【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 4【一般】
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{ {rヘ,. -ー‐}/‐- ._
/ヽ `ヽノ ヽ`ヽ、
/ / ヽ \ \ i |、ヽ ローゼンメイデン第2ドール金糸雀が、
/ ///\、 \ \ l | ヽ ヽ 楽して、ズルして
>>2ゲットかしら♪_
,' /// \、 \ n」^Y7ァ、ハ / }
l./// \\ 」 f⌒<_心rトヘT7┐ _ ,. '´ /
!_彡 u ヽ、 \辷{ _,>ェ<´_ ̄}_〈 / }‐-、,. '´ /
,亟 >;==、、 く.〈_ {仁ト廻ノ}コ} {_」 _ノY ノ<⌒ヽ <
{./!. {〈 ;::::::}.! ,.二幺L ̄l7< ̄r<ノ ,.イノ レ \ 、 V ノ、
_,./イ | ゝ-'′ /::::ヽVL>《、__,》┘´ /, 〉 | } }.ゝ┘ノ ,ノ
rく |/、 ゝ! /// ' 廴':ノ } /!| 》 《r<}//-‐L_ 「 く {二 ‐ ノ
<ヽ\>''´ 、 「 ̄ 7 /// .イ._||_rへハ〈 =辷. ト、_,.しイ 〉
匸`ヽ∨_,.へ、\ ヽ ノ /ヲ|! リ // 〉〉 〉 K 人 〈 | )
(( >'´ ̄ r===、ー- _,. ィ.三ニ{_ ∨ // V/ ヽ ) __ ノノ {
/ / ||__/__,>ェェ====、-∠( /| |二 ー∨ ヘ ∨ Y V
rへ、{_ /  ̄{ / 8 ||\ | ||二Z /| |_>、__ ヽ、└く_/_ ノ_ノ
二ヽ、__>-; 、二} /! /‐- 、__||_\!_」|ニて_ノ-‐⌒ヽ!  ̄ ̄ \__ァ‐'⌒ ̄
>>1スレ立てご苦労様かしら〜♪
>>3っちゃん、ほっぺがまさちゅーせっちゅぅ!!!
>>4様ステキ?かしら〜♪
雛いち
>>5は、ガキンチョかしら〜♪
ジュンは昼間からゴロゴ
>>6してるかしら〜♪
>>7−ジャは在庫ちゃんかしら〜♪
翠星石は
>>8ったりかましてるかしら〜♪
真
>>9はオバカさんかしら〜♪
水銀
>>10はジャンクかしら〜♪
>11-1000は、卵焼きちょうだいかしら〜♪
山本少年が病院を出ると、澄み渡った秋晴れの空と、不吉な黒尽くめの青年が待っていた。白崎である。
路肩に停めた白いワンボックスにもたれ掛かっていた葬儀屋は、あの人なつっこい笑顔で片手を上げた。
「今から学校ですか」
「え、あ、いや、今日は……」
「では、良ければ、お茶でもご一緒しませんか」
白崎は、曖昧な態度を取る山本を半ば強引に助手席に乗せて、昼前の疎らな国道を走り出した。
「いやあ、先程は申し訳ありません。驚かせちゃいましたか」
あはは、と軽い笑い声を上げる葬儀屋に、両手をギプスで固めた不幸な学生はささやかな反撃を試みた。
「いえ。でも、いいんですか、待合室なんかに出入りして。失礼ですが、俺、白崎さんのこと、
少なくとも病院ではお見かけした記憶がないんですけど、もしかして……」
途中で窄まってしまったが、言わんとしていることは伝わった。若い葬儀屋は、ニッと白い歯を見せて笑った。
「正解。実は僕、もぐりなんです。君は、あの病院でボランティアをされて長いそうですね。感心感心」
葬儀業自体には監督官庁が存在せず、運送業務や割賦販売などを除き役所の許認可を必要としないが、
病院の敷地内で営業を行えるのは、当然、病院の信用を得た指定業者のみである。笑い事ではなかった。
「下手したら不法侵入じゃないですか」
「いやあ、自慢しちゃいますと、僕って危機回避力だけはあるんですよ。もうすぐ免許の更新なんですけど、
このままゴールド頂けそうな勢いで……って、ああ、車の免許証の話ですけどね」
市バスの後ろをゆるゆると付けながら、へらへらと嘯いていた。神に仕える少年は、それ以上追求しなかった。
「はあ。でしたら、また、どうしてあちらに」
「ええ、整形の梅岡先生に、先日運び込まれたマグロ、ではなくて、救急外来の方のことを覗おうと思いまして。
踏切事故だったとは存じ上げているのですが」
「それはお気の毒に。で、白崎さんが、その方のご葬儀を引き受けられようと?」
山本が仰々しく包帯巻きの右手で十字を切ったが、白崎の答えは意外なものだった。
「いえ、残念ながら、と言っては不謹慎ですけど、その患者さん、亡くなっておられないんですよ。
それどころか、病棟から抜け出してしまうほどお元気だそうで」
「え?」
「まあ、それはともかく、先程のお話の続きをよろしいですか。ローゼンメイデンのことです。
ご存じない方にこのお話をすると、僕、頭がおかしい人だと思われちゃいますから、一応お尋ねします。
山本君は、その患者さんとご一緒に礼拝堂に忍び込んで、ちょっと不思議な人形をご覧になりましたね」
白崎はハンドルを握ったまま、あの夜の出来事を見ていたかのように言った。山本は顔面蒼白だった。
「そこまで知ってて、なんでわざわざ……」
「いえね、そのお話に出てくるボランティアの方を、山田君というお名前で覗ってたもので。
僕なりに考えたところ、それ山本君の事ではないかなと思ったんですが、あ、やっぱり正解でした?」
あはは、と軽い笑い声を上げる謎の青年につられて、山本もまた、ぎこちなく笑った。
第4話 茶家 die Teekennerin
褐葉したマロニエのあるカフェテラスは、平日なのにサラリーマンの姿がなく、ほぼ女性客に占められていた。
男二人連れは苦笑いしつつ丸テーブルの席に着き、おもむろに会話を始めた。
「ローゼンメイデン、でしたっけ。何だか、ヘビメタバンドみたいな名前ですね」
「ですね。でも、このスカンジナビアのアンティークはもっと古いものです。その存在が世に知られたのは、
ヨーロッパでビスクドールが流行した19世紀以前。一説には、あのナポレオンに献上された品だとか」
「え。というと、日本で作られたものじゃないんですか?」
「その可能性もありますよ。作者の人形師ローゼンは、生没年、人種、経歴の一切が謎ですからね。
ローゼンは、無名工房の職人たちが用いた共同名とも、彼の存在自体が後世の創作とも言われています。
確かなのは、彼の一般作品が真作偽作を問わず、概ね北欧で発見されているということです」
白崎の滑舌の良さに、山本は途惑いを隠さなかった。なぜ葬儀屋がそんな話をするのか。
「何というか、お詳しいですね」
「いやあ、全部ネットで仕入れた情報です。山本君も、お怪我が良くなったらぜひご覧になってみてください」
会話が一段落付いたのを見計らったように、ギャルソンが「Bonjour. いらっしゃいませ」と注文を伺いに来た。
白崎はエスプレッソを、手の使えない山本はやや迷ってアイスティーを注文した。
「Tres bien, merci. ごゆっくり、どうぞ」
どうやら、青い目の彼はフランス人らしい。女性客が集まるわけである。
山本はそのギャルソンが離れるのを待ってから、再び口を開いた。
「あっ、どうしてアレが国産かと思ったかというと、日本語だったんです。その、つまり……」
「人形が、日本語を話していたと」
白崎は事も無げに、非現実的なことを言った。「驚かないんですか」と尋ねた山本の方が余程驚いていた。
「だって、いまの店員さんも、それに君の所の神父様も、日本語がお上手ではありませんか」
「そうじゃなくて、喋る事自体にですよ。大きな声じゃ言えませんけど、絶対悪魔か何かが憑いてますよ」
「では、日本人の霊かも知れませんねぇ。良ければ、どんなお話をされたのか、教えていただけませんか」
「はあ。ええと、何というか、おバカさん、って言われました」
山本が告白すると、白崎は手で口を覆って失笑した。ひとしきり笑って、カニ目の眼鏡を押し上げた。
「……いやあ、ごめんごめん。ありがとうございました」
「どうも。というか、外国で普通に出回ってるローゼンメイデンは、当然喋ったりしないんですよね」
「もちろん、世に知られるローゼン作品は、どんなに精巧な自動人形といえども、口を聞いたりしません。
中には内部にふいごが組み込まれていて、パパやらママやら、簡単な音声を発するものもありますが……、
伝説のローゼンメイデンシリーズは、それらとは別格のものです」
山本は、ギプスで固めた両腕を組もうとする動作をして、結局、諦めた。
「シリーズ、ですか」
山本が俯き加減に考え込んでいると、「お待たせ」と若くない女が近づいてきた。白崎がさっと立ち上がった。
「いやあ、佐原さん、せっかくのお休みのところ、まことに申し訳ございません。さ、ささ、どうぞこちらへ」
と、ぺこぺこ頭を下げて、女のために白木の椅子を引いた。このカフェは待ち合わせ場所だったようだ。
女は四十がらみのしっかりとした容貌と体型に、よそ行きっぽいメイクとベージュのスーツを纏っていた。
「いいのよ、白崎君の為だもの。あら、この子が山田君? まあまあ、大丈夫? 痛くなあい?」
山本はすっかり面食らった様子で、「はあ」やら「どうも」としか返さなかった。
「やっぱりお二人とも、ご面識がおありでないのかな。えー、山本君、こちらは佐原さんと仰いまして、
有栖川の循内の師長であられる、僕の白衣の天使様です」
「もう、やあねえ、白崎君ったら」
とにかく、佐原の職業は看護師とのことだった。葬儀屋と看護師との関係と言えば、相場は決まっていた。
腰を落ち着けた佐原は「Bonjour, monsieur!」などと、常連っぽくギャルソンを呼んでコーヒーを注文した。
その後は飲み物を楽しみながら、専ら佐原が、スペイン語教室に通い始めたが時間がないだの、
海外旅行をしたいがやはり時間がないだのと愚痴を溢し、白崎が相づちを打つばかりだった。
ビジネスの話に入ったのは、カフェを後にして、堂々と路駐してあった白崎の車に収まってからだった。
山本は助手席を遠慮して、ストレッチャーや仏式の小さな祭壇などと一緒に後部座席に埋もれた。
「柴崎のおばあちゃん、そろそろよ」
「ああ、でも、あの方、お子様がいらっしゃらないのではありませんか」
「最新情報があるのよ。これ口止めされてるんだけど、あのご主人、薔薇屋敷の執事をなさってるとか」
「ほう、薔薇屋敷とは、あの結菱の薔薇屋敷でございますか」
「そうなのよー。ひょっとしたら、大物が釣れるかも知れないわよ?」
なるほど、他愛ないオカルト話と違って、とても人前でできる相談ではなかった。しかし、山本は黙っていた。
ほくそ笑んでアクセルを踏む葬儀屋が、懺悔のために神父の養子を同乗させたとは考え難かった。
「ありがとうございます。これは、いつもより一段とお返しさせて戴かないといけませんねえ」
「そんなのいいのよ、白崎君ったら。あ、そうそう、今日は電車に轢かれかけた男の子のことだったわね。
可愛いって評判で、覚えてるスタッフが多くって、いろいろ聞けたわよ。お姉さんや彼女まで美少女だとか」
と、次に佐原は、ある少年の個人情報を暴露した。もちろん桜田ジュンのことだ。いよいよ本題だった。
「いやあ、わざわざ申し訳ございません。しかしまた、中学生のくせに彼女とは生意気ですね。ね、山本君?」
「えっ? あ、まあ。彼女がお見舞いに来てたんですか。気がつかなかっ……」
山本は言葉を途切れさせ、首を捻った。「お姉さん」は桜田のりに違いないが、「彼女」とは一体何者なのか。
「おや、何かお気づきですか」
「俺、その日、お姉さんには会ったんですけど。あの、佐原さん。その彼女のこと他に何か」
「そうねえ。その子、救急の付き添いで来たみたいで、名前も連絡先も残ってたけど、どうして?」
抜かりなく調査済みだった。佐原はハンドバッグからメモ帳を出し、あるページを後部座席の山本に示した。
そこには住所、電話番号とともに、"草笛みつ"という姓名があり──山本はもう一つ首を捻った。
「どうも、すみません。俺が知ってる子かと思ったんですけど、勘違いだったみたいです」
「そう? 向こうの詰め所で聞いた名前は他に、シスターの柿崎さんと山……山本君ね、アナタだけだったわよ。
そこが不審というか、気がかりな点なのだけど、何でも、まだ親御さんと連絡が取れてないんですって」
佐原はゴシップを楽しんでいた様子だが、山本は眉をハの字にして、喉から暗い声を押し出した。
「俺は海外出張中って聞いてますけど、電話ぐらいは通じてるかと」
「そんなところよねえ、実際は。ちょっと、話に尾ヒレが付いてる感がなきにしもあらずかしら。
あとは、そう、これ噂なんだけど、他院でナルコの治療歴があったみたいなのよ」
「すみません、ナルコ、っていうのは?」
「睡眠障害、分かりやすく言うと居眠り病かしら。神内かプシ行きだから、あたしは世話したことないけどねえ」
病院の待合室で居眠りをしていた山本は、ルームミラーの白崎と目が合って、深刻そうに溜め息をついた。
結局、それらの情報で白崎が目を付けたのは、最初に挙がったジュンの彼女こと、草笛みつだった。
「もう一度、彼女さんのご住所を拝見させて戴けますか。家出少年の潜伏先なんて、大概知れてますからね」
「白崎君も、探偵みたいな仕事までして大変ねえ。早く緑ナンバー取って、ウチの指定にならなきゃね」
「勿体ないお言葉でございます。今後ともご贔屓にお願い致しますよ?」
あはは、と軽い笑い声を上げる葬儀屋の目は、全く笑っていなかった。
善は急げとでもいうつもりか、白崎が車を走らせた先は草笛みつが住むとされるマンションだった。
時刻は正午をいくらか過ぎており、市街地は昼食を求める歩行者で賑わい始めていた。
「電車の音が聞こえますね。最寄り駅まで徒歩3分と言ったところですか」
白崎は徐行しながら窓を開け、通りに面したレンガ張り5階建ての住居を、値踏みするように見上げた。
「おや、ご覧下さい。何やら、見覚えのある方がいらっしゃいますよ」
地上に視線を戻した白崎が、同乗者たちの注意を促した。草笛みつのマンションの前で、
黒衣のシスターが、エントランスの内側を覗き込んでいたのだ。両手で、大きな四角い鞄を提げて。
「うわ、どう見ても柿崎さんですね」
白崎は彼女と示し合わせていたわけあるまいが、理由を考えれば特別に数奇な遭遇ではなかった。
佐原は分かりやすく、口を噤んだままだった。白崎は車を路肩に寄せ、歩道の柿崎に白々しく声を掛けた。
「こんにちはー。柿崎さん、こちらにお住まいだったんですかー」
「はい、入り口の暗証番号忘れちゃって……。あ、白崎さん、こんにちは」
挨拶よりも先に言い訳が返ってきた。やはりオートロックに阻まれて立ち往生していたのか。
車の窓から顔を覗かせる白崎は、柿崎の持つ革張りの鞄に、ちらちらと目が行っていた。
「水くさいなあ。桜田君をお探しなら、僕もご一緒させてくださいよ」
「そんなこと言って、白崎さんはお人形が目当てなんでしょ。あげないけど。あ、山田君、生きてたんだ」
柿崎は車に近寄って中を覗き込み、葬儀道具などと一緒に詰め込まれている山本を発見した。
尼僧から、まるで死んでいたかのように思われていた少年は、がっくり肩を落とした。
「生きてたって……、夢じゃなかったんですか、あれ」
柿崎は、気まずそうに目を背けている佐原には敢えて触れず、白崎の耳元に顔を寄せた。
「わざわざ山田君なんか連れ回してるってコトは、まだジュン君の顔も知らないのね」
「いやあ、これが学校もご家族もガードが堅くて。君も、草笛さんとやらのお顔まではご存じありませんよね」
「うん、ここで待ってても埒が明かないかも。電話かけてくれる?」
白崎は応じて、携帯電話機を胸ポケットから出し、草笛みつ宅へダイヤルして、それを柿崎に手渡した。
何やらこの二人、互いに気心が知れ合っている様子だった。柿崎は電話機を頬に当て、演技を始めた。
「もしもし、草笛さんのお宅ですか。私、お宅様と同じ名字の草笛と申します……、ええ、私も草笛なんです。
突然ごめんくださいませ、お宅様のお荷物が拙宅に届いてましたので、お返しに上がったのですが……。
ええ、草笛みつさん……。いえ、これも神様のお導きです。……あ、はい、いま下におります」
虚言を弄し終えた尼僧は、呆れ顔の葬儀屋に「貴方に神のお恵みを」と謝辞を添えて、電話機を返却した。
「どう致しまして。ただ、その方法だと、入り込めても柿崎さんおひとりではありませんか」
「じゃ、看護師さんとデートでも楽しんできたら?」
要するに邪魔だと言いたいらしい。つれなくあしらわれた白崎に、山本がおずおずと提案した。
「あの、俺、桜田さんの……ジュン君のお姉さんに聞きたいことがあるんですけど」
「仕方ありませんね。では、ここは柿崎さんにお任せしますか。どうせ、彼女さんご本人は今頃学校ですし」
妙に聞き分けのいい白崎に、柿崎は眉を顰めたが、結局口を開かず、走り去るワンボックスを見送った。
ややあって、エントランスから、眼鏡を掛けた女が現れた。「神様のお導き」が効いたのか、
女は一目で電話の主が分かったようだ。大きな鞄を持った尼僧に、引っ詰め髪の頭をもっさり下げた。
「草笛さんですね。わざわざ恐れ入りますー」
「いえ、草笛さん。神様に仕える者として当然のことです」
およそ二十代後半。紺のトレーナーにジーパン、裸足にサンダル履きと、妙齢の女性らしからぬ身なりだった。
女は、尼僧が持ってきた鞄をまじまじと見つめ、それから得心してぽんと両の掌を打ち合わせた。
「やっぱり、この鞄、ウチに間違って届いたのと同じメーカーっぽいです。ホント、凄い偶然ですね!」
「……メーカー?」
「えっと、多分同じところだと思います。飾りも大きさも見分けが……、あ、中は開けてませんから!」
尼僧の顔から笑みが失せたのを見て、女は慌てふためいた。柿崎は鋭い目付きで、女の手を見つめた。
彼女の指には、薔薇の指輪が──いや、嵌められていなかった。柿崎は口元を袖で覆って、ふっと息を漏らし、
それで堰を切ったかのように、大声を上げて笑い始めた。笑いが止まらないようで、女を唖然とさせた。
「あのう、そんなに……、というか、大丈夫ですか」
「ごめんなさい、平気よ。そう、本当に奇跡的ね。神様の思し召しのままに。アーメン」
尼僧の大げさな表現に、眼鏡の女は戸惑いと愛想笑いを返しておいて、踵を返そうとした。
「ええと、待ってて下さい。すぐ持ってきますから」
「そんな、往復させちゃ悪いわ。ね、みつさん。貴女のお荷物、お部屋までお持ちさせて下さらない?」
そんな押しつけがましい善意に対して、草笛みつは曖昧に頷き、拒否しなかった。
さて、佐原看護師の情報によれば、草笛みつなる"美少女"が桜田少年の入院に付き添っていたそうだ。
情報の不足、見落とし、誤認、捏造、考え得る可能性は多々あるが、ひとつだけ確かなのは、
このそばかす面の女性が"美少女"に化ける見込みはほとんどないと言うことだった。
ただ、柿崎は、桜田少年や彼の事故、入院の経緯などについて、すぐさま聞き出そうとしなかった。
「ねえ、みつさん。実は貴女に謝らなきゃいけないことがあるの」
エレベーターの中で、尼僧がそんなことを言い出すと、草笛は不安そうに顔を強ばらせた。
「はい?」
「今朝、お荷物を見付けたとき、どなたの物か分からなかったから、中を見てしまったの。ごめんなさい」
尼僧の謝罪は以上だった。草笛は、別に災厄に見舞われたわけでもなかったので、ほっと胸をなで下ろした。
エレベーターを4階で降り、細くて暗い通路を先導しながら、尼僧の判断を支持した。
「あの、それ、シスターさん……草笛さんは悪くないと思いますよ。普通、そうしません?」
「私のことは、めぐ、って呼んで。ね、みつさん」
「それで、めぐさんは、中を見て私のだって分かったんですよね」
「ええ、貴女宛のメッセージカードが入ってたの。To Mitsu Kusabue, from Jun Sakurada with love」
柿崎は、また在りもしないものをでっち上げて、背後から草笛の様子を窺った。
「えっ、なんですかそれ。プレゼント?」
やはりというべきか、草笛は"Jun Sakurada"の名前に反応せず、気味悪がって口元を手で覆った。
自室の前まで戻り、ドアのノブに手を掛けたところで、もう一度尼僧に尋ねた。
「あのう、もしかしてその箱の中、人形が入ってませんでした?」
「金糸雀。いつものお願い」
瞬間、甲高いバイオリンの音色がコンクリートに反響し、草笛はノブを掴んだまま、目を見開いて硬直した。
尼僧の鞄の中に潜む人形に、弦楽器の魔力で体の自由を奪われたなどとは、夢にも思うまい。
ともかく、柿崎は勝手にドアを開けて、固まった草笛を中に押し込み、土足で部屋に上がり込んだ。
「ん……」
不法侵入者は、まず袖で顔の下半分を覆った。室内は暗く、換気が悪いのかカビっぽい臭いが充満していた。
ダイニング前の廊下に積まれたゴミ袋の上に鞄を放り出し、カーテンの閉め切られたリビングへと進んだ。
その中央には、まだ秋口なのに、堂々とこたつが鎮座していた。まあ、座卓として用いられているのだろう。
卓上には、雑誌、ティーカップ、除光液、ゲーム機、ドライヤー、カップ麺の容器──等々が所狭しと並んでいた。
「ちょっと! ゴミの上に捨てることはないんじゃないかしら!」
持参した人形の抗議は当然無視して、まずカーテンと窓を全開にした。改めて部屋を見渡すと、
足の踏み場がないという程ではないが、片付け下手な女の一人暮らしの様子が浮き彫りとなった。
部屋干ししてある洗濯物の種類と数からも、他に住人がいないことを推理できた。
「油断しちゃダメよ。貴女の姉妹が起きてるかもしれないのに」
「ううっ、この薔薇乙女一の知能犯が、押し込み強盗に成り下がるなんて」
金糸雀が手近にこたつ布団をまくり上げ、人工精霊の光で照らすと、それはあっさり見つかった。
「やったわ、ピチカート!」
草笛が言ったとおり、飾りも大きさも、金糸雀のものと見分けがつかない革張りの鞄である。
ちなみに、こたつの下は丸まった靴下やら何やらの収納スペースと化していたが、詳しく触れないでおく。
「んーっ、この重さ、まだ中で寝てるのかしらぁ!」
「お手柄よ、カナ。ご褒美に、そこのカップラーメンの残り汁あげる」
柿崎は、使い魔によって引っ張り出された鞄の前にしゃがみこみ、早速、躊躇も遠慮もなく蓋を開けた。
馥郁たる花の香りと共に、鮮やかな緋色のドレスを纏った少女人形が、その寝姿を露わにした。
「待っ、心の準備が……って、真紅!」
金糸雀の声が裏返った。背を丸めて胎児のごとく眠る赤い人形に、黄色い小鳥は明らかに脅えていた。
柿崎は構わず、人形の金髪を乱暴に掴んで引っ張り上げた。目を閉ざしたまま、動き出す気配はなかった。
「へえ、これが真紅? このごろ、いろんな自動人形を見てきたけど、これが一番高く売れそうね」
彼女らが言う「真紅」とは、人形を包むベルベットのことではなく、人形の名前であるようだ。
柿崎が高く売れそう評した真紅という人形の装いは、前述の通り華やかな色の素材を用いながらも、
胸元をケープで覆い、襟首すらコサージュ付きのリボンで隠し、スカートは足首にまで届く長い丈、
長く美しい金髪にもボンネットを被せた、ビクトリア朝時代の貴族の婦女子を思わせる潔癖なものだった。
「真紅を、あの人間に売っちゃうつもりかしら?」
「私、人形なんて興味ないもの。でも、もし悪魔だったら……。ふふふ、きっちり審判しなくちゃ」
尼僧は邪悪な笑いに、頬を歪めた。眠る人形の、白いソックスに焦げ茶のリボンを巻いた踵を掴んで、
鞄から引きずり出し、窓のないダイニングキッチンへと向かった。
「火あぶりにして、燃えなかったら悪魔、燃えたらただのお人形ってことで」
「はいはい。燃えたら売り物にならないんじゃないかしら」
金糸雀は止めなかった。暗くて判りにくかったが、そのキッチンに備えられていたのは電磁調理器だった。
住人は普段、料理をしないらしく、廊下との境にゴミ袋が積んであることを除けば、意外と不潔な感はなかった。
「ここ、ガスコンロじゃないのね。ねえ、カナ、マッチ持ってる?」
「持ってないわ。水銀燈だったら、火あぶりとか得意なんだけど」
「じゃ、もういい。後は貴女に任せるね」
「ふぇっ?」
柿崎はあっさり火遊びを諦め、赤い人形をゴミ山に放り捨てて、リビングに引き返していった。
もともと、彼女がこの部屋に侵入した目的は他にあり、偶然発見した人形はそのついででしかなかったのだ。
そのとき部屋の奥から、柿崎とすれ違って、廊下を赤く照らす燐光がすうっと飛んできた。真紅の人工精霊か。
柿崎は見向きもしなかったが、その従僕は大いにうろたえた。
「ホーリエ!? カナはまだなにも……!」
赤い燐光は金糸雀の頭上を素通りし、ゴミの上に伏せる真紅の背に潜り込んだ。カチ、と音が鳴った。
金糸雀は、怖々と、姉妹人形を見上げた。どんなに乱暴に扱われても指一本動かさなかった真紅が、
彼女の人工精霊との接触でスイッチが入ったのか、キリキリと嫌な音を立て始めた。
「これって、やっぱりアレなのかしら、ピチカートぉ」
金糸雀は跳び退いて、起きあがる真紅に注意しつつ、玄関に倒れている人間の女を横目で見た。
「さっきの様子じゃ、この人間は真紅が薔薇乙女だということを知らないハズ。ネジは巻かれてない。つまり……。
恐れることはないわ、金糸雀。私は、薔薇乙女一の陰謀家。まずは笑顔でご挨拶よ」
微かな光を放ち、宙に浮かんだ真紅は、背筋を真っ直ぐ伸ばし、ガサリと、ゴミ山の上に降り立った。
そして、ついにその青い眼を開き、黄金の人工精霊を従えて身構える金糸雀を見下ろした。
「この無礼者」
「お久しぶりかしら……って、えっ?」
「貴女、身動きが取れないのを良いことに、この私をローストしようとしたわね」
と、いきなり真紅は凛然たる美声で姉妹を糾弾した。何と、動かない間もしっかり意識があったのだ。
金糸雀は完全に機先を制され、俯き加減に「あの人、いつも口ばかりだから」と言い訳をした。
「お黙りなさい。またしても人間の下僕に成り下がってるなんて、この恥知らず」
「そんなの、カナだって……」
気弱な姉妹が口籠もると、このいかにも気位の高そうな人形は、ふっと息をついてゴミの上から飛び下りた。
やや背の低い金糸雀と並び立ってその肩に手を置き、一転して、柔らかく微笑みかけた。
「お久しぶりね、金糸雀。あれから何時間経ったのかしら」
「あ、うん、50万時間ぶりくらいかしら」
寛恕を得た金糸雀は、上目遣いで真紅に微笑み返した。覆しようのない姉妹の関係が、そこには存在した。
真紅は、袋詰めされたゴミの山と、ゴミのように転がっている人間を改めて視認し、眉根を寄せて鼻を抓んだ。
「ここは空気が澱んでいて、再会を喜ぶのに相応しい場所ではないわね。それに……」
緋色のドレスをひとつはたいて、リビングと廊下を隔てるガラスドアに、冷ややかな青い瞳を向けた。
「貴女が無理矢理に従属させられているというのなら、あの人間、この真紅が倒してあげてもいいのだけど」
その真紅の囁きに、金糸雀はかっと目を見開いた。真紅から一歩離れ、手の甲で額の汗を拭う仕草をした。
「何を言ってるのかしら。あの人はピチカートに選ばれて、カナのネジを巻いてくれたパートナーよ」
「そう。残念だけど、貴女、ジャンクにされるわ」
ジャンク。その単語に、金糸雀の矮躯がぶるっと震えた。しかし、同時に、小さな唇は左右につり上がった。
「今、真紅が動いてられるのは、前のマスターにネジを巻いて貰ったときの余力かしら。……ピチカート!」
金糸雀が叫ぶと、彼女の鞄からあのパラソルが飛び出した。それは空中でピチカートと合体し、
小さなバイオリンへと変じて、持ち主の手中に収まった。その行動に真紅が気色ばんだ。
「まさか、もうゲームは始まっているというの?」
「そうよ。だから、今パートナーを失うわけにはいかないわ。第一、その体で何が出来るっていうのかしら。
……でも、真紅。私と真紅とが組めば、その時点で、最後に残る二人が決まるんじゃないかしら」
金糸雀は、バイオリンをギターのように腰に構え、張り詰めたE線を、ピン、と指で抓んでピチカートした。
暗がりに澄んだ音が響いたが、特に何かが起こった様子もなく、真紅はやれやれと両手を広げた。
「この私を利用しようなんて、虫の良い提案だこと。当然、私が主人で、貴女が家来よ」
「せめて参謀って呼んでくれないかしら」
「どうしてもと言うなら、召使いでも奴隷でも構わなくてよ」
二体の人形は一歩距離を置いたまま、互いに目笑を交わした。そして、場を支配していた緊張が解けた。
「そっ、それじゃ、カナが真紅の鞄を取ってきてあげようかしら!」
金糸雀は元気よく挙手し、自分の鞄を拾ってリビングへと走っていった。
「あら、気が利くわね。ついでに紅茶を淹れて頂戴。鞄に私のティーセットが……金糸雀?」
真紅の新たな家来への命令は、最後まで声にならなかった。金糸雀はガラスドアを開けてリビングに入り、
乱雑に物の置かれたこたつの上に飛び乗ったのだが、それらの動作に全く音が伴っていなかったのだ。
「金糸雀!」
真紅は異変を察知し姉妹を追った。が、廊下の半ばで、目に見えない綿のような何かに全身を包まれ、
押し戻されて尻餅をついた。それは真紅との衝突によって波打ち、リビングの景色を揺らめかせた。
「空気の壁……さっきのピチカートで!?」
真紅を見下ろす位置に立った金糸雀が、右腕を垂直に掲げると、その手にバイオリンの弓が出現した。
「こんな悲しい事ってあるかしら。真紅が言ったとおり、カナはジャンクにされちゃうかもしれないわ。
あの人の命令に逆らったりしたら……なんて言ったところで、どうせ聞こえてないかしら」
真紅に対し半身に構え、顎と肩とでバイオリンを挟み、その弦の上にゆっくりと弓を乗せた。
「24のカプリッチオ、第16番ト短調」
静から動へ。運弓に特化した人形の関節が奏でる、優雅にして鬼気迫るプレスト。
解放された窓から、室内の許容量を超えた空気が吸入され、奏者の像をさらに歪ませた。
金糸雀の奏でる狂おしいまでの奇想曲は、空気の障壁を隔てた真紅側にも微かに届いていた。
真紅から見て、右手はダイニングルームであり、背後は玄関である。逃げ場はあったが、問題もあった。
彼女の足元には、人間の雌が目を開けたまま倒れていたのだ。真紅は不本意そうに溜め息を吐いて、
人間の傍らに屈み込み、その左手の薬指に、薔薇の意匠のある契約の指輪を嵌めた。
「目覚めなさい、人間。私は薔薇乙女のドール、真紅。お前の名前は?」
耳を掴んで声を吹き込むと、微かではあったが「みつ……」と反応があった。
「では、みつ。その左手の指輪に誓いなさい。この真紅の忠実なる下僕となり、私のローザミスティカを護ると。
誓いなさい。もう時間がないのだわ。さっさと誓いなさい。誓わないと死ぬ」
執拗な囁きによって、草笛の意識が回復すると、彼女は赤い服の西洋人形と目を合わせ──絶叫した。
「ひいっ! すいません! 誓います誓いますゥ!」
不条理な脅迫にあっさり屈した瞬間、契約の指輪が目も眩む赤い閃光を発した。
同時に、金糸雀の魔曲によって圧縮された大気が弾け、狭隘な廊下に閉じこめられた真紅らを襲撃した。
昼食時のマンションに、突如として爆音が轟き、在宅の何人かが戸外に飛び出した。
そのうち4階に住むとある婦人は、不幸にも事件直後の現場に遭遇し、おたまを手にしたまま立ちつくした。
草笛の部屋に面する通路には、剥離した建材が粉塵と化して、濛々と立ちこめていた。
瓦礫のみならず、コンビニ弁当やペットボトルのゴミが散乱し、その上に外れた玄関ドアが覆い被さっていた。
と、いきなりそのドアが勢いよく跳ね上がった。下から現れたのは、赤い光を帯びて横たわる女と、
赤いドレスを纏った西洋人形だった。人形はドレスの埃をはたきながら、ぶつぶつ独り言を呟いた。
「流石にゴミ袋のクッションじゃ、気休めにもならないわね」
そんな超現実的光景に出くわした婦人は、救急車がどうのと呟いた後、白目を剥いてひっくり返った。
女性が落としたおたまが、からんと目の前に転がってくると、真紅は遠慮なく拝借して、軽く素振りした。
あの気違いじみた旋律は未だ途絶えず、空気の障壁が一度消滅したことにより、大音量で響くようになった。
部屋の奥では、爆風の余波に少しだけ散らかったこたつの上で、金糸雀がその弓に二の矢を番えていた。
「何てしぶといのかしら! でも計算通り! 媒介になりうる人間さえ潰れてしまえば……!」
「お前、選択を誤ったわね」
真紅はおたまをサーベルのように右手で構え、一歩だけ室内に踏み込んだ。そこで、いつの間にか、
黒いベールをはためかせる尼僧が、金糸雀の背後に立っているのを目に留めた。
「ねえ、金糸雀。今、この家のパソコンを調べてたんだけど、いきなり電源が落ちちゃったのよ」
「そんなことより、今は真紅との戦いの……」
「うるさい」
振り返りもせず演奏し続ける金糸雀の尻を、柿崎は勢いよく蹴り飛ばした。
魔曲によって蓄えられ始めていた空気の塊が、制御を失って暴発し、一瞬にしてリビングが損壊したが、
柿崎はそのような現象などお構いなしに、壁まで吹っ飛んだ金糸雀に詰め寄った。
「何勘違いしてんのよ、この土クレが。誰が私の邪魔しろって言った? あァッ!?」
ついに尼僧が本性を現した。口汚く罵声を浴びせ、呆然と座る人形の鳩尾に容赦なく爪先をねじ込んだ。
「ごめっ……許し……!」
「死ね! 死んじまえッ!」
顔面を蹴り、バイオリンをへし折り、また腹を蹴った。度を超した制裁は人形が動かなくなるまで、
──続かなかった。ある瞬間、金糸雀の姿が掻き消え、柿崎のローファーは空振りした。
「それぐらいにしておきなさい。ドールをなぶり者にするなんて、見苦しいったらないわ」
見かねた真紅が、横から姉妹を救い出したのだ。赤いドレスの人形は、ガタガタ震える金糸雀を片手に抱き、
尼僧に向かっておたまを突きだした。柿崎は天井を睨んで舌打ちしておいて、にっこり不自然な笑みを作った。
「ごめんね、せっかくの姉妹の殺し合いを邪魔しちゃって。さ、続けて」
「流石、金糸雀の媒介ね。常軌を逸してるわ」
もちろん真紅は狂人の勧めに取り合わず、比較的被害の少ないダイニングルームへと金糸雀を連行して、
二人がけの丸テーブルに着かせた。小さな楽士は、ただの人形に成り果ててしまったかのように無抵抗だった。
部屋の主改め、真紅の下僕は、玄関先で失神していた。指輪の力に守られたらしく肉体的外傷はなかった。
寝苦しげなそばかす面に、真紅がおたまを押し付けてやると、彼女は跳ね起きて周囲を見回したが、
まだ半分目が閉じており、再びその場で横になろうとした。真紅はもう一度、おたまで顔面を突いた。
「ちょっとお前、いい加減に起きなさい。夢と現実の区別も付かないの?」
草笛が寝ぼけて「おばあちゃん?」などと呟くと、とうとう真紅は草笛の引っ詰め髪をぽかりと殴った。
低く唸って頭を擡げた草笛は、廃墟と化した自宅に気づいて悲鳴を上げた。が、真紅は対応は冷酷だった。
「家が壊れたぐらいで大袈裟ね。そんなことより、紅茶を淹れて頂戴。10分以内に」
「……え、ロボット?」
「お前、自分の主人の顔も忘れてしまったのね。ああ、情けなくて涙も出ないわ」
そう嘆いた真紅よりも、草笛の方が涙目だった。そこに暗いダイニングから、尼僧の馴れ馴れしい声が掛かった。
「ねえ、真紅。お茶はムリなんじゃない。配電が切れちゃってるもの」
そう。玄関上の配電盤は破壊され、切れたケーブルが飛び出し、家電どころか照明すら使えない有様だった。
「あっ、めぐさん、助け……」
「元はと言えば、金糸雀に対する貴女の躾がなっていないせいよ。やれやれだわ」
真紅が人差し指を振ると、草笛の指輪が赤く輝き、持ち主は右手で押さえて「熱っ」と呻いた。
驚くのはその次の出来事だった。散乱した瓦礫が宙に浮かび、映像を逆再生したように壁や天井に吸着され、
部屋はすっかり元通りに修復されてしまった(ゴミ袋の山も含むが)。これには柿崎も手を叩いて感心した。
「へえ。これって、貴女の力? 幻術、ってわけじゃなさそうね」
「さあ、どうかしらね。私も、貴女には聞きたいことが山ほどあるわ。そこに掛けて頂戴」
真紅は柿崎にダイニングの席を勧め、腰を抜かした草笛をおたまで追いやってキッチンに立たせた。
草笛も、"めぐ"と名乗ったシスターが尋常の者でないと悟ったらしく、怪奇人形と睨み合う彼女を避けて通り、
シスターの向かいにもう一体、壊れたバイオリンを抱いた人形が座っていても、見て見ぬふりをした。
唯唯諾諾と命令に従って棚から紅茶の缶を取ると、早速、真紅がそれをチェックさせるよう要求してきた。
「アッサムはディクサム茶園の秋摘み、FOP。悪くない選択ね。忘れずミルクを付けなさい」
草笛はしゃくり上げつつ冷蔵庫を開き、幸運にも用意のあった牛乳パックとペットボトルの水を取り出した。
すると今度は、「あら、その水は何なの?」などと姑のごとく目を光らせてきた。
「あの……、紅茶用の超軟水……だけど」
「不正解よ。軟らかすぎる水は、秋摘みの葉の渋みを出し過ぎてしまうわ。この場合は、水道の水で充分。
茶葉と同じように、水やミルク、茶器やお菓子も、ただ高価な物ではなく、条件に適した物を選びなさい」
女主人が女中を教育して悦に入ってる間に、どこからか消防車のサイレンの音が近づいてきた。
考えてみれば、現場は間違いなくこの部屋だ。住人の誰かが通報したのだろう。柿崎はそそくさと席を立った。
「バイバイ。次に来るときはアンタたち、死んでるからね」
意味不明な挨拶をして、真紅が引き留める間もなく、玄関から逃走していった。最初からそうしなかったあたり、
この尼僧の方でも真紅に聞きたいことがあったのかも知れなかった。金糸雀は置き去りにされた。
夕刻。町外れの小ぢんまりとした教会に、両手にスーパーの買い物袋を提げた柿崎が帰ると、
門前の路上には、白いワンボックスカーが停まっていた。言うまでもなく白崎の車だ。
同じく路上で、腕に箒を括った山本少年が、隣の公園から風に運ばれてくる落ち葉を掃き清めていた。
「ただいま」
「あ、おかえりなさい。もしかして、買い物に行ってきてくれたんですか」
「山田君のケガが治るまで、毎日店屋物ってワケにもいかないじゃない。お台所借りていい?」
至極、まともな申し出を、山本は曖昧に肯いて了承した。断るのも恐かったのだろう。
再び歩を進めようとした柿崎は、広場のベンチで、二人の男が話しているのを目撃した。
一人は黒尽くめの白崎、もう一人はあまり年相応とはいえない灰色のスーツを着た青年だった。
「あの人、大学病院のお医者さんよね。確か……」
「ジュン君の担当だった梅岡先生です。懺悔したいことがあったとかで……、というか、白崎さんの口車で」
ジュンが異世界に連れ去られたなどと知る由もない白崎が、無駄な努力をしているようだった。
「ふぅん。そう言えば、あの後ジュン君ちにも寄ったのよね。どうだった?」
「お姉さん、留守でしたから」
答えるとき山本の目が泳いだが、柿崎はこれも「ふぅん」と受け流して追求しなかった。
白崎には声を掛けず館内に入り、厨房へと向かう柿崎を、穏やかな低い声が呼び止めた。
「今日、薔薇十字団と名乗る人物から電話があった。シスターの知り合いか?」
この教会の神父は、白いガウンを纏い、くすんだ金髪を後ろで束ねた、白い肌の美青年だった。
「さあ。そんな名前の団体、世界中にごまんとあるじゃない。またイタズラ電話だったの?」
「僕の教会に、あまり厄介事を持ち込まないで欲しい」
唐突に非難の矛先を向けられた柿崎は、「イタ電だったのね」と両手を広げて、買い物袋を揺らした。
シャリシャリ音を立てる左右のレジ袋を、神父の緑の瞳が訝しそうに往復した。
「あの人形はどうしたんだ」
「ああ、アレね。今頃、姉妹と仲良くしてるんじゃない?」
その言葉を神父がどう理解したのかは定かでないが、彼は目元に微かな笑みを湛え、「そうか」と頷いた。
柏葉巴が意識を取り戻したのは、豪奢なベッドの上の、絹のシーツの中でだった。
傍らに安らかな呼吸を感じ、視線を恐る恐る平行移動させると、そこには裸体のオディールが眠っていた。
(続く)
次回予告:
「酷いですよ、柿崎さん! 途中から出てきて主役の座を奪うなんて」
「何勘違いしてんのよ、この脇役が」
「ところで、白崎。僕の若奥様はいつ登場するんだ」
「唐突だね、槐……てゆうか、君、神父でしょ。どうしてもと言うなら、こちらの方でも」
「みっちゃんこと、草笛みつです。ただいま、永久就職活動真っ最中でーす」
「不合格。僕の教会に引きこもりは二人もいらない」
「なっ! 引きこもりとは違うのよ、引きこもりとは! したい仕事が見つからないだけよ!」
「素晴らしいクオリティです」
第5話 語り部 die Erzählerin
みっちゃん関係の謎が丸ごと残ってしまいました。
なぜ、みっちゃんは平日の昼間から家にいるのか。
病院に現れた美少女とは、一体誰なのか……次回に持ち越しです。
次回ですが、巴・双子(+お凸)組を中心にするか、
それとも、真紅・みっちゃん(+凸)組を中心にするか。
そこが問題です。
あ
水銀燈虐待コピペは?
>>1 乙です記念に投下します
水銀党総選挙篇
「皆さん水銀党に清き一票を!
水銀党はあなたの暮らしを変えます!」
ドール達は揃ってテレビを見ていた
「な、なんですぅ?水銀……党?」
「真紅ぅ〜!何だかアレ変なの〜」
「何でも最近台頭してきた政党らしいのだわ
思想は極めて異端…」
真紅が口を開いたそのとき
党首らしき者が壇上に立って…
「みなさぁん…私が党首の水銀燈よぉ…
銀ちゃんって呼んでねぇ…」
「水銀燈!?あれ水銀燈ですぅ!」
「銀ちゃんって変な名前なの〜!」
「いいえ…あれが彼女の作戦よ…
ソフト路線で支持者を獲得するのだわ」
「私が当選の暁のときわぁ…
大福主食化計画…」
「うにゅ〜!水銀党大好きなの〜!」
「他に…ですぅノートの映画化…」
「ふ、ふ…翠星石がそ、そんな餌に…
な、なかなかいい法案……ですぅ…」
「二人とも!騙されては駄目よ!
甘い言葉で支持者を獲得する
それが彼女の作戦なのだわ!」
「最後に私がアリスになった暁には…
くんくんを私の下僕にするのよぉ!」
「な、何ですってえ〜〜!!
そんなこと絶対に許すわけにはいかないのだわ!!!」
真紅は声を裏返して叫んだ
「真紅…お前は水銀党の敵ですぅ…」
「水銀党の邪魔は許さないの〜!」
2体のドールは、目の焦点が定まらないまま
まるで操られた様にゆら〜っと真紅に近づく…
「ふ、ふたりとも目を醒ますのだわ!」
一方その頃桜田家のリビングでは
「う〜ん…う〜ん…」
「真紅!目を醒ますですぅ!」
「真紅ちゃん…何だかうなされているみたい…」
「真紅可哀想なの〜」
「さっきまでふて寝してたはずなのに何故…」
ジュンがテレビに目をやると
くんくんが急遽中止になった代わりの
政権放送が流れていたのであった
おしまい♪
>>1乙です
前スレ569の続き
バヂンッ!!
「 ?!・・・・!!〜〜〜〜〜!! 」
「 あ!・・・・・ 」
めぐの唇がジュンの唇に重なるのではと思うほどに近付いた、まさにその時。
竹を割るような音と共にジュンの頭部が『 ガグンッ!! 』と揺れて
ジュンのメガネのフレームに何かが割り刺さっていた。
それが何か気付いたジュンは声にならない叫びを上げ、
彼のメガネのフレームに刺さったそれをみて、めぐは何が起きたかすぐに理解していた。
バサッ・・・
少しして羽音が聞こえ、続いて『 カツッ・・・ 』と硬いヒールの音が、開いたままだった窓枠から聞こえてきた。
「・・・めぐ、その子から離れなさぁい・・・」
少し怒気を含んだその声の主は、ローゼンメイデンドール第一女、水銀燈のものだった。
例えるなら眼前には雌狐、その先の視界には雌豹。
まるでジュンは獲物となっておびえる子ウサギそのものでしかなかった。
「お帰りなさい、天使さん♪」
めぐは緊張するジュンからそっと離れ、澄んだ声で嬉しそうに水銀燈にそう返答した。
そのめぐから開放されたジュンは、緊張しながらメガネのフレームに刺さった水銀燈の羽根を取っている。
「そう呼ぶなと・・・何度も言っているはずよ」
「今日も、戻ってきてくれたのね♪」
嬉しさを含んだめぐの言葉には答えず、水銀燈はジュンに冷ややかな言葉を静に投げかけた。
「昨日言ったはずよねぇ・・・あなたには関係無いって・・・
一体どういうつもりかしらぁ、ジュン君・・・」
ようやく羽根を抜き終えたジュンに、ゾクリとした怖気が走る。
目の前の水銀燈は、以前夢の中で真紅と共に対峙した時と同じ感情だ。
だけどここで水銀燈の威圧に飲まれちゃいけない。
喉をゴクリと鳴らし、ジュンは思いもよらぬ行動に出た。
彼はパイプ椅子から立ち上がり、
「ごめんっ!僕はミーディアムとしてもっとしっかりしなくちゃいけないんだ!
だからこれだけは聞いて欲しい!真紅がお前の事を思う気持ちに嘘は無い!
姉妹のお前への気持ちを本当に大事にしたいから、だから僕はここに来たんだ!」
いきなり頭を下げたかと思うと、水銀燈をまっすぐに見つめてそう喋っていた。
ジュンが何か仕掛けるだろうと身構えていた水銀燈は、虚をつかれていた。
それはすぐ側でベッドにいるめぐも同じだった。
「さ、最初は躊躇したけど、でも、真紅達の気持ちを届けなきゃって思って・・・」
最初の勢いが消え始め、彼の言葉がこもり出し
「ぼく、僕もその・・・お、お前のミーディアムが・・・し、 しんぱいになって・・・」
顔もうつむきだし、
「だ、だから・・・ ・・・だから、その・・・」
声がどんどんと小さくなる。
「こっ・・・これ! う、受け取ってくれ!!」
しかし、萎えそうな気持ちを振り絞り、顔を真っ赤にしながら、彼は水銀燈に包みを差し出す。
「 は? 」
顔を真っ赤にした、どちらかと言えば整った女顔を持つ少年が、
まっすぐな瞳で自分を、水銀燈自身を見つめてくる。
その瞳の奥には嘘の無い、必死で純粋な・・・水銀燈には眩しいとさえ感じるような心。
虚をつかれていた心に、いきなり飛び込んできたジュンの気持ち。
前まで敵として争っていた人物である、水銀燈自身の心にだ。
理解できない気持ちと、奇妙な感情、どこかで感じた記憶がある、心への暖かい波。
「な、・・・なによ・・・それ・・・」
何故か顔に熱が帯びてくるのを感じながら、
この奇妙な感情をどう表現していいか解らない水銀燈は、勢いの無い問いかけをした。
毒を抜かれたとはまさにこの事なのだろうなと、めぐは水銀燈の顔を見て、
真っ赤な顔で水銀燈に捧げ物を渡す少年の横顔を見つめた。
可笑しさがめぐの心にこみ上げてくる。
さっき初めてあった少年が、自分を心配したり、自分のちょっとしたからかいにドギマギとしたり、
今もまた争っていた筈の水銀燈に、何かを手渡そうと必死の思いで、
自分の目の前で、自分の存在を忘れたようにまっすぐに水銀燈を見つめている。
「うふふ・・・あはははははっ♪あははははは♪♪」
「 ?め め ぐ・・・? 」
「 !?あ、え?え? 」
この少年は不思議だ。
何か惹かれてしまうものがある。
そう思いながらめぐは、嬉しそうに、可笑しそうに、ケタケタ笑うのだった。
続きは今度。
GJ
水銀燈カッコカワイイよ水銀燈
>>25 貴重なJUM×めぐイイヨイイヨ(*´Д`)
.'´,ヘ ヘヽ
!〈 ((゙ "))〉
>>25 私はそんなに繊細じゃないわ
il!!|.゚ ヮ゚ノ! もっと変態よ(全裸でオナニー
il(i ゜ ゜i)l
ノl!!l |!|
|._ハ_.|
i⊃i⊃
,..-:.:.:/、:.:.:.\ヽ`:.、
r:.ー:.、:.:.:ハ:ヽヽ:.ミヽ!::';.:丶
l:/:.r:.、:>;'-'ヽ:',、ヽ`:.ヽ:';.:.:.',
l/:l:.!`゙ ';',ヽ:.';.:.:.ヽ:.:.l:l
l':.イ:! _ -';!-';.:';.:.l.:i:.:.l:.l
,':/:l;l´ ,⊥_ !l:.:l::.l:.:l:.l:!
l:イ:.l:l'rrュ、 ´(__)'!l:リ:.;'!:.:l:.:!
l';l:.:l:.ヽ`" , ,'l:Y/ト:.:l:.:l
l:.:l:.l、:.ヽ 、_ァ /:,':./:ハ:.:l:.:.l
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ト / .,:':/ l ト,
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', ヽ ` 、 ` 、/ _」 ヽr.、 l ,'
', `ヽ、 \ j ス - 、 .ヽr 、 l;
', ` ー '' ´  ̄`ヽ、 ヾ`ー'´l''
',
nのフィールドに異変が起きた。我々の世界と表裏一体の関係にあると言っても過言ではない
nのフィールドに何かがあれば我々の世界に及ぼす影響は計り知れない。
その異変の調査及び阻止の為に真紅達ローゼンメイデンのドールズはnのフィールドへ飛んだ。
「こ・・・これは・・・。」
nのフィールドに到着した真紅・翠星石・金糸雀の三人は愕然とした。
なんと言う事か世界樹に巨大な機械のバケモノが取り付き、食い破ろうとしていたのである。
「ななな何ですかあれはぁ! まるでジュンが持ってた映画に出てくるカラクリのバケモノみたいですぅ!」
「とりあえず・・・あれが異変の原因のようね・・・。」
「でもあんな大きな物どうやればいいのかしら〜。」
機械のバケモノのサイズは数百メートルは下らなかった。ほぼ無限に近い世界樹に比べれば
遥かに小さい方ではあるが、それでも薔薇乙女達にとっては途方にくれる程巨大であった。
と、三人が呆然と機械のバケモノを眺めていた時、突如バケモノから何か小さい物が
飛び出し、三人へ向けて飛んで来たのである。
全身を金属の装甲で覆った3メートルはあろうかと言う金属人形。
これはもはやドールと言うよりロボットと呼んだ方が良い代物だった。
そして数十体にも及ぶ金属人形軍団が真紅達三人の正面30メートルの位置に降り立つ。
「お前等一体何者ですぅ!?」
「何故世界樹にあんな事をするかしら〜?」
「でも何故こんな物が突然nのフィールドに・・・。」
その時金属人形軍団が一斉に道を開けた。すると明けられた道から一体のドールが現れた。
それは金属人形軍団と比べるとかなり小さい。むしろ真紅達薔薇乙女と同じ大きさだった。
『皆さんお久し振りです・・・。』
「え!?」
「お・・・お前は!?」
「まさか・・・薔薇水晶かしら!?」
薔薇水晶。ローゼンの弟子である槐が作ったローゼンメイデンのイミテイションである。
水晶を操る圧倒的な強さで真紅達を苦しめ、アリスまで後一歩と言う所まで迫るも、
真紅達6つのローザミスティカから来る不可に耐えられず自壊し、槐共々行方不明となったはずであったが・・・
「貴女確か壊れて無くなったんじゃ・・・。」
『しかし、私はこうして蘇った。ビグローゼの高度な科学力によっていっそうパワーアップして・・・。』
「ビグローゼ?」
「まさかあの世界樹に食いついてる馬鹿でかいカラクリのバケモノの事かしら〜!?」
目の前にいる薔薇水晶は皆の知っている薔薇水晶では無かった。
全身を鋼鉄で覆った・・・いや、鋼鉄そのもので作られた”鋼鉄薔薇水晶”とも言うべき代物となっていた。
「そんな鉄の塊になってまで復活して・・・一体何が目的なの!?」
『それは・・・復讐・・・。』
鋼鉄薔薇水晶が手を正面に翳した時、金属人形軍団が一斉に真紅達に襲い掛かった。
それを各個迎撃する為に三方向に散るドールズ。だが、鋼鉄人形を覆う金属のボディーは
余りにも固かった。
「かかか固いですぅ!!」
「痛いかしら〜!」
翠星石と金糸雀が攻撃しても逆に弾かれるどころか此方の方が痛い。何と言う堅さだろう。
そして真紅は鋼鉄薔薇水晶と相対していた。
「復讐が目的なら何故あのように世界樹を食い破ろうとするの!? 直接私達を攻撃すれば良いのに・・・。」
『貴女達に復讐する事が目的ではない・・・。目的はnのフィールドで離れ離れになったお父様の敵・・・。』
「貴女のお父様と言うと槐・・・。その敵というと・・・まさかお父様!?」
鋼鉄薔薇水晶の目的はローゼンだった。
『貴女達ごとき眼中にはない。私はお父様の敵を倒してお父様の作ったドール、すなわち私こそが
アリスに・・・いや、アリスを超えた存在になる・・・。』
「じゃあ何故世界樹にあんな事をするというの!?」
『ビグローゼが動く為には力が必要。だから世界樹から力を吸い上げている・・・。』
「そ・・・そんな事はさせないのだわ!」
真紅が跳んだ。しかし、鋼鉄薔薇水晶に容易く弾き飛ばされてしまう。
「壊れたって知らないわ!」
遠くに吹っ飛ばされるもむしろそれで助走距離を稼いだ真紅は忽ち距離をつめ、鋼鉄薔薇水晶に
絆パンチを打ち込んだ。直後、金属が砕ける甲高い音と共に鋼鉄薔薇水晶の左腕が吹き飛んだ。が・・・
なんと左腕の吹き飛んだ鋼鉄薔薇水晶の左肩からコードが延び、左手を形作ると共に
金属の装甲で覆われた。すなわち再生したのだ。
「え!? 嘘・・・。」
『私の弱点はビグローゼのメインコンピューターによってすぐに補強され修復される・・・。
貴女が死に物狂いで私を倒した所で・・・私は何度でも蘇る・・・さらに強くなって・・・。
つまり貴女は永遠に私を倒せない。』
「粉みじんになってもそんな事が言えるというの!?」
『やれるものならやってみなさい!』
今度は鋼鉄薔薇水晶の拳が真紅の腹部にめり込んだ。続いて首を掴み、締め上げた。
「うがぁぁぁぁ!」
『どうしたの? さっきの勢いは何処へ行ったの? これで終わり・・・。』
そのまま鋼鉄薔薇水晶が真紅の首を握り潰そうとした時だった。突如漆黒の羽が彼女の背中に突き刺さった。
『ん?』
鋼鉄薔薇水晶が後ろを向くと、そこにはローゼンメイデン第一ドール水銀燈の姿があった。
「す・・・水銀燈!」
「勘違いしないで頂戴。別にお馬鹿さんなあんたを助けに来たわけじゃないのよぉ・・・。
私はただお父様の命を狙う者を許せないだけよぉ!」
『脆弱なドールが何人いても同じ・・・。まとめてジャンクにしてあげる・・・。』
「ジャンクにするのはこっちよぉ! 後悔しないでぇ!」
水銀燈は鋼鉄薔薇水晶に向けて跳んだ。が、あっさり殴り飛ばされてしまった。
「水銀燈!」
「まだまだぁ!」
直ぐに戻ってくる水銀燈だが、鋼鉄薔薇水晶にあっさり押さえ込まれてしまった。
続いて脚を圧し折ろうとするが、それを真紅が止める。
しかし、その後鋼鉄薔薇水晶の怪光線によって二人まとめて吹き飛ばされてしまった。
なんと言う威力。もう二人は息も絶え絶えとなっていた。
「な・・・なんてバケモノなのぉ・・・。こっちは体力が落ちてきてると言うのに平然としてる・・・。」
「動ける? 水銀燈・・・。」
「気安く声を掛けないでぇ!」
「このまま行けば私達は確実に殺されるわ。もう後が無い・・・全力で二人同時にかかれば・・・。」
「わ・・・私に指図しないでぇ!」
「そ・・・その意気だわ・・・。くるわ! いいわね! 全力よ!!」
「わ・・・私に指図しないでぇぇ!!」
二人に目掛けて迫ってくる鋼鉄薔薇水晶に向けて二人は物凄い勢いで跳んだ。
そして二人による同時攻撃は鋼鉄薔薇水晶の鋼鉄の身体を突き破った。
だが、鋼鉄薔薇水晶には再生能力がある。忽ち破壊された断面からコードが伸び、
再生が開始されるが・・・
「させないわ!」
『うっ!?』
「消えてなくなりなさぁい!」
その再生面に真紅の薔薇の花弁と水銀燈の漆黒の羽が襲い掛かった。
再生が未完了の部分に負荷がかかり、鋼鉄薔薇水晶はたちまち自壊して行った・・・。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」
「殆どの体力を使い切っちゃったわ・・・。」
もう二人ともに体力は限界に達しており、その場に倒れこんだ。が・・・
「!!?」
二人の目の前に倒したはずの鋼鉄薔薇水晶がいた。しかも一人だけではない。
二人・・・三人・・・十人・・・いや、もはや数百人にも及ぶ鋼鉄薔薇水晶が二人を取り囲んでいた。
「やっとこさ倒したと言うのに・・・。」
「ど・・・どうなっているのぉ・・・?」
『貴女達が倒した薔薇水晶も全てビグローゼの偉大な科学力が生み出したもの・・・。
これだけの鋼鉄薔薇水晶を敵に回して戦える力が貴女達に残っているかしら・・・。フフフフフ・・・。』
「はは・・・やっぱりやるしかないのだわ・・・。」
「め・・・目眩がするわぁ・・・。」
数百人の鋼鉄薔薇水晶軍団が一斉に二人に襲い掛かってきた。
「くるわ! うおおおおおおお!」
「お馬鹿さぁぁぁぁぁぁん!!」
残り少ない体力を振り絞って立ち向かう二人であるが、数百体の鋼鉄薔薇水晶軍団に敵うはずも無かった。
久々にスレが盛り上がってる雰囲気を感じたので
勢いでバトル路線書いてみたとよ。
これから先に書き込まれてる話をまとめて読んでみようと思う。
金属人形って・・・ロボットじゃねーか!
できれば、ここから逆転してくれ
ともかくGJ
36 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/19(月) 04:06:17 ID:L2pqpbhB
水銀党マンセー!
37 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/19(月) 08:37:11 ID:+rmJgbOB
竹石圭佑…中国で生まれ名古屋で育つ20歳。小学生を狙う強姦魔
ちょwwwなんだこのメタルクウラ的展開はwww
「こ・・・ここは・・・。」
二人は周囲を鋼鉄の壁で覆われた広大な部屋の中で全身にコードの様な物が接続される形で釣らされていた。
『フフフ・・・ビグローゼへようこそ・・・。』
「薔薇水晶・・・何処?」
『貴女達の目の前にいるのが私・・・。』
二人の目の前にいたのは頭だけになった薔薇水晶がビグローゼの機械と融合したおぞましい姿だった。
この薔薇水晶こそが本体で、彼女がここから鋼鉄薔薇水晶や金属人形達を操っている事を想像するに難くなかった。
『その昔・・・現実世界からnのフィールドに落ち込んだ物が漂う空間に一枚のコンピューターチップがあった・・・。
それはその自らの能力で長い時間を掛け増殖していった・・・。それはnのフィールドのあらゆる物を取り込み、
その力を吸収する事で成長していった・・・。今は数百メートルにも及ぶ巨大マシン要塞がこのビグローゼ・・・。
そしてnのフィールドでお父様とはぐれ、ただただnのフィールドを漂うだけと思われた私が運良く
ビグローゼに流れ着き、メインコンピューターと融合してコアとなってビグローゼを支配した・・・。
既に殆ど残っていなかった身体は鋼鉄薔薇水晶として再生せた・・・。』
「わ・・・私達をどうするつもり!?」
『ただの木偶人形に永遠の命を与えるローザミスティカが生み出す無限の力・・・それを全て貰う・・・。』
「何ですってぇ!? うぁ!!」
その時だった。二人の全身に接続されたコードから二人の体内の力が吸い上げられていった。
恐ろしいまでの力がコードを通して吸い上げられ、ビグローゼの動力源として変換されていく。
「うああああああ!!」
『フフフ・・・いいわ・・・もっと吸い取りなさい。これからは鋼鉄薔薇乙女を何万人と持つ事も出来るのよ・・・。』
なおも二人の力が吸い上げられ、二人の絶叫が広大な部屋中に響き渡った。
「ああああああああ!!」
『フフフフ・・・いいわ・・・力がみなぎる・・・。』
そして一通り二人の力を吸い上げた後、二人は死んだように動かなくなった。
『吸いきったようね・・・。ローザミスティカの力がこれほどとはね・・・。
これ以上吸い続けるとこっちが危ない所だったわ・・・。』
が・・・まだ二人は死んではいなかった。それどころかさらに力がコードを通してビグローゼへ流れ始めたのだ。
既に許容量が限界に来ていたビグローゼはその負荷に耐えられず爆発を起こしてしまう。
『何!? どうしたと言うの!? まだ力が残っていると言うの!?』
一体この力はどこから来るのか・・・二人の身体から恐ろしい程の力が流れていき、ビグローゼが悲鳴を上げる。
『やめて! 回路は閉じたはずよ! やめてぇ! 何故流れてくるの!? と・・・とにかくコードを引き抜かないと・・・。』
慌ててコードを抜こうとするも、なんと二人は逆にコードを掴み、力を放出続けたではないか。
『やめてぇぇぇぇ!! オーバーヒートする!! 限界よぉぉぉ!! やめてぇぇぇぇ!!』
その頃、金属人形軍団の猛攻に満身創痍になった翠星石と金糸雀は取り囲まれていた。
「も・・・もうだめですぅ・・・ジュン・・・助けてですぅ・・・。」
「みっちゃん帰ってこれなくてごめんかしら〜・・・。」
が、しかし、金属人形達は襲ってこなかった。それどころか一斉に機能を停止し、崩れ落ちたのだ。
数百体の鋼鉄薔薇水晶軍団共々に・・・
「え? これはどういう事ですぅ?」
「あ! あれを見るかしら〜!」
金糸雀が指差した先は次々と爆発を起こしていくビグローゼの姿があった。
『く・・・制御が利かない・・・ビグローゼが崩れていく・・・。ローザミスティカの力がこれ程までに
凄まじいものだったなんて・・・。』
「私達の力を甘く見たのがまちがいだった様ね・・・。こ・・・これで・・・あ・・・あともう一息なのだわ・・・。」
真紅は最後の力を振り絞って立ち上がった。
『フフフ・・・。そのさまでよくほざけるわね・・・。』
「貴女こそそんな頭しか無い格好でどうなるというの!? もう鉄で出来た薔薇水晶は
助けに来てはくれないのだわ!」
『フン・・・私自身の力はそれ程落ちてはいない・・・。ビグローゼは後ほどゆっくり直せば良い・・・。
今の貴女ごときこれで十分・・・。』
「もう二度と悪さ出来ない様にするしかないようね・・・。」
真紅は右手を翳し、残った力の全てを込めて一枚の真紅に輝く薔薇の花弁を作り出した。
それに対し薔薇水晶は彼方此方からコードを伸ばし、己の身体を形作っていった。
まさにコードの塊。もはやイミテイションとは言え薔薇乙女第七ドールを名乗った
薔薇水晶の面影は無く、幾多のコードや配線の絡み合う醜いバケモノとなっていたのだった。
『むかつくジャンクめ!!』
薔薇水晶はコードを真紅の全身に巻きつけ締め上げた。
「うあああああああ!!」
『貴女にこの私を倒す事は不可能なのよ!』
「ぐ・・・無理と分かっていても・・・やらなきゃならない時だってあるのだわぁぁぁ!!」
その時だった。一枚の漆黒の羽が真紅を締め上げるコードを切り裂いたのは・・・
『何!? 水銀燈・・・貴女ぁぁぁ!!』
「私達に出来ない事なんてぇ・・・無いのよぉ・・・。」
そう言い残し、水銀燈は倒れた。そして真紅に薔薇水晶を攻撃する隙を作ったのである。
「薔薇水晶!! これで・・・最後なのだわぁぁぁぁぁ!!」
真紅の投げた真紅に輝く一枚の薔薇の花弁が薔薇水晶の胸部、コードが幾重にも絡まった中に
かすかに見える僅かな隙間の中に吸い込まれていった。
『う・・・。うわああああああああ!!』
薔薇水晶の胸の中で大爆発を起こした薔薇の花弁は忽ちの内に薔薇水晶を吹き飛ばした。
僅かに残ったドールとしての身体ともどもに・・・。今度の今度こそ薔薇水晶の最期だった。
そして、支配者を失ったビグローゼも完全に崩壊していった・・・。
「真紅真紅! しっかりするですぅ!」
「あ・・・二人とも・・・。」
「目を覚ましたかしら〜!」
真紅が目を覚ますと、そこには翠星石と金糸雀がいた。だが、水銀燈の姿は無かった。
「あら? そう言えば水銀燈は・・・?」
「水銀燈の奴ならさっさとどっかに消えたですぅ。」
「そう・・・。でも今度だけは水銀燈のおかげで助かったわ・・・。あの子の力が無かったら・・・勝てなかったわ・・・。」
水銀燈はnのフィールドを飛んでいた。そして彼女の掌には一枚のコンピューターチップがあった。
「お馬鹿さぁん・・・。」
掌のコンピューターチップを握り潰すと、水銀燈はnのフィールドの彼方へ飛んでいった。
おわり
分かる人には既にわかってしまってると思うけど・・・
ギャグとして見て頂戴まし・・・orz
じゃあ吊って来る
まさかこのネタは劇場版のドラゴンb・・・いやいや
兎に角GJ!!
