アニメ最萌トーナメント2006 投票スレRound75

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363名無しさん@お腹いっぱい。
[[A0631-rGXT1dfi-AD]] <<夢野歌@おねがいマイメロディシリーズ>>

夢野歌というヒロインは、正直言って俺の中では凄く微妙なポジションのキャラだった。
歌というキャラは俺の中ではネタ的な存在としてのウェイトが途方もなく大きかったからだ。

まず夢を守る理由は「自分の夢を守るため」で、誰かのためにとか一切ナシ。
しかも嫌な事があればすぐキレたり怒ったり、更にはクロミにバカにされたら
まずマイメロに頼むという、おねがいでクリーチャーを使役するマイメロへの二重丸投げ。

そして憧れの先輩にしてラスボスである柊に対する恋も、柊が最初からクロミを手下にしていた
根っからの空虚な存在であると歌はいつまでも気づかないまま、どんどん柊を好きになって行く。
だから見ていていつ破綻するか考えるのは楽しかったが、歌に特に興味は沸かなかった。
柊が歌との関係や思い出を蓄積して変化していくのは面白かったものの、それは歌というより柊に対するものだった。

そうして話は終盤まで進み、歌の恋は利用されていると知らない勘違いのまま進んでいった。
その後終盤に来て、まず自分の予測が裏切られた。最初から悪だと知っているはずのクロミや
お供のバクが歌に真実を告げないまま、柊が一方的に歌を騙していたと通告して関係が破綻したためだ。
歌はこの時点で、柊が最初から世界すら無価値だと考えている男だと知る事が出来なくなった。

だから今後、歌には柊という悪を拒絶し恋ら醒める「覚醒」や、悪である事を受け入れ愛する「受容」といった
ヒロイン的成長などもう絶対にないだろうと半分諦めていた。
どうせこのまま歌は真相知らないで柊振るんだろ?と思っていた。

だが実質最終回と言われる50話を見て、俺は驚いた。
歌は柊と両思いかそれに近いと思ったまま「いつすれ違ってしまったのか知りたい」と柊の許へと進み
柊も歌との思い出によって黒化を打ち破り、落ちていく歌の手を握りしめて微笑んだのだ。

世界よりも自分の聴きたい悪夢の曲を選んだ男が、歌をマイメロ潰しの為の路傍の石程度に見ていた
「魂の冷え切った男」が、最終回では好青年そのものの笑顔と声で歌を呼んだのだ。
そして歌も「もう、どこへも行かないでね」と、まるで両思いであったかのようなヒロイン的台詞と共に柊に涙を浮かべ微笑んだ。

俺は唖然として舌を巻いた。「勘違いをそのまま通す」という、自分の中で思いもよらなかった解決法を
この「おねがいマイメロディ」という作品は提示してくれたのだ。
あの時は本当に驚いた。というか「これ子供に分かるのか?」と思った

ちなみに柊の笑顔は本スレで「あんな場面ですらまだ先輩面はおかしいだろ」と叩かれていたし
当時自分も同じような解釈で叩いていた。だが今にして思えば、あれもまた柊の本心だったのかも知れない。
歌という存在を世界と同じような無価値な物と見做さず、特別なものとして扱ったのかも知れないと、今では思える。

マイメロという作品において、歌は成長するものや受容するものではなく、柊に対する変わらぬ好意を持つ
つまり「不変」というある意味別の王道要素で以ってキャラクターを位置づけられたのだ。
そして物語の変化要素を柊恵一という男に任せる事で、本編の歌の意味は自分の中で鮮やかに描き出された。
(「受容」は世界を滅ぼしかけた柊を責めなかったマイメロが担当したが)

子供向けアニメでまさかここまで!という驚きと共に、自分の中で一気に確立した歌のヒロインとしての像。
それはひたすら柊にデレてデレてデレまくり、好きで好きでたまらず、勘違いだろうが何だろうが
一途に信じ抜いてしまうという、そんな恋する乙女としての強烈なデレキャラ像だった。
その目線で本編を見返すと、本当に歌のデレは輝いて見えるようになった。

そして歌は今も柊が好きで、柊も変わり続けている。歌に土産を貰った柊は「歌の趣味に合わせて」変なみやげを買ってきたのだ。
女を喜ばせるプレゼントなど熟知しており、それで歌を毒牙にかけようとしていた柊が
あえて歌のために自分の感性に真っ向から反するようなものを買ってきたのだ。
これもまた、不変の歌と変化の柊という関係なのかも知れない。

とにかく柊を愛し抜いてくれ、歌よ。柊も、歌を愛してしまえ。

…今本編では微妙な二人だが、いっそ柊は歌を愛してしまった時
歌は柊への感情を母性愛のようなものだと思ってすれ違ってしまうのも面白いかも知れない。
そして最後に、二人は新たに恋をする…てのはちょっとクサすぎか。
どうみてもカプオタです、本当にありがとうございました。