あの作品のキャラがルイズに召喚されました part75

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part74
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192704552/l50

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

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    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
    l lf小从} l /   ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
              ・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!

--------------------------------------------------------------------------------
    _
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし      ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ      本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l        ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
              ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。

--------------------------------------------------------------------------------

   ,ィ =个=、       ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
    { {_jイ」/j」j〉      これ以上だと投下できないそうです。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
   ⊂j{不}lつ      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   く7 {_}ハ>      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
    ‘ーrtァー’       ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。

2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:20:56 ID:sjDxlHny
乙か霊夢
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:27:46 ID:TQog0b7X
一万と二千年前から乙してる
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:43:31 ID:KfC4YMf0
右手に乙・・・左手に乙・・・
合体魔法乙ゥ!
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:44:56 ID:/YSNHQU0

このスレももう75か
できたばかりの頃は50も行かないと思ってたんだが、90くらいはまだまだ行きそうだな
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:46:43 ID:nOjDX12F
動くと乙。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:14:02 ID:4TDi+sZw
>>1乙に棲む花。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:17:58 ID:b1zBtEIb
>>1
乙なんて絶対に言わないんだからね!!(//

前スレ自沈確認せり

961 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/21(日) 17:16:22 ID:GSylNG8T
500kbなら来週中に次の話投下


彼は何の作者なのだろうか・・・
9名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:18:29 ID:4TDi+sZw
うちが書き込んだときに前スレがちょうど500kbになったんだけど………
10名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:19:32 ID:b1zBtEIb
>>9
正確には512kb必要だからじゃね?
11名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:24:56 ID:vvSnA5+o
>>8
自分も似たような事を書いたが、正直取れなくて良かったとホッとしているw
12名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:26:31 ID:4TDi+sZw
>>10
そうなのか。
受験で忙しいから誰か別の人がアレ書いてくれたらなー。と思ったんだけど。

あとは自分で書いてみたいネタでメイジ=騎士でエストと黒騎士召喚してギーシュがマスターに。
モンモンの包丁二刀流とか思い付いた。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:43:07 ID:UpnDfuEN
>>1スレ立て乙である!
14名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:05:34 ID:UES35Xbb
http://ksklog.blog108.fc2.com/blog-entry-310.html
一方ハルきゲニアの魔王の様子
15名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:26:59 ID:YOhrqguL
久々にまとめ覗いたら、GTAのトニーが召喚されてて吹いた
もうそろそろCJも呼ばれるかな
16名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:31:12 ID:MoGcdiGR
アロハシャツのナイスミドル呼ぼうぜ
17名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:11:27 ID:sjDxlHny
>>14
ギガワロスwwww
18名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:17:21 ID:ms98XVaQ
なんとなく聞きたいんだがガンガンキャラから呼ぶとしてどいつがいいかな?(ハガレンはなし)
19名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:17:32 ID:PvwhviEY
>>12
ちょっモンモンスパークかよ
20名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:18:37 ID:PvwhviEY
>>18
魔王ケストラー
21名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:19:20 ID:4V/KVTUw
>>18
B壱の主役
22名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:20:12 ID:NMyaS1ja
マテリアルパズルの御風お面かぶってるだけなのに亜人あつかい。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:22:48 ID:2Dj+h4K7
>>18
ひぐらしってコミック版はガンガンだよな……

羽入召喚、ルイズは使い魔が見当たらないので留年、
数ヵ月後、運の悪い誰かがぺたぺたと後をついてくる足音を聞いてノイローゼに……
24名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:24:20 ID:7SxYAzz6
>>18
B壱の回転するやつ
25名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:32:28 ID:vvSnA5+o
>>18
サイザーか両刀使いのピアノ弾きホモ・ド・ライエル(こっちはギーシュでアッー)
26名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:46:26 ID:dSZyM1Z7
>>18
プリン帝国の面々をまとめて召喚。
深読みしすぎの会議を繰り返し、遅々としてハルケギニア侵略が進まないという……
27名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:47:06 ID:gg/sp0hY
魚屋のザック
28名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:47:09 ID:Rr0G8EVu
>>18
マテリアルパズルから魂の魔法使いアダラパタか拳の魔法使いジール・ボーイか熱の魔法使いドルチル
特にジール・ボーイは兄貴にコンプレックス抱いてたりスゲー努力家だったりでいいかもしんない。
それにしてもマテパの連中は魔法使いのイメージを粉微塵にしてくれるな特にドルチル
29名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:53:01 ID:Jk4SseMs
>>18
ハーメルンのヴォーカル子供ver。
あの最強暴れん坊も魔力の少ない子供verなら制御できる。
魔力切れで死亡はルーンの影響とか何とかするとして、本編では明かされなかった
ヴォーカルが殺人狂いになってしまった理由(ケストラーが絡んでるっぽいが)を
絡ませていけば結構面白いかもしれん
30名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:03:05 ID:Jo84Y/Pd
>>18
ネンガさま。ルイズとシエスタ以外にはリアル熊に見える。
でも「パワフル」というのでキュルケやアンリエッタにほれられる。
31名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:11:57 ID:UhZMuzsl
Fire Bomber in ハルケギニア
32名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:13:39 ID:RYvsS66+
>>18
是非ともシューピアリアから魔王シーラを!
33名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:21:06 ID:nOjDX12F
お前何歳だよとか言われると思うが
かいけつゾロリのゾロリを召喚

ゾロリの発明で危機を乗り越えたり大変なことになったり…


やべぇw面白そうだとおもっちまった…ww
34名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:28:25 ID:Bl76qMm4
>>18
ちと古いがナーガスからギレウス様召喚
基本的に野心家な上に戦闘スタイルがスタイルだから戦場が火の海になること間違いなし
最終巻後のちょっと丸くなってる状態でもモリガンがいないから情緒不安定で
いろんなとこが火の海になること間違いなし
35名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:35:13 ID:A5+O/WNo
>>18
TWIN SIGNALからアトランダム召喚。
シグナルとアトランダムと鳥ならメンテなくてもなんとかなりそうだし。
でも、ユーロパいないと情緒不安定なのはギレウス様と同じw
36名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:38:45 ID:RYvsS66+
そういえば、シャドウスキルのキャラも召喚されてたな。その繋がりで、忍ZARDに出てくる魔導神の子供時代(月影)とかフェアプレイズのキーンとか誰か召喚してくれんかね?
一応ガンガンだったし。(フェアプレイズはボンボンだが)
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:42:46 ID:F7MnebV5
>>18
ソウルイーターより『ヘヤノスミス』
38名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:49:30 ID:a/Qo1Vuc
夜明け前より瑠璃色なより、リースリット・ノエル召喚。
姿を消すアイテムを活用した卑怯臭い戦闘を見せてくれるに違いないw
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:55:04 ID:W15cF3RJ
そろそろドクロちゃんかぷにえあたりが来ても良さそうな頃合
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:55:56 ID:h6IDMjwY
前スレのSIRENの話題で思ったが

不死身SDKによるゾンビアタック
永井君の魔法銃

なんでSIRENでジェノサイドエンドになる奴ってこうどっか異常な物があるのだろうか
永井君は違うか?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:58:46 ID:/0LG+5bT
>>39
毎度ルイズが血の海に沈んだり。関節技かけられまくってグチャグチャになるのかwwww
勘弁してやれwwww
42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:05:30 ID:a/Qo1Vuc
>>39
間違いなくルイズは、姉御的立場になってしまうなwww
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:05:40 ID:YodybPEL
>>18
やはりここはパッパラ隊のメンツだろう。飛影(とびかげ)、しっとマスク、それに隊長(白鳥沢だっけ?)と有望キャラが目白押し。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:05:55 ID:+JU8xTNU
>>18
マテパのミカゼかなぁ
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:07:52 ID:nOjDX12F
>>40
永井君は闇人を殺しすぎてそれが快感になったからあんな世界に落ちたんじゃね?
まぁミニミは明らかに化け物だがwwwwwwwwwwwwwwwwwww

堕慧児相手には効果なんてあまりなかったが。
46雑談は新作マダーのさいそく:2007/10/21(日) 21:16:00 ID:2Dj+h4K7
>>43
マルコメが謎の覆面を召喚しますた

「ああっ!ギーシュが謎の集団にボコボコにッ!」
47Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:18:24 ID:zHvuJCE/
投下予約しても大丈夫ですか?

21時30分に投下します
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:19:42 ID:xhzhMzU1
>>18
パプワから生き字引の筆
ガンダールヴだろうがミョズニトニルンだろうが増やし放題に…
漢字表記?ルーン効果でどうにか
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:20:12 ID:pJ22B3/k
でもさ
SDKって全ての異界の殲滅が目的な訳だから、最悪の場合ハルケギニアが宇理炎で焼き尽くされる事に……
50名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:21:37 ID:26rr5Q9q
>>32
そういやアンジェリカの中の人は釘宮だったな・・・
51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:21:37 ID:ms98XVaQ
やべぇ、今まで挙がったやつ全員書けねえや
そして投下前支援
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:22:04 ID:jWrA01Fl
支援
53名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:23:34 ID:nOjDX12F
>>49
そうなるといつか幻想郷もミッドチルダも焼き尽くされるという事に…
やばい、あいつらが死ぬということ自体が想像できない。

でも闇んちゅや屍人みたいなのがいる世界をサイレンでは『異界』って呼ぶんじゃなかったっけ?
54名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:24:14 ID:xMoA71CO
支…援…
55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:24:24 ID:/0LG+5bT
アンジェの人をいつも待ってるんだぜ!
支援するよ
56名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:28:16 ID:Gdcg20Ps
ゼルダの伝説からリンク(ムジュラの仮面ver)召喚
鬼神状態なら七万の軍なんかへっちゃらだぜw
57名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:29:52 ID:RYvsS66+
>>50
しかもどっちも似たような体型だしな。案外、シーラよりもアンジェリカの方が面白くなるかもな
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:30:22 ID:kq4GhvM+
巨人の仮面のほうがいいんじゃね
59名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:30:37 ID:jWrA01Fl
支援
60Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:31:11 ID:zHvuJCE/
「一体なんだったの?」

砂煙が未だに立ち込める中キュルケが呟いた。

「ルイズさん大丈夫ですか?」

アンジェリカがケホケホと咳き込むルイズの側に寄る。

「ええ何とか大丈夫よ。それよりもアンジェ、怪我はない?」

ルイズはアンジェリカの服についた埃を払いながら聞いた。

「私は何ともないです」

砂煙が晴れてくると辺りが急に騒がしくなる。ようやく衛兵や教師達が集まり始めた。
そして周りが見渡せるようになって彼女達はあることに気付いた。

「ねえキュルケ。これって…」

ルイズはそれを見つけ手に取るとキュルケに見せた。

「確か宝物庫にあった代物じゃないかしら?」

キュルケは首を傾げながら答えた。

「…M16」

ポツリとアンジェリカが呟いた。

「アンジェちゃん、これ知ってるの?」

キュルケがアンジェリカに話しかけているときルイズはふと気付いた。

「似てる…アンジェが持ってたアレに…」
「ルイズ、何か言ったかしら?」

ボソッとルイズが呟いたのを耳ざとく聞いたキュルケはルイズに聞き返す。

「別に何も言ってないわ。アンジェこれ知ってるのね」

ルイズはキュルケの問いかけを無視してアンジェリカに手に持ったそれを渡した。

「はい…」

それを受け取ったアンジェリカは大事そうに胸に抱えた。

「ちょっとあたしには話が見えてこないけど…取り合えず場所を変えない? 騒がしくなってきたわ」

キュルケに促され、彼女達はその場を後にした。


61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:32:09 ID:/0LG+5bT
支援!
62名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:33:11 ID:26rr5Q9q
>>57
魔王のコピーなんてどうだ?
まあラクシュリかエクサが武器使う分には妥当だと思うけど
63Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:34:27 ID:zHvuJCE/
Zero ed una bambola   ゼロと人形



昨夜の騒ぎから一夜明け、オスマンにより学院の教師達が集められ、事件の目撃者としてルイズとキュルケの二人も呼び出されていた。
だが集まった教師達は互いに責任を押し付け合い建設的な話ができていない。オスマンの苛立ちが募っていくばかりだ。

「オールド・オスマン」

そんな中小さな声でオスマンに話しかける者がいた。

「何かね、ミス・ロングビル」

オスマンは鋭い視線で話しかけてきたロングビルを見る。

「土くれのフーケの居場所が分かりました」

ロングビルがそう報告すると驚いたように眼を見開く。

「ほう! もう居場所が判明したのか。相変わらず良い仕事をするのう」

オスマンは満足気に頷くと未だ騒がしい教師陣に向き直る。

「あーちょいと静かにしてもらえんかのう?」

オスマンが話を進めようとしても未だに責任を擦り付け合って騒がしい。オスマンは溜息を吐き口を開いた。


64名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:34:40 ID:jWrA01Fl
支援
65名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:35:23 ID:2Dj+h4K7
アンジェが幸せになりますようにアンジェが幸せになりますようにアンジェが幸せになりますようにっ!
66名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:35:54 ID:jWrA01Fl
支援
67Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:36:55 ID:zHvuJCE/
「いいかげんにせんか!」

オスマンが一喝すると場は一気に静まり返る。

「よいか! 土くれのフーケがこの学院の宝物庫に侵入した。この責任は全て責任者であるわしにあるのじゃ!」

オスマンはギロリと力のこもった視線で教師達を睨む。

「そして土くれは宝物庫の宝を盗み出したがこの生徒の妨害によってほとんどの宝物を取り返すことができた」

「あの、わたしたち別に…」

ルイズが自分達は何もしてないと言おうとしたがオスマンに睨まれ沈黙してしまう。

「だが破壊の杖は戻ってこんのじゃ。そうやつは破壊の杖だけは持って逃げおった!」

オスマンは苛立ち気に机をドンと叩いた。ルイズはもとより教師達、ロングビルまでもが見たこともないオスマンの姿に誰もが驚きを隠せないでいた。

「王宮の者達には任せてはおけぬ! 何としても我々の力で破壊の杖は取り戻さなければならんのじゃ!」

オスマンはどこか遠くを見つめながらも話を続ける。

「ここにおるミス・ロングビルが土くれのフーケの居場所を掴んだとのことじゃ。そうじゃな?」

オスマンは話をロングビルに振る。

「え? あ、ええその通りですとも。フーケはこの近くの森の廃屋に逃げ込んだとのことです」

少し慌てながらも答える。

「それはここから近いのかね?」

オスマンはロングビルに確認する。

「はい。徒歩で半日、馬で四時間といったところでしょうか」

オスマンはそれを聞き、再び教師達へと向き直る。

「聞いての通りじゃ。それでは土くれのフーケの捜索隊を結成する。我はと思うものは杖を掲げよ」


68名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:37:39 ID:jWrA01Fl
支援
69名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:38:40 ID:jWrA01Fl
支援
70名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:39:21 ID:Rr0G8EVu
シエスタが克服できますように支援
でも怯えて震える女の子もいいな支援
71Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:40:26 ID:zHvuJCE/
オスマンがそう言うものの誰も杖を掲げず、辺りは静まったままだ。

「おらんのか? 誰もおらぬのか? 全く…情けない」

だが一人、恐る恐る杖を掲げる者がいた。

「ミス・ヴァリーエル! 何をしているのですか!」

教師の一人、シュヴルーズが悲鳴のような声を上げる。

「だって他に誰も掲げないじゃないですか」

ルイズは真剣な目をして言い放った。

「ここは教師に任せて、あなたは…」
「では君が行くかね? ミセス・シュヴルーズ」

シュヴルーズはルイズを引き止めようとするがオスマンに遮られる。シュヴルーズは何も言えず後ろに下がっていくのだった。

それを見ていたキュルケもスッと杖を掲げた。

「ミス・ツェルスプストーだったかね? 君も行くというのじゃな?」

オスマンは確認するように言った。

「ええ、もちろんですわ。ヴァリエールには負けられませんもの」

「そうかね。うむ何とも勇気のある生徒達じゃ。わしは誇りに思うぞい」

オスマンは嬉しそうに何度も頷くと呆れた顔でその場にいる教師達を見回す。

「それに比べて君達は何という様じゃ…」

しかしそんなオスマンに対してコルベールが異を唱える。

「オールド・オスマン。まさか生徒達に任せるつもりですか?」


72名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:40:56 ID:26rr5Q9q
支援
73名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:42:04 ID:jWrA01Fl
支援
74Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:42:33 ID:zHvuJCE/
コルベールはオスマンの前に出てくるなり口を開いた。

「仕方あるまい。他に誰も杖を掲げないではないか」

オスマンの言葉にある種の不快感を示しながらもオスマンに詰め寄る。

「あの事件を引き起こしたかもしれない相手ですよ? それを生徒達だけに任せるなんて危険すぎます!」

コルベールは必死になってオスマンに生徒達に任せるのを止めさせようとオスマンに食らいつく。

「わかっておるとも…わしもそこまで馬鹿ではない。ミス・ロングビル」

コルベールの言うことも最もだと頷きながらロングビルを呼ぶ。

「彼女達と一緒に行って来てはくれんかね?」
「もちろんそのつもりです」

ロングビルは待ってましたとばかりにそう言った。

「では僕も一緒に行かせて下さい」

すかさずコルベールも名乗りを上げた。

「ミスタ・コルベール、君にはやってもらいたい事がある。残念だがここに残ってくれたまえ」

コルベールはわかりましたと力なく返事を返した。

「ミス・ヴァリエール! ミス・ツェルスプストー!」
「は、はい!」
「何かしら」

大きな声で名前を呼ばれ、吃驚しながら返事をするルイズと冷静に受け答えるキュルケ。そんな二人に向かってオスマンは頭を下げた。

「大変危険な任務を任せることになってスマンのう。 破壊の杖はわしの命の恩人の形見なんじゃ。是非とも取り返して欲しい」

急に頭を下げられて慌ててながらもルイズは答える。

「えーと、その…何とか頑張ります」
「ええ、お任せください」

キュルケは髪をかきあげながら自信たっぷりに答えた。


75名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:43:11 ID:Rr0G8EVu
支援
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:43:36 ID:jWrA01Fl
支援
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:44:30 ID:UpnDfuEN
アンジェリカと聞くと、ミスターを追ってる捜査官を思い出す支援
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:44:45 ID:/0LG+5bT
アンジェかわいいよアンジェ支援!
79Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:45:15 ID:zHvuJCE/
「うむ、期待しておる。ミス・ロングビル。彼女達を任せたぞ」

オスマンはロングビルに念を押すように言った。

「はいお任せください」
「うむ。では馬車の用意をさせよう。準備が出来次第、中庭に集まりたまえ」

それではこの場を解散する。オスマンがそういうとまるで蜘蛛の子を散らしたようにその場から人がいなくなっていく。

「ああ、ミス・ヴァリエールは少し残ってくれ」

コルベールがルイズを引きとめた。そしてその場にはオスマンとコルベール、ルイズが取り残された。

「宝物庫にあったあの変わった鉄砲を今持っておるな?」

オスマンは何かを確認するように威圧感たっぷりにルイズにたずねた。

「は、はい。持ってますけど…」

ルイズはしおらしく小さな声で答えた。

「ミス・ヴァリエール。君はあれがどのようなものか知っているのかい?」

コルベールは優しく尋ねた。

「あの、わたしじゃなくて、使い魔のアンジェが…」

まるで何か悪いことをして尋問されているような……そんな気分にルイズはなってきた。

「知っておるのじゃな」

オスマンはじっとルイズを見る。

「は、はぃ…」

ルイズは泣きたくなってきた。何か悪いことをしたのだろうか?

「ミス・ヴァリエール。君はそれを使えるかね?」

コルーベールがそう聞いてくる。

「アンジェ…わたしの使い魔なら使えると思います…たぶん」

ルイズの言葉を聞いてオスマンは何やら考え込み、徐に口を開いた。

「過ぎたる力は災いをもたらす…そうは思わぬかミス・ヴァリエール」

突然話を振られても返答に困ってしまう。

「す、過ぎたる力ですか? あの、すいません。よくわかりません」

80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:45:36 ID:2Dj+h4K7
マチルダさんがサウスゴーダに帰れますように
マチルダさんがサウスゴーダに帰れますように
マチルダさんがサウスゴーダに帰れますようにッ!
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:46:05 ID:jWrA01Fl
支援
82Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:47:15 ID:zHvuJCE/
オスマンはルイズの返答を無視するかのように話を続けた。

「あの鉄砲も破壊の杖も…わしの命の恩人の形見なんじゃ…」

遠い昔の友人を懐かしむような声でルイズに語る。

「君はこれを正しく使えるのかのう?」

恐らくオスマンはルイズの答えなど必要としないのだろう。彼の中で答えはもう決まっていたのだ。

「ミス・ヴァリエール。君にあの鉄砲を与えよう。その力…正しく使いたまえ」

ルイズはオスマンの言っていることが良く理解できなかった。

「……はい」

ルイズの返答を聞き届けその場を後にしたオスマン。コルベールはルイズをフーケ捜索へと送り出す。

「ミス・ヴァリエール。破壊の杖は取り返せなくてもいい。だが必ず無事に帰ってきなさい。オールド・オスマンも同じ気持ちということを忘れないでくれ」

その言葉を背に受け、ルイズはフーケ捜索へと踏み進むのだった。



Episodio 23


Organizzazione, una festa di ricerca
結成、捜索隊


83名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:47:29 ID:Rr0G8EVu
あ、そうか
ひょっとしたらこれはおマチさん蜂の巣フラグ?
支援
84Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:49:51 ID:zHvuJCE/
Intermissione



「ミスタ・コルベール」

ルイズが去った後、オスマンはコルベールに話しかける。

「これでよろしかったのですか? オールド・オスマン」

不安げにオスマンに問う。

「傍から見れば茶番かもしれんが…」

オスマンの答えに納得できないでいコルベール。

「ですが彼女が牙を剥くとも限らないのですよ」

「大丈夫じゃよ。伊達に年を喰ってはおらぬ。これでも人を見る目には自信があるんじゃ」

「…」

「彼女の目は死んではおらん。まだこの世が捨てたものではないという目をしておる」

「わかりました。僕も信じて彼女達の帰りを待ちます」



そしてオスマンとコルベールは宝物庫の片付けに取り掛かるのだった。

「なんで誰も手伝ってくれんのじゃ?」
「僕が手伝ってるじゃないですか。それにあんたが自分の責任といったからでしょう…」
85Zero ed una bambola:2007/10/21(日) 21:52:06 ID:zHvuJCE/
投下完了です。支援に感謝。

では次回予告

銃弾が飛び交う戦場、迫撃砲に吹き飛ばされ意識を失うモット伯。再び彼が目を覚ますとそこは懐かしきトリステインの大地だった。
瀕死の重傷を負いながらも何かに誘われるように森へ入っていく。するとそこには一匹のワイバーンに襲われる若き日(?)のオスマンの姿があった。
モット伯のM72が火を噴き、ワイバーンを倒した。だがモット伯はついにそこで力尽きてしまうのだ。

次回、モット伯のDie冒険最終話 機動戦死モット伯〜モット伯の残光〜

「トリステインよ。私は帰ってきた…」

注:本編はまだ続きます。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:52:41 ID:/0LG+5bT
コッパゲとオスマンフラグか!

おぇっ……
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:53:11 ID:RYvsS66+
>>62
コピーは制御が出来るかどうか……。ラクシュリは細剣二刀使いだからデルフがはぶられそう。
エクサはバランスブレイカーになりかねない。さすが勇者。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:53:15 ID:JhMnpY1g
ちょwwwオールド・オスマンの恩人だったのかよ!www
乙っしたー
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:55:54 ID:/0LG+5bT
乙!
マチルダお姉さんに死亡フラグがたった!
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:56:17 ID:xSwkBnZx
91名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:57:08 ID:vJ9/jVNe
機動戦死吹いたw
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:57:23 ID:nOjDX12F
少しお目汚すになるかも知れんが小ネタを投下する。
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:59:30 ID:9BA0Qrqr
かもん
94名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:59:43 ID:UuoN+anv
小ネタが壮大な物語になってて吹いたぜwwww
95名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:00:22 ID:bO4JVOLy
モット伯の数奇な運命に涙した…
96名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:01:51 ID:wkoYHypa
ラグナロクがルイズに召還されたら

七万相手にしても存在意思(ノルン)を集めて
そのまま収束して撃ちだせばルイズだけで勝てる?

リロイだったらアンドバリの指輪で操られている兵士は
迷う事無く倒すだろうし
ゾンビとして蘇ったウェールズも躊躇い無く倒すだろう

強キャラ禁止した方がいいな
97異界を召喚:2007/10/21(日) 22:04:18 ID:nOjDX12F
トリステイン魔法学院


ここである奇妙な事件が起こった。それは『失踪』である。
ただの失踪ではない、そこにいた使い魔、生徒、教師、給士に料理人やそこにいた者達全てがいなくなった。
それに気づいたのは偶然上空を飛んでいたジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵で、お昼なのに全然人気が無かったため。
降りてみたところ人一人いなかったという。

王宮は直ちに捜索部隊を組織し、学院に向かわせた。
辿りついたときは夜中で明かり一つ付いていなかった。
厨房には火を付けられっぱなしで暖かいシチューがあり、食堂には冷めてしまった昼食がある。
まるでつい1時間前までそこに『人』がいたかのような雰囲気であった。


「くそ…一体どうなっているんだ?」
捜索隊の隊長であるアニエスは舌を打ち、辺りを見回す。学院には明かりもなく、唯一隊員達が持つ松明の火などが明かりであった。
ここにいた連中は何処に行ったのだろうか?集団ヒステリーというものか?
アニエスがそんなことを考えているとワルド子爵が肩を叩いてきた。
「こっちへ来てくれ、地下で生徒が見つかった!」
ワルド子爵の顔は何故か笑っていた。

ワルド子爵と共に数名の部下を連れアニエスは地下に来た。
地下には見つかった生徒の他、2名の魔法衛士隊員がいた。
生徒の髪はピンク色で、顔は俯いているため分からない。
「やぁぼくの…じゃなかったミス・ヴァリエール。一体何があったのだい?」
ワルドが生徒に近づき、肩を叩くと……その生徒が顔をガバッ!っと上げ、ワルドの肩を強く掴んで叫んだ。



「ばらいぞつけたいそいご!!」



その後トリステイン魔法学院で一週間探索が続いたが奇妙な事件が立て続けに起こったため閉鎖。
発見されたルイズ・フランソワーズは精神が崩壊しておりあの時から二年たった今でも家で静養している。
また付近の森を探索中、見たこともない村を見つけたがそこを行く道全てが通行不可能だったため諦めた。
なおこの後に様々な物好き達が学院と謎の人里に行くが5割の内4.9割が行方不明になっている。




アーカイブ『とある平民の通報』

ある平民が学院付近の森を歩いていたら奇妙な生き物を見たという。
なんでもそれは人のような形で頭に二本の角が生えていて。4足歩行をしていたという。
それを見たのは一瞬だっため詳しく確認できなかったものの、あの学院の制服を着ていたという。
調べようにもあの事件から霧が年中掛かるようになっており、下手に近づいたら道に迷いかねない。

アーカイブ『街の噂』

街ではある噂が出てくるようになった。
『あの森に入ったら、ゾンビになって二度と森からでれなくなる。』
このことがきっかけで森に入る人間はゼロに近くなった。
一部の研究家達は丁度あの事件の日が『春の使い魔召喚儀式』であったため。そのときに何かあったのではないかと言っている。
また最近露店ではあの人里付近で見つけた奇妙な骨や置物を売っているらしい。
一度かのワルド子爵がそれを見に行ったが「気味が悪い」と言っていた。

アーカイブ『ミス・ヴァのエールの診察報告書の一部』
正体不明の精神病が継続、また知能の退化が進行。静養を続行されたし。
尚二年経過しても直らなかった場合、精神病院に入院させよ。
98異界を召喚:2007/10/21(日) 22:06:57 ID:nOjDX12F
以上、サイレンからいんふぇるのでした。
反省はしている
99名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:37:17 ID:AJnN0Tgr
宇理炎乙〜っ
100STEALTH & Aegisの代理人:2007/10/21(日) 22:46:37 ID:kqTfnk8+
代理投稿行きます。
101STEALTH & Aegisの代理人:2007/10/21(日) 22:47:03 ID:kqTfnk8+


      STEALTH & Aegis  :1




エディが口を開いて――音声機能をオンにして?――から約30分ほど。

「おお、スッゲエ!戦闘機が喋った!」と少年――サイトが喜色満面興味津々に顔を輝かせ。
少女――ルイズが「さし、しゃしゃしゃ喋った!?もしかして伝説の韻竜!?」と思いっきりテンパりだしたのを冷静に宥めながら。

エディはまず2人に名前を聞いてからルイズに自分達2人、否、1人と1機への状況説明を促した。

ここで普段のルイズなら「貴族の私が教えてあげるんだから感謝しなさい」などと一定以上の権力者特有の傲慢なセリフの1つでも言っていただろう。
しかしあっさり本題から入った辺り、パッと見得体の知れない物体からいきなり話しかけられて、まだ混乱が抜けきっていなかったのかもしれない。



ルイズ曰く、ここの地名はハルケギニア大陸に存在するトリステイン王国の首都トリスタニア、その近郊にあるトリステイン魔法学院。

曰く、ルイズはこの学院の生徒で由緒正しい貴族の三女。

曰く、サイトとエディは『コントラクト・サーヴァント』によって自分の使い魔として召喚された。

曰く、使い魔になった以上死なない限り解放される事はほぼ不可能。




最後の内容にサイトは唖然呆然愕然とショックを顔全体で表してみせたが、異世界から同時に召喚されたもう一方の人工知能はルイズに質問を重ねた。
もし彼が人間だったなら、不思議そうな顔で首を捻ってみせたに違いない。

「その使い魔というものは複数同時に召喚されるものなのですか?」
「分からないわよ、私だって『コントラクト・サーヴァント』をやったのは初めてなんだから。
それに今までいろんな学術書も読んできたけど、1度に複数の使い魔が召喚されたなんて事例何処にも載ってなかったもの!」

つまりこれは、今までまったくありえない筈の事態。
かつて盗聴した己の指揮官と生みの親である科学者の会話の時の2人の気持ちが、エディは理解できた気がした。

<<ありえない、こんな事はありえないんだ!!>>

エディのセンサー球体――彼の脳とも言うべき存在、いや彼の脳そのものは高速でこれから先の行動を想定しては即座に判断する作業を開始する。
102STEALTH & Aegisの代理人:2007/10/21(日) 22:47:16 ID:kqTfnk8+


・・・周辺に友軍基地の確認は不能。無人空中給油ステーションも同様。秘匿回線・一般回線両方での連絡も先刻から不能。
地理データもGPSも何もかも、表示されるのは『No Data』の羅列のみ。
唯一まともな情報収集の役目を果たしている機体内蔵の各種センサーにも限界がある。


結局の所、エディ自身は結論はとっくに出していた。

目の前の少女の話し声からはほとんどウソの兆候は発見されなかった上、センサーはある物をしっかりと認識してみせていたのだから。
己の自由意思を持つ人工頭脳であったからこそ、単純に結論を出せなかっただけ。


(月が『2つ』・・・ですか)


現在は晴天。
だがそれでも、エディの高性能センサーは地球上には1つしかない筈の月を『2つ』、確かに確認していた。
最初も自己診断プログラムで確認したがあえて言おう。彼の収集したデータに改ざんされた形跡は何処にもない。

ある意味機械よりも遥かに複雑な機構を持つ人間であるサイトよりも、ここがいったい何処なのかハッキリ認識できたのは機械であるエディの方が先となった。




(ここは、私やギャノン大尉達が存在していたのとは違う、異世界)





「ああもう、とにかく学院に戻るから付いてらっしゃい!」

思考中断。
ルイズが遠くに見える建物の方へとズカズカ歩き出した。日もそろそろ地平線への向こうへと沈み始めている。
サイトも思わず慌てて後を追おうとしたが、「ん?」とふと足を止めて。

「そういや他の奴らって空飛んでってなかったか?お前も飛ばないの?」

ルイズの血圧の急激な上昇を探知―――へまをやらかしましたね、サイト。

「と、飛べないのよ私は・・・『フライ』も『レビテーション』も・・・・・・」
「はあ?何だよそ「それでは、私に乗るのはいかがですか?」

無駄な騒動を省く為、サイトの声よりも大きな音量でエディが言葉を被せる。

「「へ?」」と同じタイミングで不思議そうにエディを見た2人の前で、センサー球体が収められたスペースへの部分が、下へと口を開けた。

アラスカの格納庫でギャノン大尉と共に脱出を試みた際、ギャノン大尉が乗り込んだ時と、ほとんど同じ様に。



「歩くよりは『少々』速く学院やらへと辿り着くかと思いますが、いかがです?」
103STEALTH & Aegisの代理人:2007/10/21(日) 22:48:12 ID:kqTfnk8+


トリステイン魔法学院の物干し場で、1人のメイドの少女が何十枚ものシーツ――なにせ貴族の生徒達だけで300人近く居る――を取り込んでいた。

彼女の名はシエスタ、魔法学院で働く16歳の少女である。

日も暮れ始めた夕方、朝に洗濯を終えて干していたシーツを取り込んでいた彼女はふと、夕焼け空の向こうに何かを捉えてシーツを取り込む手を止めた。

草原の広がる田舎育ちゆえか、視力はかなり良い。
だからこそ赤く染まりだした空にぽつんと浮かんだ動く黒点を捉える事ができた。
点はどんどん大きくなって近づいてくる。
竜か何かと思ったが、飛ぶ為に翼をバサバサ動かしている様子はまったく無い。
近づいてくる物体のすぐ後ろで、一瞬だけ何かが瞬いた。

刹那


・・・ィィィィイイイイイインッ!!!


爆音、疾風、振動。

物体が学院の建物を掠める様に、竜の何倍ものスピードで通り過ぎた瞬間。
籠に取り込んでおいた分やまだ干したままのシーツが全て、中庭などに植えられてある木々の木の葉と共に空へと高く舞い上がった。

余談だが、シエスタの為に言っておこう。
突風が吹き抜けた際にスカートも思いっきりまくれ上がったのだが、それは誰にも見られてなかったのは幸いだった。

シエスタはまだ気づかなかったが、先ほど『何か」が通り過ぎた際の衝撃波で学院の窓ガラスの幾つかはヒビが入っている。
飛行の余波だけでそれだけの衝撃波を生み出せるだけの高速飛行が可能な生物は、少なくともトリステイン中どころかハルケギニアには存在しない。
だから、少なくない人物は建物のすぐそばを通り過ぎたものの正体を見て驚愕していた。

飛来した物体は、建物を1度旋回してから中庭へと降り立つ。
何事かと中庭に集まってきた生徒達の何人かは飛来した物体を新種の竜か何かと勘繰ったが、すぐに否定する事となった。


その物体・・・『ゼロ』のルイズが召喚した謎の鉄の塊は。

鳥や竜のように安定保持の為に羽ばたく事無く、垂直に地面へと着地してみせたのだから。


羽ばたく事無く高速で飛ぶ鉄の鳥、その嘴に似た部分が口を開けた。
自然と生徒達を包む緊張。彼方此方に開いた穴から噴出している風に土埃が舞って、ハッキリとした姿は見えない。
それでも止みつつある轟音の中に紛れて聞こえた足音に、緊張の度合いが1ランク上がる。

104STEALTH & Aegisの代理人:2007/10/21(日) 22:48:31 ID:kqTfnk8+

そして砂埃が晴れて―――思わずその場に居た全員、脱力する事になる。



「うにゃああぁぁ、空がクルクル回ってる〜〜〜〜・・・」
「だ、大丈夫かよルイズ?ってか、あれぐらいで目ぇ回すのかよ?普通の飛行機と変わんねーぐらいじゃん、さっきの」
「2人とも専門の訓練を受けていないようなので少々押さえ気味に飛ばしてみましたが、おそらくこの世界ではあの程度で飛ぶ乗り物が存在していないので慣れていなかったのが原因と推測します」
「お母しゃま〜、これ以上飛ばすのは止めひぇくらはい〜・・・」



どうやら、ルイズのトラウマを掘り起こしたらしい。

ちなみにサイトは今ルイズを横抱きに、つまりお姫様抱っこで抱えている。
どこからか、うっとりと憧れる様な溜息が聞こえた気が、した。






その後医務室に運ばれて正気に返ったルイズが、生徒達の目の前でサイトにお姫様抱っこをされて運ばれたことを仇敵の少女に冷やかされ。

そして八つ当たり気味に、サイトがルイズの失敗魔法によって吹き飛ばされるのは。

本来よりも少々早いが、まあ良いという事にしよう。

105STEALTH & Aegisの代理人:2007/10/21(日) 22:49:32 ID:kqTfnk8+



661 名前:STEALTH & Aegis 投稿日:2007/10/21(日) 17:34:20 [ XGsXBk3k ]
つーわけで、また駄文となってしまいましたけど今回はこれで以上っす。
速攻でまとめの方にアップされててビックリしましたけど、小ネタじゃなくて実は長編です。
やってくれた人ゴメンナサイ。そして代理投稿やってくれる方、よろしくお願いします。


===============

これにて代理投稿終了です。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:51:55 ID:ndjDUxb4
乙ッス!


・・・ジェット戦闘機用の燃料って、錬金で作れるのかな?
107名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:52:35 ID:FNSUE2xh
機動戦死モット伯に敬礼!!


>異界
>サイレン
静岡かと思った
4文字しか合ってない(w
108名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:55:17 ID:RYvsS66+
ステルスの人乙!
実は長編にならないかなーって、思ってたからめちゃ嬉しいぜ!
109名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:58:28 ID:5KPAJaxF
乙。
なんか語り部的な文調ですなw
戦闘機系はサイト大勝利っぽくなりそうで期待ッス
110名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:00:20 ID:ndjDUxb4
コッパゲにエディの解析は出来・・・るわきゃねーかw
111名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:00:27 ID:RYvsS66+
>>106
零戦と同じじゃないの?
112名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:04:37 ID:5KPAJaxF
ベイダー卿SSでは
卿の指示の下、コルベールとギーシュ、マルコメを酷使して製造してたね
113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:05:51 ID:RYvsS66+
>>110
さすがに現代最高技術の物は無理だろう。オーバーテクノロジーすぎる。そもそも感情が生まれたのも偶然なわけで。
114名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:06:07 ID:VZ/i+VE+
>>111
精密に調整された軽油に近いのを使ってる。
零戦とかレシプロ機なら程度悪い出来のものでもガソリンぶち込めば一応動くんだけど、そこまで精密にミスタ・コルベールが錬金出来るか否かだな
115名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:06:27 ID:OOyVUoVF
>>111
ゼロ戦はガソリン
ジェット燃料は灯油とほぼ一緒のはず
116名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:06:56 ID:9trvoxDx
ジェット燃料はガソリンよりも灯油に近いと聞いた事がある。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:09:19 ID:/YSNHQU0
コルベールは電子計算機や人工知能の概念を理解できるか否か
118名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:12:29 ID:ndjDUxb4
そういや確かエディの中には、地球の全音楽がダウンロード(無断使用)されてるハズだよな。

119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:15:38 ID:FNSUE2xh
E.D.Iのエンジンはツインハイブリッドスクラムジェットターボで
燃料は触媒作用を及ばすA-1メタンだそうだ
120名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:16:24 ID:5KPAJaxF
>>111
配合調整されたケロシン。
ジェットエンジンはガソリンエンジンよりも、燃料の燃焼性に関しては
厳しくない。でも運用場所は極低温なので、氷結点などに影響する燃料中
の水分含有量に厳しい。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:17:40 ID:OOyVUoVF
>>118
サイトが頻繁にエディの中に逃避しそうだ。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:18:36 ID:ndjDUxb4
<燃料は触媒作用を及ばすA-1メタンだそうだ

なんかわからんが凄そうだというのはわかったwww
さすがラプターを代表とする第五世代戦闘機を凌駕する戦闘機だ。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:19:08 ID:mkfFJ9nP
>>118
JASRACが召喚されてしまうぜ
124STEALTH & Aegisの代理人:2007/10/21(日) 23:19:11 ID:kqTfnk8+
>>117
ぶっちゃけ、ハルケギニアの方が人工知能には親しいんじゃね?
デルフみたいに、器物に知能を持たせるのは特に秘術でもないんだし。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:21:59 ID:5KPAJaxF
>>119
劇中では無人空中給油機から燃料の補給を受けてたが、もうあの世界ではメタンが
ジェット燃料のスタンダートなのかねw
126名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:32:07 ID:6bWqfWAR
>>123
時空を超越してまで取り立てに来る著作権管理団体……
某タイムパトロールやら某時空管理局真っ青だなw
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:33:59 ID:ndjDUxb4
エディ『アメリカ海軍、もしくはヴァリエール家にツケといてください。』
128名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:34:31 ID:m22R1/yB
小ネタをちょっと書いたんだけど投下してもいいですか(´・ω・`)
129名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:35:27 ID:zanbl8Vt
そして天も次元も突破してあらゆる世界に広まるカスラックの汚名w
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:35:33 ID:FNSUE2xh
メタンは天然ガスの主成分だから埋蔵量も多いし環境にやさしいんだぜ

液化天然ガス自動車も日本だけで3万台くらい走ってる
131名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:36:50 ID:kq4GhvM+
>>125
錬金は対象の構成物質を知らないと無理っぽいし自ずと飛べなくなるな
132名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:40:15 ID:5KPAJaxF
>>128
カモーn
133名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:42:38 ID:m22R1/yB
投下します〜
134ゼロウシャナ日記:2007/10/21(日) 23:44:21 ID:m22R1/yB
4月10日

今日、何とか使い魔を召喚する事が出来た。何十回も詠唱したから当然フラフラになったんだけど不思議と成功したらそんな疲れも吹き飛んだわ。と言うか、かなり嬉しいかった。
召喚で出てきた奴は服と言うより青い布を纏ってフワフワ浮いてるちょっと変な亜人だった。名前を聞いたら「ヴィロウシャナ」だって、変な名前。
変な奴だけど亜人で空飛べるくらいだから結構実力もあると思う。ただ、こいつが物凄く偉そうな点だけが無性に腹立たしい。コントラクト・サーヴァントの時なんか「戯れに使い魔になりましょう」とか言うし。
コイツどんだけ上から目線なのよ!!今日はもう眠いから、明日からみっちり使い魔として教育してやるんだから!!

ヴィロウシャナをコルベール先生がディテクトマジックで調べようとしたら吹っ飛んで気絶したのは気にしない事にしよう。
135ゼロウシャナ日記:2007/10/21(日) 23:45:36 ID:m22R1/yB

4月11日

朝、擦り寄ってきたキュルケがヴィロウシャナに吹っ飛ばされた。
朝食の時、ヴィロウシャナの姿と名前を聞いたメイドのシエスタが土下座みたいな事してた。
昼食の時、ギーシュがヴィロウシャナと些細な事で決闘する事になったけど出したゴーレムが一瞬ですべて消え去った。

結論 け、結構実力者みたいね

後、ギーシュがヴィロウシャナから懇々と何かお説教を受けていたけど気にしない事にしよう。
136名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:45:57 ID:1mgtJqS/
支援
137ゼロウシャナ日記:2007/10/21(日) 23:47:07 ID:m22R1/yB


あ、使い魔の教育忘れてた。


4月12日

ギーシュとモンモランシーが別れる事になったらしい。二股かけたギーシュにモンモランシーが愛想尽かしたのかと思ったけどギーシュがヴィロウシャナの説教で改心して「仏門」ってのに入るのが原因らしい。
そんな事より、せっかくご主人様が何か武器でも買ってあげようと言ってるのに要らないってどういうことよ!?食事抜こうとしたらシエスタがヴィロウシャナにせっせと食事(供物とか言ってた)出してるし。


コルベール先生がやっと起きてきたと思ったら血相変えて私にあの後の事聞いてきた。ちゃんと説明したらその場でまた気絶しちゃった。

138名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:47:55 ID:1mgtJqS/
支援
139ゼロウシャナ日記:2007/10/21(日) 23:48:21 ID:m22R1/yB

4月21日

「土くれのフーケ」が昨日学院の宝物庫から破壊の杖盗んだんで討伐に志願してみた。ヴィロウシャナが居れば余裕だよね〜。
ミス・ロングビルの案内で馬車に乗って現地に行ったらでっかいゴーレム出たけど、ヴィロウシャナがあっさり消しちゃった。まさか、ミス・ロングビルが土くれのフーケとはね〜。
そして、恒例のお説教。その間、散歩して持って来たお弁当でランチを取ってワインを一本空けてお昼寝して… いいリフレッシュになったわよね〜。
ヴィロウシャナから起こされてミス・ロングビルの馬車に乗って学院まで帰ったんだけど、ミス・ロングビルが「ありがたや、ありがたや」ってずっと呟いてて正直怖かった。
学院に着いてフーケと破壊の杖をオールド・オスマンに渡したらシュバリエ申請してくれるらしい。うほっ、なんていい学院長。


なんか、コルベール先生がシエスタを補佐に改修工事に入ったせいで舞踏会中止らしい。何作るのかしら…

140名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:49:31 ID:1mgtJqS/
支援
141名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:49:33 ID:aasbSwV2
即改宗支援
142ゼロウシャナ日記:2007/10/21(日) 23:51:03 ID:m22R1/yB


5月14日

先週改修工事が終わったんだけど… 何作ってるのかしらと思ったらヴィロウシャナの「お堂」を作ってたんですって、何よそれ。どうりで最近そばに居ないと思ったらいつもそこに居るらしい。
なんで、あたしが毎日使い魔のヴィロウシャナに会いに行かなきゃならないのよ!!
夜になってアンリエッタ様が私に会いに来てくださった。最初は嬉しかったんだけど… 芝居がかった台詞で「アルビオンに行って手紙を取って来て欲しい」と言われた。
まぁ、ヴィロウシャナが居れば楽勝だけどね。でも、ここにヴィロウシャナが居なくて良かったわ。アンリエッタ様がお説教されてしまうもの…
そんな事を考えながらふと後ろを振り返るとヴィロウシャナがフワフワ浮いていた。

「いつから居たの? そう、最初から居たのね。まさか、お説教…? ですよね〜〜〜」

とりあえず、明日出発なのでこれ書いたら寝ることにするわ。寝る前にアンリエッタ様を励ましておこう。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:52:54 ID:1mgtJqS/
支援
144名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:52:55 ID:m22R1/yB
とりあえずここまでで投下終了です
ご支援ありがとうございました〜
145名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:54:06 ID:m22R1/yB
sage忘れ失礼しました
146名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:55:04 ID:2Dj+h4K7
大日如来自重しるwww
147名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:57:24 ID:KQZwOPjk
これから『仮面ライダー ブレイド』とのクロス投下してもおkですか?
148名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:57:44 ID:0AM0yWJg
まさか如来様まで召喚するとは
149名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:59:10 ID:Rr0G8EVu
あ、ビルシャナの事かか!
やっとわかったwww
150名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:01:32 ID:thzIiWM1
ギーシュとフーケはスキンヘッドですかw
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:03:22 ID:4TDi+sZw
乙!

ラノベ板で丁度、マジレンジャーの話題が出たので小津家召喚希望。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:06:11 ID:mUkcmCHB
>>147
オンドゥルルラギッタンディスカー!!
153名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:06:13 ID:O9yY0S2X
>>147
おkおk どんと来い!
154名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:06:49 ID:rQlWLU6u
ヴィローシャナ:毘盧遮那如来、大日如来。もと太陽神としてのアスラ王の名前であり、密教における究極の仏陀(法身仏)。
 あらゆる物を遍く照らす仏であり、奈良の大仏や曼荼羅の中央尊として知られる。
 メガテンでは、ルートによっては真・IIではボスとして登場する。力、知力、魔力の全てが全体的に高く、
 万能系の最強魔法や蘇生魔法まで使いこなす頼もしい魔神。真・ifでは、仲魔にするには相当の根気が必要。背後霊にもなる。
 真・Tのカオスルートラスボス、アスラおうの正体ともいわれる。強いってレベルじゃねーぞ。

真・II(仲魔)  LV69 HP791 MP450
 マハラギオン、メギドラオン、デカジャ、サマリカーム、風神撃

真・II(BOSS) LV70 HP2946 MP1568
 アギラオ、メギドラオン、ディアラマ、冥界破、風神撃、菩薩掌、天罰

真・if LV81 HP990 MP651
 マハラギダイン、メギドラオン、マハジオダイン、デカジャ、サマリカーム
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:07:14 ID:APVjLX4C
それじゃ、投下します。オンドゥル語登場は少し後になるかもしれません。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:07:18 ID:kqo93mAE
仮面ライダーブレイドとのクロス………

ワルド裏切り時に例のあの言葉が………
157名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:08:41 ID:cuVo9stO
支援
158名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:08:52 ID:GRqaZIoT
赤さん召喚でルイズに何吐かせるか思い浮かばないんだ
コルベールは『お前の履歴、赤土のババァに報せといたぜ!』とか
タバサに『従姉妹にお前のペットの説明してやったぞ!』、
食堂にコッソリ戻るギーシュに『香水?届けたぜ、ケティと一緒にモンモランシーにな!』
なんてやりたいのに
159名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:10:49 ID:gc119myA
「ワヅドザァン、オンドゥルルラギッタンディスカー!?」支援!
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:11:25 ID:sw5IKiB+
ゲンザキはオンドゥル星の第八王子だから貴族だよな?
支援
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:11:46 ID:GRqaZIoT
ごめんよスーパーヒーロータイム!
162ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:12:37 ID:APVjLX4C
 
 剣崎一真が目を開けたとき、目の前にいたのは桃色がかったブロンドの髪をもち、黒いマントをつけたかわいらしい少女だった。
 「・・・・・なんだ?」
 おかしい。
 つい先ほどまでは、奪われた始のカードを取り返すためにキングと戦っていたはずだ。キングにライトニングスラッシュを叩き込もうとした瞬間、突然現れた謎の鏡に必殺技の勢いで突っ込んでしまった。
対象を別の場所に瞬間移動させる。これもキングの特殊能力なのだろうか?
 どちらにしろ、この目の前の少女は未知のアンデットの可能性が高い。もしかしたらカテゴリー10と同様に、キングと手を組んだ上級アンデットかもしれない。ならば瞬間移動能力はこの少女・・・いや、アンデットの能力なのだろうか。
と、考えを巡らせていると
 「あんた誰よ」
 ピンク髪の少女が話しかけてきた。その態度は偉そうで、アンデットっぽいこともないかもしれない。
 「俺は剣崎・・・ブレイドだ。お前は・・・カテゴリークイーンか?」
 アンデットが答えてくれるとは思っていない。
 今まで、人になれたのは上級アンデットだけで、その中でも女に変身したのはカテゴリーQだけのはずだ。
 少女の強気そうな瞳からはこころなしか女王のオーラが出ている気がする。自分のような人間を奴隷や犬と同じように扱うオーラだ。
 うん、間違いない。こいつはまだ封印されてない未知のカテゴリーQだろう。
 「剣崎ブレイド?どこの平民?」
 平民?聞きなれない単語だ。それに俺たち仮面ライダーのことを知らないアンデットなどいるのか。
 もしかすると、一般人かもしれない。
 「いや、俺は剣崎一真って名前で、ブレイドってのは・・・」
 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
 今まで混乱していたせいで、この少女以外眼中になかったが、周囲には黒いマントをつけた魔法使いのような少年少女が大勢いる。
 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
 「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」
 「さすがはゼロのルイズだ!」
 誰かが笑うと、人垣もどっと笑った。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:14:18 ID:sGb3q7Ye
>>158
赤さんはダメだw外道過ぎる

支援
164ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:14:45 ID:APVjLX4C
 「ミスタ・コルベール!」
 ルイズと呼ばれた少女は数秒間、剣崎を睨みつけてから近くにいた中年の男性に詰めかかった。
 「なんだね。ミス・ヴァリエール」
 「あの!もう一回召喚させてください!」 
 ルイズが何のことを話しているのかはさっぱり理解できないが、とにかく普通ならありえないものは見つけた。中年男性の格好だ。大きな杖を持ち、真っ黒なローブに身を包んでいる。ほんとうに魔法使いみたいだ。
 「それはだめだ。ミス・ヴァリエール」
 「どうしてですか!」
 「決まりだよ。二年生に進級する際、君たちは『使い魔』を召喚する。今、やっているとおりだ」
 使い魔?アンデットの新種だろうか。
 「それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない、何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。好むと好まざるにかかわらず、彼を使い魔にするしかない」
 「でも!平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」
 ルイズがそう言うと、再び周りがどっと笑う。
 なんだか、俺忘れられている気がする。空しい。空しいので、とりあえずブレイバックルがあるか確認した。うん、大丈夫だ。ラウズアブソーバーもちゃんとある。
 「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。彼はただの平民かもしれないが、ルールをやぶる訳にはいかない。さあ、儀式を続けなさい」
 「・・・彼と?」
 「そうだ。君が何度も失敗してやっと呼び出した使い魔じゃないか。次の授業に支障が出ても困る。いいから早く契約したまえ」
 諦めたようにルイズがこちらへ近寄ってくる。
 なにをする気だ。いきなりグサッというのだけは勘弁願いたいが。
 とりあえず、構えだけは取る。ブレイバックルもすぐ取り出せるポジションに。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:15:00 ID:cuVo9stO
支援
166ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:16:40 ID:APVjLX4C
 
 とうとう目の前までやってきたルイズは、じろりと剣崎を見上げた。
 「な、なんだよ」
 やや強張った声で答える。
 「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。それと、しゃがみなさい」
 とりあえず、少女の目の高さまでしゃがんだ。すると、ルイズは手に持った小さな杖を剣崎の目の前で振った。
 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
 呪文なのだろうか。何を言っているのかいまいち理解できないが。
 「お、おい。何を」
 小さな杖が額にそっと置かれ、ルイズの唇が迫ってくる。
 「いいからじっとしてなさい」
 怒ったような声で、ルイズは言う。そんな間にもますます二人の距離は縮んで行く。
 「ちょ・・っ、オイ、まずいって!」
 剣崎は振りほどこうと必死に足掻く。
 「ああもう!じっとしてなさいって言ったじゃない!」
 そんな抵抗も空しく、ルイズの唇が、剣崎の唇に触れた。
 ほんの一瞬の出来事に、剣崎は呆けていた。
 「終わりました」
 ルイズは顔を真っ赤しにしている。
 「熱っ・・・なんだ・・・ッ、これ」
 ルイズを見ているような場合じゃない。なんだ、この感じは。アンデットの攻撃とか、そういう感覚じゃなくて。もっと別の・・・。熱っ!
 「すぐ終わるわよ。待ってなさいよ。『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ」
 「ルーン・・?なんだそれ」
 あれ・・・心なしか、体が熱くない。さっきまでと同じように、至って健康だ。
 「どうなってるんだ」
 「ふむ・・」
 いつのまに寄ってきたのだろうか。さっきのコルベールという人がいる。
 「珍しいルーンだな」
 「・・・そ、そうなんですか」
  ルーンってなんだ。それに俺はこんなことしている場合じゃない。キングを追いかけなきゃならない。
 「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」
 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
 「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
167名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:17:37 ID:wwekLI5H
コルッパゲ「だが、私は謝らない」toアニエス
支援
168ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:19:52 ID:APVjLX4C

 「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」
 コルベールが宙に浮くと、目の前のルイズ以外が一斉に宙に浮き、そして城の様な場所へと飛んでいってしまった。
 「・・・・・・・・・まぁ、いいか」
 よくない。よくないのだが、まぁいい。まぁ、いいのだ。今、日本では始が苦しんでいるはずだ。すぐ帰らなくてはならない。そして、始のカードを持つキングを倒さなくては。
 「あの、俺、そろそろ帰るから」
 あちゃ・・・バイクもないな。空港はどこだろう。いや、電話を探すべきか。広瀬さんか虎太郎、橘さんに連絡が取れれば助けにきてくれるか、帰るための飛行機代くらいはくれるはずだ。ここはどう見ても外国だからな。
 「あんた、どこ行くつもりよ」
 「え?」
 ルイズが後ろから声をかけてきた。なんだ。俺を見送ってくれるのか。
 「何って、帰るんだよ」
 「あんたは私の使い魔なんだから。勝手にどこかに行けると思ってるの?」
 「俺は遊んでるわけじゃないんだ・・・人の命がかかってるんだ」
 「うるさいわね。私だって遊びでやってるわけじゃないわよ!」
 負けじとルイズも言い返してきた。
 「とにかく、俺は日本に帰るからな」
 「ニホン?それ、どこの田舎よ」
 「日本だよ。知らないのか?」
 この少女は日本語を知ってて、日本を知らないのか。
 「いいから、あんたも行くわよ」
 「どこへ?」
 「トリステイン魔法学院に決まってるでしょ」
 決まってない。
 ここは映画のロケでもやっている場所なのだろうか。だとしたら、早く監督ほか関係者らに事情を話して帰してもらおう。
 「わたしは二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。今日からあんたのご主人様よ。覚えておきなさい!」
ここまで自信満々に嘘を言えるだろうか。それに魔法。さっきの空中浮遊を思い出すと、あながち嘘のようにも思えなかった。
 「・・・まさか、ここって」
 嫌な予感がする。召喚、と言っていた。
 「ここって、別の世界・・・なのか」
 それなら魔法があってもおかしくない。
 「・・・何、ボケッとしてるのか知らないけど早く私たちも行くわよ」
 「あ、ああ」
 これからどうなるんだ。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:21:16 ID:sGb3q7Ye
オンドゥルがいなくなったら元の世界はどうなるんだろうか。
物語の描写を見て不安になるぜ支援
170ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:21:24 ID:APVjLX4C

 

 「どうやらブレイドも何がなんだか分かってないようだね」
 両手に指輪を嵌め、ピアスをした金髪の少年・キングはトリステイン魔法学院の屋根上から少女に引っ張られて行くブレイドの姿を携帯で撮っていた。
 「まぁ、僕もなんだかさっぱりだけどね。せいぜいこの世界、面白くしてやるよ」
 ポケットから数枚のカードを取り出し、それを楽しそうに眺める。
 「見てなよ、ブレイド」
 まるでこれから新しい玩具を与えられた子供のように。
 ただ無邪気に。純粋に。


 剣崎は夜になってからルイズの部屋で話をしていた。
 ルイズはテーブルを挟んで向かい側に座っている。手には夜食のパンを持ち、自分が話した内容をまとめていた。
 「つまりあなたは別の世界から来て、しかもそこではアンデットっていう不死のモンスターを倒してたっていうの?」
 「まぁ、そんなとこだな」
 一般の人にアンデットのことを話すのはまずいが、流石に別世界に迷い込んではある程度ばらしても罰は当たらないだろう。重要な部分はある程度伏せてあるが。
 「信じられないわね・・・それが本当なら、どうやって不死身の怪物を倒してたのよ。不死身なんだから矛盾してるじゃない」
 「だからそれは、ライダーシステムっていうので・・・」
 「もういいわよ。あんたの作り話はもう十分。それにしてもよく考えたものね。平民にしては」
 キッとルイズは目尻を吊り上げた。
 「・・・そういえば、使い魔とか平民って結局なんだ?」
 「あんたはメイジじゃないなら平民でしょ」
 「明治・・・?」
 なんのことだろう。時代か?
 「メイジも知らないなんて・・・あんたまさか本当に・・・?」
 「だから言っただろ。分かったんなら、早速俺をもとの場所に返してくれ」
 「無理」
 「どうして?俺は仲間を助けなきゃいけないんだよ」
 「だって、あんたはわたしの使い魔として、契約しちゃったのよ。あんたがどこの田舎モノだろうが、別の世界とやらから来た人間だろうが、一回使い魔として契約したからには、もう動かせない」
171ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:22:26 ID:APVjLX4C
 
