1 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :
2007/10/23(火) 17:36:16 ID:MgSVZfqw
>>1 乙です。
それでは、新スレ早々リリカルガオガイガー投下しても宜しいですか?
結構長いので支援無いと規制受ける可能性あり。
承認!
勇者王リリカルガオガイガー THE MYTHOLOGY 第十話「真実」 ◆新暦75年6月初旬頃 新種のゾンダーメタルによって変貌したティアナと対峙するなのは。 ティアナの背中に装着されたゾンダーメタルから放出されるエネルギーを受け、全身に悪寒が走る。 強化されたティアナは、飛翔魔法を難なく使用しウイングロードから離れ空に浮き上がる。 「さぁ始めましょう、なのはさん。本気の勝負を、ね!」 ティアナは、左手に持った侵食され黒く染まったクロスミラージュのモードを変更する。 ガンズモードから、銃口側とグリップ側から魔力刃が伸びたダガーモードへと変化し相手へ刃先を向ける。 「クロスミラージュのリミッターが外されている!?」 そろそろ次の段階に向けて、新人たちのリミッターを解除しようと考えていた矢先の出来事に驚く。 変異したティアナの異様な殺気になのはは、レイジングハートをアクセルモードへ戻し構える。 「ティアナ、直ぐに元に戻してあげるから、ちょっと痛いの我慢して!」 「はぁ?何、寝言を言っているのかな?リミッターの掛かったなのはさんじゃ、怒ったティアナに殺されちゃうよ?」 目が逝ってしまっているティアナには、なのはの言葉は既に聞く耳持たずだ。 ティアナは右手に持ったガンズモードのクロスミラージュで、なのはの周囲に多数の魔力弾を発射する。 魔力弾は、なのはの周囲に次々着くと急停止する。 彼女の行動に危機を感じたなのはは、瞬時にその場から離れる。 「追え」 ティアナの命令を合図で一斉に、なのはへ襲い掛かる多数の魔力弾。 その追尾力は、アクセルシューターに匹敵し激しい回避運動を試みる彼女を徐々に追い詰める。 埒が明かないと察したなのはは、アクセルシューターを発射しティアナの放った追尾弾を撃ち落とす。 その爆風の中からティアナが不意打ちの如く、ダガーをなのはへと振り下ろす。 レイジングハートの先端にラウンドシールドを張り、斬撃を受け止める。 なのはのシールドは強固で、ティアナの魔力刃では切り裂く事が出来ず均衡しあう。 埒が明かないと均衡を解き、後方へ下がるティアナ。 「流石なのはさん。でもね…これなら、どうかな!」 右手のクロスミラージュをロングレンジ戦闘用モードへ変化させ、銃口にターゲットリングを出現させる。 「ファントムブレイザー!」 先程とは比べ物に成らないエネルギーを銃口へ集束し、なのはへ向け発射する。 凄まじい威力の狙撃砲に対してなのはは、左手を前に出しラウンドシールドを展開、受け止める。 狙撃砲の尋常な威力にラウンドシールドの耐久性を上回られるのを感じ、角度をずらし受け流す。 受け流されたファントムブレイザーは、陸戦用空間シミュレータで再現された廃棄ビルを倒壊させてしまう。 その爆風に煽られながらも、なのはは真剣な瞳でティアナを見つめる。 「流石なのはさん。リミッター付きでも今の私の攻撃を受け流せますか。でも」 ツインハンド状態のクロスミラージュを1つにすると、背中のゾンダーメタルが輝き出す。 ゾンダーメタルのエネルギーと他の力によって、クロスミラージュは銃剣型の形へと変貌する。 「ふふふ、この形なら接近戦と射撃を同時に行なえる。どうです、なのはさん?貴女もこの力を持ってみませんか?気持ち良いですよぉ」 AI機能を凍結され声が出ないクロスミラージュを頬ずりながら、なのはを誘うティアナ。 「…これ以上ティアの声で喋るなぁぁぁ!!」 なのはによって身動きが取れなく成っていたスバルだったが、魔力を最大にし戒めであるバインドを解く。 「スバル!?」 今までのスバルとは違う力を感じるなのは。 凄まじい魔力を放出しながら、ウイングロードを形成しティアナへと近づく。 「はぁ?私がティアナじゃないって、あんた馬鹿じゃないの?私は私よ」 「ティアは、こんな事望まないよ。先の模擬戦だって、なのはさんに認めてもらいたくてやった事なんだ!」 なのはは、スバルの一言に胸が締め付けるような痛みを受ける。 危険な行為を行なう2人に失望感でいっぱいで、その行為を行なった理由を聞かなかった。 教導官として歩んできた自分が、教え子達の気持ちを把握しきれず焦らせていた事に強い罪悪感に覆われる。 スバルは、ウイングロードをティアナの目の前まで出現させる。 「今、目を覚まさせるよ。ティア!」
バイオネット支援
禁断の壷使ってるのに、もうずっと人大杉で書き込めない\(゜□゜)/
支援
支援だ!
支援
>>8 なんですって!おい、コレは不味いぞ・・どうする?
一時前スレか雑談スレに避難するか??
>>8 スネーク、落ち着いて「掲示板に戻る」をクリックして、サーバー移転がされてないか確かめるんだ。
…でなかったら私にはどうにもできんorz
右手に装備したリボルバーナックルのカートリッジを消費し魔力を高め、マッハキャリバーのローラーが急回転し全速力で走り出す。 先程のヘル・アンド・ヘブンで全身が筋肉痛で痛みが走るスバルだったが、友人を助け出すため全力全開で突撃する。 そんなスバルをティアナは冷ややかな目で見つめながら武器を構えようとした時、後から何かが迫る気配を感じ振り向く。 そこには、右腕を振り上げ突っ込んでくる女性、ルネ・カーディフ・獅子王の姿。 瞬時に、クロスミラージュ本体でルネの拳を受け止め、前方のスバルには左手を前に出しラウンドシールドを出現させ拳を受け止める。 その光景は先程の模擬戦での、スバルとティアナによるクロスシフトCを受け止めたなのはの如く。 「奇襲とは、流石ルネさん。戦いに躊躇なんて無いですね。スバルも本気で殴りに来るなんて、私が大怪我しても良かったのかな?」 薄笑いするティアナに顔を引きつるルネとスバルは、同時に後へ退避し中距離砲撃の構えを取る。 「(魔力ダメージで)」 「(気絶させる!)」 念話でタイミングを計り、同時に砲撃を開始するルネとスバル。 「ブレイズッ」 「ディバイーン」 2人の行動に合わせて己の周囲にスフィアプロテクションを展開するティアナ。 「「バスタァァァァァァッ!!」」 両サイドからの中距離砲撃魔法がティアナへ向けて解き放たれる。 緑色に輝く炎の砲撃と青白い魔力の砲撃が一直線にティアナの張るプロテクションに直撃する。 ティアナの張る紫色に輝くスフィアプロテクションは、ルネとスバルの砲撃魔法を受け止める。 3色の光がぶつかり合い、その衝撃によって周囲に点在している廃ビル群は次々に倒壊していく。 均衡していると思われたが、徐々にティアナの張るプロテクションが削られていく。 「こ、こいつらぁぁぁっ!」 ティアナは考えもしなかった事実に気性を荒げる。 ルネの右腕に埋め込まれているGストーンの輝きは、砲撃を撃った後からも徐々に強いものと成りブレイズバスターの威力を上昇させ、 スバルの瞳もグリーンからゴールドへと色が変化し、ディバインバスターの出力は上がる一方だ。 このままでは不味いと判断したティアナは、砲撃を受け止めているプロテクションの部分のみ強化し自分を覆う壁を消去する。 一気に上空へ飛び2つの砲撃を回避し、ルネとスバルに銃口を向ける。 「私の邪魔をするなぁぁぁ……はっ!?」 2人に射撃を行おうとした瞬間、後方に強力な魔力反応を感じたティアナは首を後ろへと向ける。 そこには、レイジングハート・バスターモードを構え環状魔法陣を出現させ砲撃魔法の発射体勢に入ったエースオブエースが居た。 先程までとは魔力量が違う事に気付いたティアナは、なのはのリミッターが解除されている事を察する。 「ディバイーン」 「や、やめて」 「バスタァァァァァァァッ!」 桃色の魔力光を放ちながら凄まじい魔力の本流が、ティアナの背中へ向け放たれる。 その一撃はティアナの全身を覆いつくし、魔力ダメージを与え地表へと墜落させた。 倒壊したビルの瓦礫の中に埋もれるティアナの傍へと降り立つ、なのは、ルネ、スバルの3人。 フェイト達はバリアジャケットを装着し、彼女たちの周りを固める。 心配そうにティアナを見つめるメンバーの中でルネは1人、ゾンダーメタルの除去をどうするか考えていた。 「…なのは。バインド、お願いできる?」 ルネの問いに、頷くなのは。
「ティアナが暴れたらコアを引き抜く時面倒だからね。今のうちに頼むよ」 「はい。ティアナをお願いします。ルネさん」 なのはは前に出ると、レイジングハートをティアナに向けチェーンバインドを発動し桃色の魔力鎖が彼女を拘束する。 宙へ浮かばされ、無防備状態に成るティアナ。未だに意識は戻っていない。 それを確認し、ティアナの背中へと周りゾンダーメタルを確認する。 「ちょっと乱暴にするけど、我慢しなよ。ティアナ」 ルネは黄金に輝く右腕に埋め込まれているGストーンの輝きを増幅させながら、ゾンダーメタルへと手を伸ばす。 大気圏を突破し宇宙へと出たジェイアークとギャレオンとジェネシックマシン。 時空管理局が所有する人工衛星により撮られた映像から、宇宙にゾンダーが居る可能性があると判断したGGGは大気圏突破能力のある、 ジェイアークとギャレオンとジェネシックマシンで偵察するよう、任務を言い渡される獅子王 凱とソルダートJ。 映像が撮られた宙域へと急ぐジェイアークとジェネシックマシンたち。 『月が2つか…ここが別の世界だってハッキリ分らせてくれるぜ』 ギャレオンに乗っている凱は、ミッドチルダの宇宙に存在する2つの月を見てポツリと言葉を洩らす。 『当然だ。凱、お前とて三重連太陽系へ…そうか、地球をコピーしただけのモノだったな』 ジェイアークのブリッジで佇むJは、自分が言った事に少し恥かしくなった。 凱たちGGGは、本当の三重連太陽系を見た事が無いのだ。あの星達はソール11遊星主が作り出したコピーされた地球と月だったのだから。 そんな他愛も無い会話をしながら現場へ到着したジェイアーク御一行。 周辺の索敵を開始するJアークのメインコンピュータ・トモロ。 ジェネシックマシンたちも周囲に警戒しながら探索を開始する中、ギャレオンの中で命から渡された未確認物体の映像を見直す凱。 モニターに映し出されたのは、一対の巨大な翼に4つの脚を持った竜だ。 遠くからの撮影だったためか、映像の解析度は低いものでシルエットぐらいしか判別できない。 そんな彼らを見つめる爬虫類に似た赤いツインアイ。 ≪P・IS(プロト・インヒューレント)シルバーカーテン視覚防御解除≫ 全高16.5m・全長43.2m・全幅36.7mの巨体が姿を現す。 翼竜の姿をした機械生命体【ギル・ベイダー】。 漆黒の装甲に4本の脚と一対の翼を持ったドラゴンの姿をしている。 胸部にはニードルガンとプラズマ粒子砲、両翼には2門ずつ重力砲が搭載されており、頭部には一対のツインメーザーが装備されている。 両翼と背部に大小計4基の丸鋸状の兵器が異様な存在感を醸し出している。 ギル・ベイダーはジェイアークの頭上を取り、胸部の全砲門を向ける。 ミッドチルダ東部の森林に隠されているスカリエッティのラボでは、リアルタイムでギル・ベイダーの捕捉した映像が映し出されている。 『ドクター。いかがされますか?』 スカリエッティの秘書である女性ウーノは、彼に通信を入れどうするか尋ねる。 ギル・ベイダーは接近した物体をロックオンし、破壊するか見逃すかをコントロールする者へと訪ねている。 モニター前の椅子に座り両手の指を絡めていたジェイル・スカリエッティ。 「ギル・ベイダーはスポンサーから提供された物だからね。彼らにぶつけるのは少し惜しい気もするが、まぁ今の私の興味対象は、こっちだがね」 ギル・ベイダーからの映像とは別に、桃色のバインドに捕らえられた少女と、ある施設と、巨大な艦船が停泊している場所を映し出していた。 「さて、足止めをかねてギル・ベイダーには、あの白き戦艦ジェイアークとジェネシックマシンへ攻撃するよう命令を頼む。戦闘データは逐一メイガスに送るように。 あぁ、ルーテシアは戻っていたかね?」 『はい。ルーテシアお嬢様なら、戻られていますが?』 「それは結構。彼女に、こちらでモニターしている場所へガジェットを転送してもらうように手配してくれないか」 はい。と、答えたウーノは通信を切るとドクターの望みを叶える為動き出す。 ウーノからの命令を受諾したギル・ベイダーは、各砲門をジェイアークへ向け砲撃を開始した。 ≪ギャォォォォォォッ≫ 無音の宇宙空間ではギル・ベイダーの雄叫びは聞こえないのだが、ゾイドコアに残ったドラゴンの因子がそうさせるのか。
やっぱティアナはティアナか…支援
胸部と両翼からの砲撃の雨がジェイアークへと押し寄せる。 突然の攻撃にギル・ベイダーの砲撃を受け、船体が大きく揺れるジェイアーク。 突然の揺れに身体のバランスを崩されかけたJだったが、何とか倒れずに踏み止まりトモロに現状報告をさせる。 「いったいどうなっている?」 『頭上より多数の砲撃を受けた模様。ジェネレイティングアーマーに過負荷を与えた攻撃を確認』 ジェイアークに搭載されている数々のセンサーでギル・ベイダーの位置を捕らえられなかったのは、試験的に搭載された固有スキル/シルバーカーテンの能力によって、 センサー類に嘘情報を流し、こちらを発見できなくする効果とレーダーシールドによるステレス効果の総合効果の賜物だ。 ギル・ベイダーの撃ち込んだ砲撃の中で重力砲は、着弾点に超重力を発生させ対象を押し潰す。 ジェイアークのバリアシステム/ジェネレイティングアーマーでもピンポイントでの超重力による攻撃は防ぎきれない。 砲撃位置を推測し、その場所に高性能カメラで確認すると黒い翼竜の姿を発見する。 「こちら側のセンサーを掻い潜るとは、原種以上の性能を持っているのか?ならば、直接叩くのみ!」 ブリッジにあるモニュメントの前へ飛び上がるとジェイバードと融合を始めるソルダートJ。 「フュージョン!」 Jはジェイバードへ取り込まれ、光に包まれたフィールドに降り立つ。 「ジェイバード、プラグアウト!」 ジェイアークの艦橋と主砲台がプラグアウト(分離)し、人型へと変形する。 「ジェイダー!」 全長25.3mのメカノイド/ジェイダーが誕生する。 「プラズマウィンッグ」 10枚の光り輝く朱雀の尾を背中に出現させる。 プラズマウィングにより強力な推力を得たジェイダーは、目標へ向け飛ぶ。 ジェイアークが奇襲を受けたことをGGGに連絡を入れる凱。 「こちら凱。現在目標だと思われる飛竜型のロボットと接触。ジェイアークが攻撃を受けた。ジェイダーが反撃に出ている。俺もガイガーで加勢に入る」 『了解』 命からの返事を聞き、凱はギャレオンと融合を開始する。 「フュージョン!」 ジェネシックギャレオンはライオン型ロボットから人型のメカノイド/ジェネシックガイガーへと変形する。 「ガイガー!」 全長約23.5mの白きボディに胸にはギャレオンの顔が目立つ。 変形を終えたガイガーは、腰部に装備された推進機でジェイダーの後を追う。 その時Gストーンが疼く事に気付く凱。 「この反応…やはり、ゾンダーか!?」 ギル・ベイダーは、接近するジェイダーに胸部に搭載されたニードルガン10門とプラズマ粒子砲4門で迎撃する。 凄まじい数の弾幕を持ち前の高速機動によって回避するジェイダーは右手を腕に収納し、 「プラズマソード」 ジュエルジェネレーターより抽出したエネルギーを右手があった部分に集束しプラズマのソードを装備する。 弾幕を掻い潜ったジェイダーは、右手のプラズマソードをギル・ベイダーの腹部に切りかかる。 「はあああっ!」 腹部にあるゾンダーメタルのコア付近に出現する印にプラズマソードを振るったジェイダー。 高出力のプラズマソードで切り裂かれた痛みにより口を大きく広げるギル・ベイダーは、怒りに任せて横回転し尾に装備された後部切断翼でジェイダーを襲う。 しかし、ジェイダーの残像を振り払っただけで本体を捕らえられない。 「その程度のスピードでジェイダーのスピードに着いて来られると思うな!」 更に追い討ちを行うため加速するジェイダー。 ギル・ベイダーの頭部にあるツインアイが赤く輝きだすと、破損した部分を修復し全身が紫色のオーラで包まれる。 右手のソードをギル・ベイダーの頭部へ突き立てようと迫るジェイダーだったが、急加速で上方へ移動され回避される。 回避された事で若干の隙を作ってしまったジェイダーへ向け、ギル・ベイダーは両翼の重力砲を発射する。 ジェイダーは、砲撃を回避しきれず左肩と右足付け根部分に着弾してしまい、発生した超重力によって身動きが取れなくなる。
身動きが取れなくなったジェイダーを確認したギル・ベイダーは、両翼と背部に大小計4基の丸鋸状の兵器ビームスマッシャーのチャージを開始する。 「あの武装は?」 『ジェイダー、即刻退避せよ。その攻撃は受けてはならない』 ジェイアークの生体コンピュータであるトモロの警告を聞き、即座に退避しようとしたジェイダーだったが超重力が未だに解かれず動けない。 その隙にチャージを済ませたギル・ベイダーは、ジャイダーへ向けビームスマッシャーを発射する。 相手の黒竜の攻撃を受けることを考え身構えるジェイダーだったが、円盤状のビーム刃はジェイダーを捉える事無く真横を通り過ぎる。 ジェイダーの目線の先には、ギル・ベイダーの頭部に蹴りを叩き込んでいるジェネシックガイガーの姿があった。 「大丈夫か!ジェイダー」 「手前かけさせた」 「気にするな。それよりも!」 ギル・ベイダーから離れたガイガーは、周囲にジェネシックマシンを呼び寄せる。 ジェイダーも超重力から抜け出しジェイアークの元へ戻る。 攻撃を阻害された事に怒り狂うギル・ベイダーは、雄叫びを上げる。 『解析結果。あのロボットはゾンダーと機械生命体との融合体。コア部分に高エネルギー反応を感知』 トモロからの解析結果を聞き、敵対する相手の対策を考えるガイガーとジェイダー。 その時GGGから緊急連絡が入る。 『凱、J、緊急事態よ!機動六課とクシナダにガジェットが強襲。現在機動部隊で対応しているわ。2人とも出来るだけ早く戻ってきて!』 連絡を受け、顔を見合わせるガイガーとジェイダー。 「考えている暇は無いようだぜ」 「ああ、一気に片を付ける!」 地上では次元航行司令補修艦クシナダに多数のガジェットが攻撃を仕掛けており、待機中だった氷竜、炎竜、風龍、雷龍、光竜、闇竜が迎撃に出ている。 「クシナダの損傷率5%ですが、この状況が続けば何時進入されるか分りません」 牛山オペレーターの報告を受けながらも毅然とした面構えで指令席に立つ大河長官。 「勇者たちにクシナダの周囲を固めるように連絡を」 大河の指令を受け各機動部隊隊員に連絡を入れる牛山。 「長官。機動六課でもガジェットが出現した模様です。現在シグナム副隊長とシャマル先生で迎撃中とのことです」 大河長官は、猿頭寺主任オペレーターの報告を聞き敵が本格的に動き出したのだと考える。 「敵は、こちらの戦力を分断し各個撃破を狙っているのか」 『長官!ガイガーからファイナルフュージョンの要請シグナルが!』 機動六課で待機中の命隊員からの報告を受け長官は頷く。 「よし、ファイナルフュージョン承認!」 『了解!ファイナルフュージョン、ジェネシック…ドラーイブ!!』 長官からの許可が下りたのを確認し、命はファイナルフュージョンのセーフティデバイスを守るカバーガラスを鉄拳粉砕しセーフティを解除する。 「よっしゃー!」 ファイナルフュージョンの許可が下りたのを確認した凱は、ギル・ベイダーから距離を取る。 その行動に危険を察したのか、ガイガーへ向け砲撃をしようとするギル・ベイダーだったが後方からの攻撃を受け吹き飛ばされる。 ジャイアーク・キャリアーモードに座るように合体するジェイダーの形態ジェイライダーによる反中間子砲の一撃を受けたためだ。 「ファイナルフュージョン!」 ジェイライダーの援護を受けファイナルフュージョンを行うエヴォリュダーガイ。 EMトルネードを展開し防御壁を作ったジェネシックガイガーは、プログラムリングを発生させ、それを受けたジェネシックマシンたちは合体シークエンスに入る。 次々に合体し、ガイガーは最強の破壊神へと合体を終える。 「ガオガイッガァァァッ!」 EMトルネードが消失した後には、全長約31.5mのジェネシックメイカノイド/ジェネシックガオガイガーが神々しい姿を現す。
ジェネシックガオガイガーは右腕を掲げ、攻撃エネルギーを拳に集め高速回転させ右腕を右横に引き寄せ前方に突き出す。 「ブロウクンマグナム!」 攻撃エネルギーに包まれた右拳をギル・ベイダーへと射出する。 高速回転する拳を持ち前のスピードで回避しようとするギル・ベイダーだったが、ブロウクンマグナムのスピードと追尾能力に追い回される。 その隙にジェイアークから分離したジェイダーは、最終シークエンスへと入る。 「メガフュージョン!」 ジェイダーは背中の10枚の朱雀の尾から合体プログラムをジェイアークへ伝達させる。 ジェイアークは巨大なロボットのボディへと変形し、ジェイダーはヘッドパーツへと姿を変えジェイアークと接続。 分離したパーツが巨大化し両腕となりボディと接続され白亜の巨人が誕生する。 「キングッジェイダァァァッ!」 全高101mもの巨体を持つジャイアントメカノイドが完成する。 全速力でブロウクンマグナムから逃げるギル・ベイダーだったが、更に速度を増した拳を背中に喰らう。 ウィングバリアーとゾンダーバリアの複合防御兵装を持ってしても、ジェネシックガオガイガーのブロウクンマグナムを弾き切れずバリアを突き抜けられ、 背中のユニットを貫かれ爆発する。 爆発の衝撃で近くにあった戦艦と思われる残骸に衝突するギル・ベイダーに向かって、緑色と赤色の閃光が徐々に近づいてきている。 何とか残骸から抜け出したギル・ベイダーは戦艦の残骸を取り込み背中のユニットを再生させると、向かってくる2体に向けビームスマッシャーを発射する。 円盤状の荷電粒子の刃が破壊神と白亜の巨人を襲う。 「そんな物で!」 「我々を止められはしない!」 ガオガイガーは左腕を前に突き出し、尾と成っているガジェットツールを起動させる。 尾から離れたパーツは左腕に装着されボルティングドライバーへと形を成すと、ガオガイガーは胸部のギャレオンの口からブロウクンボルトを射出し、 ボルティングドライバーへセットする。 その間、襲い掛かる4つのビームスマッシャーを10連メーザー砲と反中間子砲の一斉射撃で撃ち落とすキングジェイダー。 ジェネシックガオガイガーの装備している空間歪曲装備ボルティングドライバーに接続されたブロウクンボルトには、対象を内部から爆破する効果がある。 ガジェットフェザーのスラスターを全開にし、ギル・ベイダーとの距離が縮まったところでボルティングドライバーを向ける。 「ボルティングドライバー!」 凱の叫びと共にブロウクンボルトの効果が作動し、ギル・ベイダーの右翼に異様な空間変化が起こった後爆発する。 根元から右翼が破壊され、痛みに苦しむギル・ベイダーは頭部の1対の角からツインメーザーを発射し反撃に出るも、 ジェネシックオーラに包まれたジェネシックガオガイガーには傷一つ付かない。 圧倒的な戦力差にゾイドとしての本能が逃げろと言っている。 だが、ゾンダーメタルで蘇生しスカリエッティ達に操作されている中で自己の意思を貫く事などギル・ベイダーには出来ない事であった。 機動六課の司令部では、命のジェネシックドライブを間近で見た隊員たちが、目を点にして驚いていた。 外でシグナムとシャマルが戦闘を始めており、更に訓練施設ではティアナが緊急事態になっているなど危機また危機な状況である。
しえん
支援支援
「せやけど、ほんまにすごいなぁ。『ジェネシック…ドラーイブ!』って掛け声したと思うたら、いつの間にか準備された強化ガラスでカバーされたスイッチを 鉄拳粉砕してもうた。こりゃ、今すぐにでも機動六課の前線メンバーに加入してもらいたいぐらいや」 「あはは、私そんなに強くないですよ。ただ毎日カバーを粉砕する練習をしてオペレーターをやってるぐらいですから」 笑顔で答える命に内心突っ込みたくてウズウズするはやて。 "普通の女の人が強化ガラスのカバーを粉砕できるわけ無いやろう!" そんな事を考えていた八神部隊長だったが、シャーリーの戦線報告を聞き真面目モードに戻る。 「現在機動六課周辺に多数のガジェットが出現しています。大多数は陸戦用空間シミュレータに集まりつつあります」 「なんで、そないなとこに…まさか」 そう、少しばかり気にかけていた敵による隊員の強奪が今まさに行われようとしているのではないかと考えた。 だが、今はティアナがゾンダーに取り付かれてしまった事で、なのはがリミッター解除している状況で襲いに来るのも可笑しい。 ならば、何の目的なのかと考えている時、命が発した言葉に司令部に居るものが全員息を呑んだ。 「あ、ガジェット達が訓練施設に侵入!あ、まさか……ティアナ達が居る位置へ急接近中!」 もしティアナに取り付いたゾンダーがガジェットを取り込めば忌々しき事態へと成りかねない。 「急いで、スターズとライトニングに連絡を!後の祭りにしちゃだめや」 ルネは、ティアナの背中に寄生したゾンダーメタルを引き抜こうとGストーンが埋め込まれた右腕を伸ばす。 その時ティアナが目を覚ましたのか、下を向いていた顔を上げ、なのはを見つめる。 「やっぱり、才能なんですよね…才能が、才能が、才能が……」 「ティアナ…あのね」 絶望したかのようにブツブツ言葉を零すティアナに対しなのはは、彼女を元気付ける言葉を考えるが上手く口に出せない。 「今は何を言っても無駄だよ。ゾンダーに寄生された奴の心は深い休眠状態に成っちまう。今表に出ているのはゾンダーによる、 宿主の不満や欲望を満たすだけのプログラムに過ぎない!更にたちが悪いのは、欲望を満たしても本人は寝たままで意味が無い事なんだ」 そう、今までのゾンダーならその理論は正しかった。 しかし、この新種のゾンダーには実験的にある装置が組み込まれている。 そんな事を知るはずも無いルネは、背中のゾンダーメタルに手をかける。 反物質同士の干渉で互いにエネルギーを対消滅し始める。 顔をしかめながらもゾンダーメタルをティアナから引き剥がそうと力を込めたその時、 『ファイナルセーフティーリリース』 ティアナの口から合成音に似た声が響いたと同時にゾンダーメタルに変化が生じた。 目のような形だったのが丸い水晶の形へと変異したのだ。 「こ、こいつは?」 突然の事に驚きを隠せないルネだったが、ティアナの全身から発せられた爆発的なエネルギーの余波で地面に転がりながら吹き飛ぶ。 紫色の輝きに包まれながら上空へ登っていくティアナの元に多数のガジェット2型が舞い降りる。
メビウス&ラプラス博士支援
ジェネシックドライブ燃え! 支援!
「このままじゃ駄目だ!」 「ティアナさんに寄生したゾンダーが機械を取り込んだら」 上空を見上げ危機を感じるエリオとキャロは、ガジェットを破壊しようと動き出す。 ストラーダのカートリッジを2発消費し、魔力を強化したエリオはストラーダの噴射口から魔力を吹き出させて上空へ撃ち上がる。 「だあああ!」 それと同時にキャロも竜魂召喚を発動しフリードリヒを白銀の竜の姿に変え、ガジェット撃破に向かわせる。 「フリード、ブラストレイ!」 フリードの口元に集束した火炎が敵へと発射される。 エリオのストラーダによる突進がガジェットを突く寸前、強力な障壁に阻まれストラーダの刃先が火花を散らす。 「くっ、硬い」 別方向からのフリードによる砲撃は、エリオと同じく直前で薄い紫色の障壁に阻まれ拡散してしまう。 「そんな」 フリードの攻撃が通用しなかった事に気落ちするキャロだったが、エリオに向けてティアナが銃口を向けているのを見て叫ぶ。 「やめてぇぇぇ!」 エリオも自分に向けて銃口が向けられている事に気付くも、その瞬間に強力な魔力弾が発射される。 非殺傷設定などされていない一撃がエリオに撃ちこまれる。 エリオは着弾すると感じ目を瞑ってしまった瞬間、光に包まれた。 「エリオ、無茶しないで」 「フェイトさん」 攻撃が当たる瞬間にソニックームーブで加速したフェイトによってエリオは救出されたのだ。 フェイトはエリオを地上へ下ろすと、武器を構える。 「エリオとキャロは、接近してくるガジェットの排除をお願い。残りの皆でティアナを止める」 フェイトの覇気の入った命令に頷きフリードリヒの背中に乗り上空へ飛ぶエリオとキャロ。 ヴィータとフェイトは、なのはとスバルの横に立ち武器を構える。 「なのは、大丈夫?」 「ちょっと気持ちがブルーかな。自分がティアナの気持ちを分ってあげられたら、ちゃんとお話をして」 更に口にしようとした時、フェイトの人差し指で止められる。 「なのはの気持ちは分るよ。でも、今は」 上空で生気を感じない目でこちらを見下ろすティアナを見据えるフェイト。 「そうだね。今は、ティアナを救い出してあげないと」 いつもの元気で優しいなのはに戻ってくれた事に喜ぶフェイトは、バルディッシュの掴む手の力を強める。 「そんじゃ、ティアナを引き摺り下ろして背中の奴を引き抜くぞ!」 「はい。ヴィータ副隊長!」 気合を入れるヴィータとスバル。 ビルの外壁にぶつかり止ったルネは、全身に走る痛みに歯を食い縛りながら立ち上がる。 「痛た、ちょっとは効いたよ。やっぱり新種のゾンダーか」
でもやっぱ才能支援
その時、上空でガジェットに囲まれたティアナの背中から出現した多数の半透明なケーブルが伸びガジェット2型たちを捕らえる。 捕まったガジェット達は次々にティアナへ吸い込まれるように取り込まれていく。 ティアナも完全にコアへと変貌し、ガジェットだった物は新たな姿へと変貌した。 真の姿であるフリードリヒより二回り以上の大きさの機竜が姿を現した。 その胸には丸い水晶のような紫色のコアが浮き出ている。 ≪グルルルッ……≫ 爬虫類のような口に突き立てられているクロスミラージュ・ダガーモードに似た剣が痛々しく見えるが、 そのガジェットカラーのボディから溢れる殺気によって相手が悪意の塊だと分らせる。 ≪あはは、これが私の真の力だよ。この子の名前はね、カグツチ…そう、カグツチ!≫ 訓練施設全体に響き渡るような声。 ≪ギャォォォォォォッ≫ それに合わせてカグツチから発せられる叫び声。 ゾンダー・カグツチから発せられる力を全身で感じる機動六課の面々。 「なぁ、リミッター解除してもらわねぇとやばくねぇか?」 「そうだね。はやて、聞こえてる?」 ヴィータの提案に頷いたフェイトは、八神部隊長へと通信を入れる。 『結構やばい状況見たいやね。2人のリミッター解除、承認します』 はやての解除申請で、ヴィータとフェイトのリミッターは解除される。 「よし、ティアナの奴を助け出すぞ。その後で説教だ!」 「出来るだけティアナの気持ちを尊重してね」 「わーてるよ。ちゃんと話をしてやる」 ヴィータとフェイトの話を聞き、自分も教導官としてではなく1人の人間として話しをしようと決める。そのためには、 「全力全開でティアナを助けるよ」 「はい!ティア、今すぐそこから助け出してあげるよ」 同時に動き出すスターズ1・2・3とライトニング1の4人。 なのはは、各人に作戦行動を伝える。 「スバルとヴィータちゃんで、前に出てティアナの注意を引いて。私とフェイトちゃんで、ティアナの身動きを止める。ルネさんは」 「私は、引き抜き係りをさせてもらうよ」 "あのデカ物から核を引き抜くには" ルネは、思い出したかのように、GGGへ連絡を入れる。 あのツールを取り寄せようとしているのだ。防御不可能である金色のハンマー。 「命!至急、ゴルディーマーグを送って。……そう、私が使う」
支援します
モリキュルプラーネ支援
まず先行したのは、ウイングロードをゾンダー・カグツチ周辺に多数敷いたスバルだ。 多数のガジェットを取り込んだカグツチによるAMFで徐々に解除されていくウイングロードの上を、ローラーブレードを装備したマッハキャリバーで疾走しながら、 リボルバーナックルのナックルスピナーを回転させ魔力を高める。 「リボルバーシュート!」 右腕のグローブに集められた青い光を放つ魔力を射撃魔法としてカグツチへと発射。 しかし、当たる数メートル前で魔力が拡散してしまった。 カグツチは反撃とばかりに、ドラゴンの様な口から強烈なビーム砲撃を撃ち出す。 ガジェットに搭載されていたビーム兵器を口に集め一点集中した兵器だ。 スバルは持ち前の瞬発力とマッハキャリバーのスピードに助けられ、強烈なビーム砲撃を回避する。 ビームが着弾した区域は完全に貫通され、海水が入り込んできている。 スバルに注意がいっているカグツチに向けて、ハンマー型のアームドデバイス/グラーフアイゼンを持ち、 赤いドレス型の騎士甲冑を身に纏ったヴィータは、手に力を加える。 「アイゼン、カートリッジロード!」 『Jawohl』 カートリッジを3発ロードし、アイゼンをギガントフォルムへ変形させ、更に幅10mもの大きさにし、小さな身体でありながら巨大ハンマーを振り上げる。 「でやぁぁぁっ!」 垂直に振り下ろされたギガントシュラークがカグツチを襲う。 スバルを追っていたカグツチは、振り下ろされる巨大ハンマーを背中から受けてしまい地面へ叩きつけられる。 墜落した衝撃で廃ビルなどが倒壊し、土煙が舞い上がる。 ゾンダーバリアで全身を守っていたカグツチは大したダメージを受けずに済み、その長い首を持ち上げ周囲を見回す。 カメラ・センサー・レーダーを屈指、敵を探すと上空にSランクの魔力反応を2つ発見する。 そこには、ツインテールの女性魔導士が2人、槍と大剣を構えていた。 「いくよ!フェイトちゃん」 「うん。なのは」 2人は互いの愛杖であるレイジングハート・エクセリオンと、バルディッシュ・ザンバーのカートリッジロードを行う。 「「カートリッジロード!」」 『『Lord cartridge』』 主の命に従いカートリッジを6発ロードする。 この行為は凄まじく強力な魔力を得る代わりに、コントロールが難しく身体に多大な負荷が掛かる。 久しぶりの最大出力に顔が苦しさで若干歪む2人。 そんな2人を見つめるスバル・エリオ・キャロの新人3人。 「なのはさん、フェイト隊長、本当に凄い」 「これがフェイトさんと、なのはさんの全力」 「す、すごい」
フツヌシ支援
中の人繋がり出た! 支援!
頭上で輝きだす隊長2人に危機を感じ、カグツチは上空へ向けビーム砲撃を撃ち出す。 ≪消えちゃえぇぇぇっ!≫ 錯乱状態に近い叫び声と共に発射される高出力のビーム。 なのはとフェイトに直撃するとかと思われたビームは、目前で赤いベルカ式のシールドによって防がれる。 「2人に傷一つ付けさせやしねぇ!」 若干騎士甲冑が焦げ付きながらも2人を守りきったヴィータ。 「ありがとう。ヴィータちゃん」 「あとは、私たちが蹴りをつけます」 「おう、頼んだぞ!」 そう言うとヴィータは、彼女たちの後方へ下がる。 それと同時にホログラフィックカモフラージュで隠れながら接近してきていたボルフォッグが現れる。 「システムチェーンジ!ボルフォッグ」 突然の出現に驚く一同。 「ゾンダーバリアの除去は、私に任せてください!」 背中に搭載されたサイレンから特定波長の振動が発生する。 「メルティングサイレン」 ゾンダーの張るゾンダーバリアを分解無効にする効果を持つ。 そのサイレンを受けたカグツチのバリアは解除されてしまう。 ボルフォッグの支援を受けチャージを終えた2人は、己の持つ最大魔法を繰り出す。 「撃ち抜け、雷神!」 『Jet Zamber』 フェイトは、バルディッシュ・ザンバーフォームから繰り出された衝撃波でカグツチを怯ませると続けて魔力刃を伸ばしカグツチの両翼を切り裂く。 「エクセリオーンバスター!」 なのはの咆哮と共に、槍のような形状をしたレイジングハート・エクセリオンから放たれた最大出力の砲撃魔法が、止めの如くカグツチを撃つ。 凄まじい威力の砲撃魔法の直撃を直上から受けたカグツチは、叫び声も出せずに閃光に消えた。 ゾンダー・カグツチがなのはによる砲撃を受け沈黙した頃、宇宙でも決着が着こうとしていた。 「はあああっ!」 ギル・ベイダーは、ガオガイガーの左膝に装備されたストレイトドリルによって前左足を突かれる。 貫通力に特化したストレイトドリルを受けて根元から前左足を吹き飛ばされ呻き声を洩らす。 ゾンダー特有の再生能力も、GパワーとJパワーを最大限に発揮する2つのメカノイドが近くに居るため、 エネルギー同士が対消滅し再生に回せるエネルギーが無いのだ。 迫る2つの敵に向かって背中のユニットと左翼に残ったビームスマッシャーで反撃をするギル・ベイダーであったが、 「プロテクトシェード!」 ジェネシックガオガイガーの左手首のファンが展開し反発防御空間を発動され、ビームスマッシャーが防御された上に荷電粒子が増幅反射される。 ウィングバリアーとゾンダーバリアの複合バリアを持ってしても、高出力と化した荷電粒子の一撃を受けて半壊する。
ティアナサイボーグ化支援
支援
「今だ。キングジェイダー」 「おう!」 キングジェイダーの右腕に装備される巨大な錨状の対原種用兵器であるジェイクォースにJパワーを集める。 「喰らうがいい!ジェイクォース!!」 ジュエルジェネレイターよりJパワーを充填し射出するキングジェイダーの必殺の武器がギル・ベイダーへと撃ち出される。 破壊力、貫通力、射程に優れる真紅の火の鳥へと変化し、変幻自在の軌道を描いて目標の頭部から貫いていく。 ジェイクォースは核を回収し自動的にキングジェイダーの右腕へと戻る。 ≪ギャアアアォォォッ≫ 断末魔を上げ、赤色の光に包まれながら爆発するギル・ベイダー。 回収した核を調べた結果、簡易AIを移植されたゾンダーメタルであった。 「ならば、消えて無くなるがいい!」 キングジェイダーは核を放り投げ、右手の五連メーザー砲で消滅させる。 「これで任務完了だな。急いで地上へ戻ろう。ティアナがゾンダーに寄生されたみたいだ」 「了解した。ガオガイガーよ、我がジェイアークに乗るがいい」 キングジェイダーは、ジェイアークへと戻り艦首へ乗るよう促す。 ジェイアークの艦首へ乗ったガオガイガー。 「全速力で頼むぜ。J」 「任せろ。ジェイアークのスピードは並ではないぞ!」 スラスターを全開にし、機動六課へと全力で戻るジェイアークは閃光を残し、その場から消えた。 沈黙したゾンダー・カグツチの近くに舞い降りる最強の魔導師2人組み。 「ティアナ、さぁそんな鎧を脱ぎ捨てて戻ってきて。2人で話をしよう。話し合えば分かり合える…きっと」 両手を広げ優しく迎え入れようとする高町なのはに向かって、カグツチは首を持ち上げ再び攻撃を開始しようとした時、上空からオレンジ色の何かが落ちてくる。 「マーグックロスチョップー!」 両腕をクロスした何かがカグツチの首に突撃し、その巨体を倒れ伏せさせる。 「ふぅ、間に合ったようだな」 「ゴ、ゴルディーマーグ?」 そこに居たのは、全高2mほどの大きさのロボットが立っていた。 なのは達は今まで、キーホルダー状態とハンマー状態の2パターンのゴルディーマーグしか見た事が無かったのだ。 ゴルディーマーグのマルチロボ形態の初お披露目だ。 「おい、遅いじゃないか」 ゴルディーマーグの横に降り立つルネ。
ポルコート支援
「へっ、これでも急いで来たんだぜ。そんじゃ、さっさとティアナを救い出そうぜ!」 「あぁ」 ルネは右腕を真横に突き出すと、その腕にゴルディーマーグはシステムチェンジを行いマーグハンドとして装備され、その巨大な手でゴルディオンハンマーを掴む。 「ゴルディオン・ハンマー!」 ゴルディーとルネのGSライドの出力が極限まで高まり、全身が黄金色に輝く。 正面から金色の光を受け、首を持ち上げ相手を見据えるカグツチことティアナは、相手が自分を消し去る存在だと感じ攻撃を始める。 巨大な口で襲い掛かるが、金色に輝くハンマーの一振りによって光の粒子に分解される。 「ハンマーヘル!」 光の杭を胸のコアへと叩き込むルネ。 「ハンマーヘブン!」 Gパワーに包まれたコアを引き抜き、後方で待機していたボルフォッグへと投げ渡す。 「光になれぇぇぇ!!」 金色のハンマーが残ったボディを光の粒子へと変換させ、消滅させた。 全身を包んできた黄金の輝きは、消失し元のルネへと戻った。 「ふぅ、面倒をかけさせるお嬢ちゃんだよ。アンタは」 ボルフォッグが持つコアの中で眠るティアナを見て呟くルネであった。 その時、上空から凄まじい速度で降下してくる白亜の戦艦。 「あれは、ジェイアーク。それと、ガオガイガー」 ルネの目線の先にはジャイアークの艦首で仁王立ちしているガオガイガーが映っていた。 ジェネシックガオガイガーから降り立った凱は、ボルフォッグが持つ新たなゾンダーメタルを見つめながら浄解を行う。 Gパワーの力によってゾンダーとティアナを分離させ、ゾンダーを消滅させる。 ボルフォッグの手の中で拝む格好で涙を流すティアナが居た。 浄解によってストレスから解放されたようだ。 そんな彼女の前に立つ管理局のエースオブエース。 「なのは…さん」 ティアナは声を出した瞬間、なのはに抱きつかれる。 突然の事で混乱するティアナ。 「良かった。本当に良かった…心配したんだよ。いっぱい、いっぱい」 涙を流しながらティアナの帰還を喜ぶ上司を見て、先程以上に涙を流す。 ティアナとのお話は、それから数十分が経過してから行われた。 今回の事件は、互いに理解し合うことがどんなに大事かを知る切っ掛けと成った事件だった。 そして、機動六課とクシナダへ攻撃していたガジェットは、全機撃墜され事件は一段落したのであった。 スカリエッティは宇宙空間での2体の巨大人型兵器の戦闘データをメイガスに送る事が出来たが、スポンサーからのお叱りを受けていた。 数分の叱りを受け解放された彼の顔には気落ちした風な感じは皆無だ。 ラボへと戻り、研究対象の実験結果を見て満面の笑顔となる。 「あははははっ、素晴らしい、ああ素晴らしい!私の研究は、やはり正しかった。ゾンダーの基礎プログラムを研究・実験・改良を続けた甲斐があったと言うものだ」 高らかに笑い、自分の研究成果に酔うスカリエッティ。
ゴルディーマーグ、人間サイズで復活!? 支援!
ティアナに与えたゾンダーメタルは、スカリエッティが2年前から研究・改良を続け、更にマシンセルの技術を手に入れ使用した結果の賜物なのだ。 以前ナンバーが振り当てていない欠陥品に与えたZメタルは、意かに寄生された本人の意思でエネルギーと自己進化が行えるかのテストヘッドでしかなかった。 しかし、今回のZメタルは最初の内はカモフラージュ機能と部分的にマシンセル機能が働く以外通常の能力しか持って居なかったのだが、 寄生した宿主の絶望が臨界点を突破した時、新たに付け加えられた機能が覚醒したのだ。 従来のZメタルから進化した【アドバンスト・ゾンダーメタル】通称AZメタル。 以前の形から、水晶の形態へと変貌しているのが特徴だ。 宿主の命令が無い限り、ゾンダー特有の機械との融合をせずエネルギー供給と出力アップなどが可能。 更に予め機械との融合後のデータを入力していれば、最終形態での姿はデータ通りの姿になる。 マシンセルの機能を持っているAZメタルは、コンクリートなど金属や機械以外でも変質させ必要なパーツにしてしまう。 「この技術を使えば、私の作品たちの性能は格段に上がる。ウーノ、君も戦闘用の妹たちと同等の力が手に入るんだ。嬉しいだろう?」 『はい。ドクターの喜びは、私たちの喜びでもあります』 その言葉に頷くスカリエッティは、モニターを操作し研究所のある区画を映し出す。 モニターに映し出されたのは、紫色に発光する機械の樹木。 その中心には、人が1人眠れるぐらいのカプセルが埋没されているが、その中は紫色の光で確認できない。 更に映像をズームされると、樹木に多数のつぼみの様な物が映し出されている。 「さぁ、エネルギーを吸い成長するが良い。そして、花を咲かせ実をつけておくれ」 両の腕を広げ、可笑しくて堪らなく笑い続けるジェイル・スカリエッティであった。 ルーテシアは一仕事を終え、ゼストとアギトの元へ戻る途中ラボにあるカプセルの中で眠るウォーダンを見つける。 「起きてる時にお話したかったね。また起きてる時に、お話しましょうね」 そう言うと、その場から立ち去っていく。 カプセルの中で眠る彼は、どんな夢を見ているのだろうか。 それは、本人にしか分らない。 次回予告 君たちに最新情報を公開しよう。 休暇を貰い町へ繰り出す新人4人とブレイブ分隊。 初デート気分に浸るエリオ&キャロとJ&ルネ。 スバルとティアナに付き添う凱は、2人に昔話を始める。 勇者王リリカルガオガイガー THE MYTHOLOGY NEXT 機動六課のある休日【前編】 次回も、このチャンネルでFINAL FUSION 承認! これが勝利の鍵だ! 【謎の少女】
ゾンダーメタルを甘く見ると足元すくわれるぜ!支援
投下完了。 久し振りの長文でした(汗) 次回は、メイガスの剣と化す親分と、AZメタルで原作以上に厄介な相手になるナンバーズの初お披露目。 やっと当初の予定だった、ヴィヴィオに「パパ?」と言わせる壮大な作戦が開始される!?
>>43 Jとルネの初デートだってぇ!?
こいつぁ楽しみだぜ、GJ!
>>42 バッカオメーこの手のマッドは足元を掬われた上に
勇気と熱血に粉砕されるのがお約束じゃまいか
GJ! ジェネシック&キングジェイダーVSギルベイダーに痺れました!ブロウクンボルトも最高! でも、もう少し最強勇者ロボ軍団成分が欲しいです… あの過去映像上演会はなしはおk。 次回はショタホッグのエリオきゅん追跡日記に期待。 しかし、この先強化されたナンバーズや巨大メカ相手に、ステエキでは明らかに力量不足な気がするのが心配だ… いっそのことティアナはキングジェイダーに同乗させて、幻術一筋に徹するのも手だな。
いきなりで悪いのだが、 誰かこのスレの10〜15までのログ持ってませんか? ※できれば1〜19まで全部ほしいのだがwwww(爆) それから>リリカルスクライド//G.U.氏 いや、この場合はリリカルガオガイガー氏か?? 面白かったです! またこのあとの展開が気になる終わりかたですねwww ヒロイックの短編の続きも楽しみにしています。 頑張ってください!そして最後にGJ!!
>>43 GJでした!!
ティアナがカグヅチになるとは予想外でした。
この騒動を経て、本編以上の活躍を見せてくれることを期待しています。
そしてルネさんのゴルディオンハンマーに燃えました。
次回はJによるシルバリオンハンマーが見れるかな?
てかJ&ルネさんがデート?!
果たしてどうなる?この関係に進展があるのか?
次回が待ちどおしいです!
GJ そして >ヒロイックの短編の続き 俺も待ってるぞー
GJ!! 人の心の闇が出る話はやっぱり楽しいぜッ!! できればゾンダータティアナサンには幻術を使って欲しかったです。
GJといいたいところですが、なのはとティアナの確執はこれで終わりですか? それなら少し安直過ぎるかと思います。 でかい事言ってしまいましたがそこを除けば楽しく読めました。
スカ一味だけをあえてクロスさせてみたいんだがなんか・・・意外と地味なんだよね・・・数の子・・・ もしくは数の子誕生!ムッシュグリグリ・鈴木・ド・スカリエッティの一世一代の頑張り物語とか・・・ いろんな世界を回って数の子ISのアイデアを探すスカリエッティとか・・・ ちなみに数の子元ネタはここら辺じゃないかと 1 唯の高性能ステルス・・・ 存在確立ステルスなら皇 ○霊の神透かウィザーズブレイン・・・かな? 2 シ○ーハンズ、能力に至っては多すぎて・・・ 3 ゼロシフト、でも加速らしいしサイボーグ00○かな? 4 不明 5 咲○さんかウィザー○ブレインの○クラ、容姿なら後者のほうが似てるかも・・・ 6 セッ○かザン○ルマの剣士に出てきた吉○さん 7 キャプテン○ッドのジ○ーカー 8 エスプレイドのい○りさんっぽい気がする・・・エネルギー波の色だけは 9 装備見ると腕部装備が直射弾だからガジェッ○トライアルの偵察車の装備っぽい 10 いろいろあるけどあえて鯨波兵○ 11 蜘蛛男の○ブリン親子 12 ライトセイバーの類、形状だけなら○ンヤルマの剣が近いかも
数の子の口調とか性格がわかるとこて無いものだろうか。 俺も数の子主体で書いてみたいけど、アニメだけでは口調もいまいちわからん。
やっと…更新終わった… それはともかくとして、前スレの分も含めて職人の皆様GJです
いつもいつも、お疲れ様です
>>59 マスコンバットやトレードは面白いっすよね!
バンガード発進!もカッコヨス
マジで乙です しかし、メェル欄はいったい(ry
>>53 どこがいいのかなぁ…(汗)
なにせ直(名前付けて)保存しか知らない(爆)
若輩者なのでそういうのは良く分からんですorz
リリカル龍騎殿、更新お疲れ様です。 たくさんの感想ありがとうございます。 なのはとティアナの確執は、自分の文才の無さで書くのは難しく11話の冒頭でさらっと書いちゃいます。 ティアナ・ゾンダーが幻術を使わなかったのは、力に溺れて自分の得意技を使わず力押しに行っちゃったからです。 スバルたち新人でのナンバーズ対策には、チームワークを尊重して書いていこうと思います。 最強勇者ロボ軍団との共同作戦で、ゾンダー・ナンバーズロボと戦います!多分!恐らく!
>>65 うpThanks!
