あの作品のキャラがルイズに召喚されました part51
1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part50
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1188727875/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ --------------------------------------------------------------------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
l lf小从} l / ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!
--------------------------------------------------------------------------------
_
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は本スレへの投下で問題ないわ。
J{ ハ从{_, ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、本スレではなく避難所への投下をお願いね?
ノルノー゚ノjし ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
/く{ {丈} }つ ・クロスはお互いを尊重しなきゃだめ。一方的なのはモテないわよ?
l く/_jlム! | ・不要な荒れを防ぐには、sage進行もいいんじゃないかしら。
レ-ヘじフ〜l ・次スレは
>>950から。お願いね?テンプレはwikiの左メニューを参照よ。
>>1乙
英断と言っていいかも知れないタイミング。お二方は気も楽に投下できるでしょうこって
3 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:20:29 ID:JWCV+C6t
>>1乙です!
それでは投下!
無事に土くれのフーケから宝物を取り戻したルイズたち一行は、オスマンに報告を済ませていた。
一通り報告が済んだ所で伊達が尋ねた。
「オールド・オスマン。一つ尋ねたい。あの旗をどこで手に入れた。
あれは俺達男塾塾生にとっては、命よりも大切は魂を預ける旗だ。」
「そうか。やはりあれは君達のじゃったか。」
「説明したいことがあるから、宝物庫の前に君の仲間達とシエスタを集めてくれんかね。」
男塾の塾生だけでなく、メイドのシエスタまで集めろというオスマンの意図は分からない。
しかし、ここは素直に従うことにした。
宝物庫の前に全員が集まったのを確認したオスマンは、鍵を開けると、
ついて来いと短く言って、宝物庫の中に入っていった。
宝物庫の中には様々なものがあった。
一目で宝物であると分かる豪勢なもの。
傍目には何に使うのか分からない奇妙なもの。
そのどれにも共通しているのは、大切に扱われ、磨き抜かれているということだ。
この威容にみな黙り込む中、オールドオスマンはゆっくりと語りだした。
およそ50年前、オールド・オスマンは立ち寄った村で炎を操る韻竜と戦っていた。
二正面作戦で支援
二正面作戦で支援
6 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:22:17 ID:JWCV+C6t
路銀が尽き、行き倒れかけていたオスマンは、ある村人に助けられた。
彼の名は佐々木武雄。
本人もこの村人に拾われた、という彼は、この村に来て10年になるという。
三年前にはとうとう結婚し、娘も授かった彼は、もはやここに骨を埋めるつもりであるという。
ただ心残りはある。
そう言って彼は自宅の倉庫にオスマンを案内した。
とても平民のものとは思えない巨大な倉庫には、三つの物があった。
「一つは伝説の杖、一つは伝説の旗。ここまでは君達も知っての通りじゃな。」
その言葉が全員に染み渡るのを確認したオスマンは、壁の一角を押した。
ズズズ
すると、壁が動きだした。
その事態に、一年の時に見学にきたルイズたちも驚きを隠せない。
その様子を満足そうに眺めたオールドオスマンは、まるでいたずらっ子のような笑いを浮かべる。
「ここから先はわししか知らぬよ。」
そうして表れた入り口をくぐり、オスマンは階段を下りていった。
その階段は広く、そして長かった。
聞けばこの階段は、オスマンが自分の手で作り上げたという。
これ程の回廊を一人で作り上げたというオールド・オスマン。
その魔法の腕前はいかほどのものか。
「そうして最後の一つはこれじゃ!」
そうしてオールド・オスマンは己が杖で指し示した。
そこには、ある戦闘機が鎮座していた。
零式艦上戦闘機、通常ゼロ戦である。
二正面作戦で支援
二正面作戦で支援
支援
ゼロ戦mjskwwwwwwwww支援
12式試式艦上戦闘機支援
12 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:24:54 ID:JWCV+C6t
佐々木武雄はオスマンにこう語った。
これらは自分が預かったものだ。
命にかえても、自分は江田島にこれを返さねばならない。
それほどまで覚悟をしてまで返さねばならぬそれは一体どれほどの価値が?
そう問うたオスマンに、その男はゆっくりと首を横にふった。
モノとしての価値はそれほどはない。
ただ、これらには、数多くの男達の命が込められている。
それを正統な後継者に渡さぬうちは死んでも死にきれんよ。
そう言って佐々木武雄は誇らしげに宝物を見上げた。
この人物に興味を覚えたオスマンはしばらくその村に滞在することにした。
村人は、当初いかにもメイジ、といった格好をしていたオスマンに対して一歩離れて接していたがすぐに慣れた。
いかにもエロジジイそのもの、という行動をとるオスマンに対して、扱いが雑になったともいう。
しかし、その穏やかな日々も長くは続かなかった。
ある日、村人が竜を狩ってきたのだ。
竜の鱗は大変な高値で取引されている。
傭兵達からは、貴族の魔法でさえも防げる防具のもととして憧れの的になっており、
貴族達からは、大変貴重な魔法薬の材料として人気がある。
しかも、ほとんどの竜は大変おとなしく暮らしており、人間の領域に降りてくることなどほとんどない。
一頭の竜の鱗で、小さな村の全員が一年間遊んで暮らせることすらあるのだ。
そんな竜を見つけた村人が思わず狩ってしまうのは仕方のないことだ。
オールド・オスマンも特にその行動に何か言うつもりはなかった。
その竜が韻竜の子供でさえなければ。
最悪と詠われる火竜の子供でさえなければ。
sage忘れてるぜ支援
戦力を集中させて支援
15 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:26:48 ID:JWCV+C6t
一早く事態に気がついたオスマンは村人を非難させるべく動いた。
しかし、相手は火韻竜。空の王者である。
空を飛ぶ速度こそ風韻竜に一歩及ばぬものの、そのブレスは圧倒的な威力を誇る。
スクウェアクラスの炎ですら及ばぬそれは、一説によるとエルフですら燃やし尽くすという。
事実、たった一度のブレスで村は焼き尽くされた。
水の防壁を作り出したオスマンであったが、それで助けることができた村人は少ない。
その中に佐々木武雄の娘はいたが、本人は炎に飲み込まれていった。
残った村人を逃すべく、火韻竜に対峙したオスマンだったが、その姿には死を覚悟した。
空高くよりブレスで攻撃してくる火韻竜が相手では、対抗手段がないのだ。
せめて、空を飛ぶ幻獣がいれば。
オスマンが歯を食いしばったその時だ。
東の空から急降下してきたゼロ戦が火韻竜を襲ったのだ。
ダダダダダッ!
オスマンが聞いたことのない爆音が響き渡る
その直後、火韻竜が悲鳴をあげながら地面に墜落する。
(やれ!オスマン!)
オスマンは確かにその台詞を聞いた。
支援
男達の支援
支援
19 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:28:07 ID:JWCV+C6t
全ての力を魔法にかえるべく詠唱を始めた。
火韻竜が再び空に飛び上がったならば、オスマンに勝ち目はないのだ。
(この一撃で仕留める!)
そう強く念じたオスマンは、最強の奥の手を切った。
水の六乗、アブソリュート・ゼロである。
オスマンの突き出した両手から全てを崩壊させる絶対零度の冷気がほとばしる。
それに気づいた火韻竜はブレスで相殺しようとするが、もう遅い!
原子の動きすら止められた火韻竜は、粉々に砕け散り、風に消えていった。
火韻竜を屠ったオスマンは着陸したゼロ戦に歩いていった。
恩人に礼を言おうとしたのだ。
しかし、そこには……
「火韻竜のブレスに全身を焼き尽くされておっての。生きているのが不思議なくらいじゃった。
ただ、愛する家族を守る、そして友との約束を守る、その思いが彼を支えておったのじゃ。」
「そんなわしに気がついた彼は、家族の無事を知ると、わしに一つだけ頼んできたのじゃ。」
「俺はもう助からぬだろう。頼むオスマンよ。いつか必ず江田島かその縁の者がここに来るはずだ。
あいつはそういう男だ。俺は知っている。
だから、その時までこれを預かっていてくれないか。」
オスマンは男の手を力強く握った。
それに安心したのだろう。
男は、最後に娘をなでると、笑みを浮かべて死んだ。
漢支援
エターナルフォースブリザード
相手は死ぬ
オスマンがさりげなくヘキサゴンしてやがる……そして佐々木武雄に敬礼支援
23 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:29:46 ID:JWCV+C6t
「その娘こそお前の祖母なのじゃよ、シエスタ。」
シエスタは驚くと同時に納得していた。
タルプの村の村民に過ぎない自分の後見人がオールド・オスマンであることは知っていた。
しかし、一介のメイドに過ぎないシエスタがオスマンに会う機会など、ほとんどない。
なぜオスマンほどの人間がそこまでしてくれるのか、今まで分からなかったのだ。
しかし、これで納得した。
オスマンは続ける。
「その夫である邪鬼殿こそ、彼の志を受け継ぐ者ではないか。
一度そう言って邪鬼殿と話したことがあるが、彼は断ってのう。
何でも
『もはや自分はこの世界の人間だ。この魂を受け継ぐわけにはいかぬ』
と言っておったのう。」
そう言って、オスマンは周りを見渡した。
桃がみなを代表するかのようにオスマンの前に進み出た。
木の葉落とし支援
支援だ
26 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:31:23 ID:JWCV+C6t
今日はフリッグの舞踏会。
学院にはどこか浮かれた空気が漂っている。
みな楽しみにしているのだ。
「しかし、みんな着飾って楽しそうじゃのう。」
「まあ、わしらには合わんよ。」
「俺達にはダンスよりも盆踊りの方が似合ってるぜ。」
「贅沢言うんじゃねぇ。わしらにだって、ホレ。」
そう言って田沢が顔で指し示す。
そこにはメイド服を着たシエスタが立っていた。
本来ならフリッグの舞踏会の給仕として借り出されているはずだが、特別に許可をもらってきていたのだ。
ここ、男塾「新男根寮」では、みな忙しそうに動き回っていた。
田沢や雷電が中心になってゼロ戦を整備している。
一方、秀麻呂などは幻の大塾旗を磨いている。
彼らには、パーティなどよりも優先すべきことがあるのだ。
そう言うものの、慣れたとはいえ、女性が一人もいないのは寂しいものだ。
この男塾の皆に違和感なく入り込める、「綺麗な」女性はダイヤモンドよりも貴重なのだ。
枢斬暗屯子などは論外である。
誰かが玄関を開ける音がした。
「まったくあんた達、相変わらず男臭いわねぇ。」
ルイズが立っていた。
「フッ。舞踏会はどうしんだい。」
その光り輝くようなドレス姿に誰もが言葉を失う中、桃がいつも通りに声をかけた。
「ふん!あんな、ドレスを着るだけで態度まで変わるような男達なんて、こちらからお断りよ。
それに、女っ気のないあんた達を哀れんでここに来てあげたのよ。感謝しなさい。」
「ハーイ!私達もいるわよ。それにしてもあんた素直じゃないわねぇ。」
キュルケとタバサも顔を出す。
ルイズがその言葉に噛み付く。
空気が一気に華やかになった。
誰もが笑顔であった。
男達の使い魔 第五話 完
大豪院流支援
さて、今週の民明書房は?
29 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:33:11 ID:JWCV+C6t
NGシーン 番外編
雷電「ま、まさかアレは!」
虎丸「知っているのかアレは!」
雷電「間違いない!あれこそ中国において四千年前より伝わる……
もってけ陸軍服(がくらん)!」
「わしが男塾塾長江田島平八である!」
力強い声があたり一面に響き渡ると同時に音楽が開始した。
前を見ると、いつのまにか松尾たち塾生が後ろで手を組み整列している!
「押忍!斉唱させていただきます!
日本男児の生き様は!」
朗々と男塾塾歌が流れ出すなか、ステージ上に二人の男が現れた。
一号生筆頭 剣桃太郎
二号生筆頭 赤石剛次
である。
二人は、押忍!と短く叫ぶと斉唱にあわせて見事な剣舞を披露した。
「嗚呼男塾 男意気 己の夢を魁よ」
とうとうさびの部分に突入したところで、身長10メートルはあろう男が登場した。
三号生筆頭 大豪院邪鬼である。
「続け!」
男がそう叫ぶと、皆一様に踊りだした。
なんと表現すべきかまったくわからない。
ただ、
ttp://jp.youtube.com/watch?v=9pm4FGH3r5A な踊りであった。
そうして舞台は幕を下ろした。
スタッフロールが流れる
民明書房DVD社
「もってけ!陸軍服(がくらん)」
(監督:平賀才人)
〜完〜
乙〜!
これで男塾に航空戦力が加わってまさに無敵!
大して強化されたように見えないのはなぜだろう?
拡大縮小自在男支援
32 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:34:57 ID:JWCV+C6t
ということで投下終了です!
書いているうちにどんどんオスマンが強くなって驚きました。
また、前スレ
>>751のリクエストにお答えいたしました!
死事中なので、次回はいつになるかわかりませんが、
近いうちに合いましょう!
GJ!!
そしてサイト、お前はそんなこともやっていたのか・・・
乙。そしてサイトはますます何をやっているんだw
……というかだ。そのDVDは帰還した後の出版かね?
>>30 やはり男塾は生身で戦うからこその男塾だからではないだろうかと思う次第。
新男『根』寮wwwwww
魂じゃ無いのか?wwww
乙
論外だけど論外はヒデェww
>>30 幻の大塾旗を忘れているからだな
乙
そしてサイトが無駄に多芸すぎ
38 :
男達の使い魔:2007/09/03(月) 23:37:59 ID:JWCV+C6t
>>35 根で合ってますよ〜。
寮長は権田馬之助です
サイト何してんのwwwww乙wwwww
なんと才能豊かなサイトだ
>>40 ウィキペディアの記述より
>竹林剣相撲(ちくりんけんずもう):
>周囲を剣山で囲まれた土俵で行われる荒相撲。男根寮寮長である権田馬之助によって執り行われた際に男塾男根寮名物と語られているが、
>江田島によって毎朝行われる授業内容決定の儀式・奉弓の儀のメニューにもその名が見受けられる。
やはり素晴らしすぎる…GJ!!
唯一の難点は一号生しかいないから我等が男爵ディーノの勇姿を拝めない事くらいか…。
ふんどしるくはっと
このサイトはハルケギニアで女の子に囲まれてるよりも別の意味で楽しそうだ
・・・やはり、かえして日本男児下着もあるんだろうか?
今日の民明書房で飲んでたコーラが鼻から溢れでた
あんたアホだwww
GJ!
前スレ1000突破か。
前スレなんか1001までいったな
前スレで紹介のあったオンラインMTG関連でエキスパンションリストを眺めてて思った。
……ああ、そういや俺が一番嵌ってた頃(ミラージュブロック)ってもう10年も前になるんだなぁ。
年くうわけだ(´・ω・`)
男塾全員がいけるのならパプワ島のナマモノ達でもいけるはず!!
タンノやイトウだけでも…。
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/03(月) 23:56:34 ID:/vTstWFR
同じ事を何度も言うなら自分でヤッチャイナー
ルイズがあれらとキスするんか!?
せめてチャッピーにしてやれよ
それもいいが仮面のメイドガイも呼んで欲しい
変態仮面とタイマン晴れる
マミヤくんあたりを・・・
>>52 そして発表会で「もってけ!腰ミノ」を踊る訳だな。
つ生爪ハーガス君+地味野球マッチョさん
>>52 ギーシュの純潔が、風前の灯火になりそうな件について。
>55
メイドガイで書いてるぜ。遅筆だからいつになるかわからんがな。
同じメイドのシエスタをどう絡ませるか思案中。
そういやイトウくんは何気にパワーアップして子供カタツムリぶっかけを習得してたなwww
もう秘石を探してる途中のパプワ島まるごと召喚。
特戦部隊から心戦組まで。
968 :名無しさん:2007/09/03(月) 22:19:40 ID:SXYGt7ow
もう本スレなんて見てねえや
たまにウィキ覗いてるだけで十分
969 :名無しさん:2007/09/03(月) 22:20:19 ID:8blmSJy.
俺なんてwiki登録しかしてない…。
970 :名無しさん:2007/09/03(月) 22:24:43 ID:P8TQrRx2
まとめ見れれば十分なんだよね。
本スレは一応見てるけど会話がついていけん。
971 :名無しさん:2007/09/03(月) 22:34:46 ID:HFZ.PX2E
俺は作品が投下された時のスレの反応が見たいから本スレ見てる。
ただ作品をまとめで確認するより、そっちの方が面白い。
雑談がめちゃ面白いこともあるしな。
972 :名無しさん:2007/09/03(月) 22:37:25 ID:U.sD4z/M
健全ねえ…まあ、物事にどんな風に接するかは人それぞれだしな
973 :名無しさん:2007/09/03(月) 22:47:48 ID:7C3jZig6
ID:VFzvSx2Dは真性なのかな。
974 :名無しさん:2007/09/03(月) 22:52:30 ID:8blmSJy.
>>973 僕の考えた悪魔超人って感じだな。1000万パワーだ
975 :名無しさん:2007/09/03(月) 23:03:38 ID:A48bDkiY
夏休みに寄生したやつらが消えるまでスレから離れるべきだろうか……
976 :名無しさん:2007/09/03(月) 23:05:50 ID:nH4AUjvo
好きにすれば?
977 :名無しさん:2007/09/03(月) 23:06:02 ID:fem/QdSY
召喚妄想は良いが
纏めの一覧もチェックしないで妄想する奴は何と言うか……
>>60 逆に考えるんだ。
シエスタのポジにいつの間にやらメイドガイがおさまっていると考えるんだ。
幽遊白書の幽助を召喚
桑原が次元刀を使って簡単に連れ戻しに来そうな気もするが。
最近は専ら、ブライト艦長召喚モノ(勿論、竜の羽衣はラー・カイラム)とか、アリス・マーガトロイド召喚モノとか、ハイド伯ジント召喚モノとか、アリス・レイ・マルヴィン少尉召喚モノとか妄想している俺、参上!!
なんでかしらん、一人ヘキサゴンスペルなんて厨設定以外の何ものでもないのに……
男塾とのクロスってだけで別にどうってことないように思える。
>>65 探偵になった直後とかならまだ良いだろうが、
魔族の心臓が発動した辺りからならやめた方が良いだろうな
聖痕のクエイサーからサーシャを召喚。。。
い,かん、ルイズでは聖乳(ソーマ)を与えることが出来ないじゃないか!
ぱにぽにからベッキー召喚とか。
何でも出来そうで、しかし何にも出来なさそうな気がする。
>>70 そこはメソウサだろう
ギーシュ「まだ戦う意思があるのならその剣を取りたまえ!」
メソウサ「・・・も、持てません」
話が進まねえw
メソウサだと、韻… 韻兎(?)っぽい何か?
ぱにぽになら番長にしてミステリーハンターの上原都だろ
>>69 一応貧乳キャラでも聖乳を与えることは出来るみたいだけど、
サーシャ曰く「お前の貧乳などあてにしていない」だそうだからなあ
立ち位置的にもシエスタから吸うのが妥当か?
テレサと多少キャラが被ってるからタバサもありか?
75 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:36:22 ID:2bnnCQYH
どーもです。
爆撃機襲来(投稿)です。
5分後投下いいですか?
スレイヤーズのリナを呼び出した日にはワルド、フーケ、ギーシュ全員悲惨ww
あれ・・・誰か忘れているような気が・・・・
支援酢
78 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:39:19 ID:2bnnCQYH
感謝ですでは逝きます。
アルヴィーズの食堂。メイジが意匠を凝らし、
作り上げた魔法人形の名にちなみ名付けられた。
それを証明するのは、この食堂の壁際に整然と並ぶ、
精巧な彫像。
貴族であるメイジの、テーブルマナーの教育場でもある。
しかし、ミカヤは次々に頭の中に流れ込んでくる食堂内の
人々の思考の中から、給仕としてせわしなく働くメイド達、
厨房の中から調理人達の思考を読み取る。
「・・・・・ここの給仕の人達、厨房の人達もかしら?
あまりここでの奉公を喜んでいないみたい。」
隣のルイズには聞き取られないよう、つぶやいた。
かつてデインを治めたいた頃は王宮内や、城下の人々の
心を直に掌握し、彼らの生活と心を守ってきたミカヤ。
このトリステインは選民思想があり、恐らく平民であろう
彼らから嫌悪感が読み取れた。
この状況は彼女にとって芳しいものではない。
「厨房に私の口利きで食事を用意させるわ。
ミス・ミカヤは待っていて。」
そんなミカヤの心情を露知らぬルイズは、
そう言い厨房に向かおうとする。
「待って、ルイズ。」
「え?」
それをミカヤは静止する。
「厨房には私が行くわ。」
「え?どうしてミス・ミカヤが?
平民への話をつけるなら、私で十分なのに。」
当惑するルイズに、ミカヤは笑みを浮かべ、こう告げた。
「これからも世話になるところには、自分から
挨拶に行くのが礼儀なの。
それと、少し時間をもらうわね。」
そして、近くを通ったメイドを見かけ、声をかける。
「少し、よろしいでしょうか?」
「は、はい!」
メイジのような姿の女性であるミカヤに声をかけられ、
恐縮するメイド。
カチューシャで纏められた短い黒髪の、純朴そうな
少女だった。
そのメイドに彼女は、貴族ならば決してしない提案をしてきた。
「私も貴女達の手伝いをさせてください。
料理長に会わせていただけませんか?」
79 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:40:56 ID:2bnnCQYH
ファイアーエムブレム外伝 〜双月の女神〜
第一部 『ゼロの夜明け』
第四章 『治める者とは』
「料理長!!」
先程ミカヤに声をかけられたメイド―――シエスタは大慌てで
厨房へと駆け込んできた。
「どうした、シエスタ?また貴族の餓鬼に何かやられたか?」
その様子を確認し、また貴族に無理難題を申し付けられたと思った
魔法学院料理長―――マルトーは苦い表情をしながら訪ねる。
「い、いえ!その、あの・・・!」
シエスタは話を切り出そうにも気が動転してしまい、要領を得ない。
「失礼いたします。」
ちょうどその時、マルトーが声のした方向を見やる。
そこには銀色の髪の、彼の好かない貴族の気配を超越した、
『女神』がいた。
「お・・・・・。」
思わず見惚れ、手を止めてしまうが、咳払いをして、落ち着かせる。
何故かは分からないものの、杖を持つことからメイジと判断するが、
他の貴族とは何かが違う神聖さを感じたマルトーは嫌な顔をしない。
ひとまず、用向きを聞くことにした。
投下予約しつつ、支援
81 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:42:52 ID:2bnnCQYH
「貴族様、こんな厨房に何の御用で?
うちらのメイドが何かしましたかね?」
「いえ、彼女にはここまでの案内を頼みました。
貴方が料理長ですね?」
隣のシエスタはおろおろとしながら二人を交互に見る。
その間も話を進めていく二人。
「ええ、マルトーと申しまさぁ。」
「貴方に頼みごとがあって案内していただきました。」
貴族の学生達からの無理難題を押し付けられることは多々あった。
それは権力者の威光を借りた傲慢なものが多かったのだ。
「伺いましょう。何でさぁ?」
だが、マルトーは彼女からは嫌味や傲慢さを感じない。
むしろこちら側、『平民』寄りのものに思われた。
ミカヤの話を促す。
「ええ。食事の配膳の時だけでいいのですが、メイドとして
手伝わせていただきたいんです。」
「は・・・・・?」
その突拍子もない頼みごとに一瞬、思考回路が停止したマルトー。
「私はミカヤ。ミス・ヴァリエールの使い魔です。
確かに杖を持ち、魔法を使いますが、貴族ではありません。
私も、『平民』ですから。」
彼らの勘違いを正すために、そう名乗るミカヤ。
無論、王位を退き、更にはこうして異界に使い魔として
召喚されたため、彼女の言葉に偽りはない。
82 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:44:31 ID:2bnnCQYH
「では、ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔って、貴女だったのですか?」
「しかもあんた、貴族じゃないのか?」
噂に聞いた、ルイズの使い魔が目の前にいることに驚くシエスタと、
自身を『平民』と名乗るミカヤに更に驚いたマルトー。
同時に、自分達と同じ平民という認識から、口調も砕けた。
「はい。ただ、使い魔でもあるので、手伝えるのは食事の時
だけになります。」
暫し呆けたままのマルトーだったが、改めてミカヤに向き直る。
心積もりは決まったように、一度頷き、訊ねた。
「あんた、給仕の経験は?」
「ここに来る前に少々。」
今は亡き夫、サザと出会う前、そしてデイン解放の義賊団
を創設する以前は生きるために様々な仕事をしていた。
その経験の幅は広く、レストラン等の給仕もこなしていた。
破顔したマルトーは、ミカヤとシエスタに告げる。
「よし、じゃあミカヤと呼ばせてもらうぜ。よろしくな!
早速だが手伝ってくれ。シエスタ、『新入り』の面倒を頼むぜ。」
「はい!」
それにシエスタも笑顔で応えた。
83 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:47:53 ID:2bnnCQYH
「・・・・・ミカヤお姉さま、何時までも何を話しているのかしら?」
一方ルイズは食卓に腰掛けながら、時間をもらう、と言って戻ってこない
ミカヤのことを考え、ふてくされていた。
そうこうする間に食卓に豪奢な料理が並び、朝食の時間が近づいてくる。
一緒に食事を摂りながら『テリウス』大陸での話を聞かせてもらいたかった
彼女だったが、何時まで経っても戻ってこない。
仕方なく、ハルケギニアに魔法をもたらした賢者、始祖ブリミルと、
トリステインを統べる女王への食前の祈りの言葉を唱和する。
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を与え給うた
ことを感謝いたします。」
そして、ナイフとフォークを取り、食事に取り掛かったその時―――
「失礼いたします。」
「・・・・・、!?!?」
自分に飲み物を配りに来たメイドを見て、驚きの声をあげるのを両手で口を
塞ぎ、必死に押さえ込む。
「ミ、ミ、ミミミ・・・・・・・っ!」
メイドはミカヤだった。
ゴシック調のメイド服は、銀髪と程よいプロポーションによく似合う。
咳払いをしてひとまず落ち着く。
84 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:50:07 ID:2bnnCQYH
「・・・どうしてメイド服を?」
「料理長と話をして、食事の間、働くことになったの。」
会話をしている間も手を止めず、慣れたようにグラスにワインを注ぐ。
「使い魔だからって無理やりやらされたの!?」
「似合わないかしら?」
食後、厳罰に処するように申請しようと怒りを露にしたルイズを、
ミカヤは笑顔で軽くいなす。
「それは、すごく綺麗で似合うけど・・・・・・って、
そ、そうじゃなくて!」
話をそらされ、頬を膨らませるものの、顔を赤くしていた。
確かに似合うのだから。
「ルイズ、貴女は貴族。
人を治め、守る人になりたいと思うならよく覚えておいて。」
ミカヤは他のメイドのように甲斐甲斐しくルイズの世話をしつつも、
説いて聞かせる。
「貴族だから敬われるのではなく、末端と言われる一人一人に
至るまで心を砕き、その人々の痛み、求めるものを共有する。
だから『貴き一族』なの。
そのためにも平民の生活、心を知ることで、見えるものがあるわ。」
「・・・・・。」
汚れたナプキンは直ぐに新しいものに取り替える。
そんなミカヤを見つつ、ルイズは思考する。
まるで、彼女が人を治める立場にいたことがあるように思えた。
(ミカヤお姉さま、貴女がいた所はどんな世界なの?)