43 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/19(月) 21:30:56 ID:L2pqpbhB
おまえらバトル物が好きだなぁ
>>24の続き
「じゃあ あの時・・・」
「ええ、水銀燈がこの、ナースコールボタンを押してくれたみたいなの。
すぐに私意識失っちゃったみたいだから、殆ど覚えてないんだけどね」
昨日ジュンがどういう経緯(いきさつ)で、めぐのことを知ったか改めて話した上での会話。
あの時窓枠に腰掛けていた水銀燈は、めぐの歌を聴いていたらしい。
その歌が急に途絶え、胸を押さえ苦しみだしためぐの為に、
急いでナースコールボタンを押したと、めぐは笑顔で答えてくれていた。
それにしても笑顔でそんな事を言えるなんて、この柿崎めぐという女の子は開き直っていると言うか・・・
常にそれだけ苦しんで来たから・・・死にたくても死ねないから・・・こんな風に振舞えるのか・・・
パイプ椅子に座るジュンはそう思い、何とも言えない気持ちで・・・
めぐと、ベッドの上で座る彼女の膝に抱かれた水銀燈を、形容しがたい難しい表情で見つめた。
「・・・なによぉ・・・私の事じっと見てぇ・・・そんなに抱かれてるのが可笑しいのかしらぁ?・・・」
ジュンのその視線に露骨にぶつかってしまった水銀燈が、そう仏頂面で答える。
明らかに不機嫌な声。しかしその声には嫌悪感や憎悪感と言った、負の感情は込められてはいない。
普通の少女が不機嫌そうに喋るのと何ら代わらず、
ジュンの知る、あの嘲り(あざけり)や侮蔑(ぶべつ)の込められた物言いをする水銀燈だとは到底思えなかった。
その水銀燈は、少しだけ顔を赤らめ、ジュンの視線から『 フンっ 』と居心地悪そうにそっぽを向いてしまった。
それと同時に彼女の背に生える、小さく縮んだ翼が『 ピコピコ 』と動き
めぐのパジャマの腕に『 パスパス 』とリズミカルに当たっていた。
(・・・プッ・・・まるでネコみたいだな・・・水銀燈)
犬と同様、猫も感情や機嫌が尻尾に表れるのと同じ様に、水銀燈も言葉に表れない感情が翼に出るらしい。
機嫌のいいネコが尻尾をピンと立て、
愛する飼い主や仲間と触れ合う時に尻尾をピコピコと動かしたり、巻き付ける様な仕草をするが、
今めぐの膝に抱かれて無意識に翼を動かしている水銀燈は、ジュンにとって黒猫のイメージそのものだった。
その翼の羽ばたきから見るに、嫌そうな言葉とは裏腹に、水銀燈は機嫌を損ねてはいないらしい。
そう思ってみたものの、取り合えず謝ってみるジュン。自分でも何をしているのか信じられない面持ちだった。
「あ、ああ、いやその・・・な、何か僕の知ってる水銀燈じゃないみたいだなって思って・・・ご、ごめん」
「! な、何よ・・・何なら今羽ばたいてあなたの身体に羽根をつき立ててあげたっていいのよぉ!ムュゥ?」
「いいじゃない水銀燈、ジュン君きっと今のあなた、可愛いって思ってるんだから(ニコニコ)」
「ニ゙ャっ!?」 「ち、違っ!」
自分の膝から荒々しく立とうとした水銀燈を、覆いかぶさるように両腕で軽く押さえ込み、
相変わらず奥の読めない笑顔で、二人にとってギクッとさせられるような事を言うめぐ。
『 なっ!? 』と言うつもりが、めぐに押さえ込まれた為、それこそ猫のような声を出した水銀燈と、
案外心の奥にある図星を突かれたジュンは、瞬間的に頬を薄紅色に染め上げていた。
「〜〜〜〜〜!! もう帰れ! 帰りなさいよぉ! お前は真紅の所に居ればそれでいいのよぉーーー!!」
いくらめぐの手前大人しくしているとは言え、姉妹達にも決して見せなかった、
自分の隠された部分をジュンに見られた水銀燈は、めぐの手を跳ね除け声をあげた。
恥ずかしさと苛立ち。
さすがに焦ったジュンは
「わ、解った、ご、ごめん!で、でも待ってくれ、せめて持ってきた花だけでも生けさせてくれ!頼むよ!」
そう言ってパイプ椅子から立ち上がり、水銀燈とめぐから目を伏せながら
「かき、柿崎さん・・・花瓶・・・か、借りてもいい・・・?」
そう、おどおどと めぐに問いかけた。
「どうぞ♪」
ジュンとは裏腹に、いたって落ち着いためぐの弾んだ声。
水銀燈の導火線に本格的に火が入る前に逃げ出せたジュンは、
ドキドキしながら、洗面台に立てられていた、中身の無い花瓶を取ろうと手にした。
「・・・あれ?これ陶器じゃないんだ?何か・・・傷だらけだよ?・・・」
花瓶が陶磁器ではなくプラスティックらしき材質だと気付いたジュンは、
めぐの方に振り向いてそう言っていた。
気を落ち着かせたとは言え、相変わらず仏頂面をした水銀燈を抱いているめぐが、
「うん、前に私が床に叩きつけて割ったからそれの代わりらしいのよ、笑っちゃうわよね。(クスクス)
そんなもの置いてたって、どうせ誰も花なんか挿してくれないし、また叩き割ってやるだけなのにね♪」
「・・・そ、そう なんだ・・・」
その笑顔と裏腹に、どれだけの苦しさと苛立ちが彼女の内面を蝕んでいるんだろう・・・
だからこうして物にあたる事で・・・その恐怖や苛立ちや・・・寂しさや悲しさから・・・
目を背けようとしてるのかも知れない・・・
ジュンは、以前では考えもしなかった思いで、そっとめぐから目をそらし
苛立ちの代替となった傷だらけの花瓶に、水を注ぎ・・・翠星石と金糸雀が用意して手渡してくれた・・・
可愛らしい色とりどりの花をそっと生けて・・・
「でも、ほら・・・これからはこうして、この花瓶には花が咲いて、柿崎さんを」
めぐの方に差し出してみた。
その彼女は、先ほどとはうって変わって感情の消えた目で、ジュンを見つめ返す。
まるで死人のようなその目にゾクリとしたジュンは、言葉に詰まり、
「・・・その・・・見てくれる・・・と、思うんだ・・・ ・・・な、何言ってんだろな・・・僕 ・・・はは・・・は・・・」
逃げたしたくなる気持ちでうつむいてしまった。
「・・・ありがとう・・・」
「!? ・・・ぇ、えっと・・・」
うつむいたジュンの耳に、ささやく様にめぐの静かな声が届いてきた。
そっと見上げると、死人のような目をしためぐは既にそこにはおらず、
どことなしか安堵と・・・ともすれば泣いてしまいそうな表情の・・・
薄い笑顔で・・・めぐはジュンを見つめていた。
そのめぐに抱かれている水銀燈が、やはりジュンを見つめている。
その視線に、ジュンは気付いてはいない。
(冴えなくて・・・情け無いだけの甘ったれたガキだと思ってたけど・・・)
(真紅・・・やっぱりあなた・・・いい拾い物をしたのかもねぇ・・・)
・
・
・
「じゃあ、僕そろそろ帰るよ、柿崎さんの身体の事もあるし・・・」
花瓶に花を生けて、その後どうと言うことの無い、
今の自分のドタバタとした身の周りの話をしたジュンは、
パイプ椅子からそっと立ち上がりながら、そうめぐに言葉をかけた。
「そう・・・」
彼女の柔らかく、薄い笑顔が、彼の視線を受け止める。
ベッドに座る彼女の横には、先程よりほんの少しだけ柔らかい表情をした水銀燈。
「それじゃ・・・」
軽く会釈をして病室の扉前まで足を運ぶジュン。
「待って・・・」
それを止める、めぐの柔らかい声。
彼女はベッドから身体を下ろしてガウンを羽織り直し、その場で立ち止まるジュンの元へと足を運んだ。
そして、そっとジュンの手を取ると・・・
「わっ!また!!」
先ほどと同じ様に自分の手を重ね、彼の手を自分の胸へと導いていた。
まさかと直感したジュンが身構えるより早く、素早く、暖かで柔らかい胸に導かれた彼の手のひら。
先程よりもはっきりと、めぐの胸のくりっとした頂きと、その頂きの周りの丸い膨らみを感じる手の指先。
やっぱりこの人の行動は理解できない。
そうジュンの頭が感じるのとは裏腹に、抱いてはいけない気持ちに、心が早鐘の如く警鐘を鳴らす。
自分よりほんの少しだけ上の彼女の目線が、彼の瞳に入り込んでくる。
先程より更に感じる香り。
それは髪なのか、彼女自身なのか、ジュンの鼻の奥を刺激する甘酸っぱい鼻腔。
「また・・・来てくれるんでしょ・・・」
「ぁ あ あ う、・・・ぅん・・・」
顔が溶けて無くなってしまうのではないかと思うほどに上気し、
夕焼けよりも、ゆでだこよりも真っ赤な顔になったジュン。
気を失いそうな程に頭がグラグラする、根はまだまだ純情な彼。
そこにめぐの透き通るような柔らかい・・・願いを込めるような、優しい声。
「だったら、その時まで・・・忘れないで・・・この鼓動を・・・
私も忘れないでおくわ・・・あなたの・・・この今の・・・」
めぐのもう片方の手のひらが、ジュンの胸にそっと舞い降りる。
彼の鼓動を確かめ、覚える為に、優しく舞い降りる。
ジュンの胸に・・・心臓に・・・めぐの手のひらの温かさが伝わってくる。
死にたいと願う自分は・・・今こうして確かな暖かさを持って・・・あなたを感じていると・・・
まるでそう言わんばかりに・・・
「私を感じて・・・打ち続けてくれる鼓動を・・・」
ジュンの心に溶け込んでくる。
続きはまた次回。
誰か
>>49を通報してくれ。俺の心臓を止める気だ。
>>50 手遅れだ。
俺の心臓は感激のあまり、
役目を終えてしまった。
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/20(火) 00:15:12 ID:fbHVSJM9
めぐがノーブラというのはどこに行ってもデフォのようだな
だがそれがいい
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/20(火) 03:07:18 ID:qSRTLbIZ
わっふるわっふる
55 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/20(火) 17:26:24 ID:knVUvBDh
ニ゙ャン銀燈
GJ!
俺の心臓オワタ\(^0^)/
ジュンが何時ものようにパソコンと向き合ってネット通販に浸っていた時だった。
突然ドタドタと音を立てて階段を駆け上がって来た真紅がジュンの部屋のドアに飛び込んで来た。
「ジュ・・・ジュン・・・!?」
「どうした?」
「最終回って・・・どういう意味かしら?」
「は?」
突然真紅の口から発せられた言葉にジュンは一瞬呆れた。しかし真紅の顔は真剣だった。
「最終回って言うのは、もうこのお話でお終いって意味だよ。」
「え・・・。」
真紅は青ざめた。まるで世界の終わりを見るかのような絶望的な顔をしていたのである。
「それじゃあ・・・くんくんは・・・嫌ぁぁぁぁぁぁ!! くんくぅぅぅぅぅぅん!!」
「おい! どうした!? どうしたんだ!? 真紅!?」
その場で頭を抱えてのた打ち回り始めた真紅にジュンは慌てて駆け寄った。
「嫌ぁぁぁぁ!! くんくんが・・・くんくんがぁぁぁぁぁ!!」
「おい! どうしたんだよ! 何があったんだよ真紅!?」
薔薇乙女の中でもクールな反面、くんくんが関わると一気に冷静さが失われる真紅であるが
今の真紅の狼狽する様は普通ではない。明らかに異常だった。そして真紅は泣きながらジュンに抱き付いた。
「ジュ・・・ジュン・・・聞いて頂戴? さっき・・・くんくんを見ていたら・・・来週・・・最終回って・・・。」
「え!?」
それ以来真紅はジュンの部屋に閉じこもってしまい、夕ご飯の時間になっても降りてこなかった。
「真紅ちゃんどうしちゃったの? 今日は花丸ハンバーグなのに・・・。」
「来週くんくんが最終回らしくてさ、それで落ち込んでるんだあいつ・・・。」
「まあ・・・。」
ジュンは夕食を食べ終わった後部屋に戻るが、真紅は明かりを付けていない真っ暗な部屋の中で
ジュンのベッドの上で体操座りした状態でいじけていた。
「おい真紅・・・。電気くらい付けろよ。それに今日は花丸ハンバーグだぞ。」
「いらない・・・。」
「おい・・・悲しいのは分かるけどせめて飯くらい食えよ・・・。」
「いらないわ・・・。くんくんのいない世界なんて私にとって何も無いも同然だもの・・・。
だから私は今度のくんくんの最終回が終わった後、私のローザミスティカを水銀燈に渡すつもりにしたわ・・・。」
「な・・・お前何血迷ってるんだよ!! 落ち着け!!」
真紅の爆弾発言にジュンは慌てて真紅の肩を掴んだ。その時の真紅の目からは大粒の涙が止め処なく流れていた。
「くんくんが終わってしまうと言う事はくんくんが死んでしまうも同然なのだわ!
だから私も一緒にくんくんの所に行くの!」
「おい! いい加減にしろよ! 確かに今度でくんくんは終わってしまうかもしれないけど
まだ今までビデオに撮った分が残ってるだろ!」
「一々うるさい下僕ね・・・。放って置いて頂戴・・・。」
「真紅・・・。」
その日を境に真紅は無気力状態となり、何をするにしても気が入らなくなってしまった。
そしてついにくんくん最終回の放送日がやって来た。
「うう・・・くんくん・・・。」
放送中真紅は延々泣き続けていた。確かに最終回だけあってかなり感動的な物語が展開されていたのだが、
それ以上にもうくんくんと会えないと言う悲しみもプラスされ、真紅の悲しみは想像を絶していた。
「くんくん・・・今までありがとうなのだわ・・・。」
感動的なラストシーンの後、エンディングのシーンで真紅の悲しみは絶頂に達した。
そして真紅は立ち上がった。
「ジュン・・・のり・・・今までありがとう・・・。私はこれから水銀燈の所に行くわ・・・。」
「ちょっと待て! お前まさかマジで・・・。」
「くんくんが終わった以上生きていても仕方が無いもの・・・。」
「待て行くな真紅!」
「真紅ちゃん待って!」
部屋から出ようとする真紅をジュンとのりが止めようとした時だった。
『くんくん新シリーズ! 世界征服を企む秘密結社バラバラ団にくんくんが名推理で立ち向かう!
次回! ”新名探偵犬くんくん”に・・・よろし〜くんくん!』
「え・・・。」
真紅は硬直した。
「なるほど・・・タイトルを変えて仕切りなおしと言うパターンか・・・。
にしても良かったな真紅・・・くんくんが終わらなくて・・・。」
「バンザァァァァァイ!! バンザァァァァァイ!! バンザァァァァァイ!! バンザァァァァイ!!」
「うわぁ! どうしたんだ真紅!?」
突然狂ったように万歳三唱を始めた真紅にジュンは真剣に焦った。
だが、良い意味で予想を裏切られた真紅の喜びは計り知れない。
そして真紅は嬉しさの余り大粒の涙はおろか鼻からも大量の鼻水を止め処なく流し、
挙句の果てにはジュンに抱き付いて皆の見ている前でどうどう口付けをするなどやりたい放題だった。
「バンザァァァァァイ!! バンザァァァァァイ!! バンザァァァァァイ!! バンザァァァァイ!!」
「と・・・とにかく・・・これで真紅もローザミスティカを渡さなくて済んだな。」
「そうは問屋が卸さないわぁ!」
皆の前に水銀燈が現れた。
「さあ真紅。約束通りローザミスティカを戴きにぃ・・・。」
その直後だった。水銀燈の顔面に真紅の拳がめり込まれたのは・・・。
「私とくんくんの愛の絆は何人たりとも切り離す事は出来ないのだわ!」
「そんな・・・話がちが・・・。」
水銀燈はそのままぴゅーんと吹っ飛んで行った。そしてまたも真紅の万歳三唱が始まった。
「バンザァァァァァイ!! バンザァァァァァイ!! バンザァァァァァイ!! バンザァァァァイ!!」
その日の晩、喜び疲れた真紅はすやすやと眠りに付いていた。
くんくんのぬいぐるみを抱きしめながら・・・
「くんくん・・・頑張るのだわ〜・・・。」
とても良い夢を見ていそうだった。
おわり
>>49 猫銀に萌えた
特に
>(冴えなくて・・・情け無いだけの甘ったれたガキだと思ってたけど・・・)
>(真紅・・・やっぱりあなた・・・いい拾い物をしたのかもねぇ・・・)
↑これとか
>>60 くんくんが最終回なら銀様も嘆き悲しむだろうよ
>>62 原作漫画版では銀がくんくんについてどーこーって描写は無いからそのへんで勘弁
>>49 これ以上はエロパロ板逝きの予感がするぜいいぞもっとやくぁwせdrftgyふじこlp;@
>>60 ジュンは新シリーズ終わった後のことを考えなくてはならんな
真紅「それなら私が続きを書いてやればいいのだわ!」
真紅、同人作家としての第一歩を踏み出す
水銀燈「待ちなさい真紅!くんくんはそんなこと言わないわぁ!」
翠星石「今更ネーム切ってちゃ間に合わないです!印刷所待たせるのも限界があるですぅ!」
蒼星石「ボクはまた晴海のキンコーズで製本させられるのかい?
金糸雀「カナがせっかくラクしてズルしてスペース取ったのに無駄かしら!」
雛苺 「ヒナがコスして売って、今度こそ赤を出さないって決めてたのー!」
薔薇水晶「修羅場の夜が更ける頃・・・私は現れる・・・徹夜が三日を数えた頃・・・机の上に現れる・・・」
真紅「もしもしBIRZの編集さんですか?実は持ち込みをしたいのだわ・・・」
>>66 馬鹿野郎!
モニターに思いっきりコーヒー噴いたぢゃないかあっ!!(w
>>66 昼休みの食堂でメシ噴いたじゃないか!
けど(・∀・)イイ!
少しは推古しろよ厨房
>>69 >少しは推古しろよ
「甥っ子は聖徳太子なのだわ」
>>49の続き
・
・
・
ベッドの上で座る二人。
「うふふ・・・帰っちゃったね。・・・ねぇ・・・また来てくれると思う?・・・水銀燈」
「知らないわよ、そんな事ぉ。・・・それより、よくやるわねぇ・・・あんな事」
めぐの問い掛けに、それまでおとなしく引いていた水銀燈が呆れたように答えるのも当然だろう。
鈴の様に透き通る声でささやいたあの言葉の後、
真っ赤になってしどろもどろになっているジュンを柔らかく見つめたまま、
めぐが、「・・・揉んでみたい?」と爆弾発言を言ったからだ。
その瞬間のジュンを表現するならば、正に湯が沸いた瞬間のケトルそのものだった。
ケトルの笛が、水が沸騰し熱湯になったのを知らせる為にピーと鳴るように、
これ以上無いと言う程、ジュンの顔が紅蓮の様な赤に染まったのを見てクスクス笑うめぐに、
彼が「 ままま、また来るからっ!! 」と逃げる様に退室したのも、また当然だろう。
底の知れない彼女の誘い香にこれ以上絡め取られると、自分がどうなってしまうか判らないと言う
ジュンの気持ちが辛うじて働いた上での、勇退だったと言ってよいのかも知れない。
「あ、やきもち焼いてくれてるの〜?・・・ゲホッ ゲホッ・・・ ハァ ハァ・・・あはは・・・」
少しだけ侮蔑の混じった視線の水銀燈からの返答に、めぐが苦しそうに咳き込みながら・・・
彼女なりの触れ合いをこめた言葉を、水銀燈に返す。
「・・・別に。 あなたが誰と何をしようと 私には関係ない・・・」
咳き込む彼女を見て、僅かに・・・僅かに悲しそうな表情を覗かせ・・・
何気ないようにめぐから視線をそらし、水銀燈はそう答えた。
「・・・ ・・・フフ・・・そうよね。
どうせまた一人ぼっち・・・あなたが居ないときは・・・いつもそう・・・私はもう・・・
誰からも相手にされないジャンクだk『 ジャンクだと思うのなら、ジャンクなりに足掻いてみなさい! 』
「 ・・・水銀燈・・・ 」
「甘ったれてる暇があるのなら、ジャンクなりの努力を見せなさい!
私のミーディアムになった以上、しようともしない努力を放棄してそんな言葉を使うのは許さないわよ!」
「・・・そうよね・・・ごめんなさい・・・前にも言ってくれたわよね、そんな言葉使うものじゃ無いって・・・」
「 ・・・・・・・・・・ 」
「天使様のお告げは、守らなきゃ ね」
「・・・いい加減、その天使って言うのやめなさぁい・・・」
「じゃあ・・・はい、仲直りと、誓いの証し」
「 ・・・ 〜〜〜〜 ・・・ 」
「・・・水銀燈・・・?」
「〜〜〜・・・ふん、しょうが無いわねぇ・・・」
人を見下し己を誇示する事で、
自身のアイデンティティを保ち続ける水銀燈がめぐに見せた、自分以外への激。
自分の生い立ちと境遇があまりに似ている、めぐへの言葉。
自分を否定せず、差し込む光が僅かでもあるのなら、必死で受け取り立ち上がる努力を見せろという激。
思いもよらない水銀燈の言葉を、めぐは真摯に受け止めながら小さな声で言葉を返し、
仲直りと言葉して、整った顔を薄く苦笑させ、左手の小指を水銀燈にそっと差し出した。
それをみた水銀燈は、およそ彼女らしからぬ・・・おそらくめぐ意外誰も知らない・・・
怒り顔と、苦笑と、優しさが入り混じったような微妙な表情をしつつ、
嫌そうでいながら、そうでもないと取れる風に、そっと、優しく、自分の小指をめぐの小指に絡ませていた。
そのめぐの薬指には、ミーディアムとなった証しの・・・契約の薔薇の指輪。
絡ませた互いの小指が・・・少し少し静かに、上下に揺れるたび・・・
薄く・・・しかし、はっきりと輝いてゆく。それは命を吸い取る輝きではなく・・・命が結び合う・・・絆の眩やき。
ベッドに座る命。一つは小さく、もう一つはそれよりも小さい。
二人は指切りをしながら、座った身体をベッドに横たえる。
そして、窓から入る日の暖かさが・・・緩やかに二人を包みこんでゆく。
お互いを見つめる瞳。どちらの瞳にも、互いの姿が存在する。
「水銀燈・・・」
「なぁに・・・」
「あたたかいね・・・」
「・・・そぉね・・・」
その言葉の意味は、日の暖かさを意味しているのか・・・
それとも、絆の暖かさを指しているのか・・・
二人はしばらく、そのままの状態で指切りを・・・
お互いの存在を確認しあっていた。
続きは近日中。
レスやAA、大変ありがたく思うと共に
ずっとスレ占有状態で、誠申し訳ないです…
続きwktk
占有状態っていうかただ過疎ってるだけなんだよなぁ
wktkって…VIPPER死ね
ああこれVIPの言葉だったのか
知らなかった、ごめんよ
書きたくてもこんな上手い人がいたんじゃ萎縮して書けません!><
80 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/22(木) 19:43:50 ID:MsUUoBdd
>>79 ガムバレ 君の愛情を注いで書けばいいんだよ!
「ジャンク!!」
「!!うおおおお!!! 真紅ぅ!!」
さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
nのフィールドに集う乙女たちが、今日もアリスのような無垢な
笑顔で、命の宿る鏡をくぐり抜けていく。
汚れを知らないローザミスティカを包むのは、原理不明のやわらかビスク。
球体関節は見せないよう、アリスゲームには負けないよう
ミーディアムに手伝わせるのがここでのたしなみ
もちろん、姉妹ドールをジャンクなどと言う、おばかさぁんの右腕など存在していようはずもない。
ローゼンメイデン
西暦二〇〇四年放送開始のこのアニメは、もとは読み切りのつもりで描かれたという、
幻冬舎のある都市伝説系誌連載の漫画が原作である。
オーベルテューレ。カナブンのいない十九世紀初頭のヨーロッパで、妹に見守られ、
「ありがとう、真紅」から「嫌な女…」までの一貫教育がうけられる特別編
時代が移り変わり、お父様の名がサンジェルマンから三回も改まったローゼンの今日でさえ、
中学に進学すればマエストロの少年が担任の晒し上げで引き篭られる、
という仕組みが未だに残っている貴重なアニメである。
ネタ的にどっかで既出な気がするけど気にしないー
>>81 乙です〜
>>73の続き
「おそい! 遅いですっ! 一体チビ人間は何をやってやがるですかっ?」
桜田家のリビングのソファーで、ふくれっ面をした翠星石の甲高い声が響く。
「仕方ないかしら。行きや帰りにだって時間がかかるんだから」
そう言って金糸雀が、わめく翠星石をなだめていたりする。
「何のんきなこといってやがるですお前はっ!
あの水銀燈や、水銀燈のミーディアムに、もし何かされてるのかと思うと翠星石は気がかりで気がか(ハッ?!)」
「へぇぇ〜〜〜・・・翠星石にもそういう気持ちがあったのねー♪以外かしらー♪」
「なっ!なななななな〜〜〜〜!!」
あながち間違っていない勘ぐりだったが、
妙な所で墓穴を掘った翠星石は、ニヤニヤした顔の金糸雀に突っ込みを入れられていた。
普段やり込めている金糸雀にからかわれた翠星石は、顔を赤くしながらワタワタして
「〜〜〜おっ、お前ちょっと顔貸せですぅ!焼き入れてやるデスっ!!」
隣に座っていた金糸雀の胸倉をむんずと掴んで脅していた。
・・・とても薔薇乙女のする事ではない。
「ちょちょっ、ちょっと待つかしらーーー!そそっそんな事が無いようにピチカート達を行かせてるんじゃないぃいいーーーー!!
しししし、真紅からも何か言ってやって欲しいのかしらぁぁーーー!!というか助けて欲しいかしらーーーー!!」
「翠星石」
「翠星石ちゃん!やめなさいっ」
真紅とのり、少し厳しい注意の言葉を聞いた翠星石はさすがに金糸雀を開放し、
涙目で訴えた金糸雀から、のりと共に紅茶をたしなんでいた真紅に視線を移して、こう言った。
「・・・いくらスイドリーム達を向こうに行かせてジュンの護衛をさせてるとは言え、真紅は心配じゃないのですか・・・?」
その問い掛けに、真紅はいたって静かな声で、
「大丈夫だわ。今のあの子は・・・水銀燈はもうそんな事はしない。だって、あの子にはミーディアムがいるのだもの」
うっすらと微笑を浮かべてそう答えていた。
二人の会話をのりは黙って聞いている。
「・・・矛盾してるです。だったら何でスィドリーム達をnのフィールドから向こうに行かせたりするです!」
「あら? 当然だわ、そんな事」
「はぁ?・・・言ってる意味が判らんです・・・」
「だって、ジュンは私と貴女の下僕よ?」
「ま、まぁ・・・そ、そうですけど(下僕じゃないです ミーディアムですぅ・・・)・・・??」
「だったら他所で粗相な行いをしていないかどうか、ちゃんと知る必要があると思わない?」
「え!?・・・ ・・・そ、それってジュンが水銀燈のミーディアムに何かしないか、監視する為・・・ってことですか?」
「そうよ」
「・・・はは・・・ぁははははは・・・はぁぁ〜〜〜〜〜〜〜・・・」
(この女の考えは・・・翠星石なんかよりよっぽどドライです、カラッカラですぅ・・・)
(ジュンはお前の事が好きですのに、もう少し心配してやったらどうですか・・・)
(どうせその裏で、ジュンの事心配してるくせに・・・もっと表に出してみろです・・・)
(・・・絶対お前には負けんですよ、真紅っ!)
「?どうしたのかしら?? ってぇーーー!! いやぁーーーやめてぇぇ〜〜〜ーーー!!
あはは! っく、くすぐっ! くすぐったい、く、あははははははぁあぁ〜〜〜ーーーーん♥!!!」
真紅の飄々(ひょうひょう)とした態度に諦めのため息をついた翠星石は、
心の内で改めて真紅への恋の対抗意識を燃やしつつ、再び声をかけてきた金糸雀をとッ捕まえて
腹いせとばかりに、イジワルな笑みを浮かべて彼女の体中をくすぐりまくるのだった。
悩ましい表情で苦しみながら笑わされる金糸雀を、マスターの草笛みつが見たら悶絶死するのは間違いないだろう。
その二人のじゃれあい(?)見ながら、のりと真紅が会話する。
「翠星石ちゃんもカナちゃんも、仲直りして嬉しそうね〜♪」
「・・・そう見えるの?」
「ええ♪」
「そ、・・・そう」
ああ、仲良き事は美しきカナ。
また次回に。
>>83の続き
有栖川大学病院。
「ねぇ・・・さっきのジュン君がくれたお見舞いのお菓子、食べよっか?」
ベッドに身体を横たえていためぐが、
やはり身を横たえ、彼女と小指同士を絡ませていた水銀燈にそうもちかけた。
ジュンが水銀燈に手渡した、あの見舞い菓子の事である。
水銀燈は絡ませていた小指をそっと離しながら身を起こし、
しかしめぐの問いには答えず・・・
「メイメイ・・・」
洗面台の鏡に視線を移して、自分に仕える人工精霊の名を呼んでいた。
鏡面が薄く輝いて、逆映しの場景が波紋状に揺れたかと思うと、メイメイと呼ばれた小さな光が
スイ〜〜――・・・と、やや疲れたようにゆっくりと水銀燈の方に近寄ってくる。
「ゎぁ・・・綺麗・・・」
身体を起こしためぐが感嘆して
「人魂って・・・見たの初めてだわ・・・やっぱり私を導いてくれるのね♪」
「・・・違うわよ・・・」
何か違う事を言い、それを聞いた水銀燈が疲れたように否定する。
人魂と言われた当のメイメイはひときわ強く輝き、左右に揺れながら激しく明滅を繰り返しだした。
「わ〜・・・踊ってる♪」
「あんたの言葉に怒ってるのよ・・・気にしなくていいわぁメイメイ・・・この子はこういう子だって知ってるでしょぉ。
それで?・・・そぉお・・・もうホーリエ達はいないのねぇ。良く頑張ったわぁ」
主人に諭されては仕方ないといった風に明滅させていた光を一定まで収縮させると、
今度は小刻みに小さな光を放ちながら、水銀燈に勤めの内容を報告していた。
争う訳ではなかったものの、やはり何かあった際には主人を、ミーディアムを守る義務がある。
水銀燈が病室にいない時、メイメイはフィールドのもう一つの入り口である、この洗面台の鏡面内でいつもめぐを見守っていた。
もしも何かあった場合にと、内心でジュンを心配した真紅が送り出したホーリエ達と、
メイメイは先ほどまで睨みあっていたという訳である。
「何 何?♪」とはしゃぐめぐに、水銀燈は煩わしそうにごまかす。
「どうでもいいでしょぉ、そんな事。 それよりあなた、何かするんじゃなかったのぉ?」
「あ、そうだったわね♪(クスクス)」
水銀燈にそう言われてめぐはベッドの横の、引き板と引き出しの付いた、
机の代わりの簡易台の上においてあった少し小ぶりな菓子包みを手に取った。
可愛い包装紙とリボンで飾られたそれを開けて、めぐは嬉しそうに小さな声をあげる。
「可愛い・・・それに・・・いいにおい・・・ほら、水銀燈 みて♪」
開けた包みを水銀燈に見せながらそう言うめぐと、その包みの中を見る水銀燈だったが
「そんなもの・・・私が食べるとでも思っているのぉ?・・・」
さも鬱陶しそうに、けだるそうに言いながら『 ぷいっ 』と横を向いてしまうのだった。
そのままいじける様に体育座りになる水銀燈。
めぐはそんな水銀燈からそっと視線を外し、
「うゎあー・・・これ美味しそう♪ いただきまぁ〜〜す♪」
と、手作りのお菓子をぱくっと食べだしたのだった。
「(カリッ…モクモク…)!おいしぃ・・・これおいしいわよ水銀燈!♪」
「・・・・・・ ・・・」
その声に少しだけ振り向く水銀燈。
しばらく見なかった、本当に嬉しそうな・・・本当のめぐが見せる笑顔。
めぐのその嬉しさと、美味しいと感じる心は確かに水銀燈に伝わってくる。
だけど素直にそんなものを認めて、真紅達の作った不確かな菓子など食べる素直な水銀燈でもない。
案の定、彼女はすぐに横を向いてしまう。
「(モグモグ)うんっ♪おいしい♪そんなに甘くないし、そこらで売ってる変なお菓子よりずっと美味しい♪」
「・・・・・・」
「あ、これなんか可愛い〜♪」
「 ・・・・・・ 」
「顔かしら これ?食べちゃおっと(パクッ!)」
「 ・・・・・・ ・・・ 」
「(カリカリ… モグモグ… …)あ〜・・・これシナモンの香りがすごいわ〜〜♪」
「 ・・・ ・・・〜〜 」
「・・・何これ?(ぷっ)・・・変なの♪・・・二枚あるから一枚食べちゃおっと(サクッ!)」
「 ・・・・・・ ・・・〜〜〜 」
「(モグモグ…ゴクンッ…)・・・なんだろ・・・変な形なのに・・・凄く・・・優しい味・・・」
「 〜〜〜〜〜〜〜〜 」
「全部食べちゃおっかな〜・・・誰かさんはいらないみたいだし♪」
「〜〜〜い、要らないなんて言ってないわよ・・・」
「ほら、水銀燈っ♪」
「 ?? 」
自分だけが美味しそうにパクパクと食べて、なおかつ食べないのなら自分が全部食べると言う、
意地悪で嬉しそうで、可笑しそうなめぐの声に、思わず振り向き本音を漏らした水銀燈の目の前に・・・
一枚の大きな・・・水銀燈の顔ほどもある大きなクッキーが・・・
水銀燈の目の前に出現していた。
「な・・・」
小首をかしげるようににっこりと微笑んだめぐの、細く綺麗な両指に収まる何だか良く分からない物。
甘い匂いを醸し出すそれは・・・あまりに水銀燈に近いので、何だか良く分からなかった。
水銀燈は顔をしかめながら少し退きつつ、それをしげしげと眺める。
「・・・ !? ・・・」
「(クスッ)可笑しいでしょ?・・・でも・・・誰かさんに似てると・・・思わない?」
ちょっと崩れた感じの、変な『 顔 』。
だけど・・・作り手の愛情が見て取れる顔。
それは、水銀燈の顔を模して作られたクッキー。
その顔は、クッキーになった水銀燈の顔は・・・笑っていた。
ちょっと不恰好だけど、嬉しそうに・・・笑っていた。
誰が作ったかなんて言わなくても、誰に教えてもらわなくても解る。
(( 私はお菓子以外に何も用意できないけれど・・・それで十分伝わるのだわ ))
あの時以来・・・アリスゲームで薔薇水晶に打ち倒されて以来会っていない・・・
四番目の妹、真紅の・・・手製のクッキーだった。
「私が食べたの、多分あれ・・・私の顔ね(クスクス)・・・ひどいのよ、ホント変な顔でー♪」
「・・・・・・」
「でも・・・すごく優しい味が・・・ したわ・・・」
(・・・真 紅・・・)
「だから・・・はいっ♪」
「!・・・ ・・・」
優しい味。
めぐは微笑んでそう言いながら、改めて水銀燈にそのクッキーを・・・
チョッピリ変だけど、笑顔がいっぱいの水銀燈のクッキーを・・・彼女の前に差し出した。
水銀燈はおそるおそるその大きなクッキーを手にとって、
「こんなもの・・・」
割り砕こうとしたものの・・・
(( し、真紅達が、お前の為にも作ったお菓子なんだ・・・柿崎さんと一緒に・・・食べてくれよ・・・ ))
ジュンに手渡された時の言葉を思い出して、砕くのをやめた。
あの時以来微笑む事を捨てた自分。
愛情を注いでもらって、励まし続けられて、応援されて、裏切られた自分。
認めて貰いたかったのに、見下されていたと、同情で構ってもらっていたと、確信した自分。
あの子のブローチを砕いて、あの子の思いを踏みにじり、ジャンクと呼ばれた自分。
あの子の心の奥の奥で光る本当の想いと愛情に・・・気付けなかった自分。
(( ジャンクの癖に! ))
最も愛する妹なのに、最も憎い妹。
(( 貴女の事を、ジャンクなんて呼んで・・・))
(( 悪かったわ・・・ ))
(( だから・・・ごめんなさい・・・ ))
だけど、誰よりも解りあえるかも知れない・・・妹。
想いが水銀燈の脳裏を駆け巡る。
そして・・・水銀燈は自分でも知らずの内に、そのクッキーに口をつけていた。
サクッ・・・
軽い・・・想いがこぼれるような音と
甘い・・・想いが溢れ出す様な香りが
水銀燈の心を刺激する・・・
「美味しい??」
「・・・・・・ 不味ぅい ・・・・・・」
「♪ そう! よかったわね ♪」
美味しいかと問い掛け、
割合な間を置いて不味いと答えた水銀燈の態度に、めぐはさも嬉しそうな声を出す。
水銀燈はめぐからそっぽを向いて、体育座りのまま、
漆黒のドレスにクッキーの欠片がこぼれるのも気にせず・・・
「 ・・・不味い・・・(モグモグ) ・・・不味いわぁ・・・(カリカリ) 」
と、時折言い訳じみた文句を交えて、顔ほどもある大きさの
自分の笑顔のクッキーをほおばり続けている・・・
めぐは、自分に背を向け無意識にパスパスと縮んだ翼を羽ばたかせる水銀燈を・・・
愛しむ(いとおしむ)ような微笑で、ずっと見つめていた。
あと少し続くデス。
>>91 うは〜最高です
(*´Д`)銀様/lァ/lァ
これは良作
94 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/23(金) 20:46:34 ID:LGF0+gxP
クッキーが食べたくなった
泣けた…。
歳相応に、涙腺の締まりが弛いからだよな…
銀様の食べ方が青汁のそれだw
私は水銀燈 人呼んで ファィティング・ドール
私の事をジャンクだと 笑わば笑いなさい
確かに私は 身体の半分はドールで 半分はジャンクよ
体の中にガラクタやジャンクが組み込まれ
けど 言っておくけど 私をバカにする奴は
この背中の翼 ブラックフェザーが胸に突き刺さるのを覚悟しときなさい
黒い翼が 鋭く光り フィールドに広がる 地獄絵図
ブラックフェザーで 返り血浴びる 冷たいファイティング・ドール
★(水銀燈) 苦しみを越えた時 (水銀燈) 微笑みさえ失しちまった
☆アリスでもない 人間でもない 悲しみがフィールドに こぼれ落ちる
愛を知らずに 夢にはぐれて Ah-Lonely night
シベリアの冬は厳しい 私が生まれ育ったのはそのシベリアの小さな村
できそこないのドールとして みんなに石を投げられたものよ
そして次に入ったのが ???? やられ専門のドール養成機関
けど 生まれながらに備わっている戦う本能が 負けることを許さなかったわ
私は 相手をぶちのめして雪の中を逃げたのよ
この世は勝たなければやられる だから 勝つために私は戦う
けど 言っておくが 私の体の中にも薔薇乙女の誇りがあるのよ
鉄のハートが重いおまえは 戦うことが 生きがいなのか
黒い悪魔と 仇名されても 無口なファイティング・ドール
(水銀燈) 残酷なラフ・ファイト (水銀燈) 身体の下に悲劇を隠す
アリスでもない 人間でもない 悲しみがフィールドに こぼれ落ちる
愛を知らずに 夢にはぐれて Ah-Lonely night
(水銀燈) 苦しみを超えた時 (水銀燈) 微笑みさえ無くしちまった
アリスでもない 人間でもない
悲しみがフィールドに こぼれ落ちる 愛を知らずに 夢にはぐれて Ah-Lonely night
しまった名前消すの忘れてたorz
じゃあ吊って来る
101 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/25(日) 15:39:04 ID:17KPPCfg
102 :
虹色の庭師:2007/02/25(日) 23:20:25 ID:0PWSXsjg
「昔、僕は世界一の庭師になることを夢見ていた。
僕の名は蒼星石。昔、すでに僕は庭師世界大会の代表の一員になっていた。
しかし僕はアリスゲームを戦わなければならない薔薇乙女だったんだ。」
アリスゲームの旗の下 戦い続ける庭師がいる
飛び出す華麗なテクニック フィールドの庭師と人は呼ぶ
ジェントルハリケーン 鋏に隠した ジェントルハリケーン 奇跡のパワー
舞え!蒼星石 しなやかに美しく 燃えながら
舞え!蒼星石 虹色にきらめいて 霧の彼方の勝利をつかみとれ
「イギリス代表チームのメンバーに選ばれたとき、僕は自ら姿を消しそしてこの帽子をかぶった
アリスゲームに殉じることは難しい。しかしこれこそ薔薇乙女の仕事。
今ではもちろんアリスゲームの道を選んだことを誇りにしている。」
愛に凍えた風の中 希望を捨てない庭師がいる
おりなす技の数々に フィールドの詩人と人は呼ぶ
ジェントルハリケーン 正義の誓いを
ジェントルハリケーン 炎にかえ
舞え!蒼星石 しなやかに美しく 燃えながら
舞え!蒼星石 虹色にきらめいて 霧の彼方の勝利をつかみとれ
ジェントルハリケーン 鋏に隠した
ジェントルハリケーン 奇跡のパワー
舞え!蒼星石 しなやかに美しく 燃えながら
舞え!蒼星石 虹色にきらめいて 霧の彼方の勝利をつかみとれ
ttp://www.youtube.com/watch?v=IyU6eselehw
103 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/27(火) 08:44:50 ID:2JSm1z6t
新作期待アゲ
1941年5月10日、1人のエジプト生まれのドイツ人の政治家が手に薔薇の装飾がなされた鞄を手に、1機の飛行機へと足早に向かっていた。
───畜生、なんだってこんな事に・・・。男はぼんやりと考え事をしながらも歩調を緩める事はしなかった。
「ああそうだ、全ては2年前にこの鞄が届いてからの様な気がする。」男は口に出して言った。実際はそんな事でもなかったのだが。
2年前・・・1939年の夏の終わり。彼はとある会議の一席を与えられた。最近彼の政治力は低下しており、これで復権がなったと喜んだ。
だがしかし現実は無情でその会議で彼は一言も発言は許されなかった。彼の経歴の絶頂期は1930年前後でありもはや彼にとっての
夏は終わったのだ。近頃は彼の副官がその力を伸ばしており、地方の有力者が尋ねてきてもまず挨拶するのは副官からだった。
その様な露骨な態度を取られても彼には文句を付けるだけの力も、気力も無かった。
彼に不可思議でそっけない電報が届いたのはそんな時だった。その電報にはただ「マキマスカ・マキマセンカ」とだけあった。
「ふん、数年前ならともかく今の私には何かの罠に引っ掛けるだけの価値もあるまい」彼は半ば自棄気味に、そしてほんの少しどうしようもない現状
の変化に期待しつつマキマスに○を付けた。しかし急にバカらしくなり紙をくしゃくしゃに丸めると屑捨てに放り入れた。
翌日、世間は戦争中らしいが儀礼的な式典に顔を出す事以外する事もないので帰宅すると、そこには喜ばしい変化が起きていた。
すなわち、どこかの要人から彼への久方ぶりのプレゼント(それは包み紙に収まった箱でもなくなぜか豪華な鞄だった)が書斎の机の上に鎮座していたのだ。
彼は使用人や妻には書斎に入らないよう言い付けて置いたにも関わらず、なぜそこに見知らぬ鞄が置いてあったのか、そもそも一体誰か送られてきたのか一瞬考えたがやめにした。
そんな野暮な事は後でじっくり考え、今は鞄を開けて中身を検分する事が一番大切なことだったからだ。その重厚な鞄は音も無く簡単に開いた。
そして中身を見て彼は顔をしかめた。中にはいかにも高級そうな、黒いドレスを身にまとった銀髪の美しい人形が納められていたからだ。
大方自分がオカルト好きなのを知った党の誰かが送ってきたんだろうと苦笑しながら鞄を閉めようとしたが人形の横に螺子があるのを見つけた。
巻いてみるか・・・、彼は何の気なしに人形を手にとり螺子を巻いた。と・・・彼は我が目を疑った。人形が動き始めたのだ。
「うわ!?」彼はつい慌てて人形を落としてしまった。するとその人形は悲鳴を上げた後、泣き始めた。
「一体何なんだ?動くだけならまだしも泣いてる?」彼は頭を素早く回転させ、一つの結論に至った。
うんそうか、きっとどこかの変態じじいが奴隷の少女を送りつけてきたに違いない。そうだとも、人形が動いて泣くなんて事はあるはずもないじゃないか。
螺子の事を無理やり忘れ、そう現状を整理する。「ええと、大丈夫かい?怪我は?疲れてるだろう、何か食べるかい?」
見たところそう弱ってそうでも無いが長時間鞄の中に居たに違いない。とりあえず冷たい床の上ではまずいと思い、彼は手を差し出した。
少女は戸惑いつつも手を上げた。その時、少女の服がずれ手首が露わになった。
「関節!?やっぱりこの子は人形なのか?」彼は頭が混乱しそうになったがすぐに落ち着いた。彼自身も科学では証明なし得ないものが存在すると
信じていたし、何より人形というところに惹かれるものを感じたのだ。
───人形?ふん。私と一緒じゃないか。上に飾られただそこにいるだけでよい「人形」。正に今の私にはふさわしいもんだな。
まあ、誰が送ってきたかは解らないが感謝しようじゃないか。畜生め。
その日から彼と人形の共同生活は始まった。彼は時間の許す限り書斎に閉じこもるようになり、周囲の人間からは聞こえよがしに鬱病とまで噂された。
しかし彼はその生活に満足していた。なぜなら彼はその漆黒の天使に心底惚れ上げていたからだ。もっともそれは人としてではなく、宗教に近いものだったが。
だが世界情勢は悪化の一途をたどり続けた。ドイツはイギリス本土の制空権争いに負け、次第にその目を東方へと向けていった。
彼はその事について悩む事が多くなった。いつもの癖で指で机をトントンと規則的に叩きつつ呻く。
「う〜んイギリスと事を構えている上にあのソ連に攻め込むなんてなぁ。おまけにアメリカも参戦したがってるし・・・」
「どうしてそんなに悩むの?ドイツは強いんでしょう?」
「どこも強国だからね。いくらドイツが強くったって、2カ国位ならともかくこんなに沢山の国とは戦えないよ。」
「だったら・・・どっかと戦うのをやめてみる・・・とか・・・?」
「簡単に言ってくれるねぇ・・・」等と言いつつも彼は閃いた。そう言えばイギリスのハミルトン公爵とはオリンピック以来の仲だっけ。
ひょっとするとチャーチル首相との停戦交渉を取り持ってくれるかもしれない。そう考えた彼は気違いとまでは噂されたくないので、
周りの人間には秘密のまま行動しはじめた。まともな手じゃ無理だ。残念ながら私にはもうそんな影響力は残されていない。
ならば、会談というより亡命に近くなるが飛行機でスコットランドに強行着陸してしまおう。前の大戦では戦闘機パイロットだったからとりあえず操縦は何とかなるだろう。
彼はここ4〜5年は味わった事の無い充実感に満ちていた。そして1941年5月、彼は祖国を守るべく行動を開始した。
ああ、そうだったな。全部私が決めたんだったな。男は双発戦闘機の操縦席に納まると腹をくくった。
「さあ行こうか。水銀燈。」
彼───国家社会主義ドイツ労働者党副総統ルドルフ・ヘスはそう言うとドイツを救うべく飛行場を飛び立った。
>>91 続きを期待しております。
銀様、よく噛み締めて食べて下さい。
629 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2007/02/27(火) 13:18:49 ID:rYIAVRgG0
ブローチを握りつぶされても、溜め息をつきながらも冷静に時間を巻き戻して元通りに直したり、
ブローチを奪われた時点で
「あら。貴方そんなにそのブローチが欲しかったの?」
「良かったら、それ、あげるわ。」
「ジャンクの手垢のついたブローチなんて、持っていてもしょうがないから」
と冷たく言い放つ真紅様を見たかった。
634 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2007/02/27(火) 15:44:52 ID:rYIAVRgG0
或いは。
真紅が天使のように優しかったら、
「おめでとうございます、水銀燈、いえ、薔薇乙女第1ドール 水銀燈お姉様」
と言いながら、静かにブローチを外し、
「お姉様。これは私からのささやかなお祝いですわ」
と歩み寄りながら差し出す。
で、水銀燈が喜んで受け取った隙に、電光石火の早業でステッキを振り抜いて水銀燈の胸を貫き、
ローザミスティカを奪い取る真紅様も見たかった。
「こうも簡単に手に入るとはね。ちょっと拍子抜けなのだわ」
と言い残して立ち去る真紅。
元のか弱い人形に戻り、倒れ付しながら絶望のまなざしで真紅の後姿を見送る水銀燈。
アリスゲームのレフェリーストップを入れるタイミングを逸して、呆気に取られるラプラスの魔。
(fin)
ちょっと続きを読んでみたいw
ところでここってアニメスレな訳なのだが、
原作設定のSSってのも可?
何時投下出来るかはわからんが、今それ書いているもので……。
スレ違いなら止めとくさ。
何を迷う?
原作があってのアニメ化だし
オレは読んでみたいよ
>>110 原作設定のSSの何が悪い?
スレ違いでも誤爆でもないぞ。
111の言う通り、原作あってこそだ。
心行くまで投下してくれ。
待っているぞ。
アニメ準拠でも原作準拠でもない設定のSSとかはちと途惑うが
ココ過疎ってるから投下してくれるなら俺的には神だし
原作準拠なら全然OKっしょ
一部で原作・アニメのゴタゴタはあるが個人的には全然おk
お願いします
>>105-106 俺こういうの好きだ。短いけど纏まってて現実に掛かってくるから結構震える
乙
俺も好きだけど、続きモノだよな?あえてここで終らせてるだけ?
レス少ないからいらないと思われたのかな?
もともとここはレス少ないんだ、続きがあれば是非見せてくれ
>>105-106
なよ銀「そ〜れ♪そ〜れ♪乳酸菌りょ〜♪ハイ♪」
銀様「やめなさい、ヘドがでるわ」
なよ銀「ごっごめんなさい・・・」
銀様「まったく、なよなよしちゃって、気持ち悪い。消えなさい。」
なよ銀「えっ・・・」
銀様「消えなさいって言ってるのよぉ!!!このジャンク!!」
なよ銀「!!?・・・」
銀様「あらぁ?なぁに、その目は?」
なよ銀「あなたも私をバカにするの?」
銀様「なによ、ジャンクの癖に口答えするの?忌々しいわね。ローザミスティカも持たない貴女はジャンクよぉ!!!消え去りなさい!!」
なよ銀「・・・・・」
銀様「!!?ちっ力が?!」
なよ銀「私はジャンクじゃないわ、ジャンクは貴女よ」
銀様「はっ羽根が!!?」
なよ銀「これは私の物、そしてそれも・・・・」
銀様「ローザミスティカが!?」
なよ銀「ふふふ♪暖かぁい♪あら、これで貴女はジャンク確定ね。だってローザミスティカ無くなっちゃったものねぇ♪」
銀様「ああ、かっ体が?動きにくい・・・」
なよ銀「ふふ♪本当にジャンクになっちゃったみたいね♪メイメイおいで・・・・」
銀様「メイメイ!?」
なよ銀「あはははは!!人工精霊も私の物!!もう貴女はいらないわぁ!!消えなさい!!!」
銀様「あっああ・・・いや・・・いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
>>90の続き
夕方。
ジュンが自宅に辿り付いたのはそういう時刻で、
あれからそのまま帰ることをせず、図書館で多少の時間を潰してからの帰宅だった。
実は柏葉巴と図書館で会ったのだが、急ぐらしく多少の話をして彼女は先に帰ってしまった。
ジュンは自宅の小さなサッシ門をくぐり、玄関の扉を開けようとした。
しかしふと手が止まり、彼は昼の出来事を思い出してみる。
今日は色々な事があった。
本当に色々だ。
まともに向き合うことなんて無かった水銀燈と話をして、
まさかその水銀燈のミーディアムともあんな、あんな・・・刺激的な・・・
(ちがう、違うッ!!)
ジュンは、あさっての方向に向かおうとした思考をブンブンと振り払い、
水銀燈のマスターでありミーディアムの、柿崎めぐの姿を思い出した。
儚い感じがして、消えてしまいそうで、しかしどこか水銀燈の様な雰囲気を感じさせ、
表向きは人を煙に巻くような明るさを見せ、だけど心はボロボロの・・・
死に憧れ、死に近付こうと足掻いている、悲しい少女。
「ミーディアムと薔薇乙女は引き合う部分があるって、前に真紅が・・・言ってたよな」
ふと、独り言がジュンの口からこぼれた。
確かに柿崎めぐと水銀燈は、似てる部分や雰囲気があると思う。
自分の置かれてしまった立場や、心の奥に持つやり場の無い悲しみと怒り、
そして・・・人とは違ってしまった自分の身体の欠点。
それでもあの二人は、望まない自分の置かれてしまった立場を・・・曲がりなりにも受け止めている。
「ほんと・・・僕なんて、まだまだだよな・・・」
ようやく閉じこもっていた殻を割って、前を、外を見つめれたとは言え、やっと一歩を踏み出しているに過ぎない現状。
ジュンは自分の頬をパンパンと叩き、改めてもっと踏み出し歩き出す自分になろうと気合を入れるのだった。
「・・・でも、僕と真紅って・・・どこが似てるんだろうな?
・・・あれ?じゃあ翠星石なんて一体どうなるんだ? 僕の何と引き合ってるんだ?」
気合を入れても釈然としない部分に、ぶつぶつ言いながらジュンは玄関の戸を開けて、
「・・・ただいまぁ〜〜・・・」
と、早くも気の抜けた声を玄関に流し込んだ。
「遅いですぅッ!!」
「まったく・・・」
「どこで道草してたのかしらぁ?」
そうしたらいきなり目の前に、憤慨気味の乙女達が大きな声でお出迎えである。
「うわっ!?なな?何だよお前達?!」
「何だよじゃねぇです〜!人が見ていないと思って!」
「随分と水銀燈のミーディアムとお楽しみだったようね?」
「いくらジュンが男の子って言っても手が早すぎると思うのかしら〜!」
「な、なっ?!」
「押し倒さなかったのは許してやるですが」
「病弱のレディの胸を触って」
「あまつさえ揉もうとするなんて」
「!? え !? ちょ、何でお前ら?」
「「「 最っ低ぇーーーー〜〜〜ですぅ!だわっ!かしらぁ!」」」
「ぇぇええええええーーーーー?!! 違っ!? ちょ、ちょと待てッ! あれは僕がやった訳じゃ!
ッて言うか何でお前らがそんな事知ってんだよ!!!」
大役お疲れ様と言われる訳が無いのは承知の上だが、
いきなり目の前に現れて、暴言&自分と柿崎めぐ(+水銀燈)しか知らない、偶然の成り行きから起きた秘め事を、
何でこの悪魔人形達は知っているんだと思いながら、顔を赤面させつつ乙女達の暴言に負けじとジュンは言い返す。
ジュンの当然の反論に、まずはぶすくれた翠星石が右手の人差し指を空にかざし
次いで冷ややかな表情の真紅と何故か陽気な金糸雀がそれに続き、三人が同時に人差し指で虚空を描いたかと思うと
薄く輝く翠(みどり)と紅(あか)と橙(だいだい)の光が呼び出され・・・
「壁に耳あり・・・」
「障子に・・・」
「メアリーかしら♪」
“ ニヤ〜リ ” と嫌〜〜〜な笑みを浮かべてジュンを見上げてやり返した。
「・・・ど、どうしてそんな事・・・」
最後はメアリーじゃないぞ金糸雀、なんてつっこむ余裕など無いジュン。
まさに恐妻に浮気がばれたダメオヤジの様に冷や汗ダラダラ。
以前なら『 ふざけるなっ!何でお前らにとやかく言われなきゃいけないんだ! 』と言えただろうが、
悲しいかなアリスゲームを通じて絆が深まってしまったが故に、強く言えなかったりするのだった。
ジュンが怯えているのに満足(?)したのか、それとも可哀相と思ったのか、
打ち合わせをした様に幼子をあやす様な微笑みをジュンに見せながら
やれやれと言う感じで、楽しそう話す三人。
「真紅がですね、ジュンの事を心配だからって」
「ちょっと翠星石!・・・ま、まぁ家来が他所でよからぬ事をしないか監視するのも主の務めだから・・・」
「っていうのは建前で、本音は真紅も翠星石もジュンの事が心配で心配で仕方が無いから、
ピチカート達をnのフィールドからジュンの護衛に行かせてたのよ♪」
「なっ!なに言いやがるですかっ、こっここここ・・・」
「かっか、金糸雀っ!ね、根も葉もない事を言うものじゃ・・・」
「もぉ〜〜〜う!! 二人とも もっと素直になるかしらぁー!
大体っ!カナがみっちゃん好きなように、あなた達もジュンが好きなら好きでいいじゃない!
精霊に導かれて、ミーディアムと出会って、わたし達のネジが巻かれたのは運命なのよ?!
その時その時のミーディアムと親密になるのは、薔薇乙女として当然の成り行きかしら!
カナは今みっちゃんと居られて凄く幸せなの!あなた達はその幸せを感じないのかしらぁ? ん?♪」
唖然とする薔薇乙女二人と、その二人のミーディアムであるジュン。
普段のピーチクパーチクした金糸雀の口から出てくる台詞とは思えない言葉。
まさに的を得た、ジュンの事を心の内で想っている二人には、何も言い返せない言葉。
台詞を終えかけた金糸雀は、三人の前に振り向いて、
ややかしげた小首に可愛らしい微笑みを浮かべて、人差し指を作った小さな片手を、
ふにっとした桃色の頬に添え、ウインクをしつつ “ ん?♪ ” と尋ね直すような仕草を見せるのであった。
「・・・な、なんでい、いきなりそんな事いいやがるですか・・・」
「だい、大体・・・な、何で私が、この真紅が・・・こんな・・・ジュ、・・・」
「 ・・・・・・ ・・・えっと・・・ 」
三者三様に頬を染め、文句を言い返そうにも、どうにもこうにも言い返せない三人。
そこに金糸雀が、翠星石の“そんな事”の問いに にこやかに、こう答えた。
「だって、カナは翠星石と真紅の、お姉さんなのよぁ〜〜♪解らない訳ないのかしらーーー♪」
三人はその台詞に目が点となり、思わず プー!!! と吹き出し、
乙女達の人工精霊も笑うようにピカピカと明滅を繰り返しているのであった。
「 笑うなぁ! かしらぁ〜〜ーーーーーーーーー!!! 」
今回はここまで。残り1/5程なのでもう少しのスレ汚し、どうかご辛抱を。
辛抱なんて冗談じゃない、GJ!
真紅で心臓止まるかとおもった
>>124 下手な謙遜は逆に相手を不快にさせる
良いか悪いかは観る側が言うことだから
アナタは気にせず書いてくれると凄く嬉しいかしら
もっと速く、もっと速く・・・音よりも速く
「こちら水銀燈、犬吠埼沖2キロ、高度10500メートル、降下をはじめるわ」
メグに持たされた携帯電話に向かって告げる、雑音は入るがなんとか通信はできる。
「水銀燈・・・がんばってね・・・」
この高度ではちょっとした姿勢変化でも数百メートルの高度損失につながる。
バランスを崩さぬように慎重に腰につけたヤクルトの壜を切り離す。
壜の底にわずかに残っていたヤクルトが白い糸を引きながら眼下に消えていく。
ここまで上昇するのに1時間と15分かかった。
予備として持ってきたヤクルトの壜を切り離せば、残りは体内の乳酸菌だけが頼りだ。
音速を超えるために全力を出せば体内乳酸菌もすぐ尽きるだろう。
メグともう少し話がしたかったが、携帯からはザリザリという雑音が聴こえるのみだった。
眼下には乳白色の雲が広がり、陸地と海の判別もつかない。
そこがおそらくメグのいる病院であろう場所に目をやり、水銀燈は降下を開始した。
「降下開始」
大きく広げた羽を引き絞り、ゆるやかに降下を始める。
空気密度の薄い高度で羽ばたいてもエネルギーの消費が大きい。
自由落下速度に達するまでは羽をたたみ、重力降下にまかせる。
「降下角30度・・・速度220キロ」
銀髪についた霜が剥がれ落ち、白い雪となって空中に舞う。
「降下角45度・・・速度280キロ、メグ?聴こえてる?」
髪と服が風圧でバサバサと音をたて、耳に押し当てたイヤホンからは何も聞き取れない。
「降下角60度・・・速度360キロ」
「降下角90度・・・速度450キロ、翼展開、全力試験開始」
一気に翼を広げると、空気抵抗でグッと速度が落ちる。
激しい風圧に耐えながら水銀燈は力強く羽ばたき始める。
「速度600キロ突破・・・空気が重いわ・・・まるで水の中を泳いでるみたい」
「速度650キロ・・・710・・・730・・・翼端がねじれそう・・・」
「速度740・・・速度があがらないわ・・・」
全身に叩きつけられる空気はコンクリートの壁となり、水銀燈の体を痛めつける。
「速度750・・・・・760・・・」
バキィィィィーーーーーン!!!!
