの、お嬢様は留学という名目でおいやられ、厄介ごとだけは押し付ける始末……」
とそこでペルスランは耐え切れなくなったように、俯いて顔を覆った。
……ようするに後継者争いの被害者ってことか……
ヘイズはそこでふと、
「そういえば、タバサの母親はどうなってんだ? 心を狂わせたとか言ってたが」
ペルスランは、逡巡した表情を見せ、
「それは実際に見ていただくのが最も早いかと……」
支援
屋敷の最も奥深くに位置する部屋、そこにタバサの母親がいるということだが。
ヘイズとペルスランが部屋に向かうと、ちょうど扉から出てきたタバサの姿があった。その瞳にいつも以上の寒さをたたえながら、淡々と扉を閉める。
「おい、タバサ?」ヘイズの問いに、わずかに表情を固くして「先に客間に戻ってる」とだけ一言。
タバサの姿が見えなくなったのを確認してから、ペルスランが重々しく扉を開く。
「これが今の奥様の状態です。本当なら人に見せたくないのですが、お嬢様が信頼しておられるヘイズ様なら、見せてもよいでしょう」
扉をくぐったヘイズの目に飛び込んでいたのは、タバサと同じ青い髪を伸ばし放題にし、綿が飛び出た人形に頬ずりを繰り返す痩身の女性の姿。
すぐに分かった。この女性の精神は普通ではないと。痩身と形容したが、実際はただやつれているだけだし、人形から綿が出ているのは長年大事にしたからではなく、綿がはみ出るほど頬ずりを繰り返したせいだ。
言葉も出ないヘイズに、タバサの母親はきっ、と爛々とした目を向ける。
「今日は王家の回し者の多い日ね。わたしの可愛いシャルロットは誰にも渡さないわ!」
セリフだけ聞けば、それは気高ささえ感じる凛々しい言葉だったが、身をやつれさせ瞳を冷たく輝かせながら言えば、病的な印象しか残さない。
「ヘイズ様。今日はこれまでに……」
ペルスランに頷き、ヘイズは部屋を後にする。
「お嬢様は学院でタバサと名乗っているそうですね。幼少のころのお嬢様は大変寂しい思いをしておりまして、そのことを不憫に思った奥様が自ら下々に混じって人形をお嬢様に与えたことがあるのです。
人形をもらったお嬢様はたいそうお喜びになって、名前をつけて妹のようにかわいがっていたのです。今は奥様が抱きしめているあの人形はそのときの人形で、名前は――」
「タバサ、か……」
ペルスランはヘイズの呟きに首肯した。
「なあハリー?」
神妙な顔つきで通信機に向かって呟くと、甲高い合成音声がどこからともなく響きだした。
『なんですかヘイズ』
「いつだったか学院長のジイサンが、この世界に呼ばれたものは使命を背負うって言ってたよな。オレは今回の件で、なんとなく使命ってやつがなんなのか分かったぜ」
『さしずめ「タバサ様の笑顔を取り戻す」といったところですか?』
ハリーはヘイズの内心を読み取ったように代弁する。その言葉に驚愕の表情を浮かべるペルスランを見ながら、
「あの鏡みてぇな物が現れたときによ、何かに呼ばれた気がするって言っただろ? あれは多分タバサの助けを呼ぶ声みてぇなもんだったんだな」
『なるほど。科学全盛期代表の人間としては実に非科学的な発言ですが、魔法なんて物が実在する世界です。今更おどろきはしません』
「ってこった。タバサについては任せてくれ。使い魔として、便利屋として、そんでもとの世界に帰るため。きっちり最後までつきあうからよ」
というヘイズの言葉に、ペルスランはぴしりと姿勢を正し、「お嬢様のこと、よろしく頼みます」と恭しく一礼した。
そのころプチ・トロワ宮殿ではイザベラが報告書を読んでいた。
「任務は『翼人の掃討』だったはずなのに、なんで翼人と仲直りなんてしちゃってんのよ! バッカみたい! 私は掃討しろって言ったのよ!」
タバサが任務を無事終えたことに、怒り心頭といった様子である。枕をばしばし叩き、傍に居る少女にきっと青い瞳を向ける。
「ちょっと、これは契約違反ってもんじゃないの!? アンタもそう思うでしょ……ねえ、フィア!」
顔を真っ赤にして怒るイザベラの剣幕に、「え、えっと……」と口ごもるフィアと呼ばれた少女。
タバサが呼んだ船が存外に大きかったものだから、イザベラは対抗心を燃やし、自分もサモン・サーヴァントを行ったのだ。
結果出てきたのは、どことなく気弱そうな金髪の少女。
先日遠出をして怪我をしたときに、背中から翼を生やしてイザベラを治療したことによって、先住魔法の使い手を呼んでしまったのかと戦々恐々したが、実際できることは怪我の治療だけ。
それもトライアングルレベルより少々マシ程度のもので、薬品を使わないこと以外はほとんど通常の水メイジと変わらない能力だった。
割りかし気が利くほうだし、よく働くので専属の侍女扱いにして話し相手になってもらっているのだが、
「えっと、じゃないの! 私は掃討しろって言ったの。じゃあ何で一人も倒してないどころか、そのまま住み着かせちゃってるの!?」
「でも余計な血が流れなかったのはいいことですし、村人が納得していたのならそれでいいんじゃないでしょうか……」
などと、イザベラにとって生っちょろい意見ばっかり述べるのだ。
侍女たちは自分の身代わりができて嬉しい気持ちと、常にイザベラの傍に居させられて可哀相という気持ちでフィアを見ていたのだが、
「だーかーらー! 勝手に任務の内容と違うことをされたら困るって言ってるの! フィアも分かるでしょ。ケーキを頼んだらクッキーが現れるようなものなのよ?」
「えっと……それは例えとしてはちょっと……」
などとイザベラにとってフィアはほとんど妹扱いである。
本当にイザベラをよく見ている者が居たら、今のフィアに対する態度を見て「角が取れた」と言うだろう。それでもまだ底意地の悪さと口の汚さは消えていないのだけれど。
タバサに妹代わりの人形が出来てから寂しさがまぎれたように、身分とか魔法の巧拙について色眼鏡で見ないフィアという存在は、イザベラにとって大きな心の変化をもたらしていた。
「あーもう、早く次の任務が来ないかしら。そうねえ、ガーゴイルにきっちりと任務が何たるかを教え込んでやる必要があるわね」
腕組みをしてうーんと唸りながら、早速次の任務へと思考が移るイザベラ。
フィアはヒヒヒと意地の悪い笑顔で浮かべるイザベラを見て、「錬さん、月夜さんが捻くれたらこんな感じなのでしょうか」などと、悪気がなくとも本人が聞いたら激怒しかねないことを呟いた。
時を同じくして。
トリステイン城下町にあるチェルノボーグの監獄で、ベッドに腕枕をしながら寝そべる女性の姿があった。
トリステインを荒らしまわった怪盗、土くれのフーケである。先日ヘイズたちに捕らえられて以来、その悪行ゆえに、トリステインでもっとも強固な監獄と言われるチェルノボーグの監獄にぶち込まれていた。
フーケはもう何十回目かになる牢の鉄格子の数を数える行為に耽りながら、気だるげにぼやいた。
「はあー。どうしたもんかねえ。こりゃあ行く末は縛り首か島流しか……ここを出ても、生きてテファに会えるかねえ……」
「じゃあさっさと泥棒家業から足を洗ってよ。まったく、ヘイズに会いに来たのにアンタのせいで無駄足だよ。テファのお願いがなかったら、見捨ててるところなんだからね?」
と鉄格子ごしに聞こえる、ため息混じりな少年の声。
「おやおや、遅かったじゃないかい錬。情報収集とやらはもういいのかい?」
おどけた様子でからからと笑うフーケに、錬は顔を手で覆いながらため息一つ、
「大体、僕が便利屋やってるぶんだけでも、テファたちは十分に食べていけるじゃないか。僕の手伝いをしてくれれば、アンタがわざわざ危ないことしなくてもいいんだ」
と心配半分あきれ半分で指摘する。
「ほら、そこどいて。とっとと出るよ」
言うが早いか、錬はさっと鉄格子の前を払う動作をすると、指を突き出して軽く弾いた。乾いた音が響き、鉄格子が砂のように崩れ落ちる。
その様子にフーケは目を丸くしながら、
「こりゃ驚いた……! アンタ、あの赤毛と同じことができるのかい」
「ていうかこれはただの劣化コピー。本家本元はあっちだよ」
と錬は鉄格子を蹴飛ばして、
「ヘイズに立ち向かっていったアンタも無茶だよ。人食い鳩っていったら、僕のいた世界じゃ知らないものは居ない凄腕の便利屋なんだよ?
僕なんて対策を立てた上で二人がかりで挑んだのに、僕たちは二人ともほとんど無傷のまま負けたこともあるんだから」
と眉根を寄せながら言った。
ドイツ語の4番がなぜここに支援
鉄格子をくぐりながらフーケは、心底悔しそうに言う錬をニヤニヤと眺めて、
「そりゃ、アンタたちが弱かっただけじゃないのかい? 確かにあいつは強かったけど、二人がかりで倒せないってことはないだろ」
とのたまうが、錬ははっとした表情で、
「とんでもない! 僕たちは両方カテゴリーAだったんだ。こっちの言い方だとスクウェア・クラスってやつさ」
ととんでもないことを言い放った。
千本以上の螺子を操る世界最強の人形使いと、魔法士の完成形にして魔法士全ての雛形である悪魔使いの二人が挑んで、それでも勝てなかった存在。
錬はそのときの戦いを思い出して、ぶるりと震えた。頭を振って考えを打ち払い、
「とにかく、さっさとここを出るよ。いつ見張りが来るか分かったもんじゃないんだから」
「あいよ。んじゃ、とりあえずラ・ロシェールにでも向かおうか。久しぶりにテファにも顔を見せたいしね」
こうして達成率百パーセントの便利屋と、トリステイン中に名を馳せる怪盗という奇妙な二人組は、懐かしい顔に会うべくトリステイン最大の港町ラ・ロシェールへと足を向けた。
投下終了です。
とりあえず、今回でヘイズの使命が明らかになりました。というかこの結末が書きたくて、書き始めたんですけどね。
タバサの冒険2巻でイザベラの挿絵が可愛すぎたので、前々回で嫌なヤツにしすぎた反動で今回ちょっとだけ可愛くしてみました。
あとフィアはそのうち、物語中で一二を争うキーパーソンになります。
執筆時BGM:リトルバスターズ! メグメル
乙、それと執筆時BGMとかは書かないほうが良いですよ。
大抵「だから何?」としか思われませんし、下手すると反感すら買いますよ
たしか、原作のあとがきネタだったはず。
>>331 >>332の言うとおり、原作のあとがきネタです。
他の人が「今回のNG」とかやってるのを見て、「じゃあ僕も」的にやったのですが、不快なら今後は止めておきます。
GJ!
>>332 確かに原作のあとがきで毎回話が終わるごとに作者が書いてるね>執筆時BGM
普通に同人ソフトの音楽が出たときは噴いたけど。
>>321 君はその人物を主人公にする事がどれほどの苦行、偉業かわかっていない。
空気を主人公にするんだぞ、下手をすればSSそのものが空気の侵食を受けかねん!
あとがきネタだとしてもBGMは辞めといたほうがいいと思う。
337 :
虚無の王:2007/10/25(木) 23:35:38 ID:oMZXevVD
今、空いてます?
OKだと思います
「あんた、背高かったのねえ」
「へへーっ」
得意気な笑みを浮かべる空に、ルイズは戸惑いを小匙一杯含んだ声で言った。
何時も見下ろしていた筈の笑顔が、頭一つ上にある。何とも奇妙な気分だ。
空は両脇に松葉杖を衝いていた。
街に出る為、以前からコルベールに製作を依頼していた、と言う。つまりは、普通の松葉杖では無いのだろう。
「どうでしょう?注文通りに出来ているとは思いますが」
「そいつは、実験して見んとな」
虚無の曜日早朝。ヴェストリの広場に人影は無い。
居るのは、王都トリスタニアへの出発を前にしたルイズと空。そして、一組の松葉杖を持って来たコルベールだけだ。
空は歩き出す。歩くと言うよりも、走り出す。両の松葉杖を翼に変えて、飛ぶ様に走る。
あまりに機敏だ。機敏過ぎる。この男は、両脚に障害を負っているのではなかったのか。
驚きつつも呆れていたルイズは、次の瞬間、驚死した。
空が飛んだ。
そう錯覚した。恐るべき速さだ。脚は一切、地に着ける事無く、松葉杖を交互に繰り出してひた走る。馬よりも速い。
広場を一分足らずで一周。地面を抉る様にして停止。
「よう出来とるんやないか」
「どうやら、問題は無い様ですね」
「ミスタ・コルベール。それは一体……?」
「ああ。ミス・ヴァリエール。これは、“愉快な蛇くん”の応用だ」
唖然とするルイズに、コルベールは誇らし気な笑みを浮かべた。
油を燃焼させて、ピストンを動かす“愉快な蛇くん”なら、一年生の時に授業で見せられた記憶が有る。
生徒の反応は、一口に不評だった。
車や船に取り付ければ、動力にもなる。だから、どうした?そんな事は、魔法を使えば良いではないか――――
「こいつの構造は、もっと簡単。地面を衝く時、燃料点火して、その圧力で杖が伸び縮みしよる。それを繰り返せば、御覧の通りや」
「……それ、どうやって止まるのよ」
「スイッチを切る。後は腕力」
「あんた以外、使えないじゃない」
「まあ、それが最大の欠点だな」
コルベールはあっさりと認める。とは言え、この杖は元々、空専用に製作した物だし、その過程で幾つかの技術を入手出来た。まず、成功と言って良いだろう。
「あっちの方はどや?」
「今、強固かつ快適、簡便に固定する方法を検討中です。あと、長さを調節する機構ですが、量産するとなると、精度を保てるかどうか……」
「ま、最悪、長さは練金ちゅう手もあるやろ。杖、あんがとな。貰とくで」
二人はコルベールと別れ、厩舎に向かった。
「なんで、そんな物作ったの?」
「街は狭いやろ。車椅子やと不便かと思うてな」
確かに混み合う街中を車椅子では不便だろう。だが、狭い所用と言うなら、おかしな加速装置など不要ではないか。
「で、ミスタ・コルベールと話してた“あっち”て言うのは?」
「手使わんでええ松葉杖」
それは、杖と呼ぶのだろうか。
「着脱が簡単で、脚を切断しとらんでも使える義足くらいに考えてくれればええわ。なんぼか需要有るやろ」
空は馬に乗れない。仕方が無く、ルイズは馬車を選んだ。
両脚の利かない人間に御者台は危ないし、貴族が自ら手綱を取る訳にもいかない。
そこで、御者も手配。勿論、無償では無い。
「まあまあ、荷物持ちくらいはするさかい。堪忍してや」
「杖で両手塞がってるじゃない。どうやって持つ気?」
「手提げ袋が掛かる様に、松葉杖にフックが付いとる」
二人は馬車に乗り込む。ここから、王都トリスタニアまで三時間だ。
* * *
ルイズの部屋の戸を叩く時、キュルケは久方ぶりに胸が高鳴るのを感じていた。
空が出て来たら、どうしよう?
まず、抱きついてキスをしようか。それとも、目配せ一つを合図に、小洒落た挨拶でもしてみようか――――
あれこれ考えていると、楽しくて楽しくて仕方が無い。こんな事は、一一歳の時、若い教師をうっかり退職に追い込んでしまって以来だ。
ルイズが出て来たら?ああ、そんな可能性も有ったかしら。
この時、キュルケはもう一つの可能性に直面した。返事が無い。留守だろうか。扉には鍵が掛かっている。
躊躇わずにアンロック。校則違反?犯罪?だから、どうした。恋は全てを許す物だ。
「相変わらず、色気の無い部屋ね……」
ベッドが二つ在るのは、喜ぶべき事だった。人の恋人を奪うのは楽しいが、一番大切な物は駄目だ。命の奪り合いになる。
全く、ルイズの様なタイプは一見固いが、一度、男に入れ込んだら、どこまで執着するか判らない。だから、トリステイン女は嫌なのだ。
「あら……?」
キュルケは首を傾げた。空が居ないのに、車椅子が在る。どう言う事だ?
だが、考えようによっては丁度良い。この車椅子には前々から興味が有った。迷わず掛けてみる。
動かない。ロックが掛かっているのだろうか。あちこち見回して、それらしきレバーを発見。解除。
「うわっ……なにこれ?軽い。軽いなんて物じゃないわね」
駆動輪に手を当てると、車椅子は殆ど抵抗も見せずに前後した。
魔法がかかっている訳では無い。それだけ、機械的に優れているのだ。
だが、それだけでは、昨夜に体験した出来事には説明がつかない。
車椅子が軽いからと言って、空の膂力が並はずれているからと言って、風竜並の速度で走れるか?壁を走れるか?屋根より高く跳べるか?
出来る訳が無い。何か秘密が有る筈だ。
キュルケは夢中で探した。あの時の事を思い出すと、今でも体の奥がカッと熱くなる。
本体脇に小さなスウィッチが並ぶ。これだろうか。
適当なスウィッチを叩く。何も起きない。
どうなっているのだろう。何気なく駆動輪を回す。
「ん?……んっ……んんっ?――――」
車椅子が前進した。明らかに、自分が意図したよりも速く、距離も長い。
わっ――――小さく悲鳴。
気付いた時には、軽く壁にぶつかっていた。
壊しはしなかっただろうか?キュルケは不安になる。ともあれ、これ以上は止めておいた方が良さそうだ。
車椅子を降りる時、鍵穴を見付けた。
なんだろう?
試しにアンロック。座席の下に物入れを発見する。
キュルケは唖然とする。
中には小さな機械部品が収まっている。
何に使う物かは判らないが、その驚くべき精度は一目で判る。おまけに、同じ部品は寸分の違いも無し。
ゲルマニアでもこんな物は造れない。
四影流 奥義 支援の構え!
キュルケは一枚のカードを手に取る。
どの様な技術で彩色されているのだろう。
それも気になったが、それ以上に刻まれている文字だ。読めはしないが、見覚えが有る。
家宝の魔道書――――変わり者の祖父が買い取り、解読も試みたが、文字種が信じられない程多い為、とうとう断念した――――にそっくりだ。
あの魔道書は召喚実験で現れた物と聞いている。
空の祖国の物だろうか。
「ダーリンなら解読出来るのかも……」
まあ、いいか――――キュルケはあっさりと結論を出した。
殿方を興奮させる魔力を帯びた魔道書。家宝と言うが、自分には大して意味の無い品だ。
中身を元通りにして、座席を戻す。
それにしても、二人はどこに行ったのだろう。
ふ、と窓の外を眺めた時、門から馬車が出て行くのが見えた。一瞬、覗いた黒髪。見間違えようが無い。
「なによー、出かけるの?」
キュルケは部屋を飛び出す。相手が馬車なら、追い着く手段は一つしか無い。
タバサの部屋まで、一息に駆ける。
ノック。返事が無い。更に戸を叩く。叩き続ける内に、反響音がおかしくなる。
愛すべき友人が、無情にもサイレンスの魔法を使って、無視を決め込んでいるのだと悟るや、迷わずアンロック。
タバサは部屋の中で本を読んでいた。
キュルケは声が届かない事を知りながら、大げさに二、三言喚いて見せる。必死さをアピールする為だが、相手の共感は得られなかった様だ。
仕方なく、本を取り上げて、無理矢理振り向かせる。
漸く、サイレンスが解かれた。
「タバサ、出かけるわよ!支度して!」
「虚無の曜日」
「わかってる!あなたにとって虚無の曜日がどんな日かは、よくわかってるわ!でも、今はそれ所じゃないのよ!恋なのよ、恋!わかるでしょう!?」
「トリステイン語でおk?」
タバサは淡々と言った。
「最近のあなたの言い方、たまに引っかかるわ。ああ、もう!私は恋したの!その人が憎っくきヴァリエールと出かけたの!馬車でよ!あなたの使い魔じゃないと追いつかないの!判って!」
タバサは杖を手に、立ち上がった。
空と言う邪魔者も無く、久しぶりに読書に没頭していたが、他ならぬキュルケの頼みだ。仕方が無い。
高く、高く、口笛を一つ。
窓から飛び降りる。キュルケもそれに続く。タバサの使い魔、風竜シルフィードが二人を受け止める。
「どっち?」
「わかんない……慌ててたから」
それを聞いて、タバサはシルフィードに耳打ちする。
「人二人。食べちゃダメ」
* * *
一体、何事だろう――――
シエスタは当惑していた。
貴族の少年が、目の前に屈み込んでいる。自分の脹ら脛を捧げ持ち、熱心に“飛翔の靴”を弄っている。
車輪を回しては唸り、興奮と感嘆とが入り交じった声を上げる。
「あの……つまり……ミスタ・グラモンはこの靴に興味が有る、と……」
「うむ。そうなのだ。これは実に素晴らしい。どうして、今まで気付かなかったのだろう」
「で、では……私の脚――――」
言いかけて、シエスタは自分の失敗を悟った。藪蛇だった。
今まで、“飛翔の靴”ばかりを見ていたギーシュの目線が、嘗める様に這い上る。
「ももも、勿論、この素晴らしい“靴”を操る“脚”の方も、と当然、よく調べてしかるべきだな。う、うん。君は実に聡明だ。でで、ではス、スカートを……っ」
「ま、待って下さい!靴ならお見せします!お見せしますから!」
シエスタは慌てて退いた。
踏み台を椅子代わりに、靴を脱ぐ。必要以上に熱烈な目線を送るギーシュ。実にやり難い。
「して、これはどう言う構造になっているのだね?」
「今、分解してお見せします」
シエスタが工具を取り出した時、ギーシュは仰天した。分解するなら、工具くらい使うだろう。当然の話だ。
数が当然では無かった。
袖口の前後から、エプロンの裏から、ポケットから、瞬く間に現れ現れ溢れる数多の工具。その数、三桁に届かんばかりの勢いだ。
「き、君はメイジだったのか!?……いや、杖が無い。まさか、先住っ!――――」
「はあ?よく判りませんけど、私はただの平民です。魔法は使えません」
いや、平民かも知れないが、“ただの”では無いだろう。隠し持つ手段も、取り出す方法も、ギーシュには見当も付かない。
「では、分解しますね――――はい」
と言う間に、“飛翔の靴”はバラバラに分解され、部品ごと、綺麗に並べられていた。
「……部品を見せられても、よく判らないのだが」
「では組み立てますよ――――はい」
と言う間に、靴が出来上がっていた。
「うむ、なるほど――――全く、見えなかった」
何が何やらさっぱりだ。
「君はやはりメイジではないのか?時を操る魔法を使えるとしか思えない」
「ですから、私はただのメイドです」
では、ゆっくりと組み立てて見せますね――――シエスタは瞬く間に靴を分解すると、今度は説明を交えながら組み立てて行く。
想像以上に部品が多い。特に車輪回りは精巧。完成した時、ギーシュは溜息をついた。
「なるほど――――これは凄いな。それにしても、これの部品は、一体どこで作っているんだ?」
「タルブ村です。ラ・ロシェールの港町に近い小さな村でして……」
その小さな村で、どうしてこんなにも冶金技術が発達したのだろう。
最早、優れている、と言うレベルでは無い。奇形的と言っていい。
「その村に行けば、この靴が手に入るのか?」
「それでしたら、私の予備を差し上げましょうか?……あ、でもサイズが合いませんよね。手紙で送ってくれる様に頼めば……」
「いや、サイズは魔法で調整出来ると思う。是非欲しい。今欲しい。勿論、謝礼はする」
「では――――」
支援
タバサのトリステイン語でおkに吹いた支援?
従業員用の寮へと走ったシエスタを、ギーシュは一人、その場で待つ事になった。
真っ白な洗濯物が風に靡いた。山の様な量だ。どうやら、シエスタは働き者らしい。
良いメイドだ。何より、とても可愛い。あの娘なら、少々ドジでも構わないとさえ思えて来る。
いや、寧ろドジな方が好ましい。ドジであるべきだ。粗相を働いたメイドにオシオキするのは、主人の権利であり、義務ではないか!
いっそ、グラモン家で引き抜けないだろうか――――いや――――ギーシュは頭を振る。
止した方が良い。家庭不和の原因になりかねない。全く、両親が何度、別居した事だろう。
そこまで考えた時、シエスタが戻って来た。
「あの、慣れない内は何度か転ぶと思います。走ると言うよりも、滑るイメージで足を運ぶのがコツです」
「判った。ありがとう」
礼を言って、飛翔の靴を受け取る。
なるほど、確かに小さい。あちこち、少し伸ばしてやらねばならない。うまく行くだろうか?
「それにしても、何故、この靴に興味を持たれたんですか?」
「ああ。実はミスタ・空と勝負をしなくてはならなくてね」
「勝負……決闘ですか?」
「まあ、そんな所だね。彼の提案で、競争で勝たなければいけないんだ」
それを聞いて、シエスタはほっとした。どうやら、決闘と言っても平和的な方法らしい。
「でも、飛翔の靴では、空さんには勝てないのでは?」
「何故、そう思うんだい?」
「私は空さんと競争して勝てる自信が有りません」
「まあ、仮にこの靴では勝てないにしても、きっとヒントになると思う」
「何故、空さんと決闘を?」
「んー、そうだな……」
どう説明しよう。ギーシュは少し考えた。
「一つ質問だが、どうして鳥は飛べるのだと思う?」
「え?……それは、羽が有るからではないんですか?」
「それだけかな?」
「他に何か有るんでしょうか?」
「ああ。鳥が飛ぶのは、翼を持つ事も有るが、なにより、そこに“空”が有るからでは無いのか?」
「……空さんが、ミスタ・グラモンにとっての“空”だと?」
「僕が目指す“空”は父であり、兄達だ。あまりの高さに、何時の間にか、飛ぶ事を諦めていたよ」
だが、空との決闘で、それを思い出した。
「だから、僕は彼に勝ちたい。もっと高く、もっと遠くまで飛ぶのだ、と言う決意の証にね」
シエスタにとっては、意外な言葉だった。
貴族とは、どこまでも自由な存在なのだと思っていた。どこまでも豊かであり、全てを約束されているのだと思っていた。
ただ貴族である、と言うそれだけで飛べるのだ、と――――
空がギーシュを倒した時、“平民でも貴族に勝てる”と思った。
今は違った。例え魔法を使えたとしても、貴族は平民と変わらない存在だ。
自分と同じ様に悩み、傷付き、挫折を味わい、時には諦めを抱かなければならない人間なのだ。
全能者の如く振る舞うこの学院の生徒達も、やがては領地を、国政を担い、戦地に赴き、数多の重荷と責め苦とを負わねばならないのだ。
「――――頑張って下さい」
気付くと、言っていた。
「私、応援します」
支援 巻貝さんか!?
「有り難う。でも、いいのかい?君とミスタ・空は同じ平民じゃないか」
「それは……い、いいんです。私は貴方の様には飛べませんけど――――」
「はは。それはそうだ。君は女の子なのだからね」
ギーシュは平民だから、とは言わなかった。
「女の子だから、ですか?」
「そうとも。鳥が飛ぶのに、何より必要な物を忘れていた。“大地”だ。帰って来る場所が有るからこそ、鳥は飛べるのだ。フネだってそうだろう?冒険の空に出航するその時まで、捕まえておいてくれる港が必要なのだ」
「でも、フネは女性名詞です」
「だからこそ、男が乗るんじゃないか!」
「……――――」
「……」
「……――――」
「……と、とにかく!危険な空に飛び立つのは男の役目だ。自分を信じ、帰りを待っていてくれる乙女がいればこそ、男は飛べるのだ。君の様な女の子には、是非、港でフネを待つ大樹であって欲しいね」
ギーシュは靴を簡素な革袋に戻すと、いつもの様に薔薇を取り出した。
「少し喋り過ぎたかな?可愛い女の子の前だと、これだからいけない」
「あの――――」
戯けた笑顔の貴族と対照的に、黒髪のメイドが一際、真剣な面持ちを見せた時だ。
「何やってるんだいっ!」
鋭い声がした。そこには、年嵩のメイドが居た。シエスタの仕事が遅れているのを、叱責に来たのだろう。
「あっ。す、すみません!」
「僕が用事を言いつけたのだ。叱らないでやってくれ」
二人は同時に言った。
シエスタはぺこりと一礼して立ち去る。
「頑張って下さい。ミスタ・グラモン」
小さな声は、誰の耳にも届かない。
「……何か、取り返しの付かない事をしてしまった気がするのだが――――気のせいかね?」
ギーシュもその場を離れる。
途中、ぶつぶつと何やら呟きつつ、同じ所をぐるぐると回っているコルベールを発見した。
足下には、おかしな図面が幾つも書かれている。
また、“発明”だろうか。
全く、頭が禿げ上がるまで、女の子と無縁の生活を送って平気な変人教師が、ギーシュには全く理解出来なかった。
挨拶。何気なく、空の事を聞いて見る。先刻、街に出かけた、と言う。
“飛翔の靴”を試す良い機会かも知れない。
ギーシュは追いかける事に決めた。
* * *
支援
王都トリスタニア一の大通りブルドンネ街は、空が想像したそれより、狭くはなかった。
少なくとも、タンデム式の馬車が角を付き合い、いざ、不仲な大貴族同士が鉢合わせた日には、御家人も含めて何週間も睨み合いをしなければならない、と言う程では無い。
だが、あくまで“思ったよりは”だ。欧風の都市が狭い事には変わりが無い。幅5mも無い通りに、人がひしめき合う。
車椅子での移動は不可能だったろうが、松葉杖での移動も快適にはほど遠かった。混雑の中、無遠慮な市民達は度々、杖先を蹴り飛ばして行く。
それでも、空は街での買い物を堪能していた。
街は活気に溢れている。週に一度の休日。静まり返っているのでは、と言う危惧も有ったが、どうやら、虚無の曜日は所謂安息日とは違う様だ。
「なあなあ、見ろやあ、ルイズ。あっちに面白そうな物有るで」
「……ま、まだ買い物する、の?……」
満面の笑みを浮かべる空とは対照的に、ルイズは疲労困憊の態だった。
「……わ、私、もうこれ以上、も、持てそうも無いんだけど……」
「こらこら、遅いで。この辺、スリ多そうやし、ボーっとするなや。財布、大丈夫か?」
「あ、あんたねえ……」
空は体をゆっくりと持ち上げる。
松葉杖を思い切り衝き、発火、跳躍。群衆の頭を飛び越え、壁を一、二蹴り――――普通ならそのまま落下する所、風を掴んで10メイルばかり滑空。忽ち、その姿が人混みに消える。
街は狭く、この辺りは石材が豊富な事から、石造りの建物には事欠かない。ストームライダーにはお誂え向きの場所だ。
これで何度目だろう。ルイズは空を見失う。
最初の方こそ、宙を舞う松葉杖の男が、着地地点毎に喝采を浴びている御陰で追いつく事が出来たが、今は両手に、背中に、大荷物。
とても人混みをかきわける事など出来はしない。
「あいつ〜っ!」
ルイズは癇癪を起こす。
「どーして、私が荷物持ちをしなきゃならないのよっ!どーして、長々と買い物に付き合わなくちゃいけないのっ!普通、逆じゃないのっ!馬鹿犬〜っ!」
松葉杖の人間ばかりに荷物持ちをさせては、体裁が悪い。
ルイズは一つ、小さな袋を持ってやった。失敗だった。空は当然の様に、何もかもを押しつけて来た。
空が何も持っていないのに気付いた時、もう追いつく事は不可能になっていた。
空はルイズがはぐれた事など気にも止めず、街を駆け巡った。
コルベールからの頼まれ物も有ったし、今後、あの発明狂と協同開発した品を量産、普及させる為にも、各職人組合と話をしたり、その技術を見極めておく必要も有った。
幾つかの部品については、シエスタの話していたタルブ村に行った方が良い。空の正直な感想だ。
少なくとも、トリスタニアの職人街を見て回る限り、とてもではないが、あの“飛翔の靴”は造れそうも無い。
中世西洋の都市は例外無く狭く、不潔だ。
ぐるりを囲む市壁は、予算や防衛の都合から、滅多な事では拡張されず、特別に不幸な事件が無い限りで、人口は増え続ける。
大きな通りでも、幅3m以上は希だし、大抵の通りは1m以下。結果、空は殆ど屋根伝いに移動し、衆目を引く事になった。
三角屋根の天辺で、空は杖を止めた。
足下から怒鳴り声が聞こえて来た。
「やい。デル公!もう勘弁ならねえっ!てめえのせいで、また客に逃げられたじゃねえかっ!」
「うるせえっ!こっちだって、毎日毎日鉄板の上で焼かれて嫌なってた所だっ!」
どう言う会話だ。空は眼下を覗き込む。
五十絡みの男が、怒鳴り散らしている。
地面に長い刀が突き刺さっている。
隣の店から冷やかす声。よっ、親父、また喧嘩かい――――だが、男の前には誰もいない。
「やい!これ以上、生意気な口聞きやがったら、貴族に頼んで溶かしちまうぞっ!」
「おもしれえっ!やってみろっ!」
「やってやらあっ」
二つの罵声が飛び交い、入り交じる。鬚の親父が聊か根の暗い一人遊びに興じているのでも無い限り、可能性は唯一つだ。
空は三階の屋根から飛び降りた。
着地。空は軽く弾む様にして立ち止まる。
親父は目を丸くして声を失った。
「……こいつは、おでれーた。人が降って来るなんざ珍しくもねーが、それが松葉杖、てのは初めてだね」
声を上げたのは、親父では無い。地面に突き刺さった刀が、刀身をカタカタと揺らして喋っていた。
空は刀を引き抜く。刀身はところどころ錆びている。
「ワイもオデレータ。喋る刀ときよった。ホンマ、この国はなんでもアリやな」
「……おめ“使い手”か?」
「なんや、そら?」
「自分の力も知らんのか。まあいい、てめ、俺を買え」
「そやな。この親父にとって、お前は要らん子みたいやし、捨てる神有れば、拾う神有りや。貰てやってええで」
「兄ちゃん。その剣に興味が有んのかい?」
商売になる、と見たか。唖然と成り行きを見守っていた親父が、ドスの利いた声で口を挟んだ。
「そいつなら、金貨100で十分でさ」
「道端に捨てた刀をか?」
「そいつの口が過ぎるんで、折檻しただけでさ」
「随分、錆びとる」
「ですから、100で。大剣はどんなに安くても200でさ」
「なあ、親父。よー見い。ワイは今、何持っとる」
「所々、錆びちゃいますがね。頑丈な事だけは保証しまさ」
「自分の手見てみい。何持っとる?」
「?……何も持っちゃいませんが?」
「そやろ。おどれ、丸腰やろ」
「は?」
「で、ナンボや?」
親父は仰天した。長さ150p、重量は3sを下らないだろう大剣を、空は片手で、小枝の様に弄んだ。
怪物的とも言える膂力に、冷や汗を流す。
「し、新金貨で……」
「10。不満か?」
「……へい、10で」
親父はカラカラに渇いた喉から、声を絞り出した。
「9枚しか無かったわ。一枚マケとき」
空は親父に9枚の貨幣を握らせた。
松葉杖に刀を水平にかけると、フックを力ずくでねじ曲げ、固定する。
「ほな」
空は地を蹴り、壁を蹴り、屋根の上に飛んだ。
今日、何度目だろう。親父は仰天する。
あの怪人と、厄介者のデル公が金貨9枚を置き土産に消えてくれるなら、儲け物だった。
「おでれーた。相棒は空も飛ぶのかい」
「王様やからな」
屋根伝いに跳びながら、空は答えた。
「相棒は変わり者だねえ」
「そないな風に言われたの、初めてやわ」
「ま、そうしとこうか。俺はデルフリンガー様だ。王様の名を聞いときたいねえ」
「“空”や」
「意外ねえ。高慢ちきで鼻持ちならない女だとばっかり思ってたのに……」
本当に意外そうに、キュルケは言った。
「貴方が恋人に尽くすタイプだったなんて。本当に意外だわ、ヴァリエール」
「だだ、誰が恋人よ。あの馬鹿っ、私に荷物を押しつけて、自分はどこかに消えちゃったのよ!本当っ、信じられないわっ!」
二人の馬車は、あっさりと見つかった。
タバサを伴い、後を追ったキュルケが見たのは、山の様な荷物を抱えて途方にくれるルイズだけ。空の姿はどこにも無い。
「でも、荷物を受け取りはしたんでしょう?」
「う、うるさいわね!」
一同は、市門の側にある駅で、空を待つ事にした。幾らなんでも、馬で三時間の距離を、歩いて帰ろうとするとは考え難い。
空はなかなか戻って来ない。
不仲なルイズとキュルケは品性と礼節と言うオブラートに包んだ言葉の刺を、絶え間なく応酬する。
タバサは一人黙々と本を読んでいる。
「フィニ。一巻の終わり」
最後の一行を音読。満足気に本を閉じた時、頭上から空が落ちて来た。
「よ、お待たせや、ルイズ」
「遅いわよっ!もう!どこほっつき歩いてたのっ?」
「悪い。あっちこっち見て回っててな。御陰で面白い物見付けたで。見ろやあ」
空は満面の笑顔で、ボロボロに錆びた刀を差し出した。
「なに、この汚い剣。ボロボロじゃない。捨てちゃいなさいよ、こんなの」
「け、何言ってやがるっ。貴族の小娘なんぞに、俺の価値は判ってたまるかっ」
その声に、ルイズは目を瞬いた。
「なにこれ。インテリジェンスソード?」
「へえ、珍しいわね」
キュルケも寄って来る。
「どや。面白いやろ。デル公言うんや」
「デル公じゃねえ!デルフリンガー様だ!」
「ボロの癖に、名前ばっかり立派や」
「ふざけんじゃねえっ!」
「何言うとんのや。身受けしてやった恩、忘れんなや。そや。お前、ワイの使い魔な。ルーン書いたれ」
「よせーっ!止めろーっ!」
デルフリンガーはカタカタと刀身を震わせる。どうやら、動けるのはそこまでらしい。
風変わりな筆を手にした空に、必死で悪態を付いている。
「それ、抜き身のまま持って来たの。鞘は?」
「ああ、後で作ってやらな。それより、面白い話聞いたでっ。今度、マルなんたら言う村で、エスカルゴ祭りやるらしいわっ」
「へえ」
話す間、空は終始、満面に笑みを浮かべていた。年に似合わぬ、無邪気な笑顔。
思えば、街に来てから、ずっとこうだ。
「もう……っ」
ルイズは嘆息する。そんな顔を見ていると、なんだか、自分だけ怒っているのが馬鹿らしくなって来た。
きついお仕置きをくれてやろうと思っていたが、たまの虚無の曜日くらい、少々の粗相は多目に見てやっても良いだろう。陽気な空につられる様に、微笑が洩れる。
「それにしてもダーリン。車椅子姿もセクシーだけど、立ち姿も素敵ね」
と、キュルケが空に擦り寄った。ルイズの顔から、微笑が消える。ダーリン?誰が?何故否定しない?
