リリカルなのはクロスSSその19

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
荒らし、煽り等はスルーしてください。
次スレは975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190950386/

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ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190209861/
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ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1185640072/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184997868/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184393091/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1183637309/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1182871170/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1182002145/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1180901290/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1179746193/
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1177202668/

*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS雑談2
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190729406/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 21:47:44 ID:usrbOp9K
次回は記念すべき20スレ目
3リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 21:57:26 ID:C8hyPMmz
>>1 乙です。

では、投下します。Bパート

タイガトロン『拙者はタイガトロン。今回は拙者を助けてくれた御仁が登場するでござる。』



ディスクを持ったまま考え事をしているカリムを不思議に思ったコンボイは声をかける。
「カリム、知っているのか……エイリアンディスクの事を?」
「はい、私達が学校で学んだ歴史で聞いてはいます。遥か昔に宇宙を創造したエイリアンが様々なメッセージを記した。と」
「ダイノボット、これはメガトロンから奪ったのか?」
こくりと頷くとダイノボットは眼から水色の光線を出す。
光線は一つのモニターを作り、ダイノボットとメガトロンが戦っている記録を私達の前に映し始める。
「俺はメガトロンにボロボロにされた時にソイツは破壊したんだ。けど、この時代に辿り着いた時になんでかソイツは新品同様に修復されてたんだ。」

記録にはダイノボットが叫び声をあげてディスクを眼から放つエネルギーで破壊し、そのまま倒れ込む所で映像は途切れる。
「今の大きなトランスフォーマーが破壊大帝メガトロンなの?ダイノボット」

「そうだ、鼻毛がジャン○ル大帝の最低な野郎だ。俺はこの後、起きてきたメガトロンと闘って……此処に来たのはそれからだ。ダァーッ」
「そうゆう事になるな。 カリム、ダイノボット。エイリアンディスクをそのまま君達が預かってくれないか?私は執務官としていろいろ動かねばならない。 中には様々な記述が書きつづられているのだろうからな」

「未来の事も……ですか?」
カリムは真剣な眼差しで私を捉えながら尋ねてくる。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 21:59:33 ID:2wsNfK4j
宣伝
アニメキャラバトルロワイアル
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なのはが出てるし、SS好きなら見といて損なし
面白かったら、
アニメキャラバトルロワイアル2nd
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こっちもよろしく
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 22:06:25 ID:usrbOp9K
支援
6リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:11:33 ID:C8hyPMmz

「ああ、エイリアンディスクには未来の事も書き続けているはずだ。」
「書かれてるぜ、レリックの事やメガトロンが築いた未来がよ……」

「本当か、ダイノボット?」
「ああ、本当だ。これから起こる事が、な……。」
ダイノボットはカリムからエイリアンディスクを受け取り、机のコンピューターにディスクを読み込ませる。
キーを早々と打ち込んでディスクの文章をモニターに表示させていく、そこに書かれている文章は二人を驚かせるのに充分であった。
『71の年の4の月、遺跡を初めとし、地上のレリックという名のロストロギアを廻る新たなビーストウォーズが始まり。8番の空の港に新たな印が出現する時、破壊の機竜の心が覚醒を始める』
「来年だ……来年からメガトロンの野郎が動き出すんだ、ダァーッ」

「0071年…レリック…空港、破壊の竜……一体何をするつもりだメガトロンめ」

「レリック……。実は私の能力もその文章に近い予言を出しています。」
「君のレアスキルか……」
はい。と頷き二人の前に出たカリムは、手に持った古紙としか見えない束の紐を解く。

「はい、私の能力『プロフェーティン・シュリフテン』これは最短で半年、最長で数年先の未来、それを詩文形式で書き出した預言書の作成を行うことができます。
二つの月の魔力がうまく揃わないと発動できませんから、ページの作成は年に一度しかできません」
紙の束は一枚一枚光を発し、カリムの周りを囲むようにして回りだす。その内の2枚がコンボイ、ダイノボットのもとに送られる。
「預言の中身は古代ベルカ語で、しかも解釈によって意味が変わることもある難解な文章。
世界に起こる事件や事柄をランダムに書き出すだけで、解釈ミスも含めれば的中率や実用性は割とよく当たる占い程度、つまりはあまり便利な能力ではないのですが」

「それでも管理局は無視できはしないだろう。」
コンボイの尋ねにカリムはええ、と頷く。
ダイノボットは見た事も無い字に頭を悩ませて、コンボイに尋ねる。
「なんて書いてあんのかわかんねぇな……おい、コンボイ?」

「しかし、この文字は……」
コンボイにとってその言語は見覚えがあった。
特に『ベルカ』と言う名称に。 かつて、自身がマトリクスを授与した新たなコンボイが関わる名称だ。彼が報告書にこれに似た文字を使っていた……。

−そういえば……君は第2次グレート・ウォーを次世代のコンボイ、マグマトロンに力を貸して終結させ、どこにいるのだろうか。
懐かしい存在をふいに思い出す。感慨深くなっていた気持ちを切り替え、コンボイは顔を横に振る。
「いや、気のせいだ。私にも解らない。」

「それで……この予言能力に、つい最近から少しづつ、ある事が書き出されているんです。」
カリムの方を見るダイノボット、カリムは頷き、予言を読む。

「まさか……」
予言の内容に、すぐに反応するコンボイ達。
「デストロンの手による、ロストロギアをきっかけに始まる変換。」

「変換?破滅とかじゃねえのか。」
「書きかけなので今はまだ……。」

紙を束に戻しながら告げるカリムにコンボイは言い知れぬ、胸騒ぎをしていた。
メガトロンが何を望んでいるか。歴史の改変を……まだ捨てていないのか。
そして、破壊の機竜の存在が心に引っ掛かっていた。
7リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:16:29 ID:C8hyPMmz

0070年09月04日 21:00

時刻が切り替わった頃。第4陸士訓練校、模擬戦場において。ランページは自主訓練を終えていた。
ライノックスやフェイトの働きもあり、魔法が使えない彼の手に握られているライフルとガルバガトリングはエネルギー弾も扱えるようになった。

今は他の訓練生や教官はこの時間でもある為に居ない。休憩室に戻ろうとした彼はいきなり、方向を変え。何かに呼ばれるように模擬戦場の森林地帯のフィールドに脚を踏み入れていた。
此処は寮に繋がる休憩室からはかなり遠い。また、森林のおかげで夜は普通の訓練生では迷ってしまう。

「だいぶ、奥まですすんでしもうたのう。」
−こりゃ、確かに迷うのも頷けるわ。そこらに木の根っことかが這っとる。月明かりもろくに入ってこん。

だが、トランスフォーマーのワシにゃ関係ないわ。こんな邪魔な木などちょっきんすりゃええ話じゃ。
ある程度進んだところでランページは来た道を振り反る。
「しかし、さっきから誰かがワシを呼んどる気がしてならん−−」
ランページは直ぐに気配を察知し、ライフルを前方に突き付ける。こいつらか……さっきからワシを呼んでたのは。

前方に視線を戻すと木々の奥から笑い声と共に二つの影がこちらに歩み寄ってくる。
「笑い声と共に現れる悪役、北町奉行のメガトロン様のおなーりー。で良いですか?」

「クアちゃんってば北町奉行なんてつけたら矛盾しちゃうよ〜。やはり、魔法感知もビーストモードでは出来ないようだ。それにしても久しぶりだな、お猿の次郎くん」

影からの声にランページは動揺もせずにキっと睨み据えると、月の光が姿を照らしだす。メタルスのティラノサウルス、眼鏡をかけた女性がそこに居た。
「だからワシゃカニじゃて言うとるじゃろが。なんのようじゃ!?メガトロン!」

激昂するように叫ぶランページにメガトロンはやれやれとどこか面白そうなものを見るような眼で彼を見据えて肩を浮かせて答える。
「おやおや、久しぶりにあってそんな挨拶はないだろ。ふふふふ、簡単な話だぁ。時空管理局なんぞ今月から民営化になる所は止めて俺様の所に帰ってこい。新しい基地にはお前特徴の犬小屋まで用意しているんだ」

「じゃから、ワシゃカニじゃ」

8リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:24:29 ID:C8hyPMmz

−誰がお前の所に戻るか。今のワシにゃ守らなきゃならねえ友達がいるんじゃ。
「ふざけた事吐かすなや、お前らハチのウィ○・スミスにしたるぞちょっきんな!」
「まあ、待ちたまえランページ。もちろんお前へのサプライズプレゼントも用意したんだ。ホームア○ーンの泥棒もびっくらこきマロミックスだ。アニ○ロミックスのなのはボイスも要チェックだ」
手で感情を高ぶらせているランページを制止し、メガトロンは隣にいたクアットロににやりと笑みを見せて指を鳴らす。

−よぉく、見ていろアイスクリーム。お前と俺様の交渉のレベルを思い知れ。
メガトロンの頭上には一つのモニターが現れる。だが、そこに映る姿にランページは眼を奪われてしまう。無理も無い……自分やシルバーボルトを家族と呼んでくれた二人の少女が光り輝くバインドに拘束され、ぴくりとも動かなかった。

−な……なんでじゃ、なんでお前らが居るんじゃ!!
なんでアリサとすずかが居るんじゃ!

「ふはは、驚き桃の木21世紀だろう」

「三宅さんもびっくりじゃ……こりゃ」
クアットロは静かにメガトロン、ランページ、モニターに映る少女達を見据えていた。それは基地にいるスタースクリームが転送する前から彼女を通じてモニターで見ているからだ。

『こいつがサイバトロン共が俺を真似て造ったトランスフォーマー・ランページか……言うだけあって中々の性能だな。むかつくからコロニー0を皆殺しするとは、気に入ったぜ。』
クアットロもスタースクリーム同様、ランページの力に関心していた。

−確かに……スタースクリームが言う事にも頷ける。激昂しただけであのライフルにAAA+の高威力のエネルギーが集束していた……。さて、メガトロン様はどんな手札を出すのかしらね。

「二人に何をした!! 答えろメガトロン!!」
「言っただろ、サプライズプレゼントだと。な? ドゥーエ、インフェルノ」

『はいメガトロン様』

『ごっつんこ』

モニターに映る二人の少女に一人の女性と一体のトランスフォーマーが歩み寄る。ランページはドゥーエと呼ばれた女性に眼を見開く、彼女は時空管理局の制服を着ていたからだ。
−まさか、局内に潜伏させてやがるんか……。

「餅のロンドンはイギリス」
「待て、何をする気だ!!」

「まあ、黙って見ていろランページ。」

まったく、意に解そうとしないメガトロンの対応に我慢が出来なくなったランページは彼に向けていたライフルからエネルギー弾を放つ。

「やかましい!!さっさとアリサとすずかを放せ!!」
しかし、エネルギー弾はメガトロンの横を掠めていた。本当に彼を撃てば彼女達が何をされるか解ったものではないからだ。

「流石はランページだ……人質を出されても気にしないとはな。だが!!」
ライフルを撃たれ、やれやれと肩を浮かせた瞬間。苛立ったメガトロンは身体を捻り、ランページを機械混じりの尾で殴り倒す。

「がっ!!」
「余り、俺様を怒らせるなよ?二人のお嬢ちゃんがどーなるかなぁ〜。次郎くん」

仰向けに倒れ込んだランページの腹部をメガトロンは強く踏み付けながら鋭い牙を突き付ける。
その言葉にメガトロンの意を解したドゥーエは二人の少女を揺さぶる。

9リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:29:56 ID:C8hyPMmz

−ん……何よ……。
「ん……らん……ページ?」
「っ!?ここはどこ!」

まどろみの中、アリサは先に意識を醒ましたすずかの声と拘束された手足の感覚で辺りの場所に気付く。
そこはどこかの施設の白い部屋だろう、だがこの部屋に居たのは自分達だけではなかった。

「大丈夫ですか?!」
「あなたは……此処はミッドチルダ!?」
−なんで……管理局の人が。

「此処は時空管理局の本局です。資料室に入ったら貴女達が倒れていたので……お怪我はありませんか?」
「あ、はい。あの……これを解けますか?」

だが、ドゥーエはすずかの言葉にふっと微笑んでから立ち上がって答える。
「いえ、それは無理です。インフェルノ」

「……え」
「どうゆう事よ?」

二人は眼の前に現れた朱いトランスフォーマーに眼を見開く。だが、彼女らが驚くのはこれだけではなかった。
「お前らの家族がそこに居るごっつんこ」

インフェルノの言葉に二人は壁に設置されたモニターに映るメガトロンとランページの姿を確認する。
「ランページ!」
「っ!?まさか枷って!」

『おやおや、やっと目覚めたようだなお二人さん。』
すずかの声にランページを踏み付けているティラノサウルスはシルバーパープルの装甲を妖しく輝やかせながらモニターの方をほくそ笑みながら見据える。
「お初目にかかる。俺様はデストロン軍ジャングル大−−じゃなかった、破壊大帝・メガトロンだ。 さて、あまり長く居ると管理局にバレるので単刀直入に言う。貴様らは、ランページの枷にする為に連れてきたのだ。」

『ランページの枷って!!』
『そんな!!』

−メガトロンってランページが言っていた脅していた奴じゃない!!こいつが……こいつがランページを更に苦しめようとしてる。私達を……家族を使って!!
「アンタね! アンタ、ランページを離しなさいよ!!」
メガトロンの卑怯なやり方に思考が熱くなったアリサは激昂する。

ジャキン!!
「っ!」
怒りをあらわにするアリサを黙らせようとインフェルノは大口径ライフルを隣のすずかの眼の前に突き付ける。
「黙っていた方がお利口さんだぞ、さすがにナースのお○事をシリーズするだけあってやかましいお嬢ちゃんだ。俺様は教師びん○ん物語からお前を知っていたぞ。」
「いや、そっちはひらがなの方のありさじゃ。 アリサぁ!すずかぁ!」

「黙れバカガニ! 貴様らに拒否権は無い。ドゥーエ」

『はい。』
メガトロンの呼びかけに頷くと彼女はアリサとすずかの背後に回り込む。そして彼女達を拘束するピンクいろのエネルギーを放つ機械部分に触れ、何かの電子音が発せられる。
するとパワーバインドは彼女達の身体の中に吸い込まれるように入っていく。

「何を、ぐっ!−−−−……」

「あ、アリサちゃ−−……」

と同時に拘束が解かれたと感じた瞬間、二人は再び意識を失い昏倒する。
その映像を見ていたランページは言葉を無くし、自分を踏み付けて悪辣な笑みを浮かべるメガトロンをただ睨むしかできなかった。

10リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:32:57 ID:C8hyPMmz

「ふははは、そう睨むなランページ。彼女達の事なら心配ナッシング、今見ていた記憶を一切消し。第97世界に戻す、そして何事も無く生活を暮らすだろう。
しかし、それも貴様しだい……俺様に従うなら平和に暮らす。従わないなら今、あのガキ共に埋め込んだパワーバインドが魂を抜き取っちゃうだなぁ〜これが。さあ、どうするかな……タウンページ?」

「ワシゃランページじゃ…………」
ランページはメガトロンの条件に愕然する。……また、大事なダチをワシは殺してまうんか……また、ワシは大事なダチに銃を向けるんか……。
脳裏には自分の腕の中でスパークの輝きをなくすトランスミュータント。自分をあたたかく迎えてくれたアリサや……皆の姿が映る。
ワシは……ワシは!!

「くく……くくくくっはっはっはっはっはっはっは!!」
いきなり、笑い声をあげるランページにクアットロやスタースクリームは「壊れたか?」と首をかしげる。
だが、踏み付けていたメガトロンは笑みを絶やさずに脚をどけてランページを見下ろす。
それに伴い、笑うのを止めたランページはゆっくりと立ち上がり転がっていたライフルをしまう。
「メガトロン……ワシのスパークが欲しいならやる。じゃから、アリサ達……海鳴市に住む奴らの命は奪わんと約束してくれんか?」

「欲しいのはお前のスパークだけではない、戦闘能力もだランページ。 ……良いだろう。改めてお前は今からデストロン軍の戦士ランページとして俺様に従うのだ。」
−命は奪わんさ……命はな。
ロボットモードに姿を変えたメガトロンはランページに手を差し出す。
その意を解したランページは握手に答える。

クアットロはその光景を自分の事のようにうれしそうに見ていた。表情まではスタースクリームに気付かれもしない。
−成る程……これはスタースクリームやタランスよりも大悪党ね。
はたして私達で勝てるかりしら?

「クアちゃん、ドゥーエ、インフェルノ。今からランページ復帰記念の写真撮影するから入って来い。」
「『『はーい〔ごっつんこ』』」

「はい、よくカメラさん見て……。いっせーので。で撮るからな」

「「「「「いっせーのーで、はい−−

「からしめんたいこ」
「ちょっきんな」
「チーズ」
『2』
『ごっつん、こーい』
パシャ

「おめぇらバラバラじゃねぇかー!! ドゥーエ。ではそのガキ共をさっき言ったようにやれ。」

11名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 22:38:43 ID:rVxHPjYB
>>4
うん、俺も感動したからわかる。
けど張り付けんのもどうかなと思うよ
12リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:40:18 ID:C8hyPMmz

『わかりました。あと……メガトロン様』

「どうした?」
『先程、時間移動で闇の書に接触したジャガーが負傷し。更にアンゴルモアを破壊されて帰還して来ました。ですが、妨害した相手のデータは取れました。彼から受け取ったデータをインフェルノを通して送信します。』

メガトロンはそれを耳にした瞬間、先程までニヤついていた表情は消え、忌ま忌ましそうに舌打ちをする。
「了解した、ジャガーは小型の再生カプセルにでも入れて治せ。ビーストモード!」
データを受信してからメガトロンは先程のメタルスティラノサウルスに姿を変えるとインフェルノを睨みつけながら指示を飛ばす。

「インフェルノ、お前は今から各次元に飛ばしたガジェットを集めて第6世界に向かえ。俺様に逆らう馬鹿がこちらに場所を変えたようだ。
あと、こちらの指示があるまでガジェットをトランスフォームさせるな。トランスフォームしない限りは管理局にはバレん。」
『解りました、黄門様ごっつんこ!』
「ドゥーエ、そいつを後で殴れ。」
『解りました。』

バキッ
『Σごつっ!?』

通信を切り、モニターを閉じてからメガトロンはランページ、クアットロを伴って訓練校の模擬戦場・森林地帯フィールドを後にする。

「メガトロン様、第6には誰がメガトロン様を邪魔しているのかしら?」
移動のさなかに尋ねるクアットロにメガトロンは振り向かず、朱い眼をこちらに合わせて答える。
「名前はわからん。だが、俺様の邪魔をしているのは確かだ。
あのガキ共を捕まえたついでに5年前に起きた事件の闇の書の力を利用しようとジャガーに時間移動させたが、あと少しのところで邪魔をされてな。」

「じゃあ、ジャガーは……?」
「ドゥーエの報告の通りだ、ボロボロで今は本局に隠れている。別に死んでても構わないんだがな。」

「……もしかしてワシらみたいなトランスフォーマーか?」
「ああ、前の戦闘に取れたデータによれば2人はトランスフォーマーだそうだ。それにジャガーが負けて帰ってきてから1人増えたようでな……。
そいつが何なのか調べる為にインフェルノを送り込んだ。さて、ランページ。基地に帰ったらお前のスパークを半分貰うしゅじゅちゅをしなきゃな。」
「言うたろ……好きにさらせや」

「ほほう、スンバラゴイ。大人しくなりおって……流石は次郎くんだ」
「いや、じゃからワシゃカニじゃて」

メガトロンがワスピータに代わる新たな戦力を引き連れ、スタースクリームやウーノらが留守をしている基地に引き上げた頃。
13リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:49:07 ID:C8hyPMmz

彼の動きを妨害している者達が向かった第6管理世界のアルザス地方から遠く放れた草原。
そこではガジェットが次々と破壊されていた。
「ライオキャノン!!」
黄金の髦をたくわえた白いライオン

「ビッグノーズ!!」
大きな巨体とは裏腹に培われた経験を活かす剛毛に覆われた古代象

そして……。
「エクセリオンバスター!!」
黒い羽を羽ばたかせた少女が銀色の長い髪をなびかせながら魔力砲で飛び交うガジェット2型を、戦車型のガジェット3型を薙ぎ払う。

しばらくして、倒したガジェットの残骸の山の上にライオン、マンモス、少女が降り立つ。

「これで全部だろうか……ビッグ、リインフォース。君達は何か感じるか?」
辺りを見回してからライオンは空を見上げながら尋ねるとリインフォースと呼ばれた少女とビッグと呼ばれたマンモスもまた空を見上げる。
「ライオコンボイ。ビッグコンボイ。新たに10機が……来る!」
−闇の書としての私は……あの時間で主と別れるはずだった……。だが、主に授かった、私の名前『リインフォース』。
二人のマトリクスの力のおかげでリインフォースとしての私は今を生きている。主……八神はやてに再び仕える為に。

そう、彼女は以前に起きた「闇の書事件」においてなのは達とプログラム「闇の書の闇」との決戦後、やがて闇の書の再生機能が防衛プログラムを再生し、再び暴走してしまうであろうとして自分の破壊を進言し。
なのはとフェイト、4人の騎士達、そして儀式の場に駆けつけたはやてに看取られ、剣十字の紋章と感謝の言葉を残して静かにその生涯を閉じた……リインフォースである。

しかし、時間移動でメガトロンの動きを追っていたライオコンボイ。ビッグコンボイの二人が5年前の海鳴市にたどり着いた時に彼女が消滅する儀式を利用し闇の書のプログラムのデータを取ろうとしたジャガーは闇の書以外の時間を止める結界を張り巡らせ。
メガトロンから持たされたアンゴルモアを使用。だが、それはガルバトロンの野心で育ったアンゴルモアである。その力は強く、その力を使用した為に闇の書のプログラムがオーバーし。
さらに完全な消滅をし始めた。それは遺された『夜天の書』の欠片をもとにはやてが試行錯誤の末に誕生させ彼女の後裔と今を生きているリインフォースUをも消滅させしまいかねない誤った歴史の改変であった。

二人はそれを阻止すべく、死闘の末にマトリクスバスターでアンゴルモアを破壊。夜天の書の欠片を消滅させずに至った。
しかし、その一撃は闇の書のプログラムにも直撃してしまい。二人のマトリクスの力を受けた為に一部の防衛プログラムは浄化し、リインフォースは消滅出来なくなってしまった。

ライオコンボイはこれ以上の歴史改変を防ぐ為にも、彼女の為にも。リインフォースに『闇の書として生きるのではなく、1人の君として生きて彼女を護ったらどうだ。君を繋ぐ鎖はもう無い』と、未来で生きるよう説得する。

リインフォースは彼の提案を受け入れ、八神はやてに再び会う為に二人のコンボイと共に5年後の今を新たに生きている。

ライオコンボイ『私はジャングル大−−ライオンのライオコンボイだ。』
14リリカルなのはBsts:2007/10/06(土) 22:51:35 ID:C8hyPMmz
以上、Bパートです。二人とジャガーのタイムスリップでの闘いでリインフォースが生存出来たのはまあ……ミラクルという事でwww

ノシ
GJです。
リィン、まさかこんな形でこようとは思ってもみませんでした。
まさしく奇跡


そして、続けてメビウス×なのは、投下します
第4話「もう一人の、光の巨人なの」


「一体……何が、どうなってるんだよ?
街の人達が急に消えるなんて……はやてちゃん、ごめん。
流石に、何があったのか気になるし……ちょっと今日は帰るの遅くなるかも。」

結界に閉ざされた海鳴市。
そこには……先刻ミライ達を見つめていた黒尽くめの男以外にも、実は一人だけ先客がいたのだ。
しかしその青年には、黒尽くめの男の様な怪しい雰囲気は一切ない。
爽やかで、格好も今風の若者という感じの青年。
彼は、何故こんな事態が起こったのかを知る為、街中を走り回った。
これまでにも、怪事件の類には何度も遭遇してきた。
そしてその都度、解決してきた。
自分には、待ってくれている者がいる……彼等に心配をかけてはならない。
そう思いながら、捜索を続けていた……その矢先だった。
上空から閃光が走り、同時に轟音が響き渡る。
とっさに青年は、空を仰ぐと……そこには、自分がよく知る者達の姿があった。

「えっ……ヴィータちゃん、シグナムさん!?
ちょ……どういうこと……?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『もしもし、はやてちゃん?
シャマルです……』
「ん、どしたん?」
『すみません、いつものオリーブオイルが見つからなくて。
ちょっと、遠くのスーパーまで行って探しにいきますから。』
「ああ、ええよ。
別に無理せんでも。」

その頃であった。
海鳴市の、結界から外れた位置にあるとある民家。
そこで、車椅子に乗った一人の少女――八神はやてが、調理を進めていた。
彼女は家族と思わしき人物――シャマルと、電話で会話をしながら作業をしている。
キッチンに出ている材料等を見る限り、相当の大人数らしい。
はやても含めて、大体5〜6人というところだろうか。

『出たついでに、皆を拾って帰りますから。
ただ、アスカさんだけはまだお仕事中かもしれないですけど……
なるべく急いで帰りますね。』
「あ、急がんでええから。
気をつけて帰ってきてな。」
『はい。』

はやては、家族達が皆無事に帰ってくるようにと言い、電話を終える。
今まで、ずっとはやては一人で暮らしていた。
そんな孤独な彼女に温もりを与えてくれたのが、シャマル達だった。
彼女達は色々と訳ありで、つい先日にこの家で暮らすようになったばかりである。
はやてにとっては、彼女達の存在が何よりも嬉しかった。
ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラ。
誕生日の夜、自分の元に現れてくれた騎士達。
そして、もう一人。
彼女達と出会ってからしばらくした日に出会えた、あの人……
17名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 22:58:31 ID:dxXKvhBA
ダイナっすか!生きてたんだな〜、よかった支援
「あ、いけない。
雨降ってきちゃった……ヴィータちゃん、シグナム。
洗濯物入れるの、手伝ってくれない?」
「おう、任せとけ。」

それは、ある日の夕暮れ時だった。
八神家に住まう騎士達――なのは達の前に現れたヴィータ達は、干していた洗濯物を取り込んでいた。
降水確率がギリギリ降るか降らないかという数値だった為、洗濯物を外に干していたのだが……
不運にも、その賭けには負けてしまった。
急いで洗濯物を家の中に入れ終え、皆が一息つく。
そんな彼女達へと、はやては温かい飲み物を差し出してあげた。

「皆、おつかれさま。」
「ありがとうございます、主はやて。」
「ふぅ……温まるなぁ。
やっぱ、あんまりギャンブルはやるもんじゃねぇな……」
「うむ……まあ、この程度なら大丈夫だ。
家の中に干しておけば、すぐ乾いてくれるだろう。」
「そやね……あれ?」
「はやてちゃん、どうしたの?」
「今……何か、外光らんかった?」

はやては庭を指差しながら、騎士達に問う。
どうやら四人とも、外の様子は見えていなかったらしく、その質問には答えられなかった。
雷でも落ちたのかと思ったが、それにしては何か妙だ。
落雷の音が、全然聞こえてこない。
自分の気のせいだったのだろうか。
そう思いながら、はやてが皆の手伝いを始めようとした……その時だった。

ドサッ

「え……!?」
「今、何か音が……!!」

音は、聞こえてきたは聞こえてきた。
しかしそれは、決して落雷なのではない。
何かが地面に倒れ落ちたような、そんな感じの音だった。
嫌な予感がしたはやては、すぐにベランダへのガラス戸を開いてみる。
すると……そこでは、予想だにしていなかった事態が待ち構えていた。
19爆発戦隊 俺が正義だ、俺が法律だ:2007/10/06(土) 23:00:48 ID:f9jZU52c
>>14
GJにしても、まさかビッグコンボイとライオコンボイが出てくるのはな・・・・しかし、ビッグコンボイの切り札のマトリクスバスターを使うほどの闇の書って一体何なの
「嘘……人が倒れとる!?
シグナム、ザフィーラ!!」
「心得ております!!」

庭ではなんと、一人の男性がうつ伏せで倒れこんでいたのだ。
見た所、20代前半の青年……何処かの制服らしき服装をしている。
完全に気を失ってしまっているようであり、ピクリとも動かない。
すぐにシグナムとザフィーラが庭へと飛び出し、彼を家の中に入れた。
一体、この男が何者なのかは分からない。
だが……このまま放っておくわけにもいかなかった。
すぐにヴィータはバスタオルを持ってきて、青年についた土や泥をふき取る。
その後、シャマルは彼に怪我がないかどうかを見た。
どうやら、外傷は一つも見当たらないようだが……

「う……」
「あ、気がついた?」
「……ここは……?
そうだ、皆は!!
グランスフィアはもう……!!」

青年は勢いよく起き上がり、周囲を見回した。
そして、己を取り巻く環境が一気に変化したことに気づくと、ただ呆然とするしかなかった。
自分は確かに、人類の未来をかけた最終決戦に臨んでいたはずだった。
その最後、暗黒惑星の崩壊によって発生したブラックホールに呑まれ……

「……どうなってるの、これ?」
「えっと……これってもしかして?」
「ええ……私達と同じく、異なる世界から現れたという事でしょう。」
「……異なる世界?」
「うんと、ちょっと混乱してるみたいやね。
とりあえず状況を整理していかんと……名前、聞かせてもらえます?」
「あ、うん。
俺はアスカ、アスカ=シンっていうんだけど……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ウルトラマン……だって!?」
「え……?」

ヴィータは、姿を変えたミライ――メビウスの正体に、驚かされていた。
その様子を見て、メビウスは少しばかり考えた。
この反応……ウルトラマンという単語を始めて聞いた人がするものじゃない。
この驚き様は、もしかすると……

「まさか……君達は、ウルトラマンを知っているの?」
「……管理局の連中に、答える義理はねぇ!!」
21名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 23:01:50 ID:dxXKvhBA
惑星破壊級の男支援
22名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 23:03:22 ID:usrbOp9K
ツルギかと思ったけどダイナさんか
メビウスの問いに答えることなく、ヴィータは襲い掛かってきた。
勢いよく、グラーフアイゼンをその脳天めがけて振り下ろす。
しかしメビウスは、バック転してその一撃を回避。
そのまま真っ直ぐに拳を繰り出し、ヴィータの胴体を狙った。
無論、力の加減はしてある……相手は自分よりも幼い女の子。
幾らこんな事件を起こしたとはいえ、優しいメビウスには全力でかかることはできなかった。
だが、ヴィータはただの少女にあらず。
その一撃を障壁で受け止めると、そのまま空へと飛んだ。

(なんで……なんで、ウルトラマンなんてのがここで出てくるんだよ!!
でも、あいつの言ってたダイナやティガってのとは違うみたいだけど……)
「待てっ!!」
「ちっ……空まで飛べるようになってんのか!!」

メビウスが自分を追って空を飛んできた事に対し、ヴィータは舌打ちをし毒づく。
一番の雑魚かと思われていた相手が、実は一番厄介な相手だった。
自分達の判断ミスを呪いつつも、やむをえずヴィータは応戦に移ろうとする。
しかし、この時……彼女はある事に気づいた。
自分が持っていた筈の書物が……闇の書が、ない。

「闇の書がない……!?
そんな、一体どこで……」
『ヴィータちゃん、闇の書は私が回収してあるわ』
『!!
シャマル、来てたのか!!』
『ええ、さっきシグナムと一緒にね。』

念話でヴィータへと話をつなげてきたのは、シャマルだった。
彼女は少しばかり離れたビルの屋上で、ヴィータ達同様に魔道の衣服に身を纏っている。
その片手に携えられているのは、闇の書と彼女達が呼んだ書物。
もう片方の手は、指輪型のデバイス――クラールヴィントを発動させていた。
その様子を見る限り、何かしらの術を使う準備を進めているように見える。
しかしこの時……彼女は、気づいてしまった。
この結界内に入り込んでしまった、イレギュラーの存在に。

「え……!?
まさか……」
『どうした、シャマル?』
「誰か……結界の中に、取り残されている人がいる!!」
『何だって!?』
シャマルが建っているビルから見える位置に、一人の青年が立っていたのだ。
遠目でその姿ははっきりとは見えないが、魔力は感じられない……完全な一般人だ。
このままでは、無関係な人間を戦闘に巻き込むことになってしまう。
何とかしなくてはならない……シグナムがとっさに動こうとする。
だが、そこへと何者かが切りかかってきた。
その正体は、ユーノによって救出され、バルディッシュの破損も回復させたフェイトだった。

「おおおおおぉぉっ!!」
「くっ!!」

バルディッシュとレヴァンティンが、火花を散らせながら激しくぶつかり合う。
時間をあまりかける訳にはいかない。
双方が同時に動いた。
フェイトは己の周囲に魔力を収束させ、金色に輝く魔力弾を生み出す。
それに対しシグナムは、紫電一閃を放ったとき同様……レヴァンティンへと、弾丸を放り込む。
直後……その全身が、魔力によるオーラで包まれる。

「レヴァンティン、私の甲冑を!!」
「打ちぬけ……ファイアッ!!」

フェイトの放った魔力弾――フォトンランサーが、真っ直ぐにシグナムへと迫る。
しかしシグナムは、微動だにせず……防御も回避もしないで、フェイトを見つめていた。
そして、フォトンランサーがシグナムを貫こうとした……その瞬間だった。
彼女に命中したフォトンランサーが、次々に弾かれていったのだ。
全くの無傷……この事態に、流石のフェイトも驚きを隠しきれないでいる。

「魔道師にしては悪くないセンスだ。
だが、ベルカの騎士に一対一を挑むには……まだ足りん。
レヴァンティン、叩き切れ!!」
「っ!!」

魔剣から弾丸が排出され、刀身全体が膨大な魔力に覆われる。
二度目の必殺剣――紫電一閃。
フェイトはとっさにバルディッシュでそれを受け止めるが……先ほどと結果は同じだった。
バルディッシュに皹が入り……そしてフェイトは、後方の高層ビルへと激突する。

「フェイトちゃん!!」
『大丈夫ですか、マスター?』
「うん……ありがとう、バルディッシュ。
それより、今の……」
『ええ、あのデバイス……』
「あの弾丸の様なものを使うことで、一時的に魔力を高めているんだ……」

フェイトは、デバイスの性能自体に相手と大きな違いがある事に気づいた。
そしてそれが、圧倒的不利を齎している事も……バルディッシュには悪いが、気づいていた。
状況は、完全なシグナム優位であった。
一方、離れた位置で戦っているアルフとザフィーラも、ザフィーラの優勢。
ベルカの騎士――ヴォルケンリッターが、総合的には押していることになっていた。
そう……優勢2、劣勢1の総合的な結果で。
その劣勢が誰かは、もはや言うまでもなく……
25爆発戦隊 俺が正義だ、俺が法律だ:2007/10/06(土) 23:06:03 ID:f9jZU52c
>>20
グランスフィアを破壊した影響で、別次元(なのは)に飛ばされたのか・・・メビウス対ダイナの戦闘もあるかな?
「ハァッ!!」
「ちぃっ!!」
『Panzerhindernis』

とっさに防壁を出現させ、ヴィータはメビウスの蹴りを受け止める。
ここまでの勝負は、完全なメビウスのペースであった。
話に聞いた以上の力を持つ、ウルトラマンの能力。
自分達ベルカの騎士と互角か、もしくはそれ以上かもしれない。
メビウスの重く強烈な蹴りを受け止めながら、ヴィータはそう実感していた。
ここで吹き飛ばされてはいけないと、懸命に踏ん張ろうとする。
しかし……その瞬間だった。
何とメビウスは、急激なスピードで錐揉み回転をし始めたのだ。

「まさか!?」
「ハアァァァァァァァァッ……!!」

即座に、メビウスが何をしようとしているのかをヴィータは理解する。
しかし……分かったときには、すでに遅かった。
強烈な回転によって摩擦熱が生じ、メビウスの脚部から炎が出現する。
そして……障壁は破壊され、グラーフアイゼン越しにヴィータへと蹴りが炸裂する。
かつてメビウスが、光線技の一切通用しない強敵と合間見えたときに編み出した必殺の一撃。
後には、無双鉄神すらも打ち砕くほどの攻撃となった蹴り――メビウスピンキック。
ヴィータの障壁とて、決して柔な代物ではないのだが……相手が悪かった。
このままでは、先ほど吹っ飛ばされたフェイト同様に自分もビルに叩きつけられるだろう。
急いで、ヴィータは体勢を立て直そうとする。
だが……ここで思いもよらぬ攻撃が、彼女に襲い掛かってきた。
メビウスに集中しすぎていた為に、その存在を忘れていた伏兵――ユーノ。
彼の放ったチェーンバインドが、ヴィータを束縛したのだ。
攻撃力こそこの中では最低ではあるものの、サポート役としては最強のユーノが放つバインド。
先程アルフが使ったものよりも、性能は恐らく上。

「くそっ……これじゃ、さっきと同じじゃねぇかよ……!!」
「ありがとう、ユーノ君。」
「いえ、ミライさんが注意を引き付けてくれていたお陰です。
……それじゃあ、君達の事を教えてもらえないかな?
今は、さっきと違ってもう助けに入る人もいないみたいだしね。」
「誰が言うか……!!」

ヴィータは力ずくで、拘束から逃れようとする。
鎖が皮膚に食い込み、血が滲み出始める。
それを見て、メビウスとユーノは驚き、さすがに拘束を緩めるべきではないかと感じた。
しかし……逃げられては元も子もないので、それはできない。
何とかして結界を破壊さえできれば、強制転移させてアースラへと連行できるのだが……ユーノにそれは不可能だった。
この結界は、ユーノが扱える術では破壊しきれない代物だったのだ。
フェイトもこの手の術に関しては、やや不得手である。
そうなると、アルフかミライかに頼るしかないが……

『アルフ、ミライさん、何とか結界は破れない?』
『あたしもさっきからやってるんだけど、この結界滅茶苦茶硬いんだよ!!』
『僕はわからない……メビュームシュートなら、もしかしたらいけるかもしれないけど……』
『皆、私がやるよ!!』
『なのは!?』
意外な事に、この問いに答えたのはなのはだった。
確かに彼女の魔法には、結界破壊の効果を持つものが一つだけある。
しかし……手負いである彼女に、その術は危険ではないだろうか。
いや、それ以前にレイジングハートの損傷が深刻すぎる。
あの術――スターライト・ブレイカーを、果たして打てるのだろうか。
例え打てたとしても、ほぼ確実にレイジングハートは崩壊するだろう。
だが……それにもかかわらず、全員が口から出かけた「やめろ」の一言を引っ込めた。
なのはもレイジングハートも、覚悟を決めた上でこの決断を下したのだ。
邪魔をする権利は、自分達にはない。
それに、これがベストな手段であることには違いない。

『分かった……出来るだけ、急いで。
この子をすぐに転送させないと、怪我が……!!』
『うん!!』

ユーノはヴィータに回復術を徐々に施し、彼女が倒れないようにする。
しかしそれでも、出血した分の血は戻らない……貧血・失血で倒れるのも時間の問題だろう。
それはヴィータ自身にも、十分分かっていた。
だが……彼女の意思は、極めて固かった。
間違ったって、言ってやるものか。
例えどんな目に合おうが、自分は仲間を守り抜く。
大切な主を救う為にも、味方を裏切るような真似は絶対にしない。
ヴォルケンリッターの全ては……仲間と、そして主の為にある。

「この程度で……やられてたまるかってんだっ!!」
「どうして……どうして、君はそこまで……!!」

メビウスは、ヴィータから何か強い信念の様なものを感じ取った。
これまで戦ってきた、邪悪な侵略者達とは逆……正義すら感じさせられる。
そう……これは、自分の仲間や兄弟達と同じ。
大切なものを守りたいという意思ではないか。
それを悟った時、メビウスは何が何でもヴィータ達を説得しなければと考えた。
彼女達の行動は確かに悪ではあるが、その悪を行うに値する理由があるに違いない。
メビウスは、ヴィータに問いかけようとする。
しかし……その時だった。

「ヴィータちゃん!!」
「え……!?」

ヴィータの賢明な思いが、天に届いたのだろうか――最もその返答は、天とは正反対からではあったが。
地上から、ヴィータを呼ぶ誰かの声が聞こえてきたのだ。
それに思わず、皆が動きを止めてしまう。
ヴォルケンリッターの表情が、一気に変わる……無理もない。
その声の主――結界内に取り残された男は、自分達がよく知る者。
大切な家族の一人――アスカ=シンだったからだ。
「今、助けるから……!!」

アスカはポケットから、手の平サイズの何かを取り出した。
人面が掘られた、石とも煉瓦とも取れぬ謎の材質で作られたオブジェ。
光の力を得たアスカが、その力を解放する為に使う道具――リーフラッシャー。
アスカはそれを高く掲げ、起動させた。
オブジェから突起が飛び出し、そしてその先端から眩い光が溢れた。
それを見た瞬間、誰もが既視感に見舞われる。
当然である……この光景は、先程ミライがメビウスへと変身した際と、全く同じなのだから。
そして、この後の展開も予想できていた。
特に……ヴォルケンリッターの四人には。


――俺のいた世界には、ウルトラマンっていう凄いヒーローがいたんだ


――凶暴な怪獣や邪悪な侵略者から、人々を守る為に戦ってくれて……


――俺が知ってるウルトラマンは二人いるんだけど、どっちも凄かったよ。


――まあ俺的には、ティガもいいはいいんだけど、やっぱもう一人の方だよな。


――うん、もう一人のウルトラマンで、名前は……


「ウルトラマン……ダイナ!?」
「そんな……アスカ、まさかお前が……!!」
「デヤァァァッ!!」

メビウスと似た姿を持つ、光の戦士。
アスカが得た、邪悪を打ち倒す為の力――ウルトラマンの力。
それによってアスカは、その姿を変えた。
光の戦士――ウルトラマンダイナに。
ダイナは凄まじいスピードで飛び上がり、そのまま手刀を繰り出した。
チェーンバインドが切断され、ヴィータの拘束が解かれる。

「……アスカ、お前……」
「……黙っててごめん。
ウルトラマンだってこと、中々言い出せなくて……」
「……構わん、隠し事ならお互い様だ。
しかしこうなった以上、全てを話し……全てを聞いてもらわねばならないな。」
「そうだな……助けてもらったんだし、あたし達の事も話さなきゃ不公平だ。
ただアスカ、はやてにだけは……」
「分かってる……兎に角今は、この場を切り抜けよう。
俺の相手は……もう、決まっているしな。」

ダイナは、その視線をメビウスへと向けた。
二人とも……特にメビウスの方は、自分が今置かれている状況に混乱させられていた。
自分の目の前に立っているのは、紛れも無く同じ存在であるウルトラマン。
異世界で、まさかウルトラマンと遭遇しようなんて、夢にも思っていなかった。
その実力は未知……どれだけの力があるか分からない。
ダイナが構えを取り、戦闘態勢に入る。
それに対するメビウスはというと、とっさに構えこそとったものの、自ら進んで戦おうとは思っていない。
何故、自分達が戦わなければならないのか……それを、まず聞き出そうとした。

「貴方は一体……?」
「ウルトラマン……ウルトラマンダイナだ!!」
「ダイナ……どうして、こんな真似を?」
「俺も、事情は分かってないんだ。
けど……そんな事は、はっきり言ってどうでもいい。」
「え……?」
「守りたい人を守るために戦う、ただそれだけだ!!」

まっすぐに、ダイナが拳を突き出してくる。
メビウスは体を捻ってそれを回避し、そのままの勢いで回し蹴りを繰り出した。
しかし、ダイナはそれをとっさにガードする。
そして無防備となったメビウスの胴体へと、蹴りを叩き込んだ。
格闘戦においては……ダイナの方に、どうやら分があるらしい。

「ぐぅっ!?」
「勝負だ、メビウス!!」
「ダイナ……やるしか、ないのか……!!」

ウルトラマンメビウスとウルトラマンダイナ。
本来ならば、決して合間見えることの無かった、似て非なる存在である二人のウルトラマン。
奇しくも、大切な人を守りたいという同じ願いから変身を遂げた二人。
今……その決戦の幕が、開かれようとしていた。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 23:14:07 ID:dxXKvhBA
支援
以上、4話投下終わりました。

3話投下後に「ヴォルケンリッターおわた」「メビウス相手に勝てるのか」などと、色々と皆さんから意見が上がってました。
まあこれは、メビウスを書こうと決めた時点で予想が出来ていました。
なので、この問題を解決する一番楽な方法「だったら闇の書側にウルトラマン出せばいい」を使わせてもらいました。
丁度いい具合に、本編最終回で行方不明になったままのウルトラマンがいましたから。
最近中の人が「バカトラマン」「ウルトラのバカ」など呼ばれてる事で有名な、ウルトラマンダイナです。
光の国産vs地球産のウルトラマン勝負、まあどうなるかは次回をお待ちを。

支援してくれた人達、あんがとごぜーました
32爆発戦隊 俺が正義だ、俺が法律だ:2007/10/06(土) 23:24:03 ID:f9jZU52c
>>31
3つのタイプチェンジが見れるのか・・・・・ウルトラマンガイアにウルトラマン対ウルトラマンは有ったが、ダイナ対メビウスはなかったどうなるか期待だな、後、主題歌のウルトラマンダイナも出来れば書いてね
33リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/10/06(土) 23:24:57 ID:O2AK1B2F
>>14
ライオコンボイとビッグコンボイがいよいよ表立って登場し始めましたね。
ガルバトロンの出番もそろそろですかね?
>>20
GJです。戦力ならダイナの方がやや上ですかね。
ただし一つ言っておくとダイナの中の人は素でバカなんじゃなくバカな振りをしてた
方が売れるからあんなキャラ演じてる訳であれが素な訳じゃないですよ。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 23:27:23 ID:usrbOp9K
メビウス自体にクロスオーバー的な要素があるから
これはすごくありです!GJ
35爆発戦隊 俺が正義だ、俺が法律だ:2007/10/06(土) 23:29:11 ID:f9jZU52c
>>33
マグマトロンもだっ!!
36名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 23:31:54 ID:dxXKvhBA
GJ!
ウルトラマン対ウルトラマンキタワ*・゜゜・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)η゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*
守るための譲れない意志のぶつかり合い、イイっすよね!
37名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/06(土) 23:43:08 ID:V57wRmRn
>>31GJ
初代ウルトラマンとティガは一緒に戦った事あるし問題ない
38名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 00:09:48 ID:8ox5L17C
>>ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏

うおおおおっっ!? まさかのダイナ登場! GJです! まさかリリカルなのは世界で、こんな物凄いドリームマッチが見られるとは! 良い意味で意表を付かれましたw
次回は二大ウルトラマンの激突に期待大です! 格闘戦ではダイナの方が上回るかもしれないけれど、レオ兄さんの教えを思い出して頑張れ! くらったヴィータには悪いけれど、レオも認めたメビウススピンキックが出たのも嬉しかったです。
そして謎の黒尽くめの男(ヤプール?)はどう動くのか? ダイナVS超獣軍団の戦いも見てみたいものです。
最終回はメビウスを迎えに来たウルトラ兄弟&ダイナによる、防衛プログラムフルボッコになりそうなw
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 00:16:17 ID:6tT08Mvu
・・・・流石にノアは来ないよな?ディメンション・ノアで
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 01:11:21 ID:rlO82azT
ウルトラマンの方のゼストは絶対に来ないだろうな
つか、知っているヤツ居るのか?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 01:40:41 ID:OJdzyMcE
>>40
それも私だの人?
42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 02:32:21 ID:rlO82azT
>>42
そう、ウルトラマンになりたいあの人だ
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 03:37:43 ID:iE0PSXac
>>39
奴はあらゆる次元を駈けるから普通に出てきてもおかしくない

光の国のウルトラマンって時空移動できたっけ?どっかの話でやってたような
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 06:40:57 ID:k+4aKuQu
>>43
Aが時間移動をやってる。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 07:36:34 ID:a/OMVQKg
みんなウルトラマン好きだなw
続きたのしみにして待ってます!
46名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 07:37:59 ID:Z36KbeCb
やっっっっっっとPC奪還できた…職人の皆様GJです
…例のごとく数が数なので個別に感想書けませんがorz

さあまとめの更新作業に戻るんだ俺よ
47名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 08:11:25 ID:T+Vy2ZHU
>>46
まこと、お疲れ様であります。
さて、俺も書かないとなぁ。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 09:05:03 ID:IWDZzozL
>46
感謝のあまり言葉もありません。
とりあえず、ディスプレイの前にお供えを置いて拝ませてください。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 09:15:49 ID:2VgMNsMl
ノアとギャグモードに入ったタロウには誰も勝てる気がしない
50名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 09:36:44 ID:P5/8FXtS
―――CALL―――

スネーク「メイ・リン、フェイトが脱いだぞ!!」
メイ・リン「あの姿は、ソニックフォームと呼ばれているわ」
スネーク「マントを脱いで身軽になった分、素早いな……
   俺も重たい装備を捨てたら、彼女の足に追いつけるかもしれないな!」
メイ・リン「それは無理ね。子供の頃から実戦を経験してるフェイトは、
   生身でも十分な運動能力があるわ。並の人間ではあの身のこなしは無理。
   見てわかるでしょ?」
スネーク「……。それは残念だ」


51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 10:35:50 ID:hBs3tTTi
>>43
後、M87(だっけ?)星雲と地球を生身で行き来してるんだから、
当然ワープ航法の類は使える筈だな。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 11:37:41 ID:G89U62tH
>>51
M78星雲だ。
それに初代ウルトラマンはテレポーテーションを使えるから
標準的な能力じゃないか?
53名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 13:30:15 ID:Pn4BpURV
もし超獣が出るのならブロッケンやコオクス希望w
54爆発戦隊 俺が正義だ、俺が法律だ:2007/10/07(日) 13:40:09 ID:u+eXrCnP
>>52
初代ウルトラマンの設定ではテレポーテーションはウルトラマンの命を削る命がけの技

>>53
ブロッケンと言えば、立て、撃て、切れか 後バキシムとジャンボキング、ファイヤーモンスも希望

>>37
ついでに言うと、ウルトラマンガイアとも一緒に戦っている

>>38
GUTSとスーパーGUTSが、ウルトラマンティガに登場したアートデッセイ号で擬似ブラックホールを作って、登場しそうだな
55名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 13:54:39 ID:MwMR5oHU
ブロッケン聞いて、「ポチっとな」と超必殺技で自爆する(直後に一瞬で復元)アレを思い出した。
56魔装機神:2007/10/07(日) 14:33:14 ID:5mvxNhaU
SHADOW NANOHAとうかしていいっすか?
57名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 14:34:10 ID:IWDZzozL
いいすっよー
58魔装機神:2007/10/07(日) 14:37:05 ID:5mvxNhaU
SHASOW NANOHA STS3「俺は協力者ね」

「見ればわかるでしょう……」
シャッハはため息をつきながら、スバルたちを指差す。
「ああ、あっちのほうが味方ね」
ふぅん、と言った感じでウルはスバルたちを見る。
「誰だお前?」
ノーヴェは突然壁をぶち破ってやってきた二人組みの男女を見る。
女のほうは双剣を持っていて、男のほうは何も持っていないが、いかにも柄が悪そうである。
「聖王教会のものです。あなた達が持っているレリックをこちらに渡してもらいます」
そういって、二人組の女性の方、シャッハ・ヌエラは自分のデバイス、ヴィンテルシャフトを構える。
「ああ、俺は協力者ね」
ついでに、と男のほう、ウルもファイティングポーズをとる。
「くそ、やっぱり敵かよ」
それに吊られてノーヴェも構える。
前はその二人組みで、後ろは管理局。
さっきまではこっちが追い詰めていたが、今は完璧に囲まれた状態にある。
いくら自分が特殊な存在でもこの数の差は少々まずい。
「ん?」
その時、ウルは小さな少女が持つ一風変わった書物を見る。
どくろをかたどった変わった書物。
だが、ウルはそれに見覚えがあった。
「おいおい、何であれがこの世界にあるんだよ……」
それは、自分の世界にある書物と酷使している。
いや、全く一緒であった。
「あなた、これがなんなのか知ってるの?」
ルーテシアはその本、エミグレ文書をウルのほうへ向ける。
ちゃんとした形を見て、シャッハは顔をしかめる。
ドクロをかたどったエミグレ文書を見て、第一印象はよくない。
「ああ、良く知ってるさ。いやと言うほどな」
そういって、ウルはエミグレ文書を見る。
「それ、あんまりいいものじゃないから、できればお兄ちゃんにゆずってくれない?ね?」
そういってウルが一歩前に出たとき、少女音スバにいた奇怪なモンスターのようなものが前に出る。
(ティア)
(うん……何とかこの隙に、せめてレリックだけでも奪いたいんだけど……)
スバル達は、間のうちに同にはレリックを奪おうとするが、それはアギトとか言うリィンフォースほどの大きさしかない者に見られている。
ノーヴェと言う人物もさりげなくこちらを見ている。
(あのひと……)
スバルは、そのノーヴェという人物は、どこか自分に似ているという感覚をおこす。
ただ持っているデバイスが似ているというわけではない。
もっと何か別のものだ……
(まさかあの人も私やギン姉と同じ……)
(スバル、どうしたの?)
(え…あ……なんでもないよ)
59魔装機神:2007/10/07(日) 14:39:05 ID:5mvxNhaU
スバルが何か考え込んでいて、何かあったのだろうと思ったが、今は任務中だ、また後で聞こうとティアナは改めて前を見る。
一方、ティアナたちの考えを汲み取ったシャッハ。
(ちょっといいですか?)
(ん、なに?)
シャッハは、自分達は今は赤い髪をしている女性が持っているケースを回収している事を説明している。
(あの書物も確かに気になりますが、今はあのケースの回収を第一と考えてください)
シャッハの言葉に、ウルはわーったよ、としょげながらレリックケースを見る。
(それで、またさっきになって、隙を作ってください。おそらく相手もおどろくはずですから)
(さっきのって…フュージョン能力?)
(はい、そうです)
まあ、初見だったら確かに驚くか。
そして大方の作戦が決まり、ウルは意識を集中させる。
「なんだ?」
いきなりすきだらけになるウルのほうを見る。
そして、ティアナがはっとする。
今ならもしかすれば……
(今ならいける、スバル!)
(OK!)
ティアナに言われ、スバルはノーヴェめがけてローラーをフル回転させ、ノーヴェを殴りにかかる。
「何!?」
一瞬動作が遅れたノーヴェはとっさにレリックケースでを防ぐ。
「く……」
多少衝撃は残るが、レリックと言う重要なものが入っているケース。
強度もかなりのもので、ノーヴェにはダメージが残らない。
「エリオ!」
スバルの合図と共に攻撃を中断して後ろに飛びのく。
「ストラーダ!」
その隙にエリオが横から突っ込んでレリックケースを奪取。
「!しまった」
ノーヴェは歯軋りしながらエリオを見る。
「くっそお!」
ノーヴェはエリオを追おうとするが、当然何かとてつもない魔力を感じる。
その魔力は異質で、ノーヴェは冷や汗をかく。
こんな魔力は今まで一度の感じたことがない。
恐る恐るその方を向くと、そこにはさっきまでいた男の変わりに、そこには龍をかたどった水のモンスター、ベネフィキウムと融合したウルであった。
『シャアアアアア!!』
上のほうを見て高々と叫ぶウル。
モンスターがメインとなるため、意識はウルだが言葉でしゃべる事はできず、このように鳴き声になってしまう。
「何、あれ?……」
一方、事前にウルの事を詳しく聞かされていない機動六課フォワードメンバー一同+ギンガは呆然とべネキフィウムと融合したウルを見る。
60魔装機神:2007/10/07(日) 14:42:28 ID:5mvxNhaU
あんなものは始めてみる。
レリックを奪取した事を確認すると、ウルはゆっくりとエミグレ文書を持つルーテシアに近づく。
それを見て、ルーテシアは驚き、そして恐れながら後ずさる。
その時、ぽとりと自分で気付かないうちにエミグレ文書を落としてしまう。
それを見た彼を守る蟲のような守護虫、ガリュウがルーテシアを守るためにかばおうとする。
「させない!」
それを見たギンガとティアナはガリュウと対峙する。
まずはティアナが牽制として攻撃で放ち、その間にギンガが殴りにかかる。
その銀河の攻撃を
それでもルーテシアを助けに行こうとするガリュウだが、二人に挟まれるという形になってしまう。
だが、ウルはルーテシアを攻撃しようとはせず、自身の周りに浮いている手のようなものでエミグレ文書を拾うだけで、
攻撃を加えようとはしなかった。
「ち、このお!」
ノーヴェはウルに立ち向かおうとする。
そのときだった。
『ノーヴェ、下がっていろ。姉が隙を作る』
念話が聞こえてきたと思ったら、ウルの周囲に無数のナイフが出現する。
それはすべてウルに向かって向かっていく。
そして刺さると思われはそのナイフは、ズドン、ズドンと次々と爆発していく。
「どこからの攻撃!?」
シャッハはすぐに周囲を差フルが、それらしい人物はいない。
「あの、大丈夫ですか!?」
エリオはいまだ爆煙の中にいるベネフィキウムをのこと気にかけるキャロ。
しかし、あれほどの香華ににもかかわらず、ダメージはありそうだが、まだ元気にたっている(浮いている?)べネフィキウムがいた。
その時、気付くとルーテシアたちがいないことに気付く。
「しまった、逃げられた」
シャッハは残念に思いながら周囲を見る。
どうやら誰かの転移魔法で脱出したみたいであった。
「まあ、レリックもあの書物の無事みたいですし、良しとしましょう」
そういって満足したシャッハ。
しかし、その直後ぐらぐらと突然地震が起こった。
「上!?」
シャッハはその震源が地下ではなく上から来る事に気付く。
おそらくさっきのものが何かしたのだろう。
「ここから上のほうにはいけそうだけど……」
ギンガは地上へ続いていそうな穴を見上げながら言う。
ギンガはスバルを見る。
スバルも頷いてナックルを構える。
「行くわよ」
「うん!」
「「ウイングロード!!」」
スバルとギンガは、ウイングロードを展開し、地上まで一直線に向かっていく。
「なるほど、これをたどっていけば地上へいけるということですね」
シャッハは感心して二つのウイングロードを見る。
61魔装機神:2007/10/07(日) 14:45:10 ID:5mvxNhaU
これなら確かな空を飛べない陸戦魔術師でも地上までいけるだろう。
べネフィキウムと化したウルもぽん、と相槌を打つようなポーズをとる。
「それじゃ、行きましょうか」
ここではおそらく一番強い(ウルを除く)シャッハを戦闘に、各自はウイングロードを渡っていく。
「キャロ、ちょっといい?」
その前に、ティアナはキャロを止める。
「なんですか?」
「ちょっとレリックに一工夫加ええたんだけど、協力してくれる?」

「助かった…ありがとう、チンク姉」
ほっと胸をなでおろし、ノーヴェは横にいる自分よりもかなり小柄で右目に眼帯をしている少女、チンクに話しかける。
しかし、先ほどノーヴェが言ったチンク姉といったように、小柄でもチンクはノーヴェの姉だ。
「ああ、間に合ってよかった」
チンクも安心したように少しふう、と一息つく。
チンクは面倒見がよく、特によくなつかれているノーヴェの世話もよくしている。
「けど、あんなの使って大丈夫なのか?」
ノーヴェはそういいながらさっきからズガガガガとやかましく音を立てているほうを見る。
そこにはルーテシアが召還した巨大な蟲のようなものが地面を掘っている。
おそらくさっきいたやつエアを生き埋めにするのだろう。
だが、こんな事wして大乗馬のだろうか?
「まあ、ルーテシア嬢も考えがあるのだろう。私達もいこう、何が起こるかわからない」
チンクの言葉にうんと頷いた

「おいルー!こんな事をして大丈夫なのかよ!?」
アギトもルーテシアの行動に驚いていた。
こんな事をすれば、レリックだってどうなるかわかったものじゃない。
「お前らも何とか言ってくれよ!」
そういって、こちらに近づいているチンクやノーヴェにも何か言ってもらおうとする。
「大丈夫。多分なの人たちなら脱出すると思うから」
「ルー?」
アギト、そしてチンクやノーヴェも惇句の言っている意味が分からなかった。
「お前ら、そこまでだ!」
いきなり4人がバインドに拘束される。
「何!?」
いきなりバインドで拘束され、驚くノーヴェたち。
「管理局のものです。あなた達の身柄を拘束させてもらいます」
やってきたのはチンクと同じくらいかもう少し小さな女の子と、アギト並みのサイズの女性がやってきた。
それと同時に、ルーテシアが召還した巨大な蟲に異変が起きる。
先ほどまでガガガガと削る音がしたのだが、いきなりそれが止んだのだ。
そして、杉に蟲は爆発した。
「な、なんだ!?」
それと同時に、空は晴れているのに大量の水が振ってきた。
「シャアアアアアアア!!」
それと同時に現れる龍のような化け物。
「あいつ……チンク姉の攻撃が通用しなかったのか!?」
62魔装機神:2007/10/07(日) 14:49:28 ID:5mvxNhaU
ノーヴェは驚きながらその龍を見る。
確か、かなりの数のナイフと爆発が襲ったはずである。
それでもピンピンしてこちらを見ている。
それと同時に、さっき龍、べネフィキウムがやってきたところから二つの光の道のようなものが出てくる。
「あれは……スローターアームズ?…でも色が違う……」
ノーヴェはそう思ったとき、ドクターからの話を思い出す。
自分が持つ能力は、ある人物を参考にしたと言う。
「まさか……あいつらが……」
ノーヴェは怒りの形相で先に出てくる青い髪をしている女性二人を見る。
それはローラを使っていて、ナックルも装備している。
ドクターの話が本当なら、あの二人が自分の武器の元ということになる。
そして……
(俺達より先に作られた……戦闘機人タイプゼロ……)
そう、自分達は人ではない。
人を素材にして創られた機械、戦闘機人だ。
そして、自分の目の前にいる青髪は自分達よりも最初に作られた戦闘機人のタイプゼロ、ファーストとセカンドだ。
そして、後ろから他の局員も上がってきた。
その時、青い龍が光だし、普通の人間、さっきいた人の姿になったのだった。
「な、なんなのだあれは?」
その光景を始めてみるチンクは目を見開いてその人物、ウルを見た。

投下完了。
ノーヴェに続いて、チンク姉も登場。
勿論自戒もアニメでは出ていないナンバーズが登場予定。
それにもうすぐあいつ……パーティーメンバーの一人も登場します。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 15:12:57 ID:CV19i9VA
支援
64リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY :2007/10/07(日) 15:29:36 ID:Z36KbeCb
GJです
ランブルデトネイターの直撃を大量に受けて耐えられるとは…どんな体してるんですかベネフィキウム…
それはそうと、エミグレ文書は奪還できたようですね…個人的にはオレンジ博士がエミグレ文書をどう使うか見てみたかった気もします
65名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 15:31:00 ID:iNT+R3JX
誤字が無茶苦茶多いな
66名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 15:32:06 ID:3veTmG4y
だって、そういう人だし
むしろネタだと思ったほうが吉
しかし、GJ。チンク姉キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
67ネオシャドームーン:2007/10/07(日) 16:03:38 ID:tzWzRRsA
替え歌載せます。 「仮面ライダーの歌」ならず高町なのはの歌です。

光と共にやってきた 

誰だ 誰だ 闇を払う 光の少女

高町なのは 正義の魔導師 

(掛けろ! 飛べ! 今だ撃て! スターライトブレイカー!)