やはり疑問が深まるばかりだった。
そんなルイズの思考を受け止めつつ、ミカヤは彼女の、料理で汚れた口許を
優しく拭うのだった。
85 :
双月の女神:2007/09/04(火) 01:51:27 ID:2bnnCQYH
以上です。ミカヤの過去の体験は想像(妄想?)です。
多分こんな経験もしたのではと思うです(汗)。
では失礼をば。
乙でした。二時から投下します。
乙でした。
うむ順調に百合フラグを立て続けていますな。
では投下いきます。
尚、小ネタではないです。
――――
「自然が……泣いている……」
そうつぶやいて、彼女――アイヌの巫女は、その身を、魂を大自然の浄化へと捧げた。
その愛刀の守護鳥と、少女を従う狼を供に連れて。
時に、天明九年。徳川幕府による治世の世の、裏話であった――
だが、その身、未だ二十歳にもならぬ穢れ無き巫女を死に追いやるほど
大自然は厳しいものではなかった。
時に厳しいが、母性を持つもの。それこそが自然の正体である。
その身を、自分たちの為に捧げた少女に、大自然は泣いた。
この子をどうにかして生き延びさせてやりたい。
その意思は、突如として現れた、未来の入り口を利用する事を決めさせた。
この時代より二百年も先、平成と時代の呼び名が変わった頃、一人の少年を呼び出すための鏡。
それを――利用しようとしたのである。
このままでは、身を、魂を全て枯れ果てさせてしまう少女をその鏡の中に放り込み、生き延びさせようとしたのである。
果たして、それが彼女の運命をどう変えていくのか。
それは、未だわからぬ事であった――
その日、平賀才人はご機嫌であった。
持っていたノートパソコンがようやく修理を完了したからだ。
溜め込んでいたゲームも出来るし、出会い系サイトからの返事も確認できる。
全部のデータが吹き飛んだ事を知ったときはキーボードをグシャグシャにしてしまったが、今は問題ない。
パソコンが壊れたときは、意気消沈もいいところで、普段なら二個は食べる照り焼きバーガーも、一個とシェイクがいいところで
小遣い節約にはなったが、どうにも空虚だった。
しかし、今は一転して超ハイテンション。
今にも踊りだしそうな勢いなのだが、ふと前を見ると、不思議な鏡があった。
はてな、と才人は思う。
こんなもの、今までの通り道にはなかった。
好奇心から石を投げてみるが、すんなりと消えてしまった。
ははん、こいつはかの有名な青い狸の道具みたいなものか、と推測すると
俄然、その先が気になってしまった。
しかし、銀河鉄道にのってどこでもドアギリギリの場所まで飛んでいってしまった黄色い服の眼鏡っ子になってしまっては仕方が無いと考え
恐る恐る、顔だけを覗かせる事にした。
しかし、中を見ても白い世界が広がるばかりで、少し残念な気がした。
てっきり、水着美女だけの世界とか、幼女から美女までがミニスカな世界が待っているのかと思ったのだけれども。
はて、しかしどうしたものかと才人が悩んでいると――
「ぷげらふっ!?」
後ろから、光の柱のようなものが飛んできて――何やら柔らかい衝撃と共に、鏡の中へ吹き飛ばされたのだった。
春の使い魔召喚の儀式、というものがある。
二年生に進級する際に行う神聖な儀式なのだ。
とはいうものの、教師にしてみれば、それである程度の属性を判断し、個性を伸ばしていく、というためのものなので
出来ればわかりやすいものがいいな、というのが本音であった。
例えば『雪風の』タバサであれば、ウィンドドラゴン。
『微熱の』キュルケであればサラマンダーというようなものは、とてもわかりやすい。
でなくとも、カエル、モグラ、フクロウといったように、ある程度棲み分けが出来ている動物というのはとてもわかりやすいのだ。
たまに目玉などといった一体こいつの属性は何事だ、と叫びたくなるような使い魔が召喚されてしまうが
そこはそれ、前例を調べて、得意な属性と判断して、今後を決めていくのだ。
教師にとっては、自分の受け持ちが何人になるのか、ということが最大の興味である儀式であった。
少なければ問題だが、少なくとも、優秀なメイジが受け持ちになれば、その教師という事である程度の名声も取れるというものだ。
――しかし、まぁ。
その中に、『ゼロの』等という、不名誉なあだ名をつけられたメイジがいるとなれば話は別だ。
このメイジが一体どんな使い魔を召喚するか、というより、果たして成功するのか、という事が監督教師であるコルベールの懸案事項であった。
何せ、既に十数回失敗を重ねているのだ。
一度昼食休憩を挟んだため、時刻はそろそろ、優雅な爵位持ちであればティータイムなど嗜む時間だろうか。
使い魔との親睦を深めるように、と指示しておいたため、暇そうにしている生徒はいないが
しかし、元々授業の予定が入っていたのを頼み込んで延長しているのだ。
いい加減切り上げなければ他の生徒にも影響が出る。
とはいえ、このコルベール。努力している生徒を見捨てる、という事は性分として出来なかった。
「ミス・ヴァリエール。流石にもう時間も時間です。
今度の虚無の曜日にでも再度儀式を――」
「もう少し、もう少しだけなんです! ミスタ・コルベール!」
この熱気。他の生徒には中々見られない努力、というのがルイズという生徒の特徴だった。
元より勉学では優秀な生徒なのだ。
確かに実技の成績はお粗末を通り越して、最早残酷無残ではあるが、かといってそれだけで落とすにはとてもではないが忍びない。
ラ・ヴァリエール公爵家という事を差し引いても、ルイズの勉学の成績ならば、研究方面で活躍する事も出来るだろう。
それを流石に落とす、となると、学院の損失というものだ。
水時計を見れば、流石に夕食前には止めることにはなるが、二時間は猶予があるだろう。
もう少しこの生徒を見守ろうとコルベールが近くに岩に腰をかける。
みれば、ルイズは泣きそうな顔をしながらも、立ち上がり、サモン・サーヴァントを続けようとしている。
このような生徒がいれば教師冥利に尽きるというものだろう。
更に一時間が経過しても、ルイズはやめる気配を見せなかった。
既に一部の生徒には、使い魔に対して芸を仕込み終えたものまで居る。
コルベールもそろそろ止めるべきか、と苦渋の決断をしようとした頃――
「風が止んだ」
風が止んだで魔王様を連想してしまった支援
この元ネタとその種類で長編は初めてか支援
タバサがつぶやいた一言で、コルベールは辺りを探った。
確かに、空を見てみれば、青空こそ変わらぬものの、先ほどまでは心地よかった少し冷たい春風が一切止まってしまった。
何やら土も元気が無いような気がするが――
光が、魔法学院を支配した。
風はざわめき、木々は騒ぎ、土は震え、光は暖かくそれらを包む。
神か天使の降臨か、とも思えるような光の静寂の後、ルイズが呆然と立ち尽くしていた。
爆発の土煙はなく、唯一あるのは、先ほどまで世界を支配し続けた光。
その光が集まり、柱となっているのだ。
直径は一メイル程だろうか、円柱形で、空を見上げると空に吸い込まれるかのように柱が途切れている事がわかる。
果たしてルイズは尻餅をつき、その光景を更に呆然と見上げた。
恐らくはルイズのサモン・サーヴァントによる結果なのだろう、とコルベールは見当をつけたが
はて、しかしこのような結果をもたらすサモン・サーヴァントなど見た事が無い。
サラマンダーや火竜を呼び出せば、確かに炎の熱気により景色が揺らいで見える事はあるが
これは明らかに光の柱とも言うべきものだった。
どうしたものか、と悩んでいると、上空からうっすらと光の柱が薄れていくのがわかった。
コルベールはならば大丈夫だろう、と当たりをつける。
消え行く、という事は何かしら起こる訳ではないからだ。
これが新しい系統魔法なのだとすれば大発見かもしれないが、それも全てが消え去ってから調べれば良い事だ。
コルベールは立ち上がり、杖を引き抜く。
もし、何らかの形で凶暴な幻獣が現れたとしたならば、生徒を守るのは彼の役目であるからだ。
数十メイルにも及ぼうかという長い光の柱が消え去るには、少々時間がかかるようだ。
十分が経った今でも、半分近くが柱として残っている。
一体何事かと緊張していた生徒も、そろそろ緊張の糸がほつれ始めた様だ。
しかし、コルベールの集中の糸は、ワイヤーのように頑丈である。
戦闘態勢に見える訳ではないが、しかし、その姿は常に魔法を放てる抜き身の刀にも似た雰囲気を出していた。
ようやく光の柱が残り二メイル程になった頃、段々と全体が光の粉のようになり、消え去っていった。
だがしかし、コルベールの呪文が解放される事はなかった。
そして、男子生徒の半数がその場に居る召喚されたものに目を奪われた。
まるで物語の中から抜け出たような赤と白の珍妙な服装に、鮮やかな長い黒髪。
それを纏める赤いリボンに、まるで触るだけで、自らの指の汚れが映ってしまいそうな白い肌。
そして何より、始祖ブリミルに祈りを捧げる巫女の如き祈りの姿。
無論、目を奪われなかったものや、そもそも女性に目を奪われる事が少ない女生徒の大半は、ルイズが召喚したのは人間だ、という事を今にもはやしたてようとしていた。
しかし、何時も野次を始める男子生徒の数人は目を奪われていたのだ。
例えば『風上の』マリコルヌなどは目を奪われているグループに入ってしまっている。
そうなると切欠を失うし、野次もほとんど発生する事はなかった。
少女は祈りを捧げたままの姿だったが、しかし閉じている目といえど、入ってくる光の量の差に違和感を覚えたのか、目を見開き始めた。
きょろきょろと見回す姿は、まるで生まれたての仔馬のように儚げなものだったが、これがサモン・サーヴァントで呼び出されたというのならば
コルベールに選択肢はいくつもなかった。
召喚を再挑戦させるか、それとも契約に進めさせるか。
大きく分けてこの二つだった。
そして前者は、最早難しかったのだ。
ルイズが魔法に成功した、というのはとても喜ばしい事なのだ。
だが、しかし、一度成功したからといって二度目があるとは限らない。
何の研究においてもそうだが、一度成功したならば、それを強引に引っつかんででも逃さない事が重要なのだ。
つまるところ、コルベールはルイズを立たせ、コントラクト・サーヴァントを済ませるように指示した。
召喚に成功した、という事も衝撃なら、それが人間だった、というのも衝撃であるルイズだが、しかしこれが
光の柱などではなく、爆発により召喚された、などというのならば正気を保ち、再召喚を願えただろう。
しかし、呆然としていた挙句に、教師直々に契約を、といわれたのでは、ルイズはそれを実行するくらいしか思考能力が残っていなかったのだ。
未だキョロキョロとしていたが、ルイズが近づいてくるのをみて、ここが何処か、とでも尋ねようとしたのか、少女が口を開こうとしたが――
「我が名はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」
――『風上の』マリコルヌや、『青銅の』ギーシュは語る。
もしこの場に『召喚されし書物』のように、その場の絵を永遠に、そのまま収めることが出来たならば
あのシーンこそは未来永劫、家宝にしてでも語り継ぎ、受け継がれるものだ、と。
それほどに、先ほどまで興味の無かった男子生徒の目を引くほどに、美少女二人によるキスシーンというのは美しいものだった。
時間にして三秒ほどであったが、その間に呼び出された少女の顔がどんどんと朱に染まっていくのがわかった。
まるで清流に楓の葉が流れるが如く、赤く染まっていく白い肌は、その情景を更に印象付けていく。
ルイズも、最初こそ言われるがままだったが、契約をしている最中にその視線と、情景に気がついたのか
瞬時に赤く染まり、唇を離した。
愛のあるキスと違い、銀糸が引くような事こそ無かったが、しかしそれでも、三秒も口付けを交わしていれば吐息が漏れる。
小さな小さな吐息ではあったが、わずかにもれたそれは男子生徒の脳内を支配するに十分であった。
春の使い魔召喚の儀式といえど、既に夕方も近ければ、ハルケギニアの春は未だ冷える。
つまるところ、漏れた吐息は白い息だったのだ。
尤も、二人分の体温で暖められた口内より吐かれるのだから当然といえば当然ではあるが。
「お、終わりました」
「う、うん。契約の儀式はすんなりといったね」
コルベールも少し見とれていたのか、動揺を隠すように言った。
そして慌てて生徒に学院に戻るようにと伝える。
儀式そのものは全て終了したのだ。
そして時刻は既に、そろそろ夕食の準備が始まっている時間でもある。
その言葉に、自分たちの状態を自覚して慌てて学院へと飛んで行く生徒達。
女生徒もぶつぶつとつぶやいてはいたが、しかし教師に戻れといわれて野次を続けるほど馬鹿ではない。
次々にレビテーションやフライで飛んで行く生徒達。
コルベールは、ルイズに使い魔とゆっくり戻ってきなさい、と伝えると、自分も慌てて学院へと戻っていった。
仮にも教師たる立場の人間が、生徒と使い魔の契約の儀式を見惚れるなど、と自省すること頻りであったが、女生徒からは既に株が落とされていた。
その頭と年齢も手伝い、評価は下落の一途である。
>>90 むしろ男装海賊王女を連想してしまった支援
だれだ?前スレを1ずらしたやつ
それはともかく支援
さて、放置された二人であったが、一番困ったのもこの二人だ。
多少気まずいが、何が起きたのかと喚く訳でもなく、その両手で顔を隠し、真っ赤に染めているのだ。
へたり込んでいる事もルイズには更に気まずい。
罪悪感が沸いてくるのだ。
騒ぐならば、その声が耳に障ることもあるし、怒りを発生させる事も出来るだろう。
泣き喚くなら、同じように、怒りを彷彿させる事もある。
しかし、無言はまずい。
叱責されるでもなく、縋りつかれるでもなく、ただただ恥ずかしがられては、した行為も手伝って羞恥心と罪悪感が沸いてくるではないか。
見れば、自分と背丈も、恐らく年齢もそう変わらない乙女だ。
自分もそうだが、相手の初めても奪ってしまったのではないかと、ルイズには気が気でない。
何とかなだめようと、会話の糸口を探すが、相手の名前も知らなければ意味がないではないか。
そう思って何とか名前を聞こうとしたルイズであったが、まず相手の顔を見なければ会話は始まらないのだ。
何とか手をどけなければいけない、そう思っていた所、突如として少女の右手に光が走ったのだ。
薄い光であったが、痛みを感じるのか、少女が顔をゆがめて手を押さえる。
ははん、とルイズは当たりをつけた。
小手をしているために見えないが、恐らくは使い魔のルーンが刻まれているのだろう。
「大丈夫、安心しなさい。使い魔のルーンが刻まれているだけだから。
すぐに終わるわよ」
優しく語り掛けるルイズ。
その言葉に何か思ったのか、少女がルイズの顔を見上げた。
言葉どおり、すぐに光は収まった。
小手を取り払い、自らの右手の甲を見る少女。そこには読み取れない文字が書かれていた。
いや、文字というよりは絵だろうか。
少なくとも、かつて住んでいた江戸の世では、否、江戸から離れ、蛮族の地ともいわれた場所の出身である彼女にもわからぬ絵であった。
戦友であった異国の友の扱う字に似ていなくもないが、しかしそれがどういった意味を成すのかなどはわからない。
無論、この少女がその異国の字――「英語」「フランス語」「ドイツ語」「グリーンヘルの言語」などを完璧に理解していたとしても
この手の字は読めなかっただろう。
あるいは、アイルランドにおける神話などを理解していれば可能だったのかもしれないが、それはまたありえぬ話だ。
しばしそれを見つめていた少女だったが、今気付いたように口を手にあて、小さく「あ」と呟き
「あの……申し訳ありません。えぇと……」
「私はルイズ。貴方を呼び出した者よ」
「あ。ありがとうございます。私は――ナコルルと言います。
それで、その……ここは、どこなんでしょう?
恐山ではないようなのですけれど……」
かくして、アイヌの巫女と、ゼロの魔法使いがここに出会う。
時は、天明九年。その場を徳川の江戸の世より、ハルケギニアへと移す。
その、歴史の影で、時を同じくして、異形のものが、蠢き始めていた。
それに立ち向かうものが居る。
敵に背を見せず、立ち向かう者。
人、それを――――「サムライ」否、「貴族」と言った――――
真説サムライスピリッツ・ゼロ 序章・終
サムライスピリッツより、ナコルル召喚です。
尚、召喚だけして終わりでないように
とりあえずは一話書き上げておりますので
三十分ほどして予約なければ再投下したいと思います…!
乙です。
時間も時間ですし、予約も入ってませんし予定を繰り上げても良いと思いますよ。
乙!ナコルルかぁ。
ママハハー乙!
さ、サイトはどうなってしまったんだろう?
某天草さんや忍者さんに捕まってろくでもないキャラに仕立て上げられる想像しかしないんだが
才人は一緒に召喚されたじゃないのか
どこに飛ばされたんだ?
……まさか、ナコルルの代わりに恐山とか
乙です。
格ゲーネタ長編はコレが初なんだよな。しかし懐かしい、最後の下りが小林さんの声で脳内変換されたよ
サイトは花札好きの侍に掴まって趣味の千人斬りの一人にされてアーッ
幻十郎は公式でバイだからありえるww
105 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/04(火) 02:20:08 ID:+r5mFoDO
和尚さん辺りに拾われて、後に剣豪として名をはせたり、とか……。
む、…では、予定を繰り上げ十分後に投下します。
コロコロと変えて申し訳ございません。
とりあえずサイトの剣の名前は「驚愕」になるのかw
ガンダールヴのルーンがないサイトはただのオタ学生なので、無理じゃなかろうか?
109 :
サムゼロ:2007/09/04(火) 02:29:59 ID:MwCQ4N/Y
では投下します。
ところでサムライスピリッツ零にするとイャン、歴史がかわってるぅ、になっててあれですよね。
章之壱 『会』
ハルケギニア大陸はトリステイン王国に存在する、トリステイン魔法学院。
巨大であり、大陸でも屈指の名門学院であるところの、この魔法学院では
日夜、生徒の研鑽が積まれているのである――というのは、実際のところ建前であった。
半数以上の貴族は、この学院に居る間により有力な貴族とのコネを作る事に終始するし
そうでなくとも、貴族子弟の甘ったれた根性を直すには、三年という教育期間では短すぎる、というのが大勢の意見だ。
学院長であるところのオールド・オスマンも、元は教育熱心な偉大な魔法使いであったのだが
今は諦めの境地に至り、如何に授業料を徴収する方法を考えるかに忙しい日々であった。
そうなると、教師たちにもその風潮が段々と現れてくる。
さて、そのような学院ではあるが、無論、生徒が全員不真面目という訳ではない。
例えるならば、ギーシュ・ド・グラモンなどは、確かに生活態度は不真面目でこそあるものの
学業には熱心である。
土のドットメイジである彼は、その父親が軍務の頂点に位置する軍人の家系であるため
親の七光りなどと言われぬ厳しい教育が施されるのだ。
尤も、英雄色を好むとは良く言ったもので、女性関係は親子に渡って酷い有様だったが。
さて、そのようなギーシュも、図書室に時折足を運んでいた。
無論、勉学の為である。
仮にも元帥の息子がドットでは格好がつかない、というのが本音であった。
せめてトライアングルでもなければ、魔法全盛の世界ではどうしても軽く見られてしまうのだ。
確かに、その能力が高ければ、親の地位を利用してラインあたりでも軍の高位に位置する事は可能だが
一生指揮官となる事はないだろう。
お飾りにはなれるかもしれないが
魔法使いとして自分より能力が劣っている者の指示をおとなしく聞くほど、貴族というものは柔軟ではない。
そのために、軍人であろうと魔法使いとしての能力を高める必要性があるのだ。
ギーシュも、色事に関してはズルズルではあったが、そのあたりの分別は正しく出来ていた。
尤も、未だ青年の身である為に、よく判断を間違えるが、その辺りは経験が必要という事なのだろう。
少なくとも、グラモン元帥は息子の事を「青二才」と評している事だけは間違いなかった。
既に魔法学院に在籍して一年。
当初は一体が限界だったワルキューレ創造も、今では七体を作り出し、多少の余裕もあるようになった。
二乗というラインへの能力上昇も近いだろう。
ちなみに、図書室で読む本は魔法関係ばかりではない。
トリステイン六千年の歴史の中で積み重ねられた戦術書なども読みふけっているのだ。
とはいえ、図書室にある物には限りがある。
高度な魔法技術などは生徒がすんなり読めるものではないし、戦術に関する書物など、留学生もいる学院には碌な物は無い。
元帥である父に聞くのが一番とは思えど、しかしすんなりと父に教えを超えるほど、男子というのは素直ではないのだ。
いずれ超える背中。それが父親というものであるのだ、とギーシュは考える。
さて、役立たずの書物の中でも一つくらいは気になる書物というのが必ずあるものだ。
ギーシュがかつて読んだ本の登場人物などは、『この世に面白くない書物などない』と言い切っていた。
どのような文章にも読むべきところはあるのだ、などと、綴り人は――ノイズが入った気がする。ギーシュは思う。
それで行くと、この本には読むべきところがあった。
子供向けの本ではあったが、『大自然の恐怖』というような題名だ。
地形把握は戦争の常識である。
トリステイン限定ではあったが、かつて大自然災害が起きた物が記録されているこの本は、貴重な資料といえるだろう。
だが、そんな本も、勉学の意欲も、今のギーシュには余り浮かばなかった。
今日の使い魔召喚の儀式において呼び出した自らの使い魔――の事でもない。
あの『ゼロの』ルイズに呼び出された使い魔の、少女の事を、考えていた――――
ナコルルとルイズの話し合いは、場所を部屋に移して行われていた。
ルイズが尋ねる限り、ナコルルはハルケギニアの人間ではない、との事だった。
なんでも、極東と呼ばれる場所に存在する列島、その北端にある『カムイコタン』という場所より来た、というのだ。
はて、これにルイズは驚いた。
エルフの守護する砂漠より東は『ロバ・アル・カリイエ』といわれる未踏の地である。
だとすれば、更に海を挟んで東の果てより来た、というこの少女がハルケギニアの事を知らぬのも無理はないだろう。
しかし、これはこれで良い収穫なのではないか、とルイズは自分でも嫌な考えだと理解できる思いを抱いた。
東方の知識というものは無いに等しいのだ。
そういった情報を集められる、という点では、素晴らしい使い魔だといえるではないか。
――尤も、読者諸賢には違和感を覚えられているだろうが、ナコルルの言う極東とは、異世界『地球』での事である。
当時の江戸、更にアイヌともなれば、海の向こうとはまさしく異世界であった。
天草討伐、そして羅将神ミヅキ討伐の折に、世界中を飛び回ったナコルルであれど、世界地図を持つ訳ではない。
故に、このハルケギニアが正真正銘全くの異世界であるとは、気付いていなかったのである。
だが――
「ここは、大自然の精霊が喜んでいます……よかった、世界は、平和なのですね」
自らの祈りが通じたのか、大自然の喜びが聞き取れる事を、ひたすらに喜んでいた。
(でも、何故かしら。何か、少しだけ違う気がする……)
例えるならば、大好物を別の店で食べたような感覚。
みたらし団子が大好物であり、たまたま行かぬ店で食べ、美味ではあるものの、何やら違和感が付きまとう。
そのような感覚が、ナコルルにはあった。
とはいえ、美しい大自然の声に囲まれる世界というのは、ナコルルにとって素晴らしいものがあった。
当年とって十八歳。
十五の頃より異変を感じ取り、大自然の巫女として邪悪との戦いに身を投じ続けた少女は、久方ぶりに元気な大自然に囲まれたのである。
そのように安心した姿を見て、ふと、ルイズは実家の姉の事を思い出した。
儚げで優しい姉の事を。――同時に、厳しく辛い姉をも思い出したが、頭を振って脳内より追い出したが。
気がつけば夕食を食べるのを忘れていたので、メイドに言って軽食を作ってもらった。
サンドイッチと紅茶だったが、ナコルルは懐かしいとでも言うようにそれをぱくついた。
東方でもこのようなものを食べるのか、と尋ねたルイズだったが
ナコルルはかつて自分がした旅の事を少しだけ話した。
大自然を害する悪人が居た事と、それを討伐する為に色々な剣士と協力し、自然を治そうとした事。
その過程で異国に行く事もあり、このようなサンドイッチを食べた事があるのだ、といった。
確かに、ハルケギニアでも東方より茶葉などが届いたりする。
異国に行った、というのも列島だというのならありえない事はないだろう、とルイズは思った。
しかしながら、上品な食べ方をするものだ、とも思う。
まるで子供の口のような大きさで少しずつ食べる仕草。無論、パンに歯型など残さず、租借するときは口元を隠す。
食べる時も微笑みを絶やさず、ただのサンドイッチがまるで絶品のように思える。
マナーには反するが、紅茶を飲む際、カップを両手で持つ仕草が時折隙をみせ、完璧ではない好感を演出する。
これはナコルルが日本の湯のみに慣れていた所為なのだが、しかしそれは、同時に『両手で飲む完璧』だったのだとルイズが気付くには、まだまだ時間がかかった。
さて、食事を経て空腹が解消されたナコルルは、重大な事実に気がついた。
確か祈った時、愛刀の守護鳥「ママハハ」と、愛狼「シクルゥ」がついてきてしまったはずなのだ。
自分がこうしてこの場に居る、という事は、その場に二人も――ナコルルが匹とは数えないのは、家族同然だからだろう――いるかもしれない。
ルイズにそういった事を伝えると、少し怪訝な顔をされた。
しかし、もし呼び出していたのだとすれば見つけなければならないだろう、と。
二人は外へと出て行ったのだった。
おかげで「あの人からのおくりもの」が棚の奥に眠っているのを思い出した
修正パッチを見つけたら今からプレイを始めよう支援
平賀才人は気絶した。
いや、今は起き上がっているのだから気絶していた、が正しい。
実質、今まで地面に埋まってもいたので、体も痛い。
上に誰かが乗っていたのか、土が上からかぶさっていたので息苦しくもあったが、何とか抜け出せた。
きょろきょろと辺りを見回す物の、既に夕闇から夜へとクラスチェンジした空では全くわからない。
はて、自分は一体どうしたのだろう、と悩む。
確かノートパソコンを持ち帰る途中で、不思議な鏡を見つけたのだ。
柔らかい衝撃と一緒にそこに落ちたのだったか。
しかしあの衝撃はなんだったのだろう。
柔らかい、まるで桃のような衝撃だった気がするのだが、と才人は首をひねった。
しかし今考えても仕方ないだろう。
多分あれは新たなマンホールとか気絶する為の何とかだったりしたのだ。
見覚えの無いところだし、暗いから田舎だろうけれども、歩いていけば人里にたどり着くだろう。
とぼとぼと歩き出そうとする才人。
しかし、世の中、泣きっ面に蜂、などと言葉があるほどに連続した不運が存在する。
『グ、ル、ルルルルルル……』
さて、ここで考えてみよう。
平賀才人は鏡に吸い込まれた。
そして、その上にナコルルが存在して、地面に埋まっていた。
果たして埋まっていた間、その下に何も無かったと言えるだろうか。
――ママハハは鳥である。上空を飛んでいたのならルイズやナコルルが気付かぬのも仕方の無い事だ。
しかし果たして、狼であるシクルゥが見つからない道理というのはなんだろうか?
露西亜より流氷直輸入であり、ナコルルを背中に乗せて高速移動出来る巨大さと筋力を持つシクルゥである。
とはいえ、地面に埋まっていた才人を変な形で埋まっていた状態で跳ね除けるほどの異常な筋力ではない。
それが解放された時、狼は一体どう考えるか?
「ぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!?」
平賀才人は走った。
両手両足を振り上げ、ノートパソコンを必死で放り投げて軽くしたい衝動に駆られながら走った。
後ろから巨大な狼が追いかけてくるのである。
足が変な形で固定されていたので本気で走れている訳ではないが、吠えながら巨大な口を広げ、涎をたらしながら走ってくる有様は恐怖以外の何者でもない。
怒り狂っているというのも嫌な材料だ。
自分がこんなに走れたのかという驚きと共に才人は走り続けた。
木の根をハードルのように走り飛び、木の枝をリンボーダンスのようにスパイラルアタックしつつ通り抜ける。
岩があれば跳び箱のように飛び跳ね、猪が居れば蹴り飛ばして夜空の星にする。
「たぁぁぁぁすぅぅぅぅけぇぇぇぇてぇぇぇ!」
――助けを呼ぶ声が、トリステインの夜に響き渡った。
唯一残念だった事は、この物語の主役は彼ではなくなっていた事だろう。
ジャイアントモールに襲われる美少女のように、彼の叫びを聞き届けた物は誰一人、いなかったのだ。
>>108 和尚に拾われれば人並みの剣術は覚えられるんじゃね?ガタイは悪くないんだし
強いかどうかは別だが支援
さて、ナコルルを召喚した実技場所にきたルイズとナコルルだったが、既に暗闇。
鳥目というだけあって、その鷹では二人を見つけられないのではないか、とルイズは尋ねたが
何でもママハハは愛刀の守護鳥であって、ナコルルの持つ宝刀チチウシを置けば、必ず見つけるはずだ、との事だった。
更に言えば、口笛で呼ぶ事も出来るのだから、見えずとも問題ないだろう、とも。
その通りにすると、その言葉どおり、数秒もしないうちに大きな鷹が地面に刺した刀を守るかのように乗ってきた。
立派な鷹だ。
これがナコルルとセットなのだというから、当たりを引いたといえるだろう。
しかし、シクルゥだけは呼んでも返事が無い。
どうした事か、とナコルルがママハハに尋ねているようだが、何やら獲物を追いかけたのだ、と返事が返ってきた。
動物の言葉がわかるのか、と驚き、尋ねるルイズ。
するとナコルルは、元より大自然に仕える巫女だったので、動物や大自然の声はわかるのだ、と言った。
心底驚きのため息をつくルイズ。
東方とはこのような凄い者ばかりがいるのだろうか、流石に聖地を越えた未踏の地だ、とルイズは思う。
始祖ブリミルの手が出なかった先なのだから、もしやこれも先住魔法の一種なのかもしれない、とも思いつつ。
ナコルルは、流石に呼び出されて時間も経っているのだし、シクルゥも空腹だろうから、獲物を追いかけているならば仕方ない、と諦めた。
食事というのは大事な事だし、食べる為に命を奪うのならば仕方の無い事なのだ。
ママハハにシクルゥによろしく伝えるように言うと、ママハハはそれに答えるかのように大きく鳴く。
そうなると、今日の寝床の話になった。
流石にうら若き乙女を床で寝かせる訳にはいかないし、しかしベッドは一人用だ。
かといって、予備の布団などはない。
暫く悩んでいたルイズではあったが、仕方ない、と割り切り、一緒に寝るようにナコルルへと提案した。
妹と寝るようだ、と微笑んだナコルルであったが、ルイズもそのような気分ではあった。
実家に居た頃に、体の弱い姉の添い寝のような形でよく寝た物だ。
ルイズが服を脱ぎだすと、ナコルルが困ったような顔をしていた。
どうしたのか、と尋ねると、寝巻きを持っていない、というのだ。
考えてみればその通りで、召喚された人物がネグリジェや、それに類するものを持っている筈が無い。
服を脱ぐだけでいいではないか、という問題でもないだろう。
宿屋ではそのまま寝ることがあったナコルルだが、流石に目の前で着替えを行った者がいるのに、自分だけ着替えないというのは何やら気恥ずかしい物があるのだ。
ルイズの身長はナコルルと同じであったし、スリーサイズは逆にナコルルの方が幼児体型だ。
ならば、とルイズは自分のネグリジェをナコルルに渡した。
ルイズ達の常識では、ネグリジェこそが寝巻きであるのだが、襦袢こそが寝巻きであるナコルルにとって、これは衝撃だった。
しかし、人の好意を断れないのがまたナコルルである。
パサリ、スルリと自分の小手とブーツ、着物を脱ぎ、リボンをはずして、恐る恐るネグリジェに体を通した。
――余談だが、ルイズも顔を赤らめていた。
貴族は下着が存在するが、平民は下着が存在しない。
江戸時代のナコルルも同様である。
あえて描写するのは控えておくが、覗きが居ない事は幸運といえただろう。
狭いベッドの中で、二人の美少女がネグリジェで抱き合う姿というのは、実に美麗なものだ、とだけここには記しておく事にする。
さて、暗い森の中で息を荒げている物がいた。
才人である。
狼においかけられて既に一時間。
何キロ走ったかも忘れたが、もう肉体は限界に近い。
足はブルブルと震えているし、意図しない痙攣が起きている。
胃は何かがこみ上げそうだし、頭はガンガンと痛い。
心臓は何か既に別の生き物のようだ。
マラソンでもこれほど酷い事にはならなかったぞ、と叫びだしたいが、あの狼に出会うと思うと声もあげられない。
ふと、前を見ると、何やら光があるような気がした。
まさかまた鏡のようなものだろうか、元の場所に戻れるのだろうか。
喜んでそれに近づくと、しかし、そこで才人の意識は途切れた。
『ふふ、異界の魂。この天草の復活のために、捧げよ――』
真説サムライスピリッツ・ゼロ 章之壱 『会』・終
GJ、いい感じの百合
天草、ミヅキ編で成仏しなかったのかw
乙
サイトが敵役になるのか?珍しいな
てな所でサムスピお開き。また来週のお楽しみ。
展開予測されて吐血しかけたのはここだけの話さ。
そして>112 駄目ーっ、ナコルルの黒歴史だめーっ
独特な語り口が面白かった乙
乙!サイト、シクルゥから逃げ切れるなんてルーン無しでも以外に強いじゃないか
・・・と思いきやそんなポジションかよwww
GJ、これからどんな展開になっていくか楽しみ。
才人はどうなる。
>>70 亀レスだがぱにぽになら魔法少女べホイミを
あれは宇宙人の技術だけど、毎回変身する。
可哀想な生贄確定のサイト支援w
初めてですが、投下します
125 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:07:26 ID:8TV702BE
春の使い魔召喚で私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ド・ラ・ヴァリエールが
呼び出した使い魔は、黒い服、黒いマント、黒い帽子、黒い色のついたメガネを
着けた平民であった。
「あんた誰?」
「私の名は、坂口照星といいます。かわいいお嬢さん」
長い金髪の前髪は先端でカールしており、言動や物腰がとても丁寧で落ち着いており、
それでいて堂々としている態度から、ただの平民ではないだろうと思われた。
そしてそれは正しかったのである。
126 :
るいとら:2007/09/04(火) 03:08:08 ID:vRcW6UWU
127 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:08:46 ID:8TV702BE
最初に彼がその力をみせたのは、ギーシュとの決闘の時であった。
二股がバレてふられた腹いせにメイドのシエスタに八つ当たりしていたギーシュを
照星は諭すも、逆に彼の怒りを買い決闘を申し込まれる。
私やシエスタは照星を止めるも、彼はこの申し出を受けた。不安がるシエスタに
照星はにこりと微笑み言った。
「男爵様は無敵です」
誰もがギーシュの勝利を疑わぬ中、照星はヴェストリの広場に現れた。
ギーシュがキザったらしく名乗りを上げ、決闘がはじまった。
「僕の二つ名は『青銅』。従って青銅のゴーレム『ワルキューレ』が
お相手するよ。よもや、文句はあるまいね?」
「ええ、ありませんよ。私も『似たようなもの』を使いますから」
決着はすぐに着いた。照星の傍らに出現した『巨大な腕』が全てのワルキューレ
もろともギーシュをふっ飛ばしたのである。
それは巨大な、本当に巨大な、ガントレットを着けた腕であった。
予想外の出来事に観客の誰もが呆然とする中、私は彼がただの平民ではない
という予感が正しかったと感じていた。
128 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:09:54 ID:8TV702BE
次に力をみせたのは、『土くれ』のフーケ討伐のときである。
学園の宝物庫より破壊の杖を盗み出したフーケ。 そのフーケを捕まえるべく
名乗りを上げた私とキュルケとタバサは破壊の杖を奪還するも、フーケの作り出した
ゴーレムに襲われ窮地に陥っていた。キュルケの炎も、タバサの氷の矢も効かず、
当然私の失敗魔法の爆発も効かなかった。
頼みの破壊の杖も使い方がわからず、もうだめだと思った瞬間、
「待ちなさい!
あなたの相手はこの私が務めます!」
ゴーレムの真上から照星と『巨大な足』が降ってきた。
グリーブを着けたその足はフーケのゴーレムを一撃の下に粉砕した。フーケは
それに巻き込まれたらしく、後にゴーレムの土くれの中から発見され、捕らえられた。
圧倒的なまでの強さであった。
その晩フリッグの舞踏際の会場で、私は違う世界から来たと言う照星に故郷に
帰りたいか聞いてみたら、仲間が『へるめすどらいぶ』でいつでも迎えに来れるから
大丈夫です、と言っていた。『へるめすどらいぶ』とは何だろう? 竜の名前だろうか?
129 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:11:16 ID:8TV702BE
それからしばらくして、フーケを捕らえた武勲を聞いてか私はトリステイン王国
王女アンリエッタ様より直々にアルビオンに潜入し、ウェールズ皇太子にあてた手紙を
取り戻して欲しいとの頼みを受けた。おともだちである姫さまの頼みは当然引き受
けたいし、照星がいれば多少の困難も平気だろうと判断し、私はその任を引き受けた。
任務の一員として(なぜか)ギーシュと、私の婚約者であるワルド、途中で勝手に
ついてきたキュルケとタバサを交え港町ラ・ロシェールへとたどり着く。
そこで私達はアルビオンの貴族派に雇われた傭兵達に襲われた。彼らはメイジと
戦い慣れているらしく、私達は劣勢であった。さらにそこに捕らえられているはずの
フーケも加わり、私達は窮地に立たされた。
その窮地を救ったのは、やはり照星であった。その時、初めて私達は彼の力の全貌
をみた。彼が『バスターバロン』と呼んだ巨大なゴーレムは、全長がフーケのゴーレム
の二倍程あり、フルプレートアーマーとマント着け威風堂々とその存在を示していた。
バスターバロンはフーケのゴーレムに拳のラッシュを叩き込み粉砕し、傭兵達を
文字通り『蹴散らした』。戦いとも呼べぬ戦いの後、照星は私達を両肩から内部へと
招き入れ、そこでバスターバロンの能力について説明した。
バスターバロンは両肩に配置されたメイジの魔法を拡大増幅できるということが
わかったので、さっそくワルドを配置し『フライ』を使いアルビオンまで行くこと
にした。
「バスターバロン、発進!!」
掛け声とともに、バスターバロンの推進装備『ガンザック』が起動し、増幅された
『フライ』と合わせてバスターバロンを飛翔させた。
そして舞台はアルビオンへと移った。
130 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:12:23 ID:8TV702BE
アルビオンへ行く途中自分達の目的が『潜入』であったことを思い出し、偶然近く
を飛んでいた空賊船をバスターバロンで制圧し目立たない様に港まで運んでもらおう
としたが、その空賊船の頭こそ私達が探していたアルビオン王国皇太子ウェールズ・
テューダー殿下その人であった。殿下は私達に空賊に扮していた理由を説明し、件の
手紙はニューカッスルの城にあるためご足労願いたいと告げた。
ニューカッスルにて私は無事に手紙を受け取ったが、そこで悲劇がおこる。ワルド
が裏切ったのである。ワルドはアルビオン国王ジェームズ一世を殺害し、ウェールズ
殿下に重症を負わせたのである。照星が止めなければ恐らく殺されていただろう。
ワルドは城内ではバスターバロンは使用できないと考え、偏在を使い直接照星を
ねらう。本体を含め五体のワルドが照星に肉薄するも、照星はそれらを素手で向かい
打った。
「素手で何ができる! 老頭児(ロートル)が無理をするな!」
ワルドが残忍な笑みを浮かべ罵倒した瞬間、私の視界から照星が消え、いつの間にか
ワルドをたこ殴りにしていた。(偏在も殴り倒されたのか消えていた)
HAHAHAHAHA!!
照星の笑い声と水の入った袋を叩くような音だけが辺りに響く中、私は彼の実力
を見誤っていたことを悟った。バスターバロンがあるから彼が強いのではない、
彼が強いからこそバスターバロンが扱えるのである。
131 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:13:29 ID:8TV702BE
あの後、重症を負ったウェールズ殿下と使用人等を含めた非戦闘員を脱出させる
時間をかせぐため、私、キュルケ、タバサ、ギーシュは照星と共にバスターバロン
で出撃した。
バスターバロンの能力で増幅した炎で敵をなぎ払い、さらに増幅された氷の矢は
大地に大穴を穿った。指揮系統が乱れたところに巨大化したワルキューレが突撃し
更なる混乱を呼び、私の失敗魔法もここぞとばかりに増幅され大爆発を上げ、敵軍
に多大な被害をもたらした。結果敵軍を撤退させて時間稼ぎとしては十分すぎる、いや
やりすぎともいえる成果であった。
私達は重症のウェールズ殿下を脱出させ、トリステインに亡命させることに成功
したが、アルビオンの貴族派は完全にアルビオンを乗っ取り、『レコン・キスタ』と
名を替えウェールズ殿下のことを理由にトリステインに宣戦布告した。
私と照星はそれを事前に察知し、あらかじめタルブの村よりもずっと向こうの海岸
でレコン・キスタの軍艦群を待ち受けた。
「来たわよ、照星!」
「よし!仕掛けます!!」
「ガンザック、オープン!!」
「ナックルガード、セット!!」
「「レコン・キスタよ、塵と帰れ!!」」
132 :
るいとら:2007/09/04(火) 03:13:36 ID:vRcW6UWU
>>126……と思ったけど、さすがに遅いし明日にします。 支援
133 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:14:37 ID:8TV702BE
奇襲に成功した私達は次々と戦艦を落としていった。戦艦一隻にどれだけの兵が
いるのかは知らないが、一隻で近くの村の一つや二つは占領してしまえるはずだ。
故に一隻たりとも降下させるわけにはいかない。
バスターバロンが空を飛び、突撃して戦艦数隻を撃沈させる。私の増幅された
失敗魔法も戦艦に大穴を開け航行不能にする。
敵戦艦隊は最初の一撃で旗艦であるレキシントン号を落とされ、指揮が乱れた
ところを兵を降下させることもできぬまま撃沈されていった。
竜騎士隊がようやく出撃するが、竜のブレスや半端な魔法、戦艦の砲撃では
バスターバロンの装甲にキズ一つ付けることはできず、大して役には立って
いなかった。
そんなワンサイドゲームであった戦闘は、私が戦闘中に突然『虚無』の系統
に目覚めたことで、ダメ押しとばかりに増幅された『エクスプロージョン』を
戦艦隊に叩きこみ、終結した。
134 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:15:44 ID:8TV702BE
その後、私は幾多の困難を照星と共に乗り越え、私は最強の『虚無の担い手』
となりその名を世に轟かせ…って、ちょっと聞いてるの?デルフ!何スネてんのよ?
そりゃあ、買ってから一度も鞘から抜かなかったのは悪かったと思ってるけど、
この私が直々に今までのこと語ってんだからありがたく聞きなさい!
うるさい!だってバスターバロンじゃ、あんたは小さすぎて使えないでしょ!
照星?あいつは素手で充分すぎるくらい強いし、バスターバロン使ったら
同じことでしょ!
ちょ、泣かないでよ!あんたはイラナイ子なんかじゃないから!ってゆうか
剣って泣けるの!?
男爵様無敵すぎ自重w
ってかその台詞作者は同じだけど漫画が違(ry
136 :
ゼロの男爵:2007/09/04(火) 03:16:51 ID:8TV702BE
ぐだぐだのまま投下終了
始めは剣持真希士で書こうかと思ったけど、知名度低そうなんで
大戦士長にしました。
大戦士長が核金を堂々と使ったり、攻撃的だったりするのはルーンの
洗脳で『ルイズのために…』となってるということにしてください。
投下初めてなんで、めちゃくちゃ緊張した!
>>132待て、俺がいる。原作者のファンであなたのファンの俺が!!
俺つeeeeeeee自重
とか書こうとしたんだけど落ちわらたw
139 :
るいとら:2007/09/04(火) 03:20:25 ID:vRcW6UWU
>>137 まじすか。じゃあ、その……投下します。ころころ変えてごめんなさいorz
あと、武装錬金面白かったです。なんで原作打ち切りくらったんだろ
「陛下、こ、これは一体どういうことですか――」
ルイズは声を震わせた。
ずらりと自分ととらを包囲した魔法衛士隊のメイジたち……彼らは揃って杖を引き抜き、ぴたりとこちらに向けて構えている。
二重の包囲の後方、何人もの屈強な兵士に守られた向こうに、アンリエッタが立っていた。
「大丈夫です、安心して。ルイズ・フランソワーズ……」
アンリエッタはルイズに向かって、安心させるようににっこりと微笑みかける。ぞくりとルイズの背中に震えが走った。
「すぐにその悪魔を殺してあげますから――アルビオンを滅ぼし、我が国にも災いをなさんとする『白面の者』の使いを……」
アンリエッタは笑顔のまま――そう言った。
遡って、ルイズたちがタルブの村から帰ってくる前日……。
トリステイン王宮の謁見室では、アンリエッタとオールド・オスマンが向かい合っていた。アンリエッタは婚礼を控え、王宮は慌しさに包まれていた。
当然、アンリエッタ自身も多忙の身である。しかし、それをおしてオールド・オスマンが謁見を求めたのは、ルイズがタルブの村に向かったのをしってのことである。
オスマンの語る「白面」と「霊槍」に、アンリエッタは息を飲んだ。
「……あのルイズが……白面の者と戦う役目を……? そう仰るのですか、オスマン学院長……」
「さよう」
あのルイズ・フランソワーズが……とアンリエッタは呟く。
日ごろアンリエッタの脳裏に浮かぶ幼馴染の姿は、魔法が苦手で気丈ながらも泣き虫であった頃のルイズである。
そのルイズが槍を振るって伝説の怪物と戦う……アンリエッタは溜息をついた。自分の知っているルイズとは違うのだ。そう、あの金色の使い魔を召喚した時から……
「ずっと、このことを秘密としてきた事をお許し下され。実のところ……この老いぼれ自身も、あの使い魔が召喚されるまでは信じられなかったものですじゃ……
しかし、あの使い魔を見たとき、疑いは確信となりましたぞ。金色の毛に巨体、雷と炎を操る韻獣――
六十年前、あの小さな村の寺院で出会った『役目』の精霊――その予言通りの姿でしたからの……」
オールド・オスマンが謁見室を辞してからも、しばらくの間アンリエッタはぼんやりと椅子に座っていた。
にわかには信じがたい――そう思うほどにオスマンの話は驚きだった。だが、あの使い魔……金色の幻獣のことを考えるとやはりオスマンの言葉は正しいのだろう。
「大変な使い魔を呼び出したものねえ、ルイズ・フランソワーズ……」
そう小さく呟いて、アンリエッタはくす、と笑った。
乗りたい風に乗り遅れた者は間抜けという――使い魔の言葉をそっと繰り返してみる。アンリエッタはぎゅっと手に力を込めると立ち上がった。
ルイズ・フランソワーズを助けよう。自分のちっぽけな運命がなんだろう。世界の存亡という重荷を背負わされてしまった幼馴染の少女を、自分でなくて誰が手助けして上げられるのか。
(そう――ルイズ・フランソワーズ、あなたが私の風なのでしょう。私の大切なお友だち……)
執務に戻ろうと、アンリエッタは謁見室の扉に手をかける――その時であった。
風――
ひゅう、と風がアンリエッタの頭に吹いた。
グロすぎたんじゃない
人食っちゃうし
デルフ涙目オチかよw
さあ行くぞとらぁーーー!支援
「…………」
無言で扉に手をかけたままでいたアンリエッタは、ぼんやりとした目で謁見室を振り返る。
なぜ、私は謁見の間に来たのだろう?
オールド・オスマンが謁見した――微かにそんな気がした。だが、一体何について話したというのだろう?
(何か、大切なことだった気がするけれど――)
不可解な気持ちで、アンリエッタは謁見室を出る。
……それきり、アンリエッタは思い出さなかった。
ルイズ・フランソワーズの担った使命のことも、その金色の使い魔のことも。
一方、トリステイン魔法学院。
結局、ルイズたちはタルブの村に一晩泊ったきりで魔法学院に帰ってきた。
元々、今回の旅の本来の目的は、タルブに出現するオーク鬼の討伐である。とらが婢妖たちと一緒にオーク鬼も残らず殺したため、これ以上タルブに留まる意味もなかった。
ただ、シエスタだけは、休暇の予定を繰り上げそのまま村に残ることになった。
「ちょっと早いお休みですけど……マルトーさんにもお話ししてありますから」
破壊された寺院を横目で見ながら、シエスタは苦笑した。見事に壁やら天井やらを破壊された寺院は、槍の刺さっていた祭壇だけを残し、哀れな惨状を晒している。
「ごめんね、シエスタ。そのとらがぶっ壊しちゃって……」
「いえ、いいんです。もともと誰も近づかないような場所でしたし、村のみんなもオーク鬼がいなくなったので大喜びしています」
本当にありがとうございました、と言ってシエスタは深々と頭を下げたのであった。
「――ってシエスタは言ってたけど……なんだか、私たち何しに行ったのかしらねぇ……結局、全部とらがなんとかしちゃったわけだし」
タバサの部屋でソファーに寝転んだキュルケは、ふわふわとあくびをつく。ソファーを奪われたタバサはベッドに腰掛けて、いつものように本を読んでいた。
二人とも、特に何をするでもなくタルブと魔法学院を往復するハメになったのであった。
「ねえ、聞いてるの、タバサー?」
「……解決したなら、それが何より」
ぼやくキュルケをやんわりと諭しながら、タバサはパラ、と本のページを捲った。あらつまんない、とキュルケは部屋の隅に目を転じる。
鏡の前で熱心に毛づくろい――もとい、髪の毛をとかす妙齢の美女。タバサの使い魔、シルフィードであった。
長い髪がさらさらと揺れる。タバサの髪と同じく、見事なまでに青い色を湛えた髪である。自分の燃えるような赤毛に少なからず自信を持つキュルケも思わずほう、と息を吐いた。
「ずいぶんご熱心じゃない? シルフィード、急にどうしたの?」
「いいことキュルキュル、シルフィは決意しました。必ず近いうちにとらさまと結婚します、きゅいきゅい!」
「あらまあ」
ずいぶん翼人と人間の結婚式に影響を受けたらしい。「恋に種族は関係ない」というのがシルフィードの出した結論だとか。
実は、タルブから帰る道すがら、キュルケとタバサは、散々シルフィードの話を聞かされたのである。
(まあ、翼人と結婚する人がいるんだもの、結婚なんて気持ちだと言えばそうかもね)
帰ってきてからというもの、シルフィードは大はしゃぎで髪をとかしたり服を着飾ったりしているのであった。もちろんタバサの服は小さすぎるので、キュルケがだいぶ服を提供したのだが。
嬉しそうにキュルケの服を身に着ける風韻竜――実はかなり露出度が高いのだが、キュルケはそれが普通だと思っているし、タバサは無関心である。
シルフィードに至っては裸の状態が基本なので、露出度など気にするはずもない。
……というわけで、世の男が見たら、10人に8人は鼻血を流しそうな……そんな着せ替えショーが大騒ぎで続くのであった。
夜……
「とら?」
ベッドに腰掛けたルイズは、部屋の隅に向かって声をかけた。
ほどなく、暗がりの中からぼんやりと使い魔の姿が現れてくる。背中に布に包んだ「槍」を背負った使い魔が答える。
「……どうした、るいず」
「あ、その。いるかなって……」
「なんだ、それァ……」
とらが鼻を鳴らす。ルイズはそっと立ち上がり、カタカタと机の引き出しを開けた。そこには、時逆のくれた櫛が入っているのだった。
「とら、これ……『時逆』って妖魔がくれたの……。ねえ、これも『白面』戦うための武器なの?」
「……貸してみな」
ルイズは櫛をとらに手渡す。とらは櫛をつまみ揚げると、静かに月明かりにかざした。
使い魔の目が、少しだけ優しくなったような――それでいて、どこか痛みに顔をしかめるような。なんともいえないとらの表情に、ルイズはとらを覗き込む。
「知ってるの……?」
「ああ、うしおのハハオヤの櫛だ」
(また、知らない名前……)
俯くルイズにとらが笑った。
「るいず、ちょっと頼みがあるんだが……」
頼み?
はっとルイズは顔を上げる。何だろう? とらがルイズに頼みごとをするなんて、今まで一度もなかったことだった。
とらは櫛をルイズに返した。
「その櫛で――わしの髪を梳いてくれねェか……? 自分でやってもいーんだが、コイツを持ってると邪魔でなァ」
とらがガシャガシャと槍を包んだ布を振る。なるほど、とらは髪で「槍」を持っているせいで、櫛を髪で操るのも難しいだろう。
「わかったわ」
頷いてルイズは櫛をとらの髪にあてる。改めて間近で見てみると、とらの髪は本当に見事な金色であった。
知らず知らずのうちに自分の頬が熱くなっているのに気がついて、ルイズは訳もなく顔を赤らめる。
しゅ、しゅ、とルイズが手を動かすと、櫛は引っかかることもなく進む。普段のとらから考えても、「髪をとけ」なんて、なんだが変な頼みだった。
(でも――こうしてると、なんだか落ち着いてくる。不思議……)
ルイズは微笑んだ。窓から差し込む月の光が、優しく金色の使い魔と小さな主人を照らしていた。
同刻、トリステイン宮殿――
「何者です――!」
月明かりの下でアンリエッタは身構えた。とっさにベッドから起き上がり、衛士を呼ぼうとするアンリエッタに、侵入者は深々と礼をした……。
『これは失礼をいたしました、私はあなた様に害をなすものではありませぬ――アンリエッタさま……』
「私は何者か、と訊いたのです。いったい、どこからこの部屋に――――ハッ……!」
アンリエッタは驚きに目を見張った。
目の前の女は、先ほどからゆらゆらと宙に浮かんでいるのだった。だが、呪文を唱えた様子はなく、杖を持っているようにも見えない。
『私は人間ではありません――『白面の者』を滅ぼすため、霊となった存在……「役目」、そう呼ばれております……』
(まさか――精霊――?)
改めて目の前の女を見つめると、異国風の白い衣をまとった女の身体は、微かに向こうの壁を透かしている。
アンリエッタはゆっくりと杖を下ろした。
「一体、なんの用でしょう……?」
『おやすみのところ参上したのは、申し上げなくてはならぬことゆえにて……』
そう言いながら、頭を下げていた女はゆっくりと顔を上げ、上目遣いにアンリエッタを見る。
月明かりの下、『黒髪の』女は、ぞわ、と笑った……。
翌朝。
アンリエッタは兵をトリステイン魔法学院に急がせた。
突然の出兵である。アンリエッタは反対を承知で魔法衛士隊を学院に向かわせることを主張した。しかし、予想に反して、誰からの反対意見も出ることはなかった。
驚くアンリエッタに、ぽつりとマザリーニ枢機卿が言った。
「やはり――陛下のところにも現れたのでしたか」
その一言が、全てを物語ってた。
武装した兵士たちに守られながら、アンリエッタの乗った馬車は飛ぶように駆けていく。
(あのルイズ・フランソワーズが……)
馬車の中で、アンリエッタは沈痛な面持ちで昨夜のことを思い出していた。
「役目」と名乗った黒髪の女は、アンリエッタの幼馴染のルイズに悪魔が取り付いていると語ったのである。
『その悪魔こそ、アルビオンで貴族たちを殺したバケモノ――金色の体毛、牙と爪の鋭い凶暴な幻獣です……』
「で、では、ウェールズ様もそのバケモノに……!」
怒りに震えるアンリエッタに、女は頷いた。
『ええ……彼奴はワルドという男を殺し、その許婚に取り付いたのです……今度はこの国を滅ぼすために――
バケモノは影のように娘と一緒におります……娘の名はご存知のとおり――』
アンリエッタはぐっと唇を噛んだ。
「ルイズ・フランソワーズ……! ああ、なんということでしょう……!!」
『そう……心を狂わされた彼女を救うには、そのバケモノを殺すしかありませぬ――「白面」の使いのバケモノを……お気をつけて、怪物は強力な炎と雷を放ちますゆえ……』
そう言って女は消えたのだった。
(待っていてね、ルイズ……私のお友だち……! ウェールズ様の仇を討って、私があなたを助けますから――!)
怒りと憎悪に手が震える。
馬車の中で、アンリエッタはぎゅっと杖を握り締める手に力を込めた。
支援!!
「いい天気ね」
ルイズはうーんと伸びをした。トリステイン魔法学院の中庭をとらと一緒に歩いていく。
とらの朝食のために、散歩もかねて中庭を歩きながら厨房に向かっているのであった。
「シエスタが実家に戻っちゃってるけど、マルトーさんならちゃんと作ってくれてるわよ、『テロヤキバッカ』」
「だといいがよ。ああ、ハラァ空いたな……」
ルイズの肩の上にのったとらがぼやく。ルイズはくすりと微笑んだ。
気持ちのいい風が吹き抜ける。
ルイズの手には昨夜とらの髪をとかした感触がまだ残っているような気がして、ルイズはそっと手を握った。
タバサの部屋では、シルフィードがキュルケの服を着たままの姿で、タバサのベッドに潜り込んで寝息を立てていた。
そのタバサは、錫杖を片手に朝の鍛錬に出かけるため、シルフィードを起こさぬようにそっとドアを閉めたところだった。
キュルケは、どんな服がシルフィードに似合うかしら、とぼんやりベッドで思案していた。
……まったくもって、平穏な一日の始まりのように思えた。
「ああ、可哀想なルイズ・フランソワーズ! 大丈夫ですわ、すぐにその悪魔からあなたを解放してみせます。あなたには指一本たりとも触れさせはしません……」
そう叫びながら、アンリエッタは涙を浮かべて頭を振った。
突然中庭で兵士たちに包囲されたルイズは、訳が分からぬまま周りを見回す。
悪魔。
陛下は一体何を言っているのだろう? とらが悪魔? なに、それ――?
「陛下、何を仰るのですか!? 彼は……『とら』は私が召喚した使い魔です。陛下にも何度もお会いしていますわ、ちゃんとご存知のはずでしょう!?」
そう必死で叫ぶルイズに、アンリエッタはきょとんとした顔になった。
だが、『ルイズは心を狂わされた』という、『お役目』の言葉を思い出し、アンリエッタは悲しげに首を振る。
「ルイズ。貴女が何を言っているのか私にはわかりません。そのような獣を見たことなど、ただの一度もありませんわ」
「う、うそよ、だって――」
「ミス・ヴァリエール、口を慎め!」
思わず声を荒げたルイズに、魔法衛士の隊長の声が飛ぶ。
槍を構えた兵士たちが、さっとルイズに向かって穂先を突き出す。それを見てアンリエッタは厳しく命令を下した。
「お止めなさい、私の友人を傷つけることは許しません! ……さあルイズ、こちらにいらっしゃい。きっと貴女は心を操られているに違いありませんわ」
違う、違う……と虚ろに首を振るルイズは、兵士たちに両脇からがっちりと腕を捕まえられ、そのままずるずると引きずられていく。
杖と槍を向けられたとらは、その様子を黙って見つめるだけであった。
ルイズが『バケモノ』から離れたのを確認し、アンリエッタはほっと息を吐く。
その視線が金色の妖魔に向けられた。アンリエッタの目の光が憎悪を帯びていく。
(ウェールズ皇太子と、ルイズの婚約者、ワルド子爵の仇……!!)
目の前の『バケモノ』は、じっとこちらを見つめていた。3メイルに届くかと思われる巨大な体躯、金色の毛並み、凶悪な牙と爪――
すべて、あの黒髪の女のいった通りである。
アンリエッタはさっと手をかざした。
「悪魔よ!! これからおまえを地獄の炎に焼いてくれましょう! 隊長、号令を――ッ!」
むーざんむーざん支援
はっ、と言って、隊長が声を張り上げた。
「衛士構えッ! 目標、金色の幻獣……跡形もなく焼き尽くせ!!」
火の魔法を使う衛士たちがいっせいに詠唱を始める。腕をがっちりと兵士につかまれながら、ルイズは半狂乱で叫んだ。
「やめて! やめて! とらは何もしてないわ!!」
「放てェッ!!」
ゴッ!!!!