「せやろ、せやろお」
「あんなボロボロな剣じゃ、貴方には釣り合わないんじゃなくて?」
「別にワイ、剣術家やあらへんし。あれは面白いから貰て来ただけや」
「あら、そう?良ければ、もっと、いい剣をプレゼントしようと思ったのだけど」
キュルケは豊満な乳房を空の腕に押しつける。ルイズの心から、情けと容赦が綺麗に消える。
「そうかい?剣に興味が無い訳やないんや。いい剣打つなら、職人の技術も高いやろ。今、そっち探しとってな」
「技術ならゲルマニアよ!ねえ、よくって?女も剣もゲルマニアが一番なの。トリステインの女ときたら、短気でヒステリーでプライドばっかり高くて、おまけに嫉妬深くて、どうしようも無いんだから」
まんざらでも無い様子で応じていた空は、ここでルイズに振り向いた。
昨夜の事を思い出して、少し気を使った方が良いか、と考えたのだが、遅かったしタイミングも悪かった。
何故、そこでこっちを見る――――っ!
トリステイン人の御主人様はキレた。
その日、王都トリスタニアで痛ましい事件が起きた。16の少女が使用人の息子に暴行。
目撃者のタバサ嬢はたった一言呟いた。
「ジョニーは戦場に行った」
* * *
ギーシュ・ド・グラモンは街道で大の字に倒れていた。
最初、“飛翔の靴”はただの重しだった。
ギーシュはガチャガチャと音を立てながら、不器用に歩いた。シエスタの予言通り、何度も転ぶ。
その内に、コツを覚えた。
大切なのは、蹴り足では無く軸足。忙しく脚を動かさなくても、靴に乗っていればいい。
それが判ると、スイスイ進む。
だが、シエスタの言う通り、これでは空に勝てそうも無い。暫く考え、一計を案じる。
使ったのは、レビテーションの魔法だ。物を浮かして動かす魔法だが、飛翔の靴が有る限り、重力に抗う必要は無い。
力の全てを前進に使う。プラス、自身の脚力。
無意識の内に、声が溢れた。
景色が後にすっ飛ぶ。
速い。経験した事の無い速さだ。実速は判らないが、体感速度が桁外れに速い。
小さな車輪が路面を、バンプを、小石を拾う。震動がダイレクトに伝わって来る。
視界が激しく揺れる。
脚が痺れる。
丘を乗り越えた時、体が宙に浮いた。
ギーシュは笑った。これが空が見ている世界か!――――もっと見たい。もっと先が見たい。
着地。その瞬間、大きな石――――
……――――気付いた時、目の前が真っ暗だった。目を瞑っているだけなのだが、それが判らなかった。今、自分がどんな体勢でいるのかも判らなかった。
手はどこだ?
脚はどこだ?
うん。どうやら、自分は倒れているらしい。取り敢えず、手足は動く。
そうだ。目を開けよう――――
空が見えた。同時に、体のあちこちが悲鳴を上げた。
自分がかなりの時間に渡って気絶していた事を、太陽が教えてくれた。
転倒した時の記憶が甦る。蹴躓いた石は、10メイル近く後方だ。下手をしたら、死んでいただろう。
体が動かない。なんとか、治癒の魔法を使う。水系統ならぬ身では気休め同然だが、何もしないよりはいい。
身を起こした時、頭上を風竜が飛んで行った。確か、タバサとか言う女生徒の使い魔だ。
便乗出来ないだろうか。
声を上げようとした時、誰かが落ちて来た。慌ててレビテーション。
空だった。
「一体、何事だ?ミスタ・空」
「大した事やあらへん」
ギーシュは空を草むらにゆっくりと着地――――ああ、彼は脚が不自由だった――――横たえる形で降ろすと、天から降って来た男は憮然として頭をかいた。
事情を簡単に説明。トリスタニアに買い物に行った。馬車は荷物を積んで狭いので、ルイズ共々、シルフィードに乗せて貰った。
「せやったんけど、なんやルイズが偉う不機嫌でな」
「蹴り落とされたのか」
「ちょいと有ってな」
そうこう話している内にも、風竜は行ってしまった。
ギーシュが居る事に気付いたのかも知れない。それなら大丈夫、と――――なんとも薄情な話だった。
「ミスタ、車椅子は?」
「今日は松葉杖やったんけどな。あの竜の上や」
「酷い話だ」
ギーシュは心から同情した。
「女は怖いっちゅー話や。ボーズも気を付け?」
「よーく、心得ているよ」
「そうかい。せや、ボーズ。花びらから人形造れるやろ。同じ要領で、車椅子作ってくれんか?」
「車椅子?……そこまで複雑な物は練金出来るか……?」
「阿呆。何、言うとんのや。動く人形の方が余程、複雑やろ。男は度胸。何でも、やってみるもんや。きっと、ええ気持ちやで」
言っている意味はよく判らないが、一理有る。ギーシュはうる覚えで、青銅製の車椅子を練金する。
「おい、ボーズ。駆動輪が回らへんぞ」
「む?」
「自在輪が動かん」
「自在輪?車輪が回るだけじゃ駄目なのか?」
「動きが悪い。油さしてくれ」
「ああ。じゃあ、練金で……」
「全体的に重い。要らん所は肉抜きせい」
「脆くならないかな?」
言われる度に、練金で修正。
精神力が殆どカラッポになる頃には、辛うじて実用に耐える物が出来上がった――――あくまで、空の腕力を前提として、だが。
「ほな行こか。二時間もかければ着くやろ」
空は小さな前輪を浮かし、駆動輪で先刻、一人の若者の命を奪いかけた大石を乗り越える。
なるほど、車輪が大きければ大丈夫なのだな。
そんな事を考えながら、ギーシュは後に続いた。
――――To be continued
356 :
虚無の王:2007/10/25(木) 23:52:01 ID:oMZXevVD
今回は以上です。
御支援どうも〜
GJ
ギーシュがいい感じに成長していってるなw
シエスタもいいな。
無限の住人みたいに工具が飛び出してるw
次投下していいでしょうか?
乙でした。
空が阿部さんみたいなこと言ってるw
そう言えば、エルドランが召喚されて魔法学院が秘密基地化、ってネタはあったっけ?
大丈夫そうなので投下。
……ルイズの呼吸が寝息に変わったのを確かめてから、ゆっくりと起き上がる。
さっき跳ねた時に軽く確かめたけど、今度はもっと丁寧に自分の身体を確かめていく。
ルイズが嘘をついているんじゃなかったら、ここは矢印の先っぽの国からはかなり遠くらしい。
一体どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
昔、ニンゲンに捕まったお爺ちゃんはその人とトモダチになった。私もルイズとトモダチになれるんだろうか。
ランプは消えてるけど、月明りが窓から差し込んでるから、私には十分。
剣の刃と、蜘蛛の糸束を確かめた後、呼犬の笛を咥えた。
ピィ……ピイイィィィッ……
この音は、人間の耳には聞こえない。もしこの笛が届くところにマメイヌ隊の隊員がいれば、向こうからも返事が返ってくるはず……
しばらく耳を澄ませたけれど、やっぱり笛の音は返ってこなかった。
トリスタニア。世界の国を知ってるわけじゃないけど、聞いたことがない。魔法だって、お話の中だけだって。
左手の甲の紋様があるから、今更嘘だとは思わない。きっと私たちみたいに、魔法使いたちはこっそりと国を作って暮らしていたんだ。
何だか、気持ちが高ぶってきた。スミレの里みたいに、こことも交流が始まるかもしれない。
そのとき、オチャメさんのノートに、私の名前が書かれるんだろうか。
だけど、舞い上がったままではいられない。深呼吸して、自分を落ち着かせる。
もしも、ルイズが、ルイズでなくても他の誰かが、矢印の先っぽの国を危険に晒すようなことがあれば、その時は……剣と、煮詰めた蜂毒の小瓶を、畳んだ服の上から確かめた。
そうだ。忘れないうちに、目印を仕掛けておこう。きっと隊の皆が私のことを探してくれてるはずだから。
蜘蛛の糸を10センチほど伸ばして、結び目を二つ、少し離して一つ作る。
窓は閉じてるけど、隙間があれば外に出せるかも。
窓枠に飛び移った私は、空を見上げて、驚いて叫びそうになった。
見上げた空に、月が二つあったから。
******
>>360 雑談の話題に出たことはあるがそれで短編を書いたりした猛者は今の所いない
目が覚めて、真っ先に枕元を確かめた。ハンカチが盛り上がって、黒髪が覗いている。
はぁ、と溜め息が漏れる。よかった。夢じゃなかった。
プリミル様、ありがとうございます。
そのままぼうっと眺めてたら、ハンカチがもぞもぞと動き出した。目を擦りながら顔を覗かせたハヤテに、私も頬が緩む。
こういうとこは、私たちと変わらないんだって。
「お早う、よく眠れた?」
「ルル……オ、ハヨウッ、るいずっ」
ハヤテにしたら、かなり大声で叫ばないと私まで届かないから大変だ。
洗面用の盥の横に、本を三冊積んで、ハヤテの足場にした。新しいハンカチも置く。
「ここで顔を洗ってね」
私の後にパチャパチャと小さな水音を立ててる彼女を見ながら、制服に着替える。
そうだ、彼女の着替えはどうしよう。それを聞くと、ハヤテは少し困ったように、今度から、夜洗って干しておくと言った。
私が手伝うと、きっと破いてしまうと思うし、すぐに着替えを調達するのも無理っぽい。
ただ、薄い布が用意できれば、彼女が自分で作れるかも。
「……縫イ物ハ苦手ダケド……ガンバル」
「うん、頑張って、応援するから」
活発そうな彼女だけに、やっぱりそういうのは苦手だったらしい。
顔を洗ってさっぱりした私たちは、食堂に向かうことにした。
昨日の夕食を食べ損ねただけに、気持ちは朝食のメニューに飛びそうだけど、でも段取りを考えておかないと。
食事より先に、コルベール先生にハヤテのことを話す。コロボックルなんていう今まで見たこともないような使い魔だ。
先生にどう判断されるか想像ができない。噂のアカデミーみたいに解剖だなんて言い出さないといいんだけど。
内緒にしておくことも考えたけど、それだと私が落第してしまう。
いつもぎりぎりの時間に飛び出す私だけど、今日は時間に余裕がある。
廊下の外もまだ静かだ。
この時間なら、キュルケと鉢合わせずに済むと分かったのはいいけど、明日から起きられるかというと自信がない。
しえん
「ミスタ・コルベール、お時間を少々よろしいでしょうか」
「ああミス・ヴァリエール、どうしたのかね?」
コルベール先生を食堂の入り口で待ち構えて、隅っこに引っ張っていく。
「サモンサーヴァントのことなんですけど――」
「ああ、焦ることはないよ。ちゃんと時間を設けるから、その時に」
「違うんです。ちゃんと召喚できてたんです」
「なんですと?」
半分意識が食事に向かっていた先生が、その一言でやっと私の方を向いてくれた。
「コンストラクトサーヴァントもちゃんとできました。ただ、かなり変わった使い魔なので、皆の前に出していいのか分からなかったので……」
「なるほど。それで先に私の判断をと言うわけか。分かりました。それで、その使い魔はどこに?」
「ここです、ミスタ・コルベール――ハヤテ、出てきてくれる?」
マントをめくって、ブラウスの胸ポケットの前に掌を差し出す。
するりと飛び出したハヤテは、姿勢よくコルベール先生に向かい合った。ああ、先生の息が止まってる。
目をこすっても、ハヤテは消えませんよ。
「ヴァ……ミス・ヴァリエール……これは一体……」
「コロボックルのハヤテ、私の使い魔です」
ちょこんと、ハヤテが頭を下げた。本当はこんな食堂の隅っこで隠れるようになんてしたくなかったんだけど、これはこれでちょっと面白かった。先生の顔が。
「コロ、ボックル? 聞いたことがないが」
「私もです。ですが、彼女たちはとてもすばしこいんです。私たちの目に止まらないくらい。言葉も話しますし、服も、道具も使います」
「……なるほど」
先生の目が、真剣な光を帯びる。どういう判断をされるんだろう。
「ミス・ヴァリエール。素晴らしい使い魔です」
「では?」
「皆にもお披露目して構いません。ただし、あまり詳しいことは言わないように。今日の放課後に時間を設けますから、この三人で話し合いましょう」
ああ、よかった。
「でしたら、皆に言うのは、名前だけにしておきます。私もまだ彼女とはそんなに話してないんですから」
先生にお辞儀をしてから、今度はハヤテには肩に乗ってもらって、テーブルに向かった。
期待支援
「るいず、コレデヨカッタノ?」
「ええ、ばっちりよ!」
ハヤテはもう隠れてないけど、まだ誰も気がついてないみたい。席について、
「そう言えば、ハヤテは何を食べるの? 私たちと一緒でいいのかしら」
「ウン……ダイジョウブダト思ウ」
メニューを見下ろしながらハヤテがそう言うから、歩いていたメイドに声を掛けて、小皿を一枚持ってきてもらった。
その中にパンを一欠けらと、鶏肉のソテー、スープはティースプーンに入れて、零れないようにそっとお皿に立てかけた。
「これで足りるかしら」
「アリガト、イタダキマス」
「あ、待って。お祈りが済んでからよ」
そのころになって、ようやく私の肩のハヤテに気がつく人も出てきた。
さて、誰が最初だろう。私はすました顔で、ハヤテと談笑する。人形? 人形に冗談が言えるわけないでしょう?
プリミルへの祈りが済んで、ようやく食事にありつけた。
作法は守るけど、それでもつい口に頬張りそうになる。今日は格段と美味しい。
「どう、ハヤテ。貴女の口にも合うかしら?」
振り向いて大きく頷いてくれた。口に物が入ってるときにはしゃべらないというのをちゃんと分かってる。
「ね……ルイズ、ちょっといいかしら」
「あらツェルブストー、何かご用?」
そら来た。
「ええと、彼女が貴女の使い魔なの?」
「そうよ。コロボックルのハヤテ。ハヤテ、ゲルマニアのミス・ツェルブストーよ」
ハヤテも、食事の手を休めて、しっかりとお辞儀をしてくれた。淑女と言うにはきびきびしてるけど、きっとマメイヌ隊の作法なんだろう。
「ハヤテ、スープのお代わりはどう?」
ふるふるとハヤテが首を振るのにあわせて、ツェルブストーの目もふるふると動く。
と、いきなりその手がハヤテに伸びた。けどそのときにはもうハヤテの姿はそこにはなくて、私の肩に軽い感触があった。
「ちょっとツェルブストー! 私の使い魔に何をするのよ!」
「え? あ、ごめんなさい」
考えてじゃなくて、反射的に手が伸びちゃったらしい。ハヤテはと言うと、私の肩に座って、パンの欠片を齧っている。足まで組んで余裕の表情だ。
「それ、人形じゃないのね」
「失礼ね。見れば分かるでしょう?」
「ああ、確かに、でも」
「彼女はコロボックルなの。伝説の小人族の生き残りよ」
そんな伝説知らないけど、ハヤテも頷いてたりする。
ハヤテが怒ってないから捉まえようとしたことについては許すけど、
「食事の途中で席を立つのはみっともないわよ」
そう言って、周りに集まろうとしてた連中を牽制する。実際ハヤテは小さすぎて遠くからじゃ見えない。
私のことを馬鹿にしてる連中にサービスしてやるのも馬鹿馬鹿しくて、飛び降りたハヤテとさっさと食事を済ませることにした。
「私ノコトハ、アマリ話サナイ方ガイイネ」
ハヤテも何となく悟るところがあったんだろう。教室に向かいながら、耳元でそう言ってくれた。
コルベール先生も交えて、言えることと言えない事を決めよう。尤も何も話せなくても、
「ハヤテが動いて見せるだけで十分よ」
そこから先は『伝説のコロボックル族』だ。
教室にはまだ生徒は三分の一ほど。それと使い魔たちが騒いでいた。
ざっと見渡してみたけど、どれもありふれている。珍しさでハヤテに勝るものはいない。
私は胸を張った。
その高揚も、錬金の魔法で失敗するまでだったけど……
369 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:12:06 ID:CV89mBwT
支援
投下終了。
お騒がせしました。
>>370 何故だろう?(;´Д`)ハァハァしてきますた。グッジョブ!
373 :
聖石の人:2007/10/26(金) 00:32:55 ID:kE9/HKK9
豆粒の人乙です。
続いて投下したいのですが、道があいているのなら投下したいのですが?
OK
聖石の人支援。
376 :
ゼロと聖石5:2007/10/26(金) 00:37:14 ID:kE9/HKK9
特になにか予約もなさそうなので投下開始します。
完全に魔力を消耗していた私達にはゴーレムを止める術など無かった。
三人とも地面に座り込んでその光景を眺めるだけだった。
『破壊の三魔銃、確かに頂戴しました フーケ』
そして、所変わって学院長室。
不毛な責任の擦り合いの現場。
キュルケとタバサとシエスタ、私の四人は当事者として呼び出されていた。
当番は誰だったのか。
管理体制に問題は無かったのか。
そもそもそこの平民が壁を破壊するからと、言い争いが醜い。
その言い争い自体はオールド・オスマンの鶴の一声で解決した。
さて、肝心のフーケ討伐で杖を掲げたのは私達三人、それとシエスタ。
先生はというと壊滅状態。
貴族の誇りというか名を挙げるでもいいから杖掲げないかこの野郎ども。
おっと、淑女と思えない心象風景でした。反省反省。
行く面子も決まってどうやって追跡するか考えていたらミス・ロングビルがやっと到着した。
ロングビルの話によると、すぐさま情報収集に走ったところ、フーケらしき人影の目撃情報を入手したと。
位置を聞くと、ここから馬で4時間の距離。
―――ぁゃしぃ。
フーケの事件から大よそ9時間、片道4時間。
はい、もう何かあるのバレバレですな。
タバサとアイコンタクト、それだけでタバサは理解してくれた。
そのタバサはキュルケとアイコンタクト、キュルケもうなずいた。
さらにキュルケがシエスタにアイコンタクト、一瞬きょとんとしていたがすぐにうなずいてくれた。
最後にシエスタが私にアイコン…って、最初にアイコンタクトで話し振ったのは私ですから。
学院から出発し、とりあえず表面上は穏やかに進んでる馬車です。
裏側では如何にしてフーケと関係あるミス・ロングビルをどうやって捕縛するかの会議だった。
と、関係は無いが気になっていたことを解決しよう。
「シエスタ、あなたこんな感じの石持ってたでしょ? アレは一体?」
自身の聖石を見せながら、シエスタに話を振る。
「アレはお爺ちゃんの形見で、サジタリウスって言っていました。誰も信じないんですけど、聖石だそうです」
さいですか。
「じゃあ、あの剣技と剣は?」
「あの、初めて聖石を持ったときにこの技の知識が流れ込んできて、教えてくれたんです。剣聖に至る道だと。
剣の方は、家に置いてあった剣なんです。ほらデルフ、皆に挨拶して?」
「めんどくせぇな、シエスタの剣でデルフリンガーって名前だ。よろしく頼むぜ娘っ子ども」
って、インテリジェンスソードだったんかい。
だとしたらアルテマをかき消したのにも納得がいく。
剣で魔法を無効化して、魔法並みの距離と威力を秘めた技で攻撃する。
ある意味でメイジの天敵ね、この子。
そんなこんなであっという間に目的地に到着。
誰が偵察に行くかで協議しあった結果、シエスタとデルフが突入することになった。
377 :
ゼロと聖石5:2007/10/26(金) 00:41:05 ID:kE9/HKK9
「いい、フーケが居たら星天爆撃打で合図しなさい。そしたらすぐさま離れること。アルテマで消し飛ばすから」
ミス・ロングビルが表情を引きつらせています。
そんなことは気にせずにシエスタ突入。
しばらく経って、シエスタから誰もいないという意味の強甲破点突きが壁を破壊する。
「安全は確認されたみたいね。いきましょう」
ミス・ロングビルの顔がだんだん泣き顔っぽくなってきたのはきっと気のせいだろう。
ミス・ロングビルが外で見張りをすると言ったので、私達だけで中に入る。
中ではシエスタが破壊の三魔銃を抱えて待っていた。
「これが三魔銃、普通の銃に見えますけど…?」
「いや、アルテマの知識に有ったわ。グレイシャルガンにブレイズガンにブラストガン。
魔力を込めることで使用可能になる特殊な銃ね」
そう言ってグレイシャルガンをキュルケに、ブレイズガンをタバサに渡す。
「さて、盗賊退治としゃれ込みますか!」
そう宣言した瞬間にフーケのゴーレムが姿を現す。
Mp、Hpは???表記、ついでにCTも???、ルカヴィ扱いかこのゴーレム。
最近多いなこの思考パターン。
真っ先にタバサがブレイズガンに魔力を込めて撃ち込む。
ゴーレムの頭上に巨大な氷塊が現れてゴーレムに襲い掛かる。
続いてキュルケが射撃、天から降り注ぐ巨大な炎がゴーレムを焼く。
さらに駄目押しでルイズが撃ち出した雷が表面を焦がす。
そしてとどめにデルフリンガーを大上段に構えたシエスタが叫ぶ。
「地獄の鬼の首折る刃の空に舞う、無間地獄の百万由旬…冥界恐叫打!」
巨大な刃が地面からせり上がり、ゴーレムを両断する。
やはりSpが低い敵は相手にならない。
とか考えてたらゴーレムが再生を始める。
「めんどくさいから一撃やっちゃっていいよね?」
全員が一斉に頷く。
腰のポーチから金色の針を取り出し、
「金の針、暗黒回帰!」
投げた。再生中のゴーレムに刺さる。
その瞬間にゴーレムの再生が止まり、逆に崩壊していく。
「これって、土系メイジにとって天敵のアイテムよね…」
ちょw石として生きることができなくなった支援ww
379 :
ゼロと聖石5:2007/10/26(金) 00:42:58 ID:kE9/HKK9
全員でその光景を眺めていたら、三体ほど規模を小さくしたゴーレムが出てきた。
こうなったら徹底的にだ。
全員で目線を見合わせて散る。
その間に、術者を探すのとゴーレムを一箇所に集める作業を平行して行う。
「大地を統べる無限の躍動を以て、圧殺せん!」
いつも以上に遅い詠唱を続け、ゴーレムが密集するのを待つ。
全員の誘導が一瞬重なり、ゴーレムたちがお見合い状態になる。
「全員跳んで! タイタン!!」
それは、私達の常識から見ると、精霊を呼び出す魔法。
実際は幻獣界から幻獣を呼び出して行使する召喚魔法なのだが。
巨人が大地を揺るがし、その振動に巻き込まれたゴーレムたちが全員大地へと還っていった。
一息ついて座り込む。
これで後はミス・ロングビルが出てくれば完璧なのだが。
「皆さん、大丈夫でしたか!?」
森の向こうからこちらに向かって走ってくるミス・ロングビル。
ここで起こったことの顛末を話し、全員で戦闘の疲れを癒そうとした瞬間、ミス・ロングビルの声が響く。
「全員動くな。杖と魔銃を捨てろ!」
ほらね、やっぱりフーケでした。
しかも私の使っていたブラストガンを構えて立っている。
しかし、選択ミスだ。
「いや、撃っても多分発動しないだろうし」
「じゃあ、あんたで試してやるよ!」
フーケの指が引き金を引く。
稲妻は発生せずに乾いた金属音が響くだけ。
「あれ? 死にな!」
ふーけはぶらすとがんをつかった!
しかしなにもおこらなかった。
380 :
ゼロと聖石5:2007/10/26(金) 00:44:26 ID:kE9/HKK9
「フーケ、あなたの敗因はただ一つ。拾ったのがその銃だった事よ。少しは系統の相性を考えなさい」
要はフーケの系統が風の力である雷を発生させることが出来なかったというわけだ。
フーケに対して初めて見せる手札、テレポで一気に接近してブラストガンを取り戻す。
ついでに詠唱しつつテレポで逃げる。
「時よ、足を休め、選ばれし者にのみ恩恵を与えよ! スロウ!」
スロウが発動し、杖を取り出そうとしたフーケの動作がひどく鈍いものになる。
「はい、捕縛急いで!」
シエスタがロープで一気に拘束、そのロープを固定化の魔法をタバサとキュルケが掛ける。
こうして、フーケは捕まったのだった。
「なんかあんた等の強さって理不尽な域に達してるような気がするねぇ」
「シエスタなんか特にね」
「いや、あんたが一番ずるいと思うわ」
そんな会話があったとか無かったとか。
381 :
ゼロと聖石5:2007/10/26(金) 00:46:22 ID:kE9/HKK9
以上で投下終了。
デルフ君はシエスタの手元に行っていました。
ついでに剣聖目指して絶賛修行中のシエスタでした。
…ティンカーリップ付けたら大変なことに!?
支援ありがとうございましたー。
聖石の人乙でした!
フーケ涙目www
これはワルドにもフルボッコフラグが
乙でした
シエスタ一人でタルブの村守れそうな気がしてきた
乙でした
GJ
FF5のせきぞうマラソンを思い出した、金の針ウマー
シエスタが雷神にー!?
ほんとにメイジ殺しだ…
もしルイズがヘイスト使えるようになったら……
ってかサジタリウスの所持者はメリアドールだったはず
じゃあお爺ちゃんはだれだ?
今更ながらフルメタルGJ。
...なんか読んでて、【あの】事件が起きそうな予感がした。
トリステイン王国で起きた不可解な通り魔事件...
被害者は皆女性で、何故か髪型が【ポニーテール】にされていると言う。
しかも使用した髪留め等を【固定化】の魔法を使う念の入れよう。
そして遂に事件はこのトリステイン学園でも起こってしまう。
捜査に来たアニエス。
犯人を捕まえるために囮作戦を実行するルイズ達。
そして...今封印を解かれる某万能ヌイグルミ【ボン太君】
だか、ここで悲劇は起こった。
運命の悪戯か、それとも二人は出会う宿命だったのか...
ボン太君を犯人と勘違いしているアニエスとの死闘が始まる。
まるで何処かの婦人警官にとり憑かれたようなアニエスの猛攻。
アニエス「ふふふふふふっ、楽しい...楽しいわよぅボン太君!!もっと私を楽しませてぇぇ!!!」
果たしてボン太君は生き残れるのか...そして犯人の正体は!?
オスマン「頼むからわしの学園壊さんでくれエエエエエええっっっ「バキャ」へぶっ!?」
最初から読み直して感じたけれどやはり聖石やルカヴィ自体には善悪というものはないんだなぁ
「この世に悪があるとすれば、それは人の心だ」というセリフを思い出した。
聖石の人GJ。金の針が出てきた瞬間、「その発送はなかったわ」が脳裏にry
>>153 凄い遅レスだが、ステアーAUGにM16の弾を使う事は可能だぞ。逆は無理だけど。
AUGの弾は5.56mmNATOまたはSS109または.223NATO、M16の弾は.223レミントンと呼ばれている。
どちらも寸法は5.56mm×45で、5.56mmNATOの方が弾丸がコンマ数ミリ大きいぐらいでほぼ同じ。
で、5.56mmNATOはM16A1以前で使われた.223レミントンの強化改良型で、装薬量や弾丸が違う。
逆にいえば、5.56mmNATOの弱装弾みたいなものが.223レミントンだと考えれば判り易いかもしれない。
当然、.223レミントンを使用する銃は、より強力な5.56mmNATOに対応した銃に比べると強度が低い。
だから初期のM16で5.56mmNATOを撃った場合、ジャムどころか機関部が破損する可能性がある。
しかしその逆……つまりM16A2やFN FNCやAUGで.223レミントンを使用する分には問題がない訳だ。
というか、民間で5.56mmNATOの売買は出来ないから、.223レミントンが使えないと話にならない。
実際、今の銃は民間用のも含めて、殆どが両方使えるように作ってある。ミニ14とかM4のコピーとか。
どちらも使えるように作るというより、5.56mmNATOが使えるなら.223レミントンも使えるという事だな。
AUGはFNのSS109がNATOに採用された後に作られて、最初から5.56mmNATO使用を前提としてる。
当然両方使える。まぁ、実際そういうシチュエーション自体が稀なのは事実だが、使える事は確か。
勿論、AUGで.223レミントンを使っても、それだけでジャムったり壊れたりする心配はないといっていい。
似たような間違い方を『砂ぼうず』でもやってたから、案外知られていないのかもしれない。
しかし、5.56mmNATOはM16A1で使えないっていうのも、随分マニアックな話じゃないかと思うんだよな。
それなら、.223をM16A2やAUGで使えるって事まで調べがついても、おかしくないと思うんだけどなー。
>>387 ポ二男「異世界でなら俺の野望が叶うと思ったんです」
>>388 良いも悪いもリモコン次第ー♪
戦士は剣を手に取り胸に一つの石を抱く。
消えゆく記憶をその剣に刻み、鍛えた技をその石に託す。
物語は剣より語られ石に継がれる。
今、その物語を語ろう…。
歴代サジタリウスの所有者の中に暗黒剣やら剛剣技やら聖剣技やらを使えるやつがいたのかな?
>>389 それは遅レスに長文までして語らなければならないことなのか
聖石の人GJ
シエスタに対七万フラグがwwwwwwww
エルナサーガよりけりがついた後のエルナ召喚なんてどうだろう。
封魔呪は魔法を吸収どころか破壊するので聖短剣との二刀流で生きた心地もしないデルフw
魔法が失敗ばかりどころか王族の身でありながらその身に一切の魔力が無い。
生まれた瞬間から針の筵な状況だったエルナと比べればルイズ如きのコンプレックスなんぞ。
しかもエルナはそんな身の上でも歪まず僻まず自ら見出した己の務めを果たして見せたわけで。
……ジョゼフに召喚させたほうが面白いかもしれんな。
>>394 若き日のジョゼフに召喚され、きれいなジョゼフになりエルナと結ばれて、きれいなイザベラが産まれるのですね。
>>395 シャールヴィのほうがジョゼフより好きだ……
ってのはおいといて、召喚するなら死んだ人間とかの方がいいだろ。
エイリークやヴァーリ、リョート、あとは騎士になりたかったビッキとか。
つーか、魔法の設定が問題だろw
>ゼロメタルパニック!
投下乙です。
そーいや、フルメタのマオ姐さんの中の人はアニエスの中の人なんだよねぇ。
>ゼロと聖石
シエスタの強さは、理不尽ってレベルじゃねーぞw
ヴァルゴの力でチート全開の食い込みルイズ様を一方的に虐殺できるだろうからなぁ。
DQ5の妻フローラ前提の娘はネタとしてはどうだろう。
攻略本とかだと『タバサ』なんだけど。
>ゼロと聖石
剣聖オルランドゥが持っていたのは「リーブラ」だけど、
>>391が言うように歴代保持者が色々技術身に付けていれば何とか成りそうだな
暗黒剣使うには最低二十人殺めなくてはいけないが…
剣聖といえば薔薇の剣聖はどうだろう。あんなのでもいつかは一児の母になるんだぜ………
裏人格のスパークはキュルケと気が合いそうな気がしてならない。あとは料理関連でシエスタやマルトーと。
>393
対七万殲滅フラグの気がするがどうだろう
>剣聖オルランドゥ
剣聖オンドゥルに見えた俺は朝から疲れてるようだ・・・
>>400 マドラは木刀しか持ったことがないからデルフの出番無いwww
404 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 07:38:41 ID:zz+cTq1f
>>403 そこは「この剣を持ってると落ち着く…私こんな事今までなかったのに」的な展開ですね。
>>400 マドラって外面はいい子ぶってるけど、本性はとんでもなく邪悪な人殺し大好きっ子じゃなかったっけ?
そんなん呼んでルイズ大丈夫なんだろうか(生命及び人生の危機的な意味で)
>>397 ふもっふGJw
公務員=オスマンでいけそうだな
強キャラを引っ張ってくると虐殺劇にしかならん
そんなもんを面白く書ける奴いるのか?
サイトが7万と戦ってる時に助っ人として乱入とか>強キャラ
409 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 09:00:45 ID:zz+cTq1f
面白いかどうかは人それぞれだ、同じキャラでも微細な違いがあればそれだけで読んでみたくなる。
410 :
聖石の人:2007/10/26(金) 09:10:10 ID:kE9/HKK9
おはようございます、良く眠れましたか?
投下しても大丈夫でしょうか?大丈夫でしたら15分頃から投下したいのですが?
聖石の人まじはえぇな
支援
よーそろー
支援準備
>>403 木刀と聞いて念法を思い出す俺はおっさんですか
>>407 そんなん書ける人は菊地くらいしか知らんな
415 :
ゼロと聖石6:2007/10/26(金) 09:18:27 ID:kE9/HKK9
それでは投下開始、グットラック!
トリステイン魔法学院にフーケが現れ、宝物庫より『破壊の三魔銃』が盗まれる。
翌日、フーケ討伐隊が編成され、フーケの捕縛と『破壊の三魔銃』を取り返すことに成功。
フーケはそのままチェルノボーグの監獄に投獄。
討伐隊に志願し、フーケを捕らえた同学院の生徒達にはシュヴァリエ勲章を与える予定。
「瓦版にまとめるとこういった感じになるのかねぇ……」
投獄されてから衛兵や日常会話などから察せられる言葉から今後起こりうる展開をシミュレートする。
今現在で分かったことは、近々戦争が起こる。
それくらいのことだった。
フーケも捕らえ、フリッグの舞踏祭も例年以上に盛り上がっている。
キュルケは男子に囲まれ、タバサはテーブルの料理を食べ続けている。
私はというと壁の花に徹している。
一人、テラスで物思いにふける。
思い返すのはオールド・オスマンとの会話。
「あの、一つ聞きたいのですが。あの魔銃は私達の世界のものではないですね」
その言葉にオスマンは頷きをもって返した。
「やはり、この聖石と同じ世界のもの…どういう経緯で入手したんでしょうか?」
オスマンは椅子から立ち上がり、窓の前に立つ。
その瞳は空のみを捉えているようにも見える。
「昔の話じゃ。わしが森で散歩など楽しんでおったらワイバーンの群れに襲われての。
そのころは未熟で、数体倒したところで限界が来てしまった。そこに現れたのが、彼じゃった」
話しながら部屋据付のチェストを空け、何かを取り出す。
強い力でひしゃげているがシルエットや構造は破壊の魔銃と同じだ。
「そこに、すでに瀕死状態の男が現れて、この魔銃でワイバーンを撃っていった。
不思議なことにワイバーンが石化しての。この銃は彼がワイバーンの攻撃を防いだ際にこうなってしまった。
全てのワイバーンを倒した後、彼はそのまま命を落としてしまった。
最後の言葉は、『人をも超越した力ですら、平民は自由を得ることは出来ないのか』と、な」
そして、オスマンは椅子に座る。
「彼は丁重に埋葬し、彼が持っていたものは全て宝物庫にしまった。わしも一度だけ使ったことがあるが、危険だからの」
「そうだったのですか」
「さて、ルイズ君。わしは君の使い魔の事を危険視している」
「そうではないかと。先住魔法に近い魔法を持ち主に授け、人を狂わせるほどの魔力を持つ。
最初にきちんとした契約を結べないと、石から召喚した存在に魂ごと食われ、乗っ取られる。
これは、聖石という名前が与えられてはいますが、まるで人自体の欲望を表したものかと」
「だからこそ、君やシエスタ君が力におぼれ、悪魔に身をゆだねた時、わしは君等を殺さなくてはいかん」
「そのときはぜひ、私を殺してください。私はこの契約をしたときにその覚悟を済ませましたから」
「万が一の時、始祖の名に誓って、誇り高きあなたに殺されましょう」
「それでは、もう戻ってもよいぞ。今夜はフリッグの舞踏祭じゃ。ゆっくりと楽しみたまえ」
416 :
ゼロと聖石6:2007/10/26(金) 09:20:34 ID:kE9/HKK9
いざというときが起きたら私を殺してくれる。
そうならないことを、私は祈りつつ、月を肴にワインを煽る。
「いい月ね、そう思わない? シエスタ?」
私の後ろに、シエスタが立っていた。
本来、平民が入ることすら出来ない舞踏祭だが、今回の功績で参加が認められたのだ。
若干青みがかった白い生地のドレス。
「はい、とてもきれいな月です」
シエスタの手には年代物のワインが一本握られている。
なんでもコック長が持たせてくれたんだそうな。
シエスタが、私の隣に立つ。
静かに月を見上げ、呟く。
「戦士は剣を手に取り胸に一つの石を抱く。
消えゆく記憶をその剣に刻み、鍛えた技をその石に託す。
物語は剣より語られ石に継がれる」
お爺ちゃんが教えてくれた聖石の詩です、と嬉しそうに語るシエスタ。
「だとすると、聖石に継がれているのは技で、かつての記憶は剣に刻まれているってこと? 剣って一体何かしらね?」
その言葉に、微笑みながらシエスタは、
「私たち自身、って言うのはどうでしょうか?」
そう、語った。
その後、二人で笑いあった。
「ところでシエスタ、あなたのお爺様ってどんな人だったの?」
「一言で言ってしまうと、聡明で、不思議な力を使える人でした」
なにせ、辞書が武器でしたからとさらりと語る。
「辞書? あの用語とかの意味をまとめたぶ厚い本の?」
「ええ、昔はその力でトロール鬼を数体殺せるほどの力はあったとか」
417 :
ゼロと聖石6:2007/10/26(金) 09:22:37 ID:kE9/HKK9
それに、と付け加えて、
「私が剣を持てたのもお爺様が、『目の前で繰り広げられている不正や悪事を見捨てておけない人間がいる』
って、教えてくれたからですし」
その言葉で、彼女は本当にお爺様のことが好きだったと分かる。
だからこそ、シエスタは聖石に抗うことが出来たのだろう。
シエスタのお爺様に感謝しつつ、二人で月を肴にワインを飲み交わした。
そして、翌日。
「頭いたーい、気持ち悪ーい」
「大丈夫ですか、ルイズ様……うっぷ」
二人揃って二日酔い、調子に乗って五本も空けるからである。
その光景にキュルケはあきれ返りながら二人を介抱した。
そんなこんなで数日が過ぎた、ある昼下がり。
普段ならシエスタがせわしなく働いているころだが、見当たらない。
それに、いつもと違ってケーキの味が荒い。
厨房にいるであろうシエスタのところに向かう。
すると、厨房の皆さんが何かしらの怪我を負っている。
事情を聞くついでに新魔法の実験。
「清らかなる生命の風よ、天空に舞い邪悪なる傷を癒せ! ケアルラ!」
大怪我を負っていたコック長を含め、全員の怪我を癒す。
包帯をはずして怪我がなくなっているのを確認すると、コック長に詰め寄る。
「全て話しなさい。シエスタが今この場に居ないことが関係あるんでしょう?」
大まかな内容をまとめるとこうだ。
・モット伯爵がやってきてシエスタを連れて行こうとした。
・阻止しようとして返り討ちにあう。
・そのせいで食事の準備にも影響がでて、特にデザートのコック補佐を担当していたシエスタが居なくなり味が低下した。
うむ、シエスタが連れて行かれた。
そのせいでデザートの質も落ちたと。
これは由々しき事態だ。
デザートもそうだが、モット伯は女癖が悪いと聞く。
これでシエスタが精神に深い傷でも負ってしまったら、私やオールド・オスマンの全存在をかけた戦いをしなくてはならない。
ただでさえ魔法無効の剣を持っているのに、その力が私達に向いたら世界滅ぶぞ?