光と共に突き進め 悪党共をぶちのめせ

なのは なのは 高町なのは  




68名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 17:35:31 ID:bMZsPM5W
とりあえず推敲してから投下しようぜ。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 17:47:59 ID:mFA9hdpi
テスト
70リリカル・コア:2007/10/07(日) 18:51:31 ID:mFA9hdpi
あの・・・、ようやく第一話が完結したので投下したいのですが大丈夫でしょうか?
三十分後ぐらいに投下しようと思います。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 18:52:04 ID:3veTmG4y
大丈夫に決まってますがな
72リリカルなのはBsts:2007/10/07(日) 18:57:50 ID:8nHjzBp4
>>メビウスさん
ダイナの登場にGJです。実はニセダイナが好きな自分www
>>魔装機神さん
チンク姉が出ましたね、期待してます。GJ
73リリカルなのはBsts:2007/10/07(日) 18:59:38 ID:8nHjzBp4
皆さん。感想ありがとうございます、ガルバトロンの出番はあともう少しで出せると想います。
ちなみにマグマトロンは第2次グレート・ウォーを終結させた現在はセイバートロン星で待機してる設定です。
74リリカルなのはBsts:2007/10/07(日) 19:01:24 ID:8nHjzBp4
どうぞ支援しますー
75リリカル・コア:2007/10/07(日) 19:12:07 ID:mFA9hdpi
それでは行きます。
76リリカル・コア:2007/10/07(日) 19:15:18 ID:mFA9hdpi
二人が喫茶店から出てきたのを確認した執務官補・ティアナ・ランスターは待機していた車から降りると
二人の後を尾行し始める。気づかれないように距離をとり、二人に視線が注目しすぎて注意しながら。
『フェイトお嬢様は?』
『今のところ大丈夫。まあ、あの人なら簡単なことなら自分で対処できるけどね・・・』
どこか他の場所に待機している旧ナンバーズでなぜかJS事件収束後、フェイトの執務官助手として居候中のトーレから
通信が入る。
『どこに行くかわかりますか?』
こっちも同じく居候中のセッテから。因みに二人は無給。二人とも性格が性格なのであまり気にしていない。
さあ?そういいながらMAPを表示。この先にありそうなのは・・・。
『この先の公園かしら?。チームで先行して安全を確保しておいて。目的地が違ったら近くで待機』
『分かった』
『一応言っておくけど都市のガードに目をつけられないように』

「後ろに付いて来てるのはあなたの部下かしら?」
気づかれていた。フェイトは苦笑するしかない。帰ったら尾行の教育をしないとだめかな?
「まあ、そんなところです」
スミカの案内で付いたのは都市部によくありそうな大きな公園だった。昼下がりということもあり周りにいるのは子供
が多い。公園内の東屋にはよく知っている少年を挟んで、よく知っている少女が二人座って睨み合っていた。
おそらくよく知る居候の助手二人もどこかにいるだろう。
77リリカル・コア:2007/10/07(日) 19:19:01 ID:mFA9hdpi
なんか禍々しい空気があるわね、そう思いながらスミカは手近なベンチにフェイトと並んで腰を下ろす。
スーツ姿の女性とタンクトップにパンツ姿の女性、並んでみると接点がなさそうに見える。
「で、聞きたいことは?」
「なぜ、彼を選んだんですか?当時あなたは研究素材として研究施設に捕まっていて外部の情報は知りようがなった筈です」
「あの時は誰も彼のことは知らなかった。知っていたとしても唯のレイブンとして、ね」
「じゃあ・・・」
「彼とコンタクトを取れたのは本当に偶然よ。ネットを通じて幾つか作戦を依頼し、そして脱出時に初めて出会った」
そこまで言って一旦言葉を区切る。空を仰ぐ。あの時を思い浮かべる。
「護送用のトラックを脱出した後、コーラルスターを回収して予定していた地点に急いだ。信じられる?彼はウェンズデイ
機関の私兵一個中隊を一人で全滅させたのよ」

『助けてくれて感謝するわ。私の名はスミカ・ユーティライネン。救出の依頼主です』
格納庫の中の光景はすさまじいの一言だった。戦いを挑んだであろう魔導師達の死体が転がり、壁や天井には戦いの
激しさをあらわす弾痕や傷跡・・・。
ここがこれならここまでの道筋は・・・。
『分かった』
『ここまで派手にやらなくても・・・』
スミカの言葉を遮り男が答える。若い男の声。だが深い影が感じられ、年寄りの声のように聞こえた。
『脱出路はこっちだ付いて来い』
男はそういうと体を翻して通路を進んでいく。

「それまでの依頼で能力は知っていた、いえ、知っていたつもりだった。その後、彼にはここアンバークラウンの近くに
居て貰って優先的に私の依頼を受けてもらったわ」
お金はかかったけどね。そういいながらまたスミカは空を見上げた。
「その後、あなた達はウェンズデイ機関と戦いを繰り広げた」
「そう。裏にいたのは当時のムラクモミレニアムと言われていたわ」
ムラクモミレニアム。現在のミラージュ社は管理局のスポンサー企業でもある。
「もう一人、レイブンがいたわ。スティンガー。機関と専属契約を結んでいたレイブンよ」
「話は聞いたことがあります。が、彼に関する記録はほとんどありません。彼はどんな役割だったんですか?」
「機関専属のレイブン。だけど私達が機関の邪魔をし始めた時から彼はおかしくなっていったわ。試作型のファンタズマ
まで持ち出して私達を襲ってきた・・・」
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 19:19:44 ID:3veTmG4y
支援
79リリカル・コア:2007/10/07(日) 19:23:17 ID:mFA9hdpi
『あれがファンタズマ・・・?』
接近する機体にスミカは注意を向けた。
『いつまで面倒をかける気だ?!』
接近してくる大型の機動兵器からオープン回線で通信が入る。その声は間違いなく幾度となく相対した
レイブン・スティンガーだった。
『スミカ、下がっていろ。こいつの狙いは俺だ』
『気をつけて・・・!!』
大型機動兵器に挑む男は距離をとりながら確実に射撃を打ち込み隙を見るや接近戦を仕掛ける。
スティンガーは反撃しようと火力で押し込も。が、回避を続けている男を捉えられなかった。
『俺が・・・やられるはずが・・・』
損傷が限界に達したのか大型機動兵器は煙を吹きながら引き返していく。
『・・・殺してやる、・・・殺してやるぞ・・・』
『追撃を・・・!!』
止めを刺そうとスミカが追撃をかける。
『待て、必要ない』
『な・・・』
ここで逃がしたら・・・!!そう言おうとしたスミカを遮り男が止める。
『おそらく奴の機は制限がかかってる試作だろう。あれを落としても完成型が出てくるだけだ。それに・・・』
男は一旦区切るとスミカのほうを向いた。
『ああいう奴はすぐに現れるさ。だいぶ頭にきてるみたいだからな。そっちのほうが御しやすい・・・』
スミカは一瞬目を疑った。男が笑ったように見えた。

「確認された試作機はあなた達が破壊した三機。そしてオリジナルの一機。これが確認されたのは・・・、
未踏査世界・アビス。旧暦の戦争で廃棄された世界だとされています。これを発掘したのはウェンズデイ機関の調査隊
でしょう。勿論、違法調査ですが・・・」
「あなたはアビスの中の座標が知りたい、そうでしょう?」
「はい」
「だけど私はアビスに行っていないわ。スティンガーに招待されたのは彼一人だけよ」
「え?」
思わぬ一言にフェイトはまさかと言う顔をした。
「まあ、彼が帰還して、スティンガーが未帰還になった。それがすべてを物語っているわ」
「それじゃあ、アビスの座標は・・・」
知らないのですか?そうフェイトは聞こうとした。
「アビスの座標なら知ってるわ。だけどあんなおかしな所に行ってどうするの?あそこには廃墟しかないと彼の
レポートに書いてあったわ」
「・・・私達の捜査チームはジャック・Oというレイブンを追っています。ご存知ですか?」
スミカは頷く。レイブンと名乗るものなら誰も知らぬものはいない男の名。
「かつてのレイブンズアークの主催でレイブンの独立性を訴え管理局と正面から衝突したレイブン。
今は行方不明?死亡扱いだったかしら?」
「彼はアークの崩壊後、地下に潜りました。死亡してはいないでしょう。そして彼が長期的な計画を考え、
何かを準備している。私達はそう考えています。そして・・・」
「彼は何処かの未踏査世界にいる。それで未踏査世界を調べている・・・、特にレイブンの関わった場所を・・・」
スミカの言葉にフェイトはうなずいた
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 19:23:48 ID:3veTmG4y
支援
81リリカル・コア:2007/10/07(日) 19:29:25 ID:mFA9hdpi
「お話をして頂きありがとうございました。協力に関する報酬ですが・・・」
「お断り」
スミカはにべもなく答える。だが彼女の手にはいつの間にか握られていたのかクシャクシャになったメモがあった。
「これをあげるわ。アビスの中の座標が書いてある。座標軸のとり方は一般の地図と一緒よ」
「しかし・・・」
「今回のおしゃべりは楽しかったわ。あの事件の事について人と話せたの初めてなの」
そういうとスミカは立ち上がり、歩き出す。
「あの・・・!!」
なおも食い下がろうとするフェイトに振り返り話しかける
「そうそう、もうちょっと護衛の立ち方、教えた方がいいわよ。バレバレよ。じゃ、またね」
フェイトは憮然とする。全員が自分もよく知るベテランぞろいだ。それの気配に気がついていたらしい。
コア・デバイスを持たない準レイブンでもここまでできるものなのかとフェイトは認識を新たにした。
『さあ、みんな帰りましょか。とりあえずデブリフィーリングは覚悟しておくように』
チームとして動く全員に通信を送る。スミカに傍受されないよう最高度のスクランブルつきで。
『了解・・・』
これから始まる小言の時間に全員、六人が気落ちした声で返事をする。
『合流地点はとりあえず予定通り第二とします、以上』
まずは全般を指揮するオーリス二佐に報告書を書き上げて、その後にみんなに特別訓練かな。
そう思いながらフェイトも全員との合流地点に歩き始めた。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 19:30:38 ID:3veTmG4y
支援!支援
83リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY :2007/10/07(日) 19:35:32 ID:Z36KbeCb
まとめになのは×アーマードコア氏でページ作ってある方と同一人物ですか?支援
84リリカル・コア:2007/10/07(日) 19:35:37 ID:mFA9hdpi
とりあえずこれで第一話は終わりです。
ちなみにエヴァンジェ率いる戦術部隊はあくまでもバーテックスの鎮圧部隊でジャックの捜索のような
仕事は飼い殺し状態のオーリスが指揮しています。はやては戦術部隊の幕僚。
この時点でジャックの生死は不明。
ストーリー的には無印→MOA→PP→2→NX→今(LR)の順番で男は世界を渡り歩いています。
特攻兵器は今のところなし。

ありえねえ、こんな流れ・・・。
次回は愛すべき地雷伍長(MOA)と機体だけならガチで強いエネ(2)によるアリーナの説明を受ける
なのはさんです。付き人は光ゲンジな中島三姉妹。(古!!
85リリカル・コア:2007/10/07(日) 19:38:07 ID:mFA9hdpi
>>リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY氏
一応同一人物です。ネーミングはダサいですが・・・。
次はいつ投下できるんだろうか・・・。
86リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY :2007/10/07(日) 19:53:29 ID:Z36KbeCb
GJです
フェイトの考えの通りなら、ジャック・Oは何かの計画を考えている…何企んでるんでしょう?
…ん?トーレとセッテが出所できてるってことは、他の監獄組も…?
87名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 19:55:50 ID:3veTmG4y
GJですた
スカは、あれだな。
レクター博士みたいな立場だったらかっこいいな
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 20:38:49 ID:c2ZEygh5
管理局は尾行とか下手そうだよなぁ
力押しばっかな感じで
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 20:40:28 ID:iEWOMnKQ
尾行と潜入といえばソリッド・シャマルを忘れてはいけない。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 20:41:29 ID:AjKGySNg
StSでシャマルが本気だしてたらもっと早く解決できたよな。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 20:51:58 ID:SBekCBNf
>>89
他にもリキッド・シャマルとソリダス・シャマル、ネイキッド・シャマルがいるのか。
ザ・ボスの役割はだれがやるんだ?
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 20:53:56 ID:SBekCBNf
sage忘れたorz
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 20:55:08 ID:3veTmG4y
そりゃもちろん、リインフォースTに決まってんでしょ
94名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 21:10:54 ID:cOoosBFB
>>43
ウルトラマンノアとか怪獣ならクロノーム.又は−エネルギーとか

ねぇ加賀美(ガタック)とか良太郎(電王)や橘(ギャレン.ケタック)とかのクロスはいいあいつら時間移動もベルト一つでこれるしなんの矛盾もないし、タディナはどの作品に現れても違和感がないから
95白き異界の魔王:2007/10/07(日) 21:43:46 ID:IWDZzozL
投下よろしいでしょうか。
クライマックスフェイズがまだ終わらない

何もなければ投下って事で。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 21:45:06 ID:jPw/dSGZ
ならば支援しようッ!
97白き異界の魔王:2007/10/07(日) 21:47:46 ID:IWDZzozL
アニエスの祭壇:スバル・ナカジマ
マッハキャリバーの機動性でもステラに近寄るのは簡単ではない。
触手のを避けながら走らなければならないし直線で走れば蝗の群れが行く手をふさぐ。
スバルはそれらを落とし、あるいは振り払いながらでなければ前に進むことは出来なかった。
「えい!やあっ」
顔を狙ってきた触手を裏拳で落とし、足下に伸びる触手をローキックで跳ね飛ばす。
「はぁっ、たぁっ」
回転の勢いをつけたままもう一本たたき落とし、4本目にハイキックをめり込ませる。
勢いをつけた足の甲に蹴り潰された触手がちぎれ飛んでいく。
「わぁあああっ」
少し調子に乗りすぎた。
片足がまだ空中に高く上がっている間に、スバルと同じくらいの大きさの蝗が体当たりをしてきた。
「うわあああああっ」
マッハキャリバーは地面を離れ、支えを失ったスバルは転がる。
立ち上がろうと手を着くスバルの上に体当たりをしてきた蝗が顎をかちかち鳴らしながら、のしかかってきた。
「スバル!」
ティアナの声が飛ぶが、援護は期待できない。
エリオを取り巻く群れを落としていくので手一杯だ。
「うわぁ!」
蝗は鋭い顎をスバルの喉に向けて押しつけてくる。あれに、首筋を噛まれたら重傷はまぬがれない。
スバルは蝗の顔を掴み押し返す。このままやすやすと喉に喰らいつかれるわけにはいかない。
それに対し蝗は脚力で顎を押してくる。
「うっ……」
蝗の脚力の方がわずかに強い。少しずつ、少しずつスバルの腕が曲がっていく。
スバルの視界が蝗の顔で覆われる。
蝗の顎がさらに大きく開いた。
「ひうっ」
何かがスバルの体の上を飛んでいった。
蝗はそれに吹き飛ばされ、空中で回転している。
「どきやがれ!この虫野郎」
スバルの上を横一文字に刀が振るわれる。
真横に切り裂かれた蝗が落ちて消えた。
「や、やっと着いたぜ」
肩で息をする柊蓮司が魔剣を振り抜いていた。
「なにやってんのよ、あんた!先に戦ってるんじゃなかったの?」
文句を言いながらティアナが魔力弾を2発、別の蝗に飛ばす。
「しょうがねえだろ!砲弾の蓋が歪んで開かなかったんだよ!」
切り返した魔剣がティアナの撃った蝗を二つに切る。
「いいじゃない。無事だったんだから」
柊蓮司の首を締めようとした触手を拳で粉砕する。
「で、あれを狙っているのか?」
柊蓮司の視線の先にはステラがある。
「そう、アニエスの要。その瞳を狙うのよ」
「よっしゃああああ」
柊蓮司の足音を背中に感じながら、スバルは飛び出した。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 21:48:45 ID:5jm8yt0b
>>95
<<蟹光線>>(訳:待ってました!byとあるアニメサロンNWスレ住人)
99白き異界の魔王:2007/10/07(日) 21:49:22 ID:IWDZzozL
通路:フェイト・T・ハラオウン
走るフェイトをなのはの砲撃魔法が追い越す。
ベール・ゼファーを狙い、一直線に進むそれは当たる直前に起動を屈折させあらぬ方向に飛んでいく。
空間歪曲魔法、ディストーション・フィールド。
フェイトは両手の二刀をあわせ、1つの大剣とする。

出撃前、緋室灯が言っていたことがある。
『……ディストーション・フィールドは攻撃の威力を下げて、当たりにくくする優れた防御魔法。でも、対処法はある。ディストーション・フィールドは特定の空間を歪める魔法。だから、使用者をその特定の空間から移動させれば無意味になる』

フェイトは手首を返し、剣の腹をベール・ゼファーに向ける。
「はぁあああああああああああっ!」
横なぎの一閃。
ベールゼファーが片手を迫る剣の腹に添え、その反動で宙を飛ぶ。
ダメージはない。
だが、狙いどおりでもある。この場から動いたベール・ゼファーは歪曲空間の恩恵を受けることはできない。
地面に降り立ったベール・ゼファーの口が動く。
光の粒子がベール・ゼファーの手に集まり、輝きを増す。
絶対命中の攻撃魔法、リブレイド。

柊蓮司からはこう聞いていた。
『あいつに弱点なんか無いぜ。
 どうにかする手がないわけでもないがな。
 魔法の詠唱途中、完成前にぶっ叩いてやるんだ。
 あいつとの力の差がありすぎるとそれでも魔法を使ってくるだろうが、あいつの力が下がっているときに速さに自信のあるフェイトならなんとかなるかも知れねえな』

動きの邪魔になる大剣を二刀に分ける。
地を蹴り、瞬時にベール・ゼファーを間合いにおさめる。
光が解放される寸前に、二刀でベール・ゼファーを挟み込む。
ベール・ゼファーは手を交差させ、右手でフェイトの右の剣を、左手で左の剣を挟み、止める。
「前より随分早くなったわね。高町なのはも随分魔力が増している。力を隠していたのかしら。私も舐められたものね」
剣をねじり、ベール・ゼファーから引きはがす。
「そんなことっ」
できるはずがない。
あの時は全ての力を出し切る前に圧倒的な差でねじ伏せられ、叩きのめされたのだ。
今どうか。
ベール・ゼファーの指先に血の流れない傷がわずかにできていた。
光と闇のプラーナの色を見せる傷。
その傷が柊蓮司の力とライオットフォームにより、力の差が縮まったことを示している。
「でも、これで勝てる気でいるの?」
それでも差はまだ大きい。
ベール・ゼファーが片手を振り上げる。
下がろうとするが間に合わない。バランスを崩しすぎている。
予想外だった、魔法主体と思っていたベール・ゼファーがフェイトの速さに対応するために詠唱時間のかかる魔法ではなく格闘戦を挑んできたのだ。
「それでも!」
なのはの砲撃魔法がベール・ゼファーの手を直撃し、爆発を起こす。
その間にフェイトは間合いをとり、二刀を構えなおした。
「私たちは負けない」
フェイトはブラスタービットの援護射撃の中を走った。
100白き異界の魔王:2007/10/07(日) 21:50:29 ID:IWDZzozL
空:八神はやて
迫る蝗の大群に対してはやては逃げるしかなかった。
飛べるものの空戦を専門としていない陸佐のはやては飛びながらの回避は得意ではない。
だが、地上に降りることも出来ない。空中と地上の両方の蝗に襲われるだけだ。
「あ、あかん」
追いついた群れの1つがはやてに食らいつこうとする。
内火艇のエンジン音が響き、群れに突入する。
装甲をわずかに食いちぎられながらもジェットと急制動、急加速で群れを散らす。
大群としての攻撃力を失った蝗たちは別の群れと合流すべく四散していった。
「いけんよ、ヴァイス君。内火艇は命綱なんよ。無茶せずに、な」
はやての広域魔法はは最大の効果を発揮するためには、目標の観測とそのデータを処理し最適の攻撃ポイントを割り出す必要がある。
そのためにはリィンUの融合、あるいは後方での優れたコンピュータとオペレーターによる補助が不可欠になる。
そのどちらも遙か遠い通信すらも届かないクラウディアの中だ。
今はそれらの代わりを内火艇の機材とオートプログラムが行っている。
熟練オペレーターの補助無しのオートプログラムでは最適解など望めるはずもなく、得られるのはせいぜい最適解があると思われる範囲だけだ。
だが、それでもあると無しでは大きく違う。
もしはやて単体で戦っていれば、いかに広域魔法といえど多くの無駄玉を撃っていたことだろう。
そして、無駄撃ち補うためにさらに多くの魔法を使わなければならないはやてはあっという間に消耗してしまう。
故に内火艇は命綱なのだ。
「わかってますよ、隊長。こっちも考えながらやってますから」
内火艇の耐久力はバリアジャケットを考えてもはやての数倍はある。
それでもはやては仲間が身を挺しているのを見ると高ぶる感情を抑えきれない。
指揮官としてあってはならない感情かもしれない。
しかし、はやてはまだそれを抑える術は未熟だ。特に、勝ちを拾うのが難しい今は。
かわりにはやては感情を行動に変えた。
「来よ、白銀の風、天よりそそぐ矢羽となれ」
ここは自分が支える。
その思いを魔力に込める。
「フレース・ヴェルグ!」
いくつかの群れが白い光の中に消える。
1つ光が飛ぶ度にはやては苦痛を感じる。
それでもはやては打ち続けた。
101白き異界の魔王:2007/10/07(日) 21:52:52 ID:IWDZzozL
アニエスの祭壇:スバル・ナカジマ
「たあああっ」
駆け込んできたエリオがストラーダの槍先に展開する魔力の刃で触手を一束根こそぎ刈り取る。
スバルは短くなった触手を踏みつけて前進。少し進むと、前に降りてきた蝗の群れが突進してきた。
「スバル!進んで!」
二丁を操るクロスミラージュ特有の速射性を駆使してティアナが群れを分断し隙間を作っていく。
スバルはその隙間に割り込みさらに前進する。
「きゃああああっ」
後ろからティアナの悲鳴が聞こえる。
「大丈夫です」
スバルは振り返りそうになるが、振り返らない。
キャロの声と爆音でなにが起こったかわかるからだ。
フリードの火炎が蝗からティアナを守ったに違いない。
スバルは前方に意識を集中する。
ステラまではもう少し。
だけど、地面は触手が覆っていて一気に突破はできない。
なら
「マッハキャリバー!」
「Wing Road」
伸びる光の道をはステラ元へ。
スバルはその道を駆け上がる。
だが、それを黙ってい見ている敵はいない。
空中にいた新たな群れが光の道の上で壁となって立ちはだかる。
「ディバイン・バスター!」
シリンダーの呻りに魔力を重ねる。
壁にぶつかる直前に手を突き入れた。
「シューーーーートっ!」
迸る光の渦の中に捕らわれた蝗はあるものは落ち、あるものは消えていく。
光が消えたとき、そこにあるのは群れに出来たトンネルだった。
「柊さん!」
「まかせろ!」
魔法の力をもって、柊蓮司は蝗のトンネルを一足で通過する。
次の一足で魔剣を振り上げる。
ステラはすでに間合いの中。
いかに動こうが対応可能だ。
「魔器解放!」
束から施されたルーンが順に光り、剣先の宝石に及ぶ。
魔剣は膨大な魔力を蓄えた魔法陣を宿す。
「くらえぇええ!」
柊蓮司は真正面に捕らえたステラに持てる最大の攻撃をたたき込んだ。


********************************************
今回はここまでです。
プロットと構成は変えてないのに思ったよりも行数がかかってしまいます。

柊、いいところに出てきました。
ですが隠れて待っていたわけではありません。
信用してください。

で、フェイトにホームラン技を使わせて、柊にいきなり魔器解放使わせてみました。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 21:56:39 ID:5jm8yt0b
>>101
GJ!ヴァイスにちょっと惚れそうだぜw
103通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 22:01:44 ID:1RWYGknH
菊地秀行作品とのクロス(特に<魔界都市シリーズ>かD)がないな・・・そんなに書きにくいのだろうか?
104名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/07(日) 23:08:49 ID:E0KmPKRP
やっと入れた・・ついさっきまで入れなかったんだが何かあったのかな?
105名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 23:10:07 ID:3veTmG4y
2ちゃんの全サーバーが落ちてた
106名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 23:12:23 ID:0xfj1OhH
つアニメ最萌トーナメント2007のレス数の異常さで墜ちてた。
107白き異界の魔王:2007/10/07(日) 23:15:37 ID:IWDZzozL
びっくりした。
私が投下した後だったから、自分のせいじゃないのかとびくびくものでした
108名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/07(日) 23:20:20 ID:E0KmPKRP
>>106
そんな事があったのか・・つかどんだけだよ。
109リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/07(日) 23:21:50 ID:3ok194rf
何もなければ今日(明日?)0時ぐらいから第1話を投下しようと思ってます。
今回はちょっと長めの予定です。
110名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 23:23:14 ID:G89U62tH
マジで?
111名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 23:23:22 ID:0xfj1OhH
実際そうだかわかんねえけどな。orz
112名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 23:26:34 ID:jPw/dSGZ
ようやっと復旧ktkr
113リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:01:17 ID:3ok194rf
 ミッドチルダ中央区画湾岸地区。

 そこには時空管理局の部署――古代遺失物管理部「機動六課」の本部隊舎がある。

 その中の一部屋――隊長室では重苦しい雰囲気が流れていた。 その原因はつい先程、本部から受け取った一つの緊急連絡の内容のせいで

ある。

 内容は酷く簡単なものであり、そして何より大変なものであった。

『ロストロギア研究施設からロストロギアが奪取された』

 それだけである。 だがその危険性を知る機動六課の指揮官達は先程から沈黙したままである。

「まさか、ここまで派手に動く組織があるとはなぁ……」

 部隊長である八神はやてが重苦しい中、やっと口を開いた。 それをきっかけに全員での話し合いが始まった。

 ここにいるメンバーは全部で6人。

 機動六課部隊長――八神はやて。

 機動六課部隊長補佐――グリフィス・ロウラン。

 スターズ分隊隊長――高町なのは。

 スターズ分隊副隊長――ヴィータ。

 ライトニング分隊隊長――フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。

 ライトニング分隊副隊長――シグナム。

 それぞれが手元にある資料を見ながら思った事を口に出し始めた。

「しかし本当に進入した魔道師が5人なの?」

「守備してたのは地上部隊の精鋭に加えて、航空部隊もいたんだろ? 本当なのかはやて?」

 スターズ分隊の隊長と副隊長であるなのはとヴィータがそれぞれ口を開く。
114名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:02:29 ID:12BChKgb
地上部隊の精鋭=神聖騎士団=うわーだめだー支援
115リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:09:57 ID:Rtx0ZULD
 それはそうだろう。 資料によれば守備していたのは地上の陸戦部隊が2隊、本局の航空部隊が1隊が研究施設の守備についていたのだ。

大規模な部隊ならともかくたった5人程度の魔道師に敗北するとは思えなかった。

 しかしはやては同じ気持ちを持ちながらも2人の言葉を否定した。

「でも事実や」

「なら、敵魔道師ランクが高かったとか?」

「だがそれなら敵対組織に機敏な本局が見逃すとは思えないのだが……」

 部隊長であるはやてに2人の意見が否定されると、次に口を開いたのはライトニング分隊の隊長と副隊長であるフェイトとシグナムであ

る。

 しかし会話の中である程度、意見が否定されてしまっている。

 シグナムが言う通り、時空管理局は敵対組織の動きには機敏に反応している。 もし時空管理局が捕捉している敵対組織の魔道師が動いた

のならば何かしら本局から連絡があった筈だ。

 それがなかった。 と、言う事は……。

「本局すら知らない。 まったく新しい魔道師って事になるな」

 それが機動六課の結論にして、時空管理局が出した結論であった。

 そうなると非常に厄介である。 大きな組織である時空管理局とはいえ、全時空を掌握している訳ではない。

 次元は宇宙といっていいほどに広いのだ。 どう頑張った所で、全てを掌握する事は不可能である。

 では、今回の組織に対する対処はどうするのか? と聞かれれば現状、敵の狙いだと思われるロストロギアの保管庫の警備を強化する程度

である。

「……やっぱり現状はそれしかないんだね」

「そうだな。 敵の事が分かれば何かと違うんだろうがな……」

 なのはとシグナムがそれぞれ愚痴を零す。 お互いロストロギアの危険性を嫌と言う程知っているのだ。
116名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:11:39 ID:12BChKgb
レジアス中将支援
117リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:13:29 ID:Rtx0ZULD
 もしも、強奪した組織がそれを使って何かを起こせば、使った人間に無関係な人間の両方がただで済むとは思えない。

 ロストロギアは危険な代物だ。 その殆どが、今の技術では解析出来ないものが多く、人の手には余るものでしかない。 だからこそこう

して自分達が確保して悪用されないように管理している訳なのだが……。

「そういや、グリフィス君。 この襲撃時にいた部隊の隊長達はどうなってるんや?」

「確か中央の医療施設で入院中です。 他の部隊の方々もそれぞれ軽症から重症で……」

 はやての疑問に答えるグリフィス。 あの時、警護任務についていたうちの3部隊の隊長はそれぞれ重症や軽症を負っていた。

 いや、あの戦いで傷つかなかった人員は殆どいない。 せいぜい観測班であったり、あの場に居なかった者達ぐらいだ。 ただ奇跡と言え

るのは死者がいなかった事だろうか。

「しかしそれが何か?」

 グリフィスが疑問の声をあげる? 今それを聞いて何になるんだろうか?

「戦闘データが何も入ってないやろ? うちらがこの事件を担当するわけやないけど、ロストロギアを追っとるからな。 もし遭遇した時に

情報なしってのは勘弁したいんや」

「うん。 情報があれば作戦とかも立てやすいしね」

 情報は何よりも大事と言ってもいいかもしれない。 あるかないか。 それが戦場での一瞬を分ける要となるかもしれない。

 だからこそ情報は出来るだけ欲しいのだ。 自分達の為、そして今自主練をやっているだろう新人達の為に。

「大丈夫。 確かに大変かもしれないけど、みんなの力を合わせればなんとかなるよ!」

 なのはの言葉に全員が笑顔になる。

 そうだ。 今までも大変な事は沢山あった。 でもそんな大変な事をみんなでどうにかしてきたではないか。

 大丈夫。 今度は10年前に起こった事件を通して出来た何よりも信頼出来る仲間達が揃っているのだから、今度もきっとうまく行く。

 そう全員が思っていた。

 しかしこの時点で彼女達は根本的な間違いを犯している事に気づいてはいなかった。
118名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:16:07 ID:12BChKgb
地上部隊の精鋭と聞くだけで笑いがこみ上げる支援
119リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:19:36 ID:Rtx0ZULD
 そう、本当なら真っ先に気づいてもおかしくないようなシグナムとヴィータですら、この場ではそれに気づく事はなかった。

 そして彼女達がそれに気づいた頃には、彼女達は酷く後悔する事になる。

 たった一つ。 そうたった一つ。 彼女達の大切なモノを代償にして――。



 ○―――○



 そんな会議から2時間後、八神はやてとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの姿は本局の医療施設にあった。

 会議でも言った通り、彼女達、機動六課がこの事件を担当する訳ではないのだが、決して関わりがゼロと言う訳でもない。 機動六課はロ

ストロギアに関わりがある部隊である。 ならば、ロストロギアを狙う敵と接触しない可能性がないわけではない。

 ならば何かしら対策を立てなければならない。 本局所属の部隊や地上の部隊を――個別で戦ったとはいえ――たった5人の魔道師が倒し

てしまったのだ。 かなりの使い手である事は間違いない。

 そんな相手に情報なしに戦ってもこちらの被害が広がるばかりだ。 だからこそここにやってきたのだ。 戦った事がある人に話しを聞く

為に。

 歩く事数分、目的地である病室に到着。 ここに隊長の1人が入院している。

 ノックをすると、中から男の声が聞こえてきた。

「どうぞ」

「失礼します」

 中に入ると、個室のベッドに臥せている男――セカナ隊の隊長、ローグ・ヴェルトスがいた。

「古代遺失物管理部『機動六課』部隊長、八神はやて二等陸佐です」

「同じくフェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です」

「ふむ。 陸士091部隊所属セカナ隊隊長ローグ・ヴェルトス二等陸尉だ」
120名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:20:25 ID:12BChKgb
陸士のおっさん支援
121リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:24:59 ID:Rtx0ZULD
 敬礼と共にまずは2人が名乗ると、ローグのほうもそれなりに元気なのか同じように敬礼すると名乗り返してきた。

「それで、本局所属のエリートさんが俺に何用だい?」

 ローグはあっさりと直球で問いかける。 特に世間話をする気などはないらしい。 しかも相手が自分より階級が上だとしても敬語じゃな

い。

 どうやら、一角の小娘程度の認識しかないようだ。

 はやてはそれを特に気にする事はない。 そんな目で見られるのは慣れている。

 それよりも本題に入るほうが先だと判断した。

「実は、この前のロストロギア研究施設の襲撃事件。 その犯人である魔道師について話を聞きたいんです」

 フェイトの言葉を聞いて、顔を顰めるローグ。 襲撃事件の事を思い出しているようだ。

 少しの間の沈黙があったが、ローグは観念したように口を開いた。

「俺もあっさりとやられた口でね。 そう話せる事は多くないぞ」

「構いません。 今はどんな些細な情報でも欲しいんです」

「それならいいがな……」



 ○―――○



 はやて達がローグから話を聞いている頃、ミッドチルダとは別の世界に場面を写す。

 その世界を一言で表すなら、なのは達の出身世界である第97管理外世界にある地球の日本国と似た世界。

 そんな世界にある村から少し人里から離れた場所――山の麓に古風な一軒家が建っていた。

 決して大きくない家ではあるが、この家に住む住人の数を考えれば十分な大きさだ。 そして、そんな家に向かって歩く1人の人影が現れ

る。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:26:16 ID:12BChKgb
このおっさんはおっさんの鏡支援
123リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:30:11 ID:Rtx0ZULD
 こんな人里離れた場所に人が歩く事は殆どないのだが、その人影こそがこの家の住人の1人であった。

「ただいま」

 家に入ってきたのは10代後半から20代前半であろう男性である。 頭の髪はツンツンと黒い針金のようになっているのが特徴だ。

 その人こと、混沌の永遠者――カオス・エターナルの1人である『聖賢者ユウト』である。

 ユウトは家に入ると、靴を脱いで迷わず広間のほうへと入っていく。 そこには同居人であり自分のパートナーであり、伴侶と呼んでもい

い人物が待っているのだから。

「あっ、お帰りなさいユウト様」

 迎えてくれたのは一人の少女。 綺麗な緑色の髪を肩にかかるかかからないか程度の長さに切り揃え、この世界では珍しい――メイド服に

身を包んだ少女。

 彼女もまたカオス・エターナルの1人である『聖緑のエスペリア』である。

 ユウトは手に持っていた町の土産をエスペリアに手渡すと、座布団の上に座って一息ついた。

「もう傷痕は完全にない。 この世界はもう大丈夫みたいだ」

「そうですか。 それなら良かったです」

 ユウトの報告を聞いて、2人は安堵の表情を浮かべる。

 2人がこの世界にやってきたのは今から大体50年程前であった。 ロウ・エターナルの一派がこの世界を滅ぼす動きがあり、その対応に

2人――正確には3人――が派遣されたのである。

 戦いそのものは1年程で決着はついたが、ロウ・エターナルが起こした戦争により町も人も傷つき、ボロボロな状態になっていた。

 手助ける事こそ出来ないが、ユウトとエスペリアはそんな世界を見守るべく、こうして戦いが終わった後もこの世界に留まり続けていた

のだ。

 そしてそれから50年。 本当に長い期間ではあったが、もうあの戦争で受けた傷痕はなくなった。 ならばもう大丈夫だろう。

 もちろんまたロウ・エターナルが来る可能性もない訳ではないのだが、結界も張っているし、そう簡単に同じ事は出来ないだろう。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:31:23 ID:12BChKgb
地上本部支援
125リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:37:50 ID:Rtx0ZULD

「でもこれからどうしましょう?」

「そうなんだよなぁ……」

 今回で任務は終了だ。 しかし次の任務が来る様子もない。 とは言ってもまぁ、いいかと思うユウトである。

 任務がない期間が100年続くなど、ありがちだと先輩であるエターナルから話は聞いている。 永遠と言っていいほど、長い期間を生き

る彼等にとって100年などほんの少しの時間でしかないのだ。

「時深様もやってきませんしね……」

「そうなんだよなぁ……」

 自分達をエターナルへと導いた人物――『倉橋時深』も同じ任務についていたのだが、彼女は色々な場所に行っているらしくここにはい

なかった。

 それでも数年に一度ぐらいの単位でやってきたいたのだが、ここ最近はまったく姿を見せていなかった。

「まぁ、大丈夫だろ時深なら」

 ユウト自身、時深の心配はさほどしていなかった。

 永遠神剣第3位である『時詠』と『時果』、更には『時逆』まで持ってる規格外。 その戦闘能力の高さはエターナルの中でも上位に分類

されるのだ。

 訓練の時でも、ユウトとエスペリア。 2人がかりで戦ってもそう簡単に倒せる相手ではない。

 それを知っているからこそ、特に心配する必要はなかった。

「任務も発生したら連絡が時深から来るだろ。 それまで――!?」

「っ!?」

 突然、強いマナが発生する。 それに反応してユウトとエスペリアは自分の相棒である神剣を構える。

 どうやら何者かが、この世界に侵入しようとしているらしい。

 時深なのか? とも思ったのだが、時深や他のカオス・エターナル達が来るなら事前に連絡があるし、落ち合う場所も違う。

 そう考えると、彼女達以外の何者かだ。
126リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:43:50 ID:Rtx0ZULD
 それだけ判断すると、2人の間に緊張が走る。 こちらにエターナルが2人いるとはいえ、エターナル同士の戦いは数でどうにかなるもの

ではない戦いがある事も知っている。

 時深から聞いた話では、あの『法皇テムリオン』とその部下達が全員で戦って、勝てなかった相手がいるらしい。

 それを知っているからこそ、緊張が高まる。

 そして――

「ユウトさん!」

「って時深かよ!?」

 現れた巫女装束を纏った時深を見て、おもわず突っ込みを入れてしまうユウト。

 あれだけ緊張して、待っていたと言うのに現れたのは何時も通り時深だった為だ。

「時深様、驚かせないでください。 敵かと思ってしまったじゃないですか……」

「すいません、緊急事態だった為、急いでやってきたんです」

「……何かあったのか?」

 時深が深刻そうな顔を見せているので、ユウトとエスペリアも真面目な顔を作る。

 何時もひょうひょうとしている時深がここまで真面目になっているということは何かあったのだろう。

「ロウ・エターナルが動いたのか?」

「はい。 更に言えば、今までとかなり規模が違います」

 それを聞いて、二人の顔も自然と厳しくなる。 時深から言わせれば、この世界の戦いは小規模、ファンタズマゴリアの事件も中規模程度だったらしい。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:46:58 ID:12BChKgb
しかし地上本部には情報上がらない支援
128リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:49:48 ID:Rtx0ZULD
 しかし今回はそれ以上らしい。 そうと聞けば、緊張が再び走り出す。

「ですので、今回は動ける人員は出来るだけ動きたいと思ってます」

「となると、私達もですね」

「ええ」

 ユウトとエスペリアが立ち上がる。 再び戦いの場へと戻る為に。

 あの時から500年。 まだエターナルとしては短いとしかいいようがないが、それでも今やれる事を全力でやろうと決めていた。

「行こう時深」

「ええ!」

 まだ未熟な混沌の永遠者が動く。



 リリカル×アセリア SCENE01 動き出す混沌の永遠者 END
                          →
                           NEXT SCENE02 立ちはだかる牙
129名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:50:48 ID:12BChKgb
きもうと支援
130リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/08(月) 00:56:24 ID:Rtx0ZULD
支援&感想に感謝を。 本日はここまでです。
エスペリアルートなのは作者の個人的趣味です(ぉ
ではまた次回に。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 01:03:11 ID:12BChKgb
GJ!
とりあえず六課は情報収集か。
しかしこの手の楽観思考は危険なフラグだぜ!
陸士のおっさんがいい味出してます、まあなのは達相手なら普通こういう反応するよなあ。
このおっさんは地上本部では高めのBランクぐらいか?
132リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/10/08(月) 14:49:27 ID:+2oOL983
投下するっス。

十五話「その日、機動六課(前編)」Aパート

【地球】
ナンバーWクアットロは、志村純一にスカリエッティからの依頼を伝えるため、地球に来ていた。
現在二人は廃ビルの屋上で落ち合っている。

志村「地球に居るライダーの足止めを協力しろだと?」
クアットロ「はい。」
志村「俺がアルビローチを使うのは構わんが、そちらが使う改造人間の数は?」
クアットロ「ありったけの改造人間を地球に転移させるそうです。」
志村「ありったけ?「奴ら」から預かった改造人間全てをか?」
クアットロ「そうですけど、どうかしましたか?」
志村「ゆりかごの防衛と管理局襲撃はどうするつもりだ?」
クアットロ「すべてガジェットと、強化怪人たちに任せるって言ってました。」
志村「強化怪人?」
クアットロ「はい♪ドクターオリジナルの特注品です♪」
志村「そうか…」
クアットロ「アルビノ様はお嫌いですかぁ?」
志村「いや、別に…それで、「大いなる力」の方はどうなっている?」
クアットロ「三ヶ月前にアルビノ様が盗み出したバニティカードから読み取ったデータを調べてますけど、未だに何処にあるか分かりません…」
志村「そうか…(統制者も「勝者にしか教えない」と言い張り、何も教えてはくれない…俺を創っておきながら勝手なものだ…)」
クアットロ「アルビノ様ぁ♪」
志村「ん?」

クアットロは志村に絡みつき、志村の胸に頬を摺り寄せる。

志村「何だ?」
クアットロ「なんであたしが地球に来たか、分かってくれますぅ?」
志村「…俺に会いに来たのか?」

志村はクアットロの首筋にキスを落とす。

クアットロ「ひゃん♪その通りですぅ〜♪」
志村「スカリエッティの奴が怒りはしないのか?」
クアットロ「あたしは転移ですぐ帰れるからぁ、大丈夫ですよぉ。
だから、帰る前にアルビノ様に色々してもらいたいですぅ…」
志村「ふん…良いだろう…」
クアットロ「やったぁ〜♪アルビノ様ぁ、クアットロは何を捨ててでも貴方様に忠誠を誓いま〜す♪」
志村「フッ…(クアットロ…せいぜい利用してやる…お前も、スカリエッティも、「奴ら」もな…)」
133リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/10/08(月) 14:51:31 ID:+2oOL983
【機動六課隊舎ロビー】
はやて「いよいよ明日は公開意見陳述会や。明日14時の開会に備えて、現場の警備はもう始まってる。なのは隊長と、ヴィータ副隊長、リィン曹長とフォワード四名、イブキさん、トドロキさん、桐矢先輩…じゃなくてキョウキ先輩は、これから出発。
ナイトシフトで警備開始。
私とフェイト隊長、シグナム副隊長、津上さんと木野さんは…明日の早朝に中央入りする。それまでの間、よろしくな!」
フォワード四人「はい!!!」
トドロキ「任せてくださいっス!」
イブキ「ちゃんと警備するよ。」
キョウキ「武装局員の四百倍は働いてやる。」

三人の鬼は特有のサインを作り、はやてに送った。

【ヘリポート】
スバル「あれ?マリーさんも行くんですか?」
マリー「あたしは別件。中央にちょっと用があってね。」
スバル「へぇ…」
トドロキ「皆―!早く乗るっスよー!!」
スバル「あ!行けない!」

スバル達は大急ぎでヘリに乗り込んでいく。
そして最後になのはがヘリに乗ろうとした寸前、可愛らしい声がなのはを呼び止めた。

ヴィヴィオ「ママ。」
なのは「あれ?ヴィヴィオ。どうしたの?ここは危ないよ?」
アイナ「ごめんなさいね、なのは隊長。どうしてもママのお見送りをするんだって…」
なのは「ん〜。駄目だよ、ヴィヴィオ。アイナさんに我侭言っちゃ。」
ヴィヴィオ「……ごめんなさい。」

ヴィヴィオは寂しそうな表情をする。

フェイト「なのは、夜勤でお出かけは初めてだから、不安なんだよきっと…」
なのは「あ〜、そっかぁ。なのはママ、今夜は外でお泊りだけど、明日の夜にはちゃんと帰ってくるから。」
ヴィヴィオ「…絶対?」
なのは「絶対に絶対。」
ヴィヴィオ「う?」
なのは「良い子で待ってたら、ヴィヴィオの好きなキャラメルミルク作ってあげるから。…ママと約束ね。」
ヴィヴィオ「…うん!」

なのははヴィヴィオと指切りで約束すると、ヘリに乗る。
そしてヘリはヘリポートを飛び立ち、暗い夜空に消えていく。
ヴィヴィオは寂しさが混じった瞳で消えていくヘリを見つめていた…
134リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/10/08(月) 14:53:00 ID:+2oOL983
【???】
ゾル「我々から預かった怪人全てを地球に送るだと!?」
スカリエッティ「「ええ。しかし、こちらの転移装置ではジャミングの出力が足りないため、そちらの装置で送って欲しいのですが…」」
地獄大使「貴様!あれだけ怪人を無駄にしておいて、これ以上戦力を浪費させる気か!?」
スカリエッティ「「貴方方の力があれば、あの程度の数を失うなど問題ではないはず…」」
地獄大使「そんな事ではない!我々の怪人たちを貴様に使わせるのが気に食わんのだ!
拾い物の分際で…恥を知れ!!」
スカリエッティ「「…」」
死神博士「落ち着け地獄大使…良いだろう、こちらで怪人達を送ってやる…今すぐワシらのアジトに怪人達を送れ。」
地獄大使「死神博士!?」
スカリエッティ「「かしこまりました…」」

スカリエッティは通信を切った。

地獄大使「何のつもりだ!?」
死神博士「現在開発している物と違って、旧式の方は量産が効く。
それに奴の手元に残っているのは全て強化改造を施していないタイプばかりだ。
強化改造を施していない奴らなど現在開発中の新型戦闘員以下…
浪費しても別に構うまい。」
地獄大使「しかしだな!」
死神博士「スカリエッティが管理局を倒した後は、我々がミッドに君臨せねばならん。
手際よく管理局を倒すためにも、奴の計画に我々が協力せねばならんのだ。」
地獄大使「うう…」
死神博士「それよりも今考えるのは後のことだ。
地球征服、そして他の次元制圧にはどの幹部が就くか…決めねばならん。
それに、もしスカリエッティが失敗した時のことも、考えねばならんしな…」
ゾル「死神博士の言うとおりだ。分かったかな?地獄大使…」
地獄大使「フン!」

【中央管理局地上本部】
ティア「警備部隊の方からお茶の差し入れを頂いたので、持ってきました。」
ヴァイス「おお!悪りぃな!」

ヴァイスはティアナから緑茶が入った紙コップを受け取り、飲み始める。

ティア「実は…失礼かとは思ったんですが。ヴァイス陸曹のこと、ちょっと調べちゃいました。」
ヴァイス「んあ?」
ティア「数年前まで、エース級の魔道師だったって。」
ヴァイス「なんだそりゃ。エースなもんかい。俺の魔力値なんざ、おまえの半分以下だっつうの。」
ティア「それでも、アウトレンジショットの達人で、優秀な狙撃手だったって…」
ヴァイス「はぁ。…昔はどうあれ、今の俺は六課のヘリパイロットだ。おまえが聞いて参考になる話なんぞねぇぞ。」
ティア「……」
ヴァイス「っぁ。だいたいおめーは、よけいなこと考えてる場合か?ぼけっとしてっと、またミスショットで泣くぞ、バカタレが。」
ティア「すみませんでした…」

ティアナはヴァイスに謝ると、警備任務に戻っていった。

ヴァイス「昔の話さ、そうだろ?ストームレイダー…」
ストームレイダー「I think so」
135リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/10/08(月) 14:54:51 ID:+2oOL983
【翌日】
なのは「内部警備の時、デバイスは持ち込めないそうだから、スバル。レイジングハートのこと、お願いしていい?」
スバル「ぇ、あ、はい!」
なのは「前線の皆で、フェイト隊長たちからも預かっておいてね」
スバル「はい!」.
イブキ「僕らはどうすればいいのかな?」
なのは「イブキさんとトドロキさん、キョウキ先輩は、皆と一緒に外の警備をお願い。
ホントは内部をお願いしたいけど、三人は局の人間じゃないから、内部警備には就けないの。」
トドロキ「了解っス!」
キョウキ「分かったよ。」

………
アナウンサー『本局や各世界の代表によるミッドチルダ地上管理局の運営に関する意見交換が目的のこの会。
今回は特に、かねてから議論が絶えない、地上防衛用の迎撃兵器、アインヘリアルの運用についての問題が話し合われると思われます。』

【???】
ドクトルG「始まったな…」
ヨロイ元帥「…」
ツバサ大僧正「どうした?」
ヨロイ元帥「結城丈二達の姿がない…」
キバ男爵「当然だ。奴らは十三年前に「闇の呪縛」を受け、変身することも、地球に帰ることすらできなくなったのだ。」
ツバサ大僧正「おまけに怪人たちが暴れまわっている今、奴らが表舞台に姿を現す筈がない。」
ヨロイ元帥「臆病者共め!今から探し出して、殺してくれる!」
ドクトルG「奴らを殺すには首領の許可が必要だ。それに今優先すべきことはミッド制圧だ、功を焦るな。」
ヨロイ元帥「チッ!」
キバ男爵「ドクトルGの言うとおりだヨロイ元帥。まだその時ではない。
まずはあの男の研究とやら…」
ツバサ大僧正「見せてもらおうではないか…」

【地球 東京タワー】
志村「フン…」

東京タワーの頂上に立っていた志村はアルビノジョーカーの姿に変身し、自分の影から大量のアルビローチを召喚した。

アルビノジョーカー「行け…行って東京の人間共を襲うのだ!!」
アルビローチ「シィィィィィィィィィィイ!!」

アルビローチ達は一斉に空に飛び立つ。
そしてそれと同時に空が割れ、割れた後から大量の怪人達が出現した。

アルビノジョーカー「スカリエッティも始めたか…
しかし、これだけ力を使えば…流石に剣崎一真と相川始も俺の存在に気付くか…
まぁ、それはそれで、面白いかも知れんな…」
136リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー:2007/10/08(月) 14:56:45 ID:+2oOL983
………
【ハカランダ】
始「…!」

ハカランダで休憩にコーヒーを飲んでいた始はアンデッドの気配を感じ取り、椅子から立ち上がる。

始「この気配…俺や剣崎と同じ…橘が言っていた白いジョーカーか!」
天音「始さん?」
始「!?」
天音「どうしたの?」
始「天音ちゃん…良いかい?絶対に外に出るんじゃないぞ。」
天音「え?」
始「…」

始はそう言って店を出、バイクを走らせた。

天音「始さん!?」

………
始「(どういうことだ…三ヶ月前は気配を感じなかったはずなのに…今になって急に…!?)」

バイクを走らせていた始の前に、無数の怪人とアルビローチ達が出現した。

始「…変身!」
「Change!」

始はカリスに変身し、シャドーチェイサーのモビルラウザーにカテゴリー6・トルネードをラウズする。

カリス「邪魔だ!!」

カリスは「トルネードチェイサー」で怪人達とアルビローチをなぎ払っていく。
そして怪人達の群れを突っ切り、東京タワーに向かった。

カリス「まさかダークローチの亜種まで…剣崎…」

………

ブレイドJF「…!」

剣崎もアルビノジョーカーの気配を察知し、ブレイドジャックフォームに変身してアメリカから日本に向かっていた。

ブレイドJF「この気配…俺と始以外のジョーカーがいたなんて…一体誰が…
いや、そんなことはどうでも良い!始に会うつもりはないけど、始以外にアンデッドがいるなら俺の闘争本能も働かない筈だ!
だから、日本に行かなきゃ!!」

ブレイドは背中のオリハルコンウィングを羽ばたかせ、日本に向けて急いだ。


投下終了。
グダグダと稚拙はいつものことなんでお許しを…(ォィ)
二部ではテンポよくストーリー進めること考えないと…
137白き異界の魔王:2007/10/08(月) 18:35:39 ID:2eeg2swS
「今日はSSを投下しまーす」
「わっふぅー」
「それでは、PCをかってきてくださーい」
「えー、そこからですかぁ」
「そーでーす」

とゆーわけで投下してよろしいでしょうか

何もなければ投下させていただきます。
138 ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 18:41:14 ID:YoOHo5Vf
じゃあ、その後に予約
139名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 18:41:51 ID:V0EOIDwK
どうぞー
140名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 18:44:59 ID:2eeg2swS
アニエスの祭壇:スバル・ナカジマ
柊蓮司の魔剣の魔力、それを迎え撃つステラの魔力、二つの魔力がぶつかり、拮抗し、火花をあげる。
目を刺す魔力光を少しでも弱めようと、スバルは手をかざした。
「おおおおおおおおっ」
柊蓮司が雄叫びと共にさらに魔力を注ぎ込む。
ステラも輝きと共に魔力をくみ上げる。
互いの魔力は互いの間で留まり、圧縮され、それが臨界に達したとき、ついに爆発を起こした。
ステラは部屋の奥に吹き飛んでいく。
柊蓮司はその逆に弾かれる。
「柊さん!」
あれでは受け身が取れない。
そう考えたスバルは落ちる柊に向けてウィングロードを延ばす。
周りの蝗も触手も爆発した魔力に当てられたのか動きを見せない。
スバルは一直線に走り、柊蓮司の背中を受け止めた。
「すまねえ」
柊蓮司が頭を振りながら自分の足で立つ。怪我はないようだ。
「やったの?」
ティアナを先頭にエリオとキャロも走ってきた。
「いいや、だめだ。あの手応えだと全部弾かれた」
「なによ、それ!」
空気を切る音が聞こえた。
その元は再び空中に浮遊しながらスバル達を見るステラ。
それと共に蝗は統制された動きを取り戻し、触手はスバル達を牽制するように動く。
「傷もついていないなんて……」
ティアナは目を見開き震えていた。
エリオもキャロも同じようになっている。
──たぶん私も同じ顔をしている。
スバルはそう思った。


アニエスの祭壇:ティアナ・ランスター
なのはとの訓練、そして何回かの実戦経験でティアナは、攻撃の様子を見ればその威力がどの程度かがだいたいわかるようになっていた。
ステラに打ち下ろされた柊蓮司の一撃はなのはやフェイトを思わせるほど強いものだった。
あれに比べたらスバルのディバインバスターも見劣りする。
「あれが……魔王。反則的じゃない」
なのはやフェイトを追い詰めた魔王を決して見くびっていたわけではない。
それでも想像を圧倒的に上回っていた。
城を構築し、大規模な結界を作り上げる反則的な魔力量。
世界を食べる反則的な能力。
そして自分達では傷もつけられないような反則的な防御能力。
どれもこれも圧倒的だ。
「魔王の核だからな、簡単にはいかねえよな」
柊蓮司が立ち上がる。まだ諦めていない。
──そう、私たちはまだ諦められない。
なら、どうすればいい。
ただ打ち続ければ勝てる相手ではない。
ティアナは考える。どうすれば勝てるか。
それを考えるのは指揮を執るティアナの役目だ。
──反則的
そういえば、アニエス・バートンの復活は最初から反則的だった。
アニエスの復活は片目を破壊された時に不可能になったはず。
頭蓋を封印したのも単体での危険度からであって、復活を恐れたわけではない。
──なら、元から片目で復活できたの?
それもない、アニエス・バートンが戦いに敗れたのは遙か昔だ。
片目で復活できるのなら、もうとっくの昔に復活を試みてもいいはずだ。
だが、そんな話はない。
──何故、今なの?
ステラはアニエス・バートンが破れてからずっと次元世界にあった。
そして大規模な破壊に関わり、時には世界そのものを破壊してきた。
それが突然、今までにない行動を取った。
141白き異界の魔王:2007/10/08(月) 18:46:08 ID:2eeg2swS
次元障壁の先にある世界、ファー・ジ・アースへの帰還だ。
──何故
今、帰ろうとしたのか。
「次元世界で復活の手段を見つけたから?」
なら、その手段は?
──核
アニエス・バートンの核と言えるものは三つある。
頭蓋と二つの目。
しかし、今ある目は1つだけのはず。
ティアナの視線が一点に集まる。
認識の外にあったそれが認識の中央に置かれ、それを元に思考が組み上がっていく。
「オッド!」
インテリジェンスデバイス・オッド。
あれだ!
「みんな、聞いて。ステラはきっと壊せないわ。昔壊した片目は秘術を使って壊したんでしょ?」
「あ、はい!」
串刺しにした腕くらいの蝗を振り落としながらエリオが答える。
「だったら、ステラは無理。でも、壊せるものはあるわ。オッドよ」
「オッド?」
キャロがスバルに魔法をかける。
「そうよ。アニエス・バートン復活には二つの目が不可欠なはず。だけど、目の1つは壊された。だから、ステラは次元世界でかわりになる義眼を作ったのよ。それが、オッドよ」
「あっ」
スバルは一瞬だけ、部屋の奥の祭壇に供えられているオッドを見る。
「魔王の目を壊す秘術はわからない。でも、インテリジェンスデバイスなら私たちでも壊せる!」
体の震えが止まった。
スバルも震えていない。いつものスバルに戻っている。
「なら、今度はあっちを狙えばいいんだな」
「待って」
駆け出そうとする柊蓮司を止める。
「奥に行くとステラはオッドを守ろうとするわ。蝗と触手を総動員してくると思う」
「なにか策があるんだな」
「ええ、そのためにはまず……」
ティアナは顔を上げる。
「あのステラのいるところにみんなで行かないと」
そして食べられていく獲物ではない管理局のフォワードの目でステラを睨みつけた。


アニエスの祭壇:エリオ・モンディアル
前に立つのはスバル、エリオ、柊蓮司の3人。
「行くよ、みんな」
「おう」
「はいっ」
ストラーダの刃を少し大きめにする。
足下の触手を切り裂いて行くのは草刈りをしているようでもあるが、気を抜けばあっという間に叩き伏せられてしまう。
エリオが刈り取り、柊が切り裂き、そしてスバルが蝗の群れをたたき落とし、5人は少しずつ前に進んでいく。
「あれ?」
手応えが少しおかしい。
少し前に進むごとに、力を少しずつ増さなければ刈り取れなくなっていく。
わずかずつではあるが、確実に力を増し続けなければならない。
スバルがまた蝗を1つ落とした。
蝗の大きさは人の身長の半分くらい。
さっきまでは、腕くらいの大きさのものが多かった。
──敵が強くなっている
それはまだ、気のせいのように思えた。
142白き異界の魔王:2007/10/08(月) 18:47:14 ID:2eeg2swS
空:八神はやて
はやての飛ぶ空の景色は少し変わっていた。
蝗の色は緑。故に、景色は緑に霞んでいるように見えていた。
今は違う。
景色は黒ずんで見える。
「蝗の種類が変わって気とるんか?」
黒く細身の蝗が増えている。
その新らしい蝗の群れがはやてに何度か目の突進を仕掛けてきた。
「いけっ!」
白い航跡を描く魔法弾が群れの先頭に直撃する。
巻き込まれた蝗は次々と落ちていくが、後に続く蝗はそれを無視してさらに突き進む。
「なっ?」
別の方向に飛ばそうとしていた魔法弾を目の前に迫る群れに飛ばす。
間一髪、蝗の複眼がわかる距離で群れを仕留めた。
「蝗が強くなっとる」
さっきまでは一発で落とせていた。
それが今は二発使わなければ落とせない。
わん、と耳鳴りがした。
目の前の蝗に気を取られすぎていた。
上と下、そして左右から黒い群れが襲いかかってきた。
「フレース・ヴェルグ!」
それぞれの方向一発ずつ。
だが、それではどの群れも落としきることはできない。
次の砲撃のために魔法陣に充填させる。
「あぁあああああああああっ!」
次の砲撃は無かった。
蝗の群れがはやての姿を覆い隠した。
143白き異界の魔王:2007/10/08(月) 18:48:18 ID:2eeg2swS
空:高町なのは
ベール・ゼファーの指先から黒い球が放たれる。
ついに、魔法の完成を許してしまった。
球は孤を描き、フェイトを迂回してなのはに迫った。
「Flash Move」
魔力を注ぎ込まれたフライアーフィンがなのはを加速させる。
全く反射することのない真の黒がなのはの目の前を通過した。
いやな汗が溢れる。
あとわずかで、ヴァーティカルショットが直撃してた。
しかも頭部に。
その結果を想像し、わずかに平静を乱したなのはを正気に戻したのは、わんという虫の羽音の呻りだった。
「な……に?」
あたりに蝗はいない。
しかし、通路は蝗の羽音で満ちていた。
「やっと、天秤が傾いたわね」
空中に立つベール・ゼファーの笑みが大きくなる。
「どう言うこと?」
「群生相って知ってる?
 蝗はね、密度を高くしてやると群生相っていう体が黒くて飛翔能力と集団性に優れた形に育つの。
 アニエスの蝗は、それだけじゃないわ。
 繁殖力、食欲、凶暴性も高まり、そして強くなるの。
 私はこの城の中でその群生相の蝗を作っていたわけ。
 それを一気に外に解放したらどうなると思う?
 最初のうちは外の八神はやては弱い蝗と戦っていればいいわ。
 でも、少しずつ群生相の蝗が増えていく。
 そうなれなれば、いずれ広域魔法を得意としている八神はやてでも群生相の強さと繁殖力についていけなくなるわ」
「それじゃ、はやてちゃんは?」
「今頃、蝗に食べられちゃってるんじゃない?このうるさいくらいの羽音がその証拠よ。そうそう、そうなったら蝗たちは邪魔されずに世界を食べていけるわね。それは、アニエスの力になるわ。奥に行った4人も大変なことになってるんじゃないかしら」
「く!」
いやな汗は止まらない。
なのははレイジングハートを天井に向けた。
「フェイトちゃん、行って!ディバインバスター、シューーーーートッ!」
天井を貫かんとする光の瀑布の前に立つ者がいた。
ベール・ゼファーだ。
「フォース・シールド」
なのは達の使うミッドチルダ式の魔法とは違う光の盾を手にしたベール・ゼファーはディバインバスターの魔力を全て受け止めた。
「天井を壊そうなんて乱暴ね。でも、どこにも行かせない。貴方たち2人はここで私と踊り続けてもらうわ。死ぬまで、ね」
笑うベール・ゼファーを前になのはは奥歯をかみしめた。


アニエスの祭壇:柊蓮司
そして柊達の歩みも止まる。
蝗はさらに、強く、大きくなり強くなる。
迫る蝗を切り落とすだけで精一杯だ。
一歩たりとも進めない。
「ちっくしょおおおおお!」
次の蝗の群れが目に映る。
すでに天井は見えなくなっていた。
144白き異界の魔王:2007/10/08(月) 18:49:23 ID:2eeg2swS
今回はここまでです。
145リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 18:53:34 ID:YoOHo5Vf
投下乙です!
後に続きますけどいいッスか?
146名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 18:53:55 ID:2eeg2swS
GOGO
147名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 18:56:30 ID:V0EOIDwK
いけええええええええい
148リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 18:56:54 ID:YoOHo5Vf
第13話「悪あがき」

12月14日 0910時
???

今、海鳴市で一番怒っている人は誰か?と問われたら八神さん家のヴィータちゃんと答えるだろう。
それも、まあ仕方の無いことではある。
今日の朝になって、あの傀儡兵を使うこの世界の傭兵と共同戦線を張ることになったと
ヴォルケンリッターのリーダーたるシグナムから、いきなり告げられたのだ。
アタシは何にも聞いてないぞ!と突っかかってもシグナムは、さらりと受け流すだけだった。

(アタシだけハブられてたのかよ!?)