不意に水銀燈の体を激しい衝撃が襲う、バランスを失った体は錐揉み状態となる。
薄れていく感覚のなかで水銀燈が最後に見たのは折れた翼に切り飛ばされた自らの右足だった。
(冷たい・・・冷たいわ・・・私の右足を誰か暖めて・・・)
「・・・水銀燈!!水銀燈!!」
(誰・・・私を呼ぶのは・・・)
目を覚ました水銀燈が見たものは白い病室の天井と心配そうに覗き込むメグであった。
「ここは・・・どこ?」
「病院よ。海に漂っていた水銀燈を漁師さんが届けてくれたのよ」
「そう・・・音速突破は失敗したわね・・・」
体にかけられていた毛布を払いのけ、立ち上がろうとする。
しかしグラリと視界が揺れ、再びベッドに倒れこんでしまう。
「わ、私の足が・・・右足がない!!」
「翼が折れた時に足も吹き飛ばされたみたいね・・・」
不意にメグの目から涙が零れ落ち、水銀燈にすがりつく。
「水銀燈・・・もうあきらめて。人形に音速突破なんて無理よ」
水銀燈はしばらく失われてしまった右足を見つめていたが、メグの手を振り払う。
「お父様は私に翼をくれた・・・他の姉妹達にはないこの翼を・・・
お父様が私に求めたものは飛ぶことで見つかるはず・・・
誰よりも速く、誰よりも遠くへ・・・力尽きるまで飛ぶ!!」
右足が失われた事で体重が軽くなったと不敵に笑う水銀燈をメグはもう止めることができなかった。
コツンコツン・・・病院の屋上に松葉杖の音が響く。
杖をつきながら歩く水銀燈の後を、メグが心配そうに続く。
「いい天気ね・・・今日こそは音速を超えるわぁ」
涙目になったメグは無言で2リットルのペットボトルに詰められたヤクルトを手渡す。
メグと水銀燈の間に今さら語ることはない、水銀燈は大きく翼を広げると悠々と空に舞う。
空のかなたに黒い点となって消えた水銀燈をメグはいつまでも見送っていた。
前回の挑戦で折れた翼はチタン合金の骨組みで修理し、翼の前縁は樹脂でガチガチに固めてある。
「八丈島上空12000メートル・・・今度こそ音を超えるわ」
水銀燈は無機質な病室の天井を見つめていた。
「今度は左手と左目を失ったわ・・・」
130 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/04(日) 23:09:43 ID:xwUZJgp/
>>129 うむ、乙!
終いには人形からロボットになりそうだな水銀燈。
何か元ネタがあるのかな。
>>123の続き
「おかえりなさい、ジュン君♪」
「意外と遅かったわねージュンジュン♪」
「・・・おかえりなさい」
「た、ただい ま・・・ど、どうも」
ジュンが薔薇乙女達と一緒に入ろうとしたリビングには、ジュンの姉の他に顔見知りの女性が居た。
一人は金糸雀のマスター、草笛みつ。
もう一人は、そう、ジュンの幼なじみ柏葉巴である。
草笛みつとは、金糸雀に強引な顔合わせをさせられてから、割と話が出来る仲にはなった。
仕事はパタンナーとかで、彼女からは何故か「ジュンジュン」と呼ばれてる。
元雛苺のミーディアムの柏葉ともちょくちょく顔を合わせるようになったから、彼女とも知り合いになった。
まぁそれはいい。金糸雀がここに居るんだから、草笛みつも休日出勤が終わってここに寄ったんだろう。
問題は巴だ。彼女は何か用があって自分より早く図書館から出て行った筈だ。
何かの用件が終わって家に来たとしても、時間的にここで落ち着いて居られるタイミングじゃ無いのに。
それにトランクで眠る雛苺に会いに来てくれたにしては、何かおかしい。
そんな瞬間的に流れるジュンの思考には大体横槍が入るもので、
翠星石がジュンのズボンに“わしッ”としがみつきながら“にょっ”と、扉の隙間から顔を出して
彼を見上げながら“ぷー”と顔を膨らまして文句を言いだした。
「なにボケボケつっ立ってるですか!私達が入れねぇですよー!」
「あ、いや・・・その何で柏葉と、みっちゃんさんが居るんだ?」
「玄関にパンプスと女性物のスポーツシューズがあれば、それぐらいの予測、ついて当然だわ。そんなことも判らないの?情けないわね・・・」
「いきなりお前らがワーワー玄関でわめいたんだから、そんな靴があったなんて判る訳ないだろ!」
「いかなる事態においても、冷静さを欠かないのが優秀な策士なのかしら、ジュン?」
「何の策士だよ、何のッ!?」
翠星石、真紅、金糸雀とジュンのやり取りに、それまで冷静的に振舞っていた巴が
「 プッ♪ 」
と吹き出し、次いで草笛みつこと、みっちゃんが
「ほんと、ジュンジュン達って仲イイワねぇ〜♪」
そう言って、からかいを入れた。
「何でだよ!」
そしてジュンは顔を赤くしてそれに反論する。
「玄関のあれ丸聞こえだったけど、ジュンジュンは一体何しに行ってたのかなぁ〜(ニヤニヤ)?」
「桜田君も・・・そういう事するんだ、そうだよね・・・男の子だもの」
「だーーー!!違うって!!あれは柿崎さんが無理やり触らせて」
「まぁジュン君!男の子なら自分の行為に責任は持たなくちゃ!」
「だから違うっての!!とにかくッ、僕は水銀燈と、そのミーディアムに会ってきただけなんだからなっ!!
それになんで柏葉と、みっちゃんさんが居るんだよ姉ちゃん!」
「何でって、ジュン君・・・わざわざ来てくれたのよ、巴ちゃんもみつさんもジュン君の為に」
「はぁ?・・・なんで僕の為?」
そんなジュンの横を乙女達は“にゅっ”とすり抜けリビングに入りながら
「ホレ見るです、のり。 翠星石の言った通りですよ」
「・・・まったく、あなたがこんな情けない家来だとは思わなかったわ、ジュン」
「一生懸命頑張るのもいいけれど、もう少し自分を見つめてあげてもいいのかしら」
それぞれ好きなことをジュンに言い始めた。
「な、な 何だよ一体みんなして・・・?」
ジュンはみんなから何の話を言われているのか、さっぱり判らなかった。
>気にせず書いてくれると
わかりました、残りは近い内に。
乙&GJ。
あんまり気にせずに行くべし。
ここは2chであって取引先さん相手にしてるわけじゃないから気軽に行くべし。
>>130 私的には『かもめのジョナサン』を思い出した
>>130 松本零士の「衝撃降下90度」じゃねぇか……
再度の挑戦のために水銀燈はメグに抱かれて病院の屋上にあらわれた。
一本だけで役に立たない右足を軽量化のために切り落としたため、もはや自分で歩くこともできない。
空気抵抗が大きい髪も肩のところでバッサリと切り揃えた。
「たぶん、これが最後ね・・・メグ、世話になったわね」
抱かれたメグの手を逃れるように水銀燈が大空に飛び出す。
メグの上空を二、三度旋回すると空の高みに消えていく。
前回の挑戦では羽ばたき続ける翼の先端が音速を超え、その衝撃に体が耐え切れなかった。
今回は思い切って翼に後退角をつけ衝撃波の発生を遅らせている。
全身が音速を超えるためだけに改造され、かつて目指していた理想の少女の面影はもはやない。
「私の手足と目を奪った音の壁を打ち負かすことが私の望み、これが私のアリスゲーム」
生身の体では生存することも出来ない高度1万メートルの世界を水銀燈は黒い翼となって飛ぶ。
誰にも邪魔されないこの世界で自らミーディアムになることを望んだ少女に思いをはせる。
「メグ・・・ありがとう・・・降下開始」
ヤクルトのボトルもメグとの最後の絆の携帯電話も捨てた水銀燈が加速を開始する。
「降下角45度・・・速度330キロ」
「降下角60度・・・速度490キロ」
「降下角90度・・・速度680キロ」
目に入るものは一面の乳白色、何も目標になるものがない世界に水銀燈は加速を続ける。
「速度770キロ・・・890キロ・・・」
誰かに愛された人形だったのは遠い昔だった気がする。
「速度・・・1000・・・・1050」
今は永遠にも思える加速を続け、その先にあるものにたどり着くだけ。
「速度1100・・・1150」
全身に叩きつけられる轟音とナイフのような空気の壁に黒い人形はもがく様に立ち向かう。
突然、水銀燈は無音の世界に放り出された。
「速度1225キロ!・・・超えたわ!音速を超えた!」
何も響かない無音の世界で水銀燈は勝利の叫びをあげる。
ズズゥゥゥゥーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
突然、強烈な振動が辺りを支配し、病室の窓ガラスをビリビリと振動させる。
ちょうどメグの検温に来ていた看護婦が思わずしりもちをついてしまう。
「な、なんなの!!??」
「・・・ソニックブームよ・・・物体が音速を超えたときに起こる衝撃波」
メグの目からハラハラと涙が零れ落ちる。
「そして、私の天使さんが天国へ帰ってしまった音・・・」
不意に泣き出したメグを看護婦は訳もわからずに慰めることしかできなかった。
日本上空で音速を超えた人形があったのを歴史は記録していない。
その時、大空と大地を揺るがして轟いた衝撃波を記憶している者はもうどこにもいない。
遠い昔のむなしい人形の夢だったのだろうか・・・・・・・・・・・・・・・
元ネタは
>>136さんのとおりの「衝撃降下90度」です
いい作品なんで未読の人は読んでみてください
水銀燈が音速を超える理由が薄いとか思われるかと思いますが
最初は主治医の会話でメグの命が長くないことを知った水銀燈がって展開で考えていたので
脳内補完してやってください
感動するべきか正直迷っているのだがwとにかくGJだったw
元ネタもなにも…ただのパクリじゃねーかよ
著作権引っ掛かるぞ
劇場版ドラゴンボールZのメタルクウラ編をそのまんまローゼンに置き換えた奴が
既にこのスレに書き込まれてる時点で
まー、金取ってるわけじゃないんだからいーじゃんよ
J●SR●C様じゃねーんだから
てか、そもそもローゼンキャラ使ってる時点で(ry
普通におもしろかった
一方薔薇水晶はアメリカの極超音速の無人実験機に衝撃試験用の人形として乗り込み、約7300キロの速度で飛んでいた
>>145 お父様に放置されてる本家薔薇乙女と違って
薔薇水晶はお父様が直ぐ近くにいるから壊れてもすぐ直して貰えるだろうし
むしろちょくちょく強化もしてくれそうだと思った
せめてフェアリングをつけろ、とか身も蓋もない突込みを入れようとしたが
ググったら元ネタはレシプロの機首ペラ機かよ・・・。
ザ・コクピットの前身だったのね。
>>145 音速の壁を突破した薔薇水晶は空と宇宙の境目、成層圏に挑む
自らがライト・スタッフ(正当な資質を持った人形)であるために
>>147 レスが蹴られたかな・・・
メ欄の桜花MAD久しぶりに見たな。
これも、本来音速を出すことは目的ではなかったのだが。
>>132の続き
「ジュン、おめでとう」
「え、な 何が?」
柔らかく微笑みながら、おめでとうと言う真紅。
ジュンはますます分からないといった感じだ。
そこに翠星石がやれやれといった感じで、苦笑しながら
「お誕生日、おめでとうですジュン・・・」
優しくそう言ってあげた。
「あ・・・ああ、あ ありがと・・・」
そうか・・・今日は自分の誕生日だったんだ。
すっかり忘れていた、自分の誕生日なんて。
「取り合えず、こっちに来てお座りなさいな」
優しくそう言って、真紅がジュンに声をかけた。
みんなもにこやかな顔でジュンを促す。
「う、うん・・・」
リビングのテーブルには色とりどりのご馳走と、今朝のお菓子達が
みんなと共にジュンを出迎えている。
(ああそうか・・・今朝あんなにたくさんお菓子作っていたのって・・・僕の為でもあったんだ・・・)
今だ目の前の光景が、自分の為の物だと実感できずにいるジュンを見て
のりが静かにこう言ってあげた。
「去年はお姉ちゃんだけだったでしょ・・・お祝いできたのって・・・
だけど今年は、こうしてみんなに知ってもらって、一緒にお祝いしてもらおうと思ったんだけど・・・
やっぱり余計だったかな・・・ジュン君・・・」
「お姉ちゃん・・・」
去年。
そう・・・僕は・・・
色んなプレッシャーに負けて公立の中学に入り・・・
学校での自分の存在や、僕をバカにしたようなみんなの好奇の目に耐えられなくなって、
そして・・・家に引き篭もった時期だ。
あの時のお姉ちゃんは、ずっと僕を心配してくれて、色々と面倒を見てくれていたのに・・・
僕はそれすらも疎ましくて、歯がゆくて、何も解らない癖にと・・・自分の殻に閉じこもり甘え続け・・・
部屋の扉越しに一生懸命僕を励まし続けて、応援してくれて、誕生日のお祝いやプレゼントまでくれたのに・・・
僕はそれを全て拒絶して・・・打ち壊してしまったんだ・・・
それなのに・・・ずっと僕を見続けてくれて・・・今もこうして・・・みんなと・・・
僕っていう命が生まれた事を・・・僕って言うどうしようもない弟なんかのために・・・祝ってくれている・・・
お姉ちゃん・・・
今まで自分が姉にしてきた過ちや甘えが、ジュンの脳裏に走馬灯の様に映し出されては消えて行く。
優しい姉。自分には過ぎた姉。たとえローゼンメイデンのドール達がこの家に来なかったとしても・・・
自分を取り巻く環境にドール達と言う光が射さなかったとしても・・・
この姉はきっと僕を見捨てずに、僕を応援し続けてくれたんだろう・・・
(夢の中で言ってくれたあの言葉)
(僕の頬を叩き、感情むき出しで涙ながらに訴えてくれたあの言葉)
(僕はダメな弟だ)
(だけどみんな笑おうと一生懸命なんだ)
(その努力もせずに逃げ出すなんてお姉ちゃんは絶対にゆるさない)
(僕を立ち直らせようと必死で、一生懸命で、いつも笑顔を絶やさない努力をしてくれていたお姉ちゃんの言葉)
(あの言葉が・・・今の僕への・・・ターニングポイントだったんだよね・・・お姉ちゃん)
何気ない姉の、のりの『 余計だったかな・・・ 』と言う言葉の裏に、
どれだけ自分を想ってくれているかを汲み取ったジュン。
思わずうつむき黙り込んでしまう。
「ど・・・どうしたのかしら?」
「具合でも・・・悪くなったですか?」
「・・・ジュン?どうしたの?」
「・・・桜田 く ん?」
「おーいジュンジュ〜ン・・・どうしたのかな?」
「・・・ジュン くん ?」
心配そうなみんなの声が、姉の声が・・・ジュンの耳に聞こえる。
心なしかジュンの肩が震えているように見えたものの、彼はすぐに顔を上げ
「いやぁー・・・自分で自分の誕生日忘れちゃってるんだもんなぁ、情けないよホント。
・・・ありがとうみんな。 さぁー食べるぞぉ〜〜ーーー!!」
何事も無かったように明るい笑顔をみんなに見せて、
迎えられたソファーに腰を下ろした。
「まったくぅー ビックリさせないでほしいかしら♪」
「ホントですよ、何事かとおもったです♪」
「これからはちゃんと自分の誕生日くらい、覚えておきなさい」
「くすっ♪ それだけ桜田君、頑張ってるんだものね」
「これだけ美女がジュンジュンをお祝いするんだから、忘れられない日になるわよ〜♪」
「 よかった・・・ 」
そう言ってみんなが口々に話し、ご馳走を取り分ける準備をしだす。
みんなは見た。
ジュンの泣き笑いのような笑顔を。
潤んだ瞳の端に僅かに滲んだ彼の涙を。
きっとこれからの彼は、何か人を魅了する才能を開花させる
素敵な少年になってゆくに違いないと、彼女達全員が思っただろう。
そして姉であるのりこそが、それを一番強く感じているに違いない。
「お姉ちゃん・・・」
「なに、ジュン君・・・」
「・・・ありがとう」
今、自分を見つめて、
みんなの前でこうしてはっきりと言葉出来る程に、自分を取り戻す事が出来たのだから。
「うんっ♪」
のりは満面の笑みを浮かべて、愛する弟の言葉を確かに受け止めたのだった。
あと少し続きがありますが、ここで終わってもいいかなと。
>>154 心 停 止 。
GJ!のり……(´;ω;`)
続きは気が向いたら是非。
>>155-157 有難うございます。ではお言葉に甘えて…
>>153の続き
「今日はジュンの誕生日だったんですよ、蒼星石・・・雛苺・・・」
明かりを一段落としたジュンの部屋に、翠星石の静かな声が流れる。
豪奢な革張りに薔薇の紋章をあしらった二つのトランク。
それは、静かに眠る二人のローゼンメイデンの、安らぎのベッド。
開いた二つのトランクには、蒼星石と雛苺が静かに・・・本当に静かに眠っていた。
「巴に可愛がってもらえたですか・・・雛苺・・・」
目を細め、愛しい三番目の妹の頬を優しく撫でようと、静かに翠星石はそう語りかけた。
さっきまで雛苺と会っていた巴。
ジュンが巴の気持ちを配慮して会って来てほしいと頼んだから。
「・・・あ・・・」
雛苺の頬を撫でてすぐ、翠星石は雛苺の頬が濡れているのに気付いた。
巴の涙に違いない・・・
翠星石の心に、チクリとした痛みと・・・少しの悲しさが見え始める。
しかし彼女はあえてそれを受け止めて・・・
だけどほんの少しの悲しさが混じった笑顔で、雛苺に静かに語りだした。
「お前は幸せですよ、雛苺。 ジュンと巴・・・二人のミーディアムに見守られているのですから。
安心するです・・・真紅や金糸雀、のりにジュン、それに・・・蒼星石と私も・・・いつも側にいるですからね・・・」
翠星石はそう言って、雛苺の頬に軽く・・・優しい口付けをした。
そしてそっと雛苺から離れると、蒼星石のトランクのそばに身体を移動し、
眠ったままの双子の妹の栗毛色の髪に、そっと手を添え愛おしく撫でながらささやく様に語りかける。
「蒼星石・・・お前は今、どんな夢をみているですか・・・
雛苺にも言いましたけど、今日はジュンの誕生日だったんです・・・」
愛しい妹は目をつむったまま。何も話さない。
穏やかな表情で眠ったまま。動こうとはしない。
解っている。雛苺も眠り続けたままなのだから。
それでも構わない、今ここに、この場所に、ジュンと私達の側に、この子達は居続けてくれるのだから。
だけど・・・
もう慣れた筈なのに・・・やっぱり涙が出そうになる・・・
自分の弱い気持ちを祓う(はらう)ように、翠星石は頭(かぶり)を振って笑顔を作り、
そこで部屋の扉が小さく静かに開くのを感じた。
「・・・真紅ですか・・・」
翠星石の声に応えるように、
扉の取っ手から桃色の色調が映えるステッキが静かに離れる。
「遅いから・・・見にきたのよ」
そう言って真紅は雛苺のトランク前にそっと座り、
柔らかくカールされた雛苺の綺麗な金髪を優しく撫でて
「巴には可愛がってもらえたかしら・・・雛苺?」
と、翠星石と同じ事を雛苺に尋ねた。
翠星石はそれが嬉しくもあり、可笑しくもあった。
「くすっ・・・」
「何?・・・」
「私と同じ事言ってるです」
「・・・姉妹だもの、当然だわ」
「・・・そうですね、そうですよね・・・」
姉妹。
その言葉に翠星石は少し寂しく微笑む。
そんな翠星石の肩に真紅はそっと手を添え、愛しみの表情で言葉した。
「大丈夫なのだわ、翠星石」
「え?・・・大丈夫って?・・・」
「私達にはジュンが・・・ミーディアムがいるわ」
「ジュンが・・・」
「そして貴女には・・・私と金糸雀がいつも一緒なのだわ」
「真紅・・・」
「大丈夫。ジュンと私・・・それに貴女がいるのだから・・・この子達は・・・」
そこで言葉を切った真紅が、雛苺と蒼星石に優しい視線を送り、再び言葉を続ける。
「きっと私達の元に帰ってくるわ」
「・・・・・・」
「だから・・・」
「 ! 」
真紅のしなやかで幼い腕が翠星石の背中に回り、優しく翠星石を抱きしめる。
翠星石は彼女の肩口に顔を埋める形になり・・・真紅の優しい香りに満たされる。
そして翠星石の耳元に、真紅の澄んだ、静かで柔らかいささやきが届く。
「心配しないで・・・たとえ遠く離れていても、私達姉妹は・・・いつも一緒なのだから」
この妹は・・・私の妹は・・・本当に・・・
なんでこんなに・・・優しいのだろうか・・・
「・・・ずるいです・・・いつもいつも・・・」
「?・・・翠星石・・・」
「だからお返しですっ♪」
「?!きゃっ、すすっ す、すいせいせきっ!」
心優しい妹に抱きしめられて、甘えてばかりはいられない。
真紅の愛情と心遣いに感謝しつつも、翠星石なりの感謝の印と・・・
少しばかりの意地悪を込めて、彼女は真紅の肌理(きめ)細やかな頬に“チュッ”と親愛の口付けを送った。
姉の突然の愛情に思わず背中に回した腕を放し、頬を染める真紅。
翠星石はそのままゆっくりと立ち上がり、目を細めて微笑みながら
「先に下りてるですよ、真紅♪ 雛苺と蒼星石よろしくです♪」
そう言って扉まで移動する。
「・・・ありがとうです・・・真紅」
そして顔を赤くしたままの真紅の方はあえて見ずに、その一言だけ言って翠星石は静かに扉を閉めた。
後に残されたのは、いまだ顔を赤らめまん丸にした目をパチクリさせた真紅と・・・
心なしか微笑んだような表情の蒼星石と雛苺が、トランクで眠り続けているだけだった。
残りはまた今度。
このまま百合突入かと思ったぜw
163 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/11(日) 18:19:01 ID:DKOuCbs2
ウザ杉でいい加減秋田
他の職人早々にキボン
泣きそうになるな
百合入りそうでドキッとしたがw
>>163 お前の存在自体が飽きる。
アヤつけるヒマがあるならテメェで書け。
>>161 続きが気になって夜も寝られない
GJ!
「誰かに死ねって命令されて、はいそうですかって死ねるほど、私は軽く考えていない!
そんな簡単に死ねるなら、とっくの昔に何百回も死んであげてるわよ!
こんな……ゴロゴロ転がってるありふれた死にかたなんて、同化できない!
私にとって死ぬってことは……特別なの!
手の届かない高い場所にひっそりと咲いて……散る……誰にも……」
「不愉快だわ!私の領域に、こんな雑草みたいな連中が土足で入ってきて!
昔から知ってたみたいな顔して!ばたばた死んでいって大迷惑!」
「あなたの死なんて、ありふれたものよ!死にたいけど怖くて死ねない。
そんなヒョロヒョロしたあなたの志と同類項でくくってもらっちゃあ、汚れるの!
私の……死の神聖さが……おとしめられる!
あなたなんて、そこらへんの……この下に積み重なっている連中と一緒!
平積みの『完全自殺マニュアル』読んで?
『自分には最終手段が残されているって思うことが勇気になる』とかいって?
気取るな!現実と戦う覚悟がない世捨て人気取りが!そんなのみんな一緒!
私があなたを案内したのは……私の領域の端っこに招いたのは……同列の存在を作るためじゃない!
あなたは道具!いい、道具なのよ?!死の儀式に必要不可欠な……道具!
いい、あなたは条件なの。わたしが死んでいい状況を形作るための条件でしかないんだから
……あなたは過去のわたしなの!
今の私じゃない。なんでもなかった頃の私で………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………思い上がるなッ!」
水銀燈と金糸雀と真紅とで電気の科学館に言った折に嘘発見器を見つけたので試してみる事にした。
水「私はいつも祈っているわ。お父様に一刻も早く会える事だけを。」
ビービーとけたたましく針が振れた。
金「カナはいっつもかんがえているのかしら。ろーぜんめーでんみんなのローザミスティカをいただくことを!」
ビービーとけたたましく針が振れた。
真紅「私はいつも想っているのだわ。おいしい紅茶とくんくんの事だけを。」
針が振れることは無かった。
真紅www
水銀燈は逆に萌えるなぁ、そういうの。
翠星石が何か面白い番組は無いのかとTVのチャンネルを回していた時、
ふと筋肉ムキムキの男達が半裸の状態で殴ったり蹴ったり取っ組み合っている番組を見つけてしまった。
それは総合格闘技中継なのだが、それを初めて見る翠星石には異様な物に映ったに違いない。
「うわ・・・人間のオスはこんな野蛮なのが好きなんですぅ? まったく人間と言う奴は
分からない奴ですぅ。ただ殴りあったりするだけなんて・・・アリスゲームに比べれば子供の遊びですぅ。」
と、全世界の総合格闘技ファンごめんなさい的な発言をしている翠星石だったが、
そのままチャンネルを変える事無く見入っていた。何だかんだ言いつつも、彼女は
鍛え上げられた男達の熱い戦いに惹かれていた。そして番組が終わる頃には・・・
「す・・・凄かったですぅ・・・感動したですぅ・・・あれこそ男の生き様ですぅ・・・。」
翠星石は全身が汗びっしょりになり、目からも感動の涙を流していた。
「ジュンもあの人達みたいに強かったらもっと素敵ですのに・・・今日も部屋に引きこもって・・・
そうですぅ! 翠星石がジュンを鍛えてやるですよ! そしてあの番組にも出られる強い男にしてやるですぅ!」
翠星石が勇んで二回に上がると、案の定ジュンは机にかじりついた状態でネット通販に浸っていた。
「こらぁ! チビ人間! まだそんな事してるですか! いつまでもそんな事してたら
ただでさえチビな体がますます弱くなりやがるですよ! そんなチビ人間は翠星石が鍛えなおしてやるですぅ!」
「わぁ! いきなり何だ翠星石!」
突然椅子から引き離され、ベッドに押し倒されてしまったジュンは慌てていたが、
翠星石は仰向けになったジュンの上に乗った状態で殴り付け始めた。
「チビ人間の腐った根性は翠星石が地獄の猛訓練で鍛えなおしてやるですよ!」
「わぁ! いきなり何するんだよ! やめろよ!」
ジュンは翠星石を手で払おうとするが、構わずに殴り続ける。
すっかり総合格闘技に影響されてしまったのか、翠星石は格闘家にでもなっている気分で
ジュンを何度も攻め続けていた。
「ほらほらぁ! 攻められっぱなしでは何にもならないですよ!」
「もう止めろ! 痛い! 痛いってば!」
ジュンはうつぶぜになり必死にベッドの上を這って逃げようとした、しかし翠星石は
ジュンの背中に乗りかかり、首を絞め始めたではないか。
「相手に背を向けたらスリーパーの餌食ですぅ!」
「うぐぁ!」
翠星石はジュンの首をスリーパーで絞め続けた。だが、それがいけなかった。
ついにジュンは全身の力が抜けたように崩れ落ち、動かなくなってしまって。
「え・・・ジュン・・・?」
返事が無い。翠星石は見動き一つしなくなったジュンを揺するが、やはり動かない。
「え? え? そんな・・・返事をするですよ・・・ジュン・・・ジュン・・・。」
翠星石はジュンを何度も揺すり、頬も叩くが返事が無く、身動き一つしない。
「そんな・・・そんな・・・嘘・・・嘘です・・・嘘ですぅ! ジュン! ジュン!」
目を涙に潤わせ、何度もジュンを揺するがやはり動かない。
「まさか・・・そんな・・・ジュン・・・死んじゃったですぅ? す・・・翠星石がやってしまったですか・・・
そんな・・・うわぁぁぁぁん!! ごめんですぅ! ごめんなさいですぅ! そんなつもりじゃ・・・
そんなつもりは全く無かったんですぅ! ただジュンに強い男になって欲しくて・・・
ごめんんですぅぅぅ!!」
翠星石は動かなくなったジュンを抱きしめ、泣いた。殺すつもりなんて全く無かった。
翠星石はジュンが大好きだったのだから。そして大好きだからこそ総合格闘技に出て来る
男達のように強くなって欲しかった。だがまさかこの様な事になろうとは・・・
「うわぁぁぁぁぁジュンごめんなさぁぁぁぁい!!」
「うずず〜・・・。」
「え?」
翠星石は硬直した。ジュンは死んだわけでは無かった。ただ翠星石のスリーパーで
絞め落とされて眠りについているだけだった。まさにスリーパーである。
「寝てるだけですかぁ! でも・・・よかったですぅ・・・。」
翠星石は涙を拭き、ジュンを優しく抱いた。そしてジュンが起きたら素直に謝ろうと思った。
まあ翠星石の素直じゃない性格からして、それを実行する事は出来なかったのだけど・・・
おわり
171 :
170:2007/03/13(火) 00:17:16 ID:x/A3Osq+
ギャグ系のネタとか好きなんだけど
いざローゼンSSを書こうとなるとギャグ系のネタが全く思い浮かばん
良い話系(?)ばっかりになってしまうorz
.'´,ヘ ヘヽ
!〈 ((゙ "))〉
il!!|.゚ ヮ゚ノ!
il(i ゜ ゜i)l
ノl!!l |!|
|._ハ_.|
i⊃i⊃
「めぐの朝は水銀燈の特濃ヤクルトから!!」
突然めぐは叫び、水銀燈の足を掴み上げる。
「きゃあ!?いきなり何するのよぉ!!」
水銀燈を逆さ吊りにするとスカートが捲れ
せくすぃな黒い下着が現れた。
水銀燈はきゃあきゃあ叫び、必死でスカートを抑える。
「無駄な抵抗はダメよ☆」
無慈悲なめぐは水銀燈の下着を脱がす。
「まぁ!こんなので湿っぽくなってるなんて
あなたって変態ね?」
「ちょっ…ちがっ…」
水銀燈の少し濡れた秘裂にめぐは舌を差し込む。
「っやあああああ!!」
快楽の電流が脳髄を駆け巡り水銀燈は
思わず背筋を反った。
「まだまだこれからよ」
めぐは水銀燈の蜜壺に入れた自身の舌を動かした。
丹念に舐めまわしたり、なぞったり突いたりと
めぐの華麗な舌捌きに水銀燈は何かがくるのを感じた。
「めぐ…めぐっ…何かくるっ!!」
その直後、
ぷしゃあああ!!
と大量の潮を噴いた。
「ああっ勿体ない」
めぐは水銀燈の秘部に顔を埋めた。
ぢゅるるる!ぢゅるるる!
とはしたない音を立て
水銀燈の潮をこぼすまいと吸った。
「めぐちゃんどうかしたの?」
看護士が慌てて病室に飛び込んできた。
先程の水銀燈の喘ぎを勘違いしたようだった。
「別に…嫌な夢を見ただけよ」
めぐの態度は水銀燈のソレとは打って変わって冷淡だ。
「それより寝汗かいたから着替え持ってきてよ」
看護士はそう?それならいいけど…
と言ってめぐの着替えを取りに病室を後にした。
看護士がいなくなったのを確認すると素早く
ベット下を見た。
そこには気絶した水銀燈がいた。
めぐは無邪気に笑って言った。
「またヤろうね天使さん!」
174 :
真紅と猫:2007/03/13(火) 22:59:39 ID:x/A3Osq+
今日もジュンはネットに興じ、真紅は読書、雛苺は紙にクレヨンでお絵かき。
なんの事は無いいつもの光景である。しかし、その日は違った。
「あ〜! 遊びに来てくれたの〜!」
雛が立ち上がって窓の方に走った。雛苺と仲の良い近所の野良猫がジュンの部屋の
窓まで登って来ていたようである。
「キャァァァァァァァァ!!」
真紅が悲鳴を上げた。無理も無い。真紅は他の姉妹と違って猫が大の苦手なのだ。
普段のクールさは何処へ行ったのか、真紅は読んでいた本を捨て、なりふり構わず
ジュンに抱き付いていた。
「嫌ぁぁぁぁ! 猫・・・猫嫌ぁぁぁぁ!」
「真紅〜そんな事無いのよ〜。猫さんはとっても優しいのよ〜。」
「何を言っているの!? 猫はこの世で最も野蛮な生き物なのよ!」
「そんな事無いったら〜。」
猫と仲の良い雛苺には何故真紅が猫を怖がるのかが理解出来なかった。
そしてあっさり窓を開けて部屋の中に猫を入れてしまうのだが、猫は真紅の方へ走って来たではないか。
「にゃ〜お〜。」
「キャァァァァァ!!」
真紅はまるでバケモノにでも襲われたかのように驚愕した表情で逃げ出した。
しかし、猫は逃げる真紅の後を追っていた。
「嫌ぁぁぁ! 助けてぇぇぇ!」
「ニャ〜ゴ、ニャ〜。」
真紅のドレスは目立つし、またツインテールヘアーが猫に対して猫じゃらしの効果を出しているようで
猫にとっては追わずにいられない様子だった。そして真紅が逃げれば逃げる程ツインテールヘアーは
激しく揺さぶられ、余計に猫を追わせてしまうのである。そしてついに猫に飛び付かれてしまった。
「嫌ぁぁぁ! 離して! 離してぇぇぇ!」
「ニャ〜ニャ〜。」
猫はもがく真紅のツインテールヘアーの動きに合わせて前足を動かしていた。
猫は真紅と遊びたいだけで悪意は全く無かったのだが、真紅にとっては恐怖以外の何者でも無かった。
「おいおいもうその辺にしとけよ。ってあら〜・・・気絶しちゃったか・・・。」
ジュンは真紅とじゃれあう猫を笑いながら見つめていたが、真紅はついに恐怖に耐え切れずに気絶してしまった。
そして・・・ついにそれは起こった。
ジュンは気絶した真紅を自分のベッドに寝かせていた。そして一時間くらいした頃、真紅は目を覚ました。
「やっと起きたか真紅・・・。もう猫は帰ったから安心しろ。」
「おとうたま・・・あたちじゅーすがのみたいの・・・。」
「え・・・。」
ジュンは硬直した。真紅の様子が可笑しい。いつもの真紅なら猫が来た時にどうして
助けてくれなかったとか問い詰めたりするはずである。だが気絶から目覚めて以来何かが変わった。
口調やセリフが違うだけじゃない。と言うかジュンに対しておとうたまと言っていたし、
紅茶じゃなくジュースを欲しがり、さらにはまるで赤ん坊のように指をしゃぶったりもしていた。
「お前・・・まさか・・・。」
そのまさかである。猫に対する恐怖心が限界を超えた結果、真紅の自我は崩壊し、幼児退行してしまった。
「真紅・・・。」
「おとうたま・・・あたちじゅーすがのみたいの・・・。」
「ああ幾らでも飲ましてやるよ・・・お前の大好きなジュースを・・・。」
ジュンは真紅を優しく抱いた。
幼児退行した真紅はそれまでのクールで女王様気質では無くなり、小さな女の子と言う感じに変貌した。
もうジュンを下僕とこき使う事は無くなったが、その代わりジュンを父親と認識しているらしく、
雛苺以上のわがままさで、今までとは違う意味でジュンを困らせていた。
また、この状況で水銀燈に襲われたらひとたまりも無いと思われたが、幼児退行してしまった真紅を見た
水銀燈はまるで可哀想な者を見るような目で見逃し、去っていった。
現在ドールズが皆で協力して幼児退行してしまった真紅を元に戻そうと頑張っているが、
ジュンは今の真紅がとても可愛らしく見え、このままでも良いかもと密かに考えてた。
「おとうたま・・・あたちじゅーすがのみたいの・・・。」
おしまい
175 :
174:2007/03/13(火) 23:01:33 ID:x/A3Osq+
バキのドリアン編(特にラスト)を読んでて思い付いたネタだったりするんだけど・・・
幼児退行の表現が難しいし、何かカオスっぽくなってスマソ
とりあえず「おとうたま」に吹いたw
なんかこのセリフ何処かで見たような・・・?
178 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/14(水) 00:03:19 ID:BY6nASiP
バレたら通報もんだな
>>176、前スレの銀様が全てのRM手に入れたは良いが激昂したJUMによってレイプされ
アリスの資格を失い、その後JUMと和解し一緒に暮らしていた銀様が真紅みたいなドールを産む話じゃない?
↑
前スレじゃなかった、薔薇乙女のエロ小説 第12話だったスマソ
このスレの
>>110の者です。
レス増やすこともないかな、と思い返さなかったけど答えてくれた人ありがとう。
区切りの部分まで書きあがったので投下したいと思います
真っ黒な世界。虚ろに浮かぶ無数の扉は同数の数多の人の夢。
その中心に立つ少女よりも一回り小さい少女の――人形、翠星石はまたか、と重い息を吐いた。
夢と夢の狭間。深い眠りの底である此処には様々な夢が存在している。それこそ身内も、全く知らない他人の夢さえも行き来出来るのは庭師足る翠星石の力故。
上下左右の感覚も無いそこに数歩。ぼうっと、火の玉のように扉が一つ、行方を防ぐように目の前に浮かんだ。
「っ……」
花咲くこと無い茨に、がんじがらめされているその様。痛々しいそれは封じたい物なのか、あるいは縛られたい物なのか。
何回とも夢の扉を見てきた翠星石であったが、この扉だけは何か違うと感じた。
しかしその扉の姿には見覚えがある。見間違えようもないその扉は自分と『あの子』の記憶。
触れてもいないのに扉はゆっくりと音を立てずに開きだす。
『―――僕は、叶えたい……!』
『蒼星石!』
まるで今そこで行われているかのような鮮明な映像。
扉の向こうに移るのは自分とその妹。忘れられる筈もないあの場面。
『君の…泣き顔は…………』
『やぁ…ですッ蒼…せっ……?』
―――もし、あの時
逃げ出さなかったのなら。
力ずくでも引き止めたのなら。
躊躇せずに受け入れたのなら。
―――きっと、そんな事にはならなかった。
『あはははははははは!』
黒い翼。黒と白のドレスを纏った銀髪の少女。
幻想的なその出で立ちながらも、蒼星石―――妹の命を刈り取る様は天使というよりも死神に近い。
『貰っちゃった。貰っちゃったぁ……。
蒼星石のローザミスティカ、貰っちゃったぁ』
『返してぇッ。水銀燈ッ……!』
極上の笑みを浮かべ、魅入られたように命、魂ともいえるローザミスティカを水銀燈は優しく包み込む。
そして、ただ奪われた事実というものに駄々っ子のように泣き叫ぶ自分。
「―――やめて」
手を差し伸べても、届かない。
これは過去。それは過ぎ去った事。
誰かに言ったような言葉が脳裏に浮かんだ。
『うふふふ……』
「やめてぇッ……!」
伸ばした手には届かず。黒い羽を携えた彼女に飲み込まれるのは、妹の魂。―――そこで、止まる。
ギチリ、と時計の歯が噛んだような音を経て映像は停止。
ギリギリと、歯車が逆回転したかのような音と一緒に映像自体も巻き戻っていく。
『また…泣いているの……?』
『蒼星石…。し、しっかりするですよ!』
そのエンドレス。罪だと、罰だとも訴えんばかりに映像は永久にそれを繰り返す。
何回も、何回も。
「ぁ……」
そして手を伸ばす。映像に捕らわれたかのように、自分もまた永久にそれを繰り返す。
何回も、何回も。
『ククッ。夢は現……現は夢』
―――そんな声が、聞こえたような気がした。
「ん……」
まどろみ。夢から覚め、いつも通り視界に迎え入れるのは同じみの薄明るい部屋。
差してくる光を鬱陶しいように手で阻み、傍にあるケースから眼鏡を取り出す。
まだはっきりとしない頭のままジュンはベッドから、机の上に置かれている時計で時間を見た。
いつも通り。姉がとっくに出かけれている時間を針は指している。
そのままジュンは空ろな頭のまま、習慣的な身体の動きに従い、ベッドから出て朝の支度をする。
「ん……なんだ?」
と、丁度服が着替え終わった時に、頭が働いてきたのかある異変にジュンは気付いた。
「珍しいな、まだ寝てるのか?」
目の前には大きな重厚の鞄が三つ。部屋の真ん中に鎮座し、我が物顔のように居座る鞄は二つは開き、一つは堅く閉じられている。
鞄だけなら何の変哲も無い事だが、ジュンの記憶ではこのような光景は一度とも無かったため首を傾げる。
「おーい」
コン、と閉まっている鞄を叩いてみるも反応は無い。
数秒そのまま待ってみるも、鞄は石のように沈黙を守ったままである。
「まあ、いいか」
流石に中まで開ける気にもなれなかったジュンは、眠かったのもありそのまま部屋を後にした。
「……はよう」
ドアの開閉の音で打ち消されるくらいの小ささで呟き、ジュンはドアを開ける。
自分の耳にも聞こえるか聞こえないか程の小ささは、事実相手からの挨拶は返ってこなかい。
半ば予想出来たことなので差して気にはしなくジュンは席へと腰を下ろした。
『警部! すべての謎は解けました!』
『おお。さすがくんくん!』
この家の大部屋でもあるリビングにひびきわたるコミカルな声。
近所めいわくになるほどでもないが、中々の音量でもあるそれはドアごしからでも十分聞こえ、寝ぼけた頭には少々響く。
『ずばり! 犯人は貴方です!』
探偵物にはお決まりの決め台詞。テレビの中の一同と一緒に、向かいでは「おお」とか「さすがなのー!」とか驚きを含めた賞賛の声が聞こえる。
同時にソファーの後ろ越しから見える微かにだが、落ち着きの無いように揺れ動く金色のツインテールには苦笑しながら、こみ上げてきた欠伸をかみ殺した。
『次回もまた見てね! くんくん!』
何時の間にエンディングが流れたのか、お決まりな台詞を持って画面は別番組への締めへと入っていた。
そうして別番組の合間のコマーシャルにきりかわる前に、興味が無いといわんばかりに画面は暗転する。
「あら、ジュン。起きていたのね、おはよう」
「おはようなのー!」
「……ああ、おはよ」
未だにこみ上げてくる欠伸をかみ殺し、ジュンはやってきた人形達に適当に挨拶をした。
そのぶしつけな態度に真紅は咎める風でもなく、持ってきたリモコンを置き席へと腰を下ろす。雛苺もそれに続く。
律儀なものだ、と思いながらジュンはリモコンを手に取り画面を再び点灯させる。
浮かび上がってきた画像はさして興味もないニュース番組で、適当にボタンを押しながらチャンネルを変えていく。
「ジュン? 紅茶を入れて頂戴」
すっ、といつの間にか専用のコップをさり気なく出し、読書に励んでいる真紅。
……まったくもってこいつは。
朝目覚めたばかりもあって、多少顔が引きつるジュンであったがそれ以上は何も言わず黙ってカップを受け取る。
テレビは興味の無い番組で止まるが、そもそもこの時間帯にジュンの興味を引かれる番組も無いので、ジュンはリモコンを放り出しティーポットへと手を伸ばした。
何度も真紅が要求してくるものもあってか、手馴れた手つきで紅茶を注ぎ真紅へと返す。
「まあまあね。……少し温いけれど」
と、また微妙な表情でのありがたき感想。
繰り返すが、朝目覚めたばかりもあって、今度こそ人形達にもわかるかのように露骨に顔を引きつるジュンであったが、真紅はどうでもいい風にそれを無視した。
「……ったく」
こうなってはどんな文句も暖簾に腕押し。長くもないが短くもない付き合いでもあり、真紅がどういう性格かはジュンだって把握している。
不毛な言い争いもする気もないジュンは、さっさと冷めた朝食に手を付ける。別に負けたわけではない、と内心で言い訳して。
「ジュンー! ヒナもうにゅー、取ってー!」
……まったくもってこいつらは。
椅子から乗り出し自分の好物を求める雛苺。
手にフォークと完備しているその幼さは、隣で優雅に紅茶を飲んでいる真紅とは正反対であり、これはこれでとジュンはため息をつく。
「朝から甘い物はやめとけ」
「むー……」
風船のように頬を膨らませ、非難するかのような目で雛苺はジュンを見た。
その目に合わさないようにジュンは視線を外し、すっかり冷め切った朝食を手にする。
一瞬非難するかのような視線から、物欲しそうなものを感じたがそこも無視。
「…………」
冷え切った朝食。今日は姉ののりは朝食を作る暇が無かった―――じー……。
「…………」
スタンダードにもスクランブルエッグとベーコ―――じー……。
「…………」
予め置かれていた食器を取りだ―――じー……。
「………………やるから」
「ありがとうなのー!」
にぱっと、先程とはうって変わって満面の笑顔になり、嬉しそうに雛苺はジュンが食べるはずだった朝食をつつき始める。
ジュンはそれを横目で見て、毒気が抜かれたように深いため息をついた。すっかり冷え切った朝食をあんなに嬉しそうに食べられたら愚痴の一つも言えはしない。
反面、仕方ないかもなともジュンは思った。見れば置かれていた朝食は普段よりも半分ぐらい少ない。
忙しかったのか、作るのを忘れていたのか……。どうでもいいか、とジュンは肩を竦めた。
仕方なく適当に冷蔵庫から飲み物を漁り、昼食までそれで誤魔化すとしようと席を立ち上がった瞬間、
「翠星石」
不意につかれた凛とした声に、ジュンは一瞬ヒヤリとしたものを感じた。
声が聞こえた方向を振り向けばいつの間にか本を閉じ、こちらを見据える真紅。真っ直ぐなブルーアイがジュンを捉える。
「……性悪人形? どうかしたのか?」
その視線を無視するのも気が引けたジュンは静かに席を下ろし、仕方なく手元にあった紅茶をコップに注ぐ。
「あの子はもう起きていた? 私達が目覚めた時はまだ眠っていたのだけれど」
そこで真紅は紅茶を一飲み。そしてすっとカップをジュンの前に差し出す。中身は空だった。
「……いや、鞄閉まっていたけれど」
不本意ながらも紅茶を注ぐ。入れ終わったカップを真紅に渡し、「ありがとう」と一言言って真紅はそれを受け取る。
ついでに雛苺のほうへと見やるがどうやら口とのサイズ差に困難しているらしく、一生懸命に自分のサイズへと切り盛りしていてそれ所ではないらしい。
「まだ寝てるのか、あいつ」
珍しいこともあるんだと、ジュンはまずい紅茶をすすりながら天井を見上げた。
人形達の朝は早い。
それは眠る時も同じで、小学生並みの生活サイクルを送り、決まって一番遅く寝て、起きるのはジュンである。
それが一度たりとも今まで違えたことが無いのだから、余計にジュンは首を傾げる。
ましてやあの元気活発――過ぎる翠星石なら尚更っであった。
「珍しい……ね。ええ、本当に」
「って、お前また心っ」
「不可抗力よ。契約している以上お互い干渉出来ない事……。貴方も私もね」
「わかってるけどさ……」
渋々と真紅の言葉を聞き、ジュンは左手の薬指に嵌められている指輪を見た。
契約の証である薔薇の指輪。媒介と人形とを繋ぐこれは一種の中継点とも言え、媒介は人形に力を供給し、人形はその力を使いアリスゲームに参加する。
その所為なのか時々考えている事さえも真紅に伝わるため、ジュンも心中穏やかではない。
(そういえば、あいつとも契約してるんだっけ)
真紅ともう一体、契約を交わしている人形。いま話題に出ている翠星石を思い浮かべジュンは深い嘆息を漏らした。
もし真紅の言葉を鵜呑みにするのであれば、同様に契約しているあの人形にも伝わるということ。
口を取ったら後は何も残らないようなあの人形に、もし自分の心が読まれてでもしたら……。
ぶるり、と身体に一瞬怖気が走るが、ジュンは考えないようにしてそれを払った。
「……気になるの?」
突然の真紅の問いに、ジュンの心臓が一瞬だが大きく動いた。
見透かされたような言葉にジュンは真紅のほうを見て、透き通ったブルーアイとかち合い、慌てて逸らす。
「……別に。どうせ変な物でも食ったんだろ、あいつ」
「食ってないです。勝手に決めるなです、チビ人間」
「うわぁっ!」
ガタン、と今度こそジュンは情けない格好で椅子から転がり落ち、腰をさする。
見上げれば、冷たい目線でこちらを見下ろすオッドアイ。ふん、と明らかに機嫌が悪そうな翠星石が立っていた。
「よ、よう……」
引きつった笑みで返し、一つや二つの毒舌を覚悟するジュンだったが、翠星石はそれを無視しジュンの隣の席へと腰を下ろす。
「おはよう、翠星石」
「おはようなのー!」
「おはようです、真紅、雛苺。あとチビ人間も」
「ついでかよ、僕は」
そう不満をこぼし、ジュンは定位置へと椅子を戻す。
すっ、と宝石のような瞳がこちらを捉えた。
来るか、と反撃に身構えてみるも、翠星石は一瞥した視線をすぐに自分から外す。
(……? 変だな)
そう思いながらジュンは席へと腰を下ろした。
気付かれないように隣に視線を移すも、あいかわらず以前のような活発な様子は見られない。
「……翠星石の、朝食はどこですか?」
と、耳を澄ましてやっとぐらいの小ささで翠星石は呟いた。
その言葉に気付きジュンは机のまわりをみわたす。
ティーポット、カップ、あとは雛苺が食べている朝食ぐらいなもので、翠星石が食べる分は何処にも見受けられない。
キッチンのほうへと視線を移すも、それらしいものは見当たらなかった。
すっと真紅は本を閉じ、雛苺の朝食へと指差す。
「それよ。さっきのりがジュンと翠星石の朝食は一緒にしておくと言っていたわ。
一応ジュンのものでもあるのだから私は口に出さなかったけれど」
「ジュンから貰ったのー!」
と、今更ながらの説明をしてくれる真紅とご丁寧に補足までしてくれた雛苺。
後は我関せずと真紅は再び本を開き、雛苺は食べるのに没頭し始める。
(これは……)
鬱陶しい事になりそうだ、ジュンは深いため息をつく。
普段でさえ口八丁な翠星石である。この事に触れて余計に罵詈雑言を並べ、最悪の場合は今日一日ずっとその事に触れられる可能性もある。
更には自分にも非があるせいで、まともな反撃も出来ない始末。救いようがない。
恐る恐るジュンは翠星石のほうへと視線を移すが、
「そう、ですか……」
「は?」
間抜けな声を上げるジュンを無視し、翠星石は椅子から飛び降りる。
真紅以外の全員が呆気に取られている中、翠星石は気にした風もなくドアを開けた。
「二階に行ってくるです」
パタン、と寂しそうな音を経て、ドアは静かに閉まった。
まあ色々と変な点もあるけど、一応ここで区切り。
書くの遅いんであんまり期待しないでください。
そして今気付いた数々の変換忘れと誤字。修正出来ないのが歯がゆい。
連レスごめん。読んでくれた人達、ありがとう。
実に読ませる。GJ
おもすろいよ
193 :
別れ:2007/03/16(金) 19:05:13 ID:4Xd3sh9f
「ついに・・・ついにこの日が来てしまったわね・・・。」
その日、ジュンが亡くなった。享年90歳の大往生。
そして葬式を終えた後、ドールズは密かに桜田邸から姿を消した。
ドールズのマスターだったジュンが亡くなった時点でドールズとの契約は解除。
よってドールズは新たなマスターとなり得る人間を探す為、旅立たねばならない。
ドールズは鞄を持って桜田邸から去って行くが、真紅はふと桜田邸を振り返った。
「今までも色んな下僕と暮らして来たけど・・・ジュン・・・貴方との付き合いが一番長かったわね・・・。」
過去にも様々なマスターを下僕としてきた真紅であるが、その中でもジュンとの生活こそが
最も長く、そして強く印象に残っていた。こうして桜田邸を眺めるだけでも、
ジュンとの暮らしが走馬灯のように蘇ってくる。確かにジュンは過去の下僕に比べ、
最も出来が悪かったのかもしれない。しかし、真紅はジュンに失望する事は無かった。
何故だろう? 馬鹿な子程可愛いかったからか? 口で説明する事は出来ないが
とにかくとても楽しかった事は確かだった。
「でも・・・もう会えないのね・・・ジュン・・・。」
人形であるがゆえに歳を取らぬドールズと違ってジュンは人間だ。
最初真紅と会った時は子供だったジュンもやがて大人になり、老いてついに亡くなってしまった。
もう真紅は永遠にジュンに会う事は出来ない。そして桜田邸での暮らしもこれでお終いなのだ・・・
「こらぁ・・・真紅どうしたですぅ!? もうあんなボロ小屋みたいな家に
住まなくて済むって言ってたのはどこのどいつですぅ!?」
翠星石が真紅にそう怒鳴った時、真紅は込み上げてくる涙を必死に堪えていた。
もう二度とジュンと会えない。そう考えるだけで真紅の目に涙が込み上げてくる。
しかし、泣いてはいけない。泣いても何にもならない。真紅は必死で泣きまいと我慢した。
「う・・・う・・・。」
これが雛苺なら大声を張り上げて泣き叫ぶ事も出来ただろう。しかし、こんな状況になっても
真紅のプライドがそれを邪魔していた。真紅は人前で涙を流さない。人前で平然としていても
独りになった時にこっそりと泣く。そういうドールなのである。ジュンが結婚した時もそうだ。
真紅は下僕がもう一人増えると喜び、そしてジュンを祝福した。しかし本心は違った。
ジュンが結婚した事によってジュンの心が自分から離れていくんじゃないかと真紅は恐れた。
しかし、ジュンの幸せは真紅の幸せでもある。この二つの感情の狭間で葛藤し、部屋で一人泣いた事もあった。
194 :
別れ:2007/03/16(金) 19:06:23 ID:4Xd3sh9f
「う・・・う・・・う・・・。」
真紅は必死に涙を堪える。だが、涙は止まらない。涙を堪えれば堪えようとする程
真紅の表情は崩れ、悲しく痛々しい物となって行った。と、その時だ。突然翠星石の平手打ちが
真紅の頬に叩き付けられた。
「何いつまでも未練たらしくウジウジしてやがるですぅ!? 泣いたってチビ人間は帰ってこねぇですぅ!
ちったぁ翠星石を見習いやがれですぅ! 翠星石はチビ人間に未練なんてこれっぽっちもねぇですよ!
むしろポックリ死んで清々してるくらいですぅ! 次はもっとお金持ちでハンサムで優しい男を
マスターにしてみせるですぅ!」
「翠星石! 幾らなんでもそんな言い方は無いんじゃないかい!?」
ジュンに対し暴言を吐く翠星石を注意しようと、蒼星石が肩を引っ張った。が・・・
「蒼星石は黙ってやがれですぅ!!」
「!!」
翠星石のオッドアイからは大量の涙が滝のように流れていた。
「翠星石を残して一人で逝っちまった奴なんて知らんですよ! あんなドールにもやらしい目で
見るような不届きなチビ人間なんて地獄に堕ちちまえばいいですよ! あんなチビ人間なんて・・・
チビ人間なんて・・・チビ人間なんて・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!! ジュゥゥゥゥゥン!!
何で死にやがったですぅ!! さっさと生き返りやがれですぅ!! 何時までも・・・何時までも
翠星石に仕えやがれですぅぅぅぅ!! ジュン!! ジュン!! ジュン!! ジュン!!」
「翠星石・・・。」
翠星石はジュンの名を連呼し、大声で泣き叫んだ。本当は翠星石も悲しかったのである。
翠星石はジュンを何度も罵倒し、随分乱暴も働いた物だ。しかし、それが彼女の愛情表現だった。
「ジュン!! ジュン!! ジュン!! 死ぬなんて嫌ですよぉぉぉ!!」
「私も嫌なのだわぁ!! ジュン!! ジュン!! ジュン!!」
翠星石の影響なのか、ついに真紅も我慢の限界を超え、大声で泣き出してしまった。
「雛も嫌なのぉ!! ジュンともっと暮らしたいのぉ!!」
ついには雛苺も泣き出し、三人揃っての号泣の大合奏が続いた。
「三人とも・・・ジュン君の事が大好きだったんだね・・・。」
蒼星石は三人の泣き顔を見つめながらかすかに微笑んだ。こんなにまで想われたジュンは幸せだった。
「それじゃあ・・・行こう? そして街でもブラブラした後・・・新しいマスターを探そうよ。
ジュン君にも負けないくらいの素敵なマスターを・・・。」
「うん・・・。」
やっと泣き止んだ三人は蒼星石に連れられて、桜田邸から去っていった。
新たなマスターを探す為に・・・
おしまい
やべぇ涙腺が核爆発した
超泣いた
もしドールズ全員復活で円満な終わり方したらそういう時が来るんだろうな…。
きゃああああああああ!
突然2階から翠星石のけたたましい悲鳴が聞こえた。
「どうした!?」ジュンが体当たりでもするように扉を開けると部屋の中央で翠星石が酷く怯えている。
「一体何なんだ!何があった」
「奴です!奴がこの小汚い部屋に現れやがったのですぅ!」
「奴・・・、まさか・・・!」そういって真紅があとずさった。奴。この一言で正体を理解したようだった。
「奴?奴ってまさか・・・水銀燈か?」ジュンの問いかけに真紅はゆっくり首を横に振った。その目には恐怖の色が浮かんでいる。
「あの子よりももっと、ずっとおぞましい怪物よ・・・。」
「古より生き延びてきた魔物ですぅ。あんな恐ろしい生き物は他にいないですぅ。」
「そんな恐ろしい奴なのか?その・・・奴ってのは。」
「ええ・・・悪魔みたいな生き物よ。私達がお父様に作られるずっと前から存在していた・・・悪魔。」
悪魔・・・。ジュンはそっと呟いた。「けどそんなものがどうして僕の部屋に?」
「ジュン、これはあなたの責任よ!あなたが始末なさい。」そう言って別の部屋に避難させるのだろうか。
棚のくんくんグッズを手際よく纏め始めた。鞄よりそっちのが先かよ、ジュンの呟きは半ばでかき消された。
「いやあああああああ!」「きゃああああああああ!」
部屋がするどい悲鳴に満たされる。棚の隙間から「奴」がその姿を現した。
全身を漆黒に覆われ、黒光りする背中はさながら装甲を纏っている様だ。
足には太く逞しい棘を生やし、垂直の壁を難なく駆け上がってゆく。
そうゴキブリだ。
その突進力たるや大の大人ですら蹴散らし、例え頭を叩き潰そうがもう1つの脳で生き続ける生命力は
何者も比類しえないだろう。なにせその昔繁栄を誇っていた巨大な恐竜達に襲い掛かった試練をも耐え抜いたのだ。
と、8cmはあろうかという巨大なゴキブリが突如としてジュンに時速3600mで突進してきた。
「うわあああああ!」ジュンは叫びながら必死の形相でドアを閉めた。真紅と翠星石を残して・・・。
END
>ジュンは叫びながら必死の形相でドアを閉めた。真紅と翠星石を残して・・・。
ここめっちゃ吹いたわw
GJ
面白いw
総合とここで何か違いはある?
超小ネタだけど書こうと思ってるんだけど
向こうはかなり寂れてるな。
今のところこっちの方が反応もいいと思う。
もしも薔薇乙女達が手の平サイズだったら
(元ネタ:灼眼のしゃなたん)
ろーぜんめいでん
第五ドール真紅たん
「ジュン紅茶を入れて頂戴」
と、ジュンの頭の上に座りのたまう真紅。
この手の平サイズの紅い少女は
ある日突然ジュンの家にやってきたのだ。
「断る」
「あらそう」
ジュンの即答をあっさり流した。
そして何の迷いもなくカップをひっくり返す。
ジャー
と中に残ってた熱い紅茶がジュンの頭皮に染みる。
「あっっっぢぃぃぃぃいいい!!」
ジュンは突然の仕打ちに驚き、熱さに苦しみ頭を猛烈に振る。
真紅は落ちまいとジュン髪の毛を掴む。
「あっちぃいでぇうわああっ!!」
「きゃあー!落ちるのだわ落ちるのだわ!!」
「あらあら私も混ざりたいわぁ」
のりはそんな様子を微笑ましく見ていたのでした。
第六ドール雛苺たん
「うにゅーおいしいの〜」
「…………」
「特に白くて黒くて赤くてにゅーしてるのがいいの〜」
「…………」
「巴は食べないの〜?」
「雛苺が全部食べていいよ」
「わーい!巴ありがとなの〜」
その天使のように無垢な様子に巴は言えなかった。
私の頭の上で苺大福は食べないで。と。
「(あ…何か髪の毛べたついてきた…)」
第一ドール水銀燈たん
「なぁに?アナタが私のネジをまいたのぉ?」
水銀燈は目の前の人間を見る。
肩よりもやや長い髪に真っ白な肌。
いかにもひ弱そうな人間。
「何か冴えない感じぃ」
「うわぁ妖精さんだぁ」
はぁ?と水銀燈が聞き返すより早くひ弱な人間、
めぐはその小さな身体を捕まえていた。
「ちょっとぉ何すんのよぉ!!」
「可愛い〜羽がパタパタしてる」
キュッと羽を摘む。
水銀燈は思わずきゃあ、と声を上げてしまった。
「妖精さん…ここ、弱いんだ…」
めぐはニヤリと笑う。
顔が少し赤みを帯びているのは
錯覚であってほしい。
「ちょっ…何よぉ…やめてよぉ…」
水銀燈に迫るめぐの魔の手。
めぐ×銀の夜はまだ始まったばかりだ。
第三ドール翠星石たん
「ちび人間さっさとお茶菓子持ってくるです!!」
「嫌だね」
毎度のことながらジュンは即答した。
「それにちびなのは僕じゃなくてお前の方じゃないか」
「な!?う、うるさいです。ちび人間はちび人間なのです。
さっさとお茶菓子持ってきやがれですぅ」
翠星石はジュンの頭の上で暴れ出す。
「いててっ!やめろよこのちびちびちび!!」
「なっ!?言ったですねぇ?このちびちびちびちび!!」
「うるさい!ちびちびちびちびちび」
「お前こそ!ちびちびちびちびちびちび」
「ちびちびち(ry」
「ちびちびち(ry」
「不毛だわ」
二人の言い争いを傍観する真紅が呟いた。
第四ドール蒼星石たん
蒼星石は己の無力さを呪った。
「翠星石がいてくれれば…如雨露があれば…」
草木生えない死んだ大地の上で。
「おじいさん、ごめんなさい」
「……かずき……」
元治の頭の上でした。
第二ドール金糸雀たん
「カナちっこくて可愛いーーー!!!」
「み、みっちゃーーーん!まさちゅーせっつ…」
いつもと変わりませんでした。
第七ドール雪華綺晶たん
それは少し肌寒い夜のことだった。
真っ白な薔薇園の中央に水晶のお城が立っていた。
オディールは一人その中を歩いていたのだった。
不意に雪華綺晶が現れ声をかける。
「あなたは「うわぁーー何これ綺麗ーー!!」
「私と「すごーーい!!白い薔薇がこんなに咲いてるー!!」
「契や「あっコッチの部屋には何があるだろ?」
タタタタ…
とオディールは小走りに行ってしまった。
「……もう契約してやんない……」
おまけ
えんじゅめいでん薔薇水晶たん
今日も一日の仕事を終え、部屋でくつろいでいたエンジュ。
すると突然鏡が輝きだし何かが飛び出してきた。
それはエンジュの頭にちょこんと立つ。
「お父様ただ今帰りました」
「ば…薔薇水晶…」
どばっ
と、鼻血を噴き出すエンジュ。
「いい…いいよ薔薇水晶…最高だ…やっぱり私の人形が一番だ!!」
鏡越しに自分の頭に乗っている薔薇水晶を見つめる。
別の角度からも見ようと身体を動かす。
「いい!」
「いい!!」
「いい!!!」
「エンジュ一体何のさわ……」
奇声がするので様子を見に来た白崎には
鏡の前で怪しい踊りをするエンジュが見えた。
「僕は何も見てない僕は何も見てない僕は何も見てない……」
しばらくまともにエンジュと目を合わすことが出来なかった
白崎でした。
おわり
後悔してやった
ムシャクシャはしていない
流石に元ネタのように上手くいかんかったな
スマソ
因みに水銀燈ときらきーは原作準拠の話
いやいや、目茶苦茶よかった
特に水銀燈たんと真紅たんと薔薇水晶たんで鼻血出た(;´д`)ハァハァ
桜田ジュンは大手洋服メーカーでデザインを担当する仕事をしている若きサラリーマン。
洋服のデザインに関して天才的なセンスを持つ彼は若手のホープと呼ばれる程の逸材であった。
と、このように会社で華々しい活躍をする彼も一度家に帰るれば、ゴミが散乱した部屋に暮らし、
食事はコンビニの安弁当で済まし、後はネットサーフィンして過ごすと言う
典型的な(?)一人暮らしの男だった。ここまで社交の場とプライベートとで差が激しい人間は珍しいだろう。
しかし、そんな彼の生活もある日を境にかすかな変化が見られるようになる。
「ジュン・・・お帰りなさい。」
部屋同様にゴミが散乱したベッドの上に、紅いドレスを着たブロンドの髪の小さな少女が座っていた。
さながら夢の島に咲く一輪の花であるかのような華やかさを持っていた少女であるが
彼女は人間ではない。ドール業界では伝説と呼ばれるローゼンメイデンと言う
生きている不思議なアンティークドールの第五ドール「真紅」
それがある日突然ジュンの部屋にやってきて、一つ屋根の下に暮らすようになった。
「ジュン、紅茶を入れて頂戴。」
「何度も言っただろ? 家に紅茶は無いって。お茶ならこれで十分!」
ジュンは帰宅途中にコンビニで買ったシャケ弁とペッドボトルに入った緑茶を出した。
ジュンにとっては当たり前の食事だが、真紅は嫌な顔をしていた。
「どうしてこんな人間にネジを巻かれてしまったの? それに狭くてこのゴミだらけの部屋・・・全く最低の下僕だわ。」
「うるさいな。住まわせてやってるだけでもありがたいと思えよ。人形のくせに飯を食うなんて・・・。」
真紅はジュンを下僕として認識しているが、プライベートでのジュンのだらしなさには呆れていた。
「ジュン・・・どうして何時もそんなお弁当なの? それじゃあ栄養が偏るわ。」
「うるさいな。嫌なら別に食べなければいいだろ?」
「部屋も片付けないの? ゴミだらけで汚らしいわ。」
「だからうるさいと言ってるだろ? さ〜てと、会社の書類でも纏めるかな〜っと。」
ジュンは空になった弁当箱をそのままにし、書類の整理を始めてしまったが、
その状況で良くそんな事が出来る物かと真紅は呆れていた。しかし、同時に感心する所もあった。
私生活は滅茶苦茶でも、仕事はしっかり出来ているのだから。
翌日ジュンが会社に行った後、ゴミだらけの家に一人残された真紅の姿があった。
「・・・。」
右を見回してもゴミ。左を見回してもゴミ。何処を見てもゴミ。真紅は悲しかった。
どうしてこんな所に来てしまったのか。だが、今更他所に行く事は出来ない。
「もう・・・今までにも色んな下僕と暮らして来たけどジュンは史上最低の下僕なのだわ!」
真紅は立ち上がった。
「お〜い真紅〜。今日は奮発して幕の内弁当だぞ〜ってうわぁぁ!!」
ジュンが帰って来た時、思わず叫んでしまった。何と家中に散乱していたゴミが片付けられていたのである。
「全く最低の下僕ね。主人にこんな事をさせるなんて!」
「ま・・・まさかこれお前がやったのか!?」
疲れた面持ちの真紅がジュンを出迎えた。なんとまあ真紅は見るに見かねてジュンの家中の
掃除をやっていたのである。
「ジュン。そんなお弁当じゃ栄養が偏るわ。こっちに来なさい?」
「え?」
さらに真紅はジュンの為にご飯まで作っていたではないか。
だが、明らかに慣れていないのが分かる程滅茶苦茶な作りだった。
「こ・・・これ・・・お前が作ったのか?」
「そうよ。良いから食べなさい。」
ジュンは恐る恐る食べるが、余りの不味さに吐き出し、結局買ってきた幕の内弁当を食べてしまった。
「真紅! 不味すぎるぞ。部屋を掃除してくれたのは嬉しいけど、これはダメだ。」
「そうね・・・。」
真紅は表情一つ変えずに頷いた。と、冷静さを装っていた真紅であったが心中は穏やかでは無かった。
せっかく慣れない料理を頑張ったと言うのに不味いの一言で片付けられてしまった。
今にもジュンを殴りつけてやりたかった。しかし殴れない。料理の不味さは自分でも自覚していた事なのだから。
その日から真紅は変わった。ジュンが会社に行っている隙にパソコンを立ち上げて
試行錯誤をしながらその使い方を学び、ネット上で見付けた料理サイトを調べて
それに書かれていた事を実践する。
「絶対ジュンに美味しいと言わせて見せるのだわ。」
ジュンに不味いと言われた真紅は逆に闘志を燃やしていた。絶対にジュンが満足する料理を作ってみせると・・・。
確かに下僕に対してその様な事をするのは真紅のプライドが許さない事なのかもしれない。
しかし、下僕に嘗められる事はそれ以上に許せなかった。だからこそ美味しい料理を作ってジュンをあっと言わせる。
ローゼンメイデン第五ドール真紅の名の下に・・・
だが、その時真紅は知らなかった。後にジュンとの関係が主人と下僕ではなく
殆どダメな夫としっかり者妻も同然な状態になってしまう事を。
おしまい?