 「・・・・・なんだよ、それ」
 剣崎はがっくりとうなだれた。
 始はジョーカーに戻りかけている。それを助けるにはキングからハートのラウズカードを取り返す必要があるのだ。こんなところでもとの世界へ帰るのを諦めている場合ではない。
 「・・・わたしだって、出来たら嫌よ。あんたみたいな平民の使い魔」
 「だったら・・・帰してくれ!仲間が危ないんだよ!」
 「ほんとに、別の世界から来たっていうの?」
 困ったように、ルイズが言った。
 「ああ」
 「なんか証拠を見せてよ」
 「証拠って・・・」
 魔法の世界になさそうなもの。
 そういえば、こちらの世界はなにやら中世風な雰囲気がある。ならば人類科学の集大成を見せればいいのではないだろうか。
 剣崎はポケットから携帯電話を取り出した。
 「なにこれ?」
 「携帯電話って言って、遠くに離れた人と会話できるんだ」
 「うそ!そんなこと出来るわけないじゃない・・・もし、本当ならやってみなさいよ」
 「いや、それは」
 さすがに便利な携帯でも異世界では役立たずなのではないだろうか。というか、電話機器を持っている人がいるのだろうか。
 仮に電話を所持する人がいても、電話番号が分からないのだからかけようもない。
 「ちょっと待ってろよ」
 とりあえず虎太郎に掛けてみるが、案の定、つながらなかった。
 「ほら、見なさい。やっぱり嘘じゃないの!」
 「で、でもこんなモノこっちの世界にあるのかよ!!」
 「それは・・・ないけど」
 調子こいてたルイズがいきなり大人しくなったのを好機とみた剣崎は、ルイズの肩を掴んでその瞳を覗き込んだ。
 「な!だからいいだろ。多少、無茶でも帰してくれよ。お礼はするから」
 「無理よ」
 「なんでだよ」
 「だって、あんたの世界と、こっちの世界を繋ぐ魔法なんてないもの」
 「じゃあ、なんで俺はこっちの世界に来れたんだ」
 「あのね、ほんとのほんとに、そんな魔法はないのよ。大体、別の世界なんて聞いたことがないもの」
172ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:23:37 ID:APVjLX4C
 「そんな無責任な・・・」
 ほんとうにどうしたらいいんだ。
 「召喚の魔法、つまり『サモン・サーヴァント』は、ハルケギニアの生き物を呼び出すのよ。普通は動物や幻獣なんだけどね。人間が召喚されるなんて初めて見たわ」
 「その『サモン・サーヴァント』で戻すことはできないのか?」
 ルイズは少しのあいだ悩むように顔をそらしたが、すぐ剣崎のほうへ向き直った。
 「・・・無理よ。『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけ。使い魔を元に戻す呪文なんて存在しないのよ」
 万策つきたか。
 ルイズは嘘をつくようには思えない。本当に方法が思いつかないのだろう。
 「・・・・・仕方ない。とりあえず、君の使い魔をすることにするよ」
 「不満なようね、この使い魔は」
 そんなことは。
 そんなことは、ないともいえないが仕方ない。この世界には様々な人がいるだろう。なにか帰るための手がかりを見つけられるかもしれないのだ。それなら、最初から知り合いの伝手のあるルイズに頼るに越したことはない。
 「で、使い魔ってなにするんだ」
 「使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
 「へぇ」
 そいつは便利だ。
 「でもあんたじゃ無理みたい。何にも見えないもん!」
 「それは悪いな」
 「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」
 「秘薬か・・・藻とか?」
 「・・・モ?」
 確か以前橘さんがなんとか藻につかってた。欠点もあったが。あれは秘薬なのだろうか。
 「秘薬っていうのは特定の魔法を使うときに使用する触媒のことよ。ま・・でも秘薬自体をなんなのか理解してないあんたじゃ無理でしょうね」
 ルイズは失望したように睨んできた。悪かったな。役立たずで。
 「それで、これが一番重要なんだけど・・・使い魔は主人を守る存在であるのよ!その能力で主人を敵から守るのが一番の役目!でも、あんたじゃ無理ね・・・」
 ルイズは剣崎の二の腕をペチペチ叩くと、哀れみの視線で呟いた。
 「あんたろくな鍛え方もしてなさそうだし。平民だから期待してないけど・・・だから、あんたにもできそうなことをやらせてあげる。洗濯。掃除。その他雑用」
 「・・・仕方ない」
 正直、これからの生活が不安だ。
173ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:25:10 ID:APVjLX4C
 「さてと、しゃべったら、眠くなっちゃった」
 ルイズはあくびをした。それにつられて剣崎もあくびをする。
 今日は色々なことが起こりすぎた。別の世界に呼び出されたり。いきなりルイズという少女に散々言われたり。踏んだり蹴ったりの一日だ。
 「俺も・・疲れた」
 よっこらせと立ち上がり、ベッドに入ろうとした。そのとき
 「誰がそこに寝ていいって言ったのよ!!!」
 「ウェーイ!!!」
 ルイズは思いっきり剣崎の腹を殴った。それが、いわゆるみぞおちに命中し、剣崎はその場に崩れ落ちる。なんだか、この世界に来てから弱くなったような・・・。
 「あんたは床よ!床!床で寝るのよ!ああまったく、なんて図々しい使い魔なのかしらね!?」
 キーキー喚きつつルイズは服を脱ぎ始める。
 「お、おい!何してんだよ!」
 「寝るから、着替えるのよ」
 まだ怒りが収まらないのか、顔を赤くしたままのルイズはあっという間に下着姿になっていた。うん。少なくとも恥じらいのせいではないな。
 「そういうのは男に見せるもんじゃないぞ」
 「は?男?笑わせないでよ。どこにいるのよそんなの。私の正面にいるのはたかが使い魔よ?なんで使い魔に見られてなにか特別な感情を持たなきゃいけないのよ」
 「・・・・・・・・それは、そうかもしれないけど」
 こういうのはなんだか悔しい。だが、反抗しようものならさらなる言葉責めが続くと思い、止めることにした。もう無駄なダメージは受けたくないのだ。
 「じゃあ、これ、明日になったら洗濯しといて」
 ばさっばさっと目の前にキャミソールやらパンティやらがふってくる。
 「・・・・・・あの」
 「口答えは許さないから。あんたは私の使い魔でしょ?洗濯、掃除、雑用、当然じゃないの」
 これはなんだろう。ゆとり教育の産物・・・とは違うな。
 いや、きっとこの子も自分と同じようにつらい境遇なんだ。きっとそうだ。
 でないとこんなわがまま女王みたいな性格にはならない。ん?これよりはソフトだけど、それなりに厳しい感じの人がいたな。
 「そうそう、広瀬さんだ」
 「うるさいわよ!」
 顔に枕がボフッと命中し、剣崎はそれをルイズに返してから眠りについた。


174名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:25:12 ID:qgHx4anP
小津家の末っ子召喚ならば、
最終回以降の方が良いでしょうね。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:25:19 ID:YQ1HgMiP
シュルケストナー藻支援
176名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:26:30 ID:cuVo9stO
支援
177ゼロの(オンドゥル)使い魔 :2007/10/22(月) 00:28:05 ID:APVjLX4C
ここまでで投下終了です。支援、ありがとうございました
178名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:29:11 ID:dNsEhr5o
乙ですた〜
179名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:33:37 ID:sw5IKiB+
ジカイモガイデグデナイドォ、オデノガダダバボドボドダァ!
乙です。クウガ、555、カブトの人も待っております。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:34:21 ID:FNP7RiSx
ヴェ!?ボントニケンダキガショウガンザレダッダンディズカ!!!?
続きを期待しちゃう乙
181名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:35:53 ID:+nhXHhDC
毎度のことだが、仮面ライダーに変身してみせるって選択肢は無いのかよ〜
182名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:37:48 ID:SzjEQBKG
そもそも仮面ライダーであることをベラベラ喋っていいもんなのか
どうなのか
183名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:40:26 ID:DAUinMQL
乙でした。
キングまで来てるし、始がどうなるかもwktk
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:40:54 ID:tACLZSqo
>>158
ま さ に 外 道 !
185名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:50:51 ID:mUkcmCHB
ヴァッシュとかガンマンが来たら弾の補充とかどうすんだろうね?
186名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:51:04 ID:bGqGj4rH
>>158
>赤さん
エレキングの?
187名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:51:33 ID:Zf4LuB0Q
ちびっ子たちに変身をせがまれた1号ライダーの有り難いお言葉を…

「仮面ライダーには、1日1回しか変身出来ないんだ」
188名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:52:50 ID:YQ1HgMiP
ブレイド乙! これからの展開にさらに期待!
189名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:55:02 ID:VGTDy98l
クウガ辺りは普通に変身して見せそうだよな
なんせ変身自体を二千番目の技扱い

そして五代役オダギリジョーさんは子供に「変身して」と言われ
「許可が無いと変身できない」
みたいな番組的にもそんなに無理のない言い訳ひねりだして逃げたとかなんとか。
190名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:57:54 ID:OL+8zvcF
>>182
ブレイド世界だと、履歴書に「職業:仮面ライダー」って書けるんだよこれがw
安いけど一応給料出てたし。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:58:09 ID:vXB/IsCe
変身ヒーローかぁ

誰か『使い魔でドッコイ』書いてくれないかなw
192名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:04:22 ID:FP5rDy5m
映画の中でな
とさわやかに答えたアクション仮面
193名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:10:55 ID:hUaoq85v
ウルトラマンコスモスだったかティガだったか…の中の人は
「変身アイテムを持ってきてないんだ」と答えて「怪獣が出てきたらどうするの!」
と、突っ込み返されてしまった、という話があったな。
194名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:14:06 ID:zzQrhAzZ
>>191
いや待て、むしろルイズがドッコイダーになるべきだろ
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:15:48 ID:VGTDy98l
そういや変身にアイテムとかが必要な奴らって「よし変身だ!ヤベーアイテム忘れた!」とかないのかな
奪い合いなんかが普通でたまに手元になかったりするファイズ除く
196名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:16:40 ID:b+Js6J6p
>>195
ウルトラマンセブンがスプーンを間違えて持ってくるってのはあったな
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:22:10 ID:hUaoq85v
>>196
それはウルトラマンだw。
カレー食ってる最中に怪獣が出現、慌てて外に出て変身しようとしたら間違えてスプーンを掲げていたという。
そのあと忌々しげにスプーンを投げ捨ててあらためてベータカプセルで変身、という一連の流れが妙にコミカルだった
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:22:34 ID:Ohn3Da32
>>194
で、キュルケがネルロイドガールになるのか。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:24:25 ID:D6uH/jGm
>>197
しかもよく見るとスプーンはしっかり老いてきているはずなのに何故か持ってきている
200虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:27:47 ID:f8Cy2wUN
話の続きが完成したのですが、予約がなければ鳴り響いて(投下して)もいいかな?
201名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:29:18 ID:Tx4kmHAS
変身アイテムロスト系でちょっと変則的なのは、シャンゼリオンにおけるある意味伝説の台詞
「サバじゃねぇ!」だよなぁ
202名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:29:21 ID:aMrRVehM
鳴り響け!僕のメロス!
203虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:30:19 ID:f8Cy2wUN
無いようなので投下させてもらいますねー。

鳴り響け!俺のメロス!
204虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:32:21 ID:f8Cy2wUN
◇4:命を惜しむな、名を惜しめ《上》◇

―ラ・ロシェールの森と言う場所がある。
山間にある、同名の街に程近い鬱蒼とした森は、訪れる者に神秘性を感じさせる。
また、同時に昼でも光の刺す量が少ない為、全てを覆い隠す秘匿性を孕む場所でもあった。
そんな場所を、若き男女が逢引きの地に選ぶのは当然の帰結と言えた。要は格好のデートスポットなのである。
そこにまた一組、馬に乗ってやってきた男女が、足を踏み入れていた。
だが、その2人は少し普通のカップルとは様子が違っていた。

「そんな事、出来るわけないじゃないか!」

相手の少女に向かって激しく言い立てる少年。
金髪の巻き毛に、胸の開いたフリル付きのシャツ。気障な雰囲気を漂わせ、1輪の薔薇をシャツのポケットに挿していた。
そんな彼を見た少女は可愛らしい顔を綻ばせ、栗色の髪を揺らしながらクスクスと哂った。
それは、とても嗜虐的で無邪気な笑みだった。

―どうして?ドットとは言え、メイジである貴方には簡単ではありませんの。
「そう言う問題じゃない!彼女は使い魔とはいえ、平民だ!人間なんだぞ!」
―だから?
「だから、って……」

心底不思議そうな少女に絶句し、呆然とするしかない少年。
だが、彼女の反応も当然だと思い返す。何故なら、彼女は―

―大丈夫ですわ。貴方は責められませんもの。コレは不幸な事故。そう処理されますわ。いえ、“そうとしか”処理されませんわよ。
「違う。そうじゃない、そうじゃないんだ……分かって居るのか?君は僕に……彼女を……」

苦しげに、搾り出すように、コレから成さねばならぬ事を言う少年。

「僕には……無理だ……っ」

だが、少女はそんな彼の訴えを一顧だにせず、一方的に話し始める。

―貴方の家は数多くの軍人を輩出している名家で、お父様は元帥ですわよね。
「……っ」

彼女が何を言おうとしているかを悟った少年。息を呑み、歯軋りする。
それは、厳然と其処に存在し続ける、抗い難い現実。

―貴方のお父様は、どうやってその地位にまで上りつめたのでしょうね?
「それは……それはっ……」
―貴方の家の歴史に、終止符を打って差し上げてもいいのですわよ?
「…………………………」

最早何も言えず、ただ苦悶の表情を浮かべるだけの少年。
少女は満足そうに、再び哂う。
クスクス、クスクス、クスクスと―

―貴方なら、きっとやれますわよ。だって、ほら。貴方の家の家訓は『命を惜しむな、名を惜しめ』でしょう?
「そうだ……」
―貴方の家の人間は、家名の為なら命を惜しまない。己の命も……

そして、少女は笑顔をより凄惨な、そして自分の本性を表す異形のモノに変え、言った。

―他人ノ、命モ。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:33:37 ID:FNP7RiSx
しえん
206名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:34:02 ID:hUaoq85v
鳴り響け!君のエロス!支援!
207名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:34:08 ID:gc119myA
支援!


>>191,194,198
そこは、エーデルワイスを読んで釘宮大戦だろ。
ヒヤシンスの下僕はもちろんマリコルヌな!
208名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:34:09 ID:wwekLI5H
>>194
中の人的にはエーデルワイス<ルイズ

>変身アイテム
『使い魔!!俺?』ではきっと、暁が「サバじゃねぇ!」と言ってくれるに違いない。
209虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:34:10 ID:f8Cy2wUN
魔法学院の教室から出た小百合は、まるで大学の講義室の様だと思った。
教壇に立つ先生を取り囲む様に配置されている放射状の座席が、階段の様に後ろへと続く構造。
石造りではあるものの、世界は違えどこう言う所は似通って居るのね、と妙に感心する小百合。
談笑しながら廊下を歩いて行く生徒達が目に入る。ふと、胸の奥がチクリと痛んだ。
―自分もこんな風に勉学に勤しんでいた頃が確かに在った。その筈なのに、それが遥か昔の事の様に思える。
戦争などモニターの向こう側にある物でしか無く、戦いなんて全く知らなかったあの頃。
人並みにささやかな悩みや憂い事はあったものの、満たされていた幸せな毎日。
異形の怪物達に奪われ、今はもう戻らないそんな輝かしい日々はとても遠く、朧だ。
正直、羨ましく思う。
あんな事さえ無ければ、自分も普通に働いて普通に結婚して。
そして普通に子供を作り、普通に老いて普通に死んでいた筈なのに、と。
無論、そんな事をこの世界の人間に言うのはお門違いだと分かってはいるし、戦いに明け暮れた時間が無価値とも思わない。
自分の信念を貫き通していたあの時、心には確かに充実感が在った。
良い教え子に会えた。良い仲間に会えた。それは失われた日々と釣り合うものだと自信を持って言える。
それでも、感傷的になるのを抑えられない自分が居た。こんなに弱かったかしらね、と苦笑い。
一方。隣を歩くルイズは、浮かない顔で肩を落としていた。
歩く調子もとぼとぼと元気が無い。心配になった小百合はルイズに声をかけた。

「どうしたの、ルイズ?……朝の事、まだ怒ってる?」
「違うわよ……っていうかあんただって分かってるでしょ、サユリ。……さっきの授業の事よ」
「授業……ああ、そう言うことね」

力無いルイズの声に、その理由を察した小百合はそれ以上聞くのを止めた。
それは授業中の事。授業の講師をしていた教師のシュヴルーズに、壇上で『錬金』の魔法を実演するようルイズは指名された。
キュルケを含む周囲の生徒は必死になってルイズを止めるか、或いはシュヴルーズへルイズに魔法を唱えるのを止めさせる様に進言した。
だが、頭に血が上ったルイズは意地になって呪文の詠唱を決行した。平民を召喚した事で嘲笑の視線と侮辱の言葉を浴びせられたからだ。
魔法自体は、教卓の上に置かれた石ころを望む金属に変えるという、誰でもごく簡単に出来る基本的なものだった。
にもかかわらず、ルイズはそれに失敗した。魔法をかけた瞬間石ころが爆発したのである。
爆発に驚いた他の生徒の使い魔が暴れだし、阿鼻叫喚の騒ぎになった。
シュヴルーズは気絶し倒れた。医務室に搬送された彼女は、今尚時折ピクピクと痙攣する他は全く動かないらしい。
窓ガラスは割れ椅子は引っくり返り、誰かの使い魔がこれまた誰かの使い魔に飲み込まれた。
とっさに椅子の下に避難して難を逃れていたキュルケの、

「だからアイツにやらせるなって言ったのよ……」

という呟きと、憤懣やるかたなしといった顔が眼に浮かぶ。
ルイズの格好も酷いものだった。再度服と顔は煤で汚れ、ブラウスとシャツが破れ下着が顔を覗かせていた。
2人は今までその後始末に追われていたのだ。
もっとも、失敗にすっかり腐ってしまったルイズがマトモに後片付けをする筈も無く、小百合が殆どの作業を行ったのだが。
全てが終ったのは、太陽が空高く昇った昼過ぎのことだった。

「そういうことよ。……どうせサユリも私の事馬鹿にしてるくせに」

拗ねた目を上目遣いにして、小百合を睨めつけるルイズ。瞳が潤んでいた。
この子結構泣き虫な所があるのね、と思いつつ小百合は思いがけない言葉に首を傾げた。

「馬鹿にする?何が?」
「とぼけないでよ!サユリだって解ったでしょう!私のあだ名の由来が!“ゼロ”の由来が!」

足を止め、喚き散らすルイズ。何事かと注目する他人の目などお構い無しだ。
小百合は思いだす。ルイズが『錬金』の魔法に失敗した後、そのとばっちりを受けた生徒から非難の嵐に遭った事を。
―なんて事してくれたんだ、ゼロのルイズ。
―何時だって、魔法の成功率ゼロのくせに。
言い方に差異在れど、その内容はほぼ共通していた。
210虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:36:02 ID:f8Cy2wUN
「何時まで立っても魔法が1つも使えない!幾らやっても爆発ばかり!ゼロゼロゼロ!ゼロのルイズ!メイジとして生きる価値の無い落ち

こぼれなのよ!アンタだって心の中で哂ってるんじゃないの!?哂ってるんでしょ!?哂いなさいよっ!」

小百合の胸をぼふぼふと叩きながら喚き続け、次第に尻すぼみになっていった。
目に涙をいっぱいに溜め、それでも自分の矜持がその涙を懸命に押し留めている。
ルイズの心は折れかけている。蔑まれ嘲笑われる事に慣れている彼女でも、今回の失敗は相当堪えたようだった。

「―哂う?ルイズはそうされたいの?」
「んなっ……そんなわけないでしょ!」
「なら、しないわ。私はルイズの使い魔だもの。主人の望まない事をするわけないわ」
「……朝とか酷い事された気がするんだけど」

ウィンクしながら言う小百合に、ジト目になるルイズ。

「あれは貴方が悪いんでしょう?」
「むぅ……」
「それに、私は一所懸命に頑張っている人を蔑むような、下種な趣味は持ち合わせてないもの」
「べ、別に頑張ってなんかっ」

照れ臭そうにそっぽを向く。その姿が小百合には可愛らしく感じる。
同時に、褒められる事が少ないのだろうなとも思う。ルイズは憐れまれる事を望んでいないと解りつつも。

「そう?なら―」

小百合はルイズの顔を両手で掴み、半ば強引に自分の方を向かせ顔を近づけた。
なにするのよ、と抗議するルイズに小百合は言葉を続ける。

「目、こんなに充血してる。うっすらと隈の痕も。……どれだけ夜遅くまで勉強していたの?」
「……コレくらい普通よ。大したことじゃないわ」

ルイズの弱々しい反論を無視して今度はルイズの手を取り目の前にもって行く。

「指だって、ほら。杖を持つ所にマメが潰れた痕がある。……何回魔法の練習で杖を振ったら、こうなるのかしらね?」
「…………………………」

ついに沈黙するルイズ。気恥ずかしさに頬を紅く染め、あーとかうーと唸るばかり。
何処の世界においても、人間図星を突かれれば黙るしかないのは同じだ。

「こんなに頑張りやさんなルイズを、馬鹿にできるわけないわ」
「……どーだか」
「ルイズ」

懐疑的なルイズの肩を、小百合は両手で掴んだ。
何処までも何処までも真剣な声と顔で、小百合はルイズを諭す。

「貴方は、価値の無い人間なんかじゃない。他の誰もが貴方を蔑んでも、私だけはそれを否定するわ」
「サユリ……」
「どんな魔法を唱えても爆発『してしまう』んじゃない。どんな魔法を唱えても爆発『させる事が出来る』のよ」
「……言い方を変えただけじゃない」

ルイズの反論にそれは違うと首を横に振る。
211虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:37:52 ID:f8Cy2wUN
「大丈夫……貴方は何も出来ない訳じゃない。きっと、自分の出来る事に気が付いていないだけ。何が出来るのか、わかっていないだけ」

言うと、小百合は微笑んだ。とても柔かく、優しい笑顔だった。
そして、再びルイズに告げる。

「―貴方は、ゼロなんかじゃないわ」
「………っ」

小百合の言葉に、ルイズは驚いた様に眼を見開き。慌てた様に小百合の手を振り払い、彼女に背を向けた。
その肩は、小さく震えていた。
微かに聞こえるふえぇ、という弱々しい声。ひっく、としゃくり上げる音。

「……ルイズ?」
「ちょっと待って。今……少しだけ酷い顔してるから。顔、絶対見ちゃダメ」
「もし見ちゃったら?」
「鞭で百叩き、いや千叩きなんだから」

鼻声気味のルイズ。鼻をすすり上げる音が聞こえた直後に、眼の当たりをごしごしと拭う。

(顔見なくても、それじゃ泣いてるってバレバレじゃないの)

苦笑する小百合。きっと、本人は懸命に泣き声を押し殺しているつもりなのだろう。
―でも。その涙は自分の言葉だけで流されたモノではない。多分、それはきっかけに過ぎない。そう小百合は思う。
昨日出会ったばかりの人間の心を、言葉1つで動かせると思う程、彼女は青くない。
今まで堪えて、心に溜め込んで。
表面張力ギリギリまで注がれたコップの水の様になっていたそれに、小百合の言葉と言う一滴の雫が垂らされた。
ただ、それだけの事だ。
そんな所に、小百合は初めてルイズの『弱さ』を。
それでも泣くのを悟られまいと、毅然と自分に接しようとする態度に彼女の『強さ』を垣間見たような、そんな気がした。
暫くして落ち着いたのか、小百合に背を向けたままルイズが問いかける。

「ねえ。サユリ。……本当に、そう思う?なら、私に何が出来ると思う?」
「残念だけど、分からないわ。それは貴方が自分で考えて、自分で見つけ出さなくてはいけないの」

頭を振って、小百合。当たり障りの無い事を言う事は出来た。だが、小百合はそれをしなかった。
この小さな頑張りやさんの真摯な問いに対して、真っ直ぐ向かい合いたかったから。
適当な事を言って誤魔化すなんて逃げる様な真似は、問いに込められた純粋な思いを、踏みにじってしまう事になるから。
最も。こうして慰める事自体、欺瞞なのかもしれない。
そう思うと、まるで白紙にインクを垂らす様に、心に黒い“何か”がじわじわと広がっていくのを感じ、不快感を覚える小百合だった。
だが小百合は言葉を続ける。彼女の為に。

「少なくとも、そればかりは他の誰でもない、貴方が成さねばならないことなのよ、ルイズ」
「……そうよね。あーあ、なんてことかしら。私、使い魔如きに慰められちゃったわ」

芝居がかった、わざとらしい言い方。天を仰ぐのは、これ以上涙が零れない様にする為か。
その声からは涙の痕が消え、晴れ晴れとした爽快さが伝わってくる。

「生意気言ってごめんなさいね。私、使い魔失格かしら?」
「ま、特別に百歩譲ってギリギリ合格にしておいてあげるわ。慈悲深いご主人様に感謝する事ね」
「有難くて涙がでてきちゃうわね。……貴方みたいに」
「な泣いてない!泣いてないから!」
「なら、こっちを向いてくれてもいいんじゃないかしら?」
「うるさい!ご主人様に口答えするんじゃないの!」
「はいはい。……そろそろ昼食の時間か。私はちょっと用事があるから、先に1人で食堂にいっててね」
「え?……ちょっとサユリ?」

そう言うと、小百合はスタスタと何処へ歩き去ってしまった。
止めようにも振り向く事が出来ないルイズにはそれもままならず、そのまま行かせるしかなかった。
212虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:41:16 ID:f8Cy2wUN
―気を遣わせちゃったかな。
少し申し訳無くなり、同時に嬉しく思う。あの使い魔は、存外悪くない。平民だって、いいじゃないかと思える。
なにか特別な事が出来なくても良い。少なくとも、彼女は今自分の心を軽くしてくれた。痛みを和らげてくれた。
他の使い魔においそれと出来る事じゃあない。ならば彼女を召喚した意義は十分にあるだろう。
そんなポジティブな思考を展開しながら、再度涙を拭い、気合をいれるため頬を軽く叩く。強く叩きすぎて、ちょっとだけまだ涙が出た。
その時くぅ、と小さくお腹の鳴る音。気持ちが切り替わったら急にお腹が空いてきた。

「さて、今回くらいは使い魔の言う事を素直に聞いておこうかしら」

食堂へと歩きだすルイズ。今日のメニューは何かしら。美味しいクックベリーパイが食べられればいいな、等と考えながら。
だが、ふと疑問を覚える。小百合の用事とはなんだろう?自分は何か彼女に申し付けた覚えはない。
まあいい。後で聞こう。それ位は教えてくれるだろうし自分にはそれを聞く権利がある。
そんな事を考えながら、ルイズは食堂の入り口をくぐり―

「いらっしゃいませー♪」

―己を出迎えた使い魔の姿にズッコケた。
近年漫画でも見る事が稀な、見事な足ズッコケだった。

「あら大丈夫、ルイズ?」
「……何をしているのかしら、小百合?」

心配そうに顔を覗き込む小百合に対して、よろよろと身を起こしながら、ルイズ。

「見て分からない?」
「全然、ちっとも。全くと言って良いほど皆目見当が付かないわね」

しかめっ面なルイズの反応も仕方の無い事だと言える。
現在の小百合は、召喚された時に来ていたタイトミニのワンピースでも、先程まで来ていたブラウスにスカート姿でもなかった。
エプロンドレスを身に纏い、頭にはカチューシャ。トレードマークのサングラスも服のポケットに収められている。
どこからどう見ても完全無欠のメイド姿だった。

「で、何してんのサユリ?コレが用事?」
「ええ。昼食を御馳走になる代わりにここの手伝いをしているのよ」
「なに御主人である私になんの断りも無くそんな仕事引き受けてるのよ!」
「貴方が私の食事を用意していないからでしょう?」

眉を吊り上げ声を荒げるルイズに小百合は半目で答えた。

「…………………………え?」
「え?じゃないわ。朝食の時だってそう。何も食べる物が無くて困ってた私に、食堂の人が賄い食を分けてくれたのよ」
「うっ……それは……その…………悪かったわよ」
「その時に『良ければ昼食もどうか』って言われたのよ。それでただ御馳走してもらうのもなんだし、こうしてお手伝いしているの」

その理屈は分かる。自分に非がある事も。文句を言う筋合いではないことも理解できた。だけど―

「……私ね、実はさっきちょっと、ちょっとだけよ?感動したワケ」
「そうなの」
「そうなのよ。平民の使い魔もそう捨てたもんじゃないかな、って思ってたのに。それなのに……」
「それなのに?」
「なんで、なんでっ……そんなカッコでメイドの真似事なんかやってるのよ……返して、私の感動を返して!」
「そんなこと言われてもねえ」

ぶんぶんと両手を振り回しながら、ルイズ。困り顔の小百合。そんな彼女の姿を見たメイドの1人が小走りで此方に向かって来た。
長めのボブカットにした黒髪。ソバカスと黒く大きな瞳が可愛らしい。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:42:02 ID:QHcLk96k
支援
214名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:44:59 ID:hUaoq85v
でもルイズ、ソレは君の自業自得なのではないかね支援
215虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:45:06 ID:f8Cy2wUN
「どうしたんですか、サユリさん」
「あら、シエスタ。―紹介するわ、ルイズ。この学園で働いているメイドのシエスタ」
「ああ、そう言えば顔を見かけた事がたびたびあるわね。どうもごきげんよう。ウチの使い魔が世話になったみたいね」
「ミ、ミス・ヴァリエール!そそんな滅相も在りません!」

緊張でカチコチに固まるシエスタ。所在なさげに首からさげたペンダントの様な物を片手で弄る。
それは円錐状の何かを紐で括って固定した物だった。色は白く、円錐で言う底面の部分はでこぼことしていた。それはまるで―
角の、様だった。

「えっと……シエスタ、だっけ。それは何?」
「コレですか?これは、その……大切な、物なんです。珍しい動物の角で、宝物で」

何故か慌てた様子で答えるシエスタにふぅん、と興味なさげに鼻を鳴らした。

「サユリ、今回の事はまあ私にも悪い所が無いではないし、特別に手伝いに行く事を許可してあげるわ」
「そう、解ったわ。それじゃルイズ、また後でね」
「そうですね。それでは、あの。ミス・ヴァリエール、貴方の大事な使い魔、お借りします!」
「べ、別に大事じゃないわよ!」

ぺこりと頭を下げ、来た時の様に小走りで去るシエスタの背中に向かってルイズは叫んだ。一方小百合は一足先に仕事に戻っていた。

「ちょっと食器が足りないんだけど!」
「はいはい今いくわね!」
「おーい、皿を下げてくれ。邪魔でしょうがないんだ」
「OK!」
「鳥のローストがなくなっちゃった。早くおかわり持ってきて!」
「少し時間がかかるから暫く他の料理で我慢して!」
「そろそろデザートが欲しいんだけど」
「今別のメイドが持ってくるから待ってて!」
「メイドさんパンツ何色?ハァハァ」
「はいてないわ!」
「ののしって下さい!」
「このブタ野郎!」

見事な手際の小百合。颯爽としたその身のこなしは熟練者のそれだった。

「ちょっとサユリ!ぱんつ位履きなさい!」
「え?私もたまに履かないわよ?」

と、ルイズのツッコミにしれっと答えるキュルケ。

「俺も!」
「私も!」
「僕も!」
「あたしも!」
「俺っちも!」
「あちしも!」
「おいどんも!」
「ウチも!」
「ワタクシも!」
「自分も!」
「うそ!?私が少数派!?」

キュルケの言葉に続々と同意する他の生徒。驚きを隠せないルイズ。

「と言うか最後のマリコルヌの要求には誰も突っ込まないのか……?」

そんな誰かの呟きに耳を貸すものは居なかった。
216虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:47:20 ID:f8Cy2wUN
忙しさもピークを過ぎ、仕事も少なくなった小百合はシエスタの作業を手伝っていた。
小百合がトレイを持ち、シエスタがトレイの上のケーキを1つずつ生徒達に配っていく。
生徒達の中に、談笑する少年のグループが在った。中心に居る金髪の少年を囲む様に何人かの少年が集まっている。

「なあ、ギーシュ!今はだれと付き合っているんだよ?」
「誰が恋人なんだ?教えろよ」

口々に金髪の少年をからかう周りの生徒。どうやら彼の名はギーシュと言うらしかった。
だが彼は落ち着かない様子でしきりに座り方を変え、せわしなく首を動かしキョロキョロと辺りを見渡すばかりだ。

「おい、ギーシュ?」
「え?……あ、ああなんだい?」
「ちゃんと聞けよギーシュ。お前が今誰と付き合って居るのかって話だよ」
「付き合う?……僕にそのような特定の女性はいないよ。薔薇は誰か1人の物じゃない。多くの人を魅せる為に咲き誇るのだからね」

呆れ顔の友人に、すっと唇の前に指をたてながら気障に答えるギーシュ。
微かにその指が震えていたのに気付く者は、誰も居なかった。

(男の子の話ってのはどうにも下世話な内容が多いわね)

小百合は苦笑し。彼らの傍を通り過ぎようとした瞬間だった。
彼女の姿を確認したギーシュがぎこちない動きで身じろぎし、ポケットから硝子で出来た小瓶を小百合の目の前に落とした。
中に紫色の液体が入ったそれを、小百合は拾い上げギーシュに声をかけた。

「はい。貴方のポケットからこんなものが落ちたわよ?」

ギーシュは振り向かない。仕方なく小百合は彼の目の前、テーブルの上に小瓶を置いた。

「落とし物よ、色男君」

ギーシュは、苦々しげに―本当に苦々しげにそれを見つめ。小百合の方を振り向いた。

「……こ、これは僕の物じゃないんだ。君の勘違いじゃないのかな?」

どこか白々しい口調で小百合に告げるギーシュ。
すると、小瓶を目ざとく見つけた周りの友人達が口々に騒ぎ立てる。

「お、それは確かモンモランシーの香水だろ?」
「確かにそうだ!その鮮やかな紫色からして、モンモランシーが自分の為にしか調合しない筈の香水と見て間違い無い!」
「それがギーシュのポケットから出たって事はつまり、お前は今モンモランシーと付き合っている、そうだな!?」
「違う。彼女の名誉の為言って置くがコレは……」

ギーシュが説明しようとしたその時。ギーシュの席に向かって茶色のマントの少女が歩いてきた。
栗色の髪をした、可愛らしい少女だった。
少女はギーシュの前に立つと、ボロボロと涙を流し始める。

「ギーシュ様……やはりミス・モンモランシーと……」
「違う、それは誤解なんだ!僕の心を魅了して止まないのは君だけさ、ケティ!」
「貴方のポケットからその香水が出てきた事が何よりの証拠―」
「あ、ちょっと待って」
「「?」」

ヒステリックなケティの言葉を遮ったのは、トレイを持っていない方の手をちょこんと挙げた小百合だった。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:47:52 ID:L8suB2HN
支援
218虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:49:42 ID:f8Cy2wUN
「それ、貴方のポケットから落ちた様に見えたけど、やっぱり見間違いだったみたい。御免なさい」
「「え゛!?」」

2人の驚きの顔。特にギーシュは後々生徒の間で語り草に成る程、凄絶な驚愕の表情を浮かべていた。
修羅場の空気を感じ取った小百合は、この伊達男が懲らしめられるよりも、その場が丸く治まり誰も傷つかない事を重要視したのだ。
空気の読める女、音無 小百合はギーシュの耳に囁きかける。

「後は貴方がうまくフォローしなさい。コレに懲りたら浮気なんて2度としないことね」

だが、立場上安堵の表情を浮かべるはずのギーシュは、何故か困惑顔だった。
どうしたら良いのか分からないといった表情で、何故かケティの方を見るギーシュ。
対するケティはどの様な表情を浮かべていたのだろうか。何故か観念したかの様にギーシュは肩を落とし一瞬項垂れた後、顔を上げた。

「いや、確かにそれは僕のポケットから出たようだな。あ、あはは君は何を言っているのかな?」

先程と完璧に矛盾している台詞に、小百合のみならず周りの友人達も胡乱な瞳で彼を見る。
ギーシュはそんな小百合たちには構わずケティに向き直った。

「ケティ、確かにこの香水はモンモランシーから貰ったものだが彼女とは何も―」
「言い訳なんて聞きたくありませんわ!さようなら!」

ケティはギーシュの頬をひっぱたくと、ギーシュに何かを囁き、歩き去っていった。
それを聞いたギーシュは、辛そうに顔を顰めた。それを見た周囲の人間は、振られた事を悔しがってるのだと後に解釈した。

「ギーシュ!貴方やっぱりあの1年生と……!」

怒声をギーシュに浴びせツカツカとギーシュの席まで来たのは、細身のすらりとした長身の少女。見事な金色の縦ロールが特徴的だった。

「モンモランシー。話を聞いてくれ。彼女とはただラ・ロシェールの森へ遠乗りしただけなんだ」
「うそつき!」

モンモランシーはギーシュの弁解に耳を貸さず、ワインの瓶を掴みギーシュの頭にかけた。
瓶の中身が空になったのを確認すると、踵を返し肩を怒らせ早足で食堂を出て行った。

「は、はは。どうやらあの子達は薔薇の存在の意味を理解していないようだ」

ハンカチで顔を拭きながら芝居がかった口調で、ギーシュ。
ギーシュは椅子を回転させ足を組み直し、呆然としている小百合に向かって、口を開いた。

「きき君が軽率に香水の瓶を拾い上げた所為でだね、レディ達の名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「いや、私は貴方が何を言ってるのか分からないんだけど……」

困惑する小百合。周りの生徒も呆れ顔だ。先程から彼の台詞は内容が矛盾していて支離滅裂だ。その上、何処か棒読み口調。

「黙りたまえ!そんな彼女達の名誉を護れなかった僕の誇りも傷ついたんだ!決闘だ!もう決闘しかない!」

棒読み口調のまま、早口でまくし立てるギーシュ。

「ヴェストリの広場で待っている。ケーキを配り終えたら来たまえ」

言うだけ言うと、呆気に取られた小百合を押しのけ、その場を後にしようとするギーシュ。小百合とすれ違う瞬間、彼は何事か呟いた。

「―――い」
「え?ギーシュ、今―」

小百合が問うた時は、既にギーシュは足早に食堂の門を潜る所だった。
慌ててギーシュの後を友人達は追っていった。
219虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:51:38 ID:f8Cy2wUN
「一体何だって言うの……?って、シエスタ?」

見ると、一部始終を見ていたシエスタが、ガタガタと震えながら小百合を見つめていた。

「ああ、そんな……貴族と決闘なんて、殺されてしまうわ……」

顔面を蒼白にして、恐れ戦くシエスタ。そのまま逃げる様に走って行ってしまった。
魔法を使うって言っていたけれど、そんなに凄いのかしらと考えていると、小百合の元へルイズが駆け寄ってきた。

「どうするのよ、小百合!」
「……寧ろそれは私が訊きたいんだけど」
「……それもそうね。ギーシュったら今日は普段に輪をかけて変な事言ってたもの。……それより!」
「なに、ルイズ?」
「さっきの事についてはもうサユリを責めるつもりはないし悪く無いと思う。でも、それでも謝っちゃいなさい。それが一番よ」
「謝罪の言葉を聞くようだったらこの状況はないと思うんだけど」
「……そうよね。どうしようかしら……」

思案するルイズに、小百合は心配ないわよ、と笑いかける。

「言ったでしょ、腕には自信があるって」
「私の失敗魔法を防いだあの妙な力なの事?だったらダメじゃない、ミスタ・コルベールに止められてるでしょ」
「あ。そう言えばそうだったわね」
「そうだったわね、じゃなーい!」

ポン、と思いだしたように手を叩く小百合にルイズは口を尖らせた。

「でもどうしてあの人は私がメロスの戦士である事を隠す様に言ったのかしらね」
「大方先住魔法と他の人が勘違いしてパニックにならないようにじゃない?ってだから今はそんな事は話してる場合じゃないの!」
「まあ、今は先に考えるべき事があるわね」
「そうよ。……拙いわ、メイジに平民は絶対勝てないのに……」
「それでも、大丈夫。どの道私は戦いに行くつもりはないから。ただ話し合いをするだけよ」
「そうなの?」
「ええ。訊きたい事があるの」
「訊きたい事?」

鸚鵡返しに問いかけるルイズに小百合は眉根を寄せ、真剣な表情でルイズに説明する。

「彼が私に決闘を挑んだのは、何か理由がある。しかもかなりのっぴきならない事情が」
「それが解れば戦いが避けられるかも知れないって事?」
「希望的観測だけどね。でも、彼に何か事情があるのは本当よ」
「なんで、そんな事を言い切れるのよ、サユリ?」

訝しげな顔のルイズに、小百合はこう答えた。

「あの子、私とすれ違う瞬間にね」
「……?」
「すまない、って言っていたのよ」
220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:52:20 ID:G8GljuDC
せっかくのフォローが・・・支援
221名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:52:52 ID:Tx4kmHAS
和月野ブヒ郎自重支援
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 01:53:28 ID:hUaoq85v
ケティのほうが黒いのですかもしかして支援
223虚無<ゼロ>の旋律:2007/10/22(月) 01:54:29 ID:f8Cy2wUN
以上です。
小百合があそこまで給仕の仕事をそつなくこなせるのは、戦士になる前食堂の娘だったと言う公式の設定からです。

ついでに言っておくと、ぱんつを履いていないのも公式設定です。詳しくは単行本3巻巻末参照。

リアル事情で次回の投下は暫く後になりそうです。では。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:07:40 ID:wwekLI5H
>旋律氏
乙&GJ!

タルブにアイバーマシン&ケティが「ビバ!モンスターユニオン!!」フラグキター?
225名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:16:10 ID:/zkIx/HX
>>158
「お前、いい乳してるじゃないか!
 あれだろ、洗濯とか得意だろ!」
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:22:44 ID:1Ta/YLr0
旋律さんGJです!
ハルケギニアにもモンスターが!
これはかかなりwktkしてきたw
男爵とかロキとか死んだ奴が出てくる展開も期待してしまうw
227名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:35:53 ID:gCf6BPky
……俺、明日仮免取れたらB.B.Bとのクロス を書こうと思うんだ
228名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:38:59 ID:q8bV4DCQ
コタロウも一緒に来ないとジロウが発狂しそうだが
229名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:41:26 ID:O8DeB0Lc
>>227
俺本免の試験中に車の方向指示器ぶっ壊れて
手信号やったよ。
いい車に当たるように祈ってるよ。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:44:51 ID:f8Cy2wUN
>>228

ジロウとは限らないんじゃね?

ケインとかカーサとか転化したてのサユカとか死にかけのゼルマンとか大穴でミミコとか。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 02:51:27 ID:iTOfe14l
ジロウ「あぁ、びっくりした。僕は富竹。フリーのカメラマンさ。
     このハルケギニアには初めて来たんだ」

それはそれとしてルイズ、マチルダ、シエスタ、シュヴルーズでソウルシスター結成。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 03:31:43 ID:RyljSveX
>>227
血を吸われて喘ぐルイズ

いいじゃないか
233名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 03:32:55 ID:76TZiLeM
「えの素」の郷介召喚
そのハルケギニアの基準を超越した巨根はシエスタを虜にするが
郷介は鞭打たれても小水を浴びせられてもルイズを追いかける

日比クンは召喚されてもルイズの色仕掛けに動じないが
カリンを見た途端「ロ〜ルミ〜〜〜!!」
234名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 03:42:27 ID:76TZiLeM
前スレの最強召喚獣「ガチャピン」に比肩するであろう唯一の怪物「田村さん」を召喚
ルイズは地球のテクノロジーが詰まったあらゆるグッズで虐められる

「ルイズさん、あなたの希望を述べなさい」

スイッチON

「…わ…わたひは…使い魔タムラと協力ひて…はぅっ!…国家と姫さまのためになるメイジとして…はぁん…」

スイッチOFF

「…本当のことを言わないとブルブルしてあげないよ…」
「…い…言いまふぅ…田村さんの…チ…チンポ…田村さんのチンポ!…ナメナメ希望でしゅぅ…ひゃぁん!」

クライマックスはテファのオッパイを強奪した田村さんとアルビオン軍との争奪戦
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 03:49:33 ID:g3V2DsY2
ガチャピンに比肩しうるってならミスタージャパニーズサラリーマン
小須田義一を召喚するしかない。

というか召喚されるまでもなくハルケギニアへ左遷されて引っ越してくる
236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 04:29:12 ID:9Z1X3Jkx
>>185
コッパゲ先生が居るじゃないか!

237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:00:15 ID:A7UgqtK7
だれか島耕作をやらんかねぇ。
ルイズやキュルケなどの小娘は愚か、カリンさんやエレ姉さまみたいな熟女も喰いまくりで
平民の使い魔から段々と出世して行くサクセスストーリー
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:12:47 ID:8HR9XOeE
なんだこの流れw
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:22:15 ID:3e72fKfR
おっぱいな流れ
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:35:45 ID:sxAQrBZG
学院のメイジ及び騎士団総出で、その語るもおぞましき醜悪極まりない怪物が退治されたのは夜も更けた頃であった。
小山ほどもある巨大な怪物から放たれる腐敗臭は、それだけで人を発狂させ死に至らしめかねないほどに強烈で、近づく事も困難だった。
被害の拡大を防ぐ為、まず風下に引き付け、遠距離からトライアングル及びスクウェアクラスの火のメイジにより徹底的に焼却処分された。
その後、土のメイジ達で灰となった怪物の死骸を地中深くに還し、水と風のメイジ達により悪臭と汚された空気を完全に浄化する事で、
この、あまりのおぞましさに正史からも抹消された事件は、事後処理を除けば一応の解決を見たのだった。

その怪物が件の儀式により喚び出された事は疑いようがなかった。
悪臭によって死亡した斥候の情報によれば、儀式の場に生徒及び監督教師の存在は確認されておらず、
状況から見ても生存者の存在は絶望的であるとも、誰もが認めざるを得なかった。
――だが、不可解なのは儀式の場に大量に散らばっていた、『おびただしい種類の毒素に冒された蛙』の死骸であった。

その蛙も程なく有害物質として残らず処分された。
誰も蛙の数を数えようとしなかったのは、誰もが無意識のうちに、『その蛙が何なのか』を悟っていたからなのかもしれない。

学院創立以来続かれてきた神聖な儀式は、その年を最後に、トリステイン王国における最悪の禁忌として封印された。



終わり



======
10作目の奴のタチの悪さは異常だと思う。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:57:44 ID:GROqOUJB
何この……何?
242名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 08:05:01 ID:KwpFN2yz
モルボルか
GJ
243名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 08:07:18 ID:t8qcgXqi
なるほど。
リアルに考えるとホラー一直線だねえ。怖い怖い。
244サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:47:08 ID:FHAdnmow
予約無ければ投下
245サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:50:20 ID:FHAdnmow
その晩、トリステイン魔法学院は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
なんせ、秘宝の『破壊の杖』が盗まれたのである。それも、巨大なゴーレムが白昼堂々、塔の外壁を叩き壊すという荒技で。
外壁の厚さは優に50サントはある。ちょっとやそっとの衝撃で壊れる代物では無かったはずだった。
宝物庫には、学院中の教師が集まり、壁に空いた大きな穴を見て、口をあんぐりと開けていた。
壁に刻まれたフーケの犯行声明を見て、口々に勝手な事を喚いている。

「まさか、この魔法学院が賊に襲われるとはのう」オールド・オスマンが重い口を開いた。
「申し訳ありません。私の責任です」日中の見回りをしていたコルベールが頭を垂れる。
「いやいやいや、まさか外からあんな形で襲ってくるとは誰も予想しとらんかったからの。責任をお主一人に押し付けるのはちと筋違いじゃ」

日中の見回りは、主に宝物庫の扉を中心とした「室内」に対し行われる。壁の外までは、警戒対象に含まれていなかった。
夜間であれば、外にある詰所に当直の教師が待機する事になっているのだが、よりによってメイジがひしめくこの魔法学院に好き好んで進入する賊などいる筈が無い、という驕りから、真面目に当直をする教師はいなかった。
オスマン氏は壁に開いた穴を見つめた。

「このとおり、賊は大胆にも白昼堂々忍び込み、『破壊の杖』を奪っていきおった。つまり、我々は油断していたのじゃ。
 責任があるとするなら、我ら全員にあるといわねばなるまい。…で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」
「この4人です」コルベールがさっと進み出て、自分の後ろに控えていた4人を指差した。

ルイズにキュルケにタバサ、そしてギーシュである。悟空もいるが、使い魔なので数に入っていない。

「ふむ…君たちか。詳しく説明したまえ」

ルイズが進み出て、見たままを述べた。

「あの、大きなゴーレムが現れて、ここの壁を壊したんです。肩に乗ってた黒いメイジがこの宝物庫の中から何かを……、その『破壊の杖』だと思いますけど……。
 盗み出したあと、またゴーレムの肩に乗りました。ゴーレムは城壁を越えて歩き出して……、最後には崩れて土になっちゃいました」
「それで?」
「後には、土しかありませんでした。肩に乗ってた黒いローブを着たメイジは、影も形もなくなってました」
「ふむ……」

オスマン氏はヒゲを撫でた。
悟空は、この老人を見て(カオは亀仙人のじっちゃんに似てっけど、声は神様ソックリだな)と思っていた。

「後を追おうにも、手がかり無しというわけか……。そういえば、ミス・ロングビルの姿が見えんのう。お前さん、一緒じゃなかったんかい?」
「はあ、今朝方宝物庫の前でお会いしましたが、それからは……」
「宝物庫じゃと?」
「はい。何でも、目録を作っているとかで」
「はて、わしそんな事頼んだっけかな?」

そんな風に噂をしていると、ミス・ロングビルが現れた。

「ミス・ロングビル! 何処に行ってたんですか! 大変ですぞ! 事件ですぞ!」

興奮した調子で、コルベールがまくし立てる。しかし、ミス・ロングビルは落ち着き払った態度で、オスマンに告げた。

「申し訳ありません。調査のため、外出しておりました」
「調査?」
「そうですわ。明るい内の犯行ですから、もしかしたら周辺地域に目撃者がいるかと思いましたの」
「仕事が早いの。ミス・ロングビル」

コルベールが慌てた調子で促した。

「で、結果は?」
「はい。フーケの居所がわかりました」
「な、何ですと!」コルベールが素っ頓狂な声をあげた。
「誰に聞いたんじゃね?」
「近在の農民に聞き込んだところ、夕刻に、近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです。
 恐らく、彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと」
246名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 08:50:57 ID:fU+vFvW9
>>243
タクティクスだと「モルボル菌」とかあるからな……

>>244
ちょっと支援してみっか!
247サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:51:49 ID:FHAdnmow
「黒ずくめのローブ? それはフーケです! 間違いありません!」

オスマン氏は目を鋭くして、ミス・ロングビルに尋ねた。

「そこは近いのかね?」
「はい。徒歩で半日、馬で4時間といったところでしょうか」
「すぐに王室に報告しましょう! 王室衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けてもらわなくては!」コルベールが叫んだ。
「ばかもん、その間に逃げてしまうわい。第一、降りかかる火の粉を己で払えぬようで何が貴族じゃ。
 魔法学院の宝が盗まれた、これは即ち魔法学院の問題じゃ。当然我らで解決する!」

ミス・ロングビルは微笑んだ。まるで、この答えを待っていたかのようだった。
その様子を傍から見ていた悟空は、ある違和感に気付いた。

「なあ、おめえフーケじゃねえのか?」

場の注目が、一斉に悟空に向けられた。

「あ、あんたいきなり何言い出すのよ!?」面食らったルイズが悟空に問う。
「あいつからフーケと同じ気を感じんだ」
「嘘!? だって今、ミス・ロングビルがフーケは男だって……」
「あー、失礼。そのキってのは、一体何だね」興味を引かれたコルベールが悟空に尋ねた。
「気配…っつえばいいのかな、オラもうまく説明できねえんだけど」
「それは一人一人がハッキリ識別できるくらい、違っているのかな?」
「ああ。たまに似てる奴とかはいっけど」

血縁関係にある者は基本的に気が似ている。
また、この世界に来てから悟空は気付いたのだが、同じ系統の魔法を使うメイジも血縁関係とはまた違う共通点があった。
あえて例えるなら、血縁関係の気は匂いが似ていて、系統関係の気は色が似ていると言った感じだ。

「そ、それには例外はないんですか? た…たまたま同じキを持つ人が他にいた、とか……」

いきなり糾弾されたミス・ロングビルが冷や汗を垂らしながら悟空に訊く。
ルイズが、「ほら、あんたが変な事言うから怖がってるじゃない」と悟空を肘で突ついた。

「ん〜……。まあ、あるっちゃあっけどよ……」

つい最近、悟空はその人物と戦ったばかりであった。
元レッドリボン軍の天才的科学者、ドクター・ゲロの作り出した驚異の人造人間・セル。
彼はその細胞に悟空たちの細胞を含んでいるおかげで、彼らの能力を使えるだけでなく、その気も彼らのそれが混じり合ったものになっていた。
故に、同じ気が複数存在するという事は有り得る。
ましてここは、地球に似てはいるものの、悟空にとって異世界だ。同じ気を持つ存在がいてもおかしくは無い。
現に悟空は先日その実例を見たばかりだった。
タバサが炎のメイジと決闘していた時、近くに倒れていた赤毛の少女。
あの少女――その正体はタバサが持ち込んだ人形であった――は、タバサが言うには、複製元の人物と全く同じ能力を持つらしい。
既に死んでいたので気は感じられなかったが、恐らく生きていれば、あの後やってきた少女と気もそっくり同じだったのだろう。
自分が知らないだけで、やはりこの世界には同じ気をもつ人間が存在する手段がいくつかあるのかもしれない。

「……うん。オラが知んねえだけかもな。悪いな、疑っちまって」
「い、いえ……」

自分に疑いがかかる事が余程驚きだったのか、ミス・ロングビルの顔は青褪めていた。
オスマン氏は咳払いをすると、有志を募った。
248サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:53:00 ID:FHAdnmow
「では、捜索隊を編成する。我は戸思うものは、杖を掲げよ」

誰も杖を掲げない。困ったように、顔を見合わすだけだ。

「おらんのか? おや? どうした? フーケを捕まえて、名をあげようと思う貴族はおらんのか!」

その時、一輪の薔薇がかざされた。

「ミスタ・ポケモン!」オスマン氏がその人物の名を呼ぶ。
「グラモンです」
「ああすまん」

ギーシュであった。
次いで、ルイズも杖を掲げた。

「ミス・ヴァリエールまで!」ミセス・シュヴルーズが驚いた声をあげた。
「何をしているのです! あなたがたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて……」
「誰も掲げないじゃないですか」

ルイズの指摘通りだった。教師陣は互いに気まずそうな顔で目配せをするだけであった。

「それに、今回のこの騒動、僕にも責任の一端があります」
「それはどういうことじゃな、ミスタ・グラモン」今度は間違えなかった
「騒動が起こった時、僕はミス・ヴァリエールの使い魔と互いの技量を競い合っていました。その際、勢い余って本塔の外壁に傷をつけてしまったのです。
 奇しくもその位置は、丁度宝物庫の辺りでした」
「何が言いたいんじゃ」
「あの外壁が無傷だったら、もしかしたら今回の盗難事件は起こらなかったかもしれない、という事です」
「それはあくまで仮定じゃな。じゃが、その責任感は認めよう。貴族として何より必要な素質じゃな」
「ありがとうございます」

更に杖を掲げた人物がいた。今度はコルベールが驚いた声をあげる。

「ツェルプストー! 君まで!」
「ふん、ヴァリエールには負けられませんわ」キュルケはつまらなさそうに言った。

キュルケが杖を掲げるのを見て、タバサも掲げた。

「タバサ。あんたはいいのよ。関係ないんだから」

キュルケがそう言うと、タバサは短く「心配」とだけ答えた。悟空とキュルケを一緒にしておくのが、である。
その点を微妙に誤解したキュルケは感動した面持ちでタバサを見つめた。ルイズも礼を告げる。

「ありがとう……タバサ……」

そんな二人の様子を見て、オスマン氏は笑った。

「そうか。では、頼むとしようか」
「オールド・オスマン! わたしは反対です! 生徒たちをそんな危険に晒すわけには!」
「では君が行くかね? ミセス…ええと、シュヴルーズ」
「い、いえ……わたしは体調がすぐれませんので……」
「彼女達は、敵を見ている。その上、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いているが?」

タバサは返事もせずにぼけっと突っ立っている。教師達は驚いたようにタバサを見つめた。キュルケも「本当なの、タバサ?」と驚いている。

「なあ、シュヴァリエって何だ?」悟空がルイズに訊いた。
「王室から与えられる爵位よ。位は低いけど、それでもタバサぐらいの歳のメイジが持てるようなもんじゃないわ」
「へー、凄えんだなあ」
249サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:54:08 ID:FHAdnmow
宝物庫がざわめいた。シュヴァリエは他の爵位と違い、金さえ出せば手に入る類のものではないからである。純粋に業績に対して与えられる、いわば実力の証だ。
次いでオスマン氏はキュルケを見つめた。思わず視線が胸元に吸い寄せられる。

「ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、彼女自信の炎の魔法も、かなり強力と聞いているが?」

胸の谷間から目を離せないオスマン氏の言葉に、キュルケは得意げに髪をかき上げた。
やっとの思いでキュルケの乳から目を逸らしたオスマン氏がギーシュに目を向ける。

「ミスタ・グラモンはあのグラモン元帥の息子じゃったな。貴族としての素質は十分じゃし、その実力もドットメイジながらラインに勝るとも劣らないそうじゃが」
「光栄です」

それから、ルイズが自分の番だとばかりに可愛らしく胸を張った。オスマン氏は困ってしまった。誉めるところが見つからない。
こほん、と咳をすると、オスマン氏は目を逸らした。

「その……ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵家の息女で、その、うむ、なんだ、将来有望なメイジと聞いているが?
 んでー、その使い魔は……、あー、何だ」

悟空を見るが、悟空とギーシュの決闘を見ていない彼には何ともコメントのしようが無い。
唸り始めたオスマン氏に、ギーシュが助け舟を出した。

「オールド・オスマン。彼は戦力として非常に優秀です。僕が保証します」
「私も」タバサも同調する。
「おお、そうかそうか! うむ、なら文句は無いのう」

実力者2人の推薦とあれば、断る理由は無い。オスマン氏は目に見えて安堵した表情を浮かべた。
コルベールが興奮した調子で、後を引き取った。

「そうですぞ、なにせ、彼はガンダむぎゅ」

オスマン氏が慌ててコルベールの口を押さえた。

「ガンダム?」
「いえ! なんでもありません! はい!」

すっかり黙ってしまった教師陣に向かって、オスマン氏は威厳のある声で言った。

「さて、誰かこの4人に勝てるという者がいるのなら、前に一歩出たまえ」

誰もいない。オスマン氏は悟空を含む5人に向き直った。

「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」

ルイズとタバサとキュルケとギーシュは、真顔になって直立すると「杖にかけて!」と同時に唱和した。それから女性陣はスカートの裾をつまみ、恭しく礼をする。ギーシュは右手を胸に当てて一礼した。悟空も見様見真似でギーシュに倣った。

「では、明朝出発としようかの。それまでに馬車を用意しておく。魔法は目的地に着くまで温存したまえ。ミス・ロングビル!」
「はい。オールド・オスマン」
「彼らを手伝ってやってくれ」
「もとよりそのつもりですわ」ミス・ロングビルは頭を下げた。
「うむ。では、本日は解散とする。4人とも明日に備えて充分英気を養っておくように」



翌朝――
5人はミス・ロングビルを案内役に、早速出発した。ミス・ロングビルが御者を買って出た。
黙々と手綱を握る彼女にキュルケがちょっかいを出すのをルイズが諌めた後、悟空に向き直る。
250サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:55:40 ID:FHAdnmow
「ゴクウ、まだフーケのキは感じない?」
「いや、昨日からずっと探ってんだけど、全然感じねえんだ」

前夜ルイズが、悟空に瞬間移動でフーケの所に行き、一気に捕まえる事を提案したのだが、悟空がいくら集中してもフーケの気を捉える事はできなかった。
系統魔法の一発でも使ってくれれば、すぐに見つけられるのだが、その兆候もない。
唯一、ミス・ロングビルからフーケと同じ気を感じるだけであった。

「何だギーシュ、浮かねえ顔だな」
「実を言うと、今になって怖くなってきた……。同じ土系統だからわかるんだ、あの土ゴーレムは僕のワルキューレじゃ歯が立たない」
「大丈夫だ。おめえだって何かの役には立つさ」
「そう、かな……」

馬車は深い森に入っていった。鬱蒼とした森が、女性陣の恐怖を煽る。昼間だというのに薄暗く、気味が悪い。

「ここから先は、徒歩で行きましょう」

ミス・ロングビルがそう言って、全員が馬車から降りた。
森を通る道から、小道が続いている。

「なんか、暗くて怖いわ……、いやだ……」

キュルケが悟空の腕に手を回してきた。

「おい、くっつくなよ」
「だってー、すごくー、こわいんだものー」

とてもそうは見えない。むしろこの状況を楽しんでいる。
悟空はルイズに何か言ってもらおうと振り向いたが、さっきまでルイズがいた筈の所には誰もいない。
と、反対側の腕に誰かがしがみ付いた。

「お、おめえもか」
「つ…使い魔ならまず主人を守りなさいよね!」何故か顔を赤くしたルイズが悟空に言った。

その姿を見たギーシュが「両手に花とは妬けるね」と一人ごちた。
暫く歩いていると、開けた場所に出た。目撃証言通り、森の中の空き地といった場所に木こり小屋だったらしき廃屋がぽつんと立っている。
6人は小屋の中から見えないように、森の茂みに身を隠したまま廃屋を見つめた。

「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」

ミス・ロングビルが廃屋を指差して言った。
人が住んでいる気配は全く無い。

「ゴクウ、どう?」
「いや、やっぱフーケの気は感じねえ。けど、気を消して隠れてるだけかもしんねえぞ」

作戦会議が始まった。タバサが中心となり、皆の提案をまとめて地面に木の枝で模式図を描いていく。
まず、斥候として1名が小屋に潜入。フーケがいたら、捕縛ないし外に誘い出し、残りのメイジが魔法で一気に攻撃する。
斥候役は、満場一致で悟空に決定した。1対1でフーケと戦えそうなのは彼だけだ。
ミス・ロングビルの様子がおかしい事に気付いたギーシュが、彼女に声をかけた。

「ミス・ロングビル、顔色がすぐれませんが、大丈夫ですか?」
「ええ、実を言うと少し、怖くなってまいりました」
「もしもの事がありますから、今のうちに安全な場所まで避難しておいた方がいいかもしれません」
「そうですね。では、お言葉に甘えさせて頂きます」

ミス・ロングビルが来た道を引き返していった。
悟空は小屋のそばまで一瞬で移動した。ガラスの割れた窓からそっと室内の様子を伺う。
小屋の中は、一部屋しかないようだった。部屋の真ん中に置かれたテーブルに積もった埃から察するに、ここで誰かが最近生活していた様子は無さそうだ。
隅には薪が積み上げられており、その隣には木製のチェストが置いてあった。大きいが、人が隠れられるほどではない。
251サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:57:02 ID:FHAdnmow
悟空は暫く考えた後、皆を連れてくる事にした。一度瞬間移動でルイズ達の元に戻る。

「どうだった?」
「中には誰もいねえな。隠れられる所も無さそうだ」
「逃げたのかしら?」
「とりあえず小屋に入ってみよう。手がかりがあるかもしれない」
「ギーシュに賛成」

再び小屋まで移動する。タバサがドアに向けて杖を振るい、「罠は無いみたい」と呟いて、ドアを開け、中に入っていく。
キュルケ、ギーシュ、悟空が後に続く。ルイズは外で見張りをすると言って、その場に残った。
床を見たギーシュがある事に気付いた。

「最近誰かがここに来たのは間違い無さそうだ。部屋の中の足跡が新しい」

見ると、確かに床の埃の上に最近ついたと思しき足跡があった。真っ直ぐチェストに向かい、それから引き返したようだった。
チェストに再度タバサが杖を振るい、罠が無い事を確認するとそっと蓋を開ける。
中には、黒い箱が入っていた。鍵が掛けられていたようだが、開いている。

「それが破壊の杖?」
「多分そう」

タバサが箱の蓋を開け――固まった。

「どうしたの?」キュルケが箱の中を覗き込み、「へ?」と素っ頓狂な声をあげた。ギーシュと悟空も中を見る。
「……これが…『破壊の杖』……?」
「オラ見た事ねえけど、本当にこれが宝物庫にあったのか?」
「うん……前に宝物庫を見学した時、確かにこの箱のそばに『破壊の杖』って書かれた銘板があったわよ」
「…まあ、杖は杖だね、一応」
「けど何でこんな事に……」
「もしかしたら、フーケが?」
「可能性はある」

その時、悟空が急激に増大する気を感じた。
今度は間違い無い。
フーケだ。
そして、外で見張りをしていたルイズの悲鳴が聞こえた。

「きゃぁああああああ!」
「どうした! ルイズ!」

一斉にドアを振り向いた瞬間、轟音を立てて小屋の屋根が吹っ飛ぶ。
青空をバックに、巨大なフーケの土ゴーレムが悟空達を見下ろしていた。


一方その頃……

「お…俺は無視かよ……」

ルイズの部屋で、デルフリンガーが腐っていた。
252サイヤの使い魔:2007/10/22(月) 08:59:23 ID:FHAdnmow
今回は以上です。支援ありがとうございました。
…右手を胸に当てて一礼ってあの場合相応しいのかな……
253名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 09:02:09 ID:zAyzVOvx
デルフカワイソス
フーケの疑いかかっても原作通りに進むのはなんだかなー
254名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 10:22:05 ID:/zkIx/HX
乙っした
たかが平民(?)の使い魔ごときの発言であっさり疑いがかかるのもどうかと思われ
まあ確かに強引な展開だが
255名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 10:22:33 ID:x8r3y1Or
>>253
飽くまで疑問のレベルで確証と呼べるものじゃなかったからいいのでは?