隊長の号令のもと、一斉に杖から焔が放たれ、金色のバケモノを包んだ。
たとえ竜だろうと到底生きられないような火炎である。兵士の誰もが仕留めたと思い、歓声が中庭に広がる。
だが――
「くっくっくっく……」
燃えさかる焔の中から、低い嗤い声が聞こえてきて、アンリエッタはびくりと体を震わせた。隊長以下、衛士たちのの顔にも冷や汗が流れる。
この炎の中で生きているなどありえない――誰もがそう思っていた。その『常識』は見事に裏切られる。
炎が消えていくその中心には……全身に煙を上げながらも、ダメージを受けた様子もない『バケモノ』が立っていた。
「き、傷一つない……?」
「くっくっく……ひゃっはっはっは!! わしをこの程度の火遊びで殺せると思うかよ、ちっぽけなニンゲンどもがッ!! ローソクの火かと思ったぜ。ひゃひゃひゃ……」
ずらりと並んだ白い牙をむき出し、悪魔は大きな口を開けて哄笑する。そして、ふわ、と空中に浮かんだ。
「来な、殺さねェ程度に相手してやらァ……」
「くッ! なんとしてもあのバケモノ逃がすな! グリフォン隊続けッ!!」
隊長がグリフォンに飛び乗る。衛士たちも一斉にそれに続いた。
(やっぱり、るいずと一緒にはいられねェな……コイツが婢妖を呼ぶかぎりはなァ……)
ルイズにはそのほうがいいだろう。背中の獣の槍を見てとらは嗤った。そして、びょう、と風を唸らせて舞い上がる。
「るいずよォ――!!」
あっという間に尖塔よりも高く跳びあがったとらは、見上げるルイズに向かって大声で叫んだ。
「わりィがオメェとの使い魔の契りはなしだァ!! フツウの娘として無事にこれからの人生を生きろォ!! あばよーッ!!!」
そして、魔法衛士たちの操るグリフォンに追いかけられながら、とらは風のように飛んでいく。
ごぉおぉおおおぉおう――――!!
突風がルイズの桃色の髪を激しく揺らした。
「な、によ、それ……」
兵士に両腕を抱えられながら、ルイズはの体が震えだした。
おおきく見開かれた目から、ぽた、ぽた、とルイズの頬を大粒の涙が伝って落ちる。ルイズはとらの消えた方向に、声の限りに叫んだ。
「ふざけないでよ、ばかとらぁ――――ッ!!!」
ルイズの声は風にかき消され、飛んでいく妖怪に届くことなく消えていった……。
つづく
150 :
るいとら:2007/09/04(火) 03:36:51 ID:vRcW6UWU
以上です。では
ひとたび忘れれば二度とは、二度とは支援
ぬぅ……クライマックスに向けて急展開。
アンアンに罪はない気はするが「ビーッチ!」と言いたくなりまして。
後、外伝の方で翼人の話って出てましたっけ?
153 :
るいとら:2007/09/04(火) 03:44:58 ID:vRcW6UWU
>>152 やっべ、自分で書いたのは翼人じゃない! 雪女だった!!
の、脳内補完でお願いします。明日wikiで直しますorz
GJ!
なんというか、やさしくなったよなあ、とら
心からGJ!!
毎回原作の展開が上手く絡んでよかったです
さて、シエスタがエレザールの鎌を振り廻すのを
想像して寝るかw
156 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/04(火) 03:51:32 ID:xN9x1P0a
召還したらヤバそうな主人公
・ガッツ
・アシェリート
・終盤オーフェン
・前半ドモン・カッシュ
みんな余裕がなくて使い魔なんてやってられなそうだ。
>>156に便乗してみるテスト
・バルバトス=ゲーティア
・マグニスさま
・パルマコスタの(ry
異論は認める。
159 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/04(火) 04:00:44 ID:9nSoT1Ob
一番喚んじゃいけないのは、ピーチグミのオカマ聖女じゃなかろうか…
やっぱり婢妖って怖いよなぁ…築き上げてきたものが一気に崩れ去るこの恐怖。
原作のあの絶望感を思い出した。
>>156 「まかでみ・らでぃかる」から福音を告げてしまう者(エヴァンゲリスト)ハプシエル
破壊力の意味ではかなりのものかと。主に精神的に
>156
漫画版ゼブラーマンみたいな中年説教系キャラはルイズが召喚したら、違う意味でヤバそう。
むちゃくちゃ鬱陶しがるだろうな。逆にゼブラーマンに洗脳されるかもしれないが。
逆に実質両親を亡くしてるタバサなら相性がよさそう。
説教系キャラは一つ間違うと読者の方がウザく感じてしまう諸刃の剣
ゼブラーマンは非常に弱いからそれほどでもないが、TUEEEEEEな説教系は本気でうざい
ノドスの皆さんを呼び出してしまい、契約する羽目になるルイズ。
ピグミン召喚しても役立たねえな
コスチューム着たまんまでゼブラーマン召喚したら
格好が格好なんでなんかすごい使い魔かと思ったらただのおっさんでした
映画版だったら
滅茶苦茶強いんだがな
ここでタツモリ家の食卓からミュウミュウ召喚
バカでかい生き物っぽい何かから爆煙の中ルイズに擬態、最初の姿を見てるから使い魔としても申し分なく普段は妹ができた気分なルイズ
タツモリ家と申したか
ゼブラーマンな流れで思いついたんだが、ベラボーマン召喚とかどうよ
家庭持ちであるために地球への執着はサイトよりも強く、
なのにルーン効果でそのことすら忘れようとしている己に深く苦悩するベラボーか
いい感じに正統派だな
んでそうなるとブラックベラボーがミョズの位置かな。黒だけに。
会社への忠誠がジョゼフへのそれに摩り替わっててもやってることに大差ないし
特にキャラクタいじらないですみそうだ
そしてやっぱりデルフなみだめー(゚∀゚)
このスレのデルフの扱いはあんまりよくないしな。
大抵空気の上2回も折れたし(ときメモとBOF)
しっかりとドモンと相棒関係を築いてるじゃないか
かと思えばディセプティコン・オデレータとして大活躍
デルフって普通に高性能なのに目立たないよね
176 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/04(火) 09:18:40 ID:xN9x1P0a
>>174 奴は前半と後半で心の余裕が全く違うぞ。
爆熱の使い魔では物語終了後だしな。
>>139 ジャンプはもはや、あの手のまっとうな少年漫画の生きれる地じゃなくなったのだよ……
FSSのシャフト希望。
ルイズのために
ころしてころしてころしまくってやりましょうげへへへ。
な感じで希望。
んー、ひそかに俺の屍を越えて行けの初代当主が召還されたらとか考えてみる俺
割合面白いとは思うんだけど、苗字と名前がなあ、どうしたもんじゃろ
>165
「皆さん」なのかよw
エイジだけでレコン・キスタをフルボッコできるってのにwww
あんなのを惑星上で暴れさすな
>>181 レコン・キスタどころか味方もまとめてフルボッコwwwwww
> ノドスの皆さん
確かにエルフから「悪魔」と言われるのもわかるなw
185 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/04(火) 10:05:10 ID:3u4IC2ER
そういえばルフィ召還って見た事無いですね。
ケッコありがちだと思うのですが・・・
食費でルイズのお財布ぴ−んち
ルフィがルイズに従うのは想像できん
>>180 長くて二年しか生きられないんで神様と子供を作るんだから…
召喚して数ヵ月後には増えていく子供たち、頭をかかえるルイズ、いつのまにか雑用をしきるイツカ
が見えた。
アルビオンあたりで戦死して新当主誕生イベント発生か
>>178 少年漫画で武装練金を思い出した俺
秋水君も0魔世界ならきっと……
>>187 というか一箇所に長く留まっているところが想像できないな
フーケ戦終了後、「俺は聖地を目指す!」とか言って勝手に旅立ちそうだw
>>189 修行に修行を重ね、きっとアルビオン艦隊戦辺りで再登場してくれるさ!!
>>188 いや、子供が増えるとルイズも困るだろうから(笑)
鬼朱点討伐に成功するも寿命で死んだ当主が召還されて、
もうタイムリミットぎりぎりだけども
自分の子供に似ているルイズ、タバサ、キュルケ、ギーシュの為に
何とか頑張って生きて戦おうとするのさー。
「おでれーた!何だ、相棒――そんなスゲー技が使えるんじゃねえか!」
「ああ。……奥義というものだ。 ――寿命が一月は縮むがね」
「ふぅーん……さすがは私の使い魔ってことね!
たった一月なら、もうちょっと使っても良いんじゃない?」
「……たった一月、か」
とか、呪いのことを黙ってると素敵ー。
>>189 思い出すもなにも、武装練金の話題のような。
武装錬金のヴィクター召喚とか考えてたけど、身長250cmって。
扱いにくい、でかすぎだろ、どうみても亜人です。
ジャンプってんで、思い切り過去作品で マジンガーZからDrヘル召喚とか。
ヤツは殆ど0から機械獣軍団を作り上げたからな。
資金さえクリア出来ればハルケギニアで機械獣を作り上げることだろう。
それこそ工作機械から1から作り上げる感じ
それならアシュラ男爵とか
個人的には悪の万能学者ならDrワイリーあたりのほうが面白くなりそうな気がする
>>195 あれ?
Dr.ヘルって古代人の遺産を改造して機械獣を作ってなかったっけ?
そうだったか?
以前見かけたガイドブックでは、0から作り上げたってなかんじで、
古代遺産関連はゴーゴン大公登場以降だったと思ったんだが。
記憶違いだったらゴメン
ミケーネの火を噴く像を改造して作った。
そういえばブライも宇宙人のロボットを劣化修復しただけだったな。
そうだ、真ゲッターを召還したらいいんだ。
ルイズの席はベアー号。
>>174 ときメモではデルフ活躍してるよ。アルビオンでは二千人の兵を切り伏せた礎になってるし、オーク討伐もしっかり、デルフを使ってる。
むしろ、そこまで酷使して折れなかった方が不思議と思う。
>>201 ちょ、それ死亡フラグだってばww>ベアー号
科学者…大教授ビアスとか
あの人なら文明レベル関係なしに本当にどうにかしそうで困る
ナムコキャラが出てたから「平景清」召喚なんてどうよ?
デルフ活役できるぜ!
今だにゲッター召喚するって言ってた人やデジタマ召喚するって言ってた人待ってるの俺だけ?
目の前に立ち塞がるガリア国代表七万人のディフェンダーを前にしても、翼は余裕の微笑みを崩さなかった。
「ツバサ、いくらあなたがありとあらゆるボールを扱う伝説のガンダールヴでも相手が悪すぎるわ。七万人のDFよ。私にパスを寄越しなさい」
「七万人を抜いて、ドライブシュートを撃つ。いつもやっていることとそんなに変わりないさ」
翼は主の返事を待たずにドリブルを始めた。
ゴールを守るは、【三角飛びのガリア王】。
翼の挑戦が始まる。
という電波を受信した。
デルフ活躍させたいなら虎蔵に宗州草薙と一体化させるとか。
普段は虎蔵の体ん中入りっぱなしだが。
あとはリロイとか。喋る剣の扱いには慣れているだろう。
ギーシュの命とかシエスタの貞操とか色々危険だが。
あるいはガウリイにでも持たせとけ。多分光の剣に吸い取られた分の知性を補ってくれるだろう。
>>203-204 わかったんだ……何故1たす1がゼロなのか、いやゼロだと思っていたのかbyルイズ
同じファンタジー系ラノベからぱーるぅ召喚
ダメだ、ギーシュには勝てても次のフーケで詰みだ
>>210 七万人の顔面セーブの前にはいくら翼君でもどうにもなるまい
>>213 あれはドリブル中の相手に使うとペナルティだぜ?
>>210 さすがにドライブシュートじゃ無理だろサイクロンくらいは撃たないと
>>212 そういや、こないだ新刊出てたね。
戦闘能力無いに近いもんなー
やっぱシロちゃん辺りが一番当たりかな。
ナルトのキャラを召喚して
ルイズが魔法は使えないけど忍術は使えるように
という電波を受信した
サソリだったら毒とか詳しいから
きっとタバサの母親も治せる
さーて、短編の投下はだいじょうぶかしらん?
待ってました。支援す
ボンちゃんこないかなー。
ギーシュのマントに「おかま道」の文字が縫い付けられてるとこしか想像できないが。
じゃあいくよう。
『ぶん♪ぶん♪ぶん♪』
本日何度目かの失敗、ゼロのルイズは春の召喚の儀式で周りから笑われながらも再度爆発を引き起こす。
他の生徒たちが飽きてあくびをし始めたころ、ルイズはとうとう召喚に成功した。
煙の中から現れたのは、人間ほどもある巨大な蜂だった。
「ルイズが成功したぞ!」
「ありえねえ!」
「ていうか何あの蜂! でかっ!」
感動に打ち震え名がら、ルイズはすばやく契約の口付けを行う。
三つの節になっているからだの真ん中、胸の部分にルーンが浮かび上がった。
蜂は怪我をしていた。
何かと戦っていたのか足が二本しかなく、羽根が痛んでいるのかその飛行もおぼつかない。
だがそれでもルイズはこの蜂をかわいがった。
自分の始めての成功。自分の始めての魔法。
その柔らかな体毛に顔を摺り寄せ、ルイズはうれしそうに笑った。
まあ流石にその凶悪な顔には引いていたようだが。
そんな状態ではあったが、そのルイズにより“ヴェノム”と名づけられた巨大蜂は非常に有能だった。
使い魔の役目は三つ。
1.視界と感覚の共有
2.秘薬の材料になる薬草や鉱物などの収集
3.主の護衛
一つ目の視界の共有については行うことはできたが、虫の複眼を脳が処理し切れなかったのか酔った。
二つ目の秘薬の材料は餌のキノコなどを集めては来るのだが、そもそも水の魔法で爆発を起こすルイズに魔法薬は作れない。
だがこの使い魔は三つ目の、主の護衛において真価を発揮した。
唐突だが魔法学園の周りには森がある。
当然結界や壁に囲まれており安全だが、当然そのその外には自然の脅威が依然残っている。
だからごくまれにそれを乗り越えてしまうものがいるのだ。
普段なら教師たちが対応するのだが、この日は運悪く会議中であり、その場所は結界の解除された門扉の近くであり、さらにはそこにいたのがメイジとはいえ一年の新入生ばかりであったのだ。
一匹のトロール鬼と数匹のオーク鬼が、人間で遊びにふらりと現れた。
外でヴェノムに餌を与えていたルイズが、それに真っ先に気づいたのだ。
慌てて杖を抜くも、己の魔法の特性に詠唱が止まる。
どこに着火してしまうかわからないのだ、敵にならともかく生徒に当たった場合、その生徒は間違いなく鬼に襲われる。
どうしようか迷っていたルイズより先に動いたのは、主の意思を汲んだヴェノムだった。
しえ☆すた
キュウン、と耳の奥を揺らすような音を上げて、ヴェノムが視界から掻き消える。
直後、先頭にいたオーク鬼が体の真ん中に風穴を開けて吹き飛んだ。
驚きに固まる生徒たちとオーク鬼たちの前に、ヴェノムは静かに浮かんでいた。
そこからは一方的といっていい展開だった。
その空気の壁を打ち抜く高速飛行で、オーク鬼たちはまるで豆腐か何かのように吹き飛ばされ崩れ落ちる。
その猛攻を唯一トロール鬼だけは片腕を犠牲に防御したが、腹部の針がかすった時点でもう終わりだった。
人間よりもはるかに巨大ではるかに頑丈ではるかに頑強ではるかに抵抗力が高いはずのトロール鬼が、腕の傷口から紫色のミミズばれに侵食されていく。
全身をかきむしってしばし苦しんだ後、トロール鬼はばたりと倒れた。
時間にしてほんの二、三秒、心臓は完璧に停止していた。
この日からルイズの生活はガラリと変わった。
使い魔を中心に回る生活、まるでギーシュのように親馬鹿ならぬ使い魔馬鹿になってしまったのだ。
傷の治療を丹念に行い、羽根を丁寧に拭いてやる日々。
肉食なので高い肉を与えてみたり。
少なくともルイズにとっては幸福な毎日だった。
フーケは盗みに入ることはできなかった。
予定ではゴーレムで宝物庫の外壁を叩き壊すつもりだったが、塔の下に来てそれをあきらめた。
その理由は塔の天辺からぶら下がった大きすぎる蜂の巣。
教師の側からトロール鬼たちを検分して、その毒のあまりの凶悪さを知ってしまったからだ。
「ま、命には代えられないしね」
大きな蜂の巣の中にはたくさんの幼虫と、それより少し少ないサナギがいた。
初めは少し気味悪がっていたルイズも、その人懐っこさに自分から抱きつくようになった。
何でも幼虫は程よくやわらかくて抱き心地がいいらしい。
何より彼女を喜ばせたのは、その虫たちすべてにルーンが刻まれていたことだった。
視界の端で、世話をしてくれたメイドに譲った小さめの一匹が、可愛らしく揺れていた。
アルビオンへのお使いは裏切りに終わった。
ウェールズを貫いたその杖で、ワルドはルイズに魔法を唱え始める。
悔しかった。裏切られた想いが全身を駆け巡り、ルイズは頭に血を上らせた。
そして使い魔は、任務のために連れてきた小さな一体は主に答えた。
高速で飛来したそれは、すべての遍在を穿ちぬき、本体の杖を持つ右腕を引きちぎる。
慌ててグリフォンで逃げるワルドを、ルイズは怒りに燃えた瞳でにらみつけていた。
戦争というのは唐突に始まる。
戦争というのは大体言いがかりで始まるものだ。
その戦争ももちろん、壮大な言いがかりから始まった。
トリステインに侵攻するレコン・キスタ擁する神聖アルビオン共和国。
実質魔法で支配しているのに何が共和国か、と思わないでもないが、ともかく戦争は始まった。
拠点を手に入れるためタルブの村を襲った彼らに気づいたのは、王国のものでも学園のものでもなくルイズだった。
里帰り中のシエスタに譲った一匹の成虫を通じて送られてくる映像。
焼き尽くされる草原、打ち壊される家々、ルイズの頭の中で何かが音を立てて切れた。
「よろしいですか皆さん、皆さんはこのまま待機して」
話の途中で立ち上がりマントをまとうルイズ。
そのままの勢いで、ルイズは戸を蹴破るように退室する。
「ミス・ヴァリエール、どこへ行くのですミス・ヴァリエール!」
教師のとがめる声も、もう聞こえない。
サナギたちの抜け殻から作ったかごを引きずり出し、ルイズは門扉の前で大声を上げた。
「ヴェノーーーーム!」
森が、揺れた。
黄色と黒の雲が、否、雲と見まがうばかりの量の蜂たちが、声にこたえてうごめき始める。
森中の鬼を餌に繁殖を続けていた蜂たちが、主の命で動き出す。
ルイズの載ったかごを拾い上げ、その真っ黒な雲はタルブへ飛んだ。
タルブはひどい有様だった。
家は焼かれ、壊され、略奪が行われている。
村人たちの立てこもっている教会の扉も、つい先ほどから何かを叩きつける音が響いている。
家族で抱き合って震える子供たちの耳にも響く轟音と怒声。
それが突如悲鳴に変わった。
何かから逃げる声と悲鳴、分厚いものを引きちぎる音と硬いものを咀嚼する音。
何事かと視線が集まるその分厚い扉に、大量の槍状のものが生えた
それが次々と突き刺さりつっかえ棒を壊す。
開かれた扉の向こうには、桃色の髪の少女が大量の巨大な蜂を従えて立っていた。
「ルイズ様!」
傷ついた小さめの蜂を抱きしめていた少女、シエスタが立ち上がる。
ルイズは無言で近寄ると、その傷ついた蜂を後ろの大きな蜂に渡し、ただ黙ってシエスタの頭を抱きしめた。
シエスタは少し驚いた後、声を殺して泣いた。
グズグズとルイズの渡したハンカチで涙を拭くシエスタの頭を少し撫でた後、ルイズは振り返り教会の外へ。
「ル、ルイズ様! ダメです! 相手は「七万よ。知ってるわ」ルイズ様……」
「シエスタ」
蜂たちに囲まれてその姿が見えなくなる直前、ルイズはシエスタに話しかける。
「クックベリーパイをたくさん焼いて待っていなさい」
レコン・キスタはその妙な存在を前に恐慌状態に陥っていた。
七万の軍に対抗しうる国軍はいまだ現れず、ただ侵攻するだけというときに戦場のど真ん中に一人の少女。
少女はおびえることもなく、ただ胸を張り言い放つ。
「今すぐに軍を引きなさい。でなければ私は容赦しない」
先頭の騎竜兵は笑いながら少女に杖を向けた。
「そう、残念ね、とても残念」
それが男が人生の最後に聞いた言葉になった。
それは恐怖の顕現、それは力の顕現。
人が、竜が、亜人が、ゴーレムが、あらゆるすべてが貫かれ、砕かれ、滅びてゆく。
その真っ黒な暴力にさらされたものは一瞬で巻き込まれ姿を消す。
恐怖に駆られた傭兵たちは散り散りになって逃げ惑う。
人間以外を召喚した場合のルイズの成長渡合は異常。
支援
スピ……?
支援
絶対なる“死”のイメージがそこにはあった。
クロムウェルは焦っていた。
あまりに予定とは違う状況に慌てふためいている
寄せ集めも含むとはいえ七万という大軍、負けるはずなど無かったのだ。
だが現実はどうか。一部の指揮官がやられるだけでその下の兵たちは散り散りになる。
大軍ゆえの統制の無さが現れていた。
なお、指輪をくれた美女は既に姿をくらませている。
突如として響く重低音。
音の方向に目を向けた瞬間、外壁をぶち抜いて蜂たちがブリッジに入り込む。
「久しぶりね、ワルド」
「あ、ああ、久しぶりだねルイズ」
「そっちが指揮官?」
「そ、そうなる、かな」
その様はまるで女王のように、ルイズはクロムウェルに向き直る。
「あなたが指揮官ね? 最後通達よ、今すぐ退却しなさい」
「こここ断る! 我ら神聖アルビオン共和国は聖地奪っか「もういいわ」!」
蜂が、蜂たちが、ルイズを包み込んでいく。
「船ごと餌になりなさい」
直後、レキシントン号を黒雲が包み込み、アルビオンの誇る軍艦は、文字通りガラクタになった。
後に虚無の魔法を身につけたルイズは、その歩みを止めることなく己の道を突き進む。
船ごと蜂の巣になったレキシントン号のブリッジで、ルイズは生まれたばかりの幼虫を愛でながら今日もローヤルゼリーを飲む。
何でも毎日飲んでいたおかげで胸が大きくなったらしい。
世界中の女性に夢と蜂蜜を売りながら、『女王蜂のルイズ』は今日も空を飛んでいる。
神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。
神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。
神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。
そして最後にもう一人……。記すことさえはばかれる……。
滅ぶことなく増え続け、やがては空を、支配する。
おしまいです。
まあ乗り遅れ感がありますがそれはそれ、これはこれ、あれはどれ?ということで。
BWのワスピーターかと思っちまった支援
ヴェノムというとマーヴェルのアレを思い出す支援
胸のあるルイズはルイズじゃないやい!投下 乙っした〜
全然わからん
蜂といったらみつばちハッチかスピアーかメ・バヂス・バしかわからん支援
ごめん元ネタなんだろ?
クロスねたは書くべきでした orz
ポケモンのスピアーで
って書き込んでるあいだに終ってた
乙!
乗り遅れたとか言ってるあたりポケモンのスピアーかな?
ビークインも蜂だがあれは違うだろうな
とにかく乙!
>>231 バヂスは増えんだろwこれは…まさかメタルギア3のあれ…じゃないのかw
そういやスピアーはアニメ版で森の中で群生してたよなあ
乙!ポケモンでしたか
しかしまあ、ポケモンって怖いね…
やはりスピアーだったか
GJ!
ぐっじょー
しかしポケモンはどれも凶悪すぎるな
ところで
>「船ごと餌になりなさい」
は乗員全員蜂の餌って事? コエー
ヴェノムと言われるとフルメタのガウルンが出てくる
ヴェノムといえばスパイダーマンのアレだろう
ガウルンとガンダーヴルの響きって何か似てるね
ガだけだがw
正直こんな化物達を操るポケモントレーナーが恐ろしい
蜂の殺傷能力は半端ないよな。
それの巨大化バージョンの大群……
死ぬしかない。
普通にスズメバチに指されたら死ねるしな。
>>245 スズメバチに一度刺されてから蜂みる度に新作ゲームを待つのとおなじくらいドキドキする
>>197 Drワイリーが呼び出されてもちゃんと世界征服しようとするか心配だ
ワイリーは天才だったがその発想が異端すぎて
人類のためにロボットを作る同じく天才のライトと比べて学会の受けが悪かったために
万年2位に甘んじていたのに怒りを覚えライトのロボットを弄って世界征服に乗り出したけど
ロックマンにやられちゃってライトの最高傑作=ロックマンを倒して
自分の方が優秀だと示すために何度も世界征服してるようなもんだから…
ライトもロックマンもいない世界だと空っぽになっちゃうかも
意外とフルメタって投下されてないんだよね。アルとか面白そうなのに。
ゼロの傭兵は別所でやったからね。
逆に考えるんだ、無いと思ったならやってみるんだ
エデンの人恐乙っしたー
>>247 そこはあれだ、ロックを敵役(ミョズニルトン)にするとか
>>248 今すぐまとめwikiのリンクを見てくるんだ
やっぱりポケモンは怖いな
伝説級だとさらにヤバイんだろうな
時空とか時間とか超越しちゃうし
複眼の件がおもしろかった。
乙。やっぱり無数の昆虫は怖いな…イナゴとか。ところで
前スレより
>793 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/03(月) 21:11:52 ID:WatXQTH0
>
>>703 >>(しかし、王国の元首が『国王』なのに、王位継承者の太子が『皇太子』なのはなぜだろう。
>流石。でもそれを言ってたら、
>>28だって「行啓」ですぞ。
>行幸なら、国王(天皇)か王妃、もしくは元王か王妃でもないと。
ぐはあ。orz 御指摘には感謝。wikipediaだと
天皇(国王)の外出:行幸(巡幸・御幸)
皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃の外出:行啓(巡啓)
行幸啓した者が外出先から帰ること:還幸(還啓・還幸啓)
ただの皇族の外出:お成り
…やんごとなき方の用語は面倒くさいですね…。
(仏教の)「法王猊下」→基督教の「教皇聖下(台下)」とか。
wikiでタイトル名とかも変更して頂けると助かります。この場合王女「行啓」でいいのか。
昨夜は早寝して深夜投下できなかったので、また昼間の投下よろしいでしょうか?
>>254 っていうか天候変える技が実際にあるハズ。
伝説級でもないポケモンが使えると思った。
256 :
松下:2007/09/04(火) 14:03:05 ID:rMsogaQ4
ああごめん、上の投下予告は松下です。
淡々と進みますが、きれいなワルド(ロリド)注意。
あまごいとかウェザーボールとかにほんばれとか普通に天候が変わるしね
なんていうかもう気象兵器
>>254 しれっと昼と夜を入れ替えるドラクエの勇者たちも大概だと、ふと思った。
あまごい、にほんばれ、あられ、すなあらし。
技マシンにあるぜ
>>254 伝説でなくとも日本晴れやら雨乞いやらで普通に天候操作しちゃう
伝説持ち出すと勝手に日本晴れにする特性もちやら天候を固定するやつとかいるしね
悪魔くん支援
「『グリフォン隊』の隊長…!!」
トリステイン魔法衛士隊の中でも、最上級のエリートだ。怒りより憧れが優先する。
ワルドはそんなギーシュの様子を見てグリフォンを降り、歩み寄ってにこりと笑いかける。
「済まない。いくらモグラであろうと、『婚約者』が襲われているのを、見て見ぬ振りは出来なくてね。
ミスタ・ギーシュ・ド・グラモン」
「『婚約者』!?」
「え、ええ。ワルド子爵様と私は、互いの両親の決めた許婚なの。お久しぶりですわ」
浮いた噂ひとつ聞かないと思ったら、おそらく十歳も上の許婚がいたとは。
これでは同年代の男が子供に見えるだろう。『ゼロ』と呼ばれて苛められていたのだし。
「ええと、きみがルイズの『使い魔』だったね、マツシタくん」
「はい。よろしくお願いします、ワルド子爵」
まだ若いが、そのまとう雰囲気は並みの青年ではない。トライアングル以上の使い手だろう。
(これでしばらく、ルイズの子守からは解放されそうだ)
松下はほっとしたが、ワルドを信用したわけではなかった。
一瞬ワルドの背後に、黒い毛むくじゃらの巨大な目玉が見えた気もするが…。
「さあ、自己紹介はこれぐらいにして出かけよう。港町『ラ・ロシェール』で一泊だ」
ワルドはルイズを抱え上げ、自分のグリフォンに乗せた。ルイズの馬は厩へ戻らせる。
「ははは、相変わらずきみは軽いな。羽根のようだ」
ワルドとルイズの乗るグリフォンを先駆けに馬を飛ばし、走る事一日。
二人は出会えなかった時間を取り戻すようにイチャイチャしている。なんかいやだ。
「子爵様は相当の使い手とお見受けしますが、系統は何でしょう」
「僕の系統は『風』。二つ名は『閃光』さ。一応『スクウェアクラス』のはしくれにはいる」
全然謙遜になっていない。さすが吸血鬼エリートである。吸血鬼じゃないが。
「ああ、憧れの魔法衛士隊の隊長が護衛して下さるなど、光栄だ…」
ギーシュがさっきのことも忘れて心酔している。気障どうし気が合うのか。
その日の夕暮れに、山の中の『港町』ラ・ロシェールの入口についた。谷底のような道だ。
「なんで『港町』なのに山の中なんだ?」
「おや、きみはアルビオンを知らないのか? 『浮遊大陸』にあるから、フネで行くのさ」
そういえばそうだった。この世界では飛行船(フネ)が主要なのだ。
ギーシュに指摘され、松下は少しイラッとした。
突然、崖の上から『松明』が何本も投げ込まれた。
松明は勢いよく燃え上がり、暗い足元が照らされる。ギーシュの馬が驚いて跳ねる。
「な、なんだ!?」
その火を狙って、無数の矢が襲い掛かる! まずは威嚇のようで、地面に突き刺さるが…。
「敵襲だ! 気をつけろ!」
一陣の風が舞い起こり、小型の竜巻が矢を弾き飛ばす。ワルドが『風』を放ったのだ。
「野盗の類か? まあグリフォンに乗っているから目立ってしまうが、命知らずな」
「まさか……アルビオンの『貴族派』の仕業かも!」
「ルイズ、貴族なら魔法を使ってくるだろう? 弓矢なんか使わないさ」
「傭兵を雇って、野盗の仕業で済ませようというんだろう。ぼくならそうする」
ギーシュの反論を松下が封じる。ワルドがいるとは言え、たった四人では多勢に無勢、地勢も悪い。
その時、後方の上空から羽音が聞こえた。振り返ると、大きな風竜がいる。
崖の上から男達の悲鳴が聞こえた。上空にいる風竜を迎撃するため、矢が放たれる。
しかし、風竜からは小型の竜巻が放たれ、男達を崖から突き落とした。
「おや、あれは『風』の呪文ではないか」
ワルドが呟く。突き落とされた男達が目の前へと転がってきて、気絶した。十人ほどだったようだ。
それに続いて風竜もこちらへとやってくる。月明かりが照らし、ルイズが吃驚して叫んだ。
「シルフィード!? じゃあさっきのはタバサ?」
「こんばんはルイズ! いい男とグリフォンにタンデムなんて、お姉さん妬けちゃうわ」
やはりキュルケも一緒だ。まあ彼女たちなら裏切る理由もメリットもないし、立派な戦力になるだろう。
毛むくじゃらの目玉www
ベアード様かよ!