むしろ真紅の方が世話しないといけなくなってしまうくらい
ジュンがグータラだったら・・・と言うコンセプトで書いてみた。
>>208 滅茶苦茶和んだ。自分もてのひらサイズローゼンメイデン欲しいなと思ったよ。
これはよい
保管庫ってないのか
215 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 10:17:09 ID:SyOdm0UU
お前が作れカス
まあ厨房には無理か
>>214 一様、それみたいのはあるが更新が止まってる
>>212 続き希望ですw
>>160の続き
「帰っちまったですねぇ・・・」
カチャカチャ
「そうねー・・・でも来てもらえて、本当に嬉しかった・・・」
ジャー キュッキュッ
「また来るのだわ・・・特に金糸雀は明日にでも・・・」
コクッ コクッ…
「〜〜〜クー… ク〜…スゥー〜…」
あれから少しして、みつと、半ば眠りにいざなわれた金糸雀、そして巴の三人は帰ってしまった。
のりの入れた紅茶を飲む真紅の隣には、ソファーで眠るジュンが居る。
ダイニングキッチンには食器を洗う翠星石とのり。
ソファー前には巴とみつがくれた、ジュンへのプレゼントが置いてあった。
男物のスニーカーと、似顔絵。そしてクッキー。
真紅には巴が送ったスニーカーの銘柄は判らなかったが、
とても素敵で格好のよい、ジュンに似合いそうな物で、みつが送った似顔絵はジュンの笑顔がとてもよく描かれていた。
そして、真紅が水銀燈に送ったものと同じ様に、金糸雀がジュンに送った笑顔のクッキー。
ジュンの特徴が出ていて、しかも可愛らしい笑顔で作られていた。
(( 気に入ってくれるかどうか・・・判らないけど・・・お誕生日おめでとう、桜田君 ))
(( 君は笑った顔の方が、絶対素敵よ。だから私からは・・・はい♪ おめでとうジュンジュン ))
(( えっと・・・カナはその・・・こんなのしかないけど・・・よ、よかったら食べて欲しいのかしら ))
普段のジュンからはあまり想像が付かない、ビックリしたような照れた顔で恥ずかしそうに贈り物を受け取っていたジュン。
あの時のジュンを見ているだけで、自然と顔がほころんできたのを思い出す真紅。
ついさっきの出来事なのに、なぜか遠い出来事のように感じてしまう。
そのジュンが、今、自分の隣で可愛らしい寝息を立てて、確かに存在している。
今日は普段よりも色々とあったからだろう。驚きと喜びと・・・新たな出会いがあったからだろう。
そして、みんなの暖かい気に囲まれて、自分の誕生日を祝ってもらえたからだろう。
気が付けば、ジュンは祝いの最中にうたた寝をしていたのだから。
そんなジュンを、真紅は愛しくてたまらないと感じて仕方なかった。
この気持ちがミーディアムとの絆から来るものなのか、
それとも母性と言われる物なのか、あるいは・・・純粋に・・・愛情と呼ばれる物なのか・・・それは判らない。
だけど今、真紅が確かに感じているこの気持ちは、ジュンを愛でたいと言う感情に違いはなかった。
(本当に良くなって、成長してきたわね・・・ジュン。 私の大切な・・・ミーディアム・・・)
真紅は紅茶を飲む手を止め、目を細めながらジュンの髪を・・・頬をそっと撫でた。
この少年と、今まで共に流れてきた時間。
今まで一緒に過ごしてきている時間は、自分達ローゼンメイデンにとって新たな思い出と、絆になる。
この少年がこれから先、どのように成長し、どのように自分達と過ごしてくれるのか・・・
どのように自分達の心の中で生き続けてくれるのか・・・
まだ見ぬ先の結末に、自分達はどうあるべきなのか・・・
それは・・・その流れ流れの現(うつつ)に従うべき事・・・
今はこの少年と、ジュンと居られるのなら、この子と共にまだ見ぬ先の自分へと、いずれ変われる事ができるのなら・・・
今、真紅の抱く心の内は、ジュンで一杯だった。
愛しさが込み上げてくる。
心の中に暖かい、綿毛のような、母性とよばれる様な感情と、愛情が込み上げてくる。
「 ジュン・・・ 」
小さく、小さくそうつぶやいて、真紅は目を瞑り、ジュンの頬にそっと優しく静かに口付けを送った。
・・・ああ、自分が人間であるのなら、このままこの子を胸に抱いて、私の香りの中にうずもれさせてあげたい・・・
・・・ああ、自分がこの子の母であるのなら、この子を抱いて乳をあげて、私の愛情を感じてもらいたい・・・
・・・ああ、自分がこの少年の・・・ジュンの意中の人になれるのなら・・・私は貴方との永遠の絆を・・・誓いたい・・・
「んっ! んんっ!! ・・・何やってるですか、し ん く 」
「 ! ヒッ ! 」
甘い、想いの感情も、案外咳払い一つで脆くも崩れ去る物で、
『 !びくっ! 』と身体を跳ねた真紅の少し後ろには、白〜〜い目で睨んでくる翠星石と、
それより後ろで苦笑いっぽく二人の様子を見る、のりの姿があった。
洗い物は終わったらしい。
いや、それ以前に、真紅が自分の世界に浸りすぎていた様である。
むっとしたまま、翠星石はつかつかと真紅の方に歩み寄ってくる。
「あ、あの・・・ち、違うのよ翠星石・・・こ、これは」
真紅の側まで来た翠星石に真紅が言葉にならない言い訳をするも、翠星石はそれを無視して
「抜け駆けは許さんと、前に言ったはずです」
手を上げようとした。
もう何の言い訳も出来ない。真紅は覚悟を決めて目を瞑った。
・・・しかし何の反応も無い。おかしいと思って真紅が恐る恐る目を開けると・・・
「!? すっ、すいせい せき・・・」
翠星石の上げた小さな手は、ジュンの頬に優しく撫でるように添えられ、
真紅とは逆のジュンの頬に・・・翠星石は目を瞑って愛しそうに口付けをしていた。
唖然とする真紅。
やられた・・・てっきり叩かれると思っていたのに・・・
彼女の大胆かつ正当な応酬に真紅は呆気に取られるしかなかった。
やがて翠星石は静かに、名残惜しそうにジュンの頬から淡い桃色をした果実のような唇を離し
目をゆっくりと開けながら真紅に向かって、にやりとこう言った。
「・・・ふっふっふ・・・これで立場は同じですぅ〜〜♪」
姉のその正々堂々とした宣戦布告に、自分の行動を恥じるとともに
真紅の心に新たな対抗意識がメラメラと燃え上がるのだった。
「くすっ・・・そうね。そうなのだわ。 だけど私と貴女、どっちの愛が深いかを知ってもらうのは、これからなのだわ♪」
そして真紅が再びジュンの頬に優しい口づけを送る。
「ちょっ!? ・・・お前がそうくるなら私も負けんですよ、真紅っ!♪」
負けじとばかりに翠星石もジュンの頬に柔らかく口付けをする。
「・・・ぅ・・・ん・・・くすぐっ・・・ くぅ〜〜・・・」
(まったく・・・このアンポンタンは人の気も知らずに・・・幸せな寝顔しやがってですぅ・・・♪)
(まったく・・・この子は・・・この真紅の口付けを・・・有りがたいと思いなさい・・・♪)
ジュンの幸せそうな寝言に、翠星石と真紅、二人が顔を見合わせて柔らかく微笑み
お互い再びジュンの頬に何回も口付けをプレゼントするのだった。
まさにジュンにとっては最高の誕生日プレゼントだろう。
性格はともかく・・・二人の美しく幼く可憐な薔薇乙女の、
薔薇の花弁のような唇のささやきを、何度もその頬に貰っているだから。
ただし・・・ジュン自身がこの出来事を知って、覚えていればであるが。(苦笑)
自分の存在を完全に無視した二人のあられもない大胆な愛情表現に、
ジュンの姉であるのりが、苦笑いしながら力無い声で講義するのだった。
「あのぉ〜 翠星石ちゃん・・・真紅ちゃん・・・そろそろ止めてくれると・・・お姉ちゃん安心するんだけどなぁ・・・(色んな意味で・・・)」
次回更新で最後になると思います。
まぁ、逐一やってたら大変だろうしな。
ちゃんとスレごとに保管してくれてるだけでもGJだべ。
223 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 21:14:49 ID:7gy0gh53
と言う訳で新人さんカモン!
西暦20XX年、地球は幾多の怪獣や宇宙人の脅威に晒されていた。
それら脅威から人々を守る為に地球防衛組織「ローゼン」が組織されたのである。
「東京都心に新たな怪獣が現れました!」
ローゼンのオペレーターである柿崎めぐ隊員のアナウンスが基地中に響く。
「地球防衛組織ローゼン出動せよ。」
結菱指令の号令により、ローゼンに所属する桜田ジュン隊員と柏葉巴隊員が
特殊戦闘機ローゼンファイターに乗って出撃する。
そして桜田ジュン隊員は皆には秘密にしている事であるが、彼は
宇宙の彼方ヒキコモリの星から地球を守る為にやって来た正義の味方「JUMトラマン」なのだ。
「ぬいぐるみ怪獣プーさん出現!!」
両手に包丁を持ったぬいぐるみ怪獣プーさんは東京都内で暴れ回る。
「目標確認。これより攻撃します。」
桜田ジュン隊員と柏葉巴隊員がそれぞれ乗ったローゼンファイターがプーさんに攻撃を仕掛ける。
しかし、包丁によって弾き返されてしまう。
「ようし! こうなったら行け! カプセル怪獣!」
桜田ジュン隊員がポケットから紅いカプセルを取り出し、空中に投げると
忽ちの内に巨大な紅い怪獣に姿を変える。
「だわー!」
それこそJUMトラマンが地球に来る際、己を支援する為に持って来た何体かの
カプセル怪獣の一体「真紅」である。
「だわー! だわー!」
真紅はプーさんに攻撃を仕掛ける。得意技の右ストレートや巻き髪ウィップがプーさんにヒットし
プーさんの体力を削っていく。
「よし! 今だ!」
ついに桜田ジュン隊員はJUMトラマンに変身した。地球では3分でしか戦えない
JUMトラマンは、まずカプセル怪獣で敵怪獣の出方を見るなど、3分以内に
確実に倒すタイミングを計らなければならない。
「ジャムァ!!」
JUMトラマンのヒキコモリウム光線がプーさんを倒す。
「ありがとうJUMトラマン!」
しかし喜んでばかりもいられない、新たな怪獣が地球を狙っているのだ。
戦えJUMトラマン。戦え桜田ジュン。戦え地球防衛組織ローゼン。
おわりw
何だこれw
見て分かる通りウルトラマンのパロだよスマソ
と言うかカプセル怪獣=ドールズというネタをやりたかったと言う
ただそれだけの為に考えたネタだったりするよ。
あと、JUMトラマンのカプセル怪獣は全部で3体あって、残りの2体は
翠星石:泣き声「ですぅー!」
雛苺:「うにゅー!」
ただそれだけスマソ
>>220 JUMを巡る真紅の心情とか、翠星石も交えて・・・とかの要素が
かなりツボに入った。何か和む。
>>220 GJ!
だが、君のシリーズにおいて、一つだけあまりにも残念なことがある。
それは、おまいがローゼンメイデンの原作者ではないということだ。
実に惜しいことだ。
本当に
実に 惜しい
唐突だが、水銀燈と蒼星石の一騎打ちだ!
「蒼星石、私はあんたを一撃で倒せる秘策があるのよぉ。」
「へぇ・・・それは楽しみだよ。一体どんなだい?」
「それは・・・こうやるのよぉ!」
水銀燈が身を低くして蒼星石へ向けて接近した。そのままタックルか?
と思われた時、水銀燈は蒼星石の股間を蹴り上げてしまった。
蒼星石は思わず仰け反り、水銀燈も勝利を確信した。が・・・
「痛い・・・確かに痛いけどさ・・・別に一撃で倒される程のものじゃないよね。」
「え!?」
その時の水銀燈のショックと言ったら無かった。まるで自分の全てを否定された様な・・・
そんな顔をしていたのである。
「嘘・・・嘘でしょぉ? どうして金的が通用しないのよぉ!」
「はぁ!?」
「だってそうでしょう? そもそもあんたは・・・。」
水銀燈はまるで恐ろしい物を見てしまったかのようにガチガチと震えていたが
蒼星石は呆れていた。
「は〜・・・。あのね水銀燈。幾ら僕がボーイッシュな格好してるからと言っても・・・。」
「あぁぁぁ!! 分かったわぁ! コツカケを使ったのね!?」
「え? コツカケ・・・って何?」
突然水銀燈の口から発せられた意味不明の単語に蒼星石も不思議がる。
「私知ってるわぁ! 沖縄唐手にはコツカケって言うオチ○○ンをお腹の中に隠しちゃう技があるって!
蒼星石がそれを会得していたなんて驚きよぉ!」
「水銀燈・・・一度死んでみるかい?」
続かない
ローゼンファイト!! ゴミを拾わば
今日はnのフィールドのゴミ捨て場で水銀燈がゴミをあさっております。
「こういう一見ジャンクだらけの所でも凄い掘り出し物が埋まってる事があるのよぉ。」
そこを通りかかった雛苺。ゴミをあさる水銀燈を見て大笑い。
「水銀燈ゴミあさってるなんておっかしいのよ〜。」
「な〜にぃ? あんたケンカ売ってるのぉ?」
雛苺に笑われた水銀燈も黙ってはいられない。よせば良いのに雛苺もそれを受けて立ってしまう。
雛苺ってのはめっぽう弱い。忽ち間に叩き倒されました。全く一方的であります。攻めに攻められております。
そしてダウン。懸命に立ち上がろうという所を背中に一発、二発・・・
「ちょっとちょっと待つのだわ待つのだわ。」
虫の知らせを聞いて真紅が駆けつけてまいりました。
「今度はあんたが相手なのぉ?」
そういわんばかりで今度は真紅に向かっていく。しかし真紅の右ストレートはドール界随一であります。
でもゴミに躓いて転んでしまった。倒れた隙を突いて水銀燈のストンピングの嵐であります。
真紅はグロッキーです。
「あんたじゃ私に勝てないのよぉ。」
勝ち誇る水銀燈であります。っと思ったらゴミ捨て場からフライパンを拾った雛苺に
後頭部を殴られてダウン。最後に笑ったのは雛苺であります。
今回はウルトラファイトのパロやってみたよスマソ
ウルトラファイトってのが怪獣の着ぐるみとかが
ジオラマを使わずにその辺の山とかでひたすらドツキ合う
5分番組だったんだけど、そのシュールな展開が笑いを誘う。
ゆうつべで見れるから一度見てみるといいかも。
マジシュールで笑えるスマソ
正直笑い所がワカンネ
シュールさを再現しようとしたんだけどね。
中々上手く行かないなorz
もし雛苺がローゼンのメインドールだったら?
ってなIFを思案中だが中々上手く行かないもんだな〜
そもそも頭ではプロット思い浮かんでも文章に書き直すのって凄く難しいしなー。
下手な文章力しかないのなら勢いだけで書いてみたほうがいいのかな…。
>>236 俺は金糸雀で考えた
しかし今別作品にとっかかっ照るので
書けナス
水銀燈には腹部が無かった。ローゼンは彼女の腹部を作らなかったのである。
水銀燈がそれに劣等感を感じないはずはない。そして劣等感はローゼンに対する愛を強め、
いつしか他の姉妹に対する憎しみにも繋がっていたのだが、あまりにも溜まりすぎたストレスが
爆発し、とうとう開き直ってしまった。
「そうよぉ! 私は腹無しドール! つまりあんた達の言う所のジャンクなのよぉ!
笑うなら笑いなさぁい! むしろそっちの方がスッキリするわぁ! アハハハハ!!」
しかし姉妹達は笑えなかった。それは水銀燈を余計に腹立たしくさせてしまう。
「何故笑わないのよぉ! 私に哀れんでるのぉ!? それが腹が立つって言うのよぉ!
どうせ顔じゃ哀れんでる様に見えても心の中では笑ってるんでしょぉ!? それなら正直に笑えば良いでしょぉ!?」
「ごめんなさい・・・笑えないわ・・・。」
「だからそうやって謝るのが気に入らないってのよぉ!」
「ごめんなさい・・・今まで黙っていたけど・・・私も・・・。」
そう言うと真紅は突然右腕の袖を捲り上げ、己の右腕を水銀燈に見せた。
「え? 真紅・・・これは・・・。」
水銀燈の見た真紅の右腕は明らかにローゼンメイデンのそれでは無かった。
一応はきちんとした右腕ではあるのだが、明らかに別のドールの規格である。
そして肩の部分にも異なる規格のドール部品同士を連結させる為に改造された跡があった。
「貴女にお腹が無かったように・・・お父様は私の右腕を作らなかったわ。
でもそんな事が皆に知られたら私はジャンクになってしまう。それが怖かったの。
だからこうやって無理矢理別のドールの腕をくっ付けてごまかしていたのだわ。
今まで黙っていてごめんなさい・・・。」
真紅は頭を下げて謝った。しかし、今度は翠星石が前に出た。
「翠星石だって謝らないといけないですぅ! これを見やがれですぅ!」
翠星石が己の足まで隠れた長いカートをめくり上げると、なんとそこには
ドールどころの騒ぎではない。左脚だけがまるでガンダムを連想させる様な機械製の義足となっていたのだ。
「お父様は翠星石の片脚を作らなかったですぅ。だからしょうがなく・・・。」
「翠星石だけじゃないよ。僕は右足が無かったんだよ。」
蒼星石は逆に右足が機械製の義足となっていた。それだけじゃなく、他の姉妹にもどこかが
あえて作られておらず、そこを他の規格の部品でごまかしており、結局真に五体満足と言えた
ドールは擬似ローゼンメイデンの薔薇水晶だけだった。
「だから・・・私達はみんなどこかに欠陥を抱えているのよ。水銀燈貴女だけじゃないのよ。」
「私こそごめんなさぁい! そんな事も知らずに酷い事して・・・ごめんなさぁい!」
水銀燈は自分が情けなかった。腹が無いだけでグレていた自分が・・・
そして姉妹達はそれぞれ抱き合う。完璧じゃなくても良いじゃないか。ジャンクでも良いじゃないか。
誰しも欠点はあるのだから。ジャンクでも壊れた子でも皆ジャンクなら怖くない。
余談だが、抱き合って笑いあうドールズの姿を見た薔薇水晶がちょっと羨ましがったのは秘密だ。
おわり
ついかっとなってふと思い付いたネタを勢いで書き上げた。今も反省して無い。
なかなかいいんじゃない?
そこで鋼鉄ジーグの登場です
「ごめんなさい・・・皆ごめんなさぁい!」
「私こそ・・・私こそごめんなさぁい!」
姉妹全員で抱き合い、精一杯泣き、そして笑い合った後水銀燈が皆に言った。
「所であんた達が使ってる代用部品って何処で手に入れたのぉ? それで私もお腹が欲しいわぁ。」
「え・・・?」
その時の姉妹達は誰もがまるで教えたくないと言っている様な・・・そんな顔をしていた。
「どうしたのぉ? 早く教えて頂戴・・・。」
「あら・・・すっかりこんな時間じゃない。くんくんが始まっちゃうじゃない。」
「ヒナうにゅ〜が食べたいの〜。」
「翠星石は平気ですけどぉ・・・ジュンの奴が心配しやがるから帰ってやるですぅ!」
「おじいさんとおばあさんのお夕飯の手伝いをしなきゃ。」
「みっちゃんが心配してるかしら〜。」
そう言って姉妹達は去って行く。
「ちょっと! 皆どうしたのぉ!? ねぇ!? 一体どうしたって言うのよぉ! 私だってお腹ほしいのよぉ!!」
涙目となった水銀燈は去って行く真紅の肩を死に物狂いで捕まえて問うが、真紅は冷ややかな目でこう言った。
「離して頂戴。くんくんが始まってしまうわ。」
「・・・!!」
こうして水銀燈が一人残された。他の姉妹も自分と同じ欠損を抱えていたと言う事を知り
何処か安心したのもつかの間、他の姉妹達が欠損部分を補う為に使っていた部品を
どうやって手に入れたのか、それはどうあっても教えてくれなかった。
これは水銀燈に対する過去に酷い目にあった恨みから来る嫌がらせなのか・・・
はたまた自分の力で見つけなさいと言う意味が込められているのか・・・そのどちらなのかは分からないが
水銀燈は結局腹無しのまま一人残されてしまった。
「何でよぉ! 私だってあんた達みたいにごまかしでも良いからお腹欲しいのに・・・なんでよぉ!!」
終劇
「う〜ん」また唸っていた。この10分間で100回は唸っている気がする。
「何か良い案はないかねぇ」これは200回は口にしたのではないか。金糸雀はその男の前でそう考えていた。
男──山本勘助は金糸雀にたずねた。「なあ金糸雀や、おまえさんも何か良い考えはもっておらんか」
「ふっふっふー、ローゼンメーデン1の策士この金糸雀に不可能はないのかしら!」
「何か考えがあるのか?」勘助は地獄の中で仏にも出会ったかの様に顔をほころばせた。
といっても傍目には顔を醜くく歪めたようにしか見えなかったが。
金糸雀は姿勢を正して勘助に自分の案を披露する。それは金糸雀が寝る時間を30分も潰して考え抜いた案だった。
興奮で顔を赤らめながら何か良からぬ事を企むように上目使いに話し始める。
「簡単かしら。謙信が篭ってる山の後ろから奇襲をかけて追い出したところを待ち構えて・・・完璧かしら!」
「おお!さすが西洋のからくり人形は凄いのぉ。それは良い案だ。しかしあの謙信がちょっとやそこらの奇襲で逃げるかが問題だ。」
勘助は手を叩いて喜んだ。さらに金糸雀が策を練っていく。
「相手は手強いのかしら。だから奇襲はできるだけ大人数で行くのかしら。」
大人数で行軍すれば奇襲もへったくれも無い気がするがここは何か隠れ蓑となる何かを考えるとしよう。
勘助は心の中で考えつつ金糸雀に饅頭を勧めた。ありがとうかしらー!と元気に礼をしつつ手は既に饅頭へとかかっている。
自分は妻もいないしもちろん子供だっていない。しかし子供ができたらこの様に楽しいものなのだろうか。
勘助は苦笑しつつ馬場信春と共に信玄へ献策すべく本陣へと急いだ。明日の決戦が楽しみだった。
〜〜終〜〜
>>219の続き
「ふん・・・バカじゃないのぉ。 ほぉんと、おままごと丸出し・・・みっともなぁい・・・」
夜空。
大地を見守る母である月と共に、瞬く星が黒い蒼に染まった天空を照らす時間。
丁度、みつや巴が帰り始めた頃からだろうか・・・
水銀燈は、夜空からカーテンの開いた桜田家のリビングをずっと見ていた。
当然、真紅と翠星石がまるで我が子に愛情を注ぐかのように、ジュンの頬に口付けをしている現場も・・・
しばらくしてそのリビングのガラス戸には、カーテンが引かれてしまった。
そろそろ妹の薔薇乙女達が眠りに付く時間が訪れるのだろう。
「・・・・・・ ・・・」
自分は一体こんな所で何をしているのだろう。
蒼星石と雛苺のローザミスティカが・・・二人の妹の魂が行方知れずだと言うのに。
もう自分からアリスゲームを仕掛ける意味も無ければ、
憎いあの真紅に、わざわざ顔を見せるような行動を取る必要すらないと言うのに。
本当に憎いのだろうか・・・
本当に心から・・・
真紅を憎んでいるのだろうか・・・
そうなのだろうか・・・
「・・・まったく・・・なんでこの水銀燈が・・・こんな・・・」
やや自嘲気味な笑みを浮かべ、水銀燈は桜田家の小さな庭に降りて行った。
水銀燈が何をしているのか、夜空に瞬く星と、雲が覆ってしまった月の輝きだけでは・・・伺い知ることが出来なかった。
やがて事を終えたのだろう。
水銀燈の背に生える、縮んだ漆黒の翼が大きくゆっくりと開き、
優雅に、舞を始める様に彼女の身体を包んだかと思うと
『 バサッ 』と大胆かつ優美に羽ばたき、水銀燈の身体を天空に舞い上がらせていった。
「めぐに感謝するのねぇ・・・ジュン君・・・・・・有りがたいとおもいなさい・・・真紅。
ああ・・・そうそう、翠星石も居たわねぇ・・・うふふ・・・あははぁ・・・あっははははははははっ♪」
人目につかない上空まで自身の体を舞い上がらせた水銀燈は、
誰に聞かせるでもなく静かに喋り、楽しそうに、汚れ無き少女の鈴の音の声で笑い、
『 お ば か さぁ〜〜ん! 』
そして、捨て台詞を機嫌良く残して・・・飛び去るのだった。
>>244 続きは?
俺は間違いなく、アンタのSS読みたさだけに巡回してるよ。
>>245 ノートン先生が重くて低スペックのPCが止まりますた、ごめんなさい。
もう少ししたらうPします。
>>226-228 大感謝!、もうへタレ物書きみよりに尽きます。
ラスト。
>>244の続き。
・
・
・
・
・
・
「・・・〜〜〜・・・んん・・・〜〜う・・・ぅあ、う んん・・・ ・・・ お?」
早朝。
カーテンに、澄んだ朝日の眩ゆい光がうっすらと染み渡る時間。
その緩やかな光にジュンが目を覚ましたのは、一階リビングのソファーの上だった。
空調の暖房が効いている。
そしてジュンの身体には薄手の羽毛布団とタオルケットが かけられていた。
いまだ寝ぼけ眼(まなこ)で辺りをみまわすと・・・姉であるのりが、自分と反対のソファーで静かに眠っている。
そのソファーの近くには豪奢な薔薇乙女のトランクが二つ。
「あれ・・・? そうか、僕・・・あのまま寝ちゃったんだっけな・・・」
そう呟きながら、ジュンはソファー前のテーブルに置かれていた自分のメガネを顔にかけた。
「・・・姉ちゃんも真紅達も、部屋で寝ればいいのに」
少し苦笑しながらも、自分の身体にかけられていた布団に
改めて姉の愛情を感じつつ、一先ず洗面所に向かった。
顔を洗って歯を磨き終え、さっぱりとした面持ちでジュンがリビングに入ると、
丁度真紅と翠星石のトランクが開く所だった。
「・・・おはよう、真紅・・・翠星石」
「・・・おはよう、ジュン」
「・・・ふわぁぁ〜〜ぁふ・・・おぁよぅですぅ・・・」
いつも通りの真紅と、まだ少し眠そうな表情の翠星石がジュンの挨拶に答える。
起き立ちなのに相変わらずしっかりした目覚めの真紅と、
自分のあくびを手で隠し、少し恥ずかしそうにする翠星石が、ジュンに同時に話しかけた。
「ゆうべは良く眠れたかしら?」
「ゆうべは良く眠れたですか?」
そのあまりに綺麗なハーモニー(?)に
「ぷっ!・・・うん。 ありがとう昨日は。・・・お前達のお陰で、良く眠れたよ」
ジュンは少し吹きだしつつも、素直に感謝の言葉で返した。
「・・・そう。 よかったわね、ジュン」
「しゃーねぇ〜です、そう素直に言われちゃ今吹きだした事、許してやらない訳にはいかないですね♪」
そう言いながら二人の薔薇乙女は、まだ眠りの舟に心地よく乗せられている
のりの優しげな寝顔に顔を向け、またすぐにジュンの方を見るのだった。
ジュンも二人が何を言いたいのかすぐに理解し、彼女達が納得したいだろう答えを送った。
「判ってるよ。柏葉や、みつさんに金糸雀、それに・・・お姉ちゃん・・・みんな僕の為に・・・僕なんかの為に祝ってくれたんだから」
「・・・・・・」
「・・・ ・・・」
「ありがとう・・・お姉ちゃん」
「・・・よく 言えたわ。 ジュン」
「・・・えらいです・・・ジュン」
眠っているとは言え、今まで言わなかった事を、言えなかった事を、
この少年は素直に心の言葉を真実の言葉として、今 自分達の前で改めて姉に伝えたのだ。
本当に・・・素直で優しい心を取り戻して成長したものだと、
二人の薔薇乙女は優しい微笑みを見せ、感謝の瞳で姉を見つめるジュンにそう言葉するのだった。
そしてそのジュンが自分達の方に向き、感謝の瞳と優しい微笑みを浮かべてこう言ってきた。
「・・・本当にありがとう・・・真紅 翠星石。君達の気持ち、僕は凄く嬉しかったよ」
「ぇあ っ・・・ ・・・」
「わっ ゎわたした ちはその・・・」
不意打ち。
まさに不意打ちだった。
彼女達の心に打ち込まれた、ミーディアムの、ジュンの『 想い 』と言う愛情。
愛情の眼差しで自分達をまっすぐ見つめ解き放ったその言葉に、
二人の薔薇乙女は顔を赤くして口ごもるしかなかった。
「 っ・・・そ、そうです!・・・とと・・・せっかく早起きしたんですから、さ、三人で朝日でも浴びるです!」
「そ・・・そうね、そうだわそれがいいのだわ!」
「なんだよそれ」
出会った頃のあの時ならともかく、ジュンとの絆と、内面で彼を想う愛情が深まっている今、
真紅と翠星石は照れを隠す為、大きくなりかけた声をおさえつつ、
のりを起こさない様にそっとカーテンとガラス戸を開けてジュンを誘うのだった。
『 お ば か 』
そして爽やかな朝の光の代わりに三人の目に飛び込んできたのは・・・
やや大きめな白い紙に でん! と大きく書かれた「おばか」の文字。
翠星石(と、のり)自慢の小さなガーデニングの真ん中に、
夏に出してしまい忘れていた蔦を絡ませさせる為の棒が ズン と突き刺さっており、
それにその お ば か の文字が書かれた紙は貼り付けられていた。
朝露に濡れる事も無く、随分な自己主張で笑うように緩やかに ヒラリ ヒラリ と、それは揺れている。
「むっ・・・か つ くですぅうーーーーーーーーーー!! あのカラスおんムガ!?」
「しっ!のりが起きてしまうのだわ」
「なんだ・・・あれ・・・?」
昨夜に訪れた水銀燈の仕業だと、ジュン以外は当然判っている訳で
真紅に口をふさがれた翠星石は、モガモガ言いながらも真紅の手を外して
「ぷはっ・・・ハ〜くるし・・・とにかく、あんなもん破いてやるです!ビリッビリにです!」
「もぅ・・・気にしてどうするの一々」
「え? なに?何だよ一体?」
タスッ、と庭に降りてその紙にズンズンと向かっていった。
真紅は半ば諦め気味でそれを見ていた。ジュンは何だか判らないままである。
「生意気に! 私より字が上手いからって厚手の紙なんか使うなです!」
翠星石がその紙に手をかけて引き破ろうとしたその時、
「!? ちょっと、ちょっとお待ちなさい翠星石! 破くのは待つのだわ!」
朝日がその紙を照らし、裏側に何かが描かれているのをうっすらと、本当にうっすらと映し出した。
それを見た真紅は急いで翠星石に待ったをかけて、自分もその紙の場所に向かっていった。
「もぅ、なんですか真紅、別に破いたところで水銀燈が紙から出て来る訳でも無いですのに」
「・・・見て御覧なさい、ほら・・・」
「あ!・・・これ・・・」
「・・・あの子・・・ ・・・相変わらず、素直じゃないのだわ・・・」
「何だよ二人だけで・・・ あ!・・・」
真紅がめくった紙の裏。
そこに描かれていたものは・・・似顔絵だった。
昨日ジュンが会いに行った柿崎めぐと水銀燈、二人の似顔絵。
二人のドールの側に来たジュンも、その絵を見て思わず黙り込んでしまう。
どうやらそれは、お互いがお互いを描いているらしかった。
「・・・もう・・・見られないかと思っていたわ・・・あの子のこんな顔・・・」
水銀燈の顔は笑っていた。
めぐの描いた水銀燈は凄く上手と言う訳ではなかったが・・・
しかし、かつて真紅が水銀燈と共に暮らした時に見せてくれた・・・
まさにあの時を思い出させてくれる・・・水銀燈の笑顔の象形画だった。
はたして水銀燈がめぐの前でこの表情をしたのか・・・それは真紅には分からない。
もしかしたら・・・めぐの心に写った水銀燈の本当の心を、写し描いただけなのかもしれない。
例えそうでないとしても・・・
真紅には、めぐが水銀燈と確かに心を通わせる事が出来るミーディアムだと・・・
そう確信させられるだけの、光り輝いている笑顔だった。
「・・・ ・・・そういう顔が出来る時が・・・水銀燈にあったんですか・・・知らなかったです・・・」
「解る気が・・・するよ。 柿崎さんとならきっと・・・水銀燈もこういう顔をするんだって」
ジュンには めぐがどうして水銀燈を笑顔で描けたかが、解る気がしていた。
昨日の二人が自分に見せた外面以上に、お互いを深く信頼出来る仲になっているんだろう、と。
「それに引きかえ・・・水銀燈は相変わらずです・・・(クスッ)」
「・・・でも、あの子らしいわ・・・(クスッ)」
「そうだな・・・(クスッ)」
もう一つ・・・その水銀燈の似顔絵の隣には、水銀燈より小さなめぐの似顔絵が描かれている。
ただしこちらは ブスゥ〜ッ としたやぶ睨みの・・・
言ってみれば昨日ジュンに見せた、水銀燈自身の様な顔だった。
その下には・・・
“私はこんな顔じゃありませんよぉ〜だ♥”
と、めぐ自身の・・・いかにも今風の少女らしい字で注釈が書かれていて、それが三人には何故か微笑ましかった。
そして隅の方に、 また来てねジュン君♥ と、めぐのメッセージが小さく書かれていた。
翠星石がそれを見て、ジュンの方に問いかける。
「・・・で?・・・また行くですか?」
「ふふっ・・・いいじゃないの、行ってあげれば・・・また会ってあげればいいのだわ、ジュン」
「うん・・・そうだね・・・お前達が行ってもいいって言ってくれるなら・・・また会ってみたいよ・・・」
「ただし・・・です」
「今度は・・・」
「その女の胸なんか」
「触ったりしちゃ」
「「 だめなのだわ です 」」
にやっと笑いながら自分を見上げてそういう二人に苦笑しながら、ジュンは「判った、判ってるよ!」と言うのだった。
そしてそこに、
「どいてどいてかしらぁ〜〜ーーーー!!」
と甲高い少女の声が轟き、ジュンの顔に凄い勢いで “ゴン!” とぶつかってきた。
「いっ・・・たたた・・・」
「〜〜〜〜・・・ってぇ〜〜〜・・・ ・・・おっ・・・お前なーーーーー!!」
ご存知 ローゼンメイデン第二女の金糸雀が、朝も早くからジュンの顔めがけて日傘と共にダイビングである。
「ぉ、おはようかしら!! ごっ、ごきげんはいかがぁ?・・・か し ら・・・」
「ご機嫌も上機嫌もあるかっ! こんな朝早くから何僕の顔めがけて突っ込んでくるんだよっ!!」
「ちょっ、ちょっとした風向きのイタ、イタズラよ!? 気にしちゃダメかしら ジュン?♥(エヘ)」
「するわっ!! 大体昨日の今日でも来るのが早過ぎだっての!」
「ちょっ、ちょっと・・・そ、その手付きは何かしら・・・」
「ふっふっふ・・・覚悟しろ金糸雀・・・もう許さないからな!捕まえてくすぐりまくってやるーー!!」
「きゃーー♪ やめてかしらやめてかしらぁあーーー〜〜〜♥」
指をワキワキしながらわざとらしく金糸雀を追いかけるジュンと、
自分のちょっかいに乗ってくれて、相手にしてくれる事が嬉しい金糸雀がワザとらしく逃げる様を見ながら、
二人の薔薇乙女がそれを見守っている。
争うだけがアリスになる道ではない。
それを導き答えを出すのは 決して自分の力だけではない。
汚れのない薔薇乙女が
穢れすら知らない、一点の曇りすらないアリスへと孵化出来るのは
本当は一人だけである必要すら、ないのかもしれない。
この身体がやがて朽ち果て、器と言う枷から解き放たれ
永劫と思える刻(とき)の螺旋から解き放たれ
自分達の存在が魂と言う光に変わり、穢れを祓われるその時こそ
最も絆の深いミーディアムの魂と共に・・・アリスへと・・・
人間へと転生できる・・・
それが今、導き出せるアリスの姿であり、容(かたち)なのかも知れない。
真紅は水銀燈とめぐの似顔絵を見て、金糸雀とじゃれあうジュンの姿を見て、そう思うのだった。
そして翠星石の方に顔を向け、こう言った。
「翠星石・・・貴女はお父様の声を・・・あの時・・・聞いたかしら・・・?」
「アリスゲームが終わった・・・あの時ですか・・・ もちろん・・・聞こえたですよ・・・」
「そう・・・ならいいわ(クスッ…)」
「まったく・・・真紅はおかしなやつです(クスクス…)」
二人は顔を見合わせ微笑み、相変わらず追いかけっこで親睦を深めあっているミーディアムと姉妹に声をかける。
「はいはい!お前らそろそろ終わりにするですー!
カナカナはこんなとっぱちから来たのですから、朝食作るの手伝えです♪」
「のぇええぇ〜〜ーーー?!」
「たまには のりに楽をさせてあげなさい、ジュン」
「ぼっ、僕もかよ?!」
「安心なさい、私も手伝ってあげるのだわ」
「いやっ! そ、それは・・・
だっ大丈夫だよ真紅、翠星石と金糸雀と一緒に頑張るから、君には僕の淹れた紅茶を飲んでいて欲しい!」
「そそっ!そーですそ〜ですぅ!真紅は紅茶を飲んでのりの寝顔でも見てるデスっ!」
「それがいいかしらそれがいいかしらっ!!」
「そ・・・そう? それなら遠慮なくそうさせて貰うわ・・・??」
パタパタと、しかしのりを起こさないように静かに家の中に入る三人の後に続く、
真紅の小さくすべやかな両手には・・・水銀燈が残していった置き土産が柔らかく握られている。
争うだけがアリスになる道ではない。
それを導き答えを出すのは 決して自分の力だけではない。
( また貴女の淹れてくれた紅茶を頂きながら…共に楽しい話ができる時が来るのを…私は信じているわ…水銀燈 )
自分の手に握られた水銀燈の笑顔にそう心で問い掛けながら、
愛する姉妹達の今の幸せを願いながら、
「ジュン・・・早速だけど・・・貴方の紅茶が飲みたいのだわ・・・(ニコッ)」
翠星石と自身のミーディアムである、ジュンとの更なる深い絆を求めるようにそう言い、
二人が想いを寄せるミーディアム・・・ジュンは・・・
翠星石と金糸雀・・・そして真紅に優しい瞳を向けて、それに答えるのだった。
「ああ・・・待ってろ・・・お前達に・・・真紅の為に、とびきり美味い紅茶を淹れるからな♪」
【 おわり 】
これにて終劇です。
今まで贔屓下さった方々、レス下さった方々、大変感謝しています。
スレ目一杯使ってごめんなさいでした。
でわ、また機会があれば。
>>254 GJだ!
もう一回、シリーズの一番最初から読んで泣いてくる。
ちうか、新しいシリーズをぜひとも書いてほしい。
さっきも書いたが、俺はアンタのSSのためにこのスレに来てる。
正直言って、原作者に承諾得て、正式に執筆するのを奨めたいくらいだ。
もう一度言おう。
GJだ!!
水銀燈とめぐが書いた手紙の絵をみたいなぁ
258 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/25(日) 17:58:42 ID:r3XOgMnO
誰か描いてくれ
>>255 何度でも書くけど、
本当に、ほんっとうに、
貴方が原作者じゃないのが惜しい!
何はともあれGJ!!
>>255 GJ!ローゼンメイデンの一つの終わり方として、
本当に面白く読ませてもらいました。
ただ、面白かっただけにみんなの感想にちょっと残念だ…
キャラの設定はアニメよりだし。多少オリジナル入ってるよね
もちろんそれは悪い事じゃないし、嫌いじゃないよ。
けど、原作者がどうのこうのって言うのは少しずれてないか?
俺は原作が好きだし、アニメも好きだし、こういう二次製作も多々読んでるから好きだよ
でも原作あってこその二次製作だと思うから、そういう発言はちょっと嫌だな
何はともあれ面白かった、あなたのほかの作品も読んで見たくなりました!
そして長文失礼。
>>260 原作が嫌いだからじゃなくて
連載が止まってしまっていることが残念だからこその例えだよ。
君こそ少しずれてないかい?
まぁまぁ二人ともモチツケ。人の数だけ捉え方があるんだから
どっちの意見も正しいけどどっちの意見も正解だと言えないんだよきっと。
それに原作、アニメが存在する上での創作物って、厳密に言えば三次創作なんだし
君達にとって楽しませてもらえた作品だったって事で仲良く行こうじゃないか。
263 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 21:44:08 ID:TaOYiI2d
>>260 >あなたのほかの作品も読んで見たくなりました
>>ってことは255はローゼン以外のSSも書いてるの?
過疎
オリジナルストーリー展開のSS職人さんがいたが、最近見かけない。
なかなか面白かったのだが、続きを作成していただけないものかなぁ…
確か四話で止まっていたと思った。
>>265 当たっているのなら、四話だけでも1万5千前後(文字数)
推敲、添削とか、長編みたいだしプロットの見直しとか色々あると思うから、
忘れずゆるりと待てばいいんじゃないのかな。
>>255 完結おめでとうございます。
機会あれば、またここで投下してください。
267 :
265:2007/03/28(水) 22:09:43 ID:s1XbaBUz
>>266 確かに。
相当な労力が必要なのは保管庫で読んでるからよくわかるよ。
でも、デキの素晴らしい作品ほど、制作者の多大な苦労を考えず、早く読みたくなるんだよね(w
255氏の作品も素晴らしい。
ぜひともこの両名にはこれからも投下していただきたい。
オイラはこの両名の作品なら、マジで購読料金を払ったっていいくらいだ。
ここって保守いるのかな
「どうしたんだい?水銀燈」柔らかい光の差し込む部屋には水銀燈と1人の男がたたずんでいる。
「なんでもないわ、おじ様」本当は真紅の事についてかなり悩んではいたのだけれどできるだけ馬鹿の相手はしたくない。
この男と出会って間もない頃は契約なんてする気はまったく無かった。あまり認めたくは無いが死んだめぐの事が胸に痞え、
なによりこのアホ面の男───むしろこの男の手下の方がよっぽど切れ者そうだったが───などとは到底受け入れられそうにも無かった。
しかしこの男の力・・・それは魅力溢れるものだった。本当に幸運だったとも思える。自分の手で真紅を消し去る事ができないのは残念だが
人工精霊を失い、いつの間にやら復活していた蒼星石と真紅・翠星石を相手取るにはこの男──周りの人間は”偉大なる首領様”などと呼んでいたが
自分には”この男”で充分──の力が必要だった。プライドだけは高そうなので一応おじ様と呼んでやってはいるが水銀燈にはこの男に対して敬意
はまったく持っていない。するとそこへこの男の手下がやってきてなにやら報告した。
満足げにうなずいた男が胸をしゃちほこばって命令を下す。その様子は何かの喜劇の様にも見えたがその命令自体は悲劇を生み出すものでしかない。
日本への核攻撃・・・それがこの男の下した命令だった。「これで真紅も終わりね」水銀燈は小さく呟くと羽を拡げ、そうっと部屋から抜け出す。
目的がほぼ達せられた今、ここに留まる理由は何も無い。ぐいぐいと高度を上げる水銀燈の目に地上から駆け上る流星が見えてきた。
小さく笑う、「本当におバカさんなのね、首領様」自嘲気味に呟いたのはまだ真紅の事に心残りがあったのだろうか。
そんなはずは無い!間接的とは言え真紅はめぐを殺した。そこまで考えるとふと気付いた。自分がめぐの事をまるでかけがえの無い大切な存在の様に思っていることを。
その頃には流星は見えなくなっていたがそれでも水銀燈は高度を上げ続けた。まるでそうすればめぐの居る世界へ近づけるかというように・・・
ちょwwまwww将軍様www
>>270 ちょ・・・ジュンや真紅達が・・・
でも水銀燈の心情が少し涙を誘ったよ
核は駄目だろ・・・広島人的に考えて
長崎のことも忘れないであげてください
真紅達がどうなるのか気になる
>214
>221
>住人のみなさん
サーバ乗り換えのため、保管庫移転します。
しばらく移転リンクを残すのでブックマークの変更とかよろしくです。
了解した
ローゼンメイデンの蒼星石を虐めるスレ
↑↑↑
何このスレ
>280
アニキャラ個別にある「Rozen Meiden ローゼンメイデン SS総合」の最初の方に書き込まれている前スレもしくは過去スレのリンクを辿っていくと、どうやら最初の頃はそういうタイトルだったようです。
それ以前にあったのかどうかは私には分かりません。
私の遡れる限界はそこまででした。
それ以前にあったのかも知れませんが、持っているdatを1つずつ確認するのは量が多いので正直無理です。
分け方は色々悩んだのですが、「アニキャラ総合」「アニキャラ個別」の板ごとに分けました。
基準は現行スレッドです。
私の独断ですので、他に何か良い方法などがあれば提案をお願いします。
それとURL貼り忘れていました、すみません。
tp://library.s12.dxbeat.com/rozen/
>>281 thx
蒼派の俺には嫌なスレだろうな
妙に殺伐としてたのは作りかけだから?
なんで俺がほのぼのとしたいい話を書こうとすると核が出てくるような陰惨な話になるんだ?
君の心が戦いを求めているのさ
ここはちょっと残酷な小説は厳禁ですか?
グロ虐待系じゃなければ暗い話てもいいと思う
虐待とかじゃない(アリスゲームです)ですが、ただ、前に違うスレに書いたら、
かわいそうとか言われて散々たたかれますたorz
もっかいここに書いていいですか?
かわいそうって理由で叩く状況がよく分からないけど過疎ってるし全然かまわないのでは
>>287 作品を載せる前に明記すれば良いんじゃないかな。※欝展開注意 とか
まあ叩かれるのはどんな作品でも当たり前。
へこまず頑張れ。
うお、ここはいい人がおおいようですねwでは貼るよ。
読みにくい日本語です(汗)
私は一度真紅との戦いに敗れた。
アリスになるための戦いに。
アリスとは一遍の穢れも無い完璧な少女・・・
最近疑問に思うことがある。
本当にアリスになるためにはアリスゲームしか道は無いのかと。
アリスにはなりたい。お父様にも会いたい・・・がしかし―。
・・・殺しあって、穢れの無い少女になる・・・か。
よくよく考えればおかしな話だ。
・・・・
薔薇「お姉さま?どうかしたのですか?」
銀「ん?なんでもないわ」
雪華「へんなの」
水銀燈は薔薇水晶、雪華碕晶達と暮らしている。
何を思ったか蒼星石も最近水銀燈側に身を置いている。
一緒に居る名目はもちろん
「打倒、憎き真紅その他残り」
だ。
今はメグの病室で真紅ら一味を奇襲するための作戦を立てているところだ。
メグは水銀燈達が居るだけでなんだか嬉しそうだ。だから極力ここに集まるようにしている。
看護婦達は最近のメグを見て「随分明るくなったわね」と言うらしい。
それをメグは「あなたのおかげ」と言うが私は何もした覚えは無い。
ホント、この子はよく分からない所のある子だ。
でもどうであろうと少しでも良くなったのなら嬉しい。
水銀燈は思考を一旦止め、作戦会議に頭を戻した。
薔薇「ではまず私が先頭に立って翠星石達、雑魚をやっつけるわ!」
雪華「それは私がやるわ。あなたみたいなニセものは暫く引っ込んでなさい」
が、いつものように話はなかなか前に進まない。
薔薇「はぁ?新入りのくせによくそんな生意気が言えるわね」
雪華「だってあなたみたいな偽者に気を使う必要なんてないもの」
薔薇「なんですって!!!」
薔薇水晶と雪華碕昌の喧嘩が始まった。いつものことだ。
銀「はぁ・・・また始まったわぁ・・・」
水銀燈はまるで、人間の親が自分の娘達のじゃれあいを見るような感じの面持ちで眺めている。
彼女はこの時間が別に嫌いではなかった。
こんな水銀燈を見るのは初めてだ・・・横で見ていた蒼石星は思った。
薔薇「痛ててて!やめてよ!もう!」
雪華「へへーだ!」
銀「はぁ。もういい加減にしなさいよ。」
こんなに幸せそうな水銀燈・・・
昔の水銀燈は違った。
いや、水銀燈だけじゃない。今では真紅や翠星石、金糸雀、皆変わってしまった。
お父様に会う事より今の幸せを優先しているような気がする。本当にこれでいいのか。私たちの存在目的を忘れてしまったの?
銀「蒼星石?」
蒼「・・・」蒼星石は気づかない。
銀「ちょっと。蒼星石、どうしたのよぉ」
蒼「あ、いや、なんでもないよ。」
銀「あなた最近おかしいわよ。何かあったの?あ、真紅奇襲について、あなたの意見も聞きたいわぁ」
水銀燈・・・君は何故そんなにも幸せそうなんだい?
蒼「・・・ご、ごめん水銀燈。ちょっと休んできてもいいかい?」
銀「そうね。そのほうがいいかもしれないわ。いいわ。外の空気でもすってきなさい。」
雪華「お姉さま、そんなひ弱な奴ほっときましょうよ」
雪華碕昌が余所見した瞬間、薔薇水晶のパンチが飛んできた。
雪華「うぎゃあ!やったわね!」
薔薇「あなたが余所見してるからよ」
雪華「お姉さま〜!こいつまじムカつく」
薔薇「元々あなたが悪いんでしょ!」
また喧嘩が何分か続いた。いつもこれの似たような感じの繰り返しだ。
水銀燈はメグの方に目を移した。いつもこうして定期的に彼女の様子を伺う事にしている。
いや、意図的にそうしているのではなく無意識にそうしてしまうようだ。
どうやら彼女は寝てしまったみたいだ。
こんなに煩いのによく寝れるわね・・・水銀燈は思った。
でもメグの寝顔を見ると何故か落ち着く。
銀「はいはい、もう終わり。話し合いに戻るわよ」
水銀燈は薔薇水晶と雪華碕昌の間に割って入り、引き離した。
薔薇・雪華「うわぁっ」
銀「そうだ、その前にちょっと蒼星石の様子見てくるからその間おとなしくしてるのよ」
雪華「バラバラが大人しくしてたら静かに出来るのよ」
薔薇「はぁ!?それはこっちのセリフよ!ていうかバラバラってなに?気持ち悪い名前で呼ばないでよ!」
銀「いい加減にしなさい!ここは病室よ。」
薔薇水晶と雪華碕昌は水銀燈の声に驚き、しゅんとした。
銀「静かにしてるのよ!わかった?」
薔薇・雪華「でもぉ!」「なによ!」
水銀燈「もう!返事は?」
雪華・薔薇「はーい・・・」
水銀燈は蒼星石のいる屋上へと窓から飛んでいった。
水銀燈「本当にあの子達の世話は疲れるわぁ」
水銀燈本人は気づかないが、その顔には笑みがこぼれていた。
(雪華碕晶の「碕」ってこれで合ってたっけ?)
雪華「もう行った?」
雪華碕昌が小声で切り出した。
薔薇「ええ、行った・・・。」
雪華「あなた、ホント演技上手いのね。ちょっと怖い。」
薔薇「あなたも。」
雪華「水銀燈・・・変わったわね。」
薔薇「・・・あれ位・・・馬鹿な方が私たちには、やりやすい・・・」
雪華「・・・水銀燈・・・哀れね」
二人の顔は先ほどの無邪気な笑みから一変していた。
薔薇「計画通りです。」
雪華「そうね。」
二人の視線はメグの方を向いていた。
空は真っ赤に染まっていた。綺麗だ・・・
最近は本当に気分がいい。昔は違った。何を見ても否定的・悲観的な発想しか浮かばなかった。
目線の先に蒼星石は居た。夕焼けを浴び、大変美しかった。姉の自分が見てもドキッとしてしまうほどだ。
銀「蒼星石?大丈夫?」
こうして二人だけで話すのは初めてかもしれない。
蒼「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
銀「なっ、何よ////勘違いしないで。あなたがひ弱だからちょっと見に来てやっただけよ。」
蒼「同じじゃない?」
「ありがとう」
良い言葉だ。
私は過去に誰かからありがとうなんて言われた事もなかった。
別に言われたくも無かったし、言う事もなかった。
今更ながら改めて自分の変わり様に驚く。いや正確には「変わった」のではなく
正常に「戻った」のかもしれない。
もちろん、そうなるキッカケを作ったのはメグだ。
彼女は昔の私を認めてくれた、受け入れてくれた唯一の存在だった。
そして彼女も私と同じ様に「欠陥」を持っていた。
「他とは、違う・劣っている」という事の苦しみも、彼女はよく知っていた。
だから私は彼女を救いたかった。
しかし、結果的に救われたのは私の方だった。
彼女は、苦しみ・憎しみ・怒りのみに支配された地獄の底に光をさし入れてくれた。
そして時が立つにつれて徐々に変わる事が出来た。本来の自分を取り戻すことができた。
今は彼女に恩返しをしたいと思う。今度こそ私がメグを救う。
薔薇水晶はローザミスティカでメグを救えると言っていた。
自分は無力だ。医者でもなければ、彼女の心の支えになってやる事も出来ない。
彼女のために何もしてやれない。しかし唯一できる事といえば、薔薇水晶の言うそれだけであった。
しかし、ローザミスティカでメグを救えば、もうアリスになる事が出来なくなってしまう。
アリスになるためには全てのローザミスティカが必要だからだ。
大好きなお父様に会えなくなってしまう。
どちらにせよ・・・アリスゲームを始めなければならない・・・わかっている・・・いつかは始めるつもりだ。でも・・・。
いつものように頭の中がぐちゃぐちゃと螺旋思考におちいってしまう。
そしていつものようにそこで考える事をやめた。いや、止めたと言うより、逃げた。
それにしても・・・彼女が気づかせてくれた自分が、彼女を救う事を妨げているか・・・。
皮肉な話だ。
銀「もう!そんなに元気なら話し合いに戻るわよ」
水銀燈は薔薇水晶達がいる方へ戻ろうとした。
蒼「水銀燈」
銀「何よぉ」水銀燈は立ち止まった。なにか嫌な予感がする。
蒼「ちょっと聞いてもいいかい?水銀燈」
銀「だからなによ」
蒼「君は・・・お父様に会いたくないのかい?」
銀「は、はぁ?なによいきなり。会いたいわよ。会いたいに決まってるじゃない。馬鹿じゃないの」
水銀燈は動揺した。その事は考えたくないのに。平常心を、装う。
蒼「本当に?じゃあなぜ今すぐに真紅達をやっつけに行かないんだい?」
銀「だから、今そのために話し合いを―」
蒼「嘘だ!」
蒼石星は言い放った。
蒼「嘘だ。君は全然真紅達をやっつける気なんてない。君は今の生活を楽しんでいる。真紅達と同じだ。
僕はもうママゴトの様な生活はこりごりなんだ。今の時代に僕たち姉妹は集まった。
これはお父様がありスゲームを始めよという御意志しよるものだ。今すぐにアリスゲームを始めなきゃだめなんだ。」
銀「わかってるわよ!そんなこと・・・」
蒼「君はアリスになることを切望していた。思いは誰よりも強い。だから 時には冷酷になれた。
僕は君の様になりたかった。だからここへ来たんだ。 ここなら感情に左右されず、
邪魔が入ることなくアリスゲームに集中できると思った。 」
銀「・・・」
蒼星石が昔の私のようになりたいですって?何故?あんなに辛いのに。
蒼星石は続ける。
蒼「でも君は・・・もう変わってしまった。」
蒼「もう僕は一人で戦うよ。もう誰にも頼らない。元々ローゼンメイデンたちは皆敵同士。
そもそも誰かと協力する事自体間違ってるんだ」
いつもの蒼星石とは明らかに違う目をしている。
銀「あなた・・・今から真紅達と戦うと言うの?」
蒼「うん。そのつもりだよ。」
銀「翠星石が相手になっても?」
蒼「言ったでしょ。もう僕は一人だって。誰とも関わらない。相手が誰であろうと構わないよ。もう、僕は、何処にも、逃げないし
頼らない」
銀「・・・」
嫌だ。失いたくない。誰も失いたくない。もう、一人になるのは嫌だ。
水銀燈は自分の中にこんなにも戦いを否定する明確な意思がある事に、不思議な事に今更ここで気づいた。
今までどんなに孤独が辛くても表に出した事はなかった。
時々、辛くて絶えられない時もあった。そかしそういう時はもう一人の強力な自分がその叫びを叩き潰し、封じ込めてしまうのだ。
そしてその強力なもう一人の自分が以後の感情を支配してしまう。
僅かながらその名残がいまだに付きまとっていたようだ。
蒼「もう行くよ。いろいろありがとう。今ここで君と戦う気はない。でもいつか必ず戦う日は来る。その時はよろしくね」
蒼星石は飛び立とうとした。
銀「あなた・・・」
蒼「ん?何?」
水銀燈は聞き取りにくい程小さな声で言った。
銀「あなた・・・孤独というものがいかに辛く・苦しいのか知らないでしょう」
蒼「そんな事わっかってるよ。でもお父様に会うためだ。どんなに辛い事でも乗り切れる自信はあるよ。」
銀「ふふ」
蒼「何がおかしいの?」
銀「ホント昔の私を見ているみたいだわ。」
銀「それにしても昔の私に憧れるなんて、あなたも変わり者ね」
銀「でも・・・」
水銀燈は微笑んだ。
銀「そんな強がり、一体何日続くかしらね。見物だわ」
明らかに作り笑いだった。
銀「いいわぁ。あなたがそこまで言うなら勝手にしなさい。別に私は元々あなたに
銀「期待なんかしていなかったから。ちょっと真紅達に接近しやすくなるかしらと思ったけど。」
行かないで欲しい。お願い。行かないで。
水銀燈は心の中で祈った。
蒼「ふふ・・・じゃあ。いろいろありがとう。姉さん」
蒼星石微笑んだ。
その瞬間ドキッとした。
水銀燈「あ、あなたが姉さんと言うとなんだか気持ち悪いわぁ。さっさと行って。」
姉さんと呼ばれた。嬉しかった。
そして彼女は背中を向けた。
行かないで欲しい。行かないで!ここに居て!お願い・・・
水銀燈は心の中で蒼星石の背中に何度も叫び続けた。
声に出して叫びたいが・・・そんな事出来る筈ない。。
思いもむなしく蒼星石は飛び立っていった。
まるで、自分の大切な宝物を崖に落としてしまったかのような気がした。
銀「あなたが一人減ったくらい・・・」
目の奥が重くなってきた。
銀「ふん、馬鹿みたぁい。」
全く。強がっているのは私の方ね・・・
その直後、水銀燈は涙をこらえる事が出来なかった。そんなに嘆くほどの事では無い。
そうだ。たかが一人減っただけではないか。私にはまだ薔薇水晶や雪華碕昌がいる。メグもいる。まだ一人なんかじゃない。
それでも何かが目の奥にこみ上げてきて自分でも不思議なほど涙が出てくる。
水銀燈はその場で泣き崩れた。
なぜ、自分は素直になれないのか。何故あの時蒼星石を無理やりにでも止めなかったのか。
もう遅い。蒼星石は真紅達と戦うだろう。もうどうしようもない。
「待ってるから・・・」と水銀燈は言った。いや声には出ていないかもしれいない。
ただただ、蒼星石が戻ってくる事を願って。しばらく水銀燈はその場を動く事が出来なかった。
「・・・いよいよ・・・アリスゲームの・・・始まりです。」
屋上の給水タンクの上からその様子を見下ろしていた者がいた・・・
それは不気味にほくそ笑んでいた。
・・・一体どれくらいそこにいただろう。数分と言われても数時間と言われても信用できる。
「・・・さぁて」
水銀灯は顔を上げた。もうその顔にはさっきまでの悲しみは微塵も残っていなかった。
苦難を乗り越えた経験のある彼女の心はやはり強かった。
「薔薇水晶と雪華碕昌は大人しくしてるかしら。メグを困らせていなければいいけど。」
もう彼女は屋上に来る前と同じ顔をしていた。
水銀灯は早速メグの病室の方へ向かっていった。
・・・あと数秒後、本当の絶望を味わう事になるとも知らずに。
まだ続きます・・・
299 :
#:2007/04/04(水) 22:29:13 ID:Ba93K5JQ
一応今からトリップ付けます・・・
↑しくったw
雛「ジューン!ジュン!ジュン!ジュン!ジューン!」
J「あーもー、邪魔するなよ!それよりもう10時だぞ!早く寝ろ!」
雛苺はいつものようにジュンにまとわりついている。
そして真紅はベッドの上で本を読んでいる。
紅「静かになさい。雛苺。ジュン、本を持ってきてちょうだい。鏡の部屋にあるわ。」
これも何日も繰り返された、いつもの光景だ。
だがいつもの空気とは少し違った。
蒼星石が居なくなってからはずっとこの空気だ。
最初は落ち込んでいた翠星石だが、今はもう明るく振舞っている。
「もう一人で生きていける。心配しないで。」と言っているが、
皆に気を使っての振る舞いだということは目に見えてわかる。
彼女はやはり蒼星石無しでは生きていけない。
当然だ。
彼女達は庭師だ。姉の翠星石の如雨露、妹の蒼星石のハサミ、二つ揃って初めて庭師として成り立つ。
翠星石の如雨露で幾ら水をやっても、その水を回りにまとわりついた雑草が吸ってしまっては
やはり花は育たない。ハサミで雑草を切ってやる必要がある。
二人で一人前なのだ。生まれつきの宿命。こればかりは努力では補えない。
J「ったく、何で俺が・・・」と言いつつ本を取りに行く。
ドアを開け、目の前の廊下を右に曲がり階段を下る。左に曲がり、廊下を直進だ。
すると玄関に翠星石が立っていた。
J「なんだ、来てたのか。」
翠「・・・きっ・・・きょ、今日も遊びに来てやったです!ちび人間が大馬鹿者だからです!感謝するです!」
こんな夜に遊びにくるのか。疑問を持つがそんな事いちいちつっこまない。一人が辛くなったのだろう。
J「そうか。真紅達は上に居るよ。お茶、持って行くから待ってろ。」
翠星石は疲れきった顔をしていた。散々悩んだのだろう。仕方がない。その事に気づかないふりをしてやる。
ジュンはリビングのドアノブに手をかけた。
翠「ち、ちょっと・・・待つ、です」
J「ん?」
翠「さっき、おじじとおばばにさよならしてきたです・・・」
翠星石は小声で言った。
J「そうか・・・・・・お前の好きなようにしろ。」
翠「・・・」
翠星石はジュンに抱きついた。
翠「蒼星石は帰ってくるですか?帰ってこなかったら・・・帰ってこなかったらぁ!!」
翠星石は泣きだした。我慢していた感情が溢れたのだろう。
翠「姉として・・・無理やり引き止めておけばよかったです!翠星石が・・・翠星石が全部悪いです!」
J「お前は悪くない。大丈夫だ。蒼星石ならちゃんとわかってくれる。そのうちひょっこり戻ってくるさ。姉のお前が信じてやらなきゃどうするんだ。」
翠星石は泣き続ける。
J「辛かったな。俺も悪かった。もういいよ。
我慢しなくていい。これはお前だけの問題じゃない。皆の問題だ。お前一人に背負わせやしない。」
翠星石の頭を撫でてやりながら言った。
翠「ジュン・・・」
翠星石は顔を耳まで真っ赤にし、涙でグチャグチャだ。
紅「そうよ、翠星石、私達は姉妹。妹の問題は皆の問題よ。」
真紅が階段から降りてきた。翠星石の声が聞こえたので降りてきたのだろう。
翠「真紅・・・」
翠星石は更にジュンに顔をうずめて泣いた。
J「よしよし、苦しかったな。もう無理するな。」
ジュンは頭を撫でてやった。
翠「うわぁ〜ん!」
翠星石はいっこうに泣く気配が無い。
翠星石の涙と鼻水がジュンの服に染みてきた。
J「・・・もう・・・いいか?」
首を横に振り翠星石は泣き続ける。
J「困ったな・・・」ジュンは真紅に苦笑した。
「たしかあの窓ね」
水銀燈はメグの病室目指して降下した。やはり空を飛ぶってきもちいい。光り輝く町の景色はとても美しい。
既に回りは真っ暗になっていた。月は出ていた。満月だ。高度は低い。高度が低い月は大きくて好きだ。
病室に近づくにつれ頭の中は薔薇水晶と雪華碕晶やメグの事でいっぱいになった。
「ここね」
水銀燈は窓に降り立った。病室は真っ暗だ。しかしいつもの事だ。彼女は明かりをつけることをしない。
銀「メグ!薔薇す・・・」
なにかおかしい。メグのベッドの辺りが、月の光を反射して艶めかしい光を放っている。本当に生々しい鈍い輝きだ。
なんだかよく分からない。目を凝らしてみてみる。
銀「ど、どうしたの・・・?」
そう言った瞬間目に映ったのは・・・文字通り「血の海」だった。
メグの体からは一本の水晶が突き出ていた。水晶は真っ赤になり、血が月の光を反射していたのだ。
銀「ぁ・・・へ?・・・」
一体何なのか、脳?内で処理するのに数秒かかった。
その光景を理解しかけた瞬間、頭の中が真っ白になった。
銀「あ・・・ぁ・・・嫌ああぁぁあぁーー!!!!」
水銀燈は絶叫した。
普通なら気を失うであろうが、不幸な事に彼女の意識は飛ばなかった。
水銀燈は狂ったように叫びながら、ついさっきまでメグであった死体へ飛んだ。
「メグ!メグ!メグ!メグーーー!メグーーー!メグーーーー!」
水銀燈は変わり果てたメグの体をゆすりながら名前を叫び続ける。もはやもとに戻るわけでもないのに。
ドレスはどんどん血まみれになり、自慢の羽はみるみる抜け落ちた。しかしそんな事には気づかない。
水銀燈はひたすら叫び続けた。狂ったように叫び続けた。
水晶ということは薔薇水晶の仕業・・・
考えたくない。あの子がやったなんて考えたくない。いや!嫌嫌嫌嫌!!!!