この段階でフーケを犯人と断定できそうなキャラ…成歩堂とか杉下右京とか…。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 10:48:07 ID:Sr838IJ4
カカロットあじゅじゅしたー
破壊の杖、本当に何なんだろうなぁ?

>>255
仮面のメイドガイ・コガラシさんも能力的には出来るぞな、多分
メイドガイスキャンで正体を確認⇒逃しても会議中に催眠光線で自白コンボとかやってくれると信じてる
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 11:03:05 ID:kwwO3/X3
>>162
目を離している隙に剣崎召喚があって吹いた
というか、実は「MISSING ACE後の始(ジョーカー)が、一命を取り留めてハルケギニアに飛ばされていた」
なネタを練っていてw
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 11:12:33 ID:YQ1HgMiP
>>256
「クククク……それで正体を隠したつもりか? ロングビル、いや土くれのフーケよ!
 このコスプレ女め、珍妙な格好も程ほどにするがいい!」
「なぜそれを!? ――っていうか、格好のことで貴方に言われたくないわ!」
「どんな汚れも見逃さない、全てを見通すメイドガイ・アイにかかれば貴様の正体など一目瞭然。
さらに決め手はこれよ、ヌゥウウン! メイドガイ・スキャン!」キュインキュインキュイン
「な、何を……」
「ホォン……ハァン……クククク、貴様の体にあるホクロの数は4つ、わきの下、左太ももの内側……」
「な……!? み、見るなぁ!」

おマチさんがいろんな意味で陵辱されちゃうなぁ。

>257
それを言うなら俺はギラファアンデッドを封印しようと海中に飛び込んだ直後の橘さん召喚を考えてたぜ!
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 11:19:31 ID:pYOtKV+G
>>258
それは俺も考えたw
デルフがいらない子確定だけどな!
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 12:09:11 ID:sGXjZJLX
というかコガラシならそもそもガンダールヴである必要すら無さそうな気もw
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 12:17:10 ID:t6Cyq5SI
むしろルーンすらいらない
262名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 12:24:53 ID:gCf6BPky
天に星、地に花、人に愛。そしてあなたにメイド・ガイ! ってやつだっけ?
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 12:41:35 ID:O5U11T4S
吉祥天女の叶 小夜子ならルイズが使い魔の躾と称してぶとうとすれば
「誰だって殴られれば痛いのよ」
と言い返してくれそうだ。

小夜子召喚の場合、ギーシュにデートを申し込まれてそれを突っぱねて決闘になりそうな………。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:01:50 ID:8HR9XOeE
デート拒否られただけで決闘とかギーシュどんだけよw
265名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:06:53 ID:mkvvfD42
そりゃ、決闘で性根直らなかったら
未来のモッド伯候補第1号だしなw
266ゼロ・HiME:2007/10/22(月) 13:23:55 ID:GAjhR1N5
投下します〜
進路オールクリア?
267名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:24:29 ID:t6Cyq5SI
れでぃごー
268ゼロ・HiME:2007/10/22(月) 13:25:39 ID:GAjhR1N5
んでは、いきます。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:25:44 ID:ITD6efMt
ぶぶづけ支援
270ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第七話(前編) 1/3:2007/10/22(月) 13:28:04 ID:GAjhR1N5
 
 静留がギーシュと決闘してから数日が過ぎた。
 その間、シエスタにすっかりなつかれたり、決闘の仔細を聞いたマルトーに「我らが刃」という仇名をつけられたり、ギーシュが何かとアプローチをかけてきて、モンモランシーにお仕置きされたりするぐらいで、特に何もなく平穏に過ぎていった。
 それに少し変化が起きたのは虚無の日の前日のことだった。


 その日の昼食後、静留はここ最近の日課になっている学院内の探索に出かけた。もっとも探索というより、午前中のうちに仕事が終わってしまい午後にやることがない静留の暇つぶしの散歩なのだが。

 「さて、学院の主な場所は回ってしもたし……そや、昨日コルベールはんに許可もらった図書館にでも行ってみまひょか」

 静留はどこへ行こうかちょっと悩んだ後、図書館へと向かった。

 (言葉は分からんけど、絵本ぐらいなら何とかなるますやろ)

 「たかが絵本と思うたけど……なめたらあかんね、読めへんわ」

 図書館の机で本を見ていた顔を上げ、静留は自嘲気味に苦笑した。
 奥への立ち入りは禁じられているため入り口のほうの棚にある絵本らしきものを漁って来たのだが、子供向けといえども絵だけで理解するには無理があった。

「やっぱり読み書きぐらいは出来た方がええやろね……ん?」

 しばらく絵本を手にして考え込んでいた静留は、誰かに見られている気がしてその方に顔をむけた。
、分厚い本を手にした青い髪と瞳を持つ小柄な少女が静留をじっと見つめていた。

 「えーっと、たしかキュルケはんのお友達の……」
 「……タバサ」

 少女――タバサは自分の名をぼそっと告げると再び静留を見つめる。

 「……」
 「……で、タバサはんはうちになんぞ用事でもありますん?」
 
 見つめるだけで何も言わないタバサに、静留が頬を掻きながら居心地悪そうに尋ねる。

 「あなた……何者?」
 「何者て……うちはルイズ様の使い魔の平民、藤乃静留や。それ以上でも以下でもあらしまへんえ」
 「嘘……只の平民が武器を自在に出したり消したりできるはずない……あの能力は何?」

 (こら下手に誤魔化しても納得せんやろね……)

 「あれは高次物質化能力いうてHiMEの能力や」
 「先住魔法じゃない……HiMEって何?」
 「HiMEいうんはうちみたいに生まれついて高次物質化能力を持った人間のことや」
 「生まれつき……後から習得できない?」
 「そやね」
 「……残念」

 タバサは無表情にそう言った後、静留の手元にある絵本に目を向ける。
271名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:29:38 ID:wwekLI5H
>>263
どうもちょくちょく『吉祥天女』と『特攻天女』がごっちゃになって
今話題に出てるのはどっちだったっけ?となってしまう私。

これが、「ゲシュタルト崩壊」?
272ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第七話(前編) 2/3:2007/10/22(月) 13:32:07 ID:GAjhR1N5

 「言葉……覚えたい?」
 「そやね、いざという時に困るやろし」
 「……教えてあげる」
 「そら、教えて貰えるならありがたいんやけど……一体、なんでやの?」
 「話のお礼……」
 
 タバサは提案の真意を図りかねて尋ねた静留にそう答えると、微かに――本当に微かに微笑んだ。


 「シズル、明日は虚無の曜日だし、町へ買い物へいくわよ!」

 夕食後、自室に戻ったルイズは静留に向かってそう宣言した。

 「虚無の曜日……ああ、休日どすか。何ぞ買うもんでもありますん?」
 「何言ってんるの、シズルの洋服を買いに行くに決まってるでしょ。いつまでもシエスタから服を借りてるのも悪いし、大体サイズ合ってないじゃない」

 サイズが合わない服のせいで強調された静留の胸の方を見ながら、ルイズが不機嫌そうに答える。

 (大体、たださえ主人の私より胸大きいのに、それを強調する服なんか着せとけないわ)

 「そういうわけで、明日は早めにでるからもう寝るわよ。着替えるから寝巻きを頂戴」
 「はいな」
 
 静留から寝巻きを受け取って着替えると、ルイズはベットに入った。それに続いて静留もルイズの隣に潜り込む。

 「おやすみさんどす、ルイズ様」
 「おやすみ、シズル」

 就寝の挨拶を終え、しばし静留と見詰め合った後、ルイズが口を開く。

 「ねえ、シズル」
 「なんどすか?」
 「……なんで私と一緒にベットにもぐりこんでるのかしら?」
 
 警戒する様にルイズがジト目で睨みながら尋ねると、静留は悪びれない感じでにこにこ笑いながら答えを返す。

 「そやねえ、せっかくベッド用意してもろうておいて言うのもなんやけど……初日から一緒に寝てたもんやから今更一人寝はなんや寂しゅうて。それにルイズ様のかいらしい寝顔も見れまへんし」
 「なっ……ば、馬鹿なこと言ってないで、自分のベッドに戻んなさいよ!」

 静留の返答に一瞬、絶句した後、ルイズは顔を真っ赤にして怒鳴ると、静留を隣にある質素なベッドの方へと蹴り出した。

 「いやん、いけずやわあ」
 「うるさい!」

 隣のベッドで騒ぐ静留に枕を投げつけると、ルイズは今度こそ眠りについた。

273ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第七話(前編) 3/3:2007/10/22(月) 13:35:34 ID:GAjhR1N5
 「……タバサ?」

 虚無の曜日の朝、朝日を受けて目覚めたキュルケは、隣に寝ていたタバサが起き出して身支度しているのに気づいて身を起した。
 
 「こんな時間に起きるなんてどうしたの? 虚無の曜日だし、てっきり部屋に篭って読書かと思ったけど」
 「ルイズがシズルと出かけた……追いかける」
 「ふ〜ん――って、出かけるの?」

 キュルケが驚いて聞き返すと、タバサは振り向いて無言で頷く。

 「タバサ、まさか、ルイズのこと……」
 「誤解……シズルに興味があるだけ」

 (この子が他人に興味を持つなんてね……いい傾向だわ。少し寂しい気もするけど)

 「じゃあ、私も一緒にいくわ。ルイズを冷やかすのも面白そうだし」
 「分かったから……早く準備して……」

 タバサはそう言ってキュルケに着替えの服を渡した。


 「それで、二人がどっちへ行ったか分かってるの?」

 十数分後、タバサと共に彼女の使い魔であるウインドドラゴンの背に乗ったキュルケが髪をなびかせながら尋ねる。

 「当然……ルイズとシズルが乗った馬二頭、食べちゃダメ」
 
 タバサはキュルケに答えると、己が使い魔に指令を出す。
 主の命令にシルフィードは小さく鳴くと、翼を大きく羽ばたかせ、スピードを上げてルイズ達を追った。

274ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第七話(前編) 3/3:2007/10/22(月) 13:38:56 ID:GAjhR1N5
短いですが投下終了です。

275名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:41:37 ID:hipuEVIB
GJでした
ルイズの貞操がピンチだったなw

276名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:45:49 ID:ek0X+pyo
百合姫…じゃなかった舞HIME乙!
貞操保守ったな。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 13:50:28 ID:CInREdja
ゼロHiMEさん乙♪
決闘後半あっさりスルーですか、 6体のワルキューレイラナイ子ww

>>256 メイドガイ・スキャン! キュインキュインキュイン    学園長が弟子入りしそうです^^
278ゼロ・HiME:2007/10/22(月) 13:57:03 ID:GAjhR1N5
あ、報告入れ忘れましたが、6話は改訂加筆版がまとめにあるので、そちらを見てください;
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 14:04:31 ID:fPuPxZuW
小ネタ投下します。
280オスマンと腹下し男:2007/10/22(月) 14:06:42 ID:fPuPxZuW
「何だここは?」

目の前に広がる森林に男は戸惑う。その男は野戦服に目出し帽、肩からAK74を下げていた。

「俺は洋上のビッグ・シェルにいたはずだ」

おかしいと首を傾げながらも仕方なく周囲を見渡す。

「ん? 人の声…ちょうどいい、ここがどこか聞いてみるか」

自然と早足になって声の聞こえた方へ進んで行く。

「おいそこの……」

少し開けたところに出ると初老の男が腰を抜かして倒れていた。だがそこには見知らぬ大きなトカゲのような生物がいたのだ。
それを見た目出し帽男は一瞬硬直してしまったが仮にも戦闘のプロ、肩から提げていたAK74をそのトカゲのような生物に向けた。

「き、巨大生物? 新手の生物兵器か!」

そんなことを言いながらもトリガーを引きトカゲのような生物を蜂の巣する。

「す、スマン…助かったわい」

倒れこんでいたその男はドッコイショといいながら立ち上がった。

「大丈夫そうだな…悪いが少し聞きたいことがある」

相手が無事なことを確認してからここがどこかと尋ねる。

「ここがどこかじゃと? トリステイン魔法学院の近くの森ですぞ。道に迷われましたかな?」

相手の答えを聞いて目出し帽の男は少し引いた。

『魔法だと? この男…恐怖のあまり狂ったか?』

だがこの場はやり過ごすのが懸命だ。妄言に付き合う暇などはない。

「そうか…すまない、助かった」

そういい残し、その場を去ろうとするが引き止められた。

「もし? よろしければお名前を教えていただけませんか?」

呼び止められた目出し帽男は立ち止まる。

「名前だと?」

振り返ったその目出し帽男に対し、初老の男は名乗り始める。

「わしはオスマンというんじゃが…」

名を名乗られたらこちらも名乗るしかない。
281オスマンと腹下し男:2007/10/22(月) 14:08:13 ID:fPuPxZuW
「俺か? 俺の名前は…!?」

彼が口を開こうとしたその時だった!

ぐきゅぅぅ〜

彼のお腹がゴロゴロと鳴り始めたのだ。

「は、腹が…」

思わず体をくの字に折り曲げそうになる。

「どうかされましたかのう?」

オスマンという男に話しかけられた瞬間、ピシッと背筋を伸ばし答えた。

「いや何でもない」

そうは言うものの冷や汗をだらだら流していた。

「そうですか…それでお名前は?」

しかし彼の限界が近づいていた。きゅるきゅると腹が鳴る。

「俺の…俺の名は!」
「名前は?」

声を発するたびに腹にくる。

『ダメだ!もう限界だ!』

彼は両手を尻にあて言い放った。

「お、俺の名は…ジョニィィィー!!」

そしてその場から走り去っていくのだ。

「あ…行ってしまった」

オスマンは走り去っていった方向をしばらく眺めながらこう言った。

「ジョニーか…ちょっぴり変な人だが…いい名じゃ」
282オスマンと腹下し男:2007/10/22(月) 14:09:37 ID:fPuPxZuW
投下完了
メタルギアソリッドよりジョニー・佐々木ものです。
駄文失礼しました
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 14:26:55 ID:3RP+KrOo
行間つめてください。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 14:33:42 ID:76TZiLeM
…彼は、インドシナ辺境で現地の兵に銃殺されたと言われていた…

…彼は、エジプトのナセル大統領のブレーンになったと言う者も居た…

…彼は、南米にあるというドイツ第四帝国に匿われたという説もあった…


彼を知る者々はオールド・オスマンの命を救い、そして異世界の土となった事を知らない


大日本帝国陸軍中佐、後に衆議院議員となった辻政信は、トリスタニア近郊の某所で永遠の眠りについた
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 15:26:22 ID:7NMQoHqe
>>284
おい辻ーんwwwww
シエスタの爺さんが辻ーんとかでも面白そうだな


スレチだけど
286名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 15:30:01 ID:CInREdja
ゼロHiMEさんあり〜♪
6話は改訂加筆版拝見いたしました。
              やっぱりしずるんは好いなぁ^^
287名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 15:45:44 ID:x8r3y1Or
>虚無の曜日の朝、朝日を受けて目覚めたキュルケは、隣に寝ていたタバサが起き出して身支度しているのに気づいて身を起した。

>隣に寝ていたタバサが

!?
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 15:49:14 ID:lLqgbl6W
>>287
ほんとだ!

つまりあれか。HiMEキュルケはノンケも食っちまう女…?
289名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 16:13:58 ID:sGb3q7Ye
>>287
……( ゚Д゚)!?
290名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/22(月) 16:17:28 ID:auCBSV/f
オイオイ、一緒のベットで寝たからといってエロとは限らんだろ・・・。
まぁ、作者さんがキュルケをどんなイメージでとらえているかによるが。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 16:19:18 ID:vv84FM24
こーゆーこと↓?

ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1316620
292名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 16:27:16 ID:ek0X+pyo
まさにHIMEスタイルなキュルケ…
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:18:03 ID:Km4F8QXV
>>290
>「タバサ、まさか、ルイズのこと……」
>「誤解……シズルに興味があるだけ」
>(この子が他人に興味を持つなんてね……いい傾向だわ。少し寂しい気もするけど)

ここからして怪しいからなあ
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:18:07 ID:42wr/EdC
キュルケがタバサの部屋に押しかけパジャマパーティー(参加者一名)で
そのままお泊り。寒空の中放置プレイされて風邪を引く野郎ども
だと思ってた
295名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:20:21 ID:O9yY0S2X
タバサを性的に食っちまうキュルケ?
私は一向にかまわん!<海王AA略

さて、道が空いているようですので
久しぶりに投下してもよろしいでしょうか?
296名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:23:17 ID:XxSErAYi
こいこい
297虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:24:40 ID:O9yY0S2X
しっかりと手を握り合い、見詰め合っているサイトとティファニア。
その様子を少し不機嫌そうに睨んで、ルイズはコホンと咳払いをする。
けれど、立ち上がって口を開いたのは、サイトに向けてではなく、
その隣に立てかけられているデルフリンガーに向けてだった。
「さて、それじゃあ残る問題は……虚無の魔法よね、ボロ剣」
「もうボロじゃねーって言ってんだろう娘っ子」
「どうでも良いのよそんなのは。
それよりティファニアが虚無の使い手ってのが本当かどうか。大事なのはここよ!
彼女がアルビオンの王様の娘って事が真実でも、エルフの血を引いてるって事も真実よ。
それも、一目見れば誰にだって判るぐらいに動かし難い、ね。
当然そこに拘って彼女を認めないって人も居るはずだわ。
それぐらい、エルフって言うのは恐れられているんだもの」
「でも、ルイズさん達は私を恐がったりしてませんよね?」
おずおずと、けれど嬉しそうにティファニアが問う。
その素直な疑問に、ルイズは恥ずかしそうに答えた。
「それは、その……私達は貴女が悪い娘じゃないって、昨日と今日でよく分かってますからね!
だけど、誰だってそれを話して納得してくれるとは限らないし、
そもそも話を聞いてくれるとも限らない。
でも虚無の使い手となれば違うはずよ。
なんたって始祖ブリミルに連なるこれ以上無い明確な証拠。
ロマリアの司教様だって敬して頭を垂れるべき、偉大な系統なんだから!」
ぐっと拳を握ってルイズは力説する。
その言葉にギーシュもうむうむと頷いている。
とは言え、そこまで思うのは始祖に対する敬意と信仰の強い、古い貴族であるルイズ達だからだろう。
キュルケのような血縁主義の貴族思想が薄いゲルマニア貴族に限らずとも、
世慣れた、あるいはスレた昨今の下級貴族に、そこまでの始祖の血脈に対する尊崇の念はあるまい。
有ったとしたらアルビオン王家に反旗を翻した貴族の数はもっと少なかったはずだ。
とは言え、レコン・キスタもまた虚無の力を標榜する事で自分達の正当性を主張しているし、
そもそも説得するべき相手は、その「古い貴族」ばかりのアルビオン王党派。
ルイズの主張もあながち間違っているわけではない。
だが、その演説をデルフリンガーはアクビでもしそうな調子で受ける。
「そんな大層なモンかねぇ」
「あたりまえでしょ! 虚無なのよ? 失われた、最強の、伝説の系統!」
「つってもよー、そんな事言ってたら相棒だって伝説の使い魔だぜ?」
「はぇ?」
予想もしていなかったデルフの言葉に、目を点にしたマヌケな表情をした顔を使い魔に向けてしまう。
その、あまり見られないルイズの顔に、なんだか居心地が悪くなって、アタマを掻きつつサイトは答える。
「ああその、言い忘れてたんだけど、俺ってガンダールヴってやつらしい」
「そんな、ウソでしょ!?」
「ガンダールヴ……そうか、そうだったのか!」
「なんとまぁ……」
ヘロリと緊張感無くサイトの口から漏れた言葉に絶句するのはキュルケとギーシュ、それにマチルダだ。
三人ともハルケギニアの貴族として、その名前と伝説ぐらいは知っている。
一方、そう言った事に疎いティファニアと異世界人であるモードは彼等の様子を不思議そうに見ている。
そして肝心のルイズはというと。
「ふぇ?」
まるで氷の彫像にでもなったように動きを止めていた。
ショックが大きすぎたらしい。
それでもなんとか首だけ解凍して、ギギギギとデルフの方を向く。
「…………ホントに?」
「マヂ。大マヂ。つーか俺様も6000年前に初代ガンダールヴに振るわれた伝説の剣なんだがよー」
とことん軽い調子で言い放つ伝説の剣ことデルフリンガー。
「で、やっぱ娘っ子もこれからは俺や相棒を敬して頭を垂れてくれんのかね?」
「そそそそそれは、その……」
言質を取られた格好になったルイズは困惑した。
298虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:25:59 ID:O9yY0S2X
先程の発言は心底本気だ。偉大なる始祖ブリミル、それに連なる虚無の力。
それには相応の尊敬が払われるべきだ。
これはルイズの信仰、あるいは信念と言っても良いだろう。
けれど、使い魔と言うのはメイジに仕えるべきもので、その立場が逆転するなどありえてはいけない。
サイト個人の事をルイズ個人が好きだとか嫌いだとかいう問題では無い。
太陽が西から昇ったり、水が高いところへ向けて流れたら人々が混乱して困ってしまう。
それと同じように、使い魔とメイジの関係は不変にして不可侵でないと世の中が混乱して困るのだ。
これもまた、ルイズの信念。
そして、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールという貴族の少女は、とても真面目で融通の効かない娘だった。
「あう……あ、あ、ぁ……」
ヤバイ、泣く。
自分に向けられたルイズの弱々しい表情を見て、サイトはそう感じた。
いわゆるアイデンティティ・クライシスというヤツだ。
この主人と使い魔の関係について、ルイズはしばらく前から悩まされていた。
タバサに召喚された、本能のレベルで自分達の誰よりも優れていると理解できてしまう神の如き使い魔。
ゼロと呼ばれる自分が召喚した、魔法衛視隊隊長のワルドに勝ってしまうような使い魔。
ルイズの信じる動かし難い、動かしてはいけない『関係性』を破壊する彼等の存在。
その決定打が、いまデルフの口から放たれた格好で、うっかりすると人格崩壊すらしかねない。
いつもの強気な様子など見る影もなく、プルプルと弱々しく震えるルイズ。
特定の特殊性癖の人ならたまらないのだろうが、あいにくサイトにはそっちの趣味は無い。
むしろ女の子を泣かせたりしちゃいけないと信じている。
あと自覚してはいないが、SかMかで分けるならむしろM寄りな少年なのだ。
「いいんだよ俺の事はどうでも! お前だって別に誰かにヘーコラしてもらいたいワケじゃねーんだろ?」
「まーな。そもそも俺っちは武器だかんな。偉いのは使うヤツであって武器じゃねーもの」
「だったらガンダールヴってのもおんなじだろう。
偉いのはそのナントカって始祖? であって、別に使い魔が偉いワケじゃねーんだから」
「違いねぇ」
ルイズを救うためにガナリたてるサイト。
デルフとてべつにルイズを追い詰めたかったワケでも無いし、泣かせたいワケでも無い。
単にからかったダケだから、簡単にサイトに同意した。
デルフは魔法を吸い込むだけでは無くて空気も読めるインテリジェンスソードなのである。
「サイト……」
ルイズの目が、熱に浮かされたように潤んだ。
いくら鈍いサイトにだってわかる。恋する乙女5秒前の熱視線が、桃色の瞳から放たれている。
それでも、貴族の矜持か持ち前のプライドか、漏れかけた甘い声をぐっと飲み込むルイズ。
「そ、そうよね! 伝説でも何でも、別にアンタやボロ剣が偉いってワケじゃないわ!
それにサイトが私の使い魔だって事には変わりは無いんだものね!」
一転して強気なセリフに、サイトは「やっぱりルイズはこうでないと」と安心する。
「うんうん、そうそう、そうだよな!
で、だから、その! デルフはその虚無の魔法とかを直接見てるんだ! よな?」
「おうよ。実際見てるんだから間違いねぇ。その嬢ちゃんの使う魔法は間違いなく虚無のスペルだね」
「でも、それじゃあ説得力が無いわよね?」
太鼓判を押してくれる伝説の剣だったが、そこにキュルケが疑問を提議する。
「見も知らないインテリジェンスソードが証拠も無しに『これは虚無です俺が保証します』って言って、
ホイホイと信じるような貴族が居たら、ソイツはよっぽど純朴か馬鹿のどっちかよ?」
「そうだろうな。だから聞かせてくれねぇか、エルフの嬢ちゃん。
お前さんがどうやってその呪文を知ったのか。
事によっちゃあ、それが何らかの証明になるかもしれねぇからな」
「……わかりました」
デルフに促され、サイト達から見つめられ、ティファニアはポツリポツリと語り始めた。
財務監督官が父親であったティファニアの周りには、王家の秘宝と言われるような宝物が多数有った事。
その中の一つに、音の鳴らない古ぼけたオルゴールが有った事。
そしてテファはある日、同じく王家の秘宝である指輪を付けていると、そのオルゴールから曲が聞こえた事。
その曲を聴いていると頭の中に歌と、そして虚無のルーンが聞こえてきた事。
299虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:28:46 ID:O9yY0S2X
「母を殺した兵隊の人達が、私の隠れていたクローゼットの扉を開けようとした時……
私は咄嗟に思い出したその呪文を唱えたの」
「そしたら、その兵士達も昼間の男達のように記憶を無くしたってワケね?」
「うん。そうよ」
キュルケの問いにコクンと頷くティファニア。
さて、これをどう虚無としての正当性に結びつけるかと思案していると、マチルダがポンと手を打った。
「思い出した! 始祖のオルゴールだよ!」
「始祖のオルゴール? マチルダ姉さんはあのオルゴールの事、知ってるの?」
「そりゃ、これでも元アルビオン太守の娘だからね。
それに貴族の宝物に関しては色々と調べ……ゲフンゲフン!
ええと、その、アレはそう、トリステイン王家に伝わる『始祖の祈祷書』と並び称される、
始祖ブリミルその人の持ち物だったって伝えられる宝物だよ。
まぁ私も見たことはあるけど、見た目はただのボロい小箱だし、音も鳴らないし、
そんな不思議な力があるなんて聞いた事も無かったし、テファからも聞かせてもらってないけど、
あの邸に有った王家の宝物で、オルゴールと言ったらソレに違いないわ」
同じ邸宅で姉妹同然に育った妹分に、不満を含んだ視線を送りながらマチルダは説明する。
「それはその、ほかの人が指輪を付けて聞いても、何も聞こえないって言うから……
もしマチルダ姉さんに言って、馬鹿にされたら嫌だなって思って、その……」
モジモジと可愛らしく言い訳するテファ。
同性であるルイズやキュルケから見ても微笑ましく、頬がほころぶようなやりとりだった。
だが、ギーシュとサイトはその様子を楽しむどころでは無い。
「なぁおいサイト、キミ、皇太子殿下から預かったあの箱は……」
「ききききき奇跡だ……ここここ壊れてなかったぞギーシュ!!」
「よよよよよよ良かったぁ!!」
脂汗を流しながらパーカーから取り出したのは、小汚い小箱。
ワルドと戦い、水汲みをし、ルイズに折檻され、それでも無事だった始祖のオルゴールである。
「ちょ、サイト! なんでアンタがそんなモノを持ってるのよ!?」
「昨日、皇太子さんから預かったんだよ。秘宝だからトリステインまで持っていってくれって。
でも、てっきり俺達を逃げ出しやすくするための口実だと思ってたから、すっかり忘れてた」
「その、言い訳するようだが見た目がコレなので……ねぇ?」
「なぁ?」
ギーシュと顔を見合わせて肩をすくめつつ肯き合う二人。
実際のところ皇太子自身もただのガラクタだと思っていた可能性は高い。
おそらくサイトの推測の方がウェールズの心情を正しく理解したものだろう。
優しく勇敢だった故人を思い出し、サイトやルイズはつい、しんみりとしてしまった。
「ああ、確かにコレです。あの時のオルゴールに間違いないわ」
彼等とはまた別の感傷に駆られて、ティファニアはオルゴールを手に取った。
失くしてしまった過去を懐かしむように、オルゴールの蓋を開ける。
尤も指輪をつけていない今のテファには何の音も聞こえはしないのだが。
「え?」
だから、驚きの声を上げたのは豊かな胸の王族の少女では無く、平らな胸の貴族の少女。
オルゴールの音が聞こえる事に驚いて声を上げたのは、ルイズだった。
「ウソ、こんな事って……」
ゼロと呼ばれた少女の右手の指で『水のルビー』が輝く。
指輪をつけた事で始祖のオルゴールを聞く事ができるのは、つまり虚無の証である。
それは思ってもいなかった、突拍子も無い現実。
血の気か引いて真っ青になる顔色。
膝もカタカタと笑っている。
尋常でない友人の様子に、キュルケが心配そうに声をかけた。
「どうかしたの、ルイズ?」
「どうしよう……わたし、聞こえちゃった」
崩れ落ちそうな肩を抱いてくれたキュルケに、ルイズは震える声でそう伝える。
誰もが絶句する。
ただデルフリンガーだけが「そりゃあ虚無の使い魔の主人は虚無だよなぁ、やっぱり」と暢気に呟いていた。

300名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:34:38 ID:JTwXXSKe
紫煙ー
301虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:34:59 ID:O9yY0S2X
サイト達が幾度もの驚きに見舞われている夜。
ガリア王女イザベラと、その従妹シャルロットことタバサはグルノープルの街の領主、アルトーワ伯の館で過ごしていた。
二人が居るのは屋敷の離れに建てられている平民の住居ほどもある小屋。
石造りの建物の内部は小さな通気口を除いて密閉され、焼け石に水をかけて創り出された蒸気で満たされていた。
つまるところ、いわゆる蒸し風呂である。
サウナ浴が痛風に良いと聞いたアルトーワ伯が作らせた広い蒸し風呂は、高温で一気に汗を出すゲルマニア式では無く、
比較的低い温度でじっくりと汗を流すように設計されているトリステイン方式だ。
建物の周囲は護衛の騎士であるカステルモール卿と兵士達が警備に立ち、脱衣所には王女付きの侍女達が侍ってはいるが、
浴室の中に居るのは青い髪をした少女二人だけであった。
「アンタ、こんな所までそんなモノを持ってくるなんて、何考えてるのよ?」
身長より大きな杖を抱えたまま白い肌を赤く上気させて汗を浮かばせるタバサに、呆れたようなイザベラの言葉。
「危険」
汗を書きながらも『雪風』の二つ名を持つ少女は、涼しげな表情をまるで変えずに答える。
胸の谷間に流れる汗を鬱陶しそうに手の甲で拭いながら、端的な返答に「あっ、そう」とイザベラも端的に返した。
「貴女も地下水を持っているべき」
「本人が嫌だって言ってるんだから仕方ないでしょ。
それに、あんなのに私の玉の肌を見られるなんてゴメンこうむるわよ。
アレがオスなのかメスなのかは知らないけどね」
万が一の時にイザベラを操って身を守る手筈だった地下水は、サウナに入る事を「錆びる」と言って猛烈に嫌がった。
もっともイザベラは他人が嫌がったぐらいでソレを認めるような性格では無いので、
裸を見られるのが嫌だから連れて来なかったと云う方が、理由としては大きいのだろう。
「貧相な人形娘には羞恥心なんて理解できないでしょうけどね。
この私の熟れた身体を見ていい男は、選ばれた素敵な殿方だけなのよ。
ああ、グレン様になら、この湯殿の中まで護衛していただいても良かったのに……
ってキャー! わたしったらはしたない! キャー!」
「…………」
1人で勝手に真っ赤になって騒ぐイザベラを呆れて見ているタバサ。
しかしタオルの敷かれた長椅子の上ではしたなく肩膝を立てて腰掛けている姿で羞恥心などと言われても説得力は無いのだった。
尤も、自分で言っている程ではないが、イザベラの身体はタバサより遥かに成熟している。
豊かな胸、くびれた腰、しなやかな長い手足。
透き通った氷を思わせる白い肌は、青い髪と並ぶガリア王族の特徴だが、
火照って薄桃色になった全裸の肌に汗が流れ落ちる様は扇情的ですらある。
「ああ、熱っついねぇ。こんなのが好きだなんて、あの伯爵マゾなんじゃない?」
「………………」
口汚い言葉を発しつつも、用意された氷入りの水を素焼きのカップからゴクゴクと喉を鳴らして飲むイザベラには、
えも言われぬ色気があるのは確かだった。
一方のタバサはずっと無言のまま。
ボーッとした表情で、頬に髪の毛が張り付いているのもそのままにじっとしている。
痛々しいほどに細い手足も普段は体温を感じさせない体も若い果実のように色づいているが、やっぱり不動。
「……………………」
「ちょっと人形娘、アンタ大丈夫なの?」
「…………………………へいき」
あまりの無言っぷりに、熱に当てられたのかと心配になったイザベラが声をかけてやっと返事が聞けた。
「あっそ。まったく、このわたしを心配させたりしてんじゃ無いわよ」
「貴女が丸腰だから、どんな魔法を使おうか考えていただけ」
「えっ!?」
ぶっそうな発言に思わず腰を浮かしたイザベラの前で、タバサは杖を振り上げる。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! シャルロット、おちつい……きゃあ!」
放たれた強力なエア・ハンマーはイザベラの横を抜けて、転移魔法で現われたばかりだった二人の刺客に激突した。
「ぎゃっん!?」
そのまま入り口の戸板を打ち抜いて、二人の男を脱衣所まで弾き飛ばすタバサの魔法。
「着て」
敷物として使われていたタオルをイザベラに投げ、もう一つを自分が纏う。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:37:08 ID:JTwXXSKe
更に私怨
303虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:37:23 ID:O9yY0S2X
タバサ手早く前を縛ると、側らに置かれていた氷水の入ったカップを手に取る。
「あっあちっ! あちちっ!」
熱いタオルにわたわたしているイザベラを無視して周囲を確認すると、空間転移によって次々と刺客の魔術師達が現われる所だった。
「逃げる」
カップの水を焼け石にぶちまければ、一気に発生した蒸気で視界が塞がれる。
観測した自然法則の乱れを起点に魔法を使う異世界の魔術師に対する的確な魔法封じをおこなったタバサは、
置き土産とばかりに目暗撃ちでエア・カッターを放ち、イザベラの手を取って脱衣所へと走った。
マント、剣、下着に地下水。
必要な物をひっ掴んで、タバサとイザベラは外へと飛び出した。
「ふむ……やはりグレン殿の目が離れるこの瞬間を狙ってきましたか」
イザベラの顔と声で、鋭い視線を周囲に放つ地下水が言う。
既にその身体の運動機能は完全に『地下水』と呼ばれる凄腕傭兵のものだ。
全裸のまま外に飛び出す二人と一振りだが、幸か不幸か目撃者は無い。
警護に当たっていた兵士達は1人残らず消炭や肉片と化している。
ハルケギニアの魔法と異世界のそれの、圧倒的な水準の違いがまねいた当然の結果だ。
「シャルロット様! イザベラ殿下!」
いや、ただ1人、生き残りが複数の刺客を相手に奮戦している。
ゴムのボンテージを纏った刻印魔導師が放った雷撃を水の壁で防いでいたカステルモールだ。
「―――ご無事でしたか!」
「あぶない!」
「ひゃははぁ! 死ねぇ!!」
彼の背後から矮躯の魔導師が投げた短剣が、風に操られてカステルモールの背中を狙う。
咄嗟に水壁を背後に回して防御するカステルモールだったが、今度は雷撃使いに隙を見せる事になった。
ボンテージ男の手の中に既に用意されていた雷の種。
円環大系の魔導師は回転運動する全てのものを操作する。それは原子核の周囲を回転する電子とて例外ではなくだ。
集められた電子を纏め上げ白熱する雷撃の元としたボンテージ魔導師の手から、カステルモールへと放たれる電撃。
一直線に犠牲者へと突き進むはずの死の顎はしかし、投げ込まれた剣にぶつかって消滅した。
タバサが投げた剣が地面に突き刺さり、即席の避雷針の役目を果たしたのだ。
円環魔導師の雷撃は放たれた後はコントロールされていない。
それに最も簡単に対抗するためと帯剣を勧めたのはグレン・アザレイだ。
これで一手、相手の攻撃を無駄撃ちさせて、同時に自分が呪文を唱える時間を得た。
「「アイシクル・ランス」」
タバサと地下水の魔法がボンテージ男と矮躯の魔導師――こちらは精霊大系の使い手――を貫く。
血しぶきを撒き散らせて男達は倒れた。
「無事?」
「私は大丈夫ですが、早くここを離れましょう。この者達は―――」
「死なない?」
「はい、その通りです」
イザベラと共にマントを身につけながら答えたタバサに、顔を背けて答えるカステルモール。
タオルとマントに杖という奇妙な格好になったが、今は贅沢を言っている余裕は無い。
タバサの眼にはグレン・アザレイの視界が映っている。
イザベラ達と同時に襲撃を受けて足止めをくらっているグレンの周囲には凄惨なバラバラ死体が転がっている。
異世界の魔術、それも死者を復活させるような奇跡に興味を示したグレンによって、
わずか数分でありとあらゆる殺され方を試された哀れな刺客魔術師達の成れの果てだ。
そしてタバサ自身の視界でも、氷の槍に貫かれた二人が既に動き始めていた。
混乱から立ち直ったサウナの刺客達もどうせすぐに現れるだろう。
「逃げる」
コクリと頷いたカステルモールとイザベラ・ウィズ・地下水と共に駆ける三人。
その矢先、カステルモールの動きがガクンと止められる。
「へへへへ、にがさないよぉ」
顔の真ん中に一直線の傷口をつけた中年男がニタニタと笑っていた。
東薔薇花壇騎士の胸を飾るマント留めが中年男――相似大系魔術師クラム・エンドの手の中の何かと銀弦で結ばれている。
間接的にマント留めを固定されて、カステルモールは動きを留められたのだ。
「くっ、おのれ面妖なっ……!」
慌ててマントごとはずそうとするカステルモールだが、杖を持っているため片手しか使えず、
焦りのために手間取ってなかなか外す事ができないでいた。
追いついてくる不死身の刺客達。
304虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:39:19 ID:O9yY0S2X
「お二人とも、どうかお逃げ下さい! わたくしの事はかまわずに!」
「へいき―――!」
懇願するように叫ぶカステルモールへ向かって、タバサが杖を振る。
その瞬間、繋がれていた銀弦が断ち切られた。
ありえない事態にクラム・エンドは驚き慌てふためく。
「な、なんでぇ!?」
「我等魔導師は自分の観測した自然現象のゆらぎに魔力を見い出し、操る。
生まれ持った体系は生まれ持った世界そのもの。その眼で見ることの出来る法則の乱れ。
このわたしと視界を共有する事ができるならば、その世界、その乱れすら共有できるかもしれぬとは思わぬか?
名も知らぬ我が同郷の者よ、わたしは礼を言おう。そなたのおかげで可能性を実証する事が出来た。
しかしそなたは死者なれば―――死者はやはり死に帰るがよい」
「グレン!」
空間転移によってクラム・エンドの背後に現われたのは相似魔術の最高峰を極めた男。
言葉と共にクラム・エンドの身体が焼け落ちた。
「この者達は燃えれば死ぬ。しかし、炎の術を使うのはそなた達にとって不得手であろう。ここはわたしに任せれば良い」
そう告げた瞬間、いくつもの断末魔があがる。
炎も無く焼け落ちる刺客達。
相似魔術師の使う「原型の化身」は全ての人間は神の似姿であるという原理により、人間同士を相似として操るアバター。
円環魔導師の雷撃によって無残に焼き殺された兵士の死骸と強制的に同調させられた刺客の魔導師達は一瞬にして全てが焼死体に変えられたのだ。
身も蓋も無い、あまりに一方的な虐殺劇。
カステルモールや地下水が言葉を失う中、1人平素の無表情を崩さないタバサにグレンが問う。
「わたしの主よ。雪風の娘よ」
「なに?」
「相似魔術の力を望むか? わたしの見る世界をより強く感じ取る力を」
神に似た男は愛する父母を失い、全てを奪われて擦り切れた娘に自分の弟の姿を見た。
彼女は、かつて自分が力を与えた弟にどこか『似て』いる。
だから決断した。
伸ばされた腕がタバサの額に触れる。
温かな人の体温をもった、けれど恐ろしいその右手。
わずかに指先を動かすだけで人を簡単に殺せる相似魔術の「力」を秘めた右手。
「わたしは……貴女の世界を見せてほしい」
「ならば与えようわが主人よ。お前はわたしにとても『似た』者であるから」
瞬間、銀色の弦が世界を覆った。
銀色の光に照らされ、夜の世界は昼間のごとく照らされている。
本来世界に存在するものは全て『似て』いて、だから銀弦で繋がれない物など何一つ無い。
物質を構成する微細な粒にまでさかのぼって全てが関連を持ち、うねる。
万物が照応する銀燭の大海の中心に立つタバサが動けば、その海面が泡立つよう波紋を描いた。
腕を上げれば四大はおのずから操られ、息をすればあらゆる物が唱和するようにさんざめく。
タバサの身体はカステルモールと繋がっていた。地下水と繋がっていた。
殺された兵士と繋がっていた。消炭となった刺客と繋がっていた。
より太く、従姉であるイザベラと繋がっていた。
そしてそれよりも強く太く、目の前に居る使い魔と繋がっていた。
鼓動が繋がる。
熱く、激しい太陽のような男の魂が、雪風の凍て付いた少女の魂と繋がる。
二つの魂は、まさしく『相似』であった。
「これが、貴方の世界」
「そうだ、これが私の世界」
取り落としそうになった杖を握りなおせば、周囲の木々が全て同調してざわめく。
踏みしめる大地すら、土と土の、石と石の相似による銀弦に覆われている。
タバサは今まさに、世界の中心に立っていた。


雪風は世界の全てを結ぶ魔術を手に入れる。
ゼロは世界の全てを解体する魔術を身につける。
混乱と困惑にかき乱されながら戻ったアルビオン王党派の城ニューカッスルで、ルイズは更に困惑させられる事になった。
子供達に朝食を食べさせ、必ず戻ってくるからと約束をしてテファとモード氏と共に帰ってきた城は、すでにもぬけのカラ。
死体を焼いて空に帰すアルビオン式の葬儀の跡があるだけで、子猫一匹残っていなかった。
305虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:40:37 ID:O9yY0S2X
後は「用事が有るので出かける」と書かれたタバサの無味乾燥な置手紙ぐらいか。
大砲や弾薬すら、ここには残っていない。
「どうやら、もう出陣しちゃったみたいね」
「おや、この穴はなんだい……?」
「なんでしょうねぇ……」
城の端で人が通れるほどの大穴を見つけたマチルダがティファニアと共に中を覗く。
どうやら城の外に向かっているようだ。
「こっ、これは!!」
「ギーシュ、何か知ってるのか?」
「僕には判る! これを掘ったのは間違いなく我が愛しの「もぐー!」ヴェルダンデー!!」
穴から飛び出してきた使い魔と感動の再会で抱き合うギーシュ。
「おお、そうかい。王党派の軍隊はここから武器を運び出して出陣したんだね。
たくさん働かされたんだね。えっ? 宝石やミミズもたくさん貰ったから良い?
キミはとっても優しいねヴェルダンデ! さすが僕の自慢の使い魔だよ!
うん、うん。もう昨日の昼にはここを出たのかい。そりゃ大変だ。追いかけなくちゃ!」
見事な異種族間意思疎通でモグラの言葉を通訳。
ルイズ達はテファを連れて王党派生き残りの軍を追う事となる。
穴を抜けた所から、各々がレビテーションの魔法を使って浮遊。
先頭をエア・ダイバーのスピッツ・モードが逞しい背中にルイズとテファを乗せ、
ギーシュがモグラを、キュルケがサイトをそれぞれ浮かせて、モード氏の脚に一列で掴まった。
「わはははははははははは! うわははははははははは!」
全裸魔術師(今回はテファのお願いによりパンツのみ着用)の後ろに5人が繋がった姿は明らかに変態。
アルビオンの空を、音速に迫る勢いで笑い声を響かせながら変態飛行するモード氏は実に気持ち良さそうだった。
「うわぁ、変態だぁ!」
「変態が空を飛んでいるぞー!」
「大砲だっ、大砲を用意しろっ! 撃ち落とせっ!」
「待てっ! アレは大使殿の一行ではないのか?」
あやうく撃墜されそうになりながら、野営していたアルビオン王軍に追いつくルイズ達。
最初は馬や牛も居ないので、大砲などを貴族達が引いていたため移動距離がそれほどでも無かったのが幸いした。
『最初は』と言うのは、意外なことにわずか300人にも満たなかった王軍の数が増えていたからだ。
レコン・キスタから離反の意を示して合流してきた貴族と兵隊、その数200ほど。
彼等が連れて来た馬や牛が、夜のうちに馬車や牛車に仕立てられて進軍速度を速めていた。
司令官に話があると告げ、陣幕に案内されるルイズ達。
30人程の貴族が集まった司令部で、彼等は今の状況を聞いた。
新兵器、あるいは伝説の虚無と噂された大勝を聞きつけて集まってきた離反貴族は、最初1000に至るほどだったらしい。
だが、王党派貴族達はそんな秘密兵器など存在しない事、この戦いは死にに行くだけという事を説明した。
尻馬に乗って甘い汁を吸おうとしていただけの貴族はコソコソと帰っていった。
それでも残ったのは、レコン・キスタの横暴に耐えかねていた者達だ。
自分の領地で勝手な振る舞いをされた貴族と、それに仕える忠誠心篤い兵士。
友人や家族に無体を働かれた人々や、畑を焼かれた人々が鍬の代わりに剣をとった民兵。
どんな方法を使ったのか、亜人を兵力として操るレコン・キスタには、それだけに敵も有ったのだ。
そんな決死の覚悟をした人々だから、彼等を説得するのは大変だった。
まずテファの血筋を証明するだけでも一苦労。
エルフが来たと恐れる人々の前でマチルダがサウスゴーダの名前を明かし、
ルイズとキュルケ、ついでにギーシュは家名に賭けて保証する。
306虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:43:09 ID:O9yY0S2X
結局4年前の事件の顛末を司令官である大臣が知っていたため、なんとか説明出来たのだが、
今度は進軍を止める様に説得するのを聞き入れない。
「生き残るのがそんなに悪い事なんですか? 死んだらもう何も出来ないのに!」
「だが死ぬ事で残るものがあるのですよ。我々が戦い、決して屈しなかったという事実が」
そもそも命よりも名誉を尊ぶような貴族でなければ、こんな絶望的な戦いに参加しなかったはずだ。
「もう決めたのだ。我々は王を弔うために敵と戦って果てるのだと」
「それは王様がもう居ないからだって言ってたじゃないですか!
ここにそれを継げるティファニアが居ます。王党派だって王国だって再建できるじゃないですか!」
ティファニアの元勢力を結集して生きるために戦えと主張するサイト達と、
王と皇太子の弔い合戦として最後の一人になるまで戦うと主張する王党派残党。
「一矢報いて死ぬことより、戦って勝つ事を考える方が建設的なんじゃないのかって話じゃない!」
「元より勝ち目など無いのですよ、お嬢さん。
貴女がたはティファニア殿下とサウスゴータ令嬢と共にここを離れてくだされ」
噛み合わない双方の理論はしかし、テファの一言によって動く。
「でも貴族の人って、領民を守るのがお仕事なんですよね?」
「そ、それは……」
「私はレコン・キスタの人がどういう方達なのか知りませんけど、貴方達がここで死んでしまったら、
領民の人達はみんな、そのヒドイ人達に支配されてしまうんでしょう?
皆さんが死んでしまったら、誰が悪い人達から皆を守ってくれるんですか?」
素朴すぎるティファニアの問いに、貴族達は誰も答えられなかった。
己の誇り以上に、それは守るべき貴族としての勤め。
恥を知り誇りを知る古い貴族だからこそ、彼等は自分達が生きる必要があるかもしれないと、もう一度自問を始めた。
誰かが戦おうかとこぼす。
死ぬためではなく、生きるための戦いをしようかと。
誰かが故郷の土地の名を口の端に登らせる。
自分の名と同じ地名。豊かで穏やかだった所領の名を、その土地の思い出と共に。
「我等は、己の不甲斐無さゆえに戴くべき王を失った」
大臣の、臨時の司令官の言葉。
「だが、守るべきものはまだ残されている。レコン・キスタなどに蹂躙されるわけにはいかぬ、大切な宝が」
髪も髭も真っ白になった、ルイズの父よりも年上な大臣は拳を握り唇を噛み締める。
「生きる、べきだろうか諸君? 不甲斐無い我々に、まだ出来る事はあるのだろうか諸君?
生き恥を晒し、老醜を晒し、けれど民草のために一身を賭するべきだろうか諸君?
新たな王の下、新たなアルビオンのために、もう一度生きるための戦いを成すべきだろうか?」
彼の悔恨、彼の言葉は本物だ。
己を恥じ、死をも望んだ気持ち、自分自身を情けなく思っている事に嘘偽りは無い。
けれどもう一度立ち上がるべきだと。
忘れかけていた守るべき人々のために、死に向かって突き進むのではなく、
生きて立ち向かうべきなのだと、そう思いなおしかけていた。
じっと待つ大臣。
彼に言葉を返したのは、意外な人物―――マチルダ・オブ・サウスゴータだった。
「死ぬのは簡単なのさ大臣。反対に生きるのはその何倍も難しい。
生きて理不尽な今を変えようって思うならその何十倍もね。
だから生きるんだよ。
アンタ達は、この王国を守るためにあたし達を殺そうとしたんだろう?
だったら今度はこの国を守るために命を賭けるべきに決まってるじゃないか。
わたし達が必死に生きてるのに、アンタ達がここでカッコ良く楽に死のうなんて、
そんな事許しゃしないからね」
じっと、本物の憎しみを込めて、マチルダの視線が大臣を射抜く。
蓮っ葉な言葉の端々に、彼女が重ねてきた苦労が滲んでいるようだ。
本当なら貴族として、深窓の令嬢として、なに不自由無く暮らしていたはずのマチルダ。
その彼女をティファニア共々殺そうとしてまで存続したアルビオン王国の罪を認めるならば、
今がその罪を贖う時だと大臣は悟る。
命を捨てるのではなく、命を賭ける事によって。
307虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:46:31 ID:O9yY0S2X
「すまぬ。そして礼を言わせてくれ、マチルダ・オブ・サウスゴータ殿」
深々と頭を下げる大臣。
軍議の場にざわめきが起こり、そして1人の貴族が立ち上がって頭を下げた。
1人、また1人と立ち上がり、それにならう。
それは生きる事を決めた男達の決意表明でもある。
やがて、その場に居た全員が、マチルダに向かって帽子を脱いで頭を下げてみせたのだった。

