アニメ最萌 支援補助スレ その3

このエントリーをはてなブックマークに追加
169極楽刀 ◆htSERIO.Go
 私の名前は水銀燈。誇り高きローゼンメイデンの第一ドールにして、アリスに最も近い存在。
 さて、今日もおバカな真紅をアリスゲームでギャフンと言わせてあげましょう。いつもの通り、二階の窓からこんにちは。
「あ、水銀燈、いらっしゃいなのー!」
 ─私を迎え撃つはずだった真紅の姿はなく、いるのは雛苺ただ一人。
「真紅達は『名探偵くんくん劇場版』を見に行ったから、いまはいないのよ」
 正直言ってこの子は苦手。お互いの存在をかけて戦うアリスゲームだって言うのに、この緊迫感の無さ。
「ヒナはね、たのしみで前の日に遅くまで起きてて、今日は寝すごしちゃったからおるすばんなの…つまんないの」
 はいはい、それは残念ね。もっとも、ここまで無駄足になっちゃった私も残念だけど。
「でも、水銀燈が来てくれたから、ひとりぼっちじゃなくなったの!」
 はぁ?真紅と勝負できないならいる意味なんてないから、帰るわよ。
「せっかく来てくれたおきゃくさまを、ヒナがおもてなしするのー!」
 ちょ、ちょっと、何勝手に話をすすめてるのよ…。
「おっもてなしー おもてなしーっ♪」
 ああこら、そんなに走って階段下りたら危ないでしょ。気をつけないとダメじゃない。
 案の定、階段の最後の一歩で転びそうになった雛苺を抱き止める。
 真紅と決着を付ける前に勝手に止まられちゃ、目覚めが悪いものね。
「えへへ、水銀燈、ありがとなの」
 ホントにこの子は緊迫感だけじゃなくて、注意力も足りないんだから…。
 …どうかしたの?そんなにジロジロ人の顔を覗き込んだりして。
170極楽刀 ◆htSERIO.Go :2006/08/28(月) 21:14:04 ID:LwUFvf7T
「水銀燈、ヒナが思ってたよりずっとあったかいの」
 そりゃそうよ。この時間帯でもまだまだ暑い屋外を飛んできたんだから。
 それに、体温の基礎設定なら幼児型の雛苺の方がよっぽど高いわよ。
「うーん…そういうのじゃ、ないの」
 どういうのでも構わないわよ。それよりいつまでしがみついてるの?早く離れなさいよ。
「ういー…ぶじ、ちゃくりくなのー!」
 はぁ、どこが無事なんだか…いい事?貴女は余計な事しなくていいから…って!
「じゃ、ヒナがお茶を入れてあげるのー!」
 人の話はちゃんと聞きなさい!てゆーか待ちなさい。言った先からポットが空焚きになってるじゃないの!
「あつくしてからお水を入れれば、お湯になるんじゃないの?」
 もう、これだからガキんちょは…いいからこっちに寄越しなさい。
 あ、ダメダメ。もっとコンロから離れないと。ドレスに火がついたらどうするの。まったく、不注意な子ねぇ。
「火を使う時は気をつけなさいって、のりがいつも言ってるけど…水銀燈はじょうずなのね」
 これくらい普通よ、ふ・つ・う!貴女が─そしておそらくは真紅も─普段から家事をやってない証拠じゃないの。
 この程度もできないでアリスを目指そうだなんて、どうかしてるわ。
「じゃあヒナはこの間に、カップとケーキを乗せるお皿を…」
 おーさーらー!ダメ!絶対にダメ!そんなにいっぺんに重ねて運ぼうとしたら!
「わ、わわっ…落っことしちゃうのー!」
 『ドジッ子を絵に描きなさい』と言われても、ベタ過ぎて誰もやらないような古典的ミスなんかに負けてたまるものですか!
 今こそ本領発揮!自慢の滑空能力を活かしてスライディングキャッチ。ふぅ、どうやら全部無事みたいね。
171極楽刀 ◆htSERIO.Go :2006/08/28(月) 21:14:53 ID:LwUFvf7T
「水銀燈すごいのー!『こうしえん』にだって出られるのよー!」
 中途半端にタイムリーな例えはしなくていいから、早くこのお皿を受け取りなさい。もちろん落とさないように一枚ずつよ。
「りょうかいー!よっと…うんしょ…」
 なんとか一枚の犠牲者も出さずにテーブルが飾られていく。
 アリスに最も近いこの水銀燈が厨房にいるんですもの。完璧なティータイム以外、ありえないわ。
「あそろそろお湯もわいたみたいだし」
 …いいから貴女はそこで座って待ってなさい。これ以上ドタバタするのはもう御免だから。
「はーい!」
 返事はすごく良いんだけどねえ…たった一杯お茶飲むために、なんでこんなに苦労してるのかしら?