でも、DATファイルになってて見れないんだなこれがorz
どうすればいいのか(T_T)
68 :
なの魂の人 :2007/10/24(水) 02:02:59 ID:PKOu4tR4
前スレで上げた短編が意外と好評で俺涙目 応援メッセージ貰ってさらに涙目な俺が通りますよ …期待に応えるべく、とりあえず頑張ってプロローグだけ書いてみました やれるところまでやってみます もうどうにでもなれ(´・ω・`)
69 :
なの魂 :2007/10/24(水) 02:04:37 ID:PKOu4tR4
「侍の国」 僕らの国がそう呼ばれたのは、今は昔の話。 数十年前、突如異世界から舞い降りた天人(あまんと)の台頭により 侍は衰退の一途をたどった。 かつて侍達が仰ぎ、夢を馳せた青い空には異郷の船が飛び交い かつて侍達が肩で風を切り歩いた街には、今は異人がふんぞり返り歩く。 それが僕らの世界。 それが僕らの街、江戸である。 江戸は海鳴市、商店街でも有名な喫茶店『翠屋』。 その二階に、彼らは住んでいた。 「銀さ〜ん。家賃の回収に来ましたよ〜。開けてくださ〜い。 いるのは分かってますよ〜」 何でも屋『万事屋銀ちゃん』の玄関先で、インターホンを鳴らしまくるのはなのは。 朝早くから家賃の回収とは、ご苦労なことである。 しかし、先程から5分ほどずっとインターホンを鳴らしているのだが、住人が出てくる気配が無い。 ……どう考えても居留守だ。 そう確信したなのはは、作戦を第二段階へ移行することにする。 万事屋の従業員達は借金取りの間の手から逃れるべく、机の下でじっと息を潜めていた。 「マズいですね…。これじゃ迂闊に外に出れませんよ。 珍しく仕事が来たっていうのに……」 そう呟いて新八はため息をつく。 せっかく一週間ぶりに仕事が舞い降りてきたというのに、これでは外出できない。 もし一歩でも家から踏み出そうものなら、身包み剥がされてゴミ捨て場にポイだ。 しかし落ち込む新八とは対照的に、すぐ隣で息を潜めていた銀時は極めて冷静にこう言った。 「いいか、絶対動くなよ。気配を殺せ。自然と一体になるんだ。 お前は宇宙の一部であり、宇宙はお前の一部だ」 その言葉を真に受けた神楽が、突然大声を張り上げる。
70 :
なの魂 :2007/10/24(水) 02:05:52 ID:PKOu4tR4
「宇宙は私の一部? スゴイや! 小さな悩みなんてフッ飛んじゃうヨ!」 「うるせーよ! 静かにしろや!」 「アンタが一番うるさいよ!」 「いや、お前のツッコミが一番うるさい!」 などと騒ぎ立てる三人。 異変が起きたのは、まさにその時だ。 先程まであれほどうるさく鳴っていたチャイムが、ピタリと止んだのだ。 「? 静かになったな。帰ったか?」 銀時は玄関の方へ目を向ける。 それと同時に、彼らの後ろから幼い少女の声が聞こえてきた。 「なんだか、林間学校みたいでドキドキしますね」 『…………』 完全に失念していた。 この家は高町家の所有物。万事屋はそれを借りているだけに過ぎない。 つまり、合鍵を使ってコッソリ室内へ侵入してきても……なんら不思議は無いのだ。 「うおわァァァァァ!!!!?」 大慌てで机の下から這い出る万事屋。 それを逃がすまいと追いかけるなのは。 「銀さん! 今日こそは家賃払ってもらいますよ!」 「だーかーらー! 無い袖振ってもでねーモンはでねーっての! 大体お前、学校はどうした!?」 「大丈夫です! あと30分は時間に余裕がありますから!」 「バカヤロー! 朝の30分はスッゲー貴重なんだぞ!? もっと有意義に過ごしやがれ!!」 「なら、素直に家賃払ってくださーい!!」 小学3年の女の子に追い回される、3人の青年と少女。 しかもその原因は、滞納した家賃。 なんとも情けない話である。
71 :
なの魂 :2007/10/24(水) 02:07:26 ID:PKOu4tR4
「開け、ゴマ!!」 部屋の窓から路地裏へと脱出する銀時達。 しかし、そこには巧妙な罠が仕掛けられていた。 「お兄ちゃん、お姉ちゃん! そっちに行ったよ!」 「はーい、いらっしゃいませー」 「さて、観念してもらいますよ。銀さん」 高町家の名物兄妹、恭也と美由希による挟み撃ちである。 これはキツい。 その辺のチンピラなら、即座に三枚卸しである。 「う……さすが兄妹。いい連携…」 「絶体絶命って奴か…?」 額に脂汗を浮かべる新八と銀時。 だが、神楽は物怖じせずにこう言ってのけ、そして大声で叫ぶ。 「いやいや、こっちにはまだ切り札があるアルよ。 定春ゥゥゥゥゥ!!!」 「わぅーん」 間の抜けた鳴き声とともに、空から降ってくる巨大な犬。 神楽の愛犬、定春である。 あまりにも予想外なところから現れた定春に、一瞬怯む高町兄妹。 その一瞬が命取りだった。 「銀ちゃん、新八、早く乗るヨロシ!」 「よっしゃ、行くぜ定春! 逃げ切れたら、夕飯はいつもの倍だ!」 「わん!」 3人を乗せた定春は、全速力で商店街を駆け出す。 乗用車よりも速く走れるこの非常識な犬に、人間が追いつけるわけも無かった。 「逃げられちゃいましたね……」 「まったく……いい加減彼には、責任感という物を学んでもらいたいね」 『翠屋』の店先では高町夫妻――士郎と桃子が、呆れ顔で銀時達を見送っていた。
72 :
なの魂 :2007/10/24(水) 02:09:07 ID:PKOu4tR4
「ところで銀ちゃん。今日の仕事って、何アルか?」 定春の上で目一杯風を感じていた神楽が聞くと、銀時は手帳を取り出しながらこう返した。 「今日っつーか、長期の仕事だな。ガキのお守りしてくれってよ」 ちなみにその"ガキ"は、足に原因不明の病気を患っていて、しかも一人暮らしをしているらしい。 早い話、ホームヘルパーのような仕事。とのことだ。 わざわざ万事屋を雇ったのは、経費削減のためかそれとも単に人手が足りなかっただけなのか。 真相は依頼者のみぞ知る。 「依頼主は……確か、海鳴大学病院の石田先生でしたよね? ……どういう関係ですか? 銀さん」 「あァ? 糖尿の検査で、何度か世話になった程度の仲だよ」 「……なんかイヤな仲ですね。 それより、どうしましょ? 約束の時間まで、まだ暇がありますけど……」 そう言って新八は腕時計を見る。 確かに、まだ一時間ほど余裕があるようだったが……。 「でも、今家に帰ったらなのは達に捕まるアル」 「……しゃーねぇ。ちっと早いが、挨拶にでも行くか」 「わん!」 小さく一吠えし、跳ねるように駆け出す定春。 目指すは、海鳴市中丘町だ。 目的地へ到着。 さっさと挨拶を済ませるべく、玄関先へ向かう。 「どーもー。万事屋でーす」 そう言って銀時はインターホンを鳴らす。 ……出てこない。 10秒経過。再びインターホンを鳴らす。
73 :
なの魂 :2007/10/24(水) 02:10:40 ID:PKOu4tR4
「……出てこねーな」 「まだ寝てるんじゃないですか?」 やはりくるのが早すぎたか? そう思っていると、神楽が突然不機嫌になり、大声を張り上げだした。 「冗談じゃないネ! こっちは朝から借金取りに追われてたのによぉ! なんか腹立つアル! 銀ちゃん、叩き起こしてやるネ!」 理不尽な文句をブチ撒ける神楽。 何故か銀時も、ノリノリで呼応する。 「オラァァァァァ!!! 16連射だボケェェェェェ!!!」 目にも留まらぬ速さでインターホンを連打する銀時。 もうインターホンだかサイレンだか、よく分からない音がご近所に響き渡る。 「何やってんのちょっとォォォォォ!!!? せっかく来た仕事パーにする気ですかアンタら!?」 大慌てで銀時を止めにかかる新八。 すると突然、玄関の方から間延びした少女の声が聞こえてきた。
74 :
なの魂 :2007/10/24(水) 02:11:58 ID:PKOu4tR4
『は、はーい! ちょっと待ったって…ふわぁ!?』 ドンガラガッシャン 壮絶なクラッシュ音。 辺りに気まずい空気が漂う。 『アレ? もしかして俺、なんかマズいことしちゃった?』と銀時が思っていると、 玄関から再び先程の少女の声がした。 『あいたた……あ、あの! 申し訳ないんやけど、郵便受けの中に家の鍵入ってるから、 それ使って玄関開けてもらえませんかぁ〜!?』 さっきとはうって変わって、何故か泣きそうな声である。 不審に思いつつも、銀時は少女の言うとおり郵便受けから鍵を取り出し 玄関の扉をゆっくりと開ける。 ……目の前には誰もいない。 「あ…先生の言ってはった、万事屋さんですね〜。 あの、会ってすぐこんなこと言うのもなんやけど……ちょっと、起こしてもらえへんやろか?」 目線を下に向ける。 横倒しになった車椅子と少女――八神はやてがそこにいた。 なの魂 〜プロローグ 出会いこそ人生〜
75 :
なの魂の人 :2007/10/24(水) 02:13:08 ID:PKOu4tR4
以上です。 ゴメンね、高町ファミリーのキャラ、イマイチ掴みきれてなくてゴメンね とらハ未プレイでゴメンね
>>リリカルガオガイガー氏 GJ。 見事なバトルシーンでした。 ティアナ、なのはでも抑えきるのが難しい程の状態になるとは…… ゾンダーに取り付かれたとはいっても、半端じゃない実力でした。 才能がないとか言ってるけど、普通に強ぇってお前w >>なの魂の人氏 GJ。 あの高町家から逃げ切るって、何気に凄ぇよ万屋w そして、はやてとの出会いが意外な形だったのにも驚きました。 今後が楽しみっす。 そして、こちらも新たな話を投下したいと思います。 今回、いつもより結構長めです。 第6話「決意、そしてお引越しなの」 「じゃあ、メビウスからは何も連絡は……」 「はい……ウルトラサインもテレパシーも、一切ありません。」 地球から遠く離れた宇宙に存在する、M78星雲。 その中にある、地球よりも遥かに巨大な星―――光の国は、ウルトラマン達が住まう星である。 そんなウルトラマン達の中でも、優れた戦闘能力と、そして優しさを持つ戦士達がいた。 彼等はウルトラ兄弟と呼ばれ、宇宙の平和を守る宇宙警備隊の一員として、日夜戦っている。 そのウルトラ兄弟達に、今、未曾有の事態が起きた。 ウルトラ一族にとっては最大の宿敵の一人といえる、最大の悪魔―――ヤプール人が復活を果たした。 ヤプール人とは、異次元に存在する邪悪そのもの。 自らを、暗黒から生まれた闇の化身と豪語する悪魔である。 ヤプール人はこれまで、幾度となくウルトラ一族へと戦いを挑んできた。 ウルトラ兄弟達は、その都度何度も撃退したが……ヤプールは、何度も復活を果たしてきた。 彼等はヒトの負の心を好んでマイナスエネルギーに変えてエネルギー源としているため、その存在を完全に消し去る事は不可能なのだ。 ヒトがこの世から完全に消え失せれば、もしかすると可能かもしれないのだが、そんな馬鹿な話はありえない。 一時は、封印という形で決着をつけられたかのように思えたが……その封印も、悪しき侵略者に破られてしまった。 結局ウルトラ兄弟達は、ヤプールが復活する毎に打ち倒すという手段を取るしかなかった。 そしてつい先日、彼等はヤプールが潜む異次元へと乗り込み、決戦に臨み、ヤプールに打ち勝つことができたのだが…… ここで、予想外の事態が起こった。 ヤプールを倒した影響により、異次元世界は崩壊を迎えようとしたのだが……ヤプールがここで、最後の悪足掻きを見せた。 ウルトラ兄弟の末弟―――ウルトラマンメビウスを、道連れにしていったのだ。 メビウスはヤプールと共に崩壊に巻き込まれ、そして行方不明となった。 兄弟達は、様々な手段を使ってメビウスの捜索に当たっていたのだが、メビウスの行方は全く分からないままであった。 もしもメビウスがまだ生きているとするならば、可能性は一つしかない。
「やはり、崩壊の影響でどこか別の次元に落ちてしまったのか……」 「しかし……そうだとしたら、どうやってメビウスを探せばいいんですか?」 「メビウスから何か連絡があれば、どうにかならなくもないんだが……」 メビウスは、どこか別の異世界にいる可能性が高い。 それがどこか分からないのが、問題ではあるが……それさえ分かれば、救出に向かうことはできる。 ウルトラ兄弟の中には、異なる次元・異なる世界への転移能力を持つものもいるからだ。 今現在、メビウスを救う為に、光の国の者達は一丸となって動いている。 ウルトラ兄弟の長男にして宇宙警備隊の隊長であるゾフィーは、空を仰ぎ遥か彼方―――地球を眺め、弟のことを思う。 「メビウス……一体、どこに……?」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「なのは、フェイト!!」 「ユーノくん、アルフさん……」 「二人とも、もう体は大丈夫なのかい? 大分酷いダメージだったけど……」 「うん、何とか。 私はしばらく、魔法は使えないみたいだけど……」 丁度その頃であった。 時空管理局の本局にて、なのは・フェイト・ユーノ・アルフの四人が久方ぶりの再会を果たしていた。 こうして直接顔を合わせるのは、彼等が出会う切欠となったPT事件以来である。 しかし、彼等の表情には喜び半分不安半分という所である。 その原因は、大きく分けて二つ。 一つ目は、言うまでもなくヴォルケンリッター達の存在にある。 そしてもう一つは、なのはとフェイトが受けたダメージの大きさにあった。 なのはは、自分でも攻撃を受けた時点で予想はしていたが……魔力の源であるリンカーコアが、異常なまでに縮小していた。 魔力を吸い取られてしまい、回復するまでの間、一時的に魔法を使えない状態にあったのだ。 フェイトも、なのは程ではないとはいえ、それなりのダメージを受けていた。 しかし何より……二人とも、自分のデバイスに大幅な破損を受けてしまっていたのが大きかった。 レイジングハートもバルディッシュも、再起不能な状況にまで追い込まれてしまっていたのだ。 自己修復作用だけでは間に合わないため、現在パーツの再交換作業の真っ只中にあった。 「レイジングハート……」 「ごめんね、バルディッシュ……私の力不足で……」 「……こういう言い方は何だが、これは二人のミスじゃないよ。」 「クロノ、エイミィ、リンディ提督……それに……」 「ミライさん……」
落ち込むなのは達へと、部屋に入ってきたクロノが声をかけた。 その傍らには、彼の相棒であるエイミィと、アースラ艦長のリンディ。 そして……ミライがいた。 クロノは、自分達が相手をしていた敵の魔法体系―――ベルカ式について、簡潔に説明を始めた。 今回なのは達が敗北したのは、彼女達の魔法体系―――ミッドチルダ式との相性の悪さが大きかった。 ベルカ式とはその昔、ミッド式と魔法勢力を二分した魔法体系。 遠距離や広範囲攻撃をある程度度外視して、対人戦闘に特化した術式である。 ミッドチルダ式と違い、一対一における戦いを念頭に置いてあるものなのだ。 そしてその最大の特徴は、デバイスに組み込まれたカートリッジシステムと呼ばれる武装。 なのは達もその目でしかと見た、ヴォルケンリッター達が使っていたシステム。 儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで、瞬間的に爆発的な破壊力を得る。 術者とデバイスに負担はかかるものの、かなりの戦闘能力を得られる代物である。 「随分、物騒な代物なんだね……」 「ああ……多くの時限世界に普及している魔術の殆どは、ミッド式だからね。 御蔭で、解析に少しばかり時間を取られてしまったよ……」 「そうだったんだ……」 ベルカ式に関しての説明が終わり、皆は少しばかり考えた。 自分達の使っている魔法が、魔法の全てではない。 これから先、自分達の前に立ちふさがるのは、まだ見ぬ未知なる強敵。 かつてのPT事件と同様か、それともそれ以上の戦いになるかもしれない。 誰もが息を呑むが……その直後であった。 皆が、ベルカ式よりも最も疑問に思わねばならぬ事に気づいた。 戦闘の最中、突如として謎の変身を遂げたミライ―――ウルトラマンメビウスについてである。 当然ながら、視線はミライに集中することになる。 ミライも、ここで隠し事をするつもりはなかった。 丁度いい具合にメンバーも揃っている……ミライは、全ての事情を話し始めた。 「リンディさん達には、先にある程度の説明はさせてもらったけど、改めて全部話すよ。 僕の事……ウルトラマンの事について。」 ミライは、隠していた事情も含めた全てを話した。 自分は宇宙警備隊の一人であり、そしてウルトラ兄弟の一人である、ウルトラマンメビウスである事。 異次元に潜む悪魔―――ヤプールとの戦いの末に、次元の狭間に呑まれた事。 そして気がついたら、アースラに救助されていた事。 自分の正体を明かせば、周囲の者達にも危険が及ぶと判断し、正体を隠していた事。 先に説明を受けていたリンディ・クロノ・エイミィの三人は、二度目となるため流石に驚いてはいなかった。 一方なのは達四人はというと、当然ながら驚き、そして呆然としている。 別世界の人間というだけならば、まだ分かるが……その正体が宇宙人ときては、少々許容の範囲外であった。 そして、ウルトラマンという存在についてにも驚かされた。 宇宙警備隊という、時空管理局に匹敵するほどの大組織の一員として、ミライ達は動いている。 彼は、その中でも特に秀でた戦士であるウルトラ兄弟の一人―――中には、メビウスよりも強いウルトラマンはいるという。 早い話……ミライがとんでもない大物であった事に、皆驚いているのだ。
「えっと……一つだけ、質問してもいいですか?」 「いいけど、何かな?」 「話を聞いてて、少しだけ不思議だったんですけど……ウルトラマンは、どうして地球を守るんですか? 守らなくてもいいとかそういう話じゃなくて、色んな星がある中で、どうして地球を選んだんだって……」 なのはには、ミライの話の中で一つだけ、腑に落ちない点があった。 ウルトラ兄弟達になる為には、地球防衛の任に就く必要があるという。 そうして多くの事を学び、ウルトラ兄弟になるに相応しいまでの成長を遂げるというのだが…… 何故、彼等が防衛する星が地球なのか。 話を聞く限りでは他にも多くの星はある筈なのに、何故態々地球を選んだのか。 そんな彼女の疑問を聞くと、ミライは少しばかり瞳を閉じた後、ゆっくりと口を開いた。 かつて、共に戦った大切な親友からも同じ質問をされた。 その時の事を思い出しながら……ミライは、なのはに答えた。 「僕達ウルトラマンも、元々はウルトラマンの力を持っていなかった。 皆と同じ……地球の人達と全く同じ、普通の人間だったんだ。」 「え……?」 「ある事故が切欠で、僕達はウルトラマンの力を手に入れた。 ……僕達は、地球の人達に自分達を重ねているんだ。 もう戻る事のできなくなった、あの頃の姿を……」 「だから、地球を……」 ウルトラマンが地球を守る理由。 それは、かつての自分達の姿を重ねているからであった。 更に、地球は多くの侵略者達から、特に狙われている星でもある。 だからウルトラマン達は、地球を守ろうと決めたのだ。 そうして人間達を守る戦いを続けていく内に、ウルトラマンとして何が大切なのかを知る事ができる。 それこそが、彼等の戦う理由であった。 だが、メビウスには……いや、これは全てのウルトラマンの思いだろう。 もっと重要な、戦う理由があった。 「それに……」 「それに?」 「僕達は、人間が好きですから。」 「……なるほど、ね。」 「勿論、人間だけじゃなくて……大切なもの全てを、守りたいと思っています。 困っている人がいるなら、その人を助けるためにウルトラマンの力はある。 僕はそう信じてます……だから、決めました。」 「え……決めたって?」 「ミライ君は、元の世界に戻る手立てがつくまでの間、私達に協力してくれるって言ってくれたんだ。」 ミライは、今回の事件に関して全面的に協力すると、リンディへと話を通していたのだ。 自分達を助けてくれた時空管理局の者達に、恩返しがしたいからと。 それに、もう一人のウルトラマン―――ダイナの事が気がかりであるからと。 前者だけでもミライにとっては十分な理由であり、加えて後者のそれもある。 ここで引き下がれというのが無理な話だ。 保護した民間人に戦闘をさせるというのは流石に気が引けたのか、最初のうちはリンディも遠慮していた。 しかし……ミライの積極的な申し出に、彼女も折れたのだ。 最も、局員ではないなのは、フェイト、ユーノ、アルフの四人が協力している時点で、今更な感はあるのだが…… メビウスの力は、確かに今後の戦いを考えると必要不可欠だろう。 闇の書側についているとされる謎のウルトラマンとの戦いには、最も彼が向いている。 なのはやフェイト達どころか、下手をすればアースラ最強の戦闘要員であるクロノさえも危ない程の強敵なのだから。
「さて……それじゃあ、フェイト。 そろそろ面接の時間だが……なのは、ミライさん。 二人も、僕に同行を願えないか?」 「……?」 「面接……うん、いいけど……」 なのはとミライの二人は、面接という言葉の意味がいまいちよく分かっていなかった。 聞く限りじゃフェイトの用事らしいのだが、それにどう自分達が関係するのだろうか。 不思議そうに、二人は顔を見合わせる。 そんな様子を見たクロノは、難しく考える必要はないと言い、部屋を出て行った。 三人は、彼の後についていく。 「エイミィ、面接って?」 「うん、フェイトちゃんの保護観察の事についてだよ。 保護観察官のグレアム提督と、まあちょっとしたお話。 なのはちゃんはフェイトちゃんの友人って事で呼ばれたんだと思うけど…… ミライ君は、まあ色々と大変な事情が重なってるからね。 多分、そこら辺の事に関してじゃないかな?」 「へぇ〜……」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「クロノ、久しぶりだな。」 「ご無沙汰しています、グレアム提督。」 そしてその頃。 クロノの案内によって、時空管理局顧問官―――ギル=グレアム提督の部屋に三人はついていた。 三人は椅子に座り、グレアムの言葉を待つ。 何処となく緊張している様子の彼等を見て、グレアムは少しばかり苦笑した。 その後、本題に入るべく、手元の資料を見ながら三人へと話しかける。 「フェイト君、だったね。 保護観察官といっても、まあ形だけだよ。 大した事を話すわけじゃないから、安心していい。 リンディ提督から、先の事件や、君の人柄についても聞かされたしね……君は、とても優しい子だと。」 「……ありがとうございます。」 「さて、次は……んん? へぇ……なのは君は日本人なんだな。 懐かしいなぁ、日本の風景は……」 「……ふぇ?」 「はは……実はね、私は君と同じ世界の出身なんだ。 私はイギリス人だ。」 「ええ!!そうなんですか?!」 「あの世界の人間の殆どは、魔力を持たない。 けれど希にいるんだよ、君や私のように、高い魔力資質を持つ者が。」 まさか時空管理局に、自分と同じ世界の出身人物がいるとは、思ってもみなかった。 驚き思わずなのはは声を上げてしまう。 するとそんな様子を見たグレアムは、彼女が予想通りのリアクションをしてくれたのを見て、静かに微笑んだ。 その後、彼は己の身の上話を話し始めた。
「おやおや……魔法との出会い方まで、私とそっくりだ。 私は、助けたのは管理局の局員だったんだがね。 それを機に、こうして時空管理局の職務についたわけだが……もう、50年以上前の話だよ。」 「へぇ〜……」 「フェイト君、君はなのは君の友達なんだね?」 「はい。」 「約束して欲しいことはひとつだけだ。 友達や自分を信頼してくれる人のことは、決して裏切ってはいけない。 それが出来るなら、私は君の行動について、何も制限しないことを約束するよ……できるかね?」 「はい、必ず……!!」 「うん……いい返事だ。」 フェイトの力強い返答を聞き、グレアムは安堵の笑みを浮かべた。 その瞳に、一切の迷いはない。 友達の為、大切な人の為に活動できる、強い意志が感じられる……この子はきっと大丈夫だ。 これで、片付けるべき最初の問題は片付けた。 残るは……来訪者、ウルトラマンについて。 「ミライ君だったね……君の話をリンディ提督達から聞かされた時は、本当に驚いたよ。 魔法の力も、君からしたら十分非常識ではあるのだろうが……今の私は、それと同じ気分だね。」 「確かに……僕も最初に皆さんの話を聞いた時は、少し驚きましたよ。」 「はは……君もクロノに呼んでもらったのは、君がいた世界に関してなんだ。 君がいた世界の捜索なんだが、実は私の担当になりそうなんでね。 事情とかは既に聞いているから、改めて君から聞く必要はないが……そういう訳で、挨拶をしておきたかったんだ。」 「そうだったんですか……グレアムさん、よろしくお願いします!!」 「こちらこそ、よろしくだよ。 それで、君の能力に関してなんだが……仲間の人達と連絡を取る手段はないのかな?」 「テレパシーは試してみたんですけど、通じませんでした。 一応、他にももう一つだけ方法があるにはあるのですが……それは、地球に着き次第試してみたいと思います。 ウルトラマンに変身した状態じゃないと、使える力じゃないですからね。」 「うん、分かった。 それと、もう一つ質問するが……気になる事があってね。 君が一戦交えた、あのもう一人のウルトラマンについてなんだが……分かる事は何かないかな? どんな些細な事でもいいから、教えて欲しいんだ。 捜索の鍵になるかもしれないからね。」 「はい……けど、残念な事にはなるんですけど……」 「残念な事……?」 「僕とあのウルトラマン……ダイナとは、初対面なんです。 だから、お互いの事は何も分からないんです。」 「初対面……? ミライさんも会ったことがないウルトラマンさんなの?」 「うん……」 ミライとて、全てのウルトラマンを把握しているわけではない。 実際問題、かつて地上に降り立ったハンターナイトツルギ―――ウルトラマンヒカリの事は知らないでいた。 それに、光の国以外にもウルトラマンは存在している。 獅子座L77星生まれであるウルトラマンレオとアストラがその筆頭である。 この二人のみならず、ジョーニアス、ゼアス……彼等の様な他星の者達も含めれば、数は相当なものになる。 いや、そもそも……それ以前にあのウルトラマンは、自分がいた世界のウルトラマンなのだろうか。 なのは達の世界にウルトラマンが存在していない以上、ダイナは必然的に別世界のウルトラマンということになる。 問題は、その別世界がはたして自分のいた世界と同じなのかどうかという事である。 異次元世界での戦いにおいて、次元の裂け目に落ちたのは自分とヤプールだけだった。 まさかダイナがヤプールな訳がないし、そもそもヤプールがあのダメージで生きているとは思えない。 そうなると……ダイナは、もしかしたら別の世界のウルトラマンなのかもしれない。 自分と同じで、何らかの方法でこの世界に来たウルトラマンなのかもしれないのだ。 これに関しては、本人から聞き出す以外……知る方法はないだろう。
「ただ、戦ってみて分かったんですが……ダイナからは、邪悪な意思は感じられなかったんです。」 「邪悪な意思が……?」 「僕は今までに二回、同じウルトラマン同士でのぶつかり合いを経験した事があります。 その内の一人は、憎しみに捕らわれた可哀想な人でしたが……あの人から感じたような、憎悪とかはないんです。 寧ろダイナは、レオ兄さんの様な……強い信念を持っているように感じられました。」 ミライが、ダイナとの戦いで感じた事。 それは、彼から邪気が感じられないという事実であった。 かつて彼は、ハンターナイトツルギとウルトラマンレオと、二人のウルトラマンと対峙した経験があった。 ツルギとのそれは、対決にまでは至らなかったものの、ミライにとっては忘れられない記憶であった。 目的の為ならば手段を選ばず、ただ復讐の為に力を振るうツルギから感じられたのは、圧倒的な憎悪だった。 ダイナからは、そんな憎悪の様な感情は一切感じられなかった。 寧ろ、ウルトラマンレオの持つ強い正義感に近いものが彼にはあったのだ。 レオがミライに戦いを挑んだのは、敵に破れたミライを鍛えなおす為であった。 強敵を打ち倒す為のヒントを、彼は戦いの中でミライへと授けたのである。 あの行動は、紛れもなく正義を貫く為のもの。 大切な故郷である地球を守り抜きたいという、強い想いによるものであった。 ダイナには、それがあった。 「そうか……クロノ、今回の事件に関しては……」 「はい、もう、お聞き及びかもしれませんが…… 先ほど、自分達がロストロギア闇の書の、捜索・捜査担当に決定しました。」 「分かった……ミライ君。 君はあのウルトラマンとは、この先間違いなく対峙することになる。 その時、君は彼を止められるかな?」 「……絶対とは言い切れません。 ですが、ダイナは話が通じない相手ではないような気がします。 だから何とかして彼の目的を聞き、それが悪いことでないのならば、僕は彼を助けたいと思います。 避けられる戦いは、避けたいですから。 でも、もしも彼に邪な目的があるなら、そうでなくとも彼が立ちはだかる道を選ぶなら……僕はダイナと戦います。 皆を守るために、ダイナを何としても止めてみせます。」 「そうか……いい目をしているね。 君ならば、きっと大丈夫だろう……分かった。 あのウルトラマンダイナに関しては、君が一番頼りになるだろう。 クロノ達と助け合って、最善の道を歩めるよう頑張ってくれ。」 「はい!!」 「私から、君達に話すことは以上だ。 ……クロノ、私の義理では無いかもしれんが、無理はするなよ。」 「大丈夫です……急事にこそ冷静さが最大の友。 提督の教えどおりです。」 「そうだな……」 「では、失礼します。」 四人はグレアムに一礼した後、退室していった。 理解のある人で、本当によかった。 ミライ達は、心からそう思っていた。 彼の心に答える為にもと、三人は精一杯の努力をする決意を固めるのだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はやてちゃん、お風呂の支度できましたよ。 ヴィータちゃんも、一緒に入っちゃいなさいね。」 「は〜い。」 同時刻、海鳴市。 八神家では、何てことない平和な日常の光景が見られた。 風呂が沸いた為、はやてとヴィータ、シャマルが三人で風呂場へと向かう。 シグナムはソファーに座って新聞を読み、ザフィーラは横になって寛いでいる。 そしてアスカはというと、テレビでやってるクイズ番組に夢中になっていた。 『ヘキサゴン!!』 『主にオーストラリアに分布する、その葉がコアラの主食として知られるフトモモ科の植物は何でしょう?』 ピンポンッ!! 『はい、つるの押した。』 『よしきたぁっ……笹ッ!!』 ブーッ!! 『え、何でだよ!?』 『……あのなぁ、つるの!! それコアラじゃなくてパンダやんけ!!』 「やっべ……俺も同じ事考えちまってたよ。」 「おいおいおい……」 「はは……シグナムは、お風呂どうします?」 「私は今夜はいい……明日の朝にするよ。」 「へぇ、お風呂好きが珍しいじゃん……」 「たまにはそういう日もあるさ。」 「ほんなら、お先に〜」 三人が風呂場へと入っていく。 その後、ザフィーラはシグナムへと振り返った。 彼女が何故風呂に入るのを拒んだのか、何となく理由が分かっていたからだ。 アスカも二人の様子を感じ取り、振り返る。
「今日の戦闘か?」 「聡いな……その通りだ。」 「もしかしてシグナムさん、どっか怪我を?」 シグナムは少しばかり衣服を捲り上げ、二人に下腹部を見せた。 その行動にアスカは一瞬顔を赤らめ、反対方向へと向いてしまう。 しかし、見たのが一瞬であったとはいえ、十分に確認する事は出来た。 彼女には確かに、黒い傷跡があったのだ。 それは、フェイトとの戦いによって着けられたものであった。 「お前の鎧を撃ち抜いたか……」 「澄んだ太刀筋だった……良い師に学んだのだろうな。 武器の差が無ければ、少々苦戦したかもしれん。」 「でも……きっと、大丈夫っすよ。 今日初めて戦ってるところは見たけど……シグナムさん、結構強そうに見えたし。」 「ふふ……それはありがたいな。 そういうお前こそ……互角の戦いぶりだったな。」 「はい……ウルトラマンメビウス。 あいつとは、また戦うことになるだろうけど……負けません。 次は、必ず……!!」 「ああ……我ら、ヴォルケンリッター。 騎士の誇りに賭けて……」 『おい……お前、アホやろ。』 「あ、つるの抜けた。 よかったぁ、ビリじゃなくて……何か俺、こいつに親近感感じるんだよなぁ。」 「……ビリとビリの一歩手前とじゃ、五十歩百歩じゃないか?」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「親子って……リンディさんとフェイトちゃんが?」 「そう、まだ本決まりじゃないんだけどね。 養子縁組の話をしてるんだって……プレシア事件でフェイトちゃん天涯孤独になっちゃったし。 艦長の方から、「うちの子になる?」って。 フェイトちゃんもプレシアのこととかいろいろあるし……今は気持ちの整理がつくのを待ってる状態だね。」 場所は時空管理局本局へと戻る。 なのははエイミィから、フェイトがリンディから養子縁組の話を受けたことを聞かされた。 この話は、とてもいいことだとなのはは感じていた。 無論、フェイトの気持ちの整理などもあるから、まだ先の話にはなるのだろうが…… 彼女達が親子となるならば、きっと上手くいくに違いないとなのはは思っていた。 そしてそれは、エイミィやクロノ達にとっても同様である。 (親子、か……) 二人の話を聞いていたミライは、昔の事を思い出していた。 自分も以前に一度、養子にして欲しいといってある人物を訪ねた経験があった。 相手は、今のこの姿―――ヒビノミライとしての姿のモデルとなった人物の、父親である。 彼はミライと暮らすことは出来ないと、その申し出を拒否した。 しかし……ミライが進むべき道を、はっきりと示してくれた。 彼の協力がなければ、今の自分はなかった……そう思うと、やはり感謝すべきだろう。
「さて……皆、揃っているわね。」 噂をすればなんとやら。 丁度、フェイトとリンディの二人が部屋へとやってきた。 それを合図に、騒がしかった室内が一気に静かになる。 今この部屋には、アースラクルーの者達が勢揃いしていた。 今回の事件に関しての説明が、これから行われるのである。 「さて、私たちアースラスタッフは今回、ロストロギア・闇の書の捜索、および魔導師襲撃事件の捜査を担当することになりました。 ただ、肝心のアースラがしばらく使えない都合上、事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになります。 分轄は観測スタッフのアレックスとランディ。」 「はい!!」 「ギャレットをリーダーとした、捜査スタッフ一同。」 「はい!!」 「司令部は私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん、ミライさん、以上4組に別れて駐屯します。」 各々の役割分担について、リンディが説明し始めた。 地上におかれる司令部には、リンディ達五人が駐屯する事になる。 そして、その肝心の司令部の場所はというと…… 「ちなみに司令部は……なのはさんの保護をかねて、なのはさんのおうちのすぐ近所になりまーす♪」 「えっ……!!」 「……やったぁっ!!」 なのはとフェイトは顔を見合わせ、満面の笑みを浮かべた。 その様子を見て、アースラクルー皆も笑顔を浮かべる。 今回の事件は、なのは達の世界が中心だからそこに司令部を置くのは当然のことではあるものの。 中々、リンディも粋な計らいをしてくれたものである。 早速引越しの準備ということで、皆が動き始めた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「うわぁ……すっごい近所だぁ!!」 「ほんと?」 「うん、ほらあそこ!!」 翌日。 なのは達は、司令部―――高町家から凄く近い位置にあるマンションにて、引越し作業の最中であった。 なのはとフェイトの二人はベランダから、外の風景を眺めている。 ミライはエイミィやクロノ達と一緒に、荷物の運び込みをしていた。 するとエイミィは、ある事に気付いた。 ユーノとアルフの姿が、人間ではない……動物形態へと変化していたのだ。 「へぇ〜、ユーノ君とアルフはこっちではその姿か。」 「新形態、子犬フォーム!!」 「なのはやフェイトの友達の前では、こっちの姿でないと……」 ユーノはフォレットへと、アルフは子犬へとその姿を変えていた。 二人とも、正体を隠しておかなければならない事情があるために、動物形態を取っていたのである。 そこへとミライもやってきたわけだが……そんな二人の姿を、彼はじっと見つめていた。
「ミライさん、何か……?」 「いや……今凄く、二人に親近感が沸いちゃったから。 正体を隠す為に変身する……分かるよ、その気持ち。」 「あ〜……そういえば、似たような身の上だったわよね、あたし達。」 「わぁ〜!! ユーノ君、フェレットモードひさしぶり〜!!」 「アルフも、ちっちゃい……」 「あはは……」 なのははユーノを、フェイトはアルフを抱きかかえた。 するとそんな時、クロノから二人の友達が来たと言われ、二人は玄関へと走っていった。 リンディも折角だからと、一緒についていく。 その後、なのは達はフェイトの歓迎会の為に、リンディは挨拶の為に、翠屋へと向かっていった。 「早速仲良しですね、フェイトちゃん達。」 「前々から、ビデオメールとかはやってたからね。 初対面って言うのとはちょっと違うし……あれ?」 「エイミィさん、どうしたんですか?」 「あはは……艦長ったら、忘れ物しちゃってるよ。 これ、フェイトちゃん達に見せてあげなきゃ……ミライ君、折角だし届けてもらっていいかな?」 「はい、いいですけど……これって?」 「フェイトちゃんにとっての、最高のプレゼントだよ。」 ミライはエイミィからある小包を受け取った。 その中身が何なのか、それを聞くとミライも笑みを浮かべた。 きっとフェイトは、喜んでくれるに違いないだろう。 駆け足で、ミライはフェイト達を追いかけていった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ユーノ君、久しぶり〜♪」 「キュ〜」 「う〜ん……あんたのこと、どっかで見た覚えがあるような……」 「ク〜……」 「にゃはは♪」 翠屋の前のオープン席で、なのはとフェイト達は、友人のアリサ=バニングスと月村すずかの二人と過ごしていた。 ユーノとアルフも混じって、楽しげに四人は会話をしていた。 すると、そんな最中だった。 なのはは、小包を持ってこちらに近づいてくる人物―――ミライの存在に気付いた。 「あれ……ミライさん?」 「あ、いたいた。 フェイトちゃん、これリンディさんからの贈り物だよ。」 「え、私に……?」 「なのは、この人は?」 「初めまして、僕はヒビノミライって言うんだ。 お仕事の都合で、しばらくの間フェイトちゃんの家でお世話になってるんだ。」 「へぇ、そうなんですか……」 「ミライさん、これって?」 「開けてごらん。」 ミライに促され、フェイトは小包を開けた。 すると、その中にあったのは、最高のプレゼントであった。 なのは達三人が通っている、聖祥小学校の制服であった。 これが意味する事は、一つしかない……彼女達は、たまらず声を上げた。 その後、フェイトは店内でなのはの両親へと挨拶をしているリンディの元へと走っていった。 なのは達三人も、その後に続く……その後姿を、ミライはしっかりと見守っていた。 (……世界が違っても、やっぱり同じだ。 僕は、あんな笑顔を守りたい……兄さん達には少し悪いけど。 問題が片付いて、元の世界に戻れるようになるまで……精一杯、頑張ろう。 皆と一緒に……!!)
以上、投下終わりです。 原作に所々、ウルトラマンネタは混ぜて話を進めてゆきました。 アスカとの人のネタに関しては「これはアウトか?」と思いつつも、やりたかったので思い切っていきました(^^; 次回からは、オリジナル色が更に強くなっていくと思います。 予断になりますけど、先日、来秋公開のウルトラマンの新作映画情報を見て、正直噴きました。 まさかティガが、ウルトラ兄弟達と正史で競演になろうとは…… これだけでも驚きましたけど、更に驚いたのはこの後。 何と、同じく平成のウルトラマンであるガイアと……そしてダイナまでもが、出演の可能性があるということです。 ロケ現場で、中の人を目撃したって情報がありましたから…… メビウスの様な一部の例外を除けば、平成組と昭和組は絡まないって思ったからこそダイナ登場に踏み切れたけど…… 書き始めて間も無くこれって、狙ってやりやがったのかよ円谷(苦笑)
どんなに平成組が出てきてもウルトラ兄弟って言い方崩さなかったしねぇ・・・ ナイスまで出てきたりしてなw おっと忘れてたGJです・・・夜中に無茶しやがって・・・
GJ! 最新作のウルトラセブンは人気があるような、ないような 深夜だからなのでしょうかね? クロスしてなのはに頭冷やされそうな連中(敵役は当然除外)はどんなのがいるのだろう? モモタロス:クライマックスフォームの外道ぶり(両肩と胸への攻撃は痛くないから避けない)をやったら頭だけを冷やされる ダンテ:週休6日の自宅警備員というあまりのダメニートぶりに、とりあえず働こうか? アマ公:悪戯が度をすぎてこらしめようとするけど、神速の逃げ足で逃げられる
夜天の王Vs夜王とか思いついた お互いリーダーとして動いてるし 大切な人を失ったことのある人間だから 案外面白いかなと思ったがはやて19やんけ さすがにホストで素面はないな 鋼鉄の咆哮の世界でデバイスを戦艦に設計して艦隊戦を挑んだりとか 超巨大砲搭載航空戦艦 レイジングハート接近(艦載機 アクセルシューター) 超高速近接専用戦艦 バルディッシュ出現 超巨大時空航行艦 アースラ接近 超巨大ガジェットドローン搭載空母 ゆりかご発進 後はスカが演説中にタイガー・ジェット・シンが乱入 サーベルで斬られる映像がミッドチルダのお茶の間に流れたとか さよならスカリエッティとか替え歌ぐらいしか
>なの魂 これはなんという壮大な物語を予感させるプロローグ。期待せざる得ない。 どうやらまだヴォルケンズも登場していないみたいですが、はやてとの初の交流はもちろん、奴らと遭遇した時の銀さんたちのリアクションも楽しみですねww しかもこの流れだと定春まで一緒に世話になるのか? はやてをはさんでヴォルケンズと銀さんファミリーの騒動が容易く想像できるwww
GJです 名前が出てないウルトラマンでメビウスの知らないウルトラマンというとグレート、パワード、21、ネオス、ノア、マックス辺りですね グレートとパワードは最終話で分離してるから、どうにかしてジャックとカイの両名を出せば、出せるかも知れません再開エピソード付でね 当面のボスが入ないなら、同じ円谷プロの作品のファイヤーマンはどうだろうか、ラスボスと宇宙に消えてるし、出しても違和感ないと思うが
>>なの魂 これはすごく期待しています がんばってください
>>なの魂の人 GJです!!もの凄く期待しながら応援します。
>>なの魂の人氏 GJです ちょ、高町兄妹なんという素晴らしき連携技… …これは面白いSSを期待せざるを得ない… >>ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏 GJです 正体を隠すために変身って…そういえばユーノとアルフもそうでしたね… ヘキサゴンネタで思い切り吹いたのは特秘事項w
>>ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏 2008年公開予定の新作ウルトラマン映画は昭和ウルトラマンと 平成ウルトラマンの競演だそうですから、ネタをちょっとだけ 先取りしてますね。 公式サイトを見ると少なくともウルトラマン・セブン・新マン・ エースとティガは出るようです。もしかするとダイナとメビウス も本当に競演するかも…
>>99 ティガは古代の光の巨人だったけど(本来は闇だったっけ?
どういう設定で昭和の光の国のウルトラマンたちと競演するのだろう?
まさか、本編でやってた時空飛ばしとかなのだろうか
>>91 ウルトラマンネタで思い出したけど
ウルトラマンじゃない方のネオスは真っ先に頭冷やさないとな
主人公が暴走して虐殺を始めた一因を担っているといわざるを得ない
>>91 電王見てないから、最初のは知らんが後者二つはなのはが瞬殺されるレベルの実力者だぞ……。
というか後者二人って世界救った英雄だよな……しかもダンテは何度も救ってる。
久しぶりに「リリカルなのはVS厚生省 」の新作を投下させていただきます
昭和57年10月22日作戦決行二時間前 アースラ 「クロノ」 自分の名を呼ばれ振り返る 「フェイト―なんだい?」 フェイトは気まずそうにクロノの左腕を見る。前の作戦でAMFとプログラム破壊型の 電磁情報でBJの左袖が消失し一発のライフル弾が貫通したのであった 「シャマルの見立てじゃ骨にダメージは無いみたいだから一両日で回復するさ」 「―っ、でも私のせいで大事な情報が―」 反論しようとするフェイトに 「いいかい怪我は君のせいじゃない!僕のミスだ!――彼等は強い、甘く見ていると今度は誰か死ぬことになりかねない」 「ごめんなさい…」 「…いや、ちょっと言い過ぎた。大丈夫現場には出られないけどさっさと終わらせてみんなで翡翠屋で打ち上げをしよう」 クロノはフェイトの頭を優しくなでるとさっきまで曇っていたフェイトに笑顔が戻った 昭和57年10月22日午後9時45分 作戦開始 そこには現場の指揮を取る八神はやての姿があった 「いくでなのはちゃんフェイトちゃんシグナム3・2・1」 「「「GO!!!」」」 当初の作戦通り建物の制圧を後回しにしAMF発生装置の破壊に重点を置くことを再度、念話で簡潔にメンバーに通達する 「……なぁシャマル、確か清掃車って…」 目標を目前にヴィータはシャマルに問いかける 「えぇぇっと…確か…」 確かに清掃車である上部の「重機関銃」と「追加装甲」を除いて 「散れっ!」「てぇっ!!」 どががが!! 銃身が唸りを上げる 「主はやて!清掃車両から銃撃を受けています!!目標も逃走!」 「そっちも!?フェイトちゃんとことおんなじ使用やな」 「はやてちゃん!!」 なのはかから念話が入る 「こっちは順調!ディバインシューターで追撃中…チャンス!スターライ…え?」 「どないしたんや!?」 「ひ・非常識、おなか見せてるのに銃身がこっちむいて…」 航空機から光が瞬き―― ガララララッ!! シールド魔法を展開しぎりぎりでなのはは防ぎきった 「うぁ…みんな手間取ってるなぁ。せやけど…まだAMF発生装置が作動してへん今のうちに…」 どかん!! フェイトが追っているAMF発生装置の方角で爆炎があがる!! 第一段階が成功したかに思えた 「はやて!想定外の事態が!!」 「どないしたん!?」 「所属不明の装甲車が施設内に進入しAMF発生装置を破壊!」 同時にハウンドも動きを見せる 建物から部隊を一斉に展開させ隊長の矢島から全周囲の無線が入る 「我々は貴官達との戦闘を一方的に破棄し本来の目標『化け猫』との戦闘を開始する。邪魔をするな」 「うちらは眼中に非ずか…」 はやては一人、悪態をつきつつ各班に新たな指示を出す 「AMF発生装置はうちらの獲物や。それに本をただせば『化け猫』が一番悪いんや!!目標一時変更っ! 目標「化け猫の装甲車」!!」
メル欄にsageと入れていただけると助かります支援
>>95 ジャンボーグAも出せば、円谷プロ10周年記念作品が全てそろいます
タロウにミラーマンのゴルゴサウルスと言う怪獣が出たから、ミラーマンも出しても良いかも、前々ウルトラマンに関係ないけど、数話限りのゲストなら良いかも
もし、グレート、パワード出すなら、最初の相手はゴーデス、新バルタン星人で・・・・出すなら、メビウスの行方不明の調査に出て、再開と言う形かな
>>101 アニメのダンテは魔界を二分していたといわれる魔王を魔力放出1秒で瞬殺
アマ公は異世界にも名を轟かす神だからな(高天原と中つ国は違う次元世界
>なの魂 銀さんと石田先生のつながりかたに激しくワロタ
>>103 メル欄にメルアドっぽいものを打ち込んで2chにあげるやつ初めて見たwww
>>108 だまされるな、これは罠だ
メールを送ったら最後、狩られるぞ
カレーを
白い悪魔と兎 このスレの住人は何を想像するだろうか。
なのはさんとホワイトラビット@ARMSに一票 さて、今日中の投下目指してNANOSING執筆続けるか…
>>110 マークザイン@蒼穹のファフナーとキティ・ザ・オール@ばいばい、アース。ウブカタいいよウブカタ。
……竜宮島帰還した時のザインの一人スーパーロボットっぷりは異常。
「あの武器は!?」
「マークアハトの、ガルム44の筈ですが……!?」
「何という威力だ……!」
「……ルガーランスが!?」
アマ公と弓神を思い浮かべた俺はまちがいなくカプコン厨 そういえば、筆神分神は守護騎士みたいなものか? どちらかというと死んだ時に分かたれた能力そのものが意思と形を持ってしまったというイメージなんだが…
準備完了。見直し完了。5分後に投下。許可をください。 HURRY! HURRY HURRY!! HURRY HURRY HURRY!!!
>>110 今日最速放送された夜闇の魔法使い第4話
>>120 Cake is lie
だれも拒む理由などありません。支援します
「見ろ、あのありさま。身震いするほど禍々しくておぞましい」 椅子に座って足を組み、少佐が笑って言う。近くにいるドクや大尉に言い聞かせるように。 「あれが我らの望むべきものだ。死と生の上でダンスを刻む者。狂気と正気を橋渡しする存在だ。 あいも変わらずの元気そうで何より。暗闇から来訪した我らと同類の『人でなし』。死にぞこないの戦友(カメラード)吸血鬼殿」 「しかし、こうまで独断専行してしまうとは少佐殿。今頃『オペラハウスの御老人方』はさぞやお怒りでしょうな」 『オペラハウスの御老人方』とは何者か、それはこの場にもこの物語にもほとんど関係ないので置いておこう。 ドクが少佐をたしなめるように言うが、少佐はそれを意に介すことなく言葉を返す。 「怒らせておけばいいさ。御老人方に我々を止めることなど出来るものかよ」 「左様で」 「誰にも止めさせるものか。いや、もう誰にも止まるものか。 戦争交響楽が聞こえる。あの懐かしい音が。阿鼻と叫喚の混声合唱が」 第六話『ELEVATOR ACTION』(5) 「さあ、出てこいよ」 愛用する二丁の拳銃を手に、ホテルの門の前でアーカードが呼びかける。このホテルに特殊警察を投入し、戦場にした張本人がその対象だ。 「前菜を食い散らかすのにはもう飽きた。それともみんな死んで真ッ平らになるのか」 挑発するように言うが、何も反応がない。その様子にアーカードが再び呼びかけようとする。 が、まるでそれを阻止するかのように警官隊の後方から足音がカツカツと響く。人の波を抜け、現れたのは色黒の白スーツを着た髭の男性。 アーカードの前で立ち止まると恭しく一礼し、口を開いた。 「いやはや、全くもってお見事な食事ぶり。さすがはさすがはかのご高名なアーカード氏でありますなァ!」 報道ではJ・H・ブレナーとなっていた彼の正体を知っている。間違いなく先日の吸血鬼と同じ何かだ。 そう思っているアーカードに対し、白スーツ男がスペードのAを手に自己紹介を始めた。 「私の名前はトバルカイン・アルハンブラ。近しい者からは『伊達男』と呼ばれています」 自己紹介を聞いたアーカードが、右手の指を上へ…自身が放り投げ、はやにえ状態にした警官隊の死体へと向け、トバルカインへと聞く。 「お前があの哀れな連中を差し向けたのか?」 「ああ、あのかわいそうな連中か」 口ぶりから察するに、トバルカインも警官隊を知っているようだ。ただし、かわいそうな連中としか思っていないようだが。 相変わらずスペードのAを持ったまま、口に煙草を銜えて笑顔で答えた。 「馬鹿な上官を持ったが故にあのザマだ。連中、部下が皆殺しになっても欲しいのだ。永遠の命ってのがね」 「救えぬ馬鹿共だ。永遠なぞというものはこの世には存在しない」 「そんな哀れな連中でも私のわずかに役に立った。ご自慢の特製弾丸はあと何発かなアーカード君」 「能書きはいい。で、どうする伊達男」 アーカードがそう言うと同時に、スーツの下から、スーツの袖から、大量のトランプを出すトバルカイン。 どこからどう見ても正規のトランプの枚数52枚を遥かに超えている。おそらく複数セット揃えているのだろう。 何のつもりかと思いながらカスールを構えるアーカード。だが、その腕もろとも大量のトランプがカスールを飲み込んだ。 「君の命は我々が『もらう』。君は我々の取るに足らない資料(サンプル)の一ツとして列挙される時がきた。我々(ミレニアム)によって」 トバルカインがそう言うと同時に腕を振るい、それに合わせて無数のトランプが炸裂。爆発したかのような音と衝撃をもたらした。 土埃が巻き上がり、ホテルのドアと壁がバラバラに切り裂かれる。こんな芸当ができるのはよほどの高ランク魔導師か、あの化け物…吸血鬼しかいない。 それを見た警官も、野次馬も、これで生きている人間などいないと思っているし、実際に人間ならば死んでいただろう。
「成程、成程。そうか。全くもってどうしようもない連中だ。お前たちだったのか」 …そう、人間ならば…だ。 ひどく今更な感じがするが、アーカードは吸血鬼である。人間ならば死ぬような今の攻撃でも、今のように頬への切り傷だけで済む。 土埃が晴れた場所には、右の頬から血を流しながら、何かを理解したかのように言葉を紡ぐアーカードがいた。 「ならばこの私が相手してやらねばいけないのは全く自然だ。一度亡ぼされたくらいでは何もわからんか」 「なあ、今あのホテルの中どうなってんだ?」 「ん?今頃は突入部隊の連中がテロリスト共を全滅させた頃だろ?」 現場の裏の空き地では、警官が2人ヘリの守りについている。この状況で守りなど必要なのかと疑問に思うが、それは突っ込んではいけない。 裏からでは何が起こっているのか分からないのか、呑気な会話をしている。何が起こっているのかも知らずに。 …と、警官の一人がすぐ近くをうろつく青髪の少女――言うまでもないだろうが、スバルだ――を見つけた。当然不審に思い、話しかける。 「何やってんだ、嬢ちゃん」 「あ…この辺り散歩してたら迷子になっちゃって…その…」 なんだ、ただの迷子か。そう思ったのか、警戒の色が一気に薄まった。 「…あー、分かった分かった。とりあえず近所の交番まで送ってってやるから」 仏心を出したのか、警官が交番まで送ろうとする。それに対してスバルも答えた。 「あ、ありがとうございま…」 どちらの警官からも死角になっている位置から拳を構えるスバル。そして… 「すッ!」 渾身の力で右拳を振るう。いきなりの事で警官の反応が遅れ、その結果なすすべなく鳩尾に直撃。そのまま意識を手放した。 もう一人の警官が驚き、一瞬動きが止まる。その隙を突き、アゴめがけて左の鉄拳。 「このガキ!」 スバルを捕らえようと、警官が動く。だが先ほどの一瞬の停止は大きかった。 警官がスバルを捕らえるより半瞬…それこそ先ほど止まっていた時間の半分ほど早く左の拳がアゴに突き刺さり、その結果脳震盪を起こして昏倒。 今やったことは人の好意を踏みにじる行為だ。それを理解しているスバルは倒れた警官に向かい、聞こえないであろう謝罪を口に出した。 「…ごめんなさい。あ、ヴァイス陸曹。こっち準備できました」
対峙する二人の吸血鬼。切り傷の塞がったアーカードは銃を手に、トバルカインは自身の得物…大量のトランプを周囲に散らしている。一触即発とはこのことを言うのだろう。 先に動いたのはトバルカイン。右手をブンと振り、それに合わせてトランプも動く。 ホテルの壁に、トランプによる二つの爪あとが入る。アーカードはその隙間に飛び込んで回避。着地箇所はトバルカインから見て野次馬のいる方向。 だがトバルカインはかまわずトランプを飛ばす。運悪く軌道上にいた一般人が真っ二つに切り裂かれ、絶命。 アーカードも負けじとカスールを連射。射線上の警官隊に大穴を空けながら、トバルカインを葬らんとする。 銃弾とトランプの応酬である。アーカードがカスールを放てば、トバルカインがトランプを炸裂させる。トバルカインがトランプを投げれば、アーカードがジャッカルを撃つ。 どちらも相当の回数の攻撃をしているが、未だどちらの攻撃も決定打にはなっていない。ならば外れた攻撃はどこに行った? …答えは簡単。罪無き一般人や警官、報道陣への流れ弾となり、その命を奪っているのである。 「AAAAAH!」 「AAAAAAAAAAAH!!」 一般人への被害が広がり、悲鳴と断末魔のオーケストラが響き渡る中、ついにアーカードの銃弾がトバルカインを捉えた。 トバルカインの頭の右半分が吹き飛び、決まったかと思われた…が、次の瞬間トバルカインが笑みを浮かべ、体が無数のトランプへと変わった。 これはダミーだ。そう理解したが時既に遅し。ダミーに使われたトランプがそのまま攻撃となり、アーカードの右肩を袈裟懸けに斬った。 「かかった」 野次馬の中から、本物のトバルカインがニヤリと笑いながら現れる。やはり先ほどのはダミーだったようだ。 ギャンッ! 轟音。それとともにアーカードの姿が掻き消える。アーカードがいた位置には足跡と煙が巻き起こっている。 慌ててホテルの方を向くトバルカイン。そこには先ほどの傷から血を流すアーカードの姿が。そのまま物凄い速度で壁を登り、屋上へと駆け抜けていった。 「逃がしはせん」 アーカードとは違ってフワリといった感じで跳躍し、トバルカインも同じように壁を駆け上る。アーカードへと完全に止めを刺すために。 「はははははは!吸血鬼アーカード、なんのこともあらん!」 アーカードが壁を駆け上がっている頃。スバルとヴァイスはヘリを動かす準備をしていた。 「基本的なトコはミッドのヘリと同じか…ん?どした?」 「え?あ、いや…」 スバルが何かを見たのだろうか。先ほどから落ち着かない様子だ。 …まあ、ティアナとヴィータが屋上にいることと、吸血鬼二人が屋上へと駆け上がったのを知っている読者の皆様には大体想像はつくだろうが。 「…行ってみるか?」 スバルの考えていることを理解したのか、不意にヴァイスが言う。 その当のスバルはというと、吸血鬼二人が屋上へと駆け上がったのを見て気が気でなかった時にこの問いだ。一瞬意味を図りかね、首をかしげる。 「気になってんだろ?屋上で待ってるっていうティアナ嬢ちゃん達の事が」 「え、でも…」 「心配すんな。このくらい俺一人でも何とかなるからよ」 「…はい!」
ヴァイスの心遣いに感謝し、マッハキャリバーを起動。ウイングロードで一気に屋上まで駆け抜けていった。 残されたヴァイスはヘリのエンジンを動かすと、ヘリの無線のスイッチを入れて連絡を取る。相手は別行動中のベルナドットだ。 「ベルナドット、聞こえてんな?ヘリは準備できた。これから迎えに行くから、脱出の準備しとけよ?」 その頃、警察の指揮テントの中。 「デイロ分隊、ダリガン分隊、ヤナラン各分隊応答せよ!各分隊誰か出ろ!後方!支援どうした!!」 現在、こちらでは大混乱が巻き起こっていた。理由は言うまでもない。部隊の壊滅である。 オペレーターがなかば悲鳴と化した通信を各分隊へと送り、周囲ではざわめきが巻き起こっている。 そんな中、上層部の二人が他の警官とは無関係な話をする。トバルカインの話題、そして彼との「永遠の命」の約束の話題である。分隊がいくつも壊滅しているというのに、いいご身分である。 「トバルカイン殿が交戦中とのことだ」 「ばッ、馬鹿な!彼にもし何かあったら、我々との約束はどうなる!?」 ざわめきの中、突入部隊の装備を纏った男が現れ、テント内の注意が一斉にそちらへと向いた。 「あッ、あのー、大変です。あのぅ…その…」 一発の銃声が鳴る。普通より小さい音なのは、サイレンサーが付けられているからだろう。 最初の弾丸が上層部の男の頭を吹き飛ばし、それを皮切りに次々と射殺。状況を飲み込んだばかりのオペレーターへも平等に弾丸を撃ち込んだ。 銃を撃った男が仕上げと言わんばかりにC4爆弾を置き、テントを後にする。そしてその男…ベルナドットがマスクを外すのと同時に爆発。生き残っていた警官隊もまとめて消し飛ばす。 最後に煙草で一服し、さらに発砲。脱出の障害である警察がいなくなったところでぼそりと呟いた。 「給料分にはまだちょっと足りないかな。じゃあチョッパーといこう!」 そう言い終え、その場で待つこと1分。ヴァイスの運転するヘリが飛来し、ベルナドットへと近づいてきた。 「…お、来たか」 屋上にたどり着いたアーカードが、息を荒げながら休んでいる。先ほどのトランプ攻撃のダメージが尾を引いているのだろう。 その証拠に、普段なら既に完治しているであろう怪我が一向に塞がらず、血も止まらない。 だが、そのような大変な状況であるにもかかわらず…アーカードは笑っていた。 「血が止まらない…ただのトランプでも能力でもないようだな。面白い、面白いぞ。 あはは、あはははは、はははははははは。あいつらだ、あいつらだ。ひどくおもしろいぞ」 笑っている間に、アーカードのすぐ後ろに何かの激突音と衝撃。 アーカードにはそれが何なのかは見なくとも分かる。トバルカインが追いついたのだ、と。
「準備はいいですかねアーカード君。故郷に帰りたまえ。うるわしの地獄の底へ」 「ふッ、ふはは。くはははははッ」 「何がおかしい?」 この状況で笑うアーカードに対し、その意図を図りかねたトバルカインが聞く。これほどの重傷を負っているのに、なぜ笑えるのかを。 その問いに対し、体から闇を物質にしたようなものを放出しながら答える。これがアーカードの体から出ていると言うことは…拘束制御術式を解除した、という事なのだろう。 「とてもうれしい。未だおまえ達のような恐るべき馬鹿共が存在していただなんてな。 『ミレニアム』、『最後の大隊』、そうか、あの狂った少佐に率いられた人でなし共の戦闘団(カンプグルツペ)。まだまだ世界は狂気に満ちている」 「さあ行くぞ、歌い踊れアルハンブラ。豚のような悲鳴を上げろ」 TO BE CONTINUED
投下終了です なんかスバルがひどい人になってしまった…やっと数話ぶりに出番回ってきたのに… だが私は謝らない
GJ!