違う!違うわ!あの子じゃ・・・
でも実際メグは水晶に串刺しにされて眼前に横たわっている。
彼女の心は全く現実を受け入れようとしなかった。
心が崩壊していく。
すると後ろから薔薇水晶と雪華碕晶が表れた。
雪華「ふふ、哀れね」雪華碕晶は笑った。
薔薇「水銀燈・・・」薔薇水晶は水銀燈の名を呼ぶが、そんな事彼女には聞こえない。
雪華「もうジャンクね。あら、ごめんなさい。元々ジャンクよね〜」
しばらくして水銀燈は静かになった。
雪華碕晶は水銀燈の首に、「つた」を巻きつけ、そしてそのままを持ち上げこちらに向かせた。
薔薇「水銀燈・・・・・・」
水銀燈の目は既に死んでいた。 死んだ魚のような目だ。濁っている。
銀「あら、あなたたち・・・メグはどこにいったの?ここにはいないのよぉ。雪華碕晶、あなた知らなぁい?」
一体何処を見ているのか分からない。いや、見えていない。精神は完全に崩壊してしまったようだ。
雪華「ふふっふ!はははは!あっははははっ!愚かね!愚か!やっぱりあなたは所詮ジャ」
ドス!
鈍い音が轟いた。
銀「グッ!ケハッ・・・ヒッヒック・・・ヒッ・・・」
薔薇水晶は雪華碕晶が言い切る前に水銀燈を水晶で突き刺した。
薔薇「では・・・前定より水銀燈のローザミスティカは私がいただきます」
薔薇水晶は感情が表に出ない様、単調に言った。
雪華「はぁ?」
雪華碕晶は目を剥いて薔薇水晶の方を向いた。もはや少女の美しさなどと言う物は微塵も無い。
ミシミシ・・・グシャァ・・・
腹部から、圧し折れた。
>>303 かわいそうと言ったのは俺だが別に批判目的では・・・
続き読みたさにSSスレを紹介したりもしたし・・・
>>305 そうだっけ
今そのスレ見てきたらそうでした^^;
スマソ^^;あと、スレ紹介どうも
雪華「ふふふ、あなた達ってホント馬鹿。薔薇水晶。力のみが強いとは限らないのよぉ。」
雪華碕晶は瞬時に「つた」で薔薇水晶の胴を分断した。
雪華「忠告したあげたじゃないのぉ・・・偽者は引っ込んでなさいってぇ」
雪華「それにしても、本当に人間を殺しちゃうなんて・・・最低ね。ふふふ。」
雪華碕晶は水銀灯のローザミスティカを譲ると約束した代わりに、手が汚れる事は薔薇水晶に全てやらせていた。
雪華「全て計画通りです。お父様。」
「美しい。美しい・・・雪華碕晶。流石は我が最高傑作。集大成として非の打ち所が無い・・・。」
「ふっ、エンジュの・・・か。こんな玩物で私に抗する気だったのか。なめられたものです。」
と言ったのはラプラスだ。いつの間にかその場に居た。
雪華「全くです。水銀燈も・・・やはり所詮はあの程度。他のドール達も似た様なものでしょう」
ラプ「ふん」兎は鼻で笑った。
ラプ「では」
それは病院の窓枠に、ひょいっと飛んだ。フィギュアスケート選手の様に動きは機敏で華麗だ。
そして腕を高く上げ、勢いよく下に振り下ろすと、空間が裂ける。
「次の舞台へと・・・・進むといたしましょうか。」
雪華「ええ、お父様」
金糸雀はその時何かを感じた。何か大変な事が今何処かで起きたと。
何の根拠もない。ただ、背中が少しソワッと、口では表せない感じがした。
でも何故か確信がもてた。何か起きていると。
その時テレビでは緊急ニュース速報をやっていた。
時計に目をやると、針はもう10時を指していた。
何故かニュースが気になる。いつもは全く興味が沸かないはずなのだが。
「・・・今日九時40分頃、東京都○○区○×□△の○○病院で、入院していた東京都、□△在住の
○○?メグさん1?歳の遺体が発見されました。
調べによると幅数センチの水晶の様なガラス体の物体がベッドから伸び、それが少女の腹を貫通し、
大量出血により死亡したとの事です。他に目だった外傷もなく部屋もあらされた形跡も無いため、
顔見知りによる犯行として捜査が進められています。」
金糸雀・・・・
金「へ?何!?」
水銀燈が頭に浮かんだ。何故だか分からない。
しかし確信できた。水銀燈はその病院付近に居る。カナを呼んでいると。
金糸雀はメモ用紙に、少し出かける。明日には帰るという主旨をメモし置いておいた。
そして家で「お仕事」というモノをやっている途中で寝てしまったみっちゃんに毛布をかけてやった。
金「ちょっと出かけてくるかしら」
そう言うと金糸雀は窓から外に飛びたった。
何故か病院の方向が分かる。何故だか分からない。でも水銀燈が導いてくれている気がした。
水銀燈との付き合いは、実は姉妹の仲では金糸雀が一番長かった。
水銀燈は冷酷な心を持っている。でも本当の彼女はそのんなのじゃなかった。
姉妹の中で本当の水銀燈をよく知っているのは恐らく金糸雀だけだった。
金糸雀は水銀燈が大好きだった。とても優しい姉だった。頼りがいがあり、妹思いで
二人の生活はとても幸せだった。しかしそれは長くは続かなかった。
水銀燈と金子雀、二人姉妹だった時は良かった。
確かにその時から彼女には腹が無かった。しかし、金糸雀に羽が無いように、それも一つの特徴だと
解釈していた。劣等感など感じなかった。
しかし、時が経つにつれ、翠星石、蒼星石、真紅が生まれてくると、疑問を持つようになった。
何故水銀燈だけ・・・
そして、ある日、決定的な事実を突きつけられる事になる。それは真紅の何気ない一言からだった。
紅「あなたには何故おなかが無いの?それにローザミスティカは?」
銀「ローザ・・・ミス・・・ティカ?」
紅「そうよ。ローザミスティカよ。それが無ければ薔薇乙女とは言わないわ。」
銀「・・・」
紅「金糸雀、翠星石、蒼星石皆持ってるわ」
銀「そんなの・・・私・・・持ってない・・・」
紅「え!?お父様に貰わなかったの!?」
銀「・・・」
紅「可哀想・・・。これが無いと・・・薔薇乙女とは言わないのよ。」
哀れむ真紅。
真紅に悪気は無かった。しかし水銀燈の気持ちを察するには、この時の真紅の心には幼すぎた。
水銀燈にとっては自分そのものを否定されたようなものだった。存在を否定され、この子達と同じ空間に居る事すら
間違っているような気すらした。
腹が無いのもやはりこれはただの欠陥なのか・・・
何故・・・何故だ・・・何故無い・・・何故私にだけローザミスティカが無い・・・
・・・
何故私だけ真紅ごときにあんな目で見られなければならない・・・
そうだ・・・無ければ奪えばいい・・・簡単な事だ・・・奪って自分の物にすればいいだけではないか・・・
その日を境に水銀燈は忽然と姿を消した。そして姉妹の記憶からも徐々に消えていった。
しかし金糸雀は違った。
金子雀は水銀燈を探した。あらゆる所を探し回った。なかなか見つからなかった。。。しかし
見つかった頃には彼女の心はもはや死んでいた。もう昔の水銀燈の面影は微塵も無かった。
その水銀燈はひたすら真紅を恨み、真紅を殺す事しか頭に無い、まるで冷酷な悪魔のようだった。
金子雀は怖かった。大好きな姉のあんな姿を見るのは耐えられなかったのだ。
それ以降金糸雀は水銀燈を避け続けた。
が―
今は違う。彼女は私を呼んでいる。必死に私を求めている。
金糸雀は急いだ。自分の飛行速度が遅くてもどかしい。
クゥッ!こういう時に限って速く飛べないかしら!
金糸雀はそう感じた。
病院に着いた。
瞬時に病院の建物の横の小さな林の中に居る水銀燈を発見した。
金「水銀燈!待ってて!今行くかしら!」
着地し、すぐさま彼女に駆け寄った。
しかしその瞬間、金糸雀は唖然とした。
水銀燈の胸から下が無いのだ。
金「お、お姉ちゃん!!」金糸雀は反射的にそう言った。
何時間ぶりだろう。こんな呼び方したのは。少なくとも最後にこう言ったのは彼女が姿を消す前だ。
金「何故・・・こんな・・・お姉ちゃん・・・」
金糸雀の目からは涙が溢れてくる。
水銀燈にはまだ意識が残っているようだ。
銀「か・・・カナ・・・来てくれた・・・のね」水銀燈は微笑んだ。もうその笑顔は昔の物に
近かった。しかし、しかしそれはあまりにも弱弱しかった。
・・・
銀「泣いてるの・・・?カナ・・・」
金糸雀は正座でうつむいている。声を出しては泣いていない。
目から沢山の涙が滴り落ちている。
銀「ごめんね・・・カナ・・・今まで一度も・・・お姉ちゃん・・・らしい事・・・して・・・あげられなか・・・ったね。」
水銀燈は力を振り絞り、金糸雀の頬に触れた。
金「そんな事無い!お姉ちゃんと過ごしてカナは楽しかったかしら!本当に・・・楽しかった・・・」
銀「ごめん・・・ね・・・最後に・・・あなたの・・・顔を・・・見た・・・か・・・った・・・の」
金「私だって!本当はお姉ちゃんの顔、ずっとずっと見たかったかしら!・・・でも・・・私は・・・今まで・・・お姉ちゃんを・・・
避けてた・・・私・・・お姉ちゃんに何も・・・出来なかった・・・」
金「わかってたのに・・・お姉ちゃんが苦しんでいる事・・・わかってたのに・・・っ・・・本当に・・・ごめんなさい・・・」
金糸雀は歯を食いしばった。自分の手を、全力で握った。指の部品がミシミシ言っている。今にも折れそうだ。
しかし今までの後悔が自分への怒りに変換されそれがそうさせる。
銀「苦労かけて・・・ごめんね・・・」
金糸雀はブンブンと首を左右に振った。
どんどん生気はが薄れていく。
金「お姉ちゃん!?お姉ちゃん!!!お姉ちゃん!!!!!」
金子雀は声を上げて叫び、泣いた。周りに聞こえようが知った事ではない。
金「そんなぁ!どうして・・・どうして!せっかくこうやって会えたのに・・・!どうして・・・お姉ちゃん・・・」
水銀燈の胸の辺りをよく見ると水晶の破片のようなものが付着している・・・
水晶・・・
金子雀の脳内に直ぐに薔薇水晶の像が結ばれた。
金「薔薇・・・水・・・晶・・・」
(注)マンガを読んでないので雪華碕晶が何者なのか、どんな感じなのか全く知りません・・・orz
ガサッ・・・
翠「ひっ!何か音がしたです!」やっと翠星石が泣き止んだ頃だった。
雛「ほよ?真紅、聞こえた?」
紅「ええ、何かしら。物置の方から聞こえたわ」
翠「はああぁ!蒼星石です!蒼星石が帰ってきたですぅ!!」
翠星石は満面の笑みを浮かべて言う。
物置へ向かった。
物置部屋の戸を勢いよく開けた。
すると鏡の前にポツンと蒼星石が立っている。
翠「あはぁ!やっぱりですぅ!蒼星石ぃー!」
翠星石は駆け寄った。
翠「どれだけ心配したと思ってるですか!とんだ馬鹿妹ですぅ!」
翠星石は嬉しくてまた泣き出した。
蒼「・・・」
翠「毎日毎日心配してたですよ!この馬鹿妹!ホント、本当に・・・よく戻ってきてくれたですぅ!」
今思えば僕はいつも翠星石を困らせてばかりだったな・・・蒼星石は思った。
ドン!
翠「きゃあ!」
蒼星石は翠星石を突き飛ばした。
蒼「真紅・翠星石、僕と戦え」
単調に・無感情に言う。それは昔の水銀燈を彷彿させる。
感情を押し殺した表情だ。
翠「蒼星石ぃ!まだお前はそんな馬鹿な事を言うですかぁ〜もー!蒼星石ぃー!!」
もう泣きすぎてうまく喋れていない。
真紅「あなた・・・水銀燈に何を吹き込まれたの・・・?」
蒼「これは僕の独断だ。真紅。」
蒼は鏡の中へ入っていった。
翠「蒼星石ぃー!待ちやがれですーっ!!」
翠星石も鏡の中へ飛び込んだ。
紅「翠星石!待ちなさい!」真紅は翠星石を追った。
J「おい待て!これはきっと水銀燈の罠だ!」
雛「あー真紅ー!待ってー!」
雛苺も後に続いた。
J「クソ!」ジュンも続く。
そこは蒼星石のnのフィールドに繋がっていた。
翠「蒼星石!何処に居るですー!蒼星石ぃー!」
もうずっと翠星石は泣いている。
・・・・
突然蒼星石は前に現れた。
蒼「ようこそ。僕のnのフィールドへ。さあ、始めよう。アリスゲームを。真紅、翠星石・・・勝負だ。」
翠「まだそんな事ほざいてるですか!いい加減目覚ませです!」
翠星石は蒼星石の下へ駆け寄り、抱きついた。
翠「もう離さないです!絶対に離さないですー!もうジュンの所に帰るです!お前が何をどう言おうが関係ないです!帰るです!帰るといったら帰るですー!」
ジャキン!
蒼星石はハサミをふりかざした。
紅「!!!翠星石!逃げなさい!」
ごめん・・・
蒼星石はためらう事なく振り下ろした。
ザク!!
ハサミは無情にも翠星石を貫通した。
紅・雛・J「翠星石!!!」
翠「・・・・」
翠星石は何が起きたか理解できない。
しかし直ぐに気づく。
翠「あ・・・きゃぁーーーー!」
翠星石は絶叫した。
蒼星石はハサミを翠星石の体から抜き、再度突き刺した。
紅・雛・J「翠星石!!!」
翠「えはぁ!!!・・・そ、そんなぁ・・・そ・・・うせい・・・せ・・・・きぃ・・・」
J「お前ー!」ジュンは蒼星石に飛び掛った。
紅「やめなさい!ジュン!」
が、触れることも出来ずに吹き飛ばされた。
直ぐに翠星石からローザミスティカが表れた。
蒼「これが・・・ローザミスティカ・・・」
蒼星石はそれを掴み、自分の胸に近づける。するとまるで熱湯に薄い氷を入れた時のようにスッと体内に溶けていった。
直ぐに力が沸いてくるのが分かる。それと同時に翠星石の記憶も入り込んできた。
蒼星石の目は虚ろだ。
蒼「翠星石・・・」
翠星石が訴えてくる。馬鹿な真似はやめろと。
彼女の説得に挫けそうになる。。
だが、もう負けない・・・!
蒼星石は翠星石のローザミスティカの中に潜在する翠星石の魂を打ち消した。
自分の弱い心も一緒に封じ込めた。
これでもう邪魔されない・・・
紅「あなた・・・何故?何故なの?翠星石は戦おうとしなかった。ずっとあなたの事を心配していたのよ・・・
なのに・・・どうして・・・あなたは―」真紅も泣きそうだ。
蒼「うるさい!するさいうるさいうるさい!戦う気があるのか、無いのかハッキリしろ!それ以外なにも聞きたくない!」
蒼「戦う気が無いというなら僕は君のローザミスティカを奪うのみだ!」
J「お前ぇ・・・!」ジュンは叫んだ。「いい加減に―」ジュンは再度とびかかろうとした。
紅「ジュン!」真紅は叫んだ。
紅「下がってなさい。」
J「でも!・・・」
紅「ジュン!分かってるわね。」
J「クッ!・・・」
紅「いい子ね・・・」
真紅は蒼星石の方へ歩き出した。
紅「しかたがないわ。そこまで言うのなら・・・戦いましょう。」
蒼「ふふ、そうだ。それでいいんだ。真紅ぅ・・・」
蒼星石は薄ら笑いを浮かべた。
銀スレに書かれてた時から続きが気になって仕方なかったんだよそれ。
GJ
その瞬間、蒼星石はハサミで切りかかってきた。
真紅はステッキで対抗する。
紅「っくっ!」昔とは比較にならないほど力が強い。これがローザミスティカの力なのか。
必死に対抗する真紅に対して蒼星石は無言無表情だ。
真紅はなんとか蒼星石を跳ね返すことが出来た。
すぐに真紅は右手を斜めに振り上げた。
すると辺りに大量の花びらが舞い上がった。
その美しい花びらは瞬時に針のような物に形を変え、蒼星石めがけて飛んだ。
蒼星石は顔色一つ変えず、冷静に如雨露を出すとそれを乱暴に振り上げた。
辺りに水が飛び散る。すると巨大な植物が眼前に現れ真紅のそれを防いだ。
紅「やるわね・・・」
と言った直後、その巨大な植物が吹き飛び、間から蒼星石が現れ切りかかってきた。
真紅がそれに気づいた頃にはもう遅かった。無理だ。これは防げない。
J・雛「真紅ー!!」
蒼「これで・・・終わり」
ダメだ。真紅は目をつむった。
ドス!
鈍い音が響く。しかし何も感じない。もう地獄についたのか。
・・・
何かおかしい。目を開けてみる。
するとすぐに蒼星石の姿が見えた。様子がおかしい。
よく見ると蒼星石の体につたがまとわりついている。
蒼「くっ・・・」
蒼星石の後ろに誰かいる。
蒼「君は・・・っ」
ドス!
蒼星石の額から植物のツタが飛び出した。
紅J「蒼星石!」
その直後・・・
ドス!
紅「きゃあ!」
蒼星石にまとわりついていた細いツタが真紅の左肩を貫通した。
J「真紅!!!」
紅「あなたは・・・第7ドール・・・雪華・・・碕晶・・・」
雪「ふふふ・・・馬鹿ねぇ〜敵は蒼星石だけじゃないことをお忘れかしらぁ〜?」
雪華碕晶は剣を出した。
明らかに真紅には見覚えがある剣だ。
紅「それはっ!」
雪「ふふふふっあなたのだぁーいすきな「ゴミ」の剣よぉ。屑でも道具だけはいい物使ってたみたいね〜」
真紅は絶句した。
紅「そ・・・っそん・・・なっ・・・!」
雛「きゃあ!」
J「雛苺!!!」
雪「ほぉーらぁ♪これ、なーんだ」
雛「真紅ー!」
紅「雛苺!!」
雪「ふふ♪」雪華碕晶はニッコリと不気味に笑った。
紅「お願い・・・やめて・・・雛苺は関」
メリメリグシャ!グシャ・・・
雪華碕晶は真紅が言い終わる前に何のためらいも無く雛苺を粉々にした。
まるでオモチャを潰すように。
感情のかけらも無い、冷血そのものだ。
J「お前ー!!」
紅「ジュン!だめ!」
J「真紅!でもこんなの見てられるか!!」
ジュンは雪華碕晶に向かって走り出した。
すると、床が裂けた。
J「うわっ」
ジュンは裂けた空間に落ちてしまった。
真紅「ジュン!雪華碕晶!ジュンは人間よ!彼は本当に関係無いわ!」
ラ「安心しなさい、真紅ぅ。」
紅「!?」
ラプラスが眼前に現れた。
ラ「覚えてるかい?真紅。ローゼンメイデンは・・・人間を・・・苦しめたり・・・傷つけたりする存在では無いと・・・言ったのを」
紅「!?」
雪「お父様ぁ」
紅「そ・・・」
ラ「久しぶり。真紅」
ラプラスはみるみる変化していく。そしてローゼンへと姿を変えた。
紅「そっ・・・そんな・・・っ!!」
もう疲れました。続きは明日以降で・・・
改めて見ると話を先走りすぎたorzなんか、
>>316・
>>317の話が分かりにくいですね・・・
書き直したい位ですw
乙
ちなみにきらきしょうは雪華綺晶と書き、性格は…よく分からんw
ようやくこのSSが投下されたか
怖いもの見たさで楽しみに待ってたんだ
>>320 静かな狂気、見たいな性格してたよな
雛苺を笑いながら食ったりさ
すまん、やっぱ
>>316・
>>317書き直すよ・・・こういうことをすると
面白くなくなるってことは分かってるんだけど・・・まじスマソorz
今からはしっかり下書きするよ^^;
>>323 気にするな。
誰にだって失敗はあるんだ。
大事なのは同じ失敗を繰り返さない事だ。
気長に待っちょるよ。
>>315の続きです・・・
鈍い音が響く。しかし何も感じない。もう地獄についたのか。
・・・
何かおかしい。目を開けてみる。
するとすぐに蒼星石の姿が見えた。やはり様子がおかしい。
よく見ると蒼星石の体につたがまとわりついているのがわかった。
蒼「っくっ・・・」
蒼星石は身動きが取れないようだった。
さらに蒼星石の後ろに誰かいる。だが、暗くてよく見えない。
真紅は何が起きているのか理解できないでいた。
「ふふふっ」
蒼「き、君は・・・っ」
「久しぶり♪蒼星石。でもぉ残念だけどー、もうお別れね。」聞きなれない声だ。
ブス!
蒼星石の額から植物のツタが飛び出した。
紅「きゃあ!」
一瞬何がおきたかわからなかった。
しかしすぐに、蒼星石の額をツタが貫通したことが分かった。
紅J「蒼星石!」
紅「誰!?誰なの!?姿を現しなさい」
「あらぁ〜見えない〜?ちょっと待っててね」
蒼星石の首にツタが纏わり付いた。
グキッ・・・
蒼「ぐはぁ・・・」
紅「!?」
蒼星石の頭はお辞儀するように圧し折れた。
蒼星石の体はピクピクと痙攣している。
まだわずかに息があるようだ。
紅「なんということをっ・・・」
雪「大丈夫よぉ死なないようにわざと急所を外してあるからぁ」
惨い・・・惨すぎる・・・。
すると暗闇から一体のドールが現れた。
紅「!!!・・・あ、あなたはっ・・・第7ドール・・・雪華碕晶」
その直後
ドス!
紅「きゃあ!」
蒼星石にまとわりついていた細いツタが真紅の両肩を貫通した。
そしてそのツタはみるみる伸びて、真紅の体にまとわり付き、自由を奪った。
J「真紅!!!」
紅「っく!」
雪「ふふふ・・・馬鹿ねぇ〜敵は蒼星石だけじゃないことをお忘れかしらぁ〜?」
真紅は雪華綺晶を睨み付けた。
雪「あらぁそんな怖い顔しないでよ。やっと会えたのだから。」
真紅はツタから逃れようとするが思うように腕に力が入らない。
雪華綺晶は真紅のアゴを掴んだ。
そして雪華綺晶はグッと真紅に顔を近づけ、ムクっと目を見開いた。
雪「実は私、真紅お姉様にずっと会いたかったのぉ。何故だかわかる〜?あ、そうだぁ♪そのまえにいいもの見せてあげる〜」
雪華綺晶は剣を出した。
明らかに真紅には見覚えがある剣だ。
紅「それはっ!」
雪「ふふふふっ嬉しそうね。そうよ。あなたのだぁーいすきな「ゴミ」の剣よぉ。屑でも道具だけはいい物使ってたみたいね〜」
紅「そ・・・っそん・・・なっ・・・!」
真紅は絶句した。
雪「ふふふ、あなたのそういう顔見てるとなんだか興奮するぅ」
雪華綺晶は微笑み、真紅の頬から唇にかけてそっと撫でた。そして指で唇に触れたあと
その手を舌でそっと舐めた。
雪「さぁて、やっとあなたに会えたの。私、ずぅっと真紅お姉さまと遊びたかったのぉ。ふふ、
何して遊ぶぅ〜?そうだ!人形遊びはいかがぁ〜♪」
雪華綺晶はツタを伸ばした。
何をする気なのか・・・
ツタの伸びていく方を見る・・・
雛苺!!!
紅「逃げなさい!!!雛苺!!!」
雛「へ!?」
雛苺はすぐに気づき、逃げ出そうとした。
雪「だぁーめよ。いまから真紅お姉さまと遊ぶの」
雪華綺晶は走り出した雛苺の首につたを巻きつけた。
雛「きゃあ!」
J「雛苺!!!」
以下、ちょっとグロ注(汗
雪華綺晶は雛苺を持ち上げこちらにもってきた。
雪「ほぉーらぁ♪」
雛「真紅ー!」
紅「雛苺!!」
雪「ふふ♪」雪華綺晶はニッコリと不気味に笑った。
紅「お願い・・・やめて・・・雛苺は関系ないわ!」
雪「関係?何の話かしら?いまからお人形さん遊びするのよぉ」
雪華綺晶は雛苺の手首を強引に掴んだ。
雛「きゃあ!」
雪「ほーらぁ♪」雪華綺晶は雛苺の腕を上下にうごかしはじめた。
雛「真紅ー!」
紅「やめなさい!雪華綺晶!」
雪「・・・」
雪華綺晶は動きを止めた。
バキッ!
雪華綺晶は何のためらいも無く雛苺の腕を引きちぎった。
まるでオモチャを壊すように。
感情のかけらも無い、冷血そのものだ。
紅J「雛苺!! 」
雛「きゃぁーーーー!!!」
雪「なんだかつまんなーい」そう言いながら・・・
ブチン、ブチン、ブチン・・・
右手、左手、右足、左足、雪華綺晶は笑みを浮かべながら順々に引きちぎっていく。まるで花びらをちぎるように。
雛苺は絶叫した。
紅「やめてぇーーー!!!」真紅は叫んだ。
雪「これが、最後ー♪」
ブツン・・・
雪華綺晶は微笑みながら頭をもぎ取った。
すると雪華綺晶の口が大きく裂けた。そこから体の中が見える程だ。そこに雛苺の頭を入れると大きくむしゃむしゃと噛み砕き始めた。
雪「んー?全然おいしくなぁーい」そういうとドバァっと口の中身を外に吐き出した。
もう何がなんだかわからないほどグチャグチャになっていた。
紅「・・・」真紅は言葉も出なかった。
J「・・・・・・お前ー!!」
紅「ジュン!」
真紅は体力的・精神的に力を振り絞って言った。
J「真紅!でもこんな酷いこと見てられるか!!」
ジュンは雪華綺晶に向かって走り出した。
すると、床が裂けた。
J「うわっ」
ジュンは裂けた空間にすべり落ちた。
真紅「ジュン!雪華綺晶!ジュンは人間よ!彼は本当に関係無いわ!」
ラ「安心しなさい、真紅ぅ。」
紅「!?」
この独特の、抑揚のある言い方だ。
ラプラスが雪華綺晶の後方の闇から現れた。
ラ「覚えてるかい?真紅。ローゼンメイデンは・・・人間を・・・苦しめたり・・・傷つけたりする存在では無いと・・・言ったのを」
一語一語かみしめるように言う。
紅「!?」
雪「お父様ぁ」
紅「そ・・・」
ラ「久しぶり。真紅」
ラプラスはみるみる変化していく。そしてローゼンへと姿を変えた。
紅「そっ・・・そんな・・・っ!!」
信じられなかった。頭が真っ白になった。しかし、さっきまでウサギだった男の姿は、今はまぎれもなくローゼン、
自分の中に記憶として僅かに残るお父様の姿そのものだった。
雪「ふふふ、驚いたぁ〜♪真紅ぅ」
真紅の頭は混乱した。しかし、しだいに一つの疑問が生まれた。
そう、私たちの全て、アリスゲームについてだ。何故、私たちは互いに壊しあわなければならないのか。
何故姉妹達がこんな酷い目に会わなくてはいけないのか。驚き、混乱するなか、あたまのなかはそれでいっぱいになった。
それほどこの疑問は真紅にとって強いものだったのだ。
紅「お父様・・・」
ロ「なんだ」
紅「私たちは・・・何故、何故壊し合わなければならないのでしょうか。アリスになること、それは
私たちの全てであり、お父様の望みでもあります。しかし、そのアリスになるための方法が
何故「戦い」なのでしょうか。なぜ姉妹で傷つけあわなければならないのでしょうか」
どんどん言葉が出てくる。何百年も前から考え続けていた疑問・・・その答えが今分かるかもしれない。
無意識で言葉が口から溢れ出る。
ローゼンは静かに言い出した。
ロ「真紅。私は、ドールはアリスを目指して作ったと言った。第1ドール水銀燈、第2ドール金糸雀、
第3ドール翠星石、第4ドール蒼星石、第5ドール真紅、第6ドール雛苺・・・
多少固体ごとの違いや能力の差はあれ、全て私の傑作だった。優劣など自ら付けるつもりも無かった。
しかし、時が経つにつれ、不満が生まれ始めた。何かが足りないと。その時はそれが何なのか私には分からなかった。ただ、
漠然とした不足が君たちローゼンメイデン第1ドールから第6ドールにはあった。
私はこのまま満足することが出来なくなった。何かが足りない。そうして我慢ならなくなった私は
部屋にこもり、何が足りないのか、どうやったら完全に自分の欲求を満たしてくれる完全なドールが出来るのか、
研究を重ねつつ、第7ドールの製作に取り掛かった。
そして完成したのだ。私の全てを満たしてくれる完璧なドールが。これこそ私の技術・経験・全てを注ぎ込んだ最高傑作だった。
そして私はこの第7ドール雪華綺晶がどれほどの力を持ち、どれほど素晴らしい人形なのか、
自分で知りたくなった。自分で作ったものだがまだこの子の能力は未知数だったのだ。」
ローゼンは雪華碕晶の頭を撫でた。
真紅の頭には疑問が溢れてきた。
紅「そんな・・・でもおとうさ―」
ロ「しかし」
ローゼンは続ける。
ロ「しかしお前達も決して失敗作というわけではない。同じ様に全力で作ったドールだ。私はそれなりに自信がある。
だが私にはアリス、雪華綺晶一体がいればそれで満足だった。
そして思いついたのだ。雪華綺晶の能力を試すと同時に、お前達、過去の駄作も始末してしまおうとおもっ―」
それを聞いた瞬間、気が飛びそうになった。言葉も出ない。死刑宣告を受けたような気分だった。いやそれ以上だ。
馬鹿な。そんな馬鹿な。そんなことがあっていいのか。そんな・・・
私たちローゼンメイデンはひたすらお父様に会うため、ただそれだけのために生き、そして争ってきた。
それが私たちの唯一の存在意義だった。私たちの全てだった。ただ、お父様の「アリスを誕生させよ」という命令に従うため・・・
ただそれだけのために、私たちは目覚め、戦い、悩み、そしてこうして何百年もそれを繰り返してきた。
それが、ただ「雪華綺晶の能力を確かめるため」だと!?そんな馬鹿な。私たちは、たかがそんな目的のため・・・そんなくだらない事のためにっ・・・
じゃあ水銀燈・・・翠星石・・・蒼星石・・・雛苺・・・彼女達の死は全く無意味の犬死にだったの?
そんな・・・酷すぎる。そんなの酷すぎる。そんな・・・そんな―
真紅は絶望した。
雪「ふふふ、やっと本当の事を知ったのね。本当に愚かね。誇り高きローゼンメイデンですって?馬鹿じゃないの
さぁて、蒼星石も死んだも同然、あなたもそろそろ死ぬ頃合ね。お父様、もう始末してもよろしいですか?」
ローゼンは一度コクリとうなづいた。
雪「ふふふふ・・・」
雪華綺晶の手から大量のツタがにょきにょきと伸びてきた。そして勢いよく真紅と蒼星石につきささった。
ドスッ!
もはや悲鳴も出ない。
しかし、
紅「ふふふはっ」
真紅が笑いだした。
紅「ふはははははっ」
雪「ふふ、あなたも気が狂ったの?水銀燈みたいに。別にこういうの見るの嫌いじゃなぁいけど。でももう、死んでね」
ドス!
雪華綺晶はとどめをさした。するとすぐに蒼星石と真紅からローザミスティカが表れた。
雪「ふふふっ」
雪華綺晶は手を伸ばした。もう目は二つのローザミスティカに釘付けだ。
・・・・その・・・直後・・・
雪華綺晶は吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
雪「何!?誰なの!?」
雪華綺晶の目線の先にはバイオリンを持った小さな黄色のドールがいる。それはさっき手に入れようとしたローザミスティカを
取ろうとしていた。
雪「やめなさい!!!」
ロ「ふっ」ローゼンは小さく鼻で笑う。
雪「やめてぇー!」
雪華綺晶は叫び、直ぐに凄まじいスピードでそれを取り返しに向かった。
しかし僅かに遅かった。
ローザミスティカはその黄色のドールに吸い込まれていった。
その直後、雪華綺晶に凄まじい衝撃が加わり、さらに吹き飛ばされた。
雪「きゃあぁぁぁぁ!!!!!」
疲れた〜続きは明日以降で
>>332 GJ
真紅が笑ったのは狂ったとかじゃなく、
ローゼンからの決別の布石だと思った俺がいる。
ローザミスティカは二つじやなくて三つじゃないのか?w蒼星石のと蒼星石が奪った翠星石のと、真紅のとwまぁそんなことどうでもいいか
雪華綺晶の性格を一言で表すと「ロマンチスト電波」
ワロタ
では、続き、書きますね〜
拝読しました。
雪華綺晶の折角組み立てていた蔓攻撃を金が一挙に総崩しにする‥といった展開を強く望みます
いえいえ、ハッピーエンドにするつもりですよwwwwwww
とは言ってみたものの・・・ドール達はもういっぱい死んでしまいましたね・・・
どうしましょうか・・・まあ待っててください。^^;どうにかするんで^^;
金がかませになってしまう悪寒がした自分は逝ってよしですか?
雪華綺晶は壁に叩きつけられた。
壁が割れ、表面がボロボロと崩れ落ちるほどの衝撃だ。
雪華綺晶は起き上がろうとするが上手くいかない。がくりと膝をおって倒れこんだ。
だがまた直ぐに起き上がろうとする。体をミシミシと言わせながらむくむくと姿勢を立て直していった。
首の角度がおかしい。
雪華綺晶は首をパキンと言わせ、元に戻した。普通の人間が見ればそれはまるでゾンビのような動きだ。
そして金糸雀の方へと歩み寄っていく。
雪「よこどりぃ?ひどぉい」
雪華綺晶は目を見開いて言う。
金「薔薇水晶・・・」
金糸雀は雪華綺晶と薔薇水晶とを勘違いしていた。
しかし彼女にとってそんな事問題ではなかった。
今目の前に、大好きな唯一のお姉さまを殺したドールがいる。その事しか頭に無かった。
雪「返して・・・私のローザミスティカ・・・返して・・・」
雪華綺晶はこっちに向かってくる。
金「・・・」
金は雪華碕晶を睨みつけた。
雪「返しなさい!!!」
雪華綺晶は絶叫した。
その瞬間、彼女の背中から真っ黒で巨大な羽が伸び、それは巨大な龍へと形を変え、金糸雀に襲い掛かった。
金糸雀はバイオリンを鋏に持ち替え、飛び上がった。そして龍の攻撃をかわし、首を叩ききった。
雪「っく!」
その勢いのまま今度は鋏から如雨露に持ち替え水を撒き散らした。一瞬にして植物が伸び、
それは雪華綺晶に絡み付き、自由を奪った。
雪「きゃあ!っく」
雪華綺晶はもがく。金糸雀はさらに鋏に持ち替え、至近距離からそのまま植物ごと雪華綺晶をたたき切ろうとした。
雪「ふふっ」一瞬、雪華綺晶は不気味に笑った。
!!!!
雪華綺晶の手から伸びた針のように細く硬い蔓は金糸雀の両目を突き刺した。
雪「ばぁーかぁ」
グサァッ!!
・・・・
雪華綺晶の腹は引き裂かれた。
ドサッ!金糸雀はそのまま力尽きたかのように地面に落下した。
雪華綺晶は恐る恐る腹部を見る。完全にえぐれていた。
雪「そ、そんな・・・」
雪華碕晶の体はミシミシ言って二つに分かれ、上半分が、植物がまとわり付いたまま落下、そして壊れた。
すると雪華綺晶の体から二つのローザミスティカが表れた。
・・・・
金糸雀は動かない・・・
・・・・闇からローゼンが表れた。
そして彼は雪華綺晶から出たローザミスティカを取ると金糸雀の方へと向かって行った。
ローゼンは足でコツンと金糸雀の頭を小突いた。しかし彼女は動かない。全く微動だにしなかった。
ロ「ふん・・・」ローゼンはそう言うと金糸雀の頭を足で叩き潰した。
すると彼女の体から三つのローザミスティカが表れた。
ローゼンはそれを握ると、静かに歩いていった。
ローゼンメイデン・・・彼女達にとってローゼンとは「全て」であった。
天才人形師ローゼン・・・彼にとって、ローゼンメイデンとはただの「作品の一部」でしかなかった。
コッ・・・・・コッ・・・・・
コッ・・・・・コッ・・・・・
コツ・・・コツ・・・
向こうから誰かが歩いてきた・・・
コツ、コツ・・・
ゆっくりと、ゆっくりと・・・歩き方はローゼンと、うり二つだ。
コツ、コツ・・・
「彼」の手には見覚えのある人形が二体、抱えられている。
コツ・・・コツ・・・
コツッ・・・「彼」は金糸雀の前に立ち止まった。そしてガクリと膝をついた。
目には涙が浮かんでいた。
すると、ゆっくりと、優しく頭の無い金糸雀を抱きかかえた。
「可哀想に・・・」ただ「彼」はそう言った。
さらに「彼」は他のドール達も回収してまわった。
そしてnのフィールドを後にした。
割り込んじゃったらごめんなさい。寝る前に初めて書いてみたのを貼ってみます。
―――――――
「よし、これは買いだな…」
ぼくは桜田ジュン。この薄暗い部屋で引きこもって、ネットの通販を趣味にしている。
学校には行ってない。学校は楽しいと姉ちゃんはいっていた。
でも、僕は周りのみんなみたいに楽しめるような人生は送れそうに無い。
僕の『裁縫』という趣味をバカにされてから、僕は今までの人生や世界全てに劣等感を感じていた。
気にすることは無い、僕は僕のやりたいようにすればいい。
姉ちゃんは父さんや母さんの代わりに、そう言ってくれた。
だから、外に出てみよう…とも。
僕は頭では理解しているけど、同時に何で姉の言いなりにならなきゃいけないんだ、と思った。
それでもキツい言葉で反論した後に姉ちゃんが泣きそうな声だったときは誰が悪いかハッキリとわかった。
僕はいつか変われるんだろうか。僕はどうすればいいんだろうか…
なんてことを考えていたら…もう朝の4時だ。
「そろそろ寝るか」
ひきこもるようになってから独り言が増えた。こうでもしないと口が回らなくなる。
ベッドの上に散らかした通販のチラシを取り払って体を横にすると、一枚のチラシが落ちてきた。
細かい文字が幾つか書いてあって、最後に『まきますか、まきませんか』の二択になっている。
とりあえずメガネを外して、手近にあったシャーペンで『まきます』に円をつけて目を閉じた。
――これが、自分の人生を変える選択だった。
・・・何故か体が痺れる。何故だかわからない。
私は一体何処にいるのか。何も分からない。
しばらく暗闇の空間で彼女は放心していた。
なんだか心地よい。。。
何もしないでこうしている事は、疲れきった真紅にとってとても気持ちよかった。
と、その時真紅は、ふと思い出した。ドールたちが死んだ事・お父様に裏切られたこと・・・
しかしどうでもよい・・・私はもう死んだのだ。もうそんなことどうでもよい。
真紅は考える事を止めた。
しばらくして・・・
真紅は何かを感じた。何かわからない。しかし何故か非常に懐かしい感じがした。
何だ・・・この感覚・・・
急に頭に生気が吹き込まれ、夢の中から起こされた感じがした。
しだいに両手・両足・頭・・・感覚が戻っていく。
体に何か大きな力のようなものが与えられ、それが全身に行き渡り、体の各部か活動を始めたことがわかる。
もうまぶたを開けることが可能かもしれない。
しかし真紅は怖かった。一体なにがおきたのか全く分からなかったからだ。
でももうどうでも良いではないか。既に自分は死んだのだから。地獄に着いたのだろう。ふっきれた真紅は目を開けた。
まぶしい・・・
光が真紅の目を強く刺激した。
しだいに目がなれてゆく。
眼前に一人の人間がいる。
よく見えない。
真紅はまばたきを繰り返した。しだいにピントが合ってきた。
そこには見覚えのある男が居た。金髪で、非常に背の高い男だ。
その男は言った。
347 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 02:16:31 ID:LcmNxVwf
部屋のどこかで、何かが落ちる音が聞こえる。それからゴソゴソと動き回る音だ。
「(…珍しいな)」
姉ちゃんは朝が早い。朝練か日直か…僕に気を使ってるのか、いつもはなるべく静かに出て行く。
こんなに無遠慮な音は立てない。変に気になって眠れなくなってしまった。
ガッ
何かが足に当たる。ぬるぽした覚えは無い。というか小指をぶつけて猛烈に痛い。
「ッてェ〜……何だっけこれ」
足元には豪華なつくりの鞄が転がっていた。薔薇の装飾金具の繊細さと見事さは僕でもわかった。
通販で頼んだ品のうち一つだっただろうか?と記憶を探るが、寝起きの頭では思い出せない。
とにかく今すべきだと思ったのは中身の確認だ。もし壊れてたりしようものなら面倒なことになる。
手探りで鞄を開ける。中には、とても美しいドレスと、おまけに人形だ。
時計を見る。もうすぐ朝の7時。まだ2〜3時間しか寝て無いことを理解して、うんざりした。
ドレスの作りを調べる前にトイレに行き、お茶を飲んでいると姉がビックリして降りてきた。
制服姿なのを見ると、なぜか湧き上がってくる羨ましさと惨めさで直視できない。
「あ…お、おはよう…」
気まずいのはお互い様のようだ。朝食はいるかと聞かれたので、パンを焼いてもらった。
ほとんど会話は無い。テレビから流れるニュースと家具の音だけが家の中に響く。
「…それじゃ、お姉ちゃんいってくるね」
一瞥して、ん、と単音で返事をした。姉が背を向けるのを確認してから、その姿を目で追う。
こっちを振り返ることは無い。こっちが声をかけることも無い。そこには一枚の薄い膜がある。
適当にテレビ欄で通販の時間をチェックしたあと、眠気が戻ってこないうちに部屋に戻る。
人形の良し悪しはわからないが、ドレスの作りには関心するものがあった。
まるで動くことを考慮してあるかのように仕立て上げられた人を、素直に尊敬することが出来た。
これほど立派な完全オーダーメイドのドレスを目の当たりにする機会は、そう無いだろう。
「…これ、返すの惜しいな。でも高いんだろうし」
ついでに人形の方も見ると、どうもネジを巻くとからくりが動くらしい。
その穴も見つけたので何度か巻いてそっと置いてみる。
するとどうだろう、目がひらき、立ち上がり、ビンタしてきた。
目の前が真っ白になり、理不尽さと馬鹿馬鹿しさだけが残る…どうも僕は、この現実と戦えそうにない。
助けてドラ●もん。
「これは悪い夢なのか…」
「何をぶつくさいっているの。要するにあなたは私の下僕になればいいのだわ」
「なんでだよ!」
「あなた、円をつけたじゃない…ほら、御覧なさい。見苦しい真似はやめることね」
「く…立場がどんどん悪くなってく…」
…とんだ失敗だった。過去に戻れるなら自分を殴って止めたいところだ。
――
ここまでです。案の定割り込んでたー…ageてるし…すいません。失礼します…
おっと、
>>347さんが投下を始めましたね。
では私は一旦、投下を中断しますね。
いえ、もう終わりました。
>>349さん続きどうぞー。すごいクオリティですね
なんか似たのを見たことあるな
すげー続きが気になるよ。
真紅を助けたのは一体何者なんだ!?
そして真紅のリベンジはなるのか!?
雪華綺晶キャラ違いすぎだろww
>>354 事前にそういうのは了承キボンって書いてなかった?
>>352 ◆xLJAc4vOZMさんのほう
いや、話の結末が、なんだけどね
ここまで来たら先が読める
まとめサイト1スレ目の永遠のアリス参照
でも・・・本来のローザミスティカはローゼンに持ってかれたんだから
復活しても中身は別物になるんじゃないか?
>>357 オーベルの水銀燈を思い出すんだ
ミスティカなんて飾りですよ
原作、アニメの設定や性格を生かしたまま、
完全オリジナルストーリを構築するのはとても難しい。
それだけに腕のある先人達が残した作品には、素晴らしい物が幾つかあった。
その素晴らしい物に加われるかどうかは、きっと残りの頑張り次第だと思う。
スマソ・・・昨日は途中で寝てしまったorz
>>351 >>356 まじっすか!?それは知りませんでした・・・・
まとめサイトですか・・・どうやって見るのでしょう^^;
未だに2ちゃん初心者なので・・・^^;
>>354 漫画読んでないので性格がわからんのです。
多分その事はどっかに書いたはずだとおもいますが・・・
何故か時々人大杉になって書き込み出来ません・・・
なんででしょう?
っ専ブラ
>>362解決しました!
で、続きです。
槐「真紅・・・私だ・・・ローゼンの弟子、槐だ。」
槐・・・確かに聞き覚えのある名だ。誰だったか・・・真紅は思い出せない。
真紅は左右を見た・・・
紅「!??」真紅は驚いた。
右には水銀燈、金糸雀、蒼星石、翠星石が
左には雛苺、雪華綺晶、薔薇水晶がいるではないか。皆、真紅と同じ様に、かわいらしい椅子に座らせられていた。
すると槐は立ち上がった。
槐「すまなかった・・・」
いきなり槐は謝った。心からの謝罪だと言う事は見れば分かる。
槐「君たちに全てを打ち明けようと思う。・・・」槐は話し始めた。
槐「私はローゼンの唯一の弟子だ。そして唯一の実の弟だ。
兄、ローゼンは天才人形師であり、私はその兄を心から尊敬し、どんな時も服従してきた。
彼の言う事はどんな時も正しいと信じてきた。
そして同時に人形師としての技術も教わった。彼は私を一流の人形師に育て上げてくれた。
彼のお陰で今の私があると言っても過言ではない。本当に兄には感謝している。
その兄から教わった私の技術の結晶が、お前だ。薔薇水晶。お前は私の最高傑作だ。
しかしある日―
槐「兄さんどうしたんだい?」
最近落ち着きの無いローゼンに槐は尋ねた。
ロ「・・・足りない。足りないんだ。何が足りないんだ。」
ローゼンはドール達を眺めながら呟いた。
槐「ん?」
するとローゼンは思い立ったように人形の材料を一式持ち、自分の人形部屋に篭った。
槐は何なのかよく分からなかった。気になるが、兄に部屋に入ることは強く止められていたので
詳しい事は聞けなかった。でも人形を作り始めたということはわかる。
彼は製作を始めると数年間、部屋に篭りっきりになる。
さらに決まって不機嫌になる。槐はそっとしておいた。
そして―
十数年の年月が過ぎたある日、突然、ローゼンの部屋のドアが開く音が聞こえた。
槐「兄さん!」槐は急いで兄の人形部屋へと向かった。
するとローゼンは一体の人形を抱えていた。
槐「新しい人形だね?」槐が尋ねた。
ロ「ついに出来た・・・ついに出来たぞ・・・出来たのだ・・・ついに・・・できた・・・できた―」
様子がおかしい。ローゼンはニヤつき、できた、できたとひたすら繰り返した。槐は寒気を覚えた。
ロ「出来たんだ・・・槐!!!」
ローゼンは叫んだ。
ロ「今からローゼンメイデンと貴様の人形を連れて来い。いい物を見せてやろう」
悪い予感がする・・・
槐「何をするので―」
ロ「いいから持って来い!!!」ローゼンは叫んだ。
槐は急いで取りに行った。ローゼンメイデン達は基本的にnのフィールドでドール達だけで暮らしている。
彼女達を一旦眠らせ鞄の中に入れ、そしてそれを持ってローゼンの元へ戻った。
するとローゼンはなにやらその新しいドールに話をしていた。
槐はローゼンにもう一度、何をするのかと尋ねてみた。しかしローゼンは無視した。
ロ「ふふ、ついに完成したのだ。槐、完璧なドールが。」
完璧なドール!?それを聞いた瞬間、槐は興奮した。ついにアリスが出来たのか。槐もローゼンと同じ人形師、師匠が
完璧なドールを作ったと言うのだから、嬉しくないわけがない。
槐「本当か!!一体どん―」
ロ「槐・・・」
ローゼンは槐の話を全く聞いていないようだった。
ロ「今からこのドール達に殺し合いを命じることにした。」
槐「は?」
槐は、聞き違いかと思った。
ロ「その人形をよこせ。今から殺し合いを命じる」
何だって!?
わけがわからなかった。槐はドール達の入ったかばんを後ろに隠すと、すぐに言い返した。
槐「殺し合いだって!?馬鹿な!一体何をかんが―」
ロ「槐!貴様の人形と私の人形をよこすんだ。何度も言わせるな・・・さあ早く」
槐は躊躇った。ここで渡したらこの子達は・・・
ロ「槐!早くよこせ!」
そういうとローゼンは槐を突き飛ばした。
そしてドール達を鞄から起こすと、すぐに表情を変え、優しく言った。
ロ「いいかい、お前達はアリスを目指しなさい・・・アリスとは一遍の穢れも無い、完璧な少女。互いのローザミスティカを
奪い合い、アリスになるのだ。わかったね―」
そう言うとローゼンは直ぐにドール達を眠らせた。そして、野に放った。
後ろで見ているしかなかった槐は耐えられなかった。手足が震えてきた。しかし情けない事に何も出来なかった―
槐「私は止めようと思えば出来たかもしれない。しかし出来なかった。兄には逆らえなかった―」
その後槐は非常に後悔した。あの時、やろうと思えば兄を止められたかもしれない。
後ろから兄の頭を叩き割って殺す事が出来たかもしれない。
しかし、出来なかった。。。そんなこと・・・出来ない・・・
・・・は槐は真紅達を治した。
一度分解してみると、やはり基本的な内部構造は薔薇水晶と全く同じだった。
しかし全てが違った。部品一つ一つの精度・細かい形状がまるで違う。
槐は唖然とした。研究に研究を重ねた結果だろう。ローゼンの人形は美しい。が、中身も外観に全く劣らないほど美しかった。
自分のドールも完璧に作ったつもりだった。しかし
槐はローゼンと自分の技術の差を痛感した。やはり兄は天才だ。
槐はとにかく必死で直した。それが彼女達への唯一自分が出来るせめてもの罪滅ぼしだと信じて。
槐は全てを打ち明けたあと、いきなり真紅達の前で土下座をした。
槐「すまなかった。私が・・・私が止めていれば、君たちがこんな辛い思いをする事も無かっただろう。
すまない。本当に可哀想なことをしてしまった・・・どうか・・・どうか私を許しておくれ・・・」
槐は何度も何度も謝り続けた。
薔薇「お父様!もうおやめください!もういい・・・もういいのです・・・」薔薇水晶は泣きながら言った。
真紅「そうです。あなたは、私たちをこうして生き返らせてくれた・・・私たちはあなたのことを恨んでなどいません。」
しばらく頭を下げて沈黙していた槐だが、顔を上げた。そして言った。
槐「・・・一つお前達に頼みがある・・・聞いてくれるか?―
J「・・・」ジュンはベッドに座っていた。あの時からずっと放心状態だった。
正面には鏡がある。鏡の部屋から持ち込んだのだ。何日もこうして真紅達の帰りを待っていた。
ゲッソリと痩せ、元気を失っていた。
すると、急に鏡が光った。
ジュンは弾かれたように立ち上がった。
紅「真紅・・・!?」
すると鏡から雛苺が出てきた。
雛「ジューン!ジュンジューン!」雛苺はジュンに抱き着いてきた。
J「あはぁ!雛苺!!」
ジュンは笑顔を見せた。
続いて真紅が出てきた。
J「真紅!お前達!無事だったのか!」
紅「ええ。心配かけたわね」真紅は微笑んだ。
J「よかった・・・本当に・・・」ジュンはその場に泣き崩れた。
紅「本当に心配かけたわね。ごめんなさい・・・もうずっと一緒よ」
真紅はジュンの頭を撫でた。
翠「ただいまぁーですぅ!!!おじじー!おばばー!帰ってきてやったですよー!早く出迎えやがれです〜!!」
蒼「翠星石〜そんな言い方・・・」二人は満面の笑みだ。
ダダダダダダ!!!!物凄い勢いで階段を上がってくる音が聞こえる。
すると爺が表れた。驚いて言葉も出ないようだ。はっと気づくと急いで婆を呼ぶ。
爺「おお!ばあさん!ばあさんや!翠星石と蒼星石が帰ってきおったぞ!ばあさん!」
すると直ぐに婆がやってきた。
婆「あら!翠ちゃん!蒼ちゃん!」
爺と婆を見た瞬間。翠星石は涙が溢れてきた。そして走り出した。
翠「おばばぁ〜会いたかったですぅー!」
翠星石は爺と婆に抱き着いた。
蒼星石はそれを見ている。すると婆が優しく言った。
婆「おいで、蒼星石」
蒼「お婆さん・・・」蒼星石は我慢できなくなって同じ様に婆と爺に抱き着いた。
婆「よしよし、よく戻ってきてくれたねぇ」婆と爺は二人の頭を撫でた。
・・・・
その病室は閑散としていた。
しばらく人が出入りした形跡は無い。当たり前だ。あんな事件があったのだから。
水銀燈は病室を眺めた。
後ろには雪華綺晶と薔薇水晶がいる。二人はうしろで黙って水銀燈の様子を見ていた。
銀「さて」水銀燈は言った。そして後ろに振り向くと、
銀「そろそろ新しい人間を探しましょ。」水銀燈は微笑んだ。
雪・薔薇「・・・」
雪華綺晶と薔薇水晶は何も言い出せなかった。
銀「まだそんな事気にしてるの?もういいって言ってるでしょ?私はあなた達にことを許したの。
姉の言う事が聞けないの?」
雪「でも・・・お姉さま・・・」
銀「何度も同じ事言わせないの。さっ行くわよ。」水銀燈は飛び立った。
雪「・・・お姉さま・・・」
雪「はいっ!わかりました!」雪華綺晶は笑った。始めての心からの笑みだった。
薔薇「・・・」しかし、薔薇水晶はまだ気まずそうだ。
雪「ほらぁ!薔薇水晶も!行くわよ!」
雪は薔薇水晶の手を引っ張って水銀燈の後を追った。
金「みっちゃん!」金糸雀は鏡からひょっこりあたまを出した。
み「あぁぁぁ!!!カナーーーー!!!」
金糸雀に気づいたみっちゃんは直ぐにカナの頭を引っ張って鏡から引きずり出した。
金「あ痛たたたたたたぁ!みっちゃんいきなり何するかしらー!」
み「私もよ!あいたかったぁーーーー!」みっちゃんは「いたい」と「あいたい」を聞き間違えた。
そして激しく頬ずりした。煙も出てきた。
金「ああああ熱いかしらぁ〜!!!みっちゃん!!煙が出てるかしら〜!!!!」
・・・槐は言った。
「これからはもうアリスゲームの事は忘れて欲しい。お願いだ。今までそれが全てだった君たちには酷な話だという事は
重々承知だ。数百年の苦労を忘れろと言うのは確かに難しい話だ。しかし、忘れて欲しい。
それともう一つ。それは、
人形師の事を「お父様」と呼ぶのはお止めなさい。
人形はもともと、人形師のものではないんだ。人形師は作るだけ。そこで役目は全て終わる。それ以降に
関わるべきではないんだ。
普通、完成したら君たち人形は主に引き取られる。その主が君たちの本当の親になるんだ。
人形とは本来、主を喜ばせるものだ。持ち主を幸せにして、そこで初めて人形の本当の価値というものは生まれる。
しかし人形自体が幸せでなかったら持ち主を幸せにすることなど出来ない。
だから私は君たちに幸せになって欲しいんだ。
ローゼンは例外として、人形師は普通、何を思って人形を作っていると思う?
それは、主と人形が本当に幸せそうに遊んでくれている様子だ。
我々人形師の最大の願いはそこにある。
だから君たちは仲良く平和に暮らして欲しいんだ。
そして、ミーディアムの人を幸せにしてやってくれ。わかってくれるかい?」
金糸雀は思った。
・・・これからも真紅や雛苺、翠星石や蒼星石達にちょっかいを出しに行こう。
そして水銀燈・雪華綺晶・薔薇水晶にも会いに行こう。
たまには皆を招くのも良い。
それが
多分唯一わたしが出来る
みっちゃんを
幸せにする方法なのだから。
終わりです。・・・かなり疲れました^^;
終わり方は・・・どうかな?うーん微妙かな・・・
本当はもっともっと早くに完結させる予定だったのですが、
話が浮かんだので、ここまで長引きました。
最後まで読んでいただいた方々には本当に感謝です^^
それにしても、あらためて読み直してみると、どんどん後半になるにつれ、疲れが出てきて、話が
雑になっていってる気がしますw
ほんとうはもっと時間が有れば、面白い事できたかなと思いますが、学校が色々忙しく、物理的に無理でしたw
あと、正直、もっと水銀燈を登場させたかったですね。薔薇水晶も。
この二つのドールが自分ではお気に入りなのですwwwwww
ちなみに、これは生まれて初めて書いたお話なのですが、皆さん、読んでいると、文章的にも
内容的に変な部分(話の前後が合ってないとか・・・)がいっぱいあったと思います^^;
それにしても、文章を書くことってこんなに面白い事だとは初めて知りました。
また、機会があれば書きたいと思います。
その時はもっとローゼンメイデンや小説について勉強しますね^^;
>>370 お疲れ様でした
またの投下をお待ちしております
372 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 07:15:42 ID:U/Sej9yC
感動した・・・泣けた・・・
でもめぐだけ救われなかったのはどうかと
茶を濁してしまってスマソ
マジ泣けた…しかも学生かよ…おまえスゲーな
>>370 中学生か高校生かは知らんが、本当に初書きなら大したもんだ。
物書くのが楽しいと感じるなら現国の成績も上がるかもな、また書いてくれ。
後、変に2ch慣れする必要はないぞ?文体がDQNチックになるだけで何のメリットもない。
似たようなSSをどこかで読んだけど、同じ作者さんかな?
それともその人のSSに影響を受けて、更にアナザーストーリーとして展開させたのかな?
なんにせよこれはこれでなかなか良い。
めぐがちょっと酷いのがバランス的に難があるけどGJ!
