<<三枝みこ@かみちゅ!>>支援60行(くらい)SS 「みこたんの朝」
『ピピピピピカチッ』
午前5時30分…梅雨も明け、夏の盛りに向かう今の時期、障子の向こうは既に明るくなっている…
みこは、枕元にたたんである制服と巫女装束から、装束を手に取って、いつものように手早く着替えた。
姉の祀はまだ夢の中…静かに部屋を出て、台所に向かい、顔を洗ってから味噌汁用の鍋に煮干を入れておく…
これがみこが朝起きてから最初にすることである。
簡単に歯磨きを済ませ、んーっと背伸びをしてから、玄関へ向かい、箒をもって境内へ向かう…
拝殿の奥を覗いてみたが、八島様はまだいないようだ…
みこ. 「八島様…おはようございます…(ー人ー)」
律儀に手を合わせ、不在の氏神へ朝の挨拶。
拝殿の柱に箒を立てかけて、みこはそのまま神社の裏にある畑へと向かった。
父光雲は、いつもみこよりも早く起床し、まず畑の作物のチェックをするのが日課となっていた。
みこ. 「おはよう、お父さん^^」
光雲 「あぁ、みこ、おはよう…今日はほうれん草を取っておいたよ…味噌汁に使いなさい」
みこ. 「うん、油揚げもあるから、一緒にお味噌汁に入れるね^^
お父さんも、6時半くらいには戻ってきて一緒に朝ごはんにしようね^^」
光雲 「あ、あぁ、できるだけ遅れないように行くよ^^」
光雲は農作業をしていると時間を忘れがちになり、朝食を姉妹のみで食べることも少なくなかった。
いかん、と思いつつも集中すると時間を忘れてしまうのは昔から相変わらずで、そのせいか娘達には頭が上がらないのである。
みこが野菜のかごを持って拝殿へ行くと、氏神である八島様が起きていて、賽銭箱の上に座っていた。
このとき、父に見せた笑顔とはまた少し違う…嬉しさのあいまった少女らしい笑顔になっていた。
みこ. 「八島様…おはようございます*^^*」
八島 「みこさん、おはようございます^^ いつも朝のお掃除ありがとうございます^^」
みこ. 「いえ、八島様にも、お参りに来てくれる人のためにも綺麗にしておかないといけませんから^^」
みこは毎朝、部活動の早朝練習の日もかかさず境内の掃除を怠らずに続けていて、
八島様は感謝してはいたものの、みこが父や姉に見せる表情とは違うことには気づいていなかった…
みこにとって、朝の30分の境内掃除は一日を気持ちよく始めるための大切なひと時なのである。
掃除を済ませて家にもどると、姉の祀がちょど起きたところで、眠たそうに歯磨きをしていた。
みこ. 「お姉ちゃん、おはよう^^ 今日の朝のお味噌汁はお父さんのほうれん草だよ^^」
祀 「あぁそう…味噌は薄めにね…」
祀はほうれん草には興味を示さず、面倒くさそうに味噌の濃さを指示して部屋に戻っていった。
祀 「ん〜〜、やっぱり朝食に食べるみこの味噌汁は天下一品ね!」
光雲 「うん、素材の…ほうれん草の味がしっかり味わえる、ダシの取り方が良いんだね^^」
みこ. 「今日はちゃんとお父さんが朝ごはん食べてくれるし、サラダのトマトも追加できて良かった^^」
朝食の時間になると、祀も寝起きと違い愛想も良く、口のすべりも好調だった。
今日は父光雲もしっかりと朝食の席に加わり、畑で取れたキュウリやトマトが食卓を飾っていた。
朝食の用意のかたわら、しっかりと弁当を3人分…今日はおかずに鮭も入っている豪華な弁当だ。
祀 「うう゛ぁ! きょ゛うあゆり゛え゛達が来るから゛ み゛こ゛もはやぐかえってきな゛さいね!」
光雲 「祀…納豆を食べながら喋るのはやめなさい^^;」
祀 「はいはい、アタシのまわりじゃ納豆なんて食べる子ほとんどいないのに…文句言わずに食べるだけありがたいってもんよ
ん?みこ?どうしたのよ? アタシの顔になにかついてる?」
みこ. 「ん、違うの…今日はちゃんとみんなで朝ごはんが食べられて良かったなぁって思って^^」
光雲 「お父さんもちゃんと毎日みんなと朝ごはん食べるようにしないとな^^」
笑顔のみこを見て、改めて一家団欒での朝食を目標に掲げる父光雲であった…
『カチッボーンボーンボーンボーンボーンボーンボーンボーン』
食後のお茶を飲んでると、壁の時計が8時を告げる。
祀 「ヤダッ!もう8時じゃない!みこっ!早く歯磨きして支度しなさい!」
みこ. 「私はもう行けるよ…お姉ちゃんより足遅いから少し先に行ってるね^^」
祀 「あぁん、待ってよ〜、すぐ行くからぁ〜><」
泣き言を言う姉を置いて、拝殿にいる八島様に登校の挨拶をし、階段を下りる…
三枝みこ、一日のはじまりである。