「一つだけ聞かせて、シエスタはいつもの剣を、デルフリンガーを持ち出せた?」
418 :
ゼロと聖石6:2007/10/26(金) 09:24:08 ID:kE9/HKK9
その言葉に、頷きを返されると私は顔を青くした。
準備を整えないと。
急がないと、モット伯爵が殺されるかもしれない。
魔法は効かないし、剛剣で丸裸にされた後、新しい技を覚える実験台くらいにされそうな予感。
大急ぎで支度し、事情を話してタバサとキュルケにも付いてきてもらうことにした。
そしてたどり着いたモット伯爵の屋敷跡。
私はもとより、キュルケもタバサも驚きを禁じえないようだ。
そして三人の思考は一致した。
…遅かったか。
絢爛豪華な屋敷は見るも無残な姿をさらしている。
壁という壁には巨大な穴があき、倒れ付すメイジ達がそれに彩を加えている。
そして剣を持つ人影がこちらに向かって走りこんできて飛び込んできた。
「ルイズ様ぁーー!!」
「シエスタ!? 大丈夫、怪我は無い?」
はい、と頷き返すシエスタ。
「こんな服着せられて、部屋にモット伯が押し入ってきた時、怖くなって、私…」
多分、モット伯爵はもっと怖かっただろうに。
不憫と思いつつも自業自得なので同情はしないが。
シエスタを抱きしめつつ、頭を撫でて落ち着かせる。
「まぁ、特に問題も起こらなかったしこれで円満に解決ってことで」
「そうね、これ以上ここに居ても仕方が無いし」
「学院に帰還する」
「はい、皆さん助けに来ていただいてありがとうございました!」
こうして、モット伯のことなどすっかり忘れて帰ろうとした瞬間、瓦礫の一部が水に流される。
「貴様、平民風情がぁ!!」
膨大な水が渦巻き、こちらを押し流そうと鎌首をもたげている。
「新しい魔法覚えたから、最後に実験していくわ」
その言葉に誰も反対することなく、シエスタがデルフを構えて魔法を切り裂いて防ぐ。
その間にもルイズは詠唱を続ける。目標は目の前のバカ一体。
「時は来た。許されざる者達の頭上に星砕け降り注げ! メテオ!」
その二つ名である『波濤』をも飲み込み、隕石が着弾。
モット伯爵跡地は完全に更地となってしまった。
「威力が高すぎるから、封印ってことで」
「さすがにアレは俺にも斬れんわ」
こうして、メテオはめでたく封印されることとなった。
419 :
ゼロと聖石6:2007/10/26(金) 09:25:26 ID:kE9/HKK9
以上で投下終了。
着実に雷神化していくシエスタに理不尽火力を持ち始めたルイズ。
ハルケギニア滅亡の日は近いかも。
支援ありがとうございましたー。
ちょwww
ルイズ何と言う技を出すんだwww
あいているようなので、投下予約します
2分後ぐらいから開始します
>>「ええ、昔はその力でトロール鬼を数体殺せるほどの力はあったとか」
ベルセルクの異端審問官を思い出して気分が悪くなった
聖石の人の進行の早さに嫉妬した
私も早く続きを書こう・・・orz
しえーん
アルヴィーズの食堂は今日も賑わいを見せていた。
ルイズ達が到着した時には既に朝食の準備が整っており、殆どの生徒や教師が席に着いていた。
使い魔の食事は外で摂らせるのが原則だが、ラスティを同じ様にさせる訳にはいかないので
使用人に頼んで食事の用意をさせる事にした。
近くに居た黒髪の給仕の娘に事情を話すと、快く引き受けてくれた。彼女はラスティの事を知っていた。
「彼女の食事ならお任せください。厨房で摂ってもらう事になりますが」
「それで構わないわ。ところで、どうしてこの子の事を知ってるの?」
「ミス・ヴァリエールが女の子を召喚した事は結構話題になっていますから。
それに今朝、彼女が歌っている所を見掛けましたので。素敵な歌声でしたよ」
「そ、そうなの…」
ここにも既にラスティの歌声を聴いている者が居た。自分はまだ聴いていないのに。
キュルケも先程聴いたと言っていたので、他にも聴いた者が居るに違いない。
ルイズは自分の寝起きの悪さを呪った。
「あの、それで彼女の名前を教えて頂けないでしょうか」
「何で? 今朝、この子から聞かなかった?」
「いえ、彼女が一言も喋らないので判らなかったのですよ。ひょっとしたら、恥ずかしいのではと思ったのですが」
「あぁ、ごめんね。この子の名前はラスティって言うんだけど、過去に患った病気の所為で言葉が話せないのよ」
「そうだったのですか。そうとは知らず、失礼致しました。ごめんね。ラスティちゃん」
給仕の娘が謝ると、ラスティは気にしていませんから。とでも言うかの如く首を横に振った。
「大丈夫よ。ラスティも気にしてないみたいだから。それじゃあ、ラスティの事、頼むわね」
「はい、お任せください」
「そうだわ。あなたの名前、まだ聞いてなかったわね。何て言うのかしら。もしかしてステファ?」
「いえ、シエスタと申しますが…」
「そ、そう…あぁ、気にしないで。こっちの事だから」
「判りました。じゃあ、ラスティちゃん。案内するから一緒に行きましょ」
「また後でね。ラスティ」
「あぅ」
シエスタはラスティを伴って厨房の方へと消えていった。
少し話してみただけだが、穏やかな感じの娘だった。彼女に任せておけば安心だろう。
ただ、彼女の声を聴いていると、昨日、夢の中で出会ったステファの事を思い出してしまう。
彼女が放った寒いギャグが頭の中で再生される。ルイズは思わず身震いした。
二人の間に関連性は無いと思いたい。いや、絶対に無い。絶対に。
心の中で強引に納得した所で、自分の席に着く。
投下乙です。
ルイズたちの大雑把なノリと性格がだんだん心地よくなってきたぞ。 あれ?w
それと、ライトな作品に見せかけて、途中でちょっといい話があったんで、思わずグッときた。
>>421 支援する者される者
「やぁ、ルイズ。今のが噂の君の使い魔かい」
近くの席に座っている金髪の少年が此方に話し掛けて来た。手に持った薔薇の造花を弄んでいる。
メイジは皆、自分専用の杖を持っているが、彼の杖は薔薇を模った物だった。
「そうよ、ギーシュ。でも、噂って一体何なのよ」
「主人のくせに知らないのかい。彼女の歌声の事さ。素晴らしいって評判らしいんだよ」
ラスティの歌声の評判は思った以上に広まっている様だ。自分はまだ聴いていないのに。
「知らなくて悪かったわね。って言うか、あんたも実際に聴いた訳じゃ無いじゃない」
「まぁ、そう怒らないでくれよ。実は君に頼みがあるんだ。とっておきのね」
「頼みって何よ」
「彼女に愛の歌を歌って欲しいんだ。僕とモンモランシーの愛をね」
朝っぱらから何を言っているのだ、この色ボケは。ルイズは軽い眩暈を覚えた。
「それならラスティに直接言ってよ。あたしがどうこう言う問題じゃないわ」
「それもそうだね。なら放課後にでも頼んでみるとしよう。それにしても彼女は幸せだよ。
貴族であるこの僕の頼みを直々に聞けるのだからね。これって凄い事だよ。
そうは思わないかい? ルイズ」
「それ以上はやめて。朝食が不味くなるから…」
そんなやり取りをしていると朝食の開始の合図が告げられたので、何時も行っている始祖ブリミルと女王陛下への
感謝の祈りを捧げた後、食べ始める。
何気にギーシュの方を見遣ると、まだ薔薇の造花を手に持っていた。
「ちょっと、ギーシュ。食事の時ぐらい杖を仕舞いなさいよ」
「違うよ。これは杖なんかじゃない。マイフォークなのさ」
ギーシュが花弁の部分を取り外すと、中からフォークの先端が現れた。
「あぁ、そう…」
ルイズは溜息をついた。
朝食の後は学生の本分である授業が待っている。ルイズ達も授業が行われる教室へと向かっていた。
ラスティは先程から上機嫌だ。
「ラスティ。美味しかった?」
「あぅ♪」
嬉しそうな返事をルイズに返す。余程、厨房で出された食事が美味しかったのだろう。
そんな彼女に、隣を歩いているキュルケが尋ねる。
「そういえばさぁ、ラスティって年、幾つなの?」
ラスティは両手で自分の年齢を示す。
先ずは両手の指を全て使って『10』を示した後、今度は片方の手の指2本で『2』を示した。
「「えっ、12歳?」」
実際の年齢を知ったルイズとキュルケがショックで顔を見合わせる。もっと幼いと思っていたからだ。
その様子にラスティは少しムッとした表情をする。
彼女はその儚げな見た目と小動物の様な振る舞いの所為で、実年齢よりも3、4歳幼く見られる事が良くある。
すっかり拗ねてしまったラスティを二人が宥めている頃、彼女達と一緒に歩いていた青髪の小柄な少女、タバサは
別の意味でショックを受けていた。
「私よりも下……」
背格好が自分と殆ど変わらないラスティが、自分よりも下の年齢だと知ったからだ。
時々ギーシュの声が、花輪君で脳内再生されてしまう支援
タバサwww支援
今回はこれで投下終了です
>>414 やいやい!十六夜さん所の化物な木刀持ちについて
語ろうたって逃さねーぞ!魔界都市で僕と握手だ!(はあと)
て、転校生・・・
木刀かあ
木刀つったら魔探偵ロキのトールしか出てこない
>>432 残念、俺は十六夜のぼっちゃんより工藤のおっさんのほうが浮かぶタチなんだ
しかし念法の万能ぶりは異常
>>432 >>工藤のおっさん
そっちもそっちで大好きだ!(はあと)
おいといて、確かに問答無用に理不尽な威力だったねぇ…(´・ω・`)
>>436 確かに、絶大ですな。タバサママン助けても全くおかしくないな・・・メフィスト並に万能といえます。それと確かに
強キャラの虐殺劇(本当に殺しているし)を面白くかけるのは菊地御大ぐらいしか思い浮かびません。
だからこそ扱いが難しいですが、上手にクロスさせれば適度に空気が引き締っておもしろい作品になると思うのですが。
おねにー様ことはずむきゅん召喚と言う電波を受信した
>>436 同意。というかママンの毒も劇中描写を思い出すに間違いなく治せるだろ。
幾等か設定で縛っても、結構あっさり逝けちゃう気がする。だが…扱いがな…(汗)
トライする勇者を期待したくはあるが。なんとも複雑な気分。
でもうまく書ければ御大作品と萌え系作品とのクロスは以外に合うかもしれません。
生ぬるい空気が払拭されて。
>ゼロと聖石
HAEEEEEEEEEEEEよ!! あーた、書くの。
シエスタの爺ちゃんってやっぱオーラン?
ソーサラーorアークウィッチに近づいているな、ルイズ
木刀と聞くと“風林火山”とか“黄金剣”とか思い出す俺、惨状。
>>440 分かっちゃいるんだ。だから複雑な気分なんだYO_| ̄|○
無謀だがプロットちょいと考えてみようかしらん?
>>438 男の子と女の子の境がナウなヤングに大流行と…そういう
事ですかな?(・∀・)
元祖オネニーサマことメイズを…うんごめんむりとくに男メイズ
>>442 私はずっと待っていたよ。風魔と車田の匂いがする香具師が戻って
きてくれる日を。朋友よ!(・∀・)
>>438 例の宇宙人もセットで付いてくるわけだな
447 :
聖石の人:2007/10/26(金) 11:53:56 ID:kE9/HKK9
もうじき正午です。いかがお過ごしでしょうか?
投下しようと思うのですが道は開いていますか?
>>447 連日ご苦労様です、がんばってください支援
問題ありません。どうぞ。
450 :
ゼロと聖石7:2007/10/26(金) 11:58:46 ID:kE9/HKK9
それでは暴走機関車が投下開始します!
久方ぶりの夢を見た。
親には成績が悪いとしかられ、使用人の陰口も聞いてしまった。
私は中庭の池に浮かぶ小船の上で泣いていた。
いつもの夢なんだと理解してしまった。
いつもならここで子爵様が出てくるのだが、今日の夢はいつもと違っていた。
泣くのをやめて舟を漕ぎ、対岸にたどり着く。
そこではキュルケが化粧をしていた。
タバサがシルフィードにもたれて本を読む。
シエスタがデルフと話しながら重り付きの三メイルほどある棒で素振りをしている。
見知らぬ女性とロバの足を持った化物が仲睦まじく話している。
オールド・オスマンがその光景を見て少し引きつっている。
私は皆の元へと走っていった。
そこで、目が覚めた。
私にしては早く目が覚めた、眼下の中庭、シエスタが洗濯物の横で三メイルほどの重り付き棒で素振りをしている。
うん、いつもの朝だ。
いつものように着替え、いつものように友人達と騒ぎながら授業を受ける。
さて、日常を謳歌しましょう。
「さて、諸君は最強の系統は何だと思う?」
風は最強がモットーのミスター・ギトーの講義が始まり、いつもの決まり文句が飛び出す。
二年次で初めてこの授業を受ける時、必ずする質問で、彼はここで生徒の未熟な魔法を吹き飛ばして悦に浸るのが趣味だと聞いた。
さて、毎年ここで『火』や『水』とかそういった声が自信満々な生徒が挑戦してくるのだが、今年は違った。
「いや、多分ミス・ヴァリエールが使う先住魔法ぽい魔法じゃないかと」
ギーシュがそう呟き、共に授業を受けていた全員が頷く。
どうやらいまだにトラウマなようだ、アルテマが。
「ほう、ゼロのルイズが最強との声が名高いが、最強の系統は風だ。
ありとあらゆる災難を吹き飛ばす風こそが最強、というわけで、ミス・ヴァリエール。その魔法とやらを使ってみなさい」
仕事早いっすね〜 がんばってください。
452 :
ゼロと聖石7:2007/10/26(金) 11:59:51 ID:kE9/HKK9
瞬間、全員どころか使い魔まで教室外に逃げる。
調度品が近くにある生徒はそれを抱えて撤退し、風系のメイジが長机で入り口にバリケードを築く。
そのうえ、タバサほか水系統が使えるメイジが氷で障壁を張り、土系メイジがゴーレムでバリケードを押さえる。
その手際の良さに驚きつつ、ギトーは詠唱を開始する。
同時にルイズも詠唱を開始。
ギトーの周囲に暴風とも取れる障壁が張られる。
そのとき、横の教員用入り口から入ってきたズラをかぶったコルベールが登場。
「みなさん、授業は中止で……あれ?」
「さあ、全て吹き飛ばして見せよう!」
「星となりし偉大なる神々よ、我が力となりたまえ…リタンジャ!」
その瞬間に、ギトーの作り出した風の障壁が消える。
リタンジャによって障壁を作り出すという行動自体を無効化。
その隙にアルテマの詠唱を完成させる。
「なっ!? 風よ」
「遅い! 渦なす生命の色、七つの扉開き力の塔の天に到らん! アルテマ!」
ギトーの間一髪で間に合った全力の障壁をものともせず、アルテマの破壊力が教室中を埋め尽くす。
「ぎゃぼーーーーー!!」
「なんでわたしまでーーーーーー!!」
二つの断末魔が響き渡り、退避した生徒達全員が祈りの十字を切った。
ズラが消え去り、服に焼け焦げを作りながらコルベールが授業は中止だと告げた。
アンリエッタ姫が学院を尋ねるのだと。
そう、アンリエッタ様が。子供のころ一緒に遊んだアンが。
そのことに少しだけ胸を躍らせながら、同時に嵐が来る予感もした。
夜になって、アンリエッタ様が予想通り尋ねてきた。
久方ぶりのお嬢様ハイテンションに任せて会話を続けたが、正直頭が痛くなってきたので本題を切り出すように言った。
「要約してしまうと、アルビオンのウェールズ皇子から手紙を受け取ってほしいと」
「その通りですが、しばらく見ないうちにずいぶんとさっぱりした性格になりましたね」
なんでもゲルマニアとの婚約をご破算にしてしまうほどの物らしい。
どーせ恋文でしかも始祖ブリミルに誓ってとか書いちゃったんだと思う。
そこで私は部屋のドアを開け、盗み聞きしていた不逞の輩を部屋にご招待。
「盗み聞きとは根性悪いわね、ギーシュ・ド・グラモン」
こちらの笑顔を見て、震えながら命乞いをするギーシュ。
まて、まだ何もしていないぞ。
その後、アンリエッタ様のとりなしで同行を許可したのであった。
というか使い物になるのかコイツ?
さらに王家の証ということで水のルビーを借り受け、指にはめる。
そんな簡単に王家の証渡していいのか?
そんなことを考えながら、翌日の任務に備えて眠るのであった。
453 :
ゼロと聖石7:2007/10/26(金) 12:01:24 ID:kE9/HKK9
翌朝。
二人だけの任務だったはずだが…
「皆まで言わないわ。とりあえず行きましょうか」
いつもの面子全員が集結していた。
シエスタがデルフを背中に背負い、普段は見ないような立派な盾に鎧を身に着けている。
キュルケも冒険用の軽い皮鎧にツェルプストー家の家紋が入った杖を背負っている。
タバサは白いローブに身を包み、いつもの杖を持っている。
ギーシュはいつもの格好、せめて何かしらの旅行用の装備位しろと。
そういう私は黒のローブにマント、ヴァリエール家の杖にリボンと完全武装。
準備も整ったので、激を飛ばす!
「いざ、アルビオンへ!」
「「「「「おー!!」」」」」
おかしい、聞き覚えのあるようで懐かしい声が聞こえた。
後ろを振り向いて人数を確認する。
―――マテ、一人多い。
あからさまに一人だけ、年齢の割りに顔つきがオッサン臭い人物が!
「ワルド様!?」
「やあ、久しぶりだな、僕のルイズ!」
ルイズを抱きかかえて回りだす。
全員が驚きながら、こうも思った。
どこかにいっちゃってる人だな、と。
その全員の中にルイズも含まれていることは秘密だった。
454 :
ゼロと聖石7:2007/10/26(金) 12:03:10 ID:kE9/HKK9
以上で投下終了。
今回は区切りとか考えてこれくらいに。
風の国でルイズたちはどんな無茶をやらかすのか、そしてワルドの運命は?
待て次回ということで支援ありがとうございましたー。
前回色々と地雷踏んでしまいましたけど、次投下しても大丈夫ですか?
木刀と言えば正宗……なんでもない支援
OKぽいので、行きます
STEALTH & Aegis :2−2 ストレンジャーズ(2)
「・・・ですから混合比の変化によって燃焼速度を調節し・・・」
「なるほどなるほど、そうして機関の回転速度を上がって、それに応じて出力も・・・・・」
ここ最近のエディの日課は、魔法学院の教師であるミスタ・コルベールとのお喋りが日が昇っている時間帯の日課となっていた。
もっともただのお喋りではなく、れっきとした情報、ならびに技術交換である。
このコルベール、エディが周辺の地図作成から帰還したその夜から引っ切り無しにエディの元へ顔を出す様になっていた。
根っからの研究者肌に多いタイプで、未知の物はとことん調べない時がすまない性分らしい。
訪れた時は夜遅くて双月が雲に隠れていたにも関わらず、どういう訳か彼の頭がえらく光り輝いていたのが、未だにエディは不思議でならない。
人間の頭という物は、勝手に発光するものだっただろうか?
それはともかく、コルベールはどこか奇妙な部分もあったが、曲がりなりにも魔法学院の教師である。
この世界についての知識量は、生徒であるルイズよりもかなり豊富だろう。
そう判断し、エディはコルベールに取引を持ちかけたのだった。
エディは自分が居た、魔法が存在しない世界の科学技術についての知識の提供を。
コルベールはこのハルケギニアの国際状況や魔法などといった、この世界特有のエディの知らない情報を。
当初からエディにプログラムされていたデータの中には陸海空、各種軍用兵器についての詳細な一覧表があった。
近未来になっても第2次世界大戦中に採用された兵器を未だに現役採用している国家も存在している。
その為データの中には電子機器が殆ど使用されていない、骨董品とも言えるレベルの軍用車両などの詳細なスペックもしっかりとエディの知識に含まれていた。
その頃の戦場は荒地や密林、極寒の平野など兵士にも兵器にも厳しい場所が多く存在している。
よってそこで使用された軍用兵器の大半は厳しい戦場で長く使用できるよう整備性と頑丈さを追求し、動力機構をシンプルにした物が多かったのだ。
それでも魔法の存在によって科学技術が足踏み状態なハルケギニアでは、その程度の技術であっても驚愕に値するレベルだ。
もっともこの世界で魔法を使わないその技術の凄さを理解できているのは、自分の独力で燃焼機関の雛形をでっち上げた事のあるコルベールのみなのだが。
話を終えたコルベールは、意気揚々と自分の研究室へと戻っていった。
新しくエディから教えてもらった技術でもって自作の燃焼機関『愉快な蛇くん』の改良でも行うのだろう。
何だか目の下に大きな隈を作って、えらくハイに笑い声を上げていたのが気になったが。
・・・コルベールの身体をスキャンしてみた結果、重度の寝不足と軽い栄養失調と判明。
恐らく食事も睡眠もせず研究に打ち込んでいるのだろうが――ちょっと後悔。倒れられたら色々と困る。
入れ違いにルイズとサイトがやって来た。
ルイズはあれから何度かエディの元に顔を見せた事があるが、サイトはかれこれ1週間ぶりにエディの元にやってきた事になる。エディの方は中庭の片隅で何度もサイトの姿を見かけていたが。
どうやらルイズにあれこれ雑用をやらされていて忙しかったらしい。
「どうしましたか、ミス・ルイズ?」
「城下町へ行くわよ。こいつの剣を買いにね」
「授業はいいのですか?」
「今日は虚無の曜日よ。授業はお休み」
「そうですか。ではどうぞ」
既に前回の空からの探索とコルベールからのこの国周辺の地図を見せてもらい、収集したデータと比較済みなので大体の地理や街は把握済みだ。
ところで、総じて戦闘機の操縦席という物は狭い。
2人乗りの戦闘機もあるにはあるが、その場合席の前後に座席が並んだ複座型である。
縦はともかく、横幅はかなり狭い。各種電子機器も搭載しているため尚更に。
ましてや元々無人戦闘機であるエディの場合、人が乗らないのが前提だ。
大柄な男性1人乗るスペースは何とかあったものの、比較的小柄な人物でも流石に2人分乗る余裕は殆ど無い訳で。
サイトとルイズの場合、どうやって乗っているのかというと。
「どこ触ってんのよ、変態!」
「仕方ないだろ狭いんだからって、うわ、暴れんな!」
「すいません。私のセンサー球体は案外デリケートに出来ていますので傷つけないようお願いします」
まずサイトが座席(?)に腰かけて、その膝の上にルイズが座る。
こうする事で狭い空間に何とか乗り込めたサイトとルイズだが、お互い異性とここまで密着するのは殆ど経験が無いせいか、あれやこれやと騒ぎ立てる。
実際にはこうやって乗り込むのは2回目なのだが、最初の時はサイトは見た事も無い戦闘機に初めて乗るのに。
ルイズの方は幻といわれる韻竜かもしれないそれに乗る興奮で、その時は殆ど気にも留めていなかったようだ。
ともあれ2度目ともなると幾分冷静にもなる訳で。
さっきもいったが、ルイズもサイトも異性とここまで密着した経験など殆どない。
サイトは太ももから胸元に、ルイズは背中に感じるお互いの熱と身体の感触に、思わず頬を赤くする。勝手に緊張してどちらも口を閉じてしまった。
そんな2人の変化を、エディはしっかりばっちり観測していた。
そして、こう思った。
――――――これがいわゆる、初々しいティーンのカップルという物ですか。
少し違う。
城下町へと着くまでの間、エディは<<アイム・レディ・フォー・ラブ>>を流し続けた。
2人とも歌詞の意味は分からなかったが、囁くような歌声のお陰で尚更気まずい雰囲気が流れっぱなしだった。
支援
いらん方向に空気読むなwww
支援
今回はこれで投下終了ー。前回も代理投稿してくれた方、ありがとうございました。
補給の部分についての下りで色々いわれてしまいましたが・・・やっぱり『色々考えてああした』じゃなくて『あれこれ考えたけど良いのが思い浮かばなくて結局ああした』んだろーがと自己嫌悪。
一応他の方々が納得できるような理由は考えてはいますけど、それでも矛盾があった時は自分の文才の無さが原因です。すいません。
それから聖石の人、更新速くてうらやましいですね。これからも頑張ってくださいです。
今日はこれで退散。ではまた。
無意味に高性能な気遣いするな支援
要らん親切w
GJ!
>>444 なんか男ルイズという言葉が思い浮かんだ
>>465 「男おいどん」を想像してしまったじゃないか
>>443 仮にやるとしたらやはり、「死なずの醍醐」か「秋月くん」、「トンキチ」、「伊達」
あたりでしょうね(ほかの面々はパワーバランスが大崩壊しますし)。デルフはいらないこにならずにすみますし。醍醐だとアニメの日食の設定をいじって
つかえば、ママンやちいねえさまの治療とティファの安全のためにゼロ戦と飛行船(名前忘れましたTT)で船団を組んで地球に帰還して
おなじみの面々をともなって地球に帰還し<新宿>のメフィスト病院に入院という手段もできますし。メフィストや
トンブならハルゲニアとのゲートを作れて全く不思議ではないし。
>>466 ルイズはランニングにサルマタ姿の男を召喚
フケをふりまき陰毛を掻くむさい男にルイズは絶望するが
男の気楽な生活作法や漢料理に少しづつ魅力を感じていく
「あ、ゲタを鳴らしてキュルケが来る〜♪ 腰にタバサをブラ下げて〜♪
メイジマントに染み込んだ〜♪ 雌の匂いがやってくる〜♪」
すっかり男ヤモメとなった寮のルイズ部屋には先日ついにサルマタケが生えたとか
そんなもん、被召喚者は、人形娘で決定じゃんじゃん
当然大烏も来るよな?な?
当然じゃんじゃん
スペクトラルフォースからヒロを呼び出すとか、考えてるんだが
ヒロの強さの調整が難しい・・・
魔法は使えるが空は飛べない、みたいな
そもそもヒロも王女みたいなもんなのに、ルイズと契約してくれるのかなんとか
弱いキャラだしても強いキャラ出してもこの微調整が難しいな!
>>467 つ 大ちゃん
知識と予算と装備は半端ないが普段から使えるのはジルガと銃器とE手袋くらいだし
まんまスパイダーマンな醍醐の甥もありだがあれは作者も認める真性のド外道だしなあ
ふと思ったが八頭家の総資産ていくらだっけ?
確か京辺りまでいってたとおもうんだが
ヒロにかわって
全く報われない、さまよっているGOCのエルフの国のジルなんてどうでしょうか
冥界キャラの良さを知るには、冥界に足を踏み外さなくてはならな(ry
クローシェ「お兄ちゃん…私に話しかけたら、らめえぇっ!
は、恥ずかしいよぅ…」
wwwwwwwwwwwww
ごめん誤爆した
>>473 祖父の代までで9000兆円以上。
先祖代々(大は45代目)含めたら単位換算が面倒だから算出してないとか。
ただこっちに資産持ってこれるわけじゃないし、
多芸多才だけどスペック的には菊地キャラの中では平凡だからいいんじゃないかな。
あっ、「おい、何で無人戦闘機なのにコクピットがあるんだ?」のセリフ思い出した。
そういや元の劇中でもスキャナーとか音楽再生とか戦闘機とは思えない装備があるし、DNAは何かの冗談かと思った。
>祖父の代まで
=祖父+父+大 のこと
間際らしくてゴメン。
シモンを呼び出してデルフの刀身を螺旋力でドリルに変形、生身でギガドリルブレイクとか考えてる
まぁいまいちシモンのキャラが掴めてないんで、セリフとか思いつかなくて書けないんだが
>>474 報われないスペクトラルキャラと言えば真っ先にジャドウとリトルスノーが浮かぶ
スペクトラルフォース2だと確かスノーが地球に戻ったのが正史になってたはずなのに
いつのまにかジャドウと封印されてるし
まぁ、結局のところはKOCよりはましなんだけどな!!
極悪非道な人体実験をしていたルドーラと何故か同罪で処刑されたゴルベリアス様……
スペフォネタがわかるあたり、やっぱこの板には
老若男女全てがそろってるんだな。
>>478 見落としてたd
大ちゃんは例えればバットマンとかゴルゴな類の強さだからね
実力が劣っててもどうにかしてくれそう
秋月君も結構スーパーマンだけど、周りが凄すぎて、凄みを感じられません。弱点も多いし、
彼も結構いい感じだと思います。もっとも<戸山住宅>の面々からすればトンデモナイ
(戦闘面以外で)ハイスペック(非常に苦しいが日の光を浴びても灰にならない、栄養にならないが普通の
ニンニク以外食べ物もたべられる、苦しいがシャワーにも入れる、温泉なら結構平気)キャラ
でしょうが、マジで<戸山住宅>に羨ましがられると思う・・・。とくに普通に食べ物を食べられる
のでセラスは壮絶に羨ましがりそう。
>>481 シモンのドリルの使い方だとデルフが死んでしまう。特に終盤。
>>459 バンブルビーといいエディといい、全く意思を持った機械ってヤツぁ…w
ことごとく武器がなくなったり壊れたりするようなデルフ大ピンチな運の持ち主とかいないのかな
既に召喚されてるが、宵闇の虎蔵とか実はヤバイんだぞ。
アイツ戦闘の度にカタナぽきぽき折ってるから。
FFTの侍の引き出す
刀じゃないと無理だったっけ?
そういやブレイドの属性は雷だけど、あれは魔法に入るのか?
遊戯王の魔法カードがありならラウズカードもありでしょw
オンドゥルのブレイドがキング以外のスペードスート持ってるとして、
変身用の1、直接攻撃系(キックだのパンチだの)の2〜5は除外、同時にマッハの9、フュージョンの11、アブソーブの12も除外。
残るは6のサンダー、7のメタル、8のマグネ、10のタイムくらいだな。
あの時点で他のスートのプライムベスタ(ブレイドでも使用可なもの。ハート4のフロートとか)持ってたかどうかはわかんね。
>>491 刀と書いて使い捨てと読みかねない世界観だから。
自分で言ってて気付いた。もう最初から低気圧モード搭載だから
両手両足四刀流は日の目を浴びないのか…
>>492 デルフって形状は刀に似てなかったけ?よく覚えてない…
だけど引き出すで壊れる確立はランダムだから
一発で壊れる可能性も。
>>496 デルフはたしか片刃の直刀だから、刀じゃなくてサーベルになるんじゃないか?
引き出してデルフぶっ壊れたらどうすんだよwww
とりあえずお墓を作ります
二刀流でデルフ量産しとけば大丈夫じゃね?
FFシリーズみたいにバグ技使ってデルフ×255で
>>502 『おでれーた。俺がここまで増えちまうなんておでれーた』×255とか見たいのか君は。
>>503 なげるで消費するから問題ない
で、減ったらまた増やして以下エンドレス
PSPのヤツだとバグが改善されていてむりぽ…
引き出すじゃなくてエルムドアの刀魂放気だったらおk
アンリミテry(ルイズの錬金ばりに危険なので省略
FF5であまのむらくもとか投げまくったなw
エクスカリパー投げたら凄いダメージが出ておでれーたのも言い思い出。
>>506 アンリミテッドサガか。
つまり全身鎧ならぬ全身デルフ
>>502 バグと聞いて機械の愉快な蛇くんを防具装備とか浮かんだ
>>509 まさに「体は剣で出来ry(やっぱりルイズの錬金ばりに危険なので省略
鎧なんて頭にドリルつけておけば十分だよ
そしてそのドリルで天元突破
だからドリルは取れと言ったのだ……
>>389 この作者は銃描写がアホっぽいってか、無知なんだよね。
知ったかぶりで、検証や裏付けしようと思いつきもしないんだよ。
>薬莢の大きさに合いそうな穴があるではないか。そう薬莢の排出口だ
この描写もあきれたね。こいつどんだけ馬鹿かって思ったよ。
排莢口は不発などで弾頭つきの実包も排莢できるように 『余裕を持った設計』 されてるのに
>AUGから排出された薬莢なのだ。当然大きさも排出口に合う大きさなのだ
ねえよwwwww バカすぎww
読者なめてんのか?
頭使えよ、検証の手抜くな。
言い思い出ってなんだ…orz
エクスカリパー投げた後でどくろイーター狩りに便利と知って俺涙目
両手でふん捕まえてドリルインフェルノもありだな
>>503 サラウンドでしゃべるデルフ想像してしまったw
朝のネタだが…
木刀といえば、体力が無ければ無いほど強くなる『天衣無縫』とか式神を呼び出せる『駆愚羅』を思い出す。
…マニアックでスマン。
木刀といえばマンキンの木刀の竜なんてのは
なんで打ち切りになったんだろ
ふとキテレツ大百科召喚とか電波受信
↓
その日、ルイズは激しく落ち込んでいた。
春の使い魔召喚の儀式で散々失敗したあげく、やっと呼び出したのが表紙に変な模様が書かれたノートとメガネだったからだ。
生物では無いにしろ一応召喚したという事で留年は免れたものの、ルイズの気持ちは晴れない。
だが芯の強い彼女は自分を励まして決意した。
「これはきっと、このノートを使ってしっかり勉強しなさいっていう始祖の思し召しなんだわ!
そうよ。使い魔なんか居なくても、こうやってメガネが必要になるぐらいノートをみっちり使って……あれ?」
そしてルイズは気づく。
ノートと一緒に召喚されたメガネを使って見ると、白紙のノートには文字や図解が書かれている事に。
このノートこそ奇天烈大百科。
江戸時代の超天才発明家・奇天烈斎の生み出した驚天動地の発明の数々が、造り方と共に書かれた奇跡の本。
時間を移動し、物質をすり抜け、魂を持った人造人間を作り出す脅威の発明が今、ルイズの手に委ねられたのだ!
「見たことの無い文字よね? うーん、これは読めないわ」
翌日コルベール先生や他の教師にも聞いてみたが、やっぱり誰も読めなかった。
その後ルイズはしっかりと勉強し、魔法は使えないが模範的な貴族の1人として、
普通に学園生活を送ったり、普通に戦争から疎開したり、普通に戦災復興をしている最中に出会った貴族と恋に落ちて結婚したりして、
ラ・ヴァリエールの長い歴史の一ページに名を残した。
謎の本は珍しい異世界の産物としてヴァリエール家の(役に立たない)宝物として大切に保管されたという。
めでたしめでたし。
>>493 サンダーとメタルだけに限って考えると、ルイズ達から見れば土と風のラインって思われるだろうね。
魔法にするかどうかは作者次第ってことで。
>>494 公式サイトを見たらキングが持ってたカードは睦月に全部渡しちゃってる。
剣崎のスペードスートはほとんどキングに奪われてるね。
変身用のエースしか持ってないはずだよ。
>>521 あの作者は見開き白紙ページを使いすぎたw
すまんミスった
>>524 もうかなり前の話だから記憶があやふやになってるがそんなに多かったか?
プリンセス・ハオが無駄に印象にw
マンキンから幽霊召喚したらタバサ涙目w精霊クラスは絡めやすいかもしれないくど
>>527 ルイズに憑依合体とか面白いかもしれんな
>>529 で、槍も見つけて二段階のオーバーソウル。
幽霊ってここだと何が召喚されてるかね、とタバサの反応にwktkする意味で聞いてみる
召喚されてから一言も口を利かない
ルイズが失敗魔法をぶつけても口を利かない
元々軍人だから白兵戦がおっそろしく強い
それでギーシュを叩きのめしても口を利かない
フーケのゴーレムは昔オスマンが出会った赤毛の青年が所持していた指向性の粒子爆薬で粉砕
それで周囲に称えられても口を利かない
軍隊指揮はまさに名将
しかし指揮でも口を利かない
指揮は全て手振りで指示。指を一回鳴らしたらコーヒーで二回ならブランデー
間違えてコーヒー二杯持ってきても口を利かない
周囲の女性に迫られても完璧無視
タバサが彼に奥さんがいることを説明するが何故タバサが知ってるのか分からない
奥さんへのプロポーズの言葉は誰にも分からない
そして戦争が終結目前になって一言つぶやく
「チェックメイト」
「しゃ、喋った!?」「口が利けたんですかあの人!?」
そんな沈黙提督ネタがふと浮かんだけどまとまらんかった
分かる人すくないだろうなこれ
>>531 本来死んでる人が呼ばれたりはしてるが幽霊と呼べるかどうか
キスダムから哀羽シュウ召喚、とかふと脳裏よぎった。
もちろんヴァルダたちもセットでな!
>>534 シュウと互角以上に戦えそうな奴がいないな
乙女はお姉さまに恋してる の高島一子が幽霊だ
>>537 原作のほうで死んだ、死亡寸前の人が呼ばれたってことだろ
鋼練を使い魔と混ぜると面白そうだなルイズが「黙りなさいよ!このチビ!」って言うとエドが「誰がミジンコ豆チビじゃー!」つってアルが二人を宥めるみたいな。
避難所だけど、プリズムリバー楽団。
って、こいつらは幽霊じゃなくて騒霊か。
541 :
537:2007/10/26(金) 21:22:17 ID:hKU24aij
分かりにくいな。最後の一行に関しての質問で。
>>533 妖怪だがとらとか
一瞬アイゼナッハのこと聞いてるのかと思った
ある意味死んでると言ったら最終兵器彼女のちせ召喚。勿論最終形態
ハルケゲニア滅ぶな
なんか、貴族が嫌われ過ぎてる話が多くて不安になる
平民が不満があるのはわかるが、社会システムや文明の中枢を貴族に依存してるのに
それを理解してる様子もなく、敬う心もないのはどうかと
シエスタくらいじゃね
最低限、貴族を敬う教育をしないと、世の中が不安定になって荒んでいくと思うんだが
まあ、日本の政治家よりはましな扱いだが
幽霊というにはあれだが、クロススクランブルから●妹、もとい水坂憐もいましたね
ナイトライダーがありなら、サイバーフォーミュラからアスラーダ召喚。
そしてルイズがゼロの領域へ…という電波を受信。
後、リベリオンよりジョン・プレストン召喚。
ウルトラヴァイオレットみたく7万のアルビオン軍なぎ倒してるシーンを受信したけど書けねー!