皆さん、レスどうもです!
そうですね・・・メグはどうにかしたかったですね・・・
一人だけ可哀想すぎますねww
完全に殺さなければ良かったですw
>>376 自分は始めての小説ですよ。
誰かのSSを参考にしたということはありませんが、最初の、銀と薔薇と雪という組み合わせは
某同人誌からパクリました。。。
378 :
376:2007/04/08(日) 23:09:40 ID:iZhUkfKw
あと、槐がローゼンを後ろから殴り殺した(殺そうとした)ところとか。
>>379 うわぁこれはそっくりですね^^;
エンジュが善い者役だったり最後カナリアで締めくくったり・・・
確かにこれはかなりパクッたと思われても仕方ないですね。
ていうか似たようなセリフもありますね(滝汗
カナエンドは好きですよ
その日、真紅が雛苺を部屋に呼びつけて説教をしていた。
「いい? 雛苺。猫はこの世で一番野蛮な生き物、薔薇乙女の天敵よ。だからあんな物に近付いてはダメ。」
「うゆ〜? そんな事無いのよ〜、猫さんとっても優しいのよ〜。」
「いいえ! そんなワケ無いわ! それは貴女を欺く演技なのよ! だからもう猫に近付いてはダメよダメ!」
「そんな事無いもん! 猫さんとっても優しいもん! 真紅の馬鹿ぁ!」
「何ですってぇ!?」
真紅とて別に雛苺に意地悪する為にそんな事を言っていたワケではない。
雛苺が自分と同じ様に猫によって酷い目にあわされない様に・・・と言う彼女なりの配慮があったのだが、
雛苺にその意図が読めるはずも無く、当然のごとく衝突していた。が、そんな二人の姿を
遠くから見つめる一つの影の姿があった。
「うふふふふ・・・良い事聞いちゃったぁ・・・。」
影の正体は水銀燈。やる事が無いので真紅を奇襲しようとしていた彼女だが、その一連の話を
聞いて何か考え付いたようで、奇襲せずに引き返していた。
「真紅ったら猫が苦手なのねぇ? あんな物が怖いなんてとんだジャンクねぇ。」
この事実から水銀燈はある作戦を立てる。まず適当に野良猫を捕まえ、真紅のいる部屋に放す。
そして真紅が猫を怖がって狼狽した隙を突いてローザミスティカを頂くという壮大な作戦だった。
「それじゃあ猫を探すわぁ! でも・・・猫なんて何処にいるのかしらぁ・・・。」
水銀燈は空から街の周囲を見渡すが野良猫など影も形も見かけない。
一昔前は外を平然と野良猫や野良犬が歩き回っていたものだが、今となると話は違い、
全く見かけない。それだけ保健所の皆様が良い仕事をしていると言う事なのだろうが、
それでは水銀燈のせっかく立てた作戦が速攻で台無しになってしまう。
かと言って人が飼ってる猫などを強引に持ち去るワケにもいかないし・・・
「あ! いたわぁ!」
街中探し回った挙句、やっと彼女は野良猫を見付けた。雑草の生い茂る空き地で
のんびり昼寝をしていた大きなデブ猫である。そうして捕獲の為にゆっくりと降り立つ。
「さぁ・・・こっちにいらっしゃぁい。」
水銀燈はデブ猫にゆっくり近付いていくが、デブ猫は野生の勘と言う奴で
目を覚まし、また水銀燈から嫌な気配と言う奴を感じて逃げ出してしまった。
これが雛苺や金糸雀ならデブ猫の方から近寄っていたのだろうが・・・
「こらぁ! 待ちなさぁい!」
水銀燈は翼を広げ、追った。しかしこのデブ猫が外見の割りに意外に素早い。
直線的なスピードであるならば飛行可能な水銀燈の方が上であろうが、小回りは
圧倒的にデブ猫の方が効き、急激な方向転換も平気でやってくる為、なかなか捕まらない。
「何で! 何であんな醜く太った猫を捕まえられないのよぉ!」
水銀燈は焦った。しかし焦れば焦る程捕まらない。そうして猫が正面の曲がり角を曲がり、
彼女もまた曲がろうとした時だった。
「ええ!?」
ここ本当に日本ですか? って本当に思ってしまうくらいの大型トレーラーが
走ってきて水銀燈はもろに衝突されてしまった。
大型トレーラーに跳ね飛ばされた水銀燈が飛んだ先はゴミ捨て場だった。
おまけに今日は生ゴミの日らしく、全身が生ゴミまみれにされてしまった。
「ああ! お父様から頂いたドレスがぁ! 臭い! 嫌ぁぁぁ!」
水銀燈は自分の容姿と身を包むドレスのデザインに絶対の自信を持っていた。
しかしそんな彼女も哀れ生ゴミまみれにされてしまった。
「うわぁぁぁぁん!」
自分のプライドを完膚なきまで破壊された水銀燈は泣いた。子供のように泣いた。
そこに何時ものクールで冷酷な彼女の姿はない。まるで大切な物を失い泣きじゃくる子供の様であった。
そしてそんな彼女の姿を見つめ、猫は鳴いた。
「にゃ〜ん。」
おわり
384 :
383:2007/04/09(月) 09:50:14 ID:4vVOUhoV
最初肥溜めに落ちると言うネタを考えてたけど
あんまりにも可哀想過ぎるのでゴミ捨て場で勘弁しておいた。
でも勘違いして欲しく無いのが、俺は決して銀が嫌いと言うワケでは無い
あくまでこういうストーリーとしてやっただけ。
余談だが、アメリカのトレーラーはマジででかいよ。
日本のトラックなんか比較にならない。
>>384 ゴミ処理車なんか洒落にならんよなwwww
>>385 グモーーーーン
水銀燈「ちょっ!なにっ!?羽が…!」
バキバキベキ バリバリバリッ
水銀燈「ギャアアアァァァァァァッァァァァァァ!!!」
バキバキバキバキ メリッ
水銀燈「………」
>>254以降どこかで既に読んだ覚えがあるとか、
他スレで見た事があるとか、パクりみたいなのが多いな
もしかして
>>15や
>>255のヤツも過去作品のパクりなのかと疑いたくなるよ…
>>380-381 ここまで設定が似過ぎると、そのレスも白々しく思えるな。
で、本当のところどーなのよ?
まだ間に合うぞ?
>>384 やっぱ水銀燈はイイ…(;´Д`)ハァハァ
>>388 ローゼンは世界が他作品に比べて狭すぎるからその位設定被ることもあるんじゃないか?
エンジュがローゼンと全く関係ない人形師なら「実は弟」に結びつけるのは多少遠くなる。
でもエンジュはローゼンの弟子だし容姿も似てる。
手っ取り早く意外性出すには金糸雀や雛苺を活躍させるのがいいし。
まあ冒頭は俺もこれ同人のパクリだろとは思ったけど。
自分は本当に何も参考にした覚えは無いです・・・
ローゼンとエンジュが兄弟という設定は、見た目がソックリだからと
言う理由ですし、
ラプラス=ローゼンという設定は、
トロイメントを見てた時、勝手にそうではないかと思ってた時期があったので・・・
カナリアを多用した理由は、本編では結構必要ないキャラ
だなとおもい、ここではあえていっぱい使ってやりたくなっただけです・・・
あと、水銀燈とカナリアが仲がいいという設定は、
【長女】水銀燈と金糸雀【次女】スレからヒントを得ました・・・
第一、何かを参考にしたら、ちゃんと言いますよ。
別に人のSSを参考にするのは、しっかり明示すれば悪い事では
ないのかなと思ってますし・・・
(それもダメなのかな?)
もし、これを読んで皆さんやそのSS書いた方の気分が害されたなら誤ります。
すみませんでした・・・
>>390 389さんの言うとおり、二次創作の設定なんて案外被るもんなんだ。
むしろローゼンメイデンに限らず、これだけ二次創作が出た状況で設定を被るなというのが無理な話。
貴方も非が無いと言うのならもっと堂々としていいと思うよ。
少なくとも謝る必要は皆無。
次作も書いてくれるかな?
大いに期待。
ガンガレ!
このスレの最初の方を見ればわかるけど、
劇場版ドラゴンボールZのメタルクウラの話を
そのまんまローゼンに置き換えた話をやった奴がいるから
あんまりそこまで落ち込まずにガンガレ
ローゼンはローザミスティカを取った後どうなったのか気になる
>>392 漫画やアニメのパロするのとは違う気がするけどね
セリフ、内容、設定、オチ(締め)が被るとかいくらSSとかでもあんまりないだろ
まっ考え過ぎなのかもしれないけど
395 :
特訓水銀燈:2007/04/10(火) 10:31:38 ID:/3la98Tv
それは真紅との戦いの時の事である。水銀燈が背中の両翼で真紅の動きを封じると言う絶好のチャンス。
「アハハ! 真紅、これでおしまいねぇ。」
身動きの取れなくなった真紅へ向けて水銀燈が右腕を振り上げて飛ぶ。そうして右手で
真紅の胸部を突き破り、ローザミスティカを抉り取ると言う彼女らしい残虐ファイトを披露しようと
したその時だった…
ボキ メキッ
「え・・・。」
何かが折れる様な嫌な音と共に右手の指に激痛が走った。
「い・・・痛ぁぁぁぁぁ!!」
なんと言う事か、水銀燈の右手の指が折れてしまっているではないか。
余りの激痛にのた打ち回り、それに伴って真紅も翼から解き放たれた。
「これが絆と言うのよ!」
案の定真紅に殴られて逆転負けと言う結果に終わってしまった。
何とか折れた指を治す事が出来た水銀燈であるが、あそこでの逆転負けは余りにも痛かった。
そして彼女は冷静に事を分析した結果、ある結論に達した。
「あまりにも背中の翼に頼りすぎていたのねぇ…。だからこの手が退化してしまったのかもぉ…。」
水銀燈が戦闘にせよ移動にせよの最も使うのが背中の翼である。ある時は羽ばたかせて空を飛び
またある時は羽を飛ばして敵を攻撃する。しかし、翼に頼りすぎた結果、腕や脚を使わなくなり
その為に弱くなってしまった手で真紅の胸を抉ろうとした為に指を折ってしまった。
翼を使って抉ると言う手もあるが、そうやれば今度は真紅の動きを封じる事が出来ず
かわされてしまうだろう。そうとなればやる事は一つ。
「こうなったら・・・一から鍛えなおすしか無いわぁ。」
ずばりこれしか無かった。翼に頼りきり、腕や脚を余り使わなくなった今の彼女の
腕力脚力はもしかしたら雛苺にも劣ってしまうかもしれない。(と本人は思ってる)
だからこそ鍛えなおす。そうやって翼に頼らずとも十分勝てるドールになる事こそが
アリスへの道と信じて…
そして水銀燈は近所にあった空手道場へ行き、その練習をこっそり覗き見した。
いかつく大きな男達が白い胴着に身を包み、砂袋や縄でぐるぐる巻きにした板を
正拳で何度も突いていたのだが、こんな事が自分にも出来るのか? とぞっとした。
しかしやらねばならない。最低でもあれが出来なければ強力な拳を持つ真紅に
勝つ事など出来ない。
「痛い!」
こっそり自分でもゴミ捨て場に捨ててあったロープを公園に生えてる木に巻きつけ
真似をしてみたがこれがかなり痛い。道場にいた人達はこんな事をよく
平気で出来るのかと水銀燈は本当に感心するが、ここで逃げるわけにはいかない。
今でも水銀燈の脳裏には真紅の高笑いが聞こえる。これ以上そんな物は聞きたくない。
だからこそ水銀燈は殴っても折れない身体を養わねばならない…
「ああダメダメだ。そんなやり方じゃ。」
「え?」
水銀燈の背後に顔が沢山の傷があり、右目に眼帯をしている剥げ頭の中年男が立っていた。
「(うそ…私が人間なんかに後を取られた?)」
なまじ体格的に大きいとは言えないその中年男だが、水銀燈に気配を悟らせずに
後を取った時点でかなりの実力を予想させた。
「お…おじさん誰よぉ…。」
「俺か…俺の名は…。」
虎殺し、武神と呼ばれる一人の空手家との出会いが水銀燈の後の運命を大きく変える事になるのだが
今の彼女にそのような事を知る由も無かった。
つづかない
396 :
395:2007/04/10(火) 10:32:30 ID:/3la98Tv
先生またやってしまいましたすみませんorz
>>395 GJ!面白いよ。続けてくれ
ローゼン=勇次郎で考えてたら、ツボにはまったw
「世界最強の姉妹喧嘩っ!!」
アリスに会ったら、
「ようやく、俺の餌として現れた」とか言いそう。
続かないなんて…嘘だろ?
オーケー、近代空手は銀が完成させる
ジュンと真紅は一緒に紅茶を飲んでいた。雛苺も翠星石ものりもいない二人きりの静かな一時。
そんな時にジュンが真紅に対しこう言った。
「なあ真紅、この指輪を通して僕の力がお前の媒介になってるとか言ってたけど、それなら
もっと強い人間をマスターにした方がその分お前も強くなれたんじゃないのか? 格闘家とかさ〜。」
「強い人間をマスターにすればドールも強くなれる。そう考えていた時期が私にもあったのだわ。」
数十年前、俗にベトナム戦争と呼ばれる戦争がベトナムの地で行われていた。
そして、その地にあって武器を持たず、徒手空拳だけで完全武装した敵兵士を
次々に撲殺して行く若干16歳の日本人少年傭兵の姿があった。
後に地上最強の生物、オーガなどの異名を与えられる事となる少年は
同じくベトナムの地に降り立った薔薇乙女第五ドール真紅と出会った。
「私はローゼンメイデン第五ドール真紅、お前はこれより真紅の下僕となる。」
真紅お決まりのセリフ。しかしその瞬間、少年は大笑いしたではないか。
「アァァァハッハッハッハッハッハッ!!」
まるで笑いのツボに入ってしまったかのように少年は笑い続ける。
しかし真紅も仕方が無い顔をしていた。そもそも人間にとっての常識では
人形は自分で動いたりしゃべったりしない。だからこそ今までも人間にその存在を恐れられたり、
恐怖のあまり笑われたりなどもあったのだが、目の前の少年は少し違うようだった。
「俺が下僕だと? お前の? 馬鹿馬鹿しい。俺は帰るぜ。」
「あ、待ちなさい!」
笑いながら後に振り返り帰ろうとする少年を真紅が慌てて追い駆けようとした瞬間だった。
恐らく並みの…嫌、相当に動体視力を鍛えた者の目をしても視認する事など不可能な速度で
少年が振り返り、真紅の顔面に裏拳を叩き込んでいた。
「俺を下僕にしようとすると言う事は、俺への挑戦だと言う事。一気に決着付けさせてもらったぜ。」
「でもダメ…ダメなのよ…ジュンじゃないと…ダメなのよ…。」
「真紅!?」
先程までの冷静さが嘘の様に弱々しい泣き顔になった真紅はジュンの胸に飛び込んだ。
「ジュン…ジュン…私は貴方をマスターに選んでよかったわ…。だって…。」
「真紅!? 一体どうしたんだ!? 真紅!?」
「だって…ジュンは私に裏拳なんかしないのだから…。」
「裏拳!?」
真紅はジュンの胸の中で泣き続けた。やはり何事にも相応か否かと言う物がある。
それはマスターを必要とするドールも同様。だからこそマスターとドールのバランスが大切となる。
真紅は一度そのバランスを見誤って死に掛けた。しかしもう二度とそんなミスは犯せない。
と言うかまたそんなミスをしてしまった今度こそ本当に死んでしまう。
そして真紅はジュンと出会い、ジュンとの時を大切にしていく事になる。
だからつづかないんだってば
402 :
401:2007/04/11(水) 00:05:29 ID:g3uJszQ5
先生またまたやってしまいました申し訳ありませぬ。
真紅が過去に酷い目にあった体験の話で考えてたのに
気が付くと「ドールとマスターの相性って大切だな」な話に
なってしまったスマソ
今頃という感じですが、
>>393さんの期待にこたえて、ローゼンのその後、書きますねw
需要無いと思うので、一瞬で終わらせます・・・
これは・・・何かのSSに被ってないはずです・・・これでも被るならもうローゼン小説書きませんwww
とうとう完成したと思った雪華碕晶だが、やはり彼女はアリスには成り得なかった。
数あるローゼンの一連の作品のなかで、「ローゼンメイデン」は
傑作の部類に入った。
しかし、自らの名前を冠したシリーズでさえ、彼の目指す「完璧」には
とどかなかった。
しかし、しかしだ。究極の人形を作るためには欠かせない人工魂、ローザミスティカは
彼の手中に戻ってきた。これさえあればいつでも人形を作り続ける事が出来るのだ。
事実、彼は遥か昔からこれを繰り返してきた。
人形を作り、ローザミスティカを入れる。しかしその人形が自分が求める人形に
成り得ないと分かったらそれを壊し、ローザミスティカを抜き取り、
新しい人形の糧とする。何度も何度も大昔から繰り返してきた。
彼は作り続ける。見えないゴール、「完璧」をめざして。
深き森は迷いの森・・・
彼の言葉だ。皮肉にも、自らが「迷いの森」に迷い込み、出れなくなって
しまった事にはたして彼は気づいているだろうか。
彼は今も時空の何処かでドールを作り続けているだろう。
そして何処かの時代で彼はドール達を放つだろう。
永遠に。「完璧」を手に入れるまで。
何か・・・気持ち悪いかもw
前のSSの続き、蛇足になりそうなかんじですが書いてもいいですか?
書くなら黙って書け
>>405いいよいいよ!どんどん書いちゃって!
>>406の言う通り、いちいちことわる必要は無いよ。
がんがれ!
wktk
あれからもうすぐ20年か。
今頃彼女達はどうしているだろうか。
ふと水銀燈は思った。
この地域は開発が進み、驚異的な発展を続けてた。
銀「汚い。なんて醜い町・・・」
水銀燈はここ最近、滅多に空を飛ぶ事は無くなった。
しかし、ふと今日は例外的に飛びたくなった。
久しぶりに真紅達と戦ったあの町へ行ってみようと思ったのだ。
しかし、人間の力とは恐ろしいもので、
もう既にあの時の面影など微塵も残っていなかった。メグが入院していた病院などもちろん無い。
水銀燈は注意深く町を観察してみた。少しは何かあるかもしれない。
鉄とガラスとコンクリートで出来た樹海の隙間を縫うように、まるで動脈の様に太くて
長い道が地上を這い回っている。
さらにそれは毛細血管のように四方八方に分岐し、その血管を、黒い排泄物を撒き散らしながら
自動車という血液が循環している。
ビルの室外機やガラスの光の反射、コンクリートの焼けるような熱さで外気は蒸しあがっている。吐き気がしそうだ。
そんな中、人間達は汗をふきだしながら、働きアリのようにセッセと歩き回っている。
空から見ると、今飛んでる所から右手に電車というものが止まっている。
無数の細菌のように増殖した人間が次々とそれに乗り込んでいく。
18世紀頃だったか。記憶は定かでないが水銀燈はこれと同じ様な状況に出会ったことがあった。
白い肌をした人間が、何処からか船で黒い肌の人間を大量に連れてきた。
その船の様子が、正に今目の前の電車の様子にそっくりだと思った。
町の「見た目」は変わっても、やはり何も変わっていなかった。
空気も汚い。
一時期「環境問題」とやらをテレビが盛んに宣伝していたのを思い出した。
しかし何も変わっていない。人間はいつも口だけだ。
銀「くだらなぁい」
気づけばどうでもいいことばかり考えていた。そろそろ戻ろう。こんな所飛んでいたら
ストレスがたまってくる。
遠出しすぎたせいで辺りは暗くなり始めていた。
いや、正確には「空が暗くなり始めた」だ。地上は昼間のように明るい。
銀「うっとおしい・・・」
非常に不快な光だ。水銀燈は町の人工的な光が嫌いで仕方なかった。
騒々しい。町は視覚的にも聴覚的にも騒々しかった。明るすぎて星ひとつすら見当たらない。
そういえば、昔は星がよく見えたものだ。
広い広い畑で仰向けになると無数の星が見えた。
数千数億光年も離れてるとは到底思えず、よく空に手をかざし、星を掴もうとしてみたものだ。
星は誰にでも同じ輝きを見せてくれる。そう誰にでもだ。どんな人間・生物・物にも全く同じ、
平等な光を届けてくれた。この忌々しい地球から脱出できたような感覚になり
見ているだけで何もかもを忘れる事が出来た。何もかも・・・
唯一、心が心底休まる時だった。私の居場所だった。
今はその安らぎの時間も人間に奪われた。イライラしてくる。
やはり空を飛ぶとストレスがたまって仕方がない。
銀「ふふっ」
急に笑えてきた。思えば暗い事ばかり考えている。まるで昔の私のようだ。
今は女性のミーディアムと暮らしている。
もちろん、まだ薔薇水晶・雪華碕晶とも一緒だ。
時々、金糸雀が遊びに来ていた。
また、真紅達も極たまにではあるが、遊びに来る。
水銀燈は顔には出さない(出していないつもり)が姉妹達が遊びに来る事が
毎回とても楽しみだった。
もうすぐ家に着く。
今頃薔薇水晶達が私の帰りを待っているだろう。急ごう。
とその時。
町の大きな時計台の、文字盤の5と6の数字の辺りが光った気がした。何だろう。
水銀燈は吸い寄せられるようにそちらへ向かっていった。
時計台は、遠くから見ると大変綺麗だが、近くから見ると薄黒く煤のようなものが付着していて
大変汚かった。
時計台にはやはりだれも居なかった。当たり前だ。こんな時間にこんな所に人間がいるわけない。
水銀燈が帰ろうとして、体の向きを変えた瞬間、あるものが視界に入った。
銀「何・・・?」
よく見ると時計台の点検扉が開いている。
銀「何かしら」
「虫の知らせ」というものを昔、メグから聞いたのを思い出した。
根拠も無いのに、何か悪い事が起こりそうだと感じる事だそうだ。
水銀燈は全くそのようなものには興味が無かったが、何故か今
不気味な予感をその扉から感じた。
中は真っ暗だった。しかし、次第に目が慣れてきた。
意外と中は広い。点検扉なので、計器類やスイッチ類が並ぶ小部屋かと思いきや、
小さな子供部屋ほどのスペースがある。
部屋の壁を棚がずらりと覆っている。長方形の部屋の端に位置する入り口から対角線上に机がある。デスクライトが付いていた。
作業台のようだ。机の上には工具などが散乱していた。
入り口から左を見ると小型冷蔵庫のような四角い装置が二機、据えられていた。
さらに入り口の右手にはカゴがたくさんあり、そこには色々な形をした物が
綺麗に並べられている。何だかよくわからない。
水銀燈はそれを手にとってみた。
銀「え・・・なによ・・・これ・・・」水銀燈は言葉を失った。
それは作りかけの人形の腕だったのである。そして部屋に置いてある装置や工具などは全て
人形作りに必要なものだったのだ。
そうだ。よく見るとここは、昔私を作ったローゼンという男が居た部屋にそっくりなのだ。
銀「そ・・・そん・・・な・・・」
また・・・またあの男が・・・
水銀燈は怖くなった。すると
バン!!
急に扉が閉まった。
銀「誰!?誰なの!?」水銀燈は叫んだ。
しかし部屋には誰も居ない。ただ、デスクライトが辺りを薄暗く照らしていた。
?「こんにちは・・・水銀燈・・・」何処からか声が聞こえる。大変美しい声だ。
いや、よく集中してみると声を「感じる」。耳から聞こえるのではない。
銀「誰なの!?姿を現しなさい!」すこし声がうわずった。
?「ふふ」
いきなり耳元で声が聞こえた。驚いた水銀燈は振り返ろうとするが
体が言う事を聞かない。
銀「っく、何!?誰なの!?」
すると目の前がスーッと明るくなる。
次第に輪郭が見えてきた
何かが出てきた。ドールだ。しかし水銀燈には見覚えが無い。
?「こんにちは」そのドールは言った。
銀「っく、あなた・・・誰なの?名乗りなさい」
ロ「その子はわたしのドールだよ。水銀燈。君には第8ドール、とでも言っておけば十分だろう。」
銀「ロ、ローゼン!!!」
闇からローゼンが姿を現した。
ロ「久しぶり、水銀燈。」
淡「私はFehlerlos Rozen Maiden、第一ドール、淡雪花・・・」【(注)勝手に新キャラ作りました(汗)】
ロ「完璧な薔薇乙女・・・だ。水銀燈」
どうでもいい。水銀燈とって、ローゼンが何をしたとかドールが完璧だとか、もうそんな事どうでも良かった。
今の生活が続いてくれればそれでいいのだ。水銀燈だけでない。それはローゼンメイデン皆の願いでもあった。
銀「で、その完璧なドールさんが私に何か用なの?」
ロ「自ら蒔いた種は・・・自ら刈らねばならない。よく言いったものです。」
銀「・・・な、何が言いたいのよ」
ロ「ふん、率直に言ってやろう。私は君たちドールを処分しに来たのだよ。水銀燈。」
銀「なんですって?」
水銀燈は絶句した。またこの男は私たちをズタズタに引き裂きに来たのか。
ロ「しかしだ。普通に処分しても面白くない。そこでだ。私たちを少し楽しませては
くれないかい?」
水銀燈は意味が分からなかった。
まだまだ戦いは終わらなかった…って奴ですか?
続きキボン
さあ早く続きを書くんだ
銀「はぁ?私にですって?馬鹿じゃないの?私は今の生活が楽し―」
ロ「柿崎メグ」ローゼンは遮るように言った。
ロ「という少女をご存知かな?」
銀「なんですって?」水銀燈は動揺した。
ロ「おっと、失礼。知らないわけがないか。君のミーディ―」
銀「今頃メグが何だって言うの!?彼女はもう・・・死んだ・・・」
ロ「そう、死んだ。彼女はもう死んでしまった。何故だったかな?何故彼女は
死んでしまったのか。」
銀「あれは事故よ!仕方・・・なかった・・・」
ロ「ほう・・・そうか。」
ローゼンは水銀燈の心を抉るように続ける。
ロ「しかしだ、もしも君と柿崎めぐが出会わなかったとしたら・・・」
うるさい・・・黙れ・・・
ロ「今頃どうしていただろうか。もちろん、生前から彼女の命は長くは無かった。
しかし、少なくともあそこで死ぬ事は無かった。」
銀「・・・黙りなさい・・・」
ロ「医療の発展とは目覚しいものだ。彼女の容態は快方に向かっていたと聞く。
もしかすると今も生きていたかもしれない」
銀「うるさい!うるさいわ!確かに私が悪かった!あなたの言うとおり私は彼女を死に追いやった
原因の一つよ!だから何なの!?あなたにそんな事関係ないわ」
ロ「彼女を生き返らせる事が可能だとしたら?」
銀「何ですって?」
ロ「君次第で彼女、柿崎めぐを生き返らせてやろうと言っているのだ。」
銀「そ、そんな事出来るわけ無いじゃない・・・」
ロ「錬金術というものをご存知かな?」
銀「レン キン ジュツ?」
ロ「中世から行われてきた、卑金属から金を生成する実験だ。
しかしそれらは歴史上失敗に終わったとされている。事実、それは物理的に不可能だ。しかし私は錬金術を応用して、
魂を生成する事に成功したのだよ。それがローザミスティカだ。
そして私は人間に使えるほど大きな力を持つローザミスティカの生成に成功したのだよ。」(注一部Wikipediaより)
銀「・・・」
ローゼンは床に何かを見つけた。
ロ「いい物をみせてやろう」
ローゼンは床を指差した。ネズミが一匹いる。
ロ「よーく見てるんだ。」
ローゼンは床に居たネズミを履いている靴で押さえた。徐々に力を加えながら踏んでいく。
ミシミシとネズミの骨が砕ける音が聞こえる。そしてついに骨が重圧に耐え切れなくなり、
はらわたを撒き散らして潰れた。水銀燈は顔を逸らした。
するとローゼンがしゃがみこんだ。
ネズミの死体に手を当てる。
数秒も経たない内に手を離し、シッポを持ち、ネズミを持ち上げた。
さっきの出来事が嘘のようにネズミは元気に暴れている。
水銀燈は驚いて声も出ない。
するとローゼンはその元気なネズミに再度手を当てた。
するとネズミはピクリとも動かなくなった。
ロ「もう一度言ってやろう。水銀燈、私がメグを生き返らせてやろう。」
銀「ホント・・・に?」
本当にこれでメグが生き返るのか。
だったらこれでメグに恩返しが出来るかもしれない。
これで・・・メグに・・・
ロ「ああ、本当だ。しかし交換条件がある。」
銀「・・・なによ・・・」
ロ「君なら簡単な事だ。ローゼンメイデンをジャンクにするんだ。」
銀「な、何ですって!?」
あれ?
今
>>1を読み直したんだがすごいことが書いてあるような・・・・
あれ?
まとめサイト消えてね?
今日ドールズは桜田家のテレビで戦争関係の番組を見ていた。
イラク戦争の現状から20世紀初頭〜現代の戦争に関してを振り返る番組である。
「ま〜ったく人間と言う奴は野蛮で愚かな連中ですぅ。」
「酷い話ね。」
案の定ドールズは人間の愚かさを改めて思い知り、それをネタにジュンを攻めても
可笑しくない空気となっていたのだが、その日のジュンは少し違った。
「お前達が言える立場なのか?」
「え?」
「確かにこの番組の様に人間の歴史は戦争の歴史でもあるけど…だからってお前達だって
アリスゲームとか言って姉妹同士で殺しあっているじゃないか。それも野蛮で愚かな事じゃないのか?」
「それは…。」
ジュンに睨み付けられてドールズも気まずくなった。続けてジュンはテレビを指差す。
「例えアリスゲームに勝っても無傷なんてあり得ないから…結局その結末はあれだぞ。」
「!」
テレビに映し出されていたのは戦争被害者達の映像。
戦争で傷付いた兵士、腕や脚を失い寝たきりの生活を余儀無くされた者達、理不尽な爆撃で
家族を失った物達など、戦争の悲惨さを象徴する様々な映像が映し出されていた。
「こ…怖いの〜…。」
テレビ画面の向こうで繰り広げられる戦争の悲惨さを訴える映像をドールズは
自分に投影した。もし自分もアリスゲームによって腕や脚を失って
寝たきりの生活をしなければならないと思うと…。ドールズは恐怖した。
「ごめんですぅ…。やっぱり姉妹同士で争うなんてやっちゃいけないですぅ…。」
「ジュンの言う通りね。」
そうしてドールズはジュンに謝り、事はそこで終わるかと思われたその時突然水銀燈が現れた。
「貴女達揃いも揃ってお馬鹿さぁん。」
「水銀燈!?」
「人間なんかに言いくるめられてアリスゲームをやらないなんてお父様はお嘆きよぉ。」
己とお父様以外の全てを見下すような目でジュンとドールズを見つめる水銀燈。
「まあいいわぁ。あんた達が腑抜けになればそれだけ私がやりやすくなるし…。」
そう言って笑いながら水銀燈は帰って行った。
ローゼンメイデン7体が集結し、アリスゲームも最終局面を迎えていた。
「アリスになってお父様に会うのは私よぉ!」
水銀燈は鬼神のごとく戦った。そして姉妹のローザミスティカを次々に奪い取り、
ついには自分以外の6体全てのドールのローザミスティカを手に入れた。
しかし…その勝利も決して無傷とは言えなかった。いや…むしろこれは勝利と言えるのか
どうかさえ分からない程水銀燈の受けた被害も甚大な物だった。
真紅の拳で顔を潰され、雪華綺晶に腕を食われ、蒼星石の鋏で脚を切り落され、
金糸雀のバイオリンから放たれる音波攻撃によってドレスは吹き飛び、
翠星石の伸ばした蔓と雛苺の伸ばした苺わだちから脱出する際に翼は?がれ
長い銀髪も全て抜け落ちてしまった。
確かに水銀燈はローザミスティカを全て集めた。しかし、こんな姿で果たしてアリスと言えるのか?
両腕・両脚・翼を失い、整っていた美しい顔は醜く潰れ、美しい漆黒のドレスも
ビリビリに切り裂かれ、美しく流れるような長い銀髪も全て抜け落ち丸坊主になった
こんな姿で果たして本当にアリスと言えるのか? 答えは否。
いかにローザミスティカを全て集めようともこんな無様な姿でアリスになれるはずがない。
それだけではない。この状態では水銀燈自身も何も出来ない。
ドールに死は無いかもしれないが、何も出来なければそれこそ地獄。
水銀燈はその場で身動きする事さえ出来ない地獄へ落とされてしまった。
「誰か…助けて…誰か…。」
いくら助けを呼べどここはnのフィールドのど真ん中。誰も助けに来る事は無かった…
「うわぁぁぁぁ!」
水銀燈は目を覚ました。勿論五体満足で…
「あ…脚がある…う…腕も…。もしかして…夢?」
彼女の言う通り全ては夢だった。しかし、本当にアリスゲームを戦えば
この夢も正夢となるのかもしれない。そう予感した水銀燈は真っ青になった。
翌日、水銀燈はドールズに謝った。やはり平和が一番である。
おわり
422 :
421:2007/04/13(金) 22:44:44 ID:XbBGc0lH
最後あたりの展開がもしかしたらグロいと言えるかもしれないけど
あくまで水銀燈の見た夢って事で勘弁して頂戴
423 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 23:41:48 ID:Gk2fJAmS
.
続きギボン
最後の素直な銀に萌えた
過疎ってきましたね
ローゼン日記
ようやくローザミスティカが完成した。
さて、これをどうするか。
長年の研究の成果で不老不死となった私だが、やはり連れ添ってくれる伴侶が欲しい。
生身の人間の女はいけない。必ず不老不死にできるとは限らない。
そもそも私に連れ添ってくれる女がいるかどうか。
既に異端者として、常に疑惑の目を向けられている私に寄って来る変わり者は望めまい。
そうだ。人形ではどうだろうか?精巧な少女の人形を作り、ローザミスティカの力で命を吹き込み
一から育て上げるのだ。そして私に従順な究極の美少女にするのだ。
自分に従順な伴侶を自らの手で作り上げる。これこそ究極の男のロマンではないか。
うむ。これならいけそうだ。早速とりかかるとしよう。
数日後…
できた。できたぞ。究極の美少女となる人形が。我ながら良い出来だ。
最高傑作といっていい出来栄えだ。
弟子の槐くんも驚いていたな。
そうだろうとも。人形とはこのように作るものなのだよ。
では、早速ローザミスティカを融合させてみよう。
上手く入るかな?よし、そうだ、入ったぞ。
おぉっ。おおぉっ。動き出したぞ。
よし、よし、その調子だ。
そら、目を開いてごらん。
私が見えるか?私はローゼン。お前を作った、お前の…父親だ。
そうだ。お前の父親だ。お父様と呼びなさい。
さて、お前の名前だが…。
そうだな、水銀鐙、水銀鐙にしよう。このローゼンの名前から取って、
ローゼンメイデン第一ドール水銀鐙と名乗りなさい。
「水…銀…鐙…」
そうだ。名前が言えたな。よし立ってごらん。
そう、力を入れて、そう、そうだ。立てたな。
「お…父…様…」
そう。私がお前のお父様だ。よし、いいぞ。
ん?なんだこの光は?
「お、お、お…父…様…っ」
ああああぁ!なんということだ。腹部が粉々に砕けてしまった。
むぅっ。力尽きたか。何ということだ。ローザミスティカの力に耐えられなかったか。
おおぉ。水銀鐙。可哀想に。せっかくこの世に生まれたというのに。
待っていろ。必ず甦らせてやるからな。なぁに父さんに不可能はない。絶対にお前を復活させてやるぞ。
更に数日後
ダメだ。何度やってもダメだ。ローザミスティカに耐えられないのか。
一体どうすれば…。
ん?何だ槐君。ふむ、ローザミスティカを割ってはどうかと。
なるほど。その発想は無かったな。力が強すぎるなら小さくすればよいと。ふむ。一理ある。
しかしそもそも割れるのかどうか?
数時間後
なんと。こんなに簡単に割れてしまうとは…。きれいに7つに割れたぞ。
大小の違いはあるが。よし早速これを試してみよう。
…いや待てよ。いきなり水銀鐙に試すのは酷だな。何度復活させては死なせたことか。
必ず成功する確証を得てから再生してやりたいものだ。
よし、もう一体作ろう。いやどうせだからあと6体作ろう。
数ヵ月後。
ふぅ。出来たぞ。まずは1体。腹部も崩壊しないな。よし。
螺子を巻くぞ。
なんだい槐君。何故螺子を巻くかって?
ああ、これはローザミスティカの力にリミッターをかけるためなんだよ。
いきなり暴走しないように、螺子を媒介にローザミスティカの力が伝わるようにしたんだ。
さぁ。起きてごらん。私がお前のお父様だよ。
「お…父…様…」
名前は…、そうだな。楽器演奏の特技を持たせたから、金糸雀にしよう。
「金…糸…雀…」
そうだ。さぁ。立ってごらん。
ん。すぐ立てたな。そうだろうとも。バランスがとり易いように水銀鐙より小さくしてみたんだ。
さぁいろいろ教育してやらねば…。忙しくなるぞ。
数日後
金糸雀は無事誕生できたようだ。しかし、なんでこんな口調になってしまったのか。
それに、ちょっと外観以外も幼すぎる。水銀鐙の妹分みたいなものだから、これはこれで良しとするか。
あっ。これこれ!そこの人形に触ってはいけない。
これが誰だって?これはお前のお姉さんにあたる、ローゼンメイデン第1ドール水銀鐙だよ。
まだ作りかけだし、魂を吹き込んでいないんだ。今はただの作りかけの人形なんだ。
数日後
槐君の言うことももっともだ。私が育てたのでは私同様に社会性の無い娘になってしまう。
ここはひとつ涙を飲んで旅をさせるか。東洋の島国の諺に、可愛い子には旅させよと言うしな。
しかし、このままでは野蛮な人間たちに壊されてしまうかもしれない。闘える力も与えておいたほうがいいか。
よし、別の用途で使うつもりだった人工精霊をつけてやろう。いろいろ世間の偵察をさせていたから
私や槐君よりも世間知はあるかもしれぬ。彼らをお守り役につけよう。
そして、いざという時に闘う力も与えよう。
ローザミスティカだけでは、力に限界があるな。
よし、無尽蔵にある無意識の海の力を使ってみようか。
しかし、あれは人を媒介しないと難しいな。
そうだ人形の持ち主の力を借りるか。どうやって力を借りるか…。
人工精霊を通して契約を結ばせる?ふむ。槐君はたまに言いことを言うね。
それだよ。契約を結ばせて、無意識の海へのチャンネルを開かせよう。
数日後
よし、セットOKだ。人工精霊は…。よしピチカート。お前が行きなさい。
金糸雀が困らないようしっかりサポートしてやってくれ。
魔法の鞄も手配しておいたから。
では行って来なさい。しっかり修行してくるのだぞ。そしていつか父の元に返ってきておくれ。
私はいつもお前のことを思っているよ。
行ってしまった。私にもこんな時に流す涙があったとはな。
思えば初めて本当の意味で父親になったのではないか?
数日後
ああ、槐君か。3体目は作らないのかって?
なかなか構想がまとまらなくてね。
君ならどういうものを作る?
…双子?ふーむ。それは面白いな。
せっかくだから正確を正反対にしてみようか。ついでに外観も正反対にしてみようか。
翌日
姉の方は髪の長いお姫様のような娘にしよう。妹の方は…。
よし、逆にジャンヌダルクのように少年のような外観にしようか。
しかし、双子の姉妹を外観を変えて作るとはいえ、ベースは全く同じなわけだからな。
製作中に間違えないように何か目印をつけておこうか。
ボーイッシュな妹はふたなりにするか?
痛っ痛っ。槐君止め給え。冗談だ冗談。
とりあえず、髪を付ける前でも区別できるように瞳をオッドアイにして、左右を変えておこうか。
数ヵ月後
出来たぞ。前回の反省を踏まえて、水銀鐙に近い大きさにしてみた。
数少ない理解者である仕立職人のルドルフに頼んだ甲斐があったな。
どうだこの豪奢な衣装。なんと愛らしい。
名前は、姉のほうを翠星石、妹のほうを蒼星石にしたよ。
上手くいくかどうかは分からないが、知り合いの魔術師から夢の話についてレクチャーを受けたから
夢に出入りできるようにしてみたよ。無意識の海と夢は密接な関係があるからな。
いろいろと自分なりの理論を試してみたいのもあってな。
君、実験台になってくれんかね?なぁに実験台と言ってもただ、寝て夢を見てもらうだけだよ。
…ダメなの?あっそう。そうか、無理だよなぁ。
(断られても、寝たら絶対実験してやるよ)
さぁ螺子を巻いてみよう。
目覚めたかね?初めまして、我が娘たち。私が君たちを作った、君たちのお父様だよ。
何かかなり現実味のある製作日記だと思った。
>ボーイッシュな妹はふたなりにするか?
ワロタ
何故ふたなりにしなかったw
数週間後
双子の姉妹を連れて夢に潜入したのがあっさりバレて、槐君は口を利いてくれなくなった。
まぁ夢の中に私が双子と一緒に現れたのだからバレるわな。
知り合いの自称心理学者の協力を得て、精神病を夢で治療するという名目で
何人かの被験者で双子の力を試させてもらった。
心に栄養を与える翠星石と、悪しき心を刈る蒼星石。
使い方を誤れば、恐るべき武器になってしまうことも分かった。
それはそうと、理性的な蒼星石はともかくとして、翠星石に性格に問題点を発見。
ちょっと引っ込み思案で人見知りの性格になったのだが、それはそれで少女らしいかと放っていたら
私が席を外したときに槐君に凄まじい毒舌で罵詈雑言を浴びせているのを知ってしまった。
私にバレてからの翠星石の縮みようは可愛らしくも合ったが、この口の悪さを放置するわけにもいくまい。
金糸雀同様、そろそろ外で修行してもらう必要がある。
と、その前に、もうすぐ5体目が完成するのだ。新しい妹と対面してからでもいいかな。
数日後
水銀鐙、金糸雀、翠星石、蒼星石と作ってきて手順が出来上がっていたせいか、
5体目はスムーズに製作できた。
双子の姉妹に少し少女らしさが足りないのを感じていたので5体目は少し小さめにした。
髪の色は、仕立屋ルドルフの傑作で真っ赤なドレスが手に入ったので、赤の映える金髪に。
この服、ルドルフの孫娘にやるつもりだったらしいが、娘にあっさり断られたのだと。これだから女は。
着せてみたら思わず溜息が出たよ。傍で見ていた槐君も見とれていたね。
実に、美しい、美しい娘になった。今までで一番の出来ではないか?
槐君がやたら気に入っているのが気になるが。
おいおいこらこら。何故君が螺子を持っているのか。螺子を巻くのは私だ。君は引っ込んでいなさい。
悔しかったらお前もローゼンメイデンに匹敵する人形を作ってみなさい。
あれ?何故荷物をまとめているんだい?何?出て行く?あーそーかい。出て行くがいい。
職人はいつか独立しなければならないんだ。独立したければ独立すればいいさ。
あいつも私ほどではないものの、不老不死の秘法を施している。
いつかまた会うことになるだろう。さ、寂しくなんかないぞ。
あー気分を害した。螺子を巻くのは明日にしよう。
翌日
おーい槐君……ってもう出て行ったんだっけ。
しかし困ったな。良く考えたら身の回りの世話は全て彼に任せていたから、今日からは自分でやらなければいけないんだな。
あー資金集めやら、掃除洗濯、炊事、大変だなぁ。
さて。気を取り直して5番目の子の螺子を巻こうか。そういえば名前を決めてないな。
うーん。真っ赤な衣装とローゼンにかけて、真紅にしよう。よし、おまえは真紅。
さ、巻くぞ。目覚めたかな?
やぁ初めまして。私が君のお父様だ。君の名前は真紅だ。
お、いきなりここまで歩くのは凄いぞ。さすがは最高傑作。よしよしここまでおいで。
あ、目を開いた。おぉぉぉ。微笑んだよ。こ、これは……。萌え〜〜〜。げふんげふん。
うん可愛いぞ。さぁお父さんとあっち行こうか。
ん?何か落ちた音がしたような。気のせいかな?あとで見ておこう。
翌々日
なんだか外へ出るのが苦痛だ。槐君が居なくなってから自分で外に出なくてはいけないが、いろいろと煩わしい事が多くて嫌だ。
良く考えてみたら彼のおかげでこの町に居れたんだな。今とても住み心地が悪い。
気分的に人形作りどころではない。また他の街に引っ越としようか。
やれやれ、槐君が居なくなってからまだ3日も経っていないのにもう根を上げるとは。つくづく私は社会の中に生きるのが苦手だな。
気分が優れないので、翠星石、蒼星石、真紅を旅に出させ、私もこの街を出てしばらく休むことにした。
3人とも順番に、スィドリーム、レンピカ、ホーリェの人工精霊たちを割り当てた。
あぁそうだ。水銀鐙は持って行かなきゃ。彼女だけは何とか完成させないと。
あれ?水銀鐙が居ないぞ?あれ?
どこに行ったんだ?いや、ローザミスティカなしには動けないか。誰かが持って行った?
まさか、槐が?これは彼に確認しなくてはな。
ってあいつもどこに行ったんだったか。
あ、ああ、あれ?ここに掛けておいた人形用衣装も無いじゃないか。ルドルフが余興で作ったものの、教会から睨まれるかもしれないと
始末をこちらに投げてきた奴。長女らしい、大人の雰囲気を漂らせたいい服だったのに。
槐君〜。困った奴だな君も〜。
待ってろよ!
一旦区切り。
ここまでがオーベルテューレの背景。
続きは真紅事件から。
な ん と い う 悲 劇
でも面白かった
いつからギャグになったんだww
438 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 09:34:59 ID:HaJzEmPr
蒼星石なら、下僕じゃなくてマスターだから大丈夫かもしれない。
槐君を追いかけて、とっ捕まえて、白状させようと思ったものの…。
表を歩くのは、今の私には非常に苦痛だ。周囲の視線に耐えられない。
しかし、このままでは住む所もままならない。
さて、どうしたものか。
数週間後
やれやれ。乞食と間違われてしまったぞ。無理も無い。
今の私の格好を見れば、まるで落ちぶれた貴族だ。しかもここ1ヶ月ほど体も洗っていない。
食べ物も最後にまともなものを食べたのはいつだったか。
不老不死の体とはいえ、食べなければ弱ってしまう。
仕方ない。あまり頼りたくなかったが、古い知り合いの魔術師の家に行ってみようか。
数日後
ごめん。主は居られぬか?
あぁ。私だ。ローゼンだよ。本当だよ。信じてくれよ。そんな目で見ないでくれよ。
どうしたら信じてくれる?あっ、そうだ。
ほら、ローザミスティカもここに。
同じ賢者の石を作り上げた仲間じゃないか。
やっと信じてくれたか、我が友よ。
え?臭い?表で体を洗って来い?分かった分かった。洗ってくるよ。ついでに服も貰えんかね。
井戸端で水浴び後
あーさっぱりした。髭も剃ったし、あ、この香水使っていいかね。
ありがとう。やっと普段の自分に戻れたよ。
ん?用事はなんだったのかって?そりゃ新しい服を貰いに来たんだよ。
痛っ!痛っ!冗談だ。待てっ!電撃だけは止めてくれ。
…ふぅ、君はすぐ突っ込みで電撃を入れてくるからかなわん。
あぁ、本当の理由だが、実は弟子に逃げられてね。実生活で物理的にも精神的にも困っているのだよ。
今まではローザミスティカの精製に夢中だったから他の事なんて全く気にならなかったんだがね。
時代も進んできたというか…、人が増えてきたからかな?
日ごろ無関心なくせに、触れて欲しくないところで高い関心を示すんだな、周りの人間が。
おい、笑わないでくれ。君だってこんな山奥に篭っているじゃないか。
おまえもそうすればいいって?職人はいろいろと物が入用でね。人がいるところの方が便利なんだよ。
それに少数だが相手になってくれる職人たちもいる。
彼らを頼れないかって?職人の技術に関しては通じるものがあって交流するがね。
他の事では彼らの世話にはなりたくないよ。借りは作りたくないんだ。そこまで踏み込みたくないというか。
彼らは寿命を持っている。…別れが辛くなるじゃないか。
君は私と同じで不老不死の者だからな。こうして頼って来やすかったんだよ。
話は戻るが、つまり、その、煩わしい人間関係が無くて安心して研究に打ち込めて、
かつ有能な職人たちにもすぐ会える様なそんな場所はないだろうかってね。
あと、逃げた弟子が私の大事な物を持ち出したらしくてね。彼を追いかけたいので力を貸して欲しいんだ。
ひとつはすぐ解決?君の研究を住み込みで手伝え?私の研究の時間が無いじゃないか。週に2〜3日でいい?2〜3日もか…。
仕方ない。次が見つかるまで居候させてもらおうか。でも職人たちに会いに行くにはどうしたらいいんだ。
鏡を使え?あ!あぁっ!そうか。nのフィールドを通れっていうんだな。
なるほど。そういう使い道もあるなぁ。よしそれで行こう。
で、弟子を追いかける件は?有能な人物(?)を紹介してやるだって?なんだその笑みは。
一体誰なんだその人物って。
翌日
まさか紹介してくれた人物がこんな大物だったなんて…。不老不死の体を得て、生きること2000年余り。
時の権力者なぞ、私には取るに足らない存在で全く怖くなかったのだが…。しかしそれは人間界での話。
相手が異界の住人なら話は別。ましてやこんな最上級の存在ともなれば…。
こうして話をしていること自体が奇跡だ。下らない冗談を言って怒らせないようにしなければ。
彼の魔力を持ってすれば、私の不老不死の力なぞ簡単に取り消してしまえるだろう。恐ろしい、恐ろしい。
彼は「ラプラスの魔」と名乗った。しかし、私は彼の本当の名前を知っている。
魔術師、錬金術師なら知らぬものはいないであろう。古き神々に使える恐るべき存在、ニャルラトテップ。
今目の前にいる彼はウサギの頭を持つタキシード姿の男だが。彼に決まった姿は無い。
話してみた印象からすると、なかなか気さくな方のようだ。とにかく退屈しているらしい。
弟子のことを相談したら、お安い御用と探してくれた。と、言っても空間にいきなり穴を空け、その向こうで人形制作
にかかっている槐君を映し出してくれたのだが。
さっそく穴に飛び込んで彼を問い詰めてみた。
いきなり私が飛び出してきて驚いていた槐君だったが、水銀鐙のことを問い詰めたら何のことか判らないという素振りだった。
こっそり嘘を見破るアイテムを使ったのだが、本当に知らないようだ。はて?それでは誰が一体?
穴に戻ると、ラプラス君がニヤニヤ笑いながら待っていた。あ、ラプラス君なんて呼んでいるのは彼がそう呼べと言ったからだ。
私のやってきたことに興味を抱いたようだ。是非、話に混ぜて欲しいという申し出を受けた。
力が強大すぎて怖いが、話してみた印象では、彼は無粋なことを嫌う傾向があるようだ。やたら自分の力を誇示する性格ではないらしい。
付き合い方次第では強力な味方になるかもしれない。不老不死の身としても、この協力は受けたほうが良さそうだ。
ここでまた一旦止め。
一瞬ヒムホテップかと思ったよ
ローゼン天才なのかアホなのか
>>443 天才と馬鹿は紙一重
ローゼンデラ引きこもりwwww
>>440 ラプラス凄いんだなぁ
でもドMwwwwww
447 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 23:34:36 ID:Ki3sKqkY
a
448 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 17:46:07 ID:h4wktQOM
やっぱ過疎
450 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/17(火) 15:51:34 ID:cSlxB1Ix
450
魔術師の家に住込んで早3ヶ月。気の合う友人との共同生活もなかなかいいものだ。
凡人達に囲まれての生活は、鬱陶しいことだらけであったが、不老不死同士なら
気兼ねすることなど何も無い。
槐君との生活と違って私がこき使われているのがアレなんだが。
始めの頃こそ、自分の研究とは関係ないことで手伝わされて苦痛だったが、まったく収穫の無かったわけでもない。
少しばかりだが、私のも魔術が使えるようになった。今まで人工精霊達を頼ってのドールズの観察だったのが、
魔法の門のおかげでいつでもここにいながら様子を見ることが出来る。大変便利だ。
もう少し高次の魔術になれば、双方向性の門になる。もう少し魔術というものも追求してみるか。
魔術以外では、ラプラス君と知り合いになれたのが良かった。
始めの頃こそおっかなびっくり、どぎまぎしながら話をしていたのだが、話してみると本当に面白い人物だ。
彼から聞く旧世界の神々の話は非常に興味深く、面白い。彼の話の中に私の探求するもののヒントが隠されているかもしれない。
彼はこちらから質問しても、真正面からは答えてくれない。しかし意味深なヒントのようなものを教えてくれる。
それが私の好奇心を刺激する。楽しい。
そういえば、アリスの件である。もともとはローザミスティカを使って私の永遠の伴侶、完璧な美少女を作り上げることが目的だったのだが、
現状を鑑みるに、当初の予定から随分脱線してしまったように思う。
7体作ろうとした事だって、強すぎるローザミスティカの力を低減するためにローザミスティカを7つに割ったことから派生した処置なのだ。
実は真紅を完成させた時に、水銀燈よりも約1.5倍の大きさの人形を作れば理屈のうえではローザミスティカに耐えられそうな人形を
作れそうだと分かった。ただ、その時の私にはすでに5体作ったドールズへの愛着も湧いていたので、
今更ローザミスティカを回収し、改めて大型の人形を作る気は無かった。
そんな迷いをラプラス君と魔術師に明かしたところ、最後にもう一度7体のボディーと7つの破片を融合して、
1人のアリスを誕生させればいいのではないかという意見を得た。
ラプラス君が言うには、すべからく生きとし生けるものというのは、懸命に生きている姿が最も美しく、力強いのだそうだ。
ふーむ、なるほど。
世界を旅させ、淑女としての修行をさせるだけでなく、互いを競わせて最後には一つに戻してアリスとする、か。
その方が、より究極の美少女に近づけるかもしれない。無垢であるという点をクリアできなくなるリスクもあるが。
試してみる価値はありそうだ。早速残り3体の完成を急ごう。そうなると水銀燈の居場所も早く突き止めねば。
本当にどこに行ってしまったのだろうか、あの娘は。
ラプラス君にもお願いしたが、感知できなかったのでnのフィールドに迷い込んでしまったのではないかということだった。
特別に許しを貰ってアカシックレコードで過去を閲覧させてもらったが、まさかあの娘がローザミスティカ無しで自我に目覚め、
あの未完成の身体で私を探しに旅立ってしまっていたとは…。
なんと健気な愛娘。胸が痛む。すぐに修復してやれなかったのが悔やまれる。
うまく現世に飛び込んでくれないものだろうか。そうすればすぐに見つけられるというのに。
>>451
アカシックレコードまでいったのかよwww
別にアリスゲームやれとは言ってないんだな
なんという悲劇w
これはローゼンさんのお気楽極楽自堕落日記だな。
銀ちゃんは、こんなお父様に絶望し、姿を消したんだな(w
ターゲットリストNo,1
薔薇乙女第5ドールの真紅に意地悪な悪戯を敢行
静かに本を読む真紅。するとそこにのりと他のドール達が部屋に入ってくる。
実は彼女達は全て仕掛け人。のりは真紅になんとあの『くんくん』が訪問している
という嘘をつく。驚きで本を取り落とす真紅。真紅が血相を変えて下に降りていくと
庭にいたのは紛うことなき、あの『くんくん』。真紅はもう逆上せあがり、顔が真っ赤
である。そこへのり達も加わり記念撮影が始まった。のり、翠星石がくんくんを中心に
写真を撮ると雛苺もくんくんに抱かれながら笑顔いっぱいでカメラに収まる。
さあ、今度は私の番ね。とくんくんに近づく真紅だが、くんくんは真紅を無視・・・。
視界に入らなかったのかと思い、再度真紅が近づくがこれも全く無視・・・・。
さらに真紅はくんくんに縋るように近づくが、なんとくんくんはまるで『金色夜叉』
の一場面のように縋る真紅を足蹴にするではないか!まさに外道!
このくんくんの行動に胸を痛める真紅。翠星石や雛苺はうれしそうに記念撮影し、
じゃれあっているのに、真紅だけが蚊帳の外・・・寒い、寒すぎる・・・。
くんくん・・くんくん・・どうしたというの・・私のことがキライなの・・・。
焦る真紅、そこにやってきたのがなんと水銀燈。実は彼女も仕掛け人。
水銀燈はくんくんを見るや両手を広げて突進しくんくんと熱い抱擁を交わす。
それも真紅に見せ付けるように。水銀燈とくんくんは熱くあま〜いラブラブモード。
それにしても水銀燈ノリノリである。
二人のラブシーンを見せ付けられ頭を抱え絶望の淵に沈む真紅。
このままではジャンクになってしまいそうだ。
それではさすがにかわいそうなのでここでネタばらし。
全てが悪戯だと聞かされた真紅は安心し胸を撫で下ろしたのだった。
そして最後はみんなで記念撮影、真紅の悪夢のような楽園のような一日が終わった。
お約束だが、この『くんくん』に扮していたのは、無論ジュン。
真紅のあの絶望した顔を見て、またやってやろうと思ったとか・・・。
この男タダ者じゃない。
>>451 ローゼン、テキトーすぎだろ
続き期待!
>>all
とりあえず読んでもらえてるだけで感謝です。
暇を見つけてちょこっとずつ書いてますので
ブツ切れにはなりますが、その辺はご容赦を。
>>456 ローゼンの独自解釈面白かった。
>>455 想像したら笑った。
確かにTVでそういうイタズラものってあるよな。
>>455の続き
思い立ったが吉日とは東洋の島国の諺だったか。
ラプラス君には引き続き水銀燈の捜索をお願いしつつ、私は6体目の制作に取り掛かった。
6体目の構想はすぐに決まった。知り合いの職人の孫娘をモデルに幼女をテーマとして作ることにした。
これは、いずれ7体を融合させるときに無垢さの要素を取り入れる鍵とするためだ。
決して私がロリコン趣味ゲフンゲフン、に走ったわけでも、ストライクゾーンが下がったゲフンゲフン、わけでもないぞ。
え?美少女制作の時点で既にロリコン趣味?む、そうなのか?
数日後
出来た。ブランクがあったから心配したが、腕は落ちていないようだ。
うむ。なかなか可愛らしい幼女になったぞ。さて、名前だが…。
え?お茶の時間?あぁそうだな、そろそろ一服しようかな。
今日のお菓子は何だろう?友人の家は山奥とは言え、意外に人が訪ねて来てはみやげを置いて行くらしい。
その頻度たるや、お茶菓子に困らない程度である。私と違って結構社交的のようなのだ、彼は。
お?このお菓子は苺が練りこんであるね。ふぅむ、風味がいい。美味しいね。
甘いお菓子は根を詰めた後には、とりわけ美味しいものだね。
あぁそうだ。さっき考えていた名前、野苺なんてどうだろう。
…何笑ってるんだ?田舎くさい名前?そうかな?
じゃ、可愛らしい苺という意味を込めて雛苺はどうだ?
え?なかなか良いって?君が褒めるなんて滅多に無いことだね。じゃぁ決めた。この子は雛苺だ。
早速螺子を巻いてみよう。
っと、そうだ。せっかくだからラプラス君にも立ち会ってもらおう。
翌日
いやぁ、待っていたよラプラス君。ローゼンメイデンを起動するところはまだ見たことがないだろう?
是非、君にも見て欲しいと思ってね。あれ?後ろに居るのは?
おぉ!槐君じゃないか。久しぶりだねぇ。元気だったかい?ところで何故ここに?
起動するところをもう一度見たかっただって?おおっ、いいともいいとも。遠慮なく見て行きたまえ。
職人というのは目で技術を盗むものだ。しっかり盗んでいってくれ給えよ。
良かったら、君が巻いてみるかね?そうか。やってくれるか。
そう。背中のちょうど鳩尾の反対側あたりに穴があるだろう?そこに差し込んで。
一度、逆に回してから、時計回りに巻くんだ。そのままいきなり時計回りに巻くと君が契約する羽目になるぞ。
お。目が開いた。さぁ。分かるかな。「「私がお前のお父様だ。」」。こら、槐君。なんで台詞がハモるんだ。
お前の名前は雛苺だ。よろしくな。
その晩
こんな夜はスコッチウィスキーをチビチビやりながら語らうのもいいねぇ。
俺の酒だぞ?いやいやごもっとも。感謝しておりますよ、魔術師殿。
雛苺はもう寝たかな?
明日から基本的な躾を始めて、頃合を見て旅立たせなければいけない。
ところで、どうだね槐君。君のほうは順調なのかね?
ほう、基礎の土探しから始めているのかね。それは感心感心。
ところで、その、なんだ、うん。君さえ良ければ、また私の助手をやらないかね。
いや、無理にとは言わないが、うん。え?駄目?
そうか。そうだよねぇ。職人の意地って物があるよねぇ。
いや済まなかった。さっきの言葉は忘れてくれ。
ん?なんだい?君から私にお願い?いいとも、言っておくれ。
なんだって?7番目は自分に作らせて欲しいだって?
んー。別に構わないがね。何年、いや何十年かかるかねぇ。
そうだ。こうしよう。実は私も7体目の構想はまだ決まっていないんだ。
お互い何年かかるか分からないけれど、7体目については期間無期限で、その出来で競い合おう。
審判は、そうだな、魔術師殿とラプラス君にお願いしようか。
引き受けて貰えるかな。ありがとう。え?競い合い方は考えてくるから任せて欲しいって?
いや、君の申し出なら断れないね、ラプラス君。是非お願いしますよ。
ところで、水銀燈は見つかりましたか?…駄目ですか。
あぁ、私があんなままで放置しなければ…。ラプラス君、引き続きお願いしますね。
ヘローン
461 :
460:2007/04/18(水) 02:12:57 ID:5gb9kg82
誤爆った
数日後
さぁ、一通り躾も終わったことだし、お前もそろそろ旅立たねばならないよ。
しがみついたって駄目だよー。お父様に登ったって駄目だぞー。さあ、いい子だ、雛苺。
行き先はベリーベルが決めてくれる。ベリーベルに大事なことは一通り教えてあるから
困ったら彼女に相談なさい。さ、鞄を閉めるよ。ベリーベル、雛苺を宜しく頼むよ。
行ってしまった…。他の姉妹はかなり苦労をしているようだったが、この娘は大丈夫かな?
おやラプラス君。ちょうど今雛苺を送り出したところだよ。
ん?競い合い方を考えてきたって?そうか、じゃ、早速お茶でも飲みながら聞こうじゃないか。
アリスゲーム?ドールズを互いに戦わせ、互いのローザミスティカとボディを奪い合い、勝者は敗者を吸収して行き、
最後には7体全員が融合すると。ふむ。前にも話した内容だね。
そうか。競い合うと言っても、具体的にまだ何も考えていなかったよ。
自らの存在をかけて戦わせるか。ちょっと野蛮な気もするが、融合することを考えたら良い事かも知れない。
しかし、ローザミスティカはともかく、ボディの融合をどうやるかだな。
…食べる?それは無理だ。んーどうしたものか。ん?私に任せて欲しい?ええ、いいですとも是非お願いします。
とりあえず今は水銀燈の行方探しと、7番目の完成が急務だな。
眠すぎて挙動不審なので今日はここまで
黒幕はラプラスかwwwww
465 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/18(水) 22:08:31 ID:cvPLMYTk
unko
466 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/18(水) 22:24:07 ID:NTv3skYS
unko2
ベリーベルによろしく頼むって
だったらまずは人工精霊の教育を徹底すべきだろ
あ、このローゼンには無理か
バキ!「さっさとおっ死ねこの野郎!」
隣にいた相棒に鬼軍曹の鉄拳制裁が下った。軍曹が摘み上げたものを見るとどうやら菓子パンを隠し持っていたらしかった。まあ入れたのは俺なんだが。
相棒は泣きそうな顔で俺を見上げたがどうしてやることもできない。助けてやりたいのは山々だが海兵隊では上官には逆らえない。
もし逆らってみてもあの鬼軍曹が相手ではしごき上げる格好の獲物を見つける事になるだけだろう。
生真面目な顔を装いながらぼんやり考えていると皆が腕立て伏せの格好をし始めた。相棒はと言えば泣き顔で菓子パンにむしゃぶりついている。
慌てて自分も腕立て伏せをし始めるが頭の中は別のことで一杯だった。そう、自分の鞄の中身についてだ。
何とか自分の鞄の中身を知られないよう相棒の鞄にパンを入れてその後の鞄の検査を有耶無耶にしたかったがどうやら駄目だったようだ。
腕立て伏せが終わるとまた検査を再開しだしたのだ。ああ、神様!日曜には教会に行きますからどうか救いの手を!
