アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2

このエントリーをはてなブックマークに追加
443修整してみた

表に出ると同時に、銃声を、ウルフウッドは聞いた。
とある中年男が変身すべく叫んだ合い言葉がそれによってかき消されたとも知らず、
現場に向かうべく駆け出す。
なじみの音だ。親代わりなどという肩書きをぶら下げたろくでなしを手にかけてからこっち、
ずっと、自分はあの音と共にあったのだ。そしてそれは、今とて同じ。
道を外した者は、外した道を歩き続けるしかない。
この手には銃、そして今や五体に染みつききった殺りくの業(わざ)。
ならばこの道、歩き抜く。生けども死せども、楽園(エデン)に踏み居ることの許されぬこの身なら。
なすべきことは決まっている。見敵必殺。今までと同じ。
頭に二発、心臓に二発。すみやかな安らぎをこの手で、即座に。
壁を背に、曲がり角に身を隠し、目的地に迫る…迫る。
そしてほどなく、ひとつの死体を発見する。
年端もいかぬ子供の死体と、血溜まりを。
孤児院で養っていた子供達と同じ年頃の少女が、
仰向けに天を見上げて、その長くもない人生を終えていた。

「けったくそ悪っ…」
ぼやきながらも、ウルフウッドはすでに状況の検分を始めていた。
心臓を貫通する銃弾の一撃。それに伴う失血、ショック死か。
仏にされた少女は見たところ、武器らしきものはひとつも持っていない。
殺されたあとに持っていかれたのかもしれないが、それにしては応戦した形跡すらもなかった。
一方的に殺害された可能性が非常に高いということだ。
続けて周囲を見よ。
円形に拡がった血溜まり、その先に点々と続く足跡を。
血を踏んでから去っていったそいつは、誰か?
ふところからタバコを取り出そうとし、持ち合わせがないことに気づく。
それと同時に聞こえてくる、時ならぬ幻聴。

(お腹の子にさわりますよ、あ・な・た)

「そらないわ、マイ・ハニー」
ミリィ・トンプソン。彼女にまとめて没収されたのかと、しょうもないことを考えた。
マッチもない。考えてみれば武器にもなるから、主催者に取り上げられたのだろう。
ウルフウッドはおもむろに死体を前にひざまずき、右手と左手、五本の指を組んで祈る。
一応、これでも牧師である。死んだものの安息を、願ってやることくらいはできるのだ。
そして、これは同時に。

「すまんなぁ、ちびっ子」 という言葉には純粋な謝罪の意味も兼ねていた。
死体の仰向けの襟首をつかみ上げ、乱暴にふり回す。
愛らしい死相が、ざくろのようにはじけた。






「なっ―――――」
屋上に伏せったまま、クアットロは、呼吸を数瞬止められた。
そして次には銃声二発。にぶい衝撃。
思わず狙撃銃を取り落としてから理解した。自分に何が起こったのかを。



同じ言葉はくりかえさない