元々がリビングデッドだったりアンデッドだったりする人召喚したら一応生死で分けると死んでるわけだから複数の使い魔が呼べるんだろうか?
>>544 いっその事、岡田真澄同志を召還してみるというのはどうだ?
551 :
537:2007/10/26(金) 21:28:10 ID:hKU24aij
>>538 ああ、そういう意味か。てっきり死体を召喚したって話かと思ったよ。
・マスターアジア
・高島一子
・ルーク
・新垣
最近読みはじめたこの作品は死んでるはず。
>>531 メロスの人だったかな?幽霊状態で呼び出されてタバサ気絶してたよーな
BPZの人こないかな
BPZの人ではないのですが、投下してよろしいでしょうか?
無論だよ。ドラえもん
>450
>見知らぬ女性とロバの足を持った化物が仲睦まじく話している。
マテ!
ルカヴィ召喚?
素は誰だ…
マチルダさんは勘弁してほしいかと
558 :
537:2007/10/26(金) 21:43:00 ID:hKU24aij
テファが2年進学時にシャナ&悠二、釘宮&日野ちゃまを召還。
青い三日月と赤い満月が空にかかる夜に顔をローブで隠した女が魔法学院の塔の屋根に降り立った。
女の名はフーケ。
土くれのフーケ。
今のトリステインでその名を知らぬ者を探す方が難しい名うての盗賊である。
そんな彼女が今狙わんとしているのは魔法学院の宝物庫だ。
その中には様々な、そして高価な宝が眠っているに違いない。「破壊の杖」と呼ばれるものには特に興味がある。
だが、それだけの宝が眠っているだけあって魔法学院の宝物庫は実に厳重だ。
綿密に調べてみたが隙がない。
扉にはロックの魔法。
壁や天井には固定化の魔法。
どちらも何人ものスクウェアのメイジ によって念入りにかけられたものである。
扉の鍵を入手しようとしたこともあった。
だが、鍵を持っている学院長のオールドオスマンは普段は飄々としているが、ときどきさすが高名なメイジと思わせる鋭さを見せる。
宝物庫の鍵の管理もオールドオスマンが未だもうろくしていないところ見せるところで、フーケは結局鍵を諦めざるを得なかった。
今、フーケは錬金の魔法を試している。
いかに強力なメイジによってかけられた固定化の魔法といえどもそこは人間のやること。
どこかにミスがあるのではないかと思い壁から床、天井に至るまで少しずつ調べてきたのだ。
そして今日、いよいよ最後の場所を調べているのだ。
結果、スクウェアのメイジ達の仕事は一分の隙もないことが判明する。
「さて、どうするかねえ」
無駄足は無駄足だが、中のお宝のことを考えると諦めてしまうのはおしすぎる。
「なら、あの方法を使うしかないようだね」
この学園の教師から入手した情報に宝物庫の壁は物理的衝撃に弱いのではないか、という話を聞いたことがある。
ただし、この壁はかなり厚く半端な力ではびくともしない。
その教師もゴーレムを使わなければならないと言っていたほどだ。
フーケはゴーレム作成と使役には自信がある。
それを試してみるしかないだろう。
ただ、今はできない。
そんなことをすれば、魔法学院の警備兵ばかりでなく教師をも相手にしなければならないだろう。
できれば警備兵や学院のメイジ達が一カ所に集まったときに決行したい。
「さて、どうするか」
悩むフーケに風が声を運んできた。
「!!!!!!!!!!!!」
その方向には女子寮があり、部屋のいくつかは明かりが灯っている。
普段はもうみんな寝ているころなのに何をしているのか、と考えたところで思い当たる節があった。
「そうね、そろそろあの時期ね」
フーケのローブがばさりと揺れる。
唇を青い三日月のような形にしたフーケの姿は闇に溶けるように消えた。
「ぬわぁんんだこりゃぁああああああ」
ルイズが思わず両耳を閉じるような声でデルブリンガーが叫ぶ。
「俺の、俺の、俺の体がぁああああああああ」
デルブリンガーは錆びてはいても大剣だった。
幅広で、身が厚い実用一辺倒な作りは貴族受けはしないもののそれなりに立派なものだ。
「おおぉおおおおおおおお」
ああ、なんたる哀れ。なんたる悲劇。
「何よ、そのくらいでうろたえないでよ」
「でもよぉ、でもよぉ、でもよぉおおおおおおおおお」
その姿は今や大剣とはほど遠い。
「あはは。ルイズ。もう良いかな?」
何とも言えない笑いを返すフェレット姿のユーノの背中にデルブリンガーは背負われていた。
むろんフェレットに大剣が背負えるはずもない。
なら、何故背負えているか。
デルブリンガーは今やユーノの背中でフェレットサイズの大剣という針のような変わり果てた姿になっていたのである。
「この世に生まれて6000年。こんな情けねえ姿になったのは初めてだ」
「ルイズ、そろそろ止めてあげようよ」
男泣きに泣くデルブリンガーがさすがに哀れになったユーノがルイズに頼むがルイズには聞く気はないようだ。
「いいじゃない。もう少し」
にやにやと面白そうに笑いを浮かべている。
555 Standing by支援
昔々あるところから支援
そもそもこんなふうになったのは、デルブリンガーを以後どうやって扱うかを考えていた頃に始まる。
大剣は人間の姿のユーノと比べても大きい。
担いでも両手で持ってもずるずる地面を引きずってしまう。
空を飛んでいれば関係ないが、いつも飛びっぱなしというわけにはいかない。
いつものフェレットの姿になっているときは論外だ。
なら、ルイズが持ち歩くというのもあるがこれも却下だ。
貴族が杖ではなく剣を持ち歩くのは格好のいいことではない。
様式と礼式に反してしまう。
貴族としてふさわしい態度を養う魔法学院の生徒としてははなはだまずい。
そこで、2人でうんうん呻りながら考えてたときにルイズが唐突に妙案を出した。
「じゃあ、ユーノがそのデルブリンガーを背負ったままフェレットに戻ったらどうなるの?」
ユーノの本来の姿に関するルイズの勘違いは置いておくとして、ユーノは人間からフェレットの姿に変身すると服やマントに靴はまとめて消えてしまう。
この時、腰のポーチに入れている小物も消えてしまう。
なら人間の姿の時にデルブリンガーを背負って、そのままフェレットに変身したらどうなるだろうか。
試してみました。
さすがは魔法の剣。
服のように消えてしまうことはなかったが、人間の姿のユーノが小さくなるにつれて一緒に小さくなってしまったのである。
ユーノがうごくのにじゃまにならないサイズになってくれたのは嬉しい誤算だ。
と言っても、大剣デルブリンガーは今や針剣デルブリンガーだ。
そして嘆きのデルブリンガーとなってしまったわけである。
「ねえねえ、ユーノ。今度は剣を抜いてみて」
「うん、いいけど……」
背中でデルブリンガーがえぐえぐ鼻をすすっている。
どこに鼻があるのかは謎だ。
「ごめん、もうちょっと手伝って。後で元に戻すから」
「相棒、本当か?本当なんだな」
手足があったら拝んでいただろう と思うような声でデルブリンガーが喜ぶ。
ほっと、一息ついたユーノは背中の剣に手を伸ばす。
「んっ」
間違い、フェレットなので手ではなく前足だ。
「ふんっ」
体をちょっと強くねじった方がいいようだ。
ユーノは今度は勢いをつける。
「ふんっ、ふんっ、ふんっ」
「何してるのよ、ユーノ」
「ルイズ」
少し息切れをしたユーノが顔を上げる。
「手が届かないよ」
「え?」
当然だが、フェレットの前足は短い上にそもそも背中に手を回すようにはできていない。
おまけに人間のようにものを持つような構造にもなっていない。
「ちょっと、そんなはず無いでしょ。もうちょっとこう」
「え、え、待ってよ。ルイズ!」
フェレットの骨格構造を知らないルイズは納得がいかない。
ユーノの肩を持ってぎゅうっとねじり上げた。
「いいいいい、いたいいたいいたいたい。止めて、止めてルイズーーーっ」
「おおおおっ、止めてくれ、相棒がぁあーーーーっ」
抗議の二重奏を聴いてルイズはやっと自分が何をしていたかに気づく。
慌てて手を放し、ユーノの背中をさすってやった。
「ごめん、ユーノ。大丈夫?」
「うん、大丈夫。でも、ルイズ。デルブリンガーを抜く事なんてできそうにないよ」
「そっかぁ」
ルイズも何が何でも背中の剣を抜かせたかったわけではない。
ユーノの体には変えられないので、諦めてもいいのだがそれではとても困る者がいた。
「おおおおおっ。じゃ、じゃあ。俺はずっとこのままなのか?ずっと小せえままなのか?」
「うるさいわねえ。私が抜いてあげるわよ」
ルイズはユーノの背中のデルブリンガーを針でもつまむように親指と人差し指でつまむ。
針のように小さいのでこれが一番やりやすい。
鞘を逆の手の人差し指で止めて、そっと抜いた。
「きゃあっ」
抜いたデルブリンガーが突然光る。
その光りはユーノが変身するときの光と同じだ。
ルイズはデルブリンガを思わず落としてしまう。
床に落ちたデルブリンガーはこれもユーノが変身するときと同じようにサイズを大きくしていき、元の大剣に戻っていった。
「おおおお。俺の、俺の体が元に戻った」
またも号泣するデルブリンガー。
手足があれば踊っているかも知れない。
「ユーノ、これって」
「たぶん僕から放したら元のサイズに戻るんだと思う」
「じゃあ、ユーノがその姿の時は剣は使えないのね」
「うん。無理だと思う」
「そっかぁ」
実はルイズは小さい剣を振るフェレットを見てみたかったのだが、無理ならしょうがない。
ため息と共に諦めることにした。
嘆きのデルフ支援
支援
今回はここまでです。
やった!なのは3部作の一番手の人帰還!
デルフ不憫すぎるw
乙。最近のデルフは要らない子or不憫な扱いの二択性だなw
これはコロボックルのハヤテでも使えそうなデルフリンガーGJw
じつはなのはの出展は被ってないんだよなw
なのはの作者さんGJ!
自分も後に続いてよろしいか?
そういや発表作品順に無印→A's→StSってなってるwww
BASARA支援
アーユーレディガイズ支援
次ははライドオン狐を呼ぶ勇者がいるのだろうか支援
では投下しますよ。
食堂の上にある大ホール、そこでフリッグの舞踏会は開かれていた。
ホールにはドレスやタキシードで着飾った生徒が大勢おり、テーブルには豪華な料理が並んでいる。
それは別世界から来た幸村達にとってはとても珍しいものであった。
そんな中で幸村はそわそわしており、何度も自分の着用している物を見る。
「どうした相棒、やけに落ち着きがねぇじゃないか」
幸村と共に来ていたデルフが幸村の様子を見て言った。
「やっぱあれか?慣れねぇのかそれ」
「うむ…拙者、このような着物を着るのは初めてだ…」
幸村が戸惑うのも無理はない。彼はいつもの具足ではなく、タキシードを着用しているのだ。
「まぁ似合っているからいいじゃねぇか。あっちは形だけなら良いんだがな…」
次にデルフはあるテーブルに目(?)を向けた。
そこに座っていたのはキュルケの使い魔の前田利家と、彼女の親友のタバサ。
彼もまた幸村と同じようにタキシードを着ている。
が、デルフの言うように形だけであった。
「美味い!この肉美味いぞ!あ、これも食っていいのか!?」
「……………」
彼はテーブルのステーキをフォーク1本で豪快に食べていた。
その姿はお世辞にも行儀が良いとは言えない。
隣で一緒に食べているタバサの上品さが余計際立って見える。
一方、別のテーブルでは氏政とギーシュが座っていた。
「聞いたよウジマサ、こんな働きをしてくれるなんて…主人である僕も鼻が高いよ」
「…お前の為ではないわ馬鹿もん…何でわしには何もないんじゃ…」
氏政は不貞腐れて魚料理をちびちびと食べている。
>>580 このロリコンめッ!ルイズとなのはにナニさせる気だ!俺も見たいじゃないか!
「何じゃウジマサ、まだ拗ねておるのか…」
そこへワインを持ったオスマンがやって来る。
「ふん!色なら絶対に教えてやらんぞ!」
だが氏政はまだ根に持っているのか目を逸らした。
ギーシュが慌てて叱ろうとするが、オスマンがそれを制する。
「それならもうよい、わしも何もやれんで済まなかったな」
そう言うと、オスマンは持っていたワインを差し出した。
「これはわしからの礼じゃ。さぁぐぐっと飲むがいい」
氏政はそのグラスを受け取る。
「…ま、まぁわしも少し我侭が過ぎたかもしれん…有難く貰おうかのぉ」
そしてそのワインを一気に飲み干した。
ところが、氏政がグラスに口をつけたまま固まった。
「…?どうしたんだいウジマサ?」
ギーシュが問い掛けるが、氏政は反応しない。
心配になり、氏政の肩を掴もうとした……その瞬間。
「…あばばばばばばばばばばばば」
「ひ、ひぃっ!?」
氏政の体がブルブルと凄い勢いで震えだした。
それを見たオスマンの目がカッと開く。
「引っ掛かったなウジマサ!それはマンドラゴラを漬け込んでおいたワインじゃ!!」
「えええぇぇー!?」
言い放たれた言葉に、ギーシュは驚きの声を上げる。
氏政の震えはさらに激しくなり、グラスを落とすとそのまま後ろへ倒れた。
「わしでも直に見た事ないのに……教えてくれなかった仕返しじゃああー!!」
そう言ってオスマンは爺と思えぬ速さで逃げて行った。
「ウジマサ!しっかりするんだ!」
「あばばばばばばば………あ、ご先祖様じゃ」
「ま、また見えちゃいけないものが見えているうぅぅーっ!!!!」
パーティーでホールが盛り上がっている反面、外は静かで虫の鳴き声が聞こえてくる。
…ヴイィィーン…ギギギ
しかし、虫の鳴き声に混じって何やら機械的な音がする。
「………」ブシュー…
音の発信源はタバサの使い魔である忠勝だった。
彼はその体の大きさ故、外で待機しているのである。
パーティーの喧騒から離れた中庭で、忠勝はホールから漏れる明かりを眺めていた。
「タダカツさん」
ふと、後ろから声をかけられた。
振り返ってみると、そこには幸村や利家とよく一緒にいる少女が立っている。
見ると、少女は料理が乗った皿を手に持っている。自分の主人であるタバサからだそうだ。
料理を手渡すと、少女はまだ仕事が残っているからと足早に去って行った。
「………」ヴォォーン…
しばらく料理を見ていた忠勝だったが…皿に乗っていた野菜のようなものを口に入れてみた。
これがいけなかった。
「…!?!?」ギュオン!!ガギィィーン!
口に入れた途端、強烈な苦味が広がる。
それだけでなく、嗅いだ事のない臭いが忠勝を襲った。
「…!!…!?」ビーッ!ビーッ!ビーッ!
:警告音が発せられ、体から火花が散り始めた。
さらに目の色も赤や青、緑と目まぐるしく変わっていく。
「!!!!????」ビィィーー!!ガガガギゴゴゴ!!!!
一際大きな警告音が鳴り響くと、どうした事か背中から加速装置が勝手に飛び出す。
そして忠勝は一気に空高く飛び上がり、そのままフラフラと何処かへ飛んで行ってしまった。
「あん?今なんか変な音が聞こえなかったか?」
外から聞こえた音にデルフは幸村に問い掛ける。
幸村は外に目を向けようとしたが…
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおなぁーーりぃぃー!!」
丁度その時、ルイズが現れた。
「よう、馬子にも衣装たぁこの事だな!!」
「うるさいわね」
デルフがからかいたくなるのも無理はない。
白のドレスに身を包んだその姿は、いつもより貴族の気品さを際立たせていた。
「…黙ってないで何か言いなさいよ」
「…ぬ、あ…に、似合っているでござるぞ!!!」
幸村はいつもと違うルイズにしどろもどろになっていた。
ふと、ホールに音楽が流れ始める。
今日の主役であるルイズが到着した事により、楽士が演奏を始めたのである。
音楽が流れ始めると、ホールに集まった貴族達はペアを組み、ダンスを踊り始めた。
「な、な、ななななななな!?」
それを見た幸村は口をパクパクさせ、顔を赤くした。
「ルルルルイズ殿!!あ、あれは一体!?」
「何って…踊っているのよ」
「踊る!?ててて手を取り合って……あんなに女子と近づいておるぞ!!!」
幸村の顔はさらに赤くなり、今にも火を吹きそうになっている。
「別に貴族のパーティーなら珍しいものじゃないわよ……あ、あの」
「いや!あんなに顔を近づけるなどやはりはれん………ち?」
ルイズが手を差し伸べていた、何故か顔を赤らめながら。
「そ、その……折角だから踊ってあげてもいいわよ?」
支援
実は楽しみにしてたぜ支援
幸村の頭の中でルイズの言葉が反響している。
踊る…?踊るとはつまりあれをするという事か?
「…ちょっと、ユキムラ聞いてる?」
あんな風に手を取り合って一緒に……よく見ると頬が染まっている女子もいる。
それを拙者がやるというのか?無理だ、第一あれは拙者の知っている舞ではな…
「ユキムラ!!」
業を煮やしたルイズが幸村の手をぎゅっと掴む。
と、その瞬間。
「うわああああぁぁぁぁぁーーーーっっっ!!!!!」
幸村の目が飛び出しそうなほど見開き、ルイズの手を凄まじい速さで振り解いた。
あまりの事にルイズは声を上げる事も出来ず、目を丸くする。
「うわああああああぁぁぁぁーーっっ!!!!」
だがそんなルイズの事などお構いなしに幸村は絶叫すると、バルコニーから一気に飛び降りた。
「あら?」
その頃、忠勝に料理を運んだメイド…シエスタは庭を通ってホールの仕事に戻ろうとしていた。
そんな時、こっちへ向かってくる人影が目に入る。
幸村だ。幸村が顔を真っ赤にして走ってくる。
「ユキムラさんどうしたの……」
「うわああああぁぁぁぁーーっっっ!!!!」
「きゃああ〜!!」
しかし、幸村は声をかけたシエスタの横を神速の如き速さで駆け抜けていく。
後には目を回したシエスタが倒れていた。
「…な、何よ…私と踊るのがそんなに嫌なの…?」
走り去って行く幸村を、ルイズはバルコニーから眺めていた。
その夜、トリステイン学院の近くにある森から男の叫び声が聞こえたそうな…
しえんー
支援
パーティーの翌日…
トリステイン城下町は朝早くから町民が忙しく働いている。
「いやあああああぁぁぁぁ〜〜ん!」
そんな時、チクトンネ街のある店の前から絹を裂くような………男の悲鳴が聞こえた。
「どうしたのこんな朝から…」
悲鳴を聞き、男の娘と思われる女性が目を擦りながら現れる。
そんな事も気にせず男はさらに騒ぎ、店の屋根を指差した。
「私の…!私の『魅惑の妖精亭』の屋根に何か黒くて大きくて頑丈そうなのが突っ込んでいるうぅ!!
………あらやだ、私ったらはしたない?ほほほ♪」
男の言うように、何か大きな…足のようなものがあるから人だろう…
その黒くて大きくて頑丈そうな人が頭から店の屋根に突っ込んでいた。
「…………!」ギュオーン、プシュー…
これにて投下終了。
次回、「忠勝のアルバイト」をお送りします!
ぐっじょぶ!
幸村のチェリーっぷりに乾杯w
乙でしたー
>男の娘と思われる
これ、“おとこのむすめ”なんだろうけど、“おとこのこ”って読んでしまった俺は忠勝に踏まれてきます。
投下、OK?
OK牧場。
支援、支援
598 :
聖石の人:2007/10/26(金) 22:39:44 ID:kE9/HKK9
BASARAの人乙でしたー。
BASARAといえば1の伊達軍OPが忘れられません。
崖から飛び降りる前のあのやり取りはもはや爆笑物です。
ところで道は開いていますか? 明日投下できない分を今投下しようと思うのですが。
当麻は気がつくと、シルフィードの背中に乗せられていた。
とぎれとぎれの記憶は、あまりあてにならない。
断片的に残っているといえばワルドを殴った後倒れたこと、ルイズ達が何やら叫んで駆け寄ったこと、彼女らがフーケと敵対していたこと。
そして今に至る。
たったそれだけでは、意味がわからない。
(いったい……)
なにがあったのだろうと、ぼんやりとしている頭をゆっくりと起き上がらせる。
「トウマ!」
突然耳元で叫ばれ、驚き、細目だったのを見開く。
横には、自分を看病していたのだろうか、ルイズがいた。
周りにはタバサやキュルケ、ギーシュにアンリエッタ。
そして、
当麻と同じく横たわっているウェールズ。
「……つ〜!?」
「まだ怪我が治ってないんだから……安静にしてて」
とりあえず事情を聞こうと今度は体を起き上がらせようとしたが、背中から激しい痛みが襲いかかって来た。
見ると、不器用ながらも自分の体には包帯らしきものが巻かれていた。
「でもその『幻想殺し』って味方の治癒呪文まで打ち消すなんてね……」
ルイズの目頭から水晶のような粒が溜まっていく。
自分を心配してくれたのだろう。今までは魔法でどんな怪我も治してきたのかもしれないが、今回は違う。
もしかしたら死んでしまうかもしれない当麻に、つきっきりで看ていたのだろう。
その心配が安心へと変わり、気が緩んだからに違いない。
もっとも、彼女の性格からは絶対にそんなことは言えないが。
「心配かけちまってわりいな」
「え、あ、へ? い、いや別にあんたを心配するわけないじゃない! そ、そうよ。これは単にあんたが死んじゃったらめ、迷惑というかなんというか……」
それが心配というんじゃねーのか、と当麻は、決して口に出せない突っ込みをした。
風が、気持ちいい。
いつもはあのカエル医者が治してくれるのだが、ここにはそのような万能な医者はいない。
いたとしてもあの背中の傷を負った今は動かない方がいいのだろう。
当麻は横にいるルイズに何があったのか尋ねた。
「なぁ、俺がぶっ倒れてから何があったんだ?」
溜まった涙を腕で拭うと、ルイズは答える。
「フーケがワルドを抱えて逃げたわ……。後ちょっとまで追い詰めちゃったんだけどね」
「そうか……、んで、今俺達はどこに?」
「えっと、行けばわかるわ」
「?」
600 :
聖石の人:2007/10/26(金) 22:41:07 ID:kE9/HKK9
おっと、先約が入っていましたね。
私はしばらく後に投下します。
支援
>>547 アンデッドは『もう死んでる』のではなくて『死んではいないが生きてはいない』
という定義なんじゃん?話にもよるけどさ。だから、やっぱり原則一体になるんじゃないか?
なぜか行き先を口にしないルイズ。心なしか、視線も僅かばかし当麻から逸れる。
そんな言動に当麻は疑問を持つが、何か事情があるんだなと察して黙ることにした。
目的地、ラグドリアンの湖にたどり着いたのは意外と早かった。
昨日ないし一昨日に訪れたこともあったので、当麻はすぐにそこが何処であるか気がついた。
「ここで、何をするんだ?」
先ほどは聞けなかった理由、目的地にたどり着いたら聞けるものだと思っていた。
と、突然ウェールズとアンリエッタがシルフィードから降りた。
ウェールズは怪我を負っているのだろうか、アンリエッタに肩を預ける形でゆったりとしたテンポで前へと進んでいく。
「ウェールズ様が、生き返ったのよ」
突然のルイズが口を開き、は? と思わず口に出す。
そして言われて気付く。確かにウェールズが歩いているのはおかしいと。
ルイズの魔法でウェールズが崩れたのはこの目ではっきしと見た。
あれはアンドバリの指輪の効力を消す魔法ではなかったのだろうか。
偽りの命が失った今、ウェールズは死に体になるはずなのだが……
「どういう――」
「わからないわ。多分偶然と言えると思うけど……とにかくウェールズ様は生き返ったのよ。でも、以前受けた傷も蘇ってもうすぐ……」
そのあとは喋れなかった。顔を伏せ、やり切れない思いで体が震える。
この前の傷とはワルドのだろう。致命傷となった傷故にそう永くは生きていられない。
(だからみんな黙っているのか)
いくらアンリエッタとウェールズが先程まで敵であったとはいえ、戦いが終わればこの国の女王とその愛してた人。
とてもじゃないが戦いに勝利した気分になれないし、今回の件について責めることはできない。
タバサはどこからか取り出した本を読み、キュルケは寝転がっている。ギーシュはただ薄暗い空を眺めているだけだ。
そんな様子を見て、当麻は幾分か考えた後、傷ついたその体に最後の鞭をいれる。
「トウマ!?」
突然立ち上がろうとした当麻にルイズは驚く。
ルイズの声に三人が振り返る。タバサだけがすぐに本へと目を戻した。
「あいつには……アンリエッタにはまだやるべきことがあるからな」
そいつを確かめに行くのさ、と付け加えて、シルフィードから降りた。
といっても、背中に大きな傷と全身を打撲している当麻の足はふらついている。
雑談自重、支援
まだ応急処置しかしていないその体は悲鳴をあげている。
しかし、それでも当麻は足を進めた。
最後の仕事を果たしにいくかのように。
と、そんな少年の腕を少女が自分の肩へまわす。
「そんな体で一人歩こうとするなんてバカじゃないの……?」
「わりぃな、付き合ってくれて」
感謝する少年の言葉に、少女は頬を赤くする。
「あ、あんたのためじゃないのよ? わたしはただ姫様が心配だからついていくだけなんだから!」
わーってるよ、と少年は投げやりに答えた。
「ぼくを忘れると。忘れて、他の男を愛すると誓ってくれ。その言葉が聞きたい。このラグドリアンの湖畔で。水の精霊を前にして、きみのその誓約が聞きたい」
え? とアンリエッタは思わず聞き返してしまった。
ウェールズの命が後僅かというのもわかっている。
生気は失われていつ死んでもおかしくない。
おかしくないのだが、
もう一度聞いてしまった。
聞き間違いであってほしいと。
しかし、言い間違いでも聞き間違いでもなかったようだ。
ウェールズは再び同じ言葉を口にする。それが彼自身の願いであっても、アンリエッタは首を縦に振ることはできない。
「無理ですそんなの……わたくしの本心ではないのを誓えるわけがないじゃない」
溜まりに溜まった涙が零れそうになる。しかし、耐える。この時間を、この大切な時間を無駄にしないためにも……。
「お願いだアンリエッタ。きみが頷いてくれないと一生不幸になるだろう……それでいいのか?」
「そんなの……いいわけないじゃない」
当然だ。愛する人を不幸にするなんて出来るわけがない。
だけど、だからといって誓いたくもない。自分が本心ではない、すなわち嘘を誓うことなんて無理だ。
「お願いだ……ぼくはもう永くはいられない……ぼくが生きている間に……」
「なら、誓ってください。わたくしを愛すると……。それを誓ってくださるなら、わたくしも誓いますわ」
「……あぁ、誓うよ」
その言葉を聞き、アンリエッタは目をつむる。自分の悲しげな顔を、ウェールズに見せたくないからだ。
「……誓います。ウェールズさまを忘れ、そして他の誰かを愛することを」
「ありがとう」
ウェールズは満足げな表情で静かに目を閉じる。それに合わせるかのように、アンリエッタの目がゆっくりと開く。
とある支援
「さぁ、あなたの番ですわ。誓ってください」
「あぁ、ぼくを水辺へと運んでくれないか?」
アンリエッタは頷き、さらに前へと進む。目の前の景色が開けてくる。もう、朝であった。
このハルゲキニアの中でも上位に入るだろう美しい光景を背景に、アンリエッタは口を開く。
「さぁ、おっしゃって。わたくしを愛すると。この一瞬、この一瞬だけを永久に抱きますわ。たとえなんとおっしゃてもわたくしはそうしますわ」
が、返事はなかった。
ウェールズは、
勝ち誇ったかのように、
満足したかのように、
眠っているかのように、
ただ、眠っている。
「ウェールズさま?」
体を揺らす。しかし、反応はない。
ウェールズがここまで生き続けたのは奇跡と言っても過言ではない。しかし、どうしてこんな重要なところで終わってしまうのだろうか?
今までの思い出が頭に浮かび、心の奥底へと放り投げられる。
再びウェールズと出会えるようなことは、
絶対に、ない。
「意地悪……」
アンリエッタはぽつりと呟く。
「最後の最後まで誓いの言葉を口にしてくれないんだから」
「それで、お前はどうするんだ?」
不意に声をかけられ、思わず振り返る。そこには、当麻とルイズがいた。
ルイズの肩に当麻が体を預けるその姿に、自分とウェールズの姿が重なる。
だけど、彼らはお互いを失うことはない。今もこうして生き続けているのだから。
そんな二人に、アンリエッタは尋ねた。
「わたくしは……、どうすればいいのでしょう? この過ちをどうすれば赦されるのでしょう?」
今回の騒動で、何人もの人間が死に、傷つけてしまった。
その罪の深さは、おそらくとてつもなく深いはずだ。
しかし、
「んなことは聞いてねえよ」
少年はそんなことなど気にしてはいなかった。
え? と目を丸くするアンリエッタに、当麻はさらに口を開く。
「お前はこれからどうするんだ?」
時間が止まったように、感じられた。
「あいつらはきっとあんたのことを恨んでない。今回の騒動の原因があんただとわかったとしても、今あんたが生きていることを知っていれば喜ぶはずだ」
支援
彼らは命懸けでアンリエッタを連れ戻そうとしたのだから。
辛ければ逃げ出せるのに。苦しければ逃げ出せるのに。誰も責めないその行為すら彼らは捨てたのだ。
そんな彼らがアンリエッタを恨むわけがない。
「残った人間達も、あんたにその傷を押し付けて満足するような人間じゃないはずだろ?」
ぽつりと、アンリエッタの瞳から涙が零れた。
「あんたがウェールズを大切にしたい気持ちってのは、この国の人間があんたに抱いている気持ちと同じくらいなんだよ」
そう言ってルイズを見る。
先程の一連の流れを見ていたルイズは、すでに子供のように泣きじゃくっている。しかし、それもアンリエッタを思う気持ちがあるからこそだ。
この国の人達を見たからこそ、たとえ頭が悪い当麻であろうとも、
この国が持つ『思い』は感じられるのだ。
「もう一度聞くぜ。あんたはこれからどうするつもりだ? このままでいるのか。それとも立ち上がるか」
当麻の問いに、アンリエッタはウェールズが死ぬ間際でさえ耐えていた涙が勢いよく零れた。
まだあるのだ。
アンリエッタにはやらなくてはならないことが。
それはここで過去について考えるのではなく、
未来についてどうするべきか、だ。
「立ちっ、立ち上がって……い、いいんですか?」
あぁ、と少年は答える。
「な、何人も……しっ、死んじゃったのに……でっ、ですよ?」
あぁ、と少年は再び答える。
赦されることなんてないというのはわかっている。仮に全員が赦したとしても、その責任はずっと背負わなければならないのはわかっている。
それでいて、
まだ自分にもう一度立ち上がってもいいと言うのなら、
まだ自分が女王をやっていいと言うのなら……。
そして誰もその考えに反対しないと言うのなら……!
「なら、ならわたっ、わたしは……このっ、この国のひっ、人たちを……ま、まもっ、守ります!」
アンリエッタの言葉に、少年は小さく笑った。
「いい決意じゃねえか」
支援!
あれ……よくよく考えたら中途半端だよな……w
以上で記念すべき第50話の投下が完了しましたー
次話はようやく彼らが再び登場します
しんみりした話ってのも難しいなorz
>>598の次に小ネタ投下しますねー
50話ですか、乙です
613 :
ゼロと聖石8:2007/10/26(金) 22:53:09 ID:kE9/HKK9
それでは本日最後の突貫をかける! 正直こんなに書いたのは久しぶりだ、投下開始!
それぞれが移動手段を講じて出発する。
キュルケとタバサはシルフィードに乗り、ギーシュとシエスタは馬。
ルイズはワルドのグリフォンに乗っていた。
「ワルド様、少しペースを落としましょう? 闇雲に急げばいいわけではないのですし」
出発から三時間ほど、シエスタはともかく、ギーシュはへばっていた。
それならば仕方が無いな、と一旦地上で休憩とする。
シエスタが日傘とシートを広げ、準備してあったポットから紅茶を淹れる。
それに舌鼓を打ちつつ、周囲を見やる。
三時間ぶっ通しで駆け抜けただけあって結構遠くまで来た。
ギーシュは寝転がって腰を押さえ、タバサはシルフィードの背中で本を読み続けている。
キュルケはシルフィードを撫でて、水を飲ませている。
ワルド様はグリフォンを労いながら周囲を警戒している。
穏やかな時間が流れる。
と思ったらその五分後には出発だとワルド様が言ったので、全員が準備を始め、再び出発した。
何をそんなに焦っているのだろう、ワルド様は?
どうしても、今日中にラ・ロシェールに着かないといけない理由でも有るのだろうか?
それを考えているうちに、ラ・ロシェール目前となっていた。
614 :
ゼロと聖石8:2007/10/26(金) 22:54:23 ID:kE9/HKK9
全員がへばりながら到達したラ・ロシェール。
女神の杵亭に部屋を取った後、全員が酒場で食事をしていた。
そして、今行われていることといえば―――
「降りるなら今のうちよ、ルイズ。こっちのカードは、泣けるわよぉ?」
「あなたの手ぐらいお見通しだわ、キュルケ。こっちの手は最初から最後までクライマックスよ?」
「シエスタ、私につられてみる?」
「お爺ちゃん、これは見逃していい不正なのでしょうか?」
「深く考える必要は無いんじゃないかな? 賭けてるものは何一つ無いんだし」
「―――なぜ今この場でポーカーをしているんだ?」
そう、ポーカーだ。
明後日まで船は出ないと聞いた瞬間、全員で酒場に突入。
食事が終わった後、キュルケの荷物にトランプを三箱発見。
全員で出来るゲームということでポーカーと相成った。
しかも、イカサマや魔法の使用の何でもありの究極の騙し合いポーカーだ。
確認されているだけでもルイズがテレポでカードを都合よく操作したり、
タバサが風で山札をすり替えたり、シエスタが目にも留まらない速度で三箱のジョーカーを全部集めて5カードにしたりしていた。
「お、女って怖い」
「それについては同感だ、ギーシュ君」
二人はイカサマせずに普通にポーカーをしている。
おかげで勝率は悲惨だが。
そんな楽しいひと時に別れを告げ、各自あてがわれた部屋に戻る。
月を眺めながら眼下を眺める。
シエスタがいつもの素振りではなく、盾と剣を用いた実戦練習をしている。
盾で叩き伏せる、剣で防ぐ、蹴りで相手の手首を狙う、それら一通りが終わると砥石で錆を落としつつデルフを研ぐ。
そんな折、ノックが響く。
「夜も深けた時間にレディの寝室を訪ねるなんて、そう言った方がよろしいかしら?」
「すまないな、二人きりのときに話したいと思っていたからね」
手に持ったワインを手土産にワルドが入ってきた。
「ところで、君は魔法を使えなかったのに、どうして使えるようになったんだい?」
「こればっかりは秘密なの、たとえワルド様でも」
その言葉に、ワルドは軽く目を伏せ、そうかと一言呟くだけに留まった。
そして、呟かれた一言に、ルイズは身を硬くする。
とあるの人乙。
リリカルルイズの人、「デルフリンガー」が全部「デルブリンガー」になってないかい?
あと、気になったけど、大剣?
>572
まさかアレはアルテマとロフォカレ?
そういえばルイズの夢の中なわけだから魂だけのルカヴィの姿があってもおかしくないですね。
考えすぎでした、ありがとうございます。
617 :
ゼロと聖石8:2007/10/26(金) 22:55:38 ID:kE9/HKK9
「聖石、ゾディアックストーン。タルブ村の一部にしか伝わっていない話だ」
「研究熱心ですわね、ワルド様」
「なんだか最近きな臭くてね。探りを入れているんだ」
「それでも御伽噺の域を出ませんわ、聖石が発見されたのなら別ですけど…」
ワルドは口の端を笑みに変え、こう言った。
「明日、シエスタ君と決闘することにした。君に立会ってほしい」
そのまま、空のボトルを持って部屋を去っていった。
ワルド様は何かしらの事情で聖石という物の存在を知っている。
しかも、シエスタが持ち主だということも分かっている。
「シエスタに伝えないと。極力手札を見せるなって」
ワルド様が何をしようとしているのか知らないが、いやな予感しかしない。
明日は、絶対に一悶着どころか二悶着くらいある。
最近こういった予感が多いなと思いつつ眠りに着いた。
あっという間に翌朝。
シエスタがデルフを構えて立っている。
それに相対するかのごとく、ワルド様が杖を構える。
(見えている手札の使用は認められている、となると剛剣はOK、最近練習して使えるようになった技は使わない)
「それじゃあ、コインが落ちた瞬間に開始。卑怯な事したらこの私が叩きのめす」
そういって、私はコインを弾く。
二人の中間点に落ちるコイン。
それと同時にお互いが距離を詰める。
剣と杖が交差する。
その瞬間にシエスタがワルドの手を狙った蹴りを放つ。
シエスタ曰く、サムライという剣士の一流派が使う足蹴という技らしい。
その技に驚きつつも剣で何とか受け止める。
シエスタが一瞬で距離を離し、強攻破点突きを繰り出す。
怪我しないように着けていたプロテクターを破壊する、がその直後にウィンドブレイクがシエスタの体を吹き飛ばす。
壁にぶつかる寸前で体勢を立て直して足で壁に着地。
足をバネにして壁から弾け跳び、ワルドに突撃。
それを冷静に受け流した直後、エアハンマーがシエスタに直撃。
そのままシエスタの元まで歩み寄り、杖を突きつける。
「終わりだ。惜しかったのは君が魔法を使えないメイジだったということだ」
そう、自信満々に告げたワルドだったが、手加減されていることには全くといって気が付かないのだった。
投下と投下の間に少しくらい時間空けようよ
619 :
ゼロと聖石8:2007/10/26(金) 22:58:08 ID:kE9/HKK9
以上で投下終了、なんと言うか久方ぶりに力を使い果たした脱力感が襲い掛かっています。
だんだん戦士系ジョブを極めつつあるシエスタに、最近魔法をぜんぜん使わないルイズ。
あれ、主役変わってない?