必死の祈りも虚しく自分の番がやってきた。軍曹が鞄を蹴り上げる。やめてくれ!そんな事をしたら・・・!
と、蹴り上げた反動で鞄が開いてしまった。? 軍曹がこめかみに血管を浮き上がらせながら顔を近づけて言った。
「俺がこの世でただ一つ我慢できんのは―――鍵をかけ忘れた小型トランクだ!」泣きたい気分だったが今泣けばもっと
酷い目に遭うだろう。必死に耐えた。だがそれも鞄の中を軍曹が覗き込むまでだった。
軍曹の顔色が変わる。殴られる衝撃に耐えようと歯を食いしばる。・・・・・・・・・?
恐る恐る目を開けると軍曹が鞄を素早く、かつ丁寧に閉めたところだった。鞄の中身を見られて何も言われない・・・。
より悪い想像が膨らみ、「除隊」の2文字が頭を駆け巡った。軍曹に頭がおかしくなったのだと思われたのかも知れない。
こうなるとどんどんと想像は悪い方向へと膨らんでいき、ついには除隊後に精神病院で一生を過ごすストーリーを思い描いてしまった。
こうなったら徹底的に釈明しなくてはならない。口を開きかけたが軍曹は青い顔をしたまま立ち去ってしまった。
しかし去り際に呟いた軍曹の一言が胸に引っかかった。「お前もか」とはどういう意味なのだろうか。
469 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 17:14:03 ID:2XmhrUKh
470 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 18:48:06 ID:FOatuPND
470
数ヵ月後
水銀燈の消息については、まったく音沙汰なし。
ラプラス君ですら簡単には見つけられないのだから、いかにnのフィールドというのが無限の階層を持つ世界なのかが分かる。
もっとも、彼も忙しいはずの身なので四六時中探しているわけでは無いだろうから、そういう理由もあるのだろうが。
…ひょっとしたら、私が状況を聞いたときしか探してくれてないかもしれない。
それはさておき、水銀燈の件ではひとつ重要なことが示唆された。
彼女は、他の姉妹と異なり、ローザミスティカ無しで起動して何処かへ去ってしまった。
これが意味する処は何か。
これまで私は、ローゼンメイデンのドールズの魂は、核となるローザミスティカに降臨・受肉して
石の力を使って生ける人形として活動していると捉えていた。
故に、ローゼンメイデンからローザミスティカを取り出すのは、彼女たちの死を意味すると考えていた。
古来より、万物にはすべからく魂が宿るという考えがある。
実際、知性のレベルは別として、一握の砂にすら一粒一粒に魂が宿っているのは私も確認している。
ちなみに友人の魔術体系では基本的な事項であり、それを応用した魔術も多い。
しかし、自律的に動くレベルでの魂の力というのは通常は有り得ないものであり、外部からなんらかの力の
供給を必要とするはずである。
その外部からの力を補給し、かつ魂の拠り代となっているのがローザミスティカである、と捉えていた。
しかし、水銀燈を見る限り、魂はローザミスティカを失っても人形の身体に残り、活動を維持できている。
つまり、「ローザミスティカの喪失」=「ローゼンメイデンの死」では無いのだ。
降臨した魂の力次第では、自律して動けるほどの力を持つこともある。無論、ローザミスティカの方が力としては圧倒的に大きいはずだが。
このへんのところ実に興味深い。突き詰めていく価値は十分にあると思う。
数日後
第7ドールの構想については全くアイデアが出ない。
しかし、数日前から取り組んでいる魂の固定についての研究は、魔術師殿の協力もあってどんどん進んでいる。
あれから更に考えが進み、ローザミスティカのような高エネルギー体を媒介にして世界樹から想念をかき集めて
魂を精製し、エーテルに固定できれば、実体を持たないドールを生み出すことが出来るのではないかという結論に至った。
これならば、理論上、ローザミスティカ1欠片で何体ものドールズが出来るかもしれない。
アストラル体を維持する方法を模索しなければならないが、ある一定以上の力を持つ魂は、nのフィールドを通じて
無意識の海からの力をいくらでも集められるらしい。
更に研究を進めていこう。
1年後
いろいろ分かった。やはり持つべきものは友だ。魔術師や異界の大物が友人にいるのは人生にとって非常に有益だ。
いろいろと検討を重ねた結果、非常に強いイリアステルを持った魂を育て上げれば、肉体などは不要という結論に達した。
7体目はボディ無しで作ってみようと思う。となるといかに私の思いを形にするかが課題だ。
さらに魔術を学ぶ必要がある。
水銀燈のことだが、まだ見つからない。
いつ見つけてもいいようにと、記憶をたよりに破損した腹部のパーツを作っているのたが、
なかなかしっくりするものができない。
やはりもう一度正確に採寸し、作らないと駄目だ。
翌日
今日も今日とて魔術師の手伝いを終えた後に水銀燈の腹部を制作していると、ラプラス君が私を訪ねてきた。
しばし雑談した後、彼は、そろそろアリスゲームを始めましょう、と切り出した。
彼が言うには、ちょうど今、ドールズ5人全員がほぼ同時に今のミーディアム(契約者)の元を離れ、
新しい修行先へ移動をし始めたところなのだそうだ。
全員を集めてルールを説明し、アリスゲームを始めるには丁度いいというわけだ。
まだ水銀燈は行方不明だし、7体目が出来ていないのでまだ時期早尚では無いかとも思ったが、
少しでも早くアリスが誕生してほしい気持ちもある。
提案を了承し、指定されたnのフィールドへ同行した。
そこは私がかつて所有していた屋敷をそのまま再現したような建物になっていた。
工房のある貴族風の屋敷。庭は薔薇園になっている。
「そうそう。ここを貴方にプレゼントしたいと思うのですがね」
懐かしいな、と呆けたようになっている私にラプラス君が言った。
願ってもないことである。
確かに物質界で第7ドールを製作するのは難しいと感じていたのだ。
いいのかい?ありがとう。うれしいよ。
ここはひとつ、7体目制作のために居を移そうと決心し、ラプラス君の申し出を快く受けた。
幸いnのフィールドは、場所さえわかっていればどこからでも行けるし、また、どこにでも行ける。
今の私にはそういう力がある。当面は魔術師の家と職人の集落にリンクしておけば不自由は無いだろう。
あと、自分の好きなようにレイアウトを変えられるところも気に入った。
さてアリスゲーム開始宣告の段取りだ。
ラプラス君が言うには私は別の部屋で聞いているだけでいいそうだ。
ゲーム開始を宣告した後に、窓にシルエットを映して立ち去っていけばいいと。
芝居を打つのは久しぶりだから少々緊張するな。
数刻後
どうやって誘導したのか、フィールドの果てから見覚えのある鞄が4つ飛来してきた。
ん?4つ?あと1個はどうしたのかな?
残り1個はちょっと遅刻しそうですね、先に4人だけ済ませますか、とラプラス君。
別に異論も無かったので了承。
鞄は徐々に高度を下げ、屋敷に向かって飛んできた。けっこうスピードが出ている。
このままでは窓に激突するっ、と思ったら窓が自動的に開いて惨事は避けられた。
危ない!と思うたびにドアが開いたり窓が開いたりする。
私がこの家をコントロールしてるのかな?と思い、放って置いてみた。
ガッシャーーン!!
あ。やっちゃった。ラプラス君が大笑いしている。バツが悪い。
鞄は応接間に入り、減速すると、豪華な絨毯が敷かれた床の上に着地した。
じゃぁ行きますよ、とラプラス君は部屋を出て行き、応接間へ向かった。
私も後を付いて行き、応接間の隣の部屋で待機した。
一応、応接間の様子はマジックミラー越しに見える。
ベサメムーチョ
475 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/20(金) 23:47:21 ID:c1o6hd3L
kitaiage
477 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 22:09:07 ID:rCmGQVN+
続きまだー?
479 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 22:26:32 ID:cOA2wtFs
めぐは心臓を病んでいる。それ故に長い間入院しているのだが、その為なのだろう。
彼女はすっかり生きる意欲と言う物を失ってしまった。
しかし医者とて何もしていないワケではない。今日も彼女の病気を治そうと
頑張っているのである。そして、物語は一人の医者が有栖川病院に呼ばれる所から始まる。
「めぐちゃ〜ん。今日はめぐちゃんの為に凄い人が来てくれたのよ〜。」
「あっそう、帰って。」
笑顔で部屋に入ってくる看護士に対しめぐはそう吐き捨てる。
何時死んでも良いと考えている彼女は看護士や医者の存在を煩わしく考えている。
その為病院食もまともに食べなくなった彼女だが、そんな事は今や
病院の人間にとっても良く分かっている。
「この子かね? 患者は…。」
「あ、先生…。」
一人の男が病室に入って来た。背中まで伸びる長い髪の美形の男。
しかし、首から下はその美形に不似合いな程大きく、ガッチリした体付きをしていた。
一応医者らしく白衣を身に付けていたが、その大きな身体は隠せない。
へヴィ級ボクサーの瞬発性! スプリンターの機動性! アマチュアレスラーの柔軟性!
そしてマラソンランナーの持久性! 全てが備わった超肉体を持つ
スポーツ選手や格闘家でも違和感無い程の筋肉を持った医者だった。
「先生はね、20代にして医学を究めた天才医師で名前はしの…。」
「能書きは良いでしょう。ここは私に任せて下さい。彼女の心臓の病…治して見せましょう。」
「冗談じゃない! そんな事出来るワケないわ! そして私は死ぬの! 天に昇るの!」
めぐは嫌な予感を感じた。この超肉体を持つ医者からは恐ろしい何かを感じる。
「私は死ぬの! あんた何かいらない! 帰って!」
「ダメよめぐちゃん! 生きなきゃ! 生きなきゃダメよ!」
めぐは手に届く所にある様々な物を医者に投げ付けるが、見て分かる鍛えられた肉体は
怯む事さえ無く悠々と近付いて来た。
「死ぬの生きるのと大変な騒ぎようだが…我々医師にとって生死の沙汰は日常茶飯事。
大騒ぎする程の事では無い…。」
超肉体医師はポケットから一本の虫ピンを取り出し、めぐの左腹部に軽く刺し、
それだけでめぐは死んだように動かなくなった。
「めぐちゃん!」
「お安心を。麻酔をしただけです。」
超肉体医師はめぐの胸に耳を当て、それだけでどうすれば良いかが分かった様子だった。
「なるほど…かなり心臓が弱っているな。しかし…人体を完全に熟知するなら…
皮膚を傷付けずに心臓をコントロールする事など造作な事では無い。
勿論この子の心臓を治す事も私ならば可能だ。だが、多少荒めの衝撃を与えねばならない。」
彼はめぐをゆっくりと起こすと、左手を大きく振り上げ…
「打震だッッッッッッ!」
強靭な筋力によってめぐの胸、心臓の部分に叩き付けられた掌の一撃に、めぐの口やら
耳やら目やらから一斉に血が吹き出したではないか。
「以上! 多少荒療治ですが、これで彼女の心臓は元通り健康になるはず。」
そうして謎の超肉体医師は有栖川病院から去って言ったが、
本当にめぐの心臓の病が治ったかどうかは…各自の想像にお任せしたい。
おわり
またやっちまいましたよ先生orz
それぞれのファンには申し訳ないとしか言えない
これは死んだwww
どうせ呼ぶならBJ先生を呼べw
483 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 00:24:46 ID:rXa3L03x
手術代は5000万だ。
今度こそ私達を役立ててください。
485 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 22:42:03 ID:9xqhDp9g
か
486 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 17:29:56 ID:pu9Ewq0j
果てしなく続く廃墟・・・こんこんと降り続ける雪・・・水銀燈は自らのnのフィールドを当ても無く彷徨っていた。
本来なら彼女も眠りに就いている様な時間であったが今夜はどことなく落ち着かず眠りに就く事ができずにいた。
そこでぼんやりと過去の記憶に浸りながら空中を漂っていたのだが平穏は招かれざる客によって唐突に破られた。
彼女の前方の空間が三日月形に裂け、その中からタキシードを着込んだウサギとも人間ともつかない者が優雅な身のこなしで躍り出てきたのだ。
「!?・・・またあなたなの?懲りないわねぇ。さっさと消えなさい、目障りよ。」いつもの様に突き放した態度を取ったのだが
ラプラスは思いもかけないことを言った。「落ち着いてください黒い天使様、それよりも今夜は月が美しい・・・。ここは月見酒としゃれ込んでは如何でしょう?」
「私を馬鹿にしていわけ?月なんてものはここには無いわ。そもそもそんな見え透いた罠にこの私が引っかかる訳がないじゃない。それとその言い方は・・・」水銀燈は最後まで言い終える事ができなかった。
ラプラスが持つ勇壮な装飾の瓶、正確にはその中の透明な液体に目を奪われてしまったのだ。
「ご安心を天使様、私が直接アリスゲームに関わるような事はございません。それともそんな事が1度でもおありにあったでしょうか?」
自分のした事をいけしゃあしゃあと誤魔化し、黒い天使様等という自分を完全にバカにした呼び方を2度もした事にも気づかず、水銀燈の口から出てきたのはむしろ叱責とはまったく逆の言葉だった。
「そ、それは甲斐の秘酒「信玄」!なぜあなたがそれを!?」驚愕と不信、それに歓喜が混じった表情をしたまま凍りついてしまった。
しかしさすがは水銀燈だけあって回復は早かった。ローゼンメイデンの第1ドールであるという自負は常に彼女に影響を与えていたのだ。
「ふん、お馬鹿さぁん。私がそんなものに興味があるとでも思ったの?たかがウサギの分際で生意気な口を利かないことね。」だがしかし、
その相手を射抜く様な鋭い目はラプラスの歪んだ目ではなく、瓶に巻かれた和紙に描いてある戦国武将の目だけを見据えていた。
「ふっふっふ、人は皆役者、世界は舞台だというではありませんか。ここはnのフィールド。人がその本性をさらけ出す、舞台の袖幕の内側。何も遠慮する事は無いのです。」
そう言うといつの間にかその手には虎の絵が掘り込まれた盃があり、それになみなみと酒を注いだ。そして水銀燈が喉を鳴らし見守る中でぐいと盃を傾ける。堪らず水銀燈は叫ぶ様に言った。
「待ちなさい!誰が飲まないなんて言ったの?」その声には普段相手を小馬鹿にするような猫なで声をする余裕も失っていた。言ってからしまったと気付いた時には遅かった。
ラプラスの歪んだ目が更に歪められる。「ふっふっふ、そうこなくては」
───完───
>>472のつづき
お。一つ開いたぞ。誰かな?蒼星石か。
ふふふ。鞄が他に3つもあるので驚いているね。あ、二つ目が少−し開いた。あのおどおどした感じは翠星石か。
修行に行っても直らなかったみたいだね。2人手を取り合いながら部屋を見回しているね。
あ。三つ目が開いた。翠星石、そんなに吃驚しなくてもいいのに。これではラプラス君が出てきた時に失神しそうだね。
出てきたのは金糸雀か。そういえば彼女たちは互いに面識が無いんだよな。お、自己紹介してる自己紹介してる。
金糸雀。自分のほうがお姉さんであることを一生懸命強調してるけど、その話し方と身なりじゃなぁ。
案の定、翠星石に舐められてるよ。…ありゃま。翠星石相変わらずの毒舌なんだな。
お、四つ目が開いた。真紅かな…、あぁ、雛苺か。遅刻者は真紅なのか。
ところでラプラス君はどこに行ったのだろう?
ん?あのテーブルの上の逆さに置かれたシルクハットはひょっとして…。
雛苺がシルクハットに気がついたようだ。無警戒に近寄っていく。
ぴょこっ♪シルクハットから兎の白くて長い耳が2本飛出した。翠星石はビクッとし、蒼星石は慌てて姉を支える。
一方、金糸雀と雛苺は好奇心に目をきらきらさせて兎の耳を見ている。
「そこのお嬢さん方。ちょっと耳を引っ張ってもらえますか?」
シルクハットが喋った。ラプラス君もなかなかの道化者だ。これから伝えようとしていることはとても残酷なことなのに。
金糸雀と雛苺が耳をひっぱると、ラプラス君が勢い良くばね仕掛けのように飛び出した。
途端に翠星石は孔雀のようなはしたない声で叫んでから気絶し、蒼星石は立ったまま硬直、
金糸雀と雛苺はキャッキャ、キャッキャとはしゃいでいる。タフな子達だね。
ラプラス君は彼女たちに驚かせた非礼を詫び、お茶とお菓子を振舞っている。どうでもいいが、なんでも出てくるんだなこの家は。便利だ。
彼は自分をお父様の使いの者であると自己紹介し、今日はお父様から重要なお話を預かっていると説明し始めた。
お父様と聞いて顔が綻ぶドールズ達。
しかし、話が進むにつれて、次第に顔が蒼褪めて来る。
それはそうだろう。アリスを目指してローザミスティカを奪い合えと言っているのだから。
…約1名、話を飲み込めてなさそうなのが居るが。大丈夫か?雛苺。
ラプラス君はアリスゲームについて次のようなルールを課した。
一つ、薔薇乙女はアリスを目指すことを至上とすべし。
一つ、薔薇乙女は勝負に際し、名に恥じない行動をとること。
シンプルだ。
ドールズ達の反応は…?ああ、まだ蒼褪めているね。ん?蒼星石が何か言っているね。
ふむ、それは本当にお父様の言葉なのか?とな。いい子だ。もっともな質問だよ。
さぁどうするつもりなのかなラプラス君はって、わぁ!吃驚した。急に後ろに現われないでおくれ。
何?そういうわけだから上のテラスに出て挨拶してくれって?シルエットで良かったんじゃないのか?
臨機応変でいきましょう?わかったよわかったよ。はぁ〜、弱ったな。顔を晒すと情が湧いちゃうじゃないか。
えっと、このドアで良かったかな。ほぅ、これはいい眺め。
あ。
ドールズ達と目が合ってしまった。そ、逸らせない。
皆、感無量といった目をしている。今にもこっちに飛んできそうだ。何とか機先を制しないと。
「金糸雀」
とりあえず、名を呼んだ。ドールズ達の動きが止まる。よしっ。
「翠星石、蒼星石、雛苺」
大人しくソファーに座ってくれた。さて、なんて言おうか。
「私はアリスを求め、お前たちを作った。お前たち一人一人は、私が心血を注いで作り上げた最高傑作の薔薇乙女だ。」
「しかし、それでもお前たちの誰一人、アリスにはなれなかった。」
ここでしばらく俯いて黙ってみる。ドールズ達が息を呑んでいるのがわかる。
「私だけの力では、アリスにはなれないのかもしれない。」
ここで嘘泣きしてみせる。あれ、私は本当に泣いているのか?
「アリスになれるのは一人だけ。」
「戦い抜いて生き残るだけの力をつけた薔薇乙女こそがアリスにふさわしいのかもしれない。」
「私は何て残酷な父親なのか。私はお前たちに過酷な試練を与えようとしている。」
「だが、戦い抜いて欲しい。そして勝ち残ってくれ。」
「敗北することは恥ではない。敗者は勝者の糧になって生きるのだ。」
「皆がアリスになれるのだ。」
思いつくまま言ってみた。少々支離滅裂気味のほうが意味深に聞こえていいかもしれない。
言い終わって、思いっきり溜息をついてから、もったいぶりながら背を向けて部屋を後にしてみた。
ドールズ達の様子を見ると、雛苺以外はがっくりとうなだれている。
…ちょっと、雛苺は幼く作りすぎたかもしれない。まぁ身をもって知ることになるだろう。
ラプラス君が親指を立ててウィンクしている。うまくいったと考えていいのかな。
彼がパチンと指を鳴らすと客間に大きな漆黒の穴が開き、うなだれているドールズ達を飲み込み
次の舞台へ送り去っていった。
さて、あとは遅刻者の真紅だ。あの娘が遅れるとはね。意外だ。
数刻後
ラプラス君と談笑していて、ふと思った。
よくよく考えてみると、今の私には伴侶が要らないかもしれない。
欲しかったのは私同様に寿命が無い者としての、伴侶、友人、等等。
彼と話をしてみて、どうも私はそういうことに疎かったというか、私のような存在は思いのほか多くいる。
異性の存在もいる。無限の時間を有するのだから、ゆっくり交遊を深めてみることだって出来るし、
今の私にはそういうモチベーションもある。
となると、果たしてアリスゲームの持つ意味は?ということになってしまう。
ただ、まったく無意味なことをしているという考えは無い。ドールズ達自身の成長が、ローザミスティカの
本来の力に対してどれだけ耐えうるのか、これは是非見届けたいという考えがある。
そこから、永遠のアリスとでもいうべき存在が誕生するなら、プラスにこそなれマイナスにはならない。悪い話ではない。
魂の成長は時に、こちらの想像をはるかに上回ることが多々ある。それを見てみたい。
また、自ら人形たちの神になって、アダムともいえる存在を他方で作るというのも面白いかもしれない。
…今のところ美少年にとても興味を持てそうに無いから、実行には移さない…かな?
ようやく、真紅の鞄が飛んできた。先の4人と同様に客間に通し、ラプラス君が説明する。
一度は蒼褪めた真紅だったが、すぐ毅然とした態度で「お父様に会わせて」と迫ってきた。
そこで、真紅一人だったので、特別サービスで直接客間に降りて、話をしてやった。
真紅はボロボロ涙を流しながらも「お父様がそうおっしゃるのなら」と納得したようだ。
さすがに、少し胸が痛んだ。でも頑張って欲しい。彼女は現状では有力候補No.1だな。
ただ、個人的には水銀鐙にこそ、アリスになってほしい。一作目というのは思い入れが非常に大きいものなのだ。
ラプラス君はいよいよ面白くなってきましたねと、ご機嫌だ。
さらに、忙しい身だが、是非ゲームキーパーもやらせて欲しいとまで申し出てきた。
そうだね。そこまでやってもらえるならお任せしよう。
ゲームが始まったら逐一連絡してもらうようお願いして、別れた。
今日からこの屋敷が私の工房だ。
さぁ第7ドール練成の研究を始めるとしよう。
もちろん、暇を見て水銀鐙の探索も自分でしてみよう。
ようやくオーベルテューレに追いついたw
数十年後
私がそもそも不老不死の身体を手に入れたのは、真理を追究するのに人間の寿命はあまりにも短すぎたからだ。
当時持っていたそこそこの社会的な地位で集められる限りの材料を集め、研究に没頭していた。
結果として不老不死の身体を手に入れたが、それと引き換えに財産のほとんどを失ってしまっていた。
それからの私は、研究を続けていくために、資金繰りに奔走した。錬金術の研究にはあまりに膨大なお金が必要だったのだ。
研究のために、事業を始めたり、時の権力者に取り入ったりして、資金を集めた。
時には、スポンサーのご機嫌伺いに時間を取られ、なかなか研究が進まず、悶々とした日々を過ごした時代もあった。
その後訪れた魔女裁判の嵐がヨーロッパを席捲した時などは、生き延びるのにも必死だった。
私が手に入れた不老不死は、寿命が無くなり若返るだけのもの。
首をはねられるなど、身体に重大な損傷を与えられれば、並みの人間同様に死んでしまう。
拷問を受け、あわや折角錬金術で手に入れた不老不死の身体を失いかけもした。
結局は狂人の振りをして難を逃れたが、あれ以来、徹底的に人間が嫌いになってしまった。
槐君という弟子が来たのはちょうどそのころだったか。
世間知に通じ、便利な男だったので、彼にも不老不死の術を施し対外的なことは全て彼に任せてきた。
彼が居る間は実に順調に研究も進んだ。良き日々だった。
そんな良い時代も、私の気まぐれで無くしてしまったわけだが。
しかし、今、nのフィールドに居を構えてからは、状況が変わってきている。
物質界に縛られてきた今までと違い、いつでもこの薔薇工房に戻ることが出来る。
今まで逃げ場を確保するにも苦労してきたが、今はいつでも逃げられるのだ。
そんな余裕のおかげか、私の価値観も変わってきた。
今まで錬金術一筋に没頭してきたが、今は全てのことに好奇心が向く。全てが探求の対象だ。これは面白い。
また、最近は素直に人と話をし、議論するのも楽しくなってきている。
議論というよりは、私はただ相手の話を静かに聞いているだけなのだが。
ただ、人の話を聞いたほうが、効率よく物事を学べることが多いことに、今更ながら気が付いたのだ。
今までの自分では考えられない価値観だ。槐君のおかげかもしれない。
今とても楽しいのは、市井の人に交わって生活をし、日々の疑問を解いていくこと。
物質界では、特技を生かして時計職人や宝飾品の職人をやっている。
地味だから目立たないし、多少偏屈でも職人ということで許容されるからだ。
ラプラス君からは次はどこでアリスゲームが始まるかを、逐一連絡してもらっている。
連絡が入るとすぐに、その舞台となっている国や町のことを調べ、それに適した格好と家財道具一式を揃えて出かける。
そして、その町に引っ越して生活しながら、日々の問題を解いていき、ついでにアリスゲームの監視もするのだ。
一石二鳥。実に充実している。
さて、今度の舞台は大英帝国のロンドンだ。さっそく道具を準備し、衣装も整え、出かける。
ここで難しいのは、貧乏すぎず、裕福すぎずの度合いだ。このさじ加減を間違えるとなかなか予定の場所に住み着けない。
今回はこんなものでいいか。よし出かけよう。
今回は無難に時計職人になりきることにした。幸いにも、その町には他に時計職人が居なかったのだ。
町の広場の片隅の空家を借り、そこそこに内装を改装し、時計屋を開業した。
そこそこの需要があったのか、毎日誰かしら尋ねてきては時計の修理を頼まれる。
時折、懐中時計を買ってくれる人もいるが、たいていは無難なデザインの物で、私の入魂の作品、薔薇の意匠を施したのはなかなか売れないのが残念だ。
それはそれとして。アリスゲームはもう始まったのかな?
ラプラス君によれば、既にこの時代に翠星石、蒼星石、真紅が集まってきているという話だが。
3日後
真紅が入ったらしい家を発見。私の店からさほど離れていない。
姿は見えずとも、近くにローザミスティカがあれば私はその力を感知することができる。間違いない。これは真紅のローザミスティカだ。
なかなか裕福な家に入ったな。
翠星石と蒼星石は同じ場所から力を感じる。ふふ。いつも2人で行動しているんだね。双子だからねぇ。
ミーディアムはどうもあの鼻持ちならない貴族のようだ。
噂では人形を集める趣味があるらしいのだが、一度店に来た時の印象からは同好の士といった共感は得られなかった。
いつの時代も貴族は嫌な奴らが多い。まぁ、私だって元は貴族なのだけれど。
3日後夜
外で強い力を感じる。いよいよアリスゲームが始まったか?2つのローザミスティカの力を感じる。
これは、蒼星石と真紅か。どれどれこっそり見てやろうではないか。
外に出ると、広場から何かが激突する音が響き渡る。
もっとよく見てみよう広場へ行ってみたら、いきなり目の前で井戸が壊れた。あーあ。明日からどうやって水を汲めばいいのだ。
いや、そんなことよりも。蒼星石と真紅が激しく空中戦を繰り広げている。
まだ、互いに様子見といった感じだが、かなり本気で闘っているように見えるのは、2人の性格故か。
以前、翠星石と真紅が対峙した時は、全く戦いにならなかったからな。
根が真面目なんだねあの2人。
何か言葉で牽制しあっているね。ふーむ。真紅ってあんなに傲慢だったっけ?あれじゃまるで私の嫌いな貴族の女ではないか。
ちょっと私の中でのランキングを落ちてしまうなぁ。勝負だから仕方ないかなー。
可愛い子に旅をさせると、どんなふうに成長してしまうか分からないところが面白いなぁ。
あ、翠星石が乱入した。あらら。戦いを止めさせちゃったよ。続きはまた今度かな。
さて、戻るか。少し冷えた。温かい紅茶でも飲んで寝るか。
ん?何か、今、呼ばれたような気がするが…。
気のせい…、かな?
翌早朝
寝ている間ずっと、か細い、か弱い乙女のような声で「お 父 様」と呼ばれ続けた気がする。
もしや…。ひょっとして、ひょっとすると水銀鐙なのかもしれない。
とてもか弱い力だが、ローザミスティカじゃないが、懐かしい気配をこの時代に感じる。しかも、気配が近い。
よし。今日は店を休業して、nのフィールドから水銀鐙を探してみよう。
1時間後
いきなり見つけた。真紅のところにいた。あの髪といい、あの服といい、間違いない。彼女だ。
すぐにでも飛び出して行って抱きしめてやりたい衝動に駆られたが、今出てしまうと真紅にも遭遇してしまう。
アリスになるまで会わない約束をした以上、まだ会うわけにはいかない。
チャンスを窺がって連れ去ってみよう。
その日の昼
昼になって、閉店の札をかけているにもかかわらず、戸をノックされた。
誰かと思って渋々開けてみると、なんと槐君ではないか。後ろには人間の格好をしたラプラス君もいる。
どうでもいいけど、なんか面白い格好しているねラプラス君。
ところで何の用かな?まさかと思うけど時計を直して欲しいとか。
…ンなわけないか。で?何?
ふんふん。まだ7体目が出来上がっていなくて、参考までにドールズ達を見せて欲しいと。
それは構わないけど…、今アリスゲームが始まっちゃってこっちとしても手を出せないんだよね。
えーと、この時代には翠星…、え?そこまで言わなくてもいい?どうして?
師の力は借りないって?君も意地っ張りだなぁ。
え?そうじゃない?槐君自身もアリスゲームに参加しているつもりなんだって?
ズルしたら面白くないから、自力で探すんだって?そういうもんかねぇ。
ん。分かった。ドールズ達に接触するのは別に構わないよ。うん。
せっかく来たんだ。お茶でも飲んでいきなよ。
最近料理にも凝っていてね。スコーンを焼いてみたんだ。
あ?謹んでお断りいたします?おぉぉい。待ってくれよ。
何故かローゼンの声が若本ボイスで再生されるww
夕方
ずっと手鏡を通して、真紅が居る部屋を観察している。
素晴らしい。ローザミスティカ無しであそこまで水銀鐙が動けているとは。
いやいや。そんなことよりも。
水銀鐙が可愛過ぎる。あのなよなよっぷり。おしとやかさ。はかなさ。
男の父性愛を刺激して余りある。あれこそまさにアリスに求められた資質ではないか。
しかも、そこまで、私のことを一途に思い続けていたなんて。
彼女には是非アリスになってもらいたい。彼女こそアリスの中枢になるべき存在だ。
なんとかして彼女にローザミスティカを渡してやりたい。
さて、どうしたものか。
翌日
驚いた。真紅が、水銀鐙に歩行訓練を施している。口調は高慢なあの娘だが、根は優しいのだな。
しかし、その優しさも、水銀鐙を同じ薔薇乙女と見なして対等な立場からの優しさならいいのだが。
さてさて、どうなることやら。しかし、なかなかチャンスが来ないね。
翌々日
紅茶の入れ方まで教えている。教え方が上手いな真紅は。褒め方も上手い。
でも気のせいかな。まるでペットをしつけるような優しさのように見えるのは。
あぁぁ。いい。その笑顔いいよ、水銀鐙。お父さんは痺れた。守ってやりたいその笑顔。
やはりお前こそが最高傑作。今更ながら、早くお前を完成させなかったことが悔やまれる。
3日後
水銀鐙、だいぶ歩けるようになったね。真紅の辛抱強い訓練のおかげだ。
しかし、水銀鐙にお礼を言われた時の真紅の表情が気になる。
真紅は水銀鐙を同じ薔薇乙女と思っていないのかもしれないな。相手を対等に見た同情ではないようだし。
これは後でトラブルになるな。大人のようで、まだまだ真紅も子どもなのかもしれない。あ、子どもか。
その晩 蒼星石のフィールドにて
お、決闘か。真紅と蒼星石。今度はnのフィールドでやるんだな。賢明な判断だ。
物質世界でやると被害が大きいからな。2人ともミーディアムを連れて来ないでやるのか。
力を100%出せない上に制限時間ができるぞ。
さて、今のうちに水銀鐙を回収するか。
サラの部屋にて
ここがサラの部屋だな。ちょいと失礼しますよ。
確か、あの鞄の中にいるはず。ちょっとドキドキするな。
水銀鐙、ちょっとごめんね。
あれ?水銀鐙が居ない?
あ!!nのフィールドの扉が開けっ放し。駄目じゃん。出したものは入れる。開けたら閉める。これ職人の鉄則よ。
ってそんなこと言ってる場合ではない。あの娘も決闘の場に行ったのか?!
早く戻らねば!
再び蒼星石のフィールドにて
あ。3人御対面。水銀鐙が一生懸命自己紹介している。
あああ。今この時だけ、アリスゲームをやらせた自分を自分でぶん殴ってやりたい。
彼女はまだ何も知らないのだね。真紅も何も教えていないのだね。
今やっと真紅の考えがわかった。そういうことだったんだな。あの娘なりの水銀燈への思いやり、姉妹への愛だったんだな。
あ、蒼星石!
(…絶句)
蒼星石…。君、空気読めなさすぎ。
ああ。真紅まで。本人を前にそんなことを言うのか。冥土の土産に絶望を贈るのか。
待ってろ!水銀鐙!今、父さんが助けてやるから!
今晩はここまでと致します。
リアルタイムktkr
近頃これが楽しみで仕方ない
ダメだこりゃ
ぷ
水銀燈の場合
水「あら、だぁれぇ?私のお尻を撫で回すおばかさんはぁ?」
と言いながら痴漢の腕をつかむ。
水「ふぅん、貴女なの?良い度胸してるわねw」
痴「な、何だね気味はいきなり?!」
水「私は水銀燈。闇を纏わされ、逆十字(ry」
痴「と、ともかく離しなさい!私は何もしていない!!」
水「やぁよ、次の駅で降りなさぁい。ズタズタのジャンクにしてあげるわぁw」
痴「\(^o^)/」
痴漢、次の駅のホームでボコボコにされ、自白し、現行犯逮捕。
金糸雀の場合
金「うぅ、お尻が誰かにまさちゅーせっちゅーかしら・・・」
金糸雀、痴漢の顔を見る
金「あ、あなたかしら・・・や・・・やめてほしいかしらー(涙目)」
痴「(ニヤニヤ)」
痴漢、金糸雀の尻を揉みだす。
金「やぁ・・・やめてぇ・・・。ぐす・・・ピ、ピチカートォ・・・。」
ピ「おぅてめぇ、ウチの姉さんに何さらしとんじゃこるぁ(巻き舌)」
痴漢を鷲掴む
痴「お、お連れ様がいらしたのですか(;゜д゜)」
金「あ・・・ありがとうかしら、ピチカート」
ピ「なぁにお安い御用でさぁ。・・・おぅてめぇ次の駅で降りろや。」
痴「\(^o^)/」
痴漢の行方は、誰も知らない。 by茶川龍之介
翠星石の場合
翠「(むっ・・・この手は・・・痴漢ですか?!)」
とりあえず触らしておく
翠「(翠星石を痴漢するなんて中々見る目がある奴ですぅ♪
でもこのまま触らせておくのも癪ですしねぇ・・・。)」
とりあえず、痴漢の腕をつかむ。
痴「(?!騒がれるか?)」
翠「(とりあえず、顔を見てみるですぅ。どんな奴が触ってたかによって反応を変えてみるです。)」
翠星石振り向く
ルート1(相手がジャニーズ系のイケメンだったら)
※「イケメソがそんなことするわけ無いだろwwww」とは突っ込まないで頂きたい。※
翠「(結構良い男ですぅw)あ、あのぅ・・・」
痴「はい?」
翠星石指の先を咥えながら言う
翠「そ、そのぅ・・・やめてほしぃですぅ」(かなり小声)
痴「(モ、モエ━━━━━(;゜∀゜)━━━━━!!)な、何のことですか?」
翠「い、今なら黙っててやるですぅ・・・。そのかわりぃ・・・。」
痴「そ、その代わり・・・?」
翠「ご・・・五万円よこすですぅ・・・」
痴「(・・・背に腹は代えられないか・・・)・・・・。」
痴漢、黙って五万円出す。
翠「ありがとですぅ♪これからもよろしくですぅ♪」
その後翠星石に搾るだけ金を搾り出されて、イケメン借金地獄。
893に連れ去られるとき漏らした一言。
痴「\(^o^)/」
ルート2(相手がオレみたいだったら)
翠「・・・!!」・・・・痴漢の腕を360゜回す。
痴「いっでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
周囲「なんだ、どうした?」
ザワ・・・ザワ・・・
翠「そいつ痴漢ですぅ!!今すぐ捕まえてくれですぅ!!」
痴「ひぃぃぃぃいい!!」
痴漢、必死に逃げる
翠「逃がすかですぅ!!翠星石が好きな奴!!
翠星石のサインが欲しけりゃあいつをとっ捕まえてボコボコにしろですぅ!」
翠星石ファン「オォーーーーーーー!!!」
痴「アッーーーー!!」
その後痴漢が五体不満足になって翠星石が警察に「やりすぎwwww」と言われ、
痴漢は不起訴となり、翠星石が書類送検されたのは、また別のお話。
蒼星石の場合
(1)相手が普通の親父の場合
蒼「!!(うわぁ・・・痴漢だぁ・・・どうしよう・・・)」
蒼星石、触られながら対応を考える。
蒼「(こ、ここは勇気出さなきゃ・・・、この人には悪いけど・・・。)」
痴漢の腕をそっと掴む。
蒼「あの・・・やめてくれませんか・・・・・・。」
痴「えっ、何の話だね?」
蒼「そのぉ・・・僕の体を、触らないでくれますか・・・。」(かなり赤面)
痴「人違いです!何を言ってるんだ?!」
蒼「そんなぁ・・・、あなた確かに僕の体をぉ・・・」(涙目)
痴「名誉毀損で訴えるぞ!!」
しばし沈黙
偶然にも痴漢と蒼星石が降りる駅が一緒だったので一緒に降りる。
2人はホームで向き合う。ちなみに蒼星石は泣き出した。
蒼「えぐっ・・・えぐっ・・・」
痴「大体なんで私が男みたいな女を痴漢しなけりゃいけないんだ」(←ホントは筋金入りのショタコン)
蒼「えっ・・・?」
痴「だから、貴女みたいな男みたいな女、私の興味には入らないんだよ!!」
蒼「僕が・・・男みたい・・・だって・・・?」
痴「何ですか?文句ありますか?w」
蒼「・・・・・・・・・・・・・・。」(唇を噛み締める)
痴「大体自分が『痴漢に遭ってる』なんて自意識過剰もいいところなんだよ!
そんなことして、私から慰謝料踏んだくろうって考えかね?!」
蒼「・・・!!」(ローゼン特別編でブローチ壊されて水銀燈にキレる真紅みたいな顔になる。)
痴「ふんっ・・・。まぁ今回のところは許してあげますよ。私も急いでるんでね・・・。」
蒼「・・・・・・待て。」
痴漢の腕を乱暴に掴む。
痴「何をするんだ!傷害罪で訴えるぞ!!」
―――――――バキッ――――――
蒼星石痴漢に右ストレート。
痴「ぐはぁ!き、貴様〜!とうとう私を殴ったな!!訴えてやるぞ!!訴えてやるぞ!!」
蒼「・・・何とでも言え・・・。」
痴漢・・・蒼星石の目つきに怯む。
その怯んだ痴漢の胸倉を掴む。
蒼「僕は傷ついた・・・。お前は・・・その痛みの1/10でも・・・味あわせてやる・・・。」
痴「ふ・・・ふふん。やりたければやるがいい。
君のようなはねっ返りを抹殺することなど、造作も無いんだw」
――――――√-―――――――(何かが切れた音)
蒼「お前のような奴がいるから!!世の中が腐っていくんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
蒼星石、痴漢に往復ビンタ。痴漢10発目辺りから気絶。
その後蒼星石は駅員に取り押さえられる。
警察に蒼星石のファンがいる為、警察は蒼星石に味方し痴漢の言い分は真っ向から否定。
痴漢は弁護士を通して裁判を起すが当時の状況、蒼星石の言い分・萌え度、目撃者等から
蒼星石は無罪になり、痴漢は控訴されるが、それはまた別のお話。
(2)相手が元治の場合
蒼「!!(うわぁ・・・痴漢だぁ・・・どうしよう・・・)」
蒼星石、触られながら対応を考える。
蒼「(こ、ここは勇気出さなきゃ・・・、この人には悪いけど・・・。)」
痴漢の腕をそっと掴む。
蒼「あの・・・悪いですけどやm「カズキィィィィィィィィイーーーーーー!!!」
元治襲い掛かる
蒼「ひぃぃぃいいぃぃぃぃぃいい!!」
蒼星石、元治を振りほどいて必死に逃げる
元「なぜだ!!何故逃げるカズキ!!カズキィィィィ!!!」
二人の追いかけっこが終了したのを見たものはいるんだろうか。
真紅の場合
紅「あら?何かしらこの手は?」
真紅、痴漢の腕を135゜回転させる。
痴「いいっでででででででで!!」
紅「全く・・・いきなり知らないレディのお尻を撫でるなんて・・・。
本当に人間のオスは下劣の屑ね。」
痴「いてで゛でで゛て!!俺何もしてねぇよ!!離せよぉ!!」
紅「あら?まだしらばくれるつもり?」
真紅、表情一つ変えずに痴漢の腕を更に15゜回す。
痴「うぎゃあぁぁぁあああ、ぼっ、僕がやりましたぁ!僕が触りましたぁぁぁあああ!!!」
紅「いい子ね・・・。少し大人しくして頂戴。」 ゴキッ
痴漢の腕をそのまた更に30゜回転。
そのまま痛みで痴漢気絶。
その後痴漢を鉄道警備隊にひこじりながら運ぶ真紅。
警「ホントにあなた痴漢にあったのですか?」
紅「どういう意味?」
警「だって、あなた、この人気絶してますし、それに私だったら貴女を痴漢しないなぁ」
紅「あら、どうして?」
警「 胸 が 無 い で す も ん 。」
真紅にっこり笑う。そしてそのままツインテールビンタ。
警備隊員、打ち所が悪かったらしく、そのまま気絶。
紅「やっぱり人間のオスは想像以上に下劣なのだわ。あらいけない。
8時を2分も回ってしまったわ。学校遅刻なのだわ」
その後駅事務室で2人の男が気絶していたのを発見されたのは大分後の事だそうだ。
雛苺の場合
雛「・・・・ふぃ?」
雛苺痴漢の顔を見る。
雛「何してるの〜?」
痴「な、何ですか?」
雛「何で雛のお尻触るの〜?」(電車内で空気の読めない奴くらいの声)
痴「はっ!?いや・・・その・・・何を・・・。」
雛「何でなの〜?」
周囲の視線が痴漢に集中する。
ザワ・・・
ザワ・・・ ザワ・・・
周1「えっ・・・何?痴漢?」 ザワ・・・
周2「うっそ〜、あの人いつも見る顔じゃーん」
周3「ひっでー、あんな子供に・・・」ザワ・・・
ザワ・・・
ザワ・・・
痴「ちっ、違う!!俺はそんな事しない!!」
痴漢、雛苺のほうを見る
痴「とっ、取り消せよあんた!俺は何もしてないだろ?なっ?」
雛「うゅ・・・でも確かにその手だったの〜」
痴「なっ・・・!どこにそんな証拠があるんだよ!!(怒号と憤怒の表情)」
雛「ひっ・・・!確かに・・・ひっく・・・その・・・スーツの・・ひぐっ・・・・色だった・・・の・・・(涙声&涙目)」
周4「へへっ、痴漢が悪足掻きしてるぜw」
痴「うぅっ・・・・黙れ黙れ黙れだまれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
痴漢腕を振り上げ、その腕を雛苺目掛けて振り下ろす。
雛「ひやぁぁぁぁぁぁ!!」
雛苺目を瞑る。しかし腕の衝撃は襲ってこない。
雛「・・・ほぇ?」
そこには痴漢の手首を今にも千切らんとばかりに強く握り締める巴の姿。
巴「何事にも潮時はあると言うもの・・・」
雛「トゥモエ!!」
痴「くうっ!!なんだてめぇは!!」
巴「もう大丈夫よ雛苺・・・。」
雛「トゥモエ・・・なんでここに?」
痴「誰だ誰なんだよあんた!!」
巴「だって今日は練習試合なんだもん。そんで
電車で移動してたら、あー雛苺だーってん感じで」
痴「俺を無視して挟んで会話すんじゃねえ!!」
巴「うるさいなぁ。誰か、こいつを放り出して。」
他の部員「はいっ!!」
痴漢、男子部員に持ち上げられる。痴漢は抵抗できないまま走行中の電車の窓から放り出された。
その後すぐに雛苺たちの乗った電車と新幹線がすれ違ったが、痴漢の安否は分かってない。
雪華綺晶の場合
痴「(でへへっ・・・今日はどいつを喰らうかな・・・?)」
痴漢、雪華綺晶を見つける。
痴「(おっ、あいつは大人しそうだな・・・。あいつで行くかw)」
痴漢、雪華綺晶に近づき雪華綺晶の腰を撫でる。
痴「(・・・ちょっと顔がみえねぇがぜってー美人だ!おらの目に狂いはねぇ!)」
雪「(・・・痴漢・・・)」
その後も触り続ける痴漢。そしてどっかの駅で痴漢降りる。
痴「ふー大人しくしてくれてたぜー。途中で手首の感覚なくなるほどの
撫でたしなー。本当に今までよくやってくれるよな・・この黄金の左t」
痴漢自分の左腕を見て絶句する。
それもその筈痴漢の手は指先から手首の真ん中辺りからが無くなっていた。
痴「うぎゃあああああああああ!!!俺の手がないぃぃぃいいいいいぃ!!!!」
場所は変わって桜田家
雪「ゲェップ」
紅「汚いのだわ。淑女たるもの他人の目の前で口も塞がないで
ゲップをするなんて下品極まりないのだわ。」
雪「・・・ごめん。」
紅「行く途中、何か食べてきたの?」
雪「・・・うん・・・。まずい・・・レア肉を・・・ね。」
紅「朝から?」
逆に喰われた痴漢であった。
ピチカートが男過ぎる件
なんかいいw
?「この星の生命体の調査結果が出ました。これは由々しき事態です。
文明レベルは低くとも、生命体単体の力は我々を上回っております。」
?「そうか。ならばサンプルは元の場所に帰し、本隊にこの星の侵略は
やめた方が良いと報告した方が良いな。」
水銀燈「はぁ? 一体何だったのぉ?」
雪華綺晶「わっからな〜い。」
この二人のおかげで地球が救われた事を知る物はいない
1年ぶりくらいに来て見たけど
久しぶりに書いた短編投下してみようかなぁ。
512 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 23:13:56 ID:cJ3aqxci
久しぶりに書いたものだから
どうかわからないけど一応投下
オイラ的トロイメントの後日話
街が夕暮れに染まる。
桜田家のリビングのソファで、夕陽を浴びて眠り続ける蒼星石と雛苺。
ジュンものりも未だ家には戻らず、ただひとり、たおやかな静寂の中で、翠星石は二人に語りかける。
「いつまで眠っているつもりですか、蒼星石?ちび苺?」
それは祈りにも似た彼女の言葉。
何度も、何度も問いかけた、決して答えを聞く事はない問いを、翠星石は繰り返す。
二人のためにしてあげたい色々な事柄を、翠星石は取りとめも無く語り続ける。
眠り続ける蒼星石に聞こえることなどないと知りつつも、いつか心を呼び覚ます事が出来るかもしれない、
そんな小さな願いを込めて彼女は静かに話し続ける。
翠星石は眠る二人の夢の中に訪問しようとした事もある。
夢はどこかできっと心に繋がっていると信じて、二人を探そうと思ったのだ。
その訪問はいつも失敗に終っているのだが、翠星石はどんな小さなことでも、二人のために出来る事をしてあげたかった。
二人はどこか冷たい場所で眠っているのかもしれない、だとしたら、二人が安らげる所を見つけなければならない、
そんな思いが翠星石を蒼星石の夢の中に誘った。
そこは草原だった。
はるかに続く草の海に伸びる一本の大樹の下、二人はその木陰の中で静かに眠っていた。
しばらくの間、安息の世界の中で眠る二人を見ていた翠星石は、やがて静かに声をかける。
「……二人とも、こんなところで眠っていたですか」
問いかけても決して返らない返事を待ちながら、蒼星石と雛苺の傍らに翠星石はうずくまる。
長い沈黙の世界の上を、風はゆるやかに流れてゆく。
「……ふたりとも、ずるいです」
思い出がほろ苦く翠星石の心にのしかかり、独りのさびしさに耐えられず翠星石は膝の中に顔をうずめると、
こらえ切れずにこぼれた涙が、頬をすっと伝わっていく。
「翠星石を置き去りにするんじゃねぇ……です…」
ふと、翠星石の手になにかが触れた。かすかに感じる懐かしい感覚に顔を上げる翠星石。
傍らの蒼星石に目を向けると、眠る蒼星石の口元に微笑みが浮かんでいる。
「蒼星石…?」
泣き腫らした翠星石の真剣な眼差しに、蒼星石はたまりかねた様に吹き出した。
「ぷっ…ははははは!」
何が起こったのか解らずに、目をこすりながらきょとんとする翠星石を見て、お腹を抱えて笑う蒼星石。
そして、そんな翠星石の頬をなでながら、雛苺のちいさな手が背中越しに伸び、
涙に濡れていた彼女の瞳にそっと目隠しをする。
「翠星石は泣き虫さんなの」
「…ちび苺……?」
風が木の葉をゆらすような、やわらかな時間が流れていく。
今起きている事を、翠星石はようやく理解した。
驚きの表情は喜びの表情に変わり、
やがてからかわれていた事に対する非難と笑顔が入り混じったような表情で、
言葉にならない自分の思いを言葉にして紡ぎ出す。
「あー!嘘寝してたですか!蒼星石!ちび苺!」
蒼星石は立ち上がって草を払うと、帽子を被りなおして翠星石に笑いかける。
いつもの屈託の無い笑顔が翠星石の瞳の中に映る。
「僕がきみを置いて居なくなるなんて、ある訳ないだろ」
3人のはしゃぎ声が草原一杯に澄み渡る。
「待つですー、二人とも、もう絶対逃がさないですーー!」
「いやだよ、だって翠星石は小言がすごく長いじゃないか」
青空がやさしい母のように少女たちを見守る中で、いつ果てるとも知れない鬼ごっこは続く。
翠星石は蒼星石を信じる事に決めた。
蒼星石はどこにも行かない、絶対どこにも行かせない。
きっと、翠星石の傍で真紅やジュンと一緒に、楽しく過ごしていたあの日々に帰れる、と。
春になればこの草原いっぱいの花が咲いて、そして、そしていつかみんなで……
それは彼女のささやかな願い―――
「んふ……ふふ…」
誰もいない桜田家のリビングで、夢にまどろむ翠星石。
蒼星石に寄りかかりながら、雛苺をその胸に抱いて翠星石は眠っていた。
二人の手をしっかりと握りながら、頬にかすかな笑みを浮かべて翠星石は泣いている。
彼女の気持ちなど知らずに眠り続ける蒼星石と雛苺。
翠星石の頬に伝わる涙の筋を、夜更けの月が静かに照らしていた。
蒼星石……
蒼星石……
こんな幸せを守るために
翠星石は何をすれば良かったのですか……
了
>>493のつづき
絶望のフィールドにて
水銀燈!水銀燈!
いったいどこに沈んでしまったのか…。
落ち着け。よく探すんだ。確かあの辺に…。
いた。あそこだ。水底の絶望の澱みに埋もれかかっている。
あぁ。なんということだ。力がどんどん失われている。早く何とかしなければ。
そ、そうだ。彼女のローザミスティカを。
ほっ。間に合ったようだ。
かろうじて彼女の魂は繋ぎとめられたようだ。
彼女は私を見て微かに微笑んだが、すぐに意識を失ってしまった。
せっかくのドレスも無残に胴体で引き裂かれてしまっている。
これも直してやらないとな。
よし、とにかく彼女を工房に連れて帰ろう。
工房にて
今までサボっていた自分が恨めしい。
復元した腹部を填め込もうとしたのだが、これまで作ったもの全てが合わない。
仕方ない。間に合わせで心苦しいが、コルセットで何とかしよう。
ただし、水銀燈専用の特製コルセットだ。
上半身と下半身を強固に繋ぎとめ、彼女の意思で自在に屈伸できるし回すこともできる。
動力については、新しい発条機構を取り付けた。モードを切り替えれば、契約者以外も無差別に供給源にすることができる。
あと、真紅につけた時間の螺子を巻き戻す能力も付けておこう。
これで生き残る確率は高まるはずだ。
さぁ。螺子を巻こう。
水銀燈。水銀燈。私だ。分かるか?
「お…と…う…さ…ま…?」
そうだ。父さんはここにいるぞ。
「お とうさま…、お とう さま…」
彼女の言葉に応え、その身体をそっと抱き起こしてやった。
水銀燈。済まなかった。辛い思いをさせたね。
「う…ううぅっ…ううううううう」
ずっと探し続けてくれたんだね。私もお前のことをずっと思い続けてきたんだよ。片時も忘れたことなどなかったよ。
「うう、うあ、あ、あ…。うあああああああああああああああああん!うあああああああああああああああああん!」
よし。よしよし。寂しかったなぁ。辛かったなぁ。
泣きじゃくる彼女をしっかりと抱き締めてやると、彼女も私の首にしがみついてきた。
「お父様、ひっく、何故、私は、っく、作りかけ、なんですか?ひっく」
水銀燈。確かにお前は作りかけだ。でもそれはね。お前が一番手間暇かけて作られているからなんだ。
他の姉妹に比べても、本当にじっくりとよく吟味しながら作っていたんだ。
でもあの日行き違いがあって、お前は私を探して出て行ってしまった。不幸なすれ違いがあっただけなんだ。
私も、未完成のままのお前が自力で動いて何処かへ行ってしまってから、お前のことが心配で心配で。
お前のことを忘れた日は無かったよ。
でも良かった。本当に、再会できて良かった。
「本当?…ひっく、でも、水銀燈は、うぅぅ、ローゼンメイデンじゃぁないでずよ?グスッ」
そうか。真紅に言われたんだね。
いや、水銀燈。お前はローゼンメイデンだとも。正真正銘の、ローゼンメイデン第一ドールだよ。
作った私が言うんだから間違いないよ。
「でもぉ、ひっく、水銀燈には、ローザミスティカが無い、のよ?」
水銀燈、胸に手を当ててごらん。そう、引っ張り上げるように。ほら、出てきた。それがお前のローザミスティカだよ。
「これが、私の、ローザミスティカ。…きれい…」
そう。お前にもあるんだよ、ローザミスティカが。良かったな。良かったな。
泣き止んだところで、涙を拭いてやり、身だしなみを整えてやった。
目の前に佇む水銀燈は、思わず息を呑むほどの美しさだった。思わず顔がほころぶ。
水銀燈、とても綺麗だよ。
頬を赤らめている。可憐だ…。
水銀燈にお茶を出してやろうとしたら、自分が入れるといって台所に行ってしまった。
本当にいい娘だ。だから、アリスゲームの話をするのは躊躇われた。彼女に闘いは向いていないかもしれないから。
このままずっと側にいて欲しい気もする。あぁっ。どうしよう。新しくつけた発条機構だって、使わずに済むならそれで済ませたい。
水銀燈がお茶を運んできてくれた。真紅仕込みの美味しいお茶だ。
美味しいよ水銀燈。お茶を入れるのが上手だね。
また、顔を赤らめている。くぅーーっ。可愛い。
こんな時間が永遠に続けばなーと思った時、水銀燈の口から、嫌な話題を振られた。
「お父様。アリスゲームとは何でしょうか?」
ああ。答えるしかないよな。彼女は蒼星石と真紅の闘いを見ている。
水銀燈。これからお父さんが話すことは、水銀燈にとってとても辛い話になるかもしれない。
お父さんも、水銀燈にこんな話をしなければならないのはとても辛い。
でも、アリスゲームはローゼンメイデンの宿命。
水銀燈も、晴れてローゼンメイデンとなった以上、他の姉妹と同じ闘いの舞台に上ってしまったことになるんだよ。
「闘う?闘うって、何故闘わなければなら無いのですか?」
至高の少女、アリスになるためだよ。
おまえには全てを話そう、水銀燈。
もう100年以上前になるか。私は賢者の石、命の石とも呼ばれているローザミスティカの精製に成功した。
そしてそれを使って私の生涯の伴侶となる至高の少女を作り出そうとしたんだ。
そして、私の全てを込めて作り上げたのが水銀燈、お前だ。
ローザミスティカを埋め込んだお前は、魂を受肉し、この世に生を受けて動き出した。
アリス誕生は成功したと確信した。しかし。
お前の身体はローザミスティカの力に耐えられず、腹部を破裂させてしまったのだ。
その後はローザミスティカを7つに割ることで力を弱め、試験的にもう一体、またもう一体とローザンメイデンを作り、
問題なく動くかどうかを試してきたよ。その時作られたのが、蒼星石や真紅といった姉妹たちだ。
さて、7つに割ったローザミスティカだが、やはりアリスになるためにはもとの一つに戻らなければなら無い。
しかし、今のドールズたちでは1つのローザミスティカを受け入れるだけの器はない。
そこで、互いを競い合い、磨きあい、力をつけて、敗者は勝者の糧になり、最後に残ったドールであれば
元のローザミスティカを受け入れられると考えたのだ。
そしてそのドールこそがアリスになれると。
「至高の少女…、アリス…」
今晩はここまで。
>>513-518 翠星石の甘く切ない夢に、ちょっと泣けますた。
GJです。
うっしゃぁ、ひさしぶりのSSで3人泣かしたぞw
5人いったらエースなんだけどなー(笑
526 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/27(金) 01:06:22 ID:Cb+tIhWk
naita
528 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 01:02:57 ID:S0f+zNjY
期待age
530 :
ひみつの検疫さん:2024/12/24(火) 01:55:20 ID:MarkedRes
汚染を除去しました。
531 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 19:12:20 ID:8xxdycuE
>>529意味わかんねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
やべ、書く気失せた
おー、エース達成!
ノリノリで書いてた昔にゃ、こう言うことはなかったなぁ。
そんじゃぁ、おいらがもう一つ小品をかいときまっしょうw
墓標
そこは廃墟じみた洋館の庭園だった。
この薔薇の花園から人影が消えて久しい。
かつては綺麗に咲き乱れていたであろう、薔薇の樹木は手入れもされずに
思い思いの方向に枝を伸ばし、絡み合った蔦が、庭園の周囲に張り出して、思い思いに花を咲かせている。
それはまるで、人が立ち入る事を頑なに拒むかのようでもあった。
そんな薔薇園の片隅に、小さな墓標がある。
咲き誇る薔薇に守られて、誰の目にも触れず、誰にも知られずに、ひっそりと佇む墓標。
誰が作ったのか、誰が眠っているのかも定かではない、
何の飾りも無い、ちいさな木の墓標。
長身の男が静かに佇んでいる。
終始無言のままではあったが、その眼差しは、遠い思い出を写しているようでもあった。
語る言葉が見つからないのだろうか、それとも、言葉は必要ではなかったのであろうか、
粗末な木で作られた墓標を見つめて、いつまでも立ち尽くしている。
彼の脳裏によぎるもの、悲しみ、ためらい、後悔、或いは愛情だったのかも知れない。
やがて男は去っていった。
薔薇は依然と同じ様に、ここに眠る住人を静かに守り続けるだろう。
その墓標には、ただ一言、新しくこう文字が刻まれていた。
『薔薇水晶 ここに眠る』と。
535 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 07:53:40 ID:kSI+Ey+F
;
畜生薔薇とエンジュ好きで泣いた
537 :
双子 2.:2007/04/29(日) 13:48:04 ID:yA4Sox3I
>>188からの続き
「どうしたんだ、あいつ……」
未だに閉じられた扉を見つめたままどことなくジュンは呟く。
「翠星石、どうしたの?」
流石の雛苺も翠星石の異変に気付いたのか、あれ程までに動かしていた手を止め、ジュンのほうへと振り向く。
「僕に聞くな」
わかるわけない。
心中で吐き、伝わるように雛苺の前で顔を顰めてみせる。質問をしかめっ面で返された雛苺は、何を思ったのかそれと同じように顔を歪ませた。
「ジュンのマネー」
「……さっさと食べろ」
付き合う気にもなれない。吐き捨て、紅茶を手につけた。また微妙な味が口一杯に広がり―――不味い。
そうして微妙な味を噛み締めながら、ジュンは残った紅茶を喉へと一気に押し流す。味と同時に多量の熱を体から感じながら、ほう、と息を吐き出した。
「ジュン」
未だに紅茶の余韻が引かない中の、熟した女性のような声音にジュンは振り返る。
澄ました表情でこちらを見る真紅がそこにおり、いつものことだと手元にあるポットを手に持つ。だがそれを諌めるように真紅は飲みかけのカップを置き、口を開いた。
「この後、何か用事でもあるの?」
「は? いきなり何だよ」
「いいから答えなさい」
訳が分からない。真紅の唐突な発言は珍しいことでもなく驚きはしないが、意図が見えないものに戸惑いがあるのは当然。何よりこの答えは自分の触れられたくない部分に関わっている。
「別に。……なにも」
聞き取るのが難しいぐらいの小声で呟く。不愉快だ、という意を込めて真紅のほうへと睨むが、以前と澄ました表情に動きはなかった。
やがて互いに違う意図ながら見据えたまま何秒か経ち、真紅が動いた。
「そう。ならついてきてちょうだい」
「あ、おい」
呼ぶが、無視。椅子から飛び降りドアへ向かう彼女を、肩透かしを食らったジュンは呆然とそれを見守る。そんなジュンを真紅は顔だけ動かし一瞥した後、ドアを開け姿を消した。
「……おい、雛苺」
「う、うぃ?」
突然に声をかけられ、明らか動じている様子でこちらを振り向く雛苺。瞬間、耳に響く金属特有の音が聞こえた。
思わず耳を抑え聞き覚えのある音。何が起こったのか分からないような表情で空手である片手を見る雛苺。それを見てジュンは全てを理解した。
「大きいけど、ほら」
ため息つき、使われることのなかった自分のスプーンを雛苺に差し出す。雛苺は驚いたようにジュンのほうへと見上げた後、おずおずと自分の手には少し大きいスプーンを手に取る。にぱっと、満足気に笑った。
純粋な感謝に慣れていないジュンは無愛想にそれを受け取り、床に落ちたスプーンをキッチンに放り込む。その横にある以前として反応が無いドア。ため息つき、覚悟を決めた。
嬉しそうに大きいスプーンと小さいフォークを見比べている雛苺に向け、ビシリと指差す。
「いいか? 僕が帰ってくるまで誰も家に入れるなよ。
この時間帯に来る奴なんてどうせろくでもない連中なんだから」
「う、うぃ」
コクコクと必死に首を縦に振る雛苺を見て、ポットを置き席を立つ。
後ろから「あいとあいとぉぉぉ!」という意味不明な言葉を聞きながら、ジュンは部屋からでた。
538 :
双子 2.:2007/04/29(日) 13:49:01 ID:yA4Sox3I
「遅いわ」
迎え入れた最初の発言がそれだった。にしては壁にもたれ、分厚い洋本を読んでいる事から大して暇ではなかったのだろう。本を閉じ、立ち上がった。
「ホーリエ、お願い」
手品のように真紅の片手から赤い光が舞う。自己主張するかのように小さく一回転した後、真紅はその光に持っていた本を掲げた。本は浮き、光はゆっくりと本と同時に階段のある方向へと進んでいく。
人形達のおかげで不思議光景に慣れつつあるジュンはあえてその光景を無視し、話を進める。
「あのな、せめて説明ぐらいしろよ」
「見せたいものがあるの」
「見せたいもの?」
ジュンの問いに答えず、真紅はそのまま歩き出した。ついてこいという表れか、ジュンもそのまま真紅の背中を追う。
「おい、ここって……」
リビングから十歩も満たない距離。真紅が立ち止まったのは、この家で最も出入りが無い部屋。当然、この部屋に用があるなんて以前までは滅多にありはしなかった。……以前までは。
嫌な予感がする。両親が海外へ仕事に行ったきり、二人が土産、もといガラクタを送りつけるのもあり物置と化したこの部屋。しかし真紅達が来てからはガラクタを置く以外にここへ来ることが出来た。
「開けなさい」
ん、と顔でドアのノブを指す真紅。その物言いに少しむっと顔を顰めるが、渋々とノブを回しドアを開ける。途端、肉眼でも見えるほどの埃と、廊下とはまったく違う木が湿ったような匂いが鼻に引っ付く。
ジュンが身体に取り付いてくるそれらを払ってるなか、真紅は平然とその奥へ進む。ここまで来ればジュンも大体の見当が付いた。
「やっぱりこれか」
入り口から五、六メートル離れた場所に置いてある鏡。その前で歩みを止めた真紅を見て、いささかジュンの顔が引きつった。
「……nのフィールドってやつか?」
「ええ」
不満というより気味が悪いといったジュンの言い方に、真紅は振り返るまでもなく淡々と返した。
nのフィールドに決して良い体験などないジュンにとっては、何をするのか説明ぐらいはして欲しいものだが彼女のわかりきった答えをいまさら聞くまでもない。
肩を落とすジュンを尻目に、真紅は一歩、鏡の前へと踏み出す。
「行くわ」
鏡面が揺れた。真紅の言葉が合図かのように中心を基点に波紋が現れ、裏返しに写った真紅とジュンの像を歪ませる。
その中に真紅は臆さず腕を突き出した。音も経てず、突き出した分の腕だけがそこで消え、波紋が大きくなる。
大した動揺も見せず真紅は足、胴、頭と、次々と鏡へと突っ込んでいき、例外なくそれらはジュンの視界から消えていく。
真紅の身体全てが入りきったのを見守った後、ジュンはためらいがちに鏡の前に踏み込んだ。ジュンの侵入を心待ちしているかのように、鏡の波紋は未だ消えない。
説明ぐらいあってもいいんじゃないかと舌打ちするが、反応したのはいっそ波を大きくする鏡だけだった。
「ったく……!」
一言いってやる、それだけだ。―――言い聞かせ、鏡の中に踏み込んだ。
すいません、>>182-
>>188までの短編でも無いのにタイトル入れてませんでした。
双子 1. ってことでお願いします。
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
541 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/30(月) 00:31:22 ID:Elj2U/CX
うんこ
ぷ
543 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/01(火) 19:30:28 ID:R3g5Silz
kaso
上手い人の投下が続いてしまい、思いっきりその引き立て用SSというか前座になってますがw
>>520のつづき
アリスゲームを始めてからもう50年以上経っている。
今参戦しているのは、お前の5人の妹、第2ドールの金糸雀、第3ドールの翠星石、第4ドールの蒼星石、第5ドールの真紅、第6ドールの雛苺だ。
現時点では5人とも健在だから、決着のついたゲームは無いということになる。
お前が会ったことがあるのは真紅、赤いドレスを着ていたドール、と蒼星石、青い服を着ていたオッドアイのドールだ。
まだ参加していないのは、第1ドールと第7ドール。もちろん、第1というのは水銀燈、お前のことだ。
第7はまだ完成していないが、近々参入する予定だ。
さて、アリスゲームは、今そういう状況だ。だいたい分かったかな?