>>129 スバルも大分地球に馴染んできたってことっすよ!
>>75 なの魂氏GJ!
うおっ、ここの世界では日本は天人に占領されているのですか。
いや、それにしてもこれこそ銀さん達だw
>>129 リリカル龍騎氏も乙であります!
しかし、ここのスバルの割り切りの早さは間違いなくHELLSING勢の影響ですねw
そして他の職人さん方にも多大なるGJを!
それにしても相変わらずティアナは夢に向かって一直線だな。
>NANOSING うーん、GJだけじゃアレなんで、ちょっと前々から思ってた感想をば。 ちょっと原作通りすぎるような気がしますね。セラスの位置にティアナが来てるだけで、特にストーリーに影響はないし スバルなんて完全に役柄が余ってる印象を受けます。 面白いけれど、これは原作が面白いからであって、クロスオーバーしている意味があまりないように感じました。
AWACS 《住人諸君、久しぶりに投下作戦だ・・・・用意はいいか?》
>>133 …やっぱり、そう思いました?
正直言うと、俺も少し前からそう思ってはいたんですが、
どう直せばいいか見当つかずここまでダラダラと…
さて、どうするべきか…
>>134 HURRY! HU(ry
今回は前半パートのみで 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【4】戦域攻勢作戦計画4101号 JUGGERNAUT その情報はベルカ空軍でも限定されたネットワークを駆け抜けた。 公式には存在を知られていない。というより同じ職業内での内輪つながりにちかい。 レクタやゲベートといった諸国と対峙する東部戦線にもその話はネットワークに乗って届いていた。 戦線は全面的に優勢であり、ここの空を護る第7航空師団の各飛行隊は比較的少ない損耗でソーティを繰り返していた。 「オベラート 出頭しました。」 「早速だが、大尉。君には頼りにしていなかった者に実は頼りきっていたという経験はあるかね」 ごく普通の庶民の家に育ち、士官学校から地道に昇進してきたオベラート大尉はごくごく常識的な意見を述べた。 「我々は常に無意識で誰かを頼りきっていますよ。違いますか?」 「確かにな。 だが、意図的に疎外していた者に実は大いに頼っていたという経験は?」 「は? 個人的にはありません。・・・そうしたことがないように心がけてはいますが・・・」 オベラートはこの敬愛する上官の話の意図がさっぱり読めなかった。 「第10師団のベルンハルト=シュミッドを知っているな?」 「TOPエースだが厄介者。グリューン隊の隊長ですね」 「厄介者だがTOPエースだ。その彼が落とされた」 微妙な言い換えに驚いたオベラート大尉の眉が軽く跳ね上がる。上官はその出自から考えるよりも現実主義者らしい。 「驚きですな。円卓でしょうか?」 「だが、驚くのはそれだけではない。彼の率いるグリューン隊の全機やられた。全機だぞ?」 グリューン隊の連中は軍の誇りや規律といったものに無頓着な男達だが、腕前はTOPクラスで軍上層部にも実績で黙認させるという力量だ。 「B7Rに侵入した小癪な偵察隊を排除しようと交戦状態に入ったことまでは確認されているが、4機ともレーダーからロストしている」 「相手はどこです?」 「不明だ。 だが、勘でいうなら、おそらくウスティオの連中だ」 二人ともウスティオ軍が土壇場で体制を立て直して反撃にでていたことを覚えていた。 だが、オベラートは今回の呼び出しとどういう関係があるのだ?との疑問を拭えなかった。 表情に表さなかったが、オベラートの思考を呼んだらしく、中佐は本題を切り出した。 「そこで我々が、増援として南部・西部戦線を担当する。頼りにできるのは藍鷺しかいないとの泣き落としだ。移動の準備をしておけ」 「はっ!」 「今まで円卓の切り札をグリューン隊に頼りきっていたという事実を誰も直視しようとしない。こまったものだな? 大尉」 生まれながらの貴族らしい些か尊大なジェスチャーでディミトリ=ハインリヒ中佐は部下のオベラート大尉を下がらせた。
>>134 支援します。このプロセスが完了したさいにはケーキを(ry
ウスティオ及びオーシア合同による大規模な教導作戦計画の実行が決定した 両軍を総称した戦略的軍事機構を『連合軍』と正式命名 本共同作戦計画を『戦域攻勢作戦計画4101号』と呼ぶ 本計画の主目的は連合軍の水上輸送と確保である 我々連合軍が輸送路を確保するためにはフトゥーロ運河周辺を占拠するベルカを一掃せねばならない。 今回の大規模な教導計画上 諸君らには参加作戦の選択権を与える 戦域攻勢作戦計画4101号は 3つの局地的航空作戦任務で成り立っている 1つを『ゲルニコス作戦』と呼ぶ 本作戦は ベルカ航空部隊及び港湾施設 地上兵器を殲滅する 対地・対空攻撃任務である 1つを『ラウンドハンマー作戦』と呼ぶ 本作戦は ベルカ艦隊と港湾施設 地上兵器を殲滅する 対地、対艦攻撃任務である 1つを『コスナー作戦』と呼ぶ 本作戦は オーシア第3艦隊を中心とする 艦船の護衛任務である 艦隊には 試験航行を目的とした 最新鋭空母も含まれている 何れの作戦でも ベルカ軍の激しい反撃が予想される 参戦作戦の決定は慎重に行え 以上だ。 ブリーフィング中につき、なのはの耳元でフェイトが囁いた。 「魔犬さんはどうするの? なのは」 「そうだね。 まずは妖精さんに聞いてみるよ」 フェイトからの問いかけには保留しておいて、なのははピクシーに耳打ちした。 「ピクシー、どう思います?」 「『コスナー』はナシだな。行動を制約される護衛任務よりも攻撃的任務だ。で、獲物はデカいほうがいい。となるとサイファー?」 ピクシーはどこか気難しさを感じさせる笑いをみせながら、なのはの意見を聞きたがった。 なるほど、コスナー作戦では運河を抜ける艦隊の上空防衛が任務となる。そうなれば 戦術行動はおのずと制約される。航空機や地上部隊は重要な攻撃目標かもしれないが、 大きな獲物とは言い難い。『ラウンドハンマー作戦』でベルカ艦隊を叩けば報酬も期待できる。 「そうですね。それでいきましょうか」 「待て待て慌てるな。稼ぎの事も考えろよ。『ラウンドハンマー』に参加しそうな面子を考えてみろ」 なのはがブリーフィングルームを見渡すと、そこには攻撃機F−1を駆る狼、ルー・ガルー隊、リカントロープ隊の面々も揃っていた。 「あの連中のASM攻撃はちょっとしたものだ。さすがに俺達じゃあれの真似はできないぞ?」 F−1部隊の長射程対艦ミサイルとガルム隊の通常爆弾とでは、得物の差が大きすぎた。 残る「ゲルニコス作戦」の対地対空攻撃とは何とも中途半端なものだが、 「ラウンドハンマー」ほど味方の中で出遅れる心配は少なくて済むし。「コスナー」の艦隊防空よりも行動の自由が利く。 「ということで『ゲルニコス』に参加するよ」 「そっか・・・『コスナー』には参加しないんだね」 微妙に残念そうな顔をするフェイトだが、 できるだけカバーするように頑張るとのなのはの言葉で随分と明るくなった。 このところ、一緒に行動していないというのはフェイトにとっては個人レベルで残念なことだった。 そのフェイト達のマジシャン隊は『コスナー作戦』に参加する。 駐在所長経由でヴィータからもたらされた情報を判断したところ、 艦隊護衛任務に着くことで、デバイス持ちのベルカ軍エースパイロットと接触する可能性が高いと考えたのだ。
《イーグルアイよりガルム隊へ 作戦開始。 港に駐留するベルカ軍を殲滅し、連合軍艦隊の航路を確保する》 作戦開始時刻と同時に無線封鎖が解除され、イーグルアイからも通信が入る。 なのははF−4Eファントムのスロットルを全開にし、オーシア空軍の電子戦機が展開している電子欺瞞の雲から飛び出した。 後ろにピクシーも続くが、運河に向かう機はガルム隊だけではなかった。 他のウスティオ軍機だけではなく、見慣れないマーク、オーシア軍機も混じっていた。 《反撃の狼煙だ この日をずっと待っていたぜ》 《ウスティオを取り戻す為の大きな一歩だ 失敗はできない》 攻勢計画4101の骨子はフトゥーロ運河を確保し、空母ケストレルを主軸とした連合艦隊に運河を無事に通過させることにある。 高度を一気にさげると、景色が鮮明になってきた。もっとも砂漠地帯では見るべきものもないし、見物している余裕もないのだが。 《解放への門だ あそこを抜ければ戦況が変わる》 予定では最初に通常爆弾で運河守備隊を攻撃することになっていた。 ガルム隊の2機はなのはの判断で回避進入コースを取らず、そのまま拙速を優先して攻撃を開始する。 だが、戦慣れしたベルカ軍は混乱をみせず、完全な奇襲とはならなかった。 《レーダーに敵影を補足 各員 交戦に備えてください》 《来たか・・予測よりも早いが誤差の範囲だ。これより 連合軍を迎え撃つ》 地上からの対空砲火が連合軍航空部隊の周囲で炸裂する。 突然なのはの斜め上方を飛んでいたオーシア海軍のF−4が奇妙に震えたと同時に煙を吹いて落ちて行った。 とっさに操縦桿を引いてから倒す。 天地がゆったりと回転し、バレルロールで対空砲の射撃を外しながらも、目標に肉薄する。 《投下!投下!》 なのはの合図でガルム隊の2機から通常爆弾が放たれた。地上の石油タンクへ吸い込まれるように進んでいく。 対地警報が鳴り響くのを無視して地上50メートル付近で高速ターンを描き、 仕留め損ねた石油タンク傍の対空砲2門へミサイルをそれぞれお見舞いする。 花火のように対空砲がはじけ飛んだ手応えを感じ、そのままガルム隊の2機は運河の水門方面へ全速急上昇で離脱する。 《一撃離脱か。えらく慎重だな。サイファー》 ピクシーはなのはのファントムを確実にフォローできる位置で追従していた。 なのはが対空砲を撃破している時にはピクシーは鬱陶しいSAMを潰していた。 《これだけ入り乱れているし、混乱しないように、 ね》 《ほぅ・・・兵士の眼をしてるな》 無線交信の最中に逆落としで上空から襲い掛かってきた3機のF−16の編隊とすれ違う。 咄嗟のガンアタックで1機に命中したが、決定的なダメージとまではいかず、背後を取ろうとループに入る。 なのははF−16はドッグファイトとなると侮れない相手だということを、知識としては知っていた。 今度はガルム隊がベルカのF−16編隊を上空から襲う番だった。 敵にしてみれば混戦へもちこもうとするだろう・・・・ 《散開で対空戦闘を!》 《ガルム2 了解》
《こちらクロウ隊のPJ援護を(ry》
ピクシーはF−16編隊の1機に狙いを定め、2機がなのはのファントムともつれ合う前にケリをつけようと判断した。 2・3度ほど、互いにロールとループを繰り返し、F−16とシザーズ機動に入ったところで、タイミングを図って急速上昇で相対距離を稼ぐ。 F−16が位置エネルギーと運動エネルギーを回復するまでに優位な高度と距離を占位したピクシーはAAMを放った。 この位置、この距離なら外れまい。 予想通りF−16は小さな爆発の後に痙攣したようにぶざまに落ちていく。 《撃墜を確認。相棒が苦戦しているぞ サイファー》 《了解イーグルアイ、援護に向かう》 なのはは今までF−16を相手にしたことがなかった。その俊敏な機動性は事前情報どおり、たしかに脅威に感じた。 互いに死角をカバーしながらもF−16の編隊はなのはに決定的なチャンスを掴ませなかった。 だが、なのはもベルカ編隊に付け込む隙をあたえなかった。 《このファントム、かなりデキる奴だ。後ろに目がついているのか?》 《焦るな 罠に追い込むぞ》 《連絡を密にせよ 連携を怠るな!》 ベルカ空軍の強さの理由は個人のスキルの高さだけではなく、陸海軍も含めた他の部隊とも咄嗟に高度な連携がとれるところにある。 あの小生意気な動きをするウスティオの白いファントムも直ぐに思い知るだろう・・・ なのはがF−16編隊を振り切ったと思った空域はベルカの罠だった。 というよりもベルカ空軍と陸軍の連携で対空放火陣地の網に追い込まれたというのが事実だが、さすがにそこまでは判らなかった。 だが、なのはは理由は判らないが嫌な感じがピリピリとするのを感じていた。 こういう感じがするときは敵が何かを企んでいる・・・だが、それが何かまでは判らない。 《サイファー 無理に突っ込むな! 対空砲火の的になるぞ》 「あっ!」 なのははベルカの仕掛けた罠を悟った。 ピクシーの忠告は理にかなっており、普通なら素直に回避する。だが、なのはは回避先には先ほどのF−16が爪を研いでいる筈と感じていた。 そういう判断の根拠となるものはなかったが、なのははいつものように実戦中に感じた直感を信じることにした。 それなら・・・ そう、正面をぶち破って突破すればいい。何も敵の思惑に乗ることはない。 「レイジングハート? 空力重力と火器管制の制御は一旦アウト。シールドとバリア強化にリソースを集中」 「Isn't your judgment too dangerous?」 「そぅ。危険だから防御を固めるんだよ」 「No master. The skill as your fighter pilot is ordinary or poor. Without forgetting」 遠慮のないレイジングハートの率直すぎる指摘は果たして正解だろうか?
れいはさん!それは孔明の罠だ! 支援
レイジングハートの指摘に対しては、ベルカ軍の防空大隊がその回答者であった。 もっとも答えの内容についてはベルカ軍人自身も知らないのだ。 《対空戦闘用意!》 《AからDの中隊 準備良し E中隊条件付で良し》 《対空自走砲 配置完了》 《F中隊が応答しません 水門の状況 不明!》 一番遠いエリアに展開していたF中隊はラウンドハンマー作戦に参加している F−1を駆るルー・ガルー隊の迎撃に失敗し、したたかに逆撃を蒙って全滅していた。 《弾をありったけ食わせてやれ》 30mmの機関砲弾が白いファントムの周囲で炸裂する。 「ぐっ・・・くっぅぅ・・・」 空力重力制御をオフにした途端、なのははファントムのコクピットで吐き気と眩暈に襲われながら、耐えていた。 上下左右前後とおかまいなくGが全身を襲う。 操縦桿も鉄柱かと思うように重く、その一方で過敏に反応する傾向も出てきた。 この状態では折角のシールドとバリアの強化も安定した強度が保てない。 「ゴンゴンゴン!」 機体を叩くようなリズムの振動が加わり、幾つかの油圧系の警報ランプが赤く点灯し、神経を逆なでするアラームがコクピットで鳴り響く。 防御魔法の出力が落ちた瞬間、機関砲弾の破片を喰らったのだ。 だが、ここは恐怖と不快感に耐えてでも攻撃進入コースに機体を乗せるしかない。 胃が締め付けられ、何かが上がってくるようなたとえようのない不快感を必死に押さえ込む。 意識が乱れた時にさらに全身をゆさぶる衝撃。また何発かくらったようだ。 それも油汗を額に浮かべながら必死で堪えてHUDに示された爆撃コンピュータの表示に標的が重なるのを待つ。 「投下!」 爆弾を切り離して、すぐに360°ロールしながら針路を強引に、だが、微妙に調整し、 隣接する防空部隊にも攻撃を加える。 「・・とう・・かっ!」 少し離れた2箇所で爆発が巻き上がり、やがて対空砲火が沈静化した。 「ふぅ・・・・!?っぷ・・・・・・・・・・・」 なのはは安堵の息を漏らした瞬間、全力で後悔した。 同時に胃の奥からせり上がってくる圧力を耐え切れない・・・・・・。 《大丈夫か相棒?ずいぶん無茶してくれたな。》 無線越しとはいえ、なんとも気色悪い声を実況で聞かされたピクシーは 心底うんざりするような声で、だが心底心配そうな声でなのはに問いかけた。 《お゛ぇ・・うぷ・・・ぎもぢわる・・・・・何ばつが貰っだけど、行動に支障なじ》 ピクシーは思わず「どこがやねん?」とノースポイント流のツッコミを入れそうになる。 死地を脱したなのはは すぐに空力重力制御の魔法を再展開させた。 この飛行アシストともいうべき魔法がなければ、戦闘機パイロット失格ということらしい。口の中に広がる粘っこい酸味が何とも気持ち悪い。 どうやらレイジングハートの指摘が正解だったということだ。 防空網の罠に追い込んだつもりになっていたF−16の2機は相次いでピクシーに仕留められていた。 《あまり傷ついた機体で無理するなよ》 サイファーの奴、今日は本調子じゃなさそうで心配だな。まるでド素人じゃないか・・・
防空網の真ん中に展開する2つの中隊を撃破したなのはの攻撃は、作戦面では大きな転換となった。 ラウンドハンマー作戦で低空進入する攻撃機部隊の侵攻飛行ルートがもう1本できたのである。 《ガルム隊 順調にベルカ軍を攻撃中 他の部隊も続け!北への侵攻ルートがもう1本拓いたぞ》 《いけるぞ。攻撃は各自に一任する》 ラウンドハンマーに参加しているキメラ隊・リカントロープ隊がすかさず、舐めるような超低空で突進していた。 キメラ隊の攻撃で港に停泊していた貨物船とガントリークレーンが直撃を喰らい、 水面に崩れ落ちたガントリークレーンがあたりに巨大な水柱を登らせる。 《連合軍め 戦力をかなり集めたようだ》 《貨物船が運河に飲まれていく 連合軍の奴ら ここまでやるのか》 ベルカの必死な様が混信している無線からも十分に感じられた。 《防空網に穴を開けたのは誰だ?》 《ウスティオの傭兵がやったらしいな》 《腕のいい連中がいると聞いたぜ》 ゲルニコスに参加しているウスティオ軍機の中でも目立つ戦果を挙げているガルム隊への賞賛が上がっていた。 《新たな敵部隊を確認、方位0-8-0に4機》 イーグルアイの報告とほぼ同じタイミングでなのははその存在を感じた。 <ねぇ・・・この反応って?> <Yes It's a magic reaction. Master> 魔力を持つ者は極めて稀な第91管理外世界、その世界のベルカ軍から魔力反応があるということは、 管理局が探している人物である可能性が極めて高い。 《ガルム1より2へ、敵の増援を叩きましょう!》 《何ぃ?》 突然サイファーの声が張りと勢いを取りもどしたことに戸惑うピクシーを無視して 雲を曳きながらファントムが急旋回を見せる。デバイスの反応のある編隊だけは逃す訳にはいかない。 なのはの魔導師としての本来の「仕事相手」なのだ。 あわててピクシーもなのはのファントムに続く。 《敵連合軍には傭兵も混じっているようです》 《それなりに腕は立つようだな》 《インディゴ1より各機、目標を確認 攻撃を開始する》 加速度計がレッドゾーンに入るような急旋回でファントムのリベットが飛びそうになる。 重力制御を魔法でアシストしても8Gもの旋回Gが軽くなるだけで、決してゼロになるわけではない。 Gで首を押さえつけられたまま、なのはがキャノピーに備え付けられたバックミラーに視線を移すとF−15の赤い翼が大写しになっていた。 魔法に頼らず、純粋にフィジカルの能力だけで高G機動でも編隊を維持できる戦闘機パイロットの鍛え方に感心する。 と同時にこれからの戦いに備える必要について一瞬だけ思いを巡らす。 《グリペンを出してきやがったか》 ピクシーは今までにない緊張感と高揚感に包まれていた。 誰もが知っているようなベルカの英雄と戦う機会があるいうのは、傭兵としては避けたい。 だが、 戦闘機パイロットとしては最高の敵手であった。 高揚感と緊張感が同居する。 《サイファー 相手をみくびるなよ ベルカはこの運河を死守するつもりだ》 続く 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 今日はここまでです。
ド素人です!支援!
ナノシングとNC・ZEROキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! GJすぎるw
皆さん、早速のレスありがとうございますm(__)m
>>90 ナイスは出たら反則っす
ありゃゼアス以上のネタウルトラマンだw
>>91 セブンXは微妙っすね……(-_-;
まだ現時点じゃ何とも言えません
>>94 グレートとパワードは、どうするか考え中です。
使えるなら使いたいけど……
ファイアーマンは、無理っす。
マイナー過ぎるw
>>リリカル龍騎氏
正体云々は、変身物のお約束ってことで(笑)
ヘキサゴンは、笑ってくれたなら何よりです
HELSSINGに関してはGJ。
スバル、やっぱアーカード達の影響受けてるなぁ……
>>99 まさかの事態だったので、SS書く手が数日間止まりましたよ。
来秋公開だから、それまでに完結させたいっす。
矛盾生じちゃ、何かと書いてて気まずいものが……(−−;
>>100 冗談抜きで、本編でやった時空飛ばしの可能性濃厚っぽいっす。
敵の怪獣軍団の中に、その時のが混じってたらしいっすから……
>>105 ウルトラマンとあまり関係が離れてくると、こちらも扱いづらくなりますからね……
現時点じゃ、多分他の円谷作品参戦はしないと思います。
そして、ついさっきちょっとした小ネタ考えついたので、投下したいと思います。
番外編「ロストロギアなんてレベルじゃねーぞ!!」 ある日の昼、なのはは何気ない質問をミライにした。 「そういえば、ミライさんの左腕にあるデバイスって、なんて名前なんですか?」 「ああ、メビウスブレスの事だね。 デバイスとはちょっと違うけど……僕にとってはとても大切なものなんだ。」 「確かに、攻撃や防御に普通に使えてるし……」 「何より、メビウスに変身するのに使うからね。」 ミライは左腕のメビウスブレスを、皆に見せた。 ロストロギアと認定されてもおかしくない、超高性能な道具。 ウルトラの父がくれた力。 「最初に調べた時は、驚いちゃったよ。 物凄いエネルギーの塊だったしね。」 「でも、メビウスブレスよりも更に凄い道具って、いっぱいありますよ」 「え、そうなんですか?」 「うん、例えばナイトブレス。 僕も一時期使ってたんだけど、使える技とかはメビウスブレスとあまり変わらないんだ。 でも、単純なパワーならナイトブレスの方が上だったね。 それにナイトブレスの最大の特徴は、メビウスブレスと合体させられる所かな。 二つを合わせてナイトメビウスブレスにすれば、強力なメビュームナイトブレードが使える様になるんだ。 これの御蔭で、色んな強敵を相手に勝つことが出来たし……」 「へぇ〜……」 「剣で言うなら、セブン兄さんのアイスラッガーも凄かったなぁ…… 物凄く斬れるんだけど、手に持って短剣のように使ったり、ブーメランのようにしたり……本当、便利な武器だよ。」 「結構、色んな種類の道具があるんですね」 「うん……でも、まだこの程度は序の口だよ。 タロウ教官やジャック兄さんのブレスレットに、レオ兄さんのウルトラマントなんか、とんでもない能力があるし……」 「とんでもない能力……?」 「早い話が、兎に角万能武器なんだ。 まずタロウ教官なんだけど、教官は二つのブレスレットを持ってるんだ。 自前のタロウブレスレットと、ウルトラの母から授けられたキングブレスレットと。 タロウブレスレットの方は、あまり使う機会がなかったらしくて、槍に変化するぐらいしか僕は知らないけど……」 「ブレスレットが槍に……?」 ブレスレットとは、つまり腕輪の事。 自分達のデバイスのように、起動させると大幅に姿を変形させるという事だろうか。 そう考えれば、簡単に納得できる。 「キングブレスレットは、まあ本当に凄い道具だね。 火炎放射とか、高圧電流とか。 そうそう、バリアを発生させたりもしたなぁ……」 多様な攻撃手段に、そしてバリア。 これは、殆どのデバイスの標準装備といえる。 それにメビウスブレスでも、この程度の事は出来ていた。
「大きさを変化させて、相手の嘴を封じたり……」 「大きさが変わる……?」 「嘴を封じる……」 サイズの変化が可能。 この程度なら、十分OKである。 事実、自分達のデバイスだって今は小さい状態だ。 流石に、敵の嘴を封じるという発想はなかったが…… 「解毒や治癒にも使えて……」 ダメージを回復させる。 これも、勿論ありの能力だ。 攻撃機能も併せ持ったデバイスというのは流石に珍しいが、無いわけではない。 「相手から奪った鞭を光の槍に変えたり、ロープを鎖に変えたり……」 「……え?」 ちょっとずつ、話が妙な方向に向かってきた。 鞭を槍に、ロープを鎖に変化させる。 自分達のデバイスが変化するのではなく、他者の所有物を変化させるときた。 幻術でそう見せかけたりするのじゃなくて、本当に物質を全く別のものに変える。 こんなのは、流石に見たことが無い。 しかし……これはまだ序の口。 「東京タワーに飾りをつけて、クリスマスツリーにしたり……」 「えぇっ!?」 明らかに何かがおかしい。 戦闘用だった筈の道具なのに、ここで急に用途が変化した。 東京タワーに飾りつけなんて、そんな魔法もデバイスも、当然あるわけがない。 そもそも、何でそんな使い方をしたのかが物凄い気になる。 「後はそうだなぁ……あ、あれがあった。 バケツに変化させて、酔っ払ってる怪獣に水をぶっ掛けて酔いを醒ませたやつ。」 「ば、バケツ!?」 ブレスレットからバケツに変化する。 勿論、自分達が見てきたデバイスにそんな類のものは無かった。 というか、そんなのあって欲しくない。 例えば、起動させたレイジングハートやバルディッシュの形態がバケツだったら…… はっきり言って、ビジュアル的には最悪である。 バケツで戦う魔法少女なんて、見たくない。 それ以前に、戦ってる姿を想像できないが。
「……か、変わってる道具だね……」 「僕もそう思います。 でも、レオ兄さんやジャック兄さんのも同じぐらいかなぁ……?」 「えっと、どんな道具なんですか?」 「レオ兄さんは、タロウ兄さんと同じように二つ持ってるんだ。 レオブレスレットと、ウルトラマント。 ブレスレットの方はまあ、タロウ兄さんのタロウブレスレットと似てるかな……?」 どんな風に似ているのか、物凄い気になる一同。 「ブレスレットから、レオスパークっていう光線を発射できるんだ。 これの御蔭で勝てた戦いも何度かあったし……」 まずは光線ときた。 これはあってもおかしくない機能だから、十分分かる。 しかし……他に何か、とんでもない機能があるんじゃないだろうか。 そう、誰もが考えていたが……それは見事に的中した。 「注射器に変えて使ったこともあるって言ってたっけ?」 「注射ァッ!?」 たまらず、皆が声を上げてしまった。 ある意味では、ここまでで最強の危険物が来てしまった。 戦闘で注射器を使うというと、真っ先に思い浮かぶのは一つ。 (毒物注入……!?) 注入する毒物次第じゃ、かなりの成果を上げられるのは間違いないだろう。 だが……言ったら悪いが正義の味方のやることではない。 想像したら、何か嫌な気分になってしまった。 すると、そんな彼等の様子を察したミライが、とっさに言葉を繋げた。 「ああ、毒を注射したりとかそんなんじゃないですよ。 トドメをさす前に、相手の血液を吸い取っただけだって言ってましたから。」 「え……!?」 血液を吸い取る―――吸血。 ある意味、毒物より性質が悪いんじゃないか。 余計に皆の表情は、暗くなってしまっていた。 一応、ウルトラマンレオの名誉の為に補足しておくが、彼は断じて残酷な攻撃手段をとった訳ではない。 敵怪獣の血液から血清を作り出し、人々を治療する必要があるから血を吸い取ったのだ。 最も、ミライはこの一番肝心な部分を言い忘れてしまっているのだが……
「ウルトラマントの方は、兎に角凄い防御力があるんだ。 相手の火炎放射や念力を防いだり、相手の攻撃次第じゃ傘に変形させて使ったり……」 「防御、か……」 先ほどの注射器に比べれば、遥かにマシな能力に聞こえる。 傘に変形させるという発想については、少しばかり驚かされるが、これはありかもしれない。 ディバインシュートやスナイプスティンガーなどといった攻撃が上空から迫ってきた際には、いい防具となる。 どうやらウルトラマントは、この様子じゃ防御専門の道具らしい。 先ほどの注射器の様な、ショックを受けるような使い方はない…… 「後は、相手にかぶせて身動きを封じたり出来るって言ってたっけ。」 「え゛……?」 前言撤回。 それはどう考えても、悪役の使い方です。 対戦相手にマントをかぶせ、視界を封じている間に滅多打ち。 よく、悪役レスラーが使っている手段である。 ここでウルトラマンレオの名誉の為に補足しておくが、彼は断じてそんな風に使ってはいない。 彼は相手の怪獣にマントを被せ、そうしてパワーを奪い動きを封じたのだ。 はっきり言って、ミライの言い方が悪い。 「けど、やっぱり一番なのはジャック兄さんのウルトラブレスレットだよ。 タロウ教官やレオ兄さん達には悪いけど、あれ程凄いのは見たことないし……」 「……今のより、上?」 これの更に上をいく性能。 もう、全くもって予想がつかない。 対戦相手を手打ちラーメンにして食べてしまうとか、そんなレベルだったりするのだろうか。 皆は息を呑み、ミライの説明を待った。 「ウルトラブレスレットは、色んな形態に姿を変えれるからね。 槍やブーメラン、ナイフに変えて攻撃したり……盾に変えて、防御したりもしたっけ。」 これまでと同じように、最初のうちはまだ許容範囲内だった。 種類こそ多いものの、武器への変化なら全然OKである。 盾への変化も、何らおかしくはない。 そう……この辺なら、まだ許容の範囲内なのだが…… 「ブレスレットを敵に飲み込ませて、体内で爆発させて怪獣を倒したり……」 「体内から爆破!?」 いきなり、物凄い攻撃手段がきた。 しかもこれは、先程のレオの様な誤解は一切無い。 本当にウルトラマンジャックこと帰ってきたウルトラマンは、これをやっている。 敵を倒す為とはいえ、今思えば正義の味方がやる攻撃手段とははっきりいって思えない。 下手をすれば、スプラッタムービーの出来上がりである。
「決壊したダムに投げつけたら、ダムの水が止まったり……」 「だ、ダムをせき止めたんですか……」 先程の爆弾ブレスレットと違って、平和的な利用方法。 ダムの決壊という大きな事故を防げた事を考えれば、中々のものである。 しかし、これはこれでどんな道具なんだとツッコミを入れたかった。 「沼の水を蒸発させて、干上がらせたり…… あ、蒸発させた水はちゃんと後で雨にして降らせたから、大丈夫だよ。」 「……沼を丸侭一つって……」 また凄いのがきた。 後で元通りになったからとはいえ、近隣の人達には結構迷惑だったんじゃなかろうか。 特に農家の人とかには、凄い申し訳ない気がする。 「僕が聞いてて一番驚かされた能力は、やっぱりバラバラにされた時のかな……」 「ば、バラバラって……まさか……?」 「ジャック兄さんは一度、敵に氷漬けにされて、それで全身をバラバラにされちゃった事があるんだ。 でも、ウルトラブレスレットの力で……」 「や、やめてぇっ!! 怖いから、これ以上はお願い!!」 想像したら怖くなってしまったのか、何人かが声を荒げた。 バラバラになった体がくっ付いて、元通りに再生。 もう、治癒魔法とかそんな次元のものじゃない。 ホラーの領域に達している……生で見たら、トラウマになるんじゃなかろうか。 流石にこれはミライもまずいと思ったのか、ここで話を切り上げる事にした。 最期に、ウルトラブレスレットの機能を一つだけ話すことにする。 「こ、これで最後になるんだけどね。 ウルトラブレスレットは、巨大な光弾になって惑星を一つ破壊した事が……」 「はぁっ!?」 究極きました。 惑星破壊……スターライトブレイカーどころか、アルカンシェルより破壊力がありかねない。 ここまで話を聞いてきて、皆の顔は真っ青になっていた。 無茶苦茶とか、もうそんな次元を遥かに越えている。 ウルトラマンの恐ろしさを、皆はこの日、改めて思い知らされることになったのだった。 (今捜索している闇の書よりも、こっちの方を何とかした方がいいんじゃ……) (悪用されたら、世界が軽く一つや二つ滅びるような……)
以上、投下終わりました。 ウルトラマンの使ってる道具は、ロストロギア認定されても十分おかしくないものばかりでした。 闇の書よりも危険だよ、こいつら(−−;
GJ! 命を二つ持って来たゾフィー兄さんや、普通に死者を生き返らせるウルトラの母の話も面白そうw レオもブニョにバラバラにされたけどキングによって蘇えってるなw 宇宙の帝王ジュダも凄い。
GJ まだまだあるけどね。ウルトラキーとか。
GJ! なんという誤解をまねきまくる語彙 ミライはもう少し勉強しないといろんな意味で誤解が止まらない 最近の番組でロストロギアに指定されそうなのは、、、 遊戯王GXのデュエルモンスターズのカードとソリッドビジョンシステムとか? 超融合なんて闇の書ばりにやばい魔法カードが存在するぐらいだし(カード完成に万単位の犠牲が出ました 3期目最終話で主人公がカウンター罠で融合対象を変更しなかったら12個の次元世界が消滅してた
タロウは結構面白方向に特化してたなぁw モチロンで、南夕子がモチをこねてるので大笑いしたのは俺だけではあるまい・・・ あの杵もブレスレットだっけ「?
>>ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏 おおっ!? ウロス掲示板の方に感想を書き込んでいる間に新しい小ネタがw なんという仕事の速さw そりゃウルトラ族は地球人から見たら、神にも匹敵するくらいの存在ですからねぇw 彼らが正義を愛する種族で本当に良かったw ウルトラ族が万単位の寿命を持つ種族だと知ったらどんな顔するだろw 兄さんたち、特にレオ兄さんがこのやりとりを知ったら、物凄い大説教が始まりそうですw もちろん肉体言語混じりでw
円谷プロ買収で版権五月蝿くなった・・・(鬱
GJ。
誇張の様に見えて、全部本当の事だから怖いwww
>>155 そういえば、なんかゲームでウルトラキーを持ったニセセブンが惑星破壊をやってた様な…。
>>160 カオスロイドのセブンですね。
タロウはウルトラベルを持ってました。
ウルトラマンだけは何も持ってませんでしたが。
他に、ダイナ、ガイア、アグル、ティガ(ガイア、アグル、ティガ未登場)のタイプチェンジ
ウルトラマンパワード(未登場)の気の力で能力を向上させる、ウルトラパワー等もあるぞ
>>149 よっぱらい怪獣ベロンの事だな
今、思い出したがガイアSV&アグルV2で超巨大怪獣を倒していたな ガイアSVでは超巨大な次元怪獣を倒した気がするが・・・・・ グレートなんか、地球の意思が呼んだ、終末怪獣2体を相手に勝利したよな・・・メビウスはこの事知ってるのかな?
連投だが
対プレッシャ星人等で使ってたな
>>152 対スノーゴン戦の話だな
>>148 キングブレスレットの初使用は対火山怪鳥バードン戦の口輪だったな
手打ちラーメンてラーメンマンかい。 ウルトラキー。ああ、父が星一つ粉砕した話は覚えてる。
ウルトラキー… セブンが究極魔神シーダにぶっぱなして倒しきれなかった記憶がある
168 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:08:30 ID:EjNdmsYM
マスカレードACT.15「たった一人の妹」後編できたんですが、18分割というとんでもない長さに…… すでに前編・後編と分けてますが、さらにA、Bパートと分けますね。 そして空気読まずにAパート投下しても大丈夫ですかね?
支援
お待ちしておりました。支援
171 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:32:49 ID:LBEJqjSw
まるでジェットエンジンのように鳴り響く轟音。その元凶から必死に逃げようとするワーム。 だがこの数メートルの差は、並の人間ではとても見る事も叶わない程の速度で縮まる事になる。 アクセルモードを起動したファイズから逃げるように飛び回るワームの背中に浮かぶ赤い円錐。 円錐は、先端からワームの体に突き刺さっていく。 だが、それも既に過去の動作に過ぎなかった。 気付けばスローモーションになっていたワームを、ファイズは遥か上空へと蹴り上げる。 凄まじい速度で動いているファイズの攻撃は、これだけでも十分にワームを倒す程の威力がある。 だが、そんなことはファイズ……いや、巧の知った事ではない。ワームの周囲に5つの円錐が現れる。 そして。 全ての赤い円錐は、ほぼ同時にワームの体へと突き刺さった。 『Time Out(タイムアウト)!』 いつの間にか着地していたファイズの少し上で、ワームの体は跡形もなく爆発した。 「……姉さん、心配してるだろうなぁ……」 アースラの個室で、しょんぼりと呟いた良太郎。 足元から零れ落ちる砂に気付かずに、ぼーっと座っている。 「さすがに……こんなことは初めてだし……」 良太郎は管理局……しかも本局の特別なプロジェクトを進めているという一団から、アースラに残るように指示されているのだ。 『お前の望みを言え……』 そんな時、良太郎は聞いてしまった。どこからともなく聞こえる声を。 周囲を見回す良太郎。だが誰もいない。気のせいだろうか……? いや。 『お前の望みを言え……』 「……誰か……いるの?」 確かに聞こえる誰かの声。良太郎は少し怯えながら、周囲を見渡す。 すると、足元に拡がっていた砂が一カ所に集まり始めたのだ。 白い砂は自分の意思で、この部屋の扉付近まで近寄る。そして、だんだんと人の体が浮かびあがる。 はずだった。 「良太郎くん?」 『……ッどぅわっ!?』 突如開いたドアに、砂は押し潰されてしまった。良太郎は今までのクールな声とは違う、どこか情けない声を聞いたような気がした。 ACT.15「たった一人の妹」後編 アースラ、食堂。 リンディに呼び出された良太郎は、二人で向かい合った席に座っている。 お互いに気まずそうだ。特に良太郎が。元々あまり積極的な性格では無いのだ。 「悪いわね、良太郎くん。いつまでも付き合わせちゃって……」 「いえ……でもどうして僕は、帰れないんでしょうか……?」 「それがね……」 リンディは少しばつが悪そうな表情をする。 「管理局のとあるプロジェクトのメンバーが、貴方を必要としてるの。これは前にも言ったわよね?」 「はい……でもなんで……」 「それは私にも分からないわ。」 「はぁ……」 「ごめんなさいね?電王計画は、管理局でも一部の人物しか知らされていない極秘の計画なの。」 「えと……その電王計画って何なんですか……?」 「ええ。管理局制ライダー計画……いえ。もしかしたら管理局とは違う何らかの組織の計画かも知れない…… まだ私にも詳しく知らされてないのよ」 そんな曖昧な。要するに、管理局でもトップシークレット。管理局かどうかさえも微妙なラインらしい。
支援
しえん
174 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:37:27 ID:LBEJqjSw
そんな時、エイミィが小走りでこちらに向かってくる。何やらいいことがあったのか、嬉しそうな表情だ。 「艦長!」 「どうしたの?エイミィ」 「なのはちゃんが、目を覚ましたそうです!」 「本当!?」 リンディもまた嬉しそうな表情になる。 良太郎も、なのはが天道という男に敗れた事により、ずっと眠っていたことは知っている。 といっても、草加のように極端に天道を悪役とした話を聞かされた訳では無いが。 「え〜と……なのはちゃんってあの、茶髪の女の子だよね……?意識戻ったんですか?」 「うん。元々傷が浅かっただけに、明日からはまた普通に学校行けるんだって♪」 「それは良かった……」 良太郎はニッコリと微笑んだ。 さて、ここで一度視点を変更。一方の海鳴市。とある川辺で。 一人佇む少女。 足元に落ちているのは、粉々に砕けたお守り。そんな少女に近付く一人の男…… 「それは……俺だ……」 その男は、何故か片腕の袖が無いロングコートを羽織っていた。下に着ているのは真っ赤なタンクトップ……『影山瞬』だ。 影山はゆっくりとお守りを拾い上げる。両手で、丁寧に。 「俺も粉々に砕けてしまった……」 「何言ってるの?人間そんな簡単に砕けたりしないわ。」 少女はまるでバカでも見るような目で影山を見る。外観の印象から、そう思われても仕方が無いが。 少女は、そのままきびすを返し、立ち去ろうとするが…… 「……ッ!?」 動きを止める少女。目の前にいるのは、紫の……そして、以前アギトに斬り捨てられたはずのワームだ。 「……変身!」 『Change Punch hopper(チェンジパンチホッパー)!!』 影山はすぐにパンチホッパーに変身。レプトーフィスワームに向かって走りだす。 「きゃあぁっ!?」 「……逃げろ。」 レプトーフィスワームにパンチを撃ち込みながら、少女に言う。ちゃんと少女の盾になる位置で攻撃している。 少女が逃げたのを確認したパンチホッパーは、すぐにパンチのラッシュを放つ。 右、左、右、左と。連続で放たれるパンチをギリギリで受け流すワーム。防戦一方だ。 だが、どうやらレプトーフィスワームはただ防御を繰り返している訳では無いらしい。 すぐに反撃を開始。パンチホッパーのパンチはたやすく回避される。それどころか、逆に手甲で切り裂かれてしまう。 そして。 「……クッ!?」 レプトーフィスワームの手が紫に輝く。まずい。これは間違いなく大技だ。 パンチホッパーはすぐに回避行動に移るが、すこし遅かったらしく。 「うッ……うわぁあああッ!!」 そのまま紫の光弾の直撃を受けたパンチホッパーは、数メートル後方へと吹っ飛ばされた。 しかも、攻撃されたダメージだけではなく、激しく地面に体を打ち付けたことにより、変身を解除されてしまう。 「クソ……ッ!!」 倒された影山は、ふと目の前に転がる破片に気付いた。さっきの少女が壊してしまったお守りだ。 影山は体を引きずりながら、ゆっくりと手を伸ばす。
支援します
支援
はやての行動にに期待しえん
178 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:43:45 ID:LBEJqjSw
その時だった。 ゆっくりと歩いてくる二つの人影。片方は「ガシャンガシャン」と派手な音をたてて歩いている為に、その正体は一発でわかる。 もう一人は……。 「おい兄弟……お前……いいことした……とか思ってんじゃねぇだろうなぁ……?」 「浅倉……」 蛇柄がよく似合う男。浅倉だ。 同時に、もう一人の男−矢車−はお守りを握ろうとしていた影山の手を踏みにじる。 「黄昏れてるなぁ……相棒……?」 「兄貴……」 「わかってるよなぁ兄弟?俺達みたいなろくでなしが、少しでも光を掴もうとすれば……」 「……痛いしっぺ返しを喰らうことになる……」 「俺は……!」 浅倉と矢車に言い返そうとする影山。しかし、それは許されない。矢車は影山の襟を掴み、言った。 「相棒!……俺達はずっと一緒だ……真っ暗闇の無限地獄を……ずっともがき苦しむんだ……」 囁くようにそう告げた矢車。そんな二人の傍で、浅倉はニヤニヤと笑っていた……。 一方、聖祥中学校。 校舎裏で、ずっと童歌について調べていた天道と加賀美が向き合っている−といっても、天道は数時間前にファイズと共にワームと戦っていたが−。 「……どうするんだ天道、キャンプはもうすぐそこまで迫ってるんだぞ!?」 「そんなことは言われずとも分かっている。ワームが関わっている事は間違いないんだ……!だが……」 「なんなら、学校を封鎖して徹底的に調べるか?」 「そんなことをしてもワームに逃げられるだけだ。だいたいそんな事をして、樹花のキャンプを中止にさせる訳にはいかん」 考え込む天道と加賀美。流石の天道でも、そろそろテンパっている様子だ。 そんな二人を学校の廊下から見下ろす少女がいた事に、天道達は全く気付いていなかった。 ……いや、永遠に気付く事は無いのだろうが。 結局この日もまた、何の収穫も無いままに一日を終えてしまった。そしてついに訪れたキャンプ当日。 といってもキャンプは放課後だ。まだ間に合わなかった訳では無い。今日中に解決すればいいのだ。 「……あいつか」 「はい。彼がエースで4番の青田君です」 野球部の練習を陰から見つめる加賀美と蓮華。なんでも、青田君とやらの活躍で野球部は地区大会で優勝できたらしい。 加賀美達の見守る中、青田はボールを大きく振りかぶり……投げた! 凄まじい速度。凄まじい音。そして凄まじい威力で、ピッチャーのグローブに直撃。 そのとんでもないボールを受け止めたピッチャーは反動で後方へと吹っ飛ばされる。 中学生にしてとんでもない投球だ。150qなんて物じゃ無い。加賀美も蓮華も軽く驚いている様子だ。 「あれは……人間技やないなぁ……」 「って、うわっ!はやてちゃん!?」 そんな加賀美と蓮華の間に割って入ったのは、どこからともなく現れたはやてだった。
179 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:47:31 ID:LBEJqjSw
「ああ、さっきそこで加賀美くん見かけたから、ついて来てんよ」 二人は「そうなのか」程度の返事を返す。それほど大したリアクションは見せない。 はやては加賀美に伝えるべき事があった。なのはの事を心配してくれていた加賀美に伝えようと、表情を明るくするはやて。 「それから加賀美くん!もうなのはちゃんは完治して、学校にも来てるで♪」 「そうか!良かった……!」 「キャンプにもちゃんと参加するって♪」 「それは何よりだ。一時はどうなるかと思ったよ……」 ホッと胸を撫で下ろす加賀美。 蓮華は、そんな加賀美に「先輩」と話し掛ける。 「青田君はどうするんですか」と言う表情をしている。 「あぁ……そうだったな。」 「っていうか加賀美くんは今何してたん?」 「いや……ちょっとな。あいつがワームかどうか、俺が勝負して確かめてくる。」 その言葉に、「えっ!?」と驚く蓮華とはやて。コイツ本気か?みたいな顔だ。 「大丈夫なんですか、先輩!?」 「本気であんな球打つ気なん!?」 そんな二人の反応に、加賀美は足を止め、ゆっくりと振り返った。 「心配するな。俺はかつて、甲子園に出場した男だ。野球なら誰にも負けない……!」 「(なんか……心配やなぁ)」 「(だって先輩だし……)」 同じ言葉を天道が言えば、それは確かに信頼できる。頼れる。 だが、ふふんと自信ありげに笑う加賀美を見れば、どうにも心配せずにはいられなかった。 「勝負だ!!」 バットを構え、青田君を挑発する加賀美。 青田は無表情のまま、ボールを振りかぶり……投げた。 それを打ち返すべく、加賀美は大きくバットを振るった。 「…………。なかなかやるな。もっと思いっきりこい!」 案の定空振りだ。加賀美はバッターボックスで見事に一回転。それでも青田を挑発する。 まぁ、結果は見えていたのだが。予想通り、二球目も見事な空振りだ。 「……俺はこの一球に全てを賭ける!!」 これが最後のチャンスだ。この三球目で打てば何も問題無い。加賀美は、なんとしても打ってやると、気合いを入れた! そして……! 「ほぁたぁッッ!!!」 加賀美は叫んだ。バットのスイングと共に、全ての力を出し切った。 結果、見事なまでに三振。こうして、何やら言葉にならない叫び声と共に、加賀美は敗北した。 「「……ダメじゃん」」 蓮華とはやては、溜め息を付きながら言った。 「なかなかいいピッチングだったね?」 「理事長……」 数分後、青田の元に一人の男が現れる。メガネをかけた、怪しげな笑みを浮かべた男。この学園の理事長だ。 「この調子なら、県大会……いや、全国大会制覇も夢じゃない!」 「任せて下さい……」 理事長はそれだけ伝えると、青田の肩をポンポンと叩きながら立ち去ってゆく。 そんな光景を、天道は陰からじっと見つめていた。
180 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:50:44 ID:LBEJqjSw
「では各自、調査結果を報告して貰おう」 ここはお馴染みの屋上。天道は加賀美と蓮華を集め、各々が調べた調査結果を報告させる。 「まずは合唱部ですね。」 蓮華が歩み寄る。 「この学校には、7年前に全国大会で優勝した合唱部があった。でも経済的な理由かなにかで廃部になり、それが噂の元になったそうです。」 「え……それだけ!?」 マル秘ノートを携えた加賀美は、蓮華の顔を覗き込む。 「卒業した合唱部の生徒達は、今も普通に暮らしてるみたいです」 「じゃあ……俺達は誰かが歌ったのを聴いただけ……?」 「……はい。呪いの鏡についても、鏡が歪んでてちょっと写りが変なだけでした。」 頷きながら言う蓮華。 「ふぅん……種明かしすると学校の噂なんて他愛が無いモンなんだな」 一気に気が抜けた加賀美は、落胆気味に羽織ったジャージを整える。一体このマル秘ノートにどんな情報が記されていたのかは、謎だ。 「…………。」 だが天道だけは違っていた。天道は何かを考え込むように頭を捻った。 一方。ここ、アースラのブリッジではハイパーカブトの映像が映し出されていた。 良太郎は、時間逆行の話を聞いて、その映像を見てみたいと思った。だからこうして再び検証しているのだ。 「あ……ここ……!」 良太郎がモニターを指差し、そのシーンで一時停止。キャマラスワームが力をチャージし、その大技を放ったシーン。 そして、ハイパーカブトがフェイトの前に現れ、キャマラスワームの攻撃を受け止めたシーンだ。 「このシーンがどうかしたの?良太郎くん」 「ここで、時間を巻き戻したんですよね……?」 「うん、そうだけど……」 「時間を巻き戻すって事は、どうしても認めたく無い事とか……どうしても変えたい事があったって事なんじゃないかな……」 その言葉に、腕を組んで考え込むエイミィ。時間逆行と言っても、発生した次元振から約数分程度であろうことが推測される。 そんな短時間で、天道にとっての「どうしてもやり直したい事」。エイミィには全く見当が付かない。 「まぁ……そう……かな?」 「うん……それで、わざわざ時間を巻き戻してまでこのワーム?からフェイトちゃんを守ったのはどうしてなのかな?」 「え…………?」 「だって、これだけ力の差があれば時間なんて巻き戻さなくたってワームには勝てたんじゃないかな…… それなのにわざわざ時間を巻き戻して、ワームの攻撃からフェイトちゃんをかばったのは、なんでなのかな……って思ったんだ」 その言葉にエイミィはしばらく考え込む姿勢を見せる。どうやら頭をフル回転させている様子だ。 確かに良太郎の言う事には一理ある。「例え時間を巻き戻してでもフェイトに攻撃を通す訳には行かなかった」……? 「……まさかッ!?」 そう考えると、エイミィの脳裏に縁起の悪い、できれば考えたく無いシーンが思い浮かんだ。 そう、仲間の死だ。
181 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:54:41 ID:LBEJqjSw
再び聖祥中学に場所を戻す。 小学生と中学生で、キャンプのメンバーがグラウンドに集まっている。目の前にあるのは組まれていないテントだ。 「なのは、本当にもう大丈夫なの?」 「うん、大丈夫!完全に完治だよ♪」 元気そうに両腕を振るなのは。それにはフェイトも少し安心だ。 「ホンマに良かったわぁ……もしキャンプまで参加できひんかったら、どうしよかと思っててん」 「はやてちゃんもありがとう……心配かけてごめんね?」 はやては「そんなん気にせんでええよ」と笑って見せる。 「まぁ、しばらく戦闘はしちゃダメって言われてるけどね……」 「大丈夫、なのははゆっくり休んでてよ♪」 「そうや。もしなんかあっても私らが戦うから!」 心強い二人の言葉に、なのはは「ありがとう……」と返事をした。本当に良い友達を持った物だ。 「ではこれより、テント設営の訓練を始める。作業は1分以内に完了しろ。始め!」 そうこうしているうちに、蓮華がストップウォッチのカウントを始める。慌ててテント設営を始める樹花やなのは達。 「1分以内だぞ!」「もっと早く動いて!」「10秒経過!」「何をモタモタしている!」「さっさとしろ!急げ!」…… 一同が急いでテントを組み上げる中、蓮華の怒鳴る声が聞こえる。メガホンのせいで余計にキツく聞こえる。 なのは達もせっせとテントを組み上げていく。 「キャンプって……こんなに厳しい物だったんだね……」 「うん……」 「いや……これはちょっと違う気すんねんけど……」 樹花に突っ込むはやて。 「うん、これは……特別っていうか、勘違いって言うか……」 加賀美も、呆れ口調で蓮華を見る。すると、そこを蓮華に見られたらしく……。 「コラそこ!無駄口を叩くな!!」 「おい蓮華!これは訓練じゃないんだぞ!?」 加賀美に言われ、「……え?」と固まる蓮華。 「キャンプってのはもっとこう……和気あいあいと楽しくやるもんだ。樹花ちゃん達のキャンプを台なしにするつもりか?」 「……そっか。訓練生時代はいっつもこの調子だったから……」 落胆した表情で、手に持ったストップウォッチを見つめる蓮華。 「「「……できた!!」」」 そんな中、誰よりも早くテントを完成させたのは、なのは達のチームだった。 「樹花りん……1番取られちゃったね……」 今度は校舎内。生徒達は皆、廊下に掲示された成績表を見ている。 「天道樹花」の名前は2番だった。今までずっと1番だったのだが、初めて2番に落とされたらしい。 樹花を一位から落とした生徒……そして以前影山に命を救われた彼女は、今日も教室で黙々と勉強を続けていた。 そこへ現れたのはまたしても理事長だ。楽しそうに、ニヤニヤと笑っている。 「……学年一位、おめでとう。この調子なら、全国模試一位も夢じゃない」 「楽勝よ。」 「……そうなれば、理事長の私も鼻が高い……!」 「フフ……」と笑う理事長。だが、まさかこの会話を盗み聞きされているとは流石の理事長も思わなかっただろう。 教室の外から、中の会話に耳を傾けていたのは天道だ。天道は少し前から理事長に不信感を抱いていたのだ。 「(やはりそういうことか……)」
182 :
マスカレード :2007/10/25(木) 12:58:45 ID:LBEJqjSw
一方、樹花は呪いの鏡の前に立ち、願い事を祈っていた。 「今日のキャンプが上手くいきますように……」 願い事を言い終わると、樹花はすぐにキャンプに行くバスへと走っていった。 まさかこの呪いの鏡の中に写る樹花が、本物の樹花とは違う動きをしていたなんて事に、樹花は気付いていなかった。 「お兄ちゃん!行ってきます!」 「ああ。俺も後から行く。」 樹花はバスの中から、天道に手を振る。天道も爽やかな笑顔で手を振り返す。 一方、バスの中にいるフェイトは、天道に冷たい視線を送っていた。 「あれ?はやてちゃんは……?」 「まだ来てないみたいだね?」 バスの中にははやての姿が無かった。それに気付いたなのは達は、周囲を見渡す。 そして……見付けた。 はやては天道の横にいた。樹花に手を振る天道の横で微笑んでいる。それを見付けたなのはは、バスの窓を開けた。 「はやてちゃん、バスに乗らないの?」 「うん、ごめんな?私は後で天道さんと一緒に行くから」 「え……?」 天道に視線を写すなのは。はやては天道から許可を得る為に話し掛ける。 「いいですよね?天道さん」 「……好きにしろ。ほら、お前らは行け!」 言いながら加賀美と蓮華の背中を押す。はしゃぐ蓮華とやる気のなさそうな加賀美。二人は小走りで、バスの中へと消えて行った。 「じゃあ、待ってるからね?」 「うん、ちゃんと行くから!」 フェイトに手を振るはやて。こうして、なのは達を乗せたバスはキャンプ場へと出発した。 ただ、立ち去り際に、フェイトは天道を睨み付けた気がした。きっとそれは気のせいでは無いのだろう。 「あの……天道さんは、この学校のワームについて調べてるんやんな?」 「そうだ。それがどうした?」 「私も一緒に調べようと思って。自分の学校にワームがいるのに、野放しにしとく訳にはいけへん」 「それに……ワームなんかに、ずっと楽しみにしてたキャンプを邪魔されたないから……」 はやては強かに微笑んだ。その言葉に嘘は無い。だが理由はそれだけでは無い。天道の事をもっと知りたい……そう思ったのだ。 「……なるほどな。こっちも古い図面を調べて、一つ分かった事がある。」 「え……?」 途端に真剣な表情をする天道。そのまま、天道は再び校舎内へと戻っていく。 「あの、天道さん!?」 「……どうした。着いてこないのか?八神」 立ち止まり、振り返る天道。 天道も、はやての協力を受け入れるつもりらしい。はやてもそれには少しばかり安心した。内心では拒否られたらどうしようとか思っていたのだ。 「あ……はい!」 はやては走って、天道に駆け寄った。
支援
184 :
マスカレード :2007/10/25(木) 13:02:08 ID:LBEJqjSw
二人がやってきたのは、呪いの鏡の前だ。 「合唱部にも部室があった筈だが……そのスペースが校内から消えている。まさに消えた合唱部だな……」 「それって……どういうこと?」 首をかしげるはやて。 そうしていると、どこからか童歌が聞こえてくる。この学校の怪談として、最も有名な「消えた合唱部の歌声」という奴だ。 「……童歌の裏に歴史が隠れているように、噂の中に真実が潜んでいる事もあるということだ。」 「…………?」 はやては、一つ不自然な点に気付いた。鏡の中に写っているのは、今ここにいる天道と自分だけの筈だ。 それなのに、鏡に写っているのは、天道とはやてと、そしてはやてだ。つまり、はやてが二人いる事になる。 「……ッ!?」 咄嗟に振り向いたはやては、もう一人の自分と向き合う。もう一人のはやての正体は言うまでもないだろう。サリスだ。 サリスはすぐに本来の姿に戻り、はやてに襲い掛かる。 「フン!」 だが天道がそれを阻止。素手でサリスを突き倒し、はやてをかばった。 混乱したサリスは鏡に写った天道を本物と勘違い。そのままその巨大な爪で鏡を破壊した。 破壊された呪いの鏡の奥に広がるのは、広い教室。 壁に掛かった絵画等から、恐らく音楽室だろう。部屋の中心では、20人程の女生徒が合唱している。 「どこを狙っている?…………ッ!?」 その空間に転がったサリスを見下ろす天道。だが、その表情はすぐに驚愕の表情へと変わる。 「これは……合唱部の部室!」 なんと、呪いの鏡の奥に広がる音楽室は、合唱部の部室だと言う。さらに、7年前の合唱部の写真を見て、何かに気付いたはやて。 今ここで合唱している生徒は、皆7年前のままなのだ。 「そんな……7年前のまま!?」 「そうか。それが全ての発端だったんだな……」 これで全てに合点が行った。天道は、呪いの鏡……いや、部室の前の物影に隠れていた男の腕を掴み、自分達の前に引きずり出した。 「……理事長。」 「理事長ッ!?」 天道達の前に現れた男は、はやても見慣れた男。私立聖祥大学の理事長だ。 「7年前……この合唱部全員がワームに擬態され、全国大会で優勝した。」 冷静に謎解きを始める天道。 「学園の名声は高まったが、お前は真相を知って恐ろしくなり……合唱部を封印した。しかし……過去の栄光が忘れられなかった。」 天道は違うか?という風に理事長を睨む。すると、理事長は天道の手を弾き、言った。 「私は、学園の名誉を取り戻そうとしただけだ!!」 「お前はワームと手を組み……生徒をワームに売った!」 「なるほど……それであんたは呪いの鏡の噂を広めたんやな?」 「生徒自身が望んだ夢だ!叶えてやって何が悪い!?」 いよいよもって開き直り始めた理事長。こんな男に理事長を任せるのは間違いだ。 「おばあちゃんが言っていた。子供の願い事は未来の現実。それを夢と笑う大人は、もはや人間では無い! ……お前は教育者の風上にもおけない奴だ……!」 そして次の瞬間には、はやては理事長にシュベルトクロイツを突き付けていた。それに驚いた理事長はビクッ驚く。 「す、すでに次の生徒……天道樹花の願いもワームに伝えてある!」 「何ぃっ!?」 その言葉に、天道の表情は一変した。こうしてはいられない。すぐに樹花の元へ行かなければ。
185 :
マスカレード :2007/10/25(木) 13:04:58 ID:LBEJqjSw
「ここは任せたぞ、八神!」 「わかった!」 天道はこの理事長をはやてに任せ、直ぐに樹花の元へと急いだ。 余談だが、この理事長の身柄は後にZECTに引き渡されたという。 一方、バス内部。一同は初めてのキャンプにテンションがかなり上がり、声を揃えて歌っている。 そんな時、鳴り響いた加賀美の携帯電話。加賀美はそれをすぐに取った。 『加賀美、そっちにワームが現れるはずだ。樹花を守ってくれ!』 「何!?わかった、任せろ!」 加賀美は威勢よくそう言い、携帯を閉じた。そしてすぐに周囲を見る。だがそれらしい気配は無い。 バスもかなり山奥まで来ており、風景ものどかな物だ。そのままバスはキャンプ場を目指して山道を進んでゆく。 やがてバスは、薄暗いトンネルの中に入り……急に停車した。 「……うわっ!?」 「霧が……」 バスの周囲では、遠くが見えなくなる程の濃い霧が立ち込めていた。それだけでも結構恐ろしい。 そこへさらに、合唱部の歌声まで響き渡る。 「まさか……消えた合唱部の幽霊?」 これには流石に参ったらしく、一同は一気にパニック状態に陥る。凄まじい恐怖感に襲われ、席から立ち上がる。 だがこんな時にもなのはとフェイトは冷静だ。バスの周囲に気を配りながら、顔を見合わせる二人。 「なのは、これって……」 「うん。やっぱりワームだよね」 なのはは医者からしばらくは戦闘行為を禁じられている。つまり今戦える魔導師はフェイトしかいない。 フェイトが立ち上がろうとした、その時だった。 「皆落ち着いて!静かに!」 加賀美が先に立ち上がり、バスの中心に歩み出る。 「大きな声で歌おう!元気な声で歌えば、幽霊の声なんて聞こえない!」 燃ーえろよ燃えろーよー炎よ燃ーえろー!! そう言い、加賀美は大きな声で歌い始めた。一同、「何を言ってるんだコイツは」みたいな目で加賀美を見る。 しかし、熱心に歌う加賀美を見ていると、何故か心強い気がしてくる。目を見合わせるなのはとフェイト。 この二人は、加賀美という人物の事はどちらかと言えば好きだ。バカみたいに思われてはいるが。 燃ーえろよ燃えろーよー明るく熱くー!! やがて樹花も一緒に歌い始める。なのはやフェイト達も、それにつられて歌い始める。それを見た一同も声を揃えて歌い始める。 「その調子だ!幽霊も逃げ出すぞ!!」 「先輩……♪」 元気よく歌い続ける加賀美と一同につられて、蓮華も歌い始める。 これならもう安心だ。加賀美はゆっくりと、バスの出口付近にいる蓮華に近寄った。 「俺が外に出た後は、絶対に扉をあけるなよ」 「先輩は……?」 「幽霊退治だ」 「フッ」と笑い、蓮華の肩を叩く加賀美。そのまま、バスの扉が開き、加賀美が外に出る。 「なのは、私も行ってくる!」 「うん。本当は私も一緒に行きたかったんだけど……気をつけてね、フェイトちゃん!」 「うん、絶対帰ってくるから!」 次の瞬間には、フェイトも走って加賀美の後を追いかけていた。
186 :
マスカレード :2007/10/25(木) 13:08:07 ID:LBEJqjSw
取りあえずAパートはここまでです。 18分割なので、9レスずつで調度いい場所で区切れた気がします まぁ正直カブトをなぞってるだけなのであんまり面白くはありませんが、Bパートはカブト本編とは違う流れになります。
支援
Aパート乙です。 Bパートも期待して待ってます。 良太郎とモモタロスの活躍を密かに願ってます(笑)
う〜む、この話の電王はいったい…… 電王作れるぐらい特異点やイマジンの研究が進んでるなら他にやることありそうな気もしますが とりあえず後編待ちか >管理局制ライダー計画 管理局製の誤字?