話を聞いていくうちにシャマルやザフィーラもこの件について知っていたらしい。
まさか、自分が仲間から隠し事をされるとは夢にも思っていなかったヴィータの怒りは最高潮に達していたのだが
はやてがいる前で言うわけにもいかず、そのまま家を飛び出してしまったのだった。

さて、今ヴィータの回りは闇に包まれている。
かといって、落ち込んで雰囲気が暗くなっているわけではない。
物理的に光が入ってこないだけなのだ。

(シグナムやシャマルを騙せてもアタシは騙せないぜ)

重度のバトルマニアである烈火の将や、どこかうっかりとした所がある泉の騎士が
騙されているのだということはすでに紅の鉄騎の頭の中では決定事項であった。

(必ずシッポを掴んでやるぜ・・・あ、イテッ)

グッと拳を握り締めるヴィータ
だが、その直後ヴィータのいる所がガクンと縦に揺れ、ヴィータは頭を強く打ってしまう。
その衝撃に涙目になりながらも、ヴィータは証拠を掴む為にここに潜伏し続ける。
そう、宗介が運転する車のトランクの中に・・・・


さて、何故ヴィータが宗介たちの車のトランクに乗っているのか?
時間は少し前に遡る。
宗介が出発の準備を終え、泉川に向けて発進しようとした時に
うっかり自分の部屋の鍵をセーフハウスに置きっぱなしにしているのを思い出したのだった。
幸いにして出発前に思い出したので、ドアを爆破して部屋に入るなどということは回避されたのだが
宗介は自分らしくないと自戒しながら鍵を取りに行くためにクルツたちがいるビルに戻った。
そして、その光景を見ていた一つの小さな影・・・
た ま た ま、この道を 散 歩 していたヴィータは宗介が帰ってくる前に車に近寄り遠隔操作でトランクのロックを開け、中に入ろうとする。
しかしトランクの中には大量の火器が入っており、ヴィータは思わずウゲっと顔を歪めるのだが
エレベーターが動き出したのを見て、慌てて銃器の隙間に体を押し込めトランクを閉める。
それと同時にエレベーターのドアが開くのだが、まさにタッチの差でトランクが閉まるところは宗介の目に入らなかった。
宗介自身も、まさか武器が満載しているトランクの中に護衛対象が隠れているなど夢にも思っていなかった。
149リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 19:00:37 ID:YoOHo5Vf
12月14日 1356時
時空管理局無限書庫

あれからレティ提督に管理局の制服を無理やり着替えさせられ無限書庫に連行された。
なんだか提督の目が異様に輝いていたが、気付かないふりをすることにした。

「あの〜」

「なあに、ユーノ君?」

大量の書類を捌きながら、無限書庫の古文書を読むユーノは作業の手を休めてレティ提督に声をかける。

「なんで管理局の制服に着替えさせられたんですか?」

「仮にも管理局の内部文書に目を通すのよ?一般人に見せれるわけないじゃない」

もちろん知る権利を行使すれば管理局に資料請求してある程度の書類に目を通すことはできる。
しかし、時空管理局は混沌とした次元世界に睨みを利かせている軍事組織としての一面も持っている。
機密の二文字の元に目を通すことを阻まれる書類もたくさんあったりする。
ユーノが目を通しているのはそういう物だ。

「それは理解できるんですけど・・・あ、この書類とこの書類の数字が一致してない」

何か言いたそうになるがうまく言葉にならず、作業を再開するユーノは書類の不備を発見する。
のちにこの数字の食い違いから、巨大横領事件が発覚するのだがそれはまた別の話である。

「スクライア一族って、みんなこんなに優秀なのかしら?うちの部署にもうニ、三人ほしいわ」

「僕の一族は論文を読むか書く以外で机に座るのが苦手なんですよ
 だから多分、勧誘しても無理だと思いますよ?」

スクライアは遺跡から遺跡へと渡り歩く流浪の一族
一箇所に落ち着くということを全くと言っていいほど考えていないのだ。

「それならユーノ君はスクライアの中でも変わり者の部類に入るのかしら?」

「そうかもしれません」

苦笑いしながらユーノはレティ提督の意地悪な言葉に答え、新しい古文書に手を伸ばす。
分厚い古文書を僅か十数分で読み終えることができる検索魔法と速読魔法
スクライア一族の門外不出の秘術である。
150リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 19:05:14 ID:YoOHo5Vf
「僕からもいいですか?」

「なあに?できる限り答えるわよ?」

「今回の事件で、身内を疑ってるんですよね?」

古文書から目を離し真っ直ぐ提督を見据えるユーノ

「・・・念話に切り替えましょう」

無限書庫は無人だが、どこに人の耳があるか分からない
こうして分かりやすいように調査しているのだから、後ろ暗い奴が一人や二人が監視してる可能性もある

(じゃあ、話すわね。身内といっても管理局にも派閥はあるのよ。穏健派に武闘派、海と陸その他諸々・・・
 今、海は穏健派がイニシアチブを握ってるけど、それをよく思わない連中は無視できない程度にはいるの)

(その人たちが、『闇の書』を手に入れようとしていると?)

(それはまだ分からないわ。でも、魔法文化のない第97管理外世界の軍人が結界内に侵入できるのは
 何者かの手引きがあるんじゃないかって、私やクロノ君は考えてるの)

(でも、それでなんで身内を疑うことになるんです?)

(あまりにうまく行き過ぎてるからよ。こんなに見事な術式の改竄なんて見たことないわ。
 だから管理局の手口を一番よく知っている連中が絡んでるんじゃないかと思ったの)

管理局が捜査の手口、人避けの結界を張って当たり一帯を封鎖するなどなど
これらの手法を一番よく理解してるのは、誰であろう管理局をおいて他にない。

「まあ、そうでなければ一番いいんだけど。私の仕事は身内を疑うことだから」

運用部と監査部を統括するレティは少し悲しそうにため息をつき、机の上に置いてある紅茶を啜った。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 19:09:36 ID:+aEkMhvd
支援
+なんか見つけた。転載。
ttp://uploader.fam.cx/img/u27521.jpg

中身はユーノの管理局制服姿 最初見たとき吹いた
152リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 19:10:39 ID:YoOHo5Vf
12月14日 1516時
セーフハウス

宗介はラジオを聞きながら自分のリビングに並んだ火器と睨めっこしている。
どの武器が、あの非常識の塊に対して有効であるかを考えていた。
M9の戦闘記録を見る限り、チェーンガンレベルなら問題なく奴らの装甲を抜くことができそうだ。
ゆえに同じ12.7o弾を使う対物ライフルは持っていくことを決めていたのだが
サイドアーム関連も真剣に考えとくべきだ。

「あの黒衣の魔導師相手・・・シャマルが言うには執務官とやらにサブマシンガンの弾は利かなかった。
 しかし、不意打ちで貫通力の優れた武器ならばあるいは・・・・」

そういって100メートル先にあるボディアーマーを貫くことができるとされるベルギー製の自動拳銃を拾い上げケースに収める。
その他にもC4爆薬やクレイモア地雷、グレネードランチャーなど色々な武器を見繕っていく。

「単純に大火力で相手をねじ伏せるのも、一つの手だが・・・」

12.7o弾を使う重機関銃は歩兵が持って撃てるものではない。
反動や火器そのものの重さなど、様々な問題点があるのだ。

「俺たちも奴らのようにバリアジャケトなるものでもあればな」

いや実際ASは乗る兵器ではなく着る兵器、つまり強化服のようなものなのだ
いわば、こちら側のバリアジャケットがASという考えもあながち間違っていない気もする。

「AS、強化服・・・・・」

あるではないか、ASのパワーアシスト機能と高い防弾性を兼ね備える装備品が
宗介は手をポンと叩き、近くの貸し倉庫に眠っているとある売れ残り商品を引っ張り出す必要が出てきた。

ちょうどそのとき、ラジオからあるニュースが流れてきた。
どこぞの国で開かれている国際会議で、とある兵器を廃絶する為の条約が結ばれるようだ。
その兵器は広い範囲の敵を殲滅するのに非常に有用だが、不発弾となる割合が多く
民間人に被害が出るため非人道的だというのが理由らしい。

「排除されるべきもの・・・」

では、『闇の書』はどうなのだろう。
12日に起きた戦闘で自分達は『闇の書』力の一端を見た。
あの魔力爆撃での物理的被害はなかったが、シャマルに言わせればそういう風に設定したからだそうだ。
153リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 19:14:32 ID:YoOHo5Vf
つまり、物理的被害も出そうと思えば出せると言うことだ。
しかもまだ『闇の書』は完成していない
もし完成した時どれほどの破壊力を発揮するのか宗介には想像もできなかった。

「忘れろ。俺は最後まで任務を果たすしかない」

頭を振り、必死にそのことを頭から消そうとしたが脳裏にこびり付いたそれを忘れるのことは無理だった。
ピリリリ・・・ピリリリ…ピリリリ
着信音、自分の携帯が鳴っていることに気付いた。

「相良だ」

『ソースケ?私』

もう二週間以上聞いていない声だが、それが誰であるか宗介はすぐに分かった。

「千鳥か。どうかしたのか?」

『いや、どうかしたのか聞きたいのはこっちよ』

かなめの言葉に首をかしげながら、宗介は話を聞く。
なんでも今日の学校に自分とクルツの写真を持った男が来たらしく
この人達のこと何か知らないか?とかなめに聞いてきたという。

『一応、曖昧にとぼけといたけど』

「賢明な判断だ。それでその男はどうした?」

『さあ?そのまま帰っちゃったけど』

不機嫌な声が携帯の向こうから聞こえてくる。
どうやら、ハイジャック事件での嫌な記憶が蘇ったらしい。

「それについては謝罪する。すまなかった」

「・・・もういいわよ。特に変な事されたわけでもないし
 それより、あんた今度は何したのよ?」
154リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 19:19:45 ID:YoOHo5Vf
宗介はしばらく押し黙った。
任務内容は話せない。
当然だ。情報漏洩になる上に、どこに耳があるとも知れない。
だが――――――――――――

「千鳥・・・俺は今、護衛任務についている」

俺は何をしている?こんなことを千鳥に話しても何になるというのだ?
それにこれは重大な機密漏洩をしているのだぞ。これではプロ失格ではないか。
だが、それでも宗介は喋らずにはいられなかった。


それから宗介は自分が今していることを、かなめに話しはじめた。
その護衛対象達が所有している物が危険なものであること
過去、何度もそれのせいで被害が出たらしいということ
しかし、それを完成させなければ一つの命が失われてしまうということ
そのために護衛対象のうちの数人が、東奔西走しているということ
細かい説明は省いている上に、言ってることは滅茶苦茶だということは承知だ。
それでもかなめは黙って、話を聞いてくれている。

「今までの俺なら、何の疑問もなく護衛対象からその危険物を奪取して破壊しただろう。
 だが、今回はどうしてもそれができなかった。こんなことは初めてだ」

一、二分の沈黙の後、かなめはそっと話し始めた。

『・・・あたしには深い事情がよく分からないし、あんまり要領を得ないけど
 ソースケは、あたしを殺したいと思ったことはある?』

「何を馬鹿なことを、俺が君を殺そうなど・・・」

かなめの問いに宗介は、即座に否定の言葉を返す。
北朝鮮の山中で確かに自分たちを置いて一人で行かなければ殺すと言ったが
それは彼女に行動を促すための脅しの部分が多かった。

『でもね、ソースケ。あたしはウィスパードなんだよ』

ウィスパード―――ラムダドライバなどを支えているブラック・テクノロジーの源泉
その技術を欲しがる連中から自分は千鳥を守るためにミスリルから派遣されたのだった。

『実感はないけど、あたしの中にも、それがあるわ。
 その知識が悪用すれば、どんな酷いことも起こせる・・・』
155名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 19:20:26 ID:LI4Zb7FF
スペシャルで!全開で!模擬戦なんだよぉっ!!支援
156リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 19:23:17 ID:YoOHo5Vf
そう例えば、西太平洋戦隊が運用している強襲揚陸潜水艦は、あの米海軍ですら探知できない。
それはつまりテッサがその気になれば世界中のありとあらゆる都市や基地を
誰にも気付かれずに消滅させることが可能ということだ。
冷戦を灼熱の最終戦争に変えることもできるだろう。

『あたしはその人達のことをよく知らないけど、結局は使う人によるんだと思うの。
 ・・・それにそういうことはソースケが一番よく分かってると思ってたんだけど?』
 
その言葉にハッする。
そうだ。自分は戦場でその様な光景を幾度も見てきたではないか。
危険性?
確かにそれはいつでも付きまとう。
そう、いつだって何にだって付きまとうのだ。

『って、なに偉そうに言ってんだろ、あたし。ゴメン、今のは忘れて』

「いや・・・・」

千鳥と話して自分が何に迷っていたのか分かった。自分は、あの騎士達と自分を重ねて見ていたのだ。
どんなことをしても、どんな困難に遭おうとも大切な人を守りたいと思うその姿に自分もこうありたいと、思っていたのだ。
だから、彼女達から『闇の書』を奪うということに迷った。
それをしてしまえば自分と千鳥も同じような運命を辿るのではないか。そう漠然とした思いに自分は圧迫されていた。

「いや、千鳥。ありがとう」

どうやら自分は諦めが良すぎたようだ。全く、北朝鮮の山中や香港で一体、何を学んだのか。
確かに『闇の書』は危険なものかもしれない。
だが、それはそういう風に使おうとする意思があってこそだ。
ならば自分達は、彼女たちが『闇の書』を使わなくていいような環境になるまで
つまり『闇の書』が完成するまで、今の任務を続ければいい。
それでも不安なら大佐殿に自分達が海鳴を去った後でも情報部が彼女たちを護衛、監視できるように頼めばいい。
もしくは自分達が手引きをしてミスリルの庇護下に入ってもらうか・・・これは相手の同意が必要だが。
とにかく打てる手は、まだまだたくさんある。諦めるには早すぎる。
ならば自分は続けるべきだ、悪あがきを・・・・

『そう?まあ、あんまりクヨクヨ迷ってるのはソースケらしくないもん。
 いつもみたいに、問題ないって感じにしてればいいのよ。
 あ、あと早めに帰ってきなさいよ。追試を合格しなくちゃ一緒に3年に上がれないんだからね?』

その言葉に宗介はフッと笑い、かなめの注文どおりこう答えた。

「問題ない」
157リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE :2007/10/08(月) 19:25:40 ID:YoOHo5Vf
投下終了
OOには敢えて触れませんw
また、投下された職人様
乙です、そしてGJであります!
158名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 19:40:56 ID:WeRwC5/w
乙であります
まとめwikiでこの作品に出会いましたが、これほど先の展開が気になるものは初めてですよ。
マジで楽しみにしてます。
シグナム(というか、レバンテイン)とアーバレストの絡みはあるのかとか
VMCはどうなるんだとか色々妄想の余地がありますしねw
159名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 19:45:19 ID:3BxhoGQZ
>VMC
アッー! 思いっきり日付がかぶっとるw
160名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 19:50:43 ID:kSmNvk7v
>>158
レヴァンテインなんだぜ?
161名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 20:08:55 ID:cSjAxYjO
なんかものすごい投下ラッシュ!って思ったけど実は各作品への感想レスが少なすぎてそう見えてしまうだけだという罠。
確かに読み手側には感想する義務はないけど、なんか感想レスが無いせいで投下やめた職人さんとかもいる希ガスorz

162名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 20:09:27 ID:WeRwC5/w
>>160
OK、レーバテインの方が頭に残ってたんで間違えちまったい
163名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 20:10:26 ID:V0EOIDwK
投下乙です
なにやってんだヴィータwwww
164名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 20:12:34 ID:/5ar6ZMu
リリカル・パニックはなのはらしさとフルメタらしさが
いい具合にミックスされてて面白いなあ
165ネオシャドームーン:2007/10/08(月) 20:13:30 ID:h64n9Oyi
(元ネタ:仮面ライダー)

レッツゴー! スターライトブレイカー

迫る ナンバーズ 鋼の軍団

我らを狙う 黒い影

世界の平和を守る為

ゴー! ゴー! レッツゴー!

輝く宝石

ディバイン バスター! スターライト ブレイカー!

高町なのは 高町なのは なのは なのは

ディバイン バスター! スターライト ブレイカー!

高町なのは 高町なのは なのは なのは

「リリカルなのは 高町なのはは管理局の魔導師である。

彼女が敵対するナンバーズは世界征服を企む悪の戦闘機人軍団である。

高町なのはは人間の自由の為にナンバーズと闘うのだ!」

166名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 20:15:12 ID:cSjAxYjO
>>165
sageでお願いします
167名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 20:53:20 ID:P1lb6nFy
某所で『クロスオーバー対談、言峰VSはやて』が実現してしまった件について。
168なのはStS×デモベ:2007/10/08(月) 20:54:04 ID:95qdlF1z
白き異界の魔王氏
 蝗の群れに襲われる恐怖って、ヒッチコックの鳥に襲われるよりも怖そうですね……。
 何もかも食らい尽くしていくって感じで。

リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE氏
 ヴィータ、そこに乗っちゃダメだっ! トランクは乗り心地とかマジで悪いんだっ! ノイズもまともにくる!
 それはそれとして、
>あるではないか、ASのパワーアシスト機能と高い防弾性を兼ね備える装備品が
 これはあれですか、ボン太君登場フラg(ry)


 お二方、共にGJでありましたっ!

 以上、「くっ、妄想力(ガッツ)がたりないっ!」状態の俺でした。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 20:55:12 ID:79+MU5FE
>>167
kwsk
170名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 21:06:24 ID:P1lb6nFy
2chのリレーSS企画『アニメキャラ・バトルロワイアル2nd』の72話。
まとめwiki ttp://www40.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/1.html
171名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 21:28:44 ID:3yD3BxK2
>>161
正直いうと、このところ作品を投下してもいまいち反応が無いから
辞めようかとも思ってます。

確かに一言でも反応があれば、モチベーションは上がるんだけどね。
義務のように感想を強いるのもおかしな話だから、
スレの空気が自然とまた変わってくれればいいかな。
172名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 21:32:03 ID:79+MU5FE
>>171
単に住人が少ないだけと思われ…
173名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 21:37:57 ID:2eeg2swS
原作も終わってしまいましたしね。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 21:51:29 ID:79+MU5FE
でも雑談スレあるし。こっちは投下重視でいいんじゃね。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 22:03:15 ID:+aEkMhvd
じゃあ、スレを二股がデフォって事にしておいた方がいいな。雑談の方に気づかない人もいると思うし、
こっちを投下重視で、むこうは感想や雑談専用ってことにすれば・・・。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 22:25:04 ID:o2Cb2RnJ
平均1周間で容量を使いきるくせに住人が少ないとはなんと贅沢なスレか……。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 22:47:56 ID:WeRwC5/w
現在一本書いてるんですが、以下の条件でも大丈夫ですかね?

・クロス先に合わせて、なのは側キャラが若干ぶっ壊れてる
・クロスというよりパロディに近い

ホントは長編書きたかったが、終わらせる自身がないので
短編逃げた俺ヘタレ
178名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 22:51:24 ID:2eeg2swS
ぶっ壊れている感じのSSも幾つかまとめにあるのでいいのではないかと思います。
でも、実際見てみないことにははっきりしたことは言えないかと。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 22:54:40 ID:XEo5Zy8p
なのは「『ブッ放した』なら使ってもいいッ!」
180名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 22:55:37 ID:I5gifshJ
>>179
sage忘れ。
そして、なのははいつの間に暗殺チームにwwww
181リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/10/08(月) 23:05:42 ID:UCSClWsE
>>171
まあ自分だって最初は殆ど感想付かなかったですし。
何しろ文章自体が凄く拙かった上に台詞のある行で
改行するとかいった基礎の基礎的な事すら知りませんでしたからねえ。
まあのちのち別の作品を題材にしたSS書く時への貯金にもなるし
書き続ける事自体に意味があるのでは?
182名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 23:29:51 ID:XEo5Zy8p
ID変わる前にsage忘れスマソ
183なのはVSボウケン:2007/10/08(月) 23:49:42 ID:u+g7QfLQ
>>1
遅くなりましたがスレ立て乙です。
>>リリカルBsts氏
GJ!リインも登場ですか。やはり多くのキャラを捌くのは凄いです。
>> ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏
GJ!メビウス対ダイナ。ウルトラマン同士ではどうなるのか。
このスレで原作に興味の湧いたものも多いです。
>> 魔装機神氏
GJ!もう一人のメンバー……ヨアヒムかブランカと予想してみます。
>>リリカル・コア氏
GJ!StS後のストーリーもまた新鮮です。やっぱり尾行とかもあるんですね。
>>白き異界の魔王氏
GJ!フェイトが例のホームランを……。戦闘描写が上手くてかっこいいです。
各所で同時進行するバトルは書くのも大変そうだ。蝗は気持ち悪そう。
>> リリカル×アセリア氏
GJ!アセリア本編終了後ですか。代償とは何か気になるところ。
>>リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー氏
GJ!ブレイドも日本へ。役者が揃ってきた感じです。
>>リリカル・パニック氏
GJ!そしてかなめも登場!!宗介には、やはりそのセリフが似合います。

どれも素晴らしい作品。皆様がそれらを楽しむ対価に読んでいただければ幸いです。
『LYRICALTHAN BLACK 黒の契約者』第一話、途中までですが投下したいと思います。
未見者の方向けに作ってみたのでほとんど原作ままですが。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 23:50:47 ID:YoOHo5Vf
ばっちこーい!
185LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:50:49 ID:u+g7QfLQ
薄紫に染まった偽りの夜にサイレンの音がけたたましく響く。
男はビルの屋上から屋上へと飛び移りながら見下ろすと、既に何台ものパトカーが男を追跡している。逃げ切るのは難しいかに思えた。
「動くな!両手を上げてゆっくりとこっちを向け!」
案の定、屋上の扉が開かれ、先回りした警官が数人、男へと銃を向ける。しかし振り向いた男の顔には焦りも怯えも無い。それどころか何の感情も浮かんでいない表情。
男の瞳に赤い光が灯る。同時に警官の一人が青白い燐光に包まれ、
「お!?お!?おわぁぁぁぁぁ!!」
戸惑う間も無く警官の身体は宙に浮き、空へと吸い込まれた。
「『契約者』か……!」
刑事らしき男が憎憎しげに呟く。空を見上げても警官の姿はもう見えない。
助けることはできないと判断したのか、改めて男へと向き直った。
男の身体も青く発光している。それは契約力を行使することの意味。
「くそっ!」
刑事は美しくもある『ランセルノプト放射光』の輝きに一瞬気を取られた。銃弾は浮き上がる男を空しく掠める。
青白い光に包まれた男は高く高く空へと昇り、やがて見えなくなる。ただ光だけが最後まで男の存在を伝えていた。

光を車内から見上げるスーツ姿の女が一人。長い髪を束ね、キリリとした切れ長の目には、細長い眼鏡を掛けている。
「〈ホシは北東方向に移動!契約者です〉」
「〈天文部からの報告!『メシエコード』GR554の活動を観測。通称『ルイ』、フランス人エージェントです〉」
「風向きを確認。警官隊を東へ向かわせて包囲しろ」
無線の報告に的確な指示を出す姿は、彼女が若くして責任ある立場にあることを意味していた。
ランプを取り付け、サイレンを鳴らしながら彼女が車を走らせる先には、巨大な壁が聳え立っている。本来は地獄門〔ヘルズ・ゲート〕、その奥にあるものを覆い隠す為のものだが、現在ではあの壁を含めて地獄門と呼ばれている。
彼女もあのゲート、そして『契約者』と呼ばれる存在に頭を悩ます一人だった。
「総員に通達、ホシは契約者ルイ。能力は重力遮断。発見次第――躊躇せず発砲せよ」

風に乗ったルイは、やがて転がり落ちるようにビルへと降り立つ。警察からかなりの距離を取ったにも関わらず、その息は荒い。力を使った弊害だろうか、かなり疲弊している。
186LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:51:57 ID:u+g7QfLQ
「っはぁ……はぁ……」
壁にもたれかかると、じっと左手を見つめる。更に息が荒くなった。
「はぁ……はぁ……くっ!」
意を決して薬指を掴んで思い切り外へと捻じ曲げる。
薬指は限界まで反らされ、更に力を込めるとボキンと折れた。
「はぁぁ!!」
もう一本小指を掴み――
「がぁ!!」
二本の指を自ら折ったルイはようやく安堵の息を漏らす。
自らの指を折る――それは彼自身にとっても理解できない行為。
「なるほど、それが契約の『対価』か。難儀なこった」
「!」
声の方を向くと、黒猫がニャーと一鳴きして通り過ぎる。だが、確かに声がしたはずだった。
敵の気配に身を強張らせ辺りを見回す。屋上の端――おそらく掃除か何かに使ったのだろう。水の張られたバケツに"それ"はいた。
「『観測霊』!『ドール』か!?」
青白く朧気で不定形なそれは単体では何の力も持たない。しかし観測霊がいるということは誰かドールがこちらを監視していることを意味している。
そしてドールは自らの意思で動くことはない。更にドールを操る契約者がいるはずだ。
急激に青ざめて警戒するも、既に遅かった。

夜陰に紛れて近づいていたのは、黒いコートに白い仮面の男。幽鬼の如く立つ姿は黒衣を纏った死神を思わせる。
ここは地獄門のお膝元。天国が消えた今、地獄門を、そこにあるものを求めて多くの組織が、地獄に最も近い連中が集まってくる土地だ。そしてこんな男が一般人である訳がない。
ルイは仮面の男に即座に対応した。ルイの目が赤く光ると、ランセルノプト放射光が仮面の男を包み浮かび上がらせる。
「っ!」
それは仮面の男か、それともルイが発した声か。男はベルトからワイヤーを伸ばし、手摺りに巻きつけ身体を留めた。
次に空中から、しかも不安定な姿勢で男は次のワイヤーをルイへと放ち、拘束する。ルイは能力の発動を中断された上にたちまち取り押さえられた。
「ブツは?」
静かで、しかし酷く冷たい響き。
「し、知らん!」
男は無言でナイフを抜き、柄でルイの手や足を激しく打ちつけた。大振りなナイフは柄も大きく頑丈だ。
「ぐぁぁぁ!!」
折れた指を殴られてルイは悲鳴を上げる。それでも男は殴るのを止めようとはしない。
187LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:53:08 ID:u+g7QfLQ
何度も何度も殴るとその内に
「ほ、本当だ……。ブツは女に預けてある!」
「女は?」
這いずり回るルイの腹を蹴り上げる。
「どこの組織だ……。条件次第ではブツを女から回収してお前達に渡してもいい……」
「契約者らしい"合理的な判断"って訳だ……」
取引の手応えを感じるルイの頬が叩かれた。仮面の男の声は先程までの無機質なものではなく、僅かに怒りと嫌悪が込められていた。
「話せ」

パトカーがサイレンを鳴らして走る道路の脇、水溜りに観測霊が浮かぶ。
「〈銀〔イン〕、警察は?〉」
「後三分……。Aポイント通過」
離れた路地裏で通信を受けた銀と呼ばれたドールの少女――そのコードネームの通り、髪は美しい銀髪。紫を基調した服も至って普通の服だ――は静かに答える。しかしその瞳は、何も移していないかのように虚ろだった。

「頃合いだな……。撤収だ」
仮面の男とは違う、最初に聞こえた声に従って仮面の男がルイに背を向ける。
「待て!俺が行かないと女はブツを渡さない」
瞬時に男の腕がルイの顔面を鷲掴む。そのまま握り潰すのではないかと思うほど強く。
「止めろ黒〔ヘイ〕!そいつはまだ使える」
「お前らの顔を見ていると……反吐が出そうだ……!!」
男――黒は既に感情を隠そうとはしていなかった。堪えきれない憎しみを当てられ、契約者であるルイの顔が恐怖に歪む。
「ひぃぃぃ!」
契約者ならば今の言葉の意味を理解し、合理的に考え条件を飲むだろう――そう考えていた。
「黒!!」
制止の声も聴かず、更に黒は力を込める。
そして黒の身体をランセルノプト放射光が包んだのを最後に、ルイの意識は途切れた。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 23:54:11 ID:QSSu+YG7
こんな良スレあるとはな
今まで見逃してた…orz
189LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:54:15 ID:u+g7QfLQ

大学の帰り道、今宵も高町なのはは空を見上げていた。
薄紫に曇った空はどこか閉塞感を感じさせる。乱雑に散る星達はそれぞれが勝手に光を放っている。
彼女は思う――昔はこうではなかった、と。少なくとも10年前までは――とはいっても壁の無い景色、本当の空の姿を思い出すのはもう難しい。
地獄門とブラジルの天国門の出現によって、世界は本当の空を失った。まるで見えない何かに覆われているかのように、人が宇宙に出ることも不可能となった。
そして彼女にとってはもう一つ、それは別の世界への道。
ミッドチルダ、時空管理局、どれも今では懐かしい響きですらある。
10年前、ゲートの出現によってこの世界は封印された。あらゆる通信方法、魔法を試したが、何故か次元世界や管理局と連絡を取ることはできなかった。
友達もその家族もこの世界にいたので然程寂しくはなかったし、当時はいつかなんとかなる、程度に考えていた。そうしている内に気づけば10年が流れていた。
だが、将来を考える頃になってふと思う。もしかすると別の道もあったのではないか?9歳時に出会った魔法という力で誰かを救うことができるような道が。
なのはは再び空を見上げる。かつての姿を失っても空はそこにあった。季々の美しい星座を、方角を教える北極星を失ってもなお――。
「あ……」
空を横切る一条の光。
また一つ、星が流れた。

LYRICAL THAN BLACK 黒の契約者
第一話
彼女の空を星は流れ……(前編)

「〈なのは、今日の講義は?〉」
「今日はもう終わりだよ、フェイトちゃん」
携帯電話越しに聞こえてくるのは、なのはの親友フェイト・T・ハラオウンである。はやて、アリサ、すずかも現在は同じ大学に通っていた。
「〈それじゃあ少し待っててくれない?よかったら皆で一緒に買い物に行こう?〉」
「うん……あ、ごめん。今日はちょっと駄目なんだ。昨日話したあれ」
「〈バッグを取り違えたやつ?それなら仕方ないね……〉」
「ごめんね。また明日ね」
それは昨日、帰宅途中のことだ。ふらふらと足取りのはっきりしない女性と肩がぶつかった。こちらもフェイトらとお喋りしながらであった為不注意だったのだが。
二人ともバッグを落とし、特に相手の女性は慌てて拾って去っていった。かなり焦っていたのを覚えている。
取り違えたと気付いたのは家に帰ってからのこと。一見すると似たデザインなので無理もない。
警察に届けるべきなのだろうが、確認した際に入っていたものの中に連絡先も書いてある。近くなので直接交換しても問題ないだろうとのことで連絡してみると、動揺していたが急いで返して欲しいとのこと。
大事なものが入っているから、今晩にでも海鳴の公園で渡してくれと頼まれた。何故夜の公園なのか、しかもバッグの中には身分証の他は、丸いガラス板のようなものしか入っていないというのに。
190LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:55:28 ID:u+g7QfLQ

そんなことを考えながらなのはは帰宅する。翠屋――海鳴市にある喫茶店。高町なのはの実家でもある。
店の前で不審な動きをする青年。何やら地図と店の名前を確認しているらしい。
「あの……入らないんですか?」
振り向いた顔は温和そうな黒髪の青年。白いシャツに緑のコートを羽織っている。
「ああ!すいません!あの私、アルバイトを紹介されて来たんですが……」
片言で返す彼はかなり動揺していた。それが可愛くて思わず微笑んでしまう。
「あ、どうぞ入ってください。私この店の者ですから」
なのはは彼を促して店に入る。夕方前だからか、客も疎らだ。
「おかえり、なのは。ああ、そちらの彼が……」
店に入るとすぐに父、士郎が迎えてくれた。
「はい、李舜生〔リ・シェンシュン〕といいます。あの……海月荘の管理人さんに紹介してもらいまして……」
おずおずと李が前に出る。片言だと思ったらやはり外国人だったのか。
「ああ、聞いてるよ。留学生だったね。僕もあそこのお爺さんに昔世話になってね。あの大家さんも大変だろう?」
「はい……電気屋さんと間違われまして……。でもバイト先を紹介して頂けて助かりました」
「ははは、相変わらずだなぁ。それじゃあ、入ってくれ」
李が通されたのは、小奇麗で喫茶店にしては広々とした厨房。士郎、そして桃子が同席している。
「募集してたのは調理補助だからね。履歴書や外国人登録証明書は後で見せてもらうとして……お客さんの少ない内にまずは何か作ってみてもらおうか」
「何でもいいですか……?」
「ああ、簡単なものでいいから」
それだけ伝えて士郎は店へと戻る。後には手を口に当てて考える李だけが残された。

そして20分後――。
「あの……出来ました」
士郎の前に青椒肉絲と炒飯が温かい湯気を立てて並んだ。どちらも見ているだけで食欲をそそられる。
「中華か……」
士郎は箸を取って青椒肉絲を口に放り込む。
「美味い……!流石は本場で鍛えた、ということかな」
士郎が感嘆の声を上げる。炒飯の方も食べてみたが、あり合わせの材料でこれだけできればかなりのもの。
どちらもこのまま店で出してもいいくらいだ。ここが喫茶店でなければ。
「うん、いいだろう。それじゃ話を聞かせてもらおうかな」
士郎が笑う。その口振りと表情から好印象なのは感じ取れた。
191LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:56:38 ID:u+g7QfLQ
「それじゃ行ってきまーす」
夜になり、なのはは約束の公園へと向かう。結局幾ら考えても、こんな時間に人気のない公園で受け渡す理由は解らない。
「まあ行けば解るか……」
徒歩でも20分少々の距離だ。散歩代わりにはちょうどいいかもしれない、とも思った。
とはいえ、この偽りの空では天体観測もあまりする気が起きない。
飛んでいても楽しいとは思わない。何かに押し潰されそうな閉塞感を感じてしまうのだ。
「いつか……本当の空が見られるのかな……」

公園の入り口で白いフード付のコートを着た女性が立っている。ぶつかった時と同じ服装でバッグを持っている、きっと彼女だ。
「あの、原口千晶さん……ですか?」
ずっと俯いていた彼女は、なのはが声を掛けるとビクンと肩を震わせた。
「あ……バッグ!バッグは!?」
「は、はい。ちゃんと持ってきました」
彼女の物凄い勢いに気圧されてしまう。明らかに様子がおかしい。
「あの……どこか具合が悪いんですか……?」
こんなことを訊くのも失礼かと思ったが、どうにも訊かずにいられなかった。何が彼女をそこまで怯えさせるのだろう。
「別に……。それより早くバッグを――」
「いたぞ!」
千晶の言葉は唐突に遮られた。公園の外からは2人組の男が走り寄ってくる。金髪の男に黒人の男、どう見ても日本人ではない。
「これを、これを持って逃げて!」
「え?え?」
全く状況が解らない。三人組の男に千晶は怯え出し、渡そうとしたバッグをなのはに押し付けた。
「ごめんなさい!でも彼らは危険なの!お願いだから、早く!!」
千晶は公園の外に逃げて路地に入り込んでしまった。
二手に分かれた男の一人が、険しい顔で走ってくる。どうやらなのはを標的に定めたらしい。
状況は解らない、解らないが、明らかに怪しいことだけは確かだ。ともかく逃げるしかない。
なのはは公園の中へと逃げ込む。人気は無いが、かなり暗いし隠れることはできる。いざとなれば魔法を使うことも考えなければ。
「待て!そのバッグを渡せ!!」
やはり追いかけてきている。もう少し逃げて隠れないと危険だろう。
「でもあの人、はぁ、速い……!」
おそらくだが、かなり鍛えられている。距離は開くどころか徐々に縮まってきた。
走って走って、木々を抜けていくと突然開けた場所に出た。木に覆われた暗闇を抜け、頭上に星空が広がる。それはどこか幻想的な光景で、なのはは一瞬追われていることも、それが偽りの物であることも忘れていた。
立てられた望遠鏡、そしてそれを覗いていたのは見覚えのある青年。
「あなたは……」
192名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 23:57:21 ID:rnHyEEDX
>>152 リリカル・パニック
100m先ではなく、200m先のボディーアーマーですよ、5.7X28mm は
193LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:57:50 ID:u+g7QfLQ

確か翠屋にバイトに来た青年。名前は――何だったか。
なのはは少し考えるが、草や落ち葉を踏む音――背後から聞こえる足音に我に帰る。
ともかくここにいては彼を巻き込むことになる。自分の足から考えても逃げ切るのは難しい。
となれば――。
「魔法を使うしか……」
いつまでも追いかけられるのも御免だ。ここで拘束して理由を問い詰める。
「追われてるんですか?」
迎え撃つつもりで、なのはの掌に桜色が灯る――と同時に手を引っ張られた。
「ちょ、ちょっと!?」
彼は耳を貸さず、なのはの背中を木に押し付けコートを被せた。
「何を――」
「静かに……!」


「んむっ――!」
言いかけた言葉が口ごと塞がれる。唇に確かな感触。
「……!」
頭が真っ白になって、それがキスだと認識するのに時間がかかった。鼻息が感じる程、彼は顔を近づけて、なのはの頬に手を添える。


いきなりのそれに顔が熱くなって怒りが湧いてくる。それも当然、乙女のファーストキスをこんな形でいきなり、だ。
一発殴ってやろうかと思ったが、
「……しっ」
彼の目を見た途端に金縛りにあったように硬直してしまった。その目は恐ろしく冷たく虚ろ。なのはすら見ていない。
例えるなら、まるで隠れて獲物を狙う獣のような――。
横から大きな足音と息遣い。追いかけてきた男は抱き合う二人を一瞥した後、
「ちっ……!」
舌打ちをして走り去っていった。
そこでなのはは、ようやく恋人同士の振りで隠してくれたのだと気付いた。たった今まで驚きでそんなことにまで気が回らなかった。
194LYRICAL THAN BLACK:2007/10/08(月) 23:58:59 ID:u+g7QfLQ

男が完全に去ったことを確認して彼はなのはから唇を離した。
「ふぅ……」
同時に息を吐いた。こんなに緊張したのは生まれて初めてかもしれない。
なのはの頬は紅潮しているのに、彼の顔は平静なのが気になったが、
「って……うわぁ!!」
彼はいきなりひっくり返りそうな勢いで仰け反った。
「す、すいません!つい咄嗟に……」
と、思いきや慌てて頭を下げ出した。さっきの目とはまるで違い、可愛く思えるくらいだ。
「ぷっ……あははははは!!」
彼のあまりの慌てっぷりに脱力。そして笑いがこみ上げてくる。
なのはは暫く腹を抱えて笑った。
「すいません……。ほんとに」
「いいよ、許してあげる。こっちこそありがとう」
目の涙を拭きながら言う。短時間に緊張、驚き、怒り、脱力、笑いと通過してすっかり疲れてしまった。

「星を……見てたの?」
「はい……」
「こんな街中で?」
「はい」
夜空を見上げると偽りの星が輝いていた。
「ここから見える星空は今じゃみんな偽物なのに?」
彼は答えなかった。ただ空を見上げている。
なのはも釣られて星を見上げる。偽りと解っていても、こうして見ていると綺麗にも見えるから不思議だ。
暫く星を見た後、彼は視線を星空からなのはの顔に移した。
「高町さん……?翠屋の……」
「あなたは確か……」
「李です。李舜生」
そうだ、確か李舜生と言った。こんなことがあったのに、今更自己紹介とは変な感じだと思う。
「明日からお世話になることになりました。よろしくお願いします、高町さん」
「高町さんじゃお父さん達と区別しにくいから……なのはでいいよ。よろしくね、李君」
正式に挨拶をした後、何故か可笑しくなってなのははまた笑った。

195なのはVSボウケン:2007/10/09(火) 00:01:17 ID:u+g7QfLQ
以上です。本当は1話ずつ投下しようと思ったのですが、もう少し長くなりそうなので分けました。
前回投下時にタイトルのLYRICALからCが抜けていたので、
お手数ですが龍騎さんまとめの訂正お願いしてよろしいでしょうか?
196名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:02:36 ID:nGhSuQNu
>>リリカル・パニック氏

更新を待ちに待っておりました。今回もGJでございます。悩む宗介に聡明な答えを返すかなめが良いですね。
次回ボン太くん登場? ヴィータのセンスからすると、ボン太くんをすごく気に入りそうな気がしますw
197177:2007/10/09(火) 00:09:50 ID:XkPrrDEv
んでは、投下行きます
クロス先は銀魂です

…軽く計算してみたら、19分割という恐ろしい行数に…
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:10:07 ID:dzKAn0f3
>>171
そして俺はそれが原因ですでに辞めてしまった一人・・・
敢えてどの作品かは言わんが。
俺と同じ心境の作家さんも少なからずいると思う。
199なの魂:2007/10/09(火) 00:12:37 ID:XkPrrDEv

12月31日 PM10:32 海鳴市、喫茶翠屋二階『万事屋銀ちゃん』


にしても、今年は本当に目まぐるしい一年だったな。と新八は思った。

「いやー、今年ももう終わりですね」

「早ェーな。もう嫌んなっちゃうな。年をとるごとに早くなっていくよ一年過ぎるのが。
 この調子じゃジジィになった時は、F1カーが通り過ぎる並みのスピードで一年が過ぎるんじゃねーの」

万事屋経営者である銀時は、カセットコンロを点火しながらそう言う。
コンロの上には、具材がたっぷり入った鍋が乗っていた。
今日は大晦日なので、皆でスキヤキパーティをするらしい。

「いやいや、恐い事言わないでくださいよ」

「いやいや。俺なんかもうシグナムがぶっ飛び去る位の速さまで来てるからね。もう来てるからね、目の前にシグナムが」

「呼んだか?」

と、気配も無く現れたのはシグナムとヴィータ。
なんやかんやで色々あって半年ほど前に出会ったのだが、今では良い友人達である。

「ホントに来てるよ!?」

驚きをあらわにする新八。
しかしシグナムはそんなことを意に介さず

「年越しにパーティをするからと、呼んだのはそちらだろう」

「おおっ! もう準備万端じゃん! 美味しそー」

嬉々として神楽の隣へ座るヴィータ。
(精神的に)年齢が近いこともあってか、この二人は妙に仲が良い。
二人ともバカな上に強いので、一旦暴走しだすと止めようが無いというなんともはた迷惑なコンビではあるが。
200なの魂:2007/10/09(火) 00:15:10 ID:XkPrrDEv

「おィ。シャマルとはやてはどうした」

「所用で遅れるそうだ。先に始めておいて欲しいとのことだが……」

そう言ってシグナムも席に着く。
しっかり下座に座っている辺り、ダメ人間の代表格である銀時とは大違いだ。

「それにしても、今年は色々あったなー」

「そうアル。新八が寝ゲロ吐いたり、新八が寝ゲロ吐いたり」

懐かしむように呟くヴィータと神楽。
しかし新八に寝ゲロ経験は無い。
むしろゲロ経験があるのは神楽の方である。ヒロインにあるまじき暴挙だ。
新八は声を荒げて反論する。

「ねーよ! つーか何で二回言った!? なんで二回言った!?
 そうじゃねーよ! 今年一番の事件はコレ! 『魔法少女始めました』!」

「オイオイ、バカ言ってんじゃねーよ新八よォ。俺はもう経験済みだぜ? それ以前に、三十路は当分先だ」

「……何のことだ?」

左手で輪を作り、その中を右手人差し指を往復させる銀時。
ソッチ方面には疎いシグナムは首を傾げるが、完全にセクハラである。
この場にシャマルが居たら、もれなく臓物ブチ撒けの刑だっただろう。

「ハイそこォォォォ!!! 他作品のしかも女性が居る前でシモを使うなァァァ!!!
 そうじゃなくて、なのはちゃんが魔導師になったこと!」

「冗談だよ冗談。いやー、あン時はビビったね。ジャンプ買った帰り道で、いきなりなのはがバケモンに襲われてるんだぜ?」

「そういえば、はやてのお世話することになったのも、同じくらいの時期だったアルな」

そう。万事屋はその頃から、はやての身の回りの世話をするという仕事を請け負っていたのだ。
半年前からシグナム達と面識を持つことが出来たのは、そのためである。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:16:22 ID:yyP8BYvV
>>197
前の人が投下したばっかなんだからもうちょい待とうよ。

>>198
自分が根性無しなのをスレのせいにしないで下さい><
202なの魂:2007/10/09(火) 00:18:19 ID:XkPrrDEv
「今までよくホームヘルパーも無しに生きてきたもんだ」

「む、その節は主が世話になったな。改めて礼を言っておく」

深々と頭を下げるシグナム。
しかしヴィータは、何かを考え込むように俯いた。

「……ちょっと待った。つーことはなのはって…
 …………魔法使い始めて、結構間もない…?」

「へ? ああ、もうすぐ一年くらいになるかな……」

「…………」

ヤバい。地雷踏んだか?
新八はそう思ったが、時既に遅し。
ヴィータは俯いたまま肩を震わせる。

「あーあ、やっちまったな新八。この年頃のガキは傷つきやすいんだよ」

「そうアルよ。ウン百年生きてた騎士が、魔法一年のルーキーにやられたなんて屈辱もイイとこアル」

「…………」

まさに言われたい放題。
心なしか、彼女の頬が赤くなってきている気がする。
流石にこの状況はマズいと思ったのか、シグナムが口を挟んできた。

「あー、その、なんだ。そろそろやめてくれないか。泣かれると困る」

「泣くかっ!!」

フォローする気ゼロのリーダーに、噛み付かんばかりの勢いで反論するヴィータ。
この面子の中では一番の常識人である新八が、なんとか場を取り繕おうとする。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:20:17 ID:XkPrrDEv
>>201
申し訳ないです
以後……というか、次があったら気をつけます
204名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:20:54 ID:e9eAPYG0
支援
205名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:21:15 ID:9PB7kWYV
>>195
GJ!!
黒があのシーンをなのは相手にやるとはwwww


そして、支援
206なの魂:2007/10/09(火) 00:21:49 ID:XkPrrDEv

「ま、まーまー、とにかく、今年は充実した一年でしたよね」

「そーさなァ。事件も一区切りついたし、ちょっと振り返ってみるか」

「ということで、闇の書事件解決記念『あんな事もこんな事もどんな事もあったね』スキヤキパーティスタートアルね」



なの魂 〜闇の書事件その後〜



『…………』

パーティ開始の合図から三分。
皆は一様に手に箸を握り、その場から動こうとしなかった。

「……オイ、スタートって言ったじゃん。振り返ろうって言ったじゃん。誰か振り返れオイ」

少々苛立ったような口調で銀時は言うが、シグナムは首を横に振る。

「いや、しかし……鍋の火加減を見なければ」

「シグナムさんの言うとおりですよ。僕らで鍋見てるんで、三人で振り返っちゃってください」

「鍋は俺が見るから、新八お前行けって。お前司会者とか向いてるって。自身持てって」

「うれしくねーんだよ司会者向いてるとか言われても。神楽ちゃん、ヴィータちゃん、行っちゃってよ」

このままでは埒が明かない。そう判断した新八は、仲良し二人組みに話を振る。
しかし、この二人が首を縦に振るはずが無かった。

「ヤだよ。よそ見してる間に肉食べられたらどーすんだよ」

「そうアル。姐御はともかく、銀ちゃんと新八は信用できないネ」

「いやいや、シグナムもああ見えて結構食い意地張って……」

「な、何を言うかっ!」
207なの魂:2007/10/09(火) 00:23:30 ID:XkPrrDEv

火花を散らすシグナムとヴィータ&神楽。
はっきり言って、非常にまずい状況だ。クラスAAA相当の魔導師二人に、最強の傭兵部族と言われている夜兎族……。
本気で闘り合えば、小さな町一つくらいなら簡単に壊滅するだろう。
しかし銀時は、んなもん知ったことかと言わんばかりに呆れた表情でヴィータ達を見る。

「ちょっ……もうホントさァ。いい加減にしろよお前ら。確かにスキヤキなんて俺達滅多に食えないけどもね」

「その通りだ。一年の区切りに、奮発して皆で楽しく過ごそうという時に……それでも誇り高き騎士か!」

誇り高き騎士は、食い意地が張ってると言われたくらいでは怒らないと思う。
が、まあそんなことはどうでもいいだろう。
リーダー格二人に一喝され、不機嫌そうに黙り込むヴィータ達。

「…今のは二人が悪いよ。ホラ、謝って」

「……んだよチクショー」

「悪かったよ。貧乏臭い事言って……」

そう言って二人は、しぶしぶ頭を下げ……
他の三人はその隙に、凄まじい勢いで鍋に箸を突っ込む。
色とりどりの具材は、鮮やかな軌跡を描いて鍋の外へと吹き飛んでいった。



まるで爆心地だな。
テーブルの上に散らばる具材を見て、新八はそう思った。

「あーあーあー。貴重な肉が四散してしまいましたよ」

「いや待て、新八殿。こちらの世界には三秒ルールなるものが存在すると聞いたが……」

「騎士の誇りはどうしたァァァァァ!!!」

肉片を箸で掴もうとするシグナムを咎める新八。
本当にどうしてしまったんだこの人は。
208なの魂:2007/10/09(火) 00:25:11 ID:XkPrrDEv

「なんだよ。結局シグナムもがっついてるじゃねーかよ」

「チッキショー騙しやがって。お前らのせいで、私達の心はどんどん薄汚くなっていくネ」

口々に非難の声を浴びせるヴィータと神楽だが、銀時は馬耳東風と言わんばかりに言い返す。

「そうやって人は大人になっていくんだよ。よかったな、また一歩大人になれたじゃん。
 大体、食卓は戦場だって教えたろ。忘れたかコラ」

「教わってねーよ。それに、うちの食卓は戦場どころか天国だよ。ユートピアだよ」

確かに、坂田家に比べれば八神家の食卓は平和そのものである。
しかし銀時は何も分かっていない。と言いたげに首を横に降った。

「分かってねぇなぁ。理想郷なんてのはちょっとした歪みで崩壊するモンなんだよ。
 ホラ、あれだ。シャマルが料理当番やった時も、同じことが言えるか?」

「いや、確かにゴーストタウンに一転するけど! それとこれとは話が別だろ!?」

「銀ちゃんの言うことなんてもう信じないネ。もうみんな敵ネ。誰も信じないネ」

「いい心がけだ。もっと俺を憎め。その憎しみのパワーを糧に、この腐った世の中を生き抜いていくんだよ」

『腐ってんのはお前の頭だ(アル)』

結局また口論になってしまう。
この状況にいち早く危機感を覚えたのは、やはり新八であった。

(――まずいな。やはりこうなったか。この面子でスキヤキをやるなんて、ライオンのオリに松島トモ子を放り投げるようなものだ…。
 このままでは、残りの肉も口に入れる前に確実に四散する…。いや、下手をすれば、スキヤキパーティ自体がお開きになってしまう。何とかしなければ。
 だが、連中は今頭に血が上っている。下手に止めると逆効果だ。どうすれば……)

ぐー

そこまで考えたところで、突如部屋中に珍妙な音が響き渡った。
辺りを見回すと、シグナムが恥ずかしそうに俯いている。
209なの魂:2007/10/09(火) 00:27:03 ID:XkPrrDEv

「…………」

「ア…アレェ? 何、姐さん? そんなに腹減ってるの?」

「い、いや。そんなことは……」

嫌味ったらしい笑顔を向ける銀時。
どもりながら否定するシグナムだが、これを好機と見た新八は攻め手を緩めなかった。

「いやいや、今確かに腹の音しましたよ。何? そんなにお腹空いてるなら、さっさと始めちゃいましょうよ」

「しかし……この国には『騎士は食わねど高楊枝』という言葉があると聞く。これくらいは…」

「いや、騎士じゃなくて武士ね。そんなコト言わずにホラッ! 僕がよそってあげますから!」

そう言って皿に具材(肉以外)をよそい、シグナムへ手渡す。

「……良いのか?」

「いいっての。テメーらのために買ってきたっつってんだろーが。早く食えボケ。殺すぞ」

相変わらず毒舌な銀時だが、シグナムはそれをさらりと聞き流し、黙々と白菜を口に運んだ。
一方新八は安堵の表情を浮かべながら額を拭う。

(ナ、ナイスだシグナムさん! これで最悪の事態は回避できましたよ…!)

(だが、依然として君達が肉に手を出しづらい状況にあることは変わりないぞ)

(……シグナムさん、アンタまさか…)

(フ……主が来る前に、パーティをお開きにするわけにはいかんからな。
 主はやての為ならばこのシグナム、騎士の誇りも捨てよう)

(あ、アンタ本物の騎士だよ! どう考えても捨てる場面間違えてるけど)

思念通話もしていないのに、なぜ会話が出来るのだろうか。
おそらく、その場のノリと勢いのおかげだろう。
銀魂とはそういう作品なのだ。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:27:46 ID:e9eAPYG0
>>195
GJです
魔王さまの唇を奪うとは恐ろしいw
フェイトとかユーノは目の敵に・・・するかな?

>>201
スイマセン以後自分も連投に気をつけます

>>192
マジですか・・・orz
所詮Wikiのにわか知識だったということか・・・
211なの魂:2007/10/09(火) 00:29:04 ID:XkPrrDEv

(さーて、どうしたもんかねぇ……)

腕を組み銀時は考える。
最悪の事態であるパーティのお開きは回避できたが、シグナムの指摘通り、肉に手を出しづらい状況は変わらない。
ヴィータと神楽も、無い知恵を絞って肉を手に入れる方法を考える。

(スキヤキ、焼肉、しゃぶしゃぶ……こーいう一つのものを大勢で囲む食事の場合、第一手…
 つまり最初に鍋に手を付けることに気まずさが伴われる)

(……よって、この気まずさを吹き払い、周囲に一切の違和感を与えず、自然に先手を切った者に鍋を支配する権利が与えられるネ)

(む、新しい食感……なんだ、この食材は?)

一方シグナムは白滝に夢中になっていた。

(そう……つまりは、それこそが鍋将軍!! この勝負、第一手を制したものが勝つ!)

新八はまずヴィータのほうへ目を向ける。
この面子では、神楽に次いで我慢の効かない人間だ。
下手をすれば、魔法を使った強行手段に出てくる可能性もある。
しかし彼の心配とは裏腹に、ヴィータはきわめて冷静に状況の分析を行っていた。

(今現在、一番鍋将軍に近い存在はシグナムだ……まだ鍋に手をつけてないとはいえ、あれを食べ終わった後、ごく自然に
 箸を鍋につける権利を持っている)

(……だが、アレは暫くほうっておいていいだろう。あの顔は、白滝の新食感にとらわれている顔だ。向こうの人間にとっては、未知との遭遇なのだろう)

冷ややかな目でシグナムを見つめる銀時。
しかしまあ、物珍しそうに白滝を見つめる守護騎士の将というのも、なかなか微笑ましいものである。

(問題は新八ネ。はやての家で出たことの無い食材を覚えていて、さり気なく皿に大量によそった……間違いなくデキるアル)

しかしその新八も、現状を打開する案は思いつかなかったようだ。
肩で息をし、目を血走らせている。

(仕方ない……こうなったら、破れかぶれだ!)

「そ、そういえば、アレですよね! 友情、努力、勝利なんてよく言いますけど、最近の子供は友情の儚さも勝利の空しさも知ってるわけで
 結局、一握りの天才しか必要とされてないんだよね!」

と、突然意味の分からないことを口走り、さり気なく鍋に箸を伸ばす。
距離50、40、30、20……
手応えあり。
212なの魂:2007/10/09(火) 00:30:46 ID:XkPrrDEv

(とった!!)

そう勝利を確信した、その瞬間だった。

「アレ? 火弱くなってね?」

「!!」

突然鍋が消えた。

いや、銀時がとっさに自分の茶碗とコンロの位置をすり替えたのだ。
空を切った箸はそのまま茶碗に盛られた白飯に突き刺さる。
まるで仏前に出される供え物だ。
一方銀時は、わざとらしくコンロのつまみをいじりながら不敵な笑みを浮かべる。

(新八……鍋将軍は、俺っ…!?)

だが、これで終わるはずが無かった。
銀時の頭上に何かが舞う。

(箸っ……まさか、あの一瞬で…!?)

そうだ。鍋将軍の条件は『一番最初に鍋に箸をつけること』。
別に箸を手に持っている必要はない。
とっさに茶碗から箸を引き抜き、力一杯鍋に向かって投げつけたのだ。
この頭の回転の速さを、普段から生かして欲しいものである。

(いっけェェェェェェ!!! チョップスティックスカッドミサイィィィィル!!!)

