アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3

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322こうだな
F−5エリアの駅の二階。そこにある乗車場のベンチに2人の槍使いは腰を降ろしていた。
モノレールの運行時間を確認したところ、次の北方面行きのモノレールは『3:30着 3:50発』と記されていた。

「あと1時間ぐらいでしょうか…」 「おいおい、長ぇえな…」

静寂が訪れる。気まずい雰囲気になったので、エリオはとっさにランサーに話を持ちかけた。

「あの…、せっかく時間があるんですし、お互いの持つ情報を交換しましょうよ」 「けっ、しゃあねえなあ…」

ランサーはあまり気乗りしている様ではなかったが、二人はこのゲームに参加している知り合いについての詳しい情報や、お互いの世界のことについて話し始めた。
ある程度の情報交換が終わると、エリオは暗視双眼鏡で外の様子を確認する。 北向きの方向に設置された
窓から外を見渡す。二つの丸の中の狭いその視界に、一面の野原が映る。
しばらく双眼鏡を左右に動かしながら、可能な限り、外の様子を確かめた。
とくに異常はなし、そう思い双眼鏡から目を離そうとした瞬間、何かが動いているのを確認した。
人だ。どうやらこっちに向かって来ている様子だ。

「ランサーさん、人を発見しました。どうします?」
「あ?そうだな…」

モノレールの到着まで約15分ほど。停車時間は20分もある。その参加者と接触するには十分な時間だろう。

「会ってみる価値はあるだろうな」
「ええ、僕もそう思います。知り合いの可能性もありますし…」

エリオは偽・螺旋剣を手にとり立ち上がる。
一方、ランサーは動かない。渋い表情でエリオを見つめている。

「坊主、俺はさっき言ったよなぁ?殺す殺さないの覚悟はできてんのかって?答えを聞かせてもらおうか?」
「それは…」

エリオは言葉に詰まる。
ランサーに最初にこの質問を問われて、ずっとその答えを探っていた。

「僕はどんな人であろうと殺したくはない。殺し合いに乗ってたって、話し合えばわかる人だっていると思います。でも、もし話してもわからないような人がいるなら…」

エリオの頭の中で大切な仲間の姿が浮かぶ。
それは、年上ながらも同僚として毎日厳しい訓練を一緒に乗り越えてきたスバルとティアナであり、桃色の髪を揺らして優しく微笑みかけるキャロでもあった。
スバルやティアナは頼りになる人だが、人殺しをするような人ではない。
そしてキャロも優しい性格で、絶対に人を殺すようなことはしない。むしろデバイスなしでこの戦いに放り込まれ、今頃震えているのではないだろうか?
エリオは、優しいキャロの未来を血で汚したくなかった。
だから、決意した。
守るためなら、自分が「殺す」という覚悟を背負いこむと。

「殺し合いに乗った相手なら容赦はしません」
エリオの瞳は決意に満ちていた。覚悟を決めた目つきだった。
ランサーはそれを見ると、ニヤリと笑みを浮かべて立ち上がった。デイパックからナイフを取り出し、右手で軽く振る。

「エリオ・モンディアルと言ったな…。なかなか見込みのあるガキだ。今の決意、しっかり胸に刻んどけよ。…じゃねえと、死ぬからな」
「…はいッ!」
「じゃ、行くぞ」