190 :
マスカレード :2007/10/25(木) 15:39:35 ID:EjNdmsYM
>>189 そうなんです。
管理局ではライダーに出会ったばかりなのに、既に電王が造られてるんです。
このまま読んでいけば、Extra ACT.3やその他の電王話の伏線が繋がるかと……
そういう細かい所に気付いて貰えると、書き手としても嬉しいですね(笑)
あ、それ誤字です(汗)
編集する際には、管理局製と修正して頂けると幸いです
Bパートは、今晩あたりに投下しようと思いますね
電王で一言オーナーはでますか!?
192 :
マスカレード :2007/10/25(木) 19:36:46 ID:LBEJqjSw
>>191 一応出ますよ〜
さて、そろそろ色んな意味でクライマックスなBパートを投下しようと思います。
いいよね?答えは(ry
One.Two.Three.Rider Sien.
194 :
マスカレード :2007/10/25(木) 19:54:22 ID:LBEJqjSw
トンネル内部。フェイトと加賀美は並んで歩き始める。前方から歩いて来るのは、レプトーフィスワームとサリスの大群だ。 「あのワーム……もう一体いたんだ……」 「行くぞ、フェイトちゃん!」 「うん!」 黄色いバルディッシュと、青いガタックゼクター。二人はお互いが持つ変身コアを構える。 「「俺(私)達が相手だ!!」」 「フン!ハァ!」 鳴り響く斬撃音。ガタックダブルカリバーが、サリスを切り裂いてゆく音だ。 「バルディッシュ……!」 フェイトも、バルディッシュ・ハーケンフォームでサリスを切り裂いていく。 バルディッシュの魔力刃も初期と比べるとかなり威力を増しているらしい。どこぞの死神ガンダムばりにサリスを斬り倒している。 そこへ、さらに二人の男が現れる。 「俺はキャンプにおいても頂点に立つ男だ!!」 『Standby(スタンバイ)!!』 「来い、ザビーゼクター!!」 紫の刀−サソードヤイバー−を持った男と、左腕に黄色いブレス−ザビーブレス−を装着した男。剣とクロノだ。 「「変身!!」」 鳴り響く『Henshin』という電子音。そして、変身後すぐにマスクドアーマーが体から浮かび始める。 「「キャストオフ!!」」 次に聞こえた『Cast off』の電子音と共に、二人はライダーフォームへと変身した。 一方、カブトも赤いバイク−カブトエクステンダー−を駆り、戦場へとやってくる。 「よっしゃ、間に合った!!」 カブトの斜め上を一緒に飛行して来たのは、久々に変身したはやてだ。 ガタックは、5匹程のワームの中を一気に突っ切り、その全てをダブルカリバーで斬りつけた! 斬られたワームの体を電撃が走り……やがて爆発。緑の炎に消える。 「バルディッシュ、ザンバー!」 『Jet Zamber.』 フェイトもガタックと同じ様に、5匹程のサリスと対峙。カートリッジを消費し、ザンバーフォームへとフォームチェンジ。 そのまま、カブトのハイパーブレイドと同じ要領で、ワーム全てを横一線。 稲妻を纏った大剣に切り裂かれたワームはやはり、纏めて爆発した。 「ハァ!」 サソードはレプトーフィスワームへとサソードヤイバーを振り下ろす。 「フン!」 それを防いだレプトーフィスワームに、今度はザビーが重いパンチを叩き込む。 だがレプトーフィスワームはどの攻撃も上手く防ぎ、逆に手甲状の武器でザビーとサソードを切り裂く。 「刃以て、血に染めよ。穿て、ブラッディダガー!!」 上空で呪文の詠唱するはやて。久々の見せ場に、少しテンションがハイだ。 はやての周囲に赤い短剣が現れる。そして、それは一気に急降下。群がるサリス達の体を貫いた! ブラッディダガーの直撃を受けたワームの体は、ガタックやフェイトが倒したワームと同じように電撃が走り。やがて同時に爆発した。
195 :
マスカレード :2007/10/25(木) 19:59:42 ID:LBEJqjSw
「ハァ!フン!……ハァッ!!」 カブトはサリスが密集する箇所へと突入。巧みなクナイ捌きで、サリスを斬り捨てていく。 くるくると回りながら上から、下からクナイに斬り裂かれたワームは全て爆発。 そして全てのサリスを斬り倒したカブトの目の前に現れるのは、ハイパーゼクターだ。 『Hyper Cast off(ハイパーキャストオフ)!!』 カブトのハイパー化に伴い、彼方から、お馴染みのパーフェクトゼクターが飛来。そして、大剣の刃が光り輝く。 「ん……?」 「何……!?」 次に、サソードとザビーから二人のゼクターが分離。剣とクロノは、ワームとの戦闘中にその変身を強制解除されてしまう。 パーフェクトゼクターへと合体し、色まで変わってしまうサソード・ザビー、そしてドレイクゼクター。 「どういうことだ!?」 「チッ……他のライダーの変身より優先されるのかよ……!」 悪態をつく剣とクロノ。 戦闘中に変身を強制解除されるとはたまった物では無い。 「おばあちゃんが言っていた……絆とは決して断ち切る事のできない深い繋がり。例え離れていても、心と心が繋がっている……!」 『Kabuto Power,Thebee Power(カブトパワー、ザビーパワー)!!』 順番に赤と黄色のフルスロットルを押すカブト。 「……あれは!?」 ハイパーカブトの動きに気付いたフェイトも、すぐにレプトーフィスワームから離れる。 そしてフェイトのバルディッシュザンバーから解放されたレプトーフィスワームは、真っ直ぐにカブトへと突進していく。 『Drake Power,Sasword Power(ドレイクパワー、サソードパワー)!!』 『All Zecter Combine(オールゼクターコンバイン)!!』 腕を光り輝かせ、突進するレプトーフィスワーム。大剣を構えるカブト。二人の間の距離がだんだんと狭まってゆく。 そして。 『Maximum Hyper Typhoon(マキシマムハイパータイフーン)!!』 「うおぉおおおっ!!!」 引き金を引いたパーフェクトゼクターを、レプトーフィスワームへと降り放った。 その凄まじい威力の攻撃に、レプトーフィスワームは成す術も無く爆発した! これで全てが終わった。後は樹花の元へと帰るだけだ。そう思い、変身を解除しようとした、その瞬間。 「……何ッ!?」 カブトの腰に装着されたハイパーゼクターが突然緑に光り出したのだ。 『Hyper Clock Up(ハイパークロックアップ)!!』 「な……!?」 カブトはハイパークロックアップを作動させたつもりは無い。それなのに、光り輝くハイパーゼクター。 そしてフェイトやはやて達の目の前で、カブトは緑の光に包まれた。 「カブトは……?」 「消えた……?」 こうして、カブトは姿を消した。 この場所から……というよりも、この世界から。
おばあちゃんが言っていた。支援しろと!
197 :
マスカレード :2007/10/25(木) 20:14:55 ID:LBEJqjSw
「うおっ!?」 落下するカブト。同時にハイパーゼクターも分離。通常フォームへと戻ってしまう。 「ここは……?」 立ち上がりながら周囲を見渡すカブト。見渡す限りの草原だ。そして、そこにいたのは意外な人物だった。 「……ひより……?」 なんと、目の前にいるのはずっと探していた人物。そして、天道にとってたった一人の肉親。たった一人の妹だ。 「お前……!」 「ひよりっ!?」 感動の再開。本当ならそうなる筈だった。だが、それはひよりと一緒にいた人物によって阻止されてしまう。 「……ッ!!」 「……お前はッ!?」 なんと、ひよりをかばうように現れたのは。 「(俺……だと……!?)」 天道自身だったのだ。 もう一人の天道は、ゆっくりとカブトに近付いてくる。 そして天道の手に、カブトと同じ……いや、黒いカブトムシ型ゼクターが掴まれた。 「……ヘン……シン……!」 『Henshin(ヘンシン)!!』 そして、これまたカブトと全く同じ−いや、少しだけ違う−カブトに変身したのだ。 「……キャストオフ……」 『Cast off(キャストオフ)!!』 さらに、かなり姿勢の悪い歩き方をしながら接近するカブトは、キャストオフでアーマーをパージ。 その姿は。カブトそのものだった。 いや……正確には、『黒いカブト』だ。 敵意剥き出しの黒いカブトは、天道が変身する赤いカブトに襲い掛かる。 赤いカブトのレンジに入った黒いカブトは、パンチやキックを何発も繰り出す。 「ウオォ!ヤァッ!ハアァッ!!」 「フン!ハッ!クッ……!」 黒いカブトと赤いカブトの戦闘能力は全くの互角。二人の攻撃はどちらも受けられ、ヒットすることは無い。 パンチも、キックも、カウンターも。まるで相手の攻撃が読めるかのように同じ動きをしているのだ。このままでは埒が明かない。 『『One!』』 『『Two!』』 カブトとカブトは、同時にベルトのフルスロットルを押し始める。 『『Three!』』 全く同じ動き。全く同じシステム。全く同じ流れで、ベルトから頭を通って脚へと、タキオン粒子がチャージアップされる。 『『Rider Kick(ライダーキック)!!』』 刹那、赤いカブトと黒いカブトが同時に放った回し蹴り−ライダーキック−は激突。ほとばしる稲妻。凄まじい衝撃だ。 しかし、全く同じ戦闘力に見えたこのライダーキック。蹴りを振り抜いたのは、『黒い』カブトの方だった。 「ウオォォオッ!!!」 「うわぁあああああっ!!?」 黒いライダーキックをモロに受けた『赤い』カブトは、凄まじい衝撃に吹き飛ばされる。 そしてそのまま、『赤い』カブトは彼方へと吹き飛ばされた。 その先にある物は……『緑の光』だ。 「クッ……!うわっ!?」 地面へと落下するカブト。苦しんでいるのか、しばらく地面をのたうつ。 カブトの周囲に広がる光景は、さっきと同じ、雑木林だ。クロノや剣、フェイトにはやて達もいる。どうやら戻ってきたらしい。 そして、再び飛来するザビーゼクター。今度はカブトの元へではなく。クロノの手の中へ。 「これで終わりにするぞ……カブト。」 『Henshin(ヘンシン)!!』
ダークカブト登場!支援!
支援するぞ!誇りに思えぇぇぇぇぇぇえ!! byシザーズジャガー
支援
201 :
マスカレード :2007/10/25(木) 20:36:55 ID:LBEJqjSw
「……いいだろう。そろそろ決着をつけてやる」 カブトもゆっくりと立ち上がる。 「加賀美、剣!お前達は樹花の元へ行け!」 「な……なんでだよ!?俺も一緒に……」 「ダメだ!」 カブトに言われ、自分も一緒に戦おうとする加賀美。だが、今回はカブトにキツく拒否される。 「頼む……!樹花の元へ行ってくれ……!」 「な……!?」 天道に頼むとまで言われたのは初めてだ。今日の天道は、何かがおかしい。 「……わかった。行くぞ、カ・ガーミン。」 「剣……」 バスの元へと歩き出す剣。 「わかった。お前がそこまで言うなら……。」 「感謝する……」 加賀美も、剣と一緒に歩き始める。立ち去り際に、一瞬カブトを見る加賀美。その目には、「絶対帰ってこいよ」という意思が込められていた。 一見いつも通りに見える天道だが、今回は少し違っていた。カブトはさっき、『黒いカブト』のライダーキックの直撃を受けた。 普段自分がワームに放っている技がこんなにも重いとは、想像もつかなかっただろう。カブトの体にはダメージが蓄積されていた。 だが、負ける訳にはいかない。負けたくも無い。そして、負けるつもりも無い。 樹花の元へ戻る為にも、絶対に負けてはならない。 天道と加賀美のやり取りとほぼ同じタイミング。こちらでも似たようなやり取りが行われていた。 「お願い。はやてはなのはの所に戻ってあげて」 「え……なんでなん!?私も一緒に……」 「ダメ。加賀美が戻ったのに、私が戻らなきゃなのはに心配かけちゃうから」 「それは……そうやけど……」 「だからお願い!はやては先に戻って、私は無事だって、なのはに伝えて……!」 神妙な面持ちで頼み込むフェイト。そうまで言われれば仕方が無いか…… 「わかった。じゃあ……」 「大丈夫だよ。私は絶対に戻るから!」 心強いフェイトの表情に安心したはやては、変身を解除。すぐに加賀美の後を追い掛けていった。 「それと兄さん……カブトとの決着は私につけさせて……!」 はやてが立ち去るのを見届けたフェイトは、バルディッシュザンバーを構えて言った。 「けど……」 「なのはがやられたのに、私が黙って見てる訳には行かないから!」 「フェイト……」 「お願い。一対一でやらせて……!」 「はぁ……わかったよ。ただし、絶対負けるなよ?」 「もちろん!」 フェイトはまた、心強い表情で頷いた。もちろん二人は、カブトが手負いだということに気付いていない。 だが今回はハイパーカブトでは無い。勝機ならある、と。そう思った。 こうしてなのはに続いて、フェイトvsカブトの戦いが、幕を開けた。
ちょっ!?フェイトさん、自重して!支援!
これでフェイトも病院送りか・・・ 支援
204 :
マスカレード :2007/10/25(木) 20:41:33 ID:LBEJqjSw
「ハァーッ!!」 「クッ……!これは……!?」 フェイトはソニックフォームにフォームチェンジ。一気にカブトとの距離を詰め、ザンバーを振り下ろした。 カブトは逆手持ちのクナイガンでなんとかザンバーを受け止める−といっても結構ギリギリだが……−。 「(カブトはソニックフォームにはついてこれない……?それなら!)」 再び姿を消すフェイト。なのはと違い、フェイトはクロックアップ無しでの高速移動ができ、尚且つ近接戦に特化している。 明らかに通常フォームの……ましてや、ダメージの蓄積したカブトでは不利だ。 「そこかッ!」 だがそれでも負ける訳にはいかない。カブトは勘でフェイトがいるであろう位置にクナイガンを振り下ろす。 「(そんなもの)……!」 しかしそれもフェイトのザンバーに弾き返されてしまう。 「これなら……勝てるかもしれない!」 ザビーも、勝てるかもしれないとフェイト見守っている。だが、何かがおかしい。何か……妙な気配だ。 ザビーは、後ろを振り向いた。そこにいるのは数十匹のワーム。 「お前達……」 フェイトの気持ちは、クロノにも伝わっている。だからこそ、この勝負を邪魔させる訳にはいかなかった。 「お前達の相手は、僕がする。」 『Cast off(キャストオフ)!!』 ザビーはアーマーでサリス数匹を弾き飛ばし、ボクシングスタイルで構えた。 「(どこだ……どこにいる!?)」 カブトは防戦一方と化していた。攻撃は全て受け止めているために、決定打は与えられていないが、このままではいずれ敗れてしまう。 そんなカブトが手にしたのは、ゼクトマイザーだ。これならば広範囲に攻撃することができる。 フェイトも、カブトが何処からか取り出したゼクトマイザーには見覚えがあった。 「(あれは……あの時の!)」 以前、カブトが大量に爆弾を射出した道具だ。もしもこれを使われれば、ソニックフォームは完全に封じられてしまう。 高速で移動する分、無数に飛び回る爆弾に当たる可能性は高い。しかも、ソニックフォームは防御力を捨てている。あんな爆弾を何発も食らえば一たまりも無い。 フェイトは咄嗟に元のライトニングフォームに戻り、左手をカブトにかざす。 「いけッ……!プラズマスマッシャー!!」 『Plasma Smasher.』 フェイトから放たれた閃光は、真っ直ぐにカブト目掛けて飛んでゆく。 「……遅い!」 だが、フェイトがライトニングフォームに戻ってからプラズマスマッシャーを放つまでの時間は、カブトにとっては遅過ぎだ。 地面を転がって回避したカブトは起き上がり様にすかさず大量のマイザーボマーを射出した。 射出されたマイザーボマーは、フェイトの周囲を飛び回る。
支援!
206 :
マスカレード :2007/10/25(木) 20:48:29 ID:LBEJqjSw
「ハッ!フン!セヤッ!」 サリス達に連続でパンチを撃ち込んでいくザビー。一撃で爆発させる程の威力は無いが、それでも殴り続けているうちにサリスの数は減っている。 ザビーは途中、ちらっとフェイトを見た。ソニックフォームは封じられたようだが、それでも互角くらいには見える。 しかしフェイトにばかり気を配る訳にもいかない。 ザビーがよそ見をした、その瞬間。不意をついたサリスが爪で攻撃してきたのだ。 「チッ……」 一度ガードし、すぐに反撃する。この状況ではそれが得策と判断したザビーは、そのサリスに向き直る。 だが、サリスの爪が飛んでくる事は無かった。サリスは桃色に輝くバインドに拘束されていたのだ。 そしてそのバインドの先にいるのは。 「……アルフ!?」 「フェイトに何かあってからじゃ遅いからね。私も参戦させて貰うよ!」 ザビーはアルフに拘束されたサリスに、ゼクターニードルを突き刺しながら「わかった!」と返事を返す。 一方のフェイトは、大量に射出されたマイザーボマーに翻弄されていた。 できる限りのマイザーボマーをバルディッシュで破壊し、接近され過ぎたマイザーボマーはディフェンサーで防ぐ。 空を飛び回りながらふと下を見ると、カブトのゼクトマイザーからはマイザーボマーが射出され続けている。 「アレだ……あの爆弾を発射してる機械。アレを潰さなきゃ……!」 次にフェイトはバルディッシュのマガジン部を見る。残りカートリッジは0。 『Blitz action.』 フェイトはスピードローダーでカートリッジを装填。そのまま、ブリッツアクションで動きを軽くし、マイザーボマーを全て回避しながらバルディッシュザンバーを振りかぶる。 「撃ち抜け、雷刃!」 『Jet Zamber.』 フェイトの掛け声と共に、バルディッシュの魔力刃は巨大化。そのまま周囲のマイザーボマーを巻き込んで、横一線に振り抜く! 大半のマイザーボマーはバルディッシュに破壊された。次にフェイトは、巨大化したままのバルディッシュをカブトへと振り下ろす。 「ク……ッ!」 咄嗟にゼクトマイザーを手放したカブトは、ガードの姿勢に入る。プットオンする暇も無かったのだ。 「く……うわぁああああああッ!!」 そして衝撃で吹き飛ばされるカブト。幸い、思っていた程の威力は無かったらしい。まだ戦える。 流石のジェットザンバーでも、非殺傷設定のついた攻撃でヒヒイロノカネを貫くにはまだ足りなかったらしい。 カブトはなんとか起き上がり、クナイガンをガンモードに変形。持ち直しながら、フェイトに言った。 「お前……なかなかやるな。」 「……私は貴方を倒す!今日、ここで!」 「そうか……。だが、昇る太陽の輝きに……敵う物などいない!」 言いながらクナイガンから光弾を連射するカブト。
支援
支援します!
トールギス支援!!
俺はただ・・・美しいものを支援したいだけだ by本郷猛
211 :
マスカレード :2007/10/25(木) 20:56:50 ID:LBEJqjSw
「まだこんな武器が……!」 フェイトは少し驚きながらも、なんとかカブトの放った弾丸を回避する。 カブトももはや形振り構っていられる状況では無いのだ。とにかく、空を飛ぶフェイトに弾丸を発射し続ける。 「(フェイト……負けるんじゃないよ……!)」 フェイトを見守りながら、サリスを殴り飛ばしていくアルフ。 アルフ・ザビーと二人に殴られ続けたサリスも、だんだんと数を減らし、残す所1匹となっていた。 「これで……!」 『Rider Sting(ライダースティング)!!』 ザビーはザビーゼクターのフルスロットルを押した。タキオン粒子がチャージアップされ、眩ゆい光がほとばしる。 ザビーはそのまま、サリスへ向かって走り出した。後はこの左腕を突き刺せば終わりだ。左腕を振りかぶり、ライダースティングの体制に入る。 しかし。 この時クナイガンを回避するために飛び回っていたフェイトが、タイミング悪くサリスの背後に移動してしまったのだ。 ザビーはそれに気付かずに、ライダースティングを撃ち込もうとしている。 そして、さらにタイミングが悪い事に、サリスは回避しようとそこから動いてしまったのだ。 ボクシングやK-1でも、集中している選手は攻撃のモーションに入った時点で、その攻撃を止めるのはほぼ不可能だ。 ザビーはそのまま、ゼクターニードルを高速でフェイトに突き刺そうとする。 「……なッ!?」 「……フェイト!?」 驚愕するフェイトとアルフ……そしてクロノ。 ザビー……いや、クロノは心の中で「どいてくれ!」と祈るが。時既に遅かった。 光り輝くライダースティングはそのままフェイトに向けて放たれた。 凄まじい音と共に、ゼクターニードルは突き刺さった。 そして突き刺さった体からほとばしる電撃。衝撃。輝き。 「そんな……!」 「バカな……!?」 アルフもザビーも、驚愕のあまり動きが止まってしまう。 『Clock over(クロックオーバー)』 目の前で。ライダースティングの直撃を受けているのは、フェイトでは無い。 「うぅ……クッ……!」 ザビーの目の前にいるのは、カブトだ。もはや立っていられるのも限界らしく、かなり苦しそうな声を出している。 ザビーはその赤いヒヒイロノカネからニードルを引き抜き、言った。 「なんでお前が……!」 「……お前の……たった一人の……妹……」 だが、カブトがその言葉を言い終える事は無かった。そのまま、力無く地面に倒れたのだ。 ザビーの目の前で横たわる天道の体から、ライダーの装甲が消滅し、カブトゼクターもいずこかへと飛んで行く。 クロノの体からもザビーゼクターが離脱。クロノもフェイトも、そのまま呆然と立ち尽くす。
天道ーーーーーーー!!!!!!
支援
闇の力こと黒ダミアンー!助けてあげてー!
これは予想外!支援!!
川に落ちるから大丈夫!支援
217 :
マスカレード :2007/10/25(木) 21:06:34 ID:LBEJqjSw
『今のうちに、天道総司を捕獲して頂戴!』 フェイト達に、アースラのリンディから通信が入る。 「え……でも……」 「でも艦長!こいつはフェイトを助けてくれたんだよ!?それなのに……」 混乱しているフェイトに代わり、アルフが抗議する。 『それはわかっています!でも……今しか無いの。』 リンディも、アースラで悔しそうな顔をする。 『手遅れになる前に、天道総司をアースラの医務室に収容します。……お願い……!』 「…………。」 アルフは悲しげな瞳で、意識を失い、地面に横たわった天道を見つめる。 「ごめんよ……天道……」 アルフは目をつむり、小さな声で呟いた後に、天道をバインドで拘束した。 バインドされた天道の体はゆっくりと浮かび上がり、そのままこの場所から……いや、再びこの世界から姿を消した。 まるで天道の敗北に合わせるように、太陽も完全に沈んでいる。 これにて天道と管理局との戦いも、管理局の勝利に終わった。はずだが……。 どこか釈然としない。認めたく無い。こんな勝ち方は。 「僕の……完敗だ。」 日が落ち、暗くなった雑木林で。悔しそうなクロノの声が響いた……。 「お兄ちゃん、どうしちゃったのかなぁ?」 首を傾げる樹花。 ここは、樹花達のいるキャンプ場。俺も後で行くと言ったはずの天道が、いつまで経っても現れないのだ。 そんな樹花を見つけた加賀美は、励まそうと根拠の無い事を言う。 「あ……天道はきっと、何か用事で遅れてるんだよ。きっと樹花ちゃんに会いに来てくれるよ!」 「そうだよね?だってお兄ちゃん、私に嘘なんてついたこと無いもんね♪」 幸せそうな顔で笑う樹花。加賀美はどこか胸が痛くなるような気がした。 なのはやフェイト、さらには天道と一緒に来たはずのはやてまで、キャンプ場に戻っている。 それなのに天道はいない。間違いなく天道の身に何かがあったのだろう。 翌々考えてみれば、天道が加賀美に頼み事をする事自体が不自然なのだ。 加賀美はあの時、天道に逆らってでも最後まで見届けるべきだった。そう、非常に後悔した。 「(天道……お前一体、どうしちゃったんだよ!!)」 加賀美は誰にも悟られないように、拳を握りしめた。 「フェイトちゃん、なんかおかしいよ?どうしちゃったの……?」 「なのは……」 フェイトは、帰って来てからずっと虚ろな表情をしている。そんなフェイトを気にかけたなのは。 「ううん……なんでもないよ……!」 しかし、なのはに心配をかけたくは無い。無理して笑顔を作るフェイト。 だいたい、ずっと倒したかった敵を倒したのだ。嬉しく無いはずは無いのだ。 泣いて悲しめって言うのか。そんな理不尽な話は無い。 なのに、何故か喜べ無い。あんな物、フェイトにとっても勝利とは言い難い。 「天道さん……まさか……」 そんなフェイト達を見たはやても、どこか不安を抱かずにはいられなかった。
支援
219 :
マスカレード :2007/10/25(木) 21:09:50 ID:LBEJqjSw
一方のアースラでは。 「これでカブトも捕獲しました。後は……」 「ええ、分かってるわ。ハナちゃん」 リンディの横にいるのは、黒いドレスのような服を来た女性だ。 ハナと呼ばれた女性は、そのままブリッジを後にした。 「はぁ……僕ってなんでこんなについて無いんだろ……」 何故か自室でつまずいた良太郎は、額をさすりながら呟いた。 「何か憑いてるんじゃないかな……」 『ああ……憑いてるぜ?』 「え……?」 どこからか聞こえる声。そして良太郎の前に、白い砂でできた鬼のような怪人が現れた。 次回予告 時を越える電車……デンライナー……? なんだか知らねぇが、マスカレードは俺が貰ったぜ! 次回!魔法少女リリカルなのはマスカレード ACT.16…… 時を越えて、「俺、参上!」 言っとくが俺は、最初からクライマックスだぜ!! スーパーヒーロータイム 北岡「吾郎ちゃん、やっと俺達の出番だよ?」 吾郎「はい。今まで長かったですね」 北岡「俺、参上?まぁそれもいいけどさ、その前にExtra ACT.5だね」 吾郎「ついに先生が主人公になります。大活躍します。」 蓮「それはどうかと思うがな」 北岡「まぁとにかく、Extra ACT.5「その男ゾルダ」を先に見る事をオススメするよ」 真司「お前ら、自分の宣伝しに来ただけかよ!?」
220 :
マスカレード :2007/10/25(木) 21:12:11 ID:LBEJqjSw
投下終了です! もうなんか……すいません(爆) 今回のフェイトもそうですが、私は強い相手と必死で戦う側をシン・アスカと重ねてしまう節があるようですね…… 翌々考えれば今までもシンなセリフは多々あったような。 学校の怪談編で残ったいくつかの伏線はすべて、Extra ACT.5で回収します
>>220 GJ!
戦闘描写が凄いの何の…自分も見習いたいです。
さて、「2日以上開けずに次の話を投下する」ことを自身に課し続けてきた反目のスバルですが…
うむむ…学園祭でまさかの大苦戦。投下は明日以降になりそうです。
まあ、そんな報告だけでは何となく悔しいっ…!(ビクビクッ)ので、
せっかくなので最終回のキーワードを1つ、公開しておきます。
「10人のなのは」
…ええ…もう、これだけではまさに「ハァ?」の一言ですね…
GJですよ 天道哀れ・・・ まぁ最近調子に乗りすぎだったからたまには・・・ ショッカーの早期登場を期待します。 さて俺も・・・と行きたいけど今はちょっと・・・ あーあ、繋ぎにリリカルリンディ書いちゃおうかなぁ? もしそれで良いならみんなから昭和のどのエピソードを再現してほしいかアンケートでもウロススレで取った方がいいですかね?
GJ!ですっ! パーフェクトゼクターの容赦ないゼクター採取は、戦闘中にされると怖い(汗) フェイトとカブトの戦闘の結末が、妹を守る一点にあり! 次回のデンライナーと桃の活躍を存分に期待してます。 >>リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY ナノシング氏 OVAで見たシーンが文章化されてて、読み応えはGJ。 ただ、ティアナたちの出番が無いと、クロス作品らしくない感じがするって想う声。 >>NANOHA COMBAT ZERO氏&ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏 原作知らないので突っ込んだ感想が書けない・・・ごめん。 それはともかく、丁重な文章と作品に対する愛が感じられてGJっす!
GJ!
やっぱり天道は天道らしい・・・
>>222 そんな言い方はないんじゃない?
天道好きな俺には天道が馬鹿にされてるようにしか聞こえない
俺は最初から最後まで天道らしい格好いい幕の引き方だったと思いますよ
ああ、君たち議論するなら雑談スレでね >>マスカレード氏 GJです!
>>マスカレードの方 GJっしたー。天道はマジ家族の絆に弱いからなぁ……。 不幸自慢とかできるタイプでないし。とまれ電王勢に期待。 実は管理局じゃないかもしれないとか、サプライズですわ。
マスカレード氏 管理局も良太郎のいった言葉から、天道がフェイトの命を助けるために時間を戻したと、きずくんですかね。
>マスカレード氏 お疲れ様でした、感想言います とてもGJでしたー、天道のとった行動は天道らしくてよかったです 天道はこの後どうなるか、そしてフェイトやなのは達は、天道に対して 今後どの様に接して行くのかとても気になります、これからも頑張ってください 個人的には、管理局につかないでいつもどうりの状態でいて欲しいなと思う自分でした
職人の皆様GJです >>◆Y0DG7nGjbg氏 振り切った先に対空砲火・・・ベルカには孔明がいるようです なのはさん吐きそうになってる・・・どこからどう見てもピンチです。本当に(ry >>ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏 ( ゚Д゚)・・・ウルトラマンのヤバさを再確認しました、まる 誰かレオ兄さん読んでミライに「少し、頭冷やそうか・・・」を・・・本人が聞いたら凄い事になりますよ・・・ >>マスカレード氏 天道をダークカブトの所に飛ばした光って、一体なんなんでしょう・・・? ・・・って、天道?!フェイトをかばって倒されるとは・・・カブト未見の俺には全く予想つきませんでした >>リリカルガオガイガー氏 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ(以下エンドレス 一応次回のトバルカイン戦後半ではちゃんと出番ありますので、ご勘弁を・・・ ・・・暫くはリリカル龍騎の方がメインになるでしょうけど
>229 追加します。 管理局につかないでほしいのは、天道の事です 彼は管理局にいるよりも、変な言い方ですが一匹狼みたいな、とにかく 何処の組織にもつかず、一人の戦士としていて欲しいなっと個人的に思います 失礼な言い分ですいませんでした。
>>231 三脳なんて胡散臭い奴等がいる管理局には本気では付かないだろう。
だがこれは天道も管理局に丸め込まれるフラグな気がするのは俺だけだろうか・・・ 以前、天道の管理局潜入がどうとか言ってたから、これをきっかけに管理局に忍び込むのかも
>>228 なのはとクロノは気付かないか気付かぬフリをする気がする
潜入のための入局と丸め込まれて入局は別モンだろう。 それに天道が丸め込まれるような奴とは思えん。
スカも丸め込めなかったしな。
もてる記憶全部振り絞って先ほど十六話Bパート完成… 終盤かなり乱雑だけど投下するッス。 十五話「その日、機動六課(前編)」Bパート 【地球 天道邸】 樹花「お兄ちゃん…」 ひより「…」 日下部「大丈夫だよ樹花、樹花もひよりも、僕が絶対守るから。」 樹花「…うん。」 日下部「ひより、樹花をお願い。」 ひより「分かった…お前も気をつけろよ。」 日下部「分かってるよ。」 日下部は二人に笑顔を送ると、玄関から外に出た。 天道邸は無数のアルビローチと怪人達に囲まれている。 日下部「…!」 日下部はダークカブトゼクターを呼び、左手で掴んだ。 日下部「変身!!」 「HENSIN」 日下部はダークカブトマスクドフォームに変身し、即座にキャストオフしてライダーフォームになる。 そしてゼクトクナイガン・ガンモードを取り出し、照準を怪人達に合わせた。 ダークカブトRF「さぁ来い!!この家には指一本触れさせないぞ!!」 【新宿】 新宿ではギルス、G3-X、響鬼の三人が怪人達と戦いを繰り広げていた。 ギルス「ウオオオオオオ!!」 G3-X「フン!」 響鬼「つぇああああああ!!」 ギルスのギルスクロウが、G3-XのGS-03が、響鬼の烈火剣が、次々に怪人を引き裂いていく。 だが、怪人達は倒しても倒しても、次々に現れる。 ギルス「キリがないな…」 響鬼「しょうがない、本気出しますか…!」 ギルス「よし…ウオオオオオオオオオオオオオオ!!」 響鬼「響鬼、装甲!」 ギルスはエクシードギルスに、響鬼は装甲響鬼に強化変身し、圧倒的な力で怪人軍団を蹴散らし始める。 装甲響鬼「フォアアアアアアアア!!」 Eギルス「ウオオオオオオオオオ!!」 G3-X「…」 その様子を羨ましそうに見ているG3-X…ではあったが。 尾室「「氷川さん!G4-X!準備できました!!」」 G3-X「!、はい!!」 尾室の通信を聞いた瞬間、心を躍らせてGトレーラーに戻るのだった…
【新ボード研究所】 新ボード研究所の地下。 ここには睦月、加賀美、風間、剣、真司、蓮、北岡の七人が集められていた。 橘「現在、何者かの仕業で、ミッドと地球を繋ぐ空間が閉ざされている。通常の方法でミッドに行くことは不可能だ。」 加賀美「そんな!」 剣「じゃあ、矢車達の所へは行けないのか!?」 睦月「じゃあ何で俺達を先行させるなんて…」 橘「落ち着け!お前達をミッドに送るため、我々が開発した緊急突破用の転送装置を使用する。」 蓮「転送装置だと?」 真司「それって…」 橘「次元を通ってミッドに行くのではなく、次元を通らずに、対象をそのままミッドに転送する装置…いわばワープ装置のような物だ。」 真司「はぁ…」 橘「但し、これが使えるのは一回きり、後は暫く修理しなければ使えない上に、送れるのも七人までだ。」 蓮「俺達は、選ばれたというわけか…」 北岡「まぁ、妥当なメンバーではあるね。」 橘「現在リンディさんが、閉ざされた次元を修復するために奮闘している。 俺達は次元が繋がり次第そちらに向かうから、頼むぞ。」 真司「任せてください!」 橘「それと睦月。」 睦月「はい?」 橘「これをティアナに渡せ。」 橘はミニデータディスクを睦月に渡す。 睦月「これは?」 橘「俺がティアナのために全身全霊を篭めて作った、新しい戦闘用プログラムだ。 これをクロスミラージュに組み込めば、ギャレンの「ファイア」の他に、レンゲルの「ブリザード」も使えるようになる。 そして、クロスミラージュの新しいモードもな。」 睦月「分かりました。必ず渡します!」 橘「頼むぞ。」 真司「じゃあ、行こう!」 真司達は次々に装置に乗り込む。 加賀美「橘さん!全員乗り込みました!」 橘「よし、次元転送装置、起動!」 橘は装置をスイッチを入れ、起動させる。 すると装置の内部から眩い光を発っせられ、中にいた七人は姿を消した。 橘「頼むぞ…」 ……… 【ミッドチルダ中央管理局地上本部】 ヴィータ『それにしても、だ。いまいち分からねぇ。予言通りに事が起こるとして、内部のクーデターって線は薄いんだろ?』 なのは『アコース査察官が調査してくれた範囲ではね…』 ヴィータ『そうすっと、外部からのテロだ。だとしたら、目的はなんだよ?』 なのは『う〜ん…』 ヴィータ『犯人は例のレリック集めてる連中。スカリエッティ一味だっけか?』 なのは『うん。』 ヴィータ『やつらだとしたら、更に目的が分からねぇ。局を襲って何の得がある?』 なのは『兵器開発者なら、自分の兵器の威力証明…かな。管理局の本部を、壊滅させられる兵器や戦力を用意できるって証明できれば、欲しがる人はいくらでもいるだろうし…』 ヴィータ『威力証明なら、他にいくらでもできる場所がある。リスクが高すぎるだろ。』 なのは『…だよね。』 ヴィータ『どうも読めねぇ。』 なのは『まぁ、あんまり考えてもしょうがないよ。…信頼できる上司が命令をくれる。私たちは、その通りに動こう。』 ヴィータ『そうだな。』
【中央市街】 五代「ふう…今日はここに泊まろうかな?」 五代はビートチェイサーから降り、荷物を降ろす。 五代「ここまで来たら、明々後日にはなのはちゃん達が作ったって言う部隊の隊舎に着けるな。 皆どうしてるんだろ?」 五代は最後になのはたちに会った日を思い出す。 五代「確か空港が火事になって、矢車君達と一緒に救助活動してたら、エントランスホールで泣いてる女の子見つけて、崩れてきた女神像を金のゴウラム合体ビートチェイサーボディアタックで粉砕したらなのはちゃんに怒られたんだっけ? あの時のなのはちゃんの顔と来たら… …早く会いたいな。」 五代は徐々に夕焼け色に染まっていく空を見てそう思った。 五代「でもどうしたんだろ?今日はやけに騒がしいな…何かあるのかな?」 【???】 スカリエッティ「クックックック…」 ウーノ「楽しそうですね。」 スカリエッティ「ああ…楽しいさ。この手で世界の歴史を変える瞬間に、研究者として、技術者として、心が沸き立つじゃあないか。そうだろう?ウーノ? 我々のスポンサー…そして、私を認めてくれた偉大なる首領にとくと見せてやろう。我らの思いと、研究と開発の成果をな。さぁ、始めよう!」 ウーノ「はい。」 ウーノはフローレス・セクレタリーを起動した。 ……… クアットロ「さぁ、ミッションスタートよ!」 クアットロはシルバーカーテンを展開し、操作を開始する。 ルーテシア「アスクレピオス…限定解除…」 ナンバーズ達の攻撃が開始された。 内部に潜入していたセインが司令部を麻痺させ、チンクがIS「ランブルデトネイター」で防御システムにダメージを与える。 クアットロ「うん、防壁出力減少…ルーお嬢様ぁ♪お願いしますぅ♪」 ルーテシア「遠隔召喚…!」 ルーテシアは、地上本部の外部一体に大量のガジェットドローンを召喚した。 ……… イブキ「これは!?」 武装局員「うわああああ!」 とやはり原作どおり逃げていく局員達。 キョウキ「ちょ!おい!逃げんのかよ!?」 トドロキ「俺達だけで止めるしかないみたいっスね!」 イブキ「そうですね!」 三人はそれぞれの変身アイテムを使い、鬼に変身した。 轟鬼「行くっスよ!」 強鬼「仕切らないで下さい!」
……… レジアス「会の中止はせんぞ。迅速に賊を捕らえよ。」 局員「はっ!」 レジアス「地上本部の防衛は鉄壁だ。進入できるものなどおらん。」 クアットロ「別に〜。中まで進入する必要はな〜いもん。囲んで無力化してしまえば。」 クアットロはガジェットを防壁に突撃させ、自爆させて防壁を破った。 アギトGF「防壁が!」 アナザーアギト「それだけじゃない…どうやら、奴らの方が一枚上手だったようだ。」 本部内の全てのシャッターが閉じ、電源が落ちる。 ……… はやて「閉じ込められたか!」 シグナム「AMF濃度が高い。魔力が結合できなくなっています。」 はやて「通信も通らへん。……やられた!」 【地上本部上空】 トーレ「セッテ、お前は戦闘は初めてだったな。」 セッテ「心配後無用、伊達に遅く生まれてはいません。」 トーレ「そうか…IS発動!「ライドインパルス」!!」 セッテ「「スローターアームズ」!」 トーレ&セッテ「アクション!」 二人はそれぞれの固有技能を使い、本部に向かっていた空士部隊を一瞬で全滅させた。 ……… シャーリー「「外からの攻撃はひとまず止まってますが、中の状況は不明です!」」 グリフィス「「……っ」」 スバル「副隊長!私たちが中に入ります!なのはさんたちを、助けにいかないと!」 フォワード「うん!」 ヴィータ「分かった…こいつらも頼むぞ!」 ティア「はい!」 ティアナはレヴァンティンとシュベルトクロイツを受け取る。 そして新人達は本部の中に突入した。 ヴィータ「リィン!ユニゾン、行くぞ!」 リィン「はいです!」 ヴィータもリィンとユニゾンし、大空に飛び立った。 ……… なのは「会議室や非常口へ道は、完全に隔壁ロックされてるね。中とも連絡がつかない。」 フェイト「エレベーターも動かないし、外への通信も繋がらない。」 なのは「…とにかく、ここでじっとしてるわけにはいかない。ちょっと荒技になるけど…フェイトちゃん、付き合ってくれる?」 フェイト「当然。」 二人は、共に停止したエレベーターの元に向かう。 だが、そこには先客がいた。 なのは「こ、これは…!」 フェイト「あ…あ…」 二人を待っていたのは、数人の局員達の死体と、鼻がドリルになり、両腕に刃が付加され、頭のヒレもノコギリのように鋭利に強化されたギリザメス強化体だった。 ギリザメス(強)「ガブウウウウウウウウウ!!」 ギリザメスは牙を剥き、二人に飛び掛った。
……… リィン「こちら、管理局。あなたの飛行許可と個人識別票が確認できません。」 アギト「ん?この声…」 リィン「ただちに停止してください。それ以上進めば、迎撃に入ります!」 ゼスト&アギト「!?」 二人に向けて無数の赤い弾が飛んでくる。 アギト「この!ブレネンクリューガー!」 アギトは無数の炎の弾を発射しこれを迎撃する。 だが相殺した赤い弾は鉄球へと姿を変え、再び二人を襲う。 アギト「実体弾!?」 ゼスト「…!」 ゼストは即座にバリアを張り、これを防ぐ。 そしてこの隙を突いてヴィータが背後から現れ、攻撃を仕掛ける。 Rヴィータ「ギガントハンマアアアアアアアア!!」 ヴィータの「ギガントハンマー」はゼストとアギトに直撃した…かに見えたが。 ヴィータ「なっ…」 ゼストとアギトはユニゾンし、攻撃を間一髪回避していた。 リィン「やっぱり!融合型!」 ヴィータ「あたしたちと同じか…管理局機動六課!スターズ分隊副隊長!ヴィータだ!」 ゼスト「……ゼスト。」 ………、 ウェンディ「ノーヴェ。作業内容忘れてないっすか?」 ノーヴェ「うるせぇよ。わすれてねぇ」 ウェンディ「捕獲対象三名。全部生かしたまま持って帰るんすよ?」 ノーヴェ「旧式とはいえ、タイプゼロがこれくらいで潰れるかよ」 スバル「戦闘…機人…」 なのは達にデバイスを届けようとしていたスバル達の前にも、ナンバーズの牙が迫る。 ……… ルーテシア「こっちはもういいね。次にいくよ。」 ウーノ「「はい、お嬢様。未確認のレリックと聖王の器が保管されていると思われる場所…」」 ルーテシア「機動六課…」 そして、「皆の居場所」にも…
一応投下終了、次は十七話っス。 まぁ、十七話ちょっと延期してまた昭和編書くかもしれませんけど。
243 :
マスカレード :2007/10/25(木) 23:37:05 ID:EjNdmsYM
GJです! 相変わらず一度にたくさんのライダーを活躍させるのは凄いの一言! 原作通りに局員が逃げたのには吹きました(笑) 鋼鉄の7人のミッドでの活躍にも期待してます ショッカーを登場させるには、ブレイドストーリーをもう少し進めた上で、天道をブレイド勢及び管理局と もっと接点を増やさなければならないんですよね…… 期待せずに待っていて貰えると幸いです(笑) >>リリカル龍騎さん 天道をダークカブトの世界に送った光りは、ハイパーゼクターの暴走によるものです やはりカブト未見だと解りづらいかもですねぇ(汗) >>皆さん 感想ありがとうございます 結構色んな展開を想像してくれてるみたいで書き手としても嬉しいですね(笑) 余りネタバレはしたくないので、続きは待っていて下さいとしか言えませんが……
>マスカレード氏 GJです! 天道さーーーーーん!! こういう展開ってベタだけど燃える(*^_^*) そしてついに次回は電王キターーー!!ヽ(゚∀゚ )ノ 次回も楽しみですなwktk >リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー氏 GJ!としか言いようが無いwww >>やはり原作どおり逃げていく局員達。 の一節でフイタwwww 次回はついにsts17話のお話。楽しみにしています! と、ココでちょっと報告が。 雑談スレにも書いたんですけど、 ぶっちゃけ今、小説を書くにしてもどの作品とクロスさせようかな、と迷ってます。 一応、雑談スレの方でもまだまだご意見・要望受けつけています。 明日にはどれにしようか決めようかなと思ってますです。 クロスさせたい作品の詳しいリストは雑談スレの602と618のものを見てください。 皆さんの意見要望をお待ちしていますお願いします<(_ _)> ※心の声…リストに出しても一票も無い「みなみけ」。 でも、オレは書く。絶対「みなみけ」×「なのは」クロス書くんだ。 誰が何と言っても俺はか(ry アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノ(爆)
一言で言えば 自分で決めるんだ
246 :
なの魂の人 :2007/10/26(金) 02:46:41 ID:vJsV+Qkf
なの魂一話出来たよ!出来たよ!(AA略 というわけで投下いたします 結構人を選びそうな作風だけどゴメンね(´・ω・)
247 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:47:46 ID:vJsV+Qkf
生い茂る木々。 差し込む木漏れ日。 およそ社会の喧騒とは無縁な場所に"彼"はいた。 「はぁ……はぁ……はぁ」 息を切らし、辺りを見回す。 ――どこに行った? ――早く……早く、封印しないと…! 何の前触れもなく彼の背後の茂みが蠢く。 「っ! そこか!」 懐から赤い宝石のような物を取り出す。 宝石は彼の精神に呼応するかのように輝き、宙に浮く。 同時に、その宝石の周りに幾何学模様が描かれた円が展開された。 「妙なる響き、光と為れ! 赦されざる者を、封印の輪に! ……ジュエルシード! 封印!」 呪文と同時に放たれる一筋の光。 しかし……。 「……逃がし、ちゃった……」 最後の力を振り絞って放った閃光も、空しく空を切る。 「追いかけ……なく…っちゃ……」 満身創痍の身体に鞭を打って来たが、どうやらここまでが限界のようだ。 彼はその場に倒れこみ、死んだように動かなくなる。 ――あれを……野放しにしておくわけには…。 (誰か……僕の声を聞いて…。力を貸して……) 彼は祈る。 願わくば、この世界にかの力を持つ者がいることを……。 (魔法の……力を…)
248 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:49:15 ID:vJsV+Qkf
なの魂 〜第一幕 何事も最初が肝心だがやり過ぎは良くない〜 「あぁぁぁぁぁ!!! 銀ちゃん、またそんな甘いもん食べて! 糖尿寸前なんやから、もーちょっと気ぃ使いーな!」 そう叫んで銀時に詰め寄るはやて。 あれから一週間。 はやての天性の人懐っこさと世話焼きっぷりのおかげで、彼女らの距離は急速に縮まっていた。 ……いや、むしろ縮みすぎていた。 「いや、定期的に甘いもん食わねーとダメなんだって、俺」 「そんなもん定期的に食べとったら死んでまうわ!」 そう言ってバンッと机に手を叩きつけるはやて。 そりゃそうだ。 目の前でケーキをワンホール食そうとしてる、血糖値レッドゾーンな男がいれば 誰だってそう言いたくなる。 「うっせーな。何? お前も食いたいの? 意外と食い意地張ってるのな」 「ちがーう! そうやのーて、私は銀ちゃんのこと心配して……」 「高いよ〜、銀さん特製の宇治銀時ケーキだよ〜。他じゃ食べらんないよ〜」 「う…うぅ〜……」 ニヤニヤしながらケーキをフォークに一切れ突き刺し、はやての目の前でフラフラと動かす。 この男、言動が完全にガキである。 実年齢と精神年齢の差がダブルスコア、いやトリプルスコアだ。 「はぁ〜……またやってるよ」 部屋の掃除をしていた新八がため息をつく。 まったく、あの男はどこに行ってもあんな感じだな。 そういった意味のため息だ。
249 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:50:43 ID:vJsV+Qkf
「世話しに来てんのに、逆に世話されてどーすんだよあのダメ侍……」 再びため息をつき、ふとテレビに目をやる。 どうやら、ニュース特番を行っているようだ。 映し出されていたのは、海鳴商店街近くの大きな自然公園。 ただ普段と違うところは、生い茂る木々が大量に薙ぎ倒されていたことだ。 『――以上のことから、本庁は何らかの巨大生物の仕業であるとの見解を表明しています。 付近の住民の皆様は、出来る限り外出を控え――』 「オイオイ、またターミナルからエイリアン侵入か? 最近多いねェ」 また入管か。と言いたげな顔でテレビを見る銀時。 その隙を突いて、フォークに刺さったケーキを頬張るはやて。 「あ、テメっ!」 「油断する方が悪いんやも〜ん。……あ、これホンマに美味しいな」 「ちょっとちょっと……これ、ウチの近くじゃないですか?」 掃除の手を止め、心配そうにテレビを見る新八。 すると定春の毛繕いをしていた神楽が、チラリと時計を見ながらこう呟いた。 「そういえば、もうすぐなのはが学校から帰って来る時間アルね。心配アル」 「……そーだな。アイツに何かあったら、士郎の旦那に顔向けできねーしな……しゃーねぇ、迎えにいってくらァ。 あと頼むぞ。新八、神楽」 面倒くさそうに頭を掻きながら部屋を出る銀時。 その背中からは『まるでダメなオッサンっぽいオーラ』略してマダオーラが吹き出ていた。 本当に、いつでもどこでも無気力である。 「任せといてください」 「夕飯までには帰って来るアルよー」 「なの……は……?」 聞き慣れない名を聞いて、首をかしげるはやて。 「ああ、銀さんの住んでるトコの家主さんの娘さんだよ。確か、はやてちゃんと同い年だったかな?」 「みんなの知り合いかぁ。いっぺん会ってみたいな〜」 「今度、機会があったら紹介するアルね。きっとすぐ仲良くなれるヨ」 机の上に置きっぱなしにされた宇治銀時ケーキを摘み食いしながら、神楽はそう言った。
250 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:52:40 ID:vJsV+Qkf
「ねぇ、今日のすずか。ドッジボールすごかったよね?」 「うん、かっこよかったよねー」 「そ、そんなことないよ……」 と、少女らしくお話に花を咲かせているのはアリサ、なのは、すずかの仲良し三人組。 どうやら今は学校の帰り道のようである。 何故か会話の途中でジャイロボールという単語が出てきていたような気がするが、恐らく気のせいだろう。 しばらく会話を楽しんでいると、自然公園が視界に入った。 「あ! こっちこっち! ここを通れば近道なんだ!」 そう言ってアリサは公園裏の林道を指差す。 元々は遊歩道を作るために切り開かれたのだが、予算の都合で中止されてしまったとか何とか。 「あ、そうなの……?」 「ちょっと、道悪いけどね」 林道へ足を踏み入れようとする三人。 すると突然、目の前に一人の男が立ちふさがった。 「あー、ちょいとちょいと、お嬢さん達。こっから先は通行禁止だぜィ」 ――沖田総悟。 齢十八にして、武装警察"新選組"の一番隊隊長を務める若き侍である。 総悟は両手を上げて通行禁止のポーズをとる。 「えー、どーしてよ!」 と文句をたれるアリサだったが、彼らの後ろを見てすぐ通行止めの理由が分かった。 見える範囲だけでも五、六本の大木が薙ぎ倒されていたのだ。 おそらく事故――いや、何か事件があったのだろう。 「どーしても。お巡りさんの言うことは、ちゃんと聞くもんだよー」 「しょうがないよ、アリサちゃん。いつもの道にしよう」 総悟の隣にいた新選組隊士にも咎められ、しぶしぶ林道を後にするアリサとすずか。 しかし、なのはだけは何故かその場を離れようとしなかった。
251 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:54:47 ID:vJsV+Qkf
――声。 そう、林道の方から声がしたのだ。 それも近くにいる警官ではなく、自分達と同い年くらいの、男の子の声だ。 だが、この林道は現在通行止めになっているのは知っての通り。 なら、一体誰が……? (なんだろう……なんだか、呼ばれてる気がする…) 不思議な声に釣られるように、林道へ歩を進めるなのは。 「あ、なのは! どこ行くのよ!」 「なのはちゃん!?」 アリサ達もなのはを追いかけ、林道の中へ足を踏み入れていく。 「ち、ちょっとお嬢ちゃん達!?」 「ハァー……ったく。しょーがねィな」 なのは達を連れ戻そうとする隊士。 しかし総悟はなのは達を追いかけようともせずに、ため息をつきながらパトカーからバズーカ砲を取り出した。 ……もう一度言う。 バズーカ砲である。 レティクルをセット。 ターゲットロック。 目標、目の前の馬鹿三人。 「くたばれ」 呟き、引き金を引く。 砲口から飛び出たのは、花火でも訓練弾でもなく、紛れも無い実弾だった。 『え、えェェェェェ!!?』 着弾。爆発。 巨大な爆炎が巻き起こり、辺りをおどろおどろしい黒煙が覆う。 「沖田隊長ォォォォォ!!!? ちょっと何してんですかァァァァァ!!?」 顔を真っ青にして叫ぶ隊士。 そりゃそうだ。 しかし総悟は、さも当然のようにこう言い放つ。 「人の言うことも聞けねぇ馬鹿は死んじまえばいいんでィ」 「いや、相手子供ですよ!!?」 果たして、なのは達は第一話にして、早速悲運の死を遂げてしまったのか? 全年齢対象のクロスSSで、いきなりスプラッタシーンを見せ付けられてしまうのか?