 とぽとぽとぽとぽ…値千金と言っても良いくらいの紅茶がカップに注がれる。ちゃんと味わって飲みなさいよ?
「おいしい…すごくおいしいのよ、水銀燈」
 そりゃ淹れたのが私一人でやったようなもんだから当り前じゃ……ってげふぅっ?!何コレ?しし、渋いったらありゃしない!
 …しまった…さっきのドタバタのせいで間違って茶葉を二度入れちゃったみたいね…くっ、この水銀燈とした事が…!
 ちょっと、これの何処が美味しいのよ?雛苺、貴女味覚おかしいんじゃないの?
「うん…たしかにいつもよりしぶいんだけど…それでも、いつもよりおいしいの…」
 えーと、禅問答なら専門外よ?
「きっと、水銀燈がいっしょにいてくれてるからだと思うの」
 思わず紅茶を吹き出してしまう。うん、今のは不可抗力ね。いきなり何を言い出すよ。
172極楽刀 ◆htSERIO.Go :2006/08/28(月) 21:15:46 ID:LwUFvf7T
「今まで水銀燈はいつも怒ってたり暴れてたり、いじわるしてばかりで怖かったけど…」
 ─えらい言われようね…。
「今日はなんだか、のりやトモエと同じくらい…とっても優しい水銀燈なの」
 そ、そりゃこれだけ手間のかかる子が一人だと、そうせざると得ないだけで…
「やっぱりヒナのおねえさんなんだなって思えて…そしたら、淹れてくれたお茶がとってもおいしくおもえたの」
 ばば、バカね…私が第一ドールなんだから、姉として振舞うのは当然じゃない………その…
 …………か、かわいい妹のためなら…ね。
「えへへへ…」
 ふ、ふふ…あ、あら、ケーキが口元に付いちゃってるわ…仕方ないわねえ。はい、あーんして。
「あーん」
 うふふふふっ…ホント、しょうがない子ねえ、雛苺はっ♥
「じゃあこんどは水銀燈に食べさせてあげるのー!」
 えっ?!ええっ?!ちょ、さすがにそれは…お、お姉ちゃんとしての威厳ってのもんがねえ…?ああ、でも…
「あーんなの!」
 は、はは…い、妹の言う事聞いてあげるのも、姉の勤めですもんね…そう、これはしょうがないのよ…
 ……ちょ…ちょっとだけなら…あーんっ♥
「なるほど、水銀燈にゃそういうシュミがあったですか」
 そうねぇ。こんな気持ち、今まで自分でも気付かなかったわぁ……って・……え?す、翠星石?
173極楽刀 ◆htSERIO.Go :2006/08/28(月) 21:16:36 ID:LwUFvf7T
真紅「随分楽しそうね?お邪魔しちゃったかしら?水銀燈」
蒼星石「いや、その…姉妹としての情愛を深めるのはいい事…なんじゃないかな…と思うよ?……うん」
水銀燈「ち、違うのよ?これは…その…てゆーか、これは一体っ?!」
雛苺「でもみんな、映画を見に行ってたんじゃないの?」
翠星石「ぶっちゃけると、『名探偵くんくん劇場版』を見に行ったなんてな、雛苺と水銀燈をフリーにするための真っ赤なウソですぅ」
水銀燈「ええええええええ?」
真紅「雛苺の萌え訴求力を測るバロメータとして活用させてもらったのだわ」
蒼星石「あの水銀燈がここまでメロメロになるくらいだから、やっぱり雛苺は萌えキャラなんだね」
水銀燈「…酷い……ど、どこらへんから見てたのよ…?」
翠星石「そうですね、『「あ、水銀燈、いらっしゃいなのー!」』くらいからですかね」
水銀燈「ほとんど一部始終じゃないのよ!!」
真紅「まぁまぁ…ぷっククク…今日は美しい姉妹愛を…だっ、ダメだわっ…あのヒステリックな水銀燈が『あーん』ですって…ひ、ひぃ…お腹が苦しいっ」
水銀燈「いやあっ!や、やめて…あれは本心じゃないの!ただちょっと、雛苺が可愛すぎたのがいけないのよぉっ?!…ああ…じゃなくって…!ええと!」
蒼星石「うわ、否定どころか本格的なカミングアウトだ。やるなぁ、水銀燈」
翠星石「近親で百合でロリですか、いよいよもってキワモノ路線ですねえ」
水銀燈「だっだだだだからね?それはね?とと、とにかく、違うのよぉっ!」
薔薇水晶「…VTR班も……ばっちり…『良い絵』……押さえときました…」
紅翠蒼「大・成・功!」
雛苺「なのー!!…よくわからないけど」
水銀燈「いやああぁぁぁっ!!」