支援ありがとうございましたー!
投下乙。
23:10分頃にでもわたしは投下しましょうかね、一応様子見つつ
とあるの人GJ
622 :
ゼロと聖石8:2007/10/26(金) 22:59:44 ID:kE9/HKK9
<<618
次回から気をつけます。ご忠告ありがとうございました。
とあるの人にGJしようと思ったらもう流れてたか。
とりあえず聖石の人も乙。
とあるの人GJ!
聖石の人GJでした。
ヘイスト状態だとしか思えない執筆速度でした。
しまった…アルテマさえいればルカヴィは「相応しい肉体」がなくとも地上にこれましたね。
となると、あれはもしかするとありえる光景になりますね。
さて、ちょいと小ネタだが、投下行ってもいいかい?
支援
聖光爆裂支援
その日、使い魔召喚の儀でゼロのルイズが呼び出したのは、鉢植に在る一株の植物だった。
唖然とするルイズ、爆笑する生徒達。
もちろんルイズは監督である先生にやり直しを要求した。
けれど監督官、コルベール先生は首を振った。
如何なる理由であろうと呼び出したのであればそれが使い魔であるとのことだ。
ルイズは渋々と鉢植えを持ち上げて、それをためつすがめつする。
緑色の植物、てっぺんにピンクの大きな花が開いている。
じっと見てると、丸い部分が頭で、その両側の枝が腕に見えてきた。
心なしか、頭にある変な模様が顔のようにも見えてきた。
とりあえずルイズは、その顔の、口に当たる部分にそっと口づけた。
ぽう、とその植物が光って使い魔のルーンが刻まれる。
向かって左側の枝にルーンが刻まれる。本来かなり苦痛を伴うはずなのだが、植物だからだろうか、身じろぎ一つしない。
コルベールが近づいてきて、枝に刻まれたルーンをスケッチする、珍しいらしい。
鉢を持って自室に帰り、今日はもう寝ることにする。
せっかく使い魔が手にはいると思っていたのに、優雅で美しく強い使い魔が手にはいると思っていたのに。
植物では動けないではないか、何も出来ないではないか。
「ねぇあんた何か出来る?」
ドレッサーの上に置いたそれへ、ルイズはなんと無しに話しかけてみた。
しかし当然のように沈黙を貫くだけ。
「……って、植物に言ったって何も言うわけ無いわよね……何してるんだろわたし……」
ゼロと呼ばれ続け、やっと見返せると思っていたのに、そんなときにこんなのが出るなんて。
ダメだ、考えると余計に惨めになってくる。考えちゃダメだ……もう疲れたし、着替えて寝よう。
思考を停止し、ルイズは制服を脱いでネグリジェへと着替える。
そう言えばこの植物見たこと無い種類だ、育て方もあとで図書室で調べよう。
学院の蔵書量は半端ではない。これがどんな植物であっても詳しい生態や育て方が書いているはずだ。
でもその前に、今日はとりあえずおやすみなさい。
そう独りごちてルイズはベッドに横になる。
肌触りのよいシーツを頭までかぶり、ふかふかの枕に頭をうずめつつぎゅっと抱きしめる。
「はるけぎにあというところに、よばれたみたいだ。ここは、きぞくっていうのが、まほうをつかえるらしい。
まほう、せいれいのちからをつかって、つかうがっきとはちがうみたい。つえをつかって、まほうをつかうんだって。
ぼくはつかいまっていうのに、なっちゃったみたい。つかいまって、なにをするんだろう。おるすばんでいいのかな?
みぎてに、へんなもじがかかれた。いたくはなかったけど、なんなんだろうこれ」
サボテン君w
サボテン君か!?
調べてみたら驚いた、この植物はここハルケギニアにはない植物らしい。
緑色の幹、いや、皮? 枝? 茎? ともかく、そこに茶色い棘がいくつもある。
触ると当然のようにチクチクする、毒は無さそうだ。
『サボテン』という植物らしい。西の最果てから流れ着いたとされる書物にそう書かれてあった。
乾燥地帯に生息するため、水は毎日あげる必要はないらしい。
だいたい二週間とかそれぐらいの間隔で構わない種もあるとのことだ。
植物って不思議よね。
とりあえず食堂からコップに一杯、水をもらってきてサボテンの根元に注ぐ。
とぷとぷとぷ。それにしてもこの茶色いの何かしら、土にしては硬いし、銅にしては光沢がないし。
コンコン、とサボテンの鉢を叩く。
こんなもんかな、と水を全部注ぎ終え、コップを鉢の側に置いた。
おっとっと、鉢の底から水が漏れてきた、適当なタオルで拭いておこう。
さてと、とルイズは図書室から借りてきた本をぺらりとめくった。
植物なら光合成よね。乾燥地帯なら太陽に当てた方が良いわよね。
そう思ったルイズはよいしょと鉢を持ち上げる。
持ち上げると、漏れた水がドレッサーの上にサークルを作っていた。それを布巾でさっと拭き取る。
小脇に抱えて外にでる、うん、何となくこれも可愛いじゃないの。
「ぎーしゅとかいうひとが、こびんをおとして、それをしえすたっていうひとがひろっちゃったらしい。
ほかのひとがふたまたっていってた、ふたまたってなんなんだろう?
ぎーしゅってひとが、しえすたってひとをしかったら。しえすたってひとがどげざしちゃったんだって。
おどろいたのはぎーしゅってひとのほうらしい、いくらきぞくでもおんなにひどいことはしないのがぽりしーなんだって。
ようするに、こういうばあいはきてんをきかせるべきだ、ということをぎーしゅってひとはいいたかったらしい。
ならさいしょからいえばいいのに」
どうにもサボテンというモノは著しく成長が遅いみたいね。
件の本にそう書いてあって、とてつもなく辟易した
なに、苗の状態から花が咲くまで三十年って、その時わたしもうおばさんじゃないの。
まぁ、この場合はもう既に花が咲いてるからまぁ、良いとするわ。
サボテンの花はとても可憐で魅力的とこの本には書いてある。
確かに、このピンク色の花は綺麗ね。
咲くまでにそんなに時間がかかるって言うんなら、これもとても貴重なモノに感じられるわね。
キュルケが花に手を伸ばしてきた、つい思いっ切り引っぱたいてしまった。
人のモノに手を伸ばす方が悪いのよ。
「さいきんのしんはっけん。
なぜかほかのしょくぶつをあやつれるようになってる。ふしぎ」
→語りかける支援
サボテン君すげぇw
しえん
サボテンダー召喚したら大変だよな
はりまんぼんで七万涙目
>なぜかほかのしょくぶつをあやつれるようになってる。ふしぎ」
ちょっ!!?支援
ある日フーケが宝物庫を襲った。
応戦したけれど効果はなく、フーケはまんまと『魔導書』を盗んでいってしまったらしい。
魔導書はこのトリステイン学院創立時に何処かの旅人が寄贈してくれたモノとのことだ。
中に書いてある文字は誰も読むことが出来なかったが、それ故に貴重なモノなのだ。
なんとしても無傷で取り返して欲しいとのこと。
なんということ、魔導書なんてモノは中に書いている文字なんて関係ない、その存在そのものに価値があるのだ。
売り飛ばされたらもう追いかける手段はない、今すぐにでも飛び出すべきだ。
しかし、何処へ逃げたのかさっぱりわからない。
けれど探すしかないだろう。
フーケの情報はトリステインにも広まっている。売り飛ばすにはそれなりの時間が必要だろう。
当然のように、討伐に志願する。
すると、キュルケやタバサも一緒に志願した、付いてきてくれるらしい。
ちょっとだけ感動してしまった、不覚……。
「ふーけ、っていうのが、まどうしょをぬすんでしまったらしい
きのうのよる、きょだいなつちのかたまりにのってたひとらしい。ごーれむっていうんだって。
はんにんのめぼしは、もうついたらしい。あれからすがたをみせない、ろんぐびるっていうひとがあやしいって。
ろんぐびるっていうのか、あのひと。
なんとしてでもつかまえなくちゃだめだって。るいずははりきっている。
ごーれむにつぶされちゃって、ぺちゃんこになったらどうするんだろう」
ぼくも、ひとはだぬいであげようとおもった」
それを見てあたし達は唖然とした。
ローブを纏ったフーケ。いや、ミス・ロングビルが木のツタに絡まって宙吊りになっている。
もはやその顔には生気が無く、ただ「あうー」とうめき声を上げるだけだ。
下に落ちているのが杖と……これが魔導書か。
わたしがそれを拾い、キュルケがフーケを釣り上げているツタを焼き切った。
フーケがどさりと落ちるが、ぐてんと全身を弛緩させて横たわったまま、動かない。
どうしようか、と二人に相談すると。このまま縛って連行することになった。
丁度いい太さのツタだし。杖を取り上げてしまえば何も出来ないでしょうしね。
シルフィードの上に乗せて、学園へと向かう。
途中、フーケが復活して暴れ出した。
「ごめんなさいおろしてやめてこわいやめてこないでやめてごめんなさいやめておろしてこわいみえないだれ
みえないこわいだれだれだれなになにやめてなにやめていやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」
タバサがサイレントを使って黙らせた。
半狂乱になって暴れるなんて、いったい何があったのかしら。
それに、木のツタに宙づりになってた理由も気になるし。
まさか木のツタが襲ってきたと言うわけでもあるまいし。そう言うのは吸血鬼とかの先住魔法の範疇になってしまうものね。
未だにフーケはぱくぱくと何か喋っているようだ、サイレントで声は聞こえない、読唇
未だにフーケはぱくぱくと何か喋っているようだ、サイレントで声は聞こえない、読唇術の心得はないからわたしにはわからないわね。
フーケを衛士に引き渡して、わたし達三人は学園長室にいる。
魔導書を持っていたわたしが歩みでて、オールドオスマンの机の上に丁寧に置いた。
すると、満足そうに頷いて、オスマン氏はわたしたちにシュヴァリエの称号を申請しておくと伝えたのだ。
シュヴァリエ、それは家名に関係ない。正真正銘功績のみによって与えられる称号だ。
貴族としての称号は決して高くはないモノの。その爵位を持つと言うことは国から実力を認められたという証明になる。
その事にわたしはとてもよろこんだ、それと別に少し複雑でもあった。
なぜなら、今回のフーケ討伐に関しては何もしていないからだ。
何者かがフーケを倒し、宙づりにしていた、それをわたし達が見つけて連行してきただけなのだ。
そう言ったら、キュルケにほっぺたをつねられた。何すんのよ。
「細かいこと気にしてるんじゃないの。くれるって言うんだから貰っておけばいいじゃないの。納得いかないってんなら後で返上しちゃいなさいな」
キュルケのその言葉を受けて、決心した。
うん、納得出来ないなら、自分自身が納得出来るようなメイジになろう。
そう決意して、わたしは自室のドアを開けた。
「ルイズ」
帰ってきたルイズへ、誰もいないはずの部屋の中から声が聞こえてきた。
「おかえり」
「ただいま」
まさかのサボテン君支援
そういやサボテン君、父さんの箒捨てに行ったことあるから普通に歩けるんだよな支援w
小ネタだけど投下終了だぜ!
アレだ、植物を操れるのは右手のルーンの効果でなにとぞ。
>>641 サボテン君GJ!
またLOMやりたくなってきた。あと最後の台詞……w
最後でLOMのあのシーンを思い出したぜ
乙
GJ
LOMの世界感好きだったな。楽器の魔法ならルイズもできるかも…
ってあれ、精霊からもらったコイン使うからハルケギニアでは世にも恐ろしい先住魔法じゃないか!
>>490 ラッキーマンだな
洋一の時はデルフを無くしたり折ったりでピンチを招くが最終的に変身してラッキーで解決
乙
マチルダさんが受けた行為が気になって仕方が無いぜ
投下してよいですか?
>>523 でもライソニの途中で召喚されたならサンダーとキックとマッハは持ってるはずだし
そもそもキングへのとどめは剣だからまだ封印前の32か3話ぐらいじゃ?
それに無くてもキングが目の前にいるんだしなんとか取り返して使うってのもありだし。
要はカードあったほうが面白いからだけどw
大丈夫そうなので投下
……何だか、馬鹿にされてるような気はしてた。私はそれほどでもなかったけど、ルイズが。
どう反応したらいいのか、戸惑ってしまう。昨日からあんなに楽しそうにしてたルイズが、表情を殺して俯いてしまっているから。
だけど、何も知らないままでは、慰めることもできない。
センセイが止めるよう言ってるのに、どうして悪口を止めないんだろう。
私たちのガッコウなら、こんなことないのに。皆一生懸命学ぼうとする。そうしないと、危険だから。
そうか、少しだけ分かった。
ここは安全なんだ。
見渡して見ると、皆椅子に完全に体重を掛けて座ってる。あれでは襲われたときに咄嗟に逃げることができない。私はいつでも跳べるし、剣も抜けるようにしてる。
ニンゲンには安全でも、私には違うから。
色んな動物がいる。私を食べそうなのは、鳥と蛇かな。他にも。
センセイの話は、難しくてよく分からない。後でルイズに聞こう。今は話しかけ辛い。
窓の外の太陽は一つだけ。月が二つあるなら太陽だって二つあっていいのに。
「――それでは、最初にお手本を見せましょう」
そう言ってセンセイが杖を振ると、机の上にあった石が、鈍い金色に変わった。
触ってもいないのに、なるほど、確かに魔法だ。練習すれば、私にも使えるようになるだろうか。
石の形も変えられるなら、きっと技師の役に立つはず。
字が読めないのが痛い。日本語とも英語とも違う。英語は習ってないけど、字の形は知ってる。
字を覚えた後も、ニンゲンの本を読むのは大変だ。誰かに表紙を捲ってもらってから、端から端まで行ったり来たり、ページを捲るのもそうだし、風でページが飛んだりするから。
「……ハヤテ、字が読めるの?」
「コノ字ハ読メナイ。ダカラ、るいずニ教エテホシイ」
「いいわよ。時間を作って教えてあげる」
ルイズはやっぱり元気がなかったけど、私が本に気を取られてたら、すぐに気がついてくれた。
こんなにいい娘なのに、どうして皆嫌うんだろう?
ルイズが魔法を掛けるところを、すぐ近くで見ようとして、
「――――っ!!」
凄い爆風に吹き飛ばされた。くるくると飛ばされながら、風を逃がして、床に舞い降りる。
足は挫いてない。部屋中が混乱してる。視界が効かないこの煙の中で鳥に襲われたら大変だ。
それに、ルイズ。大丈夫だろうか? 床を蹴って、煙の中にもう一度飛び込んだ。
* * *
しえん
背中を黒板に叩きつけられて、悲鳴を上げそうになったけど堪えた。
教室の、前三分の一はめちゃくちゃだ。気合を入れすぎたせいか、爆発がいつもより凄かった。
悔しかった。
ゼロと馬鹿にされるのはいつものことだけど、ハヤテが私のせいで馬鹿にされるのが本当に嫌だったから。
誰かが暴れる使い魔に踏み潰されてる。ざまあみろ。笑いそうになって……血の気が引いた。
ハヤテは、どうなっただろう?
あんなに小さいのに、巻き込まれてたら。怖くて声が出ない。呼んで、もし返事がなかったらどうしよう。
「ルルルルッ……る、るいず、ダイジョウブ?」
「ハヤテ!? 怪我はしてない?」
耳元でいきなりハヤテの声がしてびっくりした。ああ、よかったぴんぴんしてる。ごめんね。泣きそうになった。
「私ハ、ヘイキ」
手をぱたぱたさせる仕草が可愛くて、力が抜けて座り込みそうに――
「ゼロのルイズッ!! いつもいつも失敗ばかり。今度ばかりは許さないからなっ!」
突然の叫びに飛び上がった。
射るような視線に、張り付けにされる。クラス全員からの視線。泣いたらそのまま押しつぶされる。
だから、虚勢を張るしかなくて……視線の半分が、呆れと冷笑に変わった。
シュヴェルーズ先生の指示で授業は中止になり、私は教室の片づけを命じられた。
大きな破片を外に出し、予備教室から机を運び込む。
ハヤテは私の肩にいてくれたんだけど。いつまでも黙ってる私に、どこかに行っちゃった。ごめん。今は笑顔向けられそうにない。
カラリという小さな音に目を向けたら……小さな身体で、それでも自分の頭より大きな小石を運んでるハヤテの姿に、涙が出そうになった。
ハヤテに慰めて欲しいと思ってた。それを踏み躙ってやろうと待ち受けてる自分が嫌だった。
気がついたのは本当に偶然。ハヤテはずっと、石を運んでくれてたんだ。
今この時だけは、私の中でぐるぐるしてたゼロという言葉が軽くなった。
土の先生は「シュヴルーズ」な。
支援
654 :
sage:2007/10/26(金) 23:40:18 ID:RE0+F1/n
支援
とっくに昼食の時間は終わってる。もう授業も始まってるけど、今更教室に行く気になれなかった。
食堂に行って、テーブルクロスを集めていたメイドに声を掛ける。黒髪。朝のメイドだった。
「パンとチーズとワインをバスケットに詰めてもらえるかしら」
こんな時間に堂々とサボっている私に、目を丸くしている。メイドの中には私を影で見下してる人もいるみたいだけど、彼女は違うらしい。
「なければパンだけでも、簡単なものでいいの。気晴らしに少し外に行きたいのよ」
「あ、はいっ 今すぐご用意いたしますから」
彼女は本当にすぐに戻ってきた。ちょっと息を弾ませて。
バスケットを寄越そうとして、初めて肩に乗ったハヤテに気がついたみたい。
「ああ、私の使い魔よ。朝、あなたに小皿を用意してもらったんだけど、覚えてるかしら?」
「っ! も、申し訳ありません」
「別に叱ってるわけじゃないの。これからも食事のときにお皿を用意して貰おうと思ったのよ」
「はい、承りました」
そこでハヤテが、
「ヨロシク、オネガ、イ、シマス」
そう言ったものだから、何だかおかしくって、彼女と吹き出してしまった。
「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。これからもお世話になるかもしれないから、名前を聞いてもいいかしら」
「はいっ 私はシエスタと申します」
黒い髪は異国風だけど、名前は普通だ。多分移民の末なのだろう。
「ルルル……私ト、同ジ、髪」
「言われてみれば、そうね。まぁ血が繋がってるなんてことはないでしょうけど」
冗談が言えるくらい気分が回復してた。二人の雰囲気のお陰だろう。私は自分の気性を知ってる。一人だったら、今頃部屋のベッドを殴りつけてた。
「ありがとうシエスタ。またね」
背を向けた後も、すぐに仕事に戻らずに見送ってくれる。貴族ばかりの学園で働いてるだけに気が利く。
すぐ分かることなのに、今までは、気がつく余裕もなかったのか。
それは貴族らしくない。
私には深呼吸が必要だと、それに気づかせてくれたハヤテに心の中でもう一度お礼を言った。
散歩すると決めた以上、ただ敷地内を歩くだけでは片手落ちだと思う。だから厩舎に拠って、馬を借り出すことにした。
乗馬は好きだし得意だ。並足で風景を楽しむのもいいし、駆け足で風を感じるのもいい。
そう言えば、このところ馬に乗ってなかった。
ハヤテは、乗馬を知っていた。実際に見たことはないけれど、競技として行われているのは知っている、と。ケイバ? 賭け事か、なるほど。
ゲルマニアあたりならありそうな話だ。
隠れ住むと言っても、完全に人里から離れているわけではないらしい。少しずつハヤテのことが分かってくる。
根掘り葉掘り聞き出すより、こういう普段の会話からお互いに知り合っていく方がいいな。
「ハヤテなら馬より速く走れそうね」
かぽかぽと馬を歩ませる。馬の癖が分かるまでこうするのは、乗馬の先生に教わったことだ。
「ダケド、遠クマデ行クトキハ、乗リ物ニコッソリ乗ルヨ」
「そっか。見つからないように隠れるんでしょう? 例えばどんな風に?」
「色々、ダヨ。網棚ノ上、トカ、誰カノカバンノ中、トカ」
ハヤテの視点から見た私たちの世界は、とても新鮮だ。話題は尽きない。
「狩り? でもコロボックルってみんな小さいんでしょう、獲物を捉まえるなんてできるの?」
よく聞いてみると、コロボックルの狩りの獲物というのは、人間が落とした物も含まれると言う。
糸屑とか、落ちてたバネとか、ガラスの欠片とか。
しかもコロボックルの国には大工房があって、集めた物から色々な物を作り出しているとか。
「ホントハ、じきゅーじそくモデキル、ケド、にんげんノ危ナサヲ忘レチャイケナイカラ、狩リハ止メナイノ」
ハヤテの話の中には、彼らの生きるための智恵が詰まってると思った。
彼女の話を頭の中で反芻しながら、トリスタニアやヴァリエール領のことを話した。
草原に着いて、馬を繋いで遅いお昼ご飯を食べる。
木苺のジャムは、シエスタの心尽くしだろう。ありがたく頂くことにする。
ハヤテたちコロボックルも、よく木の実からジャムを作るという。
食べ物が同じというのは、実は仲良くなるのにとても大切なことなんじゃないだろうか。
例えばジャイアントモールが召喚されていたら……大ミミズなんて食べられない。もしも味覚を伝えられたりしたら……
「るいず? ドウカシタ?」
「な、なんでもないわっ このチーズも美味しいわよね。ああだけどワインはどうしよう」
「チョット、待ッテテ」
言うなり、ハヤテがふっと消えた。本当に目にも止まらない。
目を閉じて、視覚を繋げようとしたら……めちゃくちゃな速さで回ってて、慌てて遮断した。一瞬だったのに、まだ心臓がどきどきしてる。
「オ待タセッ ドウカ、シタ?」
「ん、ん、何でもないわ。それは?」
木の実だ。指で摘めるほどの固そうなそれを、ハヤテは簡単に真っ二つにしてしまった。
そうして、こう言ったのだ。
「コレ、私ノコップ!」
ハヤテ、貴女って最高だわ!
投下終了。
>>653 また間違えて覚えてたorz
教えてくれてありがとー
乙!
ハヤテ可愛いな、不思議と和む。
>>658 グッジョブ。ああ、でも、やっぱり(;´Д`)ハァハァしてしまう。
何故だろう?
職人の皆さんGJ。良作の数々を読んでると、自分の励みにもなりますねぃ。
>>473 醍醐蘭馬は自分も考えたなぁ。というかこいつと八千草飛鳥の2人どっちにしようか
迷ってたんだから我が事とはいえ理解に苦しむ。
まぁともかく菊地作品のキャラは劇薬だ、と超人兵士の扱いにヒイコラしながらの実感。
楽しいけど。
>>658 やっぱりデルフはまた豆粒にされてしまうのだろうか・・・
とにかくGJ!
コロボックルかわいいよ(´Д`)かわいいよコロボックル
投下・・・OKですか?
おk…支援
支援スルディス
では投下します。
オリハルコンエレメントをくぐり、剣崎は仮面ライダーブレイドへと変身した。
同じくして、キングも純金のコーカサスビートルアンデットへと変化する。
鈍く輝く甲冑をまとった戦士と、異形の怪物に、周囲の生徒たちがどよめく。
剣崎はゆっくりと、辺りを見回した。
本来ならば、アンデットとの戦闘はこんな大っぴらにすることじゃない。
しかし、状況が状況である。ここは、周りも含め、なんとしてもキングを退け、出来れば封印したい。決意を新たに、ブレイドはキングを見た。
キングは右の手にもった剣をだらりと下げ、相も変わらず隙だらけである。
「キング!」
ブレイドは腰から覚醒器・醒剣ブレイラウザーを引き抜くと、キングに斬りかかった。
ジャキンッ!という金属音と同時に、その一撃はキングの盾に防がれる。
キングの剣と盾はオールオーバーという特殊なもので、盾は150tもの衝撃にも耐える。
今のブレイドに、その防御力の壁を突破する手段は、ない。
「ウェイッ!!!」
もう一度、助走をつけて斬りつける。結果は変わらず、キングはその一撃も盾で防いだ。
「ほら、どうしたの?」
キングが、軽く剣を横に薙ぐ。
ブレイドは防御をとる暇もなく、その剣に吹き飛ばされた。
「くそッ!」
キングにろくなダメージも与えられない苛立ちを紛らわすように、ブレイドは地面を叩く。
悔しい。
悔しい。
悔しい。
俺は、勝てないのか。
思わず歯軋りする。
そのとき、剣崎の感情に呼応するかのように、左手のルーンが静かに輝いた。
剣崎とキングが戦いを始める少し前、所は学院長室。
ミスタ・コルベールは泡を飛ばして、オスマン氏に説明していた。
ルイズが召喚した青年のルーンが珍しい形だったので、独自に調べた結果・・・
「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、というわけじゃね?」
オスマン長老は、コルベールが描いた剣崎の手に現れたルーン文字のスケッチをじっと見つめた。
オンドゥルドゥルカズンディスカ!?
ジエンズル
「そうです!あの青年の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたモノとまったく同じであります!」
「で、君の結論は?」
「あの青年は『ガンダールヴ』です!これが大事じゃなくて、なんなんですか!オールド・オスマン!」
「ふむ・・・。確かに、ルーンが同じじゃ。ルーンが同じということは、ただの平民だったその少年は、『ガンダールヴ』になった、ということになるんじゃろうな」
コルベールは困惑したように、オスマンを見た。
「どうしましょう」
「しかし、それだけで、そう決めつけるのは早計かもしれん」
「それも・・・そうですな」
ドアがノックされた。
「誰じゃ?」
扉の向こうから、焦ったようなミス・ロングビルの声が聞こえてきた。
「私です」
「なんじゃ?」
「ヴェストリの広場で、身元不明の者・・・恐らく格好からして平民らしき侵入者が生徒となにやら争っているようです」
「身元不明のもの?」
オスマン氏とコルベールは視線を合わせた。
そして、扉の向こうからもうひとつ、少女の声がした。
「私の使い魔が、いま、その相手をしています!そいつ、よく分かりませんが・・・多分、風系統の魔法でギーシュに怪我をさせました!早く来てください!」
「・・・とのことですが」
ミス・ロングビルはルイズのあとに続いて、オスマン氏に問うた。
「分かった。案内しなさい」
オスマン氏とコルベールは、学院長室を出ると、ルイズに急かされ、ヴェストリの広場へと小走りに向かった。
ヨシ、ガンバリ支援
ブレイドは、ラウザーに内蔵されたオープントレイからラウズカードを一枚引き抜き、それをラウズした。
『Beat』
腕力が強化され、目の前にいるキングに渾身のストレートを叩き込む。
「ウェェェェイ!!!」
そのパンチは見事にキングに命中する。しかし、キングは多少態勢を崩すだけに留まった。
「痛いなあ」
わずかに怒りがこもった呟き。弱い弱い、とキングが手を打つと、何もないはずの空間から幾度となく盾が出現し、ブレイドを転倒させた。
「・・ぐっ」
受身をとるが、再び盾が出現し、完全に無防備な状態で倒れてしまう。
そこに、再び盾が出現する。
「うあっ・・・!」
ブレイドはそれをギリギリで避けると、すぐさまラウザーのトレイを開いた。
「今の・・・避けたの?」
キングはブレイドの予想外の動きに呆気にとられ、動かない。
今がチャンスだ。
カードを五枚引き、そのうち一枚だけを覚醒器に通す。
キングがその様子に気づき、再び手を打とうとするが、それより数テンポ先に、ブレイドがラウズするほうが早かった。
『Magnet』
バッファーマグネットの効果は磁界を自由にコントロールする能力である。
ブレイドは、互いに退け合うように働く力・斥力を操作し、キングを後方へ引き離し、壁に激突させた。その衝撃で、キングの手からオールオーバーがすべり落ちる。
生徒たちが悲鳴をあげて、その場から逃げだす。
「くそ・・!」
キングは悪態をつくと、地面に落ちた剣を拾い、こちらへ向かってくる。
『Fusion』
プライムベスタ、即ちアンデットが封印されたカードの恩恵を得るには、覚醒器に設定されたAPの範囲内でなければならない。
通常、カードをラウズするとAP値から差し引かれるが、カテゴリーJ及びカテゴリーQはその値を回復する効果がある。
「よし・・・!」
残り3000だったAP値が2400だけチャージされ、合計で5400になる。
元々、『Magnet』はカードを使うための、時間稼ぎでしかない。
敵裸体支援
ブレイドは二枚のカードをラウズした。
『Kick』
『Thunder』
それぞれがブレイドの能力を上げる。二枚のカードが脚力を強化し、また、その足に電撃を纏わせる。
そして、三枚目は高速化する効果を持った、『Mach』のカード。
このカードを使うタイミングが勝負の分かれ目である。
これほど距離が離れている状態での、キングの攻撃手段は限られる。
思ったとおりだ。
キングは手をすっと、左右に広げた。盾を出現させるつもりだろう。
『Mach』
三枚のカードの、封印されたアンデットたちが鼓動する。
『LIGHTNING SONIC』
このタイミングを待っていた。
『ジャガーマッハ』の高速化はあまり長くない。相手はそのあいだ、なにかしらの方法で逃げればいいだけだ。
まともに『ジャガーマッハ』発動中に当てられるのは隙の少ない単体のカード。しかし、それを決め手とするには効率が悪い。しかも、AP値を回復するプライムベスタで補うにも限度がある。
「はっ・・・!」
高速で走るブレイドにはキングは、キングがスローで手を合わせようとしているように見える。
キングは盾を出現させるとき、必ず手を打っている。それはとても短い呪文のようなものだ。ルイズたちが唱えるものより短く、かつ威力や実用性もあるものだ。
だが、そこが弱点でもある。盾を出すときに手を打つ。その、『手を打つ瞬間』または『手を打った直後』のタイミングならば、数秒の隙ができる。
その隙を利用して、ダメージを与えることが可能なのではないか。
それがブレイドである剣崎の考えだった。
通常ならばジャンプしてキックを決めるところだが、作戦は時間が早ければ早いほど、成功確率が上がるのだ。
「ッウェェェェェェェェイ!!」
ブレイドはキングの左側頭部に思い切り、ハイキックをかました。
辛味噌支援
ルイズたちが広場に到着したとき、既に勝敗は決していた。
地面には剣崎が倒れている。
正面には、さきほどの少年が立っていた。
「・・・」
もちろん、ルイズも予想していた。でも、あの使い魔はあの少年を知っているようだったし、まかせても大丈夫かと、少しだけ思ったのだ。
その結果が、これだ。
ルイズは自分の過ちを後悔した。
ブレイドの放った『LIGHTNING SONIC』はキングに命中し、大きなダメージを与えた。
しかし、それだけではキングを倒すことができなかったのだ。
単純に、キングの防御力が予想を裏切り、高かったのである。
キングは吹き飛ばされると、すぐに態勢を立て直し、剣で反撃した。それが命中し、ブレイドは後退する。
「僕が殴られるだけとは思わないでよね」
手をかざし、ブレイドの持つ十二枚のプライムベスタを全て手中に収める。
カテゴリーAのカードも奪われた剣崎は、変身が強制解除された。
「じゃあね、ブレイド」
キングは改めて、ぱん、と軽く手を合わせる。
剣崎は見慣れた盾が眼前に出現したのを理解し、次の瞬間、気絶した。
「まぁまぁ、がんばったけど。残念」
キングは人間に戻り、おもむろに携帯を出すと、倒れた剣崎に、内蔵のカメラを向ける。
周囲の生徒は何も言わず、ただその光景を見ている。
コルベールは広場の様子を見ると、一目散にキングに向かって走った。
「止しなさいっ!」
詠唱とともに杖をふったコルベールの周りから巨大な蛇を模した炎が出現し、キングへと走った。
「今度は誰だよ」
キングはそれを軽く避けたが、炎の蛇は進路を変え、再びキングへ突進してくる。
「ちっ」
舌打ちとともに、キングはそれを盾で防御する。
コルベールの攻撃ではっ、とした何人かの生徒もキングに魔法の洗礼を浴びせる。
「もう、なんだよ!」
それを全て、防御しようとし、キングは吹っ飛んだ。
「あ、当たった!?」
ルイズが唱えた魔法が、キングの体に直接命中した。
や、やった。
ルイズはダメージを与えたことが嬉しいのか、少し興奮した様子だ。
吹き飛ばされたせいで、満足な防御もできないキングは、生徒が唱えた魔法の脅威にさらされている。
止め、と言わんばかりに、コルベールが詠唱し、一際大きな炎蛇を作り上げる。
そして、杖を振るい、それをキングへと放った。
瞬間、爆発が起こる。
キングは本来の姿に戻っていた。金色に輝く体は、まさに王の風格だが、ところどころに傷がつき、息も荒い。ブレイドとの戦闘ダメージの蓄積もあった。
敗因は『魔法』を甘く見ていたこと。
それと、ブレイドとの戦闘で、予想以上にダメージを負ったことだ。
しかし、敗北は死ではない。アンデットは死なない。
アンデットの敗北は、封印されるときだ。
「ほんとに・・・・・なんだよ、もう」
そう吐き捨てると、キングは学院の屋根に、素早く上り、そのままどこかへ姿を消した。
剣崎が目を覚ますと、むくれ顔のルイズがいた。
辺りは喧騒に包まれていた。
生徒たちが、互いに褒めたり、褒められたりしている。
そうか。キングに負けたんだっけ。
でも、無事だ。おかしいな、と剣崎は上半身だけ起き上がり、そばのルイズに尋ねた。
「キングはどうしたんだ?」
「逃げたわよ・・・それにしても、あいつ何者?あんなに多くの魔法を受けても生きてるなんて」
ルイズが眉間に皺をよせる。そして、ちらりと剣崎を見ると、責めるように呟いた。
「・・・なんで戦ったのよ。あいつはあのギーシュをのした相手よ。平民のあんたが勝てるわけないじゃない」
「それは・・・俺は、仮面ライダーだから。アンデットを倒すのは、仕事というか役割みたいなものだし」
「あれがアンデットっていうの?」
ルイズは、最後に一瞬だけ見た、キングの姿を思い出した。
なるほど。あれが、アンデット。
小錦LOVE支援
「あいつはその中でも、かなり強いんだ。でも、性格が子供っぽくてさ。倒しても止めをささなかったりするんだ」
「じゃあ、あいつの気まぐれな性格で、あんたは助かったってこと?」
「・・・多分。俺があいつに負けたあと、殺そうと思えばすぐ殺せたはずだし」
そんな中、こほん、と咳払いをするものがいた。ギーシュである。
「あら。あんた、もう大丈夫なの?」
ルイズが感心したように呟く。
「ああ。体は大丈夫だ・・・・・けど、心はボロボロさ。あんな平民に負けたとなっては貴族の名が廃る」
ギーシュは剣崎に視線を向けた。
「ところで給仕君。君は数分とはいえ、あの平民に優勢だったようじゃないか」
「・・・ああ」
今回はなんだか、いつもより全ての身体能力が上がったように感じた。
キングに追い詰められ、まともでいられないはずの脳も、どこか冷静な思考をしていた。
「そういうわけで、君と改めて決闘をしたい。先生方も、もう引き上げたようだしね」
「・・・ああ。いいぞ」
「ちょっと!」
そういえばこいつは二股をしていたんだった。ルイズの抗議は聞こえないふりをし、剣崎は立ち上がる。
「さてと・・・予想外のことが色々起こったが・・・・・始めるか」
ギーシュが薔薇の花をふると、その花びらが甲冑を着た女戦士の形をとる。
さっきキングに使っていた魔法か。
正直言って、生身ではあの金属製っぽい肌の女戦士には勝てそうにない。
きょろきょろと自分の周囲を見回すと、一メートルほど離れた場所に、ブレイバックルが転がっている。
「僕の二つ名は『青銅のギーシュ』。存分に僕のワルキューレを堪能してくれ!」
ワルキューレというらしい女戦士が移動を開始する。
剣崎はブレイバックルを拾い上げ、それを腰の位置に固定した。
「変身!」
ガチャ
ガチャ
ガチャ
あれ。おかしいな。ターンアップハンドルを三回は引いてるのに、オリハルコンエレメントが出ない。
腰を見ると、ベルトも巻かれてない。
「ふごっ!」
いつのまにか正面にいたワルキューレに腹を殴られる。
その衝撃のおかげか、剣崎はあることを思い出した。
「カ、カード、キングに盗られたんだった!」
どうしよう。
悩む剣崎の左頬に、ワルキューレの拳がヒットした。
「こ、こんなの・・・」
ウニナンダヨ。
悟空を初めて読んだ
一言
大人だね
随分としっかりしてると言うか、落ち着いてると言うか
言っちゃ失礼だが、本編からは少々想像出来ない・・・・かも?
範疇の内外の境界にいる感じ
以上、投下終了です。支援、どうもありがとうございました。
おつー
オンドゥルは不幸が似合うな。
オンドゥルー!乙w
乙ティ゙ス。
マグネットのカードを有効活用したりとか
何気に本編よりもクレバーな戦い方している剣崎カコイイ。
超乙です!
( 0M0)<次回も書いてくれないとオレの体はボドボドだ!
686 :
680:2007/10/27(土) 01:29:39 ID:2jxf65IS
て言うか、クリリンに使った読心術ってそんなに効果範囲広かったかな?
687 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 01:33:52 ID:3/bmGhfp
投下してもよろしいか?