252 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:57:06 ID:vJsV+Qkf
「おうおう、いい大人がガキ相手に大人げねーなァオイ」 ……いや。 爆煙の中から現れたのは、消し炭になった少女三人の遺体ではなかった。 天然パーマの白髪。死んだ魚のような目。腰には"洞爺湖"の文字が彫られた木刀。 そう、あの男だ。 「ぎ、銀さん!?」 なのはは目を丸くする。 どうしてこんなところに? そんな疑問をぶつける間もなく、銀時は両脇に抱えた少女達に目を配る。 「怪我ねぇか? オメーら」 「おっと、こりゃ失礼。旦那の知り合いでしたかィ」 バズーカを肩に担ぎ、飄々とした態度で言う総悟。 しかし銀時は、彼のそんな態度を全く気にせずに会話を続ける。 「悪かったな、ガキどもが迷惑かけて。 しっかし……エイリアン一匹にこの装備は、さすがにやりすぎじゃねぇか?」 そう言ってパトカーに目をやる銀時。 後部座席にチラリと見えるのは、散弾銃や軽機関銃といった火器。 さらにはビームガンのようなものまで見うけられた。 腰にさしている刀の存在意義が問われる瞬間である。 「ああ、今回の相手は、ちィとばかしヤバい相手でしてね」 「あァ?」 パトカーの中からガイガーカウンターのような機械を出し、総悟は言葉を続ける。 「この辺で、結構な濃度の魔力素が検出されたんでさァ。下手すりゃ魔導師がらみの事件の可能性もあるってんで、 ウチの隊も大騒ぎで……!?」 そう言って何気なしに計測器に目を向けた瞬間、総悟の表情が変わった。 ――魔力値が大幅に上がっている…!? 「こちら一番隊沖田。ワリィが、三番隊こっちへ回してくれィ。近くに何かいやがる」 無線に向かって指示を飛ばす。 そばにいた隊士に、付近住民を避難させるよう命令し、銀時達に向き直る。
253 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:58:12 ID:vJsV+Qkf
「旦那。そーいうわけだ、悪ィが早くここから離れてくだせェ」 その時だ。 (助けて――) 「―――!」 なのはは辺りを見回す。 また"声"が聞こえたのだ。 先程よりも、しっかりと。 「ん、なのは?」 「今、何か聞こえなかった?」 「何か……?」 「何か、声みたいな……」 どうやら、聞こえているのは自分だけらしい。 しかしここまではっきり聞こえる以上、幻聴でもないらしい。 (助けて―――) 「!」 ……すぐ近くだ。 そう確信したなのはは、右手側の茂みを覗き込む。 「―――」 ――イタチ? フェレット? オコジョ? よく分からない、不思議な生き物がそこにいた。 体中傷だらけで、息も絶え絶えだ。
254 :
なの魂 :2007/10/26(金) 02:59:22 ID:vJsV+Qkf
「! 見て、動物……? 怪我してるみたい……」 なのはの肩から覗き込んできたアリサとすずかが、困惑をあらわにする。 「う、うん……どうしよう」 「どうしようって……とりあえず病院!?」 「獣医さんだよっ!」 「えーと……この近くに獣医さんってあったっけ!?」 「あー、えーと……この辺りだと確か……」 慌てる子供達。 しかし銀時だけはまったく慌てた様子を見せず、その不思議生物を拾い上げた。 「バカヤロー。こーいう非常時こそ、落ち着いて冷静に対処すべきなんだよ。 ついて来い。俺が連れてってやる」 そう言って少女ら三人を無理やり原付に乗せて走り去る銀時。 よりにもよって警察の前でそんな無茶をしても良かったのだろうか? 「やれやれ。旦那も大変でさァ」 心底同情したような目で銀時を見送った総悟は、 何気なしにもう一度計測器に目を向けた。 「……あり? 下がってる…」 計測器は、周辺の魔力値が極めて正常であることを指し示していた。
255 :
なの魂の人 :2007/10/26(金) 03:00:44 ID:vJsV+Qkf
以上、第一幕終了です このペースだと、一番書きたいA's編が書ける頃には爺さんになってそうです。ええ
おおおおおおおおおおおおGJ!!!! 本当にキタ━━━ヽ(*・∀・)ノ┌┛)゚Д)、;'.━━━━♪ いやいやい待ちにまったなの魂! いいですねぇ、新選組とのやりとりとかすっごい銀魂らしいですよ! 次も楽しみに待ってます!
GGjjj さっそく昨日放送されたトイレの話でクロスが読みたいぜwww
>>257 なのはが不屈の精神で紙ヤスリを使うんですねw
流石にんこネタを女性というか女の子それも他作品の萌えキャラにやらせるのは酷だよなあw
そういうときのためにヴァイスという逸材がいます
>>259 ,260
いえ萌えキャラだからこそあの話しはやる価値があるのではないかと。
あう〜お、おれはちょっと・・・・。
>なの魂の人 うわぁもう待ってました超待ってました激待ってました! 朝から見れたおかげでこの薄汚れた世の中を今日も一日生き抜いていく気力が生まれました、ありがとうございます! 銀さんたちはそれっぽいし、はやて・なのははかわいいしで言うことありません。 ところでここは江戸ってことでよいのですか?それとも海鳴市? では、次回投下を楽しみにしております。
264 :
魔装機神 :2007/10/26(金) 15:09:20 ID:u+HnvljQ
一時的に復活したので投下します。
265 :
魔装機神 :2007/10/26(金) 15:15:23 ID:u+HnvljQ
SHADOW NANOHA STS5「今宵も華麗に参上だっち!」 「に…人間になった?」 トーレ達はコウモリいきなり人間になったヨアヒムを見る。 「さあ、覚悟するだっち悪党ども!」 そういって、そこらへんにある棒状の瓦礫をひょいと持つ。 普通の人間では持つことは無理な大きさで、かなりの力を持って入るようだ。 というよりただ昼寝の邪魔をされだだけで悪党呼ばわりはどうだろうか? 「うおおりゃあああーーーーーー!!」 ヨアヒムはその瓦礫を振り回す。 「へ、そんなもんでどうするつもりっすか?」 だが、それにも臆することなくウェンディが前に出る。 「こうするだっち!」 そういってそれを思いっきり振り回した。 「おわあ!普通(?)の人の割にはたいした馬鹿力っすね!」 それをすんでのところで避けるウェンディ。 ウェンディは下がると、今度はトーレが前に出る。 「さがっていろ。IS起動、ライドインパルス!」 トーレは急激に加速、そのままヨアヒムに突っ込む。 それはヨアヒムが持つ瓦礫ごとヨアヒムを引き飛ばす。 「あああーーーーーーーー!!」 わりと情けない言葉と共に吹き飛ぶヨアヒム。 そのまま壁に激突する。 「やったか?」 トーレはセンサーをよく凝らしてみる。 「いつつ……なかなかやるだらな悪党共!」 だが、見た目どおりしぶとさもピカ一で、ヨアヒムは立ち上がる。 「だったら……」 ヨアヒムはごそごそと何かを取り出す。 それは、蝶の形をしたマスクだった。 「デュワ!」 それを自分の顔にかざす。 すると、何故か光だし、そこに現れたのは……ただその奇怪な蝶のマスクをつけたヨアヒムだった。 「この世を闇が包もうと、正義を貫くこの拳!弱きを助け強気を挫く、非道を許さぬこの血潮!とう!」 ヨアヒムは天高く飛び上がる。 そして、シュタっと自分で効果音を言いながら建物のの天井に着地する。 「愛と正義の使者、グランパピヨン!今宵も華麗に参上だっち!!」 長い口上が終わると同時に、ビシィ!とポーズを決めるヨアヒム。 (ふ、決まっただら……) 今日も綺麗に決まったと自信満々なヨアヒム。
266 :
魔装機神 :2007/10/26(金) 15:19:12 ID:u+HnvljQ
「………」 しかし、トーレ達ナンバーズはそんなヨアヒムを呆然と見る。 そして全員が思ったことは…… (あ、アホだ……セインやウェンディ(ウェンディ意外全員が思っている)以上の……) そう思ったが、彼の異変に気付いたのはセッテだった。 (あのヨアヒムと言う変なやつの魔力が急激に伸びました。その数値はおよそ2倍) 何?と他のメンバーの確認する。 確かに、さっきよりも急激に魔力が跳ね上がっていた。 一体どんな仕掛けなのだろうか? 変わったデバイスか? (トーレお姉さま、捕らえるのはいいですけど、ちょっと時間がかかりそうですよ?ここは引いたほうが…… 管理局にも気付かれないとは限らないですし……) クアットロの意見に、そうだなと答えたトーレハ他のメンバーと一旦鋼体衣装とした。 「そこまでです」 しかし、先ほど少し暴れたせいか、居場所を突き止められ、黒いバリアジャケットと白いバリアジャケット、 そしてその後ろに黒い甲冑を身にまとった局員が現れた。 「あなた達を公務執行妨害、ならびに市街地付近での無差別魔法使用によりあなた達を逮捕します」 そういうと同時に金髪の魔術師、フェイトはトーレたちにバインドを施す。 それと同じときだった。 とーれたちの下に魔法陣が浮かび上がる。 「あれは、転送魔法陣」 フェイトが気付くが早いか、トーレ達はすぐさま転移してしまう。 先ほどにも続き、さらに今度は目の前で転移させられてはやて達は取り逃がした事を悔しく思った。 「お前らも悪の手先だらか?だったら容赦しないっちよ!」 ふと、目の前にいる妙な仮面をかぶった奇妙な人物がいた。 さっきの人たちと戦っていたのだろうか…… 「あれ?お前もここに来たのか?」 ヨアヒムは聞きなれた声にその声の主を向く。 「おおウル、お前もここに来てただらか」 ヨアヒムの問いにまあな、と答えるウル。 「あと、こいつらは悪の手先なんかじゃねえ、警察のようなもんらしい」 そうだっちか、とウルの言葉を信じて、ヨアヒムは一番楽なコウモリ形態へと戻る。 「はあ……やっぱりこの姿が落ち着くだっち。血かトマトジュースが飲みたいだっち」 と落ち着くヨアヒム。 しかし、ウルのフュージョン能力をまだ見ていないなのは達は、ヨアヒムがいきなり金色のコウモリになって驚く。 「に…人間がコウモリに!?」
267 :
魔装機神 :2007/10/26(金) 15:21:25 ID:u+HnvljQ
「なるほど……ここはおらたちが住んでる世界とは違うだっちな」 ウル達は機動六課に呼ばれることになり、ヨアヒムはストームレイダーの中でなのは達からある程度の話を聞く。 「う〜〜〜ん……」 そしてヨアヒムは少し考えるが…… 「さっぱりわからんっち」 いきなり違う世界に飛ばされてはそういうだろう。 「で、お前はここに飛ばされてからどうしたんだ?」 ウルに聞かれて、うーむ…とヨアヒムは考える。 「ここに飛ばされた後、いろいろと歩き回ってただら。その最中に眠くなったからそこらへんで寝てたっち。 けど、さっきのやつらがぺちゃくちゃ喋っててやかましくてちょっと活を入れてやろうとかんがえただら」 1体多数とはいえ、なかなか強かっただら、とヨアヒムは戦った相手の事を話した。 (スバル、さっきの奴等って……) ティアナは自分が思った事をスバルに話す。 その言葉にスバルもうんと頷く。 (あの人たちも私やギン姉と同じ戦闘機人だった……ちょっと調べたけど間違いない) スバルは自分達以外の戦闘機人、それもかなりの数がいることに驚いていた。 「おいセイン!どういうことだ!」 その頃、某場所ではノーヴェがセインに突っかかっていた。 「お、おちついてノーヴェ」 「うるせえ!どうしてアタシにだけ黙っていたんだよ!」 あの時、セインがいるなんて一度も聞かなかった。 その事をノーヴェに問い詰めているのだ。 「だから、ノーヴェにも念話を送ろうとしたけど、つながらなかったんだって」 「何?けどチンク姉の声は届いてたぞ」 セインの言葉にノーヴェは考える。 「調子が悪いのかもしれない。あとでドクターに見てもらったほうがいいだろう」 チンクの言葉にわかったよ、とノーヴェは素直に言う。 「ういーーっす、そっちは上手くいったみたいっすねー」 声が聞こえ、ん?とノーヴェは声の方を見ると、ウェンディたちも帰ってきた。 「ごめんねえみんな、私達のほうはいろいろ邪魔が入って無理だったの〜〜」 独特の甘ったるい声でクアットロは悪気もなく謝罪する。 「しょうがない。クア姉のほうにはかなりの腕の魔術師に邪魔されたってきいた」 チンクの言葉にそうなのよお、とため息を付くクアットロ。 「それにぃ、変なコウモリ男にも邪魔されるしぃ」 そういってクアットロはモニタ0に先ほどまで戦っていたヨアヒムの姿を写す。 「私達も変身能力を持つ変なやつがいたな。ノーヴェ」 チンクの言葉に、頷きながらノーヴェも変な生き物に姿を変えるウルの映像を見せる。 「そういえば協力者って言ってたな。チンク姉も攻撃も全然堪えてねえみてえだったし……レアスキル持ちか?」 ノーヴェはあのウルと言う人物について考える。 あのような魔力を持ったものは初めてだった。 「まあ、それは後でドクターに報告するという事で、セインちゃん。レリックの確認をしておきましょう」 クアットロの声にハーイ、とセインはレリックケースを台の上に置く。 「それじゃあ……じゃっじゃじゃーーんって……あれ?」 しかし、あけたのはいいが肝心のレリックがなかったのだ。 「ど、どういうこと!?」 セインはあわてながら自分がレリックを奪った前後の映像を写す。 だが、誰もレリックを持っているような様子はない。 「馬鹿者、よく見ろ」 トーレは呆れながらモニターを一つを見る。 そこには、帽子をかぶっている女の子の魔術師がいた。 「レリックはこいつが持っている」
268 :
魔装機神 :2007/10/26(金) 15:26:26 ID:u+HnvljQ
「それにしてもティアナ、よく考えたな」 ヴィータはレリックを持ちながらティアナ、そしてキャロを見る。 「まさかカモフラージュにレリックを一番敵との交戦する確率が低いキャロの帽子に隠すなんて、 あたしは思いつかなかったぞ」 そう、ティアナは地上へ出る前に念のためにキャロの防止にレリックを隠したのだ。 「っていうか、それってそんなに重要なの?」 よくレリックの事を知らないのでウルには、レリックは普通の宝石に見える。 確かにそれなりに危険なものって言うのは理解できるが。 「こういうものはロストロギアっていって、かなり危険なものなの。 私達は各次元世界で起こっているロストロギア関連や魔術に関する事件を取り締まっているの」 なのはの説明にふーん、とレリックを見るウル。 「あ、そういえば紹介がまだだったね。私は高町なのは」 なのはが自己紹介した後、他のメンバーも自己紹介をする。 「俺はウルムナフ・ボルテ・ヒューガ。知ってるやつもいるけど、ハーモニクサーっていうモンスターと融合する能力を持ってる」 ウルは自己紹介をした後、ヨアヒムのほうを見る。 「で、そこで譲ちゃんのペットに遊ばれているのがヨアヒム・ヴァレンティーナ。まあぶっちゃけていえば人間になれるコウモリだ」 「こ、こら、やめるだら!」 そこにはフリードリヒにじゃれ付かれているヨアヒムがいた。 どうやら興味があるらしい。 「フリード、だめだよ」 キャロの注意でようやく落ち着くフリード。 「ごめんね、ちょっと人数が多いからこの姿になってもらって」 なのはの言葉に、きにするなっち、とヨアヒムが言う。 「さっきもいっただらが、この状態が一番おちつくっち」 そういって元気に飛び回りヨアヒム。 「けどよ、お前の持ってるその気味わりぃ本ってなんなんだ?」 ヴィータはウルが持つドクロの形をした本を見る。 正直言って意味が悪い。 「これか?これエミグレ文書っていって……まあ簡単に言えば人を生き返らせる方法が載ってる本だ」 「「「な、なんだってーーーーー!!」」」(AA略) ウルはほい、とヴィータにほんを渡す。 ヴィータはそれを手にとってまじまじと見る。 近くで見るとなおさら不気味だった。 ぺら、とめくると、自分の知らない奇妙な言葉が羅列している。 人を生き返らせる、そんな故のようなものがあるはずがない。 あったとしたらそれは…… 「完全にロストロギア級のものやないか……」 だが、この本自体には魔力はなく、あくまでその方法が記されているだけだ、とウルは言う。 「悪用されると困るし、ちゃんと封印して、わざわざ遺跡の奥深くに隠してたんだけどなあ……」
269 :
魔装機神 :2007/10/26(金) 15:29:15 ID:u+HnvljQ
ウルとヨアヒムがここに飛ばされてきたときに一緒に来たのだろうか。 「ま、この世界の人は使い方しらねえだろうから大丈夫だとは思うけどな」 そういって、ヴィータから本をとるウル。 「それに、この方法でやっても成功した例が一回もないんだ」 そう、自分が行った事も含め、この本を使っての人の完全な組成は一度もないのである。 「ところでウル、ちょっと聞きたい事があるだらが」 ヨアヒムはふとウルに思った事を尋ねる。 「ヤドリギののろいはどうなっただらか?」 「そうか、レリックの回収に失敗したか……」 研究所のラボで、スカリエッティは少し残念そうにうーの空の報告を聞く。 「まあいいさ、今回は管理局のほうが一枚上手だったということだ。それに、彼女達がであった奇妙な二人の人間にも非常に興味がある」 そういって、自分が作った娘たちが渡してくれた映像を見る。 そこには、コウモリに返信する筋肉男や龍に返信する男がいた。 「レアスキルとは違うようですね」 ウーノがそういったとき、通信が入ってきた。 その相手は、見た目はおとこのこを連想させる。 「ドクター、例の人が目を覚ましました」 だが、その声は女性のもので、その人物、オットーの言葉にそうか、と頷く。 「今すぐ彼に会いにいくよ。それと……」 スカリエッティは少し考えて…… 「出来れば、あの魔力を使わずにに浮くことのできるクッションについて、いろいろ聞いてはこれないだろうか?」 投下完了。 久しぶりです。いろいろあって何とかつながったので馬のうちに投下。
悪夢のよーな試験がやっと終った…。 魔装機神氏GJ!
EDF氏マダー?
>なの魂 時の文の微妙なメタ視点ツッコミといい実に銀魂らしくてGJ。 ただ一言だけ言わせてくれ。総悟たちは「真撰組」だと。
>なの魂 ドSというより外道の総悟と回転の力を扱うすずかに吹いたwww あー、それにしても銀さんとはやての会話は和むなぁ。はやての家に三人がいる光景を想像しただけで癒されるw ほんま、銀さんとはやてのアットホームさは次元世界に染み渡るで…
>263 >69に > 江戸は海鳴市、商店街でも有名な喫茶店『翠屋』。 > その二階に、彼らは住んでいた。 ってあるから、鳴海市ってことでいいんじゃね
>魔装機神氏 GJ エミグレって無印時代だったらプレシアさん垂涎の品だよね。 あと浮くクッションってまさかあのとっちゃん坊や……
というか、海鳴市ってどこの都道府県にあるんだっけ?
ところで、前々から不思議に思っていたのだが海鳴市だよな。 まあベタな間違いといやベタだが。いちいち指摘なんぞしてられないってことなのか?
関東地方で、東京よりも北にあるらしい。 で、近くに海がある以上、茨城県かでなければ千葉県となる。 もちろん架空の町で、実際には存在していない。
リリカルスクリームがもっと進んでから書き始めようと思っていた 新作の出だしの部分が出来てしまったんで 八時半頃から投下しても構いわないでしょうか?
およよ、衝突してしまった… それではお先にどうぞ。こちらのギアス8話は、その後で投下させていただきます。 それで大丈夫でしょうか?
>>281 二人が1回ずつ交代で投稿するのも有りかと
>>281 自分は後でも構いませんよ。
お先にどうぞ。
>リリカルスクリーム氏 あらら、こちらは待つ気満々だったのにすみません。 では、ギアス8話を投下させていただきます。 学園祭話なのに巨大ピザ作るところまでは進まない、そんな中途半端な話。 ///////////////////////////// STAGE8 学園祭宣言! 「やはり使えんか?」 「使えませんな」 ブリタニア総督府では、厳つい中年騎士ダールトンの言葉を受け、コーネリアが難しい顔をしていた。 「困ったものだな…あれの有用性はかなりのものだったのだが」 コーネリアの頭痛の種は、先日シュナイゼルがゼロとの戦いで用いた、電波阻害フィールド発生装置だ。 本国からシュナイゼルが試験運用がてらに持ってきたこの装置を、彼女は何としても実戦投入したかった。 しかし、あることが原因で、それは不可能だったのだ。 「しかし、さすがにこの電力消費では…」 眼鏡をかけた年若き騎士ギルフォードが言った。 そう、この装置は電気を食い過ぎるのである。 実は先日の戦闘中も、この装置が原因で、トウキョウ租界が数秒間停電状態となったのだ。 「まったく、あの人も奔放というか、何というか…」 自分のちょっとした手合わせのために街の電気をかっさらった兄を思い浮かべ、コーネリアはため息をついた。 「すぅ…すぅ…」 一方その頃、アッシュフォード学園では、スバルが優雅にハンモックでの昼寝を満喫していた。 スザクに借りてみたのだが、これがまた何とも心地よい。涼しげな外気が、実に気持ちよかった。 木々の間から覗く木漏れ日も、ティアナから借りてきたアイマスクを使えばシャットアウトできる。 そんなこんなで、スバルは気持ちよく昼寝をしていたのだ。 と、そこへルルーシュがやって来た。 眠るスバルに声をかけようとして、そこで思い直してハンモックに近寄り、紐を引っ張る。 「仕事だスバル、起きろ」 「ぎゃああああーっ!?」 紐のほどけたハンモックはバランスを失い、容赦なくスバルを振り落とす。 スバルはギャグ漫画よろしく、頭から地面に落下してしまった。 「いたた…何すんのルルーシュ!?」 「頑丈な身体してるくせに泣き言を言うな。…それより、仕事だぞ」 「仕事?」 唐突な言葉に、スバルは首を傾げる。 ルルーシュはそんなスバルを見て、ニッと笑みを浮かべて言った。 「学園祭の準備だ」
カーン、カーン…と釘を打つ音が聞こえる。 今、アッシュフォード学園は、生徒会メンバーを中心に、学園祭の会場設営が急がれていた。 「ふーん…お化け屋敷にロミオとジュリエット、バンドステージかぁ…」 「色々あるんですね」 スバルは学園祭の出し物のパンフレットを読んでいた。その隣には、ルルーシュを見に来たナナリーの姿がある。 彼女らは今、学園の門の近くにいた。ちょうどルルーシュが門の看板をいじっているところだ。 「お前はバンドとか興味ないのか? そういうの、好きそうだが…」 金槌で看板のパーツ同士を固定しながら、ルルーシュがスバルに言う。 「ん〜…歌うのは嫌いじゃないんだけど、JA●RACって大きな壁がね…」 「何だそれは。壁なんてものは、打ち壊さなければ意味がな…ってぐああぁぁぁぁ!」 鈍い音と共に、金槌がルルーシュの指を直撃。 「大丈夫ですか、お兄様?」 「プッ…はははははは! こりゃまた豪快にやったね〜ルルーシュ」 「うっ…うるさい! 笑うな!」 ナナリーが多少心配気味に声をかけ、スバルが間抜けなミスに大爆笑し、ルルーシュが怒る。三者三様の反応だった。 「ほら、貸してみて。あたしだって器用ってわけじゃないけど、ルルーシュよかは上手くできる自信はあるよ」 「むぅ…」 未だ痛む人差し指を押さえながら、ルルーシュはされるがままにスバルに金槌を渡した。 スバルは釘を持つと、カンカンと景気よく打っていく。 「そういえば、生徒会でメインイベントをやるって聞いたけど、何をやる予定なの?」 釘を打ちながら、スバルがルルーシュに尋ねた。 「ウチでは毎年、直径2メートルのピザを生徒会で作るイベントをやっている。 だが、今年は会長の気まぐれでな…『世界一大きなピザ』と銘打って、10メートルの巨大ピザを作ることになった」 「巨大ピザ!?」 甘い響きの漂う言葉に、スバルは目を輝かせる。 そして、集中を途切れさせた結果… 「いったぁぁぁぁ!?」 指を打ってしまった。 「…お前もダメダメじゃないか」 「ふふ…」 ルルーシュが呆れた様子で言った。その側では、もう慣れたのか、ナナリーがクスクスと笑っている。 「むぅ〜…今のは違うよぉ…ナナちゃんまで笑わないでよぉ〜」 半泣きで、打った指を咥えながらスバルが言う。 と、今度はそこへスザクがやって来た。 「はは…ほら、ちょっと貸してみて」 スザクは金槌と釘を受け取ると、先ほどの面子のグダグダぶりが嘘のように、器用に釘を打っていった。 「大したものだな」 その腕前を見て、ルルーシュは素直にスザクを称賛する。 「どうも。男として、これくらいの大工作業はできないとね」 スザクは屈託のない笑顔を浮かべて、ルルーシュに応じた。 (こうしている時は仲いいんだよねぇ、ルルーシュとスザク…) そんな2人のやりとりを見た、スバルの率直な感想だ。 ルルーシュとスザクは、親友であると同時に宿敵だった。 ルルーシュはゼロであり、スザクはランスロットのパイロットなのだ。 戦場では、互いに憎しみ合う敵同士。特にスザクは、ゼロがルルーシュであることを知らないのだった。 (…どれ、ここはあたしが一肌脱ぐか!) 右拳を握りしめ、スバルが内心で宣言した。 誤解を招かないように言っておくが、別に全裸変身をするわけではない。
支援!
そして遂に迎えた学園祭当日。 晴天の空の下、アッシュフォード学園は、数多くの来客で賑わった。 そんなお祭りムードを楽しむ少女がここに1人。 「ありがとうございま〜す!」 少女――スバルはクレープを受け取ると、待たせていたルルーシュの元へと駆け寄った。 「お待たせ〜!」 「何がお待たせだ。もう4件目じゃないか」 この時間、スバルとルルーシュは休憩中だった。 運営の中心となる生徒会と言えども、当然学園祭の出し物を楽しむ権利はある。 よって、こうして交代で作業に臨んでいるのだ。 「しかし、わざわざ俺と一緒に回ることもないんだぞ?」 「ふふ〜ん、今日は1日ルルーシュに付き合うって決めちゃったからね。…実質デート?」 「なっ…!?」 デートという言葉に、思わず僅かに顔を赤くするルルーシュ。 「ありゃりゃ、照れちゃった?」 「ば…馬鹿にするな」 仏頂面でそっぽを向くと、ルルーシュは人ごみの中を歩き出した。スバルもはぐれないようにそれに続く。 スバルがルルーシュについていくことにしたのは、監視任務のためというのもあった。 個人的に一緒にいたいという念も確かにあった。だが、最大の理由は別にあった。 それを果たすためには、あともう1人――枢木スザクとの合流が不可欠だった。 「あ、いたいた…スバルー!」 と、スバルを遠くから呼ぶ声がした。 「あっ、なのはさん! ティア!」 仲間と上官の姿を認め、スバルは彼女らの方へ駆け寄っていく。 またしても待ちぼうけを食らったルルーシュは一瞬憮然とした表情を浮かべるが、 なのは達を見ると、何かを考えているかのようにその目を細めた。 「よかった、ちゃんと来てくれたんですね!」 「もちろんだよ、せっかくの教え子の学園祭なんだし」 なのははにっこりと微笑んで言う。 (ちゃんとターゲットの動向も見張ってるみたいね) ティアナが念話で語りかけてくる。スバルもこれに念話で応じた。 (まあね。お仕事半分私事半分だけど) (ふーん…ま、いいけど) 幸いにも、なのは達にはスバルのデバイス無断使用はバレていなかった。 ゼロとシュナイゼルの交戦はニュースで報道されていたのだが、スバルに関する情報は公開されていなかったのだ。 これにはいくつかの理由がある。 第一に、スバルを見た者がほとんどいなかったこと。 スバルと交戦したサザーランドの映像記録は、振動破砕の余波で破壊されている。 シュナイゼルでさえ直接目撃したわけではなく、ナイトメアか何かだと思っていた。 第二に、僅かな目撃情報が、到底信じられないものだったということ。 スバルに撃墜されたサザーランドのパイロット達は、 「人間サイズで迫ってくるランスロットを見た」と当時の状況を語ったが、誰も信じなかった。 そんなわけで、スバルの大立ち回りは、幸いにも世間に出回ることはなかったのだった。 「…で、何かこの辺でオススメってある?」 念話状態を解き、ティアナも雑談に加わった。 「んっとね、この辺だと…乗り物の『Nice boat』かな?」 「…何故か薄汚いやり口を彷彿とさせる名前ね…」 「まあまあ。…それじゃ、私達はそっちに行ってるね」 「はーい。楽しんでってくださいねー」 そう言って、スバルはなのは達を見送った。 そして、再びルルーシュの元へと戻る。 「いやーごめんね、何回も引き止めちゃって」 一方のルルーシュは、何やら難しい顔だ。 「さっきの奴らが、お前の仲間か…」 「あ、そっか。ルルーシュはなのはさんの名前知ってたね」 確認を取ると、一瞬の間を置いて、ルルーシュは口を開く。
「あいつら、俺を監視していた奴らだな」 「へっ?」 思わぬ言葉に、スバルは間抜けな声を上げる。 「気付いたのはナリタ戦の直前だ。以降は、色々と面倒な工作をさせられる羽目になったがな」 ルルーシュはなのは達の尾行に気付いていたのだ。 でなければ、そもそも彼女らにバレることなくゼロを演じるのは不可能だった。 「あ、えっと…」 「まったく、腕っぷしは確かなようだが、こうも簡単に見つかるようじゃな… …今回の件といい、あっさり俺に身分証を見つけられた件といい…お前達、今まで潜入捜査やったことないだろ?」 「いや、やったことないというか…この人選そのものが、見くびってた結果ってわけで…」 ため息混じりのルルーシュに、スバルは白状した。 元々この任務は、少し勉強ができる学生の監視という程度のものだった。 だからこそ、特にプロの諜報員を投入することなく、責任者たるスターズのみで任務に当たったのだ。 まさかその学生が、常に360度全域に神経を研ぎ澄ますテロリストとは誰も思うまい。 「大方ブリタニアが、シンジュクの一件から俺にマークを付けたのだろうと思っていたんだが、 まさかこの俺がお前達の任務対象だったとはな…」 ルルーシュはシンジュクで、素顔をさらしたままギアスを使用し、サザーランドを強奪したことがある。 そこから自分に疑いがかかったと思っていたのだ。 「…で、何が目的だ」 ルルーシュは鋭い視線でスバルの瞳を射抜く。 「…悪いけど、企業秘密」 スバルもまたうって変わって真剣な表情となる。 「では…お前達が見ているのは、ゼロとしての俺か?」 「ルルーシュ・ランペルージとしてのルルーシュ。ゼロがどうこうってのは、そこまで重要じゃない」 全て話すしかなかった。 ルルーシュは頭が切れる。根が正直なスバルのでっち上げる嘘など、彼の警戒心を煽るだけだろう。 「安心して。まだあたし達は見てるだけ。ゼロの正体も、まだなのはさん達には報告してない。 今のところ、ルルーシュの邪魔をする気はないよ」 スバルはルルーシュがゼロであることを、未だに伏せていた。 謎の力の悪用の裏はまだ取れていない今、この情報はさして意味がないものだ。少なくとも、スバルはそう解釈したかった。 「…分かった。そういうことにしておこう」 ふっと緊張を解き、ルルーシュは言った。 「んじゃ、行こっか!」 「お、おい…」 スバルもいつもの元気な笑みを浮かべ、今度はルルーシュを引っ張っていった。 そして、ある一点に目が留まる。 「あ、アレってもぐら叩きだよね?」 「中に人が入っているな」 ボックスの中に入った生徒が顔を出し、客がそれを叩くというものだ。 そして、そのもぐら叩きには先客がいた。 青みがかった髪を持った、若い女性だ。着ているのは、技術部門のブリタニア軍服。そしてその女性は… 「…さっきから、同じ子ばかり叩いてるね。嬉々として」 「何かあったんだろうな」 そういうルルーシュは、僅かにその女性から目をそらしている。 他人のふりだ。ルルーシュは彼女に見覚えがあった。確かセシルという、スザクの上司の1人だったはずだ。 やがて制限時間が終わり、セシルは2〜3人の部下と共に、満足げな様子でもぐら叩きを後にする。 「ね、ルルーシュ、あれやってきてもいい?」 「そうだな…まあいいだろう。その次は俺がやる」 「よっしゃー!」 スバルはそう言うと、もぐら叩きのピコハンを受け取り、生徒達を叩きだした。
もう1つ、ルルーシュには気付いていたことがあった。 自らが正体を明かしてからしばらく、スバルが無理をして明るく振る舞っていたことだ。 シブヤ戦線への参加を止めたのには、その理由もあった。 とはいえルルーシュは、スバルが元気をなくしていた真の理由を知らない。 単に自分がスザクと戦うのを気にしているのだと思っていた。 「うりゃうりゃうりゃーっ!」 だが、それはともかくルルーシュは、租界の中華街、そして目の前のもぐら叩きで楽しそうにピコハンを振るスバルを見て安心していた。 (何にせよ、あいつの笑顔がなくなることがなくてよかった) 穏やかな表情で、ルルーシュは胸を撫で下ろす。 「お待たせ〜、終わったよ」 と、そこへもぐら叩きを終えたスバルが戻ってきた。 そして、自分をじっと見ているルルーシュの視線に気付く。 「…ん? どうかした?」 「いや…何でもない」 はっと我に返り、ルルーシュはそう返す。 (何を考えているんだろうな、俺は…) そしてルルーシュは内心で呟いた。 その頃、ティアナはトイレの傍に立っていた。言うまでもなく、なのは待ちである。 と、すぐそばを見知った人影が通った。 「お。よーティアナ、来てたんだ」 「あ、リヴァル」 陽気なバイト仲間は、ティアナの元へ駆け寄った。 「来るなら来るって言ってくれりゃよかったのに。エスコートしてあげたのにさ」 「ナンパのつもり?」 「あらら、こいつは手厳しいねぇ」 どちらかと言えば堅物のティアナに軽くいなされ、リヴァルは頭をかいた。 「で、やっぱスバルの誘い?」 「ん、まあ」 そう言うと、ティアナは周辺を見回し、ぽつりと呟く。 「イレヴンのお客さんもいるのね…」 「ま、会長は人種に関してはオープンだから。ウチのメンバーにもイレヴンいるしね」 この学園祭は、「みんなで楽しむこと」を目的に、イレヴンの客も参加を許可されていた。 (ブリタニア人がみんなこういう人だったら、なのはさん達も悲しむことはなかったんだろうな…) 何だか自分まで悲しくなってしまい、ティアナは表情を曇らせた。 「あれ? リヴァル、その娘あんたの彼女?」 と、そこへミレイがやって来た。 「うんにゃ、バイト仲間ッス」 「あ、どうも。ティアナ・ランスターです」 「役者志望ってことで、バイトで生計立ててるんだってさ」 役者志望、という言葉を聞き、ミレイは眉をぴくりと動かした。 「役者志望! ちょうどよかったわ。ティアナちゃん、ちょっと手伝ってくんない?」 「え? で、でも今ちょっとあたしは…」 「よーし! そうと決まればレッツゴー!」 「ああ、そんなぁ…」 哀れ、ティアナは強引なミレイによって、ずるずると引きずられていってしまった。どこかデジャヴを感じる光景である。 「ごめんねティアナ、待たせちゃって…って、あれ? ティアナ…?」 そして、トイレから出てきたなのはは、1人その場に取り残されてしまった。
支援します!
「あ、いたいた!」 スバルは目の前にスザクの姿を認め、そう叫ぶ。ようやくスザクも休憩に入ったのだ。 「あ、ルルーシュにスバル」 スザクも2人を見つけ、そちらへと歩み寄った。 「相変わらず仲いいね」 「えへへ…ルルーシュとスザクには負けるよ〜」 「おい、別におかしな意味はないんだよな?」 ルルーシュが苦笑しながら釘を刺した。 「こうして見てると、何だかルルーシュにもう1人妹ができた感じ」 両者の身長差を見比べたスザクがそう評した。 「しょっちゅう俺を振り回すおてんば妹だがな」 「ひねくれたダメダメお兄ちゃんだけどね」 「ははは…」 3人の間で笑いが起こる。 「…あ、そうだ。ちょっと2人にやってみてほしいことがあったんだ」 そこでスバルは当初の目的を思い出し、ぽんと手を叩いた。 「ちょっとついてきて!」 そう言って、スバルは地図を持って駆け出す。 たどり着いた先はテニスコート。 ここでは、テニス部がコートを一般開放していた。 練習を見ることができたり、テニスをすることができたりする。 1番の目玉は、現役部員とのダブルス試合ができることだ。 「これこれ! ルルーシュとスザクでやってみてよ」 試合コートを指差し、スバルが2人に言った。 「テニス? 僕は素人なんだけどなぁ」 「俺は少しは心得があるが…そもそも何でお前自身はやらないんだ?」 「いいからいいから!」 スバルはそう言って、強引に2人をコートへと押していった。
ルルーシュ達はレンタルのテニスウェアに着替え、ラケットを握ってコートに立っていた。 試合形式は3セット先取。ハンディとして、最初のサービス権は挑戦者側に与えられる。 「で、どうするルルーシュ? 体力的に僕には余裕があるけど」 前衛に立ったスザクが、後衛のルルーシュに話しかける。 「だが、経験の少ないお前はそれだけではキツイだろう」 「ていうか、勝つ気満々なんだね…」 「当然だ。成り行きでこうなったとはいえ、勝負は勝ってこそだろう。 負けてもいい勝負ができれば…というのは大いに結構だが、それでは済まない場合もある」 ルルーシュは大真面目な顔で語った。 「はは、成る程…だから日頃からそういう考えを捨ててる、ってわけね…」 「そこで、俺に考えがある。…俺が相手の動きを読む」 「できるのかい?」 思わず振り返ったスザクが、目を丸くして言った。 「相手は経験者とはいえ高校生だ。ならば動作の際の隙は、読みきれないものではない。 そこから俺が相手のボールのコースや、敵陣の隙を読み、お前に伝える。 体力馬鹿のお前なら、大半のボールには追いつけるはずだ。相手が恐竜を絶滅させたりしないかぎりな」 「まぁ、やってみるだけの価値はあるかな」 あまりに荒唐無稽な戦術だが、スザクはルルーシュを信じることにした。 何より、そんな戦い方も新鮮で面白い。 「準備はいいな?」 「いつでも。…でも、専門用語は分からないから使わないでね」 「では行くぞ!」 合図と共に、ルルーシュがボールを空中にトスし、相手コートへサーブを打ち込んだ。 しかし、相手もテニス熟練者だ。容易にリターンをしてくる。 そこで前衛のスザクがボールを拾い、そのままラリーとなった。 スザクの運動神経は大したものだ。普通なら前衛では取れないようなボールも、あっという間に追いついて返す。 そして、そんなスザクが前衛で踏ん張っているからこそ、ルルーシュも思考に集中することができた。 「…右奥が空いている!」 「分かった!」 パートナーにも分かりやすい言葉でルルーシュが指示を出し、スザクがそこへ強烈な1球を叩き込んだ。 先制点を取ったのは挑戦者。その場の誰もが予想だにしなかった結果となった。
「お疲れ〜」 「本当に疲れたぞ」 スバルがルルーシュ達をねぎらう。 あの先制点からの試合は一方的だった。 スザクの超人的な身体能力とルルーシュの指示によって、この生徒会ペアは3-0で勝利してしまったのである。 無論ストレートというわけにはいかないが、それでも圧倒的な戦績だ。 普通無理だろう、というツッコミは野暮なのでご遠慮いただきたい。これはフィクションですよ。 「さてと、そろそろルルーシュはピザの方に戻らないとね」 「やれやれ…この労働の後でそれか」 苦笑いをしながら、ルルーシュは肩をすくめた。 スバルはそんな2人のやりとり、そして先ほどの試合のコンビネーションを見て、ふっと微笑む。 そして、その想いを口にした。 「…ずっと、仲良くしててよ」 「「え?」」 突然そんな言葉をかけられ、2人は同時に聞き返す。 「2人はコンビネーションも抜群だし、見てて羨ましいぐらい仲いいんだからさ、 ずっとそんな風に仲良くしててね」 にっこりと笑みを浮かべながら、スバルは言った。さながら、あのなのはのように。 「どうしたのさ、いきなり…」 一方、全く意味の分からないスザクは、怪訝な表情を浮かべる。 だがルルーシュには――自分達が戦場で対立していることを理解している彼には、その言葉が理解できた。 要するに、スバルは心配してくれているのだ。自分達のことを。 「言われるまでもないさ」 だからこそ、ルルーシュはそう言って、穏やかに微笑み返した。 「よかった」 そんなルルーシュを見て、スバルは元気に笑った。 そしてそれから数十分後、演劇が上演されている舞台には… 「お…おお〜ロミオ! 貴方はどうしてロミオなの〜?」 「ジュリエット〜! 君はどうしてジュリエットなんだ〜!」 「…何してんの、ティア?」 ジュリエット役がいなくなったという理由でミレイに舞台へ立たされ、 顔を緊張で真っ赤にしながらも、そこそこの演技で必死にジュリエットを演じるティアナの姿があった。
…スミマセン、少し悪ノリが過ぎたかもしれません。 まぁ、次回からが行政特区日本の話になって殺伐としてしまうので、今のうちに心を休めるためにってことで… さて、次の9話からは、いよいよ物語もラストに向けて一気に突っ走っていきます。 もう少しだけお付き合いくださいませ。 余談ですが、ティアナがリヴァルに会う部分のなのはの行動は、決して銀魂流れに便乗したわけではありません。断じて。
しえ・・ゲホゲホ・・支援!
GJっす! いや〜原作知らない自分でも楽しめますね〜これからビデオ屋通いしそう。
今、思ったがピザネタで味王様が、ゲストで来たらどうなるかと言うおかしな妄想をした
>コードギアス 反目のスバル氏 GJ! ティアナのジュリエット役かあ〜。 実に興味深い。 ところでギアスの第二シリーズの放映はいつごろからなんですかねえ?。 それと投下してもよろしいですか?
おk
なのはStrikerS-NEXT0話「遠くない未来」 二十一世紀に時代が移り変わって数年。 相次いで起こった次元世界規模での災害、P・T事件、そして闇の書事件…この二つの事件が 人知れず発生し時空管理局によって秘密裏に解決させられるという出来事を除けば 第97管理外世界…地球は各地で起きている紛争は別として大部分の地域は平和を享受していた。 しかしP・T事件、そして闇の書事件…この二つの事件から六年ほどが経過し、この二つの事件の立役者…高町なのは、 フェイト・テスタロッサ、八神はやての3人が時空管理局内で着実に 出世していたころ、この第97管理外世界の平和に突如として陰りが見え始めた。 長野県某所の九郎ヶ岳遺跡から古代の戦闘種族「グロンギ」こと未確認生命体が突如として復活。 自分達以外の生命体をゲームの対象程度にしか認識せず、 人間を遥かに超える力を持つ彼らが繰り広げる殺人ゲーム 「ゲゲル」によって数万もの命が僅か数ヶ月で失われた。 このグロンギはかつて彼らに滅ぼされた既存の人類に極めて近い種族 「リント」が残した肉体強化システムと一人のとある男… 「未確認生命体第四号」と多くの犠牲を含んだ各員の奮闘努力に よって打ち滅ぼされた。これが後に言う「未確認生命体事件」である…。 そしてその二年後、今度は未確認生命体とは別種の超越生命体「アンノウン」が出現。 かつてのグロンギ…未確認生命体すら上回る力を持ち、思うままに殺戮を繰り返す彼らの前 に人類は苦戦を強いられた。しかし最終的には人類から生まれ出た 新たな存在「アギト」の力に目覚めた男達と二年前の未確認生命体事件の 教訓を経て結成された警視庁未確認生命体対策班(Squad Against Unidentified Lifeforms)の 活躍により多くの犠牲を払いつつアンノウンもまた退けられた。 これが後に語り継がれる「アギト事件」である…。
一連の事件の被害者は五万人を越えていたがこの時点でかつて次元規模での災害を未然に防ぎ、 結果としてこの第97次元世界も救った時空管理局はまるでモーションを起こそうとはしなかった。 さらに言えばこれからも動くつもりも全く無かった。第97管理外世界はじめ魔法・次元世界に 関する技術が認知されていない世界には時空管理局は基本的に不介入という 姿勢をとっていたからだ。だがアンノウン事件が終了した数ヵ月後に 後に歴史を変える程の影響を及ぼす事件が起きる。未確認生命体が復活した 頃に誕生したアギトと同じく人類から生まれ出た新たな存在「オルフェノク」… 時空管理局巡航艦アースラ所属のとある武装局員が第93管理外世界を訪れた際、 彼がこのオルフェノクに襲われて死亡してしまったのだ。否、死にはしなかった。 人間としての彼は間違いなく死んだが彼という存在は死んではいなかったのである。 オルフェノクにはこれまで人類の前に現れた未確認生命体ことグロンギやアンノウン、アギトといった 存在とは一線を画する能力が備わっていたのだ。すなわち人間を襲う際に ある「因子」を植え付けその人間がこの因子に適合すればその人間を自分達と同じ オルフェノクとして覚醒させる事が可能なのである。自分の体に起きた 恐ろしい変化にただただ恐怖し、嗚咽を漏らし自らに忠誠を誓う武装局員を 眺めながら奸智に長けたオルフェノクの指導者にしてオルフェノクの隠れ蓑となっていた コングロマリット社…スマートブレインの社長でもある村上峡児は満足気にほくそ笑んだ。 この事によって事態は一つの次元世界の内での話に留まらず、一気に全次元世界規模へと 拡大していくことになった。 そしてオルフェノクは「全世界」から「全次元世界」の掌握へと目標を拡大、 勢力の増強へと勤しんだ。まるで病原菌が周りの細胞を蝕んでいくが如き勢いでオルフェノクの勢力は 地球で、ミッドチルダで拡大していき、僅か一年あまりの間に時空管理局の深部にまでオルフェノクとして 覚醒しスマートブレインの息のかかった者が食い込んだ。そして来るべき人間達への総攻撃へと 着々と彼らは力を蓄えて行ったのである。 この頃第97管理外世界では「ライダーズギア」を手にした乾巧や草加雅人といった若者達 や木場勇治や海道直也らスマートブレインに反旗を翻したオルフェノクがオルフェノクに対し ささやかな抵抗を行っていたが次元世界規模で次々と仲間を増やすオルフェノクに 時空管理局や次元世界の事などあずかり知らぬ彼らがとれる策などたかが知れていた。 そして時空管理局内部に機動六課が結成され、レリックを巡ってドクタースカリエッティが作り出した 戦闘機人が暗躍を初め管理局が混乱しそちらに注意を引かれた事を見計らって オルフェノクは本格的に行動を開始する。
そしてスカリエッティ一派が時空管理局地上本部を襲撃した事を好機と見て かねてより準備していた管理局が統括する主だった次元世界とかねてよりの拠点である スマートブレイン本社が存在する第97管理外世界の全域に 触れた者をオルフェノクと化してしまう 特殊な因子を含有した青いバラを一斉に送り込み、 一挙に世界を作り変えてしまうという破滅的ともいえる作戦を実行に移したのである。 この悪魔の所業は概ねの成功を見た。 最後まで部下を逃がすべく奮闘し死んで行ったレジアス・ゲイズ。 そしてゲイズに託された彼の秘書にして実の娘のオーリスや行動をともにしていた「烈火の剣精」アギトや ルーテシアを守って散って行ったゼスト・グランスガイツなどの犠牲を出しつつ 生き残った機動六課を初めとするミッドチルダの人間達は乾巧らを始めとする 人間達が絶望的な状況とはいえ唯一必死に抵抗を続けている第97管理外世界へと移動し 彼らと合流してオルフェノクへの反撃を試みる。だが自分達に抵抗出来る力を持った者達が 勝手知ったる第97管理外世界に集結していると知ったこの時点で管理局を完全に掌握していた スマートブレインの村上峡児は第97管理外世界全体を転送魔法の発動すら許さぬ強力なAMFで封鎖し、 彼らを閉じ込めたのである。 これが決定打となり人間側の敗北が確定的になり、そして…。 遠くない未来、どこかの国― 全世界は人類の進化形 <オルフェノク>によって支配されていた。
ゲー!パラロス!支援
ここまでで。 うーむ台詞をせめて一つくらい入れればよかったかもなあ…。 クロス元は劇場版仮面ライダー555。 題名はパラダイスロストってサブタイトルが決まるまでの 555劇場版の仮タイトルだった『仮面ライダー555 NEXT』からです。 世界観にはヒーローサーガの 「アギト(クウガ)と555は世界観を共有している」という説を採用。 555劇場版はどんな作品とクロスしても面白くなるから困る。
さーて、EDF氏の予告爆撃の時間が迫ってきたぜ! 「各砲座よく狙えよ!うてーーーい!!」 てなわけで支援!! EDF氏がんばってください!!
>>304 乙ーガ!乙ーガ!乙ー(ry
かーなーり期待してます
パラロスと言えば真田アサミさんもエキストラ参加したそうな
一万人分の一だからどこに居るかはわからないけどw
>>304 なんという超設定…ブリタニアによる日本占拠が子供じみたものにしか見えなくなってしまった。
これは間違いなk(ry
何はともあれGJ! 期待してます。
特に自分が一番好きだったクウガの出番があるのか否かにw
>>304 映画では巧が救世主と言われていたけれど、この世界では五代や翔一などといったライダーも救世主とされているんですかね。
>>305 いやいや、「最低」で今日あたりって言ってたから今日は来ないかもしれんぞ。
>>305 そうそう、俺が思うにきっと来週の中頃だと思う・・というか前スレで本人が言ってたんだけどさ
しかしクウガ→アギト→ファイズとくると、 誰にも知られていないミラーワールドの戦いもあったのでは
まずはクロノの葬式から開始だな。
おお新たなライダークロス作品、それも555が・・・絶望的な状況ですが それでも光を見せてくれると私は信じています 私の絶望的な状況は全然覆せそうにありません……このまま続けていくべきか それとも潔く打ち切るかはたまた・・・うーん
>コードギアス 反目のスバル氏 『Nice boat』にワロタwwww そういえばスバルってC.C.にあったことありませんよね? まあ、あったらあったでやばいことになりそうだが(笑) >リリカルスクリーム氏 これはナンテコッタイ。管理局オワタwww\(^o^)/ こんな状況でなのはたちはどうなっているのやら 続きが楽しみです!!期待しています!GJ!!
>>310 今のところ3話でG4-XとV-1を出す予定ですね。
ギルスもG3-Xもクウガもアギトも出す予定はあります。
Gシステム系はG2とG5と無印G3以外のG4、MILD、G1は出す予定(どうしても扱いに差は出ますけど。
あと無印G3は展開次第で出すかも。)。
>>316 夜が暗ければ暗いほど、闇が深ければ深いほど、爆然と輝く一条の光。
希望は、深い絶望の中から、自分が最期と思うから、出てくるのです。
原作版死のデッキ破壊ウイルスのことかー!
リリカルスクリーム 氏はどのライダーが一番好きなんですか。 大まかな流れは映画版と一緒なんですか。
326 :
324 :2007/10/26(金) 22:28:44 ID:rZwJCh76
誤爆 すまん。
強く生きる、正しく生きる―――。
言葉でいうのはカンタンだけれど、これほど難しいことはない。
>>316 だから続けていくことを希望します正伝氏
反逆するんだ!