いくら銀時が神速の剣の使い手といえど、この距離では箸の落下を止めることは出来ない。
勝利の女神は新八に微笑んだ。……かに見えた。



そう、二人はこの極限過ぎる戦いに意識を集中させるあまり、忘れてしまっていたのだ。
今この場には、イレギュラーとも呼ぶべき存在が二人も居ることを。
213なの魂の人:2007/10/09(火) 00:40:09 ID:lZb8BTza
連投規制にひっかかったので、一旦ここまでにします。
申し訳ないです
214名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:51:21 ID:gf3kOZhl
なのはVSボウケン氏、GJ。

なのはさん逃げてぇ、李君に関わるのは間違いなく死亡フラグ。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 00:54:01 ID:e9eAPYG0
>>213
なんてこった
待ってるぜい
216名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 01:04:52 ID:M4wSxs1S
なのはVSボウケン氏はいつになったら名前通りのSSを書くんだろう…?
217×DOD:2007/10/09(火) 01:12:26 ID:+RXunhp0
ちょっと通ります。6レス程
218×DOD 一章一節  1/6:2007/10/09(火) 01:13:27 ID:+RXunhp0
 東京、新宿の上空で、魔術で浮かぶクロノ・ハラオウンは不覚にも息を呑んだ。
 これ程膨大な魔力を秘めたドラゴン、いや生物を見たことがあったろうか。管轄内の世界でおぞましいまでに強大な魔
力を感知して駆けつけたが、その主たる神の像は消え、代わりに今度は周囲を旋回し魔術の声紋を放っていた竜、そして
その背の男から発せられる「力」が急激に跳ね上がった。
 ロストロギア絡みかと推測し友人たちに緊急の要請をしてきたが、眼下にあるのは砂塵と化し、消滅してゆく異形の巨
人の死体だけ。大いなる力の発生源が瞬時に移行したということは、まさか魔力を奪ったということなのか。リンカーコ
アはどうなっているのか。そもそもこれまで観測すらされていなかった世界の住人が、これ程の魔力を持つ者たちが、何
故突如として自分たちの保護世界に現れたのだろうかと、いまだに事情が飲み込めないクロノの中で様々な疑問が渦を巻く。

「おぬしがクロノか。我々をどうする気だ」
「……、この場から離れます。この世界では『竜』の存在は一般に認知されていない」

 それでも竜に話しかけられ、クロノは冷静さを取り戻した思考に耽るのは後だ。今は考えるよりも他にするべきことが
ある。クロノはデバイスを片手に目を閉じ、念を込めながら詠唱を開始する。
 次の瞬間、三者の足元を覆うようにフィールド上の魔法陣が展開する。クロノの魔法だ。帝国が海上要塞から女神を連
れ去った時のものに近いが、どうやら何かの媒介を使用しているように感じた。カイムの魔剣や己の魔法と魔力の巡らせ
方も違い、どこか根本的に異なる体系の魔法であるようにドラゴンには思えた。
 陣が発光し、辺りの空間を飲み込む。網膜を灼く光の奔流が収まった時その目を開いたドラゴンが見たのは、あの懐かし
い、今にも落ちてきそうな青空だった。
 そう、青空。

「…………」

 羽ばたきながらドラゴンは大きく息を吸った。崩壊した世界の地獄の瘴気も、鮮血のごとく赤い空も無い。当たり前に在
った青い空がこれ程愛しいもののように感じたことはなかった。戦いは終わったのだと、そんな安堵が改めて心に響いた。

「…話を聞かせて欲しい。あなた達の処遇は、それから決まります」

 言葉にできない思いにドラゴンが胸を打たれていると、痺れを切らしたようにクロノが切り出す。
 やれやれ無粋な奴だと思いながら、赤き竜は視線を空から中に浮く魔導師に向け直す。だが考えてみればこの空を拝めたの
もこの男の御蔭であると気付き、無視するのもあれだろうとドラゴンは思いなおした。
219×DOD 一章一節  2/6:2007/10/09(火) 01:14:46 ID:+RXunhp0
「処遇とは随分な言い草だな。まあいい、……む」

 皮肉を交えて答えようとすると、背中の男が動くのを感じてドラゴンは止めた。
 むくりと起き上がった男は武骨な威容の巨剣を抜き身のまま背に負い、腰の鞘に長剣を携えていた。戦いを終えた血塗
れの竜騎士カイムが目を覚ましたのだ。竜のドラゴンの言葉に絶大な信を置いているとはいえ、戦場に慣れ親しんだ体は
この近距離での魔術の行使を見過ごすことはなかったのである。
 疲労に疲労を重ねていたために直ぐ覚醒するには至らなかったが、それでも無意識に剣の柄に手を乗せているのは狂戦
士の哀しい性を思わせた。

「彼は」
「…我がドラグーンだ。やれやれ、寝て居れと言ったであろうに」

 男に視線を向けながらドラゴンは言った。戦場に親しみ過ぎた半身を痛ましく思いながらも、おくびにも出さないのは
さすが竜族といったところか。
 うっすらとカイムが目を開け、体を起こす。胸当てには大小様々な傷がつき、その深い青は異形どもの返り血で紅に染
まっている。
 服は裂け、よく見るとその中には銀の帷子と短剣が仕込まれているようだ。さらに見ると足下の竜の背には彼の物と思
われる武装がいくつも備えられているらしい。ロストロギアのような強大な気配はないが、そのどれも怨念じみた魔の気
配を帯びている。単身で大軍に挑むような、いや実際そうしてきたのだろうと思わせる出で立ちだった。
 そんな分析をするクロノを、空虚な暗黒を宿す瞳がとらえる。次いで空を見、大地を見て現状を察した。そしてドラゴ
ンに一つ『声』を残すと、カイムはその背に仰向けになって天空を見つめ始める。やはり青空に感ずるところがあったの
だろう、空しさに穏やかさが入り交じったような静かな『声』であった。

「…、地上に何人かおるようだな。おぬしの仲間か」
「…ええ」
「鬱陶しいから来させるな。話をする気も起きぬ」

 いざという時のために視認すら出来ないほどの距離に親友が部隊を待たせてくれていたのだが、それもあっさりと看
破されて一瞬言葉に詰まった。
 ちらりとも見ていないのにどうやってと思いながら、しかしその招待が低空戦で培ったカイムの索敵能力であり、察知
した気配を思念で送ったのだと知るすべもない。分からない事だらけだがとりあえずこの竜に隠し事など無駄だろうなと
確信する。

「この男は…ある事情で、口が利けぬ。話は我がしよう」

 そのドラゴンの言葉には、ほんの少しの悔恨が混じっているように感じられた。
220×DOD 一章一節  3/6:2007/10/09(火) 01:16:02 ID:+RXunhp0
 ドラゴンの話は、余りにも荒唐無稽なものだと言えた。凄惨を極める戦いの物語に、聞いているクロノが思わず唾を飲
んだ程に。
 世界崩壊を止める封印を巡って帝国軍が彼らの属する連合軍へ侵略を開始し、「天使の教会」の旗印の下次々と破壊。
狂戦士と化したおびただしい数の帝国兵、異形の巨人サイクロプス。数々の敵と殺戮に殺戮を重ねて攫われた最終封印
「女神」を追い、そして追い詰めた敵の教祖は幼き少女だった。母の愛情を求め、そこに付け入られた傀儡という名の神
の御使いとなった少女をその実の兄と契約したゴーレムの怒りの拳が圧殺するも、それを皮切りに世界は崩壊した。

「今思えば、あの幼子は人類滅亡のために神が用意した『鍵』だったのやもしれぬ」

 竜は語る。人を滅ぼすべく赤き天空から舞い降りる、殺戮の「天使」たち。おぞましい赤子は仲間を文字通り喰らい、
殺し、契約者アリオーシュを吸収したそれは『母体』と化す。しかし決死の戦いで追い詰めた『母』はもといた世界から
逃亡を図り、二人はそれを追って世界から旅立った。そしてあの街、新宿に辿りつき、時間を止め世界を封印しようとす
る「歌」を、契約者の魔力を込めた声紋で相殺し防いだのだという。

「………」

 信じるに足る証拠は…無い。だが妄言と片付けてしまうにはその言葉はあまりにも重かった。
 相手の誇り高さを感じ、嘘を吐くような真似はしない確信したのも事実。だがそれ以上に地獄を見てきた者のみが持つ、
瞳の奥の壮絶な闇を垣間見たのである。提督という立場になるまで犯罪者や違法魔導師など多くの人間と戦ってきたクロノ
だが、これ程圧倒的な絶望の名残を、負の気配を帯びた者と相対したことはなかった。

「さて、処遇とやらを聞こう。どうだ?」

 黙した魔導師にドラゴンが尋ね、クロノははっと我に返る。思索で己を見失うとは自分らしくもないと、直ぐに思考の渦
を消し去ったのはさすがといったところだろうか。

「調査してみないと何とも言えません。だがあなた達や、あの…天使、の魔力は明らかに異質だ。あなた達が居たのは、
我々時空管理局すら知らない世界と推測される…信じられないことだが」

 世界の時を止めようとしたらしい異形の化け物を「天使」と呼ぶにはいささか抵抗があったが、わざわざ変えることもな
いかと躊躇いがちに言う。
221×DOD 一章一節  4/6:2007/10/09(火) 01:17:03 ID:+RXunhp0
「だろうな。魔法というものの体系そのものが違っておる」
「本来偶然の来訪者は、ロスト…所有物検査を経れば、記憶操作の上で帰還することができます。だが、これでは…もう一
 つの選択肢、永住しか」
「構わぬ」

 固より、もはや帰る気など無い。
 世界に残された少年セエレも理解していただろう、せめて自分を忘れないでと叫んでいた。事実二人はそのつもりで「門」
を潜ったのだ。生死不明の女神と親友、そしてたった一人残った仲間を置いて来てしまったことになるが、この澄んだ空を
見てしまった後ではもう何と言われようと戻ることはできない。

「…では、我らはあの森を使うぞ」

 何かあれば『声』を飛ばせ。そう言い残してドラゴンは翼を翻す。

 魔導師に背を向け、竜は一つ大きな嘶きを上げた。
 大空をわたる穏やかな優しい風、どれほど焦がれたことだろうか。溢れる何かに突き動かされての咆哮だった。火竜の叫
びを子守唄に、カイムもまた深い眠りに落ちてゆく――
222×DOD 一章一節  5/6:2007/10/09(火) 01:18:04 ID:+RXunhp0
『…現地に発生したロストロギアの疑いがある存在は消滅。消滅させた本人たちはその所有者ではなかった』

 残された魔導師は、そう通達を締めくくった。念話の相手の機動六課部隊長は丁度クロノから離れていた隊長たちに代
わって新人フォワードを大急ぎで派遣させられただけあって、まだ納得が行っていないようだ。仕方のない話と言えるかも
しれないが、それを言うなら自分も本局から緊急で配備された身なので、文句を言われるのは筋違いとも言える。
 それに少なくとも彼らが手にしていたのは、ロストロギアではないと推測された。どちらかというと自分たちの使用する
デバイスに近いように感じたのだ。魔法の体系が違うとは本当のようで、それは自分が知るものとは随分異質なものだった
けれども。
 推測の域を出ないのは確かだろう。本来ならば本部に出頭させ即刻武器を剥ぎ取り調査すべきである。だがそれはできな
かった。身も心も疲れ果て、心を空っぽにした彼らに鞭を打つほど残酷な真似は出来なかったのだ。

『フェイト、なのは。もう大丈夫だから、急ぐ必要はないよ』

 市街地飛行の許可を得て、猛烈な勢いで接近する二人の魔導師に念を投げかける。すると加速は止み、驚きの気配と共に
二人の移動は停止した。位置はちょうど、地上で待機している四人のフォワードを挿んで向かい側に十と数キロほどか。ラ
ンクの制限を受けながらよくもここまで来れたなと、二人の魔導師の能力に改めて舌を巻く思いだった。

『クロノ君、どういうこと? 大丈夫って?』
『お兄ちゃん…』

 そしてそう簡単に物事を捨ておける程、追及の甘い人間でもないのだ。
 この場合どう答えるべきか、クロノは思案に暮れた。優しい二人の事だから、話せばきっと事情を酌んでくれるとは思う。
話した途端彼らを捜索して、事情を話させるようなことはしないだろう。しかしあの暗い瞳を見ていないことを考えると、
話を聞いたところで職務を優先させることも万が一位には考えられた。二人の正義感の強さが、逆に不安だったのである。
 そうして暫く考えていると、念話の向こうの気配がだんだんと怪しげなものになっていく。これ以上の引き延ばしは危険
と判断したクロノは、ようやく一つだけ漏らした。

『…いいよな、少しくらいなら』
『え?』
『何でもない。一応調査は必要だけど、所在ははっきりしてるし基本協力的だからもう平気だ。後で追って連絡するから』
『…お兄ちゃん?』
『下で待ってる新人たちに、無駄足運ばせて申し訳ないと言っておいてくれ』
『クロノ君!』

 クロノが選んだのは逃げの一手だった。思わず漏らした、ように聞こえる一言で意識が反れた二人に一気に畳みかけ、尋
ねる暇も与えず言いたいことだけ言って空の彼方に飛び去っていったのである。
 きっとあの二人なら見つかるまい、見つかってもいきなり戦いになるようなことはあるまいと考えての行動だった。そう
いえばまだ名前を聞いていなかったなと、今更になって思い出したのが妙に笑えた。
223×DOD 一章一節  6/6:2007/10/09(火) 01:19:06 ID:+RXunhp0
 さてその新人たちであるが、揃いも揃って皆ぽかんと空を見つめていた。
 転移の陣から出現した、神々しいまでの赤き竜。少年少女はまだ経験も浅くその手の生物に接する機会は多くない。その
中でキャロと呼ばれる少女は例外とも言えたが、彼女でさえあれほど見事な火竜を目にしたことはなかったのである。

「……すごい…」

 言葉を忘れていたかのように、随分と時間が経ってから少年が呟いた。名をエリオ。背丈の小さい未熟な身ながら、闘志
に溢れる少年である。
 竜といえば子供の憧れでもある。同僚のキャロの連れているフリードリヒも確かに白銀の飛竜であったが、自分の顔ほど
の大きさしかないのではやはり迫力が違う。遠目に見ていても皆分かっていたようで、残る二人の年上の魔導師、スバルと
ティアナもそれを否定することは終ぞなかった。
 やがて竜が飛び去り、上司二人と残された魔導師の念話が始まる。そうなってようやく、キャロは思い出したように言った。

「他の世界にも…いるんだ、竜を喚ぶ人」
「…え? 何?」
「う、ううん、何でもないよっ」

 正確には喚ぶのではなく、心臓を共有するのだが微妙な勘違いをし、奇妙な同族意識を感じていた。
224×DOD:2007/10/09(火) 01:23:05 ID:+RXunhp0
クロノの口調ってこんなんでいいんだろうか…ある程度達観してくれてないと困るのでこんな感じに。
ともかく、とりあえずはキャロに見せ場を。そんな願い。

>まとめ管理人さん
一章一節、二節、…、二章一節、二節、…と続きます。

では。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 03:38:32 ID:G8rKWgFD
いつの間にか久々の大量投下!!
皆さんGJKです
黒の契約者の26話はDVDの中ってどういうことだ!!?
というくらい楽しみです。

てか銀魂は鍋レオンかよおおおおおおおおおお!!!?www
シグナムがかわいいっすねw

DODはやったことないですけど面白くなりそうなんで楽しみです!!
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 06:18:04 ID:VekEDnpv
DODは正直BADENDしか無いからなぁ
GJを送りたい。
227名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 06:18:20 ID:azNGksM6
この大量投下……職人さん達休みの間に書きためてたな
内容も密度もすごいな
228なの魂の人:2007/10/09(火) 07:25:23 ID:XkPrrDEv
さすがに規制解けただろう…
ということで、投下再会します。
今回で投下し切れればいいが…
229なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:27:56 ID:XkPrrDEv

「させるかァァァァァ!!!」

『Schwalbefliegen!!』

聞き慣れた電子音声のようなものが響くとともに、虚空に魔力を帯びた鉄球が現れ、箸を粉砕する。
ヴィータ唯一の、と言ってもいい射撃魔法『シュワルベフリーゲン』である。
しかしこんな下らない事に使われたグラーフアイゼンの方は、たまったものではないだろう。

「ウソォォォォォ!!!! デバイス待機状態なのに!!?」

「チッ、食欲は不可能も可能にするってか!? だが隙だらけだ! 鍋将軍は俺の……」

「やらせんっ!!」

鍋に箸を突っ込もうとした銀時に、突如襲い掛かるシグナム。
とっさに木刀を引き抜き、レヴァンテインを受け止める。

「おおおおい、デバイスまで持ち出してどーしたよ、姐さん」

「主が来る前に肉に手を出すことは、私が許さん。
 ……というか、なぜ止めれる」

「だから前にも言ったろ。コレ洞爺湖の仙人に貰った木刀だからよォ、魔力耐性がハンパじゃねーんだよ」

実はコレ、通販で買った胡散臭い妖刀なのだが、そのことを言えば確実に彼女のプライドはズタボロになるだろう。
一応銀時にも良心というものはあるらしい。

「ヘッ……純粋な白兵戦で、俺に勝てると思ってんのか?」

余裕の笑みを浮かべる銀時を見て、シグナムは冷や汗を垂らす。
というのも、彼の鬼神の如き強さを、とある事件で目の当たりにしているのだ。
このままでは確実に押し切られる。
そうシグナムが思ったその時、誰もが予期出来ぬ事態が起こった。

「ぶぇっくしょぉぉぉぉい!!!」

神楽が鍋に向かってくしゃみをしたのだ。
もちろん彼女が口元を押さえてくしゃみを、などという上品な真似をするわけがない。
もう顔から出る汁という汁がだだ漏れである。

「……あっ、ゴメンアル。私カゼひいたかもしれないヨ〜」

『なっ…なにィィィィィィィ!!?』
230なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:29:32 ID:XkPrrDEv

(手も箸も使わずに、くしゃみで…第一手を決めただと?)

(こんな先手の決め方が……)

(あっただとォォ!!)

神楽のあまりにも大胆不敵すぎる手口に、四人は戦慄した。
――神楽……恐ろしい子っ。

(いや……事実、こんな鍋はもう食べる気がしない。もうこの鍋は神楽殿しか食べられなくなってしまった…)

(クソッ……はやてのくしゃみだったら全然OKだったのにっ!)

(いや、よくねぇよ)

それにしてもこのヴィータ、マザコン全開である。
そんな彼女らを、まるで道端の雑草のように見ながら神楽は鍋に手をかける。
そして――

(ククク……鍋将軍はアタイだよ。そこで指をくわえて見ているがいいネ。お前達の愛する牛肉が小娘に蹂躙される様をネ!)

流し込んだ。
そう、丸呑みである。
あの鍋には六人前ほどの具材が入っていたはずなのだが、そんなことはお構い無しだ。
夜兎族の胃袋はバケモノか。

『あァァァァァァァ!!!!!』

失意に暮れる歴戦の勇者達。
しかし、忘れてはならない。
真の勇者は遅れてやってくるということを。

「まあ、随分盛り上がっているようですね」

「遅くなってゴメンな〜」

突如、居間のふすまが開く。
所用を済ませたシャマルとはやてがやって来たのだ。
231なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:31:41 ID:XkPrrDEv

「は、はやて〜! 神楽が、神楽が一人で鍋を〜!!!」

と言いながらはやてに泣きつこうとするヴィータ。
しかし、はやては今シャマルに抱きかかえられているので、身長的に無理なのであった。

(クク、残念だったアルな、はやて。お目当ての牛肉はもう……)

「鍋?」

ヴィータの言葉を聞いたはやては、不思議そうに空になった鍋を見た。
――いや、正確には、鍋の片隅に残っていた小さな肉片を見て、こう言った。

「……ぎ、銀ちゃん…家計が苦しいのは分かるけど、スキヤキに豚肉はちょっと…」

(ぶっ…ぶぶぶぶ、豚肉だとォォォォォォォォォ!!!)

衝撃の事実に、神楽は自身が雷に打たれたかのような感覚を覚えた。
なんということだ。
今の今まで牛肉だと思って食べていたものが、まさか豚肉だったとは!

(そっ…そんなバカな事が……ぶっ…豚肉だと……っ!?
 あ、ありえない……確かにアレは牛肉の味……牛丼とか、いつも食べてる牛肉の…
 まさかっ!?)

まさか、そういうことなのか? と訴えるように銀時達を見る神楽。
銀時と新八は、悪魔のような眼差しで神楽を見つめ返した。

(その通りさ。お前が今まで牛肉だと思って食べてきた食卓の肉は全て……)

(安い豚肉だ!!!)

ヒドい。
これはあまりにもヒドすぎる。
いつぞやのプレシア女史並にヒドい。

(牛肉などという高級な代物がウチの食卓に並ぶとでも思ったのか、小娘)

(そんなもん俺が食べたいわァァァ!!!)

(そ、そんな…。今まで信じていたものがウソだったなんて…。私の生活は全て虚構で固められたフィクションであり、
 実在の人物団体とは一切関係ありませんなんて…)

――私はその時、自分の足元が崩れ去るような言い知れぬ不安を感じていた。
  もう誰も信じない、信ジラレナイ。豚がアイツでアイツが豚デキャッホォォ! テメーラ全員足ノ小指骨折シロ…

あの時のフェイトもこんな感じだったんだろうなーと思いながら、神楽は気を失った。
232なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:33:08 ID:XkPrrDEv


(一人消えたか……)

(さらば神楽殿……やすらかに眠れ)

胸の前で十字を作り、手を合わせる。
神楽、君はいい戦士だった。
だが君の無知がいけないのだよ。

「もー、大晦日くらいエエもん食べんとあかんよ〜」

「今日は奮発して、いつもより良いお肉を買ってきましたから。良いもの食べて、良いもの飲んで、パーッとお祝いしましょう」

そう言って台所へ消えるシャマルとはやて。
どうやら追加の具材を買って来ていたようだ。
第二ラウンドの始まりである。



「さあ、そろそろ食べ頃のはずですよ」

「うわぁ〜、美味しそうやな〜」

と、歳相応の無邪気な笑顔を見せるはやて。
しかし、獲物を狙う野獣達にとって、そんなものはどうでも良かった。

(純粋無垢な魔導少女に、どこか抜けてるおねーさん……チョロイな。問題は奴らだ)

(はやてには悪いけど……今回ばかりは、鍋将軍の座はあたしが貰うよ)

(申し訳ありません、主はやて。私だって肉は食べたい)

(皆……新年迎える前に決着つけようじゃないですか……)

互いを目で牽制しあう四人。
守護騎士といえど、牛肉の誘惑には耐えられないらしい。

(もう、四の五の考察はいらねぇ。尺を考えると、ここで勝負をかけるしかない)

(最初に鍋に手が届いたものが勝つ。鍋将軍は……)

(俺が…!)

(僕が…!)

(あたしが…!)

(私が…!)

一斉に鍋に向かって箸を伸ばす。
……が、しかし。
233なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:34:44 ID:XkPrrDEv

(なっ……)

届かない。
箸が届かないのだ。
まるで見えない障壁に、前を防がれているような……。

(ま、まさか…)

(プロテクションだとォォォォ!!!)

そう、いつの間にか鍋の周りに、防御魔法である『プロテクション』が張られていたのだ。
しかもそれだけではない。

「のふぅっ!」

「バリアバースト!?」

「ヴィータァァァァ!!!」

小さな爆発音とともにヴィータの体が吹き飛ぶ。
これには銀時達も驚きを隠せなかった。
この魔法はミッド式。つまり、ベルカの魔導師である守護騎士には使えないはずだ。
一体誰が……。
と、そこで気付く。
居るではないか。
将来有望な、スーパールーキーが目の前に。

(フフ……甘い、甘いよ四人とも)

(鍋将軍の地位は私達のものですよ)

そう、はやてである。
あろうことか、シャマルもグルのようだ。
食い物を目の前にすると性格が変わるのは、彼女らも同じようである。

(コ、コイツら……無垢なんかじゃない!!)

(この女、心臓に毛でも生えてるのか!?)

怖い。あの笑顔の向こうに隠された、本当の顔が。
言いようの無い戦慄を覚え、その場に凍りつく銀時と新八。
その頃シグナムは、勢いでふすまに突っ込んだヴィータの介護に当たっていた。
234なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:36:19 ID:XkPrrDEv

「ヴィータ! しっかりしろヴィータ!」

「へへ……ヘマしちまった…」

「何を言うんだ。頭から生卵をかぶっただけではないか!?」

「フッ……いいんだよ。自分の体のことは、自分が一番良く知ってるから…」

特に目立った外傷は……というより、全く怪我などしていないのだが、苦しそうにヴィータは呟く。

「しかし…!」

「何やってんだ…早くしないと、せっかくの牛肉が……っ!」

「ヴィータ…」

「行けっ! あたしの死を無駄にする気か!? ここで動けねーようなら、お前のこと一生軽蔑するぜっ!!
 行け! 行くんだ! それで、後世に伝えるんだ! あたし達が……この手で勝ち取ったものを!!!」

「…………っ!!」

「行けって言ってるだろ!? あたしなんかに構うな! テメェそれでもベルカの騎士か!? シグナァァァァム!!!!」

「う、うあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

生涯最大の雄たけびを上げ、シグナムは走った。
その背中を、ヴィータは朦朧と見つめる。

「……あんなにノリの良い奴だっけ?」



一方、もはや戦場と化した食卓では一方的な戦闘が繰り広げられていた。
あらゆるフェイク、トラップを試みるも、その全てがはやての防御魔法で防がれてしまう。
そしてその隙にシャマルが具材を回収。
素晴らしいコンビネーションである

(ケ、ケタが違う! 鍋が遠い、届かない……。つーか、ここまでディフェンスに定評あるならザフィーラ要らねーじゃん!
 つーかアイツどこ行った?)

(僕達の今までの戦いはなんだったんだ…。しょせん井の中の蛙。互いに傷つけあったあの哀しい戦いに、なんの意味も無かったというのか…)

絶望に打ちひしがれる万事屋。
しかし、ここで諦めてはいけない。
勝利を願う人が、たった一人でもいるのなら……。
235なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:39:40 ID:XkPrrDEv

「いや、違う!!」

シグナムが叫ぶ。そして……。

――信じがたいことだが、鉄拳でプロテクションを破った。
流石にこれにははやても驚いた。
初めて使用した魔法とはいえ、銀時たちが苦戦していたものを、こうも簡単に……!

「そうだ……だからこそ、あの戦いを無駄にしないためにこそ!」

「この勝負!」

そして奇跡は起こる!

「負けるワケには、いかねーんだヨォォォォ!!!」

立った! 神楽が立った!
永き眠りについていた神楽が、今再び立ち上がったのだ!

「神楽殿!」

「神楽ちゃん!」

「いけェェェェェ神楽ァァァァァ!!!」

全てはこのために。この時のために。
神楽は鍋に手をかけ、一気に持ち上げる。
そして――

『鍋将軍に……なれェェェェェ!!!』

『ああああああああ!!!!!』



呆然と神楽を見つめるシャマルとはやて。
それとは対照的に、恍惚とした、何かをやり遂げたような表情で神楽を見る銀時、新八、シグナム。
そう、彼らは勝ったのだ。この儚くも醜い戦いに。

カラン…

空になった鍋を投げ捨てる音。
一躍英雄となった神楽は、勝ち誇ったようにこう言った。

「……なんか乳くさくてイマイチ。豚のほうがいいアル」

『…………』
236なの魂 その2:2007/10/09(火) 07:40:40 ID:XkPrrDEv





「それでも武士か貴様ァァァァァ!!!」

「てめェェェェェ!!! ナメてんのかァァァァァ!!!!!」

「出せェェェェ! 今の全部吐き出せェェェ!!!」

「シャマル! 消化前に全部引きずり出したれ!!!」

「ブチ撒けろォォォォォ!!!!!」

飛び交う茶碗。
ほとばしる魔力光。
隣の部屋へ退避していたヴィータは、一人茶をすすりながらこう思う。

(平和だなぁ……)

こうして坂田一家と八神一家の新しい一年は、騒々しく幕を開けたのであった…。
237なの魂の人:2007/10/09(火) 07:53:36 ID:lZb8BTza
以上で終了です。
初投下だったので、色々至らない点はあったかと思いますが…
精進致しますです、はい
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 07:56:31 ID:VBmTOzQp
なの魂の人朝っぱらから乙。
ちゃんと必要な所で改行が入れてあって読みやすいし、ノリもきっちり銀魂だったw
にしても、どんな出会い方したんだこいつらw
239名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 08:26:07 ID:LOiqgHzh
三連休ちゅうすごい数投下されてて朝から驚いたぜ
皆々様方乙でしたぜ。

全然関係ないししょうがないことだけど規制って面倒なシステムだよね
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 09:02:11 ID:w0KJguf7
GJ!
ヴォルケン、何やってんすかwww
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 09:44:53 ID:7Oxh9fv/
なの魂の人、朝早くから乙ですよ。
銀魂の中でも屈指の話とのクロスとは、分かってますな!
しかし、>>238さんも言ってるが、出会いが気になって仕方ない。
突っ込み乱舞で新八、大活躍になりそうな予感。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 11:15:22 ID:4fyBkdiD
あれ?いつの間にか投下されてるwそしてGJ
腹抱えて笑わせてもらいましたwww
おまけにフルメタも混ざってるしw
てか『鍋将軍』じゃなくて『皇帝鍋レオン』だったような……?
このテンポで日常編とかもやってほしいですね
243名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 11:43:51 ID:+iIVOmpF
それはミッドチルダを翔ける桃色の光。
「私の名は高町なのは、字は白い悪魔。」

それはミッドチルダを翔ける黄色い光
「このフェイト・テスタロッサの義のバルディッシュ……受けてもらう。」

それはミッドチルダを翔ける夜天の光。
「この八神家の覇道、阻めると思ったらあかんで。」

一騎当千の爽快感、此処に−

無双少女リリカルなのはStrikerS 発売。定価3800円
244名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 11:46:44 ID:vgl5hCCu
安ッ!いや、出たら保存用布教用あわせて3つくらい買うけどさ。
245追加:2007/10/09(火) 12:15:06 ID:+iIVOmpF
それは蘇る母の夢。
「フェイト……使えない子」

一発当千の爽快感、此処に−

無双少女リリカルなのはStrikerS猛将伝

追加キャラはプレシア、リンディ、アリシア、グレアム、クラウド、リインフォース。新たな展開を目撃せよ!

追加モードは時空城(ラスボスは魔法猛将呂布&忠勝www)
修羅モード、様々なキャラとパーティーを組んで己の限界を目指せ。
立志モード、エディットキャラを作成し機動六課、スカリエッティ、ルーテシアから勢力を選択して好きなキャラのパートナーとしてグッドエンディングを目指せwww

定価1178(いいなのは)円

CMナレーション、田村ゆかり
246名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 13:36:40 ID:k8RgV4cs
魔法猛将フイタwwwww
247多分こんな登場台詞:2007/10/09(火) 14:37:06 ID:+iIVOmpF
時空城100階

なのは「いったい誰がいるのかな……?」

フェイト「あ、貴方達は!?」

呂布「俺は魔法猛将・呂布奉先。喜べ、俺の話を聞かせてやる……行くぞホウテンガ・ゲート!!」

忠勝「同じく魔法猛将・本多忠勝。唸れ、トンボギルディッシュ!!」
248名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 18:04:49 ID:K3FRhlEr
アッー!
249名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 18:05:50 ID:OYY0550O
呂布?忠勝?
そこはとらハの恭也さんと耕介さんでしょ
250名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 18:15:32 ID:K3FRhlEr
ゴバーク
251名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 19:00:27 ID:9PB7kWYV
>>249
耕介はいろんな意味で危険だwwww
なんたってロリジャイだし
252名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 19:33:31 ID:Kf1qIX7x
>>249
志村ー、真一郎、真一郎!!
253なのはVSボウケン:2007/10/09(火) 20:15:14 ID:YUNBIkTi
感想ありがとうございます。LTBは二話完結でオチをつけて
シリーズ読切みたいにしたいと思います。

>>216
仰るとおり、つい書きたいものに逃げるのは悪い癖ですね。スレがある限りは続き物4作は全て終わらせるつもりですが、
自戒も込めてLTB二話まで終わったらボウケンジャーが終わるまで他は書かないと宣言してみます。
>>なの魂氏
GJ!爆笑しましたwwセンスを感じます。いろいろ混じってるw、鍋に魔法wとか突っ込みながら読めました。
銀魂は苦手でしたがこれは楽しめた。あと連投規制は一時間ごと時間変更で解除なので、
長いのは○○時45分くらいに始めるといいと思います。
>>×DOD氏
GJ!クロノとアンヘルの優しさがとても良かったと思います。作品上、エリオとキャロがどう絡むのか
今から楽しみです。
254名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/09(火) 20:41:24 ID:kKGT71jt
そろそろ、EDF氏が来る頃なので景気付けに初代地球防衛軍をやっていた俺参上!。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 21:05:34 ID:RzmO+Mix
覚悟のススメ氏〜〜!カ〜ムバッ〜〜〜ク!
256名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 21:24:50 ID:VB6yI04B
こちら住人。銀大佐、応答してください
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 23:45:33 ID:dzKAn0f3
ならば俺はライダー作品すべてを所望する!

最近ライダー作品の投下少なくない?と思ったけど投下ペース早いだけで、そうでもなかったwww
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 23:49:20 ID:3IwEcRus
所望するだけではだめだ。
感想を書かねば応援にならぬ、と思ったが賞賛の言葉を文章に出来ない自分に絶望した
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 00:31:21 ID:EURhsL72
>>258
そうだな。
俺達住人が感想レスをすることで職人さん達を応援できるなら、した方がいい
文章なんてそうでもいいと思う
正直に面白かった!って気持ちを伝えられればいい・・・と思う。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 00:43:16 ID:1BFRuC/d
流れにフェイトさん
正伝氏、シルバー氏、楽しみにしているので頑張ってください。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:10:08 ID:GJCaDeEC
私はGGとのクロス作品の続きが見たいと思ってる。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:38:08 ID:2It6FHd8
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:38:50 ID:GJCaDeEC
>>262
ちょwwww


ギルティギアのほう
264名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 02:08:54 ID:qIE+2irv
>>214
悲しいが否定できないなー。
生き残っているのは銀くらいかな。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 02:11:46 ID:qIE+2irv
>>210

ユーノはともかくフェイトは黒に落とされる気が...

士郎さんが元同業者ってことで黒の正体に気づいたりしないだろうか。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 02:20:43 ID:GJCaDeEC
>>265
士郎さんがボディガードやってたころはまだ契約者は存在しないのでは?
第1話で、少なくとも無印以降に星空がなくなった、ってな描写があったし
まぁ、雰囲気とか、臭いとかで気がつきそうな気もしないでもないが
267リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 02:20:43 ID:kgYs2c15
第9話Cパートが出来ました。

翼竜ガジェット『ガー、ガー!ヨウイハイイザンスカ?』
268リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 02:32:00 ID:kgYs2c15
すいません、間違いがあったので明日にしますー
269名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 03:25:37 ID:g5BzdKtc
>>264
HAHAHAHAHA、未咲さんとインド人研究者、他にもホームラン軒の看板娘とか居るじゃないか。

ニックや11はダメだったけどフェイトなら(声優的な意味で)大丈夫さ。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 03:26:37 ID:qIE+2irv
>>266
>>雰囲気とか、臭い
この部分から、気づかれるかもしれないと思ってます。最終回くらいに。
黒のほうも士郎さんについて何か知っているかも。
組織の諜報能力が分からないんで何とも言えませんが。
271名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 04:03:05 ID:qIE+2irv
>>269
安心した。
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 05:01:06 ID:qteGZgEg
>>270
雰囲気や臭いで分かるのはかなり止めて欲しいなぁ
かなりバカっぽく感じる。格闘技経験の有無程度なら兎も角
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 06:31:39 ID:ecBXtS4F
実際わかるものなのか?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 06:56:14 ID:GJCaDeEC
>>273
無理だろ
275名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 07:20:04 ID:yK7XjKFJ
>>237
お前ら鍋に必死すぎwwwなのは達もいたらもっとカオスだったかもww

改めて1〜4話を見るとほんと黒のたらし能力は異常だwあれが全部計算なんだから恐ろしい。
なのは達とやり合っても次の日のは李としてニコニコしてそう。


前から思ってたけど、催促行為は慎重にする必要があると思うんだ。この手のスレじゃ一月くらいかかるのは珍しくない。
みんな仕事や学校の余暇に、しかも余暇を全部執筆に費やすわけでもない。
上の作品ガン無視で好きな作者だけ呼ぶのも失礼じゃないか?それも一言。投下された直後のレスが○○さんマダーじゃあんまりだ。
別に感想書く必要はないにせよ、その程度の気ぐらい使おうぜ。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 09:04:08 ID:LibVLmDj
応援代わりに俺は読んで待ってるぜ、という意思表示をしときたいってのはある
277名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 13:17:36 ID:T9HeudD0
あ〜〜またスゴイ量投下されてる(汗

職人の皆様GJ!!
278名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 15:35:05 ID:l5UYcOyt
>>275
戦った次の日のは李としてニコニコしてるってのは確実だと思う。
しかし契約者の能力って強いのは魔法以上だよね。アンバーとか。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 15:37:17 ID:QT56F16h
ダイの大冒険を立ち読みしたらラストが熱すぎる展開
ここで一つダイの大冒険だクロスを頼む
280名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 16:03:14 ID:2eWRVWG1
なのは「メドローアが倒せない」
281名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 16:07:34 ID:J267thyy
あの世界はなのはさんの天敵が多すぎる
282名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 16:18:51 ID:2MOI8Gt2
279
その場合はダイの大冒険側はどのキャラを出すのがいいと思います。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 17:17:41 ID:6SE61rwR
長距離砲撃とか飽和攻撃にマホカンタ
284名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 17:52:13 ID:fKVCTbfl
>>282
ハドラーやバランという意表をついた選択肢
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 17:54:52 ID:bSoPI3dq
鬼眼王バーンだろう、常考
286名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:23:31 ID:/3nzJMNo
オートソックスにポップで
287名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:25:17 ID:V/0NHNoH
大魔王 なのはさん
暗殺者 フェイトさん

こうですね。わかります
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:26:17 ID:qWw+sVpf
>>281
ですよね〜、ロンベルク印の魔装シリーズ、オリハルコン製の親衛鬼団、圧倒的な魔力を
誇る大魔王、プロテクション無視のメドローア、魔法反射のマホカンタ、やばい位に天敵揃い。
289名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:33:06 ID:84Gs8maR
>>288
竜闘気とかもありますしね。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:41:35 ID:vIi7QJzj
鍛錬する者なら敵味方問わず尊敬するミストとかどうよ?
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:44:51 ID:QT56F16h
>>282
個人的にはポップが
一番主人公過ぎたのが印象で…w
でもダイやヒュンケルも捨てがたいっす(`・ω・´)
292名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:48:12 ID:GJCaDeEC
アバン先生はだめなのか?
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 18:55:00 ID:3/7DAhGS
あえてマトリフで
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 19:05:21 ID:FeXJsfUc
もしマトリフなら、無印なのはの師匠になってもらいたい。
なのはの使っている砲撃魔法は実はイオ系に酷似してて、メラ系とヒャド系の魔法を教えた後最終決戦前にメドローアを…w
10年後、なのはは天地魔闘の構えを編み出して、新人の頭を冷やしていた(ぉ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 19:20:13 ID:8DNKJr3m
本物の大魔王にする気かwww
296名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 19:56:51 ID:zKbpucWE
だれも>>267に触れないので
一応「カモーン」と言っておくwwww
297名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:00:36 ID:HvfaipbA
合体魔法ブラストカラミティがメドローアになるということか!!
298名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:17:07 ID:LibVLmDj
すまん、>267に素で気づいてなかったよ
お願いします
299名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:20:01 ID:GJCaDeEC
>>296
>>298

>>268は見たかい?
300名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:21:25 ID:Wr799L6t
>>299
今、気付いたが素晴らしいIDだな
301名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:26:54 ID:fev6f3fC
>>300
きみのもそう捨てたもんじゃないが
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:38:50 ID:8DNKJr3m
俺のも負けてないはずだ!
303名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:39:47 ID:OydhAbA6
>なの魂
すっかり銀魂テイストなヴォルケンに激しくワロタ。
しかもよりによって鍋レオンの回だしw

シグナムが見た鬼のような銀さんってやっぱり紅桜編のアレ?
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:41:42 ID:V/0NHNoH
いやいや拙者も
305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:46:43 ID:QT56F16h
剣さんは弥彦にとっとと逆刃刀を渡して散ってください
306リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 20:56:12 ID:kgYs2c15
>>296
>>298-299
見ました。修正が終わったのでCパートを投下します。

ビッグ『マンモスだからってはじめ人間○ャートルズじゃないからな』


−まさか、未来のトランスフォーマーと出会うとは思わなかった。プログラムからマトリクスの力で解き放ってくれたビッグコンボイ、私自身として生きろと私に説いてくれ。
更にコンボイの名を引き継ぐのに大切なマトリクスを渡してくれたライオコンボイ。 彼らには感謝しきれ無い程に恩がある……。いや、今は集中しなくては……ガジェットがまだ残っている。

見上げていた空にガジェットの群が現れる。だが、ガジェットは『ガーガーガー』と言う声のコーラスをしながらセンサーを地上の3人に捉え、襲い掛かる。
リインフォースはその飛行型のガジェットに疑問を抱く。
−これはさっきの飛行タイプのガジェットでは無い……。

そのガジェットは先程の飛行タイプとは打って変わり、機械が剥き出しになった朱い翼竜の姿をしている。
−此処は纏まって闘うよりも! 各個で迎え撃つ方が……。

「ライオコンボイ、ビッグコンボイ。散開して迎撃に出よう!」

「ああ、そうしよう!」
「同感だ。種類は違うが翼竜を見てるとあいつの顔思い出しちまう」

リインフォースの言葉に頷いた二人は散開し走りだす。

307名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:04:48 ID:Un43F0jD
支援
308リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:05:53 ID:kgYs2c15

ライオコンボイは飛来してくるガジェット1機を踏み台に蹴り壊し、空へと飛ぶ。
『ミーを踏み台にザンスぅー!?』

さらに左右から迫りくる2機を続けざまに髦から展開したライオキャノンとミサイルで適確に撃ち落とす。

『『ザンスー!?』』


−メガトロンの事だ、この新型ガジェットはトランスフォームする事が出来るだろう。だが、トランスフォームしてしまっては管理局に知られてしまう。
ライオコンボイは下から襲い掛かるガジェットをライオクローで切り裂く。

「見かけでとろい俺より、見かけで速いお前らはとろいな。」

ビッグコンボイは上空から飛来するガジェット3機の射撃を見かけとは正反対の俊敏さで回避し、ノーズフリーズで一瞬で凍結させると、落ちて来た3機を四肢で砕いていく。
だが、そこへフリーズを回避した1機が低空飛行飛来しながら。クチバシを開け、エネルギーマシンガンをビッグコンボイに放つ。
『ガーガーガー!ガっ!?』

だが、放たれたエネルギー弾は空を飛んでいく。 突然ガジェットのセンサーからマンモスの姿が消えたのだ。
ガジェットは飛び去りながら辺りを見回すがセンサーは突然轟音と共に地面に急降下し砂嵐に遭い、途切れてしまう。

「マグマトロンの顔に似てるって言ったのはあいつに失礼だったな。マグマトロンはお前らより遥かに強い」

ガジェットは上空に飛び上がったビッグコンボイに踏み潰され、そのまま下敷きと化していた。
何故。ライオコンボイとビッグコンボイはビーストモードで戦っているのか。
それは両コンボイが管理局にも敵が居る場合があると考え、局に自分達の存在をまだ知られる訳にはいかない為の判断であった(ビッグコンボイはハンデのつもり)。

リインフォースは空中に飛び上がり、AMF外から1機を重殻化したフォトンランサーで撃ち落とす。

−速い……だが。ヴォルケンリッターには遠く及ばない。

『ガーガーガー!!ザマス!』

低空から変身し自身に向かって飛び上がる1機を見据え、右手をゆっくりかざす。

『パンツ、マル、ミエーザンス!』
「五月蝿い!」

どこか、苛立ったような顔でディバインバスターを放ってガジェットを消し去ったリインフォースはゆっくりと下降する。

309名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/10(水) 21:07:04 ID:64tZn80d
支援します!
310リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:11:01 ID:kgYs2c15

「私とビッグコンボイで8機、リインフォースが倒した2機とあわせて10機か」

ビッグコンボイとリインフォースが撃破したガジェットで最後と確認したライオコンボイはゆっくりと草原に降り立つ。
だが、新しいガジェットを倒した彼の心はどこか晴れやかではなかった。

−思い出すのは生涯を閉じる歴史の筈だった彼女を巻き込んでしまったあの事件。本当なら次元航行部隊が宇宙に転送し、アルカンシェルで防衛プログラムは消滅する−−。
だがデストロンの介入で第97管理外世界は時間結界で覆われ。アンゴルモアパワーを受けてジャガーにより戻ってきた防衛プログラムはリインフォースを統合した。 しかし、ガルバトロンの野心を含んだアンゴルモアパワーは闇の書の器をオーバーしてしまい。
消滅しながら暴走した闇の書との闘いはビッグコンボイのマトリクスバスターでようやく倒せた……。
その時に見た時間結界外に居た歴史の中の少女達……高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやて、ヴォルケンリッター。
ライオコンボイは心配そうにリインフォースを見遣りながら考える。

−新しいガジェットを出してくるとはな……。 メガトロンにとって我らは邪魔な存在だと見受けられる。
それにリインフォースを
このまま私達と行動を共にさせていては彼女も狙われかねない。そうなると一刻も早く彼女の友達が居るミッドチルダに向かわせなければ。
タイガトロンを助けた時に会った局員はシグナムだな。それに彼も管理局に居るならコンボイ指揮官も居る筈だ−−なんだ?
考察に耽っていた時。ライオコンボイは何かの反応に気付く。空と地上を見渡しているとビッグコンボイも気付いているのかどこかを睨みつけている。

−ライオコンボイ、これはトランスフォーマーの気配がする……多分ガジェットを引き連れているはずです。
−ああ、そうだろう。 いけないな、私達ならまだしも。リインフォースを敵に見つけさせては……。

311リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:14:39 ID:kgYs2c15

意を決したライオコンボイは直ぐさまその場から飛び退き、ビッグコンボイに咆哮する。
ビッグコンボイは彼の咆哮に頷くと近くにいたリインフォースを鼻で抱き寄せる。

「Σビッグコンボイ、なにをする!?」

「良いから乗れ、お前は今からミッドチルダに向かう」
「何? あ!」

リインフォースの反論に適当に答え、ビッグコンボイは彼女を自分の背に乗せる。
「これならデストロンに気付かれないだろう」

「では行ってくる。」

いきなりの二人の行動にリインフォースは混乱していた。
−ミッドチルダ?何故いきなりこんな……
「どうゆう事だ?ライオコンボイ」

ビッグコンボイの背中からリインフォースは混乱する頭を整理しながらライオコンボイに尋ねる。彼は済まなそうに彼女を見上げ、答える。

「デストロンに見つかれば君を八神はやて君に会わせる機会が失われる恐れがある。安心して良い、今、彼女と再会しても過去の歴史は変わらない。
新しい歴史を……リインフォース、君は君として刻んで生きろ。私達の闘いに付き合う事はない。 私なら大丈夫だ、さあ行ってくれビッグコンボイ!デストロンが来る前に……」
「了解した。行くぞ、リインフォース」

ビッグコンボイはライオコンボイに背をくるりと向けて歩を進めだす。
リインフォースはライオコンボイの方に向き直り、呟く。
「私が足手まといになるからか……ビッグコンボイ?」

「いや、お前の事を思えばこそだ。私達は今のお前の主が所属している時空管理局とは違う道を選んで闘っている。
これから激化していくだろう、俺達トランスフォーマーがこの世界に居るように。こうならなかったはずの歴史が変わってるからな。」

かつての司令官としてのビッグコンボイの言葉にリインフォースは納得する……自身が体言しているからだ[リインフォースが生きている=こうならならかった歴史]

俯きながらリインフォースはビッグコンボイに尋ねる。

「何故、ライオコンボイとビッグコンボイは闘っている……」

「ライオコンボイも私も本当は慰安のつもりだったが。だが、デストロンの動きを感じて。今はサイバトロンとしてデストロンの野望を撃ち砕くため。俺は再びビッグキャノンを手にした。彼も同じ気持ちだろう」

「そうだったのか……」
312名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/10(水) 21:15:07 ID:64tZn80d
支援!
313リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:22:15 ID:kgYs2c15

−選ぶ道か……。貴方達は私に道を標してくれた。しかし……

顔をあげると。自身を見上げていた白いライオンの姿は遠くにいるが、彼の姿ははっきりと見える。

「……勝手な別れは許さない、ライオコンボイ!道は繋がっていると私は、信じている」

リインフォースにとっては初めてであったのかも知れない。主や敵以外に対する想いを叫ぶのは。
そして彼女の想いが聞こえたライオコンボイはビッグコンボイの背に乗って遠くにいる彼女に与えたマトリクスに囁く。

『願うなら、また道で会える。リインフォース、私も君とまた会えると信じている。』

優しく、心強い言葉にリインフォースは頷く事しか出来なかった。本当なら彼らと共に闘いたい。
が、ライオコンボイの足を引っ張る訳にもいかない。また彼が言うように彼女は主はやてに、まだ見ぬ妹に、ヴォルケンリッターの4人に会いたい想いもある。
ライオンの姿は次第に豆粒のように小さくなっていく、だが彼は目を逸らさないでいる。
胸が締め付けられる……主と別れなければならなくなった時のように。

そして、ビッグコンボイと彼女は時空転移の扉を開けて入っていく。
扉が閉まり、消えるのを確認したライオコンボイは反転しガジェットの残骸が残る地平線を見据える。

「来たか……」

転移の光と共に、ライオンの眼の前には翼竜ガジェットの群れ。その先頭に立つ朱いアリ。それらのセンサーの輝きが迫ってくる。

「やはり、トランスフォーマーが居たか。」

「お前が、メガトロン様に逆らう邪魔者かごっつんこ!」

「ああ、平和の為に共に戦った仲間達の為にも。残ったマトリクスを与えた彼女の為にも私はメガトロンの邪魔をする。それが私の正義だ……ライオコンボイ、変身!」

ロボットモードに姿を変え、コンボイの名を冠する白いライオンはインフェルノにライオクローを振りかざし、飛び立つ。

この時、リインフォースとの再会が別の形で実現する事を。自身に封じられたはずのアンゴルモアパワーが……宿敵の機竜の覚醒により再び目覚める事を。
ライオコンボイは……まだ知らない。

314名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:35:27 ID:Wr799L6t
支援
315リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:37:08 ID:kgYs2c15

0070年09月04日 23:00

夜空をサーフボードで飛ぶシルバーブルーの装甲が輝くメカゴリラの姿があった。
「だいぶ遅くなってしまった、ギンガやスバルには申し訳ない事をしたな」

そう呟くが彼の本心は別の事でいっぱいであった。『エイリアンディスク』、『プロフェーティン・シュリフテン』が示すこれから始まるビーストウォーズと変換の事を知ってからコンボイはずっと考えていた。
教会を出てからゲンヤの居る108部隊に戻っても「今解らない事を考え込んでいても仕方ないだろう?」と言われたばかりである。

−確かに……ゲンヤの言う通りだ。だが、どうしても気になる事がある。
破壊の機竜……記憶が確かなら、かつて私がライオコンボイと共に闘った破壊大帝ガルバトロンか。彼のビーストモードも機械竜だ、武力で次元世界の平和を望んだ破壊大帝。

彼なのだろうか……。
いや、考えだしたら切りがない。この事はライノックスと相談しよう、クロノも知っているだろう。今は早くナカジマ邸に帰らなくては。
ふと私は飛びながら下を見下ろす。街の明かりが拡がっている、美しい夜景だ。 皆が暮らす平和を私は護りたい……。

おっと、着いたな。
ナカジマ邸が目に止まり、私はそのまま下降して庭に降り立ち家を見回す。 明かりがついていない。まだ、はやての家だろうか……。

「コンボイさん、おかえりなさい」
「おかえりー、コンボイさん♪」

背後からかけられた声に振り返るとそこには何かを詰めたパックを持っているギンガとスバルがいた。
「ただいま。今まではやての家に居たのか?」

「はい。コンボイさんはお仕事ですよね?」

コンボイはすまなそうにああと答える。しかし、ギンガは気にする事無く顔を横に振り、スバルは彼の手を取って微笑む。

「お疲れ様、コンボイさん♪」

まだ10歳のスバルにそう言ってもらい。コンボイは先程の悩んでいた時にこの言葉をかけて貰いたかった。とつい思ってしまう。
「ところでそれはなんだ?」

コンボイはギンガの持つパックを尋ねる。 まさか、私の大好物のバナナか?いや、そうとしか思わない。

「あ、これはお土産のバナナです。切りわけられたものを貰ってきました。」
「コンボイさんによろしくっていってましたよ♪」
「そうか、ありがとう。バナナミンが不足していたところだったから嬉しいよ。」

「バナナミンなんてあるんですか?」
「いや、ラットルがやっていたゲームに出てきたキャラが言ってたから使っただけだ。」

−っ!? なんだ……マトリクスが騒いでいる。
顔色を険しくしたコンボイはマトリクスが納まっている胸を抑えながら夜空を見上げる。そんな様子にギンガは彼の視線を追うが何もない。
−どうしたのかしら……怖い顔をしている。

「コンボイさん?」
スバルが心配そうに尋ねるとコンボイは笑顔を見せて顔を横に振る。

「いや、夜空が綺麗だからついな。」
「本当に……綺麗ですね」
彼の隣でギンガは夜空を見上げる。が、彼女は感じていた。彼は夜空にではなく。何か、気にとられたのだろうと。
それ以降、コンボイは先程のように険しい顔を見せなくなったが、翌朝になっても彼の内なるマトリクスの騒ぎは収まらなかった。

316リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:40:01 ID:kgYs2c15

「今日は楽しかったなぁ」

パジャマに着替えた。はやてはリインUを専用のベットに寝かせてから自分の大きなベットに腰掛ける。ベットの上にはなのはとフェイトが座っていた。
それは1時間前にチータス、ラットルの魔導試験合格祝いをお開きにし。後片付けを終わらせてからエアラザーとティアナ、ナカジマ姉妹、ライノックス、デプスチャージを見送り出して。就寝についたところであった。

「うん、新しい友達も出来たし♪」
「それに二人も喜んでくれたみたいだし」

二人は先程まであった食事会の光景を思い出しながらはやての言葉に頷く。
「私達が作った料理を美味しそうに皆食べてくれたよね、チータスくんとラットルくん」
「エリオがつられて喉詰まらせた時はびっくりしたなぁι」

「あはは、フェイトちゃんやたら焦ってたもんな♪ あと、無駄にラブラブ結界張ってた二組おったなぁ」

その言葉に二人はあのカップルを思い出しながらうんうんと頷く。シルバーボルトとブラックウィドーの方は好きな者にアプローチ出来ない自分達へのあてつけみたく見えるがまだ良い。
問題はタイガトロンとエアラザーのラブラブ結界であった。

「は、はやてちゃん。あの二人って男の子だよねι」
「うん、間違いなく男の子。やおいの空気やった」

「わ、私もびっくりしたよι」

「でも、再会出来て良かったよね。ダイノボットさんの事もだけど、タイガトロンくんもエアラザーくんも。」
その想いはフェイトとはやてにも痛いほどよく解る事だ。かつてはなのはとフェイトはデバイスを交え、かつては自分達の状況を解りあえないまま知らないままに敵対したはやて。
その出会いから最強の友情が生まれ、今のこの絆を繋ぐ彼女達にとって友達に会えなかった彼らの気持ちはよく解る。

「そういえば、はやてちゃん。ラットルくん達もう寝ちゃってるかな?」
「エリオと夜更かししてそう……」
嬉しそうでいて親として心配するフェイトは複雑な表情で苦笑する。

「あぁ〜有り得るなぁ。3人すごい仲良ぇし。それに今夜はシルバーボルトも男の子チームに仲間入りやし賑やかと思うなぁ♪」

「それじゃあ、今夜は女の子チームで寝ない?」

なのはの提案にはやてとフェイトは大賛成と言うように笑顔で頷く。

「じゃあ、皆呼んで雑魚寝や雑魚寝。[主はやて!」

突然、3人にシグナムの念話が繋がる。その声色に尋常な事では無いと感じたはやては聞き返す。

「シグナム、何があったんや?」

[は、それが……リインフォースが生きて戻って来ているのです。庭に]

「え−−」

シグナムがそう言い終わるや否や。直ぐさま、なのはとフェイトは先に部屋を飛び出し、はやてはリインUを抱き抱えて後を追う。

317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:43:05 ID:Wr799L6t
支援
318名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:43:15 ID:fKVCTbfl
支援
319リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:48:00 ID:kgYs2c15

「リイン……フォース」

ヴォルケンリッターの4人とリンディ、エイミィ、アルフは驚愕の表情で庭先にいる銀髪の少女を見ている。
それは5年前に儀式で生涯を閉じたはずの本来の5人目の仲間……。

何故……

騒ぎに気付いて庭先に出てみたビースト戦士達は誰なのか分からずただ黙って様子を伺っている。
しかし、タイガトロンは彼女の事をはやてやリインUから直接聞かされていたために彼女の事をよく知っていた。

「リインフォース!!」
自身の名を呼ぶ声にリインフォースは視線を動かす。そこには自分に名前を授けてくれた主・八神はやての姿があった。
車椅子に座っていた幼さは残っているものの、成長して二つの脚で立っている。
その肩には自身の一部から生まれた妹のリインフォースUがふよふよと浮いている。

はやての背後には主の友人である高町なのはとフェイト・ハラオウンがヴォルケンリッターの4人と同じように彼女を見て驚いている。

「我が主、守護騎士達……お久しぶりに、なるのでしょうか?」

どのように声をかけてよいか迷いながらもリインフォースはそう尋ねる。
無理も無い、リインフォースにしてみれば1時間弱であるがはやて達からすれば5年来の思いがけない再会である。

「リイン……」

はやては手元にある剣十字の紋章を握りしめながら。生きて立って、自分の眼の前にいる少女に歩み寄る。
「ほんまにリインや……間違いない。 ほんまに久しぶりや……ああぁ」

5年前は車椅子からの視線の差が、今は成長した為に縮んでいる。
リインフォースの頬を撫で、映る姿が溢れ出した涙でじんわりとぼやけだす。

「ただいま戻りました、我が主」

「リイン……来い」
シグナムは微笑みを見せて、呆然としていたリインUに声をかける。
ヴィータ達も驚いた表情のままリインフォースに歩み寄る。

が、彼女と視線を交わした途端にヴォルケンリッター達は安堵した表情になる。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:52:13 ID:EURhsL72
しえん!
321リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:54:05 ID:kgYs2c15

「リインフォース……」

「ただいま戻った。シグナム」
「ああ。」

「ヴィータ」
「ちくしょー、生きてたんなら早く会いに来いよリイン」
「すまない」

「シャマル」
「おかえりなさい……リイン」

「ザフィーラ」
「よく戻ってきたな。」

「あ……」
リインフォースは小さな自身の妹に眼が止まる。
−この娘が……私の妹。
ライオコンボイに教えられた本来の歴史を思い出す。
「リインフォースU……はじめましてだな」

「え……あ、はい。お姉ちゃん」
突然帰ってきた姉の存在に少し混乱していたリインU。だが、はやてやシグナム達。そしてその時に見えた姉の微笑み。
それは何よりの喜びであった。ようやくめぐり会えた尊敬する姉、リインフォースが生きている。

リンディやなのは達は何故彼女が生きているかを疑問に感じていたが。今の八神家に水をさす事は出来ない……とりあえず、彼女らが再会出来て良かった。と優しく微笑んでいた。

「うぅっ……あたしはこうゆうのに弱いんだよぉ〜」
フェイトとチータスはもらい泣きしているアルフをよしよしと頭を撫でながら見守っている。
ラットル達も流石におしゃべりするような朴念仁ではない。
(オイラ達今回出番すくねぇなぁ。)

「ねえリイン……そういえばそれはなに?」
ふとシャマルはリインフォースの肩に乗る何かを見て気付く。

「肩って……あ」
シグナムらもリインの肩に乗る何かを見て複雑な表情を浮かべる。

「あ、ほんまや」
思い切って尋ねるはやてにリインフォースは今までなら浮かべる事のなかったしまったという表情を見せてから答える。

「彼は私を助けてくれたトランスフォーマーです。」
「トランスフォーマー……てか小さいな」

「え、えーと確か貴方はマンモス……ですよね?」
ふよふよとリインUが姉の肩に乗る小さなマンモスに尋ねる。

322リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 21:58:36 ID:kgYs2c15

[ん?しゃべって良いのか?]

マンモスは答えに少し迷い、リインフォースに念話で促すと彼女は手にマンモスを乗せて地面に降ろす。

[もう、我が主や皆が気付いている。黙っていてもしかたない]
[それもそうだな……]

マンモスは頷くと、サイズを彼女らに合わせた大きさになり。はやてらを見据える。
その姿に一同は圧倒されてしまう。
「ま、マンモスや……」
「デケぇ……」

「俺は元サイバトロン司令官・ビッグコンボイだ。管理局の八神はやて特別捜査官とヴォルケンリッター、高町なのは二等空尉
フェイト・ハラオウン執務官、リンディ・ハラオウン総務統括官。そしてサイバトロンの先輩方……変身!」
ビッグコンボイはロボットモードに姿を変え、続けざまに告げる。がそれでも身長は高いものであった。

「既にリインフォースの疑問があるだろう。その為に俺が共に来た。だがその前に言わなければならない事がある……」

彼の言葉にはやて達はごくりと喉をならし緊張が走る。
「今回はここで終わりだからまた次回だ。」

「なんやぁ、それなら仕方ないなぁ♪」


続く

次回予告

ライオ「いやぁ、みんなはじめてだな。私はライオコンボイ」
ビッグ「俺はビッグコンボイだ。」
リイン「私はリインフォース あ、なのはさん。魔法お借りしてます。これは少ないですが……」

なのは「うんうん、リインフォースは解ってるね−−ち、しけてるね♪次からは束をスーツケースに詰めなきゃ〜。 次回、魔法少女リリカルなのはBeastStrikerS第10話「叶わぬ望み」それはそれぞれの大切な何かを護る為に選んだ道。
そこのジャングル大帝にはじめ人間○ャートルズ。私を差し置いて目立っちゃ駄目だよ……ね、レイジングハ−−!?」
ビッグ「良いぜ?第1次スーパー砲撃大戦を始めてや−−!?」

コンボイ「お前達、いい加減にしないと先生のマトリクスバナナツイストお見舞いしちゃうぞ!」
な&ビ「はい、すいませんι」

リイン「ライオコンボイ、マトリクスバナナツイストとは一体?」
ライオ「悪を打ち払うマトリクスとバナナの特殊融合技だ。彼のバナナを想う力は宇宙をも凌ぐ」

リイン「Σえぇー」
323リリカルなのはBsts:2007/10/10(水) 22:02:34 ID:kgYs2c15
はい、さまざまな動きがあった第9話でした。

ちなみにマグマトロンはまだ出てきません。が、ガルバトロンはあともう少しで出せると思います。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:18:20 ID:GJCaDeEC
>>322
GJ
しかし、最後にフイタwwwwはやてwwww
325名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/10(水) 22:29:23 ID:64tZn80d
GJ!
ガルバさんって何となくレジアス中将と気が合いそうな気がしますな。
なぜならば二人とも武力による平和を考えているからですかね。
やっぱ、マグマさんも出るんですか、凄い事になりそう・・。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:30:58 ID:SKxdvSEn
GJ。
今回、随分シリアスだなー。
なんて思ってたら最後にフイタwww
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:32:16 ID:Wr799L6t
リイン帰ってキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
GJっす!!
328マスカレード:2007/10/10(水) 22:34:27 ID:FN4edgoE
GJです!
リインT登場しましたね〜
っていいとこで終わりますね(笑)
毎回ビーストっぽい雰囲気が出てて面白いです!
そしてシリアスな話とギャグな雰囲気が見事にマッチしてるところがまたいいですよね
このノリとかかなり好きです(笑)



さて、話は変わりますがまさか8月に投下したなのはvsカブト話から10月までかかるとは、相変わらず時間かかりすぎですがマスカレードACT.14ができました!
まだBestsさんが投下されたばかりで感想レスとか続くと思いますので、様子を見て、今日中に投下と予約だけさせてもらいますね
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:38:47 ID:EURhsL72
>>323
GJ!!
終わらせ方がまた絶妙wwwマトリクスバナナツイスト吹いたwww

>>328
俺はあなたを待っていた!
330名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:06:09 ID:XpijMsS1
おもしろかったです。ガルバトロン以外にもマグマトロンも出てくるのか。そのうちユニクロンも出て
くるんだろうか。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:54:15 ID:w9mNMU4V
>>52
豆知識
最初の設定はM「87」星雲だった。その名残がゾフィーの「M87光線」
M「78」は誤植で,以降そのままになっている。

Wikipedia
つ ttp://ja.wikipedia.org/wiki/M78%E6%98%9F%E9%9B%B2
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:59:35 ID:Wr799L6t
ここはsage進行だよ
お二人さん
333マスカレード:2007/10/11(木) 00:00:15 ID:FN4edgoE
そろそろ投下しますかね

準備はいいですかー?
久々に少し長いので支援していただけるとありがたいかもです
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:00:55 ID:Wr799L6t
では、支援
335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:02:33 ID:EURhsL72
待ってました!!
支援!
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:02:55 ID:LEaAS80s
よっしゃこい!支援は任せてくれ!
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:03:22 ID:smtHYJMs
支援
338マスカレード:2007/10/11(木) 00:10:19 ID:f6KhQkhn
「天道さん……やっぱり貴方は、管理局に投降するつもりは……」
「無い。何度も言わせるな」
ゆっくりと俯くなのは。
ダメだ。天道には何を言っても無駄だ。
ならばなのはの取る行動は一つ。
「なら、私なりのやり方で……今日こそ決着をつけさせて貰います!」
「どうしてもやるというのなら……俺はお前を倒すしかない!」
こうして、なのはと天道……いや、仮面ライダーハイパーカブトの雌雄を決する戦いは、幕を開けた。


「そんな……スターライトブレイカーが……切り裂かれてる!?」
なのはは全力全開で、最大出力のスターライトブレイカーを放った。
だが、これは一体どういうことだ?こんな光景、見たことがない。
「はぁぁああああああああッ!!」
カブトは、手に持った大剣でスターライトブレイカーの魔力を拡散させる。
背中から眩ゆく放出されるタキオン粒子の翼で、上空にいるなのは目掛けてスターライトブレイカーの中を上ってくる。
「(そんな……私の……!?)」
あまりの驚愕に、開いた口が塞がらないなのは。
カブトはもう目前まで迫っているというのに。
「……レイジングハートッ!?」
そして、カブトの大剣から繰り出されるマキシマムハイパータイフーンにより、レイジングハートはバラバラに破壊される。

もう後が無い。このままでは、やられてしまう……

そして、カブトはトドメの一撃をなのはへと振り下ろした。
「(嘘でしょ……こんな……圧倒的に……)」
なのはは自分が負けたということよりも、こうも圧倒的に負けた事の方がショックだった。
仮にも自分は管理局のエースだ。
いくつもの事件を解決してきたのだ。模擬戦だって負けた事は無い。
スペシャルで、全開で、模擬戦だったはずだ。
心のどこかで、自分が負ける事は無いと思っていたなのはは、それだけにショックが大きかった。
最後の一撃を受け、まともに飛んでいられなくなったなのはと、空中に浮かんだままのカブトとの間に差が開き始めた。
暗い地面の底へと落下しながら、薄れていく意識の中で。
自分を見下ろすハイパーカブトの大きな瞳を見たなのはは、思った。
「(天道さん……やっぱり……私じゃ、無理だったの……かな……)」
今の……少なくとも、さっきまでのなのはと天道の間には何も無かった。
被害者も加害者も、正義も悪も、関係無い。
ただどちらが強いか。お互いの実力のぶつけ合い……簡単に言えば喧嘩だ。
「(ううん……やっぱり……悔しい……!)」
なのはは喧嘩で負けたのだ。これ以上悔しい事は無い。
地面へと落下していく中で、なのはの意識は完全に閉ざされた。

「…………。」
『Hyper Clock Up(ハイパークロックアップ)』
そんな中、カブトは黙ってハイパークロックアップを発動させた。

「……なの……は……?」
地面に落下を始めたなのはを、絶望的な瞳で見つめるフェイト。
その刹那。
「…………ッ!?」
消えた……?いや、瞬間移動した……?
フェイトの目の前に、ハイパーカブトは着地した。
その手に抱き抱えられているのは……
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:11:27 ID:2Ue/UVWs
支援
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:12:39 ID:4pyFNKNg
支援!
なのは落とされたのか・・・
341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:14:43 ID:smtHYJMs
支援
342マスカレード:2007/10/11(木) 00:15:58 ID:f6KhQkhn
「なのはッ!!」
フェイトは、カブトの腕の中で眠っているのがなのはであることを確認し、すぐに駆け寄った。
「なのは……?」
なのはの体は、カブトの腕からフェイトの腕へと移され、フェイトの腕の中で眠るなのは。
「天道総司……お前はッ!」
一瞬安心した後、すぐにフェイトの怒りはカブトへと向けられた。
赤い瞳に、凄まじい怒りを込めた視線がカブトを睨む。
「……何も言う事は無い。」
そんなフェイトに、ただ一言そう告げた後、カブトはこの空間から姿を消した。


ACT.14「たった一人の妹」前編


数時間後、ここはアースラの医務室前。
「なのはは……なのはは大丈夫なんですか!?」
「ま、まぁまぁ……落ち着いて、フェイトちゃん」
医務室の前で、エイミィに食い下がるフェイト。よほど心配しているのか、その表情からはかなりの不安が感じられる。
「落ち着けって、そんなこと……」
「大丈夫だよ」
「え……?」
フェイトの表情が固まる。
「なのはちゃんは大丈夫だよ。ほとんど軽い傷しか受けてないから。」
「……じゃあ、レイジングハートは……?」
「そっちも大丈夫!コアは全くの無傷だから、すぐにでも使えるよ。」
フェイトから、一気に力が抜ける。あれだけ凄まじい威力の技を受けたからには、なのはだってただでは済まないと思っていた。

場所は変わって、アースラのブリッジ。
モニターに映されているのは、ハイパーカブトvsキャマラスワーム戦だ。
モニターの中のハイパーカブトは、キャマラスワームに対して圧倒的な力の差を見せつけ、
トドメはマキシマムハイパータイフーンで跡形も無く消滅させてしまっている。何度見ても驚異的な技だ。
「……でも、どうして……?こんな技受けたら、ただじゃ済まないはずだよ…」
イスに座ってモニターを見つめるエイミィに、フェイトはその疑問を尋ねてみる。
マキシマムハイパータイフーン。これは明らかに人間が受けていい技では無いはずだ。
「うん。多分だけど……天道は手を抜いて攻撃したんじゃないかな?それもかなり威力を絞ってね」
「そんな……まさか……」
「でも、そうとしか考えられないよ?軽く計算してみたけど、あれは明らかにバリアジャケットが耐えられる技じゃない。」
「…………。」
言葉を失うフェイト。
要するに、わざと威力を絞った攻撃でなのはを眠らせた。ということになる。
「それにほら?」
「……これは……?」
カタカタとパネルを叩くエイミィ。
映し出されたのは、さっきのなのはが地面へと落下したシーンだ。
「現場にいたら気付きにくいだろうけどね。
これも、カブトがクロックアップでなのはちゃんの地面への激突を防いでくれたみたいなんだよ」
「……だから、あの時カブトは……」
数時間前、カブトがなのはを抱き抱えてフェイトの前に現れた時のことを思い出す。
「じゃあ……今回も、なのはは軽くあしらわれただけ……?」
「そういう訳じゃ無いと思うけど……私達の完敗っていうのは間違い無いね……」
フェイトはまたも言葉を失った。
これは天道なりの優しさのつもりなのだろうか?
いや。こんなこと、認めない。
「確かに……なのはが助かったのは嬉しいけど……」
モニターに映るカブトを睨み付けるフェイト。これではなのはのプライドがズタボロだ。
軽くあしらわれた上に、実は手加減してました、なんて。
フェイト自身、プライドの高い人間だ。それ故に、天道のこの行いが侮辱にしか思えないのだ。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:16:09 ID:2Ue/UVWs
支援
344名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:19:29 ID:smtHYJMs
支援
345名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/11(木) 00:22:27 ID:v2O47hPL
命あってのものだねというのもあるだろうに・・青いねぇフェイトさんは
346名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:23:48 ID:smtHYJMs
大体なのは自体非殺傷設定だろうに。身勝手な。
347名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:24:15 ID:4pyFNKNg
でもちゃんと手加減してくれるあたり流石天道だな
支援
348マスカレード:2007/10/11(木) 00:25:45 ID:f6KhQkhn

翌日、放課後の聖祥小学校。その屋上。

「おい天道!どういうことだ!?」
「何だ騒がしい……」
加賀美がパン屋台のテーブルを「バン!」と叩いて、天道に詰め寄る。いつになく真剣な顔だ。
「何だじゃない!なのはちゃんに怪我させたって……何考えてんだお前!?」
「何だ、もう聞いたのか」
表情一つ変える事なく、腕を組んだまま答える天道。
「ああ、全部はやてちゃんから聞いたよ!お前がなのはちゃんに怪我させたってな!」
「……なら話は早い、その通りだ。」
「その通りだ……じゃない!!相手はまだ子供なんだぞ!?」
「……そんなことは分かっている。だいたい……」
言いながら加賀美に向き直る。
「あの傷なら一週間も安静にしてれば治る。」
その言葉を聞いた加賀美は、天道を睨み付ける。まるで悪びれる様子の無い天道に怒りを露わにしている
「……いいか、天道。……もし、また同じような事をしたら……」
天道は表情を変えずに、目で加賀美を追い掛ける。
「俺はお前を許さない!!」
加賀美の言葉により、しばらく沈黙が流れる。天道と加賀美は睨み合ったまま、微動だにしない。
だが、その沈黙を破ったのは天道だった。
天道は一言、ポツリと言った。
「……覚えておこう」


同刻、海鳴市。

バルディッシュの報告で、敵の出現を察知したフェイトは、一人で現場へと向かっていた。
しかし、様子がおかしい。
「アンノウンは……?」
この場所にいるはずの敵がいないのだ。

うわぁああああああああッ!!!