かもーん
「ボーウッド艦長……君は命とは何か考えたことがあるか?」
「は?」
後甲板に立っていたところをふいに後ろから声をかけられて、サー・ヘンリ・ボーウッドは怪訝な顔で振り返った。
気配もなく後ろに立っていた男は、振り向いたボーウッド艦長に向かって鷹揚に頷く。
「『いのち』だ。どうだね、艦長。ありふれた概念だが、なかなかきちんと考えるとなると難しいものだ」
「どうして自分にそのようなことをお聞きになるのですか、ワルド『子爵』殿?」
ボーウッドが無表情に問い返す。その言葉に込められた皮肉に気がついたのか、ワルドは頬を歪めて笑った。
「作戦行動中は竜騎兵隊の隊長……だから『ワルド隊長』と呼んでいただきたいな、艦長。
ふん、忠義者の君がそのように私を憎憎しく思う気持ちもわからないでもないがね」
「……自分にはそのような『気持ち』などはありませぬ。まして『命とは何か』という答えを持っているはずもないでしょう」
ふむ、とワルドは頷いた。目の前に立っているボーウッドの右目は通常の二三倍にまで膨れ上がり、ぎょろぎょろとあてどなく蠢いている。
なるほど、もはやそれは「ヘンリ・ボーウッド」という人間でさえないとも言えるだろう。
(惨めなものだ)
ワルドは心の中で吐き捨てた。所詮目の前にあるのは、ボーウッドの死体に婢妖が取り付いた人形にすぎない。
(この『艦』に乗っていて気に食わないことは三つ……一つは『あやかし』の奥から聞こえる呻き声。もう一つは死体の腐った臭いが消えない食事。
そして最後にこのおぞましい屍人形どもだ)
ワルドは死してなお徘徊する死体、婢妖の取り付いた人間を見るのが嫌いだった。だが、およそこの艦の中で自らの命を保っている人間といえばワルド一人である。
黙々と仕事をこなすボーウッドに向かって「命とは何か」と聞いてみたのも、なんということもない、ただ自分が生きていることを確かめたかったからに過ぎなかった。
黙りこんだワルドにボーウッドが言った。
「命とは何か、でしたな」
「……そうだ、ボーウッド艦長。命とは何だね?」
「先程も申し上げたとおり、もはや死んだ身である自分には答えの分かりかねる問いです。ですが、子爵。あなたのお答えならばぜひ聞かせていただきたいものですな」
「『隊長』だ。二度言わせるな」
「これは失礼」
澄ました表情のボーウッドに、ち、とワルドは舌打ちした。
嫌な男だ。生きているときは立派な軍人だっただろうが、ただの死体と成り果ててもその忠義をちらつかせる。
そのことが無性にワルドを苛立たせた。上手い言葉を捜すものの、どうにも言葉が見つからないので、ワルドは投げやりに答えた。
「……命とは自らの力によって活動することだ。君のように婢妖などの力を借りずともな」
「なるほど」
ボーウッドはあまりに平凡なワルドの答えに失望し――もっともまだ彼に『失望する』という心の働きがあったとしての話だが――そうそっけなく言った。
だが、ふと自分の足元を見つめ、ぼんやりと思考をめぐらす。もしも、ワルドの言うように生命が自らの力によって活動することであるのなら――
(この艦もまた生きていることになるのだろうか……?)
ボーウッドの呟きに応えるように、巨大戦艦『あやかし』はびくりと脈動した。
そろそろ降下地点が近いのだ。
「結界を解く頃合でしょうかな」
「うむ」
ワルドは汚いものを見るように下に眼を向ける。『あやかし』が姿を現すとき、この大地は恐怖と混乱に染まることだろう。
そして、その恐怖こそが、はるか東方に封印された『白面の御方』の力となるのだ。
>>681 乙です。
あ〜剣崎がかっこいい。そしてかわいいw
「この大陸を這いずる人間どもも、所詮はかりそめの命でしかない。力を持つものだけが自らの力で生きることが出来るのだよ。
私はずっとそうやって一人で生き抜いてきた……これから、この地に蠢く屑どもに本当の死を与えてやろうじゃないか、艦長!」
「興味がありませんな」
「くっくっく……そう、それでいい。死人は興味など持たないことだ」
ワルドは笑った。無表情のボーウッドは手早く部下達に指示を飛ばし始める。
やがて……タルブの村にほど近い港町ラ・ロシェールの空がめりめりと裂け、その空隙からおぞましくも巨大な戦艦がゆっくりと姿を現していった。
トリステイン魔法学院の尖塔の一つにある幽閉部屋には、一人の少女が閉じこめられていた。
扉にはまった鉄格子を握り、その少女ルイズは声を嗄らして叫ぶ。
「姫殿下、ここから出して下さい! 私は狂ってなんかいませんッ!! 本当です!」
半狂乱になって叫ぶ少女の姿に、扉の向うに立つアンリエッタ王女は表情を曇らせる。あの悪魔の洗脳は恐ろしく強力なものであるようだ。
ひょっとしたら先住魔法の一種なのかもしれない。ルイズにかけられた暗示は容易なことでは解けないだろう。
(ああ、かわいそうなルイズ・フランソワーズ……!)
アンリエッタは鉄格子にそっと手を伸ばす。はっと護衛の魔法衛士が体をこわばらせるが無言でそれを牽制する。
「姫……殿下……?」
幼いころからの親友は怪訝な表情を浮かべてアンリエッタを見る。こみ上げる悲しさに、そっとアンリエッタは目頭を拭った。
そして、鉄格子を握り締めたルイズの手に、やさしく自分の手を重ねた。
「私は……私、狂ってなんか――」
泣き出しそうな顔で呟くルイズに、アンリエッタは微かに笑みを浮かべて頷いた。
ルイズの表情が微かに明るくなる。だが――
「ええ。大丈夫よ、ルイズ・フランソワーズ。あなたが悪いんじゃないわ。すべては――あの悪魔の仕業。
あの悪魔があなたの心を操って、ウェールズ様を暗殺した。そうでしょう? 大丈夫、すぐに殺してあげますから――」
アンリエッタの言葉に、ルイズの顔は一気に強張った。
慌てて鉄格子に頭をぶつけるようにして身を乗り出すが、アンリエッタは既に身を翻し、護衛の兵士と共に階段を下りていくところだった。
「ひ、姫様ッ――お待ちください! 違う、とらは悪魔なんかじゃありませんッ――!!」
ルイズの叫びはむなしく階段に響いた。ガクガクと足から力が抜けて、ルイズは扉の前にへたり込む。
頭が真っ白になったまま、ルイズはぶるぶると震えだした。
おお、久々。支援。
誰もとらを知らない。
誰もがあの金色の幻獣を『悪魔』と呼ぶ。
まるで――狂っているのはルイズのほうであるかのように。
(嘘、嘘、嘘よ! とらは私の使い魔で、金色の大きくて美しい幻獣で絶対に悪魔なんかじゃない! 私は……私は狂ってなんかいないわ!)
だが――トリステイン魔法学院の落ちこぼれであった自分が、本当にそんな使い魔を呼び出せるのか?
強力で美しい使い魔。それは長年のルイズの夢だった。魔法を使えない自分を守り、助けてくれる美しい使い魔。
(違う! とらは幻影なんかじゃない! わ、わたしがこの手で召喚したんだわ! みんなちゃんと見てるはず、コルベール先生だって――)
ルイズははっと気がついて、勢い込んで立ち上がった。そして、口早に扉の外に立つ衛士に言った。
「ちょっと! ミスタ・コルベールを呼んで! 先生なら私の潔白を証明できるわ!」
衛士はちょっと怪訝にルイズを見た。だがすぐに首を振る。
「……ミス・ヴァリエール、自分は持ち場を離れることはできません。格子からお手をお放しください」
「そ、そんな――」
「お手をお放しください。場合によっては、あなたを拘束することが必要になりかねません」
でも――と食い下がろうとしたルイズに、衛士がさっと杖を抜いたその時――
「その必要はない。私の生徒に向けた杖をおろしなさい」
「コルベール先生!」
ゆっくりと階段を上って、ミスタ・コルベールが姿を現した。
衛士は油断なく杖をコルベールに向けるが、コルベールは自分に向けられた杖については一向に構うことなく、ルイズの元に近づいた。
「大変なことに巻き込まれてしまいましたね、ミス・ヴァリエール。
ですが、もう安心してください。すぐにここから出られるようにしますから……」
「先生……!」
ほっと笑みを浮かべるルイズの目には、安心からか涙の粒が浮かんだ。
よかった、先生は分かってくれた。あたりまえだわ、先生はとらのことを熱心に研究してたくらいだもの。
そんなルイズをじっと見つめていたコルベールの表情に、ゆっくりと深い苦悩の表情が浮かんだ。
その表情にルイズが気がついたときには、ミスタ・コルベールは深々と頭を下げていた。
「すまなかった、ミス・ヴァリエール……こうなったのも、元はといえば私の責任だ……!」
「な、何を言っているんです、先生――」
戸惑うルイズの耳に、信じられないコルベールの言葉が飛び込んだ。
「あの悪魔を召喚の儀式の場で殺せなかったことは、私の失態です……! つらい思いをさせてしまい本当に済まない。
だから――これは私の最後の義務なのです、ミス・ヴァリエール」
「何を……言ってるんですか、コルベール先生ッ――!」
コルベールは顔を上げた。その表情に浮かんでいるのは、紛れもない決意と殺意であった。
コルベールは一言一言かみ締めるように言った。
「ミス・ヴァリエール……あなたの、使い魔を、殺します」
つづく
695 :
るいとら:2007/10/27(土) 01:42:13 ID:3/bmGhfp
sage忘れ申し訳ありません
短いですが以上です
おぉ、ひさしぶりにktkr!!
ルイズの絶望感は相当だろうなぁ、きっと。
おおおぉっー!ドキドキするぞ!
面白いと評判だけど『うしおととら』いつか読んで見ねば。
うしとらは面白いよw
自分もサンデーで一番好きな漫画だ。
とらの人ktkr
投下お待ちしておりましたッ!
うおぉぉぉルイとらの人来てたーっ!!GJ!
原作でもかなり絶望的なシーンだったよなぁ。読んでて悲しくなる。
とらの人GJ!
何故だろう?、俺の頭の中では、ルイズ、アン様、コルベール先生、
皆の表情が、藤田先生風の絵柄に変換されて見えているw
>>701 コルベール先生は過去に事件があったからヒョウさんか?
無差別殺人したコッパゲ
妻子を殺されたヒョウさん
全然違うだろ
過去っつーキーワードだけで考えてコッパゲかなーと思ったが、
良く考えてみればアニエスの方が相応しいような気がしてきたw
コッパゲは紫暮、昼行灯なあたりとか
花嫁衣裳のテファを「マユコ」のように攫ってくとらも見てみたいな〜
――アルビオン軍、その数7万。
対するは一騎。虚無の守護者。虚無の盾。ガンダールヴ。
勝ち目なぞ、最初から無かった。
自明の理だ。ゆえに、後悔は無い。
突貫し、暴れまわり、少しでも長く敵をひきつける。
捨て駒だ。
自覚していた。
自覚した上で、それを――。
それを、彼女に任せるわけには、いかなかったのだ。
傷ついた身体をひきずって、少年は立ち上がる。
怪我をしていない場所を探すほうが大変なありさま。
あちこちに矢が突き刺さり、剣で切り裂かれた傷もある。
そして何より、魔法の直撃を受けた腹部。
ロクな医療知識なぞない、彼でもわかった。
そこから流れ出た血は、もはや致命的な量に達している。
――だけど。
「おでれーた!凄い眺めだなぁ、相棒。
この数相手に一騎駆けなんざ、古今東西、どんな英雄もやった事ァ無いぜ!
「……なんで俺、こんな事やる嵌めになっちまったんかなぁ」
「そりゃおめぇ……言っちまったんだろ? 好きだって」
「……まあな。
なあ、デルフ。……俺、死ぬよな、これ」
「多分な。まず間違いなく」
「だよなぁ……」
「ま、どーせなら格好つけようぜ」
「……そーだな。勿体無いもんな」
「そーだ。勿体無いぜ」
――だけど、愛剣と軽口を叩いて、少年は笑った。
その身を犠牲にしても、守るべき大義のある男の顔だった。
覚悟を完了した男の笑みだった。
魔剣を握る。
遥か昔、恐らくは同様の気持ちから主人を守ったのだろう男の持っていた武具。
それは出会ってから数ヶ月しか経過していないというのに、少年の手にも良く馴染んだ。
――それで十分。
後ろには守りたい奴がいる。
目前には倒すべき敵がいる。
傍らには一緒に戦う相棒だ。
文句なぞある筈もない。
だから、平賀才人は笑った。
それが恐怖をこらえた為に引き攣った顔でも。
怯えを押さえ込めず手が震えてしまっていても。
それでも。
――それでも。
世界中の誰だって、彼を笑うことはできないのだ。
「――今夜は、死ぬにゃあ良い日だ」
たった一騎。七万へ挑む、少年。
彼の周囲を包囲した魔法使いたちが、致死的な威力を持つ光を杖に灯し、それを彼目掛けて放とうとする。
――その、刹那。
「……なんだ、アレは!」
アルビオン軍に、戦慄が走る。
轟音。爆音。風を切る唸り声。
そう、覚えている。
彼らは、その身をもって味わった。
そうだ、あの時の大敗は覚えている。
「龍の、羽衣? いや……だが、この音は――」
<<よう、サイト。――まだ生きてるか?>>
……………数時間前。
「撤退、ですか」
「……はい、陛下。
このまま正面からぶつかっても、我々に勝ち目は――」
「その為に一人の少年を犠牲にして」
「……彼はガンダールヴで、そして平民ですよ」
「その平民に総てを託さねばならない。
――挙句見捨てたとなれば、末代までの恥。
貴族としての誇りを失うことは、死も同然ッ」
幕僚からの報告を聞いていた王女は、なおも言い募る彼を視線一つで黙らせる。
かつて姫殿下と呼ばれていた頃とは、まるで違う、剣呑な瞳。
そう、彼女は今までずっと、夢を見ていたのだ。
幻想の中にいた。
それが赦されていた。彼女の周囲の世界は優しかったから。
――だが、それができなくなった。
いつからだろう。
自分が政略結婚をしなければならないと悟った時か。
淡い恋心を抱いていた相手が死んでしまった時か。
それとも。
それとも――親友の想い人が、たった一人で死地に挑むと知った時か。
覚悟というものは人を変える。
それは、たとえ王女といえど。
「――私が、総ての責任を取ります。
……魔法学園に、連絡をとってください」
――トリステイン魔法学園。
この学園には、古くから伝わる、ある伝統があった。
魔法使いが一生を共にするパートナー。
俗に使い魔と呼称される存在を、生徒に召還させるのである。
無論、通常は小動物をはじめとする小さな生物であり、
極稀に稀少種族が召還されることがあるが、
それだとて”奇妙”と思われるようなことはありえない。
だが、今年の使い魔召還は、確かに”奇妙”といわざるを得なかった。
――召還されたのは、人間だったのだ。
”ゼロの”ルイズと呼ばれる劣等生の少女。
後に虚無の使い手と判明する彼女が、
サイトという平民を召還したのは良かった。
だが、他の生徒。
一年生58人全員が人間を召還するなどというのは、
魔法使いという概念が生まれて以来、前代未聞の珍事である。
それも、ただの人間では無かった。
彼らは「騎士」だったのだ。
敵味方に別れていたとは言え、同じ戦場で戦った英傑たち。
平穏の時代が過ぎ去り、戦乱が世界を覆い尽くした今。
この学園を「学園」と呼称する人間は少なくなった。
ある者は尊敬をこめ。
ある者は畏怖をこめ。
――「円卓」と呼んだ。
≪管制塔了解、至急応援部隊を送る≫
≪ガルム隊、以後は空中管制機の指示に従え≫
≪撤退は許可できない≫
≪だろうな、報酬上乗せだ≫
≪お財布握って待ってろよ≫
≪姫様からの伝言。アルビオンの財布から支払う、とのこと≫
≪姫さんも随分性格変わりましたね。まぁ良いや、さあ行くか!≫
≪で……どうしてもついてくる気か、PJ?≫
≪あいつ、学園に恋人がいるんスよね。帰ったらプロポーズするって言ってたんだ。花束も買ってあったりして≫
≪仕方ないな。……落ちるなら俺の眼の届かない場所で頼む≫
≪了解!≫
――アルビオン戦争には謎が多い
≪ロト1より各機へ≫
≪アルビオン狩りだ≫
≪全部落とすぞ≫
≪ラージャ≫
誰もが正義となり
誰もが悪となる
そして誰が被害者で
誰が加害者か
一体『平和』とは何か
ああ、そっちの「円卓」ね
支援
ベルカの『空の』『物理的な』騎士支援
≪俺たちがこの世界に呼ばれたのは、この時の為だったか≫
≪アルビオン軍を確認。合計7万≫
≪ソーサラー1から全機へ、最大推力であたれ≫
≪サイトを無事に連れ戻してやる≫
≪本物の「魔法使い」とはどんなものか、連中に教えてやれ≫
有り得ない出会い
≪シュヴァルツェ1より各機。まさか「ハゲタカ」にまでお呼びがかかるとはな≫
≪隊長が魅惑の妖精亭でバイトしてたルイズちゃんに手ェ出したからでしょ≫
≪まったく、胸にチップいれようとするから……≫
≪良いんだよ。可愛い子を泣かせたりは、したくないだろ?≫
変わる運命
≪状況を確認≫
≪こちらグリューン2、相手は七万だ≫
≪……楽しませてもらおう≫
変われない世界
≪ゴルト1より各機、状況を開始する≫
≪国境は要らない。――境界を無くせば世界は変わる≫
≪アルビオンの奴らに我々の正義を示すぞ≫
――その中にあって
≪シュネー1より各機、敵戦力を確認した≫
≪アルビオンの竜騎士を蹴散らす≫
≪全機、槍を放て≫
彼らは飛び続けた。
≪ゲルプ2。不愉快なアルビオン軍を食い止める≫
≪私たちは、その為にこの世界に来たのですから≫
――全ては
≪インディゴ1より各機≫
≪アルビオン軍を確認≫
≪敵航空戦力は微少、対地攻撃に集中≫
≪攻撃を開始する≫
一人の英雄と
≪戦場が混乱しています≫
≪私の生徒を救出する、ついてこい≫
≪了解、ボス≫
一本の魔剣と
≪こちらウィザード1、アルビオンが網にかかった≫
≪ウィザード5了解≫
≪目標補足、その数七万≫
≪前方より接近中≫
≪問題ない。オメガ大隊よりは少ない≫
≪では始めよう≫
一人の少女の為に
≪受け入れろよルイズ、これが戦争だ≫
≪ガンダールヴがなんだ!俺がやってやる!≫
≪生き残るぞ、ガルム1!≫
――――人は彼らを『円卓の騎士』と呼んだ
Servant Of Zero
Not Coming Soon!!
以上、ニコニコ動画の某MADを見て一気に書いてしまった代物。
だもんだから嘘予告。それ以上でもそれ以下でもない。
とりあえずPJがライトニングクラウドの直撃を受けることだけはよくわかった
オメガ大隊ネタで思いっきり吹いたwwwwww
そしてレコキス終了のお知らせキタコレwww
《ZEROの使い魔の作者GJ!》
《そのMADなら我々も大好きだ。》
たまにはエスパーダのことも思い出してあげてください
朝も早よからZEROを大音量で流したくなっちまったじゃねぇか……。
久しぶりにサントラでも引っ張り出すか……。
GJ!
もしも仮面ライダーアギトの葦原 涼が呼ばれたら・・・周りの女の子が全員不幸になるから却下。
普段なら乙……と言いたい所だけど……ごめん、言えん。
723 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 09:01:31 ID:mrsF5iLH
>>721 ギーシュ戦でゴーレムを殴り飛ばしながら「ウォォオォオオオオ!!」
フーケのゴーレム戦辺りでルイズがボロボロになって怒って
ヒールクロウで真っ二つにして「ウォォォォォオオオ!!」
ワルド戦で遍在に噛み付きながら「ウォォオォオオオオ!!」
タルブでシエスタがサクッと死んで「ウォォオォオオオオ!!」
アニエスと知り合って即いい仲になるけど死んで「ウォォオォオオオオ!!」
テファと出会ってまたいい仲になるけど死んで「ウォォオォオオオオ!!」
うん、ちょっと見たい
すまんsageになってなかった
>>723 死に過ぎるwww
一度死んで生き返るパワーアップイベントは対七万の後かな?
そしてエクシードギルスになり触手もといギルスフィーラーを習得。
ギルスって控え目に言っても見た目怪物で更に戦い方が噛みついたり爪で切り裂いたりパワーアップ後は触手伸ばしたりだから間違いなく人間に化ける悪魔みたいな扱いだろうな
そんな周囲の反応に傷付いて自棄になっていたところでシエスタに癒され心を通わせた辺りでタルブでシエスタが殺され「ウォォォオオ!」
あれ?
あの人の不幸度と不死身度は凄いからなぁ
うん。
良太郎も不幸キャラだけど、まだそれをネタに出来る程度。
涼はそうじゃなくガチでドン底!!!って感じのシャレにならないレベルだからねw
対7万の時にパワーアップがあったとして・・・
その前に一度死ぬから、ルイズを止められずにルイズが殿で
抑えるが、救援に間に合わずルイズ死亡で「ウォォォオッ!!」
あれ?
じゃあ須藤か浅倉か佐野にしようぜ
>>713 >≪隊長が魅惑の妖精亭でバイトしてたルイズちゃんに手ェ出したからでしょ≫
>≪まったく、胸にチップいれようとするから……≫
隊長!チップを押し込むスペースがありません!
>>729 浅倉の場合どう動くのかさっぱりわからん
飯があって暴れられるならどこででも生きていけそうだからなあ
そういや龍騎のライダーは鏡が無いと変身出来ないんだよな
バランス取るのには丁度いいな
>>731 ジハードの挿絵並み(やや誇張)に文章と絵が違う!
>>727 そしてそれに匹敵する死神が橘さん。
味方にしてると役に立たないが、敵になると変な行動力で非常に鬱陶しい、
そして彼を騙した奴は必ず死ぬという敵にも味方にも最悪の存在
「……何……こいつ……」
ルイズが召喚したのは平民の人間、汚い異国の服を着たヒゲ面の中年男だった
彼の顔を見たキュルケは「あら、ちょっといい男じゃない、使い魔の契約はあたしとしない?」
ミスタ・コルベールは知っていた、彼が東方に居るという剣士『サムライ』であることに
「オサムライ、使い魔をやるなら口を利いてやってもいいぞ、売り込むなら今が天井相場だ」
その『サムライ』は傍らに落ちていた木の枝を放り投げた、枝はくるくる回ってルイズの方を指して落ちる
サムライはルイズと契約のキスを交わした
「……ファーストキスだったんだからね……せめて名前くらい教えなさいよ……」
サムライは少し考え、回りを見渡し、学園の建物を眺めながら面倒くさそうに名乗った
「…………俺は……古城、三十朗だ……もうすぐ四十朗だがな・・・・・・」
「じょ、冗談はやめてよね!」
ルイズの使い魔となったサムライはギーシュと決闘をする羽目になる
「禁止されてるのは貴族同士の決闘だけだ、彼は平民ではないか」
「それじゃあ叩っ斬られても文句言えねぇな、斬られりゃ痛いぜ」
盗賊フーケの征伐では、フーケを装ってレコンキスタを斬殺し、共倒れさせる事で解決しや
その後色々あり、ワルドとの対決をする事になる
「やればどちらかが死ぬぞ」
「……それもよかろう」
ワルドは三十朗の抜刀で血飛沫を上げながら絶命した
ハルケギニアの悪党共を一掃した五塔三十朗はまた薄くなった髪を撫で、去っていった
>>732 龍騎のライダーたちは現実世界でも変身できるけど、全力は出せなかったはずだよな。
コレくらい縛りが多ければバランス取りやすくなるかな?
最後に名前変えたら変更漏れで失敗した
>>736 そうでもないぞ?「鏡のように反射するもの」があればおkだし、
あればモンスター呼んで敵を餌にorミラーワールドに引きずり込めるし
ミラーワールドから抜けるにはデッキがいるからそれやられると確実に死亡
浅倉とか蟹刑事だとデルフの使い道が剣じゃなくてモンスター呼ぶ反射板になりかねん
>>738 そういえば餌は「人間である必要」があったっけ?
浅倉は白兵戦大好きだから
「鉄パイプのようなもの」のように振り回してくれそう…
>>736 他モンスターがいないので腹ペコ→暴走→何とか倒す→弱体化コンボでおk。
その気になれば人間でもいけるから2巻まで持てば
合法的(?)に食べれるし7万で更に凄いことになるが
>>733 逆に考えるんだ、小さいからこそ服と胸の間に隙間がでkうわなにをするやめえtyふいk
>>736 >全力は出せなかったはずだよな。
そんな設定はどこにもないぞ。ミラーモンスターも滞在時間が限られてるだけで能力ダウンはない。
>>742 マジですかーっ!?
放映当時からずっとそう思ってたよ…orz
>>743 映画で龍騎とリュウガが現実空間で戦ってたやん。
夜天の人マダー?
>>745 ルイズが隙なしの強者になっちゃうと後が厳しそうな気がするよ。
虚無の場合は単騎じゃどうにもならんからバランス取れるんだけど。
そういや「ZONE OF ZERO」の続きはもう書かれないのかな…
投下していいでしょうか?
大丈夫そうなので投下します。
……マメイヌ隊は、レスキュー隊なんだと、お父さんにそう聞いたとき、まだ小さくてレスキューの意味も分からなかったけど、私もお父さんみたくなりたいって思った。
私はたまたま走るのが速かったけど、それだけでマメイヌ隊に選ばれるわけじゃない。
求められる役目は重大で、だからこそなりたいって思う人も私の周りにも沢山いた。
何よりも走りながら考えられる人が必要なんだと、ガッコウに来たマメイヌ隊の当時の隊長が教えてくれた。
あれから7年、私の腰には、マメイヌ隊の剣がある。
たった一人のマメイヌ隊。だから、沢山考えないといけない。
草や木に、私の知っているものはなかった。似てるものはあったけど。
ここを知るほどに、少しずつ、矢印の先っぽの国が遠くなっていく。
木の実の殻に注いでもらったワインに舌をつけた。
不思議だけど、ルイズは信じられるような気がする。心細いからだけじゃないと思いたい。だからつい色々話してしまうのだ。
びっくりして目を大きくしてくれるのが嬉しくて。
チーズを齧るルイズを見上げた。桃色の髪の、魔法がうまく使えない魔法使い。
……ルイズは、私のトモダチになってくれる?
* * *
一時間くらい、ハヤテとおしゃべりした。
その中で、自分がまともに魔法を使えないことも、不思議と落ち着いて話せた。
ハヤテの、速く走れるだけじゃマメイヌ隊にはなれないんだっていう一言がすごくショックだったから。
何のために、誰のために走るのか。
私は、何のために魔法を使いたかったんだろう。馬鹿にされてるのを見返したい。お母さまから溜め息をつかれるのはもう嫌だから。それも、嘘じゃない。
だけどそれだけじゃいやだ。
しえん
「……私、もう一度、一から魔法を勉強してみようと思うの」
チーズを齧る。むきになり過ぎてた。他人の挑発に踊らされて、かなりみっともない姿を晒してた。
私は、失敗ばかりしてる。そこから目を背けたら、速く走れるようにはなれない、でしょ?
ハヤテは、小さくて可愛くて、話すのもたどたどしいから小さな子供に見えてしまうけど、少なくともマメイヌ隊として働いている先輩なんだ。
頭もかなりいいと思う。
そう言えば、
「ハヤテって、年は幾つなの?」
「ジュウナナ、半年前ニまめいぬ隊員ニナッタ」
17才。1年お姉さんなんだ。これが本当のちい姉様だと、変なこと考えちゃった。
お父さんが元マメイヌ隊員で、ずうっと憧れてたって。
「じゃあ、ハヤテは相当強いんでしょ?」
選ばれたんだから。そう聞いたら、今度は困ったみたいに眉を顰めた。
「強イ……難シイ」
言葉に迷いながら、ハヤテは一生懸命話してくれた。お年寄りよりも速く走れるし、剣も使えるけど、自分が世話役たちより強いとは全然思えないって。世話役って、オールド・オスマンみたいな人たちかな。
マメイヌ隊にも、それこそハヤテが三人掛りでも勝てない人もいるけど、その人だって自分が強いなんて一回も言ったことはないって。
「ウウン……何ガ強イカハ、ミンナガ違ウ、カラ……エエト……」
ああ、お姉さんだけど、ハヤテだってまだ見つけてないことがあるんだ。
「強いって、難しいのね」
エアハンマーの強さは比べられる。だけど、強いっていうのは、そういうことじゃないのね。
そう呟いたら、ルイズはすごい、と言われて恥ずかしかった。ハヤテが考えながら話してくれたことを、言い方を変えただけなんだもの。
そろそろ、学園に帰らなきゃ。コルベール先生と話もしないといけないし。
立ち上がって、草を払う。
でも、帰ったら、皆に会ったらまたゼロって言われるし、すぐに平気にはなれない。きっと嫌な気持ちになって、むきになっちゃうだろうな。
「ねえハヤテ、時々こうやって遠乗りに来るのって、どうかしら」
「気持チイイ。ソレニ、落チ着ク。ゴ飯モオイシイ」
コロボックルも、ハイキングとかするのかな。
「じゃあ、次はお弁当作って貰うわ。サンドイッチとか」
馬を進ませる私の肩で、ハヤテがぽんぽんと跳ねる。こういうところは、子供みたい。ハヤテはお姉さんみたいだけど、妹みたいだ。
ハヤテはコルベール先生相手には、あまり自分から話そうとしない。
聞かれたことには何とか答えるんだけど、つっかえたり、言い直したり大変そうだ。
今の質問なんて、さっき身振り手振り入れて沢山話してくれたことのに。
どうして?
今朝までの私なら、自分からそう言ってたと思う。ハヤテがなんで言葉を濁してるのか深く考えもせずに。
先生の質問に答えるのは、私にとって『正しいこと』だったから。
考えないと、いけないんだ。私には話せて、コルベール先生に話せないそのわけを。
使い魔だから。
そんな簡単な話じゃない。第一それだと、私はハヤテが使い魔なだけで自分の恥を曝け出したことになる。
違う。ハヤテだから話したんだ。
「ふぅ……まだここの風習も分かっていないのでは、説明のしようがない、か」
「ゴメン、ナサイ」
「いや、つい好奇心から踏み込みすぎてしまったようだね。すまなかった。ミス・ヴァリエールもご苦労だったね」
「いえ」
踏み込める距離。
頭の、今まで使わなかった部分を働かせてるみたい。面白いかも。
先生は、ハヤテの使い魔のルーンを虫眼鏡で確かめようとしたけど、細かすぎてよく分からなかったらしい。ちょっと見ない複雑な形だとか。
ハヤテと目が合った。ハヤテ本人に頼んで大きく書き写してもらえばいいんだ。
でも先生はハヤテの距離がそこまで近くないから言い出せない。少しもどかしそう。
私も気がつかない振りをした。
「それでは失礼しますミスタ・コルベール」
「ああ、それと明日からちゃんと授業に出るようにね」
支援
ううん、でもやっぱり分からない。
「ねぇハヤテ、コルベール先生が嫌いだから、じゃないのよね」
そんなつまらない理由で距離を置くなんて思えないもの。
「ルル……マダ、ヨク分カラナイケド、アノ人ハ、チョット怖イ人ダト思ッタカラ」
あのいつも授業を脱線させて変な発明ばかりしてる先生が?
「質問ノ、シカタ、無駄ガナサスギタ……副隊長ニチョット似テル」
流石に驚いた。マメイヌ隊って騎士団みたいなものだと聞いてたから。じゃあコルベール先生って、元は軍人だったんだろうか。
「勘違いっていうこともあるのよね」
「ウン、マダチョットシカ会ッテナイ、シ」
「そう、よね、これからも授業とか、よく知っていけばいいんだわ」
これはハヤテにというよりも、自分に言い聞かせてた。私はコルベール先生のこと『先生』としか見てなかった気がする。
夕食までまだ少し時間がある。机に頬杖をついて、先生たちのことを一人ずつ頭に思い浮かべる。
クラスメートたちは……まだ、冷静になれないから保留。
ハヤテは、インク瓶の上に腰をおろして、嬉しそうに足を揺らしてる。あ、そうだった、
「ハヤテのベッド、どうしようか」
正直、私はそんなに寝相がよくない。ハヤテを潰しちゃうとは思わないけど、寝返りの一つも打てば、彼女にとっては地震みたいに感じるだろうから。
服を畳んだ上にハンカチ被せれば即席のベッドになるけど……ううん、それじゃあまりにも、
「ルルル……アノネ、るいず、『れんらくがかり』ハ、オ化粧箱ノ引キ出シトカニ、部屋ヲ作ッテルンダヨッ」
また新しい言葉だ。こういう言い方をするのは、きっと『連絡係』にも面白い、何か特別な意味があるんだろう。私も身を乗り出してハヤテの話を聞いた。
友達の部屋のどこかに、こっそりと秘密の隠れ家を作るんだと言う。
それは……すごく楽しそうだ。
女の人の場合は、さっきも言った化粧箱とか宝石箱に、他にも壊れた箱時計とか、ゆうびんぽすと? よく分からないけど、とにかく箱の内側に仕切りをつけて、ちゃんとした住まいを作るんだとか。
「コロボックルハ、マズ連絡係ノ部屋ニ行ッテ、許可ヲ貰ッテカラジャナイト、ソノにんげんニ会エナイノ。連絡係ハ、スゴク特別ナノ」
マメイヌ隊の話をしてくれたときもそうだったけど、ハヤテが子供みたいに目をきらきらさせてる。
連絡係もマメイヌ隊員と並ぶ子供たちの憧れなんだろう。
「じゃあ、夕食の後で、どこかいい場所を探しましょうか。」
「イイ……ノ?」
「勿論! だって貴女はマメイヌ隊の隊員だけど、私の連絡員みたいなものでしょう?」
危ない人から守ってくれるのは、使い魔の大切な仕事なんだから。
指を立てて言ってあげたら、ハヤテも嬉しそうに笑ってくれた。
「ン、ジャア、私ハるいずノ、仮ノ連絡員ネッ」
仮なんて付けなくてもいいと思ったけど、コロボックルにとっては譲れないことらしい。
本当に、今日だけでどれだけ沢山ハヤテのことを知れたんだろう。
きっと、明日からも。
「ハヤテ、沢山おしゃべりしましょうね」
私には、これが足りなかった。ああ、だからハヤテが来てくれたのかもしれない。そして、もっともっと、私のことをハヤテに分かって欲しい。
立ち上がった私の肩に、何も言わなくてもハヤテが飛び乗って。
私は部屋のドアを開けた。
支援
投下終了です。
段々ハヤテのセリフに漢字が混じってきたなと(笑)
GJ!ほのぼのしてるなあ。
本当に毎回良い雰囲気です、GJ
豆粒支援
って終わってた!?
ほのぼのしてていいなぁ。GJ!
マジレン召喚を考えているんだが、キャラや魔法のランクづけをどの辺りに持っていくかで迷う。
「マジカ」「マジ・マジカ」「マジ・マジ・マジカ」「マジ・マジ・マジ・マジカ」を
それぞれドット・ライン・トライアングル・スクウェアに持ってって、
レジェンド→先住レベル 親父や冥府神→始祖レベル、とするとさすがに強すぎるから、
一ランクかそこら下げた方がいいかな。
おちゅかれー
その辺はあんま気にしないでおおらかにいってもいいんじゃないか?
家族全員そろえば絶対神にも勝てる奴らだしw
ただ彼らの魔法はなんというか、どう見ても先住です。
>>764 一応、系統だった魔法だし説明次第じゃとりあえずメイジの扱い受けてもらえるんじゃない?
もしかして、親善大使になるってことで魁召喚ですか?
Zero Buster
「ルイズは本当にバカでした!」
「魔法が使えるとか使えないとか、関係ないのです!」
「自分の力を最後まで信じる者にこそ、真の力が宿るからです!」
「きっと、本物の貴族は――」
「本物のメイジは――」
「心に誇りを持っているのだから!」
七万の大群をビームでなぎ払うルイズ
数秒遅れて地面の爆発が連続する
「おでれーた 俺必要なくね?」
最近の作品小ネタも含めると、デルフがいらない子扱い多いなwww
768 :
761:2007/10/27(土) 15:53:03 ID:XSbqJlYl
>>763-765 アドバイスありがとうございます。魁召喚で行きつつ、どんどん家族合流、みたいな流れが今のところ脳内で。
おなじみの流れで行くなら、契約キスの後で魔法使い云々発覚、ということになるだろうけど……
とりあえず、プチエレオノールネタもやりたいんだw
1分後に投下します
>>761 いずれにしてもマジマジンは出さないほうがいいかも
「信じらんない! なんで私の下着なんか待ち歩いてんのよっ!!!