こうして、サイト達の説得は成功した。
だが、困難は終わったわけでは無い。
事態の変化を告げたのは見回りの兵士。
血相を変えた兵士が告げたのは、周囲に奇妙な濃い霧が発生している事だった。
「……これはいったい?」
陣幕の外に出て、内陸方向から迫る濃霧に首を捻る大臣。
短めに刈ったヒゲを撫でながら、この土地でこんな霧を見るのは始めてだと言う。
ここはアルビオンの外周からそれほど離れていないため、風も強くそうそう濃い霧は発生しないのだと。
「大変ですぞ司令官殿! あの霧の中から、続々とレコン・キスタの兵が!!」
報告に来たのはカラスを使い魔にしている風属性のメイジ。
他にも何名かのメイジが、その怪現象を確認していた。
「何も無い空間に現われた『門』から、溢れるように兵士が吐き出されております」
「あの向こうにちらりと見えた城、あれは間違い無くロンディニウムのハヴィランド宮殿!
我等が王城にして、今はにっくき反乱軍の首魁が占拠する城に間違いありません!!」
「馬鹿な!? ならばやつらは空間を繋げたと言うのか?」
「そんな魔法など聞いた事も無い……」
「いや、先日グレン殿が使われたあの魔術と同じなのではないのか!?」
口々に騒ぐメイジ達の言葉に、サイト達は思い当たる。
空間を繋ぐ門を作り出す魔術は、ワルドと戦った時に現われた女魔術師が使えたはずだ。
「……確か、宣名大系だったっけ?」
「ふむ、宣名魔導師なら龍門を生み出す魔術を使えましょう。
ならばこの霧は、サイト殿に門を破壊されないための防備でしょうな」
こちらの世界の魔術を使って霧を発生させ、それに隠して異世界の魔術を発動させる。
たった一人の悪鬼に対してあまりに慎重な、けれど合理的な方法に感心するモード氏。
サイトは手の平に拳を叩きつけ、苛立ったように叫んだ。
「だったら俺が行ってその龍門とか言うのをブッ壊してきてやる!」
「待ちなさいよサイト。あの、今展開している敵はどれぐらいですか?」
「およそ4万と言った所ですよ大使殿。今の様子だと、その倍程度まで増えるかもしれませんな」
部下に命じて敵軍を調べさせていた将軍の1人が答える。
生きようと、そう決めた矢先にこの敵襲だ。
動揺を見せるような無様はしていないが、内心は穏やかではなかろう。
「聞いたでしょ、サイト。あんた一人で突撃して門までたどり着ける数じゃないし、今更門を壊しても手遅れよ」
「じゃあ、どうすりゃ良いんだよ!」
「落ち着きたまえサイト。なにも君だけで戦っているワケでは無いんだ。
ほら、将軍達もこうして話し合っているんだから……」
「こうなれば後退してもう一度篭城するしかありませんな」
「いや、篭城した所で援軍が無いのだから先延ばしでしか無い。
ならばバラバラに逃げて生き残った者が潜伏し、再起を図るべきだ」
「そんな方法で逃げられる敵兵の数ではありませんぞ! 後ろから撃たれて死ぬのがオチだ!」
「いや、逆に突撃してあの濃霧の中に飛び込めばあるいは……」
軍議はグダグタだった。
そもそも500対4万だか8万という時点でマトモな戦術など始めから無い。
それ以上にレコン・キスタの用兵は無茶苦茶だった。
普通万単位の兵隊を動かすとなれば食料や武器を運ぶだけでも大仕事だし、その動きを察知できる。
ロンディニウムからこの大陸の端まで来るのに日数もかかるはずだ。
そんな常識的な戦いなら、逃げるなりどこかに誘い込むなり考える余裕もあるが、
全軍を一気に空間転送などされては太刀打ち出来なくて当然だった。
しかも、転送されたのは兵隊だけに留まらない。
霧を割って現われる戦艦が4隻。
こちらは門からではなく、それぞれが船ごと空間転移してきたと、監視していたメイジが報告している。
そこから飛び立つ竜騎士がそれぞれの船から6騎。合わせて24騎も飛び立っていた。
圧倒的な、絶望的な、戦力差だ。
そんな中で、マチルダは必死に頭を回転させていた。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:46:39 ID:JTwXXSKe
皆読みふけってるのかw 支援ー
309虚無の使い魔と煉獄の虚神:2007/10/22(月) 17:48:27 ID:O9yY0S2X
この中で一番世慣れていて、一番自軍の戦力を理解しているのが自分だという確信があった。
ティファニアを逃がすにしろ戦うにしろ、彼女の保護者である自分が頑張らねばという矜持もある。
それに、彼等に生きろと言ったのだ。こんな所でいきなり死なれては困る。
「一つだけ、策がある。アンタ達、乗るかい?」
そして、彼女はゆっくりと自分の作戦を口に出し―――結局、全員がその策に賭ける事になった。

陣地を構築し隊列を組み始めたレコン・キスタの将兵8万5千。
彼等全員と戦って勝つなどそもそも不可能な事だ。
ならば、その戦列が完成するまえに突撃して中央突破。
敵の城へと突入して転移の門を破壊すれば、手薄な敵本陣に直接戦いを挑める。
戦う相手は前方の数千人だけ……とは言っても、それだけで十分絶望的な戦力差だが。
それでも、攻め込まれる事を想定していないであろうハヴィランド宮殿に飛び込めば、土地勘のある自分たちなら逃げるのも容易。
その前提で、王党派は動いた。
ひたすら迅速に、敵軍が陣形を完成させる前が勝負。
万単位の敵に対してこちらは百単位。速度で立ち向かえばまだ分があると言える。
そうして、圧倒的早さを求める奇妙な縦列楔形突撃陣形が構築された。
先陣を切るのは土メイジ達が生み出す大型のゴーレム。
サイトの発案によって四本足で造られたゴーレムは、巨大なサイのような姿になっている。
中央にはマチルダの生み出した一際大きなゴーレムがそびえ立ち、サウスゴータ太守の血筋の魔力を貴族達に見せ付けていた。
「全軍、突撃イィィィ!!」
「アルビオン万歳!」
「我等の誇りを見せつけよ!」
司令官の号令一下、7体のゴーレムを先頭に500の王党派貴族達が走り出した。
隊列中央には『錬金』で全体を鋼鉄に変えた馬車が走り、その周囲を若く戦闘に馴れた貴族達が乗騎して守る。
中に居るのはティファニアとルイズ、それに二人の護衛としてのキュルケの三人。
始祖のオルゴールを用意し、二人の指には風のルビーと水のルビーが着けられ、呪文を唱える準備は揃っていた。
マチルダは自分の生み出したゴーレムの背に、サイトとギーシュはその後ろで先陣となって馬を駆る。
もちろん、馬になど乗れないサイトはギーシュの後ろでその腰につかまって、だが。
「敵襲っ! 敵襲ぅぅぅ!」
「ばっ、馬鹿な早すぎ――うわぁぁぁぁ!」
数の多さを傘に相手を見くびって油断していたレコン・キスタは混乱した。
逃げ出す事はあっても突撃など、ましてこのような整然とした突撃などして来るとは思ってもいなかったのだ。
おかげで弓矢や銃が放たれるのが一拍遅れた事は王党派にとって僥倖だったと言えよう。
巨大な質量兵器であるゴーレムの突進は深々と敵陣に突き刺さり、同士討ちを恐れた兵士達の飛び道具を牽制できたのだから。
だが、命中率の高い魔法による攻撃までは手控えてくれない。
質量を伴った土系統の、あるいは爆発による破壊をもたらす火系統の魔法を何発も打ち込まれ、
一体また一体とゴーレムが破壊されていった。
「あぶねぇ!!」
ついに中央を疾駆していたマチルダのゴーレムも破壊される。
砕けた土くれから投げ出された彼女を抱きとめたのは、ギーシュの後ろから飛び上がったサイトだ。
「ギーシュ、この人をルイズ達の所へ!」
「ああ、任せたまえ!」
そのままギーシュのワルキューレにマチルダをあずけて、サイトは駆け出した。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
デルフリンガーを振りかざしてゴーレムだった土塊を跳び越し、視界を埋め尽くす兵士へと殴りこむ。
ガンダールヴのルーンは輝きを放ち、サイトの中には凶暴で力強い波動が溢れ始めていた。
「ふははははははははははははは! ふあっはあはははははははははははははは!」
同時に突撃するのは全裸飛行奇スピッツ・モード。
パンツすら脱いだ完全体の錬金大系魔導師が、上空からトンボ返りで敵軍の中に突っ込んだ。
触れた対象を切断するように設定された禿頭の魔導師の体表面が、完全武装の兵士達を鎧ごと切断する。
次々と敵を切り裂いて、再び上空へと飛び上がった。
あまりの攻撃力と変態に足並みを乱すレコン・キスタ兵士達。
その中に飛び込んだサイトが、数人の兵士をまとめて蹴り飛ばす。
「逃げるヤツは追わねぇ! 死にたいヤツだけかかってきやがれ!」
「おうおうおう、遠からん者は音に聞けぇ! 近くばよって目にも見ろい!
俺の相棒はガンダールヴ! 伝説をその身で知りたい命知らずには冥土の土産をくれてやるぜぃ!!」
310名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:51:46 ID:HdlZkliA
支援
311名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:55:23 ID:JTwXXSKe
さらに支援
312名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:56:51 ID:lFoxnffH
しえんん
313虚無の使い魔と煉獄の虚神(代理):2007/10/22(月) 18:00:53 ID:FNP7RiSx
嵐のような剣だった。
周囲を押し包むように向かっていった兵士が、まるで人形のように弾き飛ばされる。
熟練の戦士を当たるを幸いとなぎ倒し、その上で馬で駆ける仲間と同じ速度で走るのだ。
「ガンダールヴ!?」「伝説の?」「始祖の左手!」「無敵の盾?」
恐怖が流言となって伝播する。
人が多ければ多いほど、生み出された恐れは大きく増幅されるのだ。
ましてやそこが戦場ならば余計に。
天には火竜以上のスピードで空飛ぶ変態。
地には馬よりも早い伝説の使い魔。
怯える平民を指揮する貴族達が馬上から魔法を放つが、殆どをデルフリンガーによって吸い込まれた。
何発かは死角から打ち込む事に成功するが、それは王党派貴族のスペルによって阻まれてサイトにまで届かない。
サイトとモード。
たった二人で百以上の兵士を倒す戦士に、恐怖にかられたレコン・キスタと、先陣の剣を援護する王党派、両軍の戦力が集中し始めた。
「ふははははははははは! 惜しいっ! 実に惜しいっ!
お互いの立場さえ違わねば、空を飛ぶ者同士が戦う必要など無かったでしょうに!!」
集中しはじめる竜騎士の攻撃をたくみに回避し、手痛い反撃を加えるモード。
嘆きつつも、その羽の切れ味は変わらない。
天下無双を謳われたアルビオンの竜騎士が、翼を切り裂かれ胴を薙がれて次々と地に落ちてゆく。

「な、なんだよコイツは!?」
「ゴーレムだなぁ。こりゃあ剣士にゃあ荷が重いぜ相棒」
一方、サイトの前に立ち塞がったのは巨大な土人形。
その手には別のメイジが錬金したのか、巨大なハンマーが握られていた。
振り下ろされる鉄槌。
サイトは素早い動きでそれをかわすが、味方の1人が馬もろとも叩き潰される。
怒りをバネに反撃するサイトだったが、剣で殴ったぐらいでダメージを与えられるような敵ではない。
切り裂かれたはずのゴーレムの脚は、数瞬の後には元通りになっている。
「くそっ、どうすりゃ……」
焦るサイト。
その目の前で、ゴーレムが何かに躓いたようにバランスを崩した。
「もぐー!」
「ナイスだよボクの可愛いヴェルダンデ!」
歓声をあげるギーシュ。
それは敵の足元に穴を掘ったジャイアントモールの手柄だった。
瞬間、ゴーレムの肩にメイジを見つけたサイトの腕が動く。
「デルフリンガーミサイル・改っ!!」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! またかよ相棒うぅぅぅぅぅ!?」
柄の方から一直線に飛んだデルフリンガーがゴーレム使いの頭と激突。
そのまま落下するデルフとメイジ。土に戻って崩れるゴーレム。
その巨大な手が落とした巨大なハンマーを、サイトはその手に掴んだ。
ガンダールヴはあらゆる武器を使いこなす。
本来なら、平和な日本で暮らしていたサイトには大剣のデルフでさえ手に余る重さのはずだ。
それを振れるのなら、より大きなものでも可能ではないのか?
可能だ、という自信がサイトにはあった。
自分の背後にはルイズとテファという二人の虚無の担い手。
その彼女達を守るためなら、多少の無茶は道理を蹴り飛ばしてども通す。
それが虚無の使い魔の使命なのだから。
「う…………おおおおおおおおおおおおおお―――」
歌うように唱和する、二人分の『虚無』のルーンがサイトに普段以上の力を与えた。
ゴーレムサイズの、長さ20メイル、重さは数トンに及ぶであろう鉄槌が持ち上がる。
そのまま竜巻のように高速回転するサイトの身体。
巻き込まれた兵士が次々と弾き飛ばされる。
「ばっ、ばけものだあぁぁぁ!」
「伝説だ! ガンダールヴだ! 勝てるワケ無いっ!」
その光景は、士気崩壊しかかっていたレコン・キスタ兵士達を恐慌に陥れるのに十分なものだ。
314虚無の使い魔と煉獄の虚神(代理):2007/10/22(月) 18:01:56 ID:FNP7RiSx
サイト達を叩くべく新たに生み出されていたゴーレムが2体、あまりの光景に竦んだ瞬間。
「―――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおりゃあぁぁぁ!!」
2体のゴーレムの真ん中へ向けて投げられるハンマー。
回転しながら二つの岩の胴体を砕いたハンマーは、勢い余ってそのまま数十メイルに渡って軍馬も兵士も関係無しに牽き潰す。
「ギイィィィシュ!」
「任せろサイト!」
地面に突き刺さっていたデルフリンガーを引き抜きながら叫ぶサイトに以心伝心でギーシュが答えた。
ありったけの精神力を込めての『錬金』が、地面から鋼鉄の塊を生み出してゆく。
それは長大な槍。
長さ30メイルに及ぼうかという、美しい薔薇の装飾がされた銀色に輝くランスだった。
その柄に、サイトの五指がミシミシと音を立てて食い込む。
左手に剣、右手に槍。
まさに伝説のガンダールヴの姿そのままである。
「貫けえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
更に強く強く強く光り輝く左手のルーン。
渾身の力で放たれた巨大な槍は一直線に敵陣を突き破り、霧を引き裂いて『門』の側まで届く。
「進めっ! ガンダールヴ殿に遅れるなあぁぁ!」
喉も裂けよとばかりに大臣が叫んだ。
雪崩もかくやという勢いで前進、否、突進する王党派の貴族達。
馬上の者は鞭を入れ、牛車の者は暴走覚悟で、徒歩の貴族は供にもフライの魔法をかけて。
今この瞬間こそ正念場。
精神力も尽きよとばかりに乱れ飛ぶ炎と風と氷と水と土と雷。
8万5千の大軍を中央から切り裂いて、一直線に『門』へと向けてなだれ込む。
そんな彼等に向かって、もはや敵も味方も関係ないとばかりに砲弾がふりそそいだ。
4隻の軍艦が、自軍を巻き込んでの砲撃を開始したのだ。
次々に吹き飛ばされ、肉片となる地上の兵士達。
敵味方の区別無く風のメイジは風の障壁を張り、水のメイジは水の膜を作り出すが、それとて儚い抵抗でしかない。
「馬鹿な!? 止めろ、止め―――」
レコン・キスタの指揮官がまた1人砲弾の直撃を受けて消し飛んだ。
その様子を、怒りをもって見つめる少女が二人。
決して平坦では無い大地を、鞭を巧みに操って馬車を疾駆させるキュルケに守られた少女二人。
鋼鉄の馬車の車中、ルイズとティファニアは身を乗り出して呪文を唱えていた。
「「ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル……!」」
唱和するそれは誰も聞いた事の無い、けれど本能的な敬意と畏怖を呼び起こさせる呪文。
「「エクスプロージョン!!」」
放たれる魔力と生み出される光。
右から迫っていた二隻と左から迫っていた二隻を、ルイズとテファがそれぞれ生み出した光が飲み込んだ。
それは抵抗不可能な破壊。純粋にして絶対の爆発。
瞬時にして風石と砲弾と火薬、そして帆布を失った軍艦は、成す術も無く地上に不時着する。
「な、なんだあの光は!」
「まるで太陽が3つになったみてぇな……」
怯えるレコン・キスタ将兵の上に降ってくるのは、アルビオン王党派の歓声だ。
「虚無の魔法だ!」
「伝説の復活だ!」
「女王陛下万歳! アルビオン王家万歳!」
叫びと共に、王党派残存兵士達は『門』へと駆け込んだ。
24騎の竜騎士を全滅させたモードもまた、門の中へと滑り込む。
それを確認して、サイトは両手から武器を手放した。
瞬間、魔炎となって燃え尽きる空間転移の『門』。
残されたレコン・キスタ将兵は千人近い兵士と4隻の軍艦、それに退路まで失ったまま、
ただ呆然とするしか無く、敵軍の消えた戦場に立ち尽くしていた。

満身創痍。
けれど奇跡的に致命傷は無くハヴィランド宮殿へとたどり着いたサイト達。
王軍もボロボロではあったが、400人近くが生きたまま門をくぐる事に成功していた。
315虚無の使い魔と煉獄の虚神(代理):2007/10/22(月) 18:02:59 ID:FNP7RiSx
だが、戦いはそこで終わるわけではない。
襲い掛かってきたのは本拠地の防御として残されていた死者の軍団だった。
宮殿前広場に布陣した、服装も年齢性別もバラバラな魔導師達がサイトを襲う。
雷撃、火炎、爆発、熱砂、エネルギー弾。
飛んで来る魔法をデルフリンガーで吸収し、疾風の速さで断ち切るが、敵は死んでもまた甦る。
「ちくしょう、キリがねぇ」
「娘っ子、嬢ちゃん、解呪だ! 虚無の魔法を使え!」
「はいっ、デルフさん!」
「わ、わかったわ!」
馬車の中でオルゴールを開き、同時にルーンを唱え始める二人。
その間にも敵の魔導師は殺到してくる。
吸い込む事が出来ない操作された飛来する剣を受け、疾風の速さで火炎を操る魔導師を斬る。
数人のメイジが協力して敵を倒した血路を走り、また1人刻印魔導師を殴り倒す。
馬車の側に空間転移して現われた魔導師に落ちていたナイフを拾って投げつけ、
怯んだ瞬間に駆け戻り、間合いを詰めて切り掛かる。
本当にキリが無い。
相手の数は多く、不死身で、しかも一人一人が強力だ。
それでも、サイトはルイズ達の詠唱が終わるまで止まるつもりなど無かった。
「なんとか、もたせられる……か?」
「いいや相棒。そう簡単にはいかねぇみたいだぜ?」
空間がゆらぎ、大気の中から染み出すように新たな敵が現れる。
立ち塞がるのは半透明の人間に似た50メイルを超える巨体。
因果大系の高位魔導師フィリップ・エリゴルが大気を固めて作り出した因果巨兵は、
メイジ達の魔法をやすやすと弾き返して迫って来た。
「まだだっ! 僕はまだやれるっ!!」
「そうよっ! ここまで来て負けるなんて、ツェルプストーの家名が泣くわよ!」
「ああまったくだね! 死人になんか殺されてたまるもんか!」
ギーシュが、キュルケが、マチルダが、最後の一滴まで精神力を振り絞って魔法を放つ。
それでも、半透明の巨兵を倒す事はできなかった。
「あっはっはっはっ! 無駄さ無駄さ! 僕の百手巨人四十号に、そんな豆鉄砲が通用するもんか!」
無暗と快活に笑う『百手巨人』フィリップを前に、ギリリと奥歯を鳴らすサイト。
相手が大系魔導師ならデルフを手放せばその魔法効果を消滅させられる。
けれど無数の魔弾だけでなく、操作された岩や武器が飛び交うこの場所でガンダールヴの力を消すのは危険すぎた。
『大気泳者』スピッツ・モードは先程から空を飛ぶ魔導師との戦いに集中していて援護は望めない。
ギーシュ達のみならず王党派のメイジ達も、もうほとんどが精神力を枯渇させていた。
ルイズ達が呪文を完成させるのにもまだ少し時間がかかるだろう。
「やっぱ、俺が守らなきゃならないって事か……」
「ああ、そうだぜ相棒。
虚無の担い手を守る事、それだけがガンダールヴに与えられた仕事だ。
お前さんも俺と同じなのさ。ただ一つの目的のために鍛えられた、一振りの剣なのさ」
「はっ、そりゃ簡単でいいな。ならあのヤロウはこの手で―――」
凶暴な野獣の笑みでサイトは笑う。
ルイズ達の詠唱を背に、巨大な敵を前に、サイトは不退転の決意で立ち塞がった。
湧き上がる戦意。燃え上がる闘志。
「―――ブッ倒す!」
316虚無の使い魔と煉獄の虚神(代理):2007/10/22(月) 18:04:49 ID:FNP7RiSx
純粋な、氷のような殺意。
切り掛かる。弾き返される。
殺意を高める。
打ち掛かる。反撃を辛くも回避する。更に突撃。
どこまでも殺意をたかめる。
「はーっはっ! 無駄だよ小僧!
こんな貧相な魔法世界の、その魔法すら使えないようなヤツが僕に刃向かう事すら愚かしい。
さっさと諦めてゴミはゴミらしく踏み潰されるのがいいさ!」
「言ってろ馬鹿」
回避。攻撃。回避。攻撃。回避。攻撃。攻撃。回避。攻撃。攻撃。攻撃。回避攻撃撃撃撃撃!!
サイトの腕が、脚が、人体の限界を軽々と超えて奔る。
一瞬に一撃の打ち込みが二度の打ち込みになり、三連撃に四連打に五連斬に。
「無駄だ! 無駄だと言っているのが――」
止まらない。止められない。
他の魔導師から放たれる妨害の魔術を、軽々とデルフリンガーによって吸収しながら、サイトは雷光のように剣を揮い続ける。
フィリップは気が付いているだろうか。嘲笑していたつもりの自分の声に、あきらかな怯えが混じっている事に。
倒せ殺せ守れ殺せ倒せ守れ守れ倒せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ―――
震える魂のその果てに、サイトの心はある一点を突破した。
あまりに激しく震えすぎた心はその震動を停止して、ガンダールヴの力が一瞬だけ停止した。
替わりに働くのは、サイトが生まれ持った世界の法則。
すなわち―――地獄の『悪鬼』に宿る魔法破壊の力である。
「な―――んだとぉ!?」
瞬間、あらゆる魔法が燃え上がった。
「ひいぃぃぃぃぃ!」
「悪鬼……沈黙する悪鬼だあぁぁぁ!?」
犯罪者の心の中に刻まれていた恐怖が掘り起こされる。
明滅するガンダールヴのルーン。
断続的に破壊され、間炎を吹き上げる魔法たちの中を、サイトは神速度で走り、敵を切り裂く。
不死であるはずの魔導師達は逃げ惑い、中には空間転移に失敗して自滅する者までいる。
「ひ……ひ……何だ! 何なんだお前は!?
『鬼火』のような身のこなし! 『沈黙』のような魔法消去!
寄るなっ! 僕に近寄るな! 忌まわしい殺し屋! スローターデーモン!!」
腰を抜かしてみっともなく這いつくばったフィリップが尻で地面を擦って後ずさる。
百手巨人四十号など、とうの昔に燃え尽きていた。
「違うな。俺は、そんな悪鬼だとか戦鬼だとか呼ばれるようなヤツじゃあない」
一歩、また一歩とフィリップに近づきながら、サイトは静かに言う。
「何だと? ならばお前は何者だと言うんだ!?」
「俺は―――虚無<ゼロ>の使い魔だ」
それがサイトの得た答え。
自分が何者であるかをしっかりと胸に刻んだ少年の歩みは、揺ぎ無く力強い。
目に涙を浮かべ、小刻みに震えて、誇りも力も無くして怯える因果魔導師。
その横をサイトはただ黙って通り過ぎて行った。
「えっ?」
呆然として振り返るフィリップ・エリゴル。
次の瞬間、彼は怒りに顔を歪める。
あの小僧は自分を無視したのだ。因果世界において、誰もが優秀と認め褒めそ讃えた自分を。
許せない。許せない。許せないから、その背中を魔法で狙う。
悪鬼といえど、視界の外から放たれた魔法までは消去できないのだ。
醜悪な笑みを浮かべてサイトの背中へ向かって魔法を放とうとした瞬間。
「「ディスペル・マジック!」」
完成した虚無の魔法が、フィリップを含む宮殿前広場に居た全ての魔導師を死者に戻していた。

かくして、再びハヴィランド宮殿に王党派の旗が掲げられる事になった。
貴族派首脳陣はその殆どが捕縛され、数日の内に処断される事になる。
本来なら絞首台は免れない所だが、新たに戴冠する女王の温情により、大半は財産没収の上で追放となる予定だ。
ただ1人。
会議室で、何者かに首を切断された姿で発見されたレコン・キスタ司令官、オリヴァー・クロムウェルを除いては。
317虚無の使い魔と煉獄の虚神(代理):2007/10/22(月) 18:05:55 ID:FNP7RiSx
671 名前:煉獄さん 投稿日:2007/10/22(月) 17:59:28 ID:qMuNluQA
本文以上です。
どなたか、大変申し訳ありませんがお願いします orzペコリ

なお、本文中に「痛風にサウナが良い」とありますが、
これは「なんか温くなったら痛みがマシな気がする」事から生まれた迷信です。
近代医療では否定されており、
逆に急な発汗は症状の悪化をもたらす恐れがあるとされています。
痛風持ちの読者の方は十分お気をつけ下さい。あしからず。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:06:17 ID:ITD6efMt
スピッツ・モードもサイトも鬼だな、まぢでw支援
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:20:58 ID:iAGAexkr
超GJ!

タバサ相似魔導師化? そういや、ハルケギニアなら複製障壁まで使えるのか……?
刻印魔導師にとって『沈黙』、フィリップにとって『鬼火』はトラウマだからなあ。そりゃ恐慌もする。
ガンダールヴなら鬼火並に動けるのか……選択的な魔法消去は無いけど。
もう一度GJ!

……割とどうでもいいが、ケイツ君の方が召喚されてたら全く違う話になったに違いないw
320名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:24:23 ID:Km4F8QXV
うおおおお!
まさかココでサイトつえええええが見れるとは!
つーか皆つえええええだなw
321名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:29:53 ID:ITD6efMt
煉獄の人も代理の人もお疲れ様でしたー
やっぱりグレン・アザレイという強大なライバル(仮想)がいると成長速度が段違いですね。
というか原作のワルドじゃ役者不足だったんだなぁ…。

よーし、この勢いで円環少女5巻読んじゃうぞー。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:35:51 ID:A7UgqtK7
>>265
強引な決闘の免罪符にはならんぞ。
だいたい、モット伯のなにが悪いのかサッパリ分からん。
あの世界では当たり前の事なんだから、日本の価値観で物事を判断する駄目だろ。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:40:19 ID:LrR1pNdo
当たり前ってw
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:41:29 ID:CacImeYL
宇宙戦艦ヤマト召喚。
7万の敵を相手に戦国自衛隊状態に。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:42:43 ID:sGb3q7Ye
>>324
誰と契約するんだろうな……
326薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 18:50:43 ID:B4koSfyo
あのー、予約無いなら投下よろしい?

第2部のラスト、結構長めなんですが
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:53:12 ID:ek0X+pyo
かまん!
328薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 18:53:12 ID:B4koSfyo

         第八話     月夜に踊るは


 土くれのフーケは逮捕された。
 学院へ駆けつけた城の衛士に即刻引き渡された。

 その後の学院はお祭り騒ぎだった。
 キュルケやルイズはもとより、教員達も自分の活躍をこれでもかと吹聴し回っていた。
生徒達も魔法学院の勝利だと大喜びだ。今夜は『フリッグの舞踏会』が予定通り行われる
ので、さぞや賑やかになるだろう。
 フーケは学院の教師と生徒が総掛かりで逮捕したと報告されるため、王宮からの報償は
学院宛に来ることになっている。

 学院長室には、オールド・オスマンとコルベール、ルイズ・ジュン・真紅・翠星石がソ
ファーに座っていた。彼らの間には、テーブルの上に置かれたバズーカ砲がある。デルフ
リンガーは、ジュンの後ろに鞘に入れられ立てかけられていた。


 ジュンがオスマンの話に熱中していた。
「へぇ…それでこれが『破壊の杖』になったんですか」
「うむ、30年前に私を救ってくれた恩人じゃ。この残ったばずぅかほうを、せめて形見
にと思ってのぉ」

 オスマン氏は、このバズーカ砲の由来を語っていた。30年前、ワイバーンに襲われて
いた自分をもう一本のバズーカ砲で助けてくれたが、そのまま帰らぬ人となった異世界の
兵士の事を。

「そうですか…ちょっと触って良いですか?」
「ん?ああ良いよ」
 ジュンは、バズーカ砲に触れてみた。
 同時に左手の包帯の隙間から、光が漏れだした

「これは・・・!」
 ジュンは、まるで魅入られたように、バズーカ砲を触り続けた。

 その様子に、他の者が不審がる。
「ちょっと、ジュン。一体どうしたの?」
 尋ねた真紅に、ジュンはうわごとのようにつぶやいた。
「これは・・・正しくはバズーカ砲じゃない・・・ロケットランチャーだ。
 M72 LAW、Light Anti-Tankの略だよ。使い捨て個人携帯対戦車弾。 弾薬は成形炸薬弾
で、信管と弾道を安定させる6枚の翼がある固定弾だ。翼は弾底部にあって、折り畳まれ
た状態で装填されてる。多分、30cm以上の鋼鉄の装甲を貫通できる。ええっと、使用方
法は・・・」

 淀みなく『破壊の杖』の使用方法を解説するジュンに、皆あっけに取られていた。

 まるで呪文の様にロケットランチャーの解説を終えた所で、ジュンはようやく周囲の視
線に気付いた。
「す…すごいですね、これがルーンの力だなんて。ほとんどサイコメトリーだ…」
 オスマン氏も、ヒゲをなでながら大きな息をついた。
「うむ…これがガンダールヴの力か。『全ての武器を自在に操る』というわけじゃな」
 コルベールも目を輝かせている。
「すごい、すごいですぞ!いや全くなんと興味深い!さすが始祖のルーンですな!!」
「すっごい・・・これがジュンだなんて、信じられない・・・」
 ルイズも驚きのあまり目を見開いたままだ。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:53:18 ID:3f9aoRA/
かもん
330名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:53:21 ID:jFKSIU/M
どうぞどうそ
331薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 18:54:37 ID:B4koSfyo

「ジュン・・・」
 翠星石が不安げにジュンを見上げている事に、ジュンも気付いた。
「・・・大丈夫、分かってるよ翠星石。僕は僕だ。ルーンの力に惑わされるなって言いた
いんだろ?」
 真紅も心配そうにジュンを見上げた。
「そうよ、ジュン。人の心はもろくて迷いやすいものよ。頭で分かっていても、知らず知
らずのうちに力に溺れてしまうこともあるのよ」
 コルベールも大きく頷いた。
「うん、君はまだ子供だからね。大きな力を手に入れて我を失う事もあるでしょうぞ。だ
けど、心して下さい。力は諸刃の刃、大きな炎は自分も焼くということを」

 コルベールの言葉を受けて、オスマン氏もジュンに忠告する。
「うむ、ミスタ・コルベールの言う通りじゃよ。
 まぁそれより前に、君の力を王宮が知れば、もう国を挙げて君たちを捕まえに来る事は
間違いない。伝説のガンダールヴに、あのフーケを易々と捉える魔力を持つ人形達。おま
けに!あんな混乱した状況でも冷静に、ミス・ロングビルの報告からフーケの正体を割り
出す高度な知性の持ち主達じゃ!
 王宮の暇人共がおぬしらを狙う事は疑いないわい。いや、他国も君たちの力をつけねら
う。そうなれば、もうヴァリエール家だけではジュン君達を守り切れんぞ」
 オスマン氏の言葉を受け、ルイズも顔を引き締めて頷いた。
「分かってます。主として、必ず彼らを守ります」
 ジュンも頷く。
「分かりました。この力、みだりに使わない事を約束します」
 ジュンは、左手を見つめながら、固く誓った。
 
「…それにしても、まさか『くんくん探偵』見てたのが役に立つなんてなぁ」
 ふと、ジュンはつぶやいた。

 ピシィ!
 真紅の髪がジュンをひっぱたいた。

「まさか、とはなぁに?くんくんの教えを学んだ者として、当然でしょう」
「ですねぇ、ジュンはまだ修行がたらんですねぇ。もっぺん第一話から見直すですぅ」
 翠星石も鼻高々でエッヘンだ。

 実のところ、ミス・ロングビルの朝の報告を聞いた時点でジュンも真紅も翠星石も、お
かしいとは思っていた。だがエレオノールの一件があったので、余計な事は言わないでお
こうと黙っていた。
 その後エレオノールの件を全部話したので、遠慮無く彼女の報告の矛盾点と導かれた推
測を告げたのだ。あとは『フーケは取り逃がした』と装って、フーケを学院に連れ戻して
捉える作戦をコルベールが立案・指揮した。使い魔達の活躍を伏せておきたいルイズと使
い魔達も、これに賛同した。

 今度はオスマン氏が、思い出したように口を開いた。
「ところでのう、君の国から召喚されたモノなんじゃが…もしかして、まだまだあちこち
にあるのではないかな」
「ええ、キュルケさんも」
 と言った時点でジュンは口を塞いだが、もう遅かった。ルイズも真紅も翠星石も『あ〜
あ』という感じで呆れていた。
 もちろんコルベールは聞き逃さなかった。
「ほほう!ミス・ツェルプストーもお持ちとは!それはどのようなものですかな?」
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:55:44 ID:pQBhO6+6
支援です〜
333薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 18:56:08 ID:B4koSfyo

 しょうがなく、ジュンは左右からの白い目に耐えながら、『召喚されし書物』(エロ凡
パンチ・'75年4月号)を話した。
 コルベールはウンウンウンッと激しく興味深そうに聞いていた。

「いやぁ素晴らしいですぞ!こんな身近にこれだけ沢山の異世界からの召喚物があったと
は!どうやら、探せばまだまだあるかもしれませんな!
 学院長!どうかこのコルベールに、異世界召喚物の捜索と研究をお許し下さい!」
「どうせダメだと言ってもやるんじゃろ?とても興味深い事じゃ、やりたまえ」
「はいっ!ありがとうございます!!」
 と叫んだコルベールは、グリンッとジュンに向け身を乗り出した。
「と言うわけで、私の研究に是非是非協力して頂きたい!」

 いきなり頼まれたジュンは、コルベールの勢いにタジタジだ。

「あ、あの、だってさっき、ご自分でルーンの力を使うなって…」
「いやいや!使うなとは言っておりませんぞ!破壊を司る炎の系統とて、使いようによっ
ては素晴らしいモノを生み出す事が出来る。そう信じて20年研究を続けてきたのです!
君のルーンとて同じ事。ただ武器を振るだけの戦争の道具となるのは、君も不本意でしょ
う!
 さぁ!さささぁっ!!ともに真理の探究へ踏み出しましょうぞ!!」
「し、真理の探究って言われても・・・」

 ジュンは助けを求めてルイズを見たが、ニヤニヤ笑っているだけだった。
 真紅と翠星石も、ニヤニヤ笑っていた。
 そうこうしている間に、満面の笑みでコルベールが顔を近づけてくる。

「は・・・はぁ、分かりました。僕でよければ…」
「そーです!そーですぞっ!いやーやはり君は見所のある少年だ!ありがとう、本当にあ
りがとう!」
 コルベールに両手をわっしと捕まれ、思いっきり体ごと上下に振り回されてしまう。
 ジュンは、こんな流されてていいのかなー?と疑問はもったが、コルベールの喜びよう
に『やっぱりいやです』とは言えなかった。





 夜
 アルヴィーズの食堂の上の階がホールになっている。『フリッグの舞踏会』も、そこで
開かれていた。
 会場内では大きな笑い声が響いている。特に教員達は得意満面だ。あんな報告最初から
おかしいと思っていただの、私の風魔法がフーケにトドメをだの、何言ってるの私の土が
あの泥棒猫の足をだの、もう一体何度同じ話をしていることだか。
 キュルケはキュルケで、取り巻きの男子達に囲まれている。ダンスは何人待ちになって
いるのやら。
 タバサは黙って料理と格闘していた。
ジュンと真紅と翠星石は、バルコニーで料理のおこぼれに預かっていた。やはり使い魔
という身分上、中に入るのは場違いな気がしていた。
334薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 18:57:56 ID:B4koSfyo


「さぁみなさん、ワインをどうぞ」
 といってシエスタがワインを持ってきてくれた。でもジュンは少し困ってしまった。
「あ、あの、僕は未成年ですから」
「未成年?」
 言われたシエスタはキョトンとした。それを見てジュンも『ああ、この国では未成年で
もお酒を飲んで良いのか』と気がついた。
 真紅もそんなジュンの姿を可笑しそうに微笑んだ。
「ハルケギニアでは別にいいようね。それにヨーロッパでは、子供でもワインは普通に飲
んでいたのよ」
「へぇ〜」
「うーんと、するとジュンさんのお国では、子供はお酒を飲んではいけないって言われて
たんですか。それじゃダメかな?」
 ちょっと残念そうなシエスタに、ジュンが思い切って告げた。
「いえ、僕はハルケギニアにいるんですから、飲みますよ」
 と言ってジュンはシエスタからグラスを受け取った。
「おお〜、頑張るですよジュン!ファイトですよぉー♪」
 翠星石も、楽しげに応援する。

 ジュンはジッとグラスの紅い液体を見つめ、目を閉じ、一気にグラスを飲み干した

 ぶふぉっ!
 思いっきりバルコニーの外へ吹き出した。

「ぐふあっ!ごふぅ!ずっすいばぜんっ!」
「あらあらっ!ごめんなさい、やっぱりいきなりは無理でしたね」
 と言ってシエスタは慌ててハンカチでジュンの口元を拭いた。
 真紅も翠星石も、やれやれと言う風に顔を合わせて肩をすくめた。

「やっぱりフーケのゴーレムに立ち向かう剣士でも、まだまだ子供なんですねぇ」
「え?僕はそんな、なんにも」
 シエスタに顔を拭かれながら、ジュンは慌てて訂正した。
「まぁご謙遜を!ミス・ヴァリエールが今日の事を自慢して回ってましたよ。ミス・ツェ
ルプストーは、ミス・ヴァリエールの使い魔達にゴーレムを足止めさせて、自分がトドメ
をさしたとおっしゃられてましたけど。ミス・ヴァリエールは、自分の使い魔達がほとん
ど倒していたって。
 どちらにしても、そちらのお人形さん達だけじゃなく、ジュンさんもゴーレムに立ち向
かっていたんですよね!?それも、剣で巨大ゴーレムを一刀両断!
 本当に凄いですわ!ただの平民が、こんな小さな体で、そんなに勇敢で強いなんて!」
「え、えと、む〜」

 顔を拭かれながら、シエスタのキラキラとした瞳に見つめられ、ジュンは頭を抱えそう
になった。
 翠星石も、あんのちんちくりんは困ったヤツですねぇ、と真紅とささやきあっていた。

「へへっ!まぁ怒るなッて。使い魔の手柄は主の手柄だ、自慢の一つもさせてやれや。
 …ところで、いつまで拭いてンだ?」
「あ、あら!ごめんなさいっ」
 慌ててシエスタはジュンから離れた。頬を赤く染めながら。
 ジュン達をたしなめたのは、ベルト付きの皮布に包まれたデルフリンガー。バルコニー
に立てかけられている。
335薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 18:59:03 ID:B4koSfyo

 今のデルフリンガーは輝くほどの刀身を持つ見事な片刃剣だ。鞘に入れないと危なくて
しょうがない。だが、鞘にいれるとデルフリンガーがしゃべれないし、彼も寂しがる。そ
れに、鞘に入れてジュンが担ぐと、抜けない。
 というわけで、今デルフリンガーは留め金つきの皮布にくるまれた状態になっている。
抜くのではなく、留め金を外し皮布をほどいて使うようにした。
 そして、この状態だと『鞘に入ってる』わけではないようで、デルフリンガーは自由に
会話が出来るようになった。


「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエー
ル嬢の、おな〜〜り〜〜〜」
 門に控えた呼び出しの衛士が、ルイズの到着を告げた。
「あらいけない!それじゃ私は仕事に戻りますね。皆様お楽しみ下さいね♪」
 そう言ってシエスタは会場へ戻っていった。

 ルイズは長い桃色掛かった髪をバレッタでまとめ、ホワイトのパーティードレスに身を
包んでいる。肘までの白い手袋が、ルイズの高貴さをいやになるぐらい演出し、胸元の開
いたドレスがつくりの小さい顔を、宝石のように輝かせている。
主役が全員揃ったことを確認した楽師たちが、小さく、流れるように音楽を奏で始めた。

 ルイズの周りには、その姿と美貌に驚いた男達が集まり、盛んにダンスを申し込んでい
た。今までゼロのルイズとからかっていたノーマークの女の子の美貌に気付き、いち早く
唾を付けておこうというのだろう。
 ホールでは貴族達が優雅にダンスを踊り始めた。しかし、ルイズは誰の誘いも断ると、
バルコニーにたたずむ使い魔達に近寄ってきた。

「どーしたのよ、みんなこんな隅っこで」
 ルイズに聞かれてジュンと真紅と翠星石は顔を見合わせた。答えたのはデルフリンガー
だ。
「こいつら、自分達が使い魔で平民で人形だからって気を使ってんのさ。全くおめぇさん
は良い使い魔をもってやがんなぁ」
 聞いたルイズは、はぁ〜、とため息をついた。
「そんなこったろーと思ったわよ。まーったく、あんた等は良い子過ぎるのよ。ほら、と
にかく来なさい!」
 ルイズは強引にジュンの手を引っ張った。
「ちょっちょっとルイズさん!僕はダンスなんかした事無いですよ!」
「いーのいーの、私が教えてあげるから!」
 ジュンは無理矢理ホールへ連れて行かれた。残ったモノ達の暖かい微笑みに送られて。
 


 ルイズはジュンのぎこちないステップに文句を言わず付き合っていた。だが、その顔は
浮かないものだった。
「そう・・・。ジュンも、学校が始まるの・・・」
「うん・・・」
 ジュンも、申し訳なさそうにうつむいていた。
「…こっちの学校だけでも、いいんじゃない?」
「そうもいかないよ。魔法だけじゃ、多分、ダメなんだ」


 ジュンは、とうとう地球での夏休みが終わり、二学期が始まる時期になってしまった。
学校への復帰を決意した以上、必ず初日から出席する覚悟だった。それに、ローゼンが薔
薇乙女を生み出した技は錬金術、と彼は予想していた。錬金術は現代科学の基礎にもなっ
た技だ。つまり、蒼星石と雛苺を復活させるには、魔法だけでなく科学も勉強しなければ
いけないということ。だから、地球でも勉強しなくてはいけない。
 ハルケギニアと地球を往復し、魔法と科学を両立させる。その困難な道を、あえて彼は
選んだ。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:59:20 ID:pQBhO6+6
もう一回支援
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:00:22 ID:YmUn/lI+
メロス>>スカイブルーのタイプと見た

>>18
んー・・・・、シグナルは良い線行ってるけどチビの夢みたいになりそう
ベタなのは矢張りパッパラ隊
鋼は、扉の向こうは其処でした?

そう言えば、ヴァンパイア十字界が投稿でなかった?
338薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:01:28 ID:B4koSfyo


 二人はしばらくの間、何も言わなかった。ジュンのヘタなダンスに、ルイズは黙って合
わせていた。
 彼らの周りでは、楽団のバロック音楽に似た演奏に合わせて、きらびやかに着飾った若
い貴族達が、優雅に手を取り合って踊っていた。その顔は皆、笑みをたたえていた。
 そんな中、ジュンとルイズだけは、沈んだ顔でうつむいたまま、ただ淡々とステップを
踏んでいた。


「・・・行きなさいよ・・・」
「・・・え?」
 先に重苦しく口を開いたのはルイズだった。うつむいたまま、僅かに震える声だった。
「行きなさいよ…勝手に帰りなさいよ!」

 パチンッ!
 ルイズの平手が、ジュンの頬を打った。
 彼女はジュンを突き放し、扉から飛び出ていった。

「ま、待ってっ!ルイズさん!!」
 頬を押さえてしばし呆然としていたジュンだったが、すぐ我にかえりルイズを追って扉
を出た。
 だが、廊下の暗闇の中に、彼女の姿はもう無かった。
「ルイズ、さん・・・」


 いきなりな事に、楽団は一瞬演奏を止めたが、すぐに演奏を再開した。
 貴族達も何事かと、ジュンに顔を向けてはいたが、すぐ目の前のダンス相手に微笑みを
向けた。
 扉の向こうで立ちつくすジュンを気にすることなく、舞踏会は続いていた。


 ジュンは、赤く腫れた頬を押さえ、立ち続けていた。
「ふふん。レディを泣かすとは、やっぱり君は子供だねぇ」

 ジュンの背後から、聞き覚えのあるキザッたらしい声がした。
 振り返ると、やっぱりキザったらしく扉にもたれかかったギーシュがいた。


 ギーシュとの決闘以来、ジュンはギーシュとまともに話した事はない。ジュンはいつも
真紅・翠星石と共に、ルイズと動き回っていた。他の貴族達も、ギーシュとの決闘を見て
『謎の魔法人形で常に守られた平民』に、ちょっかいをかけることは無かった。
 シエスタやマルトーなど、学院の平民達がジュンに親しげに接してくれたので、ジュン
も貴族達に無理に関わろうとはしていなかった。
 そのため、ギーシュが舞踏会を抜けてまで、決闘で大恥をかかされたはずのジュンに声
をかけに来たのは、彼にとって意外だった。だからといって、今ギーシュに声をかけられ
るのは、ジュンにとってあまり嬉しくはなかったが。


「ミスタ・グラモン・・・」
 声を返されたギーシュは、薔薇の杖を手に、思いっきりわざとらしく腕を広げた。
「おやおや、このギーシュ・ド・グラモンを覚えていてくれたのかい?光栄だねぇ」
「皮肉は、よしてください・・・」
 ジュンは力なくつぶやき、うなだれた。
 そんなジュンを、ギーシュは不思議そうに眺めていた。
「本当に君は不思議な子だねぇ。フーケのゴーレムと切り結べる程の剣技を持ちながら、
僕のワルキューレには殴られっぱなし。使い魔のクセに主人とダンスするかと思えば、い
きなりケンカしてひっぱたかれる。
 一体君は何者なんだ?何を考えているんだい?」
339薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:02:52 ID:B4koSfyo

 尋ねられたジュンだったが、何も言わず黙ってうつむいていた。
 だがギーシュも黙ったまま、ただじっとジュンを見つめ続けた。


 演奏されていた曲が終わり、パートナーが入れ替わる頃、やっとジュンが口を開いた。

「僕は・・・僕は、タダの子供です。
 ローゼンメイデンとか、ルーンとか、すごい力を手に入れて、まるで自分の力のように
勘違いして、浮かれて周りが見えなくなっていただけの、何の力もないバカです」
 うつむいて語るジュンの肩は、小刻みに震えていた。

「そうか…バカな子供、か」
 ギーシュは、やっぱり格好を付けながら腕組みして虚空を見上げた。

「で…君は、嘘つきでもあるのかい?」
「・・・え?」
 問われたジュンは、ギーシュを見上げた。
「ほら、君は言ってたじゃないか。ブルブル震えて逃げ出すのはイヤだとか、格好悪い自
分から目を逸らさないとか」
「あ…」
「あれは、ウソなのかい?」

 ギーシュは、真顔でまっすぐジュンの目を見た。
 ジュンは、一瞬、目を逸らしそうになった。だが、拳を握りしめ、ギーシュの目を見返
した。

「ウソじゃ…ウソなんかじゃ、ないです。僕は、逃げる気なんかないです」
「ふむ。それじゃ君は、今の自分がやるべき事から逃げない、と言う事だね?」
「…!」

 ジュンは、真顔で見下ろすギーシュの言いたい事を理解した。ジュンの持っていたギー
シュに対するイメージからは想像出来ない意図に、口をあんぐり開けて驚いてしまった。
 ダンスが続くホールをバックに、目を丸くしたジュンへギーシュが微笑んだ。

「さぁ、早く行きたまえ」
 促されたジュンは、ようやく我に返った。
「ありがとうございます!ギーシュさん!」
 慌ててギーシュに一礼して、ジュンは走り去った。


「姿が見えないから、どこいったかと思ったら…」
「やあ、モンモランシー。わざわざ探しに来てくれたのかい?嬉しいねぇ」
 ジュンを見送るギーシュに、見事な巻き毛の少女が声をかけた。腕組みして、少しすね
ているようだ。
「見てたわよ・・・どういうつもり?」
「どういうつもりって、なにがだい?」
「あんな平民の子供にわざわざ声をかけるなんて、意外ね。しかも自分が恥をかかされた
相手なのに」
「恥、か」

 ギーシュはわざとらしく目を閉じて、顔を上げた。

「ホントにヘンな子供だよ。彼は僕に、わざわざ素手で向かってきた。はいつくばって嘔
吐して、大恥をかきそうになった。
 そう、彼は恥をかいていたはずなんだ。でも、彼は真剣だった。どうしてだろうね?」
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:03:18 ID:pQBhO6+6
まだまだ支援
341薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:04:14 ID:B4koSfyo

 ギーシュはモンモランシーに問いかけたが、彼女はフルフルと顔を横に振った。
 彼は、再び虚空を見上げた。

「僕は思うんだ。彼は他人に対してじゃなく、自分に対しての名誉を守ったんだって。本
当の自分で戦いたかったんだ、とね。それは、貴族の名誉とは違うけど、とても大事な名
誉なんじゃないか、そう思うんだ」
「・・・全然分かんないわよ」
 彼女は呆れたようにため息をついた。
「そうだね、僕にもよく分からないよ」
 彼も呆れたようにため息をついた。

「ただね、モンモランシー。これだけは間違いないと思うんだ」
「なあに?」
「子供を見守るのは大人の義務」
 イタズラっぽくウィンクするギーシュに、彼女はちょっとあっけにとられた。
 そして、プッと吹き出した。
「やぁねぇ、全然似合わないわよ」
 照れ隠しのようにギーシュも笑い出す。二人はクスクスと笑いながら、ホールへ戻って
いった。




 広場に、桃色の髪の少女がポツンと立っていた。
 何をするでもなく、ただ立っていた。

 二つの月に照らされた彼女は、おぼろげで、今にも消え入りそうだった。


「なんだか懐かしいですね。まだたいして前の事でもないのに」
 彼女の背に、少年の声が届いた。


「向こうの原っぱ、僕と真紅が召喚された場所でしたね。あの時は、本当にビックリしま
したよ」
 少年は、遠くを眺めながらノンビリ彼女の後ろに歩いてきた。

「そしてここは、ギーシュさんと決闘した場所でしたっけ。ほら、そこ」
 少年が指さした先には、掘り返されて土がむき出しになったままの地面があった。ちら
ほらと草が芽を出している。
「翠星石が大木を生やした跡ですよ。あれ、片付けるの大仕事だったそうです。マルトー
さんも、ああ、厨房のコック長ですけどね、その人まで手伝わされてたそうですよ」


 少女は、何も言わず、身じろぎもしない。
 彼女の長い桃色の髪だけが風にサラサラと踊っていた。
 月明かりに照らされた彼女の髪は、息を呑むほどの輝きだった。


「それに、あのお姉さんと戦っちゃいましたっけ。あの時は本当にとんでも無い事しちゃ
いました。へへ、何にも考えず、勢いで首にナイフ突きつけちゃって。3つ数え終わった
らどうしようかと、冷や汗かきましたよ」
 ポリポリと頭をかく少年だった。


「・・・渡さないって・・・言ったっけ」
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:04:55 ID:pQBhO6+6
もっともっと支援
343薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:05:20 ID:B4koSfyo


 ルイズが、ぽつりとつぶやいた。

「うん、ルイズさんは、絶対渡さないって言ってくれました」
 ジュンも彼女の流れる髪を見ながら答えた。

「そう、あたしは、渡さないって言ったわ」
 ルイズは、ジュンを振り向いた。

「ええ、あの時はホントに嬉しかったです」
 ジュンは、ルイズに微笑んだ。

「ええ、だって私はあなた達の主だもの。使い魔を守るのは主の義務よ」
 ルイズの瞳は鋭さを帯びる。
 そして、懐から杖を取り出した。

「それが主の義務だから。だから・・・帰さない」
 そう言いながら、ルイズは、杖をジュンに向けた。


「帰さない。地球になんか、行かせない!」


 ルイズは、杖をジュンに向けた。その顔に、一片の曇りも迷いもなかった。あるのは、
刃のような眼光。

「さあ、ナイフを抜きなさい」
「ルイズさん…」
 ジュンは、自分を睨み付けるルイズに、哀しげにつぶやいた。ベルトにつけたナイフに
手を伸ばす事もなく、ただ立ったままだ。


 動こうとしないジュンを、ルイズは杖を向けたまま睨み続ける。


「どうしたのガンダールヴ。ナイフを抜かないと、大怪我するわよ。あたしの魔法が爆発
したら、ただじゃ済まないのは知ってるでしょ」
 それでもジュンは、おびえも怒りもせず、ルイズを見つめるだけだ。


「ああ、その方が好都合ね。もう地球に帰るどころじゃなくなるでしょうから」
 ジュンは、ただ哀しそうにルイズを見つめ続けた。


「さぁ早く抜きなさい!これは決闘よ。あたしが勝てば、あなたは、あなた達は正真正銘
私の使い魔になるのよ。
 後の事は安心して良いわ。すべてヴァリエール家が保証する。姉さまは必ず説得するか
ら安心して。ちい姉さまは、きっとあなた達を気に入るわ。父さまも、母さまにだって、
何も言わせない。
 あなた達は、絶対に私が守る!あんた達はあたしのモノよ。だからどこにも、どこにも
行かせないっ!!」

 ルイズは、肩で息をしながら、一気に叫んだ。
 ジュンは、ただルイズの言葉を聞いていた。

 そして、言った。
「抜きません」
344薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:06:29 ID:B4koSfyo

 瞬間、ルイズの顔は、もはや憎悪に歪んでいた。

「あんた、あんたまで・・・あんたも私をバカにするのね・・・
 私が魔法が使えないから、大貴族のクセにゼロだからって、ヴァリエールの名前だけし
かない無能な、使い魔すらろくに喚べない出来損ないだっていいたいのね!?」
「違います」
「何が違うって言うのよっ!?あんただってホントはそう思ってるんでしょうが!!」
「違うっ!」

 バチンッ!

