アニメ最萌 支援補助スレ その5

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205名無しさん@お腹いっぱい。
<神奈備命>“summer編”ストーリー簡介・前編(その1)

時は平安時代、正歴五(994)年のこと。

朝廷より「翼人」神奈備命の警護を命じられ、社殿へとやってきた柳也。
柳也にとって翼人とは、不思議な力を用いて神々と交信し、飢饉や疫病に際して加持祈祷を執り行う特別な存在。
だが、実際に彼が目にしたのは、翼があるだけで飛ぶことはおろか何の特異な能力も持たない、
ごく普通の愛らしい少女がつづまやかに暮らす姿だった。
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朝廷にとっては、翼人とは忌み嫌うべき存在であった。そのため神奈は、事実上の幽閉状態に置かれていたのだ。
「着飾ってはいるが、実際は牢獄と変わらぬ」
そんな自らの境遇も、他人事のように素っ気なく言って済ます神奈。
そうして自身の運命については半ば諦め、人間と深い関わりを持たないことで表面上平穏に暮らしてきたのだった。

しかし柳也は、
「翼はどこにあるのだ?」
と、遠慮もなく神奈の体に触れてくる。
柳也の予想外の行動にうろたえ、顔を赤らめる神奈。
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そんな二人をいつもこっそりと見ているのが、女官の裏葉。
「うふふふ。今日も柳也様をお呼びとは、神奈様はよくよく柳也様がお気に召されたのですね」
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これまで人ならぬ者として恐れられ、或いは忌み嫌われて孤独な日々を過ごしてきた神奈にとって、
自分を人として扱い、家族のように親しみを持って接してくれる柳也や裏葉と過ごす時間は、この上なく楽しいものであった。
そして、彼らとの触れ合いは次第に、神奈の心の奥底に沈んでいた人間らしい感情を呼び覚まし始める。
「母上に会いたい…」
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そんな折、突然の命令が柳也の元に届く。
神奈が住居を移すことが決まり、柳也・裏葉とも離れ離れになるというのだ。
それを聞いた裏葉。
「神奈様を母君の元へお連れいたします。いつまでもこのような暮らし、神奈様がお可哀想すぎます」
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柳也に異論のあろう筈もなかった。


そして、嵐の夜。眠っている神奈の枕元に現れた柳也が囁く。
「おはよう。お前、母君に会いたくないか?」
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二人を巻き込んでの危険すぎる逃避行。神奈は一瞬の逡巡を見せるが、覚悟を決める。
「余はそなたに命ずる。母上の元まで、余を案内せよ」
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206名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/23(土) 02:04:13 ID:C6A0XO4J
<神奈備命>“summer編”ストーリー簡介・前編(その2)

目指すは神奈の母・八百比丘尼(やおびくに)が囚われている高野山。

「母上に会うまで、どのような辛苦も耐えてみせる」
と、強い決意を持って社殿を飛び出した神奈だったが、何せ初めて目にする外の世界。
見る物見る物に目を奪われ、追われていることもすっかり忘れて大はしゃぎ。
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母上に見せようとお手玉を練習。不器用なので全然上達しないが…
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世話をする柳也と裏葉の苦労は絶えないが、暖かい眼差しで我が娘のように見守り続ける。
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そうして、旅も終盤を迎えたある夜。
夏祭りで楽しげに踊る人々を不思議そうに見つめる神奈。
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「皆、願いが天に届くと信じて踊っているのですよ」
と、裏葉。

しかし、神奈は言う。
「誰が願いを天に届けるのだ?」
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自分には翼があるが、飛ぶことはできない。
柳也と裏葉には苦労ばかりかけて、自分は何も満足にできない。
母上にお手玉を見せることすら叶いそうにない…。
そんな益体無し(役立たず)の自分でも、祈れば願いは天に通じるのだろうか。
母上やみんなと幸せに暮らしたい。この願いは叶うのだろうか…。

「届くさ」
柳也が力強く頷いてみせる。
「願いを心に思えば、お前の願いはきっと届く」
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そして、焚き火で煌々と照らされた夜空に、お手玉が舞う…。
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翌朝。
子ウサギが母ウサギの元へ帰っていく光景を目にした神奈。
そこに自分と未だ見ぬ母君の姿を重ね合わせ、心を込めて言うのだった。
「末永く、幸せに暮らすのだぞ」
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(前編 おわり)