え?妹たちについてもっと知りたい?よし、じゃあついておいで。
壁に掛かっているのがお前の妹たちの肖像画だ。絵描きに頼んで残しておいたんだ。
そうだな、お前のも残さなきゃいけないな。すぐ手配しよう。
まず最初の絵だが、これが第2ドール金糸雀だ。背丈は、お前より2回りほど小さい。
頭はいいが、精神的には6歳くらいの女の子と同じだ。
言葉の語尾に特徴があって、なんにでも「〜かしら。」をつける癖がある。
手に持っている日傘が特製の逸品でね。彼女はこれを使って空を飛べる。物質世界でもだ。
また、バイオリンに変化して、音楽を奏でるようにもなっている。腕前はまぁまぁかな。
闘う時にはバイオリンの力で音波攻撃をしたり、局地的に風を操ったり出来る。なりはあんなだけど結構凄いよ。
隣の絵は翠星石と蒼星石だ。彼女たちは双子で髪の長い方が姉の翠星石、短いほうが妹の蒼星石だ。
衣装も名前どおりの色に分けてある。背の高さはお前と一緒ぐらいだ。
姉の翠星石は泣き虫で蚤の心臓の持ち主だが、調子に乗りやすく、また私の見ていないところでは大変な毒舌を使っている。
妹の蒼星石はしっかり者で姉の世話をよくしている。真面目でちょっと融通が利かないところがある。
2人とも根は優しいんだがね。
姉のほうは語尾に特徴があって、なんでもかんでも「〜です」がつく。
双子共通の能力として、夢の中に潜ることができるというのがある。各々夢の中での役割が違っていて
姉の翠星石は心の木に如雨露で甘い水を与えて成長を促し、妹の蒼星石は心の雑草を庭木用の鋏で刈るんだ。
闘う時には、翠星石は如雨露の力で植物を自在に操ることが出来、また、如雨露自体もそこそこ武器になる。
蒼星石はあの鋭い鋏で切りつける。切れ味はお前が身を以って体験したとおりだよ。
あと、帽子もチャクラムのように投げることが出来る。
赤い衣装の絵はお前がお世話になっていた第5ドールの真紅だ。背丈は金糸雀より少し大きいくらいだな。
彼女は見た目こそ6歳くらいの少女だが、精神的な年齢はほぼ成人の女性並にある。
ただ、少々偏りがあるので意外なところで子供っぽいところがあるかな。
語尾に「〜だわ」をつける癖がある。
彼女は何かできるわけではないが、淑女としての作法とお茶の作法は徹底的に身につけている。
闘う時はいつも手にしているステッキを使ったり、薔薇の花弁を大量に発生させて自在に操ったり、人形を操ったりできるよ。
器用に何でもこなすが、ただ、一番警戒するべきは肉弾戦だ。たぶん素手で戦わせたらドールズの中では最も強いんじゃないかな。
最後が第6ドール雛苺だ。背丈はドールズの中では最も小さい。ほとんど幼女だ。
ちょっと衝動的に作ったから、外観も中身も幼女そのものだよ。
話し言葉が少し赤ちゃん言葉っぽくなっているのが特徴だ。
ドールズの中でもっとも愛玩人形らしいといえばらしいかな。金糸雀といい勝負だ。
闘う時は、人形を巨大化して操ったり、苺の蔓を伸ばして相手を絡め取ったりできる。見かけによらずなかなか侮れないよ。
どうだい、皆それぞれになかなか個性的だろう?
可愛い妹たちだが、アリスゲームともなれば闘わなければならない。
おまえの力?おまえには長姉にふさわしい力を3つ付けてあるよ。
一つ目だが、他の姉妹よりも強力な発条機構を内蔵しておいた。旧モデルよりも5倍以上効率よくエネルギーを引き出せるよ。
また、契約に縛られずにミーディアム以外から無差別に力を吸い取ることも出来る。
二つ目は物質化の力だ。エネルギーを物質に変換することが出来る。
どんな形に変わるかはおまえの意思と想像力次第だ。この力を使いこなすには少々訓練が必要だぞ。
三つ目に、局所的に時間の発条を巻き戻す力もつけておいた。
これは戻す物の大きさや質、戻す時間の長さ等によって必要な力が変わるから何でもかんでも直せるわけじゃないから気をつけて。
破れた服を直すくらいなら、大した力は必要ないけれど、身体の破損した箇所を直すには相当な力を使用するものと考えて欲しい。
姉妹の中でよく似た力を使うのは第5ドールの真紅かな。彼女が好んで変換の力を使って出すのは薔薇の花弁だよ。
あと、応用で他の普通の人形を操ることも可能だ。
さぁ、お茶が冷めてしまった。それにそろそろおなかも空いてきたよ。ディナーとしゃれ込もう。今日はいい鱒が手に入ったんだ。
水銀燈さえ良ければ、気が済むまでここでゆっくりしていっていいんだよ。
ここを出たらアリスゲームに参戦しなければならなくなる。そうなると私はもうおまえに会えなくなってしまうからね。
私もおまえとはゆっくり過したい。
それから私は、3日ほど水銀燈と優雅な時間を過した。
いろいろと辛い思いをさせていたことの罪滅ぼしも兼ねて、極力彼女の好きなようにさせておいた。
もちろん、淑女としての作法も優しく手解きした。
真紅からある程度レクチャーを受けていたおかげか、飲み込みが早く、みるみる上達していった。
彼女はここにいる間、天使のような微笑を絶やさず、私を楽しませてくれた。
ただ、心の底からの笑顔でないように感じたのと、時折、思い詰めた様な表情で俯いている時があるのが気がかりではあったが。
4日目の朝、ラプラス君が1人で訪ねて来てくれた。
水銀燈を紹介しなければと思い、使いの精霊を送っておいたのだ。
水銀燈はラプラス君を見て、脅えていたが、私と彼の親密振りを見て少し安心したようだった。
ラプラス君は水銀燈をしばらく品定めした後、いつから参戦させますか?と切り出してきた。
ちなみに今現在のアリスゲームは翠星石と蒼星石がミーディアムの身体を気遣って契約を解除したところとのことで、
この時代にアリスゲームはほぼ終わり、真紅が自分のミーディアムの契約を解除するのも時間の問題だろうということだった。
それじゃぁ次の時代にしようかと言い掛けた時、水銀燈が私の発言を遮って、今すぐ参戦したいと申し出てきた。
思い詰めた顔をしているので、次の時代でもいいじゃないか、それまで私とゆっくり過そうと説得したのだが、
彼女曰く、真紅に確かめたいことがあるのだそうだ。
ここで参戦してしまうと私とはもう会えなくなるんだよと言ったが、意志は固いようだ。
私は深いため息を付き、ラプラス君に、本人の意思を尊重して今すぐ参戦させるよと告げた。
ラプラス君はおやまぁとおどけて見せたが、では早速手配しましょうと席を立った。
今夜9時に薔薇の庭で待ち合わせることになった。あと半日しか水銀燈と一緒にいられる時間は無い。
残念だ。
さっそく参戦のための準備を始めた。
水銀燈のサポートを任せるのは、メイメイとした。
水銀燈は妹たちの肖像画のある部屋で、やや緊張した面持ちで時を待っていた。
私自身も、少し緊張している。心のどこかで彼女を参加させたく無い気持ちがあるのかもしれない。
しかし、ローゼンメイデンになった以上、アリスゲームの盤上に上がるのは避けられない運命だ。
私は彼女へ渡す思い出の品を残された時間で作ることにした。
表面に薔薇の紋章、フタの裏側に私のシルエットを施した特製の懐中時計。
丹念に丹念に、模様を彫り込んだ。
螺子を巻いて時間を合わせた頃には、夕刻になっていた。
彼女と最後の食事をしようと、厨房に入った。
考えられる限りのフルコース料理を用意し、食卓に並べた。
最後の楽しい晩餐を水銀燈とともにとった。
いよいよ、別れの時間だ。ラプラス君が外で待っている。
水銀燈。姉妹の中で誰がアリスになれるかは、私にも分からない。だが、私はお前こそが最もアリスに近いと信じているよ。
勝ち残って、アリスになって、私の元へ帰ってきて欲しい。
水銀燈は、私の目をまっすぐ見据えて頷いた。
私は彼女の首に特製の懐中時計をかけてやった。
フタを開くと私のシルエットが彫ってあるのを見て、彼女は喜んでいた。
そろそろよろしいですか、とラプラス君。
私が頷くと、彼は空間に大きな穴を開け、彼女を連れて飛び込んでいった。
満月に煌々と照らされた薔薇の庭で、私はしばらく佇んでいた。
水銀燈が真紅に確かめたかったこととは…?
私は魔術師から譲り受けた遠見の窓で、ラプラス君に連れられていく水銀燈を追っていた。
2人は幾多の扉が浮かぶフィールドを飛んでいたが、やがて一つの扉の前に立つと、水銀燈だけが中に入っていった。
どうやらそこは彼女自身のフィールドのようだが…。いや、しかしこれは…。
そこは一面廃墟だった。草も木も無く、香しい花も咲いていない。
空は暗雲が立ち込めており、薄暗い世界だ。これが彼女の心象なのだろうか?
この数日間見せてくれた笑顔の裏に、こんな荒んだ世界を抱えていたのだろうか。
これが数十年以上に及ぶ孤独な放浪の旅で築き上げられた、彼女の心の闇の深さなのだろうか。
彼女の心の内を見抜けなかったことに、自分の父親としての未熟さを感じた。
遠見の窓の前で一人悶々としていると、ラプラス君が戻って来た。真紅が契約を解除し、nのフィールドに入ったのだそうだ。
水銀燈からの要望通り、真紅の鞄を水銀燈のフィールドに誘導したと言う。
私たち2人はスコッチを傾けながら、この時代のアリスゲームの終了を見届けることにした。
やがて、真紅の鞄が水銀燈のフィールドに飛来してきた。
用心深く鞄から抜け出し、周囲を散策する真紅。
物陰から水銀燈が声をかけた。
誇らしげに自分もローゼンメイデンであったことを、ローザミスティカという証拠を見せながら告げる水銀燈。
対して、信じられないと言った面持ちで頭から否定にかかる真紅。
信じられないのは分かるが、物も言い様という言葉がある。なんであんな言い方をしてしまうのか。
真紅の言葉を聞き届けてから、水銀燈の声色が変わった。あの可憐な声からは想像もできない声だ。
そうか。私だけでなく、姉妹にも認めて貰いたかったんだな。私との数日間だけじゃ癒されないほどの心の傷を負っていたんだね。
真紅の言わんとすることも分からないでもない。上から見た物言いではあるものの、真紅なりに水銀鐙を思いやっての行動だったわけだ。
…ひょっとして、私と過ごした数日間も、父からの同情、憐れみだけの優しさと思われただろうか?
彼女の自尊心を傷つけてやしなかったろうか。心からの笑顔を見てなかった気がしたのはそのせいだろうか?
それはそうと大きな力が水銀燈の中で高まっている。これは一体。
おぉっ!物質化の力が発動した。なんと、水銀燈の武器は翼という形を成したか。しかしあれは翼というより、羽根の束だな。色も黒い。
あっラプラス君どこへ?そろそろ終了?そうか。そうだね。早めに中断させてやってくれ。
今のままじゃいきなり真紅を倒しかねない。まだまだ互いに切磋琢磨してほしい。
ん?あれは真紅の衣装に付けておいたブローチ。あれを握力だけで壊すか。驚いた。確かに力を増幅するように仕掛けを施したが
あそこまでの力があったとは。真紅が取り乱しているな。確かにあの娘と過ごした時間は他の姉妹達より極端に短い。
だからこそあのブローチを大切にしていたのだろう。水銀鐙。ここまで荒んでいたとは。全く見抜けなかった。
あ、真紅。気持ちは分かるが、それは禁句だ。私自身への非難にも聞こえるな。水銀鐙すまない。
もうこじれにこじれたな。アレキサンダーの結び目並みに複雑に絡んでしまった。
ラプラス君がタイムアウトを知らせに来た。良かった。あれ以上続いたら、誰も止められないし、どちらかが死ぬまで
闘い続けてしまったろう。
さて、私もこの時代から撤収せねば。時計屋を畳もう。
水銀鐙の腹部を完成させなければならないし、第7ドールの完成も急がなきゃいけない。
水銀鐙のことについては、大きな反省と責任を感じている。
出来る限り彼女をフォローし、彼女のフィールドも花薫る庭園にかえてやりたい。
明日から忙しくなるぞ。
ローゼン日記〜オーベルテューレ編 −終−
続かない(´・ω・`)
欲張ってI期編、U期編も書こうとしましたが、
長くなり過ぎてダレてきたのと、薔薇乙女最終回予告を見て凹んだのとで、
モチベーション急降下。
しばらくROMに戻りまする。
またいつか来てくれると信じている
550 :
紅夜:2007/05/02(水) 04:38:59 ID:JH098MQ4
色々あってココへ流れ着きました。時間的にキツいんで明日からって事で。
たぶんシリアス、若干コメディだと思います、漫画は読んでないのでほぼ想像でカバーします(ォィ
気づけば外も明るいなぁ。ではまた。。
551 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 18:41:03 ID:BLA4IQMi
期待あげ
前の続きを微妙に書いたりしてみたけど・・・
今すぐ投下すべきだ
554 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 00:33:49 ID:JzqIMZ6m
うむ
555 :
紅夜:2007/05/03(木) 01:13:52 ID:sfv3MMSI
今から投下して良いですかねぇー?もし宜しければもうちょいですのでしばし御待ちを。
期待して待っとるよ
557 :
紅夜:2007/05/03(木) 03:26:37 ID:sfv3MMSI
―虚空回廊―
六時にセットした喧しい携帯のアラームで、俺、二階堂 流麗(にかいどう りゅうれい)は眼を覚ました。
まだ卸したばかりのワイシャツを着、スラックスを履く。ベルトを締め、上に白色のセーターを羽織り、ブレザーを着る。
「流麗、起きたのか」
俺の部屋の襖が開き、親父がおはよう、と言ってきた。まだ少し眠い。俺も適当に返事をし、ネクタイを締めながら居間へ向かう。
「……月曜日、か」
どうでも良い事を呟きながら、居間を通って台所に立った。俺の家は俺と妹と親父しか居ない。よって食事の用意は俺か妹の仕事となっている。
「(飯は昨日四合炊いておいたからな、味噌汁だけ作って煮物でも温めりゃ良いか)」
俺はそう思い、冷蔵庫から透明なタッパーを取り出す。妹は学校が休みらしいのでまだ寝ている。
「(量は二人前で良いかな)」
適当な量を菜箸で鍋に移し、ガスコンロに火を掛ける。もう一つのコンロで味噌汁を作る準備をしていると、台所の暖簾をくぐって親父が顔を出した。
「流麗、茶も頼む」
「あぁはいはい分かったよ」
親父の朝の緑茶を淹れるのはある意味日課となっている。別に毎日言いに来なくても良いんだが。
そうこうしてる内に煮物も温まってきた。俺は火を止め、少し深めの皿に移す。味噌汁の鍋におたまで味噌を溶かし入れ、最後にねぎを散らした。
「親父、朝飯出来たぞ」
親父は居間の畳に座って新聞を読んでいた。この家の居間にはテレビが無い。と言うか、その類の家電製品はほぼ無いに等しい。
「そこへ置いておいてくれ。……流麗、茶を注ぐ時は湯のみを茶托から降ろすんだ」
「毎日言わないでも分かるよ、飯の支度を俺達に任せてんなら静かにしててくれ」
そんな悪態を付きながら、テーブルにご飯と味噌汁、煮物と海苔を置いた。親父は新聞を畳み、箸を手に取る。
「「いただきます」」
――――― 一
朝飯を食い終わると、俺は食器を洗ってから洗面台で顔を洗った。忘れ物が無いかチェックし、ブレザーの中ポケットに携帯を放り込む。
「じゃ親父、行って来るよ」
「気をつけてな」
靴紐を締め、通学に使っているでかいショルダーバックを手に取る。
「あぁ待て流麗」
玄関から出ようとした時、不意に親父が俺を呼び止めた。俺は立ち止まり、振り返らないまま聞き返す。
「何だよ」
「………最近、どうだ?」
「はぁ?」
俺は思わず振り返る。親父は何やら真剣な顔をしていた。
「二年生になってから、楽しいか?」
……相変わらずまだこんな事を聞くのかこのオヤジは。俺はため息をついて外へ出ながら言った。
「ちっとも楽しくねぇ」
558 :
紅夜:2007/05/03(木) 03:27:29 ID:sfv3MMSI
――――― 二
「あ、おはよう二階堂くん」
俺の歩いてる歩道の反対側から、黒い長髪の子が声を掛けてきた。俺と同じ二年一組のクラスメイト、黒崎 蓮(くろざき れん)だ。
「おはよう、黒崎さん」
彼女の家は結構近いので、たまに通学途中に顔を合わせる。
「二階堂くんて朝早いよね。部活やってないみたいだし、もっと遅くても間に合うんじゃないの?」
「まぁな。朝からやる事多すぎるからな、うち。それにこれ以上遅い時間帯は通学路が混むから嫌だ」
そんな話をしながら暫く二人並んで歩いていると、後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「おーい、流麗ー!」
嫌々振り返ると、如何にも悪友といった雰囲気の男が、学生用鞄を振り回しながら走ってきた。
「おいおい、せっかく親友が一緒に登校してやるって言ってんだから止まれってー」
「うっせー。朝っぱらからお前に会うなんてついてねぇ。大体何で今日はこんなに早いんだよ、一」
この少し不良っぽい外見の男は、五十嵐 一(いがらし はじめ)と言う。小学校の頃から今まで縁が切れた事が無い。いわゆる腐れ縁って奴か。
「いやな、目覚まし時計セットし違えちまってよー、さっき携帯見て早すぎたって気づいたんだよ」
「………ど馬鹿だな、やっぱり」
「んだとぅー!?流麗手前ェー!!」
……こんな風に、俺とこいつが揃うと何時何処でも漫才みてーになっちまう。そんな空気に呆れたのか、黙って俺の横を歩いていた黒崎が突然、俺の前へ躍り出て言った。
「じゃあね、二階堂くん、五十嵐くん。わたし、部活の朝練習あるから」
「あぁ………」
そして彼女はそのままさっさと校門の方へ走っていってしまった。
――――― 三
「この『山月記』はな、高校生の教科書ならほぼ確実と言って良いほど記載されているんだ。次の中間の範囲でもあるから、ノート整理を徹底しておくように」
今は四時限目の現代国語だ。俺は窓際の一番後ろの席で、ぼんやりと外を眺めていた。と言っても、俺の教室からは反対側の校舎と中庭しか見えない。
俺は元々勉強は余り好きでは無かった。だからこの様にして時間を過ごす事はよくある。
「………………」
少しだけ開けられた窓からは、正門の方から流されてきた桜の花びらと一緒に、やや暖かで曖昧な風が入ってきたような気がした。
そんな時、不意に。本当に、突然。
<まきますか、まきませんか―――>
「え?」
俺の間の抜けた声が、静まり返った教室に響き渡る………。俺はみっともなくて、すぐ先生とクラスメイトに謝った。
「(何だったんだ、今の声は―――?)」
少し不気味ではあったが、たぶん空耳だと思い、少し遅れ気味だった黒板写しに大急ぎで取り掛かった。
559 :
紅夜:2007/05/03(木) 03:28:02 ID:sfv3MMSI
――――― 四
帰りのホームルームも終わり、クラスが騒がしくなり始めた。俺は特に部活には所属してないし、教室清掃の当番は先週やったので、さっさと帰路に着く事にする。
下駄箱で靴に履き替えていると、後ろから声を掛けられた。
「二階堂くん」
振り返ると、そこには黒崎が居た。学生鞄を両手に持ち、背中には大きなテニス用のラケットの入った黒いケースを背負っている。
「黒崎さん、これから部活?」
「うん、二階堂くんは今から帰るの?」
そう、と答えると彼女は少し微笑んでさよなら、と言い正門とは反対側の屋外球技部が使用している部室の方へ走っていった。
「(黒崎……なんか変な奴。なんつーかよく走るな……)」
――――― 五
「ただいまぁー」
俺は家の玄関の引き戸を開けて中に入る。親父も妹もおらず、留守のようだった。
留守である事自体は特に珍しい事でも無いので、俺は自分の部屋へ行って制服を脱ぎ、Tシャツとジーパンに着替えて、一息つく。
ふと部屋を見渡すと、俺が趣味で集めているエアガンやナイフ、ジッポーや懐中時計が目に入った。この手の暗い趣味は婆さんに言わせると親父似だと言う。
「………………」
俺は壁に掛けたあった中の一丁のオートマチックピストルを手に取り、ベッドの上に座る。俺がグロック17をベースに制作したカスタムガンだ。スライドとマガジンの底を光沢のある赤で塗装してある。左側面には金色の文字で『真紅』と書かれている。
俺は特に意味も無く、スライドを引いてはスライドストップを押して元に戻す、を繰り返していた。―――すると
<まきますか、まきませんか>
「(まただ……俺が四時限目に聞いたのと同じ……声だ――)」
<まきますか、まきませんか>
俺は『真紅』をベッドの上に置き、部屋を出て<声>の聞こえる方へ歩いていった。―――何故かは、勿論分からない。ただ、何となく――追いかけなければならない、と思った。
声のする方、する方へ向かう内に、俺は家から出て庭の奥にある古びた蔵の前まで来ていた。
「(この近くからだと思うんだが………)」
蔵には大きく重い錠前があって扉は開きそうにない。俺は辺りを見渡す。すると、蔵の側にある大きな木の幹の根元に、小さな白い封筒が落ちていた。
「(何だこりゃぁ……何処にも何も書いちゃいねーし……)」
試しに夕日にかざして中身を確かめる。……どうやら中に紙と何かが入っているようだ。
「出しても、マズい物じゃ、無いよな……?」
俺は妙な好奇心に突き動かされて、白くて何も書かれていない封筒を開く。中にはきちんと三等分に折られた二十センチくらいの正方形の紙と、インクのついた黒い羽ペンが入っていた。
俺はとりあえず中に入っていた紙を開き、中に綴ってある文を読む。
「……今から提示する二択は、完全に貴方が決める事です。どちらかを選べば、どの様な手段を用いても、選び直す事は決して、出来ません。後悔したくないのならば、あまり深く考えない事です。……巻きますか、巻きませんか。……何の話だ?」
巻く?何を?そもそも、何でこんな所にこんな物が落ちているんだ?一番最後に、少し大きな文字で『巻きます』『巻きません』と書かれている。羽ペンが入っていたので、おそらくどちらか一方を丸か何かで囲めという事だろう。
「(新手の悪戯か?不気味だな……)」
俺は少し考えて、封筒から黒い羽ペンを取り出す。そして左手で紙を押さえ、右手にペンを握った。――そして
「巻きます……っと」
何を思ったか、『巻きます』の方を丸で囲んだ。―――しかし、何も起こらない。
「……ま、それもそうだよな」
俺は紙と羽ペンを封筒にしまい、家の中に戻ろうとした、その時。
――ガッシャーン!―――
何かが割れた音がした……そう窓硝子か何かの類だ。変な胸騒ぎに駆られて俺は大急ぎで家の中へ戻った。
560 :
紅夜:2007/05/03(木) 03:30:28 ID:sfv3MMSI
――――― 六
俺は家の中に入ると、まずは居間の隣にある縁側の硝子を見た。……特に変わった所は見受けられない。次に台所、親父の部屋、そして、俺の部屋を襖を開けた。
「うわ、何が起こっちまったんだ!?」
俺の部屋の窓硝子は木っ端微塵に砕け散り、その窓から吹き込む風によってカーテンが揺れ靡いていた。そして――俺が視線を落とすと、おそらく俺の部屋の窓を粉々に粉砕してくれた物が鎮座していた。
「鞄……?まさかこんなもん人んちに投げ込む馬鹿でも居んのか?」
そんなはずは無い。俺の部屋は家の塀からかなり離れた所にある。それに、家を囲んでいる塀だって、普通の人間が乗り越えられる高さじゃない。
家の敷地に入り込んでから投げ込んだ……なんて事も考えられるが、わざわざそんな面倒な事をするだろうか。そもそも、敷地内には入れないように、俺が鍵を掛けたはずだ。
俺はとりあえず、気を落ち着かせてから鞄を手に取る。ずっしりとした重量があり、とても大きな鞄。そしてそれを窓から少し離れた所に置いた。
「大きいな……旅行にでも出かけろってか」
見たところ、かなり上質な革張りのようだ。鞄のかどには薔薇の蔓を模した見事なエングレービングが施されており、その中心にはこれまた見事な薔薇の金細工がはめ込まれている。傷や汚れは無いが、良い意味での『古くささ』漂う、趣のある鞄だった。
「鍵穴があるな、まさか開いたりはしな…………!?」
それはキィ、と小さく音を立て、動いた。
「(どうする……これは俺のじゃないけど……)」
抑えられそうに無い好奇心。
「…………………」
高鳴る心の鼓動。
「(……開くだけなら……良いか)」
思い切って鞄を開けた。
――――― 七
俺は決心し、鞄をそーっと、開けた。
「!!」
中にあった物、いや、中に『居た者』は、人間の女の子……?いや、違う。今にも瞳を開いて起き上がりそうなそれを、そっと両腕で抱き上げた。
「………アンティークドール……?大きいな……」
それは人間の少女と見間違うほど精巧に作られた人形だった。俺はその真っ白な頬に、少し触れてみる。……やわらかい。それは信じ難い事に、人間の皮膚そのものの感触だった。サラサラとした銀色の髪も、作り物とは思えない。
シックな黒いドレスを身に纏ったそれは、触れてはならないモノのように感じられるほどだ。
「他に何か無いか……ん?」
鞄の中に何か小さな物を見つけた。見たところ、ゼンマイのねじ回しのようだ。
「ねじ回しか?何処か動くのか、この人形……?」
俺は抱き上げていた彼女(たった今からそうなった)の背中の方を見てみた。すると、丁度腰の辺りに五ミリ程度の穴が開いている。試しにねじ回しを差し込んでみると、カッチリと止まった感触がした。
「………少しだけなら、良いよな」
そのまま時計回りにねじを巻く。きりきり、きりきり、きりきり………と何回か回すとそれ以上動かなくなった。俺はねじ回しを穴から抜き、襖に寄り掛からせて座らせる。
――カタッ……カタッ……――
「………なッ……」
俺は目の前の現象に息を呑んだ。せいぜい瞬きをするとか、オルゴールでも鳴り出すのかと思っていたが……なんと徐々にその上半身を持ち上げ……直立した。うつむき気味だった頭部は正面を捉え、静止する。
「…………マジか」
「何がマジな訳ぇ?」
―続きます―
561 :
紅夜:2007/05/03(木) 03:36:43 ID:sfv3MMSI
ふと気づけば長さがエラい事になっちまってたので一旦区切りました。それでも尚、『文字数が多すぎます!』『長すぎる行があります!』
な〜んて言われちゃったんでしょうか。。
そして、色々迷ってオリジナルキャラ祭りな内容になりました。
何故水銀燈なのかと言うと……消去法で消していったら彼女になりました(殴
遅筆なんで気付けば三時半過ぎwWAHAHAHAHAHAHA!!!! ではでは。
二階堂流麗w
↓
誤爆か?
↓
うはwww文章ウマスwwww
↓
しかしセンス古い。文章うまいだけに尚のこと見てられん
↓
やべえ、面白い
↓
続き続き
ここまで厨全開だと逆に面白いという
続くんだよな?がんばれ
僕は今、草苗さんと新しいドレスを作る仕事をしている
昔から裁縫は得意だったから、人よりはうまく出来ているという自負はある
現にこんな僕が作ったドレスでも原価の数倍で買ってくれる人はいる
いや!?別に適当で作ってる訳では無いよ
一針、一針毎に着てくれる人や…人形に心を込めて作ってるつもりではいる
でも…正直、昔裁縫した時の心の高揚感は感じない
原因は分かってる
あの人形達がいないからだ
真紅や雛苺や翠星石に似合うドレスを考て、作るだけの自分がはがゆい…
僕は奴隷でも下僕でもいい…
大切な人形に自分の作ったドレスを着てもらうきもちを味わいたい…
草苗さんは金糸雀にそれをしてもらった事が何回でもあるそうだ
でも、草苗さんは何回着てもらっても気持ちの嬉しさは変わらないと僕に何回も聞かせてくれた…
でも…、その後は決まって悲しそうな顔をする…
今はそれが出来ない現実に心が締め付けられる思いのようだった
ふと草苗さんの部屋を見回すと、紅い服や緑の服やピンクの服をきた人形もいる
多分、それを着せ替えてるのが一番昔の思いでに浸れるのだろう…
僕も永遠に思いでに浸り続けたい気持ちで胸がいっぱいになる時がある…
でも真紅たちはそれを許してくれないだろう
「生きることは戦うことでしょ?」
そんな言葉が頭の中で反濁していく…
「チビ人間は樹もチビチビですぅ」
昔よりは今の方が大きくなっているだろ?
お前がいなくても一人で頑張ったもんな
「ジュン〜大好きぃ!」
あの時は何で僕なんてダメダメ人間が好きなんだよって思っていたよ
でも今の僕はダメ人間くらいにはなっただろ?
いつ帰ってきても昔よりはまともな自分を見せられるよ
……だからさ…
一瞬でもいいから帰ってきてくれよ…
もう一度楽しく暮らしたいよ…
ジュンはいくら泣いても涙が止らなかった泣けば泣くほど自分の思いの強さの証明になるような気がしていた…
窓からくる風が、涙が乾いた頬をヒヤリとするころ、泣いてだるくなったジュンは眠っていた
>>564の続き
玄関がなったので僕は眠い目を擦りながらドアを開けた
するとそこには…今まで求めていた3体の人形がいた…
「ただいま」
「ただいまですぅ!」
「ただいまなの〜♪」
僕は驚き慌てて喜んでしまった…
だがジュンは気を取り直して考えた
僕はいつも通りでいなきゃいけない…
こいつらの帰るべき場所として、変化をしてはいけない
だから僕はこいつらが帰ってきたら必ず言うと決めていた言葉を言った…
「お帰り、晩飯は花丸ハンバーグでいいか?」
みんなは嬉しそうな顔をした
「やった〜なの!花丸ハンバーグ♪花丸ハンバーグ♪」
「チビ人間が作れるですかぁ?」
翠星石は当たりまえの疑問をなげかけてきた
「当たり前だろ!ずっと花丸ハンバーグとスコーンと苺大福を三日三晩作ってたべていたんだから!」
「ウッ!?それは体に悪そうですぅ…」
真紅はそんな僕をみながら口を開いた
「今まで戦かったのね…」
ジュンはまじめな顔になって言った
「ああ…戦ったよ!」
真紅はそんなジュンを見て嬉しかった
昔とは変わったジュンが頼もしく見えた
でもジュンはここにいるべき人間ではないのが悲しい…
「そう、頑張ったわね…なら今すぐさっきのところに言ってもう一度寝なさい」
「!!真紅!?何言ってるですかぁ?」
「そうなの〜!そうなの〜!せっかくジュンが来たのに〜!」
僕が来た?逆じゃないのか?
「翠星石、何でジュンがここに来たと思う?」
「それはもちろん寝たからですぅ」
「ここは遠い所よ?寝たくらいで来れると思う?」
「あっ!?真紅…そういう事なのですかぁ…」
「そうよ」
こいつらは何を言ってるんだ?全く検討がつかない…
「どういう事だ?」
「分かんないの〜」
雛苺と一緒に今の状況を聞いた
「あなたはまだ戦わなきゃいけないって事よ」
「チビ人間はここにいちゃいけないってことですぅ…」
568 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 18:29:40 ID:wgWRRFE+
「なんでだよ!?」
翠星石にそんな事を言われるなんて…
「黙れです!翠星石も今が一番良いです!でも無理なんですっ!」
言いながら翠星石は大粒の…涙を流していた
僕は何か悪い事をしたのか?
何となくバツが悪くなり顔を翠星石から背けると真紅が雛苺に説明をしているのが目にはいった
すると雛苺までも悲しい顔をした
「ジュンは戻らなきゃダメなの〜」
どこに?ここが僕の場所だろ?
そんな当たりまえの事を考えていると、雛苺の苺轍につかまれた
そして、そのままさっき寝ていた場所まで運ばれてしまった…
「どうしてだよ?僕が何をしたっていうんだ!」
翠星石はスィドリームを出すとジュンを眠らせる用意をした
「何でだよ!何でだ・よ・〜…」
ジュンに強力な睡魔が襲ってきた
最後に真紅達から何か言われた気がする
「また会えるわ、戦っていれば」
「もうお前はただのチビじゃないですぅ、かっこよくて甲斐性があるチビ人間ですぅ…」
「ジュン〜大好きなの〜…」
僕はいつもの場所で目を覚ました
回りを見るといつも通りだった
――蒼い人形が鋏を出しているという事以外は…
「お前は、蒼星石!?」
「せっかく夢と現実を切って上げていい夢を見せてあげたのに…」
蒼星石は残念な顔をしながら言った
「やっぱ悲しい顔をしてるジュンくんを切るのはいやだなぁ」
そういいながら鋏を戻した
「お前の目的はなんだ?」
「僕の?姉妹のマスターになった人間を殺す事だよ」
「どうしてだよ!?」
「アリスが決まった今、人形の記憶を持ってる人を生かしとくのは不都合が多いからさ」
「お前はそれでいいのかよ…」
「それが…お父様の望みなら僕は従うだけだよ…」
蒼星石は哀しそうにそう言うと、夜の空を飛んでいった…
あとに残された僕は夢から覚めても夢にいる感じがして呆然としていた…
翌朝、草笛さんの死体が家から見つかった…
昨日の夜僕が説明した時から想像はついていた
「かくかくしかじかで…こういう訳だから気をつけて下さい…」
「いいなぁ〜、ジュンくんは」
草笛さんの言ってる意味が分らなかった…
「僕の何がいいんです?」
「私ならそんな事になったら石にかじりついても起きないわよ」
「それが私の本望だもん」
やっぱり草笛さんはそういう人だな、なぜだか分らないが僕にはそれを否定する感情は全く起きなかった…
「分かりました…」
「ごめんね、ジュンジュン…」
「いや、いいんですよ、僕も気持ちは分りますから」
僕がそう言うと草笛さんは悲しい声で
「おやすみなさい…」と言って受話器を切った
昨日の夜の事を思い出した…
今ごろ覚めない夢の中で草笛さんは金糸雀を着せ替えているだろう…
草笛さんは死ね瞬間まで幸せそうな顔だったに違いないだろうな…
きっと僕がうらやましくなるくらい…
……でも草笛さんがその道を選んだなら僕は違う道を選ばなくてはいけなくなったという事だ
蒼星石を倒して、ローザミスティを取り返すという道を…
それで真紅達が直るかは僕には分からない…
でも夢の中の真紅の言葉を信じて僕は前に進んでいきたい…
「生きる事は戦うことでしょう?」
やっとその言葉の意味が分かった気がする
僕は戦い続けるよ
蒼星石や自分自身と…
だから安心していてくれよ…
数年後…
僕はあれからこれをずっと作り続けた…
そして今日はそれが完成した日だ
「お前はなんだ?」
「はい…お父様…私は(スイコウバイ)翠紅苺…そしてあなたの幸せなお人形です…」
>>570 GJ
最後でちょっと噴いたのは何故だろう
カナリアや水銀燈のことも忘れないであげてくだしあ><
574 :
紅夜:2007/05/04(金) 00:26:10 ID:caxcvWFE
センスが古いなんて百も承知orz
てか厨全開でごめんなさいwでも高校生ですよw
>>570 やった事あります、イラスト描く時につるむ友人と真剣に考えてました(名前、イメージカラー、得物etc....
575 :
紅夜:2007/05/04(金) 01:54:57 ID:caxcvWFE
―虚空回廊―
―何がマジな訳ぇ?―
俺はその声の主が、信じられなかった。目の前に立っている彼女は、いつの間にか瞳を開け、俺に話しかけてきたのだ。彼女は俺を一通り睨み付けると、俺の方へ歩み寄り、俺の顔を覗き込みながらこう言った。
「何か暗そうなのと契約しちゃったわねぇ……ふふ、別に契約して力が供給されれば何でも良いのだけれど、ねぇ」
それはひどく穏やかな声だが、何となく俺を対等な者として捉えていないような声だった。俺は心を落ち着かせ、目の前の彼女に問う。
「け、けいや……?いや、何者なんだ、お前……」
彼女は、つまらなそうな表情でこう答えた。
「どうして人間ってこうも最初の一言ってつまらないのかしらねぇ……皆私のねじを巻いた人間は毎回同じような事を言ったわ」
そりゃそうだろ、と突っ込むのは心の中だけにしておこう。
「……お前、見た所人形……だよな?」
「それは愚問よぉ、他に何に見えるのぉ?」
……やれやれ、最近の技術革新は凄いもんだ。人間と会話出来る人形が……居るはずがねーだろぅが。ア○モとかそう言うレベルじゃねぇ、人の言語を理解してるし、言葉を発して、俺と会話した。おまけに俺の事見下してやがる。
「ちょ、ちょっと待て……何の冗談だ畜生、俺は呪いの人形を贈られるような事をした覚えわッ!?」
―ガスッ!―
「失礼ねぇ、呪いが何とかって、私の事をどんな目で見てるのよぉ」
彼女のハイキックが俺の左こめかみに決まった。……人に害を加えるなんて、やっぱ呪いの人形?あるいはチャ○キーとかの殺人人形の類か?
「わ、悪かった……。それで……お前はどうしたら消えてくれま゛ッ!?」
―ゴスッ!―
今度は右拳で顔面か。……ガチで痛ぇ……。
「アナタねぇ、勝手にねじ巻いておいて“消えて”は無いんじゃないのぉ?手紙にも“巻きます”って書いたんでしょぉ?」
……手紙?手紙って、さっき俺が木の幹ん所で拾ったあれか!?ただの悪戯じゃ無かったのか!?だとすると………
ヒョットシテ、ジゴウジトクッテヤツナノカ?………ガッデム。
「(俺の馬鹿……)分かった……じゃあ……何が目的なのか教えてくれ」
何故か少しは落ち着いた。と言うのも、何となく、害は無さそう(?)だと考えたからだと思う。俺の質問を聞いているのかいないのか、彼女は俺を無視して通り過ぎると、俺のベッドに腰掛けた。
「……そうね、久しぶりに目覚められて機嫌も良いし、アナタの様なおばかさんにも理解出来る程度にお話してあげるわ」
おばかさんってよ……こいつ、やっぱり俺の事見下してやがんな。しかし三発目を喰らうのは御免だし黙っておく事にしよう。
「私たちはアリスと成るために生み出された、生きた人形“ローゼン・メイデン”」
「(ローゼンメイデン?)私達?お前みたいな人形が何体も居るって事か?」
「えぇそうよ。全部で七体作られたわ。私と比べたら出来の悪い子ばかりだけどねぇ……」
うわ、そりゃスゲェ……。こんなのが複数体居るのか。悪夢だな……。
「そして、アリスと成る為には、他のローゼン・メイデンから“ローザ・ミスティカ”を獲得しなければならないの」
「ローザミスティカ?」
俺は勉強に使っているデスクから椅子を引き出し、それに腰掛けながら、彼女の話に耳を傾ける。
「人間に置き換えると魂の様なモノね。そして、全てのローザ・ミスティカを自らに宿した時、アリスに孵化……“お父様”にお会い出来るの………」
576 :
紅夜:2007/05/04(金) 01:55:31 ID:caxcvWFE
まぁ何となく話は読めてきた気がする。
「お前達は父親と会う為に目覚めたって訳か?……で、ねじを巻いちまった俺はどうすれば良い」
彼女はベッドの上に立ち上がり、床にトン、と音を立て着地した。
「直接出来る事は無いわ。アナタはただ、私が戦うのに必要な力を供給してくれれば良いだけ……左手を見なさぁい」
「……?何だこれ、薔薇の……指輪か?」
いつの間に。まぁ変な人形が突然動き出す事に比べりゃぁどーって事無いが。
「……アナタ、今失礼な事考えてたでしょぉ?」
げ、筒抜けかよ。さっき契約とか言ってたな、まさか指輪を通して何となく繋がってるとかそんなノリなのか?
「ご名答よ、私とアナタはその指輪を媒介に繋がっている……だから考えてる事も、全てじゃないし、たまにだけど、ぼんやりとなら分かるわ」
……俺のプライバシーはどうなるんだろうか。って思うのは俺が普通の人間だからだろう。
「……今思ったんだが、そのローザミスティカとか言うモノが人の魂みたいなもんなんだろ?それを獲得するって事は、父親に会えるのは……」
「あらぁ、案外物分かりが良いじゃなぁい……。そう、アリスと成って、お父様にお会い出来るのは、一人だけよ。そうそう、さっき言い忘れたけど、私はアナタから任意で力を奪う事が出来るの」
何だそれは。何か生気でも吸われるみたいな感じだな。
「力?」
「そうねぇ、命とまでは言わないかもしれなけど……魂の一部とでも表現しようかしらね……無論、奪い過ぎればアナタは死ぬわ……くすくす……」
そこは笑う所じゃねぇ。
「ふぅん、それじゃあもう一つ質問。仮に“ローザミスティカを無くした人形”はどうなる?」
彼女はまたつまらなそうな表情をし、嫌々こう言った。
「……動けないし、話す事も出来ない。物を考える事も出来なくなるし、光を感じる事も出来なくなるわ」
「それって、死ぬって事か?いや、人形だから死ぬって事は無いか……」
「どうでしょうね、自我が無くなるっていう意味では、死ぬって言葉には近いかもしれないわねぇ」
俺は、ここでもう一つ、疑問が浮かんだ。それは、少し考えると……酷く、残酷な事。
「……お前達、同じ父親から作り出された……姉妹って言うのか?と……こ、殺し合う事に抵抗は……無いのか」
一瞬、激しい憎悪を含んだ表情で俺を睨んだ彼女は、目を閉じて、しばらくの後、また話し出した。
「………つまんなぁい。私、そういうのって嫌いよ。私はお父様に会いたい、それだけなの。……他のドールズの子なんて、知らないわ」
なるほど、そこまでして父親に会いたいってか……。たとえ姉妹達と命を奪い合っても、純粋に父親に会いたいという彼女の想いは……少し、理解出来る。
まぁ、ひどく心が歪んでると言えない事も無いけど。俺も、たまに大好きだった母親の事を思い出す事がある。
流石にこの歳になってからは、正直それほど気にしていないとばかり考えていたが、たまに思い出すって事は、心の何処かで会いたいと強く願っているのかもしれない。
「……お母様、死んだの?」
「え?」
少し、驚いた。そうか、俺の考えている事が朧げに分かるんだっけか。
「まぁな。俺が四つん時に……その、事故死してな。その時の親父の様子は、そりゃぁ酷かったよ。もう俺達家族は駄目かもしれない、なんて本気で思ったな」
「……会いたい、って今でも思う?」
「どうだろうな、今となっては記憶も曖昧だし……。でもまぁ、もしもう一度会えたら、もっと母さんの役に立とうとは、今でも時々思う。まぁ、もう二度と、会えないんだけどな……」
「………可哀そうね」
……死んだ人間は、還って来ない。当たり前だ。彼女が俺に言った『可哀そう』の意味も、何となく分かった。
でも俺はそれ以上に、姉妹同士で殺し合えば会える人と、遥か遠くへ旅立ってしまい会えない人。この二つのどちらの方が悲しいのか、と思ってしまった。
俺がとやかく言う事じゃ無いのかもしれないが、俺は前者の方が悲しいと思う。
「…………………」
「…………………」
長い沈黙。この沈黙を破ったのは、以外にも彼女の方だった。
「アナタ、名前は?」
「……流麗。二階堂 流麗だ。……俺はお前は何て呼べば良い」
床から俺のデスクの方へ飛び移ると、彼女はそのままそこへ腰掛けた。
「呼び名なんていらないけど、とりあえず私の名前は水銀燈よ。ローゼン・メイデン第一ドール、水銀燈」
「何か綺麗な名前だな。じゃあ、名前で呼ばせて貰うよ、水銀燈」
「……勝手にすれば。………流、麗」
少し小さな声で、彼女は俺の名を呼んだ。
――――― 続く
577 :
紅夜:2007/05/04(金) 02:04:17 ID:caxcvWFE
水銀党員の方、激しく申し訳無いです。。もっと人間を拒むキャラクターだとは分かってはいたんですが……OTL
しかも見事なくらいオチてないしー……。前回より会話ばっかだし……ブツブツ
精進しますね。。
水銀燈の可愛さは揺るがない
GJ
オリキャラ。しかも主人公。その名は二階堂流麗。
この上なき厨SS。にも関わらず続きが読みたいw
一昔前のジュブナイル小説みたいな文体だな。しかしこなれてる
別ベクトルの出来の良さで全てを吹っ飛ばしてるというかかっ飛ばしてるというか
これをある意味王道と取るか二次創作として邪道と取るか
まぁ通常はオリキャラは好かれないがね
面白いけどなんか長編になりそうだな。書けるのか?
あと、展開どうするんだろうね
日常ほのぼのももう無理だろ。めっさ長くなりそうだな
583 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 21:27:44 ID:0JnO/wC0
名前に関しては動○のお医者さん(古いなw)と暇潰しで引いていた辞書で使えそうじゃねと思いメモメモしたモノです。
言われてみれば確かに、現実に何か不思議な事が起こるタイプの物語に使うには幼稚な名前でした、ゴメンナサイorz
世界ごとファンタジーな物語なら、まぁありだったかもしれませんが。(実は真紅&サラってアイデアもありました。
長さは……どう終わらせるか決めてないので何とも言えませんが、基本的に『アリスゲームの終結』をオチにしないつもりで書き始めたんで、それほど長くはならないかな
注意書きが無かったとは言え、空気読まずに勝手な物語にしてしまった事は深く反省しております。
スレの空気が悪くなってしまうのは嫌なので、投下した後様子を見ながら続きを投下するかやめるかを決めようかと思います。
>>583 少なくともレスした人の大半は褒めてるんだと思うよ。文章も普通に上手いし。
ただオリキャラってのは作者に自己投影しやすい傾向もあって、読者を置いてけぼりにしやすい。
なおかつ長編みたいな始まりは、飽きも来やすいんで途中で完結されず、ってのが多いんで皆それを危惧してるんだと思う。
ようするに気にせず書いて投下すれば良い。
あと、わざとかどうかは知らんがsageをして欲しい。(メール欄に半角でsage)
それで個人的には君へのイメージが幾分か和らぐ。
ぬるぽ
今更だけどアニメ続編で見たいのは
>>255が書くような内容だったりする。
>>583 ここで止めて生殺しにする気か?
面白いんだから続きを頼む
あと
>基本的に『アリスゲームの終結』をオチにしないつもりで書き始めたんで、それほど長くはならないかな
も気になるし
590 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 12:44:33 ID:1LVMDNwq
unko
そうでしたか……良くない方へ方へ考えてしまうのは私の悪い癖のようです。
流麗君の元ネタは『千と千○の神隠し』のハ○だったりします。あんなに頼れそうな人じゃないですがw
sage進行の件については申し訳ありませんでした。ネット歴が浅いもんで忘れてましたorz
現在引越しの整理に追われてる(今現在も祖母の家からカキコ中)ので、仮に今日中に更新出来たとしても深夜になってしまいそうです。
今まで、そしてこれからも読んで下さる方に感謝。。
592 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 20:44:53 ID:rtVVGD/g
unko2
593 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 20:18:58 ID:lZbV1sCS
続き
ジュン「真紅、お前はここに来る前は何処で何をしていたんだ?」
真紅「ここに来る前は英国にいたわ。そしてその前はエジプトよ。」
ジュン「エジプトか〜。」
真紅「でもエジプトは地獄だったわ…。」
ジュン「地獄? そりゃエジプトはアフリカにあるから暑いと思うけど…。」
真紅「暑いとかそういう問題じゃなく…本当に地獄だったのだわ…。」
ジュン「だから何で?」
真紅「猫よ!!」
ジュン「猫?」
真紅「エジプトでは猫が神聖な動物として大切にされていたのよ!
当然その時代の下僕もまた猫を飼っていて…ああ思い出したくも無いわ!!」
ジュン「あ…嫌な事思い出させてごめん…。」
真紅「他にもエジプト各地のピラミッド巡りに連れて行って貰った事もあったけど…
その中でも一際大きいクフ王のピラミッド…あれは思い出すだけでも身の毛がよだつわ…。」
ジュン「クフ王のピラミッドで真紅が怖がるような物ってあったっけ?」
真紅「もう恐ろしくて思い出したくも無いわ…あの巨大なスフィンクスとか言う猫の像!!」
ジュン「ああなるほど…。」
真紅「次はサバンナに連れて行ってもらった時…そこもやっぱり地獄だったわ…。」
ジュン「今度はサバンナか…。」
真紅「何あのライオンとか言う巨大な猫は!! おまけにタテガミまで付いて…。」
ジュン「うわ〜そこまでくるか〜…。」
真紅「おまけにトラなんて言うシマシマの猫もいたわ…。本当にあの時代は地獄だったわ…。」
ジュン「そうか…。」
真紅「でも下僕はみんな有能だったわ。ジュンと違って…。」
ジュン「それは悪かったな…。」
真紅も猫耳付けられるのはオーケイなんだよな
原作じゃファービッシュだけどね
ちょっと、ここのSSに影響されて水銀燈との出会いのSS書いてみました。
かなり影響を受けた部分もあるけど、あまり気にしない方針で(汗
そうだ、丁度、○年前の話だ。大学入った直後くらいだったか。俺は夏休みに少し実家に帰ることにしたのだ。
ちょうどその頃、俺は「ローゼンメイデン」と言うアニメにドップリ填まっていた。
今は家で、効かないエアコンを付けて、扇風機全開でゴロゴロしている。
昨日、久しぶりに地元の連れと飲んだので、やたら疲れた。そして、いつものように独り言を言う。
「あーあ、水銀鐙が横にいればなー…」人前では決して口に出さないが、一人ならいくらでも言える。
実家は築100年を越える。外見こそ、「立派な伝統的木造日本家屋」だが、中は、そんな夢を打ち砕くほど汚い。
やはり、ただの「ボロ家」なのだ。子供の時に至る所に張った、キャラクターシールや、色の禿げた畳、
キズだらけの柱に、破れた障子、茶色いシミがコベリ付いた襖や絨毯、足で磨り減った廊下の木製の床などが協力して
よけいに家をボロく見せている。床は歩くとギシギシと軋む。大地震が起きたら危ないので、今親に建て直しを勧めている。
家の敷地内に同じく築数百年の倉がある。一般人なら、家宝とかが有りそうとか言うだろう。
しかし、どこの家にもある物置の巨大版だ。特にこれといって何もない。
有るものと言ったら、埃だらけのガラクタと蜘蛛の巣と、どこから入ったのか乾燥した猫の糞と鼠の死骸位だろう。
特にこれと言ってすることが無かった。何故かふと、その倉を漁ってみようと思った。何か出てくるかなと僅かな希望を抱いて。
ガラガラと勝手口の戸を開け家の外に出た。帰省直後は懐かしいと思えた地元も、
数日経つと逆に一人暮らししていた事が遥か昔のように感じる。
空にはモクモクと入道雲が伸び、耳に疼くほどセミが鳴いている。
裏が山だからセミの大合唱は耳を塞ぎたくなる程の音量になる。絵に描いたような夏の景色だ。
俺は夏が好きだった。セミや雲を見ると、無性に何かしたくなる。何故か水辺に行きたくなる。
そばの渓流で泳ぐのだ。夏場、昔はいつも川で遊んだ。しかし、今日に限って何もする気が起きなかった。
おびき寄せられるように蔵へ歩いていく。頭が焼けそうだ。陰から陰に飛び移るようにして歩く。
それにしても、何故俺は倉なんか漁ろうと思ったのだろう。倉の重い戸を開ける。
しばらくこの蔵には誰も出入りしていないようだった。取っ手に手をかけると、手が汚れた。
中は真っ暗だ。しかし少し外より涼しい。少し独特のにおいが鼻を刺激するが、耐えられないわけではない。
明かりを付ける。暗くてだだっ広い倉にハダカ電球が灯る。しかし、外の光と比べると遥かに暗い。しばらく突っ立ってると、
中の暗さに目が慣れてくる。するとガラクタの山が浮かび上がってきた。「骨董品とかあるかな」あるわけないのに漁る。
すると、懐かしいモノが出てきた。幼少のとき、よく地元の連れとあそんだ時に使った、虫取り網、釣り竿、
もうとっくに壊れているであろうゲーム機などなど。懐かしい。そんな事思いながら探ってると一枚の紙があった。
小学校の時の図画工作の作品か?それにしては不自然に真新しい。最近、誰かわざわざここに置きにきたとしか思えないほど綺麗な紙だ。
裏返してみると、何か書いてある。「おめでとうございます!○○さま!!」俺の名字がある。「ん!?!?おい、ちょ、待てや…」
常に頭のどこかに「ローゼンメイデン」がある俺は瞬時に「あれ」だと思った。体が、電気が走ったように痺れる。
「あなたは976―人の中から厳正な抽選にて選ばれた幸運な「日本の人」です!!(中略)下の選択肢から選んで下さい。一度―」
見覚えがある文だ。体が興奮しているのがわかる。熱が頭に上ってくる。
「これってあの、人工精霊からの手紙じゃないのか!?」
興奮を押さえ、読みすすめる。「―ので、注意して下さい。1.巻きまぁす」
選択肢はただそれだけだ。「巻きまぁすって…俺には選択権無いのかよwwwてか、まぁす口調…この独特な口調・・・
水銀鐙!?キタ――――――(゜∀゜)――――ッ!」
今日は気持ち悪い程独り言が多い。それに、こんなに興奮したのは生まれて初めてだ。
当然、巻きまぁすに○を付ける。
当たり前だがもうそれ以降、夜も眠れない。今やることと言ったら、部屋で水銀鐙のカバンがやってくるのを待つだけだ。
もう、今さっき彼女とは無理やり別れた。準備万端だ。わしは徹夜で部屋で正座して待った。食料持ち込み24時間態勢だ。
銀様を迎えるのならこれくらいするのは当然だ。いや足りないくらいだ。
それにしても・・・マンガの架空の話が実は実話だったとは・・・ホント世の中、何があるかわからない。
俺は興奮してノートパソコンを地べたに置き、電源を入れた。直ぐに2チャンネルへいく。
水銀燈で検索し、すぐに一番上の板に入る。そして書き込む。
660 :名無しかわいいよ名無し :2007/08/02(木) 00:31:21 ID:HjaKiuUm
聞いてくれ!今、俺は水銀燈がやってくるのを待ってるんだ!
661 :名無しかわいいよ名無し :2007/08/02(木) 00:48:21 ID:kihGiTe
>>660 はいはい
だめだ。信じてもらえるわけが無い。そうだ。
水銀燈が手元に来てから写真をうpしてやろう。俺は、先の、先の事ばかり考え、妄想を膨らまして過ごした。
そしてついに、徹夜2日目に差し掛かった深夜、いきなり部屋が光に包まれた。
「うおー!ついに!ついにキタキタキタキター!!」
アニメの事を考えている時は何故か、こういう口調になる。幻想的な光の中から四角の輪郭が表れてきた。
あまりの美しさに俺は息を飲んだ。夢のなかにいるようだ。そしてその曖昧な輪郭は、しっかりとした大きなカバンになった。
正座して見とれていた俺は、すぐさまカバンの元に駆け寄り、開けようとした。
その瞬間…
ガチャ…
自らカバンが開く。
すると中から勢い良くドールが飛び出した。
「はじめましてー!かしら♪私がローゼンメイデン一の頭脳派、カナリア♪よろしくかしらー!」
奈落の
底に
突き落とされた。
「うわぁーーーー!」
バッ!
「ん・・・」
どうやら俺は夢から覚めたようだった。
「助かったぁ…」九死に一生をえるとはこのことだと思った。
と思ったのもつかの間。
「うお!!やってしもた!!!つい寝てしまった!!!」
顔を上げるとカバンが一つ置いてあった…
「ん?うおー!!まじで来た!!これが・・・ローゼンメイデン・・・マンガとまったく同じだ。」
俺はとりあえず、カバンを開けてみることにした。
ガチャ・・・
重厚な鞄はユックリ開く。
黒い服、銀色の美しい髪、金色の逆十時・・・そう・・・これは・・・紛れもなく・・・
「す・・・水・・・水銀・・・燈・・・・様ぁ・・・」
頭が真っ白になった。
もちつけ俺!
早速、抱き上げてみる。思っていた大きさより随分思い。そしてやわらかい。頭が垂れて、髪が乱れているのでなおして上げる。手が震える。
「かわ…いや、綺麗だ…」
まさにイメージ通り。息を呑む美しさだ。言葉も出ない。そっと頬に触れてみる。
赤ちゃんの肌のように、吸い付くようなもち肌だ。なるほど、正に一辺の汚れもない。このまま丸一日眺めていても飽きないだろう。
目線を下にずらす。ふっくらと可愛い乳房の膨らみがある。
決して大きくはないが、どこか男性を本能的に魅了するラインの美しさがあった。
…・・・・・・
いや、ダメだ。銀様に失礼だ。
しかももしバレたら俺の命は無い
俺はイケナイ妄想を抱きかけたが、頭から振り払う。
背中を見てみた。本当に、隙の無い美しさだ。
やはり穴があった。ネジ巻きを挿入し、巻いてみる。しっかりとした重みが伝わってくる。
俺はグイグイと力をこめて、しかし丁寧に巻いた。少し固くなったら、そこで止め、置いてみる。
カクカクとぎこちなく動きだす。アニメ通りだ。
水銀鐙は姿勢を正すと、目をゆっくりと開く。美しい赤い瞳が覗いた。
「…私は…ローゼンメイデン…第一ドール…水銀鐙」今にも消えてしまいそうな繊細な声だ。
「美しい」としか言いようが無い。声の芸術だ。
「あ、お、俺はっ!」自己紹介をした。声が引きつって裏返る。こんな情けない姿を銀様に見せてしまった。最悪だ…
「ふっ、馬鹿じゃないのぉ」
え!?わっ笑った??笑ったのかな!?とりあえず可愛い…天にも昇る気分だ。
俺は、このまますぐに銀様に抱きつきたいという衝動に駆られた。我慢だ…我慢…。
水銀鐙は辺りを見回しながら言う。
「いい所に住んでるのね」
「そっ、そんな…ただのボロ屋ですよ。」俺は何故か敬語だ。
「ふぅーん」
沈黙の時間が続く。くそ!何かしなければ!俺は無いに等しい脳を必死に働かせ、考えた。そうだ!紅茶だ!まずは紅茶だ!
「す、水銀鐙さん!?こ、紅茶なんかいかがですか!?」だめだ。声が裏返る。
「そうね…いただくわ」
しまった…!俺の家には紅茶なんか無い!
おれは言ってから気づいた。冷や汗が噴出してきた。
「あ・・・す、すぐに煎れてくるんで、ここで待っててください!」
俺は部屋を飛び出した。
台所を探すが、やはりあるのは緑茶と麦茶だけだ。水銀鐙に緑茶…話にならない。しかたがない。買いにいこう。
俺は家を飛び出し、軽トラに飛び乗り、発進した。アクセルを踏んでも踏んでも、もどかしい加速しかしない。
くそ!走った方が速かったか!?
エンジンをレッドゾーン限界まで引っ張る。軽トラが悲鳴を上げる。
やっとの思いでスーパーに着くと、近くの店員に言う。「この店で一番高い紅茶をありったけくれ!!」
店員はあからさまに驚いたが、すぐに探しに行った。そして、戻ってきた。
「これが当店の最上級品で、在庫はこれが全てです。」
大した量では無いが、しかたがないすぐにレジに運ぶ。
「○万○千円にななります」
「はぁ!?」
耳を疑った。まさかこんなに高いとは。俺はカードを差し出した。これで俺は一文無しになつた。
急いで帰宅し、さっそく煎れる。銀様は待ちくたびれているだろう。
部屋の戸を開ける。
「銀ちゃん、お待たせ!」
はぅ!!!しまったぁ!!血の気が引くのがわかる。思わず銀ちゃんと読んでしまった!逝ってきます。
「・・・ありがとう」
銀様は何も気にしていない様子だった。命拾いした。水銀鐙には不釣り合いな大きなコップを口に運んだ。
コップが大きいので飲みにくそうだ。なんだか可愛い。
水銀鐙がコップを口から離すと見とれていた俺は急いで目を逸らした。
「ありがとう・・・」
クソ金糸雀と金糸雀ヲタ死ね
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>>604 は、早く続きを(;´Д`)ハァハァ
ローゼンメイデンファンの願望を見事に表現していますね
銀ちゃんよりこの俺の奴を愛してしまいそうだ
608 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 00:43:52 ID:/SZxcegZ
クソ金糸雀と金糸雀ヲタ死ね
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俺主人公みたいなのは小ネタとしてはたまに見るがそれは小ネタだから許せるんであって
SS形式で見せられて面白いと思ったのは多分初だ。オーケー、続け
俺の奴がえらい生き生きしてるな。
行動や思考にいちいち生活感があるというか小説の登場人物なのに人間味がある。
主人公に名前がないあたりが親しみを覚えるポイントかもしれんな
エロゲの主人公の目が影になって隠れてるのと同じで、無個性で
匿名的である故に入り込みやすいというか投影しやすい、と
まぁ名前はこれから出てくるのかもしれんが
これはおもしろい
続きwktk
614 :
604:2007/05/08(火) 20:49:28 ID:dgKlARyj
皆さんありがとうございます!
実はこの話、ここで終わらせるつもりでした^^;
この話の続きを書くとなるとダラダラと長くなってしまいそうだと思ったので^^;
でも頑張って続き、考えてみます。
615 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 01:25:26 ID:mzVP9d1S
616 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 01:30:10 ID:mzVP9d1S
クソ金糸雀と金糸雀ヲタ死ね
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もう残り僅か?
どこまでで終わりだっけ
萎えた
ん??
まとめサイトに自分のssが載ると感慨深いものがあるね