 ジュンの平手が、ルイズの頬を打っていた。

 打ったジュンは一瞬ハッとしたが、すぐに真剣な表情でルイズを見つめた。
 ルイズは黙って、打たれた頬を手で押さえていた


「僕は、確かにルイズさんの使い魔とは言えない。でも、でも、その、僕にとってルイズ
さんは、その、だ、大事な人だから」
 言いながらジュンは、だんだん赤くなってうつむいてしまった。

 ルイズは、杖を落としていた。
 赤くなった頬を押さえる手は、大粒の涙で濡れていた。

「・・・嘘つき」
「嘘なんかじゃ、ないよ。ルイズさんは僕にとって、とても大事な人なんだ」
「…どう、大事だって、言うのよ」
「え?えと、それは、その…」
 問われたジュンはさらに真っ赤になり、思わずキョロキョロしてしまう。
「なによ、答えられないの?ホラやっぱり嘘じゃないの!」
「う、嘘じゃないっ!!僕にとって、ルイズさんは・・・」

 ジュンは、真っ赤になりながらも、しっかりとルイズの瞳をみつめた。

「あの、えと・・・大事な、と、友達だと」
「・・・はい?」

 ルイズは、怪訝な顔でジュンを見つめ返した。

「その、僕はルイズさんを、いえ、きっと真紅も翠星石も、ルイズさんを、とっても大事
な、あの、友達だと、思ってるから、と」
「・・・ともだち?」
「はい、友達・・・じゃ、ダメ?」


 さっきまでの勢いはどこへやら。ジュンは、しどろもどろで目が泳いでいた。
 ルイズはルイズで、キョトンとしていた。
「とも・・・だち・・・」
「うん、ともだち」


 ルイズは、しばらく呆然とした後、
「ぷっ・・・ぷくくく・・・あは、あははは、きゃはははぁっはははっ!!」
 腹を抱えて泣きながら大爆笑した。
 今度はジュンがあっけにとられた。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:07:34 ID:pQBhO6+6
長くてうれしいな支援
346薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:08:16 ID:B4koSfyo

「ははははっははは…はぁはぁはぁ、ふぅはぁ〜・・・」

 ようやく笑いが収まったルイズは、トコトコとジュンの前に来た。
 そして
 自分の頭をポスッと、ジュンの胸に預けた。

 ジュンは、どうしたら良いか分からず、困った顔で胸に押しつけられたルイズの髪を見
続けた。
 すると、ルイズの腰がすぅっと沈んで

 ボカッ!
「ふぐぉっ!」

 ジュンは思いっきりのけぞった。
 ルイズの頭突きが、彼のアゴにクリーンヒットしていた。

「ふん!さっきのお返しよ!」
 と言ってルイズは、アゴを押さえるジュンの背後に回り
「なぁ〜に生意気言ってンのよ!こんのぉクソガキはぁ〜」
 ぎりぎりぎりぃ〜っと、チョークスリーパーをかけた。
「ぐぅえぇぇえええあにすんですかあああああ」
「なーにが友達よバカバカしい!あんたなんかね!あんた達なんかね・・・」

 ふっと、ジュンの首を絞める力が抜けた。

「ぼ、僕たちなんか…なんです?」
「…う、うっう!うっさーーーーーーーいっっ!!!」
 渾身の力を込めたチョークスリーパーがジュンの首を締め上げるっ!
「やあべえれええええじぬじずじううううう」
 ジュンが必死に首に巻き付くルイズの腕をタッピングした。
「ふ、ふんだ!今日はこれくらいにしてあげるわよっ」

 ジュンに、ルイズはすっと手を伸ばした。
 彼はゲホゲホいいながら、その手を見つめた。

「何してんのよ。舞踏会はまだ始まったばかりなんだからね、さっさと戻るわよ。今度は
しっかり踊りなさいよね!」
「あ``、あ、・・・あんた鬼だぁ〜」
「ゴチャゴチャ言ってンじゃ無いわよ!さっさと来なさい!!」
「ふぁ〜い・・・」

 ルイズはジュンを助け起こし、そのまま二人は手をつないで会場に戻っていた。


 そんな二人の姿を、バルコニーから人形達と片刃剣が見つめていた。
「はぁ〜あ、もう見てられないですよぉ。やっぱりあのチビは相変わらず、ダメダメなチ
ビ人間ですねぇ」
「ふふふ♪そうね。レディの扱いが全くなってないわ。あれじゃあとても紳士とは言えな
いわね」
「おいおい、あのボウズはそれなりに頑張ってンじゃねえかよ。そこまで求めるのは酷っ
てやつだろ。ほんっと!女は欲張りだねぇ」
 彼女らの体には不釣り合いな、人間用ワイングラスを両手で支えながら、真紅と翠星石
彼らのミーディアムを眺め続けていたのだった。デルフリンガーの口調は、半ば呆れてい
る。
 そんな人形達を、ワインを注ぎに来たシエスタとローラが、まるでボールにじゃれる子
犬でも見るかのようなキラキラした目で見つめていた。
347薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:10:02 ID:B4koSfyo




 そのころアカデミーでは、トリステイン魔法学院宝物庫修理費用請求書を送りつけられ
たエレオノールが、ヤクザキックで壁に八つ当たりしていた




「へぇ〜!かなりの近道みつけたんだぁ!」
「ええ、まだ力は、吸われちゃう、けど、これまでより、も、ずっと楽に、何度も、往復
できるように、なりま、したよ」

 ホールに戻ってきたジュンとルイズは、再び一緒に踊っていた。こんどはちょっとアッ
プテンポな演奏にのって、ジュンは相変わらずヘタだけど、なんとかルイズのステップに
についてくる。

「それと、僕らがみんな、帰ってる時は、ホーリエと、スィドリームを、こっちに残しま
す、ね。人口、精霊達は、しゃべれないけど、結構役に立つと、思いま、すよ」
 慣れないダンスに、ジュンはもう息が切れだしている。
「…ふん、それくらいは当然よ」
 さすがにルイズは淑女の嗜みとして身につけているのだろう。つんとおすまししたまま
で、楽々とステップを踏み続けている。

 ぽすっ
「こらー!なに二人だけでいつまでも楽しそうに踊ってるですかっ!」
 そう言ってジュンの頭にのっかったのは、翠星石。

 とすっ
「そうね。そろそろあたし達のエスコートもするべきじゃなくって?」
 と言ってルイズの右肩に腰掛けたのは、真紅だった。
348名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:10:24 ID:pQBhO6+6
そろそろ終わりかな?支援
349薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:11:03 ID:B4koSfyo

「え〜?つったって、お前等とじゃ、体の大きさ、が」
「あら、それじゃ、みんなで踊りましょうよ!」
「それはいいわね。やはりパーティーはみんなで楽しむものよ」
「そーれはいいアイデアですねぇ!んじゃチビ人間、このまま踊れ踊れですぅー♪」
「お、お前等、まとめて悪魔か…」
 そんなわけで、ジュンはヒーヒー言いながら、慣れないダンスをさせられ続けた。

 そんな様子をバルコニーから眺めていたデルフリンガーが、こそっと呟いた。
「あ〜あ、みてらんねぇなぁ」
 二つの月がホールに月明かりを送り、幻想的な雰囲気を作り上げている。
 翠星石を頭に載せて踊らされるジュン、真紅を右肩に載せて軽やかに舞うルイズ。彼ら
を見つめながら、デルフリンガーは、ため息混じりにつぶやいた。

「あれじゃあガンダールヴつーよか、出来のわりぃ弟だなぁ。こりゃ、先がおもいやられ
るぜ。
 ここまで使い魔らしくないと、かえってホントてーしたもんだわなぁ!」


  第八話     月夜に踊るは     END

                    第2部     終  
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:12:46 ID:pQBhO6+6
乙でした〜
351名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:16:03 ID:pmDD2NbW
超乙でした!ジュンも成長してるな〜。ギーシュもいい奴だな〜







……進行追い越されちゃった。
あと銀様に真紅の言葉使わせちゃってごめんなさい……
俺も続き書いてきます!さらばだぁぁぁぁぁぁ!!
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:16:24 ID:ITD6efMt
お疲れ様でしたー
とりあえずメイド二人自重しようぜw
353薔薇乙女も使い魔:第八話:2007/10/22(月) 19:17:39 ID:6INy8sTF
以上で薔薇乙女も使い魔:第八話 及び第2部終了です


第三部を書くかどうか、まだ未定です



他の作品とはかなり毛色の違った作品とは思いますが
皆様ここまでのお付き合い、ありがとうございました
354名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:17:48 ID:ek0X+pyo
乙!そして>>351もがんばれ!
銀ちゃん応援してるよ
355名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:18:56 ID:A7UgqtK7
>>323
当たり前だろ、中世では人身売買なんてよく有る事。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:20:12 ID:yIAsXf3w
>191
ピエールだろ普通に。

ルイズ「このっ!!い、犬っ、犬っ!」ピシピシ
ピエール「フオォォーーーッ!!」光る変態

ルイズの運がよければ大活躍出来るさ、きっと……
357名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:23:49 ID:nM1BhzVS
デモベ双剣の人………待ってます………電話………とぅるるる
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:26:56 ID:UB9GZWs7
お目汚しになるかも知れないが小ネタを投下してかまわないだろうか?
359名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:28:39 ID:vv84FM24
道は開いている。
存分にやりたまえ
360ノンディクショナル・ゼロ:2007/10/22(月) 19:30:11 ID:UB9GZWs7
俺の名前は平賀才人。ルイズの『二人目』の使い魔だ。
元々俺は地球の日本にいたのだが何の因果かハルケギニアっていう場所に呼び出されちまった。
召喚されたときはそりゃ泣いたりしたが『住めば都』っていう言葉通り結構環境が良かった。

ご主人様であるルイズは以前までは結構厳しい性格だったらしいが。
『最初に召喚した使い魔』のおかげでその性格を改善したらしい。恩に着るよ。
俺がルイズに怒ったことは、初めてルイズの部屋に入った時にドアを開けたら本の山が俺に襲いかかってきたことだ。
そのとき俺は本の中に埋まって危うく死にかけるところだった。

部屋の中も凄まじく、ところせましに本の塔が建てられていた。
俺はルイズに少しは片づけたらどうだって言ったらルイズは返事をしただけで以来ちっとも片づけようともしない。
しょうがなく使い魔として掃除しようとしたら乗馬用の鞭で叩かれちまった。痛かったぜ…。

そんなあくる日のこと、ルイズのいない部屋でのんびりしていたらふとある物が目に入った。
それは『帽子』だった。よく魔法使いが被る黒い帽子、それがベッドの横に置いてある。
俺は何故かそれが気になったので帽子を手に取ってみると帽子の下に日記が置いてあった。

タイトルが書かれてあったがこの国の言葉はまだわからなかったら何なのかさっぱりだった。
俺は気になったのでページを開いてみると…そこには懐かしい日本語が書かれていた。
俺はプライバシーに関わりそうな事を理解して、日記を読む事にした。


○月○日 (これは私が元いた世界の日にちだが)

私を召喚したルイズって奴から日記を借りた。
こんなに珍しい事は無い、珍しい事があったら日記に書き取っておこう。
しかしルイズから聞いた話だけだがこの世界には珍しい物がたくさんありそうでワクワクするぜ。

▽月剴

今日ルイズやキュルケ達と一緒に『土くれ』のフーケとか言う奴を退治しにいった。
そいつはでかいゴーレムを作って襲いかかって来たが私の『マスタースパーク』であっという間に倒してやったぜ。
その後にノコノコと出てきたフーケの正体はなんと学院長の秘書だった。あの時は驚いたぜ。
『破壊の杖』は手に入れたかったが学院長が断固として断ったため代わりに『遠見の鏡』をもらった。

★月★日

アルビオンから久方ぶりに帰ってきた。
まさかあのワルドって野郎が敵だったとは知らなかった。まぁすぐに倒してやったけど。
後帰るついでにアルビオンの宝物庫からいろいろと拝借してきたぜ。
でもそのせいでお姫様の愛人をむざむざ見殺しにしてしまった。
あの時気づいていれば助けられたのに…本当に情けないぜ。


☆月☆日

やっと元の世界に帰れる方法を見つけた。
ルイズはそれを聞いて帰らせまいと私にしがみついたが仕方なく自作の眠り粉をかがせた。
この日記は置いておこう、短い間だったがルイズは私のことを本当の親子か何かのように慕ってくれた。
だから私がここにいたことをここに残しておくぜ。後、名残惜しいが良く喋る剣も残しておこう。
本当ならすぐにでも帰りたいがなんかこの国にレコン・キスタとかいう連中が近づいているらしい。
どうせ最後だ、この霧雨魔理沙がハルケギニアにいたことを記録に刻んでやるぜ。



追伸、恐らく次に召喚される奴。人間で日本語が分かる奴に伝えておく。
私の代わりにルイズの世話を見てくれ。

『タルブ会戦』の折、箒に跨りたった一人でレコンキスタの旗艦『レキンシントン』号を沈めたうえに竜騎兵を全滅させたメイジがいた。
その者の名は……キリサメマリサ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、霧雨魔理沙。
361ノンディクショナル・ゼロ:2007/10/22(月) 19:31:47 ID:UB9GZWs7
はい、たった一レスだけでしたけど東方から霧雨魔理沙でした。

永夜抄の魔理沙はなかなかきつかったぜ…。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:36:30 ID:sGb3q7Ye
ルイズがもやしになっちゃう乙ww
ていうかこれだとサイトが成長できねえな……
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:46:25 ID:WsqazbKw
GJ!!、そして第二部完、お疲れ様でした。
後で、避難所の方に、トータルの感想書きますね。(こっちに書く訳にはいかんし)

でも、簡単な感想をば、
俺もくんくん探偵ネタ考えてて、このSSでそれ使ってくるのを期待していたのですが、
第七話では、そのままフーケ戦に突入してしまい、くんくんネタ使わないのかと心配したのですが、
真紅のくんくん探偵ゆずりの推理(の演出)見事でした。
あと、ルイズとジュンの短いお別れでのやりとり、ちょっとほろっとしました。
でもまあ、ジュンはまだお子様だから、こんなものでしょう。

第三部、未定だそうですが、期待していますよ。

>>351
銀様のも読んでます。これまた期待しています。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 19:51:51 ID:6RfY/4QI
誰かグレンラガンのシモン書いてくれないだろうか・・・
自分で書こうにもオレにあんな啖呵考えるのは無理だ・・・
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:00:59 ID:dHA0QPGf
最終決戦のあとの穴掘りシモンでかい?
366名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:15:13 ID:pOHydaxY
でかいよ
367名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:28:34 ID:mmo2u9W8
ルーン文字が読める奴が召喚されたネタってあった?
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:29:48 ID:UB9GZWs7
>>367
俺が知ってる限りではいないなぁ…
369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:35:19 ID:sAGAGTpR
ノンディクショナルじゃなくてノンディレクショナルじゃねーの?
370ゼロのgrandma:2007/10/22(月) 20:35:28 ID:D5rXMPyO
……ちわ。
予約に来ましたけど、空いてますでしょうか?
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:36:15 ID:cuVo9stO
支援
372名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:36:24 ID:FdAND6UA
いけるんじゃなかろうか?
373ゼロのgrandma 1/6:2007/10/22(月) 20:36:35 ID:D5rXMPyO
世間には思惑という言葉がある。方向性を有した無数の意志。
好意に悪意、単純な思い込みから権謀術数等々、数え上げればキリがない。

――キリがないが、実のところ単純に二つに分けられる。
自分が関われる事か、そうでないか。
例えば、どこぞの姫様や衛士隊長が、現時点でどれだけの思惑を抱えていようとも。
関わらなかった人間には、無かった事と同じなのである。

   ◆  ◆  ◆

連続で続く爆発音を、キュルケはボーッと目で追っていた。
様子を見に来たのは少し前だが、何となく帰りそびれている。
「よく続くわねー。もう暗くなってきたのに」
「きっと、楽しいから」
「……なのかしらね」
隣のタバサが即答したのに、少し驚く。
庭の片隅で動き回るリンディと、それを追うように続く爆発はそれなりの見物だが、
「あなたが、本以外に集中するのも珍しいわね」
じっと眺めているタバサの姿も、希少価値がある。
「多分、違うと思うんだけどね」
「まだ分からない」
続いた即答に、キュルケは思わず苦笑した。
先日知った内容――リンディが年齢不詳だという事実に、タバサが変な興味を持ってしまったのだ。
あれは特殊なエルフかもしれない、と真顔で言われた時には笑ってしまった。
あんな子供っぽい所作を見せる女性が、コルベール先生より年上かもしれない? 
しかも息子もロングビルより年上だ?
(いやもう、笑い話もいいところよね)
息子の年齢はどう考えたって冗談だろう。第一、それなら孫までいる可能性すらあるではないか。
(リンディがお婆ちゃんっていうのは、どうにも想像出来ないし)

とは言え、完全に否定出来ないのも事実なわけで。
「歳はともかくとして、人間かどうかって言うと、どうもねえ」
「魔法もほとんど見ていないと思う」
「確かに、リンディの本気は見たことないし。どれだけの力を持ってるのかは、不明ってことね?」
「そう」
タバサは深々と頷いた。
この前のフーケとやり合った事に関して言えば、あれはお遊びの範疇だったと言える。
リンディは巨大ゴーレムとの距離を一定に保っていた。
自分の攻撃魔法の威力を試すように、様々な角度から、同じような射撃を行っていたのである。
しかも、フーケを直接狙ったのは最初の一度きりだ。
「倒すだけなら、相手を直接、手の届かない高い場所から狙えばよかった」
「そうね。手加減って言うより、遊んでたって感じ」

374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:36:36 ID:VFQJtDta
第二部開始直後のやさぐれシモンがみたい
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:38:23 ID:zzvcQMeL
たまたま見つけたので買ってきた抹茶ミルクに砂糖を投入しながら支援
376ゼロのgrandma 2/6:2007/10/22(月) 20:38:29 ID:D5rXMPyO
おそらく。
あの使い魔は本来、より速く飛び、遥かに大きな攻撃を、素早く的確に出来るはずだ。
それをしなかったのは何故なのか。
「遊んではいなかった。何か目的があったはず」
タバサの断定に、キュルケも黙って頷いた。
リンディの事はほとんど知らないが、少なくとも、相手を意味も無く弄ぶような人間ではない。
嗜虐心のみの行動は、往々にして歪んだ性根が透けて見えるものなのだ。
そういう人もいるけどね、とキュルケは笑う。
「わたしは人を弄んだりしないからね。いつも本気だもの」
「……そう」
結果的に弄ばれる方が、どう思うかは別問題だと思う。
タバサは、キュルケの数多いお相手を思い浮かべたりもしたが、あえて何も語らなかった。
世の中には徒労という言葉もあるからである。

   ◆  ◆  ◆

「レアスキル?」
「そう。極めて希少で、真似できる人がほとんどいない能力のことね」
授業でルイズが錬金魔法を失敗したとき、リンディはそう言って褒めたのだ。
「それがわたしの失敗魔法ってこと? あんたに言われると何か腹立つんだけど」
「ひどいわねえ。……じゃなくて、真面目に聞いてね?」
不愉快そうに眉を顰めたルイズに、リンディは真顔で言う。
「人とは違った結果が出るってことは、それはその人にしか無い才能なの。どれだけ不要に見えてもね」
「不要、って、あんたね」
「建物の建設に土系統の魔法は必要だけど、風系統の魔法は、どちらかと言えば不要でしょう?」
リンディは指を立て、くるくると回す。
「治療には水系統が必要だけど、火系統は直接的には不要よね?」
「う、うーん。そう言われればそうだけど……」
納得がいかないという顔のルイズ。
「どんな魔法や能力にだって、必要と思われる場面以外では不要なの。特別な能力なら尚更ね」
「だけど、失敗なのよ?」
「それでも、わたしには真似も出来ないことなのよ?」
彼女の悔しげな様子に、リンディは楽しそうに笑って説明する。

リンディの魔法は、どうやらこの世界向きではないこと。
この世界の魔法は、リンディには使えそうにないこと。
(始祖ブリミルの遺伝情報が必要な可能性があると言っていたが、意味はよく分からない)
ルイズの失敗も、当然再現出来ないこと。
――キュルケやタバサにも、同じ失敗を再現出来ないこと。

そうだ。
リンディが興味本位でキュルケたちに聞いてみたところ、二人にはルイズと同じ失敗が出来ないのである。
「理由は分からないけど、とにかく、これはルイズさんにしか出来ない事なのよ」
「わたしにしか、ねえ」
さほど嬉しくはない。
嬉しくはないが、自分が特別かもしれないという響きは、やはり悪くはない。
「だから、わたしがここに慣れるまで、頑張ってくれる?」
「仕方ないわね。付き合ってあげるわよ」
不承不承という口調で言いながらも、微かに赤らんだルイズに、リンディは柔らかく微笑んだ。

377名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:39:40 ID:8mAgtrR5
>>367
読めないが理解できる奴ならアンサートーカーが召喚されたことがある

支援
378ゼロのgrandma 3/6:2007/10/22(月) 20:40:06 ID:D5rXMPyO
練習方法としては。
リンディが自分の周囲に保持した小石に、ルイズがどんな魔法でもいいから使用して干渉する。
結果が爆発でも構わない。
そのうちどれか成功するかもしれないし、失敗して爆発しても、リンディなら完全に防ぐことが出来る。
明確な目標があれば、無差別対象への失敗がないから安全も図れるはずだ。
慣れてきたら、今度は目標を移動させる。
石だけ飛び回ったらルイズ以外が魔法を使っていることがばれるので、保持したリンディ自身が移動する。
零高度で慣性制御を行った上で、出来る限り走る速度を維持。
身のこなしも比較的楽だし、凄腕の戦士といった雰囲気を演出できる。
傍目からだと、ルイズの的確な攻撃魔法を、リンディが間一髪で避け続けているように見えるわけで。
主人と使い魔の一般評価を高める芝居としても、それなりの完成度だ。
見世物としては、そう悪くはない。

(本当に、大したものなんだけどね)
胸の前の爆風をシールドで流し、すぐに別の小石を浮かべながら反転する。
直後に爆発。
ルイズの動体視力は悪くない。魔法だって威力・発動速度共に立派なものだ。
(それでも自信が足りないのは、やっぱり周囲の評価が原因なのかしら)
リンディは思う。
このくらいの年頃の子供は、ある程度自信を持っているものだ。
根拠は自己の能力や可能性、与えられる環境や財産、それこそ千差万別だ。
その結果が盲目的な未来展望や、単なる世間知らずによる自信過剰となったとしても、この歳なら構わない。
若いうちは、自分の何かを信じるからこそ前へ進む力となる。

ルイズは誇り高い子だ。少々不安を抱えていても、それを高潔さで塗り潰してきた。
妬みや僻みも表面化させず、意地や努力等で前へと進んできたのだろう。
だが、それでもあのままであったなら、いつかは折れたかもしれない。
彼女には『魔法を使えるのが貴族』という現実以外への道が存在しないのだから。

だからこそ、ルイズには今の自分自身の力を、本当の意味で認めてほしい。
他の事が出来ない言い訳ではなく、自分にしか出来ないという、誇りに繋げてもらいたいのだ。
そうなれば、彼女はどんな事からでも、自立出来るだろう。
――どんな事からでも、だ。

「じゃ、たまにはこちらからも行きますよー」
「へ? ちょ、ちょっと――」
地面を鋭角的に蹴って回り込んだリンディが、デルフリンガーを再度抜刀した。
抜き打ちに一閃。
「キャ――っ!?」
足元の地面が抉れたのに驚き、ルイズが尻餅をつく。
「な、何するのよっ!」
「こちらだけ動くんじゃ不公平ですから、ねっ!」
「イヤ――――っ?」
再度振られた剣が目に映った途端、ルイズは頭を抱えて逃げ出した。
追うように足元に穴が開いていく。


379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:41:12 ID:fjY8JFjf
支援
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:41:56 ID:zzvcQMeL
意外にいけるじゃんと思いながら支援
381ゼロのgrandma 4/6:2007/10/22(月) 20:42:34 ID:D5rXMPyO
「あんたは飛んでるんでしょ? 疲れないんでしょ? 不公平はそっちでしょーっ!」
「実は、結構疲れるのよ。多分」
「うそつけっ!」
足を止めたルイズが杖を振るうと同時に、リンディが爆発に包まれる。
輝くシールドの光に向けて、ついでに怒鳴る。
「石は一個といわず山ほど浮かべておきなさいよっ。剣なんか振らせてあげないから!」
「――ふうん」
爆煙が晴れると、リンディがにっこり笑いながら、剣を青眼に構えていた。
周囲には細かい石が無数に浮いている。
「言いましたね?」
「言ったわよ」
二人して怪しげな笑いを浮かべると、それぞれの得物を振りかぶって――

「ま、仲良さそうだから、いっか」
夜になると迷惑よねえ、とキュルケは連続する爆音に呆れていた。
もっとも、これ以上に派手な光景なら先日見たばかりだ。
(今度は、どんなお芝居が見られるやら)
――タバサが先に帰ったことに気付いた時には、既に日は落ちていた。

   ◆  ◆  ◆

「さ、先に帰っ、てるから、ね」
「息あがってるじゃない。運動不足は体に毒よ?」
「やかましいわねっ!」
怒って先に帰ったルイズが視界から消えると、リンディは表情を消した。
鞘に剣を納める。
それを杖代わりに体を支え、何とか建物の陰に入った。

空気が重い。まるで熱帯を冬着で歩いているような息苦しさ。
「――は」
思わず出た溜息を飲み込む。
軽い眩暈。
手から落ちるデルフリンガーを拾おうとしたが、目に入る汗を拭くことを優先した。
壁に寄りかかり、左手を空にかざしてみる。深まる夕闇の中に浮かんだ白い手。
細かく震えているそれを、ゆっくりと胸に抱え込んだ。

382名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:42:53 ID:gCf6BPky
シエンスタ
383ゼロのgrandma 5/6:2007/10/22(月) 20:43:37 ID:D5rXMPyO
「……まいったなぁ」
リンディは苦笑した。
身体全体に倦怠感と痛みが広がっている。微熱もそれなり。
さらに、少々の事では放出しきれない程の魔力。
僅か一週間ほどで回復しつつあるリンカーコアが、身体に負担を与え始めているのだ。
(健康的と言えば健康的かしら)
問題は、制御能力の適応が追いついていないことである。
車に例えるならば。
エンジンの出力が上がりつつあるのに、タイヤだけ原付自転車用のまま、走り出しているようなものだ。
徐行は可能だろうが、加速しはじめればどうなるか。
「考えるまでもないかな。……安全運転を続けるのが、一番なんだけどね」
額の汗を拭い、彼女はバリアジャケット内の温度を調節する。
それだけの制御ですら、いつかリソース不足を招くかもしれない。

ここ数日のルイズとの訓練は、リンディ自身が環境へ馴染むことも兼ねていた。
日常生活ではほとんど魔力放出が行われないから、回復速度も早まってしまう。その減衰も必要だったのだ。
一定以上の魔法使用と共に、変換吸収する魔力への対応を図ってみたが、
(あんまり変わらない、かな)
適応率が上がった実感も無いどころか、回復速度の減衰効果も僅かである。
やはり魔法の全力使用が必要なのかもしれない。

しかし、制御出来ない状態での過度な魔力放出は、明らかに自殺行為だ。
魔法自体は発動するだろうが、土台となる身体は間違いなく――
「……おめ、どうすんだ?」
「ん?」
「体調、かなり悪いんだろ?」
空を眺めていたリンディに、デルフが声をかける。
落としたときに、鞘から少し抜けたのだろう。
「わかるの?」
「あたりめえだ。しかも相当ヤバそうに見えるな」
「そうねえ」
肩を竦めると、彼女は再び空を見上げる。
見覚えの無い空を見る機会はよくあるが、つい見慣れた星を探してしまう癖は変わらない。
こういう気分で見るのは、随分昔の任務の時以来だけど。

384名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:44:41 ID:cuVo9stO
支援
385名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:45:23 ID:FdAND6UA
支援
386ゼロのgrandma 6/6:2007/10/22(月) 20:45:32 ID:D5rXMPyO
しばらく黙っていたデルフは、硬い声で告げる。
「別に誰にも言いやしねえけどな。いきなりってのは無しにしてくれ」
「ありがと。心配してくれて」
「勘違いすんなよ。俺はまともに使ってもらいてえだけだ。次もそんな細腕じゃ困るしな」
リンディの微笑みに無愛想な文句で応える。響きに角は無かったが。
彼女は座り込むと、デルフにそっと触れた。
「大丈夫。他の使い手さんを探す約束は、忘れてないから」
「……なら、いいんだけどよ」
それきりデルフは沈黙した。
穏やかな目で眺めていたリンディは、立ち上がってそれを背負い直す。
そろそろ行かないと、ルイズが不審に思うだろう。
「今更、悩んでも仕方ないし――それに、よく言ってたものね」
いつの間にか息子が使うようになった言葉を思い出す。
「世の中は、『こんなはずじゃなかった事』ばっかり、か」
いつだって、誰だって、そうなんだ。――そう続けられた言葉に、どれだけの想いが籠められていたか。
それは、世界を呪うものではなく。

「そうね。……やれる事を、精一杯頑張ってみるとしましょうか」
ほんの少しだけ溜息を吐くと、リンディはしっかりと前を見て歩き出した。
387ゼロのgrandma:2007/10/22(月) 20:48:04 ID:D5rXMPyO
投下完了です。
支援感謝ー。

次は土曜日を目標で。
388名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:49:14 ID:fjY8JFjf
GJ!
リンディは無事に帰れるのだろうか?
389名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:59:20 ID:cRsumvQo
乙。リンディさんが相変わらず爆弾抱えてるな……・。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:00:35 ID:VGTDy98l
>>367
よそのスレで宵闇眩燈草紙から『魔法使い』アーノルド・ラスキンが呼ばれてルーンを見てどうこう言ってた気がする
391名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:02:34 ID:9Z1X3Jkx
>>367
ルーンと聞くと
ディアブロ2LODを思い出した…
392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:05:33 ID:JYdn/tN+
そもそも、使い魔のルーンてちゃんとした北欧系のル−ンなのか?
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:07:25 ID:9Z1X3Jkx
アルファベットと同じように
ルーンの形が同じでも読み方が同じとは限らない。
394名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:20:35 ID:VGTDy98l
フサルクと呼ばれる24文字のタイプやヴァイキングが使ったらしい16文字に減らした簡単なタイプやら

占いに使われる方でも一つの文字に意味が複数あったり未だに意味がわからない文字があったり
呪文でイース・イサ……と続くこのイースとイサだって同じルーンの違う読み方だったりするし(ちなみに意味は氷とか停滞・停止)
ルーン文字マジで面倒くせぇ
395名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:29:21 ID:cNjKm5MY
アニメ見た限り、とりあえずルーンの読み方は違うと思う
ちょっと記憶が曖昧だが……ガンダールヴのルーンが
映ってるシーンのキャプチャ持ってる奴いないか?
確かガンダールヴとは読めなかった気がする
396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:37:08 ID:zAyzVOvx
wikiに画像が張ってあったような
397名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:46:15 ID:QPWI2f7L
キングキタン召還という遺志を受け取った
398名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:55:27 ID:JTwXXSKe
>>397
最終決戦後のシモン召喚してタルブの村にキングキタンが祭られてて、
実はあの瞬間螺旋の力に導かれてハルケギニアに飛ばされたキタンがシエスタの祖父。
んでアルビオンのトリスティン侵攻の時に「借りるぜ、ダチ公」

こうですか!わかりません!
399虚無と炎髪灼眼:2007/10/22(月) 22:01:49 ID:RkAeSA1J
土日使って続きを書いてきましたー。

なんだか妙に真面目臭いものになってしまいましたが、10分後に投下しますー。
400名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:04:06 ID:JTwXXSKe
ばっちこい
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:04:14 ID:D0hhxu6Z
DVDの整理してたら、ビヨンド・ザ・グレイヴ召喚とかいう電波が飛んできた
問題はゲーム版かアニメ版か、どっちを召喚すべきかガチ悩みするところ
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:07:16 ID:VGTDy98l
>>401
選択肢その三両方別に呼ぶ
選択肢その四混ぜる
知らないから無茶言ってみた
そして支援
403名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:10:37 ID:YAusOOKa
今日から俺は!の三橋、伊藤辺りとかけっこう面白そうだけど…
404虚無と炎髪灼眼 2:2007/10/22(月) 22:11:35 ID:RkAeSA1J


「ドォォォォォーミノォォォォォォォォォォォォ!!」


静謐な星黎殿に響き渡る教授の呼び声。
「はい教授、何の御用でしょうか」
答えたのは大小の歯車を両目に取り付け、頂にネジ巻きを刺した頭部と、ガスタンクのような鉄の胴体を持つ燐子カンターテ・ドミノ。
数ある『紅世の王』の中でも最も知性と才能に溢れ、尚且つ強大な力を持つ王、“探耽求究”ダンタリオンの燐子である。
そして、呼びかけた者こそ“探耽求究”ダンタリオン教授その人であった。
「ほは、はひほふふほへふはひほふ!」
有無を言わさずドミノの頬を、教授はやっとこ状の手で抓り上げる。
「出ぅー力が、二十%も足ぁーりないではっ!あっ、りっ、まっ、せぇーんか!」
みやみやたらとハイテンション、絵に描いたような奇人“探耽求究”ダンタリオン教授と、弄られる助手のカンターテ・ドミノ。
これが二人にとっての日常である。

「とぉーころで、ドォーミノォ、その手ぇーにした、グレェーイトなものは、ホアァーッツ?」
教授がマジックハンドで指差した先には、小さな宝石箱があった。
「オォー?おぉー?こォーれは懐かしーぃ、『我ぁー学の結晶ェークセレント3241―乱定の理』ではあぁーりませぇんか!」
「はい、廃棄場に捨てられていましたので拾ってきました」
「んっー?んんんんー?」
親方衣装に身を包んだ古き王たる“探耽求究”ダンタリオンは首を直角九十度に傾げて、考えること数秒、指を『フレミングの左手の法則』の形にして指差した。
「作動スイッチがOォーNになぁーってますね、これは」
「は、はい?」
そうと言われたドミノも宝石箱を確認してみた。
確かに上部の宝石がぴこんぴこんと赤く点滅している。
「どどどど、どうしましょう教授!?」
「そぉーんなっことはっ!決まぁーってるでしょう!ドォーミノォ!」
「ひゃ、ひゃひひょうひゅ!」
教授はドミノの前で三回転半のスピンをキメて

「すぅーでに、コンプリィーツしたっ!実験に興味はありまっせんっ!」

そんなことを叫んだ。


405名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:12:40 ID:FNP7RiSx
>選択肢その四混ぜる
ゼロ魔は原作の展開とアニメの展開が少し異なるから二次創作の自由度が高くて面白いね支援
406虚無と炎髪灼眼 2:2007/10/22(月) 22:14:37 ID:RkAeSA1J
「サイト!サイト!サイトッ!」
サイトの胸に飛び込んですんすんと泣いているルイズ。
当惑しきったサイトの前には、墨を流したような長い黒髪の少女が立っていた。
歳の頃は十二やそこら、小柄なルイズよりも更に小柄。
彼女が身に着けている服は、こちらの世界では見かけたことが無い……まるで何処かの学校の制服のようだ。
「つまり、貴様は坂井悠二ではないのだな?」
どこからか響く、遠雷が轟くかのような声。
誰が喋っているのかは分からないが、才人も異世界暮らしが長い、驚くよりも先に答えてみることにした。
「は、はい。俺は平賀才人って名前で……皆からは才人って呼ばれてて、こことは別から世界から呼ばれたわけで、って、もしかして君もルイズにこちらの世界に呼び出されたんじゃ」
と、そこで鈍感な才人も気付いた。才人が喋るたびに少女の機嫌がどんどんと悪くなっていっている。
何か不味いことを言ったかと才人が一人で焦っていると、その少女が口を開いた。
「どういうことアラストール、どうしてこいつ悠二と同じ声で喋ってるの?」
「! ちょちょ、ちょっと待った!」
その声を聞いた才人も驚く、なんとその声は今現在才人の胸の中で泣いている少女と瓜二つだったのだ。

抱いていたルイズの肩を掴んで顔を覗き込む。
桃色のブロンドに鳶色の瞳、紛れもないルイズだ。
「ルイズ、俺の名前を呼んでみてくれ」
「……ふぇ?サイト?」
次に顔を上げて、正面に立つ少女の顔を見る。
「君も、俺の名前を呼んでみてくれ」
「何でわたしがそんなことしなくちゃいけないのよ」
「いいから、言ったとおりにして」
「……才人」

目を閉じる、神経を集中させる、小さな差異も聞き逃さないように。
「ルイズ、もう一度」
「サイト」
「君も、もう一度」
「……才人」
「ルイズ」
「サイト」
「君も」
「才人」
「じゃあ交互に」
「サイト  サイト  サイト」
「   才人   才人   才人」

そして悟りを開いた聖者のように、才人の瞳がカッと見開かれた。

「 同 じ 声 だ ! ! 」


「はぁ!?何でわたしがこんなのと同じ声なのよ!?全然違うじゃない!」
「おまえ、その年で耳でも悪いの?全然違う声じゃない」

「……うーん」
「……むぅ」
才人と遠雷のような声、二人の唸る声が重なった。
遠雷の主、シャナの首からかけられたペンダントからアラストールが口の声が響く。
「シャナよ。こやつの言うことは間違っておらん。我にもお前と娘の声が同じように聞こえている。こやつと坂井悠二の声とが同じであるようにな」
「じゃあ、これは従の自在法ってこと?」
「やもしれん。あるいは……」

「待った!待った待った!」
アラストールが言い淀んだのを見計らって才人が口を挟む。
「もしかして、さっきから聞こえるこの声、君のペンダントが喋ってるの?」
才人がペンダント、神器コキュートスを指差したのでつられてシャナも視線をそちらに下ろす。
「このような状態でいるよりは、ある程度こちらの事情を話し、情報を共有した方が利益になるだろう。それで良いか、シャナ?」
407名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:17:15 ID:sGb3q7Ye
くぎみ〜だからなあ支援w
408虚無と炎髪灼眼 2:2007/10/22(月) 22:18:02 ID:RkAeSA1J
「……アラストールがそう言うなら」
不承不承という顔で頷くシャナ。
シャナの同意を確認してからアラストールが切り出した。
「我が名はアラストール、そしてこの娘はシャナだ」
「へぇ、シャナって言うんだ。変わった名前だね」
それを聞いた途端、ムカッ という音が聞こえそうなほどにシャナの機嫌が悪くなった。
これを見た才人が慌ててフォローを入れる。
「で、でも、君にお似合いの可愛い名前だと思うよ」
今度は表情は変わらずに顔が真っ赤になった、どうやら案外顔に出やすい性質のようだった。
「先ほど、お前は『呼ばれた』と言っていたな。そこを詳しく教えてもらいたいのだが」
「ああっ、それ!それそれ!実は俺、ルイズの魔法で日本から呼び出されたんだけど、あんた達もそうなんじゃないかと思ってさ!」
「日本から、呼び出された……となると、やはりここは日本では無いのか?」
「ここは『ハルケギニア』っていう異世界、魔法があったり怪物とかがいる、RPGみたいな世界だよ」
ここまでの説明を聞いて、疑わしげだったシャナの顔が更に胡散臭げなものへと変わった。
シャナの常識の中にも確かに異世界は存在する。
けれど、それは歩いていけない隣の世界『紅世』だ。
今シャナが立っているこの世界、それは彼女の知識の中にある『紅世』であるようには到底思えなかった。
「あ、その顔は疑ってる顔だ!いいよ、だったらそれらしいものを見れば信じざる得ないだろ。おいデルフ、何か喋ってやれ」
才人が言うや否や、その手に握られていた大剣から声が響く。
「あぁ?呼んだか相棒」
流石にこれにはシャナも驚いた。
「……神器?でも、フレイムヘイズには見えないし」
「……シャナよ、これは本当に『紅世』とは違う別世界へと来てしまったのかもしれんぞ」

それからは才人は、まず離れた場所で気絶していたシエスタを起こした。
この際に才人の生存していた喜びを全身で伝えようとする彼女をルイズが引き剥がし、それをシャナが不機嫌そうに見つめる一場面などがあった。
そして才人が森の中にいる恩人と友人に自分とルイズの無事を伝えたいと言ったので、一同は細い道を辿りながら森の奥を目指すこととなった。
道すがら才人はアラストールというペンダント?と、自分が日本の秋葉原から呼び出されたこと、既に数ヶ月もこの『ハルケギニア』に滞在していること、帰る方法を探しているたまだ手掛かりすらないことを話した。
一方でアラストールは『紅世』のことは触れないようにしながら、自分達が御崎町から飛ばされてきたこと、自分達の知り合いの『坂井悠二』と才人の声がそっくりだということを説明した。
その間、ルイズとシャナはお互いに明後日の方を向きながら無言で通した。
この二人が発したプレッシャーたるや、必要以上に才人が喋り捲るはめになるほどであった。

やがて一行は開けた場所、こじんまりとした村へと到着した。
そして彼らは才人の案内の元、一軒の家に向かった。
その家の前には二人の女性が並んで才人の帰りを待っており、彼女達はサイトたちの姿を確認するや走って駆け寄った。

「中々戻ってこないから心配したぞ、幸いこちらには敵は来なかったようだがな」
一人は草色のチュニックに黒いマントを身につけた衛視隊の隊長、アニエス。
もう一人は、粗末で丈の短い草色のワンピースに身を包んだ、流れる星の川のような金髪の娘
「ああ、サイトさんっ!良かった無事で、本当に良かった!」
――テファ。

清水がさらさらと流れるような、テファの美声。
それを聞いたシャナの目が驚愕に見開かれる。
「“頂の座”!?」

瞬時に髪と目を赤に燃え上がらせ、戦闘態勢を取るシャナ。
アラストールの翼の皮膜の一部を顕現させた防御・収納用の黒衣『夜笠』を纏い、手には大太刀型宝具『贄殿遮那』が握られている。
そして、その大太刀の切っ先はテファの喉元で止められていた。
正に刹那。
才人はおろか、アニエスにすら見切ることができないほどの絶速。
突然命を狙われた少女は、息を止め、顔を青ざめさせて立ち尽くしている。
「え、あ、う、あのっ、ひぅっ」

“頂の座”ヘカテー。
『紅世の従』最大の組織である『仮装舞踏会』の頂点たる『三柱臣』の巫女。
そして『ミステス』である坂井悠二に蔵された『零時迷子』に刻印を刻み込んだ宿敵。
まみえたのは一度、しかし、その声を忘れたことはない。
この声は間違いなく、“頂の座”ヘカテー。
409名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:18:27 ID:cRsumvQo
釘ブラック&釘ピンク支援
410名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:20:46 ID:sAGAGTpR
テファまで声ネタ絡むのかw
「狩人フリアグネ!!」
「なんでも質問箱!!」


マリアンヌ(以下マ)「みなさん、こんにちはー!」
フリアグネ(以下フ)「本コンテンツは、私と私の可愛いマリアンヌが、『灼眼のシャナ』の用語に対する疑問質問に答えていく、由緒正しいコーナーだ。既に灼眼のシャナに詳しい読者諸君は読み飛ばしてもらっても構わないよ」
マ「フリアグネ様!とうとうこんなところにも進出ですね!」
フ「ああ、山あり谷あり、本当に長い道のりだったね。しかし、これでまた私達の新しい愛の別宅が完成したという訳だ。これも偏に、私達の愛の力――マリアンヌ!!」
マ「むぎゅぅ〜、フ、フリアグネ様〜、嬉しいのは私も同じですけど、そろそろお仕事をしないと……」
フ「おっと、そうだったね。それでは頑張ろう、私の可愛いマリアンヌ!」
マ「では早速質問のお手紙をよみまーす」

Q「紅世(ぐぜ)ってなんですか?」
A「この世の歩いていけない隣に存在する世界だよ」

フ「読者諸君に分かりやすく説明してしまえば、君たちの見ている世界に寄り添うように存在する異世界ということだ。その昔“渦巻く伽藍”と呼ばれていたのを、詩人がそう名づけたんだ。それ以来、その世界の住人を“紅世の従”(ぐぜのともがら)と呼んでいるのさ」
マ「異世界っていうと、作中の『ハルケギニア』と同じようなものなんですか?」
フ「んー、ちょっと違っているかな。そもそも異なる物理法則によって成り立っている世界だから、的確な説明は難しいんだ。無理矢理言い表すと『あらゆるものが、現象による影響と意志による干渉の元、延々変化し続ける世界』というところかな」
マ「うう〜、難しくて分かりません」
フ「おお、ごめんよマリアンヌ。とりあえず『ハルケギニア』とは全く違う異世界と分かれば大丈夫さ」

Q「フレイムヘイズって何ですか?」
A「世界の均衡を保つために強大な“紅世の王”と契約した人間だよ」

フ「フレイムヘイズを説明するには、まずは“紅世の従”について説明しなくてはいけないね。
 “紅世の従”は様々な目的で世界へ渡ってくる、彼らは“存在の力”を“自在”に操ることで顕現し、またそれを変質させて事象を左右することができる。だから世界へと渡る“従”は後を絶たないのさ」
マ「人間達から奪った“存在の力”を使って、様々思い通りのことができるということですね」
フ「その通りだよマリアンヌ。奪われた人間は死んでしまうけれど、そんなことは小さなことだからね。
  でも、“紅世の従”の中にそれを快く思わないものが出てきたんだ。彼らは世界へ渡った“従”のそうした干渉が、やがて二つの世界を滅ぼすと言いだした。そして彼らは遂に、自身と契約した人間を使って同胞を討滅するという暴挙に出た。
 そうして契約した人間のことを“フレイムヘイズ”と呼んでいるのさ」

Q「アラストールってなんですか?」
A「“天壌の劫火”アラストール。“紅世”真正の魔神さ」

フ「フレイムヘイズ炎髪灼眼と契約した強大な紅世の王、それが“天壌の劫火”アラストールだよ。“紅世の王”(強大な力を持つ“紅世の従”のことだよ)と言われているけれど、その正体は“紅世”における神様で、その力はとてもとても強大だ」
マ「じゃあ“天壌の劫火”が直接敵を倒せばいいんじゃないんですか?」
フ「ふふん、そうもいかないのさ、マリアンヌ。“フレイムヘイズ”と契約するような“紅世の王”は世界のバランスとやらをことさら気にするからね。自分自身で力を使ってバランスを損なうのを嫌がるのさ。だからこその“フレイムヘイズ”、討滅の道具の出番なのさ」
マ「でもご主人様、“天壌の劫火”は随分と道具である“フレイムヘイズ”に優しいですよね」
フ「“天壌の劫火”にとって今代の炎髪灼眼は自分の娘みたいなものだからね。愛着もあるんだろうさ。
  勿論私達の愛には勝てないけれどね、マリアンヌ!!」
マ「そうですよね、ご主人様!」

Q「それで、あなた達は何ですか?」
A「“狩人”フリアグネと、その“燐子”マリアンヌさ」

フ「この私と、私の可愛いマリアンヌの活躍を知りたければ『灼眼のシャナ』の第一巻を読むか、漫画版の三巻までを読むか、劇場版『灼眼のシャナ』のDVDを見るのだ」
マ「はいです!ご主人様!!」


マ「大変ですご主人様、もうお時間が来てしまいました!」
フ「む?もうそんな時間かい?私と私のマリアンヌの二人っきりの時間は、本当に光のように素早く過ぎ去ってしまうね」
マ「でも、またお便りがあれば出番がもらえるかもしれませんし……」
フ「そうだね。また諸君に私とマリアンヌの愛溢れる日々を見せられるように願っているよ」
412名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:21:52 ID:5rdonfsV
アンアンに会うと機嫌が悪くなりそうだな
413名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:22:20 ID:EYdtHCqR
声だけで判断するなw
気持ちは分からんでもないがwwwwwww
支援
414名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:23:18 ID:pA+qG80i
支援

>>401
弾切れのことを考えずにやるならゲーム版
喋らせたいならアニメ版

ただしどっちも血液交換しなきゃならないという問題が…
415名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:24:12 ID:RkAeSA1J
以上、投下終了です。

上の方が本編で、下はおまけです(´・ω・`)

シャナのアニメ三話をみて書きたくなったのです。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:25:04 ID:ek0X+pyo
乙&GJ!
なんという声かぶり。
しかも相談室まで再現とはね。
がんばってちょ
417名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:26:34 ID:kqo93mAE
声というものは時によっては恐ろしいものだ………
418名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:27:24 ID:FNP7RiSx
エンディング後のおまけコーナーキタ
声ネタだけでも大変そうだなサイトは、苦労するで〜
419名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:32:01 ID:13V1u3cE
召還教師リアルバウトハイスクールから
ケインバーネットが召還されていたら

「オ〜ッス、オイラの名はケイン・バーネット!かの名高き私立探偵ジム・バーネットの孫だ。世界中の貴族がオイラに血眼!と〜ころがこれが捕まらないんだなァ」
「使い魔の癖に生意気よ!」
「エエ〜?そんなイッペンに訊かれても、オイラ外人だからよく分かんネーヤ」
「ペラペラのくせにとぼけないで!」
「じゃあ情報料として五千エキュークレ」
ルイズにはとてもではないが五千なぞ払えない
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:34:08 ID:QHcLk96k
>>419
ニッポンの聖なるガンガー、ドートンボリで泳いで来いw
421名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:37:15 ID:rQlWLU6u
おお、ややこしいww でもGJだ。
さて、約十日ぶりに投下したいのだが、いいかな?すっかり遅くなってしまった。
…だめだって?そんなお願いは聞けないね。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:37:53 ID:Dv4mr5u7
>>397
キタン単独召喚という電波ならこっちでも受信した。
クロスする作品によって変わる破壊の云々がグラパールで
シエスタの祖父がバリンボーになってたけどw
423名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:38:03 ID:D6uH/jGm
>>421
答えは聞いていない
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:39:07 ID:vv84FM24
>>421
悔しい・・・でも支援しちゃう! 
425名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:42:35 ID:DD4Xmdci
>>421
ならば迷うな! 突き進めぃっ!
やあ、僕でした。レッツ投下。


比較的平和なトリステイン王国にも犯罪者はおり、監獄も立派にある。
その名も『チェルノボーグの監獄』。城下で一番監視と防備が厳しく、魔法障壁が張り巡らしてある。
もっとも、『杖』がなければメイジは普通どんな魔法も使えない。
多くの貴族の財産を掠め取り、名誉を傷つけた『土くれ』のフーケは、当然もうすぐ縛り首だ。
「あーあ、すっかり調子が狂っちゃったなあ……ヤキが回ったよ」

あのプリンスとかいう、ふざけた貴族。『貴族らしさ』を戯画的なまでに追求し、エルフと見紛う強大な力を振るう男。
まさかあいつがこの件に首を突っ込んできて、有無を言わさず自分も同行する羽目に陥るとは。
アレはもう、ああいう奴なのだと思うしかない。逃げ出す隙もなかった。
すっかり動揺して、アジトへ誘き出し、自慢のゴーレムで一同を亡き者にする予定が、あっさり返り討ちだ。
あちらもこちらも傷一つない、華麗な勝ち振りだった。

「なあにやってんだろ。『火竜の杖』の使い方は分かってたけど、土メイジには使えないし。
 『見つかりませんでした』と学院に報告して、ほとぼりがさめたら依願退職って手もあったけど、
 あのプリンス様が、そんなつまらない事で納得するはずなかったかもねえ。
 薄々、あたしが犯人だと疑っていた雰囲気もあったし……やれやれ」

あいつにはエルフかスクウェア級メイジでないと、まともな勝負にならないだろう。
だが、紳士でありフェミニストでもある彼は、女性や弱い者を傷つけないというスタンスを取っていた。
こっちが早々と降伏したのは、命あっての物種だと思ったからだ。さっさと学院を辞めたかったし。
それに、まだ死ぬと決まったわけじゃあない。首に絞首縄がかかっても、生き延びるのがこのあたしだ。
『運命の書』に生き延びると書かれ、『死神の帳簿』にはまだあたしの名前は書かれていない。そう感じたのだ。

「マチルダ・オブ・サウスゴータだな? 話がある……」

ほおら、やっぱり。音もなく現れた長身の男が、新たな運命様の使わしめだ。


ルイズ、キュルケ、タバサ、ギーシュは、学院長室に集まっていた。
「オールド・オスマン学院長。せっかくですが、我々の『シュヴァリエ』の叙勲は辞退させて頂きます。
 私たちはほとんど何もしていません。全ては、あの素敵なプリンスのお手柄ですから」
「秘宝も宝物庫に戻り、学院に潜んでいた『土くれ』のフーケも無傷で捕縛。
 あの方、破損した本塔の修理までなさったのですよ。でも、プリンスに今更シュヴァリエなんておかしいですわね」

「もっともじゃな、諸君。じゃが、キミたちの協力なくしてプリンスも動かれなかったかも知れん。
 特にミス・ヴァリエールはプリンスの……『主人』じゃしのう」
オスマンが顎鬚を撫でつつ眼を細めた。すでに使い魔モートソグニルは、キュルケたちの足元背後に潜ませている。

「白・黒・縞……うむ、個性豊かな面々が揃ってこそ、大事が成し遂げられるというもの。
 『皆は一人の為に、一人は皆の為に』という事じゃよ。分かるかな。
 功績がシュヴァリエに相応しくないと言うなら、王宮から金子なり宝物なり下賜されるかも知れん。
 勲章など、どうせケチな『鳥の骨』めが『従軍が必須資格だ』とか言って、くれやせぬ。
 まあ、今は王宮に報告しておくといたそう」

使い魔たるハツカネズミの視界を共有し、オスマンは満面の笑みを浮かべている。実に満足そうだ。
四人は微笑んで敬礼し、学院長室を後にした。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:43:13 ID:XxSErAYi
支援
入れ替わりに、趙公明が入室する。ドライアイスのスモーク付きで。
「やあ、オールド・オスマンくん。続けて済まないね。
 さて……あの『火竜の杖』、いや『火竜?(かりゅうひょう)』について、出所を聞かせてもらえるかな?
 この僕の左手にある、謎の文字についても、だ」
「プリンス……おお、モートソグニルよ、寒かったか? よしよし」
彼の登場がいちいち派手なのは、まあお約束だ。これでも自重している。

「ええ、お話しいたしましょう。まずは、左手のルーンのことから。
 調査の結果、それは伝説の使い魔『ガンダールヴ』の証であると判明しました。
 六千年前、始祖ブリミルに仕えた『神の盾』であり、あらゆる武器を自在に操った無敵の戦士です」
「始祖?」
「我々メイジや平民の始祖であり、異界から降臨してハルケギニアを支配した、偉大な最初のメイジです。
 貴方は……その、ブリミルの関係者というわけでは、ないのですか?」
「いいや。それに似た者とは、戦ったことはあるけれど」
あの好敵手の顔を思い出し、ふっと笑う。

「……ブリミルの正統な子孫たる王族には、稀にブリミルの力、『虚無の魔法』を行使できる者が生まれます。
 四大系統のどれより強力で、恐るべき魔法だそうです。
 その『担い手』としてミス・ヴァリエールが選ばれたゆえ、貴方が『ガンダールヴ』となるために、
 この地に召喚されたのではないでしょうか……彼女の家も、王族の後裔ですし」
「ふうむ。僕は不老不死だから、ルイズが老衰で死ぬまで仕える事はできるが、
 いつかは『神界』へ戻らねばならないだろう。彼女を連れて行く事もできるかもね」

「さて、『火竜の杖』についての説明がまだでしたな。
 こちらについては出所がよう分かりません。ただ、数百年前に『ガンダールヴ』が現れた際用いた兵器だとも、
 東の『エルフ』たちが創造したとも言われております。わしが学院に来た頃には、すでにあったかと」
「あれが僕たちの世界で使用されたのは、数千年前の話。何者かが召喚したのか、『神界』の者と一緒に来たのか。
 来た方法が分かれば、帰る方法も分かるかもしれないね」

もともとは金鰲列島産の宝貝だが、陳桐から太公望の手に渡り、崑崙の道士・黄天化が持っていたはず。
こちらとしても『縛竜索』だけでは心もとないし、華麗ではない。
例の『金蛟剪』はナタクに埋め込まれたし、今回の報酬としてもらっておこうか。
神や仙人といっても不老不死なだけで、宝貝がなければ大したことは出来ない。
余程の大仙人か、趙公明のような『妖怪仙人』でないかぎり。

「じゃあ、『火竜の杖』を貰えないかな? 戦力強化にもなるし、戦いも派手になる」
「はあ……構いませんが、余り貴方に大暴れしてもらいますと、国際紛争が起こりかねませんので。
 ミス・ツェルプストーに貸与するという形にいたしましょう」
「そうしてくれるかな。宝貝も、メイジによって相性があるようだし」

しかし、ルイズの『虚無』とは何だろう。あの戦いで見せた『爆発』のことだろうか。
確かに土でも風でも水や火でもない、純粋な爆発現象を起こせるのは『虚無』かもしれない。
こちらも調べてみる価値はありそうだ。主人の自信回復にも繋がるのだから。
その日、トリステイン魔法学院は色めきたっていた。
亡き国王陛下の忘れ形見にして王位継承者、アンリエッタ王女が行啓なさるというのだ。
授業は中止となるが、教職員は慌てて歓迎式典の準備を行うと共に、生徒は正装して正門前に整列する。

やがて『魔法衛士隊』に護衛された、二台のお召し馬車が到着する。
国政を取り仕切るマザリーニ枢機卿の馬車の前に、ユニコーンが牽くうら若き姫様の馬車が止まり、ちらりとお姿を現された。
栗色の髪、白い肌、青い瞳に整った鼻。可憐で高貴で神聖な美しさだ。
有能・博識だが酷薄で、『鳥の骨』のように痩せた枢機卿も、姿を見せる。
国民の人気は断然アンリエッタ王女が上。老若男女問わず、そう答えるだろう。
生徒や教師の間から、どよめきと溜息、歓声が聞こえる。

「「おお、なんと麗しい姫殿下……この僕がお守りするに相応しい!(ヴァアアン)」」
「……ギーシュ、プリンスとハモらないで頂戴。でも本当、お綺麗になられたわ」
ルイズが懐かしげに眼を細める。国内随一の公爵家令嬢たる彼女は、王女の親戚にして幼馴染でもあった。


その夜。歓迎式典も無事終了し、姫様は貴賓室に宿泊された。
だが、ルイズの部屋に訪れてきたのは、真っ黒い頭巾で顔を隠した、王女その人。
「姫様!? いけません、このような所へお忍びで、などと!」
「ああ、ルイズ・フランソワーズ! 私のお友達! なんてお久し振りなの!
 それに、そんなに立派な殿方をお連れになって、隅に置けないわ」
「え!? あ、いえ、あの」

趙公明はルイズの部屋の椅子に腰掛け、寝る前のワインを味わっていた。
おもむろに立ち上がると、つかつかと姫のもとへ歩み寄り、にこやかに恭しく一礼する。
「ご挨拶が遅れまして、失礼いたしました、プリンセス。
 お初にお目にかかります、トリステイン王国のアンリエッタ王女殿下。ご機嫌麗しゅう。
 僕は、仙人界は金鰲列島の貴公子(プリンス)、趙公明と申します。
 先日、こちらのミス・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール公爵令嬢に召喚され、
 彼女を守る『使い魔』、華麗なる騎士となる契約を結びました。以後、お見知りおきを」

洗練され、優雅で軽やかで堂に入った挨拶に、一瞬二人のお姫様は頬を染めて呆然とする。
山百合と薔薇の芳香が漂い、背後には神々しいほどの輝きさえ見えた。BGMを弾くピアノ奏者までも。
「え、ええ、よろしく、プリンス・チョウ・コウメイ・オブ・キング・オ・レットー殿下……でよろしいかしら。
 なんて素晴らしい、貴族に相応しいご挨拶なのかしら。この私、感動いたしましたわ」
年の頃は20代後半か。アルビオンのウェールズ皇太子よりやや年上だが、実力はスクウェア級以上だろう。
見事な身のこなしといい、体術も相当の域に達している。

「お二人とも、ご活躍のお噂は聞き及んでおりますわ。
 先日はゲルマニアに表敬訪問中でしたが、なんでも盗賊退治の功績として『シュヴァリエ』に叙勲されるとか。
 でも、どうしてお友達ともどもお断りなされたの? もっと高い爵位がよろしかったかしら」
「いいえ、全ては、このプリンスのお手柄だったんですもの。私なんか、足手まといで」
「そんなことはないさ、ルイズ! キミたちの一致団結した活躍あってこそ、強力な敵を倒せたんじゃないか。
 キミにはすぐに素晴らしい爵位が下賜されるさ。誰にも文句が出ないような働きをしてね」

王女がくすくすと微笑む。貴族の鑑のような人だ、羨ましい。
自由というのは、こんなにも有難いものだったなんて。ルイズと遊んでいた子供の頃には、思ってもみなかった。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:48:14 ID:3f9aoRA/
支援
アンリエッタとルイズは、しばらく積もる話が弾んでいた。
幼馴染の間柄だ。普段は話せないことも大っぴらに話せるが、傍にプリンスがいるのでやや自重している。
やがて、アンリエッタから本題が切り出された。

現在アルビオン王国では貴族議会派によるクーデターの最中で、現体制は崩壊寸前。
そしてクーデターが成功した場合、次は我がトリステイン王国が狙われる。
それを防ぐため、姫様は隣国ゲルマニアの皇帝と結婚して同盟を結ぶが、
以前姫様が送った一通の手紙がアルビオンの皇太子の手元にあり、同盟の妨害に使われかねない。
そこで姫様は、幼馴染であり信頼出来るルイズに手紙の回収を依頼した、というわけだ。

……一つ一つの事を述べるたび、いちいち身振り手振りを加え、身を仰け反らすわ床に崩れ落ちるわ、
顔を手で覆ってヨヨと泣き暮れるわ、芝居の一幕のようだ。趙公明も涙を流して頷いている。

「国王陛下とウェールズ皇太子は、アルビオンのニューカッスル城に立て篭り、陣を構えておられます。
 『土くれ』のフーケを難なく捕まえた貴女がたならば、この困難な任務もきっと果たせるものと、見込んで参りました。
 出来得るならば、お二方をも密かにお救いし、いつか王政復古を成し遂げられるようご援助したいものですが……」
がばとルイズがひれ伏し、趙公明も膝をつく。
「姫様! お涙をお拭きになって! たとえ地獄の釜の中でも、竜のアギトの中でも、
 このルイズが姫様と王国の危機を、見過ごしておけましょうか!
 その一件、是非ともお任せ下さい。一命にかけても、やり遂げてご覧に入れます!」

「そうとも。ルイズとこの僕が、高貴で美しい姫殿下の御命を果たせないはずがないさ。
 ルイズは立派な手柄を立て、相応しい褒賞を頂けるに違いないよ」
「まあ、頼もしい貴公子様。私の大事なお友達を、これからもよろしくお願いいたしますね」
差し出されたアンリエッタ王女の手の甲に、趙公明は恭しく接吻する。
王女もルイズも、頬を染めている。彼にかかれば、どんな難事も楽勝だろう。

アンリエッタは頷くと、ルイズの机に座り、さらさらと一通の手紙をしたためる。
最後に、躊躇う様子を見せ、末尾に何かを書き加えた。
「始祖ブリミルよ……この愚かな姫の、自分勝手をお許しください……。
 でも、私はやはり、この一文を書かざるを得ないのです……」
そう呟くと、アンリエッタは手紙を巻き、杖を振るった。すると手紙に封蝋がなされ、花押が押される。
最後に、いとおしげに手紙に接吻すると、指から青いルビーの指輪を外し、手紙とともにルイズに手渡す。

「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょうから。
 それと……これは母君から頂いた『水のルビー』です。 身分証明と、せめてものお守りに持ってください。
 旅の資金が不安ならば、売り払っても構いませんが……」
「そんな! 王国に伝わる始祖の秘宝に、値段など付きませんわ!」

王女はくすりと微笑み、ルイズに念を押す。
「この任務には、わが国の未来がかかっています。
 この指輪が、アルビオンの猛き風より、貴女がたを守りますように。
 では明日の早朝、学院の正門前に来て下さい。案内の者を呼んでありますので」
432名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:49:12 ID:XxSErAYi
支援
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:50:19 ID:hWdtjPPl
しえん
434名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:51:40 ID:XxSErAYi
趙公明に密命とか無謀過ぎるwww
翌朝早く。魔法学院の正門前にて。
ルイズと趙公明は用意された馬に跨っていたが、来てみると先客が三人もいた。巨大な風竜もだ。
「って……何であんたたちもいるの? これは密命よ!?」

「プリンスにお聞きしてね。大丈夫、姫殿下にも御許可は頂いたよ。
 この僕、ギーシュ・ド・グラモンに微笑みかけて下さった姫殿下のために、この命を捧げるつもりさ!」
「こんな面白い事、放っておけるわけないでしょ? プリンスの足手まといにはならないわ。
 私には『火竜の杖』もあるし、可愛いフレイムもいるもの」
「心配」
「おおルイズ、勝手に密命を漏らした事は反省しているよ。でも、華麗でなくては冒険ではない。
 皆に見せ場を作り、素晴らしい武勇譚を謳いあげようじゃないか、フフフフフ」
……まあ、こいつらなら裏切る事はないだろう。派手な密使というのも考え物だが、陽動にはなるかも。

そうルイズが考えを巡らすと、いきなりモコモコと地面が盛り上がり、小熊のような茶色の生き物が顔を出した。
ギーシュは大喜びで瞳を輝かせ、そのつぶらな瞳をした生き物を抱きしめると、頬ずりする。
「ああヴェルダンデ! 僕の可愛い使い魔、ヴェルダンデ!」
「なにそれ、ジャイアントモール(巨大モグラ)?」
「いかにも。名前は『ヴェルダンデ』だ。おお、お前もついて来たいのかい?」

ルイズとキュルケは胡散臭いという顔をする。
「浮遊大陸のアルビオンへ行くのに、モグラはないんじゃない?」
「そーよ。大体、風竜どころか馬にも追いつけないんじゃないの? 乗せてってあげてもいいけど」
「僕のヴェルダンデを侮るな! 風竜には無理でも、地中を掘って馬の走る速度にもついて行ける、素晴らしいモグラさ!
 浮遊大陸とはいえ土も岩もある。思いがけない活躍をしてくれるはずだよ」
趙公明は、二つの宝貝『土竜爪』と、各々の使い手を思い出す。
崑崙の方の彼は、モグラの妖怪仙人ではなかったのだろうか? もう一人の原形も不明だったが。
それより浮遊大陸とは……。

と、巨大モグラが鼻をひくつかせた。ギーシュの傍から離れ、ルイズへと近寄る。
「な、何? …やっ、ちょっと! きゃっ、やめて!」
巨大モグラはいきなりルイズを押し倒すと、突き出た鼻で体の隅々を嗅ぎまわり始めた。
「やぁっ! ちょっと、どこ触ってるのよ!? 何これ!?」
「どうやら、きみの持つ『水のルビー』に反応しているようだ。僕のヴェルダンデは、珍しい宝石に目がないのさ」
「もおおギーシュ! さっさとやめさせなさいよ! くすぐったい! 助けてプリンス!」

「疾ッ!!」
声とともに上空から一陣の風が吹き、ルイズに抱き着いていたモグラが吹き飛ばされた。
ごろごろと転がったモグラは、目をまわして気絶してしまう。
「だ、誰だ!! 僕のヴェルダンデに、何をする!?」
ギーシュは薔薇の造花の杖を構え、空中へ怒鳴る。趙公明やキュルケやタバサも、一応警戒する。
すると朝靄の中から、空飛ぶ幻獣・グリフォンに乗った、長身長髪の男が現れた。
短い鬚を生やし、頭には羽根帽子を被っている。見るからに気障だが、なかなかの使い手だろう。

「落ち着きたまえ、僕は敵じゃない。姫殿下より、キミたちに同行することを命じられた者さ」
「あ、あなたは……!! まさか、ワルド様!?」
空から舞い降りた青年貴族は、懐かしむような口調で帽子を取り、ルイズに恭しく一礼をした。
「いかにも。魔法衛士隊・グリフォン隊の隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵だ。
 よろしく、ミス・ルイズ・フランソワーズご一行。それで、貴方が噂の『プリンス』ですか?」

ワルドの腰には、太い教鞭のような『杖』が差してあった……。

(つづく)
436名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:53:24 ID:DD4Xmdci
乙でしてよプリンス
打神鞭……まさかワルドの背後に「あの」「アレ」が……!
437名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:53:51 ID:d6P9puum
乙ーん
ワルドに打神鞭かしらん?
438名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:54:30 ID:rQlWLU6u
投下終了。おお、[金票]という漢字は表示されないか。
華麗なるプリンスに、はたして隠密行動なんか出来るのか? 無理だのう。
そしてワルドの持つ杖は……?
439名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:55:58 ID:EYdtHCqR


打神鞭は反則に近いぞw
440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:57:38 ID:r1WKx2Xz

てかワルド仙人骨があるのかw
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:02:20 ID:9Z1X3Jkx
>>434
物見遊山の貴族様です。
こんな派手に隠密行動する奴なんていませんよ〜。

442名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:05:11 ID:hoFh4PGg
密名?なんのことですかな?
戦時下に遊びに出たおつむのゆるいただの貴族ですよ
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:06:51 ID:CInREdja
白・黒・縞……うぃ、個性豊かですね〜♪ GJ!!
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:15:55 ID:r1WKx2Xz
特撮ネタが最近増えてきてるのを見てふと何を召喚したらヤバイかとかを考えてみた

・バンドーラ様:なんせ恐竜時代から生きてて恐竜&恐竜人類を滅亡させた大魔導師ですから。
 始祖ブリミルですら格が違うという卑怯っぷり
・大教授ビアス様:宇宙人とのコンタクトどころか宇宙人の存在も知られてないような状況の世界なのに
 余りの天才っぷりに他の星の天才が教えを乞いに来るdでも頭脳。わけわからん
 前に誰か小ネタで書いてたな
・ラディゲ:従わせるの無理。絶対裏切る。幹部をグレイ以外全員血祭りに上げた実績は伊達じゃない
・ボーゾック一味:芋ようかんをどうすればいいのか
・都知事:知っているか!
・橘さん:ルイズノギョムノゼイデ、オデノカラダハボドボドダ!!
445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:21:24 ID:9Z1X3Jkx
>>444
アナーキストでロボット三原則無視の「劇場版ハカイダー」
手下「助けてくれ!命令されただけなんだ!」
ハカイダー「己の意思を持たぬか? なら生きていても仕方あるまい!」
でアボン

446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:25:11 ID:6lO66pM8
お邪魔します
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1155098を見た俺が
いきおいで書いたんだけど、投下して平気かな…?
447名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:26:19 ID:bIEHeSUS
そういや最終話辺りでいきなり張径は妖怪仙人だって明かされてたなw
448名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:28:56 ID:TPV6laDj
>>438

↑これは表示されるだろうか?
449名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:30:41 ID:ZmG4hs/i
>>446
そういうのは貼らない方がいいよ
450名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:31:18 ID:SwWN3Bag
>>446
作品は構わないと思うけど、あんまりニコニコとかは持ち出さない方が良いと思うよ。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:32:36 ID:6lO66pM8
>>449
オッケー とらのとかスクライドのとか見て面白かったから、本編を見て書いたが
場を荒らしちゃあ、しょうがない、引っ込めるよ、お邪魔しました。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:33:09 ID:TPV6laDj
だめだな。金票という字だったんだが。
453名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:33:38 ID:6lO66pM8
>>450
すまないな、空気が読めてなかったみたいだ、ROMに徹する
作家さん達は頑張ってくれ、いつもどれも楽しみにしてるんだ
454名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:39:20 ID:0jHKgfK8
>>434

あれだよ、007とかと同じだ。公然有名秘密スパイというようなものなんじゃ
ないか?

