アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2
銃を避けるために移動し、戦闘態勢に入るはずだった。
だが、私達が行動に移った段階で相手は沈黙し、圭一君はこの状況下でただ鉈を構えているだけだった。
戦意が無い?と思ったが早く、圭一君が大声で叫んだ。
「聞いてくれ!俺はこの糞ッ垂れな殺し合いには乗ってねえ、信じてくれ!」
すると二人と一つの人影がこちらに向かってくる。
だが髭男が銃から手を離していないところから見て、警戒はまだ解いていないらしい。
だからこそ私もいつでも踏み込んでナイフを差し込めるように警戒を解かない。
ああ、リーチが足りない。圭一君の鉈なら・・・・・・
このコンバットナイフは鉈よりはずっと扱いやすくていい武器だが、リーチで劣るのが痛い。
この状況下ではリーチの差が少なくない優劣を生み出す。圭一君は鉈を下ろして相手を見据えている。
もうこの状況下で焦ってもどうしようもないと判断し、相手の警戒を緩めるためにこちらの警戒を少し緩めることにした。
「僕はソロモン・ゴールドスミスと申します。あなたと同じようにゲームには乗っていません。」
「ソロモンさん、俺は前原圭一って言うんだ。よろしくな」
圭一君が金髪の男と握手を交わす。圭一君は何も考えずに笑って握手をしている。
ソロモンという男は微笑を浮かべたまま、表情を殆ど変えずに握手を交わした。
程なくして髭男も挨拶をする。
「自分は次元大介ってんだ。ま、よろしくな」
「・・・・・・竜宮レナです。」
次元という男は手を出さない。私を警戒しているのかもしれない。
まあ、それは私の行動に少し問題があったことで、次元さんを攻める訳にはいかない。
圭一君と握手をしたソロモンという男は私にも手を伸ばす。
「よろしくお願いしますね、レナ」
「よろしくお願いします。」
私と握手するときは表情は微笑からよりにこやかな笑いに変化する。
それにつられる形で私は笑顔を浮かべ、握手することにした。
別に面白くもなんとも無い私を見て表情が変わるとは、一体どういうことなんだろう?
ソロモン・ゴールドスミス・・・・・・か。
握手を終えたソロモンさんがさらに口を開く。
「この子は蒼星石です。私の優秀なパートナーでして、魔法の力で動いている人形なんですよ。」
蒼星石という男の子みたいな人形はぎこちなく歩き、圭一君と私の前で握手を交わす。
・・・魔法なんて嘘みたいだ。嘘みたいか・・・・・・、何かがおかしいような・・・。
私はこのやりとりに違和感を感じつつも、彼らと情報交換を交わす。
ソロモンさんの言う小夜という探し人。そして自分自身のこと
次元さんが言う青い狸とあの仮面の男のこと、次元さんの仲間のこと
あのルパンの三代目だとか、翼手の存在、青い狸といった漫画にしかありえないような話が次々と飛び出る。
圭一君はそれに殆ど疑問なんて持たない様子で、ペラペラと私たちのことを喋っている。
圭一君はこの状況下で手持ちの情報が持つ価値についてまったく理解をしていないようで、あの地図の外のことまで話してしまった。
ソロモンさんが、蒼星石という人形について話し始めた。
「この子は私の支給品なんですが、これが蒼星石との契約の指輪です。」
そう言って指輪を見せる。やっぱり何かおかしい。違和感じゃない。
「この指輪を通じて私と蒼星石は心が通じ合っているんです。
そして、蒼星石は彼女の姉妹である人形を探したいといっています。」
クールになれ、レナ。どこからおかしい、どこがおかしい?よく考えろ・・・・・・
「この子のほかにも、同じような人形の姉妹が居て僕達はその・・・」
「嘘だッ!!!!!!」
私は気がついた。絶対に間違いなんかじゃない。だから言ってやった。
ソロモンは少し驚いたものの、動揺している様子は無い。
しかし人形のほうはそうでない。誤魔化しきれない。動揺している・・・・・・。
だから私が気がついたことは間違っていない、それを裏付ける動きをその人形はしていた。
次元のほうはというと、疑問を浮かべた様子で私を見ていた。
「嘘だなんて酷いですね。レ・・・」
「いいや、嘘だよ。私の目は絶対に誤魔化せないッ・・・」
言ってやる、私は相手に主導権を与えないように続ける。
「どうして嘘をついてないなんて嘘をつくのかな?かな?」
「だから嘘では・・・」
「嘘を付くんじゃないッ!!!!」
相手に弁解の余地を与えない、そのまま続ける。
「レナはちゃーんと知ってるんだよ。名簿あったよね、名前が・・・」
「蒼星石、ってね!!!!」
