アニメ最萌 支援補助スレ その5

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207名無しさん@お腹いっぱい。
<神奈備命>“summer編”ストーリー簡介・後編(その1)

苦難の末、高野山まで辿り着いた神奈一行。
ようやく叶った母娘の対面…の筈だったが、母・八百比丘尼は、
「この身は穢れています。触れてはなりませぬ。今すぐ山を下りなさい」
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思いがけぬ母の言葉に神奈は動揺するが、ここまで来て母を置いていくことなど出来るはずもない。
牢から八百比丘尼を連れ出し、一同は山を下り始めた。

するとそこに、突如静寂を破る鏑矢の音。
朝廷の追っ手が高野山まで攻め込んできたのだ。

神奈たちを矢の雨が襲う。
神奈は柳也が護りきったが、八百比丘尼は矢を受け倒れてしまう。
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「母上!」
母の側に駆け寄る神奈。
虫の息の八百比丘尼。しかし、それでも絞り出すように呟く。
「触れてはなりませぬ…」
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地球(ほし)の記憶を司る。

それが翼人の使命であり、本来八百比丘尼から神奈へ受け継がれるはずの能力であった。
しかし、時の権力者は翼人を捕らえ、憎悪や怨嗟といった人々の負の記憶を翼人に一身に背負わせたため、
翼人は多くの人々の呪いを受けた「穢れた存在」として忌み嫌われるようになっていた。
八百比丘尼は、この忌まわしき運命を自分の代で断ち切るつもりだった。
神奈が自分の身体に触れるのを禁じたのは、呪いを受け継ぐのを恐れたのだった。

「イヤだっ!」
しかし、ついに神奈は言いつけに背いて母の体に触れてしまう。
「しょうのない子ですね…」
最後に娘の温もりを感じられた喜びに浸ることつかの間、八百比丘尼は眠るように逝った。
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208名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/23(土) 02:17:31 ID:C6A0XO4J
<神奈備命>“summer編”ストーリー簡介・後編(その2)

敵の松明が四方から近づき身動きのとれない絶望的な状況の中で、
神奈・柳也・裏葉の3人は、家族のように身を寄せ合っていた。

神奈を海に連れていってやりたい…。
一緒に夏祭りで踊りたい…。
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神奈・裏葉と楽しげに語りながら、柳也は決心していた。
「俺の命に代えてもこの包囲網を突破し、神奈だけでも助ける」

と、そのとき、スッと神奈が立ち上がった。
「二人とも、決してここを動くでない」
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そう言いながら、神奈は着物に手をかけ始める。

「柳也殿と一緒にいると、羽を忘れられた…」
着物を脱ぎ露わになった背中の翼が、大きく広がっていく。
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それは、彼女にとって夢のように楽しかった旅の終わりを意味していた。
八百比丘尼から呪いと共に力を受け継いだ神奈は、今や紛れもない翼人となったのだ。

「余の最後の命である。末永く、幸せに暮らすのだぞ」
自身が望み続けながらも叶わなかったささやかな願い。
それを柳也と裏葉に託し、神奈は飛び立った。
かつて、長く幽閉されていた神奈にとって、自由の象徴であり憧れであった空へ。
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飛行する神奈目がけて、矢が射かけられる。
「神奈!もっと高く飛べ!もっと!!」
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だが、呪われた翼人を山から出すまいと、高野山の法師達が調伏の呪詛を神奈にかける。
動きの鈍った神奈は無数の矢を浴び、ついに力尽きてしまう。
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「柳也どの…」
想い人の名を呼びながら、神奈は夜空に消えた。
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209名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/23(土) 02:18:24 ID:C6A0XO4J
<神奈備命>“summer編”ストーリー簡介・後編(その3)

「誰だっていい…神奈をあんな目に遭わせた奴等を、一人でも多く道連れにして死ぬ!!」
自暴自棄になる柳也の前に立ちはだかったのは、裏葉だった。
「邪魔立てするなら斬る。脅しではないぞ」
だが、裏葉も一歩も引く構えを見せない。
「私には聞こえます。神奈様のお泣きになっている声が」
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そして柳也は思い出す。末永く幸せに暮らすこと、それが神奈の望みだったはず…。


神奈は高野山の法師達によって空に封じられたまま死んだ。
そのため、その魂は空に留まったままであった。

翼人の死後、その魂は大量の記憶と共に新たな翼人へと転生するはずであった。
しかし、翼人の系統は神奈で途絶えてしまったため、神奈はやむなく人へと転生する。
だが、人へ転生しても翼人の膨大な記憶の流入に耐えきれず、すぐに死んでしまう。
そうして何度も悲劇を繰り返しながら、神奈の魂は救済されることなく空に留まり続ける…。

裏葉が聞いた神奈の声というのは、空耳ではなかった。
裏葉は、類い希なる方術の能力者であったのだ。


神奈を救うため、裏葉と柳也は方術の修練に励んだ。
しかし、翼人にかけられた呪いは、神奈を責め苛むばかりではない。
翼人に心寄せる者をも弱らせ、やがては死に至らしめる。
限られた時間の中で、柳也が出来ること。それは、自分の意志を子に継がせること…
裏葉はそう柳也に告げ、「お手伝い」を申し出る。
「…わかった。但し俺は、残りの時の全てをお前のために使う」
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神奈は、膨大な負の記憶に苛まれながら、独り空で悲しい夢を見続ける。
それは何百年先になるか分からない。しかし、必ず神奈を救ってみせる。
柳也と裏葉は人形に力を込め、子孫に神奈救済の願いを託して、
残り僅かな二人の幸せな時間を過ごしていった。
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そして、時は過ぎ…。
とある海辺の田舎町に降り立ったさすらいの人形芸人・国崎往人は、
空に憧れる不思議な少女・神尾観鈴と出会う。
「にはは。往人さん、海へ行きたいな」
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それは、ちょうど1000年目の夏。最後の夏の始まりであった。


(後編 おわり)