アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2
48 :
少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理):
古手梨花がそれを見つけたのは、山を下り始めて三十分ほど経った頃の事だった。
(くすくす・・・随分とまた無用心ね)
進行方向の向かって正面。大木の根元に小柄な影が蹲っているのを確認し、梨花はほくそえむ。
尻尾のような飾りと見たこともない服装だが、おそらくは自分と同年代か少し上程度の少女だろう。
地面に色々な道具――おそらくは支給品だろう――を広げている。
(さて、どうしようかしら。利用するのもいいけど・・・)
そう考えながら少女の様子を見る。
・・・どうやら手に持ったものをいじくるのに夢中で、こちらにはまったく気づいていないようだ。
(やっぱり、殺せるときに殺しておかないとね)
鞄からゆっくりとスタンガンを取り出し、軽く構える。準備は万端だ。
一呼吸の間をおいて、少女に向かい一歩を踏み出す。そして・・・
「・・・!?」
「っ・・・!」
二歩目を踏み出そうとした瞬間、少女がこちらへと振り返った。
その視線に怯えと警戒の色を察知し、軽く歯噛みする。
(気づかれた!?・・・いえ、落ち着きなさい、クールになるのよ梨花。まだ充分に挽回できる状況よ)
さりげなくスタンガンを後ろ手に隠しながら、すぐに強張っていたであろう表情を笑みへと変えた。
「みー、やっとで人を発見したのですよ」
笑顔は元々、獣の行う威嚇という行為だった・・・何処で聞いたのかも解らない雑学を思い出しながら、
長きを生きる魔女は少女を安堵させるべく、巧みに笑顔と言葉を連ねる。
「大丈夫なのです、ボクは怖い事をする気は・・・」
その言葉を遮るように、少女が手にした物体をこちらに投げつける。
孤を描いた小さな“それ”は梨花の体に当たり、そのまま足元へと転がる。
「みー、本当に大丈夫なのですよ?」
「・・・・・・ぅぅ」
梨花は不安げな顔を作り、少女へと一歩歩み寄る。
しかし、返って来たのは微かな声と投擲の第二波、第三波。
こんなに入るのかと思うほどの荷物が飛んできたのだ。
飛来する傘やらペットボトルやらを梨花はなんとか避ける。
(そもそも、傘などはこちらまでの飛距離すら稼がなかったが)
49 :
少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理):2007/09/25(火) 03:38:41 ID:k5nEM0BV
やがて、梨花が『やはりこの娘はここで殺しておこうか』などと考え始めたとき、不意に少女が動きを止めた。
投げられる物が尽きてしまったのだろう。じっと鞄へ視線を送っている。
(ふふ・・・よくも、てこずらせてくれたわね)
後ろ手でスタンガンを握りなおしながら、ゆっくりと少女に近づく。
「怯えなくても大丈夫なのですよ。にぱー」
もちろん、笑顔は絶やさない。邪気の無い笑みを装いながら、少しずつ歩を進める。
その時・・・少女が鞄の中から鋼色の何かを取り出すのが見えた。
(しまった!?)
死の予感に思わず目を瞑ってしまう。雛見沢での日々が脳裏を駆ける。
程なく身体を襲う衝撃に、古手梨花の意識は奪われ・・・
50 :
少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理):2007/09/25(火) 03:39:11 ID:k5nEM0BV
「あれ?」
・・・なかった。目を開くと、少女の姿が忽然と消えている。視線を落とすと、足元に転がるのは黒い鞄。
その場に残されたのは散乱する道具と呆然と佇む梨花。そして草を掻き分ける微かな音のみ。
逃げられた・・・よほど恐ろしい顔をしていたのか、こちらの殺気とやらを読んだのか・・・
(なんにせよ、うかつだったわね)
逃げられたことに微かな不安と怒りが込み上げるが、頭を振ってそれを追い払う。
殺気のような物を読まれたとしても、決定的と言える証拠は無かったはずである。
だから、逃げられてもそんなに問題視することは無い。
それに命の代わりと言ってはなんだが、少女は数多くの物を残していってくれたのだ。
「大漁大漁なのです。にぱー」
雰囲気を打ち消すように呟き、梨花はその場に転がっている物を拾い集め始めた。
パンや水を袋にいれ、支給品であろうタイマーと傘を手に取り・・・傘の異様な重さに気づく。
(くすくす・・・こんな物騒な物まであるのね・・・私には無用の長物だけど)
傘の内部に仕込まれた銃に、思わず自虐的な笑みを浮かべる。
おそらく使いこなせはしないだろうが、それでも何かの役には立つだろうと鞄に突っ込む。
傘はつっかえる事もなくスムーズに鞄の中に消えた。
「・・・・・・・・・」
目の前で起こった異様な事実を軽く無視して、梨花はもう一つの物体へと目を注ぐ。
それは一番最初に投げられた物体。掌に余るくらいの大きさのタイマーらしきものだった。
(時報の機能でもついてるのかしら?まあ、陽動くらいには使えるかもね)
そんな事を考えながら、魔女は自分のツキに笑みを浮かべる。
(6とまではいかないけれど、順調にいい目がでてるわね。私の運も捨てた物じゃ・・・)
と、そこまで考えたとき・・・梨花の手元からポンッという間抜けな音が響いた。
51 :
少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理):2007/09/25(火) 03:39:45 ID:k5nEM0BV
『おっぺけぺ〜のぺ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
後方から聞こえた物凄く大きな声に、森の中を走っていたアルルゥは首をすくめ、その動きを止めた。
恐る恐る後ろを振り向き、何の気配も無いことを確認すると再び山を駆け下り始める。
その手に抱えられている物は鋼色に輝く扇子。
ついさっき、見知らぬ少女から逃げるときに持ち出した、たった一つのもの。
(ちなみにアルルゥが逃げ出した原因は・・・単なる人見知りである)
「おとーさん・・・」
それの持ち主である仮面の青年の姿を思い浮かべながら、少女は麓へと駆け下りてゆく。
・・・アルルゥは全く気づいていなかった。
聞こえてきた奇声が先程、自分に話し掛けてきた少女の声で、
奇声をあげた原因が自分がいじっていた支給品―時限バカ弾にあるという事を。
【C-6山中 1日目 深夜】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:時限バカ弾で混乱、数秒程度で通常復帰
[装備]:スタンガン
[道具]:荷物一式×2、ロベルタの傘@BLACK LAGOON
[思考・状況]
1:おっぺけぺ〜のぺ〜
2:南下して町へと向かう
3:ステルスマーダーとしてゲームに乗る
基本:自分を保護してくれそうな人物(ひぐらしキャラ優先)、パーティーを探す
最終:ゲームに優勝し、願いを叶える
【C-6山中 1日目 深夜】
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:健康
[装備]:ハクオロの鉄扇@うたわれるもの
[道具]:なし
[思考・状況]
1:ハクオロ等の捜索
2:ハクオロに鉄扇を渡す
基本:ゲームには乗らない
※アルルゥの支給品『時限バカ弾』は破裂して失われました
※梨花の奇声はエリア周辺に響いたと思われます
※『時限バカ弾』
時限タイマーを巻いた状態で対象に貼り付けて使用。
制限時間が来ると破裂し、貼り付けられた対象がバカな事を叫んだり踊ったりする。
おそらく、数秒程度で普通の状態に戻ると思われる。