そして、少し離れた場所から誰かの悲鳴が聞こえる。まさに断末魔といえるような、悲痛な叫びだ。
放っておく訳にはいかない。
「……あっちだ!」
フェイトはすぐにその声に反応し、その場所に向かった。


「ひいぃぃいいいッ!!」
『Exceed Charge(エクシードチャージ)』
悲鳴をあげるオルフェノク。
オルフェノクは全身を黄色い光に拘束されており、完全に身動きがとれなくなっている。
「あれは……?」
そこへ駆け付けたフェイトも、その光景を目撃。どうやらあの悲鳴はオルフェノクの物だったようだ。
オルフェノクと相対する位置で、必殺技の構えに入っているのは、もはや言うまでもない。
カイザだ。

「……お前らオルフェノクは、存在自体が不自然なんだよ。」
フェイトが見てる事に気付いていないカイザは、カイザブレイガンを構えたまま腰を低く落とす。
その声にも、どこか怨念のような物が込められている。少なくとも、フェイトはそう感じた。
そしてカイザとオルフェノクの間に、黄色く輝くΧ型のゲートのような物が現れる。
「ハアァッ!!」
カイザの体は粒子化され、吸い込まれるようにゲートに入る。
そのまま粒子化したカイザは、オルフェノクの体を貫通。振り上げるようにカイザブレイガンで切り裂いた。
同時にオルフェノクの体にΧの紋章が浮かび。
「うあっ……」
そのまま、力無い声と共に灰化、消滅した。
349名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:26:57 ID:2Ue/UVWs
支援
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:26:58 ID:smtHYJMs
いろんな面で天道が上回っているな。さすが天の道を往く男。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:27:30 ID:4pyFNKNg
加賀美はやっぱり加賀美だなw
支援
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:29:28 ID:smtHYJMs
加賀美は状況を分っていないと思う。管理局に投降なんてできないだろう。
353名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:32:21 ID:4pyFNKNg
加賀美は優しいからなぁ・・・
理由はどうあれなのはみたいな子供を傷つけたのが許せないんだろうな
354名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/11(木) 00:32:58 ID:v2O47hPL
支援!
355マスカレード:2007/10/11(木) 00:34:28 ID:f6KhQkhn

カイザフォンをベルトから取り外し、変身解除ボタンを押す草加。
「ん……?キミは……」
「あ……こんにちは」
草加は、すぐに傍で見ていたフェイトの存在に気付き、話し掛ける。
「どうした?そんな浮かない顔をして……」
「いえ……なんでもありません……」
フェイトもすぐにバリアジャケットを解除し、草加に近寄る。
「そうか。もし何か悩み事があるなら、何でも相談して欲しい。俺が力になれるかどうかはわからないが、一人で抱え込むよりはマシだ」
「草加さん……」
草加の素晴らしいまでのいい人スマイルには、何故か相談しようかという気さえしてくる。
「実は……」


一方、バークローバー。

「なんだ、結局貴方は木場勇治の抹殺にも失敗したんですか?」
「…………。」
かなり嬉しそうに言う琢磨。
涼はとにかく無視を続けている。
この琢磨の態度、冴子からも「嬉しそうね……」と思われる程である。
「……アンタ達、一体何が目的なんだ?」
涼はふと疑問を口にした。
裏切り者の木場勇治を抹殺せよとの命令を受けたが、その木場勇治は人間を守る為に戦っていた。
それに比べると、こいつらの方がよっぽど胡散臭い。
「俺は……本当にアンタ達を信用していいのか……?」
涼の質問に、琢磨と冴子は怪しく微笑むのだった……。


数分後。ここでもう一度、海鳴市に視点を戻す。

「なるほど……」
とある公園のベンチに座りながら、なのはと天道の戦いの一部始終を聞かされた草加は、神妙な面持ちで頷いた。
「……別に草加さんに話したからってどうなる訳でも無いんですけどね……」
「ああ……確かにそうだな……だが……」
「はぁ……」とため息をつくように続ける草加。何を言い出すのかと思えば……
「やはり、その天道総司という男も、そんな奴だった。という事なんじゃないかな。
奴もワームやオルフェノクと何も変わらない。自分の都合が悪くなったからといって高町をその手にかけたんだろう。」
「……本当に、そうなんでしょうか……?」
「キミはさっき『天道は手加減した』と言ったな?」
「……はい。」
「それも、怪しいな。考えてもみろ?
あんな人の命を何とも思わないような奴らが、そんなことをすると思うか?」
それは少し言い過ぎじゃないかと思ったが、黙って草加の話を聞くことに。
「俺はそうは思わないな。きっと偶然に偶然が重なって、奇跡的に高町は助かったんだろう。」
「でも……いくら天道総司でも、命を何とも思わないなんて……」
「聞けば奴は謝罪し、命請いを続ける無抵抗なワームを、容赦なくその手にかけたらしいじゃないか?」
フェイトの言葉を遮る草加。
だがそれは違う。ワームの命請いなんて、全て演技に過ぎない。
自分だってそれに騙されかけたのだから。
「それは!違うと……思います。」
フェイトは、殺した人間の記憶を利用し、自分を騙そうとしたワームの話を草加に聞かせた。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:34:41 ID:smtHYJMs
とはいえその子供が砲撃してくるのだから。
子供を使って躊躇させようとする管理局の企みか?
357名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:34:49 ID:2Ue/UVWs
普通に支援
358名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/11(木) 00:36:49 ID:v2O47hPL
とりあえず、フェイトは相談する相手を大いに誤ってる、支援!
359名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:37:10 ID:+RWH2Ole
実にコーラサワーな、なのは支援

だからといって、病室でなのはが汚名挽回(ジェリド的な意味で)宣言しても困るんだが。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:37:10 ID:4pyFNKNg
まぁまぁ、まだ先の展開だってわからないんだから落ち着いて支援しようぜ?

ってちょwwwこれはまさかスーパー草加タイムじゃないか!?www
支援!!
361マスカレード:2007/10/11(木) 00:41:47 ID:f6KhQkhn

「それもどうかと思うな」
「え……?」
全てを話し終えたフェイトは、草加の予想外の反論にまたしても驚いた顔をする。
「確かにキミが戦ったワームはキミを騙すのが目的だったのかも知れない。だがあの男が殺したワームもそうだと言い切れるのか?」
「……それは……」
「誰ひとりとして同じ人間はいないように、ワームにだって色んな考えを持った奴がいるはずだ。
それを演技と決め付けて、謝り続けるワームを無惨にも殺した。俺にはこれが正しい事とはとても思えないな」
「…………。」
フェイトは、草加の口車に乗せられつつあった。
ワームは殺した人間の記憶を利用する。ならば、その命請いもワームに殺された人間を利用していることになる。
フェイトも頭では解っているのだ。
しかし、優しい心の持ち主であるフェイトは、そう言われるとワーム=悪と一概に決め付けていいのかと思えてくる。
「まぁいい。これをどう受け止めるかは、キミの自由だ」
言いながら、立ち上がる草加。
「あ……ちょっと待って下さい……」
「……何かな?」
フェイトには最後に一つ、どうしても気になることがあった。

『お前らオルフェノクは、存在自体が不自然なんだよ』

さっきのカイザ……いや、草加の言葉についてだ。どうしても気になる。
フェイトの耳には、この言葉がまるで怨念というか、何か黒いオーラのような物が込められている様に聞こえたのだ。
「あの……『オルフェノクは存在自体が不自然』って、どういう意味なんですか……?」
「………………」
フェイトに背を向け、固まってしまう草加。
「……もしかして草加さん……オルフェノクを憎んでるんじゃないですか……?」
「……憎んでる訳じゃ無いさ。ただ、オルフェノクは心まで腐り切ってる……
あんな奴らに、町をうろつかれちゃ迷惑なんだよ……」
「……ッ!?」
草加の突き刺すような視線に、フェイトは一瞬動きを封じられてしまう。
違う。さっきまでの好青年の草加とは、何かが違う。言葉では言い表せないような、暗い、憎悪に歪んだ顔だ。
フェイトはこれ以上の詮索を避けることにした。
そして草加は、誰にも見られないようにニヤニヤと笑いながら立ち去っていった。
何かを企んでいるような……そんな笑みだ。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:43:12 ID:4pyFNKNg
スーパー草加タイム支援www
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:43:39 ID:2Ue/UVWs
支援
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:43:56 ID:ZWkyvYst
デバイスを持った時からなのははすでに一人の戦士だよ支援
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:46:23 ID:smtHYJMs
支援

366マスカレード:2007/10/11(木) 00:48:37 ID:f6KhQkhn


数日後、再び聖祥小学校。今度は昼休みだ。

「……はやてちゃん!」
「あ……加賀美くん、どうしたん?」
たまたま廊下ではやてと擦れ違った加賀美。調度気になることがあったのだ。はやてに聞いてみることに。
「あのさ……なのはちゃん、どうしてるかな……」
「あ……うん、それがまだ目覚めへんみたいなんよ……」
「……そっか……」
残念そうに、ゆっくりと首を横に振るはやて。その表情はまさに、友達を心配している表情だ。
「あいつは一週間もすれば完治するって言ってたんだけどな……」
「うん、傷の方はもう大丈夫やねんけど、やっぱり精神的なショックが強かったんかな?ずっと起きへんのよ」
はやての言葉にばつが悪そうに俯く加賀美。別に加賀美が何か悪いことをした訳では無いのだが……

「天道の奴、本当に何考えてるのか分かんないからな……」
それもこれも、ひよりが消えてからだ。ひよりが姿を消してから、加賀美には天道の行動が分からないことがしばしばあった。
まぁ元々訳の分からない人間ではあったが、ひよりが消えてからはさらにグレードアップしている。
「……どうしたん?加賀美くん」
はやては、何か考え込んでいる様子の加賀美の顔を除き込む。
「……いや、あいつの様子がおかしくなったのも、ひよりが消えてからなんだよな……」
「……ひより……?誰なん、それ?」
「ああ、ひよりっていうのは、あいつの唯一の肉親で……」
ひよりの説明を始める加賀美。

天道は幼い頃、目の前で両親をワームに殺害されている事。
ひよりは、産まれる前に殺されてしまったたった一人の妹であること。
そして、やっと再会できた妹……『ひより』は、ワームであったということ……。

まずは、簡単にだがこれらの説明を終える。はやても初耳らしく、真剣に加賀美の言葉に聴き入っていた。
一通りの説明が終わった後、はやては少し悲しげな、それでいて少し安心したような、複雑な表情をする。
「……天道さんも、やっぱり人間やねんな……」
「……え?」
「私は今まで天道総司という男を、何も失う事無く、全てを手に入れた……。そんな風に思ってた」
「…………。」
「でも、天道さんも過去に色々あった……
そんな悲しい事があって……やっとのことで再会できた妹さんも今は行方不明……もしかしたら……」
はやては少し、天道に同情し、何かを言いかける。
「でも、だからって何してもいいことにはなれへん。
このままじゃ天道さんは、ほんまに後戻りできへんくらい、犯罪者になってまう……」
「はやてちゃん……」
「……なんでこんな事になってもうたんやろ……」
はやての決心と悲しみが入り交じったような顔に、加賀美は思った。
やはりこのままでは非常にまずい。なんとかしなければならないのは解っているが……

所変わって、ここは西洋洗濯舗菊地。
巧と草加は、二人揃って留守番中である。
二人には会話が何も無く、ただ気まずい空気だけが流れている−といっても二人はあまり気にしていないようだが−。
ちなみに、草加は巧が管理局と接点を持っている事を知っているが、巧は草加が管理局と接点を持っている事を知らない。
草加は「さて、どうしたものか……」という表情でニヤついた。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:49:31 ID:2Ue/UVWs
支援
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:50:20 ID:4pyFNKNg
そう考えれば確かに天道にも辛い過去はあったな・・・
369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:51:30 ID:smtHYJMs
支援
370マスカレード:2007/10/11(木) 00:53:48 ID:f6KhQkhn

「おい草加。」
意外にも先に口を開いたのは巧だった。巧に呼ばれた草加は、ゆっくりと顔を上げる。
「そういや、流星塾の奴らはどうなったんだ?」
「……キミには関係の無いことだ。出来れば口出しして欲しくないな
……と言いたい所だが……」
「…………?」
「デルタのベルトは、管理局という組織の協力で取り返す事ができた。」
「管理局……?」
眉をしかめる巧。
巧からすれば、草加が管理局と繋がりがあるなんて知らなかったのだ。
以前スラッグオルフェノクとの戦闘時に、二人ははやてと出会っている。しかし、草加は特に反応を示さなかった。
まぁよく考えればここで草加が自分からそんな事を教えるのは不自然なのだが……
「ああ、彼らもまたオルフェノクやワームから人々を守る為に戦っている。俺も何度か一緒に戦った事があるからな」
巧は「そうだったのか」みたいな顔をする。特に言葉には出さないが。
「ただ……彼らの戦力もあまり期待しない方がいいかもしれないな。」
「……どういうこった?」
「なんだ……知らないのか。」
草加は、巧の見えない場所で小さく、ニヤッと笑った。
確か高町なのはが眠っているのも一週間とか言ってたな。
草加はそれを理解した上で、言った。
「管理局のエース、高町なのははもう戦えないだろう」
「……何かあったのかよ?」
「彼女は、天道総司という一人の男の手によって、瀕死の重傷を与えられてしまった……」
「何?天道ってあの……サルの店員のか?」
流石に驚いた巧は、草加の顔を真剣に見つめる。まさかあの天道がそんな事をするとは思いもよらなかったからだ。
「そうだ。自分が犯した犯罪によって管理局に逮捕されるのを恐れ、高町なのはをその手にかけたんだ。」
「おい、嘘だろ……?あいつがそんな簡単にやられるかよ?」
「嘘じゃない。天道という男も俺達と同じような力を持っていたんだ。
そして奴は、自分にとって都合が悪くなった為に、まだ幼い彼女をその手にかけた……」
言われてみれば、最近たまに街中でフェイト達を見かけることはあっても、少し前までいつも一緒にいた筈のなのはの姿を見る事は無い。
巧からすれば、なのはなんてまだ知り合ったばかりだし、ほとんど接点も無い。
本来ならどうでもいい相手の筈だ。だが、何故か巧はその天道の行為が許せなかった。
なのはがやられた事に対する怒りでは無い。自分の目的の為に、あんな幼い女の子を倒すというやり方が気に入らないのだ。
「俺は……天道総司という男を敵だと思ってる。自分の目的の為に他者を犠牲にするなら、オルフェノクと変わらないからな」
「……そうだな……」
「乾……お前はどう思う?まさかこんな理不尽を許す訳じゃないよな?」
巧は草加の視線から、目を外す。
黙ったまましばらく考えるそぶりを見せる。
そんな巧に、草加は怪しげな笑みを浮かべるのだった。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:54:38 ID:4pyFNKNg
支援!
372名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:55:38 ID:2Ue/UVWs
支援
373名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:55:50 ID:smtHYJMs
支援
374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:56:15 ID:ZWkyvYst
やはりなのは世界において草加という男はあまりにも異質だな支援
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:01:50 ID:FwX806Oj
相方がクアトロならちょうどいいかもしれない私怨
376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:02:30 ID:4pyFNKNg
確かに草加はスカ一味と相性良さそうだな支援ww
377名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:03:26 ID:smtHYJMs
支援
378マスカレード:2007/10/11(木) 01:04:27 ID:f6KhQkhn


そしてまた日は流れ……。
なのは達が楽しみにしていたキャンプまで残す所二日となっている。

「た、たっ君!あれ!?」
「あれは……!?」
配達の途中、啓太郎が驚いた表情で少し離れた場所を指差す。
そこでは、ワームの群れが人間を襲うという、半ば強制的に参加させられるイベントが繰り広げられていた。
巧はすぐにファイズギアを装着。車のドアを開けて、ワーム集団へと走り出す。
ファイズフォンにスタートアップコードを入力。そして鳴り響く変身待機音。
巧は走りながら一連の動作を済ませる。後は変身するだけなのだが……
「まずいっ……!」
それよりも早く、ワームのツメが一般人を切り裂こうとしている。
今からではフォンブラスターでも間に合わない。だがそれでも諦める訳にはいかない。そのまま走り続ける巧。

その刹那。
「ガキィン!」という効果音と共に、ワームのツメが弾け飛ぶ。
巧は「何だ?」という表情でワームのツメを弾いた「モノ」見つめた。
ワームのツメを弾き飛ばしたモノ。その正体は……「赤いカブトムシ」……?
赤いカブトムシ−カブトゼクター−はそのまま彼方へと飛んでゆく。
そこにいるのは紛れも無い、天道総司だ。

天道はゆっくりと歩きながらカブトゼクターをキャッチ。そして、ちらっとワームを睨んだ後、変身待機音を鳴り響かせる巧を見る。
「……おまえッ!」
「お前は確か……」
二人が言ったのはほぼ同時だった。天道も、巧が戦士であることに気付く。
だが、今はワームの駆逐が先だ。
二人はお互いが持つ赤いトランスジェネレーターを構え、そして叫んだ。

「「変身!!」」
天道の体を銀のアーマーが。巧の体を赤い閃光が包む。
『Complete』
ファイズとカブトは、ほんの一瞬見つめ会った後、すぐにワーム集団へと走り出した。

ファイズはワームの前に立つと、いつも通り左腕を「ぶらっ」とスナップさせる。
そして、一匹目のワームを殴った。
力一杯殴りつけ、また次のワームを殴り飛ばす。
こいつらはオルフェノク以下だ。巧はそう感じた。
いつもオルフェノクを倒している巧にとって、この程度のサリスが何匹徒党を組もうが同じ事だ。
こいつらに集団戦の知識があったならまだ別だが、どうやら知能まで人間以下らしい。
ただ群れて、ツメで攻撃をしかけてくるだけだ。
ほとんどの攻撃をかわし、逆に自分の攻撃を叩き込む。
こんな奴らにやられる訳がない。パンチやキックを放つ度に、赤い閃光が尾を引くように伸びる。

ふと横を見れば、カブトはいつの間にか赤いカブトムシの角を模した頭部を持つフォーム−ライダーフォーム−へと変化していた。
カブトはクナイガンでワームを続けざまに爆発させている。
それに対し、ファイズには武器が無い。負けることは無いが、一撃で爆発させる程の決定的な攻撃は与えられない。
「……キッツイなぁ」
愚痴を漏らしながらもワームを殴り飛ばして行く。

その時だった。

ズガガガガガガガガガガッ!

まるでマシンガンのような銃声が響き、ワーム数匹を小さな銃弾の群れが貫通して行く。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:05:54 ID:2Ue/UVWs
支援
380名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:05:57 ID:smtHYJMs
支援
381名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:07:06 ID:4pyFNKNg
支援
382マスカレード:2007/10/11(木) 01:10:17 ID:f6KhQkhn
そして、ファイズの傍に降り立ったのは、見慣れた銀色のロボットだ。
ファイズ専用のオートバイ。バリアブルビークル……『オートバジン』だ。

「……遅ぇんだよ!」
言いながらオートバジンの胸についた、ファイズマークを模した丸いボタンを殴りつける。
『Vehicle Mode(ビークルモード)』
オートバジンはその反動で少し後ずさるが、倒れることは無い。すぐにその姿を変形させ、地面に着地する。
オートバジンのオートバイとしての形態−「ビークルモード」−だ。
ファイズはオートバジンの左ハンドルを引き抜く。ハンドルはサーベル状に光が伸び、ファイズエッジとなった。
それを構え、上下に視線を動かした後、ファイズは再びワーム集団へと走り出した。

「ハァッ!!」
カブトはカブトクナイガン・クナイモードでワームを切り裂いてゆく。
一匹、また一匹とワームの数は減っていく。
逆手持ちのクナイガンを上方向へ振り上げ、下方向へと切り裂き、独特な戦闘スタイルで戦うカブト。
カブトにはサリスの攻撃は一切当たらない。まるで当たり前のようにワームのツメ攻撃を回避し、クナイガンで切り裂いてゆく。

ワームの数も減って来た。このままならもうすぐ決着がつく。
だがそう上手く行く訳は無く……
ファイズが戦っていた一匹のワームが赤く変色を始めたのだ。
「気をつけろ。ワームの中には稀に蛹から成虫へと脱皮する奴がいる。」
「あ?脱皮?」
カブトの助言を聞いたファイズは、「何だそれ?」といった感じにワームを見詰める。
そして赤く変色を始めたワームはやがて、茶色の体に羽根を生やした、スズムシのような姿に変貌する。
名前はベルクリケタスワーム。加賀美の弟に擬態していたワームと同じ種類。
ファイズはまずは近くのサリスを殲滅させる事に専念する。
ファイズエッジでサリス集団の体を切り裂き、カブトとほぼ同じペースで爆発させていく。


「ハイパーキャストオフ。」
『Hyper Cast off(ハイパーキャストオフ)!!』
一方のカブトは、ハイパーゼクターを呼び出し、ハイパーフォームへとフォームチェンジ。
同時に彼方からカブトムシを模した大剣と紫の蠍が飛来する。
カブトはサソードゼクターを装着したパーフェクトゼクターを掴み取り、紫のボタンを押した。

『Sasword Power(サソードパワー)』
「ハイパースラッシュ!」
そして大剣を振りかざすと同時に、パーフェクトゼクターの刃から三日月のような形をした、紫の光が発射される。
一降り、二降りと繰り返されるハイパースラッシュに、残りのワームは全て爆発した。

カブトはすぐにファイズが戦うベルクリケタスワームを倒しに行こうとするが、どこか様子がおかしい事に気付く。
本来ならZECT製ライダー以外はワームのクロックアップには対抗できない筈だ。
しかし、ファイズはそれを知らないのか、堂々とした態度でベルクリケタスワームと対峙しているのだ。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:11:45 ID:a9dFpaCT
支援
384名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:11:49 ID:smtHYJMs
支援
385名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:11:57 ID:2Ue/UVWs
支援・・・・・・・・・・・・
386名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:12:11 ID:1abz6ew5
支援します
387名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:13:07 ID:FwX806Oj
来るか!?支援
388名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:15:04 ID:2Ue/UVWs
ここはsage進行だよ
389マスカレード:2007/10/11(木) 01:17:13 ID:f6KhQkhn

「…………。」
確かに初めて脱皮を見た時は少し驚いたが、元々があれだけ弱かったのだ。脱皮しても並のオルフェノクと同等くらいだろう。
元々口数の少ない巧は、例え脱皮したからといってそれほどの脅威になるとは思わず、リアクションも微妙だ。
再びファイズエッジを構え直し、ベルクリケタスワームへと攻撃を開始する。
「はぁッ!」
「…………!?」
ファイズエッジを振り下ろされた、ベルクリケタスワームは独特の鳴き声を発しながら後ずさってゆく。
いつも通り攻撃を繰り返すファイズに、ベルクリケタスワームも防戦一方だった。
だが……

「……消え……!?」
ベルクリケタスワームはここでクロックアップを発動。ファイズに超高速での攻撃を繰り返す。
右から、左から繰り返される見えない攻撃に、傷付いてゆくファイズ。
「クソ……なんだよコレは!」
「成虫になったワームはクロックアップすることで超高速での移動ができるんだ!」
「超高速だ……?」
反撃ができないファイズに、カブトが助言する。
同時にベルクリケタスワームは一度クロックアップを解除。挑発的にファイズの目の前に立つ。
まるでZECTライダーではないファイズに負ける事など無いと、嘲笑っているかのように。
巧にとって、そのワームの態度は非常に腹立たしかった。
元々馬鹿にされるのが嫌いな性格だけに、「このワームをぶっ飛ばしたい。」と、心の底から思った。
ゆっくりと立ち上がるファイズ。
本来ならカブトがハイパークロックアップで介入し、一気に片を付けるのだが。
「(……何をする気だ……?)」
やはりどこか自信に満ちた行動をとるファイズに、天道は好奇心を掻き立てられていた。

そして再び姿を消すワーム。
ファイズは左腕に装着されたリストウォッチ型コントロールデバイス、『ファイズアクセル』に視線を移す。
相手が超高速で行動するなら、自分もそれに合わせればいい。
相手が自分を馬鹿にするなら、自分はその上を行けばいい。
至極単純な答えを見付けたファイズは、ファイズアクセルからアクセルメモリーを引き抜く。
そしてファイズエッジを投げ捨て、右腰に装着された
デジタルトーチライト型ポインティングマーカーデバイス−『ファイズポインター』−を取り外した。
一度ファイズの手の上で回転を加えられたファイズポインターは、そのままファイズの右足に装着される。
これで準備は整った。アクセルメモリーをベルトに装填。
『Complete』
電子音声と共に、胸部アーマーが展開。
目の色が黄色から赤に染まり、全身の赤いフォトンストリームも、最も出力が不安定な銀色へと変色する。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:17:27 ID:2Ue/UVWs
支援
391名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:18:04 ID:1abz6ew5
先程は申し訳ありませんでした。眠気で頭が朦朧としていて………改めて支援
392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:19:14 ID:FwX806Oj
さらに支援
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:20:19 ID:4pyFNKNg
ファイズアクセルキター!支援!!
394名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:28:56 ID:/rlm+5qA
支援
395マスカレード:2007/10/11(木) 01:30:34 ID:f6KhQkhn

『Start Up』
ファイズアクセルのスタータースイッチを押す事で、ファイズの周囲に、まるでジェットエンジンの轟音のような音が響く。

そして。
飛行しながら、超高速で突進してくるベルクリケタスワームを蹴り飛ばした!
「…………ッ!?」
蹴られたワームもファイズがクロックアップの速度について来られた事には驚きを隠せないらしい。
一旦退却しようと、そのまま空を飛んでこの場所から離脱する。
その場所で立ち止まったままのファイズとベルクリケタスワームの間にはどんどんと差が開いてゆく。
だが巧が黙ってワームの逃走を許す訳が無い。
鳴り響くファイズアクセルのカウント音。ファイズは腰を低く落とし、今にも走り出しそうな体制を取り……。
次の瞬間には、目視できない速度でファイズの姿は消えていた。

ここまで来れば大丈夫か。そう思いながら、クロックアップ空間の中、逃走を続けるベルクリケタスワーム。
だが……何か変な音が聞こえる。背後から。まるでジェットエンジンのような。

刹那、凄まじい速度で地面や、建物の壁を蹴って駆け抜けるファイズが現れたのだ。
「…………!!」
まずい!ベルクリケタスワームは追い付かれまいと必死で逃げるが、どんどんと差が縮められていく。
そして、気付けば飛行を続けるベルクリケタスワームの背中には巨大な赤い円錐が浮かんでいた。
そしてベルクリケタスワームの体に響く凄まじい衝撃。
ベルクリケタスワームには何が起こったか分からなかった。ただ、気付いた時には自分のクロックアップは終わっていた。
一発目のクリムゾンスマッシュの衝撃で、クロックアップを解かれてしまったベルクリケタスワームはゆっくりと地面に落下してゆく。
ファイズはその落下地点に先回り。
次の瞬間には、ベルクリケタスワームは再び空へと蹴り上げられていた。
そして360度、今度はほぼ全包囲から現れる5つの赤い円錐。
まるで飛行能力を得たかのように遥か空高くへと、舞い上がるファイズ。
ファイズは上空でその姿を消し。
それと同時に、5つの円錐全てが、巧の雄叫びと共にベルクリケタスワームの体を削り落とすように突き刺さる。

『3……2……1……』
アクセルモードの最後を告げる3カウント。ファイズは、そのカウントが鳴り終わる前に地面に着地。
『Time Out!』
そして、アクセルモードはタイムアウト。『Reformation』の電子音と共に、ファイズの胸部アーマーは元の場所へと戻る。
元の速度に戻ったベルクリケタスワームは、空中で爆発四散した。

「ふぅ……」
巧はファイズの変身を解除し、さっきまで天道がいた場所を見る。
どうやらアクセルモードで移動している間に、随分と離れてしまったらしい。
巧は遥か遠く、天道がいるであろう場所に視線を送る。
396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:30:59 ID:/rlm+5qA
支援

397名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:31:46 ID:2Ue/UVWs
支援
398名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:32:39 ID:/rlm+5qA
支援

399マスカレード:2007/10/11(木) 01:38:23 ID:f6KhQkhn

同刻、本局の医務室。ここはなのはが眠る部屋だ。

「う……ん……」
なのはは、うなされていた。
酷く汗をかき、何度も寝返りをうつ。そんななのはが見ていた夢とは……

ここは、恐らく海鳴市。
「なんで……こんなとこにいるんだろう……?」
なのはは、バリアジャケットを装着したまま、町を見下ろしていた。
下ではガタックやカブト、ブレイド……そしてフェイトが戦っている。
「……私もいかなきゃ……!」
なのはは、戦場に赴き、フェイト達に加勢しようとする。だが何故か体が動かない。
戦いたい。皆を助けたい。そう思っている筈なのに、体が動かない。
そして、自分の1番の親友が青いワーム−キャマラスワーム−と戦っているのだ。
「これ……どこかで見たこと……ある?」
なのはは強烈な既視感に襲われた。
「あ……ダメ……!」
そして、フェイトの腹部に突き刺さるキャマラスワームの腕。
バリアジャケットは見事に貫かれ、フェイトは地面に転がる。
「え……嘘でしょ……?フェイト……ちゃん……!?」
ショックと驚きのあまり、呟くような声でフェイトの名を呼ぶなのは。
「駄目だ……聞こえない……」
なのはは目に涙を貯め、変わり果てたフェイトの姿を見つめた、その時だった。

「ハイパークロックアップ!!」

なのはの耳に聞こえるのは聞き慣れた……そして、自分を撃墜した男の声。
「……何……これ?」
刹那、なのはの目の前の風景が有り得ない変化を遂げていく。
「時間が……巻き戻ってる……?」
そして、再びフェイトがキャマラスワームの攻撃を受ける直前まで戻り。
「……!?」
これ以上親友の無惨な姿を見たくない。なのはが目を閉じようとした、その時だった。
「…………え?」
さっきは通ったはずのキャマラスワームの攻撃。それが、今度は受け止められているのだ。
「これ……この風景……あの時の!?」
この瞬間、なのはは全てを思い出した。
キャマラスワームの攻撃を受け止めるハイパーカブト。
これは、天道が時間を逆行させた、あの事件だ。
「そんな……まさか……?」


再び、本局医務室。
「…………?」
目を覚ますなのは。
酷く寝汗をかいていたらしく、体がベタベタして気持ち悪い。
「あ……私……どうしてたんだろ?」
ゆっくりと、なのははベッドから体を起こした。

同刻、アースラ。
「そうだ……ここ、窓ないんだっけ……?」
既にアースラ内ではほぼ自由行動となった良太郎が、自室で目を覚まし、体を起こす。
自室といっても一時的に借りているだけの簡素な部屋だが。
「姉さん……心配してるだろうなぁ……」
そんな良太郎の足元からは、白い砂が、大量に零れ落ちていた……。



To Be Continued.
400マスカレード:2007/10/11(木) 01:41:08 ID:f6KhQkhn


スーパーヒーロータイム

あきら「らっきーちゃんねるマスカレード出張版〜♪」

みのる「どうも!ついにマスカ……」

あきら「おーはらっきぃ〜!
はい!ナビゲーターはいつも元気いっぱいの小神あきらです♪」

みのる「自分は!あきら様のアシスタントのし……」

あきら「今回は、特別ゲストをお迎えしてまぁす♪
では、どうぞー!」

矢車「……はぁああ……」

一同「………………」

あきら「おい」

みのる「は、はい!?何でしょうあきら様!」

あきら「アンタさぁ、何訳のわかんない奴連れてきてくれちゃってんのよぉ?え?
本編キャラなら誰でもいいとか思ってんじゃないでしょうね?だいたい……(ブツブツ)」

みのる「いや、でもですね!彼は仮面ライ……」

矢車「お前……」

あきら「え?何ですかぁ?」

矢車「瞳の奥に……闇が見える……」

みのる「いやぁ、そりゃそうでしょう、だって……ッて、うわッ!!ちょ!ごめ、ごめんなさい!ごめんなさいあきら様!!」

矢車「俺と同じ……地獄を」

あきら「はぅ〜!残念だけどもうお別れの時間がやってきたみたいですぅ!番組の感想やお便り待ってますね♪
ばいに〜♪」

矢車「貴方は俺が守ります!」

あきら「はあぁあ……もう帰る。
……ったく何が闇よ、どいつもこいつも余計な事言うんじゃねぇよ、だいたい何?白石のあの態度……(ブツブツ)」

みのる「えーと……次回はあるか…わかりません……」
401マスカレード:2007/10/11(木) 01:46:36 ID:f6KhQkhn
投下終了です
皆さん支援有難うございます!
とりあえず、>>395あたりでエンディングのThe people with no nameを脳内再生してもらえると有り難いです
ちょっと前にも話題になってましたが、やっぱり感想レスは書く側からしてもエネルギーになりますからね……
感想とか貰えると有り難いですね……
402名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:55:18 ID:2Ue/UVWs
音速を超える究極の鬼ごっこだな
こけるだけで相当なダメージをもらいそうだw
GJでした!そしてお休み!
403名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 02:00:25 ID:FwX806Oj
投下乙GJです。
クロスオーバーの醍醐味ですね
アクセルモードとクロックアップの対決もよかったです
404名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 02:01:00 ID:nFP98L6t
ゲーム版アクセルクリスマのカッコよさは異常、その描写がGJ!
405名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 02:05:02 ID:4pyFNKNg
草加・・・黒いwww
今回は555メイン話かな?最近ずっとカブトだった気がするので新鮮でよかったです
とにかくGJ!
最後吹いたwwwみのるwww
406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 03:02:24 ID:Gd2K+kma
>>マスカレード氏

GJでございました。天道が手加減してくれる展開に決まったわけですね。なのはたちが管理局の正義に疑問を抱かなくなりつつある状況ゆえ、ますます泥沼化が進みそうですが、天道の過去を知ったはやての行動が鍵になりそうな気がします。

一方で己の妄執のために全てを欺こうとしている草加が良い味を出していますが、フェイトを言葉巧みに言い包めながらも、オルフェノクへの憎悪は隠しきれなかった辺り、奴もまだまだ青いという気がしますw
407なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 05:15:01 ID:/O+Q1Eh1
ちょいとご無沙汰してまーす。張り切って連続投下したら、心身共に軽くエンストしました。
拙作に興味を抱いてクロス元を読んで下さるという方もいてくれたのに申し訳ない。今後も書いていくデスヨー。

という感じで第四章、投下してみても良いですか?
408名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 05:37:11 ID:fgjxL0be
道は空いてるみたいよん。
ということで支援
409なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:03:31 ID:/O+Q1Eh1
第四章『君の印象』

初めて出会う君に思いを得る
合ったり合わなかったりする事を

     ●

 夜が訪れると学校はその性質を変える。勉学と交遊を楽しむ施設から、闇に沈む先行き不明の迷宮へと。
「忘れ物で夜の校舎に潜入なんて・・・私は小学生かっちゅうねん」
 はやては尊秋多学院の校舎を歩いていた。手に持つペンライトが暗い廊下を僅かに照らす。
・・・こんな時に限って、なのはちゃんもフェイトちゃんもお仕事で留守やし・・・
 頼りにならない親友をはやては思う。こんな夜更けまで帰らないとはよぽど長引いているのか、という心配と共に。
 不意に見た窓には夜空がある。だが窓にはもう一つ映るものがあった。額に絆創膏を貼ったはやての姿だ。
「・・・佐山君、次会ったら覚えときや・・・っ」
 乙女を傷物にした罰は受けてもらう、とはやては思う。佐山のデコピンは痕を残し、額に絆創膏を貼る羽目になったからだ。いかなる刑に処すべきか、と廊下を進み、気付けば目的地に辿り着ついていた。
「美術室。・・・多分ここやと思うんやけど」
 はやては眼前の扉を睨むが、いつまで経ってもドアノブに手をかけなかった。
「べ、別にこわいとちゃうねんで? この中に何かいるんかなとかなんて・・・」
 行き先不明の弁明を呟けば首筋を何かが撫でた。
「ひぇっ!? ・・・か、風か? 驚かさんといて」
 振り返れば確かに窓が半開きになっており、まるで急かされた様だ、とはやては思う。
・・・だ、だって・・・何か出たら怖いやん・・・っ!
 うぅ、と涙目にはやては唸る。誰か代わってくれー、と思いながら。しかし誰かがいる訳もなく、
「えぇい、女は度胸! ――かかって来いやーっ!!」
・・・すんません! 何かおってもかかって来んでくださーいっ!!
 二つの意思を持ちながら、はやては美術室の扉を思いっきり開いた。
 その眼前に室内が晒される。暗がりは月明かりに照らされ、キャンバスや机、汚れた戸棚がその陰影を僅かに浮かばせていた。再び吹いた風が大窓のカーテンをはためかす。
「・・・さっさと見つけて、こんなトコおさらばやっ」
 はやては身を低くして探索を開始、ペンライトと月明かりを頼りに模索すれば、
「おー、あったあった。・・・“おしおき天使ソドムちゃん”、早いとこ衣笠書庫に返さんとなー」
 そう言ってはやては立ち上がり、そこで一つのものを見た。
「―――森?」
 それはキャンバスに描かれた風景だった。匂いと一見した材質から油絵である事が解る。
「美術部の誰かが描いたんかな? でもこれは・・・」
 その絵からはやては、誰かの回想を覗いているような感覚を得た。
・・・まるでアルバムを・・・そう、古い写真を見てる様な・・・
 何だろうか、その思いにはやては手を伸ばす。そして表面に触れるかというその時、
「・・・・っ!?」
 突然音が響いた。はやては身を竦ませ、
「あいたっ!」
 尻餅をついた。あぅ、と尻をさすりながらはやては周囲を見渡す。原因は背後の椅子にいた。
「――黒猫?」
 闇と同色の小動物、光る両目をこちらに向けるのは確かに猫だ。一体どこから、はやては呟こうとした。だが意志に反して喉は声を紡がない。
・・・引きつっとる?
 気付けば目尻に涙もある。あ、こらあかんわ、とはやてが思った時には意図せず息が漏れ、
「・・・大丈夫ですか?」
「うぉっひゃうっ!?」
 新たに響いた声で完全に涙をこぼした。
410なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:06:03 ID:/O+Q1Eh1
     ●

「落ち着きましたか? 生徒会長」
 はやては紫の瞳を見た。灰色の髪を左右で結んだ少女、その身は小柄なはやてよりも更に小さいもので、
「どっちかっちゅうと幼児体型・・・」
「ふふふ、生徒会長? 私の話を聞いてましたか?」
 少女が笑みを送ってきた。ただしその目は笑み以外の感情を宿していたが。
「あ、あぁ、すまんかったな・・・ブレンヒルトさん」
 欧州系の容姿をしたその少女が誰なのか、はやては知っている。
・・・ブレンヒルト・シルト。私と同学級で、次の美術部部長さん・・・
 フェイトと同じ外国人の生徒、という事で割と印象にあった。まともに話すのは今回が初めてだったが。
「こんな夜更けまで見回りですか?」
「あー、いや、ちょっと忘れ物をな。・・・ブレンヒルトさんは何で残っとるん?」
「私は・・・絵を描いていたものですから」
 絵? とはやてが問えば、はい、とブレンヒルトは答える。
「作業に集中し過ぎて気がつけばこんな時間です。・・・この部屋、防音も良いですから」
「ひょっとしてこれか? ブレンヒルトさんが描いとるのって」
 はやては視線を逸らす。さっきまで見ていた森の描かれたキャンバスへと。
「ええ。――黒い程に暗く、奥底知れぬ・・・しかし豊かな森です」
 そこではやては、ブレンヒルトの答えが微かに揺れを含んだ事に気付く。
・・・何かに動じたんか・・・?
 しかし初対面の相手が何に対して動じたのか、など解る筈もなく、はやては感想を続ける事にした。
「・・・随分描き込んどるなぁ」
「何度か書き直してますから」
「絵っちゅうのはいっぺん塗ったら終わりとちゃうんか?」
「そういう手法もある、ということです。何をどう描くのか・・・それによって変わりますから」
 そーゆーもんか、とはやては頷き、改めてブレンヒルトの絵を見入る。
 深い黒と緑で彩られた森。キャンバスの形が窓の様に思え、はやてはいつの間にか顔を近づけていた。
「余り近付くと塗料がつきますよ?」
 ブレンヒルトの忠告にはやてはあわてて身を離す。そこで一つの不可解な部分を見た。
「・・・なぁ、なんで一カ所だけ色塗っとらんの?」
 はやては絵の一角を指差す。そこには塗料が無く、キャンバスの生地が剥き出していた。よく見てみれば、下書きなのか木炭で何かが薄く描かれている。
「小屋と・・・何人かの人か?」
「――ええ」
 問うはやてにブレンヒルトは、
「森が森たる由縁はそこに人がいるからです。人がいるからこそ木々は群ではなく数えられる。森とはこの・・・この国で最初に覚えた字ですが、良い表現だと思います」
「じゃあここにいる人達は?」
「森には隠者が、世界を憂う賢人が住むものです。そしてその傍らには弟子や庇護を求めた者が寄り添い・・・周囲と隔絶された日々を送る」
 成る程なぁ、とはやては絵を見たまま頷く。
「・・・設定マニアなんやね」
「今何か言いましたか?」
 はやては、いえ何も、と即答。そのままブレンヒルトを見れば向こうもこちらを見ていた。
「な、何か?」
 冷や汗を流すはやてにブレンヒルトは、いえ、と前置きし、
「・・・その額のものは?」
 はやての絆創膏を指差して言った。
「ああ、これか? いやちょっと生徒会仲間にな」
「上役に手を上げるとは問題児ですね。・・・後で姉伝来の粛正作法を教えしましょう。どんな馬鹿も呼び声一つで参上する忠犬になりますよ?」
「それ別の何かを粛正しとるよ絶対」
 どーして私の周囲はこんなんばっかなんやー、とはやては胸の内で溜め息。
「悪い子とちゃうんよ? ・・・あの子が本気になったら、こんなんじゃ済まんし」
「そんなに凶暴な生徒がこの学校に?」
 凶暴とはちゃうよ、とはやては苦笑する。
「中二ん時に学生空手の無差別級で、決勝に進出すんも拳砕いて敗退。その後祖父からあらゆる知識を叩き込まれ、現在この学校じゃあ文武共に成績トップ。問題があるとすりゃぁ・・・」
 ブレンヒルトから視線を外し、
「その能力と姿勢の偏りを知っとるせいで本気になれん事。・・・それは凶暴っちゅうより、行き場の無い力の塊やよ」
 そしてはやては見た。小屋の側に描かれた人々の下書き、その内の一つが掻き消されていたのだ。
・・・男の人、か?
 微かに残る輪郭からはやては推測する。何故消したのか、はやてはブレンヒルトに問おうと振り向いた。その時、
「・・・誰かいるのか?」
411なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:08:58 ID:/O+Q1Eh1
     ●

 低い男性の声が美術室の向こう、廊下から聞こえてくる。
・・・この声は・・・
 はやてはその声に聞き覚えがあった。故に確認を飛ばす。
「グレアムおじさん、か?」
「おや、はやてか」
 声に親しみが含まれて扉が開いた。そうして入ってくるのは、色褪せた銀の髪と髭を持つ英国風の老人だ。片手には光を放つ懐中電灯を持っている。
「こんな時間までどうしたんだい? いつもなら寮に戻っている時間だろう」
「う、やぁ、まあそうなんやけど・・・。おじさんこそ何しとるん?」
「私は見回りだよ。ずっと衣笠書庫にいるからね、教員の都合が悪い時は代行する事もある」
「・・・お人好しやなぁ」
 と言うはやての笑みにグレアムも微笑むが、
「ところでその額は?」
「みんなこれの事言うな? いやちょっと生徒会仲間に」
「ふむ、それは良くないな。・・・よし、名前を教えなさい、はやて。私が制裁を下しに行こう」
「け、怪我させたらあかんよ!?」
「何、問題はない。我が祖国秘伝の奥義にかかれば、傷一つなく自らが穢れた魔女だと告白する」
「やーめーてーやー!!」
・・・ほんともーなんで私の周りはこんなんばっかなんやろー・・・
 おじさんは基本的に優しいのになー、とはやては思う。
 そこでふとブレンヒルトが自分達を見ている事に気付いた。何か信じられぬものを見るような目で。
「どうかしたんか? ブレンヒルトさん」
「・・・生徒会長、グレアム司書と親しいんですか?」
 固い声でブレンヒルトが問うてくる。何だろうか、とはやては思う。
「うん。グレアムおじさんはな、身寄りの無うなった私を引き取ってくれた養父なんよ。んで今は寮暮らしで別れとるけど・・・そうなる前までは一緒に暮らしてたんよ」
 一緒に住んでたのは私だけやあらへんけどな、とはやては補足する。
「――そう、ですか」
 それを聞いたブレンヒルトが俯いた。身を小さく震わせながら。
・・・なんやろ・・・?
 泣きそう、そう表現出来る姿だ。一体何が彼女をそうさせるのか、はやては疑問に思う。
「ブレンヒルトさん?」
「・・・帰ってくれませんか?」
 ブレンヒルトが口を開いた。
「私、まだ絵を描いてる途中で・・・そろそろ再開したいんです」
・・・何でや・・・?
 さっきまで一緒にいたのに、そんな思いがはやての中にある。それが何故突然突き放されたのか、と。
「―――帰って下さい」
 ブレンヒルトはこちらを見ずに言う。何も聞きたくない、それを示す様に。
「帰ろう、はやて」
 グレアムがこちらを見る。でも、とはやては言いかけるが、それが意味をなさない事は解っている。だからはやてはブレンヒルトを見て、
「じゃぁ帰るけど。―――また、話そうな?」
 そう言い残し、グレアムと共に美術室を後にした。
412なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:12:49 ID:/O+Q1Eh1
     ●

 はやてとグレアムの出て行った扉をブレンヒルトは見つめていた。
「・・・ブレンヒルト、大丈夫?」
 凝視を続けるブレンヒルトに声がかけられる。だが周囲には声をかける様な誰かはいない。そこで椅子に座るブレンヒルトの膝に黒猫が乗った。そして黒猫の口が開き、
「ねぇ」
 ブレンヒルトにかけられる声の主は黒猫だった。黒猫は心配そうにブレンヒルトを見上げる。
「・・・ねぇ、ねぇねぇ。ねぇってばっ! おーい、セメント娘ーッ!!」
「うっさいわね、握りつぶすわよ」
 喚く黒猫の胴をブレンヒルトが鷲掴みにした。
「あーっ! ちょ、だめっ! 握力がっ! あ、ああ、肋骨揉んじゃやぁっ!?」
 黒猫は手足と尾を振り回して抗議、ブレンヒルトは床に叩き付ける事でそれを許諾する。
「・・・ねぇ、最近LowーGの悪い癖が染み付いてない?」
「やかましい、使い魔の口は無駄口の為にあるんじゃないわよ」
 とっとと見た事を話しなさい、とブレンヒルトは五体倒置の黒猫に言いつける。
「――1stーGの魔女に協力する、使い魔としての本分を果たしなさい」
 ブレンヒルトの言葉に黒猫は、へぇい、と起き上がる。
「和平派は王城派の使いを追い返したよ。んでその使い、ガレ・・・何とかは管理局に追い詰められて自害した」
「人狼を? 確かにあの種は変身すると頭悪くなるけどその分強くなるわ。よくそこまで追い詰めたわね」
「追走部隊は全滅させたんだけど、その後概念空間に閉じ込められてちゃったの。・・・時空管理局の特課にね」
 そう、とブレンヒルトは頷く。それから再び黒猫に視線を向け、
「ラルゴ翁は? 私達は今後どうするって言ってたの?」
「市街派はどちらとも連絡をとらない、だって。最近アッパー入ってるファーフナーの馬鹿が言ってた。それから、近い内に王城派が何かするだろう、って」
「王城派が? 和平派から抜けた理想だけの連中に何が出来るっていうのよ」
 それなんだけどね、と黒猫は前置きを一つ。
「全竜交渉って覚えてる? 前にラルゴ翁が言ってた奴」
「あの胡散臭い情報屋から得たっていう話? 確か、マイナス概念の活性化に全概念核の解放で対抗しようとしてて、その使用権を得る為の交渉でしょ」
「そ、でね? それ用に編成されつつある部隊が動いたみたい。管理局特課の中でも少数精鋭で編成された全竜交渉部隊。・・・王城派の使いを追い詰めたのもそいつ等っぽいよ」
「で?」
「解んないかな、そんな連中なら上層部だって絡んでる。王城派は管理局じゃなくて全竜交渉部隊を狙ってんの。地上本部全部長の大城・一夫あたりでも捕まえれば何か交渉出来んじゃないか、って」
「ふぅん」
 ブレンヒルトは腕を組んで熟考の構えをとる。そんなブレンヒルトから黒猫は目を逸らさない。
「・・・何よ?」
「――ねぇ、本当に大丈夫?」
 何がよ、とブレンヒルトは睨むが黒猫は動じない。
「さっきの会話。――ギル・グレアムには、養女がいるって」
・・・この猫・・・
 心配された、という事実に思うのは、僅かな嬉しさと強い反発だ。
「どうって事無いわよ。・・・それよりも、自分の知らない事を語るのは猫の感傷?」
 真面目な話、と黒猫は断りを入れる。
「ブレンヒルトはある意味、1stーG崩壊において最も原因に近い場所にいたんでしょ? そんな身の上が、そろそろ戦いも終わるかっていうこの時に・・・」
 黒猫は身を伏せ、
「1stーGを滅ぼしたあの人の監視、なんてさ。あんまり、精神衛生に良くないよ」
 ブレンヒルトと黒猫の視線が交差する。
 しばしそれが続き、先に外したのはブレンヒルトの方だった。苦笑を浮かべて黒猫を撫でる。
「そんなに私、ピリピリしてる?」
「・・・不機嫌は今に始まった事じゃないけどねー。ちゃんとカルシウム採ってる? 牛乳とかさ」
「嫌いなのよ、牛乳」
「だからいつまで経っても体が成長しないンっはぁン!? あ、ちょい待っ! お尻は最後の貞操ー!!」
 あぁー、と悲鳴を上げる黒猫を無視してブレンヒルトは立ち上がる。窓辺に立てば見えるのは月明かりに照らされたグラウンド、そして二つの人影だ。
「ギル・グレアムと八神・はやて・・・」
 互いに手を振った後、はやては学生寮へ、グレアムは衣笠書庫へと向かって行く。
「――あの男は、六十年前の亡霊が戻って来てるって知ったらどうするのかしらね」
 そして目線が追うのは、学生寮へ歩くはやての姿だ。
「・・・貴女は、彼にとっての何なの?」
413なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:15:21 ID:/O+Q1Eh1
     ●

 佐山は新庄と共に、正門を目指してIAIの敷地を歩いていた。新庄は包帯の巻かれた佐山の腕を見て、
「良かったね、腕の傷が大体塞がって」
「激しく動かせばまた開く、と言っていたがね。・・・リインフォース君の能力、ユニゾン、か」
 佐山は全竜交渉の説明を受けた後の事を思い出す。
「他者と合一して能力の強化や付加を行う力、か。姿が変わったのは相性の問題だと言っていたが」
「リインフォースさんはそれを治療に用いる事で、シャマル先生の補佐をしてるんだよ」
 ほう、と佐山は頷き、新庄はその顔は窺う様に見上げた。
「ごめんね? 検証だからって上着とか持ち物とか、全部取り上げちゃって」
「スーツは使い物にならなくなっていたし、持ち物もほぼ同様だ。・・・それに御老体からはこの自弦時計も貰えたのだから問題はない」
「あれは貰えたって言わないよ! 強奪したっていうんだよっ!」
「おや新庄君、勘違いはいけないね? 珍獣と人間をひとまとめにするとは。・・・獣に人権は無いよ?」
 新庄が半目を向けてくる。何か変な事を言っただろうか、と佐山は過去の言動を思い返すが心当たりはない。だが思い出す事はあった。
「御老体は言っていたな。・・・山中で私達を襲った相手は、1stーGだったと」
 新庄は頷きを持って返す。その無言に、まだ思いがあるのだな、と佐山は判断するが指摘はしない。
「もし私が祖父から権利を受け継いだとしたら、彼等との交渉になるのかね」
「Tes.、だね。でも聞いた話じゃあの人狼は王城派らしいし、交渉で当たるのは市街派の方かなぁ」
 そこで佐山は聞き慣れない単語を耳にした。
「Tes.、とは? 確か聖書における契約の意味だった筈だが」
 佐山の質問に新庄は、あ、と口を開け、
「ごねん、説明忘れてたね。Tes.、っていうのは管理局特有の符号みたいなものだよ。了解とか相づちに使うの」
「成る程。・・・あぁ、話を中断させてしまったね。で、市街派とは?」
「1stーGの過激派の一つだよ。概念核の半分を収めた機竜を持ってるんだ。・・・機竜っていうのは竜を模した機械兵器の事だよ」
「そんな漫画兵器まであるのかね・・・。しかし半分か、もう半分は管理局が持っているのかね?」
「1stーGの八大竜王が持ち帰ったデバイスの中に収められてて、今はIAI本社地下にある地上本部西支部に格納されてるんだって。近々、こっちの方に輸送されるらしいけど」
 と、そこで佐山は足裏に妙な感触を得た。柔軟な感触、まるで肉塊を踏んだ様な感覚だ。
・・・何だ?
 と足を退けて見下ろせば、そこには小動物がいた。丸い体に猪の様な頭をした、手の平程の大きさだ。それは医務室で大城から預けられ、ずっと肩に乗っていた筈の存在だった。
「貘・・・とやらか。いつの間にか肩から転がり落ちたと見える」
「ちょっと佐山君! その子は一応稀少動物なんだから、もっと大事にしてよ?」
 ああ、と佐山はしゃがんで貘を確保、頭の上に乗せてやれば蹄のある四肢で頭髪にしがみついてくる。
「全竜交渉の助けになる、って言ってたね。夢という形で過去を見せるとか何とか・・・」
「どのような過去を見せるというのか。・・・ろくな過去は無いだろうに」
414なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:25:01 ID:/O+Q1Eh1
 そこでふと新庄が俯いているのを見た。何だろうか、と歩きつつ眺めれば向こうがそれに気付き、
「あ、御免ね? ボクは佐山君の事何も知らないな、って思って。・・・十年前の事とか」
「そう言えば話していなかったか。父はIAIの救助隊として関西へ赴き――」
 佐山は続けようとした。しかし、言わなくていいよ、と新庄がそれを止める。
「狭心症があるんでしょ? ・・・あんまり言わない方がいい」
「別に私は構わないが」
「じゃあ構ってよ。家族の事とか自分の事とか・・・そんな他人みたいに言わないで」
「――何故君は、そんなに気にするのかね?」
 佐山は新庄に問う。どうして他人の考え方を気にするのか、と。それに対して新庄は、
「・・・ボクね? 六歳より前の記憶が無いんだよ」
 新庄は告白する。
「親とか自分の事も解んなくて・・・残ってたのは名前と、清しこの夜っていう歌。後はこの指輪だけ」
 そう言って新庄は右手を上げて見せる。その中指にあるのは男物の指輪だ。
「君のと似てるよね。・・・何か知らないかな?」
「残念だが心当たりはないな。今のご時世、ファッションで指輪をする者も多い。・・・しかし、それを探ってどうする? 親の事など知っても面白い事は何もないよ」
「そ、それは知ってる事が当然の人だから言えるんだよ」
 何も知らないボクには、と新庄は続け、しかしそこで口を閉ざす。そして次に出るのは、
「・・・ごめん」
 という謝罪の呟きだ。
「何故謝るのかね」
「だって、こんなの押し付けだもん。・・・佐山君にとっては」
 つい先ほど会ったばかりの人間が親や考え方を改めさせようとした、そう言いたいのだろうか。
・・・君は正しいのに、何故自分が間違っているような顔をするのか・・・
 佐山は思い、そして口を開く。普段なら、解ってもらえて有り難い、という筈の場面だが、
「――そんな事はない」
 紡がれたのはその一語だった。それを聞いた新庄は微笑み、
「ありがとう」
 新庄の返事に佐山は頷く。そして気付けば正門に辿り着いていた。開いた門からは道路と森林が見える。
「ともあれ私が今考えるべきは―――全竜交渉を受けるかどうか、だね」
「でも全竜交渉はただの交渉じゃないよ? 引き受ければ相手と戦う事だってある。・・・あの人狼みたいな、必死な人達と」
 必死、それについて佐山が思う事は一つだ。
・・・彼に対して私は、必死だっただろうか・・・?
 答えは否だ。そうなる前に決着は奪われ、またその時佐山は思ったからだ。自分は間違っている、と。
「大城さんが言うには、あの人狼は1stーG居留地に行ってらしいよ。ボク達が動き出した事に気付いて、和平派を引き込もうとしたみたい」
「わざわざ敵地の中央まで来て、か。・・・何が人を危険な道を行かせるのか」
「それは・・・」
「言葉では表せない何か、かな? 御老体は明日に皇居で概念戦争の始まりを見せ、明後日には事前交渉として1stーGの和平派代表と会わせると言っていたが」
415なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:26:57 ID:/O+Q1Eh1
 それだけならば受ける気はなかった。しかし山中で見た過激派には興味を得た。
・・・本気の者同士が必死を持ってぶつかる場所、か・・・
「力を用いれば遺恨が生じる。しかしそうでなければ納得出来ない者達もいる。――矛盾を抱えた交渉だね」
 だから私が選ばれたのか、と佐山が呟けば、新庄がこちらを覗き込んできた。
「何で、だから、なの? 何を持って佐山君が選ばれたの?」
「祖父が常々言っていた事さ、佐山の姓は悪役を任ずる、と。・・・つまり汚れ役が必要なのさ、そういう馬鹿な連中を叩き潰す為の」
 自分はそれを望まれている、と思い、果たせるだろうか、とも思う。熟考していると、向こうから車のライトが近付いてきた。それを見た新庄が、
「うぁ、窓まで黒い高級車だ!? ・・・凄い待遇だけど、家族の人?」
「祖父の形見の様なものだ、自らの力で得たものではないよ。・・・君には」
 いないのか、そう続けようとして佐山は言いよどむ。それに新庄は僅かに逡巡した後、
「大丈夫、ボクにも・・・弟がいるよ。双子のが」
 そうか、と佐山は頷き、そして車が側まで来たのを見て、潮時か、と判断する。
「見送ってくれてありがとう、新庄・・・」
 名前まで呼ぼうとして、姓しか知らない事を思い出した。密度のある一時を過ごした割に薄い付き合いだ、と思い、
「運。――新庄・運だよ。」
 助け舟を出す様に、新庄は己の名前を苦笑と共に明かす。佐山は、そうか、と笑みを返し、
「・・・では、また明日、かね? 新庄・運君」
「うん。・・・また、明日」
 新庄の応えが別れの合図となった。






―CHARACTER―

NEME:ブレンヒルト・シルト
CLASS:美術部次期部長
FEITH:1stーGの魔女
416なのは×終わクロ:2007/10/11(木) 06:33:08 ID:/O+Q1Eh1
という感じで一本投下ー。
書いてみて解ったんすが、今回までが「起」でした。本格的なお話の展開は次回から、って感じになりそう。
そして今回からとある仕掛けを始動、よろしければお楽しみにー。
417なの魂 劇場版:2007/10/11(木) 07:31:16 ID:nj1U+VOQ
※BGMはDOES「修羅」でお楽しみください


熱烈なファンの声に
ついに……
映 画 化 !

その刀は――
人の生き血を吸うという――

「妖刀……か。だが、我が魔剣の敵ではないな」
「……だといいんだがな」

その魔導書は――
人の魂を吸うという――

「どうして……どうして分かってくれないんですか、銀さん!!」
「…俺ァ、俺の護りてーもん護るだけだ。今も……そしてこれからもな」

銀時に迫る危機
高杉晋作、再び

「……二度と俺達を同志なんて呼ぶんじゃねぇ。そんな甘っちょろいモンじゃねーんだよ、俺達は」

そして最悪のタイミングで甦る悪夢
ロストロギア、闇の書

「永遠の眠りにつく前くらい、せめて幸せにしてやりたかった…。……偽善だな」



これ以上の望みなど、何も無かった――

「なんで…なんでやねん……なんでこんな…………っ!!」


始まりは皆、同じだった――

「奴が……一番この世界を憎んでいるはずの『奴』が耐えているのに…俺達に何が出来る!」
418なの魂 劇場版:2007/10/11(木) 07:32:18 ID:nj1U+VOQ





――身体の奥底に眠る、戦いの記憶が甦ったというのか…

「ヴォルケンリッターが将、シグナム……」

「鉄槌の騎士、ヴィータ…」

「微力ながら、助太刀致す」



――忘れたらあかん…あなたのマスターは、今は私や

「俺は……国どころか、友一人変えることもままならん弱い男だ。
 だが、少女一人の運命くらいは…変えてみせる!!」

「……よぉ、嬢ちゃん。引き篭もりはもう終いか?
 …いつまでもかーちゃんのスネ齧ってねーで、いい加減親孝行の一つでもしやがれェェェェェェ!!!!!」



あの興奮が大スクリーンで甦る!!