G4-Xは今ホビージャパンのヒーローサーガに出てきたライダーで 大破したG4の壊れた部分とヤバい部分とをG3-Xのパーツで補ったという急造品です。 G1もやっぱヒーローサーガに出てきたライダーで外見は 「角が大きめでメタリックカラーのクウガマイティフォーム」みたいな感じですね。 ヒーローサーガの劇中では謎の敵(自分は恐らくグロンギ怪人だと踏んでますが。)に奪取されてエライことに…。 なおスペックではG3-Xを超えてG4に迫るほどですが負担が大きすぎてだれにも扱えずお蔵入り。 V-1はG3-Xに対抗して全く別の技術をもって作られた物で 劇中での扱いは完璧にG3-Xのかませでした。スーツは往年のメタルヒーロー群の物を流用して 作られた凄い豪華な物なのに…
>>324 某社長の使う、極悪カードの事か・・・・・社長自分はデッキ破壊カード使う癖に、他人がデッキ破壊だと切れるからな・・・・スレ違いですまぬ
>>330 関係ないが、某ドラグナーの量産機は主人機より性能が高かったけど、脚本の都合でヤラレメカだったな
≫332 パイロットとAIの育成に時間がなかったからでしょ。ジムと事情は変わらんよ。 ドラグーンの方が性能はダンチだが
AIなんてドラグナーのやつをコピーして移植すればおk
>>327 やはりわかりますか、この名前欄(テロップだっけ?)とは便利なもんですね
まあ私はじゃんけんに負けたからってわけじゃないですけどね・・・
やはり皆さんの進行スピードと内容の凄さを見ていると自信が失われていきます
以前誰かが「1ヶ月更新のSSなんてザラ、ここがとんでもない」などと言われてましたが
それでもここの住人でしかもSSを書いている以上はついていかないと・・・
そして私が書きそびれる間にも次々と現れてくる素晴らしい職人さんたち……
自分の存在意義がかなり危険、いえもういらない子になりかけてる私ですが
それでも頑張っていき……本当に頑張れるのかな?
矢車さん達の見た地獄はこんなものではないでしょうが・・・もう不安だらけです
そうですか?私はあなたの作品がかなり好きですよ。
アルスラーン戦記を待ったのに比べれば屁でもないっすよ。
>>335 今までどうしていたか、心配していました。
姿を見せてくれただけでもうれしいです。
>>327 よオレも君と同じだ!
正伝氏も是非続けてくれ!!
と、まあこんな事言っててなんだが、
また1から始めるか、それともたとえ絶望的な状況のままでもいいから、
無茶をしてでもやってしまうかはあなたしだいですよ正伝氏。
EDF氏なんて、クロノを死なせるなんて思い切りぶっちゃけたことしちゃったんですしwww(笑)
クロスオーバーなんて原作どおりにいかないのがほぼ当たり前だと思いますよ。
むしろぶっちゃけてたほうがおもしろ(ry
>>338 いやいやちょっと! あれと比べられても困りますってば!
>>341 自分はファイブスターストーリーの完結も見届ける覚悟です。
作者に一生をささげるとな?
俺はゲッターサーガ完結をいつまでも待つつもりだったんだがなぁ…
ガイバーの完結を待ち続けてますが何か? あれも20年ぐらいやってるよな 定期的に連載されて話も進んでるけど長すぎる
でも宇宙英雄ローダンは子孫に任せる。
漏れが待ってるのは、岩本隆雄、滝川羊、彩院忍か
>>348 オレ未だにCLANP版の正竜伝13(最終)巻待ってる。
星海の紋章を待ったときに比べれば・・・ あとヘルシングとウィザーズブレインも・・・ 劇場版ナデシコの小説と同じくらい?
ガイバーはなあ……ギガンティックの新型に度肝抜かれたが あれってアルカンフェル倒せば終わりになるのか? 一応十二神将は仲間割れやスリーが結構倒してくれたし、 終わりもようよう見えてきたかなと思ってるんだが
アプトムをミッドに送り込んだら誰食うかな?
>>341 一ヶ月や二か月、トリニティ・ブラッドの続きを待つのに比べれば……
てことで是非頑張って下さい。待ってます
≫334 甘いな。 D−1から3までのAIはケーン達の癖に染み付いてるからそのまま転用するのはあまり 実用的じゃないってプラート博士が言ってたよ。
>>354 どこの世界に個人データをそのまま量産兵器のメインAIに転用するバカがいるのだ?
取捨選択して再構築すのは常識だろ。
>>335 十二国記の新刊を待ち続けてるのに比べれば……。
待ってます、マイペースで頑張ってください。
レッドサン・ブラッククロスの続きマダー?
マイナーだが「ラキスにおまかせ」の新刊を待っている間に大学生になりました・・・
>>355 基礎はできても育成分を取り出すのが面倒なんだろ?
お手軽に切り貼りできるというのなら博士もあんなこと言わないだろうし
さて、雑談スレにでも行こうか
>>359 面倒でもできるなら死ぬ気で短縮しろよ、兵士の命かかってんだから。
>>355 取捨選択して転用してすぐに実戦配備したもんだからオリジナルのAIに比べて
完成度が足りなかったから結果として量産期が弱いんでないかなドラグナーにしろガンダムの時にしろ。
>>353 わかって言ってるのかそれとも知らないのか知らんが、トリブラは作者死んでなかったか?
>>362 ジムもドラグーンも他に味方に適格なやられメカがいなかったから仕方なくやられてやっていただけなんだよ。
本当はジムもドラグーンも強いんだよ!
ポケットの中の戦争でのジムDの活躍を俺は忘れない
GMが遣られてたのは、パイロットのせいだよ!
雑談スレでやってもらえませんかね?
>>362 .365.366
すみません作風が似てるのでガンダムを上げたんですけど別にジムが嫌いてわけではないです。
結局お披露目序盤火達磨になったのは366が言ってる様に新兵器に不慣れなパイロットのせいなんでしょうね。
>>341 EGコンバットファイナル、待ってます、何時までも待ってます・・・。
三巻出たの何時だっけかなあ。
早朝から投下します。 今回が初のSSなので何かと問題があるかと思いますがご容赦を。 元ネタはパンプキンシザーズ。雑談スレで投下したネタを文章にしてました。 15分後に投下開始です。 雑談スレでパンプキンネタにノリノリで返してくれ現在redeyesクロスを執筆中の氏、ちょっと頑張ってみたよ。
当SSには大変卑猥な表現、簡略に言うと「うほっ」な表現が含まれます。 そのような表現に嫌悪感を抱く方は精神衛生上のために迅速な避難を勧告します。 魔法伝令犬リリカル☆マー君 〜絶倫ファイヤー狼の巻〜 通称マー君ことマーキュリー号(♂)伍長勤務特別上等伝令兵はイイ男である。 伝令兵といっても彼は伝令犬であるので「イイ男」という表現には若干の語弊があるかもしれない。 しかし様々な見地を鑑みた場合、どう控え目に表現しても「イイ男」としか彼を言い表す言葉が無いの である。 まず彼は非常に優秀な伝令犬である。 彼の所属する帝国陸軍情報部では未だ隠匿性の高い電気通信技術が確立されておらず、また長距離通 信網も整備されていない。そのため電話が普及し始めたにも関わらず、機密情報通信おいて伝令犬は帝 国軍の主流であり続けている。そのような事情から帝国陸軍情報部にとって伝令犬の練度は重要な課題 であり、情報部は伝令犬の訓練に余念が無く、時には伝令犬に人間より高い階級を授ける場合もある。 その点マーキュリー号は実に優秀な伝令犬である。伝令の確実性はもとより速度においても非常に高 いレベルにある。それだけでなく大型犬の体格を生かした対人戦闘能力も有しており、凶器を持った人 間を制圧したこともあった。さらには、どこで身につけたかは不明であるが、麻薬などの特定薬物を探 し出すことすら可能なのである。 新たに設立され未だに伝令犬の確保が十分でない陸軍情報部第3課が、その業務を問題なくこなせて いる背景には隊員の高い練度だけでなく彼の働きもあるのである。 しかし、これだけでは「イイ男」とは言えない。あくまで「優秀な伝令犬」である。 では何をもって彼を「イイ男」と表現するのか? それは――――――――――彼がプレイボーイだからである。 いや、この場合はプレイドッグと表現するのが正しいか。 とにかく彼は唯のプレイボーイではない。ものっっっそいプレイボーイなのである。 どれくらいプレイボーイなのかと言うと、 「お嬢さん、俺に触れると火傷するぜ?まあ最も――――触れなくても俺が火傷させるんだがな!」 もしくは 「いいのかい?ホイホイ尻を向けちまって。 俺はチワワだろうがセント・バーナードだろうが構わず喰っちまう犬なんだぜ?」 なのである。 これは誇張ではない。実際彼は多くの同僚伝令犬(♀)を寿退職させており、新たに配属される新人( 犬)も片っ端から(性的に)イタダキマスなのである。 まさしく彼は伝令犬界のダブルでオーかつセブンな英国エージェントであり、ジェー○ズ・D(ドッグ の意)・ボ○ドの二つ名を持っているのである!! 申し訳ない、最後のは嘘である。 そんな(性的に)スーパードッグなマー君であるが、常にその生活が潤いを持つとは限らない。 この物語は、そのような状況において起きた一つの悲劇である。
マーキュリー号は酷く乾いていた。 乾くといっても水分不足なのではない。長距離任務でも問題無いよう彼は水源捜索・食料確保の訓練 を受けている。何よりここは栄えある帝国陸軍情報部中央管理局、水も食料も入手には一切問題無い。 では何が乾いているのか。 ――――――――――女っ気である。 昼前に帝都郊外のダムで同僚の眼鏡(部隊内での立場は低いようだがマーキュリー号は彼を高く評価 している、あの男からは性的に野獣の臭いがするからである)から受け取った報告書を即日中に帝都の 情報部中央管理局に居る上司に届け、彼の妹分であるステッキン曹長を苛めたジジィを頭蓋骨まで甘噛 みしてやった頃には夜になっていた。 ――――暇だ。 それがマーキュリー号の思考の大半を占めていた。普段暇な時は3課の隊員が遊んでくれるが、現在3 課の隊員のほとんどがダムの調査に出ている。現在3課のオフィスにいるのは上司のハンクス大尉と頭 部に噛み跡の残る1課課長(名前は知らない)、それと妹分のステッキン曹長である。 誰が遊んでくれるか? ハンクス大尉――――除外。いつも面倒臭そうにしている大尉が自分と遊ぶことなど碌にない。むしろ 笑顔で「ほーらマーキュリー号ー、取ってこーいっ!」などとフリスビーを投げられたら対応に困る。 ぶっちゃけドン引きする。あと煙管の臭いが嫌だ。 1課課長(だから名前は知らん)――――論外。なんなら風通し良くしてやろうか? ステッキン曹長――――遺憾ながら不可。彼女は大尉と1課課長の話し合いに同席している。どうせ会 話の内容など理解できないのだから止せばいいのに。どちらにせよ、自分の欲求のために彼らの邪魔を するほど自分は子犬ではない。 ――――メスでも引っ掛けるか。 ある意味当然の帰結であった。ボール遊びが駄目なら次はメス犬とニャンニャンである。 犬なのにニャンニャンとはこれ如何に? むしろこちらの方が本命である。今回の任務のせいで、ここしばらくメス犬にありついていない。 思い立ったら吉日である。さっそく彼は今宵の相手を探すために局内を闊歩し始めたのであった。 ここで問題が発生した。相手がいないのである。ここでマーキュリー号の名誉のために弁明するが、 相手にありつけなかったのは彼の魅力が足りなかったのでは無い。物理的に他の伝令犬(♀)が居なかっ たのである。むしろ魅力や相手の意向など関係なく速攻でニャンニャンするのが彼のセオリーだ。所詮 犬畜生である。 こういうものは一度思い立った直後にお預けされるのが一番堪えるものである。もはやマーキュリー 号の割り合い冷静だが性的な事柄にはトコトン弱い理性はメルトダウン直前であった。 ――――もうこの際猫でも狼でも何でもいいや。 ここで人間なら局舎から抜け出して町にでも繰り出そうものだが、マーキュリー号はそういった面で は非常に真面目であった。伝令犬は軍事機密を扱う、そのため許可無く官舎を出ることを許されていな いのである。下半身の理性はゆるゆるなマーキュリー号であるが、仕事に関する理性はプロフェッショ ナルなのである。流石はジェ○ムズ・D・ボン○、体は犬でも心は英国諜報員。
いつだって――――――悲劇は僅かな偶然の積み重ねである。 突如出現した臭いをマーキュリー号の鼻は逃さなかった。人間のソレより数万倍の嗅覚と訓練によって 培った判断は突如出現したアンノウンの情報と位置を瞬時に解析する。 ――――っ犬だ!!! どのようにして警備の厳重な情報部に、それも突如として侵入したかは分からない。だがマーキュリ ー号の嗅覚は侵入者が犬であること、侵入者は官舎の庭の隅にいることを知らせていた。流石にオスか メスかの判断は付かない。だが彼はこれが最後のチャンスであることを本能で知っていた。 走る。走る。何よりも迅く駆ける。 廊下を有り得ない速度で疾走する彼に驚いた職員が躓き持っていた書類を床にぶちまける。背後から聞 こえる罵声を気にも留めずマーキュリー号は疾走する。 ――――早く!速く!なによりも迅く!! 最早マーキュリー号は一陣の風であり、走るという機能のみを追求し進化したサラブレッドであり、 その疾走を止めることができる者など存在しなかった。 見事な馬鹿犬である。 官舎を飛び出し庭に躍り出る。夜も深まり始めたこの時間帯に庭にいる職員はおらず、ただでさえ人が まばらな庭には沈黙の帳が下りている。一見人間はおろか動物さえいないと思える沈黙の中、マーキュ リー号は確実に対象を察知していた。目線は50メートル先の繁みへ。 ――――獲物はあそこだ―――― 気配を消し、繁みに近づく。やがてマーキュリー号の耳は『人の声』を捉えはじめた。 「こ……ザフィ……主…………潜入に……功…………しま…………これよ……調…………」 断片的にしか聞こえないが、声が成人男性であることは分かる。だが分からないのは繁みからは『人の 声』がするのに、そこからは『犬の臭い』しかしないことである。臭いのしない生物など存在しない。 なにより犬の鋭い五感が、そこにいる存在が1匹の犬のみであること示している。 マーキュリー号は違和感を感じながらも繁みに近づいていく。犬にとって最も信頼すべきは聴覚より も嗅覚なのだから。 ――――たとえ人語を話そうが、相手が犬ならば自分にとって委細無い。 なんだかカッコイイ台詞を吐きながら前進を続けるマーキュリー号。これが任務ならば惚れそうなも のであるが、あくまで目的はニャンニャンである。 「……っ!何者だ!!」 『人の声』の主がマーキュリー号の存在を察知し、警告の声を発した。同時にマーキュリー号も繁み を抜け、目標と対面する。 そして――――あってはならなかった邂逅が果たされる。
青い狼であった。 大型犬の自分よりも大きな体格、鋭い鼻、口元からのぞく牙。犬などという野生から離れ人間に飼わ れた動物など足元にも及ばない、誇り高き野生動物の風格があった。最も、『彼』には人間の臭いが付 いており人に飼われている狼であることが分かる。自分が『彼』を犬だと勘違いした理由がそれであっ た。 だが問題はそんなものでは無い、今この状況で最も重大な問題。 ――――それは――――青い狼は『彼』――自分が待ち望んだメスでなく『オス』だったのである。 もう一度マーキュリー号の名誉のために弁明しておく。 彼に『そういった気』は無い。そもそも動物にとってニャンニャンとは生産的なものであり、結果を 生み出さない『そういった』行為は意味を持たない。無論マーキュリー号も例外ではない。 だが状況が状況であった。先ほど述べた通り、良しと言われた直後のお預けほど悲惨なものはない。 マーキュリー号はついさっきお預けを食らったばかりである上での、この仕打ちである。さらに彼は性 豪である。とてもじゃないが彼に3度目のお預けなど耐えられるはずがない。 「…………ふむ、すまぬが暫く邪魔をする。お前には決して迷惑は掛けん」 『彼』はマーキュリー号を警備の犬かと思ったらしく、しばらく警戒していたがマーキュリー号から 敵意を感じなかったため警戒を解き、『彼』なりの謝意を示していた。 ――――悲劇はいつだって僅かな偶然の積み重ねである。 もし――――マーキュリー号と『彼』の行動日程が半日ずれていたら。 もし――――官舎にメスの伝令犬がいたら。 もし――――ステッキン曹長がマーキュリー号を構っていたら。 もし――――『彼』が警戒を解かなければ。 もし――――そもそも帝国が『インヴィジブル・ナイン』など考えなければ。 ――――いつだって『もし』という言葉ほど悲しいものはない。その言葉が使われるときは何時だって 後悔と悲しみが付き纏うのだから もはや物語は悲劇にしかならない。なので簡潔に言おう。マーキュリー号は『彼』に対してある判断を 下した。 ――――まっ、オスでもいっかー
突然湧き上がった殺意に『彼』は完全に虚を突かれた。 瞬く間に組み敷かれ、首根っこを押さえられる。 「っっっ!!!何をする気だ!!!!」 ナニをする気です。 『彼』は非常に困惑していた。先ほどまで敵意の欠片すらなかった相手(最も妙な気配は感じていたが) が突如自分に襲い掛かってきたのだ。 それだけではない。本来体格で勝る狼であり、歴戦の守護騎士である自分が唯の犬に完璧に組み敷か れているのである。 「クソっっ!離せ!!これ以上やるのならば、こちらも相応の対処を取るぞ!!」 どう足掻いても相手の拘束から逃れることができない。バインド系魔法を得意とする自分にとって屈 辱極まりないことであるが、これ以上は任務の妨げとなる。唯の犬に魔法を使わざる己の未熟を主君に 詫びつつ、『彼』は現状を脱するために魔法を起動しようと―――― あらためて言おう。 マーキュリー号の戦術は、相手の意向など完全無視の速攻である。 『彼』が警告を発した時間、『彼』が主に己が未熟を恥じた時間。 それらは完全なデッドタイムである。 ――――つまり、この要素を持って既に勝負は決していた。 伍長(勤務特別上等伝令兵)の ドアノッカーが 盾に 「あ゛っーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」 かくして物語の幕は下りる。 ドンテン返しなどは存在しない。 何故なら ――――――悲劇は救いようが無いから悲劇なのだから いろいろなものが完
さくしゃは にげだした
乙女座の私にはセンチメ(ry 彼、メロメロなんですよ。 と、とにかく俺のいいたいことはだな……… あんたって人はアッー!
>>なの魂 本編投下お疲れ様です。 リリカルなのはと銀さん世界の組み合わせがGJ過ぎ! 小学3年生にバズーカを発射する逝かれ加減が銀魂! >>魔装機神氏 投下お疲れ様です。 コウモリが人になるとは(汗)あ、アルフも元は犬だったか! ナンバーズの今後の反撃に期待! >>コードギアス 反目のスバル ◆9L.gxDzakI氏 ティア〜(笑) スバルの行動がバレて無くてよかったw 学園祭での数々の子ネタは、ナイスです。 この後のユフィの行動で悲劇に流れていくのか、それとも 「この運命に反逆する。ああ、そうだ。そう思うだろう?お前も!」 >>リリカルスクリーム氏 新作投下乙です。 説明文だけなので、あんまり感想書けませんが今後とも頑張ってください。 >>魔法伝令犬リリカル☆マー君氏 パンプキンシザーズクロス投下乙です。 携帯で書いてるのかな?パソコン使えるならWordで書けば改行ミスは起こりませんよ。
>>376 この発想はなかったっていうか犬(ざふぃ)何しに来たんだwwwwww
>>376 もし来たのがザフィではなくアルフだったら・・さらに悲惨な事になっただろうな。
読み進めながら、アルフでなくザフィでよかったと思ったのは 俺だけじゃないはず
もしアルフだったら・・・ ヤバい、感覚共有してるフェイトが(ry
むしろ地下でやれ
>>383 バルドフォースのバチェラ編バッドエンド思い出した俺は異端
アップルシードとクロスさせようとして即効断念した、 EX MACHINAを見てきた俺ガイル
>>387 へぇ〜どうだった?おもろかった?それともおもろなかった?
389 :
387 :2007/10/27(土) 17:32:39 ID:KtmAiZk0
>>388 予想してたより面白かった。
空中戦でぐりぐり動く。
どこぞの種の監督腐債に見せてやりたいくらいだ…。
電童はバンク多いけどかなり動いてたよ まあもともとメリハリの利いた演出が得意な人だし つーわけで電童とのクロスはどないだ
つーか今日は過疎ぎみだな・・静かすぎるな。
>>391 土日になるといきなり投下率下がるよな…
休日だから増えると思ってずっと待ってたのに、
未だに何も来ないこの空しさorz
仕事の間に間に投下して、休日は何もかも忘れてのんびりしたいんだろうさ
のんびりさせてあげようぜ 読ませてもらってるんだしな
ならばこれを機に過去作品を読み直すとしよう。
いい考えだな。 正直、俺は今つづいているヤツでも始まったときがどうだったか忘れているのがけっこうあるからもう一度確認も含めて読んでおく
397 :
387 :2007/10/27(土) 20:28:47 ID:bUrMHMUi
ちなみに、書こうと思った理由、断念した理由 書こうとした理由: ・ランドメイトとガジェットの戦闘書けたら面白そう ・ヘカトンケイル級サイボーグだったら、スカも興味持ちそう ・「人とサイボーグとバイオロイドの関係」がテーマだから、戦闘機人と絡めやすそう。 断念した理由 ・アップルシード側戦闘容赦なさ杉… ・質量兵器の扱いどうしよう… 最大の問題は 「StS半端にしか見てない」 orz シグナムが部下殴る所とか、はやての迷指揮とか、リィンU全敗とか…
いいかな住人の皆様 貴方はかりにもSSスレの住人ならば知っておくべきだ 世の中には投下したいのに規制されているというような どうしようもない職人も確実に存在するのだ つまりは とどのつまりは 私のような それはまあ置いといて、職人の皆様方GJです ・・・さて、携帯からだと感想が制限字数いきそうなのはどうするべきか・・・
質問ディス
チンクって飛べましたっけ?
>>363 知ってますとも。
……スニーカーは怖いよ。最近ペース速いムシウタとかヤバ気、前例があるからなあ……
402 :
×DOD :2007/10/27(土) 21:14:34 ID:hoGFWZQ+
ちょろっと投下すrアッハハハキレーイ 恐らく9レスかと存じます。
白き魔導の装束を身に纏い、高町なのはは顔を真っ赤にして俯いていた。 その頭上からは心底愉快そうな、しわがれたドラゴンの声が容赦なく響いてくる。恥ずかしさに耐えられなくなって ちらりと横を見てみると、目に入ったのは更なる紅色、トマトのようになった首筋であった。 当然の話だ。水没しつつある男の姿を見つけたのは確かになのはだ。そして彼女も男が溺死を望んでいるものと勘違 いしたのは事実だが、飛燕の如き疾さで迫り「救出」したのはフェイトなのだ。背中を向けた男の姿すら直視できてい ないが、これも仕方のない話である。 「どうだカイム、自殺志願者となった感想は」 つまり二人は今、後からやってきたキャロに事情を聞かされてとんでもない勘違いに気付き、案内された先に居たドラ ゴンから大いに笑われている最中であった。 「………………」 「…す…すみません……本当に……」 沈黙し背を向けているカイムに、なのはが蚊の鳴くような声で言う。契約者の跳躍力と心肺機能があるからと鎧も脱が ずに水に入ったカイムが悪いといえば悪いのだが、それでも滅多なことで他者を責めない二人にそんな考えは浮かばない。 横のフェイトなど黒布のバリアジャケットを着たまま、微動だにできず硬直している。自分も近い状態ではあるが、も ともと恥ずかしがりな上に目尻に涙まで浮かべて説得にあたり、さらには先に帰っていったキャロが笑いを堪えるのを見 ていた親友はもはや口を開くことすらできないだろう。沸騰しそうな頭でも何とかそう想像できたが、それは正しくその 通りだった。 「謝る必要なぞ無い。気に入った、傑作よ!」 己の意識から外れたものが笑いを引き起こすという、ずれの理論を唱えた者が人間にはいる。それが真実なのかを知る 術は無いが、少なくとも今のドラゴンにとっては当たっていた。 確かにカイムが、生まれてきて良かったことがあったかと問われれば、九分九厘で答えは「否」だろう。しかし男は死 を望んだことは一度足りともないし、ドラゴンもそれは知っている。 契約する以前のドラゴンはともかくとして互いに信頼を寄せるようになってからは、お互い何としてでも生き延び、抗 い続けるのが当然だと思っていた。自殺の二文字は二人の辞書には何処にも載っていない、だのに赤の他人からそんな風 に認識を受けた…ドラゴンをして笑いを呼ぶのに十分だった。 「………」 他方のカイムは、実を言えば自殺者扱いされたことはどうでもよい。 それよりも戦場で見逃すはずのなかった、他者の接近を見落としたことが彼にとって衝撃だった。さすがに剣の間合い に迫られた時点では気付いたが、それでも腕の重い水中では致命的である。しかし感が鈍ったかと言われれば、森でたま に襲ってくる獣への反応を考えるとそんなことはないと言える。 カイムは知らない。 感じられなかったのだ。闘気と敵意には確かに鋭敏だが、善意を孕む気配は久しく触れていない、それゆえに。
「戯れは止そうか。娘ども、何用ぞ」 …思う存分に笑われたなのは達に助け船が出たのはおよそ一分後、そろそろ恥ずかしさで消えてしまうかも知れないと 思った頃合いであった。タイミングの点を言えば遅すぎるくらいだったが、それでも羞恥からの解放が二人に安堵を与え たのは言うまでもない。 「こ、こほん…クロノ君…いえ、クロノ・ハラオウン提督からお話を伺いました。三日前来訪した竜と人、あなた方で間 違いありませんか?」 「堅苦しい言葉は好かぬ。問いについては相違ない」 詰まったものの咳払い一つで普段の調子を取り戻せるのは、やはり勤め人の為せる業、といったところだろうか。 「あの男からは何も聞かなかったのか。我らがこの場所を追われる道理は無いぞ」 「あ、いえ、会いに来たのは、個人的に気になったからで…」 「…尽く竜を恐れぬとは、妙な人間どもだ」 竜といえば恐怖と畏敬の対象。連合軍でも帝国の敵についてもそれが当たり前だっただけあって、ドラゴンにとっては なかなかに新鮮な反応だ。 時空監理局で働く中で違法魔導師を取り締まる際、不正に召喚された魔法生物と何度も戦ってきた二人である。さすが に人語を話し確固たる理性を持つドラゴンと出会ったことは未だになかったが、竜そのものと相対したことは初めてでは なく、そのような体験に乏しいキャロのように腰が抜けそうになる、とまでは至らなかった。 「して、目的は何だ」 と、言われたなのはは固まるしかない。 単なる物見遊山で来たわけではないのだ。クロノから竜と人の情報を聞いた時、すぐに思ったのはまず間違いなく監理 局の庇護に入るか、もしくは魔法の技術を買われて監理局で働くことになるだろうということであった。 とりあえずクロノの話では悪人かどうかは分からないとのことだったし、カイムもドラゴンも、とくにカイムの方は自 らの復讐と快楽のために、幾千幾万の敵兵を灰にしてきた身である。さらに言えば「封印されたくなければ従え」と言わ れてはいそうですかと頷くほど大人しい性格はしていないのだが、ともあれなのは持ち前の好奇心は自分の目で確かめる を良しとした。 異世界からの来訪、それはロストロギアの可能性を孕むのだ。 クロノは否定したが、それでも情報を得られる可能性はある。さらに巨大な魔力を持つ竜と竜騎士ということで、戦闘 技術にも興味をそそられるものがあった。自分たちと比べてという意味でも、助けになるかもしれないという意味でも。 そんな色々な考えが合間って、彼等と直接会ってみたいと思った。できることなら、完璧に人手不足の機動六課の力に なってもらえないかと考えた訳である。有り体に言ってしまえば唾を付けておこうと、言葉を選ぶならスカウトできない かと期待したのだ。 「え…っと…」 とはいえ人間など遥かに通り越した高き種の姿と、剣士の無言の威圧感(本人にその意図はないのだし言葉が使えない のだから仕方ないといえば仕方ないが、それでもカイムの纏う空気の重さは十分圧迫感があった)は過去経験がない。 森に入る前はどんな人たちだろう、優しい人ならもしかしたら協力してくれるかもとフェイトと仲良く話していたのだ が、実際いざとなってみるとどう話を切り出せばいいのか分からなくなってしまった。
「すみません、あの」 何から言うべきかと思案に暮れていたなのはの横、口を挟んだのはその親友フェイトだった。 笑われ終わった後もしばらく口を開けずにいたのだが、ようやく復活したらしい。 「あの、キャロ、何を…」 「竜の子…フリードリヒと言ったな。同族の気配を察した己の竜が消え、捜しに来たのだ」 そう聞くと、フェイトは納得したようにドラゴンを見、そうですか、と小さく呟いた。 湖に現れたキャロからは事情を聞き損ねていた(というより恥ずかしくて顔すら合わせられなかった)ので分からなか ったが、おそらくキャロもフリードリヒも、部族を出てから自分たち以外にドラゴンを目にするのは初めてだったのだろう。 同じ種族を見たら追いかけてしまうのは当然かもしれない。 一方のドラゴンは、その声色に単なる上下関係を超える情を感じ取っていた。 そういえば、キャロの髪の色は。そう思い出し、フェイトの金髪を見て問う。 「あの娘の養い親か」 「…はい」 返答には若干の間があった。 顔に陰りは見えないが、微弱に感じたそれは「親」という単語を聞いての反応だ。娘の話からおおよそ事情は掴めてい るが、なるほど確かに負い目によるものと取れなくもない。 確か普段なかなか家族として一緒に過ごす時間は無く、さらにキャロが戦闘に出ることを言い出した時も反対したと言 っていた。引き取りながらも良い親として振舞えず、その上危険な選択をさせてしまったのを気にしているのだろう。 とはいえ、ドラゴンからすれば子供が戦いに出ることなどどうでもいい。 まだ成人もしていない兵士など帝国にも連合軍にも掃いて捨てるほど居たし、実際にそれらを掃いて捨ててきた身だ。 そんなものを否定する気はない。 全ての選択肢と可能性を与えられた上で戦いを選ぶのならば、それに他人が口を出す資格はない。問題はそれを他者が 強いることにあるのだ。 だが少なくとも、このフェイトという魔導師からはそのような気配は微塵もなかった。むしろその瞳が小さな葛藤に揺 れるのを見れるくらいだ。恐らくは親と上役、所謂板挟みなのだろうとドラゴンは思う。ならば埋まらぬ河であるはずも なく、然したる問題ではなかろう、とも。 と。 「……」 「どうした、カイム」 「えっ?」 唐突に、そして自分たちから見てあらぬ方向に掛けられた声に、なのはもフェイトも何事かと目を向ける。 そして視線を追い、気づいた。今まで背を向けて我関せずを貫いていた剣士カイムが、赤き竜に視線を投げていたのだ。 「……………」 カイムが無言のままドラゴンを見つめ、ドラゴンもまた視線を返す。その様子は互いに会話をしている時そのものだっ たが、男の声帯が空気を震わすことはなく、竜もまた同じだ。 音無き『声』の会話、内容は件のキャロだ。彼女が二人をこの場に案内した後、その去り際に妙な言葉を残したのだ。
「礼を? おぬしにか」 竜の言葉に目を白黒とさせ、思わず顔を見合わせるなのはとフェイト。 話の内容が分からないのもそうだが主たる驚きはその通信に対してである。竜騎士が口を聞けないということは聞き及 んでいたが、魔力を全く使わない意思の通信はクロノの話には出てこなかったのだ。 そんな二人を他所に、無言の男と竜の話は進む。口を挟むこともできないので聞いていると、ドラゴンはこんな事を口 走った。 「あの娘が…いや、そうさな。一応は竜繰りの先人だ。教わる上の礼儀だろう」 「………?」 「聞いていなかったのか。あの幼子、我等に教えを乞うたのだぞ」 「え?」 「えっ」 なのはもフェイトも、これには思わず声を上げる。 人柄を見てスカウト、などと考えていた二人である。まさかキャロがそれを口にしているとは思ってもみなかったし、 それが竜の口から出てくることはもちろん夢にも思わない。 「不服か」 「い、いえ、とんでもない!」 「私からも、是非お願いします」 不服などとんでもない、むしろ願ったり叶ったりだ。 召喚もそうだが、竜を使役し戦うのは機動六課にはキャロ唯一人である。スバルとエリオに近接戦闘を、ティアナに射 撃術を教えることのできる人間は確かにいるが、キャロ本来の力を理解してやれる人間は隊の中に一人もいなかったのだ。 基礎体力や補助魔術についてはいくらでも鍛えてやれるが、それ以上は何もしてやれない。なのはも、そして保護者の フェイトはより強く、ずっとそれを歯痒く思っていた。それを本物の、しかも知性ある竜と竜騎士が力を貸してくれると いうのだ。二人にしてみれば喜びこそすれ、拒む理由などどこにもなかった。 (…不用心な) ただ、それがドラゴンにとっては逆に危うく見える。 単に目が曇っているだけなのかもしれないが、カイムにもドラゴンにとっても、お互い以外の他人を一目で信じるなど あり得ないこと。それをこうも容易く信を置き、娘を任せるものなのか、疑問に思った竜は一つ問いかけをした。 「我が邪竜で、この男が快楽殺人者だったらどうする心算だ。自らの娘をみすみす生贄にする気か?」 果たして、 「えっ……えっ?」 「い、けにえ?」 無表情なカイムに頭を下げて口々にキャロを頼むと言っていたのが、急に「突拍子もない」事を言われて振り向き戸惑 う二人。 本当に心から、そんなことは微塵も考えなかったらしい。 悪いことではない。どこまでも良い世界を生きたのだなと、そうドラゴンは評した。 「ああーっ!」 「な、何なのは、どうしたの?」 「正式スカウトと模擬戦の申し込み、言ってみればよかった…」 「あっ」 そんな訳ですっかり気を良くして帰途についた二人は、森を抜けたところでこんな会話をしたという。
407 :
×DOD :2007/10/27(土) 21:26:20 ID:hoGFWZQ+
さて、話は翌日に移る。 空は快晴、風はほのかに心地よい。その日はそんな、空を舞うには絶好の日和であった。 そして幸い、この日の午後もまた自主訓練の時間。 「この辺りの…あった、あの湖」 ドラゴンには「いつか」と頼んだだけだが、そんな最高の状況を前に若い魔術師の気がはやらないわけがない。案の定 キャロは午前の訓練を終えると機動六課自慢の訓練スペースから出て、フリードと共に再びあの森へと訪れていた。 「ここから西か…えっと、キャロ、結構かかる?」 「ううん、そんなに遠くないよ」 「ねぇねぇティア、竜種ってやっぱ火吐くんだよね! あ〜、楽しみ!」 「口の利き方に気をつけないと、アンタみたいなのは食べられるわよ」 ただ計算外だったのは、そこに同僚のフォワードたちが皆ついてきたことであった。 やはり皆、あの竜の行方が気になってはいたのだ。そこにきて午前中やけに張り切っていたキャロと妙にそわそわして いたフリードの様子には誰もが首を傾げており、昼食を終えた途端どこかに行こうと立ち上がるのを見れば気にもなると いうものだ。すると当然、 「あれキャロ、どこ行くの?」 「え、あ、そ、その…」 「そういえばフリード、なんかさっきから挙動不審だけど…どうかした?」 「キュッ」 「…あやしいわね。何かあったの?」 「あう」 あっという間に捕まった。そしてこの少女は基本的に隠し事など出来るはずもない。 竜と竜騎士の話をキャロが洩らし、皆ついて行きたいと言い出すのは至極当然の反応であった。その上話に出たのが喋 るドラゴンときたものだからなおさらだ(これにはティアも思わず身を乗り出して聞き直した)。 (大丈夫かな…でも、ちゃんと話せばきっと…) 湖岸をつたって西へと回りながらキャロは思う。 自分が来ることを伝えてはいないが、これはたぶん大丈夫だと思っていた。問題はキャロ以外の三人が来るのをドラゴ ンが知らないことにある。 許可を得ていないのだ。カイムとドラゴンには『声』という非常に便利な連絡手段があるがキャロにはそれがなかった。 一応来客が増えたのを伝えた方がいいかと思ったまでは良かったのだが、よく考えればカイムもドラゴンも当たり前だが デバイスを使ってはいなかった。 念話も使えず、どうやって通信すればいいのかも分からないまま来てしまったのだ。ここまで来ると、いや最初からそ うだが、竜に何も聞いていないから追い返すのは無理な話である。何とすべきか、迷いながらキャロはてくてくと三人を 先導しているのであった。
『やれやれ、千客万来だな』 「!」 重い声がどこからともなく響き、キャロは飛びあがって辺りを見回した。 そして一瞬の後に思い出す。確か口の利けない竜騎士とは、『声』と呼ばれる念話の一種で会話していた。この声は正 に、あの時のドラゴンのものであった。 「どうしたの、キャロ?」 「今、『声』が…」 「声?」 少女の不思議な反応に問いかける同僚たち。だが耳を澄ませても何も聞こえない。 どうしたのだろう。もう一度聞こうと三つの口が開いた瞬間、再びキャロが聞いたのはこんな言葉だった。 『まあいい。カイムがまとめて遊んでやるそうだ…光栄に思え』 「え?」 「…キャロ、何か聞こえるの?」 「あの、カイムさんが…」 「危ないっ!!」 問われたキャロが向き直り、ティアナの方を向いたのを、隣にいたエリオが急に引き寄せる。 何事かと皆が見た直後、その目と鼻の先に、何かが唸りを上げて通り過ぎて行った。 驚きとともにきっと目を向けると、そこに浮いていたのは紅い炎であった。歪んだ球体に回転しており、それはどう見 ても自然の炎などではない。 「魔法?! 一体どこから…!」 竜へ教えを乞いに来たキャロはもちろん、今まで半ば遊び気分だった三人にも戦慄が走る。 ざっと辺りを見回す四人。何もなくても背中を合わせるのは、日々の訓練の賜物といったところだろうか。 「キャロ、一体あなた誰にうっきゃあああ!」 どこからともなう業火の弾が現れ、ティアナの肩すれすれを唐突に掠めていった。 「あの、カイムさんが全員まとめてっ」 「カイムって誰!? ていうかティア、ティアが焦げてるよぉ!」 「焦げてないわよ! 馬鹿な事言ってないで早く先行して元凶探しなさい!」 「駄目です、囲ま…れ……」 エリオが周囲をぐるりと見回し、硬直する。何事かと他の三人も顔を上げ、そして固まった。 バレーボールくらいの大きさはあろうか。紅蓮の炎の塊が、上空にも地上にも広がっている。見覚えのあるその光景は 「白い悪魔」の放つあの光の弾に酷似していた。 「う…そ……これ…全部……?」 完全に包囲された。 いつの間にかドームのように展開した炎の弾に、思わずティアが呟く。まさかこんな歓迎を受けるとは思っていなかっ たらしく、皆唖然として空を見上げていた。 これらを一度に撃たれたら一体どうなるだろうか…想像したくもないが、術者がなのはやフェイトでなく六課に無関係 の人物である以上、それをされない保障はどこにもない。だが焦る四人がいくら周囲を見回しても、術者の姿は依然とし て見えなかった。 絶体絶命。と、そこに竜から『声』が届く。 救いの言葉かと思い、慌てて耳を澄ませるキャロ。しかしそれは逆に、崖っぷちの彼女たちの背中を押した。 『竜繰りには体力が要る。死にたくなくば、捜すのだな』
「…さすがのお主も、制御は容易くないか」 ところでその元凶もまた、それなりに苦戦中であった。 母天使から奪い、膨れ上がった魔力は想像以上に巨大だった。雛鳥たちの手助けを承諾したのはその制御に丁度よかっ たからなのだが、それも甘い話ではなかったのだ。 己の剣が封じる魔法「羽炎」、ブレイジングウイング。先ずは今までと同じ出力で撃ったつもりなのだが、吐き出され る炎は止まらなかった。大きさもどこか不揃いで、形もいびつに歪んでいる。 「大丈夫か」 予想を超えて暴れる魔法に、気遣うように竜が言う。やって来たキャロたちが本当に黒焦げにならないよう、その位置 の調節に介入しているのは実を言うとこのドラゴンだった。こちらはそもそもの魔力が大きいだけあって、魔法の制御に 不安はないのだ。 返事は勿論なかったが、しかししばらくすると『声』から焦りが消える。 ようやくの安定をみたらしい。止まることなく打ち出されていた火の玉がしだいにカイムの意志に依ってゆく。形は球、 しだいにサイズは揃い、無秩序だった弾丸はやがて、八発一組で規則正しく撃ち出されるようになった。 「………………」 しかしそうなると、カイムから目的が消えたことになる。 『退屈』、『声』はそう告げた。 視界の彼方では火焙り寸前の子供たち、そして小さな竜が逃げ惑っている。なるほどこれでは弱い者虐めだ。憎しみに 駆られ戦いを愉しむならまだしも、こうして隠れて火球を撃ち続けるだけでは面白くないのは当たり前である。帝国軍を 惨殺して回ったカイムだがそれは戦いと復讐の悦びで己を満たしていたのであり、弱き者を嬲ることそのものに快感を覚 えていたのではない。 ドラゴンはキャロにああ言ったが、そもそもカイム自身そこまで気が進むものでもなかったのだ。 「そう言うな。おぬしが巡り会った、久方ぶりのまともな人間なのだぞ」 「…………」 「発散は必要だ。『母』の魔力も、そのうち身体に馴染もう」 一通り火球を撃ち終えたカイムは剣を納め、両脇腹に備えた二本の剣を手に抜いた。試す魔法はいくつかあるのだ。 まず左手。鋸のような突起を備えた白銀の剣。ソードブレイカー、細剣砕きと呼ばれるそれに魔力を通すと、途端にカ イム達の身体は溶けるように姿を消す。 「白蝋の剣」と呼ばれた呪われし剣の魔法だ。不可視となり戦闘力を飛躍的に上昇させる、封じられしその名は「視え 得ぬ息吹(インビジブルブレス)」。幻術魔導師が真っ青になるほど完全に視認不能となったカイムは、次に右手の剣へ と目をやった。 左手のそれとはまるで正反対の、漆黒の刀身が闇を纏っている。ダークマターと呼ばれる混沌の鋼でできたそれにはト ールクロウ、「雷魔の爪」の名を冠する地獄の雷が秘められていた。
「…人として生まれた者が」 「…………?」 妙なことを口走る竜に、男が一瞬疑念の視線を向けようとして、 「人を捨て修羅に堕ち…なお再び、人の世に生きることができるのか」 そして止まった。 こんなふうに謎かけめいた言葉を使うのはよくあることで、慣れているカイムは理解も早い。 誰の事を言っているのか気付いたのだ。 「我は、否とは思わぬ」 「…」 「死ぬまで森の隠者でいる訳にもいくまい。おぬしは人間なのだぞ、カイム」 戸惑いを孕む気配に、竜が静かに声をかける。 そして窘めた。焦る必要はない。おぞましい赤子も、襲い来る帝国兵も、ここには誰もいない、はずなのだから。 「これも他人の為の剣だ。やってやれ」 久しく振るわなかった、人助けの剣。 ドラゴンの言葉に理由を得たカイムが魔法を解放する。剣が魔術の暗黒を吐き出し、剣魔の巨大な魔力に制御を受けて、 四人の足元と周囲に魔法陣が展開した。その数十二、詠唱など無い、まさに速攻だ。 攻撃方法の急変にフォワードの間に衝撃が走った。背筋に走る悪寒に避ける間もなくシールドを展開するも、陣の上に いる以上雷を反らすことはできない。魔法陣が完成すると同時に漆黒の光が障壁を撃ち抜き、軽減されたがそれでも十分 強力な電撃が身体を貫く。 戦闘スタイルが一部の射撃系魔法を除いてほぼ近接型のスバルはまだよかったが、後衛で射撃を主とするティアナ、同 じく近距離戦に慣れていないキャロと、接近型であっても速度で相手を翻弄するタイプのエリオはそうもいかない。なの はの訓練である程度慣れているが、基本的に強力な魔法をその身に浴びることを前提としてはいないのだ。前衛後衛無差 別に走った雷光が少なくないダメージを与え、暗黒の魔法陣が追い打ちのように体力を奪ってゆく。 そして上空から、再び夥しい数の火球が弧を描いて迫る。魔法陣から出て左右に避けようとするも、電撃の効果で足が 痺れたままだ。動きを止めての集中砲火。ぞっとするほど冷徹で、そして的確な戦術だった。
「もう終わりか」 「………」 「そう言うな。未熟の雛鳥どもだ…それにしても、『蜘蛛の子を散らす』とは巧く言ったものよな」 ドラゴンはくっと笑って評したが、迫る火球を避け黒き雷を前に転がりまわる子供たちは正にその通りの有様だった。 戦闘経験の少ない少年少女たちに、本人からすればただの試し撃ちなのだがどう見ても情け容赦のないカイムの魔法を 回避しながらターゲットの捜索などまともに出来るはずもない。 さらに言えばカイムの姿は透明になっており、逃げながら必死に辺りを見回したところで絶対に見つかるはずなど無か ったのである。結局その日彼らがカイムを見つけることは当然できず、残ったのは棒のようになった手足と身体に響く痛 みだけであった。 しかし成果が無かったわけではない。防ぐことを前提としている訓練とは違う「倒すための」魔法だったのだ、確実的 確に撃ち込む間の取り方は良い手本になった。その上高速で迫る魔法を回避し続けることで、敏捷性と危機察知の点にお いては疲労困憊しただけの物を得たとも言えなくもない。 だがあれだけ縦横無尽に森を駆け回ったのに、ターゲットの姿どころか影すら捉えられなかったというのはどういうこ とか。 それだけが彼らにとって引っかかると同時に、もう勘弁してほしいと思った。普段の訓練は終わりがあるから苦しくて も厳しくても頑張れるが、ターゲットがいくら探しても見つからないとなると希望も何もあったものではない。 本気で泣きそうになるフォワードたち、しかしそのくらいではへこたれないのが若き心である。その日ベッドの中で、 彼らは似たようなことを呟いたそうだ。 「うぅ…誰だか、知らないけど…覚えてろぉ…!」 「このままじゃ…終らないんだからっ…」 ただ、ターゲットの正体を知る一人は、それはそれとしてこんなことを思ってもいた。 (私も、あんな風になれるかな…) 絶対になってはならないのだが。 ともあれ、「普通の」一人前への道はまだまだ遠そうである。
412 :
×DOD :2007/10/27(土) 21:39:29 ID:hoGFWZQ+
アクション入ると長くなる…それもまたいとおかしなのかと というか武器8本ってセコくないかどうするよ、と思いながら失礼。
GJでした。DOD知らないんですが、これを機に調べてみようかな。
覇王と白蝋とはこれまた凶悪な武装を >絶対になってはならないのだが。 ですよねーwwwwww
415 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/10/27(土) 21:58:02 ID:2mFou3m+
面白かった 続きが読みたいNE
GJです!
いや〜噂には聞いてましたが・・本当に容赦ないですね・・
とりあえずあれだ
>>415 、君はsageれ。
流石カイムとアンヘル。 地獄を生き延びてきた連中は違うな。
カラオケに行ってきました。それが原因で執筆はまるで進みませんでしたが。 >×DOD氏 なんという鬼畜攻撃wGJです! 確かにキャロにはああなってほしくはない… 短編サイドストーリーというのは、ペースが遅い時のごまかしに便利なもの。 とはいえ今回書いたのは、本来なら6.5話ぐらいのタイミングに投下しておきたかったのですが… …まあ、そんなわけで、3レス分ぐらいの投下をしてよろしいでしょうか?
良いに決まってます
DODは鬱になるからクロスでも幸せになってくれてるだけで涙がでる 戦い抜いた仲間と平穏に過ごす、それだけなのに
それでは投下。 携帯からなので、レス1つ分の内容は短いですが、ご了承くださいませ。 //////////////// STAGE8.5 サイドストーリー・オブ・コードギアス〜その日、機動六課 「そろそろ、スバルさんの学校で学園祭がある頃だってね」 「うん」 エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエが、テーブルについて語らっていた。 ここはミッドチルダの機動六課、その食堂だ。2人は、地球へ向かったなのはに代わる教官・ヴィータの訓練を終えたところだった。 「お祭りかぁ…きっと楽しいんだろうな」 呟いたエリオは、どこか遠い目で窓の外を見つめる。 キャロは気付いた。 そう言えば、エリオは普通の子と違って、そういう経験が少なかったのだと。 そして、それは自分も同じだった。 だからこそ、エリオはそういう普通の子らしくお祭りを楽しむことに憧れ、キャロもまた憧れていた。 「…エリオ君」 キャロがエリオの名を呼ぶ。 「ん?」 一拍の間を開けた後、キャロは言った。 「今度お祭りがあったら…2人で一緒に行こうね」 エリオは一瞬目を丸くしたが、やがていつもの爽やかな笑みに戻る。 「…そうだね」 「キュウ〜」 と、キャロの相棒フリードリヒが、テーブルの上で鳴き声を上げた。 「あ、ごめんね。勿論、フリードも一緒にね」 「はは…」 微妙に拗ねた様子の竜を見て、エリオは屈託なく笑った。 「ふふ…」 そして、キャロもまた、そんなエリオと顔を合わせて笑ったのだった。
訓練場。 教官主任となったヴィータは、今なおそこにたたずんで、水平線を見つめていた。 「ヴィータ」 と、背後から1人の女性がやってきた。凛々しい顔立ちと桃色のポニーテールは、シグナムだ。 「まだいたんだな」 「特にすることもねーしな」 ヴィータは視線を彼方から剥がさず、シグナムに適当に応じる。 シグナムはそのままヴィータの隣に立ち、口を閉じた。 沈黙。 2人の間に、重苦しい沈黙が流れる。 「…何であたしはここにいるんだろうな?」 先にぽつりと呟いたのはヴィータだった。 「第97管理外世界――地球行きの任務から外されたことか」 まだ根に持っていたのか、と言わんばかりに、シグナムはため息をつく。 「主は我らのことを心配してくださっているのだ。我らにいらぬ負担をかけまいと…」 「じゃあ何でなのはを送り込んだりしたんだよっ!」 ヴィータは遂に激昂し、シグナムの方へ向き直った。 「あたしら六課メンバーの中で…はやて本人を除けば、1番あの町に長くいたのはなのはだ! 1番辛い思いをすんのも、当然なのはなんだぞ! なのに何であたしはこんな所で待機なんだ!」 ヴィータが必死に胸の内をぶちまける。 大切な人間が傷付くのを見るくらいなら、自分1人が傷付いた方がまし。 そんなヴィータだからこそ、現状には耐えられなかった。 「落ち着け」 だが、シグナムはそれを冷静に制す。 「…主も、アイツを送り込んで平気なわけではない。 だが、1番信頼できるからこそ、あえて涙を飲んで、アイツを指名したんだ。 …お前が行っても、どうせ怒りに駆られて、ブリタニア軍に正面切って戦いを挑むのが関の山だろう」 「っ…たりめーだろ…」 否定はしなかった。ヴィータは憎きブリタニアを叩きのめす気満々だったのだ。 「やれやれ…だからお前は子供なんだ。アイツに苦しみを背負わせたくなければ、その分大人になれ」 「う…うっせーな!」 顔を真っ赤にすると、ヴィータはそっぽを向いた。 「…で、その点からすりゃ、シグナムが行ってもよかったんじゃねーのか?」 「私もそう言ったんだが…」 と、ここでシグナムが何かを思い出し、珍しく顔色を悪くして肩を震わせる。 「…これ以上この話題を続けるならSS講座司会送りだ、と言われた…」 「…御愁傷様だな」 恥ずかしいタイトルコールをやらされたことのあるヴィータは、素直に同情した。
それから数日。 機動六課のうち、フォワードメンバーやシャマル、ザフィーラなど、なのは達と縁深いメンバーがはやてに集められた。 曰く、「なのはちゃん達から送られてきた物がある」とのこと。 「これや」 はやてが一同に見せたのは、段ボール箱に入った5本のビデオテープ。 「ビデオレターでしょうか?」 それを見てエリオが尋ねた。 「スバルからの手紙によると、『残りはダビングでき次第、追って送ります』やて」 つまり、ビデオに関する正確な情報はまるでなし、ということだ。 「とにかく、見てみようか」 結局フェイトの言葉を契機に、そのままみんなで見ることになった。 「それじゃ、再生するで」 はやて自らデッキにビデオを入れ(ミッドチルダと地球で規格が共通していたのは幸いだった)、再生ボタンを押した。 『ファイナルッ! フュゥゥゥゥゥジョォォォォォォォォォォォォォーンッ!!』 「「「…はあ?」」」 その日、そこに居合わせた機動六課の面々は、全員息の合ったタイミングでそう言ったという。 //////////////// ちゃんとした外伝というよりは、出番のない面々のフォローといった内容。 ザッフィーの扱いが悪いのは仕様ですが、フェイトの出番も少なかったのは…10話辺りをお楽しみに。
>>432 なのはさん暴走自重w
帰ってきたら重度の熱血系アニオタになってるかもしれんw
とにかくGJ!
GJ! なのはさん・・ゾンダけ〜!じゃなくてどんだけ〜!
