電王とコラボしても大丈夫なアニメ

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128奪われた者の記憶
彼女は毎日一人分多い量の食事を作る。
いなくなってしまった家族。帰ってくるはずだった息子。
警備会社に泣きついてまで息子が最後に通った電気店の防犯ビデオの画像を見せてもらった。
四方手を回したが、息子に返事の一つはおろか手がかりの一つも存在しない。

だから………………その言葉を聞いたとき、彼女は心の底からの願いを言ってしまった。

「貴方の望みをなんなりと…………。」
「私の息子を………才人を探してください…………。」


ゼロの使い魔外伝  奪われた者の記憶


その言葉に応じて『それ』は形を出現させた。
『イマジン』とよばれる彼等は人の思いを強く思い出させることで過去への扉を開く事ができる。
その『イマジン』もまた過去へと飛び、ある男を殺す事を目的としていた。
その男のいる時間は、いなくなった説明を受けた電気店の中。
その時間に行く為には…彼女の記憶から説明を受けた時の記憶を強く思い起こさせる必要があった。

……もう一つ、方法が思いついた。

「奥様、私は過去へと飛ぶ事が出来ます。」
「…………!!」
「もしよろしければ平賀才人君のいなくなった少し前の時間に行って、彼を止めてあげましょう。」

それは悪魔の誘惑。彼女にそれを止める事など出来る筈が無い。

「では………」

彼女の体から扉が開き始める。
そして『イマジン』はその体の中を通って過去へと飛んだ。
129奪われた者の記憶:2008/04/06(日) 20:57:31 ID:BUQWjvPJ
ドタバタと家の中で音が響く。
額にカードがかざされて、そのカードを見せられる。
「この日付に見覚えは?」

「この日は……才人が電気店に行くって言って……そして二度と帰ってこなかった日……
 才人……戻ってきて………。」

テーブルの上には何枚かのポスターが置いてあった。その全てがいなくなった当時の才人の特徴が書かれているのだろう。
「行こう……過去が壊される前に!」
その言葉に彼女は少年の体をガシッっと掴む。
「壊されたって良い!あんな過去なら無くなってしまえばいい!」
その言葉に少年の動きが止まる。それでも……
「過去が消えたら、今も未来も全て消える。それだけは阻止しなきゃいけない。
 わかってるだろう? 野上。」
もう一人の青年?が現れてそう言葉を繋ぐ。でも……それでも……。
「才人には……戻ってきて欲しいんです………」

過去……『イマジン』はまず契約を果す事にした。
料理している彼女から出てきて、電気店を目指す。
第一目標がいた。『平賀才人』だ。電気店から出てきたところを引っつかまえて、屋上まで運ぶ。
「なっなんだよ!いきなりこんな所につれてきてどうするつもりだよ!」
「おまえなあ、家出考えてるんだったら止めておけ! 父さん母さん悲しませてまで何処行くつもりだ?」
「はぁ?」
「大体なあ、パソコン一つで生活できるほど世の中甘くないぞ!」
「あのなあ、俺一回も家出なんて考えた事ないよ!」
「ふざけんな! お前が家出したせいでなあ! お前の母さん悲しんでいるんだぞ!」
「だぁかぁらぁ言ってるだろう、俺一回も家出なんて考えた事も無いって」
「じゃあなんでいなくなったんだよ! 答えろよっ!」
130奪われた者の記憶:2008/04/06(日) 21:02:10 ID:BUQWjvPJ
そんな押し問答が続く。答えなんて出るはずが無い。少なくとも『今』の時点ではその答えが出るはずが無いのだから。
そしてその『答え』は才人の後ろからやって来た。 光る鏡のような存在が才人の後ろに現れたのだ。
「後ろ! 後ろ!」
『イマジン』がそう言って、才人の後ろを指差す。後ろを振り向いて慌てて『それ』が何か探ってみる。
瞬間、光の鏡と共に才人の姿が消えた。
その鏡のあった場所を探ってみるが、そこには『才人』がいたと言う証拠は何一つ残っていない。
「ちぃぃぃぃくしょうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
『イマジン』はそう叫んで、動きを止める。まあ良い『契約』の方は後回しだ。それよりも……。
再びあたりを見渡す。いた。ターゲットだ。まずはそっちをやってやる……!!
だが『イマジン』は急に後ろから撃たれた。

「お前……倒すけど良いよね!」
「良いわけ………」
「答えは聞いていない!」

かくして、『イマジン』は倒され時の運行は守られた。
だが、『彼女』は祈り続ける。プリミルではない何者かに。只の少年『平賀才人』の安全を祈って。

                                                 === 完 ===

ここまでです。