劇場版 なの魂
   〜闇夜の蟲は夜天に舞う〜





「とりあえず何。ケツとか触ってもいーの?」

「斬り殺されたいのか貴様はっ!」


20XX年12月24日公開!
419なの魂の人:2007/10/11(木) 07:33:29 ID:nj1U+VOQ
75話見てたら突然書きたくなった。
一発ネタだから一回の投下で済むだろうと油断してた
今では反省している
420リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:28:48 ID:lgV8piGJ
>417〜418
GJ!

遅れながらも
湾岸3話後編が出来たので投下します。
421リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:30:13 ID:lgV8piGJ
「はやて。後でまたかけるから、今日はこれで!」
<え、、、えええっ!?ちょっと!フェイトちゃ・・>
ピッ
『ごめんなさい、はやて……』
そう言い通信を切ると、視線を目の前に移す。
「来た!」


意味の無いことかもしれない
でも、あの姿を見てしまった以上、
もう引き返せない感じがした。
もし、あの車とツーリングできたら何か自分の知らない不思議なことが起こるのだろうか?
そんな期待も少しはしていた。
まだ誰も見たことが無い「速さ」の限界、
しかし、それは一歩間違えたら全てが終わるデスゲーム。
好奇心を取るか、存命を取るか、
私自分の命を削った遊び。
ああ、この世界は「自己責任」の上で成り立っているんだな…。


バックミラーを見る。
やはりだ。轟音を響かせる咆哮のようなエンジン音。
そして、ミッドナイトブルーの鋭い眼差しのようなボディ。
「白い車?あのZと同じ速さで走っていると言うことは?」
昨日とは違って今日は連れがいるらしい。
その証拠に悪魔のZとほぼ同速度で後ろからついていってる白い車がいるからだ。
「もしかしてあの車……仲間?」
422リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:34:40 ID:lgV8piGJ
『分析の結果、日産製スカイラインGT−RのR32型です』
「スカイライン?……聞いたことがある」
2568ccの直列6気筒4バルブDOHCエンジンに2基のセラミックス製ツインターボ(RB26DETT型)を搭載し、FRをベースとしつつも、高度な電子制御によって4輪に自在に駆動力を配分できる4輪駆動システム(テーサE−TS)を搭載する4輪駆動車である。
今夜は眠れない夜になるだろう。
今、月夜の夜に3匹の獣が舞う。

運命(フェイト)B 後編
湾岸線の大井ランプを通過した。
深夜の首都高、特に夜湾岸線は基本的にはガラガラに近いというわけでもなく、そんなにどばっと多いわけでもない。
この時間帯には○○宅急便とか、××運送など、運送業者のトラックが多い。
車がいないエリアを確認しつつ、少しずつスピードを上げていく。
アラート発令の時の車の飛ばし具合。
それに匹敵する、いや、それ以上のスピードで目の前に映る一般者とトラックの間を縫う様に抜ける。
時々ちらっとバックミラーを見るが、2台に変化は無い。
まるで通じ合っているかのようにフェラーリの後方で白い車がZを追いかける、いわゆるツーリングをしていた。
「すごい、まるでテレパシーでも通じてるみたい……」
現に魔法で仲間と交信できるフェイトにとってその現象は少々無理はあるものの、不思議に思った。
423リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:37:53 ID:lgV8piGJ
アキオは無言で前を見据えながらZを走らせる。
次第にアクセルを踏む足の力が強くなり、猛スピードのままカーブも難なく曲がっていった時、前方にフェラーリが映った。
『フェラーリ……テスタロッサ?』
白いフェラーリ。
一般車両が静止した障害物に見える中でただ一台、仲間外れの速さで走っている車。
まるで、こちらを挑発しているかのようにテンポ良く車の間を抜ける。
フェラーリを見るのは初めてではなく、前(というか結構前になる)に今、後方で白いGT−Rを走らせているれいなのカメラマンの顔が思い浮かぶ。
『イシダさんが走っているわけがない。でも誰が?』
前に見たテスタの保有者、イシダこと売れっ子カメラマンの『イシダヨシアキ』は湾岸線一緒に走っている途中でZが事故に遭った後、持病のがんの手術後、最高速から身を引いている(注1)。
Zを操りながら注意深く車を観察すると、何かに気がついた。
『ハザード(非常点滅表示灯)が点いてない。もしかして、初めて?』
好戦的な走り屋なら『挑発』の意味にとらえ、普通の使い方以外なら『挑戦状』の意味にもなるハザードランプ。
周りとは違うスピードが出てるのは単に自分のスタイルで走りたいからだろうか。
どうもフェラーリの走りは好戦的とはとらえにくい。
『どうしようか……』
多分れいなも同じ気持ちだろう。
しかし、すぐ答えは出た。

424リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:42:20 ID:lgV8piGJ
フェイトもなかなか仕掛けてこないZに少し焦りを見せていた。
とりあえずレインボーブリッジを超え、羽田まで引っ張るも、一向に離れない。
すると、
『Zが接近中!約時速300キロで迫ってきます!』
「時速300!?」
驚いた。この時代にこんなつぎはぎだらけの首都高で300キロ以上を出しながら駆け抜けるとは・・・
勝負を仕掛けてきたのだ。
カーブで振り切ろうとハンドルを振るが、一向に離れずそれどころかフェラーリとの間を縮めていく。
「カーブなのに減速しないの!?危ないわ!」
『人の事言えませんね……』と突っ込みたくなったが今のフェイトはものすごい変な事にピリピリしているからよしておいた。

アキオはスピードを出しながら距離を確認する。
こちらから打って出たのだ。
『!?』
フェラーリとZが横に並んだ時、アキオはふっとドライバーを見た。
シートの座高以上もありそうな長い金髪の髪、まるでハリウッドの女優のような高貴で端正な美しいが、少し幼さも隠す顔立ち。
胸に何か熱い思いを秘めている赤い真紅の瞳。
それは、いつも車のことばっかり考えているアキオをも見とれてしまう美しさであった。
どこかで見たことがある。確か…
『あ、そういえば、あの時……』
アキオは何かを思い出した。
425リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:45:38 ID:lgV8piGJ
それはバイトが終わり身支度を終えて、Zを取りに行った時の北見の保有するガレージにて。
「……ということだ、お前が心配してたカムシャフト(注2)部に異常は無かったから前より良くなってるはずだ」
「そうですか……ありがとうございます」
ガレージに入りZの状態を知らされ、そんなにたいした事が無く安心してた時のこと。
「ん?」
アキオは北見がエンジンを組むときに使う作業台の上で何やら小さな長方形の紙を発見する。
名前と学校名の他に綺麗な金髪の長い髪の女性の映った写真が入っていた。
「え〜っと。『フェイト・T(テスタロッサ)・ハラウオン』……」
「ああ。そいつか?」 
Zの最終チェックをしている最中の北見が言った。
「誰ですか?この人」
「『探し物をしてるから協力してくれ」ってサ」
「そうですか。しかし、綺麗な人ですね。れいなをも負かしそうなくらいに」
「くくく…でも『綺麗な薔薇には棘がある』からナ。気をつけな」
冗談ぽく北見が言う。
間違いない。
この人だ。昼にガレージを訪ねてきたのは。


その傍ら
GT−Rの後方についてくる車が一台。
「おっ。今日はツイてるぜ!占いのご利益ってか!?」
男はハイテンションでR44、通称ハコスカを操っていた
「待ってたぜ、『悪魔のZ』!」
そう言い、中央のボタンを押す。
「この日をずっと待っていた!ブーストアーップ!」
すると、エンジンの音色が変わり、そして、車のスピードがケタ違いにアップした。
「ターボブーストの500馬力、受けてみろ!」

426爆発戦隊 俺が正義だ、俺が法律だ:2007/10/11(木) 08:47:51 ID:QY7bRq0Z
>>330
カーロボットも行けそうだな、サイバトロン次元パトロール隊の設定を活かせればな!!
427リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:49:01 ID:lgV8piGJ
「ダメ……抜かれる!」
Zが隣に並び、フェイトは諦めかける。
やはり、あのときの二の舞になるのか……。
それはそうだ。この当時無敵のL28、ツインターボ搭載のエンジンに対し、
近未来世界のフェラーリのクリーン式ノーマルエンジンが挑むのは竹槍でB29戦闘機を落とすようなものだ。
もはやこれまでかと思った、その時……。
『マスター!後方に高速車接近。危険です!』
バルディッシュから警告が流れた。
「くっ……あの白い車ね……」
後方からだから多分そうだろう。
『違います!GT−Rの後方からです!』
「何ですって!?」
バックミラーを咄嗟に見る。
レトロな風貌の車が猛スピードで迫る。
『同じくスカイライン、通称ハコスカです!』
「ハコスカ?」
R44。通称『ハコスカ』
C10型のスカイラインの仲間であり、バルクヘッド前よりホイールベースを延長。エンジンはプリンスではなく、日産系の直列6気筒、OHC、2000ccのL20型エンジンを搭載する。
この車をコンセプトとして発売されたのが今自分の後方で走っているGT−R32である。
ハコスカが白いR32を抜き、フェイトは前へ行かせまいとブロックするように左右にハンドルを振るが、既に遅く、気が付いた時にはフェラーリの前方を走っていた。
「うそ…」
自分の車はあの車の足元にも及ばないのか。
そう考えるとZ以上の嫌悪感が漂う。

しかし、この後彼女はこの車の衝撃的な様を知ることになる。

428リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:53:33 ID:lgV8piGJ
GT−R、フェラーリを抜いたことで調子に乗ったのか、続けて悪魔のZをあっさりと抜く。
まるで勝ち誇ったようにスピードを上げたが、
横羽線のS字カーブ、その入り口付近を曲がろうとしたハコスカが突然スピンを起こし突如として制御不能に陥った。
「うあああああああ―――!」
そのままハコスカはガードレールに激突し、フレームが大きく変形させながら跳ね、ボンネットが開き、そのまま停まるとガソリンが電気系統に引火し、炎上した。
その様はまるで炎の中に取り残され、夜空に向かってほえる獣のようだ……

「きゃあ!」
まるで紙屑の様に跳ねるハコスカを見て思わず悲鳴を上げる。
何とかレーンチェンジして巻き添えを食らう事は無かったが事故によって少々精神が乱れた。
助けに行きたくてもこんな中でどう助けを求めればいいのか……
「ひどい……」
運動に関連する公式に当てはめてみても中の人間は到底助からないだろう。
ハンドルを持ったら自己責任の上で車を走らせなければならないから当然の事と言える。
罪悪感に押されながらもそのまま無視して横羽線をZを追いかけるように走り抜けた。

429リリカル湾岸:2007/10/11(木) 08:58:20 ID:lgV8piGJ
Zはこれからどうするのか?
そう考え前方のZをみると、なにやらハサードランプをチカチカ点灯させながらまるでこちらを誘導するかのように羽田ランプから首都高を降りる。
「『ついて来い』って言ってるのかしら?」
ラジオの交通情報はさっきの事故の状況が流れ、一緒に走っていた自分とZと白いRを捕まえるため各料金所に検問を設置すると言う。
「やれやれ……本来なら調査する側の私が今度は加害者になるとは……」
Zは事故が起こったことでもう首都高は当分の間走れないと判断したのだろう。
少なくともZと白いRはこの自分よりも首都高に詳しいと知る。
当然、規制回避のプロセスも分かっているのだろう。
フェイトはZに競争意識が無いことを確認しつつ、Zの後をついて行った。

「私には、わからない……」
意味が分からなかった。

どうしてドライバーはZでこんな危険な遊びをするのか……

なんで?なんで貴方はこんな危険なことをするの?
下手したらあの車のように木っ端微塵に砕け散るかもしれないのに……

(END)

(注1)湾岸ミッドナイト、第3巻参照
(注2)エンジンを構成する部品の一つ。カムと呼ばれる部品で構成される『エンジンの心臓部』とも言われる部品。

430リリカル湾岸:2007/10/11(木) 09:12:04 ID:lgV8piGJ
(次回予告)
引きつけられるように。
呼び合うように。
選ばれし冒険者が集まっていく。
約束された大地で待つあの車を見るために……

すべては、あの悪魔の先を走るために……

次回、魔法少女リリカル湾岸ミッドナイト
SERIES#2  その車、危険につき@
「あたしはただ、あの車について行きたいだけなの」

(あとがき)
まず、この湾岸クロスSSを読んでくださった皆さん。ありがとうございます。

はあ……やはり車を壊すのは気が引けるなあ。(ハコスカ乗りの人はごめんなさい)
でも、悪魔のZは何回も大破しているからいいとして、
投下時期タイミングがつかめなくて遅れました。
予定より長くなった感じがする。
SERIES#1 運命(フェイト)はこれで終わりです。
次回シリーズからフェイトとアキオ、レイナの対話。
そして、今後はあの帝王がついに・・・。

しかし、
湾岸を書いている途中で他のクロスも思い浮かんでしまった。
こちらはできたら不定期で投下します。(湾岸も不定期な感じがするが……(汗))

431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 09:47:19 ID:DwADgqrR
誤字報告 テーサE−TSじゃなくて アテーサ です

それにしてもクリーンノーマルエンジンとはいえ腐ってもフェラーリエンジン
まあでもテスタロッサはコンスタントに300を維持できるマシーンじゃないからなー
流石は悪魔のZと言うべきか
432リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ :2007/10/11(木) 17:48:31 ID:HzvUzfQr
>>リリカル湾岸
GJです!
リリスクの四十一話投下しようと思ったけど感想レスまだ出揃って無いみたいなんで出直しますね。
でもあんま時間無いんで九時ごろまてに投下できなかったら
投下は三日後になるかもです。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 18:31:03 ID:CKGV0n6L
<<リリカル湾岸 <<なのは×終わクロ <<なの魂 (敬称略)
みなさんGJっス。
朝から投下数多くてお父さんうれしいよ
434魔装機神:2007/10/11(木) 18:39:45 ID:GaiOMG7g
投下いいですか?
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 18:44:49 ID:J1sGiG+r
道は空いています! GO! GO! GO!
436魔装機神:2007/10/11(木) 18:48:39 ID:GaiOMG7g
SHADOW NANOHA STS 4 「ごめんんさいは?」

「なんなのだこの騒ぎは!?」
ここは管理局地上本部。
レジアス・ゲイズは近くで起きている異変に気付く。
なにやらは依拠後が騒がしいのだ。
「どうやら市街の近くで戦闘が起きているようですね」
その横で、彼の秘書であるオーリスが現状を説明する。
「動いているのは……起動ろ過と言うところです」
「機動六課だと?そんな組織は知らんぞ?」
最近設営されている課みたいです。所属は本局で部隊長は……八神はやて」
「八神はやてだと!あの八神はやてか!?オロチの血に狂ったりする!!」
「中将、このクロス元がギャグが多いとはいえ、それは流石にないと思います」
「そうか…すまん」
そういう謎のやり取りをしたあと、深いため息をするレジアス。
「しかし八神はやて……犯罪者が作った部署か」
そのレジアスの言葉にオーリスは言う。
「家、既に彼女の刑期ッは終わっています。
「そういう問題ではない!」
少々イラつかせながらレジアスは言う。
「わかりましたが公の間ではそういう言語は慎んでください」
「わかっている」
レジアスはそういって再度も煮yターを見るのだった。

ウル達は外へ出た後、すぐにさっきの女達を見つけて駆け寄る。
その時、何も抵抗がなかったのが不思議だが、おそらくウルが元に戻ったのを見て驚いたのだろう。
「はあ、子供をいじめているみてえでいい気分はしねーが、市街地での危険魔法使用に公務執行妨害。
その他もろもろで逮捕する」
ヴィータがそういうと同時にリィンフォースがバインドで正体不明者を拘束する。
「さあてお前ら、その前に俺達に言う事があるんじゃないのか?」
そのとき、ウルがまえにでて言葉に睨むノーヴェ。
「なにがだ?」
わかんない?とウルは言ってノーヴェの前に行く。
「ごめんなさいは?」
「は?」
いきなりのウルの言葉に盛大な?マークをつけるノーヴェ。
「これだけ人様を騒がせといて、謝りもしないのかって言ってんだよ」
「な!?」
完全になめられていると思い、ノーヴェはカッとなる。
「ふざけるな!!」
ノーヴェはウルの殴りかかろうとするが、バインドがなかなか取れない。
(おちつけノーヴェ)
(チンク姉……)
(もしもの時の準備はしてある。姉を信じろ)
437魔装機神:2007/10/11(木) 18:50:09 ID:GaiOMG7g
ノーヴェは周囲を見ると、ルーテシアも表情を変えずにウル達を見ていた。
その時、ノーヴェはある事に気付く。
地面から人差し指をさした状態腕が生えていて、それはゆっくりと赤髪の男が持っているレリックケースに近づく。
(セイン?)
なるほど、さっきからチンクやルーテシアが冷静でいられたのはこういうことか……
だがまてよ……何で自分だけ知らされてないのか……
しかし、ノーヴェが何か考えているうちにそのセインという者の手はゆっくりとレリックケースを持っているエリオに近づく。
まず最初にそれに気付いたのはエリオのやや後ろにいたキャロだった。
キャロは囲まれているのにもかかわらず向こうの少女達は動揺一つ見せない。
その時、視線に妙なものが移る。
何か液体のようなものが移動していて、それが移動している。
そしてそれはゆっくりとエリオに近づく。
「エリオ君、下!」
キャロの声でエリオが気付く。
しかし既に遅く、そこから青い髪をした女性が現れ、エリオからケースをかすめとった。
「っつ」
そのとき、ナイフのようなものでエリオの手に傷をつける。
「みんな固まれーー!」
セインの声にみんなが一箇所に集まる。
そして、その周囲に魔法陣が浮かぶ。
「させるか!」
ヴィータは自分の相棒、グラーフアイゼンを構える。
「させん」
その時、みんなの周囲にナイフが出現する。
そしてそれをヴィータたちの周囲に浴びせる。
そして起こった爆風が視界をさえぎる。
その間にセインによってチンク達は場所を移動する。
その時、ルーテシアはヴィータを見る。
「また、あなたは守れない」
「何?」
そういい残して、正体不明の者たちは消えていった。
また守れないとはどういう意味なのだろうか……
「まさか……」
ヴィータはここで一つのことに気付く。
今シャマルが乗っているストームレイダーはシグナムが載っているからおそらくは大丈夫だろう。
そのときだった。
「ストームレイダーの近くに巨大な魔力反応を確認!魔力反応はSランク相当!!」
シャーリーからの通信でヴィータはストームレイダーのほうを見た。

「ディエチちゃん、準備はOK?」
「チャージも完了、いいよクアットロ。いつでも撃てる」
シグナムのちょうど司会になっているところに、先ほどのノーヴェとチンクと同じスーツを着ている女性が二人。
眼鏡をかけている女性、クアットロはいそいそとコンソールを動かす。
そのデータを巨大な砲門を構えたディエチは標準をストームレイダーを見据える。
「けど……本当に撃ってもいいの?あれが本当に聖王の器だったら……」
ディエチは疑問をクアットロに尋ねるが……クアットロは眼鏡をくいッと戻して言う。
438魔装機神:2007/10/11(木) 18:52:50 ID:GaiOMG7g
「問題ないわよ、これぐらいで死んだら、所詮それまでだからってドクターも言ってたし……」
クアットロの言葉にわかったといって、再度スコープに目をやるディエチ。
「それじゃあディエチちゃん、どかーんと一発撃っちゃいなさい!」
「わかった……」
ディエチはターゲットをストームレイダーに標準をいいれる。
「発射」
そしてディエチはトリガーを引く。
そして膨大な魔力が放たれる。

「く、どうやって隠れてた!?」
シグナムはいきなり感知された魔力の方角を見る。
「レヴァンティン、カートリッジロード!!」
「ja」
レヴァンティンの周囲に炎が渦巻く。
それと同時に名はたれる魔力。
「どのようなものであろうと……そのままたたッ斬る!」
シグナムはその魔力のほうへと直進しようとした。
(シグナムさん下がって!)
そのときには何かがシグナムの前にさえぎり、その砲撃を受けた。

「シグナム!」
だが、そんなやり取りを知らないヴィータ達は、てっきりシグナムに砲撃が直撃したように見えた。
(また、あなたは守れない)
先ほどの少女が言った言葉。
そして思い出される8年前の出来事。
「あ…ああ……」
唖然とするヴィータ。

「あーら残念。せっかくあのヘリを狙ってたのに・まさか自分が盾になるなんて」
はぁ、とため息を血手クアットロが命中したほうを見る。
「どうする?2発目も準備しようとすれば出来るけど……」
ディアチは2発目の準備に取り掛かろうとしている。
その時、クアットロのモニターから信じられないものが移る。
「こちらスターズ1、ストームレイダーとライトニング2の防御に成功!」
爆煙が消え、そこにはストームレイダーとシグナムを守るようにたたずむスターズ1、高町なのは。
「ここは、すたこらさっさと引いたほうがよさそうね」
状況を見て、クアットロはディアチを抱えて逃げようとしたときだった。
二人の周囲に雷撃が襲う。
その後、二人の後ろにある人物が現れる。
管理局機動六課、フェイト・T・ハラオウンです。」
ライトニング1、フェイト・T・ハラオウンが相棒であるバルディッシュを二人に構える。
スターズ1、ライトニング1。二人のエースにはさまれてしまった。
「あなた達を拘束させてもらいます」
フェイトはそういって二人にバインドをかけようとしたときだった。
「そうは問屋が卸さないっす!」
439魔装機神:2007/10/11(木) 18:55:43 ID:GaiOMG7g
その時、フェイトに謎の攻撃が襲う。
「なに!?」
フェイトはそれを回避するが、その間に逃げようとする二人。
「甘い!」
その隙をなのはは攻撃しようとする。
しかし、そのときにはなぜたクアットロとディエチの数が急激に増えた。
「幻術……」
なのはは一瞬とまどう……。
しかし……
「フェイトちゃん下がって!幻術だろうがなんだろうが……全部まとめて吹き飛ばす!!」
そういってなのはは大出力の魔力を放出する。
「ディバイィィン……バスターーー!!」
旗なれた魔力はすべての幻術を飲み込む。
仏ならこれで喜ぶところだが……
「やっぱり逃げられた……」
なのはは苦々しく砲撃跡を見る。
勿論非殺傷設定の魔力ダメージのみで放った。
なのに人っ子一人見当たらなかった。

「助かったわあウェンディちゃん。ありがとうねえ」
「ありがとう、ウェンディ」
何とかなのは達を巻いたクアットロ達は、一息つきながら横にいるウェンディと言う赤い髪をしている元気そうな少女をみる。
「いやいや、こっちも間に合ってよかったすよ。セイン姉やチンク姉のほうもレリックの回収に成功して、ルーテシアお嬢様の転移魔法で先に戻ったみたいっすから」
そう、とクアットロは空を見る。
「それでは私達も戻るとしよう。これ以上は難しい」
「早くしないとここもばれるかもしれない」
3人の前に二人組みの女性が出現する。
「トーレお姉さまにセッテちゃん」
クアットロは姉のトーレと妹のセッテを見る。
「すぐセインたちを送ったルーテシア嬢がこっちに来るよていだ」
トーレの言葉にほっとする一同。
そのときだった。
「お前ら、人が寝ているときにギャーギャー騒ぐなっち!昼寝の邪魔だっち!」
不意にどこからか声が聞こえたので一度は構える。
別の管理局員なのだろうか……
だが、どこにもいない。
おかしいともってトーレはサーチを開始する。
「上?だがこれは……」
そういってトーレは上を向く。
そこには……
「こ……コウモリっすか?しかも金色の……」
ウェンディはあっけにとられながらその金色コウモリを見る。
「そうだっち、金色ピカピカだっち!コウモリがピカピカじゃだめだらか?ええ!?」
金色のコウモリは昼寝の邪魔をされてちょっと不機嫌らしい。
「これ、ドクターにもって帰ったら面白そうだと思うっすけど、トーレ姉はどう思うっすか?」
440魔装機神:2007/10/11(木) 18:58:26 ID:GaiOMG7g
ウェンディはその金色コウモリに指差しながら尋ねる。
トーレはふむと考える。
今はあまり暴れるのは得策ではない。
だが、このまま失敗して手ぶらで帰るのもどうかとおもう。
「人を指差すなっち!それに、俺にはヨアヒム・ヴァレンティーナって言うちゃんとした名前があるだら!」
そのコウモリ、ヨアヒムはムキになって答える。
「そうか、ならヨアヒムといったな、ちょっとついてきてもらう」
そういって、トーレは構える。
それに続いて他の妹達も同様に構える。
どうせコウモリ1匹、すぐに捕まえれる。
そう思っていた。
「何!?やるだらか?ならやってやるだっち!」
そういってヨアヒムは日か輝く。
そしてそこに現れたのはコウモリではなく、意外と美形で、筋肉隆々の男だった。

投下完了。
今回はウェンディ、そして我らがヨアヒムさんの登場です。
青森弁ってこれでよかったか?
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:03:27 ID:727UPET4
>>417-418
「修羅」は神ED。
しかしこれどういう展開よ?すげー気になるんですけどw
何気にヅラカコイイし。
442リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/11(木) 20:19:48 ID:iJ8/sCsE
>>魔装機神氏
ノーヴェとチンクが登場するとはGJっす。
スバルがノーヴェを見て何かを感じたのが気に成ります。
ウルの能力がキチンと説明されていてわかりやすかったです。
続けて次回の感想
シグナムが働いてる!?
この時期に機動済みのナンバーズが沢山出ててGJっす!
最後のコウモリが誰なのか調べてみるっす!
それと、一度読み直してみると簡単な誤字があるので投下前にチェックしてみると良いかも?

>>リリカル・パニック ◆v8WgPpvslE氏
GJっす!続き待ってました。
ヴィータの同行(トランクに侵入だが)で宗介との会話が気に成ります。
かなめとの会話で吹っ切れた宗介のアーバレストの活躍が楽しみです。
もちろん、なのは達の活躍も楽しみです!

>>なのはVSボウケン(LYRICAL THAN BLACK)氏
黒のタラシ能力が存分に発揮されてる!
なのはの唇を奪うとは、流石としか言いようが無い!
でも、黒とのキスは死亡フラグが付き纏う(汗)
今後の話が楽しみです!

>>なの魂氏
Nice Variety show
銀さんたちと八神一家のすき焼き争奪戦は良い物だ。
レヴァンティンを木刀で防ぐ銀さんの力は脅威w

>>リリカルなのはBsts氏
相変わらずの良いギャグありがとう。
ビックコンボイなど、コンボイズの活躍が多いですね!
リィンフォースIIとリィンフォースとの会話もGJ。

>>マスカレード氏
最初ッからコーラサワーネタでクライマックスだぜ!(笑)
フェイトの怒りと加賀美の怒りを一身に受ける天道は男だぜ。
草加の腹黒さは天下一品!
そして、巧のファイズアクセルの戦闘シーンがGJっす。
最後のラッキーチャンネルも良い感じです!


さて、この頃投下してない自分ですが日曜日にはリリカルガオガイガー投下します。
あの第8話をどう再構成するか悩みながら書いてて時間がかかる&ガンダム00の放送で筆記スピードダウン(汗)
更にFF11やってて(ry
あと、ネタ元が分らなくて感想書けなかった職人さん方に敬礼!ハレルヤ、今後とも頑張って下さい。
443リリカル湾岸:2007/10/11(木) 20:21:57 ID:lgV8piGJ
>431
誤字の指摘、ありがとうございます。

>魔装機神氏
GJです!
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:52:15 ID:KD/Z13Vb
中将は正直だなあwww
445名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:37:19 ID:UOeJ8rOf
EDF×なのはのクロスがあると聞いて飛んできました。
保守
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:26:45 ID:+WCpHWMc
相変わらず誤字多すぎ。せめて推敲してから投下しようよ・・・。
447名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:23:43 ID:H7FPaKtr
本日最後を狙って投下してもよろしいでしょうか。

なにもなければ投下って事で
448名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:25:06 ID:E5dwh+Rs
エンゲージ!
449白き異界の魔王:2007/10/11(木) 23:27:24 ID:H7FPaKtr
空:八神はやて
視界を覆う蝗の群れという光景は人を容易に恐怖にたたき込む。
十分な戦闘訓練を受けたはずのはやても例外ではなかった。
複眼、無機質な顔、固い殻。
数え切れないそれらが目に飛び込んできたとき、はやては呆然としてしまう。
蝗は一斉にはやてにたかる。
バリアジャケットを噛みちぎり、ついにははやての頬にその顎を突き立てた。
鋭い痛みが走り、ぬるりと生暖かいものが顎の下までしたたる。
皮肉にもそれがはやてに正気を取り戻させた。
魔力の大半をバリアジャケットに回す。
強化されたバリアジャケットがぼんやりと光り、体にたかる蝗がわずかに後退すると、腕と足をめちゃくちゃにばたつかせてまとわりつく蝗を振り落とした。
ほっとする暇もない。次の蝗がさらにはやての体にとりつこうとする。
いくら手足を振っても蝗は諦めないし、いなくなりはしない。
そのうちに蝗がまたはやての体を覆い始める。
魔力を操る集中力も、体力も無限には続かない。
「ひいっ」
体のあちこちから蝗がバリアジャケットを削り取り、咀嚼する音が聞こえてきた。
まだ体には達しては痛いが、いつ再び体に蝗の顎が体に食らいつくかわからない。
そうやって蝗は魔導師に何より必要な精神力をもはやてから奪っていく。
「おえん、もう、あたし……おえんよ」
にげられない。諦められない。
だけど、涙を止めることは出来なかった。
死ぬのはもちろん怖い。
それ以上にもうみんなと会えなくなるのが怖い。
一緒にこの世界にやってきた、なのは、フェイト、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、ヴァイス。
クロノにクラウディアのクルー。
機動六課のみんな。
──それからシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リィン……あたしの家族、ヴォルケンリッター。
「ごめんな、もう会えんよ」
これ以上に哀しいことはない。


世界結界開口部ファー・ジ・アース側:緋室灯
わずかな空間の歪みとして認識される世界結界に開いた穴の直下に、砲身を真上に向けて緋室灯はエンジェルシードを構えていた。
本来、水平に飛ぶためのエンジェルシードは真上に向いたままの姿勢を保持するようにはできていない。
にもかかわらず緋室灯は不安定な姿勢のままいささかのブレも見せずに世界結界の向こうを見ようとしていた。
目標はただ1つ。世界結界の向こうにある機動六課の仲間がいる船、クラウディア。
灯の目は空間の歪みで霞むクラウディアを捕らえた。
「……展開」
空間よりロングレンジライフルのバレルが染み出る。
それはエンジェルシードの先に固定され長い砲身をさらに長くする。
バレルの先に幾重もの魔法陣が取り巻き甲高い音と共に光が灯る。
「……当てる」
トリガーと共に放たれた光が歪んだ空間を切り裂く。
射程は実に5000キロ。
空を駆けるそれは、威力の大半を減衰させながらも世界結界を抜ける。
クラウディアの中央に命中し、わずかに船体を揺らした。
光が通過した後は、船の姿がはっきりと見えるようになっていた。
世界結界を隔てて向こうとこちらが細く、長い穴でつながったのだ。
灯はすかさず背後の透明プラスチックのカバーをたたき割り、中にあるレバーを引いた。
エンジェルシード後部に据え付けられたコンテナが炸薬の爆発によりはけ飛び、中にあったものが飛び立つ。
それは、二つに分かれ片方はケーブルを引きながら世界結界の穴を抜けて向こうの世界に飛ぶ。
穴を抜けたところで二つのパーツは同時に花びらのようなアンテナを開き、ゆっくりと回転を始めた。
450白き異界の魔王:2007/10/11(木) 23:28:31 ID:H7FPaKtr
空:八神はやて
(…………ゃん)
──なんやろ、なんか聞こえる。
(…やてゃん)
──なんや、リィンの声やなんか。
(はややてゃん)
──でも、リィンがこないなとこにいるわけないしなぁ。
──幻聴かな。それもええかな。最期にリィンの声が聞けて……。
(なに言ってるんです!幻聴なんかじゃありません。本物のリィンです!)
確かな、強い念話が世界結界の向こう側から届いた。


クラウディア:リィンフォースU
クラウディア艦内はにわかにあわただしくなっていた。
とぎれていた定期通信のかわりに送られてくるようになった内火艇からのリアルタイム通信に対応すべく、艦内のクルー達がそれぞれの端末を操作している。
「詳しいことはわかりません。でも、次元障壁の向こうから砲撃があったんです」
艦の揺れが徐々に穏やかになる。
砲撃が命中した箇所も大した被害はないようだ。
「その後、人工衛星みたいなものが出て来て。それからこうやって通信が可能になったんです」
送信されてきたはやての身体状況、魔力状況をチェックする。
あまりよくはない。
むしろ後退した方がいいくらいだが、オペレーターが逐次報告してくるはやての周辺状況がそれを許してくれそうにない。
「とにかく、こちらからのオペレートを開始します。リンクを確立してください」
(了解や。よろしく頼むよ)
空間モニターに表示される情報が爆発的に増えていく。
リィン手を広げ、視覚ではなく感覚で情報を捕らえるべく目をつぶった。


世界結界開口部ファー・ジ・アース側:緋室灯
灯はディスプレイでアンテナの状況を確認する。
動作は正常。順調に情報交換が行われている。
灯が撃ち出したのは0−Phon用の中継アンテナの一種である。
アンゼロット城で緊急時に使われるものであるが、灯はそれを借りてきていた。黙って。
正、副の他、予備が幾つもあるので1つくらい借りてきてもかまわないだろう。たぶん。
このタイプは、二つのアンテナを物理的なケーブルで繋ぎ、異なる空間の境界での確実な通信を確保するタイプである。
灯はあらかじめティアナに0−Phonで念話と通信ができるように頼んである。
そのため、今は中継アンテナと0−Phonを経由してはやてとクラウディアの間で通信ができているはずだ。
気がかりなことは1つあった。
霊界経路を使う0-Phonであっても通常は月匣越しに通信は行えない。
だが、アニエスの月匣は開かれたものである。
灯は通信を阻害するものではないと考えた。
可能かどうかは賭けであったが、うまくいった。
通信を確保した灯に残された役目は後一つ。
このアンテナを死守することだ。
灯は彼方で少しずつ濃くなっていく緑の霧に銃口を向けた。
それは紛れもなくアニエスの蝗の群れだった。
451白き異界の魔王:2007/10/11(木) 23:29:37 ID:H7FPaKtr
空:八神はやて
はやては空に静かに浮いていた。
恐怖はすでにぬぐい去られている。
蝗がバリアジャケットを削っていく音はまだ聞こえるがそれも今は恐怖につながらない。
はやての後ろには今、クラウディアのスタッフがいる。
ヴァイスが内火艇で集めた周辺情報を元に最適な攻撃方法を割り出してくれる。
リィンもいる。
はやては今まで1人で行っていた魔力制御の一部を引き受けている。
そのためにできた余裕をはやては魔力行使に使う。
シュベルトクロイツを横に持ち魔力を蓄えていく。
「仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ。来よ、氷結の息吹」
魔力が水のようにするりと集まっていく。
「なあ、リィン」
はやては自分を支えてくれているもう1人のことを忘れずに伝える。
「衛星の繋がっとる先にあたしを助けてくれとる人がおるんよ。その人を助けて欲しいんよ。うちの守護騎士達に伝えて」
「誰なんですか?」
「緋室灯。こっちの世界に来てできたあたしらの友達や」
はやての頭上には氷の立方体が4つ。
蝗を押しのけて現れる。
「アーテム・デス・アイセス」
3つの光りが尾を引いて周りの蝗に飛ぶ。
残り1つは。
蝗に覆い尽くされたはやてに直撃した。


内火艇:ヴァイス・グランセニック
「5、4、3」
蝗の群れをかわしながらタイミングを計る。
「3、2、1」
0−Phonを繋いだ通信機から聞こえるクラウディアからの指示に従えばもう間もなくだ。
「0!」
ペダルを踏み、はやてを包む蝗の群れに突進する。
ただでさえ酷使しているエンジンがさらに悲鳴を上げた。
真っ黒な蝗の玉が突然、色を白く変える。
ヴァイスは白くなった蝗の玉に内火艇の壁面をこすらせた。
途端、玉はがらがらと崩れていく。
落ちていくのは無数の蝗を閉じこめた氷の破片。
崩れる玉の中から現れたのは、これも白い氷に覆われた人型。
ヴァイスはすれ違いざまにエンジンからの熱風で人型を軽くあぶる。
「ふぅー」
氷の破片をばらまきながらはやてが姿をあらわす。
今度は内火艇を振り回してはやての前に出る。
内火艇を盾にはやてが後ろに下がった。
「八神隊長。風邪は引いてませんよね」
「あたりまえや」
それでも少しびくっと震えたのは気のせいだろうか。
「ずいぶん、さぼってしまったみたいやな」
はやてが動けなかった間も蝗は増え続けている。
赤い月さえもかすれるようにしか見えない。
「これから巻き返すよ。でな、ヴァイス君」
「はい、なんですか」
なにか無茶を言われそうな気がした。
「あたしの魔法もしっかり避けてよ。気にかけてられんから」
はやてが新たな魔法陣を描き出す。
「そうだろうと思いましたよ」
ヴァイスの手で操縦桿が踊る。
内火艇はあり得ない機動で魔法も蝗もかわし続けた。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:30:15 ID:HMZ84NrF
支援
453白き異界の魔王:2007/10/11(木) 23:30:46 ID:H7FPaKtr
今回はここまでです。

なんか、このssの男どもは無理を強いられる運命にあるようです。
454名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:34:23 ID:5cIGeeaD
ちょwwwwあかりんなんてことをwwwww

リィン&ヴォルケンsにも出番あり&ありそうですね。GJです。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:08:01 ID:/mkPBD5l
何を言っているんだ、ヴァイスも柊も実にいい上司に恵まれて…あれ?
456名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:17:14 ID:Eiyna9sQ
今日思ったが、ヴァイスってヴァンパイア十字界のメリル森島に似てないか?
457名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:45:20 ID:h1oS2KZX
GJ!
毎日、これを楽しみにスレを開いてます。

…シグナムがレーヴァテインを見た時の反応が楽しみ。
そーいや柊はいつでも≪マリーシ≫(フェイト達のいるシーン指定)でミッドチルダとかにもいけるな…
柊、クアドラ、シグナム、アギト、ヴィオレットでパーティを組んでも面白いかも、神話的に。
458名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/12(金) 19:38:12 ID:+9zL1M3G
EDF氏マダー?
459名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 20:23:21 ID:hW6+iqTE
今日はまだ誰も来てないなあ…
種クロスの方も誰も来ないし、皆疲れてんのかねぇ…
460名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 20:29:47 ID:msSFiFUE
それにしても珍しい。こんな事はなかったんじゃないか?
まあ、せっかくだから皆さんにはGJと乙を送るぜ!
461名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 20:49:11 ID:fb+p0Y9S
みんな多分できてるんだろうけど、リリカル龍騎氏の更新がまだみたいだから気を使ってるんだろう
ただでさえ忙しいのに、一度にやる仕事をこれ以上増やす訳にも行くまい

仮面ライダーの人に至っては今までは2日に一回は更新してたんだから
462名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 20:57:39 ID:PZLB1qGu
EDF氏の降臨に期待してるのは俺だけじゃないはず…
463名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/12(金) 21:06:59 ID:+9zL1M3G
>>462
EDF氏が降臨するまで我々は気長に待ち続けるのだ!それが、我々ファンの役目だ!
464名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:09:23 ID:dnagAc66
なっかすっかりEDF氏のためのスレになってるな。
俺も待ってるけどなっ。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:11:09 ID:v6HCaAO6
EDFとDODを心よりお待ちしています
蟻とか赤さんとか絶望スキーにはもうたまらんwww
466名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:13:24 ID:EGpRf78X
どんな作品でも投下されたら盛り上がるのがこのスレの良い所
467名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:17:56 ID:UAixn7YL
キャロとカイムの対談が楽しみだな。通訳はアンヘルで。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:24:01 ID:fb+p0Y9S
>>466
でも実際ROM率の方が高い件
469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:25:19 ID:msSFiFUE
覚悟のススメ氏もよいぞ。全然雰囲気の違う作品と思ったが、両者の根底にある優しさは
共通していると思った。おかげで単行本も全巻買っちまったぜw
470名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:25:48 ID:dnagAc66
ついこの前は投下に反応する人がいないかほとんどいないのブラックホールみたいなことが起こってたしな
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:26:35 ID:91XPOt98
俺、EDF氏が降臨したらTHE・地球防衛軍タクティクスをプレイするんだ…
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:28:09 ID:cy9qVGRc
>>467
数々のSSで空気以下だったキャロについに日の目が当たる時が来たか。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:50:58 ID:UAixn7YL
力が強すぎることで追い出されたキャロが、カイムが振るう容赦なき暴力にどう反応するのかも
楽しみの一つです。そろそろ雑談に行ったほうがいいかな?
474名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:52:48 ID:AcAPqjYg
今思ったんだが、なのは達がもしカイムたちの世界に行ったらあの狂気に耐えられるのか?
見た感じ、なのは達って精神強いっていうか強がってるって感じだからやばくないか?
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:53:56 ID:wL1b4RBm
俺シャドハ好きだけどね。
誤字多いけど……
476名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 21:59:43 ID:v6HCaAO6
>>474
やばいねぇ…元の世界の住人でもやばいのに
妹or赤さん大進撃の時とかに遭遇しなかっのたは幸運と思うw
477名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 22:19:42 ID:pkrMWf7J
>>469
同意、悟空道とのクロスも無いかと期待してしまう。
あの一行ならエンディングを見た限り次元を越えて旅をしても可笑しくない。
悟空がとんでもないバランスクラッシャーだが、
…仏弟子という制限はあるがなぁ。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:00:55 ID:TYezn3kC
まだStS7話までしか見てない俺にギアスとのクロス(スバルとルルメイン)という怪電波が流れてきたんだが、
過去にそんな感じの作品ってあった?

多分書き始めは早くて来週以降だろうけど
479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:01:35 ID:kwTn2CMi
>>478
誰が全力で見逃すんだ?
480名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:02:35 ID:Xy115cBr
ないない
A'sとのクロスはあったけどStSのはまだないな

そういえば、あの人がこのスレの職人第一号なんだよな
481名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:03:31 ID:EMZC3+gK
ギアスとのクロスはまだ無いから全力で応援する!
482リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:04:05 ID:W0r7Py+X
さぁ〜て、今回のリリカルガオガイガーは?
1:ちょっと散歩しよっか?
2:訓練⇒特訓⇒訓練の繰り返しなの
3:暴走ティアナ
の3本でお送りしますなのですよ。にぱ〜

投下しちゃっても宜しくて?
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:05:12 ID:Xy115cBr
ゲホゲホwwww
どうぞ!
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:05:26 ID:EMZC3+gK
ギアスとのクロスあったのか…知らなんだ。
職人さんスマソ
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:07:36 ID:kwTn2CMi
>>482
模擬戦を2000回やるんですか?それなら本筋を進(ry
486リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:07:55 ID:W0r7Py+X
 勇者王リリカルガオガイガー THE MYTHOLOGY

 第九話「思い届かず」

 ◆新暦75年6月初旬頃

 ホテル・アグスタのオークション会場の外でロングアーチから報告を受ける八神はやてニ等陸佐。
『―前線のお陰でガジェットと50メートル級人型質量兵器を撃退することが出来ましたが、すいません。召喚士を追えませんでした』
 申し訳ありません。と、頭を下げるシャーリー。
「うん。味方に結構な被害が出てもうたのは残念やけど、誰一人欠けなかったのは良かったわ。ザフィーラの状態は、どんな感じかな?」
『胸に大きく切り傷を受けましたが、命の危険性は無いとの事です』
 その一言にホッとするはやて。家族が大怪我をしたのは悲しいけど、生きている事に感謝する。
「そうか。味方に被害が出てしまったのは頂けないけど、任務自体は順調。引き続き警戒は怠らないように」
 シャーリーは首を縦に振った後に、ルキノから報告が入る。
『近隣の観測隊に通達を出しましたから、移動ルートぐらいは掴めると思います』
 ロングアーチからの報告を聞き終え、考え込むはやての傍に近づく足音。
「そこのお嬢さん。もう、オークションは始めってるよ」
 その姿を見て驚くはやて。
「良いのかい?中に入らなくて」
「あはは。ご親切にどうも。せやけど、これでもお仕事中ですんで」
 彼女の返事に微笑む男性。
「どこかのお気楽査察官とちごうて、忙しい身分です」
「ほほぉ〜」
 この空気に耐えられなくなったのは、はやての方であった。
 えい!っと、右ストレートを男性の胸に軽く叩く。
 その仕返しに、頭を撫でてやる査察官と呼ばれた男性。
 2人共、笑いながら久し振りの再会に喜び合う。
「まぁーた、お仕事ほったらかして遊んでるんじゃちゃいますか?アコース査察官」
「酷いなぁ〜こっちも仕事中だよ。はやて」

 オークション会場では、鑑定士として呼ばれた若き考古学者ユーノ・スクライアが登場していた。
 現在は無限書庫の司書長を務め、近頃出番が無いあの彼だ。
「ああ、どうもこんにちは」
 会場で外の状況などをフェイトから話を聞き難しい顔に成っていたなのはは、ユーノの登場に笑顔になっていた。

 軽症を受け戦線離脱していたザフィーラ以外の前線隊員たちは、残っていたガジェットの残骸を見る。
 ガオガイガーから降りた凱によって、残っていた敵は粗方倒されていた。
 頭に包帯が巻かれたシグナムは、バリアジャケットを解除してガジェットの残骸などの回収を行う捜査班の手伝いをしている凱に話しかけた。
「後から来てもらった上に、手伝いまでしてもらえるとは感謝するぞ。凱」
「いや、俺が落ち込んでいなかったら被害がここまで広がらなかったかもしれない。本当にすまない。みんな」
 深々と頭を下げる凱に、朗らかに溜息をつくシグナム。
「謝る事ではない。私たちが、お前の悩みを真正面から聞いてやらなかったのがミスだ。隊員たちのメンタルケアは、必要だと気付かされたよ」
 右手を笑顔で差し出すシグナム。
 凱も右手を差し出し握手を交わす。
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:08:59 ID:kwTn2CMi
スペシャルな支援
488リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:09:30 ID:W0r7Py+X
 グルンガスト参式の残骸回収にGGGから、マイクサウンダース13世コンテナ装備型と、そのバリバリーンに乗った雷牙博士とスタリオンが来ていた。
「ふむ。この材質は、機動部隊に使われている装甲を超えた強度をしておるのぉ。天竜神の攻撃が、イマイチ効果が無かった理由が分ったわい」
「この世界に、我々の技術を超えた組織がある可能性が出てきましたネ。博士」
「スタリオンくん。僕ちゃんは、こう考えているんだよね。この相手は、僕たちと同じく別の世界から来た。と」
 そう、この世界の技術体系などを調べた結果、魔法と言う術者の魔力を消費して色んな現象を引き起こす技術に特化している世界なのだ。
 人の体を改造するサイボーグ技術も、当の昔に禁止された技術であり、質量兵器も規制されているのだ。
 こんな状態で、50メートル級の人型機動兵器を開発することなど無理な事だ。
 しかし、次元航行などの技術が進歩して高性能な戦艦や魔法技術の科学が特化した世界がミッドチルダだ。
「では、あのロボットは」
「まだ結論を出すのは早いじゃろう。残骸を回収して調べて見んとな。マイク、積み込みよろしくのぉ」
「Yes!僕ちゃん、張り切っちゃうもんネェ!」
 背中に背負ったコンテナへ残骸を詰め込んでいくマイクであった。

 なのは達3人はオークション終了が終り陸士部隊の制服に着替え、スバルたちフォワード人から報告を受けていた。
「報告は以上だね。現場検証は捜査班がやってくれるけど、みんなも協力してあげてね。しばらく待機して何も無い様だったら撤退だから」
 はい。と答えるティアナ以外のフォワードメンバー。
 そして、報告書を確認して今回ミスを犯してしまった彼女を呼ぶ教導官。
「で、ティアナは…ちょっと私とお散歩しようか」
「…はい」
 木々が生い茂る道を2人で歩くなのはとティアナ。
 歩きながら今回の失敗について話す2人。
 既にヴィータ副隊長からお叱りを受けている事を知っている高町教導官は、ティアナの顔を正面から見る。
「ティアナは時々一生懸命過ぎるんだよね。それでちょっと、やんちゃしちゃうんだ」
 その一言で今まで自分がやってきた事を否定された気持ちにティアナは包まれていく。
 なのはは、そんな彼女の肩に左手を軽く置く。
「でもね、ティアナは1人で戦ってる訳じゃないんだよ。集団戦での私やティアナのポジションは前後左右全部が味方なんだから」
 高町教導官による自分達のポジションの意味を再度教えられるティアナは、事実を突きつけられ気持ちが更に落ち込む。
「その意味と、今回のミスの理由、ちゃんと考えて同じことを二度と繰り返さないって約束できる?」
「はい」
「なら、私からはそれだけ。約束したからね」
「…はい」
 何とか気力を振り絞り肯定するティアナだったが、心の隅に出来た感情が徐々に姿を現そうとしていた。

 なのはさんから開放されたティアナは、スバルの元へと戻り今回の事で謝る。
 そんな事気にしてないと笑うスバルだったが、なのはさんのお叱りはどうだったか聞いてみた。
「…少しね」
 そう、本当に普通の叱られ方だった…相手が才能溢れる上官でなければ今のような劣等感を感じなかったかもしれない。
“あ、何考えてるの私…しっかりしなさい、私。なのはさんは、私の事を思って叱ってくれたんだから”
 変な気持ちを振り払い、現場検証の手伝いをするティアナであった。
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:11:05 ID:kwTn2CMi
でも参式って代々かませ扱い支援
490リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:11:43 ID:W0r7Py+X
 会場を後にしたユーノは、フェイトとスカリエッティについて話をしていた。
 フェイトが機動六課で事件を追って行けば、何れ母に人造魔導師技術を教えた人物に辿り着く。
 これ以上悲しい子供が生まれるのを阻止したいと強く願っているフェイトに共感するユーノ。
 そして、ガジェット3型から見つかったジュエルシードを見つめ過去の大切な思い出を思い出すフェイト。
「ユーノ君〜フェイトちゃん〜」
 後ろから話しかけてきたなのはへ挨拶をする2人。
「丁度良かった。アコース査察官が戻られるまでユーノ先生の護衛を頼まれてるんだ。交代お願いできる?」
「うん。了解」
 こうして、久し振りに2人っきりになったユーノとなのはだったが関係が進展する事は無かった。

 ホテルの喫茶店でお茶をする八神はやてとアコース査察官。
 カリムなどの力で今も大丈夫やと笑顔で答えるはやて。
「僕も何か手伝えたら良いんだけどね」
「それはお構いなく〜GGGってすごい味方が居るからね。フェラーリ似のパトカーの姿をした隠密捜査官や、凄腕の豪腕捜査官もおるしな!
まぁ、ちょっと度が過ぎるところも多々あるんやけど、遅刻とサボりの常習犯のアコース査察官の手間を取らせん程やから大丈夫」
 その後は、互いにカリムから心配されているとの応酬合戦が行われていた。
 そんなこんなで、機動六課はホテル・アグスタより撤退していった。

「―そしてですね、両膝に当たる部分に装備されたドリルで相手のドリルを逆に粉砕しちゃったんですよ!やっぱり、ドリルって良いですね。
そう思いますよね?八神部隊長」
「そうやな。漢の魂はドリルって、相場は決まっとる!そうやろ?エリオ」
 急に話を振られ慌てふためくエリオに、集まっていた機動六課のメインメンバーたちから笑が溢れる。
 今は、ロビーにある憩いのスペースで今回初披露されたGGGの切り札ジェネシックガオガイガーの話で持ちきりだった。
 ロングアーチで録画した映像を皆で食い入るように見る機動六課の前線メンバー。
 その話題の対象である凱達GGGメンバーは、メンテなどの関係で一時クシナダへ帰還している。
「聞いた話だと、Jさんも凱さんが乗ってたロボットに似たのを持ってるらしいよ。なんだか圧倒されちゃうよね。ティア?」
「あ…え、あ、うん。そうね」
 歯切りの悪い返事をするティアナを見て、身体の調子が悪いのかと思うスバルだったが、その事を言う前に一旦解散の合図でモヤモヤと成ってしまう。
 各自室へと戻る際に、スバルはティアナに話しかけるも「何でも無いから」と言われ引くしかなかった。

 先に自室に戻ったティアナは、急ぎ訓練用の服に着替えスバルが部屋へ入ってくると同時に「少し、汗流してくる」と言い出て行く。
 焦りと嫉妬と非力な自分の才能への怒りが入り混じり、彼女の精神をズタズタにしていく。
 宿舎から出たティアナは、木々が生い茂る場所へ入って行き身体を動かせるスペースを見つけ、そこに座り込むと目から涙が溢れ出した。
「兄さん…私、兄さんの夢だった執務官を目指して頑張ってる。それなのに、こんな事で失敗しちゃうなんて…やっぱり、私駄目なのかな…」
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:12:56 ID:kwTn2CMi
ジュエルシードってたくさんあるんだな支援
492リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:13:56 ID:W0r7Py+X
 先程の戦いでの隊長たちと自分との実力差を見せられ、更に敵対勢力の圧倒的力にまったく歯が立たず非力な自分を再認識させられた。
 そして、自分と歳の差が3つしか変わらないなのはさんや、フェイトさんは13歳で教導隊入りと執務官と言う才能がモノを言う事を見せられている。
「才能が無いんじゃ、執務官なんて無理…なのかな。いくら頑張っても報われない可能性の方が高いし…諦めたほうがいいのかな」
 自暴自棄に成り、誰に向かって言っているのか分らない話を続けている。
 その時、背後から何かが動く音を聞き振り向いた瞬間ティアナの意識は途絶えた。


 ティアナの事でヴィータに呼び止められ、ある一室で話し合いをする事になったスターズとライトニングの隊長、副隊長たち。
 若い魔導師なら強くなりたいと思うのは極普通な考えだ。それで、無茶やったりする事は良くある事だ。
 しかし、ティアナに至っては、その範疇を超えている。そう、度が過ぎているのだ。
「あいつ、ここに来る前何かあったのか?」
 ヴィータの質問に、首を縦に振るなのは。
 執務官志望だったティアナの兄であるティーダ・ランスター一等空尉は、早くに親を亡くし1人でティアナを育ててきたのだ。
 しかし、犯人を追跡中に殉職。その犯人は陸士部隊の協力でその日のうちに逮捕されたが、当時ティーダの上司だった者が心無い発言をして一時期問題と成った。
「コメントって、何て?」
 少し気が引けながらも、その内容を知りたいと言うヴィータ。
 その内容はこうだ。
『犯人を追い詰めながら取り逃がすとは、首都航空隊の魔導師として有るまじき失態だ。例え死んだとしても取り押さえるべきだった』
 実際は更に酷く、『任務を失敗する役立たずは、必要ない』と言うことだった。
「ティアナは、その時まだ10歳。たった1人の肉親を失って、しかもその最後の仕事が無意味で役に立たなかったって言われて、きっとすごく傷ついて悲しんで、
お兄さんの魔法は役立たずと言わせないために今まで頑張って来たんだと思う。その思いは尊重してあげたい。でも」
「無茶ばかりすれば、仲間を傷つける結果が待っている…だろ?」
 その言葉に入り口のドアの方を振り向いたなのは達の目の先には、メンテから戻ってきたルネが立っていた。
「ルネさん。身体の方は大丈夫なんですか?」
「そこの副隊長達より頑丈に出来ているからね。それに、あいつの目が昔の私に似ている…放っていられないよ」
 ルネの目は真剣そのものだった。
 

「さて、何か面白いもんでも…って!」
 ヘリの整備中にスコープで隊舎周りを見ていたヴァイス陸曹は、木々が生い茂った場所で倒れているティアナを見つけ駆け出す。
 息を乱しながらも、ティアナの倒れている場所へ辿り着く。
 倒れ意識を失っているティアナを抱き上げ、頬を軽く叩き目を覚まさせようと奮闘する。
「おい、起きろ。あぁ、どうすりゃ良いんだよ…あ、そうだ。良くあるよな。眠り姫を起こすには王子様のキスで」
 その瞬間、ヴァイスの右頬にティアナの右ストレートが食い込む。そして彼は地面に倒れた。
「Nice Punch」

 殴られたショックで地面に倒れたヴァイスを膝枕で介抱するティアナ。
「一応心配してくれた事には感謝します。でも、セクハラ発言と、実際にセクハラをしようとした件はどう説明する気ですか?ヴァイス陸曹」
「…返す言葉もありません」
 木々で隠れた空を見上げる状態で頬にアザを負い仰向きに倒れているヴァイスの姿は、滑稽であった。
「あの、痛みますか?」
「まぁ、それなりに…な」
 ヴァイスは起き上がると、腫れた頬を摩りながら暗い表情のティアナに話しかける。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:14:58 ID:V/SKkFij
>>489

スレードゲルミルやダイゼンガーの前座だからなw 支援。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:15:35 ID:kwTn2CMi
VG合金支援
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:15:39 ID:hbPMhgXe
「Nice Punch.」支援
496リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:16:07 ID:W0r7Py+X
「まぁ、何だ。一度のミスショットで気を落とすなよ」
「大丈夫です。それに、これから1人で特訓をするつもりでしたから」
「特訓?今日の夜の訓練は休みじゃ無かったか?」
「はい。でも、私は休んでいる暇が無いので。凡人ですから」
「…俺から見れば、お前は十分に凄いと思うんだけどな」
 ヴァイスの言いたい事は分るが、今何もしないでいるのは精神的に辛いものであったティアナは無言でシュート練習を始める。
「ふぅ、分ったよ。そんじゃ、少し特訓でも見せてもらいますかね」
「それも良いが、ヘリの整備の方は終わったのかい?ヴァイス陸曹」
「えっ?…ルネ…さん」
 ヴァイスが振り向いた先には、陸士部隊の制服を着たルネ・カーディフ・獅子王/ニ等陸士が立っていた。
「あんたの方が年上なんだから、呼び捨てで良いよ。それよりも、ティアナ。率直に聞くよ…強く成りたいかい?今よりも強く」
「えっ?」
「強くなりたいのかって聞いてるんだよ」
 胸の前で腕を組み唖然とするティアナを見つめるルネ。
「…強く、強くなりたいです。実力をつけて、兄さんの夢だった執務官に、私は成りたいです!」
「なら、稽古をつけてやるよ。接近戦でも銃の使いようって奴をね。それと、いつもの訓練を実戦方式でやってみるよ」
 良く言ったと微笑むルネの顔を見て、自分を心配してくれているんだと実感するティアナ。
 ヴァイスがストームレイダーの整備に戻る際、ふと後を振り返ると激しい特訓が始められていた。


 ティアナを心配して0時まで起きていたスバルは、外に出て彼女を探しに行こうとした時ドアが開く。
 そこからは、疲れ切った顔のティアナが入ってきた。
「ティア!」
「何だ、まだ起きてたの?」
「うん」
 疲れ切った顔のままベッドへ向かうティアナ。
「あのさ、私4時起きだから、目覚まし五月蝿かったらごめんね」
 そう言い布団へ潜り込んだティアナは、直ぐに眠りに付いた。
 そんな相棒を見てスバルは、明かりを消しながらある決心を固めていた。


「で、何でスバルもついて来てる訳?」
 目覚ましで起きれなかったティアナを胸揉みで起こしたスバルは、彼女と共に外へと向かっていた。
「頑張ってるティアに協力したい…じゃダメかな?」
「…無理して付き合わなくても良いのよ?」
「無理なんてしてないよ。それにティアは知ってるでしょう?私が日常生活なら丸々4日以上寝なくて平気な事」
「知ってるわよ。それじゃあ、ルネさんが了承したら一緒に特訓って事で良いわね?断られたら大人しく帰ること」
 うん。と、笑顔で答えるスバル。 
 そうして朝日が昇り始めている空の下に集まる4人。
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:17:26 ID:kwTn2CMi
>>493
初登場からして龍虎王のパーツですからなwww素晴らしき人に真っ二つ支援
498リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:18:16 ID:W0r7Py+X
「どうして凱さんまで!?」
 ルネと一緒に凱も早朝特訓に来ていたのだ。
「いや、今朝は妙に早く起きてね。ルネが訓練用の服装で外に出て行こうとしてたのを、呼び止めて話を聞けば秘密の訓練をしているそうじゃないか」
「こいつが言わないと通さないって五月蝿くてね。まぁスバルも居るなら丁度良い」
 そう言うとルネは、あるデータをティアナのクロスミラージュへと転送する。
 ルネの転送してきたデータを開いたティアナは、かなりの量の特訓用テキストに驚く。
「このテキスト…今朝までに書き上げたんですか!?」
「ああ、まぁ1日ぐらい寝なくても平気だからね。前なんて、3日三晩寝ないで捜査しても元気だったからね。まぁちょっと調整とかしてもらってたけど」
 少し寂しい表情をするルネだったが、直ぐに気分を切り替える。
「それじゃあ、ティアナは10分でテキストに目を通す。スバルは、凱とクロスレンジの特訓だよ。ティアナの実力が上がったのに、
相方が出遅れてたら面白くないからね。そうだろう?」
「はい!」
 元気良く返事をするスバルを見たティアナは、少し照れた表情に成っていた。


 なのはによる訓練が終わった後にルネと凱による特訓が繰り返されていた。
 ティアナには、走りながらの射撃の上達と遠距離からの砲撃、そして接近戦によるダガー攻撃などオールラウンドに動けるよう鍛えられていた。
 ルネの強力な砲撃を回避しながらの射撃は、まさに実戦と言って良いほどのモノであった。
 最初の頃は、砲撃を受けてしまい気絶する事が多かったティアナだったが徐々にルネへ反撃できる程の反応を見せる様になっていた。
 一方スバルは、機動六課に入って初の格闘による練習を行っていた。
 凱はスバルの相手をする為、ブロウクンマグナムを発射せず右腕に定着させリボルバーナックルと拳を交わす。
 秘密の訓練だったためウイングロードを使えなかったが、マッハキャリバーによる加速で凱を翻弄するも相手は生機融合を果たした新人類、
サイボーグ以上の脚力でスバルに追いつき様々な接近戦でスバルを撃墜していく。
 そのお陰なのか、反射神経などが向上しルネによる砲撃を次々に回避できるぐらいまでに成長した。
 更に、特訓の終りに差し掛かるとスバルとティアナのクロスシフトの練習も加え今までよりも良い動きになっていた。
 凱はスバルに自分の魔法を教え使わせてみるも、ブロウクンマグナムを右手に定着させ殴りつけるモノ以外完璧には習得出来ずにいた。
 そんな4人を見つめるヴァイスの顔は『無茶だけはするなよ』と、半ば諦めた風になっていた。

「ふぅ、まぁこんなもんだね」
「2人とも良く頑張ったな」
「「ありがとうございます」」
 だが、と付き加えるルネと凱。
「この特訓で得たモノは付け焼刃に近い。今後とも練習すればモノには成る筈だよ」
「力を着けたことで自分の力に慢心する事無く、今後とも頑張るように。2人とも才能があるんだからな」
 その言葉に笑顔になる2人だったが、この後の模擬戦で凱の予想通り特訓成果を持って、なのはさんに挑む事になった。
 気合を入れるティアナの背中で何かが誰にも気付かれず、ある時を待っていた。