あ、あれ? おかしいな…ビデオを送ったのは、主に「FINAL」を見てた(6話参照)スバルだったのに… やっぱりスバルの手紙が同封されてた、だけでは解説不足か…9話の冒頭で補足しときます。 というか諸君、そんなになのはさんの暴走がお望みかねwww
某木連のごとく、ミッドチルダでこのビデオが聖典として扱われるだろうことは まだ誰も予想していなかった。。。。。
428 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/10/27(土) 23:32:46 ID:9Mwe0dBR
>>402 面白かったよー。
DOD懐かしいな。
あのAAをまた張りたくなってきたw
>>426 お望みですw
429 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/10/27(土) 23:34:44 ID:9Mwe0dBR
メビウス×なのは、7話出来上がりました。 今回は前回よりも更に長くなってしまった為、AパートとBパートに分けて投下したいと思います。 まずはAパートからいきますね。 第7話「超獣の来襲」 「人の持つ負の心を力に変え、生きる悪魔か……」 時空管理局本局。 グレアムは自室にて、リンディから渡されたミライについての資料を眺めていた。 彼はヤプールと呼ばれる異世界人との戦いの末、異世界の崩壊に巻き込まれこの世界に来たという。 その時、ヤプールも彼と共に次元の裂け目に落ちたという……グレアムは、危惧していた。 もしかするとヤプールは、ミライと共にこちら側へとやって来ているのじゃないかと。 次元の狭間に落ち込んだとき、ヤプールは瀕死の重傷を負っていたというが…… ミライが言う限りでは、ヤプールは完全消滅させる事が不可能な、邪悪の化身という。 瀕死の状態から復帰する事は、不可能ではない筈だ。 もしも危惧している通りの事態になれば、管理局はヤプールと激突する事になるだろう。 超常の存在たるウルトラマンでさえも苦戦を強いられた強敵……はたして、勝てるのだろうか。 「……いや、あるかどうか分からない事を考えていても仕方ないな。 今はそんなことよりも、もっと大切なことがあるのだし……」 自分が知る限り、最悪のロストロギアである闇の書。 本日付で、教え子であるクロノ達の部隊がその捜索担当に当たる事になった。 恐らくこの事件は、本局にも―――自分のところにも協力要請がくるであろう程の規模になるだろう。 事実、過去にそれは起こった。 大切な友人を、多くの仲間を失うことになった……忌まわしき闇の書事件。 闇の書は、決して滅ぼす事が出来ない禁断のロストロギア……奇しくも、ヤプールと同じ性質を持っている存在である。 時空管理局が闇の書を取り扱うのは、実は今回が初めてではなかったのだ。 あの悲劇だけは繰り返させてはならない。 「そういえば……元気にしているだろうかな。」 実はグレアムは、闇の書に関する調査を、前事件の終結後にも極秘で続けていた。 あの事件の所為で多くのものを失ってしまったのだから、無理も無い行動である。 そして、これはつい最近の事なのだが……調査を続けているうちに、グレアムはある一人の男とで出会った。 出会ったのは、過去に起きたこれまでの闇の書が関わる事件に関しての聞き込み中。 その男は、自分と同じ―――闇の書によって、仲間を失った者であった。 それ以来グレアムは、その男と共に秘密裏に事を進めていたのだが……最近、彼と直接顔をあわせていない。 色々と忙しく、直に会う機会が無かった為であるが…… 「ウルトラマンの事、話したら驚くだろうかな…… また、ゆっくりと酒でも飲みながら話したいものだ。」 今も自分と同じく、闇の書に関する調査を続けているであろう友人を思う。 彼の様な者の為にも……自分が、頑張らねばならないのだ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「いただきまーす♪」 丁度その頃であった。 ハラオウン家では、引越しの後片付けもすっかり終わって、夕食の最中であった。 勿論、夕食は引越しそば。 なのはとユーノの二人もお邪魔して、ご相伴させてもらっている。 すずかとアリサにも誘いはかけていたのだが、残念ながら用事の為に不在である。 なのはとフェイトにとっては、少しばかり残念だった。 まあ、二人とは昼間の内に一緒に過ごす事が出来たのだし、良しとしよう。 それに……明日からは、四人揃って同じクラスで学校に通う事になるのだ。 共に過ごす機会は、これから幾らでもある。 「ふぅ……おそばって初めて食べたけど、美味しいですね♪」 「え……ミライさん、食べた事ないんですか?」 「うん、僕が地球にいたころには、食べる機会がなくってね。 本当、地球って美味しいものが多くていいなぁ……」 「そうだったんですか……でも、気持ちは分かりますよ。 私達も駐屯任務とかで、現地の見たことも無い食べ物を食べた事が何回かありますし……」 「まあ、不味いものにあたることも何度かあったけど……去年のアレとか。」 「ああ、アレかぁ……アレは悲惨だったよねぇ……」 「アレって……?」 「そうだなぁ、なのはちゃん達にもわかりやすいように言うと…… 納豆とクサヤと発酵ニシンを足して三で割ったみたいな、とんでもない臭いの食べ物?」 「……え゛?」 一つ一つだけでも結構強烈な臭いを持つ食べ物ばかり。 それを足して割るって、一体どんな代物なんだ。 リンディ達の表情から察するに、どうやら味の方もアレな出来だったらしいが…… これでは、折角のそばの味も悪くなってしまう。 何とか、状況を変えねばなるまい。 そう思っていた……その矢先だった。 ピピピピピ…… 「あれ……?」 「この音……通信?」 「あ、私の部屋からだ。 ちょっと行って来るね。」
「はいはーい、エイミィですけど。」 「あ、エイミィ先輩。 本局メンテナンススタッフのマリーです。」 エイミィ宛の通信は、時空管理局本局からのものであった。 引っ越し祝い……という様子ではなさそうだ。 どちらかというと、かなり困った顔をしている。 「うん、どうしたの?」 「実は、預かってるインテリジェントデバイス2機なんですけど……なんだか、変なんです。 部品交換と修理は終わったんですけど、エラーコードが消えなくって……」 「エラーって、何系の?」 「必要な部品が足りないって……このデータです。」 「えっと、何々……え?」 送られてきたデータを見て、エイミィは唖然とした。 そのエラーコードに記述されていたのは、予想外の一文だった。 それは、本来ならば絶対に出ない筈のエラーコード。 『エラー解決のための部品、”CVK-792”を含むシステムを組み込んでください』 「これ……何かの間違いですよね? 二機とも、このまま情報を受け付けてくれなくって……」 「……レイジングハート、バルディッシュ……本気なの? CVK-792……ベルカ式カートリッジシステム……!!」 エラー解決用の部品。 それは何と、自分達の敵が用いていた代物―――ベルカ式カートリッジシステムだった。 2機がどうしてこんな要求をしてきたのかは、容易に想像がつく。 ヴォルケンリッターとの戦いにおいて、なのはとフェイトは手痛い敗北を負わされた。 その最大の敗因は……デバイスの性能差が大きかったから。 そしてそれが最も悔しいのは、他ならぬデバイス達自身だった。 自分達の力不足の為に、持ち主を傷つける事になってしまった。 もう二度と、あんな事態を起こさないためにも……2機は、この決断を下したのだ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぁ〜……」 翌日、早朝。 八神家では、一番最初に目を覚ましたはやてが、朝食の準備をしていた。 リビングの方を見てみると、シグナムがソファーに座ったままの体勢で眠っていた。 はやてはそんな彼女を見て微笑み、作業に戻ろうとする。 すると、その瞬間に丁度よく、彼女は目を覚ましたのだ。 つられて足元にいたザフィーラも、一緒に目覚める。 「んっ……」 「ごめんなー、おこした?」 「あ、いえ……」 「シグナム、ちゃんとベッドで寝なあかんよ? 風邪引いてまうやんか。」 「す、すみません……」 「ふふ……はい、ホットミルク。 あったまるよ……ザフィーラの分もあるよ、おいでー。」 「では……」 用意しておいたホットミルクを二人に手渡す。 程よい温度になっており、飲めば十分あったまるだろう。 その時、ドタバタと音を立てながら二階からシャマルが降りてきた。 そしてその後ろから、欠伸をしながらヴィータがついてくる。 「すみません、寝坊しちゃいました〜!!」 「おはよう、シャマル。」 「はやてちゃん、ごめんなさ〜い!!」 「ふぁ〜……」 「ヴィータ、めっちゃ眠そうやな……」 「うん、ねむい……」 「……そういえば、アスカはまだ寝てるのか?」 「みたいですね……」 どうやら今日も、一番最後はアスカの様である。 これで四日連続のびりっけつだ。 仕方がないと、シグナムは立ち上がり彼を起こしにいこうとする。 すると、そんな彼女の行動を予知したのかどうかはしらないが、アスカが部屋へと入ってきた。 「ぅ〜……おはよ、皆。」 「おはよう、アスカさん。 すぐ朝ごはん出来るから、待っとってな〜」 「ありがと、はやてちゃん……じゃあ俺、郵便受け見てくるわ。」 「は〜い。」 アスカは瞼を擦りながら、玄関へと向かう。 至って平和で平凡、しかしそれでいて幸せな朝の光景。 こうして過ごしていると、戦いのことを忘れさせてくれる。 そう……こんな日々こそが、自分達の目的なのだ。 「……あたたかいな。」 必ず、手にしてみせる。 大切な主と、大切な家族との日常を…… ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はい……ありがとうございます、レティ提督。」 そして、時刻は昼頃になる。 ハラオウン家では、学校にいるフェイトと、買い物中の為不在のリンディとアルフを除き、全員が作業に取り掛かっていた。 クロノは本局との連絡等を、エイミィは周辺探査ネットワークの整備を。 そしてミライは……メビウスに変身して、ベランダにいた。 彼は仲間との連絡がつくかどうか、一か八かで試している最中だった。 事件解決まではこの世界で戦うことを決意したとはいえ、流石に連絡の一つも入れないのはまずいからである。 手を上空へと向け、光を発した。 すると空に、光の国で使われている特殊な言語―――ウルトラサインが浮かび上がる。 普通の人間には、それを見ることは出来ない。 一部の怪獣や宇宙人、そしてウルトラマンでのみ、ウルトラサインを目視することは出来るのだ。 これを使い、ウルトラマン達は緊急時に連絡を取るのである。 別世界であるから、果たして仲間達がその存在に気づいてくれるかどうかはわからない。 だが、やらないよりかはマシである。 ミライは変身を解き、そして部屋の中へと戻っていった。 勿論、この時の彼の姿は誰にも見えていない。 ばれない様、ちゃんと細心の注意を払ってミライは行動している。 「ウルトラサイン、一応送ってみました。 これで兄さん達が気づいてくれるかどうかは、まだ分かりませんけど……」 「ん、OK。 クロノ君の方は、どうかな?」 「グレアム提督とレティ提督の根回しのおかげで、武装局員の中隊を借りられた。 捜査を手伝ってもらえるよ……そっちは?」 「良くないね……夕べもやられてる。 今までより少し遠くの世界で、魔導師が十数人と野生動物が約四体。」 「え、野生動物ですか?」 「魔力の高い、大型生物。 リンカーコアさえあれば、人間でなくてもいいみたい……」 「へぇ〜……あ、でも考えてみたら、ユーノ君とかアルフさんも……」 「いや、それはちょっと違うよミライ君。」 エイミィはスクリーンに映像を映し出し、襲われた大型生物の映像を出す。 ユーノやアルフとは、はっきり言って程遠い外見の相手ばかりである。 確かにこの二人は、こっちに来てから動物形態で過ごす事が多いが、一緒くたにしたら可哀想だ。 しばらく行動を共にして分かったが、ミライはかなり天然が入っている。 素直で純粋なのはいいが、こうどこかが普通の人とずれているような感じである。
「まさになりふり構わずだな……」 「でも、闇の書のデータを見たんだけど……何なんだろうね、これ。 魔力蓄積型のロストロギアで、魔導師の魔力の根元となるリンカーコアを喰って、そのページを増やしてゆく……」 「全ページである666ページが埋まると、その魔力を媒介に真の力を発揮する……次元干渉レベルはある力をね。」 「本体が破壊されるか、所有者が死ぬかすると、白紙に戻って別の世界で再生する……と。」 「様々な世界を渡り歩き、自らが生み出した守護者に護られ、魔力を喰って永遠を生きる。 破壊しても、何度でも再生する……停止させることのできない、危険な魔導書。 それが、闇の書だ。」 「……絶対に消す事が出来ない存在。 まるで、ヤプールみたいだな……封印とか、そういうのは出来ないの? 兄さん達は前に一度、ヤプールを消滅させるのは不可能って考えて、封印に踏み切った事があるんだけど……」 「今までにも、それを試した人はいるみたいなんだけどね。 あまりに闇の書の力が大きすぎて、封印するのが無理だったみたいなんだ。」 ミライは、奇しくもグレアム提督と同じ感想を抱いていた。 何度滅ぼそうとも、執念を以て地の底から蘇る不死身の悪魔ヤプール。 何度消滅させようとも、転生を繰り返し永遠に行き続ける闇の書。 この両者は、どこかが似ている。 そう考えてみると……この戦いは、決して他人事ではないと思えてしまう。 ここまで首を突っ込んだ時点で、既に他人事では勿論無いのだが……どうしても、重ねてしまうのだ。 闇の書と、あの悪魔とを。 「だから私達にできるのは、完成前の闇の書を捕獲する事になるね。」 「あの守護騎士達とウルトラマンダイナを捕獲して、さらに主をひきずり出さないといけない。 ……かなり、厳しい戦いになるだろうな。」 「そうだね……守護騎士達はなのはちゃんやクロノ君達、魔道師組が相手するとして。 当然ダイナは、ミライ君に割り当てられちゃうよね……勝算ってありそう?」 「はっきり言うと、分かりません。 僕も、そしてダイナも……この前の戦いだと、出さず終いに終わったのがありますから。」 ウルトラマンダイナは、恐らくあの戦いではまだ本気を出してはいない。 何か隠し玉があるに違いないと、ミライは直感的に感じ取っていた。 そしてそれは彼も同じ……メビュームブレードにバーニングブレイブと、ダイナに見せていない力がまだある。 次の戦いでは、ダイナも本気で来るに違いない……力を使わなければならないだろう。 ダイナの実力が未知数なだけに、ミライは少しばかりの不安を覚えていた。 だが……戦う前から、マイナスなイメージを持っていては駄目だ。 ミライは気を奮い立たせ、はっきりと答えた……己の、勝負に向けての意気込みを。 「でも……僕は勝ちます。 必ず、勝ってみせます……!!」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……ウルトラマンダイナ、か。」 黒尽くめの男は、建物の屋上に立って風景を眺めていた。 その視線の先にあるのは、闇の書の主―――八神はやて。 彼女は今、アスカに車椅子を押されながら、友人であるすずかと楽しそうに話をしていた。 その様を見て、男は全てを察する。 調べによれば、はやてには家族が一人もいないという。 その為、ヴォルケンリッターがその元に現れるまでは、一人暮らしだったはず。 だが……今車椅子を押しているアスカは、ヴォルケンリッターではない。 なら、彼が何者であるかはすぐに分かる。 先日の戦いで、守護騎士と共になのは達と対峙していた、あのウルトラマン―――ダイナだ。 「何故、奴が闇の書側にいるかは分からんが……頃合を見て消すべきだろうな。 最悪の場合でも、ヴォルケンリッターどもは操ろうと思えば操れる……一番厄介なのは敵は奴だ。 ……いや、奴だけというわけではなかったな。」 時空管理局―――特に、先日メビウスと共に現れた者達はかなりの凄腕だった。 最後に放たれたスターライト・ブレイカーが、その全てを物語っている。 実力が分かっているメビウスは別にして、他の魔道師達が全員、あのレベルはあるとすれば…… 「……闇の書を一気に完成へと導けるな。」 男の手から、どす黒いガスが噴出す。 そのガスの見た目は、彼が使役する寄生獣―――ガディバに酷似していた。 だが、それはガディバではなく……そもそも、生物ですらなかった。 そのガスを眺め、黒尽くめの男は微笑を浮かべる。 「ほう、もうページは半分を超えている……あの白い魔道師だけで、随分と稼げたものだな。 全員分を吸収できれば、間違いなく闇の書は完成する……」 リンカーコア自体は、死亡した生物からも採取は可能。 そろそろ、本格的に動き出しても問題は無いだろう。 唯一不安要素があるとすれば、やはりメビウスとダイナになる。 特にダイナは、実力が未知数……慎重に相手せざるを得ない。 手のガスが、より勢い強く噴出される。 とてつもなくどす黒い……暗黒という呼び名に相応しい色だった。 「さて、どう始末をつけてくれようか……」
「じゃあね、はやてちゃん。」 「うん、すずかちゃん、またね。」 「帰り道、気をつけてね。」 日も暮れ始めた頃、三人は帰路に着いた。 アスカは嬉しそうなはやての様子を見て、笑みを浮かべている。 今度の休みに、すずかが家に遊びに来てくれることになったのだ。 今から、その日はどうしようかと、はやては色々と考えていた。 「じゃあ、俺達も帰ろっか。 きっと皆、待ってるだろうしね。」 「うん。」 車の助手席にはやてを乗せ、アスカも運転席に座ろうとする。 だが……その時だった。 アスカの全身に、強烈な悪寒が走った。 例えるならば、喉元に刃物を突きつけられたかのような感じ。 額から、冷や汗が零れ落ちる。 とっさにアスカは、後方の建物―――黒尽くめの男がいた場所へと振り向いた。 だが、そこには……誰もいない。 「!?」 「……アスカ、さん?」 「あ、いや……ごめん。 なんでもないよ。」 「そっか、ならよかった。」 (……なんだ、今の……嫌な感じは……?) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Aパート、投下完了しました。 ここまではいたって普通(?)な光景。 Bパートからは、一気に戦闘へと移行いたします。 それでは、続けていきますね。
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「よかったぁ……今、どこ?」 『2番目の中継ポートです。 あと10分くらいでそっちに戻れますから。』 「うん、了解。」 あれから、数日が過ぎた。 なのは・フェイト・ユーノ・アルフの四人は、時空管理局本局を訪れていた。 検査の結果、なのはのリンカーコアは完全回復。 さらに、レイジングハートとバルディッシュも修復完了。 これでようやく、元通りに魔法が使えるようになった。 エイミィはほっと一息つくが……その時だった。 ハラオウン家全体に、警報音が鳴り響いた。 リンディ達三人はとっさに対応にでる。 「エイミィさん、何があったんですか!!」 「都市部上空で、捜索指定のうち三人を確認したって。 今、結界で閉じ込めて武装局員が当たってる!!」 『リンディ提督、指示をお願いします!!』 「相手は強敵よ。 交戦は避けて、外部から結界の強化と維持を!!」 『はい!!』 「現地には、執務官とミライさんを向かわせます!!」 リンディの言葉を聞き、ミライとクロノは無言でうなずき合った。 その後、二人はマンションのベランダに出る。 現場はここからかなり近い……エイミィに転送ゲートを開いてもらわなくても、すぐに向かう事が出来る。 クロノはS2Uを取り出し、ミライはメビウスブレスを出現させる。 「S2U!!」 「メビウゥゥゥゥゥスッ!!」 戦闘へと向け、二人がその姿を変えた。 ミライはメビウスへと変身し、クロノはバリアジャケットを身に纏っている。 現場はここからまっすぐ……最大速度でいけば、1分もかからない。 二人は真っ直ぐに、飛んで向かっていった。 「エイミィ、相手は三人って言ってたけど……誰が来ているか分かるか?」 『赤い服の女の子と、使い魔っぽい蒼い狼。 それと……ウルトラマンダイナ。』 「ダイナ……!!」 「分かった……ダイナは、ミライさんに任せます。 残りの二人は、僕と現地の職員とで相手します!!」 「はい!!」 「よし……エイミィ、現場に着いた。 戦闘を開始する!!」
二人が結界内部へと入った クロノはメビウスと別れ、上空へと飛び上がる。 目標は下方―――武装局員に取り囲まれている三人。 ヴィータ、ザフィーラ、ウルトラマンダイナ。 クロノはすぐに全員へと念話を送り、その場から離れるよう指示を出した。 直後、彼の周囲に魔力が集まり……無数の剣を形成した。 ここで三人もこれに気付くが、既に攻撃の準備は整っていた。 クロノはS2Uを振り下ろし、攻撃を仕掛ける。 「上から……!?」 「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト……いけぇっ!!」 無数の剣が、三人へと豪雨の如く降り注いでくる。 とっさにザフィーラが二人の前へと出て、防御障壁を展開する。 並の魔道師ならば、障壁諸共串刺しにして終わらせることが出来る威力の術。 だが、彼等は全員がAAランクは越えているであろう凄腕。 果たして、どれだけの攻撃が通ってくれたか…… 「くっ……」 「ザフィーラ、大丈夫か!!」 「気にするな。 この程度でどうとなるほど、柔では……ない!!」 障壁を突破できたのは、たった三発の剣のみ。 その三発は、ザフィーラの腕へと突き刺さっていたのだが…… ザフィーラが腕に力を込めると、剣はすぐに砕け散った。 与えられたダメージは、皆無に等しかったのだ。 「!! 気をつけろ、下から来るぞ!!」 「セヤァァッ!!」 「メビウス……俺がいく!!」 三人の真下から、メビウスが迫ってくる。 とっさにダイナが飛び出し、彼へと向かっていった。 両者の繰り出した拳が、激しくぶつかり合う。 力はやはり、ダイナの方が上。 ならばと、メビウスはもう片方の腕でその手首を掴み、ダイナを地面へ向けて投げ飛ばした。 「うおっとぉ!!」 ダイナは激突寸前で、ギリギリ静止。 すぐにメビウスへと向き直り、光弾を発射した。 メビウスも同様に攻撃を放ってそれを打ち落とす。 「アス……ダイナ、大丈夫か!!」 「ああ、何とか……!?」 その時だった。 近くのビルの屋上から、閃光が走った。 増援―――どちら側のかは、分からないが―――がきた。 時空管理局側か、それともヴォルケンリッター側か。 現れたのは……
携帯より。 書き込み過ぎの規制をくらい、解除まで書き込み不可能になりました(汗) 携帯からでは文の長さ考えると厳しいし…… まじに皆さん、申し訳ありません。
>>443 携帯でよくやりますねw
まあ、落ち込まないで下さいまし。
生殺しktkr
「レイジングハート!!」 「バルディッシュ!!」 「セーット……」 「アーップ!!」 現れたのは、こちらの世界へと戻ってきたなのは達だった。 二人は自分のデバイスを起動させ、戦いに介入しようとする。 だが……起動させてみて、二人はある違和感に気付いた。 レイジングハートもバルディッシュも、どこかが違う……破損前と、変わっている。 「これって……?」 『二人とも、落ち着いて聞いて!! レイジングハートもバルディッシュも、新しいシステムを積んでるの!!』 「新しいシステム……?」 『その子たちが望んだの、自分の意思で、自分の想いで!! 呼んであげて、その子達の新しい名前を!!』 「Condition all green, Get set」 「Standby, ready」 なのはとフェイトは、すぐに全てを理解した。 先の戦いで敗れて、最も悔しかったのは彼等だったのだ。 だから、彼等は新たな力を手にした……自分達には無くて、敵にはあるあのシステムを。 その心に答えるべく、二人はその新たな名前を呼ぶ。 「レイジングハート・エクセリオン!!」 「バルディッシュ・アサルト!!」 「Drive ignition」 二人の身に、バリアジャケットが纏われる。 そして、新たなシステムを内包したデバイスが、その手に携わられた。 ヴィータ達は一目見て、デバイスが新たになった事を悟る。 自分達と同じ……カートリッジロードシステムが、彼女達のデバイスには積まれている。 「あいつら……!!」 「待って、私達はあなた達と戦いに来たわけじゃない。 まずは、話を聞かせて!!」 「闇の書の完成を目指してる理由を……!!」 二人は戦う姿勢を見せたヴィータ達へと、説得を試みた。 だが、当然ながらそれに応じようとはしない。 寧ろその逆……徹底抗戦の姿勢を見せている。 やむを得ないか……二人は、デバイスを構えた。 しかし、その瞬間だった……結界が破壊され、何者かが外部から突入してきた。 ヴォルケンリッター烈火の将―――シグナム。
あ、復活した支援
「シグナム!!」 「すまん、遅くなった……大丈夫か?」 「ああ……!!」 「ユーノ君、クロノ君、手は出さないで!! 私、あの子と1対1だから!!」 「アルフ、私も……」 「ああ……あたしも、あいつにちょいと話がある。」 各々が、己の相手と向き合った。 なのははヴィータと、フェイトはシグナムと、アルフはザフィーラと。 メビウスとダイナも、既に決まっている相手と向き直った。 一切の邪魔は許されない……完全な一対一である。 「……ダイナ。 僕達が勝ったら、話を聞かせてもらうぞ……!!」 「望むところだ……やれるもんならやってみろ!!」 二人が同時に飛び出した。 それを合図に、他の者達も一斉に戦闘を開始する。 ダイナは大きく振り被り、メビウスへと拳を叩き込んだ。 防御越しでも、十分な破壊力がある一撃。 やはり、真正面からまともにぶつかり合うのは不利……ならば、パワー以外の面で挑むのみ。 メビウスはいきなり、切り札の一つを切った。 メビウスブレスから出現する、光の剣―――メビュームブレード。 「セヤァァァッ!!」 「なっ!?」 紙一重で、ダイナはメビウスの一撃を避ける。 当たっていれば、恐らくかなりのダメージになっただろう。 まさかあんな武器を持っているなんて、予想外にも程があった。 人知を超えた光線技や超能力こそ確かにあるものの、ダイナにはメビウスの様な武器は無い。 リーチの差が大きすぎる……距離を離し、光線技メインで挑むしかない。 ダイナは手にエネルギーを収束させ、それを丸ノコ状に変えて投げつけた。 「いけぇっ!!」 ダイナが放った光のカッター―――ダイナスラッシュが、メビウスに迫る。 これに対してメビウスは、回避行動を取らず……真っ直ぐに、真正面から向かっていったのだ。 そして、メビュームブレードで受け止め……切り裂いた。 「斬られた……!?」 「ハァッ!!」 「くっ!!」 メビウスはダイナの目前まで迫り、剣を振り下ろす。 ダイナはとっさにバリアを張り、その一撃を受け止めた。 だが……数多くの怪獣を打ち倒してきたメビウス必殺の刃は、いつまでも受けきれる代物ではなかった。 バリアが砕け散り、ブレードの切っ先がダイナの胴体を掠める。
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「ジュアァッ!?」 「セヤァッ!!」 更にメビウスは、追撃に移った。 すぐに腕を振り上げ、逆袈裟にダイナに切りかかる。 ダイナは空へと飛び上がり、これを回避した。 メ部ウスの剣は、一撃貰うだけでもかなりの威力がある。 ダイナは直感的に、その恐るべき事実を理解した。 だが……同時に、今のメビウスの欠点にも気付けた。 先程自分が距離を離したとき、彼はどうして光線を使って攻撃をせず、態々接近戦を仕掛けてきたのか。 その理由は一つしかない……使えなかったからだ。 今のメビウスには、剣による近接攻撃しか攻撃手段は無い。 攻撃するには、どうしても近づかざるを得ない……ならば。 (危険だが……手はある!!) 「なっ!?」 「ジュアァッ!!」 ダイナの体が光に包まれ、全身が赤色に変わる。 これこそが、ダイナが持つ能力―――タイプチェンジの力。 一回の戦闘で一度しか使えないという欠点こそあるものの、その力は大きい。 これまでのダイナは、標準的な能力のフラッシュタイプ。 今の赤いダイナは、強力なパワーを持つ肉弾戦特化タイプ―――ストロングタイプ。 メビウスは、いきなりダイナの姿が変わったことに驚きを隠せなかった。 それもその筈、戦いの最中で姿が変わるウルトラマンなど見たことが無い。 たった一人……自分自身を除いて。 (姿が変わった……僕と同じ……!?) メビウスはかつての戦いで、新たな力を手にいれた。 仲間との友情の証である赤いファイアーシンボルをその身に纏う、バーニングブレイブの力。 この状態となったメビウスの力は、平常時よりも上。 インペライザーやロベルガーといった強敵さえも、この力の御蔭で打ち破る事が出来た。 恐らく今のダイナは、自分と同じ……パワーアップをしているに違いない。 だが、恐れていては何も出来ない。 メビウスは勢いよく、ダイナにメビュームブレードを振り下ろす……が。 パシッ!! 「え……!?」 「取った……!!」 まさかの、真剣白羽取り。 メビュームブレードは、命中寸前でダイナに受け止められていたのだ。 そしてそのまま、ダイナは全力を込めて腕を振る。 結果……剣は、音を立てて見事にぶち折れた。 ストロングタイプとなったダイナの力に、メビュームブレードはうち負けたのだ。 「ジュァァッ!!」 ダイナが反撃に移る。 エネルギーを左拳に集め、白熱化させる。 そしてそれを、全力でメビウスの胴体に叩きつけた。 ストロングパンチ―――これまでの攻撃の比ではない破壊力を持つ、強烈な拳。 メビウスは大幅に吹っ飛ばされ、後方に立っているビルをぶち抜いた。
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「ガハッ……!?」 「ウオオオオオォォォッ!!」 間髪いれず、ダイナが迫る。 ストロングタイプとなったダイナのパワーは、あまりに強大。 立場が逆転した……一撃をもらうだけで、かなりまずい事になる。 すぐに飛び上がってビルから脱出し、ダイナの攻撃を回避する。 だが……それに対し、ダイナは恐るべき反応を取ってきた。 「セヤッ!?」 「ジュアァァァァァッ!!」 ―――ウルトラマンが、街を壊してどうすんだよ!! ―――全然……何も守れてねぇじゃねぇかよ!! メビウスの脳裏を、かつての仲間からぶつけられた言葉が過ぎった。 彼は、地球での最初の戦いの際……敵の攻撃を防ぐ為、ビルを盾にするという行動を取ってしまった。 人間達を守るというのに、人間達の大切なものを壊しては意味が無い。 メビウスにとっては苦い思い出であり、そして戦う意味というものを学んだ、大切な戦いでもあった。 だからそれ以来、敵と戦う際にはなるべく周囲に被害を出さないようにしてきたのだが…… ダイナが取った行動は、それに大きく反するものであった。 あろう事か、その圧倒的パワーで……ビルを持ち上げたのだ。 無論、ダイナとて人々を守るために戦ってきたのだから、これぐらいの事は分かっている。 それにも関わらず、こんな掟破りの暴挙を取った理由……それは、ここが閉鎖結界の中だからである。 ここならば、建造物を破壊しても何ら問題ないからだった。 「まずい、この大きさ相手じゃ……!!」 相手がでかすぎる……回避が間に合わない。 ビルはメビウスごと地面に激突し、粉塵を上げた。 これならば、かなりのダメージがあるに違いない。 恐らくは、倒しきれた筈……そう思っていた、その矢先だった。 ビルをぶち破り、凄まじいスピードで何かが接近してきた。 それは、火の玉―――全身に炎を纏った、メビウスだった。 「ハァァァァァッ!!」 「なっ!?」 メビウスピンキック。 メビウスは地面に激突する寸前に、ビルへと全力で蹴りを叩き込んでいた。 そしてそのまま、高速回転し……メビウスピンキック状態でビルをぶち抜いてきたのだ。 炎を纏った強烈な蹴りが、ダイナの胴体に叩き込まれる。 今度は打って変わって、ダイナが吹っ飛ばされる番であった。 (っ……ビルをぶち抜いた!? まさか、あんな強引にくるなんて……!!) (危なかった……あと少し遅かったら、潰されてた!! あんなとんでもない攻撃をしてくるなんて……) ((やっぱり……強い……!!)) 二人のウルトラマンは、相手の強さに息を呑んだ。 これまで、多くの怪獣や宇宙人等と戦ってきたが……その中でも間違いなく、最上級レベルだろう。 ここまでの状況は、両者共にほぼ互角。 どちらが倒されてもおかしくない……そんな状況であった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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「ベルカのシステムを積み込んだか……これで、五分五分か。」 結界の外。 黒尽くめの男は、眼前で繰り広げられている戦闘を目視していた。 戦力的にはヴォルケンリッターの圧倒的有利かと思われていたのが、そうもいかなくなった。 なのはとフェイトがカートリッジシステムを用いた為に、戦力差が一気に埋まってしまった。 このままでは、どちらが倒れるかは分からない。 ヴォルケンリッター達は、どうにかして結界を破壊出来ないかと考えている。 だが、一対一という状態に追い込まれたが為に、それは出来なかった。 最後の一人……同じく結界の外にいるシャマルでは、これだけの強度を持つ結界は、破壊できないだろう。 そうなると、彼女は奥の手―――闇の書を使用しての魔術を使わざるをえなくなる。 「まずいな、このままではページを……!?」 男がシャマルの方へと視線を向けた、その瞬間だった。 シャマルの背後に、S2Uを構えたクロノが現れた。 彼はその矛先をシャマルに突きつけている……シャマルが押さえられてしまった。 状況的にも実力的にも、彼女がこの状況から脱出する事は不可能である。 ここで彼女を捕まえられるのはまずい。 すぐさま黒尽くめの男は、介入しようとしたが……その瞬間だった。 ドゴォッ!! 「かはっ……!?」 「えっ……!?」 突然、クロノが隣のビルまで吹っ飛ばされた。 予期せぬ乱入者―――仮面の男の蹴りを、まともに受けたてしまったのだ。 黒尽くめの男は、それを見て笑う。 まさか、彼がこんな形でやってきてくれようとは。 これならば、話は別……やり様は幾らでもある。 一方仮面の男はというと、シャマルの持つ闇の書へとその視線を向けていた。 「あなたは……?」 「使え……闇の書の力を使って、結界を破壊しろ。」 「え、でもあれは……!!」 「使用して減ったページは、また増やせばいい。 仲間がやられてからでは遅い……!!」 仮面の男は、シャマルに闇の書を使用するよう言った。 完成前の闇の書を使う上での欠点。 それは、使用するごとにページを失うという点であった。 だが、今は状況が状況……その代償を覚悟の上で、術を使う以外に道は無い。 シャマルは男の言葉を受け、覚悟を決めた。 闇の書を発動させようとする……が。 「いや……ページを減らす必要は無い……!!」 それよりも早く、黒尽くめの男が動いた。 折角埋まったページを、こんな所で消費させるなんて馬鹿げている。 そんなことより、もっといい手がある……男は結界上空へと、手をかざした。 するとその直後……誰もが予想しえなかった、信じられない事態が起こった。 「行くがいい……ベロクロンよ!!」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
支援します!
ガッシャアァァァァァン!!! 「えっ!?」 突然上空から聞こえてきた破砕音に、誰もが動きを止めた。 例えるならば、窓ガラスを叩き割った様な音。 窓ガラス自体は、戦いの影響で周辺の建物のが何枚も砕け散っている。 だが……それが割れたのとは、決定的に違う要素があった。 音の大きさが、全員に聞こえるほどであったという点である。 皆が上空を眺める。 すると……信じられない光景が、そこにはあった。 「空が……!!」 「割れた……!?」 文字通りに、空が割れていたのだ。 割れた空の先からは、赤い異空間がその姿を覗かせている。 空間転移術とか、そんな類の術ではない。 これは……そんなレベルを超えている。 「何だよ、これ……?」 「……まさか、そんな……!!」 「メビウス……?」 ダイナは、メビウスの様子がおかしい事に気付いた。 異常事態を目にしたとはいえ、この驚き方は普通じゃない。 まさか、この現象の正体を知っているのではないだろうか。 すぐにダイナは、事態について問い質そうとするが……次の瞬間だった。 空の割れ目から、咆哮を轟かせ……巨大な生物が出現した。 全身に、まるで珊瑚の様な赤い突起物を生やした怪獣。 暗黒の悪魔が生み出した、超獣と呼ばれる生物の一匹―――ミサイル超獣ベロクロン。 メビウスはその姿を見て、言葉を失った。 嫌な予感が的中してしまった……あの悪魔がこの世界に来ている可能性は、勿論考えていた。 だが、それにしたって……復活するのが早すぎる。 「ヤプール……!!」
支援
支援します
以上、Bパート投下完了しました。 皆さん、本当申し訳ございませんでした…… そして支援してくれて、ありがとうございました。 今回、ついに超獣が登場しました。 雑談でのアンケート結果、一番票を集めたベロクロンの登場です。 次回のなには達は、ミサイル相手の板野サーカス状態になりそうっす。 ダイナに関しては「ストロングが使えなさすぎる」って意見がありましたので、あえてストロングを使ってみました。 確かに、ミラクルに比べれば正直使えないですが……(−−; ウルトラマンが建物をぶち壊すってのはある意味掟破りでしたが、結界という便利な存在の御蔭で普通に使う事が出来ました。 こうしてみると、結構なのは達とウルトラマンって相性いいのかも……
いやいや、ウルトラマンは普通に建物壊すよ そういうところに焦点が当たったのはメビウスぐらいかな? そしてGJでした。 予告がやたらカッコイイ異次元人キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
ダイナって確か所構わず着地すると地面が爆発してたような(建物崩壊どころの騒ぎじゃないだろう) (=w=l;
柳田理科男の本だと着地したとたん目玉焼きになるって書いてたな
体重設定がすごいからな ちなみに空を飛ぶと頭がズバッ セブンは真っ二つ・・・ なぁ、フェイトさんがあまりに早く動きすぎると衝撃波でとんでもない事になるんじゃないの?
BJがふっとびます
なんだ、良い事じゃないか
そして敵がひるんだところを一撃!
なんというか、セクシーコマンド?
でも元からセクシーだとセクシーコマンドーの意味ないじゃん
>>468 セクシーコマンドーの技は、いかに相手の隙を引き出させるかにかかっている。
そのため、最も重視されるのは対戦相手を呆然とさせる意外性である。
らしいぞ。
つまり、セクシーさとかぶっちゃけどうでもいいんじゃない?
意外性さえあれば
馬鹿なこと言うんじゃない!! もとからセクシーな人にセクシーコマンドーやらせる意味がどこにある!? と、ひげの人も言っていた
>>469 つまり、秘奥義「裸身活殺剣」の出番ですね。
>>470 そうだったwwww
スマソ、俺が間違っていた・・・orz
裸身活殺豊胸絢爛 下半身素裸(すっぱ) 人それを全裸といふ
『ニュースを申し上げます。本日○○時ごろ、クラナガン市内××付近において、 全裸で飛行する女性の姿が目撃されました。 クラナガン市警察では、この件について時空管理局に問い合わせたところ、 「管理局はこの件に関しては一切関知していない(汗)」との返答があり、 現在この女性が何らかの事件に巻き込まれた可能性もあるとみて、 女性の身元を含めて捜査中とのことです』 「もうお嫁にいけない(涙)…」
アッー!
タイトル表記を間違えるという最大の失態…orz
>>321-323 のタイトルは、「サイドストーリー」ではなく「アナザーストーリー」でお願いします…
>>459 今思ったんだけど、何かティガかダイナの怪獣出さない、作者が自由に決めて良いから
>>471 ああ、でも実際フェイトって脱げば脱ぐほど(露出部分が増えるほど)強くなるよな。
元の防御力が低いから、さらなる防御力低下がペナルティになってないしな
過疎ってるな今日も・・・・
やはりみんなDS版コードギアスにはまってるようだな。
>>481 すまん。DS版グレンラガンしてます(・ω・)
>>482 グレンラガンのことは忘れろ 俺がゼロだ
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記憶喪失になってコードギアスを買え 踊ってコードギアスを買え
ナナリー、自殺しますた・・・
>>423 うるへーカミナの兄貴にでも斬られちまえ!
っても俺は両方やってないがな!
486 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 16:28:06 ID:KR3fnrQO
書き込みチェック。 何もなければ1700、作戦を開始します。 予定レス数は10程度を予定。
488 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:00:38 ID:KR3fnrQO
最初に出てきた一機に高速で肉薄。新手のまったく同じ機体が後方から動こうとするが 一機がそれを右手で制するような動作をする。 「一機で十分って言うのか!?」 一機が迎撃体制に入る。左肩の大型火器ではなく右肩の誘導弾を発射。 二発の誘導弾はすこしづづ違う軌道をとりながら急速に距離を詰める。 ノーヴェはジェットエッジをさらに加速。直撃など受けはしない。先ほどのように近接信管が起動する前に 一気に距離を詰め、自分のリーチに入り込む。 「まずは一機!!」 至近距離なら外しはしない。ノーヴェには自信があった。 至近距離から相手がばら撒くパルスライフルの弾幕を左二の腕のシールドで防御。さっきのエネのハンドガンに 比べれば熱も持たなければ一発も重くない。 「もらった!!」 右手に意識を集中。金色に光る右の拳は通常でも威力のあるノーヴェの拳がさらに強化されたということを意味する。 必中の間合い、一撃で倒せなくても当れば確実にダメージは通る。 だが、赤と黒の機体は振り上げられたノーヴェの右手の動きを読むかのように後方にステップ。 ノーヴェの右手は空を切った。それを狙ったのかのように左手のブレードに刃を形成、ノーヴェを狙う。 今度はノーヴェが受ける番。だがノーヴェは落ち着いて身を屈めてブレードを回避。そのまま左足を起点に一回転。 右足のジェットエッジを点火、加速させる。狙うのは相手の胴体と脚の接続部分、つまり一番弱い部分。 「はぁぁーー!!」 気合を乗せて蹴りを打ち込む。当れば生身だろうと魔導甲冑だろうが只ではすまない、・・・筈だった。 「っが!!」 ノーヴェの右足は受け止められた。しかも右手一本で。 「くそ!!・・・こいつ、離せよ!!・・・ぐぁ!!」 掴んだ右足をさらに強く握りこみノーヴェを持ち上げると地面に向かって振り下ろした。 地面の衝撃にノーヴェの視界にノイズが走る。体が受け止め切れなかった衝撃が与えるダメージの警告が 表示される。痛みもダメージもすべてノイズとしてカット。 「・・くそ!!離せよ!!」 だがまだ掴まれたままだった。そのまま何度も振り上げられては地面に叩き付けられる。 まるで甚振れる獲物を見つけたの喜ぶかのように頭部のレンズが光った。 それを見たノーヴェの心を恐怖が支配する。
貴様ナンバーズスレに常駐してるだろ
490 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:02:40 ID:KR3fnrQO
『くそ・・・、こんな所で!!』 必死に人間的な感情を押しつぶす。腹筋部分を使い上半身を上げ、拳を叩きつける。一瞬、右足を握る腕の 力が緩んだ。その一瞬を使い左足裏を打ち込む。そのまま必死に転がり距離をとる。 頭の中で警告が鳴り響く。そのすべてを消去し相手に集中する。骨格・関節はまだ大丈夫、神経接続、 人工臓器・筋肉もダメージはまだ許容範囲!! 『こんな所でやられる訳には行かないんだ・・・。ギンガ姉に教えてもらった技術がどこまで通じるか 証明してやるんだ!!・・・それがあたしなりの恩返しなんだ!!』 ノーヴェが構える。相手の赤と黒の機体は不気味なぐらい静かに、本当にボロボロの機体なのかと 疑いたくなるくらいに静かに、そして動いている。 「ちくしょう、余裕を見せてるつもりか!?」 それがノーヴェの癇に障った。自分は余裕をなくしていた。ギンガとチンクが、 姉達が一番心配しているノーヴェの性格的な欠点が危険なところで表に出てきていた。 「うおぉぉぉーーーー!!」 一直線に突っ込む。そこに誘導弾を打ち込まれ、さらにパルスライフルが火を吹く。 「うぉぉぉーーー!!」 左右両手のシールドで体の前面を防御。魔力片が当ろうが、破片が掠めようが、魔力弾が装甲を削ろうが お構いなしに定めた相手を目指して突っ込む。 両手のガンナックルの先に力を集中。一撃で当らないのなら打撃を繰り返すのみ!! 必要以上に力を入れた動きほど読まれやすいものは無かった。 ノーヴェの続けて打ち込む拳を一機は簡単に避ける。面白がり、ノーヴェを弄ぶように・・・。 「・・こいつ!!こいつ・・・!!」 闇雲に拳を振り上げる。それが終わるのはあっという間だった。 「ぐっ!!」 相手の左拳が正確にノーヴェの胸を打った。思わず態勢が崩れるノーヴェ。そこに追撃で膝が伸びる。 膝が腹部に入る。ふらつきながらそれでも上半身を立ち上げるノーヴェの額をライフルの握把で叩く。 ふらつきながらなおも立つノーヴェの首を左手で掴み締め上げ、体ごと持ち上げる。 頭の中で警報音が鳴り響く。必死に振りほどこうとするが、まったく歯が立たない。 意識が遠くなり、耳も目も機能不全を起こしつつある体を赤と黒の機体は狙い、右手を構えた。 『畜生・・・!!うご、うごい・・・、から・・・だ・・・』 機能不全を起こしつつある体で一瞬轟音が耳に届いたような気がした。 次に感じたのは自分が振り回される感覚と左腕のごく至近で相手がパルスライフルを発砲したため、 知覚できた熱風だった。 その次に感じたのは自分が放り投げられ、飛んでいく感覚。 「私の妹を!!離しなさい!!」 一瞬誰かの声が聞こえた。だが先ほどのダメージでまだ体は麻痺していた。動けない。 頭から落ちればいくら頑丈な自分でも、もう・・・。 『ごめん、チンク姉、ギンガ姉・・・。ハチマキ・・・、出来の悪い妹で・・・』 機能が低下し、ぼやける視界に左肩のグレネードランチャーがこちらを向くのが見えた。
491 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:04:21 ID:KR3fnrQO
閉じた目でも感じれるほどの赤い光と爆発音、そして思ったより軽い衝撃。 最後には誰かにやさしく抱きかかえられる感触がした。固く結んでいた目を振るえながら目を開ける。 「・・・ハチマキ?」 「よかった・・・、首を掴まれてるのを見た時はもう駄目かと思った・・・」 スバルの展開したウイングロードの上でスバルはノーヴェをキャッチ、抱きかかえていた。 「スバル・・・姉・・・?」 「・・・大丈夫?・・・まだ痛いところはある?」 スバルの両目に涙があふれているのが見えた。自分のために泣いてくれている。本当の血の繋がった妹でもなく、 同じ遺伝子モデルを使っているわけでもない。幾度も血塗られた戦いを演じ、今でも些細なことから喧嘩をする。 「・・・ごめん、・・・スバル姉、ごめんなさい・・・」 「駄目だよ泣いちゃ・・・」 スバルが汚れるのも構わずバリアジャケットの袖で汚れたノーヴェの顔を拭いてやる。 「スバル、ノーヴェ、無事を確かめるのは後よ。今は目の前の敵を倒すわよ」 「うん、ギン姉!!」 まだ戦闘は終わっていない。ギンガは一機と相対し、遅れてドーム内に突入したなのはは様子見していた もう一機に照準を合わせていた。 「ノーヴェはここで待ってて。すぐに終わらせるから・・・」 そういうと壁にノーヴェをもたれ掛けさせ、休ませる。戦闘の場所においておくのは危険だが 今はゲートの向こうに送り届けるのは難しい。 「大丈夫だ!!まだ・・・、まだやれる!!」 体内と装備品の状態をスキャン、損傷・大破した部位との接続・修復機能を停止。修復を切断された神経系、 破損の軽い人口筋肉・関節に集中。それでも体の動きは硬くぎこちない。 「ギンガ姉、スバル姉、わたしはまだ出来る、まだやれるから・・・!!」 それを聞いたギンガが振り返りやさしく微笑みながらうなずく。スバルは一瞬きょとんとした顔をしたかと思えばすぐに いつもの精悍な笑顔を見せる。 「うん、それでこそ私の妹だよ」 「・・・ああ」 「スバル、私の右に、ノーヴェは左に」 ギンガが指示を発する。すぐにスバルが位置に付き、遅れてノーヴェが位置に付く。 二人のデバイスと直接リンクする。 <大丈夫ですか?> リンクしたマッハキャリバーが心配して聞いてくる。 『大丈夫だ、けどうまく機動出来ないかもしれないからサポートしてくれ』 <了解。お任せください> 「ミッドチルダ方面管区、108捜査警ら隊・第一捜査中隊、ギンガ・ナカジマ曹長!!」 「スバル・ナカジマ陸士長、陸上総隊総監直轄、特別救助隊所属!!」 「末妹、ノーヴェ・ナカジマ、ミッドチルダ方面管区第757調査捜索部隊、えーと・・・本部班の備品!!」 名乗りを上げた後、三人がそれぞれウイングロードとエアライナーを展張。 「「「行きます!!」」」 三人同時に加速。一人たりとも遅れることは無い。すべてが一致した加速。 目標は一つ、末妹を傷めつけてくれた一機!!
492 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:06:20 ID:KR3fnrQO
先頭は長女のギンガが受け持ち、相手に向かって突撃する。右翼、やや下がった位置にスバル。 『ノーヴェは立ち位置を変えて、ギン姉と私のシールドの内側に!!』 『了解、スバル姉!!』 目標となった一機は誘導弾と火器で弾幕を張り、中量二脚の利点を活かし高機動を活かして左右に上に動く。 動き回る相手の張る弾幕を大きいダメージを受けているノーヴェには破片ひとつでも致命傷に なりかねないための処置。 『接近すればグレネードランチャーは使えないわ。接近戦で撃破します!!』 『『了解!!』』 三人で息を合わせて正面と左右から相手の逃げ場を無くしつつ追い込み、相手を撃破する。 三姉妹の特性を活かしたは取れないが、三姉妹がリンクしおそらくは誰にも真似が出来ない正確に動きは出来る。 「トライシールド!!」 まずはギンガが近接戦闘を挑む。シールドでパルス弾に誘導弾、すべてを受け止め肉迫。 『すごい・・・。やっぱり防御魔法が使えれば・・・』 それを見たノーヴェが感想を漏らす。 ギンガは飛び上がる相手を逃さないようにウイングロードを展帳、さらにブリッツキャリバーで加速。 つづいて左手のリヴォルバーナックルのカートリッジをリロード。 魔力の籠められた左手の拳を打ち込む。 それを相手は右手の篭手で正面から受け止める。だがまだギンガの連撃は終わってはいない。 「ブリッツキャリバー、カートリッジロード!!」 左手のリヴォルヴァーナックルを下げ、もう一度打ち込む。同時に右手に魔力を収束。 『ギン姉、それって・・・』 『スバル、ちょっと参考にさせてもらったわよ』 右手の魔力塊が形になっていく。スバルのように純粋な魔力弾ではなく杭のような芯を有した魔力弾。 「さすがに・・・、女の子にドリルは恥かしいわよ!!」 一応、あのドリルは恥かしいらしい。 サーベルが振り下ろされる。後退して回避。髪の毛が何本か焼かれる。 「ボディブレイカー!!」 収束した魔力弾を左手で打ち込む。細い一本の黄色の軌跡を残して飛んで行く。狙ったのは腰部。 一直線に飛び命中、直撃。だが当ったのは狙った腰では無く、左足の大腿部。 『慣れない事はやる物じゃないわね・・・。ノーヴェ、次!!』 「了解!!」 ノーヴェが目標のやや左正面、上側からブレイクライナーで接近 「さっきのお返し!!」 右手が光る。先ほどは外したが相手は元々ボロボロの機体。しかも左足は損傷、動きは制限されている。 「私だってやってみせる!!・・・ハンマーダウン!!」 相手がギンガにかまけていた隙を使って接近する。 隙を利用し思いっきり横合いから殴りつける。相手の左胸が思いっきりへこむ。 中の人間は間違いなく気絶する程の衝撃が入るはず。。 「まだまだ!!」 右を打ち込んだ反動を使い今度は左手を下からアッパーで打ち込む。 今度は相手の機体の鳩尾に入った左手を深く打ち込む。 『・・・何だ?この感触?』 一瞬動きに迷いが生まれたノーヴェを掴もうと両腕が動く。 「させないよ!!」 スバルが接近してくる。 「まだ早ぇよ!!」 言いながらノーヴェの右足が見事な軌跡を描き、回し蹴りが飛ぶ。 恐ろしいほどの衝撃が襲い掛かっているはず。それでもふら付きながら立つ、黒と赤の機体。 「なんて奴・・・」 「どんな構造してんだよ・・・」 ギンガが感嘆しノーヴェがあきれる。
支援
494 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:10:06 ID:KR3fnrQO
「私が行くよ、ギン姉、ノーヴェ、離れて!!」 ギンガとノーヴェが離れ、目標と距離をとる。 それに換わって一直線に伸びるのは青い空の架け橋、スバルのウイングロード!! 「これで・・・、最後!!行くよ相棒!!」 <了解、ロードカートリッジ> 右手のリヴォルバーナックルのカートリッジを二発。 相手は安定せぬ機体を必死に安定させ左肩のグレネードランチャーが発射体勢に入る。 命中時の爆風で自身もダメージを受けるはずだが、もはや形振り構っていないらしい だが、そんなモノを気にもしないでさらに加速、突っ込む。 「リヴォルヴァー・・・」 さらにカートリッジをロード、魔力を高めて右の拳を振り上げる。 さらに至近まで近接した瞬間、相手はグレネードランチャーを発砲。 だが、それを殆ど一心同体のマッハキャリバーに身を任せて回避する。マッハキャリバーは スバルの動きを阻害しない最低限の動きを算出、実行。 「ナッコォォォーーーー!!」 正面から相手を吹っ飛ばす勢い・・・、実際に相手を吹き飛ばし、標的となった赤と黒の機体は 派手に地面を転がりながら壁に当って止まり、完全に機体をダウンさせる。 「やった?」 「スバル、まだ油断しない。ノーヴェ、相手の状況をスキャンして」 「・・・機体は停止してる、中のヤツまではわかんねぇ」 「了解。二人とも散開、警戒しつつ近づいて」 三人がゆっくりと近づく。 「再起動?気を付け・・・」 相手が立ち上がった。不気味なほどの執念のなせる業か、それとも何も感じることが出来ない者が扱っているのか。 「その機体でまだやるの?」 「どうしてもと言うのなら介錯して上げ・・・って、あれ?」 相手は片膝をついた。ゆっくりと倒れこむ。倒れこんだのと同時についていたセンサー類の 光も点滅を繰り返し、消えた。 「終わったぁ・・・」 ノーヴェがへたり込み、そして横になる。 「なのはさんの方も終わったみたいね」 「ノーヴェ、大丈夫?」 ギンガとスバルが心配して駆けつける。 「ごめんちょっと無理しすぎたみたい・・・」 「いいよ、ゆっくりして」 スバルはゆっくりと横になったノーヴェを楽な姿勢をとらせてやる。 ギンガはノーヴェの頭を撫でて妹の戦いを労ってやる。 「姉達・・・、ありがとう・・・」 ノーヴェが一言とポツリとつぶやく。 それを聞いたギンガとスバルは顔を見合わせると姉として最高の笑顔をノーヴェに返してやる 「ちょっと・・・ちょっとだけ、セルフチェックしてもいい?」 「いいよ、何かあってもお姉ちゃん達が守ってあげるから」 「・・・ごめん。セルフチェック開始、重要部品の破損箇所に対して自動修復モードを起動・・・」 そういうとノーヴェは目を閉じる。ひどく無防備な安らかな表情。 「寝ちゃったね」 「酷くやられちゃったみたいだからね。ゆっくり休ませてあげましょうか」 「うん!!」 スバルが横たわっていたノーヴェを持ち上げて背中におんぶしてやる。 「いい夢を見なさい・・・」 「・・・って、ええ?」 三人が落ち着いてた時、なのはの声が聞こえた。 二人が振り返るとなのはが潰した筈のもう一機がしぶとく立ち上がっていた。 「まだやる気なの?どんな精神構造してるのよ!!」 ギンガが率直な感想を漏らした。
495 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:12:03 ID:KR3fnrQO
「やっぱり時代劇とか見過ぎなの・・・」 ナカジマ三姉妹の名乗りと正面からの突撃を横目に見ながらもう一機の赤と黒の機体と向かい合う。 「・・・力を持ちすぎたもの」 「・・・へ?」 突然、相手がしゃべり始めた。野太い男の声で。 「・・・秩序を破壊するもの」 今度は若い女性の声。 「プログラムには不要だ・・・」 同時に完全に重なった男と女の声。よく聞くと雑音やノイズが混ざっている。 「あっちと男女二人組みって言うことね・・・。いいよ、どちらか分からないけど相手してあげる」 なのはは静かにレイジングハートを構え、相手に向ける。 「レイジングハート、ブラスタービット展開!!」 <展開します> 支援用にブラスタービットを二基、設定は火力支援。レイジングハートは射撃モードへ。 それに併せて同じく自身の周囲にアクセルシューターの射撃スフィアを展開。 「アクセルシューター、シュート!!」 先手を仕掛けたのはなのは。誘導弾のアクセルシューターで相手を包囲し、さらにブラスタービットで 相手の動きをけん制。自分は横に動き回り込む。 アクセルシューターの命中したことを示す明るい魔力光が照らす。 だが相手の機体はそんな事を気にも留めないかのように加速、残弾を回避し、誘導弾を連続発射。 なのはは自分を標的にした誘導弾を残さずアクセルシューターでたらい上げ、破片すら近づけない。 「射撃戦なら負けない!!」 カートリッジを一発リロード。回避した相手に向けて収束した魔力砲を発射。 しかし最小限の動きで回避され、背後の壁に着弾、爆発。 避けた相手は左肩のグレネードを連続発射、今度はなのはが回避する番。 「やるね!!」 一発目を回避。だが回避する機動を読んでいたのか二発目を正面から受ける。 <プロテクション> レイジングハートがオートでシールドを展開。この一人と一基のコンビの生み出す硬いシールドを 一撃で抜けるものは少ない。それが広く普及しているただの炸裂弾ならなおさら。 プロテクションの隙を突き高速で接近してくる機体。だがなのは落ち着いて対処する。 「レイジングハート、魔力刃を展開、接近戦を受けるよ!!」 射撃モードのレイジングハートの下部に銃剣のような魔力刃を着剣、槍のように−杖の筈だが−構えて 接近する相手に向かい合い、ついでアクセルシューターを展開。 袈裟懸けに下ろされる相手のサーベルをレイジングハートで相手の左二の腕を抑え、鍔迫り合いで受け止め、 アクセルシューターを後ろから回り込ませて相手を狙う。 今度は多数が命中、体制を崩す相手からアクセルフィンを使用して頭の上を取りカートリッジをリロード、 注ぎ込まれた魔力の薬莢は三発分。 「ディバイン、・・・バスター!!」 ブラスタービット収束された桃色の魔力砲が標的となった赤と黒の機体を包み込み、吹き飛ばす。 <命中、直撃です。大分至近でしたが大丈夫でしょうか?> 「大丈夫だよ、殺傷設定じゃないからちょっと痛いぐらいだから・・・。あっちも終わったみたいだしね」 そういいながらゆっくりと構えを解く。 <マスター!!> 突然頼りになる相棒が警告を出す。 「レイジングハート、どうかした・・・って、ええ!?