しかも対ロリコンの
支援
綺麗なロリコン支援
ちょ、ベアード様w
支援、アーンドゥ、予約。
支援
任務だとは知らず、『いい男』についてきたキュルケとタバサを迎えて、一行は六人となる。
ラ・ロシェールは、スクウェアクラスのメイジにより岩を刳り貫いて作られた町だという。
夜は一番上等な宿で泊まる事になった。食事も豪勢だ。
ワルドが乗船の交渉を行った結果、アルビオンへの出港は明日の夜半と決定した。
部屋割りはワルドとルイズ、キュルケとタバサ、そしてギーシュと松下だ。
また奇襲があるかもしれないので気は抜けない。ギーシュは疲れて早々に寝てしまったが…。
翌朝。松下とギーシュの部屋に、ワルドが訪ねてきた。
「おはよう、使い魔くん。昨夜はよく眠れたかね?」
「おかげさまで子爵様。昨夜は『お楽しみ』でしたか?」
「ぷはっはははははは、まだ結婚もしていないのに手は出さないよ。まさかきみに言われるとはな」
だってロリコンではないのか。意外に紳士的なロリコンだ。ロリコンの鑑だ。
そんな思考を悟ったかは知らないが、ワルドは妙な事を言い出した。
「今夜の出港まで時間がある。暇潰しがてら、きみと『手合わせ』したい」
「…はて、こんな子供に何をおっしゃるのです、子爵様」
「フーケの一件で、僕はきみに興味を抱いたのだ。だからちょっと実力を知りたくてね。
『東方』出身とのことだが、系統魔法は使えるのかい? 手加減はするよ」
好戦的な奴だ。こんなところで一文にもならない無用な争いをする気はない。
「ぼくはたいしたことはしていません。ほとんど御主人様とお友達のお手柄です」
「おやおや、ご謙遜を。そんなに臆病ではルイズを守れないぞ?」
「御主人様を守るべきなのは、あなたもじゃないのですか? 許婚なのでしょう?
ぼくはただの『使い魔』にすぎませんし、あなたが子供に勝っても自慢になりますまい」
ワルドはやれやれと苦笑し、肩をすくめる。
「分かったよマツシタくん。僕が大人げなかったようだ」
子供であるという事は利点でもある。あいにく少年法はないが。
いよいよ今夜、アルビオンに渡る。午後からワルドたちは酒場で飲んでいる。
キュルケが誘いに来たが断り、岩作りのベランダで夕月を眺める。二つの月が重なる夜、フネは出港するという。
(内燃機関どころか蒸気機関もない以上、魔法で飛ぶようだが…月の魔力と関係があるのか?)
と、背後から声をかけられる。そこには、ルイズが腕を組んで立っている。ご機嫌斜めか。
「あんた、ワルドに何言っているのよ! 私の使い魔なんだから、死ぬまで私を守ってもらうわよ!」
どうやらワルドから聞いたらしい。ぼくなりの正論だったが、余計な事を。
「どうも彼がつっかかってくるのでな。それに、きっと彼の方が強いし、有能で親切だ。
年の差はあるが、たいした障害でもあるまい。…気障な男だがね」
「……わかったわよ。私、この任務が終わったらワルドと『結婚』するわ。彼に申し込まれたの」
「ほほう、きっとそれが一番さ。祝福させてもらおう」
ルイズは少し寂しそうに微笑んだ。そろそろ出港だ、酒場に戻るとしよう。
支援支援
ベアード様は待機済み支援
その時、ずしんと地面が揺れ動いた。地震か!?
「……これは!?」
二つの月へと視線を戻した時、何かの巨大な影が月を覆い隠していた!
それは崖を刳り貫いてできたような、『岩のゴーレム』であった。
その頭上に黒いフードを被った誰かが乗っている。気づいたルイズが驚愕する。
「まさか、『土くれのフーケ』!?」
「こおおんばんわあ、お二方。また会えて本ッ当に嬉しいわ」
緑の髪の女盗賊、フーケは歯をむき出して笑う。目が笑っていない。
「お前、捕まっていたんじゃないのか? 縛り首が相当の刑だぞ」
「ところが、世の中はまだ私を必要としてね。ちょっと脱走しちゃったの」
建物の陰には、長髪で白い仮面を被り黒マントを羽織っている、見るからに怪しい人物がいる。
フーケを脱獄させた犯人であり、おそらく貴族派の刺客。そして強力なメイジだろう。
ルイズにタックルをかまし、一緒に部屋の中へ飛び込む。同時にゴーレムの巨大な拳がベランダを粉砕した。
「大きさは同じでも、今回は『岩』だからね! 前とは違うよ!」
下の階へ逃げ込むが、そこは矢玉の飛び交う戦場と化していた。
酒場にたむろしていた奴らは全員傭兵で、飲んでいたワルド達を囲むや襲ってきたのだ。
魔法で応戦するも、奇襲を受け、多勢に無勢。地の利もあり、防戦一方であった。
町中の傭兵が束になってかかってきているらしい。どれだけ金が動いたのやら。
ワルドたちはテーブルを立てて盾にして、傭兵達の弓矢をやり過ごしている。
松下は素早くルイズの手を引っ張ってワルドたちの元へと向かう。
「やっぱり、昨晩の連中はただの物盗りじゃなかったわね…」
彼らはメイジとの戦いに慣れている様子だ。緒戦で魔法の射程を見極め、射程外から弓を放っている。
平民でも数が集まれば、強力なメイジにも対抗できるのだ。
「フーケがいたって事は、やはりアルビオンの貴族派がバックにいるの?」
「向こうは精神力が切れたところを見計らって、一斉に突撃してくるわよ。そしたらどうするのよ!」
「ぼ、僕の『ワルキューレ』で防いでやるさ」
キュルケの質問にギーシュが青ざめて答える。酔いは醒めたか。
「あなたの『ワルキューレ』じゃあ、七体全部出しても一個小隊ぐらいが関の山ね」
「や、やってみなくちゃわからないだろ! この僕が後ろを見せるものか」
(いや、そもそも戦う必要などないのだ。この場は『逃げ延びればいい』。
この『任務』の目的は、ルイズが皇太子に会うことが出来れば達成されるのだからな)
松下が戦況を分析する。そうするうちに、ワルドが皆に声をかけた。
「良いかな諸君、提案があるのだが」
支援
支援
支援支援支援(残響音含む)
支援
ワルドの提案は、至ってシンプルな作戦であった。戦力の二分だ。
キュルケ・タバサ・ギーシュが敵を引き付け、ワルド・ルイズ・松下が桟橋へと向かう。
ワルドはグリフォンにルイズと松下を乗せ、急いで飛び出すと、外の階段を上り始めた。『桟橋』は上だ。
飛ぶように階段を上りきると、丘の上に出た。山のように巨大な樹が、四方八方に枝を伸ばしている。
樹の枝に何かぶら下がっているのが目に入る。木の実のように小さく見えるが、『フネ』だ。
船員たちが蟻のように群がっている。彼らも買収されていなければよいが…。
ワルドは、『桟橋』の巨樹の根元へとグリフォンを寄せる。根元はビルの吹き抜けのように空洞だ。
各枝に通じる階段には、鉄でできたプレートが貼ってあり、行き先を知らせる文字が書かれている。
ワルドは目当ての階段を見つけ、再び階段を駆け上がり始めた。空港ならエレベーターでもないのか。
というかグリフォンでフネまで飛べばいいだろ。そんなに高くは飛べないのか?
その頃、酒場に残ったキュルケたちは…。
「すごいな、僕の『錬金』で大量の油を作らせ、『火と風』で傭兵たちを追い払うなんて」
「あの坊ちゃんの作戦よ。さあ、フーケもついでに退治しちゃいましょう!」
キュルケたちは善戦していた。ちょっと酒場が全焼したが、どうということはない。
「やるね小童ども! でも、この『岩のゴーレム』は燃やせないよ!」
フーケが憎憎しげに叫ぶ。その陰にいた仮面の男は、姿を消していた。
「年増はひっこんでなさい! いま『消し炭』にしてあげるわ」
怒り狂うフーケを睨み、タバサが風竜を呼ぶ。すぐに追いつかなくてはならない。
松下は途中の踊り場で、後ろから追い縋る気配に気付いた。片側は断崖絶壁だ。
味方か、と思い振り返ると、黒い影がさあっと飛び上がり、
グリフォンの真ん中に座るルイズの頭上に来て、首根っこを引っつかむ。
男はルイズをさらうと身をひねり、そのまま地面へと落下していく!
曲者に気づき、振り向いたワルドが呪文を唱えて杖を振る。『風の槌』が作られ、男へと襲い掛かる!
男はたまらずルイズを手から離し、階段の手摺りを掴んだ。ルイズは真っ直ぐ地面へと落下する!
間髪いれずにワルドは階段の上から飛び降り、落下中のルイズを抱きとめて、空中に浮かぶ。
敵…『仮面の男』はまだいる。松下の方へと手摺りから跳び、二人は正面から対峙した…。
(フネまでもう少しだが…この刺客をどうにかせねばならないか。
『ヴィンダールヴ』でこのグリフォンを操ってもいいが、敵に傷つけられると厄介だ)
金属製の杖が剣のように鋭く、松下の喉元を狙ってくる!
体を捻り、何とかやり過ごすと、敵はバックステップで距離を置く。
男は低い声で呪文を唱えた。空気が震え、男の周辺から稲妻が伸びる。
風の上位魔法『雷雲』だ! 松下はそれと悟り、これまた空中へ飛び出すと、
背負っていた『魔女のホウキ』に跨って上昇した。体格差があり、近接するのはまずい。
男はなおも『雷雲』を放つが、松下はホウキに乗って紙一重で避け続ける。
下手に反撃するより、攻撃力のあるワルドに任せた方がよい。どうせグリフォンも惜しかろう。
やがて、ルイズを抱き抱えたワルドが階段の上に降り立った。
ワルドは軽く舌打ちすると、たじろぐ仮面の男に向かって杖を振る。
『風の槌』が仮面の男を吹き飛ばす! 男はたまらず階段から足を踏み外し、墜落していく…。
「無事かマツシタくん! 今のは、下手したら命を奪う程の呪文だったぞ?」
「おかげさまで二人とも助かりました、子爵様」
しかし、ルイズも松下も、なんとなくワルドに違和感を抱き始めていた…。
(つづく)
投下終了。支援有難う。
だって水木がらみでロリコンですよ? もうアレを出すしかなかったんだ。
取り憑いているかは不明ですが。
では次の方、どーぞ。
このロリコンどもめ!! 乙
たまにはロリコンもいいよね!! の方だったら笑う
乙!
281 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 14:25:51 ID:BuTLPoeN
相変わらずのGJ!!
こうしてみるといかに才人が駄目だったかよくわかります。悪魔くん恐るべし。
(<、,,> ":::::::::::::::::::::::::::: 、
〜〈/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::) い ロ た
〃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<、 い リ ま
~そ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,) よ コ に
、_ ,, /::::::::::::::::::::::::、,ゝ===く:::::::,:::::ヽ ね ン は
`V::::::::::::::::::::、_γ `ヾ,_ < ! も
l::::::::::::::::::::::く( γ⌒ヽ )> く,
〜v,ん:::::::::::::::´:::::::=; ,=ニ `/l/!/⌒Y
l:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ===イ ´::::゙:::::::::::::::::::::::::::::::
、m,.. ,ゞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
´ " ~ ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
乙でした〜
ロリコン『ども』で複数形なのは、遍在含めてかなと思って妙な納得をした。
GJでした、続いてトゥーカします。
乙!
松下は本当に凄いな
おおっと乙が抜けてた
乙ってなんだ?ねぎらうことさ
支援ってなんだ?さるさん対策さ
中身が四分の一にまで減った革袋を懐にしまい込み、クロコダイルは
路地を歩く。後に続くロングビルは、さらに後ろを盗み見つつこっそり
声をかけた。
「ねぇ、クロコダイル」
「何だ」
「あれはさすがにかわいそうだと思うんだけど」
ロングビルの視線の先には、息の乱れたギーシュがデルフリンガーを
手に歩いて――いや、ふらついている。覚束ない足取りに、さっきまで
喧嘩腰だったデルフリンガーからも心配されていた。
「あのな、坊主。無理するこたぁねぇ、俺の持ち手を代わってもらいなよ」
「はは、は……何を言うんだね。僕はまだ、大丈夫さ」
「そんなふらふらの足の、どこが大丈夫だってんだ」
「これもまた、特訓のうちなのさ。師匠に認めてもらうためのね……」
「うぅ、健気すぎるぜ。店じゃぁ馬鹿にして悪かった!
坊主、いやギーシュ、ギーシュ・ド・グラモン! おめぇは今から、俺の心の友だ!」
「美しい友情じゃねェか。どこがかわいそうだ?」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「魔法が使えん今の小僧の護衛も兼ねてる。言うほど悪い配分でもなかろう」
「あら、意外。あんたも優しいとこあるんだ」
クロコダイルのその言葉に、呆れ顔だったロングビルは少しだけ彼を
見直した。あの物取りの一人がそうだったように、犯罪者にはメイジも
多い。そういう輩の魔法からギーシュを守護する“盾”として考えるなら、
確かにデルフリンガーは適任だろう。
が。ロングビルの感慨も、次のクロコダイルの言葉を聞くまでの短い
間だった。
「それに、あの鞘は腰にさすような形じゃなかったからな。
帰って手を加えるまでは、一番戦力にならねェ小僧が手を塞いでる方が効率的だ」
(――前言撤回。やっぱりこいつは極悪人だ)
Mr.0の使い魔
―エピソード・オブ・ハルケギニア―
第十五話
支援
乙! すっきりしたね。ところで私は日本のロリコンが大っキライで(ry
しーえんしーえん
裏路地から大通りに戻ると、再び鬱陶しくなるほどの人ごみが三人を
待ち構えていた。多少気構えをした程度で喧噪が変わるはずもない。耳
に届く物売りの声が、喧しさに拍車をかける。
「さぁさぁ、新鮮なリンゴはいかが! 一つ50ドニエだよー!」
「新鮮な海の幸、どれでも一尾2スゥ30ドニエ! 早い者勝ちだ!」
「夜のお供に、ゲルマニア産の【レッドスネークエキス】はどうかね?
一口飲めば男はビンビン、女はムンムン。効果抜群じゃぞ」
「あ、それいただくわ」
多少耳障りではあるが、それでもクロコダイルにとってこれらの声は
とても有益なものだった。なぜなら、労せずしてこの世界の通貨価値を
理解できるからである。
例えばさっきのリンゴでいえば、かつての世界では40〜50ベリー
が相場だ。魚にしても、一般に出回るものならばだいたい200ベリー、
少し上質なものは300ベリー前後になる。
武器類が100エキュー前後で取引される事も鑑みると、1ベリーが
おおよそ1ドニエに相当するようである。そして100ドニエが1スゥ
に、100スゥが1エキューに当てはまるようだ。つまり1エキューで
約1万ベリー。手持ちの金貨はベリーに換算すれば50万である。
売り払った剣と斧はそれぞれ140万ベリー、60万ベリーに達する。
前の世界において、買い取りでこの金額が出るならそれなりの上物か、
出回る数が少なくて希少価値があるかだ。【錬金】で作ったあの二つ、
質は可もなく不可もなくといった程度だったので、おそらく生産数その
ものが少ないのだろう。金属加工、武器製造などの分野で、この国は後
進国なのかもしれない。
「魔法特化の弊害か」
「え?」
「いや……それより、そろそろメシにしよう。小腹も空いたし」
ちらりと、後に続くギーシュを見る。このまま休憩を挟まずにいると
倒れそうだ。そうなった原因の一端が自分にあると、理解はしていても
特に痛痒を感じないのがクロコダイルである。続く一言もいかにも他人
事という物言いだった。
「小僧が死ぬとまずい」
「……確かに。じゃあ、あそこにしましょう」
既に正午を過ぎてだいぶ経っており、食事にはやや遅い頃合いだ。
三人が入った店も、いくらか人が減って席に空きができていた。
「何にします?」
「任せる。何がうまいのかわからんからな」
「僕は……おなかに優しいもの……」
「じゃあ、鶏肉の香草焼きと野菜スープを人数分、あと水を」
「かしこまりました」
注文をすませ、ロングビルは隣に腰掛けたギーシュに目を向けた。魔
法の使い過ぎに加えて荷物持ちまでさせられ、すっかり疲れ果てている。
支援!
支援支援
「大丈夫ですか?」
「え、ええ……なんとか」
「無理をし過ぎですわ。あんなに魔法を連発するなんて」
魔法の使用には精神力が必要だ。何回も使えばそれだけ精神力を消費
し、本人の精神力が消費量以下になると魔法は使えない。それでも無理
に使おうとすると、しまいには気絶してしまう。ギーシュが使ったのは
【錬金】の中でも基礎となるドットの呪文であるが、連発すれば精神力
の消耗は馬鹿にならない。彼が意識を保っていられるのはほとんど奇跡
なのだ。
「ペース配分ぐらい考えねェと早死にするぞ」
「き、肝に、銘じます……」
(どの口で言うんだか)
無責任に口を挟むクロコダイルを、ロングビルはジト目でねめつける。
ちょうどそこへ、頼んでいた料理が運ばれてきた。
「お待たせしました」
「とりあえず喰え。この後学院まで帰るんだからな」
「ふぁい」
クロコダイルに促され、もそもそと手を動かすギーシュ。フォークで
野菜スープをすくっているあたり相当キているらしい。
一方のクロコダイルは、右手だけで器用に肉を捌いている。片手だけ
になっての生活が長いからか、その動作にはよどみがない。
しばらく対照的な二人を眺めていたロングビルも、冷めないうちにと
食事に取りかかった。
料理を食べ終えて代金を払い、クロコダイル達は店を出た。小休止と
栄養補給を挟んだおかげで、ギーシュの顔色はいくらか良くなっている。
それでもまだ魔法を行使できるほどの余裕はないので、相変わらず荷物
持ちの扱いであるが。
傾いた日差しの下、ブルドンネ街の人通りは多少なりとも減っていた。
露天商の中には品切れでその場を引き払う者もいる。少しばかり飯屋に
長居してしまったようだ。
「他に店を見て回ると夜になりそうだな。早めに切り上げて帰るか」
「あまり帰りが遅くなると明日に響きますものね」
「うぅむ、僕としてはもう少し師匠に街を案内したかったのですが」
「やめとけやめとけ。抱える荷物が増えるだけだ」
自らを顧みない、ある意味無謀なギーシュの一言は、デルフリンガー
に切って捨てられた。最初にデートの邪魔をするまいなどと考えていた
事はすっかり忘れている。
一同はそのまま王都の門まで歩き、馬丁から馬を受け取った。馬丁は
三人、特にクロコダイルとロングビルを見て意味深な笑みを浮かべたの
だが、心当たりのない二人は首を傾げるばかりである。ただ、ギーシュ
だけは何とも言えない表情で視線をそらしていた。
片道三時間の道のりを走り終えた頃には、太陽が山向こうに三分の二
ほど隠れていた。完全に暗くなる前に帰り着けたのは幸いである。
馬を馬小屋に戻し、ギーシュに早めに休むよう指示したクロコダイル
は、ロングビルと分かれてルイズの部屋へと向かった。途中、手にした
デルフリンガーがかたかたと鍔を震わせる。
「よう、旦那。師匠だってんなら、もう少し弟子を労ってやりなよ」
「弟子じゃねェよ。小僧が勝手に師匠扱いしてるだけだ」
「おいおい、そりゃあんまりだぜ。あんなに健気な貴族、俺は見た事ねぇ」
ギーシュの忠誠というか執念というか、とにかくクロコダイルに認め
られようとする努力は並々ならぬものがある。何度砂まみれになっても
諦めない不屈の精神は、クロコダイルも一応評価していた。吹き飛ばす
煩わしさが気になっていたため、あまり深く考えていなかったが。
(鍛えれば使えるかもしれんが……かける手間と釣り合うか?)
「なぁ、旦那。ギーシュを弟子にしてやってくれ。俺からも頼む」
なおも訴えるデルフリンガーを壁に立てかけ、クロコダイルは思案顔
でドアノブに手をかけた。
「まぁ、どっちにしてもしばらく様子を見てか――」
答えを返しながら、扉を開くクロコダイル。
この時よそ見をしていたのは、彼らしからぬミスだった。ここには敵
がいない、という油断も少なからずあったのだろう。
しぇんロン!
シエンスタ
支援
支援一丁あがりっ!
「えい」
「むぐッ!?」
部屋の中から伸びた何者かの手。
その手が握っていた香水瓶のような小瓶の先が、クロコダイルの口に
突っ込まれた。中に入っていた深紅の液体は、あっという間に体積を減
らしていく。毒ではないようだが、ぬるりとした舌触りと生臭い味は何
とも言えない不快感を残した。
「あら、意外と簡単だったわね」
「ッ……てめ、ツェルプストー……」
むせながら睨みつけるクロコダイルを前に、中にいたキュルケは妖艶
な笑みを浮かべた。よくよく見れば、奥にルイズとタバサもいる。
一日キュルケにつき合わされ、疲れたルイズはベッドで熟睡していた。
タバサはいつも通り読書の最中だが、普段身だしなみに無頓着な彼女に
しては、珍しく髪留めやネックレスなどで着飾っている。
もっとも、クロコダイルにとってはそれらの事柄よりも、飲まされた
謎の液体について問いただす方が重要だった。
「何、飲ませやがった」
「怒っちゃやーよ。ただの精力剤だもの」
「精力剤だと?」
「そ」
事も無げに笑うキュルケ。
昼間王都を訪れた際、彼女が思いついたのは『きっかけ作り』である。
既にクロコダイルがロングビルと関係を持っているとしても関係ない。
多少強引にでもタバサと“いたして”しまえば、少なくとも同じラインに
立つ事はできるのだ。後はタバサの頑張り次第で、ライバルを押しのけ
クロコダイルを独占する事も可能である。過去幾度となく他者の恋人や
婚約者を奪取したツェルプストー家、そこの娘であるキュルケにとって、
この程度の事は恋愛の基本であった。
次第に顔に赤みが差し、息を乱すクロコダイル。精力剤が効果を発揮
している事を確認したキュルケは、続いてタバサに目を向けた。王都で
買い求めたアクセサリーで適度に着飾った少女は、大人の女とは違った
独特の魅力がある。
「じゃ、あたしは帰るから。あとはしっかりやんなさい、タバサ」
それだけ言うと、キュルケは赤い髪を揺らしてルイズの部屋を去って
しまった。お膳立ては完璧、後は放っておいても大丈夫だろう。
キュルケの最大の誤算は、タバサに全くその気がないと最後まで気づ
かなかった事だ。今までタバサが告げた否定の言葉を全て照れ隠しだと
捉えているキュルケであるから、言うだけ無駄だったかもしれないが。
「で……何がどうなってる」
「知らない」
「な、待て!」
クロコダイルに問われたタバサは、短く一言告げただけで窓から飛び
降りた。直後に巨大な青い影――シルフィードが窓の向こうを通過する。
事情を全く理解できないクロコダイルだったが、今更聞き出しに行く
のも面倒くさい。廊下からデルフリンガーを引っ張り込むと、さっさと
寝る事に決めてソファに横になった。
支援
やはりあれはキュルケだったかw
支援
「……眠れん」
夜空に月が輝く時間になっても、クロコダイルの目は冴え渡っていた。
原因は例の精力剤である。本来は一口、それもほんの少しで十二分に
効果を発揮するものを、一瓶全て飲まされたのだ。過剰摂取にもほどが
ある。
「あの小娘、余計な事を!」
体を起こして舌打ちするが、そんな程度でどうにかなるものではない。
眠気を誘うのに何かないかと視線を巡らすクロコダイルの目に、月光に
照らされたルイズの姿が映り込んだ。使い魔の苦労も知らず、幸せそう
な顔で眠りこけている。
「……いい気なもんだ、こっちの気も知らないで」
「旦那だって他人の都合なんざ考えちゃいねぇだろ」
「うるせェよ、デル公」
結局、翌朝日が昇る頃にようやく落ち着きを取り戻し、クロコダイル
はやっとの思いで眠りについた。五分もしないうちにルイズに叩き起こ
されて怒号が響くのだが、それはもう少しだけ先の話である。
...TO BE CONTINUED
ちょっと待て! だが支援だ!
以上で十五話終了。支援ありがトゥーございました。
ムラムラすんだよ…
GJ!
GJ!
デルフはよくクロコダイルにツッコミ入れられるな、怖いぞ
覚悟完了!当方に投下の用意あり!