「自分、アメリカのスパイが憎いんです。だって、こっちはコードネームが
コルホーズ一号ですよ!?農林一号みたいじゃないですか!なのに、向こうはゴールド
リンクスなんて、あんまりだぁぁぁ!・゚・(ノД`)・゚・」とか言う自己顕示欲が強いソ連スパイが
出てくる話があったが、そんな感じの人達からは、嫉妬されまくりな活躍をなさってくださることだろう。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:42:11 ID:fXlxBdv/
>>453
投下自体は自粛しなくても・・・
456名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:46:32 ID:Ra5G2EkP
>>455
問題のニコ動を丸パクリしたような代物でないなら同意
457名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:49:01 ID:6lO66pM8
なら、お言葉に甘えて……
アニメで一期二期見ただけだから、本編の読み込みが足りないかもしれない
問題があると思ったらスルーお願いします。
458ゼロの妖精:2007/10/22(月) 23:51:35 ID:6lO66pM8
エースコンバットZEROより

俺は死ぬはずだった。
でも死ななかった…
痛む体を引きずって辿り着いた場所は、あの核の爆心地だったんだ。
何も無い光景、それがなんだか悲しくてしょうがなかった。
でもそこで強く生きる人々がいた。
俺は彼らに救援が来るまで、助けられたんだ。
あの人の言うとおり、世界に境目なんて必要ないかもしれない。
でも無くすだけで変わるんだろうか…
世界を変えるのは、人を信じる力なんだろうな。
信じ合えば憎悪は産まれない、でもそれが出来ないのも人なのかもしれない。

俺はもう、戦場の近くにはいない……結局俺は彼女と結婚した。
あの人の言うとおり人間は戦いを止めることはできないかもしれない。
でも……確かめたいんだ、人間が、人間を信じられるか、人間の意志を
答えなどないかもしれない、でも探したいんだ
いまはそう思う、それでいいと思う

この映像は…サイファーも、『妖精』も見るのか?
妖精、生きているのなら、あんたはどう思う?

あんたは今、どこにいるんだ?

ウスティオ空軍第6航空師団第4飛行小隊「クロウ隊」の3番機
パトリック・ジェームズ・ベケット 通称『PJ』のインタビューより


そのとき『俺』は空中にいた
俺は声を大にして、無線の先にいるかつての相棒
そして今の敵に叫びかける
ヘッドオン、真正面から『鬼神』の乗った戦闘機F15が迫ってくる

<<撃て!!>>

もう特殊兵装TLS…タクティカルレーザーシステムも散弾ミサイルも品切れ
おまけに通常ミサイルすら看板、最後の最後番犬ガルムの文字通りのdog fight
もはや正面からぶつかるような加速をつけた機体が迫ってくる
俺が叫ぶのと同時、そして相手とも同時に最後の手段、機銃が火を噴いた

なにかが食い込む音、一瞬遅れての衝撃、俺乗っていた機体―――ADFX-02『モルガン』は
左エンジンから火を噴きながら、バランスを崩し、俺の操作から解き放たれる、だが、加速は途切れない
正面から、相手の機体が迫る…肉薄、数mの差もないままにすれ違い……俺は落ちた

目の前が真っ白になる、ああ、俺は機体ごと爆発したんだ、と理解した
459ゼロの妖精:2007/10/22(月) 23:52:52 ID:6lO66pM8
爆発した


『ゼロのルイズ』ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
例年のお約束行事「サモン・サーヴァント」の儀式を取り行い、もはやお約束のように爆発を発生させた
余波を食らい数名の負傷者というか気絶者を出しながらも、どうやら儀式自体は成功した模様で
徐々に薄れる白煙の向こうには何か、大きな影

『おいおい、あのルイズがなにやら成功させたぞ!?』
『いいや、まだわからないぞ、煙が消えた向こうには粗大ゴミがあるかも』

そんな野次など、耳など入らぬ様子で、ルイズは煙が薄れるのを、ただ胸をときめかせながら待ちわびる
積年の屈辱返上となるか、とただ、じっと待ちわびていると、そこに現れたのは
なにやら、20メイト以上の全長を誇る、鳥ともゴーレムとも言えないような物体
「なに………これ……」
ルイズは、ただ、理解できないものを前に、立ち尽くしていた


「なんだ………これは」
『片羽の妖精』と呼ばれた凄腕の傭兵パイロット「ラリー・フォルク」は
ただ、コックピットに座り尽くしていた
(俺は落ちて……死んだはずでは……なにが、なにが起こっている)
混乱を必死に経験と度胸で押さえ込みながら、状況を確認する
自分は確かについ先ほど乗っていた『モルガン』にいる
爆発しそうな様子はない、左エンジンからは煙は上がっていない
それどころか『円卓の鬼神』に破壊されたはずの戦略レーザー照射装置が見えた
もしや、と思い機体システムをチェックすれば
使い果たしたはずの散弾ミサイル、通常弾頭のサイドワインダーすら満載されていた。

「こ、コルベール先生…これは……いったいなんなんでしょうか?」
「さ…さあ?私にも理解はできません、薄っぺらく、ゴーレムにも見えますが…」
「や、やり直しを要求s」
「ダメです、春の使い魔召喚の儀式は神聖な儀式だ、好む好まざる関わらず
 特例もなく、呼び出した物を使い魔にするしかない」
「そいつは困るな」

ピクシーは偶然外から聞こえてきた会話に、咄嗟に口を挟んだ
使い魔だとか、儀式だとか、わけのわからないことを喋っているようだが、文脈から読み取る限り
呼び出したもの……おそらく、自分ではなく、このモルガンを対象にして、自分のものにしようとしているようで…
彼は咄嗟にコックピットのハッチを開き、話しかけたのだ、会話に熱中していた二人はともかくとして
あたりの人々は、得体の知れない物が動き、オマケに中から人が現れたのだ、動揺しざわめいている…
460ゼロの妖精:2007/10/22(月) 23:55:17 ID:6lO66pM8
「なに?これは、私が呼び出したから私のものよ!」
「それは随分と急な話だな、いつから窃盗罪はこの国から消滅したんだ?」

本来ならば、補助の道具を使い、乗り降りする戦闘機のコックピットから手馴れたように
身軽に地面に降り立つピクシーにルイズは食って掛かる、見たこともないような髪の色をした少女に
いきなり上から目線で話されて、少し、苛立ったような表情を浮かべながら、ピクシーも言葉を返す
お互い、なにやら胡散臭い、と判断したようで、それ以上の会話は続かず、しばらくの沈黙の後
ピクシーは、まだ比較的常識的な姿のメガネを掛けた中年の男のほうに話しかけることにした。

「おい、そこの、これは一体どういうことなんだ?ここはどこなんだ?
 俺は死んで、天国…いや、地獄に落ちたのか?」
「ここはトリステイン魔法学院で……
 あなたと、このゴーレムのようなものは年に一度の使い魔召還の儀式にて、召還されたのです。」

ジーザス、魔法と来た、自分自身「妖精」とは名乗っていたし
知り合いと言うか同志というか仲間には「魔法使い隊」とか名乗っていたのもいた
だがしかし、大真面目に魔法と来た、まだ地獄に落ちるか、あのダムでベイルアウトしていればよかった。
それとも、俺は死ぬ直前の白昼夢でも見ているのか?
それとも、いままで全部夢で基地の連中の壮大なイタズラにでもハマっているのか?(もし、そうだとしたら首謀者はクロウ隊の連中か?PJだとしたら、あとで本当にTLSを食らわせておこう)

そんなことを考えていると、相手はさらに言葉を続ける

「それで、あなたのお名前は?」
「…………ピクシーだ」

こんなところで、本名を名乗る勇気など俺にはありはしない、偽名も浮かばず
TACネームで名乗ってしまったが、相手はこんなオッサンが「妖精」と名乗っているにもかかわらず
なにも言わずに言葉を続ける…………言葉は通じているが、オーシア語ではない…?
461名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:55:44 ID:cRsumvQo
ちょwおまwPJ生きてるのかよ!?w
462ゼロの妖精:2007/10/22(月) 23:57:11 ID:6lO66pM8
中年の男はコルベールと名乗り、何かを説明しているが俺の耳にはいまいち入ってこない
ルイズ、という、桃色の髪の子供はなにやら黙って俺とコルベールの中間にいる、周りは
何故か平民、平民、とざわめいている……イタズラだとしたら相当手が込んでいる、なにやら
見たことのない生き物がウヨウヨしている。(最近流行ってると言うポケモンという奴だろうか)

「………ですから、あなたが彼女と契約を結んでいただかないと、彼女は落第になってしまうのです」

久しぶりに眼前の中年、コルベールの話を聞くと、どうやら、なにやら、契約を結ばないと彼女が困るらしい

「………こいつはダメだ、機体が無事なのに、徒歩で帰るだなんてな、ダイエットはしていないんだ」
「ならば、これでなければ、あなたがなるのどうでしょうか?」
「ああ、こいつでなければ、なんでもいいさ、使い魔でもなんでもなってやる」

もちろん、そんなつもりはない、とにかく、得体の知れない場所でいきなり機体を奪われるのはまずい
一応持っていた銃で脅して飛んで逃げる、というのも考えたが……この広場じゃあ、滑走には短すぎる
そもそも滑走路が必要ない垂直離陸式
あるいはゼロ戦のようなプロペラ機じゃあないと足りないだろう(後者の場合、よっぽどいい風じゃないと無理だな)
とにかく、現状を誤魔化して、さっさと飛んで逃げよう、そうと決まれば行動だ
ルイズに向き直ると、声を掛けた

「それで、俺はなにをすればいい?」
「やっと決まったようね……ちょっと、しゃがみなさい」
「はいよ……これでいいか」

言われた通り、しゃがみこんで、相手を見れば、なにやら、顔を近づけて―――いきなりキスされた
一瞬触れて、すぐに離れた、それで終わり、相手がなにやら小声で「ファーストキス」とかぶつぶつ
言っているが、どうやら、下らないお遊びもこれで終わりらしい、なら、さっさと飛ぶとしよう
………踵を返し、飛んだ後どうするか考えながら
機体に近づいた瞬間、俺は手に燃えるような熱さを感じ、それを確認しようと、手を見ようとしたが
できなかった

俺の体は、膝から崩れ落ち、俺の意識は、ぷっつり途切れた。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:57:35 ID:Hxqep6Km
声優ネタでも何でもいいけど、悠二を失って憔悴してるシャナを異世界にラチって何をさせる気なんだとか思ってしまうなあ。
悠二を探しに行くことも、本来の使命である徒の討滅もできなくなったシャナに、まさか使い魔やれなんて言えんし。
464ゼロの妖精:2007/10/22(月) 23:59:10 ID:6lO66pM8
お目汚し、失礼いたしました。
PJはなんとなく、あれで死ぬのはあんまりだったので導入に使いました。
きっと、サモンが気流を変化させたんだ…!
465名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:59:18 ID:pOHydaxY
>>463
それいったらほとんどの作品にあてはまってしまわんか?
466名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:01:55 ID:ek0X+pyo
>>463
毒吐きを本スレにコピるな荒らし
467名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:02:34 ID:O9yY0S2X
投下乙ー

>>454
死人にシナチクとはまた懐かしいネタをw
468名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:02:43 ID:cRsumvQo
乙ー。

>>465
それはバカのコピペみたいだから触れたらダメだ。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:03:38 ID:pOHydaxY
そうかすまんすまん。
妖精の人オツー
470名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:11:08 ID:CLG6qdYc
ついにエスコンからきたかw
GJ!
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:13:28 ID:cvxTa/Lt
>>452
ヒョウさん!
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:17:18 ID:mxah7ufi
>>471
禁!
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:24:29 ID:5LqpV+10
ざわ・・ざわざわ・・
474ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:27:20 ID:XUJ+GiWo
代理投稿行きます。
475ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:27:39 ID:XUJ+GiWo

三七九
 
 体力点四を失う。
 君が白髪の魔法使いに向けて術を使うと、とたんに相手は鉄製の杖を取り落とす。
 毒づいて杖を拾い上げるが、すぐにまた落としてしまう。
 周りを取り囲んだ傭兵どもはその様子を見て笑い、
「≪白炎≫の旦那!なにを遊んでるんだよ」
「さっさと片付けちまいましょうや」と野次るが、
当のメンヌヴィルは必死の形相だ。
「き、きさま…オレに一体なにを、なにをしたぁ!?」
 そう叫ぶと腰帯に吊るした短剣を抜き放つが、それさえも手からすっぽぬけてしまう。
 君は降伏をうながしてもよいし(三一一へ)、この機をのがさず斬りかかってもよい(二九三へ)。

476ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:27:51 ID:XUJ+GiWo

二九三
 
 杖も武器も使えぬメンヌヴィルだが、獣のような咆哮をあげると君につかみかかってくる。
 屈強な肉体を誇るこの男は、素手でも充分に危険な相手だ。
「へへっ…ずいぶんと久しぶりだぜ、人間を相手にすんのはよぉ!」
 君の手の中で、デルフリンガーが愉悦の声をあげる。
 闘いを開始せよ。 
 
 メンヌヴィル
 技術点・七
 体力点・一四
 
 敵の体力点を三以下にまで引き下げることに成功したなら、二〇八へ。

477ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:28:03 ID:XUJ+GiWo

二〇八
 
 深手を負ったメンヌヴィルはがっくりと膝をつく。
 傭兵どもはあまりに意外な展開を前にして、声も出せぬありさまだ―――なぜかはわからぬが、魔法使いが突然に杖を取り落として拾うこともできず、
そのまま平民の剣の前に敗れようとしているのだから!
 君はとどめを刺すべくデルフリンガーを振り上げるが、ルイズの
「やめて!」という悲痛な叫びを耳にして手を止める。
 両腕を傭兵に押さえられたままのルイズは、
「もう勝負はついたでしょ?殺しちゃだめ!」と言う。
 躊躇する君の目の前で、メンヌヴィルがゆっくりと立ち上がろうとする。
「ご主人様の命令には、従ったほうがいいのではないか…?」と言いながら、
にやりと笑う。
 君はどうする?
 ルイズの言葉に従って、メンヌヴィルに慈悲をかけるか(一七二へ)?
 それとも、この虐殺者にとどめの一撃を加えるか(一四〇へ)?

478ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:28:17 ID:XUJ+GiWo

一四〇
 
 君はメンウヴィルを見据えて考える。
 許してやるべきだろうか?
 もはや白髪の男に、闘う力は残されておらぬように見える。
 
 いや、だめだ。
 向こうも君に情けはかけず、なぶり殺しにしようとした。
 許してやる必要がどこにある?
 あの少女の言うことをきく義理はないと、君は冷たく言い放つ。
 驚きの表情を浮かべるメンヌヴィルの厚い胸板にデルフリンガーを突き立て、そのまま一息に心臓を刺し貫く。
 ルイズの悲鳴が響くが、聞こえぬふりをする。
 ルイズがなんと言おうと、君は楽しみのためだけに人を殺すようなオーク同然の輩に、情けをかけたりはせぬのだ。
  
 決闘に勝ったのだから、約束どおり三人とも解放してもらうぞと君は言うが、それを聞いた魔法使いらしき長身の男は嘲笑する。
「その約束をしたのは、お前の足元に転がっている哀れな≪白炎≫だ!その間抜け野郎がなにを言ったかなんざ、俺たちの知ったことじゃない。
おっと、動くなよ?連れの餓鬼どもが死ぬぞ」
 男の言葉とともに、ルイズとギーシュの首筋に剣の切っ先が突きつけられる。
 ルイズたちを人質にとられたこの状況では、武器も魔法も使えず、身動きさえままならない。
「てめえら、構えろ!この思い上がったどぶ鼠をばらしちまえ!」
 長身の男が号令をかけると、傭兵どもが手に手に石弓や鉄砲を構え、君を狙う。
 万事休すと目をつむる君だが、一斉射撃の号令のかわりに聞こえたのは、なにかが空を切る音だ。
 何事かと眼を開けた君が見たものは、飛び道具を手にした傭兵どもが次々に倒れ伏す光景だ。
 どの傭兵も喉首を切り裂かれ、傷口から血を噴き出して横たわっている。
「エ、≪エア・カッター≫か!?どこから…」
 狼狽した長身の男が杖を構えるが、弦が鳴る音がしたかと思うと、その背中に矢が突き刺さる。
 始まりかけていた詠唱はごぼごぼという音に変わり、男はぐったりとうつぶせに倒れる。
 ルイズたちを取り押さえていた傭兵どもは、人質を殺してしまうべきか、それとも逃げ出すべきかと迷っているうちに、狙いすまされた矢と眼に見えぬ刃によって、
次々と討ち取られていく。
 君は、自由を取り戻したルイズとギーシュに向かって伏せろと叫ぶ。
 姿を現さぬ射手と魔法使いは、慎重に狙いを定めて傭兵どもだけを攻撃しているようだが、流れ矢に当たってしまうおそれがないとは言い切れない。
 君の指示どおり地面に伏せるルイズに、ひとりの傭兵が近づいてくる。
 肩を射抜かれた右腕は力なく垂れ下がっているが、残った左手に剣を握りしめている。
「あれはてめえらの仲間か!?畜生め、道連れにしてやる!」
 憎しみに満ちた声で叫ぶと、傭兵は剣を振り上げる。
 
 ルイズが危ない!
 その瞬間、君の左手の甲に刻まれた紋様がほのかに輝き、君の思考は『ルイズを守る』という、ただひとつのことで占められた状態におちいる。
 君の全身に得体の知れぬ力がみなぎり、体が軽くなる。
 周囲を飛び交う矢と魔法を気にもかけずに、解き放たれた発条(ばね)を思わせる勢いで駆けだし、傭兵とルイズの間に割って入ると猛然と打ってかかる。
 闘いの勝敗を決めよ。 
 理由はわからぬが全身に力が溢れているため、この戦闘のあいだは君の攻撃力に二点を加えてよい。

 傭兵
 技術点・六
 体力点・六
 
 破ったなら二二九へ。
479ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:28:29 ID:XUJ+GiWo

二二九
 
 君が傭兵のひとりを斬り倒したころには、周囲の喧騒もやんでいる。
 傭兵どもはひとり残らず矢と魔法によって討たれ、死体となって地面に横たわっている。
 荒い息を吐きつつもルイズの無事を確認して安堵し、張り詰めていた気を緩めると同時に、全身にみなぎっていた力が抜けていく。
 ルイズに大丈夫だったかと声をかけるが、彼女は君の情け容赦のない闘いぶりにおびえてしまったようで、感情のこもらぬ返事をすると君から遠ざかり、
近くにへたりこんでいたギーシュを助け起こす。
「どうしたってんだよ、相棒。あんなに気持ちを昂ぶらせて突っ込むなんざ、いつものお前さんらしくもねえ…」
 デルフリンガーが呼びかけるが、君は新たに姿を現した武装した一団に注意を惹かれているため、返事をしない。
 
 燃え盛る家の陰や草むらから現れ、君たち三人を取り囲んだのは、長弓を手にして矢筒を背負い、緑がかった茶色のマントをまとった男たちだ。
 どの男もマントの頭巾と覆面で顔を隠し、鋭い光を湛えた眼だけをあらわにしている。
 まるで≪旧世界≫の森エルフか野伏(のぶせ)のような格好だが、彼らはいったい何者なのだろうか?
 傭兵どもを全滅させたところをみると王党派の兵隊かもしれぬが、油断はできない。
 君は彼らに挨拶し、敵意のないことを示すか(三三六へ)?
 武器を振りかざして威嚇し、何者かと問いただすか(二七四へ)?

480ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:28:39 ID:XUJ+GiWo

三三六
 
 君は大声で人殺しの群れから救ってくれた礼を述べるが、野伏どもは一声も発さずにじりじりと近づき、次第に包囲の輪を狭めてくる。
 彼らの手には矢がつがえられた長弓が握られており、君たちが妙な動きを見せれば、たちまち矢を射掛けられることは間違いない。
「こいつら、もしかして野盗なんじゃないのか?」
 ギーシュが小さくおびえた声を出す。
「傭兵どもの稼ぎを横取りしに来ただけなのかも…」と言う。
 やがてひとりの男が進み出るが、この男は弓も矢筒も持っておらず、かわりに水晶のついた杖を握っている。
 どうやら魔法使いのようだが、頭巾と覆面のせいで面相は窺えない。
「そなたらは何者だ?この『白の国』でなにをしている?」と、男が問いかける。
 その声は覆面越しでくぐもってはいるが、若く健康的な男のものであり、あきらかに地位と教養のある者の口調だ。
 野盗の首領とは思えぬが、信頼できる相手とも限らない。
 君は正直に名を名乗り、目的を明らかにするか(二七四へ)?
 それとも、目的を隠して作り話を聞かせるか(七二へ)?

481ソーサリー・ゼロの代理人:2007/10/23(火) 00:29:05 ID:XUJ+GiWo


681 名前:ソーサリー・ゼロ 投稿日:2007/10/22(月) 23:38:23 [ XpFQ9STg ]
今回はここまでです。
船が足りないので地上部隊に編入されたせいか、ご機嫌斜め(誰が?)。

============

以上で代理投稿終了です。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:34:20 ID:qejkW8q5
エスコン乙ー
エスコンから召喚となると問題は弾数だな
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:40:05 ID:+d/6iNAt
ノーマルモードだから機銃は弾数むg(ry
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:59:17 ID:Wy7Fwve/
>>482
シエスタに可能性を見た。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:12:49 ID:08FYbqjE
>>444
ラノベ板でのマジレンジャーネタを思い出した。
あれだとトライアングルになってようやく使える氷と雷が系統の一つなんだよなー。

末っ子召喚とか面白そう。
ゼロ魔だと系統は遺伝するみたいだから、ルイズに家族のことを話したら
「火系統と水系統のメイジからバラバラの系統の子供が生まれるなんてデタラメ過ぎるじゃない!」
とか言われそうww
486名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:18:07 ID:94oTC02t
末っ子ならバリキオンがいれば1人で巨大戦できるしなw
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:25:49 ID:08FYbqjE
>>486
母親も自力で巨大化できた筈。
氷属性の魔法使いだからゼロ魔世界でなら最低でもトライアングルメイジとして受け入れられるかも。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:34:33 ID:cMfW9ua3
相変わらずソーサリーは展開が読めない
機嫌悪い人はルイズに気付いてるのかいないのか…
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:54:17 ID:LkknGSuG
ソーサリー乙!
メンヴィルの復習が怖いよマジで
490名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:57:22 ID:B7n9Om+1
>>487
ママンどころか5兄弟全員巨大化できたぜよ。
マジフェニックスとかマジガルーダとか。
ヒカル先生だけじゃないか?単独で巨大化してないの。
491兄弟そろって、メガテンオタ:2007/10/23(火) 02:00:40 ID:8Ry1uR95
>マジレンジャー
弟が「ガルーダはインド神話だろ」と突っ込んでいたのを思い出した。
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 02:10:09 ID:08FYbqjE
>>490
そういやそうだった。
マジフェアリーだけがかなり小さかったような。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 02:22:20 ID:mxah7ufi
>>489
白炎さん心臓貫かれて死んでない?
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 02:25:40 ID:B7n9Om+1
マジフェニックス・ガルーダ・マーメイドが全高26m台(それぞれ0.1mづつ違う)
マジフェアリーが15mのマジタウラスが36.7m
合体してマジキングになると48m。マジレジェンドも同じ。
トラベリオンだけ53mと一回り大きい。
マジフェニックスだけでフーケゴーレムと殴り合えるな。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 03:01:49 ID:fNb7VqsO
>>486

バリキオンもあるし、一回くらいならゲスト出演でユニゴルオンとかも出来そうだ
496名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 03:13:19 ID:bVfpE0dd
仮面ライダーガタックとかどうだろう
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 03:27:15 ID:6E6kkDpI
《遅かった…今更だがエスコンの作者にGJ!と伝えてくれ》
498名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 04:03:24 ID:bomcKP0z
投下しますが…、OKですか?
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 04:06:35 ID:Mo8c/FQK
>>498
よし、とりあずsageようか
500ゼロ機関の四銃士:2007/10/23(火) 04:18:07 ID:bomcKP0z
「DETONATOR ORGUN」のオーガン、「宇宙の騎士テッカマンブレード」のDボゥイとレビンとペガス、「魔法少女エンジェリックカリン(注:18禁作品)」の雅華鈴、「スーパーロボット大戦OGシリーズ」のゼンガー・ゾンボルトを召還。

平行世界。
ハルケギニアとは別の世界。
これは四つの平行世界から来た六人の使い魔と、彼らを統べる少女「ミス・ゼロ」の物語。

ザ・グレイトバトル ゼロ機関の四銃士 序幕「虚空の四人」


西暦2595年、CITY-No.5、語り部はオーガン。

眼が覚めたら、三百年以上たっていた…。
マモルの顔を見て、私は勘で『この少年はトモルの子孫』だと見抜いた。
最初は信じてくれなかったが、DNA鑑定の結果を見せたらやっと信じてくれた。
何やら偉い人たちが騒いでいたが、そんな事など気にもせずにマモルの家に居候する事になった。
必要以上に時間をかけて蘇生したせいか、何故か私は普通の人間の姿になる能力を手に入れていた。
最初は首を傾げたが、食パンを食べている内に気にも留めなくなった。
ある日妙な怪物が大挙して襲い掛かって来たので蹴散らした。
そして、マモルが貸してくれた600年前のSF小説の内容を気まぐれで思い出して、少し考えた。
ひょっとしたら、怪物たちはパラレルワールドから来たのではないかと。
そうこうしている内に怪物たちの本隊がやって来た。
無我夢中で戦っていたら、大きなロボットとがいつの間にか手伝ってくれていた。
少しして、大きな宇宙船が来て、中から不思議な二人組みが出て来て、怪物たちに襲い掛かった。
戦闘の合間を縫って、二人組みが話しかけてきたのでこれまでの事情を説明したら、協力を要請された。
利害が一致していたので了承。
かなりの時間をかけて、怪物たちを全滅させたあと、二人組みと互いに自己紹介しあったら、大きなロボットの中にいた人も自己紹介してくれた。
二人組みはそれぞれ相羽タカヤと雅華鈴、ロボットの中の人はゼンガー・ゾンボルトという名前だった。
それから少しして、怪物たちのことで話し合っていたらゼンガーの乗っているロボットの真後ろに、ワームホールみたいなのが出てきてロボットごとゼンガーを吸い込んだ。
そして、私を含む残った三人もあっという間に吸い込まれた。
その直後、宇宙船が私たちの後を追って自分からワームホールもどきに突入した。
ワームホールもどきからはすぐに出られた。
しかし出られた直後、私は眼の前の風景と、人だかりの服装と会話内容で気づいた。
ここはパラレルワールドであり、私たちはこの世界の住人に召還されたんだ。
そして、私はこの世界のことを知っている…!

501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 04:28:34 ID:cVLZWk0g
………とりあえず、多重クロスは止めような。グダグダになって産廃になるぜ。
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 04:34:37 ID:mxah7ufi
KOOLな作品だ。
503ゼロ機関の四銃士:2007/10/23(火) 04:43:24 ID:bomcKP0z
連合地球暦194年、スペースナイツ第3本部、語り部はDボゥイ。

兄…じゃなかった、テッカマンオメガをラダム基地ごと消滅させてから、1年ちょっとは東京あたりで気ままに暮らしていた。
時々チーフたちが顔を見せに来てくれたが、レビンとペガスだけは軍の横槍が激しくて顔を逢わせることが出来なかった。
軍は何がやりたいんだ?
そうこうしている内に、ニュースでラダムがまた来た事を知った。
幸い、スペースナイツがすべて撃退してくれたので良かったが…。
しかし、軍の方も犠牲者が出たらしく、遺族たちが上層部の連中を罵っていた。
みんなが言う、「ブレードが来てくれたら」と。
そして、「ブレード」が来れなかった理由を、みんな知っている。
ペガスがいないと、俺はテックセットできない。
それを知っている軍は、俺とペガスが再会するのを必死になって邪魔する。
それから数週間後、ラダムの攻勢は徐々に激しくなっていった。
世論は俺‐テッカマンブレード‐を必要としていた。
同時に、軍の中にもそれに同調する奴が増え始めた。
行きつけの屋台で晩ご飯を食べた帰り、博物館行きになったはずのブルーアース号が俺の目の前に現れ、さらにレビンとペガスが中から出てきた。
レビンが言うには、ブルーアース号を引っ張り出す際に軍とやり合ったらしく、自分とペガス以外乗る暇が無かったそうだ。
よく見たらいつの間にか警察やテレビ局が周りに集まっていた…。
が、そんな事を気にも留めなかったレビンに促され、久しぶりにテックセットする事になった。
テックセット後、周りから歓喜の声が上がったが、それどころではない。
レビンの案内でラダムの襲撃地点に急ぎ、軽く撃退する。
幸い、先にその場に居合わせた軍の連中は全員無事だった。
完勝したのは良かったが、軍の部隊の指揮官から、チーフたちが拘束された事を知らされた。
チーフたちが拘束されている基地の所在を指揮官から聞き、あわててそこに行った。
で、当然そこにいた軍の偉い奴らと口論になり、全員病院送りにしてしまった。
チーフたちの拘束は解けたが、流石に暴れたのはまずかったらしく、指名手配されてしまった。
(巻き添えで一緒に指名手配された)レビンとペガスと一緒に潜伏してから少しして、チーフからラダムの本拠地が判明したと知らされた。
そこは遠い宇宙の彼方だったが、ペガスとブルーアース号のスピードなら二日も掛からない距離だった。
俺たちは迷わず一気にラダムの本拠地に向かった。
本拠地に着いたとき、そこには先客がいた。
先客‐ファンシーな黒いドレスに身を包んだ少女‐が、ラダム獣の群れを手玉に取っていた。
それに遅れまいと俺もテックセットして死地に飛び込んだ。
何故だろうか、少女はニヤニヤしながらすごく楽しそうにラダムたちを殺しまくっていた。
なんて思っていたら、少女にニヤニヤしていると言われ、ちょっと驚いた。
「お前もニヤニヤしていたぞ」と言ったら、少女の方も少し驚いた。
どうやら、俺たち二人はランナーズ・ハイになっていたらしい。
幸い、二度にわたる地球侵攻の失敗の原因である俺を倒すため、すべてのラダムが集まっていたので、楽にラダムの本拠地を滅ぼすことが出来た。
しかし、ハイになりすぎて結構な数を取り逃がしてしまった。
レビン、ペガス、そして少女‐雅華鈴‐らと一緒に、必死になって残党を追った。
道中、素性を華鈴に聞かれたので答えたら、華鈴は驚いていた。
そして何故か涙目になっていた。
どうやら俺の身におきた不幸を知って不憫に思ってくれたらしい。
変わりに彼女の素性を聞いて今度は俺とレビンとペガスが驚いた。
華鈴の方が不憫だ。
残党の乗った宇宙船に追いついた直後、異変が起きた。
突如空間が歪み、俺たち全員がラダムの宇宙船のワープに巻き込まれた。
視界が晴れたら、そこは地球だった。
しかし、そこは俺が知っている地球ではなかった。
素体テッカマンと微妙に似ている奴と、巨大なロボットが一緒になってラダムの残党を追い詰めていた。
昔読んだ漫画の中の話だと思っていたが、本当にあったんだ、パラレルワールド…。
正直驚いたが、それどころではなかった。
華鈴と一緒にあわてて加勢に入り、ラダムの根絶に成功した。
その後、ロボットの真後ろにいきなりワームホールみたいなのが出てきて、ブルーアース号とペガスを除いた俺たちを吸い込んだ。
直後、ブルーアース号とペガスが俺たちを追ってワームホールもどきの中に突入した。
で、今度は「ハルケギニア」とか言うところに来てしまった。
…寝ていいのかな?

504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 04:47:41 ID:bomcKP0z
sageたはずなのに何故かageてしまいますたorz
更にブレードだけIF展開…。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 04:50:12 ID:0C894Wh9
誰かディスガイアのロザリーを召喚してくれる職人はいないものかねぇ……
506ゼロ機関の四銃士:2007/10/23(火) 04:54:51 ID:bomcKP0z
西暦2007年、聖パリス学院、語り部は華鈴。

ギスカールを抹殺して数ヶ月。
彼の手下たちの生き残りを衝動のまま刈り取る日々もあと少しで終わると思っていた矢先に、連中に混じって「ラダム」って言う、昆虫っぽいヘンテコな生き物たちがやって来た。
本人たちから聞いたところ、自分たちの鎧も兼ねた生体兵器「テッカマン」の裏切り者、「ブレード」をやっつけるために、わざわざ次元を超えて素体の材料になる人間を見繕うためにこの世界にやってきたことを知った。
さらに、ギスカールの残党と手を組み、ギスカール復活と引き換えに人間狩りを手伝わせている事を知った。
瞬間、ボクの怒りはすぐに沸点を越えた。
ミスルがあった世界にまで乗り込み、城に残っていた連中を先に全部殺した後に、ラダムと行動を共にしている方の後を追った。
あっという間に蹴散らし、ラダムの残り一匹の心を覗き、本拠地の場所と行き方を知る。
用済みになった残り一匹を殺し、ラダムの本拠地に殴りこむ事にした。
けど、そうするまでにすごく手間取った。
残党とラダムを皆殺しにする一部始終をみんなに見られ(ついでにテレビで生中継されちゃった)、いざ殴りこもうとしたら渚ちゃんにフルパワーでハグ&チューされ…。
すっごい邪魔だったから頭突きして、振り解き、そのまま魔法を使って異次元にあるラダムの本拠地へと向かった。
そこにはラダムだけじゃなく、連中が使役するラダム獣、そして数多の次元と星から集められた人間で作られた「テッカマン」たちもいた。
沸点を超えていた怒りの温度がさらに上がった。
暴れまわっているうちに、宇宙船みたいなのと一緒に、飛行機っぽいのに乗った白いテッカマンが来て、ラダムたちに襲い掛かった。
ボクはすぐに気づいた、彼がテッカマン「ブレード」だ。
507名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 04:56:44 ID:KraHi7Y5
ゴミ撒き散らすな\(`д´)ノ
508ゼロ機関の四銃士:2007/10/23(火) 04:57:00 ID:bomcKP0z
自分の名前を言った上で名前を聞いたら、予想通り「テッカマンブレード」と答えてくれた。
一緒に暴れているうちにブレードの方を見たら、眼が笑っていた。
だから「何ニヤニヤしてるの?」って言ったら、ボクの方もニヤニヤしていたって言われた。
え〜っと、アレかな? 脳内麻薬の過剰分泌ってヤツ?
そうこうしてる内にラダムの本拠地を滅ぼしたけど、ボクもブレードも浮かれすぎていて、残りが逃げ出した事に気付くのが…、遅れちゃった。
大慌てでブレードと一緒に宇宙船に乗り、残党を追いかけた。
道中、ブレードと、彼に寄り添っているオカマさん、そしてブレードが乗っていた飛行機っぽいもの(に変形できるロボット)に何者なのかを聞いた。
三人はそれぞれ、相羽タカヤ、レビン・アルピーヌ、ペガスと名乗った。
タカヤは「Dボゥイと呼んでくれ」と言ったのでそうすることにした。
何故ラダムと戦うのか、理由を尋ねたところ、Dボゥイの余りにも壮絶過ぎる過去を知る羽目になった。
すべて聞き終わった後、眼が潤んじゃった…。
今度はDボゥイに素性を聞かれたので、ちゃんと答えた。
ラダムの本拠地に殴りこむことになった理由を言い終えた直後、何故かレビンさんが泣いていた。
ペガスのほうはダニー・ボーイを歌っていたけど、何となく泣きながら歌っているかのような声色で、歌っているように聞こえた。
そういえば、エンジェリックスキンに選ばれた後の部分を話し始めてから、三人の様子が微妙におかしくなっていったような…。
Dボゥイも切なそうな顔で僕のほうを見ていた。
ボクの事を不憫に思ってくれているんだろうけど、ボクにしてみれば、自分同様ラダムの生体兵器に無理やり改造された兄弟や仲間たちを皆殺しにしなければならなかったDボゥイのほうが不憫だ。
なんて言っている内にラダム残党の宇宙船に追いついた。
どう見ても今ボクたちが乗っているこの船‐ブルーアース号‐より100倍以上大きい。
まぁ、いざとなったらボクとDボゥイが中に入りこんで、内側からブチ壊せばいいんだけど。
実際にそうしようかと思っていた矢先、ラダムの船の周囲が歪み始めた。
直感で気付いた、異世界に逃げる気だ!
そう叫んだ直後、ブルーアース号を巻き込んで、ラダムの船が異世界へとワープした。
ラダムの船のワープ先、それは、ボクがいた方でも、Dボゥイたちがいた方でもない、「別の太陽系」だった。
ワープが終わった直後、僕たちごと異世界に来た事に気付いたラダムたちが放った囮のせいで引き離された。
大急ぎで囮を蹴散らし、大気圏に突入し、オーストラリアの荒野に降下して行ったラダムの船の後を追った。
やっと追いついた直後、ボクたちは眼を疑った。
テッカマンもどきと鎧武者みたいなでっかいロボットが協力してラダムと戦っていたから。
ブレードになったDボゥイと一緒に二人組みに加勢する。
ラダムを全滅させた後、何かを引き寄せる門がロボットの真後ろで開いた。
ロボットだけでなく、ボクたちも門の中に吸い込まれた。
気がついたら、さらに別の異世界にいた。
後ろを振り返ったら、吸い込まれなかったはずのブルーアース号とペガスもそこにいた…。

509ゼロ機関の四銃士:2007/10/23(火) 04:59:29 ID:bomcKP0z
新西暦19X年、京都、語り部はゼンガー。

これから何をすべきか迷っていたため、京都に滞在してから数週間。
道場を開こうと決めかけた瞬間、いきなり怪物が群れをなしてやって来た。
ダイゼンガーに乗って撃退した。
が、どうもダイゼンガーの調子が悪い…。
やはりこれまでの戦いで限界を迎えているのかも知れん。
奴らが残した宇宙船を調べたところ、奴らの名前と目的が判明した。
奴らはラダムで、侵略も兼ねて、自分たち専用の生体兵器「テッカマン」の材料となる人間の捕獲のために異世界から来たのだった。
そして、通信記録を調べて驚愕した。
異世界にある奴らの本拠地は、この船がこちら側の地球に来た直後、裏切り者であるテッカマン「ブレード」と正体不明の生命体の共闘により既に壊滅していたのだ。
それと同時に、残党がさらに別の異世界へと逃亡していることも明らかになった。
これ以上連中を野放しには出来ないので、宇宙船にダイゼンガーを収容し、残党討伐のために異世界へと向かった。
そこで見たものは、ラダムを相手に戦う、異形の戦士だった。
ダイゼンガーの姿を見て、異形の戦士は一瞬だけ驚いたが、すぐに戦闘を再開した。
そして俺もラダムを滅ぼすべく、斬艦刀を振るい始めた。
それから少しして、今度はラダムのそれの100分の1以下の大きさしかない宇宙船が飛んできた。
そして中から別の異形の戦士と……魔法少女が飛び出し、ラダムに攻撃し始めた。
敵ではない事だけは確かなようだ。
数刻後、ラダムを滅ぼす事に成功する。
お互いに自己紹介しあった後、突如としてダイゼンガーの巨体が宙に浮いた。
後ろを振り向くと光る鏡みたいなものがダイゼンガーを吸い込んでいた。
そして、二人の異形の戦士‐オーガンとテッカマンブレード‐と魔法少女‐雅華鈴‐も吸い込まれた。
気がつけば、皆と共に草原のど真ん中にいた。
ふと、唇に何かが触れる様な感触が走った。
考えられる事はただ一つ、ダイゼンガーの唇に口付けをしたのだろう。
その直後、ダイゼンガーが突如として光の粒の集まりになり始めたと同時に、胸板に焼けるような痛みが走った。
光の粒の集まりは俺自身の肉体へと取り込まれていき、そして俺は草原で立ち尽くしていた。
左手には、人間が持てる大きさにまで小さくなった斬艦刀(何故か鞘に収められている)が握られていた。
小腹がすいてきたな……。

510名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 05:00:33 ID:KjSvXv0x
多重クロスかよ。せめて避難所にやれよ。
つかまとめて投下しろよ。
511ゼロ機関の四銃士:2007/10/23(火) 05:02:17 ID:bomcKP0z
トリステイン魔法学園の敷地内、語り部はルイズ。

サモン・サーヴァントが一発で成功し、更に召還されたものを見て私は狂喜した。
ゴーレムより大きい巨人、異形の戦士たち、そして見たことも無いフネ(中に平民一人と青いゴーレムがいた)を召喚したから。
まず最初に、巨人と契約する事にした。
契約は無事に終わり、巨人の胸にルーンが刻まれた。
しかしそれと同時に光の粒の集まりになり、いつの間にか巨人がいたところに、銀色がかった薄紫の髪をした平民が立っていた。
次に異形の戦士たちと契約する事にした。
黒いドレスに身を包み、禍々しい杖を手にした女の子、赤と白の魔人(とそのつれである平民とゴーレム)、そして灰色の魔人の順に契約した。
それぞれ、額、右手、左手にルーンが刻まれた。
彼らは、それぞれ、ゼンガー・ゾンボルト、雅華鈴、相羽タカヤ、レビン、ペガス、オーガンと名乗った。
レビンとペガス以外のルーンを見たコルベール先生は何故か青ざめていた。
別にどうでもいいけど…。
512ゼロ機関の四銃士:2007/10/23(火) 05:07:24 ID:bomcKP0z
投下終了します。
警告どおり、次からは避難所に投下させてもらいます。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 06:33:03 ID:cEMU0ZwC
そうした方がいい
多重クロスは基本的に避難所だから
514名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 07:01:56 ID:7IudmoZb
空気を読むってのは大切な事さ
515薔薇乙女も使い魔の中の人:2007/10/23(火) 07:34:01 ID:SmAwm+p4
多数の支援評価声援等を下さった方へ

非常に遅ればせながら、ありがとうございました


ゼロのミーディアムも期待しています



私も水銀燈をだしたいけど、ストーリー上出番が無い・・・
516名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 07:37:29 ID:wccexR3L
>>492
ちなみにマジフェアリーの段階で下手なガンダムよりデカイという
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 08:10:29 ID:31+axBBG
マジレンならタバサとスフィンクスを並べたい
二人して黙々と本読んでたら良いよ
もしくは、トード呼んでモンモン涙目か
名前的に困るワイバーンで
あと、可愛い女の子達かと思ったら吸血鬼の女王でしたとか
518名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 08:33:29 ID:kMOJvKYH
魁は火系統だけど特技は錬金術なんだよなあ。
つか、マージフォンも一応杖の一種になるから、普通にメイジ扱いか。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 09:19:40 ID:22iN30vj
>>518
「フーケに立ち向かうルイズの勇気に魔法が応えてくれたんだ!」
こうですかわかりません><
520名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 09:27:56 ID:BFLw3uUc
マジ世界じゃ魔法の源は勇気だからな
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 09:46:18 ID:aKtK9BIx
>>519
その少し前に、ルイズに魁が、
「勇気と無茶は違うんだ!」
と説教してるな。

>土メイジ
改心したマチルダ姐さんは、ウエストウッドに帰って『アネキ農場』を始める。
こうですか(ry

つーか本編で、家庭菜園と思っていた『アニキ農場』が、れっきとした一家の収入源だった
事に噴いた。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 09:59:29 ID:B7n9Om+1
というか、ママンの収入も一体なんだったのかが気になってる自分がいる。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:07:23 ID:22iN30vj
簡単に調べたら、マジフェニックスの時点で全高26.8mか……
524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:14:50 ID:ALfzfTt6
>>521
>アニキ農場
え?
俺ひょっとしたら戦隊シリーズ稀に見る面白番組スルーしてた?
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:17:29 ID:yC1VsGUY
今日(10/23)は最萌トーナメントのルイズの出場日です。
勝てばベスト8進出です投票お願いします。
コードはPC用と携帯用の両方で取れるのでできれば両方で投票してください。

公式ページ http://animemoe2007.hp.infoseek.co.jp/

投票方法
[[AT0000-animemoe-07]] ←コード発行所で発行されたコードを貼る(必須・完全一致のみ有効)
<<ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔>> と記入する

※投票コード発行所はこちら
http://animoe.skr.jp/a07/ PC用
http://animoe.skr.jp/a07/k.html 携帯用

・PCによるコード予約絞め切りは22:53:00です
・投票時間は01:00:00〜23:00:59です。(23:00:00ジャストではありません)

投票場所 (案内→投票所→アニメ最萌トーナメント2007 投票スレRound○○)
投票スレ http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/vote/1193059151/l50
526名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:28:24 ID:3GPOiJb/
今なぜかズバーン(c.v.天道総司)召喚という電波を受けた
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:31:55 ID:aKtK9BIx
>>524
アニキの名台詞
「お前は、真っ赤なイチゴだ! そして、兄ちゃんは……。畑だあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

敵デザインはファンタジー系で統一してたのに、なぜかラスボスのデザインモチーフがクトゥルー
だったり、2はダゴンだったり。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:38:00 ID:dWAJNc30
最萌のコードって・・・

  ツール
   ↓
  インターネットオプション
   ↓
  全般タブ
   ↓
  Cookieの削除
   ↓
  OK
   ↓
  OK
   ↓
  PC再起動(モデム切り替え)

で何回も取れるんだ?
529名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:55:32 ID:/L+bmb8t
後、敵蹴倒して敵の頭にボウガン突きつけて
「俺はマジだぜ」
とか言ってたな
530名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:09:38 ID:C5Sli+Hj
マジのアニキと言えば魔法で突然マッチョマン、これを忘れちゃいけない
あれはいいマッチョだった
531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:13:28 ID:3OychSss
そういや、微妙にエレ姉さまに似てた彼女とは上手く言ってるんだろうかなぁ、兄貴?
ツンからデレにシフトしての、兄貴農場での(土で靴が汚れるのは嫌と言う名目で)『抱っこして(はぁと)』はかなりの衝撃だったw


……っは!? ももも、もしかして兄貴が召喚されたらエレ姉フラグで再現有り得ますかよ!!?
532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:17:38 ID:B7n9Om+1
ああ、蒔人兄ちゃんはかなり強烈なツン殺しだったような
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:29:36 ID:yr4qXlpW
最近の戦隊シリーズは昔と一味違った見所が多くて楽しみだ
「お前ら5対1だなんて卑怯だぞ!」
「リピート・アフター・ミー、天道総司様!」

>敵デザインはファンタジー系で統一してたのに、なぜかラスボスのデザインモチーフがクトゥルー
ウルトラマンティガの事かと思ったw
534名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:33:25 ID:aKtK9BIx
ハイテンションでもマジブルー。

遅レスだが>>397-398

銀河螺旋海溝に漂ってたラガン(の同型機)召喚してタルブの村にキングキタンが祭られてて、
実はあの瞬間螺旋の力に導かれてハルケギニアに飛ばされたキタンがシエスタの祖父。
んでアルビオンのトリスティン侵攻の時に「××合体、キンググレンラガン!」

てのを妄想してたら、朝目新聞にこんなのが。

ttp://asame5.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_001722.png
535名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:33:29 ID:31+axBBG
もう魔法家族は家ごと召喚されたら良いよ
で、話し合いの結果マンドラ坊やが人身御く、
もとい使い魔の契約をしたらいい
タバサママもコッパゲの禿げも
レコンキスタとの戦いも全部勇気で解決!
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:34:47 ID:YyFhi9jh
>>531
ついつい期待しちゃったので責任取って書いてください
537名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:36:11 ID:tzbPzJc4
駄目だ!マジレッドの歌はヤバすぎる!
538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:40:06 ID:08FYbqjE
>>533
>お前ら5対1なんて卑怯だぞ


腐ったクックベリーパイで倒されるラスボスwww
539名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:49:59 ID:aKtK9BIx
>>535
>タバサママもコッパゲの禿げも
イエローの得意は魔法薬の調合だしな。

魁も、呪いの矢を打ち込まれたバリキオンを、魔法で
「呪いの矢」と「バリキオン」に練成し直したことの応用で
タバサママはいけるな。

>>531
エレ姉に押し付けられた鉢植えを、
「プ チ エ レ オ ノ ー ル」
と懐けて世話する蒔人兄ちゃん

こうですか><
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 13:33:44 ID:lx/2nl2l
まぁそろそろ自重しようぜ。
アレを見たゆえの拒絶反応による反動な気もするが。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 13:40:34 ID:BFLw3uUc
>>533
「違う!俺たちは一つの力を五分割して戦っているんだ!!」
ここ最近で笑えた(というよりギャグとシリアスの差が激しい)特撮と言えば
ボウケンジャーとウルトラマンマックスかな
ダイボウケンで地獄絵図とかバルタン分身&マックスも分身とか
ガジャ様とかゼノン兄さんとか
ご神木引っこ抜き事件とかモエタランガとか
542名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:19:37 ID:m2ijRckd
ナデシコ召喚と言う電波を受信した
言っておくがいぬかみっの方な
543名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:26:27 ID:Jl0fdeJN
いやここは赤導斎だろう
544名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:36:54 ID:FVWv0+RE
>>543

それは犯罪の香りが((((;゚Д゚)))…ガクガクブルブル

特にコルベール先生に。だって、あれだろ?『人が欲望のまま生きるのOK』
な若本ボイスで股間露出のおいちゃんに、チューしろと強要するのだよ?しかも
それは契約だという。

なんか、色んな意味で特殊なプレイにしか見えんようなww

545名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:37:04 ID:m2ijRckd
パワーバランス云々の前にストーリーがぶっ壊れそうwww
546名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:45:06 ID:sY8rtRt8
TV版を見てオデレータ「いぬかみっ!」だが、後から原作を読んだ知り合いによると
あんなハチャメチャで原作通りだったことに驚いたそうだ。

ともはね召喚だと「ともはねスペシャル」で失せモノ探しできるからロングビルいなくても
「破壊の杖」探索できるんだよなー。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:56:29 ID:UXToOBzL
>>542
戦艦のほうなら…

ヤマダさんとか木連の人達だとすんなり馴染みそう…
548名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 15:16:15 ID:yr4qXlpW
>>541
小ネタでスカイドンorクラウドス召喚でアルビオン墜落とか考えてみたが
「どう計算してもアクシズ落とし成功です。ありがとうございました」でオチがつかずに諦めた事もあるぜw
特撮でも巨大ヒーローやロボはやっぱり小ネタが限度になりそうだ、難易度的に
549名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 16:05:10 ID:ZijAs2jd
巨大だと敵も巨大になりかねん。ゼロ魔キャラの出番が無いな。
〉grandma
リンディさんに死亡フラグ?
550名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 16:12:06 ID:F7rlM0bf
クロノくんがやってきて速攻解決フラグ
551名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 16:32:34 ID:3iXgAGSo
>>541
宇宙化猫を忘れちゃいけないw
ここ最近の特撮はキャラの濃さがすごいからなぁ。

マジレッド召喚は魅力的だ。
地上界とマジトピア、インフェルシアだけでなく、ハルケギニアとの親善大使にも就任することになりそうで。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 16:42:04 ID:ww7Eq3Hi
>>547
いきなり第一話のボソンジャンプ寸前のアキトとアイちゃん(イネスさん)召喚なら考えたことある
その場合ハルケギニアでどうやってボソンジャンプを可能にするかが問題なんだが…

ナデシコ世界の方はあの二人がいないと戦争がかなり長期間続くんだろうけど
(ボソンジャンプのデータ収集の為の実験体と相転移エンジン開発者が居なくなるから)
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 16:53:23 ID:E0+8SVPp
特撮ならグリッドマンがいるぜ。
やつは単独での異世界移動能力がある上に、元がエネルギー体だから
ぶっちゃけ姿・形は職人の好きなように変えれるし。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:16:16 ID:ay1/7jgp
グリッドマンを維持するために死ぬほど自転車漕いでるルイズとコッパゲの姿が
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:29:19 ID:3GPOiJb/
>>541
開運チーフ炎上とか
556名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:48:49 ID:ts9mWFKM
>>555
巨大地上戦艦のロードローラーで怪人を轢いたこともあるなw
557名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:58:38 ID:/L+bmb8t
仲間のイエローは戦隊物でやっちゃ行けないお約束
敵が人と同じサイズの内に巨大ロボでぶちたおすを実行しました
仲間ごと
558名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:11:52 ID:SR0TBKex
巨大怪人がブラックの中身に変身したこともあったけど全然平気だったぜ!
559名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:21:41 ID:yr4qXlpW
ブラックの中身だと……真央は俺の嫁だ!誰にも渡さん!
あと明日香とアンヌと春香と白瀬とうわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp
560名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:36:15 ID:08FYbqjE
>>557
信じられるか?あんなんでもお姫様なんだぜ……?


