アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3

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146修整
「なるほど、事情はだいたいわかりました。本当にだいたいですが」
 勘違い少女カレンの身の上話をひととおり聞き終え、糸色は腕組みをしたまま大きく頷いた。
 慣れない仮面の重量を勘定に入れ忘れ、そのまま前のめりになる。

「掻い摘むと、貴女はブリタニアにアンチテーゼを唱える、黒の騎士団なるレジスタンスグループの一員。
 そしてゼロは、組織をまとめるリーダー兼斬込隊長的存在、というわけですね」
「はい。ですが……」
 カレンはどうしていいかわからないといった表情で糸色へと詰め寄る。
「本当に、何も覚えていないんですか? ブリタニアのことも、黒の騎士団のことも……私のことも」
「覚えてないもヘッタクレもありません。私はもともと何も知らないんですから。貴女とお逢いするのも、正真正銘これが初めてです」
「……なんてことなの」

 深い溜息を吐きだし、カレンは傍のフェンスにしがみついてぐりぐりと額を擦り付けた。

「信じられません。ゼロともあろう方が、自分の名前すら忘れてしまうなんて。
 相当強力な薬を盛られたんでしょう。……ブリタニアめ。あいかわらず卑劣な真似を!」
「人を勝手に薬物中毒者扱いするのはやめてください!」

 まったく。自分の思い込みを正当化するために他人をこき下ろすだなんて、迷惑きわまりない。
 うちのクラスの生徒といい勝負です。……いや、それはさすがに言いすぎでしょうか。
 とはいえ、それだけ深刻な事情があるのでしょう。しかもこの環境ですから、余計に判断力を欠かせてしまっている。
 仮面の奥にいる人間を、背格好や声で判別することもできなくなってしまうほどに……。
 まぁ背格好は描写されていないし、媒体からして声を聞き分けることは不可能ではありますが。

 ……おっと、登場人物にあるまじき思考をしてしまいました。以後自重しましょう。
 それにしても、ブリタニアとは一体何なのでしょうか。おそらくブリテンと関係する地名でしょうが、聞いたことがありませんね。
 もっとも、センモンの違う私がいくら考えたところで仕方のないことではありますが。
 知らない情報を思い出そうとしたところで、無意味な堂々巡りをするだけですから。
 それから、黒の騎士団というのは……こちらは、聞いたことこそ無くともある程度の憶測は浮かびますね。
 彼女の年齢や団体名の稚拙さを見るに、体制に不平をぶつけることしか知らない愚直な学生運動家サークルといったところでしょうか。
 気持ちはわかります。私もかつて、わけのわからないサークルで青春をひたすら浪費していた身ですからね……。
 ……いけません! 危うくまた状況に流されるところでした。

 彼女の言い分を疑うつもりは毛頭ありませんし、その勘違いぶりにはいよいよ同情の念すら浮かびます。
 しかし。今の私に彼女の立場を考えてやる義理も余裕も無いんです。ええ、これっぽっちも。
 そう、私にはしなければならないことがある。一刻も早くこの悪夢から逃れろと、本能が命じているのです……!