まあデル公は水抜きされる心配は無いからな
支援
覚悟完了!当方に支援の意志あり
やや落ち着きを取り戻しつつある食堂奥の厨房内、そこで空になった
シチュー鍋を前に一人と一不定形が満足そうな表情を浮かべていた。
「ご馳走になった」
「てけり・り!」
無論、九朔とランドルフである。
そしてそんな彼等の前にはシエスタがにこにこと頬杖をつき、初めて
見る恰幅の良い男が腕を組んで笑っていた。
「いやあ、お前さん達の食いっぷりを見ているとまったく清清しいぜ。
しかもシエスタ達の洗濯の手伝いまでしてくれてたとか言うじゃねえか。
いや、いや、本当にお前達はいい奴だ!」
「そうでもないと思うが………」
「いいや謙遜するない。お前さんは良い奴だ、いい男だ!」
がははと笑いながら恰幅の良いコック長マルトーは九朔の肩をたたき
ランドルフを揉みしだく。
「てけり・り」
本来ならば見るだけでトラウマっぽいものを植えつけるはずのショゴス。
だがしかし、どうやらここの人間は総じて耐性が高いらしく、少し暇の
できたメイド達がこちらにやってきてはランドルフのぷるぷるむっちり
バディをつんつん突っついたりして遊んでいた。
「てけり・りぃ」
そして、そんな彼等の好奇心の対象である当の本人(?)はと言うと、
マルトーの指使いがよっぽど心地よかったのかさっきからずっと
気持ちよさげに揉まれた箇所を蠕動させている。
「しっかし坊主も大変だな。貴族に召喚だったか? そんな事で呼び出されて
使い魔にされちまうなんて悲劇以外のなんでもねえや」
首を振り苦々しく言うマルトー、周りも同情の表情でうんうんと頷く。
「だが俺たちもお前さんと同じ平民、もし飯とか何かで困ったらここに来い。
平民同士協力できる事は何でもするぜ!」
そういってガッシリと九朔の手を握るマルトー。
それに続くようにシエスタもその手を握る。
「そうです!私たちもお洗濯手伝ってもらいましたし何か手伝えることが
あったらいつでもぜひ!」
「あ、ああ………何かあったら……頼むとしよう」
真剣な表情で力説する二人に少々たじろぎながら答える九朔。
ただ昼食を恵んでもらおうと思っていただけなのに、余りの好待遇に
悪い気がしてならない。
無論、彼等としてはただでさえ貴族に虐げられている平民なのに、それが
よりにもよって貴族本人に召喚されて使い魔にされてしまった九朔に
同情の念を禁じえなかったという理由があるのだが知る由もない。
「っと、そういや貴族の坊ちゃん達にデザートを配る時間だな。
シエスタ、運んでくれるか」
「はい、分かりました!」
立ち上がる二人、周りに居たメイドや料理人たちもそれぞれの仕事に
戻ろうとする。
そこに取り残される九朔とランドルフだが、彼等もまた立ち上がる。
これほどの好待遇を受けておきながら何もしないではいられない。
食器の洗い場へ向かうランドルフとは別に九朔はシエスタへと歩み寄った。
「シエスタ、我にもデザート配りを手伝わせてくれぬか?」
「そんな悪いですよ! 朝あんなに手伝っていただいたのに!」
申し訳ないといった顔で首を横に振るシエスタだが、九朔も
引き下がるつもりはない。
「あれくらい、どうという事はないさ。むしろ昼時に汝等より先に
昼食をもらったのだ、手伝わないでは夢見が悪い」
肩をすくめて笑む九朔にシエスタはマルトーにどうしたものかと目配せする。
「坊主よ、俺たちの仕事をまた手伝ってくれると言うのか?」
「ああ、もちろんだ。汝等から受けた恩、返さずにはいられぬ」
平然と、しかも淀みなく言ってのける九朔に再びマルトーは破顔した。
「そうかそうか!」
心底嬉しそうに九朔の肩を叩いて笑う。
「良し、分かった!だったらシエスタ達を手伝ってやってくれ!」
「良いんですかマルトーさん?」
「構わねえ。こんな良い奴がやると言ってくれてるのを無下にできねえ!」
シエスタににやりと笑むマルトー、変わった口ぶりに奇妙な装束を
した平民の少年だがその心意気は彼の眼鏡にかなったようだ。
「それじゃ、坊主。ここにあるケーキをあの小憎ったらしい貴族の
坊ちゃん連中にもってってやってくれ。
シエスタ、運び方とか色々教えてやりな」
「はい、分かりましたマルトーさん! 九朔さんこっちですよ!」
「あ、ああ……」
機嫌の良いマルトーにつられて上がったテンションはシエスタにも
伝染したらしい。
にこにこ笑いながら九朔の手を引っ張りケーキへと案内する。
そんな彼等のやりとりの向こうではランドルフが触手を数十本にも
伸ばして蠢かして食器を洗っていた。
その見事な洗いっぷりに、後ほどメイドと料理人たちからランドルフは
『我等の洗濯王』と呼ばれ唄まで作られたのだが、それはまた別の話。
***
アルヴィーズの食堂、並ぶ料理は昼食に食するには充分に過ぎた豪華な
ものであり、それを見れば毎日の料理がどれだけ無駄に消費されるか
手に取るようにわかる。
さすが貴族、何処の世界においても無駄と豪華にかけては右に出る者は
ないのだな、と嘆息し九朔は食堂内をシエスタと共に歩く。
しかしこう言う場を実際に眼にするのは初めてではない気がするのは
なぜだろう、そしてこれよりもっと豪華絢爛な料理を見た気が
するのも何故だろうと首をかしげる九朔だが今は知る由もない。
両手に持ったケーキのトレイからシエスタがはさみでそれを生徒達に
置いていく。
九朔自身は気づいてなかったが、この時多数の女子と男子が共に
彼の顔を見て良からぬ感情を抱いたのは不幸だったか幸福だったか。
男子は九朔を『可愛い平民の子女』もしくは『衆道の友』、女子は
『中性的な平民の男子』もしくは『女装をさせてみたい』として
自分のものにしたいと思われていたのだが不幸だったか幸福だったか。
「ふぅ……」
そんな身と貞操の危険に気づくことなく、この既視感が何かを考えつつ
九朔はシエスタと共に食堂内を練り歩く。
そして、耽っていたその思考はある驚きの声で途切れる事になった。
「ん?」
気づけば、目の前では金髪巻き髪の少年に友人タチがやいのやいのと
騒ぎ立てているところ。
「そうだ! その鮮やかな紫色はモンモランシーが自分のためだけに
調合している香水だぞ!」
香水? むしろその怪しげと言うか致命的っぽいアレな色は毒薬か何かでは
と思うが口にはしない。
「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたと言う事は、
つまりお前は今モンモランシーとつきあっている。そうだな?」
「違う。彼女の為に言っておくが――――――おごばぁぁぁっ!?」
彼の弁明は最後まで綴られる事なくその綺麗な顔面をストレートされた。
顔を中心に一回転して石床に叩きつけられたギーシュと呼ばれた少年、
その顔には見事なまでに拳の痕がくっきりついており実に痛々しい。
「お、おごご……ケ……ケティ。これは、誤解で………」
「さよなら!」
彼を思い切りぶん殴ったと思われる一年生のマントを羽織った少女は
涙を流しながら去っていく。
ここにいるのは全員魔法使いだそうが、あの娘は格闘家あたりに
なったほうが良いのではと思う九朔。
きっとムエタイ選手ならどんな者でも1ページ見開きで倒せる。
マルトー×ランドルフ支援
そんな彼女と入れ違うように今度は修羅の如き怒りの焔を纏い、金髪の
少女がギーシュの前にやって来た。
その表情が見事なまでににこやかなのはある意味恐怖である。
ギーシュの周りに居た友人達が生命の危機を感じてズザザザと後ずさり、
取り残されたギーシュの目の前に彼女が仁王立った。
「モモ、モンモランシー、こ、これは誤解なんだ。彼女とはただいっしょに
ラ・ロシェールの森に遠乗りをしただけで………」
頬に刻まれた拳の痕が痛々しい彼はごく自然に、そして至極冷静に
答えたつもりだったが顔が引きつっていた。
「やっぱり、あの一年生に手をだしていたのね?」
「お願いだよ『香水』のモンモランシー……咲き誇る、その、えと、薔薇の
ような顔をそのような無表じょ………え?」
モンモランシーが微笑んだ、そう思った次の刹那、
「うそつき」
ギーシュの頭にワインの瓶が音速激突した。
砕け散るワイン瓶、ギーシュの頭蓋骨も一緒に粉砕したのではと思わせん
ばかりの激音に九朔を除いた全員がひぃと呻いた。
「お………おぉ…………ぐぉぉぉ………」
床でぴくぴく痙攣するギ−シュを一瞥すると、ふんと鼻を鳴らし
モンモランシーはそのまま食堂を去った。
ぴくぴく震えるギーシュを中心に沈黙する一同。
約1分ほど経っただろうか、突然ギーシュは立ち上がり何事も
なかったようにハンカチを取り出すと顔をゆっくり拭いた。
何か頭のてっぺんあたりから致命的な量の血が溢れてきているような気が
するのは眼の錯覚ということにしておく。
ギーシュはワインを拭うと、シエスタにその瞳を向けた。
「さて、どうしてくれるんだねそこのメイド? 君が香水の壜なんかを
拾い上げたおかげで二人のレディの名誉に傷がついたんだぞ?」
それは自分のせいだし何よりその前に、既に絶命一歩手前の自分自身の
身体をどうにかした方が良くないか、と思う九朔。
しかしシエスタはといえば貴族からの言葉とあり顔を真っ青にして
まるで壊れたおもちゃのように何度も何度も頭を下げる。
「申し訳ありません貴族様! 私、貴族様の物かと思って……!」
「それで許されると思っているのかい? 君のお陰でこのざまだよ?
この傷の治療だって馬鹿にならないんだ、どうしてくれる?」
「っそそ、それは……それは………!」
「ああ分かっている、少なくともこれは全て君の責任だからね。
これから先、君にはこの治療費を払い続けてもらわなければ!
それも僕が完治するまで、そしてそれから賠償もだ!」
「そんな! ああ……お、お許しください貴族様!」
ギーシュの前に跪き謝罪するシエスタ、それを彼は見下す。
その間も延々と自分は悪くないだの、君の責任だの、君の気配りができて
いないだのとのたまってシエスタを罵っている。
まったく、この手合いはいつもこうだ。
胸糞悪い。
「申し訳ありませんでした、申し訳ありませんでした!!」
「許してほしいのかい? まさか!! 許すはずがないだろう!? この責任は全て
君のせいなんだ、君は―――」
「……いい加減にせよ、汝」
シエスタを守るように、九朔はギーシュの前に立ちふさがった。。
「クザクさん!?」
「ほう、何だね給仕? 君はもしかしてこのメイドをかばうつもりかい?」
シエスタは余りの事に驚き固まっている。
突如目の前を塞いだ給仕の少年、ギーシュは上から下へと視線を向ける。
なるほど、杖を持たないので平民だ。
その驕りが彼を強気にさせる。
「まさか君は貴族であるこの僕に口答えするつもりなのかね?平民である君が」
「ああ、そのつもりだ。汝のような、己の失態を他人に擦り付ける者は
気に食わぬ。
ましてや、与えられた地位をもって他者を脅す手合いは更に、だ」
ぴくりとギーシュのこめかみが震えた。
「ほう? それはつまり僕を侮辱しているととっても良いのかな?」
「本当のことであろう? それくらい、汝でも分かると思うが」
九朔の言葉に周りにいた人だかりがどよめく。互いに顔を見合わせ、
九朔に眼をやり哀れむ視線を送る。
彼等にとって九朔は平民、そんな彼が目の前で貴族に楯突いたのだ。
無力な平民が貴族に歯向かうことが意味するのは死だ。
恐れを知らぬ蛮勇に侮蔑の視線が飛ぶ。
己で己の首を吊る愚者を嘲笑う声が飛ぶ。
だが彼等は知らない、人は決して『無力』ではないことを。
『無力』に思えるものが如何なる力を秘めるかを。
「どうやら君は、貴族に対する礼を知らないようだ」
「汝のような下郎に持つ礼などない」
互いの視線が交錯した。
「ほう?この僕が悪いとでも言うのか?」
「それ以外に在る訳がなかろうが」
「言ってくれる」
そこに見えるは両者の怒りの情、不退転の意思。
「そうか、ならば口を知らない君に僕が礼儀というものを教えてやろう。
その愚かさを身を持って知ると良い」
「ああ、そうしてもらおうか。もっとも、貴様如きにできるか不安だがな」
闘う理由は既に充分、互いが互いを敵と認識した。
ギーシュにとっては平民が貴族に逆らうその態度への怒りが、
九朔にとっては己のものではない力を振るう横暴への怒りが胸にある。
容認できぬ怒りを持って互いを敵と為した。
「宜しい―――ならば、決闘だ!!」
ギーシュの宣誓に食堂内に歓声が沸きあがる。
バサと、音を立てて彼の手からハンカチが宙へと投げられた。
落ちるそれを九朔は受け取り、ギーシュと視線を交わす。
「構わないな?」
「ああ」
その言葉にギーシュは不敵に笑んだ。
「では、この決闘は《ヴェストリの広場》で行う事としよう。
僕の友人が案内してくれるはずだ、逃げるなよ?」
「それはこちらの台詞だ、汝」
それで良い、ギーシュは九朔に背を向けて食堂を去った。
それを見送る九朔をシエスタは顔を青ざめて見ている。
貴族に歯向かうことはつまり死ぬ事を意味する、それは想像を絶する恐怖だ。
なのに、彼は自分の為に身を挺してくれた。
「クザクさん……何で? 私のせいなのにどうして……」
「汝を見捨てるのは後味が悪い、ただそれだけだ」
「それだけで!? そんな……クザクさん、あなた殺されちゃう!」
しかし、怯えるシエスタの肩に手を置きクザクは微笑む。
「大丈夫だ、我を信じろ」
そう言って九朔は食堂の出口へと向かう。
その時シエスタは彼の背中に、言葉で表せない熱さを見た。
苛烈なまでに気高い、清らかな流れに似た透明な何かを感じた。
輝いていた、それはまるで命の煌めき。
そして気づく、胸にあったはずの不安と恐怖が消えていることに。
「クザクさん、貴方はいったい………」
呟くシエスタの先、九朔の姿は既にそこにはない。
食堂の出口へ向かう九朔の前にルイズが駆け寄った。
「あんた! 何してんのよ! 見てたわよ!」
「そうか」
「そうか、じゃない! なに勝手に決闘の約束なんかしてんのよ!」
「放っておけなかったのでな。ああいうのは胸糞悪い」
「それだけで!?」
手で頭を抑えつつ、歩みを止めない九朔をルイズは後ろから追いかける。
「謝りなさい。怪我したくなかったら今すぐによ」
「断る」
「あんたね!」
九朔は一向に聞こうとしない、自分の使い魔なのに。
しかし、止めなければ。
無力な平民がメイジに勝てる道理などありはしないのだ。
何をしても無駄だと言うことを分からせなければ。
「無理よ。平民は絶対に貴族に勝てないの、メイジだからよ?
魔法を使う相手に平民が勝てるわけない、絶対無理なの!」
「だから、何だ」
「無駄なの。平民がメイジに勝つなんて無理なの、そんな無駄な事しても
無意味なのよ!」
「無意味……か」
「そうよ。良い? あんた達平民は無力よ、どんなに力を合わせたって勝てない。
そんな無駄な事をしても無意味なの、分かる?」
納得させるように強く言うのだが、しかし九朔は答えず真直ぐ進んだ。
何度も言うのだが止まる気配もない。
「汝が案内役か」
「ああ、こっちだ」
ギーシュの友人に従いついて行く九朔。ただ真直ぐ、歩みを止めない。
ルイズの胸は理解できない事柄でいっぱいになる。
どうしてコイツは止まる事をしない?
どうしてこいつは抗う?
なぜ平民なのに貴族に歯向かう?
平民は貴族に従うのが道理なのだ、虐げられていたとしても
それに抗う術はないのだ。
それなのに、この使い魔は何故闘おうとする?
――この使い魔が本当に異世界から来たから?
………まさか。
しかし、たとえそうだとしても決してメイジには勝てない。
そういうものなのだ、それは覆らない事実なのだ。
「ねえ、あんた。どうして無駄だって分かってるのに闘うのよ?」
振向かない背中にルイズは尋ねた。
まるでさっきの教室と同じことをしているのだが、構いやしない。
はるか奥にヴェストリの広場が見えてくる、余り時間はない。
ややあって、九朔が口を開く気配があった。
「我にも分からぬ」
「はぁ!?」
「だがな」
そこで九朔は振り返る。その翡翠の瞳がまっすぐにルイズを射抜く。
そして、初めてルイズに微笑んで見せたのだ。
「たかが無意味なくらいで何もせぬなど、そんなこと我にはできぬよ」
「え?」
「たとえ無駄だとしても、最後まで足掻かずにいられるか。何もしないまま
見てみぬふりして後悔する方がよっぽど後味が悪いさ」
たったそれだけのことで?
そんなことでこいつは闘うのか?
それは奇しくもシエスタが抱いた感情のそれ。
それだけのことでこの使い魔は貴族と、つまりメイジと闘う。
無駄だからと足を止めない。
何もしないなど、そんなことできない。
それはただの無謀だ、ただの愚だ。
ルイズは思う。
だが、九朔のその言葉にルイズは微かな胸の熱を覚えていた。
それは自覚することのないほどの小さな火。その意味も理由も
今のルイズは知る事はない。
ただ、今は目の前の九朔の決闘を見守るしかない彼女がいるだけ。
九朔は歩む、その場所へ。
――決闘場はすぐ目の前に
投下終了
支援するぜ
いい男だなGJ
むぅ……これは時々現れるという下衆ギーシュ?
そして二闘流はロイガー&ツァールとかも忘れてるんだろうか?
ケティとモンモンに思い切りボコられてて噴いた
つかケティが脳内でバキ変換されたじゃないか
11話に関してですが、前半部分にあれな表現がありましたので、短いですが独立した話として避難所に投下しました。
次回からはまた本スレに戻ってきます。
お目汚し失礼しました。
なんでだろう?ギーシュから西博士の臭いがした・・・。
アンジェリカ乙ー。
おっかねーw
二闘流GJ!
このギーシュは特殊な趣味を持つ男子を敵に廻すことになりそうw
プルタブ
クロコダイルの方双剣の方乙でした。
クロコダイルが精力剤に引っかかって
幼女襲ったらどうしようかと本気で心配になったけど
杞憂で済んでよかった。
考えるとアルにそっくりなんだよなクザクって。
ニトロの乙女ゲーにも出ていてもおかしくないショタキャラ。
ギーシュは特殊な趣味の人間を敵にまわしそうだ。
酷いツンデレキャラだな
モンモンがギャラリーフェイクのジャンポール香本を召喚し、
当代きっての調香師になるって展開を妄想した。
ホークアイの続きを頼む
スーパーゼロ魔大戦でちょっと書いてみたいんだが・・・・
フーケとデルフとシエスタの扱いに困る悪寒。
ときにこのおすすめ2ちゃんねるはキラを呼んでこいと?
惨事になるから止めれw
後、ヤメテヨネ-の人は生身は素人+嫁補正がないと役に立つまい。
サイトのような反骨心もあるか微妙だし……あー、ワルド戦は人の花嫁奪う事になるから生き生きしてそうだが。
>>334 さあ早く作者の許可を得てから投下するんだ
そういえば男塾の連中で戦ったのって伊達だけなんだよな。
それも学園の外でだし。
もしかして、大部分の生徒にとっては勝手に学校に住み着いた暑苦しい集団でしかないのだろうか?
むしろ今まで召還されたあの作品のキャラをすべてゼロ世界に突っ込むカオス鍋大戦をだな希望
ところでシャンクって誰か書いたっけ? 書いてないなら書いてみたいな
>>339 さすがに他のスレだし駄目じゃね?
やるにしても避難所だろうね。
ねーよとは思うけど。
>>335 まあ確かにギーシュ戦であっさりと降参しそうだよな
デルフ持ってからは強気になって電波撒き散らしそうだがw
>>335 むしろvsアスラン直後にして、洗脳から救ってルイズと共に成長してけば……ソレでも難易度高いか。
>338
その場合過去が変わりまくってるシエスタの扱いも気になるな。
シエスタ1,シエスタ2・・・という感じで何人もいるのか。
それとも、1人で全てのシエスタの能力を併せ持つウルトラスーパーシエスタデリシャスバージョンになるのか
>>342 アスラン戦まではそれでも一応まともだったんだっけ?
他は種終了時、種死フリーダム撃墜時、種死終了時・・・・書いてて鬱になったorz
他はクルーゼとかミーア辺り面白そうだが・・・・難易度は更に跳ね上がりそうだ。
>>344 それまでは、逆境の連続で苦悩しつつ、友達を守るために戦い、戦ってくせいで友達が離れてくのに悩む
普通のロボツトものの主人公だった、友人を幼馴染に殺されて、その幼馴染と戦ったのが彼の最後の輝きでした。
……拉致後は洗脳されて怪人フリーダム男に orz
大豪院シエスタに兄弟スレのDIO様のお付シエスタ
これは\(^o^)/
>>346 いやいや、拉致前だって十分に鼻持ちならない最低野郎だったよ。
ただ人間の範囲内で最低だったからまだ許容出来ただけで。
拉致後は完全に人間止めてる人外だからたちが悪い。
やめてよねだって上手く書けば美味いネタになっただろうにね(方向性は変わるが)
スパロボでは周囲の正義分が濃すぎてかなり叩き直されてるがね・・・
タルブの村が竜の羽衣博物館になりそう
サルファですか
しかしここの使い魔達が全員そろったりとかしたら凄いスパロボになりそうだ
羽衣ときく度にタルブでシーチキン量産してるシーンしか浮かばねえ。
タルブは農産地域なのになぁ
俺は羽衣フルーツを思い出す
正義…?
正義…
ハッ
ズール皇帝が正義だ!!
>350
そりゃそうだろう。シンジの性格を前向きもっていける連中だぞ
カミーユに殴られシンジやカトルに諭されるからなキラは
>>334 では何度も話題に昇っている人修羅とゲッターチームを早く書かなくては!
>357
人間形成にとって環境が大事って本当だったんだな
>>358 ゲッターチームはともかく、インベーダー二人組は明日か明後日に召喚できそうです………
すばらしいねコーウェン君。
てかあの二人?が召喚されたらどうなってしまうんだ?
ハルケギニアが進化するのか
異星人・念動力者・ニュータイプ・サイボーグ・生身超人と
その濃さは青コスモスやらパトリック・ザラが余計に馬鹿に見える程である
俺はいつロボゲ板に迷い込んだんだ?
>>355 ごひ…
取り敢えず正義と聞いて何故か破壊ロボやブラックロッジの連中をミサイルや執事で撃退するたび
「アイム・ジャァスティース!」と叫ぶ覇道総帥を思い出した
>>346 まだ種ではマシな方だったよ、キラもラクスも。
種死で完全にぶっ壊され、脚本の操り人形と化したが。
>>359 種世界でまともな環境なんて何処にも存在しないからな
>>360 永井キャラがルイズに〜
にも投下してくだしあ(><)
完全に流れがロボな所で
ディノクライシス2から衛星砲に消し飛ばされたアレを召喚とか
「戻れルイズ、お前は好きだ」
あれ?なんか電波が
「ノ」か「ン」かで全く変わるがね
テニプリから師範を召喚。
7万のアルビオン軍に百八式波動球を撃ち込んで一撃で全滅させ(ry
そういや永井クロス専用があったんだったか。
ならここでやるのはさけるべき、少なくとも避難所あたりで投下してくださいな。
ディノ2てあれかー。
強力な存在ほど最初のコントラキスシーンが難しいよね。
ディノ2の奴は本物とは別物の怪物ぶりを発揮してるかんね
永井じゃねえ!石川だ!……ダイナミック関連だから良いけどね、向こう。
厳密にはシャフトでもバルビアでもないから今川キャラって事に……ならんか。
ぐああぁ!恥ずかしい
石川だよね、そうだよね。すんません
存分に投下してくださいー
へえ、冷奴先生専用があったのか
でも賢ちゃんは・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
>>374の言うとおりこっちでやるなら避難所か
ぶっちゃけダイナミックプロの漫画は、GOはデビルマンとけっこう仮面、バイオレンスジャック、デビルマン・レディー
ケン・イシカワは魔界転生と神州纐纈城、極道兵器を途中まで。
ゲッターロボは無論読んでるけど現物が実家にある(OVAは手元にある。チェンゲとネオゲ、あと新ゲを少々)
これだけしか読んでないためダイナミック専用で書くのは難しいとオモ
>>368 やめてよね〜って言ったとこでカミーユが殴り飛ばしたんじゃなかったっけ?
「ここにはお前より強い奴がいる!肉体的にじゃない!精神的にだ!」って
両方のスレに投下しちゃえばイイんすよ
ってか、あっちにも火を着けて(><)
>>380 虚無戦記と闇狩り師と魔獣戦線は読んでおくことをおすすめする
闇狩り師なんか夢枕獏の原作なのに石川風味になってるし
魔獣戦線は普通に面白いし
虚無戦記は賢ちゃんの作品のある意味集大成だし
あと柳生十兵衛死すとかもおすすめ
基本的に虚無るけどな
>>380 ケン・イシカワならそれに加えて魔獣戦線と虚無戦記は外せないな
恥ずかしながら俺は永井先生はほとんど持っていない。桜多版なら持っているが
イヤ、虚無戦記と魔獣戦線読んでないのが致命的なんですよ。
そのくせ2ちゃんやらWikiやらで、それらの半端な知識を知ってるというアレな……orz
戦隊からは呼ばれてないはずだからボーゾックやパンドーラ様を呼ぶのはどうだ?
もしワッハマンが現れたら何と認識されるんだろうか
普通に金のゴーレムか?
>>386 バンドーラ様って一億七千万年前に大サタンに魂を売った大魔導師だし、
正直スクウェアクラスがどかどかやっても
あの高笑いと共にフルボッコにするとこしか思い浮かばないw
あと上の方でも言ってるけどライブマンのビアス様も面白そう
キングダムハーツの(オリジナル)キャラはどれもすごい危険な気がする
(ネズミー的な意味で)
>>390 やめてくれ
スレが黒い悪魔に埋めつくさr……ん?こんな時に電話か
>>390 かつて著作権的恐怖に駆られて削除しちまったことが(ry
そういえばFFキャラって少ないな
■キャラ縛りだと結構いるけど
394 :
DOD&M:2007/09/04(火) 19:26:59 ID:CiQdfXSt
投下予約はござろうか?
支援!
396 :
DOD&M:2007/09/04(火) 19:29:11 ID:CiQdfXSt
なければ五分後に投下いたす。
>>393 出すならティナ・セリス・エドガー・カイン辺りか?
セリスなんか魔法使うために改造されたわけだし、その辺を上手く使うと面白くなりそう
そして支援
ばっちこーい
ラストで自殺したシャドウや消えたティーダなんかどうだ?
]−2?なんのことですか?
