今回問題になっているのはやや古い話だが、03年末から04年にかけて放送されたフジテレビの
「退屈貴族」で起きた深刻な事故である。
出演者は一般人の74歳の独居老人。都内の河川敷。灯油がまかれて並べられた段ボールが10メートルほど。
そこに火がつけられ、パンツ一丁の老人にそこを渡らせたのである。
少し歩いた老人は激痛に耐えきれず横に逸れた。そのときすでに火傷は足裏から太ももまで及んでいたという。
老人は持参した軟膏をつけただけで歩くこともできず、ディレクターらが背負ってタクシーに乗せ自宅に送った。
2万円の出演料を払っただけで、何ら火傷の処置はしないままディレクターらは帰社してしまったのだ。
その後、老人の容体が悪化して老人の兄によって救急車で運ばれたが、火傷は表面積の3割近くまである重篤なものだった。
警察が病院側の通報でフジテレビ側に問い合わせをしたが、フジテレビ側は「該当するロケはない」と回答し、
警察は自傷事故として処理してしまった。
老人は生死の境をさ迷う。信じられないことにフジテレビは撮影から1か月半近く経ってから、そのシーンを
「東洋のランボー」と銘打って放送するのである。
番組を見た視聴者からの「やり過ぎだ」という電話で初めて、フジテレビはそうしたロケがあったことに
気づくのだから、このテレビ局の危機管理はなっていない。
結局、この件で番組スタッフの事情聴取も処分もなかったそうだ。フジテレビは事故を隠すことを選択し、
社員はこうした事故があったことさえも知らないそうである。
老人は事故から4年後ぐらいに腎不全で死亡する。
記事によると「腎機能の低下は火傷によってもたらされたもの」だという。
記事はこう結んでいる。
「事故の検証を怠って隠蔽し続ける限り、同じことが再び繰り返されるに違いない」
退屈貴族「東洋のランボー」
http://www.youtube.com/watch?v=7UlUIRMcYRg フジテレビがヒタ隠す “火渡り”で老人に重傷を負わせた最低の番組
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/1071