>>551
それなら魁召喚→マジトピアと国交成立→マジトピア経由でルイズ人間界へ
とかありうるな。インフェルシアへ研修へ行ったらもれなく
「面白そうだから」という理由でついてきたナイとメアのオマケ付き。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:41:34 ID:ye9BCf/r
>>560
バンキュリアは死者蘇生ができる凄い奴だからな。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:26:40 ID:DW98bFkD
もうすぐタバサクエストU悪霊の神々発売だな




アレ?
563名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:39:24 ID:GJhBizGn
メタルギアソリッド2からメタルギアRAY(オセロット付き)召喚
ワルド戦辺りでリキッドに乗っ取られます。
そして七万の軍涙目
564名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:40:05 ID:BFLw3uUc
>>559
結城凱は俺の心の兄貴
565名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:46:04 ID:j/vmXYw+
>>549
巨大な怪物召喚って難しいよな

FFXのシン召喚考えてみたが、近づくだけで毒気で記憶無くしてしまう
566名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:49:36 ID:GJhBizGn
>>565
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwww
シンはやべぇってwwwwwww
567名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:50:56 ID:TnNBvr40
>>565
ハルケギニアを死の螺旋にするつもりかw
マジでしゃれにならん
568名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:52:54 ID:RCYhUooh
>>565
幻光虫がないハルケギニアでなら大丈夫かも?
569名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:01:13 ID:mHy/Lmu7
瀬戸の花嫁から瀬戸燦を召喚

怒涛の如く迫り来る七万の敵の前に立ちはだかる影一つ、それは……

「我はドラゴン……
 痴れ者供よ、退けぃ!
 それともこの拳の顎に掛かりたいかぁ!」

 超 戦 士 ル イ ズ (英雄の歌がヤバイ位キマリ過ぎてて世紀末救世主化)

そんなダメな妄想が頭をよぎって光の速さで消えた
つーか、燦の場合デルフ片手に普通にてめぇでかち込みそうだな
瀬戸島燦八化して
570名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:01:15 ID:ALfzfTt6
実体や肉体が無いような奴とかは毎回体の調達に苦労しそうだよな
キョウジコンボの人とか
571名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:03:29 ID:ZFsZnUrU
先日投下された『ゼロの侠者』を読み直していたら、
 ガンダールヴ:張飛
 ヴィンダールヴ:孫権
 ミョズニトニルン:孔明
 記す事さえ憚られるもの:董卓
とか妄想した。『蒼天航路』でやるのか『恋姫無双』でやるのか悩みどころ。
……どっちでやっても避難所行きだな。はわわ〜(無理そうだ)

それはさておき、すごくしょうもない小ネタができたので投下する。
1レスだけな。
572名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:07:07 ID:ZlnzGNde
某所のクロス読んでて思ったんだが、
ハルケギニアって貴族ばっかり悪く言われてるけど平民側も相当なもんだよな
アンアンのビッチ振りばかり強調されててスルーされてるが、
シエスタがモット伯に連れて行かれた時のマルトーのやり方って、
アンアンがルイズをアルビオンにやった時と本質的に同じだし、
サイトがシュバリエになったら貴族の仲間入りしたとか言っていきなり音頭を取ってはぶりだすし
そも貴族が嫌いなら貴族のたくさんいるところで仕事してんじゃねえとか言いたくなるし
まあ六千年間貴族が安泰なのも良くわかる下種っぷりですな
573ワルドマンが倒せない:2007/10/23(火) 20:07:15 ID:ZFsZnUrU
『ワルドマンが倒せない』 作詞・平賀才人

 (前奏)

気がついたら 同じ展開でプレイ そしていつも同じ場所で負ける
諦めずに アルビオンまでたどり着くけれど すぐにルイズ結婚
ギーシュのモグラがいれば 楽に味方を呼んでくれるけど
何回やっても 何回やっても ワルドマンが倒せないよ
あの竜巻 何回やっても避けれない
後ろに回って 斬り続けても いずれは風に飛ばされる
ガンダールヴも試してみたけど 遍在相手じゃ意味がない!
だから次は絶対勝つために 俺はデル公だけは最後まで持っておくぅ〜

 (間奏)

気がついたら ルイズもう飛び出してる そしていつもそこで俺が救う
諦めずに 高い大剣振り回すけれど すぐにポキリと折れる
クロスの強キャラいれば 楽に敵を攻略できるけど
何回やっても 何回やっても フーケさんが倒せないよ
あのゴーレム 何回やっても強すぎる
後ろに回って 魔法撃っても いずれは土に埋められる
ガンダールヴも試してみたけど 本体やらなきゃ意味がない!
だから次は絶対勝つために 俺は『破壊の杖』は最後まで持っておくぅ〜

 (間奏)

ギーシュのモグラがいれば 楽に味方を呼んでくれるけど
何回やっても 何回やっても ワルキューレが倒せないよ
あの青銅 何回やっても避けれない
後ろに回って 距離をとっても いずれは距離を詰められる
ガンダールヴも試してみたけど 丸腰パンチじゃ意味がない!
だから次は絶対勝つために 俺は長剣だけは最後まで持っておくぅ〜……

(倒せないよ……)

 (終奏)

 (ティウンティウンティウンティウン)

(GAME OVER)


言わずと知れた名曲『エアーマンが倒せない』とのクロス…なのかこれ?(コラボ?)
既出ならばすまぬ。
574名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:10:11 ID:kDdORna+
>>573
こんなのお前さんぐらいしか思いつかねえよwww
575名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:11:17 ID:lEbv0dIX
そういや、グレンラガンといえば、
香水瓶の一件でギーシュに文句言われてイラッとしたシエスタが
「ウガァ!」と一撃でギーシュを殴り倒して、
後々シエスタの曾祖父が、バーリンボー&ジョーガンと解る
というのを思いついたことがある。
576名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:11:21 ID:aKtK9BIx
>>553
>グリッドマン
一方イザベラの元にはカーンデジファー様が。

「どうしたのだ?」

「イザベラよ、何を怒っているのだ?」

と親身になって相談に乗ってくれています。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:15:07 ID:lEbv0dIX
順番ぐちゃぐちゃだけど エアーマンが倒せないの替え歌案で、こんなのがHDDから発掘された


「気が付いたら いつも王女は独断 専行で勝手に密命渡す〜 諦めずにその無謀を諭してみるけど すぐに押し切られてる〜♪

ウェールズは逝ったと諭して見ても 未練があるのはバレバレ♪

何回言っても何回言っても 姫殿下が育たないよー 今は女王だと言うのに自覚を持たない♪」
578名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:17:03 ID:1K9LFWxO
>>574
そんな展開になるのか。

確かに問題あるかもねぇ
579名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:18:34 ID:1K9LFWxO
>>574×
>>572
580名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:19:02 ID:iBu2J2hM
今日は珍しく長編の投稿がねぇなぁ

そろそろおっぱいの話でもするか?
それともご立派様の話が良いか?
581名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:21:50 ID:ALfzfTt6
>>580
よし、混ぜてみようか
582名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:22:03 ID:08FYbqjE
アニキ召喚でプチエレオノールネタ激しく読みたい。

NARUTOのサクラとルイズはピンク髪同士、割りと気が合う気がする。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:27:49 ID:utSfz/Et
今更過ぎるがモルガンなんて持ってきたら7万なんぞ一瞬で消し飛ぶぞ・・・・
唯でさえ百発近くミサイル詰め込んでるんだし。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:28:00 ID:Sjlg5+fh
>>581
ご立派なおっぱいとな?
585名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:29:16 ID:DW98bFkD
>>580
ふ〇なりか?
586名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:29:41 ID:E0+8SVPp
>>576
グリッドマンとデジファーは潜伏先がコンピュータだったからデータ体だったし
電気が必要だったが、ゼロ魔世界ならFateのサーヴァントみたいに
主からの魔力供給受ければ実体化できそうだな。ゴッドゼノンとかは錬金で製作は・・・無理かw
587名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:30:27 ID:ALfzfTt6
>>584
刺激すると先っぽから白い液体が出るご立派なおっぱいです
588名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:34:26 ID:JxOn/GL0
リュウケンドーはどうなんだろ?
デルフじゃなくてゲキリュウケンが武器屋で売られてるなんて電波受信した。
それで剣二がルイズに呼ばれたら完璧だ!
ゼロ戦乗ってタルブ村で戦う所はF-86Fセイバーに乗ったあけぼの町民対ジャークムーン城の再現もできるし。
不動のおっさんと白波はどうすればいいのかわかんね。

文才ないんでネタだけ置いていきますから誰か使ってやってください。
589名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:35:55 ID:t006TFUg
兄貴召還。どうしても超兄貴の方しか思い浮かべることが出来ない。
韋駄天とアドン、サムソン愉快な仲間達は名作だった……
590名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:38:24 ID:l4IOZiLR
>>572
エリック・ホッファーは言ってるよ
 権力は少数者を腐敗させるが、
 弱さは多数者を腐敗させる

「高給取りの平民の常として貴族を嫌っている」とか書いてある辺り
六千年の歴史の発酵具合が感じられるな
591名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:39:12 ID:2btSZrrK
超兄貴ならボ帝ビルとその配下召喚で。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:39:21 ID:rPz6h6Nx
富竹召喚とか考えてたんだけど・・・
富竹じゃ・・・なぁ?
593名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:40:11 ID:BFLw3uUc
>>576
つまりイザベラがデルフみたいに喋るようにしたなんかに恨みつらみ言いまくって
その度に
「あれは悪い女だ。何か拷問を加える必要があります」と相槌すると。
そしてウサ晴らししてるときにそれに乗り移ったカーンデジファー様が降臨と
594名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:42:17 ID:tMlHupZd
電王とのクロスは何が難しいってイマジン達は楽に動かせるのに良太郎が動かしにくいから
何度書き直しても喋ってるのがモモウラキンリュウのどれかが憑いた良太郎になってしまうのさ…

しかしまとまらねぇ…
一巻分は全部書いてから投稿したいんだがな…
595名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:42:39 ID:t006TFUg
>>592

サスペンスにして良いっていうなら、喉をかきかきしてるトミーさん
召還でいいんじゃね?ただし、只管、魔法学院という閉ざされた空間で
起きる連続殺人幻想に話がシフトしてしまいそうな悪寒もするが_| ̄|○
596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:51:34 ID:H1ZeIP/J
ドリルの兄貴もいいが元ネタの方も……いや、なんでもない
597名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:55:11 ID:rn7TlWpz
>>596
虚無るのがオチだぜ…
598名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:55:17 ID:t006TFUg
それにしても四つの使い魔を連れてやってきた始祖ブリミルか。
テファが唄ってた歌もあわせると、サイレン思い出してしまう。
虚無とか暗黒とか聞くと、どうしても堕彗児みたいなのだったんではないかとww
599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:02:59 ID:kMOJvKYH
>>592
ならばそこで、フリーの司令官をですね
600名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:04:06 ID:KnVSHWiY
>>598
俺は光の速さでバビル二世を連想したぜ。ありゃ三つのしもべだが。
601名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:04:29 ID:NxsGik1e
最近デモベの人を見掛けなくて寂しいぜ………
602名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:05:33 ID:6E6kkDpI
>>583
現行(時には未来)の兵器をバカスカ使って、俺tueeeeeeeeされても面白くも何ともないさ。
そんな強い兵器だから弾数や使用回数等の制限をつけて、お話を面白くしていくのだろうよ。

ここいらは作者の腕次第と思おうぜ。
603名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:08:02 ID:iBu2J2hM
俺は思うんだ
やっぱりこのスレには男達の使い魔が必要だと

男達の使い魔、かむばーっく
604名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:09:17 ID:7/6FESfb
>>600

しまった、それもあったな。というか、むしろ
そっちを想像するのが王道だった気がする。そのうち本編で解説も
あるんだろうが、大穴で阿修羅マンみたいに、顔が四つあって、それぞれに使い魔の名があり、手が無数で
それぞれに武器持っていたとかいう、すんごいのもチョッピリ期待してたりも。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:11:09 ID:d4TkI/Hp
>>572
某所のクロスって?
詳細はいいからヒントお願いできない?
606名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:11:26 ID:2btSZrrK
>>604
それ、なんて永遠の戦士の≪一なる四者≫?
607サテライト60:2007/10/23(火) 21:12:44 ID:ExiZxS4/
ものっそ久しぶりなのですが投下いいですかー。
608名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:13:13 ID:dFSv1Ehl
ばっちこ〜い
609名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:13:17 ID:7/6FESfb
>>607

GOGO!
610名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:13:47 ID:tcuLzzA/
複数召喚はいらん
611名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:13:59 ID:1v3HTmab
>>594
良太郎というキャラを真面目に考えてみるに、
尋常じゃない不幸っぷりにもめげない前向きさと、アクの強いイマジンたちを受け入れる度量の広さ、
「不幸だったり力が無いのはやらない言い訳にならない」とかなんとか言ってみせたあの覚悟といい、
歴代屈指の「いいヤツ」な主人公なんだけどな。常に劇場版のび太状態とでもいうか。
でも悲しいかなイマジンたちのキャラの濃さには負けるんだよなぁ。
612サテライト60-13:2007/10/23(火) 21:16:15 ID:ExiZxS4/
 今日は雨が降っている。
 ルイズは視界に窓が入る度、粘土のように心の隙間を塞いでいく憂鬱な気分に折り合いをつけつつ、朝から読み進めていた本のページを捲った。
 キュルケの部屋を訪ねる何人もの学友のうち、一体どれだけの人数が彼女の本棚に目をやったのだろうか、と考える。外の暗さがもたらす気分を払拭してくれる程度には、この本は面白い。ゲルマニアの商家の娘は伊達ではないということだろう。
 男性周りが派手なことで知られるキュルケだが、社交的で力(魔力)を持ち、良い家柄の彼女には友人が多い。男性関係で彼女と衝突するもの、自分にはない力を妬むものも少なくないが、その逆もまた少なくないのだ。
 羽ペンを黒インクの海に挿し込んだ。この羽は、家を出る際に次姉の友人から頂戴したものだ。もう一年にもなるが、固定化の魔法も使わずに、随分長く使うことができているなあ、とルイズは思う。
 魔法を使えない自分は嫌いだったが、こうして固定化も使わずに物を大切に使う自分は好きだった。
 いつか魔法の使えない自分のことが好きになったとき、その気持ちは無くなってしまうのだろうか。ぱたりとこの気持ちが無くなることはないのかもしれないが、いつかその気持ちを忘れる日が来てしまうのかもしれない。
 ルイズは埃のついている部分を撫で付けると、瑠璃色をしたそれのくすまぬ艶に少しだけ微笑んだ。
 窓の外では変わらず雨が降っているが、気分はあまり悪くなかった。
 曇天が月を隠している。使い魔はどこかに出かけてしまっているし、今日はモンモランシーの部屋へ行こうか。
 ルイズは本を閉じると、今日の研鑽をブリミルとキュルケに感謝してから机の上を片付けた。メイドに洗濯してもらった愛用の枕(モンモランシーの部屋までの廊下は、これを抱えて歩くことになる)に汚れがないことを確認する。
 湿り気に弱い枕だが、軟らかさは折り紙つき。そう言って毎晩のように枕に顔を埋めていた自分もまた、悪くないと思いながら、ルイズは部屋に鍵をかけた。
 ロックの呪文ではなく、古い金属の錠に頼ったものだ。学院から体裁のためか配布されるが、二年生にもなって使う生徒はいない。
 布団の中でモンモランシーの腰に腕を回したとき、彼女が、首元に当たって痛いわ、そう言っていたのを思い出す。ルイズは鍵の革紐を首にかけるのではなく、手首に巻いてそっと握った。
 ドアの開く音、閉じる音、そして鍵のかかる音を、向かいの部屋で内側からドアを背にしたキュルケが、左手に持った小瓶を揺らしながら聞いていたことを、ルイズは知らない。
613サテライト60-13:2007/10/23(火) 21:17:50 ID:ExiZxS4/
 九十分の一の報われない一人に、小瓶はもう一度希望を与える。
 そしてそれは、代償に真赤な杖を要求するのだ。
 これは自分のお節介だ。キュルケはきちんとそれを認識していたし、ルイズが本心に近いところでこの節介を拒絶するだろうという確信もあった。しかし、彼女はルイズの、手のかかる妹のような声と仕草を取り戻したいと思っていた。
 生徒にはまだ、伝えられていない。昨日ギーシュが行方不明になった。
 早急に荷造りをしなくては、とキュルケは小瓶を机に置いた。恐らく、と彼女は前置きしてから仮説を反芻する。見てしまったり、気づいてしまったりした者が処理されないために必要なのが、きっとルイズのあの目なのだろう。
 明日からは、ルイズの顔を作る人間が居なくなる。明日の朝一番にこの部屋を訪ねた彼女が、誰も居ないことに気づいたときどんな顔をするだろうか。あの似合いもしない冷め切った顔で、くるりと部屋を見渡してから失望するのだろうか。
 少し出かけているのかしら、と呟いてからキュルケを待つのかもしれない。そう思って机に向かう。
 恋文のように熱い筆を執ろう。色香で万人を惹きつけてやまないツェルプストーの本懐だろうか。くらりと見たものの判断力を奪って、そのまま引かれるようにこちらに倒れてしまうほどに、情熱的に筆を執ろう。
 (年上の余裕を込めた読み解きやすい文章をキュルケは書いた。人を落とすときに余裕を持つことはとても重要であると彼女は知っていたが、逃支度をしている今は持ち出せる余裕に種類がなかった)
 翌朝、キュルケの部屋を訪れたルイズによって、学院中にキュルケが失踪したことが広まる。同時にギーシュの不在も発覚した。
 いけない。逸ってはいけない。教師にキュルケの不在を告げてから、足早に自室へと戻るルイズは、胸元に隠した小瓶と一通の手紙に手をあてた。
 部屋にも戻らずにまず教師の元へと向かったのは、手紙にそう書いてあったからだ。手紙は早急に焼いてしまうべきだし、小瓶は、使うときまで誰かの目につくことがあってはいけない。
 特に、全てが始まる前に己の使い魔の目につくことがあってはいけない。
614サテライト60-13:2007/10/23(火) 21:19:36 ID:ExiZxS4/
「おはよう、ルイズ」
 きゅっと唇を噛み締めて自室のドアを開けたルイズは、中にムーンフェイスが居ることを認めると緩慢な動作で扉を閉めた。小瓶のための膨らみを見咎められはしないだろうか。
「ええ、おはよう。ムーンフェイス。……ちょっと、試してみたいことがあるんだけど」
「何かな」
「あなたって、自分のこと、ホムンクルスって言ってたわよね。その、なんとかっていう力以外はきかないって」
 ルイズは慎重に、己の内が見透かされぬように言葉を選んで問いかけた。
「ムーン、そうとも。ホムンクルスは錬金術によって生み出された人間を超越する力。
 同じ錬金術から生み出された、武装錬金でしか害することはできないね」
 ムーンフェイスの気まぐれなリップサービスか、核鉄からなる武装錬金の概念、そして己の使う"遍在"も自身の武装錬金であるというところまで聞いて、ルイズは納得したかのように頷いて一歩下がった。
「武装錬金、武装錬金ね」
 何度も何度も口の中で反芻する。手紙はまだ胸の中だ。失敗も考慮し、真にアンリエッタ王女、トリステイン王国、そしてハルケギニアを憂慮するならば、これは誰かに預けておくべきだったろう。
 だが、己の死後にまで気が回せるほどには、ルイズは強くない。
 ルイズは思った。
 博打は嫌いじゃない。彼女は本当になんでもないことのように、ふとムーンフェイスを指し示すように杖を向けた。
「ムーンフェイス」
 二人の距離は、ルイズの次の魔法にはとても十分とは言えないが、次の次の魔法には十分だった。
「何かな?」
「"ファイヤーボール"」
 部屋の家具を食い尽くして余りある爆炎がムーンフェイスを包む。ルイズは煙に包まれた彼の安否を確認することなく、胸元からキュルケに渡された小瓶を取り出した。そして足元に叩きつけた。
「ムゥッ? 再生が、遅い……?」
 煙の中からムーンフェイスの声が聞こえる。人食いの声が聞こえる。
 一瞬でも早く次の魔法を唱えるべきだ、と合理的なルイズの心の内は言っていたが、次に行う行為はルイズの信奉するところが神聖と定めたものに唾棄する行為でもある。
 ルイズは心を決めるために、その場に仁王立ちになって大喝した。
「わたくしっ! ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは!
 蛮勇を誇りません。誇り高きヴァリエール公爵家の三女なのです。そう、貴族なのです。」
 煙が喉に挿し込んで息が続かない。ルイズは涙目になった。だが、これは必要なことなのだ。
「その杖は貴ぶべき王家のために、誇るべき矜持のために。そして守るべき臣民のために!」
 生憎とこの私、民に向ける杖も、同郷の貴族に向ける杖も持ち合わせておりません。
 ルイズは涙を流しながらも笑った。
「ルイズ? 何を」
「ムーンフェイス、実は私たちって、契約の儀を結んでないのよ。だから、貴方は私の使い魔じゃないし、私は貴方の主人じゃないの。
 今まで騙していてごめんなさい。今からもう、どこでも好きな所に行って良いわ」
 だから、私のこと、殺してくれたって構わない。
 そう一言置いてから、ルイズは呪文を唱え出した。
 何回も、何回も何回も練習した魔法だ。決して己の期待に答えることのなかった魔法。
 だが、きっと成功するだろう。ルイズは思った。
 足元で割れた小瓶から猛烈な勢いで魔力が流れ出し、ルイズの自室を満たしていた。
 トリステイン魔法学院が一年間に溜め込む魔力の、丁度九十分の一の魔力で満たしていた。
 貴族ならば、人民の心を脅かす何かを、吹き飛ばす決断が必要だ。

「宇宙の果てのどこかにいる私の使い魔よ。
 神聖で美しく、そして強力な――武装錬金よ。
 私は心より求め、訴えるわ!」
 ルイズは杖を高々と上げて言った。我が導きに答えよ。
 そして再び起こった爆煙が収まる。
 煤汚れた彼女の手には、LXXの刻印が刻まれた、誰かの心臓が握られていた。
615サテライト60:2007/10/23(火) 21:22:26 ID:ExiZxS4/
実は次話からやっと本編なんだ・・!
でも正直上から三番目くらいに書きたいところが書き終わったので、
今まで以上に更新速度に自信がない。

・・俺がんばるよ。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:22:26 ID:AAHeHgkl
支援
617名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:22:48 ID:LkknGSuG
核金支援ー!
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:30:34 ID:FgY3LzJz
投下終了だろうか?
乙っしたー……と言うか此処までが前振りとなっ!?
619サテライト60:2007/10/23(火) 21:32:46 ID:ExiZxS4/
うえ、すみませ。終了って書いてませんでした。投下終了です。
一話の伏線をやっと回収したんだ・・・
620名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:32:55 ID:St1sHG9M
乙でしたー。
ってLXX!? 二択じゃないですか。ど、どっちだろう。
621名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:38:13 ID:cEMU0ZwC
うおおおおおお!
急激に燃えてくる展開に!
GJ!!!
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:39:36 ID:FtBUKei4
200レスくらい一気に埋める猛者いたよな?
623名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 21:56:31 ID:kfa5l6Jd
ロボカイ、貴族を怒らせるだけならこれほど最高なキャラはいないと思う
624名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:14:09 ID:DUxLIiEa
ご立派&おっぱいと聞いて
武林クロスロードから少女道士リョウカと女武侠レイ・シュンライなどと
考えてみたが
14歳で巨乳&巨根な小娘はルイズには目の毒すぎる
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:14:52 ID:qQHJo2Ec
サテライトさんGJです!
ここからどんな展開にもっていくのか気になって仕方ない……!
626名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:24:29 ID:bpDKYPHs
そういえばマーヴルヒーローを召喚っていうのは殆どないな。
ヒゲとか社長とか呼ばれてるトニー・スタークなんてどうだろう。

何せゲリラに捕まった中で最初のアイアンマンを 手 作 り したぐらいだし。
コッパゲと協力してマジックアイテムを使ったアーマーぐらい作ってくれそう。
虚無の魔法を利用したルイズ専用アーマーを作ったりとかしてみたりして。
そして最後は七万のアルビオンと艦隊相手に二人で特攻、大勝利で終。

但し気をつけろ。奴の心はガラスのハートだ!
落ち込むと酒びたりになっちまう!
627名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:27:32 ID:KmY82Tw/
きっとゴゼン様だ!
628名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:41:02 ID:1YEPprgI
サテライトさんGJでした。本当に先が読めなくて引き込まれるわー。

>>マジレンジャー召喚
実は結構本気で考えているんだが、相当長くなるなこれ……
いやね。やろうと思えば自力でハルケギニアに来れそうな気がするんだこの人ら。
だから、魁召喚とプチエレオノールも両立できなくはない、はず。
エリコさんのこと考えると、兄貴には一時的に記憶喪失になってもらうけど。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:42:50 ID:5LqpV+10
トライガンからウルフウッドはどうだ?
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:44:33 ID:7/6FESfb
そういや、さっき赤導斎の話題が出てたが、奴を召還したとして
一番気になるのは着替えを手伝えイベントかもしれん。

服を脱ぎだした時点で、赤導斎に同類扱いされるんじゃないだろうかと
幻視した。あ、でも、股間丸出しの使い魔の前で服を脱ごうとか思う事
自体ありえねえかww



631こんな感じ?:2007/10/23(火) 22:53:49 ID:7/6FESfb
>>629

「使い魔になれか。あちゃー困ったな。じゃ、こうしよう。

このチョコの半分がお嬢ちゃんの分。こっちがその禿のお父ちゃんの分。
そんでこっちがワイのや。少なくて悪いがこれでエエか?で、この辺で赤いコート着た

すかしたトンガリ頭探しとんのやけど、お嬢ちゃん、どっかで見なかったか?」

632名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:53:53 ID:BFLw3uUc
>>626
スパイディ:ひたすら軽口を叩く。それこそルイズがキレまくるくらい。
 そしてなんかすごい亜人かなにかかと思ったらただのコスチュームと分かってまた切れる
ウルヴィ:使い魔なんかしなくても普通に野宿で生活できそうなんだよね…
 子供には優しいけど
サイク:へタレで精神的に脆いスットコもといスコット君は生き残れるんだろうか
というわけで一番いいのはビーストかマグやんだと思われる
ビーストは理知的だし外見が外見だからルイズも満足しそう
マグは周囲にミュータントがいない状況じゃ楽隠居しそうだけど
633名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:55:48 ID:mRy6chDk
ミョズニトニルンとして雪風からロンバート大佐召喚を考えてみたんだが
ジョゼフの下だとトリステインに勝機なし、ルイズの下だと知らないうちにマザリーニをコントロールしてそうで怖い

たぶんクロムウェルより数段上手く、アンドバリの指輪を有効活用してくれそう
死人だらけの再教育部隊を指揮してた訳だし
ただ書くとしたら、JAMを出すかどうかが問題か
634名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:03:19 ID:08FYbqjE
テファが亜人の男の子(ダップ)を召喚。
ボーゾックはチーキュに行く筈が進路を間違えてハルサメケニアへ。
トリスッテンテンを守るのはルイズ達だ!!

という電波を受信した。
635名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:03:33 ID:ALfzfTt6
無性にネクロマンサーとか呼んで対アンドバリの指輪ゾンビ合戦が見てみたくなった
でもネクロマンサーでルイズ(対ゾンビの件に深く関わる事の出来る位置にいるなら他の誰かでもいいが)の使い魔なれそうな奴って誰がいるだろう
まあネクロマンサー自体真女神転生のネビロスや宵闇の馬呑吐くらいしか思いつかないんだが。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:06:38 ID:St1sHG9M
>>635
スレイヤーズのウィニーとか。
637名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:07:25 ID:m/SOEvJJ
そこでゾンビ屋ですよ。でもマルコメあたり容赦なく死にそうだな。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:08:39 ID:E0+8SVPp
GS美神のおキヌちゃんとか。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:09:05 ID:CKHGgCDB
おじさん駄目ー!ルイズがアリスの二の舞になってしまうw
他のネクロマンサーならブラックマトリクスシリーズのヨハネあたりも面白いぞ
そこらじゅうの死体をゾンビ化→突撃→ゾンビ爆という悪魔のような所業を見せてくれる。天使なのに

ネクロマンサーと聞いて真っ先に邪聖剣を思い出したが、知っている奴は少ないだろうな……
640名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:10:43 ID:XUJ+GiWo
>>639
おま、それ30代以上じゃなきゃわからんだろw
641名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:11:25 ID:St1sHG9M
PCエンジンとセット売りしてましたな。
パスワードに泣かされた…。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:11:35 ID:NrPt/7Lq
冥王計画ゼオライマーから、氷室美久とか。
…駄目か。美久のメンテが出来る奴が居そうに無いし
643名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:12:15 ID:alR6q3xI
ゼオライマーごと呼んでくる
644名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:13:30 ID:NrPt/7Lq
>>643
グレートゼオライマーにして?
645名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:13:59 ID:XUJ+GiWo
ネクロマンサーと言えば、グレゴール・クライシスしかおらんだろう。

魔道師の脳から闇魂(ダークソウル)を作り出すんだぜ。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:14:02 ID:FtBUKei4
めいO-
647名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:14:35 ID:uRWtoMzY
ここは加齢臭のするスレですねw
648名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:15:22 ID:dp7erSCO
死霊術師ならレザード・ヴァレスがいる。
649名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:15:33 ID:z+zT7yGu
ネクロマンサーならニバス先生だろう。
死者の宮殿でデニム一行に殺されてるから、
召喚→肉体と魂が完全に生前のものに→完全な死者蘇生だからその秘密を追求すべくルイズの使い魔に
ってながれで。
サモンダークネスでスケルトンやゴースト召喚しても一定時間で復活する奴らはアンドバリ軍団よりも凶悪そうだw
味方がアンデットばっかだから、死者宮で手に入れたとか言ってデッドスクリームとかの禁呪つかいまくったりとかw
普通にワルドに殺されそうだがな。まぁリッチ化するんだろうけど
650名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:15:40 ID:Sjlg5+fh
>>635
パッと思いついたのがアビゲイルだった・・・
651名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:15:58 ID:RDmDhDay
>>639
つちを ほりかえすような おとが・・・
当時の俺にアザトース強すぎワロタ
652名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:16:39 ID:QOtWpCX9
>>635
マンションズ&ドラゴンズからデスバレイさん。
温厚で明るく人づきあいもいいけど根っからのネクロマンサー。
ルイズを常にネクロマンサーの道へと誘う。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:24:12 ID:1/wY5t4N
死体の軍勢だったら姉妹スレの旦那がいるじゃないか
654名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:25:21 ID:giOKICf5
>>638
おキヌちゃんなー
あの娘完全な後衛仕様だから対アンドバリまで無事に生き残れるかどうか……。
ルイズは、優秀な戦闘メイジってわけでもないから護衛戦力にも事欠くし、
しかもより強力な対抗手段である虚無が有る以上、少々存在意義が……
655名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:26:29 ID:NrPt/7Lq
美久&ゼオライマーの場合、一対一の戦闘では美久単体で、
フーケのゴーレム戦や対7万戦ではゼオライマーで蹴散らすという展開になりそうな……w
656名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:27:34 ID:1/wY5t4N
sage忘れてた
657名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:29:06 ID:kiLnlD6W
>グレゴール・クライシス
懐かしい名前をw
ルナ・ヴァルガーだっけ?知識欲の権化の寡黙なマッド。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:31:48 ID:cepuetux
>>654
おキヌちゃんはガンダールヴというよりミョズやヴィンって感じがするから
その線で行けば生き残れるかもな
659名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:33:37 ID:+Ve+EKvY
黒キヌならなんとか
660名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:35:00 ID:ItZwzfqx
ハーメルンのオル・ゴールとか思い出した。
人の心をもてあそぶ道化師。
ジョセフと組んだらえらいことになりそうだ。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:44:15 ID:5LqpV+10
>>660
あいつはハーメルを陥れた後はヴォーカルやギータに食われまくっていたから駄目だな。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:46:22 ID:8lqOJvZ2
>>632
マグ様はミュータント(≒亜人)差別で妻と(確か)娘を殺されたんだ、おマチ&テファと知り合ったらアルビオンは……
663名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:50:41 ID:mHy/Lmu7
>>632
スコット君はそれ以前にほら、眼鏡なくしたらもう大変な事に
664名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:57:19 ID:8lqOJvZ2
トランスフォーマーよりスタースクリームが一応マーブル(のダーク)ヒーローなはずだ
トランスフォーマーの(分類)G1はマーヴェルコミックだから
665名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:09:39 ID:S3sbbRf+
僕にお月様を見せないでから、駒犬銀之介はどうだろうか
一見、サイトよりも貧弱な平民だが、月を見せたらルイズ大喜びての
666名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:15:38 ID:rrEdLjn4
アメコミからならヘル・ボーイとか
虚無とヘル・ボーイの腕も絡められるし
667GTA:LCS-0の代理人:2007/10/24(水) 00:16:51 ID:xfeNjQD5
代理投下行きます。
668GTA:LCS-0の代理人:2007/10/24(水) 00:17:14 ID:xfeNjQD5

第14回の始まる前のオマケ。
――隠れ家にピストルが届いた。
「……誰がどうやって送ってくるんだ……?」


第14回


――隠れ家にデルフリンガーが届いた。

多分使い道はないだろうが喋る剣『デルフリンガー』を貰った俺は、多少の疲労感はあったものの眠れない為に学院内を散策していた。要は
暇なのだが結構面白い物を見れる。やはり思春期な連中を抱えているこの学院は、そこら中でサカリがついてる連中を目にする。そんな中、
この間の優男が頭を抱えている。極めて自業自得だがモンモランシーに振られ、俺にボロ雑巾にされてから自信が無くなり、女っ気がなくて
インポ寸前だと聞いたが、これは噂以上に重症かもな。
「よう兄ちゃん元気無いな、ワインでも飲むか?」
「ゼロのルイズの……結構……」
この間のような覇気は感じられない。
「……あんたの名前……トニー……シプリアーニだったか……」
「ん?」
何か言いたげな様子だが、取り合えず此方から話を振るのは止めておく。
「モンモランシーと……」
「それ位自分で尻を拭えよ。かえって泥沼になるぞ」
最後まで聞かずに断言すると、縋るように優男は俺に抱きついてまで哀願する。
「お願いだ、僕に少し力を貸してくれ」
「知らん!ルイズに聞け!ルイズに『トニーを少し貸して』と聞いてOK出したら手を貸してやる!」
どうしてこいつ等はこうも下半身に素直なんだ!本当に自信なさ気だが、俺がこう言い切ると優男は頷いてルイズの部屋に歩いていく。
本当に聞くつもりなのか?分からないが。付き合うとろくな事が起き無そうなので、俺は早々に退散。今は隠れ家(ルイズの部屋)にも
戻りたくは無いので、今夜は暫く学院内を煙草でも吸いながら散策する事にする。しかしながら、広い施設だよな……まるで城塞だぜ。

669GTA:LCS-0の代理人:2007/10/24(水) 00:17:28 ID:xfeNjQD5

暫く何の気無しに学院内を歩いていると、絶対中世じゃないなと実感できるような、下手すりゃ売春婦にも見えなくもないミニスカートを
穿いたポニーテイルの女とすれ違う。少々と年増だが十分色気のある女だった。この学院の関係者だろう。
「トニー・シプリアーニ」
すれ違った刹那、女は俺の名前を口にする。
「俺の名前を言ったか?」
「ええ」
振り返ってこう言い置くと、女は即答でこう返す。何とも含む意味を感じて警戒をさせてくれるのだが、この女は微笑みを浮かべて
俺に近づいてくる。いや、厳密に言うとどうにもこうにもキュルケ以上にいやらしい意味を込めた誘惑だった。何かある、こう感じた
俺は少々警戒した仕草を見せて身体を離す。
「あら?貴方は女には興味ないかしら……?」
同性愛者でもない限り、男が女に興味が無い訳ないだろ……こう言う誘惑と色香には惑わされねぇだけだ。
「そんな事はない」
「それとも、逞しい殿方の方がお好みかしら?」
「Fuck you!!」
このアマ舐めた事抜かしてんじゃねえ、学院関係者じゃなければマジで殺してる所だ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、悪気は無いの。ふふふ……今日はごめんあそばせ」
空気を素早く読んだのか、女はこう言い置くとそのまま颯爽と去っていく。何かしらの意図がありありで極めて疑わしい接触は気持ちが
悪い。これならガキ達や普通の奴等とつるんでいた方が余程楽しいわ。気分が悪くなったので学生等の寄宿舎に戻る事にした。

670GTA:LCS-0の代理人:2007/10/24(水) 00:17:46 ID:xfeNjQD5

寄宿舎に戻れば戻ったで、そこら中にさかりのついた連中が乳繰り合っている。全く下半身に忠実な連中だ。こいつらを見て見ぬ振りを
して煙草を咥えながら歩く。今の所は優男に会わないようにルイズに部屋に帰る事にする。
「……ん?」
煙草を吸いながら歩いていると、俺の上着を引っ張る奴が居る……さっきの青い髪で短髪の眼鏡を掛けた姉ちゃんだ。
「さっきの姉ちゃんか、俺に何か用か?」
だが、横にはキュルケまで居る。彼女の補足をするようにキュルケはこう言う。
「一度で良いから、こっちに来た時に乗っていた『クルマ』ってものに乗せて欲しいんだけど、良いかな?」
「ああ、問題ないぜ」
こんな可愛らしい事をお願いされるとは思わなかった。
「ただ、今日は夜だしもう遅い。明日、昼の間の方がいいと思うぜ。」
「それもそうね。明日にしましょう」
俺がこう提案すると、キュルケは青い髪で短髪のこの姉ちゃんを連れて帰っていった。先程のことを考えると、余程気持ちがいいと感じる
のは気のせいだろうか。
「さて、俺ももう戻るかな」
ほとぼりが冷めただろうタイミングを見計らって隠れ家に戻ると、微妙な表情を浮かべたルイズと対角線の位置に座る優男の姿があった。
この野郎、まだ居たのか……。
「ほらギーシュ、トニー帰ってきたわよ。直接頼みなさい」
「いや、トニーがルイズに聞けと何度も……」
やれやれ……。

671GTA:LCS-0の代理人:2007/10/24(水) 00:18:15 ID:xfeNjQD5


689 名前:GTA:LCS-0の中の人 投稿日:2007/10/24(水) 00:08:17 [ /swiJmAs ]
今回はこれでおしまいです。
勇者様、宜しくお願いします。

余談ですが、ゲームはヌードル配達だけクリア出来ません。
では失礼します。


============

以上で代理投下終了です。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:18:53 ID:QwZDmTP8
孔雀王の孔雀を召喚とか思いついたけど
女キャラがほぼ確実に不幸になる気がしてきた
673名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:21:00 ID:QwZDmTP8
GTA乙!
ってちょっと待て、ポニーテールの女って何者だろう…
すごい妖しい予感がする
674名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:31:07 ID:kb/0SweT
GTAの人&代理人の人乙!
675名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:36:01 ID:dK9eiv3h
ティーン・タイタンズのレイヴンかスターファイアー召喚。

ちなみにレイヴンは魔王の娘、スターファイアーはタマラン星の王女様。
676ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:36:06 ID:MfdRLDzR
第2話、投下します。
677ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:37:17 ID:MfdRLDzR
 仮面ライダーはアンデットを封印し、人々を守るヒーローだ。
 幼い頃、火事で家族を失った剣崎は、人を救えないことに激しい恐怖心を抱いていた。
 だからこそ選んだのがBOARDへの就職だ。カテゴリーAに認められたこともあり、ブレイドへ変身する資格も得た。
 なのに。なのに、俺は仲間を守れていない。
 人類の敵であるジョーカーを守るために戦っている。それは人々を守る立場であるはずの剣崎にとっては矛盾している。だから、キングにも勝てない。
 そう、キング自身が言った。
 もしかすると本当にそうなのか。俺は、間違っているのか。
 「俺は・・・間違ってなんか、ないよな」
 まだ薄暗い。変な夢を見たせいで、中途半端に起きてしまったみたいだ。
 ルイズはまだベッドで寝息を立てている。その横顔は年相応の少女のものだ。
 こうしてみると、昨日の態度が嘘のように思えてくる。
「・・・これで黙ってれば可愛いんだろうけどなぁ」
 その呟きと同時に、ルイズが小さく唸り声のようなものをあげる。
 剣崎は身構えたが、叱咤が飛んでこないことに安心し、再び毛布にくるまり、眠りについた。

 それから数分後。
 「おじゃましま〜す」
 キングはそろりそろりと、ルイズの部屋へと忍びこんでいた。
 「お宝どこかな〜」
 キングが部屋で寝ているルイズと剣崎を起こさないように、辺りを物色しはじめる。
 まず、手にとったものを持ち上げてみる。
 パンツだ。違う。ぽいっと投げ捨て、そのあと反対の手にもったものを見る。
 キャミソールだ。これも違う。ごそごそ漁ってみるが、なかなかお目当てのものを探しだせない。
 薄暗い部屋では、いつもより2倍増しの月明かりだけが、この部屋では頼りだ。
 「きれいだなぁ」
 大きな2つの月を見つめていると、足元の剣崎が寝返りをうった。
 「こんなことしてる場合じゃなかった・・・え〜と・・・・・・あったあった」
 どうやらお目当てのそれ、ラウズアブソーバーは剣崎の毛布の中にあったようだ。それを自分の懐に隠し、キングはきしし、と悪戯に成功した子供のように笑うと、出口へと向かった。
 「君はこれにすぐ頼っちゃうからね。ゲームだって、主人公は、最初弱い状態で始まるだろ?」
 じゃあね、と呟き、キングは部屋のドアを閉めた。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:39:31 ID:fjhpC7Mm
支援ディスカー
679ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:39:50 ID:MfdRLDzR
 「たいへんだ!!!たいへんたいへんたいへんだ!!」
 「変態はあんたよ」
 ルイズは寝起きの目をだるそうにこすると、窓の外を見た。まだ、夜が明けたばかりである。
 なあんだ、まだまだ余裕じゃない。バカな使い魔ね。変態変態騒いで。あとでお仕置きしなきゃ。
 ルイズは再び毛布に包まろうとして、剥がれた。
 「お前、おおおおおお前、知らないか!?」
 「あ〜もう!うるさいわね〜。どうしたの?」
 寒い寒い、と剣崎の手から毛布を奪い取り、ルイズは渋々聞いた。
 「ないんだ!」
 「なにが?」
 「ラウズアブソーバーがないんだ!」
 「はぁ?」
 何言ってるんだかこの使い魔は。本当に変態なんじゃないだろうか。そうだったら最悪ね。平民を呼び出したうえに、変態だなんて。
 「私は寝るから。あんたはみんなの迷惑にならないよう、静かに洗濯でもしてなさい。もし、私に恥をかかせるような真似したらただじゃすまさないわよ」
 ふん、と鼻息も荒くルイズは毛布に顔を隠す。
 これ以上騒いだらどうなるか、それを昨日の会話で充分理解していた剣崎は仕方なく、なるべく音をたてないように部屋の中を探すことにした。
 「ブレイバックルは無事なんだけどな」
 きちんとカテゴリーAのカードもある。変身するぶんには問題ないのだが。
 


 部屋のすみからすみまで調べたが結局、ラウズアブソーバーは見つからなかった。
 最悪だ。
 剣崎が軽く鬱状態に陥っていると。
 「服、持ってきて」
 と、眠そうな声が聞こえた。どうやらルイズが起きたらしい。
 「ま、待っててくれ」
 服か。この制服みたいなのがそうなのだろうか。いやでも、昨日は召喚なんたらで特別こういう服装だったのかもしれない。そのとき、剣崎の目にクローゼットが映った。
 アブソーバー捜索中に中を見たが、なかなか高級そうなドレスが入っていた。

680名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:40:31 ID:fjhpC7Mm
sage忘れごめんなさい支援
681名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:40:31 ID:kb/0SweT
>>675
>タマラン星の王女様とか言われてもこれしか頭に浮かばない罠
    たまらんだろ?           たまらん!
           _, ,_            ,_
         (; ゚д゚ )          (`   )
        (   ⊃┳O        ⊂(   ヽ
        ( ⌒) )┃_        ┃(⌒ ) )  _
   / ̄ ̄ ̄`J ̄ ̄ /\    / ̄ ̄し' ̄ ̄ ̄/\
( ((  ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○  ̄     ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○ ̄ ) ))

       たまらんだろ?  たまらん!
             _, ,_ コツン ,_
           (; `д´)\/(`   )
          (   ⊃┳O ⊂(   ヽ
          ( ⌒) )┃_ ┃(⌒ ) )   _
   (( / ̄ ̄ ̄`J ̄ ̄ / ̄ ̄し' ̄ ̄ ̄/\ ))
      ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○◎ ̄○ ̄◎ ̄○ ̄
              /☆\

たまら──ん! _, ,_  _, ,_   _, ,_ _, ,_ たまらん――!
         ((Д´≡`Д)) ((д`≡´д))
          ((   ⊃┳O⊂(   ヽ))
         (( ⌒) ))┃_ ┃((⌒ ) ))   _
    ((/ ̄ ̄ ̄`J)) ̄ / ̄ ̄((し' ̄ ̄ ̄/\))
      ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○◎ ̄○ ̄◎ ̄○ ̄
682ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:41:02 ID:MfdRLDzR
 そうか。
 貴族か。
 なら、ドレスだよな。昔、教科書で見た貴族はみんなドレスだった。
 剣崎は適当に、一番高そうなドレスを選ぶと、それをルイズに渡した。
 「・・・・・あんた、ふざけてるの?」
 「な、なにが?」
 ルイズはドレスを持ったまま、半眼で剣崎を睨みつけた。
 「あのねぇ、こういうのは普段着ないの。そっちの制服でいいんだから」
 「そうだったのか。ごめん」
 「役に立たない使い魔ね」
 「・・・・・・・・・・・・・・悪かったな」
 「へぇ」
 ルイズが勝ち誇ったような笑顔をしている。嫌な笑顔だ。



 ほんのちょっとした反抗心だったのだ。別に彼女の恐ろしさを甘く見ていたわけではない。ほんの少し共にすごしただけでその性格は理解していた。
 だが、しかしだ。ぼそっと、本音を言った。それだけで、朝飯抜きはいかがないものだろうか。
 「朝飯抜きをなしにしてほしくば、早く服を着せなさい」
 「・・・いいのかよ」
 さっきは下着までルイズに手渡した。思春期であろう、この少女には恥じらいというものがないのだろうか。いや、その前にそういえば自分は人間として見られてなかったんだ。
 「平民のあんたは知らないだろうけど、貴族は下僕がいる時は自分で服なんて着ないのよ」
 「本当にいいのかよ」
 「いいって言ってるでしょ」
 剣崎は恐る恐るルイズのブラウスを手に取った。


 ルイズと部屋を出ると、似たような木でできたドアが壁に三つ並んでいた。そのドアの一つが開いて、中から燃えるような赤い髪の女の子が現れた。あらゆる面でルイズと対照的だ。
 一番上と二番目のブラウスのボタンを外し、胸元を覗かせている。剣崎も男だ。オンドゥルルラギッタンディスカー!!と日頃は言っていても、その谷間につい視線がいってしまう。褐色の肌が、健康そうでオンドゥル的な色気を・・・ってどんな色気だ。
 彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。
 「おはよう。ルイズ」
 「おはよう。キュルケ」
 「あなたの使い魔って、それ?」
683名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:41:17 ID:KuBf/Xx9
キングノリが最悪だ支援
684名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:42:39 ID:TtBna1Tv
ナリはゴツイけど中身はガキだもんな支援
685ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:43:02 ID:MfdRLDzR
 一人脳内漫才を続けていた剣崎を指差して、バカにした口調で言った。
 「そうよ」
 「あっはっは!ほんとに人間なのね!すごいじゃない!」
 なんだ、こいつ。
 確かに剣崎一真は人間だ。だが、何故それがおかしいのだろうか。お前だって人間じゃないか。お前の祖先だってきっとヒューマンアンデットなんだぞ。俺と一緒じゃないか。
 「・・・ん?」
 そういえば、BOARDは『人が地球を制した理由は進化論では説明できない』という理由から創設されたと聞いた。ならば、この世界ではどうなのだろうか。この世界でもバトルファイトはあったのだろうか。それとも、魔法という存在で世界を制したのだろうか。
だが、剣崎の思考をぶち破るかのごとく、キュルケが面白そうに話し出した。
 「『サモン・サーヴァント』で、平民喚んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」
 「うるさいわね」
 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」
 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ〜。フレイムー」
 すると、キュルケの部屋からのっそりとした真っ赤な巨大トカゲが出現した。すごい、熱気だ。
 「ほんとうに別の世界なんだな」
 などと実感してみる剣崎。
 「これって、サラマンダー?」
 そんな剣崎を無視してルイズはキュルケに尋ねた。どことなく悔しそうでもある。
 「そうよー。火トカゲよー。見て?この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
 「そりゃよかったわね」
 けっ、とルイズははき捨てた。
 「素敵でしょ。あたしの属性にぴったり」
 「あんた『火』属性だもんね」
 「ええ。微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は薔薇。でも男の子はそれでイチコロですわ。あなたと違ってね?」
 キュルケは得意げに胸を張った。ルイズも負けじと胸を張り返すが、まぁ、惨敗だ。
 ルイズはそれでもキュルケを睨みつけた。負けず嫌いなのは知っているが、あの胸には勝てそうにない。生身でカテゴリーKに挑むくらい勝敗は見えている。
 「あんたみたいにいちいち色気振りまくほど、暇じゃないだけよ」
 口で攻撃に出たか。
 だが、キュルケはにっこり笑いで、余裕の態度である。それから剣崎を見つめた。
 「あなた、お名前は?」
 「俺は剣崎一真」
 「ケンザキカズマ?ヘンな名前」
 「余計なお世話だ」
 「じゃあ、お先に失礼」
 そう言うと、炎のような赤髪をかきあげ、颯爽とキュルケは去っていった。その後をサラマンダーがちょこちょこと付いていく。
 「・・・」
 「あれ、怒らないのか」
 以外だ。あんなに剣崎をこき使い、こんな使い魔!と嘆いていたルイズだ。くやしー!なんなのよあの女!と、地団駄踏むと思ったが。
 「あんたが朝へんな時間に起こすから、あんまり体調よくないのよ」
 「・・・・・・・・・・ごめん」
 勝手に召喚されたことには異議を申し立てられるはずだが、なぜか自分が悪い気がしてならない、剣崎であった。
 「ところであのキュルケ・・・だっけ。あいつがお前のことをゼロのルイズって言ってたけど、それってなんなんだ?あだ名か」
 「・・・まぁ、そんなものよ」
 「へぇ。確かにあいつの微熱っていうのはどことなく理解できるな。ところで、お前はどうしてゼロなんだよ」
 「知らなくていいことよ」
 ルイズはバツが悪そうに言った。
 どうやらあまり触れられたくない話題らしい。ならば、それを無理に聞いて引っ叩かれる義理もない。
 「そうか」
 「そうよ」
 とくに会話もないまま、食堂へ向かうことにした。
686ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:44:11 ID:MfdRLDzR
 

 トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番背の高い、真ん中の本塔の中にあった。食堂の中にはやたらと長いテーブルが三つ、並んでいる。百人は優に座れるだろう。二年生のルイズたちのテーブルは、真ん中だった。
 どうやらマントの色は学年で決まるらしい。食堂の正面に向かって左隣のテーブルに並んだ、ちょっと大人びた感じのメイジたちは、全員紫色のマントをつけていた。三年生だろうか。
 ほかに茶色のマントをつけているのは一年生だろう。
 朝食、昼食、夕食、と学院の中にいるすべてのメイジたち・・・、先生も生徒もひっくるめて・・・、はここで食事を取るらしい。
 いくつものローソクやら花やらフルーツやらが並べられ、とても豪華だ。こんなに豪華な食堂は今まで生きてきた中ではない。剣崎は感激した。
 なにせ、訳の分からぬままここに来て、今まで小うるさい少女にいびられていたのだ。せめてごはんはおいしくいただけると思ったのである。
 「トリステイン魔法学院で教えるのは魔法だけじゃないのよ」
 「へぇ」
 「メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を・・・ちょっと、ちゃんと聞いてるの?」
 「え・・うん、聞いてる聞いてる」
 剣崎の視線は既にテーブルに並べられた料理に向けられている。あれもうまそう、いやあれも捨てがたい。全部、食べられるかな。剣崎が椅子に腰掛けようとするが、ルイズに尻を蹴られた。
 どうやら現実はそう上手くいかないらしい。
 「言っとくけど、あんたは『ソレ』よ」
 ルイズはテーブルの下にある一枚の皿を指差した。小さな肉のかけらの浮いたスープだ。すみっこには硬そうなパンが二切れある。
 「あんたは床よ。味わって食べなさい」
 ちらっとテーブルの上の料理と見比べる。
 「・・・・・・・・・・」
 まるでルイズとキュルケくらいの差がある。身体の一部分の話だが。
 「いただきます」
 ルイズたちは祈りの言葉を述べてから食事をし始めた。その内容には『ささやかな糧を我に与えたもうた』とあったが、あれでささやかなのだろうか。普段、ルイズたちはどれほど豪勢な料理を食べているのだろう。
 ぐう、と腹から音がする。考えても無駄なので、剣崎は仕方なくスープをすすった。
 「お、おいしい」
 スープは、なかなかおいしかった。
687ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:45:17 ID:MfdRLDzR
 ルイズと教室に入ると、先に教室にいた生徒が一斉に振り向いた。
 そしてくすくすと笑い始める。その中にはキュルケもいた。先ほど、自分で、男はイチコロと言っていたのは本当だったようで、周りには何人かの男子生徒がいる。そのなかでのキュルケはまるで女王のようだった。
 「いろんなモンスターがいるんだな」
 「全部、使い魔よ」
 ルイズはつまらなさそうに席に腰かけた。そのとなりの椅子に、剣崎が手をかけ、引くと、ルイズがそれをキツイ視線で制した。
 「使い魔は座っちゃダメ。ここはメイジの席よ」
 また床か。別にいいのだけれども。
 おとなしく座った剣崎をルイズはちらっと見る。
 「なんだよ」
 「別に」
 ・・・へんなやつだな。
 

 ほどなくして、先生らしい中年の女性の魔法使いが現れた。
 彼女は教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。
 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
 それを聞いて、ルイズは俯いた。
 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
 シュヴルーズが、剣崎を見てとぼけた声で言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。
 なんだ。こいつら。
 剣崎は微かな苛立ちを覚える。
 確かにルイズは高慢で横暴で、カテゴリーQの要素を充分に備えている。人に床で食事させるわ、授業中も床に座らせるだのやりたい放題だ。
 だけど、これはやりすぎだろう。これじゃ、ルイズがかわいそうすぎる。
 ここをは、使い魔として主人を庇うべきだよな。
 義理人情を見せてやろう。
 剣崎が立ち上がろうとする。それをルイズが咎めた。
 「いいから。あんたはじっと座ってなさい。ここにいるのはみんな貴族よ。あんたみたいな平民が逆らっていい相手じゃないわ」
 目が吊りあがってはいるが、ルイズは、冷静だった。
 「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」
  我慢の限界か。ルイズは立ち上がると、ブロンドの髪を揺らして可愛らしく澄んだ声で怒鳴る。
 「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」
 「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」
 ゲラゲラと教室中が笑う。
 その後、ルイズが講義の声を上げ、相手のマリコルヌという生徒と激しいバトルになりかけたところをシュヴルーズが手にもった杖でそれをおさめ、授業は続行された。
 

688ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:46:24 ID:MfdRLDzR
 シュヴルーズの話を聞いていると、どうやら魔法には四大系統というものがあるらしい。
 『火』『水』『土』『風』。そして、今では失われたという『虚無』。失われたので数には含まれないらしい。
 また、メイジにもレベルのようなものが存在することも知った。二系統足せるのが『ライン』メイジ、三系統足せるのが『トライアングル』メイジ。
 その過程でシュヴルーズが『土』がもっとも優れていると言い出した。先ほどの口論で目立っていたルイズが、この石ころを錬金してみなさいと指名されたのだが。
 「みんな、なんで隠れるんだ?」
 キュルケがシュヴルーズに危険を促したかと思うと、ルイズが前に出ると、生徒たちは机の下にもぐりこんでしまったのだ。
 どうなるのだろう。剣崎は、内心期待して事の成り行きを見守っていた。
 ルイズが呪文を唱え、杖を振り下ろす。
 どうなったんだ、と剣崎は身を乗り出す。その瞬間、机ごと石ころは爆発した。
 爆風をモロに受けたルイズとシュヴルーズは黒板に叩きつけられた。剣崎も同じく、少しばかり吹き飛ぶ。すぐさま態勢を整え、教室を見回す。
 まるで地獄のようだ。使い魔が爆発に驚き、教室内で暴れまわっている。
 その中で、キュルケは立ち上がり、ルイズを指差した。
 「だから言ったのよ!あいつにやらせるなって!」
 「もう!ヴァリエールは退学にしてくれよ!」
 「俺のラッキーが蛇に食われた!ラッキーが!」
 阿鼻叫喚とは、まさにこのことである。
 煤で真っ黒になったルイズが、むくりと立ち上がった。ブラウスが破れ、華奢な肩が覗いてる。スカートが裂け、パンツが見えていた。
 ルイズは、この騒ぎを意に介した風もなく・・・。
 顔についた煤を、取り出したハンカチで拭きながら、淡々とした声言った。
 「ちょっと失敗みたいね」
 当然、他の生徒から猛烈な批判がかえってくる。
 「ああ、なるほど」
 批判の声を聞いて、やっと分かった。魔法の成功率が0。だからゼロのルイズなのか。
 道理で、聞かれたくないはずだ。
689ゼロの(オンドゥル)使い魔:2007/10/24(水) 00:47:38 ID:MfdRLDzR
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:53:16 ID:YuR6PrcC
オヅガデ
691名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:55:43 ID:BXJ8Dz+c
( 0M0)<ケンザキ!投下は慎重に選ぶんだ!!
692零の雷の人:2007/10/24(水) 01:00:36 ID:mhu5BvxT
どうも。投下よろしいですか?