再生の卵支援
ただの間違い電話だった
支援
401 :
DOD&M:2007/09/04(火) 19:33:23 ID:CiQdfXSt
んじゃ、そろそろ行きます。
キュルケとカイムを乗せたアンヘルが、大空に羽ばたき、猛スピードで追いすがってくるのを確認すると、ブラックドラゴンはくぐもった声で笑みを零し、自身も飛行の速度を上げた。
背後から迫り来るブレスを、背に乗る男の声ならぬ声を受け、咄嗟に横方向へ身体をスライドさせて回避する。巨大な火球が目の前を通り過ぎていった。
続いてやって来たのは、先ほどのものよりは小ぶりな火炎弾が、連続して放たれたものだ。それらは弧を描き、先行するブラックドラゴンの身体を追尾してくる。
「しっかり掴まれ。儂に振り落とされるなよ」
そう言うと、ブラックドラゴンは木から落ちる木の葉の様な挙動でもって、追いすがる火炎弾のことごとくをかわしていった。その背に届くかと思われたものも、いずれは燃え尽きて消えた。
攻撃の手が止んだ瞬間、ブラックドラゴンは首を捻り、先ほどの返礼とばかりに連続してアンヘルに目掛けてブレスを撃ち込んだ。
無論当てられると判断して放ったものではない。案の定と言うべきか、それはあっさりとアンヘルの回避され、再びの追撃を受けた。予定調和じみたブレスの応酬。そのどれもが互いの身体に当たることは無かった。
ドラゴン同士の戦いに於いて、互いの身体にブレスが着弾する事は滅多にないと言って良い。大よそ数発も当たれば決着が付くのだ。そもそもが規格外の威力である。
それ故にドラゴンは凄まじいスピードと、飛行生物の常には有り得ぬ挙動を用いて、熾烈な空中戦を展開する。そこにドラゴン以外の要因が加わる事はそうある事ではない。
もしあるとするならば、アンヘルやブラックドラゴンの様に、背に誰かを乗せている場合に限られる。優秀なドラグーンの存在は、攻撃の回避に於いてのみならず、ドラゴンにとって精神を安定、事によっては昂ぶらせる為のファクターにもなり得る。
それは、ドラゴンの力を充分に引き出す為の重要な所でもあった。
「ふふん。早くまともにやり合いたくて仕方無い様だな。まぁそう慌てるな。相応しい場があるんだろう? そこに辿り着くまでは儂の背中でじっとしておれ」
「…………」
背に乗る包帯の男から伝わるのは、どす黒い執念と怨讐に満ちた念であった。以前の契約者である、イウヴァルトと言う青年のものに程近い。それがなかなかに心地よかった。
とあるマジックアイテムの力により、仮初の命を吹き込まれたブラックドラゴンは、すぐに新たな乗り手を得ることとなった。それが背中に乗っている男であるのは今更説明するまでもないだろう。
互いに一度は死した者同士である。それが功を奏したか、契約の履行は成立したのだった。
仮初の命を共有する。その事実があまりに滑稽過ぎて、戦闘中であると言うのにブラックドラゴンは思い出し笑いを噛み殺した。
「しかしまぁ、どこまでも下らぬ世界よ。いっそこのまま全てを焼き払ってしまうか? なぁ、ワルド」
冗談交じりのブラックドラゴンの提案に、包帯の男、ワルドは薄く唇を歪めた。
一度死を体験し、そして復活したワルドに明確な自意識などありはしないはずだった。現在彼が自身の意識を保ち続けているのは、その強靭な精神力と外世界の要因たるブラックドラゴンとの契約の影響が強い。
全てを焼き払い、その焦土の上に君臨する。成る程、それも悪くは無いと、ワルドは思った。
「全てが戯れだ。どこまで生きられるか知らんが、儂とお前、やりたい様にやろうではないか」
「…………」
そんなやり取りを交わしながら、ブラックドラゴンは飛ぶ。アンヘルの猛攻を難なくしのぎつつ。
目指すはタルブの村。上から与えられた命では、そこでようやく本格的な戦闘が許可されるらしい。
本来であれば人間の命令など歯牙にもかけぬが、どうやら多少の強制力が蘇らせた相手からは与えられる様だ。最低限度は従っておいてやるか、とブラックドラゴンは鼻を鳴らす。
ともかく、まずはあやつとの決着を付けねば始まらぬ。ワルドとブラックドラゴンの意識はそこに同調した。
402 :
DOD&M:2007/09/04(火) 19:35:56 ID:CiQdfXSt
「……むぅ、奴め、誘っておきながらやる気がないのか」
どうにもまともに戦闘する意志の見られぬブラックドラゴンの動きに、アンヘルは小さく唸り声を上げた。
ある一定の方角を突き進む相手は、申し訳程度にブレスを吐いてくるばかりである。それも殆どが狙いの甘いものだった。
焦れたアンヘルに、キュルケが声をかける。
「ねぇ、アンヘル、この方角って……」
「…………」
「ラ・ロシェールへと向かう方角だな……」
丁度眼下には渓谷が広がりつつあった。
一体何のつもりなのだろうか? 疑念が皆の胸の内でくすぶる。
「埒が明かないわね……どうもある場所に誘い込まれてる、そんな感じかしら」
「待ち伏せがいるやも知れぬか?」
「それも考えられない話じゃないわ。カイムはどう思う?」
「…………」
カイムは瞑目しながらその腕を組んだ。そして考える。
どういう経緯があったかは知らないが、あのブラックドラゴンとその背に乗っていた人物、包帯に巻かれていようと忘れはしない姿のワルドは、アルビオン貴族派の戦力であろう。
ブラックドラゴンにしろ、ワルドにしろ、確かに殺した筈であるのに、生きてその姿を現した事には驚きだったが、今考えるべきはそこではない。
待ち伏せという線だが、第一、協定によって不戦を約束されている以上、トリステインに兵を投入することも無いはずだ。
だからこそ単騎でこうして現れたのだろう。恐らくは、復讐心で先走ったか? そんな考えが頭を過ぎる。
「ふむ、結局はそうなるか……」
「手当たり次第にそこらを滅茶苦茶にされるよりは、標的が定まってる分マシなのかしらね。それにしても、誘い込む様な動きは気になるけど」
カイムの念を受け取った二人が言う。
ともかく、今は目の前のブラックドラゴンを追うばかりだ。どちらにせよ、あれは野放しに出来ぬ存在なのは明白である。
今のところ真剣に戦う気の見られぬ相手に、ブレスを撃ち続けても当たる見込みは無い。そう考え、アンヘルはただ飛行に専念した。
そうしてどれ程の間飛んでいただろうか。キュルケ達の眼下に、先日目にした光景が飛び込んで来ていた。
「ちょっと、ここあのメイドの故郷じゃない!」
キュルケが声を上げた。少しばかり目を遠くにやれば、タルブの村の姿が入ってくる。何故この様な場所を? 意図するところが分からぬ為、彼女の頭に混乱が走った。
美しい緑の平原に似つかわしくない、二体のドラゴンの姿が、そこでようやく相対した。
上でロボの話題が続いていたのでふと思った
ルイズと才人が乗って似合うロボてなんだろと
んで思いついたよ
真龍虎王がピッタリだと
龍虎王は杖というか棒持ってて術がメインだからルイズ
虎龍王は剣メインだから才人な
サルファの最後の消え良くところで才人と共に召喚でいけそうだが
いかんせん俺文才なしorz
404 :
DOD&M:2007/09/04(火) 19:37:34 ID:CiQdfXSt
「ここらでいいだろう」
目の前のブラックドラゴンが口を開き、そう言った。どうやら決着の場はここらしい。互いに油断無く目線を交わし、機を窺う。
「…………」
「舌を噛むなよ……キュルケ」
「分かってるわよ……」
両ドラゴンの肺が、同時に大きく膨らんだ。
まったくの同じタイミングで、両者は同質のブレスを互いに撃ち込みあった。
ぶつかり合ったそれが派手な爆煙を上げ、両者の視界を真っ白に染め上げる。
「やはり互角か!」
アンヘルはちぃ、と舌を打って大きく旋回した。炸裂したブレスによって生み出された開幕の狼煙を、レッドドラゴンの真紅の翼が切り裂き、晴らして行く。
視界の不明瞭な中、アンヘルとブラックドラゴンの影が交差しようとした瞬間の事である。
「がぁぁぁぁ!」
アンヘルはブラックドラゴンの思いもよらぬ攻撃に、叫び声をを上げた。
そのまま行き違うかと思われた刹那、ブラックドラゴンの鋭い牙がアンヘルの首を捕らえたのだ。
もつれこむかの様にして、ブラックドラゴンはアンヘルの首を噛み破りながら、その身体を地上へと叩き付けた。
その際、アンヘルの背から跳ね飛ばされたカイムは、キュルケの身体を抱えながら着地するも、思わずバランスを崩して転倒した。
「…………!」
真っ先に立ち上がったカイムが、アンヘルの首に喰らい付くブラックドラゴンに対して、自身の剣に秘められた魔法、ブレイジングウィングを繰り出した。三つの火炎弾が、ブラックドラゴンに向けて殺到する。
「…………」
迫り来る火炎弾は、ブラックドラゴンの背から飛び出したワルドが手にする長剣の一振りによって生み出された、扇条の冷気の牙で打ち消された。
405 :
DOD&M:2007/09/04(火) 19:39:45 ID:CiQdfXSt
「嘘!?」
驚愕の声が背後でよろよろと立ち上がったキュルケの口から漏れた。この様な芸当をするのは、カイムとその剣を手にした時のサイト以外に彼女は知らない。
それもさる事ながら、今のワルドはメイジが持って然るべき物である杖を手にしてはいないのだ。
キュルケはすぐさま体勢を立て直すと、アンヘルからブラックドラゴンを引き剥がす為、『フレイム・ボール』の呪文を放った。
巨大な炎球は、ワルドの目の前を掠める様にして飛んだ後、ブラックドラゴンの首元に炸裂し、そこに大きな焼印を作り上げた。
「ぐぅっ!」
短い呻き声を上げると、ブラックドラゴンはようやくアンヘルの首から牙を引き抜き、飛び上がる。首を大きな噛み傷を残しながらも、それを意にも介さずブラックドラゴンの後を追った。
「我はあいつを追う! そいつはおぬしらに任せた! 気を付けろ! 今やそいつは契約者ぞ!」
それだけを言い残して。
「…………」
無言で長剣を構え、ワルドはカイムとキュルケに歩み寄ってくる。ほどけかけたその顔の包帯から覗くのは、焼け爛れた醜い肌であった。
目には赤く妖しい輝きが灯っており、どこか人外を思わせる佇まいである。
「契約者って、カイムみたいな人の事よね……大丈夫? 勝てる?」
「…………」
カイムは短く頷くと、剣を構えなおす。
以前相対した時とは比べ物にならない威圧感が、ワルドの身体からあふれ出している。その手に握られている長剣は、かつての親友であったイウヴァルトが手にしていた物と同一である。
カイムの頭にかぁっと血が昇った。
「…………!」
技も何も無く、ただ怒りに任せてワルドに剣を振り下ろす。
がきりと音を立てて、ワルドの長剣がそれを難なく受け止めた。強靭な膂力を誇るカイムの一撃をである。並みの兵士であれば、間違いなく剣ごとその身体を両断されていたに違いない。
剣と剣同士がこすれあい、火花を散らす。
剣ごしに睨み合う二人を前に、キュルケは再び強力な呪文を使える様にする為、精神の統一を図っている。
「…………」
弾き飛ばされる様にして後方に飛びずさったカイム相手に、ワルドはにぃ、と笑って見せた。カイムの剥き出しにした怒りを受けながら、愉悦の表情を浮かべている。
そして、誇示するかの様に彼は口を開き、その舌を出した。そこに刻まれている紋様を目にし、カイムとキュルケは同時に息を呑んだ。
「あれって……カイムと同じ……」
「…………」
ブラックドラゴンとの契約の代償は、声であった。
言葉を紡げなければ、詠唱を組み上げる事も出来ない。即ち、彼はメイジである事を捨てたのだ。
キュルケはその妄執に背筋が凍るのを感じた。
自意識こそ保っているとは言え、ワルドの精神には確実に狂気が宿っている。
そして、それに引きずられるかの様に、かつての親友の得物を手にしたワルドに対し、カイムは濁った目を向けた。
「「…………!!」」
声にならぬ絶叫と共に、二つの刃が中空にてぶつかり合った。
406 :
DOD&M:2007/09/04(火) 19:41:19 ID:CiQdfXSt
今宵はこれまでにござる……これまでにござる……。
あじゃじゃしたー。
支援
悪奴め、やりおるわ!
あじゅじゅした〜。
乙!
ムービーのカイムの笑顔が怖すぎる
なんだあの暗い喜びを滲ませた笑顔は
R・ジャジャしたー
乙じゃじゃじゃー
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃしたー
ちゃーんちゃーんじゃーんじゃーん
じゃーんじゃーん
「げぇっ!関羽!」
乙
ワルドが無くしたのは声か
イウヴァルトの剣って、カイムの天敵だよな、2では
あじゅじゅしたー。
なんというか、このワルドには妄執じみた気迫を感じる。
そして冷静さを失うのはピンチフラグだよカイム。
なに、こっち来て以来いい人間関係を築けてるんだ。
A-仲間が来て助けてくれる
>>419 キュルケが怪我負いそうな選択肢だと思うんだぜ。
なんか、キュルケがさらわれそうな気がしたのはなぜだろう?
救出フラグか!
さらわれてないけど
ぬふぅ、GJ!
ところで上の方で出てるが、種のアレはちょっと…俺のニコルたんが…(ひきずってる)
種ネタは荒れやすいしな…
さておき松下GO。あんまり松下が動かないので、ワルドが主人公みたいだが。
(黒い大目玉自重)
>>349を見てルイズの婚約者がワルドじゃなくてオズワルドとか幻視してしまった
エンジョイアーンドエキサイティング
ワルドの手が、先ほどから震えている。いや、思い起こせば昨日再会した時から変だ。
顔には脂汗がにじみ、以前より顔色も良くない。食も細く、体温も低い…。
「ワルド様、どこか、お加減でも…」
「いや、どうということはない。ちょっと頭痛が…ね」
そう言うと、ワルドは取り出した薬をあおる。何年か会わないうちに、どこか悪くしたのかもしれない。
(ご両親を早くに亡くされ、血のにじむような努力でグリフォン隊の隊長にまでなった方。
きっと、お体を労わられることも少なかったのね…)
ルイズが悲しげな表情をする。しかしワルドは気丈に振舞う。
「しかしきみ、そのホウキは何だね? 『東方』の魔法かい?」
「ええ、そうです。ぼくはまだ『飛翔』では上手く飛べないので。小回りもききます」
松下は飄々と答えるが、どこかワルドに胡散臭さを嗅ぎ取っていた。
ともあれ、フネ(飛行船)にはたどり着いた。キュルケたちはシルフィードで追いついてくるだろうし、
もし合流できなくても彼らなら問題はない。ワルドは急ぎ出港の手続きをする。
積荷や予約席が多く、船長は乗船を渋ったが、ワルドが交渉した結果、
積荷の『硫黄』の運賃と同じだけの代価を払うこと、
および『風』のメイジであるワルドが、フネを動かす『風石』の補助をすることを条件に乗船できた。
風の魔力が詰まった『風石』を消費することで、フネは空を飛ぶのだ。
「硫黄はきっと、『王党派』の根城を砲撃するための『貴族派』の弾薬だろうがね…」
そう言うとワルドは操船の指揮を取りに行き、ルイズと松下は船室に残された。
明朝にはアルビオンに到着である。
乗員乗客の間では、行き先・アルビオンの噂で持ちきりだ。
「明後日にも王党派への総攻撃が開始されるとか」
「貴族派の軍勢は数万人、王党派はたったの数百。最初から勝ち目はない」
「今後もアルビオン貴族派とコネを作っておけば、商売繁盛…」
「戦争も、巻き込まれなければカネにはなるさ…」
翌朝。船室の窓から陽光が差し、ルイズは目を覚ました。
朝の青空の中、雲の上をフネは飛んでいく。地上から3000メイルもの高さだ。
「アルビオンが見えたぞーーっ!」
船員の声が響いた。ルイズと松下は窓の外を見る。
『浮遊大陸』アルビオン。大きさはトリステイン王国と同じぐらいだが、空中を浮遊して洋上を彷徨い、
月に何度かハルケギニアの上にやってくる。二つの月が重なる夜、最もトリステインに近づく。
大陸からあふれ出た水が白い霧になり、大陸の下半分を覆っているところから『白の国』の名がある。
と、突然見張りの船員が大声をあげた。
「右舷上方の雲中より、不審船接近!」
近づいてくる船は、舷側からいくつも大砲を突き出していた。アルビオンの反乱貴族たちの軍艦か?
「俺たちはアルビオンの『空賊』だ! 抵抗するな! 積荷をよこせ!!」
黒い船の甲板で、荒くれ男が停船を呼びかける。続いて鉤爪のついたロープが放たれ、舷縁に引っかかる。
たちまち武装した男たちがロープを伝ってフネに乗り移ってきた…。
「山には山賊、海には海賊、そして空には『空賊』か」
松下は暢気に呟いた。まだまだ前途は多難のようだ。
「なんてこと、もうすぐなのに!」
ルイズは杖を握り締めた。しかし、現れたワルドに止められた。
「止めておくんだ! 敵は水兵だけじゃない。砲門もこちらを狙っている。メイジだっているかも知れない」
空賊たちは次々と乗り込んできた。乗員乗客は後ろ手に縛り上げられ、甲板に纏められる。
誰も抵抗する者はない。悪名高いアルビオンの『空賊』である…。
全員が集められると、空賊の頭領らしき髭面の男が大声を上げた。
「おおい、船長はどこだ!? 積荷は硫黄だろう!? 全部寄こしやがれ!!」
震えながら船長が「私だ」と名乗る。頭領はにいっと笑う。
「船ごと全部買うぜ。料金はてめえらの命だ。別嬪さんは残しておいて、売り払ってやる」
下品な表情でにたつく頭領は、ワルドとルイズに気がついた。
「おや、珍しく貴族の客まで乗せてんのか。こりゃあ別嬪だなあ」
「下がりなさい、下郎! 触るな!」
「ルイズ、落ち着いてくれ。刺激するな」
気が強く誇り高いルイズは、隠忍自重することができない。平民の空賊風情に侮辱されて、黙ってはいられない。
「私は、アルビオンの…」
そこまで言ったところで、頭領がルイズに当て身を食らわせ気絶させる。
「おい、この嬢ちゃんと連れの貴族、ついでにこの餓鬼を、船室に連れて来い」
>>426 むしろ鷹の息子を召喚だ。 そして支援。
ルイズたちは甲板から船室に移されると、頭領の前で縄を解かれた。ルイズもすぐ目を覚ます。
「おい、あんた方はひょっとして、『王党派』か?」
「…そうよ。貴族派でなくて、残念だったわね」
(馬鹿正直に言う密使がどこにいる。ワルドも『静音』ぐらいかけろ…ああ、杖が没収されていたのか)
松下は心中頭を抱えるが、頭領はにいいっと笑うと顔の皮…否、変装の覆面を剥いだ。
「ははははは、ならば歓迎しよう。我らが頼もしき味方よ」
髭面の覆面の下は、似ても似つかぬ金髪の凛々しい青年。空賊の頭領の正体は…。
「あ…あなたは、まさか『ウェールズ殿下』!!?」
「そう。私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
「手荒な真似をして済まなかった。『空賊』でもしないと軍需物資が足りなくてね。
積荷を貰ったら、彼らはどこかで解放するよ。それで、きみたちは…?」
ルイズたちは佇まいをただす。ようやく目的である皇太子に謁見できた。
「お初にお目見えします。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。
トリステイン王国のアンリエッタ姫殿下より、この密書を言付かって参りました」
恭しく一礼すると、ルイズは懐から手紙を取り出す。
「少し待ちたまえ。その指輪は『水のルビー』かな? 確かめたい」
ウェールズは自らの指に光る『透明な宝石』の指輪を外すと、ルイズの指に嵌っている『水のルビー』へ近づけた。
すると二つの宝石が互いに反応し、美しい虹色の光を振りまいた…。
「殿下、これは……?」
「この指輪は、我がアルビオン王家に伝わる『風のルビー』だ。君のは、トリステイン王家に伝わる『水のルビー』。
水と風は『虹』を作る。王家の間に架かる虹さ。なるほど、確かにアンリエッタが送ってきた本物の大使のようだ」
ウェールズはルイズから手紙を受け取ると、花押に接吻し、封を解いて便箋を取り出す。
そして真剣な顔付きで手紙を読み始め、読み終わると顔を上げた。
「そうか、姫は結婚するのか……あの愛らしいアンリエッタ、私の可愛い従妹は」
「はい。あの成り上がりの、野蛮なゲルマニアと…」
ウェールズもルイズも、苦々しい顔をする。キュルケの件といい、ゲルマニアはそんなに嫌か。
「姫は、私の手紙を返して欲しいと告げている。姫の望みは私の望みだ。
…だが、あいにく今手元には件の手紙はない。我が『ニューカッスル城』にあるのでね。
多少面倒だが、このままニューカッスルまで足労願いたい。歓迎しよう」
こうして、フネは進路を変え、直接ニューカッスルに向かうことになった…。
支援射撃継続
『貴族派』の包囲網を潜り抜け、ニューカッスルに到着。総攻撃に向け、双方緊張している。
さっそく出迎えを受けるが、念のためとして杖や武器、グリフォンは向こうに預けられる。
曳航してきたフネと積荷は戦利品だ。
ウェールズは自室に入ると、小箱から一通の手紙を取り出した。アンリエッタからの恋文だ。
もうボロボロになったその手紙に口づけ、丁寧に開くとゆっくりと読み直し始める。
やがて読み終えたウェールズは、手紙を丁寧に畳み、封筒に入れるとルイズに手渡す。
「姫から頂いた手紙、このとおり、確かに返却した…」
「殿下、有難うございます。お役目は果たせました」
ルイズは深々と頭を下げ、手紙を受け取る。しばし躊躇い、ルイズは決心したように言った。
「殿下……もはやアルビオン王軍に、勝ち目はないのですか?」
「ないよ。我が軍は三百、敵は五万以上。万に一つの可能性もない。物資も圧倒的にあちらが多い。
我々にできることは、せいぜい勇敢な死に様を連中に見せ付けることだけだ」
「な、ならば、せめてお逃げください。我がトリステインに亡命なさってください!」
ルイズは思わず叫んだ。衷心からの言葉に、ウェールズは苦笑する。
「駄目だな。私がトリステインに亡命しても、貴族たちにトリステイン侵攻のいい口実を与えるだけだ。
それに、ゲルマニアとの同盟も水泡に帰する。だから、降伏も亡命も出来ない相談だ。
アンリエッタに、トリステイン王国に迷惑がかかる。この機密文書は焼き捨てるよ」
「でも……姫様は……」
ウェールズはにっこりとルイズに笑いかけ、そっと『風のルビー』を指から抜くと、手渡した。
「私の形見に。アンリエッタに渡してくれ……勇敢なる大使殿。
そして、王子は勇敢に戦って死にましたと、彼女に伝えてくれればいい」
ルイズはとうとう耐え切れず、泣き出してしまった…。
王党派の貴族たちはここぞとばかりに着飾り、テーブルには豪華な料理が並ぶ。
決戦の前夜、城のホールで行われたパーティ。ルイズたちも参加させられる。
「明日で終わりなのに、なぜ、この人たちはこんなに明るいの……?」
「終わりだからこそ、ああも明るく振舞うのだよ。僕のルイズ」
ワルドが答えた。着飾りながらも泣き腫らした目のルイズは、目を伏せる。
「明日死ぬのに、勝ち目が無いのにあんなに朗らかだなんて……私には理解できないわ。
あの人たちは、どうしてわざわざ死を選ぶの? 姫様が逃げてって、亡命してって言っているのに」
「ルイズ。戦場で散る事は、王侯貴族の男児としての、名誉であり誇りであり、また義務なのさ」
「わからない。わからないわ…」
「皇太子もアンリエッタ殿下に迷惑が掛からないよう、ここで死のうとしている。
…愛しているからこそ、さ」
「王侯貴族は面倒なものですね。森の中でゲリラ戦を仕掛けるなり、ゲルマニアとやらへ亡命すればよかろうに」
三文オペラに退屈しきった表情で、グラスを傾けながら松下が呟く。悲劇に酔う趣味はない。
(悪政を布いているのでなければ、平民には誰が首長になろうと変わりない。
王制でも寡頭制でも共和制でも民主制でも、結局は独裁政治に流れるだけではないかな…)
支援すり足支援NEP
轟音が鳴り響き、ニューカッスル城が揺れる。敵艦『レキシントン号』の威嚇砲撃である。
ルイズはその夜、眠れなかった。キュルケやタバサからも、連絡はない。
翌朝、貴族派の総攻撃から逃れるため、非戦闘員が続々と『イーグル号』に乗り込む。
ルイズたちも脱出するために中庭に集まっていた。杖は返され、グリフォンもいる。
見送りにはウェールズが立ち会う。今生の別れである。
「お忙しい中の見送り、ありがとうございます。殿下」
「いや、構わないよ。最後の『客人』だ、丁重にお送りしなければね」
ウェールズが微笑む。その微笑を見て、ルイズの顔が曇る。彼はもうすぐ死ぬのだ。
「そんな顔をしないでくれたまえ。我らはここで犬死にするのではない。
あの愚かな野望を抱く叛徒どもに、『ハルケギニアの王家は弱敵ではない』と示すのだから。
無論、それであの者たちがつまらぬ野望を捨てるとは思えぬが…それでも、『無駄』ではない」
「いいや、『無駄』だね殿下。あなたはここで、無様な死に様を晒すのだ」
突如、ウェールズの胸板を背後から鋭い剣…いや『杖』が貫く。
「それが我が『レコン・キスタ』の望み」
下手人は……ワルド子爵であった。杖が引き抜かれ、皇太子は断末魔も上げず、血を噴いて絶命する。
「ワルド様!? な…なぜ…あなたが『レコン・キスタ』などに」
突然の舞台暗転。ルイズは力が抜け、へたり込む。松下は『占い杖』を抜く。
「さあルイズ、きみも僕と一緒に来るんだ。共に『永遠』を生きよう!」
振り向きざまに見開かれたワルドの瞳は狂気に、いや、絶望に赤く輝いていた……!!
その背後に、巨大な『眼』がいるように、二人には感じられた。
(つづく)
支配のしやすさは首長が誰かで変わるけどね支援
投下終了。ワルドの背後の『眼』は何者か…?
ネタバレ。次回、『あのお方』が来ます。娘さんは出せません。可愛いけど。
本当は別の奴にする予定だったんだが、似合うんだもん。
マジで親父に針で突き殺されたあれ登場かwwwww
ともかくGJ
437 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:23:27 ID:PdJ/F0J0
>>435 お勤め、乙であります閣下!
次、投稿してもよろしいでしょうか?
ちょ、えっ? ベアードさまぁー!?
ロリ○ンにベアード様がつくのかw
GJ!
ワルド→ワイアルド
442 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:32:00 ID:PdJ/F0J0
で、では21:35から投稿させていただきますです。
今回はすこし下品な表現が含まれていますので、そういうのが苦手な方は
スルーしてくださると、恐縮です。
>>440 ルイズが超ぐろぐろレ○プされちゃうから止めてください
やっぱ最近の丸くなったガッツは魔法学院の面子と相性いいと思うんだ
445 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:35:07 ID:PdJ/F0J0
星界の使い魔03
トリステイン魔法学院のとある廊下――
一匹のハツカネズミがその小さな体から、とてもと思えないほどの速さで移動していた。
しかも、その洗練された動きはまさに隠密のそれであった。
学院の誰一人として、彼の移動を目にすることは不可能であった。
ちゅうちゅちゅう、ちゅう。
(俺の名前は『モートソグニル』コード・ネームは<静かなる溜息>だ。)
ちゅ、ちゅうちゅちゅちゅちゅう。
(雇い主『オスマン<マスター>』に雇われているしがない専属傭兵だ。
俺は雇われてから今日まで、数多の彼からの依頼<ミッション>をこなして来た。)
<静かなる溜息>は有り得ないほどの脚力で窓へと飛び込み、回転しながら外へ飛び出す。
ピタ。華麗なる着地、そのままの勢いで移動を続ける。目的の場所へ――
ちゅ、ちゅちゅちゅうちゅ。
(もちろん、雇い主のミッションをクリア<達成>してゆく内にお互いに得難い信頼と友情は芽生えた。
一時期は、彼の為なら命をも惜しまないとさえ思っていたほどだ。だが―― )
「<静かなる溜息>、聞こえるか?こちらオスマンだ」
「ちゅちゅちゅう(どうした、雇い主<マスター>)」
「任務だ、<静かなる溜息>。昼食後に一年生の競技が始まる。直ちに更衣室へと潜伏せよ」
「ちゅう(了解)」
<静かなる溜息>ことモートソグニルは長い間耐えて来た。己の雇い主の変貌に。
学院長の席に着く前の雇い主―― 若かりし日々のオスマンはまさにメイジの中のメイジであった。
しかし、運命とは残酷かな、この魔法学院に身を落ち着かせるとオスマンは豹変した――
いや、これが元々の性格だったのかもしれない。
そう、オスマンは着任そうそうこともあろうに、使い魔の能力を、無垢で純粋な生徒たちを汚すことに使い始めたのだ。
さらに、こともあろうか本来ならその英知を以って人類に更なる発展をもたらせるはずの豊富な知識を
己が渦巻く卑猥な欲望へと費やし、とうとう『究極の魔法』をも完成させていた。
<静かなる溜息>は耐えた。耐えてきた。このおびただしいほど長い卑猥な時間を。
なぜなら、任務達成<ミッションクリア>の暁には雇い主からの報酬があったからである。
生命の果実『アンブローシア』それはアルビオンのとある神聖な山に数十本ほどしかない神木から成る実であった。
これをミッション成功の暁に、<静かなる溜息>は報酬としてもらうのである。
アンブローシアの味は、それはそれは『神々の食べる物』とまで言われるほどに美味なのである。
それだけの為に<静かなる溜息>はがんばってきた。
あるときは、肥溜めの穴に人が来るまで張り付き、その様を一部始終監視をする。
また、あるときは眠っている生徒の下着にしのびこんだりもする。
他にも幾多の行為をしてきたが、そべてはアンブローシアのため、『神々の食べる物』のためだった。
そのためなら文字通り、汚いものをすべて引き受けた。
446 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:36:20 ID:PdJ/F0J0
しかし、とうとう<静かなる溜息>はその長きに渡って耐えてきたモノを耐えに耐え切れなくなった。
なぜなら、ここ数日オスマンが報酬を出し惜しんできたのだ。
かれこれ、任務19回分の報酬をすっぽかされている。
なんでも、アルビオン一帯に騒動が起こっていて入手が困難とのこと。
しかし、そんなことは関係ない。彼は知っていたのだ。オスマンの部屋の棚の3段目の引き出し。
そこは、オスマンが自らロックをかけている引き出し。その中にはたくさんのアンブローシアが水魔法によって
最適温によって保存されていることを。
そう、何も<静かなる溜息>だけがアンブローシアの味覚に魅了されているというわけではなかった。
オールド・オスマン、彼もまた神々の果実に魅了された一人なのだ。
夜な夜なオスマンがアンブローシアを一人で貪っていることは知っていた。
さらに、理由はもう一つあった。オスマンの態度である。
親しき仲にも礼儀あり――
それがオスマンには欠けていた。さも当然のような言い草で、任務を終えた<静かなる溜息>をたしらう。しかも報酬抜きで。
今朝方のミッションもそうだった。肥溜めに張り付き、そして、飛びかかってくるいわゆる汚物をも耐え抜き帰還した
彼にオールド・オスマンは私信に一言。
「ミス・ヴァリエールのはちと見飽きたのぅ、その使い魔のラフィールたんのならいざしらず」
チュチュチュゥッ・・・!!
(この糞ジジィ・・・!!)