あんた頭おかしいんじゃないの!?」
部屋に戻るとルイズの叱責が始まった。エイジは頭を下げたまま黙って聞いている。
「その分だと……私の上着とかも持ってそうね!!」
「……これのことで?」
エイジの手にはルイズのネグリジェがあった。よりによって彼女のお気に入りのものだった。
「この腐れド変態がッ………」
ルイズは握り拳をわなわなとふるわせて思いっきりエイジの顔を殴った。
エイジはよけることなくそれを受けた。鼻から少しだけ血が出た。
「お嬢さん誤解です。これは好きでもっている訳じゃあありやせん。」
エイジは言い訳を始めた。さっきのルイズの下着も好きでもっている訳ではないらしい。
「自分の"萌"属性にはMPというのが存在しやす。MPというのは、魔法使うための水がめのようなものでありやす。
そのMPを補給するには"萌えグッズ"からパワーをもらって回復しなければなりやせん。
更に、そのMPを回復する"萌えグッズ"は全員が共通するとは限りやせん。」
「……つまり、エイジにとってそれは"萌えグッズ"だったとしても他の魔法使いにはそれが通用しない場合もある…って事?」
「おっしゃるとおりでありやす。
あと、"萌えグッズ"の他にも相手がその魔法使いに対して"萌え"の感情を抱いたらその思念もMPに吸収することが出来ます」
「まああんたにはそれは無理だろうけどね。あんな気持ち悪い格好じゃ」
ピシッと音がしたような気がした。そしてルイズは好奇心でこんな質問をした。
「ねえ……あんたの"萌えグッズ"ってどんなものなの?」
「え」
「ねえ、ちょっと見せなさいよ。それとも何? 何かやましいものでもあるの?」
「そっ、そんなものは だっ、断じてありやっせんっ!!!」
ルイズがエイジの懐に手を入れようとするとエイジは急に慌てだした。
「あるんでしょ」
「ありやせん!」
「あるんでしょ」
「ありやせんったらありやせん!!」
「今なら正直に話せば許してあげるから」
「ごめんなさい。やましいものいっぱいありやす。」
とりあえずエイジは土下座をした。ルイズはそれを呆れた眼差しで見つめていた。
「何度でも言いやすがこれは誤解なんです! 自分はMP補給のために……」
「じゃあそのやましいものって嫌々持ってるの?」
「それは……くっ……お嬢さん、自分をあまり責めないで下さいっ……」
エイジはやましいものの一つである紺色のブルマを握り締めてわなわなと身を震わせた。
翌日
「………以上のような理由から、最強の系統は『風』なのである。『風』というのは全てを薙ぎ払う力がある。
『火』も、『水』も、『土』も、試したことは無いが『虚無』でさえ吹き飛ばすに違いない。いやあそうに違いない!!」
ミスタ・ギトーの講義は生徒からの評判がすこぶる悪い。
自分の属性である『風』を褒めちぎるばかりでなく『火』や『水』の系統の魔法を貶めるのである。聞き分けの無い生徒には力を持ってしてそれをわからせるのだ。
時には生徒に対して魔法をぶつけさせるように命令する。無論その後ギトーが魔法をお見舞いするのだからそんな命令は誰も受けたくは無かった。
「そうだ、今日は試しに君が私に魔法をぶつけてみたまえ。」
ギトーの杖がルイズに向けられた。それを見て、またたくまに生徒が騒ぎ出した。
「おい、ミスタ・ギトーは本気か? あのゼロのルイズだと話にならないじゃないか!」
「ああ、でもルイズのあの爆発を『風』の魔法で跳ね返したらそれはすごいかも。」
「いや、それは流石に無理だろ。」
ざわざわと騒がしくなってきた教室内をギトーが一喝して静めさせた。
そして杖をルイズではなくその隣にいたエイジに向けられた。
「勘違いしているようだが、私の相手をするのはミス・ヴァリエールではない。その使い魔だ。」
ざわめきがいっそう大きくなった。無論ルイズはこのことに対して抗議した。
「ミスタ・ギトー! 私の使い魔はあなたの戯れの相手ではないですわ!! お断りさせていただきますわ。」
「ほう………では代わりに君が私の相手をしてくれるのかね? 私はどちらでもいいのだが」
ギトーは杖をルイズのほうに向けた。それはいつにも増して殺気立っているように感じたが、ルイズは臆することなくこう答えた。
「望むところよ。本当の魔法の使い方を教えてあげるわ。」
ルイズは杖をとった。ギトーの顔がにやりと歪んだ。
「言うねぇ………それでこそ誇り高きトリステイン魔法学院の生徒というものよ。まあその態度は教育せねばならぬ。私も教師らしいところを皆に知らしめなければならないからね。」
一触即発。生徒たちが慌てて机の下に隠れ、戦いの火蓋がきって落とされようとしたときに―――
「お待ちになってください。」
エイジの凛とした声が教室内に響いた。ルイズもギトーの思わず彼のほうに注目した。
「お嬢さんの危機とあれば魔法を使わないわけにはいきやせん………」
エイジは汗だらけの右手を見つめて、そう答えた。
「そうかそうか。実のところ私も魔法を使ってミス・ヴァリエールを傷物にしてしまうのではないかと心配しててねえ………
君がやる気になってくれて私も嬉しいよ。」
そんなことを抜かしながらギトーは杖を剣のようになぎ払った。
「パピコン」
エイジはステッキを取り出すと、メイド服に変身し片腕でギトーの攻撃を跳ね返した。
「ば、馬鹿なっ!!! 気合で跳ね返しただとっ!!!」
動揺するも杖を握り締めるギトー。しかしもう遅い。彼の呪文はすでに始まっていた。
「ロンリー・ラブリー・シンメトリー・プックンジップで・ロリポップ!!」
今回は一人キャイ〜ン、一人だっちゅ〜の、一人敬礼、締めにキスというコースだった。
そしてこの間ギトーはエイジの動きから目を離すことができず、
「キ…キレイだ……」
そういい残して爆発した。そのときに見せた満面の笑みがルイズが見た彼の最初で最後の笑みだったことを付け加えておく。
「あれ………?」
生徒たちが気づいたときには半壊してしまって青空が見え隠れする教室と汚れた教室を黙々と掃除をしているルイズ。そして、
「ミスタ・ギトーは杖の暴発で爆発してしまい意識を失われてますわ。」
消し炭になった教師がいた。
「はあっはあっはあ………はあっ」
エイジは一目散に駆け出して着替えなければならなかった。こんな姿を見られたら自分自身が死んでしまう。
自分自身が死なないためにもこんな姿を見られるわけには………
「あ」
女性と目が合ってしまった。固まっているエイジをよそに彼女は何事もないかのように通り過ぎていった。
(ひょっとして俺のことが見えてなかったとか………? だったら嬉しいんだけど………)
彼はこのことを誰にも話すことはなかった。当然、エイジは彼女がその時自分の姿を見てにやりと笑っていたことに気づいていなかったのだ。
「なかなかやるわね、エイジ。でもね………」
彼女はこっそり魔法のステッキを取り出し、妖しげにに微笑むと
「あまり深淵に突っ込んじゃだめよ。ふふふふふ………」
ミス・ロングビルは一人、そんなことをつぶやいた。
さらに翌日
シエスタは一昨日と同じ時刻に水洗い場に向かった。ミス・ヴァリエールの使い魔であるエイジに一昨日の決闘の事について話を聞くためだ。
エイジが決闘相手であるギーシュを半殺しにしたという噂は耳にしたのだが具体的にどのようにして勝ったのかは誰も知らないのである。
更に昨日は教師であるギトーを意識不明にさせたらしいし、わからないことだらけなのである。
そして周りの話によるとエイジとルイズは一昨日の事や昨日の事に関して堅く口を閉ざしたままだった。
なのでエイジに直接聞いてみることにしたのだ。
程なくしてシエスタはエイジの姿を発見したので声をかけようとした。が、
「………」
エイジは魔法学院の制服を見つめながらあたりをきょろきょろと見回していた。
シエスタはとっさに隠れて様子を見ることにした。
使い魔であるエイジはご主人様であるルイズの下着等を洗うことも要求された。……だがそれは一昨日までの話だ。無論シエスタはこの事を知らない。
誰もいないことを確認すると、エイジは自分の衣服を脱ぎだした。
「お嬢さん………」
そしてエイジは持ってきた小さな制服に袖を通し、入りきらなかったおなかの筋肉の部分を愛しげに撫で回した。
「!!!!!!!!」
シエスタは急いで目を背け、自分で自分の口をふさいだ。そうでもしないと大声で叫びかねなかったからだ。
(見なかったことにしよう………でも出来るかな?あんなに強烈だったのに。なんか夢に出てきそうだわ………)
女子の制服を着て至高の気分に浸っているエイジの嬌声が聞こえてきたが書くに耐えないのでここでは割愛する。
「ふぅ………」
すっかり満足したエイジは制服を懐にしまい、歩き出した。
(に、逃げなくちゃ………!)
抜き足差し足忍び足 シエスタは昔おじいちゃんに教えてもらった歩き方でこの場から離れようとした。が、
「「あ」」
完全に目が合ってしまった。二人とも足がすくんで逃げ出すことができなかった。
エイジは何とか言葉を紡ぎ出そうとする。
「さっ、さっきのはっ、その………」
しかしエイジが言い訳する前にシエスタが口を開いた。
「いや、私はなにもみてないといいますか。もし仮に見てたとしても私はそういう趣味に偏見とかは持ってないですし、
だからここで見たことは何も言いませんし、ただ人の制服を勝手に盗んでするのはどうかと思いますけど、
とにかく! 私は見てないですからこれで失礼します!」
シエスタはそこまで早口でまくし立てた後にあっという間に走り去ってしまった。
「………」
エイジは引きとめようとしていた右手をぎゅっと握り締めてじっと見つめていた。
拳に一粒の涙が落ちた。
結局シエスタに一昨日の事や昨日の事については聞かれることはなくなったためエイジは助かったといえる。
シエスタとのフラグは完全に折れてしまったが。
≪支援する!≫
だめだこいつ支援
支援
以上です。蛇足ですが少し補足を
1日目:ルイズがエイジを召喚。エイジを使い魔にする(エイジはまだ気絶している)
2日目:ルイズの下着を洗っているところにシエスタと遭遇。その後ギーシュとの決闘。
3日目:ギトーに喧嘩を売られる。
4日目:シエスタに本性を見られる。
1と2の流れをまとめるとこんな感じです。おわかりいただけたでしょうか?
それとエイジの変身については原作をそのまま拝借しました。
つまりどこからか魔法のステッキを取り出して変身をするところまでは魔法でできるのですが着替えてもとの服装に着替えるのには自力でやらなければなりません。
原作ではその着替えの最中を「お嬢さん」に見られる場面があります。
メイド服なんか入るのかという質問があるかもしれませんが、まあブルマもあるぐらいだからメイド服もあるだろう。みたいな軽い感覚でご覧になっていただけると幸いです。
では
779 :
ゼロゼロ:2007/10/27(土) 16:16:01 ID:O5qkEdNW
予約します
780 :
ゼロゼロ:2007/10/27(土) 16:21:12 ID:O5qkEdNW
誰も居ないっぽいので投下しますー
―――――――――――――――
牛よりも大きな巨体が鎮座していた。砂ぼこりが晴れると共にその姿がゆっくりと明らかになる。
人を丸呑みできそうな大きな口、骨をも噛み砕く頑丈な牙、振るうだけで大樹をなぎ倒す尻尾。
喉の奥から猛獣特有の太い声を鳴らした。
首を持ち上げ周りを見まわすと周囲に居た生徒はみな威圧され、一歩下がった。
「や……」
その巨体の前に居た少女、ルイズ・ド・フランソワーズは満面の笑顔を浮かべた。
「やったぁあ!」
普段はきつい視線で周りを威圧するように過ごしている彼女。
それが年相応の歓喜の声を上げたことで一部の生徒が珍しいものを見たように視線を向けた。
そんな視線はまるで眼中に無いようで、ルイズは巨大なモンスターに近寄った。
俗に言うオオトカゲ、いやココまでの巨大ではドラゴンの一種かもしれない。
何せ軽く人を数人乗せても平気そうな大きさなのだから。
今年の使い魔召喚儀式で最高の使い魔と思われていたミス・タバサの使い魔、スカイドラゴンとほぼ同じ大きさをしている。
翼は無いが、頑丈そうな鱗はドットレベルの魔法なら軽く弾き返しそうである。
近寄ってきたルイズに興味を持ったのか、ドラゴンは首を屈めてルイズの顔を覗き込む。
ルイズは自分に忠誠を持ったと判断し、そのままコントラクトサーヴァントを行った。
コントラクトサーヴァントも無事に終了。
そうするとあっけに取られていた生徒たちが騒ぎ始めた。
「そんなバカな」
「ゼロのルイズが?」
「でかいだけじゃないか?」
口々に何とか目の前の事実を否定しようと試みるが、それはルイズの虚栄心を満足させるだけだった。
ルイズは今、有頂天に居た。
入学してから彼女に与えられた言葉は蔑みと憐れみだけだった。それが今向けられているのは嫉妬交じりの羨望の視線なのである。
特に彼女が嬉しかった点はライバルであるキュルケの使い魔よりも高レベルの使い魔を喚んだ事だ。
キュルケの横に居るサラマンダーを見てルイズはニヤニヤと表情を隠さなかった。
それに気づいたキュルケは解散の声を聞くとさっさと校舎へ戻っていった。
(勝った)
とルイズは心の中で喜んだ。
いつも自分につっかかってくるキュルケが何も言わずに立ち去ったのである。
あまりの喜びにルイズは巨大なドラゴンの体を抱きしめた。
と言ってもあまりにサイズが違うためルイズが寄りかかっているようにしか見えないが。
「これから、よろしくね」
「グォウ……」
ルイズに話しかけられたドラゴンは否定とも肯定とも取れない鳴き声を発した。
781 :
ゼロゼロ:2007/10/27(土) 16:22:49 ID:O5qkEdNW
次の日。
ルイズは人生において最高の目覚めだと感じていた。
窓の外が青空なのも世界が自分を祝福しているのだとさえ思えて、思わず歌いだしそうだ。
それと同時に自分の幸福、使い魔の姿を確認したくなったルイズは自らの使い魔に会いに行こうと考えた。
さすがにあんな巨体では自分の部屋に入れることができないので、そういった使い魔が眠る場所があるのである。
場所は馬屋の近く、基本的に食事の世話は使用人がする。馬の世話も使用人がするため機能的にそこに建っているのである。
意気揚々と服を脱ぐと制服に着替える。廊下に用意されている水で洗顔をすると宿舎の階段を降りた。
思わずスキップしそうな心を抑えて貴族らしく丁寧に歩く。だが明らかにその足取りは浮き足立っていて危なっかしい。
「おはよう、随分とご機嫌だねルイズ」
と一階のホール部で声をかけられる。そこに居たのはギーシュだった。
薔薇を口に咥え、その整った顔で笑顔を向けていた。
普段からゼロだの悪口を言う生徒の中にギーシュは居た、それが今日は他の女生徒と同じような対応をしている。
それをルイズはギーシュも自分を認めたのだと考えた。
「おはよう、ギーシュ。今日は最高の朝だわ」
「最高の使い魔を召喚したからかい?」
「そうよ、今なら魔法も成功させる自信があるわ!」
「そ、それは今後ゆっくりやっていけば良いんじゃないかな……」
ちょっとだけ顔を引きつらせるギーシュ、話題を変えるためさらに言葉を続ける。
「そんなことより、昨日のキミのアプローチ嬉しかったよ。どうだい、今度の虚無の日に遠乗りに行くと言うのは」
「……は?」
突然のギーシュの申し込みにルイズは言いづまる。
なんで急にデート、それよりも昨日って?
と言う疑問が頭の中を巡る。
「ぇえっと……確か貴方は今モンモランシーと付き合っているのよね」
「妬いているのかい、でも薔薇は皆の為にあるのさ、ボクも一緒さ」
「……」
どうにも会話が通じない。そもそも何かとんでもない勘違いが起こっているような気がしてならない。
「どうか顔を上げてくれないかい、君の可憐な顔が一瞬でも見れないのは残念でならない」
だがギーシュはルイズに考える暇を与えず、歯の浮くような台詞を続けている。
782 :
ゼロゼロ:2007/10/27(土) 16:24:28 ID:O5qkEdNW
その、ややこしい状況にさらにもう一人加わってきた。
「おはよう、ギーシュ、ルイズ」
赤い髪を振り、使い魔のサラマンダーを連れて現れたのはキュルケであった。
「おはよ……」
「おはよう、今日も赤い髪が美しいね」
つい数秒前までルイズを口説いていたのに、他の女が現れたとたんそちらまで褒めるギーシュの節操のなさにルイズは不審な目を向けた。
モンモランシーの苦労がなんとなく理解できたようだ。
「あら、昨日の夜にあんなに言ったのに、まだ言い足りないの?」
「君の美貌を称えるなんて何万の言葉があっても足りな……ぇ、昨日の夜?」
それまで、まるで口を止めなかったギーシュが口を開けたまま固まった。
「あんなに情熱的に口説かれたのは久しぶりだったわ。それでいて手を出さないなんて意外だったけど」
「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ……昨日ボクは何を言ったか教えてくれないかい」
目を白黒させ、ギーシュはキュルケに問いかける。
それに対してキュルケの口から出るのは恥ずかしい言葉の数々。
後半は捨てられた男が女に復縁を迫っているようにしか聞こえない内容になっていた。
「ギーシュ、あんた程ほどにしておかないとモンモランシーあたりに刺されるわよ」
とルイズが呆れたように言った。
それに対してギーシュは大慌てで否定する。
「待ってくれ、昨日は授業が終わった後はずっとベルダンディー、ボクの使い魔と一緒に居た。その後部屋に居たらルイズ、君が尋ねてきて……」
「待ちなさいよ、なに大嘘でっちあげてんのよ。私は昨日、誰の部屋にも行ってないわよ!」
「そんな、昨日ボクの部屋にやってきて『立派な使い魔を召喚して自信が付いたから告白する』って言ったじゃないか」
「誰がアンタみたいな浮気男に告白するのよ!」
「……どうなってんのコレ」
とキュルケが呟いた。
それを聞きたいのはルイズもギーシュも同じであったが。
783 :
ゼロゼロ:2007/10/27(土) 16:25:51 ID:O5qkEdNW
「あ、おはようタバサ」
そこに現れたタバサに気づきキュルケが声をかける。
しかしタバサの様子がおかしい、いつも無表情である彼女が険しい顔をして歩いてきた。
「おはよう」
「どうしたの、何か暗いわよ」
と歯に絹をかけず話しかける。
だがタバサは気にもした様子も無く話を続けた。いつもの事なのだろう。
「キュルケ……貴女の気持ちは嬉しいけど、私は女性とは付き合えない」
「は?」
キュルケは目の前の友人が何を言っているのか分からなかった。
だが彼女が冗談を言うような性質でないのは知っている。
「タバサ、何のこと?」
「昨日の夜、私の部屋で『友達以上になりたい』って貴女が……」
さすがの事にいつもの余裕がなくなるキュルケ。
そこにマルコリヌが現れる
「タバサ、昨日は逃げてしまってゴメン。僕は、僕は君のことが好きだぁああああ!」
と一直線にタバサに飛びかかり、あっさり避けられて床を転がった。
さらにモンモランシーが現れてマルコリヌに近寄る。
「ごめんなさい、私には好きな人が居るから貴方とは付き合えないの」
「うぉおお、何だかよく分からないけど振られたぁああ!」
マルコリヌは号泣した。
どんどん現れる数珠繋ぎのような関係に、最初からその場にいたルイズは気づき始めていた。
これは誰かが誰かに告白し、告白された人が誰かに告白すると言う事を繰り返しているのだ。
しかし、そんな事をする意味も分からないし。そもそも告白した記憶が誰も無い。
だとすれば、体を奪うような魔法具が校内をうろついているのか。もしくは――
「なんの騒ぎじゃ、これは」
「学院長」
階段の上から今度は学院長が降りてきた。
「ぉお、ミス・フランソワーズ。良いところで会った、これを見てくれぬか?」
といつも咥えているパイプを差し出してきた。
首をかしげてルイズがそれを凝視すると。
ボン、と言う音と共にパイプがパーティーで使うクラッカーのように爆発した。
びっくり箱のようにパイプの先からバネが出て、その先端にピエロの顔がくっついている。
それに驚いたルイズは思わず後退し、足がもつれて尻餅をついた。
その光景が余程面白かったのか、学院長が大笑いをしていた。
その顔が歪み、白髪が徐々に桃色に、ゆったりとしたローブは短く、肌がどんどん若返っていく。
目の前で学院長は完全にルイズに変身した。
その光景に周囲に居た皆があっけに取られる。
尻餅をついているルイズと、大笑いしているルイズと二人のルイズが居るのである。
元ネタわからないが、支援する
785 :
ゼロゼロ:2007/10/27(土) 16:27:36 ID:O5qkEdNW
「だ、誰よあんた!」
ルイズが叫ぶ、笑いを堪えながらそいつは答えた。
「あ、あはは、わ、私は……ルイズよ」
「ふざけないで、ルイズは私よ! 貴方ね、昨日の夜に姿を変えて告白しまくった犯人は!」
危険な魔法具があるか、もうひとつは誰かが変身してイタズラをしてるとしか考えられなかった。
「あはは、は……さすがご主人様、当たりぃ!」
そう言うと同時にその姿は盛り上がり、口は裂け、尻尾が生えた。
肌は浅黒い土色に、鱗へと変わる。
そうして偽ルイズは巨大なドラゴンへと変わった。
「い、韻龍?!」
「いんりゅう? 違う違う、ボクは『シャドウゼロ』サ」
そう言うと今度は勢いよく小さくなり、人間サイズをさらに通り越して小さな人形の大きさになった。
真っ黒なヌイグルミのようになった。顔らしき部分に緑色の部位がある。
全体的に半透明でゼリー状のようだ。
「ごシュジン様はボクがランドドラゴンに変身してるトキに召喚しタンだよ」
その言葉にルイズが考えた事は『ドラゴンよりもレアな使い魔ではないか』と言う事だった。
つまり喜べば良いのか、それともイタズラを怒れば良いのか一瞬迷ったのである。
「きゅるきゅる、それじゃあちょっと散歩してくるのね」
迷ってる間にシャドウゼロはタバサのスカイドラゴンに変身するとマルコリヌをふっ飛ばし、入り口の一部を破壊して、空へと飛び去った。
その怒涛の展開に誰も付いていけず、唯一冷静だったタバサが言った。
「良いの? 逃げたけど」
「あ、あの馬鹿ドラゴンっっ!!」
慌てて飛び出し走っていくルイズ、どう考えても追いつけるはずが無いのだが。その場も誰もがソレに対して忠告する気が無かった。
全員の気持ちはひとつだった
(疲れた……)
その後、ルイズとシャドウゼロの追いかけっこは数年に続くことになった。
彼らの通った後は人間関係がぎくしゃくしたり、逆に長年のわだかまりが解けたり。
モンスターが街道を大行進したり、村々を荒らすモンスターの死骸が大量に転がったり。
さらにはアルビオンで起こった内乱、両者の内情を引っ掻き回して疲弊させたりした。
後の歴史には歴史上最悪の愉快犯テロリストとして語り継がれることになる。
――完――
786 :
ゼロゼロ:2007/10/27(土) 16:28:49 ID:O5qkEdNW
短編です、聖剣伝説LOMからシャドウゼロです。
最初は長編で考えていたのですが、シャドウゼロがどう考えてもオリキャラ化するので短編でまとめてみました。
ちなみに私はマルコリヌが嫌いなわけじゃないですヨ
うっわ!シャドウゼロwwww
政権3でしか見たことがないが必殺技までコピーするから
いつも逃げてたなぁw
乙でした
シャドウゼロか! もう一人の自分乙!
ちょっとした小ネタみたいなのはここに投下してもおkですか?
どうぞ
>>790 どもです。では某今回予告風に投下させて頂きます
マイナーキャラな上に読み難かったりツッコミ満載ですが、生暖かい目で見てやって下さい
――――――――――予告――――――――――――
―――空に浮かぶは二つの月
―――世界を統べるは魔法の力
今、ハルケギニアを舞台に新たな物語が始まろうとしていた。
少女の声に呼ばれ、異世界から召喚されし一振りの魔剣を持つ少年。
彼は侵魔から地球を守る為、過去に忘れ去られし古の力―魔法―を駆使して戦う魔法使い"ウィザード"
――その少年の名は柊蓮司。またの名を「下がる男――
柊蓮司「そのネタはもういいんだよっ!」
≪虚無と夜闇の魔法使い≫
――少年と少女が出会った時、世界は新たな歴史を紡ぎ出す。
異世界の住人である彼は、この世界に何を齎すのか!
柊蓮司「お、俺の魔剣がーっ!?」
ルイズ「魔剣が無ければ只の"使い"ね」
キュルケ「"使い"よね」
タバサ「……"使い"」
柊蓮司「……orz(落ち込んでいるらしい)」
そして、彼がこの世界に召喚された本当の意味はっ!!
ギーシュ「た、只の平民が魔法を使うだと――!」
キュルケ「同じ属性を持つ者通し、仲良くしましょ」
デルフ「おでれーた。まさかお前が「使い手」とはな」
タバサ「…もしかしてアレは」
ルイズ「嘘っ!嘘よそんなのっ!!」
???「…まさかこんな場所で会えるとはね。柊蓮司」
柊蓮司「ま、まさかお前はあの――!」
――キミはこの衝撃に耐える事が出来るか!?――
柊蓮司「――俺が、お前の力になってやる」
ルイズ「レンジ…」
――――なお、本編は予告無くその内容が変更される場合があるので、予めご了承下さい。
・『ナイトウィザード』より柊蓮司を召喚
とりあえずアルビオンが下がるな(柊的な意味で
多分、ワルドとギーシュの恋の年齢層も限界まで下がるな(柊的な意味で
スタスクの作者に支援しとく
ルイズ「ちょっとグリムロック!、さっさと洗濯しなさい!、聞いてるの!?」
グリムロック「俺、グリムロック。命令されるの嫌い! ルイズの命令、受けない!」
ルイズ「何よその態度!?、私の使い魔なら私の命令を聞きなさい!」
グリムロック「俺、グリムロック。使い魔じゃない 俺グリムロック。ルイズなんか嫌い」
悪戸と儀異種がタバサにまで手を出すようになると申したか
そういえば、まとめサイトにはないが柊蓮司が召喚されてたのが前に投下されていたような
召喚シーンだけだけど
実はモンモンって可愛くないか?
何を今更
ダメな男に尽くして不幸になるタイプに見える
ギーシュのせいでw
タバサの冒険2発売記念・・・・
少女が出会ったのは小さい身体に茶色いマントと帽子、そして度の強いメガネを身につけた怪人物。
「ヤツはこの俺が倒すつもりだったが・・・。まあ、いいか。」
男は「美少年」なる大瓶入りの酒を酌み交わしながらタバサとシルフィードに語りかける。
「おまえさんの髪の毛の色を見ていると、どうも故郷に残した娘を思い出す。」
それは、かつて、今は亡き父が自分に見せていた優しい眼差しと同じ物。
彼の隣で床を取った時、父の温もりと同じ安らぎをタバサ覚えるのだった。
そしてタバサは胸の中で男の名乗りを思い返す。
「俺の名は大山敏郎。親しい友人はトチローと呼ぶ。」
それは サルマタの怪人 宇宙一の天才科学者 最強不敗の宇宙の侍 といった男の名。
しかし少女はその様なことは知らない。
少女はただ、父の温もりを思い起こさせるこの男の側で眠りにつく。・・・
カミングスーン!近日公開・・・・できるといいなぁ・・
801 :
800:2007/10/27(土) 17:59:09 ID:6hT8PKMa
やっぱ即興で直接カキコだと脱字とか大杉(汗
といった男の名。>といった二つ名を持つ男の名。
で読み替えてくだせえ
>>800 グレート・サムライ、キター!!
かつて、書きたかったけど文才の無さに諦めたのは私だw
近日公開を待ちます、遠く時の輪の接する処でw
「ヒュー、チッチッチ、見事な腕前だ。だが、ハルケギニアじゃあ二番目だ。」
10体を超える人間大青銅製ゴーレムや40mオーバーの土製ゴーレムを華麗に操り、
グリフォンも置いてけ堀なスーパーカー「ズバッカー」を駆り、
わらわらと無尽蔵に分身して、何故か虚無の魔法や先住魔法まで使っちゃう。
そんな使い魔をズバッと召喚ズバッと解決。
偶に「父よー母よー妹よー」とBGMと共にトンボマスクになります
あとは青い強化服を身にまとってみたり
ビッグ1とか名乗ってみたりするから油断できない。
快傑ズバットと仮面ライダーV3とジャッカー電撃隊はわかるんだが青い強化服がわからない
アオレンジャーじゃん。
ゴレンジャイ
後には超力戦隊を指揮したり特別救急警察隊を指揮したりするからな
>>806 つ アオレンジャー
アオレンジャーだったか
サンクス
初めてタバサの名前見た時、僕らの太陽を真っ先に思い出した奴居るか。
タバサといえば「奥様は魔女」の娘
マサルさんの漫画の中での歌の始まりがタバサ〜♪だったせいでそっちのイメージ強い。
>初めてタバサの名前見た時
俺は、『シンドバットの冒険』だな。
シンドバットたちに嫌がらせする、魔女の婆さんの名がタバサだったけ、とね。
俺は龍と魔法使いのタリア婆さんww
>>809 後、宇宙刑事も追加してくれ。
たった1話だけだがなw
テイルズにもタバサって居たな。最初に思い出すのは奥さまは魔女のタバサだけど。
ちなみに日本版だと名前はつばさ。魔法でパパを小さくしてみたりいろいろしてた。
サイト、ギーシュ、マリコルヌ、ルイズ、テファでメガレンジャー。
メガシルバーはコッパゲという電波を受信した。
>812
ノ
カプコン格ゲのクロスも見たいもんだ
ウォーザード、ストzero、ヴァンパイアとかね
えーと、誰もいないようなので、5分後くらいからトーカします・・・
投下直後の感想ではないところで、名前があがるってなんか嬉しいですね。
カモンきゃもん
戦場の騒乱は去り、そして静寂が訪れる。
後に残ったものは浄化された大地と言うべきか、焼け落ちた人間と言うべきか。
何処からともなく鳥の鳴き声や虫の鳴き声が響く。
焼け焦げた木が燃えかけの炭のように燻る広場の中央に、突如一陣の旋風が舞い踊った。
周りを巻き込み、砂煙をあげる竜巻が収まった後に、風は一人の長身の男の姿に変わっていた。
漆黒のマントを羽織り、地味で飾りのない暗灰色の服を着ているその姿は、周りを闇に染めていくような強烈な
雰囲気を撒き散らしていた。
ただ、黒い姿の中で顔だけは、周囲の闇から浮かび上がるような白い仮面で覆われていた。
まるで闇の中で仮面だけが浮いているように。
「ふん、存外だらしのない。とはいえ、全滅は筋書き通りか。……しかし、火炎の嵐の中にサラマンダーを
落としてくるとはな」
仮面の男が、忌々しげな声とともに、黒焦げと化した死体を爪先で蹴飛ばす。辛うじて形を維持していた革鎧が、
腑抜けた音とともに崩れ落ちていく。
「証拠を残しておくのも不味いな」
崩れていく鎧を見つめていたその男は、そう呟くや否やルーンを唱えた。
手に持っていた大ぶりの杖を振るうと同時に竜巻のような風が突如巻き起こり、周囲の残骸を吸い上げては
森の方へ吐き飛ばしていく。
それを満足げに見上げていた仮面が、電撃に触れたように森の方に向き直って杖を構えた。
「誰だっ!」
鋭い声と共に杖の先から、槍と化した空気の塊が射出される。鋭い穂先は割れるような炸裂音と共に杖の
射線上にある大木に大きな穴を穿っていった。
警戒を崩さない仮面の男の視線の先に、足音もなく、長身の影が森の闇からにじみ出るように現れた。
仮面の男と似たような背格好で黒い服装も近いものがあるが、こちらは闇に祝福されるような、闇そのものの
ような静寂とした雰囲気を身にまとっていsる。
「お前は……」
仮面の男は、後に続く言葉を無理やり呑み込んだように息を止め、杖を構えなおした。
なぜ、あいつがここにいる? 目的地に向かったのではないのか? まるで自分が来るのを予測していたように
待ち構えているこの男はいったい……?
目に当たる切れ込みから射殺さんばかりに、仮面の男は巨大な金属製のケースを担いだ長身の男を睨みつける。
雲が切れ、月光がその隙間から大地を祝福する。
チェロケースを担いだハジは、右手を一振りし、手品のようにスローイングダガーを取り出した。
「あなたに聞きたいことがあります」
淡々としつつも、どこか底知れない声に、仮面の男は背筋を冷たいものが走り抜けていくことを自覚する。
全身という全身の鳥肌が音を立てて逆立っていく。相対しただけでここまで緊張させる敵は滅多に居ない。
「ふ、貴様に話すことなどない」
口の中で、こっそりとルーンを唱えつつ、仮面の男は間合いを測る。
目の前のハジとは10メイルほど離れている。月光を跳ね返しているダガーが気になるが、この距離であれば
自分の風魔法の方が早い。
「エア……ッ!?」
最後の一節を唱えようとした瞬間、その認識が甘かったことを思い知らされる。
光?
そう、咄嗟に横に倒したその顔を掠める様に、銀色の光が通りぬけた。
水面を竹ひごではじくような鋭い破裂音がしたあと、ひび割れが広がりに仮面の一部がポロリと落ちた。
何だと? いつ投擲した? 浮かんだ疑問を無視して、戦場を潜り抜けてきた経験が無意識のうちに魔法を起動する。
咄嗟にマントで顔を隠しつつ杖をつきだした。
「ハンマーッ!」
巨大な空気の固まりがハジの横ではじけ、まるでダンプカーがぶち当たったようにハジを吹き飛ばす。
小石のように吹き飛んだハジは何本もの樹をなぎ倒し、大木に激突して止まった。
ミシミシという音と共にハジを受け止めた大木が折れていく。
仮面の男は、止めていた息をゆっくりと吐き、張り詰めていた神経を解放した。全力のエア・ハンマーを
使ったことなど、そうそう記憶にないが、あれだけの激突であれば普通は死んでいる。
よくても全身の骨という骨が折れて、動くこともできまい。
まさに神経戦だった。初手をかわされた方の負け。全神経を相手の一挙手一投足に反応できるように
張り詰めていた。それでいても突如投げられたダガーをかわすことができたのは、偶然としか言いようがない。
手の動き、体の動き、すべて見ていたのにもかかわらず、投げる瞬間が分からなかった。
全身の緊張がほぐれていくに従い、相手の異様さ加減が気になってくる。
――この男は危険だ。
今のうちに確実に処分しておかなければ、後で確実に障害になる。
激突地点に近寄る気にもならなかった仮面の男は、再び呪文を唱える。ハジに向かって、杖を振りかざそうとして、
倒れていたハジがいないことに気がついた。
いつの間に?
愕然としたその一瞬の隙を突かれた。
背後に何かの気配を感じたと認識すると同時に、首根っこに冷たい手の感触が、そして背中に尖った物を
突き付けられた感覚が、全身を駆け巡る。
「あなたに、聞きたいことがあります」
もう逃げられない。そう判断した仮面の男は、攻撃前と一切変わらないハジの声に唇をゆがめた。
信じられなかった、あれだけのエアハンマーをその身に受け、木々をなぎ倒した男が、なぜ、今後ろにいる?
ただ、事実は事実だった。ある意味、吹っ切れた仮面の男はハジから死角となる様に、杖を自分の腹に突き付けた。
「貴様に話すことなどないと言っただろう」
ハジの問いかけに嘲笑を向けると同時に、起動するだけだった魔法を解き放つ。杖から飛び出した、空気の槍が、自分もろともハジを貫く。
己の魔法がハジまで確実に貫いたことを横目で確認した仮面の男は、にやりと笑って唐突に旋風のように四散する。
支えがなくなった仮面や杖が乾いた音を立てて地に落ちる。
腹を貫かれて蹲り、手をあてていたハジが、しばらくしてゆっくりと立ち上がった。
もうその表情からは何も読み取れなかった。痛みも、何も。
相変わらず無表情なままで、シルフィード達が飛んで行った方向を見ていたハジが、微かに風を切る音とともに
煙のように消えた。
今度こそ静寂が訪れ、息をひそめていた鳥の鳴き声や、虫の鳴き声がその場を支配していく。
やっぱり、トチローの脳内ボイスは富山さんだな
・・・井上さんもハーロック役を引退してる・・・はぁ〜
―― BLOOD+ゼロ 11章――
漆黒の空をポツンと炎が飛んでいる。
よく見れば、風竜の足につかまったサラマンダーの尻尾の炎だった。
自然界であれば到底あり得ない不可思議な光景も、彼等がメイジの使い魔であれば話が変わってくる。
よくよく見れば、その風竜の背には三つの影が見える。
タバサ、キュルケ、ギーシュという名前を持つメイジ達だった。
本来であればもっと高速で飛べるシルフィードだが、さすがに通常よりも大幅な重量増の状態では、普段の
ような高速飛行は望めず、極力、体力を使わないようにゆっくりと飛んでいた。
しばらくの間は誰も口を開かなかった。シルフィードの羽ばたきと、風の音だけが世界を占めていた。
ふと、キュルケがタバサの肩にぱふっと顎を乗せた。
「……ねぇ、タバサ、あれでよかったのかな?」
「全員は無理」
「まあ、そうだけど、でもねぇ」
「きゅいきゅい」
学院を出た直後と異なりギーシュが増え、かなり手狭になったので、今はタバサをキュルケが後ろから
抱きかかえるように座っていた。ギーシュはさらにその後ろで胡坐をかいて座っている。
背中と肩に親友の温もりを感じながらも、タバサはそっと首を振った。
例えばルイズのように小柄で軽い人間であれば、シルフィードにぶーぶー言われても、あと一人はなんとか
なりそうだが、ハジのような大人の男は到底無理だった。結果的に四人同時にシルフィードで運ぶことはできず、
誰かが残らなければならなかった。
『気になることがありますので、後から追いかけます』
想像していたのかどうかは分からないが、ハジはそう言って一人現場に残った。
確かにこの襲撃自体不自然なことが多いのはわかるが、こんな夜に、それも人の死体が山のように転がっている所には、
少女たちは出来れば長居したくなかった。
タバサもキュルケも死体を見て悲鳴を上げるほどやわな神経ではないが、自分達が作り上げた何十もの黒焦げの
死体を直視し続けるのは、さすがに遠慮したかった。
ヴェルダンデは自分でついてこさせる。というギーシュの言葉で、結局三人と一匹がシルフィードで飛び立った。
「彼が大丈夫といったんだから、いいんじゃないのか?」
キュルケの後ろからギーシュが風に負けまいと声を張り上げた。
ギーシュの矢傷はタバサの治癒で、ある程度は治療している。しばらく痛みが残るだろうが、傷痕は奇麗に
なくなるはず。ただ、今も彼は矢を受けた所を無意識のうちにさすっていた。
シルフィードに時折指示を出しているタバサは、じっと前を見つめていた。手持無沙汰のキュルケは、目の前で
風に揺れるタバサの青い髪を手櫛で漉いている。
「だって、ラ・ロシェールはまだかなり先でしょ? そりゃあ、シルフィードだったらすぐだけど、ハジは
間に合うのかしら」
「迎えに行く」
「タバサ、どうしたの? あなたがそんなに積極的なのは珍しいわね。ま、いっか、あのルイズに貸しでも
作っておきましょ」
タバサの言葉に、一瞬目を丸くしたキュルケは、ニヤッと笑った。タバサはそんな友人の笑みを横目で見ながら、
シルフィードの体をぽんぽんと叩いた。
「きゅいきゅい」
遠くに町の光が見える。ラ・ロシェールまではもう少しだった。
シルフィードは了解したように、羽ばたきを強め、高度を落としていく。
§ § § § § § § § § § § § § § § § §
一足先にラ・ロシェールについていたルイズ達は、小さな港町の、唯一と言っていい貴族相手の宿、『女神の杵』亭に
部屋をとっていた。
天蓋付きのベッドがある立派なつくりの部屋で、ルイズは窓際に椅子を置いて、じっと外を見ていた。
かなり夜は更けてきており、もう、道路で動くものは酔っぱらいか、野良猫ぐらいなものだった。
ワルドは、グラスにワインをついでルイズに手渡した。
心ここにあらずといった表情のルイズは機械的に受け取って、そのまま膝の上に手が落ちていった、ワインは
口を付けることもなかった。
「どうしたんだい、ルイズ。お友達と君の使い魔だったら大丈夫だよ」
「……」
「そんなに心配かい?」
「ええ」
厳しい顔で、蟻の一匹すら見落とさないとばかりに窓の外を見つめる、鬼気迫る雰囲気のルイズだった。
それを見ていたワルドは、軽くため息をついた。
慰めるようにルイズの肩に手を置いた。小さい肩がビクンと震えたが、それでも何かにすがりつきたそうな
視線は窓から離れなかった。
諦めたように肩をすくめたワルドは、ルイズと同じ視線までしゃがみこんで、両肩をそっとつかんだ。
「だったら、もう一度行ってみよう。だが、今日は遅いから明日の朝早くでいいかな」
「ほんと?」
「ああ、未来の奥さんにしょげかえられると、僕としても困るな」
「え、あ、お、奥さんなんて、いきなり……」
その言葉にはじかれたようにルイズが振り返った。ふわっと桃色の髪が広がって、憔悴した中に希望を
見出した旅人の表情を縁取る。
その顔を見てワルドは一瞬、眩しいものを見るような表情をしたかと思うと、すぐにいたずらっぽい笑顔になった。
ワルドの言葉を理解すると同時にルイズは顔を真っ赤にして俯いた。
「まあ、確かに、ずっとほったらかしだったから、婚約者だなんて、言えた義理じゃないこともわかってる」
「……」
「でもルイズ、僕には君が必要なんだ。離れていても、ルイズのことがずっと心に残っていた。
僕は君に相応しい人間になろうとして、我武者羅に頑張って来た」
「ジャン……」
ワルドは俯いたルイズの頤にそっと手をあて、優しく、ゆっくりと上を向かせた。眼を逸らすルイズの顔を
じっと見つめた。
ワルドの真剣な声。なにか、思いつめたような雰囲気をもつ声と、ひたむきな眼を直視することができない
ルイズは、もじもじと手を握っては開いていた。
真っ赤に上気してきまり悪そうなルイズを、慈しむような視線で見ていたワルドが感極まったように、そっと抱き寄せる。
自分の胸でビクッと硬直するルイズを両腕で抱きしめ、その豊かな髪にキスをする。ゆっくりと髪を優しく
撫でながら、ワルドは静かに口を開く。
ここ最近の環境の変化でルイズも人の機微に敏感になった。だから、ワルドの過去の傷を思い出すような、
苦いもの、苦しいものを思い出すような、痛切な響きに心を震わせられる。
「死にそうな時、もう駄目かと思ったとき、そんな時に出てくるのは君の笑顔なんだよ、ルイズ」
「……」
「だから、僕は君にずっと傍にいてほしい」
「ジャン……、それって……」
ワルドの腕に力がこもる。息ができないほど強く抱きしめられたルイズは、その腕に彼の強い想いを感じていた
さっきの冗談とはまったく異なる真剣な声に、ルイズは眼を見開いた。確かに形だけとはいえ許婚の関係なのは事実。
だけど、相手は精鋭中の精鋭、グリフォン隊の隊長で将来を嘱望されるべき人。そんな人が、魔法すらまともに
使えない半人前以下の自分を好きなはずがない。わたしにあるのは、ヴァリエール家の三女という立場だけ。
ワルドは、昔の約束を、それも口約束を守ろうとしているだけ、そう無理にでも思い込もうとした。
で、なければ余りにも差がありすぎて自分がみじめすぎる気がした。
「ルイズ、僕は君を愛してる、結婚しよう」
「わ、わたし……まだ……」
「この任務が終わったら、僕と結婚しよう。アンリエッタ殿下の勅命を受けれるまでになったんだ。
郷里のお父様も反対はしないよ。ラ・ヴァリエールに迎えに行く」
ルイズを抱きしめていたワルドが、そっと身を離し、ルイズを見つめた。その熱い視線を受け、ルイズの顔が
今まで以上に火照っていく。
ワルドは目をつぶり、そっと顔を近づける。
自分が自分でないような、夢か幻を見ているかのような、ふわふわとしていたルイズだったが、ふと心の奥底で
引っかかるものがあった。
『大丈夫です。行ってください』
静かな声と、背中に矢が何本も突き刺さったハジがルイズに背を向けていくイメージが呼び起こされた。
――わたしは今、何をしているの?