私があの放送の内容をメモしているとき、名簿の中でひときわ難しい漢字が並んでいる下りが確かに存在した。
ちょっと読むのに苦労したが、あの中には蒼星石という名前が存在したはず。いや、存在している。
あの動揺こそが証拠である。
私は明確な証拠であるはずの、ここに居るならかならずあるはずのアレを確認する。
リボンを引っ張るとすぐ取れた。私の考えの通りにリボンの下から、首輪が現れた。
「これは何なのかな?かな?」
「・・・・・・おいソロモン、こいつぁどういうことだ?説明してもらおうか。」
証拠を見せ付ける、次元は少なくない動揺をしているようだ。圭一君はまだ間抜け面を浮かべている。
ソロモンのほうはというと、蒼星石とともに謝罪をし、これまでの経緯を説明し始めた。
次元大介との接触時のほか、他の参加者とうまく交渉をするためであり、信頼できるものには説明する予定だった。
そして、そうでない参加者を場合によっては・・・殺す。たしかに筋は通っている。
だが、それは私たちも交渉の余地が無いなら殺す。そういうことを意味している。
私は今殺し合いに乗ってないからよかったものの、ソロモンと蒼星石は私の『敵』になるかもしれなかったのだ。
「こんなことをしている人は、レナ信用できないかな?かな?」
「ごめんなさい・・・。ソロモンさんをそんなに攻めないで、協力した僕のほうこそ悪いんだ。」
「そういう話じゃないかな?かな?ソロモンと蒼星石はレナ達を騙して殺そうとしてたかもしれないんだよ。」
そう言うが私はコンバットナイフを構えて戦闘態勢を取る。そして目の前のソロモン達も・・・
「みんな、やめろ!やめてくれ・・・
なんでこんなことするんだよ!俺達は殺し合いをするんじゃねえ!惨劇を止めるために居るんだろうが!」
さっきまで馬鹿みたいに呆けてた圭一君が私達の前で盾になる。ああ・・・邪魔だ邪魔だ。
圭一君が私のほうに向き直る。
「レナ、俺は言った!信頼できる仲間を探そうって
レナはソロモンさんを信用できないかもしれない。でも俺はちゃんと謝罪して説明してくれたソロモンさんは信用できるッ!
この人は殺し合いなんてしない!俺がそれを保証するッ!!!
だからレナは、俺のことだけでいいから信じてくれ!こんなことはもう止めてくれ!
誰かを疑うのはもう沢山なんだよおおおおおおおッ!!!!!!!」
勝手なことを言うだけ言って、圭一君は続ける。
「聞いてくれソロモンさん、次元さん、蒼星石。レナはただ嘘が許せないだけなんだ。
決してあんた達と敵対したくてこんなことを言った訳じゃない、信じてくれ・・・。
もしこれであんた達が怒ったなら俺はいくらでも謝る。
だから、だからそれで気が済むなら許してくれッ!頼むッ!!!!」
沈黙は一瞬、私は・・・・・・大好きな圭一君に従うことにした。
「ごめんなさい、ソロモンさん、次元さん、蒼星石ちゃん。」
私が戦闘態勢を解くと同じく、ソロモン達も戦闘態勢を解いた。
それから私達は許しあい、疑わない、嘘は付かないということ誓うことにした。
飛んだ茶番だ。
でも圭一君の真剣な表情の手前、無碍には出来ない。だから私は圭一君の望みに従う。
次元さんはそういうのが嫌いらしく、後ろのほうで苦笑を浮かべてぶつくさすまんね、とか言っていた。
次元さんは正しい。圭一君がどれだけ弁解しようとこの男、ソロモン・ゴールドスミスのことは信頼なんか出来ない。
協力した蒼星石は嘘は付いてる様子は無いが、この男との協力関係から信頼できる要素は薄い。
そういう意味では次元さんだって信頼できない。しかし信頼できないことは信頼できる。それだけは確かだ。
その後、信頼の証として支給品を含めた手の内を全て見せあうことにする。圭一君が支給品の食料を取り出す。
そういえばお腹がすかないかという圭一君の発言から、みんなで朝食を取ろうということになった。
そして私達は落ち着いて食事が出来る教室に移動し、談笑しながら食事を取る。
圭一君はまるで雛身沢に帰ってきたみたいに面白おかしく場を盛り上げて楽しく食事をしていた。
何も気が付いてない圭一君だけが
それから私達は今後のことについて話し合い、人が集まりそうな市街地に向かうことに決めた。
この辺りには人が居ないのは私たち自身の情報交換から明らかであり、私達5人の知り合いが向かいそうな施設。
ここから近い病院、図書館、映画館を探索することに決めた。
「それじゃあ、早速行こうぜ。善は急げだ!」
圭一君はやはり屈託の無い笑いでみなを引っ張るように我先にと歩き出す。
本当に圭一君は分かってない。ああもう・・・・・・イライラするなぁ・・・。
「待って、圭一君。提案があるの」
「ん?レナ、なんだ?」