496 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:15:18 ID:KR3fnrQO
もう一機がグレネードランチャーを向けていた。 「まだやる気なの?」 なのはが驚きながら再び構える。 『なのはさん、離れて!!』 突然通信が入る。なのははその言葉に反応、アクセルフィンで一気に上に飛ぶ。 次の瞬間、一条の光が通り過ぎた。それは直進し、グレネードランチャの砲身の中に入る。 瞬間、大音響と共に爆発が起こる。すぐ背中で起きた爆発にまた吹き飛ばされ、しこたま体を打ちつけながら 転がっていく機体。 「うわー・・・、絶対中の人って生きてないよね・・・」 スバルがもっともな感想をこぼす。 「エネさん?大丈夫?」 『何とか・・・生きてます・・・』 だがその瞬間、ピースフルウィッシュは機能を停止、強制的にエネを除装。 「・・・ごめんね、うまくつかってやれなかった・・・」 <気になさらずに> 「うん、修理代かかっちゃうね・・・」 <まったくです。あなたの治療費も> 「そうだね・・・。直ったら・・・、またお願いね」 <了解そのときはご協力いたします。システム待機モードへ移行> エネ自身の少なからず怪我を負っていた。ピースフルウィッシュもまた大破、全損に近い被害を受けていた。 「生きていたのね、よかった・・・」 ギンガは負傷したエネを気遣う。 「はい、気が付いたのは本当にさっきですけど・・・」 「体は大丈夫なの?」 「私よりこっちの方が・・・」 エネがドックタグ型の待機状態となったピースフルウィッシュを掌に乗せ示す。 「コアデバイスは基本的なコアさえ生きてれば修理は出来ますが、使用しているパーツによって お金はかかりますけど・・・」 「・・・よければ管理局で負担してあげようか?今回の発端はうちのスバルみたいなものだしねぇ・・・」 なのははノーヴェの世話をしているスバルの方を見る。良からぬ視線にスバルは気づかないふりをした。 「でもどこから出てきたんでしょう?エネさんのゲートから出てきたみたいですけど・・・」 スバルが違う話を持ち込む。 「そうだね、どこから出てきたんだろ?ギンガ、ちょっと見て来てくれる?」 「わかりました」 ギンガは一言言うとそのままブリッツキャリバーを転がし、ゲートを開放、奥へと向かった。 「何だ終わっちまったのか?」 入れ替わりで黄色の汎用魔導甲冑に身を包んだ地雷伍長がようやく合流した。 「遅すぎですよ、伍長・・・」 エネがぼやく。 「まあ、そっちの嬢ちゃんもヤツを相手に死ななかっただけ運が良かったと思っとけ。ヤツが伝説のレイブン、 アリーナの不死身のトップ・ナインボール、つまりハスラー・ワンだ」 その言葉を理解できたのはエネだけだった。 「あれがナインボール・・・?まさか・・・、何年も前に消えたと聞いてましたが・・・」 「まあ、生きてたのかどうか知らんが顔を拝んでみようか」 なのはとエネが倒した一機に近づいてハッチの開閉ノブに手をかけ、まわす。 「どんな顔をしてるか知らんが・・・、こいつはなんだ?」 除装した機体の中は空だった。 「スバル、そっちも開けてみて!!」 なのはの指示を受けスバルがノーヴェを負ぶったまま、接近、同じように開閉ノブをまわす。 「・・・なのはさん、こっちもです!!こっちも空っぽです!!」 「そんな・・・、確かに会話をしたよ?そうだよね、レイジングハート?」 <はい、間違いなく> 『なのはさん?』 「ギンガ?どうしたの?」 割り込みでなのはを呼ぶギンガの通信が入る、だが全員に受信できるようにしてある。 『先ほどは気づかなかったのですが、隠しゲートがありました。ここから出てきたんじゃないでしょうか?』 その通信にその場に居た全員が顔を見合わせた。
497 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:17:40 ID:KR3fnrQO
「ここ?」 「はい。よく見ると表面に滑ったような跡があります」 「どこに繋がってるんだろう?」 「こんな所にゲートがあったなんて・・・。伍長は知っていましたか?」 「いや、初めて知った。ここは古い施設らしが、大体調査は終わっていると聞いていた」 六人はギンガの発見した隠しゲートの前に立っていた。因みにノーヴェはまだセルフチェック中。 「古い施設なんですか?」 なのはが地雷伍長に聞き返す。 「ああ、話によると旧暦時代の施設らしい。新暦になってから付け足された施設もあるがな」 「へー・・・」 「セルフチェック終了。戦闘機動に制限つきで許可・・・」 「あ、ノーヴェ起きた?」 スバルの背中で寝ていた、セルフチェックを実施していたノーヴェが起きた。 「うん、大体大丈夫みたい・・・って、ハチマキ!!何してやがる!!」 どうやらおんぶされていたのが恥ずかしいらしい。顔を真っ赤にして暴れだす。 「わ、こら、そんなに暴れると・・・、わぁ!!」 暴れた表紙でノーヴェがスバルの背中から落ちる。だが落ちる前にギンガがノーヴェの体をキャッチ、 ゆっくりと下ろしてやる。 「もー、さっきはちゃんと『スバル姉』って呼んでくれたのに・・・」 「呼んでねぇよ!!」 「ちゃんと言ったよねー、マッハキャリバー?」 <はい、確かに。記録もちゃんととってあります> 「いや、あれはその・・・」 ノーヴェが顔を真っ赤にして俯く。 「ノーヴェ、体は大丈夫?」 「はい、制限付の戦闘機動でしたら可能です」 一応は指揮官であるなのはが確認する。 「あまり無理したら駄目よ?」 「うん、ギンガ姉・・・」 やっぱりギンガ姉は優しいな・・・。ノーヴェはそう思った。 「予定外の行動だけど・・・、とりあえず潜ってみようか?いくのは私とスバルとギンガで行こう。 ・・・ノーヴェはここで待ってるほうがいいね?」 なのはが決定を下す。 「そんな・・・、あたしはまだやれるって!!」 「ノーヴェ、指揮官の決定には従いなさい。今はなのはさんが指揮官なのよ?」 「・・・ギンガ姉、でも本当に大丈夫だから・・・、足手纏いにはならないから!!」
規制か?支援
499 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:19:41 ID:KR3fnrQO
「伍長はここで誰も入らないようにしておいていただけますか?」 「それでこれは出るんだろうな?」 地雷伍長が親指と人差し指をあわせて丸いサインを作る。 「一定額を捜査協力費でお支払いできるでしょう。ですが後払いですよ?」 指揮官役ののなのはが一応契約を取りまとめる。 「構わんよ、だが期待はするな。俺はなんて言ったってアリーナの万年最下位だからな」 そういうと豪快に笑った。 『『『『・・・万年最下位なのにどうやって機体を維持したり生活してるんだろ?』』』』 エネ以外の四人は同じような疑問を頭に思い浮かべた・・・。だがそれを口に出すほど野暮ではなかった。 「あの私は・・・?」 「エネさんは無理しない方がいいわ。控え室に戻って休んでいたほうがいいよ」 「そうだよ。修理費とかは大丈夫、エネさんの分もちゃんと払ってあげる。・・・スバルのお給料からね」 「そんなぁ・・・」 「自業自得だろ・・・。わたしはそれで死にかけたんだからな・・・」 ギンガがエネを心配し、なのはが報酬を請負い、ノーヴェが恨めがましく言う。 「先頭はギンガ、マークスマンはスバル、次に私。ノーヴェは後衛で警戒。前進速度はそんなに速くなくて いいよ。壁とかに隠されている通路とかに注意。ノーヴェはレイジングハートと キャリバーズと直接リンクしてマッピングしておいて。みんな準備は良い?」 「「「はい!!」」」 三人が各々の利き腕を突き上げ返事をする。本当の姉妹ではないはずだが本当に良く似ている三姉妹である。 「よし、じゃあみんな行こうか」 なのはがレイジングハートを隠し通路にむけた。それを合図にギンガを先頭に暗い通路内に入る。 次にスバルが通路に入り自分の番になった時、後ろに立つノーヴェを振り返る。 「本当に大丈夫?」 「大丈夫です、戦闘機人がこんな事で倒れません」 「なにかあったら…、チンクちゃんやセインちゃんが心配するよ?冷たい事ばかり言ってるけどトーレさんも…」 「はい…、でも大丈夫です。戦って倒れたなら戦闘機人の本望だって、きっとみんな言ってくれますから…」 そういうとノーヴェは笑った。 『普段の生活の中で番感情表現が豊かな娘に育ったんだね。ナカジマ家の教育がいいのかな?』 自身の弟子とも言うべき子は相変わらず感情の起伏が表に出ない娘のままだった。 <マスター、彼女のポテンシャルは落ちています。やはり置いて行くべきでは?> 『彼女なら大丈夫だよ、レイジングハート。でも目を離さないであげて』 <お任せください、マスター> 「じゃあ行くよ。しっかり付いてきてね」 アクセルフィンを展開、一気に加速して先発した二人を追う。 「遅れるかよ…!!」 ノーヴェは三人の後を追う。ジェットエッジを加速させ通路の闇へと消えていった。 「さて、じゃ仕事をするとしますか・・・」 四人が通路に消えた後、地雷伍長がぼやき機体を着座させる。 「仕事って・・・、なんで座ってるんですか、伍長?」 「まあ仕事はここで監視してろって事だろ?それに今、この施設に入ってこれるやつは居ると思うか?」 「それはそうですが・・・」 今現在、シャッターが施設の通路の大半を閉鎖している。今頃来たレイヴンは必死に開けようと苦労しているのだろう。 「分かったらお前もとっとと控え室に戻って応急処置して休んでおけ」 「そうですね・・・、じゃあいったん戻ります」 エネが踵を返して戻る。 「ああ、ちょっと待て」 地雷伍長が呼び止める。 「入っていったあいつらが帰ってきた時の為に茶とか軽食を用意しておいてやれ。それと・・・」 一瞬区切って考える地雷伍長。 「誰か来たら軽食と魔法瓶に入れたコーヒーを俺のところに持って来させてくれ。ただ待つのは勘弁だ」 それを聞いて了解の返事のつもりか崩れた敬礼と笑顔を返すとエネはそのまま通路を歩いていった。 歩いていったのを確認して地雷伍長は頭部ハッチを開放腰部の雑具箱から器用にタバコとライターを取り出し、 一本吸い始め、紫煙を吐き出す。 「まさかとは思うが・・・、こいつは本部か例の秘密工場への隠し通路じゃなかろうな?」 地雷伍長の呟きを聞いたモノは彼のデンジャーマイン以外、誰も居なかった。
支援
501 :
リリカルコア :2007/10/28(日) 17:27:00 ID:KR3fnrQO
今回はここまでで勘弁を・・・。 え?Hの扱いが酷い?こんな弱くない? 一応空飛ぶ彼(彼女)が出ますからそれで穏便に済ませませんか? 次回も予定では来週。 第二話でお話が止っているようですが気にしない!! 第三話は短いですけどね・・・。
GJ。確かにHはもっと強かったと思う。ロスヴァイゼより上のランクなわけだし。
GJ! ディソーダーマダー?
>>501 祝☆地雷伍長祭り開催の予感wwwwwwwwwwww
だめだ、名前を見ただけで頬が緩んでしまう!
GJ、ハスラーワン仕様の鬼連射パルスライフルマダー? AAとかNBのHは出てきますかね?
自分は週末くらいしか書ける時間が取れませんが、そろそろ週一のペースもきつくなってきたかもしれません。というわけで感想を。 ・なの魂氏 GJ!1巻しか読んでないのですが、爆笑させてもらいましたww戦闘以外ではどう個性を見せるのかwktk ・ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏 GJ!ここ数年のウルトラマンは知らないのですが、熱くてカッコイイです。 投下頻度が早い割りに量が多いのも素晴らしい。やっぱりウルトラマンってとんでもない能力ですね。 最新話も凄い文章量……!確かにウルトラマンが戦えば、建物も壊れるのは当然か。 ・ NANOHA COMBAT ZERO氏 GJ!空戦描写が凄いです。文章力が高いなぁ、と感嘆。 ・マスカレード氏 GJ!天道カッコイイ!これでカブトは一段落で次は電王でしょうか?全ライダーをこれだけ掘り下げるとしたら大変でしょうが、それだけに期待してます。 ・リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー氏 GJ!本部奇襲の回ですか、戦闘の同時進行は大変そうです。とても真似できない。 後、局員ww ・魔装機神氏 GJ!ヨアヒム待ってました!これでも強いから困るwwところで妻子持ちのリングの精は出るのでしょうか。 ・反目のスバル氏 GJ!ギャグもなかなかギアスらしくていいです。原作から重要なエピソードを上手く使ってますね。さて、まだギアスが完結してないのでこれからどうなっていくのか……。 ・リリカルスクリーム氏 GJ!555劇場版、殺伐とした話になりそうで楽しみでもあり不安でもあり。ゼストやレジアスは散ってしまったんですね……。それに世界が完全に封鎖されてるとは……。 ・ 魔法伝令犬リリカル☆マー君氏 GJ!ああ……ザフィーラ……追悼wwしかしマー君オスでもいいとは恐ろしい……。 ・×DOD氏 GJ!アンヘルはほんと優しいです。カイム達も癒されて欲しいなぁ。このコンビはやっぱりこっちでも強いんですね。 ・リリカル・コア氏 GJ!詳細な戦闘描写が素晴らしいです。ギン姉、ドリルは恥ずかしいのかww 黒の仮面は契約者としての自分を表してるのではないかと思ったり。だから頻繁に壊れたり外れたりするんでしょう。 今週の対価、LTBの2話―Bを19:40頃投下してもいいでしょうか?できるだけ詰めてみますが17〜18くらい? ところで……支援にどんな意味があるのか、よく分からないのですが、どなたか教えて頂けないでしょうか? 支援してもらっても連投規制を受けることもありますし。
自分がもう二度と得られないものを持っている彼女の傍にいるのが辛くて、巻き込みたくなくて逃げ出した先で、また出会ってしまった。 李舜生――彼もまた、自分の為に命を懸けてくれた人だった。 「あんた……どうして……」 現れた李に、か細い声で千晶は問う。 いつもそうだ。彼は頼んでもいないのに、助けて欲しくてどうしようもない時に現れる。まるでどこかで見ているかのように。 「そろそろ待ち合わせのファミレスに向かおうかと思いまして……。よろしければ一緒に行きませんか――」 李が言い終わるより早く、千晶は李に縋り付いていた。一緒に行こう――その言葉が今の千晶には何よりも嬉しかった。 「うっ……うっ……」 「大丈夫ですよ……原口さん」 幾ら巻き添えにしたくないと言っても、本当は心細くて押し潰されそうだった。そしてまた彼に縋ってしまう弱い自分が情けなくて堪らない。 「そうですか……なのはさんが。確かに翠屋にも迷惑が掛かってしまいますよね」 空は赤く染まりだし、ファミレスにも、徐々に人が集まり出した。その中の一席に李と千晶は向かい合っていた。 「あんたも……私に構わなくていいんだよ?」 それが彼女に出来る精一杯の拒絶だった。それでも――本当は行かないで欲しいと内心では叫んでいる。 「いえ……僕は協力します」 「でも……」 「きっと……これも運命なんですよ。あなたに会うことも……占いに、そう出てました」 「信じて……いいの?」 李は何も言わず、ただ優しく千晶に微笑んだ。その微笑が余りに優しくて眩しくて、千晶はテーブルに突っ伏した。 「原口さん……」 占いに運命、そんな都合のいい台詞も今の千晶には効果覿面だったようだ。嗚咽を漏らす千晶の肩を軽く叩いて慰める李の瞳は暗く、光が灯っていなかった。 「知り合いがいるんです。マカオの方で貿易とかそういう関係の仕事してて……。パスポートとか、用意してくれたり……」 李は途中からは千晶に顔を近づけて囁くように話した。なにせ内容が内容だ。 「偽造……?密入国とか、そういうこと?」 声を抑えなかった千晶を、李は自らの口に人差し指を立てて止める。周囲を見回すが反応している者はいない。 「あんた……留学生じゃなかったの?」 「いろいろと、事情はあるものです」 今度は声を抑えた千晶に、李はおどけて答えて見せた。 ニュース等で取り沙汰されているが、よくよくこの国も物騒になったものだ、と千晶は思う。だが、その御陰で僅かに希望が見えた。 「でも……お金、沢山必要です」 明らかに胡散臭い、詐欺臭いと思わなくもないが、組織の契約者に追われる女を狙うなんてリスクが大きすぎる。そんな風に思考が働く程度には、千晶も活力を取り戻していた。 「お金か……。銀行からもっと下ろせると良かったんだけど」 「何か代わりになるものがあれば……」 そこに千晶は反応した。今の自分に払えるものと言えば、 「情報はどう?パンドラの中枢にアクセスして得た極秘情報とか……」 PANDORA――天国門を巡った天国戦争の後に、地獄門が紛争の火種になることを防ぐ為に設立された国連主導のゲート・契約者研究機関。一国の独占を防ぐための協定も存在する。 だが、そんなものは既に形骸化しているのが現状だ。どの国も自分達がゲートの謎と力を手にする為に諜報員を多数潜伏させている。東京の裏に跳梁する契約者こそがそう。 「本当ですか?ゲート関連の情報は高く取引されてるはずです、どんなちっぽけなものでも」 「圧縮式重力反発素子やME技術以来の革新理論だよ?」 「じゃあ、きっと物凄く高く売れます!大丈夫です、連絡取ってみますから」 いちいち驚きの声を上げる李が面白いのか、千晶もやや自慢げだった。
対策会議は順調に進み、互いのことを少しだが話す機会もあった。彼と話していると不思議な安心感があった。 「お待たせしましたー」 ウェイトレスの運んできた料理に千晶は目を見張った。ピザにステーキ。スパゲティ、ピラフ、ハンバーグetc――。 「あんた……これ全部食べる気!?」 「すいません……いつもよりは少ないんですけど……」 テーブルを埋め尽くす料理を前に李は申し訳無さそうに縮こまった。このほっそりとしたどこにこれだけの量がはいるのか――。 「あんたねぇ……太るよ!今は良くても30過ぎたら絶対太る!でなきゃ世の中間違ってる!」 千晶はいつの間にか自分も頼んでいたワインを一気飲み。それも不安の裏返しだろう。飲まなければ不安で堪らないのだ。 「そんな先のこと、心配してる場合じゃないか……」 顔を赤らめながら遠い目をした千晶の真意を察しながらも、敢えて李は大声で笑ってみせた。すると千晶も釣られて笑いだす。 周囲の視線もまるで気にならない。笑うことで少しでも恐怖を払拭しようと、千晶は笑い続けた。 手洗いに立った千晶を見送り、李はひたすら料理を平らげていく。だが、その目は食事を楽しんでいる目ではない。それは後ろの男の存在だけが原因ではないだろう。 「聞いてはいたが見事なお手並みだな……」 「黄〔ホアン〕」 李の背後の席には40代そこそこの小太りの男が座っている。黄と呼ばれた男は軽蔑を込めて、李にだけ聞こえる大きさで呟く。 「お前ら程この仕事に向いてる奴らはいないだろうよ。なんせ罪の意識ってもんがねぇんだからな」 皮肉たっぷりの挑発的な物言いにも、李は構わず食べ続ける。尤も挑発に乗るようでは意味が無いのだが。 「ブツの目星は付いてるんだろう。さっさと手に入れろ」 そして彼から反応が無いことも黄には分かっていた。手短に指令を済ませて席を立つ。 「奴ら近くまで来ている。面倒なことになる前に女は消せ」 無慈悲な指令にも李は全く動じない。少なくとも表面上は。 ピラフを皿ごと持ち上げて掻きこむその態度は、或いは黄の言葉が正しいことを証明しているのかもしれない。 ファミレスに向かう二人の男を見下ろしながら、李は口の中の物を流し込んで席を立った。 男達が入店するのと、李が手洗いから帰った千晶をそのまま厨房へと押し込むのはほぼ同時だった。 「お、お客様!?」 店員を押し退けて、黒人の大男とスーツの男が李と千晶を追う。 「ちょっと、困りますよ!」 戸惑いながらも怒りを口にする厨房のコック達をよそに、スーツの男が拳銃を発砲した。店内中で次々に悲鳴が上がる。もう隠れて捕らえる気もなければ、生かしておく気すらないらしい。そして他者を巻き込むことも、能力を隠す気も、だ。 辛うじて棚の向こうに隠れた李は小麦粉を放り投げた。撃たれた小麦粉は厨房内に充満する。 「今です!」 李が駆け出し、全てが白く染まった中で、大男の瞳が赤く灯った。 この隙に千晶の肩を抱いて逃げ出そうとする李の頭上に積まれた、塩か何かの袋が爆発、四散した。粉状のはずのそれの"破片"がまるでショットガンのように、怯えて身を隠す二人のコックの頭を"貫く"。 おそらくは、爆発させた対象の破片をも硬化させるのだろう。 千晶と外に飛び出した李は肩に傷を負った程度で済んだが、中のコックは無事で済まない。 目的とその為の犠牲を天秤に掛けて、目的へと針が振れればいかなる犠牲も厭わない。これが契約者のやり方なのだ。 だが、そんなことも肩の傷も気にしてはいられない。手近なロッカーで扉を塞いで、階段を駆け下りる。結局はこうして逃避行を続けるより他に選択肢は残されていないのだ。
懐のガラス板がまたしても光を放ち出す。これは契約者と何らかの関わりがあるのではないか、そうなのはは見ていた。 「光は……あっち!」 夕陽が徐々にゲートへと沈んでいく。聳え立つゲートに向かい、なのはは飛んでいた。 彼女はまだ一人で逃げ続けているのだろうか?李はどうしているのだろう、巻き込まれていなければいいのだが。 部屋を出る彼女の顔はとても寂しそうだったように思う。自分達の団欒が彼女の孤独を煽ってしまったのだろうか?それともフェイトの言葉が傷つけてしまったのか? 助けるだけでは駄目なのだ。危険を払うだけでは彼女を本当に救うことはできないことに、ようやく気付くことができた気がする。 彼女に謝りたい。そしてもっともっと話したい。 焦るなのはは更に速度を増し、光の導きのままに、ファミレスへと降り立った。 男達が裏へと回った時には、既に女は逃げた後だった。スーツの男――アランは歯噛みしながらも、携帯を手に取る。 「ジャンか?逃げられた、合流しよう」 ふと、大男――ポールを見やると、道端のタンポポを毟って口に放り込んでいる。 ファミレスの裏手は小さな工事現場だ。道具や何やらが無造作に転がっているが、隅には僅かな野草は生えている。それを彼は食っていたのだ。 契約の対価だそうだが、何度見ても彼には理解できないものだった。 黙々と対価を払うポールに呆れたアランは、 「先に行ってるぞ」 と言い残して、合流地点へと向かった。答えを返すことなく、野草を咀嚼するポール。 そして、彼の傍に空から彼女は舞い降りた。 「あなたは……千晶さんを狙った人の一人ですね。答えて!あなた達は何故、千晶さんを追うの!?」 問うことなどせず、バインドなりで捕獲するべきだったのかもしれない。だが、なのはは知りたかった。他者をこれほど巻き込んでまで千晶を追う理由を。 まだ話せば分かると思っていた。 「お前は……あの時の女か!」 アランと二人で追跡した、篠田千晶の片割れ。そして千晶の逃亡を補助してる女だ。 「答えて!」 そんな必要は無かった、生かしておく必要も。立ち上がるポールの瞳に光が灯った。 「っ!!」 なのはが危険を感じて飛び退くと、一瞬前までいた背後の壁が爆発した。 コンクリートの一部が中心から放射状に破片を撒き散らし、BJを傷つける。 「くあっ!」 破片はBJを貫通して身体を貫く。破片でもこの威力――爆破を受ければどうなるか。これを防げるのかはまったくの未知数だった。迂闊に手が出せず、バリアを張って逃げ回るしかできない。 なのはは、ポールの目が赤く光る度に、自らの懐が青く輝くことにまで気が回らなかった。 身を隠す場所には事欠かないとはいえ、このままではまずい。破片も至近距離で受ければ危ないかもしれない。 しかし、隠れていて分かったこともある。それは、爆破する対象の前に障害物ができれば咄嗟にそれを透過して対象を爆破はできない、ということだ。 「それなら――」 身を乗り出すと同時に、なのはの胸に青い光が揺らめく。それはポールの能力の照準だ。 ポールは慎重に先を読み狙いを定める。それが収縮した瞬間、 ――今!
操作した鉄板で目の前を塞ぐ。爆散した鉄片をラウンドシールドで、シールドの範囲を越えたものはプロテクションで防ぐことができた。 爆発それ自体がどこまで貫通するのかは賭けだったが、立ちこめる土埃が晴れた時、彼女の射線上には無防備なポールが立っていた。 「アクセルシューター!」 「ぐぉぉぉ!?」 5発の魔力弾がポールを打ち、彼は派手に地面を転がった。契約者――異能の力を持っていても、その身体は人のものだろう。これだけ受ければ昏倒は避けられないはず。 現にポールは意識を失おうとしていた。なのははポールへと呼びかける。 「答えて、何が目的で千晶さんを狙うの?あなた達は誰?」 気を失いかけていても、ポールの頭は働いていた。 この女は何か特別な力を持っている、それも契約者とも違うようだ。彼はそう分析した。 「彼女とあなた達の関係は?」 これだけの力を持って篠田千晶を保護し、こちらを捕獲して情報を得ようとしている。そこから彼女についてもっとも可能性の高いものを、彼は導き出した。 「千晶さんを殺せば彼女の情報は得られないはずじゃ――」 それならば対策もおのずと決まる。対価を払わずに連続で能力を使ってしまった、最後の使用用途も合理的に考えれば――。 なのはの目の前でポールの左胸が弾けた。血と肉が噴きあがり、硬化した肉片がなのはへ飛び散る。 バリアがあったため、ダメージこそないが、赤黒い血がべっとりジャケットに付着した。それは指で触れると、ぬるりと嫌な感触がした。 ポールの目は見開かれている。胸に穴を開けたまま、もう動くことはない。 「え……?」 空は完全に黒く染まり、夜が訪れる。座り込む李に千晶は身を寄せ、涙を浮かべた。 「ごめんね……。私のせいでこんな……」 破片を受けた李の腕にハンカチを巻いているのだ。彼が顔を歪める度に、彼女の顔も不安に歪む。 「やっぱり無理なんだ……。あいつらから逃げるなんて……」 だから李は痛みを堪えて笑ってみせる。 「疲れた顔をしている、まるで死人みたいだ……。少しでも休んだほうがいい……」 「疲れた……本当に。もうあいつらに振り回されるのはたくさん……許せない」 そっと千晶は李の膝に頭を乗せた。彼はそんな千晶の髪を柔らかに撫でる。 「でも、一番許せないのは自分自身……。気付くと目の端であいつらを追ってる自分。両親を殺した時に証言しなかった自分が一番……」 「無くしてしまったほうが良かったんだ。契約者の記憶なんて……」 李は心からそう思う。契約者などと係わりを持つべきじゃない――彼らは人の命も心も躊躇いなく壊す冷酷な生物なのだから。 「こんな記憶でも、今まで捨てられなかった。無くなったら私は私じゃなくなる……そんな気がして、怖いんだ……」 「契約者は人間じゃない、人の皮を被った殺人機械だ。リスクを最小限に抑える為に目撃者は必ず殺す。奴らは嘘吐きで……裏切り者だ……」 契約者に魅入られた女に彼は暗く呟く。 そんなことは分かっている。それでも止められないのだ。 その言葉は誰に対してのものだろう。その言葉の意味を李も、千晶も、そしてなのはもすぐに知ることになる、それも最悪な形で。
小休止の後に、千晶は李に鍵を渡した。それは彼女なりの信頼の証でもあった。ほんの一日にも満たないはずなのに、彼"だけ"が、少しだけでも自分の孤独を埋めてくれたから。 それは駅のコインロッカーの鍵だった。ロッカーに入っていたのは、無地の装丁の本。機密というからにはデータディスクの類と思っていたが、まさか紙媒体とは李も意表を突かれた気分だった。 「あんたは見ない方がいい。この情報は知ってしまえば、私と別れても狙われる……」 彼女はそう言って中を確認させてはくれなかった。自分で抱えて先へと進んでしまう。 「それで?マカオの知り合いとは連絡できるの?」 「はい、大丈夫です。行きましょう」 勿論、そんなものはでまかせに決まっている。嘘吐き――早速彼はそれを実感した。 二人は駅を出て、夜の街を歩く。そのうち、背後からは気配を感じだした。 「ねぇ……。あんたさ……あの娘とどんな関係なの?」 歩きながら千晶は言った。胸にはしっかりと本が抱えられている。 「どうって……バイト先の喫茶店の娘さんです。昨日会ったばかりですよ」 「仲良さそうに見えたけど?」 「ほとんど話したこともありません」 すると、彼女は嬉しいとも悲しいともつかない表情で振り向いた。 「それでも……これからは話すでしょ?」 二人には多分これからがある。そして自分はどう転んでも二人との"これから"は無い。なのはとはもう会うこともないだろう。 「あの子に会ったら伝えておいてほしいんだ。『ごめん』って」 色々と言いたいことはあったが、今はそれしか出てこない。それに――。 「それだけでいいんですか……?」 「うん。私のことなんて早く忘れて欲しいから……」 多くを語ればきっと彼女は背負ってしまう。それだけは嫌だった。 彼女も同じく、出会って一日も経っていない。なのに、彼女の考えそうなことは分かる。彼女は優し過ぎるから。 暖かく迎えてくれたなのはの家族も、なのはを心配する友人も、千晶には孤独を際立たせるものでしかなかった。それでも、一緒にいればいつかは自分も――そう思わせてくれた。 だから彼女にだけは闇に染まって欲しくない。光であって欲しいのだ。 「わかりました、伝えます」 その彼女の意志を李も汲み取ったようだ。だから彼女も笑顔を返す。 「ありがと……」 その笑顔は僅かに晴れやかで、とても哀しかった。 「あの娘のこと、私はきっと忘れられないだろうけどね……」 暫く歩いていると、警察署の前に差し掛かる。おあつらえ向きに警官も立っていた。 「それと……あんたのこともね」 言い終わるよりも前に、李は千晶に密着するほど接近していた。そしてそっと首筋に触れる。 「いや……忘れるんだ」 契約者のことなど忘れたほうがいい――そう言った。だから自分のことも忘れた方がいい。 警官達の見る前で千晶は膝から崩れ落ち、その手には何も持っていなかった。李は倒れた彼女に見向きもせずに歩き去る。 背後からは警官の声、そして二人分の足音が速まった。李もそれに合わせて足早に歩きながらポケットから折り畳まれた黒い布を取り出す。 警察署の角を曲がった李は、走りながらそれを広げて羽織る。それは布地の全てが黒に染められたジャケット。 そして李は契約者――黒〔ヘイ〕へと変わった。
パトカーを運転している最中も、水咲は苛立ちを隠せなかった。篠田千晶もそれを追う連中も未だ不明、と目ぼしい成果は上がっていないからだ。 そこに飛び込んだ無線、まずは朗報。 「〈斎藤です。三田署から捜索中の篠田千晶を保護した連絡が入りました。フランス人らしき男達も、目撃されています。すぐに現場に向かいます〉」 「わかった、今すぐ応援を要請する」 相手が契約者ならば警官では荷が重いだろう。しかし彼らも正面きって警察とやり合うことは無いはずだ。 契約者は合理的に行動する。尤もそれ以上に優先すべきことならば躊躇いはしないだろうが。 「〈天文部はBK201の活動を観測しました!〉」 次は天文部との連絡役、大塚の報告。BK201――その正体、せめて能力だけでも探れると良いのだが。 そして最後の報告、これには水咲もハンドルを握った手を放しそうなほど驚いた。 「〈課長、松本です!篠田千晶の死体を確認しました!〉」 「何!?」 首都高下、川に面した駐車場。駐車した車はおらず、夜にはすっかり人気も無い。そこまで走って黒は足を止めた。 「契約者か、ルイを殺ったのもお前だな」 ジャンとアランが黒の背後に立った。ここならば存分に戦える。 黒は二人を前にしても眉一つ動かさない。当然だ、ここには追い込まれたのではない。誘い込んだのだから。それに、もう演技をする必要もない。 計算外なのは、いつの間にか拳銃を持って前に立っていた千晶だ。 「あんたが……ルイを殺したの……?」 彼女が何故ここにいるのかは解らない。拳銃は警官から奪ったものか。 「言っただろう。契約者は嘘吐きだって……」 黒はたった一言、そう答えた。 すべては演技に過ぎない。ブツを手に入れる為に、そして彼らを始末する為に。 そう、演技のはずなのに――。 「鼠は罠に掛かった……」 千晶の瞳から光が消え、アランは銃口を千晶へと向けた。囮を予想はしていた、ならば千晶はもう用済みなのだろう。 咄嗟に黒は千晶を庇って射線に割り込む。 乾いた銃声は夜に響き、黒は前のめりに倒れる。しかし硝煙が立ち昇るのはアランの銃ではなく、背後の千晶の銃からだった――。
「この女は篠田千晶じゃない。MEを使って抽出された篠田千晶の記憶を移植されたドールなんだよ。たった今、キーワードによってプログラムされた人格から引き戻された」 倒れ伏す黒にジャンが真相を語る。彼にとってそれは勝利宣言だった。現に苦悶の黒には何もできない。 「どの道、人格は2、3日しか持たない。罠だったんだよ、お前をおびき出す為のな」 それならば、本物の篠田千晶は既に生きてはいないだろう。全ては仕掛けだったのだ。入れ替わったのは、おそらく昨日の夜。千晶が拉致された時点だ。 真実を話したということは、次の行動は決まっている。アランは倒れた黒の背中に銃弾を撃ち込んだ。千晶――と呼ぶべきか、ドールはそれをただ虚ろな瞳で眺めていた。 二発ほど撃った時点で既に黒は動かなくなった。それでも念を入れておくに越したことはない。 「こんなに簡単とはな、本当にこんな奴にルイが――」 「残念。黒のジャケットは彼が着ることによってのみ防弾効果を持つんだ」 それは低い、男の声だった。しかしどこを見てもそんな男はいない。それ以前に気配すら感じなかった。 「び っ く り し た?」 アランとジャンは声の源を見つけた、それは猫だった。黒猫が喋る、びっくりしたに決まっている。 そして生まれた一瞬の虚を突いて黒は立ち上がった。 「なっ!?」 素早く放ったワイヤーは一直線にアランに向かう。苦し紛れの射撃も黒のジャケットに弾かれた。 黒は絡め取られたアランを手繰り寄せる。 「ぎゃぁあああああ!!」 断末魔。アランは全身を激しく痙攣させ、やがて弛緩した。がくりと折れたアランの背後に立つ黒の瞳には赤い光が輝いている。 まず一人。 それも束の間、青白い光が黒の胸に当てられた。ジャンが壁に当てた掌は同じ光が輝いている。 彼の能力は物質交換型テレポーテーション。すぐに殺らない辺り、発動に時間が掛かるようだが、重要な臓器を適当に石とでも交換してしまえば人など簡単に殺せる。 逃げてもそれはしつこく黒の胸に狙いを定めてきた。逃れられない光がぐっと収束し、次の瞬間、ジャンの掌で心臓が潰れた。 「チッ!」 黒の前に飛び込んだドール。心臓があったであろう部分には大きなコンクリートが詰まっている。 黒はすかさずジャンへとワイヤーを飛ばすが、命中する寸前で彼の姿は水に変わった。 どうやら逃げたようだ。能力を知られた以上は正面から戦うのは不利、合理的な判断という奴だ。 そして初めて黒は篠田千晶だったドールへと目を転じた。当然、即死だろう。 ドールが自発的に動くことなど有り得ない。それも銀のように本来の人格や記憶を残したドールでもなく、完全に契約者の支配下にあるはずのドールが。 僅かに残った記憶の残滓が自分を生かそうと働いたのか、それとも彼女が魅入られたランセルノプト放射光の輝きに惹かれたか――今となってはどうでもいいことだ。 「やっぱりこっちが囮だったか。本物のブツは既に別ルートで押さえてある。組織には全てお見通しだったってことだ」 気付けば背後には黄が立っていた。先程と同じ、嫌悪の視線で黒とドールの骸を見やる。 「どうしてその人形を殺しておかなかった?」 「人形じゃない。生きていた……」 昨日の夜から入れ替わっていたのなら――孤独と恐怖に震えていたのも、自分や彼女を巻き込みたくないと強がったのも、忘れないと言ったのも彼女だったのだ。 それをどうして人形と言えよう。自分達契約者よりも遥かに人間らしい。 「所詮ドールだ、受動霊媒なんざ……。そしてお前達契約者も所詮殺人マシーンに過ぎん」 黒は否定しなかった。代わりに間に割って入ったのは先程黒を助けた黒猫。 「止せ、黄!まだ仕事は終わっていない。銀、奴の行方は?」 黒猫の背後には水溜りに手を浸ける少女。 連絡役、監視役の黄〔ホアン〕。情報収集の猫〔マオ〕。ドールの銀〔イン〕。これが彼のチームの初仕事だった。 「糸は付いてる……」 「だ、そうだ。さっさと殺してきな、契約者。俺は報告があるんで先に帰るぜ」 立ち去る黄。そしてゆらりと立ち上がった黒に、銀は無言で仮面を手渡した。 黒もまた、何も言わずそれを被る。契約者――黒の死神としての仮面を。 そして誰もいなくなった駐車場の上空を、人型の影が過ぎった。
水と自分の交換テレポート。咄嗟のことだがどうやら上手くいった。 ジャンは必死に泳いで川を上がる。力を連続で使ってしまった為、彼はかなり疲弊していた。 対価を、対価を払わなければ――。 今の彼は契約者の冷徹さも合理性も無くし、ただ石並べに――対価を払うことのみに没頭していた。意味が無くとも、払わなければという激しい衝動が絶え間無く襲ってくるのだ。 それほど没頭していたせいもあるだろう。ジャンは幽かに水面に浮かぶ観測霊にも気付くのが遅れた。 「ひっ!?」 気付いた時には既に遅く、背後からは仮面を被った黒が歩いてくる。 仮面から表情は読み取れない。できるだけ長く恐怖を与えるよう、走ることもせずにジャンへと迫る。 なのはも懐のガラス板に導かれ、この場所へと降りた。目の前には仮面を被った黒衣の男がジャンへと迫っている。男の正体は分からないが、契約者であろうことは想像に難くない。 千晶の言うとおりなら、東京には無数の契約者が潜んでいるらしい。フランス人であるジャンを誰か別の契約者が狙っても不思議ではない。 「ひぃぃ……!」 だが、ジャンの様子は明らかにおかしい。酷く怯えて歯を鳴らしながら後ずさる。そこに川があることも忘れる程、動転している。 「はぁ……はぁ……うわぁ!」 川に転落したジャンを黒は追い詰めていく。それは無様で、とても滑稽だった。 いい気味だ。彼らは千晶を、李を、自分の命を散々狙ったのだから。最初はなのはもそう思った。 「あぁ……来るな……来るなぁ!」 少しでも黒から逃れようとするジャンは、とても冷酷な契約者には見えなかった。パニックになりながらも、生き残ろうと必死に逃げる様はとても人間らしかった。 黒人の男や仮面の男とはまるで違う。 なのはには契約者が何なのか分からなくなった。自ら迷わず命を絶つ者、命乞いする相手を淡々と追い詰める者、無様に生きようとする者。 「止めて……」 この男は自分達の命を狙ったはずなのに。どこまでも憎い相手であるはずなのに。 間違いなく人間だった。 「助けて……助けてくれぇ!!」 「止めてぇぇぇぇぇ!!」 気付けばなのはは叫んでいた。 それほどまでに今は黒が恐ろしく見えた――人でない何かに見えた。 背中に覚えのある叫びが突き刺さるのを感じながらも黒は歩みを止めない。一歩一歩ジャンへと歩み寄り、ゆっくりと川に片足を浸けた。
「何で……」 川面には動かなくなったジャンが浮いている。黒もなのはも含め、ゆらゆらと漂う死体以外に動く者はない。 「何で殺したの……!」 もう殺す必要なんて無かった。ジャンは明らかに戦意も力も喪失しているように見えた。 後は法に任せればよかった。なのに――。 「奴が契約者で……俺も契約者だからだ」 なのはは愕然とした。これまで接触した犯罪者達、例えばプレシアは娘の復活を目的としていた。その為に他者を犠牲にする思考は、納得こそできないが理解はできた。 他の犯罪者だってそうだ。少なくとも理解の範疇にはあった、いや無理にでも理由を付けて理解の中に押し込んできた。 そうでなければ恐ろしいから。 「それだけ……?」 だが、目の前のこの男は明らかに理解の範囲外にあった。 黒は振り向くことなく、 「それだけだ」 「!!」 次の瞬間には、なのはは黒へと魔力弾を発射していた。 彼は危険だ、絶対に放っておくわけにはいかない。本能が黒に警鐘を鳴らしていた。 「くっ!?」 初めて目にする魔力弾に驚きながらも、黒はそれを避けて見せた。超人的な身体能力が成せる技だろう。 そして避けながらも、なのはへとナイフを投げた。こうなっては黒も退く理由は無い。たとえ相手が彼女であっても、だ。 そうでなくとも、危険に身体が反応していた。 「プロテクション!」 光の障壁がナイフを弾く。避けるまでもなく、バリアがあれば彼の攻撃は届かない。 見たところ彼の能力は電撃。近寄らせず、水にも入らなければ防御を貫くことは不可能。 「っ!」 彼もそれを悟ったのだろう。ワイヤーを高所へ引っ掛け、闇に消えた。 ――逃げた?いや、まだだ。 どこからか分からないが、微かに感じる。この暗闇のどこからか虎視眈々と狙っている。 「!?」 風を切る音に反応して振り向くより早く、ワイヤーがバリアに弾かれた。黒の攻撃はなのはの反応速度を確実に上回っているが、防御を貫くには至らない。
黒が隠れてなのはの隙を狙い出してから、何分が経過しただろう。ほんの数分でも、身動きできずに周囲を窺うなのはには無限にも思える時間だった。 今は動くべき時なのか?その一瞬の隙を彼は狙っているのではないか?そう考えると金縛りになってしまう。長いブランクが無ければ、或いは結果は違っていただろうか? 周囲は全くの無音。明かりは黒が壊してしまった。今、この場を照らすのは偽りの星『BK201』のみ、なのはの味方になるものは何も無い。 彼は何度もなのはの反応を超える攻撃を繰り出しては、すぐに消える。 防御は完璧だ。たとえ彼が凄腕の暗殺者だとしても、この防御を貫くことは簡単ではない。 なのに――何故こんなにも落ち着かない? 夜道でふと暗がりに何かが潜んでいると感じることがある。この感覚はそれに似ているのかもしれない。 あるはずがないと知っていても、一度自覚した瞬間に、闇は何かの形を作り始める。 怪物や獣。もしくは、もっと得体の知れない何かか。 今のなのはにとって、黒はまさにそれだった。闇の中に無数の彼が潜んでいるのではないかとさえ思えてくる。 そんな根源的な暗闇への恐怖かもしれない。彼はそれほどまでに完全に闇に溶け込んでいる。契約者という異能者に対するイメージが独り歩きしているせいもあるだろう。 夜は怖いほどに静謐で深い闇に彩られている。その闇に、なのはは呑み込まれそうになっていた。 偽りの夜、偽りの星。東京の裏の世界。それは、今が彼の時間でここが彼の世界――黒よりもなお暗い。 彼が契約者という、なのはには到底理解できない種だから。 「奴が契約者で……俺も契約者だからだ」 なのはは黒の冷たい声を思い出す。思い出してはいけないと思いつつも、考えてしまう。 彼は一体何人の命をその手で奪ったのだろう。幾人の血と業でその手は黒く塗れているのだろう。偽りの夜に何人を闇に堕してきたのだろう――。 今の自分は、まるで黒色の中に落ちた一点の白の絵の具のように、この世界では異分子だった。 目が彼を捉えられないのは、彼が暗過ぎるからだ。 自分も夜を注ぎ込まれてしまうのか。闇色に染められてしまうのか――彼の穢れた指先で。 震えが止まらない。自分の内から何かが蘇ってきそうだった。 ――怖い……!怖い! 更に時が経ち、なのはは狂乱しそうに神経を磨り減らしていく。正気に戻してくれたのは、懐から漏れる眩い光。ランセルノプト放射光にも似た幻想的な青の光。 「この光は……」 胸のガラス板だ。それも熱いくらいに熱を放っている。 「何で…………――!」 懐を探ろうとした瞬間、光が一際強まった。ポールと相対した時も同様の現象が起こった。 同時に膨れ上がる殺気、そして風を切る音はナイフの音。 「そこ!」 振り向き様に放った魔力弾とナイフが空中で交差した。黒は辛うじて身を反らして回避。 なのははそれがナイフだと分かった時に回避を切り捨てて、攻撃に集中した。自らの防御を信じた選択だったが、結果としてそれが仇となる。
「そんな……!?」 ワイヤーが括られたナイフがバリアに弾かれると同時に、身体を包むバリアも、纏ったバリアジャケットも青白い燐光と化して霧散した。 そして唯一の味方、レイジングハートも待機モードに戻り、手から零れ落ちた。 「魔力結合が分解!?」 魔力がそっくり光へと変換された。それがただの電撃ではないことになのはも、当の黒自身も驚いている。 すかさずもう一度ワイヤーを飛ばす。今度は拒絶するものはない。 なのはの首筋に巻きついたワイヤーを黒は強く引き絞る。 「かはっ……!」 キリキリと嫌な音でワイヤーが巻き取られる。 殺される――。強烈な"死"のビジョンがなのはの目に浮かんだ。 なのはがワイヤーを握り締めて引くと、更に強く反発される。なのはは恐怖の中で、この先に黒がいることを悟った。 不思議と恐怖は消えていく。闇は見えない、得体が知れないからこそ恐ろしい。見えてしまえば、そこにいるのは敵でしかなかった。 意識を集中させて、まだ生きている魔力弾を操作する。それを悟られないように、そして黒の位置を確かめる為に強くワイヤーを引く。 「ぐぅっ……!」 首が絞まって、か細く息が漏れる。握った手からは血が垂れ落ちる。だが、おかげで位置が掴めた。 蛇の様に地を這って飛ぶ桜色の魔力弾は、周囲を僅かに照らしてくれる。光に気付き、黒が振り向いた時、既に弾は彼の顔面に迫っていた。 飛び退こうと黒はワイヤーから手を放そうとするが、なのはにワイヤーを引っ張られバランスを崩す。 「がぁっ!」 魔力弾は黒の仮面を直撃し、右目を欠けさせた。 強い――。黒も同様に、得体の知れないなのはを恐れていた。 契約者でもなさそうなのに、妙な力を使う。もう手加減はできない。 なのはの懐の光が、夜闇を塗り潰す勢いで輝いた。 「あああああ!?」 なのはの全身を刺激が駆け巡り、意識が遠のく。 最後に見えた景色は、割れた仮面から覗く、赤く煌く瞳。身体を包むランセルノプト放射光。そして一際空に瞬いたBK201――。
「情か?黒……」 黒猫、猫〔マオ〕はその外見とは裏腹の、渋い響きで黒に問い掛けた。 「……」 黒は何も答えようとはしない。直前で顔を反らしたので右目に支障は無く、傷も無い。 「"自分を殺すには高くつく"……契約者にそう思わせるのが、あの女の狙いだった。だが、あの女は知り過ぎた。契約者のことも、俺達のことも」 構わず続ける猫の口から出たのは、愛くるしい容姿とはかけ離れた、恐ろしいまでに冷徹な計算。 「リスクは承知の上、何を措いても殺すべき。それが当然だ。契約者ならばそう考える。……何故あの女を殺さなかった?もうほんの数秒、数秒で済んだはずだ……」 それでも黒は何も答えず、猫に見向きもせず、歩みを止めない。 「あの力……か?……ま、いい。黄には黙っておいてやる。お前にも考えがあるんだろ。俺は連帯責任を負うのも、黄に嫌味を喰らうのも御免だ。だが……」 猫は前足で顔を擦りながら黒の背中に言い放つ。それは彼女が泥沼に片足を踏み込んでしまったことを示唆していた。 「あの女には今後糸を付けさせるし、俺もある程度は監視する。組織の害になるようなら俺が黄に報告して始末させる。それが契約者ってもんだ。いいな、黒」 「好きにしろ……」 どうあれ自ら踏み入れた道だ。 黒はそれだけ言い捨てて猫から離れた。やがて黒の死神はジャケットを脱ぎ捨て、仮面を外し、黒から李の顔に戻った。 コンコン。 深夜の海月荘――201号室の扉が遠慮がちに叩かれた。 「はい……」 「ごめんね、李君……」 開けると立っていたのは高町なのはだった。まるで昨晩助けた時の千晶ように、彼女も疲れ切っているようだった。おそらく身体だけでなく心も。 「どうしたんですか……?」 「うん……。ちょっと聞きたいことがあって……」 取り敢えず李はなのはを部屋に上げた。 テーブルの上には遅めの夕食か、中華料理がこれでもかと埋め尽くしている。 「あ、よかったらどうぞ」 彼女は俯きがちに入り、勧められるままに座った。 食欲はまったく無かったが、飢えた身体は意思とは反対にそれを求めていた。本当はこんなことをしにきたのではないが、切り出すタイミングも掴めない。 「ねえ……李君。千晶さんはあれからどうなったのか知ってる……?」 やはり来たか。彼女は千晶が翠屋を飛び出して以後は会っていない。気にするのも当然だ。 「ええ、原口さんでしたら僕が知り合いに頼んで外国に逃がしてもらいました。彼女の情報がかなりの価値のものでしたので、家や職場もちゃんと世話してくれるそうです」 なのはは一度目を見開くが、またすぐに沈んでしまった。 「もう、今頃は成田を発ってる頃です。あ、信用できる人ですから大丈夫ですよ?」 「そう……なんだ……」 よくもこれだけすらすらと嘘が出るものだと、自分でも呆れる。だが、千晶の無事を伝えても彼女の表情は晴れなかった。 なのはは暫くテーブルに並んだ中華をぼぅっと見つめていたが、やがて遠慮がちに手を伸ばす。
「温かい……」 心身ともに凍るような戦いの後には、それはとても温かくて優しい味だった。それでも心は晴れず、上を向けない。 「原口さんからあなたに伝言です」 「何……?」 「『ありがとう』……だそうです」 契約者は嘘吐きだ――自分が千晶に言った言葉はあまりに正鵠を射ていたらしい。 なのはは料理を口に運ぶ。優しい味が今は何故か痛かった。 「李君の料理……温かいけど……」 ありがとう――それは真実よりも、なお重く彼女に圧し掛かった。 「しょっぱいよぉ……」 箸を咥えて俯く彼女の表情は前髪で隠れて見えない。ただ声と肩が細かく震えていたことから読み取るしかなかった。 無言の時が続く。なのはは黙々と食事をし、李は彼女の前で空を眺めていた。 「……私、千晶さんを救ってあげられたのかなぁ……」 たったそれだけ彼女は言って、また俯く。時折、ぐすっ、と鼻を啜る音が聞こえたが、李は彼女に優しい言葉を掛けることはしなかった。 きっとどんな言葉も空々しいだけだ。それに今は自己満足に付き合う気にはなれない。 救い――。李は空を見上げてその意味を考える。 唯一つ言えることは、契約者には救いも許しも無い。たったそれだけの、どうでもいいことだ。 ふと思う。彼女はもしかして千晶の死を知って――いや、それもまた、どうでもいい。 あの時、自分は本気で彼女を殺すつもりだった。なのに気付けば不思議とこうしている。勿論、それは情ではない。 彼女の懐の光――あの光はいつかどこかで見た光だった。そしてほんの一瞬、光の中に『白〔パイ〕』を見た気がした。あの光を追えばまた会えるのだろうか? 空を一条の星が流れた。この世界のどこかで、契約者が死んだ。 彼らはこうして自分が確かに存在したことを示せる。 だが、この空を美しく流れることなく消えていった者もいる。それは人知れず消えていった命の煌き。 世界でただ二人だけが、それをいつまでも想っていた。 次回予告 地獄は宙に消えたはずだった。 振り切れなかった闇は彼女を縛り、穏か過ぎた時間は彼女に対価を求める。 それは本来払うべきものだったのか、それとも一瞬の悪夢か。 導かれるように彼女と少女は惹かれ合う。 琥珀の瞳が見下ろす中――出会いは炎に包まれた。 第3話 新星は夜天の空を焦がし……(前編)
「はぁぁ!!」 振り下ろされた槍を、両手をクロスさせて受け止める。シルバースキン越しでも両の腕が折れそうなほどの衝撃が走る。 「くぅぅぅっ!!」 シルバースキンの防御を過信はできない。武装錬金に頼らず、己の拳技を駆使して受け流しつつ戦わなければシルバースキンが破られかねない。 それほどまでにゼストの太刀捌きは凄まじい。 「何故この世界の者でない貴様が俺の道を阻む!?」 「レリックを奴らの手に渡すことを許す訳にはいかん!」 この男の槍の重みが、覚悟と意志の重みであることをブラボーは感じ取った。 「俺はあの娘を守り、助けたいだけだ!貴様もそれを偽善と嗤うか!」 守りたい、その意志を否定できるわけがない。 「いや――ブラボーだ!」 それでも譲れない信念ならばこちらも同じ。 「おおおおおおお!!」 ブラボーは宙を蹴ってゼストの懐に飛び込む。拳と槍の柄が互いの脇腹を抉るのはまったくの同時だった。 両者とも吹き飛び、地に叩きつけられ、ボロボロの身体の限界を呪う。 先に立ったのはブラボー。痛みに耐えるのは、ただこの言葉をこの男に届けたい一心。 「善でも!悪でも!命懸けで貫き通した信念に偽りなど何一つ無い!!」 ブラボーは足を強く踏み込み、全身から裂帛の気勢を発する。怒号は大気を震わせ、ゼストの心にも波を起こす。 男として、戦士として、認めはする。それでもここは譲れない。それは自分がヒーローではなく、人々を守る盾だからだ。たとえそれが全ての人でなくともだ。 「ならば何故!」 「それは……俺がキャプテン・ブラボーだからだ!」 何と言う単純明快な答えか。ゼストは一瞬驚きの表情を浮かべたが、すぐに口の端を持ち上げて微笑んだ。 「キャプテン・ブラボー……か。俺はゼスト・グランガイツ。そしてこいつはアギトだ」 「ゼスト・グランガイツとアギト……か。」 沈黙が続く中、二人は、ふっと微笑んだ。互いに限界が近い。不完全で決着するには惜しい相手だ。 「いずれまた見えることもあるだろう。その時こそ存分に闘おうぞ!」 「悪いな、残念だが俺は既に一線を退いた身だ。戦いを切り拓いてゆくのは、いつだって若き力だろう?」 「そうかもしれん……。だが、俺を継ぐ者はいない。貴様にはそれがいるというのか?」 ああ、それは……『武藤カズキ』!この名を忘れるな!いずれ貴様の前に立ちはだかる戦士の名だ!!」 それは自分がヒーローになれるかもしれないと認めた若き戦士の名。救えなかったと嘆きつつも、救うことを決して諦めない漢の名。 「『武藤カズキ』……覚えておこう。さらばだ!キャプテン・ブラボー!」 「ああ、さらばだ!ゼスト・グランガイツよ!」 双方共に身を翻し、無防備な背中を晒して、二人の男はそれぞれの道へと別れた。 その先には、
最後のは忘れてくださいorzまだ続きがあるかと思って、よく見ずにコピペしてしまいました。まったくの別物でした。 まとめの際も最後のレスは除外いただければ……。 なのはが千晶の死を知ってるのかは分かりません。 「ツキアカリ」の流れそうなEDを意識しました。1,2話はちょっと表現不足だったり独自性も少なかったなぁ。 次回は『はやて』、『舞』と『もう一人』、くらいしか決まっていませんが、対価はちょっとお休みして次回からは冒険を。 正直、2話時点で安易にオリキャラを出してしまって、どうしようか頭を抱えてますが、 浮気性改善の為、3.5話か4.5話程かけて完結させようと思います。
こっそりGJ CMとして流しておきます。
感想ありがとうございます。 最後のは錬金クロスの本編のアイディアメモ的なもので、普段は別にファイルを分けているのですが、ついLTBと同じページにそのまま書いてしまってました。 続きはボウケンジャーの後にやりたいと思っています。
お二方ともGJでございます Hの扱いは、まあ量産期補正って事でいいんじゃないですか?
GJでした!面白かったです。なのはさん殺されかけてる・・・ 白の能力物質変換は凄いですね。でもありえそうだ。アンバーの能力とか見てるとそれくらいできそうなきがします。 契約者らしくいろいろと容赦が無かったですね。ノーベンバー11も子供殺してましたし、あれが普通なのかもしれません。
GJ!ところでなのははいつ黒の死神という名を知るんでしょうか?
しまった。メモ帳に書いた内容2回に分けて投稿してる。
セラフ来たな・・・・MOAの主人公機アナイアレイターはまだ?
>リリカルコア 中 の 人 な ど い な い ! まあ、ゲームでも公式小説でも正体不明の時はテラ強かったのに、増えた途端に弱くなりましたからね。しょうがないっすよww しかし、こうなるとH天使の性能が怖いですね。ゲームでも変形後はまともな攻撃は当てられないし… やはり、出会い頭に最強ロケ二発後、ホバー斬りしかないか…(ぉ
>531 AA版で高機動タイプ? パラサイトミサイルでフルボッコしてやるよといって 撃ったら変形して避けられて、光波で瞬殺されたのもいい思い出。 灰雲といいAAはやたらとインパクトのある敵が多かったな。
おくればせながらメビウスの人GJ!! それにしてもここも避難所が必要かもしれません・・・。
やっぱ魔法少女とACの組み合わせといったら魔法AMIDAだろ
>>反目のスバル氏 ヴィータ…じいちゃんたちの心配はどうした!?w まさか、機動六課で流行るとは…流石ジャパニーズアニメ! >>リリカル・コア氏 すごい戦闘シーンの数々に恐縮します。 >>「ナッコォォォーーーー!!」 リュウセイの発音がスバルに伝染している!?奴はどこだ!(居ないってw >>LYRICAL THAN BLACK(なのはVSボウケン)氏 丁重な話の作りでGJです。 なのはが人の返り血を浴びてしまい、更に黒とのバトルで死に掛けたりなど危険ばかりで、 ハラハラドキドキです!