今回は「第五章 大地を乱す龍の影 その一」です。
693名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:01:01 ID:X5ZFFRBM
OK,GO!
694封仙娘娘異世界編 零の雷 1/16:2007/10/24(水) 01:03:09 ID:mhu5BvxT
 一


伯爵家での騒動より一日経過。
つまり翌日の夜。ルイズの自室。
「聞いたわよぉ。大活躍だったそうじゃない」
――突然、キュルケが踏み込んできた。ノックも無しに。
「何でお前がそのことを知ってる」
「――て言うか、何勝手に部屋に入ってんのよ!!」
などと立て続けに突っ込まれても、キュルケは平然としたものだ。
「ま、色々とね」
どちらの答えにもなっていない。
誰から聞いたのかは分からないが、あまり言いふらされて欲しい話題ではないのだが。
「――で、結局そのホーインテキ? とか言うのはどうしたの?」
「……どこまで知ってるんだお前」
「色々と、よ」
答えになっているような、なっていないような。
「で、どうしたの?」
「破壊したよ」
殷雷は嘘をついた。本当は学院内の林に埋めたのだが、それを教えればまた厄介なことになるのは目に見えている。
「ええー!? そんなもったいない! 色んな使い道を考えてたのにぃ」
「……だから壊したのだ」
拳をブンブンと振って悔しがるキュルケ。同時にその豊かな胸も上下している。
それが果てしなくルイズの気に障った。
ドン! と強く机を叩き、キュルケを睨み付ける。
「で! あんたは結局何しに来たのよ。
 ……ついでに、何でタバサも居るわけ?」
先ほどから一言も発さずに、部屋の隅で本を読む少女に視線を向ける。
眼鏡を掛けた、青い髪の少女だ。
ルイズよりもさらに小柄で、壁に立て掛けた彼女の杖は、その身の丈よりも長い。
ページをめくる以外の音を全く発さない少女の存在感は、騒がしい室内においては非常に希薄なものだった。
……ルイズも、たまたまそちらを見て初めて存在に気が付いた。
「本当は用があるのはタバサで、あたしの方はついで」
その割には自分一人で喋っていたが。
695名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:03:23 ID:WqUQPliy
オンドゥル乙! はやく変身シーンが見たいぜ……。
696封仙娘娘異世界編 零の雷 2/16:2007/10/24(水) 01:05:25 ID:mhu5BvxT
キュルケが声を掛けると、タバサは小さく頷き本を閉じた。
そして殷雷の方へと歩み寄り、手を伸ばす。
殷雷が手を差し出すと、その上に小さな銀色の環を乗せた。
「これは……そうか。お前だったのか」
タバサはこくりと頷く。
殷雷の心の中のわだかまっていた謎が一つ解けた。
「え、何それ! 指輪!? ぬ、抜け駆け!?」
「き、聞いてないわよそんな話! ちょっとどういうことよ!?」
キュルケとルイズが騒ぎ立てる。
殷雷が面倒くさそうに説明した。
「指輪じゃない。足環だ、足環。鳥用のな」
銀の環を握ると、その名前、使用法などが頭の中に流れ込んでくる。
界転翼。モット伯の屋敷の庭先で戦った竜の足に嵌められていた、足環の宝貝。
翼のある生き物の能力を飛躍的に上昇させる代償に、その体力を極度に消耗させてしまうと言う欠陥を有している。
あのまま大暴れしていたら、たとえ竜と言えどもただでは済まなかっただろう。
最悪、命を落としていたかもしれない。
「ありゃお前の使い魔だったのか。まぁ、何だ。運が悪かったな」
「借りは、いつか返す」
そう言うタバサの声にも聞き覚えがあった。
モット伯との戦闘中、かすかに耳――正確には『ワルキューレ』に耳は無いが――に流れ込んできた声。
彼女が魔法で蜂引笛の音を消してくれたのだろう。
笛の音の届かぬ距離からか、それとも自分の周囲の音を消して、意外と近くに潜んでいたのか。
いずれにしても、殷雷に気配を探られずに事を成したのだから大層な腕前だ。
「貸しなんぞ、あの一瞬だけで十分お釣りが来る。むしろ俺の方がお前に借りがあるくらいだ」
ルイズには何の話なのか理解できない。
「ねえ、何の話? 私にも説明しなさいよ」
「別に大した話じゃない」
「大した話じゃないなら教えてよ。何かやましいことでもあるわけ?」
「あのなぁ」
どうしてこう、毎度変なところで絡むのか。
今回の件で少しは大人しくなるかと思えば、この調子。
むしろこれまで以上に突っかかってくるようになった。
「お前な。俺に対して、少しくらいは感謝の情とかはないのか?」
「何がよ。使い魔が主人を助けるのは当然のことでしょ。
 それに、私はパオペーに操られただけなんだから、責任はないわ」
これである。彼女の気性は理解しているつもりなのだが、全く苦労の甲斐が無い。
その様子を眺めていたキュルケが、ふと口を挟んだ。

「一人じゃ何も出来ないご主人様に、何でも出来る使い魔。どっちの立場が上なのかしらね」

――地雷である。
「何ですって……?」
ルイズの顔面が激しく引きつる。キュルケは構わず続けた。
「昨日のことだって、ルイズが一方的に迷惑かけて、インライが苦労して尻拭いしたって聞いてるけど」
ルイズの拳がプルプルと震えている。
殷雷は一応フォローする。
「いや、まぁ別に俺だって万能じゃない。出来ないことは幾らでもあるし、
 所有者が居なけりゃ最大限の力を発揮することも出来ないんだがな」
「でも、別にその所有者がルイズである必要もないんでしょ? 昨日はギーシュに使われてたわけだし」
だから何故それを知っている。
「まぁ、それはそうなんだが……」
次の台詞がとどめとなった。
697封仙娘娘異世界編 零の雷 3/16:2007/10/24(水) 01:07:14 ID:mhu5BvxT
「ルイズ、要らないんじゃない?」

ルイズは椅子を蹴って立ち上がる。キュルケを睨むその瞳は怒りに燃えている。
「ツェルプストー……あんた、言って良い事と悪い事があるわよ」
対するキュルケは涼しい顔でその視線を受け流していた。
「あら? あたしは別に、間違った事を言ったつもりはないけど?」
「これ以上侮辱するなら、許さない」
「へぇえ。じゃ、どうする? 決闘でもやる?」
「――望むところよ!!」
キュルケも立ち上がり、二人は同時に杖を取る。
――が、タバサの起こしたつむじ風により、二人の杖は吹き飛ばされた。
直後に殷雷が机を叩き、その音でルイズの文句を遮る。
わずかな沈黙のあと、殷雷とタバサは同時に口を開いた。

「「おんもでやれ(やって)」」


 *


中庭へと向かう道すがら、キュルケの隣を歩くタバサが小さく呟いた。
「……何故?」
何故、わざわざルイズの神経を逆撫でするような発言を? という意味だ。
キュルケは小さく肩をすくめる。
「別に。あの子の態度がちょっと気にくわなかっただけよ。教育的指導って奴?」
タバサは特に突っ込まなかった。

中庭に到着。
ルイズとキュルケが杖を構えて対峙する。
殷雷とタバサは少し離れたところで傍観していた。
「……貴族って奴は何でこう、決闘が好きなんだか」
完全に呆れ声の殷雷。タバサは特に相槌も返さない。
キュルケが馬鹿にした口調で挑発する。
「決闘ってのはもちろん魔法でよ。いいの?」
ルイズも言い返す。
「構わないわよ! ――インライ、あんたは手を出さないで」
言われずともその気はない。子供の喧嘩にいちいち首を突っ込んでいられるか。
……まぁ、原因の一端が自分にもあるのは確かだが。

――刹那。
眩しいほど煌めいていた月明かりが、消えた。
雲一つ無い夜空に、双月を遮るものは存在しないはず。
殷雷の髪が逆立つ。

――月の光を遮っていたのは、全長三十メイルはあろうかという、土の巨人だった。

「な、何だありゃ!?」
その威容に、思わず言葉を失う殷雷。
ルイズたちも、流石に決闘どころではない。
「ゴーレム……」
タバサの呟き。
その言葉は殷雷も知っているが、彼の数少ない知識にある『それ』とは似ても似つかない。
ギーシュの『ワルキューレ』など、目の前の巨体と比べれば虎と子猫。もしくは龍とトカゲ。
……要はピンからキリまでと言うことか。
698封仙娘娘異世界編 零の雷 4/16:2007/10/24(水) 01:09:50 ID:mhu5BvxT
巨体が地面を踏みしめる度に、殷雷たちの元にも震動が伝わってくる。
ゴーレムはこちらへと向かって来ているようだ。
「まずいな……逃げるぞ!」
「あなたの力で何とかならないのー!?」
そう叫ぶキュルケは、ちゃっかり一人で逃げていたようだ。
「無茶言うな! 刀でどうにかなる次元か!!」
大きさ以前に、土人形に刃物が通用するかどうかも怪しいところだ。
ルイズとタバサも慌てて避難する。

先ほどまでルイズたちが居た場所で、ゴーレムは足を止めた。
そして、目の前の建物を殴り始める。
その建物は、魔法学院の本塔。そしてその場所は。
「五階の宝物庫……」
「目当ては中のお宝って訳か……ちっ、随分と豪快な泥棒だな」
高さがある上に夜闇に紛れかけていたが、よく見るとゴーレムの肩の上に人が乗っていた。
黒いローブに身を包んでいるため、その正体は計り知れない。
キュルケがあっと声を上げる。
「あの土のゴーレム……もしかして、『土くれのフーケ』!?」
最近、貴族たちを騒がせているという、怪盗の名だ。殷雷もモット伯の屋敷でその名前を聞いた。
――フーケの名を聞くと、ルイズは突然走り出した。
「! おい、何をする気だ!?」
ルイズは答えない。ゴーレムの方へと走り寄り、杖を向ける。

「――ファイヤーボール!」

杖の先から、火の玉は出なかった。その代わりにその向こうの塔が爆発する。
ゴーレムは足元のルイズには目もくれず拳を振るい続け、ついに外壁は崩壊した。
「そ……そんな!」
ルイズが目を見開く。気を取り直して、次の攻撃を――
――放つ前に、殷雷に襟首を掴まれた。
「さっさと離れるぞ。後は大人しく教師たちにでも任せろ」
ルイズの身体をひょいと抱え上げ、さっさとその場を離れる。

しばらく宝物庫の中に手を突っ込んでいたゴーレムだったが、目的を達したのか、悠然と引き揚げていった。
残された四人は、その場に立ちすくむしかない。
これだけの騒ぎだ。教師たちもほどなく駆けつけるだろう。
「あの黒ローブのメイジ、出て来た時には槍を持ってた」
相変わらず無表情で言うタバサ。
「槍、か……」
怪盗と呼ばれる者がここまでして盗むほどの品だ。相当の値打ち物なのだろう。
ルイズが地面を叩く。その目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「くっ……うぅっ!!」

――その涙の意味を、殷雷はまだ理解してはいなかった。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:09:58 ID:WqUQPliy
包丁の宝貝支援
700封仙娘娘異世界編 零の雷 5/16:2007/10/24(水) 01:11:01 ID:mhu5BvxT
 *


翌朝。

『破壊の槍、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ』
宝物庫の壁に残された犯行声明。オスマン氏はそれを眺めつつ、長い口ひげをさすった。
「まさか、この魔法学院に忍び込むとはのう……土くれとやらの肝は鋼鉄ででも出来ておるのか。
 いや、これはもはや『忍び込む』などという次元ではないか。
 『殴り込む』じゃな。どちらかと言うと」
誰に向けられているのか、呟きながら振り向く。口調はおどけているが、その眼は真剣そのものだ。
振り向いた先にはコルベールが立っている。
さらにその後ろにルイズ、キュルケ、タバサ。数歩下がって殷雷。
「この三人が現場を目撃しています」
コルベールの言葉に、使い魔である殷雷は含まれない。
オスマン氏は興味深そうに彼女らと、彼を眺める。
「……ふむ。詳しく説明したまえ」
キュルケが代表して、一歩前に進み出る。
「突然あの巨大なゴーレムが現れ、ここの壁を壊したのです。
 そして、肩に乗っていた黒いローブのメイジが、槍のような物を盗んでいきました。
 その後は城壁の向こうに逃げていったようですが……それ以上のことは分かりません」
決闘や、ルイズの誤爆に関しては割愛する。
「草原で、不自然な土の塊を目撃したという報告が幾つも入っております。
 ただ、そこには既に黒いメイジは居なかったと……」
コルベールが口を挟む。
「手がかり無し、というわけか……
 ――ところで、君たちは何故このような場所に居たのかね? 消灯時間は過ぎていたはずじゃが」
キュルケは平然と答える。
「あら、そういう気分になることもありますわ、女の子ですもの」
「……ううむぅ」
意味不明の弁解だったが、オスマン氏はそれ以上追求しなかった。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:13:17 ID:xfeNjQD5
支援
702封仙娘娘異世界編 零の雷 6/16:2007/10/24(水) 01:13:19 ID:mhu5BvxT
ふと、何かに気づいたのか傍らのコルベールに尋ねる。
「……そういえば、ミス・ロングビルの姿が見えぬようじゃが、知らんかね?」
「はぁ。それが朝から見当たりませんで」
「ふむ? この非常時に何をやっておるやら」
などと話していると、件のミス・ロングビルが現れた。
「失礼します。学院長」
コルベールが興奮気味にまくし立てる。
「どこに行っていたのですか! 昨晩土くれの――」
「土くれのフーケの居場所を突き止めました」
「そう、そのフーケが学院に何ですって!?」
「近在の農家で聞き込みをしましたところ、近くの森の廃屋に黒いローブの男が入っていくのを見た、とのことです」
ポカンと大口を開ける禿頭を余所に、眼鏡の女性はさらに続ける。
「そのメイジは、手に槍のような物を持っていたそうです」
黒いローブだけでは決め手に欠けたが、槍まで持っていたとなると間違いないのだろう。
しかも、こそこそと人気のない森に入っていった辺りすこぶる怪しい。
「流石じゃな、ミス・ロングビル。で、そこは近いのかね?」
「はい。馬なら四時間といったところでしょうか」
近い、と言うのはあくまで彼らの感覚での話である。
「結構。では早速捜索隊を編成せねばな。ミスタ・コルベール、教師を全員――」
「その必要はありませんわ、オールド・オスマン」
学院長の言葉を遮ったのは、キュルケだった。
「土くれのフーケの捜索……わたくしとミス・ヴァリエールで行います」
「なんと!」
「は!?」
目を見開くオスマン氏。――と、ルイズ。
うつむき気味だった顔をがばりと上げ、キュルケに食ってかかる。
微かに目の下が赤いのは気のせいではないだろう。
「ちょっとキュルケ! あんた何勝手に決めてんのよ!?」
「あぁら。あなたなら率先して志願すると思ったんだけどぉ?」
「ふぐっ……な、何で私が」
「まー、嫌なら嫌でいいわ。ルイズちゃんにはちょっと荷が重かったかしらねぇ?」
「何よその言い方……やるわよ。やればいいんでしょ?」
「いえいえ。むしろ、あたしは一人でやりたいんだけどね? 手柄独り占めできるし」
完全にキュルケのペースだ。ルイズは頭に血が上って、乗せられてしまっている。
「やる。やるわ。やります。上等じゃない。
 土くれのフーケ、この私がふん捕まえてやるわよ!!」
ルイズに見えないようにキュルケが笑うのを、タバサと殷雷は見逃さなかった。
本当に素直ではない。ルイズも、キュルケも。
その様子を見て、タバサが杖を掲げる。
「タバサ、あんたは別に……」
止めようとするキュルケを強い言葉で遮る。
「心配」
「……ありがと」

どうやら話は纏まったようだ。
オスマン氏は三人を見比べ、思案する。
タバサはこの歳にして『シュヴァリエ』の称号を持つ騎士。実力は申し分ない。
キュルケはゲルマニアの名家の出で、彼女自身も強力な炎の魔法の使い手。問題なかろう。
ルイズ。数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵家の息女。そして……ええと。
オスマン氏はコルベールと顔を見合わせた。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:14:37 ID:xfeNjQD5
支援
704封仙娘娘異世界編 零の雷 7/16:2007/10/24(水) 01:14:58 ID:mhu5BvxT
まぁ、何だ。彼女自身はともかく、重要なのは使い魔である。
殷雷刀と名乗るこのインテリジェンスソードの青年。彼が本当に『ガンダールヴ』ならば……

「分かった。この件は諸君らに一任しよう。
 ――健闘を祈る」
ルイズ、キュルケ、タバサは直立し、「杖にかけて!」と唱和する。
後方の殷雷も、一応姿勢だけは正す。
「では、馬車を用意しよう。ミス・ロングビル、現地までの案内と彼女らの補佐を頼む」
ミス・ロングビルは一礼する。
「元よりそのつもりですわ」

彼女は、まるでこうなることが分かっていたかのように、満足げに微笑んだ。


 二


五人の乗る馬車は屋根の無い、どちらかと言うと荷車と言った方が良い物だった。
フーケが操る巨大なゴーレムに奇襲されることを想定すれば、このような形の馬車の方が対処しやすいのだ。
雨さえ降らなければ問題ない。
ただ、車内は少しばかり狭いため、殷雷は刀の姿に戻っている。だから正確には四人と一振りか。
キュルケが、御者を務めるミス・ロングビルに話しかけた。
「手綱なんて、付き人にでも握らせればいいんじゃないですか?」
ロングビルは微笑んで答える。
「良いのですよ。わたくしは、貴族の名を失った者ですから……」
「でもあなたはメイジで、オールド・オスマンの秘書なのでしょう?」
「オスマン氏は、貴族だとか平民だとかには余り拘らないお方ですので」
そう言って、曖昧な笑顔を浮かべる。その表情は穏やかながらも、拒絶の意志が見て取れた。
興味はあったが、余り追求するべき事ではないのだろう。
それきり、会話が途切れる。

ふと、タバサは気づく。ルイズの横に置かれた殷雷刀がやけに激しく跳ねている。
最初は馬車の揺れにによるものかと思ったが、それにしては動きが不自然だ。
頬杖を付き、ずっと外を眺めているルイズは、気づいていないようだ。
タバサは殷雷刀を手に取り、語りかける。
『……何?』
『一つ、重要なことを忘れていた』
705名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:15:54 ID:xfeNjQD5
支援
706封仙娘娘異世界編 零の雷 8/16:2007/10/24(水) 01:17:11 ID:mhu5BvxT
「ミス・ロングビル――だったな。一つ聞いていいか?」
タバサらしからぬ力強い口調に、その場の全員が驚く。
「あぁ、驚かせて悪い。俺だ、殷雷だ」
タバサは手に持った殷雷刀を振る。
「話には聞いていましたが……なかなか、その、面白いものですね」
ミス・ロングビルがくすくすと笑う。
タバサは顔をしかめた。
「……別に、面白がらせるためにやってる訳じゃないのだが」
それを見てキュルケが爆笑する。
「あっはははは! いやいや、これは面白いわ!」
「やかましい。ええい、本題に入るぞ!」
「はいはい、分かった分かった」
そう言いつつもキュルケとロングビルの頬は緩みっぱなしだった。
タバサはゴホン、と咳払いを一つして、言った。
「盗まれた『破壊の槍』とやら、どういった代物なのかまだ聞いていなかった」
非常に重要なことである。『破壊の槍』を持ったフーケと交戦する可能性は高いのだ。
相手の力を把握できていないのでは話にならない。
ミス・ロングビルは答える。
「わたくしも詳しいことは存じませんが……ただ、強大な力を秘めていて、ワイバーンをも一撃で葬ったとか」
「ワイバーンを一撃で? それはすごい」
キュルケが感嘆の声を上げる。
『……もういい?』
タバサが語りかけてきた。微かに顔が赤いところを見ると、照れているのかもしれない。
『ああ、悪いな』
殷雷刀を元の場所――ルイズの隣に戻す。
『ワイバーンを一撃、か。それだけでは宝貝かどうかも分からんな……
 ……ところで、ワイバーンって何だ』
また肝心なことを聞き忘れた。

そうこうしている間も、ルイズは一言も喋らなかった。


 *


森の中には魔法学院の中庭ほどの空き地があり、その真ん中に件の廃屋があった。
五人は茂みに身を隠し、正面の小屋を見つめる。
「あれが、フーケの隠れ家……」
人の住んでいる気配は感じられない。あの中にフーケは居るのだろうか?
タバサはちょこんと座り、己の立てた作戦を皆に説明した。

まず、偵察兼囮が小屋に近づき、中の様子を確認する。
中にフーケが居れば、これを挑発し、外におびき出す。
小屋の中に、ゴーレムを作り出せるほどの土は無いはずだ。
そして、出て来たところで魔法の集中砲火を浴びせ、これを撃破する。

と、ここまで説明したところでタバサは殷雷に視線を送る。
「この作戦に問題は無いか?」と言うことだろう。
殷雷は黙って頷いた。
「偵察兼囮は、俺の役目だな。――じゃ、行ってくるか」
そう言うと、殷雷は一足飛びで小屋の壁に張り付く。
束ねられた髪を広げ、周囲に雷気を放出する。雷気によって周囲の気配を探っているのだ。
まずは小屋内。そして、周辺。
しばらくそうした後、殷雷は頭の上で手を交差させる。
誰も居なかった時の合図だ。
隠れていた面々が恐る恐る近寄ってきた。
――少なくとも、小屋に罠は仕掛けられていないようだ。
意を決し、小屋に侵入する。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:17:39 ID:xfeNjQD5
支援
708名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:19:39 ID:WqUQPliy
はははは。犯人になんかこれっぽっちも興味はないねえ支援
709封仙娘娘異世界編 零の雷 9/16:2007/10/24(水) 01:20:30 ID:mhu5BvxT
ルイズと殷雷が外で見張り、タバサとキュルケが中へ。
ミス・ロングビルは辺りを偵察すると言い、森の中へ消える。
相変わらずだんまりを決め込むルイズに、殷雷は話しかけた。
「……やけに無口じゃねえか。いつもの調子はどうしたよ」
「……別に? いつも通りでしょ」
そう言いつつも、殷雷とは目を合わせようとしない。
全くもっていつも通りではない。
――そうこうしてる内に、キュルケとタバサが小屋から出て来た。
一見何の変哲もない、ただの槍を持って。
「破壊の槍」
「壁に立て掛けてあったわ」
……随分と不用心な話である。
タバサは『破壊の槍』を殷雷に手渡した。武器の目利きなら、本職が一番優れていると判断したのだ。
「……これが、『破壊の槍』なのか?」
まじまじとそれを見つめる。
「間違いないわ。以前、宝物庫を見学した時に見たことあるから。触ったのは今が初めてだけど」
ふむ。殷雷は息を漏らす。『破壊の槍』。これは――

ズン。

――突然、大地が揺れた。
空を見上げると、丁度巨大な『手』が振り下ろされるところだった。
「逃げろ!」
急いでその場を離れると、『手』は小屋を押し潰した。
「フーケのゴーレムか……!」
昨晩と全く変わらぬ姿で現れた、超巨大ゴーレム。
その狙いも、昨日と同じく『破壊の槍』であろう。
「どうせ取り返しに来るなら、こんな所に放置しないで欲しいわ……!!」
キュルケは文句を言いつつも、胸に挟んであった杖を取り出した。
一方のタバサは、文句も言わず冷静に敏速に、既に呪文を完成させたところだった。
巨大な竜巻を起こし、叩きつける。続いてキュルケの杖から迸った炎が、ゴーレムを包む。

ゴーレムは無傷だ。

「無理!」
「撤退」
キュルケとタバサは一目散に逃げ出した。
そして、ルイズは――

ゴーレムの胸部が小さく爆発を起こす。

ルイズの失敗魔法だ。
ゴーレムの表面はいくらか削れたようだが、致命傷には程遠い。
殷雷はルイズに向かって叫ぶ。
「ルイズ、逃げろ!」
ルイズの口が小さく動くが、殷雷の耳に声は届かなかった。
ルイズが杖を振ると、今度はゴーレムの頭部が弾けた。
――が、やはり効果は薄い。
殷雷は神速でルイズへと駆け寄り、有無を言わさずふん捕まえる。
ルイズの身体は、まるで砂袋のように殷雷の左肩に抱え上げられた。
即座にその場を離れる。
ゴーレムの足が、今までルイズが居た場所を踏み潰した。
710名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:21:37 ID:aHUfiu+R
破鱗槍術 支援
711封仙娘娘異世界編 零の雷 10/16:2007/10/24(水) 01:22:11 ID:mhu5BvxT
「何やってやがる! 死にたいのか!?」
「…………嫌」
「あぁ!?」
意味の通らぬ返答に、思わず聞き返す。
「私は、逃げない。逃げたくない」
「馬鹿かお前は! 無策で勝てる相手か!」
「敵に後ろを見せない者を、貴族と……」
それで死んでは元も子もない。どこまで難儀な人種なのだ、貴族というのは。
「……目当てのお宝は回収したんだ。このまま帰還してもバチは当たらんと思うがな」
と、言ってはみたものの、あまり現実的な手ではなさそうだ。
ゴーレムのこの巨体からそう簡単に逃げおおせるとは思えない。
馬車に向かって土の塊をぶつけられるだけで、殷雷たちは帰る足を失ってしまうのだ。
しばらく走った後、殷雷は手頃な木陰に身を隠し、ルイズを降ろす。
上空で、見覚えのある竜がきゅいきゅいと鳴いている。
タバサの使い魔の――確か名前はシルフィード。
その背中の上に、タバサとキュルケの姿が見えた。向こうはとりあえず大丈夫だろう。
ゴーレムは足元の敵の姿を見失ったのか、あちこち見回している。上にも敵はいるが、こちらは手が届かない。
……顔面まで土で出来たゴーレムが、どこで物を見ているのかは不明だが。
「まったく、こいつはどう考えても武器の領分じゃないな……どちらかと言うと兵器の――」
言いつつルイズの方を振り向き、絶句する。
ルイズは泣いていた。
「お、おい……」
「私は……あんたのおまけじゃない!!」
心の叫びだった。
「いつもいつも馬鹿にされて、キュルケにも、あんたにも……」
殷雷は目をそらし、気まずそうに頭を掻く。
泣かれるのは苦手だ。特に、女に泣かれるのは。
「うっく、あんたはギーシュに勝ったし、足も速いし、モット伯から私を助けてくれた……
 でも、私は? 私は一体何なの?
 キュルケには、私は要らないなんて言われちゃうし……そんなのって、ひっく」
殷雷は大きく息を吐くと、きっぱり言った。
「俺に対して劣等感を抱いてるなら、そんなもんはくだらん。捨てっちまえ」
ルイズは泣きやまない。
「大体だな。あー、素手で釘を打てないからって、大工が金槌に嫉妬するか?
 板前が包丁に仕事を奪われるか?
 ……まぁ、何だ。宝貝だなんだと言ったところで、所詮はただの道具だ。
 それ以上に意識することはねえんだよ」
「……納得できない」
「今納得しろとは言わん。まぁ、とりあえず何が言いたいかというと、だ。
 ……自分でも分からなくなってきた」
ルイズはぷっと噴き出した。
「と、とにかく。一人で先走ろうとするな。俺という道具を活用しろ。
 俺はお前の、使い魔なんだからな」
まだ目が潤んではいるが、ルイズは頷いた。
712名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:23:33 ID:aHUfiu+R
支援
713零の雷の人:2007/10/24(水) 01:27:09 ID:WtZaZF1E
はい規制入ったー!チクショウ!
714代理人:2007/10/24(水) 01:29:24 ID:xfeNjQD5
避難所で待ってるぜ
715名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:35:49 ID:XZ5otRvD
オンドゥル乙。

やっぱ一番最初のルイズは絞め殺したくなるなぁ……
って自分のエキセントリックな思考に軽く絶望
716封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:45:36 ID:xfeNjQD5
代理投稿行きます
717封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:45:58 ID:xfeNjQD5
 *


「……さて、どうしたものやら」
未だゴーレムは殷雷たちを見つけられずにいるようだ。
作戦会議をするなら今しかない。
「『破壊の槍』の力で、何とかならないの?」
と、ルイズ。だが殷雷は首を横に振る。
……破壊の槍、か。一応、言うだけ言っておく。
「……奴の狙いがこいつなら、いっそへし折っちまうのも有りかもな」
「無しに決まってんでしょ!!」
速攻で却下された。まぁ、当然か。
「となりゃ、正攻法だな。ルイズ、お前の力が必要になるな」
「……いいわよ。どうせ、私は持ってるだけなんでしょ?」
殷雷は不敵に笑う。
「いいや。むしろ主役はお前の方。俺はその補佐、かな」


 *


「こっちだ、デカブツ!」
右手に殷雷刀を持ったルイズが、ゴーレムの前に躍り出る。左手には『破壊の槍』。
ゴーレムがルイズに向かって足を振り下ろす。
ルイズは後方に飛び退き、それを躱す。
巨大な拳は、一瞬前までルイズが居た場所を踏み潰し、土砂をブチ撒ける。
ルイズはそれを難なく躱し、足に殷雷刀を突き刺す。
ゴーレムの足は、ルイズを乗せたまま持ち上げられる。
ルイズは殷雷刀と『破壊の槍』を交互に突き刺し、ゴーレムの身体をよじ上る。
途中の膝、肘、肩などは重点的に刺しながらも、さっさと頭頂部に到達してしまった。
脳天に『破壊の槍』を突き刺すが、やはり効果はない。
別に、頭部で制御しているわけではないらしい。
……まぁ、それは薄々分かっていたことだ。
ルイズの心が悲鳴を上げる。
『たっ、高い……!!』
『我慢しろ。フーケの奴だって乗ってたんだ』
『あ、あいつは肩だったでしょうが!』
『そうだったか。まぁ良い。どうせすぐ落ちる』
『せ、せめて降りると言って欲しひぃぃぃぃぃぃ!?』
ルイズはゴーレムの頭から飛び降りた。
途中で肩や拳などを踏んでいるため三十メイル急直下という訳ではなかったが、それでも相当な高さだ。
しかし、ルイズは平然と着地する。
平然としているのは身体を操る殷雷だけだったが。
『ううう、心臓に悪い』
『心臓止めるのは全て終わらせてからだ。行くぞ。ここからが本番だ』
ルイズはゴーレムに杖を向ける。
上空のキュルケから悲鳴が飛んできた。
「無茶よ! 効くわけがないわ!!」
ルイズと殷雷はそれを無視した。
『照準は俺に任せろ。お前はとにかく撃ちまくれ』
『撃ちまくれったって……』
『大丈夫だ。自分を信じろ』
『――よし!』
ルイズは呪文を唱え、ゴーレムの右膝が爆発した。
ゴーレムがひるんだ様子はない。
――間髪入れず、同じ場所に二発目の爆発が撃ち込まれた。
718名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:46:13 ID:aHUfiu+R
代理人支援
719封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:46:14 ID:xfeNjQD5

一発。二発。三発四発。ゴーレムの右膝を次々に襲う爆発。
――元々、失敗魔法の難点は二つだけなのだ。
一つは、命中精度。これは昨晩、ゴーレムを狙おうとして塔を傷つけてしまったことからも明らかだ。
だが、今は殷雷刀によって補われている。百発百中とはいかないが、さほど大きく外れることはない。
二つ目は、ルイズがどんな魔法を使おうとしても発動してしまうこと。
これは言っても仕方がない。むしろ、今はそれに助けられているのだ。
それどころか、一つの魔法としてその存在を認めてしまえば、これほど頼もしい物はない。
……というのは、少々言い過ぎかもしれないが。

ゴーレムの右膝が八度目の爆発を起こし、ついにその巨体がバランスを崩した。
上半身は何とか持ちこたえたものの、下半身は完全にただの土の塊に戻ってしまった。
『魔法だろうが土で出来ていようが、人の形をして動いている以上、関節や筋肉の役割を果たす物が存在する。
 そして、その強度は決して一定ではない……ってことだ』
『や、やった……私が、倒したの!?』
歓喜するルイズに、殷雷は冷静に告げる。
『油断するな。まだ上半身が生きてる。次は右肩だ』
『分かった! ――うおおおおおおお!!』
ルイズはさらに失敗――いや、爆発魔法を撃ち込み続ける。

そして、右肩が三度目の爆発を起こした時――唐突にゴーレムが崩れた。
腕だけではない。全身が、ただの土くれに戻ったのだ。
激しい土煙が周囲を覆う。

『お、終わっ……た?』
『……のか?』
今ひとつ釈然としないが、ゴーレムが復活する気配はない。
――と、そこへシルフィードが降りてきた。
キュルケはその背から飛び降り、ルイズに抱きついた。
「すごい! すごい! やったじゃないルイズ!!」
「うぐぐぐ」
誉めてくれるのは有り難いが、ルイズの頭を自分の胸に思い切り押しつけるのは何かの嫌がらせか。
キュルケの後ろから、タバサが声を掛けた。
「フーケをまだ見てない」
キュルケははっとして、ルイズを解放する。

――その時、未だ収まらぬ土煙の向こうから拍手の音が響いた。
人影が、土の塊の上に突き立った『破壊の槍』を引き抜く。
土煙が晴れる。

そこにいたのは、黒いローブに身を包んだミス・ロングビルだった。

「まさか自力でここまでやるとは、流石に予想外だったわ」
ミス・ロングビルの元へ駆け寄ろうとするルイズを、殷雷が制した。
ロングビルは続ける。
「この私がせっかく苦労してお膳立てしてやったのに、無駄骨だったかしら?
 『破壊の槍』の使い方、あんただったら分かると思ったんだけど……拍子抜け。
 『ガンダールヴ』とか言うのも案外当てにならないものね。
 それとも、ハゲとジジイの単なる勘違いかしら?」
『破壊の槍』を弄びつつ、くすくすと笑う。
ルイズは吐き捨てるように言った。
「お前が、土くれのフーケだったのか」
ロングビルは平然と笑う。
「だったら、どうする――?」

相手が台詞を言い終わる前に、ルイズは駆けた。
ロングビルに肉薄し、鳩尾に殷雷刀の柄を叩き込む。
720封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:46:31 ID:xfeNjQD5

ガキン。

奇妙な感触。少なくとも、人の身体を打った手応えではない。
続けて肩、心臓、眉間を立て続けに打つが、やはり先ほどと変わらない。
ロングビルが口の端を歪める。

高速で放たれた拳がルイズの顎を打ち抜く。

ルイズは後方に転がり、膝を付く。唾を吐き出すと、そこには赤い色が混じっていた。。
「てめえ、まさか……」
この手応えには、覚えがあった。
考えてみれば、『それ』がこの世界にあったところで何の不思議もないのだ。
「あぁ、眼鏡がグシャグシャになっちゃったわ。結構気に入ってたのに」
ミス・ロングビル――いや、土くれのフーケは、フレームが曲がりレンズの割れた眼鏡を放り捨てた。
優しげだった目つきが、猛禽類を思わせる鋭い物に変わる。
「――ま、勝てる自信もないのにノコノコと現れるほど間抜けじゃないって事よ。私もね」
黒ローブの下から、緑の光が覗く。
ルイズは後方に向かって叫ぶ。
「キュルケ、炎!!」
キュルケは慌てて言う通りにする。
杖の先から炎が迸り、フーケの身体を包む。
「無駄よ。分かってるんでしょう」
紅蓮の内からは、先と全く変わらぬフーケの声。
炎が消える。

黒いローブは燃え尽き、その下に纏う緑の衣が晒された。
無数に散りばめられた龍の鱗の刺繍。その一つ一つが、フーケの呼吸に合わせて明滅を繰り返す。
「これが私の最大の武器にして、防具。

 ――秘宝『竜の羽衣』よ」

ルイズがギリギリと歯を鳴らす。
緑色に輝く『それ』の本当の名を、殷雷は知っている。……捻りのない話だが。
「…………龍衣じゃねえかッ……!」
フーケは、優しく微笑んだ。それはロングビルと名乗っていた頃の笑顔と寸分変わらない。

「かっこいいでしょう?」
721封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:46:43 ID:xfeNjQD5

 *


「もういいわ。こいつの使い方は後でゆっくり研究させてもらう。
 じゃ、第二ラウンド開始と言うことで」
フーケの足下の土が盛り上がる。
土塊が再びゴーレムとして蘇ったのだ。
「また振り出しか……!」
否、振り出しではない。
殷雷は心の中で舌を打つ。魔法を連発しすぎたルイズの体力は、もう限界に近い。
ゴーレムが間近に迫る。
ルイズはキュルケらと共にシルフィードの背中に飛び乗った。
間一髪。風竜は辛うじてゴーレムの拳を回避した。

どうにか上空に逃れはしたものの、今度こそ打つ手はない。
殷雷が手から離れ人の姿に変化すると、ルイズは竜の背中の上にへたり込み、荒い息を吐いた。
……やはり、ルイズはこれ以上戦えそうにない。
「あたしかタバサならまだ戦えると思うけど……」
キュルケが申し出るが、殷雷は首を横に振る。
「無理だな。……あの土人形は何とかなるかもしれんが、肝心のフーケを倒す方法が無い」
フーケの上着――龍衣は、物理攻撃だけでなく魔法に対しても非常に強い耐性を持っている。
先ほどからキュルケとタバサは何度となく魔法攻撃を仕掛けているが、どれも全く効果はない。
さらに、龍衣に覆われてない部分――頭や手足にも防御効果があるようだ。
たとえルイズが万全の状態だったとしても、状況に大差は無いだろう。
「逃げた方が良い」
タバサが言う。敵を倒せる見込みがない以上、他に選択肢は無い。
「駄目……『破壊の槍』が」
脂汗を流しつつ、ルイズが声を絞り出した。
――『破壊の槍』、か。
「せめてあの槍があれば、龍衣はどうにかなるんだが……」
その『破壊の槍』は、今や土くれのフーケの手の内にある。
キュルケが首を傾げる。
「そう言えば、さっきは何で『破壊の槍』を使わなかったの?
 土のゴーレムがあの『竜の羽衣』より頑丈とは思えないんだけど」
キュルケの疑問はもっともだ。
『破壊の槍』でさっさとゴーレムを破壊していれば、ルイズもここまで消耗することもなかったはずだ。
殷雷が何を考えているのか、キュルケには分からない。
ゴーレムに『破壊の槍』は通用しない。
しかし、ゴーレムよりも遥かに厄介な『竜の羽衣』に対しては通用すると言うのか。
「別に『破壊の槍』なんて大それた物じゃなくても良い。『槍』でさえあれば何でも構わん……
 いや、いっそ槍ですらなくても――」
そこまで言って、気づく。

あるではないか。すぐそこに。槍ではないが、その代替になる物が。

タバサが殷雷の方を振り向く。そして、杖を差し出した。
己の身長よりも長い、杖を。
「ありがたく、貸してもらうぞ」
殷雷はそれを受け取る。
「絶対に成功させて」
メイジにとって命とも言える杖を手放すのだ。タバサは殷雷の目を真っ直ぐ見据える。
「任せろ」
それに応えるように、殷雷は力強く頷いた。
722封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:46:57 ID:xfeNjQD5

竜の背から身を乗り出す殷雷に、ルイズが声を掛けた。
「殷雷……」
不安に満ちた眼差し。
その肩を、キュルケが優しく抱き寄せた。
「信じてやりなさいな、あんたの使い魔を」
「……うん」
この二人、意外と仲は悪くないのかもしれない。
「じゃ、行ってくる」
殷雷はシルフィードから飛び降りた。


 *


地面に激突する寸前、キュルケの唱えた『レビテーション』によって、殷雷は空中に一瞬静止した。
悠々と地面に降り立つ。
ゴーレムは殷雷より数十メイル離れた位置に構えている。
その肩の上のフーケと目が合った。
「インライトー。大人しくするなら、あんただけは見逃してやってもいいんだよ?
 あんな小娘なんかより、ずっと有効に扱ってあげるわ」
この距離でも不自由なく声が届くのは魔法の効果か、それとも龍衣の機能の一つか。
「悪いな。これでも今の立場が結構気に入ってるんでね」
「ああ、そう。まぁいいわ。知ってるわよ。パオペーってのは、気絶させれば本来の姿に戻るんだってね。
 遠慮無く踏ませてもらうわ」
フーケがそんな話をどこで知ったのかは分からないが、そんな事はどうでもいい。
ゴーレムは、一歩一歩殷雷への距離を詰めてくる。

――殷雷は左足を大きく前に踏み出し、腰を落とした。
弓を構えるように、タバサの杖を両手に持つ。
左手の親指と人差し指の間に杖を乗せ、右手で反対側の端を掴む。
そして、その先端をゴーレムの肩の上のフーケへと向ける。

メイジですらない殷雷が、今更杖など構えて何になる。
ただのこけ脅しに過ぎない。
フーケはそう断じた。
――だが、急に湧き出したこの感情は何だ?
分からない。不安だ。この構えは不味い。一体何が?
フーケは、相棒に話し掛けた。
「あの構えは、何? 何をしようと言うの?」
胸の中から答えが返る。
「ギー。フーケが砕かれる確率が半分。
 命運盤が砕かれる確率が半分」
な――

「うおおおお――――ッ!!!」
壮絶なる気合の絶叫と共に、殷雷は杖を投擲する。
その声を聞いた途端、フーケの――いや、龍衣の動きが一瞬だが止まった。

その次の瞬間、タバサの杖は龍衣を打ち砕き、フーケを地面へと叩き落とした。

殷雷は深く、深く息を吐く。
「…………その気になれば、槍じゃなくても何とかなるもんだな」
723封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:47:09 ID:xfeNjQD5

 *


大地に横たわるフーケ。その周囲には龍衣の破片と、先ほどまでゴーレムであった、大量の土砂。
死んではいないようだが、肋骨の何本かは折れているだろう。しばらくは動けまい。
殷雷は、フーケの傍らに転がる『破壊の槍』を拾い上げた。
特に目立つ損傷はないようだ。……あったところでどうという物でもないのだが。
「結局、その『破壊の槍』ってどういう物だったの?」
まだ少しふらつき気味のルイズが、当然の疑問を口にした。
トリステイン魔法学院にて厳重に保管されていた秘宝、『破壊の槍』。
かつてワイバーンを一撃で倒したという逸品だが、彼女の目には何の変哲もないただの槍にしか見えなかった。
当然だ。
「どういうもこういうも、見たままだ。ただの槍だよ。安物のな」
殷雷はそう言うが、ルイズにはどうしても納得できない。
「……でも、それならフーケにだって分かりそうな気がするんだけど」
それは確かにその通りだ。まぁ、詳しいことは本人に聞くしかあるまい。
とにかく、フーケが動けるようになる前にさっさと拘束してしまおう。
縄は確か馬車に積んであったはずだ。

――と、その時。
横たわるフーケが目を大きく見開いたかと思うと、彼女の周囲の土砂が爆ぜた。
猛烈な土つぶてが殷雷たちに襲いかかるが、所詮はただの土。痛手には成り得ない。

――土の嵐が止んだ時、そこに土くれのフーケの姿は無かった。

「逃げられたか……!?」
最後の最後に何という失策。
地中にでも逃げたのだろうか。フーケの気配は全く感じられない。
まだこれほどの余力が残っていたとは、信じ難いことだった。
その場には、龍衣の残骸だけが残された。
――いや、違う。
龍衣の中に、明らかに違う残骸が紛れ込んでいる。
中央付近で真っ二つに割れ中の珠が散乱しているが、『それ』もまた、殷雷には見覚えがあった。
「こいつは……命運盤だ」
オウムに姿を変え、未来を予測する能力を持った算盤の宝貝。
恐らくこいつが盾となり、フーケを杖の直撃から護ったのだろう。
命運盤を持っていたとなれば、納得のいかなかった幾つかの疑問が解消される。

――だが、同時にもう一つの疑問が湧いて出たのも事実だ。

龍衣の残骸を弄っていたルイズたちが、殷雷を呼ぶ。
「ねえ、インライ。これ、文字だと思うんだけど……読める?」
龍衣の内側の懐に施された刺繍。少しばかりひび割れているが、読むには不自由ない。
それを見た殷雷の身体が、びくりと震えた。

――何となく、薄々、そんな気は、していた。

『鏡閃』

――そう、刺繍されていた。
724封仙娘娘異世界編 零の雷(by代理人):2007/10/24(水) 01:47:35 ID:xfeNjQD5


700 名前:零の雷の人 投稿日:2007/10/24(水) 01:43:15 [ 7VhTZMgo ]
以上です。……ちょいとばかり、暴走しすぎたかもしれません。色々と。

=============

以上で代理投稿終了です
725名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:52:15 ID:aHUfiu+R
乙っしたー
鏡閃のだって!?とんでもない事になったなぁ……
726名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:53:32 ID:iknXZDnh
ウサギにも勝てない竜殺しの槍GJ!
727名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:53:59 ID:Qq8rtWfq

いろいろと忘れてるなぁ
早く新作が出ればいいのに

竜衣の欠陥って何だっけ
728名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:58:41 ID:WqUQPliy
零雷氏&代理人氏乙! しかしこうもストレートな竜の羽衣はそうそうなさそうだなw

>>727
龍衣は宝貝じゃないから欠陥はないはず。
原作でも壊され(?)てたが、それは相手をしたヤツと使い方が悪かっただけだし。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:59:10 ID:aHUfiu+R
龍衣は龍華仙人の創ったのではないから欠陥はない。
ワイバーンも龍衣も龍に関わるため、破鱗槍術が効いたと思われ
730名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 02:12:28 ID:X5ZFFRBM
鏡閃の龍衣か。
奴までこっち着てるといろいろと複雑になりそうだな
731妖精の人:2007/10/24(水) 02:38:03 ID:dQxc7zad
こんな時間にひっそりこんにちわ
ピクシーのキャラ掴むためにZEROやって
るいずととらを読んでたら、いつのまにか…
投下します。
732ゼロの妖精:2007/10/24(水) 02:39:44 ID:dQxc7zad
ルイズは激烈に不機嫌だった、呼び出した男…ピクシーだとか言う男は
自分の儀式における重要な発言を全て無視し、ただ言われるままに
自分のファーストキスを受け、何故か自分に背を向け歩き出そうとし
そして、あっさり気絶した。

周りには「平民を召還した」とか「ルイズのキスは大の大人を気絶させる威力」と馬鹿にされるわ
頼りのコルベール先生も気絶した男の左手に浮かんだルーン…
なにやら奇妙に捩れたリボンのようなものを見て「ほう、これは珍しいルーンだ」とか
言いながら、それをスケッチするだけスケッチして、他の生徒を引率して
学園に戻ってしまうし、男と一緒に召還された奇妙なゴーレムともなんとも言えぬ物体は
うんともすんとも……あとで、自力で男を運ぶ際、遠くから初めて全長を見た

それは羽ばたいている鳥を上か、後ろから見た姿を平面に固定したような形で……
なんだかよくわからないが、触る限り、鎧や剣と同じ鉄でできていて、形自体は綺麗な左右対称
先ほど男が現れた位置には、彼がかぶっていたと思われる兜(それにしても変に丸い妙な形の)
体、と思われる場所の上には目と思われる巨大なものが装着されていて
後方には、太い、大砲のような穴が見えていた

……唯一、左右非対称なのは、鳥として見た場合、右羽根の部分が赤く染められていた。

「目があるなら、見えてるんでしょ……まったく、どうにもならない愚鈍ね、大きさのわりには
 妙に薄っぺらいし……鳥だとしても、片羽をどこかに落っことして、別のをつけたって感じね」

ぶつぶつ言いながら、その男の体を引きずり、学院の自分の部屋へと運ぶだけで
日が暮れて、夜になってしまった、男は作業服というのか、やたらポケットがついた服を着ていて
…その下の体はルイズであっても、鍛えているのが判断できた、運ぶとき、やたら重かったのだ。




運びこまれて数時間後、ピクシーはようやく目を覚ました。
瞼が震えるほどゆっくり目を開く、どうやら、目覚めがあるということは死んではいないらしい
だが、問題は解決していないらしい、そこは最終決戦の場であるアヴァロンダムではなかった
左手に被弾したような痛み、夢でもないようだ……顔をあげると、さきほどの桃色がいた
腕を組んで、仁王立ち、なんというか、あれだ、激烈に不機嫌そうだ。

「よお、ご主人様、目覚めのコーヒー淹れてくれないか」
「なっ……!!」

オーケイ、激烈に不機嫌そう、じゃなくて、激烈に不機嫌だ。

「なによ!使い魔の分際で、ご主人様にい、い、い、いきなりお茶汲みを要求ですって!?
 あなたの自分の立場を弁えているの!?使い魔のクセに!使い魔のクセに!!」
「ああ、騒がないでくれ、頭と左手に響く……クソ、やはり怪我でも…」

先ほどから、いまだに鈍い痛みを伝えてくる左手を見下ろす、掌にはなにもないが
甲に、なにかのイタズラ描のような傷跡のような、刺青のような文様が浮かんでいる
これは……メビウスの輪?
ピクシーはルイズがなにか、杖を振りかぶるのが見えたが、それで殴る間合いにも遠く、なにも警戒していなかった。
733ゼロの妖精:2007/10/24(水) 02:43:11 ID:dQxc7zad
瞬間、爆音、衝撃。

油断した、油断しきっていた、相手の杖、なにかが仕込まれていたのか
爆風をモロに受け壁に叩きつけられ、再び意識を刈り取られそうになるが、歯を食いしばり、持ち応えた。
まずい、どうにかしなくては、反射的に腰から銃を抜くと、相手に向けようとして、止まった。

相手も…焦げていた。

「おかしいわね……ちゃんと唱えたはずなのに…」

そんなことをブツブツ言いながら、体についた煤を払い落とす相手に、なんだか笑いが込み上げてきた…
どうにか、それを、噛み殺しながら、銃をしまい、すぐ横にあった窓の外を眺める、星だ、星が見れれば
緯度経度などが……オーケイ、わかった、少なくとも地球上にはいないようだ、月が二つ、とは。

「わかった、わかった、とりあえず、話を聞こう、魔法とやらも見せてもらったし
 さすがに月は用意できないだろうからな」
「…?なに言っているの?…まあ、いいわ、あなたがわかってくれれば幸いよ
 あのあと胃が痛くなるまで 迷ったけど、あなたを使い魔にすることに決めたわ、いい?」
「…随分と勝手に話が進むな」
「あなた、私の大事な台詞、全部聞きとばしていたものね、とにかく!
 契約を結んだ以上は私の目となり耳となり、私に忠誠を近い、私のために生きなさい!いいわね!?」
「そういえば、そんなことも言っていたが………まあ、いいさ、結局戻るべき場所もない番犬だ
 やるべきことも、すべてできなくなった、忠誠……はともかく、働きはしよう」

ピクシーとしては、元いた世界から『国境』を無くそうとテロ活動はしたものの
それらの手段となる超大型空中母艦も、凄腕のエース達も
そして、全てをゼロに戻そうとしたV2ですら
『鬼神』に阻止されてしまった、もはや手札はない、先に残っているのは行き止まり
元居た場所に……どこにも居場所はない。
渡しに船、とは言わないが、いいチャンスだ、不服だったら飛び出してもいい。
傭兵というものは理想ではなく、現実を見据え、常に状況を見極めて渡り歩くものだ
『鬼神』は違うかもしれないが、ピクシーの持論はそれだった。
734ゼロの妖精:2007/10/24(水) 02:44:26 ID:dQxc7zad
話を聞けば、依頼内容は三つらしい
1、文字通り、感覚を共有し、目となり耳となり行動すること
  もっともルイズはピクシーに対し、感覚を共有できないので
  実質的にはこれは存在しない依頼。
  (ピクシーはこれをAWACSと戦闘機に変換して考えた
   おそらく、ECMでも作動しているのだろう、とジョークを飛ばしかけたが押しとどめた)

2、ルイズの求める品(主に調合に使用するものらしい)を
  調べて集めること…これは近辺の探索を兼ねて後に実行することに。
  (ピクシーはこれを偵察任務と変換して考えた
   撮ると採るでは大いに違う、とボケを飛ばしかけたが踏みとどまった)

3、ルイズの護衛、そして身辺の世話

「あなた、運ぶときにわかったんだけど、なかなか鍛えてあるようだし、戦いはある程度できるわね?」
「戦いは本職だが……いまいちジャンルが違うな、俺は空中専門だ」
「空中?竜騎士かなにかだったの?あなた?……そういえば、あの変なもの一体なんなの?」

もしや、この男平民ではなく騎士の部類か、とルイズの瞳が輝くが
ピクシーは頭を振り、言葉を続ける

「あれは飛行機、わかるか?空を飛ぶ乗り物だ、アレに乗って、空中で、戦う」
「…………ばっかじゃないの?」

瞳の輝き、即座に消えて、なにやら、胡散臭いを通り越して、なにか可哀想なものを見る目で
ピクシーを見つめるルイズ、ピクシーはその視線に、あえて口を開かなかった

(あんな鉄の塊で飛ぶとか…これは相当に重症な人ね
 あー…やっぱりこんなのを使い魔にするんじゃあなかった!)
(さすがにファンタジーの世界で戦闘機を口で説明してもな…
 おそらく「相当に重症な人」とか考えられていそうだ、必要なときがくるまで、黙っているか…)

重苦しい沈黙の中、ルイズがさっさと着替えながら、冷たい口調で口を開く
さすがに頭のおかしい男に着替えを手伝ってもらうつもりはない、手早く、早業で着替える
途中、ピクシーが口笛を吹いたような気がするが、もうツッコむ気にもならない。

「私、もう寝るから、授業が始まる前に起こして、服は洗濯しておきなさい」
「ああ、了解、ところで」
「なに?」
「頼んだコーヒーが出てこないんだが、まだか、ご主人様」

無言のまま、ベッドに横になるルイズ
無言のまま、ため息をつくピクシー
…部屋の隅に「ここで寝なさい」とばかりに藁が敷き詰められていた。
まあ、雪山でのベイルアウトよりはマシさ、と自分に呟きながら、ピクシーはそこに横になる。
ついさきほどまで、意識を失っていたが、割とあっさりと眠れた。

そうして、片羽の妖精とルイズの初日が終わる。
735ゼロの妖精:2007/10/24(水) 02:46:10 ID:dQxc7zad
以上です、指が動くように打ったのですが…。
これ、ピクシーじゃなくてチョッパーじゃないんでしょうか…。
736名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 02:52:51 ID:4vfzbO/J
乙。チョッパーならもっと陽気さ、多分。後、ロックが聞けない事にがっくりする。
というかルーンがヤバイ気がするんだが。
たった一機で絶望的な戦局をことごとく覆して最後には勝利に導いてしまったエースの象徴じゃないか。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:00:28 ID:hHm4lq0l
GJ!!
ところで気になったんだがコーヒーってトリステインにあったか?
738名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:00:52 ID:uFlWkwrH
乙ー
リボン付きになったと言う事は……
<<大変だ、ジャン・ルイ! 敵は全部リボン付きだ!>>
とか言い出す訳だな、主にアルビオンの竜騎士達が
739名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:07:28 ID:dQxc7zad
>>737
もしかしてないんでしょうか…アニメ版じゃあ、お茶みたいなの飲んでたから
おそらくあるだろうと……もしないのなら、後日修正させていただきます
740名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:07:42 ID:wSC9PiHP
妖精の作者GJ!
そしてそのルーンは…

《ジャン・ルイ大変だ!妖精はリボン付きだ!》

・・・ですか><;
741名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:28:56 ID:Qq8rtWfq
>>739
原作ではお茶を東方からの珍味?としてシエスタがサイトに振る舞ったり
酒屋でバイトしてるときにジェシカがお茶屋をライバル視する発言があった
だからお茶はある
ちなみに、東方から輸入されてる…事になってるが本当のところはアヤシイ
みたいな記述もあった
742名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:31:20 ID:Q2VwXYUC
>>737
こっちではアラブから欧州に広まったコーヒーだが
ハルケギニアはあっち方面と仲悪そうなんで、輸入されてる可能性は低い
材料になる豆も、欧州では貧者の糧であるはずの豆食の描写が無いし

でも、異世界人の召喚でその辺が引っくり返ってる可能性は大きい
M72持ってたロングビルの恩人がアメ公ならコーヒーを求めないわけないし
シエスタのひい爺さんが居た旧海軍も結構コーヒー好き
それにコーヒーは豆とか麦、ドングリやタンポポの根で意外と自作簡単

結論、ゼロ本編がどうあれ「ある」「ない」の双方でそれぞれ色々な世界は広がり、楽しめる
743名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:32:20 ID:Q2VwXYUC
ロングビルじゃなくてオールド・オスマンでした、お恥ずかしい
744名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:38:46 ID:BmKyiM33
<<ああ!ジャン・ルイがやられた!>>
Xの公式で遊べるクイズをミスってこう言われた時は噴いた。スタッフ公式の死亡キャラですかw
745名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:41:55 ID:9szdAigF
ネクロマンサー召喚の意見を聞いてから、TOの二バスで2日ほど考えたが詰まった
ロウ・テロリストエンドのロードデニムのが面白いかもな。
746名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:48:25 ID:YxMLPmsl
召喚場所は学園の中庭だし滑走路もない重すぎて動かせない、
乗機がF-15Cだと置物にしかならんぞ。
747名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:53:00 ID:YxMLPmsl
というか、学園の地盤がアニメの描写のとおり土だと自重で沈む。
748名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 03:57:32 ID:BmKyiM33
そこは固定化という魔法のような、というか魔法そのもののご都ピー主義で解決
749名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 04:01:28 ID:YxMLPmsl
中庭に永久安置
本格的に置物への道まっしぐらじゃないかw
750名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 04:11:09 ID:sPbwwoNN
風の魔法で高高度まで巻き上げて
そこから無理矢理wwwwww
751名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 04:12:56 ID:eBb73eHz
物凄い亀だが、アメコミヒーローならシルバーサーファー召喚というのを……
うん、ごめん。どう考えても強すぎるよね。

単発ホラー系ネタならマーベル・ゾンビーズというのも考えたんだが。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 04:15:10 ID:gOY4c2XQ
>>741
緑茶と紅茶の違いは摘んだ後の加熱処理でできる物だからな
753名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 04:51:57 ID:z4fuJzP4
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
『続きを書こうとしていたら、いつの間にか原作を読んでいた』
な…何を言っているのか、わからねーと思うが、俺も何をされたのか分からなかった…
モニターに映った自分がニヤニヤしてやがった…
続きはどうしたとか、持ち帰った仕事はどうするんだとか、そんな些細な事は忘れちまう
もっと恐ろしいゼロ魔の面白さを味わったぜ…




と言うわけで、夜が明けてしまった。みんなおはよう
754名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 05:31:30 ID:qZxdhG1U
おっぱぴー
755名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 05:59:29 ID:NoUqEj5G
皆さん乙です。
ルイズが召喚したのが平民とか罵倒すればものっそいキレて魔法なり超能力なりで怒るキャラでした。とか見たいなぁ。
今までスレで挙がったので思いつくのは朽木ルキアとかトォニィとかしか居ないけど。
あとはトリブラのセスとか?いくらメイジでもハルゲギニアの人間はみんな短生種だし。

式神の城のふみこたん召喚とかダメか?
756名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 06:55:16 ID:hLC4Wk5f
ガンオケからテンダーFOXを召喚。
着込んで骨格から体を女らしく変えられてしまうルイズ。

色々と必要な物が無いから着れないだろう、というツッコミは却下だ。
757名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 07:17:08 ID:OEqehHDi
>>755
平民呼ばわりされてキレそうな超能力キャラというと、
サイキックフォースのカルロとか刹那あたりか?
758名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 08:42:28 ID:qEh6HkkD
>642
美久だけ呼んだ場合…
ゼオライマーに呼び戻されるでしょう

ゼオライマーごと呼んだ場合…
原作後だとグレートゼオライマーに改造しそうです
スクウェアメイジも真っ青の属性攻撃が荒れ狂うでしょう

さずが冥王様
759名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 09:00:36 ID:UERaz/eC
>>757

切れはしないだろうが限り無く問題児で
マイトあたりも何か反応するかもね。ハンターだから
見境無し逝っちゃうかもだが
760名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 09:02:11 ID:dw2LkjgS
ちょーっとSS続き書く上でのアンケート

本スレではエログロ禁止ってことなんだけど
どの程度ならおkと思う?

本編みたいな『裸エプロンで「あたしをた・べ・て♪」』とか
テファの爆乳を煩悩のままに揉むとか
混浴とか

本編レベルなら引かれないかのぉ
761名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 09:08:09 ID:WqUQPliy
少年誌レベルまで……といいたいが、昨今の少年誌の迷走っぷりを見るに線引きが難しいな。
つーかあれだ。そんな心配ならその回の話だけ避難所に投下すりゃいいじゃん。
762名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 09:13:52 ID:5sb3u2T4
ご立派さまクラス以上は避難所へ
763名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 09:18:33 ID:R9vyOLiI
>>760
エロは原作くらいなら問題はないと思う……本番行為はアウトだろうが
グロは少年誌レベルでいいのでは?
764名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 09:19:44 ID:UERaz/eC
のび太さんのエッチぃ+2くらいと目安でも立てておいたら?
でも、あんまり不安なら避難所逝った方がいいな。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 09:54:03 ID:tw0BHGZG
ニコ動でこんなものが
ドリルの使い魔
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1235166
766名無しさん@お腹いっぱい。
>>762

ではご立派様クラスならおk?ッと思ったがその前に

ご立派様って避難所でなく、このスレでやってたのか!?