私は圭一君に鉈とナイフを交換してくれと頼んだ。
かぁいいものがあったらぜひ自分の手で掘り出したい。そんな風に誤魔化して交換した。
信頼できるものが少ない今の状況下では、せめて武器ぐらいは信頼の置ける鉈にしたい。
圭一君はナイフを片手に、意気揚々と進み、遅れて蒼星石が歩き出す。
それ意外は、・・・・・・動かない。
「どうしました?レナさん」
「ソロモンさん、私は後ろから圭一君のことを見て居たいから、先に行ってくれませんか?」
「・・・一つ言っておきたいことがあります。」
「何なのかな?かな?」
「僕のことを疑うのは構いません。しかし小夜に何かするつもりなら、容赦はしませんよ。」
「それなら私だって同じ、圭一君や私に何かするなら容赦しない。」
真剣な表情を見せたソロモンはやり取りを終え、ヤレヤレと言った様子で歩き出す。
他にも言いたいことはあったが圭一君との約束の手前、あまり不振なやり取りは出来ない。
最後に残った次元さんにも声をかける。
「悪いな嬢ちゃん、自分も前を歩きたい気分じゃないんでな。」
「信頼できない、って言ってもいいんですよ。」
「そう言われると弱いなぁ・・・」
やり取りが終わり、私と次元さんは最後尾から互いの距離を開けて歩き出す。
これがお互いの距離、信頼できないもの同士のね
状況を確認しろ、レナ。
信用できるのは私と圭一君だけだ。
圭一君はさっきからイライラすることばかりやってるけど、私を騙そうなんて気は微塵も感じられない。
だからこそ圭一君に先頭という目を頼み、私は後方から監視する。
信頼できないのはこの三人、特にソロモン、ソロモン・ゴールドスミス、そして蒼星石。
特にこの二人は要注意であると頭に叩き込む、手は割れたとはいえいつでも裏切ることは出来る。
先ほどのやり取りから、ソロモンが何を考えているのかよーく分かった。
音無小夜、ソロモンの最愛の人。ソロモンの表情からも容易に存在の重要性が分かる。
ソロモンが私達を騙そうとしたことの理由が、ようやく推理可能になる。
音無小夜を生かす為に邪魔な存在を騙し討ちで排除し、優勝する。自然な考えだ。
しかしこの考えでは、蒼星石の存在がキーとなっている。
ソロモンが蒼星石を騙しているのか?それとも蒼星石とは互いに守るべきものの為に協力している?
蒼星石との情報交換から考えるに後者の可能性が高い、
だが、いずれにしろ決定的なキーを得る機会は無い。今この状況下でこちらから動くことは難しいだろう。
圭一君を裏切れば、それこそ私がみんなから攻められてもおかしくない。それでは駄目なのだ。
私がこれからすべきことは裏切りの証拠を押さえ、速やかに敵となった存在を排除する。
本当は次元さんも信頼が置けないのだが、次元さんも胸中は実のところ一緒のようである。
ソロモン達が信用できない。そういう意味で私達の利害は一致している。この線だけは部分的に信頼できるといっていいだろう。
本当は次元さんの後ろを歩きたかったが、この状況下でこれ以上の贅沢は望めない。
しばらくは、相手の出方を見続けるしかないだろう。私が気を抜いてはいけないのだ。
クールになれ、クールになるんだ竜宮レナ。もう二度と"い"やなことは起こさせない。
状況の確認、行動方針の確認を私は終えた。
やはり、圭一君は甘い。この状況下がどれだけ危機的か分かっていない。
情報交換をして分かったことから、私達のような普通の中学生では漫画の世界に出てくるようなやつらにはかなわない。
圭一君がべらべら喋ってしまったから、もうハッタリなんて使えるわけが無い。
ソロモンが嘘を付いているかもしれないが、他に違和感は無かった。
完全に信頼できるわけじゃないが、あの青狸の存在からして、普通では及ばないような存在が居ることは間違いない。
それを考慮に入れれば、ソロモンは強力な力を持ち、もしかしたら私達が束になってもかなわないかもしれない。
ああ、危機的だ危機的だ。考えること、やることはまだまだ沢山ある。
巨大な力を持つソロモン、蒼星石達ローゼンメイデン
どうやって尻尾を掴む・・・敵はどこだ、敵はどこだ、敵はどこだ・・・・・・。
ああ疲れる、圭一君は本当に何も考えてなくて本当に気楽そうだ。
そんな私のことを気遣ってくれない圭一君の様子が、私のイライラに拍車をかけていた。
鉈を掴む手に力が篭る。見てろ・・・私は絶対にお前達なんかに屈しない。
圭一君に手を出してみろ・・・・・・。おまえたちがどんなバケモノだろうと、一撃で叩き割ってやる。
一撃で駄目なら、*ぬまでバラバラにしてやる・・・・・・。
圭一君が教えてくれたオヤシロ様の奇跡は、私が絶対に守るんだから。