「さぁ〜て、午前中のまとめ2on1で模擬戦やるよ。まずは、スターズからやろうか。バリアジャケット準備して」
「「はい」」
 なのはの命令に答えバリアジャケットを装着するスバルとティアナ。
 エリオとキャロはヴィータと共に見学する事になった。
 今日の訓練にはブレイブ部隊は参加していない。
 ルネはフェイトの付き添いで本局へ行っており、凱とJは宇宙でゾンダー反応を察知したとの連絡を受け、
ジェイアークとジェネシックマシーンと共に現地へ向かっている。
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:19:41 ID:kwTn2CMi
第4次のグルンガストは装甲が薄かった支援
500リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:20:55 ID:W0r7Py+X
「やるわよ。スバル!」
「うん」
 互いにデバイスを起動させ、勝ちたい相手を見つめる。
 今までやってきた特訓の成果が今ここで試されるのだから。

 どこからか、急いで走ってくる2つの足音は廃ビルの階段を登り屋上のドアを開く。
「あ、もう模擬戦始まっちゃってる?」
「あ、フェイトさんにルネさん」
 現れたのは訓練用の服装に着替えているフェイトとルネ。
 急いで仕事を終わらせて、なのはの訓練の手伝いをするつもりだったようだ。
「今はスターズの番」
「本当はスターズの模擬戦も私が引き受けようと思ったんだけどね」
「ああ、なのはも古今ところ練習密度濃いいからな。少し休ませねぇと」
 模擬戦を行うなのはの姿を見るヴィータとフェイト。
「なのは、部屋に戻ってからもモニターに向かいっぱなしなんだよ」
「へぇ、教育熱心なんだね。なのはは」
 フェイトの話に感心したように呟くルネ。
「うん。訓練メニューを作ったり、ビデオでみんなの陣形をチェックしたり」
 そう、なのはは教え子たちの事をとても大事にしている。ここから巣立って違う部隊などに行った時に苦労しない様にしてあげたいのだ。
 エリオとキャロは、フェイトの話を聞き前も今も自分達を見守ってくれているなのは教導官に感謝の念を抱く。
「お、クロスシフトだな」
 下の方で射撃魔法を発動するティアナの姿を見るヴィータ。
 そんな中、1人ティアナたちの動きが昨日の夜で一旦終了した特訓での動きに似ている事に気付くルネ。
「あいつら…模擬戦であれをやる気?」


 カートリッジを2発消費し、多数の魔力スフィアを形成したティアナは上空で浮遊している相手へ向け攻撃を開始する。
「クロスファイヤシュート!」
 周囲に浮遊した魔力スフィアが凄まじい速度で相手へ向け放たれる。
 ルネとの訓練で追尾機能を持たせた射撃では、各上相手に効果は得られない事を学び、追尾機能を最低限のものに変え発射スピードの向上したものに変わっている。
 今までよりも鋭い攻撃になったティアナの射撃に若干驚くなのはだったが、アクセルフィンで素早く回避運動に移り攻撃を避ける。
“訓練中の射撃じゃない…まるで、実戦をしているような鋭い攻撃”
 自分が教えたモノと違う行動をするティアナに若干の不安を持つなのはだったが、回避した先には多数のウイングロードが張り巡らされている。
 奇襲に備えアクセルシューターを準備し、移動するなのはへ向け奇襲を仕掛けるスバル。
「でやぁぁぁ!」
「フェイクじゃない!?」
 馬鹿正直に向かってくるスバルに向けアクセルシューターを放つも、回避と防御で交わされ右腕を振り下ろされる。
「ブロウクンッマグナム!」
 リボルバーナックルに凄まじく回転するエネルギーを纏わせ、なのはに殴りつける。
 瞬時にプロテクションを発動しスバルの攻撃を防ぐも、ブロウクンマグナムにはバリアバースト効果があるため徐々にひびが入る。
『Barrier Burst』
 瞬時に判断したレイジングハートによってプロテクションを爆発させ、スバルとの距離を取る。
「こら、スバル!ダメだよ。そんな危ない機動。それに、その魔法は凱さんのじゃないの」
 ティアナの援護射撃を後ろに目があるかのように回避するなのは。
「うわわっと」
 何とかウイングロードに着地することに成功するスバルは、なのはのお叱りを受けて謝る。
「す、すいません。でも、ちゃんと防いで避けますから!」
 スバルの返答に何か引っかかるも、ティアナの反応が消えた事に気付き周囲を見回す。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:21:33 ID:kwTn2CMi
参式はミロンガにもボコられますた支援
502リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:23:13 ID:W0r7Py+X
 すると、遠くから砲撃魔法を放とうとするティアナの姿を見つける。
 ここからが、スバルとティアナの特訓成果が発揮される時だ。
「(特訓成果、クロスシフトC。行くわよ、スバル!)」
「おぉ!」
 スバルはカートリッジを消費しマッハキャリバーを急加速させ、ウイングロードを疾走する。
 疾走し、なのはの元へ迫るスバルは両の腕を広げる。
「行くぞぉぉぉ!ヘル・アンド・ヘブン!!」
 右手に破壊の力を、左手には守りの力を集め反作用する2つの力1つに纏めようとするスバル。
「ぐぅぅぅ、はぁぁぁっ!」
 完全にモノにした魔法では無いが、今持てる対なのはさん用の魔法はこれだけだ。
 紛い物の魔法なため、呪文は必要としないので凱のヘル・アンド・ヘブンに及ばないモノの、その威力は凄まじいものだ。
 反作用するエネルギーを握り合った掌に集めると、凄まじいエネルギーが発生する。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
 マッハキャリバーを最大加速させ、なのはさんへ突撃する。
 アクセルシューターを発射し動きを止めようとするが、前に突き出した掌に集まった高エネルギーに弾かれ直撃を回避される。
 ラウンドシールドを展開しスバルのヘル・アンド・ヘブンを受けるなのは。
 本来の威力の数分の一であるスバルのヘル・アンド・ヘブンであっても、なのはの頑丈な盾を徐々にヒビを入れていく程の威力だ。
 はっと、自分がスバルに集中してしまっている事に気付いたなのははティアナの方を見る。
「(ティアァァァ)」
 スバルの念話と同時に砲撃体勢に入っていたティアナの姿が霧のように消えた。

「あっちのティアさんは幻影!?」
「本物は!?」
 ティアナの予想に反した行動にキャロとエリオは回りを見回す。
「…上だよ」
 ルネは、ポツリと声を出して言った。

 スバルが作った多数のウイングロードの上を全速力で走るティアナ。
 クロスミラージュのトリガーを2回引きカートリッジを2発消費し砲身の先端に鋭利な魔力刃を形成する。
“バリアを切り裂いてフィールドを突き抜ける”
 なのはとスバルが対峙している頭上へ到着したティアナは、目標目掛けて突進する。
「一撃必殺!」
 落下スピードも相まって強力な一撃がなのはへと近づく。
 その行動に心底悲しみながら、なのははレイジングハートに命令する。
「レイジングハート…モードリリース」
『All right』
 アクセルモードからスタンバイモードへと戻るレイジングハート。
「だあっ!」
 ティアナの叫びと共に攻撃が相手に衝突し、爆風と煙が辺りを覆いつくす。
「なのは!?」
 爆風で目を腕で守りながら、親友の安否を気遣うフェイトと、ヴィータとエリオとキャロ。
 そして、ルネは言葉を口にした。
「相手の力量を測れないんじゃ、まだまだって事だよ。ティアナ」
503名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:24:59 ID:V/SKkFij
支援します
504リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:25:26 ID:W0r7Py+X
 煙が流れた後には、3つの人影があった。
「可笑しいな…2人とも、どうしちゃったのかな?」
 煙が晴れると、そこには右手でティアナの魔力刃を受け止め、左手でスバルの組んだ拳を受け止めている。
 その姿に恐怖を感じる2人。
「模擬戦は喧嘩じゃ無いんだよ」
 スバルのヘル・アンド・ヘブンを素手で受けた左手は、内出血をしているのか血がポタポタと垂れている。
 その痛々しいモノを見たスバルは、両手の力を一気に抜いてしまう。
「練習をしている時だけ言う事聞いてる振りで、本番でこんな危険な無茶するんなら…練習の意味、無いじゃない」
 ティアナも、なのはが魔力刃を受け止めている手から出血しているのを見て唖然とする。
「ちゃんと、さ…練習どおりやろうよ…ねぇ」
「あ、あの」
 スバルは、なのはの圧倒的な威圧感に恐怖を感じて身が引く。
「私の言ってる事…私の訓練…そんなに間違ってる?」
「あぁぁ」
『Blade erase』
 クロスミラージュの魔力刃を消去し、後方にあるウイングロードへと飛び移ったティアナ。
「私は、もう、誰も傷つけたくないから!無くしたくないから!」
 クロスミラージュをなのはへ向け、カートリッジを2発消費しターゲットリングを出現させる。
「ティア」
 友人の行動に唖然とするスバルと、冷たい目で見つめるなのは。
「だから、強くなりたいんです!」
 涙ながら自分の心の内を吐き出すティアナ。
 そんな彼女の背中で輝きだす紫色の発光物。
「少し、頭冷やそうか」
 ティアナへ向け右人差し指を向けると、環状魔法陣を右腕に出現させ6発の魔力スフィアを形成する。
「クロスファイヤ」
「うわぁぁぁぁぁぁっ!ファントムブレイ…」
「シュート」
 ティアナよりも早くクロスファイヤシュートを発射し直撃させ、相手の魔法発動をキャンセルさせる。
「ティア!」
 助けに行こうと動こうとしたスバルを桃色のバインドが捕らえる。
「はっ、バインド!?」
「じっとして、よく見てなさい」
 なのはは、スバルを捕らえ続けてクロスファイヤシュートの発射体勢に入る。
 
 自分を撃とうとする、なのはさんの姿を見るティアナ。
“やっぱり、なのはさんには逆らえないか…私の力ってこんな物なのね”
 なのはは、6つのスフィアを1つに纏め威力を集束させる。
“ルネさん、凱さん、ごめんなさい。やっぱり、力不足でした。なのはさんに認めて貰えなかったです…うっ!?”
 その時、今まで気付かなかった異物を背中に感じたティアナだったが、どす黒い何かに心を支配される。

≪サァ、ココロヲトキハナツガイイ≫

「なのはさん!」
 必死に攻撃の中止を懇願するスバルだったが、なのはは聞き入れずクロスファイヤシュートを発射する。
 集束され砲撃魔法と化したクロスファイヤシュートがティアナに直撃しようとした瞬間、彼女の周囲に紫色のバリアが発生し弾かれる。
「なっ!?ティアナ」
 ティアナの異変に気付いたなのはは、彼女の元へ近づこうとするが、
「近づくな!」
 なのはは、ティアナの怒気の入った一言に動きを止めてしまう。
「私は、貴女みたいに才能も魔力も無い。いくら努力したって追いつけない!こんな様じゃ、兄さんの夢…執務官にだって成れやしない。
なら、この力を使って…なのはさん。貴女に勝つ」
 ティアナの背中に出現したゾンダーメタルは、彼女のバリアジャケットを侵食し黒いウエットスーツ状のバリアジャケットへと変貌させる。
 更に、クロスミラージュも侵食されリミッターを強制解除される。
「さぁ、なのはさん。勝負しましょう。模擬戦じゃない…本気の勝負を」
「ティアナ、しっかりして!」
「…うるさい。これが私の本当の気持ちだ!」
 冷たい目で相手を見下ろすティアナには、既になのは声は届かなくなっていた。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:25:54 ID:kwTn2CMi
寺田はスレードゲルミルの頭部を初期案どおり最初からドリルにしておけばいいのに支援
506リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/12(金) 23:28:23 ID:W0r7Py+X
 その光景を遠くで見ていたルネ達は、ティアナの変貌に驚愕していた。
「どうなってるの!?」
「あの馬鹿、何に取り付かれちまったんだ!?」
 その変貌の理由が分らず混乱するフェイトとヴィータの横でルネは、冷や汗をかきながら呟く。
「ゾンダーなのか?なら何故、今まで気付かなかった。私も凱も近くに居たのに」
 そう、ルネ達Gストーンを持つ戦士ならエネルギーが対消滅するゾンダーメタルの反応に気付くはずなのだ。
 しかし、目の前で変貌したティアナからは今まで反応が無かった。
「新種って奴なのか?っち」
 ルネは素早くデバイスを起動させ、戦闘形態へ成るとゾンダーに取り込まれたと思われるティアナの元へ急ぐ。
「早まるな!ティアナ!!」




 次回予告
 君たちに最新情報を公開しよう。
 新種のゾンダーメタルに取り付かれたティアナ。
 暴走を止めようと奮闘する機動六課。
 その頃ジェイアークは、巨大なゾンダーとの戦闘に突入する。
 勇者王リリカルガオガイガー THE MYTHOLOGY
 NEXT 真実
 次回も、このチャンネルでFINAL FUSION 承認!



 これが勝利の鍵だ!
【ハンマー・ヘル・アンド・ヘブン&高町なのは】 



投下終了!
支援ありがとうございました。
507名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:29:55 ID:0uzvfdjo
GJ!
ティアがバルディエルに...
508名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:38:35 ID:qtxWBi37
>>506
GJ!!
遂にゾンダー・ティアナ登場。
次回の暴れっぷりに期待です。
1日も早い投下を心待ちにしています。

しかし、凱にルネさん。
なのはさんに隠れてティアナとスバルに特訓なんかさせちゃって…
一件落着した後、なのはさんにこう言われるの決定ですね。
「少し、頭冷やそうか…」
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:39:32 ID:hW6+iqTE
>>506
>リリカルスクライド//G.U.氏
GJすぎですwww
ああ、ついにスバルが本当の意味で勇者王になってしまったなぁ…wwww
ティアがこれからどうなってしまうのかがすごく気になりますね!
続きが楽しみでしょうがないwktk
510名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:42:26 ID:kwTn2CMi
GJ!
ティアナはショタフ…ゲフゲフ、じゃなくてボルフォッグに弟子入りしたらいいな。
そしてタティアナサンがゾンダー化、浄解できれいなタティアナサンになれば、あの盗撮画像による洗の…じゃなくて説得はなくなりそうだな。
さて、このなのはさんはこの後の展開でも自分で言ってることを覚えているのかw
511名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:19:57 ID:EPheXuSP
>>リリカルスクライド//G.U.氏

ティアナゾンダー化ついにキターッ!! いつもながらGJです!

今回はルネが要所要所で良い味を出していると思います。思いつめるティアナにかつての自分の姿を重ねて気にかけるようになるのが巧いですね。
フェイトと一緒に行動していたのは、やはりスカ博士一味の捜査の関係でしょうか? 二人並んでいるところを想像すると実に絵になりますw

……そういえばティアって、最初にゾンダー化した女子中学生と中の人が同じですねw いっそこれからも中の人繋がりで、弟の消滅に物凄い表情でブチ切れた巨乳逆アホ毛女子高生とか、憧れのお姉さまとの関係に悩む名門全寮女子校の編入生辺り希望w

それと凱の技を教わったスバルが、さりげに凄いパワーアップを遂げているような気がしますw このスバルなら複数のナンバーズ相手にも、互角以上の戦いが出来るかもw てゆーかこれは色々な意味で反則ww

別行動をとっている凱とJの方も大変なことになっているようですが、果たして六課の危機に間に合うのか? 次回も楽しみにしております。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:29:26 ID:NWVixUjS
>リリカルスクライド//G.U.氏
まさかこのスレに来て初めて読むSSがガガガとは思わんかった。GJ!
俺? ええ、筋金入りのガガガ信者ですよw

さてと…誰かスバルの身長知ってる人っていないか?
ギアスSS書くに当たって参考にしたいんだが…
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:30:34 ID:ARJTQggA
>>512
待ってろ
今、資料をUPするから
514名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:33:34 ID:ARJTQggA
StS身長対比図
http://pict.or.tp/img/26292.jpg
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:37:20 ID:NWVixUjS
ぐばっはぁ!
せっかくうpしてくれたのに本当にすまんが…携帯からなので見れないorz
2〜3日PCには触ることすらできそうにないんで、可能なら数値だけ教えてください…OTL
516名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:39:29 ID:ARJTQggA
151.83cm

※ただし、ローラー装着時は身長が少し上がる
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:40:46 ID:8l2Y9WjK
           .,,,―''"^    ,,/::::::::::::::::::::::::::::::`゙'''ー-,,
        _,-::'^::::"":::::::::::"""^:::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;、-''''''"`''-、
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     ,/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;/            i、
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     'i、:::::::::::::::/   `i、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i,            ,i
      `i、,::::::::'i、   /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'i            ,i
        '''-;;;_`−''゙::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\       ,,/
           `'''―;;;;;;_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_;;.".'=―''"^
              |   ̄^"""'''''''''''"""^ ̄|
              .|      ,,_   _,  .|   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              |   *  "゚'` {"゚`   | <  1UPしてみないか?
              .|         ,__''_    |   \_______
             |         ー     l
               l,              /
               \          _,,/
                 `'''''――――'''`

↓↓日本一簡単なシナリオコンテスト↓↓
 
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/iga/1192036731/l50



518名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:42:52 ID:NWVixUjS
(゚д゚)

何というか…ギアスキャラとの身長差が、凄まじいことに…
ともかく本当にサンクス。何とか頑張ってみる
519リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 00:44:37 ID:FiSVgIin
他の職人さんがたGJです。
自分も第2話が完成したので、1時ぐらいから投下しておkですかね?
520名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:49:25 ID:UJu+zq+0
>>514
ザフィーラが抜けてると思ったけど、そういやずっと犬だったね
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:51:12 ID:ARJTQggA
>>519
無論OKに決まってるさ
522リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 01:00:12 ID:FiSVgIin
 ホテル・アグスタ。

 少し中央地区から離れた場所にある高級ホテルである。 しかしホテルと言うには、人が来ない場所にあり、条件としてはよくはない。 その為か普段、ホテルに来る客は少ししかいない。

 だが、この日は珍しく沢山の人々が集まっていた。

 集まっている人々の殆どが高級そうなドレスなどに身を包んでいる事から、そうとうな権力者やその関係者である事が分かる。

 そして、そんな人々を護るように配置されているのは時空管理局の人々であった。

「それで配置の方はどうや?」

 ホテルの内部、の一角にドレスに身を包んだはやてとフェイト、そしてシグナムの姿があった。

 念話を使っての通信で、このホテルの警備状況を問う。

 それに返事を返してきたのは、屋上で全体を見渡している湖の騎士シャマルである。

『機動六課メンバーはそれぞれ所定の位置につきました。 本局、地上からもそれぞれ部隊が警備についたとさっき連絡がありました』

「そか。 それならそっちは任せてええな」

『はい』

 今日、ここにやってきたのはホテル内で行われるロストロギアのオークション警護の為であった。

 取引許可の出たロストロギアをレリックと勘違いしたをガジェットや、ロストロギアを狙う正体不明の魔道師達から護る為である。

 先日のロストロギア研究施設襲撃事件があった為に、本来の計画の警護よりも更に多くの部隊が警護についていた。

 その関係で、六課も警護の配置を変更している。

 本来、会場に入るのははやて、なのは、フェイトの3人であったのだが、正体不明の魔道師対策として強力な遠距離攻撃を出来るなのはと、室内でも十分に敵と戦えるシグナムを変更している。

 それに前線メンバーのフォワード陣も分散させずに一箇所に固めて配置してある。 本来、フォワード陣が入る場所には他の部隊の魔道師達が配置についている。

「しかし、話が本当なら正体不明の敵が気になりますね」
523リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 01:10:33 ID:FiSVgIin

「そやね。 新人の子達じゃちょいっと厳しいかもな」

「うん。 一応、あの子達にはガジェットを狙うように連絡してあるけど」

 先日、ローグから聞いた話を受けて、幾つかの新しい連絡を仲間達に伝えていた。

 正直な話、新人達で正体不明の魔道師と戦うのは危険だと判断したのだ。

「魔法発動を遮断する魔法ですか……」

 そう。 ローグの話で一番注目したのがそれである。

 魔法発動を遮断する魔法。 はっきり言ってしまえば相当脅威な代物である。

 ガジェットには魔法結合を遮断するAMF――アンチマギリンクフィールド――が搭載されている。 これは魔力弾などを遮断してしまう、従来の魔道師にとっては厄介極まりないものである。

 しかしAMFに対抗する為の対策を考えた現在は決して無敵ではない――それでも厄介な――代物になっている。

 しかし、その魔法は違う。 根本的に魔法の発動をさせてくれないというものなのだ。

 現在の魔道師達は魔法に偏りすぎている為、魔法発動を封じられてしまえば正直な話、手も足も出ないと言っていい。

 それならまだ魔法が使え対策も取る事が可能なAMFのほうが遥かにマシだと言える。 どっちも厄介なのは変わらないが。

「では主はやて、テスタロッサ隊長。 自分は会場内の警備に向かいます」

「よろしくなシグナム」

「はい」

 会場内の警護につく為に、会場へと向かうシグナム。 彼女は状況によっては外の援護に参加する手筈になっている。

 それを見届けると、今度はフェイトとはやてが動き出す。 フェイトは執務官の権限を使ってオークションの責任者の所へ話しを聞きに、はやても中での警備に向かう為に歩き出した。



 ○―――○


524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:14:12 ID:5YEmQBXL
支援
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:15:48 ID:yBAnnD51
支援

526リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 01:20:29 ID:FiSVgIin
『それでこんなに人がいるんだ』

 スバルは念話でティアナに説明を聞いて、改めて納得した。

 今回の任務は数日前から言われていた事なのだが、当日になってから詳細の一部が変更になっていた。

 各隊の配置の変更や人員編成。 そして他部隊がやってくる事など。 最初に聞いていた頃よりかなり厳重な警戒態勢になっている。

 正体不明の魔道師がここにやってくると言う事と、自分達はガジェットを破壊するようにと隊長達から連絡を受けていたが、ティアナの説明で更に納得いった。

 なんでもロストロギアの研究施設が襲われてしまい奪取されたのだと。

『でも、なんでちゃんと連絡がこないんだろ?』

『上のほうが隠蔽したいって話も聞いているわ』

 上層部としては、ロストロギアが奪取されたなどと他の組織に知られたくないのだろう。

 そんな事がばれてしまえば、管理局の傘下に入っている世界から不振を買ってしまうに違いないからだ。

『だから私達も全員が同じポイントを警戒してるって訳。 分かった3人共。 それと正体不明の魔道師を発見したら速やかに他の部隊に連絡。 私達の相手はあくまでガジェットよ』

『『『はーい!』』』

 念波からスバル、エリオ、キャロの3人の返事が聞こえてくる。

 それを聞いて、念話による会話を切ると、なんとなくだが空を見上げてみた。

 ティアナ・ランスターは凡人である。

 スバルのように高い魔力と身体能力がある訳ではない。

 エリオのような潜在能力がある訳ではない。

 キャロのようにレアスキルを持っている訳ではない。

 各隊長達はオーバーSランクからAAAランクを持った、優れた魔道師達。
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:20:46 ID:yBAnnD51
支援

528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:25:23 ID:yBAnnD51
支援

529リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 01:30:18 ID:FiSVgIin

 そんな中ただ1人、なんの取り得もない自分は凡人としか言いようがない。

「……はぁ。 駄目ねこれじゃ……」

 そんなネガティブに考えてもどうにもなる訳じゃない。

 それに誓ったではないか。 例え優れた潜在能力が、魔力が、レアスキルがなかろうが、それでも自分が兄に教わった魔法は何でも撃ち抜けるのだと証明するろ決めたではないか。

 だから大丈夫。 いままでそうやってきたではないか。

 だけど、

「今日は……何か嫌な予感がする……」

 あの日、兄が死んだと連絡を受けた日みたいだ。

 もちろん気のせいだと思いたい。 そう、思いたいのだ。

「大丈夫、大丈夫」

 そう何度も言い聞かせる。

 自分にはあの高町なのは教官から師事を受けているのだ。 少しずつだけど強くなっている筈。

 だから大丈夫――。

「ん?」

 ホテルの周りにある森の中に何かを見たような気がした。 かなりの距離が離れているが、何か光ったと思う。

『スバル』

『何、ティア?』

『私の正面に何か見えない?』
530名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:32:08 ID:yBAnnD51
支援

531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:36:56 ID:5YEmQBXL
支援
532リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 01:40:57 ID:FiSVgIin
『えっ?』

 近くにいたスバルが、ティアの横にやってくる。

 2人の目は機動六課の中でも抜群に目がいい。 その為、必死に目を細めて奥を見る。

 すると何かが再び光った。

『ティア!』

『ええ、はっきり見えた!』

 この辺に光るようなものはない筈だ。

 ならば、それは――

『ティア、剣だ!』

『剣!? まさか!』

 そう、詳しくは知らないが、ロストロギアを奪取した謎の魔道師は剣を使っていると聞いている。

 もしかすると――

『ガジェット反応あり! 陸戦型機影30、35増えていきます! 更にアンノウン反応20!』

 突然、念話でロングアーチ隊から連絡がある。

 懸念通り、ガジェットが出てきたらしい。 だが、気がかりとしてアンノウン反応だ。

「スバル、エリオ、キャロ! 配置に――――っつ!」

 3人に指示を出そうとした瞬間、ティアナの体に悪寒が走る。

 それは陸士部隊に居た時に、災害で命を落としそうになった時に感じた悪寒。 それが今、明確な殺意とともにそれが感じられている!

 だからこそティアナは跳んだ。 助走などつけずに、今ある力で全力でその場から跳んだ。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:42:00 ID:yBAnnD51
支援
534リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 01:48:04 ID:FiSVgIin

 そしてその行動こそがティアナの命を救う事になる。

 跳んだ3秒後にティアナがいた場所に、高魔力で構成された熱光線のようなものが着弾したからだ。 そしてその場所は溶岩が溶けたようになっている。

 ティアナはそれを見ると、再び悪寒が走るが、それを無理矢理振り払う。

 相棒であるクロスミラージュを即座に起動。 バリアジャケットを装備する。

 それと同時に森から現れたのは、無数の髪の色を持った少女達である。

 ティアナが見た感じである色は青、緑、赤、黒、白の5色。 それぞれが違う形状の武器を所持している。

 青い髪の少女は長剣を。 緑の髪の少女は槍を。 赤い髪の少女は双剣を。 黒の髪の少女は独特な形をした剣を。 白い髪の少女は杖を。

 それを見て、まず白の少女以外はベルカ式だと判断する。 剣などの武器を使う魔道師はベルカ式以外にありえない。

 ならば、まずは白の少女を潰そうとクロスミラージュを構えて――唖然とした。

 何故ならば、白の少女がいた。 いや、増えている。 同じ髪の色に同じ武器を持った白の少女が沢山いるのだ。

 しかも白の少女だけではない。 青、緑、赤、黒。 それぞれと同じ髪の少女達が沢山現れたのだ。 しかも顔つきもそっくり――否、同じと言っていい。

 はっきり言えば、不気味である。

「何よこいつら!?」

 この正体不明の魔道師達の相手は他の地上部隊の魔道師が相手をする予定ではあるが、目の前にいるのならば戦うしかない!

 横にいたスバルに、エリオもそれを悟ったのかすぐさまバリアジャケットを装備、各デバイスも起動している。 だがティアナはこちらが不利である事を自覚していた。

 先程、受けた一撃を見る限り、魔道ランク的には自分と同じぐらいと言っていいだろう。 しかし能力は同じでも数が違うのだ。

 こちらが4に対して、あちらは15である。 先程、ロングアーチ隊から連絡を受けた四分の三がここにいる事になる。

 さすがにガジェット相手と違い、あの数に突撃出来るとは思えない。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:48:37 ID:ARJTQggA
支援
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:49:29 ID:yBAnnD51
支援
537リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 01:55:36 ID:FiSVgIin
 ここは牽制しながら下がるしかない。 幸いな事に、ここは最終防衛ラインからかなり前の位置になっている。 後退しながら、援軍を待つのがベストな筈だ。

「スバル、エリオ! 牽制しながら下がるわよ! キャロ、連絡は!?」

「連絡しました。 大至急こちらに向かっているそうです!」

「ティアナさん! 055陸士部隊から連絡! 大量のガジェットが左ゲート方面に出現! そっちに向かってほしいそうです!」

 キャロと同時にエリオからも連絡が入る。 どうやらガジェットも固まって接近しているようだ。

 そうなると、対ガジェット要員である自分達が行くしかないだろう。

「分かった! ここを引き継いだらすぐに向かうわよ!」

 ティアナはクロスミラージュから魔力弾を撃ちながら、後ろに下がっていく。

 ――大丈夫。

 前よりも激戦になるのは間違いないけど、新しく出来た仲間や上官、そしてパートナーがいれば乗り越えていける筈。

 そう思いながら、一筋の不安がティアナの心に残っていた。



 ○―――○



「こいつ等が正体不明の魔道師達か!」

 連絡を受けて、機動六課所属でまず飛び出したのは鉄槌の騎士ヴィータであった。

 事前にはやて達から、研究施設を襲った正体不明の魔道師達についての詳細な情報を得ていたからこそである。

 魔法発動を止めてくる魔法に対抗出来るのは、遠距離攻撃より近接攻撃を好むベルカの騎士しかいないと判断したからだ。

 己の相棒であるグラーフアイゼンを構えて、眼下に見えてきた色とりどりの髪をした魔道師達に向かって突撃していく。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:56:25 ID:ARJTQggA
支援
539名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:57:25 ID:yBAnnD51
支援
540リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 02:02:02 ID:FiSVgIin

 先に戦いを始めていた管理局の魔道師達は、やはり遠距離攻撃をしているようだ。 ならば援護は彼等に任せて自分が突破口を開けばいい。

『あたしが突撃する! 援護を頼む!!』

『了解しました!』

 どうやらこちらの事を知っているらしい。 自分の言葉にすぐに頷いてくれる。

 ならば臆する事などなくヴィータは真正面から一気に突撃する。 それは後ろにいる同僚達を信用し、己の技量に絶対の自信を持っているからこそ出来る事だ。

「アイゼン!」

『Raketenform』

 ヴィータの言葉に反応して、グラーフアイゼンがカートリッジを打ち付ける。 それにあわせて直接打撃モードであるラケーテンフォルムへと変化する。

 変形したハンマーヘッドに装備されているブースターが轟音とともに点火。 回転力による強化された一撃を放つべく、ヴィータ自身もグラーフアイゼンと共に回転していく。

 そして勢いが最高までついた所で、一気に敵陣に突撃した。

 ――よっしゃ!

 正体不明の魔道師達は地上にいる相手にのみ集中していたらしく、空から突撃してきたヴィータを捕らえていなかったらしい。

 一番前で戦っていた青の少女が、コンマ数秒で気づくがもう遅い。 今頃気づいた所で鉄槌の騎士の一撃から逃れる筈がないのだ。

 事実、逃れようとした瞬間、ラケーテンフォルムのスパイクが直撃した。 その反動で豪快に吹っ飛ばされていく青の少女。

 それを見てまずは、やったとヴィータが軽くだが笑顔を見せる。

 が、

「な、なんだと!?」

 次に見た光景を見て、絶句するしかなかった。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:03:54 ID:yBAnnD51
支援
542リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 02:08:56 ID:FiSVgIin
 消えているのだ。 先程、自分が吹っ飛ばした青の少女が青い光になって、消えていくのだ。

 それを見て、唖然とそして茫然となるヴィータ。

 だが、唖然としている間に周りにいる残りの敵魔道師達がすぐにこちらに矛を向けてきた為、一度その場から離脱し、後ろで砲撃魔法を撃っている局員の場所まで戻る。

「お、おい! どうなってるんだ!?」

「わ、分かりません! 自分達も吹き飛ばしたら、光になって消えているんです!」

 ヴィータの焦りを交えた質問に、局員の1人も何がなんだか分からないといった様子で答える。

 それはヴィータも同じであった。 まったくもって分からない。 何故、非殺傷設定である自分達の魔法を直撃した途端、あんな風になってしまうのか?

 それが根本的に分からなかった。 だが、遠距離攻撃を加えていくうちにヴィータは一つ気がついた。

 相手の魔道師達の顔である。 そう、すべて同じなのだ。 個性など何処にもない。 量産品のような同じ顔。 そしてまったくもって生気が感じられない表情。 まるで人形だ。

 そしてここで気がついた。 あいつ等の正体が!

「こいつら、魔力で作られた人形か!?」

 それならば納得出来る。 非殺傷設定の魔法は物理的なダメージではなく、魔力ダメージという分類に入る。 魔力で構成された人形達には返ってそちらのほうが効果的であった為、形を保つ事が出来なかったのだろう。

「こちらスターズ2! 敵アンノウンは魔力で作られた人形だ!」

 ヴィータの念話が響き渡ると同時に、再び爆音が鳴り響く。

 まだ戦いは始まったばかりだ。



 ○―――○


543名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:09:56 ID:yBAnnD51
支援
544リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 02:15:55 ID:FiSVgIin
 戦場はあっさりと激戦区へと移り変わっていた。

 アンノウンの魔道師達は時間差で色々な場所から現れ、独自の魔法攻撃を使い管理局側を追い詰めていっている。

 それに加え、地上と空から現れるガジェット達が実に邪魔である。 AMFを展開しながら突撃されると、普通の魔道師では相手にならないのだ。

 数も質も負けているのだが、管理局側はいまだに均衡を保っていた。 その原因が機動六課に所属するエース達である。

 最前線で戦うヴィータ、それを援護する形で長距離砲撃を行うなのは、そしてロストロギア保管庫に向かおうとする敵を斬り捨てるシグナム。

 たった3人、されど3人。 この3人のせいで数多く居た正体不明の魔道師――ミニオン達はかなりの数を減らしていた。

 そしてミニオン達を援護していたガジェット軍団も、ティアナの指揮のもと責め続ける六課のフォワード陣や、単独で叩き潰しているザフィーラのせいでどうにもならない状態になっている。

 そんな状況を見ている1人の男がホテルから離れた場所にいた。

「ふむ。 出来損ないのミニオンや、あの男が作ったガラクタが相手とはいえ中々やるな」

 男は戦場の状況を確認しながら、そう呟く。

 言葉から察するに、この男こそがこの大量の軍勢を送り込んでいる指揮官らしい。

 しかしこちら側が劣勢にも関わらず、まだその男には余裕があった。

 確かにあちらのエースらしき存在が、こちらの軍勢を蹴散らしているとはいえ、あくまで少数でしかない。

 全体で見れば、彼等は戦場の点でしかないのだ。 点が線を護りきれるとは思えない。

 そしてそのエース達の力によって管理局の防衛ラインは少しずつだが、前へと傾いている。 それは管理局側がホテルの防御から、こちらの戦力を打ち倒す事に力を傾けた証に他ならない。

 だがそれがこちらの狙い。

「さて、これを投入するとどうなるかな?」

 男の言葉と同時に戦場は更なる混乱を招く事になる。



 ○―――○


545名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:17:23 ID:yBAnnD51
支援
546リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 02:23:24 ID:FiSVgIin
 それは突然に襲い掛かってきた。

「な、なんや!?」

 ホテルに突如、爆音と衝撃が襲い掛かってきたのだ。

 会場にいた民間人が悲鳴を上げるが、逃げる事は出来ない。 下手に逃げようとすれば、痛めを見る事を分かっている為だ。

 はやては衝撃が収まるとすぐに念話を飛ばす。 自分はここを護る為に派遣された部隊の指揮官なのだから。

『ロングアーチ、これは!?』

『部隊長! ホテル近くに突然、敵魔道師現れたんです! 結界でどうにか護っていますが、数が多くてそう長くもつとは……』

『シャマル!?』

『御免なさい、はやてちゃん! 全力で護ってるんですが、そう長くは……』

 念話を通じて返ってきた、シャマル達からの声を聞いてはやては焦り出す。

 仲間や部下を信じていない訳ではないのだが、どうやら完全に劣勢の状況のようだ。

 なのはにヴィータは一番の激戦区である正面ゲートで戦闘、シグナムとザフィーラはロストロギアが保管されてる場所へと続くゲートで奮戦。

 フェイトは遊撃戦力としてあちこちを飛び回り、フォワード陣は左ゲートでガジェット達と戦闘を繰り広げているようだ。

 本当なら、彼等の奮戦により敵の数は相当減ったのだが、ラインを上げてしまった為に一瞬無防備になってしまった所を、転送魔法でホテル付近に近づかれてしまったのだ。

 正直な話、これ以上の戦闘はまずい。 仲間達は消耗が激しいようだし、敵が無尽蔵に現れてしまっては、精鋭である彼等とて長くは戦えないだろう。

 救援を要請はしているが、自分達が彼等の到着まで戦ってられるかは分からなかった。

『グリフィス君、民間人を逃がせるルートはあるか!?』

『あります! 何故かは分かりませんが、裏口付近は手薄です!』

 ロングアーチ隊から送られた情報によると、敵部隊が展開しているのは正面と、左ゲート、そしてロストロギア保管庫である地下へ続くゲートのみだ。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:24:39 ID:yBAnnD51
支援
548リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 02:30:08 ID:FiSVgIin

 この情報が正しければ、裏口はまったくもって無防備な上に敵部隊も展開していない。

 罠かどうかと疑うが、完全に確かめられる程の余裕がないのも事実であった。

『なら、まず民間人から逃がさないとな! みんな悪いけど、それまでもたせてくれな』

『分かりました!』

『任せとけ!』

『やってみるよ!』

 それぞれ決意の声が念話で聞こえてくる。

『ザフィーラをそちらに向かわせます!』

『こちら055隊、2人程ですがそちらにまわします!』

『ありがとうな!』

 民間人を脱出させる為の援軍として、ザフィーラと陸士の隊員2人が来てくれるようだ。

 人数は少ないが、これ以上の文句を言う事は出来ない。 彼等とてこれ以上戦力を減らせば、戦線が崩壊してしまうからだ。

 はやてもデバイスを起動、騎士甲冑を装備する。 リィンがいない為、精密な狙いはつけられないが愚痴を言う事はしない。

『ザフィーラ、まずうちと2人で裏口の状況を確認や!』

『了解しました!』

 撤退である。



 ○―――○


549名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:31:27 ID:yBAnnD51
支援
550リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 02:37:24 ID:FiSVgIin
「こっちでいいの!?」

「ええ。 シャマル先生の話だと侵入者が入ったのは間違いなくここよ!」

 はやて達が撤退へと動きを変えていた頃、スバルとティアナはホテルの地下をマッハキャリバーで爆走していた。

 戦闘の途中、シャマルやザフィーラが張っていた結界が一部崩壊。 そこを通じて、敵魔道師が数人入り込んでしまったらしい。

 その対策として、一番近くにいたスバルとティアナが追撃についたのだ。 更に遊撃戦力であるフェイトもこちらに向かっている。

 ティアナはスバルの背中に乗りながら、地下通路の地図を開く。 敵の狙いはあきらかにロストロギアだ。 なら先回りする為にその保管庫までの最短の道筋を導き出す。

「左!」

「うん!!」

 スバルもティアナの声に反応して、動きを変えて自分が出せる最高速度で駆け抜けていく。

 そして――

「ほう、辿り着いた奴がいるのか」

 スバルとティアナが辿り着いた先には――

「あいつは……!?」

 黒い刃を持った存在――

「敵……!?」

 ロウ・エターナルの1人、『黒い刃タキオス』の姿があった。



 リリカル×アセリア SCENE02 立ちはだかる牙 END
                          →
                           NEXT SCENE03 ウシナワレルモノ
551リリカル×アセリア ◆UcPt.BPOZc :2007/10/13(土) 02:40:50 ID:FiSVgIin
ただいな支援に感謝を。
という訳で2話をお送りしました。
今回は
・StS主要キャラ1名に死亡フラグ
・働く三人娘に侍
・タキオス降臨
の3本でお送りしました。 どうだったでしょ?
次回はホテル・アグスタ後編で。 では。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:43:09 ID:yBAnnD51
GJです。死亡フラグ・・・ティアナでしょうか?
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 06:16:46 ID:9dgPGvMz
しばらく更新が止まってしまっている正伝の方のティアナも
サイガと遭遇してるし、何でこう運の悪い役どころが回ってくるんだろう。
・・・・・・・・・・やられ役にしやすいのかな(ボソ)
554名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 07:34:24 ID:aAkpA1lZ
>>553
作者の(歪んだ)愛情を一心に浴びていると考えるんだ。

うん、オボロボロボロというフレーズが頭をよぎった。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 09:12:57 ID:xq6RHJNQ
>>554
オボロ鍛えれば最強なんだけどな…
556名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 09:40:14 ID:I00oAMaF
ボロボロといえばこの人
 |/H\
 | 0M0) <ティアナハオレガソダテタ
 |⊂/
 | /
557×DOD:2007/10/13(土) 10:05:30 ID:nwHZr/8v
ログ読んでました。みんな赤ちゃん好きだなwww





と言う自分も同じ穴のムジナですが。
それはともかくとして、とうとう哀れな子キャロが、物書きの御手に挑む時が来たのです。そんな投下。
7レス程。
558×DOD 一章二節 1/7:2007/10/13(土) 10:06:52 ID:nwHZr/8v
 機動六課の新人フォワード。ロストロギアに関わる彼らが課される日々の訓練はなかなかに苛烈である。
 幸いにして機動六課には高町なのは監修の超高性能陸戦シミュレータがある上、その指導員自体も優秀だった。射撃系
長距離魔法を極めたなのは、文字通り神速の機動力を持つフェイトの二人の隊長をはじめ、スターズ分隊副隊長のヴィー
タはその小さな体に余るほどの鉄鎚を振りまわし近距離格闘に秀でている。それぞれ己の得意な、そして必要とする技術
のエキスパートであり、彼らにとって己の能力を高めるのにこれ以上の理想の教師はいない。正に最高の環境での訓練で
あった。
 しかし彼らの体力についてという意味では、必ずしも幸福とは言えないのが事実だ。肉体が耐える限界ギリギリのライン
を見極め、さらにまだ成長途中である彼らの飛躍を妨げぬよう計算しつくされた訓練は正直に言ってかなり辛いものがあ
る。自分で選んだ道だから、強くなるためだからと弱音の一つも吐かずに修練を重ねていったが、一日の終わりに疲労困
憊でベッドになだれ込むこともあったくらいだ。特に近距離で動き回るスバルやエリオは、その傾向が強かった。

「…そういえば」
「ん? 何?」
「あ、いや、大したことじゃないんですけど…三日前に転移してきた赤いドラゴン、あの後何処かに行っちゃったけど…
 …何だったんだろう、って」

 そういう事情があったため、エリオが全員そろっての食事の場でぽつりと漏らすのは、カイムとドラゴンの来訪から三
日が経った後になっての事であった。
 この日は午前の訓練を終えれば午後は自主練習の時間である。それはそれでやはり厳しい鍛練をするつもりはあるが、
あの隊長の射撃による喝入れがあるのと無いのとではやはり余裕が違うというものなのだ。

「あたしもその後の事は聞いてないわ…なのはさんもフェイト隊長も、あのドラゴンのことは何も言ってこないし」
「キャロは何か知ってる? ほら、竜召喚関係のよしみとか」
「いえ、フリードとはどこか違いますし…あんなにすごい魔力の竜、見たこともなかった…」

 ティアナが思い返し、スバルが尋ね、キャロが首を振る。
 彼女たちとて忘れたわけではない。竜が去って行く時の歓喜の嘶きは、むしろ鮮明に覚えている。だが魔導師として駆
け出しの彼らには、訓練をはじめとしてやるべきことが多すぎた。異界の竜を思い出してゆっくり考える暇など、今のよ
うに皆で昼食の時間をゆっくり過ごせるようになるまではこれっぽっちもなかったのである。
559×DOD 一章二節 1/7:2007/10/13(土) 10:07:58 ID:nwHZr/8v
「今度、なのはさん達に聞いてみよっか」
「そうですね。あの後どうなったか気になりますし」

「皆さん、あの…ドラゴン、とは?」

 そこに口を挟んだのは、たまたま四人のテーブルに同席していたメカニックのシャーリーであった。傍らには彼女の皿の
サラダからミニトマトを貰ってかじっている小さなリインフォースUの姿もあるが、こちらは竜に興味はないらしい。

「あれ…ご存知ないんですか?」
「はい。えと…キャロさんのでは?」
「いえ、その、三日くらい前緊急の出動要請があったじゃないですか。その時に本局の方の転移魔法で来たのを見たんです」

 キャロが連れている白き飛竜フリードのことかと思って尋ねるも、そう否定されてシャリオは疑念にかられた。
 話を聞く限りではそのドラゴンは、随分と強大な魔力を持っているらしい。そんな情報が届かないなど、ロストロギア
といった危険な対象を取り扱う機動六課にはよほどの事でなければあり得ない話である。しかしこの新人たちは皆素直で
あり、その言葉を疑うのは意味がないだろう。

「変ですね…こんな事件、すぐ広まりそうなのに」
「要請が来た時は、『恐ろしく強力なロストロギア関連の可能性あり』って言ってたのに…何か事情があるのかしら?」
「そういえば、あの後ドラゴンが何処かに行っちゃったのも変じゃない? ロストロギア所持者かもしれないのに、取り
 調べとかどうするんだろ」
「あ、それも…って考えてみたら、謎だらけですね」

 一気に話に花が咲き始める陸士たち。やれ古の魔竜だ、いやあれはきっと聖なるドラゴンに違いない、そんな当てのな
い推測が飛び交う。隊長による特訓ではなく自主練習を控えたその日の昼食は、随分と楽しいものになるのだった。
 しかし、彼らは気付かなかった。キャロの背後にいたはずの白銀の仔竜、フリードリヒの姿が、いつの間にか何処にも
なかったのである。
560×DOD 一章二節 3/7:2007/10/13(土) 10:09:05 ID:nwHZr/8v
 昼休みを終えたシャーリーは、しばらくすると通信機のマイクを取った。
 当然の流れである。六課内で流れた噂は、特に怪しいものは、隊長たちにも伝えるべきことなのだ。そしてそれを知った
なのはとフェイトは、当たり前のように――

「ク・ロ・ノ君?」
「……お兄ちゃん」

 ――時空監理局本局を出たクロノに天を仰がせた。
 ドラゴンが倒したという崩壊した神像の調査、それもようやく終わって――完全に砂塵と化していたためほとんど何も
わからなかったが、それでも報告書を書かなければならないのが彼の悲しい務めである――さあ一休みと思ったらこの有
り様だ。目の前に二人の美女とは男たちの羨む光景だが、しかしその実彼女たちは魔法ランクSを超える一騎当千の実力
者である。本気でそうなることは多分ないと思う、いや思いたいが、できるなら怒りを買いたくない友人と義妹だ。
 何の因果か。いやそんなことは分かっている。恐らくは三日前の事件のことだろう。調査自体は昨日ほとんど終わって
いたので、何もなかったと言っておいたから神像のことではあるまい。となると、二人の目的はあの竜と竜騎士のはずだ。
 さてどうするべきか。
 自分としては竜と人は酷く疲れているように見えたのだから、まだ休息を味わっていてほしかった。そう思って彼らを
放ってお
いたのだが、よくよく考えてみればもう三日も経つのだ。彼らの戦いの壮絶さを知らぬ人間からすれば十分過ぎるくらい
であり、自分もそろそろ彼らから本格的に事情を聞こう、あわよくば住民登録に移ろうかと考えていたところでもある。
激闘の疲れを癒すのは終わっている。言い訳にならない。
 …そろそろいいだろう。
 人に会いたくないなら彼らだって避けようとするはずだ。クロノはそう考えた。決断は早かった。

「…あ、ごめん。連絡まだだったな。あの二人には事件性なかったから」

 それでも最後の配慮は残して答えた。
 ロストロギアに関係ないと言ったのだ。機動六課としてはもう聞いてくるようなことは何も残らない答え方だった。最
悪の場合としてあくまで個人的に突っ込んで聞かれたら確実に洗いざらい答えさせられるのだろうなとは思ったが、さす
がに彼女たちがそうする理由もないかと図ったのである。
 開き直りでは、決してないのである。

「…なら、いいけど…」

 クロノの思惑通り、なのははまだ不服そうにしながらも一応の納得を見せた。ロストロギアが絡むのでないなら、彼女
たちの出る幕はない。
561×DOD 一章二節 4/7:2007/10/13(土) 10:12:41 ID:nwHZr/8v
 しかしそれでも、何やら疑問の残る顔をしているのが居た。
 フェイトだ。義兄の言葉を聞いて一瞬えっと口を開き、そのままクロノの顔を見つめている。やがてクロノに気付かれ、
なのはもふと横を見たときになって、金髪の魔導師はそれを口にした。

「……お兄ちゃん」
「フェイト、どうした?」
「二人って?」
「あっ」

 なのはがはっとした顔になり、クロノが意外な様子で続ける。

「竜と竜騎士だが…、聞いてなかったのか?」
「うん、ドラゴンが来た事しか…」
「誰から?」
「シャーリー。でも、シャーリーはスバル達から聞いたんだって」
「彼女たちは地上にいたからな。背中に隠れて見えなかったんだろう」

 下から見れば竜の腹、せいぜい見えたとしても首がいいところだ。背に横たわっていた男が目に入らなくても不思議な
話ではないだろう。
 それきりフェイトも、なのはも質問を途切れさせた。何か考えている様子だ。
 …もう話は終わりだろうか。
 帰ってもいいのだろうか。そう考えながら思案顔になった二人をしばらくそのまま見ていたのだが、それがいけなかった
のだとすぐにクロノは知る。そんなことを考える暇があったら立ち去ってしまうべきだったのだ。

「その人たち、今は何処にいるの?」

 …終わった。自分が与えられる、彼らの休息はこれで終わった。
 今度こそ答えねばなるまい。親友に手合わせと称して鬱憤晴らしに星光崩壊の一撃を貰うのは嫌だし、何より義妹に口を
聞いてもらえないのも勘弁被りたいのである。
 暫しの沈黙の後、クロノは白状した。開き直りでは、決して、ないのである。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 10:48:29 ID:bfhpI3z0
規制かな?支援する!
563名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 10:58:44 ID:blUsiQew
支援
564×DOD 一章二節:2007/10/13(土) 11:21:18 ID:tk55MIEw
「…三日前に転移して来てから、その北西にある森を使うと言っていた。座標は…」
「魔法はどうかな」
「ランクの事か? 計測してないし、実際使ったのは見てないが…少なくとも竜の魔力は、どうしようもなく巨大としか表
 現できない」
「どんな人たちなの?」
「悪人かどうかは…わからない。ただ、酷く疲れていた。ずっと戦場にいたらしい…竜騎士の方は喋れなくて、ドラゴンが
 話してくれた」
「喋る、ドラゴン…格闘とかは、クロノ君から見てどう?」
「騎士の方は全身に武器を仕込んでたから、相当の場数は…って二人とも、そんなこと聞いてどうするんだ…?」

 情報をだだ漏らしにした後クロノが問う。やはりというべきか、答えはこうだった。

「会ってみようかな、って」

「私も」
565名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 11:22:23 ID:tk55MIEw


 三日間の休息を終え、竜と竜騎士はほぼ復活した。
 崩壊した世界の記憶が鮮烈過ぎて精神的には全快と言えないものの、体力の点ではもとの状態を取り戻していた。むし
ろ身体を巡る『母』の魔力を持て余しているくらいであった。
 澱んだ魔力は発散せねばならない、そんな時カイムは剣を振るう。森での食糧確保に、狩りをする必要があったのでち
ょうどよいとも言えた。幸いにしてそう頻繁ではないが、時たま迷い込んだ獣が愚かにも戦いを挑んでくることがあるのだ。
 今日も獲物は得た。カイムの体躯程もある大きな獣だ。何と呼ぶのかはわからないがとりあえず当分の糧にはなりそう
である。ついでにふらふらと飛んできた、もう一つの獲物をとらえることも出来た。
 が。

「………」

 カイムは手にした物体を見て止まっていた。
 正確に言えば、どうすればいいのか分からなかった。手の中にあるのは自身の昼食の材料で、このまま木の枝にくくり
つけて火で焙ればいいだけである。
 にもかかわらず、カイムは未だに戸惑い、それを躊躇していたのである。
 持っているのは、剣で倒した方ではない。後から飛んできた小さな方だ。

「………………」
「クルゥ」

 手にしていたのは脚を縛られて逆さ吊りにされた、小さな飛竜であった。
 どこからともなくふらふらと寄ってきたのを摘まみ上げて縛ったはいいが、見ると小さく鳴き声を上げて嬉しそうに見
つめ返してくる。その目には被食者の恐怖でなく、懐っこい光が映っていたのだ。ただ焼けばいいだけのはずなのに、あ
る程度の意識を持つとみられる竜が、何が起こるかもわからぬ様子で自分を見つめている。それを火焙りにするのは何か、
不思議にも躊躇われたのだった。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 11:26:10 ID:tk55MIEw
「……カイム」
「………………………」
「見逃してやってはくれぬか。異郷の種とはいえ、同族の子供が丸焼きにされるのは忍びない」

 背後に居たドラゴンが言った。他にも獲物はあるのだし、どうせその大きさでは腹の足しにもなるまいと付け加える。
カイムは頷き返し、吊られた竜の脚を結う縄の結び目を切ってやる。
 情けをかけるのにも理由を欲する半身に内心苦笑し、解放された竜を見る。小さき白竜はカイムの周りを、そしてドラ
ゴンの眼下をくるくると飛び回っていた。少なくともこの一帯には竜族の気配を感じることができない。同じドラゴン同
士、そして竜の匂いが身体に染み付いているカイムもまた、己の仲間と感じているのだろうか。
 そうしているうちに白竜は、もう興味を失ったカイムの足下に降り、仕留めた獣の肉を捌くのを見はじめる。そんな飛
竜の後ろ姿を見て、気付いたドラゴンが声を飛ばした。

「………?」
「封印が施されておるな。……慌てるな、おぬしの考えているのとは違う。単なる力の抑制だ」

 「封印」という単語に敏感に反応するカイムをドラゴンが諌める。無理もない、カイムが守ろうとし、守れなかったの
は「封印の女神」であった。さらに言えばあの地獄のような紅い世界を生んだのは、神によって少女マナを鍵と定められ
たいわば「崩壊の封印」なのだから。

「クァ、クルぅ」
「ふむ、…主がおるようだ。我ら同族の気配を感じ、機を見てこっそり会いに来たらしい」
「………」
「…その通り、やはり我らとは違う。『契約』とはな………さて」

 『声』で伝わるカイムの疑問に答え、ドラゴンはくっと空を見上げた。鍛え上げた聴覚に意識を集中する。何かが聞こ
えたような気がしたのだ。そのまま目を閉じ、耳を澄ます。
 少しすると遅れて聞こえはじめたのか、カイムもまた怪訝な顔をしてドラゴンを見上げる。彼らの耳に入ったのは、こ
んな声であった。


――フリード、フリードー?


「………どうしたものかな」

 カイムの視線の先で、ドラゴンが呟きを漏らした。
567名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 11:34:38 ID:tk55MIEw
途中から携帯でした。他の待ってる職人の方がいらしたら本当に申し訳ない。


では。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 12:16:27 ID:DExkuleu
待ってました
カイム・アンヘルと出会えばドキドキ?のキャロにwktkです
569名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 12:29:35 ID:bjvGq/dw
GJですな
570名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:17:31 ID:mTDutJHm
GJでした。
フリードが丸焼きにされそうだったと知ったらキャロ卒倒しそうだな。
571名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:20:44 ID:5YEmQBXL
GJ!!
キャロとの対談で揉めてしまったところに、2人のバトルジャンキーが来たら
それはもう戦いの始まりですね。まかり間違ってカイムに傷を与えたと勘違いされたら
アンヘルに森ごと燃やされそうだw
572名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:24:16 ID:+2pmk4Cc
GJ!
ついに邂逅の時!
573なの魂の人:2007/10/13(土) 13:36:10 ID:0bt03vvo
GJです。
とりあえず自分も、某ゲームとStSの一発ネタが出来たので投下してもよろしいでしょうか?
恐らく、10レスくらい
574名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:37:55 ID:ZPWx6iEF
OKでしょう
時間も空いてることですし
575Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:43:06 ID:0bt03vvo



「リチャード! お前はやり方を間違えただけだ!
 アメリカを想う気持ちは、一緒のはずだ!!」

宇宙空間に一人の漢の声が木霊する。
普通ならばこの角度、この速度で大気圏突入を行えば、まず助からない。

――だが私は……不可能を可能にして生きてきた! 今も…そしてこれからもだ!!