ルイズは、咄嗟にワルドの胸を押し返した。
「だめっ」
「どうしたんだい?」
「……今はこんなことをしてる場合じゃない」
「ルイズ……」
ワルドの目を見れずに、俯いて自分の足元を凝視しながらルイズは声を絞り出した。
求婚は嬉しい。それこそ昔から憧れていた人。そして好きな人。幾度となく夢に見た光景。だけど、だけど、
そんな自分に都合のいい夢のような光景だからこそ、安易に流されることはできなかった。
確かに、今、ワルドの想いを受け止めることが出来たなら、それなりの幸せがあるだろう。
だけど、その幸せはワルドの妻としての幸せ。今までの想いや誇り、ゼロと蔑まされながらも歯をくいしばって
前に進んできたルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとしての幸せは望めない。
「……ごめんなさい、わたしはまだ自信がないの。魔法もまともに使えず、ゼロでしかない。」
「……」
「わたしね、子供のころから、大人になって皆に認められるような立派な魔法使いになって、お父様やお母様、
お姉さま達に褒められたいって思ってたの。でもまだ、今のわたしは駄目。
今のままじゃ駄目なのっ!!」
俯いて、両手を握りしめていたルイズは、なにかを抑え込むように声を絞り出していた。
微かに震えながら話していたが、きっと顔を上げ、ワルドを正面から見返した。
涙を含んだ、しかし、断固とした信念を掲げたその瞳は、ランプと暖炉の炎によって、静かに燃える
宝石のようにきらきらと輝いていた。
その瞳を、眩しいものを見る様に目を細めていたワルドは、在りし日の自分を重ねていた。何事にも挫けず、
自分の誇りを掛けて前に進む、そんな高貴な魂。いつ間違ったのか、いつ忘れたのか。
ルイズの挑む様な視線に、己の中の淀んだ澱を引きずり出されそうになったワルドは、そっと視線を外した。
「ひょっとして、誰か好きな人でも出来たのかい? 例えば、君の使い魔君のような」
「え、あ、は、は、ハジは違うわ、違うの」
「そうなのかい?」
ふっと、明るく口調を変えたワルドの言葉に、ルイズは慌てた。不意打ちのような質問に、咄嗟に気の利いた
回答を出すことも出せずに、視線を泳がせすことしかできなかった。
「……ジャン、ごめんね、すぐに答えを出せなくて。」
「いいよ、十年待ったんだ、あと少しくらいどうってことないさ。でも、僕がよぼよぼのお爺ちゃんになる
前によろしくたのむよ。あぁ、そうなったら、ルイズはおばあちゃんだな」
「やだ」
ルイズの沈んだ、蚊の鳴くような声の謝罪を聞いたワルドが、そう言って肩をすくめてウインクをした。
そのちゃめっけたっぷりな表情と声に、思わず噴き出した。
ワルドが重苦しく、内に籠り始めた自分を救う為に、わざとおちゃらけた口調で話を変えてくれたことに
気がついたルイズは、その深い愛情に、ただただ謝ることしかできなかった。
いま、その胸に飛び込めて行けたら、どれほど幸せだろうか。
しかし、同時にルイズとしての誇りがそれを許さなかった。そして脳裏に映るハジの姿。
幼い少女のころと異なって、どれも捨てることのできない大事な想いが複雑に絡まっていく。
「やっと笑ったね、ルイズは笑ってる方がいい。じゃあ少し下へ行って食事でもしようか、腹が減っては
なんとやらだしね」
「……ジャン、ありがとう」
本来であれば食事は部屋に運ばせるのだが、気分転換の意味も込めて、ワルドは一階の食堂にルイズを
エスコートした。こんなに気を使ってくれるワルドにルイズは俯いたまま、小さな声で感謝するしかできなかった。
複雑な想いがルイズの脳裏を駆けまわる。
だから、ルイズは気がつかなかった、背中をポンと押して、ルイズを押しやったワルドの瞳に直視できないような
壮絶な光が走ったのを。ワルドもまた、自分の誇りを捨てることができなかったということに。
「で、今日は此処に泊まるのか?」
「ここしかないでしょ、って、ルイズ! ルイズじゃない、やっぱり無事だったのね」
階段を降りて一階の食堂兼酒場に入ったとき、ざわめきの間から聞きなれた声が耳に入った。
貴族のわがままにいつでも対応できるように、文字通り一日中開いている食堂兼酒場は、こんな時間でも
結構な客が入っていた。
まさか? と思いつつもきょろきょろと見回すと、相手の方が先にルイズに気がついた。
「ギーシュ! キュルケ! タバサ!」
「ルイズ!」
食堂の隅の6人掛けのテーブルを占拠した、赤と青と金の髪の少女達は、一斉に立ち上がった。
そこへ、安堵の笑みを浮かべた桃色の髪の少女が駆けよっていった。
「ハジは? ハジは無事?」
キュルケとタバサが何故ここにいるのか分からなかったが、ルイズはそこに肝心の黒い使い魔がいないことに
幽かな不安を感じた。きょろきょろと辺りを見回したが、ハジの気配はない。
しかし、ギーシュがいること考えると、その辺りに居るのだろう。
「ギーシュも大丈夫?」
「ああ、ぼくがあれごときの襲撃で、やられるとか思ったのかい?」
「やられてた」
「う、う、ううるさいっ」
暗がりの席だったので気がつかなかったがギーシュは埃だらけで、顔じゅうすり傷だらけだった。
矢が刺さっていたはずの腕も、いまは特に何ともなさそうに見える。
タバサの一言で顔を真っ赤にしたギーシュが指をプルプルと突き付けているのを横目に、キュルケが奥歯に物が
挟まったような表情でルイズにワインを注いだグラスを差し出した。
「あ、ありがと」
「後から来るわ」
「そう、よかった」
その頃になってようやく、料理の注文を終えたワルドが、テーブルに近寄ってきた。
鋭い視線がギーシュを一瞥したが、即座に温和な表情になって、親しげに肩を叩いた。
支援
「無事だったか、ギーシュ君、さすが、グラモン元帥の御子息なだけはある」
「おかげさまで」
「はっはっは、ともかく無事な何よりだ」
ギーシュは、どちらかというと、捨てられて置いて行かれた。という印象がぬぐえない為、理屈では
分かっていても最低限の礼儀で憮然と答えていた。
そんな葛藤を知ってか知らずか、ワルドは明るく笑った。
「どなたかしら?」
「ラ・ヴァリエール嬢の許婚のジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵と申します。
お見知り置きを、お嬢さん」
「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申しますわ、凛々しい子爵様、
そして、こちらは親友のタバサですわ。あら、いかがしました?」
見慣れない、若い貴族にキュルケが視線を送る。
完璧に近い儀礼でキュルケの手のをとり、甲に接吻をしたワルドを、キュルケは一瞬だけ胡散臭そうに見つめた。
ワルドが顔を上げた時にはいつも以上に艶然とした表情で、頬笑みを浮かべる。
親友のそんな表情を横から見上げていたタバサは小首を傾げる。
「いえ、ツェルプストーの方が、ラ・ヴァリエールの名を冠する者と同席していることに驚いたまでですよ」
「おほほ、家同士の因縁と、ミス・ルイズとのお付き合いは別物ですわ、ワルド子爵様」
「なるほど」
納得した様なワルドに席を勧め、おもむろにルイズに顔を向けると、ルイズはキュルケの視線を避けるように
そっぽを向いた。
「ルイズ、あなた、婚約者がいたの?」
「わ、わ、わ、わるい?」
ネズミを前にした猫のような表情をしたキュルケが、顔を真っ赤にさせたルイズを人差し指でつついた。
相変わらず顔を真っ赤にしたまま、突き付けられた指をはたいたルイズは、ワルドが引いた椅子に座った。
「まあ、あんたの結婚はどうでもいいけど、じゃあ、ハジは私に頂戴」
「あ、あ、あ、あ、あんたねぇ、ハジは私の使い魔なのっ、あげないわよっ。
で、そのハジはどこよ? キュルケっていうか、あんた、なんでここにいるのよ」
「あ〜、もう、けち。ハジが後から行くって言ったのよ」
「って、どういうこと?」
タバサが運ばれてきた料理の中から器用に野菜だけをひぱり出して食べている。その横でギーシュとワルドが
ぼそぼそと会話をしている。そんな光景を横目に見ながらルイズの横に斜に座ったキュルケが片肘をついて、
ワインを口に含む。
わなわなと震えるルイズの怒りが爆発する前に、キュルケが観念して、頭をがしがしと掻き上げた。、
「シルフィードにハジは乗せれなかったのよ」
「ひょっとして」
「おいてきちゃった」
「キュルケッ!」
ちろっと舌を出すキュルケにルイズは両手を握りしめて喰ってかかった。
口角に泡を飛ばしながら詰めよるルイズの顔を片手で抑えつつ、キュルケは一言一言区切る様に言った。
「だ・か・ら、一旦ギーシュを置いて、後から迎えに行く段取りなのよ」
「だったら私が行くわ……って、ハジッ」
支援
キュルケと綱引きをしていたルイズの動きが、いきなり動きが止まった。窓をじっと見つめる。
全員が、その動きに気を取られた。
窓の外に目を凝らしていたルイズが、ぱあっと花が咲くように顔を綻ばせて、あっけにとられる四人を
放り出して走り出した。
宿の玄関から飛び出したルイズを待っていたのは、服がボロボロになったハジだった。
ばたんと、威勢のいい音を立てて開いたドアを、道の真ん中であっけにとられたように見つめたハジの胸に、
ルイズは身を投げ出す様に飛び込んだ。
「ハジ、ハジ、ハジ、ハジッ!」
「……はい」
「な、な、な、なに心配かけてんのよ。使い魔だったら、主人の近くにいないとダメなんだから」
「申し訳ありません」
ハジが無事だった。その事が何よりもルイズは嬉しかった。自分をかばって矢を受け、護ってくれた使い魔。
躊躇せずに、矢の嵐の中で我が身を犠牲にして護ってくれる存在。
ゼロと蔑む事もなく、公爵家の令嬢だともてはやすこともなく、ただの”ルイズ”を静かに見守ってくれる、自分の使い魔。
そんなハジにそっと肩を抱かれたルイズは、いままでの凝り固まっていた不安が徐々に解けていくのを感じていた。
それでも、自分に素直にはなれずに、少々尖った言い方になってしまう。
ただ、胸にこすりつけている顔には涙で滲んだ微笑みが浮かんでいた。
「ル〜イ〜ズ〜、本当は嬉しいくせに」
「キュルケッ! わわ私はね、つつつ使い魔のっ」
「あ〜はいはい、とりあえず、入ったら?」
ドアのあく音に振り返ると、ドアを開けたまま、もたれるように立っているキュルケと目があった。
逆光じみているので、その表情まではうかがい知ることができなかったが、その口調からルイズには容易に
想像がついた。
悪態を付きながらも、ルイズは自然にハジの手を引いていく。
あとから考えて、手を繋いで歩いていたことに、恥ずかしさのあまりのたうち回るのだが、今はそんな些細な
ことは気にならなかった。
ルイズに連れられたハジは、宿の玄関の奥に立っているワルドと目があった。
ワルドの射殺さんばかりの険しい目とハジの静かな湖のような眼が絡み合う。
何も気がつかない少女達の上で、双方の視線が空中で複雑に交錯する。
――もうすぐ、夜が明ける。軌跡が交差する夜が明けていく。
支援&予約
11話トーカ終了です
ようやくアルビオンへ・・・・
遠いなぁ
支援ありがとうございます。
血+の人乙です。
時間が歪んでいて、シエスタの祖母が実は響と奏のどっちか……とかはないですか?
さて、どうでしょう?
いや、ほんとに。
問題なければ20:00から投下しますー
>>835 乙!
このタイプのギーシュは久々かもしれない。それとルイズ可愛いよルイズ。
あと、BPZマダー?したのは俺です。せかすようなことしてごめんなさい。
あとはおかあさんが来れば役(ry
まちがっtttt 22:00でした。
ルイズの魔法はとても良く轟き、そしてとても良く閃く。
偶々ルイズの部屋が覗ける位置にいた、窓を割って吹き出る煙を確認した教師達は、皆一様に突然湧き出た魔力とそれを消化した魔法に首を傾げた。ただし、全員がそうした訳ではなかった。
オールド・オスマンがルイズの部屋を自室で映していた。
「ミス・ヴァリエールの部屋から……これは、ふむ。召喚の魔法かの」
不思議な、実に不思議なことだった。二年生であるその爆発の起こった部屋の主は、進級の際に己が使い魔を召喚し終えている筈であり、こうして二度目の魔法が行使されることはないはずだったからだ。
特に彼女の使い魔は、長い時を生きたオスマンにとってもあまり馴染みのない強い存在感(気配、臭い)を放っており、それは今も存続している。オスマンは遠見の鏡を今一度見遣った。
「ふむ、ふむ。これは……ふむ」
オスマンは朝食に向かうかのように立ち上がった。そして己の杖を持ち、使い魔のモートソグニルに目配せをした。
支援
もう後戻りはできないわよ、ちっぽけなルイズ。
ルイズは心の中で自分にそう吐いた。後戻りは出来ないのだ。ならば雑念を捨てて、今すべきこと一つに集中するのが良い。
解れた煙の間から、薄気味の悪い笑いを貼り付けた三日月が覗いていた。確保した距離のなんと心細いことか。
「ムーンフェイス……、怒ってる?」
ああ、なんてつまらない質問をしているのだ。ルイズはすぐさま自責した。たった今から敵となった彼をハルケギニアから弾き出すためには、こんな質問に時間を使うべきでは断じてないはずなのだ。
不愉快を隠さずに、しかしどこか愉快そうなムーンフェイスが無言のまま月牙(彼の武装錬金)を取り出したのを認めて、ルイズは本能的に構えていたか細い杖を仕舞った。
そして半身に構え、もう一方の手で握っていた核鉄を前に見せる。あのはじまりの日に左手に刻まれた、趣味の悪い刻印が直接教えてくれていた。
「月牙の武装錬金」
どこからともなくムーンフェイスが武装錬金を取り出す。ルイズもそれに倣い、核鉄を取り出す。
「……お願い、武装錬金」
武装錬金の委細が解るのは左手の、行き場を失って主に宿ってしまったルーンの力だ。そのルーンは宿主の燃え上がる心に呼応して、全身から伸びる武器を、文字通り練達した手足のように使いこなす力を与える。
眩い光を放ち、浮かび上がり、そして新たに武器の形を取った核鉄は槍の形をしていた。
細い、細い槍だ。ほんの気持ちばかりの鋭い穂先と、柄舌(穂の元)に大きな飾り布がついているだけの簡素なものだった。これもまた、燃え上がる心に呼応して力を発揮するのだ。
たった今喚び出したばかりの槍を使いこなす力など、ルイズにはない。自然と左手のルーンに頼らなければならないので、心(概念的なもの)を食い潰す二つはあまり相性が良いとは言えない。
しかし、どちらも必要なものなのだ。悪魔は右に左に増え続けていた。いずれ部屋を埋め尽くすだろう。
ルイズは吼えた。
「貫け……。私の、武装錬金!!」
槍を持った人間の腕は長くなる。
ルイズはルーンからそう教わった。確かに長くなるのだ。最初に突き出した穂先は、真っ先に中央にいたムーンフェイスの喉仏を貫いた。
密集した声帯を中心から裂き、二つの管を半分だけ切り裂いて貫通する。何本もの血管の役割を殺し、半壊した管にそれらが注ぎ込む前に背骨の小さな一つと共に首の裏を突き破った。
その哀れな一人目がにやついた笑いを保ったままに爆散するのを確認し、ルイズはすぐさま槍を引き抜く。続けて三人目に槍を向ける途中で、二人目の頭蓋骨を打ち砕いた。
四人目、五人目。槍を引き戻す速度が数を重ねるごとに速くなっていく。ルイズは呼吸を止めて、ただひたすらにその長い腕を酷使した。十人目、十一人目。
そして二十九人目が終わり、無酸素運動が限界に達したルイズが大きく息を吐く。続けて吸った。
ほんの微かな間だ。しかし十分でもあった。
「一人でも残ればそこから再び――、御覧の通り」
再び同じ数に己を補充したムーンフェイスが、変わらぬ嘲笑をもって見下している。
解っている。おまえの武装錬金の能力は知っている。ルイズは口の中でいくつかの悪態をついた。けれども声にする息が勿体無かった。今は僅かに届かなかったが、次は再生(増殖)する間も与えないと心に決める。
その声に出さぬ憤慨を込めるかのように、ルイズは強く強く床を蹴った。だが、乱雑に、再び一人目の眼球をくり貫いた彼女に向かって、四方から声がかかる。
「ムッ。ムゥーン! 」「ルイズ、君は強い!」「素晴らしい!」
「さっき君が突き飛ばした29人は」「そうだな」
「ギーシュという魔法使いの全エネルギーに匹敵する!」
ふざけたことを、とルイズは奥歯を擦り合わせて削った。それはホムンクルスに、まるまる人間一人分のエネルギーを一瞬で使わせた、という純粋な賛美だった。
人間一人、確かに膨大なものだ。ギーシュはドッドとは言え名門の貴族の子息だった。ルイズの価値観で言わせて貰えるなら、それはとても素晴らしいものだ。
だが、ムーンフェイスの価値観で言えば、一食分の食事でしかないのだ。
「それのっ……、どこがっ、……素晴らしいって言うのよぉ!」
外側から抉りこむようにルイズの槍が撓る。二十人目の肩口を貫通し、二十一人目の心臓を肋骨ごと粉砕し、二十二人目の燕尾服にかすり傷をつけた。ルイズは肩で息をする。酸素が足りない。酸素と、体力が足りない。
そして恐らく、実力が足りない。この数瞬で嫌というほど思い知らされていた。
「ルイズ、私はこの月牙の武装錬金に」「私が君に召喚されたときに」
「新しい名前を、つけることにしたんだ」「月が一つでサーティ、なら二つなら?」
「サテライト60、ってね」
「ナイスなセンスだと思わないかい」
先ほどまでの倍の数のムーンフェイスが、戦いのうちにすっかり壁の吹き飛んでしまったいくつかの部屋と廊下を占有してそこに立っている。
ああ、その勝ち誇った顔が腹立たしい!
ルイズは激昂して再び駆け出しそうになる自分を抑え付けた。このまま同じことを繰り返しては、いつか腕を上げる力の費えた自分は終わるだろう。それは、駄目だ。ぎゅっと強く己の武装錬金を握る。
そのとき、窓の外の雨音と、騒々しい自分の呼吸音の中から、ルイズの耳が一つの音を捉えた。
投下終了。番号入れるの忘れた…。サテライト60-14ですね。
槍はなんだろ、雑兵が持つような(というか昔の戦争絵に出てくるような)細いやつをイメージして書いてます。
投下乙です
ずっと待ってたんですが、最近連載が再会されてうれしい限り!!
長刀みたいなのかなぁと思ってたんだけどなぁ…兎に角GJ!!!
わ。そういって貰えると嬉しい限り。13が難産すぎました。
サテライト60の中の人は日本人以外が片刃を持つことに妙な違和感を感じる国際的ひきこもりです。
>847
GHQがウロウロしてた頃なんかに、教えを受けて免状まで
貰った外人さんが国で細々とに教えてたなんて話も結構あるが…
確かに実際、黒人さんが綺麗に古剣の型なんかやってるの見ると、
なんか違和感というか、衝撃を受けるもんを覚えたことがありますた。
すごく良い人ではあったんだけどね?(´・ω・`)
849 :
680:2007/10/27(土) 23:05:22 ID:2jxf65IS
BLOOD+>>読ませて頂きました。で、疑問符が
Q.炎の御嬢さんは、詰まり傭兵に火炎球打ち込んだ後火竜を投下した
で、OK?
感想>>ハ ジ が 素 敵
850 :
680:2007/10/27(土) 23:09:00 ID:2jxf65IS
月顔>>?武装錬金が、二つ?
何時の間に?
傭兵(?)部隊のど真ん中に、炎の柱(勝手に作ってます)を打ち込んで、その中にフレイム放り込んだ。
です。
炎なので近づけず、火トカゲさんは生息地なので快適。あとは自動砲台ということで・・・
>>850 ゼロ魔世界は月が二つだから倍の数に分身出来るのでは。
満ち欠けするかは知らんけど。
>>850 お前の武装錬金(核金)もいただいちゃうぞ、とゼロ魔世界の月が二つあることのダブルミーニングではないのかと愚考する次第
投下、よろしいでしょうか。
今は予約はないと思うんですが。
>>820 ヴァンパイアとかゼロ魔の世界観に馴染みそうだな
やっぱガンダールブはバレッタとか?
フォボス召喚して
対7万の後に区分開始とか幻視してみる
とりあえず
どうぞ、貴方の前に道は開く
ドアからかちゃりと鍵が開く音がした。
次にデルフリンガーに何をやらせるか考えていたルイズも、自分のありのままの姿に喜びを見いだしたデルフリンガーも、2人を仲裁しようとしていたユーノも一斉にドアに注目する。
鍵は内側からかけているので、外から開けるにはアンロックを使わなければならない。
そして、そんなことをするのはこの学院ではただ1人しかいない。
3人はお互いにそれぞれの姿を見る。
ルイズはネグリジェ。問題はない。
ユーノはフェレット。問題はない。
デルフリンガーは通常サイズ。問題はない。
互いに確認し合った3人はうなずいて全員問題ないことを伝え合う。
デルフリンガーがどうやってうなずいたかは謎だ。
確認完了と同時に扉が一気に開けられる。
「こんばんわ、ルイズ」
いつものように止める暇もなく、長い足で部屋の中に飛び込んだキュルケは、これまたいつものように部屋の中の物色を始める。
「おかしいわね。いないわね」
「なにやってるのよ、あなたは」
キュルケは部屋の中に興味を引くようなものがないのを確認し終えると、ベッドに腰掛けているルイズを見下ろした。
こういう時のキュルケの邪魔をしないのがいつもの流れになっている。
「今度の使い魔の品評会。あなたはどうするのかなー、と思って。見に来てあげたのよ」
「それで部屋の中を見回してどうするのよ」
「あなたが隠している男の子が来てないかなって思ったのよ。どこに隠れてるの?」
「隠れてないわよ」
当然だが、ユーノは足下にいる。
「それより、今度は別の男を連れ込んだの」
「なんでよ」
「さっき中から男の声がしたじゃない。誰かいるんでしょ?随分太い声だったから、この前の男の子とは違うと思うんだけど」
「ああ、それならこれよ」
物色を再開しそうになるキュルケにルイズはデルフリンガーの鍔元にある口らしきものを見せてやる。
「んーー?」
たキュルケが藪睨みになってデルフリンガーに目を近づける。
かなり悪い目つきで隅々まで観察。
「よ、よぉ。ねーちゃん。俺はデルフリンガーってんだ。よろしくな」
「きゃっ」
突然の声に驚いたキュルケが体を跳ねさせる。
片耳を押さえているのは、デルフリンガーのだみ声を間近で聞いてしまったからだろう。
「何よこれ、インテリジェンスソードじゃない」
「そうよ。あなた、きっとこれの声を聞いたんじゃない?」
「んーー」
キュルケが腕を組んで思い出そうとしているのをルイズはじっと見る。
今回は問題なくごまかしきれるはずだ。
さっきの叫び声はデルフリンガーのもので、ユーノの声ではないからだ。
「そういえばそうね」
よし。
ルイズは心の中で快哉を上げる。うまくいってる。
「で。あなた、もしかしてこんなものを買いに街まで行ってたの?」
「そうよ」
「おい、本人を前にこんなものはねえだろう」
デルフリンガーの抗議は無言で却下される。
ルイズにとってもインテリジェンスソードなどはユーノが使うのでもない限り邪魔になるだけの、こんなものだからだ。
「今度の品評会に使うには手頃でしょうけど。錆びてて安物だし」
「そうよ。安物よ」
「人を安物と言うんじゃねえ」
実は安物どころではなく拾いものだ。
「それで、帰りにあの木の化け物と戦ったりしてたのね」
「そう……」
次に出てきそうになった「よ」の文字を飲み込む。
──危ない危ない
思わず誘導尋問に引っかかるところだった。
「んなはずないでしょ。私だってあの時は逃げ回ってたのよ」
顔から溢れそうになる汗を抑えてキュルケの出方を待つ。
だが、伏兵は思わぬ所にいた。
リリカル支援!
「どうしたんだ。嬢ちゃん。えらく緊張してるみたいだぜ」
ルイズはデルフリンガーを床にたたきつけて、こっそり言ってやった。
「余計なことは言わないでよね」
「はい」
デルフリンガーにはルイズとユーノの事情はすでに話してある。
もし、ばらすようなことをすればラグドリアン湖の底に沈めるとも言ってある。
「なにしてんのよ」
「なんでもないわ」
「まあ、いいけど」
今の行動はかなり怪しかったかもしれないが、どうやらこれもうまくごまかせたようだ。
早く何とかして追い出さないといけないが、口実が見つからない。
「で、これを使ってユーノが何をするの?」
「え?」
「だから、これを使ってユーノが何かするんでしょ?」
「え、ええ」
──しまった。
そのいい訳を考えていない。
貴族が剣を買うという不審な行動をしているのだから、何か考えておかなければならないのだが、まさかユーノが人間になって使います、とは言えない。
「この刃の上をユーノが歩くの?」
「そんな危ないことするわけないでしょ!」
「そう?私、蛇とかカタツムリを這わす芸を見たことがあるんだけど」
「そんなのがあるの?」
「あるわよ。昔、実家に来た旅芸人がしてたもの」
こういう変なことを知っているのは成金のツェルプストーならでわかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
それよりも、ルイズはようやくキュルケを追い出す糸口を見つけた。
「ま、まあそんなとこだけどこれからユーノと品評会の練習をするの。だから、今日はもうでていって」
「えー、いいじゃない。見せてよ」
「だーめ、本番までは秘密」
キュルケの背中を押して入り口までおしていく。
意外と素直に歩いてくれるのには助かった。
「あなたもフレイムとしっかり練習した方がいいわよ」
「だったら、私のも見せてあげるから。すごいのよ。フレイムの炎の芸術」
次の言葉がキュルケの口から出る前に部屋の外まで追い出した。
外でフレイムがじっと待っていた。
「本番に見せてもらうわ。おやすみ。ミス・ツェルプストー」
音を立てて扉を閉める。その上、鍵を念入りにかける。
扉に耳をつけて、外の音を聞くことしばらく。遠ざかるキュルケの高笑いが聞こえた。
「ちょっと気になるけど、諦めてくれたみたいね」
ようやく落ち着けそうだ。
外に追い出されたキュルケは閉められた扉に耳をつけて、中の音を探った。
待つことしばし。何も音はしない。
きっと向こうも警戒しているのだろう。
今日の所は諦めて部屋に戻ることにした。
「それにしてもガードが堅いわよね」
本当は城下町で白いドレスを着たルイズを目にしたときに全部話させるはずだった。
それなのに、タバサはあれはリリカルイズというルイズとは別人と言って譲らない。
そんなはずはないと思うのだが、タバサはついに譲らなかった。
そうなったら、キュルケは今度は決定的な証拠を見つけるまでは気がすまなくなった。
「リリカルイズ。その正体をきっと暴いてやるわよ。それからあの男の子を……うふふふふふふ」
怪しい笑い声が女子寮の廊下に響き渡っていった。
扉から向き直ったルイズがまず見たのは硬直しているユーノだった。
なにやら少し震えているようにも見える。
「どうしたの?」
「ね、ねえ。ルイズ。ほんとに僕、剣の上を歩かないといけないの?」
「そんなはずなんでしょ!」
ユーノはほっとしている。
──もうちょっと信用してくれてもいいじゃない。
そんなことを思うがデルフリンガーに無体なことを言いまくった後ではしょうがない。
ルイズはそれには気づかずふくれてベッドに口をとがらせて座る。
デルフリンガーが少し気の毒になったユーノは今のうちに話題を変えてしまうことにした。
「品評会はどうするの?僕、芸はできないよ」
「そうね……」
それはルイズも気になっていることだ。
ユーノはいろんなところで、いい使い魔だと思う。
だけど、それは他人に見せられないようなものが多い。
「うーーん」
それでも、何かしないといけない。
何より、今度の品評会は特別だ。
絶対にいいところを見せなければならない。
「そうだ、僕が考古学のスピーチをやろうか?」
「す、スピーチ」
「うん、ここに来る前にジュエルシードを産んだ文明に関する論文の手伝いをしてたからそれならできるよ」
「ふーん」
ルイズは生返事を返す。
はっきり言ってルイズにはさっぱりわかっていない。
古代の遺跡をほじくり返す山師のようなことが、何故学問になるのかさっぱり理解できない。
「うん、例えば……」
ユーノはそんなルイズに気づかず、久しぶりに専門分野を語る機会に巡り会えて楽しくなってきていた。
以下、ユーノの考古学講座が30分続きました。
「ゆ、ユーノ。待って」
「どうしたの?」
ルイズはベッドに仰向けになって倒れてしまった。
「それ、きっと誰も理解できないと思うからだめよ。それに、ユーノが言葉を話せるところはまだ誰にも知られない方がいいと思うの」
「あ、そうだったね」
再び2人は考え始める。
どうも、いい考えが浮かばない。
誰もが感嘆するようなこと。それでいてユーノの真価を知られない方法。
なにかいい方法がないか考え続ける。
そのうちなにやら変な音が聞こえてきた。くぐもったような、蛙の鳴き声のようなそんな音だ。
その音の元を探すとデルフリンガーだった。
「ZZZzzzzz」
寝ている。完全無欠に寝ていた。
鼻提灯まで出しているのは気のせいだろうか。
「あんたもなにか考えなさいっ」
ルイズは長剣を蹴っ飛ばし、倒れた所をげしげし踏みつける。
踏みつけて、踏みつけて、踏みつけまくる。
ユーノが止めるまでそれは延々続いた。
********************************************
今回はここまでです。
どうやら、原作でサイトに向かっていた仕打ちをユーノにするのは気が引けるせいかデル公が標的になったようです。
支援
>>811 タバサに関しては「雪風」「シルフィード」でひとつしか思い浮かばなかった
>>859 デルフってイビキかくんか乙
さてそろそろ490kbなので、新スレを建ててこよう
駄目だた
次よろ
じゃあ俺にまかせておくれ
なんで規制されるんだ。すまんほかの人頼みます。
乙!
スレ立て乙
そして梅梅
乙
梅
乙梅=おつばい=おっぱい
と読んだ俺参上。
どこでもおっぱい
( ゚∀゚)。彡゜ <乙梅!乙梅!
>>871 エスパーかお前は
なんで俺の考えてた事がわかるんだ
梅
どんな胸だろうと、胸にはそれぞれ、その大きさにあった愛で方がある。
巨乳には巨乳の……貧乳には、貧乳の……それが愛でるという事だ
では問おう。君達はルイズとティファニアのどっちを選ぶ?
俺はタバサ一択で
巨乳の胸には夢が詰まってるんだ
貧乳の胸は夢を皆に与えているんだ。
>876
奇遇だな
どんな選択肢があろうとも、俺もタバサ一択だ
埋め埋め
ここにはおっぱい魔人ばかりか
脚派には肩身が狭い
埋め
俺マチルダ姉さん。チチなんざ関係ねぇ
それと亀だがZERO乙
<<埋め支援だ>>
せっかくだから俺はこのイザベラ様を選ぶぜ!
ガリアはいいおっぱいが多いな
どこぞのエアおっぱいネタを思い出すぞ
>>882 それは幸せのエアハンマーみたいな物だろうか?
おっぱいに貴賎無し
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド 子爵
>>884 おっぱいソムリエ!
おっぱいソムリエじゃないか!
小さい胸や大きな胸
一つとして同じものはないから
NO.1 にならなくてもいい
もともと特別な Only one
別に急いで埋める必要はないんだが。
つーかさ、なんでおっぱいの話題になると人が増えるんだよw
>887
おっぱいとは左右ワンセットで考えるものだからな!
二つで一つ、離れられない。
どうでもいいが、足が二つあるからって一着のズボンを複数形で扱う英語は何か変だ。
俺がお前でお前が俺で2人は合体!融合体!
そういやパンツもそうだな
人間として当然のことさ
いや哺乳類として当然の事だろう
そういえばあの世界並乳、っていない?
極小のルイズタバサ、巨のシエスタキュルケアンアン、爆のテファ、って感じだったっけ。
モンモンとか並な気がするんだが
どうやら臍派は俺だけのようだな
並……一番平均的なのはモンモンだろうか?
タバサが無、ルイズが微、モンモンが小、
シエスタ&アンアン&マチルダさんが大、
キュルケが巨、テファは乳の様な何か。
俺の中ではそんなランク付けだ。
>>883 「ゼロいぬっ!」にエアおっぱいの極意が
一つとして同じものはない、ではそもそも日本語としておかしいんじゃね?
ってことを言いたいんだろ
二つとして〜なら正しい
つかよく考えてみればわかるだろーw
無双とか双無しっていうじゃまいか。まったく同じ意味だぜ?
右乳と左乳が同じモノとでも言うつもりか!?
バレーやってると左右の乳の大きさが変わるらしいな
大抵の人は日常の癖とか利き手の影響で微妙に左右は違うと聞く
ガンダムOOを、ガンダムおっぱいおっぱいと読んでしまう自分は末期なんだろうか?
埋め
>>906 「おおきなおっぱい」もしくは「おいしいおっぱい」じゃないの?
梅
おまいらの乳への愛はよくわかった
ちなみに俺は尻派なんだ、ごめん
梅
自分の書いたほんのわずかの乳描写で興奮できる俺はなんて安上がりなんだろう。
そして梅
>911
乳よこせ
ああ、うん。投下は既にしてあるんだ。
と言うか、普通に読んでたら乳描写だとすら気づかないと思うんだ。
しかもマニアックすぎる。
具体的に言うと、壁に垂直に立つフーケの胸の上に鳥が留まったってだけの話なんだ。
キュルケのチチにマヨネーズをぶっかけて喜んでいるのは俺だ!
でもデブ専じゃないんだゼ?
ロリでは無いが、無い乳派はおらんのか?
>>915 悪いがそのレスでデブ専にしか見えなくなったぜ
>>916 呼んだかい兄弟。
俺にとって理想の体型はエレオノール様だっ!
虚乳こそ我が名誉なのさ。
>>918 ときに紳士よ、一つ問いたい。
私はエレ姉さまは、乳首はとてもよく発達しているがそれを保護し支えてくれる脂肪層がないためにいつでもむき出しで、
ブラのないハルケギニアでは常時つんつんになってしまっていて、だからそれをごまかすためにあんなにツンツンしているという説を信奉して居るんだ。
これは私の脳神経の蹉跌なのか、それとも何かの啓示なのか、どちらだろう?
しかしおまいら、人がスレ立てを確認して寝た後に埋め代わりにおっぱい談義かよwww
いいぞもっとやれ
>>919 我が盟友よ。それはまさしく虚乳神の導き。貴方は選ばれしものなのです。
ただ、我が盟友に一つ助言したい。エレオノール様がつんつんを誤魔化していると言うが、俺は違う見方をしているのです。
エレオノール様は乳首の先端が擦れているのを 楽 し ん で おられのだと。
しかも、その姿を誰かに見つけて欲しい!それなのに、同僚はおろか、使用人すらそれを見抜けない!
だから、エレオノール様は普段からつんつんしているのだと、俺は感づきました。
まだまだ虚乳好きとしては未熟者の意見ですが、参考にしてやって下さいませ。
おっぱい教徒
自重
おっぱいは宗教ではない、哲学なのだよ!
500kbなら世界はおっぱいの名のもとに平和に
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500kbなら今の駄作を捨てて新連載開始
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