使い魔の秘めたる思いにも気づかず、尚もオールド・オスマンは言う。懐かしい思いでを語るかの様に。
「ミス・ヴァリエールか、彼女の姉君たちもさぞかし美しかったのぅ、そして母君も・・・うへへ」
下品にニヤつくこの偉大なるメイジ、オールド・オスマンは鬼畜だった。
ヴァリエール家の淑女たちを代々汚していたのである。もっとも、学園中ほとんどの貴族たちも同様なのだが。
今朝のことを思い出すだけで、苛立ちがこみ上げてくる。
彼は決心した。やつを、雇い主<マスター>を止められるのは俺だけだ――
「ちゅちゅ・・・(待っていろよ、雇い主<マスター>・・・)」
そう呟くと<静かなる溜息>は、オスマンが示す目的地の正反対の方角へと駆けていった――――
学院長室――
使い魔の謀反をも知らずに、もうすぐ麗しい一年生たちの華麗なる姿を見れる、
と上機嫌なオールド・オスマンはその喜びを秘書の『ミス・ロングビル』のお尻を撫で回す形で現していた。
その熟練された動きに、一瞬たじろうも、キッ!とオールド・オスマンを睨み付けて言う。
「これ以上やったら、王室に報告しますからね!!」
「カーーッ!王室が怖くて魔法学院学院長が務まるかーーっ!!」
まさに、本音の中の本音を叫ぶオールド・オスマン。
その気迫に押されるも、ミス・ロングビルは尚も睨み続ける。
それに耐えかねて、オールド・オスマンは呆けた。
「オッパイノベラベラそ〜すぅ、そして性欲を持て余す」
最後のセリフをやけに渋い顔で言い放つと、再びお尻をなで始めた。もう、最低である。
ミス・ロングビルは無言でオスマンを蹴りまわした。
447 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:37:25 ID:PdJ/F0J0
そこへコルベールが飛び込んできた。
「オールド・オスマン!!たた、大変です!」
ミス・ロングビルは何事もなかったように机に座っていた。
「大変なことなど、あるものか。すべては小事じゃ」
腕を後ろに組みながら、重々しく闖入者に答えた。二人の見事な連携である。
「これを見てください!!」
コルベールは書物を手渡した。
「これは『始祖ブリミルの使い魔たち』ではないか。まーたこのような古臭い文献など漁りおって。
そんな暇があるなら、学費を徴収するうまい手をもっと考えるんじゃよ。『ミスタ・カマベール』」
「コルベールです!カマではありません!!」
「カマでもいいでわないの。カマベールでもカマわん、なんちてっ★」――
「で、でだ、コルベール君。この書物がどうしたのかね?」
気を取り直して、オールド・スマンは言う。
「これも見てください」
コルベールはラフィールの手に現れたルーンのスケッチを手渡した。
その瞬間、オスマン氏の表情が変わった。その目は若かりし日の威厳にあふれる鋭いものになっていた。
<静かなる溜息>ことモートソグニルがこの場に居合わせたら、どんなに喜んだことか。
しかし、彼は今居ない。
「ミス・ロングビル。席を外しなさい」
オスマン氏が言うや否や、ミス・ロングビルは退室していった。
「さて、詳しく説明するんじゃ、ミスタ・コルベール」――
時を少しさかのぼる――
ルイズ、ラフィール、キュルケご一行は、途中フレイムを預け食堂に向かっていた。
三人が食堂に入ると、遠くの方で学生の人だかりができていた。
キュルケは近くに座っていた一年生に何があったのか尋ねる。
どうやらクラスメイトのギーシュが落とした香水を『平民』のメイドが拾って、
それをギーシュに渡そうとしたときにギーシュの二股がばれたらしい。
案の定、ギーシュの頬には大きなパーが赤くそびえたっていた。さらに、服も濡れていた。この3人には見えないのだが。
「なあに?単なるやつあたりじゃない」
「ほんと、みっともない」
ルイズとキュルケが揃ってあきれ果てた。
状況を把握すると二人をよそに、ラフィールはその集団に近づいていった。
どうも、一年生からやたらと強調されて言い放たれた『平民』に違和感を感じたからである。
「ああいう、中身の無い男っていやよねぇ〜」
「まったくよ!」
ルイズとキュルケはラフィールが集団の方に言ったことに気づかずに今だギーシュを罵っている。
「まぁいいわ、さっさとお昼食たべましょ。ラフィール行くわよ?」
返事が無い。周囲を見回す。
「ルイズ、ラフィールあっちあっち!」
ルイズがみやると、ラフィールはその集団の中心へと割り込んでいった。
「も、もう!かってなんだから!」――
支援
449 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:38:40 ID:PdJ/F0J0
ラフィールはその集団に近づくにつれ、怒りで心を積もらせていた。
どうもこの世界の貴族と言うのは腐っているらしい、ラフィールはそう判断した。
近づくにつれ謝罪の言葉をめいいっぱい言いながら謝るシエスタと、
やれ、平民の分際で二人のレディの心を傷つけた――
やれ、お前が男だったら八つ裂きにしている――
やれ、やさしい自分に感謝しろ――
金髪の貴族の少年の言葉に怒りを積もらせるラフィール。
しかし、ラフィールの怒りは他にもあった。
周りにいる他の貴族たちである。
皆、面白おかしくその状況を見ているだけであった。
誰一人として、シエスタに肩を持つものが居ない。
家臣や領民を守ることこそ、貴族としての義務であり誇りであるとラフィール心得ている。
この場合、シエスタは学院直属の使用人、すなわち学生たちの家臣も当然の身である。
その家臣に非はまったくもって無く、対するこのさっきから五月蝿い金髪貴族に非があるのは明白なはずなのに
誰もシエスタを庇う者が居ないことにラフィールは心底苛立った。
この星の貴族というのは、弱きものを挫き、己が強さを誇るのか?
家臣を、領民をたんなる面白い玩具とでも思っているのであろか?
ふと思う。ルイズとキュルケもそうなのであろか―― ?
「ふむ、ならあと100回土下座しながら謝罪の言葉を言えば許してあげてもいいよ?」
ギーシュは髪を掻き揚げると、薔薇の造花を口元に寄せ、かるく口付けをする。続けざまに言い放つ。
「平民といえど仮にも君はレディだ。僕はレディに手荒な真似はしたくない。
それに、薔薇は身分に関係なくその美しさを振舞うものなのさ」
しかし、その目はシエスタを、まるで塵でも見るかの様に見下している。
一方のシエスタは、体罰も何も無く、ただ土下座して謝罪するだけで許してくれるギーシュに
ある種の感謝の念を抱いていた。もし、この人じゃなかったら八つ裂きにされていたかもしれないのだから――
シエスタが膝を地面に付き、頭を下げようとした。
「うは、この平民ほんとにするのかよ?」
「汚らわしい!」
「ギーシュ、お前も罪な男だな!」
など喝采が飛び交う中、一人の少女の叫びが響いた。
「貴様ら、それぐらいにするがよいぞ!!!」
ラフィールであった。
「エ、エ、エルフ・・・・ッ!!」
誰かが呟き、一斉に人だかりはチリジリに離れていく。その様子を見てラフィールは、フンと鼻を鳴らした。
残ったのはギーシュとラフィール、そして地面に座るシエスタであった。
「シエスタ、許すがよい。私がもうすこし早く食堂にきていれば・・・」
「ラフィールさん・・・!!」
シエスタは驚いていた。まさか自分を庇ってくれる人がいることに。
「我ら『アーヴ』貴族は、家臣を、領民を見捨てたりはせぬ。ましてや『同胞』を―― 」
そう言うとラフィールはそっとシエスタを立たせた。
「き、き、君はたしか『ゼロ』のルイズのつ、使い魔だよね?」
ギーシュはまさに挙動不審のように尋ねる。その言葉にラフィールは先ほどの授業を思い出す。
盗撮やらなんでもこなすスーパーネズミ支援
支援
452 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:39:54 ID:PdJ/F0J0
ルイズが愛おしい微笑みを浮かべながら、ミス・シュヴルーズの元へ歩いていくさなか、
「『ゼロ』のルイズや、やめろ・・・・」
「おまえは魔法の成功確立0なんだ、やめてくれ・・・」
ところどころ聞こえてきた囁きを思い出した。
ラフィールに怒りが込み上がる。この男、シエスタに飽き足らずルイズまで侮辱するのか?
現にルイズは私を召喚している。成功率0ではない。それにルイズの爆発は魔法であろ――?
「貴様、そ―― 」
「だーれが『ゼロ』のルイズだってぇぇ!?」
ラフィールが言いかけた時、ルイズが飛び込んできた。続いてキュルケも。
「だいたいギーシュ、あんたがいけないんじゃない。二股がばれたのはシエスタの所為じゃないわ!
あんたの自業自得でしょ!!自滅するなら一人でしなさい!!」
「そうよそうよ、一人で自滅なさいな。ほら、シエスタちゃんだっけ?早くあっちへ行くわよ」
キュルケが呆気にとられているシエスタを誘導する。
「キュ、キュルケ!その『平民』を置いていけ!!」
突然の出来事に、ギーシュは怒鳴る。
呆れたルイズが何か言おうとしたとき――
「貴様、それ以上その口で『平民』と言うでない、言ったら許さぬぞ?」
「どどど、どう許さないというんだ!!え、え、エエルフふがなぜ、たかがへい、こ、こ小娘を庇う?」
エルフに許さないと言われ、気が動転するギーシュ。
「何をさっきから恐れている、ギーシュとやら。まさか、私が『エルフ』だからとでも言うまい?」
ラフィールの怒りに満ちた顔が綻んでいく。
「ええ、えエ、エエルフを恐れて、なな、何が悪い!!」
その瞬間、周囲の生徒たちが頷いた。その言葉を糧にラフィールの口元はさらに綻ぶ。
「ギーシュとやら、一つ言っておく。そなたは貴族の風上にも置いてはおけぬ屑で小物な貴族だな」
「な、なな、なんだと・・・・!!」
ギーシュは困惑していた。エルフの少女にいきなり屑貴族呼ばわりされたことに。
その時、ルイズは悟った。次にラフィールが何を言うのかを。
「私は『エルフ』などでは無い、『アーヴ』だ!!『先住魔法』とやらも『魔法』も使えぬ貴様らが言う『平民』だ!!」
「「「なんだって!!??」」」
ルイズを除く周りにいたほぼすべての人間が同時に叫んだ。
同時にじゃあその耳はどう説明するんだ、とか誰かが叫び皆が同意する。
しかし、不幸にもギーシュは悟ってしまった。ラフィールが事実を告げていることに。
仮にも世の女性は自分の物と自称しているギーシュ、伊達ではなかった。
ラフィールの表情と言動から事実であると確信してしまったのである。
そうと分かれば、ギーシュにとって後は楽だった。笑いが止まらない。
「あは、あははははははは!!『平民』であるこの使用人を庇ったのは、自分と同じ『平民』だからなのかな?」
ギーシュはお腹を抱えながら言い放つ。ラフィールはギーシュを見つめながら、フと軽笑した。
「だから貴様は屑貴族なのだ。それに言ったであろ、その口で『平民』と言ったら許さぬと」
「何?君ぃ、自ら『平民』と名乗った度胸は認めよう。だが屑貴族呼ばわりされるのはいただけないな」
ラフィールは、ふぅと溜息をつくとさらに顔を綻ばせた。その顔は咲き誇る毒花にも似る、
軽蔑と挑戦が綯い合わさった親愛の表現とは見誤りようもない破顔であった。
『アーヴ』の敵たちはこう呼ぶ。<アーヴの微笑み>と。
453 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:41:04 ID:PdJ/F0J0
「ならばそなたの胃袋が詰った屑入れ並みの頭でも理解できるように教えてやろう。
貴様は私を恐れていた、私が『エルフ』であるかもしれないからだ。しかし、実際に私が『エルフ』では無い、自分の脅威
では無いと知るや否や態度は一変。強き存在に怯えひれ伏せ、弱き存在を貶し貶める、まさに屑貴族以外の何者でもない!!」
「ななななんだと!!!!貴様、『平民』の分際でなんということを!!!!」
「もう一度だけ言う、二度とその口で『平民』と言うな・・・」
「『平民』を『平民』と言って何が悪い!!この国では『平民』は『貴族』さまの下僕なのだ、奴隷なのだよ!
『平民』はこき使われて同然!!『平民』に神などいない―― !!」
「貴様、許さぬぞ!!」
もはやラフィールの口元には<アーヴの微笑み>すらなかった。
そこにはるのは、逆鱗で魂を鎧う<猛きアヴリアル>の怒りだけであった。
ラフィールが太ももに吊るしてある『物』に手を着けるのを見てルイズは止めに入った。
「ラ、ラフィール落ち着いて!!」
ルイズがラフィールに近づき、触れようとした。
「触るでない、ルイズ!!」
「ラ、ラフィール・・・?」
ラフィールに叫ばれ、ルイズは心底戸惑った。なんで?と尋ねようとした――
「ルイズ、そなたもであろ!?そなたも『平民』を軽んじているのであろ!?キュルケ、そなたもだ!」
「え?」
急に問われたキュルケは困惑した。それをよそにラフィールは言い続ける。シエスタ、もう何がなんだか分からない状態だ。
「だから、最初『平民』が絡まれていると知った時に助けに行こうとしなかった!?ちがうのか!?
ルイズ、キュルケ、答えるがよい!この国の貴族とはこういうものなのか!?領民や家臣をなんとも思わないのか!?」
ルイズはその言葉を聴いては否や、力なくその場にへたれこんだ。
そして、答えられない自分を悔やんだ。たしかにこの国の民衆差別は異常であると感じていた。自分も『ゼロ』と呼ばれて虐げられてきた。
しかし、今までやってこれたのは、ルイズ自身今気づいた事だが、自分より下―― つまり『平民』よりマシという
思いがあってこそだったのだ。ルイズの鳶色の瞳から涙が溢れた。皆の前だというのに泣き始めてしまった。
今まで、『ゼロ』と言われ虐げられてきた時でさえも見せなかった泣きじゃくる姿を。
「私は、私の国はちがう!!」
キュルケは叫んだ。ラフィールを含むすべての人間がキュルケを注目した。
「私の国、ゲルマニアは『平民』なんて関係ない!!有能な人材なら誰でも貴族に成れるの!この国みたいに魔法が使えない
からって『平民』呼ばわりされない!!」
キュルケは言い切った。ラフィールはキュルケに、許すがよい、と言いルイズに軽い軽蔑の眼差しを送る。そして言い放つ。
「この国は、貴族たちは腐っているな」
ルイズはビクっとする。ラフィールのその言葉に。
シエスタはもはや何も考えられないでいた。まさか自分の所為でこんな重大な事に発展してしまったから――
「決闘だ!!!!使い魔の『平民』!!」
とうとうギーシュの堪忍袋が切れた。
「ほう?」
ラフィールの口元に<アーヴの微笑み>が戻った。
「貴様に、『平民』に貴族さまを侮辱し、逆らった恐ろしさを教えてやる!!」
「それは、命のやり取りと解釈していいのだな?」
ラフィールの顔は、さっきの怒り狂う顔以上に恐ろしい微笑みえと変わっていた。
「そ、そ、そうだ!!命のやり取りをだ!!ヴェストリの広場で行う!!」
ラフィールの質問を同意の意と認めたのか、なるべくラフィールの顔を見ずにギーシュは叫んだ。
「この腐った貴族たちの浄化第一号にしてやろう」
ラフィールは思った。この者は殺す。ぜったいに殺す――
454 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:42:12 ID:PdJ/F0J0
「君たち、ちょっと待ちたまえ!」
静まり返った食堂に響き渡るその一声に誰もが見やる。
「ヴィント様だ―― 」
誰かが呟いた。
この青年の名は『ヴィント・シルフェム・ド・カエルム』
トリステイン魔法学院が誇るメイジのなかでも随一といわれるほどの実力の持ち主だ。
学年は三年生、階級はトライアングル。二つ名は『颶風』である。
尚もなき続けるルイズだが、嫌な予感がした。
灰色の髪を肩まで伸ばし、薄い緑がかかった灰色の瞳の彼をルイズは知っていた。
カエルム家はヴァリエール家と親しい間柄であった。もちろん彼の実力というのは嫌でも知っている。
特にヴィントはルイズの母『カリーヌ』のお気に入りであった。彼の話はこれでもかと言われるほど聞かされた。
時より送られてくる母からの手紙にも、ヴィントの活躍の事が綴られていることは良くあることだ。さらに、伝言も頼まれる。
「最初は、ヴァリエール嬢の使い魔ということで事勿れと見守ってきたが、ここまで我が祖国トリステインを
腐れ呼ばわりされては、見過ごすわけにはいかないな」
そう言うと、ラフィールとギーシュの中に割り入った。
その間にキュルケは泣き続けるルイズを抱きかかえ、シエスタの手を引き、いつのまにか戻っていた周囲の輪の中に入っていった。
「すまぬな、許すがよい」
「そんなもので祖国を、トリステインを貶された思いは晴れない!」
「ほう、なら何を望む?」
「僕も決闘に参加させてもらいたい!」
「待ってください、先輩!!こんな『平民』、この僕で十分です、先輩が手を煩わせなくても―― 」
しかし、ギーシュが言い終わる前にヴィントは言い放つ。
「君の自信、君は我々に対抗しうる『何か』を隠し持っているね?でないと普通の人間がここまで自信を持つはずが無い」
ほう、とラフィールは関心する。この者はできるな、と。
もっとも、その『何か』をもっていなかったとしてもラフィールは同じ行動を取っていたのだが――
「ああ、私は対抗しうる『何か』を持っているぞ。えぇい、面倒だ!
この際他に決闘に加わりたい者は加わるがよい!!私がまとめて潰してくれる!」
さっさと決闘を始めさせたい為か、大胆な行動に出た。
ラフィールはさっさとギーシュを倒したいだけだった。
この言葉を聞いてルイズは慌てた。ラフィールの自信の源である『物』について知っていたが、
ヴィントまで出てきて、さらに人が増すとさすがのラフィールでもやばいのではと思ったからである。
「誰もいないのか?そなたらの誇りとやらはそんなものなのか!」
半場呆れるラフィール。所詮はこのていどか、腰抜けどもめ!そう思っていた時だった。
「僕が参加する―― !!」
ラフィールが何かを隠し持っている事に、学生たちが恐れる中、
そこに現れたのは――
皆がヴェストリの広場へ移動していく中、食堂でキュルケはルイズとシエスタが落ち着くのを待った。
「キュ、キュルケ。ぐす、ラ、ラフィールをと、止めないと、うぅ、ラフィールが、ラフィールが殺されちゃう・・!」
「私の所為だ・・・私の所為だ・・・私がギーシュ様の・・・・ブツブツ」
「シエスタ、しっかりなさい!なんとしても私たちで止めるわよ!!」
キュルケが叫ぶ。シエスタがハっと目を覚ます。ルイズが頷く。
三人は決心した。なんとしてもラフィールを、あの無茶なアーヴの少女を助けるのだと――
455 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 21:43:17 ID:PdJ/F0J0
さてさて、こんな大騒動が起こっているのにも関わらず、教師が誰も止めに入らなかったのには訳があった。
舞台は再び学院長室に戻る。
カマベ―― いや、コルベールは泡を飛ばしながらオールド・オスマンに力説していた。
ルイズが召喚した『エルフ』は、否。オスマンは知っていた。その少女がラフィールと言うことと、
本人が『アーヴ』だと主張していることを。オスマンは知っていた、というより覗き見ていた。彼女たちの会話を。
ラフィールという麗しい少女を妄想しながらコルベールの唾をも飛ばす力説を垂れ流しながら聞いていた。
オスマンはとうの昔に、コルベールがルーンのスケッチを渡し、うんちくを話出す時に結論を出していた。
あの、麗しい黝髪の少女が『ガンダールヴ』であると。
そうと決まれば、あとは退屈であった。興奮しきったコルベールはオスマンの静止をも気にもせず、
己の考えあげたうんちくを長々と喋るのであった。唾を飛ばしながら。
ああ、早くお昼休み終わらないかな、そしたらコルベールも授業に戻り、お楽しみの一年生たちの麗しい姿が――
そう思っていた矢先であった。
ドアがノックされた。
「私です、オールド・オスマン」
「うむ、入ってくるのじゃ」
しめた、これでコルベールの拷問じみたうんちくは中断される。
ミス・ロングビルは学院長室に入るや否や報告する。
「食堂でゴタゴタがあり、このままでは決闘の可能性も出てくるとのことです」
「まったく。暇を持ち合わした貴族ほど性質が悪い生き物などおらんわい」
まさに、その通りである。オールド・オスマン。
「で、誰なんじゃ?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモンです」
「あのグラモンとこのバカ息子か、親父に似て大の女好きじゃ。おおかた、女の子の取り合いじゃろ。相手は誰じゃ?」
「ミス・ヴァリエールの使い魔の少女です」
「なんじゃと!?これはいかん!早く止めるのじゃ!!あの少女に傷でもあったら―― 」
コルベールとロングビルの視線を感じて、落ち着き直すオールド・オスマン。
おっと、いかんいかん。麗しい少女が傷つくことに慌てて、あやうく本性を現すとこだった。
「アー、コホン。では状況把握が先じゃな?」
そう言いながら杖を振った。壁にかけられた大きな鏡に食堂が映る。
ジー・・・ジジー・・・
そこで彼の使い魔ことモートソグニル<静かなる溜息>から通信が入る。
二人に気づかれ無いような小言で話すオスマン。
「どうした、<静かなる溜息>。目的地の潜伏に成功したのか?」
ジジ・・ジジー・・・
今度は視界も使い魔のそれへと切り替わる。
そこは、肥溜めであった。
「どうした<静かなる溜息>?なんで肥溜めにいるんだ?私は更衣室へ行けと命じたはずだが―― 」
そこへ鼻歌交じりの、中年男の声が聞こえてきた。
オスマンまじ無能w
書き手が悪趣味なだけだな
軍務の途中で拉致されて起こらない温厚なアブリアルといえども
アーヴの微笑を浮かべたんだから相手を許したりしないよな。
これ他作品とのクロスでナマエが同じオリキャラ出してるわけじゃないよね。
そういうことは毒吐きで言おうな
オスマンが無能なのが意図的なのかどうかわからないが457に同意
作者ちと暴走してないか?
一応支援
正直ラフィールとして認識できない。
見事に単発IDがゾロゾロ
>>462 ゲスの勘ぐりだな
下手で悪趣味な作品には批判が付くのは当然
毒吐きってどこのことよ?
どうした?規制か。
平日なんだし別に単発IDがいてもおかしくはないが…
星界さん来るたびに荒れるな
そういうことは毒吐きで
まあ、確かに今回は避難所に投下したほうが良い作品ではあったが
>>486 どの辺が避難所向きなのか分からんから、解説頼むわ。
ゼロ使キャラの正確改変なんぞ今に始まったことじゃないだろうに。
470 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 22:03:40 ID:PdJ/F0J0
すみません、規制されました;;
毒かどうかは主観によるから何も言わん
だが、テンプレぐらいは読んでおこうな
>>469 とりあえず明らかにご不浄を覗いてる描写とか。
473 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 22:04:42 ID:PdJ/F0J0
マルトーは便秘であった。それも二週間ほどずっと。
「ったくよ〜。この魔法学院の食を司る俺様がよ〜。てめぇーの健康管理もできねぇとは情けねぇ」
よっ、といいながら戸を開け、肥溜めの一室に入る。
「だがな、今日は出そうな気がするんだな、これが!」
ズボンを脱ぐマルトー。
それがオスマンの目に入る。
な、なんじゃこれは!?
「聞こえるか!?<静かなる溜息>!応答せよ!!」
「ちゅちゅちゅ・・(ああ、聞こえているとも雇い主<マスター>)」
「こ、これは、これはどういう事だ<静かなる溜息>!!」
視界にはマルトーのふんばる姿が映る。しかも真上で。
<静かなる溜息>はその名の通り、静かな溜息を吐き、そして言う。
「ちょううちゅちゅ(ほんとにわからないのか、雇い主<マスター>?」
「ま、まさか<静かなる溜息>お前!!??」
「ちゅちゅちゅちゅう(雇い主<マスター>、あんたは今までに数多くの女の子たちを
その貪欲な欲望で貶めてきた。その報いを受ける時が来たんだ。)」
「おぉ、なんか出そう!なんか出そうだぞ!!ふんぬぅぅぅ〜〜!!」
その掛け声とともに、大きな屁が出た。
プゥゥゥ〜〜・・・
「うぅわっ臭!!!」
思わずその臭さにオスマンは叫んだ。
「どうなさったんですか、オール・オスマン!?」
突然の出来事に、食堂の様子を鏡で伺っていたミス・ロングビルが心配そうに尋ねる。コルベールもこちらを見る。
「な、なんでもないのじゃ・・・」
真っ青な顔でオスマンは誤魔化した。
なぜ、オスマンにモートソグニル<静かなる溜息>が感じた臭いが伝わったのかと言うと、
オスマンはその豊富な英知と貪欲な野望をもって、完成させたのである。
使い魔と主人の究極の感覚の共有。嗅覚、感触をありのまま、そのまま共有する『ファミリア<使い魔>』魔法を――
その偉大なる究極魔法は、本来愛おしい学院の女の子たちに卑猥極まる形で使われるはずのそれは、発動していた。
普段において<静かなる溜息>は、嗅覚においてはかなり効果を抑えて、雇い主<マスター>に伝えていた。
もし、彼<静かなる溜息>が体感している臭いをそのままオスマンに伝えていたら、
いかなオスマンと言えども、麗しい女の子たちのあれな臭いには耐え切れず、倒れるであろう――
自分で書いて自分で貶して
一次ならともかく二次創作でそれはどうよ、って言ってんだよ
これは避難所行きだろう・・・下品すぎるよ
476 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 22:06:47 ID:PdJ/F0J0
「お、おぉぉ・・・今度こそ、今度こそ出るぞ!?」
マルトーは歓声をあげながら、己が二週間にも貯め込んだ結晶を出さんがばかりにふんばる。
「やめるんだ!<静かなる溜息>・・・やめてくれ!!」
「フンゥオオオーッ!!?」
「<静かなる溜息>!!やめてくれ!頼む!!!!」
「オォォォ〜ッ?!!」
「ちゅちゅちゅ・・・(雇い主<マスター>こんど生まれ変って会ったときは、一緒に『アンブローシア』を食べよう・・)」
「アッーーーーーーー!?」
職人マルトーの快感の絶叫。
ちゅちゅちゅ、ちゅうちゅうちゅ・・・ちゅちゅ!!ちゅう!!ちゅー・・・!!
(今まで、数多の卑猥な行いをしてきた。少女たちよ、許せとは言わない。だが、俺はただ謝りたい・・・己がしてきた行為を・・
嗅覚伝達リミッター解除!!伝達レベル100倍!!さらばだ、雇い主<マスター>・・・!!)
マルトーが『あれ』を放つ瞬間、張り付いていた壁を蹴り、仰向けで大文字を空中でつくり<静かなる溜息>は待ち構えた。
「「「「やめろぉぉぉぉぉぉおぉヲォォぉぉおおぉーーっっっ!!!!」」」」
ぶりぶりぶいぶりゅ〜〜〜〜ぶひっ!!!ぶりぶりぶりーーーーーーー!!
黒く、どことなく赤が混じったそれは、まさに濁流が如く押寄せる。
オスマンはそのあまりにも臭すぎる臭いに意識を失いつつも、
視界に移るその風景をスローモーションで見ているかのように見ていた。
それは、まるで天からふりそそぐものがすべてを滅ぼす――かのように、オスマンの汚れきった瞳に、そして心に焼きついた――
ちゃぽん。肥溜めの底に落ちたようだ。そこで、オスマンの意識は途絶えた――
「「オールド・オスマン!!??」」
コルベールとミス・ロングビルは困惑した。
オスマン氏が突然叫びながら、白目を剥き、泡を大量に吐き出し倒れたのである。
「は、はやく他の先生方に!!私は保健室に運びます!!!!」
コルベールは慌てながらミス・ロングビルに指示をする。
「は、はい!!!!」
そして、食堂の騒動は忘れ去られたのである。
しかし、それが後で重大な事件になろうとは、誰も知る由がなかった――
ああこりゃ避難所向きだわ
>>474 スレのルールも守れない奴が偉そうに語るな
これは酷いな
単発IDが毒を吐きまくり
あまつさえ非難所の存在さえ知らない
とっくに夏休みは終わったぞ
481 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 22:08:44 ID:PdJ/F0J0
すみません、すみません、ほんとにすみません;;
避難所、海外規制で書き込めなかったんです;;
やはり駄目でしたか。板汚し、ほんとうにもうしわけない。
下品だから避難所向き…と、書こうとしたが作者が事前にスルーしてくれと書いてることを思い出した
だが…いくらなんでも少し度が過ぎてないか?
>>481 うん、ちょっと描写がね…完全にNGだわ
だがまあ、単発かそうでないかは別としても、避難所でやって欲しいと思ったことは確か。
議論も星海さんの投下も。
確かに非難所向きな内容だったが単発IDが酷いな
同じやつかは知らないが毎回粘着してるやつがいるぞ
次から自重してくれるのならそれでよかろうなのだ
まあドンマイ
488 :
星界の使い魔:2007/09/04(火) 22:12:56 ID:PdJ/F0J0
いやぁ、ほんとうにすみません;;
今オーストラリアにいるんで、避難所に書き込めなくて
ここに投稿しちゃえ、と思い切ってやってしまいました;;
>>481 あなたは自分でこういうの読んで平気なの?
もう少し読んでる人に配慮してほしかった。
星界の原作はこういった描写がある話なのか?
原作を読もうかと思っていたんだが、大丈夫だよね?
スカトロの紋章
>>490 つ鏡
まあ次からは気をつけておけばいいのでは
>>495 お前こそ自分のレスを省みろよ
単発IDにレッテル貼らなきゃ俺もここでレスしないで済んだんだ
本人も反省してるみたいだし、許してあげようや
と、いうわけで話題変えようかと思うんだが
草薙素子を召喚とか…流石に無理があるかな?電脳世界無いから
とりあえず鮫の話でもしようぜ
「トリステイン魔法学院2年 、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。ただの平民には興味ありません。この宇宙の果てのどこかに宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。」
>>491 こんな描写はない。
PdJ/F0J0の芸風なのだろう。
本スレで公開するのはどうかって回だけでも避難所という選択支は無かったのか。
正直元ネタ好きなだけにちょっとねえ。
どうも知らない人が多そうだが書いとくが、
毒吐きはもちろんだけど
議論も避難所なー。
鮫島事件の犯人を召喚
犯人はヤス
批評は真っ直ぐに言うべきだが、毒吐きと間違えるようなら自重した方がマシ、ってね
というか海外からは書き込めないなんて初めて知った
少佐かー。キャラ的には面白そうなんだが。ネットが無い世界ではただのメスゴリラだかんなぁ。
あと機械キャラに付いて回る「補給と整備」をどう解決するかが問題か。
>>499 先生!才人は宇宙人ですか異世界人ですか?
>>500 「アーヴも(排泄行為を)するんだ」的な場面はあるけどなw