目の前の強敵(とも)に手を差し伸べる。
しかし……

「ふ…ふふ……ふははははは!!!」

「リチャード!!」

男は彼を嘲笑った。
差し伸べられた手を弾き飛ばす。

「はは!! "正義"でも消せぬ炎があることを知るがいい、マイケル!!」

それが、男の最期の叫びだった。
大気圏突入の熱に耐え切れず、白銀に染まった機体の各所から小爆発が起こる。

「リチャァァァァァァド!!!!」

漢は叫ぶ。
彼を…彼を死なせるわけにはいかない。
……だが、運命は残酷だ。
白銀のボディから眩い光が放たれ、そして――

「大統領!! 応答してください、大統領!!!」

――まるで、核でも爆発したかのような閃光。
その後に、二人の戦士の姿は無かった。
576Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:44:12 ID:0bt03vvo





八神はやては焦っていた。
『強奪されたレリックの奪還』
言葉だけでは非常に簡単に見えるが、実際はそうではない。
レリックが収まっている列車内には30機近くのガジェット。
戦闘空域には無数の空戦用ガジェット。
いくらこちらの隊員たちが優秀でも、所詮は人間。
消耗戦になれば圧倒的に不利だ。

「マズいな……このままじゃジリ貧や」

いっそのこと、自分が出ようか?
いや、そんなことをしたら、部隊の指揮はだれが行うのだ?
などと司令室で悶々と考えていたその時。
戦闘空域を覆うレーダーが異変を発した。

「上空より、未確認の反応! ……来ます!」

「なんだ……これは?」

新型のガジェットだろうか。
だが、そのシルエットは既存のものとは大きく異なっていた。
まず、人型だ。無機質な球状や、戦闘機型ではない。
3メートルはあろうかという巨体。鋭利な顔立ち。漆黒のボディ。背中には紅い、巨大なバレルが二つ。
その力強い姿を目にし、はやてはこう呟く。

「狼……まるで、鋼の狼や…」

その時の彼女は、まさか彼がこの世界を救う存在になるとは思ってもいなかった……。
577Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:45:37 ID:0bt03vvo





(どこだ……ここは…)

彼、マイケル・ウィルソン――いや、メタルウルフが目を覚ましたのは戦場の真っ只中だった。
乱れ飛ぶレーザー、はじける誘導弾。そして――

「なんということだ……。
 どうやら私は、おとぎの国へ来てしまったようだ」

そう、眼下では二人の女性が――信じられないが、パワードスーツも装着せずに
戦闘機型の兵器と空中戦を繰り広げているのだ。

――そうだ、これは悪い夢なのだ。
普通の人間なら、こう思うだろう。
だが、彼は違った。

――ここはどこだ?
おとぎの国だ。

――なにが起こっている。
戦闘だ。

――戦っているのは誰だ?
二人の、見知らぬ女性だ。

――なら、私は何をすればいい?
私は……。



そうだ、私は17時までは紳士のはずだ。



「HA! 鉛玉のパスポートをたらふく喰らいな!!」

右背部のバレル――明らかに物理法則を無視したウェポンベイを展開。"M134ミニガン"を取り出す。
狙うは戦闘機型の兵器だ。

「Let's Party!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
578名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:46:37 ID:ZPWx6iEF
このスレで幾度も登場している大統領が、またもや支援
579名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:46:39 ID:+2pmk4Cc
大統領支援
580Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:47:09 ID:0bt03vvo

そう、パーティの始まりだ。
不意を付かれた戦闘機は、無数の弾丸を喰らって爆散する。
先ほどまで戦闘機と戦っていた女性達が驚きの目でこちらを見るが、そんなもん知ったことか。
迫り来る戦闘機をひたすらに撃ち落す。
一本では物足りなくなったのか、左部ウェポンベイからも同型のミニガンを取り出し撃ちまくる。

「アンノウン、ガジェットを攻撃しました!」

「味方……なの?」

「いえ……今のは質量兵器です。本部の増援とは思えません。
 ですが……こちらを攻撃してくる様子も無いようです」

「招かれざる客……ってところか。
 なのはちゃん、フェイトちゃん。そのロボットには手ェ出さんといて。
 ひとまず様子を見るわ」



……数十秒後。
上空の敵は綺麗さっぱり消滅していた。
だが、先の戦闘でスイッチが入ってしまった彼は、そう簡単には止まらない。
目ざとく次の獲物を探す。

「む、あれは……」

眼下に列車を発見。
その上では、大型の突撃槍を持った少年。ファンタジーの魔導師のような姿をした少女。
そして……よく分からん空飛ぶ爬虫類らしき生物が、球状の機械と対峙している。
おそらく、あれも戦闘兵器だろう。
スラスターで加速をつけ、一気に列車へ向かう。
しかし、その行く手を阻む戦闘機型兵器。
どうやら数機、撃ちもらしていたようだ。

「ガジェットU型、アンノウンへの攻撃を開始しました!」

大量のレーザーとミサイルが襲い掛かる。

――いつぞやのリバティ島を思い出すな……。

防御体勢もとらず、それどころか一層加速をつけて弾幕の嵐へ突っ込む。
そして――
581Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:48:33 ID:0bt03vvo

「直撃!?」

「あかん! あんな攻撃食らってもうたら…!」

巨大な閃光に包まれる黒い機体。
あれだけの攻撃を真正面から受けては、たとえSランクの魔導師であってもただでは済まない。

――そう、攻撃を受けたのが『魔導師』であったなら…。



爆煙の中から、凄まじい勢いで何かが飛び出す。

「ハロー! 坊や!!!」

「声!? 中に人がいるのか!?」

今まで無人だと思っていた人型機が発した言葉に、驚きを隠せない。
だが司令室の一同は、直後にこれ以上の驚き……いや、戦慄を覚えるのだった。

「無傷……? 無傷です! アンノウン、攻撃を一切受け付けていません!!」

「んなアホな!?」

あれだけの飽和攻撃を受ければ、いかな優秀な魔導師でも手足の一本や二本持っていかれてもおかしくはない。
だというのにこの人型機は、それどころか一切の損傷も負っていないのだ。

「だが、すぐにおやすみだ!!!」

開口一番、メタルウルフは戦闘機にミニガンを"突き刺した"。



「な、なんつー戦い方や…!」

そのあまりにも荒々しい戦いぶりに、はやては感嘆とも呆れとも取れる声を漏らす。
中枢を貫かれたガジェットはきりもみ回転をしながら落下。
しかし人型機の猛攻は収まらない。
突き刺したままの機関砲を高速連射。
流れ弾で次々と撃墜されるガジェット。
周辺の敵を掃討した人型機は機関砲を引き抜き、屑鉄へと変貌したガジェットを蹴り飛ばす。
そしてその勢いで列車へ。
ここにきて、ようやくはやては列車上の友軍――エリオとキャロに退避命令を出さなければいけないという考えに至った。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:48:39 ID:+2pmk4Cc
アメリカ軍>>>管理局支援
583Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:52:59 ID:0bt03vvo



「"着艦"!!」

一切の減速も無しに、球状兵器へ突っ込むメタルウルフ。
超重量・超高度からのダイビングアタックを受けたガジェットV型は、一瞬にしてただの鉄塊になった。

「ライトニング3、ライトニング4!! 即時撤退や! その人何するか分からへん!!」

総隊長の只ならぬ気配に、エリオとキャロは素直に従う。
そしてこれが功を奏した。

「反応多数! 敵の増援です!」

またもや戦闘機型兵器の編隊である。
牽制のためか、一機が突出してこちらへ向かってくる。
しかしメタルウルフは慌てた様子も見せず、むしろその状況を楽しむかのように叫ぶ。

「大歓迎だな。
 お返しに穴あきチーズにしてやるよ!!!」

ウェポンベイから"M2迫撃砲"を取り出し、敵機へ砲口を向ける。
曲射砲で狙撃とは、無茶もいいところである。

「Bingo!!!!!」

だが、そんな無茶すらもやってのけるのが彼、メタルウルフだ。
107mm弾の直撃を受けたガジェットは、彼の傍らへ墜落し、爆散した。
人間ならこの辺りで敗北を悟り、戦術的撤退に走るところだが相手は機械。
そのような柔軟な思考は持ち合わせていなかった。

「車両内のガジェット、及び戦闘空域のガジェットU型が次々とアンノウンを目指しています!」

「あかん! いくらなんでも、その数は無茶や! 早よ逃げて!!」

思わず広域帯の通信で肉声を送ってしまう。
実のところ、広域Sランクのはやてであればこれくらいの数は何とかできるのだが
あの機体の武装では、恐らく無理だ。
あれは一対一に重きを置かれている。そういう機体なのだ。
……と、彼女は考えた。
しかし、その予想は大きく裏切られることとなる。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:53:27 ID:ZPWx6iEF
しえんしえーん
585Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:54:05 ID:0bt03vvo

「No Problem!!!!!!」

スラスターを併用し、直上へジャンプ。
見る見るうちに高度を上げ、真下に敵機を集める。

「アツアツのローストチキンにしてやるよ!!!」

そう叫んでウェポンベイから取り出したのは"MML32"――マルチミサイルランチャー。
先ほどの少年少女がその場に留まっていたら、このような派手な真似は出来なかっただろう。
情け無用、容赦無用の弾幕は貨物車両ごと敵部隊を消し飛ばした。



「えー……作戦領域内の敵機、全て消滅…」

「ですが、まだ列車のコントロールが!」

一難去ってまた一難というやつである。
これでレリックを奪われる心配はなくなったが、このまま列車が暴走すれば
新たな惨事が引き起こされてしまう。
車内のリインに連絡を取ろうとしたその時、司令室に別の声が割って入る。

「どうやら、まだ素敵なデザートが残っているようだな。
 少女よ!」

「は、はい!!?」

なんらかの弾みで、今の会話が現場に漏れてしまったのだろう。
一仕事終えて、暴走を続ける車両へ着地した人型機のパイロットが、大声で叫んだのだ。
そのあまりの迫力に、はやては一瞬萎縮してしまう。

「この列車を止めれば良いのだな!?」

「え、あ、は、はい。そうですけど……」

「了解だ!!」

言うが早いか、人型機は屋根伝いに車上を走る。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:55:36 ID:+2pmk4Cc
大統領には敬語で話そう支援
587Metal Wolf Strike:2007/10/13(土) 13:56:05 ID:0bt03vvo

「ア、アンノウン、列車前部へ移動! もの凄い速さです!」

「ま、まさか……」

「ちょ……待ちぃな!! いくらなんでもそれは無茶や! うん、断言する! 絶対無理!!」

彼のやろうとしていることを察したはやては、必死でそれを止めようとする。
そんなことは魔導師……いや、人間には到底不可能だ。

――彼女は知らなかった。
彼が、不可能を可能にして生きてきていたことを。
今も、そしてこれからもだ――

「無茶ではない! 何故なら私は――」

威風堂々と列車の前に降り立つ人型機――メタルウルフ。
その姿に、迷いのようなものは一切見当たらなかった。
見えたものといえば、唯一つ。
それは誇り高き魂。

「ア メ リ カ 合 衆 国 大 統 領 だ か ら だ ! ! ! !」

凄まじい速度で向かい来る列車を、メタルウルフは"受け止めた"。

「Yeahhhhhhhh!!!!!!!!!!!」



「列車……停止しました。メチャクチャだ。夢でも見ているのか?」

「あの……アメリカって確か、八神隊長達が住んでた世界の…………」

「……私、もう何が起こっても驚かん自信がついたわ…」



 "メタルウルフ、機動六課との接触に成功。
  元の世界への帰還方法は、未だ分からず"



Believe Your Justice.
君はまだ、本当の大統力を知らない……

〜Metal Wolf Strike〜
連載開始日:いつかしてみたい
588名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:57:29 ID:2HeKzVNP
GJ!
大統力フイタwwwww
連載開始するのを待ってるぜ!
589名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:57:34 ID:+2pmk4Cc
GJ!これはよい大統領魂!
間違いなくゆりかごがスクラップ。
590なの魂の人:2007/10/13(土) 13:59:07 ID:0bt03vvo
はい、というわけで
フロムソフトウェアさんの隠れた名作、メタルウルフカオスとのクロスでした
wiki見直してきたんですけど、数回クロス出てるんですね…

大統領知らないって人は、↓のムービーでも見てみましょう
彼のぶっ飛び具合がよく分かります
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm212233
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm6541
591名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:02:01 ID:o+0ZxQcc
これはいい大統領ですねwwww
592名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:03:20 ID:ZPWx6iEF
流石大統領www
GJでした
593名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:03:22 ID:XLJwx+29
大統領>>>(越えられない壁)>>>アメリカ軍>>>管理局支援
594名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:05:37 ID:+2pmk4Cc
大統領なら3脳もスカも速攻で撃破、管理局トップに就任もすぐだな。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:07:21 ID:tk55MIEw
大統領ノリノリすぎてワロタwwwwww
596名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:07:54 ID:bF7L4Ktd
大統領SUGEEEEE
597名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:19:30 ID:h8wurviQ
気が付けば管理局がアメリカの組織に変わってそうだなwww
598名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:24:17 ID:+2pmk4Cc
>>597
え?全次元世界がアメリカ合衆国の州になるんじゃないの?www
ミッドチルダ州とかww
599名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:58:13 ID:BwzQ8503
この大統領は間違いなくアルカンシェルを食らっても生きているwww
600名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 15:55:38 ID:gmxaj0rR
何この「メカ物のキャラで絶対に敵に回したくない奴」の一人。
601白き異界の魔王:2007/10/13(土) 16:05:54 ID:Hq2fHS1e
今日は投下が多そうです。
まとめサイト管理人の人は大丈夫だろうか。

と、心配しながら投下してよろしいでしょうか。

いつものように、なにもなければ投下って事で
602名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 16:16:03 ID:Rw00Wd1y
>>601
なにもないですよ〜。
603白き異界の魔王:2007/10/13(土) 16:16:11 ID:Hq2fHS1e
世界結界開口部ファー・ジ・アース側:緋室灯
弾丸が群れの中で炸裂する。
弾丸の魔力と蝗の魔力がぶつかり合い、ままたき、やがて消える。
これで稼げた時間は5秒。
蝗の一匹一匹は問題ではない。
万にも及ぶその数の前では一発の弾丸など砂浜に刺した一本の針にも等しい。
また1つ突出した群れに発射。さらに2秒、時間を稼ぐ。
蝗が殺到しては灯にはそれを防ぐ手だてはない。ファー・ジ・アースと向こうの世界を繋ぐ中継アンテナが破壊されてしまう。
ならば灯にできるのはこのアンテナを少しでも時間を稼ぐこと。
その間に月匣に突入した機動六課がアニエスを倒せばこの戦いに勝てる。
蝗の群れの羽音は大きくなる。
もう、エンジェルシード一本では時間稼ぎも難しい。
超ロングレンジライフルはどうか?赤熱した砲身は未だ冷却途中。使えば暴発するだけだ。
今なら逃げられるかも知れない。
だが、灯は逃げない。
この世界には守りたい物がある。
守りたい人がいる。
「……命」
そのためなら、自らを風前の灯火にしようともかまわない。
さらに発射。蝗の群れに灯った光が花火のように広がり、消える。
おそらくこれが最後の射撃。
蝗はもう目前。その物量が灯とアンテナを押しつぶしてしまう。
それでも、わずかでも時間を遅らせようとエンジェルシードを構える。
灯は蝗の羽音を耳元で聞いた。

「悠久なる凍土 凍てつく棺のうちにて 永遠の眠りを与えよ」

雲よりなお上の高空に詠唱と雪が降る。
灯を取り巻く蝗の群れは瞬時に氷の中に封じられる。
「凍てつけ!」
崩れる氷と共に蝗の群れが消えていく。
空は未だ蝗の霧に満ちている。
だが、その霧は遙か遠くにある。
ここに来るまでには時間がかかる。
「あなたが緋室灯さんですか?」
頭上の黒目、黒髪、黒いローブに白い杖を持った長身の男に灯は首肯で答える。
その時、灯の四方に光りが落ち、人となった。
「ならば、我ら蒼天の主の元に集いし騎士」
前に立つは烈火の将、シグナム。
「この命、この力、全てをもって」
右から支えるは風の癒し手、シャマル。
「我らが主、蒼天の王、八神はやての命の下に」
左より攻めるは紅の鉄騎、ヴィータ。
「主が友、緋室灯を守護せん」
後ろを守るは蒼き狼、ザフィーラ。
4人の騎士が灯を囲んだ。
頭上の男も灯の横に降りる。
「僕はクラウディア艦長。クロノ・ハラオウン。君を助けに来た。後は僕たちにまかせてくれないか」
灯はそれにエンジェルシードを蝗に向けることで答えた。
「……戦える」
灯の疲弊に気づいて止めようとするのクロノの口元にヴィータがグラーフアイゼンを当てる。
「いいじゃねえか。一緒に戦おうぜ」
どこか楽しげに笑うヴィータを見てシグナムは叫んだ。
「ならば……ヴォルケンリッター、参る!」
雲の騎士達がファー・ジ・アースの空に飛んだ。
604白き異界の魔王:2007/10/13(土) 16:17:16 ID:Hq2fHS1e
アニエスの祭壇:エリオ・モンディアル
前進を止めてどのくらい立っただろうか。
剣を振る、拳を突き出す、銃を撃つ、竜が炎を吹く。
それでも、一歩たりとも前進はできない。
地面からの触手は斬っても瞬時に伸びる。
蝗は落としても落としても次が襲ってくる。
全ては尽きることなく無限にあるようだ。
それでもエリオは槍を止めない。
突く。さらに前に触手が迫る。
斬る。さらに前に蝗が飛ぶ。
薙ぐ。さらに前に……。
前が開けた。
突然、薙いだ後に走り込む空間ができていた。
「ティアナさん!」
その空間は目指すオッドの下まで開いていた。
「みんな、走って!」
ティアナの声を合図にエリオはかけだした。


アニエスの祭壇:ティアナ・ランスター
触手の再生速度は明らかに落ちていた。
それもいつまで続くかはわからないが、ティアナこの機会を逃す気はなかった。
「キャロ!」
「はい!」
ケリュケイオンを前にキャロが呪文を紡ぐ。
「我が乞うは、疾風の翼。若き槍(そう)騎士に、駆け抜ける力を」
魔法を受けたエリオが速度を増し、ステラに走る。
「エリオ!」
「はい!」
「Sonic Move」
床を蹴りつける音と共にエリオの姿が消える。
二つの加速魔法を受けたエリオは誰の目にも止まらない。
直後に現れたのはステラの上。
槍の束を持つ右手は後ろに引かれ、左手は目標のステラを指し示しながらも槍の先に添えられている。
ビリヤードのハスラーのような構えだ。
「とべぇえええっ!」
その攻撃もまた、ハスラーのようだった。
ストラーダの穂先は正確にステラの中央を打つ。
ステラは槍を走らせるのと同じ速度で飛んでいき、ティアナの足下にめり込んだ。
「あんたはここで釘付けよ!」
ティアナが二つのクロスミラージュから魔法弾を絶え間なく発射する。
地に落ちたステラは再び宙を飛ぼうとするが、ブーストを掛けられた魔法弾の連打がそれを許さない。
浮こうとする度に打ち付けられ、再び地面に沈む。
ティアナは打ち続けながら素早く視線を走らせた。
触手は自分たちを捕らえられていない。
前より動き自体は激しく、大きいがそれは手探りをしているようにも見える。
蝗の動きも乱れていた。
さっきまでは群れとしてまとまり、力を束ねて自分たちを襲っていた。
その虫でありながら統制が取れていた動きが微塵も見なない。
「やっぱり」
柊蓮司が一度ステラを落としたとき、蝗も触手もまとまって攻撃するものとしての機能を失っていた。
全てがバラバラに動いていた。
今と同じように。
それを見て、ティアナは予想をしていた。
──ステラがこの部屋の蝗と触手の指揮をしている
今、予想は確信となっている。
「2人とも、行って!」
「わかった!」「おう!」
スバルと柊蓮司が最後の目標、オッドに向けて駆け出す。
605白き異界の魔王:2007/10/13(土) 16:18:59 ID:Hq2fHS1e
アニエスの祭壇:柊蓮司
触手はすでに驚異とはなっていない。
自分たちが見えていない。
でたらめな方向に向かって振り回されている。
偶然、自分たちに撃ちかかってくる物もあるがそれも1本や2本だ。軽く剣を振ればそれまでだ。
空を飛ぶ蝗も同じだ。
何十も、何百もまとまれば大槌となった蝗は容易に自分たちを叩きのめす。
まとまりがなければウィザードにとっては小石のような物だ。
腕ほどの蝗は大きさが仇になっている。小さい蝗が邪魔になり動きが取れていない。
「柊さん、こっちです」
スバルがウィングロードを延ばす。
空の蝗の中を走れるのなら、わざわざ触手を踏み越えていくまでもない。
平面のウィングロードの上を走れば何倍も早く走れる。
風の魔法を纏い、疾駆する柊蓮司の足下で音がした。
ウィングロードの下の床が大きく割れる。
「走れっ!」
スバルに、そして自分に言い聞かせ足を速める。
亀裂からビルほどもある巨大な蝗が現れたのは、2人が亀裂を渡りきった直後だった。


********************************************

今回はここまでです。

あぶないあぶない。
投下宣言しておきながら寝オチするとこでした。

で、今回はスーパークロノタイム発動って事で。
Stsではなかったんですよね。
期待してたのに。
606リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY :2007/10/13(土) 21:12:43 ID:F9PDUTOh
職人の皆様GJです
…アレ?感想書けなさ過ぎてもはや定型文と化してる?
607322 ◆tRpcQgyEvU :2007/10/13(土) 21:21:55 ID:6lNAiRm5
私も昔から感想文は苦手で、投下されてもGJ!としか感想が書けません。ほんとにすみません……。
さて、EDFINリリカルなのはの4話を投下したいのですがよろしいですか?
今回も長くなったのでABパートに分割して投下します
608名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:23:20 ID:Hq2fHS1e
待ってました。
お願いします
609名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 21:23:55 ID:XJ9JKgzT
ストーム1!ストーム1!ストーム1!いいともーーーー!
610322 ◆tRpcQgyEvU :2007/10/13(土) 21:24:59 ID:6lNAiRm5
魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――"mission4『ファースト・コンタクト』"

――新暦七十五年 二月十六日 〇六時二十一分 次元空間――

「各種レーダー、ソナー共に反応無し。今の所これと言った異常は見られません」
「そうか、引き続き周囲の警戒を頼む」
 オペレーターからの報告に、XV級艦船『クラウディア』艦長クロノ・ハラオウンは静かに答えた。
 昨今の管理局艦船は小人数化が進んでおり、新鋭艦である『クラウディア』も乗員数が百名くらいしか乗っていない。
ブリッジクルーもクロノ以外は四名しかおらず、いちいち大声を出す必要はないのである。
千名以上の乗員で艦を動かしていた旧暦時代とは大違いだ。

 クロノは外に広がる次元の海へと目を向けた。
泥絵の具を掻き混ぜたような色彩の亜空間は、信じられないくらいに穏やかだった。
うねりもなく、艦の動揺も少ない。航海にはうってつけの環境といえよう。
だが、その穏やかさが今だけのものであることを、クロノは充分に理解していた。

『世界は変わらず 慌しくも危険に満ちている』

その格言通り、いつ、どこから、どんな災厄が世界を襲うかもわからないのだ。
事実、一周間前から多くの次元世界で小中規模の次元震が確認されており、派遣された調査団の行方不明事件も多発している。
彼の友人ヴェロッサ・アコース査察官も、第九十管理外世界に調査に行ったっきり消息を断った。
クロノら次元航行部隊にも警戒命令がかけられたが、幸いなことにこちらではまだ何の異変も無い。
しかしクロノは思うのだ。
もしかして、一連の出来事は『レリック事件』と……いや、『あの予言』となにか関係があるのではないかと。
『あの部隊』の設立にはもう少しだけ時間がかかる。それまで何もなければ良いのだが。

「艦長、どうなさったのですか? なにか心配事でも?」
 不意に掛けられた声にゆっくりと横を向くと、『クラウディア』の副長が不安そうな表情をしていた。
「いや……なんでもない。気にしないでくれ」
 クロノは頭を振って、たるみかけていた意識を引き戻した。
艦長たる者、決してクルーの前でボンヤリしたり、不安や迷いを見せてはいけない。
そんなことをしたら艦長の威厳がなくなり、艦の士気が低下してしまうからだ。
611名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 21:25:35 ID:XJ9JKgzT
あなたを待っていましたよ、ストーム1。
612322 ◆tRpcQgyEvU :2007/10/13(土) 21:26:00 ID:6lNAiRm5
「さあ、皆も気を抜かずにしっかりとやってくれ。あと三日もすれば本局に戻れる。
 そうしたら、最低一周間は休暇を貰えはずだからな」
 副長の言葉に部下達の顔に笑みがこぼれる。
軽く拍手をする者や、「あと三日だー」と歓声を上げる者もいた。
狭い艦内で、四六時中同じ顔をつき合わせている海の人間にとって、陸で過ごす時間はこの上ない楽しみである。
それはクロノにとっても例外ではない。
キーボードに指を滑らせ、立体写真を投影する。
そこに写っているのは、海鳴市で自分の帰りを待つ家族の姿。
長い航海の間、家族に会えないのはやはり寂しいものだ。今年もまだ数えるほどしか会っていない。
そうだ、この仕事が終わって家に帰ったら、子供と妻を連れて遊園地にでも行こうか。
それとも、映画でも見に行こうか。公園でのんびり過ごすのもいいな。
仕事仕事であまり家にいられないのだから、たまの休みくらい子供たちに父親らしいことをしてあげたい。
クロノはそっと目を瞑り、帰りを待っているであろう家族へ思いを馳せた。

 彼等は気付いていなかった。
一連の同時多発次元震が『レリック事件』はおろか、『闇の書事件』や『P・T事件』が小事に見えるほどの事件……いや、戦争の前兆であることに。
招かれざる『異邦人』がすぐ目の前に迫っていることに。
世界に迫る、己が魂を打ち砕くほどの絶望。
クロノ達がそのことに気がつくのは今から――数秒後のことであった。

「……っ! 艦長! 艦前方に高エネルギー反応! レーダー波にも乱れが生じています!」
 一人モニターに張りついていたオペレーターの叫び声が、「クラウディア」の艦内に響いた。
続いて立体モニターにノイズが走り、計器のランプ、証明までもが明滅を繰り返す。
ブリッジクルーに緊張が走る。

「どうなっているんだ!? 状況は!」
 クロノの怒鳴り声がブリッジに木霊する。
「全レーダー、及びソナー使用不能。エネルギーも上昇を続けています!」
 オペレーターは声を高くしながら叫んだ。
「本局に異常を知らせろ。それがダメなら付近に展開している艦艇を呼び出せ!」
「了解……ダメです! 本局、味方艦、どこにも連絡が取れません!」
「レーダー使用不能? 通信も繋がらない……?」
「はい、おそらくはエネルギーの影響かと。このままでは全機能が停止するのも時間の問題です」
 オペレーターの声にも諦めの色が見える。
 そして、それを裏付けるように機関が停止、艦のコントロールも効かなくなった。
コンソールがショート、激しい火花がブリッジを一瞬明るくする。
艦の照明も完全に落ち、ブリッジは闇に閉ざされた。
613322 ◆tRpcQgyEvU :2007/10/13(土) 21:27:10 ID:6lNAiRm5
>>612

「なんなんだよこれ……どうなってんだよ……」
「あと三日、あと三日で家に帰れるのに!」
「落ちつけ! こんな時だからこそ冷静になれ」
 騒ぎ出した部下を戒めたクロノに、「艦長!」と切迫したオペレーターの声が掴みかかった。

「エネルギーさらに上昇。次元空間に歪みが発生します!」
「なに? 空間に歪み……だ……と?」
 外に目を向けたクロノは、思わず目を見開き、愕然とした。
そこにあったのは『闇』。艦の前方に『闇』が集まり、ブラックホールのような渦を巻いていた。
『闇』は収束は止まらず、徐々に大きくなっていく。
まるで、『クラウディア』を飲み込もうとしているかのように。

「あれは一体なんだ?」
 クロノが疑問の声を上げる。
「不明です。しかし、エネルギーはあの『闇』の中から検出されています」
 『闇』の大きさは『クラウディア』を追い越し、今や小惑星を飲み込めるほどに成長していた。
 
(なんだ。なにが起ころうとしているんだ?)
 頭脳を必死に働かせ、今の状況を理解しようとした。
が、どれだけ考えても答えは見つからない。
逃げようにもシステムが働かない。通信も断絶状態。豹変する環境にクロノはただただ振り回されるだけだった。
  
「エネルギー急速に低下、システム復旧開始、闇も晴れていきます」
 モニターが次々と生きかえる。照明も回復し、ブリッジに光が戻ってきた。
 亜空間を覆い尽くしていた『闇』が、見る見るうちに崩壊していく。
 
 そして、『闇』中から――

「待ってください! 『闇』の中から質量反応確認! 大きい……推定、衛星クラス!」

――破壊の神が降臨した。

614322 ◆tRpcQgyEvU :2007/10/13(土) 21:28:12 ID:6lNAiRm5
>>613

「あ……あれはなんだ……?」
 『闇』の中から現われた物、それは巨大な球体だった。
『クラウディア』より二回り大きい、機械仕掛けの球体。
その周りに数十の板状の物体が浮遊し、下部から五本の棒状の物体がぶら下がっている。
形状からしてそれらは砲台のようだ。球体の至るところから黒煙が上がり、ひび割れからも炎が上がっていた。
その姿はまるで、戦場から逃げ延びた落ち武者のようだった。

「…………」
 ブリッジは沈黙に包まれた。
 原因不明の高エネルギーと「クラウディア」の完全停止。
『闇』の出現にそれに伴う球体の出現。未だに頭の整理がついていないのだろう。
クルーは皆、口をぽかんと開けたまま、呆然と球体に視線を送っていた。

「衛星……でしょうか?」
 混乱から立ち直った副長がクロノに問いかけた。 
「わからない。形状からして戦闘艦なのは間違いなさそうだが、あれが有人艦なのか、無人艦なのか、
 それとも衛星なのか……まあなんにしても次元断層にでも巻き込まれたのは確かだな。
 一応通信してみよう。有人艦ならきっと混乱しているはずだ。オペレーター、艦の通信機能は回復しているか?」」 
「オペレーター、艦の通信機能は回復しているか?」
「まだ本局とは繋がりません……ですが、あの艦に通信することは出来そうです」
「よし、では不明艦に送信を頼む。内容は

『こちら時空管理局本局、次元航行隊所属艦『クラウディア』貴艦の所属と状態を明らかにされたし』

 副長、念のために乗組員を第二種警戒態勢で待機させておけ」
 復唱の後、オペレーターと副長、そして「クラウディア」の全乗組員が動き出した。
副長が各部に指示を出し、クロノのモニターに配置完了の報告が相次いで届いた。
カタカタとキーボードを叩く音。オペレーターが全周波数で通信を送り始めたのだ。

(さて、返信はくるか……?)
 クロノは憮然と腕を組み、不明艦を凝視した。
 沈黙を保つ正体不明の球体。それはクロノが知っている、どの世界の艦艇とも違うものだった。
管理局に勤めて大分経つが、こんな物体は見たことがない。
まるで機械の星が浮かんでいるような光景に、クロノは得体の知れない不気味さを感じた。
しかし、あれが有人艦なら、乗員は艦内できっと救助を待っているはずだ。
無人艦でも、あれの第一発見者として調査をしなければならない。
どちらにしてもこのまま立ち去ることは出来ないのだ。

(なんにせよ、この艦だけでは荷が重いかもしれない。せめて本局と連絡が取れれば……)
 誰にも聞こえない声で、クロノは呟いた。
そのときだった。
不明艦が……『星舟』が通信に答えるかのように赤く輝き出したのだ。
そして、『クラウディア』の艦内にレッドアラートがけたたましく鳴り響いた。
615322 ◆tRpcQgyEvU :2007/10/13(土) 21:30:21 ID:6lNAiRm5
Aパート投下終了です。
続きは三日後に投下する予定ですが、少し遅れちゃっても大目にみて下さいね。
それでは後半のスーパークロノタイム?に take off!
616名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 21:30:29 ID:XJ9JKgzT
ストーム1!支援します!
617名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:40:28 ID:PsSlSaUR
どうしてもクラウディア終了のお知らせにしか見えない件
618名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:44:40 ID:JgEDi7D1
クロノ・・・死んだな。
619名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 21:46:20 ID:XJ9JKgzT
GJ!
そして乙!
いやー遂にきましたよ悪魔の星舟ことマザーシップが!
カリムさんの予言が一番気になりますねやっぱり、どういう内容だったのか。
非常に気になりますね。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:48:56 ID:CxgE4S1u
>>615
投下乙!いよいよ星船降臨ですか。しかし、いくらダメージ負っているとはいえ、あれがいきなり現われるシーンを想像したら鳥肌たった。
GJでした。
621名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 21:51:14 ID:XJ9JKgzT
GJ!
クロノはこれから地獄を見ることになりそうな予感。
ちなみに、日本人は昔、外国人の事をフォーリナーって呼んでいたらしいですよ。
622名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:54:28 ID:JgEDi7D1
生き残っても廃人になる気がしますね。
623322 ◆tRpcQgyEvU :2007/10/13(土) 21:57:40 ID:6lNAiRm5
誤植を発見しました。

×「わからない。形状からして戦闘艦なのは間違いなさそうだが、あれが有人艦なのか、無人艦なのか、
 それとも衛星なのか……まあなんにしても次元断層にでも巻き込まれたのは確かだな。
 一応通信してみよう。有人艦ならきっと混乱しているはずだ。オペレーター、艦の通信機能は回復しているか?」」 
「オペレーター、艦の通信機能は回復しているか?」
「まだ本局とは繋がりません……ですが、あの艦に通信することは出来そうです」


○「わからない。形状からして戦闘艦なのは間違いなさそうだが、あれが有人艦なのか、無人艦なのか、
 それとも衛星なのか……まあなんにしても次元断層にでも巻き込まれたのは確かだな。
 一応通信してみよう。有人艦ならきっと混乱しているはずだ。オペレーター、艦の通信機能は回復しているか?」」 
「まだ本局とは繋がりません……ですが、あの艦に通信することは出来そうです」

リリカル龍騎さん、すいませんが保管のときに修正お願いします
624名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 21:59:19 ID:XJ9JKgzT
ミットチルダに異星生命体フォーリナー襲来!ストーム1よ!世界を救え!
625名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:01:26 ID:jku3/PT6
GJ!
正直ボロボロとは言え『星船』の攻撃に前だと戦艦みたいばモンはただの的だと思うんだ……。
626名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:02:03 ID:Wmohi4HK
スーパークロノタイムってww嘘予告はダメっすよwwww
クラウディア一隻とか無謀ってレベルじゃねーぞ!?
627名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:05:38 ID:nwHZr/8v
クロノ死亡フラグ立ったんじゃねwwww
628名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:07:29 ID:JgEDi7D1
やっぱり立ってますよね!
629名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:08:26 ID:PsSlSaUR
なにこのスーパークロノ(いじめ)タイム
630名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:09:16 ID:jku3/PT6
というか生き残るってことに重点を置くならとっととクラウディア放棄したほうがいいと思うwwww
631名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:15:33 ID:4pLmtJWx
星船に対して戦艦で戦った事はないから、意外といい勝負が……。
無理だッ!
船体がデカイ分、あの鬼弾幕を満遍なく食らう……! スーパークロノ(終了)タイム!
632名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 22:19:24 ID:XJ9JKgzT
星舟に対して孤軍奮闘しても返り討ちにあうクロノが見えた!
というか、星舟のシールドってどれ位丈夫なんだ?
633名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:21:02 ID:ZPWx6iEF
そこら辺は作者様の裁量ですよ
634名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:37:54 ID:bF7L4Ktd
星船はハッチが開いた時しかダメージ与えれないんじゃ?
635名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 22:46:47 ID:XJ9JKgzT
なのはのスターライトブレイカーでも破れないくらいじゃない?
636名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:47:26 ID:jku3/PT6
>>632
シールド張ってたのは2の『皇帝都市』じゃなかったけ?
『星船』は>>634であってると思う。まぁ『皇帝都市』も本体にダメージ与えるならハッチ攻撃しないとだけど。
637名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:50:03 ID:ZPWx6iEF
問題は、次元空間に星船が強力な攻撃力を発揮する為に必要な大気があるのか?ということだな
638リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY :2007/10/13(土) 22:51:33 ID:F9PDUTOh
もはやクロノが逝くのは決定事項ですかw

それはさておき、GJです
…すいません、俺にもクロノ終了のお知らせにしか(ry
639名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 22:55:14 ID:XJ9JKgzT
>>636
でも、オペレーターがハッチが開いたら周囲のシールドが解除されますって
言ってたけどな。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:56:05 ID:JgEDi7D1
凄いな。意見がまとまってる。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 23:00:37 ID:bF7L4Ktd
現れたのが『星船』なだけマシかもしれん
もし『皇帝都市』だったら確実にクロノ死ぬじゃないか
どの道死亡フラグ確定してるわけだが…
642名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 23:02:16 ID:jku3/PT6
>>637
『星船』自体攻撃出来なくても、無限に出てくるガンシップがいるわけで……。
INFならこいつらだけでも十分脅威。しかもクロノが乗ってるのはまともに回避できない戦艦だし。

>>リリカル龍騎氏
ここから本当の意味でのスーパークロノタイムが始まったら、自分のなかで322氏は色んな意味で神になるwwww

>>639
『皇帝都市』みたいな全体シールドじゃなくてあのハッチ周囲にだけ展開されてるシールドとかかもしれん。
どっちにしろハッチ狙う以外ダメージが通るとは思えないんだが……。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 23:06:43 ID:Wmohi4HK
星船に対してクロノでは、悪いけどバーナー兵並の絶望感ww
通信なんて試みず、即退却が正解だったんだよ……
644名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:05:49 ID:IBncEK5F
クロノに黙祷!!
645名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/14(日) 00:22:18 ID:uFzHDcOl
しかし、地球防衛軍3の敵キャラの強面ぶり異常!!あんなのがあの物量だと精神がマジでやられるな
やはり、ストーム1は最強!!
646名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:29:14 ID:EJObIpo4
sageようか
647名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:31:58 ID:WNPce2IB
今クロスされてるのはDODとEDFか。
『敵』、妹、フォーリナー……
おいおい俺にとってのこの世の終わり系ゲームの半分が既に出てますよ?
後マヴラヴとクロトリとエタダクぐらいしか残ってねえw
648なのはVSボウケン:2007/10/14(日) 01:15:24 ID:mcCc1ltb
>>魔装機神氏
GJ!遂にヨアヒム登場!しかもナンバーズサイド……。奴は出るだけでギャグですね。
ただ、投下前に一度チェックはした方がよろしいかと。内容は大好きなので、そうすればもっといいと思います。
>> 白き異界の魔王氏
GJ!蝗怖いよ蝗……。無茶でしたが、なかなかにカッコイイ展開です。次のもやはり蝗……。そろそろクライマックスでしょうか?
>> リリカルスクライド//G.U.氏
GJ!やはり戦闘描写は流石というか、参考になります。ティアナ新種のゾンダー化も気になるところ。
>> リリカル×アセリア 氏
GJ!どの職人さんも、皆さんそれぞれにティアナの捉え方があって面白いです。前回ちらつかせてた失うものとは何なのかも気になります。
>> ×DOD氏
GJ!クロノの優しさに涙。やっぱりあれだけ辛い戦いを潜り抜けてきた訳ですから、そっと休ませてやりたい気持ちも分かります。キャロとの出会いも期待です。
>> Metal Wolf Strike氏
GJ!逆に誰が書いても大統領は大統領。強烈な個性は流石としか言えませんww
>>322
GJ!クロノピンチ!巻き返すのは……難しそうですね。なんとか頑張れクロノ。


EDF氏の後とは恐縮ですが、ある意味これでこそ対価。よろしければ払っていって下さい。
あと、フェイトさんを狙うのは黒でなくもう一人のジゴロになるかと思います。なのは:黒チーム、フェイト:MI6、はやて:EPRみたいな感じに分かれるかも。
LYRICAL THAN BLACK 1話B を1:30頃投下したいと思いますがいいでしょうか?

649リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/14(日) 01:21:26 ID:thNPctWP
>>648
感想サンクス!そして投下どうぞ!
650名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:26:23 ID:iMD9k8uD
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)  マッテマシタ!! 
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__)+
651LYRICAL THAN BLACK:2007/10/14(日) 01:28:11 ID:mcCc1ltb
机と椅子、ホワイトボードのみ置かれた簡素で質素な会議室。
しかしそこに貼り付けられた情報は国家をも揺るがしかねない情報である。
ホワイトボードには写真が幾つも貼り付けられ、その横にはメモがびっしりと書き込まれている。その一つを体格のいい巨漢――斎藤が指した。
「通称ルイ、本名は不詳。フランス対外安全総局に繋がりがあるとされるエージェント、契約者です」
警視庁公安部外事4課。それが会議室に集まった者らの所属だ。当然、この男も刑事である。
「メシエ・コードはGR554.能力は重力遮断――」
「フランス当局は一切の関与を否定しています」
男の言葉を中年の刑事――松本が引き継ぐ。
それぞれの捜査の結果を刑事達が口々に報告していく。視線の先にあるのは髭を蓄えた壮年の男、顎髭だけが白い。宝来公安部部長――公安の契約者関連の情報を統括する立場にある人物。
そしてもう一人は長髪を束ねた若い女。切れ長の目は細められ、眉間には皺が寄せられている。
「死因は?」
「不明です。窒息の痕跡も薬物反応もなし」
髪を染めた若い男――河野はお手上げとばかりに肩を竦めた。他の刑事に比べると彼だけ随分と砕けた印象だ。
「天文部の報告によると、その時刻に活動が確認された最有力候補の星のナンバーは『BK201』。未確認のナンバーです。関与したと思われる案件の全てが未解決。害者の死因、能力の実態、何一つ分かっていません」
「まさか呪いの契約者って噂の……」
女性刑事――大塚の報告に不安げに河野は顔を曇らせる。
「噂は噂だ。お前達が踊らされてどうする」
再び、彼女に視線が集まる。ぴしゃりと河野を叱り、空気を引き締めた彼女こそが刑事達を直接束ねる課長、霧原水咲警視である。
まだ若い、いわゆるキャリア組ながらも自ら率先して動く彼女に刑事達は全幅の信頼を寄せていた。
「それで、ブツの方は?」
「国立研究所からパンドラの中枢に不正アクセスを仕掛けて持ち出された機密情報です。内容に関しては……我々には知る権利が無い、ということです」
松本の報告に水咲は溜息を抑えられなかった。情報が何か分からなければ捜査もやり辛い。
公安にすら秘匿すべき機密事項。そんなものを持ち出せるのは――。
「女は?」
「篠田千晶、26歳。ゲート内の物理特性に関する論文で修士号を取得し、卒業後は国立研究所に勤務。ですが2週間前から無断欠勤、現在の所在は不明です」
ルイの女、彼女と考えてまず間違いないだろう。
彼女がルイの死を知ろうと知るまいと、どちらにせよ警察に追われる身には違いない。そう簡単に尻尾は掴ませないだろうことは水咲は覚悟していた。
「ゲート関連情報の流出は国家の安全の危機に直結する。証人が生きたまま敵の手に落ちるようなことはあってはならない。解っているな?霧原」
「はい!」
652LYRICAL THAN BLACK:2007/10/14(日) 01:29:32 ID:mcCc1ltb


宝来の言葉に力強く頷いたものの、敵――敵とは果たして誰を指しているのか。それが水咲には判然としなかった。宝来はフランス側が関与していると見ているのだろうが――。
ゲートの機密を持ち出した女、おそらく彼女を狙っているであろうルイの仲間、それを追うこと否やはない。だが、『敵』という言葉にも不思議な違和感を覚えた。
10年という月日は、人々が偽りの空に順応すると同時に、契約者が社会の闇に溶け込むにも十分過ぎる時間だった。契約者は既に一部では異分子ではなくなっている。
東京の裏では様々な組織、諜報機関が契約者を使いゲートの謎を巡って暗躍している。それを撃退する為に政府やパンドラも契約者を飼っている可能性は十分にあるだろう。
そのために目撃者はME技術による記憶削除を行う。だが、時に市民の変死体が発見されることもあった。それは他国の契約者なのか、それともこの国か。
本当の意味で追うべきものは水咲には解らない。多分、今できることをするしかないのだろう。
偽りの夜の闇は迂闊に踏み込むには深すぎるのだ。


「はぁ……はぁ……」
薄暗い路地を頼りない街灯に縋って走る女が一人。なんとか追跡者を撒こうとするが、息は絶え絶え、足は縺れそうになる。
鍛えられた追っ手を女の足で撒こうとは考えが甘かった。
一か八か、角を曲がってすぐの路地裏へと滑り込み身を隠す。
足音が近づいてくる。
口を押さえて、ひたすら息を殺す。捕まれば待っているのは死のみ。神に祈る気持ちで彼女――"自称"原口千晶は身体を丸めた。
スーツ姿の追っ手は千晶の隠れた路地裏の入り口で立ち止まったが
「チッ!」
運良く立ち去ったようだ。足音が遠ざかっていく。
「っはぁ!はぁっはぁっ……」
押さえた手を放すと溜め込んだ吐息が際限無く出てくる。合わせて心臓は早鐘を打ち、暫くは動けそうにない。
へたり込む彼女の口にそっと背後から手が伸びた。
「むぐぅっ――!?」
「千晶っ!私です、ジャンです……!」
「ジャン!?」
「無事で良かった、千晶」
振り向くとそこには金髪の男、ジャンが笑っていた。
653LYRICAL THAN BLACK:2007/10/14(日) 01:30:47 ID:mcCc1ltb
ジャンというフランス人の彼はルイの友人であり仲間だった。千晶とも何度か面識があり、千晶に計画を持ちかけたのも彼だ。
「ジャン!ルイは?ルイはどこにいるの?」
「ルイは……今ちょっと手が放せない事情ができてしまって……。あいつらは?」
「分からない……急に襲ってきて……。多分契約者よ……あれを狙ってきたんだわ」
「他には……誰か接触してきませんでしたか?」
「…………ううん。ルイはどうしたの?ルイに会わせて」
かなり迷ったが、千晶はなのはのことは話さなかった。話せば彼女に預けたブツがばれてしまうから。
我が身可愛さに自分で巻き込んでおきながら勝手な話と内心自嘲したが、あれが回収されない限りは彼女は殺されないはずだ。
「今は言えません、安全な所に身を隠しています。あれは……まだ持ってますね?今何処に?」
千晶は中腰になり、いつでも逃げ出せる姿勢を取った。ルイの居場所は教えようとしない、なのにブツばかり聞き出そうとするジャンを明らかに警戒している。
「ルイは……絶対に自分以外の誰にも教えるなって言ってた……たとえ仲間でも」
ジャンの顔つきが変わった。先程までは千晶を安心させるために笑顔を張りつかせていた顔面は、冷たいそれへと一変した。
「お願い……ルイに会わせて!危険なのは解ってる!」
しかし千晶はそれに気付かなかった。何かを諦めたようにジャンは首を振り、
「んっ――――!!!!」
ハンカチで千晶の口を塞いだ。
ジャンは暴れる千晶を組み敷き、殴られても力を緩めない。
次第に千晶の視界はぼやけ、意識が遠のいていく。何故?何の為に?様々な疑問を考える間もなく限界寸前で掴んでいる意識を手放しそうになった時、鈍い音と共に突如ジャンの腕が緩まった。


「がぁっ!?」
解放された千晶は激しく咳き込み、倒れたジャンを見る。彼の後ろには望遠鏡を持った青年――確か同じアパートに越してきた李とかいう――が立っていた。
「こっちへ!」
戸惑う千晶を立ち上がらせた李は、ジャンが目覚める前に彼女の手を引いて少しでも明るい場所へと逃げる。
しかし逃げると言ってもどこへ行く当てもなく。しかも千晶は走りにくいヒールで李に支えられながらのため、あまり速くは走れていない。
下に線路が走る高架橋、その中央に差し掛かった時点で李の腕が振りほどかれた。
「駄目!早く逃げて!!」
走る内に少し頭が冷えてきたらしい。自分と一緒では速く逃げられない。それにこれ以上彼を巻き込む訳にもいかない。
「え?」
振り返る李の背後、橋の袂の柱に千晶は目を見張る。それは青白い燐光。
「ランセルノプト放射光……」
燐光は徐々に人の輪郭を形作り――ジャンの頭を覗かせた。
654LYRICAL THAN BLACK:2007/10/14(日) 01:32:17 ID:mcCc1ltb


うろたえる李と千晶に構うことなく、ジャンは真っ直ぐに李の顔面に拳を叩き込んだ。彼が顔を出した柱には人形に崩れたコンクリートの破片が散らばっている。
李が鈍臭い訳ではなく、ジャンは組織のエージェントだ。それも唐突な不意打ちでは、とても一般人ではとても対抗できないだろう。そう、"一般人"では。
殴られた李は大きく後退し欄干に背中からぶつかった。そしてすかさずもう一度、ジャンの拳が李の頬を打つ。後退する余裕の無い身体は高架から投げ出された。
「うわぁぁぁぁぁ!」
彼が落ちる直前に電車が下を通過した。高さだけならば、もしかすると助かったかもしれない、だがこれでは――。
彼が潰れる光景を想像する間は千晶には許されない。淡々と歩み寄るジャンに千晶は抵抗することすらできなかった。
「契約者……」
口に当てられたハンカチを吸うと今度こそ意識が消えていく。滲む景色、彼女の目が最後に捉えたものは、天に一際輝く一つの星。そして桜色の翼を生やした白い衣装の女性。


「多分こっちの方に行ったと思ったんだけど……」
高町なのはは李と千晶を追って空を駆ける。事情を掻い摘んで説明すると、彼は危険だから自分が行くと言い走っていった。
これでいい、元々自分とは関わりの無いこと。厄介事に自ら巻き込まれることはない。彼がいなければ、なのはもそう思ったかもしれない。
でも彼は、李は自分から彼女を助けに行った。ただ単にアパートの住人であるという理由だけで。
そんなお人好しの青年を見殺しにはできそうにない。だからなのはは閉塞感を漂わす偽りの空へと飛んだ。
誰かを助けたいと考えて学んだ力。しかしこの社会ではそれを生かすことはできなかった。でも、今は違う。この力で助けることができるかもしれない、と。
655LYRICAL THAN BLACK:2007/10/14(日) 01:33:38 ID:mcCc1ltb


「こっちでもない……!」
あれだけ派手に追いかけっこをしていれば分かりやすいだろうと思ったが、甘かった。
当ても無く飛ぶ内に焦りばかりが膨らんでいく。ふと懐に抱えたバッグに目を遣る。
外から辛うじて分かる程度だが、中のガラス板が淡く青白い輝きを放っている。方角を変えると輝きは強弱を変えた。
「何……これ……」
どうみても丸いガラス板にしか見えないそれは、不思議と美しくさえあった。
もしかすると――。そう思ったが、勿論根拠はない。ただ漠然とした勘。
それでも導かれているような感覚を覚えながら、なのはは光の強まる方へと飛んだ。
十数秒ですぐに居場所は分かった。ガラス板と似ている青白い光は、空からでもその位置を示す。
最早見られる危険すら気にならない。ただ全速で光へと飛ぶ。
「見えた!李君!」
徐々に目視で彼の姿を捉える。何か揉み合っているようにも見える。
その直後、李の身体が高架の下へと消えた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「李君!!」
叫んだところで聞こえる距離にはない。聞こえたところで通過する電車の警笛に掻き消されただろう。
次に金髪の男が狙ったのは当然、千晶だ。
まだだ、まだバインドを掛けるには距離が足りない。10年間、実戦から離れた技量では自信が持てない。魔力弾はもってのほかだ。
「原口さん!!」
一瞬、彼女がこちらを見た気がした。だが、それも束の間、ぐったりした彼女を抱えた男は青白いランセルノプト放射光に包まれ、姿を消した。
ようやくなのはが降り立った頃には完全に姿は無く、跡にはどこから出たのか椅子だけが残されていた。夜は再びその静寂を取り戻し、なのはは呆然と立ち尽くすしかできない。
おそらく下には――。そこまで考えて、なのはは頭を振って陰惨な光景を振り払う。
轢死体など見たくもない、ましてや知り合いのものなど。たった一日の付き合いとはいえ、それを想像することは頭が全力で拒否している。
「うぅ……」
それでもなのはは確かめなければいけない。そんな義務の意識を働かせなければ、見ることすらできそうにない。
勇気を振り絞り、高架下の線路を覗き込む。そこには――。


何も無い。
レールと枕木と、何の変哲もない、ただの線路が続いている。電車が急停止した様子もなかった。
拍子抜けする程いつもの光景。夢でも見ていたのだろうか?
確かに彼はここから転落して、直後に電車が来て。運良く助かったなら何故、李はどこにもいない?
なのはがどれだけ考えたところで結局は解らない。頭がおかしくなりそうだった。
懐では再度ガラス板が輝き出した。
656LYRICAL THAN BLACK:2007/10/14(日) 01:34:56 ID:mcCc1ltb


「んっ……」
彼女はゆっくりと重い瞼を持ち上げる。視界も、意識もまだはっきりしない。
そうだ、自分は篠田千晶。篠田千晶の"はず"だ。
「――慎重にいくべきだ。こいつと一緒さ」
カツン、カツン、と何かを響かせる音。その音で意識を取り戻し、辺りを見回す。
一つだけしかない電光は部屋の全てを照らせておらず、部屋は薄暗い。おそらくはどこかの地下だ。
「こうやって並べると綺麗に見えるもんだろ?案外難しいんだ」
ジャンだ。彼は千晶を見向きもせずに淡々と机に石を並べている。それも規則正しく。
「ただ……これにどんな意味があるのか、全然わからないんだけどね。これが、僕の支払わなくちゃならない契約の対価なんだ」
机一杯に小石を全て並べ終えると、ジャンはそれを一気に払い落とした。その時初めて、千晶にはジャンに感情めいたものを感じた。
「ルイは死んだ……」
「嘘……」
「嘘じゃない、ルイは死んだ。殺されたんだ」
ジャンはあくまで淡々と、まるで無感情に仲間の死を言い放つ。
信じたくなかった。ルイがいつか迎えに来てくれると信じていたから、どんな辛いことにも耐えられたというのに。
「計算外だったよ。ルイ以上の契約者が現れるとはね……」
「契約者……?ルイも、契約者……?」
契約者――無感情で無機質で、どこまでも合理性を追求して行動する殺人マシーン。道徳も善悪も関係ない。ただ利益のみを優先する。
それが千晶にとっての契約者。それならば、ルイが自分を愛したのも全て嘘、演技だった?
「ああ、君は"知らないことになってた"な……」
恋人だった男を信じたいという気持ちと、両親を殺した契約者という人種を認めたくない気持ちがせめぎあい、千晶は何も答えられなくなった。
「さっきの男は誰?僕の頭を殴った男さ……。もう生きてはいないだろうが、顔見知りに見えた」
「し、知らないわ。今日、初めて会って……」
「本当かい?まあいい、時間もない。手っ取り早い方法を使わせてもらうよ」
「はぁ……!」
ジャンが薄ら笑いを浮かべて立ち上がる。最初と同じだ、笑っているのに感情が籠ってない。
その様が更に千晶を怯えさせ、彼女は扉に飛びついた。部屋に似合わず、電子ロックの頑丈なドアはどれだけ動かそうとも、びくともしない。
「心外だなぁ……こう見えても少しは傷つくんだぜ?僕達契約者も……」
「ひぃ!」
ジャンからは笑顔すら消えて無表情に戻る。今なら分かる、この男は何の躊躇いもなく人を殺す。契約者らしく。合理的な考えで。
「プログラム次第で人格さえ書き込まれてしまう……ドールとは違ってね」
657LYRICAL THAN BLACK:2007/10/14(日) 01:36:23 ID:mcCc1ltb
ピチャン――。
水滴が洗面所に溜められた水に落ちる音。黒人の大男が振り返った。
「どうした?」
「気配がした」
スーツの男も合わせて向き直る。
「何もないじゃないか――」
「観測霊か……。なら契約者にしか見えない」
どこかで雷鳴が轟く。ジャンと大男が気配に身を固くした。瞬間――。
「きゃ!」
全てが黒に染まった。


暗闇の中で千晶の握っていたドアノブにバチッと電光が走りロックが解けた。
願ってもない好機に千晶は足を縺れさせながら飛び出す。靴は脱げて素足が冷たいが、走りやすくなった。
「待て!」
同じく飛び出して階段を駆け上がる男の一人の両腕、両足が桜色の光で拘束された。将棋倒しになった男達が駆け上がると、既に千晶は完全に逃げたあとだ。
激しい雨で追跡も不可能。ジャンは光の輪で拘束された男を見下ろして眉を顰めた。
「おかしい、電子ロックの防御は三重だった」
「そうだな……偶然とは考えにくい」


夜の街を千晶は走る。だが、どこへ行けばいいのだろうか。おそらくアパートも押さえられている。
仲間だと思っていたジャンは今では命を狙ってくる。そしてルイは――死んでしまった。
雨も、道行く通行人も、ボロボロになった千晶を冷たく見放すだけ。
もう走る気力も体力も尽きた。ここで倒れても、きっと誰も助けてはくれない。
何もかもがどうでもよくなり、膝から崩れそうになった千晶をその腕は支えてくれた。
「大丈夫ですか?原口さん……」
優しい腕の感触と声の響きは、ほんの数秒言葉を交わしただけの彼女。自分が巻き込んでしまった女性――高町なのはだった。横では死んだはずの李舜生も心配そうに立っている。
これは夢か、それとも自分は既に死んでしまったのか。
ただ、千晶は柔らかな温もりを感じながら目を閉じた。



雨は上がり、雲間に覗くのは偽りの星空。
行き場を無くした女に掛けた優しい言葉は、誰より彼女自身が欲した言葉。
死神の手招く黒よりもなお昏い夜へと、二人の女は足を踏み入れてゆく。
闇の中で彼女が抱くのは偽りの空を美しく流れることのない哀しい煌き。
そして、桜色の光は星となって流れる。
第二話
彼女の空を星は流れ……(後編)
658名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:36:32 ID:qHYX0xDu
支援させてもらうッ!
659リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/14(日) 01:36:37 ID:thNPctWP
支援だ…俺が支援だ
660名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:37:12 ID:iMD9k8uD
私怨だ
661なのはVSボウケン:2007/10/14(日) 01:38:08 ID:mcCc1ltb
以上です。一話2話は説明回でほとんどアレンジ無し。
色々考えたけど原作ままの流れが設定を理解しやすいかと思ったので。登場人物もできるだけ絞ってあります。
一応、錬金クロスとの対比を狙ってたりします。3つの世界、4つの舞台に対し、一つの街。
3つの世界に離れ離れになっても(予定)通じ合う3人娘に対して、近くてもバラバラになる3人。
病気になっても不屈のなのはさんと生き方を迷うなのは、って感じでしょうか。
662リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2 :2007/10/14(日) 01:44:25 ID:thNPctWP
>>661
GJでした。
精密に作品の流れをなぞっていて読みやすかったです。
なのはの実戦から離れていて力を発揮できないのも、良い考えだと思います。
この後の話で、どう魔法少女たちが契約者たちと絡んで行くのか楽しみです。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:48:29 ID:3rh1k02+
GJです。DTBの雰囲気が出てますね。次回は黒の死神となのはさんが遭遇することになるのかな。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 02:59:43 ID:D93KG2d5
>>661
初めて読ませていただいたので(おまけにボウケンジャーも知らない)、まだ色々とよく分からないところもありましたが、GJでした!
文章構成うまいなぁ…軽く自信喪失になりそうですorz


ギアスSSの方ですが、携帯でプロローグだけ書いてみました。
大体3レスぐらいですが、投下してもよろしいでしょうか?
665名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 03:03:45 ID:EJObIpo4
さあ、来い来い
666コードギアス 反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/10/14(日) 03:19:39 ID:D93KG2d5
機動六課隊長室には、3人の少女が呼び出されていた。
高町なのは、スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター…いわゆる「スターズ分隊」の面々(約1名を除く)である。
「今回はな、なのはちゃん3人に調査任務を引き受けてほしくて呼んだんよ」
椅子に座った部屋の主…八神はやてはそう言うと、なのはに3人分の資料を手渡した。
「つい先日、地球の旧日本…つまり、私となのはちゃんの地元やね。そこで、イリーガルなエネルギーの反応が感知されたんや」
「イリーガル…というと、ロストロギアですか?」
はやての曖昧な表現に対して、ティアナが尋ねる。
「ん〜…まだ確認が取れてなくてな、断定がでけへんのよ。デバイスのそれにも近いらしいんやけど、魔力とはまた違った力らしいんや。
 …でも、そのエネルギー自体は本来その次元には存在せえへんもので、向こうにも感知する手段が存在せえへんのよ」
「誰も知らないエネルギー、か…」
まさにイリーガルだね、となのはが呟いた。
「せや。誰も知らないエネルギーなら、存在せえへんのと同じ…
 でも実際に、誰も知らないはずのこのエネルギーを放つものを持った人間、そしてそれを受け取った人間がおるんよ」
はやては、先ほど配った資料の2枚目を見るように3人へと指示した。
それは、1人の人間の個人情報だった。
貼られていた顔写真に写るのは少年の顔。
「美形」と言っても差し支えないような、端正な顔つきだ。黒い髪と綺麗な紫の瞳が特徴的だった。
「ルルーシュ・ランペルージ、17歳…トウキョウ租界の私立アッシュフォード学園に在籍する、高等部2年生。
 シンジュクゲットーにて、例のエネルギーの発生源を受け取った子や」
「渡した方は情報がなかったんやけどな」とはやてが付け足す。
「今回の任務は、未知のエネルギーの発生源の調査、及びそれを所有するルルーシュ・ランペルージの監視や。
 そんな訳の分からへん力、悪用されてはたまらんからなぁ…最悪そっちの阻止を頼むことになるかもしれへん。
 地球へ行くメンバーは、高町なのは、スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、以上3名のスターズ分隊員。
 なのはちゃんは地元やから、現地の情勢も把握しやすいからね」
667コードギアス 反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/10/14(日) 03:23:19 ID:D93KG2d5
「あのー、ヴィータ副隊長は一緒じゃないんですか?」
すると、今まで黙っていたスバルがはやてに尋ねた。
「ああ、ヴィータはちょっと別件で動いててな、今回の任務からは外れとるんよ」
「そうですか…あ、じゃあ、あと1つ」
「ん? なぁに?」
「さっきから、『旧日本』とか『ゲットー』とか、よく分からない単語が出てるんですけど…何かあったんですか?」
「えっ…」
途端、はやての表示がこわばった。
頬を冷や汗が伝い、視線を泳がせながら、みるみるうちに顔から血の気が引いていく。
「え、えっと…それは、やな…」
見るからにうろたえた様子で、はやては言葉を濁らせる。
「占領されたからだよ」
助け船を出したのはなのはだった。
否、それは「助け船」と呼べる言葉だったのだろうか。
「7年前、だったかな…日本は、西洋の方の、『神聖ブリタニア帝国』って大きな国に戦争で負けて、占領されちゃったの」
淡々と語るなのはの笑顔には、いつもの元気がない。
(馬鹿、スバル!)
「あ…そ、その…すみませんっ!」
自分の失言のせいでなのは達につらい思いをさせてしまったと感じたスバルは、必死に頭を下げる。
「ああ、いいよ、そんなに気にしないで。ちゃんと教えておかなきゃいけなかったことだし」
なのははいつものようににっこりと笑うと、スバルの肩にぽんと手を置いた。
「でも…」
「そ、そうそう! そない気にすることとちゃうよ。
 えーっと…出発は2日後になるから、細かいことは追って連絡するわ。そ、それじゃ、今日はこれにて!」
あたふたしながらはやては一気に喋り立てた。
慣れない早口をしたためか、最後まで話し終えた後は、微妙に息を切らしているようにも見える。
そして、意気消沈気味のスバルとやや呆れ気味のティアナは揃って部屋を後にする。なのはも退室しようとしたのだが…
「ごめんな、なのはちゃん」
扉の前に立ったところを、背後からはやてに声をかけられた。
「え?」
「なのはちゃんかて、あんなことになった日本に帰るんはつらいやろ?
 私かて同じや…だから、本当は、なのはちゃんに行かせたくはなかったんやけど…」
「にゃはは…はやてちゃんも気にしないでよ。
 フェイトちゃんも執政官のお仕事で忙しいんだし、私も大丈夫だからさ」
そう言ったものの、はやての申し訳なさそうな表情は晴れない。
「本当に、ごめん…」
「それは言わないお約束でしょ」
そう言って、なのはは部屋を後にした。
668コードギアス 反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/10/14(日) 03:26:51 ID:D93KG2d5
「はあぁぁ〜…」
食堂の机で、スバルはすっかり落ち込んだ様子でため息をついた。
「ティア〜…あたしまたやっちゃったよ…」
「まったく…少しは学習しなさいよ」
前にエリオの出身地を聞いた時にも、スバルはこうして自爆していた(最も、当のエリオには気にした様子はまったくなかったが)。
まさか今回も同じことになるとは、スバルも思いもしなかっただろう。
(つくづく人の身の上話聞くの苦手だなぁ、あたし…)
自分の空気の読めなさを痛感し、スバルはまた1つ深いため息をつく。
「…それにしても、なのはさん達の故郷が、まさかそんなことになってたなんてね…」
「うん…」
ショックだった。
里帰りしようにも、昔のとおりの場所には帰れない。
憧れのなのはが、そんな悲しみを背負っていただなんて、思いもよらなかった。
「ここにいたんだ」
と、そこへ当のなのはがやってきた。
「なのはさん…」
「はい、これ現地での身分証」
なのははまず、ティアナに免許証のようなカードを渡す。
そしてスバルに渡されたのは…
「…アッシュフォード学園…生徒手帳?」
小さな手帳だった。
「現地ではね、スバルに潜入捜査を頼みたいんだ。
 監視対象と同じクラスに入学して、間近で様子を見てほしいの」
成る程確かに、この配役は妥当に思えた。
忍耐力や集中力に乏しいスバルは、張り込みなどよりもこちらをやった方がまだましだろう。
しかし、スバルは実質中学3年生に相当する15歳。彼女が転入することになるルルーシュの学年は…
「…あたし、年齢2つもサバ読むんですか?」
「そこはほら、頑張ってね」

それから2日後。
スバル達がミッドチルダを発つ日のこと。

ベッドには1人の少女が寝転がっていた。
「…んん…?」
ふと、ぴくりと肩を動かし、少女は上体を起こす。髪は緑に、瞳は金に輝いていた。
その少女はふらふらと窓辺に寄ると、しきりに外を眺め始めた。
トウキョウ租界の空を。
「どうした?」
部屋のもう1人の住人が少女に尋ねた。黒髪と紫の瞳を持った、美形の少年が。
「何か来るな」
「は?」
少女は訳の分からないことを言った。
「何か来るって…何がだ」
「さてな。私にはどうでもいいことだよ。まさかその『何か』が私に関わってくるわけでもあるまいし」
「…はぁ…」
少年はため息をついた。



コードギアス 反目のスバル
669コードギアス 反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2007/10/14(日) 03:31:48 ID:D93KG2d5
まさかの接続不良orz

というわけで少し遅れましたが、プロローグだけでもと思い、携帯からUPです。字数制限に翻弄され、大分内容は薄くなってしまいましたが。
…ゆ…指の感覚がない…

「なのはキャラとギアスキャラが織り成すオリジナルストーリー」というわけではなく、
「もしもスバルがギアス世界に来たら」といった趣で書いています。
まとめで過去の作品2〜3作に目を通した限りでは、他の職人様方はがっつりと「俺ストーリー」を展開されてるようなので何だか心配…
アッシュフォードでのルル達との絡みが結構なウェイトを占めているので、ガンガンに暴れるシーンは少なめかも。
あるにはありますが、あの世界にスバル達が本気で暴れるに値する相手がいるかと考えると…本当にすみませんorz
あと、悲しいお知らせ。ライトニングとヴォルケンリッターの面々の出番は絶望的です。
フェイトだけは出せるかもしれませんが、それも悩み中。…サイドストーリー書こうかなぁ…

何はともあれ、地味にSS処女作となる本作、暖かい目で見守ってくれれば幸いです。
ていうか、眠い…今夜はこれで失礼します。それでは。

P.S.
ブリタニアのせいでおかしくなった設定は勇気で補え!
…すみません、冗談です。
特にA's最終回での大人なのは達はどう処理しようかと悩む今日この頃。でもまだStSしか見たことないんだよなぁ…
670名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 03:33:58 ID:EJObIpo4
GJです
まあ、文章はあんまり気にしちゃいけないよ。全くと言う意味ではないけど
書いてるうちにいい表現とか身についていきそうだし
671名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 03:59:16 ID:n96ARJkM
>>LYRICAL THAN BLACK
なのはをうまく絡めつつ、DTBの雰囲気を残していていいですね。
黒はまだ猫かぶってますが、本性(?)をあらわすときが楽しみです。
まあ、組織が原作通りなら、あんまりなのはを巻き込むと無残なことになりそうですが……それはそれで。

>>コードギアス 反目のスバル
コードギアスはまったく知らないのですが、何か日本が酷いことになってるようで…
初ということでいろいろ気負うこともあると思いますが、適度に力を抜いて、頑張ってください。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 04:12:00 ID:0+FSnvJx
EDF氏キテター!ええ待ちますとも!EDF2、殲滅砲のリロードを待つが如く!
LYRICAL THAN BLACK、コードギアス 反目のスバルともにこれからどうやって
なのは達が物語に絡むか楽しみです
673名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 05:04:52 ID:sjatpw2y
GJ!
久しぶりに覗いたらかなり作品数増えてますね

大統領に爆笑w
とりあえず、背中バックパック格納をスローモーションでお願いいたします
どう考えても空間圧縮しない限り収まらない気がします
674名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 09:07:35 ID:8ygPVtG9
>>LYRICAL THAN BLACK
霧原未咲とフェイトの絡みが見てみたいのは私だけでしょうか。

>>コードギアス 反目のスバル
本編で使いどころが殆ど無かったスバルの振動破砕で敵ナイトメアフレーム
をバリバリ撃墜して欲しいですね。
675リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY :2007/10/14(日) 10:10:18 ID:7mfbedTk
>>なのはVSボウケン氏
GJです。黒の契約者未見ですが、楽しめました
なのはが預かったガラス板っていったい何なんでしょう…
…あれ?列車に轢かれたはずの李が何で生きて…

>>コードギアス 反目のスバル氏
GJです
今のなのは達にとって出身地のことは地雷と化してるんですね…
で、さすがに二つもサバ読むのは無理があると思うんですがねなのはさん…
676名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 10:39:07 ID:lgg14YOy
>>669
ナイトメアオブナナリーのマッチョゼロ様登場キボン
677名無しさん@お腹いっぱい。
むしろランスロット仮面を