アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3
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言い終えると、ラッドはヨーコから視線を背け、消防車へと足を伸ばす。
「で、どうするよキヨマロ? 俺は今から、そいつら襲ったっていう男を殺しに行くけどよ、おまえ、来る?」
「……一つだけ条件がある。俺が仲間と判断した奴には手を出すな。もちろん、さっきみたいにこの
二人に殴りかかるなんてもってのほかだ」
「そりゃあ、俺が最初に提案した条件を飲むってことか?」
「そう受け取ってもらって構わない。あんたの最終的な目標が螺旋王を殺すことなら、道は同じはずだ」
これが、清麿の下した最大限の譲歩だった。
ラッドという男が、自分のか細い腕では制御できない自由奔放な人物であるということは、胃が痛くなる
ほどわかった。
だからといって、彼と離別し野に放っては、それこそ他の善良な参加者の身が危険になるかもしれない。
一度手にしてしまった手綱、清麿には繋ぎ止める義務がある。いつ振り解かれるとも限らない危うい綱だが、せめてこの命がある内は。
――清麿がそんなことを決意する片隅で、ヨーコは呆然と立ち尽くしていた。
「よぉし決まり! ジン! それにヨーコっつったな。さっきのはナシ、水に流して忘れてくれ!
これからはフレンド、いやブラザーだ。楽しく殺ろうぜ。んで、さっそくだけど、車出してくれや」
「なら、俺が運転するよ」 「おう! 頼んだぜジン!」
意気揚々と乗車するラッド、それに次いで清麿が、続いてジンが乗ろうとするが、その前に。
「あんまり考え込まない方がいいよ、おねーさん。ピクニック気分で楽にいこう」
「ジン……」
硬直していたヨーコの肩をポンと叩き、励ますジン。まるで、いざとなったら俺が守るよ、とでも言わんばかりの気障な仕草だ。
二度も衣料店の中を転がりまわったせいか、ジンの笑顔は埃塗れになっていた。余裕綽々で、目立った外傷もない。
ヨーコが要求すれば、年中無休で微笑みかけてくれるような気さえする。
だからこそ、失うのが怖い。
「おーい! さっさと出発しようぜー! 朝飯はそいつをブッ殺し終わった後のハイな気分で食いてぇからなぁ!」
逸早く乗車を済ませたラッドが、クラクションを鳴らしてジンとヨーコを急かす。
足はまだ、前へ進む気にはなれなかった。それでも、ジンに腕を引っ張られ、不本意なまま消防車へと連れられていく。
――カミナは死んだ。己を示し、己を貫き、己に従い死んだ。バカだと思った。
しかし、それは仕方がなかったことなのかもしれない。無理を通して道理を蹴っ飛ばす、彼の信条は
死を恐れず、死に近しい。 悲惨な見解を述べるなら、早死にする性格。彼が彼として生きていくなら、いずれは必ず壁にぶち当たる。
彼がその壁を、死という運命を乗り越えるには、仲間の手助けが必要だったのだ。
だが、ヨーコにはそれが果たせなかった。
(誰かが死ぬのが怖いのか?……か。その通りかもね)
ヨーコは、ジンが死ぬのが何より怖い。自分の死よりも恐ろしい。
出会ってまだ数時間しか経っていない、縁も義理もない関係だが、彼はこの世界において、現状最もヨーコに近しい存在だ。
それが消え、失ってしまうのが、たまらなく怖かった。
他人の死は他人の死、などと目を背けることはたぶんできない。カミナのときのように、失意に溺れるに違いない。
それを理解していて、わざわざ死地を闊歩する気になどなれようか。なれるはずがない。
小隅でビクビクと怯えていられるなら、ぜひそうしたい。なのに、自分の周りはバカばっかだ。
あのバカとは性質は違うにしても、ヨーコに言わせればバカには違いない。男はバカばっかだ。