【実況うるせえ】土井敏之21【粒は糞王】

このエントリーをはてなブックマークに追加
52◇7B7qDtvYR
「第二の入社式」〜ようこそ、ゴミラバへ〜 4月1日。 緊張の面持ちで明らかに着こなせていないスーツを身に纏い闊歩する新社会人。 誰が見ても分かってしまう微笑ましい光景、それは毎年見てきたものだ。 私が“昼
の顔”として属する会社にも新人は毎年入ってくる。 (※あ、因みに私は一日付でゴミラバ本部の書記官に昇進しました。ご報告迄に♪) 私はまるで人事部のように鋭い目付きで全員をチェックする。 何故か?決まっ
ている。ゴミラバも新陳代謝を活発にすべく、毎年若手の引き抜きをやっており、 私もその仕事を担っているからだ。若い才能の獲得はゴミラバ発展への重要な要素だ。 失敗は赦されない。 入社式に立ち会う事を許可
された私は各自を仔細にチェックする。項目は以下の通り。 容姿(顔付き、目付き、髪型、スタイル)・佇まい・言動・礼儀作法・身体能力・思想性・学歴。ゴミラバにもこうした選考の際のマニュアルがあり、“一次
審査”をパスするものはほんの一握りだ。 誤解されては困るが、上記の「学歴」というのは単に1つの参考であって、それだけで振るいにかける事はない。 この点は大企業の人事選考より優れたものであり、真に才能の
ある人間の発掘を怠けがちな大企業連中とはレベルが違う。 こちらは命懸けなのだ。 前置きが長くなったが、程なくして私のお眼鏡に適う女性を1名発見した。 入社ガイダンスが終わった頃合を見て私は彼女に声を掛
けた。 彼女が1人になったところを見て、私はパチンと指で合図を打ち鳴らした。 彼女が振り返ると同時に私は親指をクイッと応接室に向け、打ち合わせを催促し、彼女も快くこれに応じた。 私「突然呼び出してすまな
い。時間が押しているので単刀直入に申し上げよう。 私はゴミ・ラバーズ東京本部の〇〇(実名)だ(名刺を差し出す)。 “ゴミラバ”は君も知っているところだろう?」 女「え・・、も、勿論です!あ、わ、私の名
前は・・」 私「君については既にリサーチ済みだ。名乗ることはない。さて、〇〇君。 早速だが、君を呼び出したのは他でもない、私達と一緒に仕事をして欲しい。」 女「ええ!?ゴミ・ラバーズと言ったらあの有名
53◇7B7qDtvYR:2010/07/16(金) 21:16:16 ID:uQNRzoKd0

な・・何故私なのですか・・」 私「君の素質を買ったからだ。通常、ゴミラバへの入会は厳しい入会試験を突破しなければならない。 しかし、私はゴミラバヘッドハンテイング責任者の資格を有しており、一次審査を
独断で行うことが出来、 尚且つ入会まで漕ぎ着けることも可能だ。ま、それはさておき、ここに入会書類一式がある。 一週間の期限を君に与える。それまでにご両親とよく相談して決断して欲しい。 しかし、一点だけ
守秘義務がある。それは私についての全てだ。分かったかね?」 女「(興奮と歓喜のあまり茫然自失の状態に)・・・・分かりました。 しかし私如きが天下のゴミラバなんて・・自信がありません涙)」 私「君は私
が責任を持って育てる。誰だって最初は自信がないよ。 逆に最初から尊大な事を言う奴はホラ吹きだ(笑) 君の今の健気なリアクションを見て、益々上層部に推したくなったよ」 女「そんな・・いや、本当に有難う御
座います。必ずお返事致しますので少々お待ち下さい。」 一週間待つ必要も無かった。 彼女は翌日、私のところに飛んできた。サインをされた書類を持って。 「不束者ですが、何卒宜しくお願い申し上げます」 周囲の
デスクからは「何だ、〇〇。お前もう新卒に手を出したのか?w」 と冷やかしの声が飛んだが、私は微笑みを備えて下品なジョークを一蹴した。 あくまで社内文書を受け取るが如く書類を受け取り、握手を交わした。
2人だけの秘密である。 「入社後は色々大変だろうし、ゴミラバのファーストカリキュラムと併行するのは大変だろう。 しかし、この洗礼を乗り越えた時、君は偉大なる勝者になれるよ。 社会?ちっぽけだね。私達は世
界と宇宙を見据えているのだから。」 彼女は眼に涙を溜めつつ、一礼し、部を去っていった。 私が退社すると、風はもう春の香りがしていた。 桜並木を通り過ぎる頃、後方から呼び声がした。 「〇〇先輩(←私)、
私、頑張ります!必ずゴミラバに寄与し、アンチを殲滅させてみせます!」 私はウインクで返し、少し肌寒さを感じる風を受けてコートのポケットに手を突っ込んだ。 論理的な説明のつかない高揚感に身を委ね、私は行
き着けのバーがある方向へ消えていった。 【FIN】