アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3

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 ◇ ◇ ◇

「マネキンどもが夢の跡……このお店の衣装たちも、俺なんかをミイラにするよりおねーさんみたいなキレイな人を包んだほうが幸せだったろうに」
「こんなくだらない余興の舞台に置き去りにされたのが天命ね……って、小洒落たこと言ってないで、さっさとここを離れるわよ。もちろん、あんたの運転で」
 ジンとヨーコ、シンヤの魔の手から辛うじて逃れた二人だったが、彼らはまだ追っ手が来る可能性を否定してはいない。
 車の運転方法を熟知していないヨーコが踏んだが、唐突すぎる急ブレーキによってカーブ先の
衣料店に放り飛ばされたジン。 ヨーコは横倒れになったマネキンの山々から彼を救い出すと、
纏わりついた女性ものの衣服を片っ端から剥ぎ取っていく。
 こうしている間にも、あの襲撃者はヨーコたちを追ってきているかもしれない。
 拭いきれない危機感に苛まれ、ヨーコの手つきは少しばかり乱暴になっていた。

「いたたっ! おねーさん、それ服じゃなくて俺の髪の毛だよ!」
「へ? ああ、ごめんごめん」

 ジンをミイラ状態にしていたドレスやらコートやらを取り払うと、ヨーコは早々に消防車へ戻ろうとした。
その、どこか不安の陰りが見られる顔を案じてか否か、ジンはヨーコの肩を掴み待ったをかける。
それは、これから起こりうるであろう事態への、警告の意が込められていた。

「おねーさん……どうやら、あの車の赤は俺たちがドライブするには目立ちすぎるらしい。どこかで迷彩色にでもカラーチェンジしようか?」
「そんな暇があったら、きっぱり乗り捨てるわよ……でも、目立ちすぎるってのは確かに問題かもね」

 衣装店から脱出したジンとヨーコの視線の先には、消防車を跨ぎ、男性が二人。
 白いスーツに金髪の米国人と、学校指定のワイシャツを着た日本学生。
 ジンの格好に比べればなんてことはない二人組だったが、ヨーコにとっては、またもや未知との遭遇だった。

「俺たちはこの殺し合いには乗っていない! あんたたちはどうだ!?」

 ◇ ◇ ◇

 静けさに包まれた街路に、突然の走行音。次いで鳴り響いた、ゴムを擦るようなブレーキ音。
 二つの異音を察知した高嶺清麿とラッド・ルッソという二人組は、急いで駆けつけジンとヨーコに遭遇した……とのことだった。

「なるほどな……走行中の消防車に飛び乗り、車上から奇襲を仕掛けようとしたジャンパーの男か……本当に人間なのか、そいつ?」
「見た目はね。歳は俺よりもちょーっと上くらいかな。かなり危ない感じだったけど、なんとか撃退できたよ」
「俺からすれば、その襲撃を察知して、車上でそいつとやり合ったっていう君も十分人間離れしてるんだが……」

 ジンの語るあらましを聞き、高嶺清麿と名乗った少年は半ば呆れた顔を作る。
 大人びた雰囲気を醸し出してはいるが、おそらく実年齢はシモンに近い。耳を怪我しているようだが、彼も何者かに襲われた経緯があるのだろうか。

(さっき襲ってきたヤツといい……殺し合いはもう始まってるってことか。ホント、うんざりする)

 路上で談合している間も、ヨーコは周囲への警戒を解かなかった。
消防車が止まってから既に数十分。ジンとやり合ったジャンパー姿の追っ手は、未だ姿を現さない
希望的に解釈するなら諦めてくれたのだろうが、敵はあの男だけではない。いつ第二第三の襲撃者が現れるかわからないのだ。
 それに、
(……この殺し合いを主催しているのが螺旋王なのだとしたら、敵は人間だけじゃない。
 獣人……それもガンメンに乗ったヤツが、